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1974-10-22 第73回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十月二十二日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 平林  剛君    理事 稻村 利幸君 理事 加藤 六月君    理事 橋口  隆君 理事 山下 元利君    理事 井岡 大治君 理事 松浦 利尚君    理事 野間 友一君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       吉永 治市君    金子 みつ君       有島 重武君    石田幸四郎君       和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  委員外出席者         総理府人事局長 皆川 迪夫君         総理府統計局長 川村 皓章君         日本学術会議事         務局長     吉岡 邦夫君         公正取引委員会         事務局長    熊田淳一郎君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         沖繩開発政務次         官       西銘 順治君         沖繩開発庁総務         局調査金融課長 武末 祐吉君         沖繩開発庁振興         局振興第二課長 星野 省松君         大蔵政務次官  大野  明君         大蔵大臣官房審         議官      後藤 達太君         大蔵省関税局企         画課長     松尾 直良君         大蔵省関税局輸         出課長     松本 克也君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 三浦 大助君         厚生省社会局生         活課長     石原 公道君         農林省構造改善         局次長     杉田 栄司君         農林省農蚕園芸         局果樹花き課長 北野 茂夫君         農林省食品流通         局長      森  整治君         林野庁指導部長 藍原 義邦君         水産庁次長   松下 友成君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君         中小企業庁指導         部長      河村 捷郎君         運輸省海運局内         航課長     阿部 雅昭君         運輸省海運局定         期船課長    熊木 藤吉君         運輸省港湾局計         画課長     大塚 友則君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部業         務課長     植村 香苗君         運輸省自動車局         業務部長    真島  健君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 平林剛

    平林委員長 これより会議を開きます。  物価問題に関する件について調査を進めます。  先般、物価問題に関する実情調査のため、第一班は兵庫県、大阪府に、第二班は沖繩県に、それぞれ委員を派遣いたしました。  この際、派遣委員から報告を求めることとし、第一班についての派遣報告は、便宜私がいたします。  物価問題等実情調査のため、去る九月六日議長承認を得まして、同月十八日から二十日まで兵庫県及び大阪府におもむきました。  派遣委員は、山下元利君、羽生田進君、山中吾郎君、小林政子君、石田幸四郎君及び私の六名で、地元選出議員前田治一郎君、井岡大治君、堀昌雄君、渡部一郎君の御参加を得まして、実情をつぶさに調査してまいりました。  まず兵庫県においては、県当局神戸市及び灘神戸生協から物価対策等について説明を聴取した後、神戸生活科学センター灘神戸生協六甲店及び同生協食品工場視察、それぞれ関係者から運営状況等につき説明を聞き、引き続き神戸税関において同税関及び神戸海運局から説明を聴取した後、保税倉庫等視察し、関係者から滞貨状況等について説明を聴取いたしました。  なお兵庫県においては、県当局から公共料金値上げ抑制等について、神戸当局からは、生活法関連施行体制等について、灘神戸生協からは消費生活協同組合法改正等について、それぞれ要望がありました。  大阪府では、公正取引委員会事務局大阪地方事務所近畿農政局大阪食糧事務所大阪通商産業局大阪陸運局近畿海運局大阪府及び大阪市の各当局から物価対策等について説明を聴取した後、東大阪流通センター及び同センター周辺に点在する自家用倉庫視察関係者から流通センター役割り自家用倉庫現状等について説明を聴取いたしました。また、大阪中央卸売り市場及び本庄公設小売り市場視察し、関係者から施設概要問題点等について説明を聴取いたしました。  なお、大阪府においても、府当局からは卸売り市場施設整備に対する助成措置拡充強化等について、大阪当局からは中央卸売り市場等整備等について、また東大阪当局からは消費者センター設置に伴う建設費及び運営費助成等について、それぞれ要望がありました。  最後に、消費者代表等との懇談会を開催し、学識経験中小企業関係労働組合関係生協関係消費者代表等大阪市立大学教授奥村忠雄君外十名から忌憚のない意見を聴取いたしました。  以上、概要でございます。  現地懇談会等におきましては、きわめて生活実感にあふれた活発な意見を伺い、深く感銘を受けたのでありますが、これら詳細につきましては、別途資料等を添え派遣委員報告書を提出いたしておりますので、これによりごらん願いたいと存じます。  以上、御報告いたします。  次に、第二班についての報告を求めます。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 第二班について御報告いたします。  去る九月六日議長承認を得まして、十月七日から九日まで、沖繩県に派遣されました派遣委員代表して、調査の結果を御報告申し上げます。  派遣委員は、野間友一君、有島重武君、和田耕作君及び私でありまして、現地では地元議員國場幸昌君の御参加を得まして、沖繩における物価問題等について、実情調査してまいりました。  十月七日、沖繩開発庁沖繩総合事務局におもむき、沖繩総合事務局当局及び屋良県知事から説明を聴取いたしました。その際、県知事から、輸送コストの軽減、流通機構整備等について要望がありました。  十月八日、石垣島において、八重山支庁、石垣市、竹富町当局並びに消費者代表として、八重山婦人連合会西部婦人団体協議会八重山地区労働組合協議会沖繩教職員組合八重山支部等代表の方々と懇談会を開催し、それぞれの立場から、離島における物価の諸問題について実情を聴取いたしましたが、消費者代表の方から、全国物価が高いといわれている離島のまた離島である八重山物価高について、種々の強い要望がありました。同日、引き続き石垣島視察し、翌十日は、本部町において、本部地区物価動向等について説明を聴取した後、沖繩国際海洋博覧会現地視察いたしました。  以上が概要でありますが、その詳細につきましては、時間の関係等もありますので省略させていただき、詳細については、別に委員長まで提出いたします派遣委員報告書会議録に掲載されるようお取り計らいを願い、それによってごらんいただきたいと存じます。  以上で報告を終わります。     —————————————
  4. 平林剛

    平林委員長 おはかりいたします。  派遣委員からの調査報告書は、これを本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 平林剛

    平林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕     —————————————
  6. 平林剛

    平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井岡大治君。
  7. 井岡大治

    井岡委員 いま委員長から報告がございました兵庫県、大阪府を視察した中で、幾つかの問題点がございますから、その問題点についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、政府は昨年の生活二法を制定する際に、物価動向等については特に監視をする必要がある、したがって、監視員を各都道府県に委嘱をし、各都道府県はそれによって物価動向を十分見きわめていきたい、そうして生活関連物資等については、特に売り惜しみ買いだめ、こういうことのないようにしていきたい、こういう御答弁がしばしば繰り返されたわけでございますが、しかし、実際にこれが施行されて、一応各都道府県とも人員を整備してまいりました。  ところが、先般生活二法の指定物資が解除されたということで、この監視員取り扱い事務交付金削減する、こういうような措置に出ておいでになるようであります。これじゃあ地方公共団体がさなきだに赤字で困って、そして人をふやしておいて、今度は自分でかってに、もう解除したからおまえは金をやらぬのだ、こういうことでは、ほんとう政府は真剣に生活物資、こういうものに対して取り組んでいるのかどうか疑わしいと思うのであります。この点はどういう理由で削減をするのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  8. 喜多村治雄

    喜多村説明員 ただいまのお話は、国民生活安定緊急対策費五十億の問題かと存じますが、この五十億は、いまお話ございましたように、国民生活安定緊急措置法及びいわゆる売惜しみ買占め防止法に関する法律に定められました各般の措置を、四十九年度において国及び地方公共団体一体となって的確に実施する、そのための必要な経費ということが大半を占めております。それからまた、そのほかに物価対策に資する情報の提供、それから物価を抑制いたしますためのパイロット事業等、各省の所管いたします物価対策総合効果を確保するための事業推進、大ざっぱに言いますとその二つに分かれております。  したがいまして、この経費を使いまして地方公共団体一体となってやっていくことには変わりはないのでございますけれども先生指摘のように、前半に申しました国民生活安定緊急事務取り扱い費交付金、これは地方に行く分でございますが、いわゆるこの二法の施行のための交付金が、指定品目が減少したということによりまして、若干の部分これが減少したことは事実でございます。しかし、そのほか、前に述べましたような各省庁の所管いたします物価対策総合効果地方公共団体一体になってやっていきます費用がございますので、これを今後地方に御迷惑のかからないように十分にくふうしてまいりたいと存じております。  理由といたしましては、この費用が、指定品目など法の適用にかかわりますものが大部分であるという運用をいたしましたために、多少そこら辺の御迷惑をおかけしているのではないか、こういうことでございます。
  9. 井岡大治

    井岡委員 ほかのほうで何とかこれらの問題を補てんといいますか、穴埋めといいますか、そういう方法を考えていきたい、こういうことでございますが、私はここの問題は、まだ必ずしも物価は安定をしている、こういうように思われないのですね。しかし政府は、統制ということばを使うことが適当であるかどうかは別として、もっと自由に商行為を行なわしめたい、こういうことではずしたんだと思うのです。しかし、現実には物価というものは安定をしておるとはいわれないのですから、当然監視等の問題は続けていかなければならぬ、こう思うのです。  したがって、なるほど五十億、こういうことで予算を組んだから、これを削らざるを得なかったんだ、こういう御答弁のようでございますけれども、むしろ私は、消費者センターとかモニターとか、こういうものを拡充していくようにしなければならぬ。したがって、むしろ私は全体的には金をふやしていくことのほうがよりベターじゃないか、こう思うのです。この点いかがですか。
  10. 喜多村治雄

    喜多村説明員 四十九年度につきましては、ただいま申し上げましたようなことで予算が組まれておりますので、私が後半に申し上げましたようなことを、監視とからめまして地方お金が参りますように、ぜひとも配慮していきたいと存じております。  五十年度予算は、五十億の概算要求をいまいたしておりますが、この内容につきましては、先生指摘のように、一般物資監視ということが非常に重要でございますので、この部分お金地方に参りますようにくふうをしていきたいと考えております。
  11. 井岡大治

    井岡委員 監視のほうに本年と同様に五十億を要求していきたい。むしろ私は、さらに消費生活を安定せしめるためには、あなた方はこの間モニター大会をおやりになったようですけれども、いろんな批判が出ています。この批判については、また後の機会に私はお尋ねをいたしたいと思うのですが、しかし、少なくともあなた方自体モニターを呼んで大会を開かれるというその意図、その意図それ自体、私は決して悪いことじゃないと思うのです。やり方それ自体については意見があったとしても、いいと思うのです。そうだとすると、こういうことをさらに拡大していかなければいかぬのじゃないか、こういうように思うのですが、どうなんです。
  12. 喜多村治雄

    喜多村説明員 物価を抑制いたしますための一つの手法として、消費者拮抗力をつけるということは当然必要なことだと思って考えております。そのために、これは私のほうの局の所管ではございませんけれども消費者センターを育成する、あるいはきのう行ないましたような消費者モニター大会を開く、あるいは研修会を行なうということにつきまして、国民生活局のほうでの予算として計上いたしております。そしてこれを増大していく方向で考えておることは間違いございません。  ただ、そのことは消費者拮抗力をつけるということのための予算でございますので、物価と直接関係のない、まあ非常に形の上での話でございますので、私のほうはできるだけそちらのほうに援助をしていくというような考え方をもちまして、昨日のモニター大会費用の一部は、私のほうのこの五十億の中で支出したということでございます。
  13. 井岡大治

    井岡委員 あなた方は理屈が多過ぎるよ。そうでなくて、そういうことを生かしていくのなら、これはどこの所管だ、どこの所管だということでなくて、もっと消費者の力をつけていく、こういう意味から拡充していくんだ、こういうことでいいんじゃないのかな。そのために政府はもっと助成をしていきたいんだ、こういうことに考えない限り、これはどうだとかこうだとか理屈を言っておったって、そんなもので物価はとまりはしませんよ。だから、理屈でなしに消費者の力をつける、そして売り惜しみとか買いだめとか、こういうことをさせないようにする、あるいはまた恣意的に物価をつり上げる、こういうことをやめさせる、こういうようにしなければいかぬと思うのですよ。  そういう意味から、もっと大幅に援助するならする、それだけでいいのと違うのですか、いかがですか。
  14. 岩田幸基

    岩田説明員 先生承知のように、消費者対抗力をつけたり、あるいはいま申されましたような消費者買い占めをやらないというようなことは、言ってみれば消費者に対する一種の啓発活動と申しますか、そういうことではないかと思います。かねてから県の消費生活センターに対しましては、私ども相談業務あるいは啓発業務、そういうものに対しましてかなりの補助をしております。今年度は、一県平均いたしますと約五百万円の補助をやっております。  これを、将来拡大をしていこうということでございまして、一つは、全体の消費生活センターそのものをふやしていこうということで、実は四十八年度から五カ年計画をもちまして、全国サブセンターを百カ所つくろうということを考えております。なおまた、一カ所当たりセンター補助金にいたしましても徐々にふやしていきたいということで、これは実は来年度の要求でございますけれども、約倍の千百万円ずつの補助をしたいというように考えておりまして、全体といたしまして、お金の面とそれからセンターそのもののネットワークをふやしていくという両面で、拡大をしていきたいというように考えております。
  15. 井岡大治

    井岡委員 センターの問題はあとお尋ねすることにして、この問題は単なる五百万円です。たいへんよけいしたように思っておいでになるけれども、いま五百万円、一千万円というのはどれだけの価値があるのですか。そんなことはあまり大きな声で言わないほうが賢明だと私は思うのです。あとでこの問題を聞きます。そういうことで、この点については、やはりはずしたらすぐ人件費補助するのをやめてしまうのだというような、こういう非情な政治をやらぬようにひとつしてもらいたい、このことだけ要望しておきます。  次に、最近神戸市や兵庫県、神奈川県、川崎市等で、消費者保護立場から消費者訴訟資金貸付条例といったようなものをつくっておいでになります。そこで政府は、これらの問題をその条例に委任するのでなくて、政府自身がこういうことに何とか立法措置を講ずる、こういう意思があるのかないのか。あるいはまた、集団でその代表が、たとえば灯油なら灯油というものについて集団があり、その集団代表訴訟した場合、法体系を改めて、何とかその売り惜しみあるいは買い占め、恣意的な値上げ、こういうようなものへの訴訟援助するというような方法法体系整備をする、これを条例にまかしておく、こういうようなことでなくて法体系整備する、そういう意思があるかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  16. 竹内黎一

    竹内説明員 お答え申し上げます。  最近、各地方公共団体におきまして消費者保護条例を制定する動きが強まっております。その内容を私どもなりに分類してみますと、まず第一に消費者保護宣言的な理念規定的な部分、第二に、規格表示など事業者規制に関する部分、第三に、消費者苦情処理あるいは訴訟援助など消費者に対する援助に関する部分の三つに大別できるかと思うのでございます。  いま御指摘訴訟援助につきましては、地方公共団体が独自の構想によりまして定めておるものでございますが、政府といたしまして、いま直ちにこれを立法化するという考えは持っておりません。しかしながら、消費者は何と申しましても事業者に比べて弱い立場にあるわけでございますので、特に消費者被害救済のあり方につきましては、事業者責任強化とかあるいはその救済手続を簡素化するとか、これらの問題につきまして、現在、国民生活審議会の中の消費者保護部会の中に消費者救済特別研究委員会というのがございまして、そこで鋭意調査、御研究願っておるところでございまして、その結論を待ちまして、私どもとしては、立法措置を講じたいと考えております。
  17. 井岡大治

    井岡委員 いま直ちに立法措置を講ずるということは考えておらないけれども研究委員会で研究された後これらを考えていきたい。しかし、反面、いま地方公共団体訴訟についての資金の貸し付けとか、あるいはいろいろな方法条例をもって援助している。こういうことについては勧奨する、同時に、これについても何らかの処置を講じる、こういうように理解していいですか。
  18. 岩田幸基

    岩田説明員 お答えいたします。  現在、各都道府県保護条例をつくっておりますのは十一県ばかりございますけれども、私どもとしましては、いまお話がございましたような訴訟援助、こういうものにつきましては、大体一県当たり一千万くらいの基金でございますけれども、こういうのは各県とも大いにやってほしいというような指導はやっております。  ただ、規格とか商品の規制につきましてきめた条例でございますけれども、こういうものにつきましては、全国的な銘柄品というようなものについて、あまり県独自で独特の規制の基準をつくらないようにというような、やや規制と申しますか、指導はやっておりますけれども訴訟援助につきましては、私どもも全面的に推奨しているというような状態でございます。
  19. 井岡大治

    井岡委員 全国的な銘柄のものについては少し差し控えてもらいたい、こういうことでございますけれども、私は、地域によってはこれがもう絶対必要なものがあると思うのです。たとえば東北地方における灯油の問題などは、もう生活の絶対条件なのです。そうだとすると、これを全国的だということで放置をするなどということは、私は許されないことだと思うのです。だから地域的の問題は地域的の問題として指導する、こういうことでないと、推奨するとか勧奨するとか援助すると言ってみても、これは口頭禅に終わってしまうと思うのです。この点はいかがですか。
  20. 岩田幸基

    岩田説明員 いま申しましたのは規格とか、それから表示、そういうものにつきましての場合でございまして、規格とか表示は、やはり全国銘柄の、たとえば電気製品のようなものに特別の表示をある県がつけさせるというようなことにつきましては、その県の流通小売り屋さんに対してそういうことを指導することはかまわない。ただ、全国的なメーカーに対しまして、ある県だけが特別の表示をつけてくれというようなのはちょっと困るじゃないか、そういう意味での指導をしているということでございます。
  21. 井岡大治

    井岡委員 まあ、いずれにしても次官、この点については特段の御考慮をお願いしたい、こういうように思います。  それから、消費者物価指数生活実感からくる差があまりにある。たとえば企画庁の統計指数はすべてやっているわけですね。それを平均して本年度の物価上昇はこういうことになっている、こういうかっこうでやっておいでになると思うのです。しかし、国民物価問題に対する見方はそういう見方じゃないわけですね。生活物資に対する見方なのですね。たとえば全体のものを見ておりますと、テレビとか、あるいはクーラーとかいろいろあります。これは昨年と比べてあまり上がらない。これを含めて物価指数に見ていきますと、片方はうんと上がっておってもこれはたいしたことはないわけです。国民の言っているのはほんとう生活に必要なもの これが何ぼ上がっているか。たとえば大根が去年に比べて三割上がっているとか四割上がっている、キャベツが何ぼ上がっている、こういう問題だろうと思うのです。  ですから、こういう問題について、とり方などについて考慮する必要があると思うのですが、この点いかがですか。
  22. 竹内黎一

    竹内説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、いわゆるCPIは、政府総理府統計局が、国際的にも広く認められております方式に基づいて、客観的に調査されましたデータをもとにして作成されておりまして、私どもは、これは十分に信頼し得るものだと考えております。  しかし、いまお話しのように、生活実感指数との間に食い違いがあると言われる、こういう論議のあることは私ども承知をしております。これは第一こま、消費者物価指数ウエートに示される平均的な消費構造世帯個別世帯消費構造とが必ずしも一致しないこと、第二番目には、購入頻度の高い生鮮食料品等価格変動が大きい場合には、心理的な価格上昇感が高まること、これに反しまして、購入頻度の低い耐久消費財等価格が下落した場合、たまたまその時期に購入した者にしか物価下落として実感されない等々の理由があると思います。  しかしながら、私どもといたしましても、現在のCPI支出構成比、いわゆるウエートとり方昭和四十五年を基準にしておりまして、その後の消費構造生活パターンの変化というものも当然予想されるわけでございますので、明五十年度に改定を迎えます際に、私どもとしてもできるだけ客観的でなおかつ信頼できる、そういう消費者物価指数になるように、いろいろとまた検討してまいりたい、このように思います。
  23. 井岡大治

    井岡委員 次官が率直に四十五年とこう言われましたから、私はもうあえてこの問題について深くなにしようと思いませんけれども、四十五年度でありますと、物価はある程度安定しておった、こういうふうに見て差しつかえないと思うのです。一番上がってきたのは四十七年の暮れから四十八年、そして本年の三月、四月、同時にまた、本年のすべての公共料金値上げ、こういうところにきているわけですね。ですから、これらの問題を早急に改めてもらわなきゃならぬと思うのです。  同時に、改めてもらう場合に、たとえば、これは私見ですが、消費者を含めた、どういうものをとっていく、どういうものを出していく、こういうような消費者意見をいれるような機関と申しますか、組織と申しますか、そういうものをおつくりになる意思があるかないか、この点お伺いしておきたいと思います。
  24. 竹内黎一

    竹内説明員 ただいまも申し上げましたが、このCPIの作成そのものは、本来総理府の統計局あるいは行管等が担当しておるわけでございまして、私ども、そういう意味では直接の所管とは申し上げにくい事情がございます。  しかしながら、そういった消費者物価指数が客観的であると同時に、国民の信頼を得られるようなものにするためには、いまお話しのように、各方面の見解を聞いて五十年度において改定されるものであろうと、私どもも期待しておる次第であります。
  25. 井岡大治

    井岡委員 くどいようですけれども、期待をしておるといったって所管が違うわけですから、なかなか期待どおりにいきませんから、企画庁としては関係当局に対して、委員会での意見というもの、国会での意見というものを反映するように御努力をいただきたい、このことを要望しておきます。  次に、消費生活センターの問題について二、三尋ねてみたいと思うわけです。  一つは、先ほど五百万が一千万になった、一千百万要求するんだと言って、およそ二階から飛びおりたような話をしていただきましたけれども、これは一カ月にこれだけ補助するのですか、一年ですか。
  26. 岩田幸基

    岩田説明員 年間でございます。
  27. 井岡大治

    井岡委員 年間。ですから私は、あまり二階から飛びおりたような話はせぬほうがいいというのですよ。年間五百万円で、そしてこれを拡充するんです、そういうように指導しているんです、こう言ってみても、これは先ほど言うように全く口頭禅ですよ。口ではうまいこと言うけれども、実態は全く何にもなっていない。  そこで、中小企業指導センターにはたくさんの補助金が出ているわけですが、これと同様にする意思はありませんか。もうすでに概算予算で五百万円を一千百万円にしたということで、だいぶいばっておいでになるようですけれども、そういう意思はありませんか。
  28. 岩田幸基

    岩田説明員 御指摘の中小企業指導センターは、人件費補助というのをやっているわけでございます。私ども消費生活センターに対する補助金の中身は、御承知だと思いますけれども一つは、消費者の啓発事業に対する補助、二つ目は、消費者の苦情相談に対する補助、三つ目は、商品テストの補助ということでございます。その苦情相談に対する補助の中身といたしまして、生活相談員の経費補助対象にしているわけでございまして、一種の人件費補助のようなものになっております。ただ、一般人件費そのものにつきましては、地方公共団体の固有事務ということもございますので、地方交付税の中でそれは勘案していただくということになっておりますために、企画庁から出ております補助金としては、先ほどのような額になるわけでございます。  実際は、そのほかに商品テストに対する補助といたしまして、先生承知のように、農林省と通産省から設備の補助というものもございます。そういうものを全部ひっくるめますと、一県当たりセンターの事業費としては二億三、四千万円ぐらいのものになるわけでございまして、決してそれで十分とは思っておりませんけれども、徐々にでもこれは拡大をしていきたいと考えているわけでございます。
  29. 井岡大治

    井岡委員 私はあとでそのことを言おうと思っていた。はしなくも言われたのですが、指導センターとか消費生活センターというのは、拡充していけば当然人が要るんですよ。そうしないと消費者指導に十分当たれないわけですね。尋ねてきても、なかなか十分なことができないわけですよ。これは地方公共団体に委任してあるんだから、自治団体に委任してあるんだからといっても、いまの自治団体で交付金をもらわなくてやれる県は何ぼあるのです。ほとんどもらっているのですよ。私は地方行政委員ですからよくわかっていますが、金が足らなくてみんな困っているのです。それを、おまえに委任したんだから人件費のほうはおまえのところでうまいことやってくれといったって、これはなかなかできるものではない。ですから当然人件費補助をする、こういうふうに変えていかなければいかぬのじゃないかと思うのです。この点いかがです。
  30. 岩田幸基

    岩田説明員 御承知のとおり、いまの地方交付税の中では、人件費分といたしまして、はっきり課長以下数名、これは県によって違いますけれども、こういうことが算定基準に入っているわけです。実際のセンターの業務は、先生承知のようにセンターと申しますのは、中小企業指導センターなどと違いまして、県のたとえば生活課の中にそのまま属しているという形でございまして、その生活課の職員がセンターの仕事をやっている。実際は、相談業務のようなものになりますとかなり専門的な知識が必要でございますし、また県の職員だけではうまくいかないということで、その分についての人件費補助的なものを認めているということでございます。  ただ、全体としてまだまだセンターの人員も足りないということもよく存じておりますし、予算も足りないということも存じておりますので、その点は、今後も私どもも努力をしていきたいというふうに考えております。
  31. 井岡大治

    井岡委員 生活課にまかせてあるから、そこの課員あるいは職員だから、こういうことですが、私は、この点については若干あなたと見解を異にします。ということは、現在の地方公共団体は、交付金にいたしましても何にいたしましても、人件費の占める割合というのは非常に高いウエートを占めている。ですから、その係員を一人ふやすと交付金の対象になるじゃないか、こういうことを言われるけれども、それじゃやっていけないのですね。ですから、この点については見解を異にする。したがって、私は将来とも考え直してもらいたい、このことを要望しておきます。  それから、指定都市のセンターにも事業費補助をしてもらいたいという要望が非常に強いわけです。というのは、指定都市というのは、都道府県だけでなしに直接市民と結びついた行政をやっているわけですね。ですから、この点について何とか考えてもらいたい、こういう要望があるのですが、この点いかがです。
  32. 岩田幸基

    岩田説明員 この点につきましては、実は最近は指定都市のセンターの仕事が非常に充実してまいりました。そういうこともございまして、私どももぜひ補助対象にしたいというふうに考えておりますけれども、財政当局との話し合いもございますので、いますぐにというわけにはまいらないかもしれませんが、できるだけ早くそういう対象にしたいということで努力をしてまいりたいと思っております。
  33. 井岡大治

    井岡委員 いますぐじゃないけれども、できるだけ早くやりたい、こういうことでございますから、私はあえて深く追及しようとは思いませんけれども、とにかく都道府県の業務と市の業務というのはおのずと違うわけですね。直接いろいろなところに結びついているわけです。そういう意味から、この点は早急に結論を出して、何とか方法を考えてもらいたい、こう思います。  それから第二の問題は、消費者センターの中で一番困っておるのは、情報提供者あるいは情報提供事業、こういうようなものの啓蒙活動の補助金を何とかもっと増額してもらいたい、特に生鮮食料品関係については特別の考慮を払ってもらいたい、こういう要望が出ておるわけですが、この点はいかがです。
  34. 岩田幸基

    岩田説明員 情報提供事業全体といたしましては、展示会でございますとか、あるいはパンフレットをつくりますとか、そういうものに対する補助は一応対象になっているわけでございます。  ただ、先生指摘の生鮮食料品の問題につきましては、一部の府県では、農林省からの補助もございましたりしてやっておるわけでございますけれども、私どもも、これから農林省とも相談いたしまして、そういう点をもう少しいろいろな県に広げていくことで御相談をしてまいりたいと思っております。
  35. 井岡大治

    井岡委員 ぜひひとつお願いをしておきます。  それから次に、野菜生産出荷安定法による価格補償についての意見が出ておるわけです。指定品目に対する価格補償は卸売り価格の平均を基準としておりますけれども、そのために出荷というものがうまくいかない。同時に、たとえば昨年そうでありましたように、卸売り価格が値下がりした、したがって、こんなものを持っていったって損だというので、キャベツをたくさんほかしましたね。こういうことでは、せっかくつくった百姓さん気の毒だと思うのです。  ですから、生産費補償というような補償費の方法を考えたらどうか、こういう意見が出ている。それによって、その生産指定地域における生産の意欲を大きくすることができますし、同時にまた価格安定になるのではないか。生産者のほうも価格安定、片一方のほうは、どう申しますか、買いの安定がするので、こういうことで考えたらどうか。ぜひそれをやってもらいたい。  こういうようなことになると、いまも都道府県に若干負担をさしておりますけれども、そういうことでなくて国庫で補助をする、国庫の補助率は六五%から七五%にしたらどうか、こういう意見が出されておるわけでありますが、この点はいかがです。これは農林省でしょう。
  36. 森整治

