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1974-08-21 第73回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年八月二十一日(水曜日)    午前十時十四分開会     —————————————    委員の異動  八月一日     辞任         補欠選任      柄谷 道一君     三治 重信君  八月二日     辞任         補欠選任      鈴木  力君     前川  旦君      青木 薪次君     森下 昭司君      原田  立君     矢原 秀男君      春日 正一君     加藤  進君  八月九日     辞任         補欠選任      三治 重信君     柄谷 道一君  八月十六日     辞任         補欠選任      柄谷 道一君     三治 重信君  八月十七日     辞任         補欠選任      前川  旦君     青木 薪次君      森下 昭司君     鈴木  力君  八月二十日     辞任         補欠選任      鈴木  力君     鶴園 哲夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 英男君     理 事                 上田  稔君                 片山 正英君                 野口 忠夫君                 藤原 房雄君                 神谷信之助君     委 員                 川野辺 静君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 寺本 広作君                 八木 一郎君                 青木 薪次君                 鶴園 哲夫君                 松永 忠二君                 矢原 秀男君                 加藤  進君                 三治 重信君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  西村 英一君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        環境庁水質保全        局企画課長    松田豊三郎君        国土庁長官官房        審議官      横手  正君        大蔵省主計局主        計官       西垣  昭君        文化庁文化財保        護部長      吉久 勝美君        厚生省環境衛生        局水道環境部水        道整備課長    国川 建二君        厚生省環境衛生        局水道環境部環        境整備課長    吉崎 正義君        厚生省社会局生        活課長      石原 公道君        厚生省社会局施        設課長      舘山不二夫君        農林大臣官房審        議官       今村 宣夫君        農林省構造改善        局防災課長    棚橋 正治君        農林省農蚕園芸        局蚕業課長    杉原  曖君        農林省農蚕園芸        局果樹花き課長  北野 茂夫君        農林水産技術会        議事務局研究総        務官       山本  毅君        林野庁指導部長  藍原 義邦君        気象庁長官    毛利圭太郎君        建設大臣官房建        設機械課長    上東 公民君        建設省河川局長  増岡 康治君        自治大臣官房参        事官       大畑 耕治君        日本国有鉄道施        設局長      篠原 良男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (昭和四十九年台風第八号及び梅雨前線豪雨に  よる災害に関する件)  (桜島の降灰対策に関する件)     —————————————
  2. 中村英男

    委員長中村英男君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般当委員会が行ないました台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害実情調査のための委員派遣につきまして、各班から派遣委員報告を聴取いたします。第一班上田稔
  3. 上田稔

    上田稔君 災害派遣第一班の御報告を申し上げます。  中村委員長神谷理事前川委員矢原委員及び私上田稔は、去る八月八日から三日間にわたり、台風第八号及び梅雨前線豪雨により、激甚な被害を受けました兵庫県、岡山県及び香川県の実情調査してまいりました。  すでに当委員会におきまして、政府側から災害概況を聴取しておりますので、被災後一カ月を経過した現時点における復旧状況と今後の対策、また、現地で明らかとなった問題点等についてその概要を御報告いたします。兵庫県、岡山県及び香川県が集計した最終被害状況は、一般被害では、死者行くえ不明四十六名、建物の全半壊千九十五棟、床上浸水七千三百棟、床下浸水三万一千七百棟となっており、また、施設関係では、公共土木二百十四億円、農業林野二百三十億円、中小企業四十億円、その他の被害を合わせて総額五百四億円余りに達したのであります。  こうした今次災害特徴点は、第一に、典型的な局地災害であり、しかも散発的に発生したことであります。そしてこれらの個所は、離島、山村部等、いわゆる過疎地帯に多く、地元自治体財政力は貧弱で、住民所得水準も相対的に低いのが一般であります。  第二は、急傾斜地崩壊と小河川決壊が顕著であったことであります。日常生活の場の一隅にある民家裏山裏がけが突如としてくずれ、多くの人命を奪い、住宅宅地を埋没し、あるいは流失したことは悲惨でありました。また、決壊した河川は、平時は水量も少なく部落の中央を流れ、田畑ではかんがい用水として生活に直結している小河川なのであります。  第三は、農業関係に多大な被害をもたらしたことであります。ため池水路等農業用施設決壊とともに、稲、果実、野菜等冠水田畑は一万六千ヘクタールに及び、流失を免れた農作物も、倒伏、腐敗等のため品質は極度に低下しているのであります。  すなわち、大型台風時の被害とは異なり、小規模災害個人災害が圧倒的に多いことが注目されており、復旧事業等今後の施策にあたっては、この事情を十分に把握し、きめこまかな措置を講ずることが必要であります。  次に、視察いたしました被災地状況と、おもな問題点について触れることといたします。  まず、兵庫県淡路島についてであります。  一宮町の新川、津名町の宝珠川等中小河川がほとんど決壊、溢水したのでありますが、これらはいずれも未改修で湾曲の著しい河川でありました。上流ため池決壊と、林地崩壊下流の溢水に拍車をかけたといわれており、濁流田畑を流し、道路を削り、橋梁をこわして民家商店街を襲った痕跡が至るところにありました。  この地方は、四十七年にも災害を受けており、復旧事業が完全に終わっていない段階で、今次災害となったので、地元民の口惜しむところでありました。決壊河川復旧は徐々に進められており、従来の蛇行流路のままで応急工事を行ない、その後、水系全体の改修工事実施するとのことでありますが、それらの早期完成が待たれるところであります。  また、この地方には、農家戸数とほぼ同数のため池があるといわれており、老朽化した危険なものも数多いとかで、決壊ため池早期復旧はもちろんのこと、危険なため池早期改修と、大雨時における下流河川との管理上の調整は、クローズアップされた今後の課題であると思われました。  次に、岡山東備地方についてであります。  吉井川の上流金剛川は各所で提防決壊、並行して走る県道水路となり、道路橋梁を破損し、和気町、吉永町の民家四百戸以上を浸水させたのであります。沿岸には窯業工場クレー工場が多く、上流の山々は原料の土石採取のため、点々と岩肌を露出しておりましたが、雨水の保有力を低下させているのではないかと思われました。備前市の大谷川は、伊里川合流地点で数十メートルにわたり決壊濁流田畑を流し国鉄赤穂線にまで流下しましたが、大谷川の抜本改修のため、赤穂線高架化を含めて提防かさ上げが必要であると思われました。日生町では石谷川の決壊とともに民家裏山がくずれ、二戸が全壊、視察当時なお土砂くずれの危険があるとのことでありました。この地点危険地帯といわれながら危険区域指定はされておらず、災害復旧として緊急急傾斜地崩壊防止事業実施するとのことであり、今後災害予防の徹底を期さなければならないと感じたのであります。  次に香川小豆島についてであります。一瞬にして死者十九名、重軽傷者十数名の犠牲者を出しました内海町橘地区は、県指定の急傾斜地崩壊危険区域一つで、防止工事を進めていたやさきの災害でありました。この地区民家は、急傾斜地階段状に建てられており、最上部の沢が豪雨とともにくずれ落ち、約七十立方メートルの土砂民家を襲い県道を埋めたのであります。危険急傾斜地は、勾配三十度、高さ十メートル、延長三百メートルに及び、四十六年に崩壊防止工事着手、現在は七〇%が完了しておりましたが、今次災害は未施行部分に起こったのであります。崩壊民家はもちろんのこと、危険な状態に残されている民家対象に、住宅地区改良事業防災集団移転促進事業等を含めて、早急に抜本策を具体化する必要があると痛感いたしました。  岩ケ谷地区では、史跡大阪城築城の際の残石がくずれ落ち死傷者を出したほか民家田畑を流しましたが、国が史跡指定をする以上、防災は国の責任において万全を期することが当然だと強く感じたのであります。小豆島は全島が風化しやすい花こう岩の土質におおわれており、過去においてもがけくずれ、山くずれの記録は豊富であります。しかし、観光ブームにのって道路建設宅地造成等各種開発が進められており、これらがくずれやすい土質を刺激することとなっていないかどうか、開発と自然の関係を再度点検してみる必要があると感ずるのであります。  最後に、今次災害全体に共通する問題点並びに所見について申し上げます。  第一は、各地で最も要望の強かった激甚災害指定についてであります。  個々の災害地はきわめて激甚であり、被害は想像を絶するものがありました。また、被災物件の多くは、県、市町村の施設であり、財政力の乏しいこれらの自治体に対し、国の大幅な財政援助の道を開くことは、ぜひとも必要であります。そのために、公共土木農林水産中小企業等について激甚災害指定を早急に決定すべきであります。これこそ災害地の民心を安定させ、自治体被災者をして復旧事業に精進させるための要件であり、政治であると思うのであります。  第二は、急傾斜地対策についてであります。  局地豪雨土砂くずれ、被害発生のパターンが、ほとんどの災害地に当てはまり、これが最近の傾向である以上、災害対策はそれにどう対処するかに焦点を置くべきであります。全国で危険な急傾斜地は六万数千カ所に及ぶといわれておりますが、危険区域指定されているものは四千カ所にすぎない実情であります。急傾斜地崩壊対策事業地すべり対策事業林地崩壊防止事業砂防事業等が効果的に実施できるよう、区域指定基準事業採択基準を再検討するとともに、財政援助等について、積極的な措置を講ずることが必要だと思うのであります。  第三は、中小河川対策についてであります。  中小河川災害が頻発したのも、今次災害共通点でありますが、そのほとんどが未改修部分決壊であります。大河川に比して中小河川改修は大幅におくれておりますが、改修工事実施されている個所局地豪雨にあっても耐えていることは幾多の実例が証明しているところであります。中小河川といえども水系全体にわたる治水対策、とりわけ山地崩壊地帯上流に持つ中小河川にあっては、抜本的改修計画について国の思い切った行財政上の援助が必要と思うのであります。  第四は、個人災害救済についてであります。  災害弔慰金及び災害援護資金制度化は、個人災害について自力救済が基本であるとの従来の考えに、転機を与えるものでありました。  しかし、今次災害個人災害面で特に激甚であったこと、また、経済情勢の変化が著しいこと等にかんがみ、支給額並びに貸し付け限度額の引き上げ、その基準緩和等について再検討し、遡及適用をはかることが必要だと痛感いたしました。なお、災害復興住宅資金中小企業災害特別融資自作農維持資金災害融資等について特段の配慮を行ない、地方税等減免措置についても検討すべきであると思うのであります。  第五は、災害復旧事業実施についてであります。  本格的な台風期目前にして、復旧事業をすみやかに完了するためには、災害地で不足している技術労働力及び復旧資材等確保について、国、県の立場で適切に指導援助することが必要であります。また物価激騰の中で、現在の承認単価では工事施行が不可能と思われますので、早急に実情に合った設計単価に改定するとともに、当面難渋している堆積土砂排除事業湛水排除事業、小河川しゅんせつ事業等について国庫負担対象に加えることが必要と痛感いたしました。  以上が、調査概要でありますが、これらはいずれも不安におののく地元民の真摯な要請でもありました。  政府は、これらの点につきまして十分に考慮され、必要な行財政上の措置を早急にとられんことを強く要望し、あわせて、今次災害でなくなられた方々の御冥福と、災害地の一日も早い復旧をお祈り申し上げ、報告を終わる次第であります。
  4. 中村英男

    委員長中村英男君) 第二班藤原房雄君。
  5. 藤原房雄

    藤原房雄君 愛知県及び三重県における昭和四十九年台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害実情調査の御報告を申し上げます。  去る七月七日より八日までの二日間、八木委員森下委員加藤委員三治委員及び私藤原の五名が、愛知三重県下台風八号及び梅雨前線豪雨による被害実情調査を行いました。以下調査概要を簡単に御報告いたします。  七月七日朝、豊橋東三河事務所に到着、直ちに愛知県及び地元関係者から今回の災害状況及び要望等を聴取しました。  愛知県においては、本年六月から七月にかけ梅雨前線及び台風八号の影響等により、県下各地に五回にわたり集中豪雨があり大きな被害を出したのであります。  特に最近時の七月二十五日の大雨災害をみると、海部地方の津島市では、総雨量三百三十三ミリ、知多半島の常滑市では、総雨量三百一・五ミリという記録的な雨量となり、河川決壊家屋浸水、がけくずれ等大きな被害をもたらしております。  本年六−七月の以上の災害によって、現在までに死傷者四十名、家屋の全半壊百四十二世帯床上床下浸水九万九千八百十世帯をはじめ、道路河川農地等に大きな被害をもたらし、その被害総額は、三百二十九億七千万円余と報告されております。  東三河事務所を出発し、豊橋市の朝倉川の破堤現場をまず視察しました。  本河川は、去る七月七日の台風八号に伴う集中豪雨によって数カ所の堤防が四千メートルにわたって決壊し、被害面積は約二百ヘクタールにも及び、沿岸の人家、農用地に大きな被害をもたらしたものであります。地元説明によりますと、今回の災害は、未曾有集中豪雨という事情も十分考慮されるが、下流部における河川改修のおくれにも大きな原因があるとのことでありまして、早期復旧はもちろん、再度の災害を防止できるよう改良復旧をお願いしたいという強い要望を受けたのであります。  次に、豊橋市大岩町の農業用ため池である三つ池決壊の現状を見ました。これも、七月七日の豪雨によって起こった災害でありますが、地元から背後地国有林マツクイムシ対策として伐採されたことが一つ原因ではないかとの疑問と早期復旧治山治水対策の増強を要望されたのであります。  それから蒲郡西大塚長池地区に行きました。蒲郡ミカン全国でも有名でありますが、この地区はその中でも代表的なミカン園であったそうでありますが、われわれの視察の際は、砂れきの原となっていまして、当時の災害のすさまじいことを物語っております。この地区も七月七日の豪雨で無数の小河川はんらんし、林地土砂くずれによって起こった災害であります。地元からは、すみやかに激甚災指定を願い、樹園地改良復旧について強く要望されたのであります。  次に同じく農用地災害状況を額田郡幸田町南浦地区において見ました。これは前述のミカン園と全く同様の原因で起こったものでその被害状況も同様であり、激甚地指定要望もありましたが、林地復旧については、再災防止の観点から緊急治山事業予算大幅増額について要望を聞いたのであります。  そこから名古屋市に向かい、港区役所において災害実情を聴取しました。すなわち、去る七月二十五日の集中豪雨により名古屋市内南西部一帯浸水し、特に戸田川流域の浸水被害及び助光伏屋都市下水事業にかかる排水区の浸水被害は、三日間にわたって浸水被害が続いたとのことであります。これは近年の激しい宅地開発地盤沈下に対して、下水道及びこれを受ける都市河川の立ちおくれが原因と見られていますが、その対策に対する国の援助を強く求められたのであります。特に、戸田改修事業着手及び促進助光伏屋都市下水路事業促進要望されました。  次に名古屋市から海部郡蟹江町に行き海部地方被災状況を聴取しました。  この地域は、元来地盤沈下の進行しているのに加え、上流地域都市化等のため排水条件の悪いところへ七月二十四日から二十五日の集中豪雨によって農地湛水床下浸水等被害か出たとのことであります。海抜ゼロメートル以下の地帯であるこの地方は、市街地域の発展により日光川の排水能力を著しく減退させ、洪水時には目前湛水を忍んで地区内排水機施設の一時停止を余儀なくされることもあるとのことです。幸い今回は、堤防決壊を免れたが、今後早急な河川改修大型排水機の設置を特にお願いしたいとのことでした。  第二日は、三重県に入り、まず桑名市において三重県及び地元関係者から今回の災害状況及び要望等を聴取しました。なお三重県は七月六日の台風八号及び梅雨前線によって大きな被害を出しておりますが、今回は、七月二十五日の災害を中心に調査をしました。  前の災害の傷あとのいえぬ七月二十四日から北勢及び中勢地域に雷雨を伴った集中豪雨があり、津地方で一日雨量三百三十一ミリ、最大時間雨量七十八ミリという明治二十二年津気象台創立以来の記録となったほか、各地においても記録的な雨量となり、大きな被害をもたらしたものであります。  この被害は、現在までのところ死者九名、被害額は五百三十七億円にのぼっており、前後二回被害を合わせると昭和三十四年の伊勢湾台風以来の大きな被害とのことであります。  桑名市においては、大山田川、沢北川河川堤防決壊状況排水機場視察したのでありますが、この地域には中小河川が多く、また、市街地の大部分海抜ゼロメートルであって、平常時においても自然排水にたよれず、巨費を投じてポンプ排水にたよっていたところ今回の災害では市内十三カ所の排水機をフルに動かしても四千百数十戸が浸水したとのことであります。  次に、同じく七月二十五日の豪雨によって大きな災害を受けた、四日市市、鈴鹿市、亀山市及び津市を順次たずね、鹿化川、天白川、内部川、中ノ川、安楽川、椋川、横川等河川決壊状況はんらん状況視察しました。  これらの地域においても七月二十五日の豪雨によって市内主要河川中小河川が次々に決壊し、市域の大きな部分浸水土木農林水産下水道等に大きな被害を出したものであります。  桑名市以下これらの市からの要望としては、激甚地指定されたい、河川早期改良復旧河川改修、特に中小河川改修の必要があること、排水事業については、国において各省の排水事業を統括して強力に推進されたいというものであります。  以上のように今回の災害の大きな特徴は、長期間にわたる梅雨前線の停滞と未曾有集中豪雨による中小河川を主体とした河川はんらん山腹崩壊によるものが主要な被害となっていると言えると思いますが、最後に、両県からの要望のうち主要なものをまとめると次のようであります。  第一は激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づく激甚災害指定をされたいというもので、必要に応じて指定基準を緩和されたいというものであります。  第二は、災害対策費に対する特別交付税交付政府資金による地方債配分等について格別の配慮をされたいというものであります。  第三は、災害復旧事業早期実施改良復旧事業を積極的に採択されたいというものであります。  第四は、市街地における総合的な河川整備事業促進されたいというものであります。  第五は、河川改修事業砂防事業及び治山事業を大幅に促進されたいというものであります。  第六は、被災農林漁業者中小企業者に対し、長期低利金融措置と税の減免措置を講ぜられたい、というものであります。  第七は、世帯更生資金に対する国庫補助金増額及び災害援護貸付金制度資金確保について格段の配慮をされたいというものであります。  以上、簡単ではありますが報告を終わりたいと思います。     —————————————
  6. 中村英男

    委員長中村英男君) 次に、台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害対策に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 上田稔

    上田稔君 まず文化庁にお聞きをしたいのでございますが、おい直なっておられますか。——大阪城築城残石、これが被災を受けて、その残石がこわれて住民皆さま方に非常に被害を与え、死者まで生じておられるという状況でございますが、この大阪城築城残石は何に指定をされておるのでございますか。
  8. 吉久勝美

    説明員吉久勝美君) 御質問の個所指定につきましては、文化財保護法によります史跡として昭和四十七年に指定をいたしたものでございます。
  9. 上田稔

    上田稔君 史蹟になりますと、それは物に指定をされておるのか、場所に指定をされておるのか、また管理者をおきめになっておるのか、いかがでございますか。
  10. 吉久勝美

    説明員吉久勝美君) 当該史跡大阪築城の際の石切り場としての非常に築城の歴史と技術を物語るものでございますので、史跡として指定いたしたわけでございまして、したがって、指定しておる物件は、その土地の地域及びそこにある残石群等であるわけでございます。  なお、この管理につきましては、文化財保護法によりまして所有者がないかあるいは不明である場合、あるいは所有者管理にまかしておく場合に非常に著しく適切を欠くというような場合に管理団体指定することに相なっておりますが、管理団体指定につきましては当時まだ準備中でございまして、管理団体はまだ指定していない状態の中で今次の災害に及んだわけでございます。
  11. 上田稔

    上田稔君 文化庁はそれを指定してから何年くらいでその管理者をおきめになるのですか。二年もたっているのに管理者がまだきまっていないのはこれはどういう、ここだけが特別の例でありますか。
  12. 吉久勝美

    説明員吉久勝美君) 管理団体指定におきましては指定の際に、指定後の管理状況等をながめ渡しまして、所有者管理にまかす場合が適当でないと判断した場合には、管理団体指定をも準備しつつ指定をするというのが例でございますが、ここにおきましては、実は本年度——いろいろ四十七年に指定いたしましたので、その後、四十八年度、九年度を通じまして準備を進めまして、四十九年度には環境整備等を踏まえた事業を実施いたしたいという地元要望もございましたので、検討いたしておったわけでございます。当然には、通常の例によりますと、市町村、ここにおきましては内海町を管理団体指定すべく考え、準備を進めておったわけでございますが、いろいろな都合でまだ指定していない状態の中で、この災害が発生したということでございます。
  13. 上田稔

    上田稔君 四十七年の三月ですから、四十七年度は、これはもうまるまるあるわけで、四十八年度もまるまるあるわけですね。二年間もかかってまだ管理者がきまらないというようなことは、ちょっとこれはおかしいんじゃなかろうか。特に現地は非常に急傾斜地なところであり、そして、いま言われたように残石というものが点在をしておる。こういうようなところは非常に災害が起きやすい、花こう岩の風化地帯ですから災害が非常に起きやすい地帯である。こういうことから見たら、やはりこれを保護する、史跡指定して残石を守っていくんだということであれば、早くこれは指定をして、そしてその対策管理に万全を期さなければいけないんじゃなかろうかと思いますが、二年たってもまだ準備中だと、こういうことでは、これはちょっとおかしいんじゃないか、もっと早くこれはきめるようにしてもらわなければいけないのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  14. 吉久勝美

    説明員吉久勝美君) おっしゃるとおりに私ども感じまして、まことに申しわけなく存ずるわけでございますが、全国にこの種の史跡、名勝、天然記念物等約二千件あるわけでございますが、そのうち千二百件等につきまして、つまり六〇%につきましては、管理団体を市町村ないしは場合により都道府県あるいは法人等に管理団体指定してやっておるわけでございます。この石切丁場あとにつきましても、そのような方向で検討を進め、四十九年度には実は六カ所地域指定しておるわけでございます。それらにつきまして、地元、県等とも相談しながら管理保存計画を立てまして、その中で計画的に整備をはかってまいる実は用意をしつつあったわけでございます。その点、今次災害が発生する以前の状態ででき得なかったことにつきましては、まことに申しわけなく存ずるわけでございますが、私どもといたしましては、今後この災害復旧が一段落いたしましたあとで、早急にそういう仕事を進めるべく現在考えておるわけでございます。
  15. 上田稔

    上田稔君 この国の負担というのは、どのくらいに考えておられるのですか。また、残石を、いま点在しておるわけですけれども、そして、また下のほうに落いたりだいぶしているわけですが、これを管理される上においては、内海町ではちょっと無理なんじゃなかろうか、非常に金がかかって、負担がどのくらいになるのか知りませんが、一〇〇%負担をされるなら、これはまあ問題はないでしょうけれども。地元に負担をかけられるということになると、ちょっとこれは無理なんじゃないかと思いますが、御意見いかがですか。
  16. 吉久勝美

    説明員吉久勝美君) 今次災害により発生した状態の早急な復旧につきまして、現在までのところ、県教委、内海町等とよく相談をしてまいっております。その復旧事業の中身といたしましては、まず民家等に流入した土砂及び特に残石を取り除くという作業はいままでしているわけでございますが、これを適当な場所にまとめまして、再び災害が発生しないように良好な状態で保管するという作業を実は急いでおるわけでございます。  それから、さらに災害発生に伴いまして途中で宙づりになったような石がありましたが、これはとりあえず爆破をいたしまして第二次災害を防いだわけでございますが、史跡指定地内そのものにまだ地盤が安定していないというような問題だとか、あるいはさらに次の災害によりまして新しくまた残石がころげ落ちるというようなことのないような措置がまず大切であるわけでございます。  この二つのものを含めまして、ただいままでのところでは千九百万ばかりの当面の災害復旧事業費が要るのではないかというふうに考えておるわけでございますが、その二つの中でも特に急ぐのは民家等にころげ落ちた石を適切な場所に良好な状態で保管することでございます。で、私どもといたしましては、この仕事を内海町が実施するか、県が実施するかにつきましては、十分内海町の事情もございますので検討させましたところ、この事業については内海町の御希望、御意見もありまして、県教委自体が実施するということでただいまのところ運んでおるわけでございます。これに対しまして、私どもとしましては災害復旧の国庫補助をいたしたいというわけでございます。通常の場合は二分の一でございますが、災害復旧等につきましては二割のかさ上げをして標準的には七〇%という状態でございますが、七〇%につきましては大蔵省と今後協議いたしましてさらにかさ上げができるならば、これに努力をいたしたいというふうに考えるわけでございます。
  17. 上田稔

    上田稔君 ひとつ安全に早く管理者をきめていただくということをしていただきたいと思います。  次に厚生省にお尋ねをしますが、水道の災害復旧というものに対しては二分の一の補助を出しておられるということをお聞きをしております。それから、激甚災になった場合にやはり二分の一であるということをお聞きをいたしておりますが、そのとおりでありますか。
  18. 国川建二

    説明員(国川建二君) お答えいたします。水道施設災害復旧につきましては、ただいま先生のお話のとおり従来から二分の一の国庫補助を行なっておりました。  なお激甚災害のほうの指内にはなっておりませんので、通例の場合、一般災害的な場合には二分の一の国庫補助、残りにつきましては起債をもって充当いたしまして、復旧費の充当をはかって事業を促進しております。
  19. 上田稔

    上田稔君 これは国土庁のほうにお聞きをしなくちゃいけないんじゃなかろうかと思うのですが、激甚災の法律は結局激甚災を受けたときに地方公共団体の財政が困難になるからと、こういうことで補助率をふやしてその財政を助けようと、こういう趣旨だと思うのでございます。で、いまこの公共土木施設につきましては、その災害復旧費に対して補助のかさ上げをしておる。ところが、いま申し上げました水道事業であるとか、そういったようなものに対しては激甚災といえども何もかさ上げがないというのが実態でございます。しかしながら、災害というのはやはりこの水道の事業のようなものも私はこれはもろに受ける、特に地震なんかがあった場合に非常にもろに受けるのじゃないか。今度の場合も水源地に非常に土砂が入って、その負担がもう各非常に貧弱な市町村に及んでおるわけであります。したがいまして、そういうものに対して何とか補助のかさ上げをしてもらうような考え方で激甚災の法律の中に入れていただくというお考えはないか、どうか、お聞きをいたしたいと思います。
  20. 横手正

    説明員(横手正君) 現在激甚災の際に地方団体に対します財政の援助措置、これの対象事業が、もう御承知のように公共土木施設のほかにあるいは社会福祉施設関係、その他公営住宅等こういったものが含まれておりますが、それ以外の施設といたしまして、私どもも、都市施設なりあるいは上下水道、こういった事業を拡大してほしいという要請はかなり受けております。ただ、現在までの考え方といたしまして、どちらかといいますと、法令上国と地方の負担区分、これがかなり明確なものについて激甚災対象に取り上げる、こういうような考え方があったのではないかというふうに考えておりますが、今後は、災害状況、こうしたものも私ども十分検討いたしてまいりたい、その中で必要なものがあれば前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。
  21. 上田稔

    上田稔君 特に財政力が非常に貧弱な市町村のほうに水道事業というものももう普及していっておるようなのが現況であると思うのです。そういうことを考えますと、いままでのように富裕な市町村だけが水道事業をやっておる場合にはいままでの考え方でよかったかもしれないけれども、貧弱な市町村がもう水道事業をやっておるという状況においてはひとつこれは考えてもらいたいと思うのであります。御検討の上、早急に態度をきめていただきたい。  それから次に、急傾斜地崩壊対策事業につきまして建設省にお聞きをいたしたいと思います。  この急傾斜地でありますけれども、いま基準が、何か建設省でおきめになって、そうして緊急の場合は十戸以上、通常の場合は二十戸以上の影響戸数がある個所についてのみおやりになっておるということのように聞いておりますが、法律によりますと相当数の居住者その他のものに危険を及ぼすおそれがある急傾斜地というものに対してのこれは法律であると思うのでありますけれども、実際の死者状況あるいは負傷者の状況というようなものを私はずっと例年お聞きをしておりますと、もっと戸数の少ない、五戸以下ぐらいのところでも非常にたくさんの死者がお出になっておるように思うんです。そういう死者の面から考えますと、人命を保護するという面からいきますと、そんな二十戸以上だとかいうようなことをやっておられるということはこれはほんとうにちょっとおかしいんじゃなかろうか。二十戸以上もそれはやらなければいけないのですが、もっとやはり危険度から見ておやりになる必要があるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  22. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) お答えいたします。  すでに急傾斜地崩壊対策事業の採択基準につきましては昭和四十七年度に大幅に緩和いたしました。それで、改定後の採択基準に該当いたします危険個所がなお現在相当数残っておるわけでございます。したがいまして、当面はこの対策事業を鋭意推進することが一番重大だと思っておるわけでございます。まあ、ただいま先生から御指摘のように、今回の災害もさようでございますが、がけくずれによるものは人命にかかわる問題が非常に多いわけで、私どももよくその点は痛感しておりますが、現在は予防対策は先生おっしゃられた二十戸でございますが、緊急を要する災害後の対策については十戸以上を対象にしております。それで、いままで、たとえば本年度におきます急傾斜地崩壊によっておなくなりになりました方々が出た個所の問題あるいは死者数のことをいろいろ勉強してまいりましたところ、やはり、十戸以下、九戸以下と申しますか、こういうものが全体の約四分の一を占める、あるいは四分の一から三分の一ぐらいの間にくるというようなことでございますが、大半が十戸以上でございます。そういうことで、この件につきましては現在の採択基準の中でも相当まだやらにゃいけない工事がたくさん残っておりますので、現在の立場といたしましてはそれを一生懸命やるのがただいま一番考えていることでございます。
  23. 上田稔

