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1974-09-10 第73回国会 参議院 交通安全対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月十日(火曜日)    午前十時十分開会     —————————————   出席者は左のとおり     委員長         加瀬  完君     理 事                 中村 登美君                 二木 謙吾君                 瀬谷 英行君                 阿部 憲一君     委 員                 岡本  悟君                 加藤 武徳君                 土屋 義彦君                 中村 太郎君                 藤田  進君                 太田 淳夫君                 河田 賢治君                 安武 洋子君    説明員       警察庁交通局長   綾田 文義君       警察庁交通局指       導課長       森  郷己君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○交通安全対策樹立に関する調査  (暴走族の取締りに関する件)     —————————————
  2. 加瀬完

    委員長加瀬完君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。  交通安全対策樹立に関する調査を議題とし、暴走族取締まりに関する件について報告を聴取いたします。綾田警察庁交通局長
  3. 綾田文義

    説明員綾田文義君) それでは、暴走族実態対策につきまして、私から概略説明をいたしまして、具体的な問題はあとから指導課長から御報告をいたさせます。  全国都道府県警察が把握しておりまする現在の暴走族実態は、グループ結成状況から申し上げますと、本年の五月末で八百十七、約二万六千人でございますが、昨年は六百十一でございまして、昨年よりもさらにグループは多くなっております。しかも、大体東京中心といたしまして関東が八割、九割までを占めております。しかも、グループ内容はだんだんと大規模化しておりまして人数が多くなっております。十人、二十人、三十人というふうにいろいろございますけれども、三十人以上のグループが目立っておるということでございます。この中の構成は、大体少年が八割でございまして、その中でも高校生が四割程度を占めております。まあこれはグループによって違いますけれども。それから使用する車は、二輪車が七割、あと四輪が三割というふうな状況でございます。  暴走族実態については、すでにもう御視察いただきましたので御承知でございますが、まあ表現が必ずしも適当でありませんけれども、端的に申し上げますと、暴走族は集まる、走る、それからけんかをするというのが特色でございます。高校生あるいは有職少年がおりまして、土曜日の夜がほとんどでございます。毎週土曜日の夜に集まる。全国でも本年に入りましてから一千回以上各地で集まって、しかも大多数の都道府県でそういうグループの集まる行為があるわけでございます。  それから走るという暴走実態は、主としてスピード違反——これを検挙実態から申し上げておるわけでございますが、スピード違反と、それから騒音、これは整備不良車両で取り締まっておるわけでございますが、その他各種の交通違反を行なっておるという状況でございます。  それからさらに暴走族の最近の特徴といたしましては、グループ化団体を組んでグループをつくるという傾向が本年に入りましてから非常に強く出ておりまして、御承知のように、昭和四十五年、六年、七年ごろに富山あるいは福井その他大阪等で起こりました暴走族はむしろ突如として群集を巻き込んで騒擾的な騒ぎを起こすということであったわけですけれども、最近ではグループをつくって、グループでかっこよく走る、あるいは示威運動をするというふうな傾向が非常に強くなっております。しかも、車を持っておるという関係行動範囲が非常に広く、しかもグループごと対立抗争事案、いわゆるけんかをするということが非常に多いわけでございます。