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1974-11-26 第73回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月二十六日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 平林  剛君    理事 加藤 六月君 理事 木部 佳昭君    理事 橋口  隆君 理事 山下 元利君    理事 井岡 大治君 理事 松浦 利尚君    理事 野間 友一君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       片岡 清一君    竹内 黎一君       中村  茂君    山中 吾郎君       小林 政子君    有島 重武君       和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      倉成  正君  委員外出席者         経済企画政務次         官       安田 貴六君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         農林省農蚕園芸         局畑作振興課長 本宮 義一君         農林省食品流通         局砂糖類課長  永井 和夫君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     篠島 義明君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 高橋 英雄君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本  武君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ————————————— 委員の異動 十一月十四日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     竹内 黎一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 平林剛

    平林委員長 これより会議を開きます。  この際、経済企画庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。倉成経済企画庁長官
  3. 倉成正

    倉成国務大臣 このたび経済企画庁長官就任いたしました倉成正でございます。本日、衆議院物価問題等に関する特別委員会の開催にあたり、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。  今日、国民の最大の関心事は物価の安定ということであろうかと思うわけであります。最近、総需要抑制政策がようやくある程度の効果を見せてきておりますけれども、まだまだ物価の前途については、予断を許さないものがございます。したがいまして、物価の安定のために、また消費者保護の見地から、私は政局の動向のいかんにかかわらず、全力を尽くして取り組んでまいりたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても、物価の安定ということは政府のみでできることではございません。国民皆さま方の御協力と御理解がなければ、できないと確信いたすわけでございます。  練達な委員皆さま方の御指導とご鞭撻と御協力とを切にお願いをいたしまして、ごあいさつにかえさせていただきます、よろしくお願いいたします。(拍手
  4. 平林剛

    平林委員長 次に、経済企画政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。安田経済企画政務次官
  5. 安田貴六

    安田説明員 先般の内閣改造によりまして、経済企画政務次官を仰せつかりました安田でございます。  いま大臣からのごあいさつがありましたが、大臣の御方針を私も受けまして、いま国民の間で最も重大な政治課題でありまするいわゆる国民生活の安定、特に物価の問題、これをはじめとする経済企画庁所管の諸問題につきまして、はなはだ不敏な人間でありますが、誠心誠意努力をいたしてまいりたい、こう考えておりますので、よろしくお願いいたします。(拍手
  6. 平林剛

    平林委員長 この際、暫時休憩いたします。    午前十時五十二分休憩      ————◇—————    午後二時十分開議
  7. 平林剛

    平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  8. 松浦利尚

    松浦(利)委員 本日、新経済企画庁長官から所信の御表明をいただきましたが、ちょうど総理辞任というたいへん激動期でございまして、政策を担当される大臣としても、非常にやりにくい面もあるだろうと思うのでありますが、所信表明にもありましたように、今日の物価というものは、国民にとってきわめて重要な問題であります。そういった意味で、新長官国民もたいへん期待をしておると思いますので、この際、若干の質問を申し上げまして、長官所信をさらにお聞かせいただきたいと思うのであります。  その一つは、きょう閣議が開かれまして、その閣議の中で、今年度の経済成長見込み実質マイナス一ないしマイナス三くらいに落ち込むのではないかということを御発表なさったそうでありますが、その経緯について、本委員会におきましても御報告をいただきたい、こういうふうに思います。
  9. 倉成正

    倉成国務大臣 本日、閣議におきまして補正予算概要についての御説明がございました。補正予算最終決定は新内閣においていたす筋だということで、概略の御報告があったわけでございます。したがいまして、私ども四十九年度の経済見通しの正式の改定は、補正予算を決定する際にこれをお示しするという運びになろうかと思います。  しかし、概要説明がございましたから、大まかな輪郭、これは補正予算決定段階にもほとんど狂いはないと思いますけれども、経済成長率が名目一九%程度、当初の見通しは一二・九%。それからいま御指摘実質成長マイナス一ないし二%程度、当初の見通しは二・五%でございました。これは一番大きな理由は、第一・四半期に非常に経済が落ち込んでまいりましたので、これが大きく反映して、大体一%から二%程度マイナスになるであろう、こういう概要説明閣議でいたした次第でございます。
  10. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの長官の御説明で理解いたしました。  そこで、さかのぼってお尋ねをしておきたいのですが、内田前長官時代経済企画庁としてあらゆる予測を前提といたしまして、四十九年度、五十年度の経済見通しというものを試算なさった経緯があるわけであります。その試算した計数を私はいま手元に持っておるわけでありますが、その内容ときょう長官閣議に御報告なさったことは、ほぼ一致していると思うのです。ということになりますと、実質成長率がかつて閣議報告した経済見通しと合致するということになりますと、消費者物価動向等につきましても、実はこの試算でいきますと、来年の三月三十一日対前年同月比におきまして、消費者物価は大体一七%から一八%になるという経済見通しが出ておるわけです。ということになりますと、当初前長官指摘をしておりましたが、一五%を目標とするということは非常にむずかしいのではないか。  ですから、この経済見通しですら一五%という数字が出てきておらないわけですから、そういった意味では、これからの政策目標としての一五%以内、あるいは一五%を目標とするという消費者物価指数というのは非常にむずかしい、率直に言って不可能な数字じゃないかというふうに思うのですが、その点、長官どのようにお考えになりますか。
  11. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいまの物価の点でございますけれども、物価は、卸売り物価が前年度比二五%程度、当初の見通しは一四・六%ということで大きく狂いました。それから消費者物価は前年度比二二%程度、当初見通しが九・六%、こういうことで、大きく当初の見通しと食い違っております。これは率直に認めたいと思います。  そこで、これと斉合性を持つべく、年度末で対前年度比一五%程度、来年の三月に前年の三月に比較しまして大体一五%、こういうことできょうも報告いたしたわけでございます。御指摘のように、これはなかなかむずかしい目標でありますけれども、今日の国民期待にこたえて、全力を尽くしてこの目標を達成するように努力いたしたいと心得ております。
  12. 松浦利尚

    松浦(利)委員 一五%を目標全力をあげるという大臣のおことばですから、ぜひ全力をあげてやっていただきたいと思うのです。しかし、非常にむずかしいという条件の中で、ほんとうにそういう政策目標に向かって努力をするということになれば、私は、たいへんな物価抑制のための手段あるいは政策が必要になってくるんではないかと思うのです。  そこで、いま田中内閣が一貫してとってまいりました金融政策、この問題が、最近若干手直し的な様子が生まれてきておるのではないかという気がいたします。そこで、大臣にそういう考え方があるのかどうかということを、前提といたしまして、一応新聞等の情報でありますから、具体的にこの新聞の報ずることが事実かどうか、あるいはそういう考え方があるかどうかということを、お聞かせいただきたいと思うのです。  十一月二十一日各紙一斉に、「窓口規制緩和へ傾く」という見出しで、「日銀ワク拡大を黙認の形」と、金融をなしくずし的にゆるめるということが報道されたわけであります。そのやり方としては、「来年一三月分の貸し出し増加額ワクを一部繰り上げる」、あるいは「最終的に窓口規制ワクからはみ出した場合も弾力的に扱う」、あるいは「月末の計数に表れない含み貸し出しを黙認する」こういったことで緩和措置が出されてきつつある。しかも、こういったことは大っぴらにやったんでは、緩和措置を具体的に政府が取り上げたということで、せっかく卸売り物価等が鎮静しておる条件下でマイナスだ、ですから、そういった政策不言実行型でやるというふうなことが書いてあるわけです。これは日銀のやることですけれども、実質的に政府もこれに対する指導監督という立場もあるわけであります。きょう実は大蔵省の銀行局の出席を求めたのでありますが、参議院の大蔵委員会関係出席しておりません。もちろん大蔵大臣出席できませんので、物価担当大臣であります長官のほうから、この問題について政府見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  13. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいま松浦委員から御指摘ございましたけれども、私は先般日銀総裁とお会いしまして、経済がこのように非常に微妙な段階にあるので、ひとつとりたてた会議ということじゃなくても、電話ででもいろいろ相談をし合って遺憾なきを期しましょう、こういう話し合いを日銀総裁といたしたわけでございます。実はきょうお時間をいただけば日銀総裁とも、私が新聞紙上で見ましたこと、どういう経過かいろいろ聞いてみようと思っておりましたけれども、確かめる時間がございませんでした。  私の知る範囲では、そういうなしくずし金融というような考え方はないと信じております。ただ御案内のとおり、いま繊維はじめ関係業種が非常に不況の波にさらされておるわけでありますから、これらの業種について、やはりそれぞれの対策をきめこまかく金融の面でやっていくということは必要ではないか。また中小企業については、年末金融について七千億円の手当てをいたしたことは御承知のとおりでございまして、そういう意味のことはやっていかなければならないと思いますけれども、しり抜けになるような金融をやっていくということは、私は、日銀も考えていないと思います。この点は、ひとつ十分確かめてみたいというふうに思っております。
  14. 松浦利尚

    松浦(利)委員 金融引き締め政策というものは堅持をしていく、今後ともにきびしく堅持をしていくんだというお考え方と理解してよろしいですか。
  15. 倉成正

    倉成国務大臣 総需要抑制政策の一環として、財政金融、これは車の両輪でありますから、金融についての抑制政策は基本としては続けていく、しかし細部の、非常に苦しい、不況倒産が出る部門について、きめこまかい配慮をしていく、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  16. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま言われたことは、不況に見舞われておる中小零細企業なり、あるいは構造的な不況といわれる繊維業界等について、財政面金融面両面で対処していく、別途手当をしていくんだ、こういうお考え方ですね。
  17. 倉成正

