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1974-08-08 第73回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年八月八日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君    理事 中山 正暉君 理事 野呂 恭一君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       越智 伊平君    竹中 修一君       旗野 進一君    林  大幹君       藤尾 正行君    三塚  博君       川崎 寛治君    吉田 法晴君       和田 貞夫君    木下 元二君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小坂徳三郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人  事  官 島田  巽君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         行政管理庁行政         管理局長    木下  薫君         防衛政務次官  木野 晴夫君         防衛庁参事官  菅沼 照夫君         経済企画庁長官         官房参事官   仲田 嘉夫君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         大蔵省主計局次         長       高橋  元君         通商産業大臣官         房厚生管理官  藤咲 浩二君         労働省労働基準         局長      東村金之助君         自治政務次官  古屋  亨君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 八月二日  辞任         補欠選任   瀬長亀次郎君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   金子 満広君     瀬長亀次郎君     ————————————— 七月三十一日  一、内閣法等の一部を改正する法律案内閣提   出、第七十一回国会閣法第二七号)  二、内閣法の一部を改正する法律案内閣提出、   第七十二回国会閣法第六号)  三、国の行政機関の休日に関する法律案大出   俊君外六名提出、第七十二回国会衆法第二〇   号)  四、一般職職員給与に関する法律の一部を   改正する法律案大出俊君外六名提出、第七   十二回国会衆法第二一号)  五、休日の範囲改定等のための民事訴訟法等   の一部を改正する法律案大出俊君外六名提   出、第七十二回国会衆法第二二号)  六、行政機構並びにその運営に関する件  七、恩給及び法制一般に関する件  八、国の防衛に関する件  九、公務員制度及び給与に関する件  一〇、栄典に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件(人事院勧告に関する  問題)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  公務員給与に関する件について調査を進めます。  去る七月二十六日の一般職職員給与等改定に関する人事院勧告につきまして、人事院より説明を聴取いたします。佐藤人事院総裁
  3. 佐藤達夫

    佐藤説明員 先般の勧告に対しまして、説明のお聞き取りの機会をおつくりいただきましたことに対しまして、ありがたく感謝をいたします。例年のとおり、お配りしてあります「給与勧告についての説明」という刷りものがございますので、それの要点をたどりながら御説明申し上げたいと思います。  人事院は、官民比較基本原則適用方式、いわゆる総合較差方式、従来これをとっておりましたのでございますけれども、かねて、昨年の報告でも言及いたしておりましたとおり、慎重に検討をいたしました結果、従来の方式を変更いたしまして、官民双方の大部分を占めております職種、すなわち公務にあっては行政職民間にあってはこれに相当する職種職務に従事する者の給与について、これを比較することが適当であると認めました。  よって、本年四月における行政職俸給表適用者給与月額、それから一方、昭和四十九年職種別民間給与実態調査による公務と類似する民間における職種、すなわち事務技術及び技能、労務関係職務に従事する者の四月分の給与調査いたしまして、この官民双方比較して較差を算定することといたしたわけでございます。  右によりまして算定されました本年の官民給与較差は、一八・六二%あることが明らかになりましたので、この較差を埋めるため給与改定を行なう必要があると認めた次第でございます。  なお、一八・六二%と申しますのは、御承知のとおり、さきに本年五月の勧告におきまして、一〇%の改善がすでに四月にさかのぼってなされておりますので、それを受けての較差であります。したがいまして、五月に上げました一〇%の前の数字基礎にいたしますと、二九・六四%の引き上げということに相なると存じます。  当然のことでありますが、給与改定にあたりましては、俸給表重点を置きました。俸給表改善につきましては、全俸給表の全等級にわたって改善を加えましたが、特に初任給及び中位等級改善について重点を置いております。  初任給につきましては、民間支給額との均衡等を考慮いたしまして、一般事務技術系の場合については、大学卒すなわち上級乙試験の場合七万円。便宜現行の額は省略いたします。高校卒初級試験の者は、五万九千二百円といたすことにしております。   〔委員長退席野呂委員長代理着席〕 なお、初任給関係試験による採用者の最初の昇給につきまして、その昇給期間を三カ月短縮することができるように措置するつもりでおります。  次は、諸手当改善でございます。  まず扶養手当、これについて若干の改定をいたしました。配偶者以外の扶養親族につきましては、従来子供の一人目、二人目となっておりましたのを、今回順位制に改めまして、同時に配偶者に対する分、それから扶養親族に対する分、この額をそれぞれ引き上げまして、配偶者に対する分を五千円といたしました。配偶者以外の扶養親族のうち二人については、おのおの一千五百円といたしました。それから母子家庭世帯主等配偶者のない職員扶養親族のうち一人は、三千五百円ということにいたしまして、その他の扶養親族については、現行どおり四百円でございます。従来と変えまして順位制にいたしました結果、大きな違いの生じますのは、たとえば独身者父母を扶養しておったというような場合に、従来は父の分、母の分でおのおの四百円、合計八百円だけでありましたけれども、今回はその父母について、右の三千五百円と一千五百円の手当支給できることになりますので、これは相当の優遇になると思います。  次は、住居手当でございます。  住居手当については、家賃、間代を支払っております職員についての従来の手当、これをそれぞれ額の引き上げ、すなわち、いわゆる足切り額その他天井の額等引き上げております。なお、ここで新しく措置をいたしましたのは、自宅居住者の場合でございます。従来、この問題は長年の懸案でございまして、今回、この解決の一歩を踏み出しまして、みずからの所有にかかる住宅に居住する世帯主である職員に対して支給することといたしまして、支給月額は千円、なお住宅を新築、購入した職員については、その住宅の取得後五年に限り、千五百円を加算するものといたしております。  次に、通勤手当でございますが、これも交通機関等利用者手当額改定するとともに、自転車等交通用具使用者についても、民間支給状況等を考慮して改定いたしました。交通機関等利用者の場合は、運賃等相当額全額支給限度額を八千円にいたしますとともに、二分の一加算額を加えた最高支給限度額を九千円に引き上げております。次に、自転車等交通用具使用者の場合、片道が十キロ未満は千三百円、片道十キロメートル以上は二千三百円に引き上げまして、通勤不便と認められるものの場合について、片道十キロメートル以上十五キロメートル未満は二千五百円、片道十五キロメートル以上は三千六百円といたしております。なお、交通機関自転車等を併用する場合も同様といたします。  次に、宿日直手当につきましては、支給額を次のように引き上げることにいたしております。  通常の宿日直勤務につきましては、一回について千三百円といたしました。更生援護施設等における特殊な勤務職員については、一回につき二千円といたしました。矯正施設等における特殊な宿日直勤務につきましては、一回につき二千六百円。なお常直勤務、これは月額できめられておりますが、月額九千円といたします。なお、矯正施設における監督当直の補助を行なう勤務等については、勤務一回について二千円の手当支給することとしております。  次に、期末手当につきましては、〇・四月分増額しております。すなわち六月の支給割合を一・四月分といたします。それから十二月の支給割合を二・一月分といたしております。ただし、本年の場合は、すでに特別の措置として〇・三月分を支給しておりますので、六月の支給割合現行どおりといたします。その結果、期末勤勉手当年間支給割合は、現在の四・八カ月が五・二カ月分となります。  次に、医師及び歯科医師に対する初任給調整手当について、従来ありました医療職俸給表(一)の適用を受ける医師についての初任給調整手当支給月額限度を、さらに上げまして十三万円といたします。   〔野呂委員長代理退席委員長着席〕 次に、これは新しい措置でございますが、医療職俸給表(一)以外の俸給表適用を受ける医師及び歯科医師、いわゆる医系教官といわれるような人々、これらに対するものといたしまして、初任給調整手当支給月額限度を二万五千円とする。なお、支給期間限度を二十年といたしまして、これを漸減していくということにいたしております。  最後に、特殊勤務手当でございますが、これについては、看護婦夜勤手当増額等もございますが、その他手当額引き上げ等所要改善を行なうことといたしております。  以上のうち、官民給与比較基礎となる行政職給与についての改善は、俸給で一五・八七%、諸手当で一・八五%、その他で〇・九〇%計一八・六二%、平均二万一千三百八十五円となります。  なお、昨年の報告に関連いたしまして申し上げます。  昨年の報告で言及いたしました給与支給手続等につきましては、給与の全部、一部を口座振り込みによって支払うことができることにいたしたいと思っています。これは、職員が休職になった場合、遠隔の地に勤務する場合、その他相当と認められる場合で職員から申し出のあったときには、全部または一部を口座振り込みにすることができるということを明らかにいたしますとともに、また、職員死亡した場合におけるその月の給与支給について、その死亡の日までの日割り計算によっているのを今度改めまして、その死亡の日の属する月の給与全額支給することといたしております。  かねて検討を続けております調整手当支給地域区分等の問題、俸給調整額制度及びその適用適正化については、なお引き続き検討することといたしております。  かくて、勧告に掲げます改定実施時期は本年四月一日、宿日直手当及び期末手当については、本年九月一日といたしております。  民間における例の週休二日制等の問題でございますが、これにつきましては、引き続き調査をいたしましたところ、この一年間に週所定勤務時間の平均は、約一時間短縮されておりますとともに、週休二日制実施事業所割合は約一・六倍に増加し、結局五八・八%にのぼっておることが明らかとなりました。  職員週休二日制の実施につきましては、昨年の報告において本院の考えを明らかにいたしますとともに、関係機関と協議を続けてまいりました。その結果、現在なお検討を要する分野が残されておりますが、一方、上述のとおり民間における普及状況は顕著なものがあり、本院としては、当面、時間短縮を伴う隔週または月二回を基準とする週休二日制の実施を目途として、行政サービスの維持その他の諸条件に留意しながら、試行についての計画を策定するなど、関係機関との緊密な連係のもとに、さらにその具体化のための検討を進めることといたしております。  以上で御説明を終わりますが、なお、一言つけ加えて申し上げさせていただきたいと思います。  今回の勧告につきましては、かねて参議院選挙あと臨時国会を想定いたしまして、人事院としては、早期勧告の決意をもってその作業に臨みました。あわせて、また当委員会の御決議のありましたことも、御承知のとおりでございます。人事院当局といたしましては、実際死にもの狂いの努力を続けた次第でございますが、その結果は、従来の実績に比べまして、二週間ないし三週間早く勧告を申し上げることができたわけで、これに対しましては、その早期実現について、総理大臣その他関係の向きにも、格段の御配慮お願いしておったのでございますけれども、かようなわれわれの必死の努力にもかかわりまぜず、御承知のような事情で、ついにその実現機会を得なかっなことは、返す返すも残念に存じます。  すでに民間従業員が大幅の賃上げを享受しております今日、公務員給与だけがこのまま据え置かれることは、私ども立場から申しまして、とうてい忍び得るところではございません。  さきに一〇%の暫定措置はございましたけれども、それを加えましても、たとえば公務員平均年齢現在三十九・六歳、四十歳になんなんとするのが公務員平均年齢でございますが、その三十九・六歳の人について見た場合、その平均給与月額は、先般の一〇%の措置を加えましても、なおかつ十一万円ないしは十二万円程度であります。これがこのまま年末まで、現下の諸情勢のもとで過ごさねばならぬということになりましては、これは私ども、たいへんなことであると思います。せひ本勧告早期実現機会を一日も早く設けられますように、国会及び内閣の特段の御配慮を心からお願いして、私の御説明を終わる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  5. 徳安實藏

    徳安委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  6. 大出俊

    大出委員 きょうは、佐藤人事院総裁が、おからだが悪いということで、実は御入院というお話を承っておりましたが、ただ先般の理事会の席上で、徳安委員長から御報告をいただきました中身が、八日からならば出席が可能であるという人事院側の返事であった、こう承りましたので、理事皆さんと御相談をいたしました結果、それならば何とか八日に開く努力をしてくれということで、野党側といたしましては、私が実はそういう皆さんからの御要望をいただきました。したがいまして、国会閉会以後ずっと私、国会へ出てきておりますけれども委員長お願いをいたしまして、八日ということにさしていただきました。ところが、どうもおからだの関係でむずかしいという御返事をいただきましたが、事が事でございますので、たとえば短時間であっても御出席をいただきたいものだというたいへん強い要望を私いたしまして、かえってこれは御無礼をいたした感じでございますけれども、この点はひとつぜひお許しをいただきたいのです。  そこで、先ほど理事会でいろいろ相談をいたしましたが、大事なおからだでもございますから、長時間やはりここにおいでいただくことは、かえってまずかろうということで、共産党の中路さん、木下さん、また公明党の鈴切さん、民社党の受田さん、皆さんの御了解をいただきまして、私から何点か総裁に、皆さん同じ考えだという前提で聞かしていただきまして、あとひとつ病院のほうにお帰りいただいたほうがよかろう、実はこういうことになっておりますので、そういう意味でひとつ御答弁をいただきたいのであります。  第一の論点は、総裁勧告をお出しになり、政府、これは総理でありますが、官邸においでになって、執務室でお渡しになったといういきさつでございます。国会にも勧告をいただきましたが、このときに総裁談話をお出しになっておるわけであります。そして、ここで「最近における経済情勢にかんがみ、」という表現を使っておられる。これは、いろいろな見方はありますけれども統計数字によりましても、相当な物価の上昇が続いている、生活がかくて困窮をしているという経済情勢をさすのではないかと思うのでありますが、そこのところを一体どう御判断なのか。  あわせて、これを踏まえて、一部応急措置は行なわれているけれども民間の高額大幅な賃上げは、すでに春の段階で確定をしている。ここに触れておりませんけれども、三公社現業の方々も、使用者たる政府が閣議でおきめになって、国会承認を経て支払い方をおきめになっている。すでにこれはもう決着がついている、そういう前提で、ことしは公務員人事院が、所管をなさる範囲においてあらゆる努力を傾注して早めたのだ、だから、すみやかに実施してもらいたい、こういうふうに表現をされているのでありますが、先ほどの総裁説明の一番最後の項で真意は、ほぼわかりますけれども、あらためてひとつ、私どもの意のあるところをおくみいただいて、三週間もお急ぎになったその真意は一体どこにあったのかという点を、念のためにもう一ぺんひとつ、はっきりお聞きをいたしたいのであります。お答えを賜わりたいわけであります。
  7. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いまのおことばの中にもうかがわれますように、要するに今日の情勢においては、公務員のみならず、一般にそうでありますけれども、とにかく生活が非常に苦しくなってきている、給与というものも、卑近なことばでいえば非常に目減りをしているということを踏まえますと、とてもこれはほっとけないことだ、もう一日も早くやはり適正な給与改善を行ないませんと困るということに尽きるわけでございます。さればこそ参議院選挙あと国会はちょうどいい機会じゃないか、それでこの機会をのがしてはということで、われわれは大いに意気込んで取り組んだということでございます。
  8. 大出俊

    大出委員 たいへんな経済情勢の中に置かれている公務員生活が、給与目減りでたいへんなことになる、したがって、ことしは例年の八月勧告を、何とかあらゆる努力を傾注して早めてやろう、こういうことで、たいへんな意気込みで取り組みをされましてお出しになった、だから、一日も早くという意味ですみやかに、こういうふうに申しておるというふうに理解してよろしゅうございますか。——という真意だそうでございますから、そのように受け取らしていただきます。  かつまた、私の立場からいたしますと、長きにわたって実はこの問題に取り組んでおりますだけに、先般の国会審議の場を通じましても、総裁にも特に個人的にお目にかかったりもいたしましたが、選挙後の国会は開かれることになっているわけでありまして、きまっているんだから、何とかこのときまでに間に合わしてもらいたいのだが、ことしは早期確定をしていただきたいのだがと、こうお願いをした時期もございますが、むしろ総裁が先行して、このことについては、むしろ私のほうはそう思っているのだ、実はこういうお答えを当時いただいたわけでございます。したがって、  いまの御答弁の趣旨で、たいへんな御努力をなさった、心から御礼を申し上げたい次第でございます。  そこで、もう一つ承っておきたいのでありますが、実は総裁に御就任になられましてから、かれこれ十二年ぐらいになるのではないかと思うのでございますが、ここに私は、実は昭和三十五年から四十九年までの、人事院勧告がいつ出されて、そして、これを政府がいつおきめになって、きめた中身がどういうものであって、そして、これが給与法改正案ということで国会を通過したのがいつであるかという一覧表をつくってみたのであります。あわせて三公社現業、つまり公労協関係を所管する公労委の仲裁裁定が、同じ年度で勧告と対比をいたしまして、いつ出されて、政府がこれをどう扱って、いつから実施をされたかという点を、三十五年から四十九年まで、十二年ばかりになりますか、調べてみたわけであります。ところが実は、たいへんな結果が出てくるわけであります。  一覧表が全部ここにございますけれども、三十五年の勧告は、人事院は五月一日実施という勧告をお出しになっておりますが、これが改定実施は十月からということです。人事院は五月からやれといっているのに、政府は十月からしか実施しなかった。しかも国会できめていただきましたのは、十二月二十一日に参議院を通っている。五月実施勧告が八月八日に出されていて、政府は五月に実施をしない、十月である。しかも、それがきまったのが十二月二十一日。ところが三十六年は、同じように五月一日実施が、これまた十月で、決定が十月の三十一日。いずれも八月の八日、十日に出しておられる。三十八年まで実は五月実施勧告をしておられて、政府ば十月実施おきめになっている。三十八年は何と国会では十二月十八日にきまっている。三十七年のごときは、五月一日実施勧告が、政府は十月ときめておいて、しかも国会できまったのは、年を越えた翌年の二月二十七日、こういうとんでもない年も実はあったわけであります。三十九年から政府は、ようやく九月実施に踏み切られた。九月実施が三十九年、四十年、四十一年と続きましたが、三十九年、四十年、四十一年は、いずれも国会は十二月に通った。さらに四十二年になって、ようやく八月の実施政府は八月に踏み切った。人事院は相変わらず五月一日の実施を要求していた。四十三年は私、内閣委員会で賃金をやっている時代でありますけれども国会修正でようやく八月を七月に直した。これは実は、希有なできごとでございました。一月国会で早めた。ところがこの年も、おきめいただいた国会が十二月の二十一日。しかし、ようやくここで七月。四十四年はようやく六月に実施されることになった。ズレが一カ月、五月実施勧告ですから。しかし、きまったのは、これまた十二月の二日。四十五年はようやく五月完全実施に踏み切っていただきまして、四十五年に五月一日勧告が出て、五月一日から実施しろ、政府も五月に踏み切った。だが、十二月十七日にようやく国会を通った。四十六年、これまた五月であります。四十七年になって、ようやく四月実施になって、ここでもしかし、十一月十三日が国会通過の日取りであった。四十八年になって、去年ようやく九月の二十六日に四月実施国会を通過した。どうやらここで四月実施が定着をし、早期国会の議決が行なわれるよう軌道に乗った、実はこう考えたわけであります。  しからば、この間仲裁裁定のほうは、どうだったかといいますと、仲裁委員会は、三十五年に四月一日実施裁定をお出しになっている。これは、そのとおり四月一日に実施されている。以来、仲裁裁定のほうは、何と三十五年から四十八年まで、さらに本年、四十九年も四月一日実施仲裁裁定が出て、全部四月一日実施できまってしまっている。本年もすでにわずか一日で、委員会を省略して、国会衆参両院承認政府はお求めになって、実施をしてしまっている。実はこういう状況であります。  だから、たいへん恐縮な言い分だけれども総裁就任以来十数年にわたる長い年月、まさに人事院勧告の歴史というのは、悪戦苦闘の歴史なんです。仲裁裁定完全実施なんだ。初めからしまいまで全部四月一日実施。ずらされてはいない。そうなると結果的にどうなったかというと、この間人事院が所管をなさる一般職の国家公務員をはじめとして、これに準ずる地方公務員に至りますまで、三公社現業の方々の仲裁裁定と比べますと、たいへんな実施時期のズレ、確定のズレ、それによるたいへんな損失、こういうことに結果的にはなったわけであります。ということになりますと、この間の責任は、人事院は一生懸命おやりになったのだからわかりますけれども、やはりたいへん大きなものが政府にもある。  だとすると、総裁の歩いてこられた歴史の中で、ことしこの人事院勧告が、実施時期がずらされるとか、あるいは悪いことばで言えば値切られるといいますか、そういうことがあってはならぬという気が私はするのでありますけれども総裁が本年まで長い年月おやりになってきたお立場で——いま新聞が伝えるところによれば、大蔵大臣がお見えになりましたけれども、財源の問題あるいはインフレという問題と関連をいたしまして、政務次官会議の決定であるとかいろいろなことがいわれておりますけれども、私がいま申し上げた仲裁裁定は、三十五年から今日まで全く四月一日完全実施の連続である。苦労していない。政府はすぐきめている。ところが、いま申し上げましたように、人事院勧告が満足に実施されたのは、四十五年の五月実施からだ。しかも決定はすべて十二月。昨年になってようやく九月に国会おきめいただいた。この二つを対比して、値切るとかあと戻りをするとかいうことがあってはならぬという気が私はするのでありますが、総裁の御所感をいただきたい。
  9. 佐藤達夫

    佐藤説明員 そういうことは、私は夢にも考えておりません。これは、もう従来定着したことでありますし、そういうことをされますと、せっかく最近、公務員試験の受験者もまあまあ軌道に乗ってきたのに、それをやられた日には、もう応募者がなくなってしまいます。
  10. 大出俊

    大出委員 これまた、あと戻りをするとか値切られるということになれば、公務員試験の受験者もようやく軌道に乗ってきたところに受験者がなくなってしまうという、実は総裁の御発言でございます。  そこで、大蔵大臣がお見えになりましたが、これまた、おからだの都合で病院にお入りだというお話を承ったわけなんでございますが、事が事でございますので、たいへん御無理を申し上げて御出席いただきまして恐縮でございますが、これは、いま総裁がおっしゃるように、一つ間違って値切られるとか実施時期があと戻りしたのでは、公務員試験を受ける受験者がなくなってしまうという御発言がありましたが、かくのごとき問題でもありますし、あわせて全国四百五十万からの公務員の方々の生活の問題であります。ものを言わぬ自衛隊の方々だって、私は反対の立場をとりますが、生活をかかえておられます。そうだとすると、これは、やはり何としても、総裁談話にございますように、完全実施を一日もすみやかにしなければならぬ時期にある、こういうふうに思っております。  そこで、大平大蔵大臣に承りたいのでありますけれども、二つものを言われている勘定であります。一つは予算財源の見通しという点。もう一つは物価との関連。参議院の大蔵委員会における、国会が終わりましてからの大蔵大臣の、まさに施政方針演説らしきものがありましたが、この中でも賃金と物価という問題をお取り上げになっている。二つある。  そこで、一つずつ承りたいのですが、予算財源ならば、私は選挙が終わりましてからほとんど連日のように国会に出てきておりますし、各方面と当たってまいりました。今回の国会が終わりましてからも、ほとんど連日のように出てきておりまして、方々と折衝をいたしておりますから、知らぬわけではない。金がないとおっしゃるならば、私には重大な反論がある。そういう意味で、まず一体、予算財源という問題をどうおとりになっておられるのか、これを承りたい。
  11. 大平正芳

    ○大平国務大臣 今度の人事院の御勧告実施した場合には、中央地方を通じましてどのくらいの財源を必要とするかというような概算は、一応私どものほうでも見当をつけております。これを完全実施するというたてまえになった場合の一応の概算でございますが、これをどのように調達してまいるかということにつきましては、何さま今回の勧告が高率高額でございますので、各会計にわたっていろいろ御検討をいただかねばならぬと思いますので、政府といたしましては、誠意をもって対処するという基本方針を堅持しながら、今度の勧告が含むいろいろな問題点をいま鋭意検討中でございます。そのことは、ほかの閣僚からもお話があったかと思いますが、そういう基本の方針を私どもも踏まえて対処いたしておるつもりでございます。  それから第二に、財源の問題でございますが、一般会計に関する限り、四月から六月までの税収が出てまいったのでありますが、これは、御案内のように、比較的進捗割合が良好でございます。六月末の状況で申しますと、前年同月の対決算進捗割合二〇・三%に比較いたしまして、本年度は二四%になっておりますので、三・七ポイント前年同月に対して上回った記録を示しております。しかしながら、全体に対する進捗割合がまだ二四%にすぎない段階でございますから、今年度の自然増収はどのくらい見込まれるかというような点を、いま推計することは非常に困難だと思います。いままでの足取りは比較的順調である。けれども、これから先はまだわからぬというのが、いまの私どもの見ておるところでございます。
  12. 大出俊

    大出委員 私も、それなりに大平さんの所管をなさる大蔵省の方々なり関係筋の方々にこまかく承っておりますから、いまの三・七、前年同月六月対比で税収が増収になっている、この数字も手元に持っているわけであります。先行きの見通しも承ってみましたが、たいへんに好調である、心配はしていない、そういうお話も承っております。もう一つ、大蔵省は春闘ベースを一八%ぐらいに押えておられる。ところが実際の賃金上昇率は、春闘ベースで労働省調べ二百四十六業種で三二・九%。これは大企業平均です。したがって、税収見積もりもベースにして軽く二〇%台には乗る、こうおっしゃった。そうすると、大蔵省の試算で——これはおたくの試算です。それだけでおおむね三千億円。もちろん少ない額じゃない。法人税はどうかと承ってみたところが、三月期決算の納税では、特に中小の法人が非常に良好である。この部面では、前年同月に比べて六割伸びている。九月以降についてはどうか。これも税法上の所得が落ち込むということは、まずなかろうという見通しを立てている。つまり、さいふの中身はたいへんあたたかいわけであります。  私は、財政上の問題でとおっしゃられるなら、数字をここに持っておりますから、それなりに私のほうも反論がございますと冒頭に申しましたが、いま大臣が、一般会計で四月−六月、前年同月対比で二〇・三%のものが二四%になったというお話をなさいましたから、数字は私のほうからこれ以上あげませんけれども、そういうことを踏まえて、私はもっと筋があると思う。大平さんは、いま大蔵大臣をおやりになっておられますが、官房長官をおやりになっておられた時代もある。公務員給与については、何べんか私も直接、間接におじゃまをして、お話をしたこともある。よく承知の上でおられるわけであります。  そういう意味で、いま佐藤総裁就任以来のこの人事院勧告と公労協の仲裁裁定との対比を申し上げましたが、あと戻りできない、小切れない、こういう言い方をいま総裁はなさっておりましたが、大蔵大臣、この人事院勧告に対して、いまのお話では、誠意をもって対処するという基本方針だとおっしゃった。ただし、勧告の問題点を検討しているという。この問題点というのは一体何であり、誠意をもって対処するというのはどういうことであり、一言でいえば、完全実施をするのかしないのか、ここのところを明確にしていただきたい。いかがでございますか。
  13. 大平正芳

    ○大平国務大臣 申すまでもなく、人事院の御勧告は、一般職職員についての勧告でございます。したがいまして、いわゆる特別職、あるいは検察官、自衛官その他特別職の職員給与改定をどう取り扱うかという問題は、政府の問題になっております。これに準じて地方公共団体がおやりになります地方公務員給与改定、その財源の問題等は、当然検討しておかなければならぬ問題でございますが、国民の御納得を得る上から申しましても、政府の既定経費をできるだけ節減していただかなければならぬ問題であるとか、あるいは公務員事務の効率を保障していく体制がとられてしかるべきじゃないかとか、事務の合理化をどのようにやってまいるかというようなことも、あわせて各省庁で御検討されておることと思います。そういった点は、十分検討すべきが政府の責任であると思っております。  しかし、人事院制度が設けられた趣旨は、私どももよく承知しておりますし、この勧告というものをおろそかにしてはならない、誠意をもって対処すべきものであるという基本の態度は、くずしてはいけないことと存じておりますので、せっかくこういった点についての検討をひっさげて、給与閣僚会議をなるべく早くお願いしまして、意見の一致を見ましたら、閣議の御決定を仰ぐということにしなければならぬと考えております。いま申し上げられることは、誠意をもって対処すべく問題点をせっかく究明中である、このように御承知願いたいと思います。
  14. 大出俊

    大出委員 大臣、いま全国のいろいろな職場から、完全実施をまずするのかしないのかというたくさんの連絡が入っているわけであります。また、国会周辺の方々も、私がお目にかかる方々いずれも、何かおかしな雰囲気なんだけれども完全実施してくれるのでしょうかという皆さんの声がかかる。もっととだと思う。  本来これは、ストライキ権にかわる代償機関として、ILOがかつて百七十九号事件、これは私が提訴者の一人ですけれども、これをめぐるいろいろなやりとりの中で、地方人事委員等をつかまえまして、公労委もそうでありますけれども、完全な代償機関にはほど遠いという表現を使ったドライヤーの調査報告があった。このときに、政府はいち早く法務省の竹内刑事局長をILOに派遣しまして、完全な代償機関であるということを強調されたんですね。当時私は、やりとりをILO事務局とだいぶやりました。しかし政府は、一貫して、完全な代償機関である、だから、ストライキ権を制限しているのだけれども、これは国際労働基準に照らして違法ではない、こう言ってきた。一つ間違って、完全実施が行なわれない、あるいは人事院がせっかく三週間も早めて、懸命な努力をされて、不眠不休で選挙後の国会に間に合わせて勧告をなさったにもかかわらず、実施期日はいつになるかわからない、こういうことになりますと、これは完全な代償機関とはほど遠いことになってしまう、ILOの言い分どおりに。それならば、なぜストライキ権をよこさぬかという反論が出てくる。  だから、いま各職員団体の大会シーズンでありますけれども、どこもその問題が中心です。これを終わって勢ぞろいしたときに、しからばストライキを国家公務員の諸君が組もうということになったときに、これは私は、ゆゆしき問題になると思っている。だから、待てと言っているわけであります。それなりの機関をつくって、春闘の結果として政府もスト権問題は検討することになっているのだが、それよりもこの人事院勧告完全実施、しかも一日も早い実施というものを片をつけることが先だ、こう言ってきているのでありますが、そういう背景を持つだけに、私はやっぱりこの際、ほかならぬ大平さんがお出になっているわけでありますから、確定的なことをここで立場上言えないにしても、完全実施の方向であるならある、その方向で検討するならする、そのくらいのところは少なくともおっしゃっていただかぬと、この場所で大平さんがそこでことばを濁したのでは、これから先またたいへんな疑心暗鬼が続くだけになる。それは私は、政治的にもとるべきではないと思います。そう簡単にあと戻りをして、月数を減らすとか小切るとかいうことができる筋合いでない。二階堂さんだってそう言っている。  だから、その意味ではっきりこの際、確定的に言えぬまでも、完全実施の方向はとりたい、これは、やはり大平さんの立場で、いままで受けて立って官房長官以来おやりになっているわけでありますから、わかり過ぎているのでありますから、その辺ぐらいは、せめてはっきりしていただきない。お立場上、そのくらいのことば、せっかくおいで、いただいたのだからお答えいただきたい、いかがですか。
  15. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いま申し上げておりますように、人事院制度というものをなぜ設けられたかという趣旨は、あなたの御説明を待つまでもなく、政府としてもよく心得ておるつもりでございます。したがって、人事院勧告というようなものを、そうおろそかに取り扱っていいなどとは毛頭考えていないわけでございます。さればこそ政府としては、誠意を持って対処いたしますという方針で問題点を究明しておるということでございまして、完全実施かりになるといたしましても、それを十分受けとめて、国民の理解を得なければ、これは私もいけないと思うわけでございますから、十分問題点を究明させていただいて、ことしのような高率、高額の場合、とりわけ慎重に問題点の究明は十分さしていただいて、それで打ち出さないと、私は国民のほうの御納得はなかなか得られないのじゃないかと思うわけでございます。  人事院制度が設けられた趣旨、そういうようなものは十分心得ておるつもりでございますし、勧告の持つ政治的な重さというようなものも、われわれは十分心得ておるつもりでございますので、いましばらくわれわれの申し上げておりますことに御信頼を置いていただいて、それもいつまでも、これをだらだらやろうなんて考えていないわけでございまして、できるだけ早く閣僚会議にのぼせて、閣議の決定に持ち込みたい。鋭意検討中でありますので、若干の時日でございますので、御信頼を持ってお待ちいただきたいと思います。
  16. 大出俊

    大出委員 官房長官が取りまとめる立場で、五日に関係閣僚会議をというふうに考えたところが、大蔵省から待ってくれという。だから、まあ十五、六日、特に十六日ぐらいになりゃせぬかと思うというお話を私いただきました。それだけに心配をして、実はおでかけをいただいた。  そこで、人事院ができた趣旨、制度の趣旨、勧告の重みを政府は十分承知をしている、君に言われるまでもなくと、こういう実はお話であります。ただ、国民の納得を求めなければならぬ、それは経費の節減であるとか、あるいは合理化であるとか幾つかおあげになりました。つまり、そういうところをきめこまかに検討するということは、国民の理解を得たい、だから、経費の節減なり合理化なりというものを検討をする、ということは、理解を求める努力をして——人事院制度の趣旨、勧告の重みは、十分心得ているとおっしゃっているんだから、つまりそういうことで勧告の重みなり人事院制度の趣旨なりというものを生かしていきたい、いまおっしゃっていることは、こういう意味だと思うのです。もう一歩突っ込めば理解を得られる、つまり経費の節減や綱紀の粛正もあるかもしれません、あるいは合理化もあるかもしれません、そこらのことを十分納得のいくように検討をして明らかにするこの努力をして、完全実施の方向で進めたい、信頼しろとおっしゃることをこう受け取りたいんですが、そのくらいはよろしゅうございましょう。いかがでございますか。
  17. 大平正芳

