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1974-11-25 第73回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月二十五日(月曜日)    午前十時二十一分開会     —————————————    委員の異動  十一月二十五日     辞任         補欠選任      目黒今朝次郎君    沢田 政治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鶴園 哲夫君     理 事                 大谷藤之助君                 原 文兵衛君                 栗原 俊夫君                 内田 善利君     委 員                 井上 吉夫君                 菅野 儀作君                 藤井 丙午君                 沢田 政治君                 矢田部 理君                 小平 芳平君                 沓脱タケ子君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  毛利 松平君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        環境政務次官   橋本 繁蔵君        環境庁企画調整        局長       城戸 謙次君        環境庁企画調整        局環境保健部長  橋本 道夫君        環境庁大気保全        局長       春日  斉君        環境庁水質保全        局長       大場 敏彦君        厚生省環境衛生        局食品衛生課長  三浦 大助君        厚生省社会局長  翁 久次郎君        農林省農蚕園芸        局稲作対策室長  松山 光治君        農林省農蚕園芸        局農産課長    工藤 健一君        食糧庁業務部長  志村 光雄君        通商産業省立地        公害局長     佐藤淳一郎君        資源エネルギー        庁長官官房総務        課長       平林  勉君        自治省財政局調        整室長      高田 信也君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (自動車排出ガス規制に関する件)  (環境影響事前評価に関する件)  (公害健康被害救済措置に関する件)  (カドミウムによる汚染米に関する件)     —————————————
  2. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  この際、橋本環境政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。橋本環境政務次官
  3. 橋本繁蔵

    説明員橋本繁蔵君) 私は、今回はからずも環境政務次官に就任をいたしました橋本繁蔵でございます。  環境保全の問題につきましてはきわめて重大な課題でもございまするので、微力ではございますが懸命の努力をいたす覚悟でございます。何とぞ、この上とも御指導と御鞭撻を賜わりますようお願いを申し上げましてごあいさつといたします。     —————————————
  4. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 矢田部理

    矢田部理君 環境庁長官にお尋ねをしたいと思いますが、かねてから当委員会でも問題になっておりました排ガスの五十一年規制問題について、最近中公審も大詰めになってきていると伝えられております。その中でいろいろ後退現象も目立つわけでありますけれども、これと軌を一にするかのように環境庁自身姿勢うしろ向きになっているという感を深くするわけであります。そこで、最初に長官から五十一年規制問題についての考え方基本となるべきもの、従前は五十一年規制堅持する、守るということを再三にわたって述べてこられたわけなんですが、最近の考え方についてまず第一にお伺いしたいと思います。
  6. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 五十一年規制を実行するについては、いかに困難であるかということがわかってまいりました。さりとて、目下意欲的に中公審自動車専門委員会において検討を続けておりますので、その結論が出るのを待って、私のほうでは最終結論をつけたいとこういう方針であります。
  7. 矢田部理

    矢田部理君 少し各論的なことをお尋ねいたしますが、五十一年規制の前に五十年度規制があるわけでありますが、この五十年度規制についても二十一日ごろと思われますが、長官ツー・サイクル・エンジン規制の一部延期について検討をするようにということを事務当局に命じたというようなことが伝えられております。御承知のように、ツー・サイクル・エンジンの場合には、炭化水素の問題がむずかしいということで、かねてより論議の対象になっておったわけでありますけれども長官自身事務当局に対してそういう検討をさせるということ自体、非常に環境行政としては後退しているんじゃなかろうかと姿勢をくずしているんじゃなかろうかという感を強くするわけであります。この点どういうことなのか、長官お答えをいただきたいと思います。
  8. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 新聞予測記事は別と、いたしまして、本件に関してHCがぶつかればぶつかるほどやれないと言って強く陳情する立場と、やれると言って、やりますと言って陳情する立場と、二論が強く最近出てきております。したがって、すでに五十年規制告示の後でありますから、よほどのことがない限り動かしてはならないということは既定の事実であります。しかし、五十一年規制の〇・二五グラムの問題がいかに困難であるかという事実がここにわかっている現状に照らしまして、この二つ議論に対して、五十年規制HCに対する二つ議論に対して変更するという命令はいたしておりませんが、実情調査はしておく必要がある、実情調査を命じておるのであります。それが実情であります。
  9. 矢田部理

    矢田部理君 五十年度規制についてはすでに告示を出されておる。少なくとも告示を出した段階で、やるべきだという立場に立っていると思うのです。それをいまさら調査をするとか、検討を命じるとかということ自体がおかしいのではないか。これは五十一年規制もそうでありますが、一たん環境庁が出した告示企業等の巻き返しによって変更されるということになりますれば、告示そのもの権威にもかかわるし、これはあとで五十一年規制問題はさらに詳しく伺いますけれども、五十年規制まで後退をさせるということになりますれば、一体環境庁は何を考えているのか、告示の意味をどう理解をしているのか、きわめて疑問を抱かざるを得ないわけであります。その点再検討というか、調査を命じたのですか、その点もう一回詳しくお話しください。
  10. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) ものごとは生きております。その生きている実情を知ることは政治にとって最も大事なことだと思います。知るということに何のはばかるところもないと思います。知ることが即御質問者のように変更ということを言ったことではないと、まず知ると、現実を。そのことのために調べるということであります。
  11. 矢田部理

    矢田部理君 五十年規制告示を出すにあたって、もともとツー・サイクル・エンジンの場合にはHC問題があったわけですけれども、少なくともそれは克服できるという技術的見通しの上に立って、あるいは関連業者もそれを受けて、五十年規制を出したのではありませんでしょうか。いま長官がぬけぬけと言うように、ものごとを知ることをはばかる必要はないというような言い方では、非常に私ども理解に苦しむわけであります。その点もともと告示を出すときの状況がどうだったのか、どういう理解をされておるのか、再度答弁を求めます。——基本姿勢の問題ですから、長官お答えいただきたい。
  12. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) いま御質問の点はきわめて具体的な問題でありますので、大気局長お答えをしていただきます。
  13. 春日斉

    説明員春日斉君) 五十年度規制告示は、御承知のとおり一月に行なったわけでございますが、ツー・サイクル・エンジンハイドロカーボン規制の困難さと申しますものは、当時から御指摘のように、われわれも十分理解しておったわけでございます。しかしながら、再三にわたりますツー・サイクル・メーカーに対するヒヤリングにおきましても、その達成はきわめて困難であるけれども必ずしも不可能ではない、こういう感触を得まして、われわれといたしましては踏み切ったわけでございます。なお、この問題につきましては日本自動車工業会の内部でもいろいろ検討されたようでございまして、私どもに、ツー・サイクル・エンジンに対しましてはきわめてハイドロカーボン規制が困難なので延期方の申し出があったのでございます。したがいまして、私どもは、五十年の十二月末日までにすべての五十年度規制車というものは達成しなければならぬというきめを四ヵ月延ばしまして、五十一年の四月までリードタイムを与えたわけでございます。
  14. 矢田部理

    矢田部理君 私は、いま局長答弁になったようなことを伺っているのではなくて、もともと五十年規制告示を出したときに、少なくとも技術的な見通しを立てた上で、業界にもそのことを十分に話をした上できめた告示ではないか、それからわずかの期間しかたたないのに、今度は業界がむずかしいと言われたら——単に知るということじゃないでしょう。長官調査ということを言われていますが、あらためてその状況について調査をする、あるいは新聞筋によれば再検討を命じる、こういうやり方そのもの環境行政姿勢を疑う、疑惑を持つというようなことになりはしないのか、あるいは少なくとも調査なり再検討というのは、結果、内容によっては従来の告示変更することもあり得ると考えているのじゃないかという感じを受けるわけなんですが、この点、長官どうでしょうか。
  15. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) いま御指摘環境庁姿勢については、健康と生命の保全について、大前提を守るためには断固たる処置に進まなければならぬということが非常に大事なことであり、またいささかでも疑惑を招くような姿勢をとってはならないと考えております。  後段の御質問趣旨のそういう変更があり得るのではないかという御心配の節でありますが、それはそういうことの前提で調べておるのではなくて、まず実情を知ってよりよき判断をしたい、まだ実情が詳しく、つまびらかでない今日、調べておる中間に、絶対しないんだとかするんだとかいうことは、私は言うべき筋ではない、とにかく実情を知りたいといって調べさしておる、こう考えております。
  16. 矢田部理

    矢田部理君 いまの発言は聞き捨てならないと思うのですが、調べた内容いかんによっては、そうしますと変更もあり得るということでしょうか。
  17. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) いまのところ変更は考えていないのでありますが、とにかく調べてみるということであります。
  18. 矢田部理

    矢田部理君 非常に微妙な発言をされておりますが、いまのところ変更は考えていないが、とにかく調べてみる……。
  19. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 実情を調べてみるということです。
  20. 矢田部理

    矢田部理君 事態によっては変更もあり得るということでしょう、そうしますと。
  21. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) なかなか微妙に詰められて返答に困りますが、いまのところ考えていません。
  22. 矢田部理

    矢田部理君 いまのところ考えておらないことは先ほどでわかりましたけれども、将来、調査内容いかんによっては変更もあり得るということでしょうかと聞いている。その点、もう一度お答えください。
  23. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) いまのところ考えていないということで尽きるのであります。
  24. 矢田部理

    矢田部理君 三回も四回も同じ質問をしたくないのでありますけれども、いまのところはわかりました。将来、調査をした結果、内容いかんによっては変更もあり得るということなのかどうか、結論だけでけっこうですから。
  25. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) いまのところ考えていないと同時に、あり得るもあり得ないも言えないということです、いまのところ考えていないのですから。
  26. 矢田部理

    矢田部理君 どうも答弁をはぐらかすような感じがしているわけですけれども調査の目的は何でしょうか。
  27. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 激しい両面の意見陳情がありますので、知るということが大事だということであります。
  28. 矢田部理

    矢田部理君 激しい陳情があると言うんですが、その陳情内容を、それじゃ、もう少し詳しく御説明いただきましょうか。
  29. 春日斉

    説明員春日斉君) もともとツー・サイクル・エンジンにつきましては窒素酸化物の低減はエンジン特性からいたしましてかなり容易だと申すことができますが、その反面ハイドロカーボン排出に問題があるわけでございます。ところで、そのハイドロカーボンツー・サイクル・メーカー努力によりまして、いわゆるテン・モードテストでやります限りにおきましては克服する可能性というものは出てきておるわけでございます。したがいまして、私どもは五十年度規制に踏み切ったわけでございますが、ただ問題は、いわゆるコールドスタートを含めたイレブン・モードテストというものがきわめてむずかしいということがこれはあるわけでございます。もちろん原理的に申せば、ハイドロカーボンがたくさん出ても、それをアフターバーナーで燃してやればよろしいという原理的には解決あるいは触媒ハイドロカーボンを分解してやればよろしいと、こういうことになるわけでございますが、軽自動車という、軽という一つワク組みの中で考えますときにはこれは非常にむずかしい問題である、これがツー・サイクル・エンジン——三社ございますが、そのうちの二社の陳情、要望でございます。  で、もう一つは、ただいま申しましたように、ハイドロカーボン触媒をもって分解し……
  30. 矢田部理

    矢田部理君 そのむずかしさの内容を聞いているのじゃなく、どういう陳情があったのかを、その中身を聞いているわけです。
  31. 春日斉

    説明員春日斉君) いや、そういう陳情があったわけでございます。申し上げませんとおわかりいただけぬと思うので申し上げておるわけですが、しかしながら、その触媒をもってしても現在のところは一車検の間、二年間だけよりもたないんだと、こういう二つの相反するような陳情があるわけでございます。特に最後の、触媒によるハイドロカーボンの分解、吸収という問題につきましては、最近明らかにされてきつつある問題でございますので、その間の事情長官事務当局調査を命ぜられた、こういうことでございます。
  32. 矢田部理

    矢田部理君 長官のいまのお話によると、激しい陳情があったので、告示はしたものの、調査を必要としたから調査を命じたんだろうと思うんですけれども、それは、いまのところは告示を動かすつもりはないけれども、前後の事情をつづってみれば、状況内容によっては告示を再検討するということは少なくとも含みの中にあるんじゃありませんか。少なくとも、将来とも告示変更するつもりはないという答弁はここではできないわけですね。将来のことは何とも言えないということは、変更可能性もあるということを少なくともことばの反面として受け取るわけであります。単に、知るためにということではなしに、知った結果によっては再検討することもあり得るわけじゃありませんか。その点、現在の状況はわかりました。将来変更しないと、ここでまず断言できますか。
  33. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) いまのところ考えていないとしか申し上げられない。
  34. 矢田部理

    矢田部理君 もう一回ことばとしてだめ押しをしておきますが、いまのところ変更は考えていない、将来も変更はしないという答弁はできないわけですね。
  35. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 御質問趣旨のような点について、将来のことを確約をしないほうが正しいと思います。
  36. 矢田部理

    矢田部理君 わかりました。将来変更しないという約束はできないということでありますが、そこがまさに環境行政後退だと私たちは言う。しかも、それは単に五十年度規制の問題だけではなしに、むしろやっぱり五十一年規制をゆるめることと大きなかかわりを持っているというふうに客観的には理解せざるを得ないわけなんです。先ほど、五十一年度規制について、いかに困難であるかを理解しつつあるという長官の話がありました。従来は、五十一年度規制堅持する、できるだけその方向で実行したいという向き答弁を再三にわたって繰り返したわけですが、きょうは、そういうことばがむしろ聞かれずに、五十一年度規制の困難さが強調される。そうすると、もうマスコミや一般の人たちの受け取り方では、どうも環境庁腹の中には、もう五十一年規制はやらない、延期ないしは暫定値で切り抜けることが趨勢だというふうに見ているわけですが、長官の口からは少なくとも前回までは聞かれなかった。ところが、きょうは、いかに困難であるかを理解しつつある、知ったというようなことを述べておられることから見ますと、五十一年規制堅持という姿勢は、腹の中ではもうむずかしいということを考えておられるのかどうか、その点お伺いしたい。
  37. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 五十一年規制の〇・二五グラムというものの大方針堅持をしたいという願望は今日も強いのでありますが、強いと同時に、いかにこれが困難であるかということがわかってまいりました。したがって、現在意欲的に検討を進めてもらっておる専門委員会中公審結論を待って私のほうでも方針をきめたい。質問者のおっしゃるような御心配趣旨を、もちろん私自身堅持しながらまいっておることは事実であります。
  38. 矢田部理

    矢田部理君 いまのお話を伺っておりますと、五十一年度規制はすでに願望でしかなくなった、現実は非常に困難であるという認識の上に立っていると、そういうことでしょうか。
  39. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) そのとおりでございます。
  40. 矢田部理

    矢田部理君 という事実を環境庁として認識しているとすれば、もはや五十一年規制は、延期するか、あるいは暫定値で切り抜けるしかないと思うのです。そういうことで検討を進めているんでしょうか。
  41. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) それも検討課題の中心であります。
  42. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、五十一年規制願望ではあるけれども願望を越えてそれを現実のものにする見通しはなくなったというふうに伺ってよろしゅうございますか。
  43. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) いまちょっと質問者が触れられたように、現実のものとするに時間がかかるということの結果になると思います。
  44. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、時間がかかる以上、五十一年度規制は間に合わない、したがってあきらめたというのが環境庁態度でしょうか。
  45. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 〇・二五グラムの規制目標を、これはあきらめていない、この目標達成には執念を持っておりますが、けだし五十一年度中にこれを完成するということがいかに困難であるかということがわかってまいりました。したがって、これをどこまでの目標現実として仕上げをするかということをいま検討中であります。特にその件についても、自動車専門委員会中公審においても苦心をなさっていただいておるところと承っております。
  46. 矢田部理

    矢田部理君 NOx〇・二五を五十一年に実現することがまさに五十一年規制中身なんですね。NOx規制をあきらめてはいないということは、そのとおりだと思う。しかし五十一年規制を実施するかどうかというのは、五十一年中にそれがやれるかどうかが問題にされているわけなんです。それは時間的に無理だ、したがって五十一年規制は時期的な問題としてはあきらめざるを得ないというのが環境庁態度なんでしょうかと伺っているんです。
  47. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) その結論が、中公審からどのような結論検討して出てまいりますか、出てきた結論に立って、私のほうでは検討結論を出す予定です。
  48. 矢田部理

    矢田部理君 苦しくなってくると中公審の中に逃げ込むわけであります。中公審というのは、これはあとでその性格等についても議論してみたいと思いますが、一つ参考意見を出すところでしょう。従前答弁でも、むずかしくなるとすぐ中公審結論待ちだ、そこで検討願っているというお話でかわそうとされますけれども、もはや時期がここまできて、いろいろな議論問題指摘がある中で、いまさら中公審結論待ちですということで待っておるわけにはいかない状況じゃありませんか。中公審結論もさることながら、環境庁自身がより明確な方向を出していく時期じゃありませんか。その点で先ほどから長官の話を聞いておると、一方で不都合な部分中公審に逃げ切ろうとするし、中公審に責任を負わせるような姿勢感じられてなりません。もう時期的には無理だ、五十一年規制願望ではあるけれども現実的には無理だというお話をしているのですから、環境庁としては五十一年規制はあきらめたと言われてもしようがないのじゃありませんか。もうマスコミその他では環境庁は非常に後退しておる、五十一年規制は捨てたという理解に立っているのは、これはもう一般的な受け取り方ですよ。いまの論議を聞いておってもそう受け取らざるを得ないわけでありますが、もう一度だけ答弁してください。
  49. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 質問者のおっしゃる趣旨よくわかりますが、せっかく意欲的にお願いをし、やっていただいておる中公審なり専門委員会検討の途次に、私がいかに考えようとも、それを先に結論を明確に出すべき性質のものでもないし、出してはならないと私は思っておるのです。いま少し、せっかく権威者がそろって検討していただいておりますので、その結論待ちにおいて私の決意なり方針を言うべきだろう、これが私の姿勢であります。
  50. 矢田部理

    矢田部理君 そういう答弁があるだろうと思ったのですが、それならば中公審結論を出さないうちに、環境庁として五十一年規制願望ではあるけれども現実的に困難だという答弁をされるのはどういうわけですか。これはきわめて相矛盾した態度ではないでしょうか。まさに五十一年規制をやるべきかどうかについて検討を願っている中公審結論が出ないのに、すでに長官としてはいかに困難であるかを認識しつつある、こう言ったら、もう姿勢はくずれているのが事実じゃありませんか。それならあきらめたのかと言えば、それは中公審待ちだ。言ってみれば、もう論理の道筋からいえば私が言ったとおりにならざるを得ない。ことばだけ中公審に預けている、結論だけちょっぴりの部分だけ預けている、こういう態度、これはいかにも理解しがたいわけでありますけれども、そういうことじゃないでしょうか。
  51. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) それは私がいかに困難であるかがわかってきたということを申し上げたら、その裏づけのごとく、質問者が、願望とか、あるいはいろいろなことばを断定的につけていただいて、いかにも固定化したようにおっしゃるのですけれども、私は困難を認識しておる以上の限界を言っていない。どうぞ質問者はそこを心得ておいていただきたい。
  52. 矢田部理

    矢田部理君 私は長官ことばを要約して申し上げたつもりなんでありますけれども……。  そこで次の質問に入りたいと思いますが、五十一年規制は無理だということを前提にして、暫定値でいくしかないだろう、その暫定値も一率は無理だ、もう一つ後退するわけですね。で、大型車と中小型車に分けて段階的な暫定値を設けるというようなことも、環境庁として方向づけをし始めている、態度を固めつつあるというふうにもいわれておるわけなんですが、その点長官いかがでしょうか。
  53. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 先ほど来申し上げておるように、中公審待ちが原則でありますが、環境庁としてもぼんやりしておるわけではなく、いろんな角度からいろんな検討もし、勉強もいたしておりますが、まだ表面に発表するほど固まっておるものではないということであります。当然なことであります。
  54. 矢田部理

    矢田部理君 中公審待ちで、ぼんやりしているわけじゃない、勉強もしているし、検討もしているということはけっこうだと思うのですが、その重要な検討課題の中に、いま私が言ったような状況があるのではないのですかと、こう伺っておるわけです。
  55. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 一率の場合のメリット、デメリット、あるいは二本の場合のメリット、デメリット、あるいはこの間会長がおっしゃったように、大幅の場合の、いろいろな場合のことをメリット、デメリットを検討さしておりますので、結論がいま二本立てだというほど固まっておるものではありません。
  56. 矢田部理

    矢田部理君 もちろんまだ中公審の答申も出ないわけですから、固めたとは言い切れないでしょうが、検討課題の重要な一つとして、大型車と中小型車に分けて、暫定値を段階的に規制するというようなことを相当程度検討され、固めつつあるという状況ではないんでしょうか。固めてはいないでしょうが、固めつつある。
  57. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) まだ序の口であります。
  58. 矢田部理

    矢田部理君 まあ、序の口であろうと、そういう方向でいっているということならば、これはまたたいへんな問題でありますけれども、そこで、メリット、デメリットをいろいろ考えながら検討しているということですが、まあデメリットの中で従来問題になってきました燃費の問題あるいは運転性の問題等については、五十一年度規制の中ではデメリットとして考えない、むしろ国民の健康と生活環境を守るという立場からそれは捨てるというようなことも報ぜられていて、五十一年規制ではきわめてゆるふんの環境庁が、だいぶ思い切ってそこは切り捨てたというふうに私たちは高く評価しているのでありますけれども、そういうことは環境庁として固めつつあるわけでしょうか。
  59. 春日斉

    説明員春日斉君) ただいま燃費とドライバビリティーの問題についての御質問でございますが、大気汚染防止のために五十一年度から量産車に適応可能なNO、低減の技術的な限界を追求してまいりました。できるだけきびしい規制基準をきめようと、こうしておるわけでございますが、その場合に当然車の燃料経済性、及びドライバビリティーが悪化するという問題が発生してくることは御承知のとおりでございます。しかし、まあ私ども自動車排ガス規制の問題と申しますのは、何と申しましても公害対策基本法、あるいは大気汚染防止法のたてまえからいたしまして、国民の健康の保護あるいは生活環境の保全をはかるために大気汚染の防止を促進し、あるいは優先すると、こういう見地から取り組むべきであると考えておるわけでございます。これまた当然なことでございます。したがいまして、基本的には現在の技術で可能なNOx低減対策の適用によって、車の燃料経済性、ドライバビリティーの悪化が避けられないとしてもこれはやむを得ないと思っております。ただ、これには限度もございます。少なくともドライバビリティーの悪化が激しくなって、交通運転上の生命の危険、安全性の問題にまで及ぶとなれば、これはもう当然考えざるを得ないと思います。あるいは燃費の経済の問題といえども、極端な場合には、これは第一、ユーザーが買いません、そういう車は。そういう意味でも問題が出てまいりますが、たてまえとしては、私どもこの車の燃料経済性、ドライバビリティーの悪化が避けられないとしてもやむを得ない、かように申しておるわけでございます。
  60. 矢田部理

    矢田部理君 従来ともすると、五十一年規制のデメリットの一つとして、いまの二つの問題がかなり強調されておった向きもあったわけでありますが、極端な場合を除いて、ある程度の燃費の増加、あるいはドライバビリティーが低下をしてもやむを得ないという態度、それは明確にすると、こういうことですね。
  61. 春日斉

    説明員春日斉君) そのとおりでございます。
  62. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、中公審の関係を伺いたいと思うんですが、最近週に一度ぐらいずつ中公審が開かれていて——中公審といっても自動車公害専門委員会でありますが、いよいよ答申に対して大詰めに入ってきたという状況がうかがわれるわけでありますが、答申はいつごろ出される見込みなのか、その点を伺いたいと思います。
  63. 春日斉

    説明員春日斉君) 現在、実は中公審、第十四回の自動車公害専門委員会の経過を経ておりますが、なお取りまとめの時期に入っておりまして、あと二回はその取りまとめのために委員会が必要だと思います。なお、さらにそれに付属的に確認する意味で、もう一回程度は必要になるかもしれないと、こういうところでございます。したがいまして、十二月の中旬になるであろうと、これが一つの予測でございます。
  64. 矢田部理

    矢田部理君 いよいよ中公審取りまとめの段階に入ったということでありますが、その取りまとめ作業の中で、伝えられるところによりますと、五十一年度規制を三年間延期をするというような意見が大勢を占めている、大きくなってきているということなのですが、その点はいかがでしょうか。
  65. 春日斉

    説明員春日斉君) この問題は、先ほども申し上げましたように、自動車の公害専門委員会は十四回すでに行なわれておりまして、確かにいま御指摘があったような問題は何回かの委員会——何回かと申しますのは、数回にわたりまして討議されておりますが、委員委員長を含めて十名でございますが、その中での一部にそういう意見があったことは事実でございます。しかし、十人という中でそれが大勢を占めたということでは現在のところないようであります。
  66. 矢田部理

    矢田部理君 大勢か一部かという議論があったわけでありますが、大勢ではなくて一部であるというのが局長理解ですね。そうしますと、大勢は三年間延期論に立っていない。その立っていない中身は、五十一年規制をやるべきだということなんですか、三年間では長過ぎるからもっと短い期間を設けるべきだという意見なのか、そこら辺の延期問題をめぐる内容について御報告をいただきたい。
  67. 春日斉

    説明員春日斉君) たびたび長官からもお答えいたしておりますように、この委員会は十四回にわたって延々として行なわれておりまして、その間に各委員の御議論というものが出てまいります。御意見というものが出てまいりますが、最終的にこれは各個人、各委員の責任においての御発言を取りまとめて、委員会として一つの報告書を出すわけでございますので、それぞれの委員さん方がどう言ったかこう言ったかと申しますことをいまの段階で申し上げるわけにはまいらないと存じております。
  68. 矢田部理

    矢田部理君 私が伺ったのは、三年延期論が大勢を占めているのではないかという質問をしたところ、大勢ではなくて一部であるという答えでありますから、それなら大勢はどういう内容になっているのかを伺っているわけなんで、そこになったら口をつぐむ、あるいは中公審だから言えないということはちょっとおかしいんじゃありませんか。
  69. 春日斉

    説明員春日斉君) 御指摘の点は、暫定値をつくるといたしますと、暫定値の適用期間は何年がよろしかろうかと、それに対してある委員会で、すべての委員がしゃべったわけではございませんけれども、若干の委員がそういう論議を出されたということでございます。他の委員はしからばどういう御意見かと申せば、これは種々雑多、いろいろございます。決して三年の次は二年というふうに、しかく単純な論議だけではございませんで、いろいろな論議があった。しかし、それは最終的にまとめのところで再討議をいたしましてまとめるわけでございます。中公審の自動車公害専門委員会の御意見としては、そのまとめがほんとうの御意見であろうと考えております。
  70. 矢田部理

