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1974-09-06 第73回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月六日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 奧田 敬和君 理事 加藤 陽三君   理事 小宮山重四郎君 理事 中山 正暉君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    竹中 修一君       旗野 進一君    三塚  博君       吉永 治市君    兒玉 末男君       吉田 法晴君    和田 貞夫君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小坂徳三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山中 貞則君  委員外出席者         内閣法制局第一         部長      角田礼次郎君         人  事  官 島田  巽君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         防衛庁参事官  菅沼 照夫君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       齋藤 一郎君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      今泉 正隆君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 久保 卓也君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         外務政務次官  山田 久就君         外務大臣官房審         議官      杉原 真一君         外務省アジア局         次長      中江 要介君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省国際連合         局外務参事官  野田英二郎君         大蔵省理財局特         別財産課長   森  卓也君         文部省初等中等         教育局長    安嶋  彌君         運輸省港湾局技         術参事官    鮫島 泰佑君         郵政省電波監理         局周波数課長  松元  守君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 九月六日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     兒玉 末男君 同日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     横路 孝弘君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤陽三君。
  3. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 きょうは、最近新聞で取り上げられました、多くの国民が関心を持っておるだろうと思う数個の点につきまして、防衛問題について政府のお考えを承りたいと思うのであります。  まず第一は、七月の八日に起こりました小牧のF86Fの事故、それから八月二十七日に起こりました新田原F104Jの事故でありますが、いずれもたいへん残念なことに思うのであります。防衛庁のほうでは、この事故原因はどういうところにあったというふうにお考えでございますか、お答えをいただきたいと思います。
  4. 菅沼照夫

    菅沼説明員 お答えいたします。  小牧のF86Fの事故原因につきましては、調査をいたしました結果、事故機機体に異常は認められません。またエンジンも、飛行中の過熱状態から生じたと考えられます一部の焼損以外には特に異常は認められなかったという事実と、パイロットとの交信の内容等、総合的に判断いたしますと、エンジンコンプレッサーストールによるものと考えられております。コンプレッサーストールというのが発生いたします原因といたしましては、コンプレッサー故障燃料管制装置故障スロットル、これは燃料流量を調節するレバーでございますが、そのスロットルの急激な操作であるとか、あるいは飛行姿勢の急激な変化、先に行きます先行機の後流の吸い込み等が考えられております。以上でございます。次に、新田原F104Jの事故原因につきましては、現在調査中でございますが、幸にパイロットも生存しておりまして、エンジンフレームアウトのため墜落したということが明らかでございますので、原因燃料系統にあるというように考えられております。現段階におきましては、まだ確定的なことを申し上げられませんけれども燃料タンクからエンジンに送られる途中にあるバルブが、何らかの理由により閉じられたのではないかと推定をいたしておりまして、パイロット操作上のミスによる可能性も強いわけでございますが、機器の故障その他によるものかどうかにつきましても、現在調査をいたしておる段階でございます。
  5. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 F86Fですが、これが、だいぶ古い飛行機であることは申し上げるまでもございません。いままでF86Fについて、どれくらいの事故が何回くらい起こったか、その原因別の調べ、それと、このF86Fについては、部品補給がうまくいっているかどうか、心配ないのかという点についてお答えをいただきたいと思います。
  6. 菅沼照夫

    菅沼説明員 最初に、F86Fの原因別自衛隊発足以来の事故件数でございますが、全部で七十八件ございまして、そのうち操縦上の過誤によるものが三十六件、監督上の過誤によるものが四件、機材欠陥によるものが十七件、整備上の過誤によるものが四件、その他が六件、不明が十件、それから一応先ほど申し上げましたものが調査中ということにすれば、この機の事故が一件ということで、七十八件になっております。
  7. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 一つ答えを漏らされたが、部品補給はだいじょうぶなんですか。部品補給はどういうふうにやっているのですか。
  8. 山口衛一

    山口説明員 お答えいたします。  F86Fは、ただいま御指摘のとおり、非常に古い飛行機であることは事実であります。機体は御承知のとおり、これは三菱重工ライセンス生産を行なっているものがございます。全部が三菱重工だけではございませんので、当初のうちは、これは米軍からのかなりの供与に依存していたものでございます。またエンジンにつきましては、これは全部米軍からのMAP供与品でございます。ただ機体におきましても、エンジンにおきましても、正式な、いわゆるIRAN定期修理は従来から規定どおり行なっておりますし、また現在ある航空機に対します部品につきましては、IRANも十分に行なえる程度の基本的な部品は十分そろっておるというふうに考えておりまして、部品供給面では、現在のところ必ずしも不足状態ということはいえないと思います。
  9. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いまF86Fを実用しておる国は、どういうところがございますか。それとあわせまして、F104Jについていま御説明がありましたが、日本F104Jの事故件数というものは、たとえば西独などがやはり104を使っておりますが、西独事故件数と比べてどうであるかということをお答えいただきたいと思います。
  10. 菅沼照夫

    菅沼説明員 お答えします。  F104Jの事故状況並びに西独との比較でございますが、現在まで104の原因別事故件数を申し上げますと二十三件ございます。先ほどの宮崎県におきます新田原における事故を含めますと二十四件になりますが、これを原因別に見ますと、操縦上の過誤が七件、それから機材欠陥が七件、整備上の過誤が二件、その他三件、不明四件というようになっております。  なお、西独との事故率比較でございますが、これは、わが国の事故のほうがはるかに少ないということがいえると思います。
  11. 丸山昂

    丸山説明員 F86Fを使用しております国でございますが、極東では韓国とそれから台湾が使っておるようでございます。それからNATOの関係で、一部中東方面の国が使用しておるというふうに伺っております。
  12. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 大体わかりましたが、いままで承ったところによりますと、どうも機材欠陥による事故が多いように思うんですが、この点について、防衛庁としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  13. 山口衛一

    山口説明員 ただいま御指摘のF86Fの事故原因としまして、機材不足、不十分、非常に古いものでございますので、現在あまり新しい更新、近代化等が十分行なわれていないというよような関係があるかという御質問のように考えましたが、今回の事故につきましては、ただいま参事官から御説明申し上げましたとおり、回収しましたエンジンあるいは機体等の実態から申し上げますと、必ずしもそこでふぐあいが摘発されたという実情ではないかというふうに考えております。  ただ、これまでの事故等内容におきまして、機材欠陥というものによっての事故というものは、やはり数件ございました。ただ今回のものにつきましても、いわゆるコンプレッサーストールが起こった原因の中に、一部そういうようなものがあったかどうかという点は、可能性としては確かにあるということも推定されるかと思います。  いずれにいたしましても、私どもとしましては、現在使用しておる航空機でございますので、古いからといって、その点について、これまでの不十分な整備とかあるいは製造方法とかいうことについては全く考えておりませんし、現在の機材のままで事故等につながるというような状態ではないというふうには考えております。  ただ、先ほど触れましたとおり、エンジンにつきましては、MAP供与品でございますので、これが今後十分に何年間も使える状態になるかということになりますと、現在あります航空機の、たとえばモスボールしておるような航空機の一部を使いましたり、あるいはそういう点の補充というようなことも考えなければならぬという事態が起こるかもしれませんが、現状におきまして機材欠陥が、直接的にすべてのF86Fの事故につながるというふうには考えてはおりません。
  14. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それでは、ちょっと問題を変えまして、小牧の場合、これは住民が二人なくなっておられるわけです。パイロットも死亡しておるわけです。いままで私、防衛庁からたびたび伺っておりますところによりますと、事故が起きると、これは、どうにも避けられないという場合には、飛行機を人家のないほうへ誘導しておいて、パイロットベールアウトしろというふうな方針だったというふうに私はいままで承知しておるのですが、この小牧の場合も、そういうふうな防衛庁方針に従ってパイロットがやったと思われますか。これは、なくなってしまわれたので、ちょっと聞きようがないかと思いますが、飛行機事故に至るまでの状況考えられまして、その方針を守られておると思われますかどうか、お聞きいたします。
  15. 菅沼照夫

    菅沼説明員 お答えいたします。  結論的に申し上げますと、いま先生がおっしゃったように守られているというように考えております。というのは、事故機操縦者は、当時速度もありましたし、推力も残っておりましたので、名古屋飛行場に帰投するという行動をとったものだと思います。その後、それをとりましたあと編隊長岐阜飛行場への緊急着陸ということを助言いたしましたが、その時点におきましては、雲のために岐阜飛行場を視認することができませんでしたし、また推力も残存しているというように判断をいたしましたので、名古屋への帰投を続行したというように考えられます。その後、推力の減少が急速でございましたので、最後の手段といたしまして、緊急燃料系統への切りかえに、極力推力増加に期待をかけたと考えられます。  なお、最後まで翼の両端についておりますドロップタンクを投棄しなかった、あるいはベールアウトを行なわなかった、また目撃者証言等から考えましても、地上への被害の回避に最大の努力をしたということが認められるのではないかと考えております。
  16. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それでは、この問題はあと大臣に対する質問を残しまして、ほかの問題へ移りたいと思います。  もう一つ伺っておきますが、この間、昨年十月の中東戦争についての米国の国会調査団報告というものを読んでおりましたら、昨年の中東戦争アメリカイスラエル供与したナイキ、これは非常に正確であった、しかしソ連がアラブ側供与したSAM6ですか、これは性能的にはナイキよりか劣るように思われるけれども、数が多いのでイスラエル飛行機はこれにやられた形跡が多分にあるという報告を出しておりました。これは確かに私ども考えなければならない問題だと思うのですが、現在防衛庁では、有人機地対空ミサイルロケット、これをどういうふうな割合で保持することが適当だと思われるのか。質問する意味は、有人機地対空ミサイルロケット割合をもっと考える必要があるのじゃないか、有人機のほうを減らせるのじゃないかという気が私はするのですが、その点について、これは防衛局長お答えをいただきたいと思います。
  17. 丸山昂

    丸山説明員 大体、ただいま配備されております地対空誘導弾、これは御案内のように、高空に対処いたしますものがナイキでございまして、低空から侵入してくるものに対処するのがホークということで、この二種類の対空誘導弾を防空の主勢力ということにいたしておるわけでございます。これは日本の国土に誘導弾ネットワークを張るということで政経の中心地である京浜地帯、それからその他の産業上の重要地帯、こういったところを中心に固定的に配備をするという考え方を持っております。一方、要撃戦闘機につきましては、この間において機動的に運用いたしまして、敵の侵攻の主勢力、これに対処するということが要撃戦闘機の主任務ということになっておるわけでございます。  そこで、現在のミサイル要撃戦闘機割合でございますけれども、F86Fが六個隊ございますうちに、要撃用には一個隊をさいてございます。それから104は七個隊ございます。それからファントムにつきましては、二個隊ということでございまして、ファントムの二個隊は、もちろん千歳の臨時編成を含んでおるわけでございまして、まだ本格的ではございませんが、一応これを合計いたしますと、十個隊ということになっております。それから一方対空ミサイルのほうでございますけれどもナイキが五個群、百八十三基でございます。それからホークが七個群の百八十六基ということになっております。  四次防の完成時でこれがどういうふうになるかと申しますと、要撃機部隊は、86がなくなりまして、これにかわりまして104が、ただいまの七個隊が五個隊に減ります。一方ファントム部隊が、ただいまの二個隊が五個隊にふえてくるということで、合計をいたしまして十個隊ということで、この点については変わりがございません。それからナイキのほうは、完成時の六個群の整備を終わって、さらに一個群の準備をするということになっておりますが、一応計画としては、そういうことを考えております。その場合には約二百二十基になります。それからホークの場合には、ただいまの七個群が八個群ということになります。ランチャーは二百三ということになります。  大体、私ども考えておりますのは、この対空ミサイルが、一応先ほど申し上げましたように、重要防護対象のところを厚くして全国的にネットワークを置く、そうして戦闘機部隊は、機動的にこれを運用するということで、この四次防完成時の形が、大体当面におけるバランスのとれた形であるというふうに考えておりますが、今後の情勢の推移その他を見まして、この辺につきましては、やはり絶えずこのバランスの問題について検討を加えていくべきものであるというふうに考えておりますが、いま申し上げましたように、四次防完成時を当面私どもとしては基準にして考えてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  18. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 じゃ、その次に問題をかえまして、四次防の問題についてお尋ねいたしますが、これは八月三十一日の毎日新聞ですが、明年度防衛庁予算要求に関連をいたしまして、四次防の達成を事実上断念をしたというふうな見出しで予算要求内容が載っております。  まずお伺いしたいことは、四十八年度予算契約できなかったものがどれだけあるか。それは四十九年度及び五十年度でどういうふうに措置しようとしておられるのか。四十九年度予算で四次防計画に比べて要求しなかったものがどれだけあるか。五十年度についても同様でございます。それをお答えいただきたいと思います。
  19. 山口衛一

    山口説明員 お答えいたします。  最初の御質問でございますが、四十八年度予算を執行するに際しまして、ちょうど昨年の暮れからことしの初めにかけまして、石油危機を端緒としまして急速に卸売り物価その他の高騰を見まして、いわゆる発注先との商議が非常に難航したわけでございます。その結果としまして、四十八年度予算計上をされたものにつきまして一部調達中止し、または一部調達数量を減少したというような事態が起こりました。  その内容につきましては、現在のところ調達中止しておるものにつきましては、七〇式の戦車回収車四両、これは当初予算額三億六千四百万円でございますが、これが一つ。それから六七式の戦車橋一両、これは当初予算額九千万円でございます。次に七〇式の自走浮橋三両、当初予算額二億二千八百万円、それから輸送艦の小、千五百トンクラスのものでございますが、これが一隻、予算額としまして十九億一千四百万円でございますが、この四品目につきましては、予算計上しましたが、調達中止をした対象品目でございます。  その次に、調達数量を減少したものがございますが、この調達数量削減装備品としましては、三つの装備品がございまして、一つは六〇式の一〇六ミリ自走無反動砲がございますが、これは二十両を十八両に二両減少いたしました。それから七三式の牽引車、これは四十五両を予算計上予定いたしましたが、これを十両減らしまして三十五両調達をすることにいたしました。六一式の大型雪上車でございますが、これは五両の予定を四両に一両減少いたしました。このような削減をした品目が第二にございます。  また、これは中止とか削減ではございませんが、いわゆる予算上の継続費対象品目でございまして、年度末までに契約が完了できなかったものがございました。これは御承知のとおり、艦船が三隻ございます。一つ護衛艦のDDGでございますが、一隻三千八百五十トンのものがございます。第二に護衛艦のDE、これは千五百トンクラスでございますが、これが継続費で繰り延べております。三番目に潜水艦、これは千八百トンクラスでございます。この三隻が継続費対象品目でございますので、必ずしも年度内契約を完了しなければならないという筋合いではございませんが、例年ですと、できるだけ年度内に完了いたしまして、納期に十分間に合わせるような配慮もするのでございますけれども、船につきましては、御承知のとおり、予算計上の時期と船の異常なコストアップというものによりまして、現在まで交渉が続いておるという状況でございます。  以上が四十八年度予算関係でございますが、四十九年度予算は、御承知のとおり、昨年の暮れに予算折衝政府部内で行なわれまして、三月に国会で御決定をいただいたものでございますが、まだ四十九年度調達は始まっておりませんので、四十九年度調達状況がどうかということにつきましては、環境もあまり変わっておらず、事態は非常に苦しい状況でございますが、たとえば需品類とかあるいは部品類とかにつきましては、一般の民用品との共用化をはかるとか、あるいは関係業界合理化をもっと進めてもらうとかというような措置をとりまして、できるだけ予算の範囲内で全量調達に向かいたいというふうに考えておりますが、非常に環境は苦しいというふうに考えております。  それから第三の御質疑の点でございますが、五十年度予算にこれまでの調達不調のものをどの程度計上したかというふうに受け取りましたが、五十年度におきましては、これまでの削減分とか中止分につきましては、原則として認めないという方針で臨んできております。ただ、この中で、先ほど触れました輸送艦の小、千五百トンクラスでございますが、これにつきましては、五十年度予算で再度同種のものを計上したという事実がございます。その他の削減分につきましては、これを五十年度であえて再計上するということはいたしませんで、これだけは五十年度までのところでは、予定よりも減少しているというふうに考えております。
  20. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 あとは、防衛庁長官が見えましてからお尋ねいたします。  文部大臣が見えましたので、文部大臣にお伺いいたします。  この夏、広島県で、小学校の四年生の夏休み帳に「じえたいのばか」という詩が載った。文部大臣、この事実は御存じでございますか。
  21. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 夏休み中の補助教材の中に、いま御指摘のような作文が掲載されたこと、承知いたしております。
  22. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 補助教材というものは、学校教育上、教科書との関係はどういうふうに考えておられるのですか。これは事務当局でけっこうです。
  23. 安嶋彌

    ○安嶋説明員 学校教育法の二十一条におきましては「小学校においては、文部大臣の検定を経た教科用図書又は文部省が著作の名義を有する教科用図書使用しなければならない。」これが第一項でございます。第二項といたしまして「前項教科用図書以外の図書その他の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。」こういう規定がございます。補助教材は、この学校教育法の二十一条第二項の趣旨に従ったものでなければならないというふうに考えておりまして、この規定は、小学校だけではなくて、中学校、高等学校にも準用されております。  また、具体的な扱いといたしましては、公立学校につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律におきまして、教育委員会規則の定めるところによって、教育委員会にその使用についての承認を求めるとか、あるいは使用にあたって事前に届け出をするというような方式になっております。
  24. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そこで、学校教育法の二十一条の二項ですが、「前項教科用図書以外の図書その他の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。」この「有益適切」ということばの意味ですが、まあ一番端的に私ども思いますのは、学習指導要領に適合しないもの、これは内容がかりにいかにりっぱなものであっても「有益適切なもの」と認められないのか、あるいはそんなことはないのだということなのか、そこのところをお答え願いたい。
  25. 安嶋彌

    ○安嶋説明員 「有益適切」の判断基準でございますが、当然なことでございますけれども教育基本法に従ったものでなければなりません。また学校教育法規定に従ったものでなければなりません。同時に、学校教育法に基づいて制定されております学習指導要領にも準拠したものでなければならないと思います。そうしたものを総合的に判断いたしまして、何が有益適切であるかということがきまるわけだと思いますが、その具体的な手続といたしましては、ただいま申し上げましたように、市町村の教育委員会が最終的な判断をする、手続としては承認あるいは届け出という形になっておるということでございます。
  26. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いま二つお答えになりましたので、二つお尋ねしたいのですが、一つ学習指導要領と教科書との関係。おそらく教科書は学習指導要領に従ってつくられておるのだと思うんですけれども、その確認をいたしたい。と同時に、その学習指導要領では国家機関についてどういうふうな説明をしておるか、あるいは自衛隊についてどういうふうな説明をしておるかというふうにお尋ねをしたほうがいいかもわかりません。  それからもう一つは、いま市町村教育委員会がきめるのだとおっしゃった。ところが、これは昨日の毎日新聞の朝刊ですが、文部省がこの問題について通達をお出しになった。「この通達について日教組は「補助教材は本来、子供に“わかる授業”をするために教育基本法に基づいて教師が自主的に作ったり選んだりするもの。教育委員会文部省が押しつける性格のものではない」と反発している。」こう出ております。私は教育基本法を読んでみたのですが、どうもよくわからないのです。こういうことについてどうお考えになりますか。二つについてお答えいただきたい。
  27. 安嶋彌

    ○安嶋説明員 教科書と学習指導要領関係でございますが、これは教科書の検定におきまして、先ほど申し上げましたような教育基本法学校教育法に準拠するということのほかに、学習指導要領に準拠するということが検定の非常に重要な基準になっておりまして、それに従って各種の検定を行なっておるわけでございます。ですから、検定を通過した教科書は当然学習指導要領に準拠しておる、こういうふうにお考えいただいていいかと思います。  それから、学習指導要領におきまして国家機関、特に自衛隊の問題がどういうふうに扱われておるかということでございますが、これは学校教育法にもございますように、教育というものは児童、生徒の心身の発達に適合した形で行なわれなければならないものでございます。したがいまして、同じ主題の扱いでございましても、学校段階、つまり児童、生徒の心身の発達の段階によって扱いが異なることは当然かと思います。  小学校の社会科におきましては、教科の目標といたしまして「郷土や国土に対する愛情、国際理解の基礎などを養う。」あるいは「わが国の歴史や伝統に対する理解と愛情を深め、正しい国民的自覚をもって国家や社会の発展に尽くそうとする態度を育てる。」こういう教科の目標を定めておりまして、これに準拠して各学年の教育の目標あるいは内容、扱いが定められるわけでございますが、ただ具体的な教科書の扱いといたしましては、小学校につきましては、まだ初歩的な段階にあるわけでございますから、自衛隊等につきましては、そう具体的な取り扱いは現実にはあまり行なわれておりません。小学校六年生の社会科の歴史的分野におきまして、自衛隊の設置の経過等についてごく簡単に触れておる教科書が若干あるという程度でございます。中学校におきましては、歴史の分野におきまして、戦後の歴史の一環として自衛隊の成立の過程等につきまして若干触れておるものがございます。高等学校におきましては、社会の内容におきまして、防衛の問題でございますとか、あるいは軍縮の問題でございますとか、そういう観点からの取り扱いが若干あるということでございます。  それから最後に、補助教材の扱いでございますが、先ほど申し上げましたように、学校で適切だという判断をいたしまして、その使用について教育委員会承認を得、あるいは届け出をする、そういう手続をとって使用されるということでございます。第一次的な判断は、これは、やはり現場における学校において、何が有益、適切な教材であるかということの判断が行なわれておるわけでございますが、学校を所管する教育委員会といたしましては、いま申し上げましたような公的な関与を行なっておるということでございます。
  28. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 まず第一に、小学校六年の課程において、自衛隊について社会科の教育で教えることになっておる。これは小学校四年の夏休みの宿題帳なんですね。四年生の夏休みの宿題帳に、自衛隊のことについて「じえいたいのばか」という非常に適当でない表現だと思いますが、こういう詩を載せることは、これは、おかしいじゃないですか。これは常識でもわかることだと思うのです。  それからいま一つ、日教組の見解について、あなたのほうは市町村教育委員会が認可をし、あるいは届け出を受けるのだとおっしゃったが、日教組の、これは、ほんとうかどうか知りませんけれども教育基本法に基づいて教員がきめるべきものであって、国家や公共団体は関与すべきでないと言うておることに対する御答弁が抜けておるように思います。
  29. 安嶋彌

    ○安嶋説明員 先ほど申し上げましたように、小学校におきましては、児童の心身の発達がまだ十分ではございませんので、教材の扱い等につきましては、特に慎重な配慮が必要だと思います。六年の社会科におきまして、自衛隊に触れておるところも、設置の経過というようなことで、六年になって初めて触れておるわけでございます。したがいまして、四年生の段階において、ただいま御指摘のような問題を取り扱うということは、内容の点からだけではなくて、児童の心身の発達の段階というものを考えましても、これは適当ではないというふうに考えます。  それから、教材のいわゆる自主的な選択という問題でございますが、私ども教師の自主的な創意くふう、これは教育において大いに尊重さるべきものと考えておりますけれども、教育の内容が、すべて教師ないしは教師の集団によってこれが決定さるべきであるというような考え方につきましては、私どもは全く同意することができません。教師の創意くふうが教育上必要だということ、これは当然でございますが、教育内容について、国がその基本を定め、基準を定め、それによって公教育と申しますか、学校教育が行なわれるということは、これは当然な要請であろうというふうに考えております。したがいまして、教材の選択も、その趣旨に従って行なわれるべきものである、こういう考え方でございます。
  30. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうしますと、文部省が通達をお出しになったのは、これは公正を欠くという考えですか。そういう通達ですか。私は公正を欠くだけじゃない、適切じゃないのだ、こういうふうに思うのです。−「公正を欠く教材として不適切」か、これならまあわかります。  そこで、これは大臣にお伺いしますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第五十二条では「文部大臣は、地方公共団体の長又は教育委員会の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、教育の本来の目的達成を阻害しているものがあると認めるときは、違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。」こういう規定があります。今度の通達は、この五十二条に基づいて出された、こういうふうに了解していいのですか。
  31. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 今度のできごと、まことに残念なことでございました。私は、あの作文を見ました瞬間に、こんなことでは自衛隊の皆さん方の士気を阻喪させる、私としてまことに申しわけない、こんな感じを持ちました。教育界で起こったことでございますので、私にも責任がある、そんな気持ちも持ったわけでございます。同時に、このようなことがほかの地域でも行なわれておるとたいへんなことだ、教材につきまして、やはり誤りのないように一そうの配慮が必要だ、こんな判断もしたわけでございまして、幸いにして広島県におきましては、広島県教育委員会が、その直後に適切な指導がなされたようでございますし、その補助教材を編集いたしました広島県教職員組合のほうも、適切な配慮を欠いておったというような気持ちを表明されたようでございまして、それはそれで一応の処理がなされたと思うのでございますけれども、全国的に再びあやまちを繰り返さないようにしたい。そういう意味で先ごろの通達が出たわけでございます。これは、いま御指摘の条文に基づいて通達を出したということよりも、一般的に文部省が地方の教育委員会に対しまして指導助言の責任を持っているわけでございますので、そういう考え方のもとにあの通達を出したわけでございます。
  32. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 よくわかりました。これは念のために聞いておきたいのですが、教科書及び補助教材をどう使うかというふうな事務ですね。これは地方自治体の、あるいは教育委員会といってもいいでしょうが、固有の事務なんですか、国の事務なんですか、どういうふうにお考えになりますか。
  33. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 教育内容をどうきめるか、これは学校教育法に基づきまして一定の事柄が法律に示されておるわけでございまして、自余の教育課程につきましては監督庁がこれを定めるのだ、こう書かれておるわけでございます。そうして同時に、法律で教育課程審議会を設けることにいたしておるわけでございます。この教育課程審議会の答申を受けまして文部大臣が、先ほど来御指摘になっております学習指導要領というものを作成し、これを示す。これを基礎にして教科書もつくられる、また学校が具体の教育課程、カリキュラムをつくるわけでございます。したがいまして、基本の問題につきましては、いま申し上げましたような形でつくられているわけでございますけれども、それにはかなり大きな幅があるわけでございまして、その幅は学校当局にゆだねられている、こう考えていただいてよろしいと思うのであります。  しかし、それにつきましても、先ほど局長が御説明申し上げましたように、市町村の教育委員会に対しまして、あるいは届け出をする、あるいは承認を受けるというような手続を踏ませる、こういう段取りをつけているわけでございます。その場合に、学校はあくまでも個々の先生じゃございませんで、学校を代表する者、これは校長さんでございますので、校長さんがその責任のもとに教育委員会承認を求めたり届け出をしたりするということでございます。
  34. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 大体わかりました。先日、通達も出されたようで、これでいいのですけれども、いかにもこの通達を出されるのがおそかったと私は思うんですね。なぜこんなにおくれたのだろうかという気がしてなりません。いま文部大臣のお話しのとおり、以後こういう事態が起こらないように文部行政に一そうの御努力をいただきたいということで、この点に対する質問を終わります。文部省もうけっこうです。  山中防衛庁長官は、この夏休み帳のことを御存じでしょうね。自衛隊の隊員にどういうふうな影響があったとお考えになっておりますか。
  35. 山中貞則

    ○山中国務大臣 もちろん知っております。しかし私の立場で、文部省に対してどうこうしてほしいとか問題があるから注意を喚起するとかそういうことはいたしておりません。私どもは、いまの段階において、まず自衛隊員は、いかなる立場の違いがあるとも、外部からの非難中傷なりその他の苦しいことに対しても、自衛隊法に示された崇高な使命のもとに不動の信念を持って進むべき時期であると考えておりますから、今後とも、義務教育の問題は、文部省の議論のあれでありますから、これは別でありますが、いろいろありましても、ただじっと自分たちの使命を、信念を持って堅持し続けて、ひたすら黙って前進するのみであるということを考えておりまして、特別の措置をとっておりません。
  36. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 時間もありませんので、長官に、いままで事務当局から答弁を伺いまして残っております問題を続けて御質問いたします。  一つは、四次防の完成の問題ですが、明年度予算の編成に関連いたしまして、各新聞には四次防の達成を事実上断念したのじゃないかというふうなことが出ておりますが、この点について長官のお考えをまずお伺いいたしたいと思います。
  37. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ことしの予算要求の下敷きとなります業計をつくるにあたりまして私が指示いたしました中に、単年度の視野に立って予算要求をしないで、四次防の最終年度を控えた五十年度という、すなわち五十一年度、両年度を踏まえて検討した五十年度予算要求案を作成しろということを命じました。そして私自身が、作業の段階から制服も含めて論議の過程に入って逐次積み上げてまいって予算要求をいたしました。しかし、これはあくまでも二五%増の範囲にとどめる、しかもベースアップ、それから後ほど御質問があればお答えもいたします隊員の処遇改善の当然の一環として、おくれておりました審議会答申を受けての食糧費の問題等を入れますと、人件費、糧秣その他、人糧関係だけで一七%程度の対前年度比増になる。しかしこれも、四次防の前提となる展望においても述べてありますように、毎年度予算は、そのときの国の財政経済の方針あるいは客観情勢をよく見て要求をする、あるいは作成するというふうになっておりますし、予算査定の結果というものは、なお相当きびしい結果になるであろう、そういうふうに思います。  そこで、じゃ五十一年度、最終年度を踏まえて展望して要求したというならば、五十一年度とはすなわち四次防の完結すべき予定の年である、それはどうなるのかということで、いままで内閣委員会では、いろいろ考えてみると方法がある、そこで締め切って積み残す方法あるいはそれを五十二年度完成として引き延ばす方法等を例にあげて言ったと思いますが、しかし道路五カ年計画とか港湾五カ年計画とかというものならば、計画を一年延ばせば、それだけ薄めて事業は一年おくれで完成するわけですけれども、これは、もう釈迦に説法で御承知のように、五十二年度に延ばしてみても、当該年度にどうしても歳出に立つ、取得が予定されている経費があるわけであって、そういうことを考えますと、引き続き続くであろう人件費のプッシュ、そういうものを考えますと、引き延ばしてみても、それがはたして効果ある措置といえるかどうかということを疑問に思います。  現時点では、まだ五十一年度、最終年度予算環境がどうなるかわかりませんから、それを最終的に断定するのは早いと思いますが、しかし少なくとも昨年からことしにかけての鉄鋼その他、われわれの部隊の装備すべき正面装備を中心とするいろいろの機材の値上がり等、さらに人件費の値上がり要因等を考えますと、これは、とても主要項目の完全達成は困難であるということを、現時点でも予算要求段階において残念ながら認めざるを得ないのではないか。かといって、国庫債務負担行為等で頭を一億出して、そして氷山を押し込むようにして後年度に延ばす方法等をうまくやれば、私も予算技術はいささか知っておりますから、形だけは四次防を完全にできたというようなことにできないことはないかもしれません。しかし、そういう無理をしてみてもはたして——国防は一日にしてならずといいますから、一方で言うならば、長期展望に立って毎年をふまえていかなければならないということを考えますと、陸海空いろいろ感触は違いますが、先ほど言いました予算に影響を与えるような主要因をなすものは艦艇でありますから、そうすると海上自衛隊ということになります。建造隻数、トン数あるいはまた艦種等が四次防に明記されておりますけれども、その明記されておる艦種あるいは隻数、トン数等について、積み残しを覚悟した四次防の最終年度である五十一年度への歩みとしての五十年度予算というものの詰めを、これから大蔵省としなくてはならないのではないかというような感じがいたしておりますが、最終年度を残して、もし日本近海に石油でもがばがば出るようになって、そして五十一年度予算は何でもオーケーですというような予算の形ができることもないとはいえませんので、そういうことを考えますと、ここで断言はできないことだと思いますが、しかし、やはり責任ある立場をとる者としては、安易に——大体やってできないことはないという感じもしますが、しかし正直に申し上げて、海上自衛隊を中心に四次防の主要項目その他の達成は困難であろう、そういう気がいたしております。  この点については、その四次防がかりに達成できない場合におけるわが国の防衛構想のあり方その他については、すでにトーキングも開始いたしておりますが、もう少し長い時間をかけて議論をして、新しい日本の安全保障と国防のあり方についての議論を詰めた上で次の展望を見据えてみたい、そういうふうに考えております。ちょっと答弁が長くなりましたけれども、事柄が重大でありますから、お許しを願います。
  38. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 よくわかりました。大臣の心境は、そうだろうなと私も思います。  さっき質問を残したのですが、航空機事故が相次ぎまして、大臣も非常に御心労だろうと思うのですが、事故の対策についての大臣のお考えと、毎日新聞の八月三十一日の朝刊に、愛知県の小牧基地の移転を決定、このための予算要求をあわせてきめた、こういう記事がありますが、事実かどうか、この二点について御答弁を願います。
  39. 山中貞則

    ○山中国務大臣 小牧のF86F、さらにまた新田原基地のF104J、いずれもあってはならない事故でありますし、隊員の人命を失ったということでありますが、ことに小牧事故は、国民の生命、財産を守るために存在する自衛隊の飛行機というものが、原因がどうであったといえ、結果において逆に民間の前途有為な三人の青年学徒の生命を一瞬にして奪ったということは、私にとって耐えがたいことであり、また防衛庁、自衛隊にとって、まことに最悪のことを起こしてしまったという気がしてなりません。  したがって、直ちに飛行停止を命じ、徹底的に——幸いにしてF86Fの場合は、奇跡的にエンジンその他がほとんど無傷に近い状態で残っておりましたので、エンジンバイブレーションがなぜ起こったか等の追及も相当詳しく、しかも根拠ある専門家の手も加えながら原因解明ができました。でありますので、大体F86Fが危険ではないのだ、しかし、たまたまその操縦をしていた場合の操作において、スロットル等の急激な操作等が問題提起の原因になったようであるということで、小牧基地については、まだ飛行再開を認めてはおりませんが、直ちにF86F全部に対して飛行停止を命じておりました他の基地については、すべて点検を終わりまして、そのような事故の心配はないということで飛行再開を現在命じておりまして、異状ありません。小牧基地については、今後県をはじめとし、地元の皆さんに、御遺族はもちろんでありますが、御了解をいただいた後に飛行再開ということをお許し願えればと考えております。これは一応現時点の考えであります。  そこで、将来どうするかということで、来年度予算小牧のF86Fの移転を要求していることは事実かということでありますが、事実であります。これは事故を起こしたからということにとられがちでありますが、これも大きな原因ということを否定はいたしませんが、かねがねいつも問題になっております、きわめて人工稠密になってきたところの主として飛行場とか弾薬庫とか、そういうものの議論があります。このごろは普通科連隊まで、場所によっては議論も提起されておりますし、まあ前からあったところにだんだん人が家をつくってきたのだからという言い方もないではありませんが、しかし、かといって現実に燃料タンクの切り離しをする場所もない、そうすると滑走路にたどりつこうと必死に操縦かんを握っていたけれども、力尽きて落ちた瞬間は火炎放射器みたいになって、一瞬に火の海にしてしまったということを考えますと、まず自衛隊の基地で、一番人口の密集しておるところの中にある基地としては、共用基地であっても小牧である、したがって、ここが戦闘機の日常訓練を行なう基地としての性格は、まず第一に取り除くべき場所であろう、そのように考え予算要求をいたしました。  次に、どこに行くかという御質問が出るかもしれませんが、それは、そのときになってお答えをいたします。
  40. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 よくわかりました。次にどこへ行くかというのは、たいへんむずかしい問題で、よくお考えいただくことにして、質問はいたしません。  時間がなくなりましたので、最後に一問だけ大臣にお尋ねいたします。  毎日新聞の九月三日ですが、木村外務大臣が国連でアジア非核宣言をやりたいというふうな記事が出ております。どの程度確度のあるものかわかりませんけれども、これは、わが国の安全保障の面からも、たいへん重大な問題だと思うのでありますが、防衛庁長官は、このことについて御承知でありますか。あるいは御承知でないとすれば、こういう構想に対してどういう御意見をお持ちでございますか、お伺いをいたします。
  41. 山中貞則

    ○山中国務大臣 承知いたしておりませんし、相談も受けておりません。しかし軍事的に見れば、アジアというのはソ連、中国、それに最近シッキム等を準州にするということをきめたインドの核実検等が行なわれておる地域が含まれます。それらの合意が得られるかどうかということを、やはり慎重に見きわめる必要もあるということでありますが、私は相談も受けておりませんし、聞いてもおりませんから、その限りで答弁はけっこうだと思いますが、対米も含めて、日本の安全保障をやはり中心に据えてアジア全体の安全保障が保たれるようにするというのが、われわれの人類に対する究極の願いでありますし、国連憲章の目的でもありますが、そのこと自身に対する私の批判は差し控えます。何ら相談を受けておるものでもないし、そういうふうにきめていらっしゃるようにもうかがえないという感じがいたしますが、これは木村さんに聞いてください。
  42. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いずれ木村大臣にも聞こうと思いますが、安全保障上の見地から長官のお考えを承りたいと思ったのですが、まだお聞きになっていないしということでありますから、いいです。  それで、航空機事故に関連いたしまして一つ言い残しましたが、最近、中東戦争についてのアメリカ国会調査団報告を見ましたら、ソ連から供与を受けたSAM6というものが非常に有効だったということが書いてありまして、やはり日本防衛構想についても、有人機と地対空ミサイル関係、これをもう一回私は根本的に考え直してみる必要があるのじゃないかなということを考えます。時間があれば少し突っ込んだ御質問をしたいのですが、時間が参りましたから、きょうはこれでやめますが、大臣にもひとつ頭に置いておいていただきたいということを要望して終わります。
  43. 山中貞則

    ○山中国務大臣 わが国は、アメリカと安全保障条約を結んでおりますから、ある意味においてアメリカの兵器を——なるべく国産化するという方針はきまっておるにしても、買うとすればアメリカの兵器となりがちであります。しかしアメリカの国土防衛構想には、自分たちの国土の地上もしくは領空に敵が入り込んでくるという構想はあまりないように思うのです。だから、SAM6みたいに移動自由自在である、そういう移動自由自在のナイキみたいなものがアメリカにおいては案外見過ごされていて、しかも一方において、SAM−Dの研究は進めておるようであります。これはソ連に刺激されたのかもしれませんが、進めておるようであります。一方ナイキというものは、もうフロリダとアラスカ以外には配置をやめるともいっておりますし、事実のようであります。  そこで、来年度の研究開発の新しい項目として、ナイキJの後継ミサイルシステムについての研究開発を、わが国独自で行なう能力もありますし、技術も各部門ばらばらには完成しておるわけなんですが、それをどのように結合させるか。最後には価格の問題にもなりましょうが、わが国の地形に応じた、しかも最近の基地取得難等を考えますと、やはり移動が原則である、自由自在に動ける、しかも能力が日本の要望するもの等に匹敵したようなもの、そういうものを日本が開発することは簡単だと思うのです。そういうことで研究開発費を要求いたしております。とれるかとれないかわかりませんが、そういう考え方に立っておることを申し述べておきます。
  44. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 終わります。
  45. 徳安實藏

    徳安委員長 中山正暉君の関連質問を許します。中山正暉君。
  46. 中山正暉

    ○中山(正)委員 お許しを得まして、一問だけ防衛庁長官にお伺いをしたいと思うのですが、実はこの間から、外務大臣の北朝鮮問題に対する御発言というのがいろいろ論議を呼んでおります。外務大臣最初の御発言では、北朝鮮の脅威はないのだという御発言があって、きのうの外務委員会では、国連軍がいる限りはという補足説明があって今日に至っておるわけでございますが、考えてみますと、きょうの毎日新聞によりましても、私どもの自由民主党から派遣されて中国へ行かれた小山長規先生の御質問に対して、廖承志一行と一緒に日本に来られた張香山が、台湾の武力解放はあり得るという話をしておられます。台湾と日本との切り離しのあと、いま日本と韓国の問題では、日本で盗まれた警察官のピストルで陸婦人を凶弾に倒すという事件までありまして、日本と韓国の切り離しということが非常に大きな戦略の中で進んでおるような気がいたします。  外務大臣の御発言に対する当面の武力脅威という問題に関して、その最も大きな責任を持っておられる方は防衛庁長官でございますが、近隣諸国という意味で、韓国の安全は日本の安全にとってたいへん大きな関連があると私は考えております。前にも防衛庁長官とやりとりをいたしました中に、日本でいろいろな問題が起こったときに、在日韓国人は六十万おられるから、いろいろな意味日本の騒乱、そういうものに介入できる権限といいますか、きっかけというものを持つのは北朝鮮であろう、私はかように考えております。特に一九四九年、中華人民共和国ができまして、五〇年に中ソ軍事同盟条約が結ばれまして、その六カ月後に起こりましたのが、御承知の朝鮮動乱、韓国動乱といわれるもので、昭和二十五年六月二十五日、突如として中ソ軍事同盟条約にささえられた金日成の支配する北朝鮮が南進をしたわけでございますが、そこでやむなく、その六カ月後にわれわれ、日米安保条約というものをつくったわけでございます。  日米安保の基盤というのは、一にかかって中ソ軍事同盟条約があればこそで、われわれは、そのために日米安保条約というものを考えたわけでございますが、この日米安保は七〇年で終わり、一年ごとの自動延長でございますが、中ソ軍事同盟条約は一九八〇年まで、そのあとの自動延長は、五年ごとの自動延長ということになっております。中ソは仲が悪いといいますが、まだ厳然と中ソ軍事同盟条約は進み、一昨年の九月六日でございましたか、北朝鮮と中国が今度は逆に軍事同盟を結ぶというような背後関係もあるわけでございます。  そこで、防衛庁長官のお口から、最近の韓国問題、北朝鮮の脅威というものを、一体どういう御認識で防衛庁はお考えになっておられるのか、この一問、お答えを願いたいと思います。
  47. 山中貞則

    ○山中国務大臣 脅威というものは、客観的なものと主観的なものと二通りあるでしょう。木村外務大臣が発言された内容を、私は立ち会っていたわけではありませんで、新聞等で見たり読んだりしているだけであります。しかしながら、よその国に、ことに同一民族が分断をされている悲劇の国家というもの、一ぺんは戦った、そして釜山まで共産軍に席巻されたという体験を持っておる国でありますので、その国に対してわが国から——事件の問題は別です。何かあれは別ですが、その国がどういう環境に置かれているかは、これは、わが国がそう軽々しく判断すべき問題ではなかろう。  たとえば、先ほどちょっと触れましたが、一番新しいニュースとしてシッキムをインドが準州に入れた。シッキムは王子以下みんな反対である。シッキムにとっては、長い王国の歴史にここで終止符を打たれるかどうかの存亡の脅威でしょうね。しかしインドにとっては脅威ではない。パキスタンにとっては、今度はカシミール問題に飛び火するかもしれない、間接的に一歩進んできたという感じが、原爆実験を背景にある種の脅威に受け取られているかもしれない。一方において中華人民共和国は、これを見過ごさぬぞといっておる。そうするとかつて、歴史の上ではごく近い過去において戦った中印両国でありますから、中国が開き直ると、今度はインドはそれに対して脅威を感ずるかもしれない。そういうように、その国の立場によって主観的な脅威というものはあると思うのです。しかし客観的に見て脅威であるかないかは、その国の主観にまかせますが、最近における南北朝鮮の休戦ラインをはさんでの軍事的なできごとはただごとでない。そういう情報を私たちは持っております。  御承知のように、西海岸の白筋島その他の五つの島における問題をめぐって韓国の漁船が撃沈され、救助すべき死体は一つもなかった。要するにソ連から貸与されたミサイル高速艇というものの一撃を食らって轟沈という形なんですね。そして一隻は連行された。これは事実です。そうして今度は、東海岸においてさらに韓国の、これは何といっても軍艦のうちに入る魚雷艇、沿岸警備艇ですかが一隻撃沈をされておる。境界線を、領海に分けていえば越えたのだという意見を北はいっているし、南はそうでないといっておりますから、これは、われわれはわかりませんが、撃沈をされたという事実はあります。そうすると、これは同一民族がかりにいろいろないきさつがあって、思想その他が変わっていて、一ぺんは戦火も交えているとはいえ、二つに分かれた悲劇は、われわれも気の毒だと思っております。しかしそれなのに、同一民族でそのような行為が行なわれているということ自体は、やはりただごとではないだろうという気がいたします。  でありますから、そういう軍事的なものを見ますと、やはり北と南のバランスは、木村さんのおっしゃるように在韓国連軍というものがいなければ、圧倒的に航空機の数においても、あるいは海軍力においても、陸においては、そうどちらがまさっておるとは言えないと思いますが、北がまさっておると思います。かといって、北がまさっておるから直接に侵略の脅威を南に与えておるかということになれば、それを木村さんもおっしゃっているんでしょうが、現在の状態ではそういうことはないということはあるでしょう。しかし私どもは、あくまでもそれはその国の置かれた主観的な問題である、私どもがそれをつべこべ申し上げることは、外国に対して越権であると思います、事件は除いてですよ、軍事的な情勢としては。しかし事実は、そのような環境下にあるようである。ただごとではないし、異常な事態が引き続いて起こっておることは、注目すべきことであると見ております。
  48. 中山正暉

    ○中山(正)委員 ありがとうございました。ただごとではない、非常に危険な状態が認識をされることもしばしばあるという御答弁でございました。台湾、韓国というのは、日本にとって歴史的にも日本の安全の非常ベルであると私も感じておりますので、ひとつ御研さんのほどをお願いをいたしまして、御答弁を感謝して質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  49. 徳安實藏