    倉成国務大臣 そのとおりでございます。
  18. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで大臣に、これも新聞の報ずるところで、実際は私自身調査に入ったんですが、なかなか契約条項が手に入りません。したがって、ここで明確に質問することができないことを非常に残念に思うんですが、ただ、「建設大手好調決算」という見出しで、これも新聞報道でありますが、実は本委員会でもあるいは建設委員会でも議論されました、公共事業契約額建設費上昇に基づいてある程度手直しをするというスライド条項、このスライド条項を発動したために大手建設業界というのは、こうした不況下にあるにかかわらずたいへんな好調決算をやっておる、三月期決算に比べてむしろ利潤が増大をしておるというような報道がなされておるんです。私は、決算上これは事実だと思うんです。  そういうことになりますと、こういった、片一方ではいま不況に見舞われて倒産をしておる、そして政府が総需要抑制金融引き締めというワクの中で手当てをしていかなければならぬということがいまやっと表面化してきておる今日、片一方のほうでは、大手建設業界がこういったスライド条項というものの恩恵に浴しておる。非常に私は矛盾だと思いますね。逆に言うと、大手だけは不況救済が事前に行なわれておる。もっとひどいことばで言わしてもらえれば、大手のほうはしり抜けが行なわれておった。これはゆゆしき問題だと思うし、今日の政府の行なっておる政策の、何といいますか、不平等といいますかね、こういったことだと思うんです。  こういったことが行なわれておると、金脈問題がたいへんいま国民の間に問題になって、田中総理がやめられたのでありますが、それと同時に、こういった政策の不平等、そういったものが、やはり私は内閣の不信というものに、率直に言って結びついておると思うんですね。ですからこういう問題について、これは大臣就任前のことでありますけれども、これに対する大臣のお考え方、そしてこれに対してどのようにこれから対処されようとするのか、こういった問題についてお聞かせをいただきたいと思うんです。
  19. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいま松浦委員の御指摘建設業における決算状況、私も実はよくまだ承知を  いたしておりません。ただ、御案内のとおり学校建築やその他が、非常に物価上昇のためになかなかうまくいかない、この点の単価をやはり是正していかなければならないということは、これは全国各地からの御要望であります。したがいまして、  この点については、ある程度の是正をしなければならないということになっておりまして、今回の補正予算でも御審議をいただくことになろうかと思うわけであります。  しかし、その際に、中小のほうは顧みないで大手を優遇する、さようなことは絶対ないと私は確信をいたしております。しかし、なお御指摘の点があれば、私も十分勉強をいたしてみたいと思っております。
  20. 松浦利尚

    松浦(利)委員 実は、これは新聞報道しておるところだし、また大臣も見ておられないということですから、これ以上あまり追及はいたしませんが、実際にスライド条項によって恩恵に浴しておる。確かに資材は上がっておることは事実ですね。それに伴ってスライド条項を発動しなければならぬこともわかります。ところが、そのスライド条項の発動が甘過ぎたのではないか。大手企業の言うとおりにばっぱっとスライド条項を発動していったのではないかという疑いがあるわけですね。ですから、私はぜひ調査をしていただいて、大蔵省調査をするというふうに発表しておるようでありますが、政府として積極的に調査をしていただいて、少なくともこういった片手落ちの行政が行なわれることのないように処置していただきたいと思うのです。  そこで、この結果は本委員会報告していただきたい。なぜこういう好調決算になったのか、報告していただきたいと思うのです。
  21. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいまの件は、大蔵省にもよく松浦委員の御趣旨を申し伝えまして、どういう事情かということをよく調査いたしたいと思います。
  22. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それからあと一点、独禁法関係について大臣にぜひお尋ねをしておかなければならぬと思うのです。  そこで、これはアメリカの例でたいへん申しわけないのですが、フォード大統領就任したときに十項目の新経済政策を発表いたしました。十月の八日に上下両院合同会議で演説をしたわけでありますが、その中でいろんな、非常に幼稚といえば幼稚な政策も中にはあるのですけれども、しかし、率直に言って、制限的な慣習、独占禁止法を積極的に運用していく決意、あるいは罰則を強化をするという方針、こういったことが十月の八日、実はフォード大統領から国民の前に発表されたのであります。ところが、この罰金の強化という独禁法改正などは、十一月の二十日米下院で可決をされるというスピードぶりであります。  ところが、大臣は、自民党の政調副会長をしておられた時代あるいは独禁法改正責任者であられたときから、わが国における独禁法改正については消極的だ、時期尚早だ、こういった御意見を常に発表してこられたわけです。この十一月十九日のエコノミスト、この中にも当時の大臣談話が出ております。これはもちろん大臣就任前のことでありますが、こうした行き方から見ますと、アメリカのほうでは政策的にやると言ったことはさっときまるが、わが国の場合は、専門家である公取試案を出しても、その試案が袋だたきにあう、逆に試案というものが、改正というものがどんどん遠のくということで、そこに相当な違いがあるわけですね。アメリカ大統領がオールマイティーであるといえばそれまででしょうけれども、そういったものについての、独禁法に対する取り組み方、ひとつ大臣のほうから明確にお答えをいただきたいというふうに思います。
  23. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいま、御質問独禁法の問題でございますが、私が経済企画庁長官就任する前に、自由民主党の独禁法問題懇談会座長をつとめておりました。その際、独禁法についてのいろいろな見解新聞や雑誌で問われるままにお答えしたことがございました。これはあくまでも党の懇談会座長としての立場での見解でございます。経済企画庁長官といたしましては、やはり政府一員でございますから、政府の部内でひとつ十分意見を調整して、それから正式の見解を申し上ぐべき筋だと心得ております。  そこで、ただいまアメリカ独禁法のお話がございましたけれども、御案内のとおり、アメリカ独禁法というのは、いわば経済憲法、宗教的な考え方独禁法に対して持っている、あらゆる政策に優先して独禁法を位置づけておる、こういう風土がございます。これはもちろんアメリカ歴史が、御案内のとおりシャーマン法ができましたのが一八九〇年ということで、いまから八十数年前のことでもございますし、非常に長い歴史を持っている、広大な国土を持っている、資源自給率が非常に高い、そういういろいろな背景があろうかと思うわけでございますけれども、ただいまのような独禁法についての取り組み方は、連邦取引委員会並びに司法省の独禁局、この二つの機関がこの問題に取り組んでおる次第でございます。  わが国の場合、いま長官としての立場での見解は差し控えたいと思いますけれども、私がいま考えていることを率直に申し上げますと、いま寡占の問題あるいは独占の問題この問題についての問題意識については、私自身公取がこの問題に取り組んでいる問題意識とさほど大きな相違はございません。高橋委員長あるいは関係の方ともしばしばお目にかかって意見の交換をしておりまして、その点は相違はないわけです。ただ、これに具体的にどう対処するかという方法論の問題になると、これはやはりいろいろ困難なむずかしい問題がある、そういうことを言っておるわけでございまして、私も記憶がさだかでございませんけれども、エコノミストに私の意見が載っておるといたしますと、おそらくそれについての考え方を述べたものであろうと思うわけでございます。しさいに読んでいただけばそういう精神は貫かれている、かように確信をいたしておる次第でございます。
  24. 松浦利尚

    松浦(利)委員 独禁法改正問題というのは、経済企画庁がいろいろなことを政策的に発表してこられた内容を見ますと、昭和三十五年当時から経済企画庁自体がいってきておられるわけです。独禁法をどうかしなきゃならぬ、運用を強化しなきゃならぬということをいってきておられるわけです。ですから、独禁法改正ということそのこと自体は目新しいことではないのです、再三にわたって論議されてきておるのですから。ところが、そういった経済企画庁自体議論してきた問題が、ここでいつの間にか百八十度といいますか、政策の方向が変わる、その必要性は認めても、具体的にそれでは改正する段階になると及び腰になる。私は、何かそこにちぐはぐなものを感ずるのですね。  大臣のこの談話趣旨の中に、独禁法改正したからといって物価に直接的な影響はないんだ、これは物価とは無関係だ、まあ間接的にはあるだろうがというような言い方をしておられるのですが、少なくともいままで本委員会でも議論をしてきたし、経済企画庁でも議論をしてきたのは、物価問題という視点から見て独禁法というのはどうかということでずっと議論を詰めてきた。確かに競争条件を整備するための法律であって、直接的な価格の問題ではないけれども、一応物価という範疇の中で独禁法改正というものが議論されてきておると私は思うのです。ところが、大臣がいま御答弁になったように、方向づけとしては、まあ真正面切って公取試案に反対するというようなことではないでしょうけれども、どうも積極性が薄らいできた、独禁法というものに対して消極的だという印象がぬぐい切れないのですね。やはり産業政策の柱として独禁法政策がある。独禁法というものは私は一つの重要な柱だと思うのです。同時にまた、物価という問題からも避けて通れない問題だと思うのです。  この際大臣、御留任になるのかやめられるのかわかりませんけれども、私は非常に重要な政策だと思うのです。本委員会でも管理価格の問題を含めて、寡占価格等の問題を再三議論されてきました。あるいは昨年十月の狂乱物価問題が、寡占企業によって人為的に引き起こされたということも本委員会では議論されてきたのです。物価担当大臣として決意を、やるのかやらぬのか、やるとすればいつなのか、そういう方向づけをひとつ明確にお聞かせいただきたいと思うのです。新大臣として引き継ぎ事項の中に独禁法の扱いがあったのじゃないかと思うのですが、明確にひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  25. 倉成正

