○美濃小
委員 時間の
関係で国際
関係はその程度にして、そこで、
国内の
てん菜価格に移りますが、まず、第一番に
生産者の置かれておる立場ですが、きょうは永井課長は見えないようですけれ
ども、
局長も現地を見に行かれたし、永井課長も審議官も見に言っておるわけですね。それで、現地は見てこられたと思うのですが、統計情報部が発表した四十八年の十アール当たりの生産経費としては三万六千二百七十四円、うち家族労賃が七千八百三十六円、家族労賃を控除した生産経費は二万八千四百三十八円、これに二八・何%かけたわけですから、大体三万六千五百円です。
それから、ことしの収量は、きょういただいた
資料から見ると、
ヘクタール当たり収量四十二・六五トンとなっておるが、私は、これはちょっと無理だと思っております。これはことしから共済が適用されておりますから、共済ですでに収量
調査をしておりますが、いままでと違って、たとえば一番反別の多い十勝管内で
ヘクタール当たり二十六トン。去年は二十六トンなんというビートは見たくてもなかったわけです。三十トンを切れるビートはありませんでした。三十トンを切れるどころか、いずれも三十二、三トンで、ほとんどなかったのです。ことしは二十五トン、二十六トンというビートが、かなりの反別が出てきております。私も別な面で、あの畑作共済をつくったときに、
てん菜に凶作なしと主張したのですが、全くこれはどうなったのか、
てん菜耕作を始めて五十年の
経過の中で、ことしぐらい作況が
変動のある年はない。まあ、乾燥地で、いいところはそのわりに落ち込んでおりません。これは雨害であったと思うのですが、北海道は違いが多いから地帯別によっても違うと思いますが、だけれ
ども、いわゆる落ち込んでおるのだから、あるいはこれはあるかもしれません。いまの時点ですから私もよくわかりませんが、従来の感覚からいくと、どうも四十トン程度じゃないかと思います。
それで、四十トンで、一万一千百十円で
計算すると、十アール当たりの収益高は四万四千四百四十円ですね。それから物財投下ですが、肥料も上がっておりますし、農薬も上がっておりますし、それを引きますと、家族労賃として残る部分は一万八百四円。これを情報部で出されておる三十三時間の家族労賃で割れば一時間当たり三百二十七円、一日当たり労賃二千六百十六円です。この前の
委員会で、きょうは来ておりませんけれ
ども、統計情報部長は、北海道の畑作物の中でビートが一番低くて、一日当たり労賃三千円と言ったでしょう。ですから、きょう出ておる四十二・六五トンが十アール当たり収量として出て、ことしの
てん菜耕作の一日の家族労賃はかろうじて三千円でしょう。そうすると、一日三千円労賃というのはないんですよ。
局長、これは定年退職をされた方が年金をもらいながら何か働いておるとか、あるいは中学卒業の未成年者労賃であればどうか知らぬけれ
ども、世帯を構成した者が、この
物価狂乱の中で一日三千円労賃で働いて生活ができるかできぬかはわかるでしょう。私の言うこと、この
数字は違いますか。違わぬですよ。
あなたも行って見てきておるんだから、私もうそやはったりを言っておるわけじゃないんだから、これをどうするかということなんですよ。このまま一万一千百十円で押し切ったら、来年はビートをつくれぬですよ。つくらぬのじゃない。寒地農作物だからつくりたいし、つくって
農民は経営の安定をはかりたいが、つくれないのですよ。生活のできない労働というものはできません。餓死するんだからね。結局はやめるかということになるが、やめて、他に多少でもい
いものがあればいい。私は、特に他の作物との均衡だとか、あるいは
国際糖価が四百ポンドだからビートを上げろと言う気持ちは率直に言ってありません。そういう面は若干周囲との調和勘案事項でありまして、そういう気持ちでものを申しておるのじゃないのです。
局長、基本的には、家族労賃男女込みで一時間六百円、一日四千八百円の労賃を確保するというのがあなたの任務だと思うのです。
国際糖価が四百ポンドして三百何十円になる。
砂糖もずいぶん高くなったものだ。ですから、私の言っておることを達成して
——さっき
局長も言っておったけれ
ども、私の
計算と合致しております。大体二百五十円ですよ。ですから、たとえばいまここで
糖安法二十一条第三項の
規定で告示がえができない、行政上の手続もあってなかなかめんどうだというのならば、もう
一つの方法があるじゃないですか。小売り
指導価格を二百八十七円に上げたんでしょう。ここまで上げなくていいんですよ。二百八十七円に上げて
計算したら
——二百二十で、いまこの
計算のようにことしの
砂糖をトン当たり一万一千百十円で押えて、十五万七千九百円の
てん菜糖をつくったとしたら、その差額は一トン当たり七万六千円、
キロ当たり七十六円も出るんじゃないですか。それを七〇%
糖価安定
事業団が吸い上げる。三〇%といったら一キロ二十円ですよ。一キロ二十円が糖業者の純益になっていくわけだな。そんなばかなことにしようとは
政府も考えていないと思いますが、現実は、いまの
砂糖であれば私が申しましたようになります。あなた方だって、いたずらに二百八十七円に小売り
指導価格を
改定したんじゃないでしょう。
国際糖価が高くて、そうせぬければ、いま言ったように需要の確保ができないからやったんでしょう。そうしたら、
キロ当たり百五十七円九十銭にきめた
砂糖の
価格との間には、
