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1974-11-07 第73回国会 参議院 商工委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月七日(木曜日)   午前十時十三分開会     —————————————   委員異動  十一月五日    辞任        補欠選任     森下 昭司君      辻  一彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 熊谷太三郎君                 小柳  勇君                 須藤 五郎君     委 員                 小笠 公韶君                 福岡日出麿君                 吉武 恵市君                 阿具根 登君                 竹田 現照君                 対馬 孝且君                 辻  一彦君                 桑名 義治君                 安武 洋子君                 藤井 恒男君     国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君     事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君     説明員        公正取引委員会        事務局取引部長  後藤 英輔君        警察庁刑事局保        安課長      四方  修君        経済企画庁調整        局長       青木 慎三君        大蔵省国際金融        局外資課長    波多野敬雄君        厚生省薬務局監        視指導課長    花輪 隆昭君        通商産業審議官  天谷 直弘君        通商産業省生活        産業局長     橋本 利一君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        資源エネルギー        庁公益事業部長  大永 勇作君        中小企業庁長官  齋藤 太一君        労働省労政局労        政課長      保谷 六郎君        労働省労政局労        働法規課長    松井 達郎君        労働省職業安定        局雇用政策課長  小粥 義朗君    参考人        北海道瓦斯株式        会社専務取締役  三浦 寅夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○派遣委員報告産業貿易及び経済計画等に関する調査  (北海道瓦斯熱量変更に伴うガス中毒事故に  関する件)  (マルチ商法に関する件)  (当面の繊維政策に関する件)  (石油政策に関する件)  (中小企業不況対策に関する件)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五日、森下昭司君が委員を辞任され、その補欠として辻一彦君が選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査のうち、北海道瓦斯熱量変更に伴うガス中毒事故に関する件について、北海道瓦斯株式会社専務取締役三浦寅夫君を参考人として本日の委員会出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査について、北海道瓦斯熱量変更に伴うガス中毒事故に関する件を議題といたします。  先般、本委員会が行ないました委員派遣について、派遣委員報告を聴取いたします。阿具根君。
  6. 阿具根登

    ○阿具根登君 北海道瓦斯熱量変更に伴う中毒事故に対する委員派遣について御報告申し上げます。  北海道瓦斯が熱最変更を開始した去る十月十六日以降、同月三十一日までに死亡七名、中毒九名、計八件のガス中毒事故がありましたが、その重大性にかんがみ、当委員会から須藤理事福岡委員竹田委員桑名委員と私の五名が派遣されることになりました。なお、対馬委員現地参加しております。  調査日程を申し上げますと、十一月一日、札幌に到着、まず、札幌通産局より事故の概況について説明を聞いた後、北海道瓦斯本社において事情を聴取いたしました。  翌二日は、北海道瓦斯が今回の熱量変更のために臨時に設けた南七条と伏見の両調整基地において、熱量変更作業方法燃焼テスト調整済みと未調整とのガス器具比較実験などを視察後、被害者宅である寿ハイツ野本マンションを訪れ、事故現場を見てまいりました。  以上が今回の委員派遣の概要であります。  今回の事故原因の詳細につきましては、警察当局がいまだ取り調べ中であり、また、札幌通産局におきましても、北瓦斯実施した調整作業をはじめとする熱量変更業務実態を現在究明しているところでありますが、現段階で考えられます事故原因の一、二を申し上げますと、一つには、本部現場である調整基地とのチェックシステムがうまくできていなかったために、ガス器具調整漏れが生じたこと、二つには、熱量変更調整作業の見通しが甘かったため、後半にガス器具調整作業が集中し、作業員労働過重が生じたこと、また、ガス器具調整に当たった作業員の中には、十分に教育されていない未熟な者が多数いたことなどが、おもな直接の原因としてあげられております。  なお、北瓦斯は、社員ガス器具メーカー社員東京瓦斯技術者を動員して十月十七日より再点検作業を開始しておりますが、十月三十日現在で再調整を要する家庭は、点検完了戸数九万五千五百九十八戸のうち、一万九千二百六戸と二〇・一%にものぼっております。  次に、今回の事故を視察しまして感じましたいくつかの問題点報告し、政府並びに関係者の善処を要望したいと思います。  その一つは、北瓦斯調整作業計画に無理があることが当初から明らかでありながら、あえて実行したのではないかと思われる点であります。  たとえば、ガス器具実態調査が十分に行なわれていないのに熱量変更実施日を繰り上げたり、また、作業計画そのものも、八月を例にとると、十四万六千戸という膨大な需要家数に対して作業調整員四百六十四人、その内訳は、北瓦斯正社員わずか百十名に対し、アルバイト百八十四名、関連下請会社などの社外作業員百六十名、事務員十名の計三百五十四名で行なっております。しかも、二カ月半という短期間熱量の切りかえを実施するという計画が立てられており、この期日に無理に作業を合わせたと思われることであります。  この点につきましては、北瓦斯熱量変更に関します申請書札幌通産局認可する判断材料一つとして、北瓦斯が過日に行なった函館市における調整作業の例をあげておりますが、函館市の場合が作業員一人当たり一日五戸消化し、アルバイト数も、延べ人員で千三百六十人と正社員の千七百二十人より少なかったのに対しまして、今回の札幌市の場合には、作業員一人当たり一日八・三戸も割り当てられ、しかも、アルバイト実員数は先に述べたように正社員よりも逆に多いのであります。こうした当初からの無理なガス器具調整作業計画事故原因一つがあるかと思われます。  第二には、ガス器具調整作業があまりにもずさんである点であります。  この点につきましては、北瓦斯がみずからガス器具調整済みと称してマークを張ったガス器具現実事故を起こしておること、また、同じ一軒の家でガスコンロは調整済みになっておるのに、湯わかし器が未調整だったために事故が起きている例があった点からも明らかであります。しかも、事件後、北瓦斯ガス器具を再点検し、ほぼそれを修了したと称する十月三十一日になってもガス中毒事故が新たに起きていることについては、言語道断であります。  ガス器具調整作業を行なう際に、安易に従来のなれにたより、本部と八カ所に設けられた調整基地との間に十分なチェックシステムがとられなかったこと。また、最初から一方的にガス器具調整作業点検を省略したことは、非常に問題であります。  第三には、北瓦斯経営上の欠陥が指摘されます。  まず、北瓦斯役員のうち、最高責任者である社長、副社長、さらには取締役六名のうち二名までが東京瓦斯役員を兼職しており、東京に在住していて北海道にはいない。そして、常勤はたった二名であり、しかも、監査役の一人も北瓦斯子会社である北ガス建設代表者であるという点などを見ますと、北瓦斯経営体制がいかにルーズであるかがわかります。  また、労使協議会ともいうべき懇談会において、組合が八月の時点で今回のガス器具調整作業に無理があり、危険があることを指摘しているにもかかわらず、経営責任者調整作業を続行する方針をとったこと、そして、事故発生後の処置にしましても不十分な点が多く、たとえば、私たちが指摘するまでは、今回の事故で不幸にしてなくなられた遺族の兄舞いにも会社のだれ一人も行かなかったことなどは、まさに最高責任者不在経営体制に問題があると言わざるを得ません。  第四には、北瓦斯責任もさることながら、それを指導する立場にあった札幌通産局責任もまた重大であります。  今回のような都市ガス熱量変更は、ガス事業法上でも供給規程変更であり、当然、通産局認可を要するものですが、通産局申請書認可するにあたり、単に函館で行なわれたガス器具調整作業の実績を加味するにとどまり、二ヵ月半ではたしてその調整作業が完了するかどうかというこまかなチェックを行なっていなかった点、しかも、四十七年九月二十日付の通産省公益事業局長の名で出された通達の中でも、「ガス用品調整ガス保安に関する十分な能力と経験を有する者に行わせるものとする」とガス器具調整員資格要件を定めているにもかかわらず、北瓦斯正社員よりも多数のアルバイトを使うという計画現実に提出されており、それを十分チェックしなかった点など、通産局行政指導上の責任指摘されます。  また、札幌通産局事故処理に対する行政指導が適切であったかどうか、非常に疑問であります。  たとえば、札幌通産局行政指導に乗り出したのは、事故発生してかなりたった時日である十月十九日であり、また、その内容も必ずしも十分なものではありません。もし、通産局が迅速かつ適宜な措置をとっておれば、もっと人命を救えたものと思われます。  第五には、いままでに東京瓦斯をはじめとし、北海道でも函館旭川地区等熱量変更が行なわれており、ガス器具調整作業はすでに制度化しているにもかかわらず、現行のガス事業法には、熱量変更に伴うガス器具調整作業の規定が全くないことであります。しかも、熱量変更供給規程記載要件であり、それに伴って生じるガス器具調整作業の基準が法規上一項目もないのは、全く保安面を軽視していると言わざるを得ません。  第六には、従来の公聴会あり方にも問題があります。  熱量変更の場合には、ガス事業法四十八条により、公聴会を開くことが義務づけられておりますが、現在の公聴会制度における陳述は、熱最変更であっても現実には、もっぱら料金値上げに関するものばかりであり、保安問題は全く論じられておりません。また、公聴会出席する学識経験者並び消費者代表も、名実ともにそれを代表するものであるよう、選出にあたって十分に留意する必要があるのではないかと思われます。  今回の事故契機にしまして、今後公聴会は、料金値上げとは別に、保安に関する公聴会等制度を確立するなどの改正の必要があると思われます。  なお、現在、大都市の市中に大型ガスタンクの林立している現状は、万一の事故を想定した場合、まことにりつ然たるものがあります。これらガスタンク人家密集地帯との保安距離につきまして、規制措置を早急に講ずべきであると痛感いたしました。  以上、実際に現地を視察し、事情を聴取した結果感じました点を幾つか申し述べましたが、最後に、不幸にしてなくなられた方々の御冥福をお祈りいたしまして、派遣報告を終わります。
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 竹田現照

    竹田現照君 きょうは時間が非常に制約されでおりますから、通産省北瓦斯三浦さんとあわせて御質問してまいりたいと思います。  私は、四十七年の四月十三日の当委員会で、四十七年三月十六日に起きました北瓦斯水道管ガス管をつないだ問題によって生じました死傷事件を取り上げまして、北瓦斯経営体制、そういう問題についてすでに指摘をしておいたのであります。当時の田中通産大臣も私の質問を受けまして、こういった人身事故が繰り返されないように厳重な指導体制をとるというお答えがありまして、官庁事務としては異例でありますが、同月の二十八日、大臣通達が出されたわけであります。しかし、私は、この二年半前に指摘をいたしましたことがいまもって万全の措置をとられておらないということ、そういったことが累積をして今回のような大事故が起きたんではないか、こう思うんです。  そこで、具体的にお尋ねをいたしますが、四十七年に私が北瓦斯経営体質の問題を含めましで質問したことについて、通産当局ではどういう行政指導を行なったのか。  それから、大臣通達を受けた北瓦斯は、私はそのときに、北瓦斯合理化合理化というようなことで、三十一年以来もうほとんど下請にいろんな問題をまかしている、その下請構造も重層的な下請構造になっている、こういうことが事故発生根本原因だということを指摘をして、これは認められたわけです。そういうことについて、一体どういう体質改善をやられたのか、まずその点をお伺いしておきたいと思います。
  9. 増田実

    説明員増田実君) 北海道瓦斯で四十七年の三月に、札幌市内供給管結びかえ工事に伴いまして事故発生がありました。この種の事故再発を防止いたしますために、北海道瓦斯に対しまして供給管結びかえ工事及び気密試験実施要領の作成、それから、下請会社への工事発注の場合における厳重なるチェック体制をはかることを指導いたしたわけでございます。  これを受けまして北海道瓦斯では、結びかえ工事実施要領——これは設計仕様書等でございますが——を作成いたしまして、下請会社工事発注の際にはチェック実施するようになっております。
  10. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 北海道瓦斯三浦でございます。  このたび札幌地区で、生命にかかわる事故発生いたしましたことにつきまして、深くおわびを申し上げます。  また、先般調査団先生方遠方札幌市までおいでになりまして調査、御指導をいただきました点、恐縮に存じます。  下請あり方でございますが、事故の起きましたあとでこの体制を強化する意味合いにおきまして、工事を一本化するということで北ガス建設株式会社という会社をつくりまして、一昨年の四月から工事全般の教育並びに指導につきましては北海道瓦斯工事の実行と監督をこの北ガス建設にやらせるということで工事の一体化をはかって、これら配管工事の完全な工事実施をはかっております。
  11. 竹田現照

    竹田現照君 増田長官お答えも、いまの三浦さんのお答えも私の質問にはあまり答えになっていないのです。北瓦斯といえば東京瓦斯子会社ですから、世界一のガス会社子会社なんですから、もう少し経営体質というものはしっかりしていなければいけないのです。事故再発をおそれましたから、軍属的な下請構造になっている問題についてもう少しぴしっとした対策をとらないと、事故が次から次に起きますよということを指摘してあったのです。ところが、いまのお答えのあったように、北ガス建設とか何とかというものをつくったとしても、あなたはそういうことを言っているけれども、さらにその会社下請孫請とこうやっていくから、依然として事故がなくなっていないです。  たとえば、今度の熱量アップに伴う事故の以外にも、これは北海道新聞の伝えるところによりますと、すでに北瓦斯配管工事ミスで、この熱量アップの問題とは別に中毒事件が起きています。これもこの新聞記事どおりということになりますと、これはやっぱり下請のまた下請会社工事人によるミスなんです。ですから、前に指摘しておったことを会社側がまともに、まじめに受けて、そういう重囲的な下請構造というものを何とかしなければならぬという姿勢が欠けているところに、大きな問題が私はあると思うのです。今回の事故にしてもそうです。採算その他の経営上の問題をあせるがあまり、きわめて短期間にこういうことをやらせたというところに、端的に言えば事故発生原因があるわけですけれども、それ以前に、大体北瓦斯のそういう問題に対する経営姿勢そのもの一つ改善をされておらないところに問題がある。  あわせて、通産省大臣通達を出したからそれでと、こういうことだけれども、公益事業のこういう事業者に対する監督というものが、文書を出しただけでさっぱり行なわれていない。ここがやっぱり私は問題だと思うのです。それと、大臣通達の出たあとに、同じ四十七年の八月十二日に札幌管区行政監察局から札幌通産局に対して、都市ガス安全供給に関する監査についての勧告が行なわれている。これはガス導管等工事とか、あるいは災害対策保安対策について勧告がいろいろ書かれているわけですけれども、通産局北瓦斯に対して、行監勧告を受けてどういう指導をされたのですか。私が聞いているところを見ると、何かあまり北瓦斯に対して、行監勧告を受けて、具体的な体質改善等についての指導というものは行なわれておらなかったように聞いている。これはどうなんですか。三浦さん、札幌通産局からそういうことを受けていますか、まず先にあなたからお伺いします。
  12. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) いまのお話は受けております。
  13. 竹田現照

    竹田現照君 受けておりましたら、すでに死亡事故を起こして大臣通達も出され、行監勧告も受けて、なおかつ相次いで事故——今度の事故とは別に、事故が相次いで起きているというのは大体おかしいと思うんだよ。私はそういうことについて、抜本的な北瓦斯対策というものが欠けているところに、今回のような大きな事故結びつく原因があったと思うのです。この点については、会社側としてはどういうふうに考えていますか。
  14. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 御指摘のように、事故が起きておりますことにつきましては、率直に反省をいたしております。  経営体制の問題につきましては、安西社長が先般の記者会見、または調査団先生おいでになりましたときに村上社長から、これを契機に今後の経営体経営陣を刷新していくということを明言されておりますので、近くそういうことが実行されるものと信じます。
  15. 竹田現照

    竹田現照君 私は、これから経営のことを改めることはこれはあたりまえの話で、こういう事故がいまあなたの会社体質からいって起こる、起こり得るということを懸念をしたから、もうすでに二年半前にこの委員会指摘しているんです。いま七人もなくなられた、さらにその他の重症者もおられるという状態の中で、村上さんがこの問われわれの前にそういうことを披瀝をされましたけれども、会社最高責任者安西さんの札幌における記者会見の態度は、村上さんが私どもに言ったのと全然違うのです。  だから、あのときは朝鮮料理屋さんですか、そこですでにもう二人か三人の事故死が出ているのです。人柱が立ってからでなければ問題の解決がしないという日本の企業体質そのものが、すべての企業に共通する問題なんですけれども、あなたの会社は、すでにもう尊い人命事故を起こしているんでしょう。起こしておいて、しかもそれに基づく行監なり通産当局からのいろいろなこと、あるいは国会における委員会審議の過程の中にすでに取り上げられておって、そうして二年半たってこれだけたくさんの死亡者を出して、いまあらためて経営体質改善するとかやれ何とかということは、これはおかしいんだよ、そんなことは。  それは会社最高責任者安西さんに私は聞くべきで、専務のあなたに聞くべきことでないかもしれないけれども、しかし、あなたは代表権を持つ北瓦斯現地における最高責任者でしょう。事実上あなたがさいはいを振るっているわけだ。振るってこられたわけですね。ですから、あなたのものの考え方の中に、会社の、企業経営ということが常に第一義にあって、それでそういう需要家に対する安全、公益事業として最も考えなければならぬ保安、安全ということについて、どうしても二義的になっていると言われても、抗弁のしようのないような経営姿勢ということについて私は問題があると思うのです。だから、そういうことについてどうなのか。  それから通産当局も、この北瓦斯料金値上げだとか何とかということについては、全く会社側に型どおりの公聴会をやってすぐ認可。今度の熱量アップの問題についてもそうでしょう。型どおりの公聴会をやらせた。ところが、北瓦斯経営体制そのものに大きな問題があるのにかかわらず、会社側の言うとおりに、はいはいと、前例に照らしてたいしたことないだろうと……、あとでお聞きしますけれどもね。そういうことで認可をする、こういう体制というものが私は問題だと思うんだな。これは、ただ単に今度の熱量アップ事故北瓦斯がけしからぬ、けしからぬということだけでは片づかない問題です、この根本は。  だから、北瓦斯経営というものは、たとえば年二回も、事実上一〇〇%アップに近いようなアップをしなければならぬような経営体質というものは、公益事業としてやれるのかどうかという問題だってあるでしょう。あるいは東京瓦斯と大阪瓦斯のいろいろな需要供給との関係に基づく収支の問題もあるでしょう。そういう全般の問題をやっぱり十分に検討しながら、事故を私が指摘した四十七年以前はすでに年間三千件もあると言われているんだ、北瓦斯事故は。  なかなか北瓦斯事故件数を発表したがらないようですけれども、私が四十七年にこの委員会で言ったときに、北海道議会その他札幌市議会等で私が調べてもらいましたら、北瓦斯年間事故は三千件ですよ、あのとき。だから、その事故件数というものがその後減っているのかふえているのか、こんなこともあわせてやっぱり通産局なり通産省というものは徹底的な指導監督というものはなされてしかるべきだと思う。これが全然なされてない、そこが問題だ。  それから、三浦さんに重ねてお伺いしますが、あなたは四十七年以来、いろいろな勧告なり大臣通達を受けて、北瓦斯が起こした事故というものはどういうことになっているか。私が指摘した三千件というものが大幅に減りましたか、どうなっていますか。あなたはどういうふうに把握していますか、お述べください。
  16. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) お客さんの数がふえますと、事故件数がそれに伴いましてふえますけれども、私ども、保安の強化ということで、漏れその他の事故につきましては、迅速に処理するような体制を整えて実施をいたしておるつもりでございます。
  17. 竹田現照

    竹田現照君 つもりじゃなくて、あなたの会社が起こしている事故というものは、こういう勧告なり何かを受けて減っているのか減ってないのかです。お客さんがふえたから事故がふえるだなんて言ったって、そんなことでは話にならないんです。お客さんがふえたから事故がふえるのはあたりまえだなんていうのは理屈にはならないんだから。ふえたって減ったって、事故は減らすということが会社の主要なる任務でしょう。需要家がふえたから事故がふえていくのも当然だというような前提のように受け取られる答弁では、私は納得しない。そういう考え方が大体間違っているんだ。減っているんですか、ふえているんですか。これ、会社がわからなかったら、通産局どうなんですか、通産省どうなんですか。
  18. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 手元にございます事故の統計で見てまいりますと、最初にガスの消費機器に基づきます事故でございますが、四十六年度におきまして全国で八十件ございますが、そのうち北瓦斯が二件でございます。それから四十七年には、全国八十三件のうち北瓦斯が十四件、それから四十八年でございますが、全国百二十二件のうち北瓦斯が十三件。いまのは消費機器のサイドにおきます事故でございます。  それから、製造供給関係事故といたしましては、四十六年度におきまして、全国で百三十四件のうち北海道瓦斯が十三件、それから四十七年が九十四件のうち九件、それから四十八年におきましては、全国百二十件のうち北海道瓦斯が十三件ということでございまして、依然として事故の割合といいますか、かなり高いものがあるというふうに見ております。  先生の先ほどおっしゃいました三千件といいますのは、においがするだとかいろんな苦情だと思いますが、いわゆる事故としまして通産局報告がありましたものは、いま申し上げましたような数字でございます。
  19. 竹田現照

    竹田現照君 私は、三浦さんをここで人民裁判のようなことをやろうとは考えていませんけども、お尋ねしたようなことは、会社専務として的確に把握をされていてしかるべきだと思います。それがお答えできないというのはどうも納得がいかないんです。私が指摘をしておったような下請機構というようなものの改善というものを具体的になされたんですか。北ガス建設というものをつくったって、しょせんあなたのほうの子会社一つはっきりつくったというだけであって、それだってきわめて何かわずかばかりの社員ですよ、北ガス建設というのは。その会社において十四万世帯、十五万世帯になんなんとするところの札幌市の需要をまかなうだとか、いろいろなことをまかなえるような会社じゃないですね。  そうするとその下請、さらに下請という依然として私が指摘をした下請構造というものは変わってないんです。むしろそういう会社をつくるということは、合理化に基づくそういうような下請への移行というものを推進している一方なんだな、あなたの会社は。そうじゃないですか、ここが問題なんです。そのことについてはどういうふうにお考えになっているんですか。そうまでしなければ公益事業としての北瓦斯というものはいまの経営状態としては成り立たない、そういうふうに判断をされてそういうことを推し進められているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  20. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 配管事業者の技術の問題につきましては、四十七年の事故が起きます前に資格の制度を検討いたしまして、技術、学科の上で合格した者を使うというようなことで、教育の面で資格制度を、実行いたしております。
  21. 竹田現照

    竹田現照君 さっぱり明確な答えがないんだな。それじゃこの二年半というものは、あまりそういう会社側経営体質というものの、いまのさっぱりわけのわかんないお答えでは、改善というものに会社側としては真剣に取り組んでいなかったと言われたってしょうがないんじゃないんですか。それと、たとえばガスの中に占めるCOの割合にしても、北瓦斯というのは全国で一番高いです。これは通産省の業界に対する指導よりはるかに大きいですね。ですからそういうようないろいろな問題を含めて、北瓦斯経営体質というものによって、こういう事故というものがいまのままでいけば将来も起きないとはだれも保証できないんです。  いまは熱量アップに伴う町調整だとかなんとかであなたの会社は一生懸命ですけれども、それ以外に事故を起こす要因というものはたくさんあるんじゃないですか。たとえば配管工事だとかなんとかにしても、それを施工する会社側体制というものが、札幌市の需要に応ずる体制になってないんだと、ここが問題なんです。だから私は、部分的にいまの熱量アップだとかそういうことだけを取り上げてあなたの会社をいま責めても、問題の本質的、根本的な解決にはならないと思うんです。あなたのところの会社体質そのものが、事故が次から次へ起こるような体制になっているんです、今度何とかしますというようなことではなく。  これは監督官庁としての通産省は、北瓦斯のいまの経営体質をどういうふうに見ているんですか、ここが問題なんだよ。これ、長官ひとつ答えてください。
  22. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 先生のおっしゃいました下請監督の問題につきましては、行政管理庁の勧告を受けまして、たとえば下請の業者を監督いたします際の監督日報を作成することとか、下請業者で実際に工事当たります者の資格認定制度を取り入れるとか、あるいは消費機器には安全確保のためのステッカーを張らせるとか、いろいろ具体的な勧告が管理庁からありまして、それに基づきます措置は一応とられておるわけでございますけれども、確かに先生指摘のように、北海道瓦斯の管理、保安体制というのは非常に弱体といいますか、不備であるというふうに考えております。特に、やはり中心になりますところのその技術面、保安技術の面につきましても、いろいろまだ至らない点があるんじゃないかというふうに考えております。
  23. 竹田現照

    竹田現照君 いま大永さんのお答えのように、北瓦斯の技術面から何からにいろいろと問題があるとすれば、これは根本的な解決策というものは早急にやらないと、次から次へ事故が起きますよ。ですからいま私は、先ほどから三浦さんのお答えを聞いていて感じますのも、的確なお答えが全然なされないんですね。これはやっぱり安西さんにおいでいただいて、会社最高責任者としていろいろお尋ねをしなければ根本的な解決にならぬと思うのです。この間調査に行きましたときも、あなたが代表権を持って北海道を切り回しているという村上さんのお話もありましたから、きょうおいでをいただいても、かなり的確にお答えがいただけるものと期待しておりましたけれども、さっぱりお答えがない。答えないという姿勢で出てこられたのかどうか、そんなふうにも感じますがね。  これはやっぱり委員長、きょうはきわめて時間がありませんから、いずれまた会社最高責任者をお呼びして、いろいろ聞く機会をひとつ理事会でもお取り計らいをいただきたいと思うんです。  そこで、ちょっと与えられている時間がきわめて少ないのですが、今度の事件もそういう技術面という点で会社側が不備でありながら、七十五日間という日にちをまずコンクリートして、それに合わせるように工事を急いだところに原因があるわけです。先ほど阿具根調査団長の報告にもありましたが、実際に調整に当たった要員充当計画等もこの間会社からいただきました。ところが、実際に作業基地等に参りましてお伺いしたことと、この資料の中でもいろいろとちぐはぐがありますから、はっきりお尋ねしておきたいんですけれども、約五百人の調整要員をもってあなた方はやられたわけですね。ところが、基地では特にアルバイトの数がきわめて多いんです。社員が百十人、社外が百六十人、アルバイトが百八十四人と、アルバイトの数が多いわけですけれども、これも基地で実際にお尋ねをすると、だんだんなれてきたからアルバイトだけで調整をやらせたというお答えもありました。  それから、あまりわれわれがアルバイトアルバイトと固執しているようですけれども、アルバイトというのは八月で、九月からは学校が始まりますので、九月からは使っていません、あとアルバイト以外でやってた、こういうお答えもあった。ところが、会社から提示をされたこの資料によりましても、九月に入ったってアルバイトをやっぱり使っているんですね。九月十日四十二名、九月二十日三十一名、九月三十日三十三名。これ全然違うんですよ。ですから非常に、警察にいろいろな証拠書類が押収されてできなかったのかどうか知らぬけれども、こういう要員充当計画なんというものは、大体押収されようとされまいと、あなたはわかってなければおかしいんだが、この点がない。  それと、このアルバイトには、教育のしかたについてはいろいろ問題があるかもしれませんけれども、先ほどから私が指摘をしている社外からの応援ですね、いわゆる下請、あるいはメーカー、こういうものからの応援というものが、むしろアルバイトに教育をした者よりまだ程度の落ちる者が、結局、北瓦斯の要請に基づいて人員は出さなければならぬということで、拠出をしていることがなかったのかどうか。  それから、いま大永さんが言われたように、北瓦斯そのものが技術その他の問題について十分満足すべき状態でないと、こう言っているわけでしょう。そういう状態の中でこの七十五日間に——まあ、村上さんはこの間、計画実態が合わなかったということを認められたんですけれども、あなたが立案をされた段階においてすでに、結果として合わなかったのじゃなくて、立案の段階で会社側体制そのものが大体無理があったと、このことを率直に認められますか、どうですか。計画はよかったのだけれども、実態が合わなくてずれがあったのだということでは、私はどうも納得がいかないのだ。計画そのものに会社実態に照らして無理があった、そのことを三浦さん、認められますか、どうですか。
  24. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 私は、計画そのものには無理はなかったと思いますが、実施の面では御指摘のとおり無理があったと思います。
  25. 竹田現照

    竹田現照君 私は、あなたが、アルバイトを二百人も使わなければならぬとか、社外からメーカーまで一ぱい動員をしなければならぬという前提の上に立って計画が無理がなかったなんと言うことは、これは実際おかしいのだな。こういうものは十分な技能と何とかを持たなければならぬということをちゃんと指摘されているのでしょう、前に公益事業局長名であなた方事業者に対して。ところが、大半がそういう十分な資格を持っていない者をもって当てなければならぬ状態の中で、計画が間違ってなかったなんというようなことはちょっとおかしいのじゃないですか。アルバイトというもの、あるいはメーカーから拠出される人員というものは責任がないのです。責任があるのは、北瓦斯としてのガス事業者であるあなたのところに責任があるのだ、最終的には。ところが、責任ある会社点検体制だとか、調整体制というものが十分とり得る状態になくて、計画が間違ってなかったなんというようなことは言えないでしょう。  われわれが現地を視察した野本マンション、あのときでも、私が基地で聞いたときには、八人の調整作業員を出しています、こう言っているのです。ところが実際に行ってみると、二人がなくなったところでは、湯わかし器ガスコンロが並んでいるじゃないですか。片っ方のガスコンロだけやって湯わかし器をやっていない。それで八人もやられた。そのときの現場お答えは何ですか。コンロの調整をする者はいたけれども、ガス調整する技術者がいなかったからあとから来ることにしておったのだと、こうでしょう。こういう作業体制の中で計画が間違ってなかったのだ、正しかったのだなんて、これは口がくさったって言えるわけないんじゃないですか。計画そのものの間違いは、私は率直に認められたほうがいいんじゃないかと思うのです。それでなければ、問題の本質的な解決になりませんよ。それは認めるでしょう。同じ会社でやった函館の例をとっても無理があるのですから。どうなんですか、それ。  それと、北瓦斯から言ってきた事態、札幌通産局お答えは、函館その他の例によって大体よろしかろうと、こういうお答えだったのです。ところが、実際はそういう状態でないわけです。結果が起きたから、それはまあちょっとまずかったなあじゃ済まされないのです、監督官庁としては。これはどうなんですか。  三浦さん、計画そのものについてあなたは無理でなかったなんて言ったって、私がいま言ったことだけでも無理じゃないですか。これは率直に認められたらいいと思うのですが、どうですかね。——黙して語らないじゃだめだぞ。
  26. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 私が申し上げましたのは、ガス器具メーカーから応援していただきます方は、ガス器具の知識のある人でございます。それからアルバイトにつきましては、一週間程度での講習で一応調整のできる範囲のガス器具調整さしたということで、このメーカー、アルバイト等を使ってまいりますことにつきましては、北海道瓦斯だけが考え出したことではございませんので、ここにつきまして、私は計画の技術の中身につきまして、そう間違いはなかったということを考えておるわけでございます。
  27. 竹田現照

    竹田現照君 これはそういうことじゃ、あなた、全然今度の事故の反省していませんよ。アルバイトにやらせて、あなたの会社社員点検をする、その体制すらなかったんじゃないですか。それは結局人が足りないということでしょう。北瓦斯自体の責任ある立場における点検要員すら人員が足りないということでも物証っておるんです。それでなおかつ計画が間違いないのだ、メーカーその他のやつは、ガス器具の知識のある者だとか何とか、これだってほんとうにそういう者かどうかということを、あなたは責任者として十分確める必要がある、それを何もしてないでしょう。  私は現地でも指摘しましたけれども、あなたの会社内部で、十六日からスタートする段階で、あなたのほうの組合は二つあるそうですけれども、第一組合は、これはいまのままじゃ無理ですよ、このままじゃ事故が起きるということは、十月九日の段階で組合のニュースで出てますね。現実にあなたの会社の中で、いまのままでいけばこれはあぶないぞという警告が出ているのに、それを一方的に無視しているでしょう。新聞記者座談会によると、第一組合、第二組合があって、社内が何だかおかしくなっている。それから内部からは、ものを言えばくちびる寒しだ、そういう社内体制だと、こう言っているんです。  都合のいいところだけ聞いて——都合が悪くても、専務がだらしないとか、いいとか悪いとか、そういう組合の中傷とか何とかは別として、こういうことについて、このままではあぶないぞということは会社内部の意見として率直に、聞くことですよ。それを全然してないでしょう。それでなおかつ、計画が全然間違ってなかったといまもって言われるんじゃ、私は今度の北瓦斯問題の根本的な解決にはならぬと思います。  われわれに対してだけたいへん申しわけなかったとか、どうだとかこうだとか言ったって、それはそのときだけの話で、根元を改めない限りだめですよ。根元が間違ってなかったのだと言っておる限り、これは問題の解決にはなりません。重ねて私は三浦さんに計画のずさんさというものを認めるかどうかお尋ねしたい。
  28. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 調整員の中に占める社員の数が少なかったということにつきましては、御指摘のとおりでございまして、結果的に反省をい  たしております。
  29. 阿具根登

    ○阿具根登君 ちょっと関連して質問しますが、どうもそれじゃ竹田委員も了解できないと思うんです。十月の十六日というのは中央からの至上命令でしょう。十月の十六日にはどうしても切りかえを完了しなければならぬ、実施すると、これは至上命令が出ておったんでしょう。それに合わせるためにあなたは一生懸命にやったんじゃないですか。そして、結果的に見てついてこなかったと、こういうのがあったんじゃないですか。  それからもう一点、かりに学生アルバイトを使っておらなかったとするならば、事故が起こったのは十六日から二十一日までの七件、七人の人が死んでいる。そうすると、あなたのところの正社員技術者がやったのにこれだけの事故ができてきた、こうしかなりませんよ。この二点お答えください。
  30. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 十月十六日から新しいガスを送り出すということは、計画の上のことでございまして、私どもはその目標に向かって実行しようとしたわけでございますから、一応われわれを含めた至上命令ということで御理解いただいてよろしいと思います。  なお、いま技術の面につきまして御指摘がございましたが、実際に事故が起きてもおりますので、技術面につきましても、程度の問題につきまして反省をいたしております。
  31. 竹田現照

