運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-09-04 第73回国会 参議院 物価等対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月四日(水曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  九月三日     辞任         補欠選任      志苫  裕君     対馬 孝且君  九月四日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     志苫  裕君      田代富士男君     柏原 ヤス君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小笠 公韶君     理 事                 中西 一郎君                 鳩山威一郎君                 竹田 四郎君                 山田 徹一君                 中沢伊登子君     委 員                 神田  博君                 藤川 一秋君                 安田 隆明君                 赤桐  操君                 粕谷 照美君                 対馬 孝且君                 森下 昭司君                 田代富士男君                 山中 郁子君                 渡辺  武君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        公正取引委員会        委員長      高橋 俊英君        公正取引委員会        事務局取引部長  後藤 英輔君        経済企画政務次        官        竹内 黎一君        経済企画庁物価        局長       喜多村治雄君        大蔵大臣官房審        議官       後藤 達太君        大蔵省主計局次        長        田中  敬君        大蔵省関税局輸        出課長      松本 克也君        農林政務次官   山本茂一郎君        農林省食品流通        局長       森  整治君        食糧庁長官    三善 信二君        食糧庁総務部長  杉山 克己君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        通商産業審議官  天谷 直弘君        資源エネルギー        庁次長      熊谷 善二君        資源エネルギー        庁石油部長    左近友三郎君        資源エネルギー        庁公益事業部長  大永 勇作君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (最近の物価動向に関する件)  (消費者米価問題に関する件)  (灯油価格問題に関する件)  (私的独占の禁止及び公正取引確保に関する  法律改正に関する件)  (輸入大豆流通に関する件)     —————————————
  2. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  まず委員異動について御報告いたします。  昨日、志苫裕君が委員辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。     —————————————
  3. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、最近における物価動向について政府から説明を聴取いたします。内田経済企画庁長官
  4. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 物価問題等に関する特別委員会が開催されるにあたりまして、ごあいさつを兼ねまして、最近の物価動向等について御説明申し上げたいと存じます。  御承知のとおり、わが国物価は、一昨年秋ごろから海外の一次産品価格高騰や、また旺盛な需要に対する供給力の制約などの原因もございまして、騰勢を強めておりましたけれども石油問題を契機として昨年末から本年初めにかけて非常な高騰を示しまして、御承知のように、これが狂乱物価と呼ばれるような状態を現出したわけでございます。  このような物価高騰に対処いたしまして、私ども政府は、財政、金融の両面から総需要抑制策を強力に推進し、需給のバランスの回復につとめてまいりました。これも御承知のように、昨年の一月から預金準備率につきましても数回これを引き上げますとともに、日本銀行の公定歩合も四月から十二月までの間に五回の引き上げを行ないまして、昨年四月の段階で公定歩合年率四分二厘五毛でありましたのを十二月にはその倍以上の九分に引き上げまして今日に至っておることは御承知のとおりでございます。  また、昨年の暮れには皆さま方の非常な御協力のもとに生活関連物資の買占め及び売惜しみに関する法律改正や、また国民生活安定緊急惜置法の制定をもいたしまして、これらにつきまして機動的な運用をはかってまいりました。  またさらに、本年に入りましてからも、石油製品価格上昇抑制するよう行政指導をいたしてまいりますとともに、石油以外の重要な基礎物資、また国民生活関連物資等価格引き上げに際しましては、事前了承をとらしめるというような、いわゆる——これはまあことばは悪うございますけれども価格凍結制とも言うべき従前にないいろいろの措置を講じてまいりましたことも御承知のとおりでございます。  こうした施策効果もございまして、卸売り物価消費者物価ともに本年三月ごろから鎮静化傾向があらわれまして、最近に至るまでこうした比較的安定した卸売り物価消費者物価傾向が示されております。特に総需要抑制策効果の浸透によりまして物資需給緩和をいたしてきております。いわゆる狂乱物価の背景の一つとなっておりました物不足不安感が解消してきておると私どもには考えられるところでございまして、したがって、便乗値上げとか、先取り値上げというようなことは、昨年の暮れから本年の初めにおけるようなふうには行なわれ得ない環境にあると一考えます。  このような最近の情勢推移のもとでいろいろ申しましたいわゆる物資価格凍結というような制度をいつまでも継続してまいりますことは、これが価格の下ざさえとなったり、あるいはまたその生産を押えるというような弊害をも考えられるおそれも出てまいりました。そこで先般、これらの基礎物資生活関連物資等価格事前了承制につきましては そのワク組みはまだこれを残してまいりますけれども幾つかの物資につきましてその指定を解除して価格形成をマーケットのメカニズムにゆだねると、こういう措置をとってまいりましたことも委員各位の御承知のとおりでございます。  また、公共料金につきましては、これも御承知のように従来から抑制的に取り扱ってまいってきたところでございますけれども公共料金凍結措置をいつまでも継続いたしますことは、経済全体にゆがみを生ずる原因ともなり、また、当該事業維持存続を困難にしたり、公共サービス水準を低下させるおそれもありますために、必要最小限度公共料金改定は認めざるを得ないと考えつつ、そうした考え方のもとに抑制的な措置をとってまいりました。しかし、こうした場合にも、経済的に弱い立場にある人々につきましては、いわゆるシビルミニマムというような考え方から、若干の措置をもとってまいりましたが、今後におきましてもでき得る限りこうした配慮を採用してまいりたいと考えておるものでございます。  一方、最近の情勢を見ますと、先行きの設備投資意欲は潜在的にはなお根強いものがございます。これは設備投資先行指標と言われまする機械の受注高等が、御承知のとおり今日それだけは増加をいたしておりますことからもうかがわれるところでございますし、また消費需要、さらにはまた輸出需要も底がたい面がございます上に、大幅なエネルギーコストや、あるいは今春の賃金上昇に伴う賃金コスト上昇、また海外物価動向等、今後の物価情勢には依然として警戒を要する面が残っておると私どもは考えております。  したがって、私ども政府といたしましては、当面はなお総需要抑制策はこれを続けながらも、最近における物価鎮静傾向を定着させる手段を講じまして、それと同時に、さらに長期的、構造的な視野から物価対策に取り組んでまいる考えでおります。  また、今日国民の中に高まりつつあります資源エネルギーを大切にする機運を定着させることは、産業構造資源対策の上からばかりでなく、物価対策の面におきましても有益であると考えるものでありまして、このために今般内閣を中心にこの運動を推進する仕組みをもつくってまいっておるところでございます。  このほか低生産部門構造改善でありますとか、あるいは流通機構の問題、自由な価格形成のための競争条件整備等、こういうような事柄にも今後力を入れてまいらなければならないと考えております。しかし、このような物価対策をいろいろと進めてまいる中にありましても、経済全体の動きを注視をいたし、経済運営のための適切な施策を講じてまいる必要があることは言うまでもないと考えます。  最近におきましては国民経済成長率の純化、景気停滞が申すまでもなく問題になっております。実質国民総生産で見ましても、本年一月−三月は、前期に比べますと実質で、これは数字が最近いささか修正をされましたけれども、対前期四・七%のマイナスを記録をいたしております。また四月−六月も、かなり大幅なマイナスを記録いたしました一−三月に対してわずかに〇・六%という小幅な伸びを記録したにとどまっておりまするし、このことは当然物資生産出荷等にも反映をいたしまして、生産出荷停滞ぎみであり、またこれは雇用の面にも影響を及ぼしておりまして、もちろん失業の増大というところにはいっておりませんけれども、いわゆる有効求人倍率もこの七月には一・一八というような、これまでにないかなり低い水準まで下がってきております。さらに中期的、長期的に考えてわが国増加する人口、まあ年間百何十万人か人口増加するわけでございますけれども、こうした人口増加のもとで、国民生活水準を向上させながら、さらに福祉増大をはかっていくためには、これまでのような高度成長は好ましくないといたしましても、ある程度成長は必要であると考えられます。また資源に乏しいわが国としては、エネルギーや食糧をはじめ各種資源確保も不可欠の課題でありまするし、さらに今日の国際収支ポジション、これは一昨年までとかなりの様相の違いを示しておりますことも御承知のとおりでございますが、こうした国際収支ポジションやら、さらに資源確保等に関する国際協調、あるいは輸出等に関する国際協調というような問題も今後の経済運営上重大なる課題であると考える次第でございます。  物価の安定は今後とも最も重要な政府政策課題であり、私どもといたしましては、総需要抑制策を当分の間は継続するほかに、物価対策には、先ほど来申し述べましたようないろいろの面で十分意を用いることは当然でございますが、また、いま申し述べましたような、幾つかの政策目標にも十分配慮をいたして、安定した国民生活の実現をはかっていくことが今後の政策運営にとってきわめて重要であることをも考えるものでございます。  こうしたためには、各種政策手段を、これはまあ私が最近そういうことを申しておるわけでありますが、立体的に組み立てていくような考慮が必要ではないかと考えます。本委員会におかれましても、どうぞよろしく御指導と御協力をお願いをいたす次第でございます。
  5. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 次に、補足説明を聴取いたします。喜多村物価局長
  6. 喜多村治雄

    説明員喜多村治雄君) 物価局長でございます。  ただいま大臣から最近の物価動向につきまして御説明がございましたので、私からは、ただいまのお話を計数的にトレースしていただきます意味で、配布申し上げました資料を簡単に御説明を申し上げたいと思います。  このお手元にお配りいたしました資料は二枚つづりでございまして、第一枚目は消費者物価指数推移でございますし、第二枚目は卸売り物価指数と、こういうていさいになっております。このていさいにつきましては、かねがね本委員会にも時宜を得て提出をいたしておるスタイルでございますので、御承知のことかと思いますけれども、念のために申し上げますと、上段はグラフと表になっておりまして、グラフのほうは、表をグラフにかえたものでございます。で、昭和四十七年の一月以降どのような足取りを示しておるかということを絵に示したものでございますし、「参考一」という表では、これを計数的に示しております。それから、下のほうは、前の年の同じ月に比べでどうかということ。それから、表ではそれと同時に前の月に比べてどうか、前の年の同じ月ではなくて、前の月に比べてどうかということをカッコ書きの中に示して入れてございます。そういうことを御記憶の上お聞き取りいただきたいと思います。  で、最近の物価動向でございますけれども大臣から先ほど申し上げましたように、あるいはこのグラフで見ていただきますように、一言で申しますと、卸売り物価につきましては二月の中旬ごろから、あるいは消費者物価につきましては三月ごろから、鎮静に向かいつつありまして、比較的安定した動きを示しておるということが結論的に申し上げられると思いますが、内容的に少し申し上げたいと思います。  まず、消費者物価指数でございますが、左側のグラフでごらんいただきますように、四十五年を一〇〇といたしました足取りは相当強い右上がりの形になっております。特に、昨年の秋以降の足取りはきわめて高いということはごらんいただけるかと思います。で、このグラフ説明よりも、むしろ下グラフでもって御説明を申し上げます。あるいは表で御説明を申し上げますと、資料の下の段のところに数字がずっと出ております。この数字は、先ほど説明いたしましたように、前年同月比  前の年の同じ月に比べてどの程度であるか。八月は、これは東京の速報でありますけれども、前の年に比べて二三%の高さにあるということでございます。ずっと上のほうをたどっていただきますと、四十八年の四月はこれは九・四%というようなことでございましたので、一三%という高さが非常に高いということを御記憶  いただきたいと存じます。  それからそのカッコの中をごらんいただきますと、これは先ほど申し上げましたように、対前月比でございますが、東京につきましては、八月〇・八ということでございます。そこで、少しさかのぼって申し上げますと、消費者物価指数は、石油問題発生時の昨年十二月から本年二月の間は前月比で大体三%をこえるという異常な上昇を示してまいりましたが、三月になりますと、前月比は〇・七%の上昇にとどまったということでございます。四月は二・七%と反騰いたしておりますが、これは天候不順等によります野菜の大幅な上昇がございましたことや、年度がわりのために教育費等が一時的、季節的に上がったということでございまして、こういうものを勘案いたしますと、前の月、つまり三月の基調には変わりはなかったと考えております。同様に五月は〇・三%、六月は〇・五%と、ほぼ平穏に推移いたしました。七月につきましては二・〇と、ちょっとこれは高い数値となりましたが、この原因は、長雨とか台風の影響によります野菜生鮮魚介の急騰がございまして、そのほか新聞代値上げもございましたために、これが響いたのでございますが、基調としては、まあ若干高目でございますけれども、それほど心配したものではないと、それが証拠に、八月には、全国確報は発表されておりませんけれども東京都につきましては〇・八という小幅上昇に回復したのでございます。しかし、前年同月比というものは先ほど申し上げましたように二三%ということで、本年一月以降二〇%台の高さをずっと推移しておるということを考えますと、やはりこれは非常に高いところを、高原状態推移しているんだということに相なります。  続いて卸売り物価関係について申し上げます。二枚目の資料でございます。同じようなことで、上のほうは指数でもって足取りが書かれておりますが、これは消費者物価指数に比べてはるかに急傾斜のグラフを示しました。これも申し上げるまでもないことでございますけれども、すなわち、これも下の段だけをごらんいただきますと、下の段の総平均の欄、カッコ内の数字をまずごらんいただきますと、本年三月に前月比で〇・七——前月比てございます。前の月に比べてどの程度上がったかということでございますが、〇・七という上昇にとどまりました。これは先ほど大臣が申されましたように、三月以降比較的平静に戻ったということのトレースでございます——上昇にとどまりまして以来、四月もやはり〇・七、五月は〇・六と比較的安定的に推移いたしました。で、六月は、これは一・三ということでございますが、この中には電気料金改定がございまして、寄与度大体〇・七でございます。そういうことがございましたので、それを差し引きますと、これも安定しているというように考えられるのでございます。七月は鉄鋼価格の大幅な上昇などから一・一ということになっておりますが、全体として比較的落ちついた動きになっております。ただ、これも同じように、前年同月比に比べますと、ごらんいただきますようにカッコの外でございますが、四十九年一月以降三〇%台をずっと推移してきております。で、三〇%台ということの高さは、やはりこれも別に基準があるわけじゃありませんけれども、この表の一番てっぺんをごらんいただきますと、一一・四ということでございますから、三〇%台ということの大きさというのはやはり相当警戒しなければならない高さでございます。  以上が最近の物価動向についてでございますが、今後の物価見通しにつきましては、先ほど大臣が申されましたので、くどくは申しませんが、輸入物価動向でありますとか、大幅な春季賃上げ影響コスト面あるいは需要面影響してくるというようなことが懸念されますので、決してこの最近の四、五カ月の間の安定といいますか、鎮静状況だけでは楽観を許さない情勢にあるということでございます。  以上をもちまして、簡単でございますが、説明を終わります。
  7. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 竹田四郎

    竹田四郎君 企画庁長官にお伺いしますけれども、よく国民にわからないのは、あなたが最後に言った、「政策手段を立体的に組み立てる」と言うんですか、どうもこれどういうことかさっぱりわからないのですが、これをひとつ御説明いただきたいということと、最後物価局長もおっしゃっていたんですが、若干ここ、いままでの物価動向に比べたら、やや鎮静したと言うんですが、それでも卸売り物価前月比一%といったら、年に直せばこれはたいへんなものですよね。だから、昨年に比べればやや騰勢は鈍ったという程度であって、私は物価鎮静したなどというふうなことは、これは少しも考えられないと思うんです。一方では、先ほど申しましたように、一−三月で四・七%も景気停滞がある。こういう中で、確かに景気のほうの停滞ということは、これは考えられると思うんですね。しかし、物価動向ということになってみれば、これは決してそんなに安心できるような状態ではない。しかし、一方では、たとえば鉄鋼等が一連の設備投資が行なわれるとか、あるいは金融関係も若干手直しをしようじゃないかというようなこともある。一方では価格凍結を片っぱしから解除して、とにかく自由な市場経済にまかせよう、こういうことなんですが、どうもその辺がわれわれどっちへどういくのかわからぬということなんですが、おそらく景気を刺激するような政策が次から次へと打たれていくんじゃないだろうか、そして物価はますます狂乱物価の中に突入していくんじゃないだろうか、こういう国民の不安、こうしたものが私はつきまとっていると思うんです。一体どうしていくべきなのか。これに対してはもうみんな頭をかかえて、どうしたらいいかわけがわからぬというのが国民の頭の中だろうと思うんです。そういう中で、ひとつ経済のかじとりをやっている企画庁として今後の景気動向物価動向、こうしたものをもう少し明確に方針を出してもらわなければ、国民のこれからのとるべき方向というものは、私、全然方向性をつかむことができないと思うんです。毎日不安でいらいらする。金を借りに行っても金は貸してはくれない。仕事はどんどん減ってくる。そして一般の消費者のほうは、最近東芝や日立、その他で見られるような帰休制というものが出てくる。自動車においても同じように非常に生産を落としていく。いままで、基本的な賃金だけでなくて残業やそういうことでかせいでいたものもがくっと落ちる。消費者米価をはじめとして、物価はどうもここでまた狂乱しそうだと、もう頭の中がいらいらしちゃっていてどうにもしようないと、こういう情勢が続くということになれば、私は社会不安なども起きかねない、こういうふうに思うんですが、長官、どうですか。
  9. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 竹田さんがお述べになりましたとおりのことを私も常々感じておるわけでございます。  まず、最初のお尋ねの、私が先ほども述べました、いろいろの政策を立体的に組み立てる必要があるのではないかと思う、ということにつきましては、これはいま竹田さんのおことばにもありましたとおり、総需要抑制金融引き締め一本やりで、この一年半以上やってまいりました。金融もかなり引き締まってまいりました。総需要抑制効果も出てまいりましたことは、物の生産落ち込みとか、あるいは出荷落ち込みとか、あるいはまた在庫の著しい増加とかいうようなことであらわれるわけでありますけれども、また国民の実感といたしましても、いまも竹田さんのおことばにありましたように、どこに行ってもなかなか金が借りられないというようなことで、多くの企業、ことに中小企業などが非常に苦心をしておるというところにあらわれてきておるわけであります。  そこで、物価政策は私は相も変わらず最高政治課題であると考えますし、またこれ、うっかり手をゆるめますと、物価狂乱というような状態とは別てございますけれども物価鎮静というような状態を定着せしめることがむずかしくなりますので、やはり物価政策最高政治課題という立場をおるわけでありますが、同時に、それによって不況が一そう深刻化したり、あるいは倒産が著しくふえたり、あるいはまた雇用状況に好ましからざる変化を与えるということであってはなりませんし、また先ほども述べましたけれども、短期的な視野ばかりではなしだ、中・長期的に考えまして、毎年人口がふえると新しく学校を卒業して就職戦線に入る人々も毎年毎年ふえるわけでございますので、また社会福祉の充実というようなことも、これはいまのままのレベルでいきましても社会福祉の対象になる老人階層というようなものがふえてまいります上に、さらに一そう社会福祉そのものの内容のかさ上げもぜひやりたいということを考えますときには、これはやはりモダレートな経済成長の基盤というものも忘れ去るわけにはいかないというような幾つかの、それを平面交差をしますと衝突をしてしまうような課題があるわけでございます。国際収支も必ずしも楽観を許すような状態ではございません。これは日本ばかりではありません。世界じゅうがそうでございますけれどもわが国においても国際収支ポジションが変わってきておりますので、やたらに総需要緩和をいたしたり、また金融引き締めを解除するというようなことになりますと、直ちに国際収支にそれも影響を及ぼすというようなことで、幾つかの矛盾課題がここに迫ってきておりますので、私は、たとえばそれを平面的に処理しようと思うとみなぶつかってしまうので、それを立体的に組み立てるということ、これは例が適切であるかどうかしりませんが、交通でいえば、平面を走る自動車、またその上立体交差をしてつくられた道路、あるいは地下を走る地下鉄もございましょうし、横っちょにくっつけるモノレールというようなものもあるわけでございますし、飛行機もあれば、また海を走る、あれ、何というのですか、船もありますので、そういう例になぞらえて総需要抑制金融緩和物価政策を放棄することなしに、何か上を通したり横を通したり、下を通すようなことを想定しながらいろいろのことをやっていかないことには経済も動かなくなると、こういうことで、たとえばの話で申しておるわけでありまして、これは具体的に私が立体的な一覧表をごらんに入れるというところまではいっておりませんけれども、おっしゃるとおり、私は経済の方面を担当する閣僚の一人といたしまして、ときどきそういうことばを用いながら関係各省の責任者の方々にもその点を御留意を願っておるということでございます。  それから、あとのほうの物価の見通しでございますが、これ、簡単に申し上げますと、おっしゃるとおりの心配を私どももいたすものでありますからいろいろ苦労いたします。しかし、卸売り物価の例をお引きになりましたけれども卸売り物価はこの表にもございますが、昨年の十二月には前月比で七・一%上昇しました。こえて一月には五・五%の対前月上昇をいたしております。二月でもまだ三・九%ぐらいの上昇をいたしておりまして、これはいわば過去の一年分ぐらいの物価上昇を毎月三カ月間続けてやらかしたというような状況であったわけでありますが、それが先ほど来私並びに物価局長が申し述べておりますように、三月からはその状況がかなり改善をしまして、毎月の対前月上昇率一%を割り込むような月がしばしば続きますし、また、一%をこえましても昨年の暮れから正月のような、いま申したような状況があらわれていないものでありますから、この状況を定着させる方向を私どもは所期しておるわけであります。同じこと、先ほどの私のごあいさつの中で申し述べたことばを繰り返しませんけれども、昨年の暮れから正月にかけての物不足あるいは物価そのものの動き、いろいろの環境が違っておりますので、ことしは公共料金等の問題も控えておりますけれども、昨年とはかなり改善をされた状況を提出し得ると私は考えます。また、もうそうしなければならないと思うものでございます。
  10. 竹田四郎

    竹田四郎君 長官が言っていることはあたりまえですよ。前月比一%も卸売り物価が上がっていて、それで、それは前に比べれば鎮静したって、これは当然のことですよ、あれは異常なんだから。そうでしょう。いままではほとんど上がってなかった状態でしょう、前月比といえば。去年の状況を引き出して、これよりよくなったんだからよくなったんだと。そんなことを言うなんていうのは、企画庁長官としてこれは町の経済学者にもあなた劣るんじゃないですか。それで、あなたの説明を聞いていると、あれが困った、これが困ったと、困った話ばかりじゃないですか。あなたは経済のかじとりをやっているんでしょう。それならそれでもう少し、一体これからどうなるんだと、そういう政策を出さにゃいかぬじゃないですか。物価局長、あなたのほうは消費者米価は二〇%以下に押えたいということを盛んに言ってきましたね、それ、どういう理由ですか。
  11. 喜多村治雄

    説明員喜多村治雄君) 経済企画庁のほうで、二〇%とか二〇%台とか確かに申し上げてまいりました。われわれとしましては一物価の安定ということを一番強く考えておるものでございますから、ああいう末端逆ざやを大幅に解消しょうという議論が大幅にありましたときには、できるだけ低い段階での議論を私たちは目安として出したわけでございます。この二〇%と申しますのは、これは多少計数的にわたって申しわけございませんけれども先ほど私が御説明申し上げましたように、いまも先生がおっしゃいますように、今後毎月毎月一%ぐらいずつ消費者物価指数が上がっていくということを一応——これは非常に苦しいことでありますけれども、目安といたしました場合に、大体それとの関連においてお米の値上げがどのぐらい影響するかということを計算いたしまして、二〇%ぐらいか、二五%ぐらいか、そのあたりを考えるべきではないかということを主張してきたわけでございます。しかし、それがこれでなければならぬという数字をリジッドに申し上げてきたわけでもございませんで、二〇%というようなことを、非常に大幅に末端逆ざや論が出てまいりますさなかで提示したということでございます。
  12. 竹田四郎

    竹田四郎君 長官はこれを三六%で妥協したのはどういうわけですか。いまおたくのほうの物価局長は、少なくとも二〇%台、そのぐらいでなければ消費者物価上昇というのは一%以上になっちゃうと言うにもかかわらず、あなたはどうして三六%というのに妥協したんですか。いまあなたの説明の中でも、少し手をゆるめれば物価鎮静からまた深刻な状況に入る可能性はあると、そういうさなかですよ、あなたの現状認識は。その中で、どうして経済企画庁の大体の幹部の人たちが二〇%台と言うのを三六%というのにしたんですか。どういう心境ですか、三六%にしたのは。私はとんでもないと思うのだ。簡単に答えてください
  13. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 三六%は、大蔵省や農林省が提示をされました六一・七%とか、あるいは四七・何%とかいうものよりも低い数字である。中身は、生産者米価を値上げすることによって生ずる財政上の赤字と申しますか、末端逆ざやの全部を消費者米価にかぶせるとか、あるいはまたその三分の二を消費者米価にかぶせるとかいうようなことは私は賛成できないというところで、それらの数字よりも低い三六%というものを私は大いに努力をした、こういうことでございます。
  14. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたの下僚が二〇%台をずっと主張しているわけだ。新聞だって、ずっと経済企画庁は二〇%台でなくちゃ困ると、あるいは二〇%ということを盛んに言っている。派閥が大平さんとあなた一緒だというので、簡単にそう妥協されちゃ国民はかなわぬね、派閥と国民の生活とを入れかえにされたんじゃ。経済企画庁がもっとがんばれば私はその三六%はまだ低くなっただろうと思う。末端逆ざや、末端逆ざやといったって、四〇%上げようが五〇%上げようが末端逆ざやは決して解消されているわけじゃない。末端逆ざやを解消するには倍ぐらい上げなけりゃ末端逆ざやはおそらく解消できないでしょう。しかも、いまは非常に、先ほどあなた自体が言ったように、ちょっと手をゆるめればいまの鎮静化傾向はまた上昇傾向に入っちゃうという、そういう認識の中で、どうしてあなたはそういうことをされるんですか。少しでも低ければよりベターだと、そういうことで物価政策というものをあなたがやっているとなると、私どもあなたの物価政策に対して信頼できないですよ。もう少ししっかりしてもらわなければ困ると思うのだ。
  15. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 竹田さん、たいへんお口が悪くて、また手きびしいわけでありますけれども、私は最大の努力をいたしておるわけでございます。むずかしい問題が並んでおりますので、先ほどのことに触れますと、そのむずかしい問題を解決するためには立体構造も必要だということをあえて私が述べておるところも、私のそういうことに対する顧慮があるわけでありまして、私は町の経済学者よりも劣っておるとは思いません。それからまた、末端逆ざやを解消するためには、倍にしなくても、六一・七%という数字を大蔵大臣並びに農林大臣が持ってこられておるわけでありますが、これもあとからお話が出ると思いますけれども、私は経済企画庁長官として考えます限りにおいては、食管制度があります限りにおいては、しかも、今日のこの事態のもとにおいて末端逆ざやを全部解消するということは適当でないという私は信念を持ちまして、六一・七%というものは賛成をいたしません。しからばその三分の二を消費者負担にするか。実は昨年も三分の二を負担とするということで、そのときは私は閣僚ではございませんでしたけれども、米価審議会に諮問をされたわけであります。しかし、それは後になりまして、私などもいろいろ動きまして、また全く違った、米審後に違った姿になりましたことも、これも御承知のとおりでありますけれども、米審に出されたものは三分の二を消費者負担にするということでございましたけれども、私はそれにも賛成ではございません。さらにより低い消費者負担であるべきだというところでがんばっておりましたが、米価審議会を私一人ががんばってるためにいつまでも開けないという状況に持っていくわけにもまいりませんので、米価審議会を開かれるその前日に至りまして、私はもうこうやったまま返事をしない、返事をしなかったのでありますけれども、まあ、末端逆ざやの解消に必要な数字の二分の一というところの三六ということで、私はこれは立体構造ではございませんけれども、これは米については価格の問題、最大のこれは課題でございましょうけれども、別に農政上の問題もある。これは農林政務次官や農林御当局もおられましょうから、るる、きっとお話があると思いますが、農政上の問題もある。あるいはまた、一兆をこえるような赤字を食管会計の中に存置をする。それをまた幾らか減らすにいたしましても、数千億円以上の赤字を存置するということはやがて米審の機能喪失、機能崩壊ということにもつながるというような論議も行なわれたさなかにおきまして、私は諮問案としては昨日の段階で私も引き下がる——引き下がりもしないのですけれども、私もこれ同じ政府におるものでありますから、大平に遠慮する必要は全くございませんけれども、三六ということで諮問をいたした、こういう次第でございます。  これはまあ、私は物価を担当いたしますけれども、財政や農政を担当いたしますのはそれぞれ財政大臣であり農林大臣でありますので、機会を得てそれらの諸君にもぜひひとつおただしをいただきたいと思います。
  16. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたの経済企画庁長官、物価担当大臣としてのインフレに対するかまえというのが私は非常に弱いと思うのです。これもっとがんばったっていいと思うんだ、あなた。何も三六%に妥協する必要はない。しかもことしは、あなた自体が言ったように、物価鎮静するか鎮静しないか、その境でしょう。で、先ほどあなたが言ったように、国民の頭というのはいまいらいらしているのです、方向がわからなくて。そういう中で物価担当の大臣がそういうものに——何日おくれるかしりませんけれども、二、三日おくれたって別に問題ないでしょう。なぜもっとがんばらないのか。これはただ三六%にあなたが同意したということだけの問題じゃ私はないと思う。内田長官がインフレに対してどう戦ってるかということを国民が見る一つのメルクマールになる問題ですよ、これは。そういう点では私はきわめて遺憾に思う。  それで長官ね、この前の生産者米価の問題もそうだけれども、米審というのは一体どういうものなのか。いいかげんに計算して、そしてあとで政治加算したり、政治減算今度はまたするという話があるのだけれども、そんなものにしか成り下がってないじゃないですか。今度は新聞は政治減算というのですか、三六%を二〇%台に政治的な折衝で減らすと、こういうふうに言ってるのですが、その見通しはあるのですか、ないのですか。
  17. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これは米価は食糧管理法上米価審議会の意見を聞いてきめるということになっておるわけでございますので、昨日から開かれておりまする米価審議会がどういう意見をお出しになるかというところによってきまるものであると思います。しかし、米価審議会の検討の素材として三六%を私は出しておるわけでありますから、米価審議会の御意見が出るまではあの三六というものは腰だめのものである、いいかげんのものであるというようなことを私が申すわけのものじゃございません。これは政府としては三大臣一緒に、これをもって米価審議会で検討資料としていただくということで出したわけでありますから、あとは審議会の答申を待ちましてそれを尊重するということに農林省も御異存はなかろうかと私は思います。
  18. 竹田四郎

    竹田四郎君 では、政治減算というのはあり得ないと、こういうふうに認識してよろしゅうございますか。
  19. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) それまた、現実の動きもいろいろございましょうが、私はその政府の当局として、しかもその米価審議会に対する諮問案をつくるについての政府の当局といたしましては、これは三六%というものは適正な教字であるという一致のもとで出しておるわけであります。しかし、それは審議会がどういう答申をなさるか。いまその、竹田さんがおっしゃるように、これははなはだ消費者に負担をかけ過ぎると、財政がもっとしょってもいいんだという考え方もございまして、私もきのう米審に出席を求められましたので、逃げ隠れせず行ってまいりましていろいろ申し述べたわけでございますが、それらについても米審がきっときょうじゅうか明朝までには意見をお出しになりますので、それが三六%に一致する場合もあれば、違う場合もあっても、制度上私はそういうこともあり得ると考えるほかはないと思います。
  20. 竹田四郎