    倉成国務大臣 誤解のないように申し上げておきたいと思いますが、私は独禁政策経済産業政策の中で重要な意味を持っておる、重要な政策一つであるということを確信いたしております。この考え方は、私が党にあろうとも政府一員であろうとも変わりません。  ただ、日本の独禁法改正の問題が三十五年ごろから確かにあったわけですけれども、非常にクローズアップしてきたというのは、狂乱物価の前後に、他の施策が必ずしも十分行なわれていないというときに、公正取引委員会がカルテルの摘発その他で非常に活躍した、そういう意味から、国民の間に独禁法に対して非常に大きな期待が寄せられた、そういう面があろうかと思うのでございます。しかし、元来独禁法というのは、御案内のとおり、市場経済における競争秩序を維持する、すなわち不公正な取引方法や、あるいは独占やいろいろなことが行なわれて競争秩序が破壊される、すなわち自由な公正な競争が行なわれないということを排除していこうという法律でございまして、そのことが、すなわち資源適正配分につながり、また消費者の利益に反射的に帰する、こういう法律ではなかろうかと思うのでございます。  したがいまして、物価政策の面からいうと、独禁法というのはいわば漢方薬のような役割りを果たすのではなかろうか。確かに物価政策にも深いかかわり合いは持っておりますけれども、直接ストレートのものではない。非常に物不足の時代ということになれば、一番大事なのはやはり物を増産して供給するということが一番の政策でなかろうか。あわせてほかの産業政策経済政策と一緒にやっていかなければ、独禁法というのはうまく機能していかないのじゃなかろうか、かように思っておるわけでございまして、独禁法の問題について、決して消極的に考えておるわけではございません。ただ、事柄が非常にむずかしいということは、もう専門家松浦委員よく御承知のとおりでございまして、私どももじんぜん日にちを送っておるのではなくして、世界各国の事例につきましてかなり精力的にこまかくいろいろな角度から検討して、わが国にそういう制度がどのように適用できるかということを検討しているというのが、いまの状況でございます。  なお、政府部内での問題ということになりますと、私がいま独禁法について政府を代表する立場にございませんので、やはり新内閣ができましたら、ひとつ内閣の中で十分この独禁法の問題を、どう取り扱うかということを相談いたしたい、かように考えておるわけでございます。各省庁の意見の調整というのはなかなかむずかしいような感じがいたしますけれども、しかし、この問題を避けて通るわけにはいかないのじゃなかろうか、かように思っておる次第でございます。
  26. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣が個人の御意見あるいは自民党の座長をしておられるときの御意見を含めて、いまお話しになったのですが、そのことはまたあらためて大臣議論をする機会があると思いますから、私のほうの意見は差し控えたいと思うのです。  ただ、新内閣ができるまでは、一つの重要な政策だからいま発表する立場にない、こういう大臣のお話でしたけれども、しかし、前内閣時代に公正取引委員長試案として出された問題である。しかも、前内閣当時に審議室を設けるということは一応御破算になって、総理府の官房に調査室を置いて、そこで意見調整をはかっていこうというところまできまっておったと私は思うのですね。ですから、国民の間では、独禁法改正というのはもっと進むものというふうに期待をしておったところが、いま大臣のお話を聞いたところ、全然前進しておらない。むしろ新しい内閣に引き継ぐという御発言だけで終わっておるのですね。ということになれば、その間何も田中内閣国民の前にしなかったということに通じておると私は思うのです。結局、公取委員長試案を発表して田中内閣がしたことといえば、調査室か何かを設けてそこで意見調整しようじゃないかということだけで終わったわけでありますか。新長官にそういう引き継ぎはなかったわけですか。ただそれでもうストップしておったなら、それでストップしておったと言っていただければいいと思います。
  27. 倉成正

    倉成国務大臣 お答えしたいと思います。  私は、調査室その他を設けるということは、まだ正式にきまったとは承知しておりません。ただ、事務次官会議で、いままで二回ほど独禁法の問題を中心にいろいろ協議をした、そういう報告を受けております。なお、公取のほうで研究会の意見を参考にして試案を発表された、これはよく承知をいたしておるわけでございます。この試案を、各省庁がそれぞれの立場からいろいろな検討を加えているというのが現段階ではなかろうかと思うわけでございます。
  28. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうしますと、結局何もきまっておらぬ。要するに、事務次官会議を二回くらいやった程度で、あと全く公取試案というのはたなざらしになっておった。それを深く掘り下げて議論をするということじゃなくて、ただ単なる事務次官レベルで二回くらい会合しただけで、あと何にもしなかったということなんですね。そうなんですか。
  29. 倉成正

    倉成国務大臣 各省庁ではそれぞれこの問題についての検討を進めてきておる。しかし、政府全体としてこの意見をどう調整していくかということについては、まだ十分な態勢が整っていないというのが率直な現況でございます。その一つは、自由民主党のほうで独禁法問題懇談会というのでずっと検討を進めておりましたので、この一つ方向づけ、結論を待って政府は動いていったらどうだろうか、そういう考え方があったのではなかろうか、さように思っている次第でございます。
  30. 松浦利尚

    松浦(利)委員 国民の間には、独禁法改正という問題は非常に重要なウエートで響いておると思うのです。これはどういう扱いをされるだろうかということを、国民は見ておると思うのですね。大臣、御就任前からも独禁法についてはもう非常に研究しておられますし、また詳しいはずですから、本委員会議論というものもある程度知っておられたと思うのですが、本委員会では、従来繰り返し繰り返し管理価格の問題、寡占価格の問題を含めて独禁法というものは議論されてきたのです。ですから、いいか悪いかは別として、今度の春闘、総評を中心とした春闘共闘の一つ目標に、独禁法改正という項目があるのですね。いいか悪いかは別であります。だから、それほど今日独禁法改正という問題が国民の注目を浴びておるときに、政府のほうでは、もう試案が出されてから相当長期間かかっておるのですけれども、各省ばらばらで審議をしておるだけで一つ議論が前向きに承れておらない、試案がたなざらしになっておるということでは、私はこれは金脈以上の問題だと思うのです。  アメリカフォード大統領の例を出してまた恐縮ですけれども、フォードが大統領になった、独禁法改正するのだ、もう直ちにそのことに着手をしておる。しかも下院の満場一致の同意を得ておる。わが国のほうは、口だけではこういうことをします、ああいうことをしますと言うけれども、具体的にそれじゃ政策としてやるかどうかというと、たなざらしである。ただ総需要抑制金融引き締めだ、物価は一五%を目標とするというだけで、一つ一つの具体的な政策というものを拾ってまいりますと、何にもやらぬわけですね。  大臣の構想としては、消費者省というようなものをつくったらどうかというような構想もおありのようですけれども、それじゃ率直に言って、国民物価という視点から見ておるのは、経済企画庁がどうするかということなんですね。経済企画庁というのは、田中政府の中における物価担当局なんだ。物価局というところもあるけれども、そこはスタッフが少ないということもあったでしょうけれども、何にも具体的な政策というものは出てこない。結局、国民は行き当たりばったりで悩むだけだということに終わるわけですね。  私は、新大臣としては非常にやりにくい面もあると思うのですけれども、独禁法一つぐらいは、この際次の新内閣に向かって、国民の要望はこれだけあるのだからこうしょうという具体的な処理方法ぐらいは、ある程度大臣に引き継ぐというような形をとっていただかないと、私がここでまじめに幾ら物価問題を議論してみたって、かえって意味のない議論で終わるのじゃないかという気がしてならないのですけれども、大臣からもう少し前に向いた姿勢で、物価担当大臣としての立場で、個人の物価担当大臣というお一人の立場でもけっこうですよ、田中さんはもうやめたのですから、そういう意味でひとつ答えてみてください。そのお答えによってはまた質問を続けます。
  31. 倉成正

