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瀬谷英行君 いまの発言はちょっと問題があると思うのですね。二百キロでも絶対安全であると、こういうふうに言われて
おりますけれども、絶対に
事故がなければ、二百キロでも三百キロでも安全に違いないです。これは
事故がないという場合のことなんです。現実にATCは故障を起こしている。これは万全じゃないということを立証しているわけです。ただ、その場所が、場所が場所だから、二百キロもスピードを出さないというのは、
運転士の常識として出さないというだけの話です。あれは
運転台で実際に見てみますと、ここまで出せといった表示が出るわけですよ。その表示に従ってスピードを上げていけば、これは二百何キロのスピードで走るわけなんですけれども、特に山陽新幹線なんかの場合はもっとスピードアップすることができるようになっているでしょう。しかし、二百キロ以上というスピードは、昔の飛行機のスピードですよ。新幹線よりも在来線のほうがよっぽどあぶないんだということだから、これもまたたいへんな話なんですね、これは。それでいいのかという問題が出てきますよ、在来線はもっとあぶないというわけですから。ただ、同じあぶないにしても、私は、四十五キロのスピードの
事故と二百キロのスピードの
事故では、
事故のけたが違うと思う。その点を言っているんです。新幹線のほうがこわいというのはそれなんですよ。特に二百キロ以上のスピードで走った場合には、雨の降った日なんかは、雨水が下のほうから上へ上がってきますわね。また、道床の
状態なんというのは、在来線でもって四十五キロや五十キロでもって
運転をしている個所と全然違うわけですよ。在来線だったならば、
運転台で見ていて、あそこのところはどうも悪いなとか、ここは何とかしなきゃいけないなとかいったようなことは、これは目で見てわかりますよ。しかし、二百十キロというスピードになると、目で見ていいとか悪いとかどうだとかこうだとかということは全然わからぬですよ、特に
運転台で見ると。その意味で、私は、交通安全
委員会も一度この新幹線に試乗をして、二百十キロのスピードの場合に
運転台で見た感じがどんなふうになるのか、
トンネルの中ですれ違ったらどんなことになるのかといったようなことを実際に視察をしてみたほうがいいんじゃないかという気がいたしますけれども、国鉄の
説明を聞いていると、二百キロだろうと二百五十キロだろうと絶対安全なんだという話だから、それを信頼していれば、お客として乗っている分にはうつらうつら寝ながらそれは乗っていられるんでしょうね。しかし、実際にこの道床の現状を見て、あるいは
運転台に上がってその運行の
状況を体験してみるとそう簡単に絶対安全だとは安心しきれないものを感ずるわけですよ。いまのお話ですと、多少の
事故があったけれどもやはり絶対安全なんだと、だから二百十キロのスピードを落とす必要はないんだと、こういうふうに聞き取れるわけです。しかし、
計画は二百十キロのスピードでもってもっと列車本数をふやそうということでしょう。一番多いときは二百五十本も一日に走らせるということですが、それは考えてみてもわかると思う。昼間線路の保守
作業はできないんですよ、あそこはね。始発電車が走り出すと、終電車までうっかり線路のそばに近づけないという
状態でしょう。十分足らずの間隔でもってひっきりなしに走る。しかも、それは走る重量は十六両編成だと約千
トン近くになるわけですね。千
トン近い重量の新幹線が昔の飛行機並みのスピードでもって走るのですから、どんなに線路、道床を固めてみてもこれは相当くたびれるであろうということは想像にかたくないです。架線だってそうです。架線なんかの場合は、たとえば熱海とか小田原のような通過するところで見ていただけで、火花を散らしながら走っていきますよね。その火花を散らしながら走っていくのが一日に二百回も続けられるわけです。途中で取りかえだとかあるいは検査だとか全然できない
状態ですよね。これはおそろしいと思いませんか。特に、昼間、日の当たるところで線路の保守
作業ができないという
状態がはたして安全と言えるかどうか。私は先般深夜にわたって線路の保守
作業も見てきました。ところが、あの新幹線の高架の幅なんてものは、上がってみるときわめて狭いですよね。ぎりぎり一ぱいです。しかも、砂利の上で保守
作業をやるということになると、手探り仕事ですね。至るところに照明が行き渡っているわけじゃないのですから、その手探り仕事でマルチプルタイタンパーというものはごう音を発して
作業をやっている。しかも、深夜
作業をやる労務者は外注の下請会社の季節労務者、出かせぎの季節労務者ですね。これはまことに保守の体制としては心細い限りですよ。こんなことをやっていていいのかという疑問が当然生じますよ。これは私はそう自信をもってだいじょうぶだというふうに言い切ってもらったんでは問題があると思いますよ。それならば、いままでの数多くのもろもろの
事故を一体何といって
説明をするか、
説明できるかということをお聞きしたいと思う。