そして、グループごとけんかをするという以上に、さらに非常に非行性の強い暴走族においてば、暴行、傷害、そういうふうな悪質な刑法犯を犯す、あるいは中に暴力団が入っておるという実態もございます。  まあそういうことでございまして、しかも最初ごろは夏だけであったわけでございますけれども、このごろは若干冬季は少ないわけでございますが、もう年じゅう通じて、しかも夏を最盛期といたしましてそういうことが発生しておるという状況でございます。  警察庁といたしましては、これらに対処するためにはいろいろ対策を講じておるわけでございますが、まず第一番には、現場の防犯的な事前防止ということに最重点を置きまして、グループが集まるという情報をいち早くとる、そうして各府県同士あるいは関係課あたりとよく連絡をとりましてそのグループの集まる行為事前に察知いたしまして、事前警察官が出ましてそこで取り締まりないし説得をして解散をさすという措置をとっております。したがいまして、本年はグループの集まる行為が非常に多かったわけでございますけれども、そういう事前措置におきまして比較的たいへんな騒ぎとかあるいは事故というには至らなかったというのがことしの特色でございます。毎週土曜日でございまして、各関係府県におきましては交通係あるいは少年係が連続して出場して取り締まり指導に当たっているというふうな状況でございます。  それが現場における措置でございますが、さらに、先ほど申し上げましたように、この暴走族にもいろいろ段階がありまして、団体で組んでかっこよく走る、そしてほかのグループ示威運動をするというふうな比較的悪質性のないグループもございます。それからそれらがやがてスピード違反あるいは騒音という交通違反を起こす、さらに対立抗争——けんかをする、さらに暴力団なんかが入って悪質な行為をやるというふうに非行性の非常に強いグループもありますし、段階がございまして、この段階に応じて対策を立てるということが必要であるということで、大体高校生その他におきましては、もう二十も過ぎて二十四、五になれば、やがて四輪を運転して普通のドライバーに返っていく、ただ若いときにそういうことをやるというまあ一過性といいますか、少年特色行為をやる、そういう者はやはり安全教育によって将来よきドライバーとしての方向指導していくということが肝心でございますして、警視庁の砧その他の府県でもこういう者を集めてそうしていろいろな二輪の訓練あるいは指導をしておるわけでございますが、これが必要であります。ところが、必ずしもこの場所がまだ十分でもなくて、なかなかわれわれが思うようには実施されていないというふうな状況でございます。  それから非行性の非常に強いものにつきましては、むしろ少年補導という立場から、グループの長を呼び出す、あるいは家庭、学校その他と連絡をとりましてこの集団を解体していくという作業を実施いたしております。中には、暴力団その他が入っておりまして非行性が強くて、強力な警察取り締まりあるいは措置を必要とするグループももちろんあるわけでございまして、それに応じて対策を立てておるというふうな状況でございます。  そういうことで、関係府県におきましては暴走族総合対策本部というのを設けまして、少年のこういう行為をなるべく一過性のものと見て、そうしていい方向指導していく、悪いものばそれに応じて取り締まる、そして補導するというふうな観点からやっておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、最近におきましては、幸いにいたしまして、集まる行為は非常に多いわけでございますけれども、事前解散をさしておるという状況でございます。しかしながら、最近のモータリゼーションあるいは若い者のカーを好むという動向からこういうことはますます今後盛んになるということが予想されておりますので、警察庁といたしましても、いま申し上げましたような対策をさらに強化するとともに、その他免許の問題とかいろいろ総合的な対策を立てまして、そしていわゆる交通の安全を確保するということで持別の努力をする方針でございます。  以上、概略でございますが、あと具体的な問題は課長のほうから説明させます。
  4. 森郷己