    竹田四郎君 食糧庁長官なり農林大臣が何時に来るのか、その辺が明確でないので、またあとそれに関連して長官にはお尋ねもしたいと思うんですけれども、公取委員長せっかくお見えいただいておりますので……。  まあ私は経企庁長官に比べると公取委員長のほうがインフレ退治をする姿勢というものは私はより評価をしたいと思うんです。幾ら市場を自由経済にまかそうとしても、いまの独占価格がある以上は、これは自由経済の原則というものがそのままに適用していないわけですね。常にそういうものでごまかされてしまう、自由経済が適用になってない。したがって資源配分にいたしましてもその他の問題にしても、そのために妨げられているわけです。まあ公取委員長はかなり勇気をもって独占禁止法の改正の準備を進めていると、こういうふうにおっしゃっておりますが、その改正の要点、それからその進行の度合い、御説明いただきたいと思います。
  21. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) まず、その概要の進行状況を申しますと、独占禁止法改正のために特別に研究会というものを設けまして、学識経験者、これはそう数は多くはありませんけれども、相当私どもとしては見識の高い方をお願いしたつもりでございまして、昨年の終わりから始めまして、相当の回数にわたりまして研究を進めてまいりました。私どももこれに参画いたしております。そして、いまはもうまとめの段階でございまして、いろいろな理論つけ  理論の問題についてずいぶん長い時間を要しました。しかし、最近になりまして私ども事務当局は、八月に入りましてからは具体的な案をなるべく早く提示しなければならない。そうでありませんと、いろいろ関係するところが多くて、それらのところが具体案を見なければ批判もできない、こういうふうなことがございます。そういうことで、できればおそくとも九月中には要綱を取りまとめる、要綱の段階までいきたいというふうに思っておりますが、そうでなくても、その以前においてもしできればその骨格を示したい、具体的な骨格を示すようにしたいと考えておりますが、まだそれは完全にでき上がっておるというわけではございません。  なお、その改正の要点でございますが、すでにある程度承知かと思いますけれども、第一には、やはり独占及び寡占対策。それは、その一つには、独占的業種、そういう業種で一あるいは二ぐらいの企業が業界を全部支配しておると、実質的にですね、競争が行なわれてない、そういうふうに認められるものについて、最終的な試案としては、いわゆる企業分割——企業分割というのは会社の分割ということでありますけれども、しかし、その会社の分割までいかなくても、資産の一部譲渡というふうなことがあれば、これはまあそれでもいいわけですから、概してこれは企業分割と通常称しております。これが乱用はいたしませんけれども、もちろんこれはひんぴんと使うようなものじゃありません。いろいろ手を尽くして、なおかつ及ばない場合にはそういう手段に訴えることができるように法制的な手段を持つということが必要ではないか。  次に、そこまで至らない、まあ若干幅は広くなりますが、そういう独占的な支配下にある特殊の一定の企業によって支配されているんじゃなくて、もう少々数は多いと、つまりいわゆる寡占でございます。寡占の体制にあるところに対しましては、これは非常に徹底した策ではありませんが、原価の公表というものを求めたい。この原価の公表を求める趣旨というのは、一般にはたいていの、これは一定の規模以上の会社でございまして、小さなものには求める気持ちはありません。ある程度の規模のものでなければならぬし、かつ寡占であって、少なくとも価格面での競争が行なわれてないんじゃないかと。で、同じような時期に同じような値上げが行なわれる、でき上がった結果もほぼ同じである、こういう企業がちょいちょいあります。そうたくさんはございませんが、そういう業種がございます。これに対しては原価の公表を求めることによって社会的な批判にさらすと。これは一つのそういった寡占的企業が行なう隠れたカルテル、私どもから見ればカルテルがあるとは推定されるんですけれども、いずれもそれは捕捉できない。そういうものに対してこの原価を公表させるということから、あまり恣意的な値上げ等の行動に出ることを抑制したいということでございます。  それから、カルテル対策といたしましては、一つにはたびたび言っておりますが、カルテルで引き上げられた価格が、ごくわかりやすく申しますれば、これは独占価格の一種である。みな同じように大部分、まあ一定の取引分野を実質的に制限するだけの大部分の業者あるいは全部の事業者がカルテルで価格引き上げる、主として価格カルテルでございますが、生産カルテルの場合でも生産を大いにしぼることによって価格をつり上げることも、それはできます。まあしかし、主として価格カルテルの場合を対象に考えております。それはそのまま独占価格が、いわゆる私の言う独占価格がほったらかしになると、このまま放任されておるというのは遺憾なことである。これは国民の期待にこたえるところでもない。独占対策、独占禁止法の問題としても重大な欠陥ではないかと私どもは思っております。非常に価格カルテルが多いのでございますから、日本の体質として特別に多いように私は思います。そういうものに対しては原状回復命令を出す。価格介入になるのではないかという批判がございますが、私どもはそれはそういう意見もあるでしょうけれども、現実に海外の諸国を見ますれば、アメリカは別でございますけれども価格に介入している国は幾つかあります。独占禁止当局がですね、独占禁止の政策を担当している当局が価格に介入しているという例はあります。態様は必ずしも同じでありません。そういうことから価格の引き下げ命令を考えている。そういう権限を付せ、ただし、実情に全く沿わないような運用はしておるつもりはありません。  次に、もう一つの点は、課徴金という問題を考えておりまして、いわゆる告発によりまして、刑事罰を科するということだけではなしに、そういう方法は日本の場合にひんぴんと行なわれるような体制になっておりませんので、これを課徴金というまあ一種の制裁的な意味を含めておりますけれども、不当に利得したものは召し上げるという行政処分、行政処分として課徴金をかけるという制度を考えております。  そのほかにも持ち株の制限というのがございまして、これは二つございます。持ち株の制限、分ければ第一の点は一般の事業会社でございますが、これにつきましてはいまのところまだ結論を申し上げる段階にまではなっておりませんが、何らかの方法でその保有株の制限をするということを考えております。この何らかの方法でという点がまだ実は煮詰まっておりません。そこで、ただいま申し上げるには時期尚早と思いますが、ただ金融機関はいま一つの会社の株式を持つ場合に、特別な許可を得た場合、認可を得た場合以外は百分の十までだと。ところが、今日になりますと百分の十という数字は高過ぎる。というのは、その百分の十に至らない範囲で、上位の株主、筆頭株主あるいは第三位ぐらいまでの株主に金融機関が入っている例が非常に多うございます。これは私は好ましくない。一方で融資の面でも金融機関はある程度産業界に対しましてまあ威力は働かしております。またそういう株式保有によってもいろいろなことが、まあ金融機関から産業界に対していろいろな力となって働くと、これをやっぱり規制する必要があるということでございます。これ以外に、罰則は非常にその時代に沿わないものになっておりますから、罰則の強化という、罰金ですと、主としてこれは懲役刑については問題でありませんが、罰金が最高で五十万円というのはいかにも実情に沿わない。これを最低十倍以上に上げたいというふうに考えております。  また、なおこれは技術的な問題でございますが、過失責任罰というものを考えております。これはただいまあまり詳しく申し上げないほうがいいと思いますが、これは現実に事業者団体の場合にそういう規定がございます。会社の場合にはそれがない。この不均衡に対しては私どもむしろ会社の場合こそそういう過失責任罰があってもいいのではないかというふうに思っております。  そのほかの点といたしましても、不公正な取引方法に対するいま現在の規定は多少甘くできております。罰則もありません。そういう点でこれは他の不当な取引制限または私的独占というふうな、独禁法違反行為に対する排除措置と同じ性格のものにしてよいのではないかというふうに思っております。  まあそのほかにも過去の違反行為に対しましては、いままで一たん過去のものとなってしまった以上は排除措置はとれない。ところが、景品表示法のほうを見ますとああいう措置がとれることになっております。これ、とるのもバランスでありませんが、とにかく最近の事件についてでなくてもそのすぐ前の事件については完全な証拠がある。こういう場合にも、これはどうも最近の事件を手がけておいて過去のほうも取り出すということはちょっとできないようになっております。ですから、そういうことのないように、同じような事件かこう続いてあるという場合に過去の事件も追及できるというふうにすればカルテルなんかの防止に役に立つのではないか、こういうことでございます。  以上述べました、まあ概要でございますが、これらの点についてはいろいろな理論づけ、まあたいへんむずかしい点もございますが、反対その他の意見もございますので、十分それらの批判を受けた上で練っていくつもりでございます。
  22. 竹田四郎

    竹田四郎君 たいへんありがとうございました。もう少しほんとうはこまかくお聞きしたいのですが、時間がありませんから二点だけ委員長に伺いたいと思うのですが、いつの国会にこれを出す予定で準備を進めているのかということが一つ。  それから、持ち株制限の中で一般企業というふうにおっしゃっておられたんですが、まあ一般企業の中でいわゆる商社、これはもうほとんどいま持ち株というのはかなり、銀行以上の持ち株をおそらく持って支配をしている。これが今日のいろいろな価格引き上げておる相当大きな原因だと私は思うのです。まあ私も選挙をやってきたばかりですから、特に合板なんかまさに商社が牛耳っていて、商社の値段によって合板がぼんぼんぼんぼん上がっていったという経緯もあるわけです。そういう点で商社の持ち株制限というのは何らか特別に考えておられるのか。一般企業と同じような立場で考えておられるのか。私は商社の場合には少しきびしくしたほうがいいと、こういうふうに思うわけです。  それからこれは公取委員長がんばってもらわにゃいかぬと思うんですが、公取の定員がきわめて少ないですね。いま公取の人はほとんど一般業務のほかに審査も兼務されているという人がもうほとんどだと思うんですよ。これじゃあちらこちらのカルテルとか、不公正な取引というのを取り締まれないと思うんです。もう少しほかで定員は削るところがあってしかるべきだと思うんですけれども、公取はもう少しこれを大きくしなければ、国民の消費生活、あるいは物価高騰に対する監視役、そういうものが果たされないんじゃないかと思うんですけれどもね。その辺どう考えておられるのか。  あと一括して聞きますけれども、最近公取は歩積み両建て  これは委員長でなくてもいいんですが、歩積み両建てについては公取は年に二回ぐらい御調査になっているわけですね。しかし、これがどうも資料が出るのがおそいですね。最近出た資料というと、去年の十一月ごろの、金がうんと余っているときの歩積み両建ての資料がいまごろ出ているというおそらく状態だろうと思うんですよ。これじゃ現状の実態が国民の中に明らかにされていないと思います。私ども最近あちらこちら歩いて聞くのは、最近の歩積み両建てというのか、拘束預金が非常にきびしくなってきた。中小企業なんかは、自分が預金していても、その預金が下げられない。片っ方は、金に困っている。こういうのが実態のようなんですけれども、最近の調査というのはおそらく五月ごろおやりになっているんだろうと思うんです。まだ集計がおそらくできていないというふうにおっしゃるだろうと思うんです。その辺は一体どうなっているのか。これは取引部長でもいいと思うんですけれども、ひとつ答弁をいただきたいし、この辺を公取委員長、もう少しきびしくする必要ないですか。何か歩積み両建てというのはいままでの長い慣習で、それはしようがないんだというような形で認めているんですが、もっとこれはきびしく取り締まる必要があるんだろうと私は思うんですけれども、この辺についてひとつ御答弁いただきたいし、それについて一体銀行局はどう考えているのか。大蔵省、このごろ何かその辺非常に手ぬるくなっているような気がしてしようがないわけですけれども、その辺もう少しきびしく私はやるべきだと思うんだけれども、それを一括して簡単に答えてください
  23. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 独禁法改正案はぜひとも政府・与党の十分な御了解を得て、この次の通常国会に提出したいと考えております。ただし、ですから、政府・与党の了解を得るということ並びに産業界等をある程度納得させるという必要があるんで、かなり私は難事業だと思いますけれども、しかし、どうしてもこれはやらなければならないというふうに考えております。  それから、例の商社等の株式保有、これは確かにおっしゃるとおり、商社が非常に株式を多く持っているということは確かであります。非常に持っている額が他の会社とは比較にならないほど大きいんです。そこで、特別にきびしくということでございますが、私どもはいま考えておりますのは、一般事業会社のうちの  もちろんこれはたとえば資本金百億円以上というふうな会社について見るわけですが、あまり小さな会社については問題にしませんけれども、これはたとえばの話でございますから、ある程度の規模以上のものについては株式保有全額を規制するという考え方で総額を規制したいという考え方を持っておるんですが、その場合、商社を例外にするかしないか  例外と申しますのは、商社に甘くするかどうかということです。お説のとおり、商社が株を持つにはいろいろ商社側は理屈があるでしょうが、私どもが言うと、それが有害な面のほうが多いんじゃないかと、こう思いますので、商社を特別扱いするということだけはなるべくしたくないという考えでございます。ですから、一般事業会社はひっかかるとしても、相当大きなものはひっかからないだろうと思いますが、商社については、この四十年代に入ってからも急速な保有株の伸び、これはもう見違えるような伸びになっておりますから、これらについてはもちろんこの株式を処分するにあたっては急に証券市場に悪影響を与えるようなことはさせません。そういうことはしません。相当長期間かけて処分すればいいのであって、要するに、これからもさらに買い増しをするというようなことは避け、だんだんに減らしていくということであれば、私は将来に向かっての弊害は防げるものと思います。そういう点だけ申し上げまして、例外扱いをしなければこれは商社にとっては非常にきびしいものになるだろうと、それだけに反発も強いだろうと思いますが、その辺は割り切っていかなければならないのじゃないかというふうに考えております。  第三点の人員の不足、まことにどうもおっしゃるとおり、御同情いただきまして、まことに私どもにとってはたいへんうれしいことなんでございますが、現実にはなかなか定員増加というのはきびしいものでございまして、昨年あたりも相当努力いたしましたけれども、純増で見ればたった一けたの六名というようなことでございまして、いまだに三百六十数名というふうな定員でございますから、来年度の場合などには、いま兼務で働いている人間ぐらいはこれはもうぜひとも埋めなければならぬし、さらにその新しい仕事、これは追加要求になりますが、概算要求の段階では改正の経費は入っておりません。しかし、相当の人員要求をして、ただし人員要求の歩どまりが高くなければ意味をなさないのです。幾ら要求してもうんと削られてしまったのではこれはもう——私は職員を私自身非常に酷使していると思います、ある意味においては。そうではならないので、ぜひともこの改善策をはかりたいというふうに考えております。  あと歩積み両建ての調査の問題については、とりあえず先に取引部長から説明させまして、あとで私の意見を簡単に申します。
  24. 後藤英輔

    説明員後藤英輔君) 歩積み両建ての拘束預金の実態調査につきましては、公正取引委員会では三十九年から毎年五月末、十一月末ということで実態調査をいたして、それを通じて金融機関の優越した地位の乱用が零細企業等に及ばないという処置の一環としてまいっておりますところでございます。先生御指摘のように、ただいまできております調査は昨年の十一月末の時点の調査でございまして、本年五月末の調査も実施いたしておりまして、ただいま集計中でございますけれども調査対象が約九千の零細企業の方から実際に拘束されているという実態についての調査調査票でいただいております。したがって、中小企業の方でございますので、なかなか集まるのにまず時間がかかるという実態もございますけれども、現在五月末の集計につきましては、集まっておるものにつきまして鋭意集計いたしておりまして、おそくとも今月末にはできるかと思っております。先ほど委員長の申し上げましたような取引課という非常に小さなところでやっておりますので、そういう事情もありましておくれておりますけれども、できるだけその点につきましては今後外注するとかいうような調査方法を検討いたしまして、その時点、時点においての調査効果的にできるようにいたしたいと、そういうつもりで鋭意やっております。
  25. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 竹田さんから御質問がありましたので、私の考えはどうかという点でございますが、この歩積み両建ては、隣に銀行局の審議官がおられますが、これは問題を整理しようと思えば銀行局に相当奮発してもらわなきゃできないと思います。公取がこれを規制しょうとしても、被害者からいってみれば拘束預金を——自主的に高い率の拘束預金を押しつけられている被害者からの訴えというのはほとんどないのですね。そうしますと、私どもとしては動きようがないのです。こっちから積極的に取り調べをするということについては——銀行局にはりっぱに検査部というのがありまして、私は検査部長三年もやっております。ですから、この実態をよく承知しております、昭和三十四年の当時から。銀行がいかに、相当ひどい拘束をやっているか——その当時に比べれば、最近私は銀行局のほうから承ったり自分のほうの資料から見ると相当改善はされてきていますけれども、相変わらずほんとうの意味では改善されません。ほんとうの意味で改善されていないだろうと私は推定いたします。というのは、債務者預金の比率があまり下がらぬということですね。ということは、銀行の預金の中のかなりの部分が債務者に依存しているということは、とりもなおさず表面に出ない隠れた拘束があるということも、これは銀行行政上から見ますと、結局一面は金利の問題であり、一面は預金の量の問題ということでありますから、銀行が非常にこれにこだわるということはもう目に見えておるわけです。私、いまここで申しませんが、相当抜本的な考え方で臨まなければ急速な改善はできないんであろうと思います。
  26. 後藤達太

    説明員後藤達太君) 私、銀行局を担当しておりますので、お答え申し上げますが、銀行局といたしましても、この問題につきましては一番重要な課題として真剣に取り組んでおるところでございます。今日までの私どもが把握しておりますところでは、公取委員長お話しよりも、多少私どもの感じが違いまして、現在の状態はだいぶ改善をされてきておると思います。ただ、現状が決して満足すべき状態でないことは先生御指摘のとおりでございます。特にこういう引き締め時期になりますと、えてしてこれはふえがちのものでございます。私どもは検査のときには、両建て歩積みの状況を調べるのを最も重要なる課題といたしておりまして、その検査の結果不当なものがございますれば、きびしく措置を命ずるという措置をとってまいりまして、特にこの四月にはまた決意を新たにして征伐をしなくちゃいかぬと、こういうことで各金融機関に対しまして厳重なる指示をいたしました。これが、いわば卑近なことばで申しますと、最後の警告にもあたるような指示である、今後は絶対こういうことのないようにしてもらわなきゃ困る、検査のときはこれは厳重に検査をする、こういう指示をまたさらにあらためていたしたところでございまして、決して軽視しておるような気持ちは毛頭ございません。これからも検査の重点項目としてこの過当なるものの絶滅に努力をいたしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  27. 竹田四郎

    竹田四郎君 公取委員長最後に一つ、先ほど独禁法の改正案を提出する時期ですね、これについて何かお触れにならなかったように思うんですけれども、次の通常国会あたりにお出しになるつもりなのかどうか。  それから銀行局の後藤議官、あなた、ことばの上ではきわめてきびしく検査しているように言われるんだけれども、それはさっき公取委員長言ったように、そういう事例があると、どこのだれがそういうふうにされているかはっきり名前言えと、こう言うんだ。名前言ったら借りるほうは次に銀行から金を借りることを考えれば言えないですよ。泣き寝入りですよ。そういうことをあなたたち知っていてやらないんでしょう。もっと徹底的に一罰百戒で、一つの銀行の一つの支店ならそこを徹底的にやってみたらどうですか。それをあんまり何かなでていて具体的な名前をあげろぐらいでごまかして、私だって銀行局にこの問題は何回か持っていった。具体的に名前をあげなさい、名前をあげなさいと言ったら今度は被害者のほうは黙っちゃいますよ。まるで暴力団のお返しみたいなものに結局はなるわけですからね。その辺銀行局は知っていながらやらないんだから、もう少しここをきびしくやることを考えなくちゃ私いかぬと思うんですが……。食糧庁長官まだ来ておりませんから、私質問残っておりますけれども、来てから米価の問題やりますから、ひとつその御答弁をいただいたら、あと対馬君のほうに渡しますから、ひとつ。
  28. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 先ほど私は次の通常国会にはぜひとも出したいと、こう申し上げたんでございまして、繰り返すようでございますが、そういう点、御了解願いたいと思います。
  29. 後藤達太

    説明員後藤達太君) 先生の御指摘でございますが、私どもの検査をいたしますときには、これは検査の、何と申しますか、人数、日程等の関係で全部はもちろんできませんけれども幾つかの支店につきまして、これはほぼ実態的に調査をいたすような検査をやっております。ただ、私どもの検査は、御案内のように、取引先のほうについて直接うかがうことではございませんで、銀行の各支店、営業店につきまして、そこの営業店の書類等から検査をするだけでございます。したがいまして、それで銀行に対してきびしく指示をする、こういう検査をいたしております。で、それがはね返るというような、その検査をした結果、どの程度是正されたかにつきましてはさらに報告を取りまして、そうしてその是正状態をさらに監視をしていくと、こういうことに努力をしておる次第でございます。御指摘のように不十分なところは多々まだあるかと存じますけれども、さらに一そうそれを徹底したいというのが現在の気持ちでございます。
  30. 対馬孝且

    対馬孝且君 まず最初に、長官にひとつお伺いをしたいと思います。それは灯油の価格の問題、時期設定の問題について伺いたいと存じます。  積雪寒冷のきびしい北海道、東北六県の現状からまいりまして、道民にとっては、あるいは東北六県の県民にとりましては、灯油というのはまさに食糧と同じであります。そういう生活上欠かすことのできない必需物資でありますから、そういう意味ではすでに指導価格が一・八リッター店頭で六百三円という、こういう価格需要期を迎えるという段階に立っております。しかも、極度にこういった生活の圧迫をされているわけですから、私は本年六月以降の標準価格が撤廃をされた時点において一挙に五〇%実は上がっているわけであります。これは中曽根通産大臣とも数回お会いしていますし、長官ともお会いしましたが、いずれにしましてもこの問題については、本道にとっては百六十万世帯のうちに百四十万、八三%という道民が実は灯油で生活をしているわけですね。こうなりますと、私はずばり申し上げて、北海道の道民は今回の灯油の六百三円制定、指定額からまいりますと、結果的には最低でもドラムかん九本から十本、多いところでは十五本、こうなってまいりますと、すでに北海道庁の調べから見ましても七百円台ということになっているわけです。こういった問題を総合して考えますと、九万から十万の燃料費を支出せねばならぬ。そういう意味では灯油の値上がりによってまさに野たれ死にをするというような、こういった現状に対しまして政府側として、特に物価安定をつかさどっている長官として、この前も申し上げましたが、いつの時期にこれを設定するのか、それから価格は幾らで今回定めるのか、この点まず長官に、前回の経緯もありますから、基本的な姿勢についてひとつお伺いをしたい、こう考えます。
  31. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) この件は対馬さん並びに北海道、東北方面の灯油の消費者関係のあるいろいろの方々から同様のお申し入れを受けておるわけでございます。  これは、対馬さんも御承知のとおり、灯油について、まあ私の考え方は、灯油についてはやはり標準価格を設定するのがいいと思います。石油の製品はほかにも、たとえば軽油とか、重油とか、ナフサとか、ガソリンとかいろいろあるわけでございますが、これらについての指導価格というものは、最近の石油に対する需給緩和している環境のもとにおいてはむしろやめたほうがいいということでやめましたこと、御承知のとおりであります。しかし、その中においても灯油は、いま対馬さんから述べられましたような、それは寒いわが国の地域においては必需品でございますので、やはり石油製品の中でもこれについては標準価格を置くのがいいと思うことが一つ。  それから二つ目は、これも私の正直の気持ちでございまして、通産大臣にも実は伝えてあるんですが、そういう見地から標準価格をきめる以上は、でき得る限り他の油種との関連において安くきめるのがよろしいと。これはこのごろ御承知のように原油のわが国に対する入着価格というものは昨年に比べますと非常な上昇をしておる。また一時そのめどもついたかと思われますような入着価格というものも、為替レートの最近円安の問題があったり、あるいはそのほか過去の生産のようなことから生ずる値上がりの問題などもございまして、かなり高くなっているわけでございますけれども、そういうことから各油種を通じての製品価格としての灯油の価格をはじくことももちろん物一の流れとしては当然ではございましょうけれども、しかしまた考え方によりますと、同じ原油から幾つかの製品ができるわけでありますから、なるべく灯油以外の製品に少しは値段をしょってもらってでも、灯油については過去そうでございました、この六月までそうでございましたから、六月までの三百八十円ということは全く無理でございましょうけれども、新しい標準価格を設定するときはなるべく安く設定をしてほしいということを通産省に私のほうからも、特に私から通産大臣にもお申し入れをいたしてあります。  三番目には、東京とか東京から西のほうの地域を考えますと、まだ灯油需要期には入っていないところも多いわけでありますけれども、しかし東京から東北の方面、特に北海道方面におきましてはもう需要期に入ってきつつあるわけでありますから、いつまでも漫然ときめない状態に置かないで、なるべく早くきめて、そして消費者を安心させるのがよろしいと、こういう私は三つの考え方を持つものであります。  しかし、その法律によります標準価格の設定というのは、各物資の主務大臣これを定むということになっておりますから、私が直ちに企画庁長官の名前においてきめられない。この主務大臣は通産省でございますから、通産省にもいまの三点を私どものほうから十分反映をさしているところでございまして、そのあとのことにつきましては私ども考え方を通産大臣、通産省で取り入れて善処をしてくれておるものと思います。その結果によっては私どもから何べんでもまた通産省と折衝もいたします。
  32. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま長官の答えを聞きますと、主務大臣が通産大臣、だから通産省で十分取り入れてくれるだろうというのですがね。大臣、やっぱり物価安定庁長官なんですから、主務大臣がきめるといったって、きょうここにお見えになっている方々はやっぱりはるばる東北、北海道から来て灯油がいつきまるのか、あるいはどうなるのかということでわざわざ北海道の最果ての地から来ているわけですよ。そういうときに相変わらず、この間の段階では、おそくても七月末ころには大体試算がされて結論が出るだろうと、こういわれておったわけですよ。もうあんた今月は九月に入って、いまなお試算をさしています、主務官庁で検討をしていますというような段階ではないんじゃないか。私はずばりそれじゃきょう大臣お見えになっていませんから次官にお伺いしたいんでありますが、問題はやっぱり元売り価格の問題だと思うのです。根本はここにメスを入れない限り、灯油価格の安定はできないということですよ、はっきり申し上げて。それが元売り価格についてはどうも動かしがたいものであるというようなことをきめてかかって、これは私をして言わしめますならば、やっぱりこの業界の言い値価格というのが結果的には標準価格になってあらわれている。こういった政府であっては信頼できないということです。そういう意味でやはり今回の参議院選挙の審判というのは国民物価に対する怒りが、やっぱり主婦の怒りが自民党をして大きく後退せしめたということは反省してもらわなきゃならぬですよ。私はそういう率直な素朴な国民感情を申し上げますならば、四十九年の六月一日から灯油の元売りというのは一万二千九百円価格であったわけであります。一万二千九百円という価格では安いということで、これではどうも灯油の備蓄ができないんだ、こういうことが理由になって二万五千三百円に引き上がっているわけであります。これが元売り原価になって政府価格が出されているわけでありますけれども、この間、中曽根通産大臣は何とか六百三円というものを極力下げるように努力はすると。ところが六百三円というのは配達込みであるのか、あるいは店頭売りであるのかということも不明確であり、しかもこの元売りそのもの自体に私は根本の問題があるというふうに考えているわけです。だから、これについてひとつ通産次官に対してお伺いしたいのは、元売り価格にメスを入れて元売り価格を下げるという考え方はできないのか。あとでまた再質問しますけれども、私は下げることは可能であるという論拠に立っているわけです。この点についてお伺いしたい。
  33. 楠正俊

    説明員(楠正俊君) 対馬先生のお話どおり、よくわれわれも了解いたしておりますが、元売り価格を下げるということは非常に問題がございまして、慎重にこれを検討いたしておりますが、家庭用灯油の元売り価格につきましては、本年六月以降その引き上げの額を昨年十二月の水準に比べましてキロリットル当たり一万二千四百円の水準にとどめるように指導してきたところでございます。また八月十六日の今後の石油製品価格指導についての閣議の了解においても引き続き二万五千三百円の指導価格を継続いたすことといたしております。こうした指導価格によりまして現在家庭用灯油の元売り仕切り価格の平均は工業用灯油の価格を下回っておりまして、軽油並びにA重油の水準となっておるのでございます。この水準流通段階での横流れを防ぎ、末端消費者への安定供給を確保するため最低限の水準でございまして、これをさらに引き下げるということはかえって需給に混乱を招くということで適当ではないと考えておる次第でございます。
  34. 対馬孝且

    対馬孝且君 元売り価格はこれ以上下げることは困難である、それが需給影響すると、こういう言い方ですが、私は実際にこの間大臣ともやりとりをしたときにも申し上げたんでありますけれども、現在の元売り価格については大体二万五千三百円という一つの一応の価格に対しまして二万円ないし二万一千円の段階まで下げることは可能である、それは昨年のパニックの発生をした時限においても見られる傾向でありますけれども、いま内田企画庁長官もちょっと触れられましたが、つまり工業用にやっぱり最大限のウェートをかけて、これは昨年の生活緊急措置法あるいは石油二法の際にも中曽根通産大臣も答弁をいたしておりますけれども、私は速記録をごらんになっていればわかると思うんでありますけれども、民生を優先にして——工業用にできるだけウエートをかけて民生の灯油その他については安く供給をしていきたい、民生優先の態度というものは堅持をしていきたいということを大臣は答弁をしているわけです、考え方として。私はその民生を優先させるという意味から立つならば、おのずからいま次官が言われるようなことではなくて、当然工業用に一定の水準をやっぱり価格を置きかえて、そして家庭灯油については、民生用の灯油については据え置くという措置をとっていいんじゃないか。これがやっぱり政治ではないのか。これがどうも通産省あたりは、だから私は先ほど業界の言い値が標準価格に置きかえられるということを言いたくなるのはそういう点で言いたくなるわけであります。で、私は生協連などを中心にしまして一応の試算をここへきょう実ははじいておるんでありますが、私の計算によりますと、現在の元売り価格が下げられるぎりぎりの線というのは、二万一千円ないし二万円の段階で大体この標準価格がきめられる。そういたしますと、一・八リッターの灯油が五百円から五百九十円で、配達料を含めて価格がきめられる。こういう根拠に立つことができる、こういう確信を深めているわけですけれども、この点について、どうして下げることができないのか、その点の御説明をもう一度明らかにしてもらいたいと思います。
  35. 楠正俊

    説明員(楠正俊君) いま先生のお話でございますが、家庭用灯油よりも工業用灯油のほうが二千二百円高いわけですね。決して工業用のほうが家庭用よりも優先しているとは私どもは考えておりません。
  36. 対馬孝且

    対馬孝且君 さらに工業用にもっと価格を置きかえていいんじゃないかと、その点もやっぱり一つの政策として考えるべきことじゃないのか。それは通産省は、次官はいま——もちろんあんた当然のことですよ、家庭用より工業用が安かったらたいへんなことじゃないですか。それはあんた、工業用が安くなっていく傾向ということはあって、それは行政の一つで、それはけっこうですけれどもね。私が言いたいのは、いまの段階で、先ほども触れたことなんですけれども大臣としては六百円を何とか切りたいという答弁があったんです、われわれに対しては。六百円を切ることにベストを尽くしたい、こういう、この間の三回も私会見しています、お会いしているんですけれども、この点については、六百円を切りたいと、こう言うんだが、この切りたいということだって、これは私は政治判断だと思うんです。この点どうですか。政治判断が下されるとすれば、かりに五百五十円にすることにしても、五百円にすることも政治判断であることには変わりはないんだから、この点について政治判断が最終的に下されるとすれば、内田長官も通産省にずいぶん主張されておるように、安い価格で押えたいと、こう抽象論ではなくて、この段階ですから聞きたいのは、もう一回確認しますけれども、時期はいつ設定をするのか、標準価格を。それともう一つは、工業用元売り原価を下げられることは可能であるという観点に私は立っておりますから、そういたしますとするならば、最低ぎりぎりの線として通産省としてはどの線で標準価格を設定しようとしているのか、この点についてもう一回お伺いします。
  37. 楠正俊

    説明員(楠正俊君) 前半の御質問でございますが、通産大臣が政治的な判断としてそのようにかつてお答えになったと思いますが、現実問題としては非常にむずかしい問題でございますので、よく通産大臣と相談いたしまして検討をいたしたいと思っております。  それから標準価格の設定でございますが、先ほど経済企画庁長官からお答えがございましたが、これにつきましては、やがて近いうちに設定をせざるを得ないような状況でございますので、すみやかにそういったことを検討いたしまして標準価格を決定していきたいと思っております。
  38. 対馬孝且

    対馬孝且君 次官、近いうちとかね、北海道は九月といったらもうストーブを、灯油ストーブをつける時期なんですよ。何か感覚が……。この間これは大臣が来て、半年ぐらい北海道の生活をしてみたらどうだと私中曽根大臣にも言ったんだがね。もうあんた冬場に向かっているわけですからね。確保しなきゃならないんですよ、もう。この間大臣に言ったら、一・八リッターの石油かんを持って歩いているような感覚を持っているんです、大臣も。北海道はそんなもので冬が過ごせますか、あんた。現にホームタンクをつけてドラムカン二本ぐらいのあれを入れなければ生活できないんですよ、現実に。だからぼくは大臣に、北海道に来て一回生活してみれと、稚内の最果てのあの寒風の地、零下二十度か二十五度のところで一回生活してみたらどうだと、こういうことを言いましたけれどもね。私は、そんなことではやっぱり庶民の感覚になっていないと思うんだよ、次官。したがって私は、少なくともこの時期は九月なら九月のね——この間来たときは、少なくとも参議院の物価特別委員会十分意見を聞いて、その上に立って結論を出しますと、こういうことで、一定のめどというのは大体そのころじゃないですかというようなことで、私は、そのころまでにきめられますねと。いや何とかベストを尽くします、こう言っているわけですからね。いまに至ってもまだ、日程は大臣と打ち合わせをしてきめますなんというのじゃこれは納得できませんね。これが一つ。  それから価格の問題についても、私は最近の調べですけれども、最近の関東地区における神奈川、千葉、栃木、埼玉などの店頭、配達を込みで調べてまいりましたら、大体いま五百七十円から五百九十円で売られているという現状があるわけです。この点について、やっぱりすでに五百七十円という価格ができつつある、あるいは出回りつつあるという、こういう現状を考えましたときに  これの生協の実態を調査いたしました、この点についてひとつ、いま含めてもう一回その価格の目安というものについてもある程度示してもらいたいと思います。
  39. 楠正俊

    説明員(楠正俊君) 経済企画庁長官が言われたような線でなるたけすみやかにと申しますと、また先生にそう言われますが、なかなかこの二万五千三百円という水準を切るといったような面になりますとたいへんな問題がございますので、慎重に、ほんとうにすみやかに検討いたしまして、(笑声)きめていきたいと思っております。(「あなたが答えられないなら大臣呼んでこい、そんな無責任な答弁があるか。」と呼ぶ者あり)
  40. 対馬孝且

    対馬孝且君 私は、きょうの質問をする際にひとつ大臣に出席をしてもらいたいということを、この質問通告と同時に申し上げているんです。これはやっぱり、きょう何か外国からのあれでどうしても出られないということですけれどもね。いま国民の最大の課題物価問題でしょう、やっぱり次官、これ。物価問題は、しかも灯油という問題は食糧と同じですよ、これは。こういう危機感を持っているとすれば、外国にどういう礼儀があるのか知らぬけれども、それも大事だろうけれども、まずきょうあたりのやっぱり灯油問題にね、先行きどうなるのかということは、大臣がまず出席をしないということ自体が私は通産省の、政府の庶民から感覚がずれている、率直に申し上げなければならぬですね、これは率直に。したがって私は、できるだけ早い機会にということなんですが、少なくともこの九月中旬をめどに結論を出すとか、価格については少なくともわれわれが言っている、元売り価格というのは五月時点、このベースを基本にしてひとつきめるならきめていきたいと、それにベストを尽くすと。こういうように慎重に、早期にということは受け取っていいですか。——私はそう理解したいんですかね。
  41. 楠正俊

