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1974-10-24 第73回国会 参議院 商工委員会資源エネルギー対策小委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十月二十四日(木曜日)    午前十時十分開会     ————————————— 昭和四十九年八月七日商工委員長において本小委 員を左のとおり指名した。                 剱木 亨弘君                 斎藤栄三郎君                 竹内 藤男君                 吉武 恵市君                 阿具根 登君                 小柳  勇君                 対馬 孝且君                 桑名 義治君                 須藤 五郎君                 藤井 恒男君 同日商工委員長は左の者を小委員長に指名した。                 阿具根 登君     —————————————   出席者は左のとおり     小委員長        阿具根 登君     小委員                 剱木 亨弘君                 竹内 藤男君                 小柳  勇君                 対馬 孝且君                 桑名 義治君                 須藤 五郎君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        科学技術庁原子        力局長      生田 豊朗君        大蔵省関税局企        画課長      松尾 直良君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        資源エネルギー        庁石油部長    左近友三郎君        資源エネルギー        庁石炭部長    高木 俊介君        資源エネルギー        庁公益事業部長  大永 勇作君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○資源エネルギー対策に関する件  (総合エネルギー対策に関する件)  (朝日炭砿に関する件)  (北海道瓦斯熱量変更に伴うガス中毒事故に  関する件)     —————————————
  2. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) ただいまから資源エネルギー対策小委員会を開会いたします。  資源エネルギー対策に関する件を議題といたします。  増田資源エネルギー庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。増田長官
  3. 増田実

    説明員増田実君) それでは、最近の資源エネルギー問題につきまして最近の情勢と、それから、私ども資源エネルギー庁で今後とろうといたしております政策の概要につきまして御説明させていただきたいと思います。  エネルギー問題につきましては、昨年十月に中東戦争が勃発いたしまして、そのあと十月の十六日及び十七日にOPECの大幅な価格の値上げ並びにいわゆるアラブの石油輸出国によって構成されておりますOAPEC石油輸出禁止輸出削減が行なわれたわけでございまして、この影響は、日本経済にとりましても大きな傷あとを残したわけでございます。その打撃は、世界的に非常に深刻でありまして、これを契機といたしまして、資源エネルギー政策につきまして、そのあり方全般につきましての再検討が要請されておる状況になっております。  ここで若干、昨年の石油危機内容について申し上げたいと思いますが、ただいま申し上げましたように、十月の十七日にOAPECの一部石油禁輸及び石油輸出削減というのが行なわれたわけでございますが、現実に昨年の十二月におきまして、OAPEC石油輸出は、同年の九月に比較いたしまして二二%減っておるわけでございます。ただ、わが国に対します影響につきましては、このOAPEC地域以外のいろいろのスポットものといいますか、各市場での石油の入手に努力いたしました結果、全体といたしましては、大体七%ないし八%の削減であったという結果になっております。この数量につきましては、その後、この禁輸が解除されまして、現在、御承知のとおり、むしろ過去に輸入契約いたしましたものが世界各国から日本へ到着いたしまして、かえって過剰のような状態に現在においてはなっておるわけでございます。  しかし、この石油危機契機といたしまして、最も影響の大きかった点は石油価格の上昇でございます。これは皆さん御存じのとおりのことでございますが、四十八年の一月のCIF価格は、日本到着平均価格でございますが、二ドル五十八セント、バーレル当たりになっておりまして、五千円当時の為替レートで換算いたしますと、一バーレル五千円でございまして、九月、すなわち中近東におけるこの動乱勃発の前月におきましては、CIFが三ドル三十一セント、まあ一月よりは相当値上がりはしております。円換算いたしまして、五千五百円ということになっておりましたが、これがことしの七月の数字で申し上げますと、十一ドル三十七セント、バーレル当たり。さらに最近の数字では、これは十一ドル五十セントをこえているということでございますが、円換算いたしまして二万円か二万一千円、あるいはそれ以上という数字になっております。これによりまして、石油価格は去年の価格に比べまして四倍以上になっておりますし、また、昭和四十五年の石油価格CIFで一ドル八十から一ドルでございました。四千円ないし四千二、三百円というところでございますから、その意味では、この四年間あるいは五年間に五倍の値上がりをいたしたと、こういうことになるわけでございます。  最近の石油情勢につきましては、先ほど申し上げましたように、数量につきましては相当到着いたしておりまして、現在のところは、供給につきましては支障がない形になっておりますが、価格の問題につきましては、今後の動向がまだきわめて流動的でございます。先般OPEC会議が開かれまして、十月以降若干の値上がりというものがきまったわけでございますが、これがさらに来年の価格につきましては、現在、OPECにおきまして検討中であります。インフレ条項をつけるとかいろいろの問題が出ております。石油価格値下げにつきましては、消費国におきましていろいろな努力がなされておりますが、現在のところでは、この石油価格の値下がりするという見通しはついておらないという状況になっております。また、中東におきます政治問題は必ずしも順調に進展しておりませんので、再び動乱が起こるという可能性もなきにしもあらずという状況でございます。そういう意味におきまして、石油安定確保をいかにするかということにつきましては、非常に困難な問題があるわけでございます。  現在の消費国動向について申し上げますと、各消費国におきましては、価格値下げ目標にいたしまして、大幅な需要削減というものを政府提唱して行なっておるという状況でございます。  幾つかの例を申し上げますと、フランスにおきましては、一九七五年の原油輸入量を五百十億フランに押えるということで、まあ一割以上の削減を行なう。この五百十億フランという制限を設けまして、それの範囲内でしか輸入いたさないという方策を打ち出しております。また、配給統制権限政府に付与いたします新しい法律を九月に国会にかけておりまして、現実には家庭用暖房につきまして、その温度の、最高温度につきましての制限その他を実施するというエネルギー節約、ことに石油輸入数量削減につとめておるわけでございます。  また、アメリカにおきましては、十月八日にフォード大統領が新しい経済政策を発表しておりますが、その中にエネルギーの問題につきましては、一九七五年末におきましては、従来の輸入に対しまして一日当たり百万バーレル輸入削減するという目標を掲げ、これを達成するために石油燃料の転換、あるいは自動車の燃料効率の向上、国民に対する暖房その他の節約の呼びかけをいたしております。  まあ、このような状況はほかの国にも見られるところでありますが、また一方、国際的な動きといたしましては、この九月の末にブラッセルにおきまして、緊急時における国際的な融通対策が一応案ができたということでございます。これは近くOECDの決議にかけまして、来月に実施されるという予定になっております。  大体いま申し上げましたようなのが、わが国におけるエネルギーの事情と諸外国における動向を申し上げたわけでございますが、わが国エネルギーにつきましては、本日お配りいたしております資料の中に、総合エネルギー調査会総合部会の「中間取りまとめ」がございます。これをつくりましたのは、今後の日本エネルギー使用がどういうふうに推移するか、また、エネルギー供給限度というものがどういうものであるかということにつきまして、本年の二月から関係専門家の方々の知識をかりましてできたものでございます。  これによりますと、一次エネルギーの総供給量は、昭和四十七年度におきましては、石油換算で三億四千万キロリッターでありましたものが、昭和六十年度における供給可能量は、同じく石油換算いたしまして七億三千万から九億二千万キロリッターで、その間の平均伸び率は五・九から七・八%ということを示しておりますが、この数字日本に対するエネルギー供給限度をむしろ示したわけでございます。これから見ますと、従来のようなGNPの高度の成長というものはエネルギーの面からも制約が出るということでございます。また、この作業におきましては、石油依存度をできるだけ減らすということで作業いたしておりますが、結果的には、現在一次エネルギーにおきます石油依存度というものが七五%になっておりますが、これはほかのエネルギー供給増にいかなる努力いたしましても、やはり六〇ないし六五%は石油に依存しなければならないという結果が出ておるわけでございます。  以上のような背景のもとに、私ども資源エネルギー庁昭和五十年度の重点施策というものをつくりまして、現在関係方面と折衝いたしておるわけでございますが、その大綱について簡単に申し述べたいと思います。  まず、今後の資源エネルギー政策といたしましては、第一に、総合的な資源エネルギー政策推進するということでございます。その内容といたしましては、省資源省エネルギーに関する広報活動を展開するということでございまして、これは先ほど申し上げましたように、諸外国も省資源省エネルギーに向かって努力をいたしておるわけでございます。ことに日本エネルギー海外依存率が大きいわけでございますから、他の国よりもさらに省資源省エネルギー努力をいたさなければならないということで、これに関しまして国民全体の運動として盛り上がるようにということで、その広報活動を展開いたしたいということでございます。  それから、いまの総合施策の中の第二番目といたしましては、エネルギー使用合理化対策を行ないたい、エネルギー高率使用促進をいたします措置を行ないたい。このためにあるいは法律が必要ではないかということで、現在、私どものほうで法案の作成準備をいたしております。案ができ上がり次第、この小委員会に御説明申し上げたいと思っております。  それから次には、国際情報の迅速な把握を行なうということをいたしたいということでございます。先般の石油危機を経験いたしまして、世界情報というものを直ちにつかんで、これに対し迅速、的確な対策を打たなければならないということで、この点の強化をはかりたいと思っています。  それから、政策の大きな柱の第二番目でございますが、原子力産業政策推進を行ないたいと思います。本日お配りいたしました資料の中に、総合エネルギー調査会原子力部会の「中間報告」がございますが、この報告を踏まえまして、第一には核燃料事業等確立推進、第二番目には発電用新型炉等実用化調査、三番目には、海水に含まれておりますウランなどの希少資源回収システム技術確立等、その他原子力に関します政策推進いたしたいと考えておる次第でございます。  次に、石油政策といたしましては、これもお配りいたしております資料総合エネルギー調査会石油部会の「中間取りまとめ」ということで、七月の二十三日に取りまとめたものでございますが、石油開発促進を行なうということが第一でございまして、それから第二番目には、石油備蓄につきまして、現在六十日水準になっておりますが、これを九十日まで持っていきたいということでございます。昨年の石油危機を経験いたしまして、石油備蓄というものが相当量あれば、昨年のようないろいろな混乱を国民経済に招かなくて済んだんではないかというふうに思われるわけでございまして、また、今後の石油情勢というものが、先ほど申し上げましたようにきわめて流動的でございまして、やはり資源を大幅に外国にたよっているわが国といたしましては、この備蓄の増強を一日も早くはかって、あらゆる事態に備えるというような体制を整えなければならないということを痛感しておるわけでございます。  それから、石油政策といたしまして、政府間取りきめに基づきました原油取引促進対策というものを行ないたいということでございます。  従来、わが国石油供給はメージャー、いわゆる国際資本石油会社から供給を受けておったわけでございますが、現在の情勢では、これらの国際石油会社に対しまして産油国のいわゆるパーティシペーション——事業参加が大幅に進んでおりまして、その意味で、産油国政府との間の直接取引というものが年々ふえていくという趨勢にあります。これの安定供給をいかにしてはかるかという対策推進していきたいと思っております。  それから次に、わが国の貴重な国内資源であります石炭につきましては、これは昭和四十七年六月の石炭鉱業審議会答申と、それから、それを受けました七月の閣議決定の線に沿いまして、現在は四十八年度から五十一年度までの第五次石炭対策推進しておるわけでございます。これに基づきます所要の助成を行ないますとともに、特に現在の新しいエネルギー情勢に対応しまして、石炭政策あり方を見直しながら石炭需要確保安定供給確保をはかりますとともに、鉱害対策、あるいは産炭地振興対策を強力に推進してまいりたいと考えております。  次に、電力政策といたしましては、七十二国会におきまして成立いたしました発電用施設周辺地域整備法等、いわゆる電源三法に基づきまして電源立地円滑化をはかりますとともに、わが国の貴重なエネルギー資源であります地熱発電開発にも一そう力を尽くしてまいりたいと考えております。  そのほか鉱物資源につきましても、深海鉱物資源開発促進、精密な地質調査、あるいは探査技術開発促進等鉱業政策推進につとめてまいりたいと考えております。  以上申し上げましたのが、昭和五十年度におきます資源エネルギー政策重点項目でございまして、このエネルギー委員会の諸先生方の御指導と御鞭撻によりましてその達成をはかりたいと思っておりますが、よろしくお願いいたしたいと思います。  また、最後にここで私からおわび申し上げなければなりませんが、先般北海道瓦斯人命事故が起こりまして、はなはだ遺憾な状況が出たわけでございます。私どもも今後監督を十分にいたし、こういうような事故が再び起こらないようにつとめてまいりたいと思います。
  4. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 いま長官エネルギー政策をるると聞きましたが、文章としてはたいへんごりっぱだと思います。ただ、過去ここ十年ばかり私も商工委員会に列してまいっておりますが、たとえば石油開発公団ができ、あるいは動力炉事業団ができましたそのころからのここ七、八年の経過を見ましても、言うはやすく行なうはかたし、その実績というものはほとんどあがっていない。昭和四十二年にあの法律ができましたとき、大臣局長説明されたのがもうそのまま現在の情勢です。あの当時の実情ですね。したがって、いま言われたことに対しましても、文章はりっぱでありまするが、それを具体的にどういうふうにやっていくのかということ、ほんとうに国をあげて対策考えませんとたいへんなことではないかと思います。根本的な問題は、また予算委員会で各大臣並べてやりまするが、いま、長官のこれからの方針なり考えを聞きました率直な感想はそうでありますから、参考にして今後ひとつ取り組みを願いたいと思います。  それで、いまの御説明で具体的に質問いたしますと、けさのテレビでも、石油消費国会議日本が参加することを閣議決定するようです。で、アメリカを中心にする消費国会議のこのグループに入りまして、産油国を牽制しながら石油輸入確保していこうという考えだと、それはわかります。ただ、あまりにもキッシンジャー構想アメリカに引っぱり回されておるという感じが強いわけです。食糧問題がそうであるし、石油問題がそうであるし、アメリカはそういうのを戦略の武器として使ってる。それに日本を抱き込んで、彼らが、アメリカエネルギーも食糧もそれを武器にしながら国際的に主導権を持っている。そういうものに日本が参加することについては問題がありはせぬか。以前、中曽根通産大臣は、産油国消費国が一国一国で話し合って、完全に原油重油輸入できればいいではないかという構想を述べておられた。通産省としては私は、その方針をいまも持っておられると思う。ところが急速度に転回をして、日本政府消費国グループ会議に入って、そして協定も調印するようでありまするが、そういう変わり方は一体どういうところにあったのか。長官は諸外国を見てお帰りのようでありまするが、国際的な感覚なり感じなりを御報告願います。
  6. 増田実