    ○森説明員 先生指摘の問題につきましては、かねがね生産者団体から強い要望がございます。したがいまして、われわれもいろいろ検討を進めておるわけでございますが、ただ、これは基本的な問題があろうかと思います。  ということは、生産費そのものの把握が非常に困難である。これは御承知のように、野菜につきましていろいろなバラエティーがございます。それぞれにつきまして若干の生産費調査を統計でやっております。しかし、キュウリ一つをとりましてもいろいろ作方がございます。時期によっていろいろコストが変わってくるのが違う。それから施設園芸もあるというようなことで、野菜の品目なり、作方なり、地域なり、それからもう一つ農家の経営規模の問題、それらのことから申しまして、生産費を基本に把握するということにまず一つ問題があるわけでございます。  それからもう一つ、いろいろ基本的にわれわれ考えておりますことの中で重要な点を申し上げますと、ある作物、野菜のある作方につきまして、たとえばそれを全部補償をいたすといたしますと、そこでほかの作物についてのバランスがとれておりませんと、御承知のようにローテーションでやっておるわけでありまして、野菜というものは需要に応じて非常に盛衰がございます。その需要に見合った生産がそこで適当に行なわれるということが、一つの基本的な問題としてわれわれ重視しているわけでございます。へたをいたしますと、ある一つのものに固定をしてほかのものができない、そういう弊害が逆に出るおそれがございます。観念的に、先生おっしゃるように全部のものにつきましてバランスのとれたものをぴたりときめられれば、これは間違いないと思うのでございますが、そういうことが、現在の行政技術をもってはたして可能かどうかということにつきまして、私ども基本的に疑問を持っておるわけでございます。  したがいまして——したがいましてというよりも、そういうような事情がございますので、現在の市価を基準としながら、それの補償基準を上げていくということを常々毎年実行してきておるわけであります。と同時に、上げるということは、結局農家負担も上がってくるということになりますので、先生指摘の国庫負担率を引き上げるということを毎年実行してきております。農家のほうの負担額が変わらないで補償基準が上がっていく、それにはやはり国庫負担率を上げていくということを毎年実現をしてきておるわけでございまして、先生いま、たまたま御指摘になりました六五%の問題につきましても、これを七五へ引き上げるということを来年度の予算要求といたしまして、われわれ強く主張していきたいというふうにとりあえずは考えております。  基本的な考えにつきましては、私ども決して異存はございません。ございませんが、もう一回くどいようですが、技術的に多くの問題があり過ぎるというふうに思っておるわけです。
  37. 井岡大治

    井岡委員 ここで私は農業政策について論争しようとは思いません。特に私は大阪市内のまん中に生まれ、そこで育ったのですから、お百姓さんのことはあまりわかりませんから。しかし、日本の農業ほど次から次へくるくる変わる農業はないですね。減反をしろ、こういったら、今度は食糧問題が出てきたら増産をしろ、こういうことでくるくる変わっていっている。私は、たとえば生鮮食料品の価格安定、野菜の価格安定ということで、実はここで三、四年前だったと思うのですけれども、生産地に低温倉庫をつくったらどうか、こういう意見を出したわけです。ということは、最盛期のときに生産者から入れておく。というのは、一年じゅう国民の食べるキャベツならキャベツあるいは白菜なら白菜、こういうものは大体わかると思うのです。それはあなたの言われるように大きく波はあるのですよ。ありますけれども、わかると思う。そうだとすると、そこに低温倉庫をつくる。その場合国は三分の一の補助をする。指定地域の都道府県はこれまた三分の一を出す。生産県は三分の一を出す。そういうことによって低温倉庫をつくって、最盛期のときにそこに入れておく。こういう方法をとれば、生産者も決して生産意欲というものを失わないじゃないか。同時に、消費のほうは価格が安定するじゃないか、こう申し上げたことがあるわけです。  こういうことで、何とかこの生産者というものについての保護をやってやらないと、片一方のほうで、あなた転送を知っているでしょう。大阪の市場へ入ってきた、荷物を持ってきた、ところが東京のほうが値段が高かったら、一たん入った荷物をまた東京へ持っていくでしょう。転送を知っているでしょう、あなた。こういうことを押えるためには、指定品目について指定地域があるわけですから、それを確保していく、こういうようにすることのほうがいいと思うのですが、この点いかがですか。
  38. 森整治

    ○森説明員 先生指摘のような問題につきまして、野菜の種類によって違うと思います。葉もののようなものにつきましては、われわれもいろいろ実験をしておりますけれども、現在実現されておりますのは、たとえばレタスのごときものが、産地の施設で予冷をいたしまして、それでトラックでそのまま温度を保持しながら消費地へ持ってまいるという形のものでございます。おそらくおっしゃる点は、需給に合わせた生産地での冷蔵といいますか、そういうものを少し長く長期的にやるということではなかろうか。たとえば茨城の白菜のごときも、暮れから春先へかけまして簡易貯蔵をいたします。そういう場合に、圃場に簡易の冷蔵施設をつくって、それでそのときだけ、非常に簡単なものでございますが、そういうものをやったらという試みもございます。  そういうことでございますが、結局ポイントはそれにかかる経費が、あとから出てくる別の産地のものに対抗できない、経費でコスト倒れになるという問題がございまして、なかなかバランスがとれないから、その産地の施設が成り立たないという問題が実はございます。実験的には、ある期間もたせること自身は物理的に可能とわれわれは考えております。コスト的な面で問題があるというふうに思っておるわけでございますが、物によりけりでございまして、タマネギなりバレイショなりにつきましては、年間を貯蔵いたしまして適時適切に放出をしていく、生産者団体がやる場合もあるし消費地でやる場合もあるということですが、葉ものにつきましてはやはり運賃がかかります。それから保管のスペースがかかります。そういうことで、葉菜類につきましては非常にそういう点での問題がございまして、むしろそこの作期といいますか、適切な出荷調整で合わせていくということをいま重点に置いてやっているわけでございます。先生の御指摘の問題についても、あわせて並行的に実験的にそういう研究をいたしておるということがただいまの現状でございます。
  39. 井岡大治

    井岡委員 ここで論争しようとは思いませんから何ですが、私はこれはやろうと思えば可能だ、こういう確信を持っているわけです。ということは、最盛期と端境期があるわけです。その端境期に物の値段が上がるわけですから、そういう点を考慮すると、あなたの言われる指定地域制というもの、たとえば東京であると、東京の指定地域というのはどことどこと大まかにあなたはきめているでしょう。そこを強化することによって端境期と端境期でないのとが十分出てくるわけです。私はほんとうにこの点は考えていけば何とかなる、やれる、こういうように思っています。思っていますけれども、ここでそれを論争しようとは思いません。  とにかく、いずれにしてもいま申し上げた、生産者が安心して生産できる、そして出荷をする、ほかしてしまうというようなことのないような措置を講ずる、そのために補助制度というものをもっと、今度卸価格の七五に上げたい、こういうことでございますから、いずれにしてももっと研究してもらうと同時に、この点を考えていただきたいと思います。  それから、これは委員長が特にやかましく言われておった問題ですが、せりのやり方なんです。大阪の東部市場を委員長見ておいでになりませんから、おわかりにならぬと思うのですが、いまのせりのしかたというものは至って非近代的なせりのしかたですけれども、東部市場のようなせり方法全国的にやる意思があるかないか、せり方法を変えるということ、そういう意思があるかないか、この点お伺いしておきたいと思います。
  40. 森整治

    ○森説明員 せりの問題につきましては、われわれも一番わかりやすく一番いいということで、例の機械ぜりがあることは御承知のとおりだと思います。ただ、あの辺につきましても、従来扱っておる実績からいいますと、いろいろ問題なしとしないようでございます。  それから、いろいろ国会でも御指摘いただいておるわけでございますけれども、築地に機械を入れましても、それもなかなかうまく実現できない。せりの問題につきましては、やはり大量に処理をするという観点からやる場合と、品物によっていろいろやり方がそれぞれ違ってやっておるわけでございます。大消費地、特に大阪なり東京なりというところにおきましては、やはりせりの場所を幾つも設けてやるとか、移動ぜりをやるとか、物によりましていろいろな形をとっておるわけでございます。  いまのところ、いろいろな考え方がございますけれども、ともかく物によりまして、それに適したせり方法をとって物を処理していくということを基本の考え方としておるわけでございまして、要するに、なるたけ価格を公正に出すということと、これは普通の取引と違いまして、売り手にもなるし買い手にもなるというようなものではない、売り手と買い手の間に入ってその両方の要求を満足させるようなせりの位置づけがあるわけでございますから、やはりその両者の意見を聞きながら、これは開設者において間違いのない指導をしていく。偽らざるところ、大幅に変えるとかなんとかということよりも、現実に即したものの処理のしかたということが、現在としては一番適切なものではないだろうかというふうに私どもは考えております。
  41. 井岡大治

    井岡委員 この点については委員長が、いまのせりのしかたは、どこでどう狂ってもさっぱりわからぬようなかっこうになっているから、これをもう少し何とか改善をしてもらいたいということを、市場当局なり、あるいは業者当局に話をされておりましたから、いま、できるだけ不公正が行なわれないように指導していきたい、こういうことでございますから、この点については私は知っているだけに、あまり強く申し上げませんけれども、十分努力していただきたいと思います。  次に、卸売り市場の助成の問題ですが、どこも市場が狭いわけですよ。いま整備に対しての補助金を出しておりますけれども、この補助金が非常に少ないですね。これは私がやかましく言って、初めてこれを出したのは十年ほど前でしょう。いままで一切しなかったわけです。これをようやくしたわけです。したけれども非常に少ない。これをもっと何とか考えてやらなきゃいかぬのじゃないか。特に起債のワクの拡大に伴う補助率の引き上げ、それから用地取得、これがいま一番問題なんですね。だから、神戸でも言われた、大阪でも言われた。用地の取得の問題に対して何らかの補助をしてもらいたい、こういうことなんですが、この点についてどうお考えになりますか。
  42. 森整治

    ○森説明員 先生指摘のとおり、市場法を改正いたしましてから、四十六年から整備五カ年計画を立てましてやっておるわけでございます。毎年予算額もふやしておりますが、それに対する需要も毎年増大をしてきております。実は正直申し上げまして、今年度相当大幅に増額いたしまして、七十八億の中央卸売りの補助金をふやしてつけたわけでございますが、その配分に、実は市場課長以下連日頭を悩まさざるを得なかったぐらいに非常に需要が強うございます。そういうことで、来年度これをまた大幅に増加要求をして、何とかまず補助金のワクの拡大、確保に当たりたいということが第一点でございます。  それから第二点は、先生指摘のような、結局需要の非常に強いものでございますので、補助金に対します地方債、この分は、事業費から補助金を差し引いた全部につきまして確保しておるつもりでございます。これは自治省と全部交渉いたしまして、一つ一つの市場につきまして具体的にわれわれの説明をしまして、自治省の了承を求めるというやり方をやっておりまして、四十一年から四十五年では地方債二百三十二億でございましたが、四十六年から五十年で九百六十二億ということで、相当ふえております。そういうことで、われわれとしては鋭意努力をしておるつもりでございます。御指摘の点については十分承知をいたしておるわけでございますので、今後ともその確保につきましては、補助金地方債のいずれにいたしましても十分折衝してまいりたいというふうに考えております。  それから、御指摘の用地取得の問題でございますが、確かにこれが市場関係のガンだというふうにわれわれも認識をいたしておりますが、ただ、これにつきまして補助の対象にするということが非常にむずかしい問題でございます。そこで、他の公共施設整備事業の場合の用地の取得助成、そういうもののあり方との関係も十分考慮しながら、今後の検討課題であろうというふうに考えております。  いずれにいたしましても、用地の取得の問題につきましては、確かに御指摘の問題がございますが、全体の土地の値上がりの中で、その市場の開設の基本となる——どこでもいいというわけでもございませんし、場所の問題がございますし、道路との関係もございます。これは都市計画全体の中の位置づけを考えながら、そういう土地の確保につきまして、われわれも今後努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  43. 井岡大治

    井岡委員 あなたはいみじくも言われたように、市場というのはどこでもいいというわけにはいかないのですね。交通の一番便利なところでないといかぬというわけです。そういうところは土地の値段は高いですね。したがって、市場開設をするために土地の取得が一番ネックになっておるのですね。ですから、この点は研究課題にしたいということでございますが、早急に何らかの措置を講じてもらいたいということを要望しておきます。  次に、公設地方市場、これは大きなところにはありますけれども、たとえば中都市などでも市場開設をやっているわけです。そうしないとなかなかうまく円滑にいかないということで、これについて国庫の補助を拡充してもらいたい、こういうのが出ておるわけですが、この点はいかがですか。
  44. 森整治

    ○森説明員 公設市場につきましては大阪が大先輩でございまして、われわれも大阪の例を見習いながらほかの都市にもということで、いろいろ努力をしてまいっておるわけでございます。  最近の実態から申しますと、むしろいろいろ事業費が上がってまいってきておるわけでございます。これはやはり、規模がどうということになるわけでございまして、最近の実態を申し上げますと、四十九年度では、特に大型という補助金を設けまして四千万円、中型が二千万円、小型が一千三百万円というふうになっておりますが、来年度これをそれぞれ五千五百万、二千八百万、それから一千八百万ということで、助成の規模を拡大するということで対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。そういうことで逐次整備をはかっておりますが、これもやはり基本的には用地問題というのが、率直に認めざるを得ない問題でございます。しかし、まさに公設市場という形を通じまして、地方の卸売り市場ということで、公共団体が土地を確保することが、民間よりも最近はむしろ有利になってきておるのではないだろうか。民間ではペイいたしません。そういうことから、地方の卸売り市場の整備につきましても重点を入れてまいりたいというふうに考えております。
  45. 井岡大治

    井岡委員 公設市場の問題について、これは流通の中で、東京には公設市場がないものですから——あるのですか。ほとんどないでしょう。あってもそうたいしたことない。だから公設市場というのは大阪がなにですが、ただ、局長は御存じだろうと思いますが、あの近代化をする本庄公設市場——わからなかったら、それはあとで調べておいてください。あれをやるために、市場を今度は新しく改築したわけです。それで近代化をしたわけです。そこの業者の負担というのはばく大な金を負担しているわけです。何とかこの市場を改築、近代化をするために、もう少し金をふやしてもらいたいというのが要望なんです。ですから、四千万円を五千五百万円にすると、こういうことですから、それでいいかもわかりませんけれども、私はそれだけでは十分でない、こう思うのです。この点を特にお願いしておきたいと思います。  それから、これは両県から言われた問題ですが、卸売り市場の近代化資金の融資ワクの拡大をしてもらいたい、こういう要求があるわけですが、この点はいかがですか。
  46. 森整治

    ○森説明員 卸売り市場の近代化資金は、農林漁業金融公庫で手当てをいたしておるわけでございますが、融資ワクにつきましては、四十三年の発足時三十億でございましたが、本年度は八十五億、五十年、来年度は百三十億をただいま要求をいたしておるわけでございます。金利問題等いろいろございましょうが、ともかくワクの拡大につきましても、われわれは大幅に確保してまいりたいという考え方でございます。
  47. 井岡大治

    井岡委員 いま話を申し上げました問題を、総合的に全部一括して申し上げます。  公設総合食品小売りセンターというか、これは市場ですが、これについて補助基本額は実施所要額とすること。大阪市の場合は一市場六千万円とこう言っているのです。六千万円、これが本年度のですよ。本年度の改築したなにの使用額。改築に伴う撤去費、仮設市場建設費、同撤去費等も国庫の補助の対象にしてもらいたい、こういう要求です。これは近代化をするために仮設市場をつくらなければいけないわけですね、そこにセンターがなくなってしまうわけですから。それに対する問題。それから補助率を三分の一を二分の一に引き上げてもらいたい。それから補助金以外は全部起債を認めてもらいたい。特に用地費の問題については認めてもらいたい。これは先ほど言ったことですから省きますが、この点を一括してお尋ねしておきます。
  48. 森整治

    ○森説明員 とりあえずは、予算補助金の単価アップということをまず考えてまいりたいと思います。それから二番目にいま先生指摘の問題につきましては、これは基本的に補助事業の性格の問題がございます。したがいまして、既存の施設を取りこわしてあとへつくるのだから、前の撤去費を見たらどうだ、こういう御意見と思いますが、この問題は一つに、この種の補助金だけでなしに、全体の考え方の問題があろうかと思います。これにつきましては、よくさらにわれわれも検討をしてまいりたいと思います。  それから補助率の点につきましては、大体流通施設というのは三分の一の補助になっておるわけでございます。全体のかさ上げといいますか、組み直しをするということがございませんと、この施設だけ特にということがはたしてできますかどうか、ちょっといまのところ明確にお答えはできないと思いますが、当面は、他の関連の施設との関連で処理をせざるを得ないのではないだろうかというふうに思います。  それから、その残りのものについて起債を全部見てくれ、こういうお話でございますが、用地の問題につきましては、政府引き受けの起債でということで自治省に話はしておりますけれども、従来のところ、いままでの折衝経過では、縁故債でしか認められないのではないか。ただ、補助以外の事業費につきまして、残りのものにつきましては全額起債の引き受けということで話をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  49. 井岡大治

    井岡委員 補助率の三分の一というのは、これは全体との関連でということでございますが、私は、少なくとも流通機構というものを改善しない限り物価の安定というものはあり得ないと思うのです。したがって、流通機構というものは、これは農林省だけの問題ではありませんけれども、少なくとも流通機構を大幅に改善するという姿勢を示していくべきではないのか。そういう意味からこの問題を取り上げていくべきだ、こういうように思う。だから、ほかとの関連だということでなくて、物価の安定という、流通機構という機構それ自体の問題から考えて、この点は大いに考えてもらいたいということを要望しておきます。  次に、生協の問題ですが、地域制限の緩和をしてもらいたい、こういうことです。ということは、今日の経済生活圏は単なる行政圏だけの問題でなくなっているわけですね。だから、この点を拡大をしてもらいたい、緩和をしてもらいたい、こういうことであります。  それから、第二の問題は員外利用禁止、いわゆる組合員以外の利用の禁止、これを緩和をしてもらいたい。これは現に農協法なり漁協法と同じようにやってもらいたい、これがあります。  それから、教育充当金を非課税にしてもらいたい。  それから、生協に対する貸し付け金のワク。四十九年度の四千五百万円では、千三百の生協に対して、これは計算してごらんなさい、さいぜんの話と一緒ですよ。また二階から飛びおりたような話をしたってそれはだめですよ。  それから、生協の設立、運営等について助成をしてもらいたい。  この五つの要求が出ているわけです。もう時間があんまり経過をしてまいりますから、一ぺんに聞きます。
  50. 石原公道

    ○石原説明員 お話の五点でございますが、第一点の、地域制限の緩和という問題について、確かに先生指摘のとおり、現在の生活協同組合は都道府県の区域を越えて設立できないという形になっておりまして、法律が制定されました当初では、そういうことでもある程度事が済むだろうということが言えようと思いますが、御指摘のとおり、現在の生活圏なり流通圏というものは、そういったところで、大都市圏につきましては特にそういった実態があろうかと思います。そういう意味で、この地域制限の緩和という問題については検討してみろという御意見、まことに御指摘理由十分にあろうかと思います。  この問題は、しかし、ただいまお話がございましたように、員外利用の問題をどうするかという問題ともからみがある問題でございまして、確かに農協法等におきましては、員外利用の問題について一つの考え方が出ているので、それに相応したようなことに生協法のほうもやったらどうだというような一つのお考えだろうとは思いますが、消費生協というのは、御承知のとおり、繰り返し申し上げますまでもなく、組合員の自主的な組織の問題としまして、何といいましても、現在の状況のもとで生協がこれから発展してまいりますためには、何よりもまず組合員自身を結集いたしまして、組合員の意識あるいは組合員の出資金を中心といたしますところの自己資本の充実といった形で、いわば内部体制というものの確立をはかっていくということが、現在第一であろうとわれわれとしても考えておりまして、員外利用という問題を考えるべきかどうかについては、いろんな考え方があろうと思っております。そういった意味で、こういった問題については十分われわれとしても慎重に検討さしていただきたい、かように考えます。  それから、教育充当金というものを非課税にしてほしいというお話でございますが、これにつきましては、確かに消費生協の非営利活動の中の中心をなす分野の事業に充てるための経費でございまして、これについて非課税にしたらどうかというお考えは、まことにごもっともであろうとわれわれとしても考えます。現在、消費生協のこういった繰り越し金につきましては、出資金一千万円未満の組合につきましては、そういったものについて非課税とするという制度が法人税法上講じられておりますが、出資金一千万円以上の組合につきましては、そういった制度が講ぜられておりません。厚生省といたしましては、五十年度税制改正の要求事項といたしまして、現在のところ、税務主管当局に対しまして、出資金による制限をはずして、すべての組合について、留保所得の二分の一というものを非課税とするようにという方向で、この問題の解決をはかるということで折衝いたそうとしておるところでございます。そういうところで御了承いただきたいと思います。  それから、生協に対する貸し付け金のワク、四十九年度四千五百万円、来年度かりに倍に要求したところでたいした話じゃないというお話、まことにごもっともだろうと思います。われわれとしても努力はいたしてまいっておりますけれども都道府県から実際に貸し出されるワクは四十九年度九千万円、明年度予算要求いたしておりますところは一億八千万円になろうかと思いますが、そういう一般会計を財源といたします貸し付けということでなくて、われわれとしては消費生協の店舗なりあるいは集配送センター、あるいはパッキングセンターといった共同施設、そういったものの整備の財源はもっと別の形で、いわゆる財投の面で十分手当てをすべきであろう、かように考えます。したがいまして、現在でも各種政府金融機関におきましてある程度の手当てはなされておりますけれども、明年度におきましては、さらにその財投面での融資手当てについて努力をいたしたい、かように考えております。  それから生協の設立、運営に対する助成という問題につきましては、やはり生協自身、現在のところ自主的な活動として、自主的にそういう出資金等を通じて設立されていくという基本的なスタンスがございますので、直接これについて助成を行なって、たとえば国庫補助を導入するというようなことは直接は考えておりませんが、ただいま申し上げましたように、既存の政府の貸し付け金の問題は別といたしましても、政府関係金融機関の融資といったことを十分活用させるような方向で、きちんとした形で生協がスタートしていくということを指導して担保してまいりたい、かように考えます。
  51. 井岡大治

    井岡委員 生協の問題は、当委員会に小委員会を設けてやっておりますから、さらに詳しく質問をしたいと思いますけれども、いまの意見を参考にしながら小委員会で案をつくってまいりたいと思いますから、十分お考えおき願いたいと思います。  次に、これはまた農林省に戻りますが、屠畜場の用地の整備あるいは増設、こういうものについて国庫補助の対象にしてもらうと同時に、起債については利子の——屠畜場というのは屠殺場てしょうね。屠殺場というのがいいのか、屠畜場というのがいいのかどうかわかりませんけれども、利子の補給をするようにしてもらいたい、こういう要望があるわけですが、この点いかがですか。
  52. 三浦大助

    ○三浦説明員 一般の公営の屠畜場につきましては、特別地方債によって整備を進めておるわけでございます。特に地方改善整備に該当するものにつきまして、というのは、同和対策事業として認められているものにつきましては、統廃合やあるいは移転する場合に三分の二の補助金をもって整備を進めておるわけでございますが、ただいま先生指摘の用地問題、それから地方債に対します利子補給というような問題、他の施設整備との関連もございますので一ひとつ検討課題とさせていただきたいと思います。
  53. 井岡大治

    井岡委員 なぜこういう問題が出るかというと、急速に都市が大きくなったわけです。それがまん中にあるということです。ですから、これは移転をしなければ公害その他の問題がいろいろ出ているわけです。だから、これをどこかに移転したいというのは当然のことだと思うのです。単なる屠畜場整備というだけでなしに、公害の問題やいろいろあるわけです。だから、一般的な問題でなくてものを判断してもらいたい、こういうことを要望しますが、この点いかがですか。
  54. 三浦大助

    ○三浦説明員 ただいま先生の御指摘のとおりだと私も考えておりますが、何ぶん他の施設整備との関連がございますので、急いで検討させていただきたいと思います。
  55. 井岡大治

    井岡委員 急いでということですから、私はこの問題はもう一ぺん次の国会で聞きますから、それだけを申し上げておきます。次に、中小商業者の近代化のための商業近代化地域計画についての助成を考えてもらいたい、こういうことですが、これは通産省でしょうね。
  56. 河村捷郎

    ○河村説明員 中小商業の近代化は非常に必要でございますので、やはりその地域ぐるみで推進する必要があるということで、昭和四十五年度から現在まで地域計画を策定いたしております。  ただ、この地域計画というのは、どうしても性格上ビジョンの可能性が非常に強いわけでございまして、来年度からは、さらにこれをもう少し具体的にアフターケアする意味で、実施計画というものをつくっていきたいと考えておりますが、従来四十九地域を指定いたしましてやっておりますが、これらに基づきましても、たとえば中小企業振興事業団の高度化資金であるとか、あるいは中小公庫とか、あるいは税制とか、そういうふうな面の助成もいたしておりますけれども、さらにこの商業の近代化等の見地から、来年度はそういう実施計画と相まってさらに充実していきたい、かように考えております。
  57. 井岡大治

    井岡委員 二番目の問題は、その高度化資金の融資の拡大ということでございますが、この点はぜひ流通の問題として考えてやっていただきたい。単なる近代化というだけじゃないと思うのです。ですから、その点を特に要望しておきます。  それから次に、水道事業が使用する電力料金が非常に上がった、こういうことで水道事業は軒並みに赤字になってきたわけです。そこで特別料金制度を設けられないか、こういうことですが、この点はいかがですか。
  58. 大永勇作

    ○大永説明員 先生承知のとおり、電気料金につきましては、電気事業法の規定で原価主義ということでやっておるわけでございます。それで他の事例でございますが、たとえば街路灯につきましては料金を割り引いております。ただ、この街路灯につきましては、使用時間が夜間に限られるということで、電源としてもいわゆるベースロードが使えるので、コストも安いということで安くしておるわけでございます。  水道事業用の電力につきましては、こういった特にコストが安いということの説明がなかなかむずかしいんじゃないかというふうに考えております。従来、特に水道事業用の電気料金を割り引けという要求も、まだいままでは受けておりませんけれども、いま申し上げましたような事情からいたしまして、なかなかむずかしいのではないかというふうに考えております。
  59. 井岡大治

    井岡委員 街路灯の話をしているのではないですよ。いわゆる水というものは空気と一緒なんですよ。空気でも自由にかってにやっているからなんだけれども、なかったらどうにもならぬですよ。みな死んじゃうのです。水も同じなんだ。だから、これは特別な方法を考えてもらいたいという要望は当然なんですよ。これを原価主義とか原価主義でないとか、そんなことを私、言っているのじゃない。そんなことは初めからわかっていることなんです。わかっていることではあるけれども、水というものに対する需要が年々増大をすると同時に、近代化すれば近代化するだけよけい要るでしょうが。たとえば水洗便所にしてごらんなさい、いままでやっておる以上に要るわけなんですよね。そういう点を考えたら、特別な方法を考えてもらいたいという要望があるのは、私は水道事業という立場から問題にするのでなくて、やはり生活という立場から考えていく必要があるのじゃないのか、こういうことを申し上げているのです。  それから次に、倉庫の問題です。これはここで流通が問題になっておりますから言っておきますが、農家が百坪以上のような倉庫を非常にたくさんこしらえている。そのことによって立ち入りの検査ができない、こういう問題があるわけなんですよね。自家用倉庫でやっている。だからこれらに立ち入り検査をできるようにしないと、流通がそこでパイプがとまってしまう。こういうことは昨年から問題になって、当委員会においても小委員会を設けてやるということになっておりますから、この実態だけを申し上げておきます。ですから、ここで何とか考えるということを申し上げておきます。  それからタクシー料金の問題で、これは局長がたいへんなことを言ったものですから出ておるわけですが、消費者保護基本法第十一条では、国民生活に重要度の高い商品や役務の価格等で国が認可する場合は、消費者に与える影響を十分考慮することになっておる。したがって十三条では、消費者意見を反映させるような施策を講じなければならないし、タクシー料金の認可にあたっても、消費者意見を聴取するような方法をとってもらいたい、こういう意見懇談会の席上で出されたわけです。そうすると局長は、皆さんの御意見等を十分に参酌しつつ考慮していきたい、こういう答弁をしたわけです。これはどういうことですか。やるのですか。
  60. 真島健

    ○真島説明員 私どもの扱っておりますバス、タクシーその他交通関係の運賃の改定に際しての問題だと思いますが、先生のおっしゃるとおり、最近の物価の状況その他から、道路運送法の第八条にも利用者の負担を考えて運賃をきめるようになっております。そういう意味で、タクシーにつきましては、現行制度上各陸運局長が認可権限を持っておるわけでございまして、私どもといたしましても、各陸運局長が当該の権限を行使するにあたりまして、消費者の意向、こういうものを反映するように努力するようにということは申しておるわけでございまして、局長がそういう発言をしたといたしますれば、当然消費者の方々の御意見を十分に聞いてやっていくということになるかと思います。
  61. 井岡大治

    井岡委員 まあ苦しい答弁ですから、追い打ちをかけようと思いませんけれども、聞こうと思っておったら、先に閣僚会議か何かできまってしまったのでしょう。ですから、そういうときには大臣に、タクシー料金はこうなっていますよ、局長はこういう答弁をしていますよ、だからそういう機関というものをやはりつくらなくちゃいけませんよ、あなたはかってにきめてはいけませんよというくらい、あなたは注意してやらなければいかぬと思うのですよ。そうでないと、かってに先にきめてしまうから問題が起こってくるわけなんです。これは法律違反ですよ。
  62. 真島健

