○羽生三七君 いま田委員の
質問された
日韓問題について、私もお尋ねしたいことがたくさんあるんでありますが、重複するのはいかがかと
考えますので、私ば、核兵器の問題一本にしぼってお尋ねをしたいと思います。
すでに御
承知のように、去る五月、インドが初の地下核爆発実験に踏み切ったことは、これは言うまでもございません。これに
関連をして、パキスタン原子力
委員会のカーン委員長は、パキスタンはインドの脅威に直面し、核実験を余儀なくされるかもしれないとの談話を発表しました。インドという第三
世界の国が事実上の核保有国になったということは、国際政治の上に与えるインパクトがきわめて大きいことを物語っているように思われます。
さらに、その後六月、中東を訪問したニクソン大統領が、同月十四日サダト・エジプト大統領との間に、また同月十七日ラビン・イスラエル首相との間に原子炉と核燃料の提供を
約束したことは、中東における核開発競争に拍車をかけるものということができると思います。
アメリカ政府は、完全な保障
措置のもとで提供されるので軍事転用の危険はないと述べておりますが、インドの例を見ても明らかなように、軍事利用への転用は絶無とは言えないばかりか、
アメリカ政府が核防条約に未署名のイスラエル、未
批准のエジプトに核物質を提供することは、パワーポリティックスの思惑から、みずからこの核防
体制を弱体化させるにひとしいと言わなければならぬと思います。また、その後六月十七日、フランスは南太平洋のムルロア環礁で大気圏内の核実験を行ない、以後七月二十九日までに五回の実験を相次いで行なっております。フランスの今回の実験が、水爆開発への仕上げとも見られておることは、これも御
承知のとおりだと思います。また六月、時を同じくして中国も通算十六回目の核実験を行なっております。さらに六月二十四日、英国のウィルソン首相は
下院で、英国が米国のネバダ州の核実験場で地下核実験を行なったことを発表いたしております。
以上のように、米ソはもとより、英、仏、中国のほか、新たに第三
世界のインドも加わって、相次いでこの核爆発実験が行なわれ、新たなる核の季節の到来を思わせるのでありますが、このままエスカレーションを続ければ、さらに新しい核保有国の出現を促さずにはおかないと思われます。このような
国際情勢のもとで
日本はいかにあるべきなのか、どのような方向を選択しようとするのか、この機会に
木村外相の
所見を伺っておきたいと思います。