    説明員増田実君) ただいま石油緊急融通スキームと申しますIEPにつきまして小柳先生からの御指摘がございました。これにつきまして、これが米国寄りではないか、あるいは産油国に対して挑戦的な組織ではないかという点について問題を提起されたわけでございますが、私どもがこの問題につきまして参加するかいなかを考えましたときの一番最重要問題点はその点であったわけでございます。  御存じのように、ことしの二月にワシントンで、キッシンジャー国務長官提唱によりまして、いわゆる世界消費国会議が行なわれました。その世界消費国会議におきまして、一応の結論といたしましては、一つには、緊急な事態が生じた場合に、その融通するシステム世界的に消費国間でつくり上げようというのが第一点。  それから第二点は、代替燃料開発国際協力のもとに行ないまして、石油依存を低減するというのが第二点でございました。  それから第三点は、これは日本その他からの提唱結論として出たわけでございますが、産油国との間の対話を行なうということであったわけでございます。  以上の三点につきまして、その後、ブラッセルにおきまして、調整グループという各国十二カ国が参加いたしまして、ただいまの三点につきましての具体化をはかるということで、その協定案が九月にできたわけでございます。これに日本が参加いたしましたときに最も強く主張いたしました・のは、産油国に対しましてこれが敵対的な性格を帯びないということでございまして、ことしの六月から九月、八回の会議ブラッセルで行なわれたわけでございますが、その会議におきまして一貫して日本主張は、産油国との敵対関係をつくらない協定というものにするということであったわけでございます。  具体的に申しますと、この協定案の中にも、ただ緊急時に石油を融通し合うというシステムだけではございませんで、今度の協定案の一章をさきまして、「産油国及び他の消費国との関係」という章がございまして、この中で、今後産油国消費国対話を行なうと。そのためのやり方というものを規定いたしたわけでございますし、また前文におきましても、消費国産油国の間で協力関係を結ぶということをうたうことにいたしたわけでございまして、これも、日本をはじめ消費国の一部からの強い主張で入ったわけでございます。  それからもう一つ、これは先ほど中曽根大臣考え方も御指摘あったわけでございますが、こういうシステムをつくるにあたりましては、アメリカが主導してそして別個のこういう機構ができるということではなくて、国際機関の中にこういう緊急システムができるという形にいたそうということで、これも日本側が非常に強く主張いたしまして、結果的には日本主張が通りまして、OECD——経済協力機構の中のそのワク組みの中でこの組織が運営されるということになったわけでございます。そういう意味におきまして、これは国際機関活動の一部として行なうということで、アメリカ主張いたしました特別の組織ではなくて、既存の国際機関の中の一つの運用としてこのスキームが行なわれるということにいたしたわけでございます。まあ、国際的な消費国間の流通スキーム緊急事態が起こった場合の流通スキームにつきましては、日本が最も輸入に大きく依存しておりますし、また、エネルギーにつきましての国際的な脆弱性が一番大きいわけでございまして、私どもといたしましては、これが産油国を刺激し、その反対を買うような組織であれば、これは入るべきではございませんが、そうでなければ、日本が最もこのスキームによって利益を得るものであるというふうに考えておるわけでございます。  ただいま申し上げましたように、先生の御指摘のように、産油国との関係に最も留意しながら、また、日本主張を通しながら、ようやく九月に結論に達したということでございます。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 基本的な問題ですから、予算委員会の問題でありましょうが、もう一点具体的な問題で、九十日の備蓄だけでもたいへんな問題でございますが、このグループに入るが、九十日備蓄タンクの建設の土地確保とか、あるいは備蓄する可能性ですね、そういうものについて一体見当がついているのかどうか。それから、たとえばこのアジア地域における重油原油貯蔵地日本がなるような危険性はないのか、この点いかがですか。
  8. 増田実

    説明員増田実君) 今回のこの国際スキームの中にも、九十日の備蓄目標とするということで掲げられておるわけでございます。これにつきましては、現在、欧州各国は九十日ないし百日以上の備蓄を持っておりますが、日本は残念ながら六十日しかないということで、この備蓄数字についてできるだけ早期に増強するということになっております。ただ、備蓄の九十日の達成時期につきましては、今後新しいスキームが発足いたしまして、OECDの中にその機構ができました後にきめるということになっております。  それから、ただいま御指摘になりました九十日の備蓄日本で行なうにあたりまして、その資金的あるいは立地的な問題点でございますが、これにつきましては、確かに日本にとりましては非常に大きな負担でございますし、また、非常な困難な問題があると思っております。このために、私どもといたしましては、先ほども重点政策一つといたしまして、石油備蓄を六十日から九十日にふやすということを掲げておるわけでございますが、具体的には昭和五十四年度米に九十日に達成いたしたい。そのためには、現在予算要求といたしましては石油備蓄公団をつくりまして、一部は公団自身土地を取得し、タンクを設置いたしまして石油の保管をする。それ以外に、各石油会社におきましても、現在六十日になっておりますのを七十五日ぐらいまでふやすということで、それに対する資金援助をするということになっております。残りの七十五日から九十日分につきましては、先ほど言いましたように、石油備蓄公団が保管する、こういう形になっております。  その立地につきましては、現在いろいろの問題がございますが、私どもといたしましては、やはり日本エネルギー海外依存率の非常に高いことから、あらゆる事態に備えて備蓄達成しなければならない、日本経済が安定的に発展し、また国民生活に緊急事態の起こったときに、破滅的な影響を及ぼすことのないように備蓄を進めたい。それにつきまして、地元の方々に十分御納得をいただきまして、この備蓄基地を建設いたしたいということで努力いたしたいと思っております。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 基本的な問題は別に譲りまして、今度はいまの石油の問題原油の問題に入りましょう。  原油の問題、備蓄の問題は別にいたしまして、昭和四十二年に石油開発公団ができますときにも、私ちょうど商工委員で、本会議でも委員会でも質問してまいりました。で、石油開発公団が発足するときの一つの大きな前提条件は、昭和五十年度ぐらいでは三割ぐらいの原油日本開発したいということで発足しておる。その後一向に自主開発というものができない。もちろん、ボーリングして当たらなきゃなりませんから、たいへんな問題だとは思いまするが、やり方が中途はんぱで原油開発までは手が届かない。言うならば、もう中途はんぱだもんですから捨て金が多いということではないか。国内外の原油開発の実態については一体どうか、これから一体どうしようとするのか、見解を聞きます。
  10. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) いままでやってまいりました石油開発のほうがどういうふうになってきたかということ、それからいま御指摘のように、今後どうやっていくかということについてお答え申し上げたいと思います。  この石油開発につきましては、昭和三十三年にアラビア石油が発足いたしまして、アラビア石油は探鉱に成功し、開発をしたわけでございますが、その後多くの開発企業が設立されたわけでございまして、現在約五十社ございます。そのうち開発に成功しておりますのはアラビア石油あるいはアブダビ石油、インドネシア石油資源開発等々がございますが、現在の現況は、昭和四十八年度で申しますと、いわゆる自主開発原油輸入量というのが大体二千四百五十六万キロリットルということでございまして、昨年の全原油輸入量の八・五%ということになっております。したがいまして、先生指摘のとおり、われわれが希望し、かつ、予定しておりました三〇%というのにはなかなかまだ達していないというのが、残念ながら現状でございます。  そういうふうな現状でございまして、この開発企業を援助するという意味において、お話がございましたように、四十二年に石油開発公団を設立いたしまして、探鉱資金の投融資、あるいは開発資金の債務保証ということによって、積極的な促進というものをはかってまいったわけでございます。四十二年から四十八年までの間に、公団が探鉱の投融資に出しました金が大体八百八十億ぐらいでございます。今後この投融資については、いま飛躍的に拡大させたいということで考えておりまして、四十九年は大体八百億の予算規模がついております。今後飛躍的に増大させたいということで、また来年の予算も考えております。  それから、国内における石油開発につきましては、昭和二十九年から五カ年計画を積み重ねてまいりまして国内開発促進しておるわけでございまして、現在は第四次の五カ年計画ということで、昭和四十五年から四十九年というものをやっておる段階でございます。この結果、陸域におきましては石油換算で千四百万キロリットルの可採埋蔵量を発見したということでございます。現在の生産は、八十二万キロリットルの石油と大体二十六億立米の天然ガスというもの、これは石油換算では三百四十二万キロリットルでございますが、を生産をしております。量としては、非常に全体の原油の消費量からいえば微々たるものでございますが、やはり国内にこういうものがあるということには、相当な意味があるというふうに考えております。  なお、海域いわゆる大陸だな地域でございますが、これに対しては、新潟県の阿賀野沖で大体石油換算で八百三十万キロリットル程度の埋蔵量があるだろうという石油ガス田を発見いたしまして、昭和五十年の十二月には本格的な生産開始の予定で進めております。また、常磐沖におきましても有望な油ガス田を発見して、これはまだ開発をどう進めるかという調査中でございますが、こういうふうな形でやっております。こういうふうな事業に対しまして、国といたしましては基礎調査のほうを分担してやっております。そうして、こういう資源の埋蔵の可能性を国として把握いたしまして、そして、それに企業が積極的に企業の探鉱を進め、開発を進めるという誘因をつくっておるわけでございます。これに対しまして陸域については、企業の探鉱については探鉱の補助金、海域の探鉱については石油開発公団の投融資、開発に移行しましたプロジェクトにつきましては開銀による融資というふうなことをやっておるわけでございます。  以上のような現状でございますが、御指摘のとおり、まだまだわれわれとしては十分なものとは考えておりません。  それで、先ほど長官も申しましたが、総合エネルギー調査会の石油部会の結論も、今後開発というものを飛躍的に進めていくべきであるという結論でございます。ただ、世界情勢は、産油国石油利権に対する要請が非常に強くございますので、従来のような安易な態度でなかなか開発が進められない。相当何といいますか、自分の負担も覚悟しながら開発を進めていくというふうな情勢になってまいりますので、今後は、さらに一そう国の援助なり、国自身の開発に対する乗り出しというものを大きくしていかなければならないというふうに考えております。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 いまの最後におっしゃったところ、これから国が乗り出し、開発していかなければならぬとおっしゃった点を聞きたいわけです。石油開発公団の資本金は、四十九年一月末で一千三十四億五千万ですね。四十二年に発足したとき四十億政府出資で、あと石油資源開発から百二十八億、百七十億くらいで出発して、四十八年末で累計一千五十億使っているわけです。これであと民間が動いていますから、一体何のために石油開発公団があるのかという疑問があるわけです。発足のとき、あとでちょっとこれ読みますけれども問題点を本会議でも私、代表質問しています。ちょうど発足のときに私が問題点として指摘いたしました。党の方針を私が代表して質問しているのですけれども、その問題がそのままいま残っているわけです。これだけのばく大な国の費用を使いながら、もうここ二、三年のうちには約三割ぐらいが事業を開発するということで発足した公団が、ほとんどその意味をなしていない。だから、思い切ってこの際やらなければ、国内の開発も国外の開発も民間ベースではできぬのじゃないかという危惧があるわけです。  さっきの長官説明によりましても、これから消費国グループ産油国グループで対決しながら石油の産出は、石油輸入確保したいとおっしゃっておるが、その苦労をもっと実質的にこういう国内の力に結集していかなければならぬのじゃないか。しかも、聞くところによると技術陣も足らぬといわれている。いままで六年間、一体何しておったのか。技術屋の養成ぐらいは政府がやるべきじゃないか。この公団の総裁とか副総裁とかという名前も、一ぺん検討していただかなければならぬことでしょう。もっと実質的に拾て身でやるような、そんなことでやっていかなければ、金を集めておいて、これを民間に貸しておいて模様を見るぐらいのものでは何ともならぬのじゃないかと思うのです。石油危機の問題は、四十二年の中近東の動乱のときからすでにもう起こっているわけです。昨年末の石油危機産油国がもうけるためにやったのだけれども、いままた中近東動乱がないとは言い切れぬでしょう。したがって、さっき最後におっしゃいました、政府がもっと乗り出していくべきだと、このことに対して一体どういう構想があるのか、お聞きしておきたい。
  12. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 先生も十分御存知のことでございますが、繰り返しになって恐縮でございますが、石油開発公団を設立した当時は、民間のいわば石油開発に対するバイタリティーを活用しながら、公団がこれを支援するということが一番適切であろうということで発足いたしまして、石油開発公団は民間の活動に対して、先ほど申しました投融資をする、あるいは債務保証をするというような形にとどまっておったわけでございます。このような考え方をさらに強化するということをどうやっていったらいいかということが現在の問題になっておりますが、先ほど申しました総合エネルギー調査会の石油部会においても、基本ラインとしては、やはりそういうラインを持っていくべきであるというふうな答申が出ております。  しかしながら、先ほども申しましたように、石油開発をめぐる国際情勢というのが非常にむずかしい形になっておりますし、しかも、そういう利権取得等々については非常にタイミングが重要でございますので、その交渉に時をむだに費やしておる間にチャンスを逸するというようなこともございます。しかも最近の民間の活躍というものも、やはりいろんな状態からすぐに進出がむずかしいというような事態も出ております。したがいまして、必要な時期に、必要な契機をとらえて、産油国と交渉をして利権をとるというふうなことを機動的にやるためには、やはり石油開発公団自身が乗り出すという必要があるのではないかということを考えておりますし、石油開発公団も、四十二年発足以来、相当経験を積みましたので、海外におきましても、公団というものに対する知名度、あるいは交渉に対する信頼度というものも高まってまいりましたので、そういう音一味からいっても、直接の利権取得というものが可能なようにいたしたいというように考えております。  ただ、利権を取得いたしまして、将来開発をどんどん進める、具体的な営業活動に入りますと、これはやはりそれぞれの企業が責任を持ってやっていくという体制のほうが望ましいというふうに考えておりますので、当初利権を取得いたしまして、民間企業がそれをやるようになるまで持っておる、そうして民間企業につないでいくというふうな形にやってみたらどうだろうかということを考えておりまして、昭和五十年度の予算要求に、そういう民間企業へのつなぎを前提とする、利権取得というものに対する要求をしておるわけでございます。ただ、これは当面の要求でございまして、将来の問題につきましては、世界情勢を見ながら、さらに国が積極的に乗り出せるようなことも考えてみたいというふうに検討をしておる状況でございます。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 備蓄公団の設立についてまた考えてあるようでありますが、公団の性格自体ももう少し検討しなければならぬと思っております。いまの石油開発公団の問題は、これからの日本石油開発の基本的な問題として、予算委員会でうんと論議しますから、庁内でも十分ひとつ将来の構想について練っておいてもらいたいと思う。  長官に質問いたしますけれども、さっき長官は、原子力エネルギーについても発言されましたけれども、現在の原子力の研究体制については科学技術庁が主管庁のようでありますが、エネルギー全般、総合エネルギーを所管している長官として、何も不便を感じぬのですか、その点だけ聞いておきたい。
  14. 増田実

    説明員増田実君) 総合的なエネルギー体制の中におきます原子力推進ということでございますが、この原子力の行政につきましては、私どものほうは産業化されました原子力を所管しているということで、主として原子力発電を中心といたしまして行政を行なっておるわけでございます。これと別に、科学技術庁は原子力に関します研究を担当いたしておるということでございますし、また、原子力委員会では、原子力の規制の問題も担当いたしておるということで、行政的には、一応私どものほうと科学技術庁との間の連携によって原子力行政を担当いたしているということでございます。  ただいま小柳先生からの御指摘がありました、不便があるかということでございますが、私どもといたしましては、科学技術庁と十分な連絡を取り合いながら進めておるわけでございます。全く問題はないかということでありますと、いろいろ細部にわたりましては問題はないわけではございませんが、しかし、大局的に申しますと、科学技術庁と私どもとの間で十分緊密な連携をとりながら原子力産業の推進をいたしておるということで、お答え申し上げるのは、ほとんどまあ問題はないということでございます。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 原子力の問題はまだ研究問題がたくさんあるから、科技庁のほうが主管になっておると思うのですけれども、ほんとうなら、エネルギー庁がぴしっと持っていなければ総合エネルギー対策なんて立たぬでしょう、そういうものは役所の皆さんが一番詳しいのだから。だから、もちろん連携とっておられると思います。思いますが、片や通産省のエネルギー庁でしょう、片や総理府の科学技術庁でしょう。完全な連携といったって、同じ省内にあったほうがいいことはわかっている。そのほうがベターですね。だからそういうものも、これはやっぱりまだ日本原子力エネルギーに対する過渡期の一つの産物でありましょうから、基本的な問題としてまた論議いたしましょうが、原子力局長に質問をいたします。  総合エネルギーの中で、昭和六十年度では約六千万キロワットを原子力でまかなうような構想だが、現在のように廃棄物処理の問題原子力発電所の温排水の問題、最近の「むつ」で見られるような安全審査体制の問題など、国民は非常に不安に思っている。ところが、もう原子力発電は実際動いている。この原子力発電は動いておるにもかかわらず、原子力に対する国民の不安、不信、こういうものをどういうふうに払拭して納得させようとされるのか。なお、この原子力エネルギーの研究体制なり開発体制について一体どうか、まず、ひとつ総括的に説明を願います。
  16. 生田豊朗