    上田稔君 まず死者が一番多く出ておるものに対する対策を立てる事業というものを、これをやはり一番におやりになる必要があると思うのであります。そういうことを考えますと、この急傾斜地崩壊対策事業というのはもっと予算を大いにふやして、来年度も大いに要求をして、そしてこの対策を立てて死者の数をひとつぜひとも少なくなるようにしていただきたい。戸数にあまりこだわらないで、もう小さいものは早くできるわけですから、安くできるわけですから、どんどんこれをやっていただきたいと存じます。  次に、農林省にちょっとお聞きをいたしますが、ため池でございますけれども、老朽ため池が今度また災害でだいぶこわれておるのであります。この老朽ため池に対する考え方でございますけれども、何か非常に基準がきびしいというお話を聞いておりますが、いかがでございますか。
  24. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 老朽ため池につきましては、農林省といたしまして老朽ため池事業というのがございます。それで、その採択基準は次のようでございます。大規模と小規模に分かれておりまして、大規模の採択基準について申し上げますと、総事業費がおおむね三千五百万円以上。堤高がおおむね十メートル以上であり、かつ貯水量がおおむね十万立方メートル以上。それから三番目が、受益面積がおおむね四十ヘクタール以上。四番が、決壊による想定被害がおおむね一億円以上。それから小規模について申し上げますと、総事業費がおおむね二百万円以上。堤高がおおむね五メートル以上、または貯水量がおおむね三万立方メートル以上。それから受益面積がおおむね五ヘクタール以上でございます。  それで、いま採択基準が少しきびしいのではないかという御指摘でございますが、実は一般の土地改良事業で申し上げますと、団体営クラスで国の補助対象にしているのは二十ヘクタール以上が普通でございます。それで、そういうことからいたしましても、特に老朽ため池の危険性といいますか防災的見地からということで、採択基準といたしましては相当引き下げてやっているつもりでございます。しかしながら今次の災害を見てみますと、いわゆるこの採択基準以下と申しますか、たとえば受益面積で申し上げますと五ヘクタール未満のものが相当数多くやられているようでございます。したがいまして、その辺のところを十分点検いたしまして一応の対策を考えなくちゃならないと思ってはおりますが、一応国の補助の対象といたしましては、先ほど申し上げました採択基準にのっとったものをやり、それから五ヘクタール未満のものについては、これは融資事業等で対応していくということで今後とも事業の推進をはかってまいりたい、このように考えております。
  25. 上田稔

    上田稔君 この老朽ため池というのは、何というのですか、上流のほうに非常に危険な工作物があるということであります、下流住民から見れば。そういうものが、これはおつくりになった方が悪いと言えばそれまでですけれども、これはずっと昔からあるものが非常に多い。そういうものがある場合におきまして、そういう危険なものがあるということを考えますと、それはやっぱり危険でないようにするというのが、私は、これはまつりごとをなす者の責任だと思うのです。そういうことを考えますと、いまそれをつくったものに皆責任を持たすのだと、こうおっしゃっておりますけれども、それは非常に酷であって、以前のように農業が非常に盛んであってなにする場合は別ですけれども、いまのようにもう住宅に変わったりして、ため池管理者という者が非常に貧弱になっていると、こういうことを考えると、人命尊重の上から、そういう危険物をなくするということに重点を置いてひとつおやりをいただきたい。  基準も、そういうこともさることながら、その負担のほうも、これはちょっとたえられないような状態にいま変わってきているんじゃないか、十年前とはいま事情が違うんじゃないかと思うんです。それをずっと同じような方針でおやりになっておると、これはみなお断わりが出てくるんじゃないかと思うんですが、こういう点をひとつお考えをいただきたい。これは大蔵省のほうにもひとつお願いをしたいんですが、そういうふうに世の中が変わってくるとともに、基準というものは変えてもらわなくちゃいけないんじゃないか。負担、負担と言われるけれども、なかなか個人では大きな金は出せない。急傾斜地の場合におきましても、やはり個人の負担がかかるもんですから、つい、まあこれはやめてもらおうと、制限を加えるのも困ると、こういったようなことから、せっかくいい法律ができ、いい制度ができているんだけれども、なかなか利用されていかないというようなことになりますので、こういう点をひとつ十分お考えをいただいて受益者負担というものの額を考えていただきたいと思います。
  26. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) いま先生御指摘のとおりでございまして、老朽ため池民家のたとえば上のほうにあるということはまことに危険でございます。したがいまして、農林省といたしましても、以前から調査研究をいたしまして、それでその対策に努力してきたところでございますが、例年水害のあります前——と言いますのは三月ごろ文書を出しまして、その点検と水防体制の連絡強化をはかっていっているところでございます。  それで、さらに今後、御指摘のように管理体制のあり方、それから地元負担の問題というのが大いに議論されているところでございまして、特に管理体制を十分強化いたしまして、それから受益負担につきましては、町村等にも相当持っていただいて、できるだけ農民負担が少なくなるようにということで検討中でございます。
  27. 上田稔

    上田稔君 検討、検討と言わないで、もう早く実行していただいて、そういう危険物をなくしていただくようにお願いをいたします。  以上をもちまして質問を終わります。
  28. 八木一郎

    八木一郎君 ちょっと関連して一問だけ。  災害は忘れたころにやって来るというのは、これは昔の話で、いまは台風は常襲するし、豪雨は集中的に何回もやって来るし、ことしのごときは前後五回にわたって被害を受けておるというこの現実を現地で見せていただきまして、私は二、三の事項で特に当局の注意を喚起して御質問をしてみたいと思うんです。  ささいなことではありますけれども、これは考えなきゃならぬ問題ではないかと思われるものに、その一つは林野庁に対して里山の国有林、これを管理するには格別な配慮が要るんじゃないか、何か格別の配慮をしておるかどうかということです。これは現地は、さっき団長報告にもありましたが、今度の視察地で強い要請も出た、豊橋市の大岩町東山地区豊橋国有林の山ろくにある三つ池決壊によってその下流住民が思わざる被害をこうむったという事例であります。これは国有林自体、国の管理しておる山ですからマツクイムシを退治しなきゃならない。これを駆除するというために措置されることはいいとしても、その際に、まず下流に住んでおられる住民の立場、環境、生活事情等を配慮せずにやることはやっぱり無謀じゃないか。地元民は人災だといって訴えをするというほど憤りをこめての要請でありましたけれども、私は林野当局が治山治水、特に里山の地帯にある国有林野については、これは水害配慮の、事前にも事後にも、十分な行き届いた管理体制がなければならぬはずだと、こう思いまして、その実態に触れて何か国においては考えておられるかどうか、この点が一つ伺いたいのであります。  その二は、いまも出ましたが、老朽ため池——つまり、ため池というと、大きなのも小さいのもありますが、名もないような、しかも財政力の非常に貧弱な町村の管理になっておるはずだと思われるような池や沼や遊水池、こういうところで、ひとつこれはむちゃやっているなと思われることは、たとえば遊水池の一角を埋め立てて、そしてため池の機能はそのまま存置させるようにしておるが、埋め立てたところへ住宅を建てて、ちょうどがけ下へ住宅を建てるような危険きわまるところに住宅を建てておる。調べてみると、その土地が市有地である。市役所とか、町村の土地であるために、池のほうは狭くして、あき地を埋め立てて宅地に充てておるということをしておるわけです。これは防災——つまり、災害を防除するための配慮を——農林省にも建設省にもありますが、県にも、市にも、国にもどこにも関係のないような、さっきの私有のところもあるかもしれません。しかし、そこに自治体が許可して住宅を建てさせて、あるということは事実なんですから、こういうことについての御指導はどんな配慮をされておるのかどうか。  私はその現実の被害を見て、これも人災の一つじゃないか、これはやはりなわ張りの関係かなんぞで、手の行き届かないところがあってこうなったんではなかろうかと思いましたが、この問題についてはどのような対処をされようとするのかお考えを伺いたいと、こう思うのであります。  その三は、これも現地へ参りまして強い要請の出た問題ですが、最近地域気象観測網の整備、充足ということを気象台はやっていらっしゃる。気象台もきょう来ていると思いますが、その点について御説明を受けたいのであります。  具体的な一つの例は、愛知県の東部、静岡県の西部、長野県の南部、天竜川の下流地域一帯は気象観測網ポケット地帯で、頼りになる予報等を手にすることができないと、もう数十年来古くからいわれておるのです。それが今度の災害で目に見せつけられるような目にあっておりますので、今回の災害を契機に、このいわゆる気象観測網の充足についてどのようなお考えを持っておられるか、またどう対処しようとしておられるかについて御説明を願いたいと思います。
  29. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) お答えいたします。  国有林の里山付近に介在いたします国有林についての経営につきましては、先生十分御存じかと思いますけれども、全国森林計画というものがございまして、それに基づきまして地域森林計画を立てまして計画的な施業を従来から実施いたしております。特に治山事業につきましては、治山事業五カ年計画に基づきまして計画的に実行いたしておりますし、さらにただいま国有林の中で約三百六十万ヘクタール、国有林総面積の四五%を保安林に指定いたしまして、国土保全その他森林の公益的機能の発揮ということには十分心がけておる次第でございます。さらに四十七年度に災害危険地の総点検をいたしまして、その結果に基づきまして、災害危険個所につきましては優先的に治山工事をやってまいるという態度をとっております。そのほか伐採につきましても伐区の面積の縮小というようなことで対応しておりますし、特に今後とも里山付近の国有林に対しましてはこの点を十分考えまして特段の対応をしてまいりたいというふうに考えております。  今回、ただいま先生がお話ございました三つ池付近につきましては、たまたまマツクイムシが発生いたしまして、ことしの一月から六月にかけまして、そのために伐採いたしました個所約二・五ヘクタールございますけれども、その下流に三つのため池がございまして、そこのため池決壊被害が出たわけで、私どもといたしましては、地元ともその後十分、地元からの陳情もいろいろございましたので、災害がございます以前からのり面の吹きつけ、あるいは作業道の水きりなど、簡易な治山工事、山腹の崩壊を防ぐための工事をいたしておりましたやさきでございますし、この点につきましては地元と十分打ち合わせをいたしまして対応してまいりたいというふうに考えております。
  30. 毛利圭太郎

    説明員毛利圭太郎君) 地域観測網その他に関連いたしましてお答え申し上げます。  気象庁で予報、警報を出しますときに必要な資料を十分に手に入れるということは非常に重要なことでございます。先生御指摘になりました地域観測網につきましては本年の六月から試験運用に入りまして、本年十一月から定常的な運用に入るものでございます。この地域観測網は全国を大体平均十七キロの間隔で機械を据えつけまして、そこから雨量を即時的にできます場合は十分間隔で集めることができるのでございます。で、このような十分な資料を手に入れますと、さらに気象庁といたしましてはレーダー観測その他の資料と組み合わせまして十分に予報、警報の精度向上をはかりたいと存じております。ただいま予報、警報の精度の問題を御指摘いただきましたけれども、気象庁といたしまして、たとえば愛知県の三河地区は多少山岳などの影響もございまして、特に七日前後の大雨のようなときには地域的に雨量の多い場所でございますが、このように県内におきまして多少気象状況が違うところに対しましては、ただ単に全域に対しまして単一の予報を出すというのではございませんで、たとえば三河地区とか尾張地区のように、地区ではどうであるというように状況に応じまして予報区内を細分と申しますか、区分いたしまして予報並びに警報を出している現状でございます。  今後このような地域的に詳しい雨量の資料が入りました場合にこれをさらに活用いたしまして、今後さらに地域的な集中豪雨その他に関しまして精度向上その他につきまして強力に指導したいと存じております。
  31. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 第二点の問題についてお答え申し上げます。  農林省といたしましては、以前から老朽ため池の点検と管理体制について、県を通じまして各市町村には十分注意を喚起してきていたところでございますが、いま御指摘ございましたようなため池の敷地の中を埋め立てまして住宅をつくっているというようなことが事実といたしますと、これは重大な問題でございます。したがいまして、どういうことでその住宅をつくったのか、経緯と実態を十分調査いたしまして、今後の災害復旧の参考にもいたしたいと存じております。  それから当然決壊いたしました池でございますから、早急に災害復旧工事を実施いたしまして、今後遺憾のないようにいたしたいと存じております。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 青木であります。  私は特に静岡県に起こりました七月七日の夕刻から八日早朝にかけての県下を襲った有史以来ともいえる台風八号並びに梅雨前線集中豪雨関係について、静岡県を主体に全般的な問題局部的な問題について質問をいたしたいと思います。  特に先般、国土庁長官が松永議員の要請に基づいて静岡県下のあの惨たんたる実情について調査をしてくれたことについて感謝をいたしたいと思います。  今回の被害については予想をはるかにこえた降雨量であることは御案内のとおりでありまして、私も調べてまいったのでありまするけれども、二時間の継続雨量の大きさというものは百四十七ミリメートル、九十年に一回だということがいわれているのであります。二位は昭和三十六年の六月二十七日の百十二ミリ、これをはるかに上回っております。三時間の繊続雨量の大きさというものは二百七・五ミリ、百五十年に一回だ、昭和三十九年の六月二十七日の百六十三・八ミリをまたはるかに上回っているという状態です。四時間の継続雨量については二百五十三・五ミリ、これは三百年に一回だ。それから二十四時間にすると五百八ミリでありまして、これはもうコンピューターでもはじけない、こういう状態であるわけでありまして、五百年以上におそらく一回じゃないかというようにいわれているのであります。二位だといわれた昭和三十三年七月二十三日に二百五十七ミリ降っておりまするから、これから推して見ましても約二倍以上ということが局部的にはあったのであります。想像するだにまさに恐しい降雨量だということが言えると思うのであります。このためにまあいままで各委員の言われましたように河川はんらん堤防決壊や山沿い地区における鉄砲水による土砂くずれ等において、私は静岡県下をよく調べてまいったのでありますが、やっぱり死んだ人が四十三名、行くえ不明者が一名、家屋の全半壊が五百九十四棟、床上床下浸水については七万数千棟に及び、田畑の冠水や流埋没が約一万二千九百八十八ヘクタール、道路決壊は三千三百九十九カ所、がけくずれにおいては四千二百十六カ所に及んでおるわけでありまして、被害総額は千四百六十億円、そのほかに公共施設やその他に有形無形の被害を加えてまいりまするならば、まさに私たちのやはりこれは想像を越えたものだということがいえると思うのであります。特に私は、静岡県の由比の海岸地帯でありますが、これは国鉄の東海道本線が通っております、国道一号線が通っております、国道一号線のバイパスが通っております、東名高速道路が通っておるのであります。まさにいまにも地すべりが起きそうな山と海岸との間に全く一寸の針の目ほどのすき間もないようなところを接続いたしましてこれらの主要幹線が通っておる。この問題について、それこそ世にもまれだといわれるくらいの地すべり地区なんでありまして、これはもう特殊な地域でありまして、由比地区防災対策について、私は国土庁長官がこの間ごらんになって、その後の経過について、対策委員会をつくられるということを聞いたのでありまするけれども、国土庁長官にこのことについてお伺いいたしたい、こう思います。
  33. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 先般、私も現場を拝見いたしまして、拝見します目的が二つほど考えておったのですが、ここは御指摘のようにあらゆるメーンの幹線の交通機関が全部通っておる。一体そのうちのものを迂回はできないのかと、トンネルで、というよりなこともちょっと考えておったわけでございます。行って驚いたことには、一号線のバイパス、バイパスぐらいは迂回してもいいんじゃないかというようなことを考えておりましたが、バイパス自身もその地区を通っておるということを考えますると、やはりあすこに全部の交通機関が集中したのもそれ相当な理由があるのだと思っておるわけでございまして、しかし、それは私が技術的に精査したわけではございませんので、やはり今回はそういうことも含めまして、学識経験者の技術の方々に集まっていただいて、何か一ついい方法はないかということを検討していただきたいと思っておる次第でございまして、各省の連絡会を開きまして、ひとつ技術的な対策としていろいろ審査をしてもらおうということでございます。  もう一つは、由比の地すべりの状態は一体どうなんだということをべっ見したいと思って参りましたが、やはり相当に従来の危険地区でございますので改良を加えておるところはあります。ところが改良を加えておるところはそのままで、事故は起こっていなくて、未改良のところで大崩壊があったのでございます。私はほんとうに、しかしあすこで由比の事故はありましたけれども、お聞きしましたら幸い人畜の被害は一人もなかったと町長は報告いたしておりましたが、それは偶然でございまして、もうちょっとしたらやはりたいへんな人畜の被害を受けておる個所であろうと思ってびっくりいたしたのでございます。幸いなことには今回の事故では一人の人命も損傷はなかったということをお聞きしましたが、したがって、あのままではとうていそのままにしておくことはできません。聞くところによると、農林省は最初は農林省直轄でいろいろの地すべり対策をやっておった。それを県に移したそうでございます。しかし、県で振り回せる工事じゃございません。したがって、私は農林省からおいでになりました方にはひとつ直ちに農林省直轄でもって仕事をしてもらいたいということを申し出てありまするが、農林大臣とはまだ話はしておりませんが、県で振り回せるような小規模のことでは絶対に防ぎ得ません。したがいまして、従来に返して農林省直轄で大々的なこの地すべり対策をやらなければ、おそらくやはり相当の期間もかかるし相当な経費を投入しなければできないと思う次第でございます。いずれにいたしましてもべつ見いだしましてたいへん私もびっくりしたような次第でございます。  その他、静岡市内における河川等も私は拝見をいたしましたが、やはりどうも、巴川もちょっと見たんですが、どういうふうにしたらいいか見当のつかないような状態でございまして、もう少しひとつ考えたい。とにかくあれだけの大雨が降ったのでございまするが、いま行ってみると、一滴の水もございません。ということは、どっかにピントが抜けておるんだという点を考えられまするから、今後はひとつ建設省等とも御相談を申し上げまして、ひとつ万全な施策というのは、基本的には降った水はどっかでたくわえておく、こういう方策をとらなければ、あのような大事故で、しかもいま行ってみれば一滴の水もない、こういうようなことでは情けない話だというふうに考えておりますので、いずれにいたしましてもひとつ万全の措置をとるように国土庁としてもいろいろ施策を練っておる次第でございまして、技術委員会がもし答申を出しましたら、その線に沿いましてまた皆さま方に御相談をいたしまして対処したいと、かように考えておる次第でございます。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 私はいま長官のおっしゃいましたように、東海道本線や国道一号線とかあるいはまた一号線バイパスすらその危険地帯を通っているというこの地域の地勢上の問題もそればあると思いますけれども、東名高速道路はしかたがないものですから海の上を通っているという状態なんです。そうすると、あの特におっしゃいました今宿の濁沢地区においては広範かつきわめて長距離にわたって地すべりが起こりそうな現状に現在あるわけです。そうすると、これらの幹線を全部埋め尽くしてしまうということがあり得るわけです。したがって、私は林野庁の指導部長さんですか、お伺いしたいと思うのでありまするけれども、この工事についてこのことを予測してどういうような工事をやられてきたのか、この点についてもう一ぺんお伺いしたい。
  35. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) お答えいたします。ただいま大臣からお話しございましたように、この地区につきましては昭和二十三年から直轄機関工事として実施いたしております。その間、約二十億近い金を投じまして直轄機関でやってまいりまして、その後一段落いたしましたので、県の補助事業として県が実行することにいたしております。ところが最近に至りまして、濁沢地区については一応地すべりの危険があるということで、その対応をいたしておりまして、本年度も約一億の金をかけて対応する予定にいたしておりました。そのやさきに今回こういう被害が出たわけでございますけれども、さしずめ応急に地元関係者等を集めまして、七月十九日に現地において検討会をいたしまして、その結果、今年度とりあえず排土工、床固め工、くい打い工、水路工、こういうものを主体にいたしました緊急治山事業約三億七千万を緊急に対応して実行することにいたしております。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 この問題についてはやっぱり県の事業としてなすようななまやさしいものでないことは大臣のおっしゃったとおりであります。この地域の幹線がとまりますと、東海道メガロポリスはおろか山陽、九州に至るまで、私は陸上交通は全く麻痺してしまうというように考えておりますから、大げさでない形の中で非常に対策の重要性ということを訴えたいと思っているんでありまするけれども、長官のおっしゃいました技術委員会を発足さしたいということについてはよくわかりました。しかしながら、私もこれは新聞で見たんです。それから私もすぐ近所におりまして、国土庁長官視察するということに何の一片の連絡もないんですね。こういうことじゃやっぱりいけない。やっぱりそれらの関係については私たち自身も二回も三回も現地へ行って地元の人たちと相談をし、おそれおののいている現状についていろいろ意見を集約しているわけですから、とにかく今後においてはその地域災害対策委員とかなんとかおられたら連絡をとってもらうようにいたしてもらいたい、こういうことをまず注文として次に加えておきまするけれども、いま御指摘をいたしました濁沢地区、それから寺尾大沢、倉沢大沢、寺尾沢、こういう地域においてはそれこそ河川というよりも沢水といったほうがいいんじゃないか、これが暗渠の中にどうっと土砂が流出いたしましてそれをふさいでしまう。そうすると地すべりとして怒濤のように土砂が入ってきて東海道線をまず埋めちゃった、それから国道一号線を埋めちゃった、もう少し落ちたら今度は東名高速道路をこわしたということなんですね。ですからこの中で私は河川局長にお伺いしたいと思うのでありますが、海へ埋めたテトラポットを沢水の中へ、海流の関係もあると思うんですけれども、入ってきてふたをしちゃっている、こういう現状を見たんでありまするけれども、この点はいかがですか。
  37. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま御指摘の問題はいわゆる沢の問題と思います。沢から出た土砂が暗渠その他を埋め尽くすということでございますが、この沢の問題につきましては、これは私どもと林野庁のほうでいろいろ仕事の上でも分担をしておりますが、沢の問題は林野庁のほうでやっていただくことになっております。
  38. 青木薪次

    青木薪次君 じゃ林野庁のほうで答弁を……。
  39. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 先ほど御説明いたしましたように、私どもといたしましては、今回の災害で相当の土砂が流出いたしましたので、これにつきましては緊急に対応いたしまして、その土砂の排土を現在完了いたしております。今後こういう問題につきましては、先ほど大臣から御説明ございましたように、技術委員会で建設省、林野庁、国土庁が中心になりまして、抜本的な対策を検討していただき、それによりまして今後対応を考えてまいりたいというふうに考えております。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 倉沢大沢を境にいたしまして、東を林野庁、西を建設省ということを新聞で見たのですが、これは現地の地勢から考えてみまして、私は一刻も猶予できない状態だと思いますので、このことについてそのように担当区分を明確にしてやるということで理解してよろしゅうございますか。
  41. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) そのとおりでございます。現在、区域を区別してやっておりますが、先ほど西村長官が申されましたように、もう一度この場所は大きな問題であるのでということで、私どもの建設省も全部この技術委員会のほうに加わりまして、再びこの大調査の上でまた新たな分担がきまるかもわかりませんが、その技術委員会の結果に基づきまして実行さしていただきたいと思います。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 そういたしますと、根本的に対策を立てるということは、いまおっしゃったように、東を林野庁、西を建設省ということは、現状を復旧するという立場に立っている議論だと思います。あそこにトンネルを掘れという声は現地でもあるわけです。しかし、たとえば東海道新幹線に沿って掘ったら、富士川町、蒲原町、岩淵あるいはその付近の皆さんは交通不便を生じてしまう、そうなれば、たとえば蒲原のほうからまっすぐ東海道本線は現在の由比の駅をちょっと北側を通って、あの山をトンネルを掘ってしまうという、関連する道路も、たとえばバイパスその他についてもそちらを通るというようなことも検討中だと聞いているわけです。また、国鉄東海道新幹線を掘ったときに、あの地区は粘土質でありまするけれども、非常に地質はそんな悪くなかったということも私は聞いているのでありまするけれども、このことについてトンネルを掘るのか、いま私が申し上げたことについては、皆さんが答弁されたことについては、現状を復旧するという立場に立っている議論だと思うのでありますけれども、どちらになさるのかお考えを聞きたいと思います。
  43. 横手正

    説明員(横手正君) 由比地区対策につきましては、当面各省の連絡会議を設けますとともに、技術委員会を設置する、こういうことにいたしております。各省の連絡会議でございますが、これはこの地区の総合的な調査実施、それから基本的な対策の樹立、その後の事業実施の調整、こうしたものにつきまして、関係各省庁の調整をはかってまいりたいと、かように考えております。その中での総合調査の一環としまして、技術委員会を設置してと、こういう考え方で取り組んでまいっておりまして、先ほどの建設省と林野庁の区域割りですが、これは調査の区域を分ける、こういうことでございまして、調査の方針とか調査報告、こうしたものにつきましては、学識経験者よりなります技術委員会によって協議してもらう、こういうことにいたしております。  なお基本的には総合的な調査を行なうということでございまして、いずれ近く発足する運びになっておりますが、その際には当面、地質その他の基本的な面についてのまず調査を行なう、こういうことになろうかと思います。年内には中間報告を求めましてさらに明年度にかけて委員会で結論を出していただきたい、かように思っております。したがって委員会の結論がそうした地質面の調査をした上であの地域の地すべりの、いわば砂防、治山、こうした事業だけでとめるべきなのか、あるいはその他の方法が可能だという結論が出るか、そうした結論待ちで私ども対処してまいりたい、かように考えております。  なお、先ほど地元の人も委員会に加えるべきではなかろうかと、こういうお話がございましたが、実は委員会は学者グループに集まってもらっております。そのほか幹事といたしまして関係省庁の担当者並びに地元の県の担当部局の長、この方に加わってもらっております。地元との連絡も密にしてまいることにいたしております。  なお、連絡会議、これにも県の代表者は加わってもらっております。地元とも十分今後とも緊密に連絡してまいりたい、かように考えております。
  44. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄の施設局長がお見えのようですから質問したいと思うのでありますが、かつて昭和三十六年ですか、あすこに有名な寺尾地区ですか、地すべりがありました。これがまた東海道本線に向かって大がかりな、じりじりと大型の地すべりが行なわれまして、全国的に問題になったことがあるのでありますが、これが駅へ向かって進んでおった。そこであわてた国鉄は、それをトンネル式に暗渠をつくってこれを防いだということがあるわけです。今回も林野庁があすこに堰堤を何重にもつくったためにそこはよかったのです。だからこういうような努力をすればこれは防げるはずです。それらの関係等について国鉄としてはトンネルを掘ってやるというような計画はおありなのかどうか。いわゆる私の言うのは由比から興津川にかけてトンネルを掘ってしまう。バイパスもそこをひとつ通るというようなことについてお考えがあるかどうか。地元ではそのことを要望しているのですがね。ちょっとお伺いしたい。
  45. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 先生御指摘のとおり昭和三十六年の三月に、有名な由比構内の約六十万立米と称される地すべりがありまして、私のほうは昭和三十九年三月、やっと百五十メートルくらいトンネルを掘りまして、いわゆる土砂崩壊がきたときにトンネルの上のほうで海岸のほうに土が落ちていくという土砂おおいというようなトンネルをつくりました。先生も御承知のとおりあれから静岡へ向かいましては線路がむしろ海岸と同じといいますか、山よりも非常に低いものでございますから、今後ここにいまのような土砂おおいを設置いたしますと、逆にこれが土どめになりまして、うしろのほうに土砂が逆にバックウォーターで影響を与えるというような問題もございますので、同じような工法は他の地区についてはとりにくいと思います。いま先生御指摘のとおりそれではもう少し新幹線寄りの、山のほうにトンネルを逃げたらどうだという御指摘でございますが、これは今後先ほど国土庁のほうからも御指摘がありましたように、国土庁をケルンとした技術委員会のほうで御検討いただきまして、私のほうの土木課長もこれは幹事で出ておりますので、この結論を待ちまして、ルート変更あるいはその他を含めまして協議を進めていきたい、かように考えております。
  46. 青木薪次

