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1974-10-16 第73回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十月十六日(水曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員異動  十月十四日     辞任         補欠選任      高橋 誉冨君     林  ゆう君      中山 太郎君     熊谷太三郎君  十月十六日     辞任         補欠選任      木島 則夫君     向井 長年君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中尾 辰義君     理 事                 熊谷太三郎君                 辻  一彦君                 塩出 啓典君                 小巻 敏雄君     委 員                 糸山英太郎君                 鍋島 直紹君                 林  ゆう君                茜ケ久保重光君                 小野  明君                 杉山善太郎君                 浜本 万三君                 向井 長年君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        原子力委員会委        員長代理     井上 五郎君        原子力委員会委        員        山田太三郎君        経済企画庁長官        官房参事官    藤井 直樹君        科学技術政務次        官        中村 禎二君        科学技術庁原子        力局次長     福永  博君        科学技術庁原子        力局原子炉規制        課長       中村 守孝君        資源エネルギー        庁石油部長    左近友三郎君        資源エネルギー        庁公益事業部火        力課長      伊藤 栄一君        運輸省船舶局長  内田  守君    参考人        日本原子力船開        発事業団理事   堀  純郎君        日本原子力研究        所東海研究所副        所長       天野  昇君        日本原子力研究        所労働組合副執        行委員長     青柳 長紀君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力船むつ」に関する件)  (派遣委員報告に関する件)     —————————————
  2. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十月十四日、中山太郎君及び高橋誉冨君が委員辞任され、その補欠として熊谷太三郎君及び林ゆう君が選任されました。     —————————————
  3. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいまの委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任は、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事熊谷太三郎君を選任いたします。     —————————————
  5. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日、日本原子力船開発事業団理事堀純郎君、日本原子力研究所東海研究所所長天野昇君及び同研究所労働組合執行委員長青柳長紀君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございません。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 辻一彦

    辻一彦君 きのう「むつ」が、いろんなむずかしい問題がありましたが、無事入港して、これは国民もほっとした、そういう気持がお互いにあろうと思います。  そこで、次官のほうから、きのうの入港の簡単な経緯といいますか、経過について、簡潔にひとつ御報告を願いたいと思います。
  10. 中村禎二

    説明員中村禎二君) それでは、原子力船むつ」が出港いたしましてから現在に至ります経過につきまして、その概要を御説明申し上げます。  八月二十六日午前零時四十五分出港いたしましてから、八月二十八日尻屋崎東方八百キロの洋上で臨界を達成いたしました。  九月一日午後五時十七分、熱出力一・四%で試験中、毎時〇・二ミリレントゲンの放射線漏れが生じました。このため、直ちに原因調査を開始し、専門家グループを同船に派遣し、調査に当たらしめました。同専門家グループは、九月十三日帰京し、調査結果の報告を受けました。その報告検討した結果、一次遮蔽すき間を伝わっての漏れがおもなものであり、洋上での補修は不可能であると判断されました。  このため、政府は、九月十四日、十五日の両日、原子力船関係閣僚懇談会を開き、「むつ」の入港先検討した結果、まず、燃料交換設備のある定係港入港せしめ、燃料を取りはずす。その後神戸に回航せしめ、原子炉を製作した三菱重工業神戸造船所で修理するとの方針を決定し、九月十九日、定係港に帰港することになって、地元了解を求めましたが、しかしながら、青森県知事をはじめ地元方面より、現時点での入港は著しい混乱を生ずるので見合わせられたいとの強い要請があり、十九日の入港は一時延期し、十九日再度関係閣僚懇談会を開催、とりあえず陸奥湾外のもよりの適地に仮泊、当面の補給、人員の交代を行なうことといたしました。しかし、この陸奥湾外での仮泊に対しても、県漁連は反対の決議を行なうに至りました。  政府は、かかる情勢にかんがみ、局面打開をはかるとともに、長期漂流状況にある「むつ」の実情を調査し、「むつ船長との意見交換に当たらしめるため、九月二十六日、科学技術庁政務次官以下を本船に派遣いたしました。  その結果「むつ」の乗り組み員の現状、船体の状況ともに極限に達しており、早急に入港を実現する必要があると判断いたしました。  九月三十日、政府与党連絡会議を開催し、鈴木総務会長現地に派遣し、「むつ」の定係港入港についての地元了解を得るための話し合いに当たらしめることといたし、総務会長は、県知事はじめ地元の各方面と精力的に話し合いを進めるとともに、現地において専門家会議を開催し、入港に伴う安全性確認を行なうなど局面打開をはかりました。漁連側もその委嘱する専門家とともに代表を「むつ本船及びむつ事業所に派遣し、原子炉を停止した状態での入港停泊については安全上心配がないことを確認するに至ったと見られます。漁連側は各単位組合意見を取りまとめ、十四日の代表者会議の後、総務会長との最終的な話し合いが行なわれ、その結果「むつ」の定係港入港定係港撤去地元地域及び漁業振興等が合意されました。なお、「むつ」の原子炉については、去る九月漁連代表者本船におもむいた際、その立ち会いの上で電源キーを封印しております。  なお、十四日代表者会議総務会長との最終的な話し合いが行なわれ、合意いたしました。そこで地元合意書を取りかわしたわけでございます。その内容を概略御説明申し上げます。  以上のとおりの合意書を締結いたしたような次第でございます。  以上のとおりでございます。
  11. 辻一彦

    辻一彦君 ちょっと時間がずいぶんかかったもんですから、少し私延びるかもわかりませんが、お許しを願いたいと思います。  そこでいま次官から経緯は伺いました。まあきのうも御報告のあったことでありますが、お伺いしました。ともあれ非常な問題をかかえた「むつ」がきのう無事入港したと、こういう点ではお互いにほっとした気持ちがあろうと思います。  実は私、十一、十二日青森むつのほうに参りまして、現地状況をいろいろとお伺いしたことがありますが、そのときに一番強硬な立場をとっておられる漁業協同組合組合員さんにもずっと一通りお会いしました。そのときにこういうお話を聞いたんです。それは、漁民推薦調査団として自分たちも「むつ」に乗船をした。そしてこの船に乗っている荒船長ほか船員皆さん苦労もわかった。最後に、いつ帰れるようになりますかといって、船員皆さんが尋ねられたときに自分たちも涙ぐんだんだと、これは海におる、船に乗る男として、人間としてそういう気持ち理解することができたと、こういうことをたいへん率直に言っておられるのを私聞いたわけであります。だから、「むつ」が無事に帰港した中には、私はいろんな各方面のそれぞれの努力があったと思いますが、特に船に乗っておった八十二名の荒船長n船員皆さん苦労を私たち十分理解をしなくてはならないと思います。そういう意味荒船長はじめ八十二名の乗員に対して、その苦労に対してどう考えておられるか。まずこれを中村政務次官並びにこの事業団理事長代理からお伺いいたしたい。
  12. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 私は先般、科学技術庁運輸省、「むつ」の事業団理事長等計十二名が「むつ」に参りまして、直接荒船長ともお会いしてお話をいたしました。また船上における船員の方ともお会いしました。船内の状況もつぶさに見てまいったわけでございます。その節痛切に感じましたことは、「むつ」が出港以来約一カ月、何ら目的なくして、しかも帰る母港がない、洋上漂流、漂泊を続けておるということに対しまして、船長はじめ乗り組み員の心情を察しますと、言語にあらわせない私は精神的な不安、苦痛、また肉体的な問題等があると痛切に感じたわけでございます。船長船長として、私は過去いろいろの船長ともお会いしてまいりましたけれども、荒船長は古武士の風格を備えた船長である。全く海員魂に徹した私はりっぱな船長と、お会いして感じたのでございます。船員もまた荒船長のもとで、船長と一体になって努力をしており、涙ぐましい状況を見てまいりました。一日も早くこれは母港に帰るようにしなければならないと感じましたので、帰りまして、率直に私は関係閣僚懇談会の席で、調査の結果を報告をいたしておるような次第でございます。
  13. 堀純郎

    参考人堀純郎君) ただいま先生からお話しのございましたように、船員が非常に苦労しておりますので、一日も早くこの船を入港させたいと念願しておったのでございますが、なかなかそれも実現いたしませんでしたので、まずとりあえず、十月七日に五十八名の船員の三分の二にあたりますところの三十九名を下船いたさせまして、これを八戸から上陸いたさせました。途中通いの船を使ってでございますが、そういたさせまして、それから昨日残りの者とそれからそれの補充として多少、少数の者を乗せましたものが、昨日全員港に帰ったわけでございました。これにつきまして、その苦労に報いる方法につきまして検討いたしておりますが、その方法といたしましては、ただいま二つを考えております。一つは、特別の休暇を与えること。もちろんこれは有給休暇でございます。年次休暇に加えてこれを与える。それからもう一つは、その苦労に報いる特別の手当を支給する。この二つを考えておりまして、すでに休暇についてはこれを与えておりまして、それから手当については予算の都合その他ございますので、ただいま作業を進めております。  以上でございます。
  14. 辻一彦

    辻一彦君 私は、この問題にきょうは深く入る気持ちはありませんが、なるほど、とにかく苦労された皆さんに、それは休暇手当も大事です。しかし、一番大事なのは反面教師といいますか、この皆さん苦労から何を学んで、これからの原子力行政あるいは原子力船というものをどう考えていくか、これにどう生かされるかということが私は一番大事だと思う。その点につきまして、いまの機会ではなしに、いずれまた別の機会にこれはあらためてお伺いいたしたい、こう思いますから、何をひとつ皆さん苦労から学びとられたか、これをしっかりひとつ検討を考えていただきたいと、こう思います。  そこで、第二に、いま次官の読み上げられましたように合意事項ができたわけであります。そして、これはまあ地元漁民皆さん、またそれぞれの各機関の非常な努力、それから政府特使のいろいろな、それぞれの努力があったと思いますが、この合意協定書内容、きのうも論議をされましたが、これはきめられた期日にこの項目にしたがってきちっとやってもらう、順守してもらう、こういうことが私は一番大事だ。特に、残念なことに今度のこの問題を通して原子力船また原子力行政というものに対しての不信感というものが全国的に、特に私は青森の中に強くなったと思います。その点から考えても、この協定事項はきちっとどうしても守って実現をしてもらわなくてはならないと、こう思いますが、それについての決意をいま一度中村政務次官から簡潔にお伺いいたします。
  15. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 合意書事項は必ずこれは厳守してまいらなければ、今後の原子力開発、推進は私は不可能だと思います。これは絶対この合意書のとおりに私は守っていかなければならないと考えております。
  16. 辻一彦

    辻一彦君 きのうと重複するおそれが多分にありますが、若干、私は二、三の点で確認といいますか中身について御質問いたしたいと思います。  この撤去という場合、前は三カ月という話が出ておりましたが今度は二年六カ月というかなり期間になりました。この期間内に、これは私も拝見しましたが、あの陸上施設というのはなかなか相当な中身でありますが、地元のほうに譲渡といいますか譲り渡すようなものを除けば全面的に全部この二年半以内に撤去する、取り去ると、こういう意味でしょうか。
  17. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 来月一日から一部その作業にもう着手するわけでございますから、期間中には撤去すべき施設はすべて撤去することになると私は思います。
  18. 辻一彦

    辻一彦君 十一月一日から撤去作業が始まるといたしますと、一番最初に何に手をつけられますか。
  19. 中村禎二

    説明員中村禎二君) まず燃料棒を保管します水槽、七メーターぐらいあります深い水槽がございます。それの埋め立てから着手される予定のようでございます。
  20. 辻一彦

    辻一彦君 それから、その合意事項にあります、使用済み燃料交換用容器いわゆるキャスクを、これを県外に搬出する、とありますが、これはいつごろから始められる計画ですか。
  21. 福永博

    説明員福永博君) これもただいまの使用済み燃料のプールと同様十一月中に作業を開始する予定でございますが、具体的にはこれから詰めてまいります。
  22. 辻一彦

    辻一彦君 十一月中ということはここにも書いてありますが、具体的な日付としていつから着手される計画かお伺いしたい。
  23. 福永博

    説明員福永博君) ただいまのところ具体的な日取りまではまだ決定いたしておりません。
  24. 辻一彦

    辻一彦君 いま次官答弁のとおり、この埋め立てがまず一番最初作業のようでありますが、それと並行してキャスク撤去、搬出も始まると、こう理解していいですか。
  25. 福永博

    説明員福永博君) そういうことになろうかと考えます。
  26. 辻一彦

    辻一彦君 まあきのう、それぞれ確認されたことでありますから、詳しいことは避けます。  今度の問題で、行って私見てみますと、出稼ぎにいかなくなったというあの漁民のホタテガイにかける執念といいますか、熱意というものは非常なものがあると、こういうふうに感じましたが、かなり期間に稚貝の、あるいは貝の養殖関係でありますから手入れとかいろんなことができなくて、中には稚貝が腐るとか生育がとまるとか、こういう問題がずいぶん出ておりましたが、この中にはそういう問題を含めて出ておるわけでありますが、この漁業対策漁民のために早期に着実に手を打たれるものと理解をしますが、その点念のために確認いたしたい。
  27. 福永博

    説明員福永博君) 御趣旨のとおりかと存じますけれども、具体的な内容につきましては、これから関係省庁で詰めてまいりたいと存じております。
  28. 辻一彦

    辻一彦君 私、まあ官房長官がおいでになればひとつ、午後ですが、お見えになるならば、この「むつ」の問題から日本原子力行政として何を学び取っておるか、こういうことをお伺いいたしたいと、したがってこの問題はここではしばらく留保しておきたいと思います。  次に、具体的な問題に私二、三入りたいんであります。  九月の十一日に、私と同僚の先輩杉山委員、そしてまた浜本委員からそれぞれこの問題についての質疑がありまして私も国会記録を拝読をしました。若干重複する点もありますが、私は二次遮蔽の問題からちょっとお伺いしたいと、こう思います。  九月十三日のこのしゃへい検討小委員会といいますか、委員会報告を見ますと、二次遮蔽予定された遮蔽効果を果たしていると、こうありますが、どういうようにして確認をされたのか、まあ時間の点もありますから、わかりやすく簡単にひとつ話してください。
  29. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 調査団現地に参りまして、格納容器内部ガンマ線並びに中性子線の計測を行ないますとともに、格納容器外中性子線ガンマ線等についての線量分布状況測定いたしたわけでございます。その測定の結果は、詳細は現在解析中でございますが、その測定に当たりました専門家の見解として、そのような当面中間的な報告としてそういう結論をいただいたわけでございます。
  30. 辻一彦

    辻一彦君 格納容器上部の二次遮蔽頂部ですね、問題ありましたが、いまは一次遮蔽の問題に移っているようでありますが、その二次遮蔽頂部に、鉛のみでなく、ポリエチレンを張ってもこの場合の遮蔽効果はほとんど変わりはなかったのかどうか、この点いかがですか。
  31. 中村守孝

    説明員中村守孝君) お答えいたします。  格納容器内で、原子炉容器上面測定いたしました。中性子線について測定いたしましたわけでございますが、その結果、圧力容器と一次遮蔽とのすき間から出ます、上方に出ております中性子線が異常に高いということで、これはもう二次遮蔽の問題ではなくて、一次遮蔽そのものが非常に高い線量が出ておるために二次側に中性子線が出まして、ガンマ線に〇・二ミリレントゲンパーアワーという数字を示したものと理解されておるわけでございます。格納容器内部上面ガンマ線設計値とほとんど同じような数字になっておりまして、そういう意味からも圧力容器と一次遮蔽とのすき間から出た中性子線、これが主たる原因である、こういうぐあいに中間的には理解されたわけでございます。
  32. 辻一彦

    辻一彦君 これはあとでもう一度まとめて資料要求をいたしますが、いま私の言った一、二のこの問題を裏づける、あなたの御答弁を裏づける資料を提出をいただきたいと思いますが、できますか。
  33. 福永博

    説明員福永博君) ただいまの専門家グループ調査結果は、ただいま解析を進めているところでございますが、近くまとまると思いますので、まとまりました段階でお届けするようにいたします。
  34. 辻一彦

    辻一彦君 この二次遮蔽上部の鉛とポリエチレン関係が全然、あるのかないのかもまだひとつ調べてみなくちゃならない一つ問題点だろうと思うんです。  それと関連して、安全審査のあり方について若干お伺いをいたしたいと思います。まあ国会記録を見て、原子力局長、それから内田部会長、きょうはお見えになっておりませんが、それぞれの御答弁を通して、基本設計までが安全審査の領域である、それからたとえば二次遮蔽について言うならば、その上部ポリエチレンや鉛をどういう組み合わせで、使うということはこの条件であったけれども、その中身をどの組み合わせで、何センチぐらい組み合わすかということは詳細設計に移るので権限外である、だから安全専門審査会の関知せざるところであると、こういうような御答弁記録で私見たんでありますが、そのとおりと受け取ってよろしいか、いかがですか。
  35. 中村守孝

    説明員中村守孝君) お答えいたします。  安全専門審査会で審議いたします内容は、原子炉等規制法によります許可段階におきます審査でございまして、その審査内容は、今後進めてまいります詳細設計段階の前提としての基本的な設計条件災害評価等について審査いたすわけでございまして、遮蔽につきましては、いわば今回の船について申しますと、いわゆる一次遮蔽とそれから生態遮蔽を行ないます二次遮蔽とから構成される、そして、その材料としてどういうものを使うかということについて支障ないかどうかと、そしてそういう材料を使って遮蔽するとして、その周辺の居室あるいは補機室、甲板、そういったところにおきましてどの程度の放射線量になればその設計要件が満たせるんだろうかということについての設計基準に相当します線量の適否、妥当性検討いたしております。遮蔽計算につきましては、非科学的な形状等に左右される問題でもございますので、安全審査段階におきましては、具体的な計算まではいたしておりません。そしてこれらはその後、基本的方針に基づきまして、実際の設計にあたりまして、その要件が満たされない場合においては、あらためて設置許可の変更という形で再度設置者のほうから申請がなされまして、安全審査会として審査いたすわけでございますが、そういう再度の申請はありませんでしたので、そういう面についての再審査といったことはいたしておりません。
  36. 辻一彦

    辻一彦君 私が聞いたことは、あなたのところの局長内田専門部会長答弁している、そのとおりであるかどうかということなので、そのとおりならそのとおりと、こう言ってもらえばいいんです。そのとおりですね。私の申し上げたことは、内田さんと局長が言われた答弁内容です、それはそれでいいんですね。
  37. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 遮蔽の具体的な計算まで審査会の範囲ではないということについては答弁のとおりだと思います。
  38. 辻一彦

    辻一彦君 それじゃ、安全審査のときに、ポリエチレンを取ったときにどうなるかという検討はしているのか、していないのか、どうなんですか。
  39. 福永博

    説明員福永博君) 原子力船むつ」の設置許可申請に伴いまして、安全審査は四十二年の四月から十一月にかけて行なっているわけでございますけれども、その設置許可申請におきましては、ポリエチレン上部の二次遮蔽と申しましょうか、それは申請段階でございませんので、取ったらどうとか、それがあったらどうとか、こういう審査はいたしておりません。
  40. 辻一彦

    辻一彦君 やっていないのですね、検討していないのですね——。  それでは、私、国会記録を見てみると、事業団の内古閑専務安全審査にあたって、審査参考資料として出した資料ポリエチレンを取った図がちゃんと出してある。だから間違った図面、パンフレットをつくったんだけれども、それは安全審査参考書にきちっと出した資料では実物どおりになっていると、こういう御答弁が二回出ておりますね、衆、参両院において。あれを見ますと、安全専門審査会に明らかにポリエチレンを取った形の参考資料が出されている。参考資料というのは一体どういう場合に出すものか、これは山田原子力委員からひとつ。
  41. 中村守孝

    説明員中村守孝君) お答えいたします。図面につきましては関係者の話……
  42. 辻一彦

    辻一彦君 いや、私の聞いているのは、参考資料というのは、いかなる場合に出されるのかということ。
  43. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 申請内容について、提出されました申請内容、書類のみで十分理解できないようなときに補足的に説明資料として出していただくものです。
  44. 辻一彦

    辻一彦君 基本的に申請書があり、付属書類がある。それで足りない部分を論議をした結果、必要だから出せと、出すなら参考資料にしよう。ならば、ポリエチレン上部を取った参考資料が出されていることは安全専門審査会の中で論議をされているはずですよ。これは私は、局長内田部会長が言われた、そういう詳細設計内部にはタッチしてない、関与しないと言われるけれども、参考資料として出されたということは、論議があったということを私は裏づけると思うんですが、これは非常に矛盾すると思うが、いかがですか。
  45. 中村守孝

    説明員中村守孝君) いまの御質問でございますが、図面等について、文章で書かれました内容について、一次遮蔽と二次遮蔽との相関関係等をもう少しわかりやすく図面の形で出せというようなことで出された図面でございまして、もちろんそういうような基本的にどういう構造になるんだろうかということについての議論はなされております。ただ、厚さは何センチにしたら適当なのかどうかということの詳細な計算までは、やはり幾何学的に詳細な設計がきまった段階での計算になりますので、安全審査会では審査いたしていないということでございます。
  46. 辻一彦