    説明員(生田豊朗君) ただいま先生の御指摘の点でございますけれども、特に今般、たいへん御心配、御迷惑をおかけいたしました原子力船「むつ」の問題が端緒となりまして、私も現地に約三週間おりまして、その折衝の一担をになわせていただいたわけでございますけれども先生指摘のような問題が非常に浮き彫りにされてまいりまして、これから代替エネルギーのいわば本命でございます原子力を、さらにその利用を拡大、発展させてまいります上に、やはり国民の理解と協力をいかにして得るかというところに、従来よりもさらに力を尽くしていかなければならないという点を痛感したわけでございます。  具体的に申し上げますと、従来、私どももできるだけ努力はしてまいったつもりではございましたけれども、ともすれば、われわれの考えていたことを押しつけるような傾向がなかったかといいますと、その点、私どももいろいろ反省する点があったと考えております。もう少し、その地域の住民だけに限りませんで、国民全般がこの原子力の必要性、エネルギーとしての必要性だけではございませんで、その安全性につきましてもその理解を十分できるような、理解できなければそのまま走ってしまうということではなくて、理解と協力が十分得られるようなしんぼう強い説明、あるいはPRと申しますか、そういうものを積み重ねてまいることが必要であると考えております。多少時間はかかるかもしれませんけれども、いわば急がば回れという感じでございまして、その点に十分時間をかけることが、結局は原子力平和利用の拡大、安定につながる非常に重要な点であろうということを痛感した次第でございます。  それから、研究開発の問題でございますけれども、現在、原子力発電の主力となっております軽水炉につきましては、これは米国の技術を導入しましてつくったものが大部分でございます。一方、その原子力、特に原子炉の技術開発は、世界各国がかなり急テンポで進展しておりまして、わが国もそのテンポにおくれないように、国内技術、国産技術の開発を進めることが非常に重要でございます。  原子力基本法の三原則は、先生御承知のように、自主、民主、公開ということでございまして、その民主と公開の原則につきましては、いろいろ御論議もあり、御指摘もいただいているわけでございますが、その自主という原則があるわけでございまして、特に原子力のようないわば複雑なシステム産業のような技術につきましては、技術導入をする部分がございましても、それに対応するような国産技術の蓄積がないと技術導入が十分生かされない。特に安全性の問題についてもその点が問題かと思いますので、今後とも国産技術の開発には十分力を尽くしてまいりたいというように考えております。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 けさの新聞でも、原子炉の亀裂の問題など発生してきておるようですが、たとえば国鉄の新幹線が亀裂などあって、半日休んで点検するようなことも考えたようですが、いま運転中の原子力発電所も、運転を休止して点検するぐらいのことを考えておりますか。
  18. 生田豊朗

    説明員(生田豊朗君) ただいま御指摘の問題につきましては、米国で沸騰水型の原子炉の溶接部分にひびが入るという問題が発見されましたので、それと同じ型式のわが国の原子炉につきましては総点検を行ないまして、昨日、新聞に発表しまして、ただいま先生おっしゃいましたような二つの原子炉につきまして多少問題がございますので、これはアメリカで発見されたものより、はるかに軽微なものではございますけれども、運転を停止いたしまして、さっそく修理に当たらせる。ほかのものにつきましては問題がないので、運転を再開あるいは再開を準備しているという段階でございます。  安全に十分努力することは当然でございますけれども、現在のところ、すべての発電用の原子炉を停止いたしまして総点検しなければいけないというほどのことは考えておりません。しかし、今回とりました措置のように、何か問題がありました場合は、それをそのまま見のがすことのないように、今回と同じような措置をとりまして、総点検を随時行なっていくという体制で進んでまいりたいと考えております。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 もう一問。昭和六十年度では、約一一%ぐらいのエネルギー原子力で持とうという構想のようですが、いまのような情勢で一体やれるのかどうか、それが一つ。  それから動力炉事業団など、せっかく公団ができておるが、フル運転しているのかどうかという問題があるんですが、いかがですか。
  20. 生田豊朗

    説明員(生田豊朗君) 第一の御指摘の点でございますが、昭和六十年度に六千万キロワットの原子力発電が実現いたしますと、その場合、一次エネルギーの約一〇%に相当するということでございまして、この目標達成すべく、通産省と協力いたしまして努力しているところでございます。ただ、安全性の問題、あるいは核燃料サイクル全般の問題につきましていろいろむずかしい点がございます。現在のまま手をこまねいていれば、その六千万キロワットが実現するというようには安易に考えておりません。いろいろ問題が出てまいっておりますので、その点を通産省あるいは関係の企業とも協力いたしまして問題の解決に当たってまいりませんと、六千万キロワットは決して簡単に達成できる目標ではないというように考えております。  それから第二の、動燃事業団でございますが、これは先生十分御承知のことと思いますが、現在三つのおもな事業をやっております。一つは再処理工場の建設でございます。それから第二は新型動力炉の開発でございまして、第三はウラン濃縮でございます。この三つを大きな柱として動燃事業団は進めております。  まず第一の再処理工場につきましては、東海村に建設中でございまして、当初の計画よりも若干おくれておりますが、明年には運転に入るという目標で現在進めております。それから新型炉につきましては、高速増殖炉、それから新型転換炉と二つの炉の建設を進めておりまして、これも当初の計画よりも若干おくれておりますが、高速増殖炉につきましては、実験炉が明年臨界に達する予定でございますし、新型転換炉につきましても、これは原型炉の建設を進めておりまして、やはり近く運転に入れるという見通しでございます。ウラン濃縮のほうは、遠心分離法によるウラン濃縮の技術を、これはやはり純国産で開発いたしまして進めております。現在パイロットプラントの段階でございますが、残念ながら、欧米において進められておりますウラン濃縮の技術とはかなりの格差がございます。しかし、この点も濃縮ウランの確保というのがやはり原子力発電のためには一つの重要なポイントでございますし、なるべく濃縮ウランの供給源を多角化してまいりたいというように考えておりますので、引き続きまして、やはり国産技術による濃縮工場の建設ができますように技術開発を進めてまいりたい、かように考えております。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 石油開発公団と同じような質問になりますけれども政府みずからが原子力エネルギー開発なりあるいは実用化に乗り出していく、公団が金を貸して民間にまかせるというようなことでなくて、みずから原子力開発に乗り出し、かつ、国民に納得させなきゃいかぬですね。現在のところでは、十年ぐらいは原子力エネルギー日本の総合エネルギーとして実用化することについては不安であるといわれている。その不安がなくなって、一〇%は原子力エネルギーですと、ぱっと経済計画に入れるような体制をとらなきゃならぬと思うが、その体制についてはどうですか。
  22. 生田豊朗

    説明員(生田豊朗君) 御質問の点でございますけれども国民が納得できるような体制ということでございましょうか、その点が私どもは非常に重要な点だと考えております。特に、今回のむつの問題につきましても、たとえばPRをこのくらいやった、その後パンフレットを何冊つくったとか、何種類つくったとか、講演会を何回やったとか、そういうたとえばパンフレットの量であるとか、講演会の回数であるとかいうことが、国民あるいは地元の漁民を納得させるものではないのだということをいろいろ感じたわけでございます。やはり国民の全般が何と申しますか、ほんとうに原子力の代替エネルギーとしての必要性を理解し、それから安全性につきましても、これはよくわからないけれども政府がやるんだということではなくて、国民に十分心の底から納得していただくような粘り強い努力の積み重ねが必要であると考えておりますので、今回の問題の教訓をよく踏まえまして、そのような体制を早くつくってまいりたいということでございます。  田中総理の御指示もございまして、原子力行政の全般につきましての基本的な考え方、あるいは行政組織についても、有識者の方にいろいろ御検討いただこうということで、そういう体制を、一つ組織をつくることも政府の中で検討されておりまして、昨日も各省事務ベースで大体の打ち合わせをした次第でございますので、今後、先生指摘のような方向で努力してまいりたいと考えております。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 もう一問。これは私見でもいいんですけれども原子力局というのが科学技術庁にあるから、研究開発というのが先入観で国民の頭の中に入る。これが通産省に入っちゃって、エネルギーとして、どうしてももう総合エネルギーとして原子力エネルギーは重要部分であるという体制をとれば、国民の協力体制なり、納得体制なり、学者動員なり、あるいは金を使う面なり、そのほうがベターではないかと思うが、局長の見解はいかがですか。
  24. 生田豊朗

    説明員(生田豊朗君) その点たいへんむずかしい問題でございまして、先ほど資源エネルギー庁長官がお答えになりましたように、私どもと通産省、資源エネルギー庁とは密接な連絡をとっておりまして、この通産省所管の原子力発電を中心にいたします問題につきましては、現在までのところ特にそういう、つまり、行政が二元化しておるために特段の問題が出たということはございません。ただ、先生の御指摘のような問題もございますし、現在まで問題がなくても、二元行政ではないかというような御指摘も各方面からいただいております。  研究開発についても、その研究開発の段階によりましていろいろの問題がございますので、今後原子力の行政組織をどうするかということは、先ほど申し上げましたような内閣での集まりと申しますか、会合を通じまして基本的に洗い直されていくものだと理解しております。その結果を見まして、これは必ずしも原子力は通産省だけではございませんで、原子力船ということになりますと運輸省ということにもなっておりますし、各省にまたがる問題でもございますので、その点関係各省と十分御相談いたしまして慎重に対応してまいりたいと、かように考えております。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 最後は、石炭特別会計の財源確保の問題でございますが、現行の原・重油関税率を維持して、産炭地域における諸施策に要する財源の確保をはかってもらいたいという陳情が、産炭地域自治体から出ております。問題のある関税でございますが、現在の産炭地域振興なり、あるいは産炭地の鉱害復旧なり、たいへんな問題がありますから、現行を延長してもらいたいというのが陳情の趣旨でありますが、この点に対する通産省と大蔵省の見解を聞きたいと思います。
  26. 増田実

    説明員増田実君) 原・重油関税率につきましては、現在、関税率審議会におきまして検討が行なわれておりますが、私どもは、五十年度の予算につきましては現行原・重油関税率、つまり、キロリッター当たり六百四十円を前提にいたしまして、石炭対策費につきましても千二百五十五億円の予算要求を行なっております。いずれにいたしましても、第五次石炭政策推進するために政府としての必要な財源確保措置を講じていきたい、こういうふうに思っております。
  27. 松尾直良

    説明員(松尾直良君) 原・重油関税、先生御承知のように、来年の三月三十一日までの暫定税率ということで、原油につきましてはキロリットル当たり六百四十円という暫定増税、基本税率より高い税率を張っておるわけでございます。で、昭和五十年度以降におきましてこの関税率をいかにするかということは、昨年、関税率審議会からも、一年間総合エネルギー対策あり方等を含めて十分に検討せよという答申をいただきまして、関税率審議会におきまして、来年度の関税改正の諮問が先般大蔵大臣からなされました。この重要項目の一つとして、最近その検討が始められた段階でございます。で、原・重油関税のあり方につきましては、この国際石油情勢あるいは石炭対策石油対策あり方、その財源をいかにするかというような問題を含めまして慎重に検討中であるというのが現在の段階でございまして、私どもといたしましては、できるだけ早期に結論を得たいと思っておりますが、関税率審議会の審議もございますので、目下鋭意部内におきましても種々の観点から検討を進めておる、かような段階でございます。
  28. 小柳勇

    小柳勇君 まあ、理屈はたいへんいろいろありましょうから、審議会で十分審議していただくんですが、願わくば地方自治体の苦境も御賢察あって、善処してもらいたいと思います。  以上で質問を終わります。
  29. 対馬孝且

    対馬孝且君 北瓦斯問題と朝日炭砿の件に関しましてお伺いいたしますが、簡潔にお答えを願いたいと思います。  まず最初に、北海道瓦斯熱量変更に伴うガス中毒事故について通産省の考え方をお伺いをしたいと、こう考えます。  北瓦斯の供給ガス熱量アップのために、札幌市内で瞬間湯わかし器などの不完全燃焼で一酸化炭素が発生をいたしまして、十月の十六日より十月の二十二日までの七日間に七件の中毒事故が発生し、七名の死亡者を出し、四名の中毒患者を出すに至りました。まことに痛ましい事故が発生をいたしておるのであります。しかも、現在ガスを使用いたしております十五万世帯の札幌市民は、不安と恐怖の中におののかされております。  私はまず、本件の事故がきわめて重大であるということはもちろんでありますが、人命無視であり、社会問題であるという立場に立ちまして、単に私企業ではございません。明らかに公益事業であるという観点に立ちますならば、当然通産省としてこの事故に対してどのように受けとめているかという基本的な態度についてまずお伺いをしたい、こう考えます。
  30. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 先生指摘のように、十六日から二十一日までの間に六件の中毒事故がございまして、七名の死亡者が発生したわけでございまして、われわれといたしましてはまことに遺憾であり、残念であるというふうに思っているわけでございます。この熱量変更につきましては、最近、導管の布設あるいはガスホールダー等の布設がだんだん困難になってまいりまして、一方で需要が増加しておりますために、全国各地で熱量の変更が行なわれる傾向になってまいっておるわけでございます。幸いにして従来は事故がなかったわけでございますけれども、今回、不幸にも先ほどのような事故が起きたわけでございます。  それで、実情につきましては、現在われわれとしてもまだ十分な実態をつかむ段階に至っておりませんので、係官を現在現地に派遣いたしまして、実情の聴取等に当たらしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、まことに遺憾な事態でございますので、今後、今回の教訓を肝に銘じまして、監督体制の強化につきまして検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  31. 対馬孝且

    対馬孝且君 私は、今回の事件発生に伴いまして二つの問題点があるということを指摘をしなければなりません。それは、北瓦斯に七月の十六日に札幌通産局が認可をいたしているわけであります。つまり、八月の一日から十月の十五日までに調整作業の期間を設定いたしました。この中で私は問題点は、一つは、この調整作業を行なうために正社員を使うのではなくて、いわゆる関連業者のサービス関係の従業員を動員をしたり、しかもはっきりしましたことは、学生アルバイト二百二十人を使ってこの調整作業に当たらしているということが問題の第一点であります。  それから第二点目は、労働組合が労使協議会におきまして再三にわたって、八月一日から十月十五日までの間における調整作業の中で、この作業期間中は無理がある、むしろそういう意味では東京瓦斯なりその他の関係方面に協力を願って、いわゆる専門家の動員を願わない限り、かなり危険性が伴うのではないかということを、労使協議会で指摘をいたしております。特にアルバイトを使うに至ってはきわめて問題がある、こういう点について労使協議会、あるいは団体交渉を通じまして会社側に対して三たび指摘をされておるわけであります。ところが、会社側はこれに対しまして、一向に労使協議会の意見を取り入れるとか、あるいは実際に作業に携わっている作業員の意思反映というものについては全然無視をされている。この二つがやっぱり起こるべくして起きた今回の重大な事件につながっている、こう私は指摘をしなければなりません。  したがいまして、この問題は簡単に申し上げますならば、まさに目的達成のためには手段を選ばずというような北瓦斯の経営者の独善性、こういった態度、それが如実にあらわれましたのは、先ほど申しましたように、ただ人を寄せ集め、作業集団さえつくればよろしいと、こういうやり方ですね。こういう問題の結果ということに対しまして、私は当然、主務官庁として、しかも公益事業である北瓦斯に対して出先の通産局としてどういう保安上の指導を与え、そうしてこの責任についてどう感じているのか、この点は基本的な問題でございますから、長官にひとつ基本的な態度として私はお伺いをしたい、こう考えます。
  32. 増田実