    青木薪次君 施設局長にお伺いしたいのですけれども、いわゆる濁沢地区というのは、いま難所中の難所になっているのでありますが、この地域に実は民家があるのです。いまにも落ちてきそうなところに民家がずっと何十世帯とある。このことについて、今度は、国道一号線を越した反対側に国鉄由比駅がある。この由比駅は避難命令が実は出た。ところが、東海道本線は、緊急に国鉄の保線係員が日夜徹夜でもって一週間ほどやりまして、国鉄を通した。このこと自体は、これは、私はすばらしいことだと思うのですけれども、避難命令の出ている駅を通過していくということについて、こういうような事態というものはあるわけですね、現実に。したがって、そういうようなことを考えてみると、私は、いまの排土作業が長距離かつ広範にわたって行なわなきゃならぬということになれば、いまの、国鉄のあの貨物ホームがいまあいているのですね、この貨物ホームあたりへ——これは、私はこの間調査してみたんですけれども、民家を移転したらどうでしょう。これは、なかなか官庁のことですからなわ張りもいろいろあるでしょう。しかし、国土庁長官がやっぱり調整をとってやらないと、もう急速に人命、財産に対する影響を与えられるような事態というものが迫っているのじゃないかと私は思うのですね。そういうようなことについてひとつ所見をお伺いしたい、こう思います。
  47. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 先生の御指摘は二点でございまして、最初の一点は、避難命令が出ておるのに、東海道本線は復旧して走ったじゃないかと、これに対する安全の確認はどうしておるのだという点だと拝聴いたしますが、私のほうは、七月の七日二十三時にこの災害が発生いたしました。もちろんこの前の時点にもうこの時雨量及びその連続雨量が列車をとめる限度に達しておりましたので、この前、約一時間前に列車をとめております。とめまして、災害の警備に入っておりましたところが、土砂崩壊がありまして、不通になりまして、約一週間、七月十三日の朝二時開通いたしております。当時避難命令は由比地区には出ておりましたが、私のほうは、災害復旧とあわせまして農林省の許可を得まして、あるいは県でございますか、山のほうに地すべり計を取りつけまして、あわせまして固定警戒要員を由比の構内につけまして地すべり計が鳴動いたしますと、信号機が赤になって列車を未然にとめる、あわせてその固定警戒要員が列車防護をするというような安全の万全の施策をとりましたので、開通をさしたというのが第一点であります。  それから第二点の、由比の構内の貨物の用地があいておるではないかという御指摘でございます。おっしゃるとおり、貨物の集約をいたしまして、駅前の、駅の線路に並行いたしまして貨物用地及び貨物線の一本があいておるというのが現状でございます。これを今後の、あの辺の、由比地区災害復旧総合体制の中で国鉄も協力しろというお話かと思いますが、国土庁あるいは県のほうからお話がございましたら、私のほうも前向きに協議に応じていきたい、かよう考えております。
  48. 松永忠二

    ○松永忠二君 関連。  いまだいぶ詳しいお話を聞かしていただいたんだが、せっかく技術委員会をつくって根本的に検討される。それはことしじゅうに中間報告を出して、それに基づいてまた来年これを検討するというお話ですが、そうすると相当期間がたつという感じがするわけです。その間の第二次災害を防ぐための措置というのは一体どのくらいのことをやればその間心配なしにやっていけるのか、こういう点の見通しはどういうふうに持っておられるのか、ここをひとつ少し聞かしてください。
  49. 横手正

    説明員(横手正君) 由比地区につきましては、当面の措置といたしましては、林野庁なり建設省なりで応急対策を講じますとともに、緊急復旧事業にもすでに実施の段階に入っております。先ほども林野庁のほうから御説明申し上げましたように、今年度三億七千万円余りの緊急事業を実施いたしつつあります。したがいまして、当面の措置はこれで進めてまいりたい、かように思っておりますが、恒久対策ということが同時に必要でありますし、またできるだけ早くと、こういうことになるわけでございますが、この地域は御承知のように長さ四・五キロ余り、奥がかなり広いわけでございます。この地域全般につきまして抜本的な調査を行なうということはいろいろ関係省庁と協議しておりますが、やはり来年度までかかる、こういうようなことでございまして、少なくとも今年度中にはある程度の目安のつく中間答申を得まして、この答申をもとにしまして来年度以降の事業の進め方、これを考えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  50. 松永忠二

    ○松永忠二君 いまのお話で、長官もおっしゃっている点で、応急の措置のことについてこの地帯を林野庁が直轄でやられるという、そういうことについてはさまっているんでしょうか。それからまた、応急工事をすることについての各省の間の連絡ができて、そうしてそれぞれ分担をきめてこういうふうな応急工事をやっていこうという措置がきめられてやられているのですか。各省別々におやりになっているのか、いまの応急工事についても一応のその施行についての連絡協議がされているのかというこの点が一点。それと、それについて国がそれぞれ責任を持って所管をやる、この二つが明確になっていて、そうして技術委員会の検討を待って根本的な対策を講ずる、こういうことなのか、その前段のところをもう一度お話を聞かしてください。
  51. 横手正

    説明員(横手正君) まず第一点のほうでございますが、緊急的な応急工事につきましては、林野庁のほうにおかれては緊急復旧事業、すでに事業の実施に入っておられます。また建設省のほうでも緊急急傾斜対策事業、この事業を進めつつあるわけでございます。したがいまして、当面の措置はこの事業を進める、こういうことになると思います。ただ、これと並行いたしまして、この地区調査を早急に進めて、その調査結果を待ちましてこの地域について必要な事業の量あるいは工法、こうしたものの検討を委員会のほうでしていただきまして、それに基づきまして今後の対策を立ててまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  52. 青木薪次

    青木薪次君 ただ要望しておきたいことは、何百戸という世帯がこの山、地すべりのこの山を生活のかてとしている。それから集団移転をしたくても移転するところがない。毎日生命の危険にさらされながらいま働いている。そのそばをいま言った幹線鉄道や道路が通っている。この現状について、検討中とか調査という段階を過ぎて何とかしてくれという現地の声であることを十分ひとつ聞いていただいて、そうしてこの国土庁を中心にして調整をしながら早急結論を出して、三億七千万といわずにもっともっとたくさんの金を出さなければこの個所についての対策は講じられない。特に私は林野庁と建設省に要望いたしておきたいと思います。  それから、国土庁長官が先ほどおっしゃいました巴川の改修工事でありますが、静岡、清水約七万戸、これが浸水をいたしました。ところが、先ほどもお話に出ておりましたように、沼津の新中川なんかもそうでありまするけれども、全国的にも私は聞いておりますが、河川はんらんいたしますと、そのときには公共関係には被害を与えないんですね。ところが、すぐさま河川が長官おっしゃったようにかわいてしまって、一般民家に対する一般災害がばく大なものだ、ばく大というより甚大なものだということなんですけれども、これらの関係について、当面、次の第二次災害が迫っているわけですけれども、このために二百億かかる。ところが、金を使うのは当面三億三千万円。一体いつできるのかと言ったら、十年ぐらいできないだろう、こう言っているんです。そういうような点について、どういうように国の財政援助を含めて御検討願っているのか、お聞きいたしたいと思います。
  53. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) お答えします。  先生おっしゃいましたとおり、巴川は静岡市それから清水市を流れておる川でございまして、大体流域面積は、約百七平方キロで、流路延長が十七・六キロといういわゆる二級河川でございます。これにつきましては、昭和三十四年からいわゆる中小河川改修事業着手してまいったわけでございます。この川は、そういう市街地を貫流しておりますものですから、いまの川を拡幅するということが非常に困難になっておりますので、計画の上では、いわゆる上流の麻畑地区に遊水池を設けまして、これで約二百立米の洪水調節を行ないます。さらに、静岡市の古庄地先から大谷川のほうへ向けまして放水路を計画しております。この放水路で百五十立米の洪水を分派させるということが骨子になっておるわけでございます。ところが、いま先生がおっしゃいましたように、大事業でございます。計画のほうも、先ほど大きな未曾有の雨というようなお話がございましたが、私どもも計画の立案にあたりましては、都市河川という重要性を考えまして、時間雨量、一時間で九十二ミリという計画でもって樹立したわけでございます。これは今回の雨に匹敵すると思いますけれども、まだいろいろ検討しておりますけれども、いずれにいたしましても、現在工事を進めてまいっておりましたが、一番大きな問題は、用地買収費があまりにも大きいということだと思いますが、御承知のように、四十八年、四十九年におきましては、県、市の御後援がございまして、用地先行ということで、二十四億円を御協力していただいております。これは、いずれ国がお返しするお金でございますけれども、そして、実際の金を実際の事に充てるようにということで、国も県も市もあわせてこれを突っ込んでおるわけでございます。幸い、現地におきましては、用地の進捗状況もおかげさまでだんだん見通しがついてまいっておりますので、私どもは今回の一般災害がきわめて多いということから、今後ともこの巴川につきましては、重点的な配分を行ないたいと、それで鋭意推進してまいりたいと思っております。
  54. 青木薪次

    青木薪次君 いま河川局長は、すぐにもできるような話をされたんですけれども、それは実際困難な話なんですよ。あなたは現地をよくごらんのことだと思うんですけれども、小鹿沢川と国鉄の下を通ってあそこまでいま流していくこの用地の買収は全然できていないんですよ、二十四億円というのはごく一部なんです。それから、麻畑地区における二百立方メートルのこの遊水池についても、この用地の買収ができてないんですよ。そういうようなことから、川の落差の関係もいろいろあり、長尾川というような関係もあり、そういうことをやっていきますと、一体いつ結論を出すのかということを私は聞いているんですよ。
  55. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) おっしゃるとおりで、全体計画、これが完成いたしますには二百数十億のお金がかかるわけでございまして、本年度は三億足らずということで、これを割り算するとたいへんじゃないかというようなことでございます。しかしながら、根本的な抜本的な改修しかこの巴川の改修はないということで、とにかく鋭意進めようということでございます。いまおっしゃいましたように、小鹿沢川も一緒に受け得ることにいたしましてやるわけでございますが、いずれにしましても遊水池にしろ放水路にしろ、たいへんな仕事でございます。しかもここまで計画を立てたということは、重点的にやろうという心がまえでやったわけでございますが、今回の災害にかんがみまして、とにかく一生懸命にやりたいと、それから用地につきましても、地元と一生懸命に折衝いたしまして極力やりたいということしか実は申し上げられないのが残念でございますけれども、とにかく効果のあがるところからがんばっていきたいと思っております。
  56. 青木薪次

    青木薪次君 私は、申しわけないけれども、答弁になってないと思う。したがってこれらの関係については、国の財政援助を含めて早急にこの対策を立てるように検討すると、これぐらいのことは言えると思うのですが、いかがですか。
  57. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま申し上げましたように、大谷川につきまして、一時用地の難行でおくれましたけれども、これを回復いたしまして、この用地もまだ二十四億残っております。こういうものも、鋭意、用地先行あるいはまた国の補助というものを合わせまして、できるだけ早くやりたいと、そういうことを考えております。
  58. 青木薪次

    青木薪次君 それ以上出ないとすれば、きょうのところはそういうことにしておきます。早急にひとつ結論を出すように努力をしてもらいたい、現地の意を十分聞いてやっていただきたいと、こう思います。  それから全般的な問題で、公共土木施設等にかかる激甚災害指定基準等の改正の問題について、先ほど上田先生からも質問がありました。特に激甚災害指定基準については、四十七年の八月十一日の中央防災会議決定のこの基準を緩和して、今回の台風八号及び梅雨前線によるところの大雨災害というものについて公共土木施設にかかわる激甚災害指定するようにしてもらいたいということば、これは全国的な声だと思うのです。このことについて、たとえば市町村の、都道府県ももちろんでありまするけれども、標準税収入の一・〇%、これは現行一・二%でありまするから、相当額を越える災害については特に激甚災害指定するようにひとつ指定基準を緩和してもらいたいというような問題と、それから公共土木施設にかかわる激甚災害復旧事業費等の対象事業の拡大という問題が先ほどから議論されたと思うのですけれども、これらの関係等については、特に都市施設災害復旧事業等については、これは先ほども上下水道という話がありました、あるいはまた私どもは都市公園にしても、公立医療施設にしても、あるいはまたごみの処理にしても、屎尿処理にしても、交通安全施設等の問題についても、これは相当な被害が出ているわけですから、これをひとつぜひお願いいたしたいと思っているわけです。それからがけくずれ等の関係についても、砂防事業全般の問題ですね、これはいままでも申し上げてきたわけですけれども、それと、多発する小規模のこの災害復旧事業ですね、これらの関係等について、いま全国的に私ども回ってまいりましても出ているわけですけれども、この点についてどういうようにお考えになっていますか。
  59. 横手正

    説明員(横手正君) まず激甚災害指定関係でございますが、今回の災害につきまして、当初の被害見込みでは、公共土木施設関係等は適用にならないんではなかろうかという見通しが強かったわけでございますが、その後、詳細な調査の結果が判明しました結果、公共土木施設関係につきましても全国規模の激甚災害基準に該当するということがはっきりしてまいりましたので、農地関係並びに中小企業関係、これもあわせまして早急に手続を進めてまいりたいというふうに思っております。現在のところ、九月早々にも政令の公布の運びにもってまいりたいということで、努力中でございます。  なお、この指定基準につきましても、今回はいま申し上げましたように一応適用になる見通しになりましたが、私どもとしてはこれからもこの基準等につきましては十分検討してまいりたいというふうに考えております。  また、対象事業の拡大の面でございますが、非常に地方団体からの要望も強いところでございます。私ども、関係省庁とも十分相談しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  60. 青木薪次

    青木薪次君 最後にしたいと思いますけれども、河川局長にお伺いしたいと思います。  中小河川のしゅんせつ作業をやっておりますね。これは土砂が流れてきたために非常に川底が上がっちゃったのです。これをやっている。これも実は現行では激甚災害指定になっていないのですよ。これらの関係についてもやっぱり検討してもらいたい。  それから水たまりですね、広範な湛水排除事業というものも現行にないわけですよ。それらの関係等についてもひとつあわせて検討する用意がおありかどうか。
  61. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 公共土木国庫負担の問題につきましての対象事業の拡大——いまの上下水道あるいは公園、先生がおっしゃいました川のしゅんせつ、あるいは湛水したものを吐くという、こういういわゆる都市の中におきます一般災害の甚大なものにつきましては、いま私どもも省内で勉強しておりますけれども、他省の皆さん方ともこれから今後とも検討をさせていただきたいと思っております。  それから、先ほどの御質問で、砂防事業あるいは中小河川事業を大いに伸ばせということでございます。そのとおりでございまして、特に今回の災害を見ますと、ほとんどが中小河川でございますし、それから特にまた都市河川、あるいはがけくずれ、砂防でございます。そういうことで、数年前からもうほとんどいま直轄事業よりは中小河川のほうが全体的に額が上がってまいりました。ますますそういう方向だと思っておりまして、おっしゃるとおりに努力してまいりたいと思います。  以上でございます。
  62. 青木薪次

    青木薪次君 現制度における河川災害応急復旧事業は、一億円以内で三年間で復旧する災害関連事業と、それから一億円以上の予算を伴って四年ぐらいでやるところのいわゆる災害助成事業とある。これらの関係について、ただ現状を復旧したというだけじゃなくて、やっぱり次に曲がりくねったところをまっすぐに伸ばすとかいうようなことを、いわゆる第二次災害防止のために指導して、まあこれは一対一の金になるかと思うのですけれども、ひとつ指導してやらせていただきたい。  それから国土庁長官に締めくくりとしてお願いいたしたいと思うのですけれども、私はやっぱり局部的な問題、全般的な問題について、非常に国土庁がせっかく設置されても、ここまでは林野庁、ここまでは建設省だ、ここまでは国鉄だ、ここまではどこだということで、全く官庁のなわ張りと言っちゃ語弊がありますけれども、悪く言えばそうだと思います。その関係、横の連携がなかなか困難だ。これらの関係について、ひとつ強力な指導体制のもとに早急に防災対策というものについて、防災事業というものについて指導していただきたいということを御要望いたしておきたいと思います。
  63. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 仰せのとおりでございまして、仕事は各省で、それぞれの分野で、やっぱり専門ですからやらざるを得ないのですが、総合的な計画実施につきましては、私のほうでいまでも相当に私はやかましく言って連絡会議を持たせましてやっておる次第でございまして、さいぜんも申しましたように、仕事によっては県の単位ではやれない仕事もある。いま巴川の話が出ましたが、私が言うと約束することになるから、二百億も金がかかる河川をなかなか県の負担を伴ってできるものじゃございません。しかしそれを直ちに、私が直轄にするとは申し上げられません、これは大蔵省の関係もございますし、いろいろありますから。いずれにいたしましても、私のほうで総合的にやらなければならぬ立場でございまするから、事故が起こらないようにするということが第一。起こったらなるべく救済の手を差し伸べるということが第二。それにはただいまいろいろ公共事業の話もございましたが、私は政令でできるかしらんと思っておりましたが、そう簡単にいきません。やはり法律で、激甚災害に対処する特別の援助の法律がありまして、その中には、公共事業もあります、それから住宅のほうは対象になる、学校は対象になる、こう書いてあるのです。公共事業の範囲を広めてくれるということではなしに、それらの事項のうちに、やはりこの砂防法第三条に追加していくことが必要であろうと思うわけでございます。したがって法律の改正が要ります。したがってなるべく早い機会に法律の改正に着手したいとかように考えてやるつもりでございまするから、皆さま方の御協力を切にお願いする次第でございます。
  64. 松永忠二

    ○松永忠二君 いま激甚災害の問題についてたいへんはっきりした御答弁がありました。実は大臣が農林水産関係中小企業関係には適用できるという見通しだということを新聞に比較的早く出された。その際にやはりいま公共土木については少し問題があるようなことが言われて、きょうははっきりと公共土木についても適用になるということをはっきりされた。これはまた非常にいいことであり、いい御答弁があったわけです。そうすると、大体見通しとして、各県の該当する県、それから各市町村、これが明確になるのは大体めどとしていつごろでありますか、そこだけを……。
  65. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 今回の五月二十九日から八月一日までの台風八号及び梅雨前線一つ災害と認めまして、公共事業それから農林関係中小企業関係、おおむね九月の上旬には政令で激甚災害指定をしたいと、かようにいま準備を進めておる最中でございます。
  66. 中村英男

    委員長中村英男君) 午後一時再開することとし、休憩をいたします。    午後零時八分休憩      —————・—————    午後一時十一分開会
  67. 中村英男

    委員長中村英男君) ただいまから災害対策特別委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害対策に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。矢原君。
  68. 矢原秀男

    矢原秀男君 今回の台風八号及び梅雨前線による集中豪雨災害についての状況報告を受けておりますと、総額で四千五百三億九千二百万となっております。いずれにいたしましても今回の災害における多くのなくなられた方々に心からの御冥福を祈るとともに被災者に対しましてもお見舞いを申し上げる次第でございます。  私も災害特別委員会の一員としまして兵庫県の淡路島、岡山県、香川県の小豆島視察をしてまいりました。その他にも兵庫県の相生、赤穂、上郡については七月の七日から八日にわたって現地救援に行っておりますが、これらを中心にして二、三点の質問をいたしたいと思います。  いずれにいたしましても、各地要望については当局もすでに御承知のように、また同僚委員からも御質問がございまして答弁が出ておりますが、第一は激甚災害指定、第二は急傾斜地崩壊対策、第三は小河川対策、第四は個人災害救済、第五は災害復旧事業実施等々の要請が各地域で非常に多くあったわけでございます。これらについては衆議院はじめ参議院の本日においていろいろ質疑がかわされておりますので、重複を避ける意味からも別の角度から二、三質問をしてまいりたいと思います。  まず兵庫県の淡路島の件でございますが、津名郡一宮町という小さな町がございます。ここでも日雨量は三百九ミリ、一時間の最大が百四十五ミリとなっております。人的被害死者が五名、家屋被害全壊から床下浸水まで千二百以上となっております。その他の被害としましても林地崩壊百六十三カ所、施設被害についても河川が八十五カ所、道路については四百九十一カ所、橋梁については十六カ所、ため池決壊については六十カ所、危険が百二十九カ所、農作物の被害については一億七千七百万円、その他災害被害総額が五十億になっております。  ここで問題点を取り上げて質問したいのでございますが、その一つ災害復旧の事業についてここでは三十六災、四十災、四十七災と行なわれておりましたが、私三十六災、四十災については兵庫県下でもいろいろとまだ工事中のところを見ておりますが、一番若い四十七災についても未完成の段階であって今回被害を受けた、こういう問題が出ておるわけでございます。この点について私は端的に申し上げますと、復旧年限の三カ年についてはケース・バイ・ケースのそういう地域によって弾力性を持たしていかなくてはならない、こういうことを感じるわけでございますけれども、この点について答弁を願いたいと思います。
  69. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 建設省関連の公共事業のことにつきまして申し上げます。  いま先生のおっしゃいましたように、従来の災害復旧につきましては三年間ということで、初年度大体三割、次の年大体五割、その次は二割というようなことが従来行なわれておりますが、これはあくまで全体の話でございまして、そのケース・バイ・ケースに応じては、間に合いさえすればできるだけ早くやりたい、ただ大きな工事になりますと、御承知のとおりことしから災害を受けまして来年までわずかな、期間がないということで、物理的に不可能がございますけれども、ケースにおいては従来とも早めた例もございます。
  70. 矢原秀男

    矢原秀男君 わかりました。  次はお隣りの津名郡の津名町でも四十三億円の——小さな町でございますが  被害を受けております。またこれらの多角的な原因についてはあと申し上げますけれども、ここではため池が大小合わせて三千カ所もあるわけでございます。百四十の小さなため池決壊をいたしたわけでございます。ここでは老朽ため池改修については二万トンの貯水量、これが六カ所ございますが、非常に危険状態にございます。こういう大小合わせまして構造力学的な面からいきましても、平地における問題ではなくして、淡路島というふうな、たとえば山地と海面が非常に短い距離にある、しかも高低が急である、こういうような問題については救済策としては先ほども質疑がかわされました。しかしながらその採択基準の面についてはやはり特殊的な地形、こういうふうな問題については明確に基準を取りかえていく、こういう作業に取りかかっていくのが私は当然ではないか、こういうふうに思うわけでございます。この点についての答弁をいただきたいと思います。
  71. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 御説明申し上げます。  今回の災害におきまして、兵庫県におきましてはいまも御指摘がございましたが、県全体といたしましてため池決壊が百五十四カ所ございます。そこの中には相当小さなものと申しますか、国の補助対象にしている以下のものが相当ございます。これでそれに対しましては、もちろん災害復旧として、決壊いたしましたものは復旧するわけでございますが、防災事業といたしまして今後とも老朽ため池対策については推進していかなくちゃならないわけでございますが、ただ採択基準というのは前からきめられたものがございまして、たとえば先ほども御説明したわけでございますが、小規模なものは受益面積五ヘクタール以上という規定がございます。それで確かにいま御指摘がございましたように、傾斜の急のところにおいては受益面積は少なくても危険ではないかというのは事実でございます。それで農林省といたしましてはその辺の実態を十分調査をいたしまして、防災的な見地からそういう老朽ため池の補強工事というのは積極的にやっていきたいとは思っております。ただし、その場合、国の補助事業としてやるのではなしに、これはたとえば農林漁業金融公庫の融資を使ってやってもらうとか、県の単独事業とか、そういうもので一応対応していきたい、そのように考えております。
  72. 矢原秀男

    矢原秀男君 島という特種的なところで、非常に条件が悪いわけでございますので、善処していただきたいと思います。  いま申し上げた地域、いわゆる淡路島の一宮町、津名町、北淡町では非常に豪雨によって災害があった、これは当然のことでございます。しかし、これとあわせてその山頂にあるゴルフ場も非常に被害を深めた、そういう大きな要因になっているわけでございます。それは淡路カンツリー倶楽部の羅漢山ゴルフ場というのがございます。その周辺から流れ出た土砂や水がふもとの地区に、たんぼや家屋ため池になだれ込んで、地元住民の人たちは無防備のずさんな開発原因として、防災工事補償問題等が現在非常に起きているわけでございます。このゴルフ場については十八ホールあるわけでございますが、北淡町、一宮町、津名町、三町にまたがる羅漢山の山頂上部三百四十三メートル、約百平方メートルを造成しているわけでございます。山林の買収は昭和三十六年ごろより四十年までかかって同時に開発造成が行なわれ、四十年の四月十八日にオープンをしたものでございます。これまでの最高という百九十ミリの降雨量もあったわけでございますが、出土した部分土砂が水と一緒に十数カ所にわたってくずれております。しかも、鉄砲水と一緒にたんぼや家屋も埋没、また水びたしになっております。ゴルフ場からわずか百メートルほどしか離れていない北淡町の田尻地区被害が最もひどく、たんぼで十八ヘクタールのうち三分の一が土砂で埋まり、収穫が皆無の状態のようでございます。一宮町の尾崎、そうして津名町の長沢両地区の水害も同じように田の被害が約二ヘクタールにのぼっております。そうして、先ほどお話をいたしましたため池十四カ所が土砂で埋まり、使いものにならないものになっている。こういうふうなところでこの豪雨による一つの大きなゴルフ場というもののそういう多角的な要因というものがここに出てきている。これは私三百メートル以上のところにゴルフ場ができている、これは日本の国で考えたって、早く言えばやはり指導、そういうものがぴしっとなされないとこれはたいへんなことなんですね。そういうことなんですが、私たちがよく調べておりますと、ここにも保安林があるわけでございます。そうなってくると、保安林について解除をされているのか、それとも解除申請がされているのか、こういう問題点がまず大きく話題になってくるわけでございます。この保安林の中には大きな伐採が行なわれておる。道路の造成が行なわれている。排水路等はすべて道路が造成されておりますと、すべて遮断をされている。こういうふうなことで下流の小河川というものが非常に大きなはんらんを来たしている。こういうことでございますが、保安林は解除申請がゴルフ場から出されて、そうして国が許可をしたのかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  73. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、淡路島の淡路カンツリー倶楽部につきましては、昭和三十六年から三十七年にかけまして総延長約四千五百メートルの道路を開設いたしております。ゴルフ場の敷地の中には保安林はございませんが、その道路敷の中約二百メートル間に〇・二ヘクタールほどの土砂流出防備保安林がございます。これにつきまして、無断で転用したものというふうにわれわれは聞いております。したがいまして、正式に保安林の解除申請を出しまして、許可を受けて道路建設したものではないというふうに理解いたします。
  74. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま答弁伺っておりますと、三十六年から三十七年に保安林が無断転用されている、しかも一宮が二千五百メートル、北淡町が二千メートル、四千五百メートル道路で使われている、こういう答弁いただいたわけでございますが、保安林の種類については十七種類あることは当局はすでにおわかりでございますが、そのうちの水源涵養保安林、土砂の流出防備保安林、土砂崩壊防備保安林というこの三つについては、九六・六%はすべて大臣の許可制になっているわけでございます。ですから、治山治水が政治の中で一番大きなこれは問題になるわけでございますが、治山工事の一番大事なこの保安林の問題について、こういうふうに国の所轄になるわけでございますが、三十六年、三十七年、そういう当時から無断転用されて、しかも公務員の人たちがこのゴルフ場に出入りをされている。そういう段階で、なぜ災害が忘れたころにやってきて、それでも黙っているのか。下流ではみんな個人的な非常に被害が出ている。そういう中で保安林の管理、そういうことについてどういう点に問題があったのか、手抜きがあったのか、そういう点を明確に答えてください。
  75. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) ただいま先生御指摘のように、この個所につきましては保安林を無断転用したことは事実でございます。先ほど御説明いたしましたように、道路敷の中約二百メートルの範囲にわたりまして保安林がございまして、これを無断転用したわけでございますが、保安林の管理につきましては森林法で規定されておりますように、農林大臣から都道府県に権限の委譲になっております。したがいまして、都道府県におきまして十分な管理をすべきでありましたし、またそれに対して国が十分な指導をすべきであったと思います。この辺につきましては私どもとしても非常に遺憾であるというふうに考えております。
  76. 矢原秀男

