○
説明員(森郷己君) ただいま総括的な事柄につきまして
局長から
説明がございましたが、具体的な問題につきまして私のほうから
報告をさしていただきたいと存じます。
暴走族の
発生状況でございますが、昨年
昭和四十八年
暴走族が
発生しましたおもな地方は、
東京、
千葉、
神奈川、石川、
愛知、
大阪、
和歌山、
岡山、広島、香川、
愛媛、高知、福岡、さらに
熊本、宮崎というような十五
都道府県でございました。ことしに入りましてからは、これがさらに
全国的な広がりを見せまして、特に活発な
動きを見せておりますのは、北のほうからいきますと、
秋田、
東京、
関東の
茨城、
埼玉、
千葉、
神奈川、それに
山梨、
静岡、
福井、
愛知、滋賀、
京都、
大阪、
兵庫、奈良、
和歌山、
岡山、
愛媛、
長崎、
熊本というぐあいに二十都
府県に及んでおります。
このうち、特に激しいというふうに私ども見ておりますのは、
東京を
中心とした
埼玉、
千葉、
神奈川、
山梨といったような
隣接県でございまして、そのほかに、
大阪を
中心として
和歌山あるいは
兵庫、
京都といったところに若干のものが見られます。さらに、九州では、
長崎、
熊本、こういつたところが比較的激しい
動きを見せておるように思います。
先ほど
局長から最近の
暴走族の共通的な
傾向について
説明がありましたが、
資料の
うしろのところにございますように、大体七つぐらいの共通的な
特徴といったものが言えるのじゃなかろうかと思います。
資料にございますので、ごらんいただければと思います。
ところで、このうち、
暴走族の
グループの
結成状況でございますが、上の表の3「
グループの
結成状況」の欄を見ていただきますとわかりますように、一月から五月までのものを掲げておりますが、やはり、去年と比較いたしますと、数において約三〇%ふえておるということと、それから比較的大きい
グループといったものが出ておる。たとえば九名以下というところば昨年とあまり違いありませんが、三十名から四十九名とか、五十名から九十九名、あるいは百名以上ということになりますと、昨年の倍以上の
グルーフ化というものが見られるわけでございます。
こういった
グループが結成される
理由として考えられますことは、やはり
暴走族同士で同好の仲間を求めるといいますか、そういったような
傾向とか、あるいは勢力をなるべく強くしたい、
活動範囲を広くしたい、あるいは
集団行動をとりたい、そして
一般から注目されたいというような
青年期特有の
心理状態といったものがこの中から見られるのではなかろうかと思います。なお、最近では、幾つかの
グループを
連合した
グループ、たとえば
関東連合とか、あるいは武州
連合とか、あるいは
中部連合とか、そういったような
グループ化といったものも目立ってきておるのも
一つの
特徴でございます。
それから最近の
グループの
対立抗争の
事件でございますが、これまで
グループ間の
対立抗争事件というものはほとんど見られなかったわけでございますが、ことしに入りましてから
グループ間のこういつた
対立抗争事案といったものがかなり出ております。それにつきましては、
資料の2のところにございますように、一月、二月、三月、その
あたりまではあんまりたいしたことはなかったわけでございますが、四月に入りまして爆発的に起こりまして、
件数で二十件も
発生しております。その後、
警察としても、こういった
対立抗争事案が起こって
一般の住民に迷惑をかけちゃいかぬということで
取り締まり指導といったものを強化いたしました結果、だんだん減ってまいりましたが、四月、五月に、そこの表にありますように、四月二十件、五月十四件というような
対立抗争事案が起こっているわけでございます。この
対立抗争事案は、初め
警視庁、あるいは
神奈川、
千葉、
茨城といった
関東を
中心とした
地域に
発生しておりまして、いわゆる
中部以西にはこういったような
傾向は見られないわけでございます。
対立抗争事案の
発生の多いのは
東京で、ことしに入りましてから二十五回、
秋田で十四回、
神奈川で四回というようなことでございまして、この中で特に悪質だと思われる
対立抗争事案は、
茨城、
東京、
千葉、
神奈川、そういったところで起こっております。
具体的な
対立抗争事案について申し上げますと、たとえば、最近の例では、七月の二十七日に、
千葉県の、浦安で、
暴走族のナンバーワンという
グループが、かねてから
対立関係にあった
暴走族東京連合を襲うために木刀、
鉄パイプ等を準備して待ち伏せて、そこへ来た
東京連合と対立して
自動車を乱打したというような
事案が
発生いたしました。乱闘となる寸前にたまたま
警察官の制圧がありまして大事には至らなかったわけでございますが、これによってたとえば
凶器準備集合罪とかあるいは
暴力行為というようなことで七名の逮者者を出しておるというような例がございます。それからこれは七月二十日でございますが、
静岡県の浜名湖の近くで起こっております。
静岡県の
龍生会という
グループが
愛知県の
女王蜂グループと
対立抗争するというような
情報がありました。これは、前に
女王蜂グループに
龍生会の
グループのメンバーがだいぶやられまして、これの仕返しをするのだというようなことで、