    ○大平国務大臣 こういう大問題でございますから、国民一般の理解も求めなければいけませんし、公務員皆さんの協力も得なければならぬわけでございますから、そういうことを十分なし遂げて結論を出すべきじゃないかと考えておるわけでございます。申すまでもなく人事院勧告は尊重すべきものでございますから、これに誠意をもって対処して、この勧告実現に向かってわれわれが努力するのは当然だと思っております。
  18. 大出俊

    大出委員 国民的なやはり影響がある、私もそれは同感であります。だから、そういう意味で経費の節減、さっき三つおあげになりましたが、合理化までを含めまして。したがって、公務員諸君の当然協力も得なければならぬ、節減にならぬわけでありますから。そういう努力をして勧告実現にこれは何とかひとつ持っていきたい、こういうお話でございますから、それなりにこれは値切る、小切る、あと戻りさせるとおっしゃっているのではない。勧告実現努力したい、勧告総裁が先ほどお話になった勧告であります。つまり総裁がお話になった勧告実現をしたい、こういうお話でございます。私は、勧告実現ということは、勧告実施であるというふうに受け取らしていただいて、これは当然でありますが、それで納得をいたします。ぜひひとつ、一日も早くそのことをお進めいただきたい。  あわせてこの中身実施の時期でありますけれども、私、実はここに一つの集計を、専門の方々に計算していただいた。つまり公務員給与をおおむね三〇%ばかり今度上げたわけであります。人事院勧告で、大ざっぱに言いますが、その場合に予算計算上は一体どうなるかということであります。これは事務当局の方がお答えいただけば、それでいいのでありますが、既定予算のワク内で一体どのくらい金があるのかということ。それは四月一日からこの勧告実現ということで金を払っていくとすれば、既定経費で一体どこまで払えるのかということ、ここを明らかにしてほしいのであります。いかがでございますか。
  19. 大平正芳

    ○大平国務大臣 今度の人事院勧告を完全に実施する場合の一般会計の所要額九千百七十億円、特別会計が二千十八億円、計一兆一千百八十八億円でございます。一般会計、特別会計の重複分を差し引きますと、純計約九千六百四十一億円でございます。その中には勧告済みの一〇%、概算改定分とそれから期末手当の〇・三カ月分を含んでおります。一般会計につきましては、そのうちすでに措置されている額は千百八十七億円でございますので、新たな財源が七千七百八十三億円要るという勘定になります。
  20. 大出俊

    大出委員 そこで、四十九年度予算に組まれている公務員給与費、これは人事院所管九十万ばかりございましょうが、これの十二カ月給与を払うわけでありますから、給与の単価計算をいたしまして、十二カ月分は組まれている。そして期末・勤勉手当が四・八カ月分ありますから、そういう意味で十二カ月に四・八カ月の期末・勤勉を足しますと十六・八カ月分のこれは給与予算が組まれている、既定経費の中にある。これに四月から五%の改善費を予算上計上されておられる。この改善費は金にいたしまして一・〇五カ月分、五%、千三百七十一億円、これを入れていきますと、ちょうど十七・六四カ月分、これだけ現行ベースで給与予算は組まれている。これが三〇%アップした。したがって、三〇%これが減るわけです。足らなくなる。それを月数に直しますと十三・五七カ月分に減る、ベースがアップしますから。  これをこまかく計算をしていきますと、時間がかかりますので、結論だけ先に申し上げますと、十二月まで人事院勧告完全実施いたしまして、金を払っていきますと一体幾らかかるか、十三・七カ月になる。そこで、その差をとりますと、十二月までで既定経費は〇・二二カ月分足らなくなる。そこで結論を申し上げますと、一カ月に満たない不足でありますから、十二月の給料というのは十六日から十八日に払う。十二月分の期末手当は十二月五日に払う。そうすると、十二月五日の期末手当まで、年末手当までは払える。そこで十二月の給料を十六日から十八日に払おうとすると、既定経費だけでいけば、そこで足らなくなる。だから、十一月あるいは十二月の上旬までの間に予算補正ができるとすれば、十二月分の給料から一月、二月、三月分、これが補正で計上されれば、完全実施をしてやっていける、こういう数字になる。もちろんこれに、さっきお話しの既定経費の節減であるとか、合理化であるとかいうようなものが入ってくるのはあたりまえであります。したがって、決断がついて実施をするとすれば、補正予算を組まなければ実施できないという筋合いのものではない、例年そうなんであります。  だから、額が大きいとおっしゃるけれども、大蔵省は勧告を見てびっくりしたなんということを新聞が書きましたが、これまた、ずいぶんうそっぱちな話でありまして、民間の春闘で民間の賃金が上がったときに、それが三二・九%、二百四十六業種であっても、このときに官民比較で出てくる人事院勧告ですから、おおむねどのくらいの金がかかるかということは、大蔵省は見当がついてなければおかしい。そんなことは驚くもヘチマもない。だとすれば、いままで大蔵省が全く人事院と無関係であったわけではない。驚く筋合いのものではない。  そこで、最後に大蔵大臣に承りたいのは、私は、実はこの人事院勧告完全実施を、つまり決着を十月だ、十一月だ、十二月だというふうに延ばすべきではないと考えている、給与だけの国会を開くにしても。どうせこれは、いまのお話を聞いていても、実現にたいへん努力をなさるということなんだから、それならば一番最後に残って、ストライキ権も何にもない、団交権もない、そういう方々ばかりなんですから、ものを言えない自衛隊の方も警察官の方もいるんだから、そうだとすれば、その方々については、公労協との対比を一つ考えてみたって、おわかりのとおりに同じ一般職なんだから——外遊という問題が一つありますけれども、外遊なさる日程だってきまっておる。メキシコにおいでになるのが九月の十二日からだ。田中総理はメキシコに九月十二日に御出発、カナダまで回ってお帰りになるのは九月の二十六日。メキシコ、ブラジル、英領バーミューダ、カナダ、これだけお歩きになって、九月十二日においでになって九月二十六日にお帰りになる。第二回はニュージーランドが十月の二十八日、オーストラリアを通って最後のビルマが十一月の八日、日程がきまっている。そうなると、この九月の十二日の前だって、この問題の決着をつける臨時国会が開けないわけじゃない、あるいは第一回の外遊が終わったところで開けないわけじゃない、中間に一カ月近くあるんだから。  つまり、そこで問題になるのは、施政方針をやれとか、あるいは予算委をやれとか物価集中審議だとかいろいろあるからいやだというなら、それは別。だが、そこは政治的な決断だと私は思う。だから、そういう不安を持たせないで、いま大臣がせっかく言うように納得を求める努力をして、勧告実現に向かって進みたいというのだから、それならば、その決着がつく十六日なら十六日にここまでのことまでお考えをいただきたいんですよ。そういう意味で、人事院勧告の最終決着、国会給与法を出して解決をする、そこまでの早期決着の努力を、ほかならぬ大平さんでございますから私はお願いをしたい。いかがでございますか。最後の質問でございます。
  21. 大平正芳

    ○大平国務大臣 御指摘のように何本かの給与法が要るわけです。給与法定主義でございますから、これは国会事項になりますから、当然国会の御審議を願わなければいかぬわけでございますが、その用意にある程度の時間がかかるということは、あなたもよく御了解いただけると思うのです。と同時に、いまいみじくもあなたが御指摘になったように、いまわれわれが国会から与えられている歳出権の中で、かりにこれを実施した場合に、どこまで泳げるかということを計算してみますと、既定経費がどれだけ節減になるか、その他いろいろなファクターがまだ固まっていませんけれども、十二月補正を待たないで、十二月はともかく、かりに給与法さえ通れば実行できるかと問われたら、できますという答えがまだできないのです。つまり、いま与えられた歳出権の中でどこまで泳げるかという問題は、たいへん怪しいわけでございますから、同時に、これは補正予算の問題になるわけでございます。補正予算となりますと、これは人事院勧告ばかりじゃございませんで、災害の問題もございますし、米価の問題もございますし、その他もろもろの補正要因がたくさん控えておるわけでございますから、私どもといたしましては、この給与法で御審議をわずらわし、同時に、やはり補正予算の御審議を願わないといけないと考えておるわけでございます。それをどのような段取りでやってまいるかは、政府部内でいまからいろいろ検討していかなければいかぬ課題だと思いますが、最小限度言えることは、給与法の改定に相当の手間がかかるということを御理解いただきたいことと、それと給与法だけで問題の始末はつかない、したがって補正に問題がからんでくるということだけは、御了解いただいておかなければならぬと思います。
  22. 徳安實藏

    徳安委員長 どうですか、時間も過ぎましたから。
  23. 大出俊

    大出委員 わかりました。いま給与はそこで切りますが、一つだけ最後に……。  さっきちょっと触れましたが、参議院の大蔵委員会で、今度の国会の開会中にものをおっしゃらなかったわけですから、委員会で初めて大平さんが大蔵大臣に御就任になって方針を明らかにされた。特に物価と賃金の問題等に触れておられる。私は、あと経済企画庁長官にも御出席いただくことになっていますが、けさの新聞の労働大臣の大阪のお話もございまして、どうしても触れざるを得ない。そこで、その点だけ聞いてほんとうにおしまいでございますが、大臣、大方針の中でしきりに賃金と物価の相関関係ということを言っておられる。私はたいへん気になる。今回のこの大型勧告が出た原因というのは、申すまでもなくたいへんな物価の高騰なんですね。総裁もさっき冒頭にお答えになりました。だから、その議論はしませんが、そこで私は、やはりあの方針、この間大蔵委員会でお述べになった方針だけじゃ困る。一体どういうふうに物価を押えていくのかという点を、幾つかやはり実効のあがるものを明確にしていただきませんと、それは幾ら公務員に対して——いまのお話でいったら、補正の見通しがつかないのだから、既定経費でどこまで泳げるかと言ったら、いみじくも大出君が言ったようなことなんだが、そこから先、許されている予算財源がないのだから、どうしても補正にからむとあなたはおっしゃる。そうすると、補正といったら米価も入ってくるし、あるいは災害も入ってくると、こうおっしゃる。そうなると、補正全体を考えることになるのだから、それは十一月の末でなければできない。税収の見積もりも見なければならぬ。そうなれば、あわせて人事院勧告もそこまで行っちゃうことになる。それじゃ困る。それじゃ、その間に物価というものがこれだけ上がっているのに、あなたはどう責任をおとりになるのか、公共料金片っぱしからお上げになって。  そこで私は、実は経済企画庁長官のところで、この間日経連大会その他においでになった内田さんですから、高橋公取委員長にお運びいただいて、そこではっきり決着をつけたいと思ったのですけれども、時間のズレで大臣はお帰りになる、経企庁長官はこれからになる。ちょうどまん中でいま高橋さんがお見えになった。そこでせっかくお忙しいところをお見えいただいたので、ここで承っておきたいのでありますが、せめて私的独占禁止法ぐらいの改正は、通産大臣のみならず大蔵大臣にもお考えをいただいて、不当な物価の上昇に対しては、値下げ命令が出せるという形のものにしなければ、それだけじゃありませんけれども、そこから入らなければならぬ時期に来ている。でなければ、大方の公務員だって説得しようがないですよ。  そこで、承りたいのですけれども、これは高橋さんにおいでいただいた早々で恐縮なんですが、そこらのことも兼ねて、外国をお歩きになられたり、私もものを調べておりますけれども、西ドイツだってフォルクスワーゲンの不当な値上げに対する値下げ命令が出ているはずです、あの国の法律にはそれがあるんだから。英国だって製薬会社ロシュの覚せい剤その他を含むたくさんの不当な値上げに対して、値下げ命令が出ているはずです。これもあの国に法律があり、条項があるからです。石油国会であれだけの騒ぎになったが、不当な利益は各社長か認めても——私か日商岩井の辻社長に聞いたら認めた。認めて還元するとはおっしゃっても、上がった価格は下がらない。不当であることは全部が認めている。だとすると、一不当であれば下げさせるという、理屈があれば上げることを公開して認めるという、そういう立場がなければ、これは本来物価政策は成り立たない。  そこで私は、高橋さんに承りたいのだけれども、独占禁止法というものは、本来資本主義原理の中で自由な経済競争を促進する、そういう側面から出てきているはずです。だとすれば、そうした規制は、その意味では当然公正な自由競争という意味で必要になる。ところが、どうも政府の部内から反論が出てきて、足を引っぱるという形は私は好ましくない、そういう気がいたします。そこで原価の公開を求めるとか、あるいは資本の集中排除を考えるとか、あるいは株式保有というものを、つくられた価格を排除するために規制するとか、当然そこに触れなければならぬ筋合いだと長らく思っている。あなたは、かつて私に対するお答えで、そこのところは重視しているから、それなりの研究会その他いろいろ考え検討しているというふうにお答えになった。否定はなさらない。今日しからば公取の委員長さんたる高橋さんは、外国をお調べになった結果として、一体どうそこをお考えになっているか。反論がいろいろ方々から、財界からも出ておりますが、私自身から言わせれば、反論になっていないと思っているんですけれども、大蔵大臣たまたまお見えになりますので、ぜひひとつ、ここで御所見だけはっきりいただきたいのであります。
  24. 高橋俊英

    高橋(俊)説明員 私は、外国へ行ってまいりましたが、独禁法とその国の政策とは、つまりそれぞれ個性がございまして、違っております。御承知かと思いますが、たとえばヨーロッパの場合には、かなり多くの国が所得政策をとったり、価格を直接規制したりする法律を持っております。そういう国においては、それと歩調を合わせるというふうな点で、イギリスのように昨年になって、あらためて法律を強化いたしまして、公正取引庁を新たに独立させたところもある。これは消費者保護大臣の下にではありますけれども、その責任者の話によれば、公正取引庁は政府の行政組織の一部ではあるけれども、なお一方の面においては独立機関であるということを言っておりました。この国の制度をいろいろ御紹介することは、複雑にすぎますのでやめますが、所得政策についてどう考えるかと言ったら、所得政策というのは、あくまでも暫定的なものと自分たちは考えている、したがって、それは恒久的にやるものではない、恒久的なものとしては、独占禁止法を強化していくということが筋であると考えている、こういうようなことでありました。  また、ティピカルな例としまして西独の場合には、これはヨーロッパで数少ないのだと思いますが、統制経済をやっておりません。統制経済をほとんどやらないで、そのかわり独占禁止法を強化適用することによりまして、国内の経済秩序の維持をはかっている。したがいまして、いま申し上げましたように、いまおっしゃられたような独占企業とは申しませんで、むしろ日本でいえば寡占企業というのを、市場支配的地位を占めているというふうにある推定を行ないまして、それが乱用をして価格を一方的に引き上げたりすれば、その価格を引き下げさせるというふうなことをやります。だから、その面について今年になってようやく実施ができるようになったわけです。そういう点も昨年法律改正を強化いたしましたから、一般に独禁法については、各国とも強化の方向をとっております。  イギリスの場合には、ちょっと違うのですが、独占企業と見られるものは、概して外国系企業なんです。ですから、ケロッグ社のシアリアル、日本では何でもないことですけれども、朝食用のシアリアル、これに対して相当大幅な引き下げ命令を出したり、それからコダック社もひっかかっております。そういうことで、外国系の独占企業、国内において圧倒的なシェアを持っておるものに対して、独禁法に基づいてそれを引き下げさせるというふうなこともやっております。  これらの点を考えまして私もいろいろ感じるのですが、北欧三国のごとき、わりあいに小さな国でありますが、価格規制と独占禁止法の適用とを一緒にやっているところがあるわけです。ということは、これらの国の考え方は、いわゆる一部わが国の学者の先生にも批判の多い、独占禁止法というのは、あくまで競争政策であるから、市場の価格メカニズムを生かすようにするべきであって、われわれ公取がそういうものに関与するということはおかしいことだということに対して、そもそも独占禁止法で規制すべきものは何かといえば、独占にある状態あるいは寡占の状態のものが、あるいはカルテルを結んだものがかってに値上げをする、つまり価格と切っても切れない関係にあるのだ、だから、価格規制法と一緒にやるのだ、それがあたりまえなんだ、こういう考えがあるわけで、この考え方はかなりの国にやはりあるのです。そういう点は、アメリカの流れをくんだ独占禁止法に対する考え方と少し違うのじゃないかと思います。  アメリカでは、これは私もいろいろ尋ねてみましたが、決して価格引き下げ命令をやっておりません。やっておりませんが、カルテルに対しては、非常にきびしい刑事罰を、これは日本の場合とは違いまして、歴史的にそうなっているのですが、毎年十数件ぐらいは刑事罰に処しておる、こういうことでございます。それから民事で訴えておるのも、もちろんございますが、これは民事で足りなかったら今度は刑事でいくというふうなことで、向こうの責任者、ことに司法省のカウパーという次官補がその責任者でありまして、反トラスト局の局長を兼ねておるわけですが、それの言によれば、相当きびしい制裁が加えられるので、あまり同じものがしばしばカルテルを繰り返すようなことはないようである、こういう話でありました。  それでありますので、私、結論を申しますが、いろいろな批判がございますけれども、私としては、前に申しました価格の原状回復命令、こういうもの、あるいは企業の分割制度を復活させるといいますか、そういう基本的な問題については、考える気持ちはないので、いまその中身を詰めるという努力をしております。
  25. 大出俊

    大出委員 大平さん、やはり物価問題に対してきちっと、ものごとを説得力のある、納得のできる、目に見えてこれはこうなんだということを、いまお話がありましたが、やはりそういうものを総理に——これは公取の委員長さんも、お近い立場においでになるのだが、これはやはり進言をしていただいて、物価問題に対して無策なりで済む筋合いじゃないのだから、そこらは片方もやっていただかぬと、ずるずる片方の公務員賃金だけ押えておいて事済む問題じゃないので、そこらのところを、もう少し御勉強願えぬかという気がするのですが、いかがですか。これで最後ですから……。
  26. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私は、所得政策というものに訴えなければならぬというようなことは、たいへん残念なことだし、そういうことをすべきでもないし、やはり活力ある経済の体制は維持していくべきだと思うのでございまして、わが国がこういう困難な段階におきましても、所得政策に堕するようなことはしていないということを、あなたからもおほめいただいてしかるべきだと思うのです。  それで問題は、産業政策なり独禁政策というものが適正に運用されることば、もとより私ども望むところでございますけれども、私はいまの物価問題には二つの面があると思います。  一つは、やはり需給関係から価格がきまると申しますけれども、独禁法というのは、そういう中で適正に運営されることが望ましいと思いますけれども、決してそれだけでなくて、社会心理的に、ムード的に価格機能が十分機能しないというような環境、そういう風潮が一番いまこわいと思うわけです。そのためには、やはり何と申しましても、全体として、卸売り物価にせよ、小売り物価にせよ、消費者物価にせよ、鎮静化の方向を定着させないと、そういう心理へ落ちついてこないと思うのでございます。  幸いに四、五、六の足取りは、それまでは、去年の暮れから春にかけては、先進国よりは残念ながらわが国の物価が著しく高くなったということは、私はその批判は甘受しますけれども、その後の足取りは、先進国よりはずっと健全な足取りで鎮静化の方向に向いておるわけでございますので、いま財政政策、金融政策あるいは個別物資対策等で政府がせっかくやっております政策を手がたく堅持しまして、この傾向を定着させていくという努力に、いま政府として全力をあげるべきではないかと思うのでありまして、そのことを案ずるがゆえに、何事をなすにも薄氷を踏む思いで非常に用心深くなっておりますことも、御理解いただきたいと思うのであります。
  27. 大出俊

    大出委員 時間がございませんので承っておきますが、だからこそ超党派的に、政党政派云々でなしに、コンセンサスを得るために国会を開いて物価論争をする必要があるという気が私はするのですけれども、それはまた後の機会に譲ります。  たいへんきょうはおからだの悪いところ、検査というところを呼び出しまして、どうも恐縮でございました。ありがとうございました。  ところで、すみませんが、高橋さん、いまの問題の結着だけつけておきたいのですが、アメリカは確かに違います。議会の中に委員会をつくって、カルテルあるいはカルテル類似行為などを相当きびしく規制し、相当活躍しているように、直接行って調べておりませんから、文献で読むだけですけれども、見受けられる。だから、そちらのほうにたいへんな力が入っているような感じがするんですね。  ところが、いまお話しの西ドイツなどでは、混合経済などということばが最近出ておりますけれども、ある意味の計画的な、あるいは統制的なシステムをとってきている。ところが、どうもそれは一つの過渡的な段階としてはあり得ても、全体として考えればというところから、やはり独禁法の強化という形のほうに進んでいる。そこらにたとえば代表的な企業、フォルクスワーゲンの値上げなんかについても、世論もありますけれども、不当ではないかという、そういう形の政府の意思表示が出てくる、こうなっているのだと思うんですね、そこらのところは。  それで私、一つの心配は、いませっかくはっきりものをおっしゃられた委員長でございますが、方々で、いまの大平さんの話の中にも、ちょっと気になる点があるんですけれども、財界、政府の側でしきりにその問題に対するいまの委員長考え方にブレーキをかけている、こういう感じがする。それに対して、これは例の行政指導の問題でも、私、日商岩井の社長さんに聞いたときに、よっぽどそちらにと思ったのだが、時間がなくてやめたんですけれども、途中で腰折れされたのでは、これは公取もう少し前に出てがんばってもらわなければならぬという国民世論に背を向けることになる。私どもにしても同じ考え方を持つ。そこのところをひとつ、いま変わらないとおっしゃいましたが、研究会云々のほうの関係を踏まえて、一体これからどういう方向にお進めになるのか、もう一歩突っ込んだ真意を実は承りたいんですよ。いかがでございますか。
  28. 高橋俊英

    高橋(俊)説明員 この前すでに、独占禁止法研究会の会長から新聞に一ぺん公表したことでありますが、項目としては、おもなるものを申しますと大体五項目、それから少し小さいものを入れて七項目になります。まあ簡単に申しますと、企業分割制度、それから原価公表、これは、カルテルでありながらカルテルと思われぬ、証拠があがらない、これに対しては、原価公表という手段によって社会的批判を受けるというふうにさせようというのが一つであります。それからカルテルからどう原状へ回復するかというのが、先ほどの価格引き下げ命令であります。それに課徴金制度というものを考えたい、独禁法違反に対して。全部を刑事事件に持ち込むということは、技術上はたいへんむずかしいことであります。そういう実情から見まして、刑事罰を強化する一方で、刑事事件としては扱わないで相当きつい制裁的な意味、と言うとこれは通りにくいのですけれども、実際はそういう意味で課徴金制度考えるということ。それから商社、銀行等の株式保有について、現在の規制のないもの、あるいは規制のある部分を強化するというふうなこと。そのほかにも意見がございますが、これは省略いたします。  これらに対しまして、いまもお尋ねのようにいろいろ社会的な、世間の批判があるし、政府部内からもおそらく反対意見も出ることが予想されます。しかしながら、これらの問題について、私どもは、なるほど昭和二十八年の骨抜き改正時代は、独禁法を弱めることについてはわりと通りやすいが、これをさかさまにするのですから、独禁法を強化するということについては、よほど各方面の御理解を深めていかなければならない。しかしながら、先ほども申しましたように、一般的にこれは、アメリカを含めまして——先ほどアメリカのお話がございましたが、ハート法案などというのは、すでに法案として出ておりますが、これは私どものほうから見ますと相当きつい。一応寡占企業は、日本のかつての集中排除法のような方式でこれを分割するというふうな案でございますから、これに対しては、向こうの独禁当局も首をかしげておりました。いかにも少しきびし過ぎるのじゃないかという感じを持っているようでございますが、そのようにむしろ国会では前向きに独禁法を強化する。それによって、いままでとられてきた価格や賃金に対する直接統制をなるべく避けて通りたい。競争状態を復元するのには、そういう分割制度はぜひ強化しなければいかぬというくらいの考えがあるわけでございます。これは、いろいろ活動はしておりますが、ただし実施官庁は、あくまで司法省と連邦取引委員会でございますから、そちらのほうに行って、私どもはいろいろ意見を聞いたわけであります。  それにしましても、いずれにしても全体で独禁法を弱めるのじゃなくて、あくまでもみんな強化して、ほかの政策にかわるようにして——ただ私どもは、物価問題ということにつきましては、よけいなことを申すようですけれども、やはり総需要抑制、需要を財政、金融の面から抑制するということが基本的だと思います。これは、ときどき行き過ぎることはありますが、しかし、それがなくては、いかなる場合も物価の抑制はできないものと思いますが、その上に拍車をかけて、カルテルが不当に物価をつり上げるという場合がしばしば見られるわけであります。中には、先ほど言ったように、見えないカルテル、証拠のないカルテル、つかまえようがない、したがって、これは排除命令を出しようがないということがあって、しかも、それを何回も繰り返して値上げをはかるということは、ある意味ではわれわれが愚弄されているといいますか、手も足も出ない。そこで、こういうものに対しては何らかの、一つの社会的な批判としての原価公表というものがあるんじゃないか。あるいは企業分割は、私は、企業分割制度を持ったから、すぐにこのだんびらを振り回すような、それほど乱暴な考えは持っておりませんので、十分慎重に、その寡占による、独占による弊害を見きわめた上でやるべきだと思いますから、そういった方向としては間違いないんじゃないか。これは独占禁止法研究会の方々も、大体の基本的な方向においては、それでいくべきであるということで、こまかい点ではいろいろ議論もございますが、私どもとしては、それらの方々の力もかりながら、また、あらゆる機会に、もう少し案が固まってから各方面の御理解を深めて、これの実現を期したい。しかし、何しろ政府のほうには、私ども直接のあれはありませんから、その点は御存じだと思いますが、その点多少苦労はいたしますが、そのくらいの苦労は、初めから覚悟の上でやっていることでございますので、ひとつその辺御理解願いたいと思います。
  29. 大出俊

    大出委員 たいへんどうもありがとうございました。私どもの党も、また私も、いまお話しの方向に実はほぼ近い考え方をもって検討しているわけでございます。だから、所得政策云々よりも、あらゆる力を合わせて物価問題を解決しなければならぬわけでありますから、そういう立場で、実は大平さんの基本的な委員会における方針が出されて、それとからみますので、実ははっきりさしていただきたい。また総理は、臨時国会を開くといえば、施政方針をと言われるというようなことで、官房長官とも何べんもお話をしてきておりますけれども、目下穴に入って総理お出にならぬという。人ぎらいで会わないという。面壁九年、こういうわけだ。どうも選挙中にしゃべった物価政策みたいなものをべらべらしゃべってみても、これはさまにならぬ、かといって、じゃどうするかといって勉強してみても、なかなかどうも新しいものは出てこない、こういうことなんだというんですね。だから、八日間国会みたいに何も言わぬ、ものを言わぬ国会にしてしまったということなんでしょうけれども、それじゃ困るので、やはりそこらは近い立場におられる委員長ですから、ぜひひとつ、そこらのところは強調していただきたい。私どもも、いま申しましたように、そのような考えを持っているわけでありますから、ぜひひとつ、これはがんばっていただいて、研究会のしかるべきその方向での結論を早く得ていただいて、表に出していただきますようにお願いいたしまして、お忙しいところを、短時間と申し上げてお呼び立てして恐縮でございました。終わらしていただきます。ありがとうございました。  次に、急いで結論を出しますが、さき国会で私、いろいろ御質問申し上げました中に答弁が幾つかあります。内田経済企画庁長官は、当時大蔵大臣臨時代理で御出席をいただいたわけであります。きょうはそれぞれ関係皆さん時間のズレがありますので、大蔵大臣がお帰りになる、公取の委員長さんお帰りになるというところで、かみ合わないで恐縮でございますが、あわせて幾つか承りたいのであります。  まず総務長官に、これはさき国会の議事録なんでありますが、ここで総務長官が答えておられますが、私が、経済的な今日の状況からながめて、公務員生活はたいへん困窮しているわけである、だから、この傾向は今後とも続く、そうすると、ことしの人事院勧告というものは、昨年どころではない、それ以上に早めてもらわなければならない、だから、七月の二十日ごろを目途に勧告をしてもらいたい、こういう趣旨で人事院総裁にものを申し上げたし、長官にも申し上げた。総裁は、あらゆる努力を傾注したい、御指摘のように私も思うから、何とかひとつ勧告を早めたい、かつ、これまた御指摘のように選挙後の国会確定されているんだから、開くんだから、それに間に合わせたい、そこで賃金を願わくば確定を願いたい、そうしなければ公務員生活の実態から見てたいへん困難になる、こう思っている、全力をあげてやりますと、こういう実は御答弁をいただいた。あわせて小坂さんから「御指摘のような時期のズレというものは、」つまり勧告が出た、国会がいつまでたっても開かれない、ずるずる延びていく、現在のような状況でありますが、この点を私指摘いたしましたら、「御指摘のような時期的なズレというものは、やはり生活をしている方々にとっては、非常に重大であることもよくわかりますが、しかし、政府のたてまえといたしましては、現時点では、やはりいま人事院総裁が答えられましたように、調査を早くして、早く勧告をするということについて、ぜひ私は人事院お願いをしたい」こういうふうにお話しになったんですね。人事院に早く勧告をしてくれ、制度的に人事院というものは独立した官庁である、組織、機構の面からは総理府傘下にありましても、そういう官庁だ、だから、私がこうしろ、ああしろということは言いにくい、だから、総裁がいま答えたように調査を早くしてくれ、そうして早く勧告する、こういうことについて人事院に私からお願いしたい、こういうふうに総務長官はここでお答えになった。議事録がございます。御記憶だと思います。  ということで、人事院総裁は、総務長官小坂さんのお願いもあって、懸命な努力をされて、さっきお話しのように、これは妙な意味で言うじゃないので、そうお受け取りいただきたいのでありますけれども、あらゆる努力を傾注して、いまもおからだが悪いとおっしゃるんだけれども、悪い中を押して勧告をおまとめになって二十六日にお出しになった。総裁にすれば、国会に間に合うように出した。いまもそうおっしゃっている。ところが、こういう結果になったとなりますと、お答えになっている小坂総務長官でございますから一いま私が読み上げたようにおっしゃっておられるわけですから、おそらく人事院総裁と違った趣旨でお考えになってはいなかった、この議事録に関する限り。だとすると、給与担当の責任大臣として現状を一体どうおとらえになり、どうすべきであるとお考えなのか、このお答えになっている趣旨に基づいて私は御答弁をいただきたい。いかがでございますか。
  30. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 大出委員のいま仰せられたこと、私も十分記憶しております。また、あの時点、そしてまた今日も、一般公務員給与改善は、やはり人事院勧告が出されたならば、それに対して誠意をもって対処していくという考え方は、少しも変わっておりません。しかし今回の場合、二十六日に提出を受けまして、そして七月の三十日の閣議で報告いたしまして、同日に給与関係閣僚会議もいたしたわけでありますが、そのとき、国会のいろいろな状態が、この給与関係閣僚会議で、もちろん内容は、つまびらかには申し上げることはできませんけれども、先ほど来大蔵大臣から御答弁申し上げたような諸点、また大出委員が質問されたような諸点含めまして、いろいろと議論のあったことは事実でございます。同時にまた、国会もあのような形になってしまって、実は人事院勧告が出されましても、それが直ちに国会の審議にかけられなかったということは、たいへん残念なことだと思います。  私は、いまこの時点で、いろいろな議論は、やはり閣内においても十分すべきことである、もちろん人事院勧告がいいとか悪いとかいうことではございませんが。   〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕 この現在の物価の状態の中で、必ずしも全員が一致して給与とは関係ないんだと言い切れる人ばかりではございませんので、そうした問題を含めまして、十分やはり閣内においても議論をする時間があってもしかたがないんじゃないかというふうにも考えておりますが、問題は、やはりそうしたことでただいたずらに時間を引き延ばすことは、私は、得策ではないのみならず、一般公務員も非常に期待感を持っておると思いますので、その点につきましては、給与関係閣僚会議等におきまして、十分いま申し上げたような趣旨を私も述べて、事態の前進をはかりたい、そのように考えております。
  31. 大出俊

    大出委員 これは、担当大臣でございますだけに、前の議事録をもう繰り返して申しませんが、誠意をもって実施したいということを前にもお答えになりましたが、それは人事院勧告の性格、また趣旨からして完全に実施すると受け取ってよろしいかと言ったら、もちろんそういうことでございますという長官の御答弁があった。ですから、いまのお話はよくわかりますが、大臣が担当大臣でございますだけに、完全実施という——さっき大平さんは、勧告実現にと、こういうふうに言われましたが、これは立場上、そう言われたのだと思うのですが、この勧告実現といえば、いま出ている勧告は、総裁説明された勧告しかないのでありますから、これも完全実施という趣旨に受け取ったわけでありますけれども、担当大臣の小坂さんにもう一ぺん、誠意をもってということは、完全実施ということで御努力をいただける、もちろんそういうことですと前にお答えになっておりますけれども、念のために承っておきたいのですが、そう受け取ってよろしゅうございますか。
  32. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私は、完全実施ということでもちろん考えております。しかし、この完全実施をいたすまでの間に、やはりこの給与というものが、先ほども大蔵大臣からお答えしましたように、一兆一千億だ、たいへんな金額でございますし、また同時に、いろいろな波及効果もある。私は、やっぱりこういう問題は、もちろん閣内の問題でございますが、十分に関係閣僚が意見を出し合って、十分了解していかないと、また逆に言うならば、この次の勧告に対して完全実施ということは保証できなくなる可能性がある、そのようにも考えておりますので、何も私は、これをチェックするために申し上げておることではございません。しかし事態が非常に深刻であるという認識を持っておりますので、やはり各閣僚、関係各省が十分な議論をしてよく理解する、そういうことを踏まえていかないといけないのではないかというふうに思っております。そうした理解の上で人事院勧告が完全に実施されるように私自身は考えたいと思います。
  33. 大出俊