    矢田部理君 そこで次の質問をしたいと思いますが、三年延期論とあわせて、いま中公審の中では、五十一年規制はもう無理だと、したがって暫定値でいくしかないだろうと、その暫定値も、先ほどから申しておりますように、大型車と中小型車を分ける二分論がこれまた大勢的になってきているというようなことも伝えられているのですが、この点はいかがでしょうか。
  71. 春日斉

    説明員春日斉君) まさに伝えられていることは事実でございますが、専門委員会の討議というものは、これからまとめられるわけでございますので、まとめられるまで専門委員会意見はどうだということは申し上げかねるわけでございます。
  72. 矢田部理

    矢田部理君 局長はこの委員会には事務方として出席はされているわけですか。
  73. 春日斉

    説明員春日斉君) 出たり出なかったりいたしております。
  74. 矢田部理

    矢田部理君 局長は出たり出なかったりだそうですが、環境庁としてはどなたか必ず出ておるわけでしょう。
  75. 春日斉

    説明員春日斉君) 必ず出ております。
  76. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、少なくとも専門委員会の討議内容、問題点あるいは煮詰め作業の状況等についてはおわかりにはなっているわけですね。
  77. 春日斉

    説明員春日斉君) もちろん詳細に存じております。
  78. 矢田部理

    矢田部理君 とすれば、これは先ほど大臣の答弁でも、大型車とそうでないのを分けるという二分論ですね、環境庁としても黙って待っているわけじゃなくて、いろいろ勉強はしております、あるいは検討はしておりますという中に少なくともこれが入っている、中公審議論の中でもこの問題が煮詰め作業の中では非常に重要になってきているというふうに思われるわけです。そのことについてどういう状況か、もう少し詳しくお話しいただけませんか。
  79. 春日斉

    説明員春日斉君) そういったことは討議されていることも事実でございます。ただ、まあ再三申し上げるんですが、専門委員会の討議と申しますものは、それが煮詰まって初めて委員会一つ結論となるわけでございますので、その間、個々の委員の御意見と申しますものは正式に申し上げかねるわけでございます。
  80. 矢田部理

    矢田部理君 私が伺っているのは、個々の委員がどう言ったかということを逐一伺っているわけではなくて、大きな流れ、方向づけ、あるいは重要な問題点というようなものを概括的に話をすることぐらいは少なくともこの場でできやしませんかと、こう言っているわけです。
  81. 春日斉

    説明員春日斉君) 先ほど長官からお答え申し上げましたように、いろいろな立場からいろいろな可能性について論議されております。その中には、ただいま御指摘になったようなこと、重要な問題の一つとして論ぜられておるわけでございます。
  82. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、これに関連して一点だけ、時間の関係もありますから伺っておきますが、この大型車とそうでない車——中型、小型と言ってもいいと思いますが、これを分ける基準みたいなもの、これは議論されておりますでしょうか。議論されておるとすれば、どんなところでどんな基準で分けるのかということをちょっとお話しいただきたい。
  83. 春日斉

    説明員春日斉君) 大型あるいは中小型と、まあしごく明快におっしゃったわけでございますけれども、確かにそれを分けるということは非常にむずかしい。いわんや、それで基準値というものを区分するといたしますると、公平かつ合理的に分ける方法というものは非常に困難であろうと思います。一つは気筒容積で分けるという考え方もございましょう。いわゆるCC別あるいは等価慣性重量で分けるということもありましょう。あるいはその他にも幾つかあろうかと思います。しかしながら、すべて公平かつ合理的に分けるということはなかなかむずかしいことのように存じております。
  84. 矢田部理

    矢田部理君 むずかしいことはわかりますけれども、その基準化みたいなものを作業としてやっておられるのかどうか、やっておられるとすればどういう基準の立て方をすでにされつつあるのか。その点をお伺いしたい。
  85. 春日斉

    説明員春日斉君) ただいま申し上げましたように、気筒容積とかあるいは等価慣性重量別とか幾つかのことを私どもは想定いたしまして、事務的には作業はいたしておりますが、どれが最も合理的であり、どれが最も公平である、こういった点はやはり中公審の最終的な御結論に待つよりしようがないのであろうかと考えております。
  86. 矢田部理

    矢田部理君 以上、いろいろ環境庁長官なり局長に伺っておりますと、もはや環境庁なり中公審の流れというものは、五十一年度規制の完全実施はむずかしいという立場で作業が進められている、結論を出す時期として答申待ちというようなことになっているのが実情じゃないかと思うんですね。この辺私はどうも賛成しかねるのでありますけれども、もう一度国民の健康と生活環境を守るという原点に立って、たとえば、いまから幾つかの点で御質問したいと思いますが、いろんな論議を重ねる間にも、それなりに技術が進歩をしてきている、五十一年規制可能性を持っている開発なども進んできているように思われる。前回まで私は触媒の問題を中心に取り上げましたけれども、その後の状況を見ましても——これは局長に伺いたいと思いますが、富士重工のスバルが従来のレシプロエンジンにEGRだけをつけてかなり技術的に有望な見通しが出てきておるという報道がなされております。これは従前から私どもも聞いておったし、調査もしたのでありますが、なかなか内容がさだかにならなかったけれども、これまたアメリカ筋からその情報が入ってくるという、きわめて奇妙な経過の中で私どももこの事実を知ったわけであります。従来のエンジンにプラスEGRだけで相当程度有望な見通しが立てられつつあるという報道があるわけでありますが、環境庁としてはこのスバルの技術的な開発がどの程度進んできているか、その水準、内容見通し等について説明をいただければと思っております。
  87. 春日斉

    説明員春日斉君) 私どもも富士重工の一二〇〇ないし一四〇〇CCのスバルレオーネでございますか、これにつきましていろいろ報告を受け、検討をいたしております。確かに窒素酸化物の低減率というものはかなり従来のものよりよろしいようでございます。EGRを約一〇%かけてたしか〇・四前後までいくというような話も出ておるわけでございますが、ハイドロカーボンとCOがやや高いと、こういうような実情も聞いておるわけでございます。
  88. 矢田部理

    矢田部理君 その実験内容、試作の状況とか将来の見通し等についてもう少し詳しく知りませんか。
  89. 春日斉

    説明員春日斉君) この問題につきましては私ども検討をいたしておるわけでございます。
  90. 矢田部理

    矢田部理君 いや検討はいいけれども、もう少し詳しく、たとえばHCとCOがやや高いと言われておるけれども、これについては改良方法があるのかどうか、触媒等で押える方法ができるのかどうか等々も含めて、これを生かす方向での検討なり環境庁としての指導なりがなされてきておるかどうか、もう少し内容があれば出していただきたい。
  91. 春日斉

    説明員春日斉君) 私ども調査いたしました結果では、この富士レオーネの方法でございますが、これは酸化触媒にEGRをかける、こういうシステムでございまして、これは還元触媒を使っておるわけではないわけでございます。まあ、そういうような意味からいたしましても、まだ改善の余地はあろうかと思います。一つのステップとしては、私は、今後ともこういった研究というものが五十一年度規制の第一歩としてさらに研究を進めてもらうように要望しておるところでございます。
  92. 矢田部理

    矢田部理君 このスバルの内容など、私なりに調べたところでは従来のものよりもかなり簡易に、装置などもEGRを中心にしたものだけで相当程度有望だと聞いておる。そのほかにも、たとえば最近の報道によりますと、ヤマハとかトヨタなどで、例のウルトラリーン方式といいますか、超希薄混合比燃焼方式で相当程度の可能性を見出しつつあるというようなことから、私どもが前々回あたりやった委員会のときに出た議論よりも技術的にはるかに進んだ状況がその後次々と報道されたり知らされたりしておるわけですね。そういうことを踏まえれば、前回まで問題にしてきた触媒の問題も含めて、まだ技術的に困難だ、五十一年規制はむずかしいという態度環境庁自身がとることは問題なんじゃないか。前回も東京都など七大都市調査団の報告書に対して非常に激しい非難を加える、技術的に触媒なりエンジン改良なりでいろいろ出てきたものについて積極的にこれを前に出し、討議の対象にする姿勢が欠けている、そういうところからも環境行政後退を私たちは見ざるを得ないわけなんです。その点で環境庁長官に最後にひとつぜひお伺いしたいと思いますのは、いまいろんな議論をしてきた、ことばとしては若干のすれ違いがありますけれども、どう見てももう五十一年規制はあきらめた、むしろ問題点はそれを何年延期するか、その間暫定値でどうしていくんだ、その暫定値の中でも大型とそうでないのを分けるというような状況が支配的になりつつあるように受け取れてならないわけです。中公審中公審と言って中公審の結果待ちを口実にしてずるずるっと環境行政後退していく経過を見ないわけにはいかないわけなんです。その点環境庁長官として、もうそう長い命でもなさそうなんでありますが、少なくとも環境庁長官として私はこれをやった、ここだけはきちっと押えたということで一つぐらいあとに残るようなものを残されたらどうか、その重要な一つが少なくとも私は五十一年規制問題であろう。いまの姿勢では、悪名高い田中総理が参議院選挙中に言った五十一年規制延期するということと結果として同じようなことになってしまう。これと内容が、何も田中総理と同じにする必要はないでありましょう。とりわけこういう状況のもとではひとつぴちっとした姿勢をこの際とって、もう一度やっぱりどうして健康と環境を守っていくのか、その立場を貫徹するのか、その点のやはり基本的な姿勢をここで内外に明らかにしたら長官の時代は短かったけれども、なかなかいいことをやったわいということでほめられることになりゃしませんか。その点でひとつ環境庁長官答弁を伺いたいと思います。
  93. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 長官の任期の短いことを断定をされまして、いろいろと教訓に満ちた御指示を賜わりましたが、私の心境は原点に返って、やるべき可能性のあること、やるべきこと、これに対する大方針については断固やる方針にいささかもゆるんではいないんでございます。同時に、いまのおっしゃる五十一年規制も全部あきらめておるというようなおことばに聞こえるおことばでありますが、あきらめておるのではなくて、ほんとうにやれるのか、やれないのかという角度の検討をきびしくやっておる。そして追求すればするほど困難性がわかりつつあるという実情に遭遇しておる。その間にあっても、原点に返るというよりも、原点にあくまでも立って健康と生命の保持の点は守り抜くという点をいささかもゆるめない観点に立っての、それはそれで補強策もしなきゃならぬし、目的完遂に向かっての総合的努力をどうして完遂するかという苦心を、いまくふうを、思考をこらしておるというところであります。なお一段と努力を続けてみたいと思います。
  94. 矢田部理

    矢田部理君 どうも長官の、おそらくまあ最後の答弁になるだろうと思われる答弁としては、あんまりさえた感じでは聞こえなかったわけでありますけれども、非常に姿勢がゆるんできている状況から、私はもう一度、やっぱりこの委員会として、いまこの重要な五十一年規制問題についてどう締めくくっていくのかということを検討しなければならない段階にきているのではないかという感じがいたします。とりわけ中公審中公審と、そこを隠れみのにしてきた環境庁でありますけれども、その中公審の答申が十二月半ばごろには出るという状況、ところがこの中公審の討議内容がさっぱり国会ではわからない。前回八田メモの問題を久保委員などからも提起をいたしましたけれども、このメモについても提出をしない。そういうことから、私はもともと中公審が非公開でやらなきゃならぬという法的根拠は全くないと思うのでありますけれども、事務方から都合のいい部分だけを報告され、そうでない部分は秘密にされるというようなやり方では私ども納得できませんので、ぜひこの八田委員長を、中公審の答申が出る前に委員会を開いていただいて、ぜひ参考人として呼んでいただきたいのが一つであります。それからもう一つは、きょうちょっと時間がなくて議論ができませんでしたけれども、御承知のように七大都市自動車排ガス規制問題調査団が報告書を出しております。これはまあ衆議院で問題にされておるわけでありますが、それに対して春日局長は非常に科学的でないとたいへんな非難をしておるわけでありますし、もちろんそれに対する調査団からの反論もあるわけでありますが、その団長なり、あるいはその技術者として参加をされた西村肇東大助教授、これを二番目にぜひ参考人として呼んでいただきたい。それからさらに私のほうから前回までグールド社の触媒問題についてお話をしてまいりました。日産は失敗をし、グールド社は成功をしたということで非常に食い違いが多いのです。その資料を出してほしいということを再三にわたってしてきたわけでありますけれども、いまだにどうも出ておらない模様であります。そこでグールド社の責任者を呼んでほしい、これが三人目です。それから、先ほどから議論をしておりますように、最近になりましてからエンジンの改良あるいはそのプラスEGRなどの方式で幾つかの技術の開発が明らかにされつつあります。そこで、富士重工の代表者あるいはトヨタの代表者などを含めて、もう一回この委員会で参考人を呼び、技術的可能性について、あるいはその最近の状況や五十一年完全実施を目ざす方向でのやっぱり議論を深めてみる必要がありはしないかというふうに考えるわけでありますので、以上数名の者をぜひ参考人として呼んで、とりわけ時期的には中公審の出る前でないと意味がございませんので、その前に委員会を開くことを強く要請をして私の質問を終わりたいと思います。
  95. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) いまの矢田部委員からお聞きのような考え方が出ておりますが、先般参考人においでいただいて議論をいたしておりますし、その後委員会の審議いたしておりますが、いずれにいたしましてもやはり委員会としての締めくくりの論議をしなきゃならぬだろうというふうに考えなきゃならぬと思いますし、したがいまして、いまの矢田部君の件もありますので、あとほど理事会で相談をいたしまして取りきめたいと思っております。  速記をちょっととめて。   〔速記中止〕
  96. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記起こして。
  97. 小平芳平

    ○小平芳平君 私の質問は午後に予定されておりますが、いまの自動車排ガスに関係いたしまして簡単に二、三お尋ねしておきたいと思います。  先ほど御指摘の五十年規制ツー・サイクル・エンジンHCにつきまして、新聞報道によりますと、自民党政調会が環境庁に対して要請をしていると、あるいは代議士を動員して環境庁陳情しているというような報道がなされておりますが、これは事実かどうか。これに対して毛利長官はどう受け取っておられますか。どうしてそうした記事を私はここで取り上げるかと申しますと、とにかく家庭の主婦あるいはお年寄り、一日じゅう家の中あるいは家の周囲において排気ガスに悩まされ続けている。そしてかぜを引いた、少しかぜけでもなかなかなおらない。あるいは幼稚園や学校へ通う子供さんたちがその排気ガスを年がら年じゅう吸い続けて通学、通園している。真夏でもこんこんせきをする。そしていまごろちょっとかぜぎみだと思ったら最後、いつまでたってもなおらない。そういう深刻な事情にあることをよくお考えの上で、はたして自民党の政調会からどういう動きがあるのか、代議士は動員されているのか、その事実と長官のお考えをお答えいただきたい。
  98. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 政調会長の名においてわがほうに要請がありましたその一部分の中に本件が記載されておるということは事実であります。それから国会議員を動員してあるということはまだ事実を確認しておりませんが、二、三の国会議員が陳情においでになっていることも事実であります。それから方針としては、先ほど来矢田部委員の御質問に対して申し上げたとおり、両方の意見がツーサイクルに対してありますので、実情調査をいたしておる、これが実情でございます。
  99. 小平芳平

    ○小平芳平君 長官春日局長もとにかく中公審待ちだということを再三繰り返しておられる中で、そういう与党の政調会あるいは二、三の代議士がそういうふうに延期を要請することに対しての長官のお考えを伺っておきます。
  100. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) これに対する御質問者のはツーサイクルに対する方針でしょうか。
  101. 小平芳平

    ○小平芳平君 ツーサイクル。
  102. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) それは矢田部委員に申し上げたとおりなんですが、それ以上現状を調べた上での判断をしたいということであります。
  103. 小平芳平

    ○小平芳平君 いや、それは先ほど来伺っておりますが、私が質問している趣旨は、なかなか私が説明するような、こんこんせきをしながら幼稚園や学校へ通っている子供さんたち、あるいはかぜを引いたら最後なかなかなおらないという主婦は、なかなか環境庁陳情にさあ行けと言われても行かれないわけですよ。だから、そういう声を聞くための環境庁であって、そういう与党の代議士や政調会ならばすっすと陳情できるでしょう。いろんな要請もできるでしょう。そういう点についての意見を伺っておるわけです。
  104. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 大気汚染の今日の状況をいかにして汚染を少なくするかの努力については、最善を尽くさなければならぬという既定方針は何ら変わってないし、また努力をしなければならぬと。またそういう御陳情も、質問者の個々人の陳情は得られないにしても、集団の陳情はずいぶん毎日受けております。それを拳々服膺、大気汚染を少なくする方法について努力をするという決意、方法その他については、何ら方針を変えていないと。実践する場合における本件の複雑性、多様性、技術性、科学性、そしてそれがもし一歩でも後方に下がる場合の補完性、総合性、そうしたものの検討を綿密にやらなければならぬと。総量規制の名において大気汚染を少なくすることを年次的に実践していかなければならぬと、こういうきびしい検討を進めておると、こういうことであります。
  105. 小平芳平

    ○小平芳平君 まあなかなか抽象的にはきびしく言われますが、問題は具体的にどう結論されるかということが一番重要だと思うんです。  それから次に、先ほど矢田部委員指摘された、トヨタが低公害エンジンを、今度は五十一年規制についてそのエンジンを開発した、これは五十一年規制にも影響が出るだろうという報道が出たかと思うと、一方では、十六ヵ国の国際自動車工業会議所ですか、ここでまあ日本の規制についての意見を提出された。それに対して自工会会長のトヨタの社長が、経済性無視の規制には反対というような発言をしておられるようですが、その辺の事情はどうなんですか。
  106. 春日斉

    説明員春日斉君) トヨタ自動車が、かねてからトヨタ新燃焼方式と仮称いたします方式を開発しておることは私どもも存じておったわけでございますが、これは言うなれば燃料希薄燃焼方式でございまして、特に本田のCVCCあるいは日産のNVCC等のごとく副室を設けるのではなくて、副室のない希薄燃焼方式というふうに私どもは聞き、現場でも調査をいたしたのでございますが、これは確かに今後の一つの新しい行き方であろうと思います。しかし、それが五十一年度中に信頼性、耐久性を含めてシステムとして間に合うかどうかということは、おのずからまた別の論議があるわけでございまして、これは中公審の部会におきましても討議をしてまいったところでございます。  なお、十六ヵ国云々の問題につきましては、私ども新聞紙上で拝見しただけでございます。
  107. 小平芳平

    ○小平芳平君 七大都市調査団と、それから専門委員会とが十一月六日に議論されたというときは局長は出席しておられましたかどうか。  それから、出席していたにしろいないにしろ、現在の技術レベルでもある程度が可能だと、五十一年度までたてば〇・二五は可能だという意見、そういう意見に対し、一方の八田委員長のほうは大型車と小型車に分けることが妥当だというふうな報道がされておりますが、そういう内容はどういう内容だったのか、また環境庁はそれをどう受けとめておられますか。
  108. 春日斉

    説明員春日斉君) 残念ながら、あのときは私は当初おったのでございますが、全く同時刻にかなり大ぜいの御陳情がございまして、私はそれにずっと出ておりましたので、大部分論議あとでテープその他で十分に聞きはいたしましたけれども、現場にはほとんどいなかったわけでございます。  なお、七大都市の調査団の御意見の中で、技術的評価につきましては、少なくとも五十一年度中にはこの程度まで技術は進歩するであろう、進むであろうといういわば技術的な評価についてはそれほどの大きな差が専門委員会との間になかったと思います。しかしながら、確実に、先ほど申しておりますように信頼性、耐久性を含めてシステムとして五十一年度中に量産可能であるかどうか、こういう判断はかなり大きく食い違っております。その点が私はこの前の両専門家グループのディスカッションの大きな問題点であり、意見の食い違った点であろうと思います。技術的評価そのものはそれほど大きくは差はないけれども、いつできるかという見通しにつきまして大きく食い違ったと、こういうことでございます。
  109. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、環境庁はいつできるというほうですか。
  110. 春日斉

    説明員春日斉君) この問題になりますと、自動車公害専門委員会の御意見がやはり私どもの判断の中心になろうと思いますので、私どもも五十一年度中に必ず五十一年度規制値ができるとは考えられないと思っております。
  111. 小平芳平

    ○小平芳平君 五十一年度中にできなければ、この専門委員会委員発言の中に三年延期するというような報道がなされておりますが、環境庁もそういう判断だということですか。
  112. 春日斉

    説明員春日斉君) 先ほどお答え申し上げましたように、三年延期——まあ暫定値をつくるとすると暫定値の適用期間は三年が適当ではなかろうかという御意見があったことは事実でございますが、環境庁はそこまでまだ踏み切って結論を出しているわけではございません。
  113. 小平芳平

    ○小平芳平君 技術の問題だ、技術の問題だとよく言われます。しかし、私は技術者じゃないからわかりませんが、そういう技術の問題が、この七大都市調査団とそれから専門委員会と大きく食い違うという局長が表現されるそのもとは何だと思いますか。これは長官いかがですか。技術の問題だと言うんです。しかし、技術の問題が大きく食い違うという、どうしてその技術の問題が大きく食い違うか。そういう点はわれわれしろうとが新聞を読んでもさっぱり了解できないんですが、いかがですか。
  114. 春日斉

    説明員春日斉君) これは技術的な評価、現在の自動車工学はここまで来ておる、そうして可能性はこの辺まであるであろう、そういった評価につきましてはそれほど差がないわけでございます。ただし、それを先ほども何回も申しておりますように、量産をし、そうして運輸省の認証試験をパスすると——まあ非常にきびしいテストでございますが、そうすることを五十一年度中に達成しなければならないというのが専門委員会のお考えなんですが、その辺の見通しになりますと食い違ってくる。要するにリードタイムと申しますか、量産と申しますか、あるいは運輸省の認証テストのきびしさ、こういったものに対する認識の差が出ておるのではなかろうか、かように考えております。
  115. 小平芳平

    ○小平芳平君 なるほど、するとメーカーのやる気の問題だね。要するに春日局長は前回の委員会でも、時間的に無理じゃないかという私の指摘について、確かにまあこの年内が勝負だというふうに言っておられましたが、年内といってももう一ヵ月余りです。したがって、実際メーカーがどうしても五十一年度において量産する車は技術的に可能だというならば、その可能の技術を実現させるという、そのやる気の問題ということになりませんか。
  116. 春日斉

    説明員春日斉君) やる気も非常に大きな要素だと思いますが、まあやる気が幾らございましても、五十一年度中に達成し量産をするためには、現在量産のための試作車というものが信頼性、耐久性を含めて完成していないとまずはむずかしいのではなかろうか、前回お答え申し上げたところでございます。ところが〇・二五・パー・キロメートルという非常にきびしい窒素酸化物の五十一年度規制値を達成しておる車の量産のための試作車というものはまだ完成していない、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  117. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、五十年、五十一年と、あと二年ありますから、おそらく技術的にはそれは完成するだろう、試作車も完成するだろう、量産の態勢をとるには、運輸省のテストその他でまあ何ヵ月かかるだろうということになりますと、暫定値とか、あるいは二年とか三年という議論ではなくなってしまうんですね。いかがですか。
  118. 春日斉

    説明員春日斉君) でございますから、たとえば五十一年の段階におきまして〇・二五を達成する試作車ができたといたしましても、それが量産化するためには、リードタイムでございますが、若干要るわけでございます。まあおそらく二年程度のリードタイムが必要であろうと思いますが、そういたしますると、それだけ延びるということになります。しかしながら、五十年度規制の値をそのまま延長するのがよろしいか、あるいは〇・二五に最も現状技術で近いところまで規制して暫定値というかっこうでいくのがよろしいか、そういったことを現在中公審で御検討いただいておるわけでございます。そういったことも含めて検討していただいておるわけでございます。したがいまして、やはり論議の中では暫定値という問題も非常に大きな論議の中心になるわけでございます。
  119. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃあ時間が過ぎましたので、長官、いまのような技術的には可能だというわけです。技術的な問題としては七大都市調査団の見通しと、環境庁専門委員会見通しと食い違いがない。したがって、いつその新型車が完成し、テストに入るか、テストが終わって安全性その他確認の上で量産に入るか、その問題だというんです。そういうことでしょう、局長——そういうことなら環境庁長官、もはや答申待ちとかあるいは陳情云々というようなことはもう問題ない。五十一年規制は確実に実施しますと、これでいいじゃないですか。
  120. 春日斉

    説明員春日斉君) 若干私ことばが足りませんであれでございますが、要するに私が申しておりますのは、技術的には五十一年ぐらいの段階になりますと、かなりいいところまで進むであろう、現在より相当進むであろう。まあ〇・二五が確実に達成されるかいなかは別として、かなりいいところにいくであろうという技術的な見通しにつきましては、七大都市の報告にもある程度のことは——私はそれほど大きな見解の差がないと申しておるわけでございます。しかし、それを先ほども申しましたように五十一年の段階からさらに量産車にいたしてまいりますためにはかなりのリードタイムも必要であろう、こういうことでございます。
  121. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 私も技術的にしろうとで、人の話を聞いている知識程度でありますが、実際の量産体制というものはそんななまやさしいものではないということを各方面から承っております。したがって、非常にこれが実施には困難であるということを最近承っておりますので、先ほど来の答弁結論になっておるわけであります。聞けば各社ああして四千五百名、五百億円の精鋭を集めて技術陣を動員して研究を進めて、なまけておるのではないか、なまけておるのではないかという追及もずいぶんいたしましたが、そのような技術陣動員における努力もしておるようでありますが、要は技術的可能性と量産体制とのリードタイムというものの間にはかなり日数を要する、そしていかに困難であるかということが最近わかってきたという前提に立って苦慮しておるというところでございます。
  122. 内田善利