    ○真島説明員 ただいまの御意見でございますが、不勉強でございまして、実は現地局長がそういう発言をし、なにをしているということは、いま初めて伺ったようなことでございまして、今後そのようなことがないように、現地の陸運局長にはあらためて注意を喚起するつもりでおります。
  63. 井岡大治

    井岡委員 局長だけじゃないのだ、大臣が悪いんだよ。これは大臣が先にきめたんですよ。だから、この点は大臣にも十分注意をしておく必要がある。そうでないと、大臣は法律違反ですよ。だから、この点だけを注意しておきます。  それで最後に、これは保税倉庫の問題ですけれども、保税倉庫が蔵置期間が二カ年になっている。ところが、二カ年を過ぎると、通関後は営業倉庫と同じになって幾らでも蔵置することができる、こういうことになっているわけです。だから、この問題もわれわれ流通問題の中で倉庫という問題で取り上げておりますから、ここであえて深くお尋ねしようとは思いませんけれども、この点は変える考えはありますか。
  64. 松本克也

    ○松本説明員 私どもの担当しております関税法におきましては、保税倉庫に輸入通関後の貨物を蔵置しておくことにつきまして、関税法の実施、関税の徴収あるいは関税手続の適正な処理という観点から障害があるというふうに認められるような場合には、これを排除することができるわけでございますが、そういうような事態に立ち至っていないとき、通常の経済状態のような場合におきましては、輸出入貿易取引の円滑な実施というような観点から、やはり倉庫の機能そのものが備蓄でございますので、これを一定の期限を設けるということはいかがかという気がいたしております。
  65. 井岡大治

    井岡委員 至って微温的なことを言っている。これは私たちは倉庫問題でやるつもりですから多くは言いません。しかし、主としてこの種の問題は、いわゆる輸入食品の問題なんです。  ことし一月二十九日、委員長をはじめ私たち、横浜の保税倉庫を見たわけです。そうすると、ある食品で昭和四十六年、日も忘れませんよ、十月十二日の食品が依然として眠っていたのですよ。私は見に行ってびっくりしましたよ。物が足らぬといってやかましく言っているときに、保税倉庫の中に昭和四十六年十月十二日入った品物が、昭和四十九年一月二十九日にまだ残っている、こういうことです。だから改善をするよう、この種の問題は私は主として輸入食品の問題をさして言っているわけですから、こういう点を十分考えてもらいたい。このことだけ申し上げておきます。  これで終わります。
  66. 平林剛

    平林委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。石田幸四郎君。
  67. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 経企庁長官にまずお伺いをします。  きょうの新聞を見ますと、労働大臣が、現在の物価安定に対しては、いわゆる食料品の安定供給がそのかぎを握っているのではないかというようなことを、総理に進言をしたということが報道されておりますが、私どももこのインフレ下におきまして一番大事なのは、やはり食料品の安定供給だと思うのでございますけれども、この点について経企庁長官はどういうふうにお考えになりますか。
  68. 内田常雄

    ○内田国務大臣 労働大臣の言うことと同感でございます。   〔委員長退席、井岡委員長代理着席〕
  69. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そこで、先ほど来井岡委員から、物価問題あるいは物流問題について、先般の視察に基づいた質問がるるあったわけでございますけれども、この食料品の安定供給の問題について、私は前々から非常に不審を抱いておるわけでございますが、いわゆる低温倉庫とかあるいは冷凍倉庫、そういうものが一つ価格調整機能を果たしておるわけでありますね。しかしながら、そういうようなたてまえにはなっておるのでございますけれども、いわゆる業者の側に片寄った価格調整機能になっているのではないか、こういうふうに私は感じられてならないわけでございます。いま井岡さんからも、四十六年十月十二日のそういった商品が倉庫の中に入っておったというようなことが言われましたけれども、そういった点を見ても、業者がもうけるための調整機能を果たしているのであって、一般庶民に対しては、多分に高価格安定というような形で機能しているのではないか、こんなふうに私は実は考えておるわけでございます。  そういう意味におきまして、確かに物流全般を調整する必要から、そういうような冷凍倉庫、低温倉庫等が必要だと思いますけれども、そういった現状にかんがみて、むしろ業者側の調整機能だけではなくて、たとえば国もしくは地方自治体、私は地方自治体がいいと思うのでございますけれども地方自治体あたりに食料品に関する物価調整機能、いわゆる低温倉庫なりあるいは冷凍倉庫なりを持たして、そしてたいへん価格の安いときにいろいろなものを仕入れて、そして高くなればそれを調節的に市場へ放出をするというようなことをやれば、大都市はかなり資力もありますし、政府の応援さえ得られれば、そういう調整機能を果たすことができるのではないか。そういう形のほうが一般消費者にとってメリットがあるのではないか。現在のこういった倉庫関係の機能というものは、多分に業者寄りに片寄っていると私は思うのですが、その点の見解も含めて、そういう方法はとれないものかどうかお伺いをするわけです。いかがですか。
  70. 内田常雄

    ○内田国務大臣 石田さんが御心配するような事態が、冷凍とか冷蔵倉庫の施設によって生じてはならないと私は思います。  ただ、生鮮食料品などにつきましては、魚でございましてもくだものでございましても、とれる時期にはとれ過ぎる、またある時期には、天候の関係等で全くどれないというような時期的な需給を調整するためには、御承知のように、政府助成してこれらの冷蔵、冷凍施設というものをつくらしておるわけでありますが、それが業者のほうの利益をあげるために、そういう面においてのみ活用されるということであってはならないと思いますので、これらの施設の運営に関する指導については、農林省なりその方面に十分しっかりやってもらわなければならないと私は思います。  ただ、お説のように、地方公共団体にそれらの調整の機能を与えることは、これは軽々にいいともいえない面がある。これは冷凍、冷蔵の対象になるような生鮮食料品というものは、産地及びかなり離れた消費地なども含む、相当広範囲な物資を対象といたすものでありますから、当該施設のある地方公共団体が、その地域のことだけを考えてそれらの物資の出し入れの調整をするということは、これまたいかがだろうかという面もございますので、農林当局などにお説のあるところも十分研究をしていただきまして、そしてこれらの施設の目的を十分達成するような処置をとらなければなるまいと思います。
  71. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 恐縮ですが、農林省の森さん、いまの問題についての御答弁をお願いします。
  72. 森整治

    ○森説明員 これは重要な御指摘だと私、思います。ただ、ちょっと恐縮でございますけれども、大臣の御説明の前に私、実態をちょっと申し上げたかったのでございますが、いろいろ冷蔵といいましても目的がございます。生鮮食料品ですから品質保持というのをまず第一に考える。それでたとえば産地で、先ほど申しましたレタスを予冷してずっと持ってくるということ、そういうのもございますし、それから冷蔵庫によりまして、大臣申されました需給調整、産地で大漁、豊漁があって魚を需給調整するというような目的でやっているのもありますし、それから集配の中継地でそれを需給調整やっているのもあります。それから消費地で需給調整をやっている性格のものもございます。  先生の御指摘のようないまの観点から申しますと、すでに私ども消費地で、実はことし東京、埼玉に野菜の冷蔵庫の補助をいたしております。これはやはり先生指摘のように、むしろ物価対策という見地から、持っておりましてそれを放出する。そのたとえば貯蔵に耐えるものでいいますと、タマネギなりバレイショなり、これにつきましては一番性格的に合うのではないだろうか。それから魚についてもそういう計画がございます。これは一応公益法人でやるという考え方で予算がことしはついております。  それから、もう一つ申し上げたいのは、野菜価格安定基金というのがございます。これは消費地も入っておりますし生産者も入っておりますが、一応これは物価安定ということから、価格が高いときに冷やすためにあらかじめ持っておくということを、野菜の基金というところでやっておりまして、またその基金自身が冷蔵庫を持ってその調整をやりたいということもございます。それからもう一つ、これは御承知と思いますが、畜産振興事業団、これがやはり買って上値で押えるというようなことをやっておるわけでございます。  したがいまして、需給調整といいましても、確かに先生指摘のように、何か底上げのためにやられるのじゃないかという御不安も、間々運営主体によってはあろうかと思いますけれども、それぞれの目的によりまして、私どもやはり性格も、御指摘のような点も考えながら、特に物価対策というか物価安定、高値押えというような観点からも施設助成をやっていくべきではなかろうか、こういうふうに考えております。一律に何かいけない、かにがいけないというよりも、品質そのものにつきましての問題がございますから、やはりそういうものは、流通上先生も否定されておりませんように必要でございますが、要するに、産地なり消費地なりそれぞれの目的に応じた施設整備ということが一番必要なのではないだろうか、私どもそういうふうに考えておるわけでございます。
  73. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一回森さんにお願いをしたいのでございますけれども、いま申されましたそういう機能というのは、産地、消費地というふうにそれぞれ需給調整をする必要があるわけでございますけれども、産地といえば、いわゆるそういった水産あるいは農業者、本来そういう方面にどうしても片寄ってくるという機能です。それから消費地においても仲買いとかなんとか、そういう業者に片寄っているところにやはり一まつの不安、いわゆる心理的な問題としてそういうふうに消費者は見ておるわけであります。  その心理的な不安を解消するためには、いわゆる地方自治体などというのは、県知事にしても、大きい都市ならば市長にいたしましても、そこの消費者代表という立場がありますので、確かに多種品目ありますから全部とは私は申し上げておるわけじゃないわけで、ごく限られた品目でもいいから、そういうような調整機能を持たせる必要があるのではないか。機能として消費者側に立つ機能というものが、明快にもう一つ必要なんじゃないだろうか、こういうように申し上げておるわけです。もう一ぺんひとつ。
  74. 森整治

    ○森説明員 助成の目的として、そういう立て方をして施設整備をはかっておる先ほど申しました事例もございます。私ども、確かに先生の御指摘の問題、絶対に否定はいたしません。むしろ逆に、いま申されましたようにある程度頭を冷やす、相場を冷やすということの機能のものとしての冷蔵庫の助成、そういうものも消費地側において、消費者側サイドにおいて考えてまいりたいと思います。
  75. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 長官にもう一つお伺いしたいのでございますけれども、いわゆる食糧の自給率の問題でございますけれども、日本は非常に低い。お米を除いたら七%程度だということがいわれておるわけですね。経済政策の今後の方向としては、やはりこれからの世界的な食糧危機という問題も考えなければなりませんので、その経済政策の柱として、従来もいろいろな角度から取り上げてきたでしょうけれども、そういった穀物類の自給率を大幅に高めていくのだということを、経済政策の柱として明確に打ち出さなければならぬと思うのですけれども、これは来年度の経済政策の方針の中に入りますか。
  76. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私ども、同じ心配を持つわけでございます。申すまでもなく、米だけは需要に対して必要な供給量は確保できるわけでありますが、麦とか大豆とかいうようなことになりますと、かつては三〇%以上自給があったものが、今日では御承知のように四、五%しか自給はない。飼料などにいたしましても、穀物飼料などになりますと、これまたコウリャンでもマイロでも数十%も輸入にたよっておる。こういう状況でございまして、油に対する問題ばかりでなしに、これらの食糧、飼料についての不安があるわけでございますので、このことは、ことしの新年に経済企画庁長官としての私の経済演説の中でも、この食糧についての自給あるいはある程度の備蓄政策などに思いをいたすべきことを、実は述べておいた次第でございます。  でございますから、四十九年度におきましては、いま申し述べましたような大豆とか小麦とかあるいは一部の穀物飼料などにつきましては、それの生産の助成金を出すような若干の予算をも組むようになりましたし、現にまた農林省は、裏作とかあぜ作とかいうようなものも、これらを奨励するようなことになってきておりますので、私は、日本の国土の状況におきまして、それらの食糧あるいは飼料の全部あるいは大部分を自給するということは、これは不可能であることは申すまでもないと思います。日本の耕地面積がいま六百万町歩近くあるわけでありますが、食糧や飼料を完全に自給するためには、その上に八百万町歩、八百万ヘクタールの耕地が要るという計算を農林省が出しておるわけでありますが、そういうことは全く不可能でありますけれども、しかし、従来のような国際分業論あるいは国際生産費説にとらわれて、足らぬものは外国からみな輸入するんだということだけではいけない面を生じておると考えるものでございますので、その辺の政策の調整をさらに進めて詰めていくべきだと思います。
  77. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、その問題は視察のところをちょっとはずれてまいりますのでやめにいたしまして、中小企業庁がお見えになっておりますので、流通センターの問題についてお伺いをするわけでございます。  先般、東大阪流通センターを見たわけでございますが、そのほかにも札幌にも物流センター、そういうものが計画されている実情を見てまいりました。あるいは名古屋等にもそういうものがあるわけでございますけれども、そういう流通センターの中の状況を見ますと、いわゆる特定企業が入っておって、業界全体から見ますとごく一部分にすぎないのではないか。そういうところに多額の市費や国費を投じてやっていらっしゃるわけでございますけれども、そこら辺に対する業界の反応はどうなのか。ほんとうに業界全体としてこれを歓迎し、あるいはそこへ入れない方々が不満を申し出られるような状況はないのか、そこら辺との関係をお伺いします。  もう時間がありませんから、もう一つ運輸省のほうにお伺いいたしますが、同じこの物流センターの問題でございますけれども、いわゆる都市交通にとりましてもこの流通センターは非常に大事な問題でございまして、それぞれ各都市の都市交通のためにメリットがあるからというようなことで、こういったことが計画されているのだと思うのでございますけれども、具体的に各都市にとって、大都市にとってメリットがあるということを数字的にあらわすことができるのかどうか。  それからさらに、私は名古屋でございますけれども、名古屋のほうは港湾のほうにいま流通センターが二つ計画されておるわけです。これは、港湾関係はたいへんな交通量の問題で、騒音、それから排気ガス等の問題で大問題になっているわけです。特に大阪から四日市を通過して、そして名古屋を通過して東海道へ入っていくというところでは、騒音問題がたいへんなことになっているわけです。そういうふうなことも十分計算をされておるのかどうか。私はその点は非常に不安に感じておるわけですが、その辺のところも兼ねて、中小企業庁と運輸省のほうからお伺いをしたいと思います。
  78. 河村捷郎

    ○河村説明員 現在、おっしゃいますように全国で九十六の卸団地、繊維シティー等をつくっておりまして、それはほとんど全部中小企業の卸団地の集まりでございますが、はっきりした数字は覚えておりませんが、その中で三、四%ぐらいは中堅企業が入っているようなことも聞いております。しかし、その団地の中で、そういう中堅企業が入っていることによっての不満というものは全然聞いておりません。むしろ中小企業側のほうから、中堅企業のほうも一部入ってほしいというような声は聞いておりますが、われわれの指導としては、振興事業団の高度化資金貸し付け等にあたりましても、これはできるだけ、中小企業のための施策でございますから、中小企業の集まりということをあくまでもわれわれは理想にしておるわけでございます。不平不満は聞いておりません。
  79. 真島健

    ○真島説明員 お答えいたします。  私ども自動車の担当をいたしておりますので、全体の物流ということになりますとちょっとずれるかもしれませんが、物流の量の、輸送トン数で申しますと九〇%近くが自動車であるということから、当然物流センターの問題等についてはいろいろ考えて、日本自動車ターミナルをはじめ、各地の物流センターについて計画を進めておるわけでございますが、つくりました暁に、つくらなかった場合と比較して、一体都市交通の混雑なり何なりにどれだけ寄与したかというのは、仮定の問題になりますので、数字的にはなかなかお示しすることがむずかしいかと思います。  ただ、たとえば東京の場合につきまして、日本自動車ターミナルができましてから相当の時間がたっております。ある程度前提を置きまして試算をするということは可能かと思いますので、とりあえず東京関係について、いま数字を持ち合わせていないわけでございますが、御報告は後ほどいたしたいと思います。  それから、名古屋の物流センターの構想の問題でございます。これにつきましては先生承知のとおり、流通業務市街地の整備に関する法律ということで、経済企画庁、農林省、私ども、建設省というようなところがいろいろ御相談をいたしまして、名古屋については大体三カ所くらい要るのではなかろうかというようなことを四十七年にきめたわけでございまして、そのうち、現在具体化をし始めておりますのが、港区港陽町の地区の場所だけが一応きまりまして、現在土地買収を進めておるという状況でございます。  いずれにいたしましても、今後の都市交通あるいは高速道路周辺の騒音公害の問題、こういうような問題も、先生指摘のとおりこれから具体的計画に移ってまいりますので、こういうことも考慮に入れて計画を進めるようにいたしたい、このように思っております。
  80. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは要望いたしておきますが、建設省の道路計画等と十分かみ合わせた上で建設をしていただかないと、一時的にも大混乱になるのではないかと思いますので、この点を要望して終わります。
  81. 井岡大治

    井岡委員長代理 平林剛君
  82. 平林剛

    平林委員 委員各位のお許しを得まして、私からも若干の質問をいたしたいと思います。  当面する物価問題にはいろいろございまして、来年度の経済見通しとか、最近話題になっております、来年の三月までには物価を一五%に押える問題であるとか、あるいは独占禁止法の問題、灯油の標準価格の問題などいろいろございますが、これは、明日各委員の質問が予定されておりますから、私はこれを割愛をいたしまして、通告をいたしております三つの問題について取り上げたいと思います。  その第一であります。先ほどの質問にも関連をいたしますけれども物価が上がりまして、総理府統計局から物価指数が発表されました。しかし、これが非常に生活実感と合わないという点は、先ほど御指摘があったとおりであります。大阪消費者代表をはじめ各界の代表と懇談をしたときも、この点が強く指摘をされておりまして、物価上昇生活実感と統計局の生活実態とにはギャップがある、こういう点についてお尋ねしたいと思います。  国民生活白書を読みますと、経済企画庁の物不足調査の中で、過去一年間に物価が二倍以上上昇したと感じている人が三六%もあるんだという話が書かれておるわけでございまして、先ほど政務次官は、指数作成上の技術の面からくることと、必需性が強く購入頻度の高い物資に著しい高騰があったからこういう結果になったんだとお話がございましたけれども、どうも私はこれだけではないように思うのであります。  そこで、こうした問題につきましては、私は物価統計の改善をはかるということが必要だと考えるのでございますけれども経済企画庁長官はこの点について、国民生活白書をお出しになってその中で指摘をした問題として、それではそのギャップを埋めるためにどういうことを考えておるか、このことをまずお尋ねしたいと思います。
  83. 内田常雄

    ○内田国務大臣 平林さんのお話は、私などもしばしば耳にすることがございます。これは、卑近なことを申し上げて恐縮でございますが、私のところの家内でも子供でも同じように感ずるようでございます。ということは、消費者物価指数というものは、私の承知をいたしておりますところでは、数千のいろいろな家計の支出を対象といたしまして、その中で支出される物品なりあるいはサービスなりのウエートをきめていくわけでございまして、したがって、その中には日常の生活必需品もあれば、あるいはまた耐久消費財もあるわけでございます。また家計の大きさによっても、それらの支出のウエートは違うわけでございますが、しかしそれを、あれはマーケットバスケット方式というのでございましょうか、全部総括をいたしまして、各支出項目、これは四百数十項目あるはずでございますが、それらのウエートをきめてまいりまして、毎月それらの四百数十の物品の価格あるいはサービスの価格上昇というものをそのウエートに掛け合わせて、そして締め上げたのが消費者物価指数になるわけであります。  ところが、各家庭におきましては、耐久消費財というものはもちろん毎日、毎月買うようなことはございませんので、毎日主婦などが感じますものは、日常の生鮮食料品などが当然多いわけでございまして、そういうものはかなりその値段が上がったり、また下がる場合もありますので、その値段の上がった印象というものが、いつまでも家庭の主婦には残るようでございます。また、耐久消費財などの値段が量産その他で下がりましても、その月にそういう耐久消費財を買わない家庭は、下がったという実感は全くないことにもなりますので、その辺を総合をいたしまして、物価指数というものが、各家庭の家計担当者の実感とかなり離れているというようなお気持ちになると思います。  もう一つは、物価指数そのもの、物価なりあるいは料金の値上がりそのものよりも、今度は全体として物価は値上がりするけれども、収入はそれほどついてこない。これはことしの春など相当の給与所得者のベースアップもございましたが、それまでに至る間は物価上昇に収入が食われて、実際の実質支出額というものは、実質家計の消費というものはマイナスに落ち込んだというような月も、ことしの初めなどにはあったことは御承知のとおりでございますが、そういうことから、物価の動きだけでなしに、家計の苦しさというものがまず先にだれでも感ずるわけでございますので、それが物価指数の動きを見た場合に生活実感とかけ離れる、こういうことにも感ずるようでございます。  さらに三番目には、これも平林さん御承知のように、いま申しました四百なり五百なりの支出対象の組み合わせ、それに取り込んである物品の種類なりサービスの種類、あるいはそのウエートなりというものは、五年に一ぺんずつ編成がえをすることになっておりまして、昭和四十五年の編成の上に乗っているのがいまの消費者物価指数でございますので、今日の家計消費の型と違っている面もかなり出ているのではないかと私は思います。ちょうど来年がその物価指数の再編成の時期でございますので、そういう際に、いま私が述べましたようなこと、これはまあ総理府の統計局でやることでございますが、政府の各方面で気づいているようなことも取り入れまして、新しい消費者物価指数の編成の土台というものをつくることになりますので、そういう際に、なお十分の改善をいたしたいと思います。  ただ、消費者物価指数というものは、日本だけ、またわが政府が、物価上昇があってもあまりないように見せかけるためにつくっているというものでは全くございませんで、これは全く客観的の資料としてつくるものである上に、また国際的にもそれぞれの約束や打ち合わせがございまして、国際比較もできるような仕組みになっておるはずでございますので、日本の国だけ国際的な話し合いをはずれたものをつくるということにもなるまいと思います。その辺、私も承知をいたしておりますので、総理府の統計局のほうにもお説のあるところなどはさらに伝えまして、国民から信頼が得られるような、いまの物価指数は決してうそではございませんけれども、同感が得られるような物価指数をつくっていくということは、必要であろうと考えます。
  84. 平林剛

    平林委員 総理府統計局がおりますから、お尋ねしたいと思います。  私は、先ほど、国民生活白書で分析しただけではない要素が、実際上のギャップを生んでおると申し上げたわけでありますが、いろいろな方の御意見を承っておりますと、やはり四十五年度でやった品目であるから、その数が最近と違うのだというだけで、数をふやすだけでは解決できないのではないか。従来はそういうことをやってきただけに終わっていた、こう思うのであります。最近意見が出てきておりますのは、たとえば住宅とか土地の購入費は指数項目からはずれているという問題社会保険料の問題についてもやはり十分反映していない、保険医療の問題についても、差額ベットとかあるいは歯医者さんとか正常な分べん費までが除外されているというふうに具体的な欠陥などについても指摘がされておるわけでございます。  そこで、五十年度からは改めるというお気持ちであるならば、そうした問題にはどうこたえるのか、総理府統計局のほうからひとつお話しをいただきたいと思います。
  85. 川村皓章

    ○川村説明員 お答えをいたします。  ただいま先生からいろいろ御質問のありました点は、まことに適切な御質問であろうかと思います。特にいま経済企画庁長官がお答えいたしました問題は、現在の物価指数が置かれている位置を実はきわめて絶妙にお答えをいただいております。その辺の総論から多少申し上げさせていただきます。  いま物価指数というのは、確かに毎月一回発表されて、ある意味でいまのけわしい物価情勢を一つ指数であらわすかっこうでありますから、それだけに注目もされ、いろいろ注文もつくわけでございます。先ほど内田大臣が、一つは、指数というものが一つ指数という形であらわさなければならない関係上、やはり個別の世帯の状況と全体の平均世帯との関係のいわば差が出てくる問題、それから各人が購入する頻度の問題と、実際の全体がどのくらいの頻度で買っているかという問題との差の問題、それから生活費の質の向上と価格の向上というのが比較的感覚的には一緒になって論じられるという問題まあ大まかに三点あると思いますが、その辺で実態的にはいろいろ御批判があることも承っております。  ただ、これは物価指数そのものが、一つの尺度として、直接家計に影響する物価の変動をたまたま一つの数値であらわさなければならないという一つの宿命から、実は起こっております。だから逆に申せば、実際にこれをごらんになる立場からいいますと、その月々の変動をもう少し的確にあらわす方法はないのかという御注文は、前の月から今月がどう上がったかというのもこの指数に依存されますし、極端に言いますと、ずっと昔からの変動はどうかというのもこの一つ指数に負わされてきますし、またさらに国際的な関係では、それを横並びで見れないかという問題も、実はこの一つの数値にかかってくるという問題で、いろいろ実態からの問題が出てくると思います。  私どもは、いま先生がいろいろ御指摘された問題は、特に現在が四十五年を基準にした指数であらわされるという問題であろうと思いますが、これは確かにある時期を基準にしないと指数は出ないという関係で、四十五年を基準にいたしております。これはまた国際的な関係もございます。たまたま五十年は基準時改定でございますから、その辺の問題は、技術的に現在の消費の実態とどの程度合わせるかという問題で検討をいたさなければならないと思っております。  ただ、先ほど社会保険料等の問題が出ましたが、これは現在までのところ、いわば税金等と同じく消費の支出ではございますけれども、その中で、それを納めることによって各人の家計に返ってくるという問題は、出したものと直接に関連がないという性格でございますから、支出の中では非消費支出という形をとりまして、家計に直接影響する価格変動としては、この指数には算入しておらないという問題がございます。この辺の問題は、いろいろ実態の変化等に合わせて、五十年の基準時にはそういう問題を含めて検討するということは、お約束できると思います。
  86. 平林剛

    平林委員 解説はあまり要りませんから、答えだけを出してもらいたい。  というのは、いまお話がありまして、来年度はいま指摘したような問題も含めてやるということですが、総理府の中だと思いますが、統計審議会というのがあるわけですね。統計審議会は物価統計の改善について昭和四十二年に諮問を受けたのだけれども、まだ結論を出していない。答申をしていない。これはなぜなのか。少なくとも来年おやりになるというならば、いま国民生活のことを考えたときに、来年度一五%にするとか二〇%にするとか、国民実感から離れた政治をやって、肝心の統計が、これではやはり国民生活の指標にはならない。そういうことから見ると、統計審議会にまかしておいたのではだめじゃないか。これはやらなければいけないということであれば、何か特別の機関をつくるつもりがあるのかどうか。これは経済企画庁が先導してやるのか、総理府統計局が先導してやるのか。とにかくさっきのお話を聞いておると、各方面の意見を聞いてやることを期待しているなんということを言って、行政管理庁だか経済企画庁だか総理府だかわからないような話。責任をちゃんと明確にして、統計審議会がやるならやるで、いまのままでは私はだめだと思う。そうしてその中には、少なくとも消費者やあるいは学者、そういう人たちの代表も含めてやるというような気がまえでやっていただけるのですかどうか、この点をひとつはっきりさせていただきたいと思います。
  87. 川村皓章

    ○川村説明員 ただいまの御質問の関係でお答えを申し上げますと、現在、統計審議会は行政管理庁についております。したがって、行政管理庁も総理府の外局でございますから、広い意味では総理府の機関ということになります。  ただ、統計審議会は現在、学者の方々と統計の生産に当たる者と統計の利用に当たる者と、おおむね三者の構成で実はでき上がっておりまして、その答申が出ないということではございませんで、しばしばそういう面ではいろいろ行政管理庁長官に答申を出しております。その意味物価統計についても御審議をいただき、その意味での答申もいただいており、いままで数々の改善もそれでなされてきております。  それからまた、経済企画庁のほうは物価安定政策会議というものもございまして、ここからも、いわば現在の物価情勢を的確に反映するために、物価統計についてもこういうふうにしたらいいじゃないかというような改善の御提案も、四十五年か何かにいただいております。それに基づいて、ある部分で手直しもすでに四十五年の改定でやったものもあります。ただ、その問題は全部それで終わったというわけではございませんので、それらの御意見によって、五十年の改定には、それらの中でできるだけ御注文に応ずべく、技術的に可能な範囲でやっていくべきだと思っております。
  88. 平林剛

    平林委員 私は、やはり現在の統計の問題については、国会の中においてもできればこうしたものを研究してアドバイスしながら、国民の考えを含めながらやっていくというようなことをやったらいいと思っております。政府自体一つの特別の機関を設けまして積極的にやりませんと、われわれが経済や国民生活の実態を考えるときに、指数そのものに、まあ政府は信頼できるといっているけれども実感としては非常に食い違いができているときでございますから、真剣に政府においても検討することを要望しておきたいと思います。  同時に、大阪懇談会のときにこういう意見がございました。一般論としてはいいのだけれども、もう一つ今度はこまかく分けて、たとえば生活保護世帯というものだけを取り上げて、それが去年からことしにかけてどういうふうになったかというような問題、あるいは老人の世帯というものを考えまして、老人に要するところの経費が、去年からどの程度どういうふうに上がったかというようなことを指数としてあらわすようなくふうだとか、つまり個別の、ある程度今後の社会政策を行なうにあたって必要なデータ、そういうきめのこまかい統計をとることによって補充していくようなやり方を考えたらどうかという意見がございました。非常に貴重な意見であった。ことしの国民生活白書に一部ではありますが資料は出されておりますけれども、たとえば生活保護世帯指数を、国民生活局長、あなたのほうで出したところが、実は厚生省のほうから横やりが出て、それは削ってしまうというような話も私の耳には入ってきておるわけであります。こういうようなことでは国民生活実感というものと統計によるものとが、ほんとうに信頼していくというようなことにはならないと私は思うのでありますが、こういうきめこまかい統計についても考えるというお考えがあるかどうか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  89. 内田常雄