    矢原秀男君 遺憾であるだけではなしに、私たちがいま一番重要視しておりますのは、住民の皆さん方が豪雨という名目の中でこういう欠陥的なゴルフ場という問題点が隠されて、しかも保安林のこういう問題もそのままになりながら、やはり非常に大きな被害を受けていらっしゃる。この個人救済については先般は議員立法で一つ援助の手が差し伸べられておりますけれども、世界で一番高い物価値上がりの中で救済されない人々、そういうことが非常に多くあるわけです。だからそういう立場の中で私も非常に心配をしているわけです。それをあなたが遺憾の一言で済まされているわけでございますが、いまあなたのお話の中でこの道路開発をした、そういうところからは被害は出てないという御答弁ございましたが、いわゆる私たちが小豆島に行きましても、岡山に行きましても、私が一様に目で確かめたのは、岡山の場合のそういう鉄砲水の問題は、れんがやいろいろな材料をとる岩山に問題があるのです。これは自然の問題がありますから行政当局をやかましく言えないわけでございます。小豆島も同じように岩山であるから、流量のこういうふうな計算をしても非常に鉄砲水になっていく、そういうことがはっきりするわけです。これと同じようにやはり支川が乱開発をされて、下流に対するそういうふうな防災工事が行なわれておらなければ、単なる集中豪雨ではなしに、そういうものに加味をした、そういう問題点が全部出てくるわけなんです。ですから私は皆さん方に、あなた方に対して単なる保安林というものが無断転用されたかどうかではなしに、それよりも二段、三段進んだところの下流における防災対策としての責任を当局はどのように考えていくのか、そうしてこれについての手はどのように打つのか、その点を明確に答弁してください。
  77. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 先ほど御説明いたしましたように、この個所につきましては道路敷約二百メーターの保安林が無断で転用されておりますが、保安林につきましては私ども治山五カ年計画によりまして計画的に予防治山、復旧治山、あるいは災害に対応いたしまして緊急治山等で対応いたしておりますし、さらに今後の問題といたしまして、先般の国会で成立さしていただきました森林法の一部改正によりまして、普通森林につきましても開発行為の許可制というものをとりまして目下その準備をいたしておりますし、これにつきましては十月末までに対応できるようにただいま検討を進めておる次第でございます。
  78. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま開発行為の問題をお話になりましたが、それはあれでしょう、現在全国ではゴルフ場が既設のものが六百八十一カ所、六万九百二十七ヘクタール、そのほかに造成中が二百十七カ所、計画中が五百三、こういうふうになっておりますが、いまから許可をとってやるものについての規制の問題、これは各府県で皆さん方の御指導を受けてきちっとした体制をとっておりますから間違いないわけですが、ちょうど既設のゴルフ場のA、B、CのランクからいえばCランクにされるようなもの、たとえば標高二百メーター、三百メーター、四百メーターの非常に高いところにあるもの、そういうものが現に非常に下流に対してそういう局地的な集中豪雨等があればみんな被害を出しているわけです。ですから、そういう既設のものに対して私は心配をしているわけですね。そういう点からいきまして、これ長官、いま申し上げたように全国でこういうゴルフ場がございますが、いまからつくるものについては確かに府県で皆さんの命令を受けてきちっとした規制をやっております。この前も農林大臣が非常にはっきりした答弁をしておりますので、そういうことで保安林についても非常にきびしくしておりますが、現在いま私申し上げている既設、こういう問題のA、B、CのランクでCランク、そうしてもし同じような豪雨があれば下流に対してそういう災害が出てくる、こういう問題は総点検の中で何カ所ぐらいあって、そうしてどのようにいま手を打っているのが、その点についてもしおわかりであればお答えを願いたいと思います。
  79. 横手正

    説明員(横手正君) 私どものほうでは特にそうした見地からのゴルフ場の実態の調査をいたしておりませんので、詳細なことはわかりかねるわけでございます。  ただ、ゴルフ場の規制問題これにつきましては各地方団体におきましてそれぞれ条例なり要綱なり、こうしたものを制定いたしまして、ゴルフ場をはじめ大規模開発、こうしたものに対してのチェックは行なってまいってきておるところでございます。特にここ二年ほど前からこうした問題は地方団体としても重点を置いて取っ組んでまいっておる、こういうような状況になっておるわけでございます。
  80. 矢原秀男

    矢原秀男君 いまどうも誠意のない答弁なんですが、私もいままで県会におりまして、二年前からと言ったって、兵庫県の川西のゴルフ場見てください。下で全部死んだじゃないですか。いまだに工事は完全にできていないですよ。それを県が十分やっているというふうな無責任なことを言ってもらっては困るわけです。住民の立場からは県も国もないんです。すべての行政が国民や県民や市民に対して災害のことに全力は尽くしていかなくちゃいけないのに、いまあなたがお話になっていらっしゃいます規制の問題、先ほど私申し上げたように、明確には今後の開発行為に対しての府県のそういう条例ございまして、ですから、いま申し上げている欠陥ゴルフ場としての続点検、もしいまやっていなければ、今後こういうふうな問題についてせめて総点検でもやってみて、Cランクに指定されるようなそういうところについてはさらに手を加えていかなくてはならない、そういう姿勢があるのかないのか、この点お伺いしたいと思います。
  81. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 非常に盲点のお尋ねでございまして、実はゴルフ場については、国土庁、私としてはたいへん関心を持っておる次第でございます。これからできるものには注意があるだろうけれども、いままではどうしておるのかと、これからつくるものにも、いま実施中及び計画中のものが私の調べでは千五十四カ所あるんです。その面積は何と十二万六千ヘクタールに及んでおるわけでございます。したがいまして、まあいろいろな面からこれは検討しなけりゃなりませんが、ゴルフ場の所管官庁は一体どこなんだと、税金は取ります、地方税で。したがいまして、今後も地方公共団体の長は税金が入ってきますから喜んで迎えるわけでございまするが、国土庁といたしましては、土地管理をする観点からは今後のものについて十分注意をしたいということで調べておる次第でございますが、それじゃいままでのやつはどうしたのだと、御案内のとおり神戸で大きい事故が起こりましたときも、やはり乱開発、ゴルフ場の乱開発でもって起こったのであろうということがあったわけでございまするが、既設のものについて総点検をすべきだと思いまするが、その総点検は一体どこがするのか、こういうことになると、いまちょっと明らかに私はお答えをすることができないのでございまするが、これがやはり事故の今回も原因になっておるといたしますれば、今後各省と打ち合わせまして、ひとついずれにいたしましても再検討はするが、そのする場所は、する役所はどこだと、こういうことにつきましてもあらためてひとつ検討したいというふうに思っておる次第でございまして、非常にいい注意を受けた次第でございます。
  82. 矢原秀男

    矢原秀男君 いや、長官のようにはっきりそういうふうに言っていただければ、私もいまここで結論出しなさい、できないことですから、しかし、いま長官の決意のほどを伺いまして非常に喜んでおります。どうかそういう点またさらに打ち合わせをしていただきまして善処していただきたいと思います。  最後の一点。ひとつは農産物の自然災害時における損害補償についてでございますが、現在天災融資法による災害の貸し付け金の貸し付け対象があるわけでございます。まあこれによりますと、被害の農業者の方については天災、すなわち政令で指定をしておりますものに限るわけでございますが、農作物等の数種類ございますが、平年における収穫量の百分の三十以上、そうしてまた損失額につきましては平年における農業の総収入額の百分の十以上、三番目には指定樹木の損害額が樹木の被害時における価額の百分の三十それぞれ以上でなくてはならない。こういうことになっているわけでございますけれども、私、個人救済という立場の観点からこの幅をもう少し緩和できないのか、まあこういうことでございますが、この点についてお答えをしていただきたいと思います。
  83. 今村宣夫

    説明員(今村宣夫君) ただいまのお話にございました天災融資法の適用対象につきましての被害の程度をもう少し緩和できないのかというお話でございますが、件存じのとおり天災融資法に基づきまして融資をいたします資金は明年度といいますか、次期の作付けの経営の資金であるというふうに私たち考えておるわけでございまして、したがいまして、そういう観点から考えますれば大体いまの基準によって処理ができるのではないだろうかと、もちろん天災融資法の適用につきましてはできるだけ地元の意向に沿い、弾力的に運営をしてまいる必要があると思いまして、従来からもそういうことで心がけてまいったわけでございます。なおまた、天災融資法のみならず、件存じのとおり農業共済につきましては共済保険制度がございまして、被害の程度に応じましてそれぞれ共済金を支払っておるという状況にございます。さらにまた農林漁業金融公庫資金、その他自作農資金等の融通と相まちまして個々の農家の経営なりあるいは家計の安定ということに支障がないようにつとめてまいっておる次第でございますので、そういう観点から今後とも努力を続けていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  84. 矢原秀男

    矢原秀男君 私、いまこの問題取り上げておりますのは、価格安定制度の国の制度を見ておりますと、件名が八点ぐらいに限定をされて、対象市場が中央卸売市場、国の指定産地、こういうことでいろいろあるわけでございますが、実際には自然災害時における損害補償の、たとえば兵庫県で実施しておりますように生産費の相当額を全部補償すると、こういうことについては兵庫県がやっておれば国もびっくりされると思うんですけれども、そんなことできるかと思われるかもわかりませんが、そういうふうにして農業者の方に対するそういう激励なり協力、そういうことを兵庫県ではしているわけでございますが、国は実際にはないわけでしょう、自然災害時の損害補償の兵庫県のような一〇〇%県が補償する。ただし、県のほうも県内の契約出荷の範囲内のものについて限っているわけでございますけれども、こういう点については今後検討される、そういう度合いが目安があるのかどうか、それだけ一言お伺いしたいと思います。
  85. 今村宣夫

    説明員(今村宣夫君) 兵庫県のような手厚い措置につきましては、なかなかそういう形での国の制度化ということはきわめてむずかしい問題ではないかと思いますが、御存じのとおり農業保険制度におきましてはそれぞれの農作物につきまして私たちはその制度の拡充をはかってきたわけでございまして、現在は果樹共済につきましてもその範囲を拡大していく、あるいは畑作物の共済につきましても現在いろいろな試験を行なっておるところでございまして、やはりそういう共済保険制度の制度の上に乗っかってその政府制度の整備拡充をはかっていくという、そういう方向で考えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  86. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃ終わりにあたりましてもう一問だけ質問いたしますが、中小企業対策について中小企業者に対する特別の融資及びこの融資条件の特別措置を講じてほしいという声が各県にあるわけでございますが、特に災害貸し付け限度額が現行では二百万円でございますが、非常に異常な物価値上がり等とかそうして商品と非常に多くやられている、こういうふうな問題点の中で、せめて五百万円ぐらいまで引き上げていただけないだろうか、こういう声が非常に多いわけでございます。この点についてお伺いをしたいと思います。  もう一点は償還期限を一年据え置きとして一律十年としてほしい、そうして貸し付けの利率、現行の六・二%を農林関係と同じように三%まで引き下げてほしい、こういう声がございますけれども、この点について改正する——将来に対してですね、検討されるかどうか、こういうことをお伺いをしたいと思います。
  87. 横手正

    説明員(横手正君) 担当の通産省のほうからお見えになっておりませんので私からお答えいたします。  かねてこの問題地方団体を通じましての要望もありまして、通産省当局のほうではかなり検討はしておられるように聞いております。ただ、まだ結論までには至っていないというような状況でございます。
  88. 神谷信之助

    神谷信之助君 今回の災害被害状況を見ましても、最近の一連の災害と同じように都市化の急激な進展に伴う都市型災害特徴各地で出てきております。これらに対する緊急の手当てについては各委員のほうからも質疑がかわされてまいりましたし、それなりの手当ては打たれているわけですが、問題はこれを今後こういう災害を繰り返さないための根本的な対策、これを急速にどう立てるかということが非常に大事だと思うんです。ですから、そういう観点から若干の質問をしたいと思います。  今回の災害状況を見ましても、第一に都市地域中小河川あるいは準用河川、普通河川管理改修の決定的な立ちおくれということがひとつ言われると思います。  それから第二に、この危険な急傾斜地に対する対策事業の立ちおくれと、それから第三は乱開発に対する防災の観点からの規制の不備、こういったことがあげられると思うんです。言いかえれば国の治山治水対策問題点を、この一連の災害被害状況から見ても浮き彫りにしているんではないかと思うんです。  そこでまず第一に、この都市型災害防止対策に焦点を当てて都市河川の問題についてお尋ねをしたいと思います。総額三百九十六億円に及ぶ大きな被害を受けた兵庫県の場合で、河川決壊個所が全県で千三百六カ所、特に被害が集中した西播地区だけでも矢野川、大津川、長谷川、安室川、角亀川、栗栖川、これらをはじめ二百三十カ所に及んでいます。これが全部ほとんど中小河川であって、普通河川決壊が至るところで起こって被害が拡大されているというようになっております。ところで建設省のほうもことしの建設白書を見ますと、宅地開発、それから建築の高密度化などにより雨水は地下浸透が減少し、かつ、貯留なしに流出するため、下流のピーク流量が増加し、はんらんの危険が増大しているということを強調して、そして治水対策としての都市河川の整備が緊急な課題だというように指摘をしております。  そこでお尋ねしますが、建設省のほうですが、都市地域で白書によりますと、今後十年間に約二倍に都市地域が拡大をするというように見込まれているわけですが、建設省としてはこれに対応する都市河川改修、先行的整備についてどのような目標や計画を持っておられるのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  89. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) お答えいたします。  都市型の災害と、こういうことが今後の重要な課題であることば先生のおっしゃるとおりでございまして、これに対処いたしまして、現在建設省におきましては第四次治水事業五カ年計画のことしが三年目でございますが、その中におきまして都市河川改修が重点的になっておるわけでございます。すなわち都市河川におきます一つの目標は、当面は一時間五十ミリの降雨に対しまして中小河川改修をやるということで重点配賦しておりますけれども、それをリリーフする形で都市小河川改修事業、それから地盤沈下対策河川事業、高潮対策事業等いずれも都市の問題にからみますものに対しましてそういう事業を設定いたしまして、そういうもので応援をしておると、強力に推進をしておるつもりでございます。また、既成市街地河川整備につきましては、整備のおくれている区間を中心といたしまして開始しておるわけでございますが、たとえば東京におきましても一時間三十ミリという降雨に対しまして整備を進めて、これがいまほぼ完了したところでございますが、これに並行いたしまして先ほど申し上げました時間雨量五十ミリに対応する整備をいま進めておるわけでございます。その他市街化が進んでくる区域につきましては、後ほどお話があると思いますけれども、いろいろと開発に伴う大型の開発に対しては河川関係におきましてもよく連絡をとりまして、調整をはかりながら下流改修計画をいま考えておる次第でございます。
  90. 神谷信之助

    神谷信之助君 この都市河川対策を進める上で非常に重要な問題は、都市に数多くある普通河川の問題ですね。まず、普通河川の問題についてさらにお尋ねしたいと思いますが、この普通河川が非常に多くあるのですが、法的に管理責任が明らかになってない。したがって、国の河川行政からも締め出されて実際上は放置をされたままのような状態が生まれているというように思うのです。建設省の資料によれば、全国で約十二万四千本、約二十万キロメートルあるというようにいわれておりますが、この普通河川が、これは法定河川の約七倍、延長でも約二倍に達していますが、このうち十二万四千本、二十万キロメートルといわれる普通河川の中で都市地域の普通河川というのはどのぐらいあるのですか。
  91. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 普通河川の一万二千四百本の中の都市の周辺だけを拾い上げるということでございますが、たまたまそういう仕分けを持っておりませんけれども、ちょうどいま資料がございませんのでその周辺の本数は申し上げられないのが残念でございますけれども、失礼いたします。
  92. 神谷信之助

    神谷信之助君 都市河川対策を進める上でやっぱりこの点は早急に握って、そして根本的に対策を立てるようにしてもらわないと進まないと思うんです。建設白書によりますと、この普通河川のうちで少なくとも一〇%強は早急に改修を必要とされるというように述べておられます。そうしますと、一〇%強ですから十二万四千本の一〇%ですから一万三千本から四千本ということになるわけです。こういう非常に大きい数になりますが、これを具体的にどのような方法で推進をしていくというようになっているんですか。
  93. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) お答えします。  普通河川は、先ほど先生も申されましたように、河川法が準用されない川でございまして、この河川法による管理が行なわれないけれども、地方自治法によりまして地方公共団体が管理されているわけでございますが、この普通河川につきましても流域の開発等、いまおっしゃいますような都市化の進展等に伴いまして国の事務として管理する必要がまいりましたときには、一級河川あるいは二級河川または準用河川として指定いたしまして、河川法に基づく管理を行なうようにこれからも考えていくわけでございますけれども、特に都市地域排水につきましては、いま河川及び下水道との関連が非常に出てくるわけでございますが、そういうことで下水道と普通河川につきましてはいわゆる総合排水計画を立てようということで、建設省内部におきましても都市局と河川局が手をつなぎまして、区域内の普通河川についても具体的な下水道とともにやらなければいけないものができました場合は、その面から河川局が分担いたしまして、普通河川についても河川事業を推進するような努力をしておるわけでございます。
  94. 神谷信之助

    神谷信之助君 この河川法上の規定のない、そういう意味では法的な管理責任が明らかでない普通河川ですね、これに対する対策が決定的な立ちおくれをしているのではないかと思うんです。しかも最近では、普通河川災害に伴って被害住民から市町村に対して損害賠償の請求なんかがやられるというケースもふえてきています。したがって、こういう点から言っても、政府としてはこの河川法を改正をして、この普通河川についての法的な位置づけを明確にする必要があるんじゃないか。それと同時に、この管理責任の所在、これは府県または市町村に対してですが、そういう点を明確にすると同時に、これに対する管理改修に対する財政措置、これを講じて、そして政府としての治水五カ年計画にも組み込んでどんどんとその進捗をはかっていくことが必要じゃないかと、こういうように思うのですが、この点についての検討する意思を聞きたいと思います。
  95. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 今回の災害につきましても特に都市型という災害でございました。したがいまして建設省といたしましても、この二級から一級へという格上げ問題、あるいは準用河川から二級へ、また一級へと、こういうような問題がございまして、私ども目下勉強しておりますのは、いわゆる準用河川という制度につきまして根を広げてきたわけでございますけれども、この準用河川はいま先生のおっしゃるようなところに非常に関係があるわけでございまして、まずこの辺の……
  96. 神谷信之助

    神谷信之助君 準用河川については次に聞きますから。
  97. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) ああそうですか。——まあそういうことでそういう問題も考えておりますし、また普通河川におきましては、先ほど申し上げましたいわゆる下水道との関連から、やはり取り込むものは取り込もうというようなことで、各段階に分けまして地域の開始とともに絶えず見直しておるつもりでございますが、まあ河川法改正というところまではいきませんけれども、さらに内部の判断によりましてクラシファイしながら絶えずフォローアップしておる考えでございます。
  98. 神谷信之助

    神谷信之助君 問題は、その普通河川管理責任を明確にして、それに対して財政措置ですね、それを講ずるのかどうかという問題です。その点を含めて考えていかないと、下水道と普通河川と分けてみたって問題の解決にはならない、この点一つ指摘をしておきたいと思います。  次に、準用河川の問題ですが、この制度でも、現行のままでは、私は実際の効果を期待することはできないんじゃないか、抜本的な改善が必要ではないかというふうに思うんです。四十七年度の法改正で普通河川の準用河川指定が若干ふえてきたということですが、調べてみますと、建設省の資料では、四十八年度末現在で三千六百八十六河川、三百六十四市町村にすぎないわけですね。しかも、この制度をなぜなかなか準用河川制度が運用されないのかという点での根本的欠陥は、第一に、準用河川指定を行なっても、法河川指定をされない限り改修事業に補助をつけない。したがって、改修が事実上不可能であるということと、第二に、逆に市町村に管理権、責任だけが生まれて管理費について何らの財政措置も講じられていないということ、つまり財政力に弱い市町村にとってはメリットはほとんどなく、むしろデメリットのみ持ち込まれていくという点に今日なかなか準用河川制度の促進が進まない原因があるんじゃないかと思うんです。そこで、建設省としては、市町村が準用河川指定した場合、その改修事業については準用河川のままでも法河川並みの補助制度を適用するということをお考えになる必要があるんじゃないか。特に来年度の重点施策の一つとしても、今日の災害状況から見てもこれは検討する必要があるんじゃないかと思うんですが、この点についての御意見を聞きたいと思います。
  99. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 先生のおっしゃいますとおりで、この普通河川を準用河川にすることによって、管理が市町村のほうへいって、はっきり管理だけのことがしっかりするわけでございます。管理だけでだめじゃないかという御質問でございますので、私ども建設省ではやはりこの準用河川の本数をどんどんふやすと同時に、いわゆる補助制度を創設したいんだということで、いま目下検討を十分しておりまして、これから関係御当局にも御相談しようという、ちょうどいまさなかの時期でございます。
  100. 神谷信之助

    神谷信之助君 最近の一連の都市災害状況を見ましても、根本的にあと追いじゃなしに、その災害を起こさせないためにも、これは積極的に建設省としても進めてもらって、実現をしてもらいたいというふうに思います。  次に、都市小河川の補助制度の問題ですが、これもやっぱり問題があるというふうに思うんです。四十五年から発足をした都市小河川補助制度ですが、これは普通河川の法河川への指定促進をする。したがって、改修促進をするということで設けられた制度のようですが、そこで、それじゃ今日までの五カ年ですね、四十五年から四十九年の間で改修事業対象になった河川数、都市数、これは一体どういう状況になっていますか。
  101. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 都市小河川の経過を申し上げます。  四十五年から現在まででございますが、四十九年度におきましては、河川数は百四でございます、それから二十五都市でございます。ついでに、事業費が百十七億ということでございます。
  102. 神谷信之助

    神谷信之助君 五年間でわずか百本余りという実績で、これでは目的を私は達成をしているという状態ではないと、こういうふうに思うんです。問題はなぜそうなっているのかということ、この点で四十七年の十月の行政管理庁の行政監察報告ですね、これを見てみますと、一つ対象地域指定都市、その周辺の市街化顕著な都市、あるいは地方中核都市の市街化区域というように限定がされているということ、それから地元市の財政負担が三分の一で、これが大きいということがあげられています。そこで、建設省自身が、早急に改修を必要とすると認めている普通河川、これは先ほど言いました約一万数千あるわけですが、これを法河川指定をして改修実施するには対象地域を限定をして、人口四十万以上とかいう規定があるようですが、一般市町村にまで一つは拡大をする必要があるんじゃないか、もう一つは、その場合、財政力の弱い市町村の負担を大幅に軽減をするために市町村の負担率を現行の三分の一を五分の一以下にして、国あるいは府県の負担割合を大幅に引き上げる必要があるんじゃないか。今度の小さい市町村、大体人口四十万以下のところで災害がずっと起こっているわけですね。ですからこういった点を検討するつもりはないかどうかということをお伺いしたいのです。
  103. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 今後の対象都市の拡大と財政の問題でございますけれども、都市河川の緊急性あるいは都市の行政的な財政的事情を勘案いたしまして、今後いま先生のおっしゃったものを逐次検討していきたいと思っておりますし、また先ほど申し上げました普通河川から準用河川へというもの、あわせて並行しながらいま検討を進めておる次第でございます。
  104. 神谷信之助

    神谷信之助君 問題は非常に放置されている河川が多いわけですから、テンポがおそいのでは間に合わない。この点もひとつ努力を要請をしておきたいというように思うのです。  次に、がけくずれ、急傾斜地崩壊による問題ですが、これは当委員会調査報告にも出ていますが、急傾斜地崩壊の危険個所というのは非常に多いわけですね。全国六万カ所余りの危険個所のうちで防災対策の必要な法に基づく地域指定というのは一体どれだけあるのか。いわば急傾斜地崩壊危険区域指定地域といいますか、これをお伺いしたい。
  105. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 昭和四十九年五月末現在におきまして急傾斜地崩壊危険区域指定個所は四千百二十二カ所でございまして、今後とも指定促進するよう都道府県をいまいろいろと指導しておる最中でございます。
  106. 神谷信之助

    神谷信之助君 この問題で指定をもっと広げてもらって、そうして採択基準も先ほどありましたが、これをもっと拡大をしてどんどんと広げる、急いでやらなければ人命無視の基準ではないかという意見が強まってきています。建設省のほうでいわゆるがけくずれに対する住民意識調査というのをやられております。これは四十四年に調査をしたもので、急傾斜地崩壊危険個所のうち、急傾斜地法に基づく危険区域指定をされていない個所、まだ指定法に基づく危険区域にはなっていないところの住民の意識調査で、「風水害の中で、あなたの住宅にとって最も心配のあるものは何ですか。」というのに対して、「がけ崩れ」というのが七五・九%、「がけ崩れによる災害をうけると思いますか。」というのが七二・二%、「がけ崩れによる災害を防ぐにはどのようにすればよいと思いますか。」というのに、「がけ崩れ防止工事をする」それからがけくずれの危険な地域、一応調査での危険地域になっているけれども、法に基づく危険地域ではない、その地域に住んでいる人ですね、圧倒的多数の人が対策の緊急性と必要性、これを要求しているということになると思うのです。ところが、なかなか、実際に毎年やられているのは微々たるものであって、四千カ所から指定されているところだけでもいつ終わるのかわからないという状況です。この点について一体どういうようにお考えか、聞きたいと思います。
  107. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) ただいま先生のおっしゃいました住民意識の調査も私どもも読んでおるわけでございます。こういうものの背景におきまして、私どもがとった施策を申し上げますと、まず第一は危険個所の総点検をやったわけでございまして、そうすることにおきまして地域住民に対しまして、危険個所というものを周知徹底をはかろうということをやったわけでございます。そういうことから、いわゆる警戒避難体制を整備しようというのが一つであったわけでございます。二番目は、がけくずれの防災運動の実施をやったわけでございまして、御承知のようにポスターとかパンフレット、講習会あるいは映画までつくったわけでございます。まあ、こういうことで本省におきましても各地方公共団体に対しまして、この広報活動の強化をやった次第でございます。それから三番目は、先生おっしゃいましたように、急傾斜地崩壊対策事業をまだまだ飛躍的に伸ばさなければいけないということでございます。われわれ河川局の中におきましても最も伸びの大きい、これでも倍々とやってきたわけでございますし、来年も倍の要求をしておるということでございまして、人命そのものにかかわる事業ということで、最優先に私どもも考えておる次第でございます。あるいはまた、今後の危険地域指定におきましても、十分心がけていかないといけませんし、またいろいろながけ地の危険住宅の移転問題、いろいろと各、他の法もできております。あるいはまた、われわれのほうも傾斜地保全課もつくりまして総合的にこの問題は最重点に取り上げているつもりでございます。
  108. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、建設白書によりますとこれらの土石流や急傾斜地崩壊による人命の損失も年々増大の傾向にあり、これを強化する必要があるということをいって、「国民の生命と資産を自然災害から防護することは、国民の基本的要請であり、治水事業を今後よりいっそう計画的に推進し、また防災体制の整備を早急にはからねばならない。」ということを建設省自身も言っているわけです。問題はこの河川の問題にしても、急傾斜地の事業を進める上でも、これは抜本的に政府自身が総予算の使い方を変えないと、これはなかなか建設省内だけの問題では解決しないのじゃないか、そういう点から国土庁長官——実力をお持ちの方も見えていますから、防災の事業を進めていく上で河川対策なり、急傾斜地問題、こういった問題について御見解を伺いたいと思います。
  109. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 率直に申しまして、いままで相当に河川のほうへは投資をいたしましたから、もし投資がなかったとすればもっと大きい災害が起こっていると思うのです。しかし、私は治水五カ年計画をずっと集計してみまして、ほかの事業との関係におきまして比べてみますと、わりあいに投資が少ないのでございます。しかし、戦後間もなく荒れ果てたこのときと比べまして、今日はやはり比較的この投資はきいておると思いますが、十分ではございません。したがって、考えられることば、もう少しがんばれば、投資をがんばりやり方を考慮していけば、事故は相当になくなる、災害は妨げるというような考えをしておる次第でございます。したがいまして、せっかく国土庁が総まとめをするような段階になりましたから、治水関係はもちろんのこと、あらゆる部面にわたりまして相当に予備も、予防もやっていきたい、また起こりましたら救済もしたい。こういうふうに考えておる次第でございまして、絶対に絶無というわけにはいきませんでしょうが、投資のやり方によっては相当に改善の道があると、かように考えておる次第でございますから、今後とも努力するつもりでございます。
  110. 神谷信之助