    ○内田善利君 きょうは公害環境影響調査について申す予定でありますが、その前に本年三月予算委員会で生野鉱山のカドミウム障害のことをお聞きしたわけですが、そのときの三木長官並びに橋本部長の答弁の中から、この問題については早急に調査を進めて結論を出したいと、こういうふうに橋本当時の審議官は答弁されておるわけですが、その早急に調査を進めて結論を出したいということがいつになるのか、それから三木長官も、その問題は再調査をしてそういう人たちにできる限り救済の手を差し伸べたいと、こういうふうに答弁されているわけですが、一体どのようになっておるのか、十二月にはなくなられて、また一月にもなくなられたお年寄りがおられるわけですが、青田さんの解剖所見はその当時は金沢大学だけだと、神戸大学でも同じチェックをやっておりますという答弁でしたが、これができたのか、その結果はどうだったのか、そういったことについて全然お聞きしておりませんので、質問を始める前にこの問題についてお聞きしたいと思います。
  123. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) いま先生の御質問のございました兵庫県の生野鉱山周辺の住民のカドミウム中毒ではないか、あるいはイタイイタイ病ではないかという問題でございますが、これは先生の御指摘のございましたように、三木長官が、非常に重大な問題なので、さっそくおまえ行って調べてこいということで、当時私は生野に参りまして、現地も聞き、あるいは関係の先生方にお会いをしました。その後兵庫県当局とはいろいろ折衝をいたしておりましたが、この病理解剖の問題が一番時間がかかったわけでございます。特にこのイタイイタイ病の問題ということは骨のいろいろのこまかな標本をつくるということで非常に時間がかかったようでございますが、十月の末に兵庫大学の医学部の病理のほうとしては整理ができたというように私どもは聞いておりまして、そして十月の末ですか、十一月の初めですか、一回、兵庫県の健康診査の委員会で御議論をされたというぐあいに私ども承っております。ただ、そのときには委員の皆さんが全部がまだお集まりではなくて、もう少し委員会として検討しなければならないというぐあいに承っております。そういうことで、私どものほうは兵庫県のこの検討委員会はできるだけ早く済まして、それが済めば国のほうにぜひすぐ上げてくれるようにと県に再三強く要請いたしておりますので、私どもの感触では、まだ現在のところは済んだとは聞いておりませんが、年内には兵庫県としては検討を終えるのではないかというぐあいに考えておりますので、上がり次第、これはおそらく来年初めになるのではないかと思いますが、中央のほうのイタイイタイ病及びカドミウム慢性中毒の鑑別診断の研究班の中で検討していただきまして、そしてその結果に基づいて環境庁としての結論を出したいというぐあいに考えておるわけでございます。
  124. 内田善利

    ○内田善利君 ことしの予算委員会では、早急に結論を出していただきたいということをお願いし、また長官も審議官もそのように答弁があったわけですが、どうも医学界のことはよくわかりませんけれども、二人の世界的権威の先生がこれは確かにイタイイタイ病だとおっしゃった、そして富山県とどう違うかという質問に対しても、富山県と全く同じだという答弁が返ってきた、また土壌汚染防止法によって企業が七五%負担をして客土をやっている、そういう客観的な事実などから照らしてみて、一体何がこれをはばんでおるのか、そのように思うのですが、このはばんでおる理由がよくわからないのですが、イタイイタイ病として認定するということになると、診断基準その他によると思いますが、診断基準を見ましても、一項、二項、三項を読みましてもみんなそれに当てはまっている、どこにも認定されない理由はないとそう思うのですけれども、これがなかなか認定されない、そういう状態でございますが、この点についてどのように長官は考えておられるのかお聞きしておきたいと思います。
  125. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 兵庫県で目下第一回目の検討が行なわれたところでありますが、県の検討が終了次第国において診断研究班に上げるような——国において県の結果がわかり次第検討をすみやかにしたいと、こういう考えでおります。
  126. 内田善利

    ○内田善利君 県の検討が終わればやるという四月からのお話ですけれども、もう少し積極的に国のほうで環境庁として私はやるべきだと思うのですね。いつも、県の委員会を尊重される気持ちはよくわかりますけれども、もう時日をおくらせるわけにはいかないそういう実態だと思うのです。またそのように三木長官も、当時の橋本審議官もそうおっしゃっているわけですが、まだ県が県がと言っている以上は、なかなか認定まではいけないのじゃないか、またはっきりするまではいけないんじゃないかと、こう思うわけですね。いずれかに早くはっきりしていただきたい、このように思うわけです。いかがでしょう。
  127. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) いまの御質問のございました、この兵庫県が引き延ばしているという問題ではございませんで、神戸大学の先生の病理解剖の所見がなかなか出なかったと、またなかなか出なかったということはどういうわけかという御質問だろうと思いますが、これは骨の標本その他腎の標本を非常にいろいろの、現在できるだけの最高の技術でやろうということで、国際的にも比較できるだけのものをきっちりおやりになってお出しになっておる。私どもは初めは四月末と言い、次は七月末にできるでしょうという御議論で、その後にとうとう十月の末まで病理の先生として出すまでに時間がかかったということで、初めて兵庫県が十月末に第一回の検討委員会を開けるというような事情でございます。そういうことでいまおくれたというような事情でございますので、兵庫県が検討をまたそれから非常に長くやるとは、私どもはそんなに長くかかるものとは考えておりません。第一回をやり、次に一回か二回、担当の実際御意見をお持ちになった主治医の先生方の御意見も開くようにということを私どもも申しておりますが、それを経れば私どもは中央のほうにすみやかに上げていただいて、そしてそれによって結論を出していきたい、こういうことでございます。
  128. 内田善利

    ○内田善利君 質問はこれで終わりますが、十二月にもなくなられましたし、また一月にもなくなられましたし、そういうお年寄りがイタイイタイ病にかかっておると思われるわけですが、そのように国のあたたかい治療を受けないでなくなっていかれる事実を見ますと、一日も早く認定にこぎつけていただきたい、そのように希望して次の質問に移ります。  本日は、大気汚染防止法改正に伴う政令でSO2の総量規制に踏み切られたわけですが、これも昭和四十五年あたりから私どもは、濃度規制だけじゃなくて量の規制もすべきであると、こう主張してきたわけですが、今回SO2の総量規制がなされたわけですが、この地域ごとの環境受容限度をきめて、それに基づいて総排出総量がきまると、そして個々の排出源に対して総量排出規制基準がきまる、こういうわけでございますが、その手法はどのようにしてやるおつもりなのか。いま通産方式とかあるいは環境庁方式でいろいろあちこち影響、事前評価が行なわれておりますが、どういう手法でやっていかれるのか。
  129. 春日斉

    説明員春日斉君) 二つの方式がございます。一つは電算機シュミレーションによるものでございます。それからなお風洞実験によるいわゆる通産方式もその一つとして認めてございます。
  130. 内田善利

    ○内田善利君 じゃ両方でやられるわけですね。
  131. 春日斉

    説明員春日斉君) これはどちらか一つ、あるいは両方を行なうと、こういうことにいたしてございます。
  132. 内田善利

    ○内田善利君 それでは次に続けますが、五十三年までに個々の排出規制が決定されるわけですけれども、この各企業はそれぞれどういう対策を講じてこの排出規制基準にはまるようにしていくことになりますか。
  133. 春日斉

    説明員春日斉君) 大きく分けて二つがあるわけでございまして、一つは低硫黄の燃料を使うということ、いわゆる燃料の改善でございます。それからもう一つは、排煙脱硫装置を十分に使うということ。この二つがおもな対応策であろうと考えております。
  134. 内田善利

    ○内田善利君 低硫黄化、あるいは排煙脱硫ということでございますけれども、私がこの問題について調査した結果は、現在排煙脱硫装置を使っている企業というのはものすごく少ないのです。私のおります九州では九州電力が主たるSO2発生源ですが、まだ一ヵ所も排煙脱硫装置を使っていない。また脱硝に至ってはゼロです。これも全然やっていない。排煙脱硫については苅田の発電所がやっと十二月二十五日稼働に入るということですけれども、排煙脱硫装置すらやっていない。そういう実情ですが、これで先ほど自動車の排気ガス規制のこともありましたけれども、固定発生源のこのS02対策、あるいはまたさらにNOx対策、一体できるのだろうか。あのように自動車排気ガスの規制もまた何年か延ばすというようなことがいま論議されておりますけれども、固定発生源でもこのようにまだ排煙脱硫すらやっているところがない。全国で現在発電所関係だと思いますが、発電総量は六千十二万キロワット。この六千十二万キロワットのうち排煙脱硫をやっている、全国——東電とか中電とか全部入れて百二十三万キロワット、約二%しか排煙脱硫をやっていないわけですね。そういうことで低硫黄化とあわせて排煙脱硫もやっていくということですけれども、こういう実態なんですが、これに対して通産省はどういう指導をやっておられるか、指導といいますか、規制基準に合わせるために、その対策をまずお聞きしたい。
  135. 佐藤淳一郎

    説明員佐藤淳一郎君) これからやりますところのきびしい基準に合致させるためには、いま環境庁局長がおっしゃいましたように、まず燃料を低硫黄化するという問題と、脱硫装置と二つの方法を積極的に推進させるべく、いろいろ特に設備投資の面で積極的な手を打っておるわけでございます。先生御指摘のように、硫黄分の排出量につきましては、ここ数年相当顕著に下がってきておりますけれども、その主たる要因としましては、脱硫装置の設置よりも、むしろ低硫黄の軽油あるいは重油を使って環境改善に資してきたということでございまして、脱硫装置につきましては、まさにこれから積極的にやる時期に入っておるわけでございます。したがいまして、装置そのものも全体的にそれほど普及いたしておらないわけでございます。これはいろいろ技術的の検討、確かに抜くことは抜ける装置はあるわけでございますけれども、抜いたあとの、やはりこれはいろんな形で酸の形で出てきたやつを最終的に安定させなきゃいかぬ、二次公害が起きないようにしなきゃならぬということでございまして、このためにはやはり石灰等を使いまして最終的に石こうとして安定させるというような方法、これも二次公害が起きないような形できちっとおさまった形での装置でないと、単に抜くだけ抜けても、あとでそのあと始末が十分うまくいかないということではぐあいが悪いということで、もっぱらそういう点も含めて技術の検討をやってまいったわけでございますが、まあ大体において技術の見通しが立ちましたので、これからは積極的に、むしろ——もちろん燃料の低硫黄化、脱硫の問題もございますけれども、これからはやはり脱硫装置を各所に積極的につけていくということによって今度の総量規制に時間的に間に合うように積極的に最重点的にこの問題を推進してまいる所存でございます。
  136. 内田善利

    ○内田善利君 この総量規制をするについて企業の規模はどのように考えておられるのか、それから新しく新設するとか増設するS02発生源、これに対する総量規制、これはどうされるのか、それから今回の十一地区指定地域以外の地域の発生源についてはどうするのか、この三つを聞きたいと思います。
  137. 春日斉

    説明員春日斉君) 規模の問題でございますが、指定されました地域の特性によってそれぞれ異なると思います。したがいまして、いわゆる指定企業と申しますか、指定工場と申しますものは、ある地域によってはかなり大きいものだけでございますが、ある地域によりましては、かなり小さな工場も指定されることがあるわけでございます。しかしいずれにいたしましても、全体の八〇%程度の排出量を占める工場を指定工場にいたすことといたしております。  それから総量規制地域に工場の新設あるいは増設が可能か、あるいはその場合に規制がどうなるかというお尋ねでございますが、工場の新設、増設を禁止するものでは決してないわけでございまして、新設工場、増設工場にはそれなりの許容量が与えられるわけでございます。ただし新設、増設の工場には一般の工場に比較して相当きびしい基準がかかってまいりますので、総量規制地域では新設、増設というものは実質的抑制されることにならざるを得ないであろうと考えております。新設、増設による排出量の増加があっても、全体としては排出総量を目標削減量内に押えるわけでございますから、汚染の増加はもたらさない、そういう範囲内で増設、新設は可能である、実質的には非常にむずかしくなる、こういうことでございます。
  138. 内田善利

    ○内田善利君 指定地域以外は……。
  139. 春日斉

    説明員春日斉君) 御承知のとおり、総量規制の地域指定をいたしますところは、従来の方式すなわちK値規制達成することができない大気汚染の状態を有する地域でございます。したがいまして、そういったところを指定してまいりますが、それ以外のところで総量規制的なことを行なう前に、まずK値規制の強化ということによってそれ以外のところはほぼ達成できるのではないかと考えております。それが第一義的に行なうべき方法であろうと思います。
  140. 内田善利

    ○内田善利君 そのK値を強化するということになりますと、また煙突が高くなってくるとか、総量規制をしてないわけですから、新設、増設も指定してないところに集中するし、煙突もだんだんまた高くなってくる、そういうことになると、こう思うんですね。だから、そういう点についても配慮をしていくべきじゃないか、そのように思います。  それから環境庁にお聞きしますが、NOxについては総量規制をやらないのか。移動発生源についてはいま問題になっているわけですが、固定発生源については放置するのか。大体〇・二五をきめるときに、私は、ほんとうに人間の健康を守る、公害対策基本法によって、あるいは大気汚染防止法によって人間の健康を守る、生活環境を守る、保護するという立場からいけば、やはり固定発生源とにらみ合わせて移動発生源の規制をすべき、またそうしただろうと思うんです、〇・二五をきめるときに。そうしますと、移動発生源がこうして延びることになれば、固定発生源はやはりきめておかないと、自動車はまだまだ台数がふえてきますと、規制は延ばした、自動車はふえる、固定発生源は出っぱなし、〇・〇二PPMという規制がありますけれども、これを上回っている工場はかりなんですから、いまは。これ以下はどこか一工場ありましたね、一地域だけですね。あとは全部〇・〇二PPMを上回っているわけですから、そういった固定発生源のことを考えないで移動発生源がいま論議されているわけですけれども、今度の総量規制もSO2だけでNOxについては総量規制がなされてない。こういう点はどうなんですか。
  141. 春日斉

    説明員春日斉君) 確かに御指摘のように今回の総量規制の対象は硫黄酸化物だけでございまして、工場等が集合しておって現行の排出規制方式ではどうしても環境基準を確保していくことが困難な地域に適用されることになったわけでございます。したがいまして、御指摘のように次の段階としてはできるだけ早い時点で窒素酸化物を追加指定する、こういったことを私どもは考えているわけでございます。しかしながら窒素酸化物の問題は、これもやはりただいまお話がございましたように、自動車を含みます多種多様な発生源から窒素酸化物排出されるわけでございまして、削減目標量の算定に必要な汚染予測手法というものが現時点では残念ながら確立されていない状況でございます。  それから第二の問題として、発生源におきます防止技術の開発について、最近は私は驚異的と言ってもいいくらいに相当進んでまいったと思いますけれども、なお実用化には若干の時間が必要かと考えております。すなわち、排煙脱硝装置というものは先生の御指摘のようにまだまだ日本全体として考えれば、脱硫装置すらまだすべての企業に導入されていると言えないわけでございまして、さらにそれを上回る排煙脱硝装置というものは原理的には、あるいは一部の点については非常に進んできておりますけれども、まだ若干の時間が必要であろうと思うわけでございます。この面からも、いま直ちに総量規制というものを導入することは困難だと言わざるを得ないと思います。先ほども申しましたが、総量規制をSO2に限って申し上げますならば、まず低硫黄燃料を使うということが一つ。それからもう一つが排煙脱硫装置なんでございますが、窒素酸化物の場合はそういった低窒素燃料というようなものがないわけでございます。もちろん重油に比べてLNG等を使うというような燃料の改善もございますけれども、そういった点がSO2に比べて非常にむずかしい問題である。したがいまして、窒素酸化物の総量規制ということについては、そういった問題点の解明を今後してまいらなければならないわけでございまして、当面は現行の排出規制の強化を考えていきたいと考えております。私どもは、四十九年度の予算におきましても、いわゆる調査研究費といたしまして窒素酸化物の許容総量の方式設定費というものを持っておりまして、これによって窒素酸化物の地域排出総量の算出手法の開発を現在はかっておるところでございます。そういったものを基本といたしまして、できるだけ早く先生の御指摘のような総量規制に持っていきたい、かように考えておるわけでございます。
  142. 内田善利

    ○内田善利君 総量規制をする以上は、その地域の排出総量というものをきめるわけですから、きめたならば私は人間の健康を守るという立場からそれを実施させる、これでなければならないと思うのです。先ほどの移動発生源の自動車の排気ガスの場合も、やはり健康を守るという立場からいけばNOx、CO、それは人間に健康を及ぼすという立場からいけば、私は自動車の台数を減らすとか、そういう健康を守るという立場から対策を環境庁は講ずべきじゃないか。五十三年まで延ばすとか、五十四年まで延ばすとか、そういうことに踏み切るよりも、五十年ではっきり対策を講ずる、五十一年ではっきり対策を講ずる、そういう立場でいきますと、伸ばすのじゃなくて、自動車の台数を減らす、生産量を減らす、そういうふうにしていくことが環境庁の仕事じゃないか。どうもいままでのいろいろな討議を聞いておりますと、環境庁は通産省になったんじゃないかというような錯覚をするわけです。きょうもテレビを見ておりましたら、東海の研究員が、これだけ原子力でどんどん発電して、ごうごうとしたあかりの中で人間がばたばた死んでいっている姿、それでいいのかどうか、食糧問題についての話でしたが、私はこれを聞きながら、そんなに原発の反対をするならば、まっ暗になっていいかという論理、これに対してきょうの原電の研究所員の話は、これはテレビ映画ですけれども、ごうごうとしたあかりの中でばたばた人が倒れている姿、こういう姿になっていいかということを原電の所員が言っているわけですが、私は、環境庁姿勢はあくまでも人間の健康を守るという立場で発足したわけですから、それならば五十年、五十一年規制を守る、守るためにはどうしていったらいいか、そういう立場でいくべきであって、企業からどんどん、どんどん陳情がきている、そういう話で環境行政をやられたのでは、人間の健康はほんとうに明るいごうごうとした電気の中でばたばた死んでいくようなことにもなりかねない、どこかで歯どめをしていかなきゃならない、そのためにできた環境庁でございますから、そういった姿勢でひとつやっていただきたい、このように思います。長官いかがですか。
  143. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 御質問の御趣旨のように、健康と生命保全のために全力投球で考え、かつ行動をしております。
  144. 内田善利

    ○内田善利君 それでは、今度は具体的に大分地域の環境事前評価の手法について質問したいと思います。  通産省にお伺いしますが、三菱重工長崎造船所で、もう将来予測のための風洞実験をやったと、こういうことですけれども、この間私が質問したときには、実測値と、その風洞値との整合性、これはどうなっているのか、修正係数は幾らになるのか、この間質問したわけですが、これまだきまっていなかったわけですが、修正係数は幾らにされたのか、その整合性についてお伺いしたいと思います。
  145. 佐藤淳一郎

    説明員佐藤淳一郎君) ただいまの御質問でございますけれども、実は手元に資料を持ってきておらないので明確な御答弁できなくて恐縮でございますが、その後修正係数を決定いたしておりまして、イータという係数があるわけでございますが、イータで大体〇・二二に修正したかと思いますが、資料ございませんので明確でなかったらおわびいたしたいと思います。
  146. 内田善利

    ○内田善利君 明確でない答弁でございますが、この修正係数を出して、実際各局でテレメーターで実測したその値と、風洞実験でやった値に修正係数をかけていくわけですけれども、これが大分の場合は〇・二二ということですが、こういう係数をかけるということになりますと、この係数、水島とか、あるいは京葉地区あるいは全国で大体〇・一五、こういうふうに聞いておりますが、この修正係数そのものによって、私は各企業に割り当てるその排出量、これは非常に違ってくると、このように思うのですね。この修正係数と各企業に割り当てる煙突の排出量、これとの関係はどうなんですか。
  147. 佐藤淳一郎

    説明員佐藤淳一郎君) 修正係数と各企業別に割り当てられますところの排出量の関係は、修正係数が小さければ割り当ての排出量がふえる、逆に修正係数が多ければ、数字が大であれば割り当ての排出量が少なくなる、こういう関係にあるわけでございます。
  148. 内田善利

    ○内田善利君 その〇・二二という修正係数を将来予測には使われるわけですね。そうしますと実測値と風洞値が、そのように風洞実験の値と実際の値が違ってくるということになりますと、将来予測を行なっても狂いが生じてくるのじゃないか、そう思うわけですね。その排出許容量というものが科学的な狂いを生じてくる、そのように思うわけです。それでは風洞実験は実験にたえられなかったということになると思うのですけれども、この間この点についてお話ししたわけですが、その将来予測の風洞実験、これは現状確認の風洞実験の場合も、風向はただ一方向だけ、北東でしたね、北東の方向だけの風洞実験をやっているわけです。私はなぜこんなこまかく聞くかといいますと、最初春日局長が、窒素の環境アセスメントの手法は風洞実験方式でやったりあるいは電算方式でやっていくと、こういうことでしたから、風洞実験でやるとなると、この修正係数の関係で科学的な面で狂いが生じてくる、そのように思うわけです。大分の場合も現状確認の風洞実験は確かに北東だけでした。将来予測の風洞実験の風向はやはり北東だけ使われたわけですか。
  149. 佐藤淳一郎

    説明員佐藤淳一郎君) 本来修正係数というのはないのが一番望ましいわけでございますけれども、御承知のように非常にむずかしい方程式と実測等いろんな実験を織り込みながらやっているわけでございますので、どうしても最終的に修正係数をかけにゃいかぬということになるわけでございまして、これは考え方はあくまで実際に即させたいためにこういう修正係数をかけておるわけでございまして、できるだけ真実に近づけさせる意味で修正係数というのが必要になってくるわけでございます。そういう意味でございますので、今後ともその辺は手法の技術改善によって改良されていくんだろうと、こう思いぎす。  それから風向の問題でございますけれども、実はあの地区におきましては、北東の方向というのがあの環境問題を議論する場合に一番風向きとしては最悪の方向といわれております。そういうことで、最悪の方向ではかった場合にどうなるかという計算をやっておるわけでございまして、その他シュミレーション等につきましてはいろんな方向でいろいろやっておりまして、大体風洞の値とシュミレーションの値、いろんな手法でいろいろチェックいたしております結果、そう大きい違いがございませんので、大体この結果は利用できるんじゃなかろうかというふうに判断いたしておるわけでございます。
  150. 内田善利

    ○内田善利君 将来予測となりますと、第二期計画の六号地、七号地が影響を与えてくるわけです。その六号地、七号地にはどういう工場が、企業が乗っかるのか、そしてその背後は北東方向だけでいいのか、私は風の方向を見ますと、西の方向からもやはり風洞実験をやらないと、将来予測としての風洞実験ならば西方向のほうもやらなきゃいけないんじゃないかと、現状確認のための風洞実験ならば北東だけでいいですけれども、将来予測の場合はやはり二期工事、六号地、七号地が完成した、その立地をした上で私は風洞実験をやるべきだ。そうしますと、西方向をやらないと、あのうしろのほうの大在とかあるいは佐賀関町の神崎とかああいったところに影響を与えるわけですから、そういう実験をなさなければ風洞実験の効果はないんじゃないかと、そう思うわけですが、この点はいかがですか。
  151. 佐藤淳一郎

    説明員佐藤淳一郎君) まず御質問の第一点でございますが、六号、七号地はまさにこれから企業が進出する地域でございまして、われわれが計算の前提として考えました企業は石油化学とか造船とか自動車工業をこの六号、七号地に入れたという前提で計算しておるわけでございます。それから、こういう新しい企業が進出した暁においての事前評価につきましては、当然のこととしてこの測定委員会におきまして皆さん方の御意見を十分取り入れてやっているわけでございますが、その中で先生の御指摘のような風向につきましても、どういうふうにこれを取り上げていったらいいだろうかという議論があったようでございまして、大体六号、七号地に企業が、先ほど申し上げましたような企業が進出いたしましても、計算としては一応北東方向の計算をやれば大体間に合うであろうというような皆さん方の御意見でございますので、われわれとしてはそのように判断いたしてまいっておるわけでございます。
  152. 内田善利

    ○内田善利君 六号地、七号地についてはもう埋め立てが始まっておるわけですが、事前評価をやる前に埋め立てがもう行なわれる、こういう事前評価前に埋め立て先行、これについては環境庁長官どのようにお考えですか。まだ事前評価をやっておるまっ最中なんです。その前にもう埋め立てが始まっている、こうなりますと、こういうことはあっていいのか、一体環境庁、どこで歯どめされるのか。
  153. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) きわめて好ましくない話だと思います。
  154. 内田善利

    ○内田善利君 まあ、もうやめられるのも近いから答弁も非常に冷淡な答弁で、たいへん健康を守るという立場から真剣に事前評価の問題を聞いておるわけですから、もう少し誠意のある答弁お願いしたいと思います。  それから鹿児島の志布志ですが、ここも第二次試案がもうじき出ると聞いておりますが、聞くところによりますと、きょうあたり第二次試案が発表になるんではないかということですが、この鹿児島の場合も事前評価が非常に粗雑であった、あそこは非常に水産資源が豊富で枇榔島には非常に渡り鳥等おりますし、また文化財も非常にたくさん発見されておりますし、そういったことに対する事前評価、これは非常に私は粗雑であったと思います。特に水産資源の影響についてはほとんど何もなされていない、そういう実情であったわけですが、この鹿児島のもし第二次試案が発表になりますと、当然あらためて環境影響事前評価はなされると思いますけれども、二次試案が出れば環境影響調査なされますね。そうして大分の場合もそうですが、志布志の場合もNOxについてもやるべきだと思いますが、この点はいかがですか。
  155. 佐藤淳一郎

    説明員佐藤淳一郎君) 志布志地区につきましては四十六年度におきまして大気と水の総合事前調査を実施いたしております。第二次試案が発表になりますれば、それに基づきましてさらに調査を進めてまいる予定でございますし、それからNOx調査もその中に含めてまいる所存でございます。
  156. 内田善利

    ○内田善利君 一次試案あるいは二次試案とも、ここは国定公園なんですね。山中長官、それから大石長官、小山長官、三木長官ですね、歴代長官が、国定公園であるのでこの解除については、——解除しなければ開発できないわけですが——解除については各長官とも住民の意思に反して解除はしない、このように言明されておりますが、毛利長官はどのようにお考えですか。
  157. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 第二次計画がまだ出てまいっていない、近く出るような話を聞いております。第二次計画が出てまいりましたら、それに対する自然保護の立場からアセスメントをいたしまして、その結果、自然保護審議会とも相談の上、決定をいたします。
  158. 内田善利

    ○内田善利君 国定公園解除願いは出ていますか。
  159. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) 自然保護局が参っておりませんが、私ども考え方としましては、開発計画に関連いたしまして、国立公園あるいは国定公園の地域に入ります場合は、当然それによります許可なり、場合によりましては指定地域の解除ということが第一条件になるわけでございます。したがって、開発計画との関連で第一次的にはそういう見地から検討する、それがよろしいということになりまして、初めて公害の見地、それからまた開発した場合の最小限の自然の確保、こういう見地からのアセスメントを行なう、こういう手順になるかと思います。ただいまのいろいろな手続につきましては私存じておりませんが、私の感じではそういうものは一切出ていない、こう思っております。
  160. 内田善利

