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1974-11-15 第73回国会 参議院 決算委員会 閉会後第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月十五日(金曜日)    午前十一時二分開会     —————————————    委員異動  十一月十四日     辞任         補欠選任      野末 陳平君     喜屋武眞榮君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         前川  旦君     理 事                 鈴木 省吾君                 松岡 克由君                 小谷  守君                 田代富士男君                 橋本  敦君     委 員                 岩男 頴一君                 遠藤  要君                 木内 四郎君                 小林 国司君                 寺下 岩蔵君                 温水 三郎君                 二木 謙吾君                 案納  勝君                 工藤 良平君                 小山 一平君                 須原 昭二君                 二宮 文造君                 峯山 昭範君                 上田耕一郎君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        建 設 大 臣  小沢 辰男君         —————        会計検査院長   白石 正雄君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    法制局側        法 制 局 長  杉山恵一郎君    説明員        内閣法制次長   真田 秀夫君        法務省民事局第          三課長      吉野  衛君        大蔵大臣官房審        議官       旦  弘昌君        大蔵省主税局長  中橋敬次郎君        大蔵省理財局長  吉瀬 維哉君        大蔵省理財局国        有財産第一課長  村上 哲朗君        国税庁次長    磯辺 律男君        国税庁税部長  横井 正美君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  増岡 康治君        自治大臣官房審        議官       石見 隆三君        会計検査院事務        総長       石川 達郎君        会計検査院事務        総局次長     鎌田 英夫君        会計検査院事務        総局第一局長   高橋 保司君        会計検査院事務        総局第三局長   本村 善文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十七年度特別会計歳入歳出決算昭和四十七年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十七  年度政府関係機関決算書(第七十二回国会内閣  提出) ○昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十二回国会内閣提出) ○昭和四十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十二回国会内閣提出)     —————————————
  2. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十四日、近藤忠孝君及び野末陳平君が委員を辞任され、その補欠として上田耕一郎君及び喜屋武眞榮君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 前川旦

    委員長前川旦君) 昭和四十七年度決算外二件を議題といたします。  本日は昨日に引き続き大蔵省決算について審査を続行いたします。  それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。   〔委員長退席理事小谷守君着席〕
  4. 工藤良平

    工藤良平君 私は、ことしの二月の——たしか二月だったと思いますが、決算委員会で、特に国の収入という面から会計検査院そして国税庁にいろいろと質問をしてまいりました。現実にそれが非常に重要な段階になってまいりましたので、その当時の速記録を読み直しながら、これから収入に対する会計検査院あるいは国税庁の御意見をいろいろと聞きたいと思っているわけであります。  その前に、これは私かねがね内偵をいたしておりましたけれども、すでにいろいろなところからも一部に報道されておりますが、北海道の北炭観光開発からの土地贈与が、当時、大蔵大臣ですけれども田中総理をはじめとして、主要な自民党の役員の方に贈与が行なわれている、こういうようなことがほぼ明らかになっているわけでありますが、この事実関係について私は若干お聞きをいたしたいと思います。  それで、まず具体的にお聞きをいたしますが、本日は特に田中総理の関連する部分について、これは法務省にお聞きをいたしますが、三十九年に田中総理以下数名に贈られましたこの土地贈与関係について、登記事務がいつどういう形で行なわれているかという事実関係をまず明らかにいたしたいと思いますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  5. 吉野衛

    説明員吉野衛君) いま御質問土地は、札幌市中央区宮の森八百六十六の六十一の土地だと思いますが、この土地もと東京都千代田区有楽町二丁目三番地に本店を有します北炭観光開発株式会社所有であったわけでありますが、三十九年の九月五日付贈与原因といたしまして、その年の九月三十日受付で田中角榮あて所有権移転登記がなされてあります。その後、昭和四十八年二月二十二日に、北炭観光開発株式会社の商号変更いたしました三井観光開発株式会社に四十一年十二月二十五日付贈与原因といたしまして所有権移転登記がなされております。そしてさらに四十九年三月三十日に、その年の三月十九日付売買原因といたしまして、札幌市西区八軒一条西一丁目四十六番地一号の安田建設株式会社あて所有権移転登記がなされております。
  6. 工藤良平

    工藤良平君 その間、田中総理贈与を受けましてから他の者に所有権移転するまでの間、税金関係はどのようになっていたか。たとえば固定資産税都市計画税、これは当然納入をしなければならない義務が伴っていたと思いますが、それについてはいつから固定資産税やあるいは都市計画税納入をされてきたか、その間の関係について、これ自治省関係になると思いますが、説明していただきたいと思います。
  7. 石見隆三

    説明員石見隆三君) 御答弁申し上げます。  ただいまお示しのありました土地につきまして、課税関係、特に固定資産税課税関係がどういうことになっておるかという点につきましては、私ども何ぶんにも御案内のとおり課税権者当該土地につきましては札幌市でございますので、私のほうにそういう課税関係資料を持っておりませんので、詳細承知いたしておらないわけでございます。御指摘の点につきましては、札幌市を通じまして調査をいたしたいと存じております。  なお御参考までに申し上げたいと存ずるのでありますが、固定資産税につきましては御案内のとおり台帳課税主義をとっております。したがいまして三十九年に所有権移転登記がなされました以後は、土地所有者がだれであるかということにかかわりませず、土地登記簿登記されております者が納税義務者になるわけでございます。したがいまして土地登記簿に載っております者が納税義務者になっておりますので、市町村といたしましては、土地登記簿もとにいたしまして、土地の真実の所有者ではなくして、土地登記簿所有者がだれであるかということに基づいて、適正な課税がなされておるであろうというふうに一応考えております。
  8. 工藤良平

    工藤良平君 私の手元にはそれぞれ調査はいたしてありますけれども、これはきちんと公の機関調査をすることが私は至当だと思いますし、台帳面でいま登記上から所有権移転していたとするならば、当然納税義務というのは伴ってくるわけであります。もしそれが納税されていないということになりますと、これは当然違反ということになりますので、これは早急に調べていただきまして、本委員会提出をしていただきたい、このように思います。  さらに、先ほど法務省のほうからお話がありましたが、四十八年二月二十二日と実際の登記上の日にち、いわゆる田中総理からまた贈与されて、三井観光開発贈与されたその関係について、もうちょっと私そのいきさつがのみ込めませんでしたので説明していただきたいと思います。
  9. 吉野衛

    説明員吉野衛君) そのいきさつをもう少し詳細にということでございますが、私どもは、実際四十一年十二月二十五日に贈与が行なわれていたかどうかということは登記所のほうとしましては審査しないたてまえとなっておりまして、これは四十八年二月二十二日に、実は四十一年十二月二十五日付でもう贈与しているのだということで所有権移転登記申請がなされますと、その申請書類に瑕疵がなければ、誤りがなければそのまま受理して登記をするというようなたてまえをとっております。したがいまして、なぜそんなに贈与されてから登記までにおくれたかということについては詳細存じません。で、御承知かと思いますが、不動産登記というのは、当事者が共同して申請しない限り、権利に関する登記登記官が職権でするというたてまえをとっておりませんから、当事者が十年でも二十年でもおくれてくればそれだけ登記がおくれるということになります。
  10. 工藤良平

    工藤良平君 実際の登記事務は四十八年の二月二十二日に行なわれたと、そういたしますと四十八年の二月二十二日の実際書面上登記が完了するまでは、当然、固定資産税やあるいはこの都市計画税というものは従前所有しておりました土地台帳上の名義の者が固定資産税都市計画税を納める、こういうことになると思います。したがって、そういうことになりますと、おのずからその財産というものはその所有をしておりました土地台帳面における所有者財産所有するということになりますし、おのずからそれは所得税法でいう二百三十二条の二千万円以上の所得のある者の申告すべき事項として当然財産目録の中にあがってこなければならないと私は解釈をいたしますけれども、その点について法務省そしてまた大蔵省の御見解をいただきたいと思います。
  11. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 実は、この物件の関係のことにつきまして私たちあまり詳しく承知しておりませんので、いま調査中でございます。所有権移転、それから事実上どういうふうに所有権移転したのか、それから登記上それがどういうふうに、どうしてこういうふうに処理されたのか、いろいろ私ども疑問点がございますので、現在調査中でございます。
  12. 工藤良平

    工藤良平君 あなたは調査調査中、毎日そのことばかり言っておりますが、あとでこれは私は詳しくどういう調査をしているのか、具体的にいろいろ聞きますけれども。  それではもう一つお伺いいたしますが、北炭観光開発から田中総理に贈られた場合、そしてまた田中総理から北炭観光に贈られた場合に、贈与関係の税の徴税はどういう形になりますか。その点を、これ国税庁からお伺いいたしましょう。
  13. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 法人から個人無償所有権移転されたような場合には、それは個人につきましては法人からの一時所得ということに相なります。それから個人無償法人所有権移転いたしました場合には、これはいわゆるみなす譲渡という取り扱いをいたしまして、時価との差額、つまり時価相当分譲渡があったとみなされて課税される。それから法人のほうは受贈益ということで法人益金算入ということになって法人税課税対象になる、こういうことに相なります。
  14. 工藤良平

    工藤良平君 これはいずれにいたしましても、双方において何年間かの間に贈与という形で授受がなされている。それがなぜなされたかという問題については、もちろん大蔵省法務省の知るところではございません、私もそのことは承知をいたしますが。したがって、この税の関係についてはおのずから明確にされなければなりません。したがって自治省法務省そして大蔵省の間で具体的に調査をして本委員会にその結果の報告ができるかどうか。  さらに、この点は委員長にもお願いをいたしたいと思いますけれども、なぜこのような土地田中総理だけではなくて、あと数名の者にかなり千平米以上が贈与として贈られておりますけれども、どういう目的を持って、何のために贈られたかというものを私どもは当然必要だと思いますし、これは現在の、名前は変わっていますけれども北炭観光、そしていま名前が変わりました三井観光開発の社長を証人としてぜひ喚問いただいて、その関係を明らかにしていただきたい、こういうように思いますので、この点については理事会のほうでお取り扱いお願いをいたしたいと思います。
  15. 小谷守

    理事小谷守君) 工藤君に申し上げます。ただいま御要求証人に関しましては、後刻、理事会において協議いたします。さよう御了承願います。
  16. 工藤良平

    工藤良平君 大蔵省としては、いま申し上げました総合的な調査というものを、当然、これは私は納税徴税義務という上からも必要だと思いますので、実施していただけますか。
  17. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) たびたび御答弁申し上げておりますように、現在、鋭意、過去にさかのぼって調査中でございます。当然その対象に入っております。
  18. 工藤良平

    工藤良平君 あなたはあまり詳しくわからないと言っておきながら、調査をしているということですから、これは具体的にやっていますか。いつから何人の人でどういう形でやっているということを言えますか。そんな適当なことを言うんじゃなくて、やっていないなら、やっていないけれどもこれからやる、現実にやっているのかどうか、あなた知らないと言ったんですよ、みんな——いいですか、自治省もわからないと言っているんですよ。法務省だけは事実関係は確認をしていただいたんです。現実にいつ幾日からどういう形でやっているならやっている、やっていないけれどもこれからやりますならやります、明らかにしていただきたい。
  19. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 私がやっておると申し上げましたのは、全般的にいま作業をやっておるところでございまして、こういった新しい事実が次々わかりましたら、その調査対象項目に繰り入れておるわけでございます。こういった事実につきましては最近御指摘を受けましたので新しい調査対象項目に入れる、そういった意味でまだ現在はわかっておりませんということを申し上げたわけでございまして、調査をすでに開始しておることはこれは事実でございます。
  20. 工藤良平

    工藤良平君 私は全体的な問題はまだ触れていない、これから触れるわけです。あなたのほうは答弁が先にいっているんです、そうでしょう。そうじゃなくて——あまり思い過ごしなんです、それは。  私がいま指摘したのは、この北炭観光贈与関係について御質問を申し上げたわけでありますから、その点についてはこれから調査をするならすると、項目に入れて直ちにやると、これならこれで私は理解をするんですけれども、そういうことでよろしいんですね。
  21. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) そのとおりでございます。
  22. 工藤良平

    工藤良平君 それでは、私は、これは非常に心外でありますけれども、まだ守秘義務関係から資料提出が非常に進んでおりませんので、この点についてかいつまんで御質問をいたしたいと思います。  そこでまずお伺いをいたしますが、これは具体的に、私、こういう場合に一体あなた方はどうなさるかお聞きしたいと思うんです。たとえば交通事故事故を起こしたと、たいへん不当な補償が要求されたと、その算定をする場合に、その相手所得内容を知りたい、算定示談をやるのにむずかしい、何の所得幾らあるかというものを明確にして示談に臨みたい、こういうように私が考えて税務署に伺ったときに、相手所得内容について私に明らかにしていただけますか。それともそれは秘密事項として明らかにすることができません、こういうような御答弁をいたしますか。まずそのことからお伺いをいたしたいと思います。
  23. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) それは御本人のほうから納税証明申請を出されましたら御本人には差し上げますけれども相手の方に対してはそれは差し上げないことになっております。
  24. 工藤良平

    工藤良平君 本人というのは、私が相手にそういう要請をして相手税務署に行った場合には、本人自身にはそれを出すということですね。私にはそれは見せないということになるわけですか。そうすると相手は、私が幾ら所得があるかとこう迫ったときに、それは私はわかりませんと、こういうことで逃げられたときにはその算定については非常に私は困るわけですけれども、それは本人自身には言うけれども相手の私には一切秘密で言わないということになるわけですか。
  25. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 民事関係の問題のことでよく裁判でそういったことがございますけれども、そのときには、民事関係の照会についてはお答えいたさないということになっております。
  26. 工藤良平

    工藤良平君 それでは私はさらにお聞きをいたしますが、現在の所得税法でいう一体申告制度というものはあなた方はどのようにお考えでございますか。
  27. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) それぞれ申告義務のある人が誠実に申告して申告書を出しまして、それによって税金を適正に自主的に納めていただくというのがその眼目であろうかと思います。
  28. 工藤良平

    工藤良平君 従来の所得税というのは、税務署が査定をいたしまして一方的に決定をする、それを私ども納税義務として納めなければならないというのが従来の納税の仕組みでありました。それが戦後自主申告制度に変わった。私が私の所得をありのままに申告をして税金を納めるという形に変わりました。しかし、その適正を期するため、いわゆる税の公平という立場から、不正が行なわれるということを防止をするために査察なり調査という制度が設けられた。私はこのように解釈をしているわけですが、したがって、この自主申告制度というものはあくまでも私はオープンであるべきものであろう。したがって法律にもありますように、二百三十三条には、申告納税制度基本となって組み立てられております。その上に立って、たとえば個人所得の場合には一千万以上の所得がある場合にこれを公示する、こういうことが私は行なわれているというように思いますが、そういうような解釈でよろしゅうございますか。
  29. 旦弘昌

    説明員旦弘昌君) 立法の趣旨についてお尋ねでございますので、主税局からお答えいたします。  いまお話しになりました所得税法の二百三十三条の申告書公示制度でございますが、これは一定額をこえます所得、いまおっしゃいました所得税につきましては一千万をこえます納税者につきましては、その氏名、住所、それから所得額公示することによりまして、納税者がみずから正確な申告をするということを間接的に確保したいという制度がこの制度でございます。
  30. 工藤良平

    工藤良平君 私は、この二百三十三条は、いまお話しのように申告納税制度の原則の上に、いわゆる高額者申告が適正に行なわれているかどうか、これは特に税の公平な負担、徴収という意味合いからそのような公示制度というものが出されているものである。これはかつて議論いたしましたけれども国民の知る権利が優先をする。税の公平の負担という立場から、全部を公示するわけにはいかないけれども、せめて一千万円以上の個人所得のある者についてはこれを公示をするということは、国民の前にその内容を明らかにするという基本が打ち立てられている。法の理論としてはそういうところにある、このように私は理解をいたすわけです。それはその前の条、二百三十二条というものから考え合わせましても私は当然のことだと思うんですが、二百三十二条にはどういうことが義務づけられておりますか。これは義務として、しなければならないこととして規定をされておると私は理解いたしますが、どのように思いますか。
  31. 旦弘昌

    説明員旦弘昌君) 二百三十二条にございますのは、次の各号に掲げます申告書提出します者は、その財産債務明細書提出することになっておるということでございます。
  32. 工藤良平

    工藤良平君 二百三十二条には、財産債務明細書提出義務づけられておりますね。これは個人所得二千万円以上の者についてはこれこれを出さなければならないということになっておりますね。それは「財産の種類、数量及び価額並びに債務金額その他必要な事項を記載した明細書」と、こういうことになっておりますね。これは当然自主申告、みずからがみずからの所得を自主的に申告をする、その基礎の上に基づいて二千万円以上の者については二百三十二条に基づいてこれこれのものを提出をしなさいという義務づけだと私は思っておるわけでありますが、これは当然の税務事務としての私は所掌事項ではないかと思いますが、その点についてはどうでしょうか。
  33. 旦弘昌

    説明員旦弘昌君) いまおっしゃいました当然の税務事務とおっしゃいますのが納税者義務であるかということでございますれば、さようなことでございます。
  34. 工藤良平

    工藤良平君 そうしますと、もう少し具体的に聞きましょう。  田中総理——これは田中総理だけ引き合いに出して申しわけありませんが、全く時の人でありますから、しかも総理でありますから、私は具体的にお聞きをいたしたいと思います。田中角榮氏の申告所得額は、当然、二百三十三条に基づいて公示されておりますね。
  35. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 公示されております。
  36. 工藤良平

    工藤良平君 過去二、三年分でよろしゅうございますが、幾らの額が公示されているか、わかっておりましたら。
  37. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 昭和四十八年分、七千七百九十七万五千四百三十三円。昭和四十七年分、八千五百七十九万二千七百五十円。昭和四十六年分、七千三十七万七千八百七十五円でございます。
  38. 工藤良平

    工藤良平君 いま御説明があったような金額公示をされておりますね、法律に基づいて。したがって、この田中総理申告所得額関係をいたしまして、当然、この方は二千万円をこえておりますから、二百三十二条に基づいて、さっき申し上げましたように財産関係書類以下関係書類は当然の義務として添付して出しているはずだと思いますが、その点について私ども資料要求した場合に、当然これは一般的な所掌事務として、いわゆる国の収入という立場から申し上げまして資料として提出を当然できると私は思いますけれども、その点はどうですか。もし拒否されるとするならば、その拒否される法的根拠を明らかにしていただきたい。
  39. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) ただいま当委員会はじめ各委員会から、田中角榮氏並びに田中角榮関係各種法人につきまして、税務当局で知り得た資料等についての提出要求がございます。ただいま、私どもといたしましては、そのうちどの程度をお出しするかということをいま鋭意検討中でございまして、そのときにこの資料あるいはあの資料というふうなかっこうで御提出するというかっこうになろうかと思います。
  40. 工藤良平

    工藤良平君 それでは、この点については提出をするということが可能になりますね、これは当然なことだと私は思っているんですけれどもね。
  41. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) それはただいま検討をいたしておりますけれども、当然というよりは、やはり私ども提出いたします資料範囲の中に加えていいかどうかということで、各種資料を全部検討しているわけでございます。
  42. 工藤良平

    工藤良平君 それは出せない理由というのは、二百四十三条の守秘義務という関係からですか。
  43. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 税務上の問題でございますし、個人資産内容に関連することでございますから、御協力できる範囲内においてはお出しをいたしますけれども、それが税務上の問題であるか、あるいは個人秘密に属するものであるか、そういったことを検討いたしまして、そして振り分けているわけでございます。
  44. 工藤良平

    工藤良平君 二百三十二条を、法律を読んでいただきたいと思います。これは個人秘密に関する事項がどこにありますか、個人秘密とは一体どういうことをさすと言うのですか、それでは。
  45. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) それは全文でございますか。
  46. 工藤良平

    工藤良平君 どうぞ御自由に。わかる範囲で言ってください、あんた専門家でしょう。
  47. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) これは第二百三十二条でございますが、「次の各号に掲げる申告書提出する者は、当該申告書に記載したその年分の総所得金額及び山林所得金額の合計額が二千万円をこえる場合には、大蔵省令で定めるところにより、その者」カッコは省略いたします、「が当該各号に掲げる日又は時において有する財産の種類、数量及び価額並びに債務金額その他必要な事項を記載した明細書を、当該申告書提出の際、税務署長に提出しなければならない。」、そういう規定であります。以下各号略します。
  48. 工藤良平

    工藤良平君 したがって、これは自主申告というたてまえからしてそれを尊重する意味合いにおいてこれが義務づけられている。これは個人秘密でもなければ何でもないわけであります。このことは最小限のものとして提出をしなさい、こういうことになるわけであります。その最小限の提出が行なわれた、その行なわれた事実の上に立って、この個人所得については誤りがあるかないかということをあなたたちは判断をし、必要があれば、疑いがあれば、これをさらにいわゆる税務関係調査権として調査はできるわけでしょう、ね。そのことが認められているわけです。  二百四十三条というのは、その調査権に基づいて調査をした場合に初めてその調査内容について秘密を守らなければならない事項があれば、それは税務職員の秘密として、初めてそこで限定された税務職員の秘密というものが生まれてくるわけであります。この以前の自主申告に基づいた当然しなければならないこの内容については、何もあなたたちが秘密を守らなければならないという規定はどこにも見当たらないんです、ないんです。調査をするその調査内容について秘密を守るということはあり得るという限定された条項に二百四十三条というものはなって、私は何回読んでもそのようにしか理解できないわけでありますけれども、それにもし反論があればお示しいただきたい。なければ、これは当然出すべきものとして出していただきたい。
  49. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 私たちが入手いたします各納税者の各種の資料というのは、当然、個人財産秘密にまたがることもございますし、それからその営業活動の秘密にわたることもございます。極端に言いますと、申告書提出義務づけられておりましても、その申告書の扶養家族の中にはやはり対外的には秘密にしておきたいといったような事実が記載されていることも事実でございます。そういった意味で、私たちは税務署提出された書類というもの、それの秘密を守るように法律上に義務づけられておるんだろうと思います。そういった意味におきまして、私たちはこの公示された所得金額以外に、これはもちろんその限りにおいて秘密が解除されたものと了解しておりますが、それ以外の書類につきましては提出するということについてお許しをお願いしておるわけでございます。  ただ、この問題につきましては、先ほど御答弁いたしましたように、ただいまいろいろとずっと当委員会におきましても、それからまた各種委員会におきましても、国政調査権の問題とそれから税務職員の守秘義務の問題と非常にむずかしい問題がございまして、いまその問題についての議論が繰り返されており、大蔵省におきましても、また国税庁におきましてもこの問題のいま解決といいますか、何らかその解決に持っていきたいと努力しているところでございます。そういったところで、この資料の問題は一括してこちらのほうから御答弁申し上げたいと思いますけれども、少なくとも現時点におきまして私たちの考えておりますことは、税務職員によって知り得たそういった各人のプライベートの問題その問題については御提出する、部外に出すということについては、お許し願いたいというふうにお願いしているわけでございます。
  50. 工藤良平