    倉成国務大臣 お答えしたいと思います。  アメリカの例をいろいろお引きになりますけれども、御案内のとおり、アメリカではいまハート法案というものが提出されております。企業分割の内容を含んだ法律案でございます。この法律案は私の知る限りにおいては、上院あるいはこれに関連する民主党、共和党のスタッフあるいはその他の方々の意見を聞きますと、いろいろ審議はされておるけれども、見込み得る将来においては、なかなかアメリカの国会を通過する見込みはないであろう、そういうのが大方の一致した意見でございます。  いま公取が出されている試案の中には、そういった非常に重要な中身を含んだものばかりでございます。したがって、単に罰則を強化するというものではなくて、そういうものをやはり検討するということになれば、それぞれの省がそれぞれの立場で少し意見を掘り下げていく、たとえば法務省であれば企業分割の問題、課徴金と罰則の問題それは一体どういうことになるのかということを、それぞれ深く掘り下げていくというのはやはり当然のことではないでしょうか。ですから、独禁法改正と一口に申しましても、やはりこの独禁法改正の中身の問題が一番大事でございますから、私は、決してこれをうしろ向きとか消極的とかいうことではなくして、真剣にこの問題には取り組んでいきたいと思っているわけでございます。ただ、物価対策として非常に過大の期待がかけられ過ぎている、期待が非常に大き過ぎるという点は若干あるのじゃなかろうか。これは松浦委員もおそらく御承知で御質問なさっておると思うのでございますけれども、そういう点があるわけでございますから、十分ただいまの御質問趣旨を体しながら、これから取り組んでまいりたいと思うわけでございます。  やはり何と申しましても、政府全体としての足並みがそろわなければ、なかなかこのような重要な問題は前進しないと思いますから、一日も早く政府部内の意見の統一をはかるように企画庁の長官としてはつとめてまいりたい、かように思っております。
  32. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私たちの調査した範囲内では、アメリカ自体は企業分割まで進むと思います。これはもう結果が出てみなければわからないですけれども、現にこれは新聞の報ずるところですが、IBM告発以来初めて今度ATT社、これをウエスタン・エレクトリック社と分離独立させるんだという勧告も出しましたね。ですから、企業分割というのは、アメリカでも今日の法律の中でもいまやっておるわけですね。あるいは原価の公表の問題にしたって勇み足だというような長官のお話がありますけれども、これもわれわれがここで議論をしてきた過程の中では、そこまで準備をしておく必要があるのじゃないか。発動するかしないかは別として、法体系の中にそこまで準備しておくことによって、相手側の、逆にいうと企業側の勇み足を防ぐことができるのではないか。こういった意味で、私は、公取がいっておる企業分割とかあるいは原価の公表というのは、本委員会議論を通じて出されてきた結論が、改正案として出されてきておると思うのですね。そのことで自民党が反対かどうかということは、これからの議論だと思います。  だから、そういった意味では、何といったって経済企画庁長官自身が消極的だったらまとまらぬわけですよ。大体、長官の所属しておられる中曽根通産大臣自身もあまり積極的でない。しかし、通産省というのが消費者サイドに立った役所じゃないからいいですよ。私たちは、通産省というのは消費者のためにある役所だと思っておらぬです。これは企業側べったりです。企業側べったりだから、中曽根大臣が何を言おうと、また言っておるかぐらいにしか私たちはとらない。ところが、経済企画庁は、消費する国民にとってこれはただ一つのよりどころなんです。それは理屈はあるし、学問的にも理論的にもいろいろ問題があるということは私たちも理解できます。すぐできるというものではありません。しかし問題は、そういった試案に対して積極的に取り組んでいくんだ、問題があるなら問題点を掘り下げていくんだ、これはすぐ実行できるじゃないか、そういった積極性がないんですよ。それならわれわれはどこにいけばいいんですか。経済企画庁がそんな消極的なことだったら、通産省もだめ、経済企画庁もだめ、こういうことになってしまったら、私は国民のよりどころというのはなくなってくると思うのです。そのことを私は長官期待をしたいというのですよ。  だから、長官の姿勢がどうあるかによって、独禁法の扱いも変わってくると私は思うのですね。不幸にして前の内田経済企画庁長官も、率直に言ってどうも独禁法改正には非常に消極的でした。だから、私が経済企画庁長官期待をしたいのは、ぜひ経済企画庁が積極的に進めていくんだ、消極的なところも引っぱり上げて、どこに問題があるのかということを国民の前に明らかにして、できるものはどんどん実行していくという扱いにしてもらわないと、公取が出した試案はオシャカになって、日の目を見ないまま、結局はもう公取の一人相撲に終わってしまう、そう思います。長官のそういった物価問題全体に取り組む姿勢がそうだということではありませんけれども、一事が万事ということばも逆にあるわけでありますから、この際もっと積極的にひとつ取り組んでいただきたいと思うのですね。各省庁に文句を言ったらどうですか、もっと積極的にやれと。それくらいのことは、長官、置きみやげにされたらどうですか。そういう意気込みでやられたら、新内閣に留任されるかもしれないのですよ。もう一ぺんひとつ長官聞かしてください。それで終わります。
  33. 倉成正

    倉成国務大臣 消極的であるか積極的であるかということは、まあ評価のしかたがいろいろあろうかと思うわけでありますけれども、私は、この問題にかなりの情熱とかなりの時間をかけて、しかも、あらゆるこの問題に関する専門家とも意見を交換してやってきたつもりでございます。したがって、そういう意味では積極的に取り組んでおると思うわけでございます。  ただまあ、いま出された案をそのままのまなければ消極的だという御批判であれば、あえてそれはお受けいたしますけれども、やはり非常にむずかしい問題を含んでいるということは、専門家松浦さんがよく御承知のとおりでございますから、やはりこれは問題を明らかにして、各方面の意見も十分聞くということでなけりゃならないと思うわけであります。私は党におりますときも、労働組合からも意見を伺おうということで、労組の代表にもお越しをいただいたり、消費者団体も御意見を伺おうということで、二十団体の代表がおいでになりまして、いろいろ御意見を開陳になりました。またこれからも私は企画庁長官として、先般総評の市川議長ほか関係の方が私のところに見えましたときも、ひとつよく意見の交換をしましょうということを申し上げているわけでございます。そういう意味では、決して消極的ではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  34. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、全部通らぬから消極的だという発想でものを言っておるのじゃないのです。要するに、全部むずかしいから全部だめになってしまうというところに消極さがある、こう言っているのです。企業分割とか原価の公表は非常にむずかしいから全部がだめだ、公取試案は全部オシャカだということでないように、もっと積極的に、問題点があるのはどこに問題点があって、これは直ちに可能だというふうに議論をされたらどうですかということを申し上げておるのです。  同時に、もう長官が十分調査もされて御承知でしょうけれども、これはこの前も内田長官にお話ししたんですけれども、OECDの加盟諸国が、競争政策の分野におけるインフレ対策についての理事会勧告というものを採択しておる。先進諸国では、現行法制のワク内で即座に実施できるものと、現行法制のワク内でできないものというように分けまして、どんどんやっておる。現にドイツやイギリスなどでは、もうすでに改正案を通してしまっておるんですね。そういう世界共通の舞台から日本だけか孤立して——孤立というのはおかしいですが、あまり政府が積極的な態度を示さないのは、私は国際的に見てもちょっとおかしいという気がするんです。OECDの加盟国でありますから、しかも主要国でありますから。  ですから、もうこれ以上論争しても同じことの繰り返しでありますから、そういうことを含めて私は希望だけ申し上げておきたいと思います。それは本委員会であとの方も議論されるでしょうけれども、長官が新しい内閣経済企画庁長官としてバトンタッチされるときには、ぜひ公取試案について早急にどうするのかという方向づけをしてもらいたい。そのことが国民の要望だということをひとつ引き継ぎ事項にあげていただいて、政府が直ちに取り組まれるように要望だけ申し上げて、私の質問を終わります。
  35. 平林剛

    平林委員長 次に、小林政子君。
  36. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、今回物価担当大臣として就任をされました倉成経済企画庁長官に、物価抑制の基本姿勢といいますか、特に公共料金の値上げと政治献金、こういう関係の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  狂乱物価といわれてきた中で、政府はことしに入ってから十月までの間に、公共料金を十七種類も立て続けに引き上げてまいりました。さらに、今回郵便料金あるいはまた電報料金、電話料金など、直接諸物価値上がりに大きな影響を持ちます、国民生活のかなめとなるようなこれらの公共料金引き上げというものが、すでに準備されているということを聞いておりますが、物価抑制の主要な柱であります公共料金という問題について、これをこのような事態の中で抑制をはかっていく、そのためにどのような決断と実行を行なっていこうとされていられるのか、その決意をまずお伺いをいたしたいと思います。
  37. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいま国民の最大の関心事は、物価をいかにして安定させるかということでございます。この点については、私も物価担当大臣として非常な責任を痛感いたしておるわけでございます。その一環として公共料金をできるだけ抑制していく、こういう姿勢を貫いてまいりたいと思っております。
  38. 小林政子

    ○小林(政)委員 いま現実に電報、電話料金、これらの問題がすでに爼上にのぼっているといいますか、これらの具体的な事態に対して、どのようなお考えを持っていらっしゃるのか。私は、このような状況のもとでは、物価を抑制していくという立場から、これを押えていくべきだという考えを持っておりますけれども、長官の御意見を伺いたいと思います。
  39. 倉成正

    倉成国務大臣 御指摘のように、現在物価を何とか押えていかなければいけない、この時点で電報、電話の料金が上がるということは好ましくないということで、今年度中、昭和四十九年度中この値上げはいたさないことにいたしたいと思います。この点は、きょうも閣議でそういう取りきめをいたしたような次第でございます。
  40. 小林政子

    ○小林(政)委員 物みな上がるというようないまの状況のもとで、多くの国民が、せめて政府が押えることのできる公共料金だけでもこれを押えてほしい、これが偽らない国民の気持ちであろう、私はこのように考えておりますが、公共料金の問題につきましては、これはガスあるいは私鉄、電力にいたしましても、民間の企業ではあってもその事業が公共性を持っている、こういうことでいわゆるその料金値上げについては、政府の認可事項ということになっているわけでございますが、この料金値上げを申請するというその前後に、これはまた奇妙に、いままで企業からの多数の政治献金が自民党に行なわれていた。こういう問題について、いまの政府というのは、これは自民党が組織をしている政府であることはもう事実でございます。このような関係の中で、政府が認可権を持っている状態のもとで、公共料金の料金値上げを認可してほしいという企業から政治献金を受けるというような事態に対して、具体的にどのような見解をお持ちになっていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  41. 倉成正

    倉成国務大臣 公共料金の範囲も非常に広いわけでございますけれども、公共料金として政府が認可する事業から政治献金を受けるのはけしからぬじゃないかという御指摘でございます。  私は、いまその実態についてつまびらかにいたしておりませんので、それについて的確なお答えをすることはできませんけれども、公共料金の抑制に響くようなそういう形での政治献金というのは好ましくない、かように思っております。
  42. 小林政子

    ○小林(政)委員 きょうは私鉄関係並びに電力関係の問題等について、関係局の方にもおいでをいただいておりますので、少し具体的に質問を続けながら、大臣の政治姿勢についてお伺いをしていきたいというふうに考えております。  まず、自治省の方にお見えいただいていると思いますけれども、ひとつ確認をいたしたいと思います。これは昨日から自治省のほうに私どもの調べた具体的な政治献金の数字等についてお知らせをして、そしてお返事をいただきたいということをお願いもしてございましたけれども、昭和四十四年から四十八年にかけまして、いわゆる私鉄十四社の国民協会への政治献金、この問題について、私鉄十四社というのは東急、東武、西武、小田急、京浜急行、京王帝都、近鉄、京成、京阪神急行、阪神、京阪、名鉄、西鉄、南海と十四社でございますけれども、昭和四十四年に総額でどのくらいの政治献金が国民協会を通じて出されていたのか。私どもが調査をいたしましたのでは四十四年に三十五万円、これはほんのわずかの数字ではございますけれども、四十五年の上期に四千三百三十万円、四十六年の上期に四千二百五十万円、四十六年の下期に七百万円、四十七年の下期は九千三百万円、四十八年の上期は千四百万円、合計いたしますと二億十五万円という数字になりますけれども、この数字について間違いございませんでしょうか。確認できますか。
  43. 山本武