    ○内田善利君 一次開発計画試案についてこの事前評価調査がなされたわけですが、その報告の「考察」の項に、「埋立てによる地形の変化により、海水の流動が妨げられることがある。特に枇榔島より奥の海域は外海水との交換が弱くなっていると思われる」と、こうあります。確かに埋め立てをやりますと地形が変化し、海の流れが変化するわけですが、これによって水産物が非常に変化が起こって——水産庁のほうでもこれは全然一次試案については調査がなされていないわけですが、あそこは非常にチリメンジャコをはじめ魚獲高が高いわけですけれども、埋め立てをすることによって海域の変化が起こる。土砂が堆積してきたり、あるいは掘さくされてしまったり、いろんな変化が起こるわけですが、それによって魚獲高が減る。こういうことについて、公有水面埋立法というのもできましたけれども、環境保護という立場から私は簡単に埋め立てを許すべきでない、このように思いますが、この点いかがですか。
  161. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) ただいま御指摘のような点も第一次計画の段階ではいろいろ問題があったわけでございます。と同時に、何より問題になりましたのは、公園地域の解除ということであったわけでございまして、私先ほどああいう答弁をしたわけでございますが、公園の地域を解除して開発をやるんだということになれば、当然埋め立てに伴う影響、それから埋め立ての結果できます上物の影響、すべてを十分調査し、評価をして結論を出す、かようになろうかと思います。
  162. 内田善利

    ○内田善利君 第一次試案の事前調査の報告書に、風洞実験の結果は、——私も工業技術院に風洞実験を見にまいりましたが、この報告書には亜硫酸ガスの全重合最大着地濃度は十五・八キロメーターの地点で〇・〇一八PPM、一時間値とあるわけですが、この十五・八キロメーターの地点で〇・〇一八PPMというのはどこですか。具体的にどこの場所か。それからまた拡散条件の悪いケースでは四キロメーターで〇・〇六七PPMとありますが、それは具体的にどの場所をさしているのか。
  163. 佐藤淳一郎

    説明員佐藤淳一郎君) この「考察」に書いてございます十五・八キロメーター付近と申しますのは串間市でございます。それから後段に書いてございます四キロメーター地点と申しますのは志布志町の内陸部の付近ということになっております。
  164. 内田善利

    ○内田善利君 志布志の場合も大分の場合もNOxが事前評価の対象になっていない、そういうことですが、私は今後の事前評価のあり方はNOxも入れてやるべきじゃないかと、このように思いますが、この点お伺いしたいと思います。  それから大分の家島地区が移転問題が起こっているわけですが、家島地区の住民を移転に追い込んだ理由は一体何なのか。これと、県でも公害による移転ではないと、こう言っているわけですけれども、明らかに工場群の中に三佐地区と家島地区があるわけですが、さらに六号地、七号地ができてまいりますと、将来公害の健康被害が環境基準以上になって、健康被害はもう出ているようですけれども、そういった事態が起こってこなければ企業者負担法によってその費用を負担しないのか、この点についてお伺いしたいと思います。公害じゃないから企業者負担法ではやらないという県の姿勢のようですけれども、それじゃ被害者が出てから移転をさせるのか。健康被害がない、だから移転させないのか。私は、健康被害がいまないから移転をさせるべきだと、こういう姿勢環境庁は立つべきだと思うのです。いま公害じゃないから、公害指定地域じゃないから、そういうことで企業者負担法が適用されない。そういうことでなくて、もう明らかにここは悪臭と爆発の事故によってたいへん不安におののいた地区でございます。こういった地区の人たちがむしろ私は公害ということで不安におののいておると思うのです。そういった立場で、環境基準以下であるからというんではなくて、将来を予測してたいへんな場所だということで、健康被害が起こる前に事前に移転をすべきではないかと、このように思いますが、この点について質問したいと思います。
  165. 佐藤淳一郎

    説明員佐藤淳一郎君) 御質問の前段のほうでございますが、NOx調査につきましてでございますが、大分地区につきましてはすでに今年度から始めております。それから志布志湾につきましては、SO2の調査とあわせましてNOx調査を来年度実施いたす予定になっております。
  166. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) いまの家島地区の移転の問題で、ございますが、これは一番原因になりましたのは住友化学工場の二度にわたります爆発事故、これが一番契機になったわけでございます。これを契機としまして住民からの移転の希望がございまして、県では住環境の整備ということで移転を計画していると、こう聞いておるわけでございます。ただ、先生おっしゃいました、それじゃ公害との関連はどうだということでございますが、法律のたてまえ上は現に公害が著しい地域というだけでなしに、著しくなるおそれがある地域ということも対象になっているわけでございまして、この辺につきましては今後さらに全体的に細目をきめてまいりたいと思っておりますが、現在の県の考え方はそういう考え方をとっております。私どもとしましては、自治省なり建設省あるいは通産省と、現在この住宅移転、公害を理由とします住宅移転問題と関連しました検討会を設けましてすでに検討を始めているところでございます。すでに各地域からヒヤリングも行なっております。そういうことでございますから、いましばらくその辺を、時間をかしていただきまして検討をさしていただきたいと、こう思っております。
  167. 内田善利

    ○内田善利君 終わります。
  168. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) この際、委員の異動について御報告をいたします。  目黒今朝次郎君が委員を辞任され、その補欠として沢田政治君が選任されました。  午後一時五十分まで、ちょうど一時間になりますが、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      —————・—————    午後一時五十六分開会
  169. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行ないます。
  170. 小平芳平

    ○小平芳平君 午前中に内田理事から質問のあった環境事前評価について、公明党としましては環境事前評価による法案を準備しようということで要綱も決定いたしております。私はこの点について環境庁の取り組みについて質問をいたしたいのです。最初に環境事前評価に関する新しい立法を用意されておられるか、その点はいかがですか。
  171. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) 単刀直入にいま御質問でございますが、私どもとしましては二面からこの問題にアプローチしているわけでございまして、一面は実態のほうでございまして、どういう項目についてどういう調査をし、どういう予測手法を用いていくかといった面でございます。もう一面がただいまおっしゃいました法律に関連がある制度面でございます。この二つにつきまして、それぞれ専門的な検討をしていただいているのが現状でございます。私ども自身もいろいろ調査研究いたしておりますが、特に制度の問題につきましては近く中公審の防止計画部会の中に専門の委員会を発足させたいと、その前身となるべく専門の方を集めました検討会を実は先般来二度開いているわけでございまして、そういう立法問題を含めました検討を鋭意やってまいろうと、こう思っているわけでございます。
  172. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、小委員会を近く発足させるということは、とても、新しい立法措置は近い機会には結論を得て国会へ提案するというような態勢にないと、こういうことでしょうか。
  173. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) 御指摘のように、たとえばこの通常国会にすぐ間に合うようにという形には現在なっておりません。と申しますのは、特に手法とか調査の項目は、これは非常に急がなければなりませんが、手続面につきましては、何と申しましてもそれ自身一つの国民的な合意でなければいかぬということでございますので、私どもは私どもなりに十分な準備をしました上でやってまいりたいと、こう思っているわけでございます。もちろんこれは法律化の場合でございまして、制度そのものとしてどうあるべきかということは一日も早く方角づけが必要でございますので、いついかなる段階におきましても一つの方角づけを持ちながら環境庁としてはやっていきたい、具体的な各省庁からの審査の要求等にも応じていきたいと、こう思っているわけでございます。
  174. 小平芳平

    ○小平芳平君 結局その実態面においても現行法制のもとではきわめて無理があり、また内田委員質問に対しても事前評価については通産省が答弁したり環境庁答弁したり、一体、じゃ責任はどちらにあるのかというような点もはっきりしてないわけです。ずっと以前の委員会でこの問題を取り上げたときに、クロスチェックの意味があるんだ、同じ事前評価をしながらも環境庁、通産省、両方やる意味はクロスチェックの意味があるんだというような答弁まで飛び出したわけですが、とにかく環境庁事務当局としても現行法制下では国民が期待するような事前評価は無理だ、まだ決定がおりないうちに、先ほどの答弁ではないけれども、埋め立てが始まっていると、それは好ましくないと長官答弁しているというようなぐあいに、きわめて現在のやり方では不満がある、不備が多過ぎると、こういうふうに思いませんか。
  175. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) 私どもとしましては、これまでいろんな段階をとらえまして、特に立法面におきましても、たとえば公有水面埋立法の中に環境庁長官意見を求める事項を入れるとか、あるいは免許等の基準を強化してもらうとか、いろいろな形で関係各省庁とも協力しながらやってまいっているわけでございます。ただ御指摘のように、現在の形で十分であるかと言われますと、これは決して十分ではないわけでございますが、そこで、私どもといたしましては、できるだけ急いで内容を整えると同時に、そういう立法面のところまで及ぶようにしていきたいと、こう思っているわけでございます。
  176. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、整える意味において、環境庁、通産省というような縦割り行政の弊害、あるいは産官癒着というふうに指摘される弊害、そういうものをなくした中位性を保つ行政委員会、この行政委員会によって事前評価を進めるというような構想についてはどう考えますか。
  177. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) 環境アセスメントをやりますのは、いろんな場でやるわけでございます。もちろん民間のレベルでもおやりになっておるわけでございますし、それから都道府県のレベルでもやるわけでございます。それから中央に参りまして私ども立場でも、これは一つの環境面からの審査という形でやるわけでございます。そのほか、行政のそれぞれ主管官庁が自主的にいろいろとその企業に対しあるいはその他の開発事業に対し指導その他のことをおやりになるということもあるわけでございますし、私どもは、これを環境庁だけで全部やれるとは決して思ってないわけでございます。そういうわけでございますが、ただいま御指摘になりましたような行政委員会の問題につきましては、先ほどお話ししました中の制度を検討するための場で、私どもとしましても検討もしていただくし、こちらの考え方も固めてまいりたいと思っておりまして、現在はどういう形がよろしいというところまでまだいっていないのが実情でございます。
  178. 小平芳平

    ○小平芳平君 現在はいってないと思いますが、現在のこの欠陥、縦割り行政、産官癒着というふうな、指摘されるそういう欠陥を直していくための行政委員会というものの考え方についてはどうお考えですか。
  179. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) このアセスメントに関連しまして行政委員会ということをまだ検討いたしていませんから何とも申し上げられませんが、一つのこういうものに対応するお考えであると思っております。ただ、この中身をまずある程度固めまして、そしてそれに関連した行政官庁はどういうことを現にやっておられるか、あるいはこれをどう持っていくべきかと、こういうことを議論しました上で、そういう面につきましては広く討論もし、また結論を出していきたいと、こう思っておりますが、一つのお考えであるということはわかるわけでございますし、承っておきたいと、こう思っております。
  180. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう点、ひとつ検討していただきたい。先ほど来何回も申し上げるような現在の欠陥をどう正していくか、たとえば苫小牧東部についてのアセスメントについてもいろんな批判があることをよく御承知と思うんです。そういう点をよく判断いただきたい。  それから、どういう評価をするか、その技術的な問題ですが、これについても、ただ風洞実験してみた、風向きがどうということだけでは問題解決しないのではないか。従来も通産省などでは、もう数年前からいろいろな風洞実験をやり、これならば公害は発生する心配ないと、特に最近もそうですが、企業が開発を進めようという場合は、公害のない企業だと、公害のない工場だということを盛んに言っておりますが、実際工場群が建設途中においても、全部運転が始まってないうちから、すでにもう大気汚染がある、あるいは水質汚濁があるというふうに公害が表面化していることも十分御承知だと思うのです。したがって、そうした技術的な面についてはどういう手法が考えられますか。
  181. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) いまの御指摘の点は、制度でない別のほうの小委員会検討項目でございまして、現在はその細目となります指針、十近くの指針をつくらなければいけませんので、指針の作業を関係局とやっているような段階でございます。私ども確かにおっしゃるように、はっきりした調査の項目とその調査の項目に対応します予測の指針、こういうものも準備しなければいかぬわけでございますが、その点、少なくとも法律をつくる前におきましても、そういう方角づけはできるわけでございますので、そういう努力を現在しているわけでございます。
  182. 小平芳平

    ○小平芳平君 いままでの規制ですね、規制値。規制値をきめる。で、規制値内なら公害ではないと、こういう感覚を持っているんです。規制値内だからわが工場は一切公害は出しておりませんと、こう言うわけです。したがって、この規制値に対する考え方、たとえば自然生態系などに異変が生じた場合はどう対応するということが非常に大事だと思うのです。かりに動物、植物等にいろいろな現象があらわれた、にもかかわらず依然として規制値内だと、公害は出しておらないというふうに言っているから、もう取り返しのつかない人間の健康被害あるいは取り返しのつかない環境破壊ということにおちいってしまうというような体験からしましても、自然生態系の破壊、自然生態系に対する影響、こうしたこともまっ先に取り入れるべきテーマであると考えますが、いかがですか。
  183. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) 私ども先生御指摘のように、いろいろと人間の健康に対する問題を中心にしまして環境基準をつくり、その裏づけとなる規制をやってまいったわけでございます。ただ、そういう人間への影響だけでは決して人間すら守るということは不可能だということは、最近よく言われております生態系の問題からも強く言われているところでございますので、その問題についても、当然環境影響評価をやります場合は一つ中身としてやってまいるつもりでございます。ただ、この前に出しました中公審の防止計画部会の小委員会中間報告でも、非常に科学的に予測がむずかしい事項がある、おのずからその限度があると。その場合に、その確かなもの、不確かなものをそのまま出して、その上で評価をしていくということを指摘しまして、また必要な場合には追跡調査等によってやっていくのだということも言及しているわけでございます。特に生態系の問題に関しましては、追跡調査の計画的な実施によって裏づけていくということの必要性も言っているわけでございますので、もちろん私どもそういう面の調査をし、あるいはできるだけ予測の方法を見出すように努力をするわけでございますが、一つの経過期間としましては、そういうような追跡調査で裏づけしながらまたやっていくという面も無視できないのじゃないかと思っております。いずれにしましても、その問題、御指摘の点の重要なことはよく承知いたしております。
  184. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから規制事業の対象についてはどう考えますか。
  185. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) 規制事業という先生おっしゃる意味でございますが、おそらくたとえばアメリカでは連邦政府が政府の活動に関連したものにつきまして決断を下す場合に、環境影響報告書をみずから作成するということを手続的にきめているわけでございます。私ども、したがいまして、そういうような公共的な事業あるいはそれに関連しました民間企業等が立地します場合、それを含めました環境影響評価、これはいろいろあると思いますが、どういう事業がどういうぐあいな実施主体の責任において環境影響評価をすべきかということは、制度の検討委員会の中でさらに詰めてもらいたいと思っておりますが、できるだけ幅広く当然考えなきゃならぬと、こう思っております。
  186. 小平芳平

    ○小平芳平君 簡単な道路一本だ、簡単な道路一本だと言いながら、しかし、その道路一本が非常に影響の大きいものがあるわけですね。ですから、そこで事前評価の対象というものを環境庁はどう考えているか。簡単な道路一本でも、あるいは大きなコンビナート群でなくても、わずか一つの工場でも、きわめて生態系を破壊する、人間の健康にまで影響が発生するというようなことがありま得るわけですよ。ですから、ただ事前評価やります、中公審検討してもらいますということを言っているうちにも道路ができ、工場ができ、それはきわめて全体としては、小さい規模なものであっても、起こす影響は深刻な、もう取り返しのつかない、そういう環境影響が発生するという事態をどう認識しておられるかということをお尋ねしているんです。
  187. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) いま道路のお話ございましたが、私どもとしましては、四十七年六月に公共事業にかかる環境保全対策についての閣議了解をいたしております。したがって、たてまえとしましては、現在でも関係各省がそれぞれの公共事業関連の事前評価をやるということになっているわけでございますが、御指摘のようにいろいろ不十分な点もあるわけでございますので、この面、各省からいろいろ予算要求等もありますので、できるだけアセスメントに関連しました十分なる検討なり推進ができますようにやってまいりたいと思っております。  それから、その手法を考えます場合、この場合でございますが、これはやはり道路に関連した事項につきましては、私ども自身が考えますよりも、さらに建設省その他の省でいろいろ検討してもらうほうがよりいい考えも出るわけでございますので、私どもだけのほうで全部やるというんじゃなしに、関係各省がそういう方角づけで全部一斉に動くと、こういうことを念願しているものでございます。なお、取り組む範囲をどうするかということにつきましては、いまの制度のほうの検討委員会、あるいは専門委員会の場を通じまして今後検討していきたいと、こう思っておるわけでございます。
  188. 小平芳平

    ○小平芳平君 毛利長官、ちょっとした質問に対する政府の答弁を聞きますと、きわめて事前評価というものが行なわれていると、したがって、これから道路なり住宅なり工場が建設される場合に、いままでと同じような環境破壊が起きるということは考えられない、十分各省相寄り、相相談してものごとは進めているんだと、こういうふうに聞こえるわけですが、いま具体的に二、三の点を取り上げてみましても、環境庁として、これでいけばいいんだと、これならだいじょうぶだというものはないわけですからね。ですから、中公審にこれから検討してもらうというだけじゃなくて、もっと積極的な取り組みを環境庁長官に要請したいんですが、いかがですか。
  189. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 環境アセスメントをもっと積極的に環境庁として当然やるべきであり、やらねばならぬと思いますし、公共事業をやる場合に各省に対してもこのアセスメントの徹底をはかりたいと——いま委員のほうからも立法化の話もありましたが、今後立法化を含めて慎重に検討もしたいし、第一、予算の面でもアセスメントを行なう予算の面でも、五十年度予算からこの確保にある意味の重点を置いてやらねばならぬといま考えておるのであります。  さらにまた、先般パリへ行ったときの閣僚会議でも、御存じだと思いますが、環境政策に関する宣言が行なわれましたのでありますが、十年の行動計画に関しても、アセスメント問題というものを非常に重要視した勧告が各国に行なわれまして、私は非常にごもっともだと。その中の九項目でありますが、事前の手法その他についてもこの宣言の中に明記をしております。内外ともに環境に関しての環境アセスメントの重要性がグローバルにもはや鮮明にされております。ましてやわが国の環境問題に対する今日の立場は、最も熱心にしておる立場であり、しなければならぬ立場であると自覚しております。
  190. 小平芳平

    ○小平芳平君 どうもこのアセスメントという、何か外国のまねをしているみたいな感じがないでもないわけです。外国ではこうやっているああやっているということが、あたかも日本でもやっているか、あるいはつい近くやり始めるかのような錯覚を与えやすいと思うんですよ。したがって、五十年度予算においてもというふうに答弁されましたが、それは各省の縦割り行政はこれは一環境庁長官としまして即刻これをどうするという名案はないかもしれません。これはまあ城戸局長が言うように、道路は道路、住宅は住宅というふうな、港湾は港湾というふうなことしかいま言えないかもしれません。しかし、たとえそうにしても、どうも現在やっているアセスメント、あるいは近くやろうとしているアセスメント程度のものでは、この世界的な、あるいは国民の要求の上に、人類的な要求にこたえるだけの事前評価ができるとはとうてい考えられないというふうに感じられませんか。
  191. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 十分であるとは考えていないのでありますが、私は就任以来、最初の閣議の発言でも、この問題で予算の裏づけが必要であると、各省に対する予算の協議権も私のほうにありますので、一般事業よりもいま足らない点は政府の出す公共事業に対する影響評価が足らないと、この点を二度も三度も力説してまいっておりますし、実際面で五十年度予算が間近に迫っておりますので、環境庁それ自体の予算の確保と、各省に対するこうした呼びかけ、強調も現にいたす所存であります。
  192. 小平芳平

    ○小平芳平君 それを積極的にやっていただきたいことが一つ。  それから住民参加についての考えはどうでしょう。住民の意見がどう反映されるか、住民の意見が反映されるための方法、考え方はいかがですか。
  193. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) 住民のアセスメントに関連しました参加でございますが、私どもとしましてはいろいろ環境影響に関連しました調査がなされると、この調査は大気だとか水質だとかのほかに生態系の関係も入ると思います。こういうものについて十分なる公開がされて、住民の理解が得られるということが前提にならなければならぬと思っております。それじゃ住民の意見をどういう形で反映するかという方法につきましては、アメリカでは公聴会の制度がもっぱらとられておりますが、どういうようなものがいいか、これは今後の検討事項だと思います。現在の法律では公聴会の制度を利用しているのもありますけれども、大部分は公衆に対する縦覧と利害関係者の意見の申し出ということが中心になっているわけでございますが、日本になじみやすい、住民の意見を反映させるどういう方法をとるかということはこれからの重要な検討事項だと、こう思っているわけでございます。
  194. 小平芳平

    ○小平芳平君 それはもうこれからの検討じゃおそいんですね。わずかに公害が食いとめられたということは、地域住民の闘争ということがほとんどであったというふうな理解の上に立たなくちゃいけないと思うのです。企業なりあるいは行政が、ここに公害が発生していると住民より先に指摘した例が一体幾つあるかということをすら伺いたいわけです。ですから、大部分公害について、ほとんど地域住民の闘争あるいは環境保全団体の闘争というものがようやく日本の公害をこの辺で食いとめているということでしょう。したがって、これから住民の意思がどう反映されるか考えるなんというのじゃなくて——そうした従来の行政や企業のやり方、とにかく公害はないというんですから、それは御承知でしょう、水俣病にしましても、イタイイタイ病にしましても、公害はないということでどれだけ争ってきたか。にもかかわらず、結果としては、発生するもする、大公害が発生していたということが最近はっきりしたわけでしょう。そういう点、ひとつ取り組みを特に要望いたします。これは反対意見はないでしょう。  それから、ちょっと時間がもうありませんので、健康被害補償法の地域指定はできましたか。  それから、ついでに全部質問しますと、四日市に続いて川崎で過去分の補償がなされたということ。この過去分の補償について、ほかの地域はどうなるかということがわかったら御答弁いただきたい。
  195. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 第一の御質問公害健康被害補償法の指定地域の問題でございますが、本日午前、中央公害対策審議会の環境保健部会が開かれまして、その席上におきまして、四十八年度に調査をいたしました七つの地域につきましての具体的な地域指定につきまして審議会としての御意見を承りました。また、これは中央公害対策審議会で八月以来鋭意御検討お願いいたしておりました専門小委員会から出されました地域指定のための基礎的な条件ということをもとにいたしまして、四十八年度に調査をいたしました資料をそれに当てはめてやられたものでございます。  それから第二番目のいわゆる過去分の補償でございますが、今月の十一日に川崎市におきまして公害健康被害補償法の施行以前の過去分の補償を内容とした確認書を企業と市の間で結ばれたというぐあいに私ども承知をいたしております。このようなケースにつきましては、四十八年の九月に、これは財団の形式をとっておったものでございますが、四日市公害対策協力財団というのがございまして、その財団におきまして企業群と協定をいたしまして、企業負担で公害健康被害補償法以前の問題につきましてこの救済の金を出されたということが一つございます。私ども承知いたしております範囲内では、この過去分に対して明白に出しましたのはその二つだけでございますが、現在二十二の地方自治体がみずからいろいろな条例を持っておりまして、このうちで五つの地方自治体は新法に似通ったような体系を持ち、新法の補完的なものという形をいたしておりますが、明らかにこの以前の分についての負担の取りきめをしたのはこの二つというぐあいに存じております。
  196. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、部長としましても、環境庁長官としましても、指定地域が決定した、ちょっとその名前だけ言っていただきたいんです、このあと。  それから、その地域で、四日市と川崎だけが過去の補償について妥結したという、残りの地域がどうなるかということは、環境庁としてはわれ関せずで、地方自治体にまかせっきりでいくのかどうか。
  197. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 第一の本日決定をいたしました指定地域につきましては、まず最初は千葉市の臨海地帯の一部の地域でございます。これは現在千葉市が自分の条例でみずからやっておりました救済地域と合致をいたします。  それから第二が東京都につきまして、この八つの——全体で国と都自身がいたしました全く同じ調査が十三区にわたっておりましたが、条件に当てはめてみますと、八つの特別区がそれに該当するということで、この八つの特別区につきましてこれを指定対象といたしまして、あとの三つの区につきましては条件が一方はそろわないということで、今後審議会の意見具申としてできるだけ早くこのあと検討を進めて指定をできるものならばまた指定を促進をするようにというような御意見がございました。  それから川崎市につきましては、川崎市の幸区を新たに指定地域として加えまして、このうちの一部の御幸地区は川崎市が独自で救済をいたしておった地域でございます。  それから三重県の楠町全体をこれは新しく指定地域に追加いたしました。  それから関西におきましては、大阪市はいままで西淀川区だけが指定地域になっておりましたが、そのほかの十一区でございますが、十一区の、そのうち幾つかの区は一部のみでございますが、四十八年度に地域指定の調査をいたしましたところにつきまして、全体として地域指定の対象として答申を受けたところでございます。  それから尼崎市につきましては、従来の指定地域といたしまして南部地区と北部地区とに分けて調査をいたしておりましたが、この両方の地区が新しく指定地域に追加されました。  それから吹田市につきましては吹田市南部地区を調査をいたしておりまして、この吹田市南部地域がその条件に当てはまるということで加えたわけでございます。  以上が新しい地域指定のところの問題でございます。  第二点の、地方自治体としてこのような措置に対して環境庁は一体どういうぐあいに考えておるかということでございますが、これは公害健康被害補償法とは別途の体系で地方自治体が独自でこの企業群と話をして取りきめたものでございまして、国が直接介入をしてやる筋合いのものではないというぐあいに考えておりますが、いろいろ資料を集めたりあるいはほかの地区がどういうぐあいにしておるかというようなことを聞かれた場合に、私どもは側面的にはこれはいろいろ御相談に乗ることでございますが、国の行政として直接介入をしてこのような体系を進めるべきものというぐあいには考えておりません。
  198. 小平芳平