    竹田現照君 これは何だかさっぱりわけがわからないのだ、このお答えが。三浦さんは現地最高責任者なんだから。実際の計画をして、言ってみれば、事実上の社長のような権限を持ってさいはいを振っておられた方でしょう。それは認めるでしょう。その御本人がいまのようなわけのわからないことをお答えになっていたのでは話にならぬですよ。もう少しきりっとしたお答えをしてもらわなければ全然話にならぬ。ですから、私は北瓦斯責任というばかりではなく、冒頭から言っておるように、通産省は、いま三浦さんがお答えになっているような程度の北瓦斯について、どういうふうにこの企業実態というものを把握されておったのか。  事故が起きたからあなた方を責めるのじゃなくて、百も、二百も、三百近くもあるガス公益事業者が、北瓦斯よりまだ小さい経営体質が一ぱいあるんです。ところによっては、法律はあるけれども、それこそ薬剤師の名前を借りて、実際は違うのがやっている薬屋と同じで、ガスの主任技術者もいないけれども、名前だけ借りてきてやっているというところもあるようですね、全国のガス会社の中には。ですからそういう企業の中で、北瓦斯なんというのは比較的大きいといっておる、しかも東証一部上場会社なんだから。そういう会社に対して、あまり会社を全面的に信頼し過ぎて、さっぱり内部のそういう問題について、チェックだとか何とか指導していなかったのかどうかです。  特に北瓦斯の問題は、一月、それからまだ認可になっていないけれども、この間、機動隊まで導入して公聴会でがたがたやっている、そういう問題というのは、私は料金の値上げを認可するという通産省姿勢というものは、北瓦斯経営体質に十分にメスを入れているから、ただ石油が上がったから、しようがないから料金値上げを認めざるを得ないということだけでは話にならぬわけです。そのことだったら、一月にあなた方は北瓦斯の申請を少し値切って認可したわけでしょう。それからものの何日もたたないうちにまた石油が上がっているわけですね。そういうようないろいろなことを考えると、この北瓦斯に対する認可姿勢だとかなんとかというものについて、通産省としてはそれこそ猛烈に反俗をしなければならぬ点がたくさんあるんだ。  そうして、今度の熱量アップに伴う事故も、北瓦斯通産省責任はまさに同罪だと思うのだな。同罪より、そういう経営体質というものを十分知っていながら放置したとすれば、通産省のほうの責任が大きいといってもいいかもしれないんですね。この点について私はもう少し通産当局のはっきりした返事をお伺いしたいし、それから、こういう事故が起きて、いろいろな法律改正その他の問題については、あとで大臣が来てからでないとちょっとお聞きできないから、これは質問を保留して、与えられた時間も過ぎておりますけれども、何かさっぱりわけのわからぬような三浦さんのお答えでは私はどうも納得がいかない。  しかし、これはさておいて、通産当局の考え方もお尋ねして、私は一応質問を終わりたいとい思ます。
  32. 増田実

    説明員増田実君) ガスの事業につきましては、消費者に対する安定的な供給という責任と、それから保安の万全を期するという責任があるわけでございます。これに関しまして、通産省といたしまして、このガス事業を行なう会社に対する監督責任を持っておるわけでございます。その意味におきまして、今回のような事故が起こりまして、七人の痛ましい犠牲者、その他中毒患者を出しましたことにつきましては、私どもも監督責任の立場から深く反省いたしておる次第でございます。今後このような事故が全国どこにおいても発生いたさないように十分相つとめたい、こういうふうに思っております。
  33. 対馬孝且

    対馬孝且君 いままでの北瓦斯の問題で質問されておりますけれども、現場最高責任者である三浦専務は何ら責任を感じていない。まさに人命軽視もはなはだしい。こういう経営姿勢に対して、私は二、三ちょっと質問をしてみたいと思うのでありますが、あなたは二十一日の札幌市議会でこの問題について追及をされましたね。二十一日といえば、もうすでに事故が起きて犠牲者が七名出ているわけです。そこで、この間の調査団が行った際にわれわれが申し上げて、初めて遺族に対して慰めのことばをかけるに至った。こういう経営姿勢についてどうお考えになっているのですか。われわれ参議院の調査団が行って、われわれが追及して初めて遺族の方々にお慰めをするという、こういう経営責任姿勢というものについてまずどう考えているか、これをひとつお伺いします。
  34. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 原因が何であるにしろ、私どもの供給しておりますガスに基づく事故でございまして、先生方いらっしゃいます前に、私は遺族の家庭を二軒訪問いたしましたが、そのあと先生方の御指摘で私がほかの遺族を回りました。この姿勢につきましては、私どもが供給しているガス原因でございますので、おわびを申したいと思います。
  35. 対馬孝且

    対馬孝且君 十六日から二十日までに七名の死亡者を出しておって、われわれが一日に行って、初めて言われて弔閲するというような、大体北瓦斯経営感覚というものは人命を最初から無視してかかっている。ここにやはり基本的な経営姿勢があるということを私は指摘をしなければなりません。  私はあなたに第二に質問したいことは、この前二十一日の札幌市議会でこの原因の追及、あるいは経営姿勢を追及した際に、北海道は、冬場になれば住宅構造が全部密閉をしてしまう、いわゆるそういう密閉した結果が今日の災害をもたらしたように感ずる、こういうことを公式に発言をいたしておるのでありますが、こういったあなたの感覚というものが私は問題だと思うのです。北海道は、冬場になれば内部まで密閉しているわけです。もちろん寒いから密閉するのですけれども。それがあたかも原因なようにものごとを考えられて、市議会という議会の神聖なる場で、しかも責任を何ら感じずに、あたかも住宅のつくりが悪いから事故が起きたなんてたかをくくっているあなたの感覚について問題があると思うのです。この点はどういう感覚でお答えになったか、まずひとつお伺いをしたい。
  36. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 二十一日現在で私が申し上げましたのは、事故原因がはっきりしておりませんけれども、吸排気の設備が完備しておらない点も報道されておりましたので、これらにつきまして、今後私どもは吸排気の問題等々につきましてもお客さまに理解をしていただくという気持ちで申し上げたわけでございまして、今回の事故が全部建物の構造によって起きたということを申し上げたのではございません。
  37. 対馬孝且

    対馬孝且君 申し上げたわけでございませんという、その次の問題に関係するのですが、先ほども若干触れましたけれども、北瓦斯のCO——酸化炭素に対する会社のものの考え方、あなたの現場最高責任者としてのものの考え方。通産省は、一〇%以下もしくはできれば五%程度に業界の指導をされているはずであります。しかも現在、函館、室蘭、旭川あるいは東京都におけるあれは、大体五%台から四%前後であります。しかも、私が確認した数字では、ちょうど調整作業に入った以前の段階でこの一酸化炭素のガスの濃度が一一・八%に達しているではありませんか。この一一・八%に達した時点で危険性がある、これは事故につながる、こういう経営感度を持たなければならないのに、あえて調整作業を強行したという考え方について、一体どういう考え方をもってなされたか、これをひとつお伺いをいたします。
  38. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) COの含有量につきましては、私どものやっております函館営業所におきましては、アジア石油からオフガスを導入しておりますので、ガス源の関係でCOの含有量が変わってまいろうかと思います。私ども札幌工場につきましては、極力COの軽減をはかることに努力いたしまして、COコンバーターの設置をいたしておりますが、今後はさらにこの装置を増設いたしまして、COの含有量の低下につとめたいと存じております。ただ調整が、そのときに一一%ということを認識の上でやったかどうかということにつきましては、それを承知の上で転換いたしましたことにつきましては反省いたしております。
  39. 対馬孝且

    対馬孝且君 もう一つお伺いをしたいのは、やっぱり企業本位の考え方が一貫して、いまのあなたの答弁の中にも、いまなお企業本位、利潤本位、人命無視という態度は変わっていないのですね、終始一貫、あなたのいまの答弁を聞いていると。ことばの上では反省していますとか何とか言っていますがね。  それを証拠に、じゃお伺いをしたいのですが、事故発生調整作業の段階では、CO——一酸化炭素の検知器による再調整作業を行なっていなかったのですね。私はこの間現場に行って、現場の主任に聞いたところが、この検知器を採用したのはいつの時点かという質問に対しては、再調整の段階で使いましたと。ここが問題じゃないですか。少なくとも再調整のために検知器を使うならば、最初から危険であることが明らかになっているにもかかわらず、再調整の段階で初めて検知器を使っておる。これは明らかに合理化のために機械その他を倹約をして、最初から検知器を使うべきものが使わなかったということに問題があるのじゃないですか。そういう点を最初からどうして調整の段階で——調整ということはあぶないという事態が発生しているのですから。実際にこれが使われたのは二十六日以降じゃないですか。私はこの点についてお伺いをしたいと思うのです。それは合理化のために会社のコスト軽減のために検知器を採用することができなかった、こういう態度じゃないですか。この点どうですか。
  40. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) いま先生から御指摘のように、調整作業をいたしておりますときにはCO検知器を使っておりません。使いましたのは、総点検をいたしました十月二十三日以降でございます。で、調整作業のときになぜ検知器を使う配慮がなかったかという御指摘にもつながると思いますが、一般的には目視ということで行なっておりましたので、その時点でCO検知器を使用するということは、避けたのではなくて、考えておらなかったということであります。  なお、CO検知器を使うことになりましたのは、総点検をいたしますにつきまして、今後の安全を確保するという意味で使用を開始したということでございます。
  41. 竹田現照

    竹田現照君 関連。  このいまのCO検知器というのは、私ども初めてわかったのだけれども、北瓦斯事故があって初めて使ったのですね、再調整の段階で。全国どこでも使っていなかったらしいですよ。この事故でそういうことをやらざるを得ないということがはっきりしたわけですから、通産省はこれは直ちにでも全国のガス業者に対して、熱量アップばかりでなくて、いろいろなそういうことだってあちこちでやられるでしょう。これは義務づけるか何かをしないと事故はまた起きますよ。これは直ちにやらなければならぬことなんですけれども、どうお考えになっていますか、あわせてひとつ。
  42. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) いま御指摘のように、熱量変更作業の途中の調整の段階とか、あるいは調整が終わった段階等で、従来、CO検知器を使用することは義務づけていなかったわけでございます。で、いままでCO検知器を使っておりましたのは、ガス導管工事なんかのときにやっておるケースはございますけれども、こういった調整作業のときにはやっていなかったというのが実態でございます。今後、保安強化の一環として検討いたしたいと思います。
  43. 竹田現照

    竹田現照君 使うというんですか。
  44. 対馬孝且

    対馬孝且君 先ほど竹田委員質問にもあって、計画に無理があったのではないかという問題提起に対しまして、お答えがさっぱりわかったようなわからぬようなことを言っているわけですけれども、当初計画は五十年から実施をすると、これは間違いありませんね。出初計画は五十年が、四十九年に繰り上げて実施をしたというところに問題点があるわけであります。会社の言い分は、これは需要急増をしたので利用者のためだという表看板は言っていますけれども、実際は経営合理化のために、採算本位のための一年繰り上げの需要計画がつくられた、強行されたと、ここから問題が出発をされているわけであります。  それで私は、あえてこれを裏づける意味で申し上げるんでありますが、会社の「熱変ニュース」というナンバー十四、九月四日付の会社のPR紙であります。これで明らかでありませんか。明らかに計画はずさんであり、計画に無理があったということを明確に暴露したのは、はっきり証明されたのは、この会社が出しておるPRニュースの中に、「各基地一斉に九月攻勢を開始す」という見出しで、作業員二人が九月二日現在の状態では、当初想定したのが八・三戸、それが全体の平均を見ますと八・九九戸に作業が増加をされている、いわゆる高まっているということです。  その中で、「ある基地では」というあえて浮き彫りにして見出しをつけて、一人が四十戸を「こなす強者も現われ明るいニュースとなった。」なんて、いかにあなた、これが労働強化をさせ、無理をしい、そのために死者を出したといっても過言ではないじゃないですか。これが当初計画に無理がなくて、何が無理がなかったということが言えるのですか。一人で四十戸やった強者が、まことにスーパーマンがあらわれた、みなの作業員よ、これにならえということじゃないですか。こういうふうにしりたたきをしておって、こういう無理が結果的には今日のあの調整作業をしたと称して、あるいは再調整作業をしたと称して、ラベルだけを張って帰っていったという、現にアルバイトが証言しているじゃないですか。作業はやらなかったけれども、レッテルだけ張って帰ってきた、これぐらい無理をしいられたと。  しかも、時間外労働を八月の——私、正式に申し上げますよ。八月の九日から九月十五日に至るまでの労働組合、第一組合の出した時間外労働時間は百二十時間から百三十時間、一日五時間以上の時間外労働を常時やらしているわけです。しかも、まだ問題なことは、第一組合、第二組合があるわけですから、この調整作業事故発生した後においても、会社側と第二組合がグルになって第一組合の脱落者の引き抜き、そういう労務政策をやっているじゃありませんか。私は、根本は、やっぱり労使関係のこういった関係において行なわれている北瓦斯体質が、当然事故が起こるべくして起きたということを指摘をせざるを得ないわけであります。  この点、どうですか。「熱変ニュース」が誤りですか。「熱変ニュース」のナンバー十四、これは正式な会社のPR紙ですから、この中に遺憾なことは、あなたがどんなに口でうまいことを言ったって、保安の問題何一つ触れていないじゃないですか。人命が大事だというなら、どうしてこのニュースの中に保安優先第一確保のための作業を行ないと、保安のほの字がどこにありますか、このニュースの中に。一字もないじゃありませんか。こういったことが明らかにされて、いまなお計画が無理ではなかった、しかも市議会においては住宅の構造に欠陥があるのではないか、こういう現場最高責任者、もちろん安西法王というこの独善きわまりない北瓦斯体質については、後ほど、私どもは社長を徹底的に追及しますけれども、まずこういった問題についての事実があったかなかったか。それに伴って計画に無理があったのか、ないのか、これをお答えください。
  45. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 熱量変更の時期を一年繰り上げましたことにつきましては、資金繰り、設備投資の関係上、経営の堅実さをはかる意味におきまして引き上げたということは事実でございます。  それから次に、時間外労働の時間の関係でございますが、相当数の時間外労働をいたしたことは、御指摘のとおりであります。  なお、労使関係につきまして触れられましたが、一事業所に二つの労働組合が存在するということにつきましてはまれな例でございますので、この関係の労使関係につきましては、御指摘のように、一般に比較いたしまして問題はあろうかと存じます。  なお、「熱変ニュース」の中に保安の表現が入っておらないということにつきましては御指摘のとおりでございまして、私ども基地には「安全な作業」というようなスローガンを張っておりますが、そういったニュースの中に安全を強調しなかったことにつきましては、率直に反省をいたしております。
  46. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは根本経営基本姿勢の問題ですから、これ以上申し上げても……。社長をこの委員会にお呼び出しした段階で私も申し上げたいと思います。  最後に、私は通産省にちょっとお伺いをしたいのでありますが、十五日から二十二日までの間に事故発生をして、特に十八、十九、二十日と、こう集中をされているわけです。ところが現地へ行ってはっきりしたことは、出先の通産局現場基地を点検をして行政指導したのは、実際に通産局現場に出向いて現場検証を行なったという事実は、二十六日以降であります。二十六日、二十八日であります。これは長官にお伺いしたいのでありますが、少なくとも死者が出ているという現実の中で、私は、間髪入れず行政指導をやっぱり現場チェックをしてすべきではないか。それなのにかかわらず、実際には二十六日以降である。こういう通産局監督行政のあり方の問題が一つ。  それからもう一つは、これ、あわせて申し上げなければならないことは、いま現在、道警本部が手入れをいたしまして作業員二名を業務上過失致死の疑いで収置をされております。根本問題は、これは後ほど問題になりますけれども、経営者の最高責任の問題であり、通産行政の監督不行き届きの問題点であります。私はこの点について、末端の作業員だけが責任があって最高幹部には責任がない、この通産行政に対する責任体制というものについてはどう考えておるのか、これをはっきりしておかないと問題になるんじゃないかということ。  それから、これから遺族の対策の問題。これは、私はアパートへ行きました。アパートへ行ったら、アパートの主が言っていることは、あまりにも今回の北瓦斯の態度については、全く冷血動物と同じじゃありませんか、一言の弔意もなければ、その後の先行きの問題について、現実にいま死者が出たアパートについては入り手がない、せめて北瓦斯の人間を入れてもらいたい、こう言って嘆きを訴えられておりました。いま大事なことは、二度とこういうことを繰り返してはならないという立場でわれわれは追及をしているわけです。あるいは意見を申し上げているわけです。そういう総括的な通産行政としての、これからの遺族を含めての問題、それから作業員に対する責任体制あり方の問題、最高幹部の責任体制あり方の問題、経営体制の問題を含めて、私は長官に、この段階でどうこれから考えようとするのか、後ほど大臣が来ましたらあわせて質問しますけれども、当面の考え方だけお聞かせを願って、質問を終わりたいと思います。
  47. 増田実

    説明員増田実君) ただいま対馬先生から御指摘ありました、調整基地のほうに通産局の職員が行きましたのは二十六日という非常におそい、こういう重大事故においてもっと機敏に行動すべきじゃないか、御指摘のとおりでございますが、ただ、事故現場にはもっと早く通産局の職員は行っておりますし、また、本省からも専門の人間を直ちに北海道に派遣いたしまして、この事故原因の究明その他に相つとめておる次第でございます。調整基地に行きましたのが若干おくれたということにつきましては、先生の御指摘のとおりでございます。  それから、ただいま対馬先生から、こういう事故の起こりましたことにつきまして、その原因根本的な問題、つまり会社体制保安あり方その他の問題についていかに考えるかという御質問でございますが、私どももこのような事故が絶対に二度繰り返すことのないように、これらの問題につきまして十分原因を究明しますとともに、その監督責任その他につきましてはきつい態度をもって当たる、こういうことにいたします。
  48. 桑名義治

    桑名義治君 私は端的に御質問いたしますので、端的にまた答えていただきたいと思います。  現地でも問題になり、現在までに当委員会でも問題になったわけでございますが、十月の十六日の時点に出発をしているわけでございますが、この時点で、この前も現地でお話を申し上げたんですが、すでにガス調整が積み残しがあったということが明らかになっているわけです。それはもう皆さん方から出されているこの資料の中にも明快になっているわけでございますけれども、器具の場合でも三六・二%、あるいは戸数にして約二〇%の戸数の器具がまだ未調整であったということが、十月の三十日現在で記載されている事実があるわけです。皆さん方が発車をしたいわゆる十月十六日の時点で、こうやった未調整があるということを皆さんは、あなたは現地責任者としてはたして知っておられたのかどうか。  この前のお話では、副社長村上さんが電話で問い合わせをしたら、だいじょうぶですとあなたはお答えになったと、こういうふうに言われているわけですよ。で、実際にはこの資料によると、いま申し上げたように、十月の三十日で戸数にして約二〇%、器具にして約三六・二%が未調整のままに出発をしているわけでございますけれども、その八月の十六日の時点で、なぜあなたはだいじょうぶですと当局に報告をなさったんですか、そこのところを明快にしておく必要があると思うんですが。
  49. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 十月十五日現在、私が確認いたしましたのは、二度、三度訪問いたしましても、不在のために器具の調整のできなかったお客さんの数、五百三十戸、この不在需要家を数少なくするということで、そちらのほうに重点がかかっておりました。したがいまして、器具の調整につきましては、私は全部が済んでいるというように判断をいたしたわけでございます。
  50. 桑名義治

    桑名義治君 いまの御答弁ではっきりしましたように、完全な確認がなされずに、ただ不在者があったために、その器具がまだ残っていると、これでとどまっているという判断が私は大きな間違いではないかと思う。だから、そういうところにも、あくまでも十月の十六日の出発の時点が至上命令であった、こういうふうに、これにもう強引に合わしたと言わざるを得ないわけです。  そこで、こういう認可をとる場合には通産省の許可が必要でございますけれども、通産省は、出発の時点に調査をする必要はなかったんですか、どうですか。また、調査をしたんですか、どうですか。これは重大な問題だと思うんです。いわゆるカロリーアップによって未調整の場合にはどれだけの危険性を伴うというその認識が重大であるとするならば、これは当然通産省としてはこうやった調査をやるべきだと思うんですが、先ほどから、事故が起こって十月の二十六日の時点で初めて調査をしたというお話がたびたび論議に上がっているわけでございますが、はたして、十月の十六日の時点で通産省としてはどういう措置をとられたのか、そこのところをお答え願いたいと思います。
  51. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 十六日の日に、通産局専務が参りまして、調整を終わりましたという報告は受けておりますが、それ以前の段階で、通産局現地に出向いて一軒一軒終わったかどうかということを確認するということについてはやっておりません。ただ、これは実際問題としまして十数万軒ございますし、通産局の職員というのは非常に数が少のうございますので、まあ今後抜き取り調査等はやるべきであろうと思います。全般的に、通産局として再点検した上でスタートするということはなかなかむずかしい面もあろうかと思いますけれども、その辺につきましては、御高配いただきたいと思います。
  52. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、確かに全戸数に対して通産局が一々調べるということは、これはほとんど不可能に近いと思います。で、問題は、一応カロリーアップについては計画が、計画変更書の書類が出ておると思うんです。で、実際に専務から、終わりましたという口頭のものが来たのか、はたして明細が来て、こういうことで、こういうことで積み残しがありますと、しかし出発をさしてもらいたいと、こういうふうないわゆる説明があったのか、それはどうですか。
  53. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 明細な報告があったとは聞いておりません。口頭による報告でございます。
  54. 桑名義治

    桑名義治君 そこら辺に確かに問題があったと思います。三浦参考人は、いまはっきりとおっしゃいましたけれども、留守家庭で器具の未調整は五百幾らあったということを明言をしております。で、かりに通産省に、こういうふうに五百幾らの未調整がございますと、こういう報告があったとするならば、通産省は、これは仮定で申しわけないですが、認可しますか。
  55. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 非常にむずかしい問題でございまして、専門的には私もよくわからないのでございますが、こういった調整をいたします際に、長期不在等でどうしてもつかまらないという需要家数は、いずれにいたしましてもある数は残ることが予想されるわけでございまして、問題は、そういった需要家に対しましてどういう安全措置を講ずるかということではなかろうかと思います。一応まあ、器具については、使用しないでくださいというふうなことは戸口には張っておったと思いますけれども、場合によりましては、アパートでありますれば管理人の許可を得て入るとか、あるいは公団であれば同じく管理人の許可を得て入るということで、多少強引であっても、部屋の中へ入れてもらって、器具にまでやはりステッカーを張るとか、あるいは元せんを切ってしまうとか、もう少し手荒なといいますか、思い切った措置を講ずべきではなかったかというふうに反省をいたしております。
  56. 桑名義治

    桑名義治君 この問題はまたよく調査をし、あるいは結論が出た時点で明快にしていただきたい問題だと思いますが、いずれにしましても、ガス会社としては、カロリーアップが行なわれれば、当然未調整の場合に危険が伴うということは、これはもう常識的な問題でございますから、保安上の問題は、これはもう徹底してやっていかなきゃならなかった問題でありながら、いわゆるそれに対する認識が非常に薄かったというところに問題があるわけでございまして、その点については重大な反省をしていただかなければならないし、今後の問題として他山の石にしなきゃならない、こういうように思います。通産省としては、この問題については、またあらためてこういうふうにしなければならないという考え方をお持ちかどうか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  57. 増田実

    説明員増田実君) 今回の事件につきましては、先ほども竹田先生対馬先生に御答弁申し上げましたように、こういう事故が再び決して起こらないように、あらゆる原因というものを究明いたしまして、この事故再発を防ぐための万全の措置通産省としてもとっていきたい、こういうふうに思っております。
  58. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、これがはっきりチェックできれば、先日事業部長からもお話がございましたように、四十条の二でチェックができるわけでございますから、したがって、こういう事故が防げたんではないかというふうに考えられるわけでございます。  そこで、この前現地で事業部長が言われましたように、四十条の二の段取りというものを今後つけたい、どういうふうに段取りをつけて変更させるかという段取りをつけたいというふうに言われた発言があったわけですが、この件についてはいつをめどにこういう段取りを明快にするか、その点をちょっと伺っておきたいと思います。
  59. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) こういった調整作業の基準をきめたいというふうに考えております。それで、調整作業の基準というのは、かなり専門的な事項にもわたりますので、専門家の意見も徴する必要がございますし、あまり取り急いでやってもと思いますけれども、来年の夏場になりますと、夏場は大体熱量変更のシーズンになりますので、少なくともそれには間に合うように基準をきめたいというふうに考えております。
  60. 桑名義治

    桑名義治君 それともう一点ですが、確かに現地に行ってみましてもわかるんですが、いわゆる北海道は、特に冬場については密封をされたような状態に入っていくわけですが、ガスを使用する場合の建築の基準というものもある程度勘案をしなきゃならぬと思うんですが、この点についての建設省との話し合い、これはやっていく意思があるかどうか、この点も重ねて伺っておきたいと思います。
  61. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 積極的にやってまいりたいと思います。
  62. 桑名義治

    桑名義治君 現在、この問題については警察の調査中でございますけれども、その中で、新聞等については一部問題点指摘されてるわけですが、調査中ではありますけれども、通産当局警察当局との間で話し合いあるいは現在までに判明した事実関係についての問い合わせをしていますかどうですか、その点ちょっと伺っておきたいと思います。
  63. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 札幌通産局から警察のほうに出向きまして、警察で調査しました事実につきましては聴取をしておるところでございます。
  64. 桑名義治

    桑名義治君 その時点で公表できる面についてちょっとお答え願いたいと思います。
  65. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 失礼しました。聞いておりますのは、中毒事故通産局事故報告としてありましたもの以外にも、ほかにも起きていないかどうか、警察にそういった届け出がないかというところを中心に聞いておるということでございまして、いわゆる事故原因につきましての詳細な打ち合わせといいますか、聴取はいまの段階ではまだできておりません。
  66. 桑名義治

    桑名義治君 十月の十六日の時点から問題が起こってるわけでございますし、警察もある程度はもう把握したような事柄が報道もされておりますし、いつまたこういう問題が起こるかもわかりませんので、少なくともその原因のわかった範囲内においてはいち早く把握し、そして二度とこの問題が起こらないような事前の防止が、私はその姿勢が最も大事なことではなかろうか、こういうふうに思いますので、その点についても密な連絡をとっていただきたい、このように思います。  それから、ガス事業法によっては保安規定というものが、非常にわずかな保安規定があるわけです。実際には第二款の二十八条から三十七条までが保安規定として載っておりますけれども、この保安規定の中身を見てみますと、ガス主任技術者に対するあるいは免許の問題、国家試験の問題、こういう問題が大体中心になってるわけですが、この現在のガス事業法による保安規定というものがまだ不足ではないか、いわゆる欠落した面がたくさんあるのではないかというふうに思われるわけですが、その点については通産省としては何もお考えはありませんか。
  67. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 確かに、現在のガス事業法の中で保安規定で中心になっておりますのは、いわゆるガス工作物の保安ということでございまして、ガス消費機器のほうにつきましては、これはたてまえとして消費者が自分で所有し、あるいは占有する機器であるということからいたしまして、一次的な保安の問題は消費者みずからがやるべきである、ただし、それに対して消費者のほうは非常に知識が薄いわけでございますので、三年に一ぺん調査をするとか、あるいは一年に一回PRのビラを配るとかといったような、やや間接的なことしかやっていないというのが現状でございます。しかしながら、先生指摘になりましたように、消費機器につきましても、たとえば四十条の二というような規定もございまして、これの運用のしかたではさらにさらに規制を強化するということは十分可能であると思いますので、当面現行のガス事業法の運用強化によりまして、消費機器等に対します保安監督の強化をはかりたいというふうに考えておるところでございます。
  68. 桑名義治

    桑名義治君 次に、公聴会の問題をちょっとお聞きしておきたいと思うんですが、今回も北海道瓦斯の問題については四十八条によって公聴会が開かれたわけですが、しかし、公聴会の中身そのものが常に料金をアップするかしないか、あるいはそれが適正であるかどうか、こういった公聴会に終始してるわけでございます。ところが、一般的なものの料金であるならばこれでいいかもしれませんけれども、しかし、こういうガスのような危険を伴う、いわゆるカロリーアップによって危険を伴うような場合には、これは料金の値上げと同時に保安の問題もあわせた公聴会を開く必要が私はあると、こういうふうに思うわけですが、この点について、別個に保安に対する公聴会——いわゆるカロリーアップをこうしますけれどもこういうふうに安全でございます、こうやって需要者に対して安心して使ってもらえると、こういう公聴会、と同時に料金に対する公聴会、二本立てでやる必要がある、こういうふうに私は思うんですけれども、その点についての見解どうですか。
  69. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 現在、公聴会につきましては、ガス事業法四十八条の規定によりまして、いわゆる供給規程認可等、消費者とガス事業者との契約条項につきまして、これを制定し、あるいは変更する際に広く意見を聞こうというたてまえでできておるわけでございます。もちろん法律は、これ以外の場合につきまして公聴会を開くことを禁止しているものではございません。ただ、保安の問題等につきましては、われわれの考え方としましては、広く一般の意見を聞くと申しますよりも、むしろ専門的な方々の意見を十分聞くということが大事ではないかということでございまして、従来からたとえば地震の問題あるいはLNGの導入問題等につきましては、専門の大都市対策調査会というのを設けまして、そこでいろいろ意見を聞いておるわけでございますけれども、今回の事故にかんがみまして、熱量変更等の問題につきましても、やはり専門家の委員会のようなものをつくりまして、そこで基準に合致しているかどうかというふうなことを調査し、審議してもらうということが大事ではないかというふうに考えております。
  70. 桑名義治

    桑名義治君 約束の時間がだいぶ近づきましたので、あと一言三浦さんのほうに御質問したいんですが、おたくの北瓦斯のほうには社長年間に四回ぐらい行かれるというお話でございます。今回のガス事故のときにも北海道に行かれましたけれども、そのとき、記者会見のときに、飛行機も電話もある、東京にいても北海道瓦斯社長はできるとか、社長というものは熱量調整スケジュールなどこまかい報告は一々受けないのが通例だ、こういうようなことを言われて、あとでは一応取り消しはなさっておられますけれども、こうやったいわゆる企業姿勢が私は問題になっているというように思うわけです。  冒頭にあなたは、他の委員質問に、この機構の改革について考えていると、こういうふうなお答えがございましたけれども、これは具体的にある程度進んでいるんですか。あなたに聞くのは無理でございましょうか。その点どうですか。
  71. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) この内容につきましては、まだ私は相談に乗っておりませんので、内容はわかりません。
  72. 桑名義治

    桑名義治君 それと、先日の調査のときに、村上社長が、現地の問題については三浦専務に一切をまかしてある、権限は与えてあると、こういう発言をなさっておられましたが、一切の権限はあなたが持っていらっしゃるんですか。どの程度の範囲であなたの権限はあるんですか、北瓦斯で、現地で。
  73. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 重要な設備計画その他につきましては、社長の決裁を得まして、決裁を得ましたそのものを実行することが私の責任でございます。したがいまして、経営方針を打ち立てられましたそのものの実行を私が行なっております。
  74. 桑名義治

    桑名義治君 これはあたりまえの話で、それでそこに問題があるというわけです。最終的決裁権があなたに与えられていない、代表権のない会社なんというのはおかしいんですから。それで代表者がよそにいる。副社長も東京、社長もみんな南京、これじゃ問題になりません。この問題は、いまあなたに質問しても無理な話ですから、後ほど副社長なり社長出席を願って、またお聞きをしてみたい、こういうふうに思うわけです。  いずれにしましても、今回のこの事故の問題は、決してこのままに放置することだけではなくて、これを一つの大きな転機にして、いわゆるガス事業に対する考え方を抜本的に変えていかなければならない、こういうふうに私は考えるわけです。会社のほうもそうやった意味で、もう隠蔽することなく一切を赤裸々に出しながら、そして反省し、その中で新しい方向を目ざしていただきかい。また、通産当局としても、この問題はつぶさに検討を加えながら、法改正の必要な部分は十二分にこの際法改正をし、二度と問題の起こらないような十分な処置をとっていただきたいことを要望して終わります。
  75. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は、先日の商工委員会におきまして通産省に対しまして数点質問してあります。一つは、この事故原因がどこにあり、責任はどこにあるべきか、持つべきかという点です。それから第二は、北海道瓦斯の利益優先と人命無視の合理化強行に原因があるのは明らかだという点を私は質問をいたしました。それから調整期間の問題、それから調整に当たった人員の問題、それから第三は、器具の準備の不足の問題、それから次は、調整作業後のチェックがどうなったんだ、チェックの問題、それから事故発生後の北海道瓦斯の対応の問題、会社責任の問題、まあいろいろな問題につきまして、私は通産省に十点ほど質問をいたしました。そうしたら通産省は、こういう責任の問題になると、すべていま警察で調査中で、それが済まないと責任を明らかにできないといって、ほとんど私のこの質問答えていないんです。責任ある答弁をしてない。それで、通産省にまず聞きたいんでございます。  もう今日相当日がたっているんですが、私がこういう質問をしたことに対して通産省として責任のある答弁ができるのかどうか、その点をまず簡単に答えてください。できるならできる、できないならできないと。
  76. 増田実

    説明員増田実君) 今回の事故発生につきましては、現在司直の手によって原因究明中でありまして、こういう時期におきまして、通産省におきましてもまた調査中でもございますので、私は、いま須藤先生からのお尋ねで、はっきりしたことをここで申し上げるのにはまだ時期尚早だ、こういうふうに思っております。
  77. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう事故発生——先月の十六日です、それから今日までもう三週間余り期間がたっているわけです。なお調査中で通産省として責任のある答弁ができないというのは、私ははなはだ遺憾です。通産省としては何ら責任を持った調査をしてないんじゃないかという感じがするんです。委員長としましても、こういう問題を早く世間に明らかにするためには、責任持った調査を進めて、一日も早くこの委員会において責任のある答弁のできるように私はしていただきたい。その点、委員長からも要求してほしいです。いいですね。
  78. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) はい。
  79. 須藤五郎

    須藤五郎君 通産省委員長もそういう意向ですから、至急やってください。  それから、三浦さんに質問いたしますが、その前に伺っておきたいのは、あなたは会社代表権を持った専務なのか、代表権を持たない専務なのか、ここで明らかにしてください。それでないと私が質問をすることがむだになりますから、明らかにしておいていただきたい。
  80. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 代表権を持った専務でございます。
  81. 須藤五郎

    須藤五郎君 代表権を持った専務ですね。それじゃ、あなたの答弁は責任のある答弁と受け、取っていいですね。  先日、私たちが調査に参りましたときに、村上社長とあなたが御出席になって、私たち参議院の調査団に対しまして、いずれかの機会に責任を明確にいたします、犠牲者に対する補償の問題も明らかにしたいと思います、こういうふうに答えていらっしゃるわけですが、その具体的な内容はどういうことを意味するのか、答えていただきたい。
  82. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 責任あり方は、会社の立場の責任ということと、各管理者おのおのの立場における責任ということになります。ふえんいたしますと、私どもを含めた者の責任をどうするかということになるわけであります。
  83. 須藤五郎