    説明員増田実君) 現在、この事故の発生につきましては、司直の手によりましても原因究明中でありますし、また、通産局もこの原因を調査し、本省からも係官を派遣しておる次第でございます。ただ、ただいま対馬先生から御指摘ありましたように、アルバイトの使用が非常に多かった、また、そのアルバイトに対します教育がどうであったか、また、そのアルバイトに対する監督がどういうふうであったか、これらの問題につきまして私ども十分調査をいたしたいと思っております。いずれにいたしましても、カロリー変更いたしますときには、これは十分な注意をもって行なわなければなりませんし、これによりまして人命事故が起きたということにつきましては、私ども通産省といたしましても、その監督につき十分反省しておりますし、また、今後こういう事故が再び起こらないように万全の措置を講じたい、こういうふうに思っております。
  33. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま長官からきわめて遺憾であり、十分に反省をして今後対処をいたしてまいりたいということですから、そんなように受けとめたいと私は考えます。  きょうは時間もありませんから、具体的な事例をもって答えを求めようとは思いません。したがいまして、私はただ一つここではっきりしてもらわなければならない点がございますのは、いま長官も申されましたように、現地では不安がいまなお解消しておりません。それは、現実に調整作業が行なわれた二十日現在で一人中毒患者ができ上がっておるわけであります。ただ、もう市民は北瓦斯を信頼しておりませんよ、はっきり申し上げて。調整作業は終わりました、だいじょうぶでございますと言ったとたんに、二十日の午後八時にまた再び湯わかし器によって起きているわけです。私はこの点についてやっぱり問題点は、当面直ちに通産行政としてやることは、まず総点検をすみやかに指示をすべきじゃないか。それから、大量にいま不安が出てきておりますから、一日も早く十五万世帯に対して調整作業のチェックをきちっと制度としてやる、同時に完了させる、こういう行政指導をまず進めてもらいたい、これが第一点であります。  それから第三点目は、具体的な問題として、きわめて今回の問題は北瓦斯の経営者の独善性にあるということは、私はさっき強調したとおりであります。北海道では、北電の次は北海道瓦斯、これはもう北海道ではかってない横暴をきわめ、独占企業として行なってきたということは事実であります。また、これに対して通産当局も、北電であれば、北瓦斯であればということでかなり柔軟な姿勢で対処したことも事実であります。私は前の通産局長指摘した例がございます。したがいまして、今回の問題については、私はこれは小委員長のほうで取り扱っていただきたいと思うんでありますが、国政レベルの段階でも、これだけの七名の犠牲者を出すに至った今時点を判断をした場合に、調査団を派遣をしてすみやかに現地住民の不安にこたえる必要がある。また、国政レベルでもこの問題発生に至った原因の明確化を明らかにして、市民の不安を解消する、こういう点について、一任をいたしますので、ひとつ小委員長のほうで取り扱っていただきたい。そうして、すみやかに国政レベルの調査団を派遣をしていただきたい。同時に、先ほど言った点について長官からもう一度今後の具体策、当面対策についてお答えをいただきたいと考えます。
  34. 増田実

    説明員増田実君) ただいま対馬先生から、この事故後、非常に市民の不安が生じておる、これは放置できない状況にある、直ちに総点検を行なうべきだという御指摘がありました。現在、総点検を行ないまして、二十八日までに全部終了するという予定になっております。また、東京瓦斯からも飛行機で八十人及び翌日八十人と、合計百六十人のこういう調整作業いたしました技術者を派遣いたしまして、総点検を行なわせるようにいたしておるわけでございます。また、北海道瓦斯に対する通産省の監督の規制というものについて御指摘ありましたが、私どもといたしましては、大企業、小企業によりまして、それに対する公益事業の監督につきまして差を設けていたことはございません。厳格な態度をもちましてこの公益事業に対する監督を行なっております。また、今後も行なう所存でございます。  それから、ただいまの事故の原因究明、事故の実態調査のために本委員会の諸先生方が調査されるということにつきましては、私どもも国政調査としておいでになる場合には、できるだけの準備その他をいたしたいと思いますが、この件につきましては、委員長とも十分御相談いたして取り計らしていただきたいと思っております。
  35. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) 私に対します対馬君の要望につきましては、あとで各委員の御意見も承りますが、商工委員長と十分協議の上、実現するために努力いたしたいと思います。
  36. 対馬孝且

    対馬孝且君 以上をもちまして、北海道瓦斯の問題につきましてはきょうの段階では終わりたいと思います。  それでは次に、朝日炭砿の問題につきまして簡単にお伺いをいたします。  高木石炭部長を中心にいたしまして、朝日炭砿の今日までの諸対策につきまして努力を払わられておりますことにつきましては敬意を表します。そこで問題は、閉山提案以来約五カ月にわたっているわけであります。すでに北海道では十一月ということになりますと、もうすでに雪がちらちら散らついて、人心も動揺する、こういうふうになっております。したがって、やっぱりこの朝日炭砿のすべての問題は十月末に決着すべきではないか、またしなければならない。このまま推移いたしますと、かなり人心が動揺して、これを野放しにすると暴動が起きかねないという事態に至らしめるのではないか、私はそういうふうに感じてきました。実は私も現地へ行きまして、現地の組合員と接触もいたしまして、家族とも会いましたが、非常にいら立ちの高まりを見せております。そこで、炭労は明日ストライキを行なうという態勢にあるわけであります。したがいまして、明日のストライキを目の前にしてのきょうですから、私は、次の点だけ基本的な考え方を含めてぜひ対処してもらいたいということを、二点ひとつお伺いをしたいと考えます。  第一の問題は、いま言ったように十月末をもって、まああすストライキですから、いずれは今晩からあすにかけて北海道の段階でも知事との間にかなりの大量動員がなされ、あるいは対道交渉なども持たれております。現地の岩見沢市長も相当心配をされて上京していると聞いております。したがいまして、一つは、朝日炭砿の八月三十一日協定後の問題点としては、新鉱の問題がございます。十月十四日に至って、朝日炭砿の野村宗一郎会長、伊藤社長を中心にいたしまして新鉱開発は断念をしたいという通告に組合側は接しました。そこで組合側としましては、会社の態度は明らかに八月三十一日の労使了解事項に違反をしたものであることは当然であります。同時に私は、通産当局としましても政府案として認可をした限り、新鉱開発はこれをやめるというような態度を経営者がとられるとするならば、これはやっぱり通産行政としてもこの経営者の態度を認めるということはできないのではないか。これは当然のことだと私は思うのであります。  したがいまして、いま何といっても北海道の炭鉱労働者が見守っておりますのは、朝日炭砿の解決が一体どうなるのだということに非常に関心を持っております。これはひとり朝日炭砿だけじゃございません。北海道の産炭地に携わる者、そうして炭鉱労働者はもちろん真剣に考えております。それは先ほど来増田長官が、石炭政策を見直してまいりたいという決意を申しておりますけれども朝日炭砿ぐらいの炭鉱が見直されて救うことができなくて、何で石炭対策が見直すことができるのか。これが素朴なやはり炭鉱労働者の感情であり、また、北海道の道民の感情であります。したがいまして私は、第一点としましては、八月三十一日了解事項に基づく新鉱開発計画につきまして、通産行政としてぜひ協定の精神を順守してこれを貫いてもらいたい。これをひとつ経営者側に対しまして再度指導行政を発揮をしてもらいたいということが第一点であります。  第二点の問題は、閉山退職後の諸条件の問題であります。この点につきましては、すでに高木石炭部長も努力をされておりますので、私も了としておるわけでありますが、答えはいまなお上期の期末手当をもらっていないのであります。これは、会社の提案は五万円、組合は二十万円、こういうことですから、結果的には上期の期末手当しか払われていないということについて、非常に組合はいきり立っております。しかも、会社側の労務政策の手段として、係長以上は支払いをして、係長以下の一般の組合員には期末手当が払われていない、こういう差別待遇をしたようなやり方に対しては、やはり私は非常に野村政策というものに対しては憤りを感じております。こういう意味では、びた一文こういう者には金をやりたくない、国の金を使わせたくないという気持ちは私はありますけれども、しかし、泣くのはしょせん労働者が泣かなければならないわけであります。  そういう意味で私は、閉山後の退職の条件として、まず第一には上期、下期の期末手当の支払い、それから退職金の諸協定に基づく支払い、もちろん、特別加給金というものはいままでの炭鉱閉山に伴う一つの慣例としてもあるわけですから、これはひとつ払ってやらなければならない。それに予告手当、こういった財源が、実は現実の問題として野村宗一郎は、この問題結着にあたって解決をしようとする腹はないわけであります。これは政府としても迷惑なことなんですけれども、しかし、そう言ったからといったって、先ほど申しましたように、冬空を控えて泣かなければならないのはしょせん働く労働者である、こうなれば、私らもやっぱり道民、国民の一人として生活権を守ってやらなければならない、こういうことになるわけであります。したがいまして、国だけでこの責任を負えとは決して私は申し上げませんけれども、この際、通産大臣が行政指導のひとつ能力を出していただいて、石炭部長の段階でも努力していただいて、国、会社、北海道庁、それから地元の岩見沢市、こういう四者が何らかの財源をお互いに出し合って、そうしていま朝日炭砿のこの寒空を控えての労働者の要望にこたえていただけないか、こたえてもらいたい、こういうのが私の第二の質問でございます。  したがいまして、率直に申し上げて、もうほんとうに暴動一歩手前という感じもいたしましたし、阿具根委員長も現地に行っておりますけれども、時間の問題が迫っておりますので、あすのストライキを迎えてきょうでございますから、ともあれ十月——今月末にはこの問題の一切の解決を見たい、こういう段階を迎えておりますので、いま申し上げました二点の問題について、ひとつ石炭部長なり長官からお答えを願いたい、こう思っております。
  37. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) 先生指摘のとおり、朝日炭砿がこういう結果になっているわけでございますけれども政府といたしましては、朝日炭砿の自然条件の悪化、あるいは生産炭量の枯渇ということ等を予測いたしまして、地域経済、労働者等に及ぼす影響、また、国内炭の安定確保という点から、北炭の一部でございます鉱区の租鉱権をあっせんいたしまして、当朝日炭砿にかわる新鉱開発の道を開くべく努力してきたところは、ただいま先生からのお話しのとおりでございます。  御高承のとおり、労使間で期末手当、退職条件等の話し合いを数回にわたりやってきた次第でございますけれども、不幸にして、現在解決を見ていないというのが実態でございます。  なお、ただいま先生から御指摘のとおり、冬場を控えて、今月末までに解決ということは当然のことであろうと思います。私どもといたしましては、野村会長に対し、その新鉱の開発が不可能になったという話を今月の十一日に聞きましたので、そのとき、再度考え直してくれというようなこともいろいろ申し上げたつもりでございます。ただし、現時点におきましては、冬場、いわゆるもう雪が降っているような状態でございまして、十一月からの、あるいは十二月からの新鉱への着手というのは、時期的に少し無理な点が出てきたのではなかろうかという点で、残念に思っているような次第でございます。これも野村会長としましては、十月十日までに北海道電力と契約をかわし、電線の現場への導入を完成した上で新鉱へ着手したいということで、最後の決を下さざるを得ぬようになったというのが、現在のところの実態のようでございます。  なお、断念していただかないようにということでも要請しておりますし、ことしは無理にしましても、来年度、三月以降の雪解けに、再度そういう点も要請できるんではなかろうかと。なおその間、何かつなぎができるんじゃなかろうかというようなことで、きのう、おとといも野村会長のほうに連絡はしている次第でございます。できるだけ、引き続き新鉱というものを存続していきたいというふうに考えておりますので、先生方の御意思も承りましたので、もう一ぺん強く会長のほうには要請をしたいというふうに考えております。  なお、現在の退手あるいは期末手当等の問題でございますけれども、先ほど御指摘のとおり、会社側のほうからはいい回答は出ておりません。ただ、先ほど非組合員、組合員というような問題で、非組合員のほうに二十万円というのは、これはきのう確かめてみましたところ、組合員のほうには炭労さんが中心になりまして、いわゆる労働金庫から十二万プラス三万円、十五万円を貸し付けをしたということでございまして、それに対しまして非組合員のほうが、自分らには何らの金も用意してくれないのかといういろいろな問題がございまして、非組合員のほうに対しましては、貸し付けという形で二十万円を支出しているのは事実のようでございます。その点、いろいろ組合員、非組合員の間で問題はあろうかと思いますけれども現実はそういうようなことになっているようでございます。  なお、退手、期末手当の問題でございますけれども、ただいま通産大臣あるいは道、市長というようなこともお話が出たわけでございますけれども、市長もこの点心配されまして、先週あるいは今週も、現在上京しておられ、いろいろ仲介に立ち、何か自分としてできることがあるならば、市民の立場から仲をまとめたいというふうに努力をいただいているような状態でございます。なお、北海道のほうも、副知事のほうにきのう電話連絡いたしまして、不幸なことになった場合の、最後の、いわゆる期末手当あるいは退職手当というところにつきましても、ぜひ十分考慮していただきたいということは要請いたしております。  なお、通産といたしましては、現行の制度におきますいわゆる閉山交付金という制度がございまして、交付金のできるだけ限度一ぱい見るということで、すでにその点につきましては、合理化事業団とうちとの間で一部かさ上げの条項もつくっておりますし、これは労使の協定ができさえしますれば、そういうことで金額のほうは増額で出せるという状態をしいておるような状態でございます。  なお、一部そういう原資に充てるために、いわゆる安定補給金というのを、過去の生産に対しまして、トン六百円前後の金を出しているわけでございますけれども、これも当然労使の、組合のほうに回るべく努力いたしまして、実はこの山が、会社が、六月二十四日でございますけれども、返すべき金を返さなくて不渡りというような状態になっておりますので、普通の状態でいきますと、ここに金を出すわけにいかぬのでございますけれども、会計検査院その他等々ともいろいろ話をいたしまして、安定補給金の一部も出した、なお、七、八、九の生産に対しましても出すようにしたいというふうに考えております。通産としましてもできるだけ現行制度の内で出すように、できるだけ労働のほうに金が回るような原資をつくるということで努力しているような次第でございます。  なお、自治省のほうから閉山地区に対して、過去、特別交付金という金で出した例があるようでございますけれども、この金がはたして労働のほうに回るのか、あるいは疲弊した産炭地域の復興というほうに回るのか、その点、少し研究しなくちゃならぬ点がございますけれども、自治省のほうとも十分連絡をとりつつ、できるだけ労働者の方々に迷惑をかけぬような体制をしいていきた、こういうふうに考えております。
  38. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま高木石炭部長から、第一点の新鉱開発の問題に関しましては、再度ベストを尽くすということですから、了といたします。  それから、諸条件の問題についてお答えなかったわけでありますけれども、会社側に対して、やっぱり通産当局としても、本来なら会社が一番犠牲を負うべきですよね、しかし一向に、野村宗一郎はまさに社会的な経営責任を感じていないということに、腹立たしさを全く私ども感じます。しかしその点、まあ行政指導の立場でやってもらう以外にございませんので、労働組合としてはストライキ以外の最高のものはございませんし、したがって、いま言ったように、国、道、会社、岩見沢市を含めて組合側が提唱しておる財源確保のためにひとつベストを尽くしてもらいたい。お答えは要りません。要望を申し上げて、私の質問は終わります。
  39. 桑名義治