    辻一彦君 山田原子力委員答弁を読んでみると、あなたの御答弁によれば、三十九年から四十一年の半ばまではポリエチレンが上についておった。四十二年の三月にポリエチレンを取って、四月に安全審査申請書が出たと、こう答弁されて、そのあとに十分この問題については、鉛だけで遮蔽効果があるということで、この設計を承認した、こう答弁されておりますね。それは非常に私は食い違うように思います。その点ひとつ明らかにしていただきたい。
  47. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 例のポリエチレンがいつ取りはずされたかということにつきましては、初期の設計においては、確かに鉛とポリエチレンと両方あったということは事実でございます。その後この原子力船設計が大幅に変更された時期が四十一年の半ばからでございまして、その段階からこの部分のポリエチレンをはずしますかわりに、その上の部分を周辺監視区域という形にして、従来考えておった、人がいつも行くというところでないところに変えたということによって、その周辺監視区域という形で、ポリエチレンを除くということになったのが原船事業団のデザインでございます。しかし、この安全審査会におきましては、その具体的な内容について十分であるかどうかということを検討したわけではございませんで、そういう原理的な形、あるいは先ほど中村課長答弁いたしました放射線に対する基準というようなものを審査しておるということでございます。
  48. 辻一彦

    辻一彦君 山田原子力委員は九月十一日、本院におけるこの委員会で、わが浜本委員の質問に対して、こう言われております。「鉛の部分だけで十分に遮蔽ができるというふうな設計上になっておったということを承認したと思います。」こう御答弁されておるね。あなた首かしげているけれども、ちゃんと書いてあるのです。これは明らかに安全専門審査会は、いわゆる基本設計のみならず、詳細設計内部に、その前後を通していろいろな形でタッチをしている、関与しているということじゃないですか。内田さんや局長の言われることでは、これは基本設計だけで、あとは知らないと、ほかの責任だと、こう言われるが、この前後のいきさつを見れば、これは明らかに何年か前から安全専門審査会がいろいろな形で直接、間接タッチをして、詳細設計中身について、安全専門審査会は全然責任がないと、こう言われておりますが、この事実、非常に私は食い違うように思います。これはいかがですか。
  49. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 詳細設計中身に関与しないという意味は、いま先生がおっしゃったような遮蔽材としてどういうものをどういうかっこうで組み立てるかという、およその基本的な線についての検討までやっていないという意味ではございません。詳細設計と申しますのは、具体的なものをつくる、その段階での設計でございますので、その前の概念的な設計についての審査ということで、したがって安全専門審査会審査いたしますときには、上方への遮蔽材料として、下方のほうは水と鉄、そういう組み合わせでの遮蔽、それから上方にいくにつれまして、中性子線等が弱まりますので、そういったものについては重コンクリート、普通コンクリート、こういう構成にいたし、上方については、鉄の遮蔽リングで遮蔽するということについての基準的な考え方については誤りがないのではないか。それから上方につきましては、上方は周辺監視区域という設定をいたしておりまして、一般の放射線量が厳重に、きびしく調査されなければならない上部斜め方向につきましては、特に念を入れてポリエチレン等で遮蔽をするという基本的なやり方について承認したものでございまして、実際の設計にあたりましては、具体的な遮蔽計算と、それから、あるいは必要であればモックアップ試験、そういうようなものをやって具体的な設計に入るわけでございます。その前提としての基本的な考え方についての審査を行ない、了承したものと考えます。
  50. 辻一彦

    辻一彦君 私はあなたに聞いているんじゃないんですよ。山田さんが国会でちゃんと答弁をされておる、それについてどうだと聞いている。お答えなさい。
  51. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) ただいま中村課長答弁いたしましたとおり、鉛というものでいけるということを承認したわけでございまして、それの寸法が何センチ何ミリでなければならぬかというようなことは、この安全審査会においてタッチしたものではございません。しかし、安全審査会といえども具体化ができそうもないことを言うわけにいきませんので、そういう内容についての検討はいたしておりますが、それを安全審査の許可の条件というようなことにはしておりません。
  52. 辻一彦

    辻一彦君 この答弁では、「鉛の部分だけで十分に遮蔽ができるというふうな設計上になっておったということを承認したと思います。」と、こう言われておるんだから、十分に鉛だけで遮蔽できるということを承認したというのなら、あなた、中身について検討なしに、どこかほかでやってくれというような、そんないいかげんなことで承認されたんじゃないでしょう。
  53. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 速記録をいま持っておりませんので……。
  54. 辻一彦

    辻一彦君 ここにあるからごらんなさい。——どうぞ。
  55. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 確かに私の発言は「承認したと思います。」と書いてございますが、これは想像でございまして、その具体的な寸法がいけるということについてはやっておらなかったというふうに思います。
  56. 辻一彦

    辻一彦君 想像で、あなた、いやしくもこの国会の、これだけ原子力船の安全が問題になっているところで、原子力委員会の権威をかけた安全審査報告を想像でなされるというようなことは、私はもってのほかだと思うけれども、どうお考えになりますか。
  57. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) ここに「思います。」と書いてございますので、承認したものであるというふうには申し上げておりません。
  58. 辻一彦

    辻一彦君 前に「十分に」とあなたちゃんとお答えになっておいて、あとでそんな、想像であるとか、それから、「思います。」ですからって、そんないいかげんなことで国会答弁はできませんよ。
  59. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 議事進行でちょっと。  いま聞いていると、あなた原子力委員でしょう。それがこういう重大な問題に対してそういう答弁であなた済むと思っているの。——あなたは国会を侮辱している。そういういいかげんなことをやっているからああいう問題が起こるんだ。それは、いま原子力というものは国民に非常な大きな問題を与えている。非常に心配もしているし、注目をされておる。それでああいう事故を起こしている。これは、当面の責任者じゃないですか。これは、責任者が、少なくともあなた国会答弁で、想像だとか、違うとか、そういうあなたの答弁は全然評価できない。これは委員長、ひとつ、私は、この問題はここで言いませんが、これはひとつ原子力委に対して、当委員会としては重大な私は問題だと思うんですよ。したがって、いま一々ここで深追いはしませんが、これはやっぱり原子力委員会に対してひとつ適当な措置をしなくちゃならないと思うんです。そういうことも私は言って、それは、あなたの答弁というのはとんでもない話だと思う。これはあなたひとつ帰って原子力大臣と相談してください、どうするのか。こちらとしても対処します。  以上だけひとつ申し上げておきます。
  60. 辻一彦

    辻一彦君 忙しい時間ですから、これで議事中断したりするのもどうかと思うので私は続けますが、原子力委員会代表して御答弁になって、想像で報告を述べたというようなことはこれは私はもってのほかだと思う。その点はどうお考えになっておるか、これをひとつお伺いいたしたいと思います。
  61. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) どうもことばが不足しておりましてまことに申しわけないと思います。
  62. 辻一彦

    辻一彦君 まだまだ問題ありますから中へ入りますが、鉛だけで十分遮蔽ができるという設計を承認したというのなら、幾ら中性子が出て、どれぐらいの鉛の厚さがあれば遮蔽できるか、こんなことは普通考えるはずなんですが、そういうことは全然確認しないんですか、安全審査会というのは。
  63. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 上部には鉄の遮蔽リングがございます。したがいまして、定性的には中性子線も鉄によって十分遮蔽されます。ただその厚さ、あるいはすき間の大きさ等によって具体的には左右されるわけであります。そこまでのことはいたしませんが、鉄という材料を使うことによって中性子線遮蔽し得るかどうか。そこにたとえば一次遮蔽のその部分にポリエチレンをもし使ったというような申請が出てまいったとすれば、当然熱的問題によりまして、そこにそういうものを使うのは不適当であろうという判断をなされるわけであります。本件の場合、そういう意味で鉄を使ってもございます。斜め肩のほうにはコンクリートを十分な厚さで使うということにいたしておりますので、そういう基本的な考え方について間違いがないという理解をしたのだと私は考えます。
  64. 辻一彦

    辻一彦君 みな私は考えているとか、想像ばかりの話じゃ困るのだ、この国会で。たとえば原子力発電の審査のとき見なさいよ。私らが何回か安全審査資料を要求しているが、出されてくる資料の中を見れば、平常の運転においてこれだけの厚さがあるからこの放射能というものは、放射線はこれ以上は出ない、あるいは重大事故や仮想事故が起これば、これだけの遮蔽の厚みがあり、コンクリートがこうあり、いろんな設備によってこれは防げるという、いつでも計算してあなた出しているじゃないですか。船舶用の場合だけは何でそういうことをやらぬのですか。
  65. 中村守孝

    説明員中村守孝君) ただいまのお話でございますが、遮蔽についての計算について何かお答えした機会があったとすれば、それは通産省で工事認可の段階において遮蔽計算書というものをとっております。そういうことで最終的に確認された、発電所をつくる場合は、これは先般御承知のことと思いますが、設置許可段階安全審査ですべて国の安全審査が終わったわけではございません。でき上がった発電所についてはその後も詳細設計についての審査、さらに工事中の検査、でき上がる前におきます使用前検査、そういうもので確認されて、こういうものであるから最終的に安全なものができるということでございます。御了解いただきたいと思います。
  66. 辻一彦

    辻一彦君 そんな発電所の話は何年もやっておるのだから私もよくわかっておるんですよ、こんなことは。原子炉の発電炉の場合には、安全審査中身としてわれわれに出されておる資料の中にいろんな計算がされた資料が出ておるんですよ。ところがこの船舶用原子炉についてはそれは設計だけであとはほかがやるのだと、同じ原子炉安全専門審査会審査しながらなぜこの原子力船の場合にはこんな簡単なことを言っておるのか。少なくとも十分に鉛で遮蔽できるというのなら、鉛の厚さがこれだけあって、中性子がこれぐらい出るのだから十分遮蔽できる、そんなことはどっかで計算して確認するのはあたりまえじゃないですか。そんなこともしない安全審査なのか、どうなんですか。
  67. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 実際に発電所にしろ、この船にしろ、周辺公衆に与えます放射能放出に伴う災害評価あるいは平常時被曝、これは全く同様に行なっております。
  68. 辻一彦

    辻一彦君 資料は、発電所で出された、安全審査会が出された資料は幾らもあるんだから、私も何回ももらったけれども、その中にはたいへんな高等数学を使って、われわれの専門外ではわからぬような計算を一ぱいして、一番最後こうなりましたといって何ページの厚み、あなた計算をして持ってこられたでしょう、安全審査中身を。ところがこの船舶の場合だけは、それはほかでやるんだという、そういう私は安全審査というのは理解しがたい。よって、これはやっぱりこの問題については資料を詳細に点検する必要が私はあると思うんです。「むつ原子力船の——委員長にお願いしたいが、この事業団が出した申請書、付属書類、審査にあたっての一切の参考書類、参考資料、それから議事録、審査報告書、これだけを一そろい委員会へ出していただきたい。委員長からひとつこれは確認をお願いしたい。
  69. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) いま辻君の要求資料、よろしゅうございますか。
  70. 福永博

    説明員福永博君) ただいま先生からお話ございました資料のうち、設置許可申請書、同添付資料、それから安全審査報告書については、お出しいたします。その他の資料につきましては検討さしていただきます。
  71. 辻一彦

    辻一彦君 その他の資料は何ですか、もう一度。
  72. 福永博

    説明員福永博君) 検討さしていただきたいと思います。
  73. 辻一彦

    辻一彦君 それは、もう発電用原子炉についてはずいぶん、何年越しにやってきて、予算委員会でも確認してずいぶん出されておるんですよ。たとえば、さっき問題になったポリエチレン上部をはずすという、これは参考資料で内古閑専務がちゃんと出したって二回も答弁しているんですよ。そんなものが、検討してぐあいが悪いから出されなければ、あなた、きまり切った展覧室に置いてあるような資料を幾ら並べたって論議はできませんよ。参考資料を出してもらわなくちゃ、私はこれは国政調査できない。出せるか出さぬか、委員長、もう一度確認いただきたい。
  74. 福永博

    説明員福永博君) その他の資料につきましては、どの程度のものをどの範囲でここにお出しできるか検討さしていただきまして、後刻御報告申し上げます。
  75. 辻一彦

    辻一彦君 いや、原子力基本法にいう自主、民主、公開の原則は何回も国会で論議されてあるわけですよ。ここで皆さん、あなたのほうがこれは都合悪いといってお出しにならなければ、ますます不信感をつのらして、これはこれからの原子力行政というのはだめになっちゃいますよ。ここで問題点を全部出して洗い直しをして、全部がひとつ確認をして新しい合意をつくらない限り、日本の私は原子力行政は進んでいかないと思うんです。そういう基本三原則から公開の原則に立ってその参考資料は当然出されるべきであると思うんですが、いかがですか。
  76. 福永博

    説明員福永博君) 公開の原則につきましては、御趣旨、先生のとおりだと存じます。しかしながら安全審査にあたりまして、補足的に申請者から提出されました資料あるいは参考資料等は、審査会段階でこれを判断の材料としたものもありますし、あるいはそうでないものもございます。それから中には、あるいはメーカーのノーハウに属するようなものもございます。そういったところを勘案いたしまして検討すると申し上げた次第でございます。
  77. 辻一彦

    辻一彦君 去年の六月ですね、二年越しにかかってたとえば東海二号百十万キロワットの発電炉、福島六号炉の百十万のB型の発電炉、それから大飯の百十七万五千キロの加圧の発電炉のこの審査書については参考資料が出せないという御見解でありましたが、昨年科学の理事会をもって出されて、これは二百数十点出されたはずですよ。そして十数点はウェスチングハウス、GEとの覚え書きがある。それで確認をされて、このGEのほうは出たけれども、ウェスチングハウスの十六、七点は出ていない。さらに金庫にこの十五、六点ずつは入っているはずですが、まあ大部分が、特別のものを除いてこの審査資料参考資料というものは一応国政の論議のために提供、出されておるわけですが、発電炉についてそうなされておるのに、なぜ船舶原子炉についてはそれができないのか。いかがですか。
  78. 福永博

    説明員福永博君) 御趣旨の線に沿いまして検討させていただきます。
  79. 辻一彦

    辻一彦君 この資料問題は検討さしていただくでは私は承服できないから、あとで理事会にひとつはかって、しかるべくぜひ具体的にいつまでにどう検討して、どう出すか確認していただきたいと思います。
  80. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) それじゃ、ただいま辻君からの要求資料につきましては、あとで理事会でおはかりいたします。
  81. 辻一彦

    辻一彦君 次に 一次遮蔽はこの格納容器の周辺、ぐるりのほうには問題はないのか。この上部のほうに出ていると、こういわれておりますが、周辺部の横のほうには一次遮蔽についての問題点はないのか、この点はいかがですか。
  82. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 先般の調査団の中間報告によりますれば、その測定結果では、上方向への分布が非常に大きい、それから横方向の測定値についても多少出ておりますが、これは下方向からの反射等の影響もあるのだろうということでございまして、現在これらが最終的にいわゆる原子炉室周辺の遮蔽壁で十分遮蔽され、その周囲には影響がないかどうか、そこら辺の計算についても現在データを分析中でございますので、その結果を待って御返事申し上げたいと思います。
  83. 辻一彦

    辻一彦君 それでは上部においては遮蔽効果というのはあまりなかったのかどうか、どうなんですか。
  84. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 確かに内部におきます線量分布を調べた結果におきましては、特に圧力容器と一次遮蔽材の間のすき間の上方向。それに計測孔の上方向にやや若干見られますが、高い放射線——中性子線の量が、一%程度の出力に対してはきわめて高い放射線量測定されております。そういうことから、ほかのところのその周辺も若干高うございますけれども、それはそのすき間から出たものが散乱した結果によるものだろうといういまのところの見通しでございます。
  85. 辻一彦

    辻一彦君 中性子の遮蔽計算値は設計上は幾らだったかということ。それからまた実測値は調査団が行ってはかりましたね、実測値は報道によると三けた違っておったというようにいわれておりますが、その数字は具体的に幾らか、それからどういう測定器をもって測定したのか、この三点についてお願いしたい。
  86. 中村守孝

    説明員中村守孝君) いま具体的な数字をちょっと持ち合わせておりませんので、いま詳細なデータの分析中でございますので、その結果と比較するような形でお示ししたいと思います。
  87. 辻一彦

    辻一彦君 きのう私は政府委員会議から見えたときに申し上げたんだが、コンピューターをたたくのは時間がかかるけれど、いままでだって温排水やいろいろなコンピューターにかけにゃならぬ問題も紙で計算すればある程度の大体のところは出るというので、私しばしばそういうふうに出してもらったんですが、それが出るはずだと言ったんですが、それは出ないのですか、できないんですか、その計算は。
  88. 福永博

    説明員福永博君) 先ほど私お答え申し上げましたように、測定結果の解析が近く、と申しましても今月一ぱいぐらいをめどにしてやっておりますので、その結果を待って御報告申し上げたいと思います。
  89. 辻一彦

    辻一彦君 これはいままでの例からすれば、もう皆さんの頭のいいんで鉛筆でやればできぬことはないはずですよ、実際として。長い間コンピューターでとらせなくたって、およその数字は出るはずですが、いまそこに用意がなければそれを出してくれといっても無理だと思います。だからもう一度、月末を待たずして出せるのかどうか、ひとつ検討していただきたい。
  90. 福永博

    説明員福永博君) ただいま鋭意進めておりますので、なるべく早い時期にお出ししたいと思います。
  91. 辻一彦

    辻一彦君 この実測値とそれからこの設計上のコンピューターにかける前に、そんな中性子の遮蔽計算はこれは初めに計算されておるんだから、この数字が幾らかということはわからぬはずはないでしょう。またあの調査団が行って三けた違っておったといってつぶやいたというけれども、そのときの実測値がわからないはずがない。それをどう修正するかというには、それはコンピューターに入れてやらなきゃいかぬけれども、この二つがわからないはずはないと思うんだが、これはどうなんですか。
  92. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 測定にはいろいろな方向性その他いろんなものもございますので、その測定のいわばなまのデータそのものについて、そのものをベースにいろいろ議論いたしましても正確な結論は得られませんので、いまのところそういう中間的な数字はお出ししておらないわけでございます。そういうなまの数字がもちろん測定してあるわけでございますので、そういう数字は持ち合わせております。ただ設計値は一〇〇%の出力での計算値を持って充てておるわけでございます。今回の測定値は非常に低出力の一%弱の出力での測定でございます。そういうことでその程度の低出力の測定でございますと、出力そのものがかなり測定値そのものに幅があるんではないかと思います。それがまたそのまま一〇〇%に換算できるという性格のものでもないわけでございます。そこら辺の点を専門家意見をお伺いしましてしっかりしたデータにまとめ上げたいというのがいまの私どもの考え方でございます。
  93. 辻一彦

    辻一彦君 考え方はわかりましたが、一〇〇%で計算した場合に設計上は幾らになっておりますか。
  94. 中村守孝

    説明員中村守孝君) ちょっとたいへん申しわけございませんが、ただいま持ち合わせございませんので、後刻お届けさしていただきます。
  95. 辻一彦

    辻一彦君 これはなるほど正確な数字というのは、やっぱりいろんな修正したりする必要あると思うんですよ。しかし一〇〇%計算して初めの設計上の数字はそんなものは頭の中に入っておらなくちゃおかしいと思う、ほんとうは。そして実際のときにはこれだけであったから、これはずいぶん違うという、現に調査団に行った人はすぐ実感で三けたと、二けたまでぐらいならいいけど三けたであって、こうつぶやいておったというのは、頭にちゃんと設計上一〇〇%の場合はどうかということが入っておるわけでしょう。入っておらないのを出せと言っても無理だけど、それはひとつすぐそんなものどこか資料調べればあるはずだから、私の質問中に調べて出しでください。それからなまの——まず出せますね、いま調べれば、本庁へ行ってさがしてくればいいんだから。
  96. 福永博

    説明員福永博君) ただいま手元に持ってないようでございますので、さっそく調べさせます。
  97. 辻一彦

    辻一彦君 それから実測値の、この調査団の人が三けただと言って驚いた、その数字もひとつ出してください。それはあなたがお断わりになっているように、電算機にかけて正確な修正をしなければ正規の数字ではないけれども、しかし調査団が三けたではと驚いた、その数字は一体具体的にちゃんとはかって幾らだったのか、これは出せるでしょう。いかがですか。
  98. 福永博

    説明員福永博君) ただいま規制課長から御答弁申し上げましたように、全くのなまのデータでございますし、それがその場所の量を示すものではないということで、解析中のものであるということをお含みの上にひとつごらんいただきたいと思います。
  99. 辻一彦

    辻一彦君 それもいま同じように出せますね。
  100. 福永博

    説明員福永博君) いま手元に持っておりませんので、同様にそろえさせます。
  101. 辻一彦

    辻一彦君 それじゃ、その第三の測定の機械、どういう測定……。
  102. 福永博

    説明員福永博君) なお、私、調べて御提出申し上げるというようなことを申し上げましたが、これは事業団資料でございますので、私のほうからは完全なお約束はいたしかねます。
  103. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ事業団いかがですか。
  104. 堀純郎

    参考人堀純郎君) ただいまのあとの御質問とあわせて説明さしていただきます、いま測定の機械をお尋ねでございますから、先生からいま。
  105. 辻一彦

    辻一彦君 前に、事業団が持っている資料だから、出せるのですか、出せないんですか。
  106. 堀純郎

    参考人堀純郎君) それで、その機械のほうから説明さしていただきます、そのほうが説明がおわかりやすいかと存じますので。  用いました機械は非常にいろいろな種類の機械を用いております、測定器は。それを一応例示、列挙いたしますと、中性子レムメーター、それからBF3サーべーメーター、それからガンマ線GMサーべーメーター、それから中性子TLD、TLDと申しますのは、サーマル・ルミネッセンス・ドシメーターでございます。それからポケット・チェンバ、それからフィルム・バッジ、こういうふうなものをいろいろ用いて測定いたしておりまして、したがいまして、これにつきましては、その測定いたしましたなまのデータがすぐ中性子の強さをあらわすとか、すぐそれが出るものじゃございませんので、いろいろ計算いたしましてその数字を出すわけでございまして、目下それを計算中で責任ある数字はまだ計算が終わらないと出ないというような状態でございますが、しかし、それでは先生の御趣旨に沿えませんかと存じますので、ただいままでに申し上げれるような精度においてわかっている数字がございましたら後刻申し上げたいと存じます。
  107. 辻一彦