    説明員(楠正俊君) 先生のおことばどおり、九月中旬をめどに努力をいたしていきたいと思っております。
  42. 対馬孝且

    対馬孝且君 それから、価格の問題について。価格の問題についてはどうですか、もう一つ。大事なことはそれなんです。値段の問題について、できるだけ低くなんという抽象論ではなくてね、それはわれわれ庶民にはぴんときませんよ。きょう来ているあんた主婦の皆さんだってぴんとこないでしょう。だから一応できるだけ低くということがありますけれども先ほど言ったように、通産大臣は六百円を切る努力をしていきたいと、一う言うんだが、それは政治的発言だと私も受け取りましたけれども、この段階ですから政治的発言でけっこうです、政治的発言として、何ぼでひとついきたいのかという、その一応の考え方。何もこれ額を聞こうとは思いません。ある程度考え方を聞かしてもらいたいと思います。
  43. 楠正俊

    説明員(楠正俊君) 通産大臣が申しておりました線で価格の決定をいたしていきたいと思っております。
  44. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは大臣が言っている六百円を切るという、努力をしていきたいという考え方では、私は了承できません。私が申し上げておりますのは、この元売り価格の五月時点、元売り価格を五月設定した時点というのは四百五十円ということです、配達料込みの四百五十円こういう考え方でベストを尽くして努力をしてもらいたいということをひとつ最後に申し上げておきます。  灯油の問題ではこれで終わります。その点ちょっとまず次官からお答え願って、次へ入りたいと思います。
  45. 楠正俊

    説明員(楠正俊君) 対馬先生のただいまの価格は非常にむずかしいとお答えせざるを得ないのでございますが、それになるような努力はいたしたいと思っております。
  46. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは次に入らしていただきます。  プロパンガスの北海道価格と通称言われております問題につきまして、簡単に、時間もありませんから、ずばり申し上げさしていただきます。  閣議決定をされましたのは、全国一律ということで、十キロ当たり千五百円、こういう価格を決定されたと私は聞いています。ところが、結果的には、北海道の段階ではこれに対しまして割り高価格というのがございまして、百円から百五十円、さらに北海道で割り高価格になるわけであります。この根拠について私はひとつまず次官にお伺いをしたいと思います。  全国一律一本ときめたものであれば、どうして割り高価格ということが設定をされるのか、全国一律一本であるならば、北海道における割り高価格というのは解消されるべきである、この点についてまずお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、理事中西一郎君着席〕
  47. 楠正俊

    説明員(楠正俊君) 先生の言われた、解消に向かって努力する方向に向かっておりますが、こまかい点につきましては事務当局からお答えさせます。
  48. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 北海道価格につきましては、いま御指摘のとおり、現在大体百五十円ぐらいでございますが、これは、元売りから消費地へ運ぶ輸送の問題それから卸段階、小売り段階における需要の形態に対する、何といいますか、費用の問題等々がいろいろございまして、過去においてそういう慣習があったわけでございますが、現在ではわれわれとしては、標準価格においては一本、この特珠な問題は極力解消していくという努力をいたしておりまして、大体この百五十円のうち五十円程度を今回の標準価格改定に際して減少させようという努力をしてまいりまして、道庁の御協力も得まして、大体それが実現するという運びになっております。   〔理事中西一郎君退席、委員長着席〕
  49. 対馬孝且

    対馬孝且君 さらにお伺いしたいのでありますが、この標準価格の千五百円の前の千三百円を決定する際に、私はどういうきめ方をしてプロパンガスがきめられるかということについてお伺いしたいのでありますが、どうもこれがやっぱり問題点としてわれわれは理解ができないんです。最初から価格差を認めてかかっているということ自体に私は納得できないんですよ。それは、どうして閣議で閣議決定として全国一律ということをきめるんですか。しかも、北海道だけがどうして百五十円、百円なりプラスされるということはどういうことですか。距離からいったって九州と北海道は距離からも変わってないでしょう。私はここでははっきり申し上げたいんですが、通産省というのはなぜ業界の言い分どおり今回の北海道価格もきめているということは、私ははっきり申し上げたいことがあります。これは北海道新聞社が発行しております「ダン」という天下の公器である雑誌がございます。これは北海道新聞社が発行しておりますが、これは五月号でございますから、これははっきりしておきたいんでありますが、この中には、北海道エルピー協会の協会長である水島健三氏の談話が載っています。公器として取り扱っています。前回の価格をきめる経緯なるものをここに書いておりますけれども、ずばり言って、こう言っているんですよ。彼の、——これは正式に読み上げますから。——「昨年十二月十一日の夜、通産省からボタンとこに電話がきた。札幌通産局の久保局長のところへかける予定だったらしいが、不在だったので、北海道のプロパンは水島に聞いた方が早い——ということできたらしい。本州は千三百円を上限価格とするが、北海道はいくらなら押えられるか——」、こう言って通産官僚から電話がきたと、こう言う。「いくらなら押えられるか——というので、当時の実勢価格から千五百円と答えた。まあ、千五百円の真犯人はボクかも知れん」、こういうことを、天下の公器に堂々と、この五月号に載っているのですね。これは通産省からエルピー協会の会長に言って、会長が答えた返答価格が北海道価格になっている。こういつたようなことが、こういうやり方が通産省の現在の、私が先ほどから何回も言うように、いわゆる業界の言い値価格が標準価格だといわれる、立証されるものはこういうことですよ。これは私個人の見解でしゃべっているわけではないのです。もしこれが間違っているとしたら、北海道新聞社が発行している「ダン」という雑誌に偽りがあるかどうかは別にして、天下の公器が発行している雑誌ですから。こういうことから判断して考えた場合ですよ、私はどうしてもわからないことは、どうして北海道だけがそういう北海道価格があるのか、これは理解できません。私は、これは百歩譲って、道庁の指導によって北海道における現在のプロパンガス価格についてはこういうことになっているのです。これは前の価格の算出根拠をちょっと申し上げます。元売り仕切り価格が北海道では三百六十円から四百十円、本州は三百五十円から三百七十円。大体元売り価格については本州と北海道は変わってないわけであります。ほぼ大体十円かそこらの違いしかないのであります。それから小売り業者の仕入へ価格、ここが問題なんです。卸売りから小売り、卸価格ですね、いわゆる通称言われます、これが六百五十円から北海道は七百円。本州は五百五十円から五百九十円。それから販売経費などが七百五十円から八百円。本州が七百六十円。これで販売価格が平均いたしまして千四百五十円、北海道は。本州は千三百円ときまっているわけであります。これは前回の価格の場合です。これ、今回直してみますと、北海道の場合は大体いま五十円削って千六百円。千五百円プラス百円ですから千六百円。この間道庁と業界との間に一応きまったそうですから。それと本州の場合は千五百円。だから、答えは簡単なんですよ、卸売り段階における中間の搾取というものをぴたっと本州並みに押えると、一発で北海道価格は解消するのですよ。これは私が出した資料じゃありませんから、もし反論があるなら御指摘してもらいたいと思う。道庁の生活緊急対策本部発行による資料です、これは。これに対して一発で解消できるじゃないですか。この点、どういうふうにお考えになっているか。
  50. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 北海道のLPガスについての北海道価格というのは、商習慣でそういうことがあったというふうに聞いておりますが、いま御指摘のとおり問題点は元売りからの値段と、それから卸段階、小売り段階という各分野に問題があるように見受けられます。今回、五十円圧縮する段階におきまして、まず元売りのほうはもう大体本州の類似の地域と差のないようにいたすということにいたしましたので、問題が残っておりますのは、卸と小売りの段階でございます。で、これについて、北海道庁とも寄り寄り相談をしておるわけでございまして、今回もまあ引き下げをさして五十円下げたわけでございますが、これでやはり満足するわけにはいかないと思います。これについてはただ小売り業者等については、集配基地をつくらすとかいろいろ合理化の手段を講じなければいけませんので、その点について、北海道庁のいろんな中小企業としての御指導の面も今後仰がなければいけませんので、そういうものと御相談をしながら、今後もこれをだんだんなくしていく線に持ってまいりたいというふうに考えております。
  51. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま申し上げましたことは、私は主張された点についてお認めになっているようでありますから、できるだけ早い機会に解消するということですから、それなりに受けとめていきたいんでありますけれども、ただ、私は先ほど言った、こういうこの北海道価格を決定する際に、知事なり市長に権限を委譲すれば通産省はそれでよろしいと、こういうような政治姿勢というのはやっぱり問題があるんじゃないかと、これははっきり申し上げます。道側へこの間私は正式にこの問題で知事と交渉をやっております。副知事が出てまいりました。樫原副知事を先頭にして話をしたんですが、本人は遺憾ながら知事と市長に権限を委譲されて、通産省としてはそれ以上の権限は、もう札幌通産局長としてもどうにもならないというような言い方をしているわけです。こういう政治姿勢では、私はやっぱりほんとうに物価を押えようと一あるいは価格を安定しようとするならば、私はやっぱり責任回避だと思うんですよ、通産省が。そうではなくて、やはり少なくとも北海道価格解消という問題は、ひとつまずここでもう一度確認する意味で申し上げるんでありますが、できるだけ早い機会に北海道価格、このほかにもセメント、それから自動車についても相変わらず北海道価格がございます。そのほかに私がきょう調べておることで時間もありませんから申し上げませんが、三十五品目についてこれは食料品以外の三十五の品目について、あるいはかばんであるとか、あるいはそのセメント以外の油であるとか、いろんなもう全部上がっています。食用油とかも入っておりますけれども、三十五品目が大体本州と対比をいたしまして一割五分から二割高に札幌価格はなっております。これは後ほど通産省に資料を提出いたします。私はそういう意味ではこの北海道価格の解消という問題は、むしろ北海道の道民にとっては、半年間雪に埋もれて出費がかさむわけですから、本来ならば北海道の人はむしろ物価が安くならなければならないはずであります。それが高く生活をしなければならぬということについてはとうてい理解はできませんし、そういう意味では、ひとつできるだけ早い機会に北海道価格を、いまたまたまプロパンの問題をあげましたけれども、それ以外の問題も解消するということを確認してもらいたい。この点どうですか。
  52. 楠正俊

    説明員(楠正俊君) 権限委譲の問題でございますが、そういうように現実なっておりますが、値下げの問題に関しましては、北海道庁と通産省と協力してやっております。  それからいまひとつ、二番目のセメントと自動車の問題でございますが、この問題につきましても、北海道価格というものを解消していくという方向で努力をいたすつもりでございます。
  53. 対馬孝且

    対馬孝且君 北海道価格の問題につきましてはいま次官からお答えがございましたから、その点でひとつそれ以外のセメント、自動車以外の問題も先ほど申しましたように三十五の品目にわたって北海道価格がございますから、これはひとつ商品価格でございますけれども、これは通産省に後ほど資料を提出をして、その点もチェックをしてもらいたい、あわせて要望しておきます。これに関連いたしまして実はプロパンガスに関連する問題でございますが、液化石油ガス保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則改正に伴うメーター並びに配管設備に関する取り扱いについてお伺いをしたい、こう考えます。これはどういうことかと申しますと、昭和五十年四月一日から従来の質量販売並びに十キロボンベの家屋内設置がそれぞれ体積販売、家屋外設置となるわけであります。したがいまして家屋外設置となるので、メーター並びに配管の設備が必要となってきているわけであります。このために各市、各町におきましては公営、市営住宅に要している、特に産炭地都市においては御案内のように石炭産業の斜陽化に伴って市が市営でもって法律施行令に従って来年の四月一日からメーターを設備をしなければならない。これに要する費用が夕張市だけで二億一千五百万を要するということが市の予算の中で一応計画をされているわけであります。これはたいへんなことであって、一方的に実態を無視をされて、まあこの施行令がきめられるかどうかは別にいたしましても、機械的に五十年四月一日からこれを実施されるとするといたしますならば、全部いままで炭鉱の社宅、あるいは北海道における市営、あるいはそういう住宅の関係というのはほとんど二DKであります。二DKの中であの規則からいきますと、いわゆるプロパンガスの所定の位置から二十メートル離せ、あるいは三十メートル離せというようなことになったら、これはとうてい二DKの狭い家で、あなた寝るのでさえ精一ぱいだといったときに、ほとんどがもう外に出さなければならないということになるわけであります。これではとてもあなた個人負担で設備をさせるという、この施行令の運用としては個人がまかなうような行政指導をすべきだということが道から流れていますけれどもね。こんなことは個人の責めにさせることはできませんよ、これははっきり申し上げまして。したがいまして、この点について時間の関係もございますから申し上げたいんでありますが、まずどうして五十年四月一日から運用するのかどうか。運用するとすればこの点について、まず国が地方自治体に対しまして財政援助措置を講じてもらいたいというふうに考えるんだが、この点をまずお伺いをしたい。国が財政措置をもってメーター配管制度を行なうべきではないか。この点まず冒頭お伺いします。
  54. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) ただいまの問題でございますが、実はこの法律によって来年三月三十一日、四月一日からということにきめましたのは、先生十分御承知だと思いますが……。
  55. 対馬孝且

    対馬孝且君 いや、わかっています。
  56. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) LPガスについての販売が重量売りよりはやはり容積売り、つまりメーター販売のほうが消費者に有利である。ですからそれをなるべく早く普及したいということできめられたものでございますが、現実には北海道のいま御指摘のような点がございまして、実態に即してやらなければ、せっかく消費者の方々にプラスになるような規定を考えたにもかかわらず、結果として御迷惑をかけるということでは問題でございますので、この点につきましては学識経験者あるいは消費者代表等々集めました委員会をつくりまして、今後の過渡的な問題をどういうふうにして検討するかということを検討することにいたしておりまして、それの結論によって三月末やるかどうかということもあわせて検討し、あるいはいま先生御指摘のもし移行する場合にどういう対策をとるべきかというふうな経費負担も含めて検討いたしたいと思っております。趣旨といたしましては繰り返しになりますが、消費者の方にプラスになるようにということで、来年というふうにきめたわけでございますが、それの趣旨が生きるような形で今後持ってまいりたいというふうに考えております。
  57. 対馬孝且

    対馬孝且君 十分この趣旨を生かされて、学識経験者を含めて委員会構成をするというお答えですから、その中で議論をされると思うのでありますけれども、私は特にこの点ひとつ、もうすでに予算を組む段階に至っているわけですね、各市町村の段階で。五十年度予算の編成の時期にかかっているわけです。したがって、やっぱり現実の問題として北海道の斜陽都市なんかでこれが運用されるということになりますと、たいへんな犠牲を負うということになるわけですね。したがいまして、これはいま答弁がございまして、学識経験者などで委員会構成をするということでけっこうですが、まずこの点について、もしどうしても委員会構成の中でひとつ議論をしてもらいたいのは、機械的な法律運用をもちろんこれはなされてもらっては困るし、もしこれが実施段階でどうしても運用されるというのではなくて、施行令の延期をひとつ再検討してもらいたいということを率直に申し上げます。施行令の延期をひとつ考えてもらいたい。どうしても政府が裏打ちができない場合は、施行令の延期を検討して、ひとつ善処してもらいたいと、この点についてひとつ答弁を求めます。
  58. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) いまのお話も含めまして検討さしていただきたいと思っております。繰り返しでございますが、施行令の趣旨も決してじきに強引にやってしまおうという気持ちではございませんので、そういう点も弾力的に考えてまいりたいと思います。
  59. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは次に北瓦斯の問題につきまして、北海道瓦斯の問題につきましてお伺いをしたいと思います。  ことしの一月の十二日に実は北海道瓦斯から申請がございまして平均二七・六六%アップしたわけであります。これ申請が認可をされたわけであります。これについでも、通産省の行政指導については全く手ぬるいということを申し上げなきゃならぬのでありますが、このときに当時の北瓦斯の村上副社長が記者会見をいたしまして、同時に消団連——北海道に消費者団体の、婦人を中心にした組織がございますが、消団連との間で話し合いをいたしまして、その結論として出されましたのは、今回の二七%上げるに際しましてはここ二、三年は北海道瓦斯の値上げはいたしませんと、こういう言明を消費者団体に約束をされ、しかも記者会見までして堂々と声明をしておるわけであります。この点に関しましてすでにそういう声明をした八カ月もたたないうちに実は十月一日からまた値上げをするというわけです。十月一日からの値上げというのは御案内のとおり六二・三%の値上げをするということを申請をいたしたいと、六二・三%の値上げが展開をいたしますとどうなるかということを私なりに試算をしてみますと、これは四人家族の標準世帯の構成で考えました場合には月の使用量が百二十五立方メートルになります。そういたしますと料金の面では現行の三千四百十二円から結果的には五千五百六十一円にアップをされる。三千四百十二円の現行がこの値上げに伴って五千五百六十一円という四人標準世帯には値上がりになるわけであります。この点について二千百四十九円という負担増になるわけでありますが、少なくとも私は住民を冒涜し、住民をばかにしているんじゃないか。ことしの、あなた、一月十二日に値上げ申請したばかりで、しかも十月一日からまた六二%上げるなんていうようなやり方は、これは全く住民無視もはなはだしい。こういった問題について通産当局としては、通産省としてはどういう行政指導をしようとしておるのか。この点をまず冒頭にお伺いしたいと、こう考えます。
  60. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 先生御指摘のとおり昨年十一月に三三%の値上げの申請をいたしました際に会社の当事者が、この料金改定が認められれば何とか二、三年はがんばりたいというふうに言ったことは御指摘のとおりでございます。で、まあ見通しが悪いと言えばそれまででございますが、その後御承知のように石油製品値上げが顕在化いたしまして、前回ことしの一月に値上げをいたしましたときにはナフサの価格は実は一万九百円で料金織り込みをしたわけでございます。キロリッター当たり一万九百円で料金に織り込んだわけでございますが、その後先生も御承知のように三月十八日に石油製品の値上がりがございまして、現在では二万一千数百円、また近いうちに五千円ないしそれ以上値上がりしょうというふうな情勢になってしまったわけでございます。それから賃金につきましても、一月に認可いたしますときには一二%程度上昇ということで料金に見込んだわけでございますけれども、実際は御高承のように、三〇%程度賃金が上がったということで会社の経理もこの六月の決算期に二億円ぐらい赤字を出しまして、その後も赤字が引き続いて出ておるというふうな状況でやむを得ず再び料金改定を申請いたしたものと考えておりますが、御指摘のとおり道民の生活に与える影響はきわめて大きいというふうに考えますので、これは通産局長の認可事項でございますけれども、厳正かつ慎重に査定作業をするように指導いたしたいというふうに考えております。
  61. 対馬孝且

    対馬孝且君 厳正かつ慎重に扱うという答弁ですけれども、今回の北瓦斯再値上げの問題については、これは単に住民側だけの強い反発になってあらわれているものだけではございません。これはお聞きになっているかどうかは別にして、これも北海道新聞の四十九年八月二十七日の朝刊の一面に五段抜きで札幌市長の態度表明というのが載っています。板垣市長の態度表明、これによりますと、もしこの再値上げを強行すれば対抗策といたしましてガス報償契約を破棄をするということを第一点に態度を表明しています。ガス報償契約を破棄をする、こういう強弁な措置をとりたい、これが第一点であります。  第二点の問題は、報償金のかわりに地下埋設施設物使用料金をとる、これが第二点であります。いわゆる地下使用料金をとる、こういうことです。こういう強弁な態度で自治体の責任者が札幌市長がこういう強弁な態度まで今回の再値上げに対して表明をしたということは、いかにやっぱり住民に与える影響、そればかりでなくて、北瓦斯会社が行なってきた今回の申請のやり方というものに対してきわめてやっぱり穏当を欠く内容を持っているということは指摘をせざるを得ないわけです。いま答弁の中に見通しが悪かったといえばそれまでだというけれども、見通しがいいも悪いもないでしょう、これはあんた。少なくとも消費者、われわれが念を押したのは今回の値上げの申請をするからには当面二、三年はやっぱり値上げをしないということがあらゆる角度から分析をされ、その上に立ったものであるということを消費者に確約をすることができるかどうかということがポイントであったわけですから、そのポイントに対してこれだけの言明をした。しかも責任あるものが態度表明をし、しかも札幌市長が市民を代表してこれだけの強弁な措置をとったというのは、いまの自治体の中では初めてであります。こういった問題に対してぼくは通産省自体がこれを受け付けるということ自体が問題じゃないかという考え方を持っているんです。この点について厳正かつ慎重を期すと言うが、まず申請を受け付けるべきでないのじゃないか、申請を却下すべきである、こういう強弁な態度に通産省が出ることができないか。私はそういう意味で通産行政の指導のあり方について不信を抱かざるを得ません。この点をもう一回質問します。
  62. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 北海道瓦斯が八月二十六日に札幌市との間で結んでおりますガス報償契約に基づきまして料金改定の同意を求めたのに対しまして、御指摘のように八月二十七日に同意いたしかねる、再検討されたいという回答をしたということは報告を受けております。ただし、報償契約を破棄するとかというふうなことにつきましては、これは新聞紙上でわれわれも承知しておるだけでございまして、確認をいたしておりません。それで先生御指摘の札幌市が同意をしてないんだから、申請を受け付けるべきでないのじゃないかという御意見でございます。実はこのガスに関します報償契約というのはたぶん明治の末期だと思いますが、現在ガス事業法とか、道路法の規定がないときに市との間で結ばれたものでございまして、法律的に申しますと、ガス事業法が成立いたしまして以降はガス事業法の規定が優先するということになっておりますので、市の同意を得ないで申請いたしましても、その申請自体が無効であるとかあるいは効力がないとかといったようなものではございませんけれども、いずれにいたしましても地元の市長が値上げに反対しておるということは、これは非常に重要なことでございまして、地元の声としまして十分配慮しなければならないというふうに考えております。
  63. 対馬孝且

    対馬孝且君 時間もきたようでありますから、あれですけれども、ともあれ、この北瓦斯の問題については、私が先ほど申しましたように、これは住民、理事者側を含めて一体となってやっぱりこれはけしからぬと、こうなっているわけですから、私はこれが認可をされていくとなりますと、どういう現象が、次に起きてくるかということを心配をするわけです。それは通産省も御存じのとおり、北瓦斯が認可をされていくということになりますと、ひいては室蘭、旭川、帯広、こういったガス会社に全部波及することは間違いない事実であります。したがって、年に二回も値上げをするという、こういう非常識な経営者に対しては、やっぱり通産省は決然たる態度をもって、こういうものはむしろ申請を受け付けないくらいの強弁な手段をとって初めて物価安定対策になると、私は考えます。  そういう意味で、私は次官に最後ですからお伺いしたいのですが、この問題についてはそういう意味での政治判断としてひとつ強弁な態度をとってもらいたいということについて、次官にひとつ政治判断としてお伺いします。
  64. 楠正俊

    説明員(楠正俊君) 現在北海道地区でガス料金の改定を申請しておりますガス事業者は五社でございますが、北海道瓦斯がその中では最大手の企業でございますので、そのガス料金の改定は非常に他のガス事業者に影響を与えることは大であるということは先生御指摘のとおりでございますので、慎重に、先ほど申しましたように、なお厳正に査定を行なっていきたいと思っております。
  65. 対馬孝且

    対馬孝且君 終わります。
  66. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。午後一時二十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      —————・—————    午後一時四十一分開会
  67. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ただいまから物価等対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、当面の物価等対策樹立に関する調査を進めます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  68. 田代富士男

    田代富士男君 午前中に引き続いて行なわれます委員会におきまして、午前中もう話題になったと思いますが、最初に消費者米価のことについてお尋ねをしたいと思います。  現在、米価審議会が開かれている最中でございます。政府案といたしまして三六%の値上げ案が提示されております。この三六%の値上げが実施されるならば、経企庁の試算によりましても消費者物価は一・一五%上がる計算にされております。まあ、これだけではなくして、御承知のとおりに国鉄、私鉄、地下鉄、バス等の公共料金等が値上がりいたしますれば、消費者米価値上げ基調一%を含みまして消費者物価は二・四五%の値上げというようなことが計算に出ております。これを年率にかえますと、計算しますと、二九%強の物価上昇ということが見られるわけなんです。そうしますれば、昨年来、国民が苦しんだあの狂乱物価の騒ぎのときでさえも二六%、これを上回るようなこういう状態になってくるわけなんです。そうしますれば、食管法の第四条には、「政府ノ売渡ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と、このようにはっきり提示してあります。そういたしますれば、ただいま申し上げましたような経済状態からしますれば、家計費に与える影響というものはこれはたいへんなことになるんじゃないかと思います。こういうことを、第四条の精神から考えて長官どのようにお考えになるか、この点について第一点。  第二点は、田中総理がさきの参議院の選挙のときに、全国各地で演説をして回りました。そのときに、十月一日からの消費者米価引き上げについても発言をしておりました。消費者米価につきましては昨年から据え置かされている一〇・三%に押えて、それに上乗せをするようなことはいたしませんということを選挙の演説の最中に全国各地で総理が言っております。さすれば、選挙は一年前でありません、三カ月もたっていない先にこのように総理自身が言っていたことが消費者米価三六%値上げというようなことになるならば、公約違反ということになるんじゃないでしょうか。この点に対して長官はどのようにお考えになるか、二点についてお願いいたします。
  69. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 消費者米価のことが問題になっておりまして、その消費者米価の今回の米価審議会への諮問案三六%につきましていろいろ田代さんからお話がございました。  前段のほうの、その中で消費者米価はいまの諮問案によりますと、御承知のとおり十月一日から引き上げると、こういうことになっておりますので、十月はそのほか昨年から繰り延べております国鉄運賃もございますし、また都市交通の料金などもございますから、それらが十月に集中をいたすものもございます。また公共料金以外に、最近一般の家計の対象になります物資の値上がりというものはかなり鎮静はいたしてまいっておりますけれども、しかし鎮静いたしたといたしましても、十月それがゼロであるはずもございませんので、そういうものを十月の対前月の消費者物価の値上がりということで計算をしてみますると、田代さんがおっしゃったようにそれが二・四五%ということがはっきり出るわけではもちろんございません、もちろんございませんですが、まあ、私は、いまの三六%というようなものがそのまま実現をされます場合には、実施をされます場合には、公共料金並びにその他の物価、その他の消費者物価の値上がりを合わせますと当然二%以上になるものと思われますから、それは、田代さんのおっしゃる御心配の点は私にもわかります。ただし、そうなると年間では二九%の値上がりになると、こういうお説がございましたが、先般、一部の新聞にそういう記事があらわれておりました。しかし、それは、十月後消費者物価の値上がり、いわば、十月の瞬間風速を一年間に伸ばして考えると、それは複利で十二倍しますから二九というような数字も出てくるわけでございますが、現に、四月から九月までの間——九月はまだわかりませんけれども、この八月の東京都の消費者物価の値上がり率が〇・八%、御承知のとおり。その間、四月からは一%を割り込むような月もかなりございますし、もちろん一%をこえている月もありますけれども、二・四%とか、二%をはなはだこえるというようなことで四月から九月までの平均がいくはずはございません。また、十一月以降公共料金のずれ込みもあるものもありましょうし、一般の物価上昇もございましょうけれども、それも、その十月と同じような二%をこえるというような数字が毎月続くとも考えられませんので、十月の値上がり率を、その瞬間風速を一年間に伸ばして二九%になるというような心配は、これは、数字の瞬間風速を伸ばしたものとしてはさることながら、実際にはそういうことにはなりません。御承知のように、四十八年度の末あるいは一番高い二月ごろの消費者物価の対前年上昇率というものが二六%か二六、七%であったと思いますが、そういう高いことにはならないので、私どもの、ここに物価局長もおりますが、通常の推計によりますと、本年度の対前年物価上昇率というものは、つまり、来年の終わりの三月には十数パーセント——これは、私は一四%とも一五%とも一六%ともはっきりしませんから言いませんけれども、十数パーセントの程度でおさまるだろうと考えますし、それから、けさほどいろいろ申し上げましたけれども物価の動く環境というものが昨年の暮れからことしの初めのような物不足というような国民の非常な御心配というあの環境と反対に需給がかなりゆるんでまいってきている面もございますので、したがって便乗値上げ先取り値上げというような現象も、先般起こりましたような形ではないことも考えてまいりますときには、たいへん御心配をいただいて田代さんありがとうございますけれども、私どもは、いま私が述べましたようなやや違ったとり方をいたしているわけであります。  それから米価の問題に入りますが、三六というのは、これは私も非常に苦労を実はいたしてまいりまして、お説の昨年からことしまで、昨年の生産者米価の値上げに対応する消費者米価値上げ分一〇・三%、それをずれ込ませておりますので、それはそれとしてやらなければならないということにいたしました場合に、今度の四十九年産米の生産価格引き上げ、これは、御承知のとおり、全体では三七・四%、うちのりと申しますか、基準米価に組み込れましたものだけでも三二・二%、先ほどの一〇・三%と合わせますとそれは四十数パーセントになりますし、また、消費者米価を基準として値上げを考えますときには、消費者米価生産者米価よりも末端逆ざやが存在する状況で低いものでございますから、それに一・三二六というような数字をかけませんと、さやになる逆ざやを埋める数字が出てまいりませんので、そういう数字をやってみまするとたいへん高い数字、末端逆ざやを埋めますだけでも、六一・七%必要だと、それはぜひやりたいというような——これはまあ希望的なお話だろうと思いますが、現に農林大臣からも大蔵大臣からも提起をされ、しかし、そんなことは問題にならぬとしました段階でも、ことし生産者米価を引き上げたものの、消費者米価値上げを必要とするものに対応して三分の二だけは消費者に持っていただくというような案も出されてまいりました。昨年はそういうことで米価審議会に諮問をされたことも御記憶と思いますが、しかし、それも私は実は賛成できないということで突っぱねてまいりまして、三六という数字は、去年から繰り越してきてまいっている一〇・三%と、それから今回の生産者米価引き上げに対応する消費者米価に対応する末端逆ざや補てん分の半分だけという計算をしました場合に三六ということでございまして、これはしかし、私どものように物価を何とかして押え込んでまいりたいということだけから考えます立場の者にとりましては、皆さんから、けさからいろいろお説、御意見もいただいておるわけでありますが、決して低い数字だとは私は正直に思いませんけれども、いま申しましたような数字の財政上の問題あるいはまた農政上の問題もいろいろあるようでございまして、それらの関係大臣の御意向に対しましてもそれらを全部無視して私だけで数字をきめるということにも実際上現実の問題としてできませんので、これは米価審議会で十分検討していただくということで、三六%の数字を出しておるというわけでございます。  最後に、田中総理大臣の選挙中の発言につきましては、これは私はいま初めて、うかつでございますが、田代さんから承ったようなことでございまして、それは承知いたしておりません。総理大臣をここで弁護するわけではございませんが、それは生産者米価がきまる前の事態に何かいろいろおっしゃったことがあるかもしれないとは思いますけれども、そのことはいずれにしても私は存じておりませんが、私は、物価国民生活を担当したり、国民経済の全体の動きを担当する者といたしまして、物価の問題あるいはまた消費者米価の問題と今後もできる限り取り組んでまいる考え方でございます。
  70. 田代富士男

    田代富士男君 大臣に一言お願いがあります。  大臣が懇切丁寧に御答弁いただくとはたいへんありがとうございます。いまの答弁の時間が八分でございます。私の持ち時間も制限がございまして、懇切丁寧に御答弁いただく大臣にこういうことを申し上げては申しわけございませんが、簡単明瞭に質問の要点をとってお答え願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  71. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) よろしゅうございます。
  72. 田代富士男

    田代富士男君 そのようにお願いします。  それで、いま田中総理がそういうことをおっしゃったかどうかは私はまだ承知しておりませんということでございますが、全国各地でこういうことは言っていらっしゃる。だから私も、大阪で、初め関西でこういう話をされたことはちゃんと聞いております。もしもそう言っていたならば私はこれは公約違反じゃないかと言っている。これはどうなんです。
  73. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私は承っておりませんので、簡単にお答えをいたしますと、承っておらぬことを前提としてお答えを申し上げることも適当ではないと、かように思います。
  74. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ自分のことでないから、田中総理のことであるから、私は簡単に言えないとおっしゃることはわかりました。しかし、これは一国の総理たるべき者が——大臣は聞いていらっしゃらないけれども国民の皆さんは全部聞いている。それを物価の担当大臣である大臣が聞いてないということは、総理の話を——新聞にもそういうことは報道されています。それを知らないということは、私のことではかかわり合いのないことでございますと、紋次郎型ではちょっといかぬと思います。人のことでわからないと。それならば、私はいま大臣のその姿勢がきょうの読売新聞のここにあらわれていると思うんです。これが大臣の姿勢です。  読売新聞の見出しを見ますと、「内田経企長官が無責任発言」、「「物価」ばかりやれない」、また「喜多村局長も米価ヤル気示さず」、物価ばかりはやれませんよと。いろいろ経済見通しだとか、そんなことばかりです、物価ばかりはやれませんという、読売新聞のこの姿勢。それは経済見通しだとか、いろいろなものはあるでしょうけれども、しかし、経企庁のやるべき仕事、物価庁が設立されたときの趣旨はどういう趣旨になっておりますか。その趣旨は、一番には、物価に関する基本的な政策の企画立案に関すること、一つ。二つ目には、物価に関するものがいろいろありますが、関係行政機関の重要な政策及び計画の総合調整に関することなどの事務をつかさどることになっておりまして、物価対策が最大の任務である、このようにされているのに、物価ばかりやれないというこの姿勢、総理がそういうことを国民の前で、選挙の期間中であったけれども、言っていたにもかかわらず、こういうことがある。これに対して大臣、いかがでございますか。
  75. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 同じことを繰り返すことになって恐縮でありますが、総理大臣がそういうことを言われたことは私全く承知をいたしておりません。今度の米価を諮問する主管大臣は、言うまでもなく農林大臣でありますが、大蔵大臣も相談にあずかっているわけでございますけれども、農林大臣も大蔵大臣もそういう田代さんのいまの御発言のような総理の発言を聞いておれば、あの諮問の取り扱いと矛盾する点も出てくるわけでありますけれども、農林大臣倉石忠雄としてああいう諮問をいたしておるわけでございますので、その辺にはいろいろの解釈の問題もあろうと思います。これはまあ、これだけにさしていただきます。  さて、読売新聞のけさの記事を人からも私は注意をされましたけれども、これは新聞世論のキャンペーンでありまして、消費者物価というものは高からざるほうがよろしいと。それは私が冒頭に申し述べましたように、私自身も、できるだけこれを安く押え込もうとして努力をいたしてまいりました者といたしまして、まことに私は適切な記事であると考えるものでございまして、ただ、その取り上げ方のニュアンスが、私が物価のことをほうり出して、物価のことは一切関知しないんだというようなニュアンスではない。何か読んでみますると、これはいま私が先ほども触れましたように、総合農政あるいはまたお米の確保の問題——来年以降の問題もございましょうし、また、国の財政の問題もございましょうから、物価だけという見地で、それがどうなってもそれはかまわぬのだということではいけないんだと、こういう問題があるわけで、その辺も受け取り方、表現のしかたのニュアンスでございますけれども、私はやっぱり物価最高政治課題最高というからには、最高ですから、その下にいろんなものが一ぱい入っている。財政問題、農政問題等、その積み上げたものの上に物価を乗せまして、そうして総合的の意見を実は今日までの段階で述べてきております。  今後の処置につきましては米価審議会の答申を私も見詰めておる、こういう次第でございます。
  76. 田代富士男