    工藤良平君 いまあなたは個人的なプライベートの問題をしきりに言いますけれども、二百三十二条に基づいて義務づけられた書類がそういうプライベートな問題にわたりますか。どこどこにどういうめかけを置いてあって、そこにどういう財産を置いてあるなんということがこういう報告書に出てまいりますか。私はプライベートというのはそういう問題だと思うのですよ。そういうものは出てきませんよ、こういうものに。  私はそういうことを言っているんじゃない。正式に正規の手続に基づいて自主申告がなされた、それに基いた二千万円以上の所得のある者についてはこれこれを出しなさいということですから、当然のことじゃないですか。それまで隠すということはおかしいじゃないですか。そんなものを二百三十二条についてはこれは秘密を守らなければならない、こういう規定がどこにございますか、逆にお聞きしますが。これは秘密を守らなければならないということが明記されているならば明らかにしてください。そうじゃない限りにおいては当然出すべきだと私は思います。
  51. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 財産債務明細書には、積極的に財産のほかに、どういった借金があるとか、あるいはだれから借金をしているとかいうふうな面も書かれておるというのが通常でございます。そういった意味におきましてやはり私たちは税務職員として職務遂行上知り得た秘密である、個人秘密であるというふうに解釈いたしまして、いわゆる職務上知り得た秘密といいますか、あるいは調査関係する事務をつかさどる者の守るべき秘密であるというふうに解釈しておりまして、繰り返し国会でそういった趣旨でお願いしているわけでございます。
  52. 工藤良平

    工藤良平君 あなたそんなことをおっしゃいますがね、ここにこういう本がありますよ。たとえばこれはあなたのところから出ております本ですけれども、その中に「標準率の秘密性の問題」というのがありますね、標準率は税務署の中では秘密とされております。これを漏らしたということで国家公務員法の違反で問われた事実がありますね。一審無罪、二審は原判決破棄差し戻し、そうして一審でまた再び無罪になって高等裁判所にいっているという、その結果はどうなったか知りませんけれども、こういうことで内部的に標準率の秘密ということがうたわれているけれども、その内容そのものについても秘密性に疑義がある、こういうことが裁判所から言われているところなんです。ましてや公式的にこれは公示すべきである、公示しなければならないと規定されたものがなぜ秘密として公にされないのか、私は納得ができない。  二百三十二条、二百三十三条が秘密を守らなければならないということであれば、公示の規定というものができないはずであります、そうでしょう。ですから、この点については私は納得できませんから、これは午後大臣が来て私質問時間が若干いただけるようですから、昼休みの間に十分その点の意思統一をしていただきたい。  そのために、もう一つ私は申し上げておきますけれども、二百四十三条、あなたはしきりに税務職員は秘密を守らなければならないということを言いますけれども、この中にはどう書いてありますか。「所得税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者が、」とこうなっているんですよ、いいですか。これはきわめて限定された税務署の「所得税に関する調査に関する」と、こうなっているんですよ。これはもうきわめて限定されたいわゆる調査、それに対する限定されたものでありますから、私はくどく申し上げますけれども、そのようなことであなたは逃げ込んでもだめです。調査の段階で問題が出てきて、そのプライベートの問題について秘密を守らなきゃならぬということについては、これは人権の問題なり生活権の問題から私もわかります。これ以前の問題ですから、申告が出てきて、それに伴った当然の義務として義務づけられた書類については私は公開すべきだと思う。当然、国会に対してその資料はまた提出をすべきだと、このように私は判断をいたします。それがもし公的にどのような条文でできないということであれば、あと大蔵大臣が午後出席する際に提出をしていただきたい。それまで私はこれを保留をいたします。  そこで、これは会計検査院にお伺いをいたします。  これはことしの二月の委員会でも私は会計検査院とずいぶん議論をいたしました。税収入の問題について一体どのような検査をやられるのかということは私は申し上げてまいりましたが、先ほどからすでに議論をお聞きのとおりでございますが、会計検査院対象としている一体収入というもの、国の収入についてあなた方は検査をしなければならないと、こうなっております。その収入範囲というものは、たとえば所得税ですでに納入をされた、いわゆる所得申告が確定をされて、納入が完了したものをもって収入とみるのか、納税のその過程の中でもし不正があり、それが最終的に更正をされ確定をされる、こういう段階までをさして収入とあなた方は意識していらっしゃるのか、これは検査院が検査をする際の一つの大きな私はきめ手となると思いますから、その点についての御見解を伺いたいと思います。
  53. 白石正雄

    会計検査院長(白石正雄君) 会計検査院法によりますと、検査院の検査の対象となりますものは「国の毎月の収入支出」、それから「国の債権の得喪又は国債その他の債務の増減」というように相なっておりまして、毎月の収入が検査の対象になるわけでございます。しかしながら、その収入がはたして適正に行なわれておるかどうかという根源にわたってこれを調べなければ、収入が適正であるかどうかということはわからないわけでございまするので、そういう調査もいたしておるわけでございます。
  54. 工藤良平

    工藤良平君 もう一つお伺いいたします。会計検査院の検査の任務ですね、「会計検査院は、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」、こういうようになっておりますが、今回の事案のように、田中総理に限って言えば、これはもちろん一般的にも適用できることでありますけれども、もしもその申告所得の中に疑いが持たれる、あるいは関連企業に疑いが持たれる、こういうような事態が発生をした場合に、会計検査院としては、この第二十条に基づく検査というものをどのように解釈をし、どのように適用し、どのような措置を講ずることが会計検査院としての任務の範疇であるのか、その点について御見解を伺います。
  55. 白石正雄

    会計検査院長(白石正雄君) 会計検査院といたしましては、収入支出の適正なる管理ということにつきまして、責任を持って検査いたしておるわけでございまするので、収入が適正に収入せられるべきものが収入せられておるということを確保するように常時検査をいたしておる次第でございます。  本日、御質問のような田中角榮氏について疑惑が生じておるというようなことにつきましては、検査院といたしましても非常に責任を感じておる次第でございまして、かような疑惑の生じないように検査を適切に行なうべきであったと考える次第でございまするが、なお遺漏があったかもわかりませんので、目下、鋭意そういうことにつきまして再検討いたしておる次第でございます。
  56. 工藤良平

    工藤良平君 いま鋭意再検討なさっていらっしゃるということでございますが、それは会計検査院として、どういう範疇のものとしてとらえて鋭意調査をなさっているということでございますか、具体的にお示しをいただきます。
  57. 白石正雄

    会計検査院長(白石正雄君) 御承知のように、検査院といたしましては、税務署から計算証明規則の定めるところによりまして一定の書類を提出させまして、その書面検査を実施いたしておるわけでございます。さらに一定限度以下のものにつきましては、税務署におきまして実地におもむきまして、かなう限り税務署の有する資料に基づきまして適正な課税が行なわれているかどうかということを検査をいたしておるわけでございます。また種々今回のような外部の情報がございまするので、こういった情報につきましては、情報の真実を追求いたしておるかどうかということを質問いたしまして、そうしてその課税の適正をはかるように検査を実施いたしておるわけでございます。  ただいま私どもの行なっておりまするのは、私どもの持っておりまする資料に基づきまして、それの資料に見落としがなかったかどうかということをまず検討いたしておるわけでございます。そういたしまして、また課税上種々情報を聞いておりまするので、そういったことにつきまして関連いたしまして質問すべきことがあれば国税当局に向かって質問を発して、さらに再調査すべき点があれば再調査お願いをするというような運びに相なろうかと思うわけでございます。まだ国税当局に対して質問を発するという段階までには至っておりません。
  58. 工藤良平

    工藤良平君 私は、今回のこの事案が特に政治家、それも一国の総理というたいへん重大な問題でありますから、これはわが国の政治そのものにとりましてもきわめて重大な問題であります。したがってすみやかにこの解明を急がなければならない、このように私は考えるわけでありまして、休会中にもかかわらず、連日にわたって私どもはこのような議論を進めているわけです。  そこで、まず明らかにしなければなりませんのは、いわゆるさっきから議論をいたしてまいりましたように、現在の所得税法自主申告制度になっている、みずからの所得をみずからの正しい判断に基づいて申告がなされているわけでありますから、その現在の出された、すでに確定をいたしました個人田中角榮所得について、その的確性というものをまず明らかにするということが私はきわめて重要だと、このように思います。そういった意味から、たとえば所得税法第二十一条、これによりましてその内容というものは、きわめて明らかにいまされると思うのでありますが、これは会計検査院がいま直ちにできることであろうと思いますが、こういう点について、あなた方は常時検査をするという任務を持ちますので、すみやかな調査とその内容を発表できますかどうか、お伺いします。
  59. 白石正雄

    会計検査院長(白石正雄君) 私どもの手元に持っておりまする資料等につきまして、できる限りの調査を実施いたしておるわけでございまするが、その内容について発表できるかどうかという御質問に対しましては、検査院といたしましても守秘の義務がございまして、検査の対象といたしておりまする税務官署におきまして秘密としておる事項につきましては、これを公表することを禁じられておるわけでございまするので、その点、当該税務官署につきまして資料の御要求お願いをいたしたいと考える次第でございます。
  60. 工藤良平

    工藤良平君 それでは、具体的に私はもう少しお聞きしましょう。  いま私が申し上げました第二十一条、計算の順序という一つのあれがありますね、所得税申告をする場合に総所得を出しますね。いま公示は総所得、それから山林所得とか退職所得とかあるわけですね。ところがこの第二十一条の計算の順序というところには、所得を、たとえば利子とか配当、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林、譲渡所得、一時所得、雑所得ということで十の所得の分類をすることになっています。これは何も秘密事項じゃありませんね。自主申告の中でそういう所得の分類をして、それぞれ必要経費があれば必要経費を差し引いて出しなさい、こういうことが公に法律の中でうたわれております。昨日、共産党のどなたでしたか、質問をいたしておりましたけれども、競馬の収益がある、この競馬の収益についてはどのような計算のしかたをして所得の中に入れなさいという計算があります。  おのずから公示をされました第二百三十三条に基づいてさっき発表されましたですね、たとえば四十八年度、七千七百九十七万五千四百三十三円という申告所得が出ております。この内容が、いま申し上げました計算の順序として十のそれぞれの分類で計算をなされたものが二百三十三条として発表されているわけでありますから、当然この公示をいたしました内容というものは私は明らかにされるものだ。いわゆる申告所得額の十の内訳、これについて会計検査院として現在調査をなさっているということでありますから、これはそんなにひまの要るものじゃないと思います。目白の住宅、いわゆる田中さんを担当している税務署調査をすればすぐわかることでありますが、これについて会計検査院として、資料として提出していただきたいと思いますが、これできませんか。
  61. 白石正雄

    会計検査院長(白石正雄君) 会計検査院税務官署について調査をいたしております。税務官署が秘密とする事項が何であるかということにつきましては、これは当該官署において決定されるべき問題だと考えるわけでございまして、何が秘密であるか何が秘密でないかということの会計検査院としては判定の基準を持たないわけでございます。したがいまして御要求のような資料につきましては国税当局に向かって御要求をいただきたいと考える次第でございます。
  62. 工藤良平

    工藤良平君 私はこれは全体的にすでに両院でもって田中総理の三十何年以来のいわゆる申告所得に基づいた関係書類の要請が出ておりますから、もちろんそれは一般的なそういう問題として出てくるものだと私は理解をするわけです。後ほど大蔵大臣と相談をしていただきまして、その点に対する御答弁をいただきたいと思っているのですが、会計検査院としてあなたたちがこういうものは調査できるわけでしょう。たとえば田中総理申告所得内容について、現在出ているものを正しいかどうかということを調査をするということは可能ですね。
  63. 白石正雄

    会計検査院長(白石正雄君) 調査をすることは可能でございます。しかしながら、その調査内容につきましてこれを公表するかどうかということにつきましては、税務官庁でありまするところの国税当局の意向に従わざるを得ないと思うわけでございます。と申しまするのは、私ども検査院といたしましても、職務上知り得た秘密につきましてはこれを漏らしてはならないという規定がございまして、守秘義務があるわけでございます。しからば、その内容の職務上知り得た秘密というのは何が秘密であるかということにつきましては、これは所管官庁である国税当局において決定されるべき問題であろうと考えるわけでございまして、私どもにはこれが秘密である、これが秘密でないという決定権限はないわけでございます。したがいまして原資料につきましては国税当局に向かって御要求お願いいたしたいと、かように申し上げておる次第でございます。
  64. 工藤良平

    工藤良平君 そういたしますと、あなたは第三者機関として、全く独立をいたしました第三者機関としての会計検査院が、ことしの二月に私と議論をずいぶんいたしましたですね、この問題についても。その際に、あなたはどのような御答弁をいたしましたか、非常に前向きの答弁を最終的にいたしたわけですね。いまのように秘密事項秘密事項ということで会計検査院がそれにほおかむりをしていけば、いつまでたっても国の収入に対する是正というものはできませんじゃないですか。いま私が申し上げましたこの十の分類というものはちゃんと義務づけられた分類なんですね、いいですか、この分類の内容が何の所得幾らあった、何の所得幾らあったということも明らかに検査院としてはすることができないのですか、田中総理であるからできないということなんですか、一般的にそういうことができないのですか、発表したことはございませんか。いままでおたくが収入に対してあまり積極的に実は調査をそこまでしなかったと、そこまで至りませんでした、しかしこれからは積極的に、特に昨年のあの買い占め売り惜しみが発生をして以来、その企業に踏み込んででも調査をいたします、その結果についても発表いたしますと、こういうことをあなたは約束をしたわけなんです、いいですか。(「ケース・バイ・ケースだよ」と呼ぶ者あり)約束したわけなんです。おそらく私は実際に商社やそういうものについても調査をなさっていらっしゃると、これは時期を見てその報告を求めなければならぬと思っているんですが、当然会計検査院というのは独自の立場から、独立した機関でありますから、私は当然の義務としてそのものを緊急の問題として私は調査の結果というものを明らかにすべきだと、このように思いますが、もう一ぺんその点。
  65. 白石正雄

    会計検査院長(白石正雄君) どうも答弁を繰り返して申しわけない次第でございまするが、会計経理を正すというためには私ども全力を尽くして検査をいたしておるわけでございます。去る二月におきましても、工藤委員からいろいろ御叱正を承りまして、鋭意努力いたすということにつきましては私答弁申し上げた記憶がございます。しかしながら各行政官庁はそれぞれ秘密事項を持っておるわけでございまして、そういう秘密事項につきましてこれを公表するかどうかということはまた別個の問題であろうかと思うわけでございます。各行政官庁の秘密にわたる事項まで検査院がこれを公表すれば、それは各行政官庁が困るわけでございまして、その秘密を保持すべきところの問題につきましては、やはり国家公務員法上職務上知り得た秘密は漏らしてはならないという規定の適用は受けておるわけでございまするので、したがいまして、その法律の規定に従って秘密はこれを順守すべきものと考える次第でございます。  しからば、何が秘密であるかということでございますが、これはその当該の担当いたしておりまする行政官庁において決定されるべきことでございまして、私ども何が秘密であり、何が秘密でないかということを決定するような権限は持たないわけでございまするので、各行政官庁にその点は協力をいたしまして、秘密の順守につきましては各担当行政官庁の意見に従うのが適当であろうかと考えておる次第でございます。したがいまして、御要望のような点につきましては、これは国税当局において所有しておる資料でございまするので、国税当局に向かって御要求お願いいたしたいと、かように申し上げる次第でございます。
  66. 工藤良平

    工藤良平君 ことしの二月のときのように、あなたといつまで議論してもさっぱりこう要領を得ぬわけですけれども、それではもう時間が来ましたから、私、一つだけこの点を明らかにしておきましょう。  あなたはしきりに知り得た秘密ということで秘密ばかり言うのですけれども、まあ国民の知る権利という立場からすると秘密というものはあり得ないと、こういうことになって、税のいわゆる公平の負担ということからいたしましても、私はあなたのおっしゃることについては納得できないわけです。ただ、あなたがしきりにそう言いますから、それじゃここであなたが判断して言えることは、早急にこれは一個人の現在申告されている部分が二百三十二条、あるいはこのいま私が指摘をいたしました二十一条の計算の順序、そういうものについてはそう何日もかかりません、一日もあれば片づきます。私どもしろうとでも一日あれば片づきます、こんなものは。これが正しいかどうかというものを直ちに調査をしていただいて、その内容を正しいか正しくないかということだけでもいいですから、私は明らかにしていただきたい。
  67. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) ちょっと補足して御説明申し上げたいのでございますが、ただいま工藤先生からいろいろ御指摘ございました、個人所得につきましての書類があるではないか、こういう御質問でございますが、実際のところ、ただいま会計検査院税務上の書類として提出されておりますのは、個人所得につきましては、事業所得のないものは全然来ておらないわけでございます。これは検査の便宜上簡略化しておりまして、実地検査に参りましたときに各税務署に保管されております書類を調べる、こういうたてまえになっておりまして、ただいま先生が御指摘になりました田中角榮氏の書類について直ちに調べろと、こういう御質問でございますけれども、これはそれが保管されております税務署に参らなければならないわけでございまして、当然、私どもといたしましても、これは早急に許された時期にこれを実施したいと、こういう考えでございます。(「電話かければすぐにわかるよ」と呼ぶ者あり)
  68. 工藤良平

    工藤良平君 会計検査院長はさっき調査をしていると言ったじゃないですか、何をしているんですか、それじゃ。あなたはまだ書類が出ていないからできませんと、こう言ってるんでしょう。あなた調査しているとさっき言ったじゃないですか、ぼくに。うそですか、それじゃ。うそですか。調査していると言ったじゃないですか。(「すると言った」と呼ぶ者あり)いや、していると言った。当然、こういう事態が起こって一日も早く疑惑を解かなければならぬわけでしょう。現在申告されている部分については間違いがありませんということが田中さんにとっては必要なんでしょう。私は田中さんを擁護するわけじゃありませんけれども、政治家として当然それは一日も早く現在申告されておるものは正しい、あるいは正しくないということを明らかにされることが私は当然だと思うのです。そのことをいまあなたは直ちに、これだけ問題が出ているのだから、常時検査をすることができる、こう条文ではなっているわけでありますから、すでに三十八年の田中総理所得については確定をしているわけでありますから、それについて直ちに税務署に出向くなり、あるいは報告を求めて、田中さんの個人申告のすべての書類を持参をしなさい、こういうことをあなた言えないですか。会計検査院として当然じゃないですか。それを直ちに私は実施をしていただいて、調査の結果を発表していただきたい。
  69. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) ただいま調査の段階での御質問、院長の答弁と多少食い違った形になっておりますが、これは院長は全体についての調査と、つまりただいま問題になっておりますいろいろな情報、その他国会における御指摘の数々、そういったものにつきまして法人の面から、個人の面からこれを調査しなければならない、そういうことを包括的に申し上げたわけでございまして、個人のものにつきましても、いろいろ過去に税務署におもむきまして、調査した人間に個々に事情を聴取している、まずその段階でございます。
  70. 小谷守

    理事小谷守君) 工藤君に申し上げます。割り当ての時間が経過いたしました。簡潔にお願いします。
  71. 工藤良平

    工藤良平君 はい、すぐやめます。こっちは簡潔ですけれども、向こうがいろいろ言うものですから。  だから、これ調査できるわけでしょう。できないという法文は何もないわけですから、直ちにこれは調査をしていただいて、その結果を、詳細はもし秘密とか何とかということがあれば、最悪の場合にはやむを得ませんけれども調査終わりましたと、その結果、この現在申告されておる内容については間違いありませんならありませんということだけでもけっこうですから、直ちにこれはやっていただきたい、こういうことを申し上げて、それでは午後に譲ります。
  72. 小谷守

    理事小谷守君) それでは午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四分休憩      —————・—————    午後一時四分開会
  73. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前中に引き続き、昭和四十七年度決算外二件を議題とし、大蔵省決算について審査を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  74. 工藤良平

    工藤良平君 まず大蔵大臣に、私は午前中の資料提出の問題でいろいろ議論をしてまいりましたので、問題を二つに分けまして、簡単に私、御返答いただきたいと思います。  その一つは、二百三十三条で申告所得公示をするということが義務づけられておりますですね。個人一千万円、法人二千万円以上のものについてはこれを税務署公示すると。そういうことになっているわけです。それと関連をいたしまして、先ほど私は、二百三十二条は、「財産債務明細書提出」ということで、自主申告に基づきました個人二千万円以上の所得者は、財産債務内容についてその書類を提出をしなければならないという規定があるわけであります。これは一般的な税務の事務として当然のことがなされなければならないという規定があるのでありますから、この資料については、この国会に提出をするということを拒否すること自身が、全くこの法律を無視することになると私は解釈をいたしておりまして、二百三十四条のいわゆる「当該職員の質問調査権」に基づく調査内容について秘密を守らなければならない事項というものと区別して考えるべきだと、このように午前中も議論をしてまいりましたが、これは当然のことだと思いますので、資料提出につきましては、自主申告に基づいた一千万円以上の公示、さらに二千万円以上の方々の三百三十二条に基づいた資料については、当然国会に対して提出をすべきものと私は考えるわけでありまして、この点については、大蔵大臣のひとつ結論によりまして、ぜひ本委員会提出をするように御回答を求めたい。もしそれが提出できないとするならば、その提出できない法的根拠を明らかにしていただきたい、このように思います。
  75. 横井正美

    説明員(横井正美君) 法文の解釈につきまして一言だけ御説明を申し上げたいと思います。  所得税法の二百四十三条につきまして、工藤先生から午前中も御質問があったわけでございますが、二百四十三条には、「所得税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者」と、こういう表現がございまして、「所得税に関する調査」だけではございませんで、「調査に関する事務に従事」すると、こういう表現でございます。  これは申告書あるいは申請書等が出ます段階から、申告審理、実情聴取、実地調査、それから更正決定に至りますところのすべての事故に従事しております場合におきまして、その事務に関して知りました秘密というものは、これを漏らしてはいけないというふうになっておるわけでございます。  したがいまして、二百三十三条におきまして「(申告書公示)」の規定がございますが、この公示の規定は、申告書に記載されました総所得金額というものを公示するようになってございまして、二百四十三条と二百三十三条の関連におきまして、二百三十三条以外の文書につきましては、それが秘密である場合……。
  76. 前川旦