    ○内田国務大臣 実は、私も同じことを考えたことがございます。それは、たとえば厚生省が生活保護基準を引き上げたり、あるいはまた施設措置費などをいじる場合に、一般の一つしかない物価指数の動きをアプライすることがいいか、あるいはそれぞれ行政目的に合ったような家計費の動きというか、家計支出の動きをつくったほうがいいかという問題があると私は思います。しかし、それを毎月必ず発表できるかどうか、いろいろな統計局がつくられる資料から、それぞれの政策目標に応じて、そして厚生省は厚生省の行政目的に合うようなものをつくられて、厚生省の月報とかなんとかというものもございましょうから、そういうものに発表される。あるいはまた農林省にいたしましても、生鮮食料品などについての値動きとか、あるいは家計支出の状況とかいうものを重点にした編成をする、こういうことになるのではないかとも思います。  さらにまた、所得といいましても、すでに御承知のように所得五分位というのでございましょうか、十分位というのでございましょうか、それらの五分位なり十分位なりに応じて、その家計支出の構造が違うわけでございましょうから、そういうものはまたそれなりに編成することを、それぞれ私どものほうで生活白書をつくるときにやるわけでございますけれども、そういうようなことをそれぞれの行政官庁がやるようにしたらいかがかと思う点もございますので、検討をさせていただきたいと思います。
  90. 平林剛

    平林委員 時間もございますので、第二の問題に入りたいと思います。預金金利の〇・五%引き上げの問題についてであります。  私は先般の当委員会におきまして、インフレによる目減りという問題から考えてみて、インフレで損をした人たちを損をさせるままではいかぬ、やはりわが国の経済でいま一番問われていることは、インフレで得する者と損する人がある、そういう者が、特に得する者がある間はインフレというものはおさまらない、こういう趣旨から金利の問題を取り上げたわけであります。具体的に私は、マル優の個人預金を対象にして、預金の金利を一〇%に引き上げよという提案をいたしたのでございます。  私は、マル優を対象にして一〇%に預金金利を引き上げるということは、各金融機関の経理状態から見ましても実行可能である、こういう結論を出したわけでございます。私は大蔵省にもおおよその試算をしていただいたのでございますけれども、たとえばマル優全般を一〇%に引き上げるというために必要な諸経費はどのくらいかという試算を出してもらいました。私自身も検討してみました。都銀関係では、現在の平均利回りを六・六四%として二千百六十億円必要である。これは昨年度の経常利益の四二・四%に当たる。地銀におきましては、平均利回りを六・九六にいたしまして、一〇%にするためには千七百二億円必要である。これは四十八年度の経常利益に対して四三%である。半分の経常利益を吐き出せば一〇%の預金金利は可能である。相互銀行はやや高くなりまして、平均利回り六・六八に対して千八十二億必要でございますから、経常利益に対しては七四%。信用金庫においては、平均利回り六・九四といたしまして千二百四十四億円を必要とするから、経常利益の六六・五%という数字が一応はじかれております。  しかし、私はこれを検討してみまして、平均利回りを、それぞれいま申し上げましたけれども、現行の実際の利回りと比べますと低目に押えてあります。その結果、負担増、ただいま申し上げました銀行が負担すべき金額は大き目に出ているということをまず注目しなければなりません。二番目に、こうしたマル優でも一〇%に金利を引き上げるということになりますれば、当然預金量の増加ということが期待できるわけでございます。ところが、銀行経営のこうした面の利益増は計算しておりません。第三には、預金金利の負担がふえたということを理由にして貸し付け金利というものが少しずつ上がっております。これは計算してありません。第四には、マル優の残高が私の手元にございますけれども、マル優の残高も多く見積もられているという傾向にございます。これらのことを考えますと、先ほど私は四十八年度の経常利益を都銀、地銀においては四二、三%吐き出せば一〇%ができるとこう言いましたけれども、もっと少なくてもできる、こういう試算を実はしたわけでございます。  これを提案をしました。ところが、大蔵省はさきに発表されましたように〇・五%を引き上げるという措置をとられましたけれども、これはどういうわけなのか。それから、なぜそんなことを聞くかというと、この処置によって、各金融機関の年間負担増加額は幾らと試算をしてこの措置をとられたか、これをお伺いしたいと思います。私は自分でも計算したものがあります。ありますが、これはこの結果各金融機関の年間負担の増加額は幾らと試算をして〇・五%になったのか、これをひとつ明らかにしてもらいたい。
  91. 後藤達太

    ○後藤説明員 非常に御専門的な御指摘でございますので、私からお答えさせていただきます。  マル優につきまして一〇%の金利をつけた場合にどうなるかという計算は、ただいま先生指摘のようなことで私ども計算をいたしてみました。これは総括的に見ましてたいへん低目ではないか、こういう御指摘でございます。その点につきましてまずお答えを申し上げたいと思います。こういう計算でございますから、いろいろの仮定を置きまして計算したところがございますので、計算方法等につきましてなお勉強すべきところがあろうかとは存じますが、ただいま御指摘の点につきまして若干申し上げさせていただきます。  一つは、マル優の残高をそのままもとにいたしまして計算をいたしております。これは特に低目に出したつもりはないのでございますが、ただ、これが低目ではないかという点につきましては、実は一〇%という金利をこしらえました場合には、これはわが国の現在の金融資産の中では飛び抜けて一番高い金融資産に相なるわけでございます。したがいまして、他の金融資産からのシフトというものがどれくらいあるかというのは、ちょっと計算はできないのでございますが、その点は特に織り込んではございません。したがいまして、これはむしろふえる要素であろうかと存じます。  それからその他の点につきましては、利回りの計算がむしろ低目ではないかという御指摘がございました。これは実績をとりまして定期性預金の平均利回りを出したものでございまして、これは定期預金の中に御案内のようにいろんな種類がございますので、現在のパターンで計算をいたしたわけでございます。これがもちろん最高に全部なっておりますれば、改定前で七・五、改定後では八%になっておるわけでございますけれども、いろいろな機関別の種類がございますので、実績はこういうパターンになっております。このパターンが変化するかどうかという点は、これもなかなかいろいろな前提を置いた計算になりますので、正確に私どもいたしておりません。おりませんが、実績をもとにした計算でございます。そういうようなことでございまして、なかなか正確には計算できないところでございますが、前提を置きました計算はこういうことで、私どもこれは特に低目に出ておるとは考えておりません。ただ、計算方法につきましては、なお勉強すべきところがあるかと存じております。  それから、〇・五%の定期預金の引き上げをいたしました。これにつきまして、どのぐらいの負担になるかということでございますが、これから先の預金の増勢等が、これもまた推定になりますので、なかなか正確に申し上げられません。したがいまして、四十八年下期あたりの実績をもとにしてはじいてみたものでございますが、それによりますと、三カ月定期等の上げ幅がちょっと小さかったというようなことの計算は正確でございませんので、ラウンドでお聞き取りをいただきたいと存じますが、都市銀行の場合に七百七十億程度、地方銀行の場合に四百五十億程度、相互銀行の場一合に、これは半期でございますが、百六十億程度、それから信用金庫の場合に三百四十億程度、こういう計算をいたしました。  下期の経常純益は、ただいま先生指摘の経常純益の約半分よりも少し多目でございますけれども、そういう経常純益と比較をしてみたものでございます。念のため割合などを若干申し上げさしていただきますと、ただいま申し上げましたような計算であるといたしますれば、都市銀行の場合に二五%程度と思います。地方銀行の場合に二割程度、相互銀行の場合に二割程度、信用金庫の場合に三五%程度ということに相なるかと存じます。
  92. 平林剛

    平林委員 私が提案をいたしましたことに対して〇・五%、その数字が明らかになりました。それぞれ金融機関におきまして経常利益を吐き出すということですから、いろいろな面に支障は出てくるでしょう。しかし、それについては先般私が申し上げたとおり、金融機関の都合だけで、あるいは経理だけを考えて、預金者が損をするということは、現在の世論からいっても許されないということを申し上げておきたいと思います。  ただ、私が疑問に思いましたのは、今度はすべてにわたって〇・五%ふやしたんですね。私は、法人の預金は、貸し出しも多いだろう、つまり融資を受ける度合いも多いだろうから、その貸し出し金利等を考えますと、現在のインフレが上昇していく中においては、それをうまく活用することによってインフレによる目減りは補っていける、あるいはお金を借りることによって仕事をし、物価上昇に便乗とは言いませんが、乗って利益を得ることができるのであるから、むしろ個人預金者を対象にしたほうが公平ではないか、こういうことを指摘したわけでございます。全部に〇・五%をかけて、ただいま言いましたような利益増を吐き出したわけなんでありますけれども、これは私は、インフレという問題によって起きる目減り、不公平という問題を是正することにならないんじゃないか。なぜ法人の預金を積極的に〇・五%ふやしたのか。  もっと聞きます。そうしておいて、最近は住宅ローンとかあるいは消費者ローンは引き上げるというのは一体どういうわけでしょう。これには矛盾はないと思いますか。この点をひとつお答えいただきたい。
  93. 後藤達太

    ○後藤説明員 先ほど申し上げました点を、最初にちょっと補足をさせていただきたいと存じます。  〇・五%定期預金を一律に引き上げました場合の計算は申し上げたとおりでございますが、なお、私どもその際考慮いたしました点は、これは数字ではないのでございますけれども、実はことしの初めに金利を一律一%の引き上げを実行いたしております。これはまだ表に全部実現はいたしておりません。期限が来まして書きかえますと上がるというものがございます。まあ徐々に実現をしていくわけでございますが、それが実はこれからかなり上がってまいる、表に出てまいります。したがいまして、その上に〇・五を乗せましたので、しかも今回は公定歩合を引き上げておりませんので、貸し出し金利は、短期金利は引き上げないという原則で考えております。したがいまして、この負担は先ほど申し上げましたよりも、なお多く出てくるというふうに私どもは考えております。  それから、法人と個人とを区別すべきではないかということでございまして、考え方としまして私どももいろいろ勉強をいたしてみました。ただ、一番の問題は、たいへん技術的なことになりまして恐縮でございますが、法人預金と個人預金とを現実に区別をするということはたいへんむずかしいことでございます。そういうことで、これは一律に引き上げざるを得ない、こう考えた次第でございます。  なお、住宅ローンの……。
  94. 平林剛

    平林委員 いいです。私は、技術上の困難はやる気があれば克服できる、こう思っておるわけです。  経済企画庁長官、お尋ねしますが、ことしの国民生活白書によりますと、こうした問題点指摘いたしまして、そして預金者の金利は引き上げるべきである、そういうものを検討する必要がある、こういう問題提起がございます。白書は問題提起だけで実行に移さないという点でかなりいろいろな批判がございますけれども、ことしの国民生活白書はその点を指摘して、今後の心がまえということを提案してございます。私は、今度の預金金利の引き上げというのは、ただいま端的に言ったわけでありまして、まだいろいろあるんですけれども、矛盾がありますし、そして、インフレによって起きてきた国民生活の不公平拡大という点についても、解消の役になっていないということから考えますと、預金金利の引き上げ、特に個人預金を対象にしての金利問題は、今後の物価上昇の問題もございましょうけれども、これで終わりであるというふうに理解をしなくちゃいけないのですか、それとも今後ともこの問題については考える必要があるとお考えになっておりますか、経済企画庁長官の御見解を承ります。
  95. 内田常雄

    ○内田国務大臣 一般論といたしまして、実は私は早くからインフレによる分配の不公正というものの是正は行なうべきであるという立場に立ちまして、金融資産がインフレによって目減りをいたす点に着目をいたしまして、これは法人、個人とかあるいは技術的な問題はすべて抜いておりますけれども、いま言うような金融資産の目減りの点に着眼をして施策を講ずべきであるという、実はあの提言を、白書以前から、内田メモといった形でいたしたようなこともございました。  また、今度の白書のことにつきまして御言及がございましたが、私は今度の白書におきましては、実態を率直に、つくろわずに述べるということによって、いい政治をする方向に持っていきたいということから、政府の部内におきましていかがかと思われる程度の記述をそのまま実は認めたわけでございますので、委員長からもそういう発言があられたわけだろうと思います。  これから先、まだ金利をそれじゃ上げるべきであり、上げる余地があると考えるか、どうするかというお答えでありますが、これは政府部内全体として、私がいま述べましたような見地から考えられるべき問題でありまして、私がここで申し上げることは困難だと思いますが、ただ、インフレといいますか、あるいは物価上昇などは最近は著しく鎮静をいたしてまいっておりますので、そういう状況から考えてみますと、私がことしの初め内田メモ等で提言した状況とは、環境がかなり変わってきているということも考えていいのではないか、かようにも思います。しかしこの問題は、さらに今後も残された問題として、私どもも検討を進めてまいりたいと思います。
  96. 平林剛

    平林委員 大蔵政務次官お尋ねしますが、ただいま私の主張はお聞きのとおりでございます。特に私は、いま金融機関というものは、大衆から預金を集めながら、大衆へ報いることの少ない金融の仕組みになっておる、そういうことから、今回の措置をもってしても解決することはないだろうと思います。来年度の経済見通しについてやや楽観的なお話がございましたけれども、私は必ずしもそうは考えておりませんで、まだ当分預金金利を上回る物価上昇は続くであろうということを考えますというと、この際、今回の措置をもってこれは終わりだということではなくて、いま経済企画庁長官も後段に述べられたように、なお検討しなければならないというように大蔵省当局としても御判断なさって、今後の預金金利の問題に取り組む気持ちがあるかどうか、その点を承りたいと思います。
  97. 大野明

    ○大野説明員 ただいま先生指摘の点につきましては、私どもも十二分に理解しておるところであり、また同時に、預金の金利につきましては、その時勢に応じまして今日までも勉強いたし、また今後も当然いたしていく所存でございます。  御承知のとおり、昨年来五回金利の引き上げ等もはかっておりますので、また今後も大いに勉強する所存であります。
  98. 平林剛

    平林委員 時間がありませんから、最後の問題について取り上げたいと思います。  これは公務員給与の銀行振り込みの問題でございます。私は、ただいま指摘をいたしました〇・五%の金利の引き上げの問題と、この銀行振り込み問題とが何か結びついているんじゃないかなという感じを実はしておるわけでございます。つまり、私の言いたいことは、この問題が表に出てまいりまして、急速に最近の新聞で報道されておりますけれども、これらを審議した経過から見るというと、その日取りをたどってみると、預金金利の問題でいろいろ国会もやかましいし、世論もやかましいから、金利を引き上げねばならぬということをおそらく銀行当局と金融機関で話し合った時期、その時期にたまたま符合するわけでありますけれども、この振り込みの問題が表に出ているわけです。勘ぐってみると、その引きかえにこんなことでも政府要求したのじゃなかろうかというような、あんまりうがち過ぎた感じでございますけれども、日にちを追ってみると大体符合するものですから、あまりにも奇妙な一致なものですから、ちょっとこの問題もあわせて取り上げたいと実は思ったわけでございます。  伝えられるところによりますと、国家公務員の給与を対象にいたしまして、これを銀行振り込みのシステムにするということでございますが、これは一体どういう理由でこういうふうになってきたんでしょうか、まずそれを伺いたいと思います。
  99. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 お答え申し上げます。  公務員の給与の銀行振り込みの問題につきましてはことしの七月の人事院勧告の際に、人事院としてはこの制度を導入していきたいという考えを述べておられるわけであります。政府としては、もちろんそういうことになることに何ら異存はないわけでありますが、せっかくそういうことを採用するのであれば、今度のベースアップの際に、年末を控えて多額の金が出る、これが景気を刺激するかどうかというようないろんな議論もある際でございますので、事務の簡素化とあわせまして、このベースアップの差額を支給する際に間に合わせたいということで、いろいろと検討を進めておったわけでございます。いまお話がございました銀行の預金金利の問題とは関係のないベースで進められてきたことでございます。
  100. 平林剛

    平林委員 景気刺激になるからというので、総需要抑制ということで考えたのですか、経済企画庁長官。
  101. 内田常雄

    ○内田国務大臣 これは人事院の勧告にサゼストがございましたこと、いま人事局長から述べられたとおりでございますが、それと同時に、平林さんも御承知のように、今度の公務員の給与のベースアップというものはかなりなものでございまして、その財源的措置にも非常に苦しむわけでございますので、政府における職員の増加というものは極力規制をする、そればかりでなしに、従前からやってまいりました線をさらに引き延ばして、三年間に何%か人員削減をする、こういうような申し合わせも閣議でいたしておるわけでございますので、特に非常に複雑になってきております公務員給与その他の支払い事務のために多くの人手がとられるということも是正したいということから、この銀行振り込みの制度というものを取り上げることに打ち合わせをいたしておるわけでございます。  もちろん、これは御承知のように、強制的ということではなしに進めてまいりますし、さらにまた、これは平林さんの言いますことをくつがえすというわけではございませんが、これは行く行くは結局郵便貯金などへの振り込みというものにも広げていかなければならないという事態も生ずる、私どももこういう認識でございます。そういう点をお考えくださる場合、銀行の金利引き上げの、それのサービスとして国がお手伝いをするというようなことでは全くございません。
  102. 平林剛

    平林委員 そうすると、これは政府の政策ですね。私は非常に重要な問題がこれにはあると思うのです。というのは、今度実施をされるのは幹部クラスだというのですね。そしてそれは給与は銀行に振り込んでしまうというわけでしょう。それで経済企画庁もやるわけですな。あなたは第一勧銀にやるという話ですが、そういうふうにきまったのですか。
  103. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私は、経済企画庁がどの銀行を選択するかは聞いておりませんですけれども政府の政策ということになりましょうか、とにかく幹部クラスを中心とした本人の同意のもとにやる、こういうわけでございます。
  104. 平林剛

    平林委員 新聞の報ずるところによると、もう経済企画庁は第一勧銀とか各省各庁はどこというのが報道されているのですよ。すべての銀行が、たとえば厚生省はどこ、運輸省はどこといってみんなきまっているように報道されておるのですよ。これはだれがきめたのですか。経済企画庁はあなたがきめたのでしょう、あなたのほうの役職員の人はここに入れろというようなことを。そうじゃないですか。
  105. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 具体的な振り込みの方法はこれから詰めていくわけでございまして、まだどこの役所あるいはどこの個人がどういう銀行を使うか、もちろんきまっておりません。  ただ、考え方としては、現在の国庫事務の取り扱いというたてまえでいたすために、各省がそれぞれ日銀の代理店を持っておるわけですが、そういうものの現在の仕組みの上に乗ってこれを実施をしたいという考えを持っております。ただしかし、その日銀の代理店が、あるいは経済企画庁は第一勧銀であるとか厚生省は何銀行であるということは、現在すでにきまっているわけでございますが、個人がどこの銀行に口座を持つかということは別でありまして、これはばらばらでもよろしいというふうに考えて、現在事務を進めております。
  106. 平林剛

    平林委員 まだこれは私は問題をあとで申し上げますけれども、もう一つ、人事院勧告に端を発しているというのですが、私は人事院勧告をずっと読んでみたのですけれども、あなた方がいまおやりになっているようなことはどこにも書いていないですよ。人事院勧告を読んでみますと、たとえば職員が休職になったような場合、それから遠隔の地に勤務するような場合、それからその他相当と認められる場合で職員の申し出があったとき、給与の全部もしくは一部、これをただ銀行振り込みの制度を採用したらどうかということなんですね。今度のように管理者全般に及ぼすとかいうようなことは、この人事院勧告の拡大解釈じゃないのですか。  それからいま、将来は郵便局まで全部をやるなんということを考えて、政策的なようなニュアンスのこともおっしゃったのですけれども、もともとの発端である人事院勧告にはそんなことは書いてない。それを拡大していくということ、これはどういうわけなんでしょうか。これは拡大解釈だと私は思うのですけれども、いかがですか。人事院勧告にはそんなことは書いてない、それをおやりになる、なぜか、こういう問題に発展をするわけでございますね。人事院勧告というのはそうでなかったというふうに私は読んでいたのですが、何か別な人事院勧告があなたのほうに来ているのですか。ちょっと明らかにしてください。
  107. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 人事院の勧告には、いまお読みいただいたとおりの表現になっておるわけでございます。これは拡大解釈かどうかということでございますが、そこに書いてありますように、そのほか本人の申し出があって合理的な理由がある場合、こういうことの中には、相当多数の人がまとまってこれを採用したほうがいいという判断になる場合には、これに該当するという考え方でおるわけでございます。
  108. 平林剛

    平林委員 私は、この問題は、結局現在管理職だけにやるというお話でございますけれども、管理職にもいろいろあるわけですねさっき言ったように、従来かりに銀行と取引がありましても、みんな違うのです。経済企画庁は全部第一勧銀にしてしまうとかいうようなことはあれだと思いますし、それからもう一つは、預金したい人も、預金しないでうちへ持って帰って使いたい人もいろいろあるものを半強制的にやるということは、これは問題があると思うのです。  そこで、この問題について、私も新聞を見ましていろいろ検討してみたのでありますけれども、非常に大きな問題であるということを指摘しておきたいと思います。  一つは、これは労働基準法に反する措置である。労働基準法の第二十四条は、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」と書いてあるわけです。これは第一項の本文であります。それを今度は銀行に振り込んで、通知してやってしまうのだ、こういうことでございますから、これは労働基準法違反である。  それから第二、憲法に違反すると思うのです。なぜかというと、労働者が自分の意思に反して、当局の指定する金融機関に預金口座を開設しなければ、賃金の支払いは受けられないという状態になるおそれがあると私は思うのです。管理者に対しての説得もたいへんですよ。あなた方は内々これは特に趣旨を話してやれというようなことを指導しておるようですね。私はそのことも知っておるのです。半強制的になるのです。半強制的になっていくということは、個人のこうした金融機関を選択をする、そういう基本的な人権に反する問題、これは一般の公務員であろうと管理職であろうと、私は、やはりそうした選択の自由というものは尊重されなければならぬという立場から考えまして憲法違反である、憲法違反の措置をおやりになろうとしておるということを指摘したいと思います。  第三には、これは人事院規則に反するのです。給与の支給というものは、人事院規則の九の七第一条の二によりますと、「何人も、法律又は規則によって特に認められた場合を除き、職員の給与からその職員が支払うべき金額を差し引き又は差し引かせてはならない。」二項には、「職員の給与は、法律又は規則によって特に認められた場合を除き、直接その職員に支払わなければならない。」こうあるのです。銀行のほうに振り込んでしまうということは、これは人事院規則にも反してくると思うのですね。  それから、先ほど私が申し上げましたように、今回のこの措置は、給与の口座振り込みは人事院勧告に基づいて行なわれるというようなものではなくて、人事院勧告にはそのようなことは書かれていないという点を考え合わせますと、これを政府においては中止をする、こういう措置をとる必要があると思うのでございます。責任者はきょうは来ておりませんけれども、これは重大な問題を指摘したわけですから、ひとつ長官お答えいただきたいと思うのです。
  109. 内田常雄

    ○内田国務大臣 平林さんがお述べになりました諸条項は、これは私は労働省でございませんから、もし間違いがありましたらばあとで訂正の機会を与えさせていただきたいのでありますが、これは平たく言うと、いわゆるチェックオフを規制した条項だと思います。しかし、今回の措置はそういう趣旨ではなしに、全く官庁における給与支払い事務の簡素化ということだけでございます。経済企画庁は第一勧銀だというお話もございましたけれども、いま人事局長お話を聞いておりますと、たまたま経済企画庁の給与支払い事務を担当する国庫金の支出の窓口が勧銀だというだけであって、日銀から勧銀に入ったお金は、私なら私が勧銀と取引がなくて、ほかの協和銀行なら協和銀行が近所にあって便利だというならば、それはそういう申し出をして、各人がそれぞれ違った金融機関を指定をして、第一勧銀からそれぞれのところへ自由にくる、こういう仕組みのように私は理解をいたしております。しかし、平林さんの演説がございましたことは、私から総理府総務長官なりあるいは労働大臣なりにもそのまま伝えて、誤解がないようにいたしてまいりたいと思います。  なお、私のほうの管理職といいますか幹部といいますか、これも私は強制するつもりは全くないわけでありまして、管理職につきましても、そのほうが便利であるからということで進めていることは念のために申し上げておきます。
  110. 平林剛

    平林委員 これは、実際の行政指導をやっている者の打ち合わせその他では、強制するものではないと言うけれども、半強制的な仕組みになって進められているのですよ。  それから、私はこれは景気の問題に関連するかと思ったのですが、あなたちょっとその趣旨をお話しになりましたが、これは全般をやるなら話は別ですけれども、これで総需要抑制の役割りになるなんという考え方はちょっとおやめになったほうがいいんじゃないかと私は思うのです。  それから、いま私は指摘いたしませんでしたけれども、これは実際にはただいま申し上げました基本的な問題以外に、政府が進めている住宅の財形貯蓄に大混乱が起きますよ。いまこれは政府の柱としてやっていますね。そしてその金融機関との取引は、財形貯蓄を一生懸命やっているのは、どっちかというと、都市銀行や地方銀行よりは証券会社なんかがやっていますね。今度は全部これをこっちへ振り込んでそれからやるなんということになったら、あなた事務の簡素化というけれども、簡素化になるどころじゃない。財形貯蓄の契約もやり直して、そしてあらためて銀行振り込みをメインをきめて、そこから手続をするなんという、一大混乱が起きますよ。そういうこともひとつお考え合わせ願えれば、これは単に人事院勧告がこんなことを言うたから、これを拡大してこういうことができる、安易に経済企画庁も総需要抑制に役立つとか、それから事務の簡素化になると思ったら大きな間違いで、かえって一時的ではございましょうけれども、大きな事務の煩瑣になります。いわんや個人の人権の問題にもなりますので、こうしたことにつきましては、いまお答えのとおり、至急検討して措置すべきである、こういうことを要望いたします。  私の質問は、これで終わります。
  111. 井岡大治

    井岡委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  112. 井岡大治

    井岡委員長代理 速記を始めて。  午後二時十分より再開することとし、この際、休憩いたします。    午後一時三十分休憩      ————◇—————    午後二時十九分開議
  113. 平林剛

    平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質議を続行いたします。松浦利尚君。
  114. 松浦利尚

    松浦(利)委員 きょうは主として、沖繩に派遣されまして物価問題を中心に調査をしてまいりました、その内容について各大臣、政府委員各位の答弁を得たいと思うのであります。  今度、本委員会で沖繩調査した最大の理由は、午前中にも御指摘がありましたが、戦後最大の狂乱物価、悪性インフレ下で非常に国民全体が悩んでおるわけでありますが、その物価高の中でも特に離島関係はたいへんな苦しみようであります。  そこで、沖繩本島を中心といたしまして沖繩離島、こういったところの物価を具体的に調査をしてまいったわけであります。わずか三日間の調査結果でありますから、あるいはわれわれの調査の不十分さから、的をはずれておる質問になるかと思うのでありますが、しかし、少なくとも本土に比べて約二〇%近く物価が高いということは事実であります。  ただ問題は、沖繩県民は、実は復帰に伴う三つの悪人がおったという指摘を私たちにしたわけであります。その一つは、例の円・ドル為替レートの問題であります。円・ドル交換のときの問題であります。もう一つの問題は、例の石油パニックの問題、それからもう一つの問題は海洋博だ、これが三つの悪だということを盛んに指摘をされたわけであります。しかも沖繩の人たちは、復帰して約二年有余たったわけでありますが、復帰後の物価上昇ということよりも、復帰前の物価というものを基準にして今日の物価というものを判断をしておるわけであります。ですから、政府の統計数字であらわれてくる物価高と、実感として沖繩県民が受けとめる物価高というのには、たいへんなズレがあるわけであります。それは、復帰前を基準にして見るからたいへんなものなんであります。  そこでまず、物価担当大臣であります経済企画庁長官に、明日、全般的な物価問題についてはお尋ねをするつもりでありますが、こうした沖繩県自体物価高というものについて、政府は的確に把握をしておられるのかどうか、現実にそういう状態になっておる沖繩県民の苦労というものを明確に把握しておられるのかどうか、その点をひとつ長官からお答えいただきたいと思います。
  115. 内田常雄