    田代富士男君 大臣、いま、この新聞は端的にこれを載せているんだと。まあしかし、私はこういうあれでやったわけじゃないという言いわけをいまされましたけれども、いまお米の問題がどうなるかと言われているときに、こういうことが出来たらどうします。いまもそちらのほうに御婦人方がいらっしゃるんです。いまの質疑のやりとりを聞いて、どう思っていらっしゃるか、発言こそされませんけれども、これは新聞記事のままの大臣の姿勢だなと、おそらくとっていらっしゃると思うんです。こういうふうにとられたと、こういうことが国民の一般の皆さんに知らされたということは、これは、自分としてはそういうことはなかったけれども、これは自分としても今後気をつけなくちゃならないことであると、謙虚に、そういう、これを反省していく姿勢というものがなくては、物価に真剣に取り組む姿勢ということは言えません。ああ、これは端的に表現したものじゃと、こういう言い方じゃ、なおさらそういうことになりますよ、大臣。私はこれは深追いはしません、あとのほう質問がありますから。そういう謙虚な姿勢に私は立ってやってもらいたいと思うんですが、どうですか、大臣
  77. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) ニュアンスの相違ということはこのことでありまして、これは新聞の、私の立場に対する応援であり、激励であるというふうに私は受けておりまして、私は無責任な立場をとろうというようなつもりは毛頭、初めから終わりまで、また、今後もございませんことを、あらためて申し上げておきます。
  78. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、いま三六%をどうするかということが、おそらくこの向こうのほうで、いま審議をされております。これはさほど離れておりません。そこで、田中総理が、選挙期間中にそういうことを言ったか言わないかも、倉石大臣も聞いてないから、それが聞いていたならば、三六%の中に反映されていたんじゃなかろうかという大臣の御発言ですが、これはいま伝えられるところによれば、一応三六%という数字が提示されているけれども、これは見込みの数字であって、あくまで、まあ通称政治減算といわれる、そういう立場でいくならば、二八%ぐらい、これは与党である政府案に対して、与党の力でこれだけ下げたんだというような、そういうからくりといいますか、そういうような動きがされて三六%は見込みで出しているんだという、そういうことも流れてきております。こういうことであったならば、けしからぬと思うんです。二八%、三六%、ああ最後はここまでおろそうと、そういうような政治減算ととられるような、こういうような動きがあるということを聞いておりますが、おそらく大臣に聞けば、そういうことはありませんという答弁が返ってくるでしょう。しかし、肝心かなめのこういうことは言った覚えもありませんと言うかわからないけれども、総理が選挙の最中に言った、そういう大事なことは私は知りませんと、こういうことはすまされないと思うんですけれども、どうですか、これは。二八%でおさまるというような、そういうことがうわさされておりますけれども、どうなんですか。
  79. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私の答えは、田代さんの先回りをしての御想定のとおり以外にいま答えられませんが、しかし、田代さんも御承知のとおり、米価審議会という法律上の制度がございまして、そこで三六%という一つの試算数字をめぐっていろいろの論議が行なわれ、御答申があるわけでございましょうから、私どもは米価審議会のその答申の出方、内容を重視をいたしまして、それに対処いたすべきであろうと考えます。
  80. 田代富士男

    田代富士男君 じゃあ次に移ります。  標準価格米は消費者にどのくらいの需要が現在されているのか、また、食管会計の逆ざやがどのくらい消費者に恩恵を与えているか、まあここらあたりをちょっと尋ねてみたいと思いますが、標準価格米の売れ行きは、昭和四十八年三月の調査では、全国平均で三六%という数字が出ております。ところが、東京では二一%、大阪では一八%というような数字が出ておりまして、最近の全国平均の標準価格米の売れ行きは、全体消費量の二〇%と、このように言われております。このように、大消費地や消費県では、販売比率というものが低下してきた。したがって、残りの消費米につきましては、実質的に自由な価格で販売されていることになるわけなんです。これでは逆ざやを持つ政府管理米が、商業ベースの、御承知のとおりの自主流通米に格上げされることが、制度的に、法的追認されたことになります。これであっては食管制度というものは、また、食管の本来の精神に反するんではないかと、私はこのようにも思うわけなんです。この問題に対して、今後どのように対処し、指導していこうというお考えがあるのか、これは時間もありませんから、食糧庁だけでけっこうでございます。
  81. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) 標準価格米につきましては、いま先生御指摘のように、だんだん、年々消費者の購入量は減ってまいっております。それに対しまして原料米の供給は若干これを上回って政府から売却されております。標準価格米は、これは物価統制令の適用を廃しました際に、若干物の質はほかの米より、銘柄米より落ちるようなことがあっても、価格が安い米がほしいという消費者の要望にこたえて、これは必ずお売りしますということで設けた制度でございます。その趣旨からいたしますというと、実際に売れる数量よりややゆとりを持って、多目に供給しないことには、消費者のお手元に確実に届けられないということで、実際に売られている数量よりはゆとりのある数量が政府から販売業者に渡されているということはございます。そして、その結果、残った標準価格米の原料となる米につきまして、これをほかのお米と一緒にいたしまして、中米程度価格で売るということについては、これは禁止はいたしておりません。ただ、そういうことでございますというと、先生もいま御指摘になりましたように、財政負担をしている米が格上げされて高く売られて、そして販売業者の不正といいますか、不当利得につながるんじゃないかということ、この懸念はございます。そこで、私どもといたしましては、上米、中米——上米は大体自主流通米で構成されておりますが、あわせまして、やはり標準価格米と同様に、価格指導の対象としてその価格指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。単に考えておるということだけじゃなくて、この二月からは——標準価格米のほうは以前から、物価統制令の適用が廃止になりました四十七年の四月から、食糧庁が全国の、地域別の差はございますが、価格を定めまして、これを都道府県別に割って、指導してまいったわけでございますが、いま申し上げました上米、中米につきましても、都道府県と相談いたしまして、各都道府県ごとの基準価格をきめまして、これを守らせるというようなことで、特にこの二月からその指導を徹底してまいっております。そういったこともありまして、かなり最近におきましては上米、中米、まあいま御指摘のような標準価格米等の原料米と一緒になって売られている、特に中米あたりの価格はかなり安定しているというふうに見られております。
  82. 田代富士男

    田代富士男君 いま御説明のあった中に、やはり標準米の場合には、かなり数字を余分に都道府県に対して渡しているという、これはわからないわけではありません。しかし、量があまりにも多過ぎます。まあ数字は御承知だと思いますが、四十八年三月の東京の例をあげますと、四十八年産米が約八百九十万トンになっております。その中で標準価格米は三十一万六千トン、全体の三一%。ところが農林省の調査で、実際に売られたのは二一%である。残りの一〇%は自主流通米に売られている。それから大阪の例をあげますと、四十八年産米が約五百三十万トン、標準価格米が二十万八千トン、全体の四〇%渡されている。農林省の調査では一八%しか売られていない。二二%は自主流通米として売られている。だから、いま話されるように、幾分多目にという、そういうような国民の皆さん方の——食管法の精神からいきまして、それはわかりますけれども、大阪の場合は一八%と二二%です。フィフティー・フィフティーまでいきませんけれども、こういうことが自主流通米として食管の精神から許されてよいかという、これをいま言ったわけなんです。だからこれは合法的だと——合法的ですまされない数字が出てきているから私は言っているわけなんです。まあこの点については、もう時間がありませんから、この点を今後とも明確にして、食管法の精神に通じてこれはやっていただきたい。それから、四十八年度これに対して今後どうやるかということ、一言お願いします。それと同時に、四十八年度米の生産者米価の値上がりは、これは実施されましたけれども消費者米価のほうは据え置かれた。しかし、自主流通米はその結果一〇%あまり値上がりを見せております。そうすると、今回三七・二%の生産者米価の値上げによりまして、実質的に一〇%の値上がりが起こっております。その上にいま米審で審議されておりますが三六%と現時点においては数字が示されております。もしも、これが値上がりになりましたならば、実際の市場価格というものはおそらく四〇%から五〇%の値上がりになるんじゃなかろうか、いまさっき大臣がいろいろ話をされましたけれども、一応こちらからの数字で申し上げますと。そうしますと、このような不安定な経済情勢のもとで市場の米価流通にどのように取り組んでいかれるのか、この点食糧庁長官にお尋ねしたいと思います。  それから三番目に、時間がありませんから、ちょっとまとめて質問しますが、現在自主流通米は上限価格が明らかではありません。で、この上限価格につきましては、政府指導価格を一応つくり、守らせるべきであると私は思います。まあ、おそらくそういうことはやっておりますという答弁が返ってくるかわかりませんが、政府としてはやっていても、都道府県において実施の段階におきまして指示はされているけれども、これが具体的には実行されてないという点でございます。この点に対して食糧庁長官の御検討。それでいま言ったような問題から考えて国民生活の生活を安定さすために、まあここで物統令の問題もさきの委員会で問題になりましたけれども、物統令の適用を再びここで検討すべきではなかろうか、そして国民生活の安定に寄与すべきではないかと、このように思うんですが、これは経企庁長官にお尋ねしたいと思います。まとめての質問ですけれども、順を追って、最初食糧庁長官、それから経企庁長官に……。
  83. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) 先ほど、標準価格米の原料米は実際に消費者に売られるより若干の余分をもって政府は販売業者に渡しているということを申し上げました。先生いろいろ地域の数字をお調べでございますが、確かに、地域によって特に東京、大阪等はその差が若干大きいと思います。まあ、その場合私ども無条件にそういうほかの米とをあわせていわゆる格上げして売ることがいいというふうに言っているわけではなくて、やはりそれにはおのずから限度がある。やはり、その程度、できあがった米についての価格水準、そういったことについては適正であるべきだというように考えております。度を過ぎた格上げ混米、さらにその価格の決定につきましては十分今後とも注意して指導してまいりたいと思っております。  それから、二番目に自主流通米の新米の価格がすでに値上がりしているではないかというお話、御指摘のとおりでございます。ただ、自主流通米につきましても、政府はこの前の生産者米価の値上がりがそのまま直接に反映するということは避けさせるようにいたしまして、現在の政府が売り渡している米とのバランスを保ちまして、助成金を出して価格水準の維持をはかっているわけでございます。まあ、その結果生産者米価のほうが三二・二%、そのほか奨励金等もございますが、基準米価で三二・二%上がっておりますのに対しまして、自主流通米の末端価格自体は最近の早場米でおおむね一割ないし一割をちょっと上回った程度で取引されている実情でございます。これにつきましても、そういった財政負担を行なうと同時に価格指導を厳格にやって、その辺の水準を守らせているということがございます。今回いま米価審議会に諮問しておるようなことで、政府のまた売り渡し価格が上がればそれに伴って標準価格米も上がります。それとのバランスで自主流通米も上がることになると思います。私どもその際、標準価格米だけを注意して、これを厳格に指導すればいいというふうに考えているわけではございません。先ほども申し上げましたように、格上げという問題もあります。自主流通米自体のやはり適正な水準ということも考えなければなりません。そこで上米、中米につきましても価格指導を一そう入念にやってまいりたい。そのためにまあ都道府県にいろいろ  これは直接、現場といいますか、第一線の状況をよく知っているのは何といっても都道府県とか市町村でございます。都道府県にもお願いしまして、それぞれしかるべく価格指導の基準をつくっておりますので、そういった新しい基準の設定につきまして打ち合わせて指導をさらに厳格にやっていただこうということを考えております。そのために米価のおおむね決定されるころを見計らいまして、各都道府県の担当者も呼びまして会議を持って、十分食糧庁としての意向を伝えるということを考えております。  それから、物価統制令の適用につきましては、これは企画庁長官から御答弁あると思いますが、私ども米を預っておる食糧庁の立場から申し上げますというと、四十七年の四月に物価統制令の適用を廃止しましたが、このときの趣旨は、それ以前は一それ以前といいますのは、物の不足しておった、米がまさに足りなくて、その安定的な供給に政府が苦心しておった時代でございますが、その時期はおよそ米でありさえすればいいということでございましたが、だんだん供給が潤沢になるにつれまして、需給緩和するにつれましていい米がほしいと、少しくらい高くてもいい米ならぜひほしいのだというようなことがあって、いわゆるやみ価格が横行しておったわけでございます。そういう実情に加えまして、経済の原則からすればやはり品質格差というものはそれなりに価格に反映してしかるべきだという考え方のもとに物価統制令の適用を廃止したわけでございます。このことは私現在でもやはり変わっていないと思います。やはり米のいい悪い、そういったことについての消費者の選好といいますか、選択がある。それなりに応じて価格形成もはかられるべきではないか。どうしても物価統制ということになりますというと、国が一律にやります場合は非常に単純な価格にならざるを得ない。そうしますと、もののいい悪いを別にして、同じような価格で規制するというところにどうも無理があるように思われるわけでございます。そういうことで食糧庁としては物価統制令の適用を復活するということは考えておらないわけでございます。
  84. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 物価統制令再適用の問題につきましては、ただいま食糧庁総務部長からたいへん詳しい説明がありましたとおり、私どもも同じ考えを持つものでございますので、当面現状におきましては、これをもう一ぺん引き出して適用しようという考え方に立っておりません。
  85. 田代富士男

    田代富士男君 まあお米の問題がここまで論議されるのは、食管の赤字の問題じゃないかと思います。そこで国民のコンセンサスといたしまして、食管法の赤字はある程度税の収入等でまかなう以外にはないんじゃないかという、そういうことも言われておりますけれども、私はこういう点を今回の問題において特に留意していただきたいことは、生活保護者、母子家庭あるいは福祉人々につきましては、米価はこれは据え置いてもらいたい。すなわち福祉料金体系ということが言われております。電力問題等についても検討されましたけれども、こういう社会的弱者の皆さんに対しては据え置いてもらいたい。また食管の赤字を解消するにはどうするか。消費者に負担してもらう以外にないという、こういう一方的な考え方でなくして、たとえば臨時稲作営農補助金の五百七十億円、また銘柄米奨励金の二百十億円、備蓄積み増し数量経費の四百七十九億円、管理経費の二千五百四十三億円、合計いたしますと約三千八百億円。これは農林省の予算に組み入れて、食管赤字から取りはずすべきであると思いますが、この点はどうでございましょうか、経企庁長官
  86. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 消費者米価が上げられますのに関連をいたしまして、低所得者対策等のことを当然考えてまいらなければならないと思います。そのやり方を直接法でやるかあるいは間接法でやるかということがいま論議の課題になっておりまして、そういう安いお米をつくるとか、あるいはある階層に通帳とか切符を渡して安く売るとかいうようなことがいいのか、それとも生活保護基準あるいは施設等の措置費というようなものを補正予算等で増額してやるがいいかということをせっかく論議をいたしておりますが、いずれかの方途によりまして田代さんの御意思のあるところも私ども取り入れる方向で検討いたしております。  それから食管の問題でございますが、米につきましても、米の関係経費は全部その食管の負担だと、歳出だということでなくても私はいい面もあると思います。現に、数点おあげになりました経費の中には、すでに一般会計所属としてきめられておるものもありますことは御承知のとおりでございますので、なおただいまの御意見を十分かみしめてまいりたいと思います。  しかし、食管というものは、そういうものを別扱いすることについての検討はするといたしまして、赤字が幾ら出ても、たとえば食管法四条がある限りにおいてはかまわないんだというものでもない。これまた、お話ししますと長い論議になりますので、結論だけは、そういうものでもないことについても、私どもの意見があるということだけをお含みいただければ幸いでございます。
  87. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) 食管特別会計——これは特別会計でございますが、一般会計との費用負担の区分といいますか、どこまでを特別会計で持ってどこから先を一般会計で持つかという話が一つございます。それと同時に、いま一つは、食管の赤字をどこまでが政府の負担でもってまかなって、どこから先を消費者に御負担いただくかという二段の段階でこの問題を考えることができるかと思います。やはり、その食管会計が負担するものは、会計原則といいますか、経理のためまえと事柄の性格ということで処理するわけでございますが、現在、臨時稲作営農補助金につきましては、これは一般会計から直接出すことといたしております。それから銘柄奨励金は、これは特別会計でございますが、これはいわば米の銘柄についての格差といいますか、それなりの品質差というものに相当するものだということで、これはやはり米の直接管理に伴う経費だということで、現在、食管会計で扱っているわけでございます。それから経費でございますが、経費にはいろいろございます。米を直接取り扱っている人間の人件費、それから集荷——物を集めますのに要する運賃でありますとか、これを倉庫に入れますれば保管料がかかる。さらには金利がかかるというようなことでもって、扱うために直接かかる経費につきましては、これはやはり食管会計で持つべきであろうというふうに考えるわけでございます。食糧庁の中にも  一般的な管理行政をやったり、ほかの物資をやったりするような事務がございます。それらにつきましては、当然、一般会計から直接負担をいたしております。  なお、いま申し上げましたようなもろもろの食管会計の中で負担しておりますところの経費、こういったものまで全部を消費者に転嫁するのはどうかという議論になりますというと、今回私どもが諮問申し上げております米価におきましても、およそ経費のすべてを消費者にお願いする、財政負担をすべて免れたいということでお願いしているわけではなくて、いわゆるコスト逆ざや、経費の全部を償うためにはいまの売り渡し価格を一〇六%上げなければならない——一〇六・三%でございますが、上げなければならないという関係にありますが、そのうちの末端逆ざや、消費者の皆さんが米屋さんの店先から買うその価格と、生産者が政府に持ち込んできて政府が買いますところの買い入れ価格、もちろん買い入れ価格のほうがきわめて高いわけでございますが、その価格差だけを解消することを目標として、しかも先ほど経企庁長官からもお話がありましたように、その一〇・三%を除きました——これは既定の分だと考えておりますが——残りの末端逆さやについては半分を解消するということでお願いしているわけでございます。ですから、およそ政府はその財政負担をしないんだとか、そういうようなことでもって消費者米価のあり方、政府売り渡し価格のあり方を考えているわけではございません。
  88. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ次の問題に移ります。  物価・産業政策についてちょっとお尋ねしたいと思います。政府は、石油価格が急騰いたしました後、口を開けばことしの秋までには新価格体系へ移行すると、こういうようなことをいろいろ言われておりますけれども、この際あらためて新価格体系への移行とはどういうことを意味するかということを明らかにしていただきたい。これは経企庁にお願いしたいと思います。  それと、通産省には、価格凍結解除を急いだ通産省といたしましては、新しい価格体系の確立と、それに基づく産業構造の改革を今度の物価・産業政策の重点にする方針であると、こういうふうに言われておりますが、端的にどうするのか、通産省からお願いいたします。時間も制限がありますから、端的にお願いいたします。
  89. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 新物価体系というのはたいへんわかりにくいことばでございますが、ごく簡単に申しますと、海外要因等によりまして、これは総需要抑制しても、金融を引き締めましても、その物のプライスを圧縮することができないようなものは、当然価格の基礎の中に織り込んで産業構造なりあるいは国民の家計支出なりというものを編成がえといいますか、それに適応するように組みかえていかざるを得ないと、こういうものがございますので、それに応ずるような物価の構造を実現してまいる。しかりしこうして、全体として見れば、高いものは高くなったんだから物価全体が高くなるのは当然だという考え方に立たないで、高いものは高くなっても、さらにまた合理的にコスト等を縮めたり、生産性その他の努力もいたしまして、安くし得るものは安くいたしまして、国民生活を圧迫しないように、物価水準全体といたしましては、これがはなはだしく上昇することかないように——これはもう国際的にいろいろの問題がありますこと、田代さん十分御承知のとおりでありますが、よその国がそうだからわが国物価が高いのはあたりまえだと考えないで、日本式な新しい物価構造、家計支出構造というものを合理的に打ち立ててまいりたい、こういうことになると思います。
  90. 天谷直弘

    説明員(天谷直弘君) 新価格体系への移行に関しましては、昨年秋以降、日本が輸入しております石油その他のエネルギー資源あるいは食糧等の価格が従来ときわめて大幅に変動いたしまして、日本のよって立つ原料基盤の価格構造が日本の力の及ばないところで変化いたしました。それに対しまして日本の経済を次第に適応させていく、まあ比較的摩擦を少なくしながら適応させていくということが日本の経済の将来のために基本的に必要であるというふうに考えております。  で、日本経済の構造の基本でありますところの自由経済市場経済制度によりますと、価格が一つの媒介になりまして需給を調節し、資源の最適配分を行なうということが望ましいわけでございます。ただ、それがあまり急激に起こりますといろいろ摩擦が起こるわけでございますので、当面は総需要の引き締めを行ないながら、便乗的な価格上昇が起こらないようにする。ただし、しかし、そのコストの変化につきましては、そのコストの変化に基づく需給の変化が市場において行なわれるような政策をとっていきたいと、こういうふうに思います。  また、将来の問題でございますが、供給が需要に対して著しく不足いたしますと、昨年末からことしの初めにかけてのようなデマンドプルインフレーションが起こりますので、そういうことを回避するためにも供給力の整備は十分心がけていきたい。また、国際収支につきましても前途必ずしも楽観を許しません。貿易収支のバランスが改善してまいりませんと、日本経済として将来非常に苦しいことになりますので、そういう輸出の根本を培養するということも非常に必要なことであろうかと思います。そういうふうに変化いたしました世界の原料市場の状況あるいは輸出市場の状況、それから国内の物価問題等々を考慮いたしまして、新しい産業構造、特にエネルギー、それから資源等の消費が比較的少なくて済むような方向に、あるいはまた環境資源の消費が比較的少なくて済むような産業構造のほうに移行していくことを目標といたしたいというふうに考えております。
  91. 田代富士男

    田代富士男君 いま御説明がありましたとおりに、市場の需給関係を反映した市場の価格メカニズムを働かせて定まるべき価格にさや寄せしていくという、そういうやり方、また資源の適正な配分にも努力をして新しい産業構造を確立していきたいと、そういう骨子のお話がございましたが、しかし、まあ説明はいまの説明説明自体としてはわからないわけではございませんが、現実の問題はそうはなっておりません。現在の価格決定には、毎日の新聞でも取り上げられておりますとおりに、企業の独禁法に違反いたしました価格協定が指摘されております。先日の予算委員会物価集中審議におきましてもこれは公開されましたけれども、その結果公取委員会からの破棄勧告を受けている実態をどう考えたちよいのか。ことしの四月からすでに破棄勧告の件数は十七件に達しております。そのように考えていきますと、これでは価格カルテルによる新価格体系への移行ということになるんじゃないかと、こういう心配される一面があるわけなんですが、この実情を特に一番関係の深い通産省としてどう考えていらっしゃいますか。いまの御説明わかりましたよ。しかし現実とずいぶんの違いがあると、現実はこうじゃないかと、この点についてはどのように対処されますか。
  92. 天谷直弘

    説明員(天谷直弘君) 価格カルテルが自由主義経済のガンであることは申すまでもないことでございます。価格カルテルが現実に存在するといたしますならば、これはきびしく取り締まるということが基本的に必要な対策であり、公取委員会当局におかれましてあらゆるカルテルの摘発を続けられることを期待するものでございます。ただ、この世の中にカルテルが一件もなくなってしまうということは、世の中に犯罪が一件もなくなるということが期待できないと同じように、望ましいことではありますが、きわめて困難であろうかと思われます。したがいまして、価格カルテルのようなものが存在する限りにおいて自由主義経済市場経済を実行することは根本的に不可能であるというふうに考えるわけにもいかないのではなかろうか、カルテル摘発によりましてそういう病気を駆除しながら自由主義経済を回復していくということが必要な方向ではなかろうかというふうに存じます。
  93. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、この問題はここでいろいろ論議しても尽きない問題じゃないかと思います。で、現在公取委員会で検討されております価格引き下げ命令権を伴った独禁法の改正は、いまもお話しになっております価格メカニズムを働かせた価格決定のあり方のためにも、またいま御説明がありました省資源、省エネルギーのための資源の適正配分に資するためにも必要じゃないかと思うんですね。こういう意味から、業者のそういう代表というべき立場にあります通産省として言い分はありましょうけれども、この点に対してどのように考えていらっしゃるのか明らかにしてもらいたい。  それと、これはきょう公取委員長がおいでになっていらっしゃいませんから、かわりに経企庁長官にお尋ねしたいと思いますが、いま独禁法の改正というものが検討されております。各方面から注目されておりますが、物価大臣として価格引き下げ——いまも言いましたけれども、命令権の問題、それから二番目には企業分割命令権の問題、三番目に株式保有の制限の問題についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。最初に通産省、それから長官にお尋ねしたいと思います。
  94. 楠正俊

    説明員(楠正俊君) ただいまの独禁法の改正につきましては、公取委員会から通産省のほうに何ら具体的なものを提示されておりませんので、通産省といたしましてお答えを申し上げる段階ではございませんので、お許しいただきたいと思います。
  95. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 公取でいま田代さんが御指摘のような独禁法の改正のことにつきまして特別の機構を私的に設けて研究中であることは承っております。いわゆる独禁研と言われている。しかし独禁研の研究結果を公取自身が体内に取り入れて、公取としての考え方をまとめられたとはまだ聞いておりませんので、まとめられた上はいずれ政府のほうにそれのお申し入れ、あるいはまたこれは総理府あるいは法制局等を通じてお申し入れがあるはずでございますので、その段階まで至っておりません。至っておりませんが、一般論としまして、それは公取にはそういう項目を研究していただくことはきわめて私は適切の事柄が多いと思います。ただ現実の問題としてこれ一つ一つ私はここで論評いたしませんが、伝えられる一つ一つの項目につきましては現実に適応し得ないような問題もございますので、いずれ通産省がお答えになりましたように公取から正式に、あるいはまた略式でも申し入れがございました際に、私どものほうもそれを検討する機構なりチームをつくりまして検討いたしまして、いいものはいいと、しかし現実に適応しないでかえって混乱させるようなものは排除するものもございましょうけれども、そのような態度をもって私は臨みたいと思います。
  96. 田代富士男

    田代富士男君 これね、政務次官、いま事もなげにそういうふうに言いのがれされておりますけれども、この問題はきょうは時間がありませんから、じゃあ私十一日の決算委員会がありますから、そのときにこの問題は続きをやります。ここではっきり言っておきます。きょうはあとまた穀物の問題等やらなくちゃなりませんから時間がありませんから、これは十一日の決算委員会でまた続きをやります。  そこで次に進みます。政府は四十九年八月二十三日、石油製品指導価格の撤廃を行ないましたが、石油関連製品はこれから需要期を迎えようとしております。この時期にどうして指導価格体制をとめたのか、その理由はどこにあるのか、これをまず通産省にお願いしたいと思います、第一点。  政府はこの第二の物価高騰と言われるこの時期を迎えようとしているのに対して、こういう物価高騰はないと見ているのかどうか明確にしていただきたい。そして凍結解除について根拠をあかしていただきたい。また価格凍結を解除して値下がりした品目があるか、あったら明示していただきたい。朝も灯油の問題等で審議されました、むしろ値上がりの傾向ばかりだと。この点について通産省いかがでございますか、まとめて。
  97. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) お答え申し上げます。  最初の石油指導価格の撤廃に関する報告でございますが、石油価格につきましては御承知のとおりことしの三月十六日にこの値段をきめまして、いわゆる八千九百四十六円の値上げというものを認めて最近に至ったわけでございますが、最近の石油製品需給関係は、非常に原油の輸入がこの六月以降からふえてまいりまして、備蓄量も七月末で七十日ぐらいになるように相なりまして、これは石油危機前が六十日でございましたので、それに対しても相当な増加でございます。そういうふうな石油輸入量の増加に伴いまして、石油製品需給も非常に乱調になってまいりまして、たとえばこの一リットル百円というふうなレギュラーガソリンも、店頭では必ずしも百円でなくて売られているというような状況も散見されるようになってきたわけでございます。こういうことになりますと、いたずらに価格指導を継続いたしますと、場合によっては下ざさえというようなことになってもいけないということで、この際、こういう石油需給緩和した時期には、できる限り市場の価格形成にゆだねていきたいということで、この十六日に決定をいたしまして、指導価格制をやめたわけでございます。ただ、現実にこの制度をやめまして最近に至るまで値上がりの動向はございませんけれども、しかしながら、将来の原油のまた上昇というようなことも懸念されますので、野放しにはいたしておりませんで、まず国民生活に非常に関係のございますLPGーー液化石油ガスでございますとか、灯油については標準価格制度を活用してまいりたいということで、家庭用灯油については近く標準価格をまたきめるということにいたしておりますし、液化石油ガスについては標準価格制度を続けてまいっております。それから、それ以外の油種につきましても、やはり事後監視措置は厳重にやってまいりたいということで、これは石油業法に基づきまして価格の届け出をとりまして、それによって価格の報告をとりまして、それに基づいて事後監視は厳重にやってまいりたいというふうに考えております。これからしばらくの間も石油需給はゆるむということでございますので、値上がりがすぐ出てくるということはないというふうにわれわれは考えております。
  98. 田代富士男

    田代富士男君 時間がありませんから、次に移ります。  いま、物価狂乱は迎えるような状態ではないと、安定いたしますと、極端に言うならそういうことですけれども、私は、第二のそういうパニック状態というものが起きつつあると、現実に、一部の人に知らされたけれども、起きたその事実をいま申し上げます。  これは大豆の問題であります。まず最初に、日本の港に穀物が滞貨している、港に滞貨している数量はどうなっているのか、保税倉庫の滞貨状況はどうなっているか、まず説明を簡単にお願いを申し上げます。
  99. 松本克也

    説明員(松本克也君) お答えいたします。  私どものとっております統計では、七月末に保税地域におきまする蔵置貨物が八千五百万トンとなっておりまして、保税地域の収容能力に対します在庫の率は六二%ということになっております。
  100. 田代富士男

    田代富士男君 私はここで現実の問題を申し上げます。私は遺憾に思うことがありますが、私がもらいたいという資料要求をいたしましても出てきません。しかし、そういう資料でもらうよりも、現実にはどういう滞貨がされているかという現実の姿が何よりも現在の実情を一番物語っていると。いま東京の港に保税倉庫はたくさんあります。いま数字で見れば収容能力の六二%と、こういうようなことであります。じゃあ一〇〇%までは余裕があるということです。余裕があるならば、いまから二、三カ月前は大豆を東京に持ってきてスムーズに保税倉庫に入り、スムーズにそれを輸入することができた。ところが、ついせんだって、もうつい最近どうなったか。もう最近に至りましては、この二カ月半ぐらい前から、大豆は船積みしたまま、どうして揚げることができないか、保税倉庫が満ぱいである、そのために業者が困っております。どういう業者が困っているか。われわれの日常生活に一番必要なものは何でしょう。朝われわれが起きます。日本人であるわれわれは、朝おみおつけを食べるでしょう。みそにも、しょうゆにも、大豆は必要です。とうふも食べるでしょう。大豆は必要です。ところが、そのようなとうふ屋さんや、みそ屋さんや、しょうゆ屋さんと直接取引をしている中小の大豆の輸入業者の人たちは、二カ月たっても、二カ月半たっても、大豆を揚げることができない。そのために、このとうふ屋さんやみそ屋さんは大豆がなくなる。いま大騒ぎの一歩手前ですよ。大豆が最近どのような値上がりをしてきたんですか。これでも六二%と言われる。それが一軒の商店ならば、それは自分の手違い、そういうことも言えるでしょう。十数軒の人が、そういう実需者に対しまして大豆をあげることができない。それは即われわれの食生活に関係がなされてくるんです。こういう事実を踏まえた上で、なおかつ余裕がありますということを言えますか。余裕があるならば、船に積んだままの大豆をあすでも揚げてもらいたい。余裕がないというならば、この数字はほんとに掌握しているのかと、それならば私が言った資料も出てくるはずです。この点どうですか。まず最初にこれだけお聞きしておきます。
  101. 松本克也