    ○山本説明員 お答えいたします。  ただいま昭和四十四年の上半期、下半期から昭和四十八年の上半期、下半期までの国民協会への私鉄十四社の政治献金の状況について確認を求められました。この点につきましては、御案内のように、毎回官報をもって公示しておりますので、官報に記載されておるとおりでございます。したがいまして、いま先生のあげました数字並びに官報記載の数字ということを考えれば、そのとおりであろうかと存じます。  ただ、一言御了解賜わりたいのは、四十四年から四十八年という非常に長期間にわたる政治献金  の概況でございますので、いま先生のお示しになった数字を現在確認するまでに至っておりませんが、官報をもって登載されておりますので、そのとおりであろうと存じます。
  44. 小林政子

    ○小林(政)委員 ただいまの数字は、私どももいずれも官報から求めた数字でございます。  そしてさらにもう一点だけ、これも確認でございますけれども、これも同じく四十四年度から四十八年度という非常に何年間かの間でございますけれども、これは自民党の派閥に対する政治献金でございます。特に田中派、大平派、三木派というふうに、この三大派閥と申しますか、ここに対する私鉄十四社のいわゆる献金が抜き出してございますけれども、この数字は二千三百万円でございます。これも官報からいずれも抜き出した数字でございますので、この点についても、私ども確かなものというふうに考えておりますけれども、もう一度お答えをいただきたい。
  45. 山本武

    ○山本説明員 お答えいたします。  ただいまの御質疑で、いわゆる自民党系の政治団体に対する私鉄の政治献金の額をお示しになられまして、それが正しいかどうかということの御質疑でございます。この点については、私ども政府といたしましては確認のいたしようがございません。と申しますのは、政治団体の政治資金の収支の状況につきましては官報で公示いたしておりますが、いずれの団体が田中系であるとか、あるいは大平系であるとか三木系であるとか、あるいは自民党系の派閥であるとかについては、政治資金規正法上一切関知いたしておりません。したがいまして、その特定の政治団体について、どういう政治団体が何年においてどの会社から政治献金を受けたかということでございますれば、官報に登載されておりますのでお答えいたしますけれども、いまのように、自民党系の派閥の政治団体というふうな観点からの御質疑には、ちょっとお答えできかねますので、御了承賜わりたいと存じます。
  46. 小林政子

    ○小林(政)委員 この問題、全部私ども中身わかっておりますので、きのうの電話のときにも具体的な名前を出して、そしてこの問題についてあれしてあるわけですよ。——いまお見せいたしました資料等で御了解いただけたのではないかというふうに思いますけれども、これも一つ一つ言っていますとたいへんなので、御了解いただけたものというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  47. 山本武

    ○山本説明員 再度のお尋ねですのでお答えいたしますが、私がいま持っていますように、官報で政治団体の政治資金の寄付の状況については国民の前に公表いたしております。したがいまして、特定の私鉄会社、特定の政治団体に対する献金の状況等は国民の前に明らかになっておりますので、官報に基づいて集計作業といいますか、名寄せ作業をいたしますれば、当該年度の政治献金というのは特定の団体に関して出てまいります。
  48. 小林政子

    ○小林(政)委員 数字の点については大体官報からのことで、自治省からも一応確認をいただいたものということで先へ進めたいというふうに思います。  そこで、運輸省はきょうはお見えいただいていますか。——運輸省の方にお尋ねをいたしますけれども、昭和四十八年十二月十九日運輸委員会で、私どもの三浦議員が質問をいたしました。そのときに鉄道監督局長が、私鉄運賃の原価計算の基礎の中に政治献金を算入されているということをめぐって、これについては控除するという方向で検討をいたしたい、このように答弁をされているわけでございますけれども、四十九年の七月十二日に運輸省は私鉄運賃の値上げを、普通運賃で平均二六・九%認可をしたわけでございますけれども、今回のこの値上げ料金の中に、政治献金の分は含まれていないのかどうなのか、この点を明確にお答えをいただきたいと思います。
  49. 高橋英雄

    高橋説明員 お答えいたします。  大手の私鉄の運賃原価の算定につきましては、従来から、過去の実績の数値とその趨勢というふうなものを基礎にいたしまして計算をするという方式をとっております。しかしながら、先般の私鉄の運賃改定に際しまして、特に寄付金と交際費というふうなものにつきましては、先生御指摘の答弁の趣旨にもかんがみまして、過去の実績の数字をそのまま基礎とすることなしに、税法上の損金の算入が認められております限度までに削減をいたしまして、それを基礎といたしまして適正な原価を計算するという方法をとることによりまして適正な原価の算定につとめた、かような次第でございます。
  50. 小林政子

    ○小林(政)委員 そうしますと、いま国民の中でもだいぶ大きな問題になっております、いわゆる政治献金分というものが、この料金の中には含まれていないというふうに受けとめてよろしいのでございますか。
  51. 高橋英雄

    高橋説明員 私どもが運賃の算定をいたします際の寄付金等につきましては、これは各社各様でございます。したがいまして、そういった内容一つ一つチェックしまして、この寄付はいいとか悪いとか、そういうふうなことをいたしますのは非常に困難でございますので、一応税法上の損金算入が認められております限度までに削減するというふうなことによりまして、これが適正な寄付金の額であるということでやっておりますので、御了解を願いたいと思います。
  52. 小林政子

    ○小林(政)委員 今回の料金計算の場合には、従来と異なって手直しをしたということであるけれども、ということは、裏を返せば、従来は政治献金というものが料金計算の原価の中に含まれていたということにもなるわけでございますし、私は、実際にこのような自民党に対する政治献金というものが、公共料金といわれる運賃の値上げによって国民にその負担がかかるというようなことは、これはとうてい許されないことだというふうに考えております。  そこで、私は大臣にお伺いをいたしたいと思います。一体、このような従来やられてきていたような、自民党に対する政治献金が公共料金の原価計算の基礎の中に算入されているという、こういうやり方について、どうお考えでございましょうか。
  53. 倉成正

    倉成国務大臣 私は政治献金の問題について政府を代表する立場ではございませんので、直接のお答えがなかなかむずかしいと思いますけれども、私の個人の考えでは、政党が民主社会における政治活動をするために、政治献金が必要であるということは当然のことだと思います。  ただ問題は、ただいま御指摘の点は、そういう政治献金が公共企業において行なわれて、公共料金の抑制やその他に非常に影響を及ぼすということになると、これは私の立場から考えましても適切ではない、かように考えておるわけでございまして、政治資金規正法に基づいて正当に処理されておる政治献金について、私がここでとやかく言う立場ではございません。
  54. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、物価と公共料金の料金問題との関係からいっても、ただいまのような自民党に対する政治献金が、いわゆる公共料金の引き上げの中に含まれているということは、少しでも物価を押えてほしい、下げてほしいということを願っている国民立場から見てみますと、これは非常に重要な問題だということで、大臣見解をお伺いしたわけでございます。明確に答えていただきたいと思います。  また、政党が政治活動をやる場合には金が必要なのだ、したがって、その場合には政治資金規正法に基づいた政治献金は当然のことである、こういうことがいま述べられましたけれども、やはり政府が認可権を持っている企業、こういう関係で政治献金そのものが自民党に行なわれるというようなことは、非常に大きな問題だと思いますし、そうでなくても、いわゆる企業が政治献金を行なうというようなことは、政治献金というものは、個人が自分の意思によって政治献金をするということがたてまえであって、企業ぐるみの献金などということは、企業が行なうというようなことはあり得ないことだ、このように考えておりますけれども、いま大きな国民的な金権に対する疑惑が広がっている中で、物価担当庁の責任者として、大臣がこの問題に対してどのような見解を持っているか、明確にお答えをいただきたいと思います。
  55. 倉成正

    倉成国務大臣 先ほどからお答えいたしておりますように、政治資金規正法をどう取り扱うかという基本的な問題ではなかろうかと思うわけでありまして、ただいまの小林委員の御発言も見識ある一つの御意見だと思います。しかし、現行法では、その問題は法的に許されておるというところでございます。  私の立場から申し上げますと、そういう政治献金が公共料金を上げたり何かするのに非常に影響を及ぼす、そういうことは好ましくないということだけははっきり申し上げることができると思うのでございまして、企業の献金は全部廃止すべきだというようなことを、私がいま申し上げるべき筋ではなかろうと思います。
  56. 小林政子