  50. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 七月十九日に、所沢にレーダー送信所、いわゆるOTHのレーダーがあるということを朝日新聞ですっぱ抜かれた。その新聞を見ましても、外務省の山下安全保障課長は確認はできなかったとか内容はよくわからないとか非常にことばも不鮮明です。かつ十九日の閣議後防衛庁長官も、そのような施設が同基地内にあるとは思えない、これは、あとで訂正されておりますけれども……。このOTHが米軍から設置の通知があったのは、一九六七年、昭和四十二年所沢に設置するという通告をし、千歳に翌四十三年に設置するということを日本側に通告しております。  いま申し上げましたように、そういう通告がありながら、防衛庁も知らない、郵政省も知らない、かつ朝日新聞の記事に対してもわからないようなことを言っておった。その間、所沢基地返還がなされ、その関係で自治医大の設置が所沢の中で出てまいりましたが、自治医大の問題の中で自治大臣の発言要旨というのが、昭和四十六年五月十四日に出ておりますけれども、その中に医療機械器具に対する電波の関係についての配慮ということが、自治医大を栃木県へ持って行った大きな理由の一つでございます。  外務省あるいは防衛庁、郵政省等が、こういう非常に重大な問題を知らない、あるいは通告しないというようなことがあった。所沢の市議会の保守系の方々は、防衛二法の成立を望んだ。これは防衛庁長官に陳情をされて、たいへん喜ばれたことも御記憶だろうと思うのです。現在はどうかというと、所沢市の中では、基地返還を求めることはもちろんですけれども、OTHを全面撤去しろ、たいへんな反対運動が起きておる。これは私、政府がいままで内容を知らせないで何かペテンにかけて、政府に対する不信感が非常に強く出たのだろうと考えております。  まず外務省にお聞きしたい。四十二年に通告を受けながら、なぜ防衛庁、郵政省に知らせなかったのか。あるいは自治省の、先ほど申しました医療機械に電波の関係があるというような問題は、あるいは防衛庁は知っていたのじゃないか、私はそう考える。そのあとにすぐ防衛医大が出てきたじゃないですか。そう疑われてもおかしくはない。私はこのOTHに対しては、たいへん不信感を持ち、外務省がなぜそんなことをしたのか、外務省からまず御説明いただきたい。
  51. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 昭和四十二年二月にアメリカ側から外務省に対しまして、OTH施設を所沢及び千歳に設けるということを通報してきたのは、いまお話にあったとおりであります。一般的に申し上げまして、アメリカ側が日本国に設けます装備の一つ一つについて、わがほうに通報してまいるわけではございません。ただ、この問題につきましては、向こう側としても、最近開発されたそういう施設を設けたいということでわがほうに言ってきたわけであります。当時外務省といたしましても、もうその内容から判断いたしまして、いわゆる事前協議の対象になるようなものではないという判断がございまして、その点は通報をそのまま受けたわけであります。  ただ、その当時におきまして、これをどこの範囲まで知らせるかということにつきましては、もちろん検討されたと思いますが、内容的にわれわれとしても問題ないと判断いたしましたので、当時防衛庁に知らせなかったわけであります。この点につきましては、確かにもう少し連絡を密にして、防衛庁にお知らせしておいたほうが、内容というものを把握する上においてよかったであろうと私たちも思います。その点におきましては、政府連絡の不備の点につきましては、たいへん遺憾に存じます。
  52. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 内容的にどうのこうのというより、なぜ知らせなかったのか、もう一回端的に言って下さい。山崎説明員 ただいま御答弁いたしましたとおり、アメリカ側としても、非常に最近開発したものであり、いわば実験的にやっている施設でもあり、そういうふうに扱いたいということを向こう側も言っておりましたので、われわれとしても、その目的から見て、安保条約の目的に反するものではないと判断した次第でございまして、アメリカ側のそういう新しく開発されたものであるということを考慮して、当時においては、外務省限りにとどめた次第であります。
  53. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 ちょっと重大な発言ですよ、それは。重大な発言です。アメリカが要請もしないのに、これは秘密だからだれにも教えないのだと、そういう理解でいいんですな。
  54. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 これは秘密だからということではなくて、まだ一種の実験的なものであり、また、その目的については、われわれとしては差しつかえないと判断したわけであります。
  55. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 それは問題ですよ。やはり電波の監理は、日米合同委員会の中に周波数の委員会があるわけですよ。そういう監理をしている郵政省にも、またこれに関係ある防衛庁にも知らせないで、外務省だけ持っていて、あとは知らぬ顔をしている。これは国民に疑惑を招きます。もっともっとほかのことがあるのじゃないかと言われたって、あなたたちそういうことで言われたって、しょうがないでしょう。たとえばミッドウェーに核があるとか、いろいろなニュースが出ている。そういうことの疑惑を招く外務省、その辺について、あなたたちは申しわけもないとか残念だったとかと、なぜそういう国民に不安を招くことをするのです。防衛庁長官だって十九日の閣議のあとで、こんなことがあるとは思えないという発言をしている。しかし、あとで訂正せざるを得ない。そういう点でも防衛庁長官、どう思いますか。
  56. 山中貞則

    ○山中国務大臣 野党の諸君からどのように言われても、私はあえて甘受するが、小宮山君は与党なんだから、ことばを選んで質問してほしいと私は思います。私が言ったかどうかを確かめてからそう言いなさい。私はそういうことを記者会見で言っておりません。あとで取り消してもおりません。私が記者会見で言ったのは、質問があったから、それは外務省の問題じゃないですか、私はわかりません、と言ったので、そんなあなたが言ったように、そんなものは所沢にはないなんて言った覚えはない。与党なんだから確かめたらいいじゃないか、電話ででも。こういう席であくまでも私を詰問されるような態度で言われることは、私は心外千万です。事実関係は、外務省が四十二年二月に米側から通報を受けていながら、私のほうに知らしていない、基地提供責任の役所に対して。これは私もちょっと一瞬かっとなったのですが、考えてみると、わが自衛隊として、あるいは防衛施設庁として基地を提供して、そこにアンテナがいろいろと立って、そして自治医科大学校のときにも電波障害があった。そこで場所を変えた。わが防衛医科大学校をつくる際も、その電波障害の障害の度合いを考えながら、影響のないような場所を選んでおるということまでしていながら、それがOTHという新しいシステムのレーダーではないのか、レーダーと申しますか、そういう受信装置ではないのかという疑問を、少なくともわが国の防衛庁の、そして自衛隊の能力でもってそれを分析して発見できないという、そのことに非常な恥ずかしさを感じた。だらしない話だと思ったのです。ですから、外務省に私はこのことについても文句をつけなかった。けしからぬということを言いませんでした。それは、わがほうがそれに対して自分で発見できるはずのものなんです。それが発見できなかったことの那辺にあったかについて、私としては、その当時どういう状況で、どういう系統はどこまで承知していて、その判断をどこまで上げたかについて、わが国の防衛庁の内部のあり方として、きびしい自省の点検をいまいたしております。以上です。
  57. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 私は、いまの発言の中で、そのような施設が基地内にあるとは思えないという、某新聞社の記事から申し上げた。私はそういうことであなたが、自由民主党の議員だからそういうことを言ってはいけないということは僭越だと思う。事実言ったかどうかでない。私はこういう資料に基づいて言った。それは間違いです、と言っていただければいいです。私は防衛庁を信じ、防衛医大を所沢の市民が積極的に建設することに協力してきた。私は所沢の市民のために、疑惑を解決するためにここで質問しているのです。自治大臣が言っている電波障害について、こういうことを防衛庁は知っていたのじゃないかという疑惑を市民が言い始めている。その点についてはどうなんですか。
  58. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は、発言は御自由だと言っているんです。ですけれども、与党だから、あなたが一部の新聞にこういうことを言ったと伝えられているが、事実かどうかぐらいは確認して公の場で質問をしてほしかったということを言っているんですよ。しかし、それはまあ議員の発言は御自由ですから、どしどしやってください。  そこで、知っていたかどうかの問題ですが、その装置によって、ものによっては電波障害が起こる、あるいはテレビその他民家にも起こっているということはわかっておりましたから、したがって、防衛医科大学校の設置場所については、それらの電波障害の比較的及ばないでやっていけるような場所を選定したということも事実です。しかし、それがOTHというものであったかどうか、それについてわが自衛隊が外務省から通知を受けなくても、なぜ発見できなかったかということについて、おかしい、そんなばかな体制があるかという気持ちで、いまきびしくなぜだということを点検しておるということでありまして、知っていて隠していたというようなことではありません。
  59. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 所沢市民も防衛医大に対して、市医療に対してたいへん積極的に参加してきた。しかし残念ながら郵政省も知らない、防衛医大ができるときは、そういう電波障害は関係ないんだということは——どうも市民か一番不信感におちいっているのは、OTHがあるということを政府が知りながら、片一方、自治はためだ、防衛はいいんだというようなこと、また家主である所沢市、まあ実際の持ち主は国ですけれども、その市の中央にある基地、これは家主はやはり所沢市だと思うんですが、そこの中にあるものが知らされないという憤りだろうと思うんです。  それに対して私は、まあ、これがあるから所沢が攻撃の中心になるということは言いがかりである、所沢にそれがあるから攻撃の対象になるのだということは違うだろうと思いますけれども、しかし非常に所沢市民がおこっているのは、その政府内容を何年も前に知らされているものを、い、まになってわかり始めた、しかも新聞社が言い始めたから、それが何日かたってから、そうだったかというところに憤りを感じているわけです。私はそういうことで、電波障害なんかの問題を防衛庁は調べられておるのか、その辺のところをちょっとお聞きしたいのです。
  60. 山中貞則

    ○山中国務大臣 その電波障害の問題は、ほかにもありますから、防衛庁としては、施設庁を中心承知いたしておりますし、前の前の国会で可決していただきました新しい周辺の生活環境整備法の中にも、政令予定事項として、電波のひんぱんな発射という項目を加えたぐらいでありますから、知っているわけです。ただ、それが所沢市に医大をつくるという場合においては、その医大でもレントゲンとかいろいろとやりますから、そういうもので影響のない場所を選んだということは事実です。しかし、それがOTHの発する、その機能のための電波であるということを、外務省の通知がなかったことは遺憾ですけれども、その抗議を言う気力が私にないのは、それをなぜ私どもの自衛隊というものは把握できなかったのかということについて、それを突き詰めてから、私としては、外務省に対して言わなければならぬことがあれは言おうと思っているからで、今後は外務省はそんな横の連絡を防衛庁にしないということはないだろうと思いますから、そのいう意味で率直に申し上げて、つくりごとは全くございませんから、信用していただきたいと思います。
  61. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 大臣、これは私、自治医大にこだわるわけじゃないんですけれども、そのときのいきさつからいいますと、防衛庁から、電波障害があるからやめてくれと言ったのです。事実そういうことがあるのです。  これは私、追及はしませんけれども、少なくとも防衛庁は、ここに防衛医大をつくり、あるいは各省もいろいろな施設をつくるのであるから、このOTHが核の攻撃の目標になるのだという野党の考え方に対して防衛庁長官どうお考えですか。そうなるのでございましょうかどうでしょうか。
  62. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これが安保条約の範囲内かどうかについては、外務省の答弁に政府としてはまつべきだと私は思います。しかし軍事的な立場から見ますと、今日の世界の大勢は、ミサイル戦略を基底にして始まっているのでしょう。そのときに、最初に、そういう打ち上げたときの成層圏の変化によって、打ち上げた事実を知る施設に対して目つぶしといいますか、そういうものをかけてくるだろうということは、ちょっと現実的にはおかしいと思うのです。それは、それをやるとすれば、やはりミサイル攻撃でしょうね。そうすると、それをやるのはもう同じことなんです。まあ核超大国は二つありますからABとしますが、そのABが、最近MIRV化されてきているそういうようなもの、恐怖の兵器と言われているようなものを相互に撃ち合うというのは人類滅亡でしょう。しかし、それをつかってどこかを目つぶしにしろ耳隠しにしろ、それをつぶそうとして発射するくらいなら、もうまともに相手の国そのものを攻撃するときであって、そんなむだなことをやっているうちに、逆に第一撃を相手方から本土に食らうであろうということは、戦略上当然なことであって、外務省の安保条約論は別にして、戦略的にはもうそういうところを攻撃するくらいなら、まともな攻撃をやるであろうし、そういう中間的なものはもうないだろう、そういうふうに思います。
  63. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 もう時間もございませんので、結論に入りますけれども、いまの問題、OTHがあるがために所沢はその核の目標になる、しかしこれには、いろいろな問題点があるかもしれません。この主張には一つの盲点があると思います。その施設の有無にかかわらず、日本だけがその例外の中に入っていられるということはないと思うのです。  それは別としまして、所沢市民がおこっておるのは、先ほど申しましたように政府の怠慢であろう。何度も何度も要求しながら、その電波の内容についても話がなかった。  そこで、郵政省に聞きたいのですけれども、このOTHに使う電波というのは、よそよりは大きいのですか、どうなんですか。
  64. 松元守

    ○松元説明員 御説明をさしていただきます。  OTHということばでございますけれども、技術的に申しますとOTHと申しますのは、私どもの理解では、オーバー・ザ・ホライゾンという英語のかしら文字をとったものというふうに理解をしております。このOTHというのは、通信を入れますときのその一つの通信の手段でございまして、大体電波と申しますのは、光とよく性格が似ております。したがいまして、見通し距離外には通達をいたしません。しかし電波の特殊な伝わり方を利用いたしますと、見通し距離外に電波が伝わるということがございます。そのやり方につきましては、いろいろございますけれども、二、三の例だけ申し上げますと、電離層を使って、電離層の反射で遠距離に伝えるというやり方が一つございます。それからもっと波長の短いものになりますと、これは電離層を突き抜けてしまいますので、電離層は使えません。したがいまして、これでやります場合は、その電離層の下のほうに対流圏というのがございますが、これを使いまして、対流圏の散乱波によって遠距離に電波を伝える、あるいは山岳の回折を利用して遠距離に伝えるというふうな方法がございます。いずれにいたしましても、短いほうの波長でやります場合には、正規の電波の伝わり方を利用するわけでございませんので、相当大きな電力を必要とするというふうに考えております。しかし短波の場合には、電離層を利用して遠距離に伝搬させることができますので、特に国内で使っておりますような電力ではぐあいが悪いかと思いますけれども、長大電力を必要とするというふうには考えておりません。
  65. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 長大というのは、どのくらいの大きさなのか、それは言明できませんか。
  66. 松元守

    ○松元説明員 大体、私どもの経験では、国際的な短波電信をやります場合に、最低やはり十キロワットから十数キロワット以上要するというふうに考えております。
  67. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 一部の週刊誌では、所沢の基地からと柏とコンビネーションでOTHをやっているというニュースが流れておりますが、そういうことについては外務省、郵政省、そういう事実はございますか。
  68. 丸山昂

    丸山説明員 先ほどOTHの原理で長官から御説明申し上げましたように、電離層に反射をして前のほうに前方散乱式という形で行ないます。大体アメリカの公式の書類には出ておりませんけれども、かなり信用のおけるところの公刊の書類によりますと、全世界で九ステーション置かれておるというふうにいわれております。したがいまして、数はあまりないと思います。送受信の関係は、電離層に反射をしてそれを受けるということでございますから、きわめて近い距離の中での送受信ということは、まず考えられないというふうに考えてよろしいかと思います。
  69. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 柏にはないかということなんですけれども……。
  70. 丸山昂

    丸山説明員 ただいま申し上げましたことで、柏にはないと判断してよろしいと思います。
  71. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 最後に、これはお願いがございますけれども、もう一つその前に、防衛医大を所沢でいま建設中でございます。所沢には国立病院もございますけれども、その利用度は東京都民が七割近く使う。しかも所沢の市民は、待ち時間が多くてなかなか使えない。いま防衛医大については、地元の医師会も協力的に研修等々に使う、かつ患者については、特別な取り扱いをするということで防衛庁と話し合いが進んでおるやに聞いております。私はこういうような問題の背景の中で、やはり少なくとも防衛庁は、地元にはある程度サービスしてもらわなければ困るという気持ちもございます。地元の医師会が申し出ています防衛医大の利用、自分のところの患者の利用については、特別に配慮できますでしょうか、どうでしょうか防衛庁長官
  72. 山中貞則

    ○山中国務大臣 やはり普通の国立大学の付属病院同様、地域に開放し、または医師等が、本来原則的に反対の立場をとられるのが普通でありますけれども、理解を示していただきましたことの条件の一つにもなっておりますから、誠意を持ってそれらの点は実行をしていくということで御理解願いたいと存じます。
  73. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 最後に、今回のOTHの問題などについても、私は非常にルーズであったといわざるを得ない。こういうことが国民に安保理論の誤解を招き、また政府が誠意を持ってやっていることに対して、多くの方が不安感を持つのだろうと思う。  今回、こういう事件を契機として、外務省はこういうようなことのないように努力していただくこと、これのお願いですが、防衛医大、自治医大をつくるときに、やはり電波障害というような問題が盛んに言われていて、その内容は知らされなかった。われわれは疑心暗鬼で防衛医大に踏み切った。その点についても、防衛庁はもっと突っ込んだ調査をすべきだったということは事実だろうと思います。今後ともこのようなことがないように要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  74. 徳安實藏

    徳安委員長 大出俊君。
  75. 大出俊

    ○大出委員 問題は、二つありまして、一つは、防衛庁の給与にかかわる人事院勧告の処理の問題であります。もう一つは、防衛問題一般でございまして、もちろんOTH問題あるいはミッドウエーの核の問題あるいは自衛隊機の最近の相重なる事故の問題、さらにその他幾つかございます。  そこで、小坂総務長官は時間の関係があるようでございますが、何時までよろしゅうございますか。
  76. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 一時までにお願いしたいと思います。
  77. 大出俊

    ○大出委員 それでは、山中さんに承りたいのですが、勧告が出ましたあといろいろな話が流れた中で、防衛庁は自衛官の皆さんの給与の改善をはかるために、これが抜本的な改正であるので法律案をまとめるのに相当長期にわたって時間が必要である、実はこういう話が流れてまいりました。だが、これは研究調査会ができているはずでありまして、中間的な報告も出ております。それは四十九年度予算ではなくて、五十年度予算で要求をしなければできない筋合いでございましょう。たとえば食糧費であるとか営内居住の皆さんの費用であるとかいうふうなことは、これは人事院の事務総長なども参加している研究調査会でございますから、公になっているわけでありますが、そうすると、これは四十九年度の問題ではない。どうもそこらはっきりせぬのですが、抜本的に改正をすると言われるが、一体、今日ある自衛官の諸君の給与の体系をどう改正しようというのが抜本的改正ですか。
  78. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまのその問題は、ことしの人事院勧告が行なわれた後、おそらく内閣官房のほうがそういうことを言ったのだろうと思いますが、特に自衛官の給与体系の作業が約三週間ぐらいかかるのでということは、私も聞きました。しかし私どものほうから、それくらいかかりますから今国会に間に合いませんとかなんとか言った覚えはありません。通常の作業が、勧告後それぐらいの時間を毎年要しておりますからそれだけ要ります、じゃ、いまの時点ではどうかといえば、勧告がありましてから各種の作業が進んでおりますから、いまなら法案を出すのに十日間で済むが、それがその時点でぱっと出されて法案化するのに幾らかかるかといわれれば、三週間かかりますと言っただけの話で、特別にことしだけの問題ではないわけであります。  じゃ、なぜ三週間かといわれれば、その内訳は事務当局から説明させます。
  79. 今泉正隆

    ○今泉説明員 お答えいたします。  三週間と申しますのは、一般職の職員の給与改定に準じまして防衛庁の原案を作成する、それを総理府の人事局あるいは大蔵省の主計局と検討する、その後俸給表を作成いたしまして、法制局の審査を受ける、そういった期間が三週間でございますが、ただいまの時点では、関係各省庁との検討をだいぶ進めておりますので、十日間で済むというものでございます。
  80. 大出俊

    ○大出委員 これは念のために承っておくのですが、十日間で済む、こういう話ですけれども、現実に現在勧告が出ているわけで、あの勧告を完全実施する方向は政府はお認めになっている、ただ引き続き検討するという検討の中身は別なものであります。そうすると、あの勧告に基づく、つまり事務的な作業というのは、行なわれていると考えていいはずでありますが、いま十日間とおっしゃるのだが、政府方針がこうだということになればすぐ出せる、そういう姿勢じゃないですか。
  81. 今泉正隆

    ○今泉説明員 説明が不十分で申しわけありませんが、いまかりに本日給与改定にかかる法律をつくるという閣議決定があったといたしますと、相当実質的にはもう進んでおりますから、あとは法制局の審査、法律案の閣議の請議、決裁、そういったもの、さらに法律案を提出するという閣議決定、それにおおよそ十日ぐらいかかるという意味でございます。
  82. 大出俊

    ○大出委員 そこで、長官に承りたいのですが、来年度に向けて中間報告もございますけれども防衛庁給与全般をとらえて一体何と何をどう改正するというのが基本ですか。
  83. 山中貞則

    ○山中国務大臣 自衛官というのが、特殊な任務のもとに特殊な集団で特殊な生活環境の中にあるわけでありますので、いままでずっと発足以来その検討がなされていなかったということも疑問なんですけれども、やはり主観的に、私がたとえば長官になったからといって、そう何でもかんでもやってはいかぬので、部外者の御意見を聞いたほうがいいということで、御承知のような給与制度の調査会の方々をお願いして、非常に熱心に現地視察まで何回もしていただいてやっていただいておりますが、その御答申の第一として、いろいろあるようだが、しかし、さしあたりは営内居住で、あるいは艦艇乗組員で食事の選択の自由を許されず、そして実際上は、形の上では払っていないが、給与体系の中にめり込んで自分の金で、きょうおなかが悪いからライスカレー食べたくなくても、ライスカレーの出る日は、それしか食えないという環境等があるのだから、そういう点は来年度予算ですみやかに直したらどうかというお話で御答申をいただきました。私はほんとうは御答申に沿って、四月一日からの予算要求をしたかったのでありますけれども、何せ、いろいろ御質問が次々出てまいりましょうが、たいへん窮屈な予算で、要求のときだけも窮屈なわけで、あと査定を受けるわけでありますから、やらなければならないことでありますが、答申を十月実施ということで要求いたしております。これも、なるべくそうしたいと思いますが、最終的に予算の妥結時にはどうなりますか、しかし、やはり調査会の答申には沿ってやりたい、自衛官のためにひとつそうしてやりたいという気持ちでございます。
  84. 大出俊

    ○大出委員 これは小坂長官の時間もありますから、あまり長く防衛庁給与のみの質問を続けるわけにまいりませんが、不合理がある、あるいは実態上楽でない、そういう点が現地視察その他をされた方々の口からも出てくる。だから、中間答申がまとまった、こう見ていいわけです。これは御家族を持っている方々も当然ございます。  だから、そういう意味でことしのこの人事院勧告は、三十九・六歳くらいの平均年齢で十一、二万くらいしかもらっていないのですから、そうだとすると、これは今日そう楽な、ある意味ではたいへん金がかかるからなんというようなことを政府は言いますけれども、自衛官諸君にしても楽な生活はなさっていない。物価上昇の中でたいへん苦しい生活をしている。これが現実だと私は思う。だから、そうだとすれば、これは早く実施してあげなければ、今日的生活困窮の度合いというものを見過ごすわけにもまいらない、そういうところに今日あると思うんですね。したがって、給与担当は小坂さんだけれども、労働組合をつくれるわけではない、公にものが言えない、ストライキをやるわけにはまいらぬ自衛隊の諸君、しかし奥さんもいれば、子供さんもいるんですから、その点は長官みずからが相当積極的に考えてあげねばならない筋合いだろうと私は思う。  そういう意味で人事院勧告が出ておりますが、今日までそのままになっている、一体長官としては、これをどうお考えでございますか。隊員をたくさんかかえておられる長官として、しかも、ものが言えない諸君を管理されているあなたの立場としていかがでございますか。
  85. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは現在の人的配置について触れていると思わないでください。私が総務長官のときにやりましたのは、御承知のように、初めてそうしたんですけれども、勧告のあった翌週は完全実施をきめました。ことしは、いろいろ財源上の理由もありましょうから、関係閣僚の方々で御相談なさっていらっしゃいますので、その限りについては、私は発言権はございません。総理の御意向も私が問いただすというわけにもまいりません。しかし自衛官のためには、いずれもらうのであるにしても、早くもらってあげたいと思いますし、また任期制であるために、任期制から停年制に移行して、一般公務員は定年制はないわけですけれども、それに移行して、やっと実質五十歳停年までこぎつけましたが、ところが、それには二十五年の永年勤続の、私どもが審議しました別な法律の恩典の対象にもならない。ということは、任期制の期間が通算されないということ等もありまして、そうなっておりますが、やはり自衛官になっておる人も、実際には人の子でありますから、預かっておる私たちとしては、そこらのところを、一生自衛隊におるならば、その老後もやはり公務員並みのことはしてあげられないだろうかということを、いま、それらのことは一例でありますが、考えておりますので、なるべく勧告の実施というものを早くしてほしい。聞くところによれば、完全実施を近くきめられるそうでありますが、これは私の聞き間違いかもしれませんが、これは、なるべく早くきめてほしいという気持ちでございます。
  86. 大出俊

    ○大出委員 どうも山中総務長官のときには、さっと完全実施をやったんだが、小坂総務長官になったら、さっぱり実施しなくなる、ちょっとこれはお二人並んでおりまして……(山中国務大臣「そういう意味じゃない」と呼ぶ)どうも非公式発言は、お慎みをいただきたいんですがね。  そういうところで小坂さんに承りたいのですが、どうも小坂総務長官になったら、山中さんではないから、七月二十六日の勧告はいまだに実施されない、これは一体どういうことになるんですかね。小坂さん、いかがでございますか。
  87. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  人事院勧告を尊重するという基本的な考えは少しも変わっておりませんが、七月三十日と八月二十五日だったと記憶いたしますが、関係閣僚会議を開きました際にも、今回の人事院勧告の実施につきましては、その引き上げ幅であるとかいうような財源的な問題が当然いろいろと議論をされました。同時にまた、公務員のと申しますか、行政の能率化という問題も、同時に現在のような非常に物価の騰貴がはげしい時代には、もっといろいろと経費も節減したり、あるいは能率を向上すべきではないかというようないろいろな意見が出されました。それが今回の人事院勧告の実施ということとからみ合いまして、財源的ということと同時に、行政の仕組みそのものにまでいろいろと議論が発展をいたしております。  私といたしましては、完全実施を早期にやりたいという意思は、少しも捨てておりませんけれども、しかしまた同時に、こうしたような事態の中で、これらの議論がいろいろ煮詰められるということも必要なことだと思います。しかし同時にまた、あるリミットがあるわけであります。もちろん、そうしたリミットを踏まえながらも、五十年度の概算要求が八月三十一日に一応提出されましたが、それにも今回の給与改定は入っておらないという実情等々考えますが、私といたしましては、ただいまここでいつやるかという時期を明示し得ない状態であることは非常に遺憾でございます。しかし一つの給与生活者でございますから、タイムリミットというものは十分あるということもよく踏まえて努力をしてまいりたいと考えております。
  88. 大出俊

    ○大出委員 何を言っていられるのか、さっぱりわからぬわけだけれども、先ほど二十五日と言われましたが、二十七日が給与関係閣僚会議だったはずであります。ここで完全実施の方向は堅持していきたいのだ、だが、いろいろこれから引き続き検討する、新聞の表街道から見る限りはそういう中身であります。官房長官が帰ってこられてから、十一月末の臨時国会、その前の内閣改造、いまこういう言い方をされている。そうすると、国会がその間開かれない限りは、十一月の末にならざるを得ない、そう考えていいんですか。
  89. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 現時点では、やはりそういうふうにならざるを得ないかとも考えております。
  90. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、七月二十六日ということで二週間以上も早めて人事院が勧告をし、すみやかにという談話を人事院総裁が発表なさっているんだが、四カ月以上にわたってずれてしまう。七月二十六日ですから四カ月をこえる。しかも、これは国会の会期のある間に勧告が行なわれている。それを十一月の末ぎりぎりに国会を開くというならば四カ月をこえる。ストライキ権にかわる完全な代償機関であることをILOに対して強調した政府であります。それを勧告が出て、総裁が全努力を集中し、早めて出したのだからすみやかに実施をと言っているのに、しかも先般八日の委員会では、三九・六歳という平均年齢であって十一、二万しかもらっていないのだからと、ここまで口にしている総裁であったにもかかわらず、四カ月以上ずれる、それしかないのだということを簡単に答えて済ませる、その程度の責任ですか、給与担当大臣の責任は。もう一ぺん答えてください。
  91. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 大出委員の御指摘の点はよく理解できますが、やはり政府一つのプログラムもあるわけでございまして、それを大幅に一人で変えていくわけにもまいりません。そうした大出委員の御心配も、また現在の公務員の皆さんの生活実感等も、決してわかっていないという意味ではございません。しかし現時点では、やはり政治的に見ても、いろいろと国会の会期等もございまして、なかなかそこまで踏み切れないというのが現状でございます。
  92. 大出俊

    ○大出委員 それがいかぬのですよ。ここまできたから、給与担当の大臣が十一月だと——官房長官の発表では、臨時国会は十一月の末なんですね。それを、もう現時点では、それしかやむを得ないと言い切るに及んでは、これはただじゃおけない。だから、ずばり申し上げるんだけれども、日程があって一人で変えるわけにはいかぬとあなたは言うが、総理の第一回の外遊日程というのは、九月の十二日からで二十六日には帰ってくるはずです。そうすると、九月の二十七、二十八、二十九、三十というのは、まさにあいている。十月一日まであいている。十月二日からIPUの総会が行なわれる、この国会において。確かに使えなくなることは認める。だが、IPUの総会は十一日まで。第二回目は十月二十八日から外遊をされて十一月八日に帰ってくる。これが日程でしょう。それから準備期間をおいて国会をということになるから十一月の末だという。  この間にあなた方の主張からすれば、たとえば九月の末の二十七、八、九、十、三日なり四日なり五日なりという国会を開けばやれるとおっしゃっている。だが、そこで給与をやろうといえば、野党の諸君のほうは必ず施政方針演説をなぜやらぬ、代表質問をなぜやらせない、公共料金主導型で物価がどんどん上がっていく世の中に物価集中審議をなぜしないか、予算委員会をなぜ開かぬかと言われる。前回、八日間石の地蔵さんで逃げ切ったのだから、うっかり給与だけの国会なんていえばそれを言われる、だから、政府からうかつに言い出せぬ、こういうことだ、これは。しかし、そういうこそくなことを考えていないで、現実に公務員諸君の生活にかかわるんだから、ここにも公務員の方が一ぱいいるんだから。私は会うたびに皆さんに聞かれる。これが現実ですよ。  地方議会だって、ほとんどが九月の末から十月ですよ。地方人事委員会は、みんな勧告を出しちゃっている。それならば政府みずから、日程はあるけれども、私がいま言うとおりの日程なんですから、日程のない九月の末なら末に政経分離で給与だけ政府はやりたいんだ、なぜ、それを言わないのですか。ただ単に完全実施の方向を堅持していくんだ、だがしかし、引き続き検討する、こういって逃げていくだけでは能がない。なぜ、それを前に出てあなた方は、政府の意思としては人事院勧告の重さというものはということを——大蔵大臣みずからもこの間お答えになっている。ならば、この期間でこうしたい、なぜ、あなた方のほうで表に出さぬのですか。やれるじゃないですか。  防衛庁の給与が理由になったとしても、いま御答弁のあったとおり準備は進んでいるじゃないですか。特別職の問題もいろいろ調べてみたが、これも、やりようがあるじゃないですか。裁判官の問題等についても調べてみたが、これも、やりようがあるじゃないですか。政府が決断をしてやるといったら、法律はすぐ出せるようになっているじゃないですか。それを理由なくしてあなた方は、日程がというが、日程の中にはあいている日がちゃんとある。しかも当時の官房長官の談話は、見通しのつき次第、臨時国会を開くというふうに発表しているじゃありませんか。  私は、とっさに電話を入れて長官に聞いてみた。その臨時国会というのは、給与だけということがあり得るか、あり得ると答えているじゃないですか。だとすると、いまのようないいかげんな答弁じゃ、四百五十万からの公務員諸君の生活がかかっているんですから、あとには引けません。いかがでございますか。
  93. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま大出委員のお考えを承ったわけでございますが、われわれも、やはりそうした問題について可能性をいろいろと検討しているのは事実でございます。ただ、そうした可能性を公的に表に出すその時期とか、さらに、もっと詰めなければならぬ問題が党側にもたくさんあるようでございます。そうしたものを、いま何もしないわけではございませんで、いろいろと時期その他についての検討をひそかにやっているというのが実情でございますので、御了承いただきたいと思います。
  94. 大出俊

    ○大出委員 どうも、ひそかにやっているというような御答弁まで出てまいりますと、あまり深追いができないことになるのでありますが、方法がないわけではないということになる。つまり努力いかんでやれるということになる。党側にも事情があるとおっしゃるが、私ども野党側にも事情がないわけではない。だが、そこらのところをまとめ切ることができるとすれば、タイミングの問題と——ひそかにといまおっしゃった。何もしないわけではないとおっしゃった。つまり努力をすれば早く公務員諸君のために勧告を実施してあげることができる、こういうことになる。いかがでございますか。
  95. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いま大出委員の御指摘のとおりで、私もそう思っております。ただもう一つ、内部的な問題といたしまして、先ほど申し上げた財源の問題並びに行政機構そのものの簡素化あるいは能率化、経費の節約あるいは定員配置の合理化等々、いろんな問題がさらに提出されておりますが、私はこういう問題を精力的にこなす姿勢は、決して失っているわけではございません。いずれにいたしましても、いまの大出委員の御発言は、われわれにとりましては、きわめて示唆に富んだ御提案であると考えまして、さらに検討を続けてまいりたいと思っております。
  96. 大出俊

    ○大出委員 政府の部内あるいは与党の内部の事情あるいは野党の、私どもの内部の事情あるいは労使間の問題、こういう問題はございます。私も知らぬわけではない。あるいは人事院と当該組合との間の問題、こういう問題もないわけではない。知らないわけではない。だが、それらいずれをとりましても、政府にしろ、あるいは私どもにしろ、あるいは与党の諸君にしろ野党にしろ、人事院勧告というものの置かれている性格から見て、ストライキ権にかわる完全な代償機関であると、長らく政府は国際機関、ILO等で主張し続けているわけでありますから、だから、その重さを知っているところの大平さんは、あのようにお答えになったわけであります。ならば、その相互努力をお互いがすることによって早めることができる。日程を追っていっても間はある。給与を片づけるのに、そんな何日もかかるわけじゃない。準備はできている。だが、やらないとなれば明らかにこれは怠慢ですよ。だから、それは可能な限りすみやかに臨時国会というものを踏まえて、人事院勧告の実施について努力をすると、これは前向きで、きっぱり答えておいていただきたい。いかがでございますか。
  97. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 前向きにきっぱりと答えろとおっしゃいますが、その点につきましては、大出委員もよくいろいろな事情を御承知のことだと思いまして、本日のところはひとつよく御意見を承って、そのような方向で私が努力をするという点でごかんべんをいただきたいと思います。
  98. 大出俊

    ○大出委員 そのような方向で私が努力する、給与担当大臣小坂さんが御努力をいただく、こういう意味でありますから、これは御努力を願いたいわけであります。  そこで、もしこれが四カ月もずれて十一月の末にでもとなると、これは、そう簡単にこの間済まぬことになる、これは、たくさんの方々の集団で一つの組織的意思を持っているわけでありますから。十月の二日からIPUの総会がこの国会内で開かれるというときに、全国から何十万の方が集まって、旗を立てて国会を取り巻くなんという場面が出てくると、これは、われわれにとってのお客さんも来る、何で旗を立てて日本の労働者は、IPUの総会、列国議会同盟の総会を、ことしは日本の担当で日本でやっているのに取り巻いたのだ、いや、日本という国は七月二十六日に出た人事院勧告をまだ実施しないのだ、ストライキ権にかわる代償機関だと政府は言ったはずなんだが、やらないのだ、四カ月以上たってまだやらない、片っぽうで一生懸命公共料金の値上げばかり精力的にやっている、食っちゃいけない、だから、旗を立てて来たのだ、エコノミックアニマルの代表的な姿がここにあるということにこれはなる。これは、われわれとしても、そういうことにしたくないのです。  また一方で、人情論になるけれども、十二年余にわたってやってこられた人事院の佐藤総裁は病床においでになる。おかげんがあまりよろしくないように承っている。これは最後の勧告です。十月の六日が任期切れのはずでしょう。その先は佐藤さんはいない。しかも、たいへん情熱を燃やして、あらゆる努力を集中してここに勧告を早めて出したのだと、こう言っている。これは放任できないですよ。方法がないのではない。あるのだから、少なくとも給与担当大臣小坂さんは、いろいろな難問があるかもしらぬけれども、そんなことは完全実施に至る間にたくさんあったし、相互努力で解決をしてきたのだから、全力をあげて、やはり担当大臣の責任上、一刻も早くこれを解決するということで邁進をするという決意を表明していただかぬと、四百五十万からの公務員諸君とその家族というものは、たまったものじゃないですよ。だから、きっぱり言ってくれと私は申し上げている。  くどいようだけれども、私も事情は知らぬわけではない。知らぬわけではないから、なおのこと言っているのであって、政府がはっきりしてくれぬと、陰の話があったって、これは対応の措置のとりようがない。重ねて承りますが、担当大臣としてそこらは一体どうお考えでございますか。
  99. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 大出委員には、まことに申しわけございませんが、同じような答弁にならざるを得ないのでございまして、その間の事情は、党対党の関係等があるということも、大出委員すでに御承知のとおりだと思います。また公務員の給与の人事院勧告が出されましてから、あまり長期間これをただほってあるということはまずいということも、これは社会情勢から考えましても、私はそう恣意的にこれを放置しているということはいけないことだと考えております。そうしたような考えを踏まえまして、今後努力をいたしたいということを申し上げたいと思います。
  100. 大出俊

    ○大出委員 これは長官、はっきりしておいていただきたいのは、先ほど来いろいろな情勢があるというお話がありました。私どもの側が、しからばこれは、公務員諸君の生活に直接かかわる問題だからということで割り切った場合に、それでもあなたのほうは、十一月の末でなければできないのだということになるとすると、これは相互努力じゃない。相互努力というのは、そういう努力をわれわれがすれば、あなたのほうもそれに合わせる努力をしなければ相互努力じゃない。われわれの側が苦心惨たんをして、人事院との問題にしろ各般の問題をまとめ切ってみた。あなたのほうは相変わらず十一月二十八日なり二十九日なりが臨時国会の開会の日取りだ、こういうのであっては、これは無責任に過ぎるということになる。そこのところは、やはりここまで来れば、表へ出してものを言わなければ問題は前へ進まない。だから、ものを言っている。もう一ぺん答えてください。いかがですか、その場合。
  101. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 もちろん、われわれもそうした大出委員の御主張のような点についても、いろいろと考えまして、多少の相談もいたしました。しかし、なかなかそれをそうだと言ってはっきりと前進をさせるのには、まだいろいろの点で不十分な点があるように思いまして……。なお、もしもよろしければ、そうした問題を含めてまたいろいろとお話し合いをしたいと私は思っておるわけでございます。
  102. 大出俊

    ○大出委員 いままでいろいろな場面でこのやりとりを続けてきている関係が、私と総務長官相互にございますから、いま言われることでお考えの腹のうちはわかるわけであります。ただ十一月末に臨時国会を開くのだといって放任をしておくわけにまいらぬ事情にある、現実的な生活の状態は。すでに申し上げるまでもなく、皆さんが次々に公共料金その他をお上げになっているのだし、各般の物価が上がってきていることも間違いないところであります。世の中は民間を含めまして、秋季、年末に向かって第二次春闘などという呼び声まである。だが、今回の人事院の勧告をめぐるこの問題は、ことしの春の問題なんです。つまり春闘と名がついている春の問題なんだ、これは。第二次春闘などといわれるもののテーマじゃない。  そこらのところをお考えをいただきまして、機構の改革だとかあるいは定員の問題だとかいろいろなことをおっしゃいましたが、これは何もいま始まったことじゃない。年々勧告実施にあたって閣議でおきめになるいろいろな内容がある、それとそう大きな特殊な変化があるわけではない。したがって、あとになって、紛争をさらに再燃させないように、お互いにこれは処理したいものだと思っておりますから、そういう意味で格段の御努力をいただきますように、最後にこれにつけ加えてお願いを申し上げて、もう一ぺんひとつ、長官の決意のほどを承っておきたいのでありますが、いかがでございますか。
  103. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいまの大出委員の御発言は、きわめて示唆に富むし、また、そうした御発言の御真意も、私は決して曲解しているつもりはございません。今後努力をいたしたいと思います。
  104. 大出俊

    ○大出委員 もう一点だけ小坂さんに承っておきますが、給与の法案を今回出すという作業は、さっきから幾つか承ったとおりであります。日程とおっしゃいましたが、九月の二十六日には、総理がお帰りになりますね、間違いなく。そうでしょ、変わっていないでしょう。二十七日、二十八日、二十九日、三十日、何もございませんね、これは。私は国会の事務局その他全部確かめてありますけれども、本会議場もその他の委員会を開くところも使えるということをはっきり答えておられる。しからば今回の召集はといってこれ確かめてみましたが、一週間あればよろしゅうございますと、こう言う。そうすると、九月二十七日から国会を開くとすれば、さかのぼって一週間前、IPU総会は十月の二日からあるが、しかしその間は国会は使えるということである。政府がやろうと意思決定をすればやれないことではない。片づけることができる。物理的にそうなりますが、この点はいかがですか。
  105. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いま大出委員の言われましたスケジュールは、私も大体そんなところではないかというように思っておりますが、まだ確認をいたしておりませんので、そのとおりだということは申し上げられませんが、そうした期間に、もしも与野党の間の話がスムースにいくならば、また、そうした時点を選ぶことも不可能ではないというふうに思っております。
  106. 大出俊

    ○大出委員 たいへんどうも時間の忙しいところ、長官、恐縮でございました。ありがとうございました。  次の問題に入らしていただきますが、時間が……。
  107. 徳安實藏

    徳安委員長 午後二時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ————◇—————    午後二時五分開議
  108. 徳安實藏

    徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国の防衛に関する件について質疑を続行いたします。大出俊君。
  109. 大出俊

    ○大出委員 先般来、衆議院、参議院両方の外務委員会等におきまして、木村外務大臣発言などをめぐりましての詰めた議論が行なわれておりますが、先ほど山中防衛庁長官の御発言で、私からするといささか異なことを承るという感じの、脅威という問題についで客観的あるいは主観的な問題があるのだというお話でございましたが、事国の防衛にかかわる所管官庁の責任者という立場で考えれば、これは冷静にかつ冷徹に、日本という国の、あなたの立場は防衛という立場ですから、そういう立場で諸般の情勢あるいは戦力関係その他を分析しておく必要は常にある。だから、隣の国に容喙をするとかいうことでなくて、純軍事的な立場から冷静に物を見て、科学的な分析をしておく必要は常にあるはずでありまして、私は実はそういう角度から、私も長らく防衛問題を手がけておりますから、つまり時の感情ということではなしに承りたいのであります。  ただその前に一つ、昨日の日本大使館に対する韓国におけるデモ問題なり、あるいは本日午前中に在韓日本大使館に対して数百名の韓国の諸君が抗議にあらわれて、大使館に掲げられて、る国旗を引きおろす、破る、大使館員が二人けがをする、さて何名か知りませんけれども、その方々が切腹というふうな行為を、押しかけた結果としてとったというふうなことが、次々にいま報せられておりますけれども、まず第一に、きょう午前中に起こりましたこの事件につきまして、外務省の立場で一体どの程度的確に情報をおつかみであるのか、かつまたその後、事件を一体どういうふうにごらんになるのか、まず、そこからひとつ御説明をいただきたいのであります。
  110. 山田久就

    ○山田説明員 最近の日韓関係の非常に感情的ないら立ちのような状況、それが現地のほうにおきましても、ご承知のようなデモが行われている、この状況に対しまして、大使館のほうといたしましても、予想し得べき、起こり得べき事態というようなものを考えて、韓国政府のほうに対しては、これに十分対処するよう措置をとってもらいたいということをたびたび申し入れておったわけでございます。にもかかわらず、これが突破されて今回のような非常な不祥事件を起こしたことは、私は非常に遺憾なことであると考えております。むろん大使館そのものに対する暴行事件、また国旗に対して、これを破る、棄損するというような行為につきましては、これは国際法のわれわれの先例に徴しまして、これに対しては厳重処置する所存でおります。これに対していち早く、とりあえずの処置として、韓国外務部より金正泰外務次官補及び中アジア局長が大使館に参りまして、これに対して非常に遺憾の意を表明しておりまするけれども、あらためてこれに対しましては、先ほど申し上げましたような趣旨にのっとり、詳報、正式な報告のもとに処置する所存でおります。  日韓関係は、御承知のようにわれわれの隣邦ということでございまするので、わがほうの平和政策というような形からも、とにかく善隣友好な関係でいくことが両国のために、そうしてまたアジア、極東の平和安定のために非常に必要なことであると私は考えておりまするので、そういうような意味において努力したいというのが方針でございます。  ただ、御承知のように、われわれには非常に不幸な過去の歴史のいきさつがあるために、とかく感情がからむようなかっこうが生まれていることは、これは私、積極的に避けて冷静に対処していかなければならないものと考えておりまするので、そういうラインに沿いまして善処いたしたいと考えておる次第でございます。
  111. 大出俊

    ○大出委員 私も、やはり両民族の過去の長い、かつ複雑な歴史があることは踏まえておりますから、特にそういう面では、いまお話がございましたように、この点はいささかも感情に走ることがあってはならぬという前提が必要だと思うのです。  日韓国会等でも、いろいろ問題がございましたが、一つここで承っておきたいのは、何かどうもいままでの数々起こってまいりました日韓間に横たわる最近の諸問題、金大中事件をはじめといたしまして、私も何回かこの質問の席に立ちましたが、日本政府の外交姿勢あるいはポリシー、対韓政策、こういうふうなものが、何か一貫したものがない。ときあたかも私の質問につきまして、田中伊三次法務大臣がおいでになっている、隣には大平外務大臣がすわっておられる、それでいて金大中事件を通じましても、お二人の言うことが全く違う、こういうことがあってはならぬという気が実はするのであります。経済的な背景も、実はいささか腹に据えかねる数々の問題を私は調べつつある。一体外務省は、政策というものの基本をどこに置いておられるのか、その大きな筋が一つないというと、これは日本国民の国民感情というものもエスカレートせざるを得なくなる。感情的なことを前提にしないようにといいながらも、過去の歴史は現実でも生きているわけでありますから、私は非常にそういう心配をいたします。  したがって、一連の今日の日韓関係というもの、これに対して基本的に一体外務省はどうこれをとらえて処理をするおつもりなのか。もう一ぺんそこのところをはっきり聞かせていただきたいのです。
  112. 山田久就

    ○山田説明員 韓国の問題に関して非常に大局的な見地から御心配をいただいておりまして、われわれもこの点については、大所高所から考えていくべきだということでやってまいっておる次第でございまして、これを要するに、韓国との関係につきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、隣邦としてこの国の平和というものが維持され、少しでも安定した方向に向かっていくということが望ましいわけでございます。そういうような意味において、かつては反日というようなことが非常に韓国側の政策であった時代もありまするけれども、やはり双方がお互いに理解し協力するという基礎に立って、そうしてお互いにそのラインで進んでいく、そういう面でこの安定と平和に協力し得るものならば、そういう方向でやっていきたいというのが私どもの一貫した方針でございます。  ただ、具体的な面になってまいりますると、これはなかなか過去のいろいろないきさつがございまするので、もっとこういうふうにしていくほうがそういうことに沿うじゃないか、いろいろ感情の面からむような問題があるかもしれないけれども、やはりこういうことは、きちっと筋を通していったほうがいいじゃないかというような問題はあろうかと思いますし、またそういうこともわれわれも感ずる面がございます。しかしながら、基本的には私は、いま申し上げましたように、隣邦の安定と平和、これにわれわれは協力し、少しでも寄与し得るものならば、そういう方向で日韓関係というものを押し進めていくことが必要だという方針でやっている点は、ひとつ御了承いただきたいと思うのでございます。
  113. 大出俊