    大出委員 そこで、ちょっと内田企画庁長官の時間が、大蔵大臣あるいは公取の委員長さんの時間とずれましたので、たいへん御無礼して恐縮なんですけれども、おいでになるところでお答えいただきたかったのですが、お許しをいただきまして、二つございますので、その一つのほうを承りたいのですが、先般、大蔵大臣代理で長官ここにおいでになったわけであります。そのときに私の質問に答えまして、私は大蔵大臣の臨時代理でございますと、こうおっしゃった。いま飛び込んできたばかりだから、私と人事院総裁とのやりとりを全部聞いたわけではない、ここからお答えが始まりまして、長官は、このときは、一つは一〇%の内払いという点、一つはことしの大型勧告という点、これについての御意見をいろいろ述べられて、いま小坂さんのおっしゃったように、物価等のいろいろな関係がある、だから、私は臨時代理だからずけずけ言うんだけれどもという前置きをされまして、「物価の上昇とか国民生活のことは知らないわけではございません。」だから、公務員が苦しくなっておることを知らないわけじゃない。人事院勧告の中で一〇%繰り上げというたてまえをとれるのかどうか、ここを実はよく知らない。「しかし政府は進歩的でありますから、あなたのおっしゃること、何でもかんでもだめだ」と頭から言うわけじゃない。「進歩的な雰囲気の中で考えてみても、従来のたてまえをくずすようなことはしない」大型勧告が出るのがわかっているのだから、三二・九%の労働省の調査もあって、それに見合う官民比較なんだから、大型になるのだから、一〇%くれてもいいじゃないか、どうせ実施するのだからと言ったら、物価その他もある、だがしかし、政府は進歩的な政府なんだから、何でもかんでも頭からだめだ、こう申し上げているのじゃない。進歩的な雰囲気の中で考えて、たてまえはくずさない。つまり人事院勧告というものを尊重するたてまえはくずさない、こういう趣旨の御答弁をなすっている議事録がここにある。  まさに進歩的な政府の中の進歩的な内田経済企画庁長官でございますから、おそらくあと戻りとか値切るとか、物価のほうをおやりになっていますから、そういう言い方はなさらぬだろうと私は実は思っているわけであります。したがって、小坂さんと同じ時期に同じような立場で御答弁をいただいて、進歩的な政府である、だから、何でもかんでもだめだと言っているんじゃないんだ、従来のたてまえというのはくずしたくない、人事院勧告は本来尊重すべきものであると最初に言っておられますから、いま方々から、人事院勧告に経済企画庁なんかがいろんなことを言って、物価があるんだからというようなことで、足を引っぱられたりあと戻りしたり小切られたりしやしないかという心配が横溢しておりますから、当時は臨時代理でございましたが、きょうは経済企画庁長官でございますけれども、いま小坂さんがおっしゃいましたが、議論はたいへんけっこうなんで、やっていただかなければなりませんけれども、ひとつ従来のたてまえはくずさずに、進歩的な政府立場で尊重し、実施をしていただくというふうにお進めいただきたいのでございますが、いかがでございますか。
  34. 内田常雄

    ○内田国務大臣 大出さんのお話で、私がたいへん進歩的な人物のようにおだてられましたが、そんなたいした者でもございません。私は、物価だけを担当いたすわけではございませんで、国民生活の安定ということも担当をいたすべきことが私の職務だと心得ております。現に経済企画庁には、物価局もございますけれども、国民生活局というものさえも置いてあるわけでございますので、これは両面を考えて両立するように私は今後といえどもっとめるつもりでございます。ということは、これは一般の企業における大幅春闘の現実ということも私は踏まえておりますので、今回の人事院勧告につきましては、私の立場といたしましては、やはり給与生活者である公務員立場を十分ひとつ考えてまいりたいと思います。  しかし、大蔵大臣おりませんので、あまり無責任なことを申してはいけないと思いますので、その点を考慮いたしますと、消費者米価、この食管との関係の問題等も控えておりますし、今度の補正予算におけるそれらの編成のやりくりがはたしてどのようになるかということも大蔵省で検討をいたしております。先般の、ここに小坂給与担当閣僚がいらっしゃいますけれども給与担当閣僚会議におきましても、まずその点を、大蔵省並びにあるいは担当の官庁で現実に当てはめてみてどのくらいの新しいお金が要るか、それを大蔵省としてどうして捻出できるか、また他の補正要因、これは社会福祉などにおける年金その他における繰り上げ支給の問題等のための補正要因もございますし、消費者米価をどの程度に持っていくか、これは私の最大の関心事でございますが、それとのかね合いの問題もございますので、そこを十分検討していただくことにいたしております。  しかし、冒頭に申しましたように、ことしはやはり公務員生活ということも考えて、給与担当閣僚、ほかにもたくさんおりますから、私が言うとおりになるということでは決してございませんけれども、私は、いま申し上げましたような角度から対処をいたしたいと考えます。  ただ、この機会に、せっかく七月中に人事院から御勧告をいただきました。それは、あなたの御質問に対しまして当時私が、人事院勧告というものは、法律上八月でなければならないという規定はない、もっと早くても差しつかえないと思うのだから、その辺はひとつ、人事院にも社会経済、国民生活状況考えた上でできるだけ対処をしていただきたい。ただし、あなたから当時御提案になりました、これは一〇%ということであったかどうか記憶いたしませんが、前払いにつきましては、私は、大蔵大臣臨時代理としても、この席上コミットはできない、それは法律も要ることでありますし、また今後のいろいろ新しい例を残すことでありますので、その点はむずかしい要素が非常に多い。実はここで申し上げますと、私が何も知らない大蔵省の臨時大臣に就任をいたしたものでございますから、当時の大蔵次官以下大蔵省の職員の方々も、私がとんでもない、あなたの御説にそのまま賛成するような発言をしては、とても予算の編成はできないという心配もあったろうと思いますけれども、その点があなたからお話が出た場合には、それは十分その辺を心得た答弁をしてほしいという牽制もございましたので、私は、この点はコミットいたしておりません。   〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、それが逆になりまして、一〇%の繰り上げ実施ということが、衆議院のこの当委員会の御決議によりまして六月実施をされました。しかしまた、一方のほうの、さっきからあなたがお責めになっておりますような、七月末に人事院勧告があったにもかかわらず、先般の臨時国会にはとうとう間に合わなかったという点は、それは刺し違え、引きかえになったとは申しませんけれども、そのようなことをも私は銘記いたしながらお答えを申し上げているわけであります。
  35. 大出俊

    大出委員 時間をかけませんが、長官、あのときはどうも一〇%というのはと首をお振りになったんだが、最近は各方面、私、何とか早く人事院勧告実現したいと思ってずっと話をして歩いておりますが、ところが方々で出てくる言いわけは、一〇%先に払ってありますのでせめてと、たいへん皆さんに都合のいい言いわけ材料になっている。たいへん反対をなさいましたが、いまになれば皆さんは逆に一〇%先に払って助かっている。ものごとというのは、やはりそのときだけではわからぬのですよ。ですから、米のほうも三七・四%なんという生産者米価の引き上げというのは前代未聞、かってない。だが、その基礎に何がなっているかといえば、三二・九%の労働省の民間賃金引き上げの試算が中心になっている。大きな理由になっている。そうでしょう。そっちのほうは、それでやっておいて、その三下九%の民間賃金上昇に見合う官民比較によって出てきた人事院勧告のほうは、今度は待ったをかける。これもまた筋が通らぬのですよ。金がない。金がないというのなら、では国鉄は一体どうするんだ。公労協の仲裁裁定をあっさり国会へ持ってきて承認を求めて、金を払うことにしちゃった政府は、一体何だというわけだ。国鉄は運賃値上げと再建法と二つ出して二年半になる。実施していない。いないんだが、金のほうだけは払っちゃっている。決着がついている。同じ使用者たる政府のとるべき態度じゃない。だとすると、ストライキ一つぶてない公務員共闘の諸君だからということで、こっちのほうだけ延ばしておこうというのなら、こんな片手落ちなばかなことはない。だから、やはりこれは矛盾です。  したがって、進歩的な政府だからとおっしゃっておられる、大型勧告だからといって頭からだめだというわけじゃない、従来のたてまえというのは尊重していきたい、くずしたくない、つまり完全実施をすることにしてきたんだから、こうおっしゃったはずの内田さんが、いま聞いていると、そこのところがどうも一つはっきりしないんですね。進歩的でなくなりますんですね、これは。進歩的、まあ政府の最も進歩的な——だって内田さんが、御自分で進歩的だとおっしゃったんだから、私がおだてたんじゃないんだから、内田さん自身が自認されている進歩的な内田さんなんですから、やはり進歩的な立場で小坂さんの応援をしていただいて、ひとつ完全実施、しかもこれは、さっき大蔵大臣も勧告実現に向かって努力するとおっしゃった。だが、国民を納得させる必要があるから、その前にやりたいことがある、それは既定経費の削減だとか事務の能率化だとか、そういうことを一生懸命やりたい、そうして財源の見通しをつけて何とか勧告実現努力する、慎重ではあるがそうしたい、こういうことなんですよ。  だからひとつ、関係閣僚会議を構成されるメンバーの一人なんだから、やはり前におっしゃっているんだから、内田さん、いろいろ条件はあっても、ここであっさり従来のたてまえである完全実施の方向で進みたいという点ははっきりしていただきたいのですが、いかがでございましょう。
  36. 内田常雄

    ○内田国務大臣 まあ、それはよろしゅうございましょうと私がここで言ってしまえるものではない。私は、たいして進歩的ではありませんが、いささか進歩的でございまして、この間の一〇%繰り上げ支給には、この場においては正面からコミットはいたしませんでしたけれども、実は私も昔は公務員でございまして、今日の公務員の諸君の生活状態もいささか承知をいたしておりますために、できることなら、これは野党の皆さまばかりのお説でなしに、与党の方々も含んでこれはやってやるようにという、実はたいへん微力でございましたが、陰ながら実はけしかけたと言ってはことばが悪うございますが、そういうことを実はやった一人でございます。  したがって、今回の完全実施等の問題懸案になっているわけでありますが、これにつきましても、私は、それはあなたが私の地位についても、ここに一人で出てきて、それはおれが引き受けた、全部やるとおっしゃるはずのものではないと思いますが、あなたのおことばを十分きょうは承りましたので、何しろ国民生活局を抱いております私どもといたしましては、あなたのおことばを十分そしゃくをして、小坂給与担当主任大臣とも相談をしてまいりたいと思います。
  37. 大出俊

    大出委員 元公務員であった内田先輩が、国家行政組織法という法律はいかにいいかげんな法律であるかということで、昔御質問なさっている議事録を読みましてい私は感心した。実はたいへんな卓見でございまして、いま行政管理庁が出しているような改正案どころじゃない。よっぽど筋が通っている。あの国家行政組織法が政府から提案されたときに、衆議院の議長松岡駒吉さんはじめみんなでぶった切ってしまった。だから、全くふできな法律ですよ。そこをきちっとお突きになった。たいへん私は卓見に感服したことがございまして、いままたたてまえと本質は違うのだ、こうはっきりおっしゃった。陰ながらプッシュした、こうおっしゃっておられるので、たてまえと本音は違ってもけっこうでございます。陰ながらプッシュをしたとおっしゃって、私の申し上げたことについて十分それをそしゃくした、こうおっしゃるのですから、それで了解をいたします。ぜひひとつ、これは陰ながら本音のほうで御努力をいただきますようにお願いをしたいわけでございます。  それから、もう一つだけ。この選挙中に、総理からの指示もあったようでございまして、公共料金の値上げというものが、国民生活関係のある消費者物価の上昇にどの程度影響を与えているかという数字を一々お並べになりました。長いこと申し上げている時間がありませんから簡単に申し上げますが、次々に公共料金のほうは上げてきておられるわけであります。将来ともにお上げになるわけであります。二十一日の電気料金から始まりまして、あれは十日前という法律の規定のぎりぎりの夜おきめになったようでありますが、あれからずっと上がってきているわけですね。公共料金は長官がいつもチェックをなさるお立場でございますが、この一連の値上げというのはどこまで続くのか、それをまたどうお考えになっておられるのですか。というのは、国内航空料金もございますよ。路線トラックはもうおやりになったはずです。また郵便、電信電話も出てくるわけです。ガス料金も当面あるわけです。次々にこれはやる。十指に及ぶ、あるいは十指をこえる公共料金がずらり上がっていくことになる。営団地下鉄も出てきておる。ここらの点をどうお考えになるのか。先ほど実は物価の問題は大平さんとちょっと、公取委員長さんともやりとりをしたのですけれども、担当の企画庁長官にこの点ははっきり承っておきたい。  そして、それは〇・三%だとかなんとかおっしゃるけれども、あるいは〇・五一%というようなことを電気料金でおっしゃったけれども、しかし、そのあとの新聞には、一%ないし二%押し上げたというようなことが次々に出る、こういう状態なんですが、そこのところを一体どういうふうにお考えになっておられるのか。延ばされている公務員立場からすれば、自分のほうの人事院勧告は、正当な法律に基づいて完全実施の軌道に乗っているものを、いつになるかわからない。しかし公共料金のほうは、次々に上がっていくのをながめている。これは、たまったものではない。ハイヤー、タクシー料金もあります。一体どういうふうにそれはお考えになりますか。
  38. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私の気持ちは、政府の手の届く料金、価格などについては、いろいろ上げる理由がございますことば、実は承知でございますし、また、それらの事業や企業を担当する官庁の責任者は、もちろんおられるわけでありますが、まあ一人ぐらい憎まれ者になる者もおらないとどうにもならぬと思いまして、公共料金あるいは生活必需物資等の価格の改定等につきましては、いつでも値上げ率をできるだけ押えるように主張をいたしたり、あるいはまた値上げ時期をできるだけ先に延ばすような態度を実はとってまいっております。  ただ、そういう公共料金、公共価格でなくても、その他の民間の物資などにつきましても、目張り制等々も個別物資対策としてやってまいりましたが、そういうものも今日に至りますと、今日の需給状況あるいは今日の経済事情のもとにおいて、必ずしもそれらの個別の物資について、一つ一つ価格の目張りをつけておくことが一番いい状態ということではないような事態になってきておりますので、それらについては、それぞれの考え方をケース・バイ・ケースにやっていくということで、先般、関係閣僚の方々とも打ち合わせをいたしておるわけでありますが、しかし先ほど申しました公共料金、お尋ねの公共料金につきましては、やはり極力これを抑制するという立場をとってまいります。  でございますから、これは何もいまに始まったことじゃございませんで、私が昨年の十一月にこうしたポストに就任をいたしましたときも、時の大蔵大臣と御相談をいたしました上、御承知のとおり国鉄料金あるいは昨年の消費者米価というものも、すでにことしの三月三十一日ないし四月一日から法律引き上げるような、そういう国会の御賛成を得たようなものでさえも、しばらく、狂乱物価の落ち着く間、半年ぐらい延ばそうということで今日まで延ばしてまいりました。ただ一部には、それをもう一年延ばせ、あるいは無期限に延ばせというようなお説もありますが、これは国鉄に限らず、これに類するような交通機関などにつきましても、無理にこれ以上延ばしますと、これは釈迦に説法でございますけれども、企業の存立を不可能にいたしましたり、また、そこに対する人間や物資の配分といいますか、ファンクションを全くそこなうことになりまして、かえって国民生活に混乱を与えるというぎりぎりのところにきたものは、最低限上げなければならないと私は考えておるものでございます。  しかし、前の問題に戻りますけれども、七月の末に人事院から御勧告のありましたものを、国鉄や消費者米価と同じように半年据え置くというようなことは私はすべきではない、こう考えますので、そちらはできるだけ繰り上げ、公共料金のほうは、そのものの破壊を来たさない範囲でできるだけうしろに繰り延べたり、またたたいてまいる。しかし、もちろんそれですべて日本経済の解決にはなりません。先に延ばせば、今度はその期限が切れたときに、一そう大きな問題が生ずることも御承知のとおりでございますけれども、そういうことも承知いたしながら、とにかく日本経済は、この際半年や一年安定に向かって全力を尽くして、前進はそのあとだ、こういうようなことを、これはやぼを承知でやっておるわけでございます。
  39. 大出俊

    大出委員 ここで一つだけ承っておきたいのですが、私さっき大蔵大臣に申し上げましたように、既定経費のワクの中で十二月まではやっていける、そういう組み方が——地方自治体の場合にはおおむね八%ですよ、給与改定財源というのは。ですから、もう少し余裕があるわけですが、一つそこに問題があります。こまかい数字もここにあります。たとえば横浜、川崎みな持っておりますけれども、時間がありませんから申し上げませんが、旧来よくあるように、国家公務員に比べて何割か地方公務員が高いから、だからという言い方がよく出てくる。これは、それなりの慣行もあり、四十三年にその議論があったときも、なかなか短兵急にいかないで、年々お互いが努力するということになって終わっているわけですけれども、そこに話を持っていかないで、一体どういうふうにすれば——不交付団体もあります。それも含めて今回の人事院勧告というものを、地方人事委員会に移して実現ができるかという、そこに当面焦点を置くべきだ。地方財政全体を考えるという立場で、いまの高い低いという問題はとらえるべきだという気が私はする。そこのところをどうお考えになるかという点が一つと、いまもう待ち切れないで、地方自治体で一生懸命、おれのところだけ早くやれ、準ずるとなっているのであって、自治体には自治体の独自の権限があって、条例制定権もあるのだから、給与条例があるのだからやれというので、方々の自治体でそういう声か上がって、待ち切れないで地方公務員の方々が、ずいぶん革新市政も多いものですから、私のところに御相談がある。こういうような状況です。ここらのところを、自治省の立場で一体どうとらえておられるのかということをはっきりしていただけないかというふうに思うのです。いかがでございますか。
  40. 古屋亨

    ○古屋説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもといたしましては、今回の給与改定を国家公務員並みに実施しました場合の所要財源を基礎といたしまして、地方交付税の再算定を行ないましても、かつ不交付団体となるような場合には、国として財源措置を講ずる必要はないのではないか。ただそういう場合でも、今度再算定を行なった結果、たとえば、横浜市のお話がちょっとありましたが、神奈川県のいままで二百億以上あった財源超過額が、前年に比して大幅に減少するようなものにつきましては、ひとつその状況に応じまして適正な措置を講じていかなければならぬと思っておりました。起債によるか何かはそのときの状況でございますが、そういうように考えておるのでございまして、結局いまのところは、御承知のように、私どもといたしましては、大体、人事院勧告に基づく地方団体の給与改定所要財源の概算額は、いろいろ含めまして総計一兆五千七百二十五億と見ております。ただ義務教育費国庫負担金等の特定財源が三千二百八十五億ありますので、これを引きまして、一般財源所要額は一兆二千四百四十億というような計算をしておるのでございます。  概略的に申しますと、地方団体の財政は、十一月までは中のやりくりでやっていけるが、十二月には困ってしまうということでございますので、私どもといたしましては、いまのお話のうちで、それだけの財源が要りますが、いままでに、たとえば交付税で八%入れておるとか、そういうのがございますので、そういうのを差し引きまして、ネット九千五百十五億というような計算をいたしておるのでございます。ただ、先生お話しのように国に準じてという考え方でございますので、閣議決定を経て国会できまる時点において、地方団体もそういう措置をいたしたいということでございます。とにかく九千五百十五億の点については、いま関係当局と十分折衝しておりまして、何といいましても地方公共団体は、御承知のように財源支払い団体になってしまうんじゃないかというような極端なことばも出ておるぐらいでございますので、私どもとしましては、所要の財源はぜひ確保してまいりたいと思っておる次第でございます。
  41. 大出俊

    大出委員 前向きに御答弁いただきましてありがたいのですが、そこで古屋さんがおいでになるときに、ちょっと小坂さんに承りたいのですが、いまお話のございましたように、地方自治体の場合は、どこの自治体も大体九月議会を予定しておるんですね。だから、いま自治体の職員の間に、九月議会でやれ、これがもう圧倒的にあるわけですよ。それでトラブルがいろいろ起こっておるわけですね。  そこで、いまのお話のように国が決定してくれなければ、つまり閣議できめて国会給与法改正が行なわれなければという規制が出てくると、ここにもう一つ、じゃ、なぜ九月議会に間に合うようにやってくれぬのだ、九月議会に間に合うようにしてくれないか、でなければいやでもおうでもこれは十二月になっちゃうんだ。そうでしょう。そうしたら、七月にわざわざ人事院が繰り上げて勧告したものを、九月議会かあるのにみすみす十二月というばかなことば、この経済的に苦しい状況の中で放任できない、こういう問題が残るのです。  そこで小坂さん、総理の外遊日程というのは、さっきちょっと私、触れましたけれども、まだ八月一カ月あるわけですからね。これは橋本幹事長の新聞発表でも、外遊中だってやれるんだという言い方をしておられますけれども、やはり外遊なさる前に、この九月の後半の議会には間に合うような措置をとるべきだと思う。明日は閣議があるはずでございますし、ひとつ給与担当の大臣として、いろいろな問題がございましょうけれども——私の聞いている限りでは、これは結果的にやらざるを得ないという見通しを、大蔵省の事務当局だって立てておられる。だとすると、やはりこの辺でひとつ早期解決をする必要がある。国会の持ち方について、いろいろな意見がありますけれども、それは各党間の話し合いなんですから、やりようがないわけではない。だから、そういう御努力が願えないかという気がするんですけれども、外遊が終わってからなさったんじゃ十一月になっちゃうわけですからね。総理は十一月八日にお帰りになる。そういうわけにはまいらぬ。地方自治体とのいまのからみが明らかになっている。そこのところ、一体担当の大臣としていかがでございますか。
  42. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私も地方自治体との関係等も十分踏まえて考えておるわけでございます。いま総理の外遊という具体的な日程をお示しいただきましたけれども、そのことについては、ちょっといま私もめどを持ちませんものですからお答えできませんが、いずれにいたしましても、先ほど来申し上げているように、関係閣僚会議で各担当閣僚が十分検討してもらうことを急いでもらうということで、そうしたものの積み上げの中からなるべく早急に問題を解決する足場を築くというふうに私は考えております。そのような考え方でございますので……。
  43. 大出俊

    大出委員 それは、ここで日にちを切れということは無理な話ですから、そういうことは申し上げませんけれども、私、そこが心配だから、外遊日程をひとつ的確に知らせてくれといってお願いをした。メキシコにおいでになるのが九月十二日。十五日までメキシコ。ブラジルが九月十六日。二十一日までがブラジル。英領バーミューダが九月二十二日。九月二十三日までがこの地。カナダが九月二十三日から九月二十六日。これで第一次の外遊は終わり。正確な日程です。したがって、九月十二日から九月二十六日が第一回。第二回が、ニュージーランドが十月二十八日から十月三十一日。オーストラリアが十月三十一日から十一月六日。ビルマが十一月六日から十一月八日。かくて第二回が十月二十八日から十一月八日。これは相当の国があるのですから、そんなに簡単に動かせないのです。そうでしょう。だから、そこらを踏まえていただいて、どこでどう解決をするか。いま長官、関係閣僚会議で十分検討をしてできるだけ早くと、こうおっしゃった。どうかひとつ、できるだけ早く、いま古屋さんおっしゃっておられるように、地方自治体も九月議会をみんなかかえているんですから。大体二十日過ぎでそろっている思う。だから、やはりそういうところに合わせて、一方幹事長は、外遊中でもやれなくはないのだというようなことを新聞記者会見でおっしゃっている、ここにもございますけれども。  だから、そこらを勘案していただく。国民を納得させる。説得するという意味のいろんな手だてが必要である。わからぬわけではない。経済企画庁長官がおっしゃっているように、国民生活というものが前提に一つある。生活局もある、これもわからないわけではない。だがしかし、一番手足のない、国鉄や公労協のようにストライキで早期解決をはかるという、そういう手段を当面持ち合わせない公務員の方々、しかも人事院と仲裁機関とば違うという性格の違いのある方々、それだけに話し合いの場所しかない、団体交渉権がない方々、この方々の一番弱いところだけを一これは国会職員の方も一緒ですよ。守衛さんも一緒ですよ。その方々だけをおくらしていくという、こういう片手落ちな、つまり弱いところにしわを寄せるという、筋が通らぬと私は思う。だから、全体をとらえて言うならば、春闘それ自体に対する政府の政策が出てきてしかるべきであって、そういう意味で長官、ぜひひとつ、これはできるだけ早くということでお進めをいただきたい。これはお願いをいたしておきたいのであります。  そこで、中身を簡単にかけ足で申し上げますが、できるだけひとつ的確な御答弁を次々にいただきたいと思うのであります。  この勧告につきまして、労働省の方々には週休二日制問題で承りたいのでありますが、まず一つは、勧告の上げ幅でありますけれども、公労協が二六・七一、御存じのとおりでございます。これは、いろいろなとり方がありますけれども、今回の勧告は二九・六四と、こういう言い方を人事院はされているわけであります。そこで、調査の結果は、本較差で一九・八一、二万八百十八円、追跡較差で九・八三%、一万三百二十六円ですか、合計較差で二九・六四、三万一千百四十四円、こういうわけですね。そこで、今度の資料を見ましても、行政(一)表、行政(二)表に関する限りは、対応等級比較して載っているわけです。その他の職種については、対応等級が資料の上でない。そこで、旧来と変わって行政(一)、行政(二)いうのを中心に比較調査をなさっている。総合較差の結論というものはここに出ていない。そうすると、はたして妥当な勧告であったかどうかという点について、たいへんな疑義がある。これは春闘の時期に最終的に公務員共闘の諸君や政府との間で二七・五%くらいであろう、今年春闘の上げ幅は、つまり三万五百円ぐらいの水準だということを確認している。この確認した数字が動かないものとして見て、十職種方式でやってきたのを行政職方式に切りかえた。初めてのケースです。四月一日以降という計算のしかたをしておられる。つまり一〇%を踏まえて計算されるというふうな調査のしかたであります。したがって、旧来からある、いわゆる私どもは逆ざやだとかあるいは積み残しというのですが、そういうふうなところについてもめどがつかない。一体総合較差というものの結論はどうなったのか、まずこの辺から承りたい。
  44. 茨木広

    ○茨木説明員 ただいまお話がございましたように、昨年と本年との間で比較方式を行(一)、行(二)を中心とするということに変えてまいりました。そこで、従来の方式の総合較差は一体どこにいったのかと、こういう御質問でございますが、今回比較方式を変更いたします動機となりましたのは、昨年の報告でも指摘した点でございますが、御案内のように従来比較の中に入っておりました教員、看護婦等について、特別の財源をもって特別の改善をやったわけでございます。その関係で、従来もそれらの職種については、むしろ他の職種官民較差を悪いことばでございますけれども、食っておったような関係にございまして、そういう関係にございましたので、引き続きそれを一緒に比較することは、やはりそれ以上旧来の弊害を拡大していくということに相なるということで、行政(一)、(二)というものが中心の職種でございますので、それでやることがよいというふうに院内で何回も検討しました結果相なったわけでございます。  そこで、調査の段階等からそういう議論がございまして、ことしはその方式でいくので、従来の、十職種でございましたが、方式でもって総合較差を出すということは、もうふさわしくなくなったということで実は出していないというのが実情でございます。  また、ただいま申し上げましたように、官側について見ますれば、教員とか看護婦について特別の改善をやりました部分だけが上積みになっておるという問題もございます。それから対応いたします民間のほうにいたしましても、特にやはり医療職等については、そういう傾向が見られるようでございますけれども、やはりこちらのほうの官側の教員なり看護婦の特別改善というものが、微妙に民間のほうの価額の決定に影響を及ぼしておるという点もございまして、やはり同質のものを、時系列的に昨年と同じ質のものを、本年そのまま総合較差として求めるわけにもいかないというような点もございまして、それからことしは、御案内のようにできるだけ時期を短縮いたしまして、早く勧告を申し上げるというようなこともございまして、今回の一〇%を含みました行政(一)、(二)に対応します官民較差が一つと、それから一〇%もとに戻した行政(一)、(二)の関係がこういうことでございますというふうに別途口頭で申し上げておりますが、その辺まで出すのが精一ぱいであった、こういう状況でございます。
  45. 大出俊

    大出委員 精一ぱいと言ったって、あなたのほうは調査をしているんじゃないですか。これは、ことしの資料と昨年の資料を比べてみると、ここに出てくるんじゃないですか。ことしの皆さん勧告の中を見ますと書いてある。つまり調査中身公務と類似すると認められる職務に従事する者のうち、事務技術及び技能・労務関係四六職種、約四九万人について本年四月分として支払われた給与月額等を調査し、」となっていますね。四十九万人。「併せてその他の四五職種、約七万人についても同様の調査を行った。」こうなっている。あなた、やっていないといま言うけれども、急いだから手が回らないと言うけれども、そんなことを言ったって、ここには調査をしたことになっている。  これは昨年はどうなっているかといえば、昨年は七千四百事業所の九十一職種、五十四万人調査したことになっている。昨年の勧告本文に書いてある。今回は四十九万人と七万人の調査なんですから、五十六万人調査している。昨年は五十四万人ですよ。四十六職種と四十五職種を合わせれば九十一職種じゃないですか。昨年と同じ職種調査しているじゃないですか。四十六職種四十九万人、四十五職種七万人、合計九十一職種五十六万人、調査をちゃんとやっているじゃないですか。やっておられて総合較差の結果をお出しになっていない。いかなる資料にも何もない。何もないから、これこれ上げましたといったって、いまお話にあったように教員や看護婦の方々は、政府主導型の職種でございますから政府が高い。長らくそういうほっぽり方をしておいたから、人確法案など出てくる要素になるんですよ。あたりまえです。いま税務職なんかだって、特殊な俸給表をつくれ、こういってきている。陳情も出ている、請願も出ている、そうでしょう。  だから、そういう方々との較差が旧来おのおの問題になっていた。つまり行政職のほうから官民較差で出てきたものを、逆に政府側は高いところに乗っけてしまう。称して逆較差だ、こういっていた。これが一体どのぐらいあるのか。昨年は二・七%というようなことをいわれていた。人事院給与の三課でお調べになったでしょう。二・七六ぐらいありはせぬかというようなお話もあった。そこでベース改定をしておりますから、少なくとも四%近い較差があってしかるべきである、逆較差は。つまり行政職のほうから向こうに持っていかれている分。ところが今度切り離して、教員やあるいは看護婦は別ワク。総合較差方式くずれたり。私は、何べんも旧来から、特殊な事情の公務員、圧倒的に国の職員が多い学校の先生、看護婦、これを比較対象にするのは間違いだと言ってきた。だから、行政職を中心にしてやらなければだめだと言ってきた。ようやくそうなった。私どもの主張どおりになった。なったとたんに、今度は十職種総合較差調査を表に出さない。あなた方は伏せた。表へ出してしまえば何もかも明るみに出て、これはインチキじゃないかなんということになりかねないからですよ、あなた方は。  それなら、私どもが言っている逆較差、昨年の二・七%というのは、一体どのぐらいあったのですか、あなた方の御調査では。
  46. 茨木広

    ○茨木説明員 昨年のもので十職種でやりましたものと、それから行政(一)、(二)でやりました部分の差は二・七でございます。
  47. 大出俊

    大出委員 だとすると、この四月一日以降ですから、一〇%も含んでいるわけでございますから、その二・七を下回ることはない。二・七%以上あることになる。そうすると、これは一体二・七%をこえて、今年の調査の結果はどのくらいになっているのですか。昨年二・七ならば、ことしはそれを下回ることはない。私は四%と申し上げたが、一体人事院はどのぐらいに見ているのですか。
  48. 茨木広

    ○茨木説明員 過去のあれを見てみますと、全体の較差といまの行(一)、行(二)を中心としたものと十職種との間のその差というものは、必ずしも比例しないようでございますが、本年の部分は先ほど申し上げましたように、まだそういう正確なあれはございませんけれども、一つの考え方として見てみますと、昨年二・七があったわけでございますが、今年の部分で、いろいろその比較のしかたがございましてあれでございますけれども、約三%程度のものではなかろうかというふうに見当をつけております。
  49. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは妙なことになるんですけれども、春闘のさなか、幕切れで二七・五%、約三万五百円ということを春闘相場としてお互い確認をしている。だから、当然これを上回る結果になってしかるべきもの、こういう理解を私はしている。そうすると、いま三%の逆ざやがあったとすれば、二九・六四から三%引けば二六・六四になってしまう。本来の引き上げは二六・六四だということになる。つまり本較差とそれからそのあとの追跡較差と足したもの二九・六四、これが今回の値上げですが、この二九・六四から三%逆較差を引けば、これは本来あるのですから、当然なことなんですから、そうすると二六・六四になる。そうすると、春闘のときに最後に二七・五%ということでお互い三万五〇〇円で了解し合ったのだが、これより減ったことになる。これより低い勧告をしたことになる。これは、たいへんなことですよ。かくて公労協は二六・七一の仲裁裁定出している。二六・七一と二六・六四だから〇・〇七%、公労委の仲裁裁定よりも低い。数字は正直です。お認めになりますな。
  50. 茨木広