    ○内田国務大臣 松浦さんはじめ当委員会の先生方が沖繩おいでになりまして、本島並びに離島物価その他島民生活の状況を御調査なさったことにつきましては、私どもも心から敬意を表するものでございます。  沖繩物価のことについて把握をしているかというお尋ねでございますが、現実に今度松浦さんがおいでになったような把握のしかたは、経済企画庁の私どもといたしましては、正直に申しますと、それほどの把握のしかたはないとも申さなければならないかもしれませんけれども、しかし、沖繩には、来年は海洋博も開かれますし、また本土復帰の際の為替レートの問題等もございまして、いろいろ物価の上において顧慮しなければならない事態のありますことは、私どもも十分承知をいたしております。その上、離島という立場から、構造的な面もあるわけでございまして、ことに、沖繩のように島民の生活必需品が全部島内で生産されるわけではなしに、遠いところから持ってくるというような場合に、輸送の問題あるいは貯蔵の問題、港湾施設の問題等の構造的な面もございますので、それらをひっくるめまして、御承知のように、先年来、海洋博の準備の一環として、沖繩海洋博推進対策本部の中に、特に意識して二つ部会を設けまして、一つは、言うまでもなく建設部会でございますが、一つは、物価部会というものを設けまして、関係官庁の職員がこの物価部会で共同作業をいたしまして、いま私が申し述べましたような事態に着目しながら、できる限りの施策を講ずるというたてまえはとっておるわけであります。  また、経済企画庁で数字を分析いたしましても二つの面がございまして、一つは、沖繩の住民の所得水準というものは、本土の住民の所得水準よりも低いところにもってきて、復帰の年、昭和四十七年から今日までの物価上昇率というものは、本土における上昇率よりも高い、こういうことも数字の上では私も承知をいたしておるわけでありまして、したがって、沖繩におられる住民の方々は二重の板ばさみ、三重の原因によって非常に苦しんでおることも承知をいたしておりますので、また御指導いただきまして、できる限りの対策も進めてまいらなければならないと私は思います。
  116. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、沖繩開発庁の西銘政務次官にもひとつお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、失礼な話ですが、政務次官は、沖繩県御選出の政務次官であります。いま私たちが現地調査いたしまして、開発庁の総合事務局あるいは沖繩県が一生懸命努力はしておりますが、しかし率直に言って、あの復帰時の特別措置が現在も継続をしておるのですが、あれではどうにもならない状態にきておる。もういままさに沖繩県民にしてみれば、復帰がよかったのか悪かったのかということ自体も、新聞の世論調査等であらわれてくる、そういう事態なんです。もちろん復帰が悪かったという県民は一人もおられません。しかし経済問題、物価問題に焦点をしぼって議論をした場合には、必ずといっていいほど、やはり復帰前のほうがよかった、これはこんなはずじゃなかったという、非常に期待を裏切られたという国民感情があると思うのですね。  開発庁としては、一生懸命各省庁に連絡をして、そういうことのないように努力をしておられると思うのでありますが、一体今日の沖繩県が特別な物価高をつくり出した隘路というものは、開発庁として明確に把握をされ、各省庁に対して具体的にその実現方について連絡調整をしておられるのかどうか、その点をひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思うのであります。
  117. 西銘順治

    ○西銘説明員 物価高騰の原因につきましては、いろいろあろうかと思いますが、一言にして申し上げますと、物資の需給体制が、特に安定供給の面において十分な体制が確立されていないということで理解しておるのであります。  物価騰貴の要因について大別して申し上げますると、第一点は、生産基盤が十分整備されていないということであります。第二点は、流通機構の合理化、近代化がはなはだおくれているということ。第三点は、この二年間に、復帰当時九十四万人の人口しかなかったのでございますが、毎年三万人もふえて六万人もふえるという著しい増加でございまして、物資の需要が非常にふえたということでございまして、大体要約いたしまして、一の三つが大きな要因ではないかと考えております。  したがって、生産面における指導体制でございますが、たとえば生産基盤の強化事業といたしまして、土地改良事業を奨励する、特に自給率を向上させる観点に立ちまして、野菜供給団地を育成しなければならない、こういうことで、いろいろ生産基盤の育成の面について、農林省を中心として関係各省と緊密な連絡をとって、現在施策を進めている段階であるわけであります。  流通の近代化でございますが、沖繩の企業は中小企業、まあほとんど零細企業、特に卸、小売りの部面をとってみましても零細企業でございまして、そういう点、低温冷蔵庫の施設、また冷蔵コンテナ等に対する施設、これらに対する補助を行なうとともに、沖繩離島に対する離島航路の助成等も行なって、何とか物価を鎮静したい、こういう努力をいたしておるのであります。  以上が、物価に対する開発庁としてとってまいりました施策の概要でございます。
  118. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま政務次官から具体的にお話がありましたし、長官からも一応のお話がありました。ところが、具体的に現地調査をしてみますと、それはいろいろな障害があることは私は認めます。しかし、それは構想だけであって、明確に県民の前に示されておらないわけですね。ですから逆に言うと、その海洋博覧会についても県民の完全なコンセンサスを得られない。非常に一方では賛成、一方では反対というような空気が現実にある。そのために県行政と国の行政との間にギャップが生まれてくる。それにかてて加えて基地問題が経済発展を阻害する。もう二重苦、三重苦の宿命を何か沖繩県民が背負っておるという感じが、調査した段階でするのです。  そこでこれから、政務次官、長官は耳が痛くなることかもしれませんが、大阪調査団と一緒に具体的な問題について一つ一つお尋ねをしていきたいと思います。私に答えるということじゃなくて、この際沖繩県民の皆さんに答えるという意味で、私はただその窓口だということの理解をしていただいて、お答えをいただきたいと思うのです。ですから私が納得する線じゃなくて、沖繩県民が納得するかしないか、そういうことを念頭に置いて、ひとつこれから政府各省庁の説明員の方は御答弁をいただきたいというふうに思います。  まずその一つは、実は国鉄船の就航をぜひやってもらいたい。沖繩には国鉄がないのですね。沖繩県民としては、その国鉄船の就航がむずかしいということもよくわかっております。運輸委員会でも何べんも議論されたそうですからわかっておる。ところが沖繩本島だけには鉄道がない。そのために本土と沖繩本島との間に、青函連絡船とかそういった国鉄船の就航がない。ですからこの際、政府が関与できる国鉄船の就航というものをひとつ期待をしておるわけですが、運輸省のどなたですか、説明員の方来ておられますが、将来に向かって国鉄船の就航、こういったことについて具体的に議論をして、可能性があるのかないのか。いま非常に本土からの運賃コストが高いということからくる物価に対する怒り、こういうのが非常に強い。その代替措置として国鉄船の就航というのを、県議会でも議決しておるし、その他の離島からも要望が出されておる。これは運輸省のほうから、実際に将来にわたって計画できるのかどうか、むずかしければむずかしいと明確にひとつ答えていただきたいと思います。
  119. 植村香苗

    ○植村説明員 ただいま先生の国鉄船の就航問題についてでございますけれども、この問題につきましては、現在鹿児島−沖繩間につきましては民間事業者が数社すでに就航してございまして、輸送力的には問題がないということでございます。したがいまして、こういう現状からすれば、さらに国鉄船を就航させるということにつきましては、第一に民間業者との調整の問題が出てきますし、それから第二には、過剰輸送力というような問題も出てまいりますので、非常に困難ではないかというふうに考えておりまして、こういった民間業者の育成という方向で検討するのがいいんではないかというふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  120. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、民間の事業者をあなたは育成すると言ったけれども、非常に具体的なこまかい要求が実は出されておるのですね。それは、実は沖繩本島においては国鉄の手小荷物の取り扱いが認められておりますね。ところが、それが認められておるのに何でその他の離島、たとえば八重山群島とかの石垣市とか、そういったところにも本土並みに、もうここの人たち、この離島離島からいわせると、沖繩本島並みにしてくれないか。それではその手小荷物の取り扱いをわれわれもやってもらったらいいじゃないか。あなたが言うように、国鉄船の就航はだめだからもうだめだというのでは、これは県議会の議決であり、沖繩県民は納得できないわけですね。ということならば、この手小荷物の取り扱いぐらいはやってやっていいんじゃないか、現実に沖繩本島では行なわれておるわけだから。その点はどうなんですか。
  121. 植村香苗

    ○植村説明員 手小荷物の問題でございますけれども、手小荷物の問題につきましては、現在は沖繩本島との間、それから奄美大島との間につきましては、連絡運輸というかっこうで本土並みの扱いを実施しているわけでございます。現在そのやっております連絡運輸の方式は、これは民間事業者との間で連絡運輸協定、双務契約でございますけれども、双務契約を結んでそれで本土並みの扱いをするというかっこうになるわけでございまして、国鉄につきましては、民間会社から申し出がある場合には、連絡運輸協定を結んで実施するという考え方のようでございますし、われわれもそういうふうに指導しているわけでございます。  したがいまして、現在石垣島にも民間会社が就航しておりますけれども、そういうようなところから提案がありますれば、実施ができるというかっこうになるわけでございます。
  122. 松浦利尚

    松浦(利)委員 西銘政務次官、いま言われたとおりなんですね。すべていま言われたとおりなんです。これが一つも解決しないでしょう、いまの答弁説明員ですからこれ以上追及してもしかたがないから私は言いませんけれどもね。いいですか、国鉄船の就航が無理なら、本島でやっておるような手小荷物の取り扱いだけでも、たとえば石垣市なら石垣市、そういったところの離島にもひとつやらしてくれぬだろうか、こういう要請が出たら、いま言ったように、民間会社から連絡運輸協定を結んでくれという要請があればやりますよと。そうじゃないでしょう。民間ではなくて、いま私たちがしなくちゃならぬのは、沖繩県民の物価問題をどうするかということが論点でしょう。それなら、そういうことを要望しておる沖繩県民にこたえるなら、そういうふうに民間の会社を指導しなきゃいかぬでしょう。そういうことなんです、いま言ったとおりに。こんなことでは、いま私はたった一つのことを言っただけですが、これからたくさん言いますけれども、全部いまのとおり、そのことが物価高の、逆に言うと真犯人になりますよ。
  123. 熊木藤吉

    ○熊木説明員 いまの件につきまして、国鉄側からの答弁がございましたけれども、旅客船事業者を監督しております運輸省海運局といたしまして御説明いたしたいと思います。  いま前の課長から御説明がありましたように、国鉄と民間旅客船事業者との間の協定でございますが、それにつきまして、琉球海運が現在鹿児島から那覇まで国鉄の小荷物の連絡協定をやっております。それを宮古、石垣への延長についての要望が出ている、それについて琉球海運の考え方はどうですかということを聞きましたら、現在前向きに検討中であるということでございます。ただし、問題が二つあるので、それについて現在詰めておる。一点は、鹿児島から那覇については三日に二便船が来ております。ところが沖繩本島から石垣、沖繩本島から宮古につきましては三日一便になります。その間一日の保管の取り扱いということを解決しなきゃならぬ。これが一点。二点目は、宮古に行っている航路につきましては泊港から出ておりまして、那覇港からは出ておりません。その横持ちといいますか、陸上輸送という取り扱いがからんでくるという二点のことがありまして、現在琉球海運では詰めており、前向きに検討したいという返事をわれわれのほうにはもらっております。
  124. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その前向きという答弁は、非常に会議録に載ったら耳ざわりはいいのですが、前向きで何もしないのですね。前向きでしてみたけれども、結果的にだめだったということで終わるわけでしょう。前向きということは結果でなければならないわけですね。ですから、それは必ず実現するなら実現すると、この際、西銘政務次官、明確にあなたの責任においてでも、この問題一つでも解決することによって、その一部分は助かるわけだから、その点をひとつ政務次官の立場からお伺いいたします。
  125. 西銘順治

    ○西銘説明員 松浦先生が御指摘になったとおりであります。  沖繩県全体が離島でございまして、忘れましたが、四十八か四十九の有人島から構成されておりまして、生活関連物資の約八割が本土に依存しておりまして、その点、沖繩物価が本土の物価動向と連動することはもちろんでございますが本土と沖繩本島との運賃、または本島から宮古、八重山それぞれの群島までの運賃、したがいまして、この運賃の点で非常に物価を押し上げる要因になっていることは、全く御指摘のとおりでございまして、現在復帰特別措置によって、租税上の特別措置あるいは価格上の特別措置がとられております関係から安い物価もございますが、これがなくなりますると、物価総合指数でもはっきりしておりまするとおり、本土の上昇率とは比較にならない高い上昇率を示しているわけでございまして、運賃に対して沖繩間の離島に対する航路助成はやっておりますが、本土と沖繩間の航路助成が現在の法制上できないという難点がございまして、その点、研究しなければならない課題の一つだと考えております。  ただ、先島−本島間の航路の問題につきましては、先ほど運輸省からも説明もありましたとおり、四社同盟ですか、運賃航路同盟等がございまして、そことの協力がなければ解決できない問題もあるわけでございます。  簡単に申し上げますと、明治以来このかた、国鉄の恩恵にあずからないのが沖繩県でございまして、その点、県から何とかしてそういう恩恵に浴したいという要望があることは重々承知してございまして、それをいかに具体化するか、運賃助成の面でさしあたってどう具体化するか、目下取り組んでいる最中でございます。
  126. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その運賃助成の問題は、また具体的にあとお尋ねをいたしますが、ひとつぜひ皆さんに知っておいていただきたいことは、なぜ国鉄船の就航を要求するかといいますと、競争条件が全くないのですよ。本土−沖繩間にも運賃同盟があるわけですね。それから本島から先島間にも運賃同盟がある。だから四社、五社全部が運賃同盟に加盟をしておる団体でありますから、どの船に載せたって一緒なんですね。だから輸送運賃に関する限りこれに競争条件がないのです。どこに載せたって同じだ。だから国鉄船を配船して、競争条件をつくってくださいよと沖繩県民が要求するのです。この運賃同盟が、逆に言うと今日の沖繩の運賃コストを上げる要因になっておる。  ところが、これはもう残念なことでありますが、運輸省の認可を得て、今日の独禁政策上はどうにもならない。私たちもいろいろ調べてみましたけれども、法律の条文から見れば、私的独占禁止法の適用除外第二十八条に適応する運賃同盟だということなんですね。ところが、これを調べてみますと、運賃同盟というのは、実は沖繩関係の配船調整というのですか、だから逆に言うと、沖繩本島と先島間、本土と沖繩との間にそれぞれ運賃同盟のみならず配船調整協定という、そういったものまで実はつくられておるわけですね。しかも、それは沖繩航路配船調整規程の認可を受けてやっておるわけですね。ですから、競争条件が全くないのでしょう。配船する場合も、あなたのところは、ここではほかが就航しているからいかぬという規程で、しかも四社ぐらい行っているところは、運賃同盟で価格がもう硬直しているわけだから、そういうところでがんじがらめにされてしまったら、それはどうにもならぬですよ。これはおかしいと思われるでしょう。確かに法律のたてまえ上はこれでいいけれども、競争条件を全くなくしてしまっているわけです。  この点について運輸省のほうで、これは運賃同盟のみならず、沖繩航路配船調整規程、こういったものはこれからもずっと永久に認めるつもりですか。
  127. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  本土と沖繩の間及び沖繩と先島の間にそれぞれ運賃同盟がございます。本土と沖繩との間ではそこに定期船を運航しております九社が、それから沖繩と先島の間では五社、現在は一社が廃業いたしましてこの五月から四社になっておりますが、同盟を結成して、その間に配船の調整及び運賃の取りきめを行なっております。それは法律的には、先ほど御指摘がございましたように、海上運送法第二十八条、第二十九条によりまして、船舶運航事業者間の協定として運輸大臣に届け出て、運輸大臣が公正取引委員会にも送付しておるものでございます。海運におきましては、まあ外航海運もそのとおりでございますが、定期船のようなものが配船される場合には、一定の安定した輸送力を供給するということが非常に重要になります。単に競争すれば、一時的には安くなっても立ち行かないものが出て、その航路が維持できなくなるというようなことが、過去の歴史において繰り返して行なわれてまいりまして、結局、各船会社が一定の安定したサービスを安定した対価で供給するということからできた制度が、そのような同盟の制度でございます。われわれは一がいに、海上運送におきましてそのような同盟が、マイナスであるというふうに判断しておりません。  それから、もう一点御指摘になりました配船調整の問題でございますが、同盟があるところにほかの競争者が入ってくるということは、一がいに排除されておりません。そういう競争者が入ってまいりますれば、同盟は同盟としてファイティングするといったようなことは、過去の歴史において行なわれておるわけですが、沖繩のその同盟につきましては、実は沖繩の本土復帰に際しまして、四十六年三月二十三日の第二次分でございますが、沖繩復帰対策要綱の閣議決定が行なわれました。その際に、沖繩が本土に復帰した場合にそれがすなわち内航になりまして、内航の一般貨物船がそこにどんどん投入されると、非常にその間、いままで外航として同盟を基礎として安定した輸送力を供給してきた、そのような状態がこわれるのは好ましくないのではないかという判断も行なわれた、また沖繩船社の保護もしなければならないという観点から、閣議決定が行なわれました。その閣議決定は、「復帰後一定期間、沖繩航路運賃同盟および先島航路運賃同盟の本土および沖繩船社による現行輸送秩序を極力尊重し、安定した輸送力の確保を図るものとする。」という決定がなされたわけでございます。  われわれはそのような決定を実行するために、これは内航海運組合法という法律がございまして、内航海運業者は内航海運組合を結成しているわけでございますが、その自主的な調整行為といたしまして、沖繩にはみだりに配船しない、そういう同盟に悪影響を与えるような形では配船しないという形での配船調整規程をつくりまして、それにつきましては運輸大臣が認可し、これも公正取引委員会に送っておりますが、そのような規程によりまして、原則としてその定期船サービスが安定して行なわれるということを担保しておるわけですが、それによって輸送力の不足を来たすというようなことがないように、われわれはその運用にあたりましても、同盟の船で積めないようなものは臨時にどんどん配船させるということを実行上やっております。したがいまして、現在沖繩本島への輸送あるいは先島への輸送について、そういう輸送力が不足する、そのために不当に運賃が上がったりするようなことがないというようなことは、われわれ十分指導しておるつもりでございます。  ただ、この制度も復帰後一定期間ということでございますので、われわれといたしましては海洋博が終わる時点ということを一応めどにいたしまして、その間に海洋博の関連の物資が臨時にあるといったようなものについて、特定の業者がその荷物だけをうまくもうけて運ぼうと同盟の貨物を持っていって、その間同盟が立ち行かなくなるといったような弊害が出ては困るのではないか。むしろ同盟による一定の輸送力を安定して供給させる、その間に運賃もなるべく低位に安定させるという指導をしながら、そういうことで沖繩に弊害を生じないようにという観点から、われわれは行政を進めております。
  128. 松浦利尚

    松浦(利)委員 長々と説明をいただいたけれども、結局配船調整規程の適用は、めどとして海洋博が終わった時点では解除する、運賃同盟は従来どおり続けていくんだ、こういう答弁だったと思うのです。ところが、確かにあなたが言うようにこの運賃同盟で競争条件を整備して、極端に言うと競争条件を導入したことによって、一社が立ち行かない、二社が立ち行かない、ですから安定した定期航路が確保できない、こういう事態があるかもしれぬということを言っておられるけれども、逆に言うと、そのこと自体がたいへんに沖繩県民に不信感を与えておる。現に、どういうのに載せても一緒だし、しかも全部一律に値上げする、そういったことから、そのことが物価にはね返る影響というものを非常に警戒しておるわけです。  そこで、公正取引委員会の熊田事務局長お尋ねをいたします。先島に行きまして、私たちは調査団として実地に確認をしたのではありませんから、あるいは私たちに注文をつけられた方の間違いかもしれませんけれども、しかし、学校の先生指摘をした事項ですから、私たちは調査団として間違いないと確認をしたわけです。それは沖繩本島で二百円の本が先島に行くと二百二十円。二百円以下なら十円高いのです。百五十円のものは百六十円。二百円のものは二十円高くなって二百二十円。そういうふうに、書籍というのは大体再販指定品目なんですが、その再販指定品目がなぜ高いかというと、航路運賃が上がったから上がるわけです。そういうことが現実に行なわれている。公取の事務局長お尋ねしますが、こういう事実は明らかに違反でしょう。  それから、新聞社の方が来ておられるのですけれども、本土紙の発行部数が少ないからさして沖繩県では問題になっておりませんでしたけれども、新聞の値段が本土よりも千円高いのです。朝日、読売、すべて先島では千円高い。本島では本土並み。これも昭和三十九年でしたか、新聞取引に関する公取告示が出ましたね。それから見ても、私は新聞社もやはりおかしいと思うのです。しかし、それは新聞社の人ですから、法律に明るい方ですから、ちゃんと手続されておるのかもしれませんが、少なくとも書籍に関する限りは私はおかしいと思うのです。その点は公取としてはどういう見解ですか。
  129. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 ただいま書籍の問題と新聞の問題の御質問がございましたが、書籍の問題について申し上げますと、確かに先生いまおっしゃいましたように、定価二百円以下のものに対しては十円の割り増し金、それから二百円をこえるものについては二十円の割り増し金というような徴収のしかたをしておるようでございます。これは独禁法上不公正な取引方法といいますか、差別対価に当たるかどうかという問題でございますが、差別対価に当たるかどうかというのは、結局輸送条件等で運賃がそれだけどうしても離島にはかかっておって、それが合理的なものであるということになりますと、なかなか差別対価だというふうにきめつけることはむずかしいという感じがいたします。しかしながら、それがはたして合理的なものであるかどうかということにつきましては、私どももう少し実情を調べさせていただきたい、こういうふうに考えております。  それから新聞の問題につきましても、これ確かに購読料が沖繩は本土に比べまして千円以上高く本島でもなっておりますし、離島ではさらにそれよりも高くなっておる、そういう実情でございます。これもどうも調べてみますと、まだ十分な調査ではございませんけれども、これは飛行機で運んでおります。そのために航空運賃料がかかっておるわけでございます。大部分その航空運賃料、それに手数料とか諸掛かりというようなものが加算されて、そういうような料金になっておるようでございますけれども、この点につきましても、はたしてそれが合理的な金額の加算であるのかどうか、この点につきましてはさらに調査をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  130. 松浦利尚

    松浦(利)委員 経済企画庁長官、いまお聞きになったとおりだと思うんです。やはり沖繩県の人たちが、私たちが二百円で読める教養書籍を十円高く、あるいは二十円高くで買わなければ購入できない。しかも新聞そのものも、それは沖繩にもりっぱな新聞がありますが、しかし、いずれにしても中央紙を読もうと思っても、千円高くでなければならぬ。それだけ、逆に言うと、本土よりも高いものを買わざるを得ないという条件下だと思うんです。それもさっきから言ったように、結果として全体がそうなるように、なるように、行政システムがなってしまっておるんですよ。一つもそれを断ち切る場所がない。  ですから、この問題は、沖繩のみならず離島関係ですね、長崎も離島ございます、鹿児島も多い、あるいは東京都も多いわけですが、離島の問題の物価対策というのを、一ぺん経済企画庁なら経済企画庁で、私はチェックしてもらいたいと思うんです。そうしないと、この問題は永久に解決しない。なぜかというと、各省庁がばらばらでばらばらのことを言うわけですよ、これはむずかしい、どうだと。そうなってくれば離島関係物価対策というものは、経済企画庁長官がひとつ明確にこの際イニシアをとって、こういう問題は早急に格差を埋めるという問題を、すべての面についてチェックをしていただかなければならぬ。私たちももちろんもう少し勉強いたしますけれども、その点について大臣の所見をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  131. 内田常雄

    ○内田国務大臣 ごもっともな御意見だと思います。私も、先ほど沖繩の本島あるいは先島などについては、構造上の問題もあるのではないかということを申し述べましたのも、いまお説のことにも関連するわけでございますので、これは沖繩ばかりでなしに、いまの東京都、長崎その他離島物価の問題などというものは、もう少し経済企画庁でまとめて、関係各省とも相談をいたしながら、状況を一そう把握し、さらに何らかの対策によってそれらの矛盾を吸収し得ることが可能であるかどうかというようなことも、検討させてみたいと思います。
  132. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ぜひ、沖繩県民の要求にこたえていただきたいと思います。  そこで、先ほど西銘政務次官が言われましたが、その結論が出るまでやはり当面具体的なものとしては、離島運賃補助ということに私は現実の問題としてなってくると思うんですね。これは事前に調べてもらったんですが、運賃の補助について計数的に離島関係沖繩関係分として、いまちょっと手元に資料がなくて的確に御質問できないのですが、要するに昭和五十年度でこうした矛盾を解決する暫定的な措置として、離島に対する運賃補助というものは、私は当然やるべきだ、西銘政務次官も先ほどそう言われましたね。だから、具体的にそういうことをほんとうに五十年度、運賃補助をもっとワクをずっとふやす、そして離島の、あるいは沖繩県民の期待にこたえるということについて、やっていただけますか。ほんとうにやっていただけますか。
  133. 武末祐吉

    ○武末説明員 ただいまおっしゃいました離島航路補助でございますが、これは運輸省でやっていただいておるものでございます。沖繩関係として私どもが伺っております金額は、四十九年度で一億六千六百万円、五十年度の要求額としては二億六千九百万円というふうに伺っております。
  134. 松浦利尚

    松浦(利)委員 離島航路補助について二億六千九百万円の要求だそうでありますが、これは要求であって、確定はされておりません。最終的には閣議ですから、あるいは大蔵省の査定を経て閣議でありますが、国務大臣の経済企画庁長官、この沖繩県の二億六千九百万円、これは大臣の所管ではありませんけれども、やはり物価問題としては当面暫定的な措置として、これは一つの例でありますが、東京都が現実に伊豆諸島に産品についてのみ運賃の全額補助を、値上がり分の救済としてやっておりますね。これは地方自治体が、東京都がやっておる。ですから、そういった意味でその二億六千九百万円、これは私はちょっと数字的にはじいておらないのが、沖繩県民に申しわけないのですけれども、これでだいじょうぶだと思うのです、担当が要求する数字ですから。この二億六千九百万円は削減しないように、大臣としては努力をするということをひとつぜひ約束していただきたい。しかし、最終的には閣議決定ですから、修正があることもわかりますけれども、一応大臣として所管外でありますけれども、運輸省の所轄だそうでありますが、必ず実現をするということでひとつ決意のほどを、予算要求に対する大臣の決意を、ひとつ述べていただきたいと思うのですがね。
  135. 内田常雄

    ○内田国務大臣 松浦さん自身がおっしゃっておりますように、これはやはり予算概算要求の問題でありますので、大蔵省でそれらを査定してまとめ上げて閣議に持ってくる、こういうことになりますので、手続的にいろいろ問題はございましょうけれども、しかし、沖繩開発庁なりあるいは運輸省なりそういうところとも協議をいたしながら、私どもとしても、まあことわざにあるように、「普天のもと率土の浜王土にあらざるはなし」こういうことばがございますので、私の気持ちとしては、たばこがおそらく同じ値段でございましょうから、できる限りは御要望を取り上げるように努力をいたしてみたいと思います。
  136. 松浦利尚

    松浦(利)委員 西銘政務次官は御出身でもありますし、ぜひひとつがんばっていただきたいというふうに思います。  そこで、運輸省の方に最後の御質問になると思うのでありますが、実は港湾整備が非常におくれておるのです。これは沖繩総合事務局でも一生懸命努力をし、沖繩県でも努力をしておるのですが、本部町ですね、海洋博の行なわれる本部、あそこの本部港というのは、直轄でやっておられる部分と、それから県道から陸側は沖繩県でやるべきところなんです。現実にサンドポンプが稼働しまして、短期間、もう一カ月くらいしたら埋め立てが終わる。ところが、沖繩県は非常に財政基盤が弱いために、沖繩県あとからおくれるわけですよ。だから、先に国の直轄を埋めて、沖繩県はこれからで、計画しかないわけですね。それはなぜかと聞いたらお金がないからだ。ところが、せっかくサンドポンプをあそこまで持ってきて、効率のいいものでどんどん平地をつくっておるわけです。港湾埋め立てをやっておるわけですから、それを一緒くたに県の部分もやりますと、非常にコストが安くできるのです。非常に経費のむだだと私たち調査委員全部が思ったのです。政府から来られた方もみんなそう思われたと思うのですが、こういった矛盾点はもう少し指導して埋まらぬものでしょうかね。あるいは予算づけをもっと積極的にしてやって、直轄部分も県の分も一ぺんに終わるというようなことをしなければ、私は行政のむだだと思うのですね。  そういう意味で、こんなつまらないことが、実は港湾整備の隘路になってきておるわけですね。そういう指摘をすると、いや、県のほうは埋め立てなくたって、水があったって直轄部分ができますから支障ありませんということばが返ってくる。きわめて形式的なお答えじゃなくて、もっと前向きの、ほんとうに港湾の整備という前提に立った答弁をひとつお願いしたいと思いますね。
  137. 大塚友則