    説明員(森郷己君) ただいま総括的な事柄につきまして局長から説明がございましたが、具体的な問題につきまして私のほうから報告をさしていただきたいと存じます。  暴走族発生状況でございますが、昨年昭和四十八年暴走族発生しましたおもな地方は、東京千葉神奈川、石川、愛知大阪和歌山岡山、広島、香川、愛媛、高知、福岡、さらに熊本、宮崎というような十五都道府県でございました。ことしに入りましてからは、これがさらに全国的な広がりを見せまして、特に活発な動きを見せておりますのは、北のほうからいきますと、秋田東京関東茨城埼玉千葉神奈川、それに山梨静岡福井愛知、滋賀、京都大阪兵庫、奈良、和歌山岡山愛媛長崎熊本というぐあいに二十都府県に及んでおります。  このうち、特に激しいというふうに私ども見ておりますのは、東京中心とした埼玉千葉神奈川山梨といったような隣接県でございまして、そのほかに、大阪中心として和歌山あるいは兵庫京都といったところに若干のものが見られます。さらに、九州では、長崎熊本、こういつたところが比較的激しい動きを見せておるように思います。  先ほど局長から最近の暴走族の共通的な傾向について説明がありましたが、資料うしろのところにございますように、大体七つぐらいの共通的な特徴といったものが言えるのじゃなかろうかと思います。資料にございますので、ごらんいただければと思います。  ところで、このうち、暴走族グループ結成状況でございますが、上の表の3「グループ結成状況」の欄を見ていただきますとわかりますように、一月から五月までのものを掲げておりますが、やはり、去年と比較いたしますと、数において約三〇%ふえておるということと、それから比較的大きいグループといったものが出ておる。たとえば九名以下というところば昨年とあまり違いありませんが、三十名から四十九名とか、五十名から九十九名、あるいは百名以上ということになりますと、昨年の倍以上のグルーフ化というものが見られるわけでございます。  こういったグループが結成される理由として考えられますことは、やはり暴走族同士で同好の仲間を求めるといいますか、そういったような傾向とか、あるいは勢力をなるべく強くしたい、活動範囲を広くしたい、あるいは集団行動をとりたい、そして一般から注目されたいというような青年期特有心理状態といったものがこの中から見られるのではなかろうかと思います。なお、最近では、幾つかのグループ連合したグループ、たとえば関東連合とか、あるいは武州連合とか、あるいは中部連合とか、そういったようなグループ化といったものも目立ってきておるのも一つ特徴でございます。  それから最近のグループ対立抗争事件でございますが、これまでグループ間の対立抗争事件というものはほとんど見られなかったわけでございますが、ことしに入りましてからグループ間のこういつた対立抗争事案といったものがかなり出ております。それにつきましては、資料の2のところにございますように、一月、二月、三月、そのあたりまではあんまりたいしたことはなかったわけでございますが、四月に入りまして爆発的に起こりまして、件数で二十件も発生しております。その後、警察としても、こういった対立抗争事案が起こって一般の住民に迷惑をかけちゃいかぬということで取り締まり指導といったものを強化いたしました結果、だんだん減ってまいりましたが、四月、五月に、そこの表にありますように、四月二十件、五月十四件というような対立抗争事案が起こっているわけでございます。この対立抗争事案は、初め警視庁、あるいは神奈川千葉茨城といった関東中心とした地域発生しておりまして、いわゆる中部以西にはこういったような傾向は見られないわけでございます。対立抗争事案発生の多いのは東京で、ことしに入りましてから二十五回、秋田で十四回、神奈川で四回というようなことでございまして、この中で特に悪質だと思われる対立抗争事案は、茨城東京千葉神奈川、そういったところで起こっております。  具体的な対立抗争事案について申し上げますと、たとえば、最近の例では、七月の二十七日に、千葉県の、浦安で、暴走族のナンバーワンというグループが、かねてから対立関係にあった暴走族東京連合を襲うために木刀、鉄パイプ等を準備して待ち伏せて、そこへ来た東京連合と対立して自動車を乱打したというような事案発生いたしました。乱闘となる寸前にたまたま警察官の制圧がありまして大事には至らなかったわけでございますが、これによってたとえば凶器準備集合罪とかあるいは暴力行為というようなことで七名の逮者者を出しておるというような例がございます。それからこれは七月二十日でございますが、静岡県の浜名湖の近くで起こっております。静岡県の龍生会というグループ愛知県の女王蜂グループ対立抗争するというような情報がありました。