    須藤五郎君 いや、その責任の内容は何なんですか。辞任を含めての責任ですか、どうですか。
  84. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) そういうものは含まります。  管理者につきましては、管理規程の中におけるところの賞罰の問題にもかかってまいろうかと思います。
  85. 須藤五郎

    須藤五郎君 やはり責任の受けとめ方ですね。これが重要だと思うんです。とにかく、少なくも七、八人の人が死に、また、中毒患者が出ているんですから、そういうことに対する責任をどうとるかということです。  やはりもう一ぺん確認しておきますが、副社長をはじめあなたも、責任をとるということばの中には辞任ということも含めてのことだと、こういうふうに受け取っていいんですか。そうならそうと簡単に答えておいてください。
  86. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 私はそのとおりであります。
  87. 須藤五郎

    須藤五郎君 先ほど公明党の委員から公聴会の問題が出ましたから、私はそれに続けて、公聴会の問題についてちょっと最初質問しておきたいと思いますが、公聴会の構成メンバーはどういう人だったんですか。三浦さんお答えに……、あなた、出席なすったんでしょう。
  88. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) この熱量変更公聴会でございましょうか。
  89. 須藤五郎

    須藤五郎君 この間、ガスのカロリーアップについて公聴会持たれたでしょう。
  90. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) ありました。
  91. 須藤五郎

    須藤五郎君 先ほど公明党の方がおっしゃったように。そのときの構成メンバーはどういうメンバーだったか、公述人はだれが出席なさったか。
  92. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 会社は私でございます。
  93. 須藤五郎

    須藤五郎君 会社代表として三浦さんが出られた。それからもう一人、中島さんという方が出たと私は聞いているんですが、どうですか。通産省、あなたのほうに記録ないですか。
  94. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 申し出は四名ございまして、北海道瓦斯三浦さんと、それから石井件さん、中島元さん、矢野正雄さんと、この四名ございましたが、そのうち石井さんと矢野正雄さんは欠席でございまして、出席されましたのは三浦さんと中高さんの二人でございます。
  95. 須藤五郎

    須藤五郎君 この中島さんという方はどういう経歴の方ですか。
  96. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 手元の資料では会社員とだけございますので、ちょっと明確でございません。
  97. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は、このわずか二人の公述人が、はたして市民の利益を守る立場に立った人か、会社の利益の上に立った人か、そういう点な明らかにしておきたいと思って聞いているんです。  私の聞く限りにおいては、中島さんという方は、会社の立場に立った方だというふうに聞いておるんです。その後、私が直接やったんではありませんが、私の関係の人間が中島さんのところに電話をしまして、あなたはどういう経歴の方ですか、どういう経過で公述人になられたか、こういうことをお尋ねしましたが、一切ノーコメント、答えない。私たちはいろいろな情勢から、この方は会社の利益の上に立った方であって、国民の、市民の利益に立ってないという判断を下しておるわけです。しかし、これは残念なことですから、私はここであらためて聞いたわけですが、通産省のほうには、本省にはないかわかりませんが、北海道通産局にはこの発言内容のテープなり記録があるはずだと思うんです。私はそれをここへ取り寄せていただきたいと思うんです。できますか。
  98. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) テープはございませんが、議事録といいますか、議事の概要はつくっておりますので、それは提出いたします。
  99. 須藤五郎

    須藤五郎君 三浦さん、あなたはこの保安の問題についてその節発言をされましたか、どうですか、会社の代表として。
  100. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) いま詳しく記憶しておりませんので、保安を強調したかどうか、ちょっとお答えできません。
  101. 須藤五郎

    須藤五郎君 会社経営合理化の立場に立って料金の値上げ、そういうことに対する発言だけで、保安に対して発言がなかったというふうに私は聞いておるわけです。会社の幹部のそういう態度自体が問題なんです。その点は先ほどから各委員が追求なすっている点なんですね。あなたたちはカロリーアップしても危険は全然ないというふうな安易な考え方でおられたのか。そうではないだろうと思うんです、ガス専門家として。どうなんです。
  102. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 危険がないという安易な考え方ではなくて、これに対しては、作業自体に細心の注意をしてまいったつもりでございますけれども、この点につきましては、注意のしかたにつきまして反省をいたしております。
  103. 須藤五郎

    須藤五郎君 この不十分な人数と技術陣を動員して、そしてなぜこれほどカロリーアップを急いだのか、こういう問題ですが、私が聞くところによりますと、会社はカロリーアップすることによって、いまの古い器具ではなく新しい器具を買わせて、そして金をもうけようという考えも裏にあった、腹の底にあったということを聞いているんですが、そういうことはどうなんですか。
  104. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 器具の調整に参りまして、古い器具で調整ができないものにつきましては、下取りをいたしますという考え方がございました。したがいまして、これはお客さまに安全な、完全な器具を買い求めていただきたい、使っていただきたいという趣旨で、下取りの計画はございました。
  105. 須藤五郎

    須藤五郎君 新しい器具を使用者に買ってもらいたいという意図を持って、こういうビラを出されたでしょう。「熱量変更のご協力に感謝して新しい都市ガス(6B用)器具を特別価格でご奉仕させていただきます。熱量変更謝恩ガス祭り」、十月二十五日から三十日まで、松坂屋の五階、こういうビラを流しましたね。
  106. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) はい。
  107. 須藤五郎

    須藤五郎君 何の意味を持ってですか。やっぱりたくさん買ってほしいから、新しい器具を買ってもらって、それでもうけようと思ってこういうビラを流したのじゃないですか、どういうことなんですか。
  108. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 私がただいま答弁いたしましたのは、調整作業中におきましてガス器具販売といいますか、ガス器具の手当てについてどう考えているかということで、修繕できかねるものにつきましては、お客さんのお許しを得て古い器具と新しい器具とを取りかえていただくということでございます。いま先生から御指摘ございましたのは、熱量変更作業が十五日で終わりまして、十六日から新しいガスを送るという前提の上でお客さまに対する謝恩といいますか、熱量変更作業にいろいろ御協力していただいたという感謝の意を含めましたガス器具の販売の計画でございます。
  109. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ、この催しはずうっと続けられたのですか、やめられたんでしょう。
  110. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) やめました。
  111. 須藤五郎

    須藤五郎君 何でやめたんですか。そういうあなたの言うような理由ならやめる必要ないじゃないですか。なぜやめたんですか。やはりそういう批判があったからやめてしまったんでしょう。
  112. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) これを中止いたしましたのは、十六日以降事故が続発いたしまして、これに対する手出てといいますか、作業に重点を置かなければならなくなりました。したがいまして、その展示会にはわが社の社員も出まして、いろいろと御説明、おすすめするわけでございますけれども、デパートへ派遣する人間がほとんど手当てがつきませんので中止したわけでございます。
  113. 須藤五郎

    須藤五郎君 北瓦斯と使用者とはどのような規程をもとにして契約を結んでいらっしゃるのですか。
  114. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) ガス供給規程に基づきまして契約をいたしております。
  115. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、規程の変更は使用者の承認を得なきやならぬもんだと思いますが、そのカロリーアップした場合に契約は改めてなすったんですか、どうですか。
  116. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) これは、私どもの現在持っております供給規程の中で三千六百地区、五千キロカロリー地区、二万四千キロカロリー地区と、この三つの料金表がございます。したがいまして、札幌地区におきましては、三千六百から五千キロカロリーになります場合は、現在供給規程に載っております函館地区の料金に変わるということでございまして、特段のお客さんとの間の契約ではなくて、今度は供給規程の中の五千キロカロリーの料金表を適用いたしますということでございます。
  117. 須藤五郎

    須藤五郎君 いまあなたおっしゃったように、この札幌地区ですが、これは三千六百キロカロリーの規程で契約をしていらっしゃるわけですね。ところが、それを会社は一方的に五千キロカロリーにカロリーアップをするわけでしょう。そのときに改めて契約をし直さないと、会社が一方的に三千六百キロカロリーで契約したものを五千にしたと、それで値段も上げますと、こういうふうなことでは、やはり契約違反になるんじゃないですか。三千六百キロカロリーで使用者と北海道瓦斯の間で契約した。それが五千にするということを一方的にしてそれでいいんですか、どうなんですか。使用者の了承を得なきゃ私は契約というものは成り立たなくなると思うんですが、そこはどういうふうな手順になっているのですか。
  118. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 私は契約という表現を使いましたが、供給規程で今度札幌地区は五千キロカロリー地区の料金表が適用されるということでございますから、契約と私先ほどちょっと触れましたが、契約という表現は取り消さしていただきまして、五千キロカロリーの料金表を適用さしていただくということでございます。
  119. 須藤五郎

    須藤五郎君 前は三千六百キロカロリーで使用者の了承を得ているわけでしょう。承認を得ているわけですね。使用者は三千六百キロカロリーだと思ってこれまでずうっと使っていた。それが今度は急に五千に上がるわけですね。そのときに会社が一方的な考えで五千に上げて、そして使用者はその問題にはそれじゃ何ら触れてないと、こういうことですか。改めて三千六百キロカロリーのガスを契約する時点と同じような手続を踏むべきだと私は思うんです、五千にした場合には。そういうことはしないで一方的にやったのですか。
  120. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) 函館地区の場合のカロリーアップのときは、三千六百から五千キロカロリーになりまして、料金はカロリースライドの料金表で認可をいたしました。したがいまして、今回の札幌の場合は、札幌地区の五千キロカロリーの料金というよりも、むしろ先ほど申し上げましたように、五千キロカロリーの料金スライドの料金がございますから、札幌の市民の方々は十六日以降、五千キロカロリーの料金表を適用させていただくということに尽きるわけでございます。
  121. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなた、私の質問答えてないですよ。札幌を私は言っておるので、函館や小樽のことを言っておるわけじゃないんです。また、札幌にしても小樽にしましても、三千六百キロカロリーで契約した人に話をつけてやっておるところに、会社が一方的に五千にしますといってやったらそれはおかしい。やはりこれは相手の使用者の了承を得、承諾を得てからやるべきものなんです。使用者は三千六百だと思っておるんです。だから、それは会社の一方的な押しつけじゃないですか。それじゃあなた、そういうことでは、契約とも何とも言えないですね。そこをどういう手順を踏まれてやったのか。それでガスの契約をするときには、使用者も判こを押すでしょう。使用者が判こを押すのは、三千六百キロカロリーとしての判こを押しておるんです。で、五千キロカロリーにするといって改めて使用者は判こを押しましたか、どうですか。押してないでしょう。私はそういう手順が踏まれてないと思うんです。
  122. 三浦寅夫

    参考人三浦寅夫君) いま先生が御指摘されたような手順は踏んでおりませんが、北海道瓦斯ばかりでなくて、ほかのガス事業者におきましても、その供給規程の中に、当社のように五千キロカロリーの料金表がありまして、カロリー変更になる場合においては、五千キロカロリーの料金表を適用させていただきますということで一般にはやられているはずでございます。
  123. 須藤五郎

    須藤五郎君 ほかの会社を私は聞いておるんじゃないのです。ほかの会社でもやはりもしもそういうことをしていたら、私はおかしいと思うんです。使用者が希望したのでもなければ、了承したのでもないんです。使用者は三千六百キロカロリーで安心してこれまで使っておったんです。それを会社が一方的に五千にひょいと上げてしまって、そうして今度こういう事故を起こしたんじゃないですか。だからそれは私は、そういうちゃんとした手順を踏んで、ちゃんとした了承を得て行なうべき性質のものだ、こう思うんです。通産省、そういうはずじゃないですか、どうですか。何のために三千六百で契約をするときに判こを押したんですか。会社に全部、命までまかしますというようなことじゃないですよ、使用者は。
  124. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) これは供給規程の中に、北海道瓦斯供給規定でございますが、「当社は、札幌通商産業局長認可を受けてこの規程を変更することがあります。この場合、料金その他の供給条件は、変更後の規程によります。」と供給規程の中にそういう規程がございますので、北海道瓦斯ガスの契約を結んでいる人は、通産局長の認可を受けましてこの供給規程変更になりますと、自動的に新しい規程に乗り移るというたてまえになっているわけでございます。
  125. 須藤五郎

    須藤五郎君 それならば、このガス供給規程そのものに私は問題があると思うんです。最初、使用者は三千六百で契約したんです。それで判こをちゃんと押しているんです。それがいつの間にか五千に一方的に変わってしまっている。それじゃ使用者の本心でない場合どうしますか。一方的にいやならやめておけという態度でしょう。  そうじゃないですよ。そればやっぱり五千キロカロリーにアップするならば、使用者の了承を受けて、あらためてちゃんと使用者に確認してもらって五千、それで五千になった場合はこうこうこういう危険がありますよ、だから十分注意をしていただきたい、そのためにはガス器具調整をする必要がありますと、そこまでちゃんとして、はっきりと保安に対する認識を深め、そして十分準備をしてやるべきもので、前に三千六百で結んであるから、もう今度は会社は、一方的に上げようと思えば五千、またあるいは一万にでも上げて、それでやっていっていいんだと、そういうものの考え方はいかぬです。それは会社の独善です。通産省がもしもそういうことに賛成して、今後もそういうやり方をガス会社に認めていくというならば、これはとんでもないことです。反対したらやめるというんでしょう。じゃ賛成したらどうする。賛成する者は判こをとって賛成させなきゃいかぬじゃないですか。どうもこれは手ぬかりですよ。通産省どうですか。これで万全の策だと言えるんですか。
  126. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) こういったものの一般的な性質だと思いますが、非常に需要者がたくさんあります場合に、その供給条件につきまして、現実問題としまして、一人一人と交渉いたしますことはなかなかむずかしいわけでございますので、一応通産局長が公益の立場に立ちまして公益の立場で判断をする。その判断をいたします際には、公聴会を開きまして一般の意見を聞く、そういうことでもって供給規程を定めるというたてまえになっておるわけでございまして、個々の消費者としましては、そういった公益の立場から通産局長が判断しました供給規程に従って供給を受けているわけでございます。こういうたてまえになっておるわけでございます。
  127. 須藤五郎

    須藤五郎君 通産省も、まだ責任ある答弁ができる段階じゃないということを先ほども言っていますし、三浦さんの答弁も私たちは不満でありますが、これは追って、次にもう一つ段階が上の責任者社長を呼んで、それで社長責任を追及することとしたいと思います。ですから、私はきょうの質問はもう時間も過ぎておりますから、これで打ち切っておきます。態度は保留しておきます。
  128. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 参考人に対する質疑はこの程度にいたします。  三浦参考人には、御多忙中のところ、長時間にわたり御出席いただき、ありがとうございました。  なお、この際、委員長として申し上げておきますが、本日は、各委員から社長及び三浦参考人お二人の出席を要求したわけでございますが、社長のほうでよんどころない用事がございまして、あなた一人を参考人として呼んだわけであります。きょうの質疑等によりまして、なお委員の方々と相談いたしますが、御相談の結果、きょうのところでこれを解決できなかった問題があるやに想像いたしますので、あらためてまた社長の御出席をお願いをしなければならぬことがあり得ると思いますので、その点一応お含みいただきまして、きょうのところはこれで審議を終わりたいと思います。  長時間、お忙しいところわざわざお見えいただきまして、ありがとうございました。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後一時七分開会
  129. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  体感前に引き続き産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御言願います。
  130. 竹田現照

    竹田現照君 大臣午前中おいでになりませんでしたので、一言だけ問題をあとに残していますから。  例の北瓦斯の問題で、三浦専務をお呼びしていろいろとお尋ねしたのですけれども、さっぱり要領を得る答弁にならないのです。そこで大臣にお伺いしておきたいことは、北瓦斯経営体表といいますか、こういうのは私、二年半前にこの委員会でもちょっと指摘しておいたことがあるのですけれども、今日の事故というものは当然起こるべくして起こったような気がするんです。それで、料金値上げその他というものを単純に認可するとか、公聴会という型どおりのことじゃなくて、こういう公益事業に求められている企業の健全性を維持することが一体どういうものかというのは、北瓦斯ばかりじゃなくて、ガス事業者ばかりじゃありません、いわゆる全体の公益事業者に対して根本的に通産省としても考えておかなければ、事故再発を防ぐということはなかなかむずかしいんじゃないかという気がしてならないわけです。  ですから、今度の北瓦斯も、十月の十六日にスタートするというその計画がどうだとかこうだとかいうあれもありますけれども、根本は、やっぱり北瓦斯のそういう経営体質に問題があるのじゃないか。その点は、監督官庁としての通産省のいままでとってこられたいろんな施策なり指導なりというものは、必ずしも万全とは言い切れないと思うのです。午前中の質疑の中でも、北瓦斯のそういう点について公益事業部長も認められているのです、技術者が足りないのだとか、あるいはどうだとかこうだとかいうことですね。ですから、これは北瓦斯事故一つの教訓として、まだまだ経営体質の弱い事業がたくさんあるわけですから、これ以上こういう不祥な事件が起きないように、通産当局として抜本的な対策を検討されてしかるべきではないか、その点が第一点です。  それから、ガス事業法その他、あるいはまた取り扱い規程等々含めまして、法律を改正するのに日にちを待っていられないいろいろな問題があると思うのです、今度の事故で。ですから、そういう問題は、法律の改正は改正として、行政指導なり何なり、あるいはまた供給規程等法律の改正を必要としない面がたくさんありますから、こういう点は直ちに対策を練って指導されてしかるべきじゃないか、そう思うのです。  たとえば、COの検知器というようなものもいままで全然使ってないのですね。検査のときに全国どこでも、今度北瓦斯事故があって、再調整の段階ではじめて指導された。今度の事故一つの教訓ですから、こういうものを義務づけるとか、その他たとえば四十条の二項による三年に一回のガス調査も、ガス湯わかし器とふろがまだけが対象になっている。しかも、ガス湯わかし器もかなり大型なものでなければ対象になってない。そういういろいろな問題点があります。ですから、そういう問題を根本的に洗い直して、早急に通産当局としてできるものは大臣通達なりあるいは規定の改正なり、根本的には早急にあれであれば、通常国会にガス事業法あるいはガス関係の法律の改正を緊急に出す。これはあまり与野党でとやかく言うべきことでありません、人命事故その他を含むことですから。これは、与野党一致でさっさと通る性格の改正というようなものは直ちに出して、人命事故再発を防ぐべきではないか、そういう点。  それから、この事故が起きまして、北瓦斯社員というのはいま疲労こんぱいしておると思うんです。これはわれわれからも、また、監督官庁その他からも四面楚歌でがんがんやられてますから、社員はたいへん疲れ切っていると思うんです。それにもかかわらず、十月一ぱいで東京瓦斯から応援体制というようなものも全部引き揚げた。またあらためて行くというようなことも聞いてます、早急にそういうことをしなければならぬわけですから。特に、北瓦斯は東瓦斯と全く親子の関係にあるわけですから、そういう面では札幌通産局も、引き揚げたことについてははなはだおかんむりだったというようなことが新聞には出ていますけれども、そういうことを関係業者にも強く通産当局としても指示をすることが、疲れ切った中で事故が起き、また袋だたきにあうというようなことの繰り返しを防ぐ意味からも大切ではないか、私はそういう気がするんです。  いろいろと申し上げたい点がありますけれども、いずれまた安西社長も御出席をいただいて、ただすべきものはただして、その上でまた大臣とのお話を聞きたいと思います。当面、そういう以上申し上げた点について大臣のお考えを聞いておきたいと思いますけれども、いかがですか。
  131. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 北瓦斯の問題につきまして、人命の犠牲者が出ましたことはたいへん申しわけない次第でございまして、深く遺憾の、哀悼の意を表する次第でございます。  政府といたしましても、この事件契機に再びこういう過失をおかさないように厳重に注意もし、また、われわれといたしましても必要な措置をとりたいと思っております。  ただいま御質問の案件でございますけれども、まず北瓦斯の管理体制につきましては、御指摘のように専任者の社長、副社長がいないという点は、やはり公益事業として穏当なことではないと、私、今回の事件にかんがみて痛感した次第でございます。これら首脳陣につきましては、経営者を、専任者を置くように会社指導していきたいと思って、できるだけ早期にこれが実現をはかってまいりたいと思います。  それから、懸案の値上げの問題につきましては、本件事件が落着するまではこれを延期する、そういう措置をとりたいと思っております。  それから、諸般の熱量変更その他安全上人命に影響するような問題の改変に対する措置でございますけれども、これらにつきましては、今回の痛ましい犠牲を機に通産省といたしまして監督上の措置をいろいろ反省し、必要な改正を加え、行政的に可能なものは直ちに行なう。立法的に必要なものはできるだけ早い機会に国会へ御審議を願うようにいたしたいと思っております。  たとえば熱量変更というような問題は、人命に影響するところきわめて大な問題であるように考えられます。こういう類似のことにつきましては、これはガス事業全般につきまして、やはり、事前に計画通産省当局に届けさせまして、その点検を受けて、そのやり方自体等につきましても詳細な点検通産省当局としても行ないまして、その上にこれを実施させ、またその報告を受ける。また、必要あらば通産省自体が乗り出していって、アトランダムに検査してみる等々の措置も、改修措置として行政的に加えてまいりたいと思っています。  それから、引き揚げの問題につきましては、北瓦斯がいま非常に混乱をしていると思います。こういうときでありますから、親会社である東瓦斯が応援することは当然でございまして、ある程度東瓦斯のほうを犠牲にしても北瓦斯を助けるという場合ではないかと私思います。いま御趣旨に沿いまして、東瓦斯当局とも相談をして善処いたさせたいと思っております。
  132. 竹田現照

    竹田現照君 それから、重ねてもう一つですが、いまも大臣からお答えがございましたが、やっぱりこういう業者の申請を認可する際、今度の現地調査でも明らかでありますけれども、関係通産局も、あんまり業者の言うことをそのままうのみにして認可をするというようないままでの姿勢、これはちょっと惰性にもなっていますから、そういうことも厳に反省をして、これは通産省内部の問題ですけれども、対処するように私は強くお願いしたいと思います。  今度の場合も、もう少し北瓦斯の技術陣の体制だとか、いろいろな要員計画その他を考えてみますと、計画に無理があったことだけははっきりしているわけです。ですから、その点は通産局段階で事前に十分チェックすることは可能であったんですけども、私どもがお伺いしても、従前の例に照らしてまあだいじょうぶだと思ったから認可をしたというようなことですからね。こういうことは、やっぱり通産省内部の監督姿勢の問題として、これからほかの業者にも共通することですから改めていただきたい。このことは直ちにできることですから実行に移していただきたい、こう思います。
  133. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま御指摘の点は、厳重に注意してやっていきたいと思います。
  134. 対馬孝且

    対馬孝且君 関連いたしまして、三点だけ大臣の考え方をお伺いをしたいと思います。  午前中、私も特に遺族の問題につきまして触れていますけれども、大臣調査団が行って初めて北瓦斯会社が犠牲者を訪問したという、初めてなんですよ。非常に遺族はいきり立っておりまして、きわめて、まさに残酷物語であると言っても過言でない。私は見てきましたけれども、この北瓦斯会社の誠意というものは見られない。  そこで問題は、やはりいま現実の問題としてこの遺族に与えられた精神的な打撃、それから、これからの遺族に対する補償の問題などについて、私は、ひとつ通産省として北瓦斯に対して最善の意を尽くすという一つ指導をしてもらいたい。これが一点であります。  第二の問題は、先ほども触れましたが、現在、実際に調整作業事故によって業務過失致死で司直の手によって調べられているのは末端の作業員なんです。ところで問題は、最高経営権者が何らこれについては責任体制が問われていない。これはもちろんこれからの捜査の発展ということになると思うのでありますけれども、大事なことは、この末端の作業員責任を負わせる、こういう北瓦斯の独善的なやり方というものに対しては、厳に通産省としての行政指導の中で取り締まってもらいたい。そういう意味では、やはり経営責任者措置というものを明確にして、末端の作業員に対しては犠牲を負わさない、こういう姿勢をとってもらいたいということが第二点であります。  第三の問題は、率直に申し上げまして、先ほどもちょっと若干触れていますが、明快になっておりませんから申し上げますけども、この公聴会あり方について、料金問題では、機動隊までぶち込んで料金の公聴会をやりましたけれども、保安上の問題では公聴会は行なわれる仕組みにいまなっていないわけであります。先ほども答弁ありすしたが、具体的な答弁になっておりませんから申し上げますが、私は、この際思い切って、やっぱり学識経験者を含む何らかの審議会、委員会制度一つ。もう一つは、利用者を中心とした保安上の公聴会というようなものをこの際積極的に検討してもらいたい。そのための何らかの学識経験者なりあるいは小委員会等を設置をして、これらの問題の諸対策をひとつ検討する用意があるかどうか、というよりも検討してもらいたい。  以上、三点について追加して質問申し上げたいと思います。
  135. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 御遺族につきましては、心から哀悼の意を表する次第でございますが、北瓦斯も、とりあえず被害者の遺族等を見舞い、弔意を表したと聞いておりますが、その時期がずれておりまして、その点ははなはだ遺憾であると存じます。今後とも事故の犠牲者に対しましては、適切な補償措置が講ぜられるように指導してまいりたいと思います。  それから、責任問題でございますが、これは経営の管理体制にやはり問題があるのではないかとわれわれも考えております。それらにつきましては、大いに刷新さしたいと思っておりますが、刑事責任の問題につきましては、これは御当局がいま調べておるところでございますから、その調べの結果を待ちまして、その刑事責任の結果が出たという場合に、それに対する監督上の責任の問題も刑事責任になっても出てくる場合もあり得ます。そういうことも考慮して、成り行きを厳重に監視してまいりたいと思っております。  公聴会の問題につきましては、いろいろ前から先生からお話がございましたが、やはりいまのような体系で公聴会を行なって、その公聴会自体を適正に行なうということが望ましい、そのように考えております。
  136. 小柳勇

    ○小柳勇君 私は、マルチ商法による化粧品販売の被害が出ておりますので、この被害を最小限度にとどめるという立場から、関係省庁並びに公正取引委員会質問いたします。  最近、マルチ商法の化粧品会社とその会員との間でトラブルが起こりまして、被害者がその掛けた金、出した金を返還せよというような問題など出ておって、社会問題が発生しておりますが、通産省はこの実態をどのように把握しておられるか。これを近い将来どういうふうに行政指導なり、あるいは規制措置をとろうとしておられるか。まず通産省からお聞きいたします。
  137. 天谷直弘

    説明員(天谷直弘君) マルチ商法全体の実態につきましては、二百社とか三百社とか、そういうたぐいの商売のやり方をやっておる会社があるというふうにいわれておりますけれども、これにつきまして統計をとる等の根拠はございませんので、われわれとしてはこの実態を正確には把握いたしておりません。  次に、現在問題になっておりますところのホリディマジック社の実態でございますけれども、この会社は、昭和四十七年八月に設定されまして、資本金が七百五十万円の、一〇〇%外資系の企業でございます。販売員の総数は、本年九月時点におきまして約十万人にのぼっておる。それから月平均の販売額は、本年一月ないし十月の平均で月約八億円というふうに承知いたしております。  それから、被害の状況につきましては、一般的には次のような訴えが多いようでございます。  まず、勧誘のしかたでございますが、一種の催眠術的な手法を用いて誇大宣伝による勧誘方法を行なっておる。多額の収入が得られるという錯覚を起こさせまして出資させるわけでございますが、実際にやってみると、説明どおりにはなかなか収入が得られないことが多いようであります。しかも、このリクルート料が高額でございますために、一たん加入した者は、自己の投資額を回収するために一生懸命新しい参加者を勧誘する。リクルートの有限性から、潜在的な被害者がネズミ算的に増大していくということが考えられます。  それから三番目には、不良商品による消費者の被害が多いというふうな訴えを聞いておるわけでございます。これに対しましていかなる規制をするかという点でございますけれども、通産省では、昭和四十八年十一月に産業構造審議会流通部会に特殊販売小委員会を設置いたしまして、マルチ商法を含む特殊販売の規制につきまして審議をお願いしておりまして、今月中に答申を得る予定となっておるわけでございます。したがいまして、まだ現段階におきまして答申内容はきまっておりませんので、その内容をいま申し上げる立場にはないわけでございまして、答申を得た上で、早急に必要な施策の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  なお、答申が出てからのことでございますけれども、われわれとしましては、被害がきわめて大きいというような場合には、法的規制も考えております。ただ、マルチにつきまして、すべてのマルチが全部これは一律に悪であると考えるのか、あるいはマルチの中で悪いマルチといいマルチの区別ができるのかどうか、法技術的に非常にむずかしい問題がございますので、その辺、特にこの審議会、小委員会で御審議を願っておるというところでございます。
  138. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの小委員会の結論が出るのは、はっきりわかりませんでしたが、今月中ということですか。
  139. 天谷直弘

    説明員(天谷直弘君) はい。
  140. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。  小委員会の結論が出た上で規制する必要があるかどうかを検討する、こういうことでございますね。
  141. 天谷直弘

    説明員(天谷直弘君) はい。
  142. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。  それから、マルチ商法全体に対していいか悪いかという問題が、結論が出るかどうかわからぬということでありましたが、この小委員会で論議しているのは、マルチ商法全体の問題と、それから、マルチ商法による化粧品会社の日本のホリディマジックですね、この全体的なものと具体的なものと両方検討しているのですか。
  143. 天谷直弘

    説明員(天谷直弘君) 特殊販売のうちの一つの形態でございますところのマルチ商法全体につきまして、どういう規制を加えるべきかということを検討いたしております。ホリディマジックは、そのうちの最も有力なケースでございます。
  144. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは、公正取引委員会質問いたしますが、先般の参議院の決算委員会で、取引部長が、わが国でも検討中だが、ずばり取り締まる法律がない、しかし、独禁法や誇大広告、不当表示などで早急に取り締まる方法をつかみたいというような発言がございます。公正取引委員会として、これから先の規制問題が、通産省で法的な規制をするかどうかきめられるが、今日までこの商法がとられて現在被害者が出ている。このような問題をどのように処理しようとされるのか、部長の答弁を求めます。
  145. 後藤英輔

    説明員(後藤英輔君) マルチ商法のうち、特にホリディマジック社の商売のしかたにつきまして、私のほうにも被害の申し出がございました。ただ、その被害の申し出の内容が必ずしも独禁法から見てとらえられるようなものでもないような、たとえば、このホリディマジック社の会員になって、もっと商売したいんだけれども、品物が流れてこないから困るんだ、こういうような形での被害の申告というものもございまして、このホリディマジック社のやっております商売のしかたの中で、必ずしも私どものほうで問題となるというような点と違うような形での被害の申告もございました。そこらのところの扱いも兼ねて法律上の点をいろいろと検討いたしておる次第でございます。  ホリディマジック社のやり方につきましては、先ほども通産省のほうからお話のございましたような内容でございまして、これが独禁法の問題となりますと思われる点は、先ほどもお話にありました、会員を募集する際にいろいろな広告宣伝、いろいろな情報を流します。その情報が会員になろうとする人たちに欺瞞的な、非常に大きな利益があるような錯覚を及ぼすという表示広告の問題がございまして、問題となりますのは、普通常識的に考えられて当然有限な潜在会員というのが、無限に存在するというような前提で利益を立てて、こんな利益があるというような表示とか、広告だとかというような情報を流しておりまして、これらの点が独禁法、あるいはまたは景表法の問題になるかならないかということで、具体的な法律条文に照らして検討いたしておるわけでございますが、現在の法律、たとえば無品表示法で誇大広告の取り締まりの規定がございますけれども、これでまいりますと、「一般消費者に誤認される」ような表示、こう書いてございまして、先ほども申しましたように、被害者が、自分はこの商売に入っていってその商売を続けたいんだというような申し出が被害という形で出てまいりますと、これではまいらぬということになります。そこで今度は、独禁法のほうで何とか不当な顧客誘引というようなことでできないかという点も実は検討してまいっておるところでございまして、なかなか法律的にむずかしい点もございます。  それから、この独禁法の不公正な取引方法の考え方につきましては、実は四十八年にアメリカでもって一応違反としての審決をホリディマジック社に出しておりますので、その内容も、現在これが争われている段階でございます。その内容もぜひわれわれとしても検討しておかなければちょっと踏み切れないということで、その内容もあわせて検討しているということで、できるだけ早い機会におきまして、こういうような欺瞞的な会員募集のやり方というものについて何とか取り締まるということで、前向きの姿勢でもって検討をできるだけ早くしたいということでやっております。
  146. 小柳勇

    ○小柳勇君 次に、警察庁に聞きますが、被害者が出て、この被害者が団体をつくって、会社に、金を掛けた会員の金額を返してくれという要求をしておる。被害というのが刑事事件として処理されるかどうかについては問題があるようでありまするが、被害者を保護しなければならぬ、特に今度は消費者を保護するという立場から、警察庁としてはこの問題をどういうふうに考えておられ、かつ、対策を持っておられるか、お聞きします。
  147. 四方修

    説明員(四方修君) マルチ商法につきましては、ただいま公正取引委員会の部長からも御説明かございましたのと同様に、われわれのほうにおきましても、きわめて好ましくない商形態であるというふうに考えておりまして、できる限り何らかの関係法令を適用いたしまして、取り締まりを行ないたいという強い姿勢でおるわけでございますが、残念ながらただいままでのところ、被害者と思われる人たちからの被害の申告もございませんし、あの商行為自体を、他の法令でもって処罰するという形で、刑事手続に付するためのわれわれの犯罪捜査に着手し得る材料を残念ながら持ち合わせませんので、犯罪捜査に着手するに至っておりませんけれども、今後関係省庁と緊密な連絡をとりまして、できる限りわれわれの本来の気持ちが犯罪捜査に結びつくように努力してまいりたいという強い決意でおるわけでございます。
  148. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は、厚生省でございますが、ホリディマジック社が化粧品の輸入販売業者として許可されている。その化粧品の中に不良品があったということで、先般、東京都の衛生局に審査させられたようでありますが、その中に不良品があったという報告がある。こういうふうなマルチ商法による不良化粧品の販売を許可した経緯と、その不良商品をどうするかということと、将来その化粧品の販売をそのまま許すかどうか、これらのことについて答弁を求めます。
  149. 花輪隆昭