    ○大塚説明員 具体的な点については、まことに遺憾でございますが、私もいま先生のおっしゃったことをまだ詳細に把握しておりませんので、的確にお答えできないかもしれませんが、御承知のように、沖繩の港湾施設につきましては、内地に対しまして非常に飛躍的な国費の投入がございまして、基本施設等につきましては、ほとんど全額国費でやっておるわけでございます。  おそらくいま先生がおっしゃったのは、港湾施設につながります用地の造成だろうと思います。用地の造成は、ここまでは必ずしも国費を投入するということにはまいらぬ。と申しますのは、結局、でき上がった用地というものはある程度売却するなり、あるいはいわゆる公共施設以外の目的で使われるところになると思いますので、そういうところについては、一応企業者である県というところでやっていただいて、それを企業的にひとつ運営していただきたいというふうな趣旨でやっているわけでございます。  ただ、いまおっしゃったように、財政的な問題から工期の不一致があるということにつきましては、確かにおっしゃることがあるかもしれませんが、その点につきましては、自治体を所管しておられます自治省のほうとも十分御相談をいたしまして、そごのないように今後していきたいというふうに思います。
  138. 松浦利尚

    松浦(利)委員 西銘政務次官はよく御存じだと思うのですね。あれがいまの沖繩の姿なんですよ。どんどんサンドポンプを入れて港湾はできる。ところが、こっちのほうの港のあと地ですね、あと地の埋め立てをつくらなければ、施設、たとえば冷凍倉庫をつくるにしても何をつくるにしても、そこがなければ港湾の意味がない。ところが、それは県のほうでございますから県のほうでと、あるいは自治省のほうと相談をしてというのでは、現実に工事は進行している。もう一カ月したら終わるそうですからね。そうすると、終わったらサンドポンプはどこかへ行っちゃうわけですね。そうするとまた非常に経費のむだですね。それは予算の支出が違うといえばそれまででしょうけれども。  だから私は、やはり一ぺんにやろうと思えばできる工事内容だと思うのですね、現地へ行って見た限りでは。だから、いま自治省と相談するということですが、やはり沖繩開発庁も各省を連絡調整するために生まれたのが開発庁ですから、少なくともやはりその点については、四十九年度中にあの本部の港だけはきちっとやり上げられるようにしなければ、私はやはり問題が残るという気がしますね。
  139. 西銘順治

    ○西銘説明員 お答えいたします。  漁港、一般港湾ともに、その建設にあたりましては、一〇〇%助成という本土にも例のないような特別な措置がとられております。ただ、おくれておりますのは、県の執行体制が十分確立されていないといううらみがありますが、開発庁といたしましても、県並びに関係省庁、特に運輸省、水産庁と密接な連携をとりまして、できるだけ早く執行できるようにやっていっております。  いま御指摘になりました海洋博用の渡久地新港の造成の件でございますが、この件につきましても通産省、運輸省と連携をとって、早期に完成するように、海洋博に間に合うような体制で仕事を進めております。
  140. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ぜひ四十九年度に解決をしていただきたいというふうに思います。  次に、農林省おいでになっておりますね。それでは、農林省のほうに生鮮食料品の流通問題についてお尋ねをいたします。  私たちが復帰前に行って調査をしたときにも、沖繩県流通機構が全くもう未整備だということを感じました。今度行ったときにも、その流通機構というのが全く整備をされておりません。現実に卸売り市場もない、あるいは冷凍施設あるいはそういった倉庫設備も全く不完備である。そういったことから、非常に生鮮食料品を中心とした流通が、混乱というよりもむしろもうないにひとしい。特に不足した段階における流通というのが全くない。ストックポイントが何もありませんから。  そういった意味では、早速に流通機構整備というものが私は必要だと思うのです。われわれが沖繩開発庁なり県当局からお話を聞いた範囲では、卸売り市場の整備、特に中央卸売り市場は五十五年を終了目途として決定をしたい、こういうお話だったわけですが、それは農林省、間違いありませんかね。
  141. 森整治

    ○森説明員 流通機構なり流通経路の問題につきまして、いろいろ問題がございますことについては御指摘のとおりでございます。ただ、われわれといたしましては、すでにごらんになったと思いますが、農連の冷蔵庫でございますとか、とりあえず施設的な助成をしながら、流通経路の確立につとめてまいっておるわけでございます。  それで、御指摘中央卸売り市場の問題につきましては、現在四十六年を初年度とします十カ年計画ということで、中央卸売り市場地方都道府県の卸売り市場の整備計画がすでに立てられておるわけでございますが、五十五年度完成するという、要するにその計画の中に、中央卸売り市場を現在那覇と浦添の間で埋め立て地を利用いたしまして市場を開設するという構想がございまして、そういうことにつきまして、その計画にすでに入っております。ただ問題は、いまの用地問題がございます。それから商業調整の問題もございます。それらがまとまれば、われわれとしては一日も早く中央市場があそこのところにできることを実は祈っておるわけでございますが、ともかく地元の関係でございますから、県が中心になりましていまの中央市場の用地の確保から、早くそういう問題を解決して施設整備をしてまいりたいということで、今後県ともよく相談をいたしまして、その早期実現についてはわれわれも努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  142. 松浦利尚

    松浦(利)委員 結局、いま用地の取得難ということですけれども、確かに土地は限られておる。いいところは全部軍用地にとられておりますから、なかなかそういう用地を確保するということはむずかしいのですね。あるいは造成するのは簡単だけれども、サンゴ礁で遠浅でありますから、造成しようと思えば、埋め立ては簡単にできるけれども、公害その他の問題もあるというようなことで、なかなか用地の確保というのが、一見容易なようで、沖繩の事情から見て非常にむずかしいですね。だからといって中央卸売り市場等がないまま推移をしていけば、ますます流通からくる価格問題の解決というのは全くないわけでありますから、そういった意味では、私はこの際県、国一体となって、これは県の問題だから県がやれというのではなくて、アドバイスしてやるなりあるいは助成をしてやるなり、そういった努力をぜひ中央卸売り市場についてはやってもらいたい。  同時に、生鮮食料品の八割を本土に依存しておる沖繩県民にとって一番問題になるのは、何といっても不足をする段階、特に七、八月ですね。こういうときには生鮮食料品が全く不足をする。そういったことから考えていくと、どうしてもストックポイント的な冷蔵施設、低温施設というものがたいへん必要だ。現在沖繩に有人島が約四十九あるわけでありますが、その四十九に全部置くことは非常にむずかしい。しかし、それに対して、生鮮食料品を確保するための施設としては一体どれくらいあれば確保できる、本土から順調に入ってくることを前提にして、どれくらいの施設があればだいじょうぶだというふうに農林省のほうでは把握をしておられるのか、具体的にひとつ。また、そういうことは研究段階なのか、調査段階なのか、その点をひとつお聞かせいただきたい。
  143. 森整治

    ○森説明員 確かに御指摘のとおり、低温の貯蔵施設あるいは冷蔵コンテナの増設が必要でございます。とりあえず、御承知のように那覇市に一カ所、それから宮古に一カ所の低温冷蔵庫を今年度設置いたすことで、約六千万円の予算を計上いたしまして、すでに事業に着手しておるわけでございます。  全体としてどれくらいの施設が要りますか、ちょっと私、実は県全体の計画を承知いたしておりませんけれども、全体といたしまして、先生指摘のように夏場に高くて冬場に安い、これは本土と全く逆の現象の特性を持っておるわけでございます。むしろわれわれといたしましては、たとえばいま申しました野菜生産のそういう逆の現象、そういう特性を逆に活用する方向で、実は来年度野菜を、たとえばキャベツを東京へ持ってまいったらどうかというようなことについて、現在県といろいろ協議中でございます。ただ、これには先ほど先生指摘の問題がございまして、やはり輸送の問題も一つ大きなネックになろうかと思っております。  それからもう一つ、先ほど流通経路の問題につきましていろいろ御指摘ございましたように、内地から向こうへ持ってまいります場合に、約六十社ある輸送業者、こういうものにつきまして、県でも至急できるだけ統合の方向でものを考えておるわけでございます。  それから、先ほど申し忘れましたけれども、私ども手をこまねいておるわけではございませんで、先ほどの中央市場の早期実現につきましても、本省の担当官を至急派遣するということで、その設立の促進方につとめてまいりたいということでございます。全体の数字につきまして、私、ただいま手元に数字を持っておりませんが、もしそういう調査がございませんならば、今後至急私どもとしても検討をしてまいりたい、こう考えております。
  144. 松浦利尚

    松浦(利)委員 復帰後二年有余ですから、私はやはりそういう部分はあると思うのですね。ですから、積極的に前向きにそういった調査をしてやって、そして沖繩県民の復帰前の御苦労におこたえをするということは、私はほんとうに忘れてはならぬことだと思うのです。だからそういった意味では、いま局長答弁のとおり、ぜひ行なっていただきたいと思います。  それから運輸省の方、ちょっと残っていただいたのですが、いま局長から言われたように、生鮮食料品の輸送手段として冷凍船の就航等についてやってもらえないだろうかという要望が、実は地元では非常に強いのですね。ですから、そういう冷凍船の就航等については予定がないのか、あるいはそういう計画があるのか、もう時間がありませんから簡単でいいです、お答えください。
  145. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  現在でも冷凍物資を運ぶための冷凍施設を持った船舶及び冷凍のコンテナを積載できる船舶がすでに就航しております。現在、ちょっと正確に数字を覚えておりませんが、月間でたしか約八千トンほどの輸送能力があるというふうに聞いております。現在、それらが満ぱいで運べないという状況ではないようでございまして、ほぼ半分程度の利用状況かというふうに記憶しております。  したがいまして、現在はそういうような既存船の一部冷凍設備を持った船及び冷凍コンテナでそういう物資を運べるかと思いますが、将来さらに各種の施設整備とともに、そういう輸送量が多くなりますれば、冷凍運搬船、独立の船で運ぶということも考えられると思いますし、そのような場合には、たとえば船舶整備公団でそういう船の建造を共有方式で行なうといったようなことも考えられるかと思います。現在のところは、まだそのようなところに至っておりませんが、われわれも、そのような具体的な要請は伺っておりません。
  146. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ありがとうございました。  いずれにしても、就航範囲が限定されておると私は思うのです。本土との間だけで、先島等の離島関係についてはないということから、冷凍船の就航という要望が出されておると私は思うのです。ですから、これもいま荷が半分ぐらいしかないということでありますが、将来人口も増大するし、沖繩県自体の食生活も東京と同じような食生活に変わってきておるわけでありますから、そういった意味では、ぜひ冷凍船の就航について、これは開発庁のほうでも、西銘政務次官のほうでも積極的に提起をしていただきたいというふうに思います。そのことをお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、実はもう私の時間はなくなったのですが、海洋博時における物資の問題が実はいま非常に大きな問題になっておるし、ちょうど夏枯れの時期なんです。七月二十日海洋博オープンなんです。それに外国から、本土からたくさんの方が海洋博に行かれる。そうすると、そうでなくても不足ぎみの生鮮食料品が、そういう人たちが来たためにさらに高騰するのではないか。それがまた物価に拍車をかけるのではないかということが、実は沖繩県民の海洋博に対する一つの怒りの原因でもあるのです。  ですから、そういうことは絶対ない、全くない、海洋博が行なわれたときには生鮮食料品が大量に沖繩県に入って、沖繩の高騰しかかっておる夏枯れの生鮮食料品価格というものを鎮静する役割りをむしろ果たすのだというくらいの対応策は、すでに海洋博事務局なり、あるいは海洋博担当の通産省なり、あるいは農林省なり、そういったところで、だいじょうぶだということがきょうの段階で沖繩県民に約束できますか。これは農林省の所管ですから、農林省からお答えください。
  147. 森整治

    ○森説明員 海洋博の対策につきましては、かねがね県から御要請がございます。  そこで、われわれといたしまして、先ほど申しましたように那覇等に冷蔵庫の建設を急いだわけでございますが、来年度予算措置といたしまして、保管に関する費用助成を行なうということで、夏場の需要に対応するように来年度の予算要求をいたしております。それから施設的な面につきましては、県の申し出では、いまの冷蔵庫をつくりましたもので一応対応できるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  148. 松浦利尚

    松浦(利)委員 沖繩県民は非常に正直ですから、対応できるのではないでしょうかということでは納得しないですよ、現実にもう物価が上がっておるから。上がりません、だいじょうぶです、責任を持ちます、こう言ってもらわないと沖繩県民の人たちは納得しないのですよ。これは政府とか議員とか、野党とか与党という立場を越えて、沖繩県民は何べんも苦しめられてきておるわけでしょう、戦前も戦後も。ですから、やっぱりあいまいではなくて的確に、当面海洋博は七月二十日オープンですから、大量の人が行くこともわかっているのです。そのことが、特に生鮮食料品の不足ぎみの夏にオープンでありますから、それがはね返って沖繩県民の物価に影響を与えはせぬだろうか。いや、だいじょうぶだ、絶対にだいじょうぶですということを明確に言ってもらわないと、それは私はやっぱり納得できない。われわれでもちょっと疑問に思いますから、それを的確にひとつ、簡単なことだから、政策がどうこうということは必要ないですから、結果だけ、だいじょうぶだ、その点をひとつお答えいただきたい、端的に。
  149. 星野省松

    ○星野説明員 明年度沖繩海洋博開催時の沖繩の野菜の需給の問題につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、沖繩の場合は特に夏場野菜が不足するということから、常に価格の高騰等を招いておりますので、それに対する対策としまして、いま県と相談いたしまして、実際の野菜の需要量というものを算定いたしまして、それに対応いたしまして、沖繩県でどの程度のものがほんとうに生産できる、そうするとそれにより不足する分が出てくるわけです。これにつきまして、いまのところは大体十一、二万トン程度の需要に対して、生産は十万トン程度できるというふうに県が見込んでおりますが、それによる不足分につきまして一計画的に移入するということで現在進めております。  さらに、それに伴いますいろいろな物的の施設につきましては、今年度那覇に七百トンの冷蔵庫、それからさらに宮古島に三百六十トンの冷蔵庫をつくっておりますし、さらに沖繩経済連に対しまして冷蔵コンテナ四基現在助成しておりますが、それによりまして十分なる運送をはかりたい。  さらに、明年度実際に開催されました場合の価格高騰に対する対策といたしまして、若干の備蓄等によりまして、それに対して対応するということについても可能かどうか、検討を進めておるという段階でございます。
  150. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま言ったこともわかりました。現地でもそういうお話を聞いたのです。そうすれば絶対だいじょうぶだ、そうしたからもうだいじょうぶだよ、それを言えるかというのです。結果的にだめだったら、そう言いましたが、ちょっと計画がそごしましてということで逃げられたのじゃ困るから、私はちょっとくどいようですけれども、もともとくどい男だから、局長さん、いまああいうことをやるからだいじょうぶだと、その点ひとつ明確に答えてください。
  151. 森整治

    ○森説明員 御指摘のように、われわれとしては万全の対策を講じまして、ともかく価格の高騰を招かないようにわれわれとしても全力をあげてやってみたい、こういうふうに考えております。
  152. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さっきからやってみたいということだけはわかったんですよ。やってみたいということと、だいじょうぶだということは違うんですよ。あしたまた内田経済企画庁長官にお尋ねいたしますが、物価を一五%以内に押えるということと、一五%が目標だということとは、同じ一五%でもだいぶ違うんだ。それと同じことなんです。そのことを沖繩の人たちは非常におそれておる。そのことがあるから、また海洋博に反対だという人が一部に多いのです。物価が上がるだけじゃないかというのです。だから、そんなことはない、心配要らぬ、だいじょうぶだ、おれを信用してくれと局長が言えばいいわけです。あなたの言われることはよくわかっているのです。そのことをやったら沖繩物価は上がらぬ、だいじょうぶだ、そう言いなさいというのです。
  153. 森整治

    ○森説明員 たいへんくどいようでございますけれども沖繩の海洋博につきまして特に注意いたしまして、われわれとしては物価が上がらぬようにしたいということでございまして、このことは、私がどうと申すよりも、内地の野菜問題につきましても、われわれ決して物価を上げようと思っておるわけではございません。ともかく何とかして上げないようにということでございまして、そういう意味で私、申し上げておるわけでございますので、その点の私どもの決意のほどをひとつおくみ取りをいただきたい。政府の正式な答弁といたしますと、たいへん申しわけないけれども、そこまでしか言うべきではないのではなかろうか、私、そう思っておるわけでございます。  端的に申しまして、価格をそこで押えるというようなことがもしできますればそうしたいと思います。ただ、ともかく金倉の助成をいたしまして、保管をしまして物をぶつけるということで万全を期したいということでございますので、その辺は、われわれの考えておる点をひとつおくみ取りいただきたいと思います。
  154. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は納得していいですよ。私とあなたのやりとりでは問題は解決しないでしょう。さっきから言うように、私に答弁するのじゃなくて、沖繩県民に答弁してください。だから私は言うのです。何べんもだまされたと言うんです、私たちが行ったときに。私はだました覚えはないのだけれども、私たちもやはり当事者ですね。国会議員もあなた方もだましたじゃないかと言われるんですよ。だから、私への答弁なら、ああようございます、こう言う。しかし、沖繩県民の人たちはあなたの言われたことで納得されませんよ。だから沖繩県民に向かって答弁してくださいというのです。それをさっきから私は言うのです。やります、だいじょうぶですと言うべきだ。政府答弁としてはこれまでですとあなたは言っておるでしょう。すでに予防線を張っておるわけだ。悪かったときの予防線を張っておる。その気持ちはわからぬでもないですね。あなたはそう言われたけれども、私は、くどいようだけれども、その点ははっきりしておかないと、やはり沖繩県民が行政に対する不信感を抱くと思いますね。結局言ったとおりになったじゃないか、海洋博やったからまたますます物価は上がったじゃないかという結果しかはね返ってこないですよ。海洋博をやった結果は赤字、赤字ならまだいいけれども、これで物価が上がったんじゃないかということだけ残ったのじゃ、せっかく何百億という金をつぎ込んだ、しかも沖繩県民のためによかれと思ってやった海洋博が、何にも意味を持たないでしょう、やりっぱなしじゃ。だから沖繩県民の人たちが心配するわけです。  これは、大臣に聞いても同じおことばだろうと思いますので、これ以上聞きませんが、それでは沖繩県選出の西銘政務次官から、ひとつお答えをいただきましょうかね。
  155. 西銘順治

    ○西銘説明員 ただいま食品流通局長から答弁のあったとおりでございまして、物価の性質上、政府としては万全の対策をもって臨むわけでございます。よほどの天災地変のない限りだいじょうぶだと思いますが、県民としては、従来の経緯からして幾らかの不安が残ることは推察はできますが、関係当局といたしましても万全の対策をふるって、物価が上がらないように、物が不足しないように、これにつとめたいと思っております。
  156. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これ以上言いません。ぜひひとつ結果が、海洋博が終わってみたら物価が上がった、特に生鮮食品が上がったなどという批判がいやしくも出ないように、ひとつぜひやっていただきたい。そういうことをお願いしておきたいと思うのです。  それから、最後になりましたが、実は、特別措置その他についていろいろな努力を政府、また国会で行なったわけでありますが、その中で、特に農業基盤整備等の問題を含めて、沖繩県は砂糖、特にサトウキビ、パインですね、そういう特産地としてこれからも奨励していきたい、こういうことであったわけですが、実は私たちが八重山に行きますと、本土の市況が非常に不活発だという理由があって、パインがかん詰めにされたものが野積みにされておるのです。それで、これはどうしたんだと聞いたら、いや、商社との間に価格の話はついたけれども、荷が動かないんだと言うのです。なぜそれでは本土でそういう市況が不況になったのかというと、私たちが想像するに、節約ムードが浸透して、あまり食生活になじまないパインかん詰めというものの消費が減ってきたという傾向も一つはあると思うのですね。  ところが、よくよく調べてみると、台湾から入ってくる冷凍パインの輸入が混乱させておる。台湾ものの冷凍パインの輸入を自由化したときには、実はこれはかん詰めにはしないのだ、加工はしないのだと、こういうことで関税も非常に安い関税、二〇%関税で入ってきたということを記憶しておるのです。ところが、事実かどうか私は知りませんけれども、向こうのパイン業者の人に聞くと、その冷凍パインはかん詰めになると言うのですよ。そうすると、沖繩県のように労働集約型の工場ではコストが高い。そうすると、こっちのほうは冷凍パインをかん詰めにするのですから、本土で解凍してやるかん詰めは非常に安い。ですから太刀打ちできずに滞貨するのだ、こういうことなんですよ。これは私は明らかに矛盾しておると思う。特産としてのパインを育成助成するという政府側の対応策に対して、逆に今度は関税を引き下げてまで輸入した冷凍パインが市場を混乱させておる。そのためにパイン業者が困っておる。逆に言うとパイン生産農家が困っておる。こういうことでは、沖繩県民はやはり行政を信用せぬと私は思うのですね。  だから、この際、農林省にお尋ねをいたしますが、この台湾ものの冷凍パインのかん詰め化、こういったものについては、農林省の行政で規制を加えてもらいたい。特にJAS等の規格をきびしくして、冷凍パイン等が少なくともかん詰め等に回らないように措置をしてもらいたい。この点についてどのように考えられるのか。  それから、大蔵省当局お尋ねをしたいのです。これは通産省にも関連をしておれば通産もお答えいただきたいのですが、これは台湾との関係でしょうが、通常のかん詰めで輸入すると、パインのかん詰めば関税が五五%ですね。ところが冷凍パインの場合は二〇%です。たいへんに関税も恩恵に浴しておる。冷凍パインがこういう形で、本来の趣旨に反して逆に国内産のパイン市場を乱す場合には、これはやはり私は関税を高めるべきだ、こういうふうに思うのです。ですから、この点について農林省と大蔵省あるいは通産省から御答弁ください。
  157. 北野茂夫

    ○北野説明員 お答え申し上げます。  沖繩のパイかんが売れなくなった原因につきましては、先生ただいまお話しのとおり、一つには総需要の抑制による消費の減退ということと、もう一つは、冷凍パインを原料としたパイかんが四十八年には約八十万ケース製造された、すなわち供給が過剰であった、そういうことでございますが、パイナップルをはじめといたしまして輸入の自由化されているものにつきましては、その使途を限定したり、あるいは規制したりすることは非常に困難な状態になっております。  そういうことでございますけれども沖繩のパイかんが売れなくなるというようなことで、冷凍パイン製品あるいはその他のものによって圧迫を受けるということは非常に困りますので、冷凍パインを原料としてつくりましたパイかんには、原料が冷凍パインであるということを明確に表示することにいたしまして、十二月一日以降製造するものにつきましては、明確にそのように表示することになっております。  それから次に、先生もいまお話しになりましたJASの件でございますけれども、いままで冷凍パインにつきましてはJASの受検ということがほとんど行なわれていなかったわけでございますけれども、今後はJASの受検を励行させるとともに、JASに合格しないような不良品を製造しない、そういうことで強い指導をいたしますとともに、JASの合格品ということを明確にいたしまして、消費者が優良品を選択して買うことが容易にできるようにしたい、そのように考えております。  なお、パイかんにはグローバル品の輸入ものがあるわけでございますけれども、それにつきましては、今後のパイかんの全体の需給動向を勘案して、輸入量等について調整をはかりたい、そのように考えております。  なお、内地におきます一般の商店等におきまして、沖繩産パインの一個当たりのもうけが、グローバルもの等に比べて少ないということがございますので、両方の品がある場合には、売るほうではどうしてももうけの多いものを優先的に売るというようなことが行なわれているわけでございますけれども、私たちは国産品を優先的に消費拡大したい、そういうことで、業界に対しまして機会あるごとに、沖繩品の優先消化拡大ということを指導しております。今後ともそういうことを継続いたしまして、沖繩産のかん詰めが異常なく消費拡大が行なわれますように努力していきたい、そのように考えております。
  158. 松尾直良

    ○松尾説明員 先生指摘の、冷凍パイナップルと沖繩パイナップルの関係でございますが、現在、パイナップルの関税と申しますものは、かん詰めで加工されておりますもの、これは五五%の関税がかかっております。それから冷凍パイナップルで、砂糖を加えていないもの、それからパイナップルの生鮮のもの、いずれも二〇%という関税になっておるわけでございます。その冷凍パイナップルというものはどういう用途に使われておるかということでございますが、御指摘のように、最近と申しますか、四十七年ごろからこれがかん詰めに加工されて出回るようになってきたという事実がございますが、本来の冷凍パイナップルの用途と申しますものは、菓子とかあるいはジュースの原料になっておるということで、現在も冷凍パイナップルすべてが国内でかん詰めに加工されておるということではございませんで、私ども、農林省にもいろいろお調べをいただきまして、推計でございますが、輸入冷凍パイナップルのほぼ半分はかん詰めに回っておって、残りの半分は本来の用途と申しますか、冷菓あるいはジュースといったものに回っておるというふうに推定をいたしております。  沖繩のパイナップルかん詰めが、現在非常な滞貨になっておるということで、その原因といたしましては、一つには、パイナップルかん詰めあるいはくだものかん詰め全体の需要が伸び悩んでおるという背景があるわけでございまして、それにプラス冷凍パイナップルからつくられたかん詰めというものが、沖繩産品を圧迫しておるのではないかということがある程度いえるのではないかということで、ただいま農林省のほうから御説明ございましたように、まずこの冷凍パイナップルというものを、冷凍からつくったものであるという冷凍の表示を励行させるということによって、消費者のほうでこれは冷凍ものだよという選択を通じて冷凍ものの消費に水をかけていく、あるいはJASの規格を厳格に守っていただくというようなことによりまして、冷凍パイナップルの消費を少し抑制に向けていくというような手段、その他いろいろ農林省のほうで御研究をいただいているわけでございます。  かん詰め問題につきましては、一つには、冷菓とかジュースとかという業界からは、関税を引き上げますとコストが上がるということで、これは上げぬでほしいというような陳情もございますし、全般の物価対策ということを考えますと、この関税をにわかに引き上げることがいいのかどうか、それから対外的な影響というようなものも考えますと、できましたならば関税引き上げという手段ではなしに、沖繩パイナップルかん詰めの消化を促進するということができれば一番望ましいのではないか、こういうことでいろいろ農林省にも御研究を願っておる段階でございますので、その上で、関税をどうしても検討するという必要が出てまいりましたら、私どもも、そういう諸般の情勢を踏まえまして検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  159. 松浦利尚

    松浦(利)委員 お二人から御答弁ありましたけれども、私は、沖繩のパイン農家あるいはパイかんを生産しておる零細なかん詰め工業者というのは、非常に不安に思うと思うのですね、いまのような答弁では。現実にもう滞貨の山なんですから。ですから、そういったことから考えると、調査、研究という段階はもうすでに過ぎて、もっと積極的にどうすべきだという段階に政策が来ておらなければいかぬ。  農林省からJASの問題等を含めてお話がありました。それはそれでけっこうだと思うのです。ただ問題は、冷凍パインの自由化に踏み切ったときの利用目的と違った形で五〇%使われておるわけなんだから、ですから、そういう点も勘案をして、この際やはり関税を洗ってみるということも、私は必要だと思うのです。そうしなければ沖繩県民の人たち、幾らパインを特産品として奨励してみてもやめていくのです。それでなくても耕地面積の少ない沖繩県ですから、農業基盤整備をして生鮮食料品やれなんといったって、なかなかすぐに換金できる作物に移れるわけじゃないわけだから、そういった点についてはこの際、これはもうここでくどくど申し上げません。そういう御説明は御説明でわかりましたが、もっと前向きで御検討いただきたい。  そこでこの際、経済企画庁長官に最後にお願いをしておきたいのですが、私がいまいろいろと御質問したことは、前から、沖繩復帰以来一年たってからも何べんもお願いをした、そして二年たってまた同じことをお願いをする、何べん来ても同じことの繰り返しだということも、沖繩県民の人たちから聞くことばなんですね。ですから、私たちももっともっと努力をいたしますが、政府におきましてももっと、先ほど、冒頭大臣から御答弁いただいたわけでありますが、これを契機に、海洋博という問題も目前にあるわけでありますから、五十年度に向かって積極的な物価対策というものを展開していただきたい。さらに、いまのパインの問題についても、やはり関税等含めてもっと積極的な、前向きな助成策というものが行なわるべきだというふうに私は思います。そういった点を含めて大臣から最後にお答えをいただき、なおその他の問題については、派遣委員のそれぞれの皆さんからまた詳しく御質問があるだろうし、また委員長を通じて提出いたしました派遣委員報告書等を見ていただきまして、的確に対処していただきたいというふうに思います。
  160. 内田常雄

    ○内田国務大臣 沖繩に関連する物価の問題でありますとか、あるいは沖繩現地の産業の育成等につきましては、松浦委員からだんだんそのお話がございましたとおり、また政府側各委員から答弁がございましたような線で、経済企画庁におきましても政策の総合調整を進めて、現地の諸君にも安心をしていただくような努力を進めてまいりたいと考えます。
  161. 松浦利尚

    松浦(利)委員 通産省の方にはたいへん長くお待ちいただいたわけでありますが、時間が長時間にわたりましたので質問は中止をいたしまして、おわびをして私の質問を終わります。
  162. 平林剛