    ○小林(政)委員 私はここに、公共料金の値上げと政治献金の関係について、国民立場から見ても重大な問題がある点を、グラフをつくってみましてしみじみと痛感をいたしたわけです。  このグラフはたいへん見にくいと思いますけれども、私鉄十四社の国民協会への政治献金の額をあらわしたものでございます。昭和四十四年、五年、六年とずっと書いてございますけれども、四十四年の上期が三十五万円、四十四年の下期は一つもございません。それから四十五年の自民党に対する政治献金は四千三百三十万円、それから四十六年の上期が四千二百五十万円、四十六年下期が七百万円、そして四十七年の上期はゼロでございまして、四十七年の下期になりますと九千三百万円と、こういうグラフができるわけです。これをよくよく調べてみますと、四十五年のぐっと上がっておりますとき、このときは、四十五年十月に二三・一%の私鉄料金の値上げの認可が実施をされたという年でございます。そして四十六年の場合には、第九回参議院選挙がここで行なわれております。そして、九千三百万円とずっと伸びたときは、四十七年の七月から九月に値上げ申請が行なわれると同時に、第三十三回総選挙が行なわれています。  このように、このグラフで見てもわかるように、料金の値上げが行なわれ、あるいはまた重要な選挙が行なわれるというようなときに限って、政治献金というものがこのような急カーブを描いてずっと上がっているわけです。私は、このようなことを見ますと、これはほんとうに金権の政治じゃないか、料金値上げがやられるときに、このように政治献金が大きなカーブを描いていくというようなことは、非常に重要な問題だと思うのです。  こういう点を考えまして、一体長官、こういうグラフをごらんになって、料金が上がるときには政治献金がぐっと上がるというようなことが許されていいんでしょうか。いやしくも公共料金の問題は、国民にしてみれば、料金を上げないで何としてでも押えてほしいと現在願っている問題でもございます。しかし、過去一貫してこのようなことが行なわれてきています。私は、この問題について見識ある御答弁をいただきたいと思います。
  57. 倉成正

    倉成国務大臣 小林委員の尺度でごらんになると、そういう御見解が出てくるかもしれませんが、私が経済企画庁長官である限り、そういう政治献金とか政党の圧力によって公共料金の取り扱いは一切いたしません。このことをはっきり申し上げておきたいと思います。
  58. 小林政子

    ○小林(政)委員 いままでの自民党に対する国民の不信、あるいは料金値上げの問題をめぐって、何かいろいろと裏でもって取引があるのじゃないかなどというような疑惑の問題が、いままで何回もちまたの中でも問題になっていました。私は、まさかこういうはっきりとした数字がグラフで出てくるというふうには思いませんでしたけれども、こういうことが国民の政治に対する不信を招き、そしてまた疑惑を招くのだ。こういうことは今後絶対にやるべきではないし、ほんとうにきっぱりとやめていくべきだ、このように私は考えますけれども、さらにこういう問題は、決して私鉄だけの問題ではございません。いわゆる電力の問題についてもこのようなことがいえるわけでございます。  私ども、金権政治を一掃していかなければならないということで、プロジェクトチームをつくっていろいろと追及をいたしてまいりましたけれども、その中で明らかになった事実を見ても、いわゆる電力料金の値上げの場合も、昭和四十八年六月に四国電力と関西電力の値上げの申請が行なわれ、さらに本年九電力が一斉に電力料金の値上げを行なったわけでございますけれども、このときの具体的な調査を見ましても、これもまたひどいものなんですね。ほんとうに私、この調べたものを見まして、こんなことが一体いまの政治の中で現実に行なわれていていいのだろうかということを、しみじみとあらためて痛感をいたしたわけでございます。  たとえば、一例を申し上げますと、電力料金の値上げが行なわれておりませんでした昭和四十七年は、自民党各派閥に対する政治献金は六百六十万円でございました。ところが、料金値上げが行なわれましたこの年には四億七百十五万円と、国民協会と自民党派閥に対して六十倍に政治献金が急増している、こういう事実です。同時に、申請の当事者でありますいわゆる各電力会社の社長さんだとかあるいはまた会長、こういう人たちと田中総理はひんぱんに会っていたのですね、新聞に田中番という、いろいろと日程の小さな記事が出ておりますけれども、それなどを見ますと、いわゆる政治献金が六十倍にはね上がると同時に、五月の二十一日に九電力の認可が行なわれたわけですが、その間の状態を見てみますと、これはちょっと私もひどいなと思いますけれども、電気事業連合会の会長さん、これは中部電力の社長でありますが、その方と個別に首相官邸でまず会っています。そして東北電力の社長、この社長さんも値上げ認可の翌々五月二十三日の日に、認可をしていただいてというお礼に官邸にお見えになっているわけです。そしてそれと同時に、五月の二十七日のうちには、小沢自民党経理局長とも電力関係の方が会うというようなことで一これはずっとここに書いてありますが、実にひんぱんに各電力会社の社長及び会長さんと総理が会っている。そして政治献金はばく大な額にふえる。しかも認可がおりる。そしてひんぱんに会い、あるときには料亭でも会っているということをここに書いてあります。私邸でも会っています。  こういうようにひんぱんに会っているというようなことを考えますと、実際にいま金脈政治といわれているような、ほんとうに金でもって特定の企業の認可が認められるような、こういう疑いすら国民に抱かせるような、こういうことがまかり通っているわけですけれども、私は、こういうことは絶対に今後許してはならないと思うのです。  いま黒い霧の問題とか、政治がよごれているというような問題だとか、いわゆる金権の問題については、こういう企業と自民党が癒着をするような政治では、ほんとうに国民が望んでいるような政治を行なうことはできないのだということで、それこそ全国民をあげて、全国からこのような批判の声も高まってきています。私はこのような中で、ほんとうに謙虚に政治そのものを、このような疑惑を持たれるような政治からほんとうに清潔な政治に変えていかなければならない。まして、いま物価も急上昇している中で、ほんとうに国民が願っているこの問題を解決していくという立場からも、経済企画庁長官、ほんとうにこの問題について、今後こういうような国民の疑惑を招くような政治はやるべきではない、こういうことを私は長官に強く求めたいと思います。長官の政治姿勢というものを明確にひとつここでお示しをいただきたいと思います。
  59. 倉成正

    倉成国務大臣 物価担当の企画庁長官といたしましては、私の所管に関してそういう政治資金とか、そういうことで仕事が左右されるということは、絶対にいたしませんということは繰り返し申し上げているとおりでございます。さように御理解いただきたいと思います。
  60. 小林政子

    ○小林(政)委員 特に通産省もきょうお見えをいただいておりますけれども、このようないわゆる水増し申請ではないかなどとまで国民からいわれるような、こういう企業との癒着という問題については、今後私は行政サイドの面からも、この問題についてきっぱりとした態度をとるべきだと思いますけれども、お見えになっていたら、一言お答えをいただきたいと思います。
  61. 篠島義明

    ○篠島説明員 ただいまの御質問でございますが、われわれといたしましては、公共料金の認可にあたってはできるだけ厳正にこれを審査するということでやっておりまして、今回も、税法限度額の二分の一以下に押えるという査定をやっております。今後も、物価抑制という観点から原価の査定にあたっては、十分に厳正にやってまいりたいと考えております。
  62. 小林政子

    ○小林(政)委員 特に通産省の場合には、先ほども松浦先生の御質問の中にも、どちらかというと通産省というのは企業べったりといわれるような印象を非常に強く持たれているということですけれども、これは独協大学の先生を中心として、電力料金の中での政治献金の問題が大きく取り上げられて運動化しまして、実際には、現在政治献金分というものについて一円ですね、この問題については電力側も認めるというようなところに来ているというふうに伺っておりますけれども、むしろ私は行政の姿勢の中で、政治献金というものは料金算定の基礎の中に入れてはいけないのだ、こういう点を、行政サイドでしっかりと打ち立てていくべきではなかっただろうか。このことを強く要求をいたしておきたいと思います。  公共料金と政治献金の問題につきましては以上にとどめまして、私はひとつ砂糖の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  砂糖の生産出荷量というものにつきましては、農林省からいただいた資料を見ましても、やはりこれは例年に比較して特別の変化というものもなく、順調に生産、出荷が行なわれているという、こういう数字が出ております。しかし、実際には市場には品薄状態が続いている。販売店が卸問屋に注文をいたしましても、なかなか品物が思うように手に入らない。そしてまた菓子製造業者などの実需者の人たちのいろいろの実態等を、私もお話を聞いたり調査をいたしたわけでございますけれども、問屋に注文しても、大体やはりいまだに、よくて実績の五割か五割を割るというような、こういう状態というものが九月段階から今日も続いている。問屋はメーカーから品物が入ってこないのだ、こういうふうに言っておりますけれども、この問題については、前回の委員会のときにも私は質問をいたしまして、立ち入り調査をこの時点でやるべきではないか、そして実際にもしやられているのであるならば、その実態というものについて、調査をされた資料を委員会に出してほしいということをお願いいたしました。平林委員長からその当時の資料を私もいただきましたけれども、これはまだ調査の中途の段階であって、詳細にわたる問題についてはまだ明らかになっていないということでございましたけれども、具体的に立ち入り調査というものがどの程度行なわれて、現在どこに問題点があるというふうに把握をされていらっしゃるのか、これはひとつまず農林省からお伺いをいたしたいと思います。
  63. 永井和夫