    桑名義治君 私は、石炭問題についてお伺いをしておきたいと思います。  御存じのように、石油が非常な値上がり、異常な値上がりを示したわけでございまして、石炭日本に残された新しい資源エネルギーとして見直しの段階に入っているわけでございますが、この日本全体のいまからのエネルギー対策に対する石炭の位置づけというものを、長期的にどのように見ているか、まず、長官から伺いたいと思います。
  40. 増田実

    説明員増田実君) ただいま御指摘のありました石炭鉱業につきまして、現在のエネルギー情勢に基づいてどのように見るか、その位置づけについて通産省はどのような見解を持つかという御質問でございますが、これにつきましては、去る十月一日に石炭鉱業審議会に対しまして、新総合エネルギー政策のもとにおける石炭政策はいかにあるべきかという諮問を、中曽根通産大臣より石炭鉱業審議会の会長であります稲山氏に対していたしたわけでございます。今後、来年までかけまして関係の方々と一緒に慎重に審議を進めまして、長期の石炭に関します見直し及びその位置づけということを行ないたいと思います。その具体的方向につきましては、現在審議中でございまして、その結果を待ってきめていきたい、こういうふうに思っております。
  41. 桑名義治

    桑名義治君 いま長官のお答えを要訳しますと、大体石炭鉱業審議会の答申を待って、その後に考えたいというようなお話でございますけれども、審議会は審議会としての考え方がありましょうし、通産省は通産省としての考え方もございましょうし、あるいは積算もございましょうし、そうやった立場から、現段階における位置づけを通産省としてはどういうふうに考えているかということをお尋ねしたわけでございまして、審議会の内容についての私の質問じゃございませんので、その点についてお答えを願いたいと思います。
  42. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) 現在の石炭政策は、五次策で遂行いたしまして、五十一年度までが対策期限となっておるような次第でございます。五十一年の生産量を二千二百五十万トンというようなことで、昨年の十二月七日の日に審議会の総合部会から答申いただきまして、その線に沿って現在進んでおるわけでございますけれども、実は今回のエネルギー危機、そういうものに遭遇いたしまして、石炭関係で五十一年度までしか見てなかったものを、もう少し長期的に展望を明示すべきであるというような要望もございまして、当然そういうふうに持っていくべきであるということで、実は、昨年から引き続きこの審議会で御審議いただきまして、本年度の七月二十二日に一応五十五年度、六十年度の見通しということで、二千万トン以上という国内炭の供給は可能であるというような審議結果をいただいております。  これは五十五年度あるいは六十年度の長期展望でございますけれども、当然それにつなぐ来年度対策あるいは当面対策といたしましては、いろいろな問題をかかえております。これに対しましては、来年度の予算要求におきまして、すでに必要な項目につきましては、現在予算要求をして、その予算の獲得をベースにいたしまして、問題の内容に山を持っていきたいというふうに考えておりますし、なお、先ほど長官からお話ございましたように、五十一年度以降の具体的な案につきましては、ただいま審議会のほうに諮問しておりますので、その具体策を持って必要な項目があれば改正もし、いろいろな予算措置も今後していきたいというふうに考えております。
  43. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、現段階における日本のいわゆる経済ベースに乗った埋蔵量というものが大体どのくらい見込まれているのか、なるべくならごく最近のデータでお願いしたいと思いますが。
  44. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) 全国的埋蔵量の炭量調査は、昭和三十一年に実施されまして、当時は、理論埋蔵炭量ということで二百億トンという数字が出ております。これは炭たけ三十センチ以上の炭で、ボーリングも、一応きめました規格によりまして、何平米に一本というような形で掘ったボーリングの結果の数量でございまして、この二百億トンがすべて掘れるというわけではございません。  それでその後、昨年度は、数年前、当時七千五百円のコストで掘れる炭は幾らかというのも一回試算しておりますけれども、現時点におきましては、エネルギーの高騰化ということで、石炭の価値も出てきたということをベースにいたしまして、現在の時点で一方五千円で掘れる炭は幾らあるかというのを試算したわけでございます。その結果は、現有鉱及び事業団が保有しております鉱区あるいは消滅鉱区、これは全部データが事業団のほうにございますので、事業団と——合理化事業団でございますけれども、合理化事業団と役所のほうで、これは一部は業界のほうにもお願いしておりますけれども、そういう資料をまとめました結果は、約一万五千円で掘れる炭は、現時点で十億トンという数字になっております。
  45. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、次にお尋ねをしておきたいことは、先ほど長官からのお話によれば、石油がこの三年間で約五倍に上がったというお話でございます。この一年間で約四倍に値上がりしているわけでございますが、まあそういうことで、まず、石炭がなくなったから石炭産業が斜陽になったということよりも、エネルギー革命による消滅である、こういうふうに考えたほうが私は適当ではなかろうかというふうに思っているわけでございます。まず、そのエネルギー革命というものが、石油のほうが石炭よりもより安いというところに、生産ベースから考え政策というものがこういう石炭産業を斜陽化したという大きな原因である、こういうふうに考えているわけでございますが、そういった立場から考えまして、現在石油値上がりしたこの時点と、それから現在の石炭との値段、いわゆるそれが使用された場合のコストにはね上がる、そのコストの比較というものはどういうふうになっているか、そこからもまた石炭対策というものを見直していかなければならない面もあると思いますので、そこをお尋ねしておきたいと思います。
  46. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) 石炭には原料炭と一般炭と両方ございますけれども、まず原料炭から申し上げますと、前の油の安い時代でございますけれども、この時期から国内原料炭は海外の原料炭、これは、大体国内の原料炭は豪州の弱粘に匹敵しておりますので、豪州炭の価格というものと比較いたしますと、国内炭のほうが約二千円高かったのが事実でございます。今回、油の値上げ、あるいはその他によりまして海外炭も相当値上がりいたしました。国内炭のほうは今回三千円の値上げをさせていただいたわけでございますけれども、これは原料炭、一般炭ともにでございます。三千円値上げをさせていただきましたけれども、国内炭の値上げをしたあとの現在の値段でございますけれども、これはトン一万一千四百五十円というような数字になっております。これは国内の原料炭でございます。これに対しまして豪州の輸入弱粘結炭でございますけど、九千四百円でございます。約二千百円ぐらいまだ国内炭のほうが割り高であるということでございまして、これは需給関係によってもきまるところでありましょうし、いろいろなファクターを備えておると思いますけれども、現状はそういうふうになっております。  なお、一般炭につきましても、これはいままで油との関係におきまして、国内炭の一般炭のほうが高かったわけでございます。これを今回油の値上がりによりまして、石炭のほうも一応同じく三千円値上げをさせていただいたわけでございますけれども、かりに五千五百八十カロリーの一般炭をとってみますと、これは八千百十円に現在なっております。カロリー当たりに直しますと一円四十五銭というような数字になりますし、これと比較いたしますC重油価格が、これは九千八百カロリーで計算いたしますと、キロリッター当たり約一万六千円でございますので、カロリー当たり一円六十三銭というようになろうかと思います。こういう点から見ますと、現在、カロリー当たりでは国内炭のほうが低いんでございます。ただし、石炭を使うデメリット、いわゆる灰捨ての問題、あるいは人手を余分に食うというような問題いろいろそういうデメリットもございます。  なお、現在ずっと使っているところにはそういう問題はないかとも思いますけれども、新しくかりに発電所なり何なりを建設するとしますと、建設の上におけるコスト高と、石炭をたくためのコスト高という点もございますので、そういうことを一応試算の中へ入れますと、まあとんとんではなかろうかと。ただし、東京電力なんかで使っておられますC重油でも、いわゆるS分の少ない重油になりますと、これは相当値段が高うございますので、そういうものとの比較におきましては、石炭のほうが割り安ではなかろうかというふうに考えられます。
  47. 桑名義治

    桑名義治君 いまの石炭部長のお話によりますと、現在の段階では、石油を燃料として使うよりも国内炭を、一般炭を使ったほうがむしろコストは安くなる、あるいはとんとんであるというようなお話がございました。また、埋蔵量につきましても、現実に現時点におきましては、もちろんこれは推定ではございますけれども、経済ペースに乗る埋蔵量を見ても十億トンの埋蔵量がある。こういうことになりますと、これは再度石炭を当然見直してこなければならない、これがまた非常に今後の日本エネルギー対策の中では重要な位置を占めざるを得ない、こういうふうに解釈をしていいんではないかと私は思います。  そこで、いま石炭部長からお話がございましたように、その他のメリット、デメリット、これは当然あります。石炭は、公害問題が一番中心になって閉山をしたところがございます。たとえば福岡県の日炭高松あたりも、これは九州電力の発電所が、石炭に硫黄分が多いということで購入をストップされた。そこに大きないわゆる閉山の原因があったわけでございますが、そうやった意味から、いまから石炭を見直すという立場から考えた場合には、どうしても公害問題と切り離しては考えられない、こういうふうに私は考えるわけでございますが、そうやった立場から考えて、はたしてこの公害防除問題について、技術開発をどの程度いま皆さま方が熱意を持って進められているか、そのところをちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  48. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) ただいま先生から御指摘がございましたとおり、今後炭鉱を存続するため、あるいは開発するためという点につきましては、公害問題も大きな要因でございます。そのほか労働問題あるいは保安問題というのもまた見のがすことのできぬ大きな実態ではなかろうかと思います。公害問題に対しましては、たとえばサルファの除去あるいはNOxの除去という問題につきましては、現在サルファ分につきましては、九州の三池の三井アルミの自家発電のほうで、これはすでにもう完成いたしまして、いい結果も出ております。これは今後発電所を建設されるところには適用できるのではないかということは、はっきり言えるのではなかろうかと思います。なお、NOxについては、これはいろいろ技術上の問題がございまして、まだ解決するまでに至っておりませんけれども、現在、電力会社その他をはじめ研究しているというのが実態でございます。  なお、深部問題につきましては、通産内部でもこれは立地公害局のほうでございますけれども、深部対策委員会というようなことで、今後、山がだんだん深くなるということは当然でございますので、これに対する地圧問題、坑内温度の問題、あるいは坑内湧水の問題等について研究を重ねて、そういう研究をベースにしながら、事故のないように採掘していきたいということで、鋭意研究を進めているところでございます。
  49. 桑名義治

    桑名義治君 いまから長期的な、安定した石炭の採掘をするという上におきましては、いまのままの炭鉱を持続する場合には、非常に困難が伴っていくのではないかと思います。そうしますと、新鉱の開発なり、あるいはまた閉山をした炭鉱をさらに開発をする、再開発をするという手だてしかないと思うのですが、大体どちらの方向をとろうとなさっていらっしゃるのか、そこをちょっとお尋ねしたいと思います。
  50. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) ベースになりますのは、現在の山をできるだけ長く維持するというのが根本思想でございます。しかし、そういたしましても、有限の資源を採掘する石炭鉱業でございますので、炭量の枯渇というような点から、いずれは閉山しなくちゃならぬ時期が出てくるというのもまた事実であろうと思います。そういう点、少なくとも国内の有益な資源でございますので、できるなら掘れるものは掘りたいという気持ちはございます。そういう点で現在までに閉山した山のあと、いわゆる事業団が保有している鉱区、あるいは消滅鉱区という点も、来年度十分これを調査いたしまして、再開発に耐えられるかどうか、また、現に消滅した鉱区内では露天掘りというようなことは、これは安易にできるところも現在ございます。ただし、これは法律的にすでに一回消滅しておりますし、閉山交付金その他を受け取っておりますので、現在直ちにというわけにはまいりませんけれども、こういうところを対象にしつつ、閉山鉱区、あるいは消滅鉱区もある程度の経済性のあるものはぜひ開発したいということで、来年度でそのための調査費を六億予算要求しているような状態でございます。
  51. 桑名義治

    桑名義治君 現段階における出炭量を確保するということは、これは現在の操業しておる炭鉱をそのまま持続させるということは当然でございますけれども、しかし、これを持続させるためには、いま説明がございましたように、必ず炭層の枯渇ということが考えられるわけです。そこで、私も筑豊炭田のほうをずっと回ってみました。三井山に行ったときに、通産省からも確かに再開してはどうかというお話もございました、私の返事は、少なくとも再開をするためには、百億のお金を投入をしてくれるならば再開しましょう、こういうふうに私はお答えをしました、こういう話がございました。そのように現在炭鉱が完全閉山をした場合、これは再開することにはばく大なお金がかかる。その融資金をどうするかという問題も残るわけでございます。  それと同時に、いわゆる露天掘りにつきましても、鞍手郡の貝島炭鉱あたりの露天掘りを見ますと、これはもう住民に対するばく大な被害が起こっておる。それと同時に、今後鉱区を広げていくという上におきましても、住民との話し合いがあまりうまくいってないような状況にある。むしろ、昔の力関係の中でごり押ししているというような、そういう事柄が見られるわけでございまして、非常に困難な問題を控えております。その半面、新鉱としては三井が新しい鉱区を、坑道を掘りまして、これがいよいよ再開をされている模様でございますが、いずれにしましても新しい炭層を発掘し、そこに新しく操業をするという、新鉱を始めるということにつきましては、これはいまから先、労働問題がまた大きなネックになってくると思います。  そういういろいろな問題を考えてみたときに、もう石炭対策というものは、政府自身が、皆さん方自身が全体の日本エネルギーをどうするか、石炭エネルギーというものの位置づけ、重要性というものをどの程度認識し、評価するかというところから石炭対策というのは新しい局面を迎えるのじゃないか、そういう意味では、もう一企業ではこれはどうしようもなくなってしまったという段階に入っているのじゃないかと思います。そうすると、当然ここで公営化、国有化という問題に入ってこざるを得ないと私は考えておるわけでございますけれども、そういう思考というものは現在なされているのか、いないのか、それをお聞きしておきたいと思います。できるならば、これはちょっと問題が大きゅうございますので、長官からお願いをしたいと思うのです。
  52. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) いま先生の御指摘のとおり、直ちに国有化がいいか、あるいは公営でやると、そういうことは現在のところでは考えておりません。あくまでも現在の私企業ベースとして現在の山を維持していぐべきではないか、ただし、この前も国会のほうで御決議いただきましたように、今後の露天掘りの再開発の問題とか、そういうものについては国の責任でというようなことも御指摘になっておりますので、これは十分今後尊重し、考えなくちゃならぬ問題であろうと思いますけれども、現有の三井なりあるいは三菱なりというものを、直ちに国営でやれということがはたしていいのかどうか。あるいは、いろいろ企業のバイタリティーなりそれぞれの特色を生かしつつ、現在の企業の体制で採掘さしていいのじゃなかろうかという点もございます。いろいろその点につきましては、いま開かれております審議会のほうでも今後検討していただきたいというふうには考えておりますけれども、私どもとしまして、直ちに国営がいい、あるいは国有がいいというようなことも、断言はいまのところいたしておりません。
  53. 増田実