これは、前に女王蜂グループ龍生会グループのメンバーがだいぶやられまして、これの仕返しをするのだというようなことで、対立抗争情報が入りました。これにつきましても、静岡県警愛知県警事前取り締まりを強化してこれを抑止した、こういったような事例があります。そういったようなぐあいにかなり対立抗争事案といったものが各地に起こっているわけでございます。  それから暴走族による特異な事故でございますが、ひき逃げ事故であるとか、あるいは高速道路における重大事故であるとか、路上で競争して死亡事故を起こすとか、そういったような事案東名高速あるいは大阪の堺市大泉といったところで起こっております。  こういったような事案発生していることにかんがみまして、警察といたしましては、先ほど局長から報告がございましたように、違反取り締まりあるいは悪質グループ解散等措置をとっているわけでございますが、そういった例について若干の御報告を申し上げたいと思います。  まず、暴走グループについては、やはり暴走族になる前に何らかの手を打つというようなことが必要でないかということで、たとえば警視庁とかあるいは神奈川県ではこういった問題に積極的に取り組んでおります。東京の場合には、砧の訓練所がございますが、あそこにいわゆる自動車愛好グループといいますか、いわゆる一般にいわれる暴走族グループを集めまして安全講習を行なった。それから神奈川県の場合には、神奈川県の交通機動隊が早くから連中リーダーと接触を持っておりまして、平塚その他で随時交通機動隊が入った安全運転訓練、こういったものを実施しておりまして、かなり成果をあげておるという実情でございます。ただ、こういった安全運転訓練につきましては、講習自体にやはり魅力を持たせる、なるべく多く参加するように持っていくというような必要がございますが、現状といたしましてはそのための訓練施設が十分にない、そういったような問題点がございます。  それから交通取り締まりでございますが、一たん問題が起こった以上は私どもとしてはやはり取り締まり指導を実施しなくちゃいかぬわけでございますが、これにつきましては、それぞれの府県ごと暴走族総合対策本部を設置いたしまして、警察本部長を総指揮といたしまして取り締まりを実施しているわけでございます。  その取り締まり状況につきましては、資料の一の「集団暴走事案発生検挙状況」という欄にございますとおりでございまして、その表の内容について若干説明いたしますと、発生件数について見ますと、集結暴走回数、これは昨年と比較いたしますとかなりの増加が見られるということでございます。ただ、その表の合計欄にカッコの中でつけてありますところは、実は集結はありましたが集団暴走に至らなかった数ということでございます。それにいたしましても、四十八年一月から六月までのトータル百九十五回に対しまして、七百四十九件から四百九十七件を引いた二百五十二回の発生というようなことで、やはり回数的にもかなりふえておる。それから以下、集結暴走人員にいたしましても、あるいは集結暴走車両にいたしましても、かなりの伸びが見られるということでございます。  これに対しまして取り締まりでございますが、取り締まり出動回数も、昨年に比較いたしますと六月までで約二倍の回数出動いたしております。また、取り締まりに出た警察官の数も、昨年に比較いたしまして二倍をこえる人員になっております。検挙につきましては、道交法違反、あるいは暴力行為凶器準備集合罪、その他いろいろございますが、昨年に比較いたしまして、二・六倍から三倍もの検挙を出しておるという状況でございます。  このうち、集団暴走事案に際して特に出動が多かったのは、大阪の六十一回、岡山の四十三回、それから集結事案に対して出動が多かったのは、神奈川の二百三十九回、警視庁の百四十一回というようなことがいわれております。  具体的な取り締まり検挙でございますが、無免許運転がことしに入りましてから三百十四件、速度違反三千百八十一件、信号無視五百十四件、そのほか飲酒運転四百四十九件、整備不良車両千三百二十六件等々の検挙をいたしておる状況でございます。  なお、悪質な暴走グループにつきましては、警察としては解散をもって臨むというようなことで、これまでに本年に入りましてから解散をさせた暴走族グループは百三十グループをこえておる状況でございます。  