    辻一彦君 これはそんな、表に出してもらえば簡単なことですから、表にしていただきたいと思います。  それでは、それとあわせて私、ひとつ資料の要求をいたしたいんだが、最初の実験の格納容器の中で中性子のチャート、いわゆる出力上昇に伴って計測値がずっとはかられているはずですが、それをひとついただきたい。出してほしい。  それからもう一つは、いま事業団のほうで、それぞれの機械の種類と、それによってなまの出された数字、これは確認しましたが、第一のいわゆる出力上昇に伴う計測値、これは出していただきたい。いかがですか。
  108. 堀純郎

    参考人堀純郎君) 実験のデータとしてございますものはごらんに入れたいと存じます。
  109. 辻一彦

    辻一彦君 これはコピーにして出してください、ちょっと見ただけで持っていかれたんではわからないと思いますから。この設計上の数字と、それから実測値というものが、その差がある程度明確になれば、こういう論議は進むわけですが、ここではいまその数字がすぐあるわけじゃないので、これ以上この問題はなかなか入れませんから、私、資料をひとつ提出いただいて、その上に立って勉強してまた質疑を行ないたい、こう思います。  ともあれしろうと考えの私たちが見て、まあしろうとですが、二次遮蔽に問題がないとすれば、一次遮蔽のところに問題がある。そうすれば、一つは一次の遮蔽効果設計より弱かったのか、あるいは二つとして中性子が設計よりも多量に出たか、この二つに私はなると思うんですが、大体そんなしろうと考えでいいいんでしょうか。いかがでしょう。
  110. 中村守孝

    説明員中村守孝君) いま専門家の方がいろいろ御検討をいただいております段階でございますので、私どものほうからあれこれと言う段階にございませんけれども、先生のいまおっしゃったようなことも一つ原因かと思います。ただ原子炉から出た、原子炉炉心自身に問題があったんではないかというような御意見もあるわけでございますけれども、これらについては臨界実験の成果が、いわゆる事前の計算値等とよく合っているということでございますので、おそらくこの点については問題はない。そのすき間、いわゆる原子炉炉心、圧力容器から出ました外において遮蔽の不足、あるいはそこから出ます中性子線の分布のしかた等についていろいろの問題があったのではないかと考えられるわけでございます。
  111. 辻一彦

    辻一彦君 これは解析中のことですから、その数字を抜きにしての論議はできないと思いますから、その数字が明らかになれば、原因も私はだんだんわかってくると思います。その解析の結果が出れば、基本設計に問題があるのか、あるいはどういう段階でチェックが足りなかったか欠陥があったか、こういうことは明確になりますか。
  112. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 解析結果につきましては、一つの判断材料でございまして、それのみでなくもう少し広くいろいろ検討してみたいと思っております。
  113. 辻一彦

    辻一彦君 資料を要求したわけですから、その提出を待ってなお勉強した上でまた質疑を別の機会でも行ないたいと思います。  そこで、事業団並びに船舶局長にお伺いをいたしたいのだが、それは原子力船安全審査というものについての、あるいは安全性というものについての考え方にちょっと私は理解しがたい点がある。それは運輸省事業団の見解では、国会記録答弁を見ますと、「むつ」も船だから出力試験をやって、調子の悪い部分が出れば直せばいい。——いやこれは直接のことばじゃないんですよ。私がまあちょっと読み取ったあれではですね。——普通船なら蒸気機関から蒸気か漏れることもあるんだから修理をすればいいと。同じように、放射線が幾らか出ても騒ぐことはないじゃないかと、こういう考え方が私はどうもあるように思うのですね。だから、放射線が多少出たって、あとまあ修理できりゃいいだろうと、こういう考え方があると思うんですが、どうも普通の船と原子力船という、原子炉を積んでいるというこの違いが私は明確につかまれていないように思うのですが、この点についてどういう見解を持っておられますか。
  114. 内田守

    説明員内田守君) いま先生のお話し、そのとおりの表現じゃないと思うのですけれども、私ども申し上げておりますのは、船——もちろん原子炉も含んででございますけれども、その設計とか工作とかあるいは工事とかいろんな段階、さらにその繰り返しというものはあるわけでございます。その場合に、特にこれは原子炉はもちろんそうでございますけれども、そのステージステージで最善の努力をしてチェックしていくと、これはもう当然のことでございます。したがいまして、たとえば、しかしそのときの人知とかいろいろな問題がございますから、ある工事をやってみたと、どうもうまくいかないと、そこでその設計に振り戻って——設計というのは詳細設計のことでございますけれども、その寸法を変えてみるとかいうような、この繰り返しが何回か行なわれていく。それで基本的には先生御指摘のようにこれでいいんだと、これでいいんだという考えに立つわけでございますけれども、やはりあくまでも図面の上あるいは工作の上でやっていくわけでございますから、絶対その放射線が今度はテストをやったときに漏れないのだという保証はこれはできませんと、したがいまして、漏れてもいいんだということを申し上げているのではなくて、設計、工作の段階でやったらあとはもう絶対漏れないように、結果的にでございますけれども、最善の努力をやってなおかつ絶対漏れちゃいけないのだということは保証できませんと、少なくとも工作までの段階では。そこで、たとえばそういうテストをやる場合に、放射線の管理区域なりあるいは監視区域というものを設けまして、そして出力なら出力というものを除々に上げて、常に今度はそのテストそのものが安全に問題なく、万一を予想して行なわれるようにコントロールしていくと、それは特に原子力船の場合はこれは私どものほうじゃございませんけれども、もちろんわれわれも考慮しておるわけでございますけれども、たとえば炉規制法の運転計画とかあるいは保安措置とかあるいは保安規定というようなものをきめさしまして慎重にそういう万一を予想して試験をしていくという意味で申し上げたわけでございます。
  115. 辻一彦

    辻一彦君 事業団いかがですか。
  116. 堀純郎

    参考人堀純郎君) 私どもはこの船をつくりますにあたりまして、製造業者に設計条件を与えまして、非管理区域についてはこれこれしかじかの線量以下、また管理区域につきましてはこれこれ、周辺監視区域についてはどうというような条件を与えましてこれを満足するように製造することを求めておりますので、当然これを満足するものと期待しておりましたが、今回のことが起こりましてたいへん残念に思っております。
  117. 辻一彦

    辻一彦君 私は普通の船であれば、船舶局長言われるようにその段階にあって手直しをしながら修理していけばいいと思うのですよ、それは確かにね。初めからもう何も問題ないのにこしたことはないけれども、まあ足りないところは修理をしていく。しかし、この安全審査会をパスしている原子炉を船に積んだ以上は、そうその放射能漏れが出ないというような保証はできませんよとね、まあ出たら直せばいいんですと、こういうふうに私は甘い考え方では、これは原子力船の場合は私はいかないのではないか。そこが一般の船舶と原子力船のたいへん違うところじゃないかと思うのですよ。特にまあ私もこの参議院の派遣でここ一カ月ほどフランス、ドイツ、イギリス、アメリカ等の原子力施設ずっと見て回っておりましたが、各国とも原子力船に対する関心が、たいへん日本の場合、動いてみて、高いですね。まあ日本ではたいへんだなと言っていますがね。その国民のバックグラウンドというか、いわゆる核被爆の体験を持っている世界にない民族のこの体験と、国民の心理といいますか、その気持ちというか、こういうものをね、この広い意味原子力を取り巻くバックグラウンドを考えて、これの理解が私は十分でないと非常にむずかしいと思うのですね。そういう点では今度の問題全体は、全体としての国民のコンセンサス形式の上にどうしなくちゃいかぬのかという点で学ぶべき点があろうと思うのですよ。  そこで、話は飛びましたが、そういう日本のバックグラウンドを見たときに、一般の船のように、まあちょっとまずかったら手直ししてまたやればいいんだと、こういうことでは原子炉載せては私はいけないと思うのですよ。これはどう思われますか。漏れたって、普通の船並みでまた直せばいいんだと、それでは私は、いいとはあなたは言っておられないのわかりますが、もっと普通の船よりもその点は、ほかのプロペラやほかの蒸気だとかほかのところがまあ問題あったというのはこれはまあ別としてね、原子炉については、そういうちょっとまずかったらやり直しと、こういうことは、この日本の社会、バックグラウンドの中ではやっぱりそういう考え方でいかないと、こう思いますが、この点どうお考えになりますか。
  118. 内田守

    説明員内田守君) 私、先ほど来申し上げておりますように、極力最善の努力設計とか工作とかというのはやるわけでございます。したがいまして、そういう段階を——これはおしかりを受けるかもしれませんけれども、こういうものが決して普通の船並みということを申し上げているのではなくて、初めて火をともすときに一度もテストしないものが絶対漏れないということを保証するということを、われわれの検査の面でやるということは非常にむずかしゅうございます。ただ私申し上げますのは、今度のケースの場合にその試験方法というものをきめまして、一つの管理というものの中でやったわけでございます。しかし、それがいま先生御指摘のように、ああいうような、まあいろんな別の問題もあったかもしれませんけれども、国民の皆さまから漏れたこと自身に対してもいろんな意味での御批判があったわけでございます。それは純然たる技術論を申し上げるといたしますと、私の話でいいかもしれませんけれども、これらのいろんな開発というようなものを考えますと、外国がどうであれ、やはり日本の国民のそのときの考え方、そうしたものに信頼を受けると申しますか、理解されるような形で開発を進めていかなければ、実際問題としては開発ができないわけでございます。  一方、私たち今度の「むつ」の問題とは別に原子力船開発というのはやはり必要だということはやはり必要だということはもうどうしても変わらないわけでございます。したがいまして、理屈ではまあいろいろあるんでございますけれども、これからの開発の手法というのは、真剣に手法というものを考えていきたい、そういうふうに考えております。
  119. 辻一彦

    辻一彦君 私はそれぞれの皆さんの御苦労は御苦労としてわかります。じゃ、そう言われるなら、まあこれも私のしろうとの考えであるけれども、原子炉の発電炉の場合には、実験炉、原型炉、実用炉という三段階を経て電気を動かしておるわけですね、事実として。ならば、そういう段階を踏んでいるのですが、原子力船の場合、容量としては、熱出力三万六千キロワット、電気でいえば一万二千キロですから、いま日本の中ですでに電気出力八十万キロワットですね、二百四十万キロワットの熱出力原子炉が試運転、あるいは動いているということからいえば六十五分の一ぐらいの原子炉の容量であるし、あるいは大飯でいえば百二十万に比べれば百分の一の大体容量ということですから、この程度の原子炉というものは、数字を見ると、原子炉自体は直径そんな大きなもんじゃない、まあこれよりは大きくなりますが。だから陸上において、いわゆる臨界実験から実物大のものをつくって、そこで船舶に一番重要な遮蔽効果という、こういう問題をやっぱり綿密に実験をやって、確信を持った上で今度は船に乗せていくという、こういう段階を発電炉の例からすれば踏むべきであると、こう考えるんですが、それを一体どうお考えになっておったのか、あるいは今後この問題についてどういうふうに考えておられるのか、その点いかがでしょうか。
  120. 内田守

    説明員内田守君) まことに申しわけないんでございますけれども、今度のケースの場合、「むつ」のケースの場合に、どういう、まあわれわれの検査の面だけまずしぼって申し上げます。私検査以外のあれもやっておりますけれども、まず検査の面から、たとえば先ほど申しましたように、陸上でこういうことをやるとか、あるいはこういうふうにやるとかというような考え方ではないわけでございます。これは先生よく御承知だと思いますけれども、メーカーという、あるいは開発という立場から一つの行程というようなものを考えていくわけでございますから、ただ私どものほうは、これ御承知のとおり原子力船開発事業団というものを科学技術庁と一緒に監督しておるわけでございます。したがいまして、本来そういうようなものを開発していく道程におきまして、先生おっしゃいますように、今度の、実験船ではございますけれども、そういうようなものをいきなり船にのっけて確かめるよりも、陸上なら陸上の一つの閉鎖したところでいろいろ確かめてみればよかったかもしれませんが、そういう開発方法という問題はあるわけでございます。  私ちょっといまこまかい数字は持っておりませんけれども、私とも調べた話では、最初——これは原子力事業団のほうからあとで詳しい御説明をしていただいたほうがいいのかもしれませんけれども、安全審査をやる前の段階、非常に初期のころでございますけれども、あれは原研のほうのJRR−4ができてすぐのころだろうと思いますけれども、一応の陸上実験というふうなものはやっておるわけでございます。ただ、すべてが実物と同じものをつくって、それから遮蔽も全部実物と同じようにして完全に二度やっているというようなやり方はやっていないようでございます。ただそれでも、船へ持っていきましても、船の場合でございますから、特に一次遮蔽とかその辺になりますと現場工事が入ってまいりますから、工作上の問題は確かに残りますから、海の上での出力試験というものはもちろん必要でございますけれども、一応の陸上試験というものは完全なものではないけれどもやったようでございます。  ただ、先生御指摘のように、先ほど来私申し上げておりますように、これからの開発というような問題につきましては、いろんな意味を含めましてきびしいやり方をやったほうか——やったほうがというと申しわけないんですが、急がば回れということもございますし、そのほうが結局いろんな意味開発をわが国においてはかえって早く促進できるんじゃないかというような気持ちを持っております。ただ、具体的にこれからの開発方法をどう進めるかという問題は、もちろん科学技術庁とも御相談して十分検討していきたい、こういうことでございます。
  121. 堀純郎

    参考人堀純郎君) 船舶局長から大体お話ございましたが、私多少補足させていただきたいと思います。  先生の御質問の御趣旨は、船でやる前に陸上であらゆる実験をやってみなかったのかというような御趣旨だと存じますが、できます実験は、あらゆると申してはあるいは語弊があるかもしれませんが、あらゆる実験をやってみたつもりでございます。たとえばこの臨界実験、実際と同じ燃料棒をつくりましてこれの臨界実験もやりましたし、それから核分裂現象以外につきましてもこの燃料の束と同じ大きさのものをつくりまして、これのたとえば流体実験であるとか、そういうものもいたしました。それから原子炉そのもの、すなわち圧力容器でございますが、これの中の流体の現象その他も調べましたし、振動その他に対する影響、力学的なものも全部調べました。  それから、一番今度問題になっております例のいわゆる放射線漏れのこれでございます。これは遮蔽でございますが、この遮蔽につきましては、先ほど局長からのお話にもございましたが、原子力研究所の東海村でJRR−4という原子炉をつくっていただきまして、これはほかの目的でもお使いでございますが、一番の目的がこの船の遮蔽を調べるのにあったんではないかと存じますが、この原子炉を使いまして実際の大きさの模型をつくりまして、その材料も実際の遮蔽材料を使いまして、そうしてこれに当ててみましていろいろの遮蔽の現象を究明いたしまして、これに基づきまして現在の原子炉設計をいたした次第でございます。ただ、いま船に積んでおりますのと同じ原子炉を陸上につくることはいたしませんでしたが、これと同じことがJRR−4で究明されるというので、それで遮蔽効果の実験もいたしました。
  122. 辻一彦

    辻一彦君 そのやられたことはそういう努力あったと思います。しかし、いま熱出力でいえば、三百六十万キロワットというような発電所が現実につくられている中で、三万六千キロのいわゆる船舶原子炉というのは百分の一、それは陸上で金はかかりますけれども同じものをつくって、そして遮蔽もきちっと同じことをやって、それをかけたほうが私はかえって安上がり、今度はあそこを放棄すればおそらく何十億という国費のある意味における損失になるんでしょうが、それだけのものをかければもう十分どんないろんな実験もやられたんじゃないか。これは終わったことを言ってもあれですが、そういう私は感じがしますね。そこで、御出席いただいております原研の副所長さん、それから組合の青柳さんですね、それぞれひとつ御専門の立場から、私は陸上において、その程度の原子炉ならば多少金をかけてもやって心配はないということをきちっと何回も研究所で実験をして、これを船に乗せて出せば、そう、こういうことにならず済んだんじゃないかとそういう感じがしますが、しろうとの考でございますから、皆さんの立場からこの問題について、あるいはまたこれからどうすべきかということについて、お二人からそれぞれ一言お聞かせをいただきたいと思います。
  123. 天野昇

    参考人天野昇君) 原研の天野でございますが、ただいまの先生の御質問で陸上——ただいま堀理事が御説明になりましたような実験だけでなくて、さらに実物に近い炉をつくったほうがいいかどうかというような御質問だったかと思いますが、これはそういう炉をつくるに越したことはないと思いますが、今回の「むつ」に載せました原子炉の場合は御承知のとおり軽水炉でございまして、これは発電用としても同型の炉が開発されているものでございます。したがって、船に載せる場合に一番問題になりますのは遮蔽でございますので、遮蔽について先ほど堀理事が御説明になりましたように、遮蔽研究の専門の炉をつくりまして、かなり大がかりな遮蔽実験をしたわけでございます。したがって、この遮蔽について厳密な実験を行なえば、あと一般的な炉の技術としては発電用の炉としての軽水炉の技術が使えるということで、この遮蔽実験をして実際に船に載っける炉をつくったというこの過程については、私は決して誤りではなかったのではないかというふうに思っております。
  124. 青柳長紀

    参考人青柳長紀君) 日本原子力研究所の労働組合の副委員長をやっておる青柳でございます。  いま御質問の件ですけれども、私たちの労働組合としてもいろいろ検討した中で幾つか参考になる点がありましたらあれですけれども、一つは実物大の模型をつくって——原子炉をつくりまして実験したほうがいいということはもちろんそれ当然のことだと思いますけれども、その前にやはり実際にモックアップテスト、JRR−4等でやられた実験がどのように実践に適用されるかという問題は、実際に非常に複雑な過程があるというふうに思います。そういう点からいきますと、今回のような事態が起こったような結果から見て言えることは、やはりあのような狭い船舶の中での遮蔽の研究というのは非常に複雑な、また研究のシェアとしてもまだ十分開発されてない面がある、特にPWRというのは加圧水型の原子炉ですけれども、実際に発電炉として動いているというような過程、またはそれがどのような実証炉として動いているかという問題についても、やはりわれわれの現在の段階では十分な経験がないんではないか、そういう意味におきまして、やはり初めてこういうような加圧水型の原子炉を動かすというような点からいきますと、慎重にやはり研究の段階を踏んでやっていくというのは、これは当然だと思います。そういう意味におきまして、やはり先生がおっしゃったようなプロセスはもちろん踏んでいくということが大切だと思いますし、さらに加えまして、船の場合ですと、遮蔽漏れの研究等が船に持ち込まれたあと実際に実証されるというのでなく、その前段階において立証されているということがこれに越したことはないし、またそのような段階を踏むことが非常に大切であろうというふうに思っています。そういう意味でやはり今後研究する上においては、そのようなことが保証された中で研究していくということが非常に大切ではないかというふうに考えております。  それから蛇足ですけれども、中間報告等にあります放射線の漏洩の問題について、特に下部方向または中間方向等についての検討につきましても、データ等を詳細に検討する場合にはやはり中性子線だけでなくその他の放射線等の考慮、それからまた下部方向とか全体の中性子の散乱がどのような形で進んでいくかというようなことも十分考慮した上でやらなければ、これは端的にある部分だけを改造すればそれで済むというような形で行なわれるかどうかという点については非常に疑問があるのではないかというふうに思っております。
  125. 辻一彦

    辻一彦君 天野先生と青柳さん、いろいろお伺いしたいことが私あるんですが、ちょっと時間に追われまして申しわけないので、また午後各委員からそれぞれ御質問することにいたしたいと思います。  最後に一点これを伺って終わりにいたしますが、国会答弁といえばやはり政府のほうはしばしば一時間当たり〇・二ミリレントゲンですね、だから一日八時間一年間これを浴びたって、立っておってもレントゲンの一回分くらいと、こういう御答弁がされて、非常に小さな事故であると、そういう印象が植えつけられるような御答弁が私は多いと思うんですね。私はちょっとこれはすりかえが少しあるんじゃないかと思うんですが、問題は出力一・四%で一〇〇%出した出力のときの〇・一の倍出たというところに一番大事な問題があると思うんです。そこで出力一・四%で〇・二ミリレントゲンパーアワーならば、じゃ一〇〇%出力を上げたならば大体その場合にどれだけ出る計算になるのか、この数字をお答えいただけばひとつ、きのう言ってありますからお答えいただきたいし、なければあとで計算して出していただきたい。
  126. 福永博

    説明員福永博君) 出力一・四%ないし一・二%で、それが一〇〇%になれば簡単にたとえば五十倍すればいいものかどうか、それはただいま検討しております調査の結果を見まして、その結果それがそのまま五十倍なり何倍なり算術的にやっていいものかどうか、その辺をよく検討いたしましてからお答えいたしたいと思います。
  127. 辻一彦