    説明員(松本克也君) 先生から御要求のございました資料でございますが、私どももわからないはずないということで、こちらへ来る途中催促を続けまして、先ほど電話で連絡がとれましたですが、御指摘のございました東洋埠頭関係の大豆、これで長期蔵置されておるもの、その所有者はだれかと、こういうお尋ねであったと思いますですが、大豆が東洋埠頭に千六百五十七トン、長期——この私とも長期と申しておりますのは、法律上収容の対象になります保税上屋輸入後一カ月以上経たもの、それから法律の収容対象にはなりませんけれども、保税上屋に搬入しましてから三カ月を経たもの、あるいは保税倉庫に入れまして輸入許可後三カ月経たもの、これをとっておりますですが、この所有者が日糧、それから組合貿易、それから三井物産東邦物産という連絡が先ほど入りました。それで、各社別の何と申しますか、寄託量、これは現在わかっておりません。
  102. 田代富士男

    田代富士男君 いま電話の連絡でこれだけ来ておりますが、いま名前があがりました東洋埠頭倉庫、鈴枝倉庫、ここに対しまして従来入れていた人たちが二カ月ないし二カ月半入ってない。なぜか。いまもろもろの名前が出てまいりました三井物産その他の大手の商社が輸入をした大豆がそのまま保税倉庫のそこへ置かれたままになっている。そのために中小の大豆の輸入業者の大豆が揚がらないというこの実態。どうして三井物産等の大手商社が大豆を輸入したか。これは御承知のとおりに、ことしの六月、アメリカにおきまして大豆が不作であるということが報道された。そのために、三井物産を初めとした大手五社の代表が六月の中旬にかけてアメリカのシカゴ市場へ買い付けに行った。大豆を買い占めている、三井物産を初めとして。そのために大阪の港においては大豆が上がるぞ、当時一トン八万円であった大豆が、六月の中旬八万円であった大豆が一挙に十三万円までに値上がりした。大阪の港では大豆がなくなってしまって、パニック状態になった。一部の業者だけ、世間に知れなかったけれども、たいへんな騒ぎ、パニック状態。これはうそでも何でもありません。その証拠に、ここに農林省農蚕園芸局長農林省食品流通局長食糧庁長官の三名の連名で、四十九年の八月二日に通達が出されております。全国雑穀商協同組合連合会に対しまして、ずっと書いてありますけれども、読みます。「一部に市中相場より高いものを要求した動きも散見されておりますが、業界におかれてはいやしくも売惜しみ、買占め、便乗値上げ等のないよう社会的責任の自覚の下に、十分な供給の確保価格の安定について最大限の努力を尽されるよう要請します。」という、このように農林省関係の二局長食糧庁長官が心配をしまして、一トン八万円であった大豆が一挙に十三万円になった、大阪の港から大豆が消えてしまった。第二の狂乱、パニック状態。いま言うとおりにみそ、しょうゆ、とうふというわれわれに一番関係の深いものにこういうような事態が起きた。そうして三井物産をはじめとした大手五社がシカゴへ買い付けに行って、その品物が入って保税倉庫から動かない。そのためにまじめな中小のそういう大豆輸入業者の人がとうふ屋さんやみそ屋さんへ渡すべきものが渡されなくて、今度はみそ屋さん、とうふ屋さんが大豆がないと騒ぎ立てた、これどうなりますか。いまから、そういう物価狂乱時代には入りましたけれども、事実これは起きている。この事態を農林省としてどう認めるか。また経企庁長官大臣は代表でございますから、これはそういうことは初めて知りましたとおそらくおっしゃるかわからぬけれども、実際パニック状態が起きている。これでも起きてないというのか、その点まず農林省。
  103. 森整治

    説明員(森整治君) ただいま先生御指摘ございました点について、私どもの通達でございますので、若干事情の説明をさせていただきたいと思います。大臣お答えになる前にそのほうがよろしかろうと思います。確かに先生御指摘のように、アメリカの干ばつが伝えられまして、われわれ供給に不安はないかということを実は心配をいたしました。と同時に、各農政局それから食糧事務所等を使いまして実際に取引在庫等を調べておりました。若干東京等に消費者の方から御連絡がございまして、そういう指摘もございましたので、実は公式ではございませんが、一応調査に参りました。それでいろいろ価格が上がっておって、いろいろトラブルがあるというようなことも把握いたしました。そういう事情がございましたので、むしろわれわれのほうで積極的にこの卸の団体等に不安はない。それはわれわれのほうでいろいろ製油メーカー、商社等から事情を聴取いたしまして、ともかくもし品物が不足した場合にはいつでも放出するという確約をとっておりまして、それで事前に卸の団体にいたずらな不安を与えて混乱を起こすことのないようにということで、未然にそういうことが起こらないような意味で、指導通達を出したし、また事情をよく説明したわけでございます。そういうことでございまして、先ほどの保税倉庫の問題につきましても、どうも七月まではむしろ荷動きが非常に少なかったというふうに聞いております。そういうことがございましたが、その後はいまのような事情もございましょうし、最近は非常に荷動きがよくなってまいっておりまして、現在の時点ではそういう問題はもっとスムーズに倉庫の事情も改善をされておるのではないかというふうに思いますけれども先ほど大蔵省のほうで申し上げましたのも一般論として申し上げたと思います。個別に先ほど先生から御指摘のございました点につきましては、われわれも農政局で調査をいたしまして実情は正確に把握をいたしております。ちなみに申し上げますと、十数社の荷でございまして、むしろその当時の事情を聞いてみますと、売却済みであってもなかなかその需要がついてこないものだから引き取りがないというようなことで、若干倉庫の倉庫繰りが悪かったというふうにわれわれも理解をしておるわけでございます。まあ、相場のことでございますから、相場のことでいろいろ若干、そういう晴海の埠頭におきましてそういう問題がスムーズにいかなかったというようなことにつきましては、われわれも今後関係各省とよく連絡をとりましてそういうことのないようにいたしたいと思いますし、先ほど申しました買い占め、売り惜しみ等が起こらないように常時われわれも把握をし、指導をしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  104. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これはお話しのとおりでございますと、私どもといたしましてもまことに残念千万、全く私どもの気持ちを解せない業者のやり方、あるいはまた、これ農林省が十分監督しておらぬとすれば、これまた一そう自戒していただかなければならないことだと思います。しかし、農林省のお話を聞きますと、売却済みであっても総需要抑制のもとに需要が食いつかないとか、あるいはまた、一時供給不足といいますか、輸出規制なども心配された大豆につきましてもそういう心配がないような明るい状況になりましたので、あるいは買い急ぎということがなくなったという状況も農林省の説明からもうかがわれるところでありますけれども、いずれにしても大豆というような売り惜しみ、買い占め規制法の対象物資でございますし、またアメリカの天候の事情その他でこれらの供給につきまして非常に懸念がされている物資でございますから、こういう席上でなんでございますけれども、農林省でも、また大蔵省など保税地域を預かる役所でも、私どもどういう協力でもいたしますから、世間の誤解を来たさないようにやってもらわなければならないと私は考えます。
  105. 田代富士男

    田代富士男君 委員長から時間がきたから、という通知もありましたから最後に。  そこで、これは私はもっと煮詰めたかったんですが、時間は委員長のあれに従わなくちゃなりません。そこで、これは実際このように八万円の大豆が十三万円まで上がって、事実大阪ではそのようなパニック、業者の間でそういう状態になったことは事実です。これがとうふ屋、みそ、しょうゆ屋さんに起こった場合どうなるか。その点の心配ですから、そのためにこの通達も出ております。それと、いま言うように、三井物産のような大手のそういう大豆を重視して、中小の大豆は二カ月も二カ月半も船に積んだまま、こういうことはすみやかに解除してもらいたい、これを確約していただきたい、弱者の味方として。それと、このように買い占め、売り惜しみ等がないように再度確認を私はとりたいと思います。それで私の質問を終わりたいと思います。その点について答弁をお願いいたします。
  106. 山本茂一郎

    説明員山本茂一郎君) ただいまお述べになられました事柄につきましては、御趣旨の線を十分尊重いたしまして措置をとっていきたいと思っております。
  107. 竹田四郎

    竹田四郎君 食糧庁の総務部長は帰りましたか。
  108. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) ここにおります。
  109. 竹田四郎

    竹田四郎君 米価審議会を三日、四日にきめたというのは一体どういうわけですかね。実は物価委員会のほうが先にきょうの九月の四日というのはきめたんですよ。その日に合わせて米審を開いたというのは一体どういうわけですか。きょうだって大臣だって来ちゃいないし、食糧庁の長官だって来ちゃいないじゃないですか。物価委員会が野党のほうが数が多いというので逃げたというふうにも判断されるわけです。こういう状況でいま国民の関心が一番大きくて、きょうもこれだけ傍聴人が見えられて、そういうような物価委員会に、国民の代表の機関である国会の審議をおろそかにして、農林大臣の単なる諮問機関である米審のほうに主要な幹部は全部行っている、こういう状態で、どこでどういうふうにやったのですか。国会の軽視も私ははなはだしいと思う。
  110. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) 私ども米価審議会の日取りをきめますには、各関係大臣の日程、あるいは特に米価審議会の会長をはじめとする各委員の日程、これを承りまして調整してきめるわけでございます。それぞれ御都合のつく方もつかれない方もおられます。最大公約数を見てきめるということできめてまいっております。八月の十一日でございますか、当委員会が開かれるということがおきまりになったということでございますが、その時点におきまして直接食糧庁を呼び出す、あるいは農林省に出席をせいという御通知までは承っておらなかったものでございますので、その点は私どもあるいは配慮が足りなかったかもしれませんが、現在の九月の三、四日という日程できめさしていただいたわけでございます。なお、たいへんおくれておりますが、米価審議会のほうの質疑も一区切りつきましたので、ただいま長官、向こうを出ておりますので、間もなく参りますので、ひとつ御容赦願いたいと思います。
  111. 竹田四郎

    竹田四郎君 総務部長ね、この段階で物価委員会が開かれるということは、私は今度の物価委員会消費者米価が中心である、開く当時から言っていたわけです。あなたは米審の委員や各大臣動向、日程の都合ということを言っているんですけれども、こちらでもそれは同じなんですよ。それにもかかわらず、きょうのようなこういうやり方、私はきわめて遺憾だと思います。今後こういうことのないような反省を私は強く求めるわけですよ。これは長官、どうですか。国会軽視も私ははなはだしいと思うんですよ。国会というのは国権の最高機関のはずですよ。それを一農林大臣の諮問機関の米審のほうに日にちを優先し、幹部を優先する、そして国会の審議ができないなどというようなあり方、まさに今日国民不在の政治だと言っていいんじゃないですか。
  112. 三善信二

    説明員(三善信二君) おくれまして申しわけございません。実は米価審議会をただいま開いておりまして、大臣と私に対する質問が委員の中から集中いたしまして、どうしてもはずせませんでしたことをおわび申し上げます。以後できるだけやりくりをいたしまして、こういうことのないように注意をしたいと思いますので、その点、御了承いただきたいと思います。
  113. 竹田四郎

    竹田四郎君 その点は私、了承できないんですよ。これはきょう初めて起きたことじゃないんです。もうすでに前からこの問題は農林大臣が出なければ食糧庁長官こっちへ出せ、食糧庁長官、向こうへ行くなら農林大臣こっちへ出ろ、私は言っているんですよ。先ほど委員長も言っていたように、あなたは農林大臣の補助者にすぎないのだ、長官が行かなくたって次長が行けばそれで間に合うじゃないですか。この議論を幾らやっておったってしょうがないですから次へ移りますけれども、食管会計の赤字の明細というのを示してください
  114. 三善信二

    説明員(三善信二君) 食糧管理特別会計の損益でございますが、これは御承知のように勘定が幾つもございますので、国内米の管理勘定から最初申し上げます。
  115. 竹田四郎

    竹田四郎君 国内米だけでいいや。
  116. 三善信二

    説明員(三善信二君) はい。それでは国内米の管理勘定につきましては、当初予算をまず申し上げますと、売買損益が千九百十二億、それから管理経費が二千五百四十三億、計で四千四百五十五億、これは計上分と過剰米の処理に要した経費等を含めておるわけでございます。それで生産者米価を三二・二%引き上げていただきましたので、それによる国内米管理勘定の損失と申しますか、売買損益が三千四百十八億、経費が千六百十二億、締めて五千三十億円ということになります。  それから、先般、六月でございましたが、国内の麦の価格を二八・一%買い入れ価格を上げましたので、その損失が五十億、締めてトータルで損失が五千八十億。したがいまして、先ほど申し上げました四千四百五十五億にプラス五千三十億、国内米だけですから五千三十億ということになります。
  117. 竹田四郎

    竹田四郎君 この赤字の中身は、赤字の特に経費の内容というのはどういうふうになりますか、赤字の経費の内容。
  118. 三善信二

    説明員(三善信二君) 国内米管理勘定の経費につきまして、当初予算のところを申し上げますと、集荷経費等が八百八十二億、それから運賃二百三十九億、保管料二百三十一億、事務費四百九十九億、金利六百九十二億、締めて二千五百四十三億でございます。
  119. 竹田四郎

    竹田四郎君 この二千五百四十三億でありますけれども、これはたとえば事務費ですね、事務費などというのは、これはあれですか、食糧事務所の職員の給与等も入っているのですか。
  120. 三善信二

    説明員(三善信二君) ほとんど人件費でございまして、食糧庁の特別会計の職員、いわゆるいま先生申されました食糧事務所の職員等は全部入っております。
  121. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、人件費とか、あるいは金利、こうしたものは私は当然食管会計の分から抜いて、国が一般行政の経費から落としてしかるべきものじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
  122. 三善信二

    説明員(三善信二君) 人件費等につきましては、これは食管の米、麦を買い入れ、またこれを流通経路に回し、配給する、それの直接の関係の直接経費ということになるわけでございます。
  123. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはただ単に食糧の配給だけではないわけですよ。農政部門というようなものもその中には入っているわけですよ。そういうふうに考えてみると、これを消費者に負担をさせるというようなことは、これはやはり私は間違いだと思うのですよ。これは考え直してもらわなければ、末端逆ざやというのはますますふえるだけですよ。そうして国民の一番基本的な食糧に対る不安をますます増大させるものだと思う。  もう一つ伺いますけれども、四十九年産米の生産者米価の米審答申は、たしか二五・何%だろうと私は記憶しておりますけれども、政治加算やったでしょう、あとで。米価審議会の結論が出て、それから政治加算を盛んにやりましたね。これは幾らぐらいになるんですか。
  124. 三善信二

    説明員(三善信二君) 米価審議会に諮問をいたしましたのは二五・五%のアップでございまして、最終的に決定いたしましたのは基本米価で三二・二%で決定をいたしました。
  125. 竹田四郎

    竹田四郎君 政治加算しているでしょう。政治加算分はゼロですか。そういう政治加算分までこれまた消費者に回されたんじゃかなわぬと思うんだ。今度のこの消費者米価にしたって、できるのかできないのか知りませんけれども、現実には政治減算という文字が盛んに出てきているわけだ。三六%で諮問をして、そして最終的には二十何%ぐらいにしようということが、もうこれは新聞ではどの新聞だって出ているわけです。一つの新聞だけに出ているというなら一つの新聞の間違いということもあるんです。あらゆる新聞に出ているんだね。それなら米価審議会なんていうのは必要ないじゃないですか。政治加算したり政治減算したり、そのときの御都合でかってに数字を動かせるというならばそういう必要ないじゃないですか。どうですか。
  126. 三善信二

    説明員(三善信二君) 政治加算、政治加算と、こう申されますけれども、米価につきましては米価審議会で議論をいただきまして、それを踏まえて最終決定をするわけでございます。その際に、米価審議会の答申としまして次のような答申をいただいているわけであります。「昭和四十九年産米穀の政府買い入れ価格については、生産費、所得等を考慮して相当に引き上げるのを適当とする。」ということを米価審議会で答申をいただいているわけです。それに即しまして問題になりましたのがたとえば労賃の問題、そういう生産費所得補償方式でございますから、評価がえをして妥当な労賃部分は補償していくということになっているわけでございます。その労賃の見方が私ども諮問にしましたものよりやはり春闘の相場とか、そういうこともいろいろ頭に置いて労賃のアップというのは当然考えるべきであるという、いろいろ算定の要素について米審のあと決定まで議論をしていただいて、そして最終決定をしたわけでございますから、先生言われますような政治加算と通称言われておりますけれども、実態はそういうことではなくて、やはりそういう真剣な米審の答申を踏まえた議論を経たあとの決定でございます。そういうことを御理解願いたいと思います。
  127. 竹田四郎

    竹田四郎君 いや、政治加算でないと、あなたたちそういうことばを使わないだけだ。新聞も、国民も、政治加算やっておることは、これはだれだって、公然たる事実なんだ。そういう密室でやったようなことを、生産者、農民にある程度の生活できるだけの何らかの形で補償をするということは、それは私は反対じゃないですよ。それはそれの国の施策としてやればいい。しかし、そんなものを消費者のほうにおっかぶせてくるなんというのはもってのほかですよ。一種の、これは考えてみれば自民党の自分たちの勢力のためにそういうものをふやしているんですよ。そういうような形のもので末端逆ざやの赤字をなくす、そのために消費者価格を上げると、こういうようなことは私は賛成できないんですよ。だから当然その分は国の他の費用で補えばいいことであって、消費者にそのツケを回されたんじゃ消費者はかなわないと思う。これは考え直してもらわにゃいかぬと思うんですよ。これは政務次官どうですか。政務次官でも、経企庁長官でもいいですが、こういう形で、末端逆ざやを小さくしろ、小さくしろと言いながら、実際は広げているのじゃないですか。そういうものは食糧管理会計の中でなくて、ほかでやればいいじゃないですか。そういうものをごっちゃにして、そしてあとそれで国民に負担をさせる、私は一番悪いと思うのだ。どうですか、これなおす気はないですか。
  128. 三善信二

    説明員(三善信二君) 先ほども申し上げましたように、政治加算ということではございませんで、やはり米価をきめる場合には、米価審議会に諮問をいたしまして、その意見をよく聞いて、参考にしてきめるということでございますから、そういう意味でよく米価審議会の意見を忠実に、答申を受けて、そして最終的な算定をしたということでございます。
  129. 竹田四郎

    竹田四郎君 それはあなたがどんな言いわけをしょうが、現実には答申というのは具体的な数字で出てきたとは私記憶しておりませんよ。それはあとでかってにどんどんどんどんふやしちゃったんだ。これは私はどうしても変えてもらわなくちゃ、末端逆ざやの解消どころじゃない。これは大蔵省来ておりますか、主計局次長。——このぐらいの米の赤字ぐらいのものは財政負担できないことはないでしょう。当然私は財政負担すべきだと思う。おそらくことしの税収の伸びというものは三兆こえるでしょう。税金の取り過ぎですよ。一兆四千五百億円ばかり減税したって、国民の給与は上がっておるのですから当然、法人税のほうにもだいぶもうけているから、おそらく三兆円をこすでしょう。そのごく一部分で赤字を負担すれば、今日のこのインフレ狂乱がまた起こりそうだという国民の不安、こうしたものの一部は解消することはできるじゃないですか。幾らの金額でもない。あなたのほうは一兆幾ら、一兆幾らといって、口を開けば一兆、一兆と言っておる。実際には幾らの金額でもない。そして悪性インフレの一そうの進行というのを食いとめるべきじゃないですか。こんなことをしていったらまた来年は賃金は上がってしまう。賃金が上がれば何でもかんでもずっと上がっていってしまう。そういう悪循環を繰り返すだけですよ。ここで勇気を持って決断をしなければ、おそらく鎮静しかけた物価というものも再び私は狂乱の中へぶち込まれると思う。大蔵省どうですか。
  130. 田中敬

    説明員(田中敬君) 本年度の自然増収が相当あるだろうという最初の御質問でございますが、これにつきましてはまだ予測がつきませんが、お説のような数字に近い自然増収はあろうかと存じます。ただし、これをこのような消費者米価の逆ざやの負担に使用するかどうかということはまた別の問題でございまして、私どもは当然この物価の安定ということは考えていかなくてはなりませんけれども、一方にはやはりものの価格体系というものがあろうと存じまして、生産者米価と消費者米価との間の大幅な格差というものがいつまでも存在するという、そういう価格体系が国民経済にもたらすひずみの問題も考えなくてはなりませんし、あるいはまた先生のおっしゃいますように、この際財政資金をもってこれを負担いたしますということにいたしますと、本年度のみならず、来年度におきましても当然この財政負担が大幅におおいかぶさってまいりまして、来年の経済運営上私どもは当然相当緊縮した財政規模を予想せざるを得ませんが、その際に財政規模が膨張するということは、ひいては国債の増発にもつながる問題でございますし、このような財政運営のほうがあるいはインフレあるいは物価に及ぼす影響がもっと悪いかもしれない。その辺のかね合いにおきまして、やはり消費者の家計の許す範囲内における応分の分担というものは、この際価格という形におきまして消費者に分担していただいてその辺のかね合いをはかっていただこうということで諮問いたしましたのがこの三六%という数値でございまして、これを一切値上げをしませずに財政資金で負担するということは、財政資金の効率的な配分あるいは国民経済全体に及ぼす影響という観点から見ましてもいかがかと思いますので、三六%の諮問をさせていただいた……。
  131. 竹田四郎

    竹田四郎君 これによって財政硬直化が起こるとあなたは言う。しかし三兆の自然増の中でわずか五千億ですよ。一兆じゃないんですよ。あなた何勘違いしているか、たいへん大きなことを言っていらっしゃるが……。一兆だって三兆あんだからいいじゃないですか。あと、金の使い方をいままでのような考え方から発想の転換をして、国民生活を充実するという考え方なら大いにけっこうじゃないですか。余分なほうに、役に立たないほうにあなたたちは金を使っているからそういうことを言う。そういうふうに発想の転換を私はしていくべきだと思う。そうすれば来年の春闘だってそう賃上げしなくてもいいでしょう。生活保護費だってその分はカットできるわけでしょう。そして実際には税金が、お米を食べる、それに応じて税金が返っていくということになるわけでしょう。一種の社会保障政策的な意味も私はあると思う。だからいつまでもその食管会計という特別勘定のそろばんで、勘定だけで赤字になるから埋める、黒字になるからどうだというような考え方はもう改めなければいかぬと思うのですよ、大蔵省は。いつまでも同じワクの中でそろばんを入れているからそういうふうになる。これはひとつ今後予算委員会なり他の委員会なりでやりますけれども、そういう考え方にならなければ私は日本のインフレはとまらないと思う。  経済企画庁長官にお伺いしますけれども、総理府に何か物価何とか委員会というものをつくりましたね。それは御承知ですか、その結論は。物価問題調査会、八月二十九日に答申しております。その総合部会長は日本テレビ放送網の社長の小林与三次さんです。これが米価と関連して意見をまとめていますね、全会一致で。あなた知っていますか。
  132. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 総理府小坂徳三郎国務大臣のもとに私的の諮問機関として物価問題調査会というものができたことを承知をいたしております。これは各階層、各方面の物価に関する考え方を吸い上げて、そして総理府としての頭をつくるといいますか、態度をこしらえると、こういうためのものであることを承っておりますが、私自身は委員ではございません。先般会合されまして、消費者物価に関する委員の方々の御意見が、いま竹田さんが言われるような線で、消費者物価はこれを据え置くべきであるという意見が多かったと、こういうことを——これは答申とかなんとかいうたてまえの調査会ではないようでありますけれども、多かったということを私も承っております。
  133. 竹田四郎

    竹田四郎君 それはどういう内容でしたか。——物価担当の行政庁が、幾ら総理府が管轄だって、そのくらいのことは知っててもらわないと困るね。それで物価大臣と言えるんですか。私は口が悪いとあなたさっき言ったからさんざん口悪く言いますけどね。教えてあげましょうか。いいですか。こういうことをきめているのです。
  134. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) ここへ呼んだらどうですか、委員長、総務長官を。
  135. 竹田四郎

    竹田四郎君 いや、あなたが知ってるかどうか私は聞きたかった。総理府の関係は知ってますよ、きっと。だから私はあなたに聞いているんだ。  これがまとめたところによると、消費者米価値上げは、単に家計支出増を招くばかりでなく、物価全体に与える影響が甚大だと、国民のインフレマインドを助長する、賃上げのバネとなり、企業立場としてもそれは困る、米価の値上げは心理的効果が大きいので、一切見送るべきである、こういう結論を出してますよ。これは消費者代表、企業の代表、学者の代表、ジャーナリストの代表、十五人で構成してる、相当権威あるものです。こういう人たちがこうした四つの結論を出している。こう考えてみますと、一体これについてあなたは、いま私の申し上げた物価問題調査会の総合部会の全会一致の結論をどういうふうに思いますか。
  136. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 米価については私自身にもいろいろ考えのありますこと、また、諮問案として三六%にきめました経緯やまたそれについての私の考え方のようなものを午前中申し上げたとおりでございまして、私は物価最高、最大の政治課題であるという立場を捨てるものではありませんので、財政の問題とか農政の問題はこれにからまる問題ではありましょうけれども、これはやはり消費者米価は安いところでとどめたいというきわめて熱心な考え方を現在も持っておりますし、これまでも持ってまいってきたわけであります。でございますから、けさほどのあなたの御質問にも答えまして、私は逃げ隠れもせずに昨日も米価審議会に出まして、そして消費者代表の御質問にも答え、私の意のあるところを述べたわけであります。その際総務長官も私と一緒に出席を求められておられたようでございますが、たいへんけっこうな調査会でまたりっぱな考え方も述べられたわけでございますので、おそらく総務長官からその結論を米価審議会にも反映を昨日かあるいは本日の段階でされたものと思いますので、それをひとつ、食糧庁長官が米価審議会にずっといらっしゃったわけですから、総務長官の意見をあなたからひとつ竹田委員のほうにお述べをいただければ私も幸いだと思います。
  137. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がないからね……。おそらくそういうことを言ってないだろうと私は思う。それでなければ食糧庁長官もう少し青い顔になってここへ来てるはずだ。  食糧庁長官に聞きますがね、都市におけるお米の小売り店、八月末現在でどのくらいお米を持ってますか。
  138. 三善信二

    説明員(三善信二君) 大都市、特に消費都市で大体二・四、五カ月分ぐらいの……
  139. 竹田四郎

    竹田四郎君 うそおっしゃい。そんなに積む所ありゃしない。——質問を正確に聞いてくださいよ。小売り店におけるところの米はどのくらいあるかと言ってる。
  140. 三善信二

    説明員(三善信二君) 失礼しました。いま申し上げてるのは政府のストックを持ってるということでございまして、販売業者は大体、普通の場合で末端の小売り店は三日分ぐらいが普通でございますが、現在多少それは、仮需要等の問題もございますし、ふやしているということでございます。
  141. 竹田四郎

    竹田四郎君 もし三六%値上げが実行されたとして、仮需要は一体どのくらい出ますか。
  142. 三善信二

    説明員(三善信二君) これは従来の例でございますけれども、かつて過去に一六%と値上げした場合に、仮需要が大体一五%ないしせいぜい二〇%ということでございます。これは過去の事例でございますが、今回三六%値上げした場合にどのくらい出るかと申しましても、まあちょっとわかりませんけれど、かなり出ましても、私どもとしてはそれに対処する準備をしているということでございます。
  143. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうことがわからないで米をどういうふうに集積するんですか。あんたの下の末端の食糧事務所へ行けば、まあ三〇%で仮需要は大体六〇%、こう言っております。それはそうでしょう。いま公務員の賃金だって一〇%しか上がってないんですからね。人事院勧告は三二・何%上げて、すでに答申をして国会と内閣に報告してあるにもかかわらず、公務員の賃金は一〇%しか上がってないんです。そうすりゃ、いままで十キロの袋を買っていたと、この際もう一袋ぐらい買いたいという気持ちはありますよ。五百八十円でしょう、今度は、上がる分は。そうすればたばこ六箱ぐらい買えるわけですよね。そうなれば、当然ここでいままで一袋買っていた人は二袋買う。二袋買っていた人は三袋なり、四袋なり買う。こうなってくるとおそらく私は仮需要は倍、一〇〇%ぐらい出るだろうと思う。  それからもう一つは、米の末端小売り業者は、もし十月一日から上がるとすれば、十月一日以降に売ったほうがそれだけもうかりますわね。小麦粉のときもそうだったですわね。私は昭和産業を調べたけれども、事前に買って、そして昭和産業の倉庫の中に相当量は隠していた。そういうようなことは私は小売り業者の間でも当然あると思う。そのほうの売り惜しみのものがこれに加わってきます。そうなってみれば、一体食糧庁は都市における米の集積を具体的にどのようにしますか。たとえば神奈川県に、あるいは東京都に、あるいは千葉県に、あるいは愛知県に、大阪市に、具体的に米の集積をどれだけしますか。いまその進行状況はどうですか。何日分までいっていますか。そしてそれはどこへ集積されてありますか。詳しい資料を出してください
  144. 三善信二

    説明員(三善信二君) 今度仮需要がどの程度出るかということは、私ども卸、小売りあるいはその食糧事務所を通じて、まあいろんな意見がございますけど、そういうのを総合いたしましても、どんなに出ても一カ月分ぐらいではないかということを言っておりますし、一カ月分のストックを持てば、これは対処できるというふうに考えております。ただ、そうは申しましても、これは的確に予測できないわけでございますから、食糧庁としましてはできるだけ、先ほど申し上げました東京、神奈川、愛知、大阪と、そういう大消費地につきましては、二カ月分以上の在庫を現在すでに準備いたしておるわけでございます。
  145. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは詳しくあとで資料ください
  146. 三善信二

    説明員(三善信二君) はい。そういう準備を現在もういたしております。
  147. 竹田四郎

    竹田四郎君 県にはね、なるほどそういうように集積してもね、皆さん卸屋へ買いに行くわけじゃないでしょう、お米はね。小売り店に買いに行くのですよ。小売り店でなくなったらどうしますか。おそらくね、郊外の団地などはね、お米屋さんといってもお米屋さんの面積というのはごくわずかですよ。いままで比較的スムーズに卸から小売りへ米が運ばれていたからそう集積をしなくてもよかったわけですよ。しかし、ここで仮需要が出る。売り惜しみが出る。ある程度小売り店の店先に相当の米俵を、米の袋を積み上げなくちゃならぬ。積み上げるスペースがありますか、いま。団地のほうのスーパー、ないわけですよ。卸からここへどういうふうな輸送状況——これはいっそのスーパーなり、そのお米の小売り店で米がなくなってしまうかわかりませんよ。仮需要の発生いかんによっては、この前のトイレットペーパーと同じようなことになりますよ。どこかで一つ爆発したらこれはたいへんなものですよ。まああなたのほうの人に聞けば、どこへ並べるか知らぬけれども、シートを持っていってその上に米を山のように積むからだいじょうぶだと言うのです。積めるトラックとその米をかつぐ人の手配はと聞けば何にもない。そういう手配まで今度の消費者米価値上げについては手配をしなければ私は仮需要がぽんと出ると思う。一カ所で爆発したらそれはもう終わりだと思う。そうすると政府は米が、夏米をためると味が落ちますから買わないようにという通達をあなたのほうは出していますわね。それで市町村、府県の広報紙にそれを書いてくれという、こういうような通達も出していますわな。米はありますよ。この前と同じじゃないですか。この前たって塩はある、塩はある——これは専売だから価格だってきめられている。それだって店頭にはもう塩はなくなったじゃないですか。やみで売った、ごくわずかな数ですけれども、売ったところは大蔵省から処罰をされたじゃないですか。塩だってそうですよ。今度は米が、将来のインフレの中で米が上がるという、インフレになるかもしれぬ、景気はあんまりどうもよくなりそうもない、こういうことになりゃ米をみんなが少しずつ余分に買うということは私は十分あり得ることだと思う。それに対する対応は何一つできちゃいないじゃないですか。もしできていたというならば、神奈川県の横浜市で具体的にどういう配車をして、どういうふうにすでに輸送計画も立って、どういうふうな契約を結んでいるか、そこまで見せてくれなけりゃ私は米騒動が起きると思う。そういうものはないでしょう。あったら見せてください
  148. 三善信二

    説明員(三善信二君) 実は先生御承知のように、昨年の暮れからあるいはやれトイレットペーパー、やれ小麦粉と、そういう物不足の感じからくる仮需要というようなことではないと思います、今回の仮需要とした場合。物自体はこれは食糧庁が在庫として百万トンも持っております。十月になれば二百万トンから二百五十万トンの新米が出回るわけでございますから、そういう物不足的な危機感というものはないはずでございます。そういう点はひとつ御理解をお願いいたしたい。
  149. 竹田四郎

    竹田四郎君 ないはずだって、なくなればどうしますか。
  150. 三善信二

    説明員(三善信二君) それからもう一つは小売り店、なるほど先生おっしゃいますように、ある団地とかある団地の近所の小売り店、そういうところで、その小売り店の持っている在庫というのはわりあい少ないわけでございます。できるだけ今回は小売り店にも在庫を持たせるという方針でやっておりますし、それからその小売り店がもし在庫がなくなったらすぐ卸から手配すると、小売り店は卸とつながっておりますから、その特定の卸じゃなくて、つながっていない卸からでもすぐ融通し合ってその小売り店に供給をするというようなことも食糧事務所を通じて計画をいたしております。それからまた政府は精米の試験用として、たとえば大阪等には二千トンの米は不精米を持っているわけでございます。そういうのも臨機応変にそういう場合に供給するというような手段をいろいろ講じているわけでございますから、その点は私ども食糧事務所を中心に本省と業界と一体となってそういうところに対処したいと思っております。
  151. 竹田四郎