それからいわゆる暴走族につきましては、それぞれの府県とも暴走族実態解明といったことにだいぶ力を入れておりまして、実態解明に基づいていろいろな手を打っているわけでございますが、その中の一つといたしまして、特に未成年者高校生等が多いという実態から、学校あるいは雇用者等に対する措置といったことについても力を入れておりまして、たとえば神奈川県警の場合では、レター作戦というようなことで、暴走族グループに参加した若い連中保護者等に対して、今後暴走しないように注意してほしいという手紙を出して、かなり成果をあげているという例もございます。そのほかでも、たとえば家族とか学校とかあるいは雇用主等連絡をして、こういったような行為に出ないようにというような働きかけを各県ともとっておるという状況でございます。  暴走族実態把握というようなことを申し上げましたが、最近警視庁調査いたしました暴走族実態調査について御説明を申し上げたいと思います。  一般的に申し上げますと、暴走族年齢構成は十六歳から二十四歳までということになっておりますが、さらにこれをこまかく申し上げますと、十九歳以下、いわゆる未成年者が全体の八十%を占めておる。このうち、十七歳が三五%、十六歳が一九%、十八歳が一四%、十九歳が一二%というくあいに、十七歳——免許をとって間もなくてございましょうが、十七歳グループにこういった暴走族に入る連中が多いというふうな実態がつかまれております。それから成年に達して二十歳を過ぎますとさすがに少なくなりまして、二十歳代では約一〇%、二十一歳になりますと四%、二十二歳一・五%、二十三歳二%、二十四歳、二十五歳になりますと一%に満たないと、こういったような状況でございます。  それから職業別に見るとどうかということでございますが、東京の場合には、高校生が四五%、会社員が一三%、いわゆる一般個人の店員が一二%、工員が一九%、家事手伝いが六・四%、大学生で五・五%、その他というような構成になっております。このうち、いわゆる職業を持っている者が四六、七%、学生が五十・六%、まあ半分をちょっとこえる程度というような状況でございます。  それから使われている車両はどうかということでございますが、東京の場合にはほかの地域と違いまして比較的二輸車暴走族が多いというようなことで、二輸車が全体の約五四%を占めておるという状況でございます。この二輸車の中でもそれぞれの排気量の大きさによって違いがありまして、いわゆる七半といわれる七百五十ccクラスに乗っている連中が三〇%、五百ccが二〇%、五百cc未満が三六・二%、九十cc未満が八・八%というようなことになっております。一方、四輸車のほうでございますが、四輸車の場合は二千ccというのはわずかに六・七%ですが、二千cc未満千ccくらいまでが四六%、それから千ccクラスが四一・六%と、こういったような状況でございます。  それからグループに入っているかどうかということについてのアンケート調査を見ますと、グループ加入理由としては、進んで入ったというのが半分近くの四七%、友だちに誘われてというのが四六%というような状況でございます。それから加入の動機でございますが、これは車に乗りたくてというのが全体の四割近くを占めております。そのほかおもしろいからとか、あるいは友だちができるからというようなことで入っておる。中には、かっこいいからとか、あるいはスピード感を味わうためにというような例もございます。  それから車を買ったその資金といいますか、購入資金はどこから出ているかということでございますが、親からもらったというのが三七%近く、それからアルバイトでかせいであるいは自分の給料でというのが大体四〇%近くを占めておるという状況でございます。  グループ動向については、週一回程度集まって行動するというのがほとんどでございまして、大部分が土曜日の夜から日曜日にかけてという例が多いようでございます。  それからグループリーダー意見を若干聞いてみますと、連中意見としてはこういったようなものがあります。住所あるいは職場、学校等自動車愛好者によって自然にグループが生まれた。それから集団で走ることはきわめてかっこうがいいし、他のグループに対しても威圧感を与えることができる、だからグループをつくるんだ。夜集団で走ったり集会を持ったりするということは一般の市民に対して迷惑となることは十分知っておる、なるべく迷惑をかけないように気は使っているんだと、こういったような言い方をしております。そして、有職者あるいは学生で土曜日を選ぶのは、土曜日以外にはそういった時間がとれないからだ、そういったような言い方をしております。