    ○永井説明員 十月に入りまして、ロンドンの相場が非常に高騰していることを理由といたしまして、各精糖メーカーから値上げの申請が出ております。こういうような状態を背景といたしまして、業界筋におきまして、そのような現在の相場からいって、現在の砂糖の値段では立ち行かないというような声が出るにつれまして、一方におきまして、特に特約店、卸筋を中心といたします商人の間におきまして、先高の見込みが出てきておるというようなことから、私どもといたしましても、そういう間におきまして、商人の特に思惑的な動きというものがあって、砂糖の供給に不円滑な点を起こしてはいけないということで、特に十月中旬におきまして、砂糖の流通の状態の立ち入り調査を行なったわけでございます。  その中におきましては、現物の流通量といたしましては、例年に比較いたしまして物は出ておる。しかしながら、やはりそういうような先高の見越しというものが比較的需要を刺激いたしまして、いわば仮需というような形で実需者の需要を非常に大きくしているという面がございまして、非常に物の流れが速い。私ども一番気をつけましたのは、そういう中間の商人段階がかりに流通を阻害しているようなことがあれば、これは買占め売惜しみ防止法によります法令に違反する行為でございますので、そういう事実がないかどうかということを調べたわけでございます。途中段階でストップするというよりは、むしろ末端の需要が非常に強いという形におきまして、そのころの砂糖の流通が行なわれておって、メーカーの出荷をふやしても、その需要に応じ切れないという面があるというふうに承知してございます。  いま先生の御指摘になりました割り当てというようなことは、そのころ、特に二次卸から実需の段階におきましてそういうようなことが行なわれた事実を私ども見ておりますが、ただ、これは一がいに割り当てだからいかぬということではなくて、やはり仮需が非常に多くなってまいります場合におきましては、実需の方々に相応に供給をしてまいるという立場上、過去の実績等をも勘案して供給をしていくことは、ある程度やむを得ないんではないか。ただそれが、中間段階が不当な差別を行なうことによって流通を不円滑にするということは、これは厳に慎むべき問題でございますので、そういう点につきましては監視をしてまいりますが、一般的に非常に仮需が旺盛な場合におきまして、そういうことが行なわれることはやむを得ないというふうに判断したわけでございます。
  64. 小林政子

    ○小林(政)委員 仮需がたいへん強いといわれるのですけれども、私どもこの中間段階のところを調査してみますと、いままでの分も確保できないんだ、こういうことを聞いているわけです。一軒やそこらではありません、相当お聞きいたしました。そうしますと、農林省は生産を一生懸命急がせているんだと言われていますけれども、それにもかかわらず品薄の状態が続いている。国際価格の高騰を理由に云々ということもありますけれども、しかし、生産はたくさんしてどんどん出荷をさせているけれども、メーカーの背後にあって主要な販売網を全部握っております商社あたりが、一体どうなっているのだろうか。中間のところに入ってみますと、いままでは大袋ですね、三十キロ入っているのを十日に何本というふうに使っているところが、実際にはいままでの五割くらいしかもらえない、あるいは六割来ればいいほうだ、こういうような状況の中で、品物は実際に中間段階ではない。しかし、生産も出荷も順調だといえば、私はやはりメーカーとその背後にあります大きな力を持っております商社ですね、ここの実態というものはどうなっているのだろうか、このように考えるわけです。この調査などされていたら、この点についても具体的に資料を提出していただきたいと思います。  それからまた農林省は、具体的に十月二十八日に家庭用小袋、いわゆる一キログラム当たり五十六円引き上げて二百八十七円に指導価格をしたわけですけれども、これも、何か業務用の砂糖が指導価格の対象になっていなかったので業務用がどんどん上がっていく、したがって、家庭用の小袋のほうに業務用の買いが入るというようなことで、品不足というようなことで、あるいはパニックが起こっては困るのだということで一応価格を上げたというのですけれども、価格を上げても一向に品不足といいますか、こういう問題が解決をしていないということはどういうことなんでしょうか。こういう点について、調査の結果も含めてもう一度明確にお答えをいただきたいと思います。
  65. 永井和夫

    ○永井説明員 先ほど御説明申し上げましたように、十月の八日から十一日まで名古屋地区を中心といたしまして調査を行ないました。それから、同じく十月の十八日から二十八日まで各地方農政局を中心といたしまして、各都市におきますところの砂糖の実情を、主として特約店、二次卸の段階において物があるかないかということを中心といたしまして調査をいたしたわけでございます。その結果、全般的な仕入れ状況は、大体平年並みの仕入れ状況になってございます。それに対しまして需要が、その平年の仕入れ状況をはるかに上回る申し込みがあるために、主として実績割りによりますところの割り当て販売を行なっておるという傾向が見られました。  ただ、これは先ほども御説明申し上げましたように、結果的には十月の二十八日に、私どもも指導価格の引き上げというものを承認いたしたわけでございますが、そのような先高の状況から非常に需要が多く出てまいっておりまして、それに対しまして供給が追いつかないというような状況が、このような状況になったのではないかというふうに思っておるわけでございます。  今回、凍結価格の引き上げの協議を受けて、十月二十八日にそれを認めることにいたしたわけでございますが、それにつきましては先生御指摘のように、業務用の仲間相場、日経に載っております仲間相場というものが、十月の後半から非常に上がってまいりまして、これはロンドン相場というものから見ての、コスト高を見越しての需要が殺到したことが、また商人の間で荷物の奪い合い、自分のほうにくっついておりますところの実需に物を流すためにその相場が上がってまいりました。これが業務用の間で済んでおります間は、これはどちらかと申しますと、いわばプロの間の奪い合いでございますけれども、それが家庭用の小袋の小売り価格よりも相当の差をもって上がってまいるということになってまいりますと、実需が、むしろ家庭用のものをスーパーで現実に買ったほうが得だというような状態になってまいりますと、これは家庭用の品物がなくなってまいる。となりますと、これは現実に砂糖のパニックを再現するおそれがあるということから、私ども監視をしてまいりましたところ、月末に至りまして、一部のスーパー等で物がなくなってまいるというような状況が出てまいりました。このようなことを放置しては、むしろ物がなくなるという危険性もございましたので、値上げを行なったわけでございますが、その後私ども、通常の状態におきましても、これで需給は緩和されるものと期待し、また、現実需給関係は順調ではないかと考えておるわけでございます。  ただ、十一月に入りましてロンドン相場がまた急激な上昇を来たしておるということから、なお一部の糖商筋におきましては先高を唱える向きもございます。しかしながら、現実におきまして私ども業界等の状況を見る限りにおきましては、現在のところは、荷動きはそう活発ではないというふうに伺っておりますし、また一方のロンドン相場も、特に当限の先物におきましては、最近五日間でもって百五十ポンド暴落するというような動きも出てまいりましたので、一部にあるいは先生の御指摘のようなケースもあるかとも存じますけれども、そういう糖商筋の動きというものもおさまってくるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  66. 小林政子

    ○小林(政)委員 確かにロンドン相場が高騰していることも、いろいろ私どももよく承知をいたしておりますけれども、実際に農林省から出してもらったこの数字の上から見ましても、生産量は四十九年の一月から九月で百九十九万五千トンである、出荷量も四十九年の一月から九月まで百九十四万二千トンだということで、この数字は、四十八年度に比べましても決して少ない数字ではないわけですね。にもかかわらず、先ほど来から私が幾つかの調査をした事例を見ても、おかしい現象が起きているという状態ですね。私はこの問題については、やはり砂糖の現状というのは、具体的に海外原糖の輸入に占めます大手商社の比重というものは非常に高いんですね。ですから、三井物産だとか三菱商事だとか丸紅だとか、伊藤忠商事だとか住友商事というような、いわゆる十大商社といわれるところでもって、輸入量の全体の七八・八%を実際には輸入している。しかも、それは輸入だけじゃなくて、今度は市場に販売をしていく場合の代理店として、いわゆる大手商社が実際に押えている販売網というのは、いわゆる大手十社だけのシェアでも九五%、砂糖の販売量はほとんど押えているんですね。これは私はやはり非常に大きい問題だと思います。ですから、たとえば製品の取り扱い量一つを見てみましても、三井グループといわれております三井物産とかあるいはトーメンとか、このグループが販売量の三五・一%を押えている。あるいは三菱グループというところでも三四・五%押えている。この二つのグループだけでもって砂糖の全体の販売量の七〇%を押えている。  こういう一般の物資とはまた異なった状態というものを考えてみますときに、実際に生産、出荷とも順調であるというにもかかわらず、今後ロンドン相場の先高、あるいはまたその他ということがいわれている中で、実際に何か価格の調整とか量の調整というようなことがどこかでやられているのではないか、もしやるとすれば、販売量のシェアの大きなところを押えている商社以外はできないのじゃないだろうか、こう考えるわけですけれども、この点について立ち入り調査されたのでしょうか。そしてその商社の実態というものについて問題点があるのかないのか、こういう点についてお調べになられたのであれば、その調査された内容について具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
  67. 永井和夫

    ○永井説明員 生産量、これは業界の業務統計でございます。それから出荷量は、私どもが独自にヒヤリングを行ないましてまとめたものを先刻御説明申し上げたわけでございますが、このうちの出荷量と申しますのは、実は代理店から出ておる数字を私どもヒヤリングしておるわけでございます。砂糖の場合には、確かに商社が販売の代理店という形になってございますが、これは特約店からの申し込みに応じましてメーカーが出荷するのをペーパー的に通す事務を行なっておりまして、現実にその代理店段階におきまして数量をしぼるとか、そういうようなことではなく、在庫があれば各社が出す、その特約店と代理店の金融関係、信用関係等で不安がないということを代理店が認めます場合には、常に出荷するという仕組みになっておるわけでございまして、そういう大手商社が中におきまして価格のつり上げ等をはかるという意味における出荷制限というのは、砂糖の場合にはなかなか不可能ではないかというふうにむしろ考えております。で、現実に先生にお示ししました出荷の数字も、対前年に比べまして非常に出ておるということは、これはもうすでにその代理店段階から出まして、特約店の段階に入っておる数字というふうに御了解をいただきたいと存じます。
  68. 小林政子

    ○小林(政)委員 メーカーの出荷というのは、普通はメーカー出荷というふうにどこでもとりますね。ところがその代理店という、いわゆる商社から販売に出たのを出荷というんですか。これは私、ちょっとおかしいんじゃないかと思います。
  69. 永井和夫

    ○永井説明員 御説明が舌足らずで申しわけございませんでした。代理店というのは、メーカーの代理者の立場といたしまして特約店と契約をいたしまして、それに基づきましてメーカーから出荷されるわけでございますので、メーカーから出荷されている分というのは、すなわち代理店から特約店なり、あるいは直接参ります場合には大手実需というものに販売された数量となるわけでございます。
  70. 小林政子