    委員長前川旦君) 直税部長答弁を簡略にしてください。
  77. 横井正美

    説明員(横井正美君) というふうに考えております。
  78. 工藤良平

    工藤良平君 私は先ほどあれだけ言ったじゃないですか。いいですか。二百四十三条というものは、「所得税に関する調査に関する」ということになっているわけでしょう。所得税全般じゃないんですよ。「所得税に関する調査」についてと、きわめて狭められているわけです。それは結局その前の条の二百三十四条の「(当該職員の質問検査権)」について——いいですか。質問検査権がある、その質問検査をするその職員が、その質問検査の事務に関してこの二百四十三条というものは適用されるのだ、こういうように私ども解釈せざるを得ないのです。拡大解釈はできないんですよ、全体的なものとして。ですから、自主申告が行なわれたものについて、二百三十二条、二百三十三条に基づくものは当然の義務としてこれは出すべきものであって、これは公開するのが当然である。いわゆる、国会から要求されればそれは出すのが当然であって、それを秘密事項として拒否すること自身が法的に逆に触れるということになるんです。その点を明らかにしていただきたい。それをもし出さなければ、あなたは忠実な公務員でないということから、公務員法に逆に問われるということになるわけですよ。その点を私は大蔵大臣に統一見解として、昼休みに打ち合わせをしておいて、はっきり御回答いただきたいということですから、もうあなたの回答はそれ以上要らないんです。違うんです、観点が。
  79. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 工藤さん御承知のとおり、いまの所得税法は、納税者の自発的な申告を基礎としてでき上がっておりまして、一千万人に近い納税者の御協力を得なければ、五万人が、五万人の中で申告所得税を担当しておる者が何人おりますか、それだけの者が的確に所得を捕捉するということはなかなか至難でございます。したがって、所得税法はいろいろな制度を設けまして、いま御指摘のように、申告書等をお願いいたしまして、税務署税務当局調査にあたりまして、もうそれを見ればそれだけの調査は省けるわけでございますから、そういうことでございます。したがって、その申告書を見まして、そのうちで確実なものは省けますし、そこでなお調べなきゃならぬものは調べていくという手順になるわけでございます。したがって、この申告書等を通じて知り得たことも、税の調査を通じて知り得たことでございますから、理屈の上から申しますと守秘義務にかむされるわけでございます。  私はそこで、それでは、いままさに国会との間でやりとりをお願いいたしておりますのは、まあ守秘義務というものと国会の御審議、あるいはさらにそれが進んで国政調査権、そういうものとの関連においてわれわれがそれをどう受けとめて、どのように措置をすれば、立法府が要求いたしておりまする税制にいたしましても、あるいはその他の法律によって要求されている目的が達成できるかということをいま検討いたしまして、ただいままでのところ、私が申しましたように、いままで公示いたしましたもの以外は、なかなか国税当局のほうはかたくなにみんなかむるんでごかんべんいただきたいということで、各委員会で御理解を願っておるわけでございます。  しかし、はたしてそれでいいのかどうかということがまさに私の問題になるわけでございます。そこで、この立法趣旨がどこにあるかということをよく見きわめまして、どこまでわれわれはそれではお出ししなければならぬものか、これは単なる抽象論でなくて、具体的にきめなけりゃならぬことでございますが、本委員会ばかりでなく、衆参両院の他の委員会からも資料提出をせよという御要求を受けているわけでございます。したがって、私どもそれをいま克明に検討をいたしておりまして、ただいままで御答弁申し上げました以上に、どこまでわれわれは御提出申し上げるべきか、御答弁にお答え申し上げるべきか、そういうことを検討いたしておるのがただいまの状況でございます。  法律論から申しますと、いま申しました一応いまあなたが御指摘のものも、守秘義務をかむるという解釈は間違いでないと私は思っております。
  80. 工藤良平

    工藤良平君 それはここであまり法律論議をしてもしようがありませんけれども所得税法の論理とかいろいろどの解釈を見ましても、そういう全体に秘密をかぶせるということはないわけです。この徴税義務秘密というものはきわめて限定されておる。二百三十四条に基づく職員の調査権に対する秘密というものがあるということであって、一般申告に基づいたものについてはそれはないということ、私はそのように解釈をして、この問題を取り上げてきたわけで、特にその点については、先ほども私はくどく申し上げたわけです。自主申告なんですね。私が自分の判断で書いてこれは投函してもいいんです。文書で出してもいいんです。税務署に持っていって説明しなくても全くいいんです。税務署の職員が、この私なら私の提出した書類について質問をしなければならない、調査をしなければならないというときに初めて、二百三十四条の調査権というものが効力を発し、その調査に基づいた秘密を守るという条項が二百四十三条の秘密の条項に触れるわけでありますから、その点が、いま言う非常に曲解して、曲解よりもむしろ広げ過ぎてものを考えているわけです。そういうことではないということ。  ですから、私は、当然の義務として公示をすべきもの、しかも計算の順序として、十の項目所得を分けて申告をしなければならないということが明文化されている、その秘密を守らなければならないということはどこにも書いてない。そういうことからいたしまして、この秘密を守るということは限定された事項のみだと、したがって、自主的に文書によって申告書を投函するだけでよろしいというこの自主的な所得税法には、その秘密事項は当たらない、私はそのように考えます。  時間もあまりありませんから、ぜひ大臣に前向きの姿勢で、その点については、その部分については出してよろしいと、しかし、調査権に基づいた調査秘密事項について私はそれ以上はここでは申し上げません。それは後々の問題として残すとして自主申告に基づいたその時点における資料については、当然出すべきだということを私は主張いたします。その点について、もう一ぺん御回答いただきたい。  さらに、これは時間がありませんから、続けて私は申し上げておきたいと思いますが、先ほど国税庁は、関連企業に対して調査をなさっているということでありましたけれども、それは当然この二百三十四条に基づいた調査権の範囲調査をなさっておると思いますし、それはいつから、どの企業に対して実施をしているか、明らかにしていただきたい。私はことしの二月の委員会におきましても、どこのこの企業についていつ調査をしたかということを資料を求めましたら、はっきりその資料は、私はいただいております。それは発表できるものと思いますから、その点、第二点。  それから、会計検査院につきましては、さっき私が申し上げましたように、いわゆる二十一条の所得の十に分類された内容、そしてまた二百三十二条、二百三十三条とこの関連の中で、すでに田中総理の三十八年までの所得が確定をして納入をされている事実があるわけでありますから、その点について検査官会議で議論をしていただきまして、その部分については、私は、すみやかに中間報告として国会に報告をなさるように手配をお願いをいたしたい。  この三つを申し上げて、私は質問を終わりたいと思います。  なお、関連がありますから。
  81. 前川旦

    委員長前川旦君) 答弁、簡略に願います。
  82. 横井正美

    説明員(横井正美君) すでに、この席上で国税庁長官あるいは国税庁次長から御答弁申し上げましたように、調査の種類は非常に種々ございまして、いろいろ深浅の度合いがございますけれども、先生の御指摘のございました質問調査権の行使を含む調査を開始してございます。
  83. 中橋敬次郎

    説明員中橋敬次郎君) ただいま工藤委員のおっしゃいますように、申告書あるいはそれに対する付属書類からあとのいわば、税務職員の質問検査によって知り得たことだけがいわゆる守秘義務に該当するかという御質問でございますけれども、われわれは、守秘義務というのが税務行政の円滑な実施ということを目的にしておるということ、それからまた、申告書でもってまずは納税者が正しい申告をしていただければ、それが適正な課税の実現を果たすものでございますから、それも一番われわれとして望ましくて、更正決定などのために税務職員が質問検査をするということよりは、正しい申告がまず第一に出てくるということがこの申告納税制度の本旨でございまするから、それも申告書類あるいはその付属書類から調査に関する事務上知り得た秘密と解しております。
  84. 白石正雄

    会計検査院長(白石正雄君) 午前中も御答弁申し上げましたことの繰り返しになりまして、まことに恐縮でございますけれども、私どもが検査上知り得た内容というものは、国税庁当局について知り得た内容でございます。いま、国税庁当局がその税務秘密をどこまで公表できるかということにつきまして論議が行なわれておるわけでございます。私どもはその論議の帰結するところに従いまして、国税庁当局が秘密とするところは、やはりこれを尊重しなければならないと考えておるわけでございまして、したがいまして、その御要求内容につきましては、国税庁当局に御要求お願いをいたしたい。私どもからは、そのような職務上の秘密に属することがどこまでが秘密であり、どこまでが秘密でないかということを判定する権限はないものと考えるわけでございまするので、さよう御了承願いたいと考える次第でございます。
  85. 須原昭二

    ○須原昭二君 工藤さんの質問に関連をして、きのう同じような趣旨で、室町産業等々における法人税法第百五十二条の三千万円以上、いわゆる公示による申告所得、この問題について室町、新星、パール産業等この四件の四ヵ年度の実は申告所得額を明らかにしたわけです。ただし、この問題についてあまりにも時の資本金と比べて申告額が低い。したがって、更正決定をしたのかどうか、こう言ったら、その数字は明らかにできませんと言います。もちろん、その数字は明らかにしていただかなくても、この更正をしたかしないかというその事実確認だけでも明らかにせよと言ったら、これは守秘義務で、いまごかんべんを願いたいと実は答弁がありました。  したがって、私はきょう、きのうは大蔵大臣お見えになりませんでしたから、きょうに保留してまいったわけでありますが、先月の十月の二十五日、私は大蔵大臣にこの問題について、守秘義務について質問をいたしました。そうしたら、ひとつこれを開示をして公表するかどうか、この点についてはしばらく検討する時間を与えていただきたい。私はこの検討の時間を与えることに了承しました。すでに二十日間たっている。その間において、十二日の大蔵委員会においては、ケース・バイ・ケースでこれを公表する。いかなる場合に公表し、いかなる場合に公表しないのか、その基準を明らかにせよときのう迫ったら、これまたしばらく時間をかしてくれと、こういうことなんです。どこの範囲まで公表し、どこの範囲まで公表しないか、この点が明確にならないと、いつまでたってもこの論議は収拾しません。  この際、私は、当委員会が終了するまでに、このケース・バイ・ケースなる問題、あるいは国政調査権と守秘義務との関係、この点について政府の統一見解を示すべきだと思います。この問題が示されない限り、いつまでたってもこの論議は、都合の悪いときだけは黙っておれ、都合の悪いときにはごかんべんください、御了承ください、言えません、そういうことで逃げるだけです。論議はかみ合いません。この点は特に委員長を通じてお願いをいたしますが、政府に対して統一見解を示すように強く要求をいたします。  以上です。どうですか。統一見解を出してください。
  86. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 須原委員の仰せられること、私もよく理解できるわけでございます。私どもも税法上の守秘義務につきましては、税制の円滑な執行の上から申しまして厳正に守っていかなけりゃならぬという考えに立っておりますことも御理解をいただいておると思うんでございます。しかし、国会のほうで御審議を願う上におきましていろいろ御要求がある、あるいはそれがさらに発展いたしまして、国会の国政調査権にかかわるというようなことになってまいりますと、この両方とも立法府で御決定になりました法律でございますけれども、それをどのように立法趣旨に沿った措置をとるべきかということを行政府として十分考えにゃならぬと思いまして、要は、これは結局抽象論でなくてどこまで御答弁ができ、どこまで資料が出せるかという、そういう問題はケース・バイ・ケース、この秘密を開示することによって失う国益と、秘密を開示することによって守られる国益と、それを勘案して考えなけりゃならぬということに、どう考えてみてもそういうことになるわけでございます。(「その基準だよ」と呼ぶ者あり)しかし、そんなことをいつまで言っておってもいけませんので、しからばどうするんだということで、私どもはケース・バイ・ケースでこれは考えさせてくださいということを申し上げた。そこで、(「明らかにしたことないじゃないか、いままで」と呼ぶ者あり)  これからが答弁になるわけでございます。(笑声)ケース・バイ・ケースをそれじゃ、そんなことを言ってもそれは逃げ口上じゃないかと、こう言われることも私はよく理解できるわけでございますので、さらにそれでは、守秘義務としてどこまでわれわれは踏み出すことができるかということを、具体的なケースに応じていまいろいろ検討をいたしておるわけでございます。そこにおのずから何かの基準が出てきやしないかということにつきまして、いま検討をしておる最中でございますので、(「二十日間たったよ」と呼ぶ者あり)できるだけ近い機会にそれを御開示申し上げるようにいたしたいと、いませっかく鋭意検討を進めておるということでございます。政府は決してなまけておるわけではないのでございますので、御要望になるべく早く沿いたいと存じまして、鋭意検討を進めておるということで、御信頼をいただきたいと思うのでございます。
  87. 小谷守

    小谷守君 大蔵大臣、たいへん御苦労さんです。十月二十五日の本委員会で、守秘義務と国政調査権との関係については政治的な打開をはかろう、国政調査権を尊重するという立場で政治的な打開をはかろう、そのために苦吟ということばをお使いになりましたですね。苦吟をしておるんだと、こういうことでございました。須原委員が言われましたように、あれから二十日たちました。きょうは守秘義務というものについての、私はできるならば結着をつけたい、こう思うのです。いままで二十日間の議論は、当委員会におきましても、また、大蔵、法務その他の委員会におきましても堂々めぐりでしょう。円周の上をぐるぐる回っておるようなものです。こういう不毛の議論は続けたくないんです。大臣も同感ではありませんか。  そこで、そうは言いながらも、これについて若干の推移があったことは事実です。たとえば柳田政務次官は、当委員会に出席してかなり前向きとも見えるような発言をした時期もありました。あるいは、いまお話しのケース・バイ・ケースというふうな表現をお使いになったこともある。そうして、十月二十五日の当委員会における大臣の御答弁では、税務職員のやった徴税行為については万間違いはない、信頼しておるという固い表現でありましたが、にもかかわらず、間違いがあったかもわからぬから再調査をさしておるというふうなふうにも推移をしております。  が、しかし、そうは申しましても、依然として頑迷と申しましょうか、固陋と申しましょうか、守秘義務という隠れみのを使って、そうして今日まで国政調査権を退けてまいっておる。今日のあなた方のかまえておられる守秘義務という姿勢は、守秘義務ということではない。そういうまじめな態度ではない。つつましい態度ではない。これは証言拒否権、秘密保持権というふうな高ぶった姿勢にいつの間にか変わっておる、こういう点につきまして私どもはたいへん残念に思います。  そこで、二十日間苦吟をされた結果、その結論をお聞かせ願いたい。もうケース・バイ・ケースとか、これからまた考慮するとかいうふうなことならば御答弁は要りません。二十日間かかって何をお考えになったか。きょうは決着をつけたい。
  88. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 税法上の守秘義務がどうして設けられたかにつきまして、あらためて小谷委員に御説明申し上げるまでもないと思います。しかし、おさらいでございますので、私の理解するところを申し上げますならば、納税者のプライバシーを守るということ、それから、それに関連して第三者の秘密、あるいは第三者の信用、そういうものにかかわることを、それを侵すことを守るということ、さらに税務行政の執行の内部のやり方、方法、そういったことを開示することをいさぎよしとしないといういろいろな理由をもって、守秘義務を立法府によっておきめいただいたことと思うんでございます。で、私は、したがってどのように考えるにいたしましても、やっぱりこの立法の趣旨は尊重し、国税税務の執行に当たっておる者は拳々服膺をしてやっていただかなければ困ると思うんでございます。それは、そこそこにしてというわけにはいかぬと思うんでございます。  そこで、ただこれは税法という立場から言ったことでございますが、いま小谷委員がいみじくも言われたように、国会は、国会の立場で国政調査権をお持ちになっておるばかりでなく、一般の国政につきまして広く深く御審議をされる権能を持たれておるわけでございます。この国会の持たれておる権能と、またこの税務当局に国会が課した義務、それはどちらが軽いか、どちらが重いかということになるわけでございますが、これに対しまして私は、どちらが重い、どちらが軽いと言うわけにいかないと判断いたしております。両方とも尊重しなければならぬという考えでございます。  その場合、それでは国会が現に御質問をされる、それにわれわれは答えなければならぬ。資料の御要求がございます。したがって、それに対してお答えしなければならぬ。提出すべきものは提出しなければならぬわけでございますが、一方において税法上の守秘義務に縛られ、他方において、国会の持たれる権能に対しまして私どもが協力しなければならぬ義務があるわけでございます。その間どのように考えていくかということでございますが、これは結局抽象論でなくて、ケース・バイ・ケース、当該委員会におきまして十分御討議をいただきまして、行政府と国会との間で折り合いをつけていただかなければならぬことと思うのであります。  それでは、ただいままでどういう資料が御提出できるか、これは先ほどお答え申し上げましたように、本委員会ばかりでなく、衆参両院の各委員会から出された資料要求がたくさん参っております。それから、御質問も今後いろいろおありのことと思うのでございますが、守秘義務というのは、いままで国税庁当局が答えておりますように、少なくとも公示いたしました範囲内にとどまるということでいいのかどうかということを、その後いろいろ検討をいたしておるわけでございますが、これにあまりにも私はかたくなに過ぎやしないかという判断をもって、国税庁にも命じて、どこまで御質問に答えられるか、たくさんの資料要求が出ておりますが、このうちでどこまで資料要求に応じられるか検討しろということを命じておりまして、近いうちにわれわれの考え方というものを御説明申し上げて、御相談いたしたいと考えておるわけでございます。  しかし、その中で二つ、資料自体がどうかという問題と、それから、それを開示する場所、あるいは場面というものを、どういうところであればどういう程度までできるのか、そういうようなことも含めて検討いたしております。国会におきましても、秘密委員会というようなものをお開きいただいて、そこで行政府をお呼びいただいていろいろ御聴取いただいておる例も、過去においてあることを承知いたしておるわけでございまして、私は、そういう場合、そういう場面でございますならば、それではどこまで踏み込んで資料提出ができるか、御質問に答えられるか、そういうことも含めましてせっかくいま検討を急がせておるわけでございます。近いうちにと申し上げておるのは、これはいつまでもこういうことで時日を遷延するつもりはないわけでございまして、これができ上がり次第、早晩、早急に御相談いたしたいと考えておりますので、それをごらんいただいてよく御理解をいただきたいと思いますけれども、もし、そういう場面にわれわれが弾力的に考えられる限界というようなものを誠心誠意出してまいりました場合におきましては、守秘義務との関連も御考慮いただきまして、委員会におかれましても御理解を賜わればしあわせと思っております。
  89. 小谷守

    小谷守君 大臣の御答弁は、初めて御答弁らしい御答弁であると拝聴いたしました。秘密会という制度を活用して、この国政調査権と守秘義務との調整をそこに求めたらどうであろうかという御提起であると思います。これは大臣の御提起としてわれわれも検討に値する態度であると、このように評価したいと思います。  さて、大臣の苦吟の結論めいたものをいま拝聴したわけでありますけれども、いずれにしても、その態度は、これは早くきめていただかなくてはならぬ、これは大蔵省のためにも私はそのことを申し上げたいのです。うじうじうじうじ、二十日間も日にちが経過しておりますうちに、省内からもいろんな内部告発が出ております。また、外部からもいろんな批判が出ております。批判は何か、田中さんの身辺の問題で、その疑義の解消、解明のためにわれわれはやっておるわけでありますけれども守秘義務守秘義務で、そこに閉じこもって、まるで国政調査権と事件の間につい立てを立ててしまって、大蔵省がそのつい立てになっておる。ぐるではないかというような批判も出ておる。私は、そうでないというあかしを立てるためにも、ぜひこれは本委員会の終了までに大臣が政治的な決断をされるべきことであると思います。正規な御提案であるならば、われわれもこれを十分検討をいたしたい、このように考えます。  大臣、事のついでに私は伺いたいんであります。きょうは官房長官の御出席を要求しておったんでありますが、御出席がないようであります。これは、田中総理の盟友とこの委員会で自任をされた大臣にぜひお願いしなきゃならぬことがある。前回、田中総理は、テレビでこの問題についての応答をされたわけでありますが、その中に、総理の官邸になぜ住まぬかという質問に対して、ああいうところに住んでおってはいい政治はできないと、こういうふうなことを言っておられる。そうして、私はそのことが——私だけではありません、国民は非常に奇異な感じを持ってこれを聞いたと思うのであります。田中さんはどういうやんごとないお生まれの方か知りませんけれども、ああいうところに住んでおってはいい政治はできないと、目白三千坪の私邸、ここに、新聞で拝見しますと、毎朝、毎日、きのうは朝だれがそこに行って、夜帰るまでの動静が新聞で報ぜられております。  私が大蔵大臣に申し上げたいのはここから先です。私は、総理の私邸にだれが行こうと、訪問しようと、そういうことをここで議論しようとは思いませんが、大蔵省の高級官僚——次官、局長国税庁長官、そういう名前が見えます。あるいは建設省首脳部が、通産省も。こういうことが公私混同の疑惑の元になっておる。用事があれば官邸に呼んだらどうです。呼ばれて行ったのか、自発的にごますりに行ったのか知りませんけれども、私邸に行くなんていうことはもってのほかのことである。私は、こういうことは直さなければいかぬ。綱紀が乱れておる原因はそういうところにもあるのではありませんか。  伝えられるところによると、大蔵省の人事なんというものは、大臣を飛び越えて田中総理がやるのだ、目白参りしなければいかぬ、庭掃除をして次官になった者もおる、こういうふうに伝えられておりますが、心外な話です。情けない姿を喪家の狗と言いますが、私は、それよりも権門にじゃれつくネコのほうがまだ悪いと申し上げざるを得ない。こういうことは、綱紀を改めるということがぜひ必要だ。大蔵省がなぜ、国税庁がなぜ守秘義務守秘義務と念仏のように言って、この壁をするかということについての国民の疑惑は、こういうところから出ておるのではないかという気がしますが、事のついでに、こういうことは自今させないという言明を賜わりたいと思いますが、いかがですか。
  90. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) その御質問に答えられる資格があるかどうか、私がそういうことに対して答えられる資格があるかどうか疑問でございますけれども大蔵大臣立場総理大臣との関係のあり方として、私が考えておるところを申し上げて、ひとつ御判断をいただきたいと思います。  各省大臣、どの大臣もそうだろうと思いますが、私も大蔵省を預かっておるわけでございます。したがって、大蔵省のことについて全責任を持たなければならぬと思います。人事行政ばかりじゃございませんで、財政全体につきまして、やはり私が乏しいながら、最高の責任を負っておる者と承知いたしておるわけでございます。私は総理大臣のロボットではないわけなんで、自分の責任と自分の判断で仕事をいたして、それに対してやはり責任を負っておる者でございます。  しかし、総理大臣といたしましては、ひとり財政ばかりでなく、全体の国政について処してきた知識を吸収され、情報を受け取られ、それについて、バランスのとれた御判断をされておるお立場にあると思うのでございます。したがって、そういった総理大臣のお考えはわれわれ所管大臣にもお漏らしいただいて、御指導をいただかなきゃならぬ立場にあると思うのであります。したがって、けじめはちゃんと心得ておるつもりでございまして、総理大臣が各省の首脳をしょっちゅうお呼びになりまして御勉強いただくことは、私はけっこうだと思っておりますが、ものごとのけじめは、そこによってものがきまるのでなくて、事はちゃんと筋道を経まして、所管大臣の責任において事がなされ、閣議の決定を経て本ぎまりをしておるというルートは乱さないつもりでおりますことだけは御理解をいただきたいと思います。
  91. 小谷守

    小谷守君 私、それはわかるのです。私が申し上げておるのは、私邸に出入りすることはやめなさいと言っているのです。これがけじめを乱しておる、公私混同の疑惑を生む非常に大きな要因になっておる。呼ぶ者も呼ぶ者です。しっぽ振って行く者も行く者です。こういうことは何省であろうと、これは直ちにやめるべきことだと思う。用事があれば、総理大臣なら局長を呼ぶことはかまいませんよ、それはちっとも。それは官邸に呼ぶべきだ。そういうことを申し上げておるのです。いかがですか。
  92. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) それは総理大臣の仕事のやり口でございまして、総理大臣にお聞きいただかなきゃならぬことでございますが、(笑声)しかし、かたいお話でなくて、ざっくばらんな話といたしまして、官邸にお住まいでない場合、御私邸に火急の場合伺わなければならぬことがたびたび私はあるだろうと思うのでございまして、小谷さんの言われる御趣旨はよくわかりますけれども、その原則で全部押すことは実際上私は非常にむずかしいのじゃないか。総理大臣が現にお住まいになられておるところで御決裁を仰がなけりゃならぬような場合が相当あるということだけは、御理解をいただいておかなければならぬと思います。
  93. 小谷守