    ○大出委員 いまのお話の中に、この隣国、歴史的に深いかかわりを持つ韓国の安定と平和というものを、日本の立場から何としても求めてまいりたいという基本的な政策をお持ちだ、こういうわけでありますが、実はこの問題で長い時間をかけたくはないんですけれども、たまたま二つばかり議論をしておりますから、もう一つだけ承っておきたいのであります。  つまり隣国韓国の安定と平和に寄与したいというのであれば、事韓国に対する経済的な援助であるとか、あるいは昨年五月の安保協議委員会等でも問題になりましたが、あのときは、アメリカに肩がわりをして、トラック、通信機材などというものを中心にいたしまして、一つの案が日本政府から出されていた、一生懸命否定はされましたが。そういった意味の肩がわり援助ということでなくて、やはり北と南の関係をどうするかということが、ほんとうの意味の安定と平和に貢献をするということになる。  たとえば当時のブラント西ドイツ総理の東方外交じゃありませんけれども、私どもが読む限り、きわめて理性的なみごとな進め方をやっておられた。国連という場所もございます。そこまでやはり突っ込んでものを考えなければ、ほんとうの意味の安定にも平和への寄与にもならない、私はそういう気がする。そこらのところを一体外務省としては、国連における木村外務大臣の演説の要旨はかくかくしかじかだという新聞報道等がございまするけれども、それが非常に大きく欠けているのじゃないかという気が実はするのであります。  アメリカの上院外交委員会等の中身でも、韓国に関する聴聞会等もございましたが、やはり非常に強く主張が出ておりますのは、南北の話し合いが唯一最大の平和への寄与だということをいっているわけでありますが、そこらのところを抜きにして、旧来の外交姿勢というものは対韓国という形で進められてきている、ここに私はやはり非常に大きな問題がある気がするわけでありますが、そこらのところをもう一ぺん承っておきたいのであります。
  114. 山田久就

    ○山田説明員 ただいま大出先生からお話のあった点、全般としてやはり韓国の統一ということを根本に置いて、その大きな目標とラインを考えてやっていかなければならないのじゃないかというお話、私はまことにそのとおりだろうと思います。しょせん、われわれこの平和と安定ということのためには、敵意と憎悪ということでは解決しないのであって、私は、相互理解と、そうして対話と話し合い、そこから生まれてくるほかない、これこそまさに平和的な手段、方法によって目的を達成するゆえんで、それしかないわけでございまするから、そういうことを考えていかなければならない、こう思います。  最近、先ごろからそういうラインでということで、南も北もそういう方向へ向かってきておったことは、歓迎さるべきところでございまして、一時中断しておりますけれども、やはりそういうようなことで考えて、そういう幾重を助長、助成するということでなければならないと思っております。  まあ、韓国に特に片寄らないかというようなお話がございましたが、これは歴史的にいろいろおい立ちがございまして、やはり最初は韓国の独立、また国連において認められた韓国の地位というようなものは、現実は現実として踏まえていくということにはそれなりの具体的な理由とあれがあったかと私は思いまするけれども、ねらいといたしましては、いま申し上げたような方向として、ひとつそういう雰囲気と環境を助長するということで平和的に韓国の情勢が展開していくということ、こういうことをねらっているのがいまのわが政府の基本的な方針であると申し上げて差しつかえないと私は思います。
  115. 大出俊

    ○大出委員 そこで、長い時間ありませんけれども、私はこういう考え方を持っているわけです。旧来安保条約が締結されたころからずっととられてきたアメリカあるいは日本の外交政策、この中で安保条約六条の極東というものを一つ考えてみても、条約の対象地域として考えられている範囲は韓国の周辺を含むということであって、北は含まれていない、つまり安保条約を締結したときのねらいがそこにあるから。そこで一貫して封じ込め政策がとられてきたのだが、米中会談さらに日中国交回復という形に進んできた昨今の事情の中で、簡単に言ってしまえば、アメリカの政策の面からすれば、これは韓国の切り捨てなんですね。いま一番やっかいな問題だということになる。だから、アメリカの韓国に関する聴聞会などの中でも、南北の対話、これを早く進めさせろ、つまり安定と平和をはかるにはそれが一番いい方法だという。日本の場合にしても、頭越しで日中国交回復をした。旧来とは対韓政策もそこで変わってくるから、木村外務大臣の答弁でも北の問題に触れている。  そうなると、そこのところが韓国との間にきちっとしていないと、向こうから日本をながめてみれば、たいへん感情的なものになる。あたりまえでしょう。つまり、そうした責任をアメリカ日本も韓国に対して果たしていないことになる。先ほど別な方が質問しておりましたけれども、私は全く立場が違います。違いますが、にもかかわらず、極東の安全と平和を考えるなら、当然その責任はアメリカ日本も果たさなければならぬことになる。そうでないところに、何となく切り捨てられていくという形の中に孤立感というものは当然出てくるはずでありまして、緊急措置令の発動の根源も、あるいはそこにあるのかもしれません、そうしなければ国内体制は維持できなくなるから。  そこのところの一番基本に触れてものを考えなければならないので、旧来とってきたアメリカあるいは日本の政策、安保条約等を中心に進んできた方向、それが非常に大きな変化をした。米中会談、日中国交回復、さらに国連というものを中心にして南北両朝鮮の加盟問題も出てきている。そうすると、ここでその基本をはずしたのでは、これは私、対韓政策は成り立たないという気がする  ところが、そこのところをお触れにならぬから、長い議論をしたくないのだが、もう一ぺん過去の経過を振り返ってみて、日中国交回復、ここまでの経過を振り返ってみて、台湾の問題も当然ございますが、一体そこを外務省はどう考えているのかという点を聞きたい。いかがでございますか。
  116. 山田久就

    ○山田説明員 韓国の場合について考えてみましても、朴政権が、北側との対話という、こういうステートメントを出して、とにかくその努力に踏み切ったという事実そのものが、いろいろな過去の経緯があるにかかわらず、客観情勢の変化と、また客観情勢の存在の事実というようなものを十分考慮に入れての政策のあらわれじゃないか、私はこう思っております。  ただ、大出先生おわかりでございましょうけれども、こういう分裂国家というような場合には、西独の場合でもそうでございましたけれども、やはりいろいろ感情というものが入ってまいりまして、多少は時間というお医者さんの手を借りませんとうまくまいりませんので、そこら辺のところは、やはり含んでやらなければならぬ。そういうことから生じてくるいろいろな事態というものについては、われわれもひとつ多少理解を持ってやっていかなければならないし、そういうラインで日米間も共同して目的達成のために努力するということ、それよりほかに道がないのじゃないか、私、そういうふうに考えている次第でございます。
  117. 大出俊

    ○大出委員 日本に自衛隊という名の、私流に言えば軍隊がございますために、年輩の方々からよく出てくる征韓論じゃありませんけれども、最近の週刊誌その他の中に、今回のこの一連の事件というのは、一つ間違えば、昔の話ならば宣戦布告じゃないか、国交断絶じゃないか、日韓もし戦わばなんというとんでもない記事が最近は散見されるわけであります。そういう方向にどんどん世の中の、つまり世論に類する感情が発展をしたのじゃ困る。しかもその中で、彼我の戦力比較まで並べて、三矢図上研究じゃありませんけれども、某月某日なんてなことになってくると、これは穏やかでない。それだけにやはりここできちっとした国民の納得のできる——金大中事件以来、日本の国内だってたくさんの国民的な不満があります。そこらも踏まえてどう解決をするかという説得力ある方針を出すべきなんですね。ところが、どうもそこがどっち向いているのかさっぱりわからぬというかっこうになるところに、私は今日の問題がある気がする。  ただ、山田さん外務省御出身でございますから、いまの御答弁の中に、そこらもいろいろお考えの上でお答えになっている節々がございますから、これ以上この問題について多くを触れませんけれども、大使館員の方々のけがの程度であるとか、あるいは大使館そのものに対する損失の度合いであるとか——国旗を引きおろして破かれたなんということになりますと、これは普通ならばただごとじゃないですよ。中華人民共和国の国旗侮辱事件等もかつてありましたりいたしましたが、穏やかなことじゃない。つまり、どの程度のことなのかという事実関係ももう少し知りたいのです。  先ほど私は、外務省の方に質問をしている間に、少しそこらのところを詳細に御説明いただけるようにお手配を願いたいと申し上げておきましたが、少し時間がたちましたから、ここであらためて承わるのですが、確かに外務省のほうに入っている情報として、どの程度のことがどう行なわれていたのか、この辺でその中身についてひとつお知らせをいただきたいのです。
  118. 中江要介

    ○中江説明員 けさ起きました事件の概要について、いままで大使館を通じて外務省に入っております状況を簡単に御説明いたします。  けさの十時四十分ごろに、大使館の正面の門が破られまして、二、三百人のデモ隊が構内に乱入しまして、こん棒とか、立っている灰ざらの棒とか、鉄棒を持って、大使館の横にございます領事部の部屋にガラスを割って侵入しまして、書類などをめちゃくちゃにした。次いで二階のベランダに上がって、ガラスを割って会計、文書の部屋になだれ込んで、机、電話機、キャビネットをひっくり返してこわした後、今度は三階に通ずる廊下に出た。館員が二階から三階に通ずる廊下の鉄のとびらを押えておったのですけれども、暴力によって侵入されて、そのときに館員の一人が腹をけられ、もう一人がなぐられたようですが、いままでのところでは、特にけがというものはないということでございます。  三階に侵入した人数は約二十名ぐらいで、そのうちの数人は、まあ割腹というんですけれども、おなかを出して浅く腹を切って、少し血がにじんでいる程度のようだった。三階の部屋は窓ガラスが割られたが、ドアはがんじょうだったので、三階には入れないで四階に上がった。四階は、ちょうど当時ビザをとりに来ていた韓国人が十数名避難しておった場所であったわけですが、乱入した者は、その避難していた韓国人と押し間答をして、それが韓国人であるということがわかったので、今度は五階に上がって、五階から屋上に上がっていった。大公使室のありました四階には、したがって入らなかったようでございます。  屋上に上がった一部の者は、ちょうどそのころ日章旗をおろそうとしていた大使館の者の手から旗を奪い取って引きちぎった。引きちぎられた旗は、二階のベランダにあとで落ちていた。どうも燃やそうとしたらしい形跡があるけれども、ぬれていたので燃えなかった。で、五階のドアをなぐったり何かして十五分ないし二十分ぐらいあばれて引き返して、十一時二十七分現在、大使館の構内には、もはやデモ隊の姿はなかった。同時に大使館の駐車場にとめてございました広報車が燃やされておる。  十二時ごろ、向こうの外務次官でございますが、アジア局長を伴って大使館に参りまして、そうして今回の事件について遺憾の意を表明し、後宮大使からは厳重な抗議を申し入れた。  こういうのが大体いままで私どもが得ております情報でございます。
  119. 大出俊

    ○大出委員 これは、やはり国民皆さんが納得し得る、きちっとした姿勢を実は外務省がとるべきだという気が私はするのでありますが、締めくくりの意味で、韓国の警察当局がどうしていたのかわかりませんけれども、一体これに対してどういう決意でお臨みになるかという点を、もう一ぺんひとつ次官からお答えいただきたい。
  120. 山田久就

    ○山田説明員 先ほど申し上げましたように、大使館というものに対する侵入ろうぜきということでございますし、また国旗に対する棄損ということでございまするので、国際法の慣例、先例によりまして厳重に措置する所存でございます。
  121. 大出俊

    ○大出委員 山中防衛庁長官に承りたいのですが、先ほどの答弁を私は承っておって、まことにどうもこれは見当が違うんじゃないかという気が実はいたしております。隣の国のことだから口を出すのは云々といま山田さんおっしゃいましたが、防衛庁は、過去から今日に至るまで、文書にしたものもございますし、情勢の分析はそれなりにやっておられるわけであります。  ここにございますのは、これは、いわゆる防衛白書、「日本防衛」でございますが、これの「日本防衛のあり方」の中に、皆さんのほうに承ったらいいわけでありますけれども、韓国あるいは北朝鮮、中国、ここでは中共という表現を使っておりますが、それぞれ分析をしているわけでありますが、北朝鮮という表現、この国に対して一体どういう判断をなさったわけでございますか、防衛白書の時点では。——時間がありませんから私が読みましょう。この防衛白書をお出しになったのは、中曽根さんが防衛庁長官をおやりになっていた時期であります。ここで「朝鮮半島等の情勢をめぐって、不安定な状態が続いており、国際緊張の焦点と目されている。」そして「特に中共および北朝鮮」というふうに摘出をいたしまして、この二つの国は「引き続き硬直した対外姿勢を堅持しているが、」これが「アジア地域における今後の紛争生起の可能性に大きな影響を与えるものとみられている。」こうあなた方は分析をしているんですね。  この中で、北朝鮮が硬直した外交姿勢を堅持している。これが今後の紛争生起の可能性に大きな影響を与えるものと見られている、あなた方はそう分析をしている。ここでは明らかに北の脅威はある、あなた方の分析は。そうじゃございませんか。いかがでございますか。
  122. 山中貞則

    ○山中国務大臣 その国防白書については、その時点で確かにそういう見方をしていたのでありましょう。しかし日中間の一つの例をとってみても、その当時中共というのが並列して書いてあるとおっしゃいますが、今日では、日本と中華人民共和国とが国交を回復する、具体的な実務協定取りきめまで始めているというような非常な変化があるわけでありますから、したがって、それをそのまま現在も硬直して逆に私ども考えているというわけではありません。しかしながら、日本の外交というものが、これは外交の分野でありますけれども、大韓民国との間でいろいろな問題が今日までの経過を踏まえて行なわれていて、北朝鮮とま比較的そのような、入内、物的、文化的な交流その他は、あるようでありますが、国交回復に近いような立場にはない、そういうことは私どもわかっておりますが、かといって、われわれが日本防衛の基本方針の中で、特に北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国を据えて、それをいま位置づけなければならないという日本側からの立場というものは、そう極端にないのではないか、私はそう思います。  現在はそうだと思います。だから、きわめて複雑でありますし、国防白書も、そろそろ去年あたりつくり直したらどうだという御提言もありましたけれども、私としては、もう少し流動する日本の周辺の情勢を見きわめたいと考えて、白書等もまだつくる立場をとっていない、もう少し模様を見きわめようとしておるところであります。
  123. 大出俊

    ○大出委員 これは四十五年の十月であります。私が当時やかましく、増田防衛庁長官がその前の長官でございますが、防衛白書といわれるものを出したらどうか、国民を説得する意味においてもということを本会議で申し上げましたが、かくて出てきた。いまの項は「極東における軍事情勢と予想される武力紛争」という項なんですが、この中における「極東における軍事情勢」と、こういうわけです。ここでは、だから明らかな脅威を、あなた方が公式に分析して公式に表に出した。これが昭和四十五年の十月。  それから、ここにございますのは、「昭和四十七年十月九日国防会議・閣議決定」両方でおきめになっておる。これは「第四次防衛整備五か年計画の策定に際しての情勢判断および防衛の構想」、こういうわけであります。ここの中で冒頭に「情勢判断」が載っている。そして、この中に「しかしながら、アジア地域においては、米・ソ・中三大国の利害が依然複雑にからみ合い、全体として安定した緊張緩和状態に至っているとはみられず」と書いてある。私がこれを質問をしたら、答弁をしたのは大河原アメリカ局長でした。だから、四次防と銘打ってここに情勢判断を書いておられますが、立案は外務省がしたことになる。そう私は当時判断をしたのだが、この中で、緊張緩和状態に至っているとはみられないとある、三大国の利害がここにからみ合っているから。そして一番最後のところに「大規模な武力紛争が発生する公算は」つまり四十五年十月から見ると「さらに減少しつつあるものとみられるが、地域的ないし期間的に限定された武力紛争の生起する可能性を否定することはできない。」といっている。否定することができなければ、小規模の武力紛争、限定的な武力紛争の生起する可能性はあるということになる。これは当時の議事録に残っております。あると答えている。これは昭和四十七年の十月の九日です。  さてその後に、これは四十九年六月の三日「防衛力の量的拡大を修正 米軍と提携強める」四次防というものも、いささかふらふらぎみになりまして、私が本年度予算の分科会において山中さんに質問いたしました。幾つかの雑誌が取り上げておりますけれども、四次防が完全に達成できるかという点、たいへんに変わってまいりました。積み残しもたくさん出てまいりました。この中で「予見し得る将来にわたって、軍事的脅威は顕在化しない」という表現を使っている。顕在化しない、だから、防衛力の量的拡大を修正をしていこうという方向なんですね。  これは、あとから、四次防の概算要求も出ておりますから承りたいのでありますが、ここで一つ非常に矛盾があるのは、その間に内閣委員会で議論が行なわれている。これは四十八年六月十五日であります。この中で、政府はいわゆるまぼろしの脅威というものをつくり上げて、それに対処するために軍備の増強をはかってきたのが現状ではないかという、つまり、いま私が例にあげました四十五年十月の防衛白書、四十七年十月九日の国防会議並びに閣議決定の情勢の分析で、局地的、限定的な紛争の生起の可能性をお認めになっている。そこで、だから四次防という関連になっている。そのことをとらえて、いままでそういうまぼろしの脅威というものをつくり上げながらこの国の軍備の増強をはかってきたのではないか。ところで三次防の二兆三千六百億円、それからこれは人件費を入れればですが、四次防の五兆円になんなんとするもの、あらためてここで極東地域における脅威というものは存在をするのかという質問、これに対するあなた方の答弁、これは当時の久保防衛庁局長でありますが、「直接侵略につきましても、間接侵略につきましても、わが国について具体的なそういうおそれはない、いわば脅威はない、また差し迫ったそういう脅威はないという判断をいたしております。」これは、はっきり言い切っておるわけであります。これは四十八年六月の十五日であります。  つまり順序を追っていえば、四十五年十月には非常にむき出しの脅威を書いておられる。四十七年十月の国防会議・閣議決定では局地的・限定的な武力紛争、この可能性がある。そしてさらに越えて四十八年、ここで、いま私があげましたように、間接的にもあるいは直接的にもわが国に脅威はないと、はっきり言い切っておられるわけであります。これは防衛局長、いま施設庁長官におなりになったからそこにおいでになりますが、久保さんの答弁。これは専門家の御答弁であります。  そうして先ほどあげました四十九年六月、今日であります。四次防というものの形が少し変わってきている。予算編成が終われば、五十年、五十一年しか残らぬのですから、積み残しを一体どの程度どうするかという問題五十年、五十一年この二年間しか残されていないのですから、積み残しを一体どうするかという問題があるわけでありますが、ここまできて防衛力の量的拡大は修正をする。これは、もちろん片一方に米軍との提携を強めるという構想が一つある。この中で予見し得る将来にわたって軍事的脅威は顕在化しない、だから量的拡大は質的に修正をするということをいっておりますが、これは相関連して実は防衛整備計画が出ているわけですよ。そうすると、この整備計画の前提になっている情勢の分析が的確でなければ、われわれはあなた方がお出しになる予算には応じられないわけでありますから、そういう意味で、この関連を今日どうとらえておられるのか、これは、はっきり御説明をしていただきたい。  外務委員会で外務省という立場でいろいろやりとりをしておりますけれども、やはりこの国の防衛にかかわる、つまり軍事バランスがとれているとかなんとか答えておりますけれども、軍事バランスまでまいりますと、これは外務省の所管じゃない。この国の防衛の責任官庁である、しかも責任者である防衛庁長官、この点を一体どういうふうにお考えなんですか。ただ単に先ほどのようなぴんとこない答弁をされても困るので、あなた方はちゃんと分析されているのですから、四十五年、四十七年、四十八年、四十九年を私はあげているのですから、これをどういうふうに体系ずけて、あなた方は今日朝鮮半島における軍事情勢を踏まえて分析をなさっているのか。あたかも今日、四次防の概算要求をお出しになっているのだから、その背景ですから明確にしていただきたい。
  124. 山中貞則

    ○山中国務大臣 四十七年十月九日の国防会議・閣議決定等に関して、ただいまお話がありましたことは確かにそのとおりで、情勢判断としてそうなっておりますが、これは、わが国の周辺の地域における情勢の分析をしたものであります。したがって、米・ソ・中三大国の利害が依然複雑にからみ合っておるということ。これは米ソ、米中というものは、その後現象としては、急速ないわゆるデタントへの傾向が見られる接近がはかられておりますね。ところが、いままでの長い間一枚岩だと思われていた、あるいはまた相互防衛条約みたいなものも締結しているはずのソ中の間における緊張が、これは私どもが直接見たわけでないといえばそれまででありますが、これは公にどうもあり得るし、ソ連のヘリコプター一機の不時着したことについても、なおいまでも乗員、ヘリともに返さないという、私たちにはわからない、いろいろなむずかしい情勢が生起されているようであります。ただ、これが大規模な大国同士の衝突になる現象の前ぶれであるなどと思っているわけではありませんが、いろいろと変わってきつつある。あるいはまた南北の問題については、特別にそう取り上げて触れているわけではありませんで、アジア地域全体という意味で、そういうことを朝鮮半島においては対話に進展が見られつつあるというふうにいっておりますから、このことは特別変わってはいないでしょうが、対話は人道的な立場の上の私が知り得る範囲の日赤を通ずる会談等で行なわれつつあったようでありますけれども、その後、むしろ対話がとだえつつある方向にいきつつあることは、これは、たいへん差し出がましいことですけれども、民族分断国家という意味においては、気の毒なことであるという気持ちでおります。  そして防衛構想ということになりますと、わが国自身はどうするかということを、いま初めてここで触れるわけでありまして、わが国としては、いままで言い尽くされていることですけれども、いわゆる米国との安全保障体制のもとに、まあいろいろ述べて「万一、侵略が発生した場合には」というてわが国のことを書いてございます。その構想を前提にして四次防というものを出発したのではないか。ところが久保防衛局長が内局の最高責任者の立場で、予想せられる限りという意味ですか、何か表現はちょっと正確ではありませんが、いまの段階でいえばそんな心配は当分の間ないという意味のことを言ったということでありますが、私も、わが国に対して直接に領土を侵略し独立を脅かす国があろうとは、現時点において想像できない。かといって、これから先は分かれるのですけれども、まる裸でおっていいか、それともやはり日本に手を出すことは、高価な代償あるいは安保条約による米国の強大なる核抑止力を含めた相互安全保障の発動というようなことにつながるから、やめておこうという意味のものを私たちは持つべきだと思っておりますが、そこらの問題から意見は分かれてくるでありましょう。ありましょうが、四次防がここまで来て、実際上昨年あたりから少しトーンが変わってきたのじゃないか、これは確かに変わってきたことは私自身が認めます。ということは、あくまでも四次防で決定した主要項目の陸海空にわたる数量その他を絶対的に確保するということが、ある意味においては忠実な国政の運用であります。しかし現実において、毎年度予算というものは、その年の国家予算、経済情勢、その他の均衡のとれた配慮をしつつ予算編成をしなければならないということがあるわけでありますから、それを考えますと、昨年あたりからの総需要抑制の方向というものには、率先して防衛庁予算というものはまず自分たちでやらなければならない立場にあるということから、その当時もやや長い展望であったのですが、五十一年といえばそう長くないぞ、そろそろどうなるかという話、やりとりがありまして、断定的には言っておりませんが、きわめてむずかしい情勢になりましたということを言っております。  ことしの要求段階でも、やはり先ほどちょっと答弁しましたが、御質問あとお答えしますけれども、正直にいって、インフレに対し自衛隊、防衛庁というものは、いろいろな装備その他について、きわめて抑制されたアッパーリミットの中においては、インフレに負けたといいますか、そういう意味において四次防というものは、当初の決定内容どおりにはむずかしいのではなかろうかという観測をもって五十年度予算を要求をしたということであります。やはり情勢が変化はいたしておりますが、それに対して柔軟に対処していかなければならぬということも事実でありますし、基本的に変化するという場合には、あらためてまたちゅうちょすることなく方針の変更というものも行なわなければなりませんが、まだそこまで時点としては来ていないのではないか。しかし五十一年度最終予算をそろそろ議論するころは、待ったなしだという気持ちでおります。
  125. 大出俊

    ○大出委員 これは、きちっと答えておいていただきたいのですが、四十八年六月の十五日、ここで言っている久保防衛局長の答弁は「直接侵略につきましても、間接侵略につきましても、わが国について具体的なそういうおそれはない、いわば脅威はない、また差し迫ったそういう脅威はないという判断をいたしております。」つまり脅威はないとここで言い切っている。そういうお考えでいいのですか。
  126. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いま日本に対してどこかの国が直接に攻撃をしかけるような脅威、あるいは武器を日本国内にひそかに送り届けて内乱勃発をさせるような行為というものは、少なくとも予見せられる限りにおいて考えられないということは、私もそのとおりだと思います。しかし、かといってそれは、自衛力を持ち、安保条約に基づくアメリカの力というものがセットになっておる日本列島という意味であるということは、当然前提に考えての発言だと思っております。
  127. 大出俊

    ○大出委員 これは一貫していまして、つまり四十五年十月の「日本防衛」の中で「極東における軍事情勢」として取り上げているのは、北朝鮮と中共だけなんですよ。あとは、そういうおそれはないとはっきりしているんですよ、防衛白書に。ここで顕在化しているのは、さっき冒頭にあげましたように、たいへん硬直的な姿勢を持っている、だから、紛争生起の要因になっているのだ、こう分析している。これしかない。日本を取り巻く情勢の中で紛争生起の可能性を持っている国は、だから中共と北朝鮮しかないとここに書いてある。はっきりしている。その中で日中国交回復をした、この間に脅威はないとすると、北朝鮮だけ残っている。それが一番根底になって議論してきているわけですよ。だから、ここで全く脅威がないということになるとすれば、軍事的に見て、あるいは防衛的見地から見て、北朝鮮という国は、正確にいえば朝鮮民主主義人民共和国ですけれども、脅威を与える国ではない。これは当然だ。木村発言というのは、かくて明確なんです。  ところが、新聞で見る限り、いろいろなことがその後いろいろいわれてきている。皆さんは外務省じゃないんだから、防衛庁なんだから、外務大臣発言があったが、あなた方はこれを一体どう見るのか。一貫して分析してきているのだからはっきりしておいていただきたい、こう私は言っているわけですよ。いまのは答弁になりません。もう一ぺんはっきり答えてください。
  128. 山中貞則

    ○山中国務大臣 日本に対する脅威ということであれば、先ほど言ったように、久保局長が当時答弁したように、自衛力を持ち安保条約を背景としている日本に対して、さしあたり予見できる限りそんな心配はないということであります。木村発言というのは、これは外務大臣が韓国、朝鮮半島の情勢について言われたのだろうと思うのです。だから、それはまた別でありまして、北朝鮮が日本に対する脅威であるとか、中国はいまや脅威でなくなったとか、ソ連が今度は脅威として台頭したとか、そういう意味の差し迫ったものは、今日の体制下においては考えられないということが、わが国の軍事的な立場からする防衛上の展望であるという意味であります。
  129. 大出俊

    ○大出委員 これは、ただ単に日本に対して言っているのじゃないんですよ。四十五年十月の防衛白書というものは、先ほど来読み上げたとおりでありまして、つまり極東の情勢を分析している。極東において紛争が起こるか起こらないかということを分析している。極東において起こる可能性を持っているのは中共と北朝鮮だと書いてある。北朝鮮というのは、そういう脅威を与えているのだといっている。そうでしょう。これが基礎になっているんですよ、公式に出したのはこれしかないのだから。あなたは、そんな妙なことをおっしゃるけれども、韓国が日韓会談以来日本に攻めてくると思ってはいないのでしょう。そうなれば日ソ間においたって、鳩山内閣時代から国交が回復しているんですから。この中で取り上げているのは中共と北朝鮮なんでしょう。そのことが中心で論ぜられてきているわけですよ。極東における軍事紛争が起こるということは、日本に対する脅威なんです。  では、あなた方がいう北側というのは、一体そういう意味で脅威があるのかないのか。これは当然、あなた方は防衛庁の立場で分析するのはあたりまえじゃないですか。見当違いなことを言っては困りますよ。北側がかつての朝鮮戦争のように攻めてくれば、日本に対する脅威でしょう。だから、三矢図上研究があるんでしょう。だから、それならば端的に聞きますが、そういういま私が言ったような意味で、日本という立場に立って考えて、朝鮮民主主義人民共和国なる北朝鮮というものは脅威たり得るかいなかという点を明確にしてください。
  130. 山中貞則

    ○山中国務大臣 大韓民国を飛び越して、朝鮮民主主義人民共和国が日本に対して直接の脅威となり得るということは、先ほど来言っているように、自衛力を持っている日本、安保条約を締結している日本という現在の体制で、あり得ないことだし考えられないことだ、これは明確であります。
  131. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、外務大臣防衛の責任者じゃない。外務大臣お答えになったこの答弁は、あなたの立場から見るとどうなりますか。
  132. 山中貞則

    ○山中国務大臣 外務大臣の答弁の批判はいたしません。
  133. 大出俊

    ○大出委員 あなたの所管の軍事的な問題という意味でどうお考えになりますか。
  134. 山中貞則

    ○山中国務大臣 軍事的には、先ほど、それは主観と客観との問題であって、それぞれお互いの国が脅威と感ずる、あるいは相互にか片一方にかですね、それは日本がかれこれ言うべきことではない、しかし民族が同一民族であって、同一の国土の中で二分して、一部ですが撃沈したり交戦状態におちいるような現象が起こっている事実もある、これはわれわれとしては、正常な状態ではない、そう見ておりますという事実を言ったわけでありまして、木村大臣の外務大臣としての御発言と、私の軍事的な客観的な見方と——客観的には事実でありますから、事実を述べただけで、それを脅威と判断するかどうかは、これは相互のそれぞれの国の外国の問題でありますから、日本が言うべきことではないだろうと私は思うのです。
  135. 大出俊

    ○大出委員 時間の関係がありますから、非常にむずかしい時期だから慎重な答弁をされておりますので、深追いはいたしません。  そこで、続けて二、三点質問をいたしていきますので、できるだけ簡単な御答弁をいただきたいのであります。  まず第一の問題は、ミッドウェーの核の問題であります。  先般私は、十六日だったと思いましたが、外務省に参りまして、岡田春夫さん、田英夫さんとともに申入書をお持ちしたのであります。まず一つ、冒頭に承っておきたいのは、この横須賀基地の特別軍事法廷におきまして、アメリカの攻撃型空母ミッドウェー、この乗組員のマイク・ハモンドー等水兵、この人にかかわる軍事裁判が行なわれた。十三日の午後でございます。核兵器が同空母より日本に持ち込まれたという証言をしておる。これを乗艦拒否した、つまり艦に乗ることを拒否したことの理由の一つ、動機の一つとして明らかにした。本人が述べた。このときの裁判官は、イーストウッド裁判官。日本国民にとっては、これは重大な発言でございますが、とたんに急遽この発言をストップさせて休憩を宣言した。その後再開された会議でイーストウッド裁判長は、被告弁護人に対して、軍の許可なく機密事項を話すことは重大な結果を招くと警告をした。それだけで、次回の日程もきめずに閉会を宣した。これは公開をされていた法廷でありますから、新聞関係の方も入っていた。クリス・コートという方が弁護士でありますが、私どものグループは、この方々にお目にかかっております。したがいまして、ミッドウエーは核兵器を日本に持ち込んだと断言したこの発言は、ほかならぬ軍事法廷の公開の発言であります。しかもこの人は、長らく艦の内部に乗っていた人であります。  まず、このことの事実について、アメリカ局長山崎さんは、たまたまこの同じ日に安保協議委員会が開かれたこの席上で、こういう軍事法廷でマイク・ハモンド一等水平でございますか、それからこういう発言があったこと、この事実を——核が云々ではなくて、この軍事法廷でこういうことがあった、新聞に報ぜられていることがあった、この事実は認めたと私におっしゃっております。  そこで、そこのところを、この席で相手方は一体どういうふうに言っているのか、これは、あなたのとり方がありますから、厳密な意味では申し上げられませんけれども、あなたがやりとりをされたわけでありますから、日米間のそのときの話し合いはどういうことになっていたのか、ひとつ明らかにしていただきたいのであります。
  136. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 この証言が行なわれましたちょうどあくる日に、たまたま安保運用協議会が開かれましたので、われわれとしても、この問題については関心を持っておりましたので、アメリカ側に尋ねたわけであります。ただ、その安保運用協議会の内容に関しましては、お互いの約束もございまして、公表いたしかねますけれども、その尋ねましたことは事実でございます。ただし、その公判が行なわれましたたまたま翌日でもございましたので、その点は深い話にはならなかったことは申し上げられます。  その後アメリカ側にも、新聞に報道されたような事実があるかどうか、ことにその証言がどういうものであったかということは、われわれもいま問い合わせておるわけであります。証言の記録ないしその要約のようなものでも入手するように、目下努力しているわけでございますが、まだ向こう側から回答は参っておりません。
  137. 大出俊

    ○大出委員 私が外務省にお伺いしたときには、岡田春夫氏また田英夫氏も一緒でございましたが、安保協議委員会の席上で、アメリカ側は、新聞に報ぜられたような中身については、核があるなしじゃなくて、そういう事実があったことについては認めた、こういうふうにあなたは私にお話しになった。これは、いまお認めになりましたね。そこまではよろしゅうございますね。したがって、具体的な軍事法廷のマイク・ハモンドー等水兵の証言に関する要約なりそのものなり、それをアメリカ側に、外務省に提出してもらいたいということをあなたのほうは求めている、こういう理解でよろしゅうございますか。
  138. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 そのとおりでございます。ただ、もちろんその公開された部分の、新聞に報ぜられたような部分について、正確にどういうことであったかということをアメリカ側に問い合わせておる次第でございます。
  139. 大出俊

    ○大出委員 そこでもう一つ。これが事の起こりは、六月の十四日に空母ミッドウェーである意味の混乱が起こった、そうして参加したアメリカの水兵さんたちは合計五十二名でございまして、うち三十三人が、これは弁護士さんに聞いてみましたが、起訴をされております。八月一日に実は軍事法廷が開かれておる。米海軍横須賀基地で軍事法廷が八月一日に開かれております。先ほど私が申し上げた新聞記事は、八月十三日の午後であります。これから私が申し上げるのは八月の一日でございます。  軍事法廷が開かれました。このときの被告はR・チェンバーズ一等水兵、デリー・マイヤーズ二等水兵のお二人であります。二人ともミッドウェー乗船の黒人のGIの方であります。判事はマイルズ・イーストウッド大尉、これは同じであります。弁護人は民間人のクリス・コート、ここで起訴状朗読と人定尋問が行なわれました。判事から被告への尋問、これが進んでまいりました。このときにクリス・コート弁護士から動議が提出されました。この動議の中身は、被告は無罪だという趣旨の動議であります。ここで被告は、命令にそむいて部署を離れた容疑でさばかれている、しかし六月十四日の艦長による出港命令は合法性を持っていなかった、なぜなら、この艦長命令はより上位の法律、すなわち日米安保条約六条と、それに伴う日米交換公文に違反しているからである、つまりミッドウェーは核兵器を日本寄港中に積んでいる、その証拠を弁護側は提出する用意がある、上記条項によれば、核兵器の移動には、両国政府の事前協議が必要であるとされているのに、それが行なわれていない、上位の条約に違反した命令に従わなかったことで有罪にはならない、つまり無罪の動機であります。これに対して、モーションデナイドということばを使っておりますけれども、動機を却下する、こう繰り返して、このときも閉廷をしてしまった。これが八月一日。  これは新聞に出ていない。新聞に載っただけじゃない。三十三人起訴しているのですから、いずれもこれは軍事法廷にかけられている。八月の十三日のみならず、八月一日の軍事法廷でも、明確に弁護側から動議が出されて、核搭載の証拠提出の用意が述べられている。時の被告は、もう一ぺん申し上げますが、R・チェンバーズ一等水兵、デリー・マイヤーズ二等水兵の二人であります。この事実を御存じでございますか。
  140. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 八月一日その法廷の模様については存じておりません。
  141. 大出俊

    ○大出委員 私が山崎さんに会ったときのあなたの御発言も、いささかどうも私は納得しかねるのでありますが、これは、いやしくも国と国との間で結ばれた安保条約でございます。その六条ないしは交換公文、これは日本国民にとってたいへん大きなかかわり合いを持つ。あたりまえのことであります。しかも被爆国日本の立場から、核の問題というのはそう簡単なことじゃない。ジェーン年鑑などを見たって、核搭載ができるようにミッドウェーというのは改修をされていることは明らかになっている。だとすると、アメリカ日本との間で持ち込まないことになっているんだからというようなことで、あなたのほうがそうのん気にかまえている筋合いのものじゃない。新聞に出たことによって、あなた初めて安保協議委員会の席上で聞いてみた、こう言う。新聞記事になっているそのことは認めたとあなたは私に答えた。では、あなたは新聞記事になってなければ調べようともしないのですか。この中には新聞記者入っているんですよ。申し上げておきますが、私どものグループは、関係弁護人にもお目にかかっているんですよ。でたらめなことを言っているんじゃない。あなた方は責任官庁で、調べようと思って調べられないはずはないじゃないですか。  政務次官に承りたいのだけれども、こういう問題は、新聞記事になったことによってもそうですけれども、たいへん大きな疑惑を招いている、核問題というのは。外務省は一体なぜ、事の真相を明確に究明をして、国民的疑惑というものを明らかにする気がないのですか、承りたいのですが、いかがでございますか。
  142. 山田久就

    ○山田説明員 これは安保条約の関係する事項でもありますし、むろん大きな関心を持っている問題でありますから、そういう点については、事務的にどういうことで漏れたかわからないけれども、当然、十分情報をとらなければいかぬ立場にあると思います。
  143. 大出俊

    ○大出委員 山田政務次官のいまのお話であるとすれば、当然、この一連の核問題にかかわる記録があるはずであります、弁護士さん、そう言っているんだから。だとすれば、これは弁護士さんが証拠を用意して出した動機なんだから、その提出を日本政府が求めるのはあたりまえじゃないですか。持ち込んでいるかいないかに関して、持ち込まないことになっているんだから、ないのだというだけの答弁では事済まぬ。核問題というのは、いま常日ごろ、常時起こる。だから、世の中の識者は、核問題でいささかなれ過ぎてはいかぬということをしきりに警告しているじゃないですか。いまの政務次官の御答弁のとおりならば、あなたは当然資料提出を求めるべきでしょう。アメリカ局長、いかがですか。
  144. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 このミッドウエーの水兵の裁判は、第一次的に米国側が持っている裁判でありまして、そういう意味では向こう側の問題でありますが、内容に関しましては、いま核に関する問題があるとすれば、われわれとしては、もちろん関心事でございます。その意味で私は、十三日の裁判のことが報ぜられたその日の朝の新聞で見まして、直ちに安保運用協議会においても向こう側に照会したわけであります。その意味でわれわれは、十分な関心を持っておることは申し上げたいと思います。  ただ、向こう側の裁判でありますので、われわれとしては、八月一日にそういう事実があったことは、知る手段がなかった次第であります。
  145. 大出俊

    ○大出委員 それでは、いま申し上げたわけですから、これは当然、アメリカ側に資料提出を求める、よろしゅうございますか。
  146. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 ただいまの八月一日の問題につきましては、私たちとしても、さっそくアメリカ側に問い合わせるつもりでございます。ただ資料提出とおっしゃいますが、これは、あくまで向こうの裁判でありまして、向こうの手続に従って提出してもらうようにはしたいと思っております。
  147. 大出俊

    ○大出委員 このことは、向こうの、向こうのとあなたはおっしゃるけれども、事横須賀で行なわれていて、横須賀に現にいるミッドウエーに核があるという証言じゃないですか。安保条約に基づく岸・ハーター交換公文もある。だとすれば、当然これはアメリカ側に責任がある。だから当然、これは言われなくたって、このことが表に出れば、アメリカ側が証言の内容はかくかくしかじかであった、だが、それは本人が間違っていたとか、その事実がないとか釈明をするのはあたりまえのことじゃないですか、アメリカ側にとったって。日本側はそれを求める権利があるじゃないですか。条約と交換公文が結ばれているのじゃないですか。それでなければ、外務省はそれならばどこの外務省ですか。国民に責任を負えやせぬじゃないですか。何ですか、いまの答弁は。提出を求めるのはあたりまえじゃないですか。いかがですか。あなたで悪ければ、政務次官、もう一ぺん答えてください。これは国民に対する責任じゃないですか。いかがですか。
  148. 山田久就

    ○山田説明員 先ほど申し上げましたように、この種情報は、われわれは当然求める立場にあると思っております。
  149. 大出俊

    ○大出委員 一々山田さん引っぱり出さぬで、あなた答えてくださいよ。当然じゃないですか。求めなさいよ、議事録を出してくれと言って。あたりまえじゃないですか。その結果として何が出てくるか、それは向こうのことだ。外務省の姿勢としては、たださなければ困るじゃないですか。それを求めるのはあたりまえじゃないですか。そういうところが一々いいかげんだから、今度の韓国みたいなことができ上るのです。いかがですか。それでは国民納得しないじゃないですか。
  150. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 八月一日の事件につきましては、残念ながらわれわれは、その当時において知らなかったわけでありますが、十三日の公判の問題につきましては、われわれは知りまして、直ちにアメリカ側にも問い合わせておるわけでございまして、われわれとしては、十分な関心をもってこれに対処しておるつもりでございます。ただ向こうの裁判の記録でありますから、その問題に関しましては、向こうとしての一応の手続もあると思いますので、それを踏まえて出してもらいたいということを言っておるわけでございます。
  151. 大出俊

    ○大出委員 私どもが申し入れをいたしまして、その回答を求めたということなんでございますが、実はまだ私のところにこうこうだという話が来ておりません。ここであげております問題について、あの席で米側といろいろ折衝なさったのだと思いますけれども、イーストウッド裁判官にお目にかかりたい、また、その意味で横須賀の基地司令官、シュルティー艦長等々にもお目にかかりたい、こういうことをあなた方のほうに私どもは申し入れております。それからミッドウエーの現場、第五キャビンの下にシルバー、つまり銀色の十二フィートばかりになる非常に長いものでありますが、間違いのない核爆弾があるということは、当時の、三十三人起訴されておりますけれども、その方々の口から出ているわけでありまして、ここはただの一度も、ミッドウエーが動いてもその爆弾だけは動かしたことがない、こう言っております。ミッドウエーの飛行甲板の下の第五デッキ、そこは特別整備区域、艦内の処理はそうされている、海兵隊の諸君が、ここは四六時中ガードしている場所である、そして長さ十二フィート、直径二フィート、銀色の爆弾、こういうふうに言っております。したがって私どもは、その現場を見せていただきたい、日本国内にあるミッドウエーでありますから。それからハモンド一等水兵の、先ほど申し上げたこの裁判記録の提出を求めたい、こういう趣旨の中身で皆さんに差し上げてあるのでありますが、結果を簡単にこの席でひとつお聞きいたしたいのであります。いかがでございますか。
  152. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 ウィリアム・ロジャース米海軍横須賀基地司令官、シュルティー・ミッドウェー艦長及び同基地の特別軍法会議のマイルズ・イーストウッド軍事裁判官との面会を求めたいというお話がございましたが、この点に関しましては、その席上でも申し上げましたが、われわれといたしましては、従来の場合もそうでありますけれども、そういう基地関係の人との面会に関しましては、外務省として一件一件取り次ぐ立場にはございませんということは申し上げたわけであります。ただロジャース司令官は、基地の司令官でもあるし、基地の司令官として当然日本側との接触も持つべき立場の人でもあるから、この点については、直接面会を申し込まれれば、向こう側としても会うことは会うのではないかということを申し上げました次第でございます。  それから、ミッドウエーのそういう疑惑のある問題について、ミッドウエーに現場検証を行ないたいというお話がございましたが、この点に関しましては、米側に対していわゆる現場検証を要求するという立場にはわれわれはないと思います。そこで、われわれといたしましては、ただミッドウエーに日本の国権の最高機関である国会の議員が訪問したいということであれば、この点は取り次ぐ用意があるということを申し上げました。  それに従いまして、その後、在京の米大使館に対して、この皆さまの御要望をそういう意味で取り次いだわけでありますが、八月十九日同大使館から、この日本社会党からの要求に対しまして、ミッドウエーの現場検証は認められない、ただ通常の訪問に限られるならば認める用意がある、そのときには政府からだれか同行してほしいということを言ってまいりました。この点は、日本社会党からの御要求ということでございましたので、社会党の事務局にすでに御連絡申し上げております。
  153. 大出俊

    ○大出委員 これは新聞にも出たことでございますし、たいへん大きな疑惑を現地では持っておりまして、その意味でいろいろな団体等も、いまいろいろな動きを示しております。本来二国間で取りきめております条約あるいは公文その他によりまして解明をしておかなければならぬ問題でありますから、極力これは日本政府の責任という立場で明らかにしていただきますようにお願いを申し上げておきたいのであります。その結果に従いまして、あらためてひとつ質問をいたします。  OTHの問題でありますが、特にここで先ほどもいろいろ議論がございましたが、「周波数の分配及び妨害除去」について、昭和二十六年六月の日米合同委員会で次のように合意されている。この中身は、第一に、日米周波数分科委員会を設置することがきめられ、「この分料委員会は、合同委員会に対し、米軍の電波の使用、調整及び管理に関する勧告を行うことを任務とする。」こうなっている。この下に技術連絡部が置かれている、こういう機構であります。これは二十六年六月の日米合同委員会の合意事項であります。  そこで、第八項に「米軍の必要とする電波の取り扱い」という項がございますが、この八項に「米軍の開始する新業務に対する周波数の分配は、米軍の要請により、且つ、そのときに日米間で合意するとおりに行うこと。」とあり、このあと「施設及び区域内で米軍使用する電波の選定」の問題「国際電気通信連合に対する通告、登録」アメリカがかってに使うのは、米軍が登録することになっております。そういう一連の取りきめがずっとございます。時間の関係でこまかいことは省略いたします。  そこで、まず一つ承っておきたいのは、実は口頭でという答弁を皆さんはされておりますけれども、四十二年二月に、今回新たに開発された、ミサイル探知施設をわが国、つまり日本の所沢及び千歳に設置したいと外務省に口頭で通報してきた、こういうわけなんですね、あなた方の答えは。そうすると、当然のことですけれども、日米合同委員会の合意事項の中の「米軍の開始する新業務」を口頭で向こうから申し入れてきたのですから、これは日米合同委員会の取りきめに基づいて周波数分科委員会の議題になって、一体それはいかなる周波数をどう使うかということについての話し合いが行なわれてしかるべきであります。しかも、ここで口頭で申し入れているアメリカの言い分は、今回新たに開発されたミサイル探知施設をわが国の所沢、千歳——ミサイル探知施設と明確にしているんですよ。なぜ一体、この米側の新業務について、外務省は関係当局に連絡をおとりにならなかったのですか。外務省から御答弁ください。
  154. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 アメリカ側が昭和四十二年二月にわがほうに通報してまいりましたときは、従来から使っておりました施設に新たにそういう、ミサイル探知施設を設けたいということでありまして、もともと所沢、千歳にも通常の通信施設はあったわけであります。そして、この周波数の問題も、従来からアメリカ側に認められております周波数を使うことになっておったわけであります。
  155. 大出俊

    ○大出委員 あなたのさっきの答弁とは違うじゃないですか。いままであった施設にとあなたは言うけれども、あなたはさっき、実験的にやる施設である、新しく開発された施設である、そう答えている。旧来あった施設じゃないじゃないですか。だから、これは新規の業務じゃないですか。それから当然、これは周波数分科委員会で、一体どういう周波数をどう使うのかというのを協議するのはあたりまえじゃないですか。で、そのときに郵政省から渡されている表に基づく周波数ならば、そのチェックをすれば明らかになることはあたりまえである。あなた方はそのチェックも何もしてないじゃないですか。しっかりしてくださいよ。何答えている。
  156. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 所沢に新たにこのミサイル発射探知施設を設けるということを向こうはいってきたわけでありまして、その意味で施設は確かに設けられたわけであります。ただ、いま御質問のありました周波数に関しましては、従来から日米で合意されておりました周波数を使うことになっておりましたので、その点については、問題がその当時からなかったわけであります。
  157. 大出俊