  163. 野間友一

    野間委員 いま詳細に松浦委員からの質問があったわけですけれども沖繩は、御承知のとおり五十に近い有人島からなっております。しかも、それぞれがそれぞれに対して離島関係にある、これは言うまでもないことであります。その点で、たとえば東京都の八丈島に対する関係とか、あるいは鹿児島県の奄美大島に対する関係ということとはまた異なった性格を持つものであるということは、言うまでもありません。しかも、この沖繩が平和や基地の問題とりわけいま暮らし、物価の問題についてたいへん深刻な事態におちいっておる。実は私も調査団の一員として派遣されたわけでありますけれども、自分の目で、自分の耳でこの現地を見まして、ほんとうに私たちは何とも言えない気持ちになって帰ってきたわけであります。その後地元の新聞等の社説にも取り上げられましていわく、二年半たっていまごろのこのこ来て何だ、もっときっちり調べろというようなたいへんきびしい批判も受けたようでございますけれども、私は、重複しない範囲で質問を進めてみたいと思います。  まずお伺いしたいのは、先ほどの話にもありましたけれども沖繩物価といいますと、本土から本島、本島から石垣ないしは宮古、そしてここからさらに先島、こういうふうに三段階に物価が高くなっているというのが現状でありますけれども、本土に比べて消費者物価指数、これが一体どのような関係にあるのか、経済企画庁、どのように把握しておられますか。
  164. 内田常雄

    ○内田国務大臣 経済企画庁で調べまして、ここに渡されたものがございますが、昭和四十七年六月を一〇〇として四十九年八月における那覇市の消費者物価は一四六、こういうことになっております。これは、今度本土と比べてみますると、本土の同じ時期の水準は一四一・五、こういうことでございますので、沖繩のほうがかなり高くなっているということが数字の上でも読み取れております。
  165. 野間友一

    野間委員 指数とり方ですが、全国的には四十五年を一〇〇としてとっておるわけですね。沖繩の場合に、これはあとでも若干触れたいと思いますけれども、復帰を契機にしてむちゃくちゃに物価が上がった。ですから、復帰後を一〇〇として指数をとっても、これは正確な比較にならないことは、当然の話であります。そこで、沖繩を本土と同じように四十五年を一〇〇としてどれだけの差があるのか、この点について事務当局……。
  166. 喜多村治雄

    喜多村説明員 九月二十七日に総理府統計局から公表されております、四十五年を一〇〇にいたしました那覇市の指数は一八六・三でございまして、全国をこれに応当させますと一五六・七、こういうことになっております。
  167. 野間友一

    野間委員 その差は何%になっておりますか。
  168. 喜多村治雄

    喜多村説明員 約二〇%という計算になっております。
  169. 野間友一

    野間委員 私は、最近の指数は持っておりませんので、統計局の四十九年の四月現在の指数ですね、これを表で拾ってみたわけですけれども、これによりますと全国平均が一五〇・八、これに対して那覇市が一七九・二、これはことしの四月ですね。この差が二八・四%、実にひどいものですね。一年間に消費者物価が二四%、二五%上がる。これは世界でも例のない物価高ですね。ですから二十数%といいますとたいへんなパーセントなんですね。いまの数字は那覇なんですね、四月時点で。私も計算したわけですけれども、これ誤りないと思います。ですから四月時点では那覇が本土に比べて平均二八・四%、しかもここから、先ほど経路を申し上げましたけれども、宮古、石垣、あるいはそこから先島と、先に行くほどさらにこれがアップされている。  そこで経企庁、那覇と比べて石垣ないし宮古、これがどの程度物価が高いのか、さらにそこから先島に対してはどうなるか、これについてさらにお答えください。
  170. 喜多村治雄

    喜多村説明員 たいへん申しわけないことでございますが、それから先の物価指数については手持ちがございません。
  171. 野間友一

    野間委員 だからね、これだけ沖繩物価がたいへんな事態になり、またきょうも委員会が開かれておるというにもかかわらず、まだ石垣とか先島についてのでたらめなむちゃくちゃな物価高の実数、実態を把握されていない。ここに私はやはり政府の姿勢があると思うのです。先ほど松浦委員のほうからも指摘がありましたけれども、復帰から約二年半弱、この間、復帰の前後、沖繩国会を通じて、それから今日までずっと沖繩の問題については議論が展開されております。ところが、いまに至るもそういう実態が、いまの政府沖繩に対する認識あるいは態度、これを端的にあらわしておるというふうに考えるわけです。  そこで、次に質問を進めるわけですけれども、このようにしてたいへんな物価高の中で、一方、それでは全国から見て沖繩県の県民のそれぞれの収入はどうなのかということですけれども、これについてどうでしょうか。
  172. 喜多村治雄

    喜多村説明員 ただいま収入ということでございますが……(野間委員「所得」と呼ぶ)所得でございますが、沖繩県の一人当たりの県民所得は、昭和四十七年度で四十六万八千円となっております。全国は、これは別個に計算いたしました国民所得でございますが、国民所得は一人当たり七十一万一千円でございますから、約六五%の水準である、こういうことでございます。
  173. 野間友一

    野間委員 その数字はそのとおりだと思います。つまり長官、物価の点についていいますと、いま申し上げたように四十五年を一〇〇として那覇市において二八・四%高、ところが逆に所得を見ますと、四十七年度で全国平均に比べて六五・八%、こういう数字があるのです。収入は低い、物価だけが高い、こういうのがいまの沖繩の現状であります。こういう数字をお聞きになって、長官としてはどのようにお感じになるのか、所見をまず承りたいと思います。
  174. 内田常雄

    ○内田国務大臣 それだけ沖繩県にお住まいの方々は、本土の国民の平均に比べて不利益な立場に置かれておると思わざるを得ません。でございますので、先ほど来松浦さんからの御議論もございましたように、これらの格差是正のためには、政府としてはまだまだいろいろのことをなさねばならないと思います。
  175. 野間友一

    野間委員 さらにかてて加えて言いますと、沖繩では本土に比べて失業者が非常に多いということですね。とりわけ最近では、米軍基地の労働者の整理の問題がからんできておるわけでありますけれども、これは屋良知事からのいろいろな話も聞いたわけですが、中高年齢層、これらの完全失業が非常に多い。これについても資料を調べてみますと、全国平均それから沖繩、これを対比してみたわけですが、全国平均では完全失業率が〇・八%、これはことしの三月の時点でありますが、〇・八%です。ところが沖繩の場合には一・四%、これは最近ずっとふえておるのです。三月には一万四千人の失業者をかかえておる。これは完全失業です。しかも、中高年齢層、これらの再就職がたいへん困難である。これは沖繩開発庁の資料でも、あるいは屋良知事の話でもまさにそのとおりであります。これがさらにふえる傾向にある。  このようにして収入は低く、しかも失業が多い、物価は異常に高い。こういう実態を前提として沖繩のすべての施策を考えていかなければならない。それが国に課せられた最大の責務であるということを私は申し上げたいわけです。だからこそ、今日まで復帰後二年半弱とられてきた政府の施策のなさ、この中では、沖繩の県民は復帰してよかったと思う人よりも、復帰しなければよかったと思う人が多いのです。  ここに琉球新報の五月十四日のアンケートの調査の結果が出ております。それによりますと、「沖繩が本土復帰してから二年たちましたが、復帰してよかったと思いますか。」これについて、「復帰前のほうがよかった」と答えた人が三八・六%なんです。「よかった」「あるていどよかった」これが合計しますと四七%弱ですね。つまり「復帰前のほうがよかった」という人が何と三八・六%もおられる。しかも、これからの暮らしについて、復帰後二年間の体験から将来の暮らしをどう考えるのか、どう予測するのかという設問について、「いまより悪くなる」、それから「いまの苦しい状態が続く」、これを合計しますと五十数%なんですね。つまり半数以上の沖繩県民の方が、「いまより悪くなる」あるいは「いまの苦しい状態が続く」こういう回答を出しておるわけです。  ほんとうに二のようにして、平和や基地の問題はともかくとしても、悲願の復帰をされた県民が、復帰後二年有余の暮らしの中で、復帰しないほうがよかった、あるいはいまより暮らしが悪くなる、こういうふうに答える人が多いということ、このような県民のいまの気持ち、これについてどういうようにお考えになるのか、これは長官並びに開発庁も、ひとつぜひ真摯なお答えをいただきたいと思うのであります。
  176. 内田常雄

    ○内田国務大臣 野間さんがそういう数字をおあげになっておられるわけでございますから、それはそのとおり私どもも受け入れまして、そういう島民の気持ちを、今後も本土に復帰してよかったというふうに持っていくべき政治的責任が私どもにはあると私は考えます。  ただし私は、米軍の施政権下にあり、きょう現在よりもはるかに広い割合で米軍の基地のもとにあったような、そういう昭和四十七年以前の沖繩の住民のあり方が、よかったとは私は考えられないわけでありまして、その点をも含めて私はこの問題は判断をしなければならないと思います。あの沖繩を米軍の施政権下に置いて、そしてあそこが日本の行政権も及ばないという状態下にあった沖繩県の状態というものは、もともと日本と一体であった沖繩の住民として、決してよかった状態であるとは私は考えない点もございます。
  177. 西銘順治

    ○西銘説明員 ただいま先生が御指摘になったとおり、琉球新報の調査によりますと、復帰してたいへん損をした、よくなかったという比率が相当高い比率を占めておるわけでございますが、これは経済生活、特に狂乱物価の中で、ドルが法貨の時代のほうが、ドル時代のほうが物が安かった、生活がしやすかったという実感は、確かにこれは御指摘になったとおりでございます。  ただ、二十数カ年間のアメリカ統治の時代と比べまして、そういう物質生活ではかれない、日本国憲法のもとに、同甘共苦と申し上げますと古い表現かもしれませんが、同じような立場に返ることができたということでは、復帰してよかったんだ、これが県民の偽らない率直な気持ちではないか、私はこういうふうに受け取っております。
  178. 野間友一

    野間委員 ちょっと私の聞き方が誤解があるように思うのですけれども、もちろん、安保条約廃棄をして完全復帰さすというのが私たちの立場でありますし、それで奮闘してきたわけですけれども、私が言いたいのはそういうことでなくて、経済企画庁長官、ほんとうに悲願が成就して復帰された、これにこたえていないということを私は強調したいわけですね。いま収入から物価高の問題からあげたのは、まさにそうなんですね。二年有余たちながら、まだこういう事態が続いておる。しかも、先ほどからるる同僚の松浦さんのほうから話がありましたように、たいへんな事態がまだちっとも改善されていない。これにどうこたえていくか。これは復帰直後にすでに強力なもろもろの手だてをしなければならなかった、それがいまだに放置されておる、これが沖繩県民の気持ちとなってこのアンケートにあらわれておる、こういうことであるわけですね。  そこで、具体的に少し、まず運輸省にお聞きしたいわけですけれども、これはやはり沖繩県もあるいは総合事務局も、いまの物価高の原因の大きな一つとして輸送コストですね、これをあげられておりました。そして、先ほど私が申し上げましたように、本土から本島、そして石垣、宮古、さらに先島、こういう三段階の輸送、しかも、大体八割までが移入品に依存しておる、こういういまの沖繩県の現状、これからして、輸送コスト物価のコストに占める割合がたいへん高いということ、これが特徴だと思うのです。  そこで、私たちが沖繩に参りましたときも、この問題がたいへん切実に叫ばれまして、何とかこれの解決をしてくれ、こういう要求が強く出されたわけでありますけれども、それぞれの小売り価格に占める輸送コストの割合、これは一体どういうものになるのか。これは生鮮野菜あるいは魚介あるいは生活関連物資、分け方はいろいろあると思いますけれどもあとで資料を出してもらうとして、おおよそでもいいから、ひとつぜひここでお答えいただきたいと思います。
  179. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 われわれ運賃をいろいろな面で監督しておりますので、運賃の小売り価格に占める割合といったものについて、離島問題全般についてわれわれなりの勉強をさせていただいております。  いま先生指摘ありましたが、特に先島のほうにつきましては、実は私ども小売り価格それぞれ幾らで売られているかという的確な調査資料を持っておりません。したがいまして、私がいま持っております、とりあえず那覇の主要物資といいますか、それらの小売り価格、これは総理府の統計局で公表された数字と、本土から那覇までの運賃というものの、その単位に換算したものを幾つか物品を持っておりますので、それを申し上げてみたいと思います。  小麦粉につきまして、たとえば今年七月の小売り価格が一キログラム七十九円と出ておりますが、これを那覇までの一キログラムに換算した運賃、現在四円二十四銭ということになりますので、割り算いたしますと約五・四%ということかと思います。ハム、これも百グラム八十五円と出ておりますが、百グラムの運賃に計算しますと五十三銭になりますので〇・七%、キャベツ一キログラム二百六十三円、これにつきまして運賃十円九十五銭、四・二%、みそ一キログラム二百八十七円、四円三十八銭で一・六%、即席ラーメン百グラム六十円、二円三十六銭で四%、洗剤二・六五キログラムのもの五百三十三円、運賃四十三円十七銭で八・一%というところで、数字その他品目はあるいは的確じゃないかと思いますが、われわれとりあえず手元に持っております資料では、そのとおりでございます。
  180. 野間友一

    野間委員 時間がありませんから、その詳細について、ぜひ委員長、その輸送コスト、これは運賃補助の問題に関連しますから、運輸省としてはどのような試算をしておるのか、これは詳細、表にしてひとつ出していただくようにお願いいたします。  いまも答弁がありましたけれども、運賃コストがかなりな比重を占める、しかも、これがさらに宮古、石垣、先島、こういう経路がありますと、ここに運賃のほかには荷役とかいろいろなそういうものが入るわけですね。ですから、これがさらにコストをオンしていく。八重山の海運事務所でも離島航路の運賃表という資料をもらったわけですけれども、たとえば油類ドラム一本が、これは石垣から竹富まで二百五十円、小浜まで四百二十七円という、いろいろ数字が出ておりますけれども、たいへんな値段ですね。これら全部オンするわけです。これは高くなるのはあたりまえなんです。しかも、本土から本島まで運送しなければならぬ。冒頭に申し上げたように、また西銘さんも言われましたけれども沖繩全体が離島の集合体であって、やはりこの特性が輸送コスト、これに大きくあらわれておるというふうに思うわけです。しかも、いま運輸省で聞きますと、あれだけ補助の問題が重視され、また沖繩の県議会で議決されながら、たとえば那覇から先島のほうに対して運賃コストがどのくらいの割合を占めるのかということの試算すらできていない、これが現状だと思うのです。これは経企庁もおそらくそういう資料がないと思いますけれども、あればまた答えてほしいと思いますけれども、そういうのが現状なんですよ。ですから、口をすっぱくしてここでいかに論議しても、なかなかそれが実現されていない。善処するとか前向きにとかいうことだけがむなしく返ってくる。県民が幾ら聞いても信用しないのは当然だと思う。  そこで、先ほど運賃補助の点についてお答えがありましたけれども、この現状を、そしてどこからどこ間の航路についてどのように補助をしておるのか、四十七年度、四十八年度、四十九年度、五十年度の要求、これをひとつお答えを願います。
  181. 熊木藤吉

    ○熊木説明員 御説明いたします。  沖繩関係離島航路補助につきまして、四十七年度、四十八年度、四十九年度、五十年度の要求について御説明したいと思います。  最初、四十七年度につきましては、沖繩航路につきまして二千七百万の補助をいたしております。それから四十八年度につきましては八千三百万、それから四十九年度、これは今後詳細をチェックしまして交付する形になりますので未定でございますけれども予算的には一億六千六百万。現在五十年度予算として要求しておりますのは二億六千九百万になっております。そのうち、四十七年度が二千七百万と少のうございますのは、われわれの離島航路整備法に基づく手続上、五月の復帰時点から九月までの期間でございますので、その点が少なくなっておる原因でございます。
  182. 野間友一

    野間委員 ちょっといま答弁抜けていますけれども沖繩航路という話がありましたけれども、どの航路ですか。
  183. 熊木藤吉

    ○熊木説明員 各航路について、四十八年度実際に補助をいたしました実績について御説明したいと思います。  航路といたしまして、全部で二十一航路でございます。具体的に宮古地区では五事業者五航路、それから石垣地区では四事業者四航路でございますが、石垣の竹富地区は一本にまとめて竹富地区となっておりまして、先島の宮古、石垣地区の各島間、諸島間の輸送についてはほぼ全部が補助対象となっておる現状でございます。
  184. 野間友一

    野間委員 私が聞いたところによると、補助の対象となる航路は単独の航路に限るということで、これは複数の航路があるところは補助の対象にはなっていない。それで未補助路線、たとえば本土−本島、それから本島−宮古、本島−八重山、宮古−八重山、こういうところについては単独航路ではないから補助の対象にはなっていなかった、こういうように聞いております。それは事実ですか。
  185. 熊木藤吉

    ○熊木説明員 お答えいたします。  現在そこの部分につきましては、二事業者以上が配船といいますか、運航いたしております。現在の離島航路整備法上、唯一の航路、単独航路につきましては、これがなくなりますと住民の足がなくなるというたてまえになって離島航路整備法ができておりますので、単独航路については補助をする、二航路事業者以上については補助できないたてまえになっておりますので、補助いたしておりません。
  186. 野間友一

    野間委員 結局、いまの補助の実態を見ましても、これは物価対策ではないわけですね。要するに、いまの足の確保が問題がありまして、単独航路があって、これがなくなるとその足が奪われてしまう。あるいは医療上、教育上ということを私は聞いたわけですけれども、つまり人間を運ぶために、このような単独航路のところにかろうじて補助が出ておるというのが現状でありまして、およそ物価対策としてこの航路に補助を出すというようなことでは全くないということが明らかだと思うのです。  しかも、補助方法について聞いておるのは、収支が赤字になった場合には国が七五%補助する。しかもこれは、予算の範囲内に限るのだ。それから県が二五%の補助。これは四十八年度の実績を見てみますと、わずか六〇%強の補助にしかすぎないというのが実態だと思うのです。これは事実かどうか、お答えいただきたい。
  187. 熊木藤吉

    ○熊木説明員 実際上、予算補助ということになっておりますが、いまおっしゃいました六〇%強でございますけれども、それが実態でございます。国が欠損補助の七五%の補助を一応予算上はたてまえとしておりますが、その後数字が動きますので、七五%が実際には六〇%ということでございます。県の分は別でございますが、七五%に対して六〇%。七五%の六〇%ではございません。
  188. 野間友一

    野間委員 それじゃもう一つお聞きしますが、これは要するに人間の足をどう確保するのか、つまり旅客の輸送手段、これが主になっているわけですね。つまり貨物輸送、これの補助が、これは混載していくから波及的にというか、反射的にというふうに答えがあるかもわかりませんけれども、この点についての具体的な運輸省の考え方はどういうことになっておりますか、あるいはその実際の施策。
  189. 熊木藤吉

    ○熊木説明員 御説明いたします。  現実に補助対象になりますのは、いまおっしゃいましたように人の輸送が中心になっております。離島航路整備法の補助対象になる事業者は一般旅客定期航路事業ということで、旅客輸送が中心になっております。ただし離島の場合、すべての船は貨客船、貨物と旅客両方を運びますので、離島航路補助をやりました航路については、実際上は旅客と貨物と両方が結果的には補助の対象になる、こういうことになっております。一般貨物船については対象になっておりません。
  190. 野間友一

    野間委員 開発庁次官がおられますけれども、以上のとおりで、よく御承知のとおりだと思う。つまり、先ほどから補助補助という話がありましたけれども、実際には実態はそういうことなんですね。離島航路の補助という話がありましたけれども、これは沖繩独自のこういう施策なのか、あるいは全国的な、一般的な離島の航路の補助ということでやっておるのかどうか、その点だけ聞いておきます。
  191. 熊木藤吉

    ○熊木説明員 全国一本の形になっております。復帰以前については琉球政府でやっておられまして、あと本土復帰に伴いまして、本土の制度と一緒になっております。
  192. 野間友一

    野間委員 開発庁次官、そのように全く沖繩県のいまの物価の急騰あるいは特性、それにも全く目を向けず、単なる離島振興、離島対策としてしか、反射的にはともかくとして、旅客を主にしてということでしか運賃補助は考えられていない。ここにもやはりこの物価高の中で輸送コストがたいへん大きなウエートを占めているということについての政府の認識のなさ、あるいは対策のなさ、これが明らかになったと思うのです。これは開発庁としては、私たちもこれからも積極的に取り上げてこれの要求はしていくとしても、これらについてはどのようにお考えになっておるのか、ひとつ所見を承りたいと思います。
  193. 西銘順治

    ○西銘説明員 ただいま関係課から御説明がありましたとおり、離島航路補助と申し上げましても沖繩県地域内における、たとえば先島地区における小さい航路に対する補助でございまして、これは本土並みであります。  問題は、沖繩県全体が離島でございますので、本島までの航路は全然補助の対象になっていないというところに、物価対策上われわれといたしましてもたいへん苦心をいたしておるところでございまして、何とか捻出して助成していきたいとは考えておりますが、現在の法制上なかなかむずかしいことでございまして、これは立法を要する問題でございまして、今後検討しなければならないと思っております。
  194. 野間友一

    野間委員 物価庁、内田長官、いまのように、もう繰り返しませんが、しかも対象になっていないのが本土−本島、本島−宮古あるいは八重山、こういう関係になっておるわけでしょう。これらについて、ほんとう物価対策を考える場合には、単に離島一般の対策として、単に足を確保するということだけでなくて、ここに大きく目を注いでこれに手当てをしなければ、これはずっと依然として続くということになるわけですね。これはもう時間がありませんから、あまり詳しい数字は申しませんけれども、たいへん高くなるのですね。これはやはり片荷が多いということがあるわけですね。移入物資が大部分ですから、片一方は持ってくるけれども、帰りがないということですね。それで船が小さいということでコストが高くなるのは当然かもわかりませんけれども、ここにメスを入れなければ、これはたいへんなことになる。しかも、先島のほうに行くほどものすごいのですよ。  一例をあげますと、ここに「竹富町離島における生活必需品の小売価格状況」というのがあるわけですね。これは町でもらった資料ですけれども、たとえば竹富町のうち東部なんというのは、これは別の島ですけれども、石垣市に比べてみそが二四%高ですね。しょうゆが二二%、それからパンが一四%、このようにして、ひどいのになりますと三六%というのがあります、これは西部という島のみそです。ですからたいへんなことなのですね。これらに手当てをしなければ、ほんとう沖繩物価を安定させることはできない。おまえら、初めから離島におるからあたりまえだ、運賃、輸送コストが高くなってあたりまえだという理屈は成り立たぬと思います。  しかも、冒頭に申し上げたように、ここの場合には、東京都とかあるいはそういう大きな自治体があって離島があるということでないわけですね。特別の措置が必要になるわけですよ。先ほどの運賃補助の問題がありましたけれども、これではとうてい、先ほどの話でもおわかりのとおり、物価対策でやったものじゃないし、一定の効果はないとは言いませんけれども、しかし、これはもう物価対策としての効果はない。ですから、これらについていいますと、やはり特別の補助対象、手だてをあらためてしなきゃならぬ、こういうことになろうかと思うのです。直接の所管庁ではありませんけれども、ひとつ御所見を……。
  195. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私は、沖繩開発庁というものがわざわざ国家行政組織法を改正してまで置かれているゆえんというものに、さかのぼって考えてみる必要があろうかと思います。沖繩県というものを自治大臣の管下に置いただけではなしに、いまのような開発庁というものをつくって、大臣まで置いてある。これは、現在は総務長官との兼任でございましょうけれども、仕組みを異にしているというたてまえがあります以上、私がここでとやかく言うわけにまいりませんけれども、その原点にさかのぼっていろいろな施策を講ずべき点があろうかと思います。  今後、開発庁の次官もいらっしゃることでありますから、その考え方に立って私どもも御協力をいたしてまいりたいと思います。
  196. 野間友一

    野間委員 これは開発庁も積極的に要求をされて、ぜひ実現をして、沖繩県民の期待におこたえいただきたいということを強く要望しておきます。  それから、国鉄船の就航については先ほど質問がありました。これは法律上できると思うのです。鹿児島から延長さして那覇まで船を就航させる、これはできると思う。しかも、先ほど手小荷物のお話がありましたが、これもいわば同じような、国鉄船を延長して那覇まで手小荷物の扱いをするということになるわけですね。手続上というか、これは現行法でも私はできると思う。国有鉄道法のたてまえからできると思うのですけれども、これと民間との航路と申しますか、その運送との関係をどうするかということが一つの大きな問題ではあろうかと思いますけれども、これもやはり非常に沖繩県の県民の皆さんの要求が強い、要望が強い。これは私も納得できると思うのです。先ほど話がありましたけれども沖繩県は戦前、戦後を通じて国鉄のお世話には一回もなっていないという、こういう歴史的あるいは政治的な経過があるわけです。ですから、そのくらいのことなら私はしてもいいと思う。しかも、沖繩県へ行きますと、いま国鉄の中で黒字といいますと、新幹線を含めて三線しかない、あとは全部赤字だ。ほかの県では赤字でサービスしながら、沖繩に対してはサービスしないとは何事だ、こういう気持ちも私は当然だと思うのですね。  そういう国鉄船の就航について、先ほど答弁がありましたけれども、もう一度さらに、前向きに検討して県民の期待にこたえたいという意向があるのかないのか、補助とは別にして、ひとつお答えをいただきたい。——それでは、定期船課長ではわからぬと思いますので、これは後日に譲ります。  それから、今度は農林省にちょっとお聞きしたいのですが、自給率の問題です。これも、移入が八割を占めておるという現状の中で、物価高の大きな要因をなしておるということは、いなめない事実ですね。  そこで、私はこの資料を見て驚いたわけですが、主要農産物の生産量、それから自給率の推移、これは四十五年と四十八年対比ですが、この資料をもらいました。これによると、たとえば米の場合、米の生産量は確かに少ないわけですね。ところが、その少ない米が、生産量が四十五年対比で四十八年が実に五三%も減少しておるというのが現実なんですね。自給率は六・三%も減少しておる。こんなことが一体あるのだろうか。これはびっくりしたのです。野菜の場合にはわずか〇・四%増加です。自給率についていいましても、〇・四%増加。これは微増です。牛肉は二三%減、自給率も三%減。それから牛乳は生産量が八%減で自給率が一三・五%減。豚肉は生産が四%増、ところが自給率は一七・六%減。鶏卵は生産が四%増、自給率が二・九%減。このように、主要農産物を考えてみますと、沖繩の風土とか気候上、台風の関係もありまして問題があろうかと思いますけれども、四十五年に比べて四十八年度が生産量が落ちておる、自給率も落ちておるということですね。伸びておるのもわずか、微増である。こういう傾向なんですね。ですから、移入品がどんどん減るどころかふえる一方である。いま流通関係の冷凍設備とかいろいろありましたけれども、これが実態なんですよ、皆さん。自給率を高めるということは、いま世界の農産物についても大きな問題になっておる。わが国も全部そうなんでしょう。ところが沖繩県の場合には、これはぐっと減っておるというのが現状なんですね。これは一体どういうことなんですか。
  197. 星野省松

    ○星野説明員 ただいま沖繩の農産物につきまして、先生から自給率の御質問がございましたが、私、いま手元にその点につきましての正確な数字を持っておりませんので、私自身の数字、あるいはいままで沖繩の農業行政をやっております勘といいますか、そういうものから申し上げますと、米につきましては、確かに四十五年に比べて相当落ちておるはずでございます。それから野菜等につきましては若干増、畜産物は、牛肉等につきましては現在生産を続けておる、それから豚肉、鶏卵等につきましても次第に増を続けておりますけれども、これはいろいろな価格関係等がございまして、その年その年のとり方によりまして若干の変動があるというような形であろうかと思うわけでございます。  米につきましては、先生承知かと思いますが、沖繩につきましては復帰後非常な特例措置をとっておりまして、食管法の適用ははずしておりますけれども沖繩産米につきましては本土の大豆のような不足払い制をとりまして、買い入れ価格水準につきましては大体本土の九割並み、これは品質格差等を是正いたしますと大体本土並みの水準というふうに理解しておりますが、そのような価格であれしまして、消費者米価につきましては、ほぼ本土の半分程度のもので売り渡しておるというような形であれしております。  生産の実態につきましては、沖繩につきましては現在非常に農業基盤整備等を進めておるわけでございますが、その場合におきまして、農家における労働配分といいますか、そういうものから申しまして、乾田化等を進めますと、サトウキビのほうに転換する者が比較的多いというような形で、現在のところその面積等が減少しておるわけでございますけれども、今後水田につきましても農業基盤整備等を進めておりますので、それによって今後の生産の振興をはかっていきたいというふうに考えております。  それから野菜につきましては、先ほど御質問がございまして、その場合にもお答えいたしたわけでございますけれども、大体大観いたしまして、沖繩の野菜につきましては、夏場の野菜の自給ができないというようなことから、ほぼ八割程度の自給率という形になっておるわけでございますけれども、近代的な生産団地をつくろうということで、四十七年度から、沖繩だけでございますけれども、特産野菜団地育成事業というものを続けまして、十分の六というような補助率でそれに対する整備等を進めておるというようなことでございます。  それから畜産の場合は、特に沖繩の場合草の生育が非常によろしいということから、牛の生産の振興をはかりたいということで、草地改良等につきまして、これも本土以上のものによりまして現在助成を行なって、鋭意その振興をはかっておるというようなことでございます。
  198. 野間友一