    竹田四郎君 あのね、口で言ったり、こういう通牒出して、そういうことはだれだってできるんですよ。それじゃ神奈川県で末端の小売り屋までの米の配送計画は具体的にありますか。あなたのほうの読みますと、隣の手持ちの小売り屋から融通してもらえと書いてある。そういうふうに指導しなさいと書いてある。もうかる米を持っている小売り屋が人のほうにそんなふうに渡しますか。あなたのほうは小売り店に何か誓約書を、小売り店との間で誓約書をとったと、こう言っている。そして、値上げ期日後に過大なもうけをしたものはその差益を徴収するというような誓約書をとっているそうです。それじゃ、どれだけその小売り店がそれでもうけたかということ、どうして調べますか、帳簿だけでしか調べられないじゃないですか。現物でどうして調べますか。現物で調べられるだけのおたくのほうの職員ないじゃないですか。三日も四日も前に調べたってそんなものはだめですよ。九月三十日なら九月三十日現在で調べなけりゃ——物価動くわけだ。あるいは、この前あれほどいろいろ商品をさがしたにもかかわらず、自営倉庫の中に入っちゃっていて全然何もかもわからぬ。そこまではなかなか調べ切れないでしょう。何ら対策がとってなくて米はありますよ、この前の不足の状態とは違いますよ、こう言う。洗剤やトイレットペーパーの騒ぎでは私はないと思う。どっかでひとつぱんと起きたらどうしますか。私はたいへんなことだと思う。しかも、けさほど私は長官に述べたように、みんなが頭の中はいらいらしているんですよ。米が少し上がるのでさえとめようとして奥さま方こんなにたくさん見えている。そして、先ほど申しました総理府のそうしたおえら方も、消費者米価上げちゃいかぬと言っている。そういう中でなぜ上げなくちゃならぬのですか。食管法の第四条の二項にも書いてありますよね。赤字がなくならないような価格でなけりゃ売っちゃいかぬということは書いてない。物価や家計に対してしわ寄せにならないようにしろと、こういうふうに書いてあるにもかかわらず、いまの時期に何で三六%、こんな大幅に、しかも米騒動が起こりかねないような、そういう社会的な情勢の中でなぜ上げなけりゃならぬのですか。食管会計赤字の問題をなぜそれだけ重要視しなくちゃならないのか、私はわかりません。どうですか。
  152. 三善信二

    説明員(三善信二君) まず最初に先生言われました小売り同士の融通ということは、これは小売り店自体がそうたくさんは持てないんですから、それにプラスして卸からすぐ小売りに融通し合うとか、小売りに持っていく、こういうことも考えて対策を講じているということでございますから……。  それからもう一点は、食管法の四条で家計の安定を旨として定めるというところ、どういうふうに考慮したか、こういうお話でございますが、食管の制度の上において私どもは、やはり基本的にはこれはお米といいましても物の価格でございまして、物の値段でございまして、コストを無視してかってにきめるということは非常にこれは不自然な価格体系のあり方だと、こういうふうに考えております。で、これも先生御承知のように、二十年代はコスト逆ざやまで解消しておったときもございます。三十年代は、売買逆ざやを解消しておったときもございます。最近特に末端逆ざやというのがふえたということでございますが、末端逆ざやがふえますと食管の制度の運営上いろんな問題を、支障を生じてくるということも御承知のとおりでございます。たとえば、これは国会でもかなり御指摘を受けました昨年の秋田県に起きましたこういう米の逆流事件と申しますか、そういう問題もございます。それから私どももやはり品質に応じてうまい米はできるだけこれは普及したいという自主流通米の推進、そういうのも阻害されるということもございますし、そういうことで、食管制度自体のあり方としてこの逆ざやというのはできるだけ早く、特に少なくとも末端逆ざやについてはできるだけ早く解消をいたしたいという考え方でおりますが、ただ物価、家計の上の影響についてもこれは当然配慮をいたしているわけでございます。今回の三六%の値上げにつきましても、たとえば家計費の中でどの程度この値上げ影響するかということも先生御承知のとおりでございます。で、現在家計費支出の中で米に対する支出の割合というのは勤労者世帯で二・八%、全世帯で三・一%、非常に少ない、三千数百円で非常に少ない。そこで今回三六%売り渡し価格を上げましても家計の米の支出に対する増加の割合は〇・八%ぐらいに考えておりますし、そういうことで、そういう問題も、家計に対する影響等も十分私どもは考えてこの三六%という諮問を現在米審にしているというような実態でございます。
  153. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなた方の感覚というのはそろばんはじいているだけなんだよ。米が上がったということ、このことの心理的な影響というのはたいへんなものですよ。それじゃ長官ね、あなたもしこの米が上がったら外食のライス代は一体幾らに押えられますか。私はおそらくライス代——いま七十円から八十円しているところがありますけれども、百円以下に確実に押えられますか。ライス代がそのように分かれているところはまだいい。ライスとほかのおかずと分けられないところを米の上がった分だけ押えられることできますか、あなた。おそらくこれからの外食なんというのはものすごく高くなってくる。三十円から五十円ぐらいおそらく高くなるでしょう。そういうことできますか、あなた。できないでしょう。それからあなたは先ほど卸から小売り屋へ米がすうすうすうすうパイプでもできていて、ほしいと言ったらいつでもざあっと流れるようなことを言いますがね、それだけの輸送体制できていますか。その返事はあなた何にも私にしてくれないじゃないですか。国会ですからね、ちゃんとわれわれがそれを納得して、なるほどそれじゃ米の不足状態というのはどこでも起きない、そういうようなプランを出しなさいよ。ただここからこっちへ持っていくって口で言うだけじゃこんなものはいかないわけだ、あなたがかついで行くわけでもないんだから。その辺のプランを示したならば私どもも了解します。そういうものはないでしょう。それから米穀通帳はどうしたんですか、米穀通帳は。あるのですか、ないのですか、米穀通帳。米穀通帳は何のためにいまつくっているんですか。制度があるんですか。印刷屋をもうけさしているんですか。どうしているんですか、米穀通帳。
  154. 三善信二

    説明員(三善信二君) 一つは外食の問題でございますけれども、先生おっしゃるように、私どもが直接これが上がらぬようにということを押えることはこれはできません。ただ従来米の値段を上げた場合に、過去においてどういうふうな影響があったかということも私ども調べておりますけれども、この外食の上がりというのは米の価格の上がりということよりむしろ労賃とか、そういう人手不足とか、そういうようなことで——たとえば四十四、五、六年と米価は据え置いているわけです。そういうときでも外食というのはやはり一貫して上がっているというような状態がございますし、米の値段を上げたからこれがすぐ直接影響するというのは別の角度からの影響のほうが大きいんじゃないかというふうに考えております。  それから輸送の問題につきましては、先生いま食糧事務所で具体的に措置をさしておりますので、ここではどこの小売り店に対してどういう輸送、配送をしているかということはいま申し上げられませんけれども、これは事務所でそういうことは手配をいたしております。  米の通帳につきましては、これは市町村を通じて交付することにしておりますが、現在はこの通帳はたとえば船員の場合とか、あるいは小売り、それから卸の関係の場合とかいうことで、一般の私ども住民の方々はほとんど使っておられないというのが現状でございます。
  155. 竹田四郎

    竹田四郎君 もう私の時間過ぎたようでありますから、この辺で終わりますがね、長官考え方というのはね、どうしてあんた米だけでものを考えてんですか。物価全体でものを考えるという癖ないんですね、あなたは。米が上がればね、それに対する便乗値上げというのがずうっとついてくるものなんですよ。ガスが上がり、電気が上がり、また国鉄運賃が上がるということになりゃ、人件費が上がるということになるじゃないですか。人件費が上がるから外食のめし代も上がる、そうなってくればやがてそれはまた春闘に連なってくるわけです。そういうインフレへの、昔、若干前に言われました便乗値上げ、そういうものがついて回るにきまってるじゃないですか。国民の一番基本的な食糧である米を上げると言ったら、これはものを上げてもいいですよというお墨つきが出たと同じですよ。そうした問題を考えずにいたずらに食管会計が赤字だからその食管会計の赤字を少なくするために三六%も上げるんだと。私もそれは食管会計の赤字があるよりはないほうがいいというのはわかりますよ。わかりますけれども、何でいまこの物価情勢が安定していないときに、そういう大幅なものをあえて提起をするのか、私はきわめて遺憾だと思う。そういう意味で、どうしてもここで米価を上げるということになれば、そういうような社会不安が必ず起きてくる。あなたの首が飛ぶかもしれない、農林大臣の首が飛ぶかもしれない、そのぐらいの事態にまで下のほうでは米価の値上げということについては心配している。そうしたことをひとつ真剣に考えてもらいたいと思うんだけれども、これは山本政務次官どうですか、私の議論は暴論ですか。
  156. 山本茂一郎

    説明員山本茂一郎君) お考えの点は十分に理解をいたしましたが、正直のところ、それがそのとおりに動くのかどうかという実際の問題については、私いま所見を述べるだけの知識を持っておりません。
  157. 竹田四郎

    竹田四郎君 起きたらたいへんですよ、政務次官。起きないであたりまえなんですよ、あらゆる手を尽くして。起きたらそれこそ私はたいへんだと思うんですよ。だから私は心配してるんですよ。これは企画庁長官どうですか、あなたはそういう心配絶対ないと言えますか。あったらその責任はどう負いますか。もし米が小売り店で足りなくて、わあっと人が押しかける、一種の暴動のようになったとき、あなたは責任感じますか、感じませんか。
  158. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) いろいろ午前中から述べてまいりましたが、竹田さんのお話や御心配は私の立場としてよくわかるところでございます。でございますから、末端逆ざやを全部解消しようという考え方、つまり、消費者米価を六一・七%上げるとか、あるいはまたその三分の二ぐらいを消費者のほうに背負ってもらうというような考え方のもとにこれを四七、八%上げるとかいう考え方は、私は全く賛成できないというところでいろいろ苦労をいたしまして、米価審議会の御討議の基礎として、今度引き上げたもののうちの二分の一を消費者に負担をしていただくという考え方のもとに諮問を農林大臣からされることになったわけでございます。この処置につきましては、これもけさほどから述べておりますように、米価審議会における討論の状況やまた御答申を十分踏まえまして対処をいたしてまいりたいと考えます。
  159. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは新聞の中でもそういう米不安の心配というのは社説等でやっております。私もその点は前から非常に心配しております。私はそういう意味で社会不安の起こらぬことを望むし、起こしてはならない、そういうように思います。しかしそれほど心配がある。あなただって心配していると思う。全然心配してないとは思わない。そういう危険な道をどうしてこの際通らなくちゃならないのか。財政的な問題が全然だめだという、どうにもその金がひねり出せないという状態じゃないわけです。ことしでなくて、もう少し物価が安定した時期だっておそ過ぎやしないと思うんです。どうしていまこういう時期の中にあえてそういう危険な道をたどらなくちゃならないか。私は理解できないし、そうしたことが起こり得るという警告を与えて私質問を終わりたいと思います。
  160. 山中郁子

    ○山中郁子君 初めに経企庁長官にお尋ねをいたします。  けさほどからの審議の中で、そしてあるいはいままでの経企庁の発言の中で、今回の消費者米価の問題に関して、政府売り渡し価格を三六%引き上げるということが、いま全国的にたいへんなインフレ状態のもと、物価高の中で国民が非常に苦しんでいるという事態のもとで重要な問題であるということは、もうすべての人々が一貫して、そして全面的に訴えてきている、このことは否定なさらないというふうに思います。  そして、私はまず初めに、いまのこの時期に政府売り渡し価格を三六%引き上げるということは、まさに、最近の事例をとってみても私鉄運賃あるいはガス、電気、そして後ほどこまかく触れますけれども、灯油、また十月一日からの国鉄運賃の引き上げ、そういう事態のもとで一そう物価上昇に拍車をかけるということが一つと、それから消費者米価引き上げそれ自体が家計に大きな影響を与えるということ、この二つの点からいってたくさんの方々が反対をしている。いまここにも、ごらんになっていただくとわかりますようにこんなにたくさんのものがきていますけれども、これは京都の消団連の方たちがお持ちになりました。そしてこのほかにも私ども共産党に対しても、ぜひともとにかくこの消費者米価引き上げはやめてくれということで強い要請がきております。  私はまず初めに、この三六%の引き上げはするべきではない、今回政府売り渡し価格は据え置くべきである、こういうことを初めにまず主張いたしますとともに、この問題が、けさから経企庁長官が言われておりましたようにほんとうに物価を最重点の問題として認識をしているならば、そしてまた、この諮問前の段階では米価は物価の顔であるということも言われましたし、そして経企庁としては二〇%以下に押えたいということも言われておりますけれども、そういういままでの経過に照らして、この消費者米価引き上げ政府売り渡し価格引き上げ物価を大きく上昇させる契機になっていくということと、家計を圧迫していく、家計を苦しくしていく、この二つの影響についてまずどういうふうに考えておられるか、とりあえず最初にお伺いをいたしたいというふうに思います。
  161. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 山中さんのお考え私もよくわかりますし、またあなたと同じような考え方を持たれるたくさんの消費者の方々がおられることも十分に承知をいたしております。先日私が米価審議会に出まして、いろいろお尋ねを私に対してなさった方々もこれは消費者側を代表せられる方々でございますし、何しろ私は、それはまあけさの新聞にございましたように、物価ばかりということではございませんけれども物価が最重要課題であるということはけさほどから述べてまいりましたように十分その立場をとるものでございますので、そうした消費者の御意見や立場は十分私も了解をいたしております。  たた、米は食糧庁長官から述べられましたように、また米価審議会の委員の方々、たくさんの方々にも、これは八月二十二日の食管問題全般を討議されたときにもいろんな討議があったようでございますけれども、なかなか物価を最重点課題として、あとの農政の問題とかあるいはまた財政や逆ざやの問題とかいうものを全部無視してしまって、物価だけでいき得るという状態にないというところに私としても非常に苦しみも苦労も実はございます。でございますので、だんだん申し述べてまいりましたように、同じことばかり申すようでありますけれども、これは末端逆ざや、消費者全面負担という六一・七%にも反対、またその三分の二を消費者に負担をしていただくような四七%余りの引き上げにも反対ということで、それで昨年は生産者米価に伴う消費者米価引き上げ所要額の三分の二を消費者に持っていただくということで米価審議会にも諮問をされたわけでありますけれども、いまのような物価がきわめて大切になってきておる時期でありますこと、また私自身の哲学もございまして、去年と同じ方式でもいけないということで二分の一というところで、とにもかくにも米価審議会におはかりをする基準といたしたと、こういうことでございます。
  162. 山中郁子

    ○山中郁子君 けさほどのお話でも盛んに長官は三六%、つまり末端逆ざやの半分までということで、農林省あるいは大蔵省に抵抗をして努力をしたというふうに盛んに誇示をされておりますけれども、昨年の米価問題の際にもすでにもう末端逆ざやの半分くらいはということは出ているんですね。そして、何も経企庁長官がその末端逆ざやの半分だということを、新しいところを切り開いたのではなくて、考え方としてもうすでにそういうことは言われてきていることなんです。つまり私が申し上げたいことは、盛んにそういうことで物価を担当する閣僚として、責任者として消費者米価政府売り渡し価格についても押えるべく努力をしてきたと、こういうふうにおっしゃるけれども、それは何の努力をしてきたのか、ちっとも努力してないではないか。問題はもうすでに末端逆ざやの半分ということはいろんな点で話をされているし、昨年の段階でも話が出ているわけです。それをことさらに今回末端逆ざやの半分というところで押えたから経企庁としての努力を認めてくれと言ったってだれも国民はそんなことは認められない。これはほんとうに形式的な国民に対する言いのがれに過ぎない。そして私はそうした無責任な態度は、やはり国民の方たちが、私たちが政府の、そして物価担当の経企庁の長官としてのそういう姿勢を新聞その他で反映されるようなものとして受けとめざるを得ないという、そういう事態があるというふうに思います。その点についてはどうお考えになりますか。
  163. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) いろいろおっしゃいますけれども、私は昨年の十一月に消費者米価についての引き上げの諮問が米価審議会になされた後において就任をいたしたものでありますけれども、私が承知をいたしておりますところによりますと、昨年の米価審議会には現実に三分の二を消費者負担ということであの諮問をされたわけでありまして、したがって、そのときに半分だという諮問はなされておりませんでした。それで私はそれを半分ということで非常に苦労をいたしましたし、それはここに食糧庁長官もおりまして、しばしば私と同席もされましたので、私が最後最後まで返事をしなかったというようなこと、それからまた私が非常にあなたとは違いますけれども、しかしまた物価を担当する大臣として非常に激しい態度を持ってこの問題に取り組んできたことも食糧庁長官はよく御承知のところだと思います。なおまた、それは消費者米価引き上げないほうがいいにきまっております。去年実は一〇・三%というものを、米価審議会の答申がありましたのち一ぺんきまったものをさらにことしまで引き延ばしたのも、これは私どもが、これはうそではない、私が一つの作文をしまして、これでどうだといってめくらヘビにおじずみたいなかっこうで私は持ち回ってそういうこともいたしたわけでありますけれども、したがって、ことしの段階でも米価一つも上げない、去年の一〇・三%だけにとどめるとか、あるいはそれも引き上げをしない、いまの七千七百七十円のベースのままだと、こういうことを言ったとすれば拍手をする人はたくさんあるかもしれませんが、その結末はどうなるかというと、これもまた政治責任を果たすものではないと思います。それは食管制度というものは全く崩壊に瀕してしまうでしょうし、その差額はだれが負担するかというと、とどのつまり納税者が負担するわけでありますので、物価の問題さえ論ずればあとは納税問題も財政問題も経済動きも全部動かさなくていいという態度を私はとるものではありませんので、その点ははっきり申し上げておきます。
  164. 山中郁子

    ○山中郁子君 重ねて指摘をしておきたいと思います。経企庁長官は、物価問題は当面する最重要の課題であるということを繰り返し言われております。そしてなおかつ米価は物価の顔であるということを言われました。ですからほかの問題はあれがある、これがあるということと並列的にその中に解消するという種類の問題ではないということなんです。そのことを私は重ねて指摘をいたしますけれども、いずれにいたしましても、この米価の引き上げが他の物価に対する影響、そしてまた米価の引き上げ自体が消費者の生活に対する影響、そういうものをどのように考えておるか、一番最初の質問に端的に答えていただきたいと思います。
  165. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) それはけさほど来たびたび申し述べてまいりました。消費者米価というものは生産者米価を引き上げましたから、それに関連してそれは起こってくるものでありますこともこれは当然でございますが、全国民の中には米をつくったり供給する人々もたくさんあるわけでありまして、それらの人々はやはり生産者米価を上げることをあのような米価審議会等を通じましてもたいへんな御要望があったわけでございますので、そうした立場人々から考えましたときに、自分たちは生産者米価は引き上げてしまったんだから、あとの消費者米価引き上げないほうがよろしい、その財政は全部国で持てという考え方には必ずしも立っておらないような、そういう事態もありますこともそれは山中さんもお考えをいただきたいと思います。  しかしこうして、お尋ねの消費者米価が今回引き上げられますと、それは当然家計費支出の一部をなすものでありますから、その引き上げに応じました消費者物価というものは、その次には、これはまあたとえば一〇%消費者米価引き上げますと、それが消費者物価全体には〇・三二%のこれは直接的な影響を持つというあの経済企画庁数字がございます。したがって、三六%そのまま引き上げられるということになりますと、消費者物価全体に対しまして一・一%ないし一・二%ぐらいの上昇を来たすと思います。そればかりではありません。これもけさほど述べましたが、十月には国鉄料金の引き上げも予定されておりまするし、また都市交通の料金引き上げもございますので、公共料金だけでも二%近い消費者物価への引き上げ要因になろうと思います。その上に一般物価上昇が、これは一%にはならないと思いますが、〇・何%かございましても、十月の消費者物価に対する影響というものは二%をこすのではないかということを私は憂慮をいたしておるものでございます。それはまあ十月だけの問題でございますが、ことしの四月から九月までの状況は、けさほど申し述べましたとおり、また十一月以降同じ状況が続くわけのものでもございませんので、それらを通じてみますと、今年度の消費者物価上昇率というものは、昨年のあの石油ショック、石油危機がございました時期をはさむ四十八年度の消費者物価上昇よりも、全体としてはかなり低いものでおさまるだろうと思います。それらの背景につきましては申し上げると長くなりますし、また、けさほどの論講と同じでございますので省略をさしていただきます。
  166. 山中郁子

    ○山中郁子君 けさの物価局長ないしただいまの経企庁長官のお話の中でも、消費者米価が上がることによって物価指数が上がる、これはたいへん憂慮すべきことであると、そして、ちょっと鎮静をしているという判断を片方でしながら、ちょっと手綱をゆるめればどういうことになるかわからないと、こういうたいへんな状況にきていると、こういうふうなことが繰り返し言われておるわけです。  それで私は、決して鎮静なんていうものじゃないということは一言申し上げておきたいと思いますけれども、いま質問の趣旨がそこに入りますと時間の関係がありますので、まずそれでは、そういう事態にあるにもかかわらず年率の指数消費者物価指数の引き上がり方はそれほどのものとは考えないと、またその反面そういうことを言われているという、この問題の成り行きに対して非常にあいまいな答弁をなすっているということがあるんですけれども、まず、何を根拠にしてそれほど上がらないというふうに考えているのかどうかということが重要な問題だというふうに思うんです。たとえば、昨年のあの物価狂乱の事態が起こりましたあのとき、政府は昨年度の予算で当初見込みで年間五・五%という見込みをしたんです。しかし、それが結果としてどうだったかということは、一六・一%なんですよね。もうこんなふうな状態でおたくの、政府の見込みなんというものはまるっきり当たらないわけです。はずれているわけですよね。  昨年は特別な状況だというふうにおっしゃるとしても、じゃ、ことしはどうかといいますと、ことしは四十九年度でもって当初見通し九・六%で出しておられるんですよね。だけれども先ほども、けさおたくのほうから説明がありましたように、それを見ていただいてもわかるように、そんなものではなくて、現実に七月には全国では二五・二%上がっている、八月を東京の区部実績で見ても二三・〇%上がっているということで、九・六%なんていうそういう数字じゃないわけです。ですからおたくのほうで、政府で言っている、経企庁で言っている見通しが、こういう過去の実績に照らしてほんとうに保証ができるか。つまり、ここで言えば机上の計算だというふうに私は思いますけれども、一・二%という数字を出していらっしゃいます。こういうことがほんとうに保証ができるというふうに断言なさるのかどうか、そこのところをお伺いしたいと思います。
  167. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これ、どうお答えいたしたらいいか、正直に非常にむずかしいわけでありますが、最近の経済要因というものは、物価の問題や、また物の需給関係とか、あるいはまた国際収支などのポジションの問題をも含めまして、正直に言いますと非常に先行きがわからない状態でございます。昨年の当初にだれがあのような、原油の価格が四倍になるような、ああいうアラブの石油戦略を想定していたかというと、それは、まあ当時私はその位置にはなかったわけでありますけれども、だれもが予想をいたしておりませんでしたので、あの従来のトレンドというようなものを引き延ばしたり、あるいはまた将来の予測し得る材料というものを使いまして、消費者物価なり卸売り物価のあの上昇率というものの見通しをつけておったと思います。しかしあの年末近く、十月、十一月ぐらいになりまして石油戦略の問題が表面に出ましたので、私は、それは物価の見通しは直しました。今回におきましても、あなたがおっしゃるように、前年度と今年度との年度年度としての物価上昇率は九・六%というような見通しを立ててまいりましたけれども、これもしかし、昨年の終わりごろの物価上昇が非常に急激でございましたので、これは専門用語になって恐縮でございますが、物価のげたというものが非常に大きくなってまいりましたので、九・六%ぐらいじゃおさまらないと私は当然考えなければならないと思いますので、そういうものは私は見通し得るしかるべき時期に修正をいたして、そして皆さん方にごらんをいただくのが正直の道だと思いますので、適当な時期にそれらは直さしていただきたいと思います。
  168. 山中郁子

    ○山中郁子君 昨年のあの石油パニックが起こった、こういう状態、当時の大蔵大臣狂乱物価だというふうに言われるような状態が起こっているわけですよね。起こった上でのことしでしょう。そのことしで、おたくのほうが九・六%というふうに見込みをした。しかし、いまのこの時点で経企庁長官は、まあそれで押える自信はないと、こうおっしゃるわけですね。そうしますと、先ほどからの米価の問題が今後どういうふうに反映していくのかということについて、そんなふうには、二〇%以上にはならないというふうにおっしゃる見込みというものがいかに信用できないものか、いかに私たち国民をばかにしている全く根拠のないことか、実績上も明らかになっているわけですよ。根拠のないことで、そうして国民をだましてね、言いくるめて、そうしてこういうことで消費者米価を上げる一つの根拠にしているというふうに言わざるを得ないということが明らかになっているというふうに思います。  それで私は、そのことについて強く、そうした経企庁長官経済企画庁としての姿勢ですね、この問題についての責任のある態度を——途中まで持ってきて、そうしてやっぱり物価も上がりそうだから今度見込みを変えます、そんなことだったらだれだってできるんですよ。そういうことをしないために経済企画庁というのがあって、そうして物価推移を見通して、そうしてそういうふうにならないように押えていくということが経済企画庁の仕事であって、それが政治というものだと思います。そのためにそれが具体化されるということは、今度の消費者米価の問題についても、とにかくそういう事態を起こさないように、現実にもう当初の見込みから大きく伸びちゃってきていると、こういうことがはっきりしているんだから、それを押えていくために、少なくともこの米価を上げないという措置をとって初めてそこに政治があって、物価を担当する経済企画庁としてのそういう態度があらわれてくるというふうに思います。そのことは私は明らかにしておきたいというふうに思います。  それと、先ほどの質問に対しても、食管に赤字があるからこれを解決しなければならぬということが当然のごとくに言われておりますけれども、私は、そもそもその食管法の第四条というのがね、問題としては国民に、消費者の生活を安定させる、ちゃんと明記をされている。そういう食管法の精神というものを全く政府が踏みにじって、だんだんそれを変えてきて、現実の問題として、とにかく食管会計の問題だけからとらえて、いずれにしてもその会計が赤字だからこれを国民に、消費者に負担をしてもらいたいと、このように変わってくるというか、そういう面が年ごとに強くなってきて、今回はもう大っぴらに、あたりまえのようにして、家計の安定なんということはどこかへ行っちゃって、そうしてとにかく逆ざやの解消だというふうなことで、もう財政面からだけで食管のこの政府売り渡し米価格の問題が審議をされているということはたいへん遺憾なことだというふうに思いますけれども、そもそも食管法の精神についてどのように考え、そして現実の今度の諮問に対して、それとの関係でどういう認識をされて諮問をつくられたか、このことをお伺いしたいと思います。
  169. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 最後のお答えをいたす前に、私が国民をだましたり言いくるめたりという考え方は全くございません。むしろ、私がこの際、生産者米価はあれだけ上がったけれども消費者米価はいままでどおり据え置きでいいんだと、それですべての国の財政も農政もやっていけるんだということは、それこそ国民をだます私は一時しのぎのことであると、政治家として私は考えるものでございますから、そのことは私の考え方を申し述べておきます。御批判は別でございます。  それから食管会計の四条二項を御引用になりましたが、これは先ほど食糧庁長官からも述べられましたように、私が聞いておりますところによりましても以前は、昭和三十年代、四十年代のころは、この食管会計の赤字というものは、末端逆ざやがあるところではなしに、コスト逆さや、売買逆ざやというようなものもなかった。それが次第に、コスト逆ざやどころじゃなしに売買逆ざやが生じたり、また最近、この両三年ですね、末端逆ざやさえも大きな額になってきているという状況でございまして、あなたがお述べになりましたように、食管会計の四条二項というものをだんだん初めの精神とは違ったように持ってきたということは、おっしゃることと事態とは逆であることが事実でございます。しかし、私はあなたのおっしゃることにもまた賛成でございまして、食管会計四条二項というものは、確かに生計費とか物価とか、その他の経済事情を考えて、そして消費者米価をきめるべきだということが書いてございますので、その精神は貫かるべきであるということで、それは私就任以来、今日三六%の諮問案に至るまで私は実は貫いてきております。ただ、食管法という制度、食糧管理法という制度、特に食管特別会計という制度は、それは生産者米価が幾ら高くなっても、ただ消費者米価が据え置かれて、その間赤字がどんなに広がってもいいんだということではなしに、特別会計ですから、歳出と歳入との両建てになっておりまして、その間のどのくらいの赤字まで許さるべきかということはあるにいたしましても、それは野方図に広がってもいいという制度ではないはずでございます。それをどこまで広げるかということは、そのときの時代意識やあるいは経済情勢物価状況等によってきめられるべきでございまして、そういう見地からいたしますならば、山中さんがおっしゃられたとおり、まさに今日は物価がたいへん重大なときでございますので、私はその末端赤字を縮めることばかりに専念することも、財政なりあるいは今後の農政上必要はあるにいたしましても、いまがその時期であるとばかりは私は実は考えないものでございまして、そういう見地から私は、まあこれ政府の中の立場はなかなかむずかしいわけでありますけれども、いろいろと努力をいたしてまいります。新聞などに二〇%台というようなことを経済企画庁の、これは私のことばということでなしに経済企画庁あるいは経済企画庁次官のことばとして出ておりましたのも、あるいは私のこれはそういう意図、陽動作戦といいますか、そういうものであるとも申し得るかとも思いますし……
  170. 山中郁子

    ○山中郁子君 おたくは大臣じゃないですか。
  171. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私は、まあいろいろ苦労をいたしておるわけでございますから、あなたに賛成する面もございます。
  172. 山中郁子

    ○山中郁子君 食糧庁長官にお尋ねをいたします。  一つは、いま私が申し上げました、お尋ねした件なんですけれども食糧庁長官としてはどういうふうに考えられるかということがあるんです。というのは、申し上げますけれども、食管法の第四条はこういうふうに書いてあるんですよ。これは消費者米価の問題です。「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ売渡ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と、こうなっているんですね。これは日本語を普通に読めば、主要な問題はどこかといえば、消費者の家計を安定せしむることを旨としてこれを定むということは明らかで、これは経企庁長官もいま賛成されたというふうに思いますけれども……
  173. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 食管会計のワク内でですね。
  174. 山中郁子

    ○山中郁子君 思いますけれども、そのことでいえば、今度の三六%の引き上げということは決して消費者の家計を安定せしめない、これはもうすでにはっきりしている。これは経企庁長官物価局長もそういうふうに言われているわけですから、その点についても含めてどう考えておられるかということと同時に、食管法の精神をどう考えていくか、私はここに食管法の精神があると思います、消費者米価ということに関していえば。ここに精神があると思いますけれども、それにもかかわらず、農林省が諮問を出すにあたって、ここ何年かをずうっとさかのぼってその諮問の内容を検討してみますと、途中でかなりはっきり変えているんですね。それは、一つは諮問の主文ですね、主文が明らかに変わっているんです。最初は、四十一年からずうっと何年かは、「最近における食糧管理の運営の実情にかんがみ、消費者米価を家計米価の範囲内で改定する必要があると考える。これについて米価審議会の意見を求める。」、こういうことでずうっときているんですね。それが、四十七年からでしたかしら、変わって、「家計の向上等にかんがみ、」というふうに言って、そして政府の売り渡し価格を「改定する必要がある」と、このように言い方を変えているんですね。パターンを変えているんですよ。私は、まずこういう歴史的に見て、食管法の精神をなしくずしにして、そして政府が諮問を行なってきているということについての、この変えた根拠、そのことについて、まずそのことも含めてお伺いしたいというふうに思います。  三つあります。基本的な問題ですね。食管法の精神、一番最初の問題で、それはどういうふうに考えるのかということと、それからさらに一つ——ごめんなさい、一つにまとめていいです。そして二点目の問題としては、いまのこの諮問の主文を途中でパターンを変えているということはどういう根拠によるのかということをお尋ねしたいと思います。
  175. 三善信二

    説明員(三善信二君) 食管法のたてまえが、いま先生が申されたように物価経済事情を参酌して家計の安定を旨とするということできまっているわけでございます。で、御承知のように、この逆ざやの関係につきましては、従来から米価審議会でもいろいろ御議論をいただいて、米価審議会でも少なくともこの末端逆ざやがあるというのはおかしい、それは早急に解決すべきであるという意見も出ているわけでございます。で、そういうことでございまして、末端逆ざやがあるということはどういう問題を食糧管理制度上持ち込むかということもひとつお考え願いたいと思います。一つは、先ほど竹田先生にもお答えいたしましたように、制度の運営自体これはきわめて不自然な価格体系になる。たとえば売りと買いをとってみますと、これだけの末端逆ざやがあるということは、せっかく政府がこうやって管理している米を、政府が一度売った米をまた買って、また政府に持ってくるというようなこともでき得るわけです。現実にそういう問題がありまして、いま刑事事件にもなっておりますけれども、そういう素地をますます広げるということになるわけです。そういうことになりますと、食管の制度上の運営として、これはきわめてむずかしいゆゆしき問題を起こしてくるということもございます。  それから、先生はこれは御反対かもしれませんけれども、やはり国民の方々の要望にこたえて、やはり品質に応じたおいしい米を供給してもらいたいという要望は一面非常に強いわけでございます。そういう意味では、自主流通米制度等もこれは四十四年から発足して、現在定着をしているわけでございます。この自主流通米制度自体が非常にむずかしい、伸び悩みになってくるということも、これは制度上の問題としてゆゆしき問題だ、そういうこととともに、これだけ逆ざやが出ますと全体の財政、食管繰り入れ額、いわゆる食管の赤字、一兆円を超すことになりましたけれども、そういう膨大な赤字をかかえるということは、制度自体もこれはおかしな一つの制度になっていきますし、また法律的なそういう予算の使い方としても一般的な財政の面、あるいは私どもは農政上の問題、そういう点にも非常に影響してくるところ大きいわけでございます。そういうことを考えまして、私どもが今度諮問をいたしております三六%の値上げ、ほんとうなら少なくとも六一・七%はできるだけ早く解消したいということを、先ほど企画庁長官もいろいろ御答弁されておられますように、物価の問題、景気の安定に資するための問題、そういうことも、企画庁とも私ども十分そういう問題につきましては御相談をして、この三六%という一つの諮問値をきめたわけでございます。そこで、どういうふうに具体的にそういうことをおまえたち考えているかというような御意見もあるかもしれませんが、先ほども申し上げましたように、家計費の中に占める米の支出の割合というのは、これは三十年台は一〇%以上をこえておりました。
  176. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは聞いてないからいいです。
  177. 三善信二