    辻一彦君 じゃこれで終わります。  私は官房長官、森山長官御出席であるならばこういう問題を踏まえてこれからの原子力行政を一体どうするのかという問題、それから国民のコンセンサスを得ようとすれば一体どう考えていくのか、今度の高い授業料から何を政府は学び取っておるのか、特にかなり無理押し行政というもののやっぱり一つの欠陥というものが私は出たと思うので、その点においての批判とそれに対する見解をただしたいと、こう思っておりますが、官房長官も森山長官も御出席になっていないので、別の時間にこの点についてはひとつ御質問したいと思います。  これで終わります。
  128. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 最初に井上原子力委員会の委員長代理に申し上げたいのですが、きょうの委員会質疑応答を聞いておりまして、最も先端的な仕事をし、繊細な仕事をされる原子力委員会の山田委員の私は前の委員会における答弁ときょうの答弁をお聞きして、全くずさんと言うかその場濁しというか、端的に言ったら国会を侮辱するというか、そういう答弁聞いて実はあ然としておる。さらにいま政府当局の答弁聞いても何か二つの点を私は疑問に思っておる。一つは国民に対して原子力行政の、あるいは技術的な面を何か隠蔽しているんじゃないかと、故意に、そういった感じを受ける。と同時にそのために私は原子力委員会のやっておることが先ほど言ったようなその場ごまかしの発言が何かあるという感じを受けた。これは私はほんとうのしろうとでありますからいわゆる技術的な点はわかりません。そういう疑惑を持つということはこれはたいへんだと思うんです。国民にいわゆる原子力という問題で、私がそういうやっぱり疑惑を持つんですから一般の国民が持つのは当然だと思います。そういうことの一つの問題が、私は原子力の技術的な点は別として、ああいうふうにこじれた一つ原因であると思う。それに対してひとつ原子力委員会の委員長代理として、いま私が端的に申し上げたことに対して、委員会としては、それはこう言えば一生懸命やってます、決してうそもごまかしもありませんとおっしゃるかもしれませんけれども、国民に対する原子力行政のほんとの姿を、私はむずかしい技術的な面は別として、やはり国民は国民として将来を展望する中で、あなた方の態度なりやり方なり、あるいは発言に対して安心させる必要があると思う。これに対して端的に原子力委員会の現在の時点における、何と言いますか、所信を伺いたいと思う。
  129. 井上五郎

    説明員(井上五郎君) 私ただいま御指摘の前回のこの御審議にも出ておりませんし、けさほどもちょっと御連絡がおくれまして若干遅参をいたしました。どういう点で御不満があったのかしりませんけれども、決してことばじりを云々することではございませんけれども、原子力委員会の言動の中にいやしくも国会を愚弄しておるというお考えがございますならば、絶対にさようなことはございませんということをはっきり言明をいたしておきます。  そこで、問題といたしまして、何かいままで原子力委員会審査をし、安全の問題につきまして総理大臣に答申をしたことについて、何となく国民の十分の信頼感と申しますか、あるいは今度の「むつ」で見るような何か不首尾な問題が起こったではないか。この点は私ども力足りない点もございまして、反省すべき点は十分考えなければならないと考えております。  これは衆議院のほうでも問題になっておりますが、一体原子力行政体制が現在のままでいいかどうかということにつきましても若干の御批判がございます。私は必ずしも現在の体制が悪いとのみは考えておりません。現在の体制でも十分運用上留意をすることによってやり得るとは考えてはおりますけれども、今日の日本原子力を推進しなければならないという体制において安全問題がより一そう国民の信頼を得なければならないという段階におきまして、委員会内部におきましてもいろいろ検討はいたしております。また、これにつきましては外部の御批判等も十分伺いたいとは存じます。しかし、委員会といたしましては、もし力足らざる点があったらば、これは御叱正をちょうだいしたいところでございますけれども、今日までの段階におきまして、必ずしも日本原子力推進体制において今日の体制が間違っておったとも考えておりませんし、ただいま御指摘がございましたおことばの中に、何か事実を隠しておる、あるいはごまかしておるかのごとき何かそういったような意味合いがあったかと思いますが、さようなことはございません。
  130. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 まあ答弁はそういう答弁くるとは思ってましたが、やっぱり国民が疑惑を持っておることについては、やっぱりこれに対する政府当局が早急に解明し、安心感を与える私は責任があると思う。それはまた別な機会ということにいたしますが、きょうは私は素朴な質問をしてみたいと思うんです。一般国民としての考え方をお聞きしたいと思いますが、今回の「むつ」の問題は、私はいいか悪いか別として、また賛成、反対は別として、国民に原子力というものに対する関心も非常に高めたと思うんです。それは人いろいろとありましょう。非常に危険だと思った人もありましょうし、困ったと思った人もありましょうし、また、日本のいわゆる油問題が今後のエネルギー源は当然原子力でなくちゃならぬというようなことも思ったでしょうしいろいろありますが、この「むつ」問題は国民の中に素朴な点でそういう関心を持ってきた、と同時にまた反面、いろいろと疑問も持ってまいったと思うんです。これはもう事実であります。  そこで私は、いま申しますように、ほんとの素朴な質問を一つしてみたいと思うのですが、その第一は、「むつ」を建造されたわけですが、「むつ」を建造されるときの時点における理由と申しますか、いろいろの理由はあったと思うのですが、「むつ」を建造されるということについてのそのときの、いまはいろいろと違いましょうが、建造された時点における「むつ」をつくったことに対する理由ですね、これを端的に教えてもらいたいと思う。
  131. 福永博

    説明員福永博君) 原子力船むつ」を建造した目的は何かというような御質問かと了解いたしますが、先生も先刻御承知のとおり、原子力を利用いたしますと、まず少量の核燃料で長期間の航行ができるとか、あるいは大量の油を積まなくても済むとかいったいろいろな原子力船のすぐれた特性があるわけでございます。そういった特性を生かしまして、この原子力船を実用化しようという機運か当時——昭和三十年代の後半だったと記憶いたしておりますが、世界的にも出てきておったわけでございます。アメリカではサバンナ号をつくっておりますし、そのほかソ連のレーニン号、ドイツのオットー・ハーン号といったふうな状況であったわけでございます。  こういった原子力船の特徴と申しましょうか、有利性と申しましょうか、そういったところに着目いたしまして、わが国としても将来の食糧あるいは資源、エネルギーといったような観点から高速の輸送手段を持つ原子力船をぜひ開発していきたいということで、しかしながらこれは開発段階でございますので、官民一体となって開発していこうということでこの原子力船むつ」を第一船として建造しよう。こういうことになったものと了解しております。
  132. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 わかっておることもありますけれども、やっぱりいまあらためて国民か疑問を持っているわけですね、ああいう問題が起こったために。そこで、これは当然こういうことは事前に解明をされたと思うんだが、しかし国民一般はあまりよく知っていない。中では知っているし、あるいは関係者は知っているでしょうが、国民一般は知らない。やっぱりせっかくこういう問題が起こったときだから、あらためて国民にアピールし、国民にも知ってもらう必要があると思う。  そこで聞くのですが、現在世界でアメリカ、これはもうかなり原子力船をふんだんに持っておりますが、世界でどのぐらいの国が現に原子力船を運航しているか、どのくらいの実数を持っているか。これわかりますか。
  133. 福永博

    説明員福永博君) ただいまの私の答弁の中にもございましたけれども、原子力船はアメリカが最初に建造いたしまして、サバンナ号というものを持っております。ただいまは係船中と承知しております。それからドイツがオットー・ハーン号というものを現在運航いたしております。そのほかソ連にレーニン号というものがございますが、その運航の実態についてはよく承知いたしておりません。現在存在する原子力商船は、以上の三隻と、第四番目に原子力船むつ」でございます。
  134. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 次にこれは、かなりこの原子力船の建造には金を使ったと思うんですが、さらに今後も使うと思うんですが、この建造の費用は、いままで使ったのは幾らか、それから運営する費用はどのくらい使う予定か、この点いかがです。
  135. 堀純郎

    参考人堀純郎君) お尋ねの建造費でございますが、これはまず船体と原子炉につきましてメーカーに払いました金の合計が五十五億六千七百万円でございます。ところが、そのほかに燃料がございます。これが七億ほどかかっております。それから、この船を受け取りまして、われわれがこの船として仕上げますのにいろいろ費用がかかっておりますので、こういうものの計算というのは間接費をどこまで見るかということがございますが、まあ直接費として計算いたしますと七十二億というのがこれの建造の直接費と考えております。それから運営につきましては、まだ平常状態になっておりませんので、たとえばことしの金がそれの運営費と見ていいかどうか、まだ出力試験中、まあ途中でそれを中断いたしましたが、それでございますが、十三億の予算でやっております。年間でございます。
  136. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 日本原子力船開事業団というのですね。これは年間予算を幾ら使っていますか。いままで、つくってからどのくらい使ってますか、年間予算と今日までの使った合計費用。
  137. 堀純郎

    参考人堀純郎君) ことしの予算は、ただいま申しましたように、十三億でございますが、設立以来、これは三十八年の八月に店開きいたしまして十年余りたったわけでございますが、使いました金の合計が大体百五十億円でございます。
  138. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 やっぱりそうすると今日まで「むつ」をとにかくあそこまで持っていくためには二百億の金を使っておりますね、大体。
  139. 堀純郎

    参考人堀純郎君) おことばじりとらえてあれですが、この百五十億円というのは、いまの船の値段を入れてでございますから、合計がその百五十億円の内数として七十二億を払っております。
  140. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 先ほど原子力局次長答弁されて、油と比較しているとおっしゃっているんですが、油は中近東に全部依存している。ところが、核燃料は、これはおそらく国産ではないんでしょう。これはアメリカあたりに依存するのでしょう。将来これはもうおそらくアメリカに全部依存すると思うんですが、将来日本で幾らかこれを確保するという目標なりあるいは何かあるんですか。いかがです。
  141. 福永博

    説明員福永博君) 核燃料の確保策につきましては、一つにはこの原子力船むつ」もそうでございますが、濃縮ウランを使うわけでございます。この濃縮ウランの供給を確保するという意味におきましては、アメリカとの協定がございまして、その協定によって当面の間は確保いたしております。
  142. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 国内で生産されるのは。
  143. 福永博

    説明員福永博君) 申し忘れまして恐縮でございます。  なお国内には動力炉・核燃料開発事業団が鋭意開発いたしておりますけれども、資源的に見てほとんどないといっていいくらい、まあ量はきわめて少のうございまして、海外に依存Pざるを得ないかと存じております。
  144. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これもおそらく皆さん御承知と思うんだが、この船ができ上がったとして、船を運航する核燃料の費用と同じ船を油で運航する場合の費用と、その経済効率といいますか、これはどれぐらい違うものか、計算しているでしょう。油を使った場合と、この原子炉をつくった場合の経済的な効率。
  145. 堀純郎

    参考人堀純郎君) お尋ねでございますが、これにつきましてはむしろ私個人の計算として御説明させていただきたいと存じます。事業団は第一船だけをいま使命といたしておりますので、将来のそういう油と原子燃料との比較等は仕事の外でございますので、ただ、私個人といたしましてそれを計算いたしましたものがございますので、御説明させていただきますと、ただいまコンテナ船というのが世界で非常に盛んになってきておりますが、このコンテナ船を八万馬力、千八百三十個積みのコンテナ船をつくりまして、これを日本とヨーロッパの間に定期運航いたすといたしますと、これまでは油のほうがずっと安うございました。原子力のほうが高うございましたが、昨年のオイルショック以来この程度の船でちょうどとんとんになるというようなところにきております。同じくらいの値段で原子燃料の値段と油の値段が同じくらいである——これ、ちょっと失礼しました。失言いたしました。これは原子燃料のほうが安くなるんですが、今度は船価のほうが高くなりますので、それの償却その他、それを計算に入れますと、ちょうど同じ額になります。
  146. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 同じトン数の同じ積載量の船で原子力船といわゆる油の船とは建造費がどのくらい違うんですか。
  147. 堀純郎

    参考人堀純郎君) ただいま申しました船を油だきの船でつくりますと、現在の物価で、実はだいぶ一年半ほど前に計算いたしましたので、物価水準が違いますが、この物価水準を入れまして計算し直しますと、いま申しました油だきの船は百五十億円くらいでできます。これを原子力船でつくりますと、二百四十億円ぐらいかかることに相なります。しかし油の値段に比べまして原子燃料のほうは今度安くなっておりますので、いま申しましたように日本とヨーロッパの間に入れた場合、同じくらいの費用で運転できるということでございます。
  148. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 まあ油と原子力との関係あまり安くないようですが、しかも油はいま中近東がおもですが、これはソ連にもあるし、中国にもあります。また北欧にもあります。まあいまこれは御多聞に漏れず油不足で困っておりますけれども、これがどこまでどう動くかは別として、幾つかの国から買えますね。ところが原子力のこの濃縮ウランですか、これはアメリカきり買えないんでしょう、現在。アメリカきり買えない。そうなりますと、これは全く日米安保条約じゃありませんが、日本のエネルギー資源はアメリカにもう完全に依存しているということになる。これは私は田中総理に伺っておきたいんですが、こうなりますと、日本はまさにこれはアメリカの属国ですよ、全く。食糧はアメリカに依存する。しかもエネルギー資源はこれは将来電力も船もあらゆるものが原子力になった場合に、これは全くアメリカに占められて、日本はどうにも身動きできませんわね。これはもうアメリカの支配下に完全に入ったことになる。一方では日米安保条約による防衛面の締めつけ、一方では国の発展する基盤であるエネルギー資源を押えられる。こうなったら私は、これはもうほんとうに日本は、まさにいま言ったようにアメリカの属国化することは必然だと思うのですね。これに対して私は、アメリカと濃縮ウランのいろいろな条約を結んでいるんですが、アメリカの日本支配の重大なポイントになっていくと、こう非常に心配しますね。まあ経済的な見通し、いまおっしゃるようにこれは油がどんどん上がった場合に原子力のほうが安いという面も出ますかもしれない。しかし安い高いよりも、やはり国の独立を根底からくつがえすような状態が起こったんじゃこれはもう元も子もなくなると思うのですよ。そういう点に対して、これはいま言ったように、私はほんとうなら田中総理の所信を聞きたいところなんですが、きょうは先ほどおっしゃるように長官も来ていないし官房長官も来ていないんですが、皆さん方大局的な立場でそういうことに対する御心配はお持ちになっていないか。これはひとつ井上原子力委員の方にも、政務次官にもひとつ聞かしていただきたい。
  149. 井上五郎

    説明員(井上五郎君) たいへん重要な御指摘だというように思います。長官は見えておりませんが、私ども原子力委員会としての見解を申し述べさしていただきたいと思いますが、先刻来福永次長あるいは堀原船の理事等からお話がございましたことにも若干補足させていただきながらいまの御質問にお答えをしたいと思うんであります。  実は、現在世界で運航しておりまする商業船というものは、先刻福永次長が答えたとおりでございます。しかし現在は、アメリカ、フランスあるいはソ連等におきましても、新しい軍事以外の原子力船の建造計画が進んでおります。先刻堀理事から大体とんとんであるといったようなお答えがございましたけれども、ただいまの油の価格の傾向から申しますれば、これは原子力船のほうが安くなる可能性がある。たとえば陸上機で——陸上機と申しますか原子力発電で考えてみますれば、かつて原子力発電のほうが明らかに石油発電よりも高かったんでありますが、今日ではとんとんどころではなくて石油発電のほうが明らかに原子力発電よりも高い、こういう状態がきておるわけでございます。   〔委員長退席、理事辻一彦君着席〕 私船の詳細な計算は存じませんけれども、今日においてはそういう傾向が生ずるであろう。したがいまして、いまから十年余り前にこの問題を取り上げられたわけでありまして、そのときにはとうていこれは商業採算には乗らない。しかし各国で開発をされておる原子力船というものは、まあ言うなれば軍事目的が主でありました。日本はどうしても平和目的に原子力船開発しなければならないということで、当時、御承知のような海運界において非常に発展をいたしました日本が、将来をおもんぱかって国費をもって第一船をつくると、こういう決意をしたものとまあ私聞いております。私まだ原子力委員になりまして二年でございますから当時のことをはっきり申し上げるわけにはまいりませんけれども、さように私了解をいたしておりまして、不幸にして今度こうした事故を起こしましたことは残念でございまするけれども、事原子力船に関する限りは自主開発、かりに軽水炉でありますならばアメリカの技術あるいはその他の外国の技術をそのまま導入するということも可能なんでありますけれども、やはり原子力船というものが潜水艦というものと関連が深いという点からいいますと、これはどうしても自主開発をしなければならない。さようなことから、当時原船事業団を創立いたしまして、一つの基本計画というものを立てて、そして第一船は国の費用をもってまかなう。若干……
  150. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 途中ですがね、それを聞いているんじゃないんですよ、そんなことを聞いているんじゃない。もっと端的な、時間がないんですからね、端的な——アメリカへ依存されている、アメリカとの間がどうかということを聞いている。——そんなことはもういいんですよ、前に聞いたから。
  151. 井上五郎

    説明員(井上五郎君) はい、それじゃ省略いたします。  それでは、アメリカしか濃縮ウランを供給できないといま御指摘のようにアメリカの属国になるじゃないかと、こういうおことばがあったように伺ったんでございますが、私どもはさように考えてはおりません。で、現在世界じゅうどこの国でもアメリカから濃縮ウランを買っておるのでありまして、きわめてわずかな例外といたしましてソ連から濃縮ウランを買っておる国がございます。日本に対しましてもおそらくソ連は、商談と申しますか、供給の話し合いはできると思います。   〔理事辻一彦君退席、委員長着席〕 しかし、私どもといたしましては、アメリカ一辺倒、あるいはきわめて少数の国からのみ受けるということは危険であると考えておりまして、現に、一万トンに相当する濃縮ウランをフランスが近くつくるであろうフランスの機関から買う約束ができております。あるいは将来はドイツ、イギリス、オランダの三カ国で計画をしておりまするものともある交渉ができるものと考えておりますが、そういう外国に依存するだけではなくて、日本では独自に濃縮ウランの設備をつくるべく計画を立てておりまして、昭和六十年までに一万トンに相当する自力開発をやるべく動燃事業団努力がいま続けられております。昭和六十年にそのとおりできるかどうかは目下研究中でございまするが、そういうことで、日本でも独自の濃縮設備開発につとめております。決して、先生御心配のような、アメリカ一辺倒であり、したがってアメリカの属国になる、さようには考えておりません。
  152. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いま先ほど、どっちだったですか、次長か、日本ではこれはもうだめだとおっしゃった、できないんだっておっしゃった。それで、委員会ではね、何かやってあるとおっしゃるんだが、ここ答弁が違うんだけれども、どっちがほんとうなのかひとつはっきりしてもらわぬと困るな。
  153. 福永博

    説明員福永博君) 私が日本には非常に少ないと申し上げましたのは、ウランの鉱石の話でございまして、ただいま井上原子力委員から御発言がございましたのは濃縮ウランのことでございます。
  154. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 だってそれは、あれでしょう、ウランがなければ濃縮ウランできないんでしょう。そうすると今度は、日本開発してもね、その原料をまたやっぱり外国から買うでしょう。どうなんですか、これ。そうしたら、その原料はどこから買う気。
  155. 井上五郎

    説明員(井上五郎君) 動燃事業団日本でウラン鉱をずいぶん探鉱をいたしております。その結果、残念ながら日本で十分なウラン鉱が今日まであるということは言いかねております。したがいまして、将来日本の需要をまかなうためにはどうしても外国からウラン鉱を買い、そしてそれを現在におきましては、アメリカの設備に通じて濃縮ウランにしなければならぬということは、これはやむを得ないのでございます。しかし、日本でウラン鉱がない、だから、原子力をやることは不得策だということになりますと、日本では石油は御承知のように九九・七%輸入しておるんでありまして、それに比べてウランの輸入のほうが量的にも、また価格の上においても明らかに有利である、かように考えておるのでありまして、現在日本がウランを入れておりますのは、カナダ、オーストラリア、アフリカ、南ア等々でありまして、かなり多様化しておりまして、ウランの将来の供給に非常に困難な状態、言いかえますならば、今日の石油のような状態が起こるとは私どもは考えておりません。
  156. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 時間がきましたから終わりますが、私は決して原子力開発を否定したり、反対しているわけじゃないんですよ。だけれども、しかしやっぱり国民は素朴な点で、いろいろな危険性を持っているし、いま言ったようにそれだけでなくてもいまアメリカと日本というものはいろんないわゆる圧力を感じている日本国民ですから、石油はもちろん、いろいろとありますけれども、原子力にたよる点については非常に危惧があるんですよ。それだからやっぱりあなた方、はっきり解明をして国民に信頼されることをしなくちゃならぬと思うんですよ。自分たちだけが信じてやっても、特にこの問題については国民が協力しなければできないんですよ。発電所をつくるにしてもみな反対されている。「むつ」の問題でもそうでしょう。これはあなた方の責任だと思うんですよ。国民に安全性とそれから将来性についてもっと説明をし、もっと了解を得なくちゃならぬと思うのだけれども、その点何もしていない、あなたたちは、委員会は。ただ集まって相談して、委員会でやっているだけではいかぬと思うのですよ。またあらためて今度長官でも来たら話しますが、そういうことを多くの国民が危惧を持っているのでお尋ねをしたのだが、ひとつこれを機会に、「むつ」を機会にぜひそういう努力をしていただきたい。一日も早く日本原子力行政が軌道に乗って、日本の将来に大きな明るい見通しをつけるだけの私は努力が必要だと思うんです。この点を要望して質問を終わります。
  157. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は去る九月の十一日の科学技術特別委員会において、言うならば海、陸を問わず、おおよそ原子力開発原子力行政のあり方について、政府の姿勢とそれから行政のあり方について質問をしたのでありますが、きょう実はもっぱら資料要求という形で、その根拠は実は会議録第一号であります。申し上げるまでもないことでありますが、第七十三回国会の閉会後の会議録第一号の一〇ページから一一ページと、そういうことに根拠を位置づけまして、ずばりで申し上げまするが、やはり新潟県の柏崎・刈羽に東京電力のいま原子力発電が位置づけられておりますが、具体的にはこれが去る七月四日の電調審で一応許認可が、言うならば一つの大きな関門を通過しておる、通っておる。こういうことに関連をしていま申し上げた根拠に基づいて若干の資料要求をしておったわけでありますが、したがいまして、きょうはこの委員会を通してさらに詰めを行なうために資料要求を具体的に申し上げておくわけでありまして、原子力開発にせよ、政府の政治姿勢にせよ、行政のあり方にいたしましても、一番原点はやはり民主、自主、公開の原則というものが空洞化してはならない。そういう受けとめ方からいたしまして具体的に申し上げますが、七月の四日開催された電調審に出席した代理者を含めた出席委員の名簿であるとか、正式委員の名簿であるとか、これだけは五体満足にいただいておりますけれども、自余の分は非常に必要でありますので、これは資料をこの委員会を権威あるものとして要求いたしますが、電調審の決定に至るまで、具体的にはこれは七月の四日でありますが、決定に至るまでの手順というものを御説明をいただきたい。これは所管関係省庁は通産省の資源エネルギー庁だと、こう思いますので、いま申し上げた電調審決定に至るまでの手順といったようなものを通産省の資源エネルギー庁から、今日ただいまここで御説明をいただかなくてもよございますが、とにかくその手順というものをひとつぜひ教えていただきたい、資料として出していただきたい。  それからやはり東電が柏崎・刈羽に一号炉という形で原子炉を当然近い将来に安全審査専門委員会申請をするであろうということが予測されるのでありますが、そういう場合の添付資料というものがあってしかるべきだというふうに思いますので、その資料も出していただきたいと、こう思うのでありますが、この点について、きょうは通産省のほうからどなたが来ておられますか、ぜひその点についてひとつ資料として出しますとか、どういう手順になっておるかということを、私、資料要求でありますから、出してもらえばいいわけでありますが。
  158. 伊藤栄一