    説明員(花輪隆昭君) ホリディマジック社に対する化粧品の輸入販売業の許可でございますが、昭和四十八年の二月に、同社に対しまして化粧品の輸入販売業の許可をいたしたわけでございます。  同社の取り扱う化粧品の品質の問題でございますが、去る六月に、消費者の方から六種類の化粧品を持って苦情がございまして、都の衛生研究所におきまして直ちにその分析を行なったわけでございますが、その結果、無許可製品があるということが判明いたしましたので、十月二十五日に至りまして、再度立ち入り検査を実施いたしまして、二十種類、四十検体の化粧品を収去いたしたわけでございます。  現在、分析を急いでおるわけでございますが、すでに中間的に不良品等が判明いたしましたので、直ちに十月の三十日、三品目につきましては販売停止、回収命令を指示いたしました。そのほか、四品目につきましては、消費者が持ってこられました苦情品につきましては、非常に不良品であるということは判明いたしたわけでございますが、まだ販売ルートに乗っていない在庫品から収去してきた全く同一の品目につきましては、不良品でないという結果が出ましたものにつきましても、再度同社に対しまして自主的に回収を指示いたしまして、同社も計七品目につきまして回収につとめておる、こういう段階でございます。
  150. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後大蔵省ですが、米国では、昨年連邦取引委員会が禁止の審決を下しておるようでありますし、英国やシンガポールでも法律で禁止措置がとられておる。このような商法による化粧品販売をどうして日本では許したのかということ。通産省でも、商売としてはこれからいろいろ規制措置をやろうとしておられるが、外国で禁止したその商法なり販売のものが日本に入ってきてこれがまかり通るというようなこと、こういうことをどうして大蔵省としては許可しておられるかふしぎでならぬのですが、そういう点いかがですか。
  151. 波多野敬雄

    説明員波多野敬雄君) 認可の時点におきましては、いまだアメリカでも違法の審決は出ておりませんでございまして、申請書の中にも、マルチ商法による販売形式をとるということはうたってございませんでしたので、われわれは一般の輸入販売業として本件を処理いたしました。
  152. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは、アメリカでその審決も出たし、いまの各省からの話がありましたように、マルチ商法で仮装的に会員を募って、販売員を募って、商品の販売と会員募集と両方やって、そのことによって金もうけしようという、純粋の商売じゃない、ネズミ講式なわけです。会員から親分が金を取って、その品物を売ったらもうかる——人間の欲に催眠術をかけて、会員をどんどんふやしていくというやり方で、しかも、その商品の中には不良品もあったというようなことですから、大蔵省としては、こういう現実の面に立って禁止いたしますか。
  153. 波多野敬雄

    説明員波多野敬雄君) 一応OECDの資本の自由化コードのたてまえといたしましては、これがわが国に特別に有害な悪影響を与えるものでない限りは、自由化業種についてはその自由化を認めざるを得ないと思います。  そこで、特別に有害な影響を与えるかどうかでございますけれども、この点につきましては、関係省、関係委員会において目下御検討中のことと存じますので、その検討結果を待ちまして、しかるべき措置を必要に応じてとりたいと考えております。
  154. 小柳勇

    ○小柳勇君 あなたは人ごとのように言っているけれど、輸入するときの担当はおたくだし、主たる官庁じゃないですか。ほかの官庁でも検討中だから、その結論を待って判断をしますということではおそいのじゃないですか。どうですか。
  155. 波多野敬雄

    説明員波多野敬雄君) 外国系の会社であるから特にこれを差別的に扱うというわけにもまいりませんので、一般的に、このようなことを行なう会社が違法なことを行なっているかどうか、さらに、わが国に特に有害な影響を与えているかどうかということをやはり検討します前提といたしまして、関係省、関係委員会の御意見を承りたいと考えております。
  156. 小柳勇

    ○小柳勇君 では時間も少ないから、具体的な例もいろいろありますけれども、省略いたします。  最後に、通産大臣に。このマルチ商法というようなやり方自体にも相当問題があるようです。しかも、そのマルチ商法を利用して外国系の化粧品会社の化粧品が売られておるということ、その品物の中に不良品があったということ、いろんな問題点発生いたしまして、被害者同盟といいましょうか、被害者救済対策委員会などができて、会社にいまそのお金を返せという運動にまで発展しておる。  しかもそれが、化粧品がたくさんあればいいんだけれど、会員はうんとふえたのに、品物をよこしなさいと言うと、品物が不足するというような情勢にあるようです。言うならばごまかし——会員を募りなさい、その会員を募ったら幾らのリベート。品物を売りなさい、その品物を売ったことによってリベートという、この人間のもうけよう、もうけようとする心理を利用しながら、すれすれのごまかし、まあごまかしとは言いません、まだ結論は出ていないから。そういうような商法自体に対して、通産省としてもう少し規制措置をとるべきではないかと思うわけです。  実は昨年、自動車の排気ガスを少なくするために、マフラーのところにちょっと機械をつければ、一切もう排気ガスが浄化されるということで、そういうもので、同じようなマルチ商法がございました。知人が相当入っておったから、私一人一人呼んで、そんなばかなことがあるはずはない、もしそんなものがあるならば、直ちにこれは国が採用するはずだといってじゅんじゅんとさとしましたが、会員を募ることによってもうかるわけです。そういうような仕組みですね。それを販売する会員をまず募る、それにリベートをやる、そういうような商売ならざる商売がばっこしている。こういうものについて通産省としても指導体制を強化してもらい、消費者の利益と、被害者を最小限度に食いとめるという対策をとってもらいたいのですが、大臣の見解を聞いて質問を終わることにします。
  157. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) マルチ商法は、理論的には正常的に行なえるような要素もなくはないと思いますけれども、現実問題としてこれが実行されるという場合には、どうも虚業のにおいが近くにあって危険性が出てくるだろうと思います。大ぜいの人たちがこれに関係していく中には、神さまみたいな人間ばかりじゃありませんから、不測の被害が消費者に出てくるというような可能性もあると思います。そういう点をよく監視いたしまして、もし必要あらば必要な規制も加えるようにいたしたい、そうして消費者に迷惑をかけないようにいたしたいと思います。
  158. 小柳勇

    ○小柳勇君 質問を終わります。
  159. 辻一彦

    辻一彦君 私、最近の繊維の不況対策について若干質問を行ないたいと思います。  御存じのように、いま全国の各繊維産地におきましては、減産、工賃のダウン、それから受注減、赤字の操業と、倒産寸前という状況が非常にひどいわけでございます。たとえば、きょう私は、石川、福井等の北陸における合繊繊維の状況等を実例として取り上げながらお伺いいたしたい。  業界の新聞でありますが、これによりますと、たとえば福井県におきましては、「受注減に加えて工賃の大幅ダウンを余儀なくされ、資金繰りが急激に悪化「倒産寸前」「企業経営が成り立たない」などというようにきわめて憂慮すべき事態に直面している」と、これは県の繊維課が緊急実態調査を行なった結果いろいろまとめた内容であります。広幅織物といわれる中身になりますと、受注量は前月に比べて九%、前年度同月の二九%落ち込んでいる。工賃も同期の四分の一から五分の一に落ちている。こういう状況の中で、業界で三分の一の自主休機といいますか、こういうぎりぎりのところをやっている。細幅になりますと、生産量では前年比の五六・三%、生産金額的にも六四%のそれぞれの大幅減と、こういう中で家内工業を中心に二百九十二の工場が完全休業という状態になっております。これは一県尺一つの産地に限らず、おそらく名古屋、大阪あるいは足利であるとか、全国の各産地に共通する問題じゃないかと思います。  こういう中で通産大臣として今日の繊維不況の実態をどういうように認識をされて、基本的にどう対処されようといたしておるか、このことをまずお伺いいたしたいと思います。
  160. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 繊維関係の不況が深刻になっておることは、われわれもよく認識しておりまして、それに対する対策については万全を期しておるところでございます。  最近、特に一時帰休あるいは自主減産あるいは希望退職を募るというような動きが顕著に出てまいりまして、この不況はさらに深刻になっていきつつあると思っております。通産省としましては、四月−六月におきまして政府系三機関の融資ワクを千五百億円増額して、そのうち繊維分として七百億円を準備し、さらに民間金融機関の中小企業貸し付け分三千二百億円のうち、繊維ワクとして三百億円の活用をはかってまいりました。また七−九におきましても、三機関の貸し出しを弾力的に行なうほか、千億円の追加融資ワクを決定して運用してまいりましたが、年末につきまして、繊維関係が倒産あるいはそのほかの苦難に追い込まれないようにできるだけの措置をさらにすべく、いま関係機関と折衝中でございます。大体七千七百億円の三機関に対する増加ワクを要求して、最底七千億円は確保したい、去年が三千二百億円でございますから、大体昨年の倍ぐらいの年末資金を用意するようにいま努力しております。そうして返済猶予とか償還猶予、あるいは税金に対する特別の措置等につきましては、それぞれの企業実態に応じまして適切な措置をとるように都道府県及び通産局に対して指示をし、すでにまた実行しておるところでございます。  さらに、信用保険法の一部改正に伴いまして、倒産関連対象業種として繊維を指定して、その保証限度額を二倍に拡大をいたしましたし、また、繊維品の輸入自体につきましても、行政指導をもちまして、輸入実態の正確な把握及び秩序ある輸入ということを輸入業者、関係企業に対して指導を実行しておるところでございます。  なお、海外に対する繊維品の特別の輸出につきましては、バングラデシュに対して一億円ばかりのものを先般やりましたけれども、さらに三十億円——有償十五億円、無償十五億円の円クレジットをもちまして繊維製品の援助を行なうべく内定したところでございます。今後もこの年末から来年にかけまして事態はさらに深刻になるとも考えられますから、各地方地方、企業企業ごとに深甚な注意をして、手当てを怠らないように努力させるつもりでおります。
  161. 辻一彦

    辻一彦君 いま通産大臣から大体基本的な考え方につきましてお伺いしました。私、これにつきまして具体的に少しお伺いをいたしたいと思っております。  そこで、いまお触れになりましたが、今日の繊維の不況の原因というのは、もちろん一つは、総需要抑制という中で需要が減退している、こういう点があるかと思います。もう一つは、いまのお話のとおり、海外から無秩序な輸入を大量に行なったという事実があると思います。五月の十六日、本院のこの委員会で大臣の御答弁の中で、四十八年度は前年度に比べて綿は二・二倍、合繊は七・二二倍という輸入であったと、こういう御答弁がありましたが、こういう無秩序な輸入というものが今日の繊維の深刻な不況の有力な原因であると、こう考えます。  そこで、先ほど秩序ある輸入を目ざして行政的にいろんな指導をしているという大まかなお話でありましたが、具体的にどのような対策、どのような方法でこの秩序ある輸入を目ざして指導されておるか、この中身についてお伺いいたしたいと思います。
  162. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 本年一−八月の繊維製品の輸入は、全体で十三億四千万ドル程度になっておりまして、ただいま先生指摘になりました数字と比較いたしますと若干鎮静化しておりまして、昨年同期と比べまして四五%程度の伸びになっております。しかし、いずれにいたしましても、ものによりましてはやはり輸入のチェックを十分やっておく必要がございますので、私たちといたしましては、輸入関係の統計を整備しながら関係商社を指導、誘導しておるという段階でございまして、一つには通関統計の分類をいままで以上に精細にする。  それからいま一つは、さような実績のほかに輸入の先行きがどうなるかということが大きなポイントでございます。最近、大蔵省のほうと話がつきまして、輸入の成約統計を近く発足させ得る段階にきております。したがいまして、実績と先行き見込みを念頭に置きながら従来以上に強く秩序ある輸入を誘導してまいりたいと考えております。
  163. 辻一彦

    辻一彦君 それはいままでならば通関して内容がわかったが、今度は通関前にといいますか、輸入申請があった段階においてこれをいろんな形で助言をするとか、自粛を促すとか、具体的に指導するという、そういう具体的に言えば中身ですか。
  164. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 現在、どういう様式でその統計をとるかということを検討中でございますが、まさに御指摘のとおり、地域別、品目別に輸入の成約がついた段階において報告を求める、その報告を集計いたすことによりまして地域別、品目別の問題点が浮き彫りになる、それを前提として指導してまいりたい、かような考え方をとっております。
  165. 辻一彦

    辻一彦君 大蔵省との話し合いがついたということは、具体的にどういうことなんですか。
  166. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) ことしの当初予算では、成約統計と申しますか、成約状況の実態把握のための予算がついてなかったわけでございますが、状況が深刻になってまいりましたので、それぞれ関係業界の協力を得ながら、いままで将来の輸入見通しというものについて実態をとってきたわけでございますが、今回予算的裏づけができましたので、正式に統計の形で実態調査したい、こういう意味でございます。
  167. 辻一彦

    辻一彦君 数日前の新聞を見ると、全国の縫製組合の理事長さんですか、近藤さんが東南アジア一帯を回られていろいろ各国と繊維製品の輸入の問題について話し合いをしたが、情報交換程度で話し合いになかなか応じなかった、こういうことでかなりむずかしいという談話を拝見をしましたが、そういう状況の中で、私はより通産の行政指導といいますか、そういう点をやはり強くする必要があるだろうとこう思いますが、これらの認識についてはいかがでしょうか。
  168. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 近藤理事長からまだ正式に報告を受けておりませんが、やはりそれぞれの関係の三国につきましても一般的に景気が沈滞ぎみである、特に三国につきましては、繊維産業のウエートが非常にわが国よりも高くなっておりますので、そういったところがなかなか話し合いがうまくつかなかったところではなかろうかと思います。しかし、国内でいろいろ秩序ある輸入について指導すると同時に、やはり相手国に対しまして政府ベースあるいは民間ベースでお互いに十分情報を交換するということ自体が一歩の前進かと思いますので、今回の近藤理事長の外国出張による成果は直ちに出てこないとはいえ、こういつたことは随時繰り返して、お互いにお互いを知り合う形に持っていくのが、やはり問題解決の一つの方策ではなかろうかと考えております。
  169. 辻一彦

    辻一彦君 いま相手国との関係が出ましたが、私、それについて一言触れたいと思います。  その前に、さっき私の申し上げた数字は、四十八年度が四十七年度対比の数字であって、四十九年度ではないので、ちょっと誤解があったかと思いますが、その点訂正しておきたいと思います。  そこで、いままでの商社の無秩序な輸入というもの、こういうものは私は国内において非常に小さな中小零細企業等に打撃を与えたと同時に、外国でも問題を起こしているというように思います。八月の下旬に、参院派遣で私一ヵ月余り東南アジア、中近東を一巡したんですが、タイのバンコクに行って、やはり日本の商社が、幾らでも繊維製品を買うから合弁会社をつくろうというので合弁会社をつくり、あるいは単独で会社をつくって繊維生産をやった、しかし、ことしになってとたんに輸入といいますか、向こうから言えば輸出が押えられてくる、その中で、製品はつくったし、これは買ってくれるところはないし、一体どうしてくれるのだと、こういう声をかなり率直に私は聞きました。  この無秩序な輸入というものは、国内にたいへんな打撃を与えたと同時に、国際的にもこれは問題をいろいろ起こしておるんではないか、こういうように思いますが、この点で海外におけるこれらの投資のいわゆる抑制といいますか、規制ということばは適当ではないかもわかりませんが、抑制といいますか、それらについてこういう国内に非常に影響を与える産業の場合、どういうように考えておられるのか、あるいは具体的にどう対処しようとしておるのか、この点をひとつ基本的に大臣からお伺いし、具体的に局長から伺いたいと、こう思います。
  170. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 東南アジア、特に近隣諸国に対するそのような将来日本に影響のある、中小企業に対して特に影響のある投資等につきましては、われわれとしても深甚の注意をもって対処する必要があると考えております。それらにつきましては、将来日本に対するはね返り等も考えて適切な指導を行なう必要がある、そういう考えに立ちまして処理していきたいと思います。
  171. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 繊維産業部門の海外投資残高、ことしの三月末で六億九千万ドル程度になっております。これは全体に対しまして約七%、製造業の中では二割程度になっておるかと思います。地域別には、いま御指摘になりましたタイ等の東南アジアに対しまして六七%、それから中南米に二三%、この両地域で九〇%程度になっておりますが、最近の傾向といたしましては、中南米向けの投資がふえておる、こういう傾向にございます。  かような海外投資につきましては、すでに御承知のとおり、OECDの規約に従いまして、一部たとえば銀行業等のようなものを除きましては、日本銀行限りでの自動許可制をとっておるわけでございます。ただ、さような場合にも、日本の経済に著しい悪影響を及ぼすような場合には事前チェックをするということをやっておりまして、特に繊維の構造改善を進める上にあたりまして、あるいは日本国内に逆輸入をして中小零細企業に急激な影響を与えるといったような場合には、これは事前にチェックいたしまして、たとえば計画が過大であるというような場合には規模を縮小させるとかいったような、個別、具体的な指導をやっておるわけでございます。今後もそういった方向で指導を強化してまいりたいと考えております。
  172. 辻一彦

    辻一彦君 そうすると、日銀における投資承認のその場で、計画におけるところの一つチェックということが考えられるわけですが、そのほかには具体的な対策はないんでしょうか。
  173. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 日銀では、自動許可制でございますか、その窓口だけは素通りしてしまうわけでございますが、その日銀に資料が来たときに、申請書が来たときに関係省庁のほうでチェックする機会を持つ。先ほど申し上げましたような観点からこれを指導しておる、こういうことでございます。
  174. 辻一彦

    辻一彦君 海外における企業の活動も私は大事だと思います。それは否定するわけではございません。しかし、どうしても現地は労賃が安い。そこへ合弁で会社をつくる。それから原資もいままで見ると、国内ではわりと割り高で、東南アジア等々にはやはり割り安の場合もあった。そうすれば、どうしても製品が安くなりますから、これを日本の市場に送ろうとする動きはなかなか強くなると思います。そこで、そういう海外の企業が合弁等で進出する場合に、あるいはそういう製品をたとえばわが国のほうにある期間は持ってこないとか、こういうようなことを事前にやはり検討するようなことも、弱小産業をかかえる場合には大事ではないかと思いますが、そこらのことについて具体的にどう考えておられますか。
  175. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) まさに御指摘のような問題点ございますので、事前にチェックする段階におきまして、ものによっては日本に持ってこさせないと申しますか、進出先で消費するか、第三国市場に輸出するものでないと当方としても認めないようなケースもございます。
  176. 辻一彦

    辻一彦君 立ち入って聞くのはどうかとは思うんですが、そういう非常に逆輸入のおそれがあって、やはり投資をする形で認められるといいますか、チェックしている具体的な例としてどういう例があるか、差しつかえなければ、ここで聞かしていただきたい。
  177. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) ちょっと具体的な事例をここに持ってきておりませんが、投資案件の大体四分の一ぐらいが計画の縮小、あるいは国内への再輸入のチェックをしておる件数に当たっております。
  178. 辻一彦

    辻一彦君 これはわが国も貿易立国といいますか、輸出をしなくちゃならないという大前提がありますから、その点はなかなかむずかしい問題であると思います。しかし、たとえば安い繊維製品等が大量に外から入れば、なかなかいまの体質の状況では立ち打ちができない。だから、体質改善をされた十分な段階であれば別として、それまではいまのような方向における行政の指導を、私はかなり強くする必要があると思います。そういう点で、これはひとつこれからともぜひ努力をいただきたいと思います。  そこで三つ目ですが、いまこの制度融資の償還猶予ということをそれぞれの産地から具体的に出されております。たとえば一つの例として福井の産地、これは合繊の全国の輸出の四五%、石川県が四〇%、合わせて八五%を占めておりますから、一つの産地でありましてもかなり代表的な例に私はなると思います。  そこで、この大体三千軒の繊維産業といいますか、機屋さんがありますが、こういう中で一対米自主規制融資分として新しく二百五十四件、臨時繊維産業特別対策融資分として二百三十五件、これを償還猶予を希望している。これらを前の猶予されたものに加えますと、それぞれ対象の八二・六%、八五・五%、こういう数字にのぼりますが、これはほとんど九割近い数字ということで、ほぼ一様にといってもいいのではないか。そうなると、いま償還猶予について通産省は大体ケース・バイ・ケースというような考えのようでありますが、これだけまとまってくれば一律の償還猶予の取り扱いをすべきではないかと思いますが、それらの点についてどういうように考えておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  179. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 政府系の中小三機関の貸し付け金につきましては、不況によりまして経営状況が特に悪化しております企業につきましては、その実情に即しましてケース・バイ・ケースに、三機関の窓口の支店におきまして弾力的に償還猶予措置を講ずるように指導いたしておるところでございます。  その統計の詳細は手元にございませんけれども、最近の実績で見ますと、繊維向けの償還猶予が全体の償還猶予の約四割ぐらいに達しておりまして、一番大きな割合を占めておるのでございます。
  180. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、一律に扱えないかということなんですが、あくまでケース・バイ・ケースでいかれるのか、あるいはその産地における組合等がまとまって一括申請をすれば、論理的にはケース・バイ・ケースであるが、中身としては実質的に一括扱いにすることができるのか。そこらの関係はどうなんでしょう。
  181. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) この償還猶予の問題は、あくまでそれぞれの企業の個別の経理の内容に応じまして、どうしても返済困難であるというような事情がわかりましたときに返済猶予という措置をとることにいたしておりますので、やはり個々のケースに応じましてそういうふうな措置を考慮いたしたいと考えておりまして、一括で内容のいかんを問わず償還猶予措置をとるということは、ただいまのところ考えておりません。
  182. 辻一彦

    辻一彦君 たとえば、北陸に勝山という市があります。これはしょっちゅう現地から見えて、通産省中小企業庁へもたくさんの陳情があったと思いますが、市の八割は繊維で生活している、そういう実態です。だから、圧倒的に繊維関係の方は、これはだれかれの差別なしにこの融資を受けておれば償還猶予を希望しておる。そういうところは一つの産地の組合がまとまれば大体実質的にまとめた扱いをする、こういうことはできないのですか。
  183. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) おそらく結果的に、同じような状況でございますれば、個々にお話しになりましても、その相当部分が償還猶予ということにあるいはなるかもしれないと思いますが、一応やはり各社の状況を個別に伺いまして、ということが原則でございますので、そういうふうな措置でやってまいりたいと考えます。
  184. 辻一彦

    辻一彦君 論理的にはケース・バイ・ケースであるということはわかりますが、実態をひとつよく見てもらって、実質的には、そういうどうにもならない、希望されるところについては全面的に償還猶予が行なわれるようにぜひ指導を願いたいと思います。  四つ目に、私はこれは五月の論議でもやったわけでありますが、付加価値といいますか、加工賃というものが非常にいまダウンをしております。適正な加工賃というものがどういうようにして実現できるのか、これはたいへん大事な問題じゃないかと思うんです。  たとえば、一つの数字でありますが、先ほど申し上げた勝山市という市において、ナイロンの分繊デシン四十四インチで、四十八年の十二月に織機一台当たり水揚げが六万四千八百円、これがことしの十月では一万六千八百円で、比較しますと、二五%というように加工賃がもうダウンをいたしております。それからテトロンのウーリーでは、四十八年の十二月に五万六千円が一万円で、これはもう一七%台に落ちてきておる、こういう数字であります。  これは、もちろんいま非常な不況の中でありますから、かなり特殊な例であると思いますが、しかし、零細小企業の機屋さんが、大体景気の好、不況を問わず、加工賃という形でしわ寄せを受けるという場合がたいへん多いわけなんですが、これについていま取引改善協議会等、いろんな対策が設けられておるわけですが、適正加工賃を確保するためにどういう対策を具体的にいま進めようといたしておるか、この点をお伺いいたしたい。
  185. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) いま御指摘の付加価値の問題につきましては、工賃の問題と、もう一つは流通マージンの問題があるかと思います。流通マージンにつきましては、これは流通過程の実態、あるいは問題点を把握して、その改善につとめたいと思いますが、片ほうの工賃問題につきましては、いま御指摘になりましたように、取引改善協議会をつくりまして、そこで現在の工賃の実情等についても調査いたしたいと考えておるわけでございます。この取引改善協議会につきましては、人選がなかなかむずかしゅうございまして、近く最終的に委員を決定し得る段階に来ておるわけでございますが、現実ではまだ発足に至ってない、申しわけないことでございますが、さような状況でございます。  この協議会におきましては、繊維関係各業界の取引関係の正常化をはかっていく、そのためのガイドポストをつくる、あるいは、できるならば標準的な取引モデルを策定したい、かようなことで、本委員会のほかに調査部会等も設けまして、主として学識経験者、中立委員をもって構成したい、かように考えておるわけでございますが、労働組合を含めまして関係業界の意見が、参考人として十分その調査審議の過程で反映されるようにいたしたいとは考えております。  ただこれは、こういう協議会の性格といたしまして、個別ごとの調整をやるということは不可能だと思いますので、一応レベル的なものの調査結果をもとにいたしまして、行政指導的な形で適正工賃の確保をはかりたい。特に今度、さきの通常国会で成立いたしました新しい繊維産業の構造改善法というものは、繊維全体としてレベルアップしていこうという考え方でもございますので、そういった下請け、あるいは工賃等につきまして適正なものが確保できるような方向で、構造改善を進めるにあたっても意を用いていきたいと考えております。
  186. 辻一彦

    辻一彦君 この取引改善協議会というのは、やっぱりどういうメンバーを選ぶかということがなかなか大事だと思います。まず近く最終的決定と、こう言われるけれど、大体めどとしていつごろ発足させるつもりなのか、この点いかがですか。
  187. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) できれば十一月の中旬、おそくとも十一月中には発足さしたいと考えております。
  188. 辻一彦

    辻一彦君 その人選については、大体最終段階に入っておるんですか。
  189. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) どの段階をもって最終段階と申し上げるか、非常にむずかしいかと思いますが、この人選の問題点は、やはり関係業界の利害が相反する場合が非常に多いわけでございます。したがって、学者だとか評論家だとか、あるいは政府関係機関の職員だとか、そういうような中立的な人にお願いする必要がある。かといって、全く繊維の実情を御存じない方にお願いしても、これはまた架空の議論に走るというようなこともございまして、人選がおくれているわけでございますが、十日前後、あるいは少なくともこの月の半ばごろまでには最終的に人選を終わりたいと考えておるわけでございます。
  190. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、あんまり評論家の皆さんだけでもこんな深刻な状況はなかなかたいへんだと思いますから、実情のよくわかる人をとにかく選んでいただいて、発足をさせてもらうように願いたいと思います。  そこで、さっき言われた一つの適正賃金、加工賃等のモデルをつくると、こういうようなお話ですが、そのモデルをつくった場合に、それを実施をさせるために、何らかの保証があるのか、ただ御参考にという程度なのか、その点はいかがですか。
  191. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 先ほど来申し上げておりますように、まだ取引改善協議会発足の準備中でございますので、この段階でああするこうするということを申し上げるのはいかがかと思います。それからいま一つは、本来はやはり両当事者の契約の問題でもございますので、あまりこれに政府が介入するということもまたいかがかと思うわけでございます。さようなところから、感触といたしましては、標準的なコストを下回るようなことがあっちゃこれはまずいと思うわけでございます。  ところが反面、需給の変動というのは繊維ほどまた激しいものもございませんので、あまり強くこれを強行することによって、二度目、三度目からの注文が全然こなくなると、角をためて牛を殺すようなことになってもまずいといった配慮も必要かと思いますので、一応あるべき水準といったものが検討の結果出ました場合には、そういったものをやはり公表するといったようなことも一つの方法かと思います。あるいは、団体ごとに指導する場合にも、そういった基準的なものを一つのものさしとして指導するということも考えていいのではなかろうかと思います。
  192. 辻一彦

    辻一彦君 それは、適正な加工賃はこのくらいだという一覧表のようなものができましても、それによって何も加工賃がきまるわけではないので、それをもとにしてそういう適正加工賃がどういうように実現をするかということが私は大事だと思うのです。  その一つのめどというものが示された場合には、これをかなり徹底をして実現するようにする裏打ちといいますか、裏づけというものが大事だと思うのですが、あまり介入されてもいけないという点もわからぬではありません。実際としては力の弱い繊維業、中小の零細資本の機屋というのは、どうしても安い賃金、加工賃を押しつけられるということがいままで非常に強いわけですから、何らかのできた適正加工賃を裏打ちして実現していくような、そういう方法が考えられないか。この点についてこれからの御検討ということですが、何か構想というようなものはないでしょうか。
  193. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 先ほど来申し上げておりますように、現段階でどうしたらいいかという構想を持ち合わせておりません。したがって、やはり御趣旨のようなことを協議会での一つの検討事項としてお願いいたしたいと考えております。
  194. 辻一彦

    辻一彦君 それは評論家の集まりになったり、一覧表ができて参考にという、そういうことにとどまらないように、ぜひ努力をしてもらいたいと思います。  五つ目に、私、いま非常に各産地で問題になっている過剰在庫の凍結と減産資金、こういうものに対する政府の融資対策、この点についてお伺いをいたしたいと思います。  いま各産地の状況をざっとみると、三割程度はすでに自主休機といいますか、あるいは発注がないので、もうとめざるを得ないという状況もあります。そこらも合わせてぎりぎりのところまでいま産地はいろいろの努力をしているのではないかと思います。これ以上自主休機や自主的な操短といいますか、そういうことにまかしておくだけでは、これは悪くすれば全面倒産にも追い込まれかねない状況ではないかと考えられます。さっきもちょっと申し上げましたが、加工賃がダウンをしてくる、受注量が減ってくると、一台に大体生産地等では百万円の借入金を抱えている、こういうふうにいわれるわけですが、こういう借入金を抱えて赤字操業、動かなければ倒れるというので自転車並みに操業をしているのもあるのですが、私はたいへんな状況じゃないかと思います。  そこで、受注量を確保しないとこれからの状況というものは非常に問題になってくるのでないか。その点からいま各産地で在庫凍結をやって、そこで発注が起こるように、業界のほうからいえば受注が起こるようにしよう、あるいは減産資金で当面をしのごうという、こういう動きがかなり高まっておると思います。全国の各産地のこれについての動きというものを、ひとつ簡単に御報告を願いたい。
  195. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) いわゆる過剰在庫の凍結につきましては、それぞれの組合が共同経済事業の一環として、地域によって若干の差はございますが、いろいろと方策を検討中でございまして、現在までにでき上がっておりますのは、綿布の関係で知多と泉州、大阪南部、この三地区につきましては大体ワークしつつあるようでございます。そのほかの合繊関係につきましては、石川、福井等におきまして、やはり組合の共同経済事業として在庫調整を進めようということで、よりより作業をしておる、かように承知しております。私たちといたしましては、そういった具体的な案がまとまった段階で、特に政府系三機関等の金融を中心といたしましてこれに協力してまいりたい、かように考えております。
  196. 辻一彦

    辻一彦君 ちょっと私、具体的な数字を申し上げてこの動きを申し上げてみたいと思いますが、例として福井の産地でありますが、十月三十日に構革組合に届けられた休機工場の数が百九十三件で三千百台、十二月にはこれが八十一件ふえて大体二千九台ぐらいになるだろう、こういわれております。それからもう一つは、十月二十四日現在で組合員のいわゆる休機の自主的な届け出があったもの、これが千百四十件、一万九千八百六十八台、だから、福井の五万二千二百六十九台の中で三八%に及ぶ自主的な休機といいますか、こういう動きが産地の努力でいろいろ進んでいる。おそらく十二月の段階、年内には二万台ぐらいになるのではないか、こういわれております。  そこで、こういうぎりぎりの減産といいますか、発注も何もやめなければならぬというところもありますし、そういうものも含めてぎりぎりの努力をそれぞれの産地がやっております。そういうのを前提にして、いま在庫凍結資金、たとえば福井等でいうならば、月産百五十五億ですからその二割、二十八億の六カ月の在庫凍結をやろう、そうすれば百六十九億という金額に大体なります。それから、減産資金は一台に一ヵ月大体三万円で二万台。六億に六掛けて三十六億、こういう計算をしてこの二万台という線にそれぞれいま努力しておるようでありますが、政府としてはこういう産地の自主的な動きに対して、大体、要請しておるような金額、在庫凍結資金、あるいは減産資金等の融資を、具体的にいまかなり煮詰まっているとも聞いておりますが、対処できる体制にあるのかどうか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  197. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) ただいまお話のありましたところの数字まで確保できるかどうかということは、この段階で申しづらいわけでございますが、資金源としてはやはり政府系三機関、特に商工中金等の融資ということが大きな財源になるかと思います。かたがた、これだけの金額になってまいりますと、市中民間金融機関の協力も必要かと思います。そういった場合には、やはり原糸メーカー等の関係者も、これの債務保証をするといったような形で現実に資金融通をはかられるようにすべきだと思いますが、いずれにしましても御指摘の金額、この場でだいじょうぶであるとか、できないとかいう段階でございませんが、私たちといたしましては、政府系三機関のほかに民間金融機関等の協力を得まして、妥当な線で、できる限りの資金手当てについて協力申し上げたいと考えております。
  198. 辻一彦

    辻一彦君 局長の御見解はわかりましたが、大臣に一つお伺いをしたいのですが、この五万台もある織機がどうもこうもならぬというので二万台もとめようというのは、たいへんな状況だと思うのです。こういう状況の中で、何とか立ち上がろうというこういう産地の自主的な努力に対して、全般的な不況の中でむずかしさはあると思いますが、それぞれの産地の努力に対して要請されるような中身が実現するように最大限の努力を払ってもらいたいと思うのですが、通産大臣としてのこれに対しての所信をひとつお伺いをいたしたいと思います。
  199. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 産地におきまする苦難は、非常に日を追うにしたがって熾烈になりつつあります。特に福井とか名古屋の方面であるとか、あるいは遠州であるとか、そういう特別の産地につきましては、われわれも非常な関心を抱いて対策を練り、また、手当てをしておるところでございます。今後とも御趣旨を体しまして、万全を期してやってまいるつもりであります。
  200. 辻一彦