    説明員増田実君) ただいま、私からも考え方をという先生からのあれですから申し上げますが、石炭につきましてその見直しを行ない、また、すでに閉山したものを再び動かすというようなことにつきましては、非常に金額もかかるし、これを私企業で行なえるかどうかという問題がございまして、相当政府というものが前面に出なければならないという点については、これは資金量の面から当然そういうことになると思います。ただ、その経営を政府がやるのか、あるいは企業が行ない、これに対して政府が全面的にバックするのがいいかどうか、この問題につきましては、ただいま高木石炭部長からも御答弁申し上げましたように、石炭鉱業審議会においてもこの問題を十分検討することにいたしまして、その結論を出したいというふうに思っております。
  54. 桑名義治

    桑名義治君 私も、いま国営にしろとか、公営にしろとか、また、するのかしないのか、そういうことをお聞きしたわけではなくて、そういう指向があるかどうかということをお聞きしただけの話であって、早急にいま結論を求めておるわけではないんです。そういう意味で、通産省としては考え方の一つとしてそういう指向があるのかどうかということを御答弁願えればけっこうなんです。
  55. 増田実

    説明員増田実君) 現在のところでは、私どものほうで国営その他で石炭鉱業を行なうという考えはございませんが、ただ、貴重な国産資源でありますし、また、エネルギー対策としても非常に重要なものでございますので、これについて相当国が全面的に出てこの推進を行なわなければならない、この行なう態様としていかにあるべきかということを考えていきたい、こういうふうに思っております。
  56. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、現段階では国営、公営というものは考えていないという結論でございますね。
  57. 増田実

    説明員増田実君) はい。
  58. 桑名義治

    桑名義治君 世界各国状況を見ましても、やはり石炭エネルギーというものはいまから非常に大事なものであることは、これは当然のことでありますし、今回のような石油の問題が起こってくると、こういう可能性も十分にあります。ところが、エネルギーの固形化したものはいわゆる石炭だけでございますが、この石炭というものはまだ世界の中では相当埋蔵されている。そうすると、こういう現在起こってきた石油のような急激な変化は起こり得ないという観点があるわけです。そうやったような立場から考え、また、先ほどから企業ベースの問題やコストの問題、あるいは埋蔵量の問題いろいろなお話の中から、これは当然日本で残されたわずかな資源でございますので大事にしていくべきだと、そうなってくると、やっぱり国営、公営型の指向のほうがむしろベターではなかろうか、こういうふうに私は考えるわけです。まあ、現時点ではないということですが、ずばっと、ないということではなくて、考え方の一つとして、総合的にこの考え方を組み入れながら、今後の長期計画を立てていくべきではないか、私はこう思うんですが、全然これは余地ないですか。
  59. 増田実

    説明員増田実君) 今後の石炭鉱業のあり方につきましては、先ほど申し上げましたように石炭鉱業審議会で、いかに確保し、今後これを持っていくかということを検討いたしますので、むしろその場でいまの国営、公営論というものを検討してもらうようにいたしたいと、こういうふうに思っております。
  60. 桑名義治

    桑名義治君 では次の答申を待って、またこの問題はいろいろとこまかく論議していきたい、このように思います。  そこで、今度私は、鉱害復旧の問題や、あるいは産炭地の復興の問題について少しお尋ねをしておきたいと思います。  現段階におきましては、鉱害復旧というものは原形復旧にとどまっている。いわゆる改良復旧につきましては、地元の負担金、あるいは個人の負担金というものが課せられているわけでございますが、しかし、皆さん方も御存じのように、産炭地というものは、昔、炭鉱が起こるまでは、これは純農村的なところが多かった。ところが、炭鉱ができましてボタ山にするとか、あるいはまた鉱害が起こったとか、いろいろな要因でその美田が全部つぶされてしまったわけでございます。ところが、こういうように閉山という社会情勢の中に置かれまして、あるいはまたその産炭地を含む周辺の都市の変化、社会環境の変化、そうやった変化の中で、当然原形復旧というものが少し無理になってきているんじゃないか。したがいまして、そうやった場合は、このように改良復旧したほうがもちろんベターであろうというふうに地元で、通産省でも何でもいいですわ、判断をした場合には、当然全面的に資金を出して改良復旧をするほうが私はいいのではないかというふうに考えておるわけです。  なぜこういうことを言いますかと申しますと、皆さんも御存じのように、この産炭地の閉山あとの市町村というのは、非常に財政的に逼迫をしております。そこに住んでいる住民の方々の経済状態も決して豊かではありません。たとえば、糸田町を例にとりますと、五〇%の世帯が生活保護世帯であるというような落ち込み方が実情でございます。こうやったことを考えると、いまこそ産炭地の復興、あるいはまた、掘れ掘れと言われてどんどん掘り尽くされた、そして、そのあと住民が非常に困窮しているという、そういう立場から考えた場合には、改良復旧という面につきましても法改正をすべきではなかろうか、こういうふうに私は考えておりますが、その点についてどうですか。
  61. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) 先生指摘のとおり、臨鉱法に基づきます鉱害復旧の基本的な考え方は、土地物件が本来有していた効用を回復をするということになりまして、必ずしも現状回復を目的としているわけではございません。御存じのように、九州の団地もございますけれども、ああいうところで農地を復旧して、そのまま農地でやらしたほうがいいか、あるいは団地造成したほうがいいか、いろいろ地元の御要請もお聞きしなくちゃならぬところでございますけれども、当然、地元の所有者の方々の御了承が得られるならば、むしろ団地造成等等に切りかえて、将来有効な活用をはかるべきであろうと思います。なお、臨鉱法におきましては、石炭会社の社有地あるいは鉱業用地は、原則としては臨鉱法による復旧の対象とはなっておりません。しかし、こういう点も同じく団地造成の中に入るような場合は、当然そういうものも対象にしつつ、大きな産炭地振興という意味での団地造成を考えておるような次第でございます。
  62. 桑名義治

    桑名義治君 次に、ボタ山の処理の問題でございますが、このボタ山の処理という問題をここに出してきたのは、結局、各閉山をした市町村の重要な、中心地になれそうなところにボタ山がどんと居すわっているというような状態で、非常に地域の振興を阻害をしておるという事柄が一つあります。それと同時に、ボタ山には丘陵地のようなボタ山のつくり方と、とがったボタ山のつくり方と両方あるわけでございますが、とがったほうの、ピラミッド型になったボタ山については、いわゆる土砂の流出で非常な災害を巻き起こしている事例がたくさんあちらこちらにあるわけでございます。したがいまして、このボタ山の処理を一日も早く解消を、処理をしていかなければならない。また、することが、その地域の発展のためには大きな要素になるというふうに考えるわけでございます。  そこで、このボタ山の処理についてどのように対策を立てられているかということが一点と、それから、丘陵地のようなボタ山につきましては、現在一地域でございますが、これは田川郡の川崎町でございますが、住民運動としてこのボタ山を町に払い下げをしてもらいたい。もちろんこの所有は三井鉱山でございます。直接おたくのほうとは関係はないかもしれませんが、このボタ山を住民運動で町に払い下げをして、そして町で、これで住宅団地あるいは工業団地というものを計画をさしてもらいたい、そうすることがいわゆる町全体の土地を有効に使うことになる、こういう運動が起こっているわけです。この代表者たちが三井の鉱山の本社に行って多少交渉をして、可能性はあるということを私は聞いておるわけでございます。そういう問題で住民運動がさらに盛んになっていく模様でございますけれども、そうなった場合に、通産省として、直接払い下げろということはできないと思いますが、それに対する援助なりあるいはアドバイスなり、そういったものができるのかどうか、また、積極的に私としてはやってもらいたい、こういうように思っているわけですよ。それと同時に、その反面にまた、個人的に払い下げをしてもらいたいという運動も一部にあるわけです。そういうふうな対立関係になりつつあるわけでございます。  市町村が今度は払い下げを受けた場合ですが、それが可能になっても、現在のそういった閉山あと地の市町村というものは、それを買い取るだけの財源が非常に枯渇している、こうなってくるわけです。したがいまして、この資金の手当てが何らかの形でできるだろうかどうだろうか。通産省関係、もちろん自治省関係、両方にまたがるとは思うのですけれども、はたして起債のような形になるか、そこら辺の手当てができるかどうか、そこのところをお尋ねしておきたいと思います。
  63. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) ボタ山の処理でございますけれども、できるだけボタ山を早く除去したいという気持ちがございまして、当然ボタ山の処理につきましては、鉱害復旧への利用の問題、あるいは産炭地域の振興のための団地造成への利用の問題等々で、ボタ山をできるだけ早く処理したいという考え方には変わりございませんし、また、現在そういうことでやっているような状況でございます。ただし、危険ボタ山につきましては、立地公害局のほうで防災工事を三分の二の補助を出し、三分の一を県または地元が負担し、その復旧したあとなりを地元に払い下げるという制度も新たに本年度から入れまして、いろいろ危険防止につとめておるところでございます。ただし、ボタ山には所有権の問題がつきまといまして、なかなかそれが簡単にいかぬというのが実態でございまして、せっかく防災工事なりあるいは除去なりをしようというかまえになりましても、所有権の問題で反対が出てくるというようないろいろな問題がございまして、そういう点、通産局をはじめ県等々にもお願いをいたしまして、できるだけ問題のないような解決のしかたでもっていきたいというふうに努力しておる次第でございます。  なお、三井鉱山のボタ山で、町への払い下げということは詳しくは聞いて、おりませんけれども、現在の制度でも町が買い上げ、あるいは公共用地にそれを使用するということであるならば、交付金なり何なりによって、あるいは地元の起債というようなことによりまして十分それは対処できるのではなかろうかと思います。また、この点につきまして、もし公共用地でお使いになるということがあるならば、三井のほうに十分その協力方を要請してもいいと思いますけれども、何かいまのお話では、いろいろ地元の方の個人所有ということでの動きがあるとなりますと、なかなかその点解決しにくい点があるのではなかろうかと思います。全部まとめて公共用地関係に町が使用するということであるならば、その解決も早いのじゃなかろうかと思いますけれども、もう少し具体的な問題として調査をさしていただきたいと思っております。
  64. 桑名義治

    桑名義治君 では、実際にボタ山の処理問題で、いわゆるピラミッド型のボタ山の処理問題で防災工事が確かに多少行なわれておるのですが、これはくずれた底に防壁みたいなものをつくって、一定の道路または道路らしきものをつくっている、その程度でみんな終わっているみたいですね。だからその付近の住民は、もう一ぺん今度大雨が降ったら、完全に流されちゃうんじゃないかというような不安を持っているボタ山がたくさんあるのです。で、いまから先の石炭対策というものは、やはり新しく、どういうふうなかっこうで、政策で、方法でこの石炭確保をしていくかということと、それから、もう現実にはどんどん閉山しておるわけですから、そのあと地をどういうふうに処理をしていくかという——確かにいままでなされているわけですけれども、それが不十分であるがためにいつまでも残っているというのが実情でございますから、その点を十二分に考慮した上で対処していただきたい。これは要望でございます。  次に、ちょっとお尋ねをしておきたい問題は、もう皆さんも御存じになっていらっしゃると思いますが、有明海の海底でずっと三井が鉱区を広げているわけでございます。すでに廃坑になったところもあるのですが、この有明海の海底が、深い所で九メートルの陥没を起こしておるということで、海の底だから陥没したって何の被害もないじゃないかというように思われるかもしれませんが、場所によりましては、皆さんも御存じのように、有明海というのは日本一のノリの養殖の盛んなところでございまして、それによる被害が起こっている、こういうふうにいま新聞にも報道されております。これは県会で問題になったものでございますけれども、通産省としてはどのようにお聞きになっているか、どのように認識されておるか、まず、そこからお聞きをしたいと思います。
  65. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) いま先生の御指摘の読売の新聞記事は、確認いたしておりますし、通産局のほうにも、本件についてどういう対処のしかたをするのかというようなことで、いま問い合わせをしている最中でございます。  一応これで終わりまして、質問の内容があったらまた答弁さしていただきたいと思いますけれども
  66. 桑名義治

    桑名義治君 ここで一番問題になるのは、現在の鉱業法の中では、いわゆる海底が補償の対象になっていないというところに一番問題があると思うのですが、確かにいままで海底に鉱害が起ころうとも、これは別に直接住民の被害はないのだ、こういうように考えられるのが普通一般的な考え方だったと思います。しかし、いま残されている炭鉱といえば、九州では有明海の海底を掘っている炭鉱、三井の炭鉱がある。北海道あたりでは山場の炭鉱でございますけれども、しかし、いまから先、こういうふうに海底を掘っていくためには、こういう実害が起こり得る可能性が十二分にあるわけでございますが、鉱業法の中に、海底被害についても補償するという、いわゆる法改正をする意思がないかどうか、まずここからお聞きをしておきたいと思います。
  67. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) 鉱業法と臨時石炭鉱害復旧法の二つの関係がまたがるのではなかろうかと思いますけれども、現在の臨時石炭鉱害復旧法の体系においては、海底沈下現象は、鉱害復旧の対象とはいたしておりません。また、今後において法改正を一応検討するといたしましても、海底の鉱害復旧ということになりますと、他の魚介類への影響等々、いろいろむずかしい問題があるのではなかろうかと思いますし、なお、技術的に見ましても復旧可能かどうかというような点も相当問題があろうと思います。ただし、現状におきましては、鉱害復旧の対象にはなってはおりませんけれども、鉱業法上の鉱害賠償責任というものは、これは当然鉱業権者のほうにございまして、いま先生の御指摘の有明海のノリの問題につきましては、鉱業権者たる三井鉱山が被害者側に対しまして、漁業補償というような形で金銭賠償をすでに数回にわたって実施してきているところでございます。  金額をちょっと申し上げますと、三十八年から四十九年までに二億四百五十八万円というような金額を、三井鉱山から被害者側へ金銭賠償というようなことで、実績上支払っているわけでございます。
  68. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、現段階では法改正は無理だということですか、結論として。
  69. 高木俊介

    説明員(高木俊介君) ただいま申し上げましたように、魚介類の問題とかあるいは技術上の問題とかいう点もございますので、なかなか困難ではなかろうかということでございまして、今後十分検討さしていただきたい。ただし、臨鉱法ではそういうあれでございますけれども、鉱業法上は当然賠償責任はございまして、権者が被害者のほうに賠償金という形で金を支払っているのが事実でございます。
  70. 桑名義治