    説明員(伊藤栄一君) 柏崎地点につきまして地元から出されております地質等の疑問点につきましては、東京電力の資料と比較調査を現在行なっております。その結果を早急に御提出申し上げたいと思います。  それから電調審の手続につきましては、経済企画庁のほうからお答えいただきたいと思います。
  159. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 電源開発調整審議会につきまして、七月四日に審議会を開催いたしたわけですが、それまでの間におきましては、五月十七日に第一回の各省連絡会議、それからまた六月七日に第二回連絡会議ということで事務的な打ち合わせをいたしておりまして、その審議会の前段階といたしまして幹事会を開催をいたしたわけでございます。その幹事会をやりましたあと審議会という段取りになったわけでございまして、ただいま先生の御要求になりました決定に至るまでの手順ということにつきましては、資料をお出しして御報告いたしたいと思います。
  160. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 資料を出していただけますね。
  161. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 決定に至るまでの手順につきまして資料をお出しいたしたいと思います。
  162. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 その際、これは経企庁になるかと思いますけれども、この電調審の許認可にあたって東電のほうからしかるべき申請書であるとかはたてまえでありますが、これに関連する添付資料というものは出ておるはずだと推定いたしますが、そういうものがあれば出していただきますが、それはないのですかどうですか。
  163. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 電調審の審議の過程またはその審議に至ります前におきまして東京電力から資料を出してもらうということはいたしておりません。
  164. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 たとえば施設計画書といったような形で出ておりませんか。
  165. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 経済企画庁といたしましてその資料を受理いたしておりません。
  166. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 どうもその具体的な施設計画書というものは、そういうものは形の上で申請書と付随して施設計画書という具体的なものは出ておりませんか。
  167. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 電調審の担当しております電源開発基本計画を策定する際には、その全体としての長期の電源開発の目標を毎年度きめていく。そして、その中に……
  168. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 あのね、それはもう時間がありませんから、出ておらなきゃ出ていないだし、ないならないでいいですよ。あんた経企庁でしょう。
  169. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) そうでございます。
  170. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 じゃ通産省のほうで。
  171. 伊藤栄一

    説明員(伊藤栄一君) 通産省の環境審査報告書はございますが、これは電調審のときに、関係省庁へ当該地点の環境問題について通産省の考え方を説明するために部内資料としてつくったものがございます。これは現在電調審に先立ちまして通産省でまとめたものが資料としてございますので、後日御提出申し上げたいと思います。
  172. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それでいいんです。後日出していただくことを確約しといてくださいね。  次に、柏崎・刈羽の原子炉に関する意見書というものが——これは、意見書かどこから出ておるということについては、これは資料としていただいております、確かに。これは申し上げるまでもなく、この電源開発促進法ですか、三条三項に基づいて意見申し立て書が出ておりまするけれども、その意見申し立て人だけはわかっておりまするけれども、その意見を申し立てるについての理由書というものがあってしかるべきものでありまするので、その写しというものもひとつ出していただきたい。これは重要なものでありますので、これは出していただきたい、こう思うんですが。
  173. 伊藤栄一

    説明員(伊藤栄一君) 柏崎地点につきましては、地元から当該地点の地質等の疑問点について御質問をいただいております。あるいはいま先生の御指摘になりました異議申し立て書の中にございますが、これにつきましては東京電力の資料と比較検討いたしておりますので、その結果を資料として御提出いたしたいと思います。
  174. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それはとこの省庁——五つのところへ出ておりますね。企画庁と科学技術庁と通産省と農林省と建設省に、五カ所に出ておるわけでありますが、これはどういうふうにコントロールされて出てくるということになりますか。
  175. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 現在出ておりますのはいまおっしゃった各省庁でございますが、一応電源開発促進法のたてまえからいいますと、その意見を出していただいた方の職業によりましてどの省がそれを受け取るかということが書いてございまして、今回のように住民の多数の方がお出しになった場合にはなかなかその職業についての判定がむずかしいものでございますから、促進法に基づきましてその他の者というのは通産大臣ということである、となっておりますので、通産省におきましてそれを受け取るということにいたしております。その後その内容につきましてそれぞれの所管官庁に属するものがありますればそれぞれのその担当の省で検討するということにいたしております。
  176. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 そうすると今日ただいまの受けとめ方では、通産省をトンネルしてそしてそういうものが近い将来に出るというふうに確認していいんですか、その点は。
  177. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) この意見申し立て書の取り扱いにつきましては、法律に即して私どもは取り扱ってまいりたいと思いますが、現在の規定ではその意見申し立て書を受けまして検討いたしまして、法律によりますと「しんしゃくし」と書いてありますが、「しんしゃくして必要な措置を講じなければならない。」ということになっておりますので、そういう措置を講ずることが必要かどうかということについての検討をそれぞれが、それぞれの省庁がいたすということに相なるわけでございます。
  178. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それはそういう解明や説明を聞いているわけじゃないんですよ。そういうものを出していただけますかと、また出してもらわなければ、これは私は原点において民主、公開の原則というものを空洞化しちゃいかぬと思うのですよ。本来ならば事務レベルで私が行って話してもいいんですけれども、これはいわゆる原子力行政のあり方をあるいは政府の姿勢というものをやはりきちっと整理して権威あらしめるためには、どうしても委員長の立ち会いでこの場ではっきりしておきたいと、出してもらえるかもらえぬか、それだけでいいです。経過はいいです、中間の経過は。
  179. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 意見申し立て書につきまして添付されておる理由書でございます。この理由書につきましては、後日この委員会にお出しをいたしたいと思います。
  180. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それからちょっとあとへ戻るようになりますけれども、通産省ね、課長ね、その施設計画書というものが全然ないんですか。東電が柏崎・刈羽に第一号炉というかっこうで電調審に一応申請を出しておるそういう過程において、あなたのほうの段階で、やはり資源エネルギー庁ですか、そういう省庁の中で計画書というものは全然出ておりませんか、施設計画届け書というものが。
  181. 伊藤栄一

    説明員(伊藤栄一君) 電気事業法の規定によりまして二年度分につきまして当該年度の前年度末に届け出書が出ることになっております。
  182. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 その写しを出していただきたいと、こう思うんですが、これは出せないということはないと思いますよ。出していただけますか。そういうふうに確認をしていいですか。——どうしてですか。おかしいじゃないか。架空のものを想像してはなんだが、ある現実というものを公開をするということについてどうしてあなたたちは戸惑っておるのです。
  183. 伊藤栄一

    説明員(伊藤栄一君) 電気事業法の定めによります届け出書につきましては原本保管してございますので、先生の御趣意の線に沿いますように検討いたしたいと思います。
  184. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この点は委員長にひとつ十分確認をしておいていただくことを委員長に強く要望しておきます。  これで、もう一点で終わりますが、この環境審査顧問会の構成と機能、これあるでしょう。通産大臣の諮問機関かあるいはエネルギー庁長官のか、とにかくいずれにしても環境審査顧問会というものがあって、この構成と機能というものについて説明をいただく、いただかないは別として、この顧問会の構成と機能というものについてこれも出していただきたいと、こう思うんです。
  185. 伊藤栄一

    説明員(伊藤栄一君) 御提出申し上げます。
  186. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私の資料要求に関する——質問ということではなくて要求でありますが、前段申し上げたとおり、これは会議録第一号の一〇ページから一一ページというものを通して見ますというと、私と森山長官の間で、森山長官が一存にはいかないけれども、経企庁その他関係省庁と相談をして委員長のところまでひとつ回答するということで、そういう経過がありまするので、なおかつ私は先回のこの科技特の委員会で、海にせよおかにせよ、これから原子力開発しようと、そういう時点に立てば行政のあり方あるいは政治の姿勢のあり方についても、やはり国民の信頼と納得とそしてやはり合意を得るためには、どうしてもその真実は一つしかないということと、ある資料というものを十分、秘密があってはならないんですよ。平和利用ということに徹するならば、軍事目的にこれがひん曲げられるとかなんとかということがあってはならないのでありまするから、そういう根拠でやはり資料という形で、質問ではなくて、しかし質問になったような形で資料を要求したのでありまするけれども、これで終わりますが、きょう皆さんもごらんになったと思いまするけれども、これは朝日新聞でありますが、「問われる原子力政策」と、これは論説委員の署名入りで「技術への感覚変化」と、むろんこれは原子力技術だと思います。原子力技術への感覚の変化と不断の対話が必要である。公開の姿勢を貫けと、まあこれは署名入りで書いてありまするので、私もこれを意識しあれを思うときにだね、どういう場合でも、船にしても原子力発電所にしても、それから東海村の動燃のあり方についても、今後いよいよ問題が吹き出してくると思います。しかし、皆があるものについて国民のものとしてこれを活用していく必要があるんだという形で、こういうことが前例にならないことになってほしいと思います。資料要求というものはそのつどつど再要求をしなくても、あるいは委員長の労をわずらわさなくてもいいような形で配慮していただきたい。  委員長に特にそのことを要望申し上げて、私の資料要求の質問を終わります。
  187. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) それでは委員長から再確認をいたしますが、ただいまの杉山君の資料要求に対しまして、あらためて確約できますか。通産省エネルギー庁と経済企画庁、御答弁願います。
  188. 伊藤栄一

    説明員(伊藤栄一君) ただいま先生から御指示のございました柏崎地点の地質に関する比較調査書、それから環境顧問会の機能等につきます資料、そういったものにつきまして御提出申し上げます。
  189. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 経済企画庁といたしましては電調審の決定に至るまでの手順、それから地元から出てまいりました意見申し立て書の理由書、これにつきまして資料をお出しいたします。
  190. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 午前の質疑はこの程度といたしまして、午後二時まで休憩をいたします。    午後一時四分休憩      —————・—————    午後二時八分開会
  191. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。  それでは、休憩前に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  192. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは午前中に引き続きまして、質問させていただきたいと思いますが、まず最初に、原子力船むつ」の定係港入港及び定係港撤去に関する合意協定書ですね、これをわれわれは新聞で拝見をしたわけでございますが、これは閣僚懇談会で了解をしているように新聞報道では見ているわけでありますが、閣議で了解をしたのかどうか。また、その閣議においては、特にどういうことが問題になったのか。問題なく、さっと通ったのか、そのあたりはどうでございますか。
  193. 中村禎二

    説明員中村禎二君) お答えいたします。  関係閣僚懇談会でこれは一応了解をしたわけでございます。内容につきましては、別段具体的にどうこうというようなことはありません。
  194. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでこの内容によりますと、六カ月以内に新しく移転をする場所を決定をする、こういうようになっておりますが、これは政府としては全然めどがないけどそういうようにきめたのか、あるいは大体ある程度の六カ月ならば場所はきまるんではないか、こういう見通しのもとに立ってきめたのか。その点どうなんですか。
  195. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 新定係港の地点がいまはっきりしておるわけではございません。現在のところ具体的にその候補地はきまっておらないのでございます。政府といたしましては、いずれにいたしましても総力をあげて新定係港を決定するための努力を続けてまいります。少なくとも六カ月以内には候補地を決定できるものと考えております。
  196. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 具体的に場所はどこかと、そういうことは交渉の段階でここで言ってもらう必要はございませんけれども、政府として一応のめどがあるのかどうか、全然そのめどはないのか、まさにこれから全力をあげてぶつかりますということなのか、あるいは大体この程度、こういうところ、こういうところの候補地があるけれども、大体六カ月あれば何とかいけるんではないかというそのところはどうなんですか。二つのうちどちらか一つ
  197. 中村禎二

    説明員中村禎二君) まだめどがはっきりついておるという段階ではございません。いろいろ候補地については話もあっておるようでございますけれども、まだいまの時点ではっきりめどがついておるというわけではございません。
  198. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから二年半で現在の「むつ」の港を撤去する、こういうことを約束しているようでございますが、これは二年半までには新しい母港ができるであろう。だからそのときにはそちらのほうに撤去するという前提のもとの二年半であるのか、あるいは新しいところの場所はきまらなくても、ともかく二年半たてばもうむつ港を全部こわして、現在までの施設をですね、そして「むつ」もそこからどっかへ離れていく、そういうことなのか、その点はどうなんでしょうか。
  199. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 二年半のうちに母港を新たに決定することに合意しておるわけでございますから、むろん政府は二年六カ月のうちに新たに母港を決定いたしまして、そこに母港を移転するということになるわけでございますが、定係港の問題も関連することになるか、あるいは一時定係港をどこかに選定してするか、その点はまだはっきりはいたしておりませんが、設備が全部完成はしないが船が入港できる、いわゆる船をつなぐ設備が一応できますとそこに定係されることになるだろうと、こう考えます。
  200. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 大体、これはもし母港になる港がきまった場合、まあすんなりといくか——仮定の問題ですけれどね、もしできた場合、そこにいろいろな設備をつくるとか、今回のむつ港の場合はたしか五年ぐらいかかっているんじゃないかと思うわけですけれども、大体常識的に言えば何年ぐらいかかるんですか。
  201. 福永博

    説明員福永博君) ただいま先生からむつのいまの定係港は五年ぐらいというおことばでございました。それは、定係港を設定いましましてから逐次整備していったわけでございます。今回の場合は、この二年六カ月というのを目標に、そのように計画を組んでまいりますし、それから技術も費用もそれに伴って設定していくということで、十分いける範囲ではないかと思っております。なお、念のためにただいまの定係港を私ちょっと調べてみましたら、建設を始めましてからできますまでは、大体三年ぐらいでできております、実質的な意味でございます。
  202. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いまお話を聞きますと、場所の決定もめどは立っていない、それからまた、二年半で母港撤去するということも当然これは新しい母港がきまらなければ現実にはできないわけでございまして、私は今日まで非常に政府の姿勢というものが何となくその場限りでいってしまう。これはやっぱり長い、私たち原子力の平和利用ということは真剣に考えていかなければならない、そういう点から考えて、非常にこういう行き当たりばったりの姿勢では非常に将来に禍根を残す、私はそのように思うわけですけれども、この点は御答弁をいただいてもあまり答弁はいただけないんじゃないかと思ってこれ以上質問はいたしませんけれども、そのことを私は冒頭に申し上げておきたいと思います。  それで、まあ政府としては、やはり原子力船開発というものはいままでどおりこれは推進をしていく、今回の事件で別に方向を転換したわけではない。やはりエネルギーの問題から考えても、今後ともこの問題には取り組んでいく、こういうように考えていいわけですね。
  203. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 日本の現状からいたしまして、原子力開発は今後も継続して積極的に推進をしていかなければならぬと考えております。
  204. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで私は遮蔽の問題についていろいろお聞きしたいと思うわけでありますが、午前中いろいろ質問、答弁がありまして、そういうものを踏まえて、遮蔽専門家でいらっしゃる天野先生にちょっとお尋ねしたいと思うわけでありますが、その前に、この原子力船むつ」の原子炉というものがわが国におきましては船に載せる最初原子炉である。当然陸上における場合と条件が違って、振動もあるしあるいは遮蔽の重量においても制限がある。そういう立場からいろいろ事業団あるいは科学技術庁としても慎重に取り組んでこられたんじゃないかと思うわけですが、それで午前中も話にありましたように、いわゆる遮蔽実験というものをやったと、このように聞いておるわけでありますが、遮蔽実験の大体の概要は私もらったわけですけど、遮蔽実験の概要をいろいろそちらで説明していただくと時間もかかりますので、私がこの結果を踏まえて思うのには、これは事業団それから原研それから船舶技術研究所、この三者が共同になって、そうして原研のJRR−4を使用して行なった。試験の期間は四十年の八月から四十二年の二月であった。計画検討、実際に試験をしたのは、四十一年の二月から四十二年の六月、そうして実験の項目は、第一次遮蔽に関する実験、それから二次遮蔽に関する実験、こういう二つに分かれられております。  私がこの結果につきましてお聞きした範囲においては、遮蔽にも、まあ側面の遮蔽とか横方向の遮蔽あるいは垂直方向の遮蔽効果あるいは計測孔内の放射線の分布あるいは制御棒模擬物の遮蔽効果、まあいろいろ項目があるわけでありますが、その中でいまその結果において、炉心斜め上方向の放射線の分布については、最初の目的は、複雑形状遮蔽体の遮蔽効果を実験的に得ると同時に計算手法を求める。大体斜め上方向の放射線の分布はどうなっているのか。そうしてそこから出る放射線の量というものをどうやって計算すればいいか。こういう計算の方程式を求めるのがこの実験の目的であったと思うわけでありますが、その結果については、これにはないわけで、これは口頭で聞いたわけですけど、その結果によれば、斜め上方向の放射線の分布というのは一つの規則がない。いわゆる放射線の量を計算をする適当な計算式というものに乗らない、あまりにもばらつきがあって。そういうような結果であると聞いているわけですけれども、その点はどうなんでしょうか。
  205. 堀純郎

    参考人堀純郎君) このJRR−4を使いました実験につきましては、大体先生のおっしゃったとおりでございまして、先生は方程式云々とおっしゃいましたが、設計値確認であるとか設計の精度の確認であるとか、その他設計に必要な数値のデーターを得るという目的でいたしました。その結果、ただいま先生のおっしゃいましたように、斜め上の方向に対しまして中性子が多いという現象はここで確認いたしました。それに対しまして、いろいろ検討いたしまして、その当時といたしましては、日本の最高の専門家を集めまして、これは先生のおっしゃいましたように、原子力研究所、船舶技術研究所、それからわれわれの事業団のほうに出向しておりました専門家のほかに、さらに八つのメーカーに散らばっておりますそれぞれその道としては最高の専門家を集めまして、それたとえば会社を申しますと、川崎重工であるとか、日立造船であるとか、日立製作所、日本原子力事業、三菱原子力日本鋼管、三井造船、こういうところに専門家がおりますので、それらを集めまして検討いたしました結果、その結果をまたもちまして、三菱原子力がこれを幹事役として担当いたしまして設計いたしまして、その結果上へドーナツ状の遮蔽体を設ければこれで遮蔽できる、少なくとも当時の知識としてはそういう結論に達したのでございまして、何にもわからずにやったのではございません。
  206. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だから非常にわれわれもしろうとが考えても横方向ですね、これはもう単なる壁があって、壁を突き抜けるかどうかということですから、これはある程度計算はできると思うんですね、ところが斜の方向というのは、これはいろいろなすき間から出ていく、たったっといくわけですから、不規則なわけですね。だから当然そこに一つ計算値を確認する式というものは、非常にむずかしいということは、私は当然じゃないかと思うんですよ。それは決して集めた学者が低級な学者を集めたからできないという問題じゃなしに、これはやっぱり二階の上から紙一枚落として、その紙がどこに落ちるかということは、これはやっぱり現在のコンピューターを使ってもこれはできない問題ですからね。だからそういう点から考えて、私は今回の実験におきましていわゆる一〇〇%の出力の場合に〇・一ミリレントゲンパーアワーのいわゆる放射線が出ると、こういう計算値が出ているわけですね。どういう根拠に基づいてこの試験の結果ではそういうものはなかなか値を予測しがたいと、そういう試験の結果がありながら、できたのについては一〇〇%のときには〇・一ミリレントゲンパーアワーの放射線が出るということを、こういうことをきめたというのは、一体どういう方法に基づいたのか、このあたりが非常に私は理解に苦しむわけですけどね
  207. 中村守孝