    ○茨木説明員 まず最初に申し上げておきますが、そこで、ちょっと触れましたように年によっていろいろ、本較差とそれからいまの比較方式の変更に伴う較差と必ずしも比例しないと申し上げましたが、過去の例で申し上げてみますと、四十一年、四十二年当時でございますと、本較差が五・二あったわけでございますが、それに対します比較方式の変更が一・四五というのがそのときの数字でございます。翌年同じような五・七という本較差がございましたけれども、その場合の両比較方式の変更が〇・九〇というような数字に相なります。一例をあげますと、そんなわけでございますが、そのほかにとりましても、やはりたとえば四十六年あたりも八・一九くらいでございますが、それが二・三というような数字でございますし、昨年が一一・二一で二・七というようなことで、多少比例するような年と比例しないような年と、いろいろ年によって違ってまいります。おそらくこの辺は、医者とか研究職とかそういう十職種の内容に含まれておりますものが、どの程度の官民較差を持っておるかということによって数字が違ってくるのではなかろうかというように考えておるわけです。これが一点でございます。  それから、かりに先ほど三%内外と申し上げましたが、そうしますと、おっしゃられたような数字が出てまいるわけでございます。そこで、まず一つ、いわゆる二七・五%という春闘時期に確認された数字があるのではないか、こういうふうにおっしゃられましたけれども、この問題は、私どもが確認をした数字ではございません。組合側でその当時——だんだんあとで聞いてみますと、公労委のほうが二六・七一という数字がある。それに対して昨年度の数字を見ますと、公労委と人事院勧告との間の差が〇・六何ぼですか、ございますようですが、それを足してまるくいたしますと二七・五になるというようなことであるようでございます。したがって、いろいろ推定方法はそれぞれ前もって推定をされるわけでございますから、いろんな違い方があるんじゃなかろうか。で、昨年のものをもとにしまして、そういう差があったから本年も差があるであろう、もっと大幅な勧告であるようだ、それよりも上回るかもしれぬという推定をされたということも、やはり一つ考え方として考えられる筋道だろうと思いますけれども、それは先ほど申し上げましたように、私どもの関知した数字ではなかったわけでございます。  ただ、最後に出ました、そういたしますと、公労委の二六・七一とこちらとの関係がまた一つ問題になるという点をおっしゃられましたが、この点は一体どうなるかということになりますと、これは人事院側に一体原因があるのか公労委側の数字に原因があるのか、両者いろいろ見方があると思います。昨年、公労委のほうで数字を出されました、仲裁裁定の段階であったと思いますが、要するに調停の段階以後、民間の春闘相場がしり上がりにたいへん上がってまいったことは、御案内のとおりでございます。そこで、それらの結果を受けましたものが人事院勧告のほうではつかまれてまいりますから、人事院勧告が公労委のほうの調停段階の数字よりも高く出るという結果ではなかったかと思います。その当時の仲裁裁定の段階での委員長談話の中に、公労委のほうでも、調停段階以後の民間数字が上がってきたけれども、調停段階の経緯を尊重してこういうようにしたということを、異例だと思いますけれども、当時発表された経緯がございます。  そんなことがどうもいろいろ原因しているんではなかろうか。ことしはそのような傾向が、民間のほうもわりあいに早目に相場が出たようでございまして、したがって、どんどんしり上がりに去年のように上がってくるという経緯がなかったわけでございます。そんなことではなかろうかと思っております。ですから、全体で直してもとに戻す、二九・六四という数字で御判断いただきますと、御案内のように千人規模の事業所で労働省のほうで調べましたものが、三二・九というパーセンテージがあるわけでございます。それから定昇分を引きますと、二九・九というふうになっておりまして、それに近いところが出ておるということでございますので、御理解いただけないかと思っておるわけでございます。
  51. 徳安實藏

    徳安委員長 政府のほうの答弁はできるだけ簡単に。まだ、ずいぶん質問者も残っておりますから。
  52. 大出俊

    大出委員 たいへん長い御答弁をいただきましたが、私も簡単に質問しますから簡単に答えてください。あとずっと並べて質問していきますから。  これは総裁がおいでにならぬから島田人事官、加藤人事官どちらでもけっこうでございますが、一体こんなばかなことがあるはずがない。いま、あんなに長い説明をするぐらいならば、なぜ総合較差を出さないのですか。何にも出さない。ここへ来てあなた、そういう長い話をしなければならぬようなことならば、何で資料を出さないのですか。島田さん、どうして出さないのですか。理由は何ですか。
  53. 島田巽

    ○島田説明員 私ども、先ほど大出先生からお話がございました総合較差方式を改めるということで、行政職だけに限ってやるという方針を立てまして、かねがね御意見もございましたし、私のほうの調査をいたしました結果でも、行政職(一)、(二)をこうすれば国家公務員の大体七五%ぐらいの者がカバーできる、民間におきまして、同一職種をさがせば九二%ぐらいになるというので、行政職(一)、(二)を中心にいたしまして、それを頭に置いて考えたものでございますから、片一方の十職種のほうは、いま局長が申しましたようなことで、結果としていわば参考的になって非常に申しわけないことかもしれませんけれども、正確に数字を把握しなかったというのが実情でございます。
  54. 大出俊

    大出委員 正確に把握しなかったと言いながら、逆ざや三%だとお答えになったじゃないですか。そんないいかげんなことを答えているのですか。おまけにあなた方は、さっき私が指摘したように、昨年に対比をしてそれじゃ一体どれだけの調査をしているのか。書いてあるじゃありませんか。九十一職種、昨年は五十四万人、本年は五十六万人、調査しているじゃないですか。だから、逆ざやは三%とおっしゃるのでしょう。そこまではっきりしておきながら、何で一体出さない。それなら、ここに意図ありといわれたってしようがないじゃないですか。
  55. 島田巽

    ○島田説明員 いま申し上げました三%は、あくまで概算の数字であること、先ほど申し上げたとおりでございます。
  56. 大出俊

    大出委員 わかった。概算の数字であっても何であっても、じゃ、なぜ一体概算で出さないか。お出しになりますか、出しませんか。
  57. 茨木広

    ○茨木説明員 報告に申し上げておりますものは、正確に調査をいたしました結果を出しておるわけでございまして、そういう概算のものを申し上げまして、かえって混乱させましてもと思って、すべて二職種でもって統一をして出す、こういうことであったわけでございます。
  58. 大出俊

    大出委員 それじゃ、この勧告の本文に何でいいかげんなものを載せておくのですか。四十六職種事務技術及び技能・労務関係四六職種、約四九万人について本年四月分として支払われた給与月額等を調査し、併せてその他の四五職種、約七万人についても同様の調査を行った。」「同様の調査を行った。」だけで、いいかげんな調査と書いてないじゃないですか。  あなた、島田人事官に言いたいんだが、そういういいかげんなことを言っちゃいけませんよ。そんなべらぼうな話ありますか。じゃ、これは、いいかげんなものを概算で出したのですか。それならば、そういういいかげんな人事院勧告は、あなた認められぬじゃないですか。そんなことを言えば根本がくずれる。島田さん、あなたも人事官を九年やっているんでしょう。あなたは新聞関係の方だから、数字に詳しくないことはわかるけれども、そんなでたらめな話ありますか。なぜ出さないのですか。あなた方は、団交権もない職員団体の方々が会いたいといって正規のルートで会っている、にもかかわらず、恩田職員団体課長に、どちらの人事官か私は知らぬけれども、院議だというのに職員団体と会うことばかりやっていて、じゃまばかりしていかぬといっておこった。そういういいくらかげんなことじゃ困るじゃないですか。それじゃやっていることがみんなでたらめだ。麗々とここに書いてあるけれども、これは、にぎやかしですか。いいかげんに調べて、初めからこれ自信がなかったのですか。自信がないものを国会に出されちゃ迷惑だ。ちゃんと調査を同様にやったと書いておきながら資料を出さない。なぜか。概算で自信がないから出さない。じゃ、何でここに書いたんだ。でたらめなんだ。
  59. 島田巽

    ○島田説明員 決して逃げ口上ではございませんで、「月額等調査し、併せてその他の」職種と書いてあることばの中には、私どものそういう考え方を……(大出委員「同様と書いてあるじゃないですか」と呼ぶ)「同様」とは最後にございますけれども、あわせて四十五職種という私ども意味でございます。
  60. 大出俊

    大出委員 「併せて」と書いたのだから、いいかげんだというのなら、なぜ「同様の調査を行った。」と書いてあるのですか。少なくとも政府の責任者と国会にあなた方は勧告をお出しになったのでしょう。いまの島田人事官の答弁、許しがたいですよ。何ということをあなたは言うんだ。「併せて」と書いてあるのだから、ここから先は概算で腰だめ、つかみなんだというのならば、何で「同様の調査を行なった。」と書いてあるのか。そんなら、見せかけじゃないですか。較差がわからぬじゃないですか。だから、いまの答弁は全部うそになる。あなた方は二九・六四の勧告出したが、三%引いてみれば二六・六四しかない。二六・六四というのは、二六・七一出している仲裁裁定より下回る。まして仲裁裁定を計算すれば、昨年の仲裁裁定に比べて八一%こえて上がっているんですよ。八一・二%。一四・七四の八一・三%多くなっている。これが公労委の裁定です。そうすると、一五・三九の昨年の人事院勧告を公労委並みに八一・二%ふやしてみれば二七・八九%になります。これに三%、あなた方がおっしゃったのだから、逆ざやを乗せれば三〇・八九%の勧告を出さなければおかしいのです。なぜ切ったのですか。  だから、専門家の方々の中から、せっかく調査をしておいて総合較差を伏せて出さない、その意図は一体何かと勘ぐられるじゃないですか。そういうことを、あなた方はいいかげんなことをするから、だから、去年一五・三九というのが寄ってたかって高過ぎるとたたかれた。大蔵省は〇・六%公労委より高かったと言った。それを差し引き勘定して引いたのだろうという意見まで出てくる。そう思われたってしかたがないじゃないですか。「その他」「併せて」と書いてある。こっちはいいかげんなんだ。いいかげんなら、何で「同様の調査」と書いた。字句で読む限りは、同じように調査したので間違いないじゃありませんか。そういうごまかしはいけませんよ。それなら調査諸表を全部出しなさいよ。いかがですか。
  61. 茨木広

    ○茨木説明員 会社からとってきますということにおいては、その前の段階のものとあとの段階のものと、要するにそこに「同様の調査」と書いてございますが、そういうようなことでつかまえておるわけでございますが、そのあとのいわゆる利用方法について、先ほど申し上げましたように、民間のほうも質が異なってきておる問題がございますし、こちらのほうも質が異なっておりますので、そういう意味の総合較差は出さないという方針が当初にきめられておりましたので、そういうようなことで「併せて」ということで具体的に調査をしてくるのだというようなことであったわけでございます。
  62. 大出俊

    大出委員 そういう言いわけは聞きません。書いてあるものしか私には提出されていない。総合較差に関する何らの資料をいただいていない。あくまでもあなた方のお出しになったのはこれしかない。そんな言いわけ聞く耳持たぬ。あとからその点を明確にして出してくださいよ。  時間がありませんから次に行きます。  初任給について、八の三のところを、何でまた一万四千四百円にしたのですか。二言、三言でけっこうですから答えてください。
  63. 茨木広

    ○茨木説明員 民間初任給調査を、官民較差出します調査と同時にいたしてございます。その民間の結果は、別表第二のところに報告してございますが、それが基礎になりまして、官側と民間側の男女構成でございますとか、そういう点が違いますものを、公務員の構成に直しまして出した結果、ここに初任給を合わせるという方式を従来とっております。そういうことできまったわけでございます。
  64. 大出俊

    大出委員 そこで、公労協の各組合の初任給がここにございますが、全林野の諸君の高校卒初任給、高校をお出になった方の初任給、これが現行の五万九百円が六万八千百円になった。かくて今回の初任給の上げ幅は一万七千二百円。それから郵政省、全逓、郵便局ですが、この高校卒の初任給、現行五万八百円、これが六万八千百円になった。何と一万七千三百円上がっている。印刷局、組合は全印刷、これが五万一千六百円が六万九千五百円、何とこれは一万七千九百円上がっている。アルコール専売、これが五万二百円が六万七千六百円、一万七千四百円上がっている。国鉄、動労五万一千四百円が六万八千七百円、一万七千三百円上がっている。電電公社、電通、これが五万一千四百円が六万八千七百円、一万七千三百円の上がり。専売五万一千五百円、これが六万八千五百円になっている。一万七千円上がっている。人事院は現行四万四千八百円。現在すでにみんな五万円をこえているというのに、六、七千円の差がみんなある。同じ高校を出て、同じ官庁につとめて六、七千円も少ない初任給でつとめている。これは現業だけじゃない。非現業部門持っている、これはみんな。それを今度は上げたのだけれども、五万九千二百円にしか上げない。  かくて、三公社現業は全部一万七千円から一万七千九百円まで上がっているのに、一万四千四百円しか上げない。地域において、職場においてみんな一緒のところにいるんですよ。片方の高校卒の方々は、今度の勧告で一万七千九百円も上がっているというのに、国家公務員の方々は、一万四千四百円しか上がらない。かくて、去年の差の六千円に三千何百円またふえたんだから、おおむね一万円安い給料をもらってつとめる。これは初任給だけじゃない。八の三が初任給。格づけをする。八の四、以下みんな影響があるんです、これは。つまり若い層の賃金較差が、三公社現業人事院傘下の方々で一万円、こういうばかげた開きは放任できない。何でこんなばかなことをするのですか。私が知る限り、あなた方の答えは、時間がないから簡単に言いますが、官民比較をやるのでついていけないという。三公社現業についていけない。本来初任給というのは、あなた方は標準生計費中心にやってきた。そんなことじゃどんどん民間が上がるんだからやれやしない、だめだと何べんか念を押した。そのうちに初任給決定の構成の要素はくずれた。あなた方はやめちゃった。すべてあと追いなんだ。  いま世の中変わって、同一労働同一賃金原則というのが先行しているんです。年をとっていたって若くったって、同じ仕事をしていれば同じ賃金をもらえるという原則に近づいている。だから、三公社現業の職場の年配の方々も、仕事は若い人がやっているんだからというので、三分の二は一律に乗せる、あと三分の一は俸給比例で配分をする。それを認めているんです。だから、上がっていくんですよ。これは同じ使用者としての政府に間違いはない。三公社現業だって政府に違いない。同じ政府人事院が所管するからというので一万円も差がつけられたんじゃ、若い諸君黙っていられないですよ。そうでしょう。そんなら人事院なんぞは要らないじゃないかということになる。そうでしょう。そういういいかげんなことじゃいけませんよ。  これはあなた方、何とかする気はないのですか。一万四千四百円でほっぽっておくのですか。六万円にならないんですよ。いかがですか。こんなに物価が上がっている世の中に、高校出てきて六万円もらえない。
  65. 茨木広

    ○茨木説明員 御指摘の点は、たいへん私どもも苦慮いたしておる問題でございます。ただ、いまおっしゃられましたように、いろいろ配分の原理が違います関係上、そういう関係が出てまいったわけでございます。初任給をそこまで上げるということになりますと、超一流企業並みに行ってしまうことになりまして、こちらのほうの、いわゆる官民匹敵の原則というものが根本原則になって勧告を申し上げる法律上の一つの足場もあるわけでございますから、そういう点からいきますと、それに追いつくということは、なかなか困難をきわめておるわけでございます。  本年度も、報告書の別表のところに「注」として書いてございますように、できるだけ民間の新しいものの初任給をつかまえるという努力は、こちらといたしましても、昨年度も相当問題になりましたので、払ったつもりでございますが、なかなかまだ追いつかないという結果が出てまいりまして、たいへん苦慮しているというのが現状でございます。
  66. 大出俊

    大出委員 島田人事官に承りたいのですが、去年よりもなおかつ初任給較差が開いた。去年は六千円、ことしは一万円、そういう開き。いま超一流企業並みになると言うけれども、超一流企業じゃない、三公社現業並みじゃないですか。一万七千円から一万七千九百円上がったというのは三公社現業ですよ。これも政府でしょう。使用者としての政府がきめたんでしょう。団体交渉の相手方は政府なんだから、政府が了解しなければ判こはつかないんだ。片方ではそれだけ上げておいて、片方では六万円にならない。高校出てきて、これだけ金の卵だといわれる世の中に六万円もらえない。そんなべらぼうな話がありますか。そうでしょう。一万四千四百円。せめて一万五千二百円にしてくれと職員団体の方々は言っていた。あと八百円積めと言っていた。八百円積んだって八千円からの差になるんですよ。そのくらいのことがなぜできないのですか。あと八百円積むことがなぜできないのですか。そういういいかげんな話がありますか。あなたはお認めになっている。いかがですか、島田さん、はっきりしてくださいよ。金がないんならないでいいから、はっきりしてくださいよ。
  67. 島田巽

    ○島田説明員 私のほうは、公労委と違いまして、あくまで民間比較でやるという原則は、どうも動かすわけにはまいりませんので、ことしの初任給調査をいたしまして、民間の場合の上げ幅が民調に関する限りは、こちらが思ったほど出なかったということもあろうかと思います。
  68. 大出俊

    大出委員 小坂さん、ちょっとこれ承りたいんですがね。これは使用者としての政府を代表される小坂長官ですから承りたいのだが、ことしの春の賃金の引き上げで、三公社現業の方々の高校卒初任給というのは、一万七千円から一万七千九百円上がった。人事院勧告というのは、一万四千四百円しか上がらない。旧来六千円低かったのに、かくてまたまた較差は拡大をして、三公社現業の高校卒初任給は一万円高い。同じ使用者としての政府が相手です。人事院という制度が一つあるために、同じ高校を出て三公社現業につとめる高校卒の方と人事院傘下の官庁につとめる方が一万円開きがあって、一体これはどういうことになる。全専売に入れば六万八千五百円くれるというのに、人事院傘下に入れば五万八千五百円しかくれない。一万円安い。おのおの生活にかかわる。同じ政府でなぜこういうことが許されるのですか。いかがですか、小坂さん。
  69. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいまの御質問に私がお答えするのは、適当でないかもしれないのですが、しかし現実に今度の人事院勧告初任給と三公社現業の決定されたものの較差は、先般大出委員からも御指摘いただいてよく承知しております。その事実があるということを承知しておりますが、それがきわめて困るのであるということを、私の立場からそれぞれに向かって発言することもいかがと思って、そういう事実があるとすれば、また、そういうことを労務管理その他、おっしゃるように同じように公務員として勤務する人たちの生活実態、いろんなものから見て修正される方向が出されるならば、私は、それはいいことではないかというふうに思っておるわけでございます。
  70. 大出俊

    大出委員 小坂さん、これは実は過去に二つ例があるから申し上げているのです。いずれにしても、給与法の改正案は、小坂さんのところで国会にお出しになるわけですね。いずれの時期かわかりません、できるだけ早くとおっしゃいましたから、たいへんありがたいのですが。  そこで、昭和三十五年十二月十七日、第三十七回国会、久野さんが委員長の時代であります。ここで修正案の提案が行なわれまして、手直しをいたしました。今回の給与改定におきまして、俸給改定増額分が月額九百円に満たないものにつきましては、原則的に九百円程度の改定になりますように、若干の号俸について百円ないし二百円の修正を行ないたいという手直し提案、通っております。それから、これは昭和三十五年ですから二百円なんというのですけれども、ところが残念なことに、茨木さん、わかっていて質問する私のつらさもお考えいただきたいのですが、何もけんかでこうして言っているわけではないので、これは当時9号俸からいけば、俸給のベースからいけば、総平均賃金という時代ですから、二百円というのは小さくない。たいへん大きい。ところが今回も一万五千二百円に何とか持っていけという話を、しきりに職員団体からお願いをした時代がある。どたんばで百円、二百円の話が出てくる。昔の話ですよ、昭和三十五年に百円、二百円の話になっておるんですよ。島田人事官、九年おやりになっておるのだからおわかりだと思うのです。いまになって百円、二百円の話を出されたのでは、腹にすえかねるんですよ。だがしかし、それでも一万五千二百円になれば、八等級三号がちょうど六万円になるのだから、だから、痛み分けということでがまんしようというところまでいっていたわけでしょう。それすらおやりにならぬというふざけた話はない。高校卒で入る方にかわいそうですよ。そうでしょう。  今度は、三十八年の二月二十六日、第四十三回国会、ここでも同様に初任給手直しです。ここで提案理由の説明が行なわれております。このときは永山さんが委員長、ここでは伊能繁次郎さん等がいろいろ苦労されてものを言っておられるわけでありますが、藤原さんという方から提案がありまして、「まず、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案の修正案について申し上げますと、今回の給与改定による俸給引き上げ額は、月額最低一千円から最高三千五百円まででありますが、これを最低でも千五百円の引き上げになるように、各俸給表の一部を改めることであります。」千円を千五百円に五百円ふやした。そうすると、一万四千四百円上げるという初任給をお出しになった。高校卒、初任給八の三です。もう八百円くっつけば一万五千二百円になる。当時、昭和三十八年に五百円上げている。なら、時代は変わっている。今日、八百円の修正ができないことはない。この勧告説明の一番最後にくっついている「最初の昇給について、その昇給期間を三月短縮することができるよう改めることを考えている」人事院だ。  さてそこで、おかしなことを人事院から承る。一万五千二百円に上げられないから三カ月短縮をする、こうおっしゃる。そう考えているとおっしゃるが、さてしからば、その三カ月短縮とは、今回入ってくる人に限り、十二カ月の昇給期間というものを三カ月短縮する、九カ月なんだ、だから一月なんだ、そういう説明をされる。これは六カ月短縮という話とチャンポンになっておりますけれども、六カ月短縮の場合なんか、そのかわり先にいって十八カ月に戻す。ばかな話で、これじゃもとへ戻ってしまう。こんなばかなことがあっていいはずはないですよ。いま三カ月短縮するけれども、先にいって三カ月延伸する、こういう。できはしないのです。  給与法八条をお読みください。給与法八条の六項ですか、十二カ月というのが法律上の昇給限度なんです。それを延伸しようというのは、五十六歳以上の人で、人事院が特別に出さなければできない。法律改正をしなければ、簡単に延伸ができないのです。そうでしょう。そんなことを軽々しく、向こうへいったら十八カ月にするとか十五カ月にするとか、冗談じゃない。だから、そういうこそくなことはしないで、この際あっさり、人事院が金がないというのなら……。  時間がありませんから、あわせて提案をいたしておきますが、これはお見せしたことがございますけれども、ここにある俸給カーブ、この現在の俸給カーブの下のところが高校卒初任給の三号で、今回一万四千四百円上がった。それを一万五千二百円まで上げる。上げると、八の三であれば、どうしてもその後の八の四以下の調整が要る。八の五は中級職の初任給、七の一は上級乙の初任給ですから、そうすると七の二まで、つまり八の三を一万五千二百円上げることにすると、八百円積むと、七等級の二号俸というところで一万七千円になる、いまの俸給カーブに合わせれば。  そうすると、この間に人員は一体どのくらいいるか。八の三を八百円上げる、つまり一万五千二百円を上げ幅にする。俸給額にしてちょうど六万円になる。せめて六万円くらい。かわいそうですよ、高校卒の方なんだから。それでも約九千ちょっと公労協より低いんですから。そうすると、どうしても七等級の二号俸で一万七千円くらいになる。この間にいる人間を行政(一)、行政(二)で計算をしてみると、おおむね四万五千人、その他の俸給関係の方々を入れても六万人あれば片がつく。最初ここで上がる金額とうしろの金額と違いますから、平均すると五百円くらい。そうすると、五百円で六万人ならば月額三千万円、年間十八カ月の計算をしてみても、月額三千万円ならば五億四千万円あれば足りる。五億四千万円の金がここで出てくれば、これは職員団体の方が、それでも九千円くらい少ないけれども、まあまあがまんして泣こうと言っている一万五千二百円の上げ幅。新高卒で六万円にはなる。このくらいのことはすべきですよ。金にして年間で五億四千万円しかかかりはしない。五億四千万といったら、今度の人事院傘下の公務員の頭数で割っていけば、一人当たり四十円ちょっとですよ。そうでしょう。そのくらいのことはする腹をきめなければならぬ。  小坂さんがいみじくも、私、前にお願いにも参りましたが、御説明したことがあるのですけれども、それは君、やはり片っ方で三公社現業が一万七千円から一万七千九百円も上がっている、片っ方で一万四千円だなんていうことになったらおかしい、それはそうかもしれぬ、ただしかし、勧告権は人事院にあってわがほうにはない、うっかりものが言えぬ、こういう立場なんだとおっしゃるから、出てきたところで考えてくれと申し上げたんですけれども、これはぜひ皆さんのほうで御相談をいただいて、過去二回、国会の手直しの場面もあるわけでありますから、ぜひひとつ、金がないとおっしゃるなら、わずか全体で五億四千万円のことですから、だから、そこらのところは皆さんのほうで割り切るべきである、こういうふうに考えます。いかがでございますか。
  71. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいまの御要望でございますが、十分検討してみたいと思います。
  72. 大出俊

    大出委員 提案を兼ねて申し上げておきましたが、ぜひ御検討いただきます。  かけ足で申し上げますが、もう一点、人事院重点にいたしておりますのは中位等級、こういうわけであります。中位等級について、まず島田人事官に承りたいのですが、現行俸給体系というのは、いつごろできましたですか。
  73. 島田巽

    ○島田説明員 昭和三十二年でございます。
  74. 大出俊

    大出委員 それでは指定職というのは、いつごろできましたですか。
  75. 島田巽

    ○島田説明員 昭和三十九年でございます。
  76. 大出俊

    大出委員 人事官が御存じのとおりに、こういう変遷がございます。  そこで、現在中位等級におられる方々、たとえば四等級を一つとりますと、四十九年の人員、二万七千八百四十二名でありますが、五等級にはどのくらいいると思いますか。島田さんいかがですか。——  時間がないから言いましょう。七万六千六百五十六名。それから六等級、これも、こっちから言いましょう。五万六千九百七十七名。七等級四万一千七百四十一名。八等級二万七千百二十九名。これだけの人が集中的にまん中というところにいる。三等級になりますと九千三百五十七人しかいない。二等級になりますと三千九百六十七名、一等級で九百四十五人しかいない、こういう人員分布、職員分布であります。  そこで、今回おやりになったのは、折れ曲がりを直すとか、間差を少し広げるとかいうこと、しかし、これで事済む筋合いかどうか。かって人事院は、公務員給与はちょうちん型でございます、まん中に手を入れると、人員が多いから予算がかかります、だから避けて通ります。頭打ちがある、折れ曲がりがある、間差は伸びない、だから五等級、四等級のところで悲しき四十歳ができ上がる。子供さんに一番金のかかる時代、家族構成もかっちりきまってしまっている。だが、そこのところはいつも冷遇をされている。吹きだまりになってしまっている。長年そこに吹きだまりになっていて、頭打ちで上がらない。うしろから来た人が飛び越していってしまう。かくてそこが七万六千六百五十六人などというたまり方になる。五等級、まさに悲しき四十歳です。ここのところは、多少の折れ曲がりを直すとか間差を広げるで事済みやしない。これは公務員俸給政策、公務員俸給体系の根本的な欠陥です。それでいて、仕事をせよの綱紀をどうのといったって、これはあなた、片手落ちですよ。根本的にここを直さなければならぬ。生活が成り立たないですよ。そうでしょう。  先ほど人事院総裁が言われたとおり、三十九・何歳というたいへんなもの、これは平均年齢です。そうでしょう。こんな職場は世の中にはない。三十九・六歳が公務員平均年齢です。こういう現実をとらえて、悲しき四十歳と私は申し上げたが、この方々が圧倒的にここにたまっている。ここを何とかしないで、公務員に綱紀の粛正だ、へったくれだいったって、ヘドロ役人だいったって、これはしようがないんだ。いかがですか、ここのところ。
  77. 茨木広

    ○茨木説明員 当時から見ますと、そこの人員がたいへんふえてまいったと考えてまいりましたので、逐次七等級から六等級、六等級から五等級、五等級から四等級、だんだん上げてきたことは御案内のとおりでございます。そのように、こちらのほうもできるだけ対応するように努力をしてまいったわけでございます。  今回も、できるだけ俸給表でもその点について肉づけをするように努力をいたしたわけでございます。同時にまた、扶養手当問題でございますとか、住居手当の問題等についても、それぞれ相当の改善をいたしましたのも、その辺の世帯持ち対策というような点もあわせて考えまして実施をいたしたわけでございます。今後ともよく研究をしてまいりたいと思っております。
  78. 大出俊

    大出委員 これは非常な片手落ち。今度の俸給はずんどう型といわれるように、つまり上厚下薄なんですね。比率からいきますと、上下二%前後の差しかない。時間がありませんからこまかく申しませんが、上厚下薄、非常に上のほうに厚い。ずばっと上がる。  さてそこで、さっき島田さんお答えいただいた、三十二年の俸給表をつくったときから三十九年の指定職の創設、四月にこれの前段として新三等級をつくった。そして下のほうは、重要な課長補佐というのでわずかを上に上げた。だから、ここで一番問題は、局長というのは当時二等級におった、次官が一等級ですから。それを指定職をつくって指定職に全部上げちゃった。上のほうはずばっと上がった。上のほうは、局長であるとか局次長であるとか部長であるとか重要課長であるとかいうのは、全部上に持っていっちゃった。指定職にいっちゃった。そして、いまだに四等級というのは課長補佐だ。だから、霞が関のヘドロ役人という新聞の書き方が出てくるんですよ。ばかばかしいということになる。出てきて、お茶飲んで帰っていくというのが出てくる。昼になればパチンコに行っているということになる。こういうばかげた俸給体系が、そのまま三十九年以来今日に至っている。そういう抜本的な改正をしなければならぬのに、人事院始まってだいぶになりますけれども、依然としてちょうちん型でございまして、まん中に金を使うということになると予算がよけいかかりましてと、その連続。そして今回は、上厚下落な俸給体系を勧告の中でお出しになっている。これでは私は、根本的な解決をしない、これは抜本解決のための努力をすべきである、こういうふうに思います。時間がありませんから、この点はそれだけにいたします。  そして、あと手当の中で一つだけ。ほかのほうを省略いたしますが、先ほど扶養手当のところでいろいろお話がございましたけれども、この三人目以降一人四百円というのは、昭和二十三年以来二十六年間据え置きなんですね。扶養家族の三人目のところは四百円だというので、二十六年間据え置きというばかなことがありますか。それで今度は、一人、二人という勘定にいたしまして、たいへん前進しましたなんといったって、第三子四百円が二十六年間四百円、こんなべらぼうな話が一体ありますか。かつて千何百円という勧告人事院出したことがあるのです。そうでしょう。これは何とお答えになりますか。
  79. 茨木広

    ○茨木説明員 御意見、ごもっともな御意見でございます。まあ、こちらのほうは、今回の民間調査で妻、それから一人目、二人目、三人目の数字を全般的に把握いたしまして、最終的にそこのところを据え置いたわけでございますが、民間のほうには、いわゆる打ち切り制度というのがございます。その辺のところをやはりよく調査をしましてでないと、こちらのほうは四人目以上何人でも四百円でずっと続いていくというようなこともございまして——当初の扶養手当が創設されました当時は、ほんとうに生活給的な要素の強いものであったわけでございますが、途中、一時それがストップしておりまして、最近また別途世帯手当的な意味で見直されておるというのが、扶養手当の経緯でございます。そういうところから、この三子以降の四百円は、昔のまま据え置いたということでございますが、別途児童手当制度との関係でも、三子目から児童手当のほうが出ているというようなこともございまして、その辺のところで、詳しい調査を別途しませんと、なかなか四百円を動かしがたいというようなことが、実は今回のいろいろ検討いたしました際の経緯であったわけでございます。今後ともなお勉強してみたいと思っております。
  80. 大出俊

    大出委員 とにかく一人、二人、三人と勘定することにしたのはいいけれども、二十六年間四百円で据え置く第三子なんというものが、この世に存在することが間違い。そうでしょう、島田さん、幾らお考えになったっておわかりでしょう。島田さん、一言答えてくださいよ。二十六年間四百円でいいですか。
  81. 島田巽

    ○島田説明員 調査した結果において、この四百円を上げるというよりも、打ち切り制もあるところですので、むしろゼロとしたほうが、すっきりしたほうがいいのかもしれませんが、しかし既得権がありますので、たとえ四百円でもなくすわけにはまいりません。それから、さっきも申しました、大体その辺のあれが、児童手当の併給ということができませんので、児童手当のほうに移行するということがございますので、四百円という非常に非常識的に見える数字を残しておくのは、われわれとしても、いかにすべきかということで検討した結果、ともかくことしはそのまま残すということで、あれが少ないことは、みっともないと申しますか、低いということは、われわれも重々承知で残した次第でございます。
  82. 大出俊

    大出委員 たいへん少ない給料をもらっているのに、島田さんに質問すると、回れ右してうしろへ走れなんて、少なければ切ってしまうなんて、とんでもない話ですよ、あなた。回れ右してうしろへ走っちゃいけませんよ、あなた。さっき内田さんが言っていたけれども、近代的な政府じゃないですか。ただ、時間がありませんから、いまのは議論はやめます。  ところで、住宅手当は省略をしまして期末手当ですが、これは〇・四八を何でまた八を切ったのですか。人事官会議で、何かまた大出君が文句言うなんてだれか言ったそうですけれども、漏れ承ったけれども、百も承知でなぜ切るのですか。〇・四八の八を切っちゃうということは、あれだけ言ってもなぜ切るのですか。なぜ〇・五にしないのですか。
  83. 茨木広

    ○茨木説明員 今回も、そのような御議論が出るのではないかということの話が出たわけでございますが、ことしのこの民間の特別給の中には、これは御案内のように、昨年度の民間給与の総支給額を、これまた給与のほうで割り返しまして月数を出して、それを今年度のベース改定になったものの額にかけまして出るというのが、従来とっておる方式でございます。そこで、昨年度以来のものについて、一体これは景気対策的な、一時的なものも出ているのではないかというような議論もございますし、その辺もいろいろ調査の段階でよく見ましたけれども、なかなかそういうふうにはっきりこうでございますという形で民間出しているものも、はっきりいたしませんので、そのままの数字で出てまいったわけでございます。  そこで、過去にも四十年と四十一年、それから四十六年と四十七年の、このちょうど景気が悪かったような時代には、二けた目がちょうどやはり引っ込んできている年がございます。そんなことから、二けた目のところは、こちらは法定するものでございますから、当然下がれば下げなければいかぬのでございますけれども、あまり激変があってもということで、二けた目を切った経緯がございます。しかし、たいへん金額が大きくなったので、いろいろ議論はいたしましたが、先行きやはり不安というような問題もございます時期でありました関係上、やはり従来方式をそのまま踏襲して勧告を申し上げたような経緯でございます。
  84. 大出俊