    辻一彦君 融資の問題で一、二お伺いしたいのですが、これは具体的に名前をあげるといいのでありますが、零細小企業の皆さんにやっぱりいろいろ差しさわりがあるので、そういう点で、一般的な問題として私は申し上げたいと思います。  政府関係の融資を産地で受けても、銀行に必ず借金をしている。そこで、手続をする場合に銀行を通して手続をする。そうすると、前の借入金を返済しなければ手続がむずかしい、こういうことで、一千万円資金の融資を受けても、かなりの大部分が前の借入金の返済に充てられて、困ったときに十分使えないという、そういう悩みといいますか、こういうことを具体的にかなり私は耳にしております。こういうことは、ほんとうはいろいろやってはならないことではないかと思いますが、このような事実といいますか、動きというものがほかにもあるのかどうか。あれば、ひとつ報告をしていただきたい、こう思います。
  201. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 政府系の三機関の貸し出しにつきましては、過去の貸し出し分の返済の問題と、新規の貸し付けの問題は別個の問題でございますので、原則として別個に取り扱っておるはずでございます。ただ、過去の貸し付け分につきまして、返済の困難になっておりますときに、借り主側の希望によりまして一種の借りかえという形で、新規の分を貸します際に、一部が過去の貸し付け分の返済に充てられるというケースは一部にあるようでございますけれども、これはいわば返済期限を形として延長したような形になるわけでございまして、大体借りている側のほうの希望に即してやっておるというような場合のようでございます。  それからもう一つは、過去に非常に幾日も小口の貸し付けがございます場合に、それを一括してまとめた形で再融資をするというような、事務の簡素化のために借りかえる場合もあるようでございますが、いずれも、借り主側の希望によりましてそういうふうな便宜をはからっておるということでございまして、借り主の意思に反して、新規の貸し付け分から無理やり過去の貸し付け分の返済分を差し引くといったようなことはやっておりませんはずでございますし、そういうふうに指導をいたしております。
  202. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、そこはなかなかむずかしいところで、ある面ではそれは自主的にそうしてきたのだという言い方もあると思いますが、しかし、もちろん自分で借りかえをそっちのほうにしようという御希望であれば、これは私は問題がないと思います。しかし弱い立場で、前のを返さなければ手続ができないぞ、こういうことになって、どうにもならぬと思いながら肩がわりをしておるという例も、私はかなり具体的に聞いております。だから、そういうことが事実とすれば、これはないように一般的に指導をしてもらいたいと思います。  そこで、年末融資で七千七百億を目ざして七千億は最低確保する、こういうお話でありますが、繊維関係にその中でどのぐらいを一応見当をつけておられるのか、大まかな点でけっこうでありますが、お話しいただけたら伺いたいと思います。
  203. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 七千七百億でいま大蔵省と交渉を進めておるところでございますが、それが満額取れますか、若干減りますか、まだ交渉の段階でございますので確定をいたしておりませんけれども、年末でもございますし、私どもとしましては、なるべく業種を区切って特定の業種に回すということでなしに、各三機関に配分をいたしまして、三機関がそれぞれの支店のございますところの産業の資金需要の実情を見ながらそれを使っていく、こういうふうな形を今回の年末分についてはとりたいというふうに考えておりまして、ただいま繊維向けに幾らというふうなワクの予定は立てておりません。
  204. 辻一彦

    辻一彦君 次に、先ほど大臣が触れられました過剰在庫を海外援助物資に活用するという点、これは五月の十六日もここで私発言をして、大体この四百億のワク内においていろんな努力をしたいという御答弁がありました。いまもバングラデシュのお話が出たんでありますが、そのほかの国についてこういう在庫を活用していくという、今日具体的な取り組みはないんでしょうか。
  205. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 御指摘のように、非常に繊維の不況が深刻化しておりますので、できるだけ私たちといたしましても、そういった援助対象物資として繊維製品を含ませたいということで努力いたしておるわけでございますが、ただ、これは相手方のあることでございますので、こちらが余っているから持っていけというわけにまいりません。そういったところから、業界からもミッションが各地域を回りまして、いろいろとコンタクトをとってきたようでございますが、ざっと申し上げまして、やはり各国ともに繊維不況であるといったようなところから、率直に申し上げると、必ずしも強い要請は出ておらないというのが現実でございます。  いまお話のありましたバングラにつきましては、水害対策として無償二億円のうち一億円を繊維製品で充てるとか、あるいは、ついせんだってのことでございますが、無償十五億円を含んで、三十億円程度のものをバングラに供与するといったようなことで、現在相手方と詰めに入っておる段階でございますが、そのほかにつきましても、いろんな国にいわゆる円借款を供与いたしておるわけでございますが、これは相手方とよく話を詰め、相手方のニーズに応じてこちらの物資を供給していくという線は、やはりくずし得ないのではなかろうかと思います。
  206. 辻一彦

    辻一彦君 厚生省の災害救助基金を活用して、滞貨する繊維製品を現物で保有していく、こういう通達が通産、厚生のほうから都道府県あてに出されておると聞いておりますが、その具体的な進行状況といいますか、どのぐらいそれの財源というか、そういうものがあるのか、それによってどのぐらいのものが現在確保されているのか、具体的にわかっておればおっしゃっていただきたい。
  207. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) まず、財源でございますが、聞くところによりますと、六十数億円あるようでございますが、そのうち四億円は有価証券に向けられており、あと四億はすでに物資の手当てを済ませておる。したがいまして、差し引き五十数億というのが新規購入の財源になるわけでございますが、ただ、この場合には人件費をまかなわなくちゃいけないことと、それから、繊維品以外に食糧等についても手当てしなくちゃいけない。したがいまして、その五十数億のうち、幾ばくが繊維製品の慈善購入用に充てられるか、これはやはり実際のコンタクトの結果を見なければわからないと思います。  それから、御指摘の通知はかれこれ一カ月ほど前に出してあるわけでございますし、また私どもも関係団体に、それぞれの府県の窓口に行って話をするようにということで指導いたしておりますが、今日までのところ、まだこういう話はまとまったというような報告は受けておりません。やはりいろいろ問題があって難航しておるのではなかろうかと思いますが、実情を私たちも調査いたしまして、さらに指導してまいりたいと思います。
  208. 辻一彦

    辻一彦君 時間が限られておるようでございますので、あと簡単にお伺いしたいと思います。  過剰設備の共同廃棄事業ですが、これはいろんな無籍問題もあり、日米問題以来いろんな段階でむずかしい問題もございました。なかなかむずかしい問題であろうと思いますが、いま産地間の空気を見ると、やはり深刻な不況の中で過剰設備を共同廃棄しなくちゃならぬじゃないかと、こういうことがかなり痛切に感じられているというようにも私感ずるわけなんです。産地が真剣になってこれに取り組む場合、従来におけるいろんないきさつもございますが、政府としてはこれらの動きに対して本格的に取り組む用意といいますか、考え方があるのかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  209. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 過剰設備の廃棄につきましては、当面の不況対策という観点と長期的な構造対策と、その両面から慎重に検討する必要があるかと思います。しかし、業界といたしまして前向きに対処しようとし、かつその方法、程度等がわれわれとしても適当なものであるという場合には、資金面等から積極的に協力したいと思いますが、御承知のように、いわゆる織機登録の特例法に基づきまして、織機につきましては、その法律に基づいてまず過剰設備を処理していただくということになるかと思いますが、この織機特例法の対象にならないもの、たとえばより糸のようなものにつきましては別途の方法を考える必要があるかと思いますが、これにつきましては、現在中小企業振興事業団の中で共同廃棄事業に対する融資制度がございます。これは、十六年間無利子と、非常に有利な条件ではございますが、現在においては非常にワクが狭いという難点もあるわけです。いずれにいたしましても、仮より機等につきまして、具体的にその共同廃棄の計画が固まった段階におきまして前向きに協力してまいりたいと、かように考えております。
  210. 辻一彦

    辻一彦君 少し詳しく伺いたいんですが、時間が来ておるようですから、二、三点伺って終わりたいと思います。  労働省見えておりますか。——今度の不況というものが、いつもならば、半年もたてば大体これまた少し上がっていくという、そういうことで回復のきざしが見えるんですが、今日の不況は非常に深刻で、ちょっとやそっとでなかなか回復するようなきざしが見えない。そういう中で、何万台の織機が自主的に休んでいくということは、結局そこで働いている人が失業していくということになります。十月から三月までの約六ヵ月機屋が休んで、それ以上長期になるとすれば——六カ月という期間では失業保険等の給付もたいへん問題なんですが、こういうむずかしい、困難な深刻な状況の中で、六カ月という切られている給付期間ですね、これを暫定的に何らかの対処をするというか、延期をするとか、こういうふうな考え方が労働省に具体的にあるのかどうか、この点いかがでしょうか。
  211. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 現在の失業保険制度では、被保険者期間の長短によりまして、最低九十日から最高三百日までの失業保険の給付日数をきめております。原則的には大体百八十日ですから、先生指摘のように、大体六カ月という見当でございますが、勤続期間の長い方の場合は最高三百日まででございます。  この原則のほかに二つ特例がございまして、一つは、特定の地域で就業状態が悪いという場合に、一定の基準に該当する場合に、九十日を限度として給付日数の延長をはかることができる。それからもう一つは、職業訓練を受ける場合に、その公共職業訓練を受ける間延長する措置もございます。したがいまして、特定の産地で離職者の方がたくさん出られて、しかも、それが滞留されるというような事態になった場合に、いま言いましたような二つの特例措置の適用可能な場面があろうかと思います。そういった面は十分検討してまいりたいと思います。
  212. 辻一彦

    辻一彦君 もう一つ、これは電力関係ですが、一つの例ですが、五十九台織機を持っている機屋さんが、夏場の料金が、去年は月額三十万円だった、ところがことしは五十一万円。だから、言うならば、七割ほど料金が実際として上がっておるわけです。こういう中で、小さな企業としてこれだけの電力料金というものは容易じゃない。こういう点から、農業用電力というものはかなり割り引きがされておるんですが、それに準じて零細小企業の場合には電力の割り引きができないかという声が非常に強いんですが、今日の時点の中でそういう道がないのかどうか。これは公益事業部長ですか。
  213. 大永勇作

    説明員(大永勇作君) 電気料金の値上げによりまして、関連業界の方にたいへん御迷惑をおかけしているわけでございますが、繊維産業の中でも綿紡績、あるいは綿糸、染色といったようなところは、電力料金がかなりウエートを占めておりすすので、御迷惑をおかけしていると思うわけでございます。  ただ、特別の割り引き制度ができないかというお話でございますが、先生指摘のように、農事用電力につきましては、供給規程の中に農事用電力という項目がございまして、田植、それから育苗、秋の脱穀と、こういったときの動力につきましては若干安い料金を適用しているわけでございますが、これは考え方としまして、春及び秋のいわゆる豊水期の余剰電力を使うということで、まあ原価が安いものですからその分だけ安くするということでございまして、やはり原価主義のたてまえの中で処理をしていくという状況でございます。したがいまして、繊維産業のように年じゅうほぼ平均して電力を使うようなものにつきましては、現在の原価主義の中におきましては、はなはだ残念でございますけれども、やはり特例的に安くするということは困難ではないか、かように考えておるわけでございます。
  214. 辻一彦

    辻一彦君 これで終わります。  まあその点は、農村でももう春と秋の概念がだいぶ変わってきて、そんな水の豊かなときに稲刈りと田植えがあるというわけでもなくなっている実態もありますから、これはひとつ検討をし直していただきたいと思う。  最後に、大臣にお伺いしたいんですが、繊維のこういう不況の中で、大きなメーカーが産地に行って、若い人に、もう繊維の見込みはないからあなたたちやめたほうがいいぞと、こういうことを言わざるを得ないほど事態は深刻化をしております。そういう点で、この繊維産業に働く若い人たちが一つの夢を失っているというのが私は事実でないかと思うんです。そういう中で、長期の展望を踏まえて、やっぱりそういう繊維に働く若い人が夢を持てるようにするにはどうひとつ考えていったらいいだろうか、このことを通産大臣から一言お伺いして質問を終わりたいと思います。
  215. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 繊維の問題は、繊維だけの原因にあらずして、国際経済全般から来ているところであり、ただ、繊維は日本の場合においては特殊の事情がございまして、過剰織機その他の問題等もあり、また昨年は、円が強いという面から過剰輸入が行なわれたという特殊な面がありまして、いま一番打撃を受けておるわけであります。したがいまして、この在庫の消化を適切に行ない、また、世界的にも順次明るさが回復するという形になれば少しずつ荷はある段階になれば動いてくるんだろうと、いま一番その在庫を凍結して苦しい段階であるだろうと思います。こういうやさきにあって、まじめに働く繊維業者が金融等のために倒産するということはまことに申しわけないところでございますから、政府は全責任をしょいまして、そういう企業を倒産させないように今後も努力を続けていくつもりであります。しかし、前から申し上げますように、投機をやったとか、ボウリングに手を出したとか、こういうところがつじつまが合わなくなって倒産するということは、これはまたやむを得ぬ面があるだろうと思うんです。まじめにやるものについてはやはり政府は責任を持つべきである、そういう考えに立ちまして、全力を注いでまいる考えでございます。
  216. 対馬孝且

    対馬孝且君 家庭用灯油の問題に関しましてお伺いをいたしたいと思います。  先般の十月十五日に開催をされました商工委員会におきまして、私からも質問いたして答弁をいただいておりますが、その後、北海道は例年よりも十一日間も早く、今月一日の日に初雪に見舞われているのでございます。すでに最需要期、最盛期になっているわけであります。ところが、いまなお、この灯油の問題が具体的に結着がついていないという点では、まさに道民としては一日千秋の思いでこの答えを待っているというのが実態であります。もはや切実な問題ということよりも、もう一時間、一刻を期待をいたしているといっても過言ではない、こう思うのであります。そういう観点で、過般の商工委員会でも申し上げたんでありますが、何とかこの時点で、大量に消費をし、需要期の地域である北海道に対しては特別の行政指導をしてもらいたい、こういうことを私、申し上げました。これに対しまして中曽根大臣から、善処するというお答えがございました。担当の左近石油部長からは、道側と具体的に話し合いをして、当時は十月中に行政指導の結論をつけたいと、こういう明快な回答に至っておるわけであります。  私はそのときに申し上げましたのは、ともあれ十月末に結着をつけてもらいたい、そうして、その行政指導になる目安の内容というのは、すでに北海道の段階では共同購入によるつまり実勢価格というのが出ておりますから、そういう安値の価格を参考にしていただいて結論を出してもらう、こういうふうに申し上げましたところ、まあ参考にしたいということだけで答弁がございましたが、参考ではだめだ、とにかく実勢価格の格安の値段でいま出でいる大体五百二十円から五百四十円、こういうラインでのひとつ努力をしてもらいたい、努力いたしますということで、前回の答弁あるいは質問に対するお答えを願っているわけであります。したがいまして、その後いまなお、現実に十月末といいながら、北海道ではまだ具体的な行政価格としての結論が出ていないわけであります。その点、通産省としてどういう具体的な行政指導をしてきたのか、あるいはどういう作業の段階に立っているのかという点をまず冒頭にお伺いをしたい、こう考えますので、この点、まず長官なりからひとつお答えを願いたい、こう思います。
  217. 増田実

    説明員増田実君) ただいま対馬先生から、北海道の灯油につきまして、私どもの行政指導の進捗状況についてお尋ねがございましたので、これについてその経過を申し上げたいと思います。  北海道におきましては、たびたび対馬先生から御指摘ありますように、灯油というのは米と並ぶ生活必需品であります。その価格について、これは非常に生活の必需品として重大なものであるということで、私どももその認識のもとにこの問題を取り扱っておるわけでございます。  一般的に灯油の価格について申し上げますと、供給が昨年に比べまして相当ふえておりますために、幸いにいたしましてその効果で価格がほぼ、全国的に需要期に入っておるわけでございますが、調査した結果ではほとんど上がっておらないということで、供給が相当過剰であるという効果が所々方々に出ております。そのために、一部では非常に安い価格も出ておるということで、私どもも、そういう情勢になりましたことは、灯油の価格が秋の需要期に入って上がることを非常におそれていたわけですが、そういうよりはむしろ大体横ばいであるという結果になっています。  これにつきましてちょっと申し上げますと、十月の灯油——十月十五日現在ですが、灯油価格をいま調べ、それを集計中でございますが、一応全国的にいいますと、十八リッターの平均店頭価格、これが先月と、つまり九月十五日と十月十五日と横ばいで六百六円ということで、動いておりません。それから配達価格と申しますか、配達料込みの価格でございますが、これは九月が六百四十六円に対しまして三円上がっておりますが、六百四十九円とほぼ横ばいという状況でございます。  それから、いまの北海道について申し上げますと、十月の価格、全国平均六百六円でございますが、北海道につきましては、対馬先生指摘のように、ほかの地域よりは高くなっておりまして、六百二十四円となっております。これは先月、九月の価格と横ばいでございます、六百二十四円、動いておりません。それから、いわゆる配達価格につきましては、六百六十四円という集計にいまなっておりますが、これは先月、九月の十五日は六百七十六円ということで、若干下がっておるという結果が出ております。これは個々にいろいろなケースがございますので、一がいに言えないわけでございますが、私どものほうで相当な数の店を調査しました結果、そういうことになっております。  ただ、いずれにいたしましても、問題は北海道の価格が全国平均より高い、これを何とかしてでも引き下げなければならないということで、この前から行政指導というものを行ないまして、標準価格の設定は一応しばらく時期を見るけれど、しかし、北海道につきましては全国平均より高いので行政指導を行なうということで、この前、私どものほうの担当課長北海道に派遣いたしまして、道庁あるいは消費者の方々、それからこの取り扱い店その他ともいろいろ打ち合わせをいたし、その後何回か北海道庁と話し合いをしております。  それで、現段階について御報告申し上げますと、北海道知事から、十一月二日でございますが、元売りの各社、それから北海道の石商——石油商業者の組合の幹部に対しまして、まず一つには、元売り仕切り価格を本州並みに下げるということをいたし、その分を末端の販売価格に反映させる、これが第一点でございます。  これについて若干御説明いたしますと、北海道におきます元売り仕切り価格が若干、輸送費その他の点で本州に比べまして格差があったわけでございますが、これを本州並みに下げる、具体的に言いますと二万五千三百円の線にさせるということでやる、そして、その下げた分を必ず末端の販売価格に反映させるというのが第一点でございます。  それから第二点、これも対馬先生がたびたび委員会で御指摘ございました大量取引につきまして、これの割引を内容とする協力要請をするということでございます。いわゆるボリュームディスカウントでございますが、北海道におきましては、内地の十八リッター入りのかんの取引ではなくて、二百リッターとかあるいは相当数量の取引が行なわれております。それで、従来はこれにつきましては相当の大量取引の割引があったわけでございますが、最近この割引率が非常に減っておるということで、これを相当割引するようにということで、これは業界のほうにも話し、大体基本的な了解事項に達しておるわけでございます。現在はその詰めの、最後の段階でございまして、確かに対馬先生が先ほどおっしゃられましたように、十一月早々にはこれが全部仕上がるということでお話し申し上げて、おくれましてたいへん恐縮でございますが、私どもも一生懸命指導価格の実施が行なわれるように努力いたしておる。  以上申し上げましたのが経緯でございます。
  218. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま長官から、今日の段階における行政指導という点についての内容に触れられてお答えを願ったわけですが、私はこの指導のしかたにやっぱり問題があるんじゃないかというふうに指摘をし、お伺いをしなきゃならないのは、在来は出先の通産局がかなり消費者なり業界を中心にして、いままでのパターンでいきますと昨年来ずっとやられてきましたね。で、道側だけでやられることが悪いと私は言っておるんじゃなくて、出先の通産局が中心になって窓口としていままでやってきたのに、どうして急に道側だけにこう変えられたということについて私は納得いかないんです。  なぜ納得いかないかというと、ちょっと午前中も触れましたが、やはり料金値上げの問題とかなんとかになれば、これは通産局がもう出なくてもいいところへ出っぱって、官憲まで出動さして、そして強行突破さしてみたり。こういうときになると、実際に国民の——大臣は常に、通産省はしあわせを届けるところだと、こう言うけれども、こういうしあわせをやる問題についてはさっぱり出先の局が動いていない、あるいは行政的な動きは見せていない。これはやっぱり問題があるんじゃないですか。これはどっちに問題があるのか、私はお伺いしたいんですがね。いままでのあれでいけば、道側だけじゃなくて出先の通産局がむしろ積極的に窓口になって、そして業界なり消費者なり、あるいは道側なりを指導してきたというのがいままでの実態であります。これは私も参加してますから申し上げるわけです。そこで、その点についてのやっぱりいま一歩私は突っ込んだ行政指導あり方というものに対して、いま長官がお答えになりましたけれども、これでは納得いかないんです。このなぜそういう行政指導はできないのかという点をまず第二点にお伺いします。
  219. 増田実

    説明員増田実君) ただいま、あるいは私の御説明の申し上げ方がことばが足りなかったかと思いますが、あたかも北海道庁だけでやっておるようにいま御説明申し上げたんですが、実際は私どものほうの通産局、それから私どものほうの本省の石油部、あげて一緒にこの問題をやっておるわけでございまして、まあ道庁も非常に一生懸命やっておりますので、若干道庁を立てたような答弁を申し上げてはなはだ恐縮でございましたですが、やはりこの石油行政の最終的な責任というものは通産省資源エネルギー庁が持っておるわけでございまして、その意味で、私どももこの問題については責任を持って行政指導その他についてもやっておるわけでございます。ただ、北海道庁も非常に熱心にやっておりますので、まあそういうことで先ほどのような御説明を申し上げたわけでございます。誤解がありましたらはなはだ——ここで訂正さしていただきますが、通産省通産局がやはりこの問題につきましては全力をもってやっておるわけでございます。
  220. 対馬孝且

    対馬孝且君 私はやっぱり、むしろ通産局が出先の窓口になって行政指導するというのが当然のことでありますが、いま長官からすなおに御返答がございましたから、それぐらいにしておきます。  そこで、中身の問題として内容の問題に私入りたいのですが、どうも行政指導それ自体の中身についてやっぱり問題点があるというふうに私は指摘をしなければならぬわけです。なぜかならば、先ほど、第一点は、本道における大量消費の実態から、道内の元売り仕切り価格を本州並み以下に引き下げるよう配慮すべきだ、こうお答え願いましたね。これは二万五千三百円ということですから、これを展開をいたしますと、通産省が当初標準価格を解除した時点における指導として出しました六百三円という答えになるんです。そうでしょう、基本的な態度としては。そうすると、すでに六百三円というものが答えとしてこの行政指導価格として出された、こういう理解にならざるを得ないんです、やっぱり一つの問題として。  私はなぜこれを申し上げるかといいますと、来る前の日に北海道消費者協会、婦人団体とも会ってきたんでありますが、この調べによりますと、十月二十四日現在の道消費者協会の調べというのがございますが、これは苫小牧では五百七十六円、それから室蘭では五百八十円、それから札幌市ではこれまた五百八十円、これは十八リットルですよ、私が申し上げているのは。大体こういう価格がすでに実勢価格として出されているわけでございます。  そこで、私はこの行政指導というものをちょっと長官お伺いしたいのは、道庁ではこういうふうに業界を呼んでお願いをいたしますということなんです。一体行政指導というのはそういうものなんだろうか。すると業界が、これはだめですと、こうなれば、結果的には業界の言い値の灯油価格になってしまうというものでは、しょせんこれは業界の言い値価格がつまりイコール行政指導価格になるという点では、やっぱり問題が残るんじゃないかということが一つなんです。  二つ目は、先ほど申しましたように二万五千三百円、本州並みに展開をすれば六百三円、いま全国平均六百六円とこう値も出ましたが、大体その辺がもうすでに答えとして出されているということでは、いわゆる実勢価格を逆に高値価格に引き上げている。先ほど私、苫小牧、室蘭、札幌の話をしましたけれども、そういうことになるんで、この点どうもお願いしますというようなことなら、何もあなた、行政指導じゃないと思うんです。そんなもの業界の幹部を呼んで、まあ北海道石油連盟代表あるいは出光石油、共同石油、私の聞いている範囲ではシェル会社だけは協力できないという態度を堅持したと聞いておりますけれども。  ともかく、どっちにしたってそういう行政指導というのは問題があるんじゃないか。少なくとも前回の十月十五日の商工委員会の幕切れにおける受けとめ方は、私は誤りであれば別ですけれども、きょう議事録を持ってきておりますけれども、これは共同購入実勢価格というものを参考にして努力をしますということになっているわけです。そうしますと、やっぱり一応の目安額というものが出ていかなければならぬと思うんです。ところが、目安額が出たと私は理解していいですよ、これ。  そうすると、先ほど長官が言われるように、それじゃ六百三円ということの答えでこれからいくのか、こういう答えになっちゃうんです。これでは私はどうもぴんとこないよりも、これは北海道の消費者は頭にきていますよ。何もそんな六百三円の指導をしてもらうんであったら、わざわざ、現実にいま長官もおっしゃっているように、横ばいもしくは下がりぎみの傾向になっているときに、あえて行政指導として六百三円とか六百六円とかいう数字を出す必要がないでないかということになるわけです。私はそうでないと思うんです。  長官もそう考えていると思わぬから私はお聞きするんですが、この段階で行政指導をするとは、具体的な一つのそういったものを目安にして指導するということと、それからもう一つは、あと二、三日で出るのか、あるいは十日前には結論出るのか。きょうはもう七日ですからね。ともあれ、作業をしているということは認めますよ。作業の決着が一体どの時点になるのかというくらいの目安をつけてもらわぬといけませんけれども、それを別にして、その前にもう一回質問します。  まず私は、行政指導あり方についてもうちょっと納得するようなお答えを願いたいと思う。
  221. 増田実

    説明員増田実君) ただいま行政指導あり方について御質問ございましたのですが、行政指導というものにつきましては、これは日本の独得なものでございまして、最近は外国の字引きにも行政指導ということばが載り出したというようにいわれておりますが、非常にやり方その他が特異なものでございます。  それで、いま先生がおっしゃられましたように、確かに行政指導を行ないますときに、業界の協力を得て実行してもらう、これが目的でございます。ですから、業界がこれを自発的にも協力をするようにしむけるという形にいたしますために、形といたしましては、業界のほうに対してこういうことでひとつやってくださいという要請、お願いの形になるわけでございますが、しかし、それはそれが守られないとか、あるいは守る守らないは業界の自由だという形と若干差があると。これを命令ではございませんがやはり納得してもらって、そしてその上でやってもらう、これが先ほど申し上げましたように日本における行政指導あり方だと思っています。  そういう意味で、今回の石油価格その他の取り扱いにつきましても、北海道における価格が現実に下がるようにいたしますための行政指導を各業界、元売り及び石商に対して行なっております。形としては確かに先生指摘になりますように、業界に対してひとつこれでやってくださいということでお願いの形になっておりますが、私どもといたしましては、これによって必ず値段を現実に下げてもらうし、また、私どもの言っておることに協力してもらえるもの、こういうふうに思っております。  それから次に、先生のお尋ねの、二万五千三百円ということであれば、結果としては十八リッターで六百二円になるんではないか、こういうお話でございます。これは先生御存じでお尋ねになっておられるわけでございますが、私どもも決して六百三円で価格を指定しておるわけではございませんで、六百三円をこえないようにという指導をいたしておるわけでございます。  それから、六百三円という計算が出ておりますのを、これも御存じのことと思いますが、二万五千三百円では一リッター二十五円三十銭になりまして、これを十八リッターにしますと四百五十五円四十銭というもので元売りから灯油が出てくるわけでございます。そのあと、いわゆる特約店あるいは小売り、これはガソリンスタンドとか薪炭屋とか、それから生協はダイレクトに受け取るとか、いろんな形がございますが、そういう中間を経まして、その中間マージンを含めて六百三円という計算をいたしました。  それで、六百三円というのはなぜ計算いたしたかと申しますと、従来三百八十円の標準価格でいたしておりましたときの流通マージンを一応百四十八円と計算しております。それがそのまま横ばいであれば、百四十八円を足して六百三円になるということでございますが、現在、先ほど申し上げましたように、灯油の供給は相当需要に対して過剰ぎみでございますので、そこにいろいろ流通マージンを切ってのサービスとか、あるいは大量取引につきましてのディスカウントというものが行なわれまして、現実に下がっておる。ことに生協などは非常に努力をいたしまして、相当大量を扱うということで先ほど先生指摘のように五百円台の価格が出ておる、こういうことでございます。
  222. 竹田現照

    竹田現照君 ちょっと関連。  先ほどいろいろ御説明ありましたが、これは同じ通産省の統計のようですけれども、実勢価格が北海道が一番高くて、すでに今月の初めのあれで六百三円だと出てます。あとは本州各都府県は全部六百円を割ってますね。ですから、北海道の実勢価格がもう六百三円、まあ二万五千三百円のところまで下がっておって、それでなおかつ、これは同じことを何回もこの委員会でも蒸し返していますが、下がらない。これは一体どこに原因があるのか。私が質問主意書を政府にぶつけたのは七月ですからね。そのときに回答いただいて以来、通産省は同じようなことを繰り返していますけれども、この春のプロパンの問題で、北海道価格の問題についてこの委員会で私がいろいろとやった。そのときも結論としては業界の抵抗で、当時私が言っていたような値段にもならないんです。  ですから、たとえば、札幌の生協が六千七百円で契約をした。ところが、バックマージンが現実にこれは常識になっていますね。ところが他の団体が六千百円で契約をして、それで消費者に全部申し込みをとると、どこからか知らぬ圧力がかかって、もうとにかく油が来なくなったからかんべんをしてくれと、こういう実際問題として起きているわけですよ。そうすると、その下のほうで約束をしても約束が実行できない隘路というものが流通過程のどこかにあるんです。これは通産省がわからぬわけはないし、そこにいわゆる行政指導のメスを入れないと、いつまでたったって片づかない。新聞記事によれば、知事が代表を集めて値下げを約束したと、こういう記事にはなっている。これは今月の初めですね。二日の日かな。そうすると、それから一週間たとうとしている。あの新聞の記事では、今週中に何とかなるんではないかと書いてあったけれども、いまだにならないです。私は、あまり下の段階をいじめたってどうにもならぬ、これはまあ何回も繰り返していますが。  だから、元売りの仕切り値段の二万五千三百円だって、もう現実におかしなものになっているんですよ。北海道のグループが全部それより下回っていることは、元売りの仕切り値段が大体くずれているということできまっているわけです。だから、それをいまになって北海道に二万五千三百円を守らせるには、依然として六百円をこす値段に出ているんです、それを根拠に業界が説明をする限りにおいて。ですから、本州並みにするんなら、本州の実勢価格がもうすでに五百円台をずっと下がってきているということになってくれば、そこを的確につかんで強力な行政指導をやらなくちゃいかぬと思う。  ですから、どうもいま率直に言って、対馬君も前の委員会で言ったようですけれども、選挙を控えて知事や市長が業界の代表を集めて何とかかんとか言ったって、実際問題としてそれは強力な力にならぬですよ。やはり先ほど長官おっしゃったように、最終的には通産省資源エネルギー庁にその責任があると言っているんだから、あなたのところに呼んでぴしっとしたことをやらないと、これはもうこういうことを繰り返し繰り返し言うていなくちゃならぬと思うんです。ですから、その隘路というのは、いまこれからどこにあるんだなんていうことを通産省が模索をしているという段階じゃないと思うんだ。もうこれはわかっているんですよ。問題はあなた方の腹一つですよ。  ですから、いろいろとこの間も担当課長がぼやいておりましたけれども、これは現地にまかせておくということじゃなくて、それだけであれば、どうもいたずらにじんぜん日を過ごすだけです。だから、ほんとうの意味の強い行政指導というものはいまもう打つべき時期ですよ。絶えず言っている必要はないんです。だから、この点をだんだん延ばしてきたんだから、私が出してからもう三カ月です。対馬君が十月の十五日の委員会で提起をしてから一月になろうとしているわけです。ですから、そのつど八月の末だとか、九月の末だとか、十月の末、それは商売は生きものだからそう言ったとおりにいかないにしても、それにしてもあまりにもずるずるずるずるでしょう。これは年が明けちゃうですよ。そんなことじゃやっぱりいけないんだから、対馬君の言うように十日なら十日、まあ十日はあと二、三日だからとても無理なら、十五日なら十五日というものを目安にしてこの問題は片づけます、通産省としても強い態度で臨みますと、そういうことをやっぱりこの段階では答えなくちゃ、これは話にならぬよ。
  223. 増田実

    説明員増田実君) 北海道における価格の指導につきましては、私どもも当初予定いたしました期日よりおくれておりますことについておわびを申し上げる次第でございますが、できるだけ早くこの指導が行なわれて、それで北海道道民の方々には少しでもこの灯油の下がった価格ということが実現いたしますように努力いたします。  それから、ただいま両先生から御指摘のありましたいろいろな点につきましては、十分頭に入れながらこの行政指導を行なっていきたいと思っております。
  224. 対馬孝且

    対馬孝且君 できるだけ早くということは、何回ももう耳にたこできるくらい聞いているわけですよ、長官。それで、やっぱりこの点が問題だと思っているんですよ。通産省は六百三円という標準価格を最初の時点で出したわけです。このメンツに私はこだわっているんじゃないかと思うんです。六百三円という行政指導価格を当時出したけれども、すでにもう現実には五百四十円とか、あるいは神奈川なんかでは五百三十円に下がっているわけだ。一たん通産省として出したから、それが下がってしまったんで、もういまになったら、どうも通産省指導したことは誤りだったというようなメンツにあまりぼくはこだわってもらっては困るんだ。何もあなた、メンツにこだわることはないでしょう。国民大衆が安く——いまや物価が最大の課題なんだ。田中内閣が人気悪いというのはやっぱりここなんだから。  いまやまさに田中丸は沈没寸前にあると言われているわけだ。そうしてみれば、国民大衆にこたえるためには、一刻も早くどうしてこたえるか。メンツにとらわれずに、実際に実勢価格が下がっているとすれば、その実勢価格に沿うた行政指導をする。長官、これはひとつ、まあ竹田委員からもありましたけれども、またできるだけ早いって、これはいま作業をやっているようだから、だからこの段階でちょっとはっきり申し上げなきゃならぬことは、もうこの間の話では二日に知事側がやって、私が聞いているのは、五日に回答するという約束になっているんですよ。そうじゃありませんか、これ。ところが、現実にきょう七日じゃないですか、あなた。七日になってもやってないでしょう。  そうすると、先ほど竹田委員も言われたけれども、もういま一歩通産省は前面に出て、その根回しをするというか、行政指導作業を直接指導する、そして、今月、まあきょうは七日ですけれども、おそくも上旬なら上旬をめどにひとつ答えを出す、答えを出す場合は、いま言ったように実勢価格というものを極力行政指導価格にしていきたいと、こういう二点について答えを願わないと、もう時間ありません、短い時間で制限されてますから。私はこれを詰めなければならぬと思う。  私、これで四回です。九月四日の物価特別委員会以来灯油問題で四回立ち上がっているんだよ。質問するほうももうあれだけれども、現実にやっぱりぜひやってくれ、早くきめてくれというはがきが、毎日私のところにこのぐらい来ているんだ。はがきをこの間お見せしたでしょう。あなた、あれだけ来ているんだよ。だから、もうやっぱりそろそろ政府もここへ来りゃ、九月にきめる、中旬にきめる、やがて月末にきめる、十月にきめる、今度は十一月になったらまたきめると、何かペテン師みたいなやり方はもう通用しません。少なくとも田中金脈問題でいま問題になっているときに、信頼回復の意味においても言ったことはきちっと約束を守るということでいかないとうまくないので、大臣、どうですか。  大臣に最後にお伺いしますけれども、この問題について、今月上旬なら上旬——私、切に訴えているんですよ。もう主婦が待っていられないというんです、率直に言って。だから、今月の上旬なら上旬を目安に結論を出します、出す場合には実勢価格を十分に考慮をして、通産省が前面に乗り出して行政指導を積極的にいたしますと、こういうことについて答弁を願いたいんです。
  225. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 灯油の問題でいろいろ御心労をわずらわして恐縮でございますが、これは対馬先生もわれわれも共通しているところは、つまり、消費者に現実に安く渡そうというポイントであるわけです。そういう面からしますと、ちょうどいま田中内閣みたいに灯油の値段も流動しておる。それで、寒くなれば上がるであろう、もっと上がるであろうと予想しておったのが、灯油が上がり切らぬ。全国の統計を見ましても、六百六円程度と予想しておったのが六百九円程度しか上がっておらぬ。これは品物がだぶついて乱売ぎみになってきつつあるからなのであります。そういう面から見ますと、うっかり行政指導かなんかすると下ざさえになる。  最近は、御存じのように、OAPECで原油の値がずっと上がってきておりますから、行政指導や標準価格というようなそういう関係で値を考えるということになると、どうしても原価は高くなりつつある。ところが、値段のきまり方がそういうコストプッシュできまる場合と需給関係できまる場合と二つ出てきて、いまのような場合は需給関係できまる要素が非常に強くなってきておる。そうしますと、消費者の利益を考えると、これは少しもたして、乱売をもっとやらして、そして値を下げたほうがいいんではないか。業者の中では、手持ちが多くて投げ出すというのが出てくる可能性もなきにしもあらずである。そういう情勢を見つつ、いまどういうふうに事態が流れていくか、ちょうど政局とよく似ていると思うんです。そういう情勢で、いまわれわれは非常に重大な関心を持ちながら見ておる。やっぱり消費者本位という立場で非常に日夜考えながらやっておるということをぜひ御理解願いたいと思うのであります。
  226. 対馬孝且