    小谷守君 いまの問題、一ぺん盟友として総理と話してくださいよ。国民はおかしく思います。それはそれでおきましょう。  私、時間がありませんから、本論に戻ってもう一度確かめます。この委員会は現状のままで推移いたしますと、理事会が満場一致で承認をした参考人、今朝までで十七人ございます。あなた方が守秘義務守秘義務ということでかたくなな態度をとり続けておられるために、参考人をやむなく委員各位が要求をされるということは当然です。勢いのおもむくところは、次の委員会からは続々とこの参考人を呼んで事情を確かめなければいかぬという推移に相なると思う。また、あなた方の守秘義務守秘義務という今日までの態度を維持されるとするならば、われわれとしても国会法百四条ないしは議院証言法五条、この発動を正面からいたさざるを得ない状況であります。やってみいということならやりますよ。  そこで、大臣の先刻の御提起の問題は、正規に決算委員長に対して本日中に行なわれるかどうか、これを確かめたいと思います。
  94. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) どこまで資料提出に応じられますか、そして、どういう場面においてどういう御要求に応じられるかというようなことをいま鋭意検討いたしておることは、先ほどお答え申したとおりでございます。それはじんぜん日をむなしゅうするわけにいかないので、できるだけ早くいたしたいということも先ほど申し述べたとおりでございますので、こいねがわくは私を御信頼いただきまして、なるべく早く出せということで御了承いただければ非常にしあわせでございますが、いかがでございましょうか。
  95. 小谷守

    小谷守君 大蔵大臣を信頼しておりますよ、私は。尊敬しております。ただ、私ども委員会のこれから先の推移というものはそういう状況になるんです。その責任は、これは民間の方を含めて、民間の方がほとんどですが、三菱重工の社長をはじめ十七人です。理事会で満場一致できめております。この参考人がそういうことです。次回からは、勢いのおもむくところ次々御苦労願わなけりゃならぬ。これは税務当局大蔵省からは資料が出ないからこういう推移になっておるわけであります。ですから、秘密会という御提起がありましたが、それならばそれで正規に、できればきょうじゅうにでも大蔵大臣決算委員長に対してそういう要請をされるべきではないか。私どもは、これは、このこと自体にも問題があります。問題はありますけれども、大臣の新しい姿勢として検討に値するものだと、こういうふうに考えておるわけであります。いかがですか。
  96. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) ただいま本委員会のそういう御要求もございますし、他の委員会から寄せられておる資料提出の御要求もたくさんあるわけです。それに対しまして、いませっかく検討を進めておるわけでございまして、私といたしましては、ここ一週間ぐらいの間に具体的にお答えできるようにしなけりゃならぬと、いま、いたしておりますので、来週一ぱいぐらいの余裕をぜひお願いいたしたいと思います。
  97. 小谷守

    小谷守君 大臣の先ほど来の御発言の中で、国政調査権と守秘義務との関係、何か同じ平面で抵触するような御発言でありますが、そういうことではないということをはっきり申し上げておきたい。それから委員会が次に歩み出すまでにこの確たる態度をお示しを願いたい。きょうということが無理であるならば、委員長にまでこれは至急新しい統一した見解として出していただきたい。われわれはそれを検討するにやぶさかでないということだけ申し上げておきましょう。  まあ、これで堂々めぐりをしておった国政調査権と守秘義務について、一つの打開がはかれるのではないかという気持ちもいたしますが、いずれにいたしましても、先ほども申し上げましたように、あまり無益な誤解を招かぬように、大蔵省が田中金脈の防波堤になっておるというふうなことをなさらぬように御進言をして、質問を終わりたいと思います。
  98. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  99. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  100. 田代富士男

    田代富士男君 質問の最初に、建設大臣が大臣に就任されまして初めて委員会に御出席になりましたこの場所をおかりいたしまして、小沢建設大臣にお尋ねしたいことがございます。  というのは、これは新聞で、このようにおっしゃったか、おっしゃらないか、これはいまからお尋ねするところでございますが、記事を読みますと、「恒例の大臣就任共同記者会見で、「信濃川河川敷問題」について小沢辰男建設大臣は、「私も新潟県の出身だし、国会などで問題になっていることは十分承知している。総理に不正不当は全くないと思っていたが、所轄大臣としてはそれだけではすまされないので、調査して、明確にすべきことはお答えしたい」」、このようにお述べになっていらっしゃいます。これは読み方によっていろいろとれますけれども総理大臣は不正不当なことは全くないと、このように私は思っております、しかし、所轄大臣になったんだから、一応調べてみましょうと、こういう意味に受け取られます。信濃川河川敷問題はこの決算委員会でも大きな問題になっております。建設委員会におきましても、委員会から視察に行きたいと、このような理事会で話が出ましたけれども、このように大きな問題としていま提起をされている信濃川河川敷問題であります。これに対して、いまから所轄の大臣として、建設大臣として事に当たる最初にこういうことを申されたということは、どういうお考えであるのか、真意のほどをまずたださせていただきたいと思います。
  101. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 去る十一日、建設大臣を拝命いたしました小沢辰男でございます。どうぞよろしくひとつ御指導を賜わるようにお願い申し上げます。  ただいま田代先生が言われましたことは、たしか就任の個々の大臣が記者会見であいさつをいたしました際に、どなたかからでございましたか御質問がございまして、お話がございました。私が申し上げましたのは、個々の問題を取り上げての私の見解ではございませんで、私は田中総理を政治家として十分尊敬もし信頼もいたしておりますので、したがって前大臣も、私、新聞によって拝見をしたのでありますが、田中総理には不正不当はないものと信じておるという答弁をしたように新聞で私拝見をいたしましたが、私も尊敬をし支持する一人といたしまして、不正不当はないものと私は信じておるということを申し上げたわけでございます。しかし、頭の中には新潟県に関連する問題等があり、それが建設省の所管事項の中に関連する問題でございますので、したがって就任のあいさつでありますから、建設大臣として就任をしましたあと、十分私は、内容を若干のことは知っておりますけれども、建設大臣の所管としていろいろ今後検討をして調査をしていかなければ何とも答弁ができないことがたくさんあります。知らない問題でございますので、そういう意味で申し上げたというふうに御理解をいただければありがたいと思うのでございます。
  102. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣のお話を聞いておりまして、ほかの省と違いまして、問題になっておりますその問題を解決していかなくちゃならない建設大臣になられたわけなんです。そのときに、個人的な考え方は、いまおっしゃるように、不正あるいは不当なことはないと思うけれどもと。しかし、小沢建設大臣は、個人であっても建設大臣なんです。いま全部が、不正があるぞ、こういう不当なことがあるぞといま問題が供されております。そのときに、それを解決していかなくてはならない大臣が、私は不正はないと思いますと。そういう不正はないという目で見ていけば、どうなりますか。めがねをかけております。赤いめがねですべてを見ますと、どういう色でも赤く見えてしまいます。あなたは、いまから解決していかなくてはならない、こういうことばについては私は慎むべきではないかと思うのです。この点について大臣のお考え。  それと、若干のことは知っていると言う。われわれこの委員会でいま追及しているのは、若干のことすら守秘義務によりまして知らされてない。幸いにも初めていま、若干のことを知っているとおっしゃいましたから、その若干のことをここで披露していただきたいと思います。
  103. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) おっしゃるとおり、建設大臣として建設省の所管行政につきまして十分これから調査もし、きちっとした方針もきめていかなければいかぬ私が、いやしくもたとえ対象がどういう人であろうと、どういう内容であろうと、色めがねをもってこれをながめたり、あるいは歪曲したりするようなことは、これはもちろん毛頭考えておりません。十分法的に検討すべきものは検討し、法的な問題に従って私も方針を定めてまいるつもりでございます。  それから、若干と申しましたのは、この私も新潟市選出の国会議員でございますので、新潟の鳥屋野潟の公園計画等について、あそこが公園になるということについて私が承知しているということをそういう意味で申し上げたわけでございますので、その他の詳しい建設省所管事項についての問題点について知っているというふうに申し上げたのではございません。
  104. 田代富士男

    田代富士男君 私はまだ若輩です。大先輩の小沢建設大臣にこういうことを申して失礼かと思いますが、いまの記者会見の発表でもこういう疑いを持たれるような発言をされたから、ことばづかいに気をつけられたならばということで言いまして、いまの第二点の問題も、これもこういういま物議をかもそうとしているところへ意味ありげな発言をされるから聞きたくなるわけなんですから、こういうことも注意したほうがいいのじゃないかと思います。これ以上この問題に触れませんけれども。  次の問題に私は移ります。昨日この委員会で私は大手町公園の問題を取り上げました。四つの問題点。一つは、大手町公園を廃止しなくてはならないという理由はこれは不明である。第二点は、廃止に至る手続上の問題、これは違法性があるということ。第三番目には、大洋漁業と協和銀行の問題。そしてこの大手町公園の事件が虎の門の公園事件と全く同じ形態でなされている。この問題点を取り上げるということで質問をいたしました。結果といたしましては、第一の廃止の問題、第二の手続の問題で大蔵省、建設省から明確なる答弁が得られなかったままに今日まで持ち越してまいりました。  そこで、幸いにきょうは大平大蔵大臣、小沢建設大臣、御両人が御出席していただきましたから、きょうは昨日のように三回にわたって審議を中断するというようなことのないようによろしく最初にお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、第一番目の廃止になりましたときの問題点として、昨日留保いたしました三十八年十月十四日、第二十九回東京都都市計画地方審議会が開かれた席上におきまして、大手町公園を廃止する理由といたしましてそこで説明が加えられました。その説明によりまして、見解が違ったことが問題点となった一つでございます。その見解の違いというものは何であったかといいますと、端的には、この審議会の会議録の中には、大手町公園に国の庁舎が建設されるから公園を廃止する、端的にそういう理由になっております。それに対する見解の違いがきょう発表されるということでございますから、最初に大蔵省から、その次に建設省から、まずそれに対する見解をお願いしたいと思います。
  105. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 当時の都市計画審議会でございますが、私どものほうの関東財務局のほうの係官も出席しているはずでございます。そのときに、この前の委員会で田代委員に御説明申し上げましたとおり、私どもといたしましては、すでに大手町公園については都市公園計画上の都市公園地区として利用する計画がないというようなふうに理解いたしまして、しからばその後これをオフィス街として利用する払い下げ計画その他に着手したわけでございます。ただ、その際御質問の中で、都市計画審議会の議事の説明で、大手町公園地区についてはすでに官庁の建設計画及び都道の築造計画、これに伴って公園計画の一部に変更を加える、こういう説明があったのにそういう理解とは何ごとかと、こういうことでございまして、私といたしましては前回、もし私どもの担当官が出席いたしておりまして、そういう説明に対し取り消しを求めないでそのまま議事に入ったとしたら遺憾である、こういうようなことを申し上げたわけです。その後、建設省当局といろいろと御相談したわけですが、建設省当局が、これは建設省のほうでお答えになることかもしれませんが、当時の東京都の担当者にいろいろ聞いてみますと、大手町公園地区という説明が不足でございますが、大手町公園地区の隣接地区——現在合同庁舎などが建っておりますが、当該地区が一大官庁街になる。そうなりますと、大手町公園地区につきましては夜間人口も少ない、その他また大手町公園地区につきましては周辺に既存の公園もいろいろある、こういう面から公園計画を廃止するのだというような説明をただいまのところ受けております。
  106. 田代富士男

    田代富士男君 吉瀬局長からいまお答えを願いまして、端的に申し上げるならば、そういう国の庁舎建設がされるというようなことがあるならば、その時点で発言を求めて取り消すべきが妥当であったけれども、しかし、これはこのままなされてしまっているということは、これは遺憾なことであると、そういうことに解してよろしいでしょうか。
  107. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 私どもも実は議事録のみで拝見しているわけですが、私いまそういうことではっきりした説明があればというような意味で申し上げたわけですが、そこら辺のニュアンスにつきましては、建設省当局から御答弁いただいたほうがよろしいかと思っております。
  108. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) たいへんこの問題で再度の御質問でございまして恐縮でございますが、三十八年の都市計画地方審議会におきまして都の説明をした人が申し上げましたのは、確かに議事録にあるとおり、大手町公園の変更につきましては、国の庁舎建設計画その他都道築造計画に伴いまして土地利用上一部の変更を加えたいと考えておりますという説明であります。しかしながら、これも御指摘のとおり、すでにこの時点におきましては大手町地区の官公庁の建設計画がきまっておりまして、この対象区域に公園予定地は入っていなかったわけであります。したがいまして、都の説明員説明した表現ははなはだ簡単過ぎまして、かつ表現も十分でないものですから、あたかも都市計画決定された公園予定地が、予定地そのものに国の庁舎が建つ、そういう計画があるので公園を廃止したいというふうに説明したように見えるわけでございます。  その点の御指摘でありますが、私どもその当の本人にも直接問い合わせ、どういう趣旨なのかということをただしましたところ、これははなはだ舌足らずであって誤解を招いたかもしれないが、実は自分としては、この公園の北側に隣接して官庁街ができる、そうなればあそこに住民等を対象と考えておった近隣公園的な性格の、さきに計画決定した公園というものの性格も変えざるを得ないし、その面積も縮小して、道路に面した小規模なものにすることもやむを得ないというようなことを説明するつもりで、そういう頭でおったのだけれども、ああいう簡単な表現になってしまったのであって、決して虚偽の説明をして審議会を通したということではない、こういうことであります。まあ事実あそこに当時の首都圏整備委員会が建てました官衙地区の計画にも入っていないわけでありまして、そのような見え透いた虚偽の説明をして通すというようなことはなかったものと思います。重ね重ねそのような誤解を呼ぶ表現で審議会に説明したということにつきまして遺憾でありますが、実情及び説明者の真意は以上のとおりでございますので、何とぞ御了承いただきたいと存じます。
  109. 田代富士男

    田代富士男君 これは前回私が大平大蔵大臣にもお尋ねをいたしましたときに、大平大蔵大臣も私が指摘したような事態が生じておることにつきましては反省を十分加えていかなくちゃならないと、こういう意味を申されましたし、いまそれを確認する意味で吉瀬局長にもお尋ねをいたしましたら、そういうような意味の御答弁が返ってまいりました。いま建設省の御答弁を聞きますと、いろいろ説明をされましたけれども、結論としては、虚偽の説明ではなかったと思うと、誤解を招いたということは遺憾であるという、こういう簡単なことですが、ここの都計審の会合が根本なんです。大手町公園がまぼろしのごとく消え去っていってしまったのはここにあるのです。そこで私は建設省に、これは虚偽の説明で、いまここにあります国の庁舎建設という、こういうことばが使われているのは、いま局長説明されたこれの庁舎建設じゃないんだという、こういう意味の説明を長い間されました、十分あまり。そこで私は一つ一つ尋ねていきます。  まず、都計審の運営規則の第六条、第十二条を説明してください。
  110. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 恐縮ですが、ちょっと手元にございませんので、さっそく調べます。
  111. 田代富士男

    田代富士男君 調べてください。
  112. 前川旦

    委員長前川旦君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  113. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  114. 田代富士男

    田代富士男君 また昨日みたいになったらたいへんですから、言います。  第六条は議事の順序が運営規則に載っております。議事の順序は、「一 議題の宣言、二 議案の説明、三 質疑応答、四 討論、五 採決」。それから第十二条は議事録について。十二条「会長は、次に掲げる事項を記載した議事録を作成し、保存するものとする。一 審議会の開催年月日、二出席した委員、臨時委員及び専門委員等の氏名、三 議事日程、四 議事のてんまつ、五 その他審議会の経過に関する事項」、こういう審議会の運営細則になっております。いま吉田局長が、前任者に尋ねたところ、これは表現があいまいであった、簡単過ぎました、表現が十分でありませんでした、足りませんでした、そういう説明をるるされました。しかしこれは、議事録は第十二条によって保管をしなくてはならない。保管をしなくてはならないのに、いま吉田局長の言われるようなあいまいなような状態で、これは後々のために議事録として残してよろしいでしょうか。いま吉田局長説明は十二条の精神からいってどうでしょうか。それでもそれでよいとおっしゃるのかどうかお聞かせ願いたい。
  115. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 議事録として保管しなければならないわけでありまして、その議事録に記載されているものは、先生が申されたとおりの表現であります。先ほど私が申し上げましたのは、そういうことを言ったその真意、虚偽の説明をして審議会を通すつもりであったのかどうかということを確かめましたその本人が、頭の中で考えておったそのことでありまして、それは発言されておりません。発言されておりませんから議事録にも載っていないわけであります。したがって、先ほどるる申し上げましたことは、あくまでも議事録を根拠にしてのことではございません。
  116. 田代富士男

    田代富士男君 そうおっしゃれば私も言いたくなります。局長相手の人に聞いた、そのように言われた。私も相手の人に聞いております。相手の人は、国の庁舎建設のためにということで公園が廃止されましたということを言っております。その証拠にこの書類がなかなか出てこなかったじゃないですか。これは私がさがしてきたのですよ。出してくれと言って出なかった。そういうところから考えても、あなたの聞いたことも正しいとしましょう。私の聞いたことも正しい。対立した場合には、そのためにこういう議事録が必要です。だから、この議事録を追っていきますと、このいまの第六条の趣旨からいきましても、議題の宣言がされて、議案の説明がされております。この大手町公園の議案の説明の中で五つのことがここで説明されております。五つのこと。一つは国の庁舎建設のこと、二つ目には都道築造計画のこと、それから三つ目には土地利用上、一部の変更ということ、一部の縮小ということ、それから追加区域をいたしますということ、五つあります。この五つはすべて大手町公園に関係した五つでなくてはなりません。そのうちに、いまから一つ一つ追っていきますけれどもあとで明らかにされますが、一、二、三、四、五のうち二番目から、二、三、四、五は簡単に説明がつくんです、大手町公園。一番だけが説明がつかない。ことばは国の庁舎建設計画ということに対してあなたは十分間説明された。そんなむずかしい表現であるか。これを前置きにして私は次の質問に移るのは、第二番目に都道築造計画に伴いましてとありますが、これはどういうことをされたんですか。これは五番のうちの二番目の問題から入ります。
  117. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) これは大手町公園の都市計画決定をしておりました地区の一部を、都道を貫通させるということでございます。
  118. 田代富士男

    田代富士男君 そのようにこれすなおに読めば、これは道をつくるということだと、これだとわかるのです。いま局長もおっしゃったとおりに、これは大手町公園の見取り図です。大きい地図で書く時間がありませんでした。どこに道路ができたかと言えば、大手町公園全体、まあ全体と言えば何でございますが、大手町公園です。このまん中に道路をつくるということです。大手町公園のまん中を、ここに道路をつくるということ、長い道路です、これ。ちょっと建設大臣、これ見ておいてください。
  119. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  120. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  121. 田代富士男

    田代富士男君 それじゃあいま第二番目は、この審議会の会議録で、都道築造計画ということは道路をつくることだ、大手町公園の指定地のまん中を道路が通った。そうするとお尋ねをいたします。道路をつくるということは、いなかと違いまして東京のどまん中の場合、道路だけつくって両側に家を建てないということあるでしょうか。道路ができたならば両方に家を建てるということは、まして土地の不足な東京であるならば建物が建つのは当然じゃないですか。ということは、二番目の道路がついたということは建物が建つということじゃないですか。この点、建設大臣どうですか。初めてであってもこのくらいの理論はおわかりだと思いますが、どうでしょうか。
  122. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 私、道路がついたから建物が当然予定されるということについて、おまえは所管大臣としてどう思うかと、こういうお尋ねでございますが、これはやはりいま先生がおあげになりましたように、都の審議会で五つの議題をあげ議案の説明をしているわけでありますから、それの全体の関連としてお答えをする以外にはないと思いますので、一般的に道路が、こういう過密の都市のまん中にりっぱな道路ができれば両側に建物ができるのは当然じゃないか、おまえそう思わぬかと、こう言われましても、一般的にはあるいはそういう場合もあり、あるいはそうでない場合もあると思いますし、どうも先生の御質問の御趣旨、どこへ落とそうと考えておられるかちょっとわかりませんので、(笑声)たいへん恐縮でございますが、全体のひとつ関連でまたお答えさせていただきたいと思います。
  123. 田代富士男

    田代富士男君 私、一番最初、大臣はことばづかいに御注意なさってくださいということを申し上げました、若輩の私が。落とそうといって——私はそういう落とす気はありませんよ、大臣。それは一言ことばが多過ぎますよ、(笑声)これは私どうこうということは言いませんけれども。それじゃ、私が落とせば大臣落ちますか。(笑声)  それで、いま大臣おっしゃるとおりに、全体の問題として言いますと、あと三、四、五ありますが、これは全部公園予定地が変更になった、縮小されたと、大手町公園のことばかりです。だから、道路ができたんだから建物が建つのはあたりまえです。それならば私端的に、大きい問題で聞いてくれとおっしゃるから大きい問題で聞きますと、公園を廃止したと、これはわかりました。廃止した公園を何にするつもりであったか。これは大きい問題ですよ。大きい問題を出せとおっしゃったからお願いします。
  124. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 当時は都市計画地方審議会で、大手町公園の廃止についてだけで、それをさらにその中で、その理由として官庁等の建物が計画され、その他都道築造計画に伴いと、こういう何か説明をしているようでございまして、したがって私は、その時点においてこの利用計画はどうかということについては、その当時はまだきまっておらなかったんじゃないかと、こう思います。
  125. 田代富士男

    田代富士男君 大臣、もう一回言いますよ。公園を廃止にしたならば、何か目的があるから廃止をしたわけなんです。何の目的もなしの廃止になるわけはないんです。廃止してから何かに使おうと考えたいというのではなくして、目的があるから公園が廃止されたのと違いますか。大臣、いまのお考えは、廃止して何に使うかということを検討するところまでいっておりませんではなくして、目的があったから、都民のいこいの場所として望まれる大手町公園がまぼろしのごとく消え去っていった。その北側には官庁街、そうして公園が廃止され、公園でなくなった土地、官庁と公園でなくなった土地ということは何を意味するんですか、建設大臣。
  126. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) ちょっと事務当局から先に……
  127. 田代富士男

    田代富士男君 いや、大臣に、いまさっきおっしゃったから。公園を廃止にするような目的があるはずです。その公園の北には官庁街があるんです。この公園は、公園から廃止された土地です。その官庁街と公園でなくなった土地とは何を意味するか、その点をお願いします。
  128. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 私も着任早々でございますから、最初に局長からその辺の事情を事務的に説明をさせていただきまして、それから私の答弁に移りたいと思います。
  129. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) この土地自体を直接どう利用するということが、それが差し迫ってそれで公園を廃止したというわけではなくて、急いでおりましたのは、この都有地を国有地と、別の場所にある築地の卸売り市場の隣にある国有地とこの公園予定地の都有地とを交換するということが急がれておったわけでありまして、そういうことで公園をまず縮小、変更し、次いで都有地を国有地と交換しているという経過でございます。
  130. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと関連して。  また妙な答弁になってきたんですが、公園地の指定を廃止しただけであって、公園の指定してあったんでしょう。それが必要がなくなったからというので廃止したんでしょう。そういう答弁をなさるならわかりますけれども、国有地と交換が急がれて、急がれたから公園を廃止しましたという答弁になりましたね、いま。この辺はっきりしなさいよ。もう一ぺん確認します。私らの理解は、公園に指定しておった、それが必要がなくなったから廃止した。あと何に使う使わないは問題でない。問題にあかっておらぬと理解して——そういう答弁が出てくると理解しておった。ところが、いまの局長答弁は、都有地と国有地と交換が急がれておったから公園を廃止しましたということになりますと、これは公園廃止が重大な問題になってきますよ。  (「そのとおり」と呼ぶ者あり)
  131. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 公園を廃止といいますか、縮小した理由は、あくまでも隣接して官庁が建つという計画になり、したがって、ここの公園の必要性が薄らいだという判断から縮小したものでありまして、ただ、この時期にそういう廃止の議案を急いでやったという理由は何か具体的な利用計画があるんだろうという御指摘でございましたので、そういった上物についての直接の利用計画というものはないと思います。まあ前に御説明した都有地との交換ということが、当時の実際を振り返って見れば事実あったようでございますので、その点を申し述べ、この時期にやったという趣旨を説明したわけでございます。
  132. 二宮文造