    ○大出委員 周波数は、あなた方の所管じゃないですよ。外務省が同波数をとやかく言えた義理じゃないじゃないですか。明確にここできまっているじゃないですか。これは郵政省の所管です。この合意事項の中でそううたっているじゃないですか。あなたのほうでは周波数わかりゃせぬじゃないですか。  それから承りたいのだが、旧来の割り当てている周波数のどれを使っているのですか。
  158. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 アメリカ側が昭和四十二年二月にわがほうに通報してまいりましたときに、周波数については、従来のものを使うということをわがほうに言ってきたわけであります。それで、われわれとしては、それを了承したわけであります。新たな周波数を使うということは、当時言ってまいりませんし、現在も、従来から割り当てられている周波数を使っている次第でございます。
  159. 大出俊

    ○大出委員 じゃ、あらためて承りますが、どういう周波数を使っているのですか。
  160. 松元守

    ○松元説明員 郵政省のほうから御説明をさせていただきます。  先生おっしゃいますように、周波数の問題につきましては、日米周波数分科委員会というものがございまして、そこで米軍の周波数の調整はやっております。実は、このOTHが四十二年に設置をされたということでございますが、当時郵政省に対しましては、外務省のほうからその旨の連絡をちょうだいいたしておりません。したがいまして、当時私どもは、そういうものが設置されるということを前提にしていろんな作業というものはやっておりません。しかし、その後最近に至りまして、そういう事実があるということがはっきりいたしましたので、私どもは、日米周波数分科委員会を通じまして向こうに確認をいたしておりますけれども、先ほど外務省のほうから御答弁がございましたように、すでに合意済みの周波数を使用しておるというようでございます。使用しております周波数は、短波帯の周波数でございますけれども、ポイントにつきましては、これは米側とのその合意が要りますので、控えさせていただきたいと思います。
  161. 大出俊

    ○大出委員 米軍が使っている周波数というのは、これは表にして渡してあるわけでしょう、あなた方のほうは。郵政省は。そうでしょう。どれを使うかというようなことについては、言っちゃいけないことになっていますか。
  162. 松元守

    ○松元説明員 先ほど先生のお話にございましたように、日米周波数分科委員会の権能といたしましては、在日米軍使用周波数の調整、監理につきまして合同委員会に勧告するということになっておりますので、使用いたしております周波数につきましては、合同委員会のほうにあげてございます。
  163. 大出俊

    ○大出委員 質問にまともにお答えにならぬじゃないですか。表へ出せないのかと私は聞いているのだ。  そこで、外務省に一つ承りますが、これは本来、先ほど私が質問をいたしましたが、あなたは、そのとおりお答えになりましたが、今回新たに開発されたミサイル探知施設ということを明確にして口頭で申し入れておるんですね、あなた方に。そうでしょう。そうすると、新たに開発されたミサイル探知施設、これは、あなたは一体当時——さっきの御答弁では、まあ試験的にやるので新しく開発したものだということでいいだろうということに結論を出したと、こういう。新たに開発されたミサイル探知施設だと言っているのに、それがいかなるミサイル探知施設かあなたは中身が全くわからぬで結論を出したのですか。
  164. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 先ほども御答弁申し上げましたが、アメリカ側がわが国に持ってまいります、ことに安保条約の義務を履行するために持ってまいります装備の一つ一つについて、わがほうに通報するという仕組みにはなっておりません。ただ、この問題に関しましては、アメリカ側も新たに開発したものであり、特にわがほうに通報してきたわけでございます。その際われわれとしては、これは先ほど申し上げましたように、所沢で従来からやっておりました通常の通信施設、通信業務に加えてそういう施設をするということであり、しかも従来の周波数を使うということであり、また、もちろんこれは事前協議の対象となるようなものではないとわれわれは解釈したわけでございます。
  165. 大出俊

    ○大出委員 時間がありませんから時間はかけませんが、従来の通信施設じゃないのです、これは。はっきりそう言っているんでしょう。ミサイル探知施設だと言っている。所沢でやっているのは、いままでやっている通信業務はわかっておりますが、それはミサイル探知施設じゃないじゃないですか。そうでしょう。だから本来ならば、あなたのほうで、これは防衛庁もございますが、関係当局と相談をされて、一体ここで新業務ということで、新たに開発されたミサイル探知施設をつくるというのだがということで当然これは相談する筋合いじゃないですか。そうでないからいまになって一これは私も、いろいろ関係の記者の方々調べてみましたが、朝日新聞の方が三年がかりで調べたという。所沢だと断定をしたという。その間あなた方は全く知らなかったという。これは知らないで済まない。知らないでやったのだとすると、あなた方理由をつけているけれども、その理由はあとからつけたことになる。防衛庁も同様だ。  これじゃ、これは国民的に納得しろといったって無理な話です。これは核の問題でもそうですが、持ち込めないことになっているのだからというが、それだけで済みやしない。同じ意味で、新たに開発されたミサイル探知施設である、これは。それは四四〇L前方散乱型などというのも前につくっておりますけれども、時期的に見て、新たということになれば、四十二年二月ですから、そうすればあなた方のほうも、これは当然それが一体何であるかを、日本の国内に置くのだから、専門関係当局とも相談をするのはあたりまえじゃないですか。郵政省に聞いてみたところが、外務省からは、忘れたということか、あるいはやっているということか、いずれかわかりませんけれども、何ら連絡がございませんでした、こういうわけであります。  それじゃ、せっかく合同委員会その他でいろいろな取りきめが中にしてありますけれども、全く向こうさまの言うとおりに、そうでございますかになっていることになるじゃないですか。あなた方、一体これは新たなミサイル探知装置ということについて何だと当時思ったのですか。
  166. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 私、先ほどの御説明であるいはちょっと言い足りなかったかと思いますが、所沢の基地にはもともと通常の通信施設があった。それで四十二年の段階アメリカ側が通報してまいりますときに、新たに開発したミサイル探知施設を設けるということを言ってきたわけでありまして、その意味でそのミサイル探知施設に関する限りは、施設が新たにつけ加わるということにはなったのは事実でございます。ただ先ほども申し上げましたように、その際に先方は、周波数については、従来のものを使用するということでございましたので、従来米軍に割り当てられた周波数を使用するということで、特に郵政省にその段階では知らせなかったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現段階考えますれば、やはりわれわれとしては、あそこの問題は問題がないと当時も考え、いまも考えておりますが、そういう米側から通報のあったことについては、防衛庁及び郵政省に御連絡申し上げたほうがよかったとは反省はいたしております。
  167. 大出俊

    ○大出委員 条約上のこの論争をする時間がありませんから、あらためて機会を見てさせていただきますけれども防衛庁のほうに私も一点疑問がありますから承っておくのですが、防衛医科大学の用地、これは内閣委員会視察のときに入れてくれと私申し出まして、所沢を見る、こうなっておりますから、そのときに少し詳しく承りたいのでありますが、今回の例の羽子板型アンテナと通称いわれる、指向性を持たせるからそうなるのですけれども、あるいはひし形はこっちにありますが、私も外から見ておりますが、指向性を持っているのだから、電波ですから一つの方向をさしているが、この死角といっていい場所に防衛医科大学の用地がみごとにおさまっている。その方面の専門家に私も聞いてみましたが、まことにみごとにおさまっている。先ほど午前中に同僚委員から質問もございましたけれども、何ともこれは不可解な話であります。一体なぜそういうことになったのかという点が一つ。  もう一つ、時間がありませんから続けて申し上げますが、この電離層に電波を、指向性を持たせて発信をする。先ほど長官の答弁では、たたくならばOTHをたたくなどということはしないだろう、本体をやるだろう、こういうのですが、調べてみるとそう簡単ではない。  そこで、あわせて承っておきたいのは、電離層と申しますものは、最低どのくらいから最高何キロぐらいまでございますか。
  168. 山中貞則

    ○山中国務大臣 まず第一点の答弁をいたします前に、いま山崎アメリカ局長が言いましたことばについて、私はそういう言い方は、きわめて不満であるという点を申し上げておきます。それは、いまこうしてこういう事態になってみると、そのときに防衛庁、郵政省に連絡しておいたほうがよかったかなと思っているということは、きわめて認識不足でありまして、先ほど来私が他の方の質問に答えて、防衛庁としてそういうものが目の前に建って、しかも指向性の強いアンテナであって、いろいろな障害が起こっている事実を知っていながら、なぜ防衛庁の能力でそれをOTHであるということが認定できなかったかについて残念であり、能力を疑い、そして恥ずかしい気もするから外務省に私としては珍しく抗議を申し込んでいないということでありまして、いまのようなことであるならば、私はあらためてこの場で、外務省の四十二年の二月におけるとった態度というものは、安保条約に関連をしてわれわれはきわめて誤った措置であるということを明確に申し上げさせていただきたいと思います。  それから、防衛医科大学校の問題は、確かに自治科大学校の問題のとき等も、電波障害があるということでレントゲン線その他等について、敷地を一応模索いたしました場合に、これは不適地だということになったいきさつも承知いたしておりました。かといって、一方においては所沢の返還に伴って、あそこに各種官庁の出先等がいく、官庁の機構が移る、その中に防衛医科大学校も、国会承認を得て法律化されるということになれば、あそこしかあるまい、しかしながら電波障害があるということで、ここから先は専門家にひとつ答弁をさせますが、ずいぶんといろいろ調べまして、ほかの省もありますから、大蔵その他とも相談をしながら場所を設定して、幸いにして防衛医科大学校の諸機械その他に影響のない、あるいは研究等に障害のない場所が得られたということでございますが、このことについては、もう少し詳しい者から説明させます。  それから、電離層等についても、一応私も知ってはおりますが、これまたいろいろ複雑なウェーブを描いたりしておりますので、防衛局長のほうから答弁させます。
  169. 大出俊

    ○大出委員 防衛医科大学はいいですよ、時間がありませんから。  もう少し答弁しやすいように申しましょう。ミサイル探知施設である、こういう申し入れが四十二年にきているわけですが、御存じのとおりに、ICBMの探知施設は三つあるわけですね。第一は人工衛星、静止衛星ですね。東半球に一つ、西半球に二つですね。第二にBMEWSがございます。これは北極です。北極の中心部に三カ所置かれていることになっております。これは発表しております。したがって、そのあとがOTH、オーバー・ザ・ホライゾン。日本でもOHと称するものは幾つも使っている。  そこで、時間がありませんから申し上げるのですが、静止衛星、人工衛星でまずとらえる。地上噴射をしたとたんに四、五分でとらえる、こういうシステムですね。それが上に上がってくる。上がってきた段階で、たとえばこれは仮説ですけれども、ソビエトからというならば、アメリカに三十分かかるとすれば、このOTHでとらえる段階は一体どの段階か。特にその中で問題は、つまり三十分といいますと、地上噴射だけじゃない。オーバー・ザ・ホライゾンですから、地平線の向こうは見えないのだが、その先を探知しようというわけですから、専門的にはOTHは十五分早くなるわけですから、そうするとOTHの存在というのは、相手方からすれば、これはたいへんにやっかいな存在です。  ところで問題は、七十キロから五百キロという電離層、ときによって違うわけですよ。そうすると、七十キロをミサイルが飛んでいく時間は、一体何分なのか。電離層に反射させていても、七十キロの場合と五百キロの場合の電離層があるのですから、そうすると七十キロで一体何分かかる、五百キロなら一体何分かかる、たいへんな違いであります。ガス噴射という形の排気ガスで探知できるのか、物体が突き抜けるということで探知ができるのか、どちらなんだ。噴射というならば、五百キロ飛んでいったらなくなって終わってしまいますよ。そうすると、とらえられないという問題が出てくる。つまり、そこらのところを皆さんは専門的にどうお考えなのか。防衛庁長官は、OTHをたたくくらいならば本体をたたくだろうというが、OTHの役割りというのは、一体どういうものであって、電離層との関係はどうなっているのか。三十分間のミサイルを一体どこでどうとえらるのか。OTHというものはやっかいな存在なんです。だから、静止衛星をつくりBMEWSをつくり、前方散乱型四四〇Lをつくったが、さらにOTHを使おうというわけですよ。  そうだとすると、たくさんの資料がありますが、核戦争が起こるとすれば、想定されているものは、一発撃つんじゃないのですから、このやっかいな存在は、いきなりたたいておかなければあぶなくて撃てないのだ。そうなると、そこらのところを基礎にしてお答えいただかぬと、いやOTHなんかやっているよりは、向こうをやったほうがいいということでは済まぬですよ、これは事防衛庁長官ですから。そういう意味でいまの発言を私はするんだが、そこのところをきちっとひとつ御説明いただきたい。
  170. 丸山昂

    丸山説明員 大体、全体の仕組みはただいま先生おっしゃったとおりでございます。  まず、発射そのものは人工衛星で探知をする、こういうふうに言っております。それから、その次にこのミサイル、ICBMが電離層を突き抜けるときに起きる電離層の乱れを探知するのだ、こう言っております。これはアメリカ国会での国防省の人の説明でございますが、一つは噴射をしておりますガスがイオン化されることによって、そのイオン化によって電離層の中に乱れが生ずるのがほんとうではないか。ミサイルそのものが電離層を突き抜けることによって出てくるのでなくて、噴射のガスのイオン化によって電離層に影響を及ぼすのではないか、こういう答弁を国会でしております。それをOTHが探知をするということでございます。OTHは現在のところ、前方散乱式のものは探知だけができるということで、あとそのミサイルの追跡の能力はございません。それから、次の段階がBMEWSになります。これは普通のレーダー方式でございまして、大体先ほどお話がございましたように、発射からアメリカ本土まで三十分ということであると、BMEWSは大体十五分前に探知ができるだろう、こういうふうにいわれております。  したがいまして、現在のところ早期警機の仕組みとしては、第一番目に人工衛星、これは発射の瞬間、それから電離層をICBMが突き抜ける時点、これがOTH、それから、その次にBMEWSでこれを確認する、そういう仕組みになっているように考えられます。
  171. 大出俊

    ○大出委員 結論ですが、ということになると、なぜ静止衛星で事足りないかという問題があります。専門的な方々の御意見をいろいろ承ってみますと、地上のガスの噴射、ミサイルのガスの噴射、これを人工衛星がとらえる。ただ、その場合にはICBMであるのか他の各種ミサイルその他の噴射ガスであるのか、これが衛星の場合には分離できない。だから四、五分、つまり噴射したとたんにわかるが、しかし、それがICBMであるかどうかがわからない。BMEWSは水平線のところですから、上がってこなければ見えない、とらえられない。だから、BMEWSでとらえれば以後十五分しかない。したがって、地上のガスの噴射を衛星がとらえたが、そのガス噴射がICBMであるかないかは、OTHがとらえなければならない。だから、この開発によって十五分間近く、衛星がとらえたとたんにOTHでとらえられるということで、早く探知できる。だから、その意味でOTHが相手にとっては一番やっかいな存在になる、こういうことなんですね。  だとすると、OTHは、これは何もABMに連動しておる機構でも組織でも何でもないけれども、だがしかし、相手にとっては一番やっかいな存在だということになる。そうすると、さっき質問がありましたが、長官の言うようにOTHをたたいているくらいならば直接たたくだろう、そういう簡単な筋合いのものではない、これは専門家の話を聞いてみても。だから、その意味では条約上の争いは極東という問題に関してございます。安保国会以来の長い論争でございますけれども、ここでも論争しなければならぬ大きな問題であります。だがしかし、時間がありません。その以前に、そういう存在だから、所沢で問題になっておりますように、やはりこれは日本の国内に置いておく筋合いのものでない、条約論争をさておいても置いておく筋合いのものでない、そこまで日本は国民感情を無視して譲歩しなければならぬ義務はない、こういう考え方を持っておる。  そういう意味で、こういう国民的に大きな波紋を起こすようなこの問題は、当然日本に置くべきでないという形で政治的に皆さんが解決をすべきだと思う。あなた方は、抑止力という面でOTHというものは、たいへんに早くミサイルの発射がわかるのだから強力な抑止力になるのだ、私が質問したらこういうふうに事務当局の方は言っておられる。外務省はその意味の論法を掲げておられる、防衛庁と相談の上だと思いますけれども。だからその意味では、強力な抑止力になるのだから、安保条約のたてまえ、核のかさというものの下にある日本という立場からすれば当然置いていいのだ、こういう論法なんだ。だが、抑止力というものは、相手に対して脅威がなければ抑止力にならない。抑戦略というものは、相手に脅威を与える戦略。OTHというのは、そういう意味でたいへんな脅威を相手に与える。与える限りはねらわれる。そんなことはあたりまえだ。だから、そういう危険なものは日本の国内に国民の名において置くべきではない。これが私の結論です。  そういう意味で、先ほど長官がああいう御答弁をなさいましたが、そう簡単でない。再答弁いただきたい。
  172. 山中貞則

    ○山中国務大臣 専門家の意見もいろいろあるわけでありましょうが、しかしスパイ衛星というものが、きわめて発達をし続けているという現状から見ますと、地上物件の移動もほとんど、兵器のちょっとした移動まで、部隊のちょっとした移動までとらえ得るような状態になってきておる。中東紛争のときなども、米ソのスパイ衛星のタイミングの合わせ方の成功と失敗があったとまでいわれておりますが、そういうふうになりますと、OTHそのものがスパイ衛星の完全な発達、発射時から電離層はもちろんのこと成層圏を突き抜ける、そういうところまで全部とらえてしまう電送写真であるわけでありますから、私としては、OTHというものが抑止力、そういう表現もありましょうが、それが相手方にとって非常な脅威であるということはあまりないのじゃないか。その中間を埋めるためのものであって、したがって、お認めになっているように、ABMにそれが連動して、すぐにそれがミサイル迎撃ミサイルの発動になるものでもないということでありますから、安保条約上の解釈は、ひとつ外務省にやってもらいますが、軍事的には、まあ専門家いろいろありますが、私のほうでは、そういうふうに解釈をしておるところであります。
  173. 大出俊

    ○大出委員 私は、いまの問題についての結論を先ほど申し上げましたが、たいへん危険な存在であり、これは、おいおいまた各種地域の方々の運動その他を通じまして、所沢の市議会の決定もございますし、この議論がこれから戦わされていくことになると思うのでありますが、こういう問題で議論する前に、別な角度から、さっき申し上げましたように、こういう危険なものは、日米間の政治的な立場ですみやかに撤去させるべき筋合いのものである、こういう意見を申し上げておきます。  そこで、簡単にあと一つ、ポイントだけ承っておきたいのであります。大半を省略いたしますが、四次防でありますが、最近概算要求を出されまして、私、けさ概算要求の中身をいただきましたが、残る二年間、ことし概算要求ができ上がったというところで、四次防の当初計画の目玉、いろいろございますが、何と何と何が残りますか。大きなものでけっこうです。  時間を短縮するために、ちょっと申し上げておきますが、つまり四十八年度で積み残したもの、これは艦船関係で非常に大きく残りました。艦対空ミサイル積載護衛艦DDG三千八百五十トン、それから護衛艦DE千五百トン、それから潜水艦千八百トン、これは四十八年度でできず、年度内にできずです。小型輸送艦LSTの千五百トン、これは断念です。そこで四十九年度の積み残し、これは新型戦車と称するもの百六十両のうち、一括発注といっておりましたが、これが四十両になりました。それから一〇五ミリ自走砲、自走りゅう弾砲ですが、この二十六門、ヘリコプター積載護衛艦DDH一隻、これは五千二百トン、FST2改、支援戦闘機二十二機、これは一年繰り延べになっていましたね。これが四十九年のつまり積み残し分。  そこで、全部ひっくるめましてヘリコプター積載護衛艦DDH五千二百トンが二隻、多用途護衛艦DDA三千六百トンが一隻、対潜水護衛艦DDKが二千五百トン二隻、護衛艦が千五百トン一隻、潜水艦が二千二百トン二隻、補給艦が、AOEですが、五千トン一隻、つまりトン数にして三万八千トンばかり残ったわけですね、大きなものだけ申し上げまして。これは来年度五十年、五十一年、二年しかない。  そうすると、小型艦艇含めれば海だけで三万八千トンあるんですから、それをまず五十年度予算の概算要求で、大筋でどこまでお入れになったのか、そして残るのはどうなるのか、そして三番目に、あと二年間でこれはやり切るのか、やり切らぬとすれば、四次防というものはどう変わるのか、今後、つまり五次防に連らなる長期計画は立てるのか、単年度処理をしようというならば、これまた、たいへんに将来展望のないものになるのだが、そこのところはどう考えているのか、ここのところをひとつ端的に、簡単でけっこうでございますが、御説明いただきたいと思います。
  174. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまお話しのように、確かに四十八年度断念、国庫返納というのが、小型輸送艦LSTがありました。繰り越しも、おっしゃるとおりDDG、DE、SSで、いま目下——これは現在の単価、あれは一隻ごとに予算計上されておりまして、実は流用ができませんので、どうしても大蔵省と相談をして、そして国会の議決を求めるための補正増をしなければできないのだろうと思っております。ただしそうなると、四十九年度のDDK、DE、SS、この三隻も同じ理由で同じ状態、同じ環境下にあります。これを六隻とも四十八、四十九両年度で消化できるだけの補正ができるかというと、これは常識上おのずから限界があろう。そうなりますと、ここで一隻ないし二隻落とすということにもしなりますれば、そうすると、これは、もう四次防そのものから落ちるということになるわけであります。  ただし、昨年みずから総需要抑制のための姿勢として打ち出しましたDDH、これは当然五十年度に要求を一隻いたします。そしてFST2改、一〇五ミリ自走りゅう弾砲、それぞれ昨年見送りました分は、ことし五十年度予算として要求をいたします。しかし、これは先に延ばすわけですから、そうすると、先のほうはぎゅうぎゅう詰まってきます。五十一年度に、さっきも冗談を言いながら申しましたけれども防衛費だけ全部残りを認めてあげましょうという環境が突如として日本に起これば別でありますが、いまのところはどうも、世界各国見渡してなかなか困難であろう。そうなると、私どもはまっ先にそれに対するみずからの姿勢というのを考えなければならぬ、そういうふうに思っていま作業をいたしております。  したがって、五十年度予算を要求したその要求の中身も、すでにもう人糧でもって伸びが一七%でありますから、じゃ残り一体、国家総体予算の中で幾らが来年度予算の伸びになるのだろうかといいますと、これは、いま予算要求しているものも、はたしてどこまで認められるものやら、あるいは妥結できるものやら、きわめて不安定な状態にあります。かりに全部認められても、五十一年度、最終年度に全艦隻数、トン数を消化することは不可能に近い、絶望的な状態であります。ただ、どの船をどうするかについては、これからの問題でありますが、これは五十一年度予算に対する姿勢を、スタンスをきめるときに、議論を最終的に政府として出さなければならぬだろうと、そういうふうに思っております。
  175. 大出俊

    ○大出委員 あと簡単に二つ、三つ承りまして、それで終わりますが、一つは横浜に、戦車問題等で大きなことになりましたノースピアという、米軍の今日管理しております埠頭がございます。横浜港の今日的現状は、たいへんな船込みでありまして、千葉の沖まで滞船して船がたまる、こういう状態がいま続いております。中国が二万台、この十二月までということでトラックを買っておりますが、これは横浜港から積み出されておりますけれども、先船優先という形になっております関係で、この中国船はたいへんな滞船であります。しかも滞船料というものは、非常に高いのでありまして、日本側が安く売ったつもりであっても、結果的にたいへん高いものについてしまうということで、北京は頭を痛めている、こういう実は実情でございます。  そこで、どうしてもこれはノースピアの返還、とりあえずはノースピアの、係船だけはいま認めているわけでありますが、荷役まて——これは、はしけ取りしかできません、係船ですから。したがって、これは当然荷役を認めるべきである。  これは運輸省の方にもお出かけいただいたんですけれどもお答えいただきたいのですが、今日横浜港のたいへんな込みぐあい、コンテナ埠頭に二つクレーンがありますが、D突提二バースというんですが、ここに第三のレーンをつけてもらわなければ荷役ができないというところにきているけれども、大黒町埠頭のリース料と関連をして簡単にお認めにならない、こういう実は現状にあるわけでありますが、これらのこと等を踏まえまして、運輸省に承っておきたいんですが、どうこれを解決すべきかという点が一つ。  それから、これは、やはり経済ベースでいろいろな損出が出ているわけでございますから、国の責任においてそういう損出は出さすべきではない。となりますと、瑞穂埠頭というのが正式の名前でありますが、いわゆるノースピア、これの米軍の軍用貨物船の扱いがうんと減ってきている。ちょっとここで一気に申し上げておきますが、四十二年に軍用貨物船が九十三隻、LSTが百三十八隻、軍用船が七百三十一隻、九百六十二隻ありました、ノースピアの扱い、船の数が。そして、これが四十三年には合計八百五十隻に減り、四十四年には七百三十九隻に減り、四十五年には五百七十六隻に減り、四十六年には三百六十一隻に減り、四十七年には三百十九隻、たいへんに減りました。四十八年はさらに二百四十六隻に減った。四十九年は、七月まででありますけれども、わずか七十八隻しかない。四十二年には九百六十二隻ありました。  これだけ閑散としてしまっているノースピアで、なぜ一体、あれだけ込んでいる横浜港を控えているのに荷役を認めさせられないのか。返還がどうしても、モータープールの移転その他リロケ−トの関係どもあってまずいというならば、それはそれとして当面、あいているのでありますから、当然係船を認めるのみならず、荷役を認めるべきである。たとえば米軍の管理、三条適用のままであってもこちら側に使わせる、これは私は当然政府の責任だと考えている。そういう意味で、この辺のところを一体どうお考えになっているか、防衛庁に承りたいのであります。
  176. 久保卓也

    ○久保説明員 ただいま述べられました概数は、私どもとちょっと違っておりますが、大体そういう傾向でございます。したがいまして、米軍の艦船の使用状況が非常に減少していることは確かであります。ところで、返還がむずかしいであろうことは私ども想像できますが、あとさらに、どういうふうに利用できるかという問題があろうかと思います。  そこで、いま商船、民間の船が使っておりますのが大体六十隻から七十隻程度、ただし、ことしは非常に多くて、七月ぐらいまででたしか八十隻見当に達しておると思います。したがいまして、お話しのように、相当利用度は高いはずであろうと思いますが、御案内のように、バースが十二あったと思いますけれども、たとえば滞船料が高いというお話もありましたように、係船だけでももう少しできないのかという問題が一つと、さらには進んで、いまのお話のように荷おろし、荷積みができるかどうかという問題がございましょう。米側では、いろいろむずかしいことを申しておるようでありますが、御提案をもう少し内部で事務的に検討を詰めてみたいと思います。
  177. 大出俊

    ○大出委員 これは運輸省の側で、この横浜港の今日的船込み、つまりたいへんな滞船状態である、滞船料をべらぼうなものを払って、たいへん苦労しているという現状を、一体どうとらえておりますか。
  178. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 お答えいたします。  こまかい事情は、先生おっしゃいましたことばの端々にあらわれておるとおりでございます。私どもといたしましては、山下から始まりまして本牧、そして、いまは大黒町というふうに整備を非常に急いでいるところでございますけれども、しかし横浜港の現状というのがなかなか改善されていないということは、そのとおりでございます。  しかしながら、ノースピアの返還の問題につきましては、安全保障条約の問題もございますので、私どもとしましては、自力でできることといたしましては当面、大黒町の整備というものに中心を置いていきたい、それが現実的にとり得る私どもといたしましての道だと考えているわけでございます。
  179. 大出俊

    ○大出委員 簡単に承りますが、大黒町といまお話がありましたが、これは京浜埠頭公団でリース料がきまっていない。したがって一体、幾らでリースするのかということがはっきりしないものを、これは、どこの船会社でいったって話にも何にもならぬ。当面、困っているということをお認めなんだから、それならば、D突堤における二つのクレーンをもう一つふやすことについて、これはお認めを願わなければならぬことになる。そこらを一体どうお考えかということと、船が待っている、滞船していると、一日に五百万円から七百万円損金になっているんですね。三日から五日、たいへんな金額になる。そういうことですから、当然これはノースピアを、これは事務的な検討とおっしゃる、それはいいのだが、横浜の業界あげてほとんどこれはどこも、こんなばかなことがあるか、こんなになっているのに、あそこが閑散とあいている、そんなばかなことがあるか、そうでなければ旗でも立てて海上デモでもやるかというようなことを業界がいま考えておる、そういう混乱は私は避けていただきたい、そういう意味で、これはぜひ長官にも積極的に問題解決をするということで取り組んでいただきたいというふうに思うのですが、もう一ぺんひとつ両方でお答えいただきたいのです。
  180. 久保卓也

    ○久保説明員 私の持っておりまする答弁資料の中には、たいへんむずかしそうであるということがいろいろ書いてありまするが、それは申しませんで、私は先生の御趣旨を、一応努力といたしましては、前向きに検討してみたいと思っております。
  181. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 大黒町につきましては五十年に、ライナーのバースでございますけれども、四バースを供用開始したいと考えております。  それから、コンテナにつきましては、御承知のとおり、これはまだ契約ができていないわけでございますが、それと関連いたしまして、先生お話しの本牧のD突堤の機械につきましても、十分に横浜港の将来を考えまして措置をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  182. 大出俊

    ○大出委員 とりあえずその辺にしておきます。  そこでもう一つ、相模原の例の問題になりました補給廠、ここに九月の三日でございますが、午前九時四十分ごろ、トラック約十四台がかなりの機械を積んで入ったわけであります。空調類その他のようてありますが、この自衛隊1これは自衛隊の方々なんですが、トラックが十四台、赤羽の陸上自衛隊の補給処から来たものと考えていいのではないか。で、そうなると、これは相模原の補給廠が、赤羽との関連で、将来に向かって自衛隊の補給廠という形に変わっていく可能性が、全部とはもちろん申しませんが、出てくる。これは前からある話であります。これは今日、座間の米軍の司令部の工務局へ格下げになっておりますが、日本人従業員がここに三千六百人おりましたのが、今日八百人であります。したがいまして、完全な遊休施設化しておるのでありますが、そこに突如として自衛隊のトラックなどが入り込むと、これは陸上自衛隊のトラックでありますから、新たな問題を提起することになる。ここのところ、一体どういうふうに御判断でございますか。
  183. 久保卓也

    ○久保説明員 ちょうど私、いま初度視察ということで各地を見て回っておるわけでありますが、相模原は昨日見てまいりました。しかしながら、いまの自衛隊の分は見ておりませんが、防衛施設庁では米軍の廃品の処理もやっております。ところで以前、赤羽にいろいろの古い回収品が集まりまして、それが非常に周辺に迷惑をかけているという問題があって、米側に折衝しまして、それを赤羽に置かないで相模原に置いてくれないかということを申したことがございます。その事実、私、承知しておりませんけれども米軍の払い下げ品をあそこに持っていったものであろう。また現実にそういったものがまだ相当数残っておることを昨日見てまいりました。
  184. 大出俊

    ○大出委員 とりあえず承っておきます。  そこで、飛行機事故が過去十年間、資料をいただきましたら、たいへんな数なんですね。昭和三十九年から昭和四十九年七月まで、事故件数は百二十二件、おっこった飛行機は百三十一機。これは、そんなにおっこってしまってはなくなってしまう。  原因別の内訳は、操縦上の過失五十三件、六十二機。監督上の過失七件、七機。機材欠陥二十八件、二十八機。整備上の過誤三件、三機。気象の急変その他十四件、十四機。不明十六件、十六機。調査中一件、一機。合計百二十二件、百三十一機であります。そして、おなくなりになった方々がいろいろおいでなります。三十九年から四十九年の十年間で百七十名の方がなくなっている。もちろん、これは雫石事故がございましたが、この方々が百六十二名、金沢で四名、最近の、例のさっきちょっと出ました小牧で三名、その他一名。このほかに負傷した方々がある。財産その他の人身の損失その他がございまして、賠償金額が何と二十億三千五百万円、こういうことなんでありますが、いかにもこれは私は不納得なんですよ。飛んでいるからおっこちるんだといったら、それっきりかもしれぬけれども、そういうばかなわけにまいらぬと私は思っている。  私は、この点だけあげて、御答弁をいただいたらやめますけれどもあと新田原の問題で、現地の兒玉先生がお見えになっておりますので、短時間でございますが、あと追加質問をいただきますけれども、これだけの事故というのを、一体長官、どう御判断になりますか。しかも国民の税金を、その意味で二十億三千五百万円も使っている。それでもこの方々は完全に納得しているわけではない。こういう現状を、どういうふうにお考えになるかという点を承っておきたいのです。
  185. 山中貞則

    ○山中国務大臣 あってはならないことが起こってしまっており、そして申しわけないでは済まない事態が、やはり毎年絶えていないということについて、私がなりましてからでも、これは私がなる直前にファントムの爆発事故がありましたが、そのあと、徹底的に全部を調べて、だいじょうぶであるということの確認の後に飛ぶように飛行再開をいたさせましたし、またバートルがカナダで問題があったということで、これも徹底的なチェック方式を、二十五時間まで短縮しまして、だいじょうぶであるということで——これは操縦者も人の子であり、人間ですから、あぶない飛行機、ヘリであるとわかったら乗らないし、また、そういう心理的な不安がありますと、正常な各種精密機械を順序どおりいじったであろうものが、逆にいじってはならないものにも手を触れるおそれもあるし、省略してしまったりして事故につながる原因が出るおそれもありますから、心理的な要素も非常にある。  そこで、絶対に安心というまでは飛ばさないという原則を立てております。したがって、小牧の事件についても 先ほど申し述べましたごとく、申しわけないことでありまして、そのとき遺族の方が、あなた方は必ず、二度とこういうことは起こしませんとおっしゃるでしょう、しかし必ず起こりますよということを言われて、私はいまだに胸にそのことばが突き刺さっておるわけでありまして、さらに新田原で被害者がかりになかったといっても、また事故が、そのことばどおりに起こりました。私は責任者として、まことに申しわけないという気持ちで一ぱいでありますが、さしあたりいまのところ、F86Fも全部点検して、だいじょうぶであるというものを再開し、小牧については、御了解を得るまでまだ再開をいたしておりませんし、F104Jのほうも、新田原基地の飛行再開をいまいたしておりませんので、御了解を得、原因がはっきりするまで一そして二度と起こさないということを断言をすると、また先ほどの御遺族のおことばと同じことになりますが、二度と起こしてはならないという決意だけは、やはり持っていかなければならぬ。そのためには、もう整備の者に至るまでとにかく全員が、飛行機を飛ばせ、ヘリを飛ばせる者全員が、単に操縦のみならず全員が一体感となって、くぎ一本、ネジ一本まで注意をしていくということを繰り返し繰り返しやっておる次第であります。
  186. 大出俊

    ○大出委員 どうも長いこと済みません。
  187. 徳安實藏

  188. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの自衛隊機の事故に関連しまして、先月の二十七日に宮崎県の須木村において、F104Jの墜落事故が発生しているわけでございますが、現地の事情も調査し、また地区司令にもお会いしたわけでございますが、事故原因については、どういうような結果が出されておるのか、それを第一点としてお伺いし、さらに地区司令の見解は、F104Jについては、長官からの指示があるまで、事故原因を確認するまでは訓練をやらない、その他の関係については明確な答弁をしていない。しかし被害を受けました須木地区の住民を含め、全県内の住民は、やはりすべての飛行訓練を中止すべきじゃないかと、こういう強い要請があるわけでございますが、その後どのような処置をなされているのか、お伺いしたいと存じます。
  189. 山中貞則

    ○山中国務大臣 お話は全くごもっともでありまして、基地のある新田原あるいは墜落いたしました小林市北東等の、とにかく宮崎県全県民が、やはりそのことについての懸念を表明されているだろうと思います。ことに新田原は、基地としては、こういうことを申し上げてはおかしいのですが、非常にあたたかい周囲の雰囲気の中で見守られておる数少ない基地の一つであると私は主観的に思っております。そういうところで周辺の人々に不安を与えるようなことに、結果としていまなっておるわけでありますから、この原因究明については、とことんいたしたいと思っておりまして、それをやっておりますが、このF104Jの場合は、小牧のF86Fと違いまして、エンジンが県道の地下深く突き刺さっておりまして、相当破損いたしておりました。しかし、その前後を編隊機、長機が見守っておりましたし、あるいは今度は隊員が何とか人家を避けて、山のほうへ機体を向けながら脱出をいたして、結果として総務課長さんと議長さんのお宅、その他山林、シイタケ等に被害をおかけいたしましたけれども、生存しておるわけでありまして、本人がその事態においてどのような操作をしたかについては、できるだけ本人に対して、その操作についての正確な順序を追った追跡をいたしております。  その結果、現在までに明らかになりましたところを総合いたしますと、F104Jの機体整備の不備によるものではなさそうである。この操縦をしておりました者が、F86FからF104Jに移りましてから、訓練習熟に二十時間と、それから単独で訓練飛行を始めましてからはわずか四時間ということを考えますと、どうも最終的に、発火等の場合において、エンジン燃料が流れ込むところを、JP4、航空用ガソリンの流れをとめるためのみ使われる、ふだん使われるはずのないバルブを締めるスイッチみたいなのが前のほうにありますが——そこは使ってならないものですから、ふだんそこは密封みたいにしてあるわけです。したがって、今後はそこを、さらにもう一つ上を密封して、テープを張っておくようにさせましたが、あるいは訓練末熟のためにそこをさわったのではないか。そうすると、エンジンにガソリンの流れていく道をとめるわけでありますから、これは、もう完全に推力を失うという操作をみずからしたのではないかという疑問が残りました。  そこで、これらのところを、本人も、私の責任で末熟でありますということまではまだわからないわけでありますので、そこらを総合的にいま検討しておりまして、まだ飛行再開までいたしておりませんが、もしそうでありましたならば、これは、やはり訓練に完全に習熟してから、二十時間が正しいのか、もっと延ばさなければいかぬのかとか、あるいは地上におけるシミュレーター訓練その他でもっと習熟さしてから搭乗させなければいかぬとかいうようないろいろな問題がありまして、それらはすでに実行に移しております。  しかし、今回の事件については、それらの原因を究明するとともに、二度と御迷惑をかけないように、そういうような新田原基地に関して、いまはF104Jでありますが、そういうことが起こらないように、そして起こってしまった今回の事故については、それぞれ被害者の方々に対する物損について、十分そのお申し出を承り、私どもとしては、最大限の国家賠償の責めに任ずる。そして非常なショックだった、しかし、そこまでめんどうを見てもらえるならという、これは物損でございますので、幸いにしてそういうところまでお話し合いができるように誠心誠意努力をしたい、そういう気持ちでございます。
  190. 兒玉末男

    兒玉委員 墜落しました須木村は、過去の戦争中においても一ぺんも爆撃を受けたことのない非常に平和な地域であり、今回のジェット機の墜落事故まで、われわれの上空をこうしたジェット戦闘機がいつも通っておるのかという、航空路であるということも実は大半はしらなかった。今度初めてそれを知らされた。それから統計によりますと、新田原基地において104の事故がすでに六回、今回は七回目であります。でありますが、いままでの事故において、いま長官が申されたような、たとえばパイロットミス、未熟、こういうふうな因果関係というものを、事故が発生した場合は盛んに宣伝するけれども、その結果というものは、県民にも納得できるような解明がなされていない。でありますから、非常に不信感を持っているのが現状であります。本日の長官の答弁で、さらにわれわれは、104以外の関係についても、一切の解明がなされるまでは、この際やはり訓練の再開はすべきでない、こういう要望が強いわけですが、これについては、どういうふうな見解をお持ちなのか。  それから、これはきわめてむずかしい問題でありますけれども、現地における司令の説明によりますと、現在の104ジェット機の飛んでいるコースは、天草上空への訓練と、それから土佐沖でございますが、この二つの地域の上空への飛行というものがなされている。でありますから、地域の住民を含め、県民全体としては、人家の上空というものは、できるだけ避けて通るような航路の変更ということはできないのかどうか、もちろん一般の民間航空との関係もあり、きわめてむずかしことは了解できるわけでありますけれども、過去六回を含めて非常に不安のある問題でございますので、この際ひとつ、その辺の技術的な解決はどうなのか。  それからもう一点は、事故に関連しまして、操縦士は脱出できましたが、墜落地点が人家より二・五メートルという至近距離であり、その結果、幸いに死亡事故を免れたわけでございますけれども、家庭に残っている主婦のほんとうに冷着な処置がなければ、おそらく一名の人命は奪われただろう。こういうことから判断し、さらに付近の山林火災まで起きたわけでございますが、このような人家火災並びに付近の火災に対して、自衛隊の救助は確かに迅速であったけれどもあとの火災に対して、少なくともヘリコプターなりそういうふうな上空からの消火剤等の散布を通じて、火災等の災害というものが未然に防げる対策はできないのか。これに対して地区司令は、現在そういうふうな対策はありませんというように答えているわけであります。しかし少なくとも墜落事故には、当然火災が発生するということが、過去の例からも十分予想をされるわけでありまして、今日の消防関係、なかんずく山村僻地の場合は、消防車が現地に到達するまでに少なくとも二時間以上の時間を要します。こういう火急な場合には、当然ヘリコプターによるところの化学剤を使っての消火剤の散布という緊急的な対策というものを、防衛庁としては考慮してしかるべきではないか。これらの点について長官の見解を承りたい。
  191. 山中貞則

    ○山中国務大臣 雫石事件がございました後、防衛庁航空機の演習空域というものは、原則として国土の上で行なわない、いわゆる国民の住んでいる上空では行なわないということになりまして、民間航空優先のジェットルートその他を設定いたしました。そして自衛隊の演習は、原則として海上で行なうということになりまして、その間を回廊でもって、衝突その他の危険のないように運輸省との合意によってジェットルートを設定された。演習上は燃料のロスあるいは現地に着いてからの演習時間がきわめて少ない等の不自由がありますが、しかし自衛隊の置かれた現状から見て、民航優先ということでそういうジェットルートを通る、回廊を通るということにしてございます。  それで、全然人家の上を通らないで海に出れる回廊もあるわけですけれども、しかし、やはりどうしても人家の上のどこかを横切って海に出なければならない回廊が、地理的と言いますか物理的に存在するわけであります。これらのことがたまたま今回、まあ私のうちも近くでありますけれども、私もまだ足を踏み入れたことのないほどの山奥でございますが、そういうところにたまたま御迷惑をおかけしたということで、自分たちの上をそんな物騒なものが飛んでいたことを初めて知ったという御意見もっともだと思います。要するにこれは、どこかに出なければならない自衛隊の海上における空域の演習というものに対して、どういうルートがいいかについてはもう一ぺん検討してみます。しかし、どこかを通らなければ出られないという地形もまたございますので、おっしゃることは、御趣旨よくわかりますので、検討はいたしてみたいと思います。  さらに第二点の、火災が起こっているのに自衛隊そのものが、ヘリなり何なりで消火剤を持ってきて空から消したりなどしていない、あるいはそういう用意もないということを言っておったということ、これは実はそのとおりでございます。私はその点疑問を持っておりまして、山林火災への災害出動、あるいはコンビナート火災等において、延々三日も四日も水をかけ続けて燃え続けておる姿を見て、将来の大震災その他のときをかりに想定いたしますと、自衛隊が、燃え上がる火の帯になるであろう震災のときの道路の啓開とか、あるいはコンビナートの火災を空から消火剤で消す——山林火災等についても、いまは都道府県、自治体の用意してあります消火剤を積ましていただいて、上からまいたり、ときには水を、原始的な方法ですが、ばらまいたりしておるわけであります。  したがって、新田原にはそのような施設を持った飛行機もおりませんでしたし、その用意もなかったので、司令も事実をありのままに答えたものであると考えます。しかし自衛隊の任務として、正常な国民生活に突如として何かが起こった場合において、一般の消防等では手に負えない場合、災害派遣等を要請された場合において、消火剤の用意その他、あるいは消火専用の飛行艇なりヘリなり、そういうものがあっていいんじゃないかという気がいたしておりますが、これは消防庁のほうでも、来年度二機でありますか、腹一ぱい水を吸い込んでずっと散布したらまた着水して吸い込んで持っていくというようなのを、予算要求をしておられるようであります。  いずれにしても、官庁間協力等によって、そういう立体的な動作を敏速にやりませんと、それ以上被害が起こらないで済んだところにまで御迷惑をおかけする結果になるおそれがありますので、さしあたり自分が起こした事故に対する火災等に対して、緊急対策を各飛行基地ができるようにするにはどうしたらいいかという問題にも取り組みたいと考えます。
  192. 兒玉末男

    兒玉委員 最後に、二点だけお伺いして私の質問を終わりますが、第一点は、この前、人身事故がありました小牧基地をどこかよそに直す、それがどこから流れた情報か知りませんけれども、私の県内では、その移転先を今回事故の起きた新田原に持ってくるのではないか、こういうふうな非常な危惧の念を持っておる住民が多いわけであります。いまでさえも、どこかに出ていってもらいたい、こういうような情勢に加えて、その小牧の移転先が新田原であるというようなことになっては、これは、たいへんなことになる、こういう危惧の念を持っておりますので、これについて、長官も先ほど移転先はまだ考えられていないということでございましたが、一体どうなのか。  それから第二点は、先ほども若干お触れになりましたが、特に今回の事故がそういうふうな山間僻地であるだけに、住民の精神的なショックを含めて物的な損害補償等については、先般、長官代理の小坂総務長官も、要請については十分に誠意をもって当たるということが新聞を通じて報道をされておりますが、特に防衛庁長官は、この災害地に近い出身であり、県全体の住民感情を十分理解をしておられると存じますので、補償等については、万全の対策を講じていただきますことを強く要望しまして、二点についての御見解を最後にお伺いしまして、私の質問を終わります。
  193. 山中貞則

    ○山中国務大臣 小牧のF86Fを移動させることについては、予算要求をしておると申しました。しかし、これは皆さんおわかりいただけますように、どこに移るのだということを現時点において申し上げることは、きわめてむずかしいことでございます。かといって、どこに移るかわからぬのに予算をつけるということはあり得ないわけでありますから、予算がきまりますまでの間に、二、三カ所御相談を申し上げるということでございますが、その御了解が得られたら予算化するということで、まずわれわれとしては、御了解をいただくまで努力をする、そうして目的である小牧の過密地域からの配置転換を実現したい、こう思っておりますので、これは曲げてひとつ、予算ができ上がるときまでは、どこを対象にしているかという御質問はお許しを願いたい。ただ消去法で一つ一つ飛行場の名前をあげていかれると困るのですけれどもあとお答えしませんから……。  新田原に行くかどうかについてのお話でありますが、これはございません。そういう候補の中には入っておりません。これから先どこの基地を言われても、もうあとは答えませんが、今回事故を起こしたF104Jの基地である新田原について、F86Fが移るということはありませんから、この点は明確に申し上げておきますけれども、その他どこの党がお尋ねになっても、その先のほかのところは、もうお答えをいたしません。  それから補償の問題は、繰り返し申し上げますように、突如、第二次大戦中も体験しなかったような恐怖と実害を受けられたわけでありますから、それに対して私たちは、誠心誠意、心からの御了解を賜わるまでの補償を含めた措置をとるつもりでございます。
  194. 兒玉末男