    大出委員 あと二つ、三つで決着をつけますが、一つは、この週休二日の問題をめぐっていろんな陰の話が耳に入ります。これは月二回なら二回ときちっとしませんと、一つ間違うと半舷上陸みたいなことになりかねない、交代制勤務もありますから。これは私の経験で、郵政省が例の休日の配達廃止をやった経験があります。当時、ドイツの労働総同盟の会長がウィリー・リヒター氏でございますが、彼も郵便関係の組織の人間でありますけれども、そうした激しい現業でも休むという。だから、いろんな問題がありましたが、その気になってやれば、結果的に全部やれているわけであります。腹をきめてやればできる。  そこで、試験的な試行というのがございます。この中で、どうも有給休暇を利用して試行をやってなんという話が出てくる。これは、とんでもないわけでありまして、筋が全く違う。そういうばかげたことをお考えではないのだろうと思うのでありますが、月二回なら二回、土曜閉庁なら閉庁という形に、官執だけ閉庁にしてその他はなんということを考えるのではなしに、やるべきことはきちっとやる。もちろん、これは余暇利用だ云々だという、あるいはそれによって起こるトラブル等がありますが、そこらのことを含めまして、ひとつ最近の国内外の週休三日制の動向について、労働省からお答えをいただきたいのですが……。
  85. 東村金之助

    ○東村説明員 まず、わが国における週休二日制の実施状況について申し述べます。  御承知のとおり、週休二日制は昭和三十年代後半から導入され始めまして、四十年代に入って広まり、特にここ一二年、急テンポに広まっております。すなわち、労働省でやりました調査によりますと、昭和四十八年九月末現在で、規模三十人以上の企業の割合でいきますと三〇・〇%、それから労働者の割合で申し上げますと、五四・七%という割合のものが、何らかの形態に週休二日制を実施しております。四十七年の調査に比べ二倍をこえる普及率となっております。  これを規模別にながめてみますと、千人以上の大企業では約七〇%前後の普及率であるのに対しまして、まだかなりの差は見られるものの、中小企業におきましても、かなり進んでまいりまして、三十人から九十九人というような規模で、二四・二%という普及の状況になっております。  それから諸外国の状況でございますが、この週休二日制は、ヨーロッパ諸国では一九五〇年代から普及し始めまして、現在では欧米主要国では、もうかなり週休二日制が定着しているということを承知しております。昭和四十七年に行なわれました外務省の調査によりますと、アメリカはもとよりでございますが、OECD加盟国では、大部分でもう週休二日制を実施しております。中南米諸国でも実施国がかなりふえてまいりまして、過半数が実施しているという状況のようでございます。
  86. 大出俊

    大出委員 人事院調査をされておられるようでありますけれども人事院の五十年度という意味での真意は、今回の勧告を踏まえて、ほんとうのところ、どこにあるわけですか。これからどういうふうにしようというわけですか。人事院の権限の範囲というものがございますから、各所管の省庁に本来の権限があるわけでありまして、そことの関係も踏まえて、どこまでが人事院の権限で、かくて試行を含めてどういうふうにおやりになろうとするかという点をはっきりしていただきたい。
  87. 中村博

    ○中村説明員 今年度の報告で申しておりますように、この点は十分御理解をいただいておると思います。昨年、報告をいたしましてから、関係各省と十分いろいろな御協議をし、また政府に設けられました機関とも十分協議をしてまいりまして、その結果、報告にもしるしてございますように、いろいろな部面があるわけでございます。したがいまして、そういった点の検討と同時に、時間短縮を伴う月二回制ということをはっきり目標として打ち出したわけでございます。  そういたしますと、現実の問題としてそのような制度を具現するために、さらに検討を続けることが必要でございます。私どもの一番の関心は、いやしくも、このために公務サービスを低下させることによって国民からの御批判をいただく、そういうことがないようにしよう、こういうわけでございます。したがいまして、その意味で、まあ試行ということばは、いろいろ解釈できるのでございますが、一番困難な、先生御指摘の交代制部門とかそういったところである程度のことをやってみまして、そうして月二回ではたして公務サービスの確保ができるかどうか、もしできないとすれば、その隘路はどこにあるか、そういった点を慎重に検討いたしまして、と同時に関係各省に——御指摘のように、人事院が全部の出先機関までわかるわけはございません。したがいまして、関係各省の御協力のもとに、その点は割り切っていただいて、そしていま申し上げましたような基本線に沿いつつ、その準備が、条件が成熟し次第、なるべく早くその線で実施していただこう、こういう気持ちで出しておるわけでございます。
  88. 大出俊

    大出委員 この問題の最後に、労働省に伺いますが、施行以後の各国の例もありますし、国内の例もございますけれども、幾つかのトラブルがいろいろ出てくる。密度が高くなるとか、あるいは能率がどうとかいろいろあるのでありますが、おたくの資料はありますけれども、お出かけをいただいておりますので、ひとつそこらのところを……。これは官庁でも同じことがいろいろ出てくる。日曜配達廃止をやった私のところの郵政省なんかでもいろいろな問題があとに残る。そこら  のことをきめこまかく整理していきませんと、やったあと逆に労働密度が過重になっていろいろな問題が起こる。そういうふうな点の把握を労働省はどうしておられますか。長い時間でなくてけっこうでございますけれどもお答えおきいただきたいのです。
  89. 東村金之助

    ○東村説明員 御指摘の点、確かにあると思います。大企業でございますと、労働組合と事業主と相談しながらやるということで、かなりそういう問題がうまくいくわけでございますが、問題は中小企業等にかなり出ております。私どもといたしましては、週休二日制を無理無理しいるという立場ではございません。労使があくまでも話し合いの上でやっていくという前提でございまして、たとえばその実情に応じて月一回の週休二日制から始めていくとか、さらには業種別、地域別に問題を進めていくというようなきめのこまかい指導、援助をはかっていきたい。  なお、中小企業等で集団で問題を進めるようなところは、特別の補助をやっていくというような進め方をやっておりますので、確かに問題は出ておりますが、基本的にはいま言ったようなかっこうでできるだけ円滑に進めたい、こういう考え方でございます。
  90. 大出俊

    大出委員 これは、ぜひそこのところは人事院側にも慎重に御配慮いただきませんとね。職員局の当初の案なども私、知っておりますけれども、これは申し上げませんが、残念ながら、あの案が表に出てくれればよかったと思ったのだが、だいぶどうもこなれちゃっておるものですから心配なんですが、意図はわかっておりますから深追いはしません。ぜひひとつ、労働省のやった結果に基づく状況ども把握をいただいて進めていただきたいというふうに思っておるわけであります。それだけお願いをいたしておきます。  あと二つ。一つは寒冷地手当でありますが、どうも七百円にもなってしまっている灯油、十二本、一本は東京並みの分を差し引いて十一本、勧告に入りそうな入らぬようなことで、結果的には入らなかったわけでありますけれども、八月という時期もございます。灯油価格の値上げというのが新聞に発表されております。そこうを踏まえて、寒冷地の勧告というのは一体どういうことにするのか、これをひとつ承りたい。  それからもう一つ、防衛庁に承りたいのですが、どうも米軍、最近気に食わぬことだらけでありまして、例の一〇%も勧告が出てない、全体がわからないからというようなことでやらない。まあ資金の関係等もあって、今日いろいろこねている状況であります。そこで、米軍に働く方々の賃金、この一〇%問題、〇・三の問題いろいろあるわけでありますけれども、一体どういうふうになさろうというおつもりなのか。これは基地に働く方々にたいへん気の毒なことばかりございますので、沖繩なんか特にそうでありますけれども、きょうは上原君おいでになりませんから、防衛庁の見解とあわせて最近の状況を承りたいのと、もう一つ防衛庁に、おれのところは抜本的に改正するんだから、時間がかかるぞというようなことを、何カ月だとか何週間だとかいうことを言う。ところが私だってしろうとじゃないし、研究会も皆さんにはある。尾崎事務総長だって入っているんでしょう。そこで、やれ営内居住とか、昔で言えば営内居住ですな、いま何と言うか知らぬけれども、私も営内居住をやった経験があるけれども、家賃をとります、食糧費をとりますといっていままでぽんぽんとっておった。そこらは今度はゼロにしましょうやという話で話はついているはずなんですね。それ以上欲を言っちゃいけませんよ、公務員にやはり右へならえするんだから。そうでしょう。だから、これはそういう意味ではそう問題ないはずなんだ。  それを、どうもそこらが一つの大きな理由になって、八日間国会には出せないんだなんて話が流れてきたんじゃ、いささかこれはどうもうそっぱちもいいかげんにしろと言いたくなるんで、そこらのところは、そういうトラブルはもうないならないということを、ひとつはっきりさせていただきたい。  それからもう一つ、あわせて皆川さんのところに承りたいのですが、特別職とそれから判検事さんのような問題、これも香川法務省官房長と電話でいろいろ話をいたしておりますけれども、八日間国会にと思ってその案は用意したという。ところが、あなたのほうで、特別職のほうがなかなか出てこないもんだから、つけ合わせて云々というわけになかなかいかないという状況にある。また去年のときのように、ぎりぎりのところへいって、最高裁のあっちのほうがなんというようなことで、いつになるかわからないなんて言われたらこれは困るのです。そこらのところも、最後のところをお聞かせおきいただきたい。いかがでございますか。
  91. 茨木広

    ○茨木説明員 最初の寒冷地の問題について、お答えを申し上げます。  寒冷地もできるだけ一緒にうたわしていただきたいということで、作業を進めてまいりましたが、関係の方々の御意見もいろいろ拝聴いたしております。かねて懸案の、附帯決議で課題をいただいております世帯区分の変更等の問題大体詰まりかけておったわけでございますが、一部反対がございまして、その辺のところの詰まり方を、もう少し積み上げていかなければいかぬという問題が出てまいりました。  それから価格問題については、民間の寒冷地相当額の実態というようなものも一応調査をいたしてございますが、むしろこちらがいいという実態が依然としてございます。しかし同時に、灯油問題という特別の問題もございます。その辺のところも価格等を、六月の価格なり七月の価格が相当あのときに移動をしております関係上、一部調査をいたしましたけれども、その辺についても問題が出てまいりました。それでちょっと延びたわけでございます。できるだけ成案を得次第出したい、こういうふうに考えております。
  92. 木野晴夫

    ○木野説明員 人事院勧告が閣議決定されますと、特別職の作業が始まるわけでございます。防衛庁の給与法の改定に入るわけでございますが、実は大出先生いまおっしゃいましたとおり、私も新聞で見たのでありますが、防衛庁のほうが時間がかかるというふうなことが書いてございました。担当の者に聞きましたところ、まあ防衛庁はほかの役所に比べますと人数も多い、また職務も複雑だというふうなことでかかるのでございます。しかし、そのために全体の作業がおくれているというようなことでは困りますが、どういった段階を踏むのかといいますと、まず部内調整、それから財政当局、大蔵省との折衝、それから法案でございますから法制局との折衝、それから閣議決定というのでございます。まあ時間がかかることは、ある程度かかると思いますが、そういったことではいけないので、効率的にやるようにということで、ことに内部検討につきましては、十分に前広にやればいいわけでございますから、できるだけ効率をあげてやるように指示いたしております。  また、内容につきましては、そう大きな改定でないのだから、もうわかるじゃないかと言いますが、まず閣議決定というものがありませんと、実は正式に動けないのでありますが、そういったところは効率をあげるようにやっていきたいと思っているわけであります。  それから防衛庁の給与改定でございますが、抜本的に考えておるのだという話でございますが、これは昭和四十八年の四月に給与等研究調査会というものを設けまして、今井一男先生が会長で尾崎さん、また、そういった専門の方々が入って検討いたしておりますが、それの中間答申が本年の七月に出たわけでございます。御承知のとおり、自衛隊の勤務体系は特殊だからいろいろ問題があるが、とりあえず中間報告といたしまして、営内給食関係、住居関係並びに医療関係、そういったものはやめろということでございまして、それは実は来年度予算に向かって検討いたしておるところでございます。その他、短期間の勤務であるとか停年制とか実はいろいろありまして、そういった問題につきましては、その給与調査会では、さらに研究を続けるということになっております。
  93. 菅沼照夫

    ○菅沼説明員 先生御指摘のいまの駐留軍労務者の関係でございますが、これは御存じのように、施設庁の労務部でやっておりまして、実は本庁の人事局しか来ておりませんので内容わかりませんが、先生のお話、帰りましてよくお伝えするようにいたします。
  94. 大出俊

    大出委員 この一〇%問題も、皆さんのほうの労務部長が米軍に提案しているんですね。ところが七月二十二日に本勧告が出なければ、それはできないということでぽんとけったままになっている。したがって、〇・三の問題なんかも、前に、四月八日ですけれども人事院勧告で米軍に提案した。そうしたら、人事院説明資料が不十分だ、本勧告との関係がわからない、インフレというのは日本政府の政策の結果なんだから米軍には関係ない。これがまたふるっている。インフレは日本政府の政策の結果であり、米軍としては迷惑であると、こう言う。米軍の会計年度は六月にかかって資金不足になっている。七月からですからね、新会計年度が。なんというようなことになっているわけですから、これは少し皆さんのほうも考えていただいて、さっき私申しましたように、一〇%も出しているんだから、まあおくれてもというようなことを、当時私が申し上げたら、皆さんいい顔なさらなかったのだけれども、いまになってみれば、そうおっしゃっても一〇%を先に払っているのですからなんて逃げ口上をお使いになっていて、片っ方のほうは一〇%実施しないのだけれども、ほっぽっとくという手はないので、これはぜひひとつ、はっきりさせていただきたい、お願いしておきたい。
  95. 木野晴夫

    ○木野説明員 ただいま大出委員の御指摘の点は、実は防衛庁の中でもよく問題になっておる点でございますが、米軍にそういった点を十分に理解させて、そうして納得いくようにできるだけ善処いたしたいと思っております。私のほうの長官も、そういった点につきましては、非常に精力的に動いておりますので、私も、ただいまの御意見は、帰りまして十分に伝えておきます。
  96. 大出俊

    大出委員 これは小坂長官と人事院皆さんに、最後お願いをしておきたいのですが、人事院の所管にある公務員の方々は、御存じのとおりに団体交渉権はないわけでありまして、これは自衛隊の方々だって、ものを言えないわけでありましょうし、つまり、こういうふうな方々については、特にやはり配慮が必要であろう。大きな力を持っている方々が力を発揮すれば、政府のほうで、うしろに引っ込んでいたのが、前に出て早期に問題を片づける。一日でもって国会承認を受けてぽんとやっちまう、そういうことをおやりになるのだが、もの言わぬ方々やものの言い方、音の出し方の少ない方々のところにはしわが寄ってしまう。これは定員の三年、五%削減だってそうなんです。一番弱いところに一番しわが寄って、かんながかかっちゃう。  だから、かつてローカル空港の管制官並みの人をみんな引き揚げちゃって、削っちゃってなくなっちゃったなんということができ上がる。富士山頂レーダーが、気象庁が弱いから半日しか動かぬなんということができ上がっている。今日も聞いてみたらまだそうだ。とんでもない勤務時間ができる。人事院にもの言ったら、飛んでいったら、一ぺんで取り下げた。つまり、そういう弱いところにばかりしわが寄ることを、政策的にやってはいけないという気が私はする。  そこで、ぜひひとつ、公務員関係職員団体もまとまりのある組織なんですから、そういう組織の方々とできるだけひとつ、皆さんのほうではやはり円滑な話し合いという名がついているんですから、話し合いをしていただいて、その間にどうも意思の疎通が欠けて、のどから手が出るほどほしい給与について、残念ながらこれを廃案にしなければならぬとか悲壮な決意なんかをさせるようなことにせぬように、これはお願いをしておきたいのです。何とかそういうことで、お互いの納得ずくで話し合いをつけてもらう。そうでありませんと、せっかく短期国会をお考えいただいて、小坂長官に前向きで進めていただいても、問題の処理に非常に困難を来たす結果になりかねぬ面もある。だから、ぜひそういう点は皆さんでひとつ御配慮をいただいて、特に人事院の方々にはお願いを申し上げたいわけであります。どうか小坂長官ひとつ、当面これはおかわりになるまではいたし方がない、担当責任大臣でございますから、したがって、何とか早期に決着のつくような、つまりそういう場所をつくるということでの御努力最後お願いをいたしまして、一言ずつひとつお答えをいただいて、終わらせていただきます。
  97. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいまの御要望、十分承りました。  それからまた、先ほど来の初任給の問題、それから給与の中だるみといいますか、こうしたような問題につきましても、前々からいろいろ各方面で指摘があったと思いますが、これは注意を喚起していただきまして、非常に感謝を申し上げておきます。  それからもう一つは、ただいまの最後に仰せられました給与関係についての、組合の方々と行政府の担当のほうの間の話し合いの問題でございますが、私は、これは非常に重要なことであるし、また公制審の答申にも、その点は深く触れておりますので、こうしたことを進める。同時にまた、人事院というものをまん中にはさみまして、われわれと組合と人事院というような関係等につきましても、さらに問題の平和的な解決を進める。同時にまた、もの言わぬ方々が非常に不利になってはならないということは、全く同感でございますので、そうした有機的な連動を行なうように今後努力をしてまいりたいと思っています。
  98. 大出俊

    大出委員 たいへん長い時間すみません。
  99. 徳安實藏

    徳安委員長 午後二時四十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後二時六分休憩      ————◇—————    午後二時四十六分開会
  100. 徳安實藏

    徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公務員給与に関する件について質疑を続行いたします。中路雅弘君。
  101. 中路雅弘

    中路委員 私のあと木下委員も質問いたしますので、時間をはしょりまして、約一時間ですから、幾つか要点だけ御質問したいと思います。  昨年は人事院が八月九日に勧告をされて、それから比べると約二週間早い。例年に比べますと、大体八月の十日、十五日あたりですから、三週間早く勧告が出されたわけです。この五月の末の内閣委員会でも、公務員給与の改正については、先ほどお話しのように、最近の諸般の情勢にかんがみ、政府はその実施につきすみやかに措置するよう決議をされているわけです。また前国会では、五月末の最終日に一〇%の先払いということもやっているわけです。私は、今度の臨時国会で、この公務員給与の問題は、当然給与改正を審議して、早期実現をはかるべきだというふうに考えていたわけですが、御存じのような事情になっている。  そこで、この早期実施の問題もあるわけですが、最近の政府の主要閣僚の発言を見てみますと、いま定着してきている完全実施の問題についても、あと戻りをさしたりあるいは値切るような発言も出てきているわけなので、担当閣僚として最初に総務長官に、もう一度この完全実施についてのお考えを一言お聞きしたいのです。  たとえば前国会では、全くものを言わなかった田中総理が、臨時国会中の七月二十九日の自民党両院議員総会での発言を新聞の記事で見ますと、「給与改善問題だが、(人事院勧告を)このまま実行しようとすれば、人件費は二兆二千百億円である」ということから始まって、「需要を抑えるのは第一に所得政策、第二に増税政策である。」そして「所得政策が必要である、増税も必要であるという結論が出たときには、この(人事院勧告の)実施をやらないということもありうるわけだ。イージー(安易)な態度では物価問題は解決しない」というような発言もされています。また、大平大蔵大臣は、三日の参議院の大蔵委員会の所信表明のような発言の中でも、物価と賃金上昇の悪循環を取り上げて発言されています。昨日の長谷川労働大臣の大阪のロイヤルホテルで開かれた関西経営者協会との懇談会での講演も本日の新聞で見たわけですが、この中でも物価上昇の主要因が賃上げであるように述べていられるわけです。そして賃金の抑制の必要を強調されているわけですが、私は、この長谷川労働大臣の物価や賃金問題についての発言は、先月の十六日に労働白書が発表されましたが、この中では、四十八年から四十九年初めの物価急騰は賃金上昇によってもたらされたものでなく、今春闘での大幅賃上げも春闘直前の物価あるいは企業収益云々などの反映したものと分析しているので、これからも矛盾していると思うのです。  いま幾つかあげましたように、最近主要な閣僚の皆さんが、物価と賃金の悪循環ということを述べながら物価対策にきめ手を見出し得ないという中で、インフレ対策を賃金を押えることによってやろうという意図、すぐ所得政策ということにいかなくても、そういうきっかけをつくるような、そういうものを見出したいという地ならし的なことをやっていくという意図もあるようにうかがえるわけなんです。  その面で、ことしの人事院勧告の問題について、いわばストライキ権も団体交渉権もないこの公務員賃金を、政府が直接抑制することができる公務員賃金を押えることは、いわばそのきっかけに非常に都合がいい、この秋から来春闘にかけての一つの賃金抑制政策をやるきっかけにこれはできるのじゃないかという考えもあるように感じるわけですけれども、この点でも、いまの人事院勧告というのは、ことしの民間春闘の妥結、民間との均衡あるいは公労協との均衡、こういう中で出されている問題ですから、一日も早くこれは完全実施をするというのが当然の問題でありますけれども、こういう発言等を見てみますと、今度の公務員給与改定を、いま言いましたような賃金抑制の新しいきっかけにするような意図も感じられるわけですが、この点で人事院勧告完全実施の問題について、先ほど大蔵大臣は誠意をもって対処するとか実現努力をするという発言をされていますけれども、特に担当の大臣として最初に総務長官から、この完全実施についての決意なりお考えを一言お聞きしたいと思う。
  102. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 たてまえから申しますと、私といたしましては、人事院勧告に誠意をもって対処をしていくということをはっきりと申し上げるわけでございますが、ただ、いまいろいろと各閣僚の発言等を御披露ございましたが、今度の春闘の賃上げというものが、民間が三二%をこえ、また人事院勧告が二九・六四%というように非常に高額であるというようなこと、この原因と結果について、いろいろといま各閣僚あるいは各方面で議論されていることであるわけでありまして、だからといって、そうした議論があったからといって、それがいわゆる所得政策なり賃金の抑制というようなことだけにすぐつながるものとは私は思いません。また現在の日本経済の全体を見ますと、私個人としての見解でございますけれども例年は相当に大きな実質成長をやっておった経済が、非常に低い成長率しかなし得ないだろうというようなことから考えますと、やはり大幅な賃上げというものが一体どこで吸収されるかというようなことは当然議論されてしかるべきものだと考えるわけです。同時にまた、今度の国会の会期が非常に短く、しかもあのような形になりました事前に、七月の三十日にわれわれは給与関係閣僚会議を開きまして、そこで人事院勧告について意見を交換いたしましたが、そのときもいろいろな面からの議論がなされたわけでございます。  私、先ほど大出委員にもお答えしたのでありますが、このようなきわめていろいろな意味での影響力の大きい問題に対して各閣僚が自分の考えを述べ、また、その述べたものを総合して各省でそれぞれの立場検討し、そしてまた、その影響を十分踏まえた上で、それが了解されるものであるということに到達するならば、むしろこれは歓迎すべきことではないか。私はやはり、こうした現在の賃金問題これは物価が高くなったから賃金は上がるのだということもありますし、また少数の意見としては、賃金が上がったから物価が上がったんだというふうに言う意見もあるわけでございますが、そうしたような議論をここで一応煮詰めておいたほうがいいのではないかというふうに考えております。しかし、さればといって私の立場から、こうした議論をいつまでも続けていっていいとも考えておらないわけでございまして、できるだけ早い機会給与関係閣僚会議を開いて結論を出していきたい、そのように考えております。
  103. 中路雅弘

    中路委員 担当の大臣として当然のことでありますけれども勧告完全実施については、全力をあげてそういう方向で努力をする、そのように理解していいわけですね。  それで、前国会がああいう状態になったわけですけれども、いまお話しのように、できるだけ早く給与問題の関係の閣僚会議を開いて了解をとるというお話なので、これができれば法の改正案の作成にかかられるわけですが、全体としても二十日ないし三週間ぐらいあれば、純技術的に見れば法案の作成はできるのじゃないか、いままでの経験からいっても。一般職だけだったら一週間もあればできるのじゃないかと私は思うのですけれども、これが年末まで延ばされるということになれば、目減りだけでも当然のこととしてたいへんな事態になるわけですし、前国会で五月の末に一〇%の先払いをやったのも、いまのこのような異常な経済情勢という問題も論議になったところですから、その点で橋本幹事長なんかも、先ほどお話がありましたように、外遊中でもできるのだという意味の発言もあるわけですが、この辺の見通しなりお考えも一言お聞きしておきたいと思います。
  104. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いまの現時点では、率直に申し上げまして、的確なめどを申し上げることができません。何よりも私といたしましては、閣僚会議で各省が現在持ち帰っております人事院案そのものを施行する場合のいろいろな問題点の洗い上げと合意が、各省それぞれできることからスタートをするわけでございます。ですから、これが先ほど申し上げたように、非常に長期にかかるということでなく、私の立場からは、できるだけ短期間にひとつ検討してくれということを要望したいと考えております。
  105. 中路雅弘

    中路委員 経済企画庁お見えになっていると思うのですが、一言聞いておきたいのです。先ほど午前中聞いていましたら、大蔵大臣は物価のほうは鎮静の方向へ向かっているのだという趣旨のお話があったので、一言お聞きしたいのですが、総理府の統計局が先月の二十六日に発表した七月の東京都の消費者物価指数は、四十五年を一〇〇とした総合指数で一五四・二と、前月に比べて二・二%の高騰を記録しているわけですね。また、これを前年同月比で見ますと、二三・四%と非常な上昇を示しています。午前中に大蔵大臣は、五月の〇・一%、六月の〇・七%、こういうところの数字をおあげになったと思うのですが、七月になって一挙にまた二・二%とはね上がっているわけです。  総理府がこの高騰の要因というのをあげているのは、八号台風、集中豪雨の影響で野菜が上がったとか、あるいは新聞代が上がって教育娯楽費が上昇したとか、いろいろ季節商品を主要因としてあげられていますけれども、こういうものを除いても前月比一・二%の上昇で、六月よりも非常に高騰しているということが言えるわけです。しかも、この中にはおそらく、参議院選挙政府が相次いで認可した洗剤などの値上げ、あるいは私鉄運賃の値上げ、こういうものは含まれていないと私は思いますし、私鉄運賃その他のこれからの一連の公共料金の大幅値上げが加わったとしますと、決して鎮静に向かっているということではなくて、これから秋にかけて国鉄運賃あるいは消費者米価の値上げ等もやられようとしているわけですから、この上昇は一服どころか、さらに再狂乱というようなきざしも出てくるんじゃないかというふうに感じるわけですけれども、この点で経企庁のお考えもお聞きしておきたい。
  106. 仲田嘉夫

    ○仲田説明員 ただいま先生からお話ございましたように、七月の東京都の消費者物価速報によりますと、二・二%の上昇ということになっております。これも先生申されましたけれども、ちょうどその時期が天候不順の長雨が続いたり、それから台風八号が静岡県下で荒れ狂いまして、かなり流通経路に混乱を生じたということから、野菜あるいは魚といったものがかなり大幅に上がった時期に当たりまして、これが相当大きな原因となったわけでございます。  それで、これも先生申されましたが、この季節商品を除きますと、一・二%の上昇ということになるわけでございますけれども、そのうちの〇・七一は新聞代の上昇ということでございまして、これを除きますと〇・四九ぐらいのアップ率になっております。したがいまして、私どもといたしましては、それ以前の五月〇・三、六月〇・五という物価上昇率の大体延長線上にあるというふうに考えておりまして、特にこれで物価が上がり始めたというふうには思っていない次第でございます。  これからの問題でございますけれども、八月は、前月上がりましたが、野菜が下がることが予想されますし、非常に鎮静化をたどると思います。九月につきましては、ちょうどその時期が季節商品といいますか、冬物の衣料品の購入等の時期に当たるというような季節的な需要もございまして、若干従来の趨勢よりも高まることが予想されますけれども、これは例年のことでございまして、そういう季節変動を度外視すれば、大体同じような線であろうということで、私どもとしては、物価が再び上昇に転ずるおそれは、いまのところないというふうに考えております。
  107. 中路雅弘

    中路委員 この中には、私鉄運賃値上げだとか、参議院選挙後に認可されている公共料金、こういうものはまだ入っていませんね。
  108. 仲田嘉夫

    ○仲田説明員 いままでのところは入っておりません。
  109. 中路雅弘

    中路委員 東京ガスの値上げも入っていませんね。
  110. 仲田嘉夫

    ○仲田説明員 まだやっておりませんから……。
  111. 中路雅弘

    中路委員 それから国鉄や消費者米価の値上げも当然予想されるわけですから、鎮静化の方向が定着するというような見通しは、どうも甘いのじゃないか。こういうものがはね返ってきた場合に、決して一服状態ではなくて、さらに上昇が強まるのじゃないかというふうに考えるのですが、こういう要因というのは、いまお話の中に入っていないわけですが、その点はどうですか。
  112. 仲田嘉夫

    ○仲田説明員 お答えいたします。  いままで申し上げましたことの中には入っておりませんが、たとえば私鉄運賃の値上げが先般ございましたが、これで予想される消費者物価の上昇率は〇・一%ぐらいでございます。このほか、これからバスとかあるいは国鉄とかいろいろ出てまいると思いますが、たとえば国鉄を例にとりまして〇・二二%ぐらい。それで、これは小さいとは申せませんけれども、こういう直接的な値上がりの影響というものは、総需要の抑制その他の施策によりまして、できるだけ本年度吸収していって、物価が上がらないように努力したいというふうに考えております。
  113. 中路雅弘

    中路委員 たいへん甘い見通しで、私は、とうていそういうものでおさまる状態ではないというふうに思うわけですけれども、しかし現状の中で、上層の一部の人たちは別にして、大多数の公務員皆さんは、いまの物価上昇の中で非常に困難な状態にあるということは、これはどなたも認められておるところですし、統計でみましても、共かせぎが非常に多いんですね、公務員皆さんの中には。統計で見ましても、六〇%が共かせぎ、内職、家計のやりくりということが出ていますし、こういう中で、たとえば十一月、十二月、年末までこの実施がおくらされる、半年近くですね、ということになれば、この目減りだけでも、たいへんなんじゃないか。計算しておりませんけれども、五千円札一枚ぐらいは吹っ飛んでしまうような、それ以上の目減りが出てくるのじゃないかと私は思うのです。  そういう点でも、すでに民間は、あるいは公労協は春に受け取っているわけですから、私は、この点で一日も早く給与改正案を急いでいただいて、この実現をはかるということでないと、いまのこれから予想される経済情勢物価問題の状況からいっても、あるいは公務員皆さんが置かれている生活状態からいっても、影響するところが非常に大きいわけですから、この点について最初にもう一度、特に関係皆さん努力をしていただきたいということを要請をしておきたいと思うのです。  あと、これから勧告の問題に入りますが、最初に、私もこれを検討するのに資料を要求したわけですが、まだいただいていないのです。先ほど大出委員も読み上げられましたが、「民間給与調査」の中にも書いてありますように、「本院は、職員給与民間給与との精確な比較等を行うため、従来の例に従い、企業規模一〇〇人以上で、かつ、事業所規模五〇人以上の全国の民間事業所のうちから約七、四〇〇の事業所を」抽出し調査した云々と書かれてあって、「公務と類似すると認められる職務に従事する者のうち、事務技術及び技能・労務関係四六職種、約四九万人について本年四月分として支払われた給与月額等を調査し、併せてその他の四五職種、約七万人についても同様の調査を行った。」ということが、私たちのところへ来ている報告書にも書かれているわけですから、当然この調査の結果というのはあるわけでしょうし、私は、比較もされているのじゃないかというふうに思うのです。  ことしは比較方式を改めたために、先ほど大体三%前後というお話もありましたけれども、当然アップ率は高くなるはずであるわけです。この高くなる分がどのくらいになっておるかということは、資料を出していただかなければ明らかでないわけですし、昨年の資料で試算をした場合でも、先ほどお話しのように、二・七という逆ざやがあるわけですね。十職種から二職種にした場合のこの問題を検討する場合に、ことしはこれがどのようになっているのかということを明らかにしないと、この勧告についても、十分な検討ができないという点で、先ほど大出委員からも発言がありましたけれども比較をされているとすれば、その調査の資料を当然出していただきたいというふうに思うのですが、最初に、この点についてお答えを願いたい。
  114. 茨木広

    ○茨木説明員 まず、この報告書の文の関係でございますが、民間給与調査で、幾らになっておりますかということで、ずっと個別的に各人のものを聞いてまいります。その中には、あとで分析いたします、ここに書いてありますように、事務技術、技能・労務系統のものが約四十九万、その他のものが七万と、こう分れるわけでございます。そこまでの段階は、例年のとおりなんでございますけれども、ただ職種の抽出率等を見ますと、看護婦、教員とか、昨年特別改善をやりましたものは、当初から抽出率を去年よりも一割以上少なくしてございます。それから午前中にも説明申し上げましたように、民間のほうも、こちらのほうの官側の特別改善というものの影響を受けて、どうも上がっているのではなかろうかというような傾向も見られます。そこで、三番目の官民給与比較という段階になって、初めて一のところにありました公務員のほうの調査と、それから二の民間給与調査と、両方突き合わせた作業を別途またやるわけでございます。その別途やる段階で行政(一)、(二)を中心にやるという方針でここに示してございますが、そういうようなことで、この行政(一)、(二)のものについて、一〇%アップ後の四月現在の状況を官側のほうでとり、それに対する民間の春闘後の数値をつかまえてきて、その差額を求めるという比較方式をとって、比較較差出したわけでございます。したがって、従来のような意味の総合較差というものは、十職種については、同質のものとしては計算し得ないという考え方で精確なものは出ていない、こういうことでございます。
  115. 中路雅弘