    説明員(三善信二君) 四十年になってから六・六%とか七%とかいうことになってきましたが、現在わずか二・八%、あるいは全世帯で申しましても三二%、非常に少なくなってきているわけです。しかも米の価格というのは、御承知のようにいろいろの問題で政治的にもあるいは据え置きになったり、上げ幅も非常に少なくなったり、そういうことで現在押えられて、ほかの物の値段と比べてきわめて低い値段になっているということも、これは現実の問題として御承知のとおりでございます。まあ片や物価指数に及ぼす影響、そういうことを企画庁とも私ども相談をして、この程度ならまあいけるであろうということも考えましたし、また米を上げればほかに心理的に影響するという問題も常に言われます。そういうこともいろいろ過去のデータに基づきまして私どもは考えて、この三六%という数値を出していま米価審議会で諮問をしていただいているわけでございます。  諮問のやり方が違っているんじゃないかということでございますが……。
  178. 山中郁子

    ○山中郁子君 主文の書き方……
  179. 三善信二

    説明員(三善信二君) 主文の書き方、これは別に基本的に違っているということではございませんので、家計の向上というのは、家計費の伸びというのは非常に伸びてきていると。で、それに対して米価、消費者価格というのは据え置かれたりそういうようなことで、もっと家計の伸びと消費者価格との関係というのは非常に伸びてきている家計費の観点において上げてもいいんじゃないか、そういう許容の範囲等につきまして、いろいろ検証をしたりなんかしているデータの一つとしてやっているわけでございます。基本的に何か違ってきたというようなことではございません。
  180. 山中郁子

    ○山中郁子君 前段の部分について食糧庁長官いろいろおっしゃるけれども、要は三六%上げても家計にはたいして影響を与えないと、このように認識しているから三六%という諮問を出したのだと、こういうことになります。一番最初に私が申し上げたこと、あるいはけさから経企庁長官物価局長その他が言われていることの中の一つの側面として、確実にこの米価の問題が大きな家計に影響を与えるということが、できることならばそれはなしにしたいと言われているわけですから、そういうこととあまりにも認識が違うと、実際に食糧庁長官の発言としてはあまりにも国民の声を無視しているものだし、実態を無視しているものだというふうに言わざるを得ないというふうに思います。  ところで、諮問の中身は何ら変わっていないと、こういうふうにおっしゃいました。具体的な諮問の根拠になっている、たくさん問題点を私は指摘したいんですけれども、時間の制限がありますので、一つだけ明らかにしたいというふうに思います。四十二年、四十一年からずっと数年間ですね、いわゆる基準期間と比較期間ですね。そのことについては一年ずつをとっているわけですよね。前回の改定前の一年と、それから今回改定する直近の一年と、とって比較をしてきているわけです。それを今回の答申の内容を見てもわかりますように、ことしはここに五年前に始まる一年間の平均に対する直近時の家計の伸びを出しているんですね。五年前の一年間をとっているのです、ことしのこれが。そして家計が九〇何%伸びていると、こういうふうに言っているんですよね。それから昨年の場合も、昨年は五年前の一年じゃなくてその前の五年間ですね、五年間の平均をとっているんですね。そうして比較をしていると。これは私は一つの問題としては全くこの比較が根拠がないじゃないか、いいかげんじゃないかということなんですよね。どうしてそれでは、いままでずっとその一年間ずっとって比較をしてきたのに、突如としてこのように変えたのですか。変えてきた結果が、家計の伸びがこんなにたくさん伸びているから米価を上げてもいいと、こういうふうに言って結論を出しているという以外に言いようがないんですよね。根拠は何ですか、これ変えた根拠は。
  181. 三善信二

    説明員(三善信二君) 御指摘の点につきましては、これはその消費者の家計の安定といいますか、家計の伸びというのをどういう時点、どういう期間をとるかということにつきまして、従来から米価審議会でもいろいろ議論はございました。で、いま先生言われましたように、米価を改定したその直前の一年間、そういうこともやってまいりました。昨年はやはり五カ年の平均、中期的にものを見たほうがいいんではなかろうかというような五カ年間の平均と直近時を比べていくと、そういうやり方のほうがいいんではなかろうかというようなことで、昨年はそういうことをいたしております。今回は五カ年ではございますけれども、五カ年前の一年間の時点と直近時の現在とを比較するということでやっているわけでございますが、御指摘のとおりでございますが、この問題いろいろと米価審議会でも議論をしていただいているわけでございまして、やはり基本的には家計における所得水準の伸び、上昇ということは年々上昇をいたしているわけでございます。しかるに米価は先ほども申し上げましたように四十四年、五年、六年と、それから四十八年も実は据え置いたりなどして非常に政治的に、あるいは政策的に押えたり、あるいは上げ幅も非常に少なくしたりというようなことをやってきております関係上、この家計の伸びと米価の価格の伸び、これが非常にひずみができ、アンバランスになっているというようなことも一つの大きな問題で、論点でもございますし、そういうようなことを加えまして、今回は先生言われましたような家計の伸びの一つの期間、それをとったような次第でございます。この点につきましても米価審議会でもいろいろ御質問もございました。しかし、やはり一つのとり方であるということは当然御理解をいただいておりますし、何もこれでないといけないという一つのやり方というのは、なかなか理論的には出てこないというようなことが苦労しているところでございます。
  182. 山中郁子

    ○山中郁子君 根拠は何かという私の質問に対して、何も根拠がないという回答としか言いようがないというふうに思います。何にも根拠がなくて、この大事な三六%という諮問を出されるその中身の一つは、家計が伸びているからこれだけの支出、負担にたえられるというふうな言い方をしているわけでしょう。そして、その根拠にしているこの比較ですね、この比較の基準期間と比較期間の間のとり方を、何にも根拠がなくてそのときどきの行き当たりばったりでとっているということになるということは、全くこの諮問をまじめに、ほんとうに消費者の家計を安定させるというふうに考えてつくっていないとしか言いようがない。逆に言えば、何とかしてとにかく五年前の一年間をとれば、最近のをとるよりも家計の伸びはこういうインフレの状態ですから高くなりますよ。そうしたら、そういう家計の伸びを最大限にとられるところを、拾えるところをとって、そして故意に家計の伸びをつくり出して、そして米価を引き上げるというふうに持ってきているという以外に言いようがないというふうに思いますけれども、その点はどうですか。
  183. 三善信二

    説明員(三善信二君) そういう意味ではございません。私が申し上げたのは、根拠と申し上げておりますのはそういう家計の伸び、それと米価との関係を一つの指標で見ている。しかも、それは許容範囲の中に入るかどうかという一つの検証の材料にしているということでございます。しかも、また具体的には先ほど来先生も御質問になっておられますような消費者物価指数の問題、あるいは家計費の支出に及ぼす影響、そういうことをいろいろの角度から実態的には検討して三六%ということをきめているわけでございます。
  184. 山中郁子

    ○山中郁子君 要するに、ある時期は一年間ずっとってやってみましたと、あるときは五年前の、五年間を平均してやってみましたと、今度は五年前の一年をとってやってみましたと、全くその場の行き当たりばったりで、そういう無責任なとり方をしているということが明らかになった。私はこのことは強く糾弾をしたいと思います。こういうものに基づいて、そして家計の伸びを理由にして三六%の米価の引き上げがたいして影響を与えないんだというような内容の食糧庁長官考え方というものはもってのほかだというふうに考えます。  逆ざやの問題につきまして、後ほど私は財政問題とからんで質問をいたしますけれども、その前に食糧庁長官に引き続きお尋ねをしたいんですけれども先ほどの議論にも多少出ておりましたけれども、この三六%という形で諮問がされた。いずれにしても米価が上がってくるというふうな、そういうふうにとらえているいまの時点のもとで、消費者がやはり少しでも、とにかく安いうちに買っておこうということになるということは明らかです。そしてその場合に、私もちょっと二、三のお米屋さんの事情なんかも聞いたんですけれども、通常の月の最低でも倍ぐらいの引き合いがきているというふうな話が出ています。それは別に全国全体のお米屋さんがどうとかいうことではありませんけれども、そういう傾向にあるということははっきりしています。つまり通常よりはふえるということははっきりしておりますけれども、こうした問題について、消費者は当然のことながら少しでも安いうちに買って、そしてそれでもって家計を少しでも楽にしたいと、こういうことですけれども、その問題に対する食糧庁の、つまりそういう割り当てですね、そうしたものについての基本的な考え方をまずお伺いしたいと思います。
  185. 三善信二

    説明員(三善信二君) 先ほど竹田先生にもお答えいたしましたから重ねてあまり詳しく申し上げなくてもおわかりのことと思いますが、食糧庁としましては米価を過去に上げましたときに仮需要と申しますか、そういったものはある程度あるということはこれは存じております。したがいまして、そのためにたとえば最近私どもは卸に対してはある程度割り当て量をふやすと、そういうことをやっておりますし、また大口の需要者に対しては逆に非常にイージーにならないようにチェックしていくというようなことも考えて、先ほど来申し上げておりますようなまあ打つべき手と申しますか、そういうことは十分考えて準備をしているということでございます。
  186. 山中郁子

    ○山中郁子君 そういう消費者の要望にはこたえていきたいと、そのようにしていきたいというお答えなんですけれども、ここで私は昨年からの石油パニックその他の状況のいわゆる買い占め、売り惜しみの事態が起こったときに、次々ともう追っかけでもって上がってくる、物価が。そのときに卸や問屋や、それから大企業、商社、スーパーなどが、その売り手の側がもとの値段で仕入れたものを高い値段で売るというふうな事態が起きるということがありまして、そのときにそういうことで悪徳商法ということで大きな批判の的にもなったし、政府がそういうことをさせないように行政指導したということがありますけれども、その点については今度の米価の問題についてどのような対策を考えていらっしゃるか。
  187. 三善信二

    説明員(三善信二君) そういうことがなきにしもあらずということも私ども考えまして、一つは卸の売却数量、食糧庁が売却し、卸が小売りに売り渡しますそういう数量等につきましては常日ごろから私ども調査をしておりますし、こういうことがないように卸の段階で、あるいは小売りの段階で買いだめるというようなことがないように厳重に指導はいたしております。
  188. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、まあ名目はどうであっても、八月分としてその追加売却したものに対して食糧庁がこういう通達を出しているんですね。これは八月十四日付でもって各県知事、食糧事務所長に出している通達ですけれども、「八月及び九月における主食用米穀の追加割当申請に関する事務手続等について」という、こういう通達を出しておられます。そしてその中で簡単に言えば、要するに、もし十月上がった段階で、もとの値段で仕入れたお米を、もらったお米を持っていたら、その分についてはお金を政府に返せと、差益を政府に返すというそういう誓約書を書かないと出さないと、結局仮需に応じないと、こういう内容のことを言っているんです。「食糧事務所長は、販売事業者から、在庫差益のうち適正を欠くものとして、食糧庁長官が別に定めるところにより算出した額については、これを国庫に納付する旨の誓約書を原則として八月二十二日までに徴」しなさいと、そしてこういうことは「販売事業者が米穀の政府売渡価格改定に伴い、その所有する政府配給米について不当な在庫差益を利得することのないよう政府米の売却等に際し、厳正に指導するものとする。」と、こういうものとあわせて出されていますけれども、結局その前提になっているのは、この定めるところによって「食糧事務所長あてに誓約書が提出されていることを確認してからでなければ、小売販売業者に対しその通常月の購入量を上回る数量の米穀を販売してはならないものとする。」、こういうふうに言われているんですね、この通達です。私はこれはたいへん重要な問題だというふうに思います。その一つは、まずこの中身からいえば、消費者にもとの値段で結局お金を返せと言われれば、その不当な差益を出すということになれば、政府にお金を返しなさいということになれば、結局もしも在庫がそれに残ったら、これが買い占め、売り惜しみであるかないかということは別にして、十月段階で前に仮需でもらったお米が残ってお米屋さんが売ったとしますね、そうすると返さなければならないから、当然消費者には新しい値段で高いお米を売りなさいよということなんですね、この中身は。そういうことに一つはなるんです。  それからもう一つは、こうして差益を食糧庁のどういう権限でお米屋さんに、これを国に納付しなさい、つまりお金を出しなさいということですね、こういうことは食糧庁のどういう権限で言えるのか、どういう権限に基づいて、どういう根拠に基づいてこういう通達が出されているのか。このことをちょっとお尋ねしたいと思います。
  189. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) 権限といいますか、根拠でございますけれども、これは行政上そういったことを強制して税金のように取り立てるというような根拠はございません。ただお断わりしておきたいのでございますが、差益徴収は、徴収すること自体に目的があるわけではございません。消費者米価改定に伴って消費者需要増加があるということは当然考えられるわけでございます。この需要増には食糧庁としても当然対応して供給しなければならないというように考えておるわけでございます。その供給を円滑に行なうためには、事前にできるだけ販売業者の段階で在庫を持たせるということが必要であろうと考えております。ただその在庫を持たせたことがやみストックになって販売業界に不当利得をもたらすということがあってはこれはたいへんでございます。そういったことを防止したい。差益を徴収するということ自体を目的にしたものではございません。そこで、そういうように幾ら出るかということはあらかじめ十分にわかるわけではございませんから、業者の見込みに基づいて、また都道府県がこれをチェックしまして、さらに見込みを立てて持ってくる、これに応じていくわけでございますが、そういう追加割り当てといいますか、増ワクの売却を行ないます際には、そういったものを残さないでちゃんと消費者に売った場合に備えての話なんだから、お前さんのところに残してはいけないということを指導するわけでございます。残った場合には、それは当然高く売られるものだということで差益をそれだけ政府に納めてください、これは行政法上のそういう根拠はございませんが、いわば食糧庁と業者の間の私契約として、一種の贈与契約的に合意がなされるという性格のものであると思います。そういう合意がなされて差益が納付されるという性格だというふうに理解いたしております。
  190. 山中郁子

    ○山中郁子君 食糧庁長官最後にお尋ねをいたします。いまの問題は、あくまでも消費者に安いお米を前の値段で売るという行政指導だというお話でございますけれども、そうだとすれば、この通達の中身は明らかにそれを逸脱して、そして差益を国庫に納付しなさい、納付しなければ追加割り当てをしない、仮需に応じないというところまでいっているわけですから、現実の実態としては、東京都の場合ですと各お米屋さんは全部これをもう強引にとられている。一体そういう理由はないではないかというふうに拒否をした人に対しても、結局もう何のかんの言ってきて、ここにも書いてあるように、小売り店でもってそれをやりなさい、こういうふうになっているから、そういうふうに卸のほうから言ってきているということで、お米屋さんの苦情も私直接聞きましたけれども、こういう事態がありますので、これは私は通達を撤回すべきだというふうに考えます。そうしてあくまでもそういう差益を徴収するということはしない、そうしてなおかつ値上がり分についてはそういう事態が起こらないように行政指導をするという、その食糧庁の考え方一本ということではっきりさせるべきだというふうに考えますが、長官いかがでしょうか。
  191. 三善信二

    説明員(三善信二君) これは過去にもこういうことをやった例もございますし、行政指導だけでなかなかうまくいくものでもございませんし、やはりこういうことはきちっとして、そうあまり業界、業者を疑っちゃいけませんけれども、やはりきちっとしておくことが、一つはその行政のきちっとした措置にもつながるということでございますので、私どもはそういうことはやはりどしどしやれと先生おっしゃるのかと思ったら、撤回せいということで実は戸惑ったような次第でございます。やはり行政的なある指導によりこういうことをやって的確に指導していくということが必要ではなかろうかと私は思っております。
  192. 山中郁子

    ○山中郁子君 私が申し上げているのは、そういうふうに国にお金を返せというふうなことを強制的に——強制ではなくて私的贈与契約だというふうにおっしゃるけれども、実態はそうではなくて強制で、この文章上からいったってそのようになっているわけですよ、「販売してはならないものとする。」となっているわけです。ですから、そのことについては撤回をしなければ筋が通らないではないか。あなた方がいま答えていらっしゃることは、そういう内容ではないとおっしゃっているわけだから、この通達については撤回をすべきだというふうに考えます。  しかし、その点一つだけ長官にお尋ねしますけれども、小売り業者に対して過去にもこうしたことをやったというのはいつおやりになりましたか、小売りにですよ。
  193. 三善信二

    説明員(三善信二君) 小売りにやったのは初めてでございますが、卸に対しては四十三年にこれと同じようなことをやっております。
  194. 山中郁子

    ○山中郁子君 小売りに対して初めてこういうことをやっているということ自体も新たな大きな問題です。このことは認識をしていただきたいというふうに思います。  それと、いずれにしても私が申し上げているのは、もとのお米についてはもとの値段で消費者に売るということを食糧庁が保証をする、そのことについての行政指導をきちんとやりなさいと、こういうことです。この点を確認いたしまして食糧庁長官に対する質問を終わります。
  195. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) 価格改定というのは、どの米とか、あの米とかということではなくて、一斉に一定の期日を期して行なうというのでなければ混乱を生ずると思います。ですから、小売りの在庫がかなり残った、その在庫を、残ったものを売っている限りはもとの値段だというような価格のきめ方は、これは私、実際問題としてできないと思います。かりにそのもとの値段で売っていると言われても、これは行政として確認のしょうはございません。在庫の確認もなかなかむずかしゅうございますが、それよりまたはるかにむずかしいと思います。まさにそういうことならば、小売りは消費者に売らないで自分のところにずっと在庫を抱いていて、これを将来高く売るということが全く一番懸念されることになると思います。私も小売りの段階でもって差益をそれ自体徴収するということにはいろいろ技術的にも問題があろうかと思いますし、困難は覚えております。それから小売り店自身が反対しているということも十分承知いたしております。しかし、ほんとうに間違いなく消費者のところに十分お届けでき、しかも小売りの不当利得、そういう場合に便乗した利得を防ぐとしたら、やはりこういう方法が一番よろしいのではないかというふうに考えて措置しておるところでございます。
  196. 山中郁子

    ○山中郁子君 一言で言うならばかつての、昨年からずっとの物価パニックのときに、政府はそれじゃ何の保証もできないのに、そういう行政指導をするということによって消費者の要求にこたえてきたというのかということに尽きると思います。つまり石油製品のああした買い占め、売り惜しみの時期に、もとの価格で売りなさい、悪徳商法いけませんということで行政指導してきたわけでしょう。それが何の保証もなかった。あなたのおっしゃることはそういうことにつながるわけです。ですから、私はそのことを指摘いたします。そして、要するにもとの値段でもとのお米については消費者の手に渡るように、そのように食糧庁がちゃんと行政指導するということこそが本質的な問題で唯一の問題である、この問題に関しては。そのことを強く主張いたしまして、その件についての質問を終わります。  そうして、続いて米価問題についての最後の問題になりますけれども、末端逆ざや、その他逆ざや、逆ざやということで、要するにそうした逆ざやが生まれるから米価を上げなくてはいけないんだというそういう赤字論ですね。それがとにかく、何といっても経企庁長官は、私が申し上げました食管法のこの精神については賛成する面もあると、こうおっしゃるけれども、実際問題としては末端逆ざやの解消だ、あるいは一兆円の赤字というのは問題じゃないかと、こういうことでずっときているわけです。それで政府の諮問が出ているわけです。  それでお尋ねしたいんですけれども、大蔵省は一兆円赤字というふうに言っていますけれども先ほどの論議にもありましたけれども、端的に言って大蔵省は売買差損は幾らなのか、このことをちょっとお尋ねいたします。お米について。
  197. 田中敬

    説明員(田中敬君) 御質問の御趣旨がはっきりいたしませんですが、先ほど食糧庁長官がお答えいたしましたように、今回の消費者米価値上げに伴います売買差損は約三千四百十八億円……
  198. 山中郁子

    ○山中郁子君 食管会計の赤字という中での売買差損……
  199. 田中敬

    説明員(田中敬君) 食管会計の赤字の、かつ国内米の処理勘定における赤字でございます。三千四百十八億円で間違いないと思いますが……七今回の値上げに伴いますものが三千四百十八億円でございまして、昨年生産者米価を引き上げましたことに伴います国内米の売買損失がそれに加わりますので、合わせまして五千三十億円、国内米損失が。
  200. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと問題は、大蔵省が大蔵大臣を先頭に米の赤字は一兆円になっているということで盛んに宣伝をなすってきたわけですね。まあ一種の世論づくりの、国民に対する脅迫とも言えます。こういう「消費者米価引き上げについて」というパンフレットまでおつくりになって、そうしてこの一兆円が住宅になれば何万戸できるだとか、さんざんそういうことを言ってきている。だけど、実際問題としておたくの数字によってもほんとうに、もしかりに赤字というならば、その米の売買差損というのはその半分にしかすぎない。私はこのことを、中身の一つ一つの項目が適当でないということはすでにいままで論議がありました。ですからその一つ一つについては私は触れませんけれども、要するにお米の赤字と、おたくのほうは言っているけれども、お米の赤字五千三十億にもかかわらず、これが一兆円をこえているというふうに宣伝をして、そしてこれで税金を食っているのは問題だ、消費者に負担をしてもらわなくちゃいけないというふうな、そういう事態をつくり出してきているということは、これはたいへん遺憾なことであるし、また数字によって消費者国民に脅迫をかけるというか、そういうふうな暗示を……最低やわらかい言い方をしても暗示を与えるという、こういう役割りしか果たしていないというふうに言わざるを得ないと思いますが、その点についてはいかがですか。
  201. 田中敬

    説明員(田中敬君) 私どもが一兆円ということを申し上げましたのは、いわゆる食管赤字と申しますか、国民のお米、麦等を含めまして主食に関連するものの支出というものが食管赤字への繰り入れも含めて一兆円になる、と申しますことは、この一兆円というものは租税で負担しておるのだ、これを租税で負担することがはたしていいのか、物価その他の事情を勘案して応分の消費者負担をお願いして、その財政資金の効率的な運用をはかるほうがいいのか、こういう問題の提起をさしていただいているわけでございます。
  202. 山中郁子

    ○山中郁子君 まさに私は、それは詐欺に近い言い方だというふうに思いますよ。これはそういう指摘にとどめます。  そうして問題は、私はこの一兆円——実際問題としていま大蔵省が言われる売買差損五千三十億というものを税金でまかなうことが問題だと、こういうふうに言われるけれども、なぜこれを税金でまかなうことが問題なのか。私が申し上げたいのは、お米の値段ということは消費者の生活にとって大きな基準になる。だからこそ食管会計があって、先ほど申し上げましたそうした食管法が制定されているわけです。ですから、そういうことで五千三十億のこのお金をなぜ税金で負担することか問題なのか。——問題ではない。なぜならば、金持ちがどうだとか、いろいろな理屈を言ってきます。しかし、いま一つの例だけ申し上げますと、大企業に対して租税特別措置法などで税金をまけている。私ども共産党で試算した結果でも三兆円に近い税金をまけている。それからまた、先ほど税金の自然増という問題がありました。そういうふうなことでそれを解決をするということはできることだし、そしてそういうふうにして解決をしなければならない、に値する消費者米価という、そういう非常に国民の主食である、そしてそれでもって家計の負担を押える、こういう重要な中身であるし、実際の数字からいってもそれが可能である、こういうふうなことを私たちは主張している。だからこそこれを引き上げをしなくてもいいではないか、するなと、こういうふうに主張しているわけです。経企庁長官、その点についての見解をお伺いしたいと思います。
  203. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) たびたびお答えを申し上げていることに変わりはないんですが、主計局の担当官でしょうか、次長さんでしょうかのお話に、食管赤字は、山中さんから御指摘のような、詐欺みたいなものでそんな一兆もありはしないというようなあなたの御意見を引き出すような数字の答弁、これは私もまことに意外に思うわけでありまして……
  204. 山中郁子

    ○山中郁子君 どうしてですか。
  205. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 五千三十億という数字はどういう数字か知りませんが、先ほど食糧庁が述べたところによりましても、米だけの勘定をとりましても、少なくとも今度の生産者米価の引き上げによりまして九千五百億円を下らないはずです、これは。それは、まずそのことを、係が違う人かどうか知りませんが、私もまことに意外に思うわけで、おそらくその五千三十億というのは末端逆ざやかなんかの数字ではないかと思うわけでありますけれども、米というものは、買いますと、これを保管したり運送したりするための保管高、金利高というものもありますから、大蔵省が私どもに持ってきている数字というものは麦を含めると一兆何千億、米だけでも九千何百億、こういう数字を持ってきておるわけであります。しかし、それを解消しょうとは言わないで、少なくとも末端逆ざやだけは米の逆流が起こらないためにも、また米価というものは米なる物資価格であるから、それは、末端逆ざやだけはせめて解消したいといって持ってきている数字が……。しからば消費者米価は今度は六一・七%上げると、こういうことを言ってきておるわけであります。そんなことはだめだ、私は全く山中さんと同じ考え方を持っている。そんなことはだめだ、それなら三分の二ではということで、三分の二でありましても四十何%上げるということで、それもだめだということで押したり引いたりしまして、とにかくこの諮問の根拠は、末端逆ざやの新しく発生する分の二分の一ということで三六%というものができたわけであります。それも私は山中さんの御意見にお答えいたしましたように、それは何ぼ広がってもいいというものではもちろんないが、またすぐいまの時期に全部末端逆ざやを消さなければならないとも私は実は思わないわけであります。それは、どの幅でいつやるかということは、そのときの経済動きや、あるいは国民真意といいますか、国民的なものの考え方というようなこととも関連しながらきめていくべきだと私は思うものでございまして、いまの時期としてはどんなに米価審議会の日取りが迫っておってもこれは三六%、すなわち末端逆ざやの半分までの穴埋めしか私としては賛成できないと、こういうことになったわけであります。  しからば、末端逆ざやをいつ埋めるか、何年間に埋めるかというような議論もあるようでありますけれども、それも私はコミットしない。何年間に埋めるというものでありませんし、これはやはり事態や国民のものの考え方に応じて私はやるべきだ、こういう私は考え方でおるわけでございます。
  206. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、米の売買差損が幾らかというふうにお尋ねをしたことに対して、五千三十億というお答えがあったわけです。ですから、そのことがいかに、普通に常識的に言って売買差損が赤字だというふうに言わなきゃならないところを、赤字ということばをとるならば、いろんなものをつぎ込んで一生懸命赤字をふやして一兆円をこえる、こういうふうに言っている。これは詐欺みたいなものではないかということで申し上げたんですから、そこのところは、逆に言えば経企庁長官も詐欺にかかったんじゃないかと私は思いますけれども、それで半分だということならば、実際問題としてもともと五千億だったんですから、末端逆ざやの関係からいってもそういう関係になってくるということを主張しているわけなんです。  それで問題は、先ほどの質問に経企庁長官お答えになっていないんですけれども、私はその五千三十億ということ——だからと言っているんじゃないんです。これが六千億であっても、七千億であっても、この五千三十億ということが一つのいまの考え方の基準になりますから、そういうものをどうして税の自然増だとか、あるいは大企業に対する特別減免措置で、それをもっとちゃんと取れば——三兆円もまけているという実態もある。国民がみんな反対している軍事費に年間一兆円もつぎ込む、あるいは高速道路の整備費なんかをはじめとする道路の整備費に一兆円以上をつぎ込む、こういうふうな予算をつくりながら、最も根本的な重要な一つの問題商品であるお米の安定のために、そしてその家計の負担をふやさないためにそのお金をなぜつぎ込むことができないのか、そういうことをお尋ねしている。そういう気はないのか、どうですか。
  207. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 少し考え方が食い違うところがございますが、この五千三十億という数字が私は食管会計の赤字ではない。物は買って売る。そのまま玄米を持っていって国民に玄米を売るわけじゃありませんで、精白したり、あるいは貯蔵をしたり、運搬したりして売るわけでありますから、逆さやという場合には——それは政策費は別であります。政策というのは、米をよけいつくらせるような、今度の米価引き上げの外ワクになっているような、米作についての土地改良費みたいなものは、これは一般会計で持つことになっておりますから別でありますが、米を操作するに伴う費用というものを入れますと、それは五千三十億ではない、現実に九千何百億の赤字が出ておるわけでありますから、それをどうして埋めるかということにつきまして、山中さんのようなお考えの方もあることも承知しておる。山中さんのようなお考えの方もおられることも私ももちろん承知をいたしております。ただ私は、日本の軍事費を一兆も使いながら、そんなものをそんなところへ使いながらなぜこっちへ埋めないかということについては、残念ながら賛成はできないんで、別の言い方で、本来なら日本のごとき程度の十数兆の予算を組むところであれば、海外の同じような国の状況から見れば、それは軍事費を三兆も五兆も組まなければならぬところを、いろいろなことで、新憲法があったり何かいろいろして一兆で済んでいるんだから、それだから一兆で済んだ分のその差額をこっちへ持っていけということなら、これまた私聞き耳を立てるわけでありますが、一兆のあっちをやめてこっちへ持っていけという趣旨の論法には、これは私としてはどうしても賛成はできがたい点があるということだけを申し上げておきたいと思います。
  208. 山中郁子

    ○山中郁子君 時間がありませんので、この点は引き続き次の機会に追及をするということにいたしますけれども、問題は、そうした大事な米価の問題について、国が負担をするということがもともとおかしいというたてまえに立っているということ自体が、食管法の精神にも反するし、それからまた物価問題を解決しようという真剣な姿勢とも相反するし、そしてまた、いまの国民の熾烈な要求、何とかして米価を押えてほしい、引き上げないでほしいと、こういう問題にもまっこうからもとるものであるということを指摘をすると同時に、重ねて消費者米価を上げるべきではないということを主張いたしまして、この問題に関しての質問を終わります。  そして灯油問題について、あと若干の時間質問をさせていただきたいというふうに思います。
  209. 田中敬

    説明員(田中敬君) 先ほど御答弁申し上げました数字に、若干誤謬がございましたので訂正させせていただきます。  売買逆ざやにつきまして五千三十億と申し上げました教字は、概数約五千三百億でございますので、この際訂正させていただきたいと思います。
  210. 山中郁子

    ○山中郁子君 いわゆる売買差損ですか。
  211. 田中敬

    説明員(田中敬君) 売買差損でございます。  そして、あと経費等加えまして、食糧庁長官がおっしゃいました九千三百億の国内米損失勘定の赤字と、こういうことでございます。
  212. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) いま田中次長が言われたことで大体よろしいのでございますが、数字関係でございますからちょっとはっきりさせておきたいと思います。  先ほど長官が申し上げておりました数字をもう一ぺん整理して申し上げますというと、四十九年度の当初予算で売買損益は千九百十二億、それから経費が二千三百六十四億、合わせまして四千二百七十六億円の損失でございます。これが先回の生産者米価引き上げによりまして売買損益が三千四百十八億ふえ、経費の損失が千六百十二億ふえ、合計ふえた分が五千三十億でございます。その結果、見込まれる現在の赤字は売買損益でもって五千三百三十億、それから経費で三千九百七十六億、合計いたしまして九千三百六億でございます。  なお、食管会計は、このほかに国内麦でありますとか、輸入食糧でありますとか、そういったものについての管理を行なっておりまして、その関係での損失が出ております。これらを全部合計いたしますというと、損失の計は、見込込みでございますが、一兆六百六十億ということになります。一兆、一兆と申し上げておりますのは、こういった見込みに立っての数字でございます。
  213. 渡辺武

    ○渡辺武君 麦まで入れて、消費者米価のほうを値上げ合理化と言っているのはけしからぬよ。
  214. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) 九千三百六億の国内米の数字を主として申し上げておって、さらに食管会計としては一兆だということがよく混同されますので、その差には麦が入っているということを申し上げたわけでございます。
  215. 山中郁子

    ○山中郁子君 その一兆が実態上は全然インチキだということを先ほどから私は申し上げているわけなので、その数字の訂正はそれはそれで承っておきます。  灯油問題について若干質問をさせていただきたいと思います。先ほど通産次官が午前中の審議の中で、時間ないんでもう簡単にいきますけれども、標準価格を六百円を切るということで目標とすると、このようなお答えがありました。まず、その六百円を切るということは、私どもは当然、いままで今度の、昨年からの灯油の値上がりでもって大きな問題になった一つのことで、店頭売り、三百八十円店頭売りということで標準価格がきまった。したがって、そこにまた配達費が上乗せされるということで引き上げられてきたということで、たいへん消費者の方もいろいろな批判もありましたし、苦情もたいへん多くありました。この六百円を切るということは、ですからそういうかね合いからいえば、それからまた生協などの皆さんがいままで主張していらっしゃった経過からいっても、当然のことながら配達費を含むということで考えていらっしゃるというふうに思いますが、その点はいかがでしょう。
  216. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) お答えいたします。  灯油の標準価格につきましては、すでに御議論で御承知のとおり、六月一日で標準価格を撤廃し、近く需要期に入りました段階で適当な価格をきめようと、私どもとしましては、ここ数年来、とりわけ昨年来の灯油の価格安定につきましては、政府として最大の努力を払ったつもりでございますが、今回におきましても、国民の生活に密着します製品だけに、極力低位安定という線に沿いまして努力をいたしたいと考えております。今回標準価格としてきめます価格は、従来の、いわゆる店頭売りの価格ということで従来やっておりました。今回もおそらくその線に沿っての価格設定ということになろうかと思います。  具体的な六百円その他の数字につきましては、この委員会もしくはまた衆議院でもいろいろ御議論がございまして、消費者代表の方々からもいろんな議論も私ども承っております。そういった各方面の御意見を念頭に置きまして、私ども妥当な価格をきめたいと、このように考えておるわけでございます。
  217. 山中郁子