    神谷信之助君 今度の災害の当委員会の先ほどの調査報告にありましたように、工事が中途まできとって、全部完了しておったら災害を受けずに済んだとか、実際に改良工事やられたところでは災害を受けないで、やられてないところが、すぐ隣であってもやられておる。明らかに出てきておるわけです。そういう災害が、しかも最近の高度経済成長の中での新しい都市化の現象やら、それから次に触れますが、乱開発の問題やらが原因になって野放しになっている普通河川あるいは都市河川災害をもたらしておる。ですからこれは急速にひとつ進めてもらいたいということが一つと、もう一つはいわゆる総需要抑制の方針、これとはかけ離れて、やっぱり国民の生命財産にかかわる問題だから、災害を防止する防災の事業、これについては全力をつくしてひとつがんばってもらうということを特に要請をしておきたいと思う。  第三の問題は、いわゆる防災対策をなおざりにしてきたところの大企業の乱開発の問題、これはまあ先ほど矢原委員からゴルフ場の問題が出ましたが、兵庫県の場合、がけくずれが百六十五カ所、山くずれが四百三十三カ所、河川決壊が千三百六カ所、このような被害が主として中国の従貫道、あるいは新幹線の相生駅付近、それから淡路島、こういうところに集中をしております。特にこの従貫道沿いを中心に急速に進んだ大企業のゴルフ場、別荘地、レジャーランドの建設、こういうもののための乱開発、広大な買い占め地の造成土地というやつがほったらかしになっているということで、山地の保水機能がそこなわれて、その結果生まれた土石流やあるいは鉄砲水、これがその被害を大きくしておるということで、淡路の状況は先ほどお話にありましたが、たとえば安室川の決壊で大被害を受けた上郡町でも、被害住民は、上流のゴルフ場建設で今回の水のふえ方がいままでと全く違って鉄砲水になって出てきた、こういうように指摘をしております。あるいはまた赤穂市の鷆和地区でも上流に赤穂カンツリーゴルフ場ができて、それができてから、ここから排出される水量を受けて最近砂防河川の真木川のはんらんが繰り返されるようになってきた。今回もそのために大きな被害を受けたというように報告しているわけです。そこでこういう河川上流において、広大な宅地開発かゴルフ場の建設あるいは過度の切り盛りや森林などの伐採あるいは下流に流出増となる状況下流河川防災が非常に重要になってきているわけですが、これらの開発業者に対して、関連防災事業を国として義務づけているのかどうか、あるいは河川法上はどうなっているのか、あるいは都市計画法上でもできないのか、そういった点はどういう状態になっているのかということをお伺いしたいと思う。
  111. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 河川サイドから申し上げます。  河川上流部に大規模な宅地開発が行なわれると、いまおっしゃいましたように豪雨時の流出が従前より増してまいります。したがってこれに対処する方法が大切でございますけれども、これからの、どう言いますか、国として大きな開発をせざるを得ないというような相手方、たとえば住宅公団等でございますし、あるいは多摩ニュータウンでもいいのですけれども、そういう大型のものでございますと、私ども河川管理者として、事前に協議ができまして、いわゆる開発地内におきまして、調節池をつくって、そこでやはり従来どおりの水を流すとか、まあそういうことが可能な仕組みになっておりますけれども、いわゆる一般のこまごましたものにつきましてはなかなかこういう管理者のほうからクレームがつけたくともつけられないというのが実情でございますし、最後河川にしわ寄せがきてしまうということで、私どもも非常にこの問題を憂慮しておるわけでございますが、はっきり対象がわかったものにつきましてはとにかくよく連絡をとって、やはりその中からちゃんと調節されたものが流れるような指導を今後していこうということでございますし、先ほど申し上げましたような住宅公団等についての関連の問題は、調節池事業についても防災調節池事業費補助というものを予算計上しておる。そういうことはできるのですけれども、そういう網にかからないものにつきまして非常に憂慮した事態になっております。
  112. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほども答弁の中で、地方公共団体が条例なりあるいは指導要綱なりつくって、まあ規制はできるだけするようにしているというお話です。事実、私も調べてみますと、千葉県のほうで、これは河川担当者の報告、「河川」に出ていますが、これで見ますと、宅地開発指導要綱だけでは防災の問題は縛れないということで、特別に雨水排水協議基準というものをつくってそれでやっていますね。それで、それは千葉県における近郊整備地域内の河川について現在計画または予測されている宅地開発、その下流部指定区間部分対象にするとすれば、それだけでも総額千七百億円の改修費を必要とするわけです。だからもう県としてはたまらぬということで、雨水排水協議基準というのを策定をして、そうして一ヘクタール以上の宅地、ゴルフ場開発者に対しては、一つは事業主(開発者)負担による河川工事義務、第二に河川工事完成前の開発行為を禁止するということを基本に義務づけて開発許可の条件としているわけです。そういう、これは千葉県の場合はちょうど本に出ていましたから知ったわけですが、このような指導基準指導要綱を自治体でそのほかに持っているのはどの程度ありますか、自治省にちょっとお伺いしたいと思うのです。
  113. 大畑耕治

    説明員(大畑耕治君) 私どもで従来ちょっと調べました限りのものは、市町村につきまして宅地開発指導要綱について調査したものはございますが、ちょっと資料が古うございまして、最近のものはちょっと手元にございません。
  114. 神谷信之助

    神谷信之助君 いままでは、宅地開発の場合は、公共用施設の用地取得とか分担金とかいうのはずっといま触れてきているわけです。問題は、防災の観点からそういう規制をしていくというのは非常に少ないじゃないかと思うわけです。しかし、現実にはどんどん、先ほどもありましたゴルフ場も出てきていますし、それから宅地開発がどんどん進んできています。しかしこれが自治体の強制力や罰則を伴わないところの行政指導だけでは、これはとうてい十分やれない。現に宅地開発について、用地取得だけでもそれを義務づけて、条件に付して裁判になっている自治体も出てきていますから、まして河川改修その他先ほど言った調整池の設置なんかを含めますと、これはたいへんなことになってくるわけです。したがって、これは法的な裏づけをどうしても必要とするんじゃないか、これを自治体がかりにやるとすれば。ですから、特にその点では国土庁長官にも御見解を伺いたいと思うのですが、第一に防災上の観点から開発をチェックする、そういう民主的な審議の機関をつくってチェックをするということ。それから第二に開発に伴う防災対策事業、下流河川改修などを含めまして、これを開発事業の実施の前に行なわせる、そういう義務づけ。それから第三は開発者による費用負担の原則。それから第四が違反者に対する罰則。第五に開発行為の不備に起因する災害被害に対する損害賠償義務。こういったものを少なくとも内容にして法的な規制をやっていかないと、今度の災害に見られるような災害が起こって、そしてしかもそれは一方的にその被害住民被害自治体とそして国がかぶらなければならぬ、いわゆるそういう結果になってしまう。その点はひとつどうお考えになるかということと、先ほど矢原委員からも出ておりましたが、緊急措置として今日ある全国のゴルフ場周辺及び一定規模以上の宅地開発及びその予定地について防災対策の総点検を緊急にやって、これらに対する対策をすべきだと思うのですが、その点についての御見解を国土庁長官にお伺いしたいと思います。
  115. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) いろいろ御提案がございましたが、開発というのはまあ自然に手をつけるということでしょうが、いままでの開発で確かに反省しなければならぬ点は多々ありますが、まあこれからは開発者もだいぶん反省をいたしまして、やはり開発することによって一口に言えば地域住民がどういうような影響を受けるかということ、地域住民が不安にかられないかと、安全であるかというようなことの姿勢がまあ第一番に必要であろうと私は思いまして、また開発者を、そのような姿勢をとるように今後は指導をしていきたいと思っております。開発をすれば何らかの影響が開発をしない部分にも及ぶじゃないかと、それについての法的な制度を考えられないかということでございまするが、それはものによっては考えられます、制度は。しかし、ものによってはそう考えられないものもあると思いまするが、要するに開発で大事なことは開発をする姿勢でございまして、いままでがあまりに乱開発でございましたから、開発と言えば何か悪者のようにとられて誤解されておると、ほんとうの開発は国民のために生活のために開発するのでございまするから、その開発によって地域住民にどういう影響を及ぼすかというやはり姿勢が必要じゃないかと私は思っておる次第でございます。あまり答弁になったか、ならなかったか知りませんが、そういうように考えておる次第でございます。
  116. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほどもゴルフ場の規制をどこが担当するかというような問題が法律的にもはっきりしていない状況が出ていますように、防災を総合的にちゃんと今度は国土庁がやるわけですね。そういう点ではいま言った防災の観点からの規制というものはほんとうにないわけですね。しかも、それを総合的にやるところは。この点をひとつ特に強調してやってもらいたいというふうに思います。  それで、あと時間がありませんので、簡単な問題ですが、三点だけひとつお尋ねしたいと思います。  一つため池の問題です。これは先ほど上田委員からも質問がありましたが、淡路で二万七千個ため池があって、その実に九六%までが五ヘクタール以下の小規模のため池で占められているというわけですね。したがいまして、国の補助制度に達するのはわずか四%にすぎない。この大規模ため池改修の採択基準に乗っかるため池というのはわずか四十八カ所だというように聞いております。そこで採択基準を引き下げてもらいたいという要請は非常に強いわけなんですが、それについて農林省のほうでは小規模なため池改修は公共性がないというような面とか、あるいは改修は主として土地改良事業としてやっていくので、農業用の観点ですね、こういう点から、この事業自身、事業の制度自身が行き詰まっているというような点が、小さいため池に対する改修、改良工事を進められない障害になってきておるというように思うのです。ところが、現実には今日農業そのものが崩壊をしてきておりますし、そして関係農民の中で、ため池改修を含むところの土地改良投資への意欲とかあるいは資力、これが減退をしてきております。しかし一方ではこの淡路の災害でも見られますように、上の小さい老朽したため池決壊をして、次々と玉突きで被害を大きくしてきておりますね。こういう状況も生まれてきております。したがって、これらの状態、農業条件も変化をしてきておるわけですから、私は単に農業政策の観点からため池改良事業だけではなしに、防災の観点からのため池改良事業、こういうものを検討して根本的に対策を立てないことには、淡路だとか小豆島のようなところとか、そういうところの危険な状態を解決することはできないのじゃないか。これを先ほどの話では、金融公庫の融資でやってもらうようにしたいというお話でしたけれども、そういう意欲を持っていない状況が生まれてきておるわけです。専業農家というのは減ってきているし、淡路島のようなところは段々畑ですから、それほど収入がふえるわけではなし、融資を受けても返さなければいかぬわけですから。そういった問題が放置されておって手はつけられないし、それが今度の災害原因の端緒になってきているわけですね。こういう状態を解決しようとすれば、防災の観点からのため池改良事業というものを検討する必要があるんではないか。こういうように思うんですが、この点についての御検討をしていただきたいと思いますが、その点どうでしょうか。
  117. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 老朽ため池の採択基準につきましては、一応受益面積五ヘクタール以上という基準がございます。これにつきましては、いろいろほかの一般の土地改良事業に比べまして、相当に優遇されておるわけでございます。それで、その他のというか、採択基準に満たない分につきましても、相当危険なものがございます。したがいまして、その危険なものにつきましては、先ほどから御説明いたしておりますように、県営の単独事業なり、融資事業なりで早急に対応したいというふうに考えております。しかしながら、一方におきまして、御指摘のように受益地域内の農家が離農いたしましたり、受並地がほかのほうに転用されたりいたしまして、やはり管理体制において相当な問題が生じてきていることも事実でございますし、それから老朽ため池復旧しようと思いましても、地元負担と申しますか、それぞれの担当の事業費が割り高につくのも事実でございます。したがいまして、その辺の問題につきましては、われわれも大いに意識しているところでございますから、県それから市町村を指導いたしまして、今後このような老朽ため池管理体制をさらに一そう強化をいたしまして、防災的見地からも遺憾のないようにしたいと、かように存じております。
  118. 神谷信之助

    神谷信之助君 次に、これは今度の調査で具体的に要請を受けたわけですが、備前市の井田で宮山山腹に幅百メートル、上下五十メートルの亀裂が生じた、備前市で災害救助法を適用して、そういう状態が起こりましたから、がけ下の六戸に対して避難命令を出したわけです。初めは保育所に避難をしたんですけれども、水が引いたからといって帰れないわけです。ですから、とりあえず緊急避難のためのための住む六戸の住宅を約一千万円の金を使って建てたわけですね。そして、いまなお——災害済んでから二カ月近くになりますが、ボーリングをやり、あるいはハッパをかけて地質調査をやっているわけです。ですから、その六戸の住宅は、そのものがまだ損壊をしていません。残っているんだけれども、だからといって、そこに住むわけにいかない。で、危険ですから避難命令を出したのだけれども保育所や学校に長期にわたって収容するわけにもいかぬ。そこで応急の施設住宅を六戸、約一千万円でつくった。これがなかなか救助法の対象にならないという問題が起こっています。しかし、これは厚生省のほうにお伺いしたいのですが、あるいは災害対策室のほうでもいいですが、応急の仮設住宅とみなすことができないのか、あるいは避難所としてみなして、これに対して一定の補助対象にするということができないわけですか。できないとなると避難命令は出してもほったらかしというわけにもいかぬわけです。まさにこれは不公平、不合理になってくるわけですね。だから長期の避難所とみなすか、あるいは応急の仮設住宅——全壊はしてないけれども、そこに家があっても住めないのだから、全壊的な、あるいは全壊とみなして応急仮設住宅として補助の対象にするというようなことの弾力的な方法を考え、あるいは何らかの救済措置を考える必要があると思うのですが、この点について厚生省なり関係機関の見解を聞きたいと思います。
  119. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) 先生がいま御指摘になった件につきましては、従来の災害救助法の運用の上では補助対象にならないケースでございます。しかしながら、先生が御指摘になりましたように、市町村長が避難命令を出しておきながら、それに対して何らの措置もないということは制度上の不公平という点は確かにあるだろうと思っております。現行災害救助法の解釈に幅が持たせられるものかどうかということについてはいま一度関係省庁とも連絡し合った上でよく検討してみたいと、かように考えております。
  120. 神谷信之助

    神谷信之助君 この点はひとつ十分検討してやってもらいたい。少なくとも特交の対象にはして、やはり少しはめんどうを見るということを悪くいってもやってもらうということをお願いしておきたいと思います。  それから、次は文化庁関係ですが、先ほど質問がありました大阪城の石垣の問題です。管理団体はきまっていないということでしたが、管理責任は文化庁にあるのか、どうか。この点ちょっと明確にしていただきたい。
  121. 吉久勝美

    説明員吉久勝美君) 現行文化財の保護法上いわゆる史跡管理責任につきましては、管理団体指定された場合には管理団体管理団体指定されてない場合には所有者というふうに相なっておるわけでございます。私どもとしましては、当該史跡所有者も数多くございますし、また史跡としての保存上管理団体指定するのが望ましいと考え準備をいたしておったわけですが、指定するに至らない状態で今度の災害があった。その点私ども遺憾に存じております。文化庁長官ないしは文部省としての責任としましては、管理はそういうことで所有者または管理団体が行なうわけでございますが、いろいろ管理なり、あるいは復旧について指導いたしたり、あるいはいろいろ措置をする、命令、勧告等する場合もあるわけであります。また必要な場合に補助金を出していろいろ仕事をさせるということもあるわけでございます。そういう意味での責任はあろうかと思いますが、管理責任といたしましては、先ほど申し上げたように、所有者もしくは管理団体があるというのが現行法のたてまえと相なっておるわけでございます。
  122. 神谷信之助

    神谷信之助君 この点は、地元のほうは史跡指定をされて、そしてその史跡の中の石を動かすこともできないし、どうにもすることができない。それで、その石がころがってきて、そして人的、物的損害を受けている。この賠償責任というか、補償の責任は一体どこに持っていくのかということで非常に強い不満があるわけです。で、管理団体をきめなかった責任、今日まで、先ほども質問がありましたが、二年にわたってきまらなかった責任についても、ひとつこのいまの史跡として指定されたら、もうその所有者管理責任がきてしまって、と言って管理に対する保障も何もない。これはだいぶ片手落ちだと思うのでひとつ検討をしてもらう必要があると思う、検討をお願いしたいと思うのです。  この点ですが、国土庁長官最後にお尋ねをいたしますが、先ほどからも各委員からも出ていますが、災害復旧被災者救済を妨げている大きな問題の一つに、やはり災害救助法など現在の関係法規が政府の責任を明らかにしない。そして生活の再建はあくまで被災者の自力でやらせるというたてまえをとってきているわけです。これをまあ先般議員立法で個人救済の穴をやっとあけることができたんですが、しかしなお、今日被災者状況を見ましても、自力で畳の入れかえやあるいは家屋の修復を行なわなければならぬし、あるいは水害を受けた商品についても何らの補償もない。あるいは被害を受けた農産物についてもそれは共済でやりなさいということでほったらかしている。こういう状態がそのまままだきているわけです。で、私は、このような被災者に直ちに必要な救援の措置をとることこそが政治の責任だと、こういうように思うわけです。したがって政府が、激甚災災害救助法の発動に見られるように、発動したところだけは救援するというような、あるいはその中で一定部分しか救援をしなさいということじゃなしに、すべての被災者あるいは被災自治体に国が責任を持って救援復旧事業を行なうことが私は緊急に必要であるというように思うんですが、これを今後ひとつ実施をするという方向で御努力をいただく意思があるかどうか。したがってまあ、それに基づいて自力回復を押しつけている現在の法律などを改めて個人被害に対しても救済ができるような措置を具体的に講ずる意思をお持ちかどうか、この点を最後にお尋ねしたいと思います。
  123. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 現在の現行の災害基本法も、それは国も責任を持ちますし、地方公共団体のそれぞれも責任を持ってください、やはり被害を受けました人もそれはある程度のやはり、不幸ではあるけれども、やってもらわなければならぬことはある、ということをうたっておるのでございます。しかし、いまあなたが申しましたように何さま被害をこういうことで偶然に受けるということはたいへんでございまするから、国並びに地方公共団体の責任の範囲を広げる、なかんずく国の責任の範囲を広げるということは、これは法の運用上、この基本法から出ておるもろもろの法律がたくさんありまするが、その範囲を広げていきたいということは当然考えておるわけでございます。したがいまして、基本法それ自身に手をつけるか——まあそれはいま考えてはおりませんが、それをもとにしましたもろもろの法律、運用上の法律については、できるだけひとつこれは現在の災害状態にかんがみまして改善をしていきたいという気持ちを持っておるわけでございます。まあ、個人の救済につきましては、従来は政府は対個人に対するわけにはいきませんので、災害と申しましてもいろいろなことがございまするから、そういう態度をとっておりましたが、幸いに議員立法で措置がとられたことは政府としてもまことに喜ばしい次第でございます。その点につきましても、いまの状態ではまだなまぬるいというようなことの想像ができますので、それにつきましても、皆さま方の御協力を得まして、個人に対しても非常に救済の手を差し伸べたいという考えはいたしておる次第でございます。
  124. 藤原房雄

    藤原房雄君 午前中からいろんな角度から論議がありましたんですが、なるべく重複を避けましてお聞きしたいと思いますが、何といいましてもこのたびの災害は五月から六月、七月、八月中、非常に長期にわたります——こういうこともかつてなかったことだと思うんですけれども——災害でございますので、またその地域地域によりましていろんな特質がございます。そういうことで急傾斜地の問題についてはどうするかとか、中小河川はどうするかとか、こういう問題がいろいろ提起されたわけでありますが、少なくとも私ども、先ほど報告申し上げましたように視察してまいったわれわれの立場といたしまして、やはりこの目で見てきたところにつきましては惨たんたる状況でございます。いまだかつて測候所が観測したことがないようなたいへんな降雨量であるという、そういう異常な状態であったことは事実ですけれども、しかしその大きな被害をもたらしたその被害原因が必ずしも天災とは言い得ない、先ほど来いろんな論議のあったような状況でございますので、私ども調査に行きましたとき一緒に各省の方々もおいでいただいたわけでございますし、また災害がございましてからもう相当の日時もたっているわけでございます。そしてまた、私ども調査した以上はやっぱり地元に対してある程度——たいへん熱心な陳情もございましたので、そういうことからいいまして、ただ一片の報告として終わってしまうというのじゃなくして、私ども五名は三重県、愛知県のほうへ参ったわけでございますが、ここでおもな問題について各省からひとつ、現在までの検討なさった内容、まあどこまでこの問題については検討したのかということ、ちょっと御報告いただきたいと思うのですが。  一つは、愛知県のほうについては、海抜ゼロメートルの、地盤沈下によりましてのゼロメートルの問題がございました。それで上流の都市化に伴います問題もさることながら、河川改修とそれから大型排水機の設置、これは地元で強い要望がございました。  それから蒲郡におきましては、林地土砂くずれによりまして蒲郡の優良なミカン園崩壊したというところもございました。これも緊急治山事業として早急に対策を講じなければならないことだと思うのですが、これらのことについて。  それから三重県についても、北勢、中勢、ともにたいへんな降雨量であったのでありますが、桑名市を中心としますゼロメートルのやっぱりこの排水の問題それから中小河川の問題総括的には質疑はございましたけれども、私どもの先ほどの報告を中心といたしまして各省で検討なさった面について、どうかひとつ、建設省、農林省、おのおのの担当分野で御検討なさった現状をひとつ報告いただきたいと思います。
  125. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 建設省の河川関係を申し上げます。  いまの先生のは三重県、愛知県の関係でございますのでそのほうから申し上げさせていただきます。  最初にお話がございました愛知県のゼロメーター地帯の日光川の関係と存じ上げますが、これにつきましては実情が非常によくわかりました。ここはゼロメーター地帯でございまして、農業ポンプ排水がどんどんと日光川に出されるので、日光川があふれてしまうというたいへんな事態がございまして、この解決は現在進めております蟹江の排水ポンプ、建設省といたしましてはポンプの完成を急ぐとともに、河口におきましても名四国道のところにちょうど日光水門がございますが、ここに大型の排水機を備えつけなければいけないだろうということで、これから関係当局とお話を詰めたいという覚悟でおるわけでございます。全般を通じまして、三重県もそうでございますが、いずれも地盤沈下のところで、一般中小河川のみの改修では非常にむずかしいという点がございます。  いま目下一番急いでおりますのは災害査定でありまして、これによりまして現在の災害復旧につきましては、いわゆる災害関連事業あるいは助成事業というものを今回の激甚なる災害ということで弾力的に運用させていただきまして、早く改良復旧のほうへ姿勢を向けるとともに、中小河川の整備とともに今度は高潮対策という一つの事業の面からこれをリリーフしてみたいということと、地盤沈下対策というような、河川から見た地盤対策事業というものをこれに合わせまして、今回の愛知県並びに三重県におきますいわゆるゼロメートル地帯一般災害に対しまして対処いたしたいということで、来年におきましても重点的にこの面を考える所存でございます。  また土砂くずれその他につきましても、緊急を要するものは緊急的な処置をとっておりますし、また今後の対処にいたしましては、おのおのみな現地を視察し、査定に入っておりますので、その結果をもちまして遺憾のないようがんばっておるつもりでございます。  簡単でございますけれども、概略を申し上げました。
  126. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 農地農業用施設関係の御報告を申し上げます。  先ほど御指摘がございました愛知県の日光川沿岸関係でございますが、日光川沿岸には相当広範囲にわたりまして農地がございまして、その排水事業についていろいろと苦慮しているところでございます。今回の集中豪雨によりまして、特に日光川本川の水位が上がりまして、排水が一時不能になるというような遺憾な事態が発生したわけでございます。したがいまして、農林省といたしましても、こういう事態にかんがみまして、内水の排除と合わせて、日光川の対策をどうしたらいいかということを建設省御当局とも十分打ち合わせをいたしまして、今後かかることのないようにということで、県並びに国の機関を動員いたしまして早急に調査をいたし、恒久的な対策を検討いたしたいと存じております。  それから農地農業用施設災害復旧についてでございますが、特に査定の早期開始ということと、早期復旧だろうと存じます。これで、査定につきましては、現に相当数の人間でもって査定に入っております。したがいまして、この査定のでき次第、予算措置をいたしまして早期復旧をいたしたいと存じております。  特に査定設計につきましては、従来とも農地関係につきましては、件数が多いということがございまして、時間がかかっていたようでございます。したがいまして、本年度からは査定の設計書の作成につきまして、特に五十万円未満につきましては、その作成を簡略化いたしまして、査定設計書の早期作成ということにつとめているところでございます。  それから災害復旧につきましても、いろいろといわれておりますとおり、単なる復旧のみにとどまらず、改良復旧的な要素のものも入れまして、将来とも再度災害が起こらないようにということで復旧をする所存でございます。
  127. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 山地の災害についてお答えいたします。  山地の災害につきましては、次の降雨によって人家とか公共施設に直接大きな被害を与えるおそれがある個所につきましては、大半その査定を完了いたしまして、大蔵省とも協議いたし、八月の三日に総額で約二十三億各県に内示いたしまして、早期復旧を指示した段階でございます。
  128. 藤原房雄

    藤原房雄君 早期査定、早くに査定をしてかかっていただかなきゃなりません。われわれも調査班として行かしていただいた以上責任があるということで、今後ひとつなしたことについては委員会を通じて御報告していただきたいと思います。  このたびの災害を通じて私ども感じますことは、大きな災害がどかっとあったというんじゃございませんで、各地に散発的な被害が発生しておるということでございます。これは考えようによりますと、日本全土至るところにこういう災害をこうむる危険な状態があるんだということで、雨量未曾有雨量であったという、時間単位にいたしましても、また一日の雨量にしましても、雨量の多かったことは、これは否定できませんけれども、こういうことから考えまして、今日まで高度経済成長の波に乗って公共事業というものは道路整備中心になされてきたわけでありますが、それに伴って、住宅それから下水道、公園とか、都市問題に関連する問題もなされてきたとは言いながら、どちらかというと、生活環境整備の問題については非常におくれをとっておるということはいなめない事実だと思います。  こういうことからいたしまして、私どもは、今度の災害雨量が多かったということだけではなくして、やはりいままでの国土保全ということや、防災行政という、こういう面について非常に大きなことをわれわれは教えられたのじゃないか。何十年に一ぺんとか、何百年に一ぺんとか、先ほどもお話ございましたけれども、だからといって手を抜くわけにはいきませんし、当然こういうような状況の中にありまして、人命尊重ということから十分な対策を講じなければならない、これは当然なことだと思います。  私どもは、いまかくも申し上げたように、今回の八号台風梅雨前線によります被害というのは、いままでのように、伊勢湾台風のように一つのところに大きなものが一ぺんにどかっときたというのじゃないというように考えておりますし、やはり生活環境整備の非常なおくれや、自然災害からの国土保全、こういうものに対して完ぺきな体制をこれから組まなければならない、こういうことを痛切に感ずるわけですけれども、政府といたしまして、このたびのこの五月から八月にわたります災害を通じて、この災害状況というものをどのようにとらえていらっしゃるのか、概括的な点についてちょっとお伺いいたしたいと思います。
  129. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) いま藤原さんが言われましたように、全般的にあれぐらいな降雨がありますと、どこにあってもこれは相当なやっぱり被害を受けるいわゆる弱点を日本列島は持っておると思うのです。したがいまして、従来とも政府はその辺につきましては、やはり河川をはじめいろいろ投資はいたしておりまするが、まだ十分ではないと思います。  かてて、加えて、やはり今後は被害を受けるところの施設はますますふえてくるわけでございますし、昔も相当にいまのような降雨があったと思いまするが、わりあいに被害が少なかったというのは、施設それ自身がなかったからでございます。  したがいまして、政府といたしましても、各省を通じてひとつ、第一番には防災、第二番にはやはり事故が起こった場合の救済ということについて万全の措置をとっていきたいと考えるわけでございます。  当委員会災害対策委員会でございまするから、ひとつ皆さま方のお知恵を拝借しまして、ひとつできるだけこの防災の強化につとめてまいりたいという考えを持っておる次第でございます。
  130. 藤原房雄

    藤原房雄君 とかくにこの災害対策というのはあの始末的な問題に終始しておるということで、いままでも当委員会におきまして、改良復旧事業、これを可及的すみやかになすべきであるという、こういうことがいつも論議になるわけでありますが、そういうことから脱却いたしまして、予防的な運用といいますか、これから都市化の進行によっていままで考えられないような中小河川都市河川はんらんとか、急傾斜地等についても山林伐採等によっていま問題が起きておるわけであります。そういうことは十分考えられることもありながら、とかくにいままでの行政的な考え方で終始しておるというところに問題があろうかと思いますので、積極的な——災害対策委員会というものも、災害対策じゃなくして、予防的な運用という積極的な姿勢で臨まなければならぬ、大臣のいまのお話もそういうように受け取りたいものだと思うのであります。  そこで、激甚災害指定のことですが、先ほども論議がございまして、これは五月から八月までの災害については現在大体指定になるんじゃないかというお話ですが、そうしますと八月の初めに山形県、秋田県に災害があったわけでありますが、あそこまで入るということになりますでしょうか。
  131. 横手正

    説明員(横手正君) 今回の激甚災害対象となります災害は八月一日までといたしておりますのは、山形、秋田地区災害も含める趣旨でございます。したがってこの地区も入る、こうお考えいただいてけっこうであります。
  132. 藤原房雄