    中路委員 先ほど三%前後だというお答えがありましたね。大体見当をつけなければ、試算をしなければ、その三%前後というのも、お答えは出ないわけですし、皆さんが試算をされた資料でいいわけですけれども、先ほどの答弁で三%前後というものを出されたその資料は出ませんか。
  116. 茨木広

    ○茨木説明員 先ほど大出委員の御質問も、どの程度の感じで考えておるのかというような御趣旨の御質問でございましたから、その程度の感じで考えておるのだというふうな意味で申し上げましたわけですが、ほかの資料と並んだような意味の精確性を持ったものとしては出せないわけでございます。また、かえっていろいろ問題を起こすこともございますので、控えさしていただきたいと思っておるわけでございます。
  117. 中路雅弘

    中路委員 これは委員長お願いしておきたいのですが、先ほど大出委員からも要求のあった問題ですから、私たちのほうも、調査をされているという報告が出ているわけですから、その調査をされた結果についての資料はあるはずなわけですね。その点については、これが妥当なものかということを検討する場合の重要な基礎的なものですから、ぜひ出していただきたいと思うのですが、あらためて理事会か何かで検討していただきたいというふうに思いますが、いいですか。
  118. 徳安實藏

    徳安委員長 承知いたしました。
  119. 中路雅弘

    中路委員 資料がまだ出ておりませんので、結局、昨年の資料で私たちも試算をして検討をするという方法しかないわけですけれども、先ほど大出委員のいろいろな発言で、三%として三〇・八九ですかになるんじゃないかというお話もありましたけれども、私も検討をしてみたのですが、公労協と公務員の場合、職員構成やその他の範囲等も異なっていますから、公企体の労働者の部分、それと国公の労働者の部分のアップ率で試算をしてみたわけです。昨年とことしの国公と三公社平均引き上げ額を、全職員の係長以下ということで検討してみたのですが、ことし、これで見ますと、国公の場合に二万七千八百四十五円。これは国公の組合の資料で見ますと二九・六四%、三公社の場合に二万五千百七十三円、二六・七一%。皆さん人事院の資料ですと二万七千八百四十五円ですね。国公のほうは二九・六四%になるわけですが、この国公と三公社の差が二千六百七十二円。国公の資料で見ますと三・二三%、人事院の資料での計算でも二・九三%となります。昨年は国公が一万二千六百八十五円、一六・一八%、三公社が一万一千八百七十円、一四・七四%で、差が八百十五円、一・四四%ということになるわけです。  これで見ますと、昨年の国公と公企体との一六・一八から一四・七四を引きますと一・四四になるわけですね。昨年のデータで試算しても、比較方式を十職種から行政の二職種にしただけで二・七%のプラスが昨年は出ておる。これは皆さんのほうも、先ほどお答えになっている数字ですが、ことしは三%ぐらいだろうというお話がありましたけれども、一応昨年の試算の二・七ということにしまして、昨年並みの試算で公労協をどのくらい上回っているかということを計算しますと、一・四四に二・七を足しますと四・一%ということになります。ことしの公企体が二六・七一%ですから、これに四・一四をプラスをしますと三〇・八五になるわけです。先ほど大出委員が別の角度から計算されたというお話でも、やはり三〇・八九というのが出ていますけれども、いま私が言いましたような昨年を一応基礎にして試算をしても、逆ざやを二・七として三〇・八五というのが出てくるわけです。  これから見ましても、今度の勧告が一%ぐらい少ないのではないかと、一般的に国公の皆さんもおっしゃっているわけですが、いろいろ検討してみますと、やはり私も、この総合較差の資料が出ていないという点で、こういう昨年並みの試算でやるわけですけれども、一%ぐらい低いのではないか。一%といいますと、一人平均千五十円になるわけですから、これを午前中も討議されています青年層や中だるみ層に振り向ければ、平均二千円ぐらいの上積みはできるということになる非常に大きな原資だと私は思うわけです。  皆さんのほうで資料が出ていないので、一応こういう試算もやってみたのですが、この点について人事院皆さんは、私がいま試算をしたようなことについて、ほぼ妥当じゃないかと思うのですが、どうですか。
  120. 茨木広

    ○茨木説明員 例年、公労委のほうの仲裁裁定の率が、早目に、春闘時期の一番しゅんの時期に出ます関係上、よくそれと比較するわけでございますけれども、従来とも人事院のほうで出しますのは、先ほど来問題になっておりますような、七千四百事業所ぐらいの民間のものを厳に調査をし、公務員のほうは全数調査をいたして、その公務員の構成比率に民間のほうを置き直して、全額これを出して、そして、それを四月現在の公務員給与月額民間の新しく出ましたものを割りがえしまして、そこで較差というものを求めるということに、簡単に申し上げますと相なるわけでございます。公労委のほうは、また別途いろいろ折衝された結果、そのときの春闘の主として民間のアップ率等を参考にされておるようでございますが、そういうものを基礎にして調停なり仲裁が出るわけでございます。したがって、その間に当然比例をするのだという相関関係はないわけでございます。  過去で見ましても、こちらのほうの率と向こうのほうの率との差を比較してみましても、非常に少ない年と多い年とございます。たとえば多い年で見ますと、四十一年は較差が六・九%こちらがあったときでございますが、向こうとの差が〇・四%。翌年は七・九%の較差の出た年でございますが、向こうとの差が〇・六三%というようなことでございますが、その後、四十三年になりますと、こちらのほうが八%、四十四年は一〇・二%というような較差が出ておりますけれども、公労委のほうとの比較でまいりますと〇・〇七、四十四年の場合には〇・一〇というふうに、非常に少ない較差しかその間に出てない。その辺のところが、年によって大きく出ましたり、小さく出ましたりということで、必ずしも比例的にその両者の関係がいってございません。それは基礎のほうの関係が、そういうように全然違ったところから出てまいっておりますので、厳密な意味のあれは出てこないわけでございます。ただ、いわゆる一般の相場的な意味でこういうのを比較されるというような数字でございます。  ことしも、そういう意味で見ますと、たとえば四十七年は一〇%ほどの較差がございましたが、両者の開きは〇・〇八でございました。ところが昨年は、いま御意見の中にもございましたように、総合較差は一五・三九とこちらのほうがあったわけでございますが、向こうとの差が〇・六五というふうにたいへん開いたわけでございます。でございますから、四十七年は非常になかったものが四十八年はたいへん開いたというような、やはりその年の事情によりまして、公労委のほうの数字とこちらの数字とが開いたり、たいへん接近いたしましたりというような傾向が出てまいります。それは、それぞれその年の民間の事情なりあるいは公労委の調停なり仲裁の経過にやはり原因があるのだろうと思いますが、こちらのほうは、それぞれ百人以上の規模の事業所について、一定の抽出率で抜いてまいりました民間の事情を精確に調査して、公務員の四月一日の給与の現状と比較するという方式出してまいりますものですから、それと向こうと必ずしも突合しないというのは、やむを得ぬのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。ですから、かりに昨年と同じような結果が出るべきだという前提でいろいろ推論をされますと、先生おっしゃられましたようないろいろな考え方が出てくるわけでございますけれども、もともとそういうような非常に違った方法から入っておる数値でございますものですから、直接比較することが必ずしも適切ではないというふうに御理解いただかなければいかぬのじゃなかろうかと思っております。  その結果がパーセンテージとして少ないのではないかという、結論的なほうの問題についてお答え申し上げたいと思いますが、概括的な見方といたしまして、よく問題になっております、労働省で発表されました民間の千人以上の事業所、二百六十一社でございますか、ですから、常識的にお考えいただきましても、千人以上の規模でございますから、百人以上の規模で比較しましたものよりも大きな数値が出るということは、これは御理解のいただけることだと思いますが、それと比較します場合に、三二・九というのは単純平均でございます。単純平均でございますが、それからかりに民間の定昇分に相当します三%を引きますと、二九・九になるわけでございます。それにこちらのほうが二九・六四でございますから、たいへん近い。百人以上の事業所と比較しましたもので、そういう近い数字を持っているということは、決して低い数字じゃないものが出ているというふうに御理解いただけるのじゃなかろうかと思います。  また、もう一つ見方を申し上げますが、いまの三二・九%を、会社の人員のウエートをかけたもので見ますと、もう一%下がってくるようでございます。三一・九%ぐらいになるようでございます。そこから三%を引きますと二八・九%になってくるわけで、それから見れば、こちらが高いということに逆になってくる。こちらのほうは、比較する場合に人員ウエートをみなかけてございますから、そんなような結果も出まして、両方から攻め込んでみましても、決して一%低いというような感じの数字ではないというふうに私どもは確信を持っておりまして、御理解いただきたいと思っております。
  121. 中路雅弘

    中路委員 いま民間との比較が出ましたので、これとも比較してみたいのですが、いまお話しのように、民間の大手二百六十一社の場合、労働省調査で三二・九%、二万八千九百八十一円というベースアップの数字が出ているわけですが、これから、いまお話しのように、定昇を三%と見まして引く。しかし民間の場合は、普通若い層が多いから、配分の率では幾らか高くなっている。いままでのずっと慣例で見ますと、三%よりもこれから四、五%前後低くなっているというのが多いわけですね。民間の場合に、たとえばそういう率が変わらないずん胴型みたいな形で開きがないとした場合に、三二・九%から三%引くと二九・九%、いまお話しのようになりますね。しかし、こうなってくると、比較方式の変更による上積み分というのは出てこない。結局、これに加えられる比較方式の変更による上積み分を小さく見ても、たとえば二九%として、それに上積み分を小さく見ても、やはり三一・二%になるのじゃないですか。  そうしますと、私は、公労協との比較からいっても、民間のいまの比較からいっても、大体勧告は三一%前後というのが、ことしの春闘の結果を反映したものになるというのが当然ではないかというふうに思うので、その点からいいますと、今度の勧告は、先ほど言いましたように、民間比較からいっても、公労協との均衡からいっても、全体の上げ幅で一、二%値切られているのじゃないかというふうに考えるのですが……。
  122. 茨木広

    ○茨木説明員 民間とこちらの行(一)、行(二)と比較いたします場合でございますが、行(一)、行(二)が、大体従来の十職種の場合の人員に比較しますと、約七五%の人員でございます。それに対応します、比較に使われます民間のほうが、大体九二%の人員でございます。ですから、大体大宗の人員を、今度の比較のやはり大宗に引き込んで比較を申し上げているというふうに申し上げていいのじゃないかと思います。  年齢の関係ですが、民間とこちらとは一歳ぐらいの差があるかないかぐらいのところでございます。それは、こちらの年齢、こちらの男女別構成、また学歴もそうでございますが、向こうの同一年齢、同一学歴の給与をこちらの同一年齢、同一学歴のところにみな置きかえて、こちらのレートに直して平均出してございますから、その点は調査の方法としては遺漏がないはずでございます。  そこで、最後に先生のおっしゃいました、その上に二・何ぼの比較方式の差によるものを上積みするという御意見、組合関係の人の中にも、そういう意見が見えますが、その点が多少私ども考えておりますのと違うわけでございます。私どもの行(一)、行(二)方式でできますのは、従来は十職種等で薄められておったものが、本来の姿に近いものが出てくるのだというふうに相なるわけでございます。でありますから、たとえばいまの三二・九%の民間のものの場合で議論いたしましても、大体その中の九二%程度は、行(一)、行(二)に匹敵する職種でございますから、ほかに八%程度のものは異質の職種のものがあるだろうというふうに概略言えるのかもしれませんが、それから定昇を引いたものに近い接近したところのものが出てくるということでありまして、行(一)、行(二)でやった場合に、民間の千人の大手筋の今度のベア率から定昇分を引いた二九・九を乗っ越すような数字が出るということは絶対あり得ないことでございます。そういうふうに御理解いただかないと、これはたいへんなことになりますが、これはそういうようなことに間違いないはずでございます。
  123. 中路雅弘

    中路委員 いずれにしましても、皆さんのほうで調査をされた民間の資料が、先ほど言ったように私たちのほうには出されていないわけですね。皆さんのほうも比較されたと思いますけれども、資料を出していただければ、私たちのほうで、またそれを検討するということもできるわけです。いまの論議しておる問題、もう少し突っ込んで論議もしたいと思いますけれども基礎になる調査をされたこの資料を、先ほども要請しておきましたけれども、まず出していただきたいというふうに思うのです。というのは、この一%前後といっても、これが、先ほど大出委員も質問していますように、いろいろ改善等を考えた場合に、初任給をはじめとして、私は、重要な原資にもなると思いますし、この点では、もう少し詰めた正確な検討がやはり必要じゃないかというふうに思うのです。  この機会に、ちょっともう一言お聞きしておきたいのですが、今度は総合較差方式を改めて行政の二職種にされたわけですが、いずれにしても、数%較差が多く算出されるというのは当然ですが、国公共闘、組合のほうの要求は、たしかいままで行政職(一)表による比較ということを要求されていたわけですね。この点で私も、この行政職(一)表の比較のほうが妥当性を持っているんじゃないかというふうに思うのです。というのは、行政(一)表のみなさんは、文字どおり行政の基幹部門でありますし、職員の過半数を占めている中、心的な存在であるということは言えるわけです。また、すべての俸給表基準にもなっているわけですし、国家機構の中では生産現場と違って、行(二)という場合には、仕事の面からいえば補助的な性格も持っているというような点からいって、比較して、この総合較差方式を改められる場合に、行(一)を一つの基準にしてやられるというほうがより妥当性があるのではないかというふうに思いますし、これがいまこういうふうに比較したほうが高いからというだけの意味ではなくて、妥当性もあるし、またアップ率からいえば、先ほどの二職種の場合は、昨年の試算で二・七ですが、この行政(一)で比較すると逆ざやになりますから、三・六五のアップということになり、アップ率においても、これが一番高いということも言えるわけです。いずれにしても、このほうがより妥当性を持っていると私は思うのですが、この点について御見解だけ一言、この機会に聞いておきたいと思います。
  124. 島田巽

    ○島田説明員 比較職種としまして、行政職(一)だけということ、あるいは行政(一)及び(二)といういろいろの考え方があるわけでございますが、民間比較します場合に、行(一)の場合の事務技術、行(二)の場合の技能、用務、そういう職種は、これは民間の企業体の中に必ず存在する職種なものでございますから、事務技術だけ離してやるよりも、むしろ民間の事情に即応した体系でやる、しかも、同じ職場の中で同じに働いている職種のもので半分だけ切り離して比較するというのもいかがなものかということを考えまして、別にそうやったほうが較差が低く出るとかなんとかという意図的なものじゃなしに、私ども、さっき申しましたように、そうすれば二職種のうちの七五%をカバーする、民間の場合の九二%をカバーするという妥当性があって御納得いただけるんじゃないかということでやったものでございます。
  125. 中路雅弘

    中路委員 この点については、きょう時間をかけて論議をするつもりはないのですが、やはり国家機構、行政の仕事の場合に、行(一)というのが中心的な部門ですし、決してこれは不安定というよりも、量的にも過半数を占めていますし、そういう性格からいっても妥当じゃないかというふうに私は思うのですけれども、これは、あらためてまた別の機会に論議をしてみたいと思うのです。  あと勧告の内容のもう一つの問題で、先ほどこれも少し触れられましたが、今度の勧告の配分で、よく言われていますが、大きい特徴は、やはりずん胴型といいますか、組合のほうからいえば、上厚下薄というのが特徴になっていると思います。いままで、たとえば昨年の行(一)で八等級平均、それから一等級平均ですね、部長級の一等級平均アップ率、これは、どのぐらいの比率になっていますか。
  126. 茨木広

    ○茨木説明員 昨年のは、行政(一)の俸給表で一等級のところが一三%、それから八等級のところが一八・八ということでございます。これに対しまして、ことしは一等級のところが一六・三%、それから八等級のところが一九・七%でございます。
  127. 中路雅弘

    中路委員 一〇%含めて、ちょっとそのパーセントを言ってください。
  128. 茨木広

    ○茨木説明員 一〇%を含めますと、一等級のところが二七・九%、八等級のところが三一・六%でございます。
  129. 中路雅弘

    中路委員 いまお話しのように、昨年は一等級平均が一三%アップ、八等級が一八・八%。つまり率の上で上下配分が、ほぼ二対三ということになりますね。そして、この昨年の傾向というのが、最近調べてみますと、五年間ぐらいの等級間の比率というのは、大体この三対二かあるいは二対一というような推移を示していると思うのですが、これは間違いございませんね。
  130. 茨木広

    ○茨木説明員 最近のところで申し上げますと、四十六年で申し上げますと、一等級が九%、それから八等級が一六一二%。四十七年のところは、一等級のところが八・三%、八等級が一五・七%。四十八年が先ほどのとおりでございます。
  131. 中路雅弘

    中路委員 先ほどお話しのように、大体昨年まで数年間、そういう推移を示し、三対二ぐらいの関係、もっと大きく開いた推移をしていたわけですが、今度の人事院勧告を見ますと、三一・六%と二七・九%ですね。ということになりますと、配分で十対九近く、いままでに比べますと、ほぼ同率に近いアップになっているわけです。これは民間との比較ということもありますが、この点では民間のほうも、こういうずん胴型にことしはなっているということなんですか。どうしてこういう配分にことしはなったのかという点をもう少しお聞きしたいと思います。
  132. 茨木広

    ○茨木説明員 ことし、こういうような姿になりました理由は二つございます。  一つは、御案内のように、ここ数年の民間給与の動向は、やはり物価というよりも経済成長率と申しますか、それの配分の結果があらわれてきたものが中心であったと思いますが、ことしのものは、御案内のように、実質経済成長率は五%ぐらいでございましたでしょうか、大部分は、物価からきますところのはね返り的なものが中心を占めておるというような内容になっておることは、御案内のとおりでございます。その結果であろうと思いますけれども、やはり民間のほうの姿も、係員のところを一〇〇にしますと、ちょうど一等級に相当します部長なり課長のところが八〇%前後、課長が八七・七%、部長が八〇・五%というような姿になってまいります。こちらのほうも八等級を一〇〇にいたしますと、課長のところで八四%、部長のところで八二%と、やはり大体似たような姿に率は出してございます。で、いま言ったような、やはりことしの特殊事情としてそういう姿が一つはあらわれてきていると思います。  それからもう一つは、一等級に特に力を入れたわけではございませんが、全般的な考え方といたしましては、従来十職種でやっておりました際には、先ほどから議論になっておりますように、二職種の場合と較差があるわけでございますが、そういう姿の中で、要するに官民較差の出ない教員であるとか看護婦であるとか、そういうものが相当平均較差を食って改善をされておったわけでございます。その分だけが逆に行政職等から見ますれば、食われておったというようなかっこうになっております。そこのところが、初任給のところは午前中にもいろいろ議論になりましたように、別途初任給調査をやりまして、そこは民間のところと平均的な姿でございますが、合わせておるわけでございます。  そこで、それらの他の職種に分配しておったところは、それよりもほかの等級のところを中心にずっとやせていたという感じがございますので、ことしの方針としましては、先般教員と看護婦に特別改善をやりました際にも、これは文字どおり率、額ともたいへん上厚下薄の改善であったわけでございますが、そういうような経緯もございまして、今回そういうやせたとごろを全部回復させるという方針も同時に抱き合わせたわけでございます。そんなようなことで、民間の傾向もあり、そういうような従来の分配されておったためにやせていたところを回復させたいというようなこともございまして、いま言ったような去年の姿と比較いたしますと、いわゆるずん胴的なことに近い姿が出てまいったという結果でございます。  それで例年、率では間違いなく上薄下厚なわけでございますけれども、額で見ますと上厚下薄ではないかという非難は、絶えず繰り返されておるわけでございます。そんなことで、その年一回限りの分配でございますと、そういう考え方も十分あるわけでございますが、例年それをやってまいりますと、実はたいへんな姿が出てくるわけでございます。ちょうどいま議論になりました、いまの一等級、三十五年当時は二等級でございましたが、その当時の金額で八等級比較いたしましたときと現在との倍率の比較でございますが、当時は十倍の比較差があったわけでございますが、現在は五・二倍というふうに、この十五年間に上下較差が二分の一になるというたいへんな圧縮になっておるわけでございます。それが全部昇給間差額に影響しまして、当時四%をこえる昇給間差額があったものが、いまは三%を割る昇給間差額になってくるという姿に実はなってまいっております。  で、行政職(一)の俸給表基準になりまして、お医者さんの俸給表でございますとか研究職でありますとか税務とか、それぞれの俸給表が全部でき上がっていくわけでございます。したがって、その辺が原因で各俸給表の、たとえば研究職あたりでも、研究者の層をなします一等級、二等級、三等級あたりも、民間と比べてたいへんな不満を持っていらっしゃる。そういうところにいろいろ影響してまいりますので、やはりそこのところは絶えず率を、上を薄くして下を厚くすることだけを繰り返していくとたいへんなことになるということも、ひとつ御理解いただかなければいかぬのじゃなかろうかと思っておるわけでございます。
  133. 中路雅弘

    中路委員 これも、できれば特徴的な資料だけでも出していただきたいと私は思うのです。いまおっしゃった民間のどの会社のどういう職種を調べられたのか、実際に民間の資料がどういった比率になっておるのか検討をしなければいけないと思うのです。  これは一例ですが、やはり国公の皆さんの計算で出ている資料の一つですが、時間がありませんから一つだけ、いまの関係のところを引用しますと、民間の行(一)の対象の等級間の伸びを見ますと、一等級で一六%、それから六、七、八等級平均で約二三・八%というのが出ていますが、これから見ると八等級で約二四%ぐらいになると思うのです。そうすると一等級と八等級の対比は、やはり二対三ということになるわけですね。ことしの勧告は、先ほどのお話しのように試算しますと、八等級を国公の場合三とすると一等級の場合二・六ということで、これから見ても民間よりもはるかに同率的であるということは言えるのじゃないかというふうに私は思うわけです。  もう少し全体の明確な資料や数字をいただいて、はっきりさせる必要があると思いますが、いま御意見がありましたけれども、特にいまのような物価の異常な高騰の中で、もちろん物価上昇が非常に激しいですから、上位等級皆さんにも、少なくとも物価の上昇の率ですね、そういう点での改善というのは必要だと思いますが、その場合でも、いまの四月の消費者物価の上昇率なんか見ますと、二三、四%ぐらい上げればいいんじゃないかと思うのですが、たとえば今度の場合、次官クラス、指定職十一号になりますと、額でいいますと一挙に十三万円上がるわけですね。上がる分だけで実際に一番下位の人たちのいまもらっている三倍くらい上がってしまう。一時金を含めますと、年間で二百二十三万六千円の増額になる。しかも、ことし四月以降の退職金の追給分だけでも約九百万円、八百九十七万円ほどになるということの数字を見ますと、やはりいまの経済情勢や下位等級公務員皆さん生活状態を考えた場合に、こういう問題について意見や批判が出るのは、私は当然のことだと思うのです。  その点で民間比較ということもお話しになりましたけれども、いま一例をあげましたように、民間に比べてもはるかに同率的なずん胴にことしなっている傾向が強いという点で、やはり上厚下薄だという強い批判を公務員皆さんが今度の勧告にしているわけです。先ほど午前中もお話しのように、高卒の八等級を少なくとも六万円以上にするということになれば、この点を改善をされる、手直しをされるということでも、下へ回していくという方法でも、全体の財源をふやすという方法もありますけれども、もう一つの方法としてこの点の若干の改善ということでもやることができるんじゃないかなというふうにも考えるわけです。私はこの点では、やはり民間との比較ということもおっしゃっていますけれども、私たちが聞いている資料、部分的な資料ですけれども民間比較に比べても、今度の勧告のほうは、もっと同率的になっているのじゃないかというふうに考えるわけです。  この点は、あとでもう一つ初任給のことをお尋ねしますけれども、こういう点の改善も含めて私は検討する必要があるのじゃないかというように思うのです。勧告を出されたあと、これから給与法の改正の作業に取りかかられるわけですが、私は、担当の大臣としてあとでもう一つ初任給のことをお尋ねしますけれども、今度のこの勧告の中で、このような特に下位等級公務員皆さん生活状態を考えた場合に、若干の手直しですね、そういう点を検討していただくということを要請したいのですが、大臣の御意見をお聞きしたいと思うのです。
  134. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 御意見として十分承ります。
  135. 茨木広

    ○茨木説明員 ただいま指定職等の問題について触れられましたので、お答えをさしていただきたいと思います。  民間比較します場合に、いろいろございますけれども、こちらのほうは、ある一定数の会社の平均比較をするという方式に相なっておるわけでございます。でございますから、特定の種類の会社と比較しますと、いろいろそこのところが違ってくるという場面もあろうかと思います。もう一つは、先ほど申し上げましたように、二つの要素が入っておるということも御理解いただきたいと思っております。  それから指定職との関係でございますが、これはまた別途、今回のこの官民較差、いわゆるこちらのほうのものとは従来とも別グループの扱いでございまして、つくり方といたしましては、行政職(一)の一等級のところからつないでいくという方式を従来ともとっておりますので、そこからつないだ率で考えていったわけでございます。ただ、それと同時に、民間の役員調査のほうも、手持ちの資料として別途いろいろ照会をして、その辺の動向も見ながら今回の数字を決定されたといういきさつになっております。これもいまの二四%程度のものが、やはり物価アップというようなことがありました関係上、上のところが、もとの一〇%前に戻しますと、二五、六%というような姿になって、ずん胴的な姿になるわけでございますが、その辺のところも、いま言った別途の調査から、一番上のところは民間の第二位ないし第三位、要するに社長の下、そのもう一つ下、その辺の中間のところに毎年大体合わせておりますのでその額が出てまいった、こういうふうなことで別途金額の決定を行なっておる、こういう経緯でございます。
  136. 中路雅弘

    中路委員 時間がありませんからあと一つお尋ねしたいのですが、先ほど午前中にもありました初任給の問題です。  これは、先ほど詳しく状況もお話しになりましたから繰り返しませんが、お話しのように、御存じのように、公労協に比べていままで六、七千円公労協のほうが公務員より高かったわけですが、今度の場合も四万四千八百円から五万九千二百円、六万円を高卒初任給で切れているわけですし、約一万円の較差が公労協に比べて一そう開くという状態になっております。公労協のほうは、初任給は高いが、中高年齢層は低額だという御意見も説明を加えた中にあったようですが、しかし、これも資料で調べてみますと、実際は国鉄を除いて中高年層が特に低額だということは、公労協はないんですね。現業は低いわけですが、一般事務は決して低くありません。  また、実際の生活の面でも、最近私は、独身寮に入っている国税や建設省関係公務員皆さん状況も聞いたのですが、寮費が九千円から一万円ということで、食事は二食で、日曜日は出ない。実際にはこれは二食の食事で見ますと四、五十食ですね。電気代というのを払っているところもあるそうですが、食費そのものの補助はないわけですから、一日百円ぐらいの食事ということですし、役所の中で昼食堂に入っても、安くても二百五十円ぐらいかかると思うのです。そういう中で、夜学へ行っている皆さんに授業料だとか交通費だとかいろいろ聞いてみますと、最低やはり六万円をこす、これはほしい。これは当然の要求としてありますし、民間の場合どういうふうなとられ方をしているのか私、資料がありませんのでわかりませんが、民間の場合に、四月採用の場合、二カ月ぐらいたって本採用になった場合にはぐんと上がるとか、手当のとり方によってもずいぶん違いますし、六月あたりにとってみますと、非常に上がっているところもあるのです。  これは別の資料で、労働法令協会というところの資料を見ますと、詳しくは省略しますが、この資料で見ても、百九十五社の調べたところの事務系男子、高卒で初任給はやはり最低六万三千円以上になっている。別の資料で、五百人以下の中小企業の非製造部門のところの統計を見ますと、六万二千七百九十三円というのもあります。こういう点から見ても、民間の場合でも大体六万二、三千円というのが最低の高卒初任給の現状であるわけですね。公労協の比較は、先ほど大出さんも詳しく言われたように、さらに開いて一万円になっているという点で、今度の人事院勧告で、少なくとも初任給だけは改善をし、修正をしていかないと、いまの現状からいってもとうてい若い人たちが、物価上昇のこれからの見通しを見ても、こういうことでは生活をやっていくことができない状態にあるのじゃないかと思うのです。  午前中、大出委員が指摘されましたが、過去においても、この初任給の問題については、二回にわたって勧告を上積みした例もあるわけですから、この点については、この給与法の改正の作成の作業の中でぜひとも初任給引き上げ、先ほど御質問しました上厚下薄に対する処置を検討していただきたい。  先ほどから資料をお出しにならないので、十分わかりませんが、全体としてやはり一%ぐらい低いんじゃないかということはいえます。これは財源をふやす方法もあります。また上を削って下に回す、若干問題はありますけれども、いろいろの方法があると思うのですけれども、いずれにしても初任給については検討をしていただいて、この修正をしていくという問題について、十分な検討配慮をしていただきたいというふうに思うのです。  最後に、先ほどもお答えになりましたけれども、大臣からこの点一言お聞きして、時間が来ましたので終わりたいと思います。
  137. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 初任給の問題につきましては、先ほども、またただいまも中路委員からるるその較差の是正についての強い御発言がございました。私も十分承っております。  なお、その問題について、私も十分な現状についてのあれを持っておりませんが、十分考え検討をしてみたいと考えます。
  138. 茨木広

    ○茨木説明員 先ほど民間の例のお話も出ましたが、おそらく先ほどのあれは東京の例であろうと思いますが、お手元に配付いたしております説明のところに、初任給の代表例というのがございます。そこに例の八%の調整手当が入るものでございますから、やはりこちらのほうも六万三千九百三十六円という額にそこのところがなってまいります。  それから公労協との関係では、こちらのほうはいわゆるホワイトカラーといいますか、これが主の職種でございますし、向こうのほうは現業で同一労働同一賃金というような考え方もそこに入っておる構成をとられております関係上、そんなふうに開いていったわけでございます。私のほうもたいへん苦慮しておるということを、午前中も申し上げましたが、私のほうの調査で、初任給のこの分布表で見ますと、私のほうのちょうどモード層のところをつかまえておるわけでございますが、公労協系統のものでございますと、九八%ないし九九%程度のところ、要するに上から一、二%のたいへんいいところの初任給の額のランクづけに相なってくるというようなこともございまして、なかなか対応がむずかしいところもございまして苦慮しているわけでございます。組合からも、初任給と三十五歳層の五等級の方との相関関係は、二倍ないし一・九倍という相関関係をくずさぬようにしてほしいという要請も同時にございましたが、そうなりますと、くずさずにそれを上げていくということは、たいへん至難なことでございまして、その辺のところに苦慮しておるところもあったわけでございます。  それで、午前中も話題に出ました「なお、」として初級試験等の合格者の三カ月短縮ということをやりましたのも、初任給のところは、そこで民間調査結果が出ましたところに合わせながら、苦慮しまして、二年目のところの昇任を三カ月間だけ早くしていくというようなことを考えたわけでございます。これは、ずっと一生続くわけでございまして、ちょうど実力でいいますと、問題になっております八百円相当には十分値する力を、むしろそれ以上の力を持っておる案をお出ししたつもりでございますので、その辺のことも、ひとつよくお考えいただきたいと思っております。
  139. 中路雅弘

    中路委員 時間が過ぎましたので、これで終わりますが、最初お願いしました調査をされた資料、三%前後だろうという答弁はありますけれども皆さんのほうのその見当をつけられた資料、これは委員長に先ほどお願いしておきましたけれども大出委員からもありましたので、ぜひひとつ相談してもらって出すように要望して終わりたいと思います。
  140. 徳安實藏

    徳安委員長 承知しました。  鈴切康雄君。
  141. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ことしの人事院勧告は、御承知のとおり、第七十三臨時国会開会中の七月二十六日に勧告されました。そういうことから考えますと、昨年は八月の九日に勧告されておりますから、約半月ばかり早く出されております。そういう点について、人事院がそれなりの御努力をされたということについて、私は、評価をすることにやぶさかではございません。どうして人事院がこのようにして熱意をもって早く勧告をされようとしているのか、その意図するものは何であるか、その点について、まずお伺いしたいと思います。
  142. 島田巽