    対馬孝且君 政局本位ということはいいんですけれども、国民本位になってもらわぬと、大臣、やっぱり大事なことですから。  それで、下ざさえになるということですけれども、大臣、そこがこの前から申し上げているんですけれども、やっぱり北海道に住んでいる感覚と違うんですね。現実にいま雪が降って、四六時中たいておるわけです。下ざさえをささえるといったって、たかなきやならないんだから買わなきゃならぬということですよ、大臣。そりゃあながめて買わなくてもいいというのなら、これは何とかなります。ところが、買わなきゃならぬということになれば、結果的に下ざさえとか何とかいったって、背に腹はかえられないからやっぱり買おうということになるんです。買えば高値価格になっておる、こういうことでしょう。  だから、私がいま言いたいことは、北海道に関する限り、先ほど申し上げましたように、大臣の言うように、自由競争して安くなるというのはけっこうな話だけれども、やっぱり北海道に関しては一応いま言ったように、二日の日に会談をして答えを五日に出す、こういう段階を迎えているんだから、そこを私が言っているのは、いま一歩通産省が前面に出て、道なりあるいは出先の通産局がやっておるとすれば、それをバックアップしてひとつテンポを早めてもらいたい。そして、指導というものを強めてもらいたい、こういうことを長官に言っているわけです。だから、この点についてもお答え願えれば——もう時間が超過していますから、これをきちっと言ってもらわぬと、中曽根大臣、大臣も総理大臣の声がかかっているようだけれども、やっぱり長続きしませんよ、そういうことでは。せめてひとつはっきりお答え願いたいと思います。
  227. 増田実

    説明員増田実君) 先ほどから御説明いたしております、現在やっております行政指導につきましては、私は来週中には結論が出るようにいたしたい、そういうように全力をもって努力いたすつもりでございます。
  228. 対馬孝且

    対馬孝且君 それじゃ以上、質問を終わります。
  229. 桑名義治

    桑名義治君 現在の物価を見てみますと、たいへんな高騰の時代を迎え、さらに経済情勢というのは下降線をたどりつつあるわけでございますが、そういった中で、政府の金融機関の占める位置というものが非常に重大な位置になってきたわけでございます。現在金融機関、いわゆる通産省関係による金融機関が普通、三金融機関というふうにいわれておりますが、またそれぞれの金融機関の特色、さらにその金融機関が相乗的な効果をどのように今回このような情勢の中であらわしてきたか、まず、それを最初にお聞きをしておきたいと思います。
  230. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 中小企業に対します政府関係の金融機関といたしましては、一つはいわゆる政府系中小金融機関——中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫がございます。これはことしの片道の融資額で大体年間二兆円という年度当初計画でございまして、ことしの三月末の残高で見ますと、五兆六千億の貸し出し残高になっておりまして、中小企業向けの全金融機関の貸し出し残高の約九%を占めております。  それからもう一つは、民間の中小企業向けの金融につきまして、いわゆる信用補完制度というものをしいておるわけでございます。信用保証協会が保証し、貸し倒れが出ました場合には、信用保険公庫が保証協会の保証分について再保険を引き受けておりましててん補をする、こういうふうな仕組みによりまして、民間の金融機関の中小企業向け融資を円滑にしておるわけでございますけれども、その保証協会の保証承諾額は、昨年度が年間八十万件で約二兆円でございます。なお、ことしの三月末の協会の保証の残高は百十八万件で約二兆四千億になっております。それから、それを保証協会が保険公庫の再保険に出すわけでございますけれども、保険公庫の四十八年度の付保額が七十七万件の一兆九千億といったような非常に大きな額になっております。  それから、そのほかに特殊の政策目的を持ちました融資の機関といたしまして、中小企業振興事業団という機関がございます。これは中小企業の集団化なり共同化といったような関係の仕事に対しまして、特に安い金利で融資をいたしておりまして、これは振興事業団と県とが協調で融資をするという形をとっておりますが、四十九年度の融資額は予算面で一兆三千億に達しております。  そのほかに、中小企業で株式会社組織等をとっておりまして、その資本金をふやすにつきましてなるべく自力でふやしていきたい。しかし、なかなかその増資を自分で株主を見つけることが困難であると。しかし、大企業等にその株、増資株を持たれて支配下に入るのはいやだ、こういった中小企業に対しまして、その増資分を特定の政府系機関が引き受ける、いわゆる投資育成会社という制度がございます。これは東京と大阪と名古屋に三つの投資育成会社がございまして、その投資額は、四十八年度末で残高で五百七十一件の百九十四億円の投資額に相なっております。
  231. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、いまるる説明がございましたが、その中のいわゆる中小企業投資育成株式会社、この問題について少しお話を伺っておきたいと思うわけでございますが、これは設立の年月日並びに趣旨も、簡単な趣旨の説明がございましたけれども、この趣旨について説明をさらに伺っておきたいと思います。
  232. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 中小企業投資育成会社は、中小企業投資育成株式会社法に基づきましてそれぞれ設立されたものでございます。  法律が施行されましたのが昭和三十八年六月でございまして、会社ができましたのが昭和三十八年の十一月でございますが、その原資は、政府のかわりとしまして中小企業金融公庫からの出資、あるいは地方公共団体の出資、それから金融機関でございますとか、一部の超大企業等が中小企業のために出資をいたしておりまして、ねらいといたしましては、中小企業の自己資本の充実をはかるというのがそのねらいになっておるわけでございます。
  233. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、東京、名古屋、それから大阪、この三ヵ所にあるわけでございますが、いままで何件の投資実績、それから金額はどのくらいになっているのか、伺っておきたいと思います。
  234. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 投資は、株式を引き受ける場合と、転換社債を引き受ける場合の二口ございますけれども、両方あわせて申し上げますと、投資の累計は、ことしの三月末で新規の分が六百九十二件、金額にいたしまして百九十九億六千九百万円でございます。それから、過去に投資しました分の回収によりまして再投資等をいたしました分が、二百五十九件の三十一億七千七百万円でございまして、累計といたしましては、合計いたしますと九百五十一件で二百三十一億四千六百万円になっております。
  235. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、以上の実績を積み上げながらこの会社が一応運営されているわけでございますが、考えてみますと、一応政府の三機関というものの性格というものは、学校にたとえるならば、いわゆる低能児教育みたいなもので、また、この投資会社というものは英才教育というふうにいわれるのじゃないかと思うのです。そういう趣旨のもとにつくられたにもかかわらず倒産が出ていると思うのですが、その倒産件数並びに社名とその原因、いわゆる焦げつきの金額はどのくらいあるのか、伺っておきたいと思います。
  236. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) これまでの九百五十一件の投資先の中で倒産をいたしましたものは、ただいま現在で累計九件でございます。  その最近の事例では、ことしの六月二十八日に倒産いたしました「オリエント」という会社がございますが、テレビ用のキャビネットを製造いたしておりましたけれども、経理担当の役員がゴルフ場等に会社の金を数十億円投資をいたしまして、本業のキャビネット業はちゃんと業績としてあがっておりましたけれども、そういった事情によって不渡り手形が発生して倒産をした、こういう例がございました。  それから、ただいまのは東京投資育成会社の例でございますが、大阪投資育成会社の例といたしましては、先月の、四十九年十月四日に「有田タイル」という会社が倒産をいたしております。これはビル用のタイルを製造いたしておりましたけれども、最近のコストの値上がりと、いわゆる総需要抑制等に伴います需要の減少等から倒産のやむなきに至ったようなものでございます。  事例を若干申し上げました。
  237. 桑名義治

    桑名義治君 先ほど、何のためにこの中小企業投資育成会社ができたか、この条件というものを見てみますと、株式の公開、いわゆる「将来、証券市場に上場するなど株式を公開する意向をお持ちのこと。」と、こういうふうになっているわけです。したがって、いま現在の企業をさらに前進をさせるためにという目的があるわけですが、先ほどの説明の中に、いわゆる大企業の中に組み込まれることはいやだ、自分の力で伸びていきたい、そういう企業についてのみ投資をする、融資をする、こういうふうになっているわけでございます。そういうことを考えてみると、この中身をいろいろとまた検討してみますと、非常に優良な会社にのみこの融資をするというふうな観が伺われるわけでございますが、やはりそういう趣旨が本来の姿ですか。
  238. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) この投資育成会社の投資の基本方針は、将来発展をしそうな、できれば上場まで進んでいきそうな見込みのある会社でございまして、しかも、当面は自力でなかなか増資が困難である、こういうふうな企業に対しまして、その増資株式を投資育成会社が引き受けておるわけでございます。したがいまして、たとえば大企業の資本系列下にありまして、大企業の完全な子会社になされるというようなものは、増資分はその大企業が引き受ければよろしいわけでございますので、原則として投資育成会社の投資の対象にはしない。独立した中小企業で将来発展性のあるもの、こういうふうな考え方で投資先は選定をいたしております。
  239. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、先ほど倒産が約九件あったというお話でございますが、その中の「株式会社千代田」を見てみますと、その倒産の原因というのが、いわゆる中日スタヂアムの倒産事件と同一犯人による不渡り手形を出した、こういう要因によってこの「千代田」が倒産した。それから、「オリエント」のほうもちょっとお話がございましたが、経理担当役員が手形乱発をして不渡り手形を出した。こういうことになってまいりますと、これは優秀な会社とは言われながらも、役員経営というものが非常にずさんであると言わざるを得ないわけでございまして、業績云々によって倒産したという事例ではなくて、そういうふうな経営のずさんさから倒産に追い込まれてきたという実績が出ているわけでございます。こうやったことを考えますと、まだまだこれよりも優秀な企業として国が直接助成するに値する企業が他にあったのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この二つの会社のいわゆるいきさつ、経過というものを簡単でもよろしゅうございますから、要点をかいつまんで説明していただきたいと思います。
  240. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) いま、「株式会社千代田」の倒産のケースの御質問がございましたが、「株式会社千代田」は、投資いたしました時期は昭和四十四年でございまして、転換社債という形で五千万円の投資をいたしたわけでございます。で、当時つくっておりました製品は、メッキ用の整流器、それから鉄しんというものが、四十四年当時で売り上げ高の約八割を占めておったのでございます。そのほかに娯楽機械を、売り上げ高の中で二割ほど輸入販売等をいたしておりましたが、まあ、投資当時にはそういう状況でございまして、その整流器が非常に将来性があるといったようなことで、投資育成会社は投資対象として選定をしたように聞いております。  ところが、その後整流器の販売が不振になりまして、かわりにこの娯楽機械の販売がだんだんウェートを高めてまいりまして、会社の売り上げの内容が漸次変ってきたわけでございますが、この娯楽機械の販売につきまして、いろいろ手形のパクリ事件等があったようでございまして、資金不足を来たしまして昭和四十八年に倒産をした、こういうふうな経緯がございます。
  241. 桑名義治

    桑名義治君 いま指摘をしましたように、本来ならばおたくのほうで優秀な、優良な会社であるという認定のもとにこうやった会社に投資を、融資をしたわけでございますが、こういうように倒産をした会社を見てみますと、まだまだ優良な会社があったのではないかというような疑いが持たれるわけでございます。そこで、本来の目的である、このパンフにも載っておりますように、いわゆる株式の公開のところで、先ほど読み上げましたけれども、「将来、証券市場に上場するなど株式を公開する意向をお持ちのこと。」と、これは企業が大きく伸びる会社という意味も含まれるわけですが、そこで投資条件の柱である株式市場に上場したと、この実績のある会社は何件生まれておりますか、十一年間の間に。
  242. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) これまでに株式市場に上場をいたしました会社は三件でございます。
  243. 桑名義治

    桑名義治君 いま三件というお答えでございますけれども、三十八年に設立以来この投資育成会社の仕事のバロメーターといえるものは、上場会社が幾らできたかということが一つのバロメーターになるのではないかと思うのですが、そうすると、わずか三社しかないということは、あまりにも投資効果が低過ぎるのではないか、こういうふうに思うのですが、その点はどういうふうに評価をされておられますか。
  244. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) この法律ができました当時には、中小企業の定義が五千万円でございまして、同時に、東京ですと各株式市場の第二市場の上場の基準が資本金一億円以上ということでございましたので、五千万以下の会社につきまして、倍額まで増資を続けていけば上場が可能であるということで、相当上場会社が将来期待できるのではないか、こういうことで投資が行なわれたわけでございますけれども、その後、経済規模の拡大に伴いまして上場基準が変わりまして、三億円というふうに非常に高くなったわけでござます。  投資対象は中小企業に限るわけでござますので、五千万以下の中小企業に投資をする。もちろん投資しました先は、その後三億円をこえるまでの再投資が可能でございますが、最初に投資するときには五千万以下の会社でなければならないと、こういうことでございましたので、いわゆる中小企業の五千万と上場基準の三億という、相当開きができてまいりまして、そのためになかなか短い期間で三億円まで増資できるように拡大をするということが困難な事情がございまして、上場会社が従来はまだ三件しか出ていない、こういう状況でございます。  ただ、その後、中小企業の定義が一億円に引き上げられましたので、一億円までの会社にはこの投資ができるわけでございます。最近投資を受けました会社で、資本金が二億円をこえておるという会社もすでに数十出ておりまして、現在上場準備中のものも相当数ございますので、これからは上場会社は相当ふえてくるのじゃないかというふうに期待をいたしておるところでございます。
  245. 桑名義治

    桑名義治君 また、このパンフの中に「金は出すが、口は出さない」、こういうふうにここに書いてあるわけですけれども、そういうことをモットーに自主性を重んずるいわゆる投資会社であるというふうに受け取られるわけですが、実際の上から見ますと、出っぱなし、あるいは出しっぱなしと受け取られてもこれはしかたがないのじゃないか、こういうふうな状態だと実績の上から言えるわけです。経営相談ももっと本腰を入れていく必要があるのじゃなかろうかと私は思うのですが、その点はどのように認識されておられますか。
  246. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 投資の方針としましては、自力で増資が困難なものの株式を引き受けるということでございますけれども、投資育成会社が投資先の企業経営につきましてどの程度にタッチをして、いわば口ばしを入れるかというのは非常にむずかしいところでございまして、あまりに介入いたしますと経営干渉にもなりますし、非常に投資先からきらわれるという事情もございます。したがいまして、極力投資先企業の自主性は尊重するといったような基本方針をとっておりまして、「金は出すが、口は出さない」といったような表現で呼ばれておったわけでございます。  ただ、この投資育成会社が投資いたします先に期待しておりますものは、その企業がだんだん成長をして、将来は上場をして、投資された金が回収されて、さらにほかの企業に再投資ができる、こういうことになることが望ましいわけでございますので、投資先企業経営の安定なり向上につきましては、非常に投資会社としては関心を持っておるところでございまして、そういう意味合いではいろいろ技術の指導あるいは金融のあっせん等々については、まあ相談役というような感じで投資先からの相談を投資育成会社は受けておったわけでございます。そのためにいろいろの、たとえば決算をします場合には投資先企業の幹部を呼びまして懇談会を開くとか、それから、年に数回いろいろ相談の会を持つとか、そういうふうなことによりまして助言を与えるといったようなことは従来からやっております。  現に、この投資後のアフターケアのために一つの部門をつくっておりまして、東京の投資育成会社は、全職員五十名のうちの約十六人、大阪では全職員四十二名のうちの十六名、名古屋は全職員三十二名のうちの十二名が投資先のアフターケアに当たっておるということで、いろいろ相談には乗っておるわけでございます。
  247. 桑名義治

    桑名義治君 いずれにしましても、設立されて十一年の間に倒産は九件、そして、初期の目的であったいわゆる株式市場に上場の会社が三件。まあそうなってみれば、このままの状態でいけば、はたして投資条件が満たされるというのはいつの状態であろうかというふうに考えざるを得ないのでありまして、投資のみであるとするならば、私は、現在の他のいわゆる金融機関でも十分充足できるのではないか、このように考えるわけです。そして、最近のように経済情勢が非常に急変をするときでもございますし、よほど方向を見定めてかかっていかなければその存続の意味もなくなってしまうのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、この制度をさらに充実をしていくつもりなのか、あるいはまたこのままの状態で、傍観の状態で推し進めていくつもりなのか、そこら辺をまず大臣のほうから御答弁を願っておきたいと思います。
  248. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 投資育成会社の実績は、いまのところ結果的にはまだはかばかしくありませんが、しかし、いまのお話のように、中小企業のワクの拡大等々の結果もありまして、いま数十のものが上場の準備もしておるというふうに、逐次醸成されつつあるところでございます。したがいまして、やはりわれわれはこの政策の線上におきまして、今後とも充実していくように努力していきたいと思っております。
  249. 桑名義治

    桑名義治君 現在のいわゆる経済情勢というものは、中小企業に非常に大きな比重がかかっておることは事実でありますし、こうやったいわゆるエリート的な中小企業を伸ばしていくこともこれは大切なことかもしれませんが、それよりもまだ幅広く中小企業を育成をしていく方向に力を注いでいくべきではないか、このように私は考えるわけでございまして、そうやった意味からもこの問題をきょう取り上げたわけでございますから、その趣旨を了とされて、今後とも中小企業対策に十二分な配慮を願いたい、このように思います。  そこで、次の問題としまして、景気と中小企業対策という問題について少し質疑を続けていきたいと思います。  政府の総需要抑制政策の堅持によりまして不況は深刻の度を深めてきたことは、これは事実でございます。特に中小企業にそのしわ寄せがきたこともこれまた事実でございまして、そのために政府あるいは日銀の間では、金融の引き締め対策の緩和など、若干の政策の手直しを検討しておる、こういうふうに言われているわけですが、この問題についての御答弁と、さらに、今後の景気政策の基本的な方向について最初に伺っておきたいと思います。
  250. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 中小企業に対する不景気の浸透は最近顕著に出てまいりまして、十月の倒産件数等を調べてみますと、中間速報では大体千百九件ということで、千件を突破してまいりました。いままでの経緯で一番最悪の事態は、四十三年の三月に千百十五件でありましたか、四月が十九件でありましたか、ともかく四十三年の春の不況に迫ってきているというのが倒産件数から見たところでございます。  しかし、不況の質から見ますと、現在のほうがはるかに質的には悪い条件が整っており過ぎます。国際的にも国内的にもそうであります。インフレはまだ終息しておるわけではございません。そういうような情勢からしますと、中小企業の事態は、この年末を控えましてやはり深刻であるとわれわれは認識しておりまして、そのためにも三機関の年末融資のワクは七千億円を確保する。すなわち、いままでの分を入れて一兆円の資金は年末には持たせたい、そういう考えに立っていま全力を注いでおるところでございます。  繊維等にあっては、一部において少し動きかけたのもあるやに報告が出ております。また、建設業等において、地方的に少しずつまた受注が出てきたような様相もございます。しかし、それは局部的な現象でございまして、景気全般構造から見ますと、来年三月期決算は相当深刻な決算になるとも思われ、やはり年を越すということはたいへんなことでもありますから、われわれとしては、今後とも全力を尽くして中小企業政策を充実していくつもりでございます。
  251. 桑名義治

    桑名義治君 四十三年の三月の千百十五件を上回る状態におちいるのではないか、そういう経済の見通しをいま述べられたわけでございますが、そこで、中小企業としては年末は約七千億円のお金を、どうしても融資ワクを確保したいと、これは大臣の決意のようでございますが、はたして全体の景気浮揚という、いわゆる政策の転換ということが一部でささやかれているわけでございますが、この点についてはどうなんですか。
  252. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 現在の国際情勢、国内条件等を考えてみますと、総需要引き締めというものを緩和すると宣言する段階まではまだ来ていない。しかし、部分的に手当てをする、そういう情勢はこの深刻化を見ましてもわれわれはやっていかなければならない、そう思っております。
  253. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、年末をかかえながら七千億円の融資ワクを確保する、こういう御答弁でございますが、こうしますと、現在一番中小企業等で困っているのは、いわゆる預金金利の引き上げが相当な負担になっている、こう言っても決して過言ではないわけでございますが、そうやった意味から、民間の金融機関の金利ともそう大差がなくなってくる。そうすると、どうしても民間金融機関の金利よりも安い金利でというふうに考えざるを得なくなるわけでございますが、その点について関係当局はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  254. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 政府系の金融機関では、たとえば中小公庫、国民公庫の金利は先般まで八・九%でございました。ところが、郵便貯金の貯金金利が引き上げられまして、それとからみまして、結局政府の財投資金のコストが高くなりましたために、財投の中小公庫等に出されます資金の金利も〇・五%引き上げられたわけでございます。こういうふうに中小公庫なり国民金融公庫の原資のコストが上がりましたので、その上がった分に合わせまして、去る十月の十五日から国民公庫と中小公庫の貸し出し金利を九・四%にいたしたのでございます。  ただ、現在、民間の一般の市中金融機関の貸し出し金利は大体九・五から二%の間でございまして、それに比べますとまだ割り安であるという感じがいたします。また、民間のようにいわゆる歩積み両建てというものも全くないわけでございますので、そういう意味ではやや割り安ではないかと、民間に比べればまだそれでも安いというふうに実は考えております。  引き上げにつきましていろいろ議論がございましたけれども、コストが上がっておりますし、それと、こういうふうに民間金利が上がっておりますときに、あまりに政府金利がそれと隔絶した形で安いままに据え置かれますと、本来市中金利で借りられるところまでみな政府系金融機関に殺到するといったような、金融の不自然な流れも出てくることも懸念されたわけでございまして、コストの上昇以上に引き上げたわけではございませんけれども、コストアップ分の〇・五%だけ貸し出し金利を十月十五日から引き上げた、こういうふうなことでございます。  ただ、特に零細中小企業に貸し出しておりますいわゆる経営改善資金につきましては、〇・二%の引き上げにとどめまして、従来の七%を七・二%にすることにいたしまして、しかもこれは十二月の一日から実施するということにいたしております。  それからそのほかに、いわゆる特別金利ということで、政策的にやや低い金利を適用しておるものがございますが、たとえば、安全公害関係は従来七%でございましたけれども、これは〇・三だけ引き上げまして七・三%にするとかいったように、政策的な融資分についての金利は〇・五でなくて、それより低目の引き上げ幅にとどめております。そういうことによりまして中小企業への悪影響を極力避けるようにいたした次第でございます。
  255. 桑名義治

    桑名義治君 いまのお話では、中小企業金融公庫あたりは九・四%で、市中銀行は九・五%から一一%で、まだまだこういう政府系金融機関のほうが非常に安いと言われましたが、この話を聞いてみると、安くても〇・一%程度の安さなんですね。実際に、もう皆さん方もよく御存じのように、いわゆる通常の場合であるならばこれで通用すると思うんですけれども、こういう悪性な不況の状態に入った場合、特に繊維の不況というものは非常に激しいものがあるわけでございまして、政府資金を借り受けるということが、これがまあ唯一の頼みの綱でございまして、そうやった意味から申し上げますと、こういう特定の業種に対しては特別に安い金利の融資制度の創設というものが望まれるのじゃないかというふうに考えるわけです。その必要性は私はあると思うのですが、政府当局としては必要はないと、このようにお考えでございますか、どうですか、その点については。
  256. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 市中金融機関との金利の比較で申しますと、市中の九・五というのは一番優遇金利でございまして、中小企業等になりますと、信用度の関係もありましてそれより割り高な金利が適用されるケースが多いようでございます。したがいまして、一般中小企業向けに行なわれております相互銀行等々の金利に比べますと、まあ若干でございますけれども、政府系金融機関は割り安になっておるというふうに私ども考える次第でございます。  それで、繊維等の融資につきまして、さらにそれよりも特別の安い金利を適用する考えはないかという御質問でございますが、ただいまのところ、ただいま申しましたように、この金利は市中金利よりも割り安でもございますし、やはりこういった政府系金融機関の資金の量を確保することが当面必要ではないかというふうに考えておりまして、量の確保に全力をあげておりますが、金利につきましては、市中金利よりも安いところでございますので、さらにこれを引き下げるということはただいまのところ考えておりません。
  257. 桑名義治

    桑名義治君 もう時間がありませんので、次々と進んでいきたいと思いますが、次に、在庫品の買い上げの問題でございますが、先ほど大臣からもお話がありましたように、今回政府は、バングラディシュ向けの援助供与ということで、繊維品は有償十五億円、無償十五億円を各関係業界から買い上げることになったというふうに御答弁があったわけでございますが、今回の措置は、各業界からのいろいろな要求事項もおのおのこれは取り入れたものの一環であるということはわかるわけでございますが、また今回のバングラディシュにかかわらず、今後とも機会があれば買い上げによる経済援助というものをどんどん進めていく意思がおありかどうか、この点について伺っておきたいと思いますが。
  258. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 経済援助というのは、外国に対する経済援助ですか。
  259. 桑名義治

    桑名義治君 そうです。
  260. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そういう機会があれば、できるだけ繊維をはかしたい、そういう考えを持ちまして、この海外援助のワクの中でわれわれは積極的に努力していきたいと思います。
  261. 桑名義治

    桑名義治君 次に、中小企業対策についてでございますが、中小企業界というものは公共事業の抑制の事由が重なりまして、繊維業界と並んで非常に不況の影響を受けているわけです。いわゆるその中に建設業界があるわけでございますが、中小業界に対しては積極的に官公需発注を行なう必要があると思いますが、この点についてはどのようにお考えでございますか。
  262. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 官公需の確保につきましては、先生御承知のように、官公需確保に関する法律がございまして、確保の方針を毎年定めることになっております。今年度の中小企業者に対する国等の契約の方針というのが、ことしの八月の九日に閣議決定を見たのでございますけれども、その中で、特に例年と違いまして、ことしは中小建設業者に対する配慮を確保条件の一つにあげておりまして、財政執行の抑制措置実施する場合でも、中小建設業者の受注機会の確保について特段の配慮を払うことということをきめております。これを受けまして地方にも通知をいたしまして、抑制下でございますけれども、実際に発注をする場合には、特に地元の中小建設業者をなるべく優先して使うようにと、こういうふうな指導発注原局なり地方庁にお願いをしておるところでございます。
  263. 桑名義治

    桑名義治君 次は、信用保証制度の問題についてでございますが、無担保保証は、その限度額が現在百五十万円ということになっておるわけですが、この不況の激しい情勢、あるいは物価上昇の高騰のおりから、これを少なくとも三百万円まで引き上げてほしいというような要望が非常に強いわけでございます。これに対しての検討を早急にやっていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
  264. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) この信用保証の無担保保証の限度は実は法律事項でございまして、ことしの五月に信用保険法の改正をいたしまして、従来の百万円を百五十万円に、実は五割引き上げたばかりでございます。現実の保証の一件当たりの実績も、ことしの上半期で見まして百万円を割っております。こういう状況でございますので、いまこれを直ちに引き上げるということは考えておりませんけれども、将来の問題としては検討してまいりたいと思います。
  265. 桑名義治

    桑名義治君 この保証額の拡大ということについては、この不況がさらに続くような情勢の中であるならばもう一ぺん考え直そう、こういうことですか。
  266. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) ただいまのところこれを引き上げるということは考えておりませんが、さらに今後の推移を見てまいりたいと考えます。
  267. 桑名義治

    桑名義治君 中小企業信用保証制度のうち、倒産関連保証に指定されている業種は現在十四種、こういうように聞いているわけですが、最近の新聞紙上の中でこれをさらに拡大する、こういうふうに報道されておるわけですが、この拡大するめどというものはいつをめどに、そして、どのくらいの業種に拡大をされるわけですか。この点について。
  268. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) こういう情勢でございますので、非常にたくさんの業界から不況業種の指定の御要望を伺っております。ただいまそれぞれの話を慎重に内容を検討いたしておる段階でございまして、まだ拡大をするかどうかの態度をきめるに至っておりません。
  269. 桑名義治

    桑名義治君 じゃ、まだ拡大はしないということですか、それとも検討の段階だということですか。
  270. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 現在、慎重にその御要望の業種を検討中の段階でございまして、いつごろ、どの程度でというようなことを申し上げるまでの段階に至っておりません。
  271. 桑名義治

    桑名義治君 ずっと引き続いて信用保証制度の問題で質疑を続けていきたいと思うのですが、この制度があるということは、ほんとうに経営が苦しい企業を育成をする、保証するというのが本来の趣旨であるにもかかわらず、実際には、信用保証協会は返済不能な会社にはなかなか金を貸し出しをしない、まあこういうふうに言われて、何とかしてほしいという意見が非常に強いわけでございます。信用力のある中小企業というものは、これはもう当然、あらゆる金融機関からたやすく融資を受けることができるわけでございますけれども、経営内容の非常に苦しいそういう企業にこそ、この保証制度というものが有機的に動いていかなければ意味がない、こういうふうに私たちは思うわけでございますけれども、この信用保証協会に皆さん方がどのような指導なさっているのか、その点について伺っておきたいと思います。
  272. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) だんだん不況が深刻化してまいっておりまして、非常に中小企業の資金需要も多うございますし、しかも、それが調達が困難だという状況でございます。したがいまして、信用保証協会は通常の場合と違いまして、担保等についてもあまりやかましいことを言わないで、なるべく積極的に保証をするように実は指導をしておるわけでございます。  御承知のように、かりに貸し倒れになりますと、普通の保険の場合は三割を保証協会が負担をいたしまして、七割は信用保険公庫がその分をかぶるわけでございます。銀行には一〇〇%代弁済をいたしまして、そのうちの三割が保証協会のかぶりということになります。結局、この国なり保証協会のかぶり分を極力低目にしたいということで、慎重に審査をしておるということだと思うわけでございます。  地方によりましては、その三割の保証協会のかぶり分について、またおもな企業が保証基金を積まれて、あるいは銀行等が保証基金を積まれまして、それで保証協会のその出た損失を埋めるというふうなことをくふうしてやっておられる地域もございます。また、その保証協会に赤字が出た場合には、その分は県がめんどうを見ようということを考えていただいている県もございまして、結局保証協会が心配しますのは、自分のかぶりになる三割の問題でございますので、その三割を、まるまるでなくても、だれかがまた別途てん補してくれるような仕組みなり保証があれば、非常に積極的に保証しやすいわけでございますので、ただいまのその県の問題なり、あるいは別の保証の仕組みなり、なるべくそういった仕組みを各地方につくっていただいて、保証協会が安心してどんどん保証できるようにしたいと考えまして、そういった指導を進めておるところでございます。
  273. 桑名義治

    桑名義治君 先ほど申し上げましたように、経営状態が悪い会社が保証協会から保証をけられるということになれば、確かにこの制度の設立の意味がなくなるわけです。だから、そういう企業でこそ保証協会を通してお金を借りよう、融資をつけようとしているわけですから、その趣旨に十分に合うような適切な指導を強化していただきたい。これは私の要望でございます。  次に、不況の深まりとともに失業者が急増をして、一月から三月には完全失業者が百万人をこえる。三十四年以来の十五年ぶりの失業記録になるといわれておりますけれども、今後の失業者の動き、今後の不況と労働情勢をどういうふうに見ているのか、お答え願いたい。
  274. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 今回の不況が雇用失業面にいろいろな影響を及ぼしておりますが、過去四十一年あるいは四十六年当時の不況等と比べてみますと、やはりその幅と深さにおいて従来よりもきびしいものがあるんではないかと見ております。かつては、高度成長のバネがついているといわれれていた時代の不況でございましたけれども、今回は減速成長あるいはゼロ成長下といわれるような時代の不況でもございますので、したがって、その回復にも相当の期間を要するのではないか。特に雇用失業面の回復に期間を要するのじやないかと見ております。  いま先生から、来年一−三月期完全失業者の数字が百万というようなお話もございましたが、今後の雇用失業がどの程度になるかというのは、正直に申しまして、正確に計測することはむずかしいんでございますが、完全失業者の数字それ自体も、実は景気の変動とあまりパラレルになっておりません向きが従来あるんでございます。  ただ、ことし一−三月期の完全失業者の数字が平均で八十二万でございます。三月には九十万という完全失業者の数字がございます。例年一−三月というのはほかの時期に比べますと若干失業の数字が多く出る時期なんでございますけれども、現在の景気の状況、それがさらになお続くと見た場合に、来年一−三月期はことしの一−三月期よりもなおきびしい数字になるであろう。その意味からしますと、完全失業者の数字がことしの実績である九十万をこえることは一応想定されるのではなかろうか、こういうふうに見ております。
  275. 桑名義治