    桑名義治君 まあそういうことでございますので、十二分に今後の問題として研究をしておいていただきたい、このように思います。  約束の時間が来たようでございますが、一言だけ、プロパンガスと都市ガスとの関係でちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。  最近の都市開発が非常に進みまして、都市のドーナツ化あるいは大都市周辺の開発といったことで、いままでプロパンガスを使用しておった家庭がどんどん都市ガスに切りかえている、あるいはまた新しい大きな団地ができれば、そこに都市ガスが引かれる、引かれたと同時に、その周辺の、いままでプロパンを使っておったような家庭も都市ガスに切りかえる、こういうような事例がたくさん起きているわけでございます。東京周辺におきましては、そういった都市ガス会社とプロパン業界との間にいろいろな和解策がとられているというふうに聞いておりますけれども、いま福岡県の中におきましては、そういうふうに西部瓦斯とそれからプロパン業界との間に、まだトラブルまではいきませんけれども、非常な不満が爆発しつつあるというのが現状でございますが、こういった問題に対して公益事業部長としてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、また、今後どういうふうに指導をしていこうとなさっているのか。まずその点をお聞きしておきたいと思います。
  71. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 先生指摘のように、最近、各地でプロパンガスと都市ガスとの競合問題が生じまして、トラブルが出ておるわけでございます。これもなかなかむずかしい問題でございますが、最終的にはやはり消費者の立場が最優先でございますので、消費者選択ということで、消費者の意向を尊重せざるを得ないものであろうと思います。ただ、実際転換されます場合には、ガス事業者とそれからプロパン業者との間で話し合いが行なわれるということは、これは望ましいことでございますので、そういった話し合いの場を設けることにつきましては、通産局等を通じましてあっせん、あるいは指導してまいりたいというふうに考えております。  それから同時に、ガス事業者がガス導管の布設をするにあたりまして、消費者に対しまして過当な宣伝をしたり、それから行き過ぎた勧誘行為、あるいは工事自体について非常に乱暴な工事をするというふうなことにつきましては、そういったことのないように厳重に取り締まりをしたいと、こういうふうに考えております。
  72. 桑名義治

    桑名義治君 現在、東京周辺で、埼玉県あたりで、プロパン業界とそれから都市ガス会社との間に何か和解策がとられたのでしょう、具体的に。そういう事例がありますか。
  73. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) これはいろいろなケースがあるようでございまして、たとえば、若干補償金といいますか、金を払うという場合もございますし、それから、プロパンを従来供給しておったプロパン業者が、ガス会社に対して今度はプロパンガスを納入するというふうなことで、和解といいますか、その場合もございますし、あるいは修理等につきまして下請になるというふうなこともございますし、いろいろさまざまな形での和解策がとられておりまして、必ずしも一義的にどうこうということではないようでございます。
  74. 桑名義治

    桑名義治君 その方法については多岐にわたっているようでございますが、資料としていただけませんか。
  75. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 包括的かどうかは存じませんが、解決事例ということであれば……。
  76. 桑名義治

    桑名義治君 それでけっこうです。
  77. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 御提出いたします。
  78. 須藤五郎

    須藤五郎君 私も少し北海道瓦斯の問題で質問をしたいと思いますが、北海道瓦斯のカロリーアップに伴う中毒死事件について質問を始めたいと思います。  札幌市では、北海道瓦斯がカロリーアップを実施した今月十六日以後、私たちが確認したものや新聞で報道されたものも含めまして、すでに十数件の中毒事故が発生し、七人のとうとい人命が奪われております。通産省は、この事故の原因がどこにあり、責任はどこが持つべきであると考えておられるか、まずそこから質問いたしたいと思います。  答弁者はだれ。
  79. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) 大永公益事業部長。
  80. 須藤五郎

    須藤五郎君 きょうは大臣がいらしたら、私は大臣に聞きたいと思ったのです。だから、こういう質問に対して、大臣にかわるべき責任のある方が答弁してもらいたいと思うんです。
  81. 増田実

    説明員増田実君) 今回の事故によりまして不幸な犠牲者が出ましたことについては、はなはだ遺憾に思っております。  御指摘事故につきましては、すでに二十二日に札幌通産局長から北海道瓦斯株式会社の首脳部に対しまして、会社の不注意のため生じた事故の犠牲者に対する補償を十分に行なうよう、また、事故の原因究明を行なうということを強く要請しております。  今回の事故につきましては、現在、司直の手によりましても調査が行なわれております。また、通産局が中心になりまして、本省からも係官を派遣いたしまして、この原因について調査をいたしておる段階でございます。この事故の責任者、責任の所在というものにつきましては、ただいま申し上げました原因究明というものの結果が出まして、これによって明確にいたしたいと、こういうふうに思っております。
  82. 須藤五郎

    須藤五郎君 司直の結論が出てからでないと責任がどこにあるということが言えないということは、私はおかしいと思うんですね。もうすでに七人の人が死んでいるという、これは事実ですよ。その事実をもとにして、これだけの人命がそこなわれたということに対して、やはりガス会社に責任があるということは言えるでしょう。だれが責任を持つかという、どこに責任があるかということを伺ってるんですが、死んだということを前提にすれば、もう当然そこに出てくると思うんですよ。なおそれでも通産省は責任の所在がまだわからぬというふうにおっしゃるんですか。それじゃ、この七人の人が死んだことに対して一体どうしようというふうに考えておられるんですか。
  83. 増田実

    説明員増田実君) 今回六件、七人の犠牲者が出たわけでございますが、それぞれの事故の態様につきましては、それぞれ相異なっておるわけでございまして、このすべて全部が会社の責任であるかどうかということにつきましては、やはり現状を十分把握いたしまして、その上で結論を出すべきものだと思います。ただ、今回の事故につきましては、須藤先生のおっしゃられますように、この調整におきまして欠陥があったのではないかと私ども思っております。
  84. 須藤五郎

    須藤五郎君 調整に欠陥があったというふうに通産省も考えておると、こういうことですね。
  85. 増田実

    説明員増田実君) この問題につきましては、やはり事実関係をはっきりいたしませんと、全部会社に責任があるかどうかということは、この席ではっきり申し上げるわけにはいきませんですが、ただ、私どもはカロリー調整にあたりまして、会社側がやったことについては欠陥があるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  86. 須藤五郎

    須藤五郎君 通産省の答えはどうもすっきりしない答えで、いま北海道に起こっておるああいう問題を目の前にしながら、なお責任の所在が調査を見ないとわからないというような、そんな不徹底な答えをしておって、それで死んだ人たちの家族が一体納得できるかどうかということですね。それじゃほかに原因があるとしたら、どういう原因を通産省はお考えになっているんですか。どこに責任があるというように、死んだ本人に責任があるということなんですか。通産省に責任があるということですか。ガス会社に責任がなければ、通産省に責任がある、死んだ本人に責任があるということなんですか。どこに責任を持っていこうとしているんですか。
  87. 増田実

    説明員増田実君) このたびの痛ましい犠牲につきましては、私どもも監督の立場からその責任を感じておるわけでございますし、また会社側につきましても、先ほど対馬先生から御指摘がありましたように、アルバイトを使ったという点につきましては、この取り扱いについて不十分な点があったんではないかというふうに思っておりますが、ただ、この問題につきまして、須藤先生のお尋ねにつきましては、私どもはやはり事実関係をはっきりいたしまして、その上で御答弁申し上げるのが正しいんではないかということで申し上げたわけでございまして、決して責任のがれをしたり、また、会社の責任を免れさせようということで申し上げているわけでございません。
  88. 須藤五郎

    須藤五郎君 今回の一連の事件は、北海道瓦斯の利益優先と人命無視の合理化強行に原因があるのは、私は明らかだと思うんです。  まず、準備の問題でありますが、カロリーアップを実施しているのは、北海道瓦斯のみでなく、東京では東京瓦斯も実施しておることは御存じのとおりです。たとえば、東京瓦斯では、熱量切りかえの一年前から事前にPRを開始すると、こういうふうに言っております。が、北海道瓦斯の場合は、当初来年実施する予定のものを、会社の経営上の都合で急遽今年になったという経過もあるわけですね。また、調整する場合も、東京瓦斯の場合は半年も前から準備して、事前に各家庭のガス器具保有状況を調査して、それに見合う部品を用意して調整に当たっておるわけでございますが、北海道瓦斯は、函館で実施したときはそのような処置をとりながら、今回はこれを省略して実施しているわけであります。これは明らかに私は北海道瓦斯の手抜きではないかと思いますが、通産省は、こういう事実に対してどういう見解を持っていらっしゃいますか。
  89. 増田実

    説明員増田実君) いま須藤先生の御指摘したようなのが事実かどうか、これにつきまして、先ほど申しましたように、現在通産局を中心といたしまして私どものほうで調査をいたしております。もし先生の御指摘のようなことが事実であれは、これは北海道瓦斯のこの調整については準備が不十分であるということを言わざるを得ないというふうに思います。
  90. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう北海道瓦斯のこの事故で人が死んでから幾日たちますか。一週間近くたつんじゃないですか。それなのにまだ通産省は調査ができないんですか、こういう問題について。これだけの簡単な問題について、通産省はまだ調査ができてないという段階なんですか。それは一体どういうことなんですか。
  91. 増田実

    説明員増田実君) 私どものほうも、この問題については非常に重要視しておりますし、また、ほかでは事故が起こらなかったにもかかわらず、北海道瓦斯においてはこれだけ多くの犠牲者を生じたということにつきましては、この問題を非常に重視しております。毎日通産局と連絡をとりまして、報告をそのつど受けておるわけでございますが、いまの先生の御指摘になりましたような点についても重点を置いて、現在調査中でございます。
  92. 須藤五郎

    須藤五郎君 こういう重大な問題、人命に関するような問題を、一週間も調査して、なおはっきりした結論が得られないということは、私はおかしいと思うんですね。こんなことじゃ通産省の調査そのものに対して、私たちは信頼すらもできない、こういうことだと思うんです。これでは国会から調査団を派遣して、われわれの力で調査する以外に、通産省にまかしておけないということも私は言えると思うんです、委員長。その点、委員長で善処をされたいと思いますが、大体幾日間かかったらこんな問題が解決できるんですか。
  93. 増田実

    説明員増田実君) 私ども報告が来ております例で、これは現在まだその原因究明中でございますが、たとえば、十月十七日に起こりました事故につきましては、排気塔にスズメの巣があったために、排気が浴室に入って、そのために中毒になったんではないかということで、こういう点につきまして十分この原因を究明いたさなければならないということになっております。ですから、これらにつきましては、私どもは、やはりこの責任の所在をはっきりするためには、事実関係を十分に調べ、また会社のやりました措置その他について十分調べるということでやっております。もちろん、須藤先生指摘のように、こういう非常に痛ましい事故でございますので、できるだけ早く結論を出しまして、そしてこれに対する原因を究明いたしたい、こういうふうに思っております。
  94. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) 須藤君から私に対します御要望は、御承知のように、先ほど対馬君からの意見がございました。みなさんのご意見もお聞きし、剱木委員長とも相談いたしまして、すでに議運のほうに提出されております。ご了承願います。
  95. 須藤五郎

    須藤五郎君 別にこれは混迷状態に入るような複雑な事件でもないんです。だから調査をすれば、私は簡単に究明のできる問題だと思っているんです。もう第一、人が七名死んだという事実は目の前にありですね。だからやる気になれば、一日、二日でも私は究明できる問題だと思っているんですが、一週間たってまだ結論が出ないというようなその通産省の態度に対して、私、はなはだ不満を持つわけなんです。こういうことは一日も早く結論を出して、そして二度とこういうことが起こらぬように処置をしていくというのが、行政家としてのやるべきことだと思うんですよ。まだできてないというのははなはだ不満です。早く急いでやってください。  次に、調整の実施体制の問題ですが、第一に、調整期間の問題ですが、八月一日から十月十五日までと、わずか二カ月半で調整をするということなんですね。対象世帯は十三万戸です。対象器具が四十万個以上の調整にふさわしい期間かどうかという点をひとつ答えていただきたい。  それから第二は、調整に当たった人員は約五百人と聞いていますが、その半分に当たる二百数十人は学生アルバイトなどを数日間研修させただけの、いわば間に合わせの技術者であります。こういうことが妥当なことかどうかということですね。  それから第三に、調整する器具に対する準備の問題ですが、器具を実際に扱っている専門家の話では、ガス器具というのは現在一千種類ぐらいあるのに、北海道瓦斯では三十種類ぐらい実際に調整試験をしただけで、あとは同じようなものだからということで、実際には調査をしていないということが明らかになっております。これも北海道瓦斯の手抜きではないかと思いますが、通産省はどういうふうにお考えでございますか。
  96. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 期間が適当かどうか、それからアルバイトを使ったのがどうか、器具の調整試験がどうかというお尋ねでございますが、そういう作業のやり方が適当であったかどうかということを全部くるめまして調査をしたいというふうに考えておるわけでございます。非常に調査がおそいじゃないかというおしかりでございますけれども、当面は、実は会社のほうも、器具の再点検——とにかく、さしあたり事故をふやさないようにということが最重点でございますので、そちらのほうの作業に没頭しておりまして、なかなかこちらからも連絡がつかないというふうな状況でございます。現在、現地に二名ほど係官を派遣いたしまして調査に当たらせておりますけれども、まだ十分実態をつかむに至ってないというのが実態でございます。  それで、期間でございますが、これはほかの例も大体わかっておるのでございますけれども、期間につきましては、北海道瓦斯の場合、たとえば函館の場合でございますと、四十四年に行なったわけでございますが、七月二十六日から八月三十一日までかけて行なっております。それから旭川瓦斯につきましては、七月一日から九月十日まで、これは三万五千軒でございますが、昨年行なっておるわけでございまして、期間については短かったかどうかという点につきましては、それほど短いとも言えないんじゃないかと思いますが、いまおっしゃいましたアルバイトを多く使い過ぎたんじゃないか、それから、アルバイトの訓練のしかたがまずかったんじゃないか、あるいは、御指摘になりました、器具の試験その他が不十分だったんじゃないか、そういうふうな点につきましては、われわれとしても、あるいはそういう事態もあったかもしれないということで、今後の調査の対象にして厳重に調べてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  97. 須藤五郎

    須藤五郎君 まあ、すべてむずかしいところは調査中だというふうにおっしゃるわけですが、二カ月半で十分な調整期間であるとは私は思わないんです。そういうふうに通産省が考えておるとするならば、やはりその考えが今回の災いを起こしたもとだと、こう言って差しつかえないと思うんですね。こういう問題は人命に関する問題ですから、もっともっと時間をかけ、事前に準備をして、そして当たるべき問題だと思っておりますが、東京瓦斯を別に私は持ち上げるわけじゃないんですが、これで東京瓦斯がやっているほどのこともやってない。そういうところに私は問題があると、こういうふうに思っておるわけです。  それから、調整に当たった五百人のうち、学生アルバイトを半分も使ったということに対しては、この点はその非を通産省も認めておるわけですね。はっきり答えておいてくださいよ。  それから、ガス器具の種類に対しましても、通産省もこの北海道瓦斯のやり方は不十分だと思うと、こういうこともやはり事前調査をやってはっきりしておくべき問題だと思います。  それから次に、もう一点伺いますが、この調整作業後のチェックの問題ですね。調整期間があまりにも短かったために、数をこなすためにチェックの十分な余裕などがなかった、こういうふうに言われておりますし、調整にも来なかったということすらも言われておるんです。というのは、家族全部が昼間働きに出ておる、留守宅だという家庭があるわけです。じゃ、いつ調整をしたか、それで家族の目の前で調整をして、家族にいろいろな注意を与えたかどうか、こういう問題が起こってくるわけなんです。こういう点から考えますと、チェックが十分ではなかったということは、やはり新聞にも報道されない中毒事件が、私たちが調査しただけでもかなりあるわけなんです。こういう問題のために中毒事件が起こったという事例があるわけなんです。使用者が比格的初期の段階で気がついて、北海道瓦斯に連絡して再調整したケースがかなりあります。このことは、調整作業それ自体がきわめてずさんであった、こういうふうに言わなければならないと思います。この点での北海道瓦斯の責任は重大だと私は思うんですが、通産省はどういうふうにお考えになりますか。
  98. 増田実