    ○小林(政)委員 やはりこの点について、どこに原因があるのかという点で、委員会の中でのやりとりということで鮮明になってきておりませんので、農林省、これはやはり責任を持って、具体的にどこに問題があるのかという点、もう少し立ち入り調査をやって問題点を明らかにしていく、このことが重要じゃないかと私は思いますので、この点については委員長からも、ひとつ立ち入り調査をぜひ行なってもらうと同時に、資料もこの委員会に出していただくようにしていただきたいというふうに思います。  時間もだいぶ過ぎておりますので、私は最後に一点だけ、砂糖のいわゆる自給の問題につきましてお伺いをいたしたいと思います。  いま、日本の場合には自給率というのは二〇%であって、八〇%は国外糖を輸入している。こういうような状況のもとで、ロンドン相場が上がる、国際相場が高騰する、こういう事態のもとでいろいろと問題も出てきておりますけれども、本来、私はやはり、砂糖はもちろんのこと農産物は言うに及ばず、この自給率をほんとうにもっと高めていくということが、これからの点できわめて重要ではないかというふうに考えておりますが、北海道のてん菜や鹿児島、沖繩県の甘蔗糖合わせて六十万トンの供給というふうにいわれておりますけれども、実際には耕作面積も年々減ってきている。特に作付面積等は、四十八年の場合、北海道では六万ヘクタールから四万七千ヘクタールに減ったというふうにいわれておりますけれども、一体なぜ耕作面積が減っていくんだろうか、なぜ自給率が、かつては三〇%からあったものが年々落ちていくんだろうか。こういう点について、その原因がどこにあるのか、そして真に自給率を向上さしていくためには、今後どのような具体的な対策をとっていかなければならないのかという点について、まずお伺いをいたしたいと思います。
  71. 本宮義一

    ○本宮説明員 お答えいたします。  先生の御指摘のような現在の砂糖の自給率でございます。これは六十一万トンが国内産糖の生産量でございますが、全国の需要量が三百万トンでございますので、現在のところ二〇%という自給率でございます。  いまお話がございましたように、甘味資源作物は北海道におきますてん菜、それから鹿児島県南西諸島及び沖繩におきます甘蔗、それから砂糖が生産されるわけでございますが、これらの地域におきましての生産は、北海道におけますと畑作物のローテーションの中でてん菜が作付けられている。南のほうのサトウキビにつきましては、これは島でございますので、この地域における作付の今後の拡大の余地というものはそう余り期待は持てないと思います。  そこで、現在私どもは、これらの作物は国内の産糖の自給率を高めるという意味もございますし、それからこれらの地域におきます重要な農作物でございまして、農家の方々がそれに大きく農業経営をよっておるという実態でございますので、この作物のいわゆる生産性を高めることに、今後とも努力してまいりたいと思っております。現在でもすでに、これは甘味資源特別措置法に基つきまして、それぞれ生産振興地域にしておりまして、ほかの作物に比べますれば高率の補助率をもちまして、これらの作物の生産改善に要する機械施設並びに種苗対策等につきましての施策を打っておるわけでございますが、将来、私どもの現在の見通しといたしましては、昭和四十七年に公表しております農産物の需給の展望とその生産目標試案におきまして、昭和五十七年には自給率を二六ないし二八%まで高めてまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、国内産糖が相当の生産の伸びは示しておるわけでございますけれども、需要が相当に堅調に伸びておるということが、自給率がなかなか向上していかない一つの大きな原因でもございます。こういった点につきましての今後の対策等もございますけれども、国内生産対策といたしましては、いま申し述べましたような施策を今後ともこれらの地域に強力に打ってまいりたい、そういうように考えております。  また、御質問のございました、四十九年産のてん菜が前年に比べまして相当作付が減りましたというのは事実でございますけれども、これはてん菜のほかの畑作物に比べての相対的な有利性が、四十九年産の場合低くなったというような原因等、またてん菜が労働を非常に多く要する作物でございますので、農家の方々がそういう多量の労働を回避されたといったような面もあろうと思います。ですが、価格の面その他につきましても、これについての政府の施策等もございますので、これらの価格対策の適正な運用と生産対策とをもちまして、先ほど申し上げましたような目標に向かって自給率を高めてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  72. 小林政子

    ○小林(政)委員 自給率を高めていくという点についてはいまお話ございましたけれども、私は経済企画庁長官に、やはり今後主要な甘味料として砂糖その他の資源を、ただ国外から求めるというようなことでなく、やはり真に自給率の向上をはかっていくということが、いま何よりも大事な問題だというふうに思います。先ほどのお話でも、この問題に、ついては需要がたいへん高まっていくので、したがって、自給率はパーセントの上では低いんだという意味に私にはとれたのですけれども、むしろそうではなくて、耕作面積そのものが減っていくということは、やはり実際には最低生産者価格とほんとうに見合っていくようにしていくということが非常に大事なんじゃないだろうか。実際に最低生産者価格というものを引き上げていくということをやらなければ、どうしても離農するとか、あるいはほかの作物に切りかえてしまうというようなことで、この国内産糖の自給率をいまもっと高めなければいけないときに、この問題が一つのネックといいますか、一つの隘路にもなっている。やはり最低生産者価格の引き上げを十分行なって、そして実際に国内産糖の比率というものをもっと高めていくべきだし、いまロンドン相場がたいへん高騰しているという中で、実際には平均輸入価格というものが非常に高いわけですね。だとすれば、むしろてん菜や、あるいはまた沖繩、鹿児島の甘蔗などの国内糖のいわゆる安定事業団の買い入れ価格のほうがむしろ低いわけでしょう。低いと言うと語弊がありますけれども、平均の国外糖の輸入価格よりも。ですから私は、逆に国内糖をもっともっと奨励していくというようなことをやっていくことが、コストの面からも、また消費者の利益を守る上からも、そしてこれに携わっている生産農民の利益を守っていくという上からも、将来の日本の展望の上からも非常に重要ではないだろうか、このように思うわけでございます。  そういう立場に立って、国内糖の真の自給率の向上ということを進めていくという政治的な立場から、この問題について、農林省ということにもなるんでしょうけれども、長官からもひとつお答えをいただきたいと思います。
  73. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいまの砂糖を含めたいろいろな食糧の自給率の向上ということは、私ども長期計画を立てる立場からも、全く小林委員の御意見と同様でございます。  ただ、御案内のように農業は、いろいろな施策を進めたり自給率を向上するには非常に長期を要します。ですから、やはり長期的な展望に立って一歩一歩やらないと、つけ焼き刃でいろいろな施策をやりますと、結局、耕作農民その他に非常に御迷惑をかけることになるんじゃないかと思いますので、そういう長期的な見通しのもとに、ただいまの御趣旨を生かしてまいりたいと思います。
  74. 小林政子

    ○小林(政)委員 農林省にもう一点だけお伺いしますけれども、日本の国際市場での、自由市場での砂糖の買い付け量からいっても、日本の場合には、需要の比重から見ても非常に大きい比重を占めているわけですね。ですから、国内糖の自給率をもっと向上させていくのだ、そういう方向で今後の計画も立て、一そうそれを促進していくのだという態度を、やはり日本の政府がはっきりさせるというようなことだけでも、日本のいまの砂糖の需給から考えても、いまの国際市場価格を引き下げることにとても大きい役割りを果たすのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。その点だけ伺って質問を終わりたいと思います。
  75. 永井和夫

    ○永井説明員 日本が砂糖の必要量の約八割を自由市場から購入しておるということが、一時期におきましては非常にコストの安い砂糖を買うことができたけれども、このように需給が逆に逼迫してきますと非常に高いものにならざるを得ないという、身にしみた教訓を受けたわけでございます。  先ほど来御指摘のとおり、やはり自給率の向上という、みずから供給をふやすということと同時に、また一方では私ども、砂糖のむだな消費をなくそうという運動を提唱いたしておりまして、先ほども、生産が伸びても消費が伸びるというような状況の御説明を申し上げましたが、主食を米食にたよっておる日本といたしましては、欧米ほどの砂糖の消費は必要ないのではないか、あるいは最近の砂糖消費にはややむだなものがありはしないかということで、若干でも節約することによって、これがまた世界の砂糖需給に非常に大きく響き、投機的に動いているものに対して何らかの影響を与えることができるのではないかということで、そういうような面からの運動も展開し、あるいは特定の生産国との間の長期的な話し合いというものも考えるということによりまして、砂糖の安定的な供給を今後ともはかってまいりたいと考えます。
  76. 小林政子

    ○小林(政)委員 いま砂糖の値段が上がっておりますので、一般の消費者の利益を守っていくという立場からも、世界一高いといわれております砂糖消費税、これはキロ当たり十六円の砂糖消費税がかけられておりますけれども、このところ年に二度も、国際市場が上がったということで砂糖の価格が上がっておりますので、この消費税について、これをぜひとも減免するという方向を打ち出してもらいたいというふうに考えますけれども、長官の御意見を伺って、今度はほんとうにこれで終わりにしたいと思います。
  77. 倉成正

    倉成国務大臣 砂糖消費税の問題、キロ十六円ですけれども、全体としては五百億の財源になっておりますので、この問題は、政府の税調その他で慎重に御検討いただきたいと思っております。
  78. 小林政子

    ○小林(政)委員 長官としてはどうなんだということです。
  79. 倉成正

    倉成国務大臣 全体の立場にかかわる問題でございますから、ここで私が、消費税は撤廃したらよろしいというふうな無責任なことはちょっと申せませんものですから、さようにお答えをいたした次第でございます。
  80. 平林剛

    平林委員長 次回は、明二十七日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時十五分散会