    ○山中郁子君 配達費を入れるということになろうかと思いますというたいへん心もとない御答弁なんですけれども、私は今度の三百八十円の標準価格設定の問題に関して、そこでそれ自体も上げられたということでたいへん消費者が困った。しかも、そこへもってきて、普通は宅配で自分たちの手に入るのが価格ですよね、消費価格ですよね。そういうふうにしていままでだって言ってきて、灯油が三百八十円だ、三百五十円だと言ってきたわけですよね。それを三百八十円の標準価格ということで、しかも、それを店頭売りだということでされたことが非常に大きな影響を及ぼして、これはたいへん国民の皆さんから不評を買っているはずです。これは通産省としてもよく知っていらっしゃることだと思うんです。ですから、当然のことながら六百円を切る、どのくらい切るかということもそれはこれからの問題ですけれども、当然のことながら、これは配達費も含めた、そういうあれできめるという消費者の希望、それから強い要請、これにこたえるべきであると、このように考えて、そのことを要求しておきます。その点について……。
  218. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) ただいま先生のお話の中に、六百円の中にいわゆる配達費を含めて……
  219. 山中郁子

    ○山中郁子君 六百円じゃないですよ、六百円を切ると言っているんです。
  220. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 標準価格としましていわゆる配達を含んできめるべきじゃないか、こういう御議論につきましては、私どもも先般三百八十円の店頭売り価格を標準価格ときめました際にも、実は議論をいたしました上で、店頭売り価格として三百八十円をきめました。ただ指導といたしまして、配達費につきましての指導は別途行なったわけでございます。これは消費者へのサービスという点を考えますと、それぞれやはり配達の距離なり、あるいは配達の戸数と申しますか、そういった経費等々もございますので、一律に幾らという標準価格としての決定は技術的にかなりむずかしい面があるということで、私どもとしましては、いわゆる店頭売り価格を標準価格としてきめたという経緯でございまして、この前回の方向に沿っての今回の価格決定ということになろうかというふうに考えておるわけでございますが、いまこの価格自体につきましては、今日またいろいろ議論も行なわれておりますので、各方面の議論を念頭に置きまして、慎重に対処していきたいと考えております。
  221. 山中郁子

    ○山中郁子君 指導価格、標準価格というものは、当然のことながらそれで売らなきゃいけないということではなくて、それ以上になってはいけないと、こういう内容のものですから、ですからいまおっしゃったような問題は、行政指導も含めて、あくまでも配達も含めて消費者の手に渡るということを前提にして、標準価格をきめるなり、指導価格をきめるなり、そういうふうにしなければ、結局のところは、その分だけ上乗せされるという事態が起こってきて、現実に去年からのずっと経緯の中できているではないかというのが私の言っている趣旨です。これは、たくさんの消費者の皆さんが言っていらっしゃることです。  そのことを指摘しておきますけれども、同時に、その六百円を切るという実際の指導価格の問題だというふうにいま言われましたけれども、この点に関して私は、五月三十日の閣議で元売り価格を約二倍ぐらいにも上げるという乱暴な閣議決定をされていると、それでもって一ぺんに灯油が六百円になり、いまはもう七百円台まで出ていると、北海道あたりではね。そういう事態が生まれているわけですから、そういう乱暴な元売り価格引き上げをしたこと自体が、このインフレ、物価高にさらに油を注ぐという結果にいま現になりつつあるし、全国的には灯油の需要というのはこれから本格的なシーズンを迎えるわけですから、そういう形で大きな家計に対する影響が出てきているわけですね。ですから、この元売り価格をその時点で二倍近いような乱暴な上げ方を認めるということ自体が、大きな問題があったというふうに思います。私は、少なくとも民生用の灯油を、この以前にさかのぼって他の油を上げたときに民生用の灯油は押えてきたと言われるけれども、押えてきたことの趣旨は、国民の生活に大きな影響を与えるから押えてきたということでしょう。ですからその時点に、五月三十日の時点にあっても、国民の生活は一向に安定していないし、引き続きその物価指数というのは、こういうふうにしてみれば、ちっとも物価は下がっていない。つまり、あのパニックの前の時点より下がった、鎮静したと、こういう状態じゃないわけですから、ですから何らその元売り価格引き上げるという根拠はないわけですね。これはあくまでも元売り価格をもとに戻して、そして五月末の時点での標準価格ですね、そこへ戻すべきであるということではないかというふうに思いますし、そのように主張いたしますが、その点についてのお考えをお聞かせいただきたい。
  222. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 先生御承知と思いますが、昨年の十月一日にいわゆる元売り価格凍結をいたしました。消費者に対する非常に影響の強い商品でもございますので、一つの需要期を通じまして、あまり価格を変えるというのは混乱を起こす原因にもなりますので、私どもとしましては、その時点で極力この昨年の十月ごろからの需要期を通じましてこの価格で努力をするということで、自来、六月の一日での標準価格の設定の間の元売り仕切り価格はそれで据え置いていたわけでございますが、御承知のように、昨年の九月の時点で原油の価格はすでに平均見ましてキロ当たり五千五百円程度であったかと思いますが、今日すでにキロ当たり二万円という台をこえておる状況になっておるわけでございまして、こういうぐあいにたいへんな原油価格高騰があったわけでございます。要するに、六月の一日に従来のキロ当たり一万二千九百十九円という数字改定いたしまして、この上に一万二千何がしをふやしまして、二万五千三百円のベースに元売り仕切り価格改定をして指導をするということにいたしまして今日まいっておるわけでございますが、この価格は、私どもとしまして、すでに工業用灯油につきましてはキロ当たり二万七千五百円という価格になっております中で、家庭用の灯油につきましては極力政策的な配慮を加えて、経済的な要素も織り込んでの最大の価格というようなことで、この二万五千三百円のベースとして六月一日に改定をいたしたわけでございます。この背景になりましたのは、やはりこの二万五千三百円という当時の指導価格設定は、いわゆるA重油、軽油という同じく中間留分でございます他の油種とのバランスを考えた価格でございまして、このA重油軽油といった油種よりもさらに下回った元売り仕切り価格になった場合に、いわゆる従来A重油、軽油を使っていた需要者、たとえば農業の一部あるいはトラックその他の軽油の一部といったものが、この家庭用の灯油のほうに流れ込んでくると申しますか、需要がさらにふえて、その結果需給にたいへんな混乱を起こすおそれもある。また、一つには、こういった経済的な変化の中で、いま言った価格改定の行なわれない場合には、私どもが今日進めております灯油の増産を行ないまして九月末に十分な貯油を行なうと、こういう政策要請にもマッチすることができないと、こういう判断からあの価格をきめたわけでございまして、私どもとしましては、こういった経済的な事情というものも十分念頭に置いて本件の取り扱いをすべきかと考えておるわけでございます。  一般の消費者の方々に与えます影響等につきましては、先生おっしゃるように、私どもとしても十分配慮は今後とも続けていく必要があるというふうに考えておりますが、あの元売り仕切り価格決定自体につきまして、私どもとしては政策的な要素というものも十分織り込んだ価格を決定したという経緯につきまして申し上げました。
  223. 山中郁子

    ○山中郁子君 需給の問題その他いまいろいろおっしゃいました。私は端的に伺って、時間がもうないということで来ておりますので、伺いますけれども、要するにほかとの関連だとか、それから需給関係だとかいろいろおっしゃるけれども、実際問題としてこの元売り価格をこの時点で二倍にも上げなきゃならない。しかも、それを、消費者に大きな負担を与えるということははっきりしているということをなぜしなければいけないのか。する必要は一つもないではないか。で、その需給関係ということで言うならば、昨年まさに国会で石油需給適正化法というものをつくって、ちゃんとそういうことをやらなきゃならぬということを法律としてきめたわけでしょう。そういうものをちゃんと適用すればいいわけですよ。そして、通産省がちゃんと行政指導をして、そういうふうに需給の適正化をはかる。その上で、消費者の過大な負担をもたらすようなこうした元売り価格の大幅な引き上げ、そしてまた小売り価格引き上げを誘発しているわけですから、そういうことを押えていく、なくしていく、こういう立場に立つのが、ほんとうに消費者を守る、国民の生活を守る通産省の立場ではないかというふうに私は考えますが、いかがですか。
  224. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) これは先生御承知と思いますが、石油需給適正化法は、石油の供給が大幅に不足し、またそのおそれがあるということで、緊急事態の際に発動するものでございまして、現にすでに解除いたしておるわけでございますが、先生おっしゃいますように、私どもとしましてはまず消費者に対しては物がなくなる、手元に渡らないということがこれはもう絶対困るわけでございまして、十分な量の供給ができるようにということを最大限の要素にいたしますとともに、また価格の安定につきましてはおっしゃいますように努力をいたしておるつもりでございます。私どもはこの価格の安定については、今後石油業法等をベースとしまして行政指導を行なってまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、ただ石油の昨年から今年にかけての事情の変化、特に原価の、石油価格の変化というものにつきましては、十分私どもとしてはそれを念頭に置いての政策決定ということでなければ、経済のいろいろな面で無理がくるというふうに考えておるわけでございまして、その辺はいわゆる価格を据え置くということだけで本件の処理は非常に困難なものがあろうというふうに思います。
  225. 山中郁子

    ○山中郁子君 原価の問題なども出されておりますけれども、私は、昨年来の石油パニックで通産次官が何回もおっしゃったけれども石油連盟こそは諸悪の根源であるということを何回もおっしゃっているんですよね。つまり、だれもが認めるように、あの石油連盟、つまり石油大資本が、あのパニックを利用して便乗値上げをして国民を苦しめたその犯人であるということは、はっきりしているんです。それで大もうけをしたわけでしょう。その道義的責任だけとってもですね、今回のこの灯油の問題をもとの値段で据え置くなんということは、当然してしかるべき問題である。そして、しかもそういうようにやらせることが、通産省の国民の生活を守るという、そういう立場からいって当然の義務であるということも、ぜひ考えるべきだと思います。そういうことを前提にいたしまして、そしていままでの質問を含めて、結論的に、灯油の問題は五月末のもとの値段に戻す、元売り価格引き上げを撤回させると、こういうことを行なうべきだということを重ねて主張いたしまして、私の質問を終わります。
  226. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 初めに委員長にちょっとお願いをしますけれども、約束の時間を三十分超過されましたので、たいへんあと困りますので、時間は時間として守っていただくように委員長から御注意をひとついただきたいと思います。
  227. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) お聞きのとおりですから、ひとつ。
  228. 山中郁子

    ○山中郁子君 政府答弁の問題です。
  229. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 きょうは、朝からいまの山中委員まで、米価とそれから灯油の問題に大かたがしぼられまして、熱心な質問が繰り返されてきたと思います。で、私も、実はいまの熊谷次長の御答弁では満足できませんので、さらに追いかけて私も灯油の問題について質問をしたいと思います。  去る二月の国会で物価集中審議の際に、大企業国民の苦難をよそに、千載一遇の好機として悪徳商法の限りを尽くして物価狂乱をつくり出し、そして不当利益を得たことは忘れることができません。で、石油業界は、六百億円に及ぶ不当利益を実に短期間のうちに得たことも周知のとおりでございます。いまも申されましたように、諸悪の根源は石油連盟だと言われたのは、まだ耳に新しいところでございますが、大企業にやりたいほうだいのことをさせておっては解決がつかないわけでございますが、一体この六百億円に及ぶ不当利益というものは召し上げられたんでしょうか、どうでしょうか。
  230. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 今年の三月十六日の石油の新しい価格決定がございまして、その際に、昨年の十二月の価格水準に八千九百四十六円というのをキロ当たり上乗せをする。それを油種別に展開をした新しい価格政府として決定したわけでございます。その算定の過程におきましてこの六百億円につきましては十分査定をし、それらの吸収といいますか、はき出させまして、その上での価格決定ということになっているわけでございまして、各社は昨年の秋におきましてあげました利益は三月末におきまして全部はき出し、その上での決算を行なっておるというのが実態でございます。
  231. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、不当利得税をどうとかということがずいぶん国会で問題になりましたけれども、実際にその利得を召し上げてしまったわけではなくて、そのときの操作によってこれをおっかぶせたということでよろしいんですね。
  232. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 八千九百四十六円、キロ当たりに引き上げるということで価格決定いたしました際に、それはすでに調整を行なったということでございます。
  233. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 ことしの灯油の価格は、六月一日に通産省が石油元売り価格としておりました一万二千九百円の凍結価格を解除したことから、一挙に二万五千三百円にはね上がってしまいました。けさほどの経企庁長官のお話によりますと、高値下ざさえになるからそういった凍結価格を解除したのだ、こういうことを言っておられたんですけれども、この石油の問題に関しては、むしろそれを解除したために非常に価格がはね上がってしまった、こういうことでございますが、これを、けさからも何べんも質問がありますように、元売り価格二万五千三百円を引き下げるべきだと私どもは考えているわけでございますが、これをどうしても引き下げることができないのならば、この際、お米の場合と同様に、二重価格制度でも設けて上げ幅を押えるべきだと思いますが、その点はどう考えられますか。
  234. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 先ほど山中先生の質問の際にもお答えいたしましたように、二万五千三百円の指導価格につきましては、この引き下げはなかなかむずかしいと私どもは考えております。六月一日に標準価格を撤廃いたしましたのは、昨年の価格凍結以来、またその標準価格を設定いたしました際におきましても、今需要期に限りということで価格を設定いたしました。その事情は、先ほど説明しましたように、需要期の途中で価格改定することは、これは国民生活に混乱を与えるということもありまして、相当無理ではございましたが、石油メーカーにも協力してもらいましてあの需要期を乗り切ったわけでございます。六月に入りましたので標準価格は撤廃。この六、七、八、九と、このあたりは例年不需要期でございまして、実体の取引も非常に微々たるものでございますので、この間での価格というものは、特に標準価格を設定しておく必要はないということで標準価格を撤廃。ただ、指導価格につきましては、他の油種につきましてあわせて設定がされた。これは新価格移行への過程で決定されておりましたので、灯油については、その価格価格是正という形で六月一日直したわけでございます。八月の十六日に灯油とLPGを除きましては、いわゆる価格指導は全廃いたしておるわけでございます。
  235. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 しかし一石油会社の株式の配当というのはやっぱり相当高額な配当をしておりますよね。いろいろなことを言いましても、この配当率を見ればやっぱりもうけがあるということにほかならないわけです。それはもう十分御承知のことだと思いますけれども、日本石油、これが一二%の配当率、興亜石油も同じように一二%、あるいは富士興産一二%、ゼネラル石油とかあるいは昭和石油というのは、九州石油までみな一〇%の配当をしておりますね。ですから、いまたいへん物価上昇して国民生活が塗炭の苦しみに追い込められているときに、この元売り価格は私は当然引き下げるべきだ、このように考えるわけです。  そして、もう一つお伺いしたいのは、去る八月二十一日に消費者団体と石油部長との会見の際に、部長は、経済ベースでは二万五千三百円だけれども、政治ベースで考えてそれ以下になるように検討するという答弁をされておるわけです。その後、この御答弁のあとの状態は一体どのようになったか、どのように検討されたか、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  236. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) お答え申し上げます。  最初の石油会社の配当の状況でございますが、実は三月期の決算では、確かに先生御指摘のような会社は配当をしておりますが、その三月期では大体有配の据え置きの会社というのは四社でございまして、八社は減配をしております。それから無配転落をいたしましたのが二社でございまして、それから従来からも無配であったものが九社、合計二十三社中やはり減配ないし無配転落というものが十社ございまして、決して石油会社全体から見ますと、配当状況がいいというわけにはまいらないというふうに考えております。  それから、第二のお尋ねでございますが、この問題はいま次長も申しましたように、われわれのほうの石油というものから見ますと、たとえば先ほど申しましたように、他の油種へ流れるというような面から見ましても、この二万五千三百円というものを維持したほうが石油の供給安定を期するためにはいいというふうに考えておりますので、そう申し上げたわけでございます。ただ、先ほどから各先生がおっしゃるように、消費者にとってこういう二万五千三百円というものを基準にした、最終的には標準価格でございますが、その標準価格があまり高いということについてはたいへんな問題であろうかというふうに考えておりますので、その仕上がりの値段についてどのように持っていくかということを検討するということでございまして、これについては、先ほど申しましたように、石油かちだけ考えますとたいへんむずかしい問題でございますので、まだはっきり申しまして結論は出ておりませんが、鋭意検討しておるということでございます。
  237. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまのその元売り価格が安くなりませんと、灯油の小売り価格、店頭売りですか、六百円になるとかという話がちらちら耳に入ってまいりますけれども、これがなかなかほんとうのところは引き下がらないわけですね。ですから、私先ほど申し上げましたように、お米の場合と同じように二重価格制度でも設けてみたらどうかと、こういうふうな提案をしているんですが、その点はいかがですか。
  238. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 現在もすでに、同じ灯油でございますが、工業用に回すものについては元売り仕切り価格も二千二百円高い二万七千五百円ということになっておりまして、現在の価格自身がまさに二重価格でございまして、これについても流通経路では、他へ流れる心配があるのでということでいろいろ不満が出ておりますが、しかし、これについては、やはりこの程度の差を家庭用につけるのは当然であるということで指導をしておるわけでございますので、二重価格ということはすでに実行しておるというふうに申し上げていいのじゃないかと思っております。
  239. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 二重価格を採用しているとその石油が他に流れるおそれがある、こういうことを言っておられますけれども国民生活を考えた場合に、他に流れないように、国民が使うだけの灯油ぐらいは確保しておくのがほんとうではないですか。それが政治だと言えるんじゃないんでしょうか。流れるおそれがあるからと、こういうことで放置をしておってはならないと思いますよ。  それから、先ほどお話のありましたように、石油というものがたいへん軽いものなら私も店頭売りでけっこうです。ところが、十八リットルのかんというのはたいへん重いものです。これを一かん持つのは、男の人が一かん持って歩いても、相当の距離を歩かせられたらたいていまいっちゃうのです。こういうものですから、ぜひともこの石油は、灯油は店頭売りではなくて家の門の中まで配達する、その配達込みで六百円ぐらいに押えてもらわなければならないと思うわけです。  これはけさほどからも皆さんが何べんかおっしゃっておられますけれども、家計簿の中から調べてみた数字をちょっと申し上げてみますと、これは盛岡の市民生協の方が調査をされた結果でございますけれども、全国平均、世帯人員を大体三・八五人、その中で有業の人員——就職をしている方一・五人、それから世帯主の年齢が四十歳、これくらいの全国平均の世帯構成の中で、昭和四十七年に総収入が二十一万三千六百三十二円、四十八年になりますと二十五万六千百三十円、その中の実収入ですね——これは一カ月ですよ、実収入が四十七年で十三万八千五百八十円、四十八年が十六万五千八百六十円、こういうふうな数字が出てまいっております。それに対する消費支出、これが四十七年は十万二千七百十円、四十八年が十一万五千九百九十二円、その中に占める灯油の支出です、これは大体盛岡ですから、いま、ここら辺とはまたもう少し寒いですから、一カ月平均一一・四かん使うそうです。その費用が、昭和四十七年に三千二百円、四十八年に四千九百十四円、そして今度四十九年は推定八千円になるわけですね。これを今度パーセンテージで見ますと、四十七年には家計の消費支出に占める割合が三・一二%、四十八年には四・二七%、四十九年、これはあくまでも推定でございますけれども、五・八九%というと約六%、こうなりますと、この上に電気とか、LPガスとか、都市ガスとか、そういったものももう大幅に値上げをしておりますから、これらを考慮してみますと、家計の中に占める光熱費というものの上昇は非常に大きなものになってまいります。そして、とにもかくにも、物価が二〇%をことしもこえると思いますね。そういう中で灯油の値上がり、これはお米の値上がりと同じように、国民生活にとって重大な問題です。寒いところの人というのは、むしろお米よりも暖をとるほうがあるいはもっと大切なのかもしれません。お米でなくても、その他のものでも食糧は満たすことができますからね、何回かは。ですから、この暖房という問題について、この灯油は非常に大きな生活の中のウエートを占めるわけでございます。その中で値段が上がっても——パーセンテージがですよ、給料はどんどん上がっていきますね、さっき申し上げましたように。そういう中で、この灯油が家計に占める割合が、こんなに昨年から比べても一・八%も上がるというような中では、とてもたいへんなことなんです。やりきれないことになってまいります。ですから、ぜがひでもこの灯油は低く押えるべきであると思います。しかし、先ほど来お話のありましたように、これを全然昨年の春ごろと同じように押えろと言ってもそれは私は無理なことだとは思いますけれども、どうしてもこれを六百円というようなもしも数字が出てくるとするならば、それは配達料込み、こういうことで行政指導すべきだと思いますが、それはやれるんですか、やれないんですか。ぜひともやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  240. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 先ほど来申し上げておりますように、灯油の標準価格設定につきましては、現在、いろんな各方面の御意見等も念頭に置きまして現在鋭意検討中でございますので、どういう形で設定をするということにつきまして、的確にお答えすることは御容赦いただきたいというふうに思います。
  241. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、石油業界というものは、大体銀行からお金を借りたり、あるいは商社、電力、大手石油化学などというところと結びついて、重油など大企業向けの製品は安く売って、灯油はLPGとともに、生活必需品というものが相当高く売られている、割り高になっている、こういうことですね。そうすると、銀行や商社や電力や大手石油化学、こういうところはずいぶん二重のもうけをするわけですね。たとえば銀行はお金を貸す、そしてその金利をもらう、その上に配当をしている会社が少なくなったとはいえ、また配当をもらう。こういうふうなことで、結局は国民生活が一番圧迫を受けている、こういうことになるわけですが、その点はどう考えられますか。
  242. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 現在の灯油の価格、元売り仕切り価格というものは、各油種別に従来の市場の慣行と申しますか、長年の価格形成の結果、元売り仕切り価格が決定されておるわけでございますが、いわゆるC重油、それから、これは大企業あるいは中小企業一部ございますが、油種ごとの原油価格の配分という問題につきまして、結果として御指摘のように、たとえばキロ当たりC重油は安い、それからいわゆる灯油のほうは比較的高いではないか、これは油の性質にもよりますので、一がいに比較はできないのでございますが、ただ、同じたとえば灯油というものを、用途によって価格を差をつけるということは非常に流通過程で混乱を起こすわけでございまして、私どもとしては、そういった価格差はできるだけ避けたいというふうな考えでおります。先ほど工業灯油と民生灯油の価格差につきましても、流通段階での混乱を極力防止できる限度ということも念頭に置きまして現在の価格差が設けられておりまして、一れ以上大幅に価格が乖離するとなった場合には、流通段階の混乱は避けたいというふうに考えているわけでございます。
  243. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 お米が家計に占める比率は三%だと、こういうふうに伺っておりますが、灯油が家計に占める割合はその倍ぐらいになるわけですね。けさここに積んであった署名をごらんいただいたかと思いますが、あれはほんの一部です。生協の人たちがずいずん一生懸命で走り回りまして、今度のこの灯油六百円に押えてほしいと、できれば六百円以下にしてほしい、これは配達料込みだ、こういうことで集めた署名は三十七万に及んでおります。それくらい皆さんはこの灯油の問題で神経をとがらしながら、生活を防衛したい、こういうふうに考えておるのですから、その点を十分参酌をしていただきたいと思います。そして、去年の春から、そしてことしの冬、そういったいろいろな状況を考えながら、昨年のあの石油パニックのことを犬死ににさせてはならないと思います。十分御配慮をいただきたいと思います。まあ今後の検討課題として、どうか通産大臣とともどもに、あれだけの署名を集められたその熱意にもぜひともこたえていただくように、私は要望をさしていただいておきます。  さらに、昨年の灯油のパニックのときに、生活協同組合というのは共同購入をしたりなどいたしますけれども、ずいぶんそういうときに業者から圧迫を受けました。供給拒否にもあいました。いろいろな問題が昨年はございました。どうかこういったようなことが再びございませんように、消費者の活動に積極的な援助を行なっていただくようにぜひともその点は監督をしていただきたい、このように思いますが、それは可能でございますか。
  244. 熊谷善二

    説明員(熊谷善二君) 私どもとしては、そういった流通段階でのトラブルの結果、取引の不円滑な事態が出るようでございますれば、十分指導してまいりたいと考えております。
  245. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、石油の問題はその程度にさしていただきます。  次に、私もお米の問題に一言触れておきたいと思うわけですけれども、けさほど来、やっぱりお米の問題についてもいろいろな議論が繰り返されてまいりましたけれども、毎年この米価闘争というのは繰り返されるわけですね。最近はますますひどくなってきているわけですけれども、これはお米の問題や米価に対する長期的な見通しというものは立てられないのか、立てないのか、どっちでしょう。——それではちょっと、もう少し続けましょう。  それでは、とにかく日本の農政というのは行き当たりばったり農政だ、ネコの目農政だとよくいわれますけれども、毎年繰り返されるいわゆる米価闘争ですね。これはこの問聞くところによりますと、何かいすが飛んだり、ジュースのびんが飛ぶというような騒ぎがあったようでございますけれども、お米を主食としないところ、つまり、小麦を主食にしている諸外国でもこういうような例があるのかどうか、その点いかがですか。
  246. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) 具体的には私もそういう例は聞いておりませんが、ただ、ときどき人の話では——全く人の話ではということでたいへん不確実な話で恐縮でございますが、どこの国でも農民は価格決定にはかなりナーバスになる、政策担当者はそのために相当悩まされるということは聞いております。しかし、日本ほど激しくああいう事態が生ずるということはないものと思っております。
  247. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それは、それじゃ、農林省の努力が足りないということになるんですか、どっちですか。
  248. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) 私ども十分努力しているつもりでございますが、いろいろ社会的な全般の情勢、日本の特殊な性格といいますか、そういったようなことが全体として反映するものではないかというふうに思っております。
  249. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 これは、私は農林委員をやったこともありませんし、きわめてしろうとの考え方です。それは、きょうまで農政というものは二面作戦をやってきたと思うんです。それは、付加価値の高いものは国内でつくるようにして、付加価値の低いものを輸入にたよってまいりましたね。たいへん安易なやり方だったと思います。しかしそれは、物価の問題がありますから、まことにこれはせんないことだと言えないわけではありません。しかし、そういったような中で農政は、消費者には安い新鮮な食料を供給しなければならないという一つの考え方があったと思うのです。他方では、しかし、農家の所得の格差是正という、格差是正をしなければならない、こういう二面を農林省は考えていたと思いますよ。しかし、農家の格差是正、所得の格差是正、こっちのほうによりウェートを多く持っていたと、こういうふうに私どもは理解いたしております。  そういうような中で最近のこの米価闘争、それを見てまいりますと、いわゆる賃金に連動させる、賃金に連動しなければもうやりきれないと、農家の人たちは。こういうことの中で、私は米価の決定がなされてきているように思います。あるいは私の誤った考え方かもしれません。それだったら反論をしていただいたらけっこうです。物価昭和四十八年から二けたの大幅上昇になりました。勤労者のベアも三二・九%をこえるというのは史上最高、世界でも例を見ないほどの大幅賃上げでありましたね。そして、なおかつ米価が上がったり、また国鉄の運賃が上がったりといろんなことがありますので、もう一度今度は秋の闘争をやらなければというような話もちらちらと耳に入ってまいります。あるいはそれができなければ年末一時金の大幅要求をしても、というような話が聞こえてまいりますね。そうすれば、米価をこの際上げれば、さらにそういったような機運は大きくなってくると思います。  そこで私は、けさからもいろんなお話を伺っておって、逆ざやを少しでも減らしたいという政府考え方、これもよくわかります。そして、生産者米価が大幅に上がったのですから、消費者米価だけを無理に押えてしまわなければいけないということも、私の気持ちとしてはこれはどうかなあという感じもあるんです。しかし、物価が狂乱をして、やっぱり二けたの物価上昇の中で、私は、いま消費者米価を上げるということは一どうしてもこれは肯定するわけにはいかない。いまの狂乱物価が、また再び始まるような感じがしてならないわけでございます。こういう中でございますから、私もやっぱり米価はこの際押えるべきだと。先ほど灯油の話をいたしましたけれども、お米よりもあるいは灯油のほうが大事だというような人たちもあるわけですから、この灯油とお米の問題は、私は今回はほんとうならば据え置くのが物価問題の立場から当然であると、このようにすら考えるわけですが、その点で農林省のお考えを伺いたいと思います。
  250. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) けさほど来再三お答えしているところでございますが、この際政府売り渡し価格引き上げるということにつきましては、単に財政上の観点から赤字を減らしたいということだけで考えているわけではございません。やはり食糧管理の適正なあり方というものを考えました場合、少しでも正常な価格関係を回復するということは、今日のこの時点になってみますというと、私は不可欠なことであろうというふうに判断いたしております。わずかの逆ざやならともかく、コスト逆ざやで見れば一〇六%も開いているという事態はまことに異常だと思います。一般の物価が上がる中で米価だけが極端なひずみを生じていることは、米価自身の流通に重大な問題を生ずると考えておるわけでございます。その一例は、逆流というようなこともございましょう。また、生産者農民にしてみれば、一般消費者に比べてみずからがつくった高い米を食べるということになって、国の政策のあり方としてもきわめて不公平ではないかと思います。このことが、直接逆流するような極端なことには走らないにしても、これだけ逆ざやが大きいということになりますというと矛盾を感じさせる、生産意欲にもひいてはいろいろ影響するというようなことが出てまいるのではないかと思います。また、農政上、全体のいろいろな農産物を所管している立場からいたしますというと、貴重な財源をこういった米だけに過度に重点的に集中するということは、ほかのもっとやりたい畜産物なり、あるいは野菜についてのもろもろの施策、こういったものが十分にできないといううらみを残すことになります。もちろん、会計上の問題も財政上の問題もこれはゆるがせにできませんが、私ども農政の一部を担当するものとして、そういった食糧管理の健全な運営、農政のあるべきあり方というようなことを考えました場合、確かに家計等への影響はこれはございましょう。まあしかし、今日家計が伸びておる実情からすれば、この程度はがまんいただけるのではないかということで、お願いしにくいところをお願いするということで、政府の売り渡し価格改定を今回諮問しているわけでございます。
  251. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 皆さんが米価の問題を言っているのは、米価をもしも上げればそれがまた物価上昇の引き金になる、こういうことがあるから言っているのであって、その辺を理解をしていただかなければならないと思いますよ。それから、いまも申し上げましたように、賃金に連動させると、つまり米価を引き上げるだけで農家の生活を保障するということであれば、ますます農家は米中心の農業になってしまいますね。米は、米価を引き上げるということにのみとらわれてしまうことになりますね。こういうことが、私どもまたこれから先の農政にとって非常に案じられるところでございますけれども、お米の値段を上げると、当然今度は野菜農家、野菜をつくっている農家の野菜の値段も引き上げを要求されることになるんではないですか。けさほどの経企庁長官の御説明によりますと、もうすでにことしの野菜の値上がりは昨年の四〇%高を記録しているわけです。こうなってまいりますから、家計に響くことは非常に大きなウエートを占めてまいります。そうすると私どもは、こういうものを二枚買うことを一枚に減らすと、これはいつでもやります。しかし食料は減らすわけにいかないんです。食料は、もう三日食べなくて済むというわけのものではございませんからね。この辺で私は農林省によほどいろいろなことを考えていただいて、農家の人が米中心にならないように、そしてまた、われわれには安くて新鮮な食料、こういうものを生産してもらうような農政をぜひやってもらわなければ、毎年毎年繰り返される米価闘争の中で、だんだんに米中心の農業になってしまってはこれたいへんだと、このように思うわけでございます。  私はまだきょうは、お米の備蓄だの、あるいは木材や食料の備蓄の問題についても質問をしたいと考えておりましたけれども、きょうは大臣もおられませんし、時間も時間でございますから、この辺でやめさせていただきますけれども、ほんとうに毎年繰り返される米価闘争、この問題をどう解決したらいいのか、どのように考えていらっしゃるのか、その辺を伺って、質問を終わらしていただきます。
  252. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) 米価の話と一般農政の話と両方あるわけでございますが、ほかの農産物についてもっといろいろ手当てをして、それなりにそういった食料品が安定した価格でもって入手できるように、供給できるようにさすべきだという御意見、この点は私も、先ほど申し上げましたように、米価だけにむしろ財政負担が集中するいまの行き方は好ましくないということで、全く同感でございます。今後とも、そういった農政の持って行き方には、食糧庁の立場としても大いに主張をいたしたいというように思っております。  まあ米価自身、どうするかということについては、単純にここでもって一言でお答えできないような非常にむずかしい内容を持っております。少しでも社会的な影響を与えることの少ないようできるだけ適正な決定をいたしたいと、まあたいへん抽象的なことで申しわけございませんが、そういうような心がまえで臨みたいと思っております。
  253. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ちょっと速記とめて。   〔午後六時二分速記中止〕   〔午後七時三十一分速記開始〕
  254. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 速記始めて。  本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十二分散会      —————・—————