キロ当たり七十六円の差額が出るのですよ。片や
農民のほうは一日当たり労賃三千円。ことしは不幸にして四トンとすれば、二千六百十六円です。生活することもどうすることもできない
てん菜価格で押えつける。私は決して
国際糖価だけを言っておるのじゃないのだ。ロンドン市場が四百ポンドするから、四百ポンド見合いで
てん菜糖の
価格をきめろと言うのじゃないのだ。二百五十七円と思いますが、今晩きめるか、あしたきめるか、ことしの
糖価安定
事業団の
政府買い入れ価格を二百五十七円、二百五十八円にきめて、それで糖業のほうはそのかわり一万五千円で買えよ、一万五千円で買って、そして製造経費は何ぼ見ろと言う。片や、まだそれでも二百八十七円に売れるというのです。たとえば二百五十七円でも、まだ三十円幅があるわけだ。三十円の七〇%といえば、二十円
事業団が吸い上げる。ことしの
てん菜糖が大体二十八万三千五百トン、二十九万トン近い
砂糖ができるでしょう。それから二十円吸い上げても、五十八億円
国内産糖で吸い上げるのですね。私は、吸い上げてもいいと思います。過去において安いときに
政府が一般会計から金を出して、
事業団が金を出しておるのだから、吸い上げることはけっこうだと私は言います。だから、一万五千円だけにしなさい。一万五千円にして、その上吸い上げることはいいです。北海道の
てん菜が安いときには、
政府がまた責任をもって、
買い入れ、売り戻しの中で
政府の財政責任でやってきておるんだから、一万五千円でいいですよ。そして二百八十七円の
指導糖価で、その差額三十円、二百五十円で
てん菜糖を買い上げる。二百五十三円ぐらいでいいと思う。二百五十三円なり、二百五十四円なりで買い上げる。
生産者には一万五千円糖業から払え、政策
指導で払いなさい、
取引価格で払え、告示の変更はできぬから、とりあえずことしは
取引価格で払いなさいと言っても、
糖価安定
事業団が二百五十三円で買い上げて二百八十七円で売り戻したらどうなりますか。五十八億円ぐらい
事業団が
てん菜糖から吸い上げることになります。私は、二万五千円さえ払えば吸い上げてもいいと思います。そのかわり、長い時代ですから、
国際糖価ですから、安いときもあって、また
政府が財政から金を出してきめた
価格を補
てんしなければならぬ時期がないという断言も私はいまできぬと思います。
局長もそう言っておるが、そういうことは将来ないと私自身も断言できません。
国民と国との政策でありますから、極端に外国糖は高いから、高い外国糖の何倍にしなければならぬというわけでもないと思います。しかし、生産できる、生活できる
価格だけは保証しないで、食糧の自給は大切だとか、
国内産糖合理化
目標だとか、
糖価安定、
甘味資源特別措置法だとか、これでは
法律が泣くんじゃありませんか。一体、日本の行政というものは弾力に欠けてしまっておるわけですね。私に言わせたら、これはばかみたいなものだ。極論を言うならば、ばかか気違いが行政をやっているようなものだ。どうしてそれぐらいの弾力性がとれないのか。現実に合う国の政治と置かれておる条件、これは農政もそうですけれ
ども、社会福祉の中にもあるでしょう。置かれておる条件と
法律をその次元に置いて、政令なり省令なり
法律を無理に直さぬでもいいわけですから、直さぬでも、弾力的に、行政の
考え方で、正常に運用の中でやれる幅もあるのじゃないですか。それができぬようであれば、いま私が提案したことすらができぬようであれば、
農林省なんか要らぬと私は思う。こんなこともできぬのなら、こんな
法律も廃止して、めんどうだから食品流通局だとか
局長なんという機構ももう廃止してしまって青天井の野放しの社会にしたほうがかえってはっきりして、あっさりしていいのじゃないか。こんなことばかりやっておっては、全く国民の意識をおかしくしてしまう。国をおかしくしてしまう。
いまこの
委員会で、
局長も責任ある立場で、こうやりますと確たることを言うことはできないかもしれないが、どうですか、私の言っておることは全然でたらめだとあなたは考えるか。こういう経済の大きな
変動の時期になり、こういう国際
砂糖暴騰の中で、
国内甘味資源を安いと申し上げていいわけですから、安い
国産糖を確保するためには、いま私が申し上げたような弾力的な運用は可能な限り最大限考えなければならぬという気持ちがあなたにあるかどうかということを聞いておるのであります。こうするということをいまこの
委員会で言うことは、大臣もおることだし、
局長は言い切れないと思うが、私の言っておることは全くでたらめなのか。私の言っておるようなことはもう歯牙にもかけないのか。来年ビートをつくろうとつくるまいと、北海道の九つの
てん菜工場がつぶれてしまおうと、十五万七千円で告示して、
あとは野となれ山となれ、
局長ごときの知ったことじゃありませんと言うのか。そこの判断をはっきり聞いておきたいと思います。具体的な表現は要りません。判断です。そういうことはやはりやらなければならぬ、どこまでできるかわからぬが、誠意をもってやらなければならぬと思うのか。あなたの上にはまだ大臣もおれば与党もおるから、あなたが努力してもできぬ場合もあるかもしれませんが、しかし、あなたは当面
原案を作成する責任者なんだから、私の言っておることが全くでたらめだと思うのか、やはりそういう意識を持って行政に当たらなければならぬと思うのか、そこの感触を聞かしてもらいたいと思います。