    ○小平芳平君 環境庁長官、国の行政としてはそうだと思うんです、補償法以外の問題だと。確かにそれ以前のことをいま言っているわけですから。しかし、健康被害者が発生してきた、過去に長い間苦しんできたという実態は各地共通の悩みを持っているわけですから、国としてもまあ自治体がおやりになるならおやりなさいということだけでは済まないでしょう。いかがですか。これで終わります。
  199. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 心情としてはよくわかるんですが、簡単に処置できないので困っております。
  200. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは最初に五十一年規制についてお伺いをしたいと思います。自動車の排ガスの五十一年度規制というのは完全実施がやられるのかどうかというところが大体山場に差しかかってきているというふうに思うわけです。一方では、大都市ではもう公害問題というのはたいへん深刻の度合いを加えておりますし、特に自動車の排ガスを主原因といたします光化学スモッグの多発、広域化の傾向、さらには大気汚染公害患者の激増等々、市民生活環境に多大の悪影響を及ぼしていることはもう周知であります。このような大気汚染を何としてもこれ以上悪化させてはならないという段階に来ていると思うわけでございます。そういう段階でございますから、いま公害基本法の原点に立って国民の健康と生活環境を最優先にするのか、企業擁護の立場に立つのかというこの環境庁基本姿勢がいま国民の最も問われているところだというふうに思うわけでございます。  そこで、まず最初にお伺いをしたいのは、自動車排ガスの五十一年度規制についての長官基本姿勢、それをまず聞かしていただきたい。
  201. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) けさほど来申し上げておるところでありますが、国民の健康、都民の健康、大気汚染に伴うこれを、いかにして公害を防止するかという基本姿勢態度、決意、これはいささかも変わっていません。むしろ積極的にこの問題と取っ組まなければならぬと決意をいたしております。具体的に五十一年度規制については、先ほど来申し上げておるように鋭意専門家的な立場で、技術科学的な立場でこの問題の検討を自動車公害専門委員会——中公審の下部組織で検討を進めてもらっております。各方面からいろんな、七大都市からの強い要請、また委員会における強い要請、各種団体からの強い要請、これはいかに必要であって、しかもきびしいものであるかということも自覚し、はだに強く銘記しながら、同時に本件が五十一年度規制の〇・二五グラムを実行するのに困難であるかという事態に遭遇いたしております。したがって、この専門委員会の真剣な、意欲的な長期にわたる結論を待って、私のほうでもいま申し上げますような公害防止の立場に立ってこの問題の結論を出したいと、こう考えております。
  202. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは一般論でお聞きしますと、国民の健康を最優先にするという考え方はいささかも変わっておりませんと、これは午前中も伺った。ところが、五十一年度規制になると、これは先ほども矢田部委員の御質疑に対して、願望はきわめて強いけれども困難さがいよいよよくわかってきたなどとおっしゃって、願望になり下がってきているんじゃないかという論議がなされたから私はあえてお伺いをしているわけです。基本理念として国民の健康最優先の立場を貫くという点がいささかもゆるがないということで確信が持てるなら、これは後段の御意見というのは私どもたいへん聞きにくいわけです。理解がしにくい。で、これは論議をしてもしようがないので、いまもおっしゃったように、長い間慎重に御検討いただいている自動車公害専門委員会の御答申が出たらと、こうおっしゃっておられるわけなんで、まあこれは長官局長も常におっしゃっておられるわけですね。そこで、私は自動車公害専門委員会のあり方について若干御意見を伺いたいと思うわけです。これは特に私ども自動車公害専門委員会の審議の内容については詳細をうかがい知ることができない。これはたまたま審議経過というようなメモを私もいただいていますけれども、こんなもの見たってわからぬですよ、実際。何を十三回も一四回もやっておられるのかということについては、これは簡単にちょっと先に局長からでも簡潔にひとつ御説明をいただきたいと思います。
  203. 春日斉

    説明員春日斉君) 御説明申し上げます。ただ、八月九日に第一回の委員会がディスカッションを始めましてから十一月の二十日までに十四回行なっておりますので、一々おわかりになるように御説明いたしますると簡単にとおっしゃるでしょうし、そうでないと、もっと十分にとお尋ねがあるのではなかろうかと思うので、中庸を得たところでちょっと御説明申し上げます。  八月九日の第一回の委員会では、事務局から技術開発の状況のヒヤリングの結果、対策技術の概要についての資料を提出して、事務局の説明を行ないました。  それから第二回、第三回、第四回は、これはトヨタ、日産、本田のメーカーをそれぞれ八月の二十六日、二十七日、二十八日と視察し、それぞれその場におきましてディスカッションを行なっております。  第五回は九月二日行ないまして、主として通産省から自動車産業の現状と五十一年度規制の問題についての資料の提出、説明があったわけでございます。なお、対策技術の現状把握、五十一年度規制の技術的可能性暫定値の設定、大気汚染に対する自動車排ガスの寄与度等についての論議が行なわれております。  第六回は九月二十四日でございまして、東京都の公害局の小田企画部長、大阪府生活環境部の仁賀奈特殊公害課長を招きまして、それぞれの、東京都並びに大阪府におきます窒素酸化物低減計画についての説明を聞いております。なお同日、わが国におきます光化学大気汚染の概要についての資料説明を聞いております。また、光化学大気汚染の関連物質についての問題につきまして千葉大学の鈴木教授からの説明を聞いております。その他光化学反応におけるハイドロカーボンNOxの関係について、機械技術研究所排気課長からの説明を聞いております。  第七回は十月三日でございまして、これはオキシダントの環境達成対策について主としてアメリカの問題の説明を聞き、ディスカッションを行なっております。また、五十一年度規制完全実施要望提出状況等々につきまして事務局から資料の提出、説明を行ない、またグールド社の還元触媒について事務局から説明をいたしております。  第八回は十月八日でございまして、これはグールド社のGEM68の開発に関するレポートについて検討が行なわれております。また、その他触媒の開発状況についての意見交換がなされております。  第九回は十月十七日でございまして、CVCC、ロータリーエンジン、熊谷エンジン等々を中心としたNOxの防止技術の現状についての意見交換が行なわれ、オゾン濃度と上気道狭窄の関係についてのディスカッションも行なわれております。  第十回は十月二十四日でございまして、七大都市の調査団報告書について意見の交換が行なわれております。なお、警察庁、建設省からの要望がありまして、それを聞いております。  第十一回は十月三十一日でございまして、五十一年度規制の技術的諸問題について各委員から意見の表明がありました。その中で運転性の問題、燃費の評価の問題、五十一年度目標達成見通し等々につきましての意見が表明されております。  第十二回は十一月六日でございまして、七大都市調査団を招きまして、その調査報告書、特に技術評価の部分についての意見交換が行なわれたわけでございます。  第十三回は十一月十二日でございまして、各委員からの五十一年度規制についての意見の表明がございました。また通産省から等価慣性重量別の車の構成についての説明がございました。  第十四回は、燃費とドライバビリティーについての事務局見解を説明し、了解をもらいました。また生産のリードタイムについてのディスカッションがございました。その他でございます。  以上が八月九日から十一月の二十日までの十四回にわたります委員会のおもなる議題と内容でございます。
  204. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、せいぜい十四回の自動車専門委員会の御説明というのは、いまこういう形で聞く以外に方法がない。それ以外は、部分的に新聞等で報道されるものを見聞する以外に道がない。国会審議で、この程度にしかわからぬで審議をやらなきゃならぬということは、たいへん困難です。  そこで、私は、少しわかるところを中心にして御意見を伺いたいと思います。まず第一に、八田委員長について、ちょっとふしぎだなと思いますので聞きたい。八田委員長といいますと、これは八田メモが新聞で問題になったり、当委員会でもそのメモを提出してくれといって要請が出ても、それは出さぬというふうなことで、大体不穏当だというふうに私は思っているのですが、十一月六日の七大都市調査団との聴聞会並びに合同記者会見における発言、これは第三者が介在をしているのである程度事情がわかるので、それらの中でやりとりをされた問題点についてお聞きをしたいわけです。  で、まず第一に、八田委員長は、この七大都市調査団との討議の中でこういうふうに言っているのですね。五十一年度規制は四十七年答申のときから不可能と推定していた。これは五十年度規制についても同様と思っていたけれども実現化した。で、四十七年当時も自動車公害専門委員会のメンバーというのは一名を除いて同一メンバー。こういうふうなことが言われておるのですね。で、こういう御見解を持っておる——その答申を出したときから不可能だと思っていた、ましていわんや、五十一年度規制は不可能だと、五十年度規制についても同様だと思っていたというふうな御見解の方が自動車公害専門委員会委員長だというのは、私はちょっとふに落ちないわけですけれども環境庁委員長がこういうお考えを持っておられるということは御承知でしたか。
  205. 春日斉

    説明員春日斉君) 前回、四十七年の十月の中間報告を自動車公害専門委員会が出されましたときの委員長は、たしか八田先生でございました。八田委員長個人はそういう御意見をお持ちであったかもしれませんけれども委員長を含めた十名の委員意見をまとめられたのが中間報告でございまして、その中間報告そのものが委員会意見でございますので、私は、私員長個人がそのような御意見をお持ちになっておったとしても、その点は一向差しつかえないのではなかろうか、かように考えております。
  206. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 もう一つ——一もう一つというよりも、一向差しつかえないとおっしゃいますけれども、四十七年の十月でしょう、答申が出たのは。それで、ことしの一月ですよね、五十年度規制告示は。一年半足らずなんです。一年半足らずで五十年度規制というのが告示されるというふうな、そういうリードタイムというのはどのくらいとるものかというのがまた問題になりますけれども、一年か一年半の間に実現をすることが四十七年の段階でも見通しが持てなかったという程度の見識の方だということになると、これは私は不見識だというふうに思うのです。委員長というのは取りまとめだから、ほかの人たちの御意見をまとめればいいんだから、いろいろ御意見があってもよろしかろうと、これでは済まない。その点は、これは少なくとも委員長たるものは、大生汚染防止、特に排ガス規制を進めていくためにどうするかということの諮問を受けているわけでしょう、そのことの審議を積極的に進める立場に立ってもらわなかったら、まあきめたけれどもやれる見通しは初めからなかったのだと思っている人が先頭に立っておられるのでは、これはたいへんあぶなっかしい。  それからもう一つは、八田委員長はこの十一月六日の七大都市調査団との聴聞会のあと合同記者会見の席上で、「経済との調和をあえて言う」ということを繰り返して言っておられる。これは記者会見でございますから、新聞記者の方から、経済との調和条項というのは新しい公害基本法からは抜けているんだ、そのことはどうなるのかという質問が出ているんですよ。ところが、「あえて言う」ということで繰り返して言っておられるわけです。これでは公害対策基本理念から逸脱している、そういうお考えの方がこれは委員長だということでは適格性に欠けるのではないかと私は思うのですが、環境庁はこういう発言があったことを御承知なのかどうか。同時に、こういう考え方をお持ちの方だということを知っていたのかどうか、その点について伺いたい。
  207. 春日斉

    説明員春日斉君) 私まことに残念ではございますが、合同記者会見のその場に居合わせなかったので、八田教授がそのような御発言があったかどうかつまびらかではございませんけれども、私はこういうことであろうと思います。環境庁中公審でございます。また中公審の下部組織の委員長でございますので、あくまで健康優先、生活環境優先ということはこれは言うまでもないことである。その範囲内で自動車という最も日常生活に密着した、あるいは経済にもしたがって密着したものを取り扱ってまいりますときには、そういったことも最終的には考える必要があるであろう。特に燃料経済性の問題やドライバビリティーの問題を考えるにあたりましても、これは概念として、考え方としては直接、先ほどどなたかに私はお答え申し上げましたように、環境庁としては考える必要はないと思いますけれども、しかしきわめてそれが劣悪な状態になる、こういったときには、やはりそういったことも考慮すべきではなかろうか、こういうふうにおっしゃったのではなかろうかと思います。私は八田教授は委員長としてきわめて有能な方だと存じますし、またきわめて学識経験豊かな方でございまして、現在八田教授をおいて委員長に最も適格な方はいないのではなかろうか、かように考えております。
  208. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは記者会見の席上にたまたま局長おられなかったとおっしゃるけれども、こういう考え方というのはこれは十四回も委員会で審議をしている間に随所に出てくるはずですよ。これは特に重大問題だと思うのです。公害基本法の基本理念に触れる問題ですから、経済との調和条項を削除するのに公害国会、あの大騒動をしてやっと本来の姿に立ち返ったという法制定の基本理念からはずれるようなことが繰り返し御意見として出るというふうなことについては、これは国民としては了解しがたいだろうと思うのです。私も了解いたしません。それから時間の都合がありますから、やりとりはあまりしたくないのです。  もう一つお聞きをしたいのは、やはり十一月六日の聴聞会ですが、自動車公害専門委員会の喜多委員とおっしゃる方、これは運輸省の交通安全公害研究所の交通公害部長さんという職責ですね。この方が、立正高校だとか石神井南中学の重症被害が光化学スモッグでないといって否定をしたと、むしろこれは固定発生源説だというふうなことを言われている。それから日本の現状ではロサンゼルスに比較して光化学スモッグが少ないという独断的な前提に立って、むしろ低公害車化して、いわゆる安全性や耐久性が劣悪化して死亡事故などの発生がふえることを考えると規制強化は否安すべきだというふうな主張をなさったというふうに聞いております。これは驚くべき見解だと思うのですけれども、こういった見解、私は驚くべき見解だと思ってこのことを聞いたのですが、すでに衆議院でも、参議院でもそうですけれども、自動車メーカーを参考人として当委員会に来ていただいたときの主張でも、四割は自動車の責任だということをお認めになっているのですよ、加害責任として。四割という数値は問題ありますよ。しかしメーカーでさえもすでにこれは自動車排ガスの加害責任は認めておられる。こういう状況の中でこういった論議がなされるというふうなこと、これは驚くべき御見解だと思うのですけれども、少なくとも学問的な見解の違い等があるという場合は、これはあってもいいですね、学問的な御見解というのは。しかし、少なくとも自動車排ガスの規制をどういうふうに進めるかという問題が集中的に論議をされているときに、排ガスの影響じゃなくて固定発生源なんだというふうな話が論議の対象になっておるのでは、前向きに排ガス規制論議をされるというふうになかなか理解しにくいわけです。そういうお考えの持ち主だということ、あるいはそういう御発言があったということ、これは環境庁、御承知ですか。
  209. 春日斉

    説明員春日斉君) 若干この点につきましては誤解があるようでございまして、喜多委員の御発言、確かに光化学スモッグについてはユニークな説のお持ち主でございまして、立正高校あるいは石神井におきます重症被害の原因は光化学スモッグというよりも固定発生源、石神井の場合は学校のごみ焼き場の問題、その中から発生するHClが主問題ではなかろうか、こうおっしゃっておるわけでございます。しかしながら、喜多委員はそのことと自動車排気ガスのいわゆる光化学スモッグの寄与の問題とを別に論じておられるわけでございまして、決して自動車排ガスは光化学スモッグの原因にはならないのだということをおっしゃっているわけではないわけでございます。特に日本の光化学スモッグの中で見られる特有な重症の被害というのが、いわゆるハイドロカーボンNOxに対して太陽が当たることによって光化学オキシダントができるという、いわゆる光化学スモッグ説では説明できないのではないかという喜多委員の御主張を展開されただけでございまして、自動車排ガス問題は、しかるがゆえに必要ない、そういうことをおっしゃっておるわけではございません。ロサンゼルスの問題についてもしかりでございまして、ロサンゼルスの場合は、確かに光化学オキシダントの濃度は日本よりもはるがに高い場合が多い、これはおっしゃったかもしれませんが、それはまことに事実でございますので、その点はそうでございますが、決して自動車排ガスとの関連を否定されたわけではございません。
  210. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは光化学スモッグについてはユニークな御見解の持ち主だということを環境庁は知った上で委嘱をされたということですね、いまのお話だと。光化学スモッグの因果関係についでの学問的な討論をする場でそのユニークな御意見を開陳されるというのはこれは御自由ですよ。しかし七大都市調査団と聴聞会でしょう。少なくとも排ガス規制、五十一年度規制をどのように完全実施させるかということで、必死になって技術的検討を含めてやっているときに、そんなあんたのんびりと、光化学スモッグについて私の見解は、というような形でやられておるようなことでは——これは本来あれでしょう、十月の半ばに答申が出される見込みだといわれていたのがずっとずれ込んでいる。こんなおくれている最中に、そんなのんびりした討論がやられているということがあれば、ほんとうに積極的に前向き検討されているというふうには考えにくい。またそういう積極性を、前向きに向けていくという、前向き規制強化をどうしたらやれるかという立場論議に参加ができないような態度では、こういう委員を委嘱されたというのは、私は環境庁態度が問われるべきだと、責任が問われるべきだとむしろ思いますよ。  もう一つ聞きたいのは、日本自動車工業会の、安全公害委員会委員長をしておられて、日野自動車の方だそうですけれども、家本委員も、これは十一月六日の七大都市との聴聞会その他では、おられるのですけれども、これも了解しがたい。これは七大都市の皆さん方からも聞きましたし、メモ等も拝見をしたのですけれども、当初あらかじめちゃんと準備をして、各メーカーの主張を忠実に伝えて、メーカーの代弁、反論というふうな形でもって意見を開陳された。それからドライバビリティーの低下だとか燃費の増加というのは自動車の売り上げの低下を免れないということを盛んに言われるし、しばしばそれらの発言をする場合に、われわれメーカーはという発言をなさった。これは七大都市の調査団の御一行はたいへんふしぎに思ったという特徴があるわけですよ。われわれメーカーはというのを随所に使われるので非常にふしぎに思ったというふうな、企業の利益代表であるような露骨な発言があったというふうに私ども伺っております。で、さらにもっとひどいのは、七大都市の調査結果は推論が多くてメーカーとしては説明を聞きたいところだというふうな意見まで言っておられる。こういった発言をなさっているのを環境庁は御存じなのか、またこれらの発言に対しての見解ですね、所見をひとつ聞かしていただきたい。
  211. 春日斉

    説明員春日斉君) 御承知のとおり自動車の問題は、これは象牙の塔の中に閉じこもっている学者が、自動車工学という専門的な狭い立場からだけではなかなかわからないわけでございます。あるいはその他専門家と申しましても大学以外にはしからばどこにいらっしゃるかということになりますと、なかなかいらっしゃらないわけでございまして、やはり自動車産業と申しますものは大量生産という一つの方式で生産されておるわけでございますので、やはり自動車産業の実態をよく知った方、これを委員に招くということは、私は当然の責任ではなかろうかと考えるわけでございます。自動車工業の原理、あるいは学問、そういったディスカッションだけならば、そういった方は要らないわけでございます。私どもが現在論じておりますのは、五十一年度規制をメーカーに対していかに達成せしめるかということでございますので、そのメーカーの内部につきましても、自動車工業会という公的な場で公害の担当委員をなすっている方をお招きしておるわけでございまして、その点につきましては、私ども決して間違ってないのではないか、かように思っております。ただ、メーカー、メーカーという御発言があったやに承ったわけでございますが、それは、メーカー側はこう言っておるんだがというようなお話ではなかったんであろうか。みずからのことは、まさに委員でございまして、メーカーの代表としておっしゃっているのではなかろうかと思います。
  212. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、自動車工業会から見識のある人を出したら悪いと私は言っているのじゃない。そうじゃない。少なくとも、ものの考え方ですね、七大都市調査団とのやりとりの中で、われわれメーカーは、なんというようなことを言うというようなやり方、これはメーカー防衛の立場に立ってものを言っているという印象を深くしているんですよ。だから指摘しているんです。少なくとも政府が委嘱するこれらの委員というのは専門委員というのは、今回の場合だったら公害基本法の基本理念に立って、国民の健康を最優先にして対策を進めるのにどうするかとその立場に立ってもらうということがきわめて大事だと思うんです。われわれメーカーはというような大量生産の立場でものを考えていただくという必要はないんですよ、むしろ、それは環境庁の仕事じゃないですか。だから、そういう点では、これは私が会って話を聞いたわけじゃないんだからわかりませんよね。しかしながら、七大都市の調査団の複数の方々が聞かれて、話されて、共通にそういうふうにお感じになっているというところはきわめて問題だというふうに思うんです。  さらに八田委員長を代表とする委員会の審議の経過と運営——先ほど審議の経過を聞かしてもらいましたけれども、十一月六日の七大都市との話し合いの席上では八田委員長こう言っておられるんですね。十一月六日現在では技術的な可能性の審議はやっていない。その周辺について審議を進めているんだ。各委員の御見解を一人ずつ聞いて、いままで六人聞いているんだというふうに言っておられるんですね。それからもう一つは、だから八月からやられていると言うけれども、技術的な審議は八月九日からやられていると言いますけれども、十一月の六日現在ですよ。これは八田委員長ことばですからね。技術的な可能性の討議はやってないと言うのですね。それからもう一つ重要だと思うのは、技術的な情報については七大都市以上のものは持っていない、環境庁のメーカー聴聞の資料については一部しかもらっていない、こういうふうに言っているわけですね。そこで、十一月の六日現在まで技術的な審議がやられていない、やっていませんと。だから、このいまの段階では大勢がきまっているわけではありませんよ、ということをそのときに言っているんですよね。だから、きょうの話は委員会のまとまった話でなくて、各委員一人一人個人的な見解の開陳にとどまりますよ、というのが最初の話し合いの前提だったそうですからね。ということは、自動車公害専門委員会というのは技術的な検討をやっていないということになるんじゃないかと思うんですよ、御発言なんですから、やってないと言っているんですから。それからもう一つは、技術的な情報というのは七大都市以上のものは持っていない。環境庁のメーカーにヒヤリングしたのはごく一部しかもらっていない。これでは基本的な態度をきめなければならない専門委員会は全くのめくら審議じゃないかというふうに思うわけですよ。もっと言いますと、こんなことを言っていますよ。私は、こんなめくら審議で、技術的審議、技術問題が最重要問題だといわれている五十一年規制の可否について、技術的検討がやられてない、しかも資料も十分ない、こんな状態でまともな審議がやられるのだろうかと思うんです。さらにもっと言いますとこれは八田委員長発言では、七大都市調査団に対してこう言っているんですよ。こんなりっぱな報告書はとてもできない、資料はこれから集めますが、何ぶん時間がありませんのでどれだけ集まりますかというふうなことばさえ出てきているわけです。こういう事態を、こういう状態を国民が知ったら、長官でも局長でも、答申を待ちまして、答申を待ちましてと言われますけれども、ほんとうに国民の信頼にこたえる答申がはたして出るんだろうかということについてはきわめて大きな疑問を感じます。信頼できないですよ。どうですか。
  213. 春日斉