    説明員中村守孝君) お答えいたします  ただいまの件でございます原研での研究の際に、確かに一次遮蔽体と炉本体との間のすき間からのストリーミングが高く、計算値よりも数倍程度の高い値が示されたと、出たということがございまして、この点については十分留意する必要があるということは、製作者である三菱原子力も十分承知しておりまして、この点については実は鉄のリングを設けておるわけでございますが、この鉄のリングは十五センチメーターの厚さのものでございますと、熱中性子に対します減衰効果が約十のマイナス五乗、簡単に申しますといわゆる五けた下がる効果を持っておりますので、それで熱中性子について十分に遮蔽できるという理解をしたというぐあいに聞いております。
  208. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはなかなか十のマイナス五乗とかこうなってくると、こっちもわかりませんので、ちょっと方向転換しますけれどね、そこで私はこれは午前中の質問にもありましたように、やはり斜め上方向の放射線の量というものは非常に計測しがたいものである、であるならば、大体この一〇〇%に〇・一ミリレントゲンパーアワーなんという計算を出すこと自体が、これはあくまでも単なる推定値であって、やはりほんとうに同じような実物の炉をつくって、そうして陸上でいわゆる遮蔽実験もやるべきであったんじゃないだろうか。それに対して午前中の天野先生は、遮蔽実験としてはもうやることはやったんだと、だけども労働組合の組合の方はできればそのほうがいい。こういう意見の食い違いがあって、私はやはり陸上でやるべきだったんじゃないか、こういう意見なんですがね。天野先生は遮蔽実験としては一応やることはやったと、私はこのいま聞いた範囲の遮蔽実験では、これは不十分であったんじゃないかと、こういう考えがするわけですけれども、その点どうでしょうか。
  209. 天野昇

    参考人天野昇君) いまの遮蔽実験の件でございますが、まあこれは世界的にみなスイミングプールと申します、プールの中に遮蔽体を沈めて実験をしております。まあこれは日本だけではございませんで、諸外国でもみな遮蔽のモックアップ実験はプールの中でやっているわけでございます。したがって、完全に実物の原子炉と同じような周囲条件ではございませんので、したがってそこでいろいろ計測いたしました量をもとにいたしまして、実際設計する場合は、またいろんな設計式、計算式を使って実際の遮蔽設計するわけでございます。したがって、その設計する段階で、まあ今回の場合あるいは多少どっかの評価に誤りがあったんだろうと思いますが、この実験自体はもう完全に空気の中で同じようなもので実験しなければならないものとは私自身は考えておりませんで、やはり水中での実験の結果をもって、それをうまく適用すれば間違いないような設計ができるものと、このように考えております。
  210. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 しかし、そう思っても、結果はそうならなかったわけですね、結局。これは、われわれのほうも結果から言えることであって、しかし、私はしろうとなりにやっぱりこの斜め方向の放射線の量というのは非常に測定しがたいんだと。だからやはり模型というものが、やっぱり適用しがたいから、当然陸上でやるべきではなかったんじゃないかという、こういうことをいま思うわけですけれども。それで、アメリカなんかの場合には、やはりかなり陸上で炉をつくってやっているように、最初の場合ですね、このように私聞いておるわけですが、その点どうなんですか。やっぱりいろいろアメリカもかなりいろいろ事情も、派遣をして調べられているものだと思うんですけれども、その点どうなんですか。
  211. 福永博

    説明員福永博君) 午前中の、私答弁申し上げました中に、外国の事情というのがございました。それて原子力商船——平和利用の商船を持っている国として、日本のほかにアメリカ、ソ連、ドイツと、こういうふうなことを申し上げましたが、ソ連については私どもよく承知しておりませんけれども、アメリカそれからドイツのオットー・ハーン、いずれにいたしましても、陸上にプロトタイプというようなものは持っていないと承知しております。
  212. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いま、よくわからなかったんですが、いまアメリカでは全然そういう陸上でテストなんかせずに、そのまま船に直接積んだんだと、そういう答弁でございますか。
  213. 福永博

    説明員福永博君) アメリカでは原子力商船としましては、サバンナ号というのがありまして、このサバンナ号と同じ炉を陸上でつくってテストしたと、こういうことはございません。
  214. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 もちろんアメリカがやってなくても、まあ日本はやはりそれだけに、アメリカでは問題にならぬことでも日本では問題になるわけですから、こういう点を私は認識をしてやらないとやっぱり急がば回れという昔の人はなかなかいいことを言っていると思うんですけれども、私は今回のこの事件を通して、やはりそういうような気特ちがしてなりません。  そうすると、結局今回のいわゆる一・四%の出力で〇・二ミリレントゲンパーアワーが出たという根本的な原因は結局どこにあったという結論にいまなっておるのですか。
  215. 中村守孝

    説明員中村守孝君) お答えいたします。  現在解析中でございますので最終的な御返事はできかねるわけでございますが、現在のところの一つの有力な原因として考えられておりますのは、圧力容器と一次遮蔽との間に十五センチほどのすき間がございます。このすき間が上下方向につながっておりまして、このすき間を伝わって中性子線が外部へ漏れ出た、一次遮蔽の外に出た。その量が多く、それが格納容器の外側にございます二次遮蔽に達しまして、そこでとらまえられました中性子から出る二次ガンマ線が飛び出しまして、それが甲板上で〇・二ミリレントゲンパーアワーという数字を示したということでございます。で、内部からガンマ線が直接出ているのじゃないかということにつきましては、内部でのコンテナ——格納容器の内側で今回調査団か参りましたときに内部ガンマ線をはかってございますが、その測定値を見る限りにおいては直接のガンマ線が外部に飛び出たということはないようでございます。
  216. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、先ほどお話がありましたように、日本のいろいろな最優秀の専門家を集めて、そうしてこの遮蔽実験の結果に基づいて、そうして〇・一ミリレントゲンパーアワー出る、一〇〇%のときにね。そういうやはり結論が出たわけですね、その日本の一応最高の学者を集めてですね。それが大きく狂っちゃったわけですね。こういうことではわれわれはほんとうにまことに信頼ができないような気がしてならぬわけですけれども、もう少し数字的に、そういうなぜ〇・一という計算値に達したのか、このあたりの資料を——これは資料を出してもらっても、読んでもわからぬかもしれませんけれども、われわれはやっぱりそういうことが知りたいわけです。これを出していただけますか。
  217. 中村守孝

    説明員中村守孝君) ただいまのお話の中で、多数の専門家が集まって、学者が集まってという先生の御発言がございましたが、おそらく安全審査会のことをお考えではないかと存じますが、安全専門審査会におきまして……
  218. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうじゃないよ。設計の、安全専門審査会はこれからあと質問するわけだから、いま言ったのはそれじゃないんだ。安全審査会はこんなことまで検討していないでしょう。設計段階において、いわゆる斜め方向というものはなかなか計算をしがたいと、そういう実験のデータが出ながら一〇〇%出力の場合には〇・一ミリレントゲンになるという、そういうものね。それきまっておるわけでしょう、これだれきめたか知らぬけれども。われわれはそう聞いてきておる、この委員会でも。だから、そういう結論をどこが出したか知らぬけれども、その出した根拠ですね、そういうものを提出してもらいたいということです。
  219. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 先生の御質問を勘違いしておりまして申しわけございません。  最終的に〇・一ミリレントゲンパーアワーという、外部甲板上でそういう数字になるだろうという計算は三菱原子力工業が最終的に行なっておるわけでございます。それで原子力研究所及び船舶技術研究所それから原子力船開発事業団、三者共同で研究いたしました段階での研究成果におきましては、一次遮蔽からの中性子線漏れ計算値に沿わないものが出るけれども、上部の鉄の遮蔽リングでこれは十分有効に遮蔽できるのではないかという結論を出しておるのでございまして、最終的に〇・一ミリレントゲンという計算をいたしましたのは三菱原子力工業でございます。
  220. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だからその資料を出してくれますかと聞いているんだから。どういう計算でそうなったのかということを。
  221. 堀純郎

    参考人堀純郎君) 先生のおっしゃるその計算の詳細につきまして私ただいま把握しておりませんが、調べまして御要望に沿うような資料をお出しいたしたいと思います。
  222. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 次に、これは前回の委員会でも、きょうの午前中でも問題になりましたが、いわゆる原子力委員会原子炉安全専門審査会、これが四十二年の十一月十五日に結論を出しておるわけでありますが、大体何日から何日まで、どれくらいの時間をかけて検討したのか。実は、私は前回の委員会でそのことを、安全専門審査会に提出された資料、それからその結果というものを提出してもらうように要望しておったわけです。きのういただいたわけですけれども、非常にそういう私の聞こうとしているところが全然入ってない資料なんですが、その点どうなんですか。大体審査には何日から何日までどれくらい時間をかけてやったのか。その点どうですか。
  223. 福永博

    説明員福永博君) 設置許可申請書を受けましたのが四十二年四月六日でございまして、直ちに安全専門審査会に諮問いたしております。それで同年四月十二日に第三十二部会というのを設置いたしまして、この申請書の審理を開始いたしております。それで、最終の報告は先生からいま御発言のように、十一月十五日でございますが、その間十四回会議を開催いたしております。
  224. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ぼくたちの、いわゆるいままで原子力委員会原子炉安全専門審査会審査するということについての、われわれ国民のいままでの感覚と、先回の委員会あるいはきょうの午前中の委員会等の答弁に見られるいわゆる原子炉安全専門審査会審査のあり方についてはかなり開きがあるわけですね。もちろん、原子力委員会皆さんあるいは安全専門審査会皆さんはそれぞれきめられた方式に従って一生懸命やっておるわけで、その委員皆さんが悪いというわけではない、むしろ、そういう制度そのものが非常に悪いんではないかと、私はそういうような気がしておるわけであります。そういうわけで、この炉の場合、一体どういう資料原子力委員会に提出をされて、またどういうことが検討になったのか。たとえばその会議録はどうなのか。そういうことを、これは午前中辻さんからも要望のあった同じことになるわけですけれども、これをひとつ提出して・もらいたいと思うんですけれども、私がもらったやつは、請求してきのうようやくきたわけですけれども、これはこういう申請書の本文の何か途中のほうを、ちらちらと表もなければ裏もない。どうも遮蔽のところだけを取り出してきておる。それから原子力第一船の安全性についても、これは、一番私が知りたいと思っておったのは、内容はようわかりませんけれども、審査経過ですね、それを知りたいと思った。審査経過は五五ページにあるわけですけれども、これを見ると五五ページがない。五四ページで切れておるわけで、これは故意に五五ページを切ったのじゃなくて、あわてて持ってきたから、途中ではずれたというんじゃないかと思うんだけれども、こういう点はどうなんですか。故意であればこれはちょっと問題だと思うんだけれども、こういうものは別に秘密でも何でもないわけでしょう。  この申請書にしても、何もこういう中身のところを引き抜いて、七ページから一〇七ページに飛んで、それから一六〇ページで終わっている。これは資源節約の意味でやられた趣旨であるならばぼくは非常にりっぱだと思うのですけれども、しかし、われわれも、これはわからなくても、やはり科学技術特別委員として、どういう審査をやったのかということを——それは決して皆さんを追及するためではない。それで、それならば、やっぱり、このように制度を変えていかなきゃならないんじゃないかと。こういうのをやはり検討するために、私は科学技術庁原子力行政に大いに協力するために資料を要求しているわけですからね。そういう点で、こういうものも七ページから一〇七ページに飛んだりしたらさっぱりわからぬわけですから、図面もいろいろあるはずだし、こういうものを提出してもらいたいと思います。その点どうですか。
  225. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 資料のたいへん不備なものが先生のお手元に渡ったようでたいへん申しわけございません。安全審査会報告書につきましては原子力月報等にすでに公表されておるところでございまして、五五ページ、最後のページを意図的に取ったというようなことは全然ございません。  それから、いま先生のお手元に参っております申請書添付書類、これはページが飛んでおるというお話でございますが、私ども、先生の御要望を承ってまいった者が遮蔽のところというぐあいに理解いたしましたので、それでは全体を差し上げるよりも、それから全体は現在もう部数が余部がございませんので、そういうこともございまして、先生からの御要望の遮蔽の部分だけ抜き取ったほうがかえっておわかりやすいのじゃないかということで、特に遮蔽の部分だけ抜き取って差し上げたわけでございまして、別段の他意はございません。申請書及び申請書添付書類についてはすでに公開されているところでもございます。ただ、申請書添付書類はかなり部厚なものでございますので、すでにもう古い資料で、実は余部がございませんので……、まあ、できるだけお手元に渡るように努力したいと思います。
  226. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで山田さんにお尋ねしたいんですが、いままでのいわゆる原子力委員会における安全審査のあり方、そういうものに従ってどうも今回の審査をされたんじゃないかと思うのですが、今回の国会の論議を通して、そういう設計段階だけのそういう書類審査というのではたしていいのかどうか。これでは安心できないじゃないか。これが私は国民の世論だと思うのですけれども、そういう点で、山田原子力委員の見解として、安全審査のあり方はやっぱりこのようにしたほうがいいんじゃないか、こういうような意見があるのかどうかですね。
  227. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 今回の「むつ」の放射線漏れが現行組織が不備であるから、それが唯一の原因で起こったというふうには実は考えられないわけでございますが、しかし、ものの考え方といたしましては、たとえばアメリカあたりですと基本設計段階から詳細設計、それから運転に入ってからのオペレーションの管理までも一貫してやっております。そういうほうが原理的にはうまくいくというふうに考えられます。ただし、現状におきましても先生御承知のとおり、基本設計段階におきましては安全審査会、それから詳細設計段階におきましては、原子力発電の場合には通産省、原子力船の場合には運輸省、こういうふうになっておりますが、その橋渡しは先生のところにいま届いた五五ページにも書いてあると思うのでございますが、たとえばメンバーといたしましてこういう問題ですと運輸省関係の方あるいは研究所の方、あるいは実際の海のほうの関係のある方をできるだけ多く入れまして、いま申し上げました引き継ぎということができるだけうまくいくようにというふうにはやっております。しかし、これはまあ基本的にまいりますならば、やはり一本化して、単に設計がいいかどうかあるいは検査がどうかだけではなくて、運転に入ってもどうかというものを全部フィードバックするということが望ましいというふうには理屈としては考えられます。ただいまそういう部面を現行の法制においてできるだけ具体化する方法といたしまして実はまだ原子力船については考えられておりませんけれども、原子力発電につきましては、たとえば審査会のメンバーがほとんどそのまま通産省の発電技術顧問会というメンバーになりますので、審査をやりました人が、基本設計を見た人があとの実際設計も見るというようにつながってまいっておりますし、さらに科学技術庁と通産省とがお互いに——これは現在やっておりますか、これからの問題といたしましては、両省が実際のオペレーションその他についてまで連絡をとる方法を考えようとしております。基本的に一本化するのがいいということと、それからそういうことがいつごろ法律としてできるかどうかという問題もございますが、その間もできるだけうまくつないでいきたいというように考えております。  なお、この原子力の安全行政につきましては、最近新聞に盛んにいろいろ出ておりますが、一本化の問題というのはいま考える上でいいわけですが、それが単に安全だけでない問題まで含めたときにいいかどうかというようなことについてもやはり検討してみなければならないと思います。しかし、当然今回の「むつ」の結果にかんがみまして何らかの方法あるいは抜本的な方法を考えなければいけないのではないかというふうには考えております。
  228. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、原子力産業会議からも安全専門審査会をもっと強化しろ、現在三十名と聞いておりますが、全部非常勤である。常勤にしろとか。こういうような意見も出ているわけです。これは私は非常に傾聴すべき意見だと思うわけでありますが、そういう点で来年度予算においていま科学技術庁としてはこういう原子炉安全専門審査会の強化という問題についてはどういう予算要求しているのか、この点簡単にひとつ。
  229. 中村守孝