    桑名義治君 そこで一番問題になるのは、その労働者の吸収を、いわゆる失業者の吸収をどういうふうにやっていくかということが一番問題になるわけでございまして、前々から中堅の繊維業界がばたばたと倒れておりますし、去る十月の二十五日、不況で閉鎖予定となっておりましたヤシカ、これの相模原工場の工場長が割腹自殺をするとか、あるいはまた岡谷工場、相模原工場、これが両方合わせて二千二百人のうちの九百人を整理をするとか、いろいろな不況の波がどんどんと中堅の企業に押し寄せてきているということは、これはもう事実関係からどうしようもない事実でございます。  こうなってくると、先ほどお話がありましたように、完全失業者というものがより以上大きくなって、社会不安をかもし出すおそれが十二分にあるわけです。そういったこれらの人々に対する再雇用等について皆さん方は万全の対策を講じなきゃならないと思いますが、それに対してどのような対策を考えられておられるのか、そこをお尋ねしたいと思います。
  276. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 先生指摘のように、企業からの離職者の数もふえてくるかと思いますが、全体的な情勢から申しますと、先ほど言いました失業の数その水準それ自体は、たとえば、アメリカの失業率の六%というような数字に比べますと、それほどのものではないということになるんですが、日本の場合は非常に地域的な格差がございます。したがいまして、現在でも、たとえば東京周辺あるいは中京、京阪神というようなところでは、まだ求人のほうが求職を上回っておりますから、一部企業から離職者の方が出られましても、他の業種への就職の道はあるんでございますけれども、そうした求人が少ない地域では、やはり一たん離職されますと、非常に再就職がむずかしいという事情がございます。  したがいまして、現在失業保険制度ももちろんございますが、それ以外に雇用対策法に基づきましての職業転換給付金制度、あるいは、中高年齢失業者が特に就職がむずかしいという事情もございますから、中高年齢失業者の雇用促進のための特別措置法というのもございまして、求職手帳制度という制度もございます。そうした制度を大いに活用して離職者の方の再就職をできるだけ早く進めていきたい、このように考えております。
  277. 桑名義治

    桑名義治君 この不況下の中で失業者が出ると、その失業者を救済することは非常に困難な問題が横たわっていることは、これはもう事実でございますけれども、いずれにしましても、こういった人々に対する万全の措置を積極的に講ぜられるように要望します。  時間も参りましたので、ばたばた要点だけでお伺いしておきたいと思うんですが、労働省の方はけっこうです。  下請代金支払遅延等防止法についてちょっとお伺いをしておきたいと思いますが、不況の波が一段と深刻化して、中小企業は冬のボーナスあるいは年末の決済ということで資金需要が非常に高まっておるわけでございますが、この不況を切り抜けるためには、金融措置をとることはこれはもう当然なことでございますけれども、一部下請業者に対する下請代金の支払いが非常に遅延しているというところにも、大きな、いわゆる中小企業が疲弊をしていく、あるいは倒産を招くという、そういう重大な要素があるわけでございます。この問題について中小企業庁としてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、まず長官から。
  278. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 私ども毎月数千の下請企業につきまして、その受注量とか現金比率、手形のサイトといったようなものの調査をいたしておりますけれども、この八月からとみにそういった指標が悪化をきたしておりまして、現金比率が大体四十五、六日ありましたのが四十二、三日に下がっておりますし、手形サイトも百二十日をこえるような数字が出てまいっております。  こういった状況に対しまして、一つは金融面で、特に自動車、家電の下請等不況の色の濃い部門に集中的に政府系金融機関の追加資金を流しましたり、それから、先ほどお話のございましたいわゆる信用保険法の不況業種の指定をいたしまして、金を借りやすくするといったような金融面の措置をとりますとともに、下請代金支払遅延等防止法の取り締まりの励行をはかりまして、昨年は、大体年平均四半期で四千件ぐらいの調査を親企業についてやっておりましたけれども、今年度は、四半期の平均で五千件ぐらいのいわゆる取り締まりのための親企業の支払い状況の調査をいたしておりまして、その結果が違法な内容であれば、改善方の勧告をいたしております。  それから、下請企業振興協会というのがおもだった府県にございますけれども、これは、仕事を求める下請企業者に対して親企業のほうから仕事を取ってきまして、それをあっせんする、こういった仕事を担当いたしております。この協会の職員をフルに動かしまして仕事のあっせんにつとめるといったことで、下請関係の困難を何とかして少しでもやわらげたいということで努力をいたしておるところでございます。
  279. 桑名義治

    桑名義治君 いわゆる下請代金支払遅延等防止法に基づいてこの調査を昨年は四千件、ことしは五千件やったというお話でございますが、その中でこの法律に該当するような、いわゆる悪質に属する親会社はどの程度あったんですか、摘発された件数は。
  280. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) ことしの第一四半期で約五千の親企業調査いたしました結果、違反の疑いのある事業者が五百二十四件ございまして、これにつきましては検査を行ないまして、それぞれについて改善指導勧告をいたしております。もし、勧告に従わないとか、特に悪質というものがありますれば、公正取引委員会措置を請求をいたしたいと考えます。
  281. 桑名義治

    桑名義治君 確かにいろいろな下請業者からの声を聞いてみますと、元請は金をもらっておりながら、下請のわれわれにはなかなか支払いが長いというような不満が非常に高まっているわけです。中小企業救済のために公共事業をいかに発注促進しても、一番救済の手を差し伸べていかなければならないそういう零細な下請企業にまでお金が回らないというところに、一番問題があるわけでございます。そういう趣旨でこの法律もでき上がっておると思いますけれども、この法律の中身を見てみますと、実際に第二条の二の場合を見てみましても、「六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。」と、こういうふうな条項があるわけでございますが、六十日の間にまたさらに百五十日の手形をもらえば、二百日をこえるような、いわゆる現金の収入が、あるときには二百日をこえるというような状態になっていくわけでございますが、この六十日の期間というものをいまも適当な期間であるというふうにお考えでございますか。
  282. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 法律は六十日ということでございますけれども、実際の取り締まりにあたりましては、六十日から延びたならば違反であるということで、ぎりぎり六十日に当たりますように、たとえば上場企業につきましては、月末までに締め切りまして来月払うという場合には、来月の月末までに大体払っていただく。その翌月にかかりますと、たとえば、前の月の月初めの納入分はすでに六十日こえることになりますので、月末に一カ月分を締め切って翌月に払うという場合には、翌月末までが期限だというふうに私ども解釈しまして、その翌月末を越えればもうこれは問題であるというふうなことで、非常に厳格に六十日という日にちを考えまして取り締まりを行なっております。
  283. 桑名義治

    桑名義治君 時間が少しオーバーしましたので、これでやめたいと思いますが、いずれにしましても五千件に及ぶ調査の中で約一割、五百件が不当な支払いをしておるという事案が明らかになっておるわけですし、この法律によれば、いわゆる下請の業者が通産省なり、あるいは公取なりに援助を頼むために申告をすることもできるわけですが、実際にそういう申告をすれば、むしろ親会社に痛めつけられるというおそれのために黙っておったならば、いよいよ申告の事例が少なくなってくる、そして陰で泣いているというふうな事例が非常に多いわけです。したがって、通産省としてもさらに鋭意そういった実態をつかんで、中小企業保護のために全力を投球していただきたいと思いますし、この法律というものがまだまだ不十分な面が非常に多いと思いますので、この面についても強化をはかるように十二分に配慮をいただきたい、このように思うわけですが、最後に、通産大臣にこの点についてのお答えを願いたいと思います。
  284. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 下請の問題は、中小企業対策の中でも非常に重要な要素を占めております。特に手形の遅延というようなことは、金融の逼迫をもたらしておる非常に大きな原因にもなっております。そういう点につきましては、われわれは今後も注意をいたしまして、本法の厳格な適用を保証するように関係各出先等を督励して実行いたしますし、また、公正取引委員会とも連絡を密にいたしまして、そういう違反事件あとを断つように積極的に努力していくつもりでございます。  なお、法に少しでも足りないところや改正の必要ありと認められるところがあれば、国会に上程して御審議をわずらわしたいと思います。
  285. 桑名義治

    桑名義治君 終わります。
  286. 須藤五郎

    須藤五郎君 きょう私は、石油の備蓄の問題で質問をしたいと思います。この前の商工委員会質問するつもりでおりましたが、大臣が御出席なかったので延ばしておりました。きょうは大臣がお見えになっておりますから、できる限り大臣からの御答弁をいただきたいと思います。  まず最初は、総合エネルギー調査会石油部会の「中間取りまとめ」に関連して、石油の備蓄問題について伺いたいと思いますが、「中間取りまとめ」では、現在の六十日分を九十日分まで増強することを提起しておりますが、目標を九十日分にした根拠についてお聞かせを願いたいと思います。
  287. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 緊急事態におきまして、社会的混乱を回避して国民経済社会の安定を確保していくために、石油備蓄の増強が必要不可欠であることは申すまでもございません。昨年来の石油危機でわれわれが痛感したところでございます。すでにヨーロッパ主要国においては、九十日備蓄維持についてOECDやECの勧告もあり、九十日の備蓄水準を達成している状況にあります。また、緊急時における主要消費国間の石油融通制度に関連して、各国の備蓄達成目標として九十日備蓄が掲げられておるところであります。こうした状況にかんがみ、わが国としても、少なくとも九十日備蓄水準をできる限り早期に確保することが必要であり、世界有数の石油輸入国としてのわが国の国際的責務であるとすら考えておるところであります。
  288. 須藤五郎

    須藤五郎君 去る九月二十一日、ブリュッセルで開かれましたエネルギー調整グループの会議で、国際エネルギー計画について日本も参加して合意に達し、十月二十五日には、この計画に参加することを正式に閣議で了承したと伝えられておりますが、そのとおりかどうか、確認しておきたいと思います。
  289. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) OECDの理事会の決議でそういうことを採択することをきめてもらう、その際に、日本はOECDの理事会の決議に賛成し、その機関を通じてそのスキームに参加する、こういう意思を表明したいと思っております。閣議でもそういう了解を取りつけました。
  290. 須藤五郎

    須藤五郎君 この問題はもう外交上の手続も全部終わっておるのでございましょうか、どうなんでしょうか。
  291. 増田実

    説明員増田実君) 九月の二十五日だったかと思いますが、いたしましたのは、日本が入る意思があるという一応通告だけでございます。ですから、一応予告みたいなものでございます。  それから、今後の予定といたしましては、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、OECDでこの内容につきまして決議が行なわれて、これがOECDの一つの緊急融通の方策として採用されたということで、そのOECDの決議に日本が参加するということを今後行なう、こういうことでございます。
  292. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、外交上の手続はまだ済んでいないが、政府の方針としては閣議で了承しておると、こういうふうに受け取っていいですね。
  293. 増田実

    説明員増田実君) いま須藤先生のおっしゃられたとおりでございます。
  294. 須藤五郎

    須藤五郎君 日本は、この国際エネルギー計画に参加することによりまして、第二条で石油の備蓄が義務づけられることになりますが、欧米諸国に比べまして備蓄水準の低い——現在は六十日分でございますね——低い日本は、当然この計画に基づいて備蓄の義務が課せられることになり、最近通産省が発表した「石油備蓄増強対策大綱」もこれが背景に私はあると思いますが、どうでございましょうか。
  295. 増田実

    説明員増田実君) 一応、この国際エネルギー計画に関する協定、案でございますが、これが先ほど申しましたようにOECDで決議される対象になるわけでございます。  この案の中の第二条に、いま須藤先生指摘になりましたように、備蓄の関係が載っております。それにつきましては、各国が六十日持つことを一応きめておりますが、九十日につきましては、日本も現在九十日ございませんし、これが国際的な義務づけになるということにつきましてはいろいろ問題がございますので、これも日本からの意見もいれまして、九十日につきましては、今後決定される日時までに増加するように努力するものとするということで、努力目標として一応掲げられております。
  296. 須藤五郎

    須藤五郎君 実は私、先日外務省に対しまして国際エネルギー計画に関する資料を要求いたしましたが、外交的にセットされていないと、こういう理由で資料の提出を拒否されました。たいへん私は遺憾だと思っておりますが、そこでやむを得ずPIW、いわゆる石油問題の再門紙ですね、ペトロリアム・インテリジェンス・ウィークリーという、これをとりまして、これに掲載されたもので内容を一見したわけでございますが、石油緊急融通指貫や備蓄問題などその内容から明らかなように、産油国の供給削減措置を予想して、アメリカを中心とした石油消費国が結束してこれに対抗しようというものでありまして、このような計画はアラブ諸国はもとより、その他の産油国との真の外交関係の確立に重大な支障を来たすばかりでなく、石油問題の根本的な解決のための大きな障害にならざるを得ないと思います。このような危険な計画には日本は参加すべきではないと私は考えますが、政府の見解を伺っておきたいと思います。通産大臣、答えてください。
  297. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は危険な計画とは思いません。日本のように多量に石油に依存している国にとりましては、国際的連帯のもとに石油の融通をはかったり、備蓄をはかったりするということは非常に大事な仕事ではないかと思います。  ただ問題は、そういう行為がアラブの国を不必要に刺激したりして、その結果悪い影響が出てくるということはわれわれとしては避けなければならぬと思っております。しかし、その点につきましては、われわれは深甚の努力をしておりまして、外交的にも諸般の手を打ってやっておるところであります。やはり、世界経済全般を考えますと、石油事情が安定するということが、経済がもう一回回復し出し、世界経済が正常化に向かう大事なファクターになっております。われわれはそういう意味において、産油国と消費国と発展途上国がこの石油問題をめぐる諸問題の解決のために、できるだけ早期に共同のテーブルに着いて話し合いを開始するということを積極的に推進しております。  一方において、そういう積極的な努力を傾ける、また一方においては、国連等においてパレスチナ問題あるいは中東和平問題等についても積極的な努力を傾ける。そういう外交的努力を片方では行なって、去年の十一月二十二日に政府がやりました声明を忠実にこれを推進しつつ、他面においては、また世界経済をできるだけ早期に正常化するために、石油の備蓄あるいは相互融通というような問題についても、相互連帯のもとにこれを適当な方法で行なっていくという諸般の多様な対策が必要であると、そう考えておるところであります。そういういろいろな配慮を行ないつついまのようなことを行なうということは、決して日本を危険におとしいれる道ではない、そう考えておるところであります。
  298. 須藤五郎

    須藤五郎君 最近、太平洋を越えて、フォード大統領が石油問題について戦争も辞さないと言わぬばかりの発言があるというようなことも聞こえてまいります。また、アメリカは豊富な農産物を、食糧をてこにしてこの石油問題を解決していこうというような、そういう意図もあるやに私たちは聞くわけなんですが、そういうアメリカに一方的に加担して、アメリカを中心としたこの政策に日本が積極的に参加するということは、私は大きな危険をはらむものだというふうに思うのです。こういうことで、はたして石油問題が平和のうちに解決していけるのかどうかということに対して私は一つの危惧を感ずるわけですが、大臣はそういうふうにお考えにならない、これで十分やっていけるんだと、こういうふうにアメリカ政策一辺倒の考え方を持っていらっしゃるのかどうか、ここは重要な点ですから、はっきりと伺っておきたいと思います。
  299. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) われわれはアメリカ一辺倒の考えを必ずしも持っておりません。また、アメリカ大統領が石油問題で戦争も辞せず云云というようなことを考えているとか、言ったということも私たちは聞いておりません。それは誤解ではないかと思います。アメリカ政府当局がそういうステートメントを出したという情報を私たちは持っておりません。  私たちは、この石油のスキームにつきましては非常な深甚の注意をやってきておりまして、先ほど申し上げた外交的努力のほかに、OECDと産油国とは話し合いのチャンスが幾つかあるわけであります。現にバン・レネップOECD事務総長が来ましたときに、私は彼といろいろ突っ込んだ話をいたしまして、産油国とOECDの間の話し合い、及びいま申し上げた発展途上国も入れた話し合いをできるだけ早くやるように、OECD事務総長としても積極的に努力されたい、日本は全面的にそういう方向を支持する、そういう話をいたしましたら、彼はすでにそういう努力をしているということでありました。  それで、産油国の中には、OECDとの話し合いをやろうということをすでに表明している国もあります。これは新聞でごらんのとおりであります。したがって、OECDと産油国の間というものは、それほどとげとげしいものではありません。特にヨーロッパのOECDの国々は、アラブの諸国とはかなり密接な関係を持っておる国々も多うございます。そういう点から、OECDに対する態度というものは、必ずしもアメリカに対する態度とは一致しないものがあります。われわれはそういうような配慮もいたしまして、OECDの理事会の決議に参加するという形でこのスキームに参加するということをやっておるのでありまして、そういう形に持っていくについては日本も非常に努力をしたのであります。そういうような諸般の努力を重ねつつ行なっておるのでありまして、私はこれが危険な行為であるというふうには考えておりません。
  300. 須藤五郎

    須藤五郎君 中曽根さん、まあ、あなたの立場ではそう言わざるを得ないと思うんですが、私たちはアメリカの今日やっているやり方見てみますと、いわゆる農産物をてこにしてこの石油問題を自分たちのヘゲモニーのもとに置いていこう、こういう意図が十分うかがえると思うのです。そこへ日本も巻き込まれていっておる、こういう感じがせざるを得ないんです。そういうことで、はたしてこの石油問題がうまく解決していくものかどうか、こういう点が私はいやな懸念を持つわけです。だからそういう点で、絶対だいじょうぶだとあなたはここで言い切れますか、どうですか。
  301. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカはかなり自給自足度の高い国で、石炭、石油、ガス等を豊富に持っておりますから、世界経済や世界外交の上におけるポジションは非常に強いポジションがあります。日本はそれから見れば非常に脆弱なポジションであります。したがって、石油問題や対アラブ問題等についてわれわれのあり方とアメリカのあり方とにはかなり差があります。これは当然のことであって、日本が日本の国益を守り、この脆弱なポジションを維持しながら日本の石油供給を保全していくという立場からすれば、当然日本独自の主張があるわけであります。私はそれを頑強に支持し、また、アメリカに対しても主張してきつつあるわけです。でありますから、いまのようなOECDの理事会決議という形に持っていったのは、日本の力が非常に強く働いたわけであります。そういうような配慮をしながらこの国益を守りつつ、国益を守るという中にあっては、結局世界連帯という考えがなければ、貿易国である日本の立場は全うできないわけでありますから、そういう立場を十分に考慮しつつやっておるわけであります。  国際外交というものは、絶対というものはございません。これはすべて相対的に流動していくものでありますから、絶対だいじょうぶだとか、絶対危険がないということは私申し上げられません。しかし、いま考えられる範囲内の、政策の選択のワク内を考えてみますと、こういう選択をしているということは、現時点においては私は間違っていない、そう思うわけです。
  302. 須藤五郎

    須藤五郎君 意見が違いますから、これ以上私は申しません。  次の質問に移ります。  緊急時の融通措置でございますが、この計画によって必ず非常の際には日本に十分の供給が保障されるかどうか、こういう点を伺っておきたいと思います。
  303. 増田実

    説明員増田実君) 緊急時における融通協定、融通取りきめと申しますか、この内容につきましては、これから各国が集まりまして、その動かし方その他を相談するわけでございます。  一応のワク組みはできておりますが、確かに先生指摘になりますように、はたして動くかどうかということにつきましては、いま世界の石油を一番大きく扱っております、ことにメージャーがこれに全面的に協力いたしませんと、これが動かないわけでございます。そういう意味で、それらに関しましての詰めがいま行なわれているという段階でございますが、しかし、一応考え方といたしましては、世界における供給量が減りましたときに、各国が一律に節約を行ない、それから一部備蓄を放出いたしまして、その残りにつきましてはひとしく分け合う、こういう組織になっておりまして、これが動けば緊急の事態には各国が同じように対処できる、こういう仕組みになっております。
  304. 須藤五郎

    須藤五郎君 メージャーの問題はあとでまたあらためて質問いたしますが、この計画によりますると、融通措置などがうまく動くかどうかには、国際石油資本を含む石油会社の協力いかんにかかっているということなんですが、あなたもおっしゃいました。実際に石油を所有し、輸送し、精製し、配給する力を持つ国際石油資本が、このような措置に商売を離れて協力することがあるかどうか、信用することは私はできないと思うのです。政府は、十分可能だと考えておいでなのかどうか、もう一度確かめておきたいと思います。
  305. 増田実

    説明員増田実君) メージャーの協力というものがなければ、これにつきましては万全に動かないということは、御指摘のとおりでございまして、メージャーがこれに対して協力するかどうかということにつきましては、先月のたしか二十五日ころだったと思いますが、ロンドンでメージャーが集まりまして、これにつきましての打ち合わせ会を一応この作業グループが中心になりましていたしたわけでございます。  そのときの報告を私ども聞いております範囲内では、メージャーは協力する、ただ、協力するにあたりましてのいろんな方式その他がございますので、これはこれから詰めていくということになっております。一応いわゆる国際石油資本といわれております各社が集まりまして、このスキームには協力するということを述べておる状況でございます。
  306. 須藤五郎

    須藤五郎君 エネルギー調整グループと国際石油資本との協議が今月の二十三、二十四日の両日ロンドンで行なわれ、「緊急時の石油融通制度に対する石油資本側の協力が、原則的に約束された」、こういうふうに報道されております。——今月というのは先月のことだと思いますが、しかしこのPIWでは、これの第二十七条に規定されました「(a)企業構成、(b)経理内容、(c)投資実績、(d)原油の構成、(e)生産状況と経営参加率の変化、(f)子会社や顧客への原油の配分、(g)貯蔵、(h)原油及び石油製品のコスト、(i)価格、(j)その他の情報の提供には難色を示した」こういうふうに書いております。このままでいけば、融通措置を講ずる場合の重要な情報を何らつかむことなしに、ともかく国際資本にまかせろという国際的な無責任体制ということになると思います。  もし、この国際エネルギー計画が実行されたとすれば、緊急時においてすら国際資本は自分の思うままの供給と利益の追求を行ない、そこから起こってくる矛盾については、国際協定によってやったこととして、国際石油資本の責任を回避することになると思います。このような協定への参加は、石油がエネルギーの大部分を占める日本にあっては、生命のきずなを国際石油資本に預けるような暴挙にほかならないと思いますが、政府の見解を伺っておきたい。どうでしょうか、中曽根さん。
  307. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そういう国際秩序なくして緊急事態ができた場合には、もっと国際資本の専横的な行動を許す結果になりはしないか。やはり、国際石油資本といえども国籍があるわけであります。したがって、各国の国策についてはいろいろ指導も受けるであろうと思うわけです。そういうような秩序なく、いまのような石油危機が起きたような場合には、全く国際石油資本の、悪く言えば暴略とか暴虐のままに動かされるという危険性もなきにしもあらずであります。そういう点から見れば、ある一定の秩序とワクをつくってやったほうがより安定性があるのではないか、私はそう考えます。
  308. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなたのおっしゃる安定性が確実なものならばいいのですよ。そうじゃない。こういう不安定をたくさん含んでいるこういうものに、日本が積極的に参加して、責任のある立場に立つということが私は危険だと思うのです。日本の責任を問われますからね。そういうことを私はいま申し上げているわけなんです。だから参加すべきでないという私の意見なんです。どうですか、こういう危険なものに参加することは。そういう安易な考えでいいのでしょうか。
  309. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 須藤先生がおっしゃるように、じゃ、ない場合、どっちが秩序が乱れて暴虐を許すかどうかということを考えてみると、先生はどうお思いになるかしりませんが、私は、秩序があったほうがそういう暴虐性は許せなくなる。あるかないかという、どっちがよりベターであるか、より安定性があるかと言えば、自由世界においてはあったほうがよろしい。共産圏の国なら、これはワク外でありますから別でありますが、自由世界でOECDというような秩序を守って、いままで実績を残している国の間等におきましては、より安定性があるのではないかと思います。
  310. 須藤五郎

    須藤五郎君 はっきりと確実性のあるものなら参加することもいいです。しかし、それは確実性がないということがあるのであって、確実性がなくて責任だけとらされなければならぬというような、責任を負わされるものには入らないほうがいい。あってもなくても同じなら、そんなもの入る必要がないのです。そこを私は言っているのです。あなたはない場合のほうがもっと危険が多いのだと言うが、あっても危険があるのじゃないですか。そういうものに自分たちが責任のある立場に立つということは、しないほうがいいというのが私の言えることなんです。どっちにしても日本の安全性というものは守られないということになる。
  311. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) どうも須藤先生と私と基礎観念が違うようでありますから、これは永久に平行線ではないかと思います。
  312. 須藤五郎

    須藤五郎君 そういうように逃げてしまっちゃだめですよ。
  313. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 逃げているわけではありません。
  314. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ質問、次へ移りましょう。  メージャーによる供給がうまくいかなかったのは、昨年の石油危機の経験で世界じゅうの人々が百も承知のことだと思うのです。日本もいやというほどこれは思い知らされたのじゃないですか。そうでしょう。ましてエネルギー調査会石油部会の「中間取りまとめ」で、メージャーの事業活動の透明性を希望しておられますが、その程度のことでメージャーが企業活動を改善するなど私は考えることはできません。いま必要なのは、メージヤー規制の国際世論や日本の世論を背景にメージャーと交渉し、具体的な規制措置をとることだ、こういうふうに私は考えますが、政府の見解はどうでごごいましょうか。中曽根さん、お答えなさいよ、政府の見解ですから。
  315. 増田実

    説明員増田実君) いま先生指摘されますように、メージャーの行動につきましては非常に不分明なところがあるわけでございまして、そこのところを解決しなければ、こういう緊急スキームがなかなかうまく動かない、これは私どももこの会議に参加いたしまして特に主張した点でございます。  それで、先ほど先生が読み上げられました二十七条、これは条文が若干変わっているかもしれませんが、一応あの内容は、メージャーの内容の透明性を要求しようということでいまの取りきめの中に掲げられた条項でございます。ですから、そういう透明性と申しますか、メージャーの活動をはっきりさせるということを前提にしてこのスキームが動くということでございます。
  316. 須藤五郎

    須藤五郎君 昨年の石油の問題のときは、たしか中曽根さんもメージャーに対して非常な不信の念を吐露されたし、メージャーに対してけしからぬと私におっしゃったことがあると思っていますが、こういうメージャーに対して、私たち今後も信頼をしていくことができないと思うんですね。こういうことでメージャーを規制し、メージャーのやることを制限していくことが可能なんですか、どうなんですか。その点を私聞いておきたいと思うんです。
  317. 増田実

    説明員増田実君) 私も先月OECDの会議に出まして、そのあと各メージャーあるいは政府当局とも会いましたが、この新しいスキームについてほんとうにメージャーが協力するのかどうか——これは須藤先生が一番いま問題にされております問題でございますが、これについて主要な  メージャーの首脳部に尋ねました。  それに対します答えといたしましては、自分たちはこれに協力する、むしろ去年の石油危機のときに非常に自分たちに対する非難があった——まあ、これはメージャーのほうの言い分ですから、私の言うことじゃありませんが、自分たちもできるだけ各国には、ことに古いお得意に対しては迷惑はかけないということを心がけてきたけれど、しかし、どういうようにどこの国に幾ら持っていき、どこの国にどういうふうに減らすという基準がなくて非常に弱ったということをむしろ言っておりました。今度のこういうスキームができれば、国際的にどこにどれだけの油を回すかという一応はっきりした基準ができる、むしろこれに協力していきたいということをはっきりメージャー側も言っておったわけでございます。これは向こうの発言をそのまま申し上げたわけでございます。
  318. 須藤五郎

    須藤五郎君 次に、備蓄された石油が国民生活を守るために優先的に供給される保障があるかどうかを伺っておきたいと思います。  石油需給適正化法の施行下にあった昨年からことしにかけましての石油危機の際にも、石油会社の製品の出し惜しみや価格のつり上げで、国民生活が窮地に追いやられたことは記憶に新しいところだと思います。国民生活優先の保障をどうやってつくるのか、具体策を伺いたいと思います。
  319. 増田実

    説明員増田実君) 石油の備蓄が相当数量ありまして、そこへ石油危機が来たという想定をいたしましたときには、これは去年国会を通さしていただきました石油需給適正化法を使いまして、備蓄されたものを放出させるという命令権が通商産業大臣に与えられておるわけでございます。それを発動いたしましてそういう場合の国民生活の混乱を防ぎたい、こういうふうに思っています。
  320. 須藤五郎

    須藤五郎君 この石油需給適正化法、それは前からあったんでしょう。去年の石油危機のあとでできた法案じゃないじゃないですか。前からあった法律です。それでもああいうことになったんじゃないですか。今後ああいうことがまた再び起こらぬとは言えません。だから、そういうことのないように保障をどうやっていくのだ、その具体的な政策を伺いたい。大臣どうでしょうか。
  321. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 石油需給適正化法は、十二月の二十三日にたしか国会で成立した記憶がございます。しかし、石油危機の勃発は十月の十六日であります。つまり、石油危機が勃発していままでの行政裁量、行政指導だけではいけないというので法の制定をお願いして、たしか十二月の七日から審議に入ったと記憶しております。そういう過程でこれはすでにできておったのではなくして、石油危機に対応してつくられた法律であります。それは今日といえども成立しておる法律で、ただ、内閣による宣言は解除された、そういうことでありまして、今後やはりこの法律は、もし万一の際には再び内閣の宣言を発して適用される、そういう立場にあると思っております。もしこの法律だけで不十分な場合は、さらに情勢によっては立法をお願いする、こういうことになる、だろうと思います。
  322. 須藤五郎

    須藤五郎君 じゃ、国民の前に昨年のようなああいう混乱は起こさせない、こういうことをはっきりおっしゃれますか、どうですか。
  323. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そういう決意をもって対処いたします。
  324. 須藤五郎

    須藤五郎君 大臣の決意だけじゃ国民は安心できないんです。やはりもっと具体的な、その場合はこうするのだという、そういうところまでおっしゃらないと、決意がある、決意があるじゃ国民は満足しません。まあいいです。  次に伺いますが、石油備蓄のためには膨大な備蓄施設が必要となると思いますが、これをどこに設置するのか、予定から、設置場所をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。九十日分というと相当の施設が要ると思います。地下タンクなりタンクをうんとつくらなければならぬ。どこにつくるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  325. 増田実

    説明員増田実君) 御指摘のように、九十日分にいたしますのには、現在のタンクから相当大きなタンク基地というものを建設いたさなければなりません。これにつきましては、私ども来年度の予算を要求しておるわけでございますが、備蓄墓地をどこに具体的に設けるかということにつきましては、これは御存じのように、いろいろ候補地ございますが、むしろ今後の政策の具体化を待って、備蓄の基地をどこにするかをきめていきたいと思っております。
  326. 須藤五郎

    須藤五郎君 いまの六十日を九十日にする備蓄を、どういうふうな考えで、どういうような日程で九十日まで持っていくのか、ちょっとここで知らせてほしい。
  327. 増田実

    説明員増田実君) 現在、私どもが備蓄対策といたしまして考えております内容を申し上げますと、昭和五十四年度末までに九十日分の石油備蓄増強を目標といたしたいと思っております。  それで、そのやり方につきましては、現在大体六十日分の施設があるわけでございますが、あと十五日分につきましては、現在の石油会社にまだタンクを設置します余地がございますのでこれでやる。あるいは、石油会社がタンク基地として一応手当てしております土地、ここを基地として使うというふうに考えております。そういたしますと、残りの十五日分でございますが、これにつきましては、なかなか現在の石油会社の持っている土地ではこの数量に達しませんので、私どもの計画では、石油備蓄公団というものを設立いたしまして、ここが土地を買い、タンクを建設する、そして石油を備蓄する、こういう考えでおります。  ただ、その備蓄の方法につきましては、これはむしろ保管料を取って石油会社の油をそこに備蓄するという考えでございます。それで、九十日につきましては、できれば各会社に対しまして九十日の義務とか、あるいは目標を定めまして、そして、それに達成するようにいたしたい、これが私どもの考えでございます。  なお、数量につきましては、大体あとの三十日分といたしまして、製品ベースで換算いたしまして三千五百三十万キロリッターというものを積み増したいというふうに考えております。
  328. 須藤五郎

    須藤五郎君 それに要する土地の面積、どのぐらいのものか必要になるのですか。
  329. 増田実

    説明員増田実君) 全部で三十日分ですから、一部はすでに獲得している土地があるわけですが、大体五百五十万から六百万坪と、こういうふうに計算されております。
  330. 須藤五郎

    須藤五郎君 それだけの土地を確保するとすれば、もう大体計画を持って当たっていなかったら、そんなに急なことには、そういうことにならないんじゃないですか。だからあなたたちは、もう腹の中にはどこどこどこというふうな案を持っていらっしゃるだろうと思うのです。それだけの土地を入手するためには何も考えを持たないでできるわけはないじゃないですか。金はどうする、土地はこれだけどこどこに確保するのだという、そういうことはもうあるはずです。あなたたちはどういう考えを持っていらっしゃるのですか。
  331. 増田実

    説明員増田実君) ただいまの約六百万坪のうちその半分ぐらいは、現在の精製会社が持っております土地を使用するということになりますから、残りの三百万坪、あるいはそれをこえる土地を今後新しく獲得しなければならない、こういうことになるわけでございまして、これにつきましていま須藤先生から、もう土地がきまっているかという御質問でございますが、これはまだきめておりません。  ただ、石油備蓄の適地と申しますか候補地は、これは日本には相当まだあります。いまの三百万坪ないし四百万坪の数倍候補地がございます。これらについて十分検討し、また、これはあと須藤先生から御指摘になられると思いますが、地域住民との調和その他をはかって、そして、その上で決定していきたいと思います。
  332. 須藤五郎