    説明員春日斉君) 先生の御質問になられました中に、いろいろ八田委員長がこういうふうに言ったとおっしゃっているわけでございますが、その根拠は私はよく存じませんけれども、私は八田委員長が申された趣旨はやはりどこかで曲がっているような気がするわけでございます。と申しますのは私どもはこの委員会に対して八月の初旬から十四回お願いいたしておるわけでございますが、これはすべて五十一年度規制値に到達するにはどうしたらよろしいかということを中心に動いているわけでございまして、しかしながら実際には最初から〇・二五という問題だけについて、それは可能か不可能か、あるいはそれが不可能ならば暫定値はどうするんだ、そういう問題に終始しているわけではございませんで、それぞれの技術的可能性について、あるいは大気汚染に自動車の及ぼす影響等について、これは周辺から徐々にまん中に攻め込むという方法でやっておられるわけでございまして、私は決してむだな論議が行なわれたとは思っていないわけでございます。それから八田委員長検討は行なっていないと言われたのは、私の記憶では、それは具体的な〇.二五とか、〇・四とか、〇・六とか、そういう数字についてはまだそれぞれの委員のディスカッションの段階に入っていないんですとそういう意味であろうと思います、したがいまして私どもは、決してこの委員会が非常にお忙しい委員ばかりでございますが、無理をしてずっと来ていただいておるわけでございますが、何もむだな時間を使っていらっしゃるほどひまな先生方ばかりではないんで、私は十分国民の期待にこたえる論議がこの委員会でなされておるものと考えておるわけでございます。
  214. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは私はむだな論議をしていると言っているのじゃない。最大の問題点である技術的な討論をやってないということを八田委員長が十一月六日現在時点で言っておられるという事実を申し上げている。で、どこでそういう発言が出たのか、出どころを云々とおっしゃったから、ちょっと言っておきますよ。われわれのうかがい知ることができるのは、この専門委員会の審議、わからぬわけでしょうがな、国会議員であっても。資料も要求されたけれども出さないでしょうに。わからぬわけです。たまたまわかるというのは、七大都市の聴聞会で複数、多数の人たち委員会に出席をされた、その中でやりとりをされた私はメモを拝見いたしました。いま私が申し上げたのは、申し上げたくだりについては、私の個人的見解ではなしに、七大都市調査団が聴聞会に参加をし、共同記者会見の席上での発言等を通じて共通的に問題だというふうに感じておられる個所なんです。こういった点を解明しなかったら、これはせっかく答申が出ても国民に信頼されることはないだろうと思う。信頼できませんよ、実際には。ところが、長官にちょっとお伺いしたいのだけれども、この間、二十二日でしたか、衆議院の公害委員会で、わが党の木下委員質問に対しては、専門委員を信頼してやっていきたいというふうにおっしゃられたのですけれども、私がいま申し上げたような事実、こういうことを知ってどう思われるか、信頼できる根拠、これを明らかにしてもらいたいと思う。
  215. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) そういう事実はいま初めて聞きましたが、私は、この人たちがりっぱな人であるということを承っておりますし、真剣に意欲的に討議をしておるということを春日局長はじめ環境庁の諸君から承っておりますので、いまなお信頼をしております。
  216. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 とにかく政府が委嘱をしたのだから信頼いたしておりますでは始まらぬです。やっぱり国民の信頼にこたえる態度で言動を明確にしていただくということが大事なんですよ、委員の先生方に。だから、委員会が秘密会議で少しも公開されない、何がやられておるんだろうか、どういうふうな見解が開陳されておるんだろうかと、みんなやきもきしておる。ところが、これは秘密会議でしょう。たまたまオープンになった部分だけを——ごく一部ですがな、つかまえただけでこれだけ問題点があるということになりますと、これはきわめて重要問題です。  そこで、委員長お願いをいたしたいと思うのですが、局長はだいぶん曲がって伝えられておるというふうに先ほどおっしゃられたので、あえてお願いをしたいと思いますのは、八田委員長、それから自動車工業会の所属の家本委員、ぜひ参考人として出ていただいて、このくだりについては少なくとも真偽を確かめたい。それから同時に、七大都市調査団の代表者と、それから技術関係の西村、水谷、片岡先生方ですね、を参考人として、ぜひ答申が出るまでに真偽を明らかにしておきたいというふうに思いますが、お取り計らいをいただきたいと思うわけです。
  217. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 委員長発言いたしますけれども、先ほど矢田部委員のほうからも同じような趣旨意見が出ておりますし、当委員会といたしましても、参考人にも来ていただいて、いろいろいままで審議しておりますから、したがって、あとほど理事会を開いてお話しのような要求を取りきめたいと、こういう考えでおります。ですから、理事会ではかります。
  218. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでこういう事態になってまいりますと、これは常に委員会でも、専門委員会の御答申を待ちましてということをにしきの御旗にしておられますけれども、やはり基本的には環境庁が責任を負うべきだ、環境庁姿勢いかんにかかっているということになると思いますよ。少なくとも技術的問題がどうだ、こうだと言われますけれども、現に、五十一年規制が完全実施をされたといたしましても 昭和五十五年、東京都では三三%の交通規制をやらなきゃならぬ、とても達成できないんだということは、これは参考人質疑の中でも明確にされた。そうなんですね。そのために、国民がたいへん健康被害を受けているということも、これまた現実です。先ほども御報告されましたように、東京都で八つ、行政区が新しく公害認定地域になっておる。これは固定発生源だけじゃないんですよね、自動車排ガスと複合汚染になっておるわけですよ。こうしてどんどん公害患者が激増するというふうな中では一体どうしたらいいのか、これはもう明らかに自動車というのは加害者ですよ。排ガスは加害者です。少なくとも、この加害者に対して国民の健康を守るためには、断固としてやはり環境庁姿勢を正すべきだ、完遂するという立場を貫くべきですよ。けさの論議の中でも出ておりましたね、小平先生の御質疑の中でも、七大都市調査団との間では技術的評価はほぼ一致している。ただ、リードタイムだけが問題で云々という、これは局長の御答弁ですよね。リードタイムが問題だということになってくれば、これは環境庁は断固としてやるという立場をとるのかどうかということでこのリードタイムが短縮もされようし、延ばされもすると思います。そうじゃないですか。環境庁が、いや、どうやらメーカーのほうは技術的にむずかしいからというて配慮に配慮を重ねていったら、リードタイムますます延びますよ。しかし、環境庁が断固として実施するということになってメーカーの開発のおくれが出た場合には、そこは企業自身の経済性の追求のために懸命になるのは当然なんです。ほんとうに懸命にならせて国民の健康を守らせるのかどうか、その立場を貫くのかどうかというのが、いま、環境庁の置かれている基本的な立場だと思う。だから、冒頭にお聞きをした。国民の健康を最優先にするのか、企業の立場を擁護するのかという二つ立場、このどちらかの選択を迫られているのだと、国民はそう思っているんです。その点について、これは再度御見解を伺いたい。基本姿勢についてですよ。
  219. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 国民の健康を守ることが最優先であります。
  220. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 また、念仏みたいにそこだけはおっしゃるんだけれども、具体的になるとあやしくなる。  そこで時間の関係もありますから、これは特に申し上げておきたいのは、国民が期待しているのは、少なくとも国民の健康と生活環境を守るために、環境庁と名のつくお役所ですね、環境庁長官が国民の健康最優先の立場を貫いて、企業の、さっきも質問に出ていたような猛烈な陳情に動かされたり、企業の立場を擁護するというふうに国民に理解をされないように、断固とした立場を貫いていただきたい。これはもう言うてもらうと、また同じことになりますけれども……。  そこで、これは具体問題でちょっともう一つ伺っておきたいのは、これは十一月の二十一日の読売新聞に発表されて、各紙とも発表されておりましたけれども、「排ガス規制暫定値、国民の健康を最優先、燃料増・性能悪化仕方ない」という大きな見出しで、燃料費の増加、あるいは運転性能の悪化について国民の健康を守るためにやむを得ないという結論を出したという、第十一回の会合の、自動車専門委員会結論が報道されているんです。私は、これはたいへんけっこうだと思う。こういう立場で全部貫いてもらわなきゃならぬのじゃないかと。そこでもう一つ、これに関連をして、国民の健康を最優先にという立場をぜひ貫くべきだと思いますのは、けさもちょっと出ましたけれども、いわゆる大型車、中型、小型の問題ですね。これは参考人に対する質疑の中でも、小型はいけるんだと、大型が困難なんだということが言われているわけです。で、八田委員長も七大都市との会見の中でこう言うているんですね。一五〇〇CC以下のクリアーは可能であっても、二〇〇〇CCをこえる車は困難なので、これらの救済が必要である。全車、全車種のクリアー可能性規制決定値の前提であり、特に将来とも不可能と見られる大型車には別途の救済が必要であるという発言をされているのですけれども、少なくとも二〇〇〇CCまでの車がクリアーされておるということであれば、大型車を切り捨ててでも国民の健康を守るという立場をとれないのか、とるべきだと思う。その点はどうですか。
  221. 春日斉

    説明員春日斉君) 確かに先生が御指摘のように、二〇〇〇CCまでがすべてクリアーできるならば、それ以上のものを切り捨てるということも、一つのこれは政治的な判断として私はあってもいいと思うのです。しかしまあ現在のところ、八田委員長あるいは七大都市の専門委員の方々もおっしゃっているわけですが、やはり現在かなり〇・二五に近い数字を出し得るのは、一五〇〇CC以下、あるいは重量でいえば八百七十五キログラムというような一〇〇〇ないし一二〇〇CCクラスのところであって、私はそう簡単にかなり低いところの数字が二〇〇〇CCまではみな可能であるという現状ではないと思うわけです。しかしまあいずれにいたしましても、四〇〇〇CCあるいは外国車でいえば五〇〇〇、六〇〇〇CCというようなものは、わが国で必ずしも必要であるかというお話だと承りますけれども、そういったものは私は必ずしもなくたって用は済むものだろうと考えております。
  222. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、いま局長が言われたように、たとえば二〇〇〇CCまでというのは大体大衆的な車ですわね。大型車というてるのは大体何ぼですかね、二六〇〇CC、三〇〇〇CC、四四〇〇CCという大型車ですね、そんなものは別になくたって国民生活に不自由じゃないわけですから、これはもう将来ともなかなか困難だいうのは八田委員長も言っておられる。客観的にもそういうことですね、いまの水準では。だからそういう点については、これはまあ四十八年度の生産台数見ても、二〇〇〇CCをこえる大型車というのは、約七百万台の中でわずか十一万台ですよ。こんなものは切り捨てても少なくとも〇・二五グラムあるいはそれに近くまではクリアーできるということは七大都市の調査団の結論なんですからね。——いやいやまあ、二〇〇〇CCだけをとったら問題だけれども、技術的評価についてはほぼ一致したいうんだから。しかしその三〇〇〇CC、四〇〇〇CCがクリアーできないからいうことで全部を御破算にしたり、あるいは暫定値を〇・六や一・一やというようなことにしてはならぬいうことを言っているわけですよ、私が言わんとするところは。だから燃費だとか、ドライバビリティーの悪化が少々あっても、これは国民の健康を守ることが最優先だからしようがないんだという立場をとったように、少なくとも大型車をクリアーできないからいうことで小型車がクリアーできてもやらないというふうなことじゃなくて、技術的に不可能な部分は少なくとも国民の健康優先のためには切り捨てるべきだと、そこまで腹をきめる必要があるのではないかということを申し上げたい。これは長官ひとつ御意見を。
  223. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 先生の言わんとするところはよくわかりますが、問題は、いままで一律的に考えておったのを、中あるいは小に重点を置いてものごとを考えなきゃならぬという重点志向の問題だと思います。ただしかし、可能であろうというアバウト的なことでこの問題の決定かなかなかできないというところにあります。
  224. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 局長言いますか、何か。
  225. 春日斉

    説明員春日斉君) 確かに五十年規制にありましても、一部のスポーツ車等はかなり私は生産制限せざるを得なくなると思います。それから輸入車につきましても、大型あるいはスポーツカー・タイプのもの、こういったものは日本に輸入できなくなるものはかなりあると思います。いわんや五十一年度規制車につきましては、たとえその〇・二五が達成できないところで規制値がきまったといたしましても、私は、相当な生産中止機種というものも出ざるを得なくなるであろうと考えております。そういう意味では、先生のおっしゃるところはまことによく私ども理解できるわけでございます。私どもも決して先生の御意見に反対なわけではございません。ただ、まあ二〇〇〇CCはもうだめなんだ、一二〇〇ぐらい以下であるべきだというようなこと、先生はおっしゃっていませんけれども、もしおっしゃるとするならばまあ問題であろう、かように考えております。
  226. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、時間がありませんから、あとちょっと公害健康被害補償法の問題に関連して二、三点お伺いをしたい。  先ほども委員の質疑の中でありましたように、新しい指定地域が認定をされるというふうになってまいっておりまして、特に本法が九月から施行開始になってから約三ヵ月近くという段階で幾つか問題点が起こっております。で、時間がもうあんまりありませんので、ごくかいつまんで問題をしぼって伺いたいと思うのですけれども、その一つは、公害保健福祉事業についてです。福祉事業というのは健康被害者の保護のためにきわめて重要な役割りを果たすものであるというふうにいわれておって、これは資料をいただいておりますが、四十九年度は四億円ほど予算を計上しておられる。そこでお聞きをしたいのは、具体的な事業内容と実施計画、これをお伺いしたいと思います。
  227. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 公害保健福祉事業の四十九年度の事業計画につきまして概略申しますと、一つはリハビリテーション関係のものでございまして、第二番目は転地療養に関するものでございます。それから第三番目が家庭療養に必要な器具ということで、そのうちの一つは、特級及び一級に該当する患者につきましての空気清浄化装置の給付あるいは特殊寝具という問題と、次は、保健婦によります訪問看護指導というぐあいに私どもは計画をいたしておりまして、現在地方自治体と、いろいろ地方自治体の持ってきました計画と私どもの計画とすり合わせながら、その最終の煮詰めをいたしておるところでございます。
  228. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 四つ述べられましたけれども、その事業計画の転地、これは一番大ぜいの被害者が、公害患者が恩恵を受けられる内容になると思うのですけれども、どういう予算で、どういう計画でどういうふうにやるのか、簡潔に言ってください。
  229. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 転地療養の関係でございますが、一つは、児童につきまして、大体いまおられる児童のうちの三割五分程度は参加されるというような観点で、六泊七日程度転地療養できるようにしたいというようなことで計画を当初考えておって、いま自治体と折衝しております。
  230. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これちょっとなかなかはっきりせぬのですけれども、私ども聞かされているのでは、六泊七日でどこか転地に行かせるというわけでしょう。で、その一泊が二千三百円ですか、千七百円の予算で交通費が二百五十円やちゅう話、聞いているのですけれども、そんなことになっているのですか。こまかいのだけれども、この実施を待ち望んでいる中で問題があるのですよ。
  231. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) いまおっしゃいましたのは、千七百円といいますのは、昨年に予算を組んだときのちょうどそれに当たる経費が千七百円となっておったということで、その数字がいま事務的には残っておると。そこに対して今度そういうものでは国民宿舎でもなかなか使えぬではないかと。もちろんその後値上がりをいたしておりますので、そこらの問題ございますので、何とかできる方向に持っていきたいというようなことをいま鋭意検討しておるところでございます。  それからバス代というようなお話もございましたが、これは私どもは片道ずつにやっているものを往復とお取りになったのではないだろうかということで、まずそのバス代のほうはあまり問題はないのではないかというようなことでございます。  それから六泊七日という点では、そんな長いことはなかなかできぬというお話ございますが、せめて転地療養というときに一泊二日ではこれはもう遊びの旅行でしかないということで、やはり六泊七日程度は必要だというような考えでございまして、私どもはできるだけ実行できるような形にしようということで、現在最後の努力をいたしておるわけです。
  232. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 改善の意思があるようですから、具体的に言っておきますが、二千三百円の宿泊費で国民宿舎へ泊まっても国民宿舎は一晩、朝晩の食事つきかな、あれは、それで二千四百円ですわ。それで昼御飯がないんですよね。だから昼御飯入れたら国民宿舎へ泊まっても三千円近くなるんです。  それから交通費の二百五十円というのは半額、片道のつもりだったいうことですけれども、五百円にして五十人バスに乗せて二万五千円ですか、これ二万五千円やそこらのバスというのは、これは環境庁がごあっせんになるのなら別ですけれども、いま社会では二万五千円や三万円のバスというようなのは、それはどこまで行くつもりか知らぬけど、国民宿舎いうたら大体そんな大都会のまん中にないでしょう。とってもやないけれども行かれへんですよ。私は大阪におって見ていても、大阪から国民宿舎さがして行くいうたらバス代何ぼかかるだろうかと思っていろいろ勘くっても最低やっぱり十万内外かかりますよ。だからそういう実情に合わして改善の御意思があるかどうか。それでなかったら、これ全部地方団体へ超過負担になるから特に大事なんですよ。その点についてお聞きをしたいと思います。
  233. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) いま御指摘のような問題につきまして地方公共団体加入参加という話を聞いておりまして、実際動けるような形にできるだけ持っていきたいという検討をいたし、まだ決定までに至りませんが、そのような検討をいたしておる最中でございます。
  234. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それから次にお伺いをしたいのは、生活保護法と健康被害補償法に基づく障害補償費の併給の問題なんですね。これは環境庁長官にも患者会等から要請がなされていると思いますけれども、健康被害補償法が実施されまして、九月一日から実施をされて、ちょうど十二月に障害補償費あるいは児童手当等が支給されるという段階になってきているわけです。そこで、生活保護世帯おいては生活保護の打ち切り、いわゆる併給だということで打ち切りがやられるんではないかという非常に心配を年の瀬を控えて起こしてきている。この問題につきましては本法律の制定の審議の際にも、当時の三木長官の所信をただしました。そのときには、厚生省と十分に打ち合わせをして対処したいという御答弁があったわけです。そして本委員会におきましても附帯決議の中の第十六項に「本法による補償給付と生活保護における収入認定との関係については、公害被害者の実態と特殊性を十分に配慮して、その調整を検討すること。」と明記しているんです。そういう点からいたしまして、これは御要望もすでに出ておることなのですが、環境庁としては厚生省とどのように協議をされて対処しようとしておるのか、御見解を伺いたい。
  235. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) いま御指摘の点につきましては、こちらに、参議院におきます附帯決議の中でもお話ございまして、患者さんからも何度もお伺いいたしておりまして、私どもは厚生省の社会局の保護課のほうと数次にわたり連絡いたしまして、この公害健康被害補償法の、特に障害補償の点につきましては、労働能力の喪失とか日常生活の困難だとかいうことで、慰謝料的な要素も含めてきめられているというこの特殊性をぜひとも勘案をいたしておきめいただきたいということで、厚生省のほうも非常に熱心にこの問題にお取り組みをいただきまして、大蔵省と厚生省の問題に一番関係する問題でございますから、私どものほうからそのような給付の特殊性ということをるる御説明をいたし、厚生省のほうでいま御努力を願っている、そういう段階でございます。
  236. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 じゃ厚生省、ひとつ御見解を。
  237. 翁久次郎

    説明員(翁久次郎君) お答えいたします。  先生御承知のとおり、生活保護法では資産能力、保護を受けられる方の資産能力あるいは他の法律による施策が優先して、その上で生活保護を受けることになっておりますことは御承知のとおりでございます。本件につきましては、ただいま橋本部長からも御答弁がありましたように、私どもといたしましては健康被害補償の特殊性、特に慰謝料的な点を十分考慮いたしまして、現在収入認定として認められている一番限度額までこれを認めていくという方向で近く都道府県に通知を出すという段階に入っております。
  238. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 収入認定として認められる限度額までというのはどういう意味ですか。
  239. 翁久次郎

    説明員(翁久次郎君) 収入認定として認めていない、収入認定しない限度額ということでございます。失礼しました。
  240. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういうことですか、それじゃわかりました。それはまだ通達は出していないのですね。
  241. 翁久次郎

    説明員(翁久次郎君) 大体最終的な結論、今明日つきますので、十二月支給に間に合うようにいたしたい、かように考えておるわけであります。
  242. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 最後にお伺いをしたいのは、公害患者というのは、特に大気系の公害患者というのは疾病の発症あるいは発作というのは夜間、深夜、夜明けというのが非常に多いわけです。そういう場合に夜間でも深夜でも診療があんまり不自由せずに受けられるような形になるためには医療機関との関係というのはきわめて大事だと思うのですが、そのための十分な対策が必要だというふうに思うのです。これは御見解をお伺いをしたいのですけれども、時間がありませんから、ちょっと問題点を指摘して、改善の立場をおとりになるかどうかという点について聞きたい。といいますのは、九月一日法施行以後、ずいぶん、従来公害患者の診療に当たっていた医療機関が辞退をしたり、あるいは川崎のように医師会全体が公害指定医療機関をやめたいというふうな御意見等が出てきているわけですね。ちょっと若干具体例を申し上げますが、これは十月十三日現在でこういう状態が起こっているのですね。北九州市では従来公害医療を取り扱っていた医療機関四百八あったのが現在二百三、半分になった。その中で門司区は三十一ヵ所がゼロ、小倉区が百二十のうち四十五、八幡区百三十九が六十二と、それから若松が七十のうち六十二というふうなこと、こういう問題、川崎市では医師会員全体が公害医療機関にならないというふうなことで会長に一任をしているというふうな問題が起こっているわけです。こういう問題が起こっておるのが、これは患者にとってはたいへん不自由なわけでございますから、そういう点が起こらないように、環境庁としては対処しなきゃならぬと思うのですが、その点で問題になっておる幾つかの点がありますので、まとめて申し上げますから、これはひとつ改善の御意思があるかどうかという点について伺いたい。  その一つは、大体その説明会が非常におくれたというんですね。もう九月一日からやるのに二十八日に告示が出たりして、てんで間に合わなかったという問題。で、これは新たに指定地域が拡大されて、同じ轍を踏まないようにすることがきわめて大事だというふうに思うんですが、そういう準備のおくれ、これは今後の課題として非常に大事だと思うんです。  それから診療報酬体系が非常にややこしい。これは私も驚きましたけれども、特掲診療料というて金額できめている分野。それから健康保険準用の薬物材料費というところは一点単価十円、技術料は一点単価十五円というふうな形できわめて診療報酬が複雑多岐である、こういう状態では民間医療機関としては、これは対処できないということを言っているわけです。たとえば、レントゲン一枚とったらこれはレントゲンのフィルム代は健康保険料の十円単価、それから撮影料は技術料で十五円、それから診断料は、特掲診療料というのはそんなこれをまた請求するとき一々そないふうに分けて書けと、こうなっているわけでしょう。こういう点の簡素化というのは、医療事務の簡素化というのは従来からたいへん問題になっていま改善されつつある段階で、さらに複雑化するというふうなことはきわめてぐあいが悪い、そういう問題。  それからもう一つは、診療報酬がこれは脱保険で独自にきめますというて、当初も言うておられたのでそうなっておるわけですけれども、たまたま九月一日から発足をして、十月一日から健康保険の報酬単価が上がった。そうしたら独自といってもものによったら税の対象としては自由診療並みの扱いだということになりますと、診療行為の内容によってはどうなるかというと、健康保険診療よりも下回るというふうな事例も出てきているわけです。そういう点について、これは健康保険報酬が、診療報酬が改定をされたという段階では早急に見直す必要があるんではないかと、そういった点について、これは医療機関と患者との関係の円滑をはかるためにも、ぜひ早急に解決が迫られていると思うんですが、それに対する改善措置等についての御見解、それを伺いたい。
  243. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) まず最初にこの説明会がおくれている件は、これは私ども非常に申しわけないと思っておりますが、御承知のように非常に限られた人員で九月一日実施を至上命令にしてやりましたので、ほんとうは十月か十一月にずらせばそのようなことはなかったわけでございますが、国会でお約束したこととどちらが大事かということで、私ども必死になって九月一日に実施をした。そこで、その八月の末にきまって日にちがなかったということ、これは申しわけでございますが、私どもは説明会がおくれたという点につきましては、これは何とも非常に申しわけのなかったことだと思っております。  第二番目は、このお医者さんの辞退という問題でございますが、これは少し古い時点の数字を先生御指摘がございまして、またその数字は内容につきましてもう少し議論のある数字でございまして、従来は健康保険のお医者さんは全部機関としてやっておられるという事態があったわけでございますが、今度は公害医療機関として自分がいやだという方以外はそれをやっていただくと。これは医師会に最初お話ししたときに指定医療機関制なんというのはけしからぬという御意見があったので、私どもは患者の選択の自由とその医師会の御意見と両方あわせまして、そのような形で法律をやりまして、法律の制定のすべての段階において一切異論がございませんでしたが、いざ動いてみるとそのような御議論が出たというような事態でございます。ただ、どういう方が御辞退をされたかといいますと、産婦人科とかあるいは外科という方は呼吸器系の疾患何ら関係ないわけでございます。それから指定地域が非常に限られておりまして、その指定地域以外の市のお医者さんの中で、私のところは指定地域じゃないと、だからこれはまあ辞退しようという方もあるわけでございまして、現に指定地域の中でこの患者さんを見ておられるお医者さんは辞退しようという問題を確かに自治体との事務費交渉の問題としてそのようなことがあったと伺っておりますが、私は少なくとも現在まで、最近承ったところでは、患者さんを見ておるお医者さんは非常に問題はあるが、やはりそこの辞退まではということで指定地域の中の大気汚染系の疾患に関係のあるお医者さん方は、ほとんどこれはお受け願っているというぐあいに聞いて実は非常に感謝をいたしておるところでございます。  第三番目の問題は診療報酬体系の問題でございまして、一番簡単ないき方としますと、従来の健保どおりにして特別措置法の七二%をそのまま使う、これは一番簡単な方法の一つでございますが、医療制度を直さなければいかぬ、七二%というのは要らぬのだということが実は今回のこの診療報酬をきめた第一の段階でございまして、そういうことで健康保険とは別にするということになったわけでございます。ただその場合に、やはり非常に技術料とか指導料とか、あるいは公害医療の特殊性をできるだけ生かすということは一つの大きな要素でございますし、だからと申しまして、ほんの一年足らずの間に完全な新しい医療費体系ができる、これはまた不可能でございます。しかも大気系の疾患につきましては、どこに行きましてもこの気管支炎やあるいは気管支ぜんそくというのはあるわけでございまして、それと全くかけ離れたこともこれまた実際具体的に考えますとできない。そういうことで特掲料金としてできるだけお医者さんたちの御要求になる特殊性のあるもののお金を上げていこう、そういう必死の努力の善意で特掲料金が上がってきまして、それから技術料や指導を重んずるということで健保の十円を十五円に持っていくとかいうような形になっておりまして、たまたま運悪く健保の改定のちょっと手前にこれがある程度、健保はこれぐらいでいくだろうというようなことを頭に置きながら、その見切りでそれよりも上に上げるとかいうような経緯でこの診療報酬の体系がきまってきつつございます。私どもは、できるだけこれは将来本格的な簡単なものになればそれにこしたことはないということを思っておりますが、なかなかそこには時間がまだ少しかかるのではないかという感じがいたしますが、これは私ども医師会の方と十分連絡をしながら、従来も日本医師会と連絡をとってやってまいりましたが、そのような形をもってよりよいものに持っていきたいというように思っております。  税金のお話がございましたが、全く自由診療並みという話ではございません。これは労災の親類であるというぐらいに大蔵省のほうには私も直接参りましていろいろお願いをしておりまして、この治療のほうは産婦人科の方の治療とかあるいは自動車のときの外科の方の治療とは全然違うんだと、非常にむずかしい複雑な問題をお医者さんに無理にいろいろお願いしている節があるので、全体の性格としては労災並みの問題でございますということを言っておりまして、全く自由診療並みの同じ税金をかけられるというぐあいには私どもは考えておりませんし、大蔵省も、健康保険とは違うが全く自由診療並みの税金であるともお考えになっておられません。そういうことで自由診療並みにふっかけられるからということをもしもお考えになりましたら、それはやはり少し誤解があるのではないかというぐあいに考えておるわけでございます。  最後にいろいろのフォームの問題でございますが、このフォームの問題は、先ほど申し上げました診療報酬の体系とも密接にリンクをいたしております。これはやはり根本的には診療報酬の体系をもう少し簡素化してよりよいものにできればそれに合ったようなフォームになるということも事実でございますが、やはり強制徴収をして税金と同じような形で取ってくる金でやるわけでございますから、やはりそれ相応に説得できるものでなければならないということもございますし、また先生方のおっしゃるような三本立てはむずかしいという御意見もあり、その紙を見られた最初の御意見と実際お使いになったあとで聞いた御意見では、わりにやってみると案外そうでもないという御意見も中にはおありになるということでございまして、私どもは改善する必要ありということは考えておりまして、医師会の方々とこれは相談してやっていくつもりにしております。現在地域指定の問題に追われましてしばらくとぎれましたが、またこういうものが落ちつきましたら早急に医師会のほうとも相談いたしまして、できるだけ早い時期にこれは改善していきたい、こういうぐあいに考えております。
  244. 沢田政治

    沢田政治君 私は、カドミ汚染、主として米の汚染、これが非常に深刻な問題になっておるわけです。過般十一月の五日だったと思いますが、鶴園委員長、栗原理事の御足労を願って、比較的全国的にも鉱山県——鉱山が多いといわれる秋田のカドミウムの米穀に及ぼす影響、こういうものを若干調査してみたわけであります。非常な範囲の広さ、しかもまた農民の受けておる打撃を見まして、非常にあ然としてまいったわけであります。もちろん環境庁もこれらの実態把握については努力をなされたと思いますが、しかし、その努力も私どもの見た限りにおいてはまだ万全だと、こういうことは言い切れないわけであります。何も特定の秋田だけではありません。比較的鉱山県といわれておって三百八十八の、四百に近い休廃止鉱山がある、こういうことでございますから、その中でどういう調査をやってきたのか、三百八十八というように推定される休廃止鉱山というものを環境庁としてどういうように把握して、どれだけ明確に把握したのか、調査をしたのか、まずその点についてお聞きをしたいと思うんです。
  245. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) 全国の概況でございますが、現在までのところ、カドミウムにつきましては、農林省それから県協力のもとに調査を実施してきておりますが、カドミウムにつきましては汚染米が発見されました地域、これは全国で五十七地域ということになっております。そのうち土壌汚染防止法に基づきまして地区を指定いたしまして、対策計画を樹立して事業を実施するわけでございますが、その指定された地域の数は十六でございます。なお、土壌汚染防止法に基づきまして銅も汚染物質として指定されておりますが、これにつきましても二十地域につきましてその指定要件に該当する、そのうち三地域を指定しておる、こういった状況でございます。
  246. 沢田政治