    ○島田説明員 御承知のような経済事情もございまして、通常のように夏に勧告いたしますと、秋のおそくなりあるいは十一月ごろになって給与法改正を通していただいたのでは、ちょっとその間における公務員生活ということを考えましても、いろいろと問題があるということが一つございまして、そこへもってきまして、参議院選挙後の臨時国会をお開きになるというめどがあったものでございますから、私のほうとしまして、昨年、一昨年に比べまして約一週間早目に詰めた経験があるものでございますから、せめてもう一週間ぐらい何とかならぬものかということで、特に総理府の統計局にお願いいたしまして、たいへんな御無理を願いまして、民調の結果をさばいていただきまして、それに基づいて、私ども初めはせめて二十日ぐらいに——勧告をするというよりも、作業を二十日ぐらいをめどにというぐらいの意気込みでやったような状態でございますが、いろいろ最後の詰めになりまして、結局二十六日ということになったような状態で、私どもの気持ちといたしましては、何とかして臨時国会で成立をさせていただきたかった、いただくつもりであの当時は出したわけでございます。
  143. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院は、当然公務員の代償機関としてあるわけでありますから、そういうふうな、一刻も早く公務員生活権を守るという立場から勧告を出されたということはわかるのですけれども、それに対して、国会並びに内閣勧告を出されたわけですが、総務長官、どうして今度の国会において法案をお出しにならなかったのか。
  144. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 先ほど来同じようなことにつきましてお答え申し上げておりますが、この人事院勧告を二十六日に受けまして、その時点においてすでに今国会の会期かきまっておったというような点、そしてまた、いろいろと他の方法も考えましたけれども国会運営があのような形になってしまっておりまして、同時に、この給与法案を作成いたしましても、最低一カ月は要するというようなことで、非常に残念ではございましたけれども、今国会提出することは会期の関係で困難だというふうに考えまして、提出をいたさなかったわけでございます。
  145. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 本気になってあなたのほうでもしも法案をつくろうというならば、会期を延長することにはやぶさかじゃないわけです。しかし、政府の御都合主義で、この大事な公務員勧告かなされたにもかかわらず法案ができないということは、給与担当大臣として非常に重大な責任がある、私はそういわざるを得ないのです。実際に公労協あるいはスト権を持っているところはもうすでに実施をされている。しかし、今日スト権を持たない公務員だけが取り残されているという状態の中にあって、一日も早くこれを法案にして出していこうというのは、私は言うならば、これは給与担当大臣の責任ではないかと思うのです。  ところが、今度の国会を迎えるにあたって参議院選挙があり、その参議院選挙の中で政府・自民党は、物価の問題においてたいへんに国民にひんしゅくを買って、そうして目減りをした。その目減りをした状態の中にあって迎えた国会の中で、所信表明ができないという総理のそういう考え方の中から、この大事な公務員給与もさらに置き忘れていってしまった。こういうようなことであっては、政府に対する公務員の方々の信頼というものは全く私は失われていくのではないかと思うのです。そういう意味において、現在給与閣僚会議が開かれている段階において、まだ結論が出ていないといわれておりますけれども、それじゃいつ会議をお開きになって結論をお出しのつもりでありましょうか。
  146. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 七月三十日に閣議で報告をいたしまして、同日給与関係閣僚会議を開催いたしました。  しかし、何せ今般の人事院勧告は、きわめて巨額な資金を要するということを踏まえまして、閣僚会議の内部におきましても、いろいろとこの問題の論議がございました。私といたしましては、なるべく早く閣僚会議の結論を得て、閣議で決定をして法案作成に入りたいというふうに考えておりますが、先ほども鈴切委員お聞き及びのとおり、大蔵大臣はじめ各省の方々から、こうした今回の賃上げ問題について、いろいろな議論がまだ十分煮詰まっておらない状況であります。   〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕 私といたしましては、一日も早く閣僚会議を開いて結論を得たいと思っておりますが、いまそれが何日ごろに可能かということについては、ちょっといまここで申し上げられないのが実情でございます。
  147. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 各閣僚の方々がそれぞれの御意見を述べられておる。それは私、新聞等で拝見しておるわけでありますが、要は給与担当大臣である小坂総務長官としては、今度のいわゆる人事院勧告に対しての完全実施については御懸念がないかどうかの問題、あなた自体のお考えはどうなんでしょうか。
  148. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 もちろん関係閣僚会議において、全員が完全実施ということになれば一番よろしいし、さらに引き続いて行なわれます閣議において、完全実施が他の閣僚の全く異議なしにきまれば問題はないと思いますが、私自身は、もちろん人事院勧告を尊重するたてまえをくずしておりません。また、こうした今回の大幅な賃上げということもある程度やむを得ないと考えております。  しかし、なかなか大幅なものでありますし、また二兆円をこすいろいろな給与関係の財源問題も含めて、いま各担当閣僚のところでいろいろと意見が戦わされております。また各省においても、それぞれいろいろと検討しておる最中でございます。私は、そうしたいきさつをむしろ十分議論をして、人事院勧告の理解を得られる時間を与えたほうが将来のためにもいいのではないか、ここで急速に形式的な決定をして前へ進むということよりも、非常に残念でありますが、国会もすでに終わってしまっておる段階でございますので、十分ここで議論を尽くして、全員が納得してこの問題に取り組むということが、むしろ今後のためにもいいのではないかと考えております。  いずれにいたしましても、私個人といたしましては、給与関係閣僚会議をできるだけ早期に開く、また、そうした促進をはかっていきたい、そのように考えております。
  149. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 論議をされるのは、それは必要なことではありましょう。しかし、すでに人事院勧告がこのような形で出されるということについては、もうあらあらわかっていたわけでありますし、民間給与較差という点から考えるならば、少なくとも三〇%前後の勧告を出されるということがもうわかっておった時点でありますから、そういう意味において、いまここにおいて論議を続けながら、けっこうでございますというのでは、たまったものでないのは公務員ですよ。そういうようなことが続けられていくということになると、ますますもって政府のその姿勢に対する公務員の方々の不信というものは増大してくるのではないか。もうすでに第二春闘という、そういうことばがささやかれているような状態でもありますし、こういうことが早期に解決されないとなると、私は、やはりスト権の拡大ということが今後どんどんと行なわれていくという、そういう状態になるのではないかと思うのですが、給与大臣であるあなたは、どのようにこの問題をおとらえになっておるか。非常に結論を延ばしていってもかまわないというふうにお考えになっているのか。それとも早急に結論を出したならば、何らかの方法で給与を支払うという、そういう場所をつくりたいとあなたは思っておられるのかどうか、その点についてお伺いします。
  150. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 これは、私だけの意見ではございませんが、七月三十日の給与関係閣僚会議におきましては、誠意をもって人事院勧告に対処するということをきめておるわけでございます。したがいまして、完全実施をするとかしないとかいう問題を、しないというふうにきめた覚えはないわけであります。私は、少なくともそういうふうに理解をしております。誠意をもって対処するということは、将来長きにわたって人事院勧告を尊重していくということを私は当然含んでおると思いますし、そのように考えるものでございます。同時にまた、この問題をいたずらに長期にわたって引き延ばしをしていくということは、私は、個人的には得策ではないというふうに思っております。
  151. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、財源の問題なんですが、いま総務長官が二兆円かかるからたいへんだたいへんだということで、お金がかかるからたいへんだというふうにおっしゃっておられるようでありますけれども、どうですか、補正を組まなくても、九月決算を待たなくとも、既定給与予算の先食いによって十二月の五日ぐらいまでは、期末・勤勉手当ぐらいまでは十分その財源はある、そのように私のほうでは試算しているわけですけれども、大蔵省のほうではどのようにお考えでしょうか。
  152. 高橋元

    高橋(元)説明員 お答えいたします。  今度の人事院勧告は、非常に大幅でございますが、既定予算の中に千三百八十七億ですか、五%相当分等が措置もしてございますことでありますので、先生御指摘のように、十二月の期末手当の支払いまでは、既定予算を先食いしながらやっていくことは可能ではございます。ただ午前中、大出委員の御質問に大蔵大臣からもお答えしたことでございますが、十二月まで払ってまいりましたあと、年度末まで、またさらには、今後長期にわたって公務員給与問題をどうするか、及びそれに対応する財源措置はどうであるかという見通しをつけますためには、もちろん補正予算が、見通しをつけたほうがいいことは申すまでもないわけでございます。その辺は政策の問題ではございますけれども、計数の問題といたしましては、十二月の五日の期末手当の支払い以前の分は可能であるというふうに考えております。
  153. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総務長官、十二月五日までのいわゆる期末・勤勉手当までは可能である、ということであれば、少なくともやる気になれば、この給与だけでも先に支払ってあげるということは可能であるというふうにもなるわけでありますから、そういう点について、十一月以降の言うならば臨時国会あるいは補正予算を組むというまで待たれなく、さらに結論が出れば早く国会のほうにお出しになるという御意図はありませんか。
  154. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 もちろん先ほどからるる申し上げておりますように、関係閣僚会議の結論が出、そうしてまた、それを踏まえての閣議において、この人事院勧告が了承されれば、われわれといたしましては、直ちに法案の作成に入るわけでございます。それで閣員の了承が得られる時点におきまして、さらに閣内において十分連絡をして、なるべく早期に問題解決の方向をとりたいというふうに私はただいま思っております。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今年は、人事院勧告は従来の総合較差方式をおやめになって、長い間の懸案でありましたいわゆる行政職較差方式を採用されました。五月の勧告の一〇%を含めて二九・六四%の官民給与較差となっておりますけれども、先ほどもやはり論議の焦点になったと思いますが、従来の総合較差方式では何%となるでしょうか。
  156. 茨木広

    ○茨木説明員 先ほど申し上げておりますように、従来の十職種の総合較差は、まだ正確に出していないわけであります。先ほど腰だめ的な、概算的なことを申し上げたのでありますが、三%を  いまの二九・六四からかりに引きますれば、その概算的な、腰だめ的なものの見当という程度でございます。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いままでの、いうならば総合較差方式行政職較差方式に変えられたということは、私どもも前々から総合較差方式は、行政職はたいへん割り食いをしているというふうな観点に立って、行政職を中心にしてやはりやるべきであるというふうに主張しておったわけでありまして、それにあなた方が踏み切られたということでありますから、当然その根底になる、踏み切った場合において、総合較差方式と行(一)、行(二)を中心とした較差方式とはどのような違いが出てくるかというぐらいは、これは人事院がもう明確に調べて、そうして資料を添付してこなければならない問題なんですね、実際には。それにもかかわらず、あなた方の資料の中には、「官民比較関係資料」として「官民比較職種及び対象人員」すなわち行政職のほうについては七五・一%に見合う民間は九二・六%、それからその他の職種は二四・九%に見合う七・四%、こういうふうな資料をお出しになってきているわけですね。こういう資料は、総合較差方式のときだって当然出してこなければならない資料なんですね。あなたのほうは、都合のいい資料ばかり出して、都合の悪い資料は全部お隠しなんです。それでは公務員の方々がなかなか納得がいかないのは、やはりあたりまえでしょう。  ですから、先ほども委員長お願いしたわけですけれども大出さん並びに中路さんが、この総合較差方式と今度の較差方式とのいわゆる違いについてのデータを出してもらいたいということですから、これを私はあえて委員長のほうにお願いをしておきます。あと検討してください。  そういうことで、やはり都合の悪いものを隠してはいけないですよ。それでは指定職の民間に見合う資料は出ていますか。
  158. 茨木広

    ○茨木説明員 都合が悪い資料を隠したというわけじゃ別にございませんで、今回の作業は、いまの一〇%加えたものと一〇%以前のものと、たとえば行(一)、行(二)の比較でも、二つの作業はやはりやらなければいけなかったわけでございます。それだけをやりまして、この報告書その他をつくっておるわけでございますが、短期間のうちにこれだけの作業をやらなければいけなかったという事情も、御理解をひとついただきたいと思っております。  もう一つ、それにさらに十職種の昔の姿に返したほうの作業は、教員とか看護婦等の特殊改善等の要素もはがさなければいかぬという作業も伴いますし、たいへんな作業量になってまいりますものですから、とてもこの時間に、この時期にこういうふうに印刷して出すというような間合いもなかったわけでございます。そこはよく御理解をいただきたいと思います。これは決して不利だから隠したとかなんとかということでございませんで、いままでこの二つの、一〇%の勧告をやりました関係上、それだけでも実は二倍のたいへんな作業量になっているわけでございます。  それから指定職のほうのものは、民間のものは実は文書で秘密調査みたいにして承っておるものでございますから、例年印刷等にして出していない経緯になっておりますので、これは御了承を得たいと思います。これも、なかなか向こうのほうが出してくれないのを、ようやくお願いしてもらっているというようなかっこうになっております。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昨年もやはり指定職を出していただけなくて、ここで資料要求をしましたら、印刷ではなかったですけれども出していただきましたから、ことしもやはりそれは出していただきたい。よろしゅうございますね。
  160. 茨木広

    ○茨木説明員 そういう経緯でございますれば、そういう程度のものは出したいと思います。
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 俸給表の各等級の配分は、先ほどいわゆるずん胴配分というふうにいわれておりますけれども、同率配分というふうにいわれておりますけれども、その配分状況について、ちょっと数字で明らかにしていただきたいわけであります。昨年の例は平均一五・二%、ことしは約二九・五%でございますけれども、一等級から八等級までのいわゆる比率、それをちょっとお知らせ願いたい。
  162. 茨木広

    ○茨木説明員 行政職(一)で申し上げますと、昨年のところが一等級が一三%、二等級が一三・四%、三等級が一三・九%、四等級が一四・二%、五等級が一四・七%、六等級が一五・四%、七等級が一七・一%、八等級が一八・八%でございます。それに対しまして、ことしの一〇%込みのところでございますが、一等級が二七・九%、二等級が二八・三%、三等級が二八・八%、四等級が二九%、五等級が二九・二%、六等級が二九・七%、七等級が三〇・七%、八等級が二二・六%でございます。
  163. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昨年は行政職が八等級で一八・八%、一等級で一三%でありますから三対二の割合でありますけれども、本年は全くその較差が開いていない、いわゆるずん胴式であるということですね。そういうことになりますと、まさしく上厚下薄のそしりは免れないわけでありますけれども、その上厚下薄をあえてされたという理由はどこにありましょうか。
  164. 茨木広

    ○茨木説明員 昨年とことしとたいへん姿が違っておるわけでございますけれども、先ほど中路委員さんの御質問にも二つ例を申し上げましたが、一つは、ことしの民間給与の上がりました原因の中の大半が、物価からくる対応がございましたことば御案内のとおりでございます。そういう関係民間の係員と上のほうの部長等の倍率が、一〇〇に対して八〇ないし八七%程度の数値になっておるというふうな傾向があった。そういうものを踏まえてやりましたというのが一つと、もう一つは、昨年のはいわば第二次改善があるような空気でやっておったわけでございますけれども、それがことしになって、先ほど言ったような比較方式の変更ということに相なったわけであります。その間に、いままでの過去の経緯では、初任給のところば民間にきちっと合わせながら、あと較差の出ました範囲内でもって十職種をまかなう、こういうことをやってまいったものでございますから、較差の少ない職種のところに較差の多いところが回るというようなことで、行政職(一)俸給表等は回されておったほうの俸給表でございます。そんな関係で足りないところは、初任給以外のところがずっとやせておったという姿が出てまいっておったわけでございます。そういうような関係でその点を回復させるという努力をせざるを得なかったという点か第二点である、こういうふうに申し上げたわけであります。ですから、民間の傾向にプラスその点が加わりまして、いま言ったような姿に相なっているということでございます。
  165. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昨年の四月からことしの四月までの物価上昇率は二四・九%ですね。それよりも上回る管理職の言うならばベースアップ。どうしてそういうふうな物価上昇率よりも、さらに上回る管理職の上昇率にしなくてはならなかったのかということが一つと、もう一つは、管理職は御存じのとおり管理職手当が最高二五%つくことになっておりますね。ですから、二五%つくということになれば、当然それにもはね返ってくるわけでありますから、当然民間よりも上回るという状態になるのじゃないですか。そういうことを考えたときに、少なくとも管理職のベースの上厚下薄だというそしりを受けない意味においても、当然下のほうに厚くしていくべきではないでしょうか。その点どうも納得がいきませんが……。
  166. 茨木広

    ○茨木説明員 これは先ほども過去のずっと長い間の経緯も申し上げましたけれども、またもう一つ、別の見方でも申し上げてみたいと思いますが、四十六年、四十七年、いまのやせておったという姿の結果のことでございますが、近いところの三カ年間、四十六、七、八の民間とこちらとの上下の関係の経緯を申し上げますと、係員と部長なり課長のところの倍率で申し上げますと、三カ年をずっと連乗してまいりますと、係員のところが民間が一五〇・一に対しまして、こちらのほうが一五一・〇とたいへん似たような数値になってまいります。それから上のほうの課長の二等級で申し上げますと、民間が一四五というアップ率になってまいりますが、こちらのほうは一三五というふうに一〇だけやせた姿が出てまいっております。もう一つ一等級で申し上げましても、民間のほうが一四〇という三カ年の連乗になりますが、こちらのほうが一三三という七やせた数字になってまいります。係長の辺でございますと、向こうの民間のほうが一四六、こちらのほうが一三八というふうに、これもやはり八くらいやせた姿になってまいります。そんなことで、やはり連年少しずつそういうようなところで下のほうの初任給のところに合わせながら上をずっときめていくものですから、そういう姿が較差の分配の中にあらわれてきております。その辺のところも、とてもそこまでは追いつきませんけれども、やはり多少回復をさせなければいけなかったというような事情があったわけでございます。
  167. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 物価上昇率より高く管理職をとらえるということ自体、はたしていいかどうかという問題もあろうかと私は思います。しかも管理職は二五%の管理職手当がつくわけですから、その全部はね返ってくるとなれば、民間より当然上回るというような結論にもなるわけですから、そういう意味からいうならば、今度の人事院勧告は、全く上厚下薄であるというそしりを免れないと私は思うのです。そういうところをやはり配慮をしながら順次改善をしていくという方向にしないと、ただ、そのときの場当たり的な、ここにこういう中だるみが来たから急にというふうなやり方をすると、やはり問題が出てくるのではないか、そのように思います。  行政職較差方式の採用によりまして、行政職以外の他の俸給表改定は、どういうものを基準にされたのか。行政職基準にされたのか、あるいはどういうふうなことが基準になっておるのか、その点はどうでしょうか。
  168. 茨木広

    ○茨木説明員 従来の各総合較差方式自体でも、やはりまず基礎になっていますものは行政(一)と(二)でございます。その関係は今回も全く同様でございます。  で、たとえば従来とも較差外にとりました公安とか税務職種というようなものは、行政(一)との関係で大体それぞれ等級ごとに行政に対して優位性といいますか、そういうものがございますので、そういう金額、率を確保されるような方式で各等級号俸が定まってまいります。そういう方式をそれらについてはとる。  それから、たとえば研究のようなものでございますと、民間の会社ですと、大体行政と対応する職種と同等のような扱いになっているのでございますが、比較でします場合には、従来は研究職がありますのは大会社が多いものでございますから、多少高く出てまいります。そういうような関係で、多少行政に対しまして研究のほうが優位性を持っておるというようなことで従来来ておったわけでございます。その関係もやはり従来のそういうような姿でやっていく。こういうようなことで、大体従来やっておりました方式をずっと踏襲しまして、いわゆる公務部内均衡の原則といいますか、そういうことで出してございますのが大部分でございます。  それから行政(二)と海事の(一)というようなもの、これまた行政(二)が基礎になってきまっていくというような姿になってまいります。それで、その関係も従来どおりでございます。特にこの海事関係は、従来の民調でございましても、二年に一ぺん数字が出てまいるということで、二年を通して見ないとほんとうの姿が出てこない、時期的なズレがございましてそういうことがありますが、やはりそういうような関係もあって、従来行政に対してどの程度の比率でというのがございます。そういうことで、海事なんかは検討される。  それから教育俸給表関係は、先般特別改善もやり、もう一つ、今後どう処理するかというのは、まだ未定でございますけれども、財源が組まれておりますという関係もございます。そこで、これは今度の比較方式を変えることによって、従来それらを食っておったものについては、特に特別改善もやられたことであるし、ほかの職種のほうの、従来の損失回復に重点を置いてくれ、特に行政を中心に配分してくれという要請がたいへんございました。組合関係者からもございました。そういうようなことで、その間をどう調整するかということも苦慮した問題点の一つでございます。そこで、それは一応行政職基準にやはり教育もきめられておるわけでございますが、行政職と同年次対応のところで同額保障とするというような思想で、やり方の技術的な方法としましては、先般特別改善いたしました額を一応はがしまして、その基礎のものに行政職の各等級と同じような率を乗じてまいって、まずもとの姿に対するものを出す、その上に先般特別改善いたしました額を上乗せするというような方式をとってまいったわけでございます。そういうことによって教育とほかの職種との調整をとる。ただし、御案内のように先般やりましたのは、教育職俸給表の(三)を中心にやったわけでございますが、それが(二)にはね返り、(一)、(四)にも若干はね返っておる。全然はね返らなかったところもございますが、それらのところは、そういうものがございませんので、行(一)均衡で今回の改善をそのまま及ぼしていく、こういうようなことをやってございます。  それから看護婦については、特殊な、この前少しやりましたけれども、調整額等に多く持っていって、俸給表のほうはごくわずかでございましたので、今回は行政と似たような姿の改善をするというようなことでございます。
  169. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 初任給については、民間上昇分よりさらに改善されて、よくなっておるようですね。それから選考採用の中において、試験採用については三カ月短縮するというようなことを打ち出されておりますが、その理由はどういうことでございましょうか。
  170. 茨木広

    ○茨木説明員 午前中からもたいへん問題になりましたが、三公社現業等との関係で昨年も問題になり、今年も問題になるであろうということもありましたので、当初の調査の段階から初任給の把握については、こちらとしましても相当意を用いたわけでございます。そこで、報告書の別表第二の備考のところには、その旨六月八日までのところで確定的なものは全部つかまえて、新しいものにみな置きかえて初任給出しましたということを、特に付加しておりますけれども、そういう努力等を払いました結果、多少おっしゃるようなことの数字が出ておるわけでございます。  それから、もう一つの初級試験の合格者等の三カ月短縮の問題でございますが、これも、それでもなかなかまだ御満足いけないというか、その数字は従来の方式でございますれば、無理のない数字なんでございますけれども民間比較すれば、一方類似の職場のところでたいへん高い初任給のところがございますので、何かいい知恵がないかということで、試験採用の者がせっかく合格いたしましても、採用までに逃げていくという者もなきにしもあらずということもありますし、こちらの、各省の採用決定がおそいために待ち切れぬということもあると思います。そういうような姿もございますので、そこで最初の一回目の昇給は、翌年の四月でなくて一月一日に昇給させる、三カ月短縮することによって早く一つ上の号俸へ上がる。それは一生そういう姿が続いてまいりますから、そういうことからしますと、先ほど議論になっております八百円よりもはるかに力を持っておる改善だと私は思っておりますが、そういうことをいろいろ苦心いたしまして編み出したわけでございます。  そんなことで、両方のねらいを持っておるわけでございます。一つは、試験採用の方をできるだけ足どめ申し上げたい。もう一つは、そういう問題になっておりますものの幾らかの改善の資になればという二つのねらいがあったわけでございます。
  171. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五現業の高校卒の初任給は、人事院勧告よりも約一万円ばかり高いわけですね。全逓で六万九千六百円、全林野で六万九千六百円、人事院勧告が五万九千二百円ですから大体一万円くらい高いわけですね。そうなりますと、民間給与よりも改善されたけれども、実際には五現業よりは低いというようなことで、人事院としては、初任給決定の問題について基本的な考え方をはたしてどのようにお考えになっておるか、これが非常に重大な問題になってくると私は思うのです。常に場当たり的な状態から、言うならば政治的判断を下したようなかっこうで出されておるという感じがするわけでありますけれども、少なくとも初任給に対する人事院としての基本的な考え方というものはこうあるべきである、そういう基本的なものがなくてはならぬと私は思うのですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  172. 茨木広

    ○茨木説明員 初任給の決定については、むしろ前から一つの原理をもっておやりになっておったのだと思いますけれども民間初任給のところに、初任給については初任給として別途調査をいたして、そこに合わせるという原理でやってまいったわけでございます。その姿で四十年ころを見ますと、むしろこちらのほうが三公社現業よりも、やや上回った初任給であったという経緯がございます。その後おそらく初任給というものの考え方が、いろいろ相手側が変わってきたのだろうと思いますが、漸次開いてまいったということで、いまの民間と合わせるという方式からいきますと、なかなかいまの問題は処理しきれないというような感じのものも出てきたということで、苦慮をしていると申し上げたわけでございます。  これを、それじゃ向こうのほうに合わせるということが一体できるのかということも、いろいろ検討いたしておりますが、こちらのほうの初任給でとりました各会社の人員分布別、額別を、ずっと並べてみますと、こちらはちょうどその平均値でございますところにきまっておるわけでございますが、あちらさんのほうは、先ほども申し上げましたように、上から二、三%、要するに百分比で九八%なり九七%ぐらいの高いところで初任給がきまっておる。これを国家公務員の私ども初任給に持ってくるということになりますれば、地方公共団体やこれに準じておりますところの初任給全部が大暴騰するという結果を招来するのじゃなかろうかと思います。したがいまして、そういうことはよほど考えませんとできません、という問題がございますわけです。  また一方、初任給のところだけ、入り口のところだけちょっと直せばいいというふうにも簡単にいかない。組合の要望としましては、初任給をそういうふうに上げて、最低保障的に考えて、それから五等級の三十五歳程度のところは、大体二倍なり一・九倍を保障してくれろということの要請でございますが、そうすると、大体人員の大部分はそこにおるわけでございますから、上のほうをよほど削ってみたところで、とてもそれは追いつかないという問題が出てまいります。そんなところで、先ほどこの処理はなかなか苦慮申し上げておると申し上げざるを得なかったわけでございます。御推察いただきたいと思っております。
  173. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 住宅手当ですが、本年勧告は、自宅居住者に対する住居手当を千円、そしてまた、住宅の新築等の場合には、取得後五年は千五百円を加算するというふうになっておりますが、五年間に限定をした理由と算出根拠ですね。公労委の三公社現業においては、利子補給的な部分を加算して、言うならば最高限度はたしか五千円になっているわけです。ところが、こちらの場合には千五百円というふうにされたわけでありますが、そのいろいろ算出をされた根拠については、どういうふうにお考えでしょうか。
  174. 茨木広

    ○茨木説明員 民間のほうは定額、一律的なものが多うございますのと、それから三公社現業の経験等を徴してみますと、借家、借間の場合には、大体家賃は一年とか二年据え置きの契約になるわけでございます。ところが利子補給方式でやってまいりますと、毎月その額が変わってまいるということになります。給与支払い者のほうの事務の負担もたいへんだという問題もございまして、その辺からどうも定額的な考え方をとっていったほうがいいのではないかというふうに一つなりました。  それから、額のほうのきめ方でございますが、民間生活実態調査検討してみますと、大体自宅の場合で諸経費がやはり約五千円要るというのが、統計局の調査の数値に出てまいっております。借家、借間の場合にも、公務員住宅に入っていらっしゃる方の平均の家賃が四千円程度であるから、それをすそ切りをいたしてございます。それと同じ方式で、それからすそ切りをいたすと千円ということになるわけでございます。そんなようなところから、まず千円という基礎額が出てまいったわけでございます。  それからもう一つ、千五百円を積み増したところは、公労委のほうでもお考えになった利子負担の多いところといいますか、そういうようなところについて、やはり何らかの配慮が必要ではなかろうか。そこで、公務員の通勤実態調査等と一緒に、うちを建てるための借金状況等を別途調査したのがございます。それから見ますと、やはり五年間ぐらいのところが返済額その他がたいへんかさんでおるわけでございます。それから先になりますと、相当軽減されてまいっておるというような実態もわかってまいりました。そこで公労委さんのほうも、五年間程度というようなところをめどに案をつくられておりました点も参考にしながら、では五年間ぐらいは千五百円程度のものを上積みしていこう、合計二千五百円だ。二千五百円になるというのは、大体借家、借間のほうの二分の一くらい。いま大体平均が五千円ぐらいになりますので、その二分の一ぐらいのところ。というのは、やはり借家、借間の方が一番お困りでございましょう。幾ら借金その他を持っておりましても、自宅を建てたということは、たいへんな強みでございますので、それをそれと同じような手厚さで見る必要はないのではないかということで、二分の一程度のところで出発したほうがよくないか。民間は借家、借間も自宅もたいへん接近しております。だけれども民間のように考えるのはまだ早いであろうというようなところから、そういう数字になった次第でございます。
  175. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 もう時間が迫ってきましたから一、二お聞きしますが、特別給ですね。〇・〇八を切り捨てましたね、また昨年に引き続いて。これは〇・〇八を簡単に切り捨てるのですけれども、これのいわゆる所要財源は幾らくらいあるのですか。簡単に〇・〇八をぽこっと切り捨てるのですが、所要財源はどれくらいあるのですか。皆さん方は簡単に数字だからといって切り捨てるのですけれども、もらうほうにしてみればたいへんなことなんです。だから、幾らになりますか。それで、たしか昭和二十八年、三十年、三十二年、三十三年、三十七年、これは小数二位まで勧告をしておりますね。ですから、そういうことは私は可能じゃないかと思うのです。切り捨てずに、私は少なくともそれだけの数字が出た以上は、改善勧告をなすべきじゃないかと思うのですが、また来年も、そう出たら切り捨てるのですか。
  176. 茨木広

    ○茨木説明員 まあ午前中も論議になりましたが、新しいベースでいきますと、〇・〇八といいましても、平均的な金額で申し上げますと、一人当たり約一万円前後になるわけでございます。でございますから、どうしようかということをいろいろ考えたわけでございますが、御案内のように、本俸のほうで三〇%近いアップになりました額に前年の民間の支出月数を乗じていく、こういう姿に相なるものでございますから、そういうことで従来も二倍のところは一応切り捨てていたという経緯と、それから先ほども申し上げましたように、四十年と四十一年の間とか、四十六年と四十七年の間というような景気の底に来た年といいますか、そういう悪い年には、民間のほうはまず特別給を切ってくるというのが姿でございますので、まず第一次的に、そこが本俸よりもそういう弾力的な運営の要素になっておるというような点がございますものですから、そういうような点も考えまして、安全弁に従来も第二位のところは取り上げなかったという経緯だろうと思います。  現にその年、かりに第二位のところまで計上しておったとすれば、減額修正をお願いしなければならぬ年になっていたわけでございます。ちょうど第二位のところを計上してなかったために、それは済んだわけでございますけれども、そんなこともあって、ことしとか来年に対しますいろいろな見通しも、いろいろな方に聞いても甲説、乙説ありで、なかなかむずかしい時期でもございますので、やはり従来方式で踏襲をしたかっこうで勧告を申し上げたというのが実態でございます。
  177. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昨年度は十二月に民間の特別給の支給状況から、公労協は三月の支給分のうち〇・三月分を繰り上げ支給しましたね。人事院も国家公務員に対して同じ措置勧告し、本年度は四月に民間状況を緊急調査して〇・三カ月分増の勧告を行なって、いずれも実施をされております。〇・〇八カ月の切り捨てとの関係からも、今後も民間のいわゆる支給状況等調査して、適時適切な措置を講ずべきであると私は思うのですけれども人事院のお考え方はどういうふうに考えられていますか。
  178. 島田巽

    ○島田説明員 給与決定の場合に、情勢適応の原則というのがございますから、非常に異常な事態があった場合には、人事院として黙視しているわけにはいかないという場合もなきにしもあらずと思いますが、ただ近い将来にそれが起こるかどうか、そういうことではなく、そういうことも人事院としては場合によってはやり得るということであります。
  179. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 調整手当について昨年の勧告さえも、かねて検討を加えてきた調整手当支給地域区分等の問題については、今後なお引き続き検討するということでありましたけれども、また今度も同様にそういうことが述べられております。これは、いつ真剣におやりになるのでしょうか。たとえば私のほうの大島の場合、同じ島にいながら、片一方は適用を受けて片一方は適用を受けないという、島で自界叛逆みたいなことが起こっているような状態の中にある。私は、やはりこういう問題についても、きめこまかい検討が必要ではないかというように思うのですけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。
  180. 茨木広

    ○茨木説明員 調整手当の問題は、昨年からずっと——昨年はある程度官署指定はやりますということで、ある程度官署指定をやったものはございますが、ことしも調査をしたわけでございますけれども、何せこういうような非常に異常な経済情勢下におきますときだけに、物価とかあるいは賃金等、たいへん地域的にも従来の常識ではわからぬようなふうに動いておりますものですから、ことしはやはり恒久的な制度を決定するのはふさわしくないであろうというふうなことで、見送りになったわけでございます。なるべく早く成案を得たいと思って、引き続き検討を続けたいというふうに考えております。  それから、いまお話しございました大島の問題は、特地のほうの問題でございまして、あるいはまた指定の問題は別というふうな基準でございますか、これも前から先生から言われていることばよく承知いたしております。
  181. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に、長官にお伺いいたします。  いま基本的な人事院勧告に対する人事院側のこまかい点について、それはそれなりに時間の範囲内で私はお聞きをしたわけでありますが、しかし何といっても人事院勧告が出された以上、公務員の代償機関としてある以上はそれを尊重して、至急にやはり公務員の方々に給与を払ってあげるということが一番大切な問題だと私は思うのですけれども、そういうことで、最後に、給与担当大臣である小坂総務長官にこれに対する前向きの御答弁公務員は全部総務長官の一点に集中されていると言っても過言ではないわけでありますから、そういう意味においてひとつ御答弁願いたいと思います。
  182. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  いまの現時点で私の気持ちだけを申し上げることをお許しいただきたいのでありますが、やはりただいま鈴切委員からるるお述べになりましたように、他の民間もまた三公五現もきまっておるという段階の中で、一般公務員のみがなかなか給与のベースアップが果たされていないというような事態は、私といたしましては、片手落ちであると考えます。なるべくこの問題が早く解決するように、今後も閣内において努力をしていきたい、そのように考えております。   〔奥田委員長代理退席、中山(正)委員長代理着   席〕
  183. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 木下元二君。
  184. 木下元二

    木下委員 多くの方から、この人事院勧告の問題点について質問がありましたので、私は重複を避け、かつ簡潔に質問いたしたいと思います。  この人事院勧告におきまして、週休二日制の問題について、その報告の中で、なお検討を要する分野が残されているが、当面、時間短縮を伴う隔週または月二回を基準として試行についての計画を策定するということが述べられております。  そこで、初めにお尋ねしたいのでありますが、昨年の人勧では五十年度実施を目途とすると表現されておりましたけれども、今回は当面「試行についての計画を策定する」というふうに表現が変わっております。当面という時期は、五十年度実施よりも早い時期なのかおそい時期なのか、それは具体的にいつごろなのか。そして五十年度実施とした昨年の立場はくずされていないと思うのでありますが、この点はいかがでしょう、お尋ねします。
  185. 中村博