対立抗争の
情報が入りました。これにつきましても、
静岡県警と
愛知県警が
事前に
取り締まりを強化してこれを抑止した、こういったような事例があります。そういったような
ぐあいにかなり対立抗争事案といったものが
各地に起こっているわけでございます。
それから
暴走族による特異な
事故でございますが、
ひき逃げ事故であるとか、あるいは
高速道路における
重大事故であるとか、路上で競争して
死亡事故を起こすとか、そういったような
事案が
東名高速あるいは
大阪の堺市大泉といったところで起こっております。
こういったような
事案が
発生していることにかんがみまして、
警察といたしましては、先ほど
局長から
報告がございましたように、
違反の
取り締まりあるいは
悪質グループの
解散等の
措置をとっているわけでございますが、そういった例について若干の御
報告を申し上げたいと思います。
まず、
暴走グループについては、やはり
暴走族になる前に何らかの手を打つというようなことが必要でないかということで、たとえば
警視庁とかあるいは
神奈川県ではこういった問題に積極的に取り組んでおります。
東京の場合には、砧の
訓練所がございますが、あそこにいわゆる
自動車愛好グループといいますか、いわゆる
一般にいわれる
暴走族グループを集めまして
安全講習を行なった。それから
神奈川県の場合には、
神奈川県の
交通機動隊が早くから
連中の
リーダーと接触を持っておりまして、平塚その他で
随時交通機動隊が入った
安全運転訓練、こういったものを実施しておりまして、かなり
成果をあげておるという実情でございます。ただ、こういった
安全運転訓練につきましては、
講習自体にやはり魅力を持たせる、なるべく多く参加するように持っていくというような必要がございますが、現状といたしましてはそのための
訓練施設が十分にない、そういったような
問題点がございます。
それから
交通の
取り締まりでございますが、一たん問題が起こった以上は私どもとしてはやはり
取り締まり指導を実施しなくちゃいかぬわけでございますが、これにつきましては、それぞれの
府県ごとに
暴走族の
総合対策本部を設置いたしまして、
警察本部長を総指揮といたしまして
取り締まりを実施しているわけでございます。
その
取り締まりの
状況につきましては、
資料の一の「
集団暴走事案発生検挙状況」という欄にございますとおりでございまして、その表の
内容について若干
説明いたしますと、
発生件数について見ますと、
集結暴走回数、これは昨年と比較いたしますとかなりの増加が見られるということでございます。ただ、その表の
合計欄にカッコの中でつけてありますところは、実は
集結はありましたが
集団暴走に至らなかった数ということでございます。それにいたしましても、四十八年一月から六月までのトータル百九十五回に対しまして、七百四十九件から四百九十七件を引いた二百五十二回の
発生というようなことで、やはり回数的にもかなりふえておる。それから以下、
集結暴走の
人員にいたしましても、あるいは
集結暴走の
車両にいたしましても、かなりの伸びが見られるということでございます。
これに対しまして
取り締まりでございますが、
取り締まりの
出動回数も、昨年に比較いたしますと六月までで約二倍の回数
出動いたしております。また、
取り締まりに出た
警察官の数も、昨年に比較いたしまして二倍をこえる
人員になっております。
検挙につきましては、
道交法違反、あるいは
暴力行為、
凶器準備集合罪、その他いろいろございますが、昨年に比較いたしまして、二・六倍から三倍もの
検挙を出しておるという
状況でございます。
このうち、
集団暴走事案に際して特に
出動が多かったのは、
大阪の六十一回、
岡山の四十三回、それから
集結事案に対して
出動が多かったのは、
神奈川の二百三十九回、
警視庁の百四十一回というようなことがいわれております。
具体的な
取り締まりの
検挙でございますが、無
免許運転がことしに入りましてから三百十四件、
速度違反三千百八十一件、
信号無視五百十四件、そのほか
飲酒運転四百四十九件、
整備不良車両千三百二十六件等々の
検挙をいたしておる
状況でございます。
なお、悪質な
暴走グループにつきましては、
警察としては
解散をもって臨むというようなことで、これまでに本年に入りましてから
解散をさせた
暴走族グループは百三十
グループをこえておる
状況でございます。
それからいわゆる
暴走族につきましては、それぞれの
府県とも
暴走族の
実態解明といったことにだいぶ力を入れておりまして、
実態解明に基づいていろいろな手を打っているわけでございますが、その中の
一つといたしまして、特に
未成年者、
高校生等が多いという
実態から、
学校あるいは
雇用者等に対する
措置といったことについても力を入れておりまして、たとえば
神奈川県警の場合では、
レター作戦というようなことで、
暴走族グループに参加した若い
連中の
保護者等に対して、今後
暴走しないように注意してほしいという手紙を出して、かなり
成果をあげているという例もございます。そのほかでも、たとえば家族とか
学校とかあるいは
雇用主等に
連絡をして、こういったような
行為に出ないようにというような働きかけを各県ともとっておるという
