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久保亘君 この問題につきましては、いま
自動車の
排気ガスがたいへん大きな問題となり、特に五十一年
規制を目の前にしている
段階で、この
排気ガスの
規制に直接効果があるかのような誇大な宣伝のもとに、商社が販売員を全国にわたってつのるというやり方をしたわけでして、そしてそれに対して通産省が、この会社が販売を始めてから二年たって、この商品の効果について疑問を提示して自粛を勧告をした。そのために末端の販売員となって出資をしていた者は、そのまま品物をかかえさせられたまま、今日たいへん困っているわけです。だから、そういうものの商品に対しては、特に運輸省や通産省において何らかの
措置ができるように——それからこの
委員会で直接関係するものではないかもしれませんが、この商法というものを見ておりますと、これは明らかに公正取引
委員会としても問題とすべきやり方ではないかと、このように感ぜられるわけです。そのネズミ算式商法についての
規制については、秋に立法の
措置を講じたいということをいま御答弁になっておりますが、その際には、やはり現在、化粧品とか洗剤とか、特にアメリカ
資本のこれらの商品についての販売方式として、アメリカから伝わってきたやり方が全国に広がっておりまして、もし、この
規制を行なう場合には、かなり大きな社会問題を生ずる
可能性があります。したがって、特に誇大な広告やインチキな宣伝によってそういう販売員をつのったというようなものについては法
規制を行なうと同時に、出資金の返還をこの出資者の
要請に基づいて行なわせるような
措置を並行しなければ意味がない、問題が大き過ぎると、こう
考えております。すでにこのAPOマークIIの問題については、末端においては多く訴訟が起こっておりまして、この訴訟は通産省の勧告が発端となって起こったものであります。もしこのAPOの会社の第三者機関によるテスト結果が出て、その結果通産省のテストが間違っていたというようなことにでもなれば、今度はまたこの問題は違った角度で発展をする
可能性を持っているわけでありまして、いろいろまた当局のほうでも御
検討をいただきまして、次の機会にさらに詳細にお尋ねをしたいと
考えております。
最後に、今年の七月九日に鹿児島県が発表をいたしました鹿児島湾魚介類の水銀一斉検査の結果について、
環境庁並びに水産庁の見解をお尋ねしたいと思います。
この鹿児島湾の魚介類の水銀一斉検査は、四十八年の十一月から四十九年の一月にかけて鹿児島湾奥の牛根というところで採捕されましたタチウオに高濃度の水銀が検出されたことから魚介類の水銀一斉検査が行なわれるに至ったものであります。その結果、アマダイ、アカナ、マアジ、アナゴの四魚種に〇・六二三PPMから一・一六八PPMに及ぶ総水銀の平均値が検出されております。これは厚生省
基準の〇・四PPMを大幅に上回るものでありまして、この一斉検査の結果に基づいて、その前に検出されましたタチウオを含む五つの魚種につきましては、現在漁獲の自主
規制、市場での取り扱い
中止が行なわれておりまして、すでに流通
過程には全く乗らないように
措置されております。この点については、すでに水産庁並びに
環境庁も御
承知のところだと思うのでありますが、私がお尋ねをいたしたいのは、今回この
暫定規制値を上回る水銀値が検出された地域には水銀を排出する
企業は全く立地しておりません。原因はいまのところ不明とされておりますが、その対策のためには原因究明が緊急の
課題となっているわけです。したがって、
環境庁並びに水産庁の原因究明対策についてのお
考えをぜひ伺いたいのです。で、特にこの問題については、全国的にそのような検査を行なえば
暫定規制値を上回る総水銀の検出があるかもしれないという
一つの特異な事例となって出てきているわけでありますから、この鹿児島湾における事例を
一つのテストケースとして、この原因究明のために、
環境庁、水産庁が中心になられて鹿児島県と協力して早急にその原因究明に当たる必要があるのではないか、私はこのように
考えておりますので、この点について御見解を承りたいと思うわけです。
さらに、この問題に関連をいたしまして、四十八年の十月から四十九年の三月にかけて水産庁の委託
調査として全国各地で行なわれた水銀一斉
調査の結果について、すでに水産庁に対して各県から報告が行なわれているはずでありますから、この
調査の結果の概要について御報告をいただきたいと思います。特にこの水産庁委託の全国一斉
調査の結果、すでに
汚染水域として掌握されております九つの水域以外に異常な結果が報告をされている県または水域が存在すれば、その点については具体的に御報告をいただきたいと思います。私がその点について報告を求めますのは、この
調査結果は人口動態などの
調査結果とは異なって、異常が認められる場合にはすみやかにその対策が講せられなければならない
国民の健康と
生活に関する重大な問題でありますし、また、そこから派生をして漁民の
生活権に大きな
影響を持つ問題でありますから、この点についてはひとつ水産庁のほうからぜひはっきりした御回答をいただきたいと思います。
なおあわせて、ただいまの水産庁の委託
調査によれば鹿児島湾の場合には異常が認められているのかどうかについても御報告をいただきたいと
考えております。もし鹿児島湾の場合に、水産庁の同じ時期における委託
調査で異常が認められないとするならば、県がある特殊な事件から出発して
調査した結果高濃度の水銀
汚染の実態が把握されるに至ったとするならば、今後海水の魚族の水銀の点検について、水産庁並びに
環境庁としては抜本的に
考え方を改めなければならない状態があるのではないか、この点についても御回答をいただきたいと思います。
それから三点目に、今回の一斉検査に基づいてとられた鹿児島県の
措置によって
規制値を上回る魚種の発見された地域の漁家で年間十万円以上の
被害を受けるものが推定五十戸から六十戸に及ぶと見られております。中でもアナゴ採取を専業としていた十一戸については完全に生計の道を断たれる結果となっております。しかし、これらの
措置は
国民の健康を守るために必要な
行政措置でありますからやむを得ないのであります。しかし、これらの
行政措置によって生計の道を断たれるあるいは
被害の大きい漁家に対しては、補償及び漁政上の救済対策が当然必要と
考えられるのでありますが、その点についてのお
考えもお聞かせいただきたいと思います。
また、今回の鹿児島県の場合のように原因が今日究明されていない状態の場合、原因者負担の原則に立てば、これらの漁家に対する救済の手段がありません。したがって、水産庁に見解を求めたいと思いますことは、この原因不明による水銀
汚染等によって漁家の
生活に大きな
影響を与える
行政措置をとらざるを得ない場合の救済手段として、何らかの基金
制度を設置をすることが必要となってくるのではないか、その点について私としましてはぜひ水産庁に積極的な
検討を求めたいと
考えているわけであります。
以上のような点について、それぞれ当局のお
考えをお聞きしたいと思います。