それで集合して何をしているんだと聞きますと、やはり、特別の話はなくて、自動車の話とかあるいは女友だちの話をしていると、そういったことで集まっているようでございます。グループ規約をつくっている例もかなりございますが、規約というようなそういったものなしに、要するに適当に集合日会場等を口頭連絡して集まるという例が多いようでございます。そういったグループの会費としては月五百円程度、そのつど集金をしている、そんなようで状況でございます。ただ、まあ連中の言いたいということは、やはりわれわれ若い者の立場も考えてもらいたい、一方的にいろいろ言われるとどうしても反抗したくなるんだと、こういったようなことも心情として漏らしているようでございます。  以上、グループ実態調査等について申し上げましたが、概括して言えますことは、先ほど局長からも報告がございましたように、最近の若い者の特徴、気持ちといったものがやはりこういったものにあらわれている面もある、それに対してそれぞれのグループの性格なりグループの行動なり、そういったものを十分見きわめた上でそれに合ったような施策を講じていくことが必要だということをつくづく感ずる次第でございます。  以上、簡単でございますが、報告といたします。
  5. 加瀬完

    委員長加瀬完君) ただいまの報告に対し質疑のある方ば順次御発言願います。
  6. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 こういう暴走族が、スピード違反を行なわず、ちゃんと法規を守り、静粛に行動していれば、何も暴走族として問題にはならぬわけてす。問題になるのは、必ず集団で——つかまった場合には迷惑はかけないように気をつかっているということを言っているかもしれないけれども、実際問題としては迷惑をかけることを承知でやっているというふうにしか思われません。それだけに取り締まりはいいかげんではいけないと思うのです。  まず、この連中の動機なんですけれども、走ることのみが目的なのか、あるいは集団でこういう二輪車あるいは四輪車を使ってゆすりたかりを行なったり婦女暴行、誘拐といったようなことをやるというようなおそれがないのかどうか、そのような実績はないのかどうかですね、この点をちょっとお伺いしたいと思います。
  7. 森郷己

    説明員(森郷己君) 集団化して暴走族をやっている連中の中には、いわゆるまじめな連中もかなりございます。しかし、私どもが対象にしておりますものは、非行化に走る連中、それからスピードを出し、騒音を発し、集団でもってそういった行動をして一般市民に迷惑をかける連中、あるいは、御指摘のように、婦女暴行とかそのほかの行為に出る連中、あるいは、中には、暴力団が介入しているそういったグループ、そういったものはやはり私どもの取り締まりの対象でありますし、そういったものははっきりと取り締まりを強力にしなくちゃいかぬというふうに考えております。  で、これまでの不法事案と申しますか、そういったものを拾ってみますと、主として東京中心とした関東に多いわけでございますが、ことしの一月から六月までの状況で見ますと、検挙された人数で言いますと、強盗で検挙された者が十名、それから強姦が三十九名、暴力行為四百八十四名、いわゆる単純暴行が十七名、傷害九十一名、脅喝四十六名、窃盗二百五十七名、凶器準備集合罪三百二十九名、その他百五十四名で、全体として千四百二十七名の検挙を見ております。この中には二百三十二名のいわゆる成人による犯罪といったものも含まれておるという状況でございます。
  8. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 かなり悪質なものが多いということが考えられるのですけれども、年齢的に未成年の者が多いということから取り締まりに手かげんをしたりしたのでは実際の効果は上がらないと思うのです。そこで、先ほどのお話によると、解散を命じたといったようなことがありましたけれども、解散を命ずるということに実際の効果があるのかどうかなんです。衆議院の解散とはわけが違うのですから、解散を命じたからといってそのまんまもうやめましたというわけにはいかないのじゃないのか。実効が上がらないことを単に解散を命じたというだけでは、これは取り締まりにはならぬと思うのですね。だから、具体的に有効な取り締まりはどういう方法を講じているのか。