    沢田政治君 環境庁としての調査が、まだこれ万全じゃないんです。たとえば先ほど申し上げましたように、推定して秋田の休廃止鉱山、これが三百八十八ある。ところが政府が、特に環境庁が四十八年度三十六ヵ所——鉱山ですね、四十九年度三十七ヵ所、これは県に委託をして調査をしておるわけですね。ところが百八十五、これは先ほど申し上げました四十八の三十六ヵ所と四十九年の三十七ヵ所以外は県が単独で県単事業として行なっておるわけであります。私は非常にこの数字を見て驚いておるわけであります。もちろん地方自治体も地域住民の不安あるいは被害、こういうものを早く解消を進めたい、実態を把握したい、こういうことはわかりますが、鉱山行政というのは、これは地方行政じゃないんであります。つまり中央行政なわけです。中央行政の結果、カドミ、こういう被害が出ておるわけであります。したがって、地方自治体にその調査を希望する私は権限がないと思うのです。でありますから、一体このカドミ汚染というのは、もちろん原因者にこれは責任があります。しかし行政の立場としても、これ中央行政でありますから、たとえばいまの鉱業法が、鉱区を発見した、何々があるようだ、こういうことで採掘をしたい、鉱業権を設定したい、こうなりますと、先願主義でしょう、そうして採掘をしたいということになると施業案を出して、そうしてこれを通産省が認可する。これ地方が全然タッチできない問題ですよ。その結果出てくる被害に対して鉱業権者が明確である場合、また資力のある場合は、これはもちろん一〇〇%原因者負担ということになりますが、原因者がない場合はこれはだれが責任を負うかということですね。地方に責任があるのか中央にあるのか、おのずからこれはもう論理が明快だと思うのですが、長官、これはどこに責任があるのですか。もちろんこれは農民には全然責任がありません、自分の意思というものは一%も介入できないわけでありますから。だれに責任があるかということをこれは明確にすべきだと思うんです。
  247. 佐藤淳一郎

    説明員佐藤淳一郎君) 実は私が答弁すべきところをちょっと環境庁さんにやっていただいたものですから、前段の御質問についてお答え申し上げたいと思います。  全国にまだ鉱害が残っておりますところの休廃止鉱山の数が約六千ぐらいあるものと推定されておるわけでございますが、そのうち重金属の汚染の休廃止鉱山が大体その半分の約三千ぐらいと推定いたしておるわけでございます。これにつきましては非常に数の多い関係もございますし、それから非常に山奥にあります関係もございまして、まず概査を県にお願いいたしまして、概査が終わりました段階で非常に問題のある地域についてさらに精査をやるという二段がまえの調査の方法をとっております。それで精査のほうは地方にございます監督部の監督官が精査をする仕組みをとっておるわけでございます。それで大体四十八年度で全国で三千のうち千五十の鉱山を一応調査を終わっております。それから残りの約二千につきましては鋭意努力中でございまして、これは数が多いものですから五十一年度末で完了する予定になっておるわけでございます。これは調査でございまして、逐次予算の許す限りできるだけ早く復旧をいたしております。これは、いま申し上げておりますのは山元の坑口付近の工事の問題でございまして、カドミ米に関連するものはさらに川の下流の山元から離れたすそのほうの問題でございまして、いま申し上げましたのはあくまで山元の工事の関連の数を申し上げた次第でございます。
  248. 沢田政治

    沢田政治君 昭和四十四年以来数度にわたって健康調査、特に汚染地域の健康調査をしてきたようですが、どういう結果になっていますか。
  249. 橋本道夫

    説明員橋本道夫君) 先生の御質問は全国に関することかと思いますが、全国に関する数字が四十八年度末までの従来まとめました資料によりますと、第一次検診として約三万二千名、第二次検診として三千数百名、第三次検診として三百数十名の方をやっているということでございます。また、秋田の問題に限って申し上げますと、四十五年度より鉱山地区におきまして健康調査を実施してまいりましたが、四十八年度には二千七百三十五名についての健康調査を実施し、四十九年度には一万一千四百七十六名を対象として進めておりますので、現在の段階では三千九百十四名が受診しておるということでございます。四十八年の調査結果につきまして私どもが現在報告を受けておりますのは、八名の方が要精密検診ということになりまして、このうち二名の方が精密検診を受けられ、二名の方は精密検診受診前に死亡され、あとの方はまだ精密検診を受けておられないという状態でございます。
  250. 沢田政治

    沢田政治君 食品衛生法によりますと、一PPM以上の汚染米はこれは食べちゃいかぬ。もちろん食べちゃいかぬわけでありますから、政府がこれを流通に回すということはあり得ない。これは米じゃない、食われない、こういうことになるわけですね。しからば一PPM以下のものは安全かという問題が出てくるわけです。私はこの問題に長く時間を費やしたいと思いません。それで、一PPM以上はこれはだめだ、一PPM以下は絶対だいじょうぶだ、こういう根拠を簡単でいいから、これは厚生省から来ているでしょう、お答え願いたいと思います。
  251. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 米のカドミウムの基準を決定する際に根拠とした資料がございますが、こればアメリカのアンワーという人が犬を使って実験をやった資料でございます。それで、犬に一日当たり〇・五PPM、二・五PPM、五PPM、一〇PPM、四段階の試験を四年間にわたって続けたわけでございますが、その結果を見ますと、いずれも全然影響がなかったということで、この実験におきましてカドミウムの濃度が最も高かった一〇PPMの分は、体重一キログラム当たり千マイクログラムのカドミウムを摂取した、こういうことになるわけです。これは、毎日体重一キログラム当たり千マイクログラムの投与で四年間に異常がなかったということになるわけです。こういう実験から人間の許容量をきめる際にはいろいろ段階がございまして、動物実験の結果を人に適用する際は通常齧歯類などの小動物の場合は百倍の安全率を用いてございます。それからサルなどの中動物を用いますと五十倍の安全率を使ってあるのが普通でございます。この犬の実験結果から計算いたしますと、これはほぼ齧歯類とサルの中間あたりに相当いたしますので約七十五倍の安全率と、こうなるわけでございます。これは体重一キログラム当たり十三・三マイクログラムとしたものでございまして、これは成人一人当たり六百六十五マイクログラムという数になるわけです。米以外の食品に由来するカドミウムの最高値百五十マイクログラム、それから水に由来します十五マイクログラムを差し引きますと、五百マイクログラムというのが残ってまいりますが、国民栄養調査によりますと、米の一日の平均摂取量が三百三十四グラムということになりますので、これを大き目に見て五百グラムぐらい食べる人がおるだろうと見まして、これから五百マイクログラムのカドミウムが入るものとして米のカドミウムの濃度は一PPMだ、こういうことでこの一PPMという基準は、食品衛生法の七条の規格、基準に取り入れております一PPMという数字はかなりの安全率を見込んで安全な許容量だと言うことができるわけでございます。
  252. 沢田政治

    沢田政治君 いま、一PPM以下は安全だ、以上はだめだということを力説されたわけですが、これに対するよしあしについては論議しません。私は非常に疑問があります。ありますが、この問題で議論しようとはきょうは思いません。しからば一PPM以下は安全だという理屈になるわけです。ところが同じ政府が、一PPM以下〇.四PPMまでのものを市場に出さぬということは政府自体が自信がない、こういうことを如実に物語っているじゃありませんか。非常にりっぱな効能書きのようなことをおっしゃられましたが、安全なものだったら、配給あるいは流通に回したらいいじゃありませんか。そこに自信のなさというものをおのずから立証していると思うのですがいかがですか。これは食糧庁ですね。
  253. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) 先生御案内のように、一PPM以上が健康に害があるということで、それが基準になっております。そこで現在食糧庁が一以下〇・四までのものについて配給の停止をいたしておるというのは、御案内のように、四十四年カドミウムの問題が神通川から起こりまして、そこの時点でいろいろ論議がなされ、〇・四以上は——通常自然の状態でも〇・四程度のカドミウムの含有があると、それ以上のものについては多少人工的な問題があるのではないかというようなことから、いろいろな調査がなされた経緯があるわけです。そこで〇・四以上のものにつきましては、四十五年当時米の過剰輸出もこれあり、また配給操作面で国民感情等があって、操作の面でいろいろ不都合があっちゃ困るということで、食糧庁といたしましてはこれを配給をしないということで取り扱ってまいった経緯があるわけであります。そこで今日需給関係いろいろございますけれども、国民の健康に関する問題でもございますし、私たちとしては配給操作の面から国民感情等もございますし、引き続き配給の措置をいたさないということをしておるわけでございまして、〇・四PPMから一PPMのものは健康上被害があるからということで配給を停止しているのではございません。その点はっきり申し上げておきます。
  254. 沢田政治

    沢田政治君 わかったようなわからないような答弁ですが、そういう筆法でいくと——今年でも米の生産調整、減産を百三十万トンぐらいやっておりますね。いま世界的な規模で食糧会議などやっているくらい食糧の問題が非常に深刻な状態です。そこで、もし食糧の需給がいまより窮屈になり、外米さえも輸入しなくちゃならぬ、こういうことになった場合には、一PPM以下は安全だ、こういうたてまえに立って、食品衛生法でそうなっているのだから、これを配給に回しますか、市場に回しますか、どうしますか、その際。
  255. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) 需給関係と申し上げますとそういう反論になろうかと思いますが、現在の時点では米の需給関係万々不安はございませんし、またかりに作柄等によってそういうことになった場合においては、そのときの時点でいろいろな情勢を踏まえながら対応することになろうかと思います。
  256. 沢田政治

    沢田政治君 私の言っておることは、〇・四PPMそれから一PPM以下を配給に回すべきだというところに主眼点を置いているんじゃないんですよ。あぶないものは食わせるべきではないという大原則に私は立っているわけです。しかも配給に回されない米を、政府が食管の赤字だ赤字だといって買うことは一体どういう根拠から出ているかということです。しかもこれは流通に回さぬのだから、一俵当たり一ヵ月二十一円の倉敷料がかかるわけです。運賃もかかるわけであります。一PPM以下は安全だというならば、国費を投じて食管会計が赤字だという場合、一般会計から回して補てんするとこれは明らかに国費の浪費じゃないですか。そこに一PPM以内でもあぶないという政府の思惑があるからそういうことになるでしょう。そういう危険をおかしているでしょう。この付近の因果関係はどうもはっきりしないんですね。大臣これはどうなの。これは聞けば聞くほどわからなくなるわけですね。
  257. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) 一PPM以下〇.四までのものを政府が配給していないというのが何か健康に非常に害があるから配給していないかというような御質問のように受け取れますけれども、私たちのほうは、先ほど申し上げましたように、基準は一PPM以上が食糧としては不適だということになっておりまして、ただ、いままでの米の操作の過程において、〇・四以上の調査のものについては、そういうような調査の過程においていろんな国民的な反応もこれあり、また国会での御批判もいろいろありまして、配給を停止をせざるを得なかったわけであります。四十四年当時からの状況が今日までつながってきておるわけでございますが、私たちといたしましてはいま先生御指摘のように、保管料もかかりますし、また国民の共有財産である食糧庁の私たちの管理の責任といたしましては、まさに税金のむだづかいというようなことに御批判を受けるわけでございますが、この配給の操作をいたします際に、やはり国民の方々の合意といいますか、受け入れるような環境にならないとなかなか配給をいたしましても操作が円滑にいかないという事態が起こってまいるわけでございまして、その点を考慮いたして、現在も引き続き配給をいたしてないということでございますが、この一コンマ以下〇・四までのものにつきまして今後どうするかということで鋭意研究を引き続きいたしており、ぽつぽつ処分の目鼻等も現在つけておるのが現状でございます。
  258. 沢田政治

    沢田政治君 非常にこれは農民の生産意欲にも影響あるわけです。自分がつくったお米はこれは主食ですから——まあ主食であるか副食であるか議論しませんが、人によって違うでしょうが、いずれにしても食糧として寄与なし得るとこういうことで農民がつくっているわけですね。ところが実際につくった米は、これはもう流通に乗らぬということになると食糧にならぬわけであります、食糧にならぬものを農民がつくるということは、非常にこれは心理的な打撃が多いわけですね。七夕米と称して、七夕米何だと思ったら、汚染米は赤札をつけているわけです。準汚染米は黄色、非汚染米は白というように、七夕さまにたんざくに何か書くようなものだね。非常にまあ農民としては怒っておるわけですよね。一PPM以下が安全だとこういうことであるならば、なぜこれを流通に回さぬかと。農民の感情ですよ、これは。わしの言っていることじゃない。そういうことなわけです。それと同時に、しかも、一つの政府でありながら、一方の厚生省が一PPM以下は安全だと言っている。ところが、食糧庁は〇・四PPMからコンマ以下はこれはもう不適だとこう言っているでしょう。不適ということばを使っていますね、配給に回すのは。これは明らかに一番安全率を見たならば、〇・四まで食品衛生法を改正すべきだと思うんです、そうなればこれはすっきりしますよ。ところがそれもやらぬと。しかも、農民の被害をどうしてくれるかということです。心理的な被害はなかなかこれは解決しないでしょう。ところが心理的以外に被害があるわけですよ。  たとえば、いま自主流通米というのがありますね、この自主流通米が、これは銘柄指定があって、しかも非常に競争が激しいことは、これはもう食糧庁のほうでは知っておられると思うんです。それで、今年の二月だったと思いますが、秋田県の増田町の米が東京都で検査した結果、これはもう汚染米になったということ、これは東京都で発表されておるわけですね。そこでその地区からはもう流通米を買わぬ、秋田県全部がこれは嫌疑をかけられているわけですね。これは政府の行政措置の結果そういう被害を受けているわけです。これに対する補償をどうするかという声が当然これは起こってくると思うんであります。準汚染米ということで食糧庁の判断で、これはもう食品衛生法以下ではあるけれども売らぬという行政措置ですね。その結果、実際に政府は買いますよ、これは政府は。ただし、政府に売る価格と自主流通米に出す場合の生産者価格が違うわけですね。その損失をどうするかということですから、これはどうするんですか。これは法律以上の、一PPM以上のものであるならば米として扱いませんよと玄関払いをしているわけです。ところが、食品衛生法以下の基準のものだ、しかもそれは食べてもだいじょうぶだというものを行政措置によって配給に回さぬ、その結果価格的に農民が被害を受ける、これどうするつもりですか。
  259. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) 前段の、一から〇.四までのものが食糧庁はそれを配給不適だというふうにおっしゃいましたけれども、これは再三申し上げておりますけれども、食糧庁といたしましては一以上のものが食糧として不適であって、それは買い入れをいたさないという措置をとっておるわけです。一以下のものについては、〇.四までのものにつきましては政府買い入れをいたしておる。これは食糧として不適ということではなくて、食糧として政府の食管で買い入れをいたしておるということでございますから、どうぞ誤解のないように御理解をいただきたいと思いますが、一以下から〇・四までのものを配給に回さないということにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、四十五年、この一PPMという規格が出る前に、いろんなカドミウム汚染の調査、環境調査等の一応の指標として〇・四というのが出てまいりまして、その当時の配給のあり方等の中で、〇・四から一までのものについては、その当時過剰七百万トンにも及ぶ米を持っておるというようなことで、消費者の方々からの選択という問題もございますし、そういうようなことを受けて、消費者感情を配慮して、しかも需給操作に影響のないようにということで、一から〇・四までのものについて配給を停止をいたしておるということでございます。それが今日まで国民感情を中心に私たちの配給は現在まで停止をいたしておるということでございますから、そこの点ひとつ御理解をいただければありがたいと思います。  それから自主流通米の価格について、こういう一以下から〇・四までのものについて問題があるではないかという御指摘でございますが、自主流通米は、生産者、指定法人と実需者団体との合意によっての商取引がきまった結果受け渡しがなされるものでございまして、結果としてその契約がきまった段階で一応自主流通価格というのが実現するわけでございます。ですから、契約が成立しない以前において一応自主流通引き当て用といっても、それで契約ができない場合には当然あと政府にUターンをしてまいります。そういうような仕組みでございまして、一以下から〇・四であるから被害をこうむっているではないかということには直には結びつかないというふうに考えます。一以下〇・四までのものの自主流通米につきましても、そういうふうな契約ができない場合は、御案内のように、政府は自後、調整の段階でUターンの買い入れをいたしております。
  260. 沢田政治

    沢田政治君 自主流通米は、これは価格を協議するわけですね、民間の米穀商と。その際に、自主流通に回らぬものは政府が買い上げるんで、何らこれは損失がないと、こう言われておるわけですが、準汚染米という制度がなければ、これはもう流通するわけですよ。だれも危惧を持たないわけですよ。そうした場合、明らかに政府売り渡し米よりも高く売れるわけだ。ところが、準汚染米という制度があるわけだから、これはもうそんな準汚染米がとれるような地区の米はとても契約することは御遠慮したいと、こういうことで政府がそういう行政措置をとるんだから、その結果自主流通米に回らなくなっちゃうわけだ、おそれおののいてですね。それを責任がないということどうして言えますか、責任があるでしょう。そうじゃないですか。政府が買うからいいじゃないかといっても、政府の買う値段とそれから自主流通に乗る値段が同じであれば同じこと言えますよ。値段が明らかに格差があるんだから、これは商品のイメージダウンになるわけですよ。当然それは政府の行政行為の結果出てくるわけでしょう。それを知らぬとか関係がないということはぼくは論理上出てこないと思うんだけれども、どうですか。
  261. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) 一から〇・四までのものは政府が買い入れをいたしておりますが、自主流通のほうはいま先生おっしゃいましたように、生産者の中央団体である指定法人と消費者団体が協議をいたして値段等きめて取引条件をそろえて、きまったところでの価格が自主流通価格になるわけでございまして、取引条件がきまらなければ自主流通に回らないわけですから、そのものについては結果としては政府が買い入れをいたしておるという仕組みになっておる。ですから、契約ができなければ自主流通としての価格は実現できないわけですから契約ができないと。契約ができない原因が、政府が一から〇・四までのものを配給に乗せてないということが原因であるというふうにおっしゃいますけれども、私たちのほうは決して準汚染米というふうなことを言っているわけではございません。買い入れのときには一PPM以上のものは買いませんけれども、一PPM以下のものは買っているわけであります。しかも配給の面ではいままで申し上げておりますように、国民の感情なりあるいは需給操作の面で円滑な操作に支障ないようにということで配給を停止をいたしておるということだけでございまして、その停止をすることが御指摘のように税金がかかっておるではないかという御指摘がありますし、またこれは私たちも非常に悩んでおる最大の悩みの問題でございまして、いろいろ方途を考え、種々の方途について関係各省ともいろいろ打ち合わせておりますけれども、現段階ではなかなか配給に回していいというようなまだ合意的なものは得られておりませんので、残念ながら現状で推移をしておるということがまことにやむを得ない措置になっていると考えております。
  262. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ちょっと委員長発言しますけれどもね。いまのいってみますと準汚染米とこう言っているわけでしょう、農家の人たちは、農協の人たちは。それが約六万俵だと言いますよ。ですから雄物川流域というのは有名な米作地帯、そこで六万俵というふうな米が赤札張って倉庫の中に山と積まれておるわけですよ。倉庫に入らなくなってくだものの選果場の中に積み上げてある。それはもう準汚染米ということになるとだれも手を触れない。それ以外に、いまの一PPM以上というのが一万六千俵だと、こう言う。そうすると雄物川の流域の米作地帯というのはたいへんな悪名買っちゃうわけです。そこでいま言うような問題が出てくるわけですね。六万俵といったものが積み上げられちゃって、そして倉庫の中に山となってそのままになっておる。これはやはり米作地帯についてはたいへんな影響ですよ。そうするとこれはやっぱり食糧庁としても考えなきゃならぬ、真剣に。というふうに私は感じてまいっておるわけですが……。
  263. 沢田政治

    沢田政治君 どうももう全然こっちは責任がない。準汚染米なんてどこにあるんですかと、こう言っておりますが、そういう名前をだれが認定したか、私あまり言いませんが。やはり流通機構に乗っけないんだから、これは準汚染米なんて存在しないと言うんだけれども、存在するわけですよ、汚染米というのが一つあるでしょう。汚染米のほかに流通機構に乗っけないものがあるんだからこれは準汚染米と、こう世上名づけるのが当然じゃありませんか、これは、そこで、やりとりしてもしようがありませんから、まあこの問題解決してもらいたいと思うんですよ、研究課題として問題提起をしておきます。汚染米の場合は玄関払いですからね、これは米じゃありませんよと。食われないのは米じゃありませんからね、米じゃありませんよというわけで断わっているわけだ、それを現在地方自治体が買っているわけですよね、農民の方々が気の毒だと、こういうことで。これをいつまでも地方自治体に買わして——少なくとも地方自治体の富裕県であればいいけれども、鉱山県というのは富裕県じゃないんですよ。後進県が多いわけですね。そういう立場から、いつまでもこの県の善意かそういうものにすがっていいのかどうか、これは抜本的に考えるべきじゃないかと思うんです。  そこで、私が冒頭に言ったように、かかる結果を招来したのは、農民はこれは責任がないんです。鉱山を許可するとか認可するとかという権限がないんですから、鉱山のそばに農業を営んでおったというだけで、全然これは農民にも責任がない。これは地方自治体だって全然責任がないわけです、許認可というのは一切中央政府がやるわけですから。だから、県にこれをいつまでも買わせておくということは、これは行政の論理からいっても筋違いだと思うんですね。これに対してどう考えますか。
  264. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) ただいま御議論がありましたように、一PPM以上を含んでいるカドミウム米につきましては、これは食品として不適格でありますから、政府の買い入れ対象とはならない。その結果、農民としてはどこに米を持っていっていいのか、こういった悩みがあることを私ども重々承知いたしておるわけでございます。これはやはり原則論から申しますと、国の責任あるいは地方公共団体の責任と、そういった直ちに公共負担に結びつく問題では私どもはないと思っております。やはり本質的には、これは先生も冒頭に御指摘になりましたように、当該汚染を引き起こした鉱山資本の責任であるべきだと、こう思っております。したがいまして、その責任が明確な場合には、これは鉱山資本の者の責任において処理さるべきものだというふうに考えておりますし、また地域によってはそういった処理のしかたをしているところもかなりあるわけであります。  ただ問題は、そういった鉱山資本が存在していない、まあ廃止鉱山等、その原因者が存在していない、こういった場合にどうするかと、こういったことだろうと思うわけであります。この点につきましては従来、これも御指摘がありましたように、県あるいは市町村といった公共団体で、地方住民対策という形で処理されておった。国はどうかといいますと、残念ながらそれに手を差し伸ばすべき原因者が不在の場合の対策としては、どうも的確な手は打っていなかったというような反省は持っているわけであります。ただ、この問題につきましては、単に無資力だからといってすぐに県なりあるいは国が出ていってそれに肩がわりするということは、また一面におきましては農民の救済を急ぐというメリットはあるわけでありますが、他面におきましては、運用いかんによってはその鉱山資本の責任を不明確にしてしまうという欠点もあるわけですから、そのところは十分に注意しなければなりません。なりませんが、しかし農民対策として、単に県なり市町村にまかせるということも適当ではないという気もしておりますので、いま環境庁、それから鉱山資本を担当監督していらっしゃいます通産省、農民サイドでのいろいろ仕事をやっていらっしゃる農林省、こういった方々と、その具体的な対策をどうするかということにつきまして詰めを急いでおる最中でございます。
  265. 沢田政治

    沢田政治君 これはあくまでも私はやはり原因者責任です。この原則だけは絶対ゆるめちゃいかぬと思うんです。往々にして、いま金がないとか資産がないとか言うんですけれども、やっぱりこれは責任というものはあくまでも追及すべきだと思うんです。ただ、鉱業権者がおらない、しかもこれは徳川時代に掘ったと、こういうものについては、これは農民の責任はいかなる場合でもないんだから。しかも官山というものがあったんですよ。明治の初期に国が鉱山を経営したこともありますね。その前はほとんど封建領主ですよ。鉱業権なんて農民に与えたことは一回もない。奈良の東大寺の金だって、みんな封建領主が献金するか何かしたんでしょう。それを継承したのは、明治維新、日本政府なわけですから、やはりそういう権利者がない、こういう場合は、ある程度農民対策でも何でもこれはけっこうだから、政府が肩がわりせざるを得ないんですよね。そういうことで三省が——三省でも四省でもけっこうだから早急にこれに対する結論を出してもらいたいと思います。その際に私が言うように、県というのはいろいろ調査のお世話なんかするわけですが、これは県が金を出してというものじゃないんですよね。鉱山があった県はたまらぬですよね、これは。でありますから、少なくとも国がこれに責任を持つ。権利者の分は権利者を追及していく。その場合でも農民が権利者、責任者と交渉するわけにいきませんから、一応国がこれを肩がわりして、国が責任者と話し合いをしてどれだけ取るかということを国の責任でやるべきだと、こう思うんですが、毛利長官どうですか。
  266. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) いま大場局長の答えた、また御質問のあった休廃止鉱山の原因者が存在しない場合の御質問ですが、これはいま三者で協議を進めておる、これは進めて具体的に検討をすみやかにやらなければならぬと思っております。同時に、先ほど来問題になりました、農林省の政府委員が答えておりました一から〇・四の問題、これはかりに厚生省が全然身体に被害がないという確証、確たる証拠があれば三省、また私農林大臣並びに厚生大臣と一ぺんこの問題についても協議をしたいと従来から思っております。問題は従来から話があるように、身体に影響があるかないかという問題が私どものほうの議論では最も大事な点でありますが、この問題の扱い方、いま委員長からもちょっと発言がありました六万俵といえば三千六百トンですか、かなり大きな数字がすでにたまっておる、この存在の処理も重大な問題で、協議をすべき問題だと従来から考えております。
  267. 沢田政治