    須藤五郎君 私の質問を先取りなすったようでございますが、六百万坪、三百万坪という土地を入手することはそう簡単じゃないと思うのです。「中間とりまとめ」でも、地元の協力が得られるような対策について述べられておるわけですね。いまの大綱の説明では、発電用施設周辺地域整備法に基づく電源開発促進対策の石油備蓄版で、住民の反対に対して札束でほっぺたをたたいて設置を強行しようとするものであることは、私は明らかだと思うのです。現にそれをやったんですから、電源の場合には。地域開発の主体は地域住民にあることが基本であり、住民の意見が十分尊重されなければならないことは原則であります。したがって、政府が備蓄施設の設置にあたっては、地域住民の合意がなければ設置しないということをここではっきりと約束することができるかどうか、その点を伺っておきたいと思います。大臣、答えてください。
  333. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 地域住民の御賛成を得て備蓄政策を推進したいと思っております。これは共産党が主張するように民族独立の基礎でありまして、やはり石油というような、産業や生活における米にも匹敵すべきものがある程度備蓄していないということは、他国に屈服したり、他国のお情けで生きていかなければならぬという形にならざるを得ないのでありまして、こういう備蓄政策については、ぜひとも共産党も御協力願いたいと、伏してお願い申し上げる次第であります。
  334. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは、共産党の方針に従うなら共産党も協力しますよ。それでなければ共産党は——あなたたち自分でいわゆる田中政策を推し進めるようなことをやるなら、共産党は協力できませんよ。  これで私の質問終わります。
  335. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 最初に、日本製麻の現在起きております争議の問題について、関係者からその考え方をお聞きしたいと思うわけですが、大臣おられますので、この日本製麻の争議というものについてきわめて概略でございますが、その概要を私申してみたいと思うのです。  日本製麻は、本社が神戸にあるのでございますが、工場が富山と兵庫にございます。同時に、タイに二つの工場を経営しておるし、インドネシアにも現在工場を建設中でございます。なお、これまで日本製麻は、構造改善事業として開発銀行から融資を受けておりますし、なお、インドネシアの工場建設にあたっては、海外経済協力基金を仰いでおるわけです。御承知のように、ことしも、後ほども申しますが、タイにおける初めての争議、しかも、それは日本人の現地出向者並びに工場長を監禁するというような争議が行なわれました。軍隊まで出動してトラブルを起こし、新聞紙上をにぎわした内容のものです。  今回のこの日本製麻の国内における労働争議というのは、会社側が富山工場を全面休止するということに端を発しておるわけでございますが、実は昨年、会社が富山工場の労働組合と結んでおります労働協約を無視して、工場閉鎖を突如通告してまいりました。これは明らかに労働協約を無視した行為でございますので、当該労働組合は、上部団体である全繊同盟などと一緒に、会社の提案に対してその撤回方を要求いたしました。会社は協約違反をやっておるわけですから、結果としてこれを白紙撤回するということになったわけです。  このままであれば問題はないのですが、その後再び会社は、富山工場の閉鎖ができないという見方をしたものか、富山工場の二交代制を昼専に移してしまう、しかも通勤バスをストップさして、事実上従業員が通勤できないようにしむける。あるいは、最近よく見られる繊維の特性でございますが、女子の従業員の中には、働きながら夜間の高校に通うという方たちが多いわけですけど、そういった女子の勤労学生に対して、富山から兵庫の工場に転勤しろという通告をする。もちろん学校に通っておるわけでございますから、せめて学校を卒業するまでは働かしてくれという希望を当然女子勤労学生は行なったわけです。  会社はそれに対して、寮をかえるとか、あるいは給食を停止するとか、入浴を禁止するというような、どちらかといえば、かつて近江絹糸の人権争議というものがあったわけなんだけど、それに類するような非道な行為をやる。もちろんこれに対して労働組合は、あり得べからざる行為であるとして、地方裁判所に対して解雇無効の仮処分か申請した。会社は、労働協約にも地労委へのあっせんの事項があるのだから、労働委員会にあっせんしてくれという要望を組合に出した。組合は、それなら労働委員会でもけっこうだといって労働委員会に入ったところ、当然冨山の地方労働委員会会社に対して、これは不当解雇である、会社のそういった行為は全部撤回しなさいというあっせん案を提示され、会社はそれに応ずるということになったわけです。  その後、さらにまた今度は会社は、性こりもなくことしの五月になって富山工場の閉鎖を一方的に提案してくる。したがって組合は、団体交渉で当然これは解決すべきであるということで団体交渉を行ない、労使の間で、いまの状況の中では工場閉鎖もやむを得ない面もある、したがって、職場を去る者についての条件交渉に入りましょうという提案をする。会社は、それならひとつ地労委に頼んで、地労委のあっせんにお互い応じようじゃないかということで地労委に持ち込む。そうすると、地労委の場で会社は前言を取り消して、一切そういうことは言っていないというようなことになり、地労委も扱いかねてあっせん不調になる。こういうようなことを繰り返しておるわけです。  現在もそういった会社の転勤不能者、要するに、男子といえども富山県の実情が示すように半農半工という状況でございますから、おいそれと富山工場から兵庫工場へ移動もできない。適格な別な就職口をさがしてくれというわけだけど、これも無視してどんどんいやがらせをして解雇の方向へ持っていくというようなことを繰り返しておるわけです。組合はとうとうここまでしんぼうして交渉を重ねてきたのだけれど、再三再四にわたって労使で話し合っておることを全部ほごにして、あえて会社の主張を会社は繰り返し、しかも、なしくずし解雇を行なってくるということにたまりかねてストライキに入る。会社はそれに対してロックアウトをするという状況になってきております。  日本製麻の人たちにしてみれば、これまでも日本製麻の業態から見て、開発途上国からの製品輸入の問題などもあり、合理化もしなければならないといっていろいろ合理化につとめてきておるわけです。現実に富山工場並びに兵庫工場、それぞれ昭和四十六年四月には本社を含めて千七十八名の従業員がおったのですが、構造改善その他に組合が応じて協力した結果、四十九年十月には三百六十人に従業員は減っておるわけです。すなわち、七百十八名というものは会社構造改善という名のもとに職場を去っておるという状況にあるわけでございます。  一方、これとはうらはらに会社は、さっきもちょっと申したようにタイに工場をつくる。そして同じような労務管理の感覚をもってタイで工場を運営しておるがゆえに——タイには数多くの日本の進出企業がある。その中でこの工場だけは、タイの従業員が工場長並びに日本人の従業員をかん詰めにして、そしてピケを張って糧秣を断つ。工場長以下みんな日本へ帰れというような争議が発生しておる。  タイに進出しておる日本の企業でも、昨年は賃金、退職金などを含む労働争議が起きておるし、ストライキに入っておる企業もあります。しかし、それは純然たる経済闘争であって、経済問題で完全にケリがつく。ケリがついたあとはまた正常な業態に復しておる。この工場については別です。何しろ工場長、日本に帰れというようなことで、ロックアウトして、軍隊まで連れてこなければ身に危険を及ぼすというような状況にまでなっておる。こういった労働争議が国内国外で起きておる。  私に言わすなら、きわめて悪質な不良会社であるわけだけど、こういった工場が現在当面しておる問題を、通産省並びに労働省はどのように見ておるか。新聞紙上なんかでも、すでに地方紙、中央紙あたりなどにおいても報ぜられておることだからよく承知しておると思うが、現在把握しておる状況をまず聞かしていただきたい。
  336. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 日本製麻の富山工場閉鎖に関連いたしましての労使の紛争につきましては、私のほうでも会社責任者を招致いたしまして調査したところ、おおむね先生から御指摘のあったようなことになっております。  ただ、ふろの問題につきましては、片方で工場をとめますと技術的にふろのほうもとまってしまう。そういったことからふろがとまったのであって、入浴券というか、町の銭湯に入る券を配付したといったようなことも言っておりますので、まあ状態としては好ましくない、きわめて困った状態にあるかと思いますが、ただ、労使紛争のことでございますから、本来的には労使相互間で解決の道を見つけ出すということが本来的かと思います。  ただ問題は、ここまで進展してまいりますと、われわれのほうといたしましても、労働省とよく連絡をとった上で、会社側指導当たりたいと考えております。
  337. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) お答え申し上げます。  私どものほうも富山県のほうから連絡を受け、また最近は全繊同盟のほうからも、あるいは会社のほうからもいろいろとお話を伺いまして、非常に深刻な争議になっておるということをいまさらのように痛感しておる次第でございます。  争議の経緯につきましては、先生いまお話しになりましたこと、そのとおり大要を承知しておる次第でございます。こまかい点になりますと、労使それぞれお話も食い違っておる面もありまして、詳細についてはなかなかわからない点もございますわけでございますが、いずれにしましても、この争議の背景と申しますか、には、繊維産業の置かれておる事情、ことに本企業が生産しておりますジュートでございますか、これは国の内外の経済の深刻な変動と申しますか、こういうものもありまして、これが争議の深刻化になった一つの大きな原因となっておるのではなかろうかと思います。  争議の経緯をながめますと、私たちとしても残念な事態があった。たとえば、労使の紛争が地方労働委員会のあっせんなりにかかりまして、その結果うまくいかなかった、こういうようなことになっておるわけでございますが、何と申しましても、終局的にやはり争議について解決を見出していかなければならないというのは労使のそれぞれの当事者でございまして、このような深刻な事態になりますと、双方受け入れることのできる妥協案というものに到達するのは非常に困難だとは思いますが、私どもとしましても、県からは逐次情報をとり、その必要に応じ、それぞれ助言をするなり、あるいは地労委の活用というような方法も考えて、必要に応じ助言をし、また、指導をしてまいりたいと存ずる次第でございます。
  338. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 それは、労働問題というものは本質的に言って、その解決は当事者において行なうということが本旨であろうと思うし、いたずらに権力や行政が介入していくことは要らざるトラブルを起こすということにもなりかねない、これは一般論です。しかし、この日本製麻の状態を見るとき、これが中小企業であるという特性ですね。しかも、こういった中央から遠く離れた富山県という、どちらかといえば平穏な地域で、この種の、産業局長も認められるように、どちらかといえばきわめて常識を逸脱した悪どい仕打ちをしておるという状況にある。  あなたは言われたけど、繊維産業には、麻袋をつくるところによらず、開発途上国との競合においていままでも数多くの企業が転廃業を余儀なくされ、そのために職場を失なう人たちが数多くもう何百とあるわけです。それらはこの種の問題を引き起こしていないわけです。全部そこで正々と話し合って、やむを得ぬというときにはやっぱり工場閉鎖もやる。あるいはそのために転廃業もするという形をとってきたわけだけど、黙っておるからほっておくんだという手は私はないと思います、これは中小企業なんだから。いままで労働省として、目に見えたこういつた動きをどういうふうにしてきたか。いままではほっておって、これから少し火がついてきたから何とかしょうということじゃないんですか。どうですか、その点。
  339. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) お答えいたします。  私どもといたしましても、先生のおっしゃいましたとおり、国のたてまえとしましては、こういう労使の紛争というものについては、原則として介入しないというのがたてまえでございます。ただ、先ほどからも申しておりまするように、非常に事態が深刻になってきておりまして、富山県といたしましても、非常に関心を持ってその争議の経過をフォローいたしておりますし、また私どもとしましても、この争議の内容を伺えば伺いますほど、問題は非常に深刻だというふうに感じておるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。  私、全く私見でございますが、こういう産業構造の転換の融資というようなものを受けて、新しく業種転換をやろうというような、国の特別の保護と申しますか、こういう利益を受けておるような企業につきましては、やはりそのような立場を痛感して、何とか妥協に達するような解決案というものを見い出す責任があるのではないか、こういうふうに思う次第でございます。
  340. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 いまあなたの言われたとおりで、これは開発銀行の融資を受けておる。八億の融資を受けて、いわゆる構造改善事業をやっておるわけです。やっぱり普通の、国からそういった補助、援助を受けておらなくて、ほんとうに苦しい立場に立ちながら自力でこの種の規模の工場で工場の転廃業をやっておるところも数多くあるわけです。そういった中でこれはいやしくも開発銀行の融資を受けて、しかも、八億の金を受けて問題処理に当たっておるにもかかわらず、このような状況を引き出すということは、たとえば通産省においても、これは労働問題で労働省の管轄だからということでは、これは私は抜けることはできないと思うんです。  同時に、海外経済協力基金をさらにこれは仰いでおるということ。そして、インドネシアに工場を建てる。九億七千万円ほどの金を海外経済協力基金から借りておる。しかもこの工場は、先ほど申したように、海外において全く日本の進出企業の顔をさかなでするような労働問題を引き起こしておる。一体何を基準にこれは海外経済協力基金を出したのか、このことを私は伺いたいと思うんです。  また、私の調べたところでは、大体、海外経済協力基金というのは、返済は契約後三年据え置き、工場を建設してから返済するということになっておるんだけど、工場を建設した大林組は、インドネシアの工場はP・T・インドネシア・日本製麻という工場で、一〇〇%完成したというふうに言っておるけど、日本製麻はまだ八〇%しか完成していないということで係争中だという。係争中ということは、この経済協力基金の返済をめぐる問題だと私は見ておるわけです。だれがどれだけの権限で金を貸したのか知らぬけど、こういった札つきの企業にこういう金を貸して、しかも海外で、さらにインドネシアでもう一ぺんやれということが許されていいものかどうか、この辺のところを関係者からお聞きしたいと思う。
  341. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) まず、開銀の問題からお答えいたしますが、黄麻工業構造改善融資制度なるものは、特恵関税の供与にあたりまして、四十六年度から開銀に創設された制度でございますが、これに基づきまして、御指摘のように、日本製麻に対しまして八億円の融資が行なわれております。  この対象となりましたのは、兵庫の工場におきまして食品あるいは化成品袋に転換するための資金でございまして、これにつきましては、この三月期の決算ですでに六十名の従業員を吸収し、かつ総売り上げに対して二割まで成長してきておるということで、その意味におきましては、転換後円滑に進み得たという効果があるかと思います。  ただ、不幸にして、先ほど来御指摘になっております富山工場の閉鎖にあたりまして、労使間に紛争が起こっておるということでございまして、これにつきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、できるだけ早く円満に解決し得るように、労働省とも連絡をした上で会社側指導してまいりたいと考えております。
  342. 青木慎三

    説明員(青木慎三君) 海外経済協力基金が日本製麻に対しまして融資を行ないまして、それがインドネシアで行なう麻袋製造合弁事業に貸し出されているということは御指摘のとおりでございます。海外経済協力基金が貸し出すにあたりまして、その貸し出しの基準でございますけれども、それは基金法に規定がございまして、大体そのプロジェクトが当該低開発国の経済発展に寄与するかどうか、それからわが国との経済交流の促進に資するかどうか、あるいは、その事業そのものにフィージビリティーがあるかどうかというような点を審査して貸し出すということになっております。  現在、基金と日本製麻の間の関係は、四十七年に総額十一億八千五百万を限度とする融資決定をいたしておりまして、四十八年度までに九億七千百万円の貸し付けが行なわれております。これは総所要資金の日本側負担分九割のうちの約七〇%ということでございます。しかしながら、先生の御指摘のとおり、本年の三月に工場建設業者と日本製麻との間で建設をめぐるトラブルがございまして、以来基金は、したがいまして本年度は貸し付けを停止しておりますので、残額の貸し付けはまだ行なっていないというような実態にあるわけでございます。  この両者の争いは、現在法廷で争われておりますので、私どものほうとしても直接の関与はしておりませんが、なるべく早く解決して、工場が動き出すことができるように期待しておるということでございます。
  343. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 いまお答えになった、たとえば兵庫の構革の事業が円滑に進んでおるというふうなお話がございました。これはスパゲッティー工場などをつくったようです。なるほどその売り上げに二割ほど寄与しておるということだけど、実際は五百六名おった従業員が、この構革の金を借りてスパゲッティー工場などをつくったがゆえに、三百二十四人が工場から解雇されておるわけです。百八十二人が残っておるわけです。企業サイドからいえば、もうけるということからいえば、なるほどそれはそうかもわからぬけれども、企業というものは、やはりそこにかかえておる従業員とともに繁栄していかなければならない。半数以上の人間をそのことによってほうり出して、それが構革が成功しておるというふうに見るなら、一体どうなっておるんだということになる。  構革の裏には、出て行く従業員に対しては適切な配転先というものの道をつけて、そうして路頭に迷わないような措置を講ずるということがやっぱり基準の一つとしてなければいかぬと思っておるんです。だから、そろばんの上で見ていくと、なるほどその面からだけいけばこの構革の一助をなしておるということになるんだけど、私は全体として産業というものをながめるときに、それは売り上げと利益のバランスシートだけじゃないんだから、そこに働いておる従業員の動向というものも見て産業を見詰めなきゃいかぬ。その面から見れば、私はこれは片手落ちだと思いますよ。それをどういうふうにお考えになるか。  それから、いまの対外経済協力基金の問題にしても、いわゆる発展途上国における経済開発に寄与するという大きな柱がなければいけない。ところがこれは、たとえばインドネシアに工場をつくる、そのために精紡機を九台、あるいは撚糸機を五台、織機を二百三十台、日本にある富山工場、兵庫工場からインドネシアにできる工場に売却するということがその裏にある。そして、日本の工場をいま言ったような悪どい手段によって整理していくんだとなれば、これは低開発国における経済協力ということじゃなくて、日本でもうけが薄くなったから外国へ行ってもうけようということですよ。そして、日本におる人間を全部首切っちまえ、で、向こうに行って安い賃金でもうけたらいいじゃないか、それに日本の政府は金を貸しておる、こういうことになるんじゃないですか。だからこれは私、非常に問題である。  たとえば、最近出たこの新聞で見てみると、この会社の常務さんのお話では、東南アジアで生き延びねばならない日本企業を日本人が足を引っぱるなんて納得できぬ、これがこの会社の常務の発言です。結局、外に行ってもうけようとしておるのだからもうけさせろよ、そのために国内ではひとつみんな首切ったらいいんだと。これは私は、今度のこの不況に藉口した行為であるというふうに思う。だから、いやしくも経済協力基金を貸し出していくというときに、もう少し私はその会社というものの状況を見なければいけないと思うのだけど、何かこの裏にあるのかどうか、なぜこの会社がこれほど有利に金が借りられるのかどうか、私は疑いを持ちたくなるのです。  しかも、もう皆さん方はその後お調べになっておわかりだと思うけど、銀行の融資状況なんかを見てみても、ほとんど一般銀行からの融資というのは消えてしまっておる。毎年の銀行からの融資というものの統計を一ぺんとってごらんなさい。あるいは係争中だという大林組との関係を見ても、これは正常な行為ではない。そういったときにどのような措置をとるか、私はきわめて重要な問題であると思うのです。この辺についてまずお聞きしておきたいと思います。
  344. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 先ほどの兵庫工場の転換につきまして、労働問題を無視したようにとられたということは、私、ことばが足りなかったということで遺憾に思いますが、申し上げたいことは、やはり兵庫工場につきましては円満退職、あるいは欠員の不補充といったような形で、問題を起こすことなくきているんじゃなかろうかと理解しておるわけでございますし、かたがた、その後やはりジュートに対する需要が予想以上に減ってきておるといったようなことがございまして、こういった転換事業がうまくいっていなければ、影響はさらに強く出たのではなかろうかといったようなことも考え合わせまして、私たちといたしましては、さらにそういった方向で従業員の保護について会社側が十分配慮するように指導してまいりたいと考えております。
  345. 青木慎三

    説明員(青木慎三君) 経済協力基金の融資の問題でございますが、この事業自身は、国内で非常に需要が伸びない、したがいまして、将来事業として十分伸びられないというような状態にあるこういう事業につきまして、新しい需要を国外で得て、また、そこの労働力を使ってその産業の発展をはかっていくという意味では、一般的には、私はこの最初の要件でございます経済開発に寄与するという点は認められるところではないかというふうに思います。ただ、その中に何か裏があるのではないかというお話でございますが、これは私どもは四十七年に融資をした場合にはそういうことはないというふうに信じております。
  346. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 七十一国会で予算委員会の分科会がありまして、これは労働省の管轄になっておったわけで、私はそのときの加藤労働大臣に質問しておるのです。  そこで私は、海外への進出企業が飛躍的に増大しておる、その進出先での雇用、労使関係などの労働問題が今日あるいは今後最大の課題になるであろうと。で、一つの数字をあげて、たとえば海外進出企業のタイ国だけで見た場合、一九六〇年の争議件数は二百五十四件、延べ喪失日数が六十四日、これが五年後の一九六五年には、争議件数が三百六十六件、喪失日数が六千五百六十六日、これが一九六九年になると飛躍的に数字が増大して、争議件数が七百六十九件、喪失日数が二万三千五百九十三日、こういうことになっておる、そこで、これから海外において最も重要な問題は労働問題である、したがって、レーバーアタッシェの問題から、あるいは海外進出する企業に対するチェックという面からも、労働問題を等閑に付してはならないということを指摘して、加藤労働大臣も、全くそのとおりである、全面的にこれはやらなければならないということを言っておるわけです。国際労働インフォメーションセンターの予算もついたけど、それがジェトロに入っておる、それも本来労働省に切りかえていくんだ、次の年度から必ずそれを実行します、いま反省しておりますという話が、これは議事録に全部載っておる。その後それはどうなっておるか。  それから、今回、先ほど申し上げたタイにおける争議、日本人工場長を工場内に閉じ込めて、二十二日に危険な状態になって、警官の出動を仰ぐというようなこの争議についてどう見たか。その後どのように日本製麻に対してアクションを起こしたか。これらのことを聞いておきたいと思います。
  347. 保谷六郎

    説明員(保谷六郎君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、労働省といたしまして、ちょうど昨年の七月に労働組合のほうで連絡会議もできました。それで八月に入りまして、労働組合の方の御要望も受けまして、約三千万円ほどの予算を補助金として日本労働協会に流すと、その中身は、具体的に海外の労働事情について十分調査、研究をしようということで、ことしに入りまして、四十九年度予算で六カ国について調査を行なって、八月にチームが帰ってまいりました。これは、労・使・公益の三者構成からなるチームでございますが、その結果を報告書に取りまとめております。  さらに、進出企業に対する相談、あるいは情報の提供ということで、日本労働協会の中に相談室を設けるということで、現在作業をやって、十一月十五日に開設の運びにもなっております。なお、この調査、研究を進めるにあたりましては、労働組合の方も入っていただいて企画委員会を設けて、そこで論議もいたしております。また、各省とも十分連絡をとる意味から、各省連絡会を設けまして、さらに労働省が中心になって、使用者側それから労働組合側と懇談会をすでにことしに入りまして開催をいたしております。で、この問題について先生からつとに御指摘がございましたのですが、私どもとしては労使の御協力を得ながら着々成果をあげておるというつもりでございます。  なお、来年度の予算要求についても、さらにこの調査、研究を手厚くするという方向で予算要求をいたしております。
  348. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 結局このような推移の中で、労働者側もたまりかねて、政府の援助によって行なわれた構革並びに海外進出というものが自分の首を締める結果になっておる。しかも、タイにおいても、いま言ったような争議が起きて、全く、何といいますか、進出企業としての立場をそこねておるという状況の中で、繊維の労働者がつくっておる、東南アジア諸国と結んでおるアジア繊維労組というのがあるわけですが、そこに申し入れて、タイにおけるタイ国人労働者と共闘を結んで不当な行為、そして、企業姿勢を正すんだということを全繊同盟並びに日本製麻の労働組合が発表しておるわけです。こうなってくると、これはひとり富山工場における少人数の解雇の問題とかそういうことじゃなくてきわめて重要な問題になってくる。数多くタイ国、マレーシア、シンガポール、香港あるいはインドネシアに日本の企業は進出しておるわけです。それらにどのように飛火していくかもわからない。私はそういった意味で非常に憂慮しておるわけなんです。  この問題について通産大臣、いままでの論議をあなたがお聞きになっておると思うんだけど、かねて通産大臣も海外に進出するにあたっては、えりを正していかなければいけないんだということを述べておられるわけだけど、このてんまつをどのようにごらんになるか、お考えをお聞きしたい。
  349. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の財政資金を使って海外へ出ている会社が、いやしくも投資活動の基準にはずれるようなことがあるとすれば、それはわれわれとしては厳重に取り締まり、是正しなければならぬと思います。  いまの日本製麻の問題につきましては、現地事情をよく調べまして、もしそういう是正する必要がある場合には、即時にそういう処理をいたしたいと思います。
  350. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 橋本局長、それから労働省の方にお伺いするわけだけど、これはやはり国内における労働問題だから、労使の自主的な話し合いで処置しなさいということで私済まぬのじゃないだろうかという気がします。やはり行政指導というか、何らかの形でアクションを起こすべきであるし、このまま放置して成り行きにまかすということになれば、非常に影響が大きいというふうに憂慮するわけだけど、どのようにお考えですか。
  351. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 先ほどもお答え申し上げましたように、事態がここまで逼迫してきておるわけでございますので、労働省ともよく連絡をとりまして、できるだけ早く円満に解決するように指導してまいりたいと思います。
  352. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) 私どもの立場も全く同様でございまして、あるいは通産省のほうからお求めがあった場合には、直ちに私どもとしてもできる限りの調査をいたしまして争議の妥結、これは非常にむずかしいことだとは存じますが、双方が受け入れることのできる妥結案、妥協案と申しますか、そういう最終案ができ上がりますよう、私どもとしてもぜひ期待する次第でありまして、できる限りの努力はいたしてまいりたいと存ずる次第でございます。
  353. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 経企庁も、私はやっぱりいま大林組との間の係争中の問題などもめぐって、今回貸し出しは停止したということでございますけど、既往の貸し出しというものがばく大なものがあるわけですから、どのように推移していくのか、私やっぱりチェックすべきであろうというふうに思いますので、そのような措置をとっていただきたいと思います。  それから、通産省並びに労働省もいまお答えがあったわけで、私もできたら現地に入って状況なども調べてみたいと思うし、またそれがはかばかしくいかぬ場合には、次の委員会にでも参考人として当事者なども招致して事情もよく聞いていかなければいかぬというふうに思っておりますので、ひとつせっかくの御努力をお願いしたいと思います。  時間がないから、日本製麻のことは以上で打ち切りたいと思います。  その次に、前回の委員会で、私、時間がなくて質問できなかった点について通産省にお聞きしたいわけでございますが、まず最初に橋本生活産業局長にお願いしたいんですが、前回以降、まあ一部で何とか繊維の不況というものが底をついたかに見られる節もあったんだけど、そうじゃなくて、今度の不況はかなり長引くぞというような見方のほうが、最近強いんじゃないだろうかという気が私はしておるんです。そういった面に立って、現在在庫がどのように推移しておるのか、荷動きがどうなっておるか、それから輸出入の状況がどうなっておるか。ことに輸出も減退しておるし、輸入は鎮静化してきておるというふうに局長は方々でお話しなさっておる。数字から見ればそのようなことになっておるんだけど、製品の輸入がそのうちどうなっておるか。金額、かさとの関係があると思うんで、その辺を聞きたいんです。  それからもう一つは、輸入にあたって前回も私質問したわけだけど、成約段階ですね、先行指標を求めていかなければならぬので、成約段階のチェック機能を果たさなきゃならない。いまの状況の中では、通産省にもそれなりの予算もないわけだし、機能もない、機構もないわけだけど、しかし、何らかの形でそれを早くつかまなければ、いまの需給関係が少し動き始めると輸入がまたラッシュする危険性は多分にある。それで、先行的なものの見方が必要だから何とか考える必要がないんでしょうかということを申し上げたんだけど、その後そういった面についてどうなっておるか。  それから、中小企業庁のほうで、現在の転廃業の状況はどうなっておるか、繊維に関してだけでけっこうです。こういった一連の状況をお聞かせいただきたいと思います。
  354. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) まず、繊維製品の在庫でございますが、本年度に入りましてから各業種ともに在庫は急速にふえておるわけでございますが、ことしの第二四半期と申しますか、九月末時点におけるメーカー在庫は、昨年同期と比較いたしますと、化学繊維につきましては六六%の増、紡績品につきましては一七七%、かれこれ二倍近い増になっております。織物につきましては一二五%の増、総じて繊維工業全体といたしまして四一%の増となっております。ただ、最近の傾向といたしましては、依然高水準ではございますが、一応増勢そのものはとまってきておる。中には、タオル、メリヤス、あるいは衣服、縫製品等につきましては減少傾向に入っておるというのが、最近の状況でございます。  その次に、輸出入の状況でございますが、現在八月まで統計が出ておりますので、これについてごく簡単に申し上げますと、一−八月の繊維全体の輸入額は二十七億四千三百万ドルで、昨年同期に比べまして二二%の増。これに対しまして輸出は二十六億二千七百万ドル、昨年同期比三五%のアップ。と申しますことは、一−八月ではなお全体として一億ドルの入超ということになるわけでございますが、これを鎮静化している一つの数字的挙証をいたしますと、四月以降八月で比較いたしますと、輸出は二十一億四千万ドル、輸入は十八億四千万ドルでございまして、四月以降からの計算をいたしますと、繊維工業全体といたしましても三億ドルの輸出超過になっておる、こういうことでございます。  それから、製品ということでございますが、いわゆる原料を除きまして製品だけで小計いたしますと、同じく一−八月の輸入が十三億四千八百万ドル、昨年同期に比べまして四五%のアップでございます。御承知のように、昨年の一−八月はまだ輸入レベルがそう高くなっておりません。それに対して四五%の増でございますから、かなり鎮静化しておるということになるかと思います。これに対しまして輸出のほうは、同じく一−八月で二十一億七千九百万ドル、昨年同期に比較いたしまして二九%の伸び。この製品だけの輸出入を比較いたしますと八億ドル強の輸出超過ということになっておるわけでございます。  それから成約状況についてどのようになっておるかという点でございますが、いままでは成約統計をとる予算的裏づけがなかったものでございますから、関係業界等からの協力を得ていろいろと先行きの見通しを立てておったわけでございますが、ごく最近、大蔵省のほうと話がつきまして予算措置を講ずることができましたので、近く成約統計を実施いたしたい。地域別あるいは商品別に精細な成約の実態が把握できる段階になりましたので、これを用いて十分に行政指導を強化してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それから、転廃業の問題については、中小企業庁からもお話があるかとも思いますが、繊維だけについて申し上げますと、実は倒産件数につきましては統計があるわけでございますが、転廃業につきましては統計がないというところから、倒産の推移ほど精細に申し上げられないわけでございます。  最近の比較的大口のものといたしましては、七月の藤本染工、あるいは九月の和綿染工、あるいは十月の大信紡、こういったところが廃業いたしております。また、東海レイヨンは不動産貸し付け業に転業しておる。こういったところが比較的大口の転廃業のケースかと考えております。
  355. 齋藤太一

    説明員(齋藤太一君) 詳細に把握をいたしておりませんけれども、おもだったところで繊維関係を申し上げますと、倒産いたしましたのは阪本紡績で、従業員五百八十人でございます。  それから廃業は、ただいま生活産業局長が申し上げましたように大信紡績が六百人、東海レイヨンが四百三十名でございます。  それから、解雇によります失業としましては、東亜紡績が臨時工二樹五十名解雇をいたしております。  それから、希望退職を募りました失業関係では、東洋紡が三千三百名の希望退職を募集をいかしました。  それから、一時帰休の関係では、大同毛織が八百五十名の、一時帰休をいたしております。  そのほかに、新規採用の採用中止として東洋紡等がございます。
  356. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 もう時間が来てしまいつつあるので、あんまり聞けなくなってしまったんだけど、次に産業局長にお伺いしますが、この織機の特例法が昨年の十一月一日に施行されて、かなり日がたっておるんです。その後これがどのように推移しておるか、お聞きしたい。  同時に、仄聞するところによると、納付金による買い上げということになると、ざっくばらんに言って一台十四万円程度、毛織機の場合十万円程度では、前回の対米規制のときの買い上げが二十二万から二十五万円だったというのに比べて、あまりにも低過ぎるというような問題もあるやに私聞いておるんです。  まあ、いまのような状況の中でございますから、五年間に五万台というようなものじゃなく、これは話を進めていこうということになると、もうちょっとくふうが要るのじゃないだろうかという気がするんです。たとえば共同廃棄——中小企業の廃棄事業として何かこう考えるとか、そういうようなことをお考えになっておるかどうかですね。まあ産地なんかでは、この問題が非常に取りざたされておる昨今でございますので、お考えを聞かしておいてもらいたいと思います。
  357. 橋本利一

    説明員(橋本利一君) 特例法に基づく織機の買い上げは、四十八年度から五十二年度まで五カ年間実施することになっておるわけでございますが、四十八年度につきましては、時間的関係もございまして、毛織物の関係で百九十六台、二千五百万円の買い上げが行なわれておるわけでございまして、四十九年度、本年度から本格的になっていくものであろうと考えております。  それから、買い上げ価格につきましては、現実はまさに御指摘のとおりであるわけでございますが、この特例法の中で買い上げるべき最低台数十六万台、新しく登録したわけでございますが、少なくとも四万台以上の買い上げをやらなくちゃいけないことと、それから、その費用に充てる納付金についても定めがございまして、これは大体五十億円程度と、こういった法律の趣旨からいたしまして、御指摘のように、ものによって並幅で十万円から十五万円という買い上げ単価になっておるわけでございまして、これは臨繊特と申しますか、対米規制問題との関連で買い上げた二十五万円に対して安いということももっともだと思いますが、本来的に考えてみますと、これもやみ織機に対して、特別に政治のお情けで登録を受けたもの、それを臨繊特と同じ価格で買い上げるということ自体、なかなかむずかしい問題じゃなかろうかと思いますし、あるいは残存事業者の負担という問題もあるわけでございます。  それから、いま中小企業振興事業団による共同廃棄の融資制度についてお話があったわけでございますが、これはまだなかなかワクが低い、ワクが狭いということからいたしまして、特例法の対象業極につきましては、順位的にはあとになるんではなかろうか。それ以外の業種からやはりこういった特別の融資制度というものは優先していくべきではなかろうか、かように考えております。
  358. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 時間が来たので、最後に一つだけお伺いして質問を終わります。  話題を変えますが、大臣、これも私、予算委員会で一度福田大蔵大臣に問うたことがあるのです。いまの時期にちょっと場違いのような発言かわからぬけど、中小企業、ことに産地において操業安定基金というのを組ましていくということ、これはどうも行政当局ではそんなものというようなお考えがいままでも多いようなんです。私は、全国的にこれを一斉に実施するということは不可能かわからぬけど、産地によっては、やはりいままで三年に一回この繊維というのは操短を繰り返しておることなんで、何とか安定基金というものを自主的に積み立てて、このようになったときにそれを放出して、お互いに援護措置をとるようなことをやりたいという産地もあるわけなんです。ただ問題は、その場合にそれを税法上何とかできぬものだろうか。現在の法律の体系の中では、それを損金算入するなんということなんか、全然これはできないわけです。しかし、売り上げに対するあるパーセンテージを協同組合なら協同組合が積み増しておいて、共同管理して、それをこういった不況のおりに放出する。その積み増す企業については、税法上の特典、優遇措置を与えるというようなことを考えていいんじゃないだろうかという気がするのです。大蔵省は、前の福田大蔵大臣は、それはちょっといまの体系の中では無理ですということだったんだけど、通産大臣、どうですか、この辺。
  359. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 繊維産業の特殊性を考えてみますと、先生が前からその御主張をしておるのを私承知しておりますが、そういう必要性もあるように感ぜられます。  ただ、一面において、いまの税法の体系になじまないということが一つあると思いますし、もう一つは、輸出産業という面から見ると、これは輸出に対する保護主義である、そういうふうに外国筋から誤解を受ける面もあるだろうと思います。その辺は私は前向きに取り組んでいったほうがいいと思っておりますから、ひとつ検討してみます。
  360. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 検討してください。  終わります。
  361. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時五十九分散会