  9. 森郷己

    説明員(森郷己君) いま解散というお話が出ましたが、私どもといたしましては、集団をつくるとその集団をつくるということによっていろいろ問題を起こしますので、暴走族グループあるいは暴走族グループに入っている者が集合場所に集まる前に、スピード違反あるいはそのほかで違反がある場合にはもちろん違反として取り締まる。あるいは事前に説得をいたしましてそういったところに集まらないで静かに帰りなさいと、そういったような形で集合を阻止するというような方法もございますし、それから事前情報を入手した場合にはグループリーダー等に説得をいたしまして、つまらぬ集まりはするなと、あるいは対立抗争事案を起こすなと、そういったような説得をいたしまして、グループによる暴走行為あるいは暴力行為といったものをさせないような措置をとっております。  それから具体的に問題が起こった場合には、交通機動隊はもちろんのことでありますが、防犯あるいは捜査あるいは警備機動隊、こういったものを使いまして現場において対立抗争に至らないようにそういったような措置をとっておるということでございます。  要するに、事前措置と、それから途中における措置と、それから具体的に集まった場合の現場における措置と、こういったものを講じまして、要すれば暴力行為等に走らないような措置をとっておるということでございます。
  10. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ちょっとおざなりのような気がするんですよ。説得をするとか、さっきレター作戦という話がありましたが、保護者に注意の手紙を出すとかいうことがありましたが、幼稚園の園児だとか小学校の一年生ぐらいならば、保護者に注意をするとか、あるいはそういうことをしちやいけませんというふうに話をすればわかるかもしれぬ。そういう年代じゃないでしょう、これはね。話をして聞かせて、交通違反はいけませんよと言えば、はあそうですがと初めて気がつくようなそういう連中じゃないと思うんですよ。そんなことは悪いことは万々承知の上でやっている連中なんですから。だから、警察のほうで説得をするとか保護者に手紙を出すとかということは、結果的にはおざなりになってしまう。だから、もう少し実際の効果のある取り締まりをするためには、そんなことじゃなまぬるいだろうと思うのですね。だから、具体的にじゃ実際の効果のある取り締まりは何かということなんですね。たとえば、これはこの前も質問したことがあるんですけれども、たとえばマフラーをはずして大きな音を出すといったようなことを平気でやるわけです、この連中はね。そういう場合に、二輪車であろうと、四輪車であろうと、そんなものは没収してしまう、あるいは没収した上で罰金を課するといったようなことをやらないと実効は上がらないのじゃないかと思うのですが、現行法規ではこの没収まではやっていないようですね。それができないのかどうか、あるいはそのくらいのことができるような立法措置を考える用意があるのかないのか、そこまでやらなくとも先ほどのお話じゃないけれども説得という程度のことで取り締まりができるというふうにお考えになっているのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  11. 森郷己

    説明員(森郷己君) いま説得というのはそんなに効果がないのじゃないかというお話でございますが、実は、七月でございましたか、山梨県にかなりの人員暴走族が集まるという情報が参りました。これをキャッチいたしまして、山梨県警はもちろんのこと、警視庁神奈川県警静岡県警がそれぞれのグループリーダーに当たりましてこれを事前に説得いたしまして、グループのメンバーにも連絡をとりまして、大事に至らなかったという事例が出ております。また、ごく最近でございますが、静岡の浜名湖付近にやはり同様にかなりの人数の暴走族が集まるという情報がありまして、これにつきましても事前静岡県警愛知県警グループリーダーに当たる、あるいはそのグループリーダーからの連絡がとれなくて途中やってきた連中がありまして、そういった連中に説得をするということで大事に至らなかったという例もございます。それからまた、神奈川県警の場合ですが、レター作戦は、暴走族の中にはかなりひどいのもおりますが、大部分の車に乗っている連中というものは非常に純情といいますか、やはり法令を守りながら行動するというのが多いわけでございまして、そういった連中についてはかなり効果があるようでございます。