    沢田政治君 土壌汚染防止法ですね、これの指定要件について私は非常に疑問を感ずるわけですが、銅の場合は土壌汚染によって一二五PPMですか、これが指定要件になっていますね。カドミの場合は土壌中のカドミウムの含有量じゃないわけです。米にどれだけ吸収されたかと、こういうことによって指定要件になっておるわけです。これは非常に私は矛盾しておると思うんですよ。というのは因果関係はこれはさだかじゃないんですよ。土壌中のカドミの含有量がたとえば一〇PPMでも、あるいはまた何というか五PPMもあるでしょう、三PPMもあるでしょう、これは土壌中の含有量ですよ。ところが米がそれに正比例していかないわけですよね。非常に狂った数字が出てくるんですよ。土壌の汚染度が高きをもって吸い上げる米の含有量というものは正比例しない。しかし原因はカドミがあるからだという厳然たる事実は動かぬわけです。しかも毎年違うんですよね、数値が。でありますから根本的に土壌を改良する場合には、その原因というものを除去しない限りは米だけでは信用できないんです。ことしの非汚染米が来年汚染米になる可能性もあるし、汚染米が非になることもあるし、そういう具体的な数字が出ているわけです。でありますから米の立毛調査で、それで指定要件にするということは非常に不合理だと思うんですよ。カドミがあるけれども、カドミのあり方によって違うわけです、これは。初めて流れたところはこれは硫化物的なものですね。年数がたつたびに酸化物化してくるわけだ。可溶性的になるわけですよね、私も鉱山に若干つとめたことがあるからよくわかりますが。したがって、そのつどつどの米だけの汚染量をもって指定要件にするということは根本的な除去にならぬし、災いというものをそこに温存しておるということになると思うんです。これは今年からということにはならぬと思うが、この指定要件というものをもう少しこれは弾力的に考えなくちゃ抜本的な解決にならぬと思うんです。そこだけやって今度はまた別のほうに汚染米が発生したということで国の経費を投入しても、つまり道路工事をする場合、水道を掘っくり返して、今度は電話線を掘っくり返すような、同じ国費を投じても二重投資になる危険性があるわけですから、ひとつこの点は考えてほしいと思うんですね。いかがですか。
  268. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) いま御指摘になりましたように、土壌汚染防止法に基づきますカドミウムの汚染対策地域の指定要件でございますが、これは一号地域と二号地域に分かれております。御承知ですが繰り返しますが、一号地域につきましてはその地域で生産される米が一PPM以上のカドミウムを含んでいる地域、それから二号地域はその一号地域と、つまりカドミの汚染米が発生した地域と土壌中に同等以上のカドミウムを含んでいる地域であるということ、あるいは土性がその一号地域と同じであると、そういった要件で類推して一号、二号を合わせて指定すると、こういった形になっておるわけであります。そういう意味におきまして指定の軸といいますか、基準といいますものは、米の中に入っているカドミウムの含有量で基準がなされている、それが中軸になっているということは先生御指摘のとおりであります。  これにつきましては実は二論あるわけでございまして、土壌中に含まれている含有量を軸として指定すると、それを基準としてとったらいいじゃないかという御議論もありますし、あるいはそうではなくて、農作物中に含まれているカドミウムの量で基準とするという現行のでもいいじゃないか、こういった議論があるわけでありますが、いろいろ考えてみますと、やはり土壌中に入っているカドミウムの含有量を基準として指定したほうが合理的だろうという考え方のほうをやはり私は肯定いたしたいと思っております。なぜならば、土壌中のカドミウムはこれはいろいろロングランで蓄積されたわけでございますから、短時日でその含有量が変わるはずはないわけであります。これに反しまして、これも御指摘がありましたように、米の中のカドミウムは、土壌中のカドミウムが一定でありましても天候だとかあるいは肥培管理——端的に申し上げますれば水が多いか少ないか、こういった条件にもよりまして米の中に吸われるこの量もかなり変動があるわけであります。そういう意味のデメリットが、欠点があるわけでございますから、基本的には私は、対策地域の指定の基準といたしましては土壌中のカドミウムの量を基準としたほうが合理的であろう、こういうふうに思っております。この議論は現在の基準をつくりました当時にもあったかのように私聞いておりますが、残念ながら具体的なデータがやや不足であるというようなことで、次善の策として現行の基準をとっている、こういうことであります、ただ、現在におきましてもさらにそのデータを集積中でありますから、その集積した過程で逐次そういった方向へ改めていきたいと。ただ土壌中のカドミウムが多ければ米の中のカドミが多いというような一般論だけで土壌を否定するということもこれまた問題があるわけでありまして、そういう点につきましては、因果関係——土壌中のカドミウムの含有量、それから米の中のカドミウムの含有量のメカニズムをもう少し計量化して、はっきりさせた上で、いま先生が御指摘になったような方向へ踏み切りたい、かように思っておるわけであります。
  269. 沢田政治

    沢田政治君 この点については非常に前向きです。これは論理的にそうなるようですね。たとえば珪酸カルシウムとか、溶燐の抑制剤、これの投入によっても違ってくるし、渇水の場合と湛水した場合は吸収率が違ってくるし、いずれにしても土壌中にカドミがあるという一つの厳然たる事実だけはこれは変わらぬわけですね。そういうことですから、この基準というものをもう一回抜本的に検討してもらいたいと思うのです。これいますぐということは言いません。少なくとも来年度ぐらいまでにはこれは検討して結論を出すと、こういうようにしてもらいたいと思っています。  そこで、土地改良ですね、鉱害防止のいろいろな手法があるわけですが、たとえばこれも秋田県の話ですが、湯沢市と羽後町ですか、松岡鉱山、これは現に同和鉱業ですね、これは鉱山会社ではトップメーカーのほうですね、ここが鉱区権を持っているわけです。ところが非常に土地改良をやるけれども、これは銅の汚染も重複しています、カドミもあります。そこの米ではかって、そうしてこれは汚染米が出てくる、こういう地帯だけこれは工事をやるわけです。その他の準汚染米地区は除かれるわけですね、指定から。これじゃ不安、で農業をやられぬと、しかもいままでのデータを見ても能代市の中川原地区は去年は汚染米が出ました。ことしは汚染米が出ないわけです。一年ごとに変わるわけです。だから今年の準汚染米地帯が来年の準汚染米地帯と限らぬ、転化するかもわからぬ、天候によって。そういうことでありますから、一応準汚染地帯でも汚染地帯とみなされるところは網を大きくして一挙に工事をやる、そこだけ残した場合はこれはやっぱりかんがい用水というのは一環でしょう、これは、そこを飛び越えて隣に行くわけじゃないからね。国費を二重にも三重にも投資することになるわけです。こういう要請を——当該地区、湯沢市というところとそれから羽後町というところが、県庁に住民が要請をしたわけですよ。ところが、これは新聞報道によりますと、どうも政府のほうであまり指定を広げるということは好まぬ、努力はするんだけれどもと、こういう答弁をしているわけですね。これはほんとうにそう言ったかどうかわかりませんが、新聞報道ですよ。そうなると根本が除去されないわけですよ。まあ万々そういうことはないと思いますが、そういう危険地帯は、すぐそば畦畔一つ越えてこれは準汚染だから来年は汚染地帯になるかもわからぬ、そういうところは工事をやる際に、土地改良をやる際に一挙にやるべきだと、二度も三度も重複してやるべきじゃない、こういうふうに考えるわけですが、いかがですか。
  270. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) 御指摘のことにつきましては、私ども全く同感でございます。環境庁として指定する地域を狭めるつもりは毛頭ございませんし、これは地元からの御要望によってできるだけそのように沿いたいと思っております。また環境庁なりあるいは県も含めまして、環境庁が国の段階でいろいろ約束ごとをつくって調査体系を仕組んで県を通じて調査お願いしているわけですが、その調査の密度というものも決して十分とは思っておりません。これは広げていきたいとは、思っていますが、これはやはり一つところだけ詳しくやっているとまたほかのほうがおろそかになってしまうと、こういうようなジレンマもありますから、現在ある一定の様式でやっているわけですが、それで十分であるとは思っておりませんので、補足調査を県においてそれに加えていただきたいと、こういうふうにも県にもお願いしているわけであります。そういう意味で、国のきめたフォーミュラーに従った調査では出てこない、しかしあるところだけは虫食いになっちゃっているというようなところにつきましては、これは県で補足してもらって指定要件に合致すれば当然それは指定すべきである、工事の実施の上からも虫食いは決して好ましくないと思っております。
  271. 沢田政治

    沢田政治君 それから抑制剤、これは見方によっては効果があるないという議論が両説あるようですが、県のほうでは効果があったと、こういうことを言っているわけです。その抑制剤のせいであったのか、渇水と、何というか非常に水が多かった因果関係もあると思いますが、一応私も何がしかの効果がある、そういうデータも出ていますから、そう思っています、私はこれはしろうと考えで。その際に、その経費を——これ一挙に事業やれないんだから、ことしならことし全部土地改良をやって客排士をやったら解決しています。水源転換した場合と客排土をやった場合はほとんど絶無になっていますよね、この汚染が。それが一挙にできればいいわけですが、できない間はこれは休耕するわけにもいきませんから、やはり抑制剤を使うということを県が指導しているわけですね。この経費を全部地方自治体が持っているわけですよ。この点についてどう考えるかということが一つ。もう一つは、積雪寒冷地帯でありますから、これは山形県でも秋田もそうだと思いますが、二年ぐらいかかるわけですね。そういう場合休耕補償をどうするのかというこれは問題もあると思います。いまはっきりしておらぬわけです、これは。そういう場合どうなるんですか。当然これは国が一応立てかえて、権利者があった場合は責任者からそれを全部出させるということも国みずからがやるべきだと思うのですが、いかがですか。
  272. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) 私から御答弁申し上げる筋かどうかわかりませんが、まず第一点の土壌改良資材につきましては、これはことに秋田県の場合、石灰あるいは珪カルあるいは溶燐とか、そういった土壌改良資材はかなり多量に投入して、いろいろお話を聞きますとそれなりの効果をあげている、こういう御議論もあるようでありますけれども、その結果、休耕しないで米の生産をしている、こういう実態でございます。これに対しまして、秋田県では鉱山資本の方々からたしか半分ぐらいの負担を願っている、それから県で半分負担という形で対応しております。それから政府のほうでは直接これに対して助成という制度は現在ございません。ございませんが、あるいは農林省から御答弁願ったほうが適当かもしれませんが、農業改良資金、そういった形で手当ては可能だろうと思っております。  それから次に休耕補償、排土、客土を行なう場合、当然米の生産ができない、秋田等の場合には冬場になおさら積雪がありますからできない、夏季施工せざるを得ないということが間々多かろうと思うわけであります。そういう場合に、排土、客土といった土壌汚染防止対策事業の事業費は、これは国から補助がき、県から補助し、あるいは市町村が補助する、こういった仕組みになっているわけでありますが、その間の米が生産できない場合の休耕の補償費をどうするか、ここは穴になっているじゃないか、こういった御指摘だろうと思うわけであります。これにつきましては実態をいろいろ調べておりますが、もちろん鉱山者が特定しておって、そしてその責任が明確であるという場合には、これは鉱山者に持たしております。しかしながら、そういった責任が明確でない、あるいは不存在になっておる、こういったケースの場合には、これも農林省から御答弁願ったほうが適当かもしれませんが、稲作転換対策費の中の一環として農業土地改良事業を実施する場合に、その場合に休耕する、夏季施工する場合に休耕するという場合に、反当たりたしか三万円だったかと思いましたが、その補償費を出しております。そういった補償費をこの場合に活用いたしまして、農民に対する補償に充てている、こういった実態のように聞いております。それが四十九年もありましたし、それからたしか五十年もございますので、そういった形で対応していくのも一つの方法だと思っております。
  273. 沢田政治

    沢田政治君 農林省、何か言ってよ。
  274. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) 前段の土壊改良資材を簡単に申し上げます。  ただいま環境庁からお話ございましたように、玄米中にカドミウムが一PPM以上含有する米が生産されるおそれのある水田につきましては、昭和四十九年から珪酸カルシウムとか溶成燐、石灰等の土壌改良資材を農家の方が購入する援助といたしまして農業改良資金制度というのがございますが、その中にカドミウム吸収抑制土壌改良資金という項目を設けております。で、無利子、五ヵ年償還で貸し付ける措置を講じております。四十九年度の資金ワクは一応一億九千万を予定いたしている状況でございます。
  275. 松山光治

    説明員(松山光治君) 通年施工の関係についてお答え申し上げたいと思います。  御案内のとおり四十六年からやってまいりました生産調整でございますけれども、本年度からは休耕という形での調整は打ち切りまして、転作中心の対策を進めているわけでございますけれども、その場合、土地改良通年施工に対して出しておりました補助金の扱いをどうするかといういろいろ議論ございました。結果的には本年稲作転換対策の一環といたしまして土地改良の通年施工に対しましても奨励金を出す、こういうことでございます。で、基準収量一キログラム当たり六十八円でございまして、大場局長からお答えございましたように反当たり平均三万円の奨励金が出る、こういう形に相なっております。鉱害関係の特別防除事業の関係の土地改良につきましても、通年施工が行なわれるものについては、まあ責任者負担との関係にございますが、その辺の関係も整理いたしまして、いま通年施工の一種として扱っておるということでございます。五十年の扱いにつきましては、私どもといたしましては引き続き通年施工もこの対策の対象にいたしたいということでただいま予算要求を行なっている、こういう段階でございます。
  276. 沢田政治

    沢田政治君 自治省にお伺いしますが、鉱害の責任はこれは原因者にあるわけです。これはあくまでも農民自身にないということはぼくは何回も繰り返しているわけです。県自体としても行政の及ばないところですから、許認可は、これは県にもないと。そういう場合、そこに鉱山があるから、そこに鉱害源があるからということで地方自治体が——ほとんど財源というのは交付金と特交ですね、こういうものでその方向に、その方面に財源をどんどん使っていくということは自治省としては、私は好ましくないと思うんだが、いかがですか。
  277. 高田信也

    説明員(高田信也君) 先生御指摘のように、鉱山におきます生産、あるいは鉱害防止その他の行政事務は国が直接その指導監督に当たっておるわけでございます。地方行政の分野じゃないわけでございます。また、公害から健康を守るあるいは生活環境を保全をするということにつきましても国が第一義的な責任があるということは公害対策基本法にも明記されておるところであります。そういった観点から私ども、ことに休廃止鉱山あるいは無資力鉱山等におきます鉱害防止事業あるいは汚染米の買い上げ等につきましては、できるだけ国において手厚い財政措置を講じていただく、こういう基本的な姿勢に立って関係各省とも従来からお話を進めてまいったところでございます。ただ、地方公共団体が地域の住民の健康を守るというために地域の実情に即してこれまた積極的に公害対策行政を進めていかなきゃならぬ、こういう観点から秋田県その他におきまして万やむを得ず応急的な措置としてあるいは汚染米の買い上げあるいは抑制剤の投与と、こういった事業を実施していると私どもは認識をしているわけです、これにつきまして、ぜひとも国の側において早く負担区分と申しますか、国が主体となって明確な責任のもとに事業を進めていただく体制をできるだけ早くおつくりをいただきたいと関係省庁にも要望してまいっているところでございます。
  278. 沢田政治

    沢田政治君 自治省の言うことはもっともなんですよね。第一義的には原因者はこれははっきりしている、これは問題はない。第一義的にはこれはやっぱり国が負うべきだと、そういうことでどういう負担をするのか、こういうものについては政府内部で相談して、少なくとも地方自治体にこれ行政の責任がないものを負担させるべきじゃないというのは正論だと思っています。そういうことですから、環境庁長官これあなたの一番責任が重いので、これは環境庁だから、やっぱり早くやるべきですよね。これは三省で相談しなくちゃならぬこともあるでしょう。でありますから、私はこまかくはここでたたみ込んで言いませんよ。大体そういうもう論理になっていくわけだからね。これはやっぱり早急に各省間で協議して、地方自治体には迷惑をかけぬと、国が第一義的に責任を負うと、こういう態度をとるべきだと思うんですが、いかがですか。
  279. 毛利松平

    国務大臣毛利松平君) 御質問趣旨のように三省で協議を進めたいと思います。
  280. 沢田政治

    沢田政治君 それと、まあ三分の一は地域が負担しているわけですね。三分の二が国ですね。ぼくはやっぱり三分の二とか三分の一というのじゃなく、これは地方自治体に持たせるべきじゃない、こういう考えを持っています。そこで事業の実施主体といいますか、県が国の補助を受けてやっているわけですね。工事実施主体になっているわけですよ、発注して。これは少なくとも地方行政が行政需要が多いときに県にやらせるべきじゃないと思うんですよ。そこで去年だったか、もとは金属鉱物探鉱促進事業団ですか、これは法律改正になりまして、去年から鉱害防除の問題もこれはやれる公団になりましたね。でありますから、自今のものについては金属事業団、これがこの衝に当たるべきだと、こう思うんですが、通産省どうですか。
  281. 佐藤淳一郎

    説明員佐藤淳一郎君) 先生御指摘のように、従来は地方自治体が主体になりまして、国から補助金をやりまして自治体が山元の復旧工事をやるという仕組みになっておったわけでございますが、関係各省、それから学識経験者、労使の方々に御参加いただきまして、ことしの春から夏にかけて、いろいろ金属鉱業の蓄積鉱害につきまして抜本的な御意見を伺った結果、先生のような御趣旨の圧倒的な御意見が多かった趣旨にもかんがみまして、来年度から、今度は山元工事につきましては、山元の鉱害復旧につきましては国が主体になってやる仕組みに変えるべくそのような方向で関係各省、特に大蔵省のほうに要請しているわけでございます。
  282. 沢田政治

    沢田政治君 概況調査と細密調査ということばを使っているようですが、秋田県で今年約二千検体ですね、二・五ヘクタールにつき一検体と、こういう割合で検査、分析をしておるわけですが、この二・五ヘクタールに一検体ということは、これは妥当なのかどうか、私も自信持てないわけで、このたんぼからは汚染米とれないで隣のたんぼからとれているわけですから、これははたして知らぬで汚染米を食べているかもわかりませんね。これは人の悪い人がおって、そういう大ざっぱなとり方をするので、これは汚染米だと、こう言われて、自分の費用で何というか調査した結果、汚染米でない米も入っておったと、準汚染米だということで調査してみたら汚染米も入っておったと、こういうこともありますので、いまの検体のとり方ですね、距離、そういうものが正しいのかどうか、やはり土壌中のカドミ含有量による測定のほうが正しいのではないかというように私はしろうと的に考えるわけですが、これはいかがですか。  それと、時間がありませんので通産省にお聞きしますが、いまの鉱業法改正は確かに昭和三十九年の国会に出てきたと思うんです、政府提案として。石炭鉱害等の問題があってこれは通過しなかったわけでありますが、あの当時は石炭鉱害ですね。地盤の陥没とか、これが非常に問題になりました。しかしこういう重金属の被害というものはあまり何というか政治の論争に乗らなかったんですよ。カドミなんというものは、こういう元素がこんなに被害を及ぼすということはだれもわからなかった、世界的にまだ議論にならなかった時代です。ところが、こういう時代になってみると思わざる人命に対して影響を与えておるということはこれは歴然としてきたわけですね。したがって、いまの鉱業法のまま先願主義で、見つけた者に権利を与えるというような、能力があろうがなかろうが私有財産として鉱業権を持つといういまの鉱業法が考えるべき事態にきたと思います。これは明治初期の全然産業のない、なるべく国内の資源というものを射幸心——射幸心というのは悪いわけですが、一つかみのゴールドラッシュの、何というか、夢を抱かせて、みなさがさせるという時代もあったでしょう。しかし、ここまで鉱害というのは人体をむしばむという昨今において鉱業法のあり方を抜本的に変えるべきじゃないか。能力のない者に権利を与えない。しかも施業案というものをもっと官庁が責任を持つように、これでばんばん鉱害が起こった場合でも、これ防除できるという確信を持った場合にのみ鉱業権を与える、そういう法律に変えるべきじゃないかなと思うんだけれども、いかがですか。これは課長じゃむずかしいだろうな。あなた個人的に考えてみても、どう考えますか。
  283. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) 前段の事柄につきまして、調査の制度につきましてお答え申し上げます。  土壌汚染に関する調査といたしましては一つの体系を仕組んでおりまして、土壌汚染防止法に基づきましてこれは農林省にお願いしているわけですが、全農用地を対象に汚染源を把握するための概況的な調査をまず第一段階でやっております。これは率直に申しましてかなりラフであります。その次に、農用地土壌汚染対策地域を指定するための調査あるいはその地域で対策計画を樹立するための調査、これを細密調査と称しているわけですが、これは二・五ヘクタールに一点という形で調査をしているわけでございます。そのほかに、たとえば秋田県の例で申し上げますと、十ヘクタールにつきまして土壌中の重金属の調査をしております。そのあとにいま申し上げました二・五ヘクタールの細密調査をしていると、こういったことでございます、二・五ヘクタールにつきまして一点の細密調査は、大体その地点におきます土壌の性質の問題、それから立ち毛中の農作物中に含まれているカドミウムの含有量の問題両方を同時的に調べて、そうして指定の要件を発見している、こういったことでございます。ただし二・五ヘクタールに一点でございますから、かなり末端の細胞にはいっているつもりでございますが、しかし実情に即して、たとえば個々の区域につきましては土地条件だとかあるいは水路の状況そういった点から、さらに細密な調査が必要になってくるということは、これは当然あり得ると思います。これにつきましては県とも相談して補足的な調査をして、さらにそれをなくすようにしていきたい。従来からもそういう方針でおりますが、その点を充実していきたい、このように思っております。
  284. 平林勉

    説明員(平林勉君) ただいま先生御指摘のように、現在の鉱業法におきましては鉱業権の出願といいますのは、日本国民または日本国法人であれば、特に一定の資格要件がなくて、だれでも出願できるというたてまえになっております。先ほど御指摘のように昭和三十四年から三十七年まで三年間かけまして鉱業法制度改正審議会で御討議いただきまして、その改正法を三十九年の国会にお出ししたわけでございますが、いろいろな理由によりましてこれは廃案となっております。当時鉱害の問題がございまして、この改正審議会の結論に基づきまして、石炭につきましては一部能力主義が取り上げられておりますが、鉱業法につきましては現在なお先願主義ということになっております。で、問題はこの鉱害賠償責任の関係で特にあるわけでございますが、能力主義に切りかえるといたしました場合でも、いろいろと困難な点がございます。たとえば現在出願件数が非常にふえておりまして、年間約二万件の出願ということになっております。こういう出願につきまして能力主義を導入して行政庁の裁量によりまして、あるものについてはイエス、あるものについてはノーというようなことをいたします場合、はたして公平な、適正な基準がどのようにしたらできるか、こういう点についても十分検討が必要であろうかと思います。  それから鉱業権設定の当時資格があった場合でも、その後市況が変わったりしまして能力を失う、賠償能力がなくなるというようなこともございますが、いずれにしましてもこの問題は非常に重要な問題でございます。それと、先生御承知のように、鉱業法は権利法でございまして、この関係する利害関係、権利義務の関係が非常に多岐にわたっておりまして、これらの点を十分踏まえまして現在なお種々検討中でございますが、いろいろ問題が非常に多うございますので、私どもとしましても何とかうまくいくように、現在のところでは鉱業法の運用によりまして、問題のあるような鉱害賠償につきましてできるだけ円滑に処理できるように現在法律の運用でやっておりますが、なお今後の法改正の必要性等につきましては十分検討を続けてまいりたいと思います。
  285. 沢田政治

    沢田政治君 それで、いまの鉱業法も、原因者負担は鉱業法の中でも明らかになっているわけです。鉱区を転売した場合でも、譲り受けた場合でも、これは鉱区を持っている者が責任を負う、こういうことはこれはまあいいのですね。ただ全然鉱区権者がない場合でも休鉱山として存在するわけですよ。これは休眠鉱区か冬眠鉱区かわからないが、その場合の国の責任というものは案外明確じゃないわけです。これはしかし鉱業法でなじめるものかどうかわかりませんが、しかも官山で国が直営をやったことがあるわけですよね、そういう山もある。しかも戦時中下鉱業法なんてくそ食らえと、掘れ掘れというわけで別の法律でどんどん督促をして掘らして鉱害をたれ流した場合もある。こういう原因者責任をほかすことじゃなく、これはあくまでも原則としてとっておいて、権利のあいまいなものはどうするのかということをもう一回研究課題として通産省でも検討をすべきじゃないかと思っています。これは御答弁要りません。これは検討課題として、こういう時世になっていますから、鉱害というものが非常にすべてに優先して耳目を浴びている昨今ですから、これは検討課題にすべきだと思います。  それから最後に、国の補助で、国が全部持っているわけじゃないのですが、国の補助で、かつての休廃止鉱山のダムとか、ちり捨て場ですね、堆積場ですね、これを覆土しています。植栽もしています。これは非常に希少な例ですが、あまり多くありませんが、将来はすべてああいうようにするだろうと思いますね。その際に地上権は鉱業権者にないんですよ。地下の鉱石の権利だけある。鉱業権というのはあるけれども、地上は私有地なわけですね。そこに国がこれは覆土して植栽をする、樹木を。依然として何というか、私有権、地主がおるわけです。これを将来せっかく植栽したものをまた掘り返すということはないと思うのだけれども、自分が地上権者であるのだから掘り返す可能性もあるのですね。樹木を伐採することもあるのです。こういう場合には地下水とか浸透水の影響で再び将来鉱害が発生しないとは限らぬわけです。だから、そういう危険地帯であるから、この際に思い切って国がこれを買い上げるとせっかく国の事業として国が補助金か、将来直轄になってやると思いますが、そういう植栽、覆土したものを原形の変更を進めない、そういうことで鉱害を防除するという観点から国が買うほうが一つの方法じゃないかとこう思うのだけれども、いかがですか。環境庁か、通産省か、どっちでもいい。
  286. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 委員長のほうからちょっと発言しますけれども、いま沢田君のほうから話がありました。私も見てきまして、非常にたいへんな大きな土どめをしまして二段、三段にわたっている。そうして一億、それ以上の金をかけて土どめをし、平板にして、そうしてそこへ植栽をし、こういう工事を行なう。このあとの問題は出てくるわけですね、いまのような話でありますと。そればやはり何とか考えなければ困った問題だという印象を非常に強く受けておるわけです。これは何億という金をかけてやるわけです。
  287. 佐藤淳一郎

    説明員佐藤淳一郎君) 現在の仕組みにつきましては、補助金工事によりましていまおっしゃったような堆積場に植林した場合につきましては県が補助事業者になるわけでございまして、この補助事業で完成いたしました施設につきましては、地上権者も入れまして、補助事業をやった事業主体に帰属するという契約になっておるわけでございます。ただ、これが長い間温存されるかどうかということになりますと確かに問題はあろうかと思います。ただ現在はとにかく当面山元の工事をしっかりきちっとやるということに実は頭が一ぱいでございまして、いまおっしゃったようなところまでまだ思いが十分に達しておりませんので、その点につきましてはもう少し検討さしていただきたいと思います。
  288. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 本調査に関する質疑は本日はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時十一分散会