    説明員中村守孝君) ただいまお話のございました安全審査会の強化につきましては、原子炉安全専門審査会の先生を常勤化するということも一つの案として考えられておるわけでございますが、常勤化ということにつきましては種々むずかしい点もいろいろございますし、またたくさんの委員の中で一部の委員のみが常勤化というようないわゆる諮問機関としての性格上の運営のやり方、そこら辺もかなり問題が少なくないということもございますので、現在のところ安全審査委員を補佐いたします調査専門員という方々、これは各研究所、大学の先生方でございますが、そういう外部の専門家の方々をできるだけ多く安全審査会の審議に参加していただくという方向でそういう調査専門員の増員、たくさん参加していただけるように旅費とか謝金とか、こまかな話で恐縮でございますが、そういう経費を予算要求いたしておりますとともに、安全審査会の事務局に当たります原子力局の安全審査官、これを本年度の予算におきまして十五名増員していただいたわけでございますが、これをさらに引き続き来年度も十五人増員を要求いたしております。さらに原子力研究所におきましてその安全審査会の事務局の補助部門としてコンピューター等を駆使いたしましていろいろな解析データをみずから作成するというような機能を拡充するためにやはり原子力研究所のそういった部門の人の増員、経費の増額、そういったことを要求いたしております。
  230. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういう点は科学技術庁もひとつがんばっていただいて、もちろんわれわれも努力していかなければいかぬわけでありますが、ともかく今回午前中の話では百五十億円ですね、パーになったわけですからね、結局結論的にはパーになるわけです。これもやはり国民の税金ですから、やはりそういうところにきちっとやるべきことをやっていかないと、大局的に見れば国民の大きな損失になるわけですから、そういう点を強く要望しておきます。  それて今回の事柄を通して——これはまたじゃこの次長官がこられたときとか、そういうときに——ここで聞いてもあまり責任ある答弁か出ないと思いますので、こういう問題につきましてはまた次の機会にやりたいと思います。  それで最後に、これはエネルギーの問題につきまして、これはエネルギー庁にもちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、アメリカは国内自給体制を確立するためにプロジェクト・オブ・インデペンデンスという計画を立てて、一九八〇年までには自給自立していくようになろう、あるいはフランスも原子力推進を織り込んだ新エネルギープランというものを発表しておるわけでありますが、日本も中東の石油危機が終わって何となくエネルギー問題は心配ないんではないか、こういうような楽観的な国民全体の空気があるように思うわけですが、しかし先般国際石油問題を討議する先進五カ国会議、それから国連総会等に出席して帰りました木村外務大臣の話等聞きますと、新聞で見たわけですけれども、中東情勢はまことにきびしい。こういう状態でやはりわれわれもエネルギーの問題には真剣に取り組んでいかなければならぬ、このように思うわけでありますが、そういう点におきまして政府としてのエネルギー政策というものはどうなっているのか、いま総合エネルギー調査会等において中間報告が出されているように聞いているわけでありますが、こういう政府としての政策の内容についてはお聞きしておると時間がありませんので、大体いつごろまでにそういうものを出すのか、そういう作業準備の状況というものを聞きたいと思うのですが。
  231. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 先生の御指摘のとおりわが国のエネルギーの、ことに長期の対策については相当急いでやらなければいけないというふうにわれわれも考えております。ことにエネルギー資源のほとんどを外国に仰ぎます日本といたしましては、その対策が非常に複雑であり、かつ多様でなければいけないという点もございますので、実は石油危機が終わりまして早々、その石油危機の反省も含めまして、総合エネルギー調査会で長期的なエネルギーの見通しを行ないました。これは供給面で一体日本が、今後十年、十五年の間に——大体昭和六十年まで見通したわけでございますが、どの程度のエネルギーを供給できるかということを検討いたしたわけでございますが、その結果、相当努力をしなければ、たとえば年平均六%とか七%とかという日本に経済成長をもたらすためには、相当な努力をしないと、このエネルギーの供給がむずかしいというふうな結論になっております。したがいまして、われわれといたしましては、今後もこのエネルギー供給のため、エネルギー確保のために、石油の獲得等々のいろんな手を講ずるほかに、やはり基本的には原子力、これは核融合も含めてでございますが、そういうふうな新エネルギーの開発、さらには太陽エネルギーの活用等々という、エネルギーの供給面での確保策を抜本的に進めていきたいというのが一点でございます。  他方エネルギーの供給面を確保するとともに、従来のように日本のエネルギーの需要、つまり経済の成長を考えて、それに必要なだけのエネルギーを確保するということははなはだむずかしいので、やはりエネルギーの節約を相当重点的にやらなければならないというふうに考えております。  そのためには、一つは長期的には、日本の現在の重化学工業に重点を置きましたこの産業構造を、もう少しエネルギーの節約できるような構造に変えていく。その中には現在のエネルギー多消費型産業の海外立地を進めるというようなことも含まれておりますが、そのような産業構造の転換というものが一点でございますが、さらに現在ある産業の中でのエネルギーの原単位を向上させまして、つまり技術の向上等によりましてエネルギー原単位を向上することによる節約というものも十分やってまいりたい。そのためには、そういう長期的なエネルギー節約のための法律も現在検討しております。  そのような幾つかの方策を講じまして、エネルギーの供給面、需要面というものについて、具体的な対策を進めていきたいというふうに考えております。そうして、そういうものがだんだん現実化いたしますと、先ほど申しました昭和六十年までの供給の面、それからそれのエネルギーの需要の面というものを突き合わせまして、日本のエネルギー需給のバランスというものを見通しまして、それに基づく、何といいますか、具体的な見取り図を描いてまいりたいというふうに考えております。
  232. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、総合エネルギー調査会の中間報告では、年率五%とか六%の油の輸入の伸びを想定しておりますけれども、こういうものも実際は絵にかいたもちであって、やはり世界情勢は刻々と変化をしているわけですから、そういう点で、これは石油だけではなくて、将来、ウランの鉱石の確保の問題も同じじゃないかと思います。もう石油のメジャーがウランの鉱石の買い占めをやっておると、こういうような話も聞きますし、そういう点で、日本の国としては、産出国のこの流動的な政治情勢、国民感情、そういうものをやはり絶えず掌握をして、それに対するやはり適切な手を打っていかなきゃならぬと思うわけでありますが、そういう点におきまして、この資源エネルギー庁の、海外の、特に産出国あるいはウラン鉱石の産出国、そういうところでの情報収集の体制がまことに弱体であると、独自のそういう調査網は全然持っていない。こういうことでは、私は非常に心配であると思うのですけれども、こういう情報収集の体制ですね、そこから、正確な情報に基づいてまた正確な手も打てるわけですから、こういう点を強化すべきだと思いますが、この点どうですか。
  233. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 現在資源エネルギー庁におきます情報の収集につきましては、政府の在外公館あるいはジェトロあるいは石油開発公団の在外事務所というふうなところからの報告、あるいはこちらからの調査依頼ということによる情報収集と、それから職員を随時海外に派遣をいたしまして調査をやっております。あるいは日本に来日します関係者を適時とらえまして意見を聞くというようなことをやっておりますが、この石油の情報というのは、公表されておる情報のほかに、なかなか政治的な情勢もからみまして特定の情報源に接近しなければとれないというふうな情報もございますので、これについては今後も、十分いろんな面での接触を深めたいというふうに考えております。現在のわれわれの情報の収集体制が決して十分なものとは考えておりませんので、今後関係官庁あるいは関係の産業というところとも十分連絡をとりながら、もう少し的確な情報をとりたいと考えております。
  234. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃあ最後に——ひとつそういう点は力を入れてやってもらいたいと思うんですよ。  それで、いま、いろいろ太陽エネルギーとか、こういう資源の節約とか言われましたけれども、そういうことはもうみんな言っておるわけであって、どうやってやはりこれを実現に移していくかという、そのことを真剣に考えていかなければいかぬと思うんですね。  それでこの間新聞を読みますと、この石油危機以後、各国でエネルギーをどれだけ節約したかと、そういうのが出ておりましたが、ちょっとぼくは数字を忘れましたけれども、日本が一番少ない。一番油を海外に依存している、最も節約につとめなければならない日本の国が、西欧諸国あるいはアメリカ等に比べて、その節約のパーセントが非常に少ない。これはただこの数字だけで云々はできないかもしれませんけれどもね、そういうような、やっぱりあらゆるものを含んでの、政府としてのやっぱり確固たる計画というものをつくらないと、幾らここでそうします、そうしますと言うても、そのとおり進まぬわけでね、そういう総合的な計画というものをつくるのかどうか、つくるとすれば、いつつくるのか。おそらく、いま、エネルギー調査会の答申を求めているということは、それを参考にしてつくるのではないかとわれわれ思っているわけですよね、いつごろまでにそれをつくるのかどうか。  それと、いまもお話しがありましたし、エネルギー調査会の石油部会中間報告でも、エネルギーの使用合理化の促進に関する新しい法律を考える、こういうことが必要であるということを言っておるわけで、まあ私もその内容はよく知りませんけれども、いずれにしても、そういうエネルギーの使用合理化を促進するための法律をつくるということは、趣旨としては非常にいいんじゃないかと思うんですけれどもね、これはどういう内容のものをいま考えているのかどうかですね、この二点について御答弁をいただきたい。それで終わりたいと思います。
  235. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) エネルギーの節約の実績の件につきましては、実は日本は諸外国、ことにヨーロッパ、アメリカと違う点がございまして、日本ではこのエネルギーの使用の相当部分が産業用に利用されておりまして、六〇%以上が産業用でございますが、あとの諸国につきましては、五〇%以下が産業用と、民生用のウエートが高いという実情がございます。したがいまして、日本として産業活動が、最近この景気引き締めといいますか、そういうことから相当鎮静化しておりますけれども、必要な、やむを得ない産業活動は必要でございますので、そういう点で、やはりまあいわば民生用のほうを削って節約するという点が、なかなかできにくいという点があることで、過去の実績が、諸外国よりは節約が結果としてそれほどできなかったということであろうというふうに考えております。しかし、われわれとしては極力、各国の実情がございますので、実情に応じた節約は十分進めてまいりたいということでございまして、実は内閣に資源エネルギーの節約に関する本部を設けまして、そこでいま計画を練っておるわけでございますが、大きく分けますと、産業用のエネルギーの節約、それから民生用のエネルギーの節約、二つに分かれるわけでございますが、民生用につきましては、やはりあまり政府がみずから押しつけがましく節約をするということではいけないので、いわば国民運動として盛り上がってくるということを期待いたしたいということでいまいろいろ本部で検討して、民間の方を参与にお願いをいたしましてその方法検討しておるわけでございます。産業につきましては、先ほど先生が御指摘になりましたように、通産省といたしまして、なるべく早くエネルギーの節約、合理化のための法律をつくりたいというふうに考えております。現在、熱管理法という法律がございまして、一部の熱エネルギーについては節約のための法律がございますが、それでは不完全でございますので、この法律をいわば全面的に修正をして、いわば新しくつくるというふうな形でつくりたいと思っておりますが、ねらいといたしましては、先ほど申しましたエネルギーの消費原単位というものを低下させる、そしてそのために必要な管理者を設けるとか、あるいは使用計画を出させて、それに対して不適切なものについては政府が指導するとか等々のことを現在検討中でございます。こういうことをやりまして、産業、民生の両部門にわたってエネルギーの節約を推進してまいりたいというふうに考えております。
  236. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 きょう大臣がいないというのはたいへん残念ですけれども、中村政務次官は閣僚懇談会にも出席をされておるわけでありまして、とにかく現時点で長期に漂流をした「むつ」が港に帰っておるという状況下でございますから、そして鈴木総務会長による現地の三者との合意協定書も新聞紙等ではすでに発表されて、衆議院でも、まあ一回ですけれども、これについての審議も行なわれたということですから、私はここでこの問題を抜きにして、やっぱりきょうの時点で問うことはできないと考えますので、次官にお伺いをするわけであります。また、午前中辻委員の質問に対して、あの合意に関しては誠意を持って実行あるのみというようなお答えであったかと聞いておりましたけれども、この点この合意協定書というものは国民に対する政府の公約として受け取るべき性格を持つものだというふうに把握をしておりますけれども、次官、そういうことで間違いないですな。
  237. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 現地において、政府代表との間で協定の合意書に調印されたわけでありますから、結局国民に対して公約したも同然だと考えます。
  238. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 鈴木総務会長政府代表して公約したのでありますから、政府が国民に厳粛に約束をしたこと、それはまあ当然のことだと思うわけですが、したがって科学技術庁は、森山さんいませんけれども、これはこの中で科学技術庁の持ち分に応じて誠実にこのことの実行をはかる、こういうことになるわけですね。
  239. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 科学技術庁といたしましては、お話しのとおりこの合意書事項につきましては誠心誠意これを守って実行していかなければならぬと思います。
  240. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあその前提で若干内容に具体的にわたってお伺いをしたいと思うわけです。このことは実行され終わったときに証明をされる問題でありますが、同時に実行の、この協定の中身が必然的に行動を規制してくると申しますかね、そういう問題が幾つもありますから、それについてお伺いをするわけであります。この六カ月以内に母港を移転をするということですね。むしろこの問題は六カ月というこういう期限は現地の側から切り出されたものではなくて、政府の側から出された期間であると、こういうふうに承知をしております。むしろ漁民は行く先がきまってからつなぎに戻ってくるというのが要求であったようですから、そこのところを政府の側から六カ月という期限を打ち出して了解を得たということでありますから、六カ月たった後にはもうこのむつに、原子力船むつ」がと言いますか、物体としての「むつ」が存在をしなくなるという、こういうふうに了解されるものと思いますが、それでよろしいかということと、またあわせて新母港についてはいまの段階においてどういう方向性を持って検討されるのかというようなことをお伺いしておきたいと思います。
  241. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 現地においてのお話し合いの中で、当初現地関係者からは早急に、しかも三カ月以内にというような話もあったかのように聞いておるわけでございます。そうでありましたが、双方話し合いの結果六カ月以内に定係港の新たな候補地を決定するというようなことで、六カ月と話がきまったと聞いております。そこで二年半のうちに新母港を新たにやはりこれを決定いたしまして移転をするわけでございますから、六カ月以内に「むつ」が定係港から姿を消すということは、これは考えられぬわけでございます。結局二年六カ月のうち、あるいは一年八カ月になりますか、一年になりますか、結局母港がきまり、定係港の一部でも完成したという上で「むつ」がむつ定係港を離れるというふうに私は理解をいたしております。
  242. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 六カ月たっても新母港がきまっていなければ出るに出られぬという話なのか知りませんけれどもね。二年六カ月というのは、これは少し妙な話になるんじゃないでしょうかね。六カ月内に新母港を見つけて移転するということですから、大体現地理解はこの六カ月という要素と新母港を見つけるという要素が二つのファクターがあって、その一方が欠けたら一方が成り立たないというふうに理解されていいものかどうかと、特に二年半なんていうことになれば、その二年半というのは、撤去を終わって、そして撤去作業が二年半の見込みで行なわれるということであって、その「むつ」が係留をする期限ということとかかわっているとは理解できない、こういう段になると、ずるずるべったりになれば出ていく前と同じ状態がかなり期間続くということになって、問題が多いと思うわけです。特に新母港というのは容易なことではないというのが常識的な観測でありますけれども、ここのところについてはいまの次官答弁のように、新母港ができないときにはまあいわば半永久的にむつに居すわるというような答えとも聞こえるんだけれども、そういうことでいいわけですか。
  243. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 協定書には、六カ月以内に定係港を決定をすると、きめるとうたっておるようでございます。そこで、一応定係港を六カ月以内にきめ、そして母港を二年六カ月のうちに新たにきめて、そして建設にかかる、そういうふうに私は理解いたしております。
  244. 福永博

    説明員福永博君) ただいまの政務次官の御答弁を多少事務的に補足さしていただきますと、ここに合意協定書を持っておりますが、その第一項の二号に、「入港後六カ月以内に新定係港を決定するとともに、入港後二年六カ月以内に定係港撤去を完了することを目途として、昭和四九年一一月一日から、その撤去作業を開始する。」と、こうございます。その次の号に、「2により定係港撤去が完了し、原子力船むつ」が新定係港に回航されるまでの間、原子力船むつ」を、原子炉が凍結された状態で定係港に係留しておく」以下云々とございます。こういうふうになっておりますので、ただいま政務次官の説明のとおりと存じます。
  245. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この協定書どおりに読み取れば、この三項で「むつ」は新定係港にいずれ回航するわけですね。新定係港に回航するまでは係留するわけで、回航する時期は二年六カ月ということにはならぬでしょう、これは。六カ月以内に新定係港をきめ、それでその次は出ていくあとの定係港、現在のむつ撤去のことに触れておるんですからね。六カ月以内に新定係港をきめて、そして六カ月以内に新定係港がきまったら新定係港に回航していくのであるが、それまでの間原子炉を凍結するというふうに読むのが自然な読み方で、まあいまのような二年半というようなことが出てくると、現地のイメージについても何についても、これ出たときは万歳という声も出たそうですけれども、少し様子が変わってくるじゃないかという感じもするわけです。まあこの点を含んで進みますけれども、もしこれが誠意を持って早期に解決していかれないならば、これは出ていく前と同じ状態が存在をすると。ただし、同じ姿の「むつ」の中では欠陥が明らかになった炉が存在しておるという状況下で、出港前の状況になるということなのだということをよく深刻に把握をしておってもらわないと、いままでもまずかったけれども、これからもうまくないんじゃないかというふうに私は思うわけであります。  続いてお尋ねをしますが、二年六カ月かかって撤去をするという、この撤去の事業主体はだれがやるわけですか。
  246. 福永博

    説明員福永博君) 当面のところは、日本原子力船開事業団がこの撤去作業に当たるかと存じます。
  247. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 あとのほうはだれがやるわけですか。当面が過ぎるとどうなるんですか。
  248. 福永博

    説明員福永博君) 先生御案内のように、原子力船開発事業団法によりますと、事業団は五十一年三月までということになっております。したがいまして、その存続期間の問題あるいはそれを引き継ぐ新しい責任の主体の問題等はございますけれども、いずれにいたしましても、事業団ないしはそれを場合によっては引き継ぐものというものがこの撤去作業に当たることになろうかと存じます。
  249. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあやる主がわからないところまで約束しておくというのは、非常に大胆なことだと思いますがね。二年六カ月先まで、やる人がいなくなる——一年六カ月で期限か切れるわけですから。まあこういう点についても、常識的には事業主体である事業団は一年六カ月で問題を上げるようにでも進めていかなければ、この協定書で約束をした内容が責任を持って進まないんではなかろうか。そういう状況下で行なわれている約束である。これは引き続きこの二年六カ月にかかわる段取り、これについては早期に明らかにしていただく必要があろうと、このように思います。  協定書に書かれておる点についてはまあそこまでおくわけですけれども、これとあわせて、新聞の報道するところでも、現地と接触をしたところにおいても、もう一つ協定書に記載をされていない一つの問題があります。これは鈴木総務会長が記者会見で談話として出しておる問題にかかわることであります。現地では、「むつ」の入港を認めるにあたって、それまでの状況安全性の問題について、コミュニケーションの問題について、苦いものをなめ尽くしてきた、こういうこともあり、原子力行政の根本的な見直しということを実行をする約束をしろと。これを入港条件として迫っておったというふうに聞いておるのですけれども、まあ協定書には盛られていませんが、鈴木総務会長が記者会見で談話をすることによって現地と鈴木代表とのこの約束を公表をするという措置がとられたと承知をしておるわけであります。まあ要旨で言えば、政府原子力行政のあり方や開発事業の進め方については、今回の苦い体験をかてとして真剣に根本から再出発するぐらいの心がまえで当たらねばならない、痛く感じていると、こういう談話を発表しておる。これは当然政府の態度として、先ほどもお伺いしたところでありますけれども、今回鈴木代表に預け、鈴木代表から語られたものは、これは政府の態度と承知をするわけですけれども、これは間違いありませんか。
  250. 中村禎二

    説明員中村禎二君) ただいまの御質問に対しましてお答えいたしますが、現地鈴木総務会長が、現地のそういう強い要望にこたえて、帰京して総理にその旨を伝えるというようなことで現地了解をされておるように私は聞き及んでおりますが、いずれにいたしましても、この「むつ」の問題を契機といたしまして、原子力船の問題、いわゆる原子力行政に対しましては、やはり反省すべきところは反省し改めるところは改めて今後開発を進めていかなければならないことは、これは当然のことでございますので、政府としても十分その点は慎重に考慮し善処していかれると、かように私は思います。
  251. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 あいまいでありますけれども、まあ大体政府の態度と受け取ってよいというふうに聞きたいと思いますがね、いいですか。まあまたあとで、痛く感じておると言われた、感じたのは主観であって、証言でなかったというようなことは言われぬでしょうな、先ほどそういうことを言うた人もあるからね。こうなってくると、こういう一つの根本から今回の苦い体験をかてとして見直しを行なうという方向が政府代表から語られることによって、いまからこの原子力行政について新しい審議が、あるいは出発が始まろうとすると、そう受けとっておるのですけれども、午前中からの審議にも間々そういう趣旨とはどうも合致しないような答弁などもあるわけですね。日本ではコンセンサスも必要かもしれないと、科学的、合理的にはあまりこう必要でないことでも、まあ感情をなだめるためにと言わぬばかりのニュアンスの発言も出てきておるのですけれども、ここであらためてきまりをつける意味でお伺いをしておきたいのですけれども、このばく大な国費を投じてつくりあげたあの母港むつをオシャカにするわけですからね。これは根本的再出発、もしくはいままでの道筋に対してやっぱり再検討という意味を含むことなくしてこういうことが行なわれるということは考えられないことだと思うんです。しかしまた同時に、残念ながら大臣はここに出席をしておられないわけですけれども、終始いままで言われてきたことは、安全性の問題についてはばか丁寧に、二重三重の安全で、外国ではやる必要がないことを、日本の国民は動物が火をおそれるように、非理性的なおそれを持っているから、不必要な措置までしてやってきたのであって、どっちに回っても安全性に疑いはないというふうなことが言われておりましたし、むつというところの施設にしても、母港に戻ってきてそうして抜き取りをやるんなら何の不安もないというたてまえだったはずなんですね。もしここで運よくああいうことにならずに走っておれば、当然年期がくれば燃料棒の入れかえもやらなければならぬわけですから、当然抜き取りの問題にしろ、係留の問題にしろ予想し、それがなければ出発はできなかったはずだ、その事情は何ら変わっていないのに、一挙にあの母港をやめにして新母港を求めよう、もしできなかったらそれは一体どうなるのかという状況の中で、あえて政府が決意をしてそういう方向をとった。まあこのことについては、いままで言われておったように二重、三重の安全とかばか丁寧とかいう言い方自身の中に問題があったんだということですね。今後、外国に比べても著しくおくれをとって、セカンドランナーとして安全性よりは経済性と、そして計画よりは結論のほうが先にあるというような状況を見直すような姿勢の変化が、今回のこのむつ母港の廃止というようなことの意味するものだというふうに受け取るわけですけれどもね。再度次官にただして、その上で先に進みたいと思います。
  252. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 安全性の問題につきまして、「むつ」が母港を出港いたします前から安全だといわれておったが出力試験の結果放射線が出たじゃないかと、安全じゃなかったじゃないかという批判を受けておることも、これは事実でございます。私は、この安全ということに対します認識といいましょうか、理解という点が、やはりこれは幾らか人によって異なっておるような感じもいたします。「むつ」は、御承知のとおり、臨界あるいは出力試験のために出港いたしたわけでございまして、必ずしも原子力船として完全無欠であったかどうかということは、まだ試験を終えなければこれは完全であるということはいえないわけでございまして、たまたま試験中に〇・二ミリレントゲンの問題が出ましたけれどもね。
  253. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いや、それはわかっております。母港のほうの問題を言うております。
  254. 中村禎二

    説明員中村禎二君) そこで、私は何としましても今回の問題を振り返って考えてみますと、やはり安全ということに対する、あるいはまた原子力——放射線あるいは放射能ということに対して、国民に理解と認識を十分与えておらなかったと、その点は私は十分反省してまいらなければならない、国民に理解、認識を与えた上でやらなければ、今回のようなことが再度起こると私はかように思うのでございます。そこで、私は、少なくともPRあるいは広報費など惜しみなく使って全国民にこれをPRしていく、宣伝、そして徹底的に認識をまず国民にしていただかなければ、今後原子力開発は不可能じゃないかということを痛切に感じております。政府といたしましても、今回の問題にかんがみまして、十分その点を反省して善処をしていかなければならないと思うのでございます。
  255. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 むつ母港として持っておる機能ですね。それからここで係留をし、抜き取りをし、また新しいクレーンもつけてあるわけですね。まあさまざまなプールもあるわけですね。こういうものについては、出港前から述べておったことについては何一つ修正する必要はないけれども、まあ金もかけたし、安全でもあり、使えば使いものになり、価値もあるけれども、理解が得られないから廃止にすると、こういう説明になるわけですか。
  256. 中村禎二

    説明員中村禎二君) そういうことではございません。いまの安全という問題に対しての理解を国民に得ておらなかったという点を私は申し上げたわけでございます。
  257. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 やはり理解しない国民のほうがおくれておるというのが基本的に従来の説明であって、まあ説明をしようとする努力はするけれども、無限大には待てないから進んでいくというその根本姿勢に対してやはり不安があり、安全性政府自身が信じ、PR資料に書いておったような簡単なものではなかったと、そこの見直しを含めて今回重大な措置に踏み切ったのだというふうになる筋だと思うんですけれども、どうですか。何かこう理解をされないからということだけなら、前と一向変らぬじゃないですか。また森山さんの病気なおったといって出てきて居直るんじゃないかという不安も感じますがね。その点、くどいようですけれども、念を押しておきます。
  258. 中村禎二

    説明員中村禎二君) 私は、先般むつ並びに現地に参りまして、痛切に感じましたことは、政府あるいは科学技術庁運輸省、「むつ」の事業団等に対する地元住民の不信、過去にさかのぼっていろいろの問題に対して不信が重なってまいっております。その不信と、それと少しやはり思い過ぎた、思い越した不安が何かあるようでございます。その不信と不安が重なって、そして問題が非常にこじれてまいったというような感じを痛切にいたしましたので、先ほど私が御答弁申しましたように、事前に十分関係者理解、認識を得ておけば、今回の、かりに〇・二ミリレントゲンの放射線が漏れましても、これは人体には影響ない程度でございますので、引き返し母港に帰りまして、それを点検し、あるいは修理をして、また出港して試験を続けるというようなことも不可能ではなかったのじゃないかという、そういう感じをいたしましたので、先ほどから私は御答弁を申し上げたような次第でございます。
  259. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 事前に十分関係者理解を得るという点で、従来至らない点があったと、今後はこれを改善していくし、その趣旨で今回の措置もとったのだという答弁としていただいておきますが、関係者というのは農漁民だけではないと思います。当然のこととして国民の世論一般、その中で重要な柱をなすものは、何としても学界、研究者、専門家ですね、こういうことであります。この開発をのどから手が出るようにほしがっておるのは、経済性では企業でありましょうけれども、特に自主、民主、公開を基本法の中でうたっておるこの問題については、関係者といえばのがせないものとして専門家集団に対する公開と、そして事前の理解、事前の理解をつくり上げるための公開性の確保という問題があると、私は強くこれを主張をするものですし、従来から言ってきたところであります。この方向へ一歩進まなければ、漁民対策として、この問題は、この問題解決と、また次の新しい母港を求めるところから問題は再生産をされていくものである。この観点から少し詰めて、「むつ」放射線技術検討委員会の結論が一日も早く出されることが待たれるわけでありますけれども、これに関して一、二、御質問を申し上げます。  一昨日の運輸委員会のときの答弁でも、それから午前中の質問においても、基本は技術検討委員会の結論待ちということなんですね。これ、当初ぼくはたしか二十三日ごろ結論を出すというふうに承知をしておったように思うんですけれども、きょうは月末か来月初めというふうにも言われておる。ここで根本的な原因究明を万般にわたって全部やるわけじゃないでしょう。三日間につかんできたデータを解明をして、そのデータの範囲内でつかむことができるものを明らかにしたら、すみやかに公開をして、そして一そう広げて、根本的なこの問題の解明をさらに進めるという趣旨だと思うんですけれども、どうしてこんなに長くかかって、何をしておるのかわかりにくい状況になっておるのか、これをひとつお伺いしたい。
  260. 中村守孝