    兒玉委員 終わります。
  195. 徳安實藏

    徳安委員長 中路雅弘君。
  196. 中路雅弘

    ○中路委員 私はきょうは、問題をしぼりまして、五十年度の業務計画も発表になっていますから、四次防の第四年度として——先ほどから非常に自粛ムードの話が出ていますけれども内容を見ると、とうていそういうものではない。昨年見送られたものは、目玉商品がほとんど復活してきています。これからの防衛構想にとっても、非常に重要な問題だと思いますので、具体的にお聞きしていきますので、簡潔にぜひお答え願いたい。先ほども質問する内容について少しお答えになりましたけれどもお答えしないというような話もありました。しかし業務計画に出ている問題については、ひとつ具体的にお答え願いたい。  質問に入る前に一、二点長官に最初質問しておきたいのです。防衛庁長官の訪米がきまったということが新聞で報道されていますが、現職の防衛庁長官が訪米をして、アメリカの国防長官あるいは国務長官らと外交、防衛問題等について会談するのは、一九七〇年に中曽根防衛庁長官がレアード長官と会談して以来のことだと思いますが、当時レアード長官と中曽根防衛庁長官は、七〇年の九月の会談で、これから日米安保条約の運用上の諸問題を含めて定期の協議をやっていくというようなことも話し合われておりますが、今度の訪米の問題は、この定期協議の続きであるのかどうか、訪米についての長官のお考え最初に簡潔にお聞きしておきたいと思います。   〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕
  197. 山中貞則

    ○山中国務大臣 中曽根構想というのは、どうもいろいろと後遺症を残しまして、たいへん私も困るのですが、レアードさんとの間に確かにそういうような話もあったやに聞いております。またレアードさんもおいでになりました。しかし今回は、そういうことと関係ありません。逆にいうと、それが実行されておりませんから、四年も五年も日米間の責任者の対話がない。そうすると、対話がないということは、いろいろとやはり誤解も生み、あるいはまた日本では、憲法とか国内法とか国民感情とか国会決議とか、いろいろなものがあることが、対応しないうちに責任者がかわったりなどして、それがつい忘れられて、いろいろな形で出てきて無用のトラブルを起こすおそれがある。やはり私は、率直に日本の意見を述べ、相手方も率直に言ってもらうということが必要だったと思います。  しかし、ただこちらのほうから時間を見ておりましても、なかなかありませんでしたが、招待を正式に米国の在日本大使を通じて受けましたので、今回、総理外遊の都合もございまして、ちょっと内閣としても若干のあけてもいい時間もあるようでございますので、いま米側にそういう一案、二案等を示しまして、どの案がそちらとしてはよろしいかということで言っておりますが、特別の目的を持って行くものではなくて、率直な対話というものを絶やすと誤解が起こりやすいということで、新しい対話の第一歩であるということにお受け取り願いたいと考えます。
  198. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、今度の訪米の時期から見ても、単なる対話という以上に重要な内容が含まれていると思うのです。先日アメリカの下院歳出委員会で、日本に対してNATO並みの防衛分担を求め、具体的な協議を開始するよう要望する勧告報告書が出されています。七五年度アメリカの国防支出権限法案への付帯文書という形でまとめられていますけれども、それだけに非常に重要な内容を持つ報告書です。この中では「友好的な日本がその通常防衛力を強化し、地域的な安全保障を助けることによって米国の負担は軽減される」ということを主張しまして、はっきりと日本による防衛分担の肩がわり論を展開しているわけです。報告書の中で「委員会は米政府の適切な諸機関が日本政府と協力して共同の防衛のより公正な分担を実現することが可能であると期待する」ということを提案しまして、アメリカ政府防衛分担問題で北大西洋条約機構、NATO同盟国と話し合っているにかかわらず、日本とはこれがほとんど実行されていない点を指摘しているわけです。  この報告書から見ても、アメリカとの軍事同盟の問題について、特に防衛分担ですが、アメリカのほうから、この中にも「具体的な協議を開始するよう要望する」というのがありますが、当然こういう問題も提起をされると思いますので、もう一言、単なる会談、協議という以上に、当然アメリカのほうから要請されてくるであろうこういう問題について、訪米されるにあたっての長官のお考えもお聞きしておきたいと思います。
  199. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私の得ております感触では、アメリカ政府が、あるいは国防長官が、国防総省を代表して、政府を代表して日本に対してそういうことを言うであろうというようなことは、感触としてありません。  先ほど言われました下院の歳出委員会の一九七五年度軍事予算に対する付帯レポートでありますが、これは委員会の採決等を伴う全会一致で合意したようなものでもなくて、ただスタッフが、それぞれ散って、報告書みたいなものを、まとめたものをつけてあるというだけのものでありまして、したがってこれが行政府を拘束するというようなものでもないことは、御承知のとおりであります。でありますから、これは行政府の発言でもありません。また上下両院の合意した事項でもありません。しかし中に書いてありますことは、下院議員の諸君が、歳出の、しかも人件費の構成を、人員の削減等から入ってきてそういうことを表現しておりますとおり、戦略戦術の面にはあまり立ち入っていない、なかなかおもしろい表現と申しますか、きわめて巧妙なものの言い方をしておる文章だと思うのです。  しかし、中に言っておることは、アメリカ側の過去の歴史を知らない人たちから見れば、当然そういう声が起こるだろうなということがだいぶあります。たとえば西ドイツなどは、これは米軍の西ドイツ駐留経費を完全に全額、同額相殺ということの協定まで結んでおりまして、実行しております。そういう国に比べて日本は、金は、もう全然そういう防衛分担などはしておらぬ。そういうようなことに対する不満の声は、今度のレポートでなくて、上院の外交委員会とか軍事委員会とか、そういうところでも私、聞いたことがあります。これは委員会じゃなくて、個人的なメンバーの声としてです。片務条約である。かといって、アメリカの国防総省あるいはアメリカ政府というものが、現行安保条約のあり方を変えてそういうふうにしようじゃないかという検討なり、私が行った機会に、そういう声が向こうから出るであろうというような心配と申しますが、そういうようなことは考えられない、そういう徴候は全くないという感じがいたしております。まあ情報によってですが……。
  200. 中路雅弘

    ○中路委員 当然、この四次防の今度の展望や、あるいは五次防構想についても話が出るのじゃないかと思うのですが、この問題あとの問題とまた関連してお聞きしたいと思います。  五十年度業務計画について、八月に防衛庁から発表されました。答弁もしやすいだろうと思いますので、できるだけこの中での項目に沿いながらお聞きしたいのです。  先ほども、非常に抑制型だということ、あるいは自粛ムードということは、一般新聞にも皆さんのほうからもPRされていますが、ここにも出ている主要装備の面で見ますと、昨年度計画でのぼらなかった四次防の目玉商品が軒並みに復活していまして、FST2改あるいはヘリコプター搭載護衛艦DDH、一〇五ミリ自走りゅう弾砲、あるいは新しく購入を予定している兵器をとってみましても、どれも大型、非常に高性能化したものでありますし、私は、アメリカ日本防衛分担の肩がわりの強化、自衛隊増強を強く打ち出していることと合わせてみまして、今度の計画がやはり基本的には、四次防を達成するとともに、新たな次の防衛計画の展開をこの中にも含めてきているというふうに考えるわけですけれども、項目に従ってお聞きしでいきたいと思うのです。  最初に編成ですが、「関西地区の防衛態勢を整備するため、第八高射特科群(ホーク部隊)を新編する。」というふうになっていますが、高射特科群といいますと、四個中隊くらいになるわけですから、一カ所二個中隊置いたところがありましても、三、四カ所は候補地がなくてはならないわけですが、この関西地区にホーク部隊を新編するというのは何カ所、どのくらい、どこの付近に置かれるのか、まだ最終的にきまってないとすれば、幾つくらい候補地をあげておられるのか、具体的におように、関西地区の防空態勢の整備という目的のために新編をするものでございますが、この配備先につきましては、ただいまのところ、関西地区の自衛隊が保有しております既存の施設の中に建てるということを考えておりまして、新たに土地の取得ということは考慮をしておりません。ただ問題は、地元の方々の御理解を得る必要がございますので、その間十分お話し合いその他の期間を持ちたいと考えておりますが、ただいまの時点で具体的にどこの基地に配備するかということについては、説明を差し控えさせていただきたいと思っております。
  201. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの問題でもう一言お聞きしておきます。新編するとなっていますが、これは五十年度に実際に実働させる計画なのかどうかということと、もう一つは、新編するということですから、おそらく四、五百名の部隊になると思いますが、これに関する定員増というのは、どういうふうにして部隊を編成するのか。いま陸上自衛隊は、欠員のもとにあるわけですが、あわせてお伺いしておきたいと思います。
  202. 丸山昂

    丸山説明員 編成は、群本部と、先ほど先生のほうでも、お話がございましたように、四個中隊からなっておりますので、したがいまして、定員は六百六十人を考えております。  それから、来年度陸の増員は十八万のワク内でやるということにしておりまして、このように新編をいたします部隊と、それから省力化をやりまして人員を削減いたしますものとを、十八万のワク内でやるということでやっておりますので、具体的のこの六百六十人をどこからひねり出すかということにつきましては、全体の相関関係で行ないますので、具体的に御説明はちょっとしにくい状況でございます。
  203. 中路雅弘

    ○中路委員 その次に、これは個所だけでいいんですが、「海上自衛隊第四術科学校を新編する。」とありますが、これは場所はどこに置かれるのか。
  204. 丸山昂

    丸山説明員 御指摘のとおり、舞鶴地区に新編をいたします。  それからついでに、これは定員が七十名でございますが、この第四術科学校は、いままで第一術科学校から第三術科学校までございますが、この中で現在行なっております経理、補給関係、これを全部ここへ統合いたしまして教育を実施するということを考えておりますので、第一術科学校から第三術科学校までのそれぞれあります定員を、こちらのほうに振りかえるということで考えております。
  205. 中路雅弘

    ○中路委員 できるだけ一項目の問題まとめて質問しますが、次はファントムの問題です。「F−4EJ型機による防空態勢を整備するため、第三〇三飛行隊及び臨時第三〇四飛行隊を新編する」ということになっていますが、現在三〇一が百里、三〇二が千歳に置かれているわけです。この三〇三と新しく新編する臨時——おそらくまだ一飛行隊に足りないので臨時がついていると思いますが、三〇四飛行隊、これは、どこに設置をされるのかということです。それから現在の百里と千歳のファントムは、何機実戦配備をされているのか。さらに、これで四飛行隊置かれるわけですが、ファントムは全体として百二十六機たしか取得されることになっていますね、最終で。十八機編成としますと、そのままあれば七飛行隊分であるわけですが、いま四飛行隊これで配備をされて、そのあと再来年、そのあとの配備計画はどのように考えておられるのか、この点もあわせて御質問したいと思います。
  206. 丸山昂

    丸山説明員 第三〇三飛行隊、これは小松基地に五十年度に新編をするということを考えております。  それから、臨時第三〇四飛行隊でございますが、これは築城に五十年度の末期に新編をいたしまして、正規に活動を開始いたしますのは、五十一年というところでございます。ので全体で百二十八機でございますが、この百二十八機は、ただいままでできております百里と千歳、それからいま申し上げました小松と築城、それからおそらく五十二年度以降五十三年度ぐらいになると思いますが、那覇にさらにもう一個隊設置を考えておりまして、これらの第一線の部隊に配置をいたしますほか、航空実験団、それから第一術科学校、こういったものに配備をいたします。それから当然のことでございますけれども、予備機として十六機、減耗予備機として十三機も考えておりまして、全体で百二十八機ということでございます。
  207. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほど午前中に質問で答弁がありましたけれども、いまのF86F、これは漸次退役していくと思いますが、先ほど、四次防末の飛行隊の十個隊ですか、中身は変わりましたけれども話がありました。これは、ある新聞にも出ていましたが、F86Fの油づけということで、二十九機が航空自衛隊岐阜基地の格納庫に入って、ほこりをかぶったままになっている、九年越しに格納庫にしまいっぱなしだ、防衛庁はこれを戦闘訓練用の標的、ターゲットに改造して消耗させる計画に着手したというようなことも一部報道されているわけです。  かつて一昨年ですか、国会でもこれは税金のむだづかいとして取り上げられたことがあり、疑惑を呼んだわけですけれども、当時の江崎防衛庁長官が、このF86Fについては、保存機は四十九年ごろから漸次第一線に復活させる予定ということを説明されたことがあります。これとも関連して、いまの油づけになっているF86Fをどうするのか。先ほど飛行隊の話がありましたが、機数として、四次防末、五十一年度末、最終年度の末に86と104と、それからファントム、この関係がどういうふうになるのか御説明いただきたいと思うのです。
  208. 丸山昂

    丸山説明員 四次防最終末の各機種別の機数につきましては、ちょっと後ほど申し上げたいと思いますが、ただいまご質問のございましたF86Fを標的機に使う、こういうことでございますけれども、F86Fそのものを標的機に使うという考え方はございません。昭和五十年度に、このF86Fの用途廃止になる直前のものを標的の曳航用に使用する。これは86を現に各国でも使っております。そういう使い方をしておりますけれども、そういうことを五十年度に研究をするという経費は計上してございます。  それから、モスボールのほうでございますが、現在二十九機ございます。これを五十年度に四機、五十一年度に九機、それから残りの十六機を五十二年度以降にそれぞれ解除をいたしまして、現役復帰をして使用する、こういう計画を持っております。このF86Fが用途廃止になりますのは、昭和五十四年度末というふうに考えております。
  209. 中路雅弘

    ○中路委員 さっきの数字は、おわかりになったところでけっこうですから話していただきたいと思うのですが、次に、これは先ほどからもう長官が、どこに置くかということは答えないという話をされていますが、これは法律事項になるわけですね、第三航空団の移動の問題ですから。「第三航空団を小牧基地から移動させるとともに、航空輸送の効率化を図るため、輸送航空団の一部を同基地に移動させる。」ということが業務計画に出ているのですが、まずお聞きしたいのですが、このファントム偵察機、四十九年度三菱から取得の十四機、これは、ことしみな入ってくるのか、何月ぐらいに入ってくるのかということです。十四機全部入るのかどうか。  それから、いまのファントムのことを聞く前に、第三航空団のことを聞きたいのですが、偵察機のことがありますね、それをちょっと飛ばしたのですが、「RF−4E型機による運用態勢を整備するため、偵察航空隊を百里基地に移動させる。」というのがありますね。これを先に聞いてからと思ったのですが、この偵察機は十四機ですね。いま言いましたように、何月ごろ取得されるのかということと「百里基地に移動させる。」というのがありますね。いま入間に置いている偵察航空隊を百里基地に持っていかれるわけですが、この偵察航空隊そのものを全部百里へ持っていかれるのか、向こうにある86偵察機は、そのまま入間に置いておかれるのか、こういった関係もお話し願いたいと思います。
  210. 丸山昂

    丸山説明員 まず最初に、先ほど調査してからお答え申し上げると言っておりました四次防末のF86Fなどの機数でございますが、F86Fが約百五十機、F104Jが約百六十機、それからF4EJが約九十機というところでございます。  それから、入間のRF86Fで編成をされております偵察航空隊、これを百里に移動させるわけでございますけれども、これは、ただいま先生の御質問にございましたとおり、RF4Eが取得されるということで、この十四機は、ことしの十一月から来年の三月、今会計年度末でございますが、その間に逐次取得をされます。  これを百里に移動する理由でございますけれども、この離着陸には滑走路が二千四百メートル必要でございます。ただいま入間の滑走路は二千メートルでございまして、まず滑走路が短いということと、それから御案内のように、百里には現在三〇一飛行隊がございます。これはファントムが主力になっておるわけでございまして、RF4Eもファントムを偵察機に変えたものでございますので、維持管理の関係上、非常に効率的であるということでございます。  一方、入間のほうのRF86Fでございますが、これは、すでに耐用年数も参っておりますので、逐次これが減少いたしまして、暫定的にはRF86Fの残りの機数でしばらく入間に臨時偵察航空隊を設置いたしますが、これは大体一年ぐらいの残存期間で消減をするということになっております。
  211. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、86偵察機を入間から百里へ持っていくというのじゃなくて、新しく取得したのは百里へ置いて、入間のは漸次オシャカにしていくということですね。  それから、この計画でいきますと、百里ですが、いまもお話のように、三〇一のファントムの基地になっています。そこへ新しくまた常駐していくわけです。私も何度か百里にも行ったことがありますが、騒音をはじめとしてさまざまな問題がありますし、御存じのように、いま裁判になって、まだ滑走路が曲がったまま、くの字形になっているという状態でもあるわけですね。ここへ相当機数ファントムが集中するということになりますと、百里の基地の強化というのは、一そう浮き彫りになってくるわけです。この点で滑走路の理由をいまお話しになりましたが、周辺であれだけ強い反対もあり、また、さまざまな問題も持っておる百里基地に、さらにファントムを集中していくという点については、私は強くこれにやはり反対せざるを得ないし、暴論ではないかと思うのですが、この点について長官にお考えをお聞きしたいと思います。
  212. 山中貞則

    ○山中国務大臣 自動的に滑走路の問題と使用される飛行機の問題等がございまして、その他にもいろいろと新しい機種が更新されるたびに基地が変わります。これは、やむを得ないことでございますが、百里の場合は、数が、偵察用であってもファントムがふえるのだというお話は、実はそのとおりでありますから、周辺対策等について、また安全対策、ことに成田空港の開港を予想しての航空路の調整、訓練空域の調整等は、十分慎重に運輸省等と詰めていかなければならぬということを、いままでも言っておりますが、万全を期してまいらなければならないということは私も考えておりますけれども、かといって、それを百里に配置しないというわけにもまいりませんし、これは物理的な滑走路の長さの問題ということで、地元にはそれだけの御理解を賜わるだけの努力は私たちがしなければならぬと考えております。
  213. 中路雅弘

    ○中路委員 これは、また重要な問題を持つわけなんで、別の機会に、この問題については御質問したいと思います。   〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕  その次に、先ほどちょっと質問しかけまして、長官もこれは答えないという話ですが、第三航空団を小牧から移動させる。この理由として「輸送の効率化を図るため」というのがここに書いてありますが、先ほどからの議論にもありますように、七月に飛行機が落ちるという墜落事故、こういったことも、いろいろ過密化の中での基地ということで、都市の中の要因があると思いますが、しかし移動させるということは、はっきり業務計画に出されておるわけですから、おそらく候補地は考えられてこの計画を出されているわけですね。  さっきお答えできないというお話ですけれども、新聞紙上あるいはいろいろうわさですと、三沢だとかが検討の対象にされておるということも話が出ておるわけですから、候補地としてあげられておるところがあればお尋ねしたい。
  214. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまのお話の中で、前置きをされました「航空輸送の効率化を図るため」というふうに書いてあるのは、実は小牧のほうに、「輸送航空団の一部を同基地に移動させる。というほうにかけて読んでいただきたいのであって、前のほうはただ単純に、F86Fの第三航空団を小牧基地から移動させる。」というだけのことであります。その先については、候補地を一カ所にしぼってはおりませんで、若干の個所について御相談を、これから十二月の末までかかって申し上げなければならないし、それに対していろいろと紆余曲折をたどるであろう、しかしわれわれも、全精力を傾けて御了解をいただく努力をしなければその場所の発表はできないということでございます。
  215. 中路雅弘

    ○中路委員 第三航空団のほうは、どういう航空機を持っているのか。その点について、一応ここでお伺いをしておきたいと思います。  それからもう一つ続いてですが、いま言われた小牧あとに「輸送航空団の一部を同基地に移動させる。」というのがありますが、これは、おそらく美保から移動させるのじゃないかと思うのです。「一部を同基地に移動させる。一というのはじゃ美保基地の全部を持ってくるのか、美保基地にある輸送航空団の一部をこちらに移動させるのか。先ほど、墜落事故もあって、長官は非常な都市の過密の中の航空基地ということをお話しになりましたけれども小牧からいずれにしても第三航空団が移動する、しかし、そのあとには、この業務計画ですと輸送航空団が入ってくる。もしC1ジェットが落ちれば、86以上に大きな被害を与えることば事実なわけですね。小牧の周辺の人たちが、この墜落事故から、非常に強い基地の撤去まで含めて要望されている中で、一方でそういう対策も含めて移動する、一方ではC1を持ってくる。輸送航空団ですね、これは、また新しい問題を小牧の周辺に投げかけると思うのですが、この辺、移動がどういう形になるのかということを含めてお考えをお聞きしたいのと、それから先ほど言いましたように、美保の輸送航空団を全部持ってくるのか、一部持ってくるのか。今度は、美保のあいたところ、美保基地はどうするのか、含めてひとつお答え願いたいと思います。
  216. 山中貞則

    ○山中国務大臣 小牧は、軍民というとおかしいのですが、自衛隊と民間との共用飛行場であります。先般、当日御遺族の前におわびに参りましたときも、いろんな飛行機が飛んでいるから、どれが落ちるかわからぬし、あるいは自分のむすこでなくて、ほかの人であったかもしれないのだ、しかし、せめて自衛隊機だけは落ちないようにしてくれなければならないでしょうという訴えを私は受けたわけでありますが、確かにそのとおりだと思います。ただ民間航空機は、依然として今後もあそこを使用するわけであります。大体、地元の方々の御意向も、戦闘訓練を行なう戦闘機というものは、この基地から出ていってもらいたいということ、一機もいなくなればいい、民間機もいないほうがいいという御意見等もいろいろありますが、集約するところ、とにかくF86F戦闘機というものは出ていってもらいたいという声に集約されるし、また私どもも、人口稠密地域の中でありますから、象徴的なところとしてその御意思に合わなければならぬ、そこまで環境が来たと思っております。  しかし、C1あるいはYS11等、まあC1はいま二機ぐらいしかありませんけれども、かりに移しましても、これは自衛隊の戦闘機ではありませんで、輸送機でありますから、普通の民間航空機と同じでございますので、その点は、知事さんをはじめ県会議長さん、地元の方々皆さんに、戦闘機を移します、そのかわりにC1、YS11等、一部まあ司令部が美保に残りますけれども、そういうものはお許しいただきたいという御了解を賜わる努力をすれば、地元の方々は、その点は、私どもとちょっと御意見が違うかもしれませんが、地元のほうで御了解を賜わるような感触をいただいておるわけでございます。
  217. 丸山昂

    丸山説明員 まず、第三航空団が小牧から移ります場合、人員が四百二十人、それから装備はF86Fが二十五機、T33が四機、こういう規模の部隊であります。それから、ただいま長官から御説明ありましたように、美保のほうから輸送航空団の一部を移すということでございまして、その場合にはC1とYS11、これが数機でございます。
  218. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点。先ほどお聞きしたのですが、美保の基地は、あとどうするのかということのお答えは……。
  219. 丸山昂

    丸山説明員 美保は、輸送航空団の司令部と、それからその隷下の、ただいま申し上げました小牧に移りました残りの航空部隊と、それから航空の第五術科学校というのがございますが、これが行く行くは置かれるということになる予定でございます。
  220. 中路雅弘

    ○中路委員 これだけに時間をとれないわけですが、いま航空隊の移動、そういうものを概略お聞きしましても、全体として、百里の基地あるいは第三航空団についてはお話しになりませんけれども、たとえば三沢ということになれば、いまミッドウェーの艦載機も向こうに集中していますし、三沢基地あるいは小牧等を含めて航空基地が強化される、相当変貌していくということは事実じゃないかと思うのです。これは周辺の住民の皆さんにとっても、また大きな問題を投げかけると私は思うのです。この点でも、いまお話をお聞きしただけでも、お答え願えないところもありますけれども、全体として主要航空基地が相当大きな変貌を遂げ、強化されていくということも、私は非常にはっきりしてきたのじゃないかというふうに思います。  陸上の問題ですけれども、要点だけお聞きしますが、七四戦車は四十九年に四十両取得、それから六十両を今度発注されるわけで、百両入ってくるわけですが、いままでの六一戦車は、これから一切生産はされないのかどうか。四十九年度予算にもあげておられないわけですから、七四にかわるのだと思いますが、この六一と七四戦車とでは、簡単にいいましてどういう違いがあるのかという問題と、いま取得される四十両は、どこに持っていかれるのかということですね。それから六一戦車は、大体いつごろまで使われるのか、現在何両あってですね。こういう点について、まとめてお聞きしたいと思うのです。
  221. 丸山昂

    丸山説明員 七四式戦車と六一式戦車の違いでございますけれども、これは火砲の威力それからコンピューター化された部分が多い。それと徒渉能力といいますか、川を渡る能力があるというような点などがございます。おもだったところは、そういうところでございます。  七四式戦車は、四十九年度契約分が四十両、それから五十年度に六十両ということでございまして、この百両の配備先は、富士の教導団、それから北部方面隊の機械化部隊でございます第七師団、これを予定いたしております。  六一式戦車との関係でございますけれども、ただいま申し上げましたようなテンポで七四式戦車の調達が行なわれますので、これが全部隊に渡りますまでには相当の期間がかかるわけでございます。そこで、できるだけ六一式戦車を活用をしていくということで、相当の期間この二つの戦車を併用するという時期が続くものと思われます。
  222. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一言聞いておきたいのですが、七四にかわるいわゆる五次防戦車といいますか、新しい戦車の将来研究というのが行なわれていると思いますが、もしありましたら、将来研究はどうなっているのか、また、それはどういう特徴を持ってくるのか、もしお答え願えるようでしたら簡潔にお願いしたい。
  223. 山中貞則

    ○山中国務大臣 七四式戦車は、現在は仮称でありますが、近く正式名称にいたします。その七四式戦車は国産の——先ほど局長が申しました中で砲身、砲座の安定というものが非常な特徴になっておりますが、それを落としておりましたけれども、こういうことで、大体日本においては考えられる最も合理的な、日本の地形あるいは地勢相当のトンネル幅、狭軌の鉄道、そういうもの等の性能ではもう一ぱい一ぱいのもの、これ以上のものを要求する必要もないのではないかということで、新しい戦車の研究に取りかかるということは、いままだ予定いたしておりません。むしろ七四と六一の残りで、六一戦車もなるべく長く使いながら、充足率がなかなか達成できませんので、当分は七四式戦車というものでやっていくということでございます。
  224. 中路雅弘

    ○中路委員 次に、四十九年度やはり見送りになりました一〇五ミリ自走りゅう弾砲ですが、今度十六門、それから一五五ミリ自走りゅう弾砲を入れますと、ことし初めて両方で二十二門になりますね。四次防計画ですと、両方でたしか九十門になると思いますが、あと残りの六十八門は、将来どういうふうに取得する調達計画になっているのか、自走りゅう弾砲についてのこれからの計画をお聞きしたい。
  225. 丸山昂

    丸山説明員 まず、一〇五ミリの自走りゅう弾砲十六門でございますが、これは富士の教導団と北海道にございます第二師団、これに配備をする予定でございます。それから一五五ミリの自走りゅう弾砲六門、これは富士の教導団の教育用に配備をするということを考えております。残りの六十八門でございますけれども、このうちの大部分は、実は一〇七ミリの自走迫撃砲でございまして、これが四十三門ございます。これにつきましては、五十一年度以降で検討したいということで、実は本年度の取得を繰り延べたという経緯がございます。いまのところ、今後の計画としては、いまの一〇五ミリの自走りゅう弾砲と一五五ミリの自走りゅう弾砲の残部を五十一年度、それから一〇七ミリにつきましては五十一年以降ということを考えておるわけでございます。
  226. 中路雅弘

    ○中路委員 これは昨年度の業務計画になかったわけですが、八月一日付で陸上自衛隊の唯一の機甲化部隊であります第一戦車群が、第一戦車団と団に格上げされたわけですが、四十九年度の業務計画にこれはどうしてなかったのか、まず最初にその点をお聞きしたいと思います。
  227. 丸山昂

    丸山説明員 これは四十九年度の業務計画として計画を立てておりましたものでございます。  この戦車群を戦車団にいたしました中身は、ただいまの第一戦車群とそれから上富良野にございます装甲車部隊、これを合わせまして一つの戦車団に編成がえをしたということでございまして、そのねらいといたしましては、最近の実戦の教訓からいたしまして、戦車部隊と装甲車部隊とが相互に密接な関連で運用をされる必要があるという、そういう戦訓をとりましてこういう編成がえにいたした、こういう経緯でございます。
  228. 中路雅弘

    ○中路委員 もう少しお聞きしたいのですが、編成では、上富良野の装甲輸送隊を吸収するといういまのお話ですがね、戦車は特別ふえないのかどうかという問題が一つと、それから何両くっつけるのか。それから編成だけしておくのか、上富良野のこの部隊を千歳に持ってくるのか、編成をして上富良野にはやはり装甲輸送隊はいるのかどうか。それから従来の戦車群のときに、いずれにしても弾薬や戦車燃料というのは必要だと思うのですが、装甲車両というのはなかったのかどうか。そういった点をまずお聞きしておきたいと思うのです。
  229. 丸山昂

    丸山説明員 ただいま上富良野にもう一つの第四特科群というのがございますが、これは今回この編成には関係がございません。それで装甲輸送隊は上富良野に置きましたまま、そのまま編成がえをするということでございまして、戦車は、現在戦車群の場合には二百十六両でございますけれども、それが六両ふえまして二百二十二両でございます。あまりたいしてふえません。  それから二番目の御質問の装甲車でございますが、これは在来からずっと整備されておるものでございます。
  230. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどちょっととお話しになったのですが、もう少しこれは詳しく聞いておきたいのです。  戦車団をつくる目的といいますか、戦車はいまお話しのように六両しかふえていませんが、装甲輸送隊をつけるというのが、この群から団になった一番大きな特徴ですね。人数はどのぐらいふえるのかということもあわせて聞いておきたいのですが、この戦車団、装甲輸送隊をつけて戦車団に編成がえをする、これは何をするのかということですね。この群に装甲輸送隊をつけたというところの特徴といいますか、目的といいますか、機能といいますか、そういった点を、先ほど少しお話しになりましたが、もう少し詳しく……。
  231. 丸山昂

    丸山説明員 先ほども申し上げましたように、戦車部隊が単独で行動をするよりは、普通科部隊を装甲車に乗せて、それを戦車部隊に随伴させて共同作戦をするということが効率的であるということで、こういう戦車団が外国の事例にもございます。それで、そういう形に編成がえをするということでございます。  人数でございますが、これは戦車群の場合に千八百人でございますが、これが八十人ふえまして千八百八十人ということになります。  戦車は、先ほど申し上げましたように、二百十六両が二百二十二両、それから装甲車は、百二十二両が百二十七両にふえるわけでございます。
  232. 中路雅弘

    ○中路委員 これも、いわば事実上、代表的な装甲師団にひとしいものをつくられるわけで、補給を受けないで、しかも原野をいろいろ装備、弾薬、燃料から兵員までつけていくわけですから、ある意味では遠征軍ともいえる機能を持った部隊が今度初めてできるわけですけれども、この点でも非常に重要な点が含まれていると思います。  もう一つお聞きしておきたいのですが、演習地ですね。この一大戦車団の演習地というのは、どこか考えておられるのか。
  233. 長坂強

    ○長坂説明員 北海道に北海道大演習場というのがございます。島松の演習地とか恵庭の演習場を持っておりますが、そこと上富良野の演習場、これを使っております。
  234. 中路雅弘

    ○中路委員 沼田等は、新聞紙上で出たことがありますが、この点についてはどうですか。
  235. 長坂強

    ○長坂説明員 これとは関連がございません。別な問題でございます。
  236. 中路雅弘

    ○中路委員 きょうは、できるだけ詳しく、どういう編成になるのかお聞きするということを中心質問しているものですから、一つ一つについて議論をするということは避けたいと思うのです。  海上のほうですが、海上自衛隊で、これも四十九年度予算繰り延べの、四次防の目玉でありましたヘリコプター積載護衛艦DDH五千二百トンが出ていますが、従来の四千七百トンですか、これと比べて非常に大型になっているわけですが、どこが違うのかということが一つです。  海上を一緒にお聞きしますが、潜水艦も二千二百トン、従来の千八百トンに比べて非常に大型なのが登場してきています。これもどこが違うのか、どういう点が特徴なのかという点、まず、この二つについてお聞きしたいと思います。
  237. 丸山昂

    丸山説明員 最初に、ヘリコプター搭載護衛艦でございますけれども、在来型が四千七百トン、これが五千二百トンにふえておるわけでございますが、装備的に増強されますのは、五インチの単装速射砲二基、これは在来から積んでございますけれども、そのほかに短距離の地対空誘導弾、これを載せることにしてございます。  それから、今回予算では要求をしておりませんけれども、将来三五ミリの機関砲も載せるというようなことを考えております。  それから、潜水艦のほうでございますけれども、四十九年度の千八百トン、これから二千二百トンにふえるわけでございますけれども、これは深度増と、したがって水中の航続力の増加、こういったものに伴う排水量の増加ということでございます。
  238. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一つ補給艦ですが、これも五千トンという非常に大きな補給艦が出てきていますが、補給艦というのは何をするのか、輸送艦と違うのか。いわゆる工作艦といいますか、補給艦の中で簡単な修理やそういうものができるのかどうかということ、この補給艦というのは、何のためにこういう大きな補給艦をつけるのかという問題なんですが、この点もひとつお聞きしておきたいと思います。
  239. 丸山昂

    丸山説明員 輸送艦のほうは人員、装備を海上輸送するために建造される船でございますが、補給艦は弾薬、衣料品、医薬品、食料、それから水、こういったものを運びまして海上活動の護衛艦に給与をする、こういう目的を持ったものでございます。
  240. 中路雅弘

    ○中路委員 いま申しました修理のあれはどうなんですか。
  241. 丸山昂

    丸山説明員 修理能力はございません。
  242. 中路雅弘

    ○中路委員 海の場合も、時間がありませんから一、二の例でお聞きしましたが、すべての艦が大型化してきている、それから装備も一段と強化されてきているということが、この四次防最終二年度ですね。四年度に出されている計画を見ても、非常にはっきりしてきているのじゃないかと私は思うのです。  海の問題でもう一つ、いま四個護衛隊群があるわけですが、このままいきますと、相当艦隻もふえてくるわけです。いままでも論議になっておりましたが、四次防末でこの四個の護衛隊群というのはどうなるのか。五個護衛隊群にいつするのか。あるいはハンターキラーグループを独立してつくるのかどうか。どういう見通しでやっておられるのか。これも簡潔でいいのですが、お聞きしておきたい。
  243. 丸山昂

    丸山説明員 四次防までに四個護衛隊群ということで、これは末においても変わりはございません。三次防がこの四個護衛隊群のうちの一護衛隊群を近代化するということで大体目的を達したわけでございますが、四次防は、その残りの中のまたさらに一護衛隊群の近代化、それから、その残りの近代化の着手というのが目標であったわけでございまして、結果的にいまその目標を達成し得るかどうかということは、先ほどからるるお話が出ておりますように、問題はあるわけでございますが、全体の量としては、四個護衛隊群という考え方は当面変わっておりません。
  244. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一つ対潜飛行艇、PS1ですが、いま岩国に一飛行隊がありますが、これから何機つくられる計画なのか、それから、これがふえますと飛行隊を分けられるのか。これも一説によりますと、大村とかあるいは大湊とか新聞紙上出ておるのもありますけれども、対潜飛行艇のこれから以降の計画、この点についてお聞きしたいと思います。
  245. 丸山昂

    丸山説明員 PS1につきましては、大体毎年二機ないし三機というペースでずっと調達を続けてまいっております。本年度取得いたしますものは、これは対潜機ではなくて救難機でございますけれども、大体、今後このPS1につきましては、わが国の周辺の浅い海域、それから海狭に配置いたしまして、哨戒、探知、攻撃能力を充実していくということを目標にいたしておるわけでございます。五十一年以降にさらにこの航空群を増強するかどうかということについては、ただいままだ検討されておりません。
  246. 中路雅弘

    ○中路委員 あと海の問題で二つばかり簡潔にお聞きしますが、これは委員会で私もいままで何度か取り上げてきた問題ですが、横須賀の艦船修理部、SRFが、一−三号は自衛隊、それから四号、五号が共同使用ということにきまりましたが、現地でのお話を聞きますと、まだ協定が結ばれていないというお話ですが、この前きまりましたこの使用の新しい形態でいつから発足をする見通しなのかということが一つと、まだ協定が結ばれていないとすれば、何か障害があるのかどうか。それからもう一つは、これで海上自衛隊としては初めて自前での、小さいながら艦の修理能力を持つようになるわけですが、将来自衛隊として独自の艦艇の補修、修理能力、こういうものをどのように持とうとしているのか、もし構想、お考えがあったら、これもあわせてお聞きしておきたい。
  247. 久保卓也

    ○久保説明員 現地協定を取り結ぶべく、横須賀の施設事務所とそれから米側とで協議を進めておるわけでありますが、内容的には消防の問題、衛生関係の問題、それから付帯施設の使用の問題、入出渠、その他いろいろ具体的な問題がございます。  それで、それらについては、おおよそ合意ができつつあるわけでありますが、いま一番むずかしい問題として残っておりますのは、米側あるいは日本側で事故が起こった場合に、その責任をどういう手続でどういう補償をするかという、その補償問題がございます。それについて、米側の提案必ずしも私どものめないようなことで、だいぶ時間を遷延しておりますが、この点について、そう遠くないうちに合意ができるであろうということであります。時期は、まだ明言できる段階ではございませんが、そう遠くないということで、したがいまして、それができ上がりました後に、具体的に運輸省側あるいは海上自衛隊側で使用できるようになります。
  248. 山口衛一

    山口説明員 御質疑の次の点でございますが、横須賀のSRFのドックの使用計画並びに今後の自衛隊におきます造修能力の確保に関する御質疑につきましてお答えいたします。  最初のドックにつきましては、一−三号につきまして、もし現地協定が締結されれば使用をさせていただけることになるわけでありますが、このそれぞれのドックの大きさが違いますので、現在考えている予定といたしましては、第一号ドックにおきましては護衛艦、いわゆるDEクラス、中型でございますが、それと特務艦、すなわちいわゆるLSTのような輸送艦を含むものでございますが、それと駆潜艇、こういうようなものの造修に充てたい。それから第二号ドックは、比較的大型でありますので、いわゆる大型護衛艦、DDクラスでございますが、これと練習艦、こういうものの、いわゆる一年に一ぺんの年次修理以下の、まあ中規模以下の修理に充てたい。それから第三号ドックは、これは小型でありますので、いわゆる支援船、それから掃海艇クラスの小型艦艇の定期、年次、臨時と、それぞれの修理をここでできたらやらせたいというふうに考えております。  また、今後の造修能力につきましては、御承知のとおり、自衛隊の現在の造修所が非常に小さいものでございますから、ほとんどのものを民間の造船所に修理に出しております。わずかに支援船の一部についての小型修理しかやっておりません。また現状におきましては、この自衛艦の修理というものは、非常に期間が長くかかるのが通例でございまして、普通の商船ですと数日でできるものが、定期修理になりますと、護衛艦クラスは四カ月以上かかるということで、民間造船所ではあまり歓迎されないお客というような状況に最近なっておりまして、御指摘の今後の造修能力の確保につきましては、私どもは非常に憂慮すべき点があるんじゃないかというふうに考えますが、いずれにいたしましても、今後自衛隊自体で修理能力を何とか確保していきたいという希望は持っておりますが、なかなかむずかしいような事態になりつつあるというような感触を持っております。  以上でございます。
  249. 中路雅弘

    ○中路委員 海のことでもう一つお聞きしておきたいのですが、三次防以来、三つの海峡の監視体制の強化ということを方針としてとっておられますが、私のほうの東中議員がソーナーの問題で前回質問したことがありますが、その際に説明に来られた方のお話ですと、LQO3の説明を受けたときに、大体十数セット置きたいというようなお話もありました。そこで、どのような進行状態かということをひとつお聞きしておきたいのと、どういう体制で三海峡の監視体制をやろうとしているのか、ソーナーの問題とあわせて最初にお聞きしたいと思います。
  250. 丸山昂

    丸山説明員 三海峡のうち津軽海峡につきましては、二セット、それから対馬海峡につきましては一セット配置をしております。宗谷海峡についてはまだやっておりません。
  251. 中路雅弘

    ○中路委員 この際、お聞きしておきたいのですが、この前、当時の防衛局長の久保さんが、領海外に出ているということはない、領海外に長くソーナーが設置されていることはないということをたびたび御答弁されたのですが、もし領海外にそういうものが敷設されているということになれば、これは自衛隊のものじゃないということで確認していいかどうか。また、そういうものを引き揚げても文句は出ないでしょうか。その点ひとつ、この機会にお伺いしておきたいと思います。
  252. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは前にもそういう議論をしたことがあるのですが、まあ領海内ということにずっと答弁しておりますし、事実そうです。が私は、ソーナー、すなわち水中聴音装置でありますから、これが公海上に延びて問題がある、相手からそれによって攻撃を受けるというようなものではないので、これは空中から投下したソノブイというようなものが海底にあるようなものでありますから、領海、領海外ということは、あまり問題にならぬのじゃないかということを言っております。  そこで、あなたたちが、じゃあトロールを雇って引き揚げても国有財産じゃないというんだなというおどかしと申しますか、やるぞというお話がありましたが、それは、おやりになってもけっこうでありますし、この間も実は潮で流されたりトロールで引っかけられたりして揚がったこともありますが、領海十二海里等になりますれば、津軽海峡は全部わがほうの領海になりますし、対馬、宗谷を残すのみのほとんど全部が了解と言っていい海峡になります。そうなればその領海の論争も、大体海峡においては問題ではなくなる。それは大勢でしょうし、来年きまりますかどうかわかりませんが、いずれにしても、現時点においてはそういうことはない。かりに突き出ていたにしても、ならばそれはたいへんけしからぬことなのか、攻撃的なことなのかといえば、それは海上自衛隊の艦艇が五、六百海里というものを警戒訓練海域にしておるというのと領海、現在は三海里との関係はいかにと言われるのと、まあほぼ似たようなことじゃないか。哨戒P2Jとかいうようなものも、やはり領空外に出ておるわけでありますが、戦闘行為を相手側に領土外でけしかけるというものでないということだけは、これは私ははっきり言えることだと思っております。
  253. 中路雅弘

    ○中路委員 皆さんが領海外には敷設してないということをしばしば強調されておりますから、だからお聞きしているわけなんです。  それから、三海峡以外にもだいぶやっているらしいのですが、これは一つだけどういうことなのかということでお聞きしておきたいのですが、観音崎です。観音崎に五月の二十九日ですが、ソーナーの敷設がやられているわけです。これは、どういう性質のものなのか、御存じでしたら御答弁願いたいと思います。
  254. 山口衛一

    山口説明員 御指摘のケーブルでございますが、これは本年の五月の二十九日から同じく本年の七月の十一日までの間におきまして、防衛庁の技術研究本部におきまして実施した工事がございます。これはケーブルを海の中に出しまして、その先にマイクロホン及び一部そのパルス符牒変調の装置をつけたものでございまして、現在技術研究本部で開発中のものの実用試験でございまして、海中音を陸上に音波として伝達する方式の基礎実験をこの間やりました。このケーブルを観音大坂の鼻というところでこの期間おろした事実がございます。
  255. 中路雅弘

    ○中路委員 時間がなくなってきたので、できるだけ時間内に終わるように少しスピードを上げます。  あと航空自衛隊です。この中でT2の練習機、初めて十九機がここに出てきていますが、この基地はどこに置かれるのかということと、もう一つはFST2改の二十二機、これは、いつごろ手に入るのか、残りはどういう計画で、これから取得される計画なのか、四次防残り四十機あると思いますが、あわせてこれもどこに置かれる計画なのか、何飛行隊を持たれるのか、大体以上の点まとめてひとつお答え願いたい。
  256. 丸山昂

    丸山説明員 丁2の十九機につきましては、昭和五十年度に納入される予定のものでございまして、これは松島の基地に配備をいたしたいというふうに考えております。  それから、FST2改でございますが、これは現在概算要求中でございますので、確定的な納入時期については申し上げる段階ではございません。  それから、将来の配備の問題でございますが、これも御案内のとおり、F86Fにかわって支援戦闘機として配備をされますので、大体、第三航空団あるいは第八航空団といったところを予定しておるわけでございます。
  257. 中路雅弘

    ○中路委員 もとへちょっと戻るわけですが、終わりに人員の問題ですが、これは二年ぶりで今度防衛二法の改正案として当然国会に出される問題ですが、海上が千三十四名ですか、航空七百三十三名の人員増が計画の中で出されています。「艦艇及び航空機の取得」これは、わかりますが、その次に「部隊の編成等に伴い、」というのがありますが、何の部隊の増員が関連して考えられ、どんな部隊ができるのかという問題、これを一言お聞きしておきたいと思います。
  258. 丸山昂

    丸山説明員 これは先ほどから御説明申し上げておりますように、部隊の新編されます、いろいろございましたが、その部隊でございます。それから、それに見合った形で改編あるいは消滅をするものもございますが、そういうものを総合的に見まして、ただいまお話にございましたような増員が出てくる、こういうことでございます。
  259. 中路雅弘

    ○中路委員 その次の問題ですが、「新たに防衛駐在官三人を派遣する。」となっていますが、どこに派遣されるのかということと、この際、これは長官に最初お聞きしたいのですが、防衛駐在官というのは、どういう任務を持つのか、この三名増員のところには「国外軍事情報収集態勢を拡充するため、」というのがありますが、最初にこの点をお聞きしたいと思います。
  260. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いま議論しているのですが、これは予算要求案ですから、いままでの例からみますと、おそらく一人ぐらいしかもらえないのではないかと思うのです。この一人も来年もらえるかどうかわかりませんが、私どもの配置予定ということで大蔵省には説明しなければなりませんから、その意味で、いただければという配置先は、イラン、オーストラリア及び中国ということでございます。これは予定でございまして、一名になったときは、どこにするかという選択はそのときになっていたします。  防衛駐在官の任務、これは外務省に出向いたさせます。したがって、外務省の大使の指揮を受けて行動いたします。しかしながら、あくまでも防衛駐在官でありまする以上は、軍事的な情報の収集等に当たるのが当然の任務でありますし、また、その連絡等に当たるのが付随してまいりますが、それは、いずれも大使の指揮を受け、大使館員の身分としての行動ということ、そのワク内で行なわれるということでございます。
  261. 中路雅弘