    ○二宮文造君 関連。  そうなりますと、田代委員質問したことと同じことになるわけです。田代委員は、公園を廃止したのは何か目的があって廃止したんでしょうと、こういう質問をさっきから繰り返している。ところが建設大臣は、それは落とすんじゃないかというふうな受け取り方をされましたけれども、あなたの答弁はまさにその点に触れているわけです。いまから振り返ってごらんなさい。三十八年に公園を廃止した。よろしいか。で、そのときにすでに都有地と国有地の交換が急がれておったというあなたの答弁を考えますと、あとどうなっているか。四十年のあの国有財産審議会では、都有地と国有地の交換と、三和銀行、大洋漁業への払い下げとが同時に審議会にかかっているわけです。そうすると、まさに三十八年に戻って、公園を廃止するときにすでに都有地と交換をした当該の土地、公園指定地は、三十八年の公園を廃止する時点ですでに大洋漁業あるいは三和銀行に払い下げられる、そういう線を描いて公園が廃止されたということになりますよ。あなたの答弁、重大な答弁です。もう一度確認します。
  133. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 確かに廃止がありまして、間もなく一部が国有地と交換されているわけでありまして、その交換されました元国有地で新たに都有地になったところにその後築地の卸売り市場が拡張されたということでありまして……
  134. 二宮文造

    ○二宮文造君 そのことじゃない。こっちの国有地になったほう。
  135. 田代富士男

    田代富士男君 中央市場のほうと関係ない。
  136. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) そちらの大手町地区につきましては、公園の必要性が当時の判断としては薄らいだということで縮小いたしたものでございます。
  137. 二宮文造

    ○二宮文造君 それじゃ先ほどの答弁、取り消しますか。国有地と都有地との交換云々があったということは取り消しますか。
  138. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 交換するために……
  139. 二宮文造

    ○二宮文造君 ためにじゃない。
  140. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 公園を廃止したというのは言い過ぎでありまして……
  141. 二宮文造

    ○二宮文造君 だれが言い過ぎだ。あなたが言ったんだ。
  142. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 私が言い過ぎましたのでございまして、訂正させていただきますが、公園としてはあくまで当時その必要性が薄らいだと判断して撤収したものでございます。
  143. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、これは局長、後ほどまた出てまいります。ここではっきり言っておきますが、いまいろいろやりとりがされた根底には、民間の企業に払い下げる目的を持ってやられていたというふうに考える以外にないことがあります。それは後ほど出てきますから、はっきり出てきますから、そのときにまたあらためて答弁をしてください。  第二番目の手続の問題で、昨日、国有財産の審議会が行なわれたあとで、三和銀行並びに大洋漁業から申請書が出されると、こういうようなことはおかしいではないかと、必ずこういう審議会が行なわれるということは議題に付議された何ものかあるはずだ、それを出しなさいということを昨日の委員会で申し上げました。その第五十九回国有財産関東地方審議会におきまして、大手町公園が国有地に返るということが審議されております。いま二宮委員が言ったと同じです。すでにこのときに三和銀行、大洋漁業に対しまして払い下げをするというようなことが議題にされておりますから、申請書というか、それにかわるべきものが提出されてあるはずですから、この点について大蔵省から御説明お願いいたします。
  144. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 昨日私どもまだ事実を確認いたしませんので、その後急遽当時の関係書類等点検いたしました。昨日御説明申し上げましたように、私ども申請書というのは、国有財産の正式払い下げの契約の前提となるような形を備えた申請書ということで、これは非常に一見奇異に感ぜられるかもしれませんが、審議会等で交換受け地とか払い地の概要がきまってから、確定してから申請書を出してもらうというのが慣例になっております。しからば、その前に何もこう具体的なものがなくて審議会が開けるかと、この御質問はごもっともでございまして、私ども点検いたしましたら、大洋につきましては三十九年七月陳情書、それから三和につきましては四十年の五月四日の陳情書、こういうものが出ております。
  145. 田代富士男

    田代富士男君 いま吉瀬局長から御説明いただきましたとおりに、三十九年の七月に大洋漁業から陳情書、四十年五月四日三和銀行から出ております。きょう私が委員会に出席する直前にこの資料をいただきましたが、大洋漁業からの陳情書には日にちが入っておりません。そして受付印もございません。三和銀行のこれには日にちが入っておりますが、受付印がございません。それからもう一つ、四十年六月十六日の三和銀行からの交換申請書、これは受付印もございます。だから、いただきました資料は不完全な資料である、これは届け出ていただきました課長にも、これは不完全でありますということを言い伝えてあります。  そのとおりでありますとお認めになっていらっしゃいますが、一応出された資料を基準にして質問をしなければ、この書類自身は不備な書類でありますけれども、一応出されましたから、これを中心に質問をいたしますと、大洋漁業が三十九年の七月に陳情書を出しまして、これが審議会にかかりましたのが、五十九回の審議会が四十年五月の十二日でございます。そうすれば、約十ヵ月足らずで審議会にかけられております。それから三和銀行は四十年の五月の四日に陳情書が出されております。審議会は四十年五月の十二日でございますから、日にちにいたしまして、これはもうほんとうに何日ですか、八日間。陳情されて八日間後に審議会にかけられる。さすれば、私たち庶民がいろいろ大蔵省や建設省やその他の省へ陳情に行きます。そういう陳情に行ったときに、八日間やそこらあたりで審議をやっていただけるんでしょうか、これは。この点、大平大蔵大臣いかがでございましょうか、ずいぶんスピード審議だと思いますけれども。(「早いということはいいことだ」と呼ぶ者あり)いま、早いということはいいことだということもありますけれども、これはどういうことなんですか。
  146. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) この前の委員会でも田代委員から、いろいろな案件につきまして、ある申請なり陳情が出ましてから、非常に短期間に処理されているというお話が出まして、私実は、陳情書というような書類の形で、あるいは申請書というような書類の形で出る前に、具体的にはいろいろ形にあらわれない状況で数ヵ月も検討期間を経ているはずだと、こういう御答弁を申し上げたわけでございますが、この三和に対する払い下げの審議会付議、これは案件の膨大さからいいましても、その前に、具体的に形は残りませんが、話はいろいろ聞いているはずだと、こう思っております。
  147. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、これは具体的な形で出たのはこういう期間でありますけれども、実際はこれより前に、そういう具体的になる前の話は必ずあったはずだと、これはあったということは言えますか。もしもあったということになりますと、いま、大洋漁業の陳情が三十九年七月ですから、これより前だと、三和銀行は四十年五月四日ですから、これより前だということになる。あったとなるならば、いつごろか、この陳情書が初めてであるか、そこらあたりひとつお願いいたします。
  148. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) おそらく来訪して話を聞くなり、そういうような形でいろいろ具体的な話を聞いていると思います。私、いま当時の当事者から、記録が残っておりませんので、なかなかいつかという記憶を引き出すことは聞いても困難なんでございますが、いまここでかりに推定さしていただきますと、大洋漁業が三十九年の七月に、先ほど田代委員が御指摘のとおり、日付も入ってないと、陳情書としても非常にシンプルな形のものでございますが、そういうものが出たころ、おそらく三和のほうも具体的な話を進めかかったんじゃなかろうかと、これはあくまでも推定でございまして恐縮でございますが……。
  149. 田代富士男

    田代富士男君 この陳情書あるいは申請書を見ますと、大洋漁業も三和銀行も全部大手町公園の地番を、陳情書、こういう申請書に書いてあるわけなんです。だから私は、お尋ねしたいことは、まず一つは、東京都からいまさっき話があったとかいろいろ申されますけれども、いつごろそういう話があったのか、その点まずちょっとお聞かせ願えませんでしょうか。
  150. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 東京都が築地の用地をほしいと、旧国有地でございますが、この話があったのが昭和三十六年、こう聞いております。なおその後、御承知のように国としては都の財政が、非常に四十億をこえる財産でございますので都はキャッシュをもっては払い得ない、しからば適当な対価をよこせというようなことでずうっと話が難航していたんじゃなかろうか、こう思っております。
  151. 田代富士男

    田代富士男君 これで概略が全部そろいました。ということは、もう一つ順番を追っていきます。昭和三十二年に大手町公園が建設省告示千六百八十九号で指定されました。そして三十四年に首都圏の整備委員会のおりに大手地区に官庁街が出たときにもこれは大手町公園ははずされております。そして三十六年東京都から大手町公園と中央市場との土地を交換したいというような話が出てきております。そして三十八年の十月十四日、第二十九回東京都都市計画地方審議会が開かれまして、ここで初めて大手町公園を公園からはずそうという、これがまた縮小ということがきめられております。ここまでよろしいですね。これは経過でございます。ここが問題なんです。  そこで私は、これは大蔵省の所管になるか建設省の所管になるかわかりませんが、いま私が都計審の運営規則をお聞きしたときに、取りに行っているとおっしゃいましたから、もう届いていると思いますから、運営規則の第十一条を御説明願います。
  152. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) まだちょっと手元に届いておりませんので……。
  153. 田代富士男

    田代富士男君 あれから私見ておりますが、四十分たっております。建設省はすぐ前の建物です。取りに行ったのか、いま席を立っていかれたのはいま取りに行ったのと違うのですか、そういう誠意のあるところを示してください。取りに行ったのか行かないのか。
  154. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 東京都庁に行くわけでございます。
  155. 田代富士男

    田代富士男君 都庁といいましても、見えますよ、ここから。十一条を言います。十一条は「(会議の非公開)」「第十一条 審議会の会議は、公開しない。ただし、会長が特に支障がないと認めるときは、この限りでない。」このいま論議しております三十八年十月十四日のこの審議会の内容、すなわち大手町公園であるならば、公園指定地であるならば一切の売買はできません。そのために公園が変更された。そういうことはこれは秘密会でありますから、この審議会に参加している人のみが知ることができます。これが三十八年でございます。三十八年の十月の十四日、これは秘密会でございますから、いまだに私が資料を求めようとしても求められないくらいに外には出ておりません。これを知ってるのは大蔵省、建設省の関係者だけが知ってるはずなんです。さすれば、もういま話がありましたとおりに、三十九年の七月、四十年の五月の時点におきまして大洋漁業や三和銀行からこういう陳情書が、まして私がいま申しましたとおりに、お願いいたしますという場所は大手町公園の場所が記名されております。この時点ではほかからの陳情書等は一切出ておりません。三和銀行と大洋漁業だけであります。秘密会でされた、それを知ってる人はごく一部の人、そして大洋漁業、三和銀行がこういう陳情書、申請書を出してきたということは、どう考えても、これが公開されたものであるならば、これはうなずけますけれども、非公開であったその土地が特定な企業において申請、陳情されたということに対して、大平大蔵大臣、どのようにお考えになりますか。
  156. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 田代委員承知のどおり、築地の卸売び市場につきましては、大洋漁業は東京都と競願の立場にございまして、あの国有地を大洋漁業の社屋として使わせてもらいたいということを東京都と競願の立場申請していたわけでございます。その後東京都のほうに流通市場整備のために払い下げる必要がある、そのほうが緊急性があるということになりましたので、大洋漁業としてはその初めから築地の土地及びその交換につきましては、あるいは関心を持っていたことも無理がないかと、こう思うわけでございます。  それから、いま先ほど御指摘のとおり、昭和三十八年の段階では、都計審が開かれまして当該、東京都が代替地として状来考えていたかもしれないその大手町地区が都市公園地域をはずされたというようなことがございまして、これはまあ一つの推測でございますが、東京都が大手町地区を代替として将来国に提供するやもしれぬと、こういうような推測のもとに陳情書を提出したんではなかろうか。三和がそういう陳情書を同時期に行なったという事情につきましてはつまびらかにしてないわけでございます。
  157. 前川旦

    委員長前川旦君) 質問者は大蔵大臣答弁を求めています。
  158. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私は国有財産事務当局が処理したことに信頼いたしておりますが、経緯につきましては、いま事務当局から御答弁申し上げたことで御理解をいただきたいと思います。
  159. 田代富士男

    田代富士男君 大蔵大臣、私が理解できないし、どう考えても運営規則の第十一条では会議の非公開で一般に公開されておりません。いまだに公開されていない、特定な人のみが知ってる物件です。それがこういう陳情書、申請書、これが複数の申請書があるならばこれはうなずけますが、単数の申請書、しかもそれは三和銀行、大洋漁業、だれも知らない土地がそのように申請される。つまびらかでございませんじゃなくして、私はそれに対して疑いを持たざるを得ないんです。こういうことが、はたしてだれも知らないことがちゃんと、期せずしてこういう一致をいたしましたということは言うわけにいかないと思う。ましてこれは都有地であり、国有財産関係した問題ですから、大蔵大臣、どうでしょうか。三和銀行においてはつまびらかでないということ、こういう疑いがあるから私は昨日の委員会においてもこれを確かめようとしたけれども解明できなかったから、きょうは大臣がおいでになったならば解明できるだろうと大いに期待をしております。その期待をはずれるようなこととならないように大平大臣、ひとつお願いいたしますよ。
  160. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 昭和三十八年に大手町公園地区が都市公園の地域を解除されたその後の利用につきましては、どういうことになるかということは、その後の建設省なり都市計画全般の計画によるわけでございますが、田代委員ごらんのとおり、陳情書にはおのおの都有地なり、あるいは将来国有地になった場合というような言い方で陳情してきております。おそらく築地のあれだけ膨大な資金を要するものに対する代替地を都が提供するとすれば、残っているのはここしかないだろうと、こういう推測も、あれだけの膨大な土地移転でございますのであり得ますので、そこら辺私どもといたしましてもどういう経緯でなったかわかりませんが、陳情書が出たのは、推測すればそういうことじゃなかろうかと思います。さらに、大洋漁業につきましては、東京都と競願の立場にあったので関心が強かったんじゃなかろうか、こう思うわけでございます。
  161. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いまお答え申し上げましたように、経緯は私詳しく存じませんけれども、私といたしましては、わが大蔵省における国有財産当局が管掌をいたしておる仕事のやりっぷりは間違いないものと私は信じておるんであります。ただ、それがいろいろな経緯をお調べいただきまして何か非違があったという御指摘がございますならば、それはまたあらためて私は調査をして疑義は明らかにしなければならぬと考えておるのであります。それがいろいろないきさつを経まして御指摘のような、ごらんになるような形の処理になったわけでございますが、その間適正に私は処理しておると確信しますけれども、なお御審議いただきまして、その当時問題がございますならば御指摘をいただいて公正を期していかなきゃならぬと私は思っております。
  162. 田代富士男

    田代富士男君 大平大臣が、調査をして疑義があるならばただしていくと、こういうことでございますので、これ、疑義がありますから前回もこれは保留になりましたが、この問題は委員長、私保留します。そしてこれは参考人等を呼びましてもっとこの問題を、大臣も、わが大蔵省としてのとおりに大蔵大臣としてですね、これを究明したいということでございますから、一緒にお手伝いをいたしまして明らかにしていきたい。ただ言えることは、陳情して八日ぐらい後に審議会にかけると、これも異常ですよ。だれも知らないその土地が、特定な企業がそういうものを出すということもおかしいですよ。しかし、これはまた次回に回したいと思いまして、私は次の質問に移ります。  次の質問は、これがいろいろな経過を経まして大洋漁業に払い下げをされました。この払い下げになるまでのいろいろな手続上に問題がありますが、これはまた次のときということでございます。そのときに煮詰めますが、払い下げをされました大洋漁業が払い下げを受けてからどのようにしたか。私は御出席の審査課長に何回も話しておりますが、協和銀行との間に所有権移転の仮登記等がなされておりました。これに対しましてどのようにお考えになるのか。まず、そこらあたりからお尋ねをしていきたいと思います。
  163. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 仮登記の性格でございますが、私どもは大洋漁業が当該払い下げた土地に建物を建設する建設資金が相当な量にのぼる、そういうなことで協和銀行から融資を受けまして、その債務の履行、その協和銀行の債権保全を全うするために所有権移転の仮登記を行なったと、こう理解しております。したがいまして、所有権移転の仮登記は決して権利移転を目的としたものではないというぐあいに考えておるわけでございます。なお、契約書にもそういうことは明記してございまして、地上権とか質権とか賃借権とか、その他使用収益とか使用収益の目的のための権利の設定はしてはならないというふうなことが書いてございます。また、売買、贈与、交換、出資等による所有権移転も契約上禁じられているわけでございます。そういうような点からいいまして、この仮登記ということはそれがそのまま権利の設定を意味するわけでもございませんので、これは特に契約上背反した行為にならないじゃなかろうか、こう理解しておるわけでございます。
  164. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、私は、契約を結ばれました第十六条「(権利の設定等の禁止)」、この十六条の御説明お願いしたいと思います。
  165. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 第十六条をそのまま読み上げますと、「第十六条 乙」——乙はこれは大洋漁業と理解いたしますが、「乙は、本契約締結の日から指定期間満了の日まで甲の承認を得ないで、渡財産に地上権、質権、使用貸借による権利又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定をし若しくは渡財産について売買、贈与、交換、出資等による所有権移転をし又は合併をしてはならない。ただし、交換申請書に添付した事業計画または利用計画のうち貸店舗及び貸事務所の部分については、この限りでない。」と、こういう条文になっております。
  166. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、ここに権利設定等の禁止の条項が説明されておりますが、ここに「所有権移転をし」ということになっておりますけれども、これは所有権移転はしてはならないという、そういうことと拝してよろしいでしょうか。
  167. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) そう理解してよろしいと思います。
  168. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、もう一つ、所有権移転に伴うような行為もしてはならないと、このように理解してよろしいですか。
  169. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 所有権移転……御質問の趣旨でございますが、非常にむずかしい御質問ですが……
  170. 田代富士男

    田代富士男君 じゃあ、もう一回言いましょう。
  171. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 所有権移転するようなことは一切なしてはならないと、こういうことだと思います。
  172. 田代富士男

    田代富士男君 所有権移転はしてはならないということは確認しました。  所有権移転につながるような行為もしてはならないと、このように拝してよろしいか。
  173. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 必然的に、所有権移転されるような種類のことが予測されるようなことは遠慮すべきじゃなかろうか、こう思っております。
  174. 田代富士男

    田代富士男君 いま吉瀬局長が、所有権移転されるような行為であるならばこれは禁止しなくてはならないということが、いま十六条で確認をいたしました。  そこで、ここに謄本がございます、この謄本が。この大洋漁業と協和銀行との間で四十五年の七月の八日にこれが登記されております。大洋漁業が五千四百三十三平方メーター、三十二億六千百七十万円で払い下げを受けております。それを四十五年七月の十日、協和銀行に根抵当権設定、限度額八十億円、同じ日に所有権移転請求権仮登記、これも同じ日になされております。これはいま吉瀬局長が十六条の「所有権移転をし」ということは、所有権移転は絶対にしてはならないと、再度私が所有権移転につながるような行為であってもこれは考えなくちゃならないと、そういう意味の御説明がございましたが、このように払い下げを受けまして登記をしましたその二日後に、根抵当権設定限度額八十億円、所有権移転請求権仮登記として権利者協和銀行になっております。こういうことは許してよいものでしょうか。これは、大蔵省範囲内においてこれは認めるとおっしゃる立場か、これはしかし好ましいことではないというお考えであるか、どちらかでございますが、お願いいたします。
  175. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 非常にむずかしい御質問でございますが、私ども通常その国有財産の払い下げを受けた者が当該土地を有効に利用するために第三者から融資を受けることまでも禁止しているわけではございません。そしてまた、相当多額の融資を受けるということになりましたら、商慣習上相当な抵当なり担保なりを供することも、決してそれはいけないというところまで至っておりません。したがいまして、根抵当権の設定とか譲渡担保とか、こういう種類のことは当然ではなかろうかと、こう考えております。また、所有権移転の仮登記の性格でございますが、この性格は、やはり債務不履行があった場合に競売手続などの手続を経ずして債権が保全できるということで債権者側に有利にはなっておりますが、これが直ちに債務者が当然そういうことを設定したことによって、利用なり使用なり所有なり、そういう権利相手方に移転することを当然予測するとか、されやすくするということまで解釈はできないんじゃなかろうか、こういう見解から私どもは仮登記は決して違反しないと、こう考えております。
  176. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、十六条の解釈にまた戻らなくちゃならないんですが、いまも説明がありましたが、直接の所有権でなくして、たとえば代物弁済の予約というような形で特定な人に所有権の渡るというようなことが生じてくるような場合、金を借りた、金を払いたいと思ったけれども払えなくなったと、そのために渡さざるを得なくなったとなった場合には、この十六条の脱法行為というものはできるという、いまの説明でいうならばこれは認められておる、こういうふうに理解せざるを得ないわけなんです。だから、十六条のいまさきの説明と、いまの局長の証明を聞きますと、私が言うように脱法行為は認められるということになると思うんですが、どうですか。
  177. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) 実は私どもそういう面からいいまして、ある国有財産を払い下げて、その国有財産が目的に従って利用されるということにつきましては、払い下げを受ける者の資金的な計画とか、事業計画とか、そういうものを十分勘案しながらやっていかなければならないかと、こう考えておるわけでございます。いま田代委員が御指摘のそういう種類の仮登記なり譲渡担保なり、そういう代物弁済なり、そういうことがもし行なわれやすいような状況が発生するというようなことでありましたら私ども考えなきゃいけませんが、通常の場合、そういう行為それ自体が利用なり所有移転に当然つながるとは理解していないので、私どもここまではある程度商行為の普通の慣習として認められるんじゃなかろうかと、こう考えておるわけでございます。
  178. 田代富士男

    田代富士男君 この論議はお互いにやっても平行線をたどると思うんです。しかし、現実にいま申しますとおりに四十五年七月十日に根抵当権設定、所有権移転請求権仮登記がなされております。  そこで、私がこの大手町公園の問題を取り組んだときに、こういう謄本を全部そろえました。四十九年八月三十一日、ことしの八月三十一日に、そこに御出席していただいております佐藤国有財産審査課長が私の会館の部屋へおいでになりまして、協和銀行と大洋漁業との間にこういう仮登記がされておりますよというこの謄本を私の秘書が見せました。見せてどうなったか。この仮登記の謄本を見られたあと大蔵省へ協和銀行と大洋漁業の代表の方が呼ばれまして、どういう話をされたかは知りませんけれども、ことしの九月の十日にこれは抹消されております。だから、いま理財局長が、所有権移転につながるようなそういう仮登記ではないと私は思うと、こういう立場じゃないかと思います。まあアイ・シンク・ソーというところじゃないかと思うんです。そういう状態であるならに これに何で抹消しなくてはならぬのかというんです。そういう正々堂々たるものであるならば抹消する必要はない。向こうが自発的にやったんじゃないんですよ。十六条違反じゃないかということで、これは抹消せぬとあかんということになったわけです。だから、いま理財局長のおっしゃることも私は十二分に理解できますが、何で抹消したかというんです。これは大臣に御答弁願わないことにはあきません。どうです。まあ頭をかかえずに答えてくださいよ。
  179. 吉瀬維哉

    説明員(吉瀬維哉君) まあ、御承知のとおり根抵当権はすでに設定されているわけでございます。その上の所有権移転の仮登記でございまして、念には念を入れというふうな手続をとったわけでございます。それで田代委員から御指摘ございまして、率直に申し上げまして、私どものほうといたしましても、これは決して私ども違法とは思っておりませんが、何でこんな念には念を入れたような手続をとって、どういう理由なのかということを当事者から聞かなきゃいかぬということで問いただしましたら——おそらくまあこれは相手方としては、根抵当権まで設定してあれば、仮登記という、そういうまでの万全の措置をとらなくていいという判断で自発的に抹消したんではなかろうかと、こう考えています。
  180. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま吉瀬君からお話がございましたとおり心得ております。(笑声)
  181. 田代富士男