    藤原房雄君 災害が起きますと激甚災害指定をということが必ず出るわけでありますが、これはもちろん激甚災指定いただきますと、補助率がかさ上げ等ございますから地元としては、そうでなくても超過負担に悩んでおります地方自治体としては是が非でも願い出るのはこれは当然のことだと思うのでありますが、現行の激甚災害指定基準ですね、これもいままでの基準のあり方でいいのかどうか、検討すべき段階にきたんじゃないかというふうに私は思うのであります。五月から八月までの一連の災害をトータルいたしまして、いわゆるこの激甚災害に、農業や中小企業については早くから言われておったわけだし、公共事業等については適用になるかどうかということもございました。これは非常に今回、不幸なことにといっていいのか、幸いといっていいのか、長期にわたったがゆえに、また八月に災害があったので激甚災指定になる。先ほど冒頭に申し上げましたように、非常に何県かにわたって集中的にということでございませんで、局地的なものが多いという、こういうことになりますと、今回のような災害というのはなかなか激甚災指定を受けにくいという、しかもその原因として降雨量が多いということもさることながら、乱開発やいろいろな都市化の進行とか、いままで考えられないようないろいろな要件が出てきておる。こういうことから事業費が当該年度の標準税収入の四%とか、B基準では一・二%とかあるわけでありますが、これに該当するということになりますと、相当な被害がなければなかなか該当し得ない。今度のように、もし八月の被害がなければこれは公共事業についてはならなかったんじゃないか、こういうことで、局地激甚という制度もできてはおるわけでありますけれども、今日のように中小河川災害が集中しておったり、また散発的なある局部にひどい集中的な豪雨がきておるという、こういうことからいたしまして、いままでのパターンとは変わった形になってきておる。こういう時代の推移に伴ってのやはり考え方というものは、時代の推移に伴ってやはり検討する余地が出てきたのではないかという、このように私は思うのでありますけれども、この間の問題についてはどのようにお考えでしょうか。  それからこの災害について、住民生活に非常に深い関係を持ちます公共土木施設関係基準というのは非常にきびしいという、それからまた負担法によりますと、「河川」とか「海岸」「砂防設備」「林地荒廃防止施設」「道路」「港湾」「漁港」と、こうなっておりますけれども、最近の都市化の進行によりまして、下水道とか公園とか、こういう都市施設、こういうものが負担法の中にも入っていない。こういうことも考え合わせて一応この災害に対しての最近の、何もことしだけじゃ決してないわけでありますけれども、最近の様子からいたしまして、やはり現時点に即した形のものに考え、検討するべきときがきたのではないかというふうに考えるわけでありますが、その点について、どうお考えになっていらっしゃるのか、検討する御意思があるのかどうか、また今日までそういうことについてお話し合われたら、その話し合ったことについてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  133. 横手正

    説明員(横手正君) まず第一点のほうでございますが、公共土木施設関係の激甚指定、これは今回の災害を長期にしたためにようやくすべり込んだというわけではございません。実は当初速報的な被害の見込み額をとったわけでございまするが、その段階においては非常に困難ではなかろうかというふうに見ておりましたが、その後道路復旧その他によりまして奥地等の被害が詳細に判明しました結果、公共関係も非常な被害額にのぼった、こういう状況がございまして、激甚の基準に該当すると、こういうことになったわけでございます。ただ私どもも今回、まあ不幸と申しますか、何と申しますか、被害が大きくなったために基準に該当したから基準の検討はほっておいていいとは思っておりません。これからもそうした激甚関係指定基準、こうしたものについては引き続き検討は続けてまいりたいというふうに考えております。  それからなお公共土木災害負担の関係でございますが、国庫負担法の関係でございますが、その対象事業が現在限定されておりますが、都市施設を加えたらどうかというようなことにつきまして、私どもも建設省と連絡をとって検討をいたしておる最中でございます。なお詳しいことは建設省さんのほうから御答弁があるかと思います。
  134. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 都市施設国庫負担法の対象にしたらどうかというお話でございますが、ただいま国土庁のほうから申されたとおり、いまわれわれ内部のほうでいろいろ今回の実態をずっとながめて勉強しております。そういうことでただいま検討を前向きに取り組んでおる途中でございます。
  135. 藤原房雄

    藤原房雄君 被害がだんだん判明した段階で適用することになったのですべり込んだのじゃないというお話ですけれども、結果的には同じことでして、標準税収入のおそらくはA基準じゃなくてB基準だろうと思います。そういうことで、とにかく最近のこの災害の様相というものはいままでとは変わってきたというようなことは、またこういうケースもあるのだということでございますので、やはりこういうものに対しての対処のしかたというものも御検討いただくときにきたのではないかと思います。特にこの小さい災害が多発いたしまして、またある市町村には非常に大きな被害を出しておる、その隣りのほうはそうでもないという非常にアンバランスな、いままでとは変わったような様子がございますし、特に財政力の弱い市町村につきましては災害復旧についてはなかなか苦慮いたしておる現況でもございますので、こういう激甚災害指定基準またこの災害から立ち上がるための地方自治体に対するいろいろなかさ上げ等についての個々の問題についても、今度のことを一つの参考にして検討するということでございますが、ぜひともひとつ検討していただきたい、そのように思うのであります。  次は、上水道のことについては先ほどいろいろ質疑もございましたが、水道施設災害復旧事業費に対しまして、厚生省の方はいらしておりますか。——これは先ほどございましたか、基準には水道施設災害の規定がないということでございますが、各市町村回りまして水道施設につきましてはどこもいま非常に財政的にたいへんな状態であることはよく御存じだと思います。それだけに災害を受けたそれに対する復旧事業というものは各市町村でもたいへんな悩みの種になっておるわけであります。そういうことから災害復旧事業費を二分の一から三分の二にしてもらいたいとか、それから単独災害復旧債を適用してもらいたいとか、百万から五十万に引き下げてもらいたい、限度額を、それから上水道の施設や簡易水道施設、これを高率の国庫補助をしてもらいたい、こういうようなことがいわれているんだろうと思います。これらのことについて、水道施設全般について現在の地方公共団体が現在の復旧の現況、そしてまた地方自治体の現在の運用面全体からしまして、これもまた検討いただくべき段階ではないかと思うんであります。それとともに災害廃棄物処理事業、これの補助につきましても三分の二に引き上げてもらいたい一いずれにしましてもこういう災害のためにたいへんな災害の廃棄物が出てこの処理のためにたいへんな経費を費やしておるわけでありますので、財政力の弱いところについてはぜひその補助率を上げてもらいたい、こういう地元からのたいへんな要望があったわけでありますが、この点についてちょっとお答えいただきたいと思います。
  136. 国川建二

    説明員(国川建二君) 水道施設災害復旧に関してでございますが、御承知のように水道は市町村の公営企業という立場で運営されておりますことから、一般施設整備につきましては国庫補助は簡易水道を主体として整備をしているわけでございます。しかしながら、災害復旧はこれは平常の状態から著しく変わるわけでございまして、財政問題等を考慮いたしまして、従来から災害復旧に対しましては二分の一の国庫補助を行ない、残りのものにつきましては災害債を充当するというたてまえで施設の整備をはかって、復旧をはかってきたわけでございます。今後ともそれらの財政上の手当てで復旧をはかっていきたいと一応考えておりますけれども、特に災害がひどい場合、あるいは例といたしましては、たとえば地震等におきましては非常に被害額がふえるわけでございまして、そのような際にはまた特別なことも考えなきゃいけないんじゃないかというように思っておりますし、ただいま先生の御指摘の点につきましては、今後引き続き前向きに検討してまいりたいと、かように考えております。
  137. 吉崎正義

    説明員(吉崎正義君) 災害廃棄物処理事業についてでございますけれども、一般の廃棄物処理事業につきましては地方交付税で措置されておるところでございますが、災害廃棄物処理事業につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定によりまして二分の一の補助を行なっておるのが現状でございます。御指摘にございましたように、災害を受けました市町村は確かに負担が大きいわけでございますので、これの変更等につきましては今後研究をさしていただきたいと考える次第でございます。
  138. 藤原房雄

    藤原房雄君 時間もありませんのでちょっとはしょって聞きますが、中小河川のこともずいぶんいろいろ論議されましたが、中小河川都市河川いずれにも問題があろうと思いますが、最近の災害で大きな一級河川はんらんというのはほとんどなくなりました。それはやはり一級河川の流域には多くの資産といいますか、守らなきゃならないものがあるという、そういうことからどうしても大河川を優先して今日まで整備してきた。そういうことで両方一ぺんにできるわけはございませんからどうしても中小河川のほうがあと回しになるという、そういうことも一つは考えられるわけでありますが、聞くところによりますと中小河川と大河川との計画を立てる段階におきまして差異があるというふうに聞いておるわけでありますが、大河川はこれはめったにはんらんしてはならぬという非常にきびしいといいますか、大きな容量の上に立って計画が立っているということですが、中小河川についてはそこまできびしくないという、こういうようなこともわれわれは聞き及んでいるわけでありますが、現在のこの災害状況を見ますと、やはりこういう計画時の差異というものがやはり大きな問題になっているんじゃないか。やはり最近の様子から見まして中小河川につきましてもやはり大河川と同じような水準で改修とか実施をしなきゃならぬ、こういうことをこのたび視察をして痛切に感じてきたわけでございますけれども、これらについてはどのようにお考えでしょうか。
  139. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま先生が申されたとおりでございまして、いま建設省におきましては第四次の治水五カ年の第三年目でございますが、実は直轄河川につきましては明治以来ずっとやはり集中的にやってまいったわけでございますが、現在の都市化の発展がその周辺のみならず中小河川の近傍に非常に発展してまいりましたことにかんがみまして、数年前から中小河川に非常に力を入れておりまして、第三次五カ年計画のときからこれの直轄の補助が予算上は逆転したわけでございまして、本年度におきましても直轄が四三%でございまして、補助が五七%ということで、いま先生のおっしゃるように、だんだんと世の中の現状に合わせまして私どもがこの中小河川並びに都市周辺の川につきまして焦点を合わしてまいっておるわけでございます。
  140. 藤原房雄

    藤原房雄君 この都市河川のことについても、とにかく大都市に人口集中いたしまして都市利用が拡大されたという今日の中にありまして、やはり対策の手ぬるさといいますか、いろんな問題があるのは先ほど来論議されているとおりでございます。いままで空地だったところや緑だったところがどんどん宅地化されていく、また周辺の山林がどんどん宅地またはゴルフ場となっていくわけでありますから、雨水の流出が極端に早く、流水効果があったところもそれも失われてしまうという、こういうことになるのは当然のことだと思います。河川の流量が多くなる、雨量も多いということもございますけれども、それ以前の問題も多々考えられるわけでありますが、それで先ほどゴルフ場のことにつきましてきびしい指摘があったわけでありますが、しかしそれを管理、監督官庁というものもはっきりしていないということのようで、これはほんとうにこんな大事なことがきまってないということはまことに災害対策を担当するわれわれとしては今後同じようなケースのものが起きたら一体どうするのかという、こういう不安を抱くわけですし、これは大臣が先ほどいろいろ答弁なさいましたように、早急に検討しなきゃならぬことだというお話もございますので、やっていただきたいと思うのでありますが、それとともに宅地化の進行、それから私、過日福島県の、福島にございますが、吾妻小富士パイロット事業が国で行なわれているわけでありますが、これは何百何千ヘクタールというところがどんどん山林が伐採されて、果樹園とか野菜畑にするということですけれども、あの山腹に、あれだけの山林が伐採されますと、下流に大きな影響を及ぼすのはこれは当然のことでありますけれども、これは国の事業でやっているんですけれども、こういう野菜を供給するとか、それから果樹を増産するとかいう、こういう計画の上にのってそういうものごとはどんどん進められるわけですが、それだけの木を切ったらどれだけの雨量があって、下流にどういう影響を及ぼすのかという、こういう総合的な問題になりますと、先ほど大臣もちょっとお話になっておりましたように、そういう総合性に非常に欠けるという、これは各省にまたがっておることであって、責任分野といいますか、そういうことになると明確でない点もあるのかもしれませんが、縦割り行政の悪い面がこういうところにあらわれているのかもしれませんけれども、先ほど来の宅地造成とかゴルフ場の問題とか、それから最近どんどんパイロット事業で農業関係の問題もなされているわけでございますが、いずれにしましても、災害防除という観点から総合的に都市対策といいますか、こういうものに対する検討というものがなされないと、一つの目的のために他のほうが大きな被害をこうむることになる。こういう点で大臣、先ほどゴルフ場のことについてはお話ございましたが、宅地にいたしましても、またこういうパイロット事業にいたしましても、山林を伐採してそういう農地を開拓するわけでありますから、当然下流のほうに大きな影響を及ぼすのは当然でございます。そういうことを総合的に見るのが国土庁だろうと思うんであります。そういう点についてもひとつ厳重に、厳格に今後も見ていただきたい、このように思うんですが、いかがですか。
  141. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 私どもの仕事の最も大事なところでございまして、いわゆる土地の利用計画でございます。一口に言って土地利用計画でございますから、なかなかこういうような土地はどういうふうに使うのかということにかかわるわけでございます。したがいまして、いま山を伐採しまして、いろいろの農業関係もやっておるようでございまするが、一がいにそれはやるなというわけにもいきませんです。それは生業のためにやっぱり開発しなければならぬところもあろうと思います。しかし、今後やはり土地利用がいかにあるべきかということにつきまして、私のほうの仕事としていま検討中でございますから、それも災害の観点もかんがみまして、ひとつ十分考えていきたいと思っておるような次第でございます。
  142. 藤原房雄

    藤原房雄君 私は開発、パイロット事業そのものを否定するわけじゃありませんけれども、それに伴うものを総合的に計画をしませんと、まああの辺は農家も少ないですし、冠水しました水田も面積にしてほかのところから見ますと少ないですからたいした大きな問題にならなかったのかもしれません。しかし、実際被害を受けている方がたくさんいらっしゃるわけでありますし、床上、床下、そしてまた水田についても被害のあったことは事実です、現地に行って見ましたから、それはもう当然のことなんですけれども、そういうことですから、どうかひとつ、そういう総合性といいますか、そこに国土庁の存在意義があるんだろうと思いますけれども、そういう観点でいままで縦割り行政の中でいろいろ問題となったとごろをひとつがっちり実力大臣見守っていただきたいと、こうお願いするんです。  時間もありませんので、最後になりますが、どうしてもいままでの災害復旧というのは公的なものが中心になっておるわけですが、先ほど来もお話ございましたように、どうしても個人災害救済、こういうことを忘れてはならぬ、こう思うわけでありますが、議員立法でできたとはいいながら、現在のこの災害弔慰金災害援助資金の限度額、これは五十万ですね。これはもう去年、おととし、あれから物価もずいぶん上がりましたし、時代もずいぶん変わってまいりましたから、当然この引き上げのことも考えなきゃならぬだろうと思いますし、新しい制度をつくるということもいろいろな観点からこれは考えなきゃならぬこともたくさんあるんですけれども、現在あるものについてもやっぱり現状に即したものにしなければならぬと、こういう点で世帯更生資金に対する国庫補助金増額、それから災害援護貸し付け金制度の資金確保とか、こういうことも今度の陳情でずいぶんあったわけでありますが、この個人災害に対しての、現状で決して私どもは満足をしているわけじゃございませんが、現在、法の中においても救うべき道もあるわけでありますから、それらに対しての十分な施策をなすべきである、こういう点について御検討なさっていらっしゃるのかどうか、この点ちょっとお伺いして終わりたいと思います。
  143. 石原公道

    説明員(石原公道君) お話のように、現行制度におきましては、災害を受けた被災者の方々の自立更生に必要な資金につきましては、災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律に基づきます災害援護資金の貸し付けを主軸といたしまして被災者の方々の需要におこたえしているという状況でございます。お話にございましたように、そういった制度を補完するものといたしまして世帯更生資金といった制度もございまして、これら資金はそれぞれ被災県、市において直接住民に貸せられるわけでございますが、今回の被災に伴いますそういった関係の所要資金につきましては、十分各県とも調整いたしまして、それぞれの県、市において必要な額というものを十分確保できるように国としては措置してまいりたい、かように考えております。  以上でございます。
  144. 加藤進

    加藤進君 私も愛知三重災害現地を見てまいりました。今度の災害局地災害と、こう言われる方がありますけれども、今度の災害は決して局地の災害ではなかったと私は見てきております。  ここに地図があります。これは愛知県における災害状況を示した地図でございます。   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕  海岸地帯は全部漏れなくといっていいほど災害を受けております。  それから三重県でありますが、三重県の災害もまたきわめて広範囲でかつ甚大です。これは四日市市における災害の図表であります。これ見てください。どの河川という河川も全部あふれて決壊しています。全市が災害を受けている。これは決して四日市だけではなく、四日市から津、鈴鹿、亀山、桑名、全部このような多かれ少なかれ深刻な災害を受けている、こう言っていいと思う。したがって、私は今度の災害激甚災害として指定されるということは私は当然だと思う。  同時に、この災害は自然災害だと範単に片づけられる方がいます。しかし、これは自然条件だけで起こった災害では絶対にない、私はこう見てまいりました。この十数年間の高度成長政策のもとで自然条件、人間の生活条件、国土の条件がどのように大きな変貌を遂げているか、この変化した状況にどのように防災対策が対応したのか、どのように人命、財産と国土の保全の対策が具体的に正確に対応したのか。こういうことが今度の災害においてはっきりわれわれの前に施策のあやまちを私たちは指摘された、こう見てもいいと私は考えております。そういう観点から、私は二、三質問を申し上げたいと思います。  最初に、四日市の町はずれを流れる内部川の決壊の問題であります。これはここです。私はこの内部川の現地に参りまして、決壊個所堤防の右側である。右岸堤防である。左の堤防は何ら損傷を受けていない。しかも左側の堤防は、古い堤防の外にさらに新しい堤防が堅固につくられている。こういうことを見てまいりましたけれども、あの新しい堤防というのはいつできたのでございましょうか。
  145. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いまちょっと調べさしていただきます。
  146. 加藤進

    加藤進君 それなら私が申しましょうか。
  147. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま、最近までまだ、継続中でございます。
  148. 加藤進

    加藤進君 これはちょうど四日市に第一コンビナートが建設されるということと並行して、この旧堤の外側に左側だけ堅固な堤防が築かれたでしょう。右側はどうですか。全く放置されているじゃないですか、どうですか。   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕
  149. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) おっしゃるように、まだ右岸のほうはこれからやろうという時期でございます。
  150. 加藤進

    加藤進君 左岸のほうは昭和三十七年にすでに完成しているのです。そして、第一コンビナートは堅固に守られたのです。ところが、右岸のほうの地域住民の生命、財産はどうだったでしょうか。建設省はこれに対して、左岸に対して配ったほどの配慮と努力をされたでしょうか、全くされなかった。されなかった結果が、今回のような決壊がここの個所に起こったのでしょう。これは自然の災害とは言い切れない重大な問題を私は含んでおると思います。  この点、国土庁長官いまのことが正しいとするなら、私の言うことが正しいとするなら、どういうふうにお考えになるでしょうか。
  151. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) あなたのおっしゃることが正しいとするならば、行政がまことに悪かったということになりましょう。
  152. 加藤進

    加藤進君 そのとおりだと思いますよ。率直に言ってそのとおりなんです。なぜ左岸の堤防をしっかりつくるくらいの努力をされるなら、右岸も一緒になられなかったか、これはもう率直な問題として政治的な重大な問題だと思うのですよ。私は。そこで、この堤防決壊して、約一千戸の住宅世帯被災を受けました。重傷もあります。こういう災害を受けて、急速この右岸の堤防改修の計画が立てられておるようでございますけれども、その計画について御説明を願いたいと思います。
  153. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま先生おっしゃいますように、今回の災害、内部川の右岸につきましては、直ちにもう計画ができておりますので、これに用地買収も伴いますけれども、早急にこの用地買収と並びに堤防——新堤でございますか、この三カ年ぐらいでやってしまいたい、そういう計画を持っております。
  154. 加藤進

    加藤進君 そこで私は聞きたいのは、この新しい堤防を建設するというのは、現在の右岸堤防の外側三十メートルのところに建設される予定だと聞いております。で、新しい堤防をつくるために用地を買収しなくてはならぬ。その用地買収費が私の聞くところによると、三億六千五百万円、こういう用地費でございますけれども、この用地費を現在建設省は災害を受けて、しかも赤字赤字で超過負担に困っておる四日市市に、この金を先行投資しなさい、出しなさい、こう言っておられるのじゃないですかどうでしょうか。
  155. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いまの用地買収、ほぼそのくらいかかると思いますが、いま先生のおっしゃいます、私どもの申し上げておる、現地で御説明申し上げたと思いますけれども、これは用地先行取得ということでございまして、これは地方の公共団体が銀行等から一時借りるわけです。これは非常に地価が上がってくる場合に、すべての場合に、川であれ道路であれ、こういう制度を使わせていただいておるわけですが、これは一切地元には負担はかかっておりません。
  156. 加藤進

    加藤進君 しかし、事実はそのお金をとりあえず四日市市が負担しなさい、しかしそれを金庫から出すのか、あるいは銀行から出すのか、これはまた別の問題だと思いますけれども、少なくとも四日市市の予算、一般会計からは出させない、こういうことははっきりお約束できますか。
  157. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) そのとおりでございます。
  158. 加藤進

    加藤進君 そうすると、銀行からの貸し出しを受けなくてはならない。ところがここで一つ問題になるのは、今日の総需要抑制政策です。銀行局長名で通達が出ているでしょう。公共事業に対しては、公共用地取得に対しては資金の貸し出しを極力押えろ。こういう通達が出ているのです。これは今度のような災害にあたって撤廃させますか、どうですか。
  159. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) ただいま先生のおっしゃるとおりでございまして、本年度に入りましてから用地先行取得に伴います銀行等の貸し出しにひとつの制限がございました。ところが特に重要なる問題については財政当局のほうからも個別に折衝しようじゃないかというようなことになっております。それで、今回の内部川の災害につきましても私どもも直轄河川でございますのでどうにかしてこれを早くしょうということを考えたわけでございますけれども、中部地方も各県全部やられておりまして、各川へはりつけた予算を集めようと思っても、それが実行不可能でございましたので、私どもはやはりそういうような用地先行取得を利用さしていただきまして、与えられた予算が堤防なりその他直ちに効果のあがるものに使いたいという気持ちがありましたものでございますので、いま四日市市等にもう一度こういう先行取得制度を使っていただけませんでしょうか、私どもも御後援して、一緒にやりましょうということを現在なお折衝中でございます。
  160. 加藤進

    加藤進君 折衝中といって、相手が納得すればそうむずかしい問題じゃないと思うのですけれども、どこに難点があるかといえば、やはり銀行から貸し出しを受けるという点に非常な制限が加えられているということが私は一番大きな問題じゃないかということと、もう一つはそのための利子を一体どこで引き受けてもらえるのか等々の問題があると思います。  その点で一つ確めたいのでございますけれども、このようにいわば四日市市自身が災害を受けた。しかも直轄河川で国の川が切れたための災害を受けた。しかもその災害による河川改修について、その費用までも少なくとも一時は立てかえなくちゃならぬ。こういう問題でありますから、私はこのような点については建設省が一厘一銭たりともこういう災害復旧について四日市市当局やあるいは県に対して決して損はかけません。決してあなたたちに無理は申しません。災害をさしておいて、しかもまた踏んだりけったりなどというようなことは絶対にいたしません。こういう約束だけははっきりしていただかなくてはならぬと思いますけれども、その点はどうですか。
  161. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) まことにそのとおりでございまして、地方公共団体に——この災害個所てございます——また一般に用地取得制度というものはこういうことではございませんし、ちゃんときめられた利子をある年度たちまして、また国のほうでお返しするという制度でございまして、地方公共団体につきましては一切御迷惑をかけないようにしてまいりますし、また、そういう制度でもございます。
  162. 加藤進

    加藤進君 その点ぜひお願いします。これはきのうもおとついも陳情がきていると思いますから、その点についてよろしくお願いしたいということと、これは決して四日市だけの問題ではなしに、河川改修にしろ道路をつくるにしろ、建設省は大体こういういわば方法でやっておられるのでしょう。このために非常に苦しんでいるのです。私は今度の災害を契機にして、このようなことによって自治体を苦しめない、地域住民を苦しめないような、やはり積極的な建設省の施策を進めていただきたい。このことを私は要望しておきます。  次に、濃尾平野の地盤沈下問題に関連する今度の災害でございますけれども、今度の災害はあの濃尾平野の西南部、広大な地域にわたって豪雨が降り注いだ。その結果、この地域にいままで予想できなかったような災害を引き起こした。こういうのが偽らない私は事態だと考えます。  去る五月八日の日に東海三県地盤沈下調査会が濃尾平野地盤沈下調査を発表しています。これによりますと、現在濃尾平野の一三・五%の地域、面積二百四十三平方メートル——これは豊橋市かすっぽり入る面積だそうでございます——が海抜ゼロメートル以下に沈下しており、しかもその沈下速度も沈下面積も年々急激にふえている。一昨年名古屋全市域の五四%だった沈下面積が、昨年には九〇%に広がったという驚くべきいわば結果報告をしておるわけであります。このために、この地域においては、あるところでは水面下一・四〇メートル、こういうところもたくさんあります。これはこの地図を見れば明らかでございます。すりばち状にこういう地帯が出ておるわけであります。こういう状態です。まさに、かつては非常に豊かな濃尾平野が、このような状態に刻々地盤沈下を行なっている。ゼロメートル地帯がますます広がっている。こういうさなかでの今回の災害発生でございますから、その状況は、私は異常だと言って当然だと思います。  そこで、私が特にお伺いしたいのは、今日までこの地域におけるさまざまな改修工事やあるいは護岸工事やまたは排水施設等々の努力を続けてきておられることは私も存じています。しかし、その一つ一つを点検してみると、はたして今回の災害を通じて、このような計画を進めるだけで十分であるのか、これでこの地域の生命財産を守り、国土を守り得るようないわば計画であるのか。こういうことについて私たちは、今日きびしくこれを再検討する時期に迫られてきたんじゃないか、こういうことを特に感ずるわけであります。その一つの具体的な問題でお尋ねいたしますけれども、この地帯の中心を流れておる河川一つが先ほど発言になりました日光川の水系であります。この日光川には蟹江川をはじめとして、もう大小無数といっていいほどの河川、小水路が網の目のように入り組んで日光川に注ぎ、そしてこれが伊勢湾に入るわけですね。そこで、この日光川の改修工事についてでありますけれども、日光川の改修計画というのは、いつごろから始められて、そしてこの工事の計画は一体どんな内容であるのか、この点を簡潔にひとつ御説明願いたいと思います。
  163. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 日光川は昭和二十六年に中小河川改修事業として着手いたしました。これの仕事は、本川下流部の弱小堤防の補強と上流部の本支川の河道改修が現在も行なわれておるわけでございます。さらに、日光川流域は、先生申されましたように、地盤沈下が著しいために、昭和四十八年度から新たに地盤沈下対策河川事業によりまして、日光川の支川の蟹江川の排水機場を設置する事業に着手しております。現在まではそういうことでございますが、今後のことはまた後ほど申し上げます。
  164. 加藤進

    加藤進君 ともかくこれは基本的には河底の拡幅でしょう。そして、毎秒三百トンの流量をいわば根底にした計画ですね。さて、三百トンの毎秒流量を計算に入れたこの計画が、今度の水害等々を通じて、はたしてこれで十分なのかどうかという問題が今日出されてきておると考えます。地盤はどんどん沈下します。そして、河底も三百トンの流量計画だとして施工を続けておるけれども、決してそのままが常態として続くわけではない。しかも、土砂流はどんどんと入ってくる。こういう状況でございますから、はたして、三百トンが流量として確保できるかどうか、この点の御検討はいかがですか。
  165. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま先生申されますように、今回の集中豪雨の実態を調べますと、先生のおっしゃるような問題点が数々ございます。特に私どもの河川計画におきまして地盤沈下という問題が控えておるわけでございます。これの根本的な解決は、また別のいろいろな地下水管理制度等の発足を見ないと防げないという事態もございますけれども、しかしながら現在やはりこういうことが起こっておりますと、農林省とともにこの平野を守らなければいけないという立場から、私どもはこの進行しつつある地盤沈下のところでありますけれども、なおかつ堤防についての溢流防止だとか、また容量がオーバーするものについては、大型の排水機までつけまして、この河川改修をリリーフするというようなことを新たに考えなければいけない時期が来たと、そういうぐあいに考えておりますし、また現在続行中のいろいろな諸事業はさらに促進したいと考えております。
  166. 加藤進