    ○中路委員 一つ具体的に、これと関連してお聞きしておきたいのですが、これは先月の三十一日の各新聞が報道しています。朝日新聞を引用しますと、韓国の防衛駐在官の問題ですが、先月の三十日に韓国の「合同参謀本部議長や陸、海、空三軍の各参謀総長をはじめ、全軍の主要基地、部隊の指揮官を招集、緊急会議を開いた。」そのあと、これは朝日新聞とほかの新聞と幾らかずつ違いますが、朝日新聞の記事を見ますと「なおこの全軍指揮官会議あと、韓国軍合同参謀本部の尹戦略情報局長日本大使館の久松公郎武官(一等空佐)を呼び、約二時間にわたって話し合った。日本大使館筋によると、尹局長は「日本にある北の対南工作基地が韓国の安全にとって見逃せない強大なものになっていることを軍は重視している」と強調したという。」という記事が出ているわけです。他の新聞の報道を見ましても、韓国駐在の日本防衛駐在官が韓国の参謀本部の局長に呼びつけられて、北からの脅威に対して日本は認識が甘いというような、新聞報道を総合しますと、苦情を受けている。こういうことが防衛駐在官の仕事なんですね。  この会議は、まずお聞きしますけれども、軍事協議なのかどうか、呼ばれて話し合ったというこの内容がですね。また身分は外交官の身分ですけれども防衛駐在官がこのような外交の基本にかかわる問題、特にこの内容でいえば内政干渉の問題ですが、こういう問題について話をしていく、これはどういう問題なのか。また新聞に出たこの報道について、外務省あるいは防衛庁は、こういう事実についてどのように報告を受けておられるのか。これは外務省ですか、防衛庁ですか、どちらですか。
  262. 丸山昂

    丸山説明員 これは、ほんとうは外務省から御答弁いただくと妥当なのでございますけれども、私ども外務省からお知らせを受けております中身についてお答えを申し上げたいと思います。  まず、事実関係でございますけれども、ただいまの御質問によりますと、新聞記事には何か合同会議に出席をしたように書かれておりますけれども、これは非常に事実と反しております。八月三十日に韓国合同参謀本部からの求めによりまして往訪いたしました韓国日本大使館の久松公郎書記官、これは形式は書記官でございますが、防衛駐在官でございまして、同部の尹輿禎情報局長からメッセージを受けた件であるということでございまして、このメッセージは、朴大統領狙撃事件は、韓国にとって安全保障の観点からも大きな問題であるとの韓国国防部の見解を説明したものである、こういうことでございます。会議に参加したことではございませんで、国防部からの求めによって久松駐在官が出てまいりまして、それに対して国防部の、いま申し上げた見解を伝達をした、こういうことが事実でございます。
  263. 中路雅弘

    ○中路委員 外務省の方にお聞きしたいのですが、防衛駐在官が、こういう事実上向こうの軍事組織に呼ばれていろいろ通告を受けるとか、あるいは事実上呼びつけられて向こうの意見も伝える、しかも中身は相当内政干渉にひとしい、抗議をしなければいけない中身も含まれているわけですが、この外交の基本にかかわる問題にまで、外交官の身分ではありますが、防衛駐在官がどういう資格で、外務省を、出先の大使館を代表して行かれたのか、どういう資格で出かけていって話をされたのか、こういう点についての見解をちょっとお聞きしておきたいと思います。
  264. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 最初にお断わり申し上げますが、私はアメリカ局長でございまして、この問題について答弁するのが適当かどうかわかりませんけれども、私も在外に勤務いたしました者として御答弁申し上げますと、もちろん先ほど山中長官からお話がありましたように、防衛駐在官は大使の指揮監督のもとに行動しているわけでございます。そうして大使の指揮監督のもとに、相手国の関係政府機関その他と接触するわけでございます。それで、たとえば航空問題があれば、運輸省から出向しておる人がそういう航空問題を担当しておりまして、相手国のその専門家と話し合う、あるいは向こう側から要請があれば当然出かけていって話を聞く、そして向こう側からの日本政府に対する申し入れがあれば、それを本国に伝えるということは当然のことであります。それと同じような意味におきまして、防衛駐在官が相手国のその関係政府機関から要請があれば出かけていって、向こうの申し入れなり何なりを聞くということは当然起こることであります。  ただ、今回の件につきまして、その申し入れの内容がどうであったか、また、それについてどう判断すべきかということについては、私はちょっと所管ではございませんので、コメントを差し控えさしていただきたいと思います。
  265. 中路雅弘

    ○中路委員 直接担当でもありませんし、きょうは外務省の大臣がお見えになっておりませんから——防衛庁長官来られたので、長官にもう一言いまのこのことでお聞きしておきたいのですが、やはり外交の基本に関する問題ですから、出先の防衛駐在官が、身分は大使のもとにある外交官ですけれども、いま報道され、あるいは報告されたような内容について、代表して話を聞きにいくとか、あるいは協議するということは、防衛駐在官の任務からいっても大きな逸脱だし、問題があると私は思うのですが、この点について、やはり明確にけじめをつけておかなければいけないと考えるのですが、長官のお考えもお聞きしておきたいと思います。
  266. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは大使の許可を得て大使館員としての資格で、これは当然隠しているわけじゃありませんから、駐在武官であるということで、向こうのほうが軍事情勢についてメッセージを渡したということでありますので、大使が行ってはならぬと言うのに隠れて行ったり、無届けで行ったりというような極秘の行動等はしませんし、また身分は出向して隷下に入っておりますから、そういうことはありません。  今回は、たまたまそういう日韓間の微妙な時期に駐在武官が呼びつけられたということは、議論を起こす余地のあり得るようにとられますけれども、通常どこでもそういうふうに、あるいは情報をむしろもらったり、こちらのほうでも、防衛庁のほうなどに日本に駐在する外国のアタッシェの皆さんが出入りされて、いろいろと教えていただいておることもあるわけでございますから、そこらのところは、通常の外交活動の武官としての範囲内であろう、そう思っております。しかし誤解を招くような行為のないようには戒めておきます。
  267. 中路雅弘

    ○中路委員 時間がきたのであと一、二問だけ、ちょっとお答えをいただきたいのですか、少し飛ばしましたけれども、五十年度業務計画に基づいてお聞きをしまして、全体としてやはりこの四次防の四年度計画というのが、昨年取りやめにもなった目玉商品も次々と復活をさしていますし、基地の機能の強化やあるいは装備における性能あるいは大型化、こういったものを含めて、やはり四次防を基本的に達成しながら、一そう自衛隊を強化していくという基本的な方向というのがこの計画の中に非常にはっきりと浮き彫りにされてきている。一兆円を大幅にこえる予算で要請されているのもありますし、四次防計画を強力に推進されようとしていることは明らかであるわけです。私たちは、四次防については大幅にこれを削減して中止するということをいままで要求してまいりました。これは距否されていますけれども、いまの皆さんの答弁を聞いても、さしあたってこの新規装備を中止するとか、陸海空自衛隊の基地あるいは部隊の縮小あるいは予算の大幅な削減、これは、いまの状況からいっても当然やらなければいけない問題であると思いますし、四次防の中止ということを一貫して主張してきた立場からいっても、先ほどの報告を聞きまして一そうこのことが大事だということを痛感しているわけですが、これについては見解も違いますし、私たちの主張をあらためて一言述べておきたいと思います。  時間がありましたら、いま防衛庁予算ですけれども、施設庁の関係についても、こまかくお聞きしたいと思ったのですが、時間がありませんし、特に在日米軍の拠点集中化に伴う基地施設の移転、リロケーションの費用というのは、本年度予算の要求を見ますと、昨年の約四倍増という大幅になっていますし、こういう点についても、また機会を改めていろいろ論議をしてみたいと思うのです。  終わりに三、四分いただきまして、簡単に二問だけお聞きをしたいのです。一つは、先ほど大出委員も取り上げておられましたミッドウェーの問題ですが、私もこの委員会で何回かミッドウェーの核の装備の疑惑について質問してまいりました。前の大河原アメリカ局長も、昨年の私の質問についても、ミッドウェーが核装備のできる能力を持った軍艦であるという事実は認めておられるわけですが、核の持ち込みについては事前に協議の対象にされているから、事前協議なしに核兵器を搭載してわが国に寄港することはないと確信しているという、アメリカを信頼するという以外に、この問題について具体的な答弁はなかったわけですが、先ほどもお話しのように、最近の横須賀における、ミッドウェーの乗組員の特別軍事法廷での、ミッドウェーが核兵器を日本に持ち込んだという証言や、また、これがストップされるという事態も起きているわけです。広く週刊誌や一般新聞にも報道されていますから、いわゆる核持ち込みの疑惑というのは非常に国民の中に広くある。やはり政府としてこの疑惑について、アメリカ政府に対して真相の究明を要求する当然の権利があると私は思います。この問題で先日私たちの党の国会議員団も、総理あてにこの問題についての申し入れを行なっています。  要点だけお話ししますと、一つは、アメリカ政府に対して、この問題の軍事法廷における陳述や裁判長の発言等を含めた記録、この内容の提出を求めるべきである、これを明らかにしなければならないということと、それからもう一つは、国会の代表あるいは専門家を含めて、ミッドウェーについての調査を要求する、実地の調査を要求すべきだ、その点についてアメリカ政府と交渉するという問題等々をあげまして、この核持ち込みの疑惑が事実によってただされない限り、ミッドウェーの母港化、寄港については停止の処置をとるべきだという申し入れを行ないましたが、この席上で、この私たちの申し入れについてアメリカ局長からお考え、回答をお聞きしたいと思う。
  268. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 私たちも、こういう証言が行なわれたという事実を知りまして関心は持ちまして、さっそくアメリカ側にも問い合わせておるところでございます。証言の内容につきましては、公開された部分については、向こう側に先方の手続に従ってわがほうに提供してくれるように要請中でございます。まだこの内容は受け取っておりません。  それから第二点の、ミッドウェーに立ち入ることを認めさせるべきであるということでございますが、軍艦は元来国際法上不可侵でございますし、この点について、いわゆる立ち入り調査を要求するということは、われわれとしては求める考えはございません。ただ党として、ことに国会議員としての正式の要求がございましたならば、先方にこれを取り次ぎまして、訪問という形でならば政府としても取り次ぐ用意がございます。この点は大出議員にもお答え申し上げたとおりでございます。
  269. 中路雅弘

    ○中路委員 時間に大体なりましたので、もう一問だけ。  これは昨日、私自身が施設の中に入りまして調査をしてきた問題でありますし、昨日社会党の岩垂議員が施設部長にもお話しに行ったということが新聞の報道でも出ているわけですが、一、二問御質問したいのです。  私の地元の川崎市にあります唯一のアメリカの基地でありますが、陸軍出版センター、この問題について、一つは、昨年の四月にこの一部返還がありまして、この中の国有地ですが、一万三千平米のうち国有地が九千六百ですか七百平米ありますが、国有地を市のほうは公園として使用したいということで話があったわけです。それが非常に長引いていまして、今日まで、もとの権利者である航空計器ですか、この会社との関係の詰めがまだおくれているというお話だそうですが、この問題についてどういう見通しなのか。  新聞の報道によりますと、十月の予定の国有財産審議会にはかられるということも報道されていますけれども最初に、この一部返還の個所、きのうも見てきましたが、いまは草ぼうぼうになっていますけれども、川崎市議会は今度の議会に、公園化の問題がきまれば予算措置をしたいということで急がれている問題ですが、大蔵省の方にこのことをお聞きしたいと思います。
  270. 森卓也

    ○森説明員 ただいまご質問の川崎市の陸軍出版センターのあと地の問題でございますが、返還地のあと地の利用につきましては、大蔵省といたしましては、公用、公共用優先という方針でずっと検討いたしておりまして、今回のこのセンターにつきましても、地元の川崎市から御要望がでておりますので、できるだけ早くその線に沿って検討してまいりたいというふうに考えております。しかしなお具体的に、この利用計画を策定する際には、御承知と思いますが、国有財産関東地方審議会に御審議をいただくということになっております。
  271. 中路雅弘

    ○中路委員 いまその会社との話の詰めですが、どの程度いっているのか、それから見通しについて、もう少しお聞きしたいと思います。
  272. 森卓也

    ○森説明員 ただいま御指摘の、もとの地主との話でございますけれども、これは、まだ具体的にそれほど煮詰まった話にはなっておりませんが、それはそれといたしまして、川崎市の御要望をできるだけ早くいれたいというふうには考えております。
  273. 中路雅弘

    ○中路委員 今度の財産審議会にはかれられるのですか。
  274. 森卓也

    ○森説明員 事務的にいろいろ準備もございますから、必ずこの次の地方審議会にかけられるかどうかということは、ちょっとまだ御答弁する段階にはなっておりませんけれども、できるだけ早く処理いたしたいというふうに考えております。
  275. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの点は、先ほども言いましたが、もう一年以上そのままに放置されている問題ですし、地方自治体としても予算の時期ですから、いまお話しになった審議会にすみやかにかけて、住民、自治体を含めて非常に強い要望の問題ですから、一日も早くこの問題の決着がつくように、強く要望しておきたいと思うのです。  それからもう一つこの残り、残りといいましても、五万七千平米あるわけですが、昨日中へ入って、印刷工場それから倉庫等を約1時間にわたって見てまいりましたけれども、一時三百人以上日本人従業員がいたわけですが、昨日行きましたら、非常に規模も縮小されている。八十名で、仕事をしているのは保安管理を除きますと四十五名、アメリカの軍属が八名ですか、これは先ほど松崎さんから私のほうに話がありましたから、ここでは問題にしませんけれども、視察に行く前に、現状はどうなっているかということで施設庁にお伺いしましたら、私のほうに来た返事が、日本人百五十名、アメリカ軍人軍属二十名という返事が来ましたが、きのう現地へ行きまして、非常に実情が違うのでそれを聞きましたら、たいへん古い資料を提出したのだというお話で、私この点は、規模がどうなっているのかということを、実際重要な問題ですから皆さんに現状をお聞きしたわけです。現地を実際に行って見てみないと現状がわからないというようでは非常に困るので、これも今後は、私たちの要求した資料については、ひとつ誠意をもって正確な資料を出していただきたいということもあわせてお願いしておきたいと思うのです。  そこで、いまお話ししましたように、非常に縮小された規模で、ほんの電話帳だとか伝票だとか日常業務をやっているという範囲の仕事であります。川崎市ではちょうど市のまん中に位置する広大な二万坪近い土地ですから、高校用地あるいは公園用地、いろいろな形で、一日も早く全面返還を望んでいるわけですし、あの広大な土地にわずかの規模の縮小された仕事しかやっていないわけで、完全に遊休化されているとは私は現場を見て言いませんけれども、やはりこの点について、一日も早く返還についてアメリカ政府との話をひとつやっていただきたい、要望にこたえていただきたいと思います。  印刷の倉庫を見ましても、日本の紙とアメリカの紙が相当積んであるのですが、聞きましたら、ほとんどアメリカの紙で印刷している。日本の紙を使うと高くて、アメリカから紙を持ってきて倉庫へ積んで、そして印刷したほうが安上がりだというのが、向こうのアメリカ局長説明なんです。そうだとすれば、電話帳みたいなものは、向こうで印刷して持ってきたっていいじゃないか。紙だけこっちに持ってきて倉庫に山と積み上げておいて、わざわざあれだけの広大な土地を使って、わずかの印刷をすみっこでやっている、こういう施設は私は一日も早く返すべきだというふうに思うのですが、ひとつ施設庁はこの点について腰をあげてもらって、アメリカと要望にこたえられるように強く交渉していただきたい。要望としてお話ししておきますので、一言お考え、御答弁をお願いしたい。
  276. 久保卓也

    ○久保説明員 現在私どもでは、米軍施設全般、特に米陸軍の施設につきまして、返還可能なものがどういうものがあるか検討を詰めておるところであります。  いまお話しの面につきましても、これは米側としましては、現地の需要に応じてやはり印刷業務は必要であるということを申しております。ただし現在程度の規模のものが必要であるかどうか、これは必ずしも一がいに言えないわけでありまして、現実に業務規模も小さくなっていることはお話しのとおりであります。したがいまして、私どもとしましては、全般的な施設の検討の中にこの問題も取り入れたいというふうに考えております。
  277. 中路雅弘

    ○中路委員 だいぶ時間が過ぎましたので、これで終わらせていただきます。
  278. 徳安實藏

    徳安委員長 鈴切康雄君。  だいぶ時間がおそくなるようですから、質問もできるだけ要領を得た質問、答弁もできるだけ要領を得た答弁をして、早く済ませましょう。
  279. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たいへんにおそくまで御苦労さまです。  長官、まず第一に、御質問を申し上げる前に、緊急重大な問題が韓国で起こりましたので、そのほうを先に緊急問題として取り上げさしていただきたい、このように思いますから、御了解を願いたいと思います。  そこで、外務省にお聞きしたいわけでありますけれども、ソウルの日本大使館にデモが侵入して、わが国の国旗を引きおろし、大使館員が負傷するという事件が起きましたが、外務省は、その経過については、大出委員にあらあら御説明になったわけでありますが、もうすでに御承知のとおり、時間は七、八時間もたっているわけであります。ですから、そういうことであるならば、外務省としても具体的にどういうふうにこれに対処をするかという問題に迫られていると私は思うわけでありますが、まず大使館というものの中に掲げられている国旗は、少なくとも日本の尊厳を象徴するものであろうかと思います。これに対して、いわゆる暴徒による侮辱を加えられたことに厳重に抗議をすべきであり、その犯人については厳重な処罰を要求すべきである、そのように私は思うわけでありますが、その点について、さきに暴徒が入ったときに向こうの外務次官が来て、後宮大使に陳謝をしたときに、後宮大使はそのことについて抗議をしたというお話でありますが、しかし、それはそのときの場所におけるところの抗議であって、正式に日本政府として厳重な抗議を、いまのような状態からやられるかどうか、それについてお伺いいたします。
  280. 山田久就

    ○山田説明員 この非常な不幸なできごとに対しまして、先ほど大出委員に御説明申し上げましたように、直ちに後宮大使から厳重な抗議をいたしました。そして、さらにその後とるべき措置についてはこれを留保して、緊急の措置をとられたわけであります。事件の経過は、さきに御説明申し上げましたとおりでございますが、その後は、まだ平穏ではありますが、デモが繰り返されているというような状況で、具体的に新たないろいろな損害が起きているとか、そういうようなことはむろんない状況でございます。  いま鈴切委員からお話がございましたように、国家の尊厳を代表する国旗というものに対して損壊され、侮辱されたということに対しては、むろん従来の先例からいっても、厳重にこれに対して抗議をし、また国旗のみならず、大使館というもの自身は、御承知のように、これは外交関係に関するウィーン条約というものが存在いたしまして、その二十二条には、大使館は不可侵である、したがって、この大使館に対しては、接受国はこれを保護する責任、責務があるわけでございまして、そういう趣旨から侵入者というもののそういうような不法行為等に対しては、そこに万全の措置をとる特別の責任があるという趣旨のことも規定されているわけでございまして、これは当然のことでございます。  したがって、国旗に対する国際的な通念並びにいま申し上げました大使館に対する接受国の責務というような点から見ましても、これらについて、あらためて厳重に抗議をし、責任者に対する処断あるいは賠償、将来に対する保障というようなものを引き続き申し入れていくという、そういう方針にいたしております。
  281. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、どうしても疑問が晴れないのは、現在韓国においては厳重ないわゆる戒厳令がしかれているわけであります。その中にあって、大使館へ侵入をするということを取り締まれなかったというこの事件を見ても、最近のいわゆる反日デモが、何らかふに落ちないような感じを実は私するわけであります。そればかりでなしに、当然そういうふうな反日デモが起こるということになれば、韓国はそれに対処して機動部隊を、少なくとも日本大使館のまわりに配置をすべきが当然の処置ではないかと私は思うのですけれども、そういうことから考えますと、このいわゆる反日デモというか、政府として最近の韓国におけるデモをどういうふうにごらんになっておられるか、その所見をお聞きします。
  282. 山田久就

    ○山田説明員 日韓関係について一つわれわれが留意しなければならない問題点といえば、先ほども私からお話し申し上げましたように、やはり両国の間に存在していた過去の歴史的な一つの不幸な関係というようなことに胚胎して、日本側における、あるいは一般日本人の中における韓国人に対するものの考え方、あるいは韓国が日本人に対し、あるいは日本政府の措置というものに対して非常に格別の、別個の目でそういうものに対する一つの反応を得ておるという点が非常に問題ではないかと思います。  御承知のように、李承晩政府の独立後においての大きな方針というのは、反共及び反日ということが二大政策で、いわばそれが国家の独立と統合の一つの大きな方針になっていたというのも、そういう過去の歴史から生まれた不幸なできごとじゃなかったかと思います。  現在の朴政権になりましてから、その点の方針を改めようということでいっておりますけれども、残念ながら、まだその底流というものがあるだけに、事柄がとかく感情的な面に走っていくということは残念なことであるし、こういうような点は、やはり今後の極東の平和と安全というような点から、韓国というものが平和に、そして安定していってもらう、そういう意味での順調な日韓関係というものを必要としておるだけに、ぜひこれは、そういう感情的でない関係の樹立に心がけていかなければならないと思います。にもかかわらず、そういうような点が入っていることが、いろいろな意味において誤解を招き猜疑心を招き、また無用な一つの問題を生じている点は非常に遺憾だと考えております。にもかかわらず、この点については、いま言ったような趣旨で最善の努力をしなければならない、こう考えておるような次第でございます。
  283. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま政務次官がはからずも言われたように、韓国自体として反日、反共ということを二大政策に掲げたということの底流、そういう問題が意外と底に流れておって、非常に感情的にまずい点があるし、そういうことからエスカレートするということになると、たいへんな問題がどんどん起こってくるわけであります。  そこで、次に懸念される問題ですけれども、先ほど申し上げましたように、こういう問題か底にあっていわゆる反日感情、反日でもというものがエスカレートいたしますと、韓国にあるわが国の在外企業とか在留邦人に危害が及ぶことが考えられるとも私は思うのでありますが、これに対して政府はどのような手を打とうとされておるのか。それから韓国政府に対して、これらの安全のための処置を講ずるよう要求すべきであると私は思うのですけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  284. 山田久就

    ○山田説明員 居留民の保護あるいは在外財産の保護という責任を持っておる政府といたしましては、この安全確保、保護のために最善を尽くさなければならないことはお説のとおりでございます。したがいまして、昨今における韓国内部の動きというようなことも考慮いたしまして、すでに居留民の生命、財産の安全、保護ということについては、韓国政府に累次申し入れを行なっております。にもかかわらず、今度のような不祥事件を見ているわけでございまして、新たな観点に立って、さらに先方の十分の注意を喚起して、万全の措置を講ずるように申し入れる、そういう方針にいたしております。
  285. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今後の状況、推移というものをもう少し見てみなくてはわからないと思いますけれども、現時点からいうならば、この事態になったということを考えますと、在留邦人の中には、もう引き揚げたいというような人が出てこないとも限らないのじゃないか。だから、引き揚げとか企業の閉鎖等についても、結局、危害をこうむってから対処するのでは、もうおそいわけでありますから、そういう点について、何らかの行政指導をおやりになるお考えがあるかどうか。
  286. 山田久就

    ○山田説明員 安全というような点に関しましては、いろいろな角度から最善の措置をとらなくてはならないわけでございますけれども、現在のようなデリケートな状況でございまするので、そこら辺のやり方いかんでは、またかえっていろいろな問題を生ずるおそれもあろうかと存じます。非常にむずかしい点でございまするけれども、現在の状況を踏まえ、また先方の感情の動き等もとらえながら、ひとつそういう点は万全の措置をとりたいという以上に、いまここでいろいろなことを申し上げること自身、いろいろな問題があろうかと思いまするので、この点はどうか御了承いただきたいと思います。
  287. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま、そういうような反日デモが盛んに行なわれているという状況下にあっては、やはり日本から韓国へ行く一般並びに観光旅行者等、当分そういうことについては見合わせる、あるいは中止をするという配慮がありませんと、向こうへ行って巻き込まれて、たいへんな事件を起こしてしまうということになりかねないのでありまして、そういう点については、どのようにお考えになりますか。
  288. 山田久就

    ○山田説明員 まことにごもっともな点でございまして、すでにそういう点については、未然にいろいろなことに備えるという意味で、運輸省の観光部のほうに適切な配慮を行なうよう申し入れ済みでございます。
  289. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 向こうのことばかりも言っていられない問題もあろうかと思います。たとえば日本国内において一部の者が、韓国で起こったそういう反日デモの過激な行動を見て憤激するあまり、在日韓国大使館あるいは在日韓国人に暴力を加えないよう、そういう手当ても必要ではないか。それくらい配慮をしてあげなくてはならないのではないかと私は思うのですが、その点についての御意見を……。
  290. 中江要介

    ○中江説明員 ただいま御指摘の点につきましては、今回の事件の発生を待つまでもなく、先般の朴大統領夫人暗殺の不幸な事件以降、特に日本における韓国人の方々の安全ということについては、国内の治安当局の御協力を得まして、いま御指摘のような予想される不幸な事態を未然に防ぐという意味で措置をとってきております。
  291. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この秋の国連総会において、朝鮮問題に関する決議案を米国と共同して提案すると聞いておりますけれども、この事件の解決の見通しがつくまで提案国から当然下がるべきではないか、そうしなければ日本の国民も納得はいかないと私は思うのですが、それについては、外務省はどのようにお考えでしょうか。
  292. 中江要介

    ○中江説明員 国連における朝鮮問題の扱いということは、本来ならば国連局長のほうから御答弁申し上げるべきところだと思いますが、私どもアジア局といたしましても、この問題は、過般来木村外務大臣も御答弁になっておりますように、単なる韓国の安全だけではなくて、朝鮮半島の安全のために国連がいままで果たしてきた任務を継続するかどうかという問題でございまして、これは日韓二国間の問題とは別な見地から、国連という平和維持機構が、あの朝鮮動乱前後の朝鮮情勢に即応して安保理事会を中心に展開してまいりました平和維持活動の継続というとらえ方でございますので、いま私どもが共同提案として出しております決議案の趣旨もそういうことで、朝鮮半島の平和と安全を維持する国際連合の平和維持活動の効果的な継続ということに主眼があるわけでございまして、いま直ちに共同提案国からおりるというようなことを考え考えは持っておりません。
  293. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 朝鮮問題に関する決議案は、韓国に対する問題を主体として、ある程度北朝鮮を差別するというようなものの発想から出ているわけでありますから、そういうことからいうならば、当然こういう問題について提案国になるなんということは早々にきめるべきではない。特に今度こういうような屈辱的な問題が起きた以上は 日本の国としても軽率にそういうふうなことに加わるべきじゃないというふうに私は思うのですけれども、それは政治的な問題ですから、政務次官、ちょっと……。
  294. 山田久就

    ○山田説明員 この問題は、やはり基本的にわれわれがあの地域の安全問題というものをどういうふうに考えていったらいいか、その中においての今日までの国連の役割り、これについては、むろん反対の動きもあることは御承知のとおりでございまするけれども、現在までの時点においては、やはり今日まで維持してきたような一つの政治的なあるいは国際的な立場から、まだこの問題はそういう角度で進むべきだ、そういう考え方でわれわれはいくのがよろしいということでやっているわけでございまして、いろいろなあれはあろうかと思いまするけれども日本の平和維持という角度の中でとられてきた一つのワク組みというものを、この際変えないということでまだ臨むべきじゃないか、そういう方針であることを御了承いただきたいと思います。
  295. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 わが国は、御存じのように韓国に対して友好を保つために、韓国への協力についてはかなり大きく貢献をしていると私は思うのです。このような事態が起きた、あるいはこれから反日感情が高まるというような状態において、私は当然韓国に対する協力も再考してみなくてはならないのではないか、そのように思うのですけれども、その点については、どのようにお考えでしょう。
  296. 山田久就

    ○山田説明員 韓国におけるそういう一つの動きというものが、日韓関係に影響を及ぼしかねない一つのいろいろな要素を含んでおるということは、御説のとおりであろうと思います。にもかかわらず、長期的、つまり大局的に韓国というものが平和的に安定して、そして発展していってくれる、そういう友邦に育っていってくれるということ、これが日本の利害関係から見ても、あるいは極東の平和ということから見ても必要だというその基本線というものは、やはりいつも頭に置いておく必要があるのではないか、そういう意味において、できるだけそれに沿うような意味での対韓政策というものを考えていく。それも実際の適用面では、出入りがいろいろあろうかと私は思います。にもかかわらず、その一番目標だけはやはり頭に置きながらやっていくことが必要なんだ、これが対韓政策上の一つの根本的な目標であらねばならぬ、私はこんなふうに考えております。
  297. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、その考え方、間違いではないと思うんです。しかし、いままでのいろいろの経過、すなわち一つは金大中事件、それから学生の拉致問題、そしてかなり重い刑、こういうふうな状態の中にあって、日本政府がそれなりにきちっとした外交姿勢というものをはっきりさせないことには、こういう問題はなかなか解決しない問題だと私は思うのです。だから、そういう意味において優柔不断であるということがいわれているのじゃないかと私は思うのです。ですから、やはり国辱的な問題を受けた事件に対して、厳然と政府は韓国に対してあらゆる抗議を当然すべきではないか、こう私は考えるのです。  そこで、十一時ごろから、そういうふうな事件が十一時二十何分ですかに終わったわけですけれども、この重大な問題についてのいろいろの報告、そしてまた、今後どういうふうに対処するかという問題について、至急外務省は後宮大使を召還すべきだと私は思うのですけれども、その点については、どのようにお考えでしょうか。
  298. 山田久就

    ○山田説明員 つまり召還したような方法がいいか、そうじゃない方法がいいか、これは外交上いろいろ問題になる点だろうと思います。そこら辺の点については、大局的にこうだという手段、方法については、いろいろおまかせいただければ、またいただきたい、こういうふうに考えております。
  299. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いずれにしても、この問題を正確に把握するために、こちらからたとえば、外務省の要人を出して、そして調査させるとかあるいは向こうのほうから呼ぶとか、どちらかの問題しか私はないと思うんですよ。ただ電話で向こうの状況を聞くというのでなくして、実際に行ってそれに当たらなければならないと思うのです。どちらのほうをおとりになるのですか。
  300. 山田久就

    ○山田説明員 この問題は、いまここでどうするということを申し上げるのも、ちょっとどうかと思いますけれども、私は自分の経験からいいますと、向こうからこの際呼ぶというようなことじゃなくて、つまり先方に対して大使だけを通ずるか、その他の方法があろうかと思いまするけれども、そこら辺のところは、ちょっとおまかせいただいて、有効にわれわれの意思が徹底するような方向に持っていきたい、こう思っております。
  301. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは在韓日本人等のいろいろの生命、財産の問題もありますし、反日デモが荒れ狂っている韓国の状況を見るときに、やはりこれは緊急問題として、しかも国辱的菜国旗の切り裂き、そして焼こうとしたその状態、駐韓日本大使館の大使館員が二人とも負傷をする、そういう問題を考えたときに、緊急としてこの問題を取り上げさせていただいたわけですが、政務次官、たいへんに時間をとっていただきましてありがとうございました。けっこうでございます。  そこで、今度は防衛の問題になるわけであります。  最近における国際情勢の分析並びに極東の軍事情勢について、長官の御所見をお伺いしておきたいのですけれども……。
  302. 山中貞則

    ○山中国務大臣 質問は短くて、えらい答弁はむずかしい答弁になりそうですが、傾向としては、政治的な接触も含めてデタントの方向に依然あると見られます。逆戻りの傾向もなおまた見られないというふうに見てよかろうと思います。  ただその裏面で、SALT1において合意いたしましたアメリカとソ連のそれぞれの腹、思惑といいますか、これが実はその後相当大きな変化を遂げつつある。ICBMのランチャ工数において約五百アメリカがソ連に優位を譲ったのも、アメリカはすでにMIRVといわれる多核誘導核弾頭、複数以上の核弾頭の開発を配備し得る自信があったからだといわれておりますが、そのときソ連は、巨大弾頭ではあるが、単弾頭にすぎなかった。しかし、それが昨年それからことしの二月、三月と行なわれました実験、ことに太平洋等に向けて行なわれました実験では、明らかにソ連がMIRVの実験に成功したことをソ連も認めておりますし、アメリカもこれを認めておる。そのために打ち込んだ初日がSALT2の交渉の開始日だったわけです。それから毎日ぶち込んで、全部三発ないし四発、五発成功しておるようであります。そういうような高度の進歩を遂げたことによって、一方、潜水艦の隻数においても、ランチャー数は若干違いますが、はるかにソ連の数の多いのを認めていたものが、これもまたSLBMで多核多弾頭核誘導というものが、MIRVが配置されるということになると、アメリカとしてはこの合意したランチャー数あるいは潜水艦数では、実質おそるべき脅威を受けて逆転するということがいろいろ議論されております。そういうような情勢等の一番大きな変化というものは、やはりこれは否定できないものがあるだろうと思います。したがって、われわれとしては、SALT2のなお引き続き継続、進捗、妥結も望むものでありますが、見通しとしてはなかなか暗いのではないか。また、その他のヨーロッパ軍の相互削減の問題についても、なかなかうまくいっておりませんし、いろいろと運搬手段、数その他についても、なかなかむずかしい問題をはらんで、一進一退と申しますか、停滞を続けるのではないか。その中でシュレジンジャー国防長官が誕生いたしまして、いままでずっと冷戦構造で長い間張りついていた、いわゆる双方一億ずつ米ソともに殺し合う第一撃報復能力というものを確認し合うことによって、使えない恐怖の兵器として、それが平和に結果として貢献する、安定すると思っておりました構想を、一方がちゅうちょするということによって、すなわち一億というおそるべき、アメリカの国民の半分というものにちゅうちょ感を与えたことによって、現実に攻撃が行なわれた場合どうするかという、そういう想定を置いてシュレジンジャー構想といわれるミサイルのICBMの目標設定を、都市及び軍需産業地域からこれを軍事基地、いわゆるミサイルサイロのほうに分散指向させましたが、これは相対的にお互いにそういうことをやるでありましょう。かといって防御方法は、ABMのバリアというものは、金ばかりかかってどうもあまり効果がないなということで、双方一カ所ずつ百基ぐらいのものをつくることで、それ以上は要らぬということにしたようでありまして、そういうことを考えますと、緊張緩和の方向に進んでいるけれども日本を取り巻く大きな世界戦略というものは、いまちょっと相当長期間の停滞を破って大きな変化が感じられるような空気がある、そういう感じがいたします。  なお、日本自身の立場の問題は、それぞれあとお答えいたします。
  303. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国際情勢については、いまあらあらそういうふうに御説明があったわけでありますけれども、極東の軍事情勢はどういうふうな状態でしょうか。
  304. 山中貞則

    ○山中国務大臣 どこまで、どの辺をお話ししたらお許し願えるのかよくわからないのですが、俗に言う極東でありますから、そこらのところを展望いたしますと、米ソ、米中、これはお互いに思惑はいろいろありましょうが、要するに仲よくする方向に進んでいることは間違いない。これは軍事的にもやはりデタントの方向に進むものであるというふうに見られますし、逆戻りする傾向にはなっていない。しかしソ中間というものは先ほども聞いておられましたから繰り返しませんが、ヘリコプター一機の問題でも、相当な騒ぎで一向に片づかないという、なかなかわれわれの想像できないようなものが、かつての一枚岩の団結であった仲間同士であるだけに深刻な問題があるような気もいたします。  また台湾について中華人民共和国が、新聞報道の伝えるところによれば、単なる話し合いだけでなくて、武力による解放も辞するものではないというふうに自民党の小山長規氏を団長とする一行に話したと伝わってきておりますが、これなどもやや穏やかでないことに現象としてはなるでしょう。  それから、いま問題の半島の中央で分断されて、民族が二つの国家を形成している朝鮮半島というものも、繰り返しませんが、私どもが主観をいれる必要のない客観的な事実だけ見ても、東海岸、西海岸等で現実にいろんな問題が起こっておる。そういう現象というものは、すなわちたいへん平和な、のんびりした、やはり同民族だから思想は違っても、国は違ってもなるほどなということにはほど遠いという感じが現象としては起こっている、そういう感じがいたします。  でありますから、日本を取り巻く情勢というものが、私どもはすぐにくずれるとは思いませんけれども、緊張緩和の方向に向いているけれども、そのような状態というものは、やはり否定できない現実として、いろいろわれわれとしては注意深く見守っていなければならない要素も存在しているというふうに考えます。
  305. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは防衛局長にお聞きしたほうがいいでしょうが、極東における兵力の配備状況、特に極東米軍の配備状況というのは、どういうふうになっておりましょうか。
  306. 丸山昂

    丸山説明員 極東の関係国の軍備状況でございますが、極東ソ連軍、陸軍が約三十万、二十三個師団でございます。それから海軍が太平洋艦隊、艦艇約九十七万トン、約五百六十隻、その内訳は巡洋艦六隻、駆逐艦級六十五隻、潜水艦九十九隻この九十九隻の中には原子力潜水艦二十九隻を含んでおります。それから空軍は作戦機約二千百機でございます。  それから中国でございますが、陸軍約二百五十万、百三十個師団。海軍、艦艇約二十六万トン、約千二百隻、駆逐艦が二十八隻、潜水艦四十四隻でございます。原子力潜水艦が建造中というふうにいわれております。それから海兵隊約二万八千。空軍が作戦機約三千八百機。  それから北朝鮮でございますが、陸軍約四十万、二十四個師団、四個旅団でございます。海軍は艦艇約一万五千トン、百十隻で、潜水艦が四隻。それから空軍は作戦機六百機でございます。  それから韓国は、陸軍が約五十六万、十九個師団、二個旅団。海軍は艦艇約七万五千トン、約百隻、駆逐艦が八隻あります。それから海兵隊約三万。空軍は作戦機が約二百機。  それから台湾は、陸軍約三十五万、二十個師団、二個旅団。海軍が船艇十九万七千トン、約百七十隻、これは駆逐艦三十一隻、潜水艦二隻でございます。それから海兵隊が約三万五千。空軍は作戦機約二百十機でございます。  それから極東地域の米軍、これはフィリピンを含んだ数でございますが、陸軍が約三万九千、これは一個師団その他でございます。それから海軍は第七艦隊が主でございまして、艦艇約五十五万トン、約六十五隻、内訳は空母三隻、巡洋艦二隻、駆逐艦級二十隻、潜水艦五隻、このうち原子力潜水艦が三隻以上でございます。それから海兵隊が約二万八千。空軍は作戦機約二百二十機というところでございます。
  307. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ウオーターゲート事件でニクソンが辞任をいたしまして、それに伴ってニクソン体制からフォード体制への交代になったわけでありますけれども、そのいわゆる大統領がかわったということによって、アメリカの極東戦略に変化があるかどうかという問題については、どのように判断されていましょうか。
  308. 山中貞則

    ○山中国務大臣 フォード大統領の今日までの経歴及び就任後の議会等における発言等を見ましても、大体ニクソンの踏襲をするということを言っておりますし、軍事的にはおそらくニクソンの路線とほとんど変わるまいという感じがいたしております。  ただ、日本に対する知識と申しますか、日本人及び日本を知っている点については、ニクソン大統領のほうが数倍でございましたでしょうから、よしあしは別にして、日本に対する認識あるいは理解というものは、ニクソン大統領よりも劣っているものと見るのが正直な見方でありましょう。これは日本に対して、どんな感情を持っているか別であります。  それに対して、やはり対話をもう少しすみやかにやっておくために田中総理が行かれるのでありましょうが、日本に対して、いままで歴代の大統領、戦後日本に来たことがないのに、フォード大統領は、最初アメリカを去ってアメリカの元首として訪れる国が日本という姿勢を示しておりますこと等から見て、あるいはいままで知らなかったことを、かえって結果的には、姿勢としては現実的にも日本最初の訪問国にするという姿勢がプラスにしてくれる要素もあるのではないか、概略でございますが、そのように見ております。
  309. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いわゆるニクソン・ドクトリンの戦略的背景とその概要については、今日までいろいろ言われてきているわけです。ハロン論文等にも先に、ニクソン・ドクトリンの問題が出る前にそれが打ち上げられて、しかもその論文が意外とその方向へ方向性をたどりながら今日来ているわけでありますけれども、ニクソン・ドクトリンの青写真というものはどういうものなのか、そうしてまた、将来どのような状態になっていくのだろうかということについて、長官はどのように御判断になっておられましょうか。
  310. 山中貞則

    ○山中国務大臣 アメリカは、それぞれの国と約束した安全保障の約束ごとは守る、しかしながら、アメリカはいつまでも世界の警察官たり得ない、あるいはそういう立場は逐次自分たちとしてはやめていくのだ、それぞれの国については、アメリカは約束を守ることには変わりはないが、それぞれの国が自分たちの安全保障について最大限の努力をしてほしい、一方においては、そのための、ベトナム戦の終結は、その象徴的なものでありましょうが、海外派兵、配置等について、感触は急激でなくとも、徐々に再配置がえ等を行ないながら、外国駐留経費等を少なくしていこうという財政的な配慮も背景にあったものと考えられます。
  311. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ニクソン・ドクトリンに基づいて、極東地域からの米軍の撤退状況、撤退をすることになろうと思うのですが、今後の撤退の見通しについては、どのような判断をされておりましょうか。
  312. 山中貞則

    ○山中国務大臣 一説には、沖繩あたりの軍事的な地位をもっと後方、マリアナ諸島あたりに、あるいはカロリンあたりに移すのだという、そういうことも、また一部事実でもあるようでありますが、伝えられるほど大規模なものであるかどうかについては、まだ確たる見通しを事実関係として得ておりませんが、しかし極東あるいは東洋に点在するアメリカのフィリピン以北のそれぞれの国に対する安全保障体系というものの中で、やはり今度の下院のレポートを見ましても、下院ですから人件費、機構の圧縮というようなことを重点に議論しているようでありますが、やはり先般、太平洋軍司令部の中の陸軍司令部を廃止するとか、中間の管理部門等の中間指揮部隊等をやめるとかいうことを具体的に実行に移しつつあります。そのような意味における簡素化、省力化、能率化というようなことははかられていくと思いますが、極東における配置というものが根本的に大きく変化し、したがって、在日米軍が一挙に沖繩を含めて三分の一になるとかなんとかいうほどの変化というものはないのではないか、日本に関する限りはそのように見られます。
  313. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま、はからずも米下院歳出委員会の報告書のことが出ましたけれども日本防衛分担の肩がわり、在日米軍司令部の統合、在韓米軍の縮小等、極東米軍の再編について米政府に勧告しておりますね。このことについて、先ほどこれを履行する義務はないのだけれどもと言われましたけれども、しかし、こうやって勧告をしておるということになれば、フォード新政権に与える影響というものは、私はきわめて大きいのじゃないか、そのように判断しておるわけでありますが、長官の御見解をお伺いいたします。
  314. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは先ほども申しましたように、一九七五会計年度国防費の下院の歳出委員会の可決にあたっての付帯レポートでありますし、下院の、あるいは下院の歳出委員会の全会一致の決議でもありません。したがって、行政府を拘束する性格のものでももちろんない。しかも一方、フォード大統領のいままでとってこられた——日本でいうと、永年勤続議員のような、二十五年以上たっておられますが、その長い長い議員歴の実際の言動というものをたどってみますと、軍事費の削限には絶対反対という態度を始終貫いてきておられた政治家のようであります。ただアメリカの大統領という、国民生活全体を考え、世界全体を展望する立場に立たれた現在、どのような考えに変わっておられますかわかりませんが、少なくとも軍事費をやたらと削減するというアメリカの上下両院の風潮というものは、これは特徴的なものでありますけれども、それに対しては抵抗してこられた議員の一人であるということから考えますと、そう——歳出委員会のそのレポートでありますし、中身を見てみると、一見もっともらしいことがたくさん書いてありますが、アメリカを代表する政府、あるいは大統領まで含めた国防総省あるいは国務省、そういうようなものの意向にすぐになりそうだとか、あるいはそういうことに注意を払っておるようであるという情報を、いまのところ得ていない。ただ、それはそのまま聞き流されておる。一説には、そのスタッフは日本に一日来ただけであるということも言われておりますが、まあしかし、そのことは、外国の議会のことを批判するわけにいきませんので、以上にとどめたいと思います。
  315. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 アメリカは、ニクソン・ドクトリンと、それに基づくいわゆる総合戦略構想で、同盟国に責任の分担を強く迫っている。当然であります、それはニクソン・ドクトリンの考え方がそうでありますから。これは従来、在日米軍が果たしてきた極東戦略の役割りを、言うならば自衛隊に肩がわりさせようとするものであろうかと思うのですが、わが国の防衛力を極東における地域的安全保障のかなめにすることを意図するものであり、自衛隊の増強はまさにこの総合戦略構想のワク組みに組み入れられていると言わざるを得ないが、この総合戦略構想と四次防との関係はどのようになっているか、お聞きします。
  316. 山中貞則

    ○山中国務大臣 アメリカの総合戦略のワク組みの中に日本もある、いわゆる日本の中にアメリカの基地を提供しているという意味において、その限りにおいては確かにそういう一面もあると思います。しかし、かと言って、日本の陸、海、空の自衛隊というものがおりますけれども、これは憲法上の制約から始まる各種の制約を一ぱい持っておりますから、もう並べ立てませんが、要するに世界に通用しない、常識上通用しないいわゆる国防組織、防衛組織でありますね、というものだと思うのです、実態も。したがって、能力もそうでありますし、アメリカに肩がわりするといっても、軍事的にはとても肩がわりなどできる体制ではない。  また、これは触れてはおられませんが、下院の歳出委員会の話の中にありました物資その他で肩がわりをするということも、これまた南ベトナムでありましたかどこか、難民住宅の援助をして建てたところに兵隊さんが入っていたというので、外交折衝で、それは使用目的が違うから、軍事援助ととられちゃうから出てくれといってまた出てもらったという、向こうも聞いていただいたという話も聞いておりますが、そのように日本は、そういうことについては、武器輸出についても非常に慎重なチェックをいたしております。ましてや肩がわりなどをする能力とか、政策的にもそういうものはとり得ない。だから、日本日本の国土と民族を守ることというものがあくまでも限度である。それが、アメリカから見る極東戦略の中の日本の役割りとして評価されるなら、それはあるいはおっしゃるとおりの部面もあると考えますが、それ以上のものには今後ともなり得ない。これは日本のくずし得ない一線である、そう考えます。
  317. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この米下院報告書の中に、比較的近い将来における日本の大幅な軍備増強は避けられないことを認識し、これを極東での米国の目的と合致する方向に導くことが賢明であるということを、ここでははっきりとうたってあるわけであります。このように向こうのほうで、こういうような問題についてずばりといわゆる報告書を出しているということは、何かアメリカ日本との間にそういう約束ごとがあったのかどうか、その点については、どのようにお考えでしょうか。
  318. 山中貞則

    ○山中国務大臣 アメリカは第二次大戦で、やはりよほど手ごわい日本ということを感じたことは事実でしょう。そしてまた、私どもが平和を願うと同様に、違った意味日本が再び強力なる軍事国家となることをアメリカ自身がまず警戒したことだろうと思います。それは、もうやはり占領政策の随所に頭を出していたわけでありますが、そういうことから考えて、アメリカは絶えず日本がまた再軍備をするのではないかという懸念、あるいは再軍備というのは、これはどういう定義か、またそれを議論しなければなりませんが、そっちの方向に行くのはもう避けられないだろう。しかしアメリカのために害になるような、あるいはアメリカにとって脅威になるような存在にまでなってしまうと困るのだというような考え方が、アメリカの中になおあることも私は事実だと思うのです。そういうようなことの集約されたものが、ある断面として下院歳出委員会のそのレポートの中に頭を出しているということで、私はその点は、また例のアメリカの心配癖というものだなというふうに受け取っておりまして、特別その問題を深刻に受け取っておりませんし、またわが国が、アメリカが問題にするほどの再軍備なんというものをやれようはずはないし、そういうことをやる意思もないのだから、そのことは関係ないことだというふうに思っております。
  319. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日米安保条約といっても、その実態というものはあまり明確になっていない。特に有事の場合における防衛分担という内容について、はたして今日までアメリカと話し合われて、こういう場合にはこうするのだ、こういう場合にはこうなるのだという、そういうことは、きめこまかくやられてきているかどうかという問題が非常に私は大きな問題じゃないかと思うのです。  そこで、山中長官が今度アメリカに行かれる、訪米されるということでありますけれども、私はそういう問題は、やはりかなり煮詰めてこられる必要もあろうし、また言うならば、そういうことがはっきりしませんと、しょせんは、ただ単にアメリカがニクソン・ドクトリンに基づいて日本にその肩がわりを求めるということだけを強行してくるような感じも受けるわけでありますから、そういう意味において、山中長官が訪米をする機会に、どういうことをお話しになってこられるかということについての内容と、それから日米安保条約におけるところの有事においてはたして防衛分担というものはどのような状態にあるのかという問題について、どのようにお考えになっていますか。
  320. 山中貞則