    田代富士男君 大臣ね、いまそのとおりだとおっしゃったが、きょうは大臣がおいでになることを期待してまいったので、頭かかえてアハハアで済まされるわけにはいきませんよ、これは。笑って済まされる問題でないですよ。だから、いずれにしましても、大臣、きょうは笑ってお別れしましょう。(笑声)それでまた、大臣もおやりになるということだから、もう一回これはるるやりましょうよ。この問題はいま申したとおりに、まず廃止の問題、建設省おわかりですか。廃止の問題も、民間に払い下げるためのあれだったことはほぼ明らかです。それから手続上の問題にもこれは疑惑がある。大洋漁業と協和銀行との間におきます所有権移転の問題においても問題があるということ、大臣はお答えにならない。アハハと笑われたということは、そうかなあということです、これは。ね、そういうことですわ。まあそういうことで、この問題につきましてはもう一回次回に私は回したいと思います。あと質問ありますが、また次回に回して、質問を私は次の人に移したいと思います。
  182. 二宮文造

    ○二宮文造君 田代委員の持ち時間が三十二分までです。で、どうも煮詰まりませんので、あと十四、五分程度余りました。この時間を借りて私、三点税に関係してお伺いしたいと思います。建設省、けっこう。  まず、先日来当委員会はじめ国会で、田中総理並びにその関連企業、こういうことばがしばしば出てまいります。で、質問者のほうは関連企業ということで質問をしますし、また国税庁のほうも関連企業というふうなことばで答弁が返ってまいります。私どもは、問題の真相を明らかにする上について、関連企業という抽象的な表現はあるけれども、一体国税庁あるいはまた大蔵省でこの田中総理の関連企業というものをどの範囲に押えてお考えになっているのだろう、質問者の気持ちと答弁する当局側との気持ちが同じような立場答弁されているのかどうか、はなはだ疑問な場合も出てまいります。  そこで、ここでちょっと議事進行みたいなかっこうになって恐縮なんですが、詰めておきたいと思います。といいますのは、まず会計検査院の事務総長お見えになっていますか。——石川事務総長は、十二日の大蔵委員会、そこで総理と及びその関連会社の課税について会計検査院も再調査をします、こういうふうに答弁をされておりますが、ここで言う関連会社、これは具体的にどこまでをいまお考えになっているのか、その法人名をお伺いしたいと思うんです。
  183. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 私ども検査を行なうにあたりましては自主的にプランを立てるわけでございますが 国会の御論議ですとか、あるいは一般からの投書その他の情報、これらも検査上のヒントとして検査計画に取り組んでいるわけでございます。  今回広く報道されております田中角榮氏並びにそれに関係する会社につきましても検査上その範疇に入るわけでございまして、担当検査官におきまして田中角榮氏並びに関連企業ということばを用いまして数社の経理を見直している、こういうふうにお答えいたしたわけでございます。ここで、ただ関連企業と申しましても、これは確たる客観的な定義があるわけではございません。われわれも各種の報道あるいは国会の御論議にのぼりました会社を考えまして、それらの会社の課税状況につきまして見直しをしているわけでございます。  そこで、具体的に申し上げますと、全部で十五社ございます。一々申し上げますと、パール産業、新星企業、室町産業、東京ニューハウス、田中土建工業、田盛不動産、三建企業、日本電建、国際興業、北海道電建、これは現在浦浜開発に合併されております。理研ビニール工業、浦浜開発、新潟交通、越後交通、東邦企業以上十五社でございます。
  184. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。  次に、同じ趣旨でございますが、国税庁次長は十四日の決算委員会でこうおっしゃっております。田中首相の関連会社については現在再調査中で、その調査結果も云々と、こういうふうな発言がございました。ならばここで言う同じような趣旨で関連会社、これはどういうふうに現在のところ整理されておりますか、これをお伺いしたい、具体的に法人名をお伺いしたい。
  185. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 一つは田中角榮氏と資本関係あるいはわりあいに何といいますか、企業支配関係が強いというふうな——これは私たちの判断でございますけれども、思われる会社と、それ以外の会社に私ども分けております。それで、前者のほうにつきましては、いわゆる直接に現在再調査といいますか、見直しといいますか、そういった調査対象となっておる法人でございますが、それを申し上げますと五社ございまして、新星企業、室町産業それからパール産業、浦浜開発、東京ニューハウス、以上五社でございます。なおこの五社の調査に当たりまして、やはり必要に応じて取引先調査とか、そういった関連で必要な調査を行なうような場合が生ずるであろうと思われてその準備を行なっておりますのが、国際興業、日本電建、国際不動産、新潟交通、越後交通、田中土建工業等で、その他必要に応じて調査をやることもあるべしというふうに予定しております。
  186. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。一応現在のところ関連企業、関連会社と、こういうふうに抽象的にいわれてきたもの、それを会計検査院なりあるいは国税庁で実際に再調査対象にあげた名称、よくわかりました。  次に、違った観点でお伺いしたいんですが、これもまた税の問題でありますけれども、一般の法人土地または住宅を無償または非常に安い価格で貸していた場合、その場合には税法上の取り扱いというのは一体どう処理されますか。
  187. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 借りている人がその会社の役員等でありました場合には、実際の基準との差額というのが認定賞与として課税対象になると思います。それからそれが従業員等でありました場合には、これもやはり現物給与といいますか、給与所得の一つとして課税対象になると思います。
  188. 二宮文造

    ○二宮文造君 それ以外の場合、法人の役員でもない、これは四十三年に国税庁の通達が出ております。それから、また従業員の場合もありますが、その他の関係者の場合には、その受益者は何ら税法上の義務は出ませんか。
  189. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 現実に安い値段で借りているということでございますから、経済的にいえば。
  190. 二宮文造

    ○二宮文造君 無償……。
  191. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) ですから、その場合に経済的利益が発生しておりますから、それは雑所得ということになります。
  192. 二宮文造

    ○二宮文造君 その雑所得はその受益者から申告義務がありますね。
  193. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) そのとおりでございます。
  194. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、先般大蔵委員会でしたか、問題になりました目白邸の問題、これは当然その実態について再調査をされると思いますけれども、この用意はありますか。
  195. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) ございます。
  196. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういう場合をいわゆる受贈益というのでしょうか、税法上は雑所得として申告しますが、どういう種類の益であると、いわゆる贈与を受けた利益、受贈益というようなことばになりましょうか。
  197. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 税法的に申しますと、受贈益というのは法人がそれをただで借りたとか、もらったとかいう場合の法人税計算のときの益金に算入すべきことばで、それは法人税の場合には受贈益ということばを使っておりますが、個人の場合には経済的利益という表現を使っております。
  198. 二宮文造

    ○二宮文造君 次、一点ですが、先ほどの新星企業等々の会社の場合ですね。これは当然法人税法第七十四条二項でいわゆる決算諸表、これを申告のときに提出をしなければなりません。また施行規則の三十五条でしたか、いわゆるその中には省令として要求をしております付表——資料ですね、その中に勘定科目の内訳明細、こういうものがあります。要するにこの会社に給与または給料または賞与、そういうような勘定科目があるとしますと、通例その月別にそこにつとめていた人間は男女がどうだと、常勤役員はどうだと、こういうふうな月別の従業員の表というものを添付して、いわゆる給料の明細の証明に当てているようでありますが、やっぱり先ほど言われた——これは具体的な問題です、この新星企業とか、室町産業、そういう会社、いわば所在も不明。きのうの場合には社会保険料も厚生年金もかけてない、労働基準法のあれも受けてない、やってないというような実態が明瞭になりましたが、この会社からそういう給与の明細を証明するような付表はついておりましたか。これは内容ですから、そういう面についても調査をお始めになっておりますかどうか。
  199. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 現在の調査項目の中にすべて入っておりますけれども、その明細をいまここで提出するということは……この次の……。
  200. 二宮文造

    ○二宮文造君 要りません。
  201. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) それは当然調査対象になって、ただいま申しましたような各社の調査なり再調査いたしますときにはそういったこともやはり重点の一つになっております。
  202. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 本日、三菱重工の社長を参考人としまして私は要求をいたしておりました。本日出席できないということでございますが、委員長、これはどういうことでございましょう。
  203. 前川旦

    委員長前川旦君) 峯山君からの要求がありました参考人の出席につきましては、理事会でその取り扱いを協議いたしまして、参考人として当然のこととして出席を要求いたしまして、事務局がたいへん手間をとりました。たいへん努力されましたけれども、社長は横浜造船所へ行くということで前から動かせない計画だと、日程であるということで、きょうの場合はお許し願いたい。それから副社長の場合は担当の副社長がかぜで寝ておると、もう一人の副社長は海外へ行っておる、こういうことできょうは出られない、しかしこの次に早目に御連絡をいただけますならば、この次には出るようにいたしますと、こういう前向きの返事を事務局のほうは相手の会社からいただいております。それから国の機関と違いまして民間の方ですから、向こうの方が出られないと言われると事務局としてはそれ以上は押せないという立場もございますので、次の機会ということで御了承いただきたいと思います。
  204. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ただいまの問題につきましては、先般の委員会から懸案になっておりますし、ぜひとも次回の委員会には出席をしていただいて、問題になっております政治献金の問題を明らかにしたいと思いますので、よろしくお取り計らいのほどをお願いします。
  205. 前川旦

    委員長前川旦君) 承知いたしました。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  206. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  207. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、田中首相の金脈問題の一つとして国会でもたびたび取り上げられましたし、きのうの決算委員会でも志苫委員が取り上げた新潟市の南一キロメートルのところにある鳥屋野潟をめぐる問題、これについての田中首相の国会答弁をめぐる問題について質問したいと思います。  最初に大蔵大臣にお伺いしますけれども国民の一人から国に対する土地その他の寄付申し出、寄付表明、こういうものがあった場合、大蔵省としてはどういう処理をしているのかということについてお答え願いたいと思います。
  208. 村上哲朗