    野間委員 情けない話で、統計はずっと出ておるわけですからもう把握しておるはずですよね。  それで、一つは、あるものをどれだけ伸ばすかということ。これは実際あるものが減っておるわけです。四十五年に比べてずっとダウンしておるわけでしょう。確かに人口増とか消費の伸びとかいろいろありますよ。しかし絶対の生産量が減っておるわけでしょう。牛肉、牛乳、それから米、これは減っておるわけですよ。こんなことが一体あり得るのかどうかということです。こんな状態をなぜ放置しておるのか。進めておるとかいろいろ口を開けば言いますけれども、実際にはどういうように進めておるのか知りませんが、減っておるのは事実なんですよ。これは農林省でもらった資料ですから、間違いないと思うのですね。  こういうような状態で、しかもこれがさらに移入率が増加されるわけですよ。これまた物価にはね返ってくる。運賃も何も補助しない。こんなこと、いまさらながらにあれこれ進めるとか言われても、県民はなかなか納得しませんよ。これは四十五年対比でこうなっておるわけですから、復帰後からなぜここにてこ入れしてもっとやらないのか。私は現地へずっと行ってきましたけれども、たとえば宮古あたり、牧草地がずっとずいぶんあるわけですよ。これは湿地なんですよ。これは少しかんがいでも排水でもやればいい。こんなのはもうずっと前にやろうと思えばできることなんですね。これすらできていない。これは県民が聞いたらおこるのは当然だと思うのですね。一体なぜこんな状態でいままで放置されておるのか。どれ一つ例をとりましても無策しかないと思うのです。  ですから、時間がありませんからそんなに触れることはできませんけれども、卸売り団地市場の問題とかあるいは野菜団地とか、それから低温冷蔵施設の問題とか、いろいろ私も聞いて知っておりますけれども、これをもっと早くやらなければならぬ。現にいま貯蔵施設ですけれども、これは宮古と本島に七百七十トンと二百八十トン、これは四十九年度は予算化されておりますけれども、いつ完成するのですか。
  199. 星野省松

    ○星野説明員 ただいま先生のおっしゃいました冷凍冷蔵庫の場合、本島の場合は七百トン、それから宮古の場合は三百六十トンであったかと思いますけれども…(野間委員「二百八十トン。私の資料の中に書いてありますよ」と呼ぶ)そうでございますか。実はこれは農林省の予算でございますので、私、そのように承知いたしておりますが、これは四十九年度予算でございますので、今年度内に完成するということでやっております。私、先日実は沖繩へ出張して見てまいりましたけれども、すでに本島のものについては手をつけ始めておるという状態でございます。
  200. 野間友一

    野間委員 いずれにしても、農林関係あるいは運輸関係、これ、どれをとってみてもちっとも手当てができていないというのが現状です。だから、いまから多少の努力をしようとしておりますけれども、これはどの程度効果があるのか、あるいはいつごろ具体的にどのような効果があるのかということについては、私は納得できないわけです。  そこで一つ、これは屋良知事も言われておりましたけれども、振興計画を立ててもやはり行き着くところは基地だと、こういうわけですね。大体米軍基地の五三%があの狭隘な沖繩に集中しておる。しかも肥沃なところが全部基地になっておる。ですから、これがもう最も大きなネックである。これはやはり早期に安保を解消して、そしてこれを返還させなければならぬのは当然の話でありますけれども、きょうやあしたにはいかない。  そこで当面、こういう自給率の問題から考えてもそうなんですけれども、低い上にさらにこれが落ちておるということの中で、せめてもの償いとしては、いまの運賃補助とかあるいは農林省の自給率をどう高めていくかという特別の手だてですね、これはもうおそいわけですけれども、いま直ちにやらなければならぬ。特に私は物価の観点で申しますと、せめて全国平均並みに物価指数がおさまるまでは、これは国が補助すべきである。これがやはり私たちの沖繩県民に対する最大の義務であり、償いじゃないかということを私は強く訴えるわけです。これらの施策を抜本的にどうとっていくか、早急にどうとるかということなんですけれども、これは経済企画庁長官、いままでの論議の経過の中でひとつお答えをお願いしたいと思います。
  201. 内田常雄

    ○内田国務大臣 たびたびお答えをいたしておるとおりでございまして、野間さんをはじめ沖繩物価、県民生活視察委員の方々の現地視察の結果を、今後の沖繩行政推進の上にも広い面からお役に立つようなふうに、私は政府部内の関係の各省庁の方々にも督励をするようにいたしたいと思います。
  202. 野間友一

    野間委員 時間がありませんから、ひとつ沖繩電力の問題について公益事業部に伺います。  沖繩電力の値上げの問題ですけれども、この申請によりますと、これは八月二十八日付で非常に高額の料金アップ、値上げ率が九一・八%ですね。しかもこの中でがまんならぬのは、値上げの申請の理由一つとして設備工事費の高騰というのがあるわけです。これについてある地元の新聞によりますと、これは海洋博関連の設備、これがやはりコストアップになりまして、これも一つ値上げ申請の理由になっている、こういう報道もあるわけですね。時間がありませんからつづめてお聞きするわけですけれども沖繩電力というのは特殊法人でありまして、ほとんど一〇〇%近いものを国で出資しておる、県が若干出資しておる、そしてできた電力会社であります。国の補助といえば、この出資の問題と、あと融資が低利で貸されておるという事実は私も承知しておるわけですね。ところが、いま申し上げたように、物価のサイドから考えますとたいへんな高値である。その上にさらにこういう九一・八%というような、これは電力料金についていいますと一〇〇%をこえるわけでしょう。こんなにべらぼうな値上げをやられたら、これがたちまち物価に波及するのは当然だと思う。しかも、沖繩の産業を見てみますと、中小零細企業が大部分である。九十数%が零細企業ですね。大体一企業当たりの従業員数が四・六人ですか、こういう企業ですね。ですから、つくった製品というのはいわゆる中小企業型製品、こういうものが一〇〇%をこえる。これだけの電力料金の値上げによって、さらにコストに加算されるということです。それから家庭用の電灯についていいましても、これは沖繩の場合にはいま申し上げたように非常に収入が低い。加えて、生活保護世帯が、私の聞いたところによりますと全国で三番目であるということもあるわけですね。それから失業が多い。  こういう中で、一体こういう値上げを認めることがいいのかどうか。私は絶対これは認めるべきでない、こう思うわけです。しかも、九電力と違いましてこれは特殊法人なんですね。民間法人じゃない。ですから、これについては特別措置法等で、単なる資金の確保、つまり融資だけではなしに国が積極的にこれを援助する、補助する、こういうことでこの値上げを押えなければならぬ、私はそう思うのです。これについて、いま値上げ申請についての進捗状況と、通産省の態度、いま申し上げたような私の意見に対する態度ですね、まずお答えいただきたいと思います。
  203. 大永勇作

    ○大永説明員 先生がいまお話しになりましたように、八月のしまいに申請が出てまいりまして、公聴会を今月の初めにやりまして、現在通産省の中で厳重な査定作業をやっておるという段階でございます。  先ほど先生が御指摘になりました九一・八%のアップ率というのは、これは申請ベースでのアップ率でございまして、これから査定をしていくということでございますけれども、申請から見ても非常に高いじゃないかということでございます。この沖繩電力というのは、御承知のように一般供給もわずかやっておりますが、大部分の仕事は配電会社、米軍等に対する卸売りと、それから大口需要もございますけれども、そういうところに対するいわゆる直接販売、こういうふうなことでございまして、いわゆるコストの中での製造費のウエートが非常に多いわけでございます。かつ、製造面では沖繩の電力の場合には全部石油火力ということになっておりますので、原料費のアップの与える影響が大きいということからしまして、九一・八%というふうな数字になっておるわけでございます。一部には、確かに海洋博向けの電気工事費のアップというものも影響ございますけれども、大部分は石油の単価アップによるものということでございます。  したがいまして、卸料金ベースでこのように高いということでございまして、これを受けましての五配電会社の申請料金というのは、大体平均いたしまして六〇%の値上げの申請ということになっておりまして、これは九電力が先般申請いたしましたときの値上げ率よりは、若干ではございますけれども低いということになっておりますことを御了解いただきたいと思うわけでございます。  それから、政府援助でございますけれども、これは先ほど先生おっしゃいました沖繩振興開発公社からの大体年間百数億円程度の融資のほかに、たとえばいろいろな減税がございます。石油につきましても石油関税の減税が行なわれておりますし、あるいは固定資産税の減税というふうなものもございます。それから沖繩電力に対しましては政府が百四十七億円の出資をいたしておりますけれども、これに対する配当も、当然のことと言われるかもしれませんが、無配という状態でございまして、こういうものを総合いたしました政府援助というのは、かなりなものであろうかと思います。  そういう援助措置によりまして、従来から沖繩におきます電力料金というのは、九電力の平均単価よりはかなり下回った水準であったわけでございますけれども、今回の申請に対する態度といたしましては、やはりこの差といいますか、九電力の現在の認可料金に対しては、でき上がりとして下回った料金になるように、われわれとしては査定の方針を持っていきたいというふうに考えております。
  204. 野間友一

    野間委員 下回るということは、結局値上げを認めた前提としてあなたはいま答弁をしておるわけであります。これは私は値上げについては絶対反対で、こういうものは値上げすべきでない、そうして全部国が補助をするというようなことで処理をつけられるように強く要望したいと思います。  もう一つこれに関連して、いま出ましたけれども、配電会社の問題です。五配電、しかも五配電の中で比謝川と名護、この配電会社はほかの三配電に比べて料金が高いわけですね。これは沖繩電力が直接売電しておる。これは離島にも行っておりますね。離島は全部そうです。これよりもさらに名護とか比謝川の場合には高い。大体一割方高い。こういうでたらめはないと思うのですね。同じ本島におりながら、どこの配電会社の電気を受けるかによって一割も高かったり安かったりする。大体配電会社自体、これはある人の意見ではこういうものは整理統合すべきである、少なくとも同じ沖繩県民の中で料金についてこれを差別するのはけしからぬ、このくらいだったら国が補助してもいいじゃないかという意見が非常に強いわけです。これはどうですか、配電会社の位置づけも含めて。
  205. 大永勇作

    ○大永説明員 先生がいま御指摘になりましたように、名護と比謝川の二配電会社につきましては、本土復帰以前からでございますけれども、他の配電会社よりは若干料金が高いということになっております。現在のところでは、電気事業法の規定に基づきまして原価計算いたしますと、沖繩電力の場合には非常にふところが広くて、その中でいろいろ調整が可能なわけでございますけれども、名護、比謝川の場合には企業規模が小さくて、しかも需要がわりあいに分散しておるというようなことからコストが高くて、そういう格差が出てきておるわけでございます。  われわれといたしましては、この格差が広がらないように当面つとめますとともに、基本的な解決としましては、これは合併以外にはないというふうに考えておりまして、沖繩電力と五配電の合併統合につきまして、今後早急にそれが実現しますように推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  206. 野間友一

    野間委員 それじゃ時間が来ましたので、最後に一言申し上げますけれども、きょうもここで論議いたしましてたいへんむなしい感じがしたわけです。きょうの政府側のいろんな答弁を聞きましても、既存の、いま予定されたもの以外にはなかなか前進をした答弁がないということ、これは事実だと思います。このことは、さらに沖繩県民の政府に対する不信感をかり立てるだけのものである。一つ一つ具体的に指摘したいし、またたくさんあるわけですけれども、こういう問題を踏まえて、ほんとうにあの県民の願いや要求にこたえるためには、やっぱり抜本的にこの沖繩県物価、暮らしの問題について見直し、考え直す、新しい視野から早急にこれはやらなければならぬということは当然だと思うのです。これについて開発庁、これは積極的、強力にひとつやっていただきたい。と同時に、これは物価全般の問題として、いろんな問題にかてて加えてこういう特殊の沖繩の問題がありますから、最後に開発庁それから経済企画庁長官からこの点についての答弁を求めて、本日のところはこれで終わり、特に電力料金等の問題については後日に留保したい、このように考えます。
  207. 西銘順治

    ○西銘説明員 ただいま野間先生から、各般にわたって強い御指摘があったわけでありますが、その件につきましては、特に物価抑制の問題につきましては、関係各省庁と緊密な連携をとり、さらに県との協力体制も確立いたしまして、御要望の線に沿って極力努力を傾注していく所存であります。
  208. 内田常雄

    ○内田国務大臣 物価全体の問題といたしましてはもちろんのこと、ことに沖繩県のような本土から離れたところにあります特殊の県の物価、県民生活等につきましては、一般の課題に加えて、きょう御議論のありましたところを十分体しまして、今後もさらに推進の措置をとってまいりたいと考えます。
  209. 平林剛

    平林委員長 有島重武君。
  210. 有島重武

    有島委員 私も、先般調査団の一員として沖繩に参りました。きょうは、ただいま松浦野間委員から詳細に御質問があり、私も向こうに行って感じてきたことと大体同じような線なので、特にいまございました輸送費の補助の問題、それから生産基盤、自給率、こうした問題について質問をしたいと思います。ただ、もういま質問がありましたので重複を避けて、なるべく簡単に結論だけ伺っておきたい。  第一番目に、この生産基盤の問題ですけれども、その代表的なこととして野菜の供給団地をおつくりになるということでございます。それで、野菜はただいまお話がありましたように大体八〇%の自給率である。この団地が大体いつできて、そのことによって自給率がどうなるのか、その辺を最初に承りたい。
  211. 森整治

    ○森説明員 野菜の生産につきましては、沖繩特産野菜生産団地という育成事業を実施しておりまして、四十七年から四十八年、四十九年と毎年五団地ずつ増加をして、四十九年においては六団地を予定をいたしておるわけでございます。  自給率につきましては、先ほど申し上げましたように八三、四%ということを考えておりますが、先生承知のように、やはり夏季の野菜、夏場における野菜につきましては不足をするということは、これは自然条件からしてやむを得ないのではないかというふうに考えておりまして、やはり本土からの移入に依存をせざるを得ない面もあろうかと思います。  そういう意味で、先ほど来いろいろ御質疑もございましたし、御答弁も申し上げておりますように、卸売り市場の整備ですとか輸送条件の改善、流通体制を整備していくということを考えて対応をしていきたいと考えておるわけでございます。
  212. 有島重武

    有島委員 私が伺っているのはこの団地ですね、いまのところ耕地面積が大体四万四千ヘクタールくらいございますか。これをこの団地によってどのぐらいのところまで持っていかなきゃならないかという、そういった目標がはっきりしておるのか。それがいつまでにできるのか、そしてそれによって野菜、農産物の自給率は大体どのぐらいになるのか、そういった目標をはっきりしてやっていらっしゃるのか。あるいはややことばが悪いかもしれないけれども、あそこ、ここというふうに少しずつふやしていこうというそういった行き方だけなのか。その辺はどうなんですか。
  213. 森整治

    ○森説明員 ただいま先生指摘のような面積的な位置づけというのは、ただいまないようでございます。ただ考え方としましては、そういう団地づくりをやりまして施設的な面をいろいろ整備していく。施設的と申しますのは、機械なり育苗の施設なり乾燥の施設なりあるいは集出荷貯蔵施設ということまで含めまして、野菜の生産から流通までの団地を造成していくということでございまして、全体の考え方としましては、現在の八十数%という線を考えておるということでございます。
  214. 有島重武

    有島委員 開発庁次官、いまのようなお話でありまして、その目標が何かはっきりしておらぬということです。これについてはどのようにお考えでしょうか。やはり目標をお立てになって、どうしてもこれだけの線まではやってしまおう、そのために国に働きかけてこうしていこう、こういうことでなければならぬように私は思うのですけれども、いかがでございますか。
  215. 西銘順治

    ○西銘説明員 生産基盤の育成の問題でございますが、先生が御指摘になったとおり、目標を立ててその目標達成のための施策を講ずるということでなければならぬと思うのであります。  ところが、沖繩の農業の構造的な欠陥と申しますか、たいへん狭隘で、一戸当たりの経営面積にいたしましても四反二畝という、全国平均をはるかに下回っている現状でございます。それから就業人口にいたしましても、三ちゃん農業と申し上げましても過言ではございません。そこへもってきまして、海洋博その他の事業が集中的に投入された関係から、農業労働者がきわめて不足しておって、高い賃金を払わなければなかなか雇えないといったような構造的な欠陥がございまして、これらの問題を一つ一つ解消することによって、解決することによって、生産基盤がきわめて整備されたあとでなければ目標が立てられぬのじゃないか。  こういう観点に立ちますと、やはり何と申し上げましても畑地かんがいとか水の問題を解決するのが野菜の一番基本になる条件でございますが、これもまだ十分ではないということで、農林省といたしましても開発庁といたしましても、まず基盤整備に重点を置いて整備していこう、こういうことに重点を置いておるようなところでございます。
  216. 有島重武

    有島委員 県民に、わが県は今後このようにしていきたいというようなコンセンサスがあって、そしてそのためにはということが裏になければ、いろいろな施策もなかなか進まないし、それから国のほうへの働きかけも弱くなるのではなかろうかと思うのですね。   〔委員長退席、井岡委員長代理着席〕 基盤ができたら、そこから目標を立てようかというのは、ちょっとおかしいように県民はみな思うと私も思いますよ。お考えいただきたい、いかがですか。何だかちょっとおかしい考え方のように私は思いますので……。  それから農業、その中でも特に野菜のことを言いましたのは、これはそちらでもっていただいた資料でございますけれども、八月を中心に高騰している。これは高騰しているといっても、ぼくたちには想像ができないような高騰のしかたというのがありまして、四十七年の六月を一〇〇といたしまして、その年の八月に一九九という数字になっているわけであります。野菜です。それから四十八年の二月ごろはそれが下がって、もう一三二くらいになっておる。ところが四十八年八月にはやはり一九一・六。それでこの年は八月、九月、十月と上がりっぱなしでもって一九八までピークがいっております。そしてだんだん下がって、また四十九年の八月には二三三・五、こういった値上がりをしているわけですね。食品が一般に高い。それで、このことについて沖繩県民の大部分の方々が、復帰したのがしあわせであったのか、復帰しないほうがしあわせであったのか疑いを持っておられる。そしてある方々は、復帰しないほうがよかったというようなことを言っておられますけれども、そういった方々に伺ってみますと、とにかく食いものが高い、こう言うわけですね。いや、そんなことはないでしょうと申しますと、主食と肉はまずまずだ、野菜が高いということがかなり主婦の方々には響いておるようであります。  それで、私は特に野菜ということを追っかけてみた。大体いろんな大きい問題がずっとありましたから、とりわけていまこれだけ出してみたわけでございますけれども、野菜についてはいまの団地がある、団地をこれからつくっていかれる。これはたいへんけっこうなんだけれども、その団地について、それじゃほんとうに県民に希望を与えるような一つの目標をこうしようじゃないかと、これはお役人と相談してもだめなわけでありまして、政治家がやることでありまして、そうしたお考えをやはり打ち出されるということが大切ではなかろうかと思うのですね。ひとつ建言申し上げたい。  その次に水の問題でございます。水については、沖繩は雨量から申しますとたいへんあるわけですね。大体二千三百から二千五百ミリくらい降るのだと思います。気象庁では何と言っているか、二千三百と言ったか、その辺はそちらのほうが詳しいかもしれないが、大体あの島に七十億トン近く降っているはずであります。それをどのようにつかまえていくかということが問題ですね。いまの建設行政によりますと、すぐダムをつくれということでおしまいになるわけです。   〔井岡委員長代理退席、委員長着席〕 だが、その降った雨を国土の中にどのくらいつかまえてしまうか、保水してしまうかということの一番のきめ手は森林です。いま森林は大体十一万ヘクタールあるそうです。この森林について、その保水という目的に従って国土から水を逃がさない。逃がさないものが、これがじわじわ出てきて国土を変えていくのですから。ですから水がないからだめだというような絶望的なお考えではなしに、この国土にせっかく与えられている一つの特徴といえば雨が多いということだ、日が強いということだ、この特徴をどのくらいこの国土の中で生かし切るかということが本気で考えられなければならないと、私は向こうへ行って非常に感じた。  それでは、この森林についてはどのくらいの目標を持っていらっしゃるのか。いま十一万ヘクタールだと思うが、これをどのくらいふやしていこうとか、そういった目標がおありですか。
  217. 藍原義邦

    ○藍原説明員 沖繩の森林につきましては、私どもの調べでは十三万ヘクタールあるということになっております。そのうち現在保安林に指定しておりますのが八千ヘクタールでございます。このパーセントは約六%でございまして、全国の保安林指定のパーセントに比べて非常に低くなっております。ただいま沖繩では四十七年度に立てました経済長期計画がございまして、それに基づきます保安林整備の目標によりますと、昭和五十五年度までに四万四千ヘクタールの保安林を整備しようという計画になっておりまして、国全体でやっております保安林整備計画の第三期というのは、四十九年から五十八年まで計画いたしておりますけれども、それをその中に組み込みまして、私どもとしては目標を達成するような保安林の整備をはかってまいりたいというふうに考えております。
  218. 有島重武

    有島委員 いまのお答えでございますけれども、国土の六%というのは基地が入っておりますか、おりませんか。
  219. 藍原義邦

    ○藍原説明員 ただいま申し上げました保安林の八千ヘクタールの中には、基地は入っておりません。
  220. 有島重武

    有島委員 六%という数字は、基地の面積まで全部含めた国土の六%であるのか、それとも基地は除いてのお話なのか。
  221. 藍原義邦

    ○藍原説明員 いま申し上げましたのは、森林面積に対しまして六%と申し上げました。
  222. 有島重武

    有島委員 いまのお話をもう少し詰めていってもいいけれども、とにかく国土の二〇%なり二五%なり山地が多いわけでありますから、どこまで森林にしていこうというような、そうした御構想はないのですか、あるのですか。これは開発庁だ。
  223. 藍原義邦

    ○藍原説明員 ただいま森林の造成計画につきましては、先ほど申し上げましたように十三万ヘクタールの森林がございますので、それを森林計画に基づきまして計画的に優良な森林に造成するという形で対応いたしておりますし、その中に、先ほど申し上げましたように、将来に向かいまして四万四千ヘクタールの保安林をつくろうということで、保安林を積極的に造成し、あるいは設定していくということによりまして、先生指摘の水資源の問題あるいは防風の問題その他に対応してまいろうという計画をいたしております。
  224. 有島重武

    有島委員 西銘政務次官、これも少し県民にほんとうに希望を与えるような、そういう御計画をお出しになって、そして県民がみんなそのことに希望を持ち誇りを持つような、そういうことが大切ではないかと思うのです。沖繩ほんとうに緑の島だ、水の島だ、それがほんとうの基盤整備になると思うのですね。これが人間の住む基盤整備です。そういったことをぜひお考えいただきたい。  それからまだあるんですね。今度は水産です。あれだけの海がある。あれだけの海があるんだから、わが県においては水産業では日本一だ、こういうことになってもよろしいわけですね。そういうことをいま伺いましても、おそらくそういった構想はないらしい。そして一次産業はだんだん減ってきて三次産業ばかりふえていく。それだからああだこうだということがおありらしいけれども、そこにやはり県としての地勢上の一つの宿命といいますか、使命というか、そういったものの共感がまだまだいまならあると思うのですね。確かに本土からいろいろなものは運んでくる、ビルは建つ、物価は高くなる、いろいろあって、日本本土または世界じゅう都市化してしまって、全く困っているところがたくさんあるんだが、何かそれをまねしないといけないみたいな、これはいわば言い過ぎかもしれませんけれども、ちょっと卑屈だと言っていいですかね、そういうような施策に感じられる。これはたいへん危険なことであろう。私は行ってみて、県民の方々の復帰が確かによかったのかよくないのかというようなお考えの中に、そうしたほんとうの希望というもの、もっと地についた希望というものが少ないのではなかろうかということを強く感じてきたわけであります。  確かに海洋博はけっこうな企てかもしれません。しかしあれも、やろうかやるまいかということが大問題になったほど、あれはとってつけのものなんですね。また輸送量なんということからいくと、集まる人数といっても限られておる。それによって島が豊かになるのか。そうではなくて、かえっていろいろなことでもってスポイルされていく面も多いのではないか、そういうことを心配していらっしゃる識者の方も大ぜいいらっしゃるようでございます。それで、ほんとうにしっかりしていただきたいというのが本音であります。  それからあと、ただいま詳細に言われてしまったので、ぼくはもう繰り返しませんけれども全国的な離島対策だけの上でもって幾らかの輸送の補助がございますけれども、それでは物価対策ではないという問題ですね。いまの論議でほぼ尽くされておりますから私は言いませんけれども、これはほんとう物価対策としての輸送補助ということをお考えになる用意があるのかないのか。あると、こういうことにぜひしていただきたいんだな。その結論だけ伺って、まあ私はきょうはほんとう意味の基盤整備の問題とそれからいまの輸送ですね。輸送についてはさっきも国鉄の話が出ましたが、国鉄が赤字ということは、本土の県民はみんなそれにおんぶしているということがありますね。そういうところを私も非常に痛感したわけですよ。それですから、次官はやはりひとつ決意をなさいまして、そのぐらいのことはひとつ補助を絶対させるという御決意をお持ちになるべきではないかと私は申し上げたい。  以上であります。お答えをいただきたい。
  225. 西銘順治

    ○西銘説明員 いま有島先生から各般についていろいろ御指摘があったわけでございます。どういうお答えをしていいか、的確な回答になりますかどうか知りませんけれども、たとえば現在の航路補助等は物価対策としてはなっていない、もっと抜本的に航路補助をして物価値下げの要因になるような対策にしてもらいたいということ等につきましても、これは立法を要する問題でございまして、いますぐできるとは申し上げられませんけれども関係省庁とよく連絡をとりまして、できるような体制に持っていかなければなりませんし、開発庁としても、運賃だけの問題ではなくして、物価値下げの問題については各般にわたっていまいろいろ各面から検討している段階でございまして、御期待に沿うように関係省庁と緊密な連携をとって物価値下げの努力をしていきたい、かように考えておるところでございます。  それから森林計画のことについてお話がございましたが、今度の戦争で中部、南部はほとんど焼かれてしまいまして、戦後、琉球政府、いまの沖繩県を中心として緑化対策本部がつくられましていろいろやっておりますが、予算措置が十分でない。御案内のとおり、緑化ということは、植えることも非常に大事なことでございますが、管理がたいへん時間もかかりますし金もかかることで、管理体制に万全を期する必要がある。そういう点、県も開発庁もまだまだこの点については検討していかなければならない。特に予算措置についてはその感を深くするわけでございます。  水源涵養林はほとんど北部でございまして、降雨量につきましても本土平均の約二倍あります。ところが島が小さい関係で、降雨量は多いのですがすぐ海に流れてしまうということで、いま北部で福地ダムを中心としていろいろダムの開発事業が行なわれておりますので、これが完成の暁におきましては、少なくとも工業用水等含めまして、水の供給体制は一〇〇%近く確立できる、かように考えております。  野菜団地の問題でございますが、中南部には水資源がございません。特に那覇を中心とする近郊の団地の育成でございますが、南部は水がございません。したがいまして、北部ダムが完成いたしまして、これを中部の石川浄水場まで持ってきまして、さらに中部、南部とこれを導水することによってかろうじてこの水の問題が解決できるようなことになっておりますので、時間がかかるかもしれませんが、そういうことで年次的に計画を進めて県民の要望にこたえていかなければならない、かように考えております。
  226. 有島重武

    有島委員 いまの水の問題でございますけれども、これはもう少し御研究なさるべきであろうと思います。確かに南部には川がない。そして水というとすぐダムだ。ダムから引いてくる。これは非常に工業的な考えなんですね。いいかもしれない。だけれどももう少し、いろいろな学者もおりますから、英知を集めて、この沖繩に一番適した方法は何かということをお考えになるべきだと思うのです。  それから、南部のほうに森林をつくる場合にも、何か模範的な森林をすぐつくろうと林野庁がします。そういうような行き方がいいのか、早いのか、そういうことはもう一ぺん検討し直してみないとわかりません。大体、これは私はしろうとだからわからないけれども、やはり一ぺんはジャングルみたいなものでかってに、あんまり手がかからないで、もう始末のつかぬような状態が何年かあって、その中に保水作用が起こり、そうしてそういった状態の中で今度は次の森林をつくっていくという段取りがこれは当然だと思うのですね、ほんとうは。いまは林野庁のほうの御研究がそんなふうではないように私は見受けるわけです。少なくとも内地ではそうです。内地というか本土ではそうです。そういったようなことも、ひとつよっぽどしっかりしていただきたい。さっきの目標の問題についてもそうなんですよ。全部やはり一つの主体性をお持ちになって、それでここに一番適することは何なんだということをもう少し英知をお集めになって、県民がほんとうに希望を持ってともに苦労をしていこう、そういうふうにりっぱな状況をおつくりになっていただきたい。  以上でもって終わります。
  227. 平林剛

    平林委員長 次回は、明二十三日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十二分散会      ————◇—————