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藤井恒男君 いまの問題、いまのあなたの問題意識からすれば、何か
金融の形において問題
処理に当たりたいということですから、それも私は
一つの大きな問題であろうと思います。
ただ、年末を控えての思惑が走るわけです。だから、年末
金融についてのなるべく早い時期における手当て、これを立てていただかぬと、それぞれの地域において思惑が先走って、関連倒産その他が起きてくるということを十分御配慮いただきたいと思うのです。
それで私は、いまお話ございました各部門についての
不況の深刻さというのはよくわかりましたが、その中の繊維について二、三お聞きしたいと思います。
私の調べたところでは、四十六年の二月——これは四十六年、四十七年と
不況があったわけですけど、この四十六年二月のいわゆる前回の
不況のときのデータをちょっと申し上げますと、四十六年二月の前年同月比の在庫増加率が三〇%、これは在庫増加率としては前回の
不況で最もピークした時期だと思うのですけど、本年六月のそれはすでに四三%に達しておる。したがって、在庫から見て、前回の
不況よりはるかに高い。それから出荷指数を見ても、四十六、七年の
不況のとぎには、前年同月に比して四十六年の十二月が一%減、前月比一%減というのを除いて、すべての月が少しでもやっぱりプラスであった。ところが今回の
不況は、ことし一月以降対前月比でプラスになった月は
一つもない。この数字を見ても、いかに
不況であるかということがわかると思うのです。ことに六月などは一二%減ということだから、その時点における
わが国の
繊維産業の
出荷額というのは、四十五年の
出荷額に逆戻りしておるというふうに見られると思います。
昨日私、全繊同盟に行きまして、これは
繊維産業の六十万名ほどで組織している労働組合ですが、現在の
不況の状況を聞いてまいりました。現在全繊同盟の
本部の手元にあります、何らかの形で雇用者に問題を及ぼしている
合理化問題は、二十七
企業、三十三事業場に及んでおります。これは全繊
本部ですでに手がけている問題です。それから、全繊がまだ
本部で手がけてはおらないけど、申請があった人員問題を含む
合理化問題、これは七十件あります。それ以外に
全国の支部が受け取って
本部に通達していないものが三十件。したがって、人員問題——これには倒産もありますし、廃業もありますし、それから一時
帰休もあるし、希望退職もある。要するに、人員問題に関連する
合理化というものが現に百三十件に及んでおるのが実態です。
いま、こういう中で
不況対策ということが進められていくわけだけど、先ほど申したように、
融資ということ、これは四−六で繊維だけを見ると二千二百億、銀行を入れると、三百億入れて二千五百億ですね。七−九が二千億ということでございますが、やはり
一つの
問題点として、現在のこの
金融というものが、本来
目的とする
滞貨を動かすことにつながっていない。だから、せっかく国として
中小零細企業に対して規制緩和を行なうとか、あるいは
金融をするという形をとってみても、それを受ける
中小零細企業は、受けた金が
滞貨を動かすことに使われずに生活費で終わってしまう、ここに私は、いつまでたっても問題の本筋を解決することにつながっていない大きな
問題点があると思うんです。借りられることはありがたい、しかし、そのことが本質的に現在の
繊維不況を解決することにはつながりませんよということなんです。これを考えてもらわなければいかぬのじゃないか。この辺をどう考えておるのか、まず聞きたい。
ついでにもう
一つ金融関係でお聞きしたいんだけど、現にコンバーター機能を果たしている産元商社、いま商社は悪なりというふうなことになっておるわけだけど、産元商社というのは、産地におけるコンバーター機能を持っておるわけなんです。ところが、これは
政府系三行の
対象にはならない。窓口規制の
対象になるわけですね。四−六で窓口規制で三百億何とかということになったわけだけど、これら産元商社あるいは製造
問屋というのが
繊維産業の持つ特性として産地性、地域性を持っておるがゆえに特定銀行にラッシュする結果になるんですね、たとえば、知多とかあるいは一宮ということになれば東海銀行ということになる。あるいは福井ということになれば北陸銀行ということになる、メインバンクがですね。この一行にそれら大きな産地がラッシュする結果になるわけですよ。そいつを大蔵省がどれほど理解しておるか。これを解決しなければ有効な
金融ということはできない。そして、現在の
不況をなくす最もいい手だて、それが組めないということになるんじゃないかと私は思うんです。
従来、戦後四回ほど
不況を繰り返してきたわけだけど、すべて
繊維産業は
不況になると、自主的かあるいは
不況カルテルかということによって減産をまずやる。そして
滞貨の
一定期間の凍結、あるいは買い上げということをやって何とかしのぐ。この間低利の
金融をやる。そして次に、少し立ち直ってくると輸出ドライブをかける。この組み合わせが
繊維不況乗り切りのパターンなんです。過去四回全部それしかない。それ以外の方法ってないわけですね。まあ何とかそれでしのいできた。今度それでしのごうとしておるわけだけど、輸出はそう簡単にドライブはかからない。あるいは在庫についても、いま言ったように、総
需要引き締めという状況の中で、あるいは産元商社というようなコンバーターの
関係でなかなか的確に金がおりていないし、おりた金が現在の
不況打開に使われていない。これを解明しなければ、口で金は出しますとかどうこう言ったところで、本質的な
繊維不況の打開にはなりませんよ。その辺のところをどう考えておるか、聞かしてもらいたいと思うんです。