    説明員(村上哲朗君) 一般的に民間あるいは地方公共団体から寄付を受ける場合におきましては、ちょっと記憶しておりませんけれども昭和二十三年ごろ閣議決定でもってその寄付に伴って反対給付が行なわれるというようなことがあるとまずいということで、これを慎重に取り扱えと、こういうことで各省ともやっておると思います。  それから特に私、所管しておりますのは国有財産でございますけれども、国有財産につきましては、大蔵省だけじゃなくて各省から不動産その他の寄付を受けました際には、われわれが協議を受けまして、それで取得をすると、こういうふうになっております。
  209. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 問題の鳥屋野潟の土地の問題について、昭和四十七年十一月七日、予算委員会で田中首相から寄付表明の答弁がありましたけれども、覚えておられますか、大蔵大臣
  210. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私はその予算委員会のやりとり自体は記憶をいたしておりません。ただ、国有財産の場合各所管大臣がそれぞれ管理いたしておりまするが、公共用財産の取得につきまして、大蔵大臣と協議する必要はない取り扱いになっておると承知しております。
  211. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大平さんはそのときたしか外務大臣で、予算委員会でのやりとりの席に出席しておられたと思いますけれども、やっぱり記憶が不鮮明だと言われますが、当時田中首相は三回にわたって寄付の表明をしております。ちょっと読み上げますと、この問題の鳥屋野潟の問題ですが、「これは膨大な利益が見込まれると言うけれども、これはまだ売ったものでもございません。売る意思もありません。」「これは利益を将来どうするかということでございまして、これは国に全部寄付することも可能でありますし、」と言っております。  それからもう一ヵ所、「私は、いま鳥屋野潟でもうけようなんて、何もありません。必要あれば政府に何でも寄付します。そんな利得を得ようなんという考えは全くない。」「私は、それを転売して利益を得ておりませんし、そういう問題をよく理解していただきたい。私は、それをほんとうにあなたかあっせんしてくださるなら、」——松本代議士のことです、松本代議士がつまりあっせんしてくださるなら「寄付してもけっこうです。」、こうして一回の答弁で三回にわたって寄付してもよいという答弁をしておりますけれども、いま協議が必要ないと言われますが、大蔵省はその後この寄付問題について総理と話し合ったことがあるのかどうか、またここは一級河川で建設省の管理と思いますけれども、建設省もこの寄付の問題について田中総理と話し合ったことがあるのかどうか、大蔵大臣、建設大臣にお尋ねいたします。
  212. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 建設省に御照会申し上げたところ、寄付を受けた事実はないという御報告をちょうだいしております。
  213. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 鳥屋野潟のこの水面といいますか河川敷が大部分民有地でございまして、民有地でありますけれども、私どもは河川の管理上、またあるいはこの鳥屋野潟の公園計画をやります、まあ私は仄聞するところ新潟県で公園区域の設定をいたしたいということを承知いたしておりますので、公園という区域の設定の事実だけで、私どもそれが民有地であることが全く河川管理上も支障がいまのところございませんので、将来必要が起こってくれば別問題でございますが、いまのところは私ども民有あるいは官有、公有等について特別に支障がございませんので、実はあまり重大に考えておりませんでした。予算委員会の御指摘の松本先生に対する総理大臣の答弁、私もきょうこちらでそのお尋ねがあるということを聞きまして、急いで速記録を拝見をいたしたのでありますが、どういう御趣旨なのか、まだただ答弁書を速記録で拝見しただけでございます。
  214. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 鳥屋野潟の公園計画というのは進んでおるわけですけれども、湖底が民有地で何ら支障がないという建設大臣のおことばですけれども、そういうことはないんです。ここに新潟県の「鳥屋野潟総合開発基本計画報告書」四十六年九月という文書がありますけれども、この二三ページに計画達成のための問題点、基本問題点は、第一は、民有地に対する取り扱いとなっておりまして、所有権の整理が先決となる、非買収所有者間のアンバランスで紛争のもとになりかねないという問題その他、ここの湖底の民有地の権利をやっぱり何とかしなければならぬということは、すでに四十六年の基本計画ができたときからの問題で、民有地のまま公園計画というのはなかなかこれはむずかしいのだということが県の計画の基本になっている問題であります。この点は建設大臣どうもよく現地の実情を御存じないようで、もう少しよく調べていただきたい。  それからやっぱり妙な話だと思うんです、せっかく一国の総理が予算委員会の席上三回も寄付してもいいと言っておりますのに、大蔵省も建設省も全然首相と話をしたことがない。大平さんも小沢さんも非常に田中首相とは仲のよい方で、特に大平さんはずっともう閣議でいつも顔を合わせていると、せっかく国に寄付してほしいという、これは非常にこんなうまい話はないと思うのです。国民のためになるいい話で、そのいい話について何ら話もしたことがない、進めもしていない。総理大臣がこの答弁をされてから、もうすでに二年たっております。私は、これは非常に職務怠慢ではないかと思います。ぜひ田中首相がこういう寄付表明をしている以上、ほんとうは二年間に何らかの措置をとるべきであったと、いまの時点で建設大臣は議事録をお読みになったそうですけれども、就任早々ですけれども、建設省としてこの話を進めるべきであったとお考えかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  215. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 河川管理の立場から御答弁申し上げます。  先ほど大臣が答弁いたしましたとおり、現在の鳥屋野潟の状態におきましては、まだ直ちに河川事業の工事に着手というようなところまでいっておりません。実際に工事に着手したならば、いろいろとそういう問題が出てくると思いますけれども、現在のところまだそういう作業に入っておりませんので、現在のところ特別な支障がございませんので、この問題については建設省といたしましても、私どものほうからどうこうということをしてまいらなかったわけでございます。
  216. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題、あとでも触れますけれども、いまの認識もやはりかなり県の実情あるいは県議会の討議の実情その他と違うと思います。と申しますのは、大蔵省、建設省はそういう点で全然寄付問題を進めてなかったのですけれども、公園計画を実際に進めております新潟の県議会では、田中首相の寄付答弁というのはすぐ非常な反響を呼び起こして、県議会ではこの問題が何回か問題になっております。四十七年の十一月の答弁があったわけですけれども、四十八年の三月六日の新潟県会の連合委員会で共産党の林県会議員がこの問題を亘県知事に質問しました。田中さんがそう言うのだから寄付してもらってはどうかと、亘知事は寄付を求めてはの件は私もそれができるならほんとうにしあわせないいことと思うと、これは大蔵省や建設省と非常に違うのです。しあわせないいことだと、そう言ってよく配慮して一応お願いすることも必要と思う。知事は、林さんのこの提案はさぐりを入れてみないと、と、そう答弁しております。で、提案の趣旨を踏まえてさぐりを入れる、当たってみると、こう三月六日の県会の連合委員会で知事が答弁いたしました。そのあと、七月一日の県会の連合委員会で再びこの問題が共産党の林県議によって取り上げられ、さぐりを入れると知事はあのとき答弁したけれども、その後さぐりを入れたかどうかと、そう質問しました。亘知事は、さぐりかどうかしらないが、一応そういう話もあったことは話をしてあると、それに対して、わかった、こうだとか、右だとか左だとかという返事はむろんないと、こういう答弁でそこを正確にどうだったと、答えはなかったのかと、何月何日に総理に会ったのかということを林委員に聞かれまして、知事はこう答えております。日にちは覚えていないが、総理に話をしてこういう意見もあったがということを申したと、そうしたら、そんなことはいまは約束はできない、これが返事だった。あたりまえだと思う、さもあらんと思うし、この問題はそれで終わった。ひとつもあたりまえではないのですけれども、とにかく県知事はこういうふうにさぐりを入れて、田中首相に亘さんが話をして、それでいま約束はできないという返事を首相からもらったということが県議会で答弁されておりまして、ちゃんとこれ議事録に載っているわけであります。  こうしますと、私はここは非常に重大な問題があると、国会では何回も寄付してもけっこうと言いながら、県知事からちゃんと話があった場合には約束できないという答えを田中首相は言っているわけであります。寄付表明があってから、わずか半年もたたないうちにこういう現状だ、この国会の予算委員会の席上、正式に一国の首相が責任を持って答弁したことと、やっていることとあまりにも正反対だと思います。この答弁について大蔵大臣どう考えますか。大蔵大臣は、先日今度の田中金脈問題はモラルの問題だと、そういうことを言われましたけれども、この態度について、政治家のモラルの問題として、また国会の権威の問題としてお答え願いたいと思います。
  217. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 田中さんの誤解の御答弁に端を発した御質問でございまして、田中さんに伺ってみないと答えはわかりません。(笑声)
  218. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 伺ってみないと答えがないというので、さっそくこれ伺っていただきたいと思いますけれども、しかし国会で予算委員会の席上寄付してもけっこうだと、あなたがあっせんすれば寄付してもよいということを言っているのに、県知事に対しては、いま約束できないと言っている。これは県知事の言っていることが事実だとすれば——事実だと私は思います、責任を持って新潟の県議会で、何回も問題になって、答弁しているわけですから。この田中首相の二つの態度の間には重大な問題がある。私はこれは国会での田中首相の発言がその後裏切られている重大な食言ではないかと思いますけれども大蔵大臣は国会議員でもあるわけで、これは国会での責任ある答弁に対する重大な食言だと思わないかお答えいただきたいと思います。
  219. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私はいま上田さんの御質疑を通じて、この問題の経過を伺っておるわけでございます。これは私が答えるべきものでなくて、田中さんに関連した問題でございますので、総理自身に伺わなければ、正確なところは私は代弁するわけにはまいらぬということをいま申し上げたわけでございます。ただあなたが、御質疑を通じて伺っている限りにおきまして、田中さんが国会で答えられておるのは、これは寄付してもいい物権であるということでいついつだれに寄付するとは言っておられないように伺うのでございます。自分はそういう問題について転売して利得を得ようという気持ちはないというような気持ちを明らかにされたように思うのでありまして、だれにいつ寄付することをきめておるということを国会を通じて申し上げておるというように私は聞きとれないのでございます。したがって、そういう微妙なやりとりでございますから、総理によく伺ってお答えするほうが間違いなくていいと思います。
  220. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 寄付してもよいということで寄付するということではないと、そういうふうに大蔵大臣言われましたけれども、必要あれば政府に何でも寄付しますと、こうはっきり議事録によれば言っているわけです。それで県会では、これ公園化計画で、どうしても必要だと、だからこそ県議会でこれだけ問題になっているわけで、県にとっては必要なんです。県民にとってもあれ公園化するために必要なんです。これは政府にとっても必要だ、国にとっても必要だということになると思いますけれども、「必要あれば政府に何でも寄付します」と言っているわけで、大蔵大臣は県民の要求に対してこれは必要ないと、田中首相のは非常に条件つきのもので寄付の意思を表明したのではないと、そうお考えになりますか。
  221. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) くれぐれも申し上げておきますが、あなたの御質疑を通じての限りにおいて私はお答えしているわけでございまして、田中さんがこう言ったがそういうことになっておるがおまえはどう感じるかということでございますが、寄付してもいい、必要があれば何でも寄付してもいいという一般的なお気持ちを言われたわけでございまして、この物件を県に寄付するとか何とかというようなことを国会を通じて少なくとも言われていないこともまた明らかであろうと思うのであります。いずれにせよ、寄付する方の御意思によることでございます。私からとやかく言うべきものじゃありません。
  222. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 意思によるものでとやかく言うべきものではないと言われるけれども、意思は国会で三回も田中首相は言っているわけで、意思は明確だと思うんです。とやかく言うんじゃなくて、首相がこういう大事な土地の問題について寄付表明があったわけだから、とやかく言うというのじゃなくて、大蔵省や建設省はこれをもっと進めるべきだと、それが首相の意を体して政治を行なうことでもあり、親友としての態度でもあろうと思うんですけれどもね。  私は次に、田中首相のモラルの問題にかかわる問題、国会での重大な発言の、あとからの食言という問題に関してお聞きしたいのですけれども、田中首相が「五つの大切・十の反省」ということを述べたことはよく御存じだと思いますが、「五つの大切・十の反省」、全部で十五ありますけれども大蔵大臣、建設大臣、どういう中身であったか、全部あげてくれと言っても無理でしょうから、覚えているもの一つでも二つでもお二人言っていただきたいと思います。大蔵大臣から、一つでもいいですよ、一つでも二つでも、十五あるのですから。
  223. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 初めて言われた席に私がおりましたのですが、ちょうど今週初め十一日から重大な任務を引き受けまして、そちらのほうで頭が一ぱいでいまちょっと思い出せないわけでございます。たいへん恐縮でございます。
  224. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大平さんどうですか。
  225. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) そういうことを田中さんが言われたということは、そういう経緯は知っておりますが、具体的な内容はよく記憶にございません。
  226. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもお二人ともこの「五つの大切・十の反省」と、数ぐらいしかどうも御記憶がないようで、そうしますと田中総裁がこれは新潟県人会においてのあいさつなんですね。国民に呼びかけたと、特に義務教育段階における子供たちの生活規範、新しいモラルとして強調をしたことですけれども、どうも非常に仲のいいお二人にも一つも思い出せないという程度のことだということになりますけれども、少なくとも田中首相は本気だったんだろうと思うんですね。「五つの大切」というのは、人間を大切にしよう、自然を大切にしよう、時間を大切にしよう、ものを大切にしよう、国、社会を大切にしようという五つであります。十は、友だちと仲良くしただろうか、お年寄りに親切だったろうか、弱い者いじめをしなかったろうか、生き物や草花を大事にしただろうか、約束は守っただろうかというのがあります。これは五番目であります。あとは、まだ、人に迷惑をかけなかったろうかとか、正しいことに勇気を持って行動しただろうかと、なかなかいいことを言っておりますけれども、この「十の反省」の中の五番目の、約束は守っただろうかというモラルに、明らかにこの問題は私は反していると思います。大蔵大臣は、その寄付の意思の表明があったとしても、わりと本人の御意思にかかるということでありますけれども、明らかに国会で寄付すると、必要があれば寄付するということを言われておりまして、三べん言っているわけですね。ところが県知事が行くと、そんなこといま約束できないと、半年後に言うと、これはだれが考えても、御自分が述べた、約束は守っただろうかというのに明白に反していると思います。御本人の意思ということだそうですけれども、事は、国会での責任ある首相の発言がその後実際に行なわれるかどうかと、首相の約束が守られるかどうかという問題で、事は土地の問題であるようですけれども、一国の首相が国会での約束がもし守られなかったとしたら、これは外交問題でも経済問題でもあらゆる問題にかかわることで非常に重大です。ひとつ田中首相に大平さん電話でもかけて、一体あの鳥屋野潟の寄付するという約束はいまでもその意思があるのかどうかと、ちょっとひとつ聞いてみてください。ちょっと聞いてみていただきたい。このことを私は大平蔵相、建設大臣、お二人に要望したいと思います。
  227. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 約束は守らなければならない、これは人間社会におきまして非常に大事な倫理であると思います。ただ、いま上田さんが提起された例が約束になっておるかどうかという点に私は疑問を感じるのでありまして、一般的に寄付してもいいという気持ちでおるという意向の御表明であったというように私は受け取ったわけでございますが、それがはたしていつだれにどういうことでどういう理由で寄付されるかというようなことまではお約束をされておる御表明であるようには聞き取れないんでございますが、何かそういうことがありましたでしょうか。
  228. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 「必要あれば政府に何でも寄付します。」と、国にこの土地を寄付すると、売ってもうけるつもりはひとつもないということを何度も繰り返し言っておるんです。明白です。意図は明白だと思うんです。首相の出席要求を私はしたいんですけれども、出席しなくても、一言、このときの予算委員会での私の答弁はいまでも変わらないと、亘知事に約束はできないと言ったのは違うんだという首相の答えがわかればこの問題は一つ解決するので、首相とにかくいるわけですから、ひとつ電話をかけていただきたい。電話でけっこうです。その間休憩はどうでしょうか。もう五分で済みますよ、仲のいいお二人です、五分でひとつ首相に聞いていただきたい。
  229. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) ただいま県会の亘知事と林君との質疑応答をお出しになりまして、亘知事がそういう気持ちはないというような、その必要はないということを県会で答弁をしたと、それが食言でないかと、こういうお話のようでございます。したがって、亘知事は現在参議院議員でございますから、私も知事時代にいろいろと接触はありましたが、この話は実は聞いたことはございません。亘知事からそういう確かめに行って鳥屋野潟公園計画についての問題でそういうお話があったということを実は聞いておりません。もちろん私は聞いていなくても県会で言っているわけですから、亘知事が、どういう意味でそういうことを言われておったのか、亘現参議院議員に私もさっそくひとつよく事情を聞いてみたいと思います。先ほど来速記録でお話が出まして、いま当面の質疑者もおいででございますので、その点は私も速記録をきょう詳細に先ほども読ましていただいておるものですから、先生のおっしゃっていることが速記録上間違いであるとは考えておりません。ただ、必要があればということを盛んに先生も言われておるわけでございますが、私ども先ほど言いましたように、河川管理上もどういう形で公園計画をこの水面について進めていくかということについては、いろいろまだ事務当局から聞いた範囲では明確にきまっておらないように聞いております。したがいまして、いまの鳥屋野潟の水面をそのまま維持して公園にしていくという場合には、私どもとして、それが民有であろうとなかろうとそう大きな支障はない。ただ、湖水の中にいろんな施設を設けるという場合には、当然これは民有地の場合はその所有者に了解をとっていかなければいけない。何らかの処置をしなければいかぬことが出てくるわけでございます。ただ公園計画の区域決定が行なわれただけで、まだ詳細な計画を、私まあ就任早々だからかもしれませんが聞いておりませんので、それが必要になったときに、おそらくいまお話のような「五つの大切・十の反省」をはたして総理が守っていただけるかどうかの問題が起こるわけでございますので、いますぐ電話で聞けと言われましてもちょっと——よく機会がありましたらその点は私十分研究をいたしましてお答えをさせていただきたいと思います。
  230. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 電話で聞かれないということですけれども、やっぱり問題の重大性をよく御認識になっていらっしゃらない。国会での責任ある答弁、これがもしうそが含まれていたとしたらこれは非常に重大な問題なんです。イギリスでプロヒューモ事件というのが起きたことがございますけれども、御存じでしょうか、建設大臣。
  231. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) その事件のあったことは記憶いたしております。
  232. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これはプロヒューモ陸相がやめさせられた、やめた問題ですが、なぜ、何の問題でプロヒューモ陸相が辞任したかということについて御存じでしょうか。
  233. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 私、国会における偽証問題というような点ではなかったかというふうにいま記憶いたしておりますが、詳細のことは、確実なことは記憶をいたしておりません。
  234. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまお答えのとおりで、一九六三年三月、マクミラン内閣の陸相、ジョン・プロヒューモ氏が、コールガールのクリスチーン・キーラーとの関係が明るみに出て、議会で問題になって、同陸相は身の潔白を主張した。ふしだらな行為は一つもなかったと断言した。ところが、これが事実がはっきりしまして、同陸相はうそをついてきたことを述べて、四ヵ月後に辞任したという事件であります。事は女性問題と土地問題で、事件は別だとしましても、国会で責任を持って述べたことがやっぱり違っていたということは、たとえばイギリスでは陸相を辞任するというほどの問題であります。先日ニクソンもウオーターゲート事件で辞任いたしましたけれども、あれも大統領特権の乱用、それからあのウオーターゲート事件のもみ消し、議会の侮辱ということで弾劾されまして辞任したわけであります。そういう点で、私は、田中首相も国会答弁の中で三回も寄付するということを明言していたにもかかわらず、その後寄付については、その約束はできないということが述べられている。これが正式に報告されている。さらに、あとで述べますけれども、絶対売らないと言いながらも実は売っていると、転売しているというような疑惑もたくさんあります。そういう点で、私はこれはやっぱり国会の権威に対して、議会制民主主義の根本にかかわる、一国の首相の議会制民主主義に対する態度の問題、議会での証言にどこまで政治家として責任を持つかという重大な問題であると思います。その点で、いま電話はなかなかかけられないということですので、私は田中首相の当委員会に対する出席要求を提起したいと思います。委員長にこの点よろしく取り計らいをお願いいたします。
  235. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいまの要求につきましては、ほかの委員からも同じ要求が出ておりますので、理事会において協議いたします。
  236. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 次の問題に移りますけれども、この寄付云々の問題だけでなくて、実はこの鳥屋野潟の問題にはまさに国の最高責任者の政治的モラルの問題として、当時最高責任者であったわけでございませんけれども、見のがすことのできない、疑惑に満ちたいろんな問題が最初から含まれております。田中首相は四十七年十一月七日の国会での答弁で鳥屋野潟についてこう言っております。「これは皆さん調べてみてよくおわかりになるとおり、地元から持ってきたわけであります。特に鳥屋野潟の問題は、税金が払えないというので、例の房総観光という事件を起こした会社がございますが、これが税金を納められないし、八千万か一億だったと思いますが、税金を納められないし、あとは、あと金が払えなくてどうにもならないのでという地主の代表と、買った会社の代表が、会社へ持ち込んできたものでございます。」、こうして日本電建がこの鳥屋野潟の土地を房総観光から買ったんだという答弁をしておりますけれども、建設大臣、房総観光産業株式会社から日本電建等に移っていった経過、このことは調べられましたか。
  237. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 私はその経過は存じ上げません。   〔委員長退席理事小谷守君着席〕
  238. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 経過は知らないということですけれども、この問題は私は質問するということで通告しておりまして、経過は、大臣は御存じないと言うけれども、河川局長は御存じありませんか。
  239. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) この所管につきましては計画局長でございます。
  240. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 転売されたと、ぐるぐる回しに転売されているということは先生御指摘がございましたので、存じてはおりますけれども、まだそれを正確に確認しておる段階ではございません。
  241. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 田中首相は、房総観光が税金を払えなくなったということを述べておりますけれども、なぜ房総観光が税金を払えなくなったのか。このことについてご存じですか、計画局長
  242. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) ただいま存じ上げません。
  243. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 われわれ、この問題は、これまでも何回か雑誌、新聞その他で書かれました。われわれもこの問題調査いたしました。そうしますと、この房総観光株式会社の社長の鈴木一弘さんという方は、これは株の買い占め魔というあだなもある人物で、白木屋の乗っ取り事件などにも顔を出している人であります。そして房総観光株式会社をつくって、この会社のおもな事業はこの蓮潟と鳥屋野潟の埋め立て、宅地分譲、これが目的の会社であります。お手元に配りました資料にもありますけれども、このためにこの蓮潟と鳥屋野潟を鈴木一弘さんは昭和二十九年から三十五年にかけて、かなり長い時間をかけてこの土地を買い占め、さらに蓮潟については約八千万円の金をかけてこれを埋め立てました。宅地分譲の目的であったわけであります。ところが、この鈴木氏がこれにかかる資金数億円を得るために銀行から融資を受けて株を買い占め、そして浅野物産とか、東都水産、日本化学、北陸銀行、日本加工製紙、あるいは北越製紙など、三十数社の株を買い占めて、その会社に時価より高く売りつけたと、その際、脅迫行為があったという事件が起こりまして、昭和三十五年十一月二十三日に逮捕されました。十二月二十三日に釈放になっておりますが、恐喝同未遂、法人税法違反事件ということで裁判になりまして、これは一審から二審まで行なわれました。一審は四十一年八月十一日懲役三年の判決でありました。控訴審は四十四年一月八日確定で二年六ヵ月、執行猶予五年という判決が下りました。この件の裁判書類は約九十四冊ありまして人間の背より高くあります。それから、われわれは重要なところをきょう少し持ってまいっておりますけれども、非常に重大な問題は、税金が払えなくなったのはこの問題と関係があることであります。御本人の鈴木一弘氏の控訴審における陳述書によりますと、なぜこの金が払えなくなったかというと、大蔵省の銀行局か、時の高橋検査部長、これはどうもいまの公取の委員長高橋俊英さんであるようでありますけれども、「高橋検査部長が陣頭に立って検査官を動員し、私共の国税局へ提出した決算を基として、私共の各取引銀行に対し、臨時検査を強行、私共への貸出し一切を洗い立て、「鈴木の様な社会秩序を乱す悪玉に何故金を貸すか、泥棒にピストルを渡す様なものだ。」と極言し、即時、貸金の回収を命じ、萬一、年内にこれを回収しない時は考えがある。とほのめかして銀行首脳部を震え上らせ、大蔵省に弱い社長連を畏怖させた上、私の担保物を年末と云う売りに最も不利な時に際して、一挙に大量の株を証券市場に放出して処分させた。その為、私は莫大な損失を受け、これに続く納税と全く苦境に立つことになった。」、こう述べております。さらに控訴審での被告人鈴木一弘氏の尋問に対する答の中には、こうして税金が払えなくなったということで田中角榮氏に頼みに行ったということが出てまいります。田中角榮氏のところに陳情して日本電建に買ってもらいたいということで、こうして日本電建の手に移ったということが経過であります。  ここで日本電建の名前が初めて出てまいりますけれども、私ども今回この鳥屋野潟に関する登記簿を調べましたところが、日本電建が買ったのは三十六年九月ですが、日本電建はこの鳥屋野潟の土地買い占めに実は三十五年十月二十日から乗り出しております。つまり一年前にこの房総観光がずっと買い集めた時期に日本電建ももう買い始めているということで、この鳥屋野潟にやはり日本電建が目をつけていたという事実が登記簿からも明らかであります。そうして、ここにありますように、合わせて約二億円近い価格で日本電建が手に入れるわけですけれども、ここに一審の判決がございます。この判決によりますと、房総観光が蓮潟並びに鳥屋野潟に投資した金は「その頃までに約三億円ないし四億円に上る資金が投ぜられていた。」と、こう一審の判決書にあります。つまり鈴木一弘氏は宅地分譲のために土地を蓮潟並びに鳥屋野潟を全部買い集め、これは証言の中で蓮潟は四万坪買った。鳥屋野潟は約七十八万坪買ったという証言が渡部虎雄という証人によって述べられている。これは買い占めの衝に当たった人であります。つまり鳥屋野潟全部を買い集めた。七十八万坪というと、私ども計算では百九十数ヘクタールに当たりますから、鳥屋野潟全部を房総観光が買い占めていた。判決では「三億円ないし四億円に上る資金が投ぜられていた。」、そういうことになっておりますが、ここで計画局長にお伺いいたしますけれども、日本電建は房総観光から一体幾らで蓮潟と鳥屋野潟を買ったのかということをお伺いいたします。
  244. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) たいへん申しわけございませんけれども、現在幾らで買ったかということにつきましてはまだ調査をしておりません。
  245. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 不動産取得税の関係がありますが、国税庁は御存じですか。国税庁来ておりませんか。——この裁判記録によりますと、先ほど申しました渡部虎雄氏の証言であります。幾らで売ったか、引っくるめて一億八千万円だと。そのうち二千万円は漁業補償料として差し引かれて手に入ったのは一億六千万円だと。つまり三億から四億投資したものを税金が払えなくてどうにもしようがなくなって、田中角榮氏のところに頼みにいったところ、一億六千万円で買われてしまったと、これは非常に安くて売り急ぎではないかという問いに対して、そう思うということを言っております。つまり、当時の投資額からいってもそれだけの差額を得て日本電建はこの土地を手に入れた。これは逮捕されて告訴されて裁判になっている。しかも銀行局からずっと締め上げられて全部融資も回収され、担保も全部安く売り飛ばされてしまった、どうにもならなくなって日本電建に頼みに行ったところ、まず半値くらいで買われてしまった。この間田中首相は記者会見で、やり方によっては金もうけする方法はあると思うと、私もよく話を聞かされたりしたことがある。あの土地がほしいからその隣に一坪買って毎日毎日工事をやっていればうるさくて隣はただで売るということもある、(笑い)となっておりますけれども、これは自分でうるさくしたか、大蔵省銀行局がうるさくしていたのを利用して非常に安い値段で手に入れてしまったというやり方だと思うんです。やっぱり追い詰められた人をほんとうに弱身につけ込んでやってしまう。「十の反省」の中に弱い者いじめをしなかったろうかというのがありますけれども、どうもこれにも反したやり方だと思うのであります。そうしてさらにこれは広く言われていることですけれども、このうち埋め立てられた蓮潟の土地を手に入れて新潟市と県に売っております。この価格が二億一千三百万円、つまり一億六千万円で買って、そのうちの四万坪分を二億一千三百万円で売ってしまった。そうすると膨大な七十八万坪、百九十数ヘクタールの鳥屋野潟をただにもう一つプラスがついて日本電建の手に入ってしまったということになりますけれども、こういうやり方についてこれは悪徳商法、違法かどうか知りませんけれども、政治家のモラルとして——当時田中首相は政調会長であります、党、自民党の政調会長であります、その前は党の水資源の開発委員長であります——政治家のモラルとしてこのやり方は一体どうなのか、もう一度大蔵大臣にお伺いいたします。
  246. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) まず第一にその経過を私、上田さんから御質疑を通じて伺ったわけでございます。田中さんがどういう資格でどのようにそれに参画されておったのか、参画されていなかったのか、そのあたりは私よく確かめないと軽々に意見を述べるわけにはまいりません。
  247. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 なかなか慎重な御返事で軽々に述べられないということですけれども、この問題で私は幾つかの問題をさらに述べたいんですけれども、もうかなり時間がなくなってまいりました。  もう一つ問題は、こういうふうにほとんどただで、ただ同然以上に大もうけをして鳥屋野潟の七十八万坪全部を手に入れてしまった日本電建がこれに対して土地の埋め立てによる宅地分譲をねらったということであります。  建設省にお伺いいたしますけれども、日本電建から埋め立て計画の願いが出ているでしょうか、出たことがあるでしょうか。
  248. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 寡聞にして私、存じません。
  249. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、先日現地に行きまして、現地の鳥屋野潟の荒ぼう地、日本に有数の水田地帯ですけれども、亀田郷の土地改良区の佐野藤三郎理事長、あるいは土地改良区の総代佐野誠一工区長などとも、この問題いろいろ経過も聞きました。いままで二回にわたって土地埋め立て計画があったと、農民はここで反対運動をやったという詳しい経過を聞きました。そうしますと、田中首相の国会での答弁で、地主の代表が田中首相のところに、先ほどの鈴木一弘氏とともに頼みに行ったという答弁がありますが、おそらくこういうことは絶対にないだろうと、農民たちは言っております。私は、この点でも田中首相が国会で述べた、それを売った地主の代表が頼みに来たということも事実でないのではないか、これは文字どおり、うそなのではないかという疑惑を、私の調査によっては感ぜざるを得ません。これも一つ重大な問題。  さらにこの農民たちは、この埋め立て計画に対して反対運動をやって二回ともつぶすことができたと、そう言っております。この鳥屋野潟というのは、亀田郷一万ヘクタールに対する治水用あるいはかんがい用、排水用として非常に重要なところで、これを埋め立てられて宅地にされたらたいへんになっちゃうと、われわれは農民の生活と農業を守るためにも絶対反対してきたんだということを言っております。この埋め立て計画は日本電建と、例のそれを引き次いだ幽霊企業である新星企業、この二つによって進められております。その証拠は、先ほど申しましたように、日本電建が房総観光から買ったときに漁業権補償、これで二千万円もすでに差し引いているわけですね。さらに、新星企業の時代になってから、このお渡しした資料昭和四十年のところにありますが、漁業権補償が一件あたり約十万円五払われております。これは漁業権を補償する船やなんかのあれですけれども、そして、埋め立てようという計画で進められていたということを明白に示す証拠であります。  時間がありませんので、急ぎますけれども、こういう重大な疑惑から、さらにもう一つ、重大な食言問題と私が断ぜざるを得ないのは、田中総理のそのときの答弁で、この土地はいままでは一部売ったけれども、売るつもりはないと、そう述べているにもかかわらず、きのうの志苫委員質疑の中でも出てまいりましたけれども、その後、田中首相の答弁の約半年前に関新観光というところに売られていると、さらに答弁後の去年の七月、先ほどの答弁でも出てまいりました浦浜開発というところに合併という形でさらに所有権が移っているという問題があります。これは国会で、私はこういうものを売るつもりはないということを何回も答弁しながら、次々とやっぱり所有権を移していくと、これもまた私は非常に重大な国会侮辱の食言問題ではないか、こう考えております。  さらに、先ほどの公明党の委員の方とのやりとりの中でも出てまいりましたが、この幽霊会社の新星企業についてももう一つ疑惑がございます。それは先ほど申しましたように、裁判記録によると、日本電建は七十八万坪全部これを買い占めている、鳥屋野潟を。つまり百九十数ヘクタール買い占めているということになっておりますが、現在、浦浜開発の手に入っている分は約八十ヘクタールであります。そうすると、これまでにただ同然よりもものすごいもうけで手に入れたあの鳥屋野潟の土地の半分ぐらいを、日本電建並びに新星企業などの企業の手ですでに売りさばかれているという疑惑が出てまいります。ところが、新星企業というのは、昭和四十一年の十二月九日に宅地建物取引業法の免許を得ておりますが、十二月十日に、また期限が切れております。そうすると、再びこの新星企業についても宅建業法建反で約百ヘクタール以上の土地を業務としていろんな企業並びに個人に売りさばいたのではないかという重大な疑惑がここからも出てまいります。  以上、私は幾つかの問題をかけ足で指摘してまいりましたが、これらの問題についてどう考えているのか、並びに今後どういう調査を行なおうとしているのか、   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕 さらに、この重大な食言問題についてどうあなた方考えるのかという問題を再び建設大臣、大蔵大臣並びに計画局長にお伺いしたいと思います。
  250. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 私から最初に、いま御指摘になりましたような会社のほか、十一月八日の場合にも出ました一連の会社につきまして調査をするということで御回答申し上げました。その中でも、特に日本電建はもう許可を取っておりますから、宅建業法上の立場から特に問題となりますのは、いまおっしゃいました一時免許は取りましたけれども、無免許としてやったおそれのある新星企業等につきまして重点的に調べてまいりたいと思っております。
  251. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 建設大臣、いかがですか。
  252. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) きょう、るる、いろいろ先生の御疑問の点がわかりましたが、私ども建設省としては問題が二つあるように思います。  一つは、鳥屋野潟の、現在は一級河川で鳥屋野潟そのものは排水池あるいは用水——前は利用されておったようですが、いまは用水上の機能はほとんど果たしていないようでございます。したがって、排水池としての機能、それが親松排水機を通じて信濃川に排水をされているわけでございますので、いわば一級河川としての河川の治水上の機能ということに関連して、この所有権が民有であるかどうかと、民有が支障があるかどうか、また、民有地であっては困る何らかの必要があるかどうかという点、この点については先ほど来申し上げておりますように、民有地であろうと、官有地でありましょうと、その点は現在のところは、河川管理上は私ども何ら支障はないという考えで、事務当局としても検討を加えた結果、結論のようでございますので、これは問題はないわけでありますが、ただ、おっしゃるように、四十七年の予算委員会における答弁、これが県会における亘知事のそういう答弁との関連で、先生の御指摘のような食言であるかどうか、これを私どもは必要があればいつでも寄付をするという印象を与えておられます。ただ、その場合の必要性というのが現在のところ、私どもからしますと、公園計画の具体的な何といいますか、計画の内容いかんによって出てくるようにも思いますので、県の公園計画の具体案をよく聞きまして、その上で、私は十分検討していきたいと考えております。  それから、いまのもう一つの問題点は、いわゆる宅建法違反の事実があるかないかという問題でございます。私は建設大臣に就任してまだ三日でございますから、法律を学んだ一人ではありますが、行政法についてはあまり詳しくございませんけれども、宅地建物の売買をいろいろ監督し、取り締まる法律でございますので、沼地の売買が宅建法上の取引になって、それが免許との、どうつながるのか、まあこの辺のところは、私、しろうとでございますので、これはひとつ十分検討してみたい。私、たいへん、あまり詳しくない新米の大臣がこんなことを申し上げちゃあれですが、どうも沼地だけの売買で宅建法違反というわけにはいかぬのじゃないだろうかと思いますけれども、しかし、まあこれは専門家によく、法律上の問題ですから、検討してもらわなければならないと思います。それから私どもの尊敬——私は少なくとも尊敬する田中総理でございますから、先生のような指摘の事実は、もしあるとすればたいへん遺憾でございますので、その点は十分私も機会を見て御本人とお話をしてみたいと思います。
  253. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 時間が参りましたので、私は最後に証人換問要求をしたいと思います。その前にいまの建設大臣の御答弁では、県の公園計画をよく聞いてこの問題についての態度を検討したいという答弁がありました。県の態度は、先ほど申しましたように、この私有権の問題を解決しなければならぬ。それから県議会で問題になったように、やっぱり寄付要望も強いわけであります。さらに朝日新聞でも、去年の三月九日の朝日新聞ですが、「埋立地が造成された場合、低く見積っても一平方メートル五万円以上の評価となり「それを処分するだけで八十億円余の事業費がタダになる」(林氏)ほどの利権がからんでいるだけに、寄付要請など、打つべき手を打った上でのすっきりした解決が望まれている。」と、世論もやはり寄付問題がこの問題解決のキーだろうということになっている。で、この公園計画ではすでに国の予算が去年度四千五百万円のうち千五百万円ついておりますし、この膨大な事業費は、まあ半分持っている、八十ヘクタール持っている浦浜開発を通じて寄付が行なわれれば、これは非常に国の予算、県の予算も助かるわけですから、ぜひいまの御答弁を前向きに寄付の方向で進めていただきたいということを要望したいと思います。  最後に、証人喚問の要求をしたいと思います。この問題非常に、何度も指摘しましたように、一国の首相の国会での答弁、その後それを裏切る事態が進行しているという状況で重大ですので、私は田中首相の出席要求を行ないました。さらにこの取引の経過についてさまざまな疑惑がある問題を提起いたしましたけれども、残念ながら調べがついていないという御返事であり、電話による田中首相の真意追及でも御返事がありませんでしたので、私は質問を保留したいと思います。で、この取引の経過の中では、やっぱり先ほどから指摘しておりますように重大な疑惑があります。この裁判問題にからんで追い詰められている人から非常に不当に安い値段でこれを手に入れたという疑惑があります。
  254. 前川旦