    説明員中村守孝君) お答えします。  現在は現地調査に参りました原子力研究所の宮坂先生並びに船研の——船舶研究所の方々の御協力を得まして、前回現地で取得してまいりましたなまのデータを原因が解明できるように放射線の、何と申しましょうか、単純にはかった数字でなくて、それの方向性とか、ある程度のエネルギー分布等について解析いたしまして、その結果をもとに検討委員会で議論をしようということにいたしておりまして、現在、そのデータ解析をまとめ中でございます。たくさんの人で、わっと人数だけあればできるというものでもございませんので、その点についてまとまるまでもう少々お時間をいただきたいと思うわけでございます。その結果を受けまして、検討委員会でその調査結果を検討し、さらにその先、問題をそれのみで解決できるのか、さらに多くのほかの要素についていろいろ検討すべきか、その検討委員会において、その先の行き方についても検討を進める予定でございます。
  261. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この専門家調査団の中間発表の中の一つに、たとえば洋上での補修は不可能と判断されるというようなものもあるわけですね。ということは洋上での補修も可能であろうかと思って調査団を派遣したのかというふうにも読み取れるわけですけれども、多くの場合に、調査団を編成するときのような心がまえよりも、現地に当たったら、より重大な結果が出てきておるというのが一連のこの実験、あるいはテストの持っている一つの個性のようになっておるというのを私は非常に懸念をし、これが根本の姿勢にかかわるものではなかろうかというようなことも懸念をするのでお伺いをするのですけれども、ひとつこの宮坂団長以下の専門家調査団は何をねらいとして、どういう構成で、一部器具等について、午前中にお話がありましたけれども、どういう準備を整えて行かれたのか、まずそのメンバー、構成とか、それぞれの方の専門分野、所属等についてひとつお伺いをしたいと思います。
  262. 堀純郎

    参考人堀純郎君) お尋ねの調査団のメンバーでございますが、これはただいま名前をおあげになりました日本原子力研究遮蔽研究室長の宮坂さん以下六名でございます。その六名のうち四名が三菱原子力工業の職員でございまして、これは軽水技術部次長の小倉さんとか、その他課長あるいは技師でございます。それから残る二名が石川島播磨重工業会社の職員でございまして、一人はそこの課長でございます。それからあと一人は技師でございます。このような構成で派遣いたしました。それから持って参りました道具は、午前中、たしか辻先生の御質問に対しまして、私、お答えしましたようなのが測定の道具でございます。そのほかに遮蔽材料、その他多少持ってまいっております。
  263. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 結果においてこの調査団が解明すべき私は目玉というのか、ポイントは中性子の問題になっておるように承知をしておるわけですけれども、つまびらかに専門的な知識はないのでわかりませんけれども、これは複雑なものであって、ガイガーカウンターでぱっとやるような、そういうものではなくて、中性子といえば、かなりの専門性と技術を持っているのでなければ、それが特に限られた期間内に、複雑なものを極限された場所で調査をするというのはむずかしいのじゃないかと思うのですが、このメンバーを聞いてみると、何か調査といいながら、失敗をやらかして、つくったメンバーが、そのまま自分で行っているような感じを受けて、その頭にぽんと原研の宮坂さんが乗っておるというような印象を私は受けるわけであります。そういう段になれば、行く前のこのねらいは、技術的にその場の洋上修理も含めて解決をするというような軽い気分で行かれて、今日の状況で、局限された中でデータをとってこられるのについてどうも不備があったんじゃないかというような疑念もわいてくるわけであります。特に中性子、ガンマ線というようなものについて、具体的には専門家としてどれだけの準備をして行ったからどうだというような点をわかりやすく言っていただきたいと思うんです。
  264. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 調査団を派遣しました主体は原船事業団でございますので、事前の準備等については事業団のほうから御説明していただきますが、その前に、運輸省科学技術庁両省で設けております検討委員会でこういう専門家事業団をして派遣し、現地の技術者と協力して原因の解明につとめるべきではないかということを検討委員会で決定をし、それから、行くにあたっての準備等についても、その検討委員会で打ち合わせしたわけでございまして、専門家の構成につきましてはメーカーの担当者を行かしめたのはいかがかという御意見もいまちょうだいいたしたわけでございますが、これは何しろ現地の技術の細目につきましては、設計した当事者がいろいろこまかな点についての事情をよく知っておりますので、現地に臨んで非常に低出力でいろいろな試験をしなければならないというような現地状況を考えますときに、その詳細を把握しておる技術者を派遣するのが一つには非常に有効であろうということが一つございます。  それから原研の宮坂先生は遮蔽の研究においては非常に造詣の深い方でございますので、この中性子線についても、出発に際しまして持っていく放射線のフィルム、放射線を計測する装置等について貴重な御意見を賜わり、現地での測定の指導に当たっていただいたわけでございます。  それからその事前の準備にあたりましての討議に際しましては、運輸省の船舶研究所から専門家の方にも御出席いただいて検討いたしております。  あと準備をしていったもの等につきましては事業団のほうから説明させていただきます。
  265. 堀純郎

    参考人堀純郎君) ただいま規制課長から御説明がございましたが、多少補足いたしますと、まず御質問は、私のただいま申しました七名のメンバーのうち六名もメーカーではないかと、したがってこれがメーカーの利益代表的な結論を出すんじゃないかと、まあそういう懸念はないかというような御質問かと存じますが、こちらから参りましたのは七名で、その中に六名メーカーがございますが、これは製作いたしました際の事情を一番よく知っておりますので、これが参加いたしましたが、船の上にはすでに二十何名かの技術者がおりまして、この中には三菱から事業団のほうへ出向しております者その他ごく少数はおりますが、大部分はこのメーカーと関係のない者でございまして、この技術者がこちらから派遣いたしましたこの七名の者と相協力いたしましていろんな調査をいたしたんでございまして、いま申しましたような懸念はないものと存じております。  それからそのいたしました作業でございますが、たった三日か四日くらいで何ができるんだ、何ができるかと申しては恐縮かもしれませんが、非常に少ないじゃないかとおっしゃった御趣旨かと存じますが、これはこの七名が行きまして調査いたしましたのは比較的短時日でございますが、その前にいわゆる放射線漏れを起こしましてから長い間、放射線が漏れたということがわかりました直後から船上におりますただいま申しました二十何名か、さらに船員を入れますれば何十名かの人間がこれの測定調査をいたしましたので、そういうデータはすべて今度の調査団は持ってきておりまして、期間的にはすでに船上におりました要員がいたしましたデータがたくさんございます。これがあわせていま検討材料に上がっているわけでございます。  それからどんなふうな測定のしかたをしたのかとおっしゃることでございますが、これにつきましては先ほど午前中の辻先生の御質問に対しまして道具その他は申し上げましたが、ああいうふうな道具を使いまして、そうして直接格納容器の中あるいは外における放射線の状況を調べましたのと同時に、遮蔽を設けまして、これはポリエチレンを持ってまいりましたので、これで遮蔽いたしまして、それによりまして中性子がどういうふうに減衰するかというような測定もいたしました。こういう測定もあわせましてただいま整理中でございまして、午前中にも申し上げましたように測定の機械の種類もたくさんありまして、これはいろいろな単位で出てくるものでございまして、すぐそのなまデータを見ましてもそれは何をあらわすか、中性子そのものをあらわすものじゃございませんので、これらを電子計算機その他を使って整理しておりまして、しかも電子計算機にももちろん制限がございますが、こういうさっき宮坂さんなんというのは一番の権威でございますし、そのほかの方も一番のこちらの専門家を集めてやっておりますので、しかもそういう専門家はほかの用務もございまして、これに一〇〇%というわけにもいきませんし、それで時間がかかっておるわけでございます。  以上でございます。
  266. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 もともとそれはこういう調査団が乗り込む前に、出港するときから遮蔽に関する学者なり技術者を乗せて、とにかく実験をやるというのは、やってみるまでわからぬのでありますから、進んでおられたということなら、行って調査をやられたのが三日間であってもということはあるのだけれども、聞くところでは何か初め出港したときはそういうことは全く予想せず、遮蔽に関する手当ては人材としては考えられていなかったようなことを聞きますので、いまの答弁を得ても、なおここで得られてきたデータというものが将来の問題を解明していく上で万全なものであるのかどうか危惧の念を感じる、これはぬぐいがたいものがあるわけであります。  ここで原研労の青柳さんの参考人としての御出席もいただいてますので、特に原研労では九月十八日に声明を出し、この原子力問題について研究の面から、あるいは技術、労働の面からタッチしておる原研労としての調査団をつくられて声明を出しておられるその青柳さんに対してひとつお伺いをしたいと思うわけであります。特にこの測定に関しての見解と、ここで見られる問題点、とりわけ一般的にもあるでしょうし、国際的な通念、常識もあろうかと思うのですが、「むつ」というような特殊な条件下で測定について準備しなければならない一つの前提と、そしてここで考えられる測定内容についてひとつ御見解をお伺いしたい。
  267. 青柳長紀

    参考人青柳長紀君) 私たちの労働組合のほうで、組合員と申しましても当然研究員その他技術関係者も含めて実際に業務に携わっているわけでございますが、そこで私たち検討した結果によりますと、やはり中性子の問題につきましては非常に測定上むずかしいと、特に検出器関係なんかに対しますと、やはりBF3とか、そういうようなカウンター関係測定器具の扱い方、またはそれによって起こってくるノイズ等によりましてやはり具体的にデータがどういうふうに正確にはかられてくるかというふうなことになりますと、やはりそういう経験者またはかなり中性子関係測定を扱っておる方が大ぜい乗っていかないと、やはりいろいろあとになってデータを分析する上でむずかしい点があるというようなことがありまして、私たちの議論の中ではそういう点が非常に出てきて、短期間の間に、特に調査団の方々、先生方が行かれたわけですけれども、その範囲内でいわゆる結果を、データをとってまいりまして、遮蔽の根本的な原因遮蔽の欠陥またはそれに伴う諸欠陥について根本的な原因が明確になるようなはたしてデータが十分とり得たかどうかということに関して、そういうことに携わった人間から危惧があったということであります。特にこの問題に関して見ますと、たとえばいまの原子力船と、非常に似たようなサバンナ号でアメリカのほうでやっておるわけですけれども、こういうような中で、われわれのほうで話が出ているデータなんか見ますと、いわゆる遮蔽漏れ等について測定を行なうために、これは直接的な事故というようなことで行なわれたわけではないんですけれども、それに関しては、特にアメリカでやっている測定データなんか見ますと、約四十一名ほどの測定専門家を派遣しておりまして、これは、その中で特に注目すべきことは、十一名ほどの中性子物理の専門家なども含めて、そういうようなところに派遣した形で機材等も十分積み込んでいくというような事態でやっておられるようであります。これはそのまま日本に引き移せるかどうかという問題はありますけれども、そういうことも含めまして、やはり中性子線の検出に関して、特にそのエネルギー、それからそのエネルギーがどういう状態で変化して外部に漏れてくるか等について正確なデータを得ようとするならば、それなりの体制と専門家による十分な準備がなければ、正確なデータをとり得るというのにはたいへんむずかしいんではないかという結論で一応危惧をあらわしたわけであります。
  268. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大体常識的に危惧の念を感じるという問題と、それから研究者、専門家意見がたまたま一致をして、当事者だけが過度に楽観的だというようなことがこの問題を通じて終始ついて回る。この場合は、宮坂先生は、中性子に関しても、遮蔽の中では特に深く研究をしてこられた方かと思うのですけれどもひとり三日間乗られて、あとは企業の技術者というようなことで、今後将来まで長く影響を残す調査データがはたして得られるものかどうか、これは深刻な疑問を依然としてぬぐうことができない、こういうふうに思うわけです。不十分なデータの疑いがある中で、しかも異常に検討委員会の結論が引き延ばされている、こういう状況については、何としても中間、中間でそこまでに出された問題の到達点で、さらに長く放置しないで質問にこたえてデータを発表していかれるというような状況の中でこの疑念をはらすというふうにやってもらわなければならぬと思うのですけれども、午前中からの審議を通じても、資料の提出等についてはばかばかしい答えはない、こういったふうな点はすみやかに改められる必要があると思うわけです。私はここで具体的な資料提出を要求するものではありませんけれども、この公開の問題について、研究者あるいは原研労の立場として青柳参考人から御意見を伺いたいと思います。
  269. 青柳長紀

    参考人青柳長紀君) その点につきましては、やはりできるだけ多数の、特に大学または研究所の関係、もちろん原子力研究所も含めましてそうですけれども、そういう方々の衆知を集めまして、実態の、原因のやはり根本的な究明が正確に行なわれ得るということが本質的に大切ではないかというふうに思います。そういう点につきましては、やはりもちろんそれに携わる人たちの、専門家の方々ができるだけ多く、広くデータを検討でき、またそれによって一定の相互の批判等もでき、お互いに実態として正確に事態がとらえられるような体制のもとでやられるということが非常に大切で、そのためにはやはりあらゆる機会に——もちろん条件をつけての上ですけれども、中間的な形でもデータ等が公表されて、またそれに伴っていろいろ検討がさらに一歩進むというふうな段階を何回も踏んでいくということが、やはり一たんとられたデータに関しても大切ではないかというふうに判断されます。  ただ、その点につきましていままでまあ私たちの労働組合としては実際にそういうデータの中身については全く知り得ませんので、その中身がどういう結論になっているかということについてはやはり公表されたデータの中で検討していく以外にないというふうに思っております。
  270. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 すでに二十二日には衆議院のこの委員会が開かれるというふうに聞いておりますが、午前中の理事会で参議院のほうの委員会は十一月をこえることになりました。その時点で、なおこの検討委員会の結論がはかばかしく出てこないというようなことがあれば、もうやっぱりいままでの説明にもかかわらず、このデータ自身に対する疑惑も含めて、それこそ全体が問われるという状況があるだろう。この点はきびしく私は要求をしておきたいと思うものであります。  それでは続きまして燃料抜き取りの問題についてお伺いをします。核燃料の抜き取りに関してはもうむつで行なわないということをきめて、新母港ができてからやるということでありますけれども、十月六日の大山座長の十三人委員会というものでは、これは抜き取り一向差しつかえないんだというような結論も出されておった。また、その中で抜き取り手順も示されていた。そのことと現在の政府結論との関係ですね、まあ先ほど包括的にはお伺いをしたんですけれども、あらためてお尋ねをします。
  271. 中村守孝

    説明員中村守孝君) 燃料の取り出しにつきましては、現地におきまして行なわれました専門家会議において種々検討されましたが、現在まで運転されました炉の時間、出力等から考えまして、一体一体の燃料の中に含まれております放射能はきわめて少なく、かつ揮発——ガス性のもの等もまだ生成していない段階でございますので、それらを踏まえまして検討いたしたわけでございます。で、燃料の取りはずしについての手順等についても、概略的ではございますが、事業団からの説明を受け、扱います燃料キャスク等は、これは燃料が燃え切ったあと、使い切ったあとに耐えるように十分な遮蔽を有するような設計構造になっておりますので、それに比べますと約十万分の一程度の非常に弱い放射能になっておりますから、それらの点から設備的にはまず間違いないと。しかも、万々一その輸送中に取り落とすようなことがあったとしても、その汚染はきわめて局部的でございまして、当然その取りかえをやりますときにはその周辺は管理区域に設定いたしますわけでございますから、万々一それを取り落とすようなことがあったとしても、周辺の方々にはもちろんのこと、作業員の方にも被害を与えるというようなことはまず考えられないということの御結論をいただいたわけでございます。ただ、問題がこういうきわめて安全性についての御心配をいただいておることでもございますので、いささかの汚染もないようにということを配慮いたしまして、専門家会議においてもその燃料の取りかえについては慎重に行なえ、そしてかつ、その取りかえに際してのマニュアルの作成、その際における放射線管理等については十分にチェックをしろというような御示唆までいただき、かつその漏れ——原子炉の中から取り出すためにキャスクが水でぬれているというようなことで、その炉水が——これはほとんどよごれておりません、自然にありますのとほとんど変わらないわけでございますが、これとてもしたたり落ちることのないようにというようなことまで配慮したらよいのではないかという御示唆までいただいたわけでございます。安全上はそういうことで、十分安全に燃料の取り扱い作業が行なえるという見通しを得たわけでございますが、現地の方々の強い御要望もございまして、そこら辺を参酌いたしまして、燃料の取りかえをして直ちに船に出てもらうか、あるいは燃料は取りかえない形にして、しばらく期間は長くなるけれども、原子力船を港にとめておくか、どちらにするかは現地の方々の御選択にまかせたというのが現地の実情のようでございまして、もう問題が出そうなので燃料取り扱いをやめて凍結にしたということではございません。
  272. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 若干時間がきておりますので、あと簡潔に終わりますからもう少しお願いをしたいと思うんですが、いまの説明のある部分は、こういうことは大体、何でしょうね、出港し、母港を定めたとき、つまり安全審査会でこしらえたときからでき上がっておるものであって、それを示してアウトを出すようなら初めから出発も何もできないものですから、あの時点で、ああいう状況下において新たに何が検討されたかということが問題だ。その後、漁民からの委託も受けて田島さんはじめ新たに検討されたところでは、そう簡単な問題ではないわけだし、すぐに戻ってさっそくにも抜き取るというような状況は、十三人の結論からでも注意事項等を援用すれば必ずしも簡単なものではない。これが集めて一日で答えを出して漁民を欺くような姿で事がはかられようとしたということは、今日の措置と相まって考えてみても、私は一種の暴挙であったろうというふうに感じておるわけです。この抜き取りの問題についても原研労で検討をされて、それについては声明も出されておるという状況でもあり、青柳参考人にお伺いをして、その上で終わりたいと思いますから。
  273. 青柳長紀

    参考人青柳長紀君) 私たちのほうでいろいろ検討したのは、具体的に実際にその作業に当たっている問題が、そこに働いている人間がどういうような作業をやるかということが具体的に想定されない場合においては、安全か安全でないかというのは非常に確認しにくいという問題があります。特にこの船の場合は、普通ですと燃料交換等においては陸上においては格納容器内において実際には行なわれるわけですけれども、今回の場合は野天の中で実際にやられるというような点とか、それからまたそれが船の実際のゆれその他の中で取り出さなければならない、また天候の変化その他もろもろありますので、なかなか簡単にいかないというような問題もさらに加えてあります。それから、実際にいま実作業に入りまする段階になりますと、やはり準備されました装置その他が少なくとも燃料交換装置の設計とか、それからその装置が正常に作動するか、緊急な故障の場合の対策が十分立てられているかどうか、またはそれに伴うマニュアル、実際作業に行なわれるマニュアル、またそういう面がすべてやはり検討された上で行なわれるというのが一番これは安全でありますし、そういう点を踏まえて十分審査しなければ、やはり実態的に作業が行なわれた場合に絶対に万々が一事故を起こさないというふうな保証にはなかなかならないのではないか。そういう意味においてやはり十分それを短期間の間で検討し得るようなプロセス及びその準備ができていたかどうかという点において非常に不安を持っていたわけです。  それから具体的にその作業を行なうにあたりまして、御説明もありましたように、これがフルパワーといいますか、十分に出力が上昇して所定の航海を経た後に実作業で行なわれる場合においてはさらにその問題は非常にたいへんになってまいりますし、さらにそれに加えて燃料の破損等が実際に起こったような場合、起こった状況が出てきた場合の燃料交換等も考えますると、非常にその将来においての取り出し作業その他についてはたいへんむずかしい問題が残されているというふうに思われます。ただし今回の問題についてはその前提ではないと思いますけれども。
  274. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いま青柳さんからも言われておるわけですけれども、あの時点での十三人の専門家に一日で、現地にも行かせずに答えを出して、直ちに安全だから戻せというような態度こそ、つまり安全審査が通ったから安全だということをあの時点でもう一ぺん繰り返したことになっておると思うわけですね。抜き取りについて作業一つとってみても、熟練をした作業員がどこまで準備をされていったかというようなことの前提もなく、専門家の名前で中身抜きにやっぱりこの国民をまるめ込むというような態度で、この姿勢が反省をされるということを抜きにして、やっぱり先行きができない問題だというふうに私は強く指摘しておきたいと思います。  引き続いて十一月の初めにも委員会をもつわけでございますから、この点さらにこの調査会の結果を見て一そう問題を明らかにしたいと思うわけです。  終わります。     —————————————
  275. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) この際、派遣委員報告に関する件についておはかりいたします。  先般当委員会が行ないました科学技術振興に関する実情調査のための委員派遣について報告書が提出されておりますので、これを今日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  276. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、暫時休憩いたします。    午後四時十七分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————