    ○山中国務大臣 最初の、日米安保の実際もしかりにという場合において、どこまで詰めてくるのかという質問は、たいへん適切でかつたいへん答弁しにくい質問であります。しかしこの問題は、アメリカの核抑止力にたよるとか、あるいは弾薬の量が一体、これは弾薬の種類にもよりますが、どれぐらい持ちこたえられるのかとか、一体どれぐらいの規模のものに対して日本がひとりで対処し得るのかとか、そのあとはどうなるのかとか、燃料は、その他の物資はというような問題等について、私は率直に言って、アメリカと思い切った詰めた議論がなされていなかったような気がいたします。しかし、これもまたおのずから限界があるところでしょう。どちらも限界のあるところでありましょうが、しかし、たとえばシュレジンジャー国防長官就任後、これは確かであると思いますが、私は、直接確かめた情報でありませんからわかりませんが、その構想の一つに、極東の安全保障条約締結国については、地上軍を送る用意はアメリカはないし、将来も必要はないのだ、地上軍を送るならばヨーロッパのみであるという考えを示されたとか、あるいはそういう考えをお持ちであるとかいうほんわかとしたニュースを耳にしてもおります。  そうすると、私たちはアメリカとのいわゆる安保条約を基調としております。基調としなければ日本防衛構想は成り立たない。単独で日本国土を守り抜くことは、これはアメリカも含めて世界じゅうを相手にしてできるわけでないことであります。安保条約があって初めて日本防衛構想が成り立っておる。そのときに、それはアメリカへの信頼、条約を結んでいる以上は、必ず約束を守ってくれるというそういう信頼の確度の高さというものが裏づけられて初めてできることなんです。そのことについて、それぞれの陸、海、空ですが、日本アメリカに対してどこまで何を期待するか、それに対してアメリカはどこまで何をしてくれるのか、条約上あるいは実際上。そういうようなもの等は、意見は合わないかもしれませんが、率直にお互いが意見を交換し合っておく必要がある。でないと、お互いに対話をしておりませんと、向こうはこういうことを考えているらしい、あるいは日本は虫のいいことばかり言うとるじゃないかというようなことが次第に積み重なって、ある日突然お互いが最も好ましくないような誤解の集積の結果に突き当たってしまうおそれがある。そろそろ、私でなくとも、防衛庁長官アメリカのその衝にある国防長官と話をする時期にきておる、そのように考えて率直な意見交換をしたい、そう思います。
  321. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その意見交換は、有意義だと私は思うのですが、そうなってまいりますと、アメリカの総合戦略構想の中において、いまもお話がありましたように、地上軍を置かないのだという、言うならば核の抑止力に伴ってアメリカとしては日米安保条約を果たしていくようなかっこうになるのだということになりますと、当然自衛隊の肩がわりという問題が強力に国防長官のほうから要請がある、私はそのように判断をするわけなんですが、それに対して長官は、その問題を含めてどういうふうに話し合いをされてくるおつもりなんでしょうか。
  322. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これから行って話をするわけでありますから、……。ただ、ことばの一字違いでありますけれども日本に地上軍は置かないのだではなくて、送らないのだということであります。いわゆる日本あるいはその他の極東の国々というもののその国の地上に、もし脅威が実際に起こった場合ですが、極東にはアメリカは地上軍を送る用意はないということを考えているのではないかという節がある。ヨーロッパについては、確かに一個師団を二週間とか、それではおそ過ぎるから十日間にするにはどうしたらいいかとか、研究がエアボーンあるいはまた海上輸送その他でなされておりますけれども、極東に対しては、それは事実なされていないように承知いたしております。そういう意味で、救援は陸は来ないのだというようなことがはっきりするならするで、それはまたそういう約束ごととして受け取らなければなりませんが、かといって、日本がいまの十八万名の陸上定員の編成十三個師団をそれ以上に充足させてまでやらなければならないという問題は、直ちに発生してこない、私はそう思います。  ただ、まだ向こうのほうからも一言も聞いておりませんし、いま招待状で何日ならよろしいかというやりとりをしているときに、どう言ったらこう言う、こう聞かれたらああ言うという話を、あなたとここでしてみるのも、ちょっとまだ早過ぎるような気がいたします。要するに率直な意見交換をする、そして日本のために安保条約というものがわれわれにはあるわけでありますから、その立場を踏みはずさないということをしっかりと守っていきたい、そう思います。
  323. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まあ、これからお行きになって、そして話し合われるわけですから、向こうからどういうテーマが出るかは、話し合われたときにわかる問題であろうかと思うのですけれども、しかし、おおよそ予測される問題点というものを、やはり想定をしておかなければならないのじゃないか。それと同時に、大切な問題等については、かなりこちらのほうとしても用意をしておかなくちゃならない、そういうふうに思ったので、あえてお聞きしたようなわけであります。  話はちょっと変わりますけれども、先ほど来からいろいろと論議をされております四次防、この四次防の達成については、完全達成は諸般の情勢から不可能になった、率直にそう申し上げて私はいいのじゃないかと思うのですけれども、私どもは四次防に対して、批判的な立場にあるわけでありますが、一応政府考え方をお聞きしておくということは、これはまた大切な、国民が知りたい問題であろうかと私は思いますので、そういう立場からちょっとお伺いを申し上げたいわけであります。  いま四次防が完全達成できないということは、物価の高騰あるいは総需要抑制、そういう政府の施策の上に立ったときに、あえてそれを強行することもできないということで、当初予定をされていたものが、次から次へと積み残されていって、主要項目も五十一年度の四次防が終わるころにはかなり残ってしまう、そういう意味においての完全達成ができないのだ、このように私ども判断をいたしているわけであります。  そこで、今度の概算要求は五十年、五十一年の二年を見通して、四次防の終わりを見通しての防衛庁としてのいろいろな論議がなされたと私は思うのです。その上に立ってこういうふうにいこうという概算要求が、それぞれ出されたと思うわけでありますから、概算要求が出されたということになりますと、当然すでに五十年と五十一年を見通して、その先まである程度考えた上において処理をされている、こういうふうに私は判断をするわけであります。防衛庁長官のほうの話も聞きますと、一つは積み残しをしてしまうという方法もあるであろう、あるいは五十二年度に残ったものについては、引き延ばしをしていくという考え方もあるであろう、そういう考え方に立ったときに、はたして引き延ばししていくということが効果があるかどうかという問題についてはたいへん疑問がある、こういうふうにお話があったわけであります。  となりますと、五十一年の四次防を終えた時点において、それでは今後どのような状態によってやっていくかということについても、ある程度見通しがついた上において概算要求が組まれていると私は思うのですが、その点については、どのようにお考えでありましょうか。
  324. 山中貞則

    ○山中国務大臣 五十一年度、すなわち四次防の最終年度についての、もし五十年度予算でこのような予算要求をした場合に、これも要求原案でありますからまだ減るわけですが、要求した場合においても、予想されるであろう姿はずいぶん議論いたしました。その際に、いまお話にありましたから繰り返しませんが、大体積み残しという形もやむを得ないもの等について、ある程度議論をいたしております。ことに海上艦艇について、それがきわめてしわが寄る率、積み残される確率が高くなるということも話をいたしておりますが、ただその際に、五十一年度予算はまだ先の話でありますから、一年先のいまごろ五十一年度予算の話をすることになるのでありましょうが、そのときには、もう四次防の最終形態はきわめて明確に、しかも四次防後のものをいままでどおり五次防みたいにするのか、あるいはいままでも話しております人件費、糧秣費、被服費その他のものは単年度ごとに組んで、そうして長期的な歳出化をしながら取得に金をかけて相当な量を取得しなければならないもの、新規のもの、そういうものは若干の長期計画、短くて三年、長くて四年、五年というようなものをお示しすることのほうがいいのか、あるいはぷっつり単年度ごとでいくほうがいいのか、同じ五年でいくにしても、アメリカあたりは実際上八年計画をやっているのです。三年前から次の五カ年計画を議論して、そうして初年度に入ったときには、いわゆる四年目ですね、それが初年度になるわけですが、その五カ年計画のその年度について、さらに新しい議論を展開しながら組んでいく。でありますから、相当長期な議論の上に立って単年度予算が成り立っていくというその限りにおいては、非常に効率的な、そしてやはり予算を、国民の税金を使わしていただく以上は、そういうものであるべきだろう点が、アメリカの制度にもあるような気がいたします。  しかし、アメリカ以外にも、いろいろとくふうをしておる国がございますので、私も行って自分で勉強したいと思ったのでありますが、内局の者を私のかわりにヨーロッパの国々に派遣いたしまして、そして各国の長期計画あるいは単年度計画、あるいは国民、国会の理解を得るための、あるいは徴兵やあるいは志願兵制度やその他に伴うもろもろの予算編成のあり方等について、あるいは処遇等について、かわりの者に調査に行くことを命じて、出張させる予定でおりますけれども、そういうようなことで、やはり日本は将来どうなければならないかということを日本自身がまず考えて、日本の安全保障と日本の独自の防衛考え方、構想というものをそろそろ持つべきではなかろうか。そして、その結果をアメリカと相談して、安保条約の中のドッキングという結果にそれを持ち込むような形にする時期に来ておるのではなかろうかと思います。  しかし、それを私一人が先行きずいぶん見越したことをえらそうに言っても、そうも世の中、政治の世界はまいりませんので、まずさしあたりは、来年度予算は最終年度の五十一年度というものを踏まえて、はっきり申し上げますと、引き延ばしのほうはあきらめたということであります。そして積み残しのあり得ることを覚悟して要求予算を組んだということに尽きるかと思います。
  325. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 整備計画をどういうふうにするかということについて、五十年、五十一年を見通して、そして予算をどうとるべきであるか、そしてそのときに、どういうものが積み残されて、それとの関連はどうなるのかということは、結局五十年と五十一年ぽっきりの問題では実はないわけです。これは、すべて一つの大きな日本の国の防衛というものに対しての、言うならば考え方の中においての一部分的な場面であって、それが結局次へ、四次防以後という姿になって進んでいくのではないか。  そうしたときに、今度の四次防が非常な物価の高騰、人件費、そういうものによって達成が不可能になってきたというような考え方の中からいうならば、人件費と糧食費、そういう経常経費的なものは、やはり単年度で一応処理をしながら、長期的ないわゆる主要項目、こういうものについては、ある程度の時期を設定して、それまでにこういう問題とこういう問題をする、ある程度防衛庁長官はそうお考えになって、そして、いろいろこういうふうに概算要求をされたのじゃないかというふうに私は思うのですが、その点はどうですか。
  326. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いろいろ思案をいたしておるわけでありますけれども、五十年度予算要求については、五十一年度、四次防の最終年度を踏まえたスタンスにおいて要求せよということでありますから、また、そういうことで最終的に私が取りまとめたものでありますから、五十二年度以降のことは、五十年度予算要求については考えていない。しかし政治家あるいは責任ある者として、それ以降のことについても考え方を持っていないといえばうそになりますが、かといって、いまの時点ではちょっと申し上げるのに約一年早過ぎるという感じのものでございます。
  327. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういうことであるならば、次に進みたいと思いますけれども、山中長官がかつて提唱されました陸七自衛隊十三個師団の再編成構想は、その後どういうふうになっておりましょうか。
  328. 山中貞則

    ○山中国務大臣 陸上自衛隊幕僚長に命じて、それの何案かを検討させました。しかし、まだ最終案を得るに至っておりません。  現状では九千人師団といい、七千人師団といい、いずれも方面の本部あるいは師団の本部あるいはその他の各部隊でも、管理機構等については、定員の一〇〇%以上いるのに、だんだんだんだんこれが実戦部隊、実働部隊等のほうにおりてまいりますと、一番肝心な曹の不足、士の不足というもので頭でっかちの火星人みたいな状態で、これじゃ九千人編成も七千人編成もあったものではないというそういう感じが私はするわけです。しかし、それらのところは、やはり十分意見を詰めて、お互いがほんとうにこれでいい、やっていけるという確信がありませんと、これまた非常に大きな、ちょっと諸外国にも例のない構想に、私の構想を取り入れるとすればなるわけでありますから、そういう意味から、そう来年度予算ですぐというふうに考えておりませんので、一ぺんはすでに答案も出てまいりましたけれども、それは差し戻し処分にしてまだ議論を続けておるところでございます。
  329. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 有事編成と平時編成に分けて、言うならば実戦師団と教育師団とに分けようというわけでしょうけれども、有事師団と訓練師団の内容はどういうふうにお考えになっているのか、また、どれとどれとを実際にどういうふうに色分けをしていくかということについて、山中防衛庁長官が、一応案が出てきたけれどもそれは返したということは、気に入らないから返したわけでありますから、あなたはあなたの御構想がおありでしょうから、その御構想はどういうことでしょう。
  330. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまは、入れものは十八万人体制を法律上はつくってもらって、そして編成は確かに一師団から十三師団まで、九千名と七千名の差こそあれ、堂々たる編成になっておるわけなんです。しかし一皮めくって中をのぞいてみると、足は細く細ってという感じの姿をしておりますので、やはり足腰もがっしりとした、ちゃんと曹、土も一〇〇%充足された、そして装備その他も完全に一〇〇%充足された速戦即応できる臨戦体制の臨戦師団といいますか、こういうことばづかいをするとぶっそうになりますが、要するにすぐに役に立つ、対応できる師団と、それから教育だけではありませんが、教育その他各種訓練というようなものを中心として、実人員も少ないし、また装備等もそれほど最新装備完全充実という形でない師団に分ける必要があるのではないか。  長期展望で見て、充足率は向上するどころではない、むしろ来年度予算の募集定員の要求も、これは恥ずかしながら四十九年度予算より千名減の要求をせざるを得ない、そういう客観情勢にあります。これは、ずっと減るとは言いませんが、ここ当分非常に困難な客観情勢が続くでしょう。そのときに、充足は、率は高まるどころかやめていくもののほうが、いわゆるデッドクロスしてしまって、だんだん減っていく自衛隊というものになるのじゃ、これは、いよいよ問題だと思っておりますが、皆さまの御了解を賜わりまして通過いたしました二任期目の二百日、三任期目の百五十日、それぞれ百日、五十日ずつ特別退職手当をふやしていただきましたが、そのことによって二任期、三任期まではつとめようかという隊員たちがふえてきてくれておるようでございまして、この点はたいへん感謝をいたしておるところでありますが、そこらのところが、いわゆるやめるところのほうが減っていってくれない限りは、募集するほうが相当ふえていくということは、相当長期的展望に立ってむずかしい、こういうようなことを考えると、やはりここらで何らかの構想がないと、ただいたずらに図の上に書いたものだけでもって自己満足しておるのは、いつまでも許されることではないのではないかというきびしい自省の念を持っておるということであります。
  331. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 隊員の充足状況が非常に悪いわけです。それに対して法律的にいま十八万体制というのをとっているわけですけれども、山中長官が考えるいわゆる平時、戦時の師団構想というものは、これは実際空間のない、言うならば充実したものにするという意味からいうならば、十八万体制のいわゆる法律的ワクに固執する理由というのはどこにあるかという問題が一つと、それからもう一つは、十八万体制というのは、これは暫定的なものであるかどうか、あるいは限界的なものであるかどうかという問題これについては、どのようにお考えでありましょうか。
  332. 山中貞則

    ○山中国務大臣 この十八万体制というのは、実は私が唱えたものでもなければ、私が推進してきたものでもなかったことは御承知のとおりであります。すでに二国会通過しない、そして三国会目の提案理由が述べられただけの内閣委員会においてバトンタッチをして登場したのが私でございますから、すでに提案され、三年にわたって提案理由が説明されている理由を私もそのまま述べる以外に道はなかったわけです。  しかしその中でも、この十八万人というものは、沖繩の長大な列島というものが返ってきていなや前提のもとの十八万人ではなかったのか。だから、沖繩配備のため一千人というならば、計十八万人というならば、それは十八万一千八百名で初めて十八万というのが、一次防以来の目的の兵員数ではなかったのかということを、これは内閣委員会で、私、答弁の中で、私的な、私の全く個人的な感情として、言い方として申し上げたことがあります。しかしそれは十八万名にさえなればという、ある意味において安易な気持ちで長年執念のごとく目標数として掲げておりましたために、最終、あと千人で十八万名だというときに、沖繩配備は実際に要ったわけでありますから、それは、十八万名の理論と沖繩配備一千名を増加することによって十八万名になるという理論とは決して一致しないはずなのに、それを一致させて国会に提案理由を示してしまった、そのことについては、私は率直に申し上げた覚えがあります。  しかし、まあそれはお許しを願いまして、沖繩が返っても十八万ということでお認めいただきましたし、来年度予算要求にも、陸上自衛隊の増員要求はいたしておりません。ゼロであります。でありますから、十八万体制はわが国の地上兵力、すなわち陸上自衛隊の限界の数字である、そういうふうにお考えになってけっこうであると考えます。
  333. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは、陸上の場合はそういうことなんですけれども、海、空について人的限界が実は示されていないわけであります。トン数とか機数で示されておりますけれども、当然、四次防なら四次防という一つのワク組みの中においては、その限界あるいはそういうものをはっきりすべきじゃないかというように思うのですけれども、その点についてはどうなんでしょうか。
  334. 山中貞則

    ○山中国務大臣 四次防では隻数、トン数、機数示されているんだと思うのですが そうじゃなくて、むしろ長い将来にわたって、わが国の海上自衛隊はどのような艦艇を総数何隻、何万トン、何個護衛隊群、そしてどのような範囲に、どのような目的に置くことをもって最終とするか、空は、まあ大体これはあまり変わりませんが、何機程度で、そしてこれはナイキも含みますけれども、そういう防空のどの程度までを達成することを任務とするか、それから、これは文字どおり海に浮かんでおりますけれども、第七艦隊の空母の艦載機あるいはその他の米軍の、日本以外の基地も含めた極東の基地における飛行機日本国内の米軍機というものもあるわけでありますから、これはもう、そういう意味で総合的な戦力というものは推計もできると思いますが、わが航空自衛隊としては、どこまでかという議論が実はまだ煮詰められていないのではないかと、これは中で、いま盛んに私が中に入って議論をしておるところでありますが、やはり自分たちがしつかりしたものを持たなければならない、これが国防である、みずからの国を守るのが自分たちの責任であるという以上は、とこまでですということを少なくとも——これは相対的なものであります、質とかあるいは近代化とかいうものは。しかし相対的であっても、わが国における限界というものは、日本国民にはっきりと知っていただく、このことがまた自衛力に対する御理解もいただくもとの一助にもなると考えて、その点は、いまきわめて激しい論争を私が中心になっていたして、できるだけ早く結論を出そうということで議論を続けておる最中であります。これはしかし来年度予算要求に直接関係をしてまいるわけではございません。将来の展望として詰めておくべきことである、そういう感じであります。
  335. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 核の問題についてですけれども、先ほどOTHについてアメリカ局長が御答弁になられたことは、私はたいへんに重大な問題があろうかというふうに思います。それは、昭和四十二年にアメリカがOTHについて配備をしたいというふうに言ってこられた。ところが外務省においては、その言ってきたことについて検討をされたのかどうかは知りませんけれども、いずれにしても、すぐにオーケーを出してしまった。しかも周波数をいろいろ監理するという郵政省、それからまた基地等の管理をしなくてはならない防衛庁、この両省に何らの通知もしないで、検討もしないでやったということは、私はこれは重大なミスだと思うのです。先ほどもお話がありましたけれども、言うならば、アメリカがいわば今日まで配備についてほとんど何ら事前に話をしてこなかった。ところがこの問題について、唐突にアメリカがこの問題を提起をしてきて了解を得た、了解を得るような、そういう話があったということは、やはりアメリカにしてみても、日本の国としてこういうふうな問題を当然事前協議の問題としてとらえる、そういう判断のもとにおいてアメリカは配備についてOTHという問題を持ち出した、私はそのようにしか判断できないわけです。それに対してうかつにも、OTHのその新しい兵器、新しく開発されたものがよくのみ込めなかったというところに私はあなたの重大なミスがあると思うのですが、その点についてはどうなんですか。   〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕
  336. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 昭和四十二年にOTH施設につきまして外務省に通報してまいりましたときに、外務省がオーケーを出したというふうにおっしゃいましたが、われわれといたしましては、これはオーケーするというふうな問題ではないと考えております。これは先ほども申し上げましたように、日本米軍が配備いたします装備の一つ一つについて日本側に通報があるわけではございません。また日本に相談があるのは、御承知のとおり事前協議の対象となるものであります。われわれは、この問題についてアメリカ側が通報してまいりましたときに、事前協議の対象になるものではないということを確認いたしたわけであります。そしてまた周波数につきましても、先ほども申し上げましたように、既存の周波数を使うということでありましたので、その点もわれわれとしては問題がないと判断した次第であります。
  337. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 だから、そこが私はたいへんに外務省の判断の誤りだと思うんですよ。当然これは、アメリカの核戦略構想に関連する、しかもABM体系に間接的に関連するOTHでしょう。となれば、アメリカがわざわざOTHについて、一番新しいそういうものを開発したからひとつ承認してもらいたいというふうに言った場合、私は当然、ちょっと待ってくれ、それは重大な問題である、ひとつ事前協議にかけた上において判断すべき問題であるといって、やはり各省を集めてこのOTHの問題については論議をしなくてはならなかった。また、それをするのが私はあたりまえだと思うんですね。なぜかというならば、ABMに間接的に関係する問題であるがゆえに、私は重要な内容を持っているのじゃないかと思います。  事前協議をするについて、その事前協議にかけるには、やはりいろいろな条件があるわけです。一つは配備における重要な変更、これについては、陸においては一個師団程度、海においては一機動隊程度、空においては一航空師団程度というふうに一応いわれております。しかしOTHの配置というものは、言うならば、これら陸の一個師団の機能よりも重要化してとらえなければならない問題なんですね。ゆえに私は、これだけの配置に対する重要な変更の中においても、事前協議にかけなければならないという問題のとらえ方からするならば、それ以上に重要なOTHというものについては当然事前協議にかかるべきであった、また言うならば、装備における重要な変更、これは核弾頭及び中距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設に限定しているけれども、実際にアメリカの核戦略の一環のものであり、これは核関連の基地の建設なんですよ、OTHは。直接ではないかもしれないけれども、言うなれば連動する重要な基地の建設であるわけですから、当然事前協議にかけるべきじゃないですか。  それを外務省のほうではしないで、そして外務省の判断だけにとどめて事前協議にかけなかったところに、今日の問題が起こっているんじゃないですか。だから、当然こういう問題は事前協議にかける。そういう筋合いのものであると同時に、アメリカにもわざわざOTHについて、日本の国としてどういう反応を示すかということも含めてその問題を提起したわけです。だから、そういう意味からいうならば、もう少し外務省自体が事前協議に真剣であるという態度であるならば、こういう問題をとらえてOTHは当然事前協議にかかるのだ、だから、防衛庁も呼ばなくちゃならない、あるいは郵政省も呼ばなくちゃならない、そしてまた外務省が中心になって事前協議としてこの問題をそのときに討議をしておけば問題はなかった、こう私は思うのです。ですから、そういう意味においては外務省はたいへんにミスをしていると私は思うのですが、防衛庁長官どう思いますか。
  338. 山中貞則

    ○山中国務大臣 外務省、ことに木村大臣のおられないところでありますから、私の見解の表明は、木村大臣が意見を表明されてなお私が述べる余地がありますれば申し述べる機会があるかと思います。
  339. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 外務省、いま私がそういうふうなもののとらえ方をして、これは、やはり重要な核戦略の一環で、ABMに関連する大きな問題であるとするならば、事前協議にかけるべきだというふうに私は申し上げたわけですが、それでも事前協議にかけなくてもいいというお考えですか。
  340. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 事前協議の対象となります一項目であります「軍隊の装備における重要な変更」というのは、すでに御承知のとおり、現行安保条約が日米双方の交渉当事者、当時の藤山外務大臣とマッカーサー大使の間で口頭において了解されておりますように、核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設の場合であります。したがいまして、アメリカ側が昭和四十二年にわがほうに通報してまいりましたときも、単に通報としてやってまいったのでありまして、事前協議の対象にすべく言ってきたのではございません。われわれも、その内容を検討いたしまして、これは事前協議の対象になるものではないということを確認した次第であります。
  341. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 だから、外務省自体のものの判断が違っているというんですよ。確かにあなたがおっしゃるように、核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設に限定されているということですけれども、このOTHというものは、やはりアメリカの核戦略の一環にあるものであって、言うならば核関連の基地の建設なんですよ。だからアメリカは、いままでいろいろの装備を持ってきても、日本の国にその問題を提起していなかったのです。ところが、この問題については、かなり重要な問題であるということは、アメリカのほうが一番よく知っているわけです。核の関連の基地ができるわけでありますから、当然日本の国に一応打診をしてみた。そのとき日本のほうで、これは事前協議にかけるべき筋合いのものではないか、こういうふうにぱっと反応すれば、アメリカはそれなりにやはり対処したと思うのです。アメリカがこれを事前協議にかけてくださいなんて、そんなことは言うはずがありませんよ。それにもかかわらず、あなたのほうで見のがしたということは、これは重要な問題ですよ。  OTHについては、少なくともそういうふうな問題を含んでおるわけですから、今後もしアメリカのほうから、さらにOTHの装備をしたいという場合においては、外務省のほうとしては、少なくとも慎重な態度でこれに臨むかどうか、それについてお伺いします。
  342. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 OTHレーダー施設というものは、ミサイルの発射の初期の状況を探知するにすぎないものでありまして、これは先生おっしゃいましたように、ABMの発射に必要なデータを供給するというようなものではございません。そういう意味で、ABMシステムと連動しているということはございません。そういうことは、われわれもその当時において認識したわけでございます。したがいまして、これは事前協議の対象となるものではないと考えたわけでございます。  それから、将来アメリカがOTH施設を増設するかどうかということについては、われわれは聞いておりませんので何とも申し上げられませんが、同種の施設というものは聞いておりませんし、まあ、その問題については、将来の問題としてちょっとお答えいたしかねます。
  343. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 OTHで外務省はたいへんに大きなミスを犯しているのです。しかも関連の防衛庁並びに郵政省にそういうことを通知もしなかったというんですからね。そういうOTHの内容についていかに未知であったか、重大視していなかったかということは、今日これが問題になっていることからいっても明らかじゃないですか。だから、そういう古い考え方は捨てて、少なくとも事前協議を持って日本の国民の了解を得るという態度で、疑惑を除くという態度で臨まなければ、事前協議にかけるものは何もないじゃないですか。  たとえて言うならば、ミッドウェーの核の搭載証言の問題及び沖繩における核模擬弾の投下訓練等一連の動きを見ても、そのことはもう明らかじゃないですか。事前協議なんかにかかるものは全くないといっても過言じゃないじゃないですか。もし核の持ち込みということになりますと、当然事前協議にかからなくちゃならないわけでありますけれども、事前協議にかかった場合、それについてはノーとおっしゃいますか。
  344. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 核兵器の持ち込みがあります場合には、もちろん事前協議の対象となります。そして核兵器につきましては、日本政府は非核三原則に基づいて対処すると存じます。
  345. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 さきに問題になった例の証言もありますし、その真偽については、ただアメリカを信頼するというだけでは、私は国民の疑惑は晴れないと思うのです。やはり証言という問題もこれあるわけでありますから、その場合に真偽を確かめるという意味において、外務省としては何らか立ち入り調査権とかあるいは査察という問題について、アメリカにそういうふうな問題が起きた場合に対処できるようなことについては申し入れはしていないのですが。
  346. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 先ほどから申し上げておりますように、核兵器の日本への持ち込みについては、当然事前協議の対象となるわけでございますが、ミッドウェーの問題につきましては、そういう事前協議は行なわれておりませんので、われわれは日本に核兵器が持ち込まれていることはないと確信しております。  さらに、ミッドウェーは軍艦でありまして、これは国際法上不可侵のものでもありますし、われわれとしては、ミッドウェーに立ち入り調査をするということを要求する考えはございません。
  347. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 立ち入り調査権もなければ、また言うならば査察をするという考え方もないというならば、これは、いつまでたっても国民の疑惑は晴れないですね。またアメリカは、この核の問題については、大統領の専権事項でありますから、当然核を日本のほうに持ち込むなんということを言うはずもありません。そうなった場合、ますますもってこれは国民の疑惑は晴れないということになりますよ。  そうなった場合に、核を搭載可能であるという、言うならばサブロックの原潜とか、あるいはそういう核を搭載可能であるという、ジェーン年鑑においても、ミッドウェー自体はすでに核搭載ということについては可能な装備をしておるというふうなことも書いてあるわけでありますから、当然今後こういうようなものが入ってくるについては、むしろアメリカに対して、そういう疑惑が晴れないうちはちょっと困るのだ、こういうふうな態度でいくべきではないか、そのように私は思うわけであります。  話はちょっと変わりますけれども、もう時間がだいぶたってきましたので、それではミッドウェーに関連して少し質問をいたします。  四十九年の一月二十五日の昼間、厚木航空基地に緊急着陸しようとした米空母ミッドウェー艦載機が、綾瀬町上空で燃料油を投下した事件で、綾瀬町と議会が二十八日、その基地の米軍や横浜防衛施設局に抗議書が提出され、石井大和市長も防衛庁に抗議をしたといわれるが、その大要については、どのようになっておりましょうか。
  348. 平井啓一

    ○平井説明員 ちょっと私は直接の所管ではございませんので、そういう問題があったことは承知しておりますが、事故の態様等について、手元に資料を持ち合わせておりません。
  349. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 資料を持ち合わせていないというのですが、実際にこういう事実があったかどうかということは全然わからないのですか。——防衛庁の長坂参事官はいませんか。
  350. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いないのです。——ちょっと待ってください、事実関係ですから。
  351. 久保卓也

    ○久保説明員 綾瀬町でありますが、これは一月二十五日、綾瀬町の住民の方から届け出がありまして、十二時過ぎごろに油が上空から降りかかって、ビニールハウスとかふとんに被害を受けたという届け出があったそうであります。そこで綾瀬町で米海軍基地に連絡しましたところ、十二時過ぎに厚木基地を離陸しましたファントムが、機内に煙を発生しましたので、緊急着陸するというために燃料を放出して基地に戻ったという回答があったそうであります。  その後調べましたところが、これは基地のほうでやや早合点をしたようでありまして、この航空機に若干トラブルがあって緊急着陸をした。そして、そのときに消防署に連絡したそうでありますが、消防署の救急車が来たときには、飛行機がすでに飛び立っておって、そのあとに油が滑走路に若干残っておったという事態だったそうであります。  いまちょっと聞きましたのは、その範囲であります。
  352. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 二十八日の十二時に、海上自衛隊の総務班長に会って、この真相を聞こうとしたのだそうです。ところが米軍側の事故であったので、当方は何もわかっていない、詳細については米軍側に聞いてくれという返事であったそうであります。たとえ米軍側の事故であっても、厚木基地の航空管制は自衛隊にあるわけでしょう。基地を利用しての発着陸は、すべて掌握下になくてはならないわけですよ。緊急着陸指示をした自衛隊が知っていないなんということは、これは許される問題ではないですよ。二十八日にそういうふうに言ったところが、そういう返事があったというのですが、その点について事情はわかっていますか。
  353. 久保卓也

    ○久保説明員 手元の資料によりますると、緊急着陸をする旨及び緊急着陸を指示したという事実は管制塔のほうでしております。したがいまして、その範囲で海上自衛隊のほうでは知っておったようでありますが、その事故原因がどうであったかということは、私のいまの手元の資料の範囲では確認をしていないようであります。
  354. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ですから、緊急着陸をしなくてはならないという重大な問題について、当然その厚木基地が、言うならば、航空管制は自衛隊にあるわけですから、どういうためにその緊急着陸をしなくてはならなかったかという二とについて、いち早くそういうことは聞かなければならないし、また上司に報告しなければならないんじゃないですか。そういう点がおろそかになっているなんということか——これかもし、いわゆるジェット燃料が噴射をされて、霧のように散っていれば問題ないわけでありますけれども、この事故はその噴射をするとき、まとまってばっと出ちゃったわけです。ですから、それをもろに受けた農家のおやじさんが、あまりにもくさいのでびっくりして見たところが、もうたいへんに油をかぶっておったということで届け出た問題じゃないですか。それに対して全然知らない、それはアメリカのことだからアメリカに聞いてくださいじゃ、私は言うならば、基地を管理する自衛隊としては、少し怠慢だと思うのですが、防衛庁長官どうなんですか。
  355. 山中貞則

    ○山中国務大臣 当時、私も報告を受けた記憶がありましたので、そのことではないかということで、先ほど立ち上がっていったわけでありますが、そのあと綾瀬の町長さんですか、だれですかわかりませんが、基地に行かれて、私ども自衛隊の者が、それに対して米軍幾だったからわれわれはわからない、だから、向こうに聞けというようなことをもしほんとうに言っているとすれば、おっしゃるとおり、これは管理し、離着陸をコントロールしておる自衛隊のほうとして、日本国民に対して言うべきことばではない。やはりそういうことは、今後のこともあるわけでありますから、何であったのか、なぜそういう緊急着陸を求めてきて、また飛び立っていったのかについては完全に掌握し、その日の管制日誌の中に書き込んで、そして幕を通じて内局から私のもとに上げてくるべき事柄であった、そのように考えます。
  356. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それが当然のことです。幸いにして事故はなかったわけでありますけれども、言うならば航空法八十九条を見ても、何人であっても、航空機上より物を投下してはならない、そういうことがありますからね。もう少し配慮して、言うならば海へ投げるとかなんとかいうならば、これはまた話は別ですけれども緊急着陸だからといって、いきなり農家のおやじさんの頭にばっとかぶせてくるような、そういう軽率なやり方というものについては、私は防衛庁としても、アメリカのほうにその点については厳重に抗議をすべきだ、こういうやり方じゃ困る、もし万が一、それに火がついた場合にどうするのだということを抗議すべきだと私は思います。いまからでもおそくないのですから、この問題はやはりある程度明らかになったわけですから、これについて、国会で問題になったから、こういうことのないようにというふうにアメリカのほうに言われますか。
  357. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは鈴切さんのおことばですが、抗議をすべき事柄であるのかどうかはもう少し調べてみませんと、本来ならば、大事故になるはずであったものを、本人がいち早く気がついて、しかも対処、処置よろしきを得て無事帰投して、そしてまた修理の上飛び立つことができたのだとすれば、私はむしろ、それはうまくやってくれたほうであって、最悪の事態を免れてよかったといわなければならないものであり、あるいはまた、それが別段緊急着陸のために燃料を全部空中で放出した後着陸しなければならないほどのものでないのに、しかもそういうふうに落ちてきたということは、それも相当な低空でやったと思われますから、そういう判断の誤りがあったら、これは、やはり基地を管理するものとして、あるいは基地周辺の国民のために代弁しなければならない自衛隊として、そこらのところはきちんとしなければならぬケースであったかもしれませんし、これは、やはりそのことの事実を確かめた後でなければわからない。ことに災害にならなかった航空機の問題でありますから、その点は少し調べてからにしたい。ただ抗議を申し込みますというのは簡単ですけれども、もう少し事実を調べてみたいと思います。
  358. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、それは事実をもう少し確かめていただいて……。しかし私が言ったことは、私がその綾瀬町に住んでいる方から聞いた話でありますし、なお抗議に行った方からも、直接に聞いた当時のレポートを私は持っておるわけでありますから、そういうことからいうならば、間違いないと思いますが、なお調べてください。  それから時間がないものですから、あともう十分足らずでございますので、簡単に聞いておきたいと思いますが、七月の二十九日から八月の一日に——実は私、八月の十五日に新島へ行ってまいりました。そのときに新島の前浜海岸で、七月の二十九日から八月の一日の間に、実は砲弾がたくさん陸揚げをされたわけでありまして、約八トンぐらい砲弾が揚がったわけであります。  前々からこの砲弾については、かつて昭和四十四年の六月だったと思いますけれども、漂流してきたところの砲弾をいじっておった子供が、たき火にくべられているということを知らずして、そして爆発をして一人が死亡し、一人が重傷を負ったという、こういう痛ましい、言うならば、いわくつきの問題があったわけであります。それから防衛庁としても、毎年毎年掃海をしながら、その砲弾を集めているわけでありますが、ことしも私、八月分十五日、たまたまお盆でありますので、そういうなくなった方々の冥福を祈るためにも、その家にお伺いをいたしましたけれども、しかし相変わらず砲弾というものは、まだまだたくさん残っている状態であります。  それについて防衛庁は、かねがね村の要請もあり、また警察の要請もあって、そしてこれに取りかかったわけでありましょうけれども、約八トンというたいへんな砲弾が出たわけでありますけれども、実際に作業をされたのは何日でしょうか。
  359. 丸山昂

    丸山説明員 本年の七月の二十九日から八月の一日までの間、作業をしているという報告が上がってきております。
  360. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは、おそらく東京を立って、そしてその仕事につこうというまで入っているのじゃないかと思いますけれども、前浜海岸で実際に水中から、その処分隊がもぐってとったのは何日間ですかと言っているのです。
  361. 丸山昂

    丸山説明員 いまのところ、詳細はわかっておりませんので、いずれ調査いたします。
  362. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういう処理された砲弾は、あなた方のほうの資料によりますと千五十二、その他五百二、計約八トンとありますけれども内容はどういうものが何発、手りゅう弾が何発、砲弾が何発、信管、薬きょう、迫撃砲弾、小銃弾、何発ずつあったか、その明細を教えていただきたい。
  363. 丸山昂

    丸山説明員 個々の数量は、ちょっとよくわかりませんが、種類を申し上げますと、一五〇ミリ、一〇〇ミリ、七〇ミリのそれぞれりゅう弾砲、それから八〇ミリ、七五ミリ、四〇ミリの迫撃砲弾、その他機関銃弾、小銃弾、手りゅう弾、それから信管と、こういった相当いろいろな種類のものが出ております。
  364. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、それは知っているのです。なぜ私がそのことについて明確に、要するに何がどれだけあって何がどれだけあるということについて明確にしなさいというのは、やはり危険であるから私はそう申し上げるのです。  この言うならば、水場げされた不発爆弾について直ちに投棄処分されましたか。   〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕
  365. 丸山昂

    丸山説明員 集めました弾薬は三十日に船積みをいたしまして、一日の日に海中投棄を行なっておる、こういうふうに聞いております。
  366. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたは実態を全く知っていないんですよ。八トン揚がった砲弾、この砲弾を全部処分することはできなかったんじゃないですか。そうでしょう。あなたが言うとおりじゃないんですよ、でたらめばかり言って。どうなっているんですか。
  367. 丸山昂

    丸山説明員 訂正さしていただきます。  新島の分は、一度船積みをいたしまして、横領賀の比与宇の弾薬庫へ運びまして、そこで、それまで蓄積していたものと一緒に海中投棄をした、こういうことでございます。
  368. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それも、でたらめじゃないですか。それも違うじゃないですか。要するに私が調査した状態からいいますと、まず新島に砲弾が八トン揚げられた、しかし、その一部分を言うならば海上自衛隊が持ち去っていった、あとの一部分といいますか、言うならば四百六個の砲弾はどうなっていますか。
  369. 丸山昂

    丸山説明員 その残った分について、新島の警察と処分について相談をしておるということで、詳しいことは、まだ私ども海上自衛隊から聞いておりませんので……。
  370. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それも、またずいぶんでたらめですね。そういう重大な問題について、私が新島のこの問題を取り上げるということも、きちっとあなたのほうに通告をしてあるわけです。この中の四百六個は、その当時新島の警察署のいわゆる霊安室の中にずっと置いてあったんじゃないですか。これは問題ですよ、四百六個。私がこの問題を取り上げるというふうに言ったので、急遽驚いて九月三日に海上自衛隊に引き渡したのじゃないですか。そういう事実関係が全く皆さん方のところに報告されてない。  防衛庁長官、先ほども言いましたが、この砲弾によってとうとい命がなくなり、しかも、たいへんに重傷を負った青年が、ようやくこのところ立ち上がって、そして大学を受けるというふうな気持ちになったということで、親御さんは非常に喜んでおった。私はそのところへも激励に行きました。そういうふうにして、言うならばこの砲弾自体が、かってそういう事故を起こしたいわくつきの砲弾であるだけに、私はもう少しきちんと、何発どういう種類のものが出て、そして不明のものもあるでしょうから、それはそれとして新島に——とりあえず警察に置いた、これは火薬類取締法について違反ですよ、違反でしょうけれども、しかし、とりあえず置いたとするならば、いち早くその処分にかからなくちゃならぬじゃないですか。にもかかわらず、霊安室に九月三日まで置いていたんですよ。私がこの問題を取り上げると言ったので、驚いて海上自衛隊が飛んできたんじゃないですか。  こういう問題について、そんなことがあっていいのですか。私はそうあってはならないと思うのですが、その点について防衛庁長官、そのお写真を見ながら、そして、いままで防衛局長がでたらめの答弁をしておって、何一つ事実と合致する答弁になっていません。こういうことでは、また事故が起きるということです。その点についてどうお思いになりますか。
  371. 山中貞則

    ○山中国務大臣 この問題だけ、ふしぎに私にあまり掌握がされていなかったという事実が一つあります。たとえば母島等に行きましたのは、かっての特攻魚雷艇の弾頭等は、とてもいまの、向こうに渡っての自衛隊の処理能力ではむずかしいということで、一般の人たち、観光客等が立ち入らぬように、それを穴の奥深く、昔の防空壕みたいなものでしょうが、その奥深く入れて封鎖しておいて、いずれ処理班を出すとか、それぞれきちんと、処理したものがどれだけで、そうやって穴をふさいで人が入れないようにして安心であるようにしてあるものが幾らとか、大体、全国で処理班を出します場合も、私が承知して、よろしいと言い、そしてその報告は上がっているのですが、いまおっしゃったこの新島の問題については、いま写真を見て、私もぼんやりしていると、マグロの荷揚げ場みたいで、だから、あなたも陸揚げとひやかされたんでしょうけれども、だから、それだけの量を処理し切れないならし切れないで、運ぶ船なら船の手配を上司に仰ぐとかなんとか、やはり行ってみたら膨大な量である、いかがすべきやという指揮を仰ぐとか、あるいは私のところに命令を仰いできてから行動するとか、何かがあってしかるべきだったと思いますけれども、いま局長のところまでで掌握がきわめて不確実であるという点は、私も残念ながら認めざるを得ませんでした。私自身が第一、掌握していなければならない事柄でございます。したがって、この問題は至急調査を開始いたしまして、それで委員会等がなくとも、先生のところに一応は、さしあたりこういうことであったという事実について報告をいたさせます。
  372. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういうふうにしていただきたい。  なぜ、そういうふうにしていただきたいかといえば、そういう過去においてたいへんに不幸な事実があったわけです。そういう観点から考えたときに、一つ一つの砲弾でも、まだまだ信管がしっかりしているのです。ですから、取り扱いによっては、そういう重大な事故を引き起こさないとも限らないし、やはり一つ一つのたまというものについての保管も厳重にしませんと、これは一つとられてどこかでやられたというのでは困るわけです。すでに九月三日に海上自衛隊にそれを受け渡しをしたと言ってから、もう一個警察のほうに小銃弾が届いております。  そういう事実もありますし、それからもう一つ、私お願いしたいことは、これは、また来年もおそらくやらなければならないでしょうが、もうすでに小銃弾があがってきているというわけですから、来年もおそらく、新島本村でそれの要請があり、あるいは警察のほうから要請があれば、やらなければならないわけであろうと思うんですけれども、お願いしたい問題は、もう七月の三十日、三十一日、新島にしてみるならレジャーのまつ最中なんですよ。ことしも七万人からの人が新島に来たということで、新島はわき立つような喜びに浸っております。三泊としても三、七、二十一万泊ですか、そういうことで、新島をたいへんに平和な島として喜んでいるわけですけれども、三十、三十一日に、そういう海中の一番、前浜海岸といえば白い砂浜のその場所に、その砲弾をあげて並べている姿を見たら、レジャーを楽しむ人はどうなるんですか。そういうやはり国民感情をさかなでをするようなやり方はやってもらいたくないんですよ。たとえていうなら、六月とかあるいはもうレジャーが終わって九月とか、そういうときにこの問題を取り上げてもらいたい、私はそう思うのですけれども防衛庁長官、この問題は、私も前から何回も実はやってきているわけなんですが、ひとつそういう御配慮も賜りたいと思うのです。  来年も、おそらくまた、たくさんの砲弾を投棄して、しかも漂砂があるために流れついてくるわけです。あるいは砂がなくなれば、そこの砲弾だけは残るという状態で、いまそこにある実態をお見せをしたわけですから、やはり長官が知った以上は、そういう配慮とともに処理をしていただけるかどうか、それをお聞きします。
  373. 丸山昂

    丸山説明員 海上自衛隊の実情をよく把握をしておりませんで、まことに申しわけないと思っております。実は、先生に提出申し上げました資料でわかりますように、普通の遺留砲弾でございましたら、だんだん年を追うごとに数量が少なくなってくるというのが普通でございますけれども、新島の場合には、特殊でございまして、ことしは例年になく多く個数が出ておるし、トン数も非常に多いということでございまして、御案内のように、砂の中にたまがもぐっておるということで、台風とかそういう波で砂が洗われたようなあとになりますと初めて見つかるというような特殊事情もございますので、ことしは七月に、先ほど申し上げましたように一回実施をしておりますけれども、台風の過ぎました十月の時点でもう一回実施をいたしたい、こういうふうに計画を持っておりますので、その際、そのたまの処理につきましては、十分注意をしてやりたいというふうに考えております。
  374. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あと二、三問です。  小笠原へ実は私、台風十六号のまっただ中に行ってきたのですが、皆さん方の、いわゆる向こうに派遣されている方にもお会いいたしましたが、小笠原の不発爆弾の実態を御存じでしょうか。
  375. 山中貞則

    ○山中国務大臣 小笠原については、大体掌握しておるつもりでありますし、ことに処理不能な非常に巨大な弾頭等もあることも承知しておりますから、それらの始末等について、十分私の手元でも指図もし、写真等も見ながら指示しておりますが、具体的な個数その他については、事務当局より答弁させます。
  376. 丸山昂