    加藤進君 ともかくこの計画は二十三年前に立てられた計画です。そしてその後予想もできなかったような地盤沈下が深刻化している、しかも後背地域はどうかというと、市街化が遠慮会釈なく進んできている。ですから、もう流量の計算等々も、二十三年前の計算では、これはとうてい現状に合わないこと、これははっきりしています。私はこの機会にやはり建設省が、計画そのものについても十分な検討を加えられる、こういう必要があるかと考えるわけでございますけれども、その点はどうかということ。特に私が今度の調査で実地に見てまいりますと、あの水害が発生し、水がどんどんとこの日光川に注いでいる、これは雨が降った直後ではなしに、翌日なんです、上のほうの水がどっと押し寄せてきたんです。そしてまさに日光川の堤防の河口近くは三十八センチを残すのみという状態であふれた、そして私たちはその後一週間後程度に行きましたけれども、すでに堤防は漏水しているんです、水圧によって漏水が起こっているんです。こういう状況を見てみると、護岸堤防、護岸工事といいますし、あるいは河川改修工事といいますけれども、現状に見合うような状況がはたしてあるのかどうかということに実は疑わざるを得ない危惧を感じたわけでございまして、この点については、私は、今度の災害をいわばよき薬にして、ぜひとも建設省がこれについての抜本的な安心のできるいわば治水対策をとっていただく必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。その点については異存はございます。
  167. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 先生の申されるとおりでございまして、今回の集中豪雨はいま大いに解析中でございます。若干時間かかるかもしれませんが、洪水量の改定も行なわなければいけない、あるいは多角的な事業もつぎ込まなければいけないということで、先生のおっしゃるとおりの方向でいま進めております。
  168. 加藤進

    加藤進君 重ねて申しますけれども、たとえ五十センチのかさ上げをやっても、地盤沈下の進行する状況では三年もたぬということです。この現実をしっかり踏まえた上で、護岸堤防にしろあるいは改修工事にしろ、真剣に取り組んでいただきたい、特に要望しておきます。とりわけいま切実に願っておられるのは、排水機の機能がもうすでに麻痺状態にある、こういう問題でございまして、この問題については国のほうでも積極的なすでに実施をしておられるような状況だと聞いておりますけれども、国の側の計画というのはどういうふうになっておりましょうか。
  169. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 上流の先ほど申しましたような蟹江川につきましての排水機場を現在続行中でございますので、早期完成をはかりたい、まだ途中でいろいろな今回の豪雨を考えまして、さらにつけるものがあれば、排水ポンプを建設省側においてもつけなければいけないだろうというような考えと同時に、いわゆる河口部におきまして、いわゆる日光の水門のところにも大型の排水機をつけるべきであろうという決意はしておりますけれども、これはまだまだ財政当局とこれからの折衝の問題に入るわけでございます。
  170. 加藤進

    加藤進君 この点は特に地元要望の強かった問題でございます。地元要望は決して私は過大ではないと思います。これくらいのことはやってもらわなければほんとうに安心して住まえぬというのが現状だと思いますから、その点はひとつぜひ努力していただきたい。  そこで、私は、国土庁長官にお尋ねしたいのでございますけれども、以上、時間がございませんので簡潔にしか触れられませんでしたけれども、今日のこの濃尾平野の西南部一帯の地域状況を見ましても、このような状況変化が深刻に起こってきている。予想できなかったような事態が今日進行している。こういう状況のもとで、河川改修あるいは護岸工事、排水機増設などということで新たな事態に対応するような努力はされておるとは思いますけれども、しかし、河川改修といえばこれは建設省、それから排水機、これは農林省であります。地盤沈下対策、これは環境庁というふうに、いわばばらばらの行政が今日行なわれてきておる。環境庁はおそらくいい地盤沈下対策の構想は持っておられるでございましょうけれども、それが実施できないために実は切歯扼腕しておられるのではないかとも私は考えるわけでございまして、このような状態では、ほんとうにその地域住民の生命財産をしっかり守る、国土を保全する、こういう立場に立つやっぱり国土庁の責任というのはきわめて大きいのではないか。したがって、国土庁長官としましても、このような事態に対して、こういう地域に対しては総合的な排水、あるいは治水計画というものを抜本的に立てて、そしてこの地域において万遺漏のないようなやっぱり施策を進めていただく必要があるのではないか、その中心には当然のことながら国土庁が立っていただかなくてはならぬ、こういうふうに考えるわけでございますけれども、その点の御見解はいかがでございましょうか。
  171. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 仰せのとおりでございまして、あらゆる点に総合性を発揮しなければなりませんが、なかんずく、いま水問題につきましてのお話でございまするが、国土庁といたしましては、やはり各省は各省の立場でそれぞれで考えておりましょうが、国土庁としては、やはり重要な点につきましては各省に対して勧告をする、こういうふうにしたらどうだと。たとえばいま日光川の問題が出ましたが、これはまた直轄補助の問題になりまするけれども、建設省としましては、まあ直轄でもって河川をやるということは大蔵省になかなか抵抗もあるようでございまして、一年に何本しか直轄にしないとかなんとかいろいろあるようでございますから、したがいまして、そういうところにつきましては準直轄というような制度を設けるとか、また環境庁といたしましては地盤沈下についていろいろな施策があると思いますが、そういうことについては、やはり総合的な観点からこうしたらどうだというような勧告をするようなところまでいかないと、やっぱり総合性は発揮されないと思います。したがいまして、十分先生の意のあるところをくみまして、総合性を十分発揮していきたいということをつくづくいま考えておるわけでございまするから、御了承を賜わりたいと思います。
  172. 加藤進

    加藤進君 この地域の方々の声は、こういう声です。新幹線も必要だろう、高速道路もまた反対だとは言わない、しかし、いま一番大事なのは私たちの命や財産を守ってくれることだ、このままの状態で水底に私たちを突き落としていくのが国の政策なのか、こう言っています。こういう深刻な状況でございますから、国土をほんとうに安心して暮らせる住みよい国土にしていくという国の政治の中心の問題でございますから、私はこの点を、決してあそこにもここにも必要なんだからという立場ではなしに、ここを一つのテストケースとしてぜひとも抜本的に国の施策を積極的に推進していく、こういう決意をぜひ持っていただきたいということを要望しておきます。  さて、地盤沈下自体の対策の問題に入りたいと思うわけでございますけれども、やはり東海三県地盤沈下調査会の発表によりますと、濃尾平野の西南部、この地域地盤沈下速度が増大し、年間の沈下量が十八センチから二十センチに及んだところもある、こういうことが指摘されておるわけであります。この地盤沈下によって実はたいへんな問題が起こっておるわけです。というのは、かつて伊勢湾台風のあの悲しい被害を受けたこの地域住民であります。そして国もまたこの悲劇を二度と繰り返さないという立場から、あの膨大な高潮防波堤、あるいは防潮堤、これが今日建設されております。ところがこの七メートル、八メートルの高さに及ぶ防潮堤が、今日では地盤沈下によって一・二メートルも低くなっております。各所にひび割れが起こっております。もしこのまま台風が来たら……みんな心配しています。このために何とかしてほしい、これが切実なこの地域住民の要求であり、問題であるというわけでありまして、この点について私は特に地盤沈下が起こる起こるというけれども、起こるのには原因がある。その最大の原因は一体何だろうかという点について言うなら——環境庁来ておられましょうか、環境庁もその点についての見解ははっきりしておられると思いますが、どうでしょうか。
  173. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 地盤沈下原因としていろいろ意見がありましたけれども、現在の段階ではやはり地下水の過剰揚水が原因であろうということがおおむね一般に確定されておる見解でございます。
  174. 加藤進

    加藤進君 地下水のくみ上げが多過ぎるために、その結果地盤がどんどん沈下している、とめどもなく沈下している、ここまではいわば政府の認識もはっきりしておるわけです。にもかかわらず政府はこれに手をこまねいて一体何ひとつ対策らしい対策を立てておらぬじゃないか。こう今日言われておるわけでございますけれども、これに対する何らかの規制対策というものがあるでしょうか。
  175. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 現行の法制といたしましては、工業用水法とか、いわゆるビル用水法でございますが、建築物用地下水の採取の規制に関する法律、こういう法律がございまして、工業用水と建築物用の冷暖房等の用水のための地下水の採取につきましては、地盤沈下防止の見地から採取規制地域指定いたしまして採取の規制をする、こういう制度になっておりまして、現に、東京、大阪、その他地盤沈下地域につきましては相当程度の地域指定をいたしております。現行法制ではそういうことになっております。
  176. 加藤進

    加藤進君 法的に言うなら、政府の施策としてよりどころになる法律は、わずかに工業用水法と、いわゆるビル用水の規制、これしかない、こういうことですね。  さて、これがどれだけの効果を今日発揮しておるのか、こういいますと、例を名古屋にとります。名古屋では確かに工業用水法に基づく規制区域があります。その区域は二一・七八平方キロです。ところがこれは名古屋全市の面積に比べるとその規制区域は全市の十四分の一にしかあたりません、全市域の十四分の一です。しかもそのあとはどうかといえば、その地域以外は遠慮なく地下水をくみ上げてもかまいません、何ら法的には違法ではございません。まかり通っておる。これで地盤沈下は防げますか。長官どうでしょうか、これで防げると思いますか。
  177. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) その前にちょっと御説明申し上げたいと思いますが、確かに御指摘のとおりビル用水法と工業用水法だけでは十分でございませんが、現在の法制の仕組みから申しまして、地盤沈下が著しくならなければ指定できたいとか、あるいは特定の指定要件がきびしくなっておりまして、また半面用水の範囲もビル用水と工業用水に限られておるということでございまして、たとえば上水道用水でございますとか、その他の雑用水もございます、それから農業用水の採取もございますが、各種の地下水の揚水について十分に対処できるような法制になっていないわけでございます。そういうふうな点から全国的に地盤沈下が激しく進んでおります現状にかんがみまして、環境庁といたしましては、中央公害対策審議会の場をお願いいたしまして、地盤沈下防止のための総合的な防止対策ということにつきまして、現在いままで検討を進めておる段階でございます。その成案を得られましたならば所要の対策を講じてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  178. 加藤進

    加藤進君 名古屋では、港区あるいは南区の一部がこの地域指定になっておりますね。確かにこの地域については地盤沈下がある程度鎮静しているんです。ここでは二センチから四センチ程度の地盤沈下しか起こっていない。ところが、規制外のすぐ隣の中川区はどうかというと、十七センチ以上の地盤沈下が年々起こっております。規制の効果というのはその点からは明らかです。にもかかわらず規制区域がきわめて狭いということですね。あと全部は野放しになっている。それはどういう理由か。これは私はむしろ環境庁に聞いたほうがいいと思いますけれども、理由は明らかでしょう。ほかに代替用水がないから、ないために地下水のくみ上げの規制はできないと、こういうことでしょう。ここにこの法律の一番の難点があるわけでしょう、地下水のくみ上げを規制するための。そして結局のところ、地盤沈下を許す一番の難点はここにあるんじゃないでしょうか。そうじゃないでしょうか。
  179. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 現在の法制の仕組みから申しますと、工業用水法は、おっしゃるとおり、代替用水、工業水道の布設と関連いたしまして地域指定をすると、こういうふうなたてまえになっております。建築物用地下水の採取の規制に関する法律によりますと、被害の著しい場所の指定でございますので、法制上は代替用水の供給が前提にはなっておりませんけれども、実際の運用といたしまして、そういう面がかなり強いということはいなめない事実であろうかと思います。ただ、しかし、名古屋地域につきましては、とにかく現在の現行法制をフルに活用いたしまして、新法制の検討とはまた別といたしまして、できるだけのそういうふうな規制措置を講じたいということを考えておりまして、名古屋市、愛知県等の意向も受けまして協議いたしまして、名古屋地域につきましては、少なくともビル用水法の地域指定を急いで行なうというふうな方向で現在検討いたしている状況でございます。
  180. 加藤進

    加藤進君 その点で特に国の責任ということからいうなら、このビル用水の規制法、工業用水法、これをもう少し柔軟に運用するということを政府としては考えていただく必要があるのではないか。もし、文面だけをとらえて見るなら、とにかく代替用水を確保しなくちゃならぬ。これが前提条件、あるいは地域指定をしない条件になっていますね、地域指定の条件になっています。このくみ上げ規制の地域指定は代替用水がなければできない。これを何らかの意味で解釈をある程度緩和して、代替用水があるということが絶対条件ではないと、これには別途考慮は当然払わなくてはならぬけれども、この代替用水がないからといって、いまないからといって、この地域指定を絶対やってはならぬと、こういうふうに解釈するのはむしろ行き過ぎだと、この程度の私は法解釈を行なっても決して無理ではない。また、これくらいの程度のことをやらなければ、今日の規制範囲を拡大していく、広範囲に広げていくということは私は不可能ではないかと、こう考えますけれども、環境庁いかがでしょうか。
  181. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 確かに、おっしゃるとおりでございまして、ただ実際問題としましては、法律の運用解釈ということでは不十分でございまして、できれば新しい予防対策、いま審議願っておりますけれども、その予防対策の成果によるわけでございますけれども、現在のそういうふうな代替用水の供給と完全にリンクするというふうなもので不十分であるということでありますれば、その辺は用水の供給とは切り離して知事から採取規制をかける。しかも、規制対象の用水の範囲も、先ほど申し上げましたとおり、拡大をするというふうなことでありませんと、万全を期せられないのではないかというふうな意見が審議会の、いまも現在審議中でございますが、大勢でございますので、その辺のまた答申をいただきましたならば、関係各省ともよく協議をいたしまして、その辺の水の手当てと、一方深刻な地盤沈下対策を早く実施しなければならないというふうな両方の問題がございますが、その辺とのかね合いにおきまして、十分環境保全といいますか、地盤沈下防止の観点から有効適切な手段を講じてまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  182. 加藤進

    加藤進君 それでは、そういう法は法としながら、同時に、その運用にあたっては、地盤沈下を引き起こさないような地下水くみ上げの規制範囲をともかく拡大する、こういう立場で環境庁は今後とも臨んでいきたいと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  183. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 運用でできます範囲内につきましてはできるだけ関係方面とよく協議連絡いたしまして、そういうふうに運用してまいりたい。ただ、どうしても法律の条文に関する問題がございますならば、これも所管各省とよく協議いたしまして、所要の改正がもし必要であれば改正を行なうというふうなことにつきましても前向きに検討を進めてまいりたいと、このように考える次第でございます。
  184. 加藤進

    加藤進君 工業用水道が引かれておらないからということは私は絶対の理由にはならない。というのは、たとえば企業に対して用水自体の再利用装置を義務づけていく、こういうことだって私は行政指導の上でやらせることが可能だと考えています。また、都市下水につきましても、高度の処理能力によってこの処理水を再利用するというような方途も私は当然実施するように努力すべきではないか。また、大企業からの建設費を正当に負担させながら工業用水道の拡充強化をはかる。こういうさまざまな方法を講じながら、この地下水の全面的規制の方向に目ざしていく、こういうことが私は行政の正しい態度ではないか、こういうふうに考えますけれども、この点について重ねて御意向を承りたいと思います。
  185. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 先ほども申し上げましたとおり、現在中央公害対策審議会で審議を願っておりますのは、地盤沈下の予防対策全般が一つでございまして、もう一つは、しかし、そういうふうな全般的な予防対策と並行いたしまして、現在激しい地盤沈下が進んでおります地域につきまして具体的な対策を御審議願う、こういうことで二本立てで審議をお願いしているわけでございます。そういう意味で、濃尾平野につきましても、首都圏あるいは七地域等に続きまして、間もなくその審議をお願いいたしまして、総合的な地盤沈下対策、もちろんこれは法制によらずして、ただいま先生がおっしゃったような、いろんなできる限りの手段を尽くして、実際上地下水採取を減少させて地盤沈下防止に役立てる、あるいは防災事業その他も有効適切に実施をすると、こういうふうな観点から当面の対策をまとめて関係各省とともに実施してまいりたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  186. 加藤進

    加藤進君 これは決して名古屋だけの問題として私は提起しているわけじゃございません。各地で少なくとも八つの都市がもう協議会を開いているというほど、それぞれの地域地盤沈下に悩みつつある。しかも規制はできない。こういう事態のために問題はきわめて深刻であります。その意味でやっぱり全国的な問題、全日本的な規模での問題としてやっぱり対処していただかなければならぬと思います。  特にその中でビル用水法でございますね。これはもう名古屋のような広いところでビルディングが建ち、あるいはホテルがどんどんつくられるという状況のもとで、何一つビル用水法での規制がないわけですね。規制はありませんよ、これ。大阪では若干、ほんのわずか、東京都ではある程度というようなことで、東京、大阪に限られています、これは。あとのところは全然ない。こんな法律というのはありますか。東京、大阪に限るなら、これは公害条例ででもやったらいいじゃないかというふうにも思わざるを得ないほど、このいわば法律が規制効果をあげていない、こういう点があります。私はこの法律について、第一条にあるように、「特定の地域内において建築物用地下水の採取について地盤の沈下の防止のため必要な規制を行なう」、「地盤の沈下の防止のため必要な規制を行なう」ということが目的である。この目的であるべきビル用水の規制法が何ら適用されておらない。ここに私は重大な法としての欠陥もありますし、これを運用する側での欠陥も私は当然のことながらあると思うのです。そこで私は、名古屋の市長が特にこのような措置を今回とろうとしております。これは、ビル建築等々についていま使う地下水くみ上げは、これを上水道に切りかえてもこれは可能である、上水道を使いなさい、若干値段は高いかもしれぬけれども、上水道を使ってやったらいいじゃないか、これくらいの決意を持って上水道に切りかえるという前提のもとで、この建築物用地下水の採取の規制に関する法律を全市的に適用する、いわば、まずとりあえず条例としてこれをやる、こういうことを今日実施しようとしておられますね。そこで環境庁にも私はいかれたと思いますけれども、環境庁に対しては、この法律によってくみ取り規制の地域指定できるようにぜひとも努力してほしいということが要望として出てきておると思います。名古屋市で今日の条件のもとで可能な限りの努力をやる、法のもとにおいてその趣旨を生かす、こういう努力を条例においてやっているのに、じゃ国のほうはどうかというと、法律はあるのに何らこれに対して区域指定も何も前進させない、拡大しない、これは私は片手落ちだと思います。この点について、特に名古屋市長の要望に対してどうこたえられるか、所見をお伺いしたい。
  187. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、少なくとも名古屋市の区域につきましてやはりビル用水のための地下水の用水がかなりございますので、実は県、市とすでに協議を始めているところでございまして、そういう地元の努力も非常にわれわれとしては買っているのでございますが、やはりビル用水法に基づく地域指定というものもすべきであるということで名古屋市からの要請もございまして、現在そういう方向でできるだけ急いで指定をしたいということで協議をしている段階でございます。
  188. 加藤進

    加藤進君 わかりました。ぜひそういう法規制の立場に立って努力していただきたいし、これはもう名古屋だけではなしに、地盤沈下そのものに今日当面しておられる各都市にも共通してそのような御指導をお願いしたいということをつけ加えておきます。  もうあと一つでございますけれども、この濃尾平野の西南部に温泉がわいていまして、その温泉開発がもうどんどん遠慮なく行なわれている、とうとうたる温水をくみ上げておるわけですね。これについて規制はありますか。
  189. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 現在の温泉法の規定によりますと、温泉源を枯渇させるような行為というふうな場合には温泉の許可の内容を変更し、あるいは取り消しをすることができるというふうになっておりまして、あくまでも温泉源の保全というのがその規制の行なわれる趣旨でございます。そういう意味におきまして、確かに温泉のくみ上げによる地盤沈下というものがはっきりいたしますれば、その面の地盤沈下防止のための温泉のくみ上げ規制というものは現行法では十分ではないのではないかというふうに解釈されておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました地盤沈下の予防対策全般につきましては、天然ガスの溶存地下水でありますとか、そういうものも含めまして、温泉水についてもやはり地盤沈下の防止のための所要の対策の強化といいますか、そういうものが必要ではないかということでいま御審議を願っている段階でございます。
  190. 加藤進

    加藤進君 以上で私は終わりたいと思いますけれども、ともかく地盤沈下は遠慮会釈なく起こってきている。そのために、人命、財産は言うまでもなく、産業自体にも危機が到来しかねないという今日の現状だと思います。そのことで、しかし法的にはどうかといえば、ほとんど有効適切な規制は法律の上では行ない得ないというのが今日の現状でございますから、その点では私は行政指導の上においてきわめて大きな限度が今日あると思います。  そこで、私は最後に申し上げたいのは、この六月に地盤沈下で苦しんでおられる八つの都市でつくられた地盤沈下対策都市協議会が地盤沈下対策の推進についての要望というのを政府に提出しておるはずであります。これには第一に、国は、工業用水事業、下水道事業などの地盤沈下対策事業及び都市の実施する監視測定事業に対する財政援助措置をさらに強化してほしい。第二は、地盤沈下防止についての総合的な立法措置をすみやかに講ぜられるように要望する。こうあります。私は、実は地盤沈下防止についての総合的な立法措置という問題がどの程度環境庁及び政府部内において煮詰まっておるかはまだ存じません。しかし、そのような動きも今日までにあったという二とも私は聞きます。そういうことを踏まえての私は要望だろうと、こう読んでおるわけでございまするので、第一の問題として財政援助措置をさらに強化してほしいという問題これは環境庁にお答え願えるかどうかわかりませんけれども、どなたかお答え願いたいという問題と、地盤沈下防止についての総合的な立法措置、すなわちビル用水法だとかあるいは工業用水法等等の一方的一つ一つの問題についての規制ではなしに、地盤沈下そのものを全体として防止するような有効適切な総合的な立法措置がほしい、こういうふうに問題が具体的に提起されておるわけでございますから、これに対してどのように政府はこたえられるのか、その二点をお伺いしたいと思います。
  191. 横手正

    説明員(横手正君) 第一点の地方団体に対する援助措置等でございますが、下水道その他地盤対策事業、それぞれの事業につきましては事業ごとに国からの助成措置もきまっております。また、これらの事業に伴います地方負担に対しまして地方債その他の措置も講ぜられておるというようなことでございます。現状はそうでございますが、実態が特定の団体に非常に財政負担が過重になっておるというようなことがあれば、これに対する対応策も検討する必要があるものと、かように考えます。  それから総合的な立法措置の面でございます。これも関係各省ではそれぞれ部内的に検討は進めておられるところもあるやに聞いております。いずれ地下水の管理のための何らかの法的な措置、こうしたものも今後考えていく必要があるものというふうに考えております。
  192. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) 先ほどの財政援助の問題でございますが、環境庁の関係を申し上げますと、実は地盤沈下の監視測定に対する助成、これは本年度から地盤沈下地域における測量等の監視に要する費用、これを新たに補助対象に認めることにいたしまして、これを今後ともさらに拡充してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから地盤沈下の防止のための総合的な法制でございますが、これは先ほども申し上げましたけれども、昨年来中央公害対策審議会におきまして御審議を願っておりまして、いろいろ地盤沈下の効果的な予防対策、これは地下水の採取の規制でございますが、それに関する問題を中心にいたしまして、専門委員会の段階の審議を経まして、現在審議会のほうで御審議を願っておる段階でございます。ただ、これに関連いたしまして、先ほどお答えがありましたように、地下水の管理、あるいはそれを公水とするかどうかというふうな問題を含めまして、管理保全制度の問題、それからこれはリンクさせることの是非という問題がございますが、代替水もあわせた対策をどうするかというふうな問題も当然出てくるわけでございまして、そういうふうな問題とあわせて検討しつつ地盤沈下の総合的な防止対策というものをまとめまして、要すれば、その法制の整備についてもすみやかに努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  193. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 建設省におきましても地盤沈下対策事業に相当の金を使っておるわけでございます。そういう立場から、水の管理制度ということにつきまして、地下水管理制度ということにおきまして、建設省自体におきましても熟度ある制度の問題を大いに勉強しております。いずれはまた他省との関連が出てまいりまして、うまくいくようなことを非常に望んでおります。もう対策事業も行き詰まるということは先生と同意見でございます。
  194. 加藤進

    加藤進君 長官に一言伺っておきたいと思います。
  195. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) いま説明員がそれぞれお答えしたのでございまするが、国土庁といたしましても水資源局があるわけでございます。どちらかと申しますと、国土庁の水資源局の仕事は開発開発と、こういうような、そういう意味を持っておるようでありますから、私は、そうではなしに、水全般のことを考えるのだよと、こういう気持ちで行政を指導するつもりでございます。具体的には、まだそういうことについて一つも具体案は持っておりませんが、水資源局というものは、水を開発することはもちろんでございまするが、いかにしてこれを利用するかということでございまして、もろもろの方策があろうと思います。したがいまして、水のために、いま国土が、保全が保たれないというようなことにつきましては、十分今後留意をしてまいりたいという気持ちをいたしておるような次第でございます。
  196. 中村英男

    委員長中村英男君) 私も質問するつもりでしたが、大体各委員が先般の災害について問題点質疑をかわされましたので置きたいと思いますが、なお二、三の点に質問をしたいと思います。  ため池ですが、農林省おいでになりますか。
  197. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) はい。
  198. 中村英男

    委員長中村英男君) 淡路のため池の問題ですが、上田君その他から質問ありまして、大体わかりましたが、小さなため池の問題ですが、これは、淡路は、御承知のように、水が少ない。したがって、ため池が非常に多いんですな、これは非常に特殊的なものです。そこで、地元へ行ってみると、ため池の、もちろん決壊したところは別として、危険な小規模ため池についても国の援助でやってもらいたい、そのことは、基準の緩和という要望で出ておると思うんですね。これは、御承知のように、農家の実態が、現状は変わったんですね。専業農家がいないんです。だから、昔は農家の方が管理を非常にうまくやっておったが、いまの状態では管理できないですわな。答弁によると、これは個人が負担をしてしなきゃならぬということになっておるが、現実に個人が負担をして——金借りて、そういうため池改修ができるかどうか、そういう認識か、それともそれはなかなか無理だと、国のほうでめんどう見てやらなきゃいかぬというかまえでやっておいでになるか、端的にそれを言ってください。
  199. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) いま先生おっしゃるとおりでございまして、確かに小さいため池だからといってほうっておきますと、それが大きな災害を引き起こす原因になるということもございまして、老朽ため池の整備事業については、農林省といたしましても積極的に進めているところでございますが、御指摘のとおり、小さい、いまの採択基準未満のため池につきましてどうするか、これは、管理問題ともからみまして、いま非常なむずかしい問題に当面しているわけでございます。さしあたり申し上げられますのは、やはり老朽ため池の、採択基準未満のため池改修につきましては、融資なり県の単独事業費でもって対応してもらわなくちゃ、いまとしてはやむを得ない。大規模のため池で相当老朽化しているものもございますから、国としましては、やはりそういうのを優先的に採択いたしませんと、そういうものがもし決壊した場合の被害というのは小さいものよりもさらに大きいですから、そういうものを優先的に採択するというのが当然だろうと思います。しかしながら、先ほどからも申し上げておりますように、採択基準に満たないもののため池につきまして、今後どういうふうに対応していくかということはいろいろ検討したいと思います。たとえば、小さいため池が幾つも残っていて受益面積は昔よりもさらに減っているというようなものにつきましては、たとえば、片方のものを片方に統合してしっかりしたものにするとか、いろいろ技術的な方法もあろうかと思いますから、その辺のところもあわせまして管理体制をさらに強化いたしまして、今後災害が発生しないように対応いたしたいと、さように存じております。
  200. 中村英男

    委員長中村英男君) 積極的にひとつこれは取り組んでください、非常に要望が強いですから。  それから文化庁に——きょう長官はおいでになっていますか。——大体大阪城残石の問題でこれは上田さん、その他が質問されてわかりましたが、これ、管理する費用は個人であれ地元の町村であれ費用は出しておいでになるんですか。これは部長でもけっこうですよ。
  201. 吉久勝美

    説明員吉久勝美君) 史跡管理費につきましては、文化庁から毎年補助金を出しておるという状況でございます。それは管理者にかかわらない問題でございます。
  202. 中村英男

    委員長中村英男君) それから、地元管理しておるものについては七〇%は国でめんどうみようと、あとの三〇%は県の教育委員会地元だと、こういう答弁でしたが、大蔵省と折衝するお話ですが、いま大蔵省はおいでになっておりますか。——これは七〇%、その要求に大蔵省はこたえて出せますか。
  203. 西垣昭

    説明員(西垣昭君) お答え申し上げます。  大阪城残石の問題につきましては、詰まった話が実はまだ来ておりません。文化庁からお話がありましたら、その段階で私ども判断させていただきます。  なお、補助率につきましては一般の補助率が二分の一でございまして、災害の場合には従来それに二割ぐらいかさ上げを認めた例がございます。したがいまして、七〇%というのが従来の例でございまして、この程度ならばという感じでおります。
  204. 中村英男

    委員長中村英男君) 七〇%ぐらいなら出せるんですか。
  205. 西垣昭

    説明員(西垣昭君) はい。
  206. 中村英男

    委員長中村英男君) 個人の管理しておる場合は、これは県の教育委員会と個人で負担してやるということですが、これは了解ついておりますか、個人と。
  207. 吉久勝美

    説明員吉久勝美君) 午前中も御答弁申し上げましたように、今回は特別に県の教育委員会でこの災害復旧事業実施するということが内海町と教育委員会の間でまとまっておりまして、私どももそういう方向で差しつかえないんではないかというふうに思うわけでございます。通常の場合でございますと、管理団体指定されておるという状態では、管理団体実施する責任がございますが、遺憾ながら、まだ指定してなかったという状態でございますので、特別に県教委が実施するということで進むように話が進んでおるわけでございます。
  208. 中村英男