もちろんそれでもどうにもならない連中につきましては、御指摘のように、私どもとしては断固たる態度で取り締まりに当たると、こういったような考え方でおるわけでございまして、いまお話しありました車の没収、そういったものはできないのかということでございますが、私どもといたしましては、必要に応じて車を没収するといいますか領置をいたしまして運転をさせないというようなことも方針としてはそれぞれの府県に出しているわけでございます。現に、これは暴走族の車というわけじゃございませんが、これに近い、常に暴走をやっている者の車を没収いたしまして効果をあげているという例がたとえば徳島とかあるいは石川とかそのほかの県にもございまして、必要があればこういったような措置をとっていくというような考え方でございます。
  12. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最後に、これはちゃんと法規を守っている連中は何も心配することはないんですよ。問題は、いまお話を伺っただけでも、強盗を働いているのもいるし、強姦をやっているのもいるし、スピード違反、ひき逃げまでやっている。この種の連中が一番問題なわけですね。だから、この種の連中未成年者なるがゆえに、あるいは、まあ説得等でもって事が足りるかどうかわからぬけれども、ある程度良識を持っているというふうにみなして話をしていたのじゃ、その取締まりは根絶を期せられないと思うのですね。だから、根本的に一体どうしたらいいのかという問題が出てくると思うのです。根本的には、私は、それこそ七百五十ccといったような単車ですな、あんなものはつくらせない、一切販売させない、オートバイというのは警察とかあるいは新聞社とかいう特殊なところしか持てないというようにしてしまえばいいと思うのです。スピードが出なぐて、音が出なくて、ゆっくりしか走れないというものじゃ、集団で走るんだってかっこつかないからやらないだろうと思うのですがね。自転車かなんかじゃこれは暴走族にならぬでしょうね。だから、問題は、初めからこういうものを取り上げてしまう、与えないというようなところまでいかなきゃならぬ。そうすると、自動車会社のほうで困るという問題が出てくるかもしれぬ。そうなると、完全にこれは警察庁だけの問題じゃないんですね。そこまでやはりさかのほらなきゃ問題は根本的に解決できないと思うのですけどね。それらの問題をも含めてこの問題を根絶をするために抜本策を講ずべきであるというふうに考えております。いままでのお話では通り一ぺんのような感じがするわけです。したがって、それらの抜本策というものを警察庁として法律的にも考慮するという考えがないのかどうかですね。もしあるのならばあるように、それから今後の問題としてはどういうふうにお考えになっているかということをお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  13. 綾田文義

    説明員綾田文義君) 車の製造の問題はまあ警察庁の所管でございませんけれども、先生のおっしゃられるように、確かに一部には非常に悪質な少年がおるわけでございます。ところが、車の使用の対象にはやはり善良な勤労少年というものもおるわけでございまして、それを十ば一からげに全部禁止するということは若干問題が残るのではないかということも考えられます。しかし、いずれにいたしましても、一部の不良グループ少年というものは、警察として正面的に徹底的に撲滅する必要があると思います。警察庁といたしましては、したがって、たとえば免停——まあ車はあるけれどもできない、免停を迅速にしてきびしくする、それから逮捕なんかも、逮捕をして身柄つきで送るというようなこともやっておりますし、現行の範囲でできるだけ対象にきびしく取り締まるということを今後やっていきたいと思います。七半以上を製造禁止するとか何とかいうことは、これはまあ非常に大きな問題でございますので、警察庁といたしましては、その方向はいいと思いますけれども、ただいま申し上げましたような問題点もありますので、こればひとつ慎重に検討させていただきたいというふうに考えます。
  14. 加瀬完

    委員長加瀬完君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時五十九分散会