状況でございます。
暴走族の
実態把握というようなことを申し上げましたが、最近
警視庁で
調査いたしました
暴走族の
実態調査について御
説明を申し上げたいと思います。
一般的に申し上げますと、
暴走族の
年齢構成は十六歳から二十四歳までということになっておりますが、さらにこれをこまかく申し上げますと、十九歳以下、いわゆる
未成年者が全体の八十%を占めておる。このうち、十七歳が三五%、十六歳が一九%、十八歳が一四%、十九歳が一二%というくあいに、十七歳
——免許をとって間もなくてございましょうが、十七歳
グループにこういった
暴走族に入る
連中が多いというふうな
実態がつかまれております。それから成年に達して二十歳を過ぎますとさすがに少なくなりまして、二十歳代では約一〇%、二十一歳になりますと四%、二十二歳一・五%、二十三歳二%、二十四歳、二十五歳になりますと一%に満たないと、こういったような
状況でございます。
それから
職業別に見るとどうかということでございますが、
東京の場合には、
高校生が四五%、
会社員が一三%、いわゆる
一般個人の店員が一二%、工員が一九%、
家事手伝いが六・四%、大
学生で五・五%、その他というような
構成になっております。このうち、いわゆる
職業を持っている者が四六、七%、
学生が五十・六%、まあ半分をちょっとこえる
程度というような
状況でございます。
それから使われている
車両はどうかということでございますが、
東京の場合にはほかの
地域と違いまして比較的二
輸車の
暴走族が多いというようなことで、二
輸車が全体の約五四%を占めておるという
状況でございます。この二
輸車の中でもそれぞれの
排気量の大きさによって違いがありまして、いわゆる七半といわれる七百五十cc
クラスに乗っている
連中が三〇%、五百ccが二〇%、五百cc
未満が三六・二%、九十cc
未満が八・八%というようなことになっております。一方、四
輸車のほうでございますが、四
輸車の場合は二千ccというのはわずかに六・七%ですが、二千cc
未満千ccくらいまでが四六%、それから千cc
クラスが四一・六%と、こういったような
状況でございます。
それから
グループに入っているかどうかということについての
アンケート調査を見ますと、
グループ加入の
理由としては、進んで入ったというのが半分近くの四七%、
友だちに誘われてというのが四六%というような
状況でございます。それから
加入の動機でございますが、これは車に乗りたくてというのが全体の四割近くを占めております。そのほかおもしろいからとか、あるいは
友だちができるからというようなことで入っておる。中には、かっこいいからとか、あるいは
スピード感を味わうためにというような例もございます。
それから車を買ったその
資金といいますか、
購入資金はどこから出ているかということでございますが、親からもらったというのが三七%近く、それからアルバイトでかせいであるいは自分の給料でというのが大体四〇%近くを占めておるという
状況でございます。
グループの
動向については、週一回
程度集まって行動するというのがほとんどでございまして、大部分が土曜日の夜から日曜日にかけてという例が多いようでございます。
それから
グループリーダーの
意見を若干聞いてみますと、
連中の
意見としてはこういったようなものがあります。住所あるいは職場、
学校等で
自動車の
愛好者によって自然に
グループが生まれた。それから
集団で走ることはきわめてかっこうがいいし、他の
グループに対しても
威圧感を与えることができる、だから
グループをつくるんだ。夜
集団で走ったり集会を持ったりするということは
一般の市民に対して迷惑となることは十分知っておる、なるべく迷惑をかけないように気は使っているんだと、こういったような
言い方をしております。そして、
有職者あるいは
学生で土曜日を選ぶのは、土曜日以外にはそういった時間がとれないからだ、そういったような
言い方をしております。それで集合して何をしているんだと聞きますと、やはり、特別の話はなくて、
自動車の話とかあるいは
女友だちの話をしていると、そういったことで集まっているようでございます。
グループは
規約をつくっている例もかなりございますが、
規約というようなそういったものなしに、要するに適当に
集合日や
会場等を口頭
連絡して集まるという例が多いようでございます。そういった
グループの会費としては月五百円
程度、そのつど集金をしている、そんなようで
状況でございます。ただ、まあ
連中の言いたいということは、やはりわれわれ若い者の
立場も考えてもらいたい、一方的にいろいろ言われるとどうしても反抗したくなるんだと、こういったようなことも心情として漏らしているようでございます。
以上、
グループの
実態調査等について申し上げましたが、概括して言えますことは、先ほど
局長からも
報告がございましたように、最近の若い者の
特徴、気持ちといったものがやはりこういったものにあらわれている面もある、それに対してそれぞれの
グループの性格なり
グループの行動なり、そういったものを十分見きわめた上でそれに合ったような施策を講じていくことが必要だということをつくづく感ずる次第でございます。
以上、簡単でございますが、
報告といたします。