    委員長中村英男君) まあこれは経験のないことですからな、むずかしいでしょうがひとつ、地元へ行ってみると非常に困っておいでになるからね、そういう点を十分認めて早くひとつ処理していただきたいと思います。それから橘部落の集団移転の問題ですが、あの急傾斜なところへたくさんな家があって、そして一部がなだれを受けて家も倒壊して人間も死んでおりますね。地元へいってみるとあの崩壊したところ、その両翼を、前に漁港がありますからね、あれを一部埋め立てて、あそこへ集団移転したいと、こう地元は思っているが、個人個人はなかなかこれは説得がしにくいと、説得できないと、なかなか引っていくわけにはいかぬからね。ここら辺は私はあの地形を見て、あの両翼も危険ですよ、置いておいたら。ですから災害の起きたところはもちろん、両翼の人たちを説得して、漁港を埋め立てして、あの漁港の外にもう一つ漁港をつくる——漁港というか、一部改修して漁港をつくればいいんです。きわめて簡単なものですね。これは地元の人と相談して説得をしてやっていただかぬと次の災害で両翼がやられると思うんです。なかなか地元の人に聞くと説得がしぬくいと言っておるからね、これは国も県も説得をして私はやってもらいたいと思うんです。どうですかね。
  209. 横手正

    説明員(横手正君) 集団移転の問題でございますが、おそらく地元のほうの要請を待つのみではなかなか事は進まないというふうに思います。したがいまして県、市町村を通じまして説得はする必要あると思います。すでに担当部局のほうとも相談いたしまして、県のほうと密接な連絡をとるようにこれ話しております。その結果うまく話がまとまれば防災の集団移転の仕組みに乗せて高率の補助をいたしたいと、かように思います。
  210. 中村英男

    委員長中村英男君) それから個人災害ですが、まあ実際災害にあった人は、これは数の多い少ないにかかわらず非常に困っておるわけですね。ところが実際に個人災害は、農家の災害は農業共済なりその他で少しはある。ところが商店街その他の個人災害というやつはがけがくずれて家がこわれたと、金を借りてやるといっても、資力のある人は別ですが、なかなかできないと、そういうことで個人災害の中で死んだ人やあるいはその他については議員立法でこの前つくりました。あれはまあ各党の意見は、あれじゃ実情に合わぬと、五十万円じゃ少ないと、こういう意見が各党にあるようですが、おそらくこの次の国会には各党議員の修正出ると思うんですが、ひとつそれに対応して大臣、個人災害の中の死んだ人や負傷した人に対する弔慰金その他ですね、各党の意見をひとつ聴取して十分改正するような腹がありますか。
  211. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 非常に議員立法によって一歩前進でございます。なかなかいままで個人に対する対処はできなかったんでございます。研究した点についても共済の制度、保険制度をつくっちゃどうかというような意見もいろいろ政府で行なわれたことはありますが、なかなか政府は直ちに個人に対処できませんので、いろいろ災害といってもありますから、まあ、国会の意思によりまして、ああいう立法ができまして一歩前進でございます。しかし皆さまの御意見を聞いておりますと、いまのような程度ではやはりまだお気の毒じゃないかというような意見も聞くわけでございまして、私もそう思っております。したがいまして、この法律をさらに改善をしたいとは思っておりますが、これは法律それ自身が議員立法でありましたために、あるいは議員の方々にお願いするか、あるいはまた政府がそれについて対処するかというようなことはこれからひとつ御相談をしてまいりたいと、かように考え、いずれにいたしましても、ひとつさらに前進をしたいという考えだけは持っておる次第でございます。
  212. 中村英男

    委員長中村英男君) その他の災害復旧については非常に積極的に、しかも非常に住民の要求をいれてだいぶん前進しておるんです。個人の、がけがくずれた、家が倒れた、水害で浸水して品物が損をしたと、こういうものについてはなかなかむずかしいんですね。そこで建物やあるいは個人の商品について損害を受けたが、借る金が少ないとかいうような点についても政府はもう少し積極的に、これはむずかしいですけれども積極的に取り組んでいただく時期にきていると思うんですが、長官どうなんです。
  213. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) さように考えて、ひとつ改善をしたいと思っております。
  214. 中村英男

    委員長中村英男君) まあ西村大臣は元建設大臣だし、党の実力者ですからね、しかも国土庁、新庁の長官ですから私ども期待しておるし、きょう答弁を聞いておりますると、なかなか率直に答弁されて非常に私ども喜んでおるが、さらにまあ各省のひとつ調整をして災害がないように、災害が起こらないように、あるいは災害復旧がきわめて早く進捗するように一段の私は努力を願いたいと思っております。  きょうはたいへん長時間御苦労でございましたが、鶴園君のときには長官はいいそうですから、どうもそれじゃありがとうございました。  他に御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  215. 中村英男

    委員長中村英男君) 次に、桜島の降灰対策に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  216. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 はなはだ、話題といいますか、問題は一転いたしまして、いま委員長のほうから話のございました、俗称火山立法といわれまして、昨年のちょうどいまごろこの災害対策特別委員会の御採択をいただいて成立をいたしましたこの火山立法、名前はたいへん長うございまして、活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律、この法律の実施状況についていろいろ問題はございますけれども、ここではしぼりまして、主として農作物に対する被害、それに対する対策、御承知のようにこの法律の八条の一項の規定によりまして、都道府県知事は防災営農の施設等の計画を農林大臣に出して、農林大臣はこれを承認をいたしまして、その承認の計画に基づいて火山に対する農作物の防災営農の施設等の事業が進められておるわけであります。鹿児島の場合は、ことしの二月の二日に大臣の承認があって、それに基づいて事業が行なわれておりますが、まあ四十八年度から始まったことになるわけですね、四十九年の二月ですから。そして、四十九年と五十年と三年計画で事業が進められておるわけでありますが、いろいろたくさんの問題があります。  そこで、去年の八月に——七月ですか、制定されたわけですが、昨年は七月から十二月まで六カ月の間に五百二十三回という噴煙が上っておるわけです。まあ月にですから百回程度の噴煙が上がるわけですが、二千メートルから三千メートル程度の噴煙をふき上げるわけです。ことしは、四十九年の一月からこの七月までちょうど千一回です。七カ月の間に千一回。特に六月は多くて、六月は三百六回。月に三百六回。ですから、一日に十回程度、二千メートルから三千メートル噴煙を上げましてこれが風向きによってそれぞれの地域に吹かれるわけです。春先から夏にかけましてはちょうど鹿児島市方面に、鹿児島並びに姶良方面にこれが降るわけです。あと夏が過ぎまして秋から春にかけましては、これは桜島のこっちから見ると裏っ側、肝属郡、そして垂水市、曽於郡というところに吹くわけです。その量がたいへん多くて、一回ふき出しますと激しいところでは十アール当たり二十二トンぐらいという灰が降るわけです。ですから、まあ大体一回ふき上げますと十アール当たり二トン、五トンという灰が降る。多いところは二十トン、三十トンという灰がおりるわけですね。それが月に平均して百回ふき上げるわけですから、たいへんな状態になっておるわけです。これがまあ東京の近辺にあったらえらい問題だとわれわれはいつも言うんですけれども、何せ本土の一番南のほうにある関係もあって、十分な認識がいただけないわけでありますが、ただこれが、いま申し上げましたように、いつおさまるのか全然わからない。これから三年続くものか、四年続くものか、全然わからない。しかもこの灰はたいへん酸性が濃い。酢より少し弱いくらいです。酸がひどく強い、こういう状況なものですから、農作物に対する影響というようなものは非常に大きなものがありますですね。  そこで、まず第一点にお尋ねをいたしますのは被害の著しい地域指定をしておるわけですが、いま四カ所指定されております。御承知のとおりです。鹿児島市の桜島の島の中にある東桜島地区、それにすぐ桜島の裏っ側にあたります垂水市、そして姶良郡の福山町、そして桜島町、この四地区指定をされたわけです。ところが、だんだん被害が非常に拡大してまいりまして地元のほうでもまた申請をしているわけです。さらにこれはもう少し拡大をしていくというふうに私いま見ているのですけれども、いまことしになりまして出ておりますのは鹿児島市の中の吉野地区、それと曽於郡の輝北町、肝属郡の高山町と内之浦町この四つが被害が著しいということで指定を申請している状況であります。先ほど申し上げましたようにもう少しこれはいまの状況では拡大していくのではないかというふうに私は見ておりますが、五十年度にこの四つの指定があるわけでありますが、これについて指定をされるというふうに思っているのですけれども、指定をされることになっておるのかどうか、それをお尋ねをまずいたします。
  217. 今村宣夫

    説明員(今村宣夫君) ただいま先生からお話のございました防災の整備計画の対象地域の拡大でございますが、現在鹿児島県からの希望としては先生おっしゃいました輝北町、高山町、内之浦町及び鹿児島市の吉野地区でございます。県の希望を私たち聴取をいたしましていろいろ相談をいたしたわけでありますが、私たちといたしましてはこれらの地域につきまして、その承認をする必要があるというふうに判断をいたしております。したがいまして、県の正式な申請が出てきておりませんけれども、正式な申請を待ってそのような方向で対処をいたす所存でございます。
  218. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 降灰がたいへん酸性が強いわけです。七つの事業の中の一つとしましてこの酸性の土壌を緩和するために矯正事業を行なっております。ところが、これはたいへん喜ばれておるわけです。ですが、単価が非常に低い。十アールに二俵だというのですね。一俵安い金なんですが、十アール二俵だと。前際は四俵使わなければならないという状況なんですね。ですから、この単価について根本的に考えてもらいたいという意見が強いのです。私回って見ましてもみなそういう意見が一つですね。大きな意見が一つです。ですから、この単価の是正についてぜひ考えなければならぬのではないかと思うのですが、どういうふうに考えておられるか、お尋ねをいたします。
  219. 北野茂夫

    説明員(北野茂夫君) 土壌酸度矯正につきましては防災営農施設整備計画に基づきまして、先ほど先生のお話のとおり四十八年法律制定後から実施することになっているわけでございますけれども、この事業では反当六十キロの石灰を散布できるように予算措置がされているわけでございます。ただいまの先生のお話のように単価の問題でございますが、これは当時の石灰の値段といたしまして一キロ六円五十銭を基礎に約三千ヘクタールの面積を対象に予算措置しているわけでございますが、灰の降る量も地域によっていろいろ異なりますので、その灰の量等を勘案して反当六十キロの石灰をそれぞれ有効に使うようにさしあたり指導していきたいと、そのように考えております。  なお、地域の拡大が認められました場合にはそれに沿って、なお所要の石灰量も多くなるように措置することにしております。ただここで問題がございますのは、灰が多く降ったからといってそれを矯正するためにむやみに石灰を多く使用いたしますと土壌が凝固をいたしまして、耕作に不便を来たすとか、あるいは植物の成育に不便を来たすとか、いろいろ問題もございますので、石灰の使用量につきましては試験研究等の成果を十分に活用いたしまして、問題のないように必要最小限の範囲で使用しなければいけないということでございますので、今後問題のないように指導していきたい、このように考えております。
  220. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまお話のように、約三千ヘクタールに対しましてはじかれておるわけですね。さらに今度地域が拡大をされるとなりますと、これまたさらに面積が大きくなる、そういうところではあるいは少ない量で足りるところも相当にあるだろうというふうに思いますね。そういう点の調整をすればまずいくというお考えのように聞いたわけですが、それはそれといたします。  そこでお話がありましたように、灰の激しく降るところは先ほど言いましたように十アール当たり一回で二十何トンと見込むわけです、トラックで四トン積みで四台とかそういうふうに降るわけですよ、一回に、激しいところですよ、ふもとのところは。えらいわけですよ。そこでこれはいま言ったように、炭カルを入れてみても凝固するという可能性も十分出てきます。そこでそれを除去するという、降った灰を、激しく降っているところ、こういうところを除去するということを考えねばならぬのじゃないかというふうに思うのです。ところが除去するということはいまの事業の中には入っていない、しかし実際は除去せざるを得ない、ですから桜島でいいますと二百三十ヘクタールぐらいのミカン園は県が金を持ちまして約四千万の金を出してそして除去しています。あるいはすぐ桜島の裏っ側になっております垂水市これも水田にたいへんに降灰がある、これもどうしても除去せざるを得ない。ですから垂水市でこれは金を出しまして、十アールあたり八千円というふうに見まして、半額補助を出して除去すると、こういう政策をとっております。こういう灰がたいへんに降る地域というのは限られておるのですが、二十何トンと一回に降るようなところは限られておるわけです。ですから限られている地域ですけれども、除去するという事業が考えられる必要があるのじゃないかというふうに一つ思うのです。それともう一つは、これは市街地に降った灰ですね、道路に降った灰ですね、これは建設省の関係になるわけですが、国道については伺いますというと、三台の清掃車があって、降るとたちまち三台の車が発動しましてちりを吸い込んで捨てる。県のほうも県道については建設省から補助金が出まして、一台県道に降った灰の処理が行なわれている。ですが、鹿児島の市道についてのものがないのです。いま鹿児島市は降りますと、灰がきたなと思ったら黒くなってきますね、そしてもう昼間でもかささして歩かなければいかぬし、車が通りますと灰を巻きあげていって、灰かぐらですね、そして昼間からヘッドライトをつけなければという状況です。それほど市街地に降った降灰というものは国道とか県道というのは風が吹いたり、自動車が吹きまくりますと田畑に逃げるということもあるのですが、市街地に降ったやつは建物があるのですね。自動車が吹き上げたって風が吹いたって、建物に囲まれているわけですからどうにもならない。市が持っております散水車でやった。四台か五台持っておりますから、散水車。ところがその散水車でやりますと下水が詰まっちゃ、大きいですから、灰が。先ほど申し上げましたように月に百回平均降るのですから。吹き上げるのですから。ですから、今度は下水が詰まっちゃうということでどうしても吸い上げなければいかぬということにならざるを得ない。ところが市はことし四十九年に一台清掃車、要するにちりを吸う自動車を買った、何とかこれはできないものかという考えから。国道はある、県道はある、市道はない。一番困っているのは市道ですよ。市は四十四万おりますから、あそこに。鹿児島の人口の二割以上があそこに住んでいるわけです。そこへ灰が降り込んできてたいへんな状況なんで、自動車が吹きまくってみても、風が吹いてみても間違いなく建物の中に入ったものはどうしても道路にはき出さざるを得ない。ですから、道路管理する上において清掃ということがどうも、国道と県道にはいいが市道はどうにもならぬという点について非常に大きな問題があるのじゃないか。同じ議員立法で積寒法がありますが、積寒法の場合は市道であろうと町村道であろうと、降った雪について除雪するということについては御承知のとおりです。ですが、降灰についてはそういう措置が行なわれていないわけなんですね。何らかの形でそれができないものか。五台か六台かの市自身が、また市で言いますと鹿児島市と垂水市だと思うのです、市にその程度のちりを吸い上げる清掃車、非常な微粒子ですから、大きいやつじゃない、小さなやつですから非常な微粒子。それが先ほど申し上げたような月百回程度吹き上げてしまう。これも夜なんかわからぬです、雨が降っておるときはよくわからないのですから、曇っているときはよくわからない。とにかく見えるものが月百回というの、吹き上げてしまう。それがちょっと鹿児島から桜島まで四キロですからね、ばあっと流れてきたらたいへんなものです。黒い雲がおおいかぶさるように流れてくるわけですから。これに対して市道の清掃について何らの政策がとられないというのはどうも解せない。これは何らかの措置をすべきだと思うのですけれども、市だけではどうにもならない。これについて道路局長の見解をお聞きしたい。
  221. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) いまのお話の前段の降灰が農地に降った場合について御説明申し上げます。  灰が農地に降りました場合、それは災害復旧ということでございますが、農林水産施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律によりますと、灰の場合粒径一ミリメートル以下の土砂にあっては二センチメートル以上、それから粒径が〇・二五ミリメートル以下の土砂にあっては五センチメートル以上推積した場合に災害復旧事業として国の補助の対象になるということになっております。これは実は灰だけでございませんで、一船の洪水等がありまして土砂が水田等に流出した場合の災害復旧事業の場合と全く一緒でございます。したがいまして、この基準からしましていまの灰の場合に限ってこの基準を緩和するとか何とかいうことは非常にむずかしくて不可能だろうと存じます。また一方では、いまお話がございましたように、降った灰が、粒径が〇・二五ミリメートル未満だろうと思いますが、そういうこまかい灰が二センチないし三センチくらい積もるのだろうと思います。その場合にも、たとえば五センチまで積もればという話もあろうかと思いますが、その時期まで待てないで、降ったらすぐ排除しなければ農作物の成育に支障を来たすということで排除しているのだろうと思います。したがいまして、国といたしましては一応補助の対象にはなりませんが、地元被害を受けておられる農民の負担ができるだけかからないようにということで鹿児島県なり関係の市町村を指導いたしたいとさように存じております。
  222. 上東公民

    説明員(上東公民君) 道路局長の御指名でございますが、局長参っておりませんので私建設機械の担当でございますので御回答申し上げたいと思っております。  桜島の降灰につきましてはあとの処理が非常にたいへんだろうということでございますし、また道路の上の降灰につきましては先ほどお話のございましたように、路面の清掃車等によりまして早急に除去するということが必要であるということはこれはお話のあったとおりでございます。そこで、道路管理のほうでございますが、御存じのように道路の維持管理につきましては道路法に基づきまして、それぞれの管理者実施するということになっているわけでございまして、建設省におきましては昨年来の降灰の実情にかんがみまして、一応先ほどもお話のございましたように、直轄道路等につきましては清掃車の増強ということをはかってまいったわけでございます。御要請のございました市町村に対しますこういった種類の機械を保有します際の購入費に対する補助でございますが、残念ながらこれは現在そういった制度がないわけでございます。例外といたしましては、先ほどお話がございましたように、積寒法によりまして除雪機械の購入費の補助ということはやっているわけでございまして、実態のほうはこういうことでございます。
  223. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで、いまの道路の問題ですけれども、道路の問題について市街地の降灰についてはこれは何らかの、いまお話のようにわかりました、私も承知いたしておりますが、何か予算補助みたいな形でやれないものかどうかということを建設省のほうでひとつぜひ検討してもらいたい。同時に、大蔵省も見えておるわけですから、ひとつあなたのほうでもぜひ検討してもらいたいと思います。それをひとつ頼んでおきます。これは困り切っておるのです。  それで時間がないものですから、次に養蚕の問題について伺いますが、養蚕が鹿児島はたいへん発展してきまして、非常に新興地域として発展してきたわけですが、それがいま問題になっております地域がたいへん被害を受けてきている。これは問題は二つありまして、一つは桑の木そのものは被害を受けないわけです。灰が葉に積もる、ちょっと降るというとまつ黒になってしまう。そのまま雨が降らないとあくる日の朝の露でばったりくっついてしまう。ちょっとやそっと洗っても取れぬということになるわけですね。したがって、そういう灰をかぶった、月に百回も吹き上げる灰をかぶった桑の葉を——桑の葉そのものは被害を受けてないのだけれども、それを蚕に食わせるということによって、蚕が非常に被害を受けるわけです。それで五輪期の末になっていよいよ四、五日で繭をつくろうという段階に突然食わなくなる、急に食わなくなる。したがって、蚕が半分くらいに急に縮まってぽたぽた落ちる。繭ができてもそれが著しく小さいものになる、例を見ない小さなものになっていくのですね。したがって、できます繭が、これは別口の扱いになってしまう。ですから単価は半分くらいです。収量も半分くらいということで、養蚕が非常にいま被害を受けまして問題になっておるわけです。単価が半分くらい、品質がうんと落ちるのですから。収量ももちろん半分くらいで、小さな繭になってしまうから収量が減る、単価が落ちるということで、これは鹿児島県の共済組合でもことし夏の蚕に対しまして、被害農家に二千五百万円の災害補償金を出しておるわけです。さらに農協としましても、対策本部をつくりまして農協で飼育する間、二齢まで農協が共同飼育しておりますから、そこまでの費用はひとつ免除する。それから蚕種もこれもひとつ全部免除するというようなことをやらなければならないように、非常に被害を受けておるわけですよ。ところが、これが御承知のように事業項目の中に入っていない。これについて、この事業項目の中に入れるべきじゃないかと、桑は被害を受けていないんですが、桑の木そのものは。ただ繭はいま申し上げたように非常な被害を受けている。今度農業共済が出しました被害状況を見ますというと、一市八町にわたっていますね、そうして養蚕農家の三五%が災害の補償を受けているんですね。そういうことでいいますと、この養蚕も単品の中に入れるべきではないのかということが一つ。もう一つ、これを防ぐに降った灰を何とか処理しなければいかぬということで県のほうでは盛んに試験研究を行なった結果、これは洗っては落ちないと、ちょっと降ったものは洗ったらいいですよ。軽く降っている地域ではこれは振るとか、水で洗うとかいう形で処理できる。しかし、そうでない地域にあっては、いまここに指定になっているような地域では洗っては落ちない。そこで、四馬力の動力を持った洗い場をつくって、四馬力の動力噴霧機みたいなものでふっかけるという形の中で桑の葉についた灰を取るということがきわめて有効であるという結果が出ておるわけですね。そういう施設をつくりたいと、つくってもらいたいという要望が非常に強いわけです。これについての考え方、この二つですね。いま申し上げましたのは、桑の葉だけじゃないんですね。これは牧草も同じですよ。これはひどいことになったもんです、これ。たいへんですわ。牧草についても同じ、野菜についても似たような問題。だから一方のほうは、これは野菜にかかった人は洗うでしょう。洗って出すでしょうけれども、蚕はなかなか大規模ほど洗っているというわけにいかないですね。小さな規模のものはさっさと水で洗ったりして出すけれども、大きな規模のものはなかなかその労力ないからもう振るだけで食わしちまうということになりますと、いま言ったように蚕はたいへんな被害を受けるということになっているわけですね。ただいま申し上げたように試験研究の結果その共同洗い場を使って四馬力の動力の噴霧機みたいなものでひっかけることによって洗うと、そうすれば被害はないという研究もできておるわけです。したがって、そういう施設をこの養蚕についてつくりたいという希望が非常に強いわけです。この点についてお考え等を聞きたいと思います。
  224. 杉原曖

    説明員(杉原曖君) 蚕業課長でございます。  ただいま先生からお話のございましたように、桜島の活動によりまして降灰が桑葉につきましたその被害が非常に甚大であるということは鹿児島県当局のほうから伺っております。この被害の除去につきましては葉にかかりました灰を除去することが一番大事な方法でございますが、その方法につきましてただいま鹿児島県の蚕業試験場などで試験研究をいたしております。  ただいま先生のお話にございましたように、動力噴霧機によりまして、桑の葉につきましたこまかい火山灰が除去できるかどうかということにつきまして試験研究官の試験成績を十分検討さしていただきまして、効果的な結果が期待できるということでありますれば、五十年度に既存の施設を活用いたしましてモデル的に実施できるように前向きに検討をいたしてまいりたいと思います。その結果によりまして基本的な施策についてはあらためて検討さしていただきたいと思います。
  225. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま養蚕を事業品目の中に入れるということはどうですか。桑はいま言ったように三割の被害なんか受けていないんですよ。桑そのものは枯れているわけでも何でもないんですね。ところが繭そのものは、養蚕そのものはいま言ったようにたいへんな被害を受けるわけです。ですから、養蚕そのものを単品としてこの事業の中に入れるということはどうですか。
  226. 今村宣夫

    説明員(今村宣夫君) 先生御存じのとおり、防災営農施設整備でございますので、その整備計画の事業概要としましては、ただいまそういう降灰地域の酸度矯正事業というふうな形のいろいろな施設事業としてとらえておるものでございますから、繭そのものの価格が非常に下がるとかなんとかというものについてその事業の中に入れられるかどうかにつきましてはなお検討さしていただきたいと思うのでございますけれども、たとえば非常に桑をよく食べると、お蚕さんが食べるというふうな、そういう何らかの施設というのがありますれば、それは事業対象たり得るのではないかと思いますけれども、やはり桑の段階での除去事業というものを事業としてとらえていく必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  227. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま蚕業課長から答弁がありました、まあ試験研究の結果はこれ非常にいいということになっておるわけですね。なお、私どもの常識で考えても、四馬力か五馬力の動力噴霧機でやれば、ついている微粒子も取れるだろうという感じ持ちますね。で、それはまあ課長の答弁では、その試験研究の結果がいいということであれば施設として、試験的なといいますか、という形でやりたいというお話なんですけれども、もっとこれは積極的にやってもらいたいですね、大々的に。まいっちゃっているんです、これ。おそらくまいっている状況は御存じだと思うんですよね。共済組合だって、これは金もどんどん払わらけりゃならなくなってくるし、ですから、何かパイロット的じゃなくて、もっとこう積極的にやってもらいたいと思うんですがね、五十年度予算で。大蔵省の主計官もいるわけですからね、主計官頼みます、これ。死んじゃったなら困っちゃうんです、これ。まいっているわけだ。どうですか。いいですか。
  228. 杉原曖

    説明員(杉原曖君) 先ほどお答えいたしましたように、とりあえず五十年度はモデル的にできるように検討をいたしたいと思いますので、御了承をいただきたいと思います。
  229. 西垣昭

    説明員(西垣昭君) 私担当でございませんので、担当の主計官によく伝えます。
  230. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、茶なんですが、鹿児島は茶がたいへん新興地として栄えまして有名になってきているんですが、この地域の茶がたいへんまた被害を受けまして問題になっているわけなんですよ。あんまり実情を詳しく申し上げる余裕はないんですが、新聞に載りましたところによりますと、これは福山町ですが、福山町の牧之原という農協があります。そこで二番茶——まあ灰の降り方によるわけですから、二番茶にひっかかったんですね。で、二十三トン出したところが、これ二十トン廃棄処分したというんですよ。そしてすみやかにもう二番茶やめてくれという通達を出したところが、しかしこれは二番茶つまないと三番茶が出ませんから、ですから、二番茶つんで捨てると、こういうことになったんですね。それで農協といたしましては、製茶したものについてはキロ当たり三十円の見舞い金を出すと、二番茶をつんで捨てたものについてはキロ当たり十円の見舞い金を出すというような措置をするほどこの茶が非常に被害を受けているわけですね。茶は農業共済の対象になっていないわけですよね。ですから、これはやられつばなしになるわけですが、この茶についていまどうしたらいいかと、茶についた降った灰、しかもこびりついた微粒子これをどうして除くかと、これは噴霧器によってやるのじゃ傷ついちゃう。葉っぱに傷つきますと、かおりにたいへん影響を及ぼしますし、ですから、そうでない方法でやらなきゃならないというので、いろいろいま一生懸命試験研究をやっている。風圧でやったらどうだろうというようなことや、いろいろ試験研究やっておるというのですが、この火山灰の問題についてはいろいろ不明な点がたくさんありますですね。ですから、それについてそれぞれ県はいろんな作物について試験研究を進めている。それに対しまして、国がいろいろな援助をしておることは承知をいたしておりますが、ただ、茶についてはいま試験研究やっておるんですけれども、全然補助の対象になった補助金出ていないと、これにも何らかの形で出してもらいたいと私は考えているんです。これについての考え方を聞きたいと思います。
  231. 山本毅

    説明員(山本毅君) 火山灰の農作物に対する被害につきましては、試験研究といたしまして昭和四十九年度から総合助成試験事業によりまして鹿児島県に助成いたしまして実施しておるわけでございます。茶につきましては、現在のところまだその助成の対象になっておりませんけれども、茶の被害に関する試験研究につきましても他の作物と同様に鹿児島県のほうから要請がございますれば、これを内容を検討いたしまして、昭和五十年度以降のこの試験の中に取り込みまして助成の対象に考えてまいりたいというふうに考えております。
  232. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 茶の問題について、五十年度に県から申請があれば対処すると、こういうことですか。
  233. 山本毅

    説明員(山本毅君) 県から御要望があればそのようにいたしたいと思います。
  234. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この問題はこの委員会で議員立法として採択になって成立した法案です。ですからこれは私どももいろいろ考えなきゃならぬ点があります。ですが実際の運用上いろいろこれは問題がありまして、指定基準の問題がありますわね、地域指定基準。あるいは単品の指定基準の問題、それから事業の単価の問題もいろいろ出ております。それから事業の採択基準もいろいろ出ていますね。それから新しい事業の追加というものも出てくるというような問題については、時間もまいりましたのでこれは農林水産委員会でひとつもう少しきつく論議をしたいと、こう思っております。  以上で終わります。
  235. 中村英男

    委員長中村英男君) 他に御発言もないようですから、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会      —————・—————