    説明員増田実君) 今回の事故で、この起こった原因につきましては、先ほど申し上げましたように、現在その原因を究明中でございますが、やはりこういう結果が生じましたことにつきましては、私は北海道瓦斯のやり方について、やり方が不十分であったんではないか、こういうふうに思っております。調整期間がこれでは適当であったかどうか、それからアルバイトを使うにしても、それに対する監督がどうなっていたか、あるいは技術の訓練がどうなっていたか、また、そのアルバイトはどこまで使えるかというような問題につきましても、その点についてやはり会社側に手落ちがあったんではないかというふうに思っておりますが、先ほどからたびたび申し上げますように、現在その原因、事実の関係をはっきり究明いたしております段階でございますので、この事実関係をはっきりいたしまして、会社の責任、また、私どもにも責任があればその責任というものをはっきりいたしたいと、こういうふうに考えております。
  99. 須藤五郎

    須藤五郎君 次に、事故発生後の北海道瓦斯の対応の問題でございますが、いろいろありますが、ガスのカロリーの問題です。  北海道瓦斯は、十月十六日から十八日まで四千八百五十キロカロリーのガスを送っております。この間に確認されているもので四件の事故が起こっております。さらに、十月十九日午前九時にカロリーを五千二十キロカロリーに上げております。そして、午後三時には四千八百五十キロカロリーに戻しております。この間に新聞報道では二件の中毒事件が発生し、三人死亡しております。この間に私どもが確認したもので、このほかに三件の中毒事故が発生しております。十月二十日以降は四千八百六十キロカロリーでガスを送っております。この経過は北海道通産局で確認されていると思います。  そこで問題になるのは、十月十八日までにガス中毒が発生しているのに、さらに十九日にカロリーを引き上げたのかということでございます。そして死亡事故をふやしているのか、まあこういうことになるわけですね。十六日以降ガス中毒事故が発生し、調整ミスなどの疑いがあれが、調整期間中の三千九百キロカロリーに直ちに戻して対策を立てなかったのか、こういう点でございます。三千九百キロカロリーのガスであれば両方の器具に使えるのに、これを怠った北海道瓦斯のやり方は、公益事業者としてあるまじき態度と言わなければならないと思いますが、通産省はどういうふうにお考えになりますか。
  100. 増田実

    説明員増田実君) ただいま先生が御指摘になりましたように、十六日から四千八百五十キロカロリー、それから十九日の午前九時から五千三十キロカロリー、それから午後三時から四千八百五十キロカロリーということに変化しているというふうに私どもは聞いておりますが、これらにつきましては、先ほど申し上げましたようにいま現在調査中で、これらの事実について確認中でございますので、一応その確認をいたしましてからこの問題についての判断をいたしたい、こういうふうに考えております。
  101. 須藤五郎

    須藤五郎君 こんな簡単な事実を、確認しなきゃ確認できないんですか。すでにこれは、世間はみんな知っていることじゃないですか。こんなもう動かすことのできない事実を、何で通産省は確認ができないんですか。すべて、確認してから、確認してから。それは一体どういうことですか。そういう姿勢が通産省は疑われる原因なんですよ。もっとはっきりした姿勢をとったらどうですか。おかしいですよ。こんな明らかな事実が目の前にありながら、確認ができないから、それは言いのがれのようなものですよ。そういう態度は、私は了承できませんよ。
  102. 増田実

    説明員増田実君) ただいま須藤先生からおしかりございましたんですが、私どもといたしましては、責任のがれをしたり、また、この事実を曲げて行なうつもりはありません。ここにこういう痛ましい事故が生じました以上、これについてはもう厳重に事実をはっきり究明いたしまして、その責任も問うつもりでございます。ただ、先ほどから申し上げますように、七件の事故についてそれぞれ調べておりますし、また、この事故の発生の原因がいかなる点にあるかということを十分究明いたしまして、はっきりした見解を出したい、こういうふうに思っております。
  103. 須藤五郎

    須藤五郎君 事故の原因はともかくおくとしましても、この十六日から十八日まで四千八百五十キロカロリー、それから十月十九日には午前九時に五千二十キロカロリーに上げた。それから三時にはやはり四千八百五十キロカロリーに戻しておる。その間に、三件の中毒事故で三人死亡しておるということですね。私たちが調査したんでは、このほかに三人の中毒事故が起こっているんだが、この事実は認めますか、どうです。
  104. 増田実

    説明員増田実君) いま須藤先生のあげられました事実は、認めます。
  105. 須藤五郎

    須藤五郎君 認めるね。——その事実は認めた。それじゃ、十月二十日以降は四千八百六十キロカロリーでガスを送っておる。この事実も、何でこういうふうに下げたのか。この経過は北海道——通産省も確認されておるものと思いますが、よろしゅうございますね、その点は。それから、十月十八日までにガス中毒が発生しているのに、さらに十九日にカロリーを引き上げたのかということです。その事実もお認めになりますね。お認めになりましたね。——はい。  そこで、あとは私の意見だということになります。十六日以降ガス中毒事故が発生して、調整ミスなどの疑いがあれば、調整期間中の三千九百キロカロリーに直ちに戻して対策を立てるということを、私は当然やるべきことだったと思うんです。そうしたら古い器具も使えるし、こういう悲惨なことが起こらなくて済んだんじゃないかと私は思うんですが、それをやらなかったということはどこに責任があるのか。
  106. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 十九日の午後三時から四千八百五十に落としたわけでございますが、なぜ四千八百五十に落としたのか、その辺については、その理由がちょっといまのところよくわからないわけでございます。それから、先生がおっしゃいました、三千九百になぜ戻さなかったのかということでございますが、これも、現地に行きましてよく聞いてみないとわからないと思いますが、われわれの聞いておるところでは、この中間ガスである三千九百を供給していた時点で、やはりガスがバックファイアといいますか、穴の中のほうで燃えるとかいうふうなことで、若干やはり消費者からいろいろ苦情もあったようにも聞いておりまして、あるいはそういうことが原因で三千九百に戻すことについてはためらったのではないかというふうに考えておりますが、詳しい事情については、現在まだつかまえてない状況でございます。
  107. 須藤五郎

    須藤五郎君 これまで従来、三千九百キロカロリーのガスを使っておったわけですね。そうでしょう。ところが、それを四千とか四千五百というふうにずっと変えたためにこういう事故が起こったんでしょう。そのことは皆さんも確認なさるでしょう、何で事故が起こったというのは。そうでしょう、確認されましたね。それならば、そのときに、これは前の一二千九百キロカロリーに落とそうと思えば落とせるわけです。何で前に落とさなかったかということなんですね。それを依然とカロリーの高いやつで送ったからこういう事故が起こったわけなんです。そういう措置は、当然公益事業であるガス会社が、人命に関する問題だから即座にとるべき対策だと、私はこういうふうに思うのです。その対策をとってない責任はどこにあるか。長官どうでしょう、とらなかった責任はどこにあるのか。
  108. 増田実

    説明員増田実君) 私も須藤先生の御質問で、こういう人命事故が起きた場合に、その原因である高カロリーを下げるというのがさらにその事故を防ぐ一つのやり方ではないか、こういうふうに思いますが、まあ私自身もこの技術的な問題、それからまた、会社がなぜそれを下げなかったかという点についてはまだ聞いておりませんが、ただいま御指摘になりました須藤先生のこの問題点について、私どものほうからも十分今度の調査の中に入れまして、その原因を究明いたしたいと思います。
  109. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は、これは明らかに公益事業として人命に関する問題を扱ってる北海道瓦斯の手落ちだ、不注意だと思うんです。即座にこれを切りかえればこういうことはなしに済んだ、これをやらなかったという点は、やはり北海道瓦斯の責任を問われてもやむを得ない、こういうことだと思います。そうでございましょう、長官。そうでございますね。
  110. 増田実

    説明員増田実君) こういう問題につきましては、やはり事実の究明ははっきりいたさなければならぬと思いますので、先ほど先生からも御要請がありましたように、私のほうでできるだけ早く迅速に事実をはっきりいたしまして、そして私どもの見解も明らかにいたしたいと思います。
  111. 須藤五郎

    須藤五郎君 私がいままで取り上げました問題は、非常に狭い範囲に限られておるわけでございまして、ほかにも問題点があると思っておりますが、まあそれはこの際おくといたしまして、次に問題になりますのは、これは会社の責任だと思うのです。  北海道瓦斯の今回のやり方を東京瓦斯と比較しながら質問してまいりましたが、この会社は、東京瓦斯の会長である安西浩さんが社長になっております。副社長も東京瓦斯と兼務です。つまり、同じ経営者が実施しながら全く別の結果が出るということになったわけです。これはこの経営者の経営姿勢と経営体制に問題があると思いますが、通産省はどういうふうにお考えになりますか。聞くところによりますと、北海道瓦斯の社長さんは東京におって向こうにいない、それから副社長も東京瓦斯と兼務で北海道にいない。そういう状態で責任が持てるのか。私は、今回のこの問題は、やはりこういう経営姿勢と経営体制に原因があると、こう思いますが、通産省はこういうことでよいとお考えですか、どうですか。
  112. 増田実

    説明員増田実君) 北海道瓦斯の社長が東京瓦斯の会長と兼務になっておるということで、現地におって十分な経営の責任が負えなかったのではないかという須藤先生の御指摘でございますが、私もこの事故が生じました原因につきまして、経営体制がどういう責任体制であったか、これについて十分究明いたしたい、こういうふうに思っております。
  113. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃもう一つ突っ込んでお尋ねしますが、今後北海道瓦斯がこういう経営体制を続けるとするならば、通産省はそれを黙って見ていらっしゃるんですか。それに対して通産省の考えを述べられて、こういう体制はやめさすと、こういうことでございましょうか、どうでしょうか。
  114. 増田実

    説明員増田実君) 事実が明らかになりまして、やはり経営体制に欠陥があるようでしたら、これは人命に関することでございますので、通産省としては強い姿勢をもちまして、経営体制の改善を行なわせるということを行ないたいと思います。
  115. 須藤五郎

    須藤五郎君 これら調整措置とその後の経過から見まして、北海道瓦斯の経営者には未必の故意による殺人の疑いが私はあると思います。通産省の見解はどうでございましょうか、こういう事実があらわれたら、未必の殺人として処理なさいますか、どうですか。
  116. 増田実

    説明員増田実君) 先ほどから申し上げておりますように、やはり事実関係をはっきりいたしましてから私どもの見解をはっきりいたしたいと思います。これが刑法上の未必の故意の殺人罪になるのかということにつきましては、これは十分慎重に結論を出さなければならぬ点でございますので、先ほどから申し上げておりますように、事実関係を究明いたしまして、その上でこの問題に対する判断をはっきりいたしたいと思っております。
  117. 須藤五郎

    須藤五郎君 こういう事実があった場合は、私は未必の殺人として処理されるものだと思っておりますが、こういう事実があれば、それは未必の殺人として処理されるべき性質のものだというふうに通産省はお考えですか、どうですか。事実があってもそうじゃないとおっしゃるのでしょうか。事実があればそういうことをはっきり言えるんじゃないですか。
  118. 増田実

    説明員増田実君) この刑法の解釈につきましては、通産省で申し上げるのはいかがかと思いますから、私どもといたしましては、ただいま須藤先生の御質問に対しましては、むしろ法務省その他と相談して御返事申し上げるべきことかと思いますが、ただ、今回の事件は非常に不幸な事件でございまして、その責任の究明については、私どもは十分いたすつもりでございます。
  119. 須藤五郎

    須藤五郎君 通産省は答えることができないとおっしゃるんですから、この点これ以上追及しても同じ答弁しか出ないものだと思いますが、こういう事実が明らかになれば、当然私は処罰されるべきものだと思っております。その事実が明らかになれば処罰されるということに対しては、通産省も私は反対はないと思うんですが、それでもなお反対をなさるんでしょうか、どうでしょうか。
  120. 増田実

    説明員増田実君) 私は別に反対とか賛成を申し上げておるわけじゃございませんので、現在、もうすでに司直の手に移りましてこの刑事責任が検討されておるわけでございますので、これはそこで判断されるべきものというふうに思っております。
  121. 須藤五郎

    須藤五郎君 この事件は、予定されている料金の値上げを含む合理化を早期に実施するために、人命を無視してカロリーアップを実施したために起こったものであることは私は明らかだと思います。いずれ、刑事責任も含めて北海道瓦斯の責任が追及されると思いますが、末端の作業者に責任を押しつけて経営者がほおかむりすることのないように、通産省も政府の一員として肝に銘じて対処してもらいたいと思います。また、不幸にしてなくなられた方や被害を受けた方々には万全の補償を行なうとともに、今後二度とこのようなことを起こさせないように、責任官庁としての通産省の責任ある答弁を私は求めて、これで質問を終わりたいと思います。
  122. 増田実

    説明員増田実君) 先ほどから申し上げますように、今回の事件は、私は非常に深刻な事件だと思います。また、こういう事件が再び繰り返されることのないように、私どもとしても十分な今後の監督をいたさなければならないと思っております。また、今回の事件につきましては、この事実関係をできるだけ早くはっきりいたしまして、これに対する監督上の問題、また、私どもの問題につきましても、はっきり結論を出していきたい、こういうふうに思っております。
  123. 須藤五郎

    須藤五郎君 ちょっと答弁漏れがありますが、こういう責任は下の工事、現場の工事者とか、そういう者の責任にしないということですね。これはよく考えていかないと、すべてこれまでの処理見ると、上の人は知らぬ顔しておって下の者に責任をかぶしていくと、こういう処置がされるわけです。アルバイトの学生を使って、それでアルバイトの学生に責任を負わしても、これは意味がないと思うのです。だから、そういうことじゃなしに、やはり責任の所在を明らかにして、そして責任ある立場に立つ人が責任をとるという、この姿勢が私は必要だと思います。それに対して通産省は異議のないことだと思いますが、異議ございませんね。
  124. 増田実

    説明員増田実君) 責任の所在は、これははっきりいたしたいと思いますので、責任のない者が責任を押しつけられるというような事実関係の判断はいたしたくない、こういうふうに思っております。
  125. 須藤五郎

    須藤五郎君 責任のない者が責任を押しつけられるのじゃなしに、要するに、アルバイトで未熟の工事者がかりに工事上ミスがあったとしても、その未熟の工事者に責任を負わすんじゃなしに、アルバイトにそういう重大な問題をさせたというこの責任はやはり当事者がとらなきゃ、私は会社の責任者がとらなきゃならぬことだと思っております。それを何とかかんとかへ理屈をつけて下の人に責任を押しつけてきたのがこれまでのやり方だと思うのです。そういうことのないように通産省として考えていってもらいたいということです。  それから、犠牲者に対する補償の問題ですが、この問題をどういうふうにお考えになっていますか。十分に補償すべき問題だと思いますが、その点も答えておいていただきたい。
  126. 増田実

    説明員増田実君) ただいま御指摘になりました補償の問題、これにつきましては先ほども申し上げましたが、二十二日に札幌通産局長から北海道瓦斯の首脳部を呼びまして、今度の事故の犠牲者に対する補償を十分に行なうように指示してございます。今後これがいかなる補償が行なわれるかにつきましても、私どもとしてもその経緯を見守って、この不幸な犠牲者に対する補償というものが十分行なわれるようにしていきたいと思っております。
  127. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十八分散会