    委員長前川旦君) 上田君時間が経過しております。
  255. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 はい。  それから所得問題でも、脱税問題、宅建法違反の問題、その他その他ありますので、私は、これまで何回も雑誌新聞その他で取り上げられ、田中首相の金脈問題として、重大な問題として提起されているこの問題の実態と経過を明らかにするために、以下六人の証人喚問要求をしたいと思います。  当時の房総観光の社長の鈴木一弘氏、それから日本電建から土地を買い取った幽霊会社といわれております新星企業株式会社の当時の代表取締役山田泰司氏、それから新星企業からこの土地を転売された関新観光開発株式会社の当時の代表取締役谷古宇甚三郎氏、さらにここから合併して新しくつくられ、この土地をいま所有しております浦浜開発株式会社の現代表取締役前田実氏、それから合併当時の浦浜開発株式会社の代表取締役であり、現在新潟交通株式会社の社長である中野武夫氏、それからこの問題で農民として常に監視し、反対運動も行なって、土地を守る、水を守る運動を行なってきた人の一人である現亀田郷の土地改良区総代石山工区長の佐野誠一氏、この六人の証人喚問を要求したいと思います。委員長よろしくお取り計らいをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  256. 前川旦

    委員長前川旦君) ただいまの証人喚問につきましては、後ほど理事会で協議をいたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  257. 前川旦

    委員長前川旦君) 速記を起こして。
  258. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私はまずこの現在の混迷しておる政局について二、三大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思います。  田中総理は帰国後内閣の改造を強行されました。当初、早期内閣改造には消極的であったといわれている大蔵大臣が、この中央突破作戦と受け取られるような内閣改造に賛成されたのはどういう理由か、この点についてお伺いをしたいと思います。
  259. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 人心を新たにいたしまして困難な時局に対処しようといたされまして、総理としては、この際、党と内閣を通じて人事の一新をはかりたいということでございました。私はその御意向を承りまして賛成いたした次第です。
  260. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大蔵大臣は、去る十三日の近代化協会の昼食会で講演されました。その講演の中で「最高の公人として田中氏は一身の利害得失にはみじんもとらわれることなく、去就進退について深刻に受けとめていると思う」、このように述べられたわけであります。このことばは田中総理の早期退陣もあり得るという意味かと思われますけれども、いかがですか。
  261. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 公人は常に進退去就についてきびしい考えを持っておるものであると、とりわけ最高の責任を持たれておる総理大臣といたしまして、当然そういうことについてきびしく受けとめられておるに違いないということを申し上げたまででございまして、総理の退陣の早期とか、そうでないとかというようなことについて申し上げたつもりはありません。
  262. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 さらに、同じ席上で大蔵大臣は、現在問われておるのは政策でなく政治的モラルである。田中氏はこれにこたえなくてはならない。こういうことを言われております。私はこの内閣が衆議院を解散する場合、これは筋としては政策や主義主張が国会と内閣との間に対立を生ずる。こういう場合に内閣は衆議院を解散して国民にその信を問う、これが筋かと思うのであります。ところが現在はこういう、大蔵大臣も言われておりますように、政策の問題ではなくて、むしろ田中さん自身の道義的責任が問われておるわけであります。こういう場合に内閣は解散権を行使するのは適当ではないと思いますけれども大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  263. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 内閣の解散権というのは総理に専属する権能でございまして、そのことについて私はとやかく申し上げるつもりはございません。総理大臣はすでに内閣の記者会見におきまして、みずからの所信を述べられておりまするし、今後も国民の信頼をつなぐいろいろの措置を講じていくとみずから表明されておるわけでございますから、そのことがどのようにして行なわれますか期待いたしたいと思っております。
  264. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 総理も記者会見の中では、疑惑を晴らす処置をとるということを言われておるわけです。問題は国会において総理が何らかの解明をされると思いますけれども、その場合に国会がそれについて了承できない場合ですね、やはり国会と総理との間に対立が生じます。そして国会運営が行き詰まるということがあり得るわけです。しかし、これは基本的には政策面での対立ではなくて、総理自身にまつわる政治的モラルの問題であります。こういう問題について解明されないときに、総理が解散権を行使するというのは適当と思われますかどうか、重ねてお伺いをしたいと思います。
  265. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) いま申しましたように、解散権を行使することについてコメントは差し控えさしていただきたいと思います。総理がいつどういう段階でみずからの所信を述べられるのかそれは私は存じません。あなたがおっしゃるように、あくまで総理についてモラルが問われておるわけでございますから、これは総理が適切な措置をとられていくに違いないと思いまするし、私はそれを御信頼申し上げております。
  266. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それでは、次に国政調査権と守秘義務の問題についてお伺いしたいと思いますが、すでに衆議院においても参議院においても各委員会でこの問題が論議されてきたわけであります。しかし、私はもう一つ釈然としない面が残っておりますので、お伺いをしたいと思います。  きのうの参議院の法務委員会で濱野法務大臣は、個人的見解であるがという前置きをして、国会が国権の最高機関であるにかかわらず、国政調査権が守秘義務によって押えられるのは困るんではないかとも思っていると述べられております。大蔵大臣はこの点についてどういう見解を持っておられますか。
  267. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) これは先ほどの工藤委員小谷委員等の御質疑に対しましてお答え申し上げましたように、税法上の守秘義務税務の適正な遂行を保証する意味で尊重しなければならぬと私は考えております。しかし、同時に行政府といたしまして国会の審議権、国会の国政調査権というものは尊重しなければならぬことは申すまでもないと心得ております。いずれが優先するかということを私は断定できないものと考えておるわけでございます。両方とも尊重さるべきものであると心得ておるわけでございます。その場合、現実に国会の御審議に当たりましてどういう御答弁ができますか、どこまで資料が御提供できますか、そういう点につきましては先ほど小谷委員にお答え申し上げましたように、具体的にいま検討をいたしておりますので、いましばらく時間をかしていただきたいと御了解をお願いを申し上げておる状況です。
  268. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大蔵大臣は、前のこの大蔵委員会ですね——十二日でしたか、ケース・バイ・ケースということばも使われております。そのケース・バイ・ケースの場合だれが判断するのか、この資料は出す、出さないという判断はだれがするのか、お伺いをします。
  269. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 国会のほうから、たとえば特定の資料を提供すべしという御要求があると、これに対しまして、その具体的なケースを大蔵省で判断いたしまして、これでいかがでしょうかということで国会に御返事を申し上げたとする。で、それで国会のほうで御理解がいただければそれでよろしいわけでございますが、それで御理解が得られないという場合、十分行政府と国会の間で御相談申し上げまして妥当な結論を出していただかなければならぬと思うのです。何となれば、国会も行政府の立場理解していただかなければなりませんけれども、行政府といたしましても国会の立場、権能というものに対しては最大限の理解と協力をしなければならぬことでございますから、両方がそうである以上、私は問題の解決ができないはずはないと思っております。
  270. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大臣のおことばでありますけれども、現在においては野党側がいろいろな資料要求しておるけれども大蔵省のほうはなかなかお出しいただけない、これは現実なんです。協議してもこの協議がととのわないわけですね、判断が一致しない。問題はそういう場合にやはりどちらが優先するかということが出てくると思うのです。その行き詰まってぎりぎりのところで意見が食い違った場合はどちらが優先すると考えられますか。
  271. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 現在の状態は国会から御要求がありまして、どこまでお答えができるか、提供ができるか、そういうことをいま検討いたしておる段階でございまして、田渕先生おっしゃるように、いまの両方の協議が合わぬわけではないです、私はまだそんなことを考えておりませんがね。そういう段階であるわけでございます。で、私は、これで本委員会をはじめといたしまして、各委員会に誠心誠意御理解を求め、私どもも努力してまいって、お話がつかないはずはないと思っております。そのどうしてもつかない場合にどうするかというところまでいま私は考えていないです。
  272. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 司法、行政、立法、それぞれ独立しておるわけです。その中でも特に立法府の国会は国権の最高機関ということが憲法にうたってある。現在この司法権を行使して調査する場合、あるいは国政調査権を行使して調査する場合、それとその行政府の持っておる守秘義務との関係、これは現実に司法権の場合はどうなっておりますか。
  273. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) だいぶ法律的なことでございますので私から御説明申し上げます。  公務員の職務上の秘密についての守秘義務と司法権の作用である民事、刑事の訴訟における取り調べの権能との関係はどうであるかという御質問だと思いますが、つまり、行政府が秘密事項である、職務上の秘密であるということで、これはなかなか漏らしてはいけないと、漏らすことは行政の運営あるいは国の秘密にかかわるものであって、これを漏らすことは非常に差しつかえあると思っている場合に、当該事項について裁判所が証人として公務員を喚問して調べる、あるいは公務員に対してあるいは公務所に対して資料要求資料提出命令と、あるいは押収、捜索ということになろうかと思いますが、そういう手続で司法権の訴訟行為が行なわれるという場合の調整につきましては、それぞれ民事訴訟法なり、刑事訴訟法に規定がございまして、刑事訴訟法について申し上げますと、いまの押収の場合には刑事訴訟法の百三条というのがございます。それから証人尋問につきましては百四十四条という規定がございまして、ここで国の重大な利益を害するという場合に限っては押収を拒む、あるいは提出命令を拒む、証言を拒むということが許されるということになっております。その場合の国の重大な利益を害するということにつきましては、それは行政府のほうで判断するということになっております。  以上でございます。
  274. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その場合の具体的な事例として、いわゆる徴税問題、税金問題についての資料は、いままでの慣例として出されておりますか、拒否されておりますか。
  275. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) いままでの具体的な私の記憶のある例といたしましては、裁判所からの正式のそういった照会あるいは押収という問題ではなくて、裁判所のほうの……、民事では二百六十二条で調査の嘱託という条文がございますが、主として証人尋問として二百七十二条公務員の尋問、ただいま法制局次長がお答えしましたけれども、公務員の尋問というのが二百七十二条で規定してございます。これは二百七十二条は公務員の尋問、二百七十三条が国務大臣の尋問、二百七十四条が国会議員の尋問というようなことになっておりまして、それで尋問を受けるといったような場合、それに対しては公務所のほうの所属の許可を要するということになっておるようでございますけれども、いままではこういった例というよりは、むしろ刑事訴訟法の規定等によりまして、刑事訴訟法の第百九十七条に「捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」ということになっておりまして、この百九十七条というのは刑事訴訟法のたしか二百二十二条を準用しておると思いますので、それについてはやはり同じように公務上の秘密に属するといったような場合には捜査当局からの資料要求も拒否できるというかっこうになっております。もしこれを拒否した場合におきましては、捜査当局は第二の段階として強制捜査による差し押え、捜査差し押えということの権限が持たされておると思うのでありますけれども。で、いままで私どもとしては、裁判所から資料提出を求められました場合には、これはやはり公務上の秘密であるからといってお断わりした例というのは、二、三あるようでございます。
  276. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 一般の場合はどっちが多いのですか、その証拠、その資料を出す場合と拒否する場合と。
  277. 横井正美

    説明員(横井正美君) 一般に裁判の場合におきましても、職務上の秘密にわたることにつきましては私どもは申し上げない。たとえばある方の営業の利益が問題になりまして同業の方々の利益はどうかということが問題になりました場合に、私どもはA、B、Cというふうなことで個人名は申さない。あるいはまた取引の相手がどなたかというようなことにつきましても、A、B、Cというふうな表示をいたしまして、個別に名前は申し上げないということでいたしております。
  278. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そういう第三者的な場合じゃなくて、たとえば被疑者に対する調査資料の要請があった場合、提出する場合と拒否する場合とどっちが多いかということをお聞きしておるわけです。
  279. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) いままでの内部的な取り扱いとしましては、民事上の問題のときには、これはお断わりするというケースが多うございます。それから刑事上の場合は、やはり捜査に御協力するという意味におきまして資料提出に応ずるというケースが多うございます。
  280. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、実際の場合は、そういう資料は出されておるケースが非常に多いのじゃないかと思います。ところが、国会が要求してもなかなか出さないというのは、司法、行政、立法、特にその国会が国権の最高機関であるという憲法の規定があるにかかわらず、私はちょっとおかしいような気がするわけですが、この点はどうなんですか。
  281. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 先ほどの御答弁もうちょっと補足いたしますと、民事上の場合にはお断わりするケースが多いと申し上げるよりは、ほとんどもうお断わりしているということでございます。それから刑事上の場合には、一応この刑事訴訟法百九十七条によって、「公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」という規定がございまして、一応これをお断わりしてもどうしてもそれが必要だということになりますと、やはり今度は次の強制捜査なりあるいは差し押えという強制手段がとられるわけでございますから、あえてその強制手段をとられるようなお手数をかける前にその必要な資料をお出しするという場合と、しかしこれはどうしてもたてまえ上われわれとしては公務の秘密を守らにゃいかぬ、したがって、この百九十七条によって御協力することはできませんということをお断わりしておいて、その後に差し押えを受けるというケースと、これは半々だろうと思います。
  282. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 現在問題になっておる田中総理に関するこの税務資料の場合は、これは国家の重大な利益に関するから言えないというよりも、むしろやはり個人のプライバシー、人権を尊重する立場から出し渋っておられると思います。そうすると、たとえば国会を秘密会にした場合、その場合ならプライバシーは守れると思いますね。国会を秘密会にした場合には、この守秘義務はこういう場合解除されるべきだと思いますが、いかがですか。
  283. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 秘密会になった場合も、直ちに守秘義務が解除されるという考え方につきましては 私ども必ずしもそうとっておりませんが、しかし、やはり秘密会ならおのずからその御説明なりあるいは資料提出する範囲というものは、一般の公開の場合よりは広げられるだろうということは言えると思います。
  284. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大蔵大臣にまずお伺いしたいと思いますが、私は個人秘密といっても総理のような公人の場合と、一般人の場合には差があるべきだと思うのです。やはり総理は外人記者会見でも公私を区別してもらいたい、こういうことを言われましたけれども、公人は私生活においても潔白さを証明しなければならないと思うのです。これは、刑法の二百三十条の二ですね、三項に名誉毀損罪についての規定がありますけれども、公務員と公務員の候補者は、もし真実が証明されれば、名誉毀損罪は存立しないという規定があります。これは、公務員並びに公務員候補者については、真実であるならばそのことをプライバシーであっても、明らかにしても、名誉毀損罪は存立しない。一般人と区別されておるわけです。こういう発想からいきますと、公人中の公人とも言うべき総理の場合には、この個人秘密を守るという点についても私は同じに扱うべきではないと思うのです。この点はいかがですか。
  285. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 具体的な事案の処理ぶりを私のほうからどうすべきだというふうなことをお答えする立場じゃございませんが、まず考え方の筋道といいますかワク組みといいますか、それを御説明いたしたいと思います。  ただいま刑法の二百三十条の二の第三項になっておると思いますが、御指摘がございましたが、これは御指摘のとおりの条文でございます。ただ二百三十条の二について申しますと、あの条文はなるほど公務員というふうに裸で書いてありますけれども、そこで名誉毀損といいますか摘示した事実が当該公務員の全くの私事であるという場合には、その二百三十条の二の三項の適用はないというのが通説であり、最高裁判所の判例でもございます。ただいま法務省のほうでいろいろ研究しております刑法の全文改正の新しい刑法の当該名誉毀損の規定の場合には、その点を明らかにするためにただし書きがくっついているということになっております。  それから、公人の場合には考え方として、御要求にかかる資料提出するケースが多くていいんじゃないかというような御発言でございますが、一般論としてはそういうこともいえるだろうと思います。しかしやはりこれは具体的な事案事案に応じまして、秘密事項を秘匿することによって得られる公益と、それから当該資料をお出しすることによって得られる公益と比較考量する。その比較考量する場合の一つのモメントにはなるんじゃなかろうかというふうに考えます。
  286. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 あまり時間がありませんので、大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、大蔵大臣は先ほどの講演の中でも、またその後の委員会答弁の中でも、過去五年ぐらい調べてみて課税漏れがあれば的確に是正するということを言っておられます。これは一体どういう意味かお伺いをしたいのです。単にミスがあって、ミスがあった場合に、これをさらに更正決定して追徴するという意味なのか、あるいはその中でもし不正事件があれば、これは明らかにするという意味なのか、この点をお伺いしたいと思います。
  287. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私が申し上げておるのは、総理大臣も一納税者でございますということを申し上げているのでございます。いまたしか所得税を納めておられる方が八百万ぐらいおられると思いますが、八百万のうちのお一人であるというわけでございます。それで、わが国税当局としては、この八百万の方々の御協力を得まして、所得税を秩序正しくちょうだいいたしておるわけでございますが、その場合この八百万の方々の所得をできるだけ正確に捕捉するということは非常に大事業でございまして、まず第一に納税者全体の御協力を得るために申告納税制度にいたしておるわけでございます。そして、常にそれぞれの納税者所得に影響するかもしれないような情報がありますならば、それに対しては常に注意深く吸収活用いたしまして、できるだけ正確に所得を捕捉しなければならぬと考えております。田中さんの場合、ただいままでのところ私ども適正な措置が田中さんの御申告に基づきましてされていると確信いたしております。しかし今度のように問題が提起されているわけでございますから、もう一度再調査をいたしまして、申告漏れ、課税漏れがあればこれは直すのが当然なのでございまして、これは田中さんであろうとどなたであろうと当然なことをやっているわけなんでございます。どういう意味かというと、税務当局というのはそういうことをなすべき責任を持っているところでございまして、今度の場合もそういたしているわけでございます。そう答える以外に道はありません。
  288. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 最後に一問。私が聞いた意味はそういう意味じゃなくて、普通の場合、課税漏れがあった場合に、それを更正決定しましてもそれはやはり明らかにはされないわけですね。ところが、現在は田中総理にまつわっていろいろな疑惑が投げかけられているわけです。そして調べて見て、やはりその疑惑どおり不正があった、あるいは意図的な脱税があった、こういう場合に、それをこっそり処理するというだけでは私は済まされないと思うのです。その場合は、国会に対して大蔵大臣はその問題をやはり答弁されなければならない、このように思うわけです。その点についてまずお伺いします。  時間がないからまとめて言ってしまいますけれども、それからきのうの決算委員会の中で、私はだいぶ前の問題でありますけれども、明らかに田中総理が職権乱用をして家屋並びに土地を入手した。そしてそれに関連をしまして脱税を意図して小切手の裏書きを偽造している。これは裁判所の刑事訴訟記録の中に証拠としてあがっているわけです。証拠調書の中に述べられているわけです。だから私はこれは単に任意のある人の発言というよりもより客観性があるものだと思うのですね。こういう事態がある場合に、私はこれは非常に重大な嫌疑がかかっていると思うのです。単なるそれはうわさとか憶測じゃなくて、やはり裁判の一つの証拠調書として、その中に、採用された中にこういう証言がある、こういう場合には私は積極的にその疑惑を晴らす、あるいはそれについての解明の結果を国会において答弁してもらわなければならないと思うのです。この点についてどうされるのか、お伺いをしたいと思います。
  289. 磯辺律男

    説明員磯辺律男君) 調査をいたしました結果は、税法的に更正し得る期間の所得税につきまして、あるいは法人税につきまして、脱漏がありました場合には当然税法に従って更正をいたす、あるいは一般例に従って修正申告提出を求めるか、そういったかっこうで処理するつもりでございますけれども、昨日御質問のございました例の麻布の土地、建物の問題につきましては私ども調べている現段階におきましては、もうすでに十年前のことでございますので、この点については、はたしてそこまで私たちの質問調査権が及ぶかどうか、あるいは的確な職権に基づいた調査ができるかどうかにつきましては若干疑問に思っております。しかし、その調査いたしました結果について、これをどういうふうに最終的に国会に対して処理するかという問題につきましては、これは私はいまのところ、そういった更正なり、あるいは修正申告を求めたその結果がこうであったということを国会で御報告した前例もございませんので、いまのところは、そこは私らの税務上の処理というものを御信頼していただきまして、そして国会に御報告をするということについてはお許し願いたいと考えております。
  290. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 委員長、一言だけ。  大臣にお伺いしますが、各野党からいろんな疑惑が提出されておるわけです。脱税の疑いもあるわけです。そういうものについて質問しておるけれども、いまのところ資料は出てこない。そして大蔵大臣のほうでは過去にさかのぼって調べてみるということを言っておられるわけですね。そして調べた結果について何も言わずに黙っておるということならば、何のためにここで審議しておるかわからないわけです。少なくとも野党が提出しておる疑惑についてはやはりお答えいただかなければならないと思いますが、いかがですか。
  291. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) まず、八百万もの納税者納税について五万人の職員が日夜努力して徴税をいたしておるわけでございまして、私はかねがね申し上げておるように、わが国の税務当局は非常に高い技術としっかりしたモラルで仕事をいたしておりますので、まず第一に国会にお願いいたしたいのは、われわれを御信頼いただきたいということでございます。  それから第二に、守秘義務というのは田中さんをかばうためにやっておるんじゃないんでございまして、税制上、立法府がつくりました税法ではこのように守秘義務が規定されておりまして、われわれはその制約のもとで仕事を、それを順法して仕事をしておるんでございます。それからかってに、田中さんの場合だからといって、これをはずすわけにいかぬということを言っているわけなんです。ただ、田中さんの場合は、したがってこれは政治家として、あるいは最高の公人としていかがかという政治のモラルの問題がこの際の焦点なんでございまして、税法を曲げてどうせよということになりますと、国税当局としてはやりようがないと思うのでございます。で、しかし、国会はそういう角度から真実を究明したいという御調査の意思が伝えられておりますので、したがって私どもとしては、一方において守秘義務は守りながら、他方において国会の御審議に御協力申し上げる意味で、何ができるか、何ができないかということをせっかくいま苦心して検討いたして、その答えは近日お目にかけたいと言っておりますので、私どもくさいものにふたをしようとか、田中さんをかばうとか、そんなちゃちな根性でやっているわけでないことだけは、田渕さん、理解していただかなければ私は困ると思うのです。
  292. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 以上です。
  293. 前川旦

    委員長前川旦君) 他に御発言もないようでございますが、大蔵省関係の審査につきましては、昨日及び本日と二日間集中してこれを行ないましたが、各委員から再び質疑保留が出されましたので、場内持ち回り理事会におきまして協議の結果、来たる十一月二十六、二十七日の両日再度大蔵省関係の審査を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会