    丸山説明員 小笠原につきましては、最近、東京都からの依頼がございまして、母島で四十七年の十二月から四十八年の四月までに砲弾、爆弾などを処理いたしまして、それからことしの五月に、この要請に基づいて事前調査をやり、六月に砲弾、爆弾、機雷等約一・六トンを処理いたしております。  それから、母島では一つ問題がございまして、母島の評議平というところがございますが、その壕内で発見されました震洋弾頭、これが十八個あるわけでございますが、これは極度に危険なために移動が不可能でございます。そこで現地で爆破処理をいたします場合に、相当の爆破力がございますので、その処置について現在東京都において検討中である、こういうことが一つございます。一応この壕の口をふさいで人の立ち入りを禁止をしておる、こういうことでございます。  それから父島でh、四十七年の二、七、八、十、十一月に砲弾、爆弾を約〇・六トン、それから四十八年の二月、三月と十月に砲弾、爆弾、機雷約一・六トンを処理しておる、こういう報告を受けております。
  377. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 もう時間がありませんので、私のほうから申し上げますけれども、まだ実は不発爆弾があるのです。先ほども防衛庁長官言われましたけれども、私も調査をしてきました。そうしましたところが、約二百五十キロ爆弾が五個、それから五、六インチの砲弾が三個、それから四十五センチ感応機雷というのが二個、それから百五十キロ爆弾が一個。それから疑いがあるのは、爆弾が一個に砲弾が四個。これは大体あるということは、もうわかっているわけです。ですから、これをそのままほっておくわけにはいかないわけですよ。特に父島には儀兵岩というのがあるのですが、その儀兵岩のところに、すでにその不発爆弾がそのままあらわになっているわけです。そして実際には、旗を立てて危険だというしるしだけになっているわけです。  いいですか、危険になっているのです。ですから、そういうふうなものはいち早く処理をしなくてはならないわけです。感応機雷もありますし、また観光客等も行くわけですからね。そういうことについて、一刻も早く調査をして処理をされるということについて、一応前向きに防衛庁長官、これは話していただかないと、住民の方がここにも爆弾がある、ここにも爆弾があるというふうに言っているわけですから、そんな不安なことではいけないと思いますから、その点について、どういうふうにお考えでしょうか。
  378. 山中貞則

    ○山中国務大臣 まだ処理し残してあるのは特攻魚雷、震洋といいますか、それの弾頭、これは処理を簡単にできないものを洞窟の中に締め切ってあるというもののほかに、私の聞いておりました情報が間違いでなければ、海岸に出ておるというのは、たしか船だまりの岸壁と申しますか、潮どめのあたりにあるものだと思いますが、そういうもの等について、いままた処理をしなければならぬだろうということで打ち合わせをいたしておるわけでありまして、大体、小笠原の問題は承知しているつもりであります。
  379. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間になりましたので、以上をもって終わります。
  380. 徳安實藏

    徳安委員長 受田新吉君。
  381. 受田新吉

    ○受田委員 夜もいよいよふけてきまして、皆さんお疲れでございます。一時間の予定でございますが、少し短縮さしていただいて、皆さんの御苦労を少しでも軽くして差し上げたいと存じます。  私、敬愛する、与野党をこえた立場で人気のある山中防衛庁長官に、実はたいへん失礼ではございますが、冒頭御意見を承りたいことがございます。  それは、ちょうど私、先月アメリカの旅をしております際に、ロサンゼルスでアメリカの新聞に、鹿児島の自民党県連大会におきましてのあなたの発言が相当の大きさで出ていたわけです。つまり防衛庁長官である自分が、田中内閣の改造にあたっては居残る意思がない、こういう発言があったと。これは、ちょうど外国で拝見したのでありますので、多少間違いはないかと思っておりました。こっちへ帰ってみて、あなたがこれに対して修正意見を述べておられることも伺いました。ところが、初めの報道がそのまま伝えられて誤られた認識であると、問題が一つあると思います。  それは、防衛庁長官という重い使命を持ったあなたのお立場は、国土国民を守るための自衛隊の全隊員の士気に関する問題である。久しぶりに明快な、隊員を愛する防衛庁長官に来てもらったと喜んでおり、また、あなた御自身も非常に庶民的な面を持っておられて、政府委員室へ行きましても、歴代の防衛庁長官は、自分の写真を掲げた部屋でいい気持ちになっておられる中に、あなたはおれの写真と対面するのは忍びないといって、これを撤去せしめられたというようなよい面をたくさん持っておいでるのが山中長官である。したがってあなたに、ひとつこの防衛庁長官在任中に、自衛隊の士気も高め、また量よりも質を中心の、内容の充実した少数精鋭の自衛隊をつくってほしいと私からも要望をしております。  ところが、この鹿児島発言は、自衛隊の最高指揮官である総理大臣と、そして、その補佐役である長官との関係で、最高指揮官に対して防衛庁長官の補佐任務がきわめて限定されて次の改造までだということになると、もう条件つき残留というような形で改造まで居残るということになると、われらの長官は、やがてもう二、三カ月たたぬうちにやめるのだというような形で士気をいささか阻喪せしめる危険がある。こういうことを考えて、私は内閣総理大臣防衛庁長官、名コンビで国土国民を守る先頭に立ってもらう重い使命を持ったこの両御所が、両方のバランスがくずれて、名コンビがくずれていくということになると、国防の基本までゆさぶる大事な問題である、こういう感じを持ちますので、あえてお尋ねを申し上げまして、長官の真意を伺いたいと思います。
  382. 山中貞則

    ○山中国務大臣 御忠告、秋風よりも身にしみました。終わり。
  383. 受田新吉

    ○受田委員 それでは、長官の身にしみていることで、質問をこれ以上続けません。友情です。  それでは次に、実は先ほどから質疑応答を通じて非常に不愉快な事態をさらけ出したわけですが、韓国に悲しい事件がきょう起こっておる。これは防衛にも直接関係をする問題を幾つかはさみますのでお尋ねをいたします。なるべく重複を避けたいと思うのでございますが、先ほどから私、夕刊紙を読んでみてしみじみ感ずるものがあるのです。あの韓国における日本大使館に対する暴徒、国旗を引き裂くというような事件というものは、これは、まことに不愉快で、率直に申し上げまして、国旗を引き裂くという事件は、これは国家を侮辱することになるものであり、国の象徴を破壊するということにもなるのでございます。かつて長崎で中国の国旗事件が起こって、あの問題でさえも非常に大きな責任問題が発生したのです。  そこで、この国旗に対する認識というもの、こういう事件においてどうわれわれは対処すべきか、ちょっとどなたからでもけっこうです。
  384. 中江要介

    ○中江説明員 国旗というものが、国家の尊厳を象徴するものであって、その持つ意味というのは非常に大きいということは、先生の御指摘のとおりでございまして、これは旧来、国際社会の通念といたしまして、国旗というものが国家の象徴であり、その尊厳をあらわしているという扱いを受けてきておるわけであります。  したがいまして、従来の国際慣行を成文化いたしました外交関係に関するウイーン条約でも、特に国旗、国章を掲げる権利というものを一条設けて、各国にその公館に国旗、国章を掲げるという権利を認めているくらいでございます。したがいまして、そういう扱いを受けている国旗が、無理やり引きずりおろされる、あるいは引き裂かれるというようなことは、これは国家そのものの尊厳が傷つけられた重大なものであるというふうに受けとめられてきておりますし、今回の事件も、私どもは、非常に不幸な重大な事件であるというふうに受け取っております。
  385. 受田新吉

    ○受田委員 これは単なる局部的な問題ではなくして、国家に対する侮辱であり、重大な国際問題であると思うが、どういう感じをお持ちですか。
  386. 中江要介

    ○中江説明員 けさ起きました事件につきましては、具体的に申し上げますと、日本の国家の尊厳をあらわす日本の国旗について、国際慣行上果たすべき保護の任務を十分韓国側が行なったとは思えない、そういう結果を招いているという点で、そのもの自身がすでに国際問題であるというふうに受け取っております。
  387. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は、韓国自身が十分の警備をなしていないといま御答弁になっておるようでございまするが、国旗を擁護してくれることは、その国家を擁護するという形にもなるわけなんで、韓国側の日本大使館の警備は非常に不十分といいまするか、全くあけっぱなしにあばれさしたというような印象をお持ちなんでございますか。
  388. 中江要介

    ○中江説明員 ソウルにございます日本大使館の場所は、御承知のように、非常に狭い道からしか入れないようなところにございまして、構内には車を駐車するぐらいの場所はございますけれども、入り口は非常に狭いところで、そこには、過般の朴大統領夫妻狙撃事件以来日々高まってまいります反日的なムード、そういうデモの繰り返しというものを前にして、すでにわがほうから何度も、大使館の警備について粗漏のないようにということを韓国の当局に申し入れていたやさきの事件でありますだけに、どうしてあれだけの細い道に、装甲車その他を置いて日夜警備していてくれたはずにもかかわらず、こういうことが起きたのか。このデモの数が想像以上に多かったというような印象もあるのでございますけれども、その辺のところは、現在までのところ、必ずしもどういう経路でついに屋上の国旗の掲揚台まで人が達することになったのかという点については、事実以外につきまして、そういう詳しい調査というものの結果は判明しておりませんけれども、私どもといたしましては、非常に納得しがたい面がやはりある、こういうふうに思っております。
  389. 受田新吉

    ○受田委員 野放しにあばれさしたという面が多少でもひそんでおるという御見解かどうかです。
  390. 中江要介

    ○中江説明員 私は、そういうことからすぐに野放しであばれさしたというふうにとるものでないのは、この事件が起きましてすぐに、韓国の政府も非常に驚きまして、警備の警官を増援いたしまして、そして事態の処理に当たっておりますので、韓国の当局としては、日本の大使館を守らなければならぬという気持ちはあったと、こういうふうに思っております。
  391. 受田新吉

    ○受田委員 私は、この問題に原因をなしたといわれる木村外務大臣の昨日の発言、それには原則的に肯定をしておるわけなんです。つまり例の日韓条約の第三条の解釈を、三十八度線よりも南という立場で韓国は朝鮮における唯一の合法的政府であることが確認されるという解釈に立っておる。例の北朝鮮の白紙論とかオーソリティー論というようなものに触れないでこういう解釈をしておるということは、現状をすなおに国民に理解させる上から見ても当然であったと思っておるのです。あなたも同様、部下として大臣の答弁を肯定されますか。
  392. 松永信雄

    ○松永説明員 昨日の衆議院の外務委員会におきます土井議員の御質問で、日韓条約第三条の解釈につきまして、第三条は朝鮮半島における現状と全く矛盾しているので、これを改正するか、あるいは条約を廃棄すべきではないかという趣旨の御質問がございまして、それに対しまして、第三条の解釈として私が御説明申し上げましたのは、第三条ではっきりと書いてございますが、朝鮮における韓国政府を唯一の合法政府であるということを確認しておるその第三条で、国連決議第一九五号というものを引用いたしまして、その決議で「明らかに示されているとおりの」というのが第三条に書いてあるわけでございます。  そこで、その決議第一九五号の中では、どういうふうに書いてあるかということを御説明申し上げまして、第三条の解釈の問題といたしまして、朝鮮における唯一の合法政府であるというその韓国政府の実効的な支配が及んでいる範囲は南の部分であるという認識、それを前提として第三条というものが書かれているのでありまして、その認識は、日韓基本条約を締結いたしました当時と何ら変わっていないということを申し上げたわけでございます。
  393. 受田新吉

    ○受田委員 私のお尋ねしていることを肯定されたものと思います。  そこで、韓国が昨年の国連総会以来、こういうことを大いに提案しております。南北朝鮮が国連に対して同時加盟ということ、このことは韓国側の提唱ですね。どうですか。
  394. 中江要介

    ○中江説明員 ただいま先生のおっしゃいました、南北朝鮮が国連に同時加盟するのも一つ考え方ではないかと言い出しましたのは、昨年の六月二十三日の朴大統領の声明によって言われたことでございますので、おっしゃるとおり、韓国側の言い出したことでございます。
  395. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、韓国の言い分からいって、南北朝鮮の国連同時加盟ということになれば、例の三十八度線の南と北と両方があることを前提として両方が同時加盟、こういう意味でいうならば、むしろ木村外務大臣の見解というものは、国連の同時加盟を提案した韓国の言い分と一致するんじゃないですか。
  396. 中江要介

    ○中江説明員 結論の部分で二つの団体が国連に同時に加盟するということだけを取り上げますと、おっしゃいますように、南にも北にも国通に加盟し得るようなそういう団体があるということを前提としているということになりますので、おっしゃるようなことになると思いますが、昨年の朴大統領の声明の中では、これは北のほうも同じでございますけれども、朝鮮民族の究極の目的は、民族の悲願は統一である、したがって、朝鮮半島が統一されるのが理想であって、そこで初めて一つの国家になりたい希望はあるけれども、その統一までの間にまだ相当の年月がかかるのであれば、それまでの間南と北がそれぞれ国連に加盟するというのも一つ考え方だということで、韓国の立場も北朝鮮のほうの立場も、いずれも究極の目的は統一にあるということをくずしていないという点は、二つの朝鮮が固定されるということにつながらないという意味で、結論のところだけではちょっと足りない部分があるかと、こういうふうに思います。
  397. 受田新吉

    ○受田委員 これは北朝鮮だって、高麗共和国をつくって国連に加盟するという言い分でございますから、最終的には朴大統領の見解、その点では終局の目的は、どっちも統一された国家として考えておる。ただ北のほうは、南北が別々に国連加盟ということを提案していないというところに相違がある。したがって韓国側自身は、最終目的は統一ということであっても、その過程としては南と北に分かれて、それがそれぞれ加盟するという提案がしてあるのです。  そうすると、そのいまの過程における、道のりにおける国連加盟の構想というものは、三十八度線を中心に北と南とがそれぞれ加盟するという、そういうことであるならば、当面する要望というものは、いま木村大臣が言うことと同じようなことであって、むしろこれを騒ぐほうがおかしいような感じがするのですが、どうでしょう。
  398. 中江要介

    ○中江説明員 昨年の六月二十三日の朴大統領の声明は、確かに大韓民国政府の実効支配が北の部分に及んでいないということをまず前提として、その及んでいないところにもう一つのオーソリティーがあって、それとともに国連に加盟することも考え得るという立場でございますので、そういう意味では、北と南とに区別して考えているという点は、おっしゃるとおりかと、こういうふうに思います。
  399. 受田新吉

    ○受田委員 大体、こういう問題にはけじめをつけて外交もおやりになるべきものであって、あなたの国も、南と北とそれぞれが国連に加盟することを提案しておられるわけなので、その点においては、北にオーソリティーがあるということをお認めになっておるとすれば、ここに全体を統一して一本の韓国というような見解に当面固執するものではないという答えが自然に出ると思うのです。  そういうところを日本外交ははっきり、あなたの国も国連加盟を南北別々でいいと言っておられるじゃないか、北に支配が及んでいないということを認めておる、この過程でわれわれはいま三十八度線以南を支配しておる政府をあなたの国として認めておるわけですと、こう言うのはちっとも矛盾しないわけなんです。韓国自身が言っておられることを日本が裏づけるわけなんですからね。外交はもっと国際情勢を明確に分析して、筋は筋として通して、けじめをはっきりしておやりになっていいので、国連加盟の提案などを、何かそういう意味でお持ちになってやられたらいいんじゃないですか。これは一つの知恵として私、考えてみたのですが、こうした問題をいろいろと検討して、韓国側がいまかれこれ言うほうがむしろ矛盾しておる、御自身が昨年以来提案していることと矛盾しておるじゃないかということで、けじめをつける外交をお進め願いたい。  われわれの党は、韓国との友好を大いに増進しようという立場で日韓条約を原則として認めた。同時に、北との友好親善も新しい問題として提案しておったわけでございますから、韓国に春日委員長以下責任者たちが友好親善のために出かけたりしておる政党です。そのわれわれの立場でこれをいま申し上げておるのでございますので、私たちのいま申し上げた国連加盟提案というもの、これは韓国側にとっては、いまの外務大臣の発言を裏づける御自身の発言であって、かれこれ騒ぎ立てるほうが矛盾しておる、こういう意見を持っておるわけです。  もう一つ、朝鮮民主主義人民共和国のほうも、今度IPUのほうに加盟して、東京の会議にも出てくるわけです。正式に代表者が来ることになっておる。また国連の専門機関にも一代表者を送っておる。こういう国でございますから、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の国際的地位も、常識的に考えてもうちゃんとりっぱな独立形態として認められておる。この点、どういうふうにお考えになりますか。北朝鮮を承認するとかせぬとかいう問題を別にして、北朝鮮の国際的地位は、一国を形成しておると見られるかどうかです。
  400. 中江要介

    ○中江説明員 朝鮮民主主義人民共和国のほうも、ただいま御指摘のように、国際連合の専門機関の中にすでに二つは正式に加入を認められておるわけでございまして、そういう意味では、国連の大きな機構の中のメンバーにすでになっておるということもございますし、また最近では、オーストラリアの例に見ますように、北の朝鮮民主主義人民共和国を承認する国もだんだんふえてきております。そういう意味で、国際的にその地位が上がってきておるということは、これは、いなめない事実だ、こういうふうに認識しております。
  401. 受田新吉

    ○受田委員 ここで、ちょっと国連軍についてお尋ねしたいのですが、国連局参事官の御答弁でけっこうです。  木村外務大臣がおっしゃったことばの中に、北からの武力攻撃がないことの理由の一つとして、韓国に国連軍がおって、米韓安保条約が存在しているということをあげておられる。  そこで、ちょっとお尋ねしたいのですが、現在の韓国の国連軍というものは、例の一九五〇年の五月、朝鮮事変のときあの国連決議に基づいて派遣された。この国連軍は、紛争の解決等で出動する国連軍と違い、何かの予防のために駐留しているような意味がありまして、国連軍の目的とは違ったものになっているという印象を受けるのですが、これは、いかがでしょう。
  402. 野田英二郎

    ○野田説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、国連軍は当初、武力攻撃の撃退というような目的のために主として参ったわけでございまして、以後ずっとそういう形でおったわけでございますけれども、休戦以後年月がたちまして、その駐留の目的というものが、侵略の撃退というようなことから朝鮮におきます国際の平和と安全の保持ということに変わってまいってきておるわけでございます。この朝鮮におきます国際の平和と安全の保持という文言は、一九六六年から七〇年までの総会の決議におきまして、そういう形に変わってきておる状況でございまして、その決議のもとにささえられて引き続き駐留しておるという状況でございます。  私どもといたしましては、いま国連で考えています朝鮮問題というものが、最終的に解決されておらないという状況でございまして、その地域の平和と安全の維持のために国連軍の駐留が、引き続き国連の決議によって認められておるという状況であるというように認識いたしております。
  403. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと伺いたいのですが、国連の帽子をかぶっておる韓国にいる米軍、帽子をはずした場合の駐留米軍というものは違うんですか違わぬのですか。
  404. 野田英二郎

    ○野田説明員 現在の国連軍司令官と申しますものは、同時に米軍の第八軍の司令官ということでございます。そうして現在おりますその国連軍司令官というものは、同時に米軍の司令官でございまして、同時に韓国軍に対する指揮統帥権を持っている、そういう形でおるということだと思いますので、国連軍司令部というものがかりに解体されました場合には、そのときのことは、まだ全く仮定の問題でございますけれども、その場合には、単なる米軍の司令官ということになると思います。
  405. 受田新吉

    ○受田委員 これは実体的な相違というものが一体どうあるかということなんですが、いま御答弁の点ではなはだ不可解に感ずるのですけれども、国連の決議があるから朝鮮の安全のためにおるというような、こんな国連軍の趣旨に反するようなものがいつまでも認められるという状態は、これは日本としても、国連に対して強い姿勢で世界の世論を喚起するように努力すべきじゃないか。また国連の帽子をかぶって実は米軍であるというようなものが、休戦協定が結ばれてもう二十年になるのにいつまでもそのまま残っているという、このほんとうに変態的な存在が、あそこにある国連軍である。これは、もう国民もみんなよく承知しておる。国際世論もそういう方向にあるのです。  そこで日本は、それを正す方向へ、国連軍の真の趣旨は何であるか、いまの韓国における国連軍は、その趣旨に反しておるじゃないか、決議などというものは早く直すべきであり、安全保障理事会でアメリカがたとえこれに対して拒否権を発動しようとも、それに対して一応世論をわき起こす努力を、日本外交としてなすべきじゃないかと思います。この点について、参事官でけっこうですけれども、国務大臣がおられるので、国務大臣、あなたは防衛を担当しておる国務大臣として、こうした国際的な防衛関係に一言御発言を願いたいです。
  406. 野田英二郎

    ○野田説明員 とりあえずお答えいたします。  ただいまの先生のお話のとおり、朝鮮半島をめぐる国際情勢というものは、確かに変わってまいってきておるわけでございます。特に先ほど中江次長から申し上げましたように、南北の共同声明というものが出てまいりまして、朝鮮半島におきます政治情勢というものは変わってまいったわけでございます。そういう状況を踏まえまして、昨年の国連総会におきまして、すでに国際世論を背景といたしまして、北朝鮮の支持側と、それか、ら韓国の支持側というものが決議で争うということでございませんで、要するに南北の対話を見守っていこうということで、将来の統一への希望を持って両者が話し合っていくのを見守っていこうという趣旨のコンセンサスというものが、議長の声明という形で採決されまして、両方が決議で争うということが避けられたわけでございます。  わが国といたしましても、こういう状況でございますから、今後とも、去年の国連の総会議長のステートメントの線に沿いまして、国連におきまして無用の論議をしなくても、やはり朝鮮の南北の平和的話し合いというものが統一に向かって進んでいくということをあたたかく見守るということのほうが大事であって、国連におきまして、ことさら論議をしなくてもいいのではないかというくらいの気持ちでおったわけでございますけれども、このたび、また北朝鮮の支持側のほうにおきまして、国連の旗のもとにある外国軍隊の撤退というような決議が出てまいったわけでございます。これは、まだ決議としては出ておりませんけれども、議題の要請があった。そこで、この状況を踏まえまして、九月三日にまた新しく決議案を、日本も含めた諸国が提案したわけでございますけれども、今度のこちら側の提案というものに私どもが同意いたしました理由は、やはり今度のでき上がりました決議の案文と申しますものが、国連軍司令部の問題を含めて問題を再検討してもよろしいということをいっておりますし、特に南北の対話を見守っていこうという去年のコンセンサスステートメントの線を体しておるということから、むしろ前向きの建設的なものではないかというような考え方、特にこれが大多数の世界の世論にも訴えるものがあるのではないか、そういう穏当な内容のものではないかと考えましたものですから、日本も共同提案国ということでやっておる次第でございます。
  407. 受田新吉

    ○受田委員 質問を進めますが、木村大臣のお話のように、武力攻撃が北からないというところを前提としての発言が、例の軍事的な均衡論です。それを根拠にしておるわけです。ところが、ここでニクソン・ドクトリンから先般のアメリカ下院の歳出委員会の報告書などを見ると、韓国にある米軍、これがあるので日本に保障感を与えておる、こういう見解が出されておるわけです。そこで、だんだんと韓国における、あるいは台湾における、日本における米軍勢力を減退せしめて、それにかわらす自助、さっき御質問に対する御答弁もあったのではないかと思うが、自助をそれぞれの国に自覚せしめる、こういう方向にいくことになると、米軍の撤退によって南の勢力防衛力が減殺される、そうすると、北と南の均衡がくずれると判断ができるかどうか。
  408. 中江要介

    ○中江説明員 ただいまのご質問の南にあります米軍の撤退というものは、国連軍の撤退と一般にいわれているものと必ずしも同一でない。先般来、木村外務大臣がおっしゃっております南における防衛のワク組みは、一つは従来、国連の安全保障理事会の決議に基づいて存在してきております国連軍というもの、それからアメリカと韓国の間で相互防衛条約を結んで、その条約のもとで存在しております米軍というもの、それからいまの自助努力と申しますか、韓国自身が自国の軍事力をみがき上げている、そういういろいろの要素を勘案すれば、北と南との間に直接の全面的軍事衝突のおそれはないというふうに見られる、また、それがないことを望む、こういう趣旨でおっしゃったわけでございまして、かりにこの秋の国連総会で、国連軍なり国連軍司令部なりそういったものが変貌いたしましても、これは国連のきめることでございますけれども、朝鮮半島全体の平和と安全を維持するワク組みとしての変貌を認めることになろうと思いますので、どういう形で国連軍が新たな姿になるか知りませんけれども米軍に関する限りは、米韓相互防衛条約によって引き続き南には存在する、その南に存在する米軍が、将来どうなっていくかは米国の政策でございますし、それに韓国がどうこたえていくかは米韓両国の問題であろう、こういうふうに思っているわけでございます。
  409. 受田新吉

    ○受田委員 南の勢力が、米軍が漸次撤退していく、それで均衡がくずれていく、そのくずれさせない肩がわりとしてそれぞれの自助政策を進めさせる、日本も例外であり得ない、韓国の安全は日本の安全に通ずるという佐藤・ニクソン共同声明の韓国条項、こういう意味から、南朝鮮の米軍の撤退、たとえば国連軍という立場の議論は抜きにして、米軍の撤退が進むことによって、当然この均衡のくずれる肩がわりを日本が背負わざるを得ないようになるのではないか。防衛力を増強し、分担金をさらに高めていくというような形になるのではないか。そうした場合における日本のあり方、これをどちらからお答えをいただけばいいんですか。
  410. 山中貞則

    ○山中国務大臣 日本のほうは防衛分担金というものは実はないのです。ドイツのような形とは違うわけであります。したがって、これはアメリカ側から問題の提起を、絶対にされないという断言はできないでしょうが、いまの下院のレポートもありますからね、いろいろな意見があり得ると思いますけれどもアメリカ側がしいて日本側の意図せざることを、いまさらここで日本にあらためて、二十年もたってから押しつけようという、まあ戦後は三十年ですが、そういう空気は感じられませんし、日本の自衛力の向上は望んでいるでありましょうが、しかし朝鮮半島の南に位置する国連軍、また米韓安全保障条約に基づいて駐留するアメリカの軍隊の肩がわりを、日本の自衛隊にしてもらおうといっても、わが国の憲法、これも制定のいきさつ、占領中の憲法でありますし、アメリカは知らぬとは言えないはずでありまして、そういうことを考えますと、そういうことができないことも、またよく知っているはずなんです。  だから、下院のレポートにも、日本の憲法や法律上の諸制約をよく知っているが、ということを前提に書いておって、あとのほうには、その制約下では考えられないようなことが書いてもございます。これは、日本のことをアメリカの下院議員がそう知っておるわけではありませんから、ここらにもやはり日米の対話の必要というものを感じているという原因もございます。
  411. 受田新吉

    ○受田委員 アメリカのやることですから、日本防衛にも当たってくれている、それに対して新しく分担金の創設を要求する場合も起こるわけでございます。そういうものを含めて日本の自衛隊のあり方を、さらに自主防衛の線で安保を補完というかっこうに転換せざるを得ないというわれわれの立場とは変わって、安保条約の基調のもとに、これの根幹の上に自衛隊を補完任務に当てようとするあなたの唱える理論を、この際もう一度検討して、安保を補完として日本の自衛隊、自衛力を基幹とするという国防の基本に認識を変えていくときが来たのではないか。中曽根構想の中にそういうものがあった。自主防衛の立場から、日本の自衛隊を根幹とした防衛力を基本にして、その上に日米安保を補完作用として見る認識に立つ、こういう考え方があった。私もいつかこの問題で、長官にもお尋ねしたのですが、自主防衛路線を明確にする上から、安保条約というものは、これの補完作用をするにすぎないという認識に立つ必要があるのではないかと思います。長官、御答弁を。
  412. 山中貞則

    ○山中国務大臣 昭和三十二年五月二十日の国防の基本方針という閣議決定があります。これは、いろいろありますが、最後の第四として「外部からの侵略に対しては、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果し得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。」こうなっておりますし、四次防の前提の情勢分析も、そういうふうになっております。また日米安保条約の体制というものを基調にしなければ、日本が独自でまず日本の独立と平和を守る陸、海、空の兵力を、今日のミサイル時代というものに対応するだけの力を持つということは容易なことじゃありませんし、また憲法上も、財政上も、また国民の気持ちの上からも、そういうことは望み得べくもないことである。とすれば、やはり安保条約というもので、世界を二分する米軍の軍事力、そして最後に核保有超二大国の一つである米国というものが、日本に領土的野心も何も持たないで日本との間において相互に安全保障条約を締結して、これに対して確たる約束を取りつけてくれておる、また約束を果たすと今度の大統領も、米国の上下両院の合同会議の席において言っておりますが、そういう体制は私どもにとっては、ある意味で私はきわめて幸いであるし、ありがたいことだと思うのです。  しかし、補完か基調かという問題になりますと、やはりこれは基調でなければ、わが国の国防を独自で行なう、どうしても足らなければアメリカにひとつ補完してください、核の部分だけでも補完してくださいというのは、私たちの憲法以下の制約、財政、国民感情というものが許さないのじゃないでしょうか。だから、おそらく過去に補完ということばが出たのは、まず日本が局地的な侵略程度のものは自分でやりますよ、そういう体制は自分でやりますが、それ以上になったら、ひとつ頼みますよという意味で、その形を補完といったのなら、まだ私もわかりますけれども、性格づけるのに補完というのは少しおかしいのではないか、それほどわれわれは諸外国から見て大それた軍事力の持ち主ではない、そういうふうに考えます。
  413. 受田新吉

    ○受田委員 これは見解の相違ですが、国防の基本方針を変えるお考えはないか。これは中曽根構想の中に一つあった。それがついに実を結ばなかった。国防の基本方針をその方向に持っていくべきであるというのは、日本は独立国である、アメリカの属国ではないのだ、たとえそのスケールが、安保条約が大きくて日本の自衛力が小さくても、自主防衛の路線からいうならば、自主防衛路線を基幹として、それに安保体制というものが日米間で補完作用として見られるという立場をとるべきだ。独立国家がアメリカの軍事的属国になっている。大きな力にたよらなければならぬというような日本防衛庁長官では情けないじゃないか。小なりといえども、少数精鋭でみずからの国はみずからが守るのだ、いざというときには、あなたの国でお手伝いを願いたい、平素はあなたの国の軍隊はおたくのほうへ帰っておいてもらいたい、一朝有事のときには有事駐留で御苦労願いたい。現に米下院歳出委員会の見解の中に、沖繩の部隊を引き揚げる、有事にはまたこれを持ってくるという見解が一つ出ておる。そういうところが日本防衛庁長官の使命だと私は思うのです。  いま日本は、小さな自衛隊で大きなことは言っちゃおられぬのだ、やっぱりアメリカの力を借りなければならぬ、これを根幹にせにゃいけぬというようなさみしい御見解では、日本の自主防衛路線を大きくしこうとしておる防衛庁長官としては、一番私はさみしく思うのです。国防の基本方針をこの際チェンジする。小なりといえどもこれが基幹である、それに日米安保体制が従として考えられるのだということで、国防の基本方針を変えることによって、むしろ国民に自主防衛の認識を与えることになると思うのです。アメリカの力の陰で小さく防衛的属国になっていることに甘んじておられるような行き方は、私はとるべきでないと思う。少数精鋭をもって、みずからの国はみずからが守るのだ、いざというときには、あちらにお手伝いを願うのだという意味からいうならば、最初が主であって、おしまいが従であるはずです。私の見解をどう見られますか。
  414. 山中貞則

    ○山中国務大臣 なるほど言われんとするところが那辺にあるかがわかりました。ただ私は、中曽根構想がまた出てきて、またその後遺症に悩まされるのかと思いまして、やや腰を引いて答弁した感じもありますが、気概は、まさに受田先生の気概をもって当たらなければならぬ。しかし、わが国の自衛隊は、世界のどの国から見ても通用しない、世にもふしぎなる軍隊であるということですね。要するに敵国の——敵国というのは交戦の場合です、そういう国が起こった場合には敵国です、わが国を攻めた場合は。領海、領空には絶対に攻めていかない。海外派兵もしない。もちろん核の問題は、これは別の時限の問題としても、そういう能力を持った爆撃機とか航空母艦とかいうものも持ちません。そういうようなことをきめておる軍隊が、ほんとうに自分たちだけでやってみせますよ、基地はそのかわり全部引き揚げておいてくれ、何のメリットもあなたたちにはふだんはあげませんよ、しかし、いざというときには、手に負えないときには頼みますよねという、世にもふしぎな軍隊が、さらにそれを今度は、いざというときには合図するから、信号弾が上がったらすぐ飛んできてくれといって、それにオーケーを与えるほど人のいい国があるだろうかという気もせぬでもありません。  しかし気概は、そういう気概を持ってやらにゃいかぬ。みずからの国家、民族の生命、財産、平和と独立というものは、自分の力で守るのだということの決意があって、初めて日本に手を出すことをちゅうちょする。したがって、平和というものが、逆にそこから生まれてくるのだということの信念を持っておらにゃいかぬ。しかし私たちは、第二次大戦の敗戦にによる国民の平和を祈る気持ちの上に立って、あまりにも多くの制約を持った。諸外国では軍隊と見るかもしれないが、その行動あるいは性能、制約等において、決して通常の国の持っておる軍隊といえないというようなものを持っております以上は、やはりアメリカに対して、どこまでも虫のいいことを要求して通るのならば——われわれは自主独立国家てありますから、アメリカの支配を受けておりませんし、政治的な命令をコントロールもされておりませんし、軍事的にも指揮系統は全く別であります。したがって、それに対してわれわれは、アメリカに対して卑屈な態度を持っているつもりでもありません。  日米安保条約というものは、国民のだれにも、役に立っているのやらいないのやら目に見えないというのが一番理想的な日米安保条約のあり方である、私はそう思います。それに対して付随する基地問題等は、確かに先生のおっしゃるような問題が付随して起こってきているとは思いますが、ある程度のものは、いわゆる基地の提供等のものがなくては、最悪の場合にはということをいえるのかどうか、これは相当先の議論になっていくのではなかろうかと考えます。
  415. 受田新吉

    ○受田委員 長官、えらい小心翼々として日本の自衛力を小さく見ておられるようだが、世界じゅうにおける順番が何番目であるか、長官みずからが御存じのとおり。アジアの国々は、日本の現在の自衛隊の力に非常に脅威を感じているようなところまできているのです。そういうことに対して、これを基幹として、日米安保を補完として日本を守っていくという考えをどうして遠慮されておるのか。これ以上増強して、もっともっと大きいものにならにゃもう自主防衛にはならぬのだというような非常な拡大強化を夢見て、いま現在の自衛力を小さく見ておられる。私は現在の自衛隊をもっと質的に向上さして 少数精鋭に切りかえることをかねがねあなたにも提案してある。陸上十八万などやめて、十五万程度あるいは十三万ぐらいにして、九千師団を七千師団にしてでも精銃をすぐれ。  タべもまた青森の八戸で、自衛隊員が百万円の脅迫事件を起こしておる。至るところでいま自衛官がたいへん粗雑な事件を発生せしめております。(山中国務大臣「前自衛官です。現職じゃありません」と呼ぶ)それはそうだ。いずれにしても、そういう自衛隊の現役も退役も含めて、質的に低下しているりっぱな例証ができるのです。それをこの際、自衛隊におった者は退職後もりっぱである、世人のかがみにもなるようなりっぱなものであるようにすれば、自然に自衛隊に尊敬が集まり、信頼が高まってくる。そういう努力をされないで、人集めにいろいろな条件をつけないでやるものだから、いろいろな事件が起こるということを考えると、むしろ数精鋭主義の自衛隊を構成するという、そういう立場をおとりにならなければならぬと思うのです。  先ほどの議論をお聞きしても、この私が提案した少数精鋭に対する具体的な案が、具体的に構想がどういうふうに示されるのか御答弁がなかった。私の提案したかねがねの少数精鋭方式をどの点かで採択されるのかどうか、御答弁願いたい。
  416. 山中貞則

    ○山中国務大臣 すでにもう着手しておるものとしては、募集のあり方について、多く集めたところを幕僚長表彰とか統幕議長の表彰とかいうことをやっていたことをやめまして、今度は私自身の長官表彰というものを始めました。そのかわり、それは集めた者の数も一つ必要ですが、同時に、過去五年間においてその地連の集めた者が、自衛隊の法規あるいは国法その地に照らして自衛隊員としていろいろ好ましからざる事態を起こした率がいかに低かったかという、最も良質隊員を集めたものでなければならぬ。両方の条件を備えたところに地連表彰をしました。したがって、いままでのようにノルマを無理やり課したような感じで、数さえ集めれば、ほうり込めばもう一週間日にいなくなっても、とにかく入れたことは入れた数に入るというような考え方は切りかえさせつつあります。  今後の問題としては、十五万人とか十六万人とかいうことも、私自身の口から言ったこともありますが、少数精鋭といいますか、要するに良質の者でやっていくということは、たいへん必要なことであると思います。また国民の貴重な税金でもって存在しておるわけでありますから、それにこたえる内容の組織の構成員でなければなりません。その点はよく自覚してまいりたいと思います。  しかし、日本の国防の力というものをどういうふうに見ておるか。諸外国は、もうアジアの国々では、脅威だと思っておるぞと言われるのですけれども、かといって、日本は原子力潜水艦を持つことも、少なくとも現時点において原子力基本法第二条の立場からやらない、あるいはやれない。まして原子力潜水艦を撃破と申しますか、爆沈と申しましょうか、要するにしとめることはできない。そういうような条件の中で、日本のこのほそ長い、長大なる緯度にわたって横たわっている日本列島、これを守るというのには、これは、いまの超音速ジェット戦闘機等で、日本の一番ほそい島の中央部あたりを横切れば十四、五分でしょうね、そういうことを考えると、これは守るにきわめてむずかしい条件の国であることは、お互いわかると思います。でありますので、一人立ちしようにも日本にはできないいろんな要件があるということですが、やはりわれわれは、たとえば基地の抗たん性等についても、一機ファントムが二十億になったとかなんとかいろいろおしかりも受けます。が、しかし、それがほんとうに貴重な戦闘機ならば、それぞれシェルターの中に入って、少々ぐらいの空中からの攻撃では飛行機そのものがぼっぼっと燃え上がるようなことがないような状態にしておくべき大切なものだと思うのです。しかし残念ながら、格納庫の中に雨つゆはよけておりましても、機関砲でミシンの針のごとくさあっと縫われると、ぼっ、ぼっ、ぼっと二十億、二十億、二十億と燃え上がってしまうような基地の抗たん性の脆弱さ、こういうことを考えると……(受田委員「簡単でいいです」と呼ぶ)いや、先生の情熱に打たれて、ついそういうふうになってしまいましたが、要するに分に応じたことを、まず私たちは着実に背伸びしないでやるべき時期じゃなかろうかということを考えております。
  417. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと別な問題に入りますが、しかしこれは防衛にやはり無縁でなくして、非常に大事な問題につながるわけですが、海洋法の関係。  先般、カラカスで海洋法会議があった。従来日本が唱えた例の三海里説が国際的コンセンサスとしては十二海里という路線に進もうとしておるようです。来年これが具体的に海洋法の改正となって実現をする可能性が生じております。従来三海里説を唱えてきた日本考え方が十二海里説に切りかえられた場合に、日本の海峡というものはどういう形で解釈されることになるか。津軽海峡、対馬海峡、十二海里の場合には、これが全面的に領海ということになると判断しますが、十二海里実現の際における日本の海峡の姿を御答弁願いたい。
  418. 杉原真一

    ○杉原説明員 いま御指摘になりました領海が三海里から十二海里になるという点は、確かに現在の世界の大勢がそのように向かっておりますことは事実でございます。そうなりますと、従来公海が間にあって自由に船舶が通航できた世界での百二十前後の非常に重要な国際海峡が、十二海里の領海の範囲の中に入ってしまう。そうすると、国際航行にたいへんな問題が生じてくる。と申しますのは、領海に適用になる船舶航行の制度というものは、無害航行という制度であることでございましたが、公海における自由通航の制度が、そのように領海が広まることによって無害航行の制度になることになりますと、ここで国際航行にたいへんな障害が生ずるおそれが出てくるということで、現在国連の第三次海洋法会議では、従来そのように自由に通航できた海峡にいかなる国際制度を設けるかということが非常に大きな問題になっておるわけでございます。  御指摘になりましたように、日本の重要な国際航行に利用されている港口、海峡をはじめといたしまして、その他の幾多の海峡においていかなる制度を適用すべきか、現在海洋法会議で慎重に検討されておりまして、いまのところ、まだ従来どおりの自由航行を維持すべきであるという説と、それから領海の幅が広まる以上、領海に適用されていた無害航行制度が適用されるべきであるという説とがほとんど相半ばしております。と申しましても、今度の国連海洋法会議に参加しております百四十カ国のうち、まだ半分以下の国しかその点についての態度を明らかにいたしておりません。したがいまして、これから国際海峡についてどのような制度ができるかということについては、いま直ちにはっきりこのような制度になるから、日本の海峡についても、こういうふうな措置をとらなければならないということをお答えすることができない状況にあることを御了承いただきたいと思います。
  419. 受田新吉

    ○受田委員 自由通航ができるというたてまえを従来日本はとっておる。自由通航ができることになると、いまの公海がなくなった、領海でたとえばポラリス潜水艦のような核装備したやつが通る、無害通航であればちゃんと浮上しなければならぬが、自由通航なら下へもぐってもいいのだという問題が起ってくる。ところが三木元外務大臣が、あの領海に関する法律の審査のときの答弁で、そういう核装備をした軍艦が通るとき、無害航行というわけにはいかないのだという制約を声明しておりますね。今度それがこれから先どうなるかという大事な問題です。自由航行を主張しておると、もう公海と同じようなかっこうでどんどん通られたら、もうエンタープライズもポラリスも全部自由に通れるというようなことを認めると、核装備をした船が自由に通れるということになると、日本の領海の中に、非核三原則の持ち込まないというやつが、短時間であっても持ち込まれることになるのですが、この解釈はどういうことになりますか。
  420. 杉原真一

    ○杉原説明員 いま国連海洋法会議で議論いたしておりますのは、従来の伝統的な三海里の領海制度が十二海里になることによって、従来公海として自由に航行できた港口、海峡に対して、いかなる船舶の航行制度をとるべきかということを議論いたしております段階でございまして、核を装備する、あるいは核でもって推進される船とかあるいは軍艦とかあるいはタンカーとか、そのような特殊な船舶についてどのような制度をとるかということまでまだ話が進んでおらない段階でございまして、まことに恐縮でございますが、いまの先生の御質問に対して、はっきりしたお答えをできるような制度ないし提案が形づくられていないという段階でございますので、その点はっきりお答えできないことを御了承いただきたいと思うのでございます。
  421. 受田新吉

    ○受田委員 たいへん不用意な御発言です。核装備をしたポラリス、エンタープライズというようなやつが領海の中をどんどん自由に通航できることになれば、それは非核三原則の持ち込まざるというのに違反するわけなのです。そういうことをさせないという態度で臨むのか。いまから研究するというようなことじゃないですよ。研究も何もない。非核三原則を厳重に守る国家として、そのようなものは絶対に通さぬのだ、空であろうと海上であろうと領土であろうと、核を持ったものは通さないのだ、こういう形を厳重に守る腹であるならば、自由通航に対しても自然に答えが出ます。それは防衛の立場からも大事な問題でありますが、いかがでしょう。答弁のできる責任者がほかにおられればお願いしたい。研究しておるのじゃいかぬ、持ち込まざるの原則をりっぱに守るためにはどうしたらいいかを、いまから態度を明確にして今後の会議に臨んでもらわなくちゃならぬのです。自由通航を認めた日本として非常に危険な結論が出される危険がある、国際海峡と称して領海の中へどんどん入り込まれる危険がある。いかがでしょう、条約局長
  422. 松永信雄

    ○松永説明員 ただいまの問題については、こういうふうに申し上げたほうが御理解いただけると存じます。  今度の領海が十二海里に広がるということによって問題となってきます国際海峡というのは、これは海峡でございますから両岸から十二海里ずつ、すなわち合わせますと二四海里以内の範囲の水域というもので埋められる海峡ということになると思いますが、その国際海峡についてどういう国際的な制度が創立されることになるか、それはまだわからないということを、いま政府委員のほうから御説明申し上げたわけでございます。したがって、新しく設定されます国際海峡の国際法上の地位がどうなるかということについて、いまのところ私どもまだどういうものができ上がるのかということについて、はっきりしためどを持っていないというのが現状であるわけでございます。したがって、仮定の問題としてお答えするということになることを御了承いただきたいと思いますけれども、かりに新しく設定されます国際海峡において、従来一般国際法上、領海における海峡の地位というものと同じ地位が、今度の国際海峡について認められますということになれば、それは、ただいま御指摘がございましたような非核三原則、これを堅持するという日本政府の立場をとります以上、当然その原則が適用されるということを申し上げることができると思います。
  423. 受田新吉

    ○受田委員 大事な答弁をしてくれたわけですが、その非核三原則は、今後の国際会議でも強く主張する、そうですね。
  424. 松永信雄

    ○松永説明員 非核三原則は、わが国自身の問題でございます。したがいまして、これは国際会議あるいは外国との間で交渉すべき問題ではないと了解しております。
  425. 受田新吉

    ○受田委員 そこで問題が一つある。非核三原則を強く提唱している日本が、そうした外国の核を積んだ船を領海の中で通すという、そういうことは非核三原則を放棄したということになる、もしそういうことになれば。もう撤回したことになる。国会でも決議し、そして国民にも協力を求めてきた、核を持たざる、持ち込まざるということを放棄することになりますね。
  426. 松永信雄

    ○松永説明員 法律的な考え方を申し上げますれば、先ほど御説明がありましたように、自由航行を認めるということがもしかりに合意されるということになりますと、実はどういう態様、どういう内容のものになるかということが非常に問題になると思うのですが、そこの自由航行を認める場合においては、沿岸国の管轄権がその部分だけ法律的には排除されるという形になるのだろうと思います。したがいまして、排除される限度において非核三原則を適用する関係が一体どういうことになるのかということは、そこに創設されますところの制度の内容いかんによって違ってくるだろうと思います。ですから、それをいま私ども政府といたしまして、あらかじめ一つの場合を設定してどうこうということを申し上げることはできないということを、実は申し上げているわけでございます。
  427. 受田新吉

    ○受田委員 先ほど指摘しました三木外務大臣の、核装備をした船の無害通航を認めないという、そういうものと矛盾しない参加ををするという形になると了解してよろしゅうございますか、十二海里が実現した場合。いまから用意しておいていただきたい。
  428. 松永信雄

    ○松永説明員 私が現時点で申し上げますことができますのは、法律的に日本の管轄権の及ぶ範囲におきまして、非核三原則というものを政府としてはあくまでも堅持していくであろうということに尽きるのではないかと存じます。
  429. 受田新吉

    ○受田委員 政府が一貫して非核三原則を実行する国家として、今後の国際会議に臨んでいただいて、せっかくの国民の悲願である核を持たざる国、持ち込まざる国にも、この領海十二海里が実現した場合に、りっぱに主張を通してもらいたいと要望しておきます。  時間が非常に進行しました。以上をもって私の質疑を終わることにいたします。御苦労さま。
  430. 徳安實藏

    徳安委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後九時四十五分散会