    ○中村説明員 昨年の考え方は、原則としては生きておると考えております。  それからなお、今回は昨年の報告の後に各省といろいろ検討を重ねてまいりました。その結果、本年の報告の中で特に言及いたしましたのは月二回制、時間短縮を伴う月二回、こういうことでございまして、その観点に基づいて関係機関との十分なる連携のもとに、さらにより一そう現実的な姿に進めたい、こういう立場でございます。
  186. 木下元二

    木下委員 初めにお尋ねしましたその当面というのは、これはいつをさしておるのでしょうか。
  187. 中村博

    ○中村説明員 当面、時短を伴うという場合の当面でございますと、この当面の読み方は、将来完全週休二日制というものを予定しておる、しかし、その完全週休二日制に行くステップとして、現在の段階においては、まず月二回制というステップを踏む、そのことがよろしかろうという意味でございます。
  188. 木下元二

    木下委員 ちょっとわかりにくいのですが、昨年の人事院勧告報告にも、当面ということばが出ておるのです。そこには「当面昭和五十年実施を目途としてその具体化についての検討を進める」ということで、そこでいわれる当面というのは、これは明らかに五十年実施までの当面ですね。それを当面として検討を進めていく、こういう立場が明らかでありますが、そういう昨年の報告を原則として生かしたのがことしの報告である、こう言われました。そうしますと、この当面というのは、これはやはり五十年実施を目途にしておるという昨年の立場は変わっていない、そうしてその当面というのも、その五十年実施を進めていくまでの当面と、こういうふうに私は理解するほかはないと思うのですが、あなたが言われる趣旨をいま聞いておりますと、少し違うように思いますが、いかがでしょう。
  189. 中村博

    ○中村説明員 ここに本年の報告に用いました当面というのは、先ほど申しましたステップについての意味合いであります。  それで、その昨年の報告とのかかわりでございますけれども、昨年はとにかく何らかの形の週休二日制を導入すべきものだと考えるという点、それから、いま先生御指摘のように、当面五十年を目途として具体化について検討する、こういう報告内容でございます。その報告内容を受けて、いままでずっと検討し、民間の動向を見てまいりました結果、なおまだ検討を要する分野もございますし、それからまた、週休二日制の民間の進み方を見ますと、やはり月二回制を基準とする分野、それが一番多いわけです。そういう実態にもかんがみまして、また、将来の完全週休二日制への非常にやりやすいステップであろう月二回制というものをまず考えるべきであろう、こういう意味での当面でございます。
  190. 木下元二

    木下委員 そういうふうに、少しわかりにくい点がありましたけれども伺っておきまして、次にお尋ねしたいのは「なお検討を要する分野が残されているが、」ということでありますが、具体的にはそればどういう分野でありましょうか。
  191. 中村博

    ○中村説明員 昨年の御報告以後、関係各省、関係機関あるいは職員団体ともいろいろ検討してまいりました。しかし、その検討を通じて明らかになりましたことは、私ども検討努力とうらはらに、非常に解決に困難な問題が多々あります。たとえば公務員勤務条件の向上の面からのみ考えることのできない教職員の方々の問題でありますとか、あるいはまた交代制の分野におきましては、とにかく人を入れても直ちにそれが機能しない、相当期間の研修を要しなければ国民サービスに大きな影響がある、その他医療その他いろいろな問題につきまして、特にだんだんと検討が詰まってまいりまして、実施を近く控えるという立場検討いたしますと、少なくともこのために公務サービスにいささかの欠落でもあってはならぬ、こういうことが非常にひしひしと感ぜられるわけでございまして、その意味事務的にも非常にむずかしい問題があるわけでございます。したがって、そのような問題がなお検討を要する問題として現在残されておる、その考え方をここでこのような形で述べておる、こういうことであります。
  192. 木下元二

    木下委員 質問に簡単にお答え願いたいのですが、具体的にどういう分野なのかと聞いているんですよ。
  193. 中村博

    ○中村説明員 それは教員の問題それから交代制分野のたとえば航空管制官、医療、それから気象関係あるいは法務省の登記関係その他でございます。
  194. 木下元二

    木下委員 そういった特殊な分野が検討する分野として残されておるというふうに伺いまして、この試行計画を策定するに際しての基本的な考え方についてでありますが、これは各省庁一斉休日とする考え方なのか、それとも半分半分に分けて交代制とするといった考え方なのか、この点はいかがでしょう。
  195. 中村博

    ○中村説明員 この試行というのは、午前中大出委員の御質問にお答えするときにも申し上げましたけれども、今回、過去一年の検討努力の結果として、時短を伴う月二回ということを当面の目標として設定したわけでございます。そうだといたしますと、そのような方式週休二日制を実施するにつきまして、どのような検討が必要かということが問題になるわけでございます。もちろん、このような前提に基づいての在来どおりの検討は、より一そう真摯に進めなければなりませんけれども、さらに、いろいろな方法を用いて、あるいは行政の合理化なり、あるいは事務の簡素化なり、あるいは公務サービスを確保するいろいろな手だてなり、そういった実現のためのいろいろなデータとそれから解決すべき隘路、そういったものを非常にシビアな形で検討し、解決し得るような形で試行計画を策定して、さらにその実施への公務サービスに欠けることのないような手だてを考えようではないか、その手段、それが試行でございます。
  196. 木下元二

    木下委員 それで、その計画というのは、各省庁が一斉にその休日に入るという、そういう考え方をとっておられるのかどうか、その点はいかがですか。
  197. 中村博

    ○中村説明員 このやり方につきましては、この報告の骨子になってございますように、関係機関と十分な連携のもとに、その御了承を得て実施するものでございまして、どの範囲でどの時期からどのような形態で行なうかは、すべて合議の結果にまつ、こういうことでございます。
  198. 木下元二

    木下委員 それから、この時間短縮を伴う週休二日制ということでありますが、これは昨年の報告自体にはなかったことでありますが、今度は明確にこれが入っております。これは昨年私が質問をしましたときに、総裁は、超過勤務などの労働強化を新たにもたらすことがないようにしたい、この週休二日制を採用することによって労働強化等をもたらすことがないようにしたいということを答弁されたのでありますが、そのことを明確にする趣旨が、この時間短縮を伴う週休二日制という表現の中に入っておると私は理解をしておるのでありますが、この時間短縮を伴うというのは、これはどれくらいの短縮を考えておられるのか。これは当然、週休二日制になるわけでありますから、一日分が短縮されるというふうに理解をしておるのでありまして、これは確認しておきたいのですが……。
  199. 中村博

    ○中村説明員 いま何時間になるかということは、明確には申し上げられません。と申しますのは、先ほども申し上げましたように、関係機関あるいは職員団体の意向を十分に聞いて、そうして進めていくものでありますから……。しかし、いま先生御質問のように、理論的にはどうじゃとおっしゃいますと、月二回でありますならば、計算すれば四十四時間が四十二時間になる。しかし、そのようになるかどうかも、あわせてその検討事項に入ると思います。
  200. 木下元二

    木下委員 実際にはどうなるかということは、いろいろ問題があろうかと思いますが、原則的には週休二日制ということで、一日分の労働時間がカットされる。それで、この週休二日制の採用によって労働強化等をもたらさないという、そういう立場でこれを採用するということになると、これは当然一日分の労働時間が減るということが原則になってくる。そうでしょう。そうでなければおかしいと思うんですよ。一日をカットして週休二日制にしながら、労働時間は、一日休日になったけれども、その分だけ減っていないということになると、一方で労働強化が起こっておるということになるので、そういうことが原則では私はおかしいと思う。そこで念のために伺っておるのです。
  201. 中村博

    ○中村説明員 先ほど木下委員御引用になりました総裁のお考えと寸分変わらないわけであります。
  202. 木下元二

    木下委員 次に、第三次国家公務員の削減計画について伺いたいのですが、新聞報道によりますと、去る七月二十六日に、細田行政管理庁長官の報告に基づきまして、昭和五十年度以降三年間に、自衛官と五現業職員を除く国家公務員を、新たに昭和四十九年度末定員総数の三%を目途に削減するという、いわゆる第三次定員削減計画が閣議決定されたと伝えられております。  そこで、行政管理庁にお尋ねをいたしたいのですが、この人事院報告にありますような時間短縮を伴う週休二日制が第三次定員削減計画の期間中に実施されました場合に、当然、少なくとも時間短縮に見合う新規採用が必要になってくると思われるのです。そういたしますと、この第三次定員削減計画の再検討が迫られることになると思いますが、行政管理庁としては、この点いかがお考えでしょうか。
  203. 木下元二

    木下説明員 お答え申し上げます。  週休二日制の問題につきまして、人事院から御意見が出ております。私ども承っておりますところによりますれば、これから試行的な計画の策定等を通じて検討されるということでありまして、定員面のはね返りにつきましては、影響はないとは申し上げません。ただ、私どもといたしましては、人事院からの具体的な実施時期なり実施方法とか、そういうものの意見が出されまして、それに基づいて政府はそれに対応してどういうふうな形で決定していくかという態度を見ませんと、具体的に定員措置をどうするかということは、現段階でははっきり申し上げられないと思います。  ただ、想定される問題は、先ほど職員局長からも御答弁申し上げましたように、あるいは交代制勤務というような問題につきましては、やはり定員措置が必要になろうかと思いますので、その時点で考えてまいりたいと思いますが、現段階で直ちに第三次の定員管理計画を変更するとか云々するとかいうことは、いまの段階では申し上げられないと思います。
  204. 木下元二

    木下委員 現在、国家公務員の職場によりましては、そうでないところもありましょうけれども、人員不足の状態が相当あるわけであります。これは、もう御承知のとおりであります。この上に週休二日制を実施いたしますと、人員不足の状態というのは、ますますひどくなってくるわけです。そして一方、週休二日制を採用しても、労働強化をもたらさないような配慮をしていくということになってきますと、これは当然増員をしてもらわなければ、この人員不足の事態を解消できない、仕事ができない、こういうことになると思うのです。増員せねばならぬような人員不足の状態だのに、容赦なく定員削減を進めるということでは、これは私はおかしいと思うのです。少なくとも定員削減をするというのは、こうした人員不足の状態がない、あるいは将来においてもさらに起こらない、こういう前提があって人員削減計画が進められることになると思うのです。ところが公務員の職場の現状、そしてさらに、いま申しましたように、週休二日制が採用されてそうした状態に拍車をかける、こういうことになってきますと、定員削減を進める前提を私は欠いておると思うのですが、いかがでしょうか。
  205. 木下元二

    木下説明員 第三次の定員管理計画につきましては、先ほど先生からもお話ありましたように、去る七月二十六日の閣議で決定されたわけでございます。私どもは、定員管理を今後進めていく上の姿勢なり考え方として、一般公務につきましては、民間の企業等と違いまして、コスト等からくる意識とか経営管理の面からくる意識とかいうものは、比較的働きにくいという分野でありますので、ともすれば安易な膨張傾向になるということが一般世間から指摘されております。そのような批判にこたえると同時に、社会のこれからの動きに対応した行政需要の消長に応じて行政を効率的に実施するためには、やはり定員配置の計画性といいますか、合理化というものはやはり進めていかなければいかぬ、そのように考えております。  したがって、今回の第三次の定員管理計画につきましても、いたずらに定員を削減するというのがねらいじゃなくて、閣議決定の文書にありますように、定員配置の合理化等、それから、どうしてもこれからの世の中を考えていきますと、増員要請というものがかなり強く出てまいります。そういうものに対応しての国家公務員の総数の増加の抑制をはかるという観点から、政府部内における定員の再配置といいますか、合理化というものをねらいにしたものでございまして、定員を削減していくというのがねらいではございません。  したがって、一部門において、それぞれの立場から定員が少ないとかきついとかという声があることも承知しておりますが、私どもとしては、政府全体を見て、定員を効率的に必要な部門に再配置していくという観点からと、それから政府みずからの姿勢として、自己反省としての定員管理を厳粛にやっていく、こういう気持ちからこの第三次の定員管理計画を進めていくという考え方でございます。
  206. 木下元二

    木下委員 人事院勧告がこのように出て、週休二日制が採用されるという方向が出たからといって、あなた方のほうで定員削減計画を直ちに再検討するということは確かに言いにくいと思います。けれども、こうした問題も出てきておるということで、定員削減計画についても、まだ内容的に明確になっていないと私は思いますので、慎重に再検討していくということをお考えいただきたいと思うのです。これは要請いたしておきます。  そこで伺いたいのは、行政管理庁は当初四%削減の線で各省庁と折衝をしておったけれども、各省庁の根強い反対で調整が不調に終わって、結局三%の線で落ちついたというふうに聞いておるのであります。この当初の四%という数値は、どこからはじき出されたのか、その根拠はどういうことなのかを示していただきたいと思うのです。
  207. 木下元二

    木下説明員 先生御承知のとおり、第一次、第二次の定員削減計画は、ちょうど第二次が本年度で終了いたしました。延べで六年間にわたっております。そうして第一次、第二次とも三年五%というのを目途にして進めてまいりました。実質的に第二次の場合を見てみますと約四・五%ぐらいの数字になっております。  私どもは、先ほどお答え申し上げましたような姿勢のもとに、定員配置の合理化というのはやはり政府の姿勢として進めていきたい。その中におきましても、第一次、第二次を通じての各省庁の削減の内容と実施状況というものも勘案いたしましたり、それから、これからの定員の推移等も勘案いたしまして、第二次計画よりは若干の緩和をする必要がある、ゆるくする必要があるという判断のもとに三年四%という案を最初つくりまして、そして各省庁と御相談して調整を進めてまいったわけでございます。  しかし、いろいろ事情を調べてみますと、最近の各省庁の定員の間で退職状況等を見てみますと、経済情勢がこのような状況でございますので、離職の発生状況の非常にむずかしい部門も出ておりますし、さらに私どもの定員管理計画は、出血整理はやらないという大原則をとっておりますので、そこらの方面を勘案いたしまして、各省庁がこれから先々の定員管理に無理を生じても困るというような観点からいろいろ勘案いたしまして、若干の配慮というものの必要性を認めて、三年三%という線に落ちつきまして、各省庁とも御納得をいただいたという形でございます。
  208. 木下元二

    木下委員 いろいろ勘案したか知りませんが、答弁を聞いておりましても、どうも納得のできるような説明ではないように思うのです。どうも抽象的で、たとえば一次、二次の実施状況がこうであったからと言われますが、そういうことが今度第三次の削減をこうするということの根拠にはならないと思うんですよ。削減をするんですからね。この削減をすることの合理的な科学的な根拠、これが一体どこにあるのか、これを聞いておるんですよ。これは、もう詳しくはけっこうです。ひとつ簡単に言ってください。
  209. 木下元二

    木下説明員 根拠と申しますか、考え方は先ほど申し述べたとおりでございます。ただ、現在までの実施状況を勘案いたしますと、年率一・五%を上回るような、第二次のような状況ではむずかしいという観点から勘案いたしまして、各省庁ともこれは納得していただいて実施しなければなりませんので、三年三%という形に落ちついたわけです。
  210. 木下元二

    木下委員 それでは、こっちから伺いますが、昭和五十年以降三年間に行政能率をどの程度引き上げるべきであると考えているのか、あるいはまた行政需要がこの間にどの程度増減するという見通しに立っていられるのか、これはいかがでしょう。
  211. 木下元二

    木下説明員 行政能率の向上につきましては、単に公務員の心がまえの問題もございますし、それから事務の簡素化とか機械化の導入とかいうものでさらに検討する余地があろうかと思っております。そういう意味で、これは先ほど申し上げましたように、公務員全体の増員の抑制というか増加の抑制というものをめどにしておりますので、その範囲内で一つのワクを与えるということによって、そういう能率化、簡素化という方向に持っていくという一つのねらいもあるわけでございますので、具体的に何%とか何割というようなことは、ちょっとお答えいたしかねるわけでございます。
  212. 木下元二

    木下委員 いま言ったような点、行政能率なりあるいは行政需要というものについての見通し、こういう見通しが立たないのに削減計画のパーセンテージが出ておる。私は、やはりこういう見通しのもとに、合理的に、定員削減の線がつくられるとすればつくられるべきだと思うのです。そういうふうな、何かやみくもに、ただ過去にこういうふうにやったということをもとにしてパーセンテージが出ておるような気がするのです。これでは困ると私は思うのです。  そこで、それはともかくとして、今回の三%削減計画をきめるに際して、各省庁との折衝の段階で査定を行なって、その結果が全体として三%削減ということになったと考えるのですが、各省庁ごとの査定の結果、つまり増減はどういうことになったのか、あるいはこれは、まだできてないとすればどういう見通しなのか。簡単でけっこうです。
  213. 木下元二

    木下説明員 七月三十六日の閣議決定は、原則論を定めたものでございまして、各省個別の事情については、これから各省庁の御意見、御相談を受けまして、私どもで作業をするという手はずにこれから進めるわけでございまして、具体的に各省庁別にどういう数字になるかということはまだはじいておりません。
  214. 木下元二

    木下委員 その各省庁の査定の結果が明らかになれば、教えていただくことにしまして、ここでお尋ねしたいのは、昭和四十九年度予算編成に際しまして、各省庁が出してきた定員増加数と査定の結果を、各省庁ごとに明らかにしていただきたいと思います。同時に、その査定に際しまして何を基準にしたのか、科学的な根拠を示していただきたいと思います。
  215. 木下元二

    木下説明員 各省庁の定員の要求ということは、毎年度八月の末に予算の概算要求という形の中に含まれて要求されております。これは、あくまでも概算要求でございまして、その後の事情聴取なり折衝等を通じまして、予算書に盛られた形の要求という形に相なるわけでございます。そういう意味でございますが、ただ数字といたしましては、私どもの管理いたしております国家公務員の総数というのは、総定員法のワクがございまして、そのアッパーリミットをこえないという範囲内で行政需要の多いものから重要度を判断してつけるという仕組み、あるいは公立学校等でございますれば学年進行等もございますので、そういうものも勘案してつけていっておるわけであります。
  216. 木下元二

    木下委員 私が聞いておるのは、各省庁の予算、いま言われた予算編成に際しての当初の要求ですね、これをお示しいただきたいと言っておるのです。
  217. 木下元二

    木下説明員 いま手持ちを持っておりませんが、各省庁を通じまして三万程度の要求があったやに聞いております。(木下委員「何ですか」と呼ぶ)概算要求のときには、三万程度の要求があったと聞いております。
  218. 木下元二

    木下委員 手持ちがないというのは困ると私は思うんですよ。実はこの問題について、当委員会で質問をするということをはっきりとあらかじめ連絡をしておるのです。きょうもしましたし、きのうもしておる。二回にわたってしておるのです、ちゃんとこの準備をしていただくように。これは突然質問しておるのじゃないですよ。ここで質問するから、その点はよく準備をしていただくように、こう言っておるんですよ。
  219. 木下元二

    木下説明員 概算要求の際には、定員令の第一条の定員から地方事務官、五現業等全体を含めまして約三万五千の要求がございました。それに対しまして、差し引き一万二千の査定というかっこうになっております。
  220. 木下元二

    木下委員 三万五千の要求で概算一万二千の査定、こういうことですね。これも、ここでこまかく聞いておりますと、時間がありませんので、ひとつその内訳、内容を各省庁別に明らかにしていただきたいと思うのですが、してもらえますか。
  221. 木下元二

    木下説明員 各省庁別に申し上げますと、非常に多うございますので、おもなところを申し上げますと、たとえば総理府全体では約二千四百の要求に対して査定いたしましたのが約七百程度、あるいは法務省で三千の要求に対して七百程度ということで、個別の内容等につきましては、先ほど申し上げましたように、概算要求を出されましても、その後の事情聴取その他でいろいろ中身が変わってきておりますので、これは、あくまでも概算でございますので、個別の一つ一つの内容は、ちょっといま申し上げられないのであります。
  222. 木下元二

    木下委員 その点は、各省庁から要求が出て、そして、その後の経過の中でいろいろ折衝が進んで人数が減ってくる、これは、けっこうですよ。私が聞いておるのは、初めの段階で概算要求として幾らの増員要求が出たかということを聞いておる。その点について、これは、ここでお尋ねするのも時間がありませんので、こまかい内容については、あとでひとつ明確にしてもらえますかと聞いておるのです。
  223. 木下元二

    木下説明員 あとで資料等をもって御説明申し上げます。
  224. 木下元二

    木下委員 この点は、実はこの質問の前に資料を要求したのですが、明らかにしてもらえなかった。これは非常に大事な問題だと私は思うのです。一体、各省庁がどの程度の人員増加を要求しておるのか。それに対して認められた人数、これは人数としてはわかりますけれども、一体それは各省庁の要求に対して何%くらいしか認められていなかったのか、これがわからないわけですよ、初めの概算要求がわからないから。こういうことは、やはり国会の審議の場で当然明確にしてもらえるものだと私は思っております。で、資料要求しましたが、言ってももらえなかった。ここで後に明らかにしてもらえるということですので、私はこれ以上申しません。  それと同時に、いま初めに質問しましたように、その査定に際して何を基準にしたのか、査定の基準あるいは根拠、そういったものもひとつ一緒に資料とともに明確にしてもらいたいと思います。よろしいですか。もうあまり時間がありませんので……。  そこで、行政機関職員の定員に関する法律、いわゆる総定員法と、昭和四十三年度から実施をしております第一次及び第二次定員削減によって、多くの職場で労働強化と職員の健康破壊が激しい勢いで進み、また行政面でもいろいろな問題が出てきておりまして、国民への行政サービス上、放置できないゆゆしき問題も随所に起こっております。政府は、こうした実態を無視しまして、第三次定員削減計画を強引に進め、こうした傾向に一そう拍車をかけようとしておるのだと思うのです。  そこで、具体的な問題を一つ取り上げまして質問いたしますが、昭和四十九年度予算編成に伴う通産省当局から出されました定員増加の当初の概算要求は何名だったのか。そして、それに対する査定結果と査定基準を、これは一つだけでありますから、この場で明らかにしてもらいたいと思います。
  225. 木下元二

    木下説明員 通産省からは、増員要求、概算の要求の場合に六百八十名程度の要求がございました。それに対しまして、査定結果が約二百三十名程度でございます。私どものほうで査定いたしました重点といいますか、基準と申しますのは、たまたま石油ショック後あるいは国民生活の安定という三法等も出ましたので、これを重点考えて査定をしたわけでございます。
  226. 木下元二

    木下委員 六百八十名と言われたけれども、それは間違いありませんか。私のほうでは、これをつかんでおりますよ。
  227. 木下元二

    木下説明員 概算要求の段階では六百八十四名でございます。
  228. 木下元二

    木下委員 それでは、千百二十二名という要求をされたことありませんか。そういう要求が通産当局から出たことは……。
  229. 木下元二

    木下説明員 概算要求の段階の六百八十四という数しかいま手元に持っておりません。
  230. 木下元二

    木下委員 この点は、もう一度私のほうでも調べてみますが、私は、そういうふうに聞いております。  通産省では、行政需要が急速に拡大しており、しかも複雑化しておるにもかかわらず、第一次削減で四百三十四名、第二次で七百三十七名という削減がされました。労働強化がいよいよひどくなっております。この間に増員されました新規採用というのは、新規業務についておりますために、労働強化の進行を食いとめる要素にはなっていないんですね。通産現場では残業がふえ、長時間労働が一般化しております。  昨年十月に、通産省の職員で組織をしております全商工労働組合が、比較的ひまな時期を対象に調査をした残業実態調査結果というのがここにあります。これは本省内部部局五局の実態調査でありますが、これによりますと、午後九時以降の時点で残業をしておる課が五十六課中二十七課、率でいいますと四八%、職員数では七百四十九人中八十七人、率で一二%に及んでおります。労働組合は、当局との話し合いで、原則として午後八時に退庁をするということで、午後八時になるとチャイムを鳴らすというようにしておるということでありますが、これすら守れない状況にあります。昨年暮れからことし初めにかけましての石油ショックの時期には、もう殺人的な残業がしいられておるということです。  こうした慢性残業によって職員の健康破壊がどんどん進んでおります。全商工労働組合が昨年十二月に行なった健康アンケート調査によりますと、職員十人のうち八人までが帰宅後の疲労感を訴えております。病人も続出しております。その原因について睡眠不足、それと仕事のためと答えた人が一、二位を占めております。これは業務量の増大と複雑化で、職場に慢性的な残業が押しつけられ、眠る時間すらも奪われておるという事実を示しておるのです。そうした中で、昨年下半期だけで五名の職員が過労で死亡しております。  そこで、伺いたいのです。こうした事態は、一体正常な事態と言えるのでしょうか、どうでしょうか。そして、こうした事態のもとで現場では、職員だけでなく、当局も含めて業務量に見合った定員配置と残業の適正な規制が重要な課題になっておるのでありますが、この点については、いかがお考えでしょうか。
  231. 木下元二

    木下説明員 先生御指摘の慢性的な残業という問題は、確かに通産省にあろうと思います。ただしかし、ほかの省庁にも、一時的にはやはり残業という実態は、私のほうの役所にも出ます。私のほうの局にも出ております。これは、しかし時期によって多少波があることは事実でございます。ただ、私ども政府全体の定員管理をいたします立場では、個々の局なり課の定員まで指定するということじゃなくて、通産省なら通産省全体でこういう仕事の繁閑というか、そういう仕事の波というものを勘案していただいて、適正な定員管理をしていただきたいというのが私ども考え方でございます。個々の問題につきましては、来年度の要求等もございますので、各省庁から事情をよく承って対処したいと思っております。
  232. 木下元二

    木下委員 やはりこれは通産省だけの内部で解決をするというわけにはいかない、もうそういう意味では、絶対的な人員不足があると私は思うのです。これは何も通産省のことだけでない。時間がないので通産省を例にして言っておるだけの話で、これは、ほかの公務員関係の職場でも、随所で起こっておるのです。これを何とか解決をしていく方向を考えていかなければならない、このことを私は指摘をしておきます。  人事院規則の一五−一によりますと、残業は臨時かつ緊急の場合で、しかも健康と福祉を害さないようにとあるのです。こうした事態は、明らかに人事院規則に違反しております。多忙を残業で切り抜けるのは、これは変則なんですね。これは、もうどうしてもやっていけないというときには、人員増で解決をするのが筋なんです。この点、いかがお考えですか。
  233. 木下元二

    木下説明員 多忙なときには、人員増で対処するというのも、一つの考え方でございますが、人員増のみをもって対処し得るとは、私は考えておりません。やはりその全体の管理者の立場から、仕事のやり方なり人員の問題なり金なり、いろいろな問題を総合的に判断していただくべきであると思いますので、私どもは、もちろん人員面につきましては先生の御指摘、御忠告は十分承っておきたいと思います。
  234. 木下元二

    木下委員 私も人員増のみで解決なんということば言ってないので、もちろんいろいろ解決をはかっていく手だてはあると思うのです。人員増もそのうちの一つの重要な方法だということを言っているのです。  もう一つ、通産の本省の交換台で頸肩腕障害が多発をしておる問題です。昨年七月に、機構改革と新庁舎移転に伴いまして激増した業務量を消化するために、従来使ってきました旧式の交換機を新機種に変えまして以来、わずか一年近くの間に頸肩腕障害をはじめとする職業病が多発をいたしまして、健康破壊の温床と化しております。現在、一カ月以上の休養を要すると診断された者が三名、二割から五割の業務軽減と診断された者が一名という状態です。こういう欠員が補充されずに働き続けるという状態が続くならば、早晩交換手全員が重大な症状になることは明白です。職業病の再発を防止するためには、大幅に定員を増す必要があると思うのです。  通産当局は、こうした事態に対しまして、一名の定員増と二名のアルバイトでカバーしようとしておりますが、こうしたその場しのぎの対策では解決いたしません。通産省お見えになっておると思いますので、考え方を伺いたいと思います。
  235. 藤咲浩二

    藤咲説明員 御説明いたします。  いま先生がおっしゃいましたように、私どもの交換台で、四名とおっしゃいましたけれども、頸肩腕症候群の診断書をわれわれのところに提出して現在休業中の者が五名ございます。大体ことしの五月ころから休業しております。ただ、そのうち一名は、先ほどおっしゃいましたように、最近職務に復帰しております。  私ども考え方を御説明いたしますが、昨年の十一月、御承知のようにかなり品不足あるいは物価上昇等に関連しまして、私どもの省へ問い合わせ等が非常にふえまして、交換台が忙しくなった時期でございますが、その当時電電公社が私どもの通話量調査というものをいたしました。その結果そのときの通話量に対して、標準的にどれぐらいの交換台の席数が必要であるかということを割り出してもらっておるわけですが、その当時では九座席ということでございました。九座席といたしますと、交代を考えますと十八人の人員が最小限必要だということになるわけでございますが、当時の私どもの交換台の人員は十八名でございました。ただ、十八名ぎりぎりということになりますと、実際には休暇をとるというようなことがございますので、非常に不十分であるということがございますので、どうしても定員増加ははからなければならないというふうに考えまして、本年の四月から三名増員いたしまして、現在の人員は二十一名ということになっております。  ただ、先ほど申し上げましたように、そのうち五人が休業中ということでございますので、現在の人員は十六人ということで、現在の人員はなおかつ不足しているとは思います。ただ、幸いなことに、私どもに対する通話量が非常に多かった時期は一応過ぎておりまして、現在は比較的交換台のほうが仕事量が減っておりますので何とかやりくりしている。また、現在休業中の人たちも、三カ月ということで五月から休んでおりますが、近く仕事に復帰してもらえるのではないかと考えておりますので、この二十一名の人員が確保できれば、私どもとしては、何とかやれる数字ではないかというふうに考えております。ただ、この二十一名に増員いたしましたのは、石油等で非常に忙しかったときに、臨時定員の増加ということでやったという人も入っておりますので、この定員をぜひ恒久化して、二十一名の体制を恒久的なものにしたいというふうに考えておる次第でございます。
  236. 木下元二

    木下委員 もう時間がきましたので、職場の問題等について問題があった点に関して、もっといろいろと聞きたい点があるわけでありますが、きょうのところはこれで終えたいと思います。けれども、通産当局もお認めになりますように、人員増をしてもらわなければ困るといった人員不足の実情があるわけなんですね。これは、さっきからいっておりますように、通産省の職場ばかりではないのであります。ほかの多くの国公の職場でも、同じような事態が起こっているのです。残業がふえ、長時間労働が一般化し、職員の健康破壊や職業病が蔓延している、こういう状況なんですね。第三次定員削減というのはこの傾向をさらに推し進めるものでありまして、私どもは、これに反対であります。  問題は、こういう職場での労働強化と国民へのサービス低下をもたらすもとになっている総定員法の問題、これであります。これを撤廃あるいは改正をして、必要な部門にはそれなりの人員を配置できる体制をつくっていくことが何よりも必要だと思うのです。この問題について、私は、いよいよ御検討をいただくことが必要な段階になってきたと思うのです。行政管理庁の御所見を最後に聞きたいと思います。
  237. 木下元二

    木下説明員 いわゆる総定員法の問題につきましては、これは政府全体の問題でありまして、いま直ちにこれをどうこうするというのを申し上げるわけには私まいりません。ただ、今後の予想される行政量の増をいろいろと勘案いたしますと、いずれ将来は、総定員法の現在の数字そのものを維持していかなければならぬかどうかということについて、あらためて検討する時期も来るのではないかというふうに考えておりますが、これは、あくまで私見でありますので、政府全体としては、まだこれについて検討をいたしておりません。
  238. 木下元二

    木下委員 私見でけっこうですが、いずれそのうちなんという、そんなゆうちょうなことを言っている段階じゃないですよ。これは、もう早急に私はこの総定員法の改正といった問題を、再検討願いたいと思うのです。このことを特に要望いたしまして、時間が来ましたので質問を終わります。
  239. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 受田新吉君。
  240. 受田新吉

    受田委員 だんだん時間が進行して、皆さんお疲れでしょう。御疲労があまり重ならぬ間に質問を終わるようにします。  総務長官、あなたは給与担当をされる国務大臣でもいらっしゃるわけです。きょうは相当念入りな各委員の質問もありましたので、なるべく重複を避けますが、はっきりしておきたいことは、人事院という中央人事行政機関、独立性を持った機能を発揮しているこの機関勧告をした、その勧告は、この数年忠実にこれを実行している、したがって、ことしもまた忠実に実行するというのが原則であるということには変わりはないですね。
  241. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  もちろん誠意をもって対処するということでございますから、そのような意味合いであることを御了承いただきたいと思います。
  242. 受田新吉

    受田委員 そのことは、先ほどから大平さんからもお聞きしたわけですが、誠意をもって対処するというのは、この勧告を忠実に実行するという方向で対処するということですね。
  243. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私は、そのように考えております。
  244. 受田新吉

    受田委員 考えない閣僚がございますか。
  245. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 おそれ入ります、もう一度。
  246. 受田新吉

    受田委員 あなたは、そう考えられるが、閣議でこれは最終決定するわけですから、それにどうもいかがわしい意見を持った閣僚がおるかおらぬかということをお聞きしておるのです。あなたのような考えにあなたが引きつけてやるという努力をされるかどうか。
  247. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 他の閣僚が現在どのようなお考えを持っているか、私は推測できません。
  248. 受田新吉

    受田委員 こうしたときに、給与問題を担当する七人でつくられた関係閣僚会議があるのですが、それはやられましたか、このたびやっていませんか。
  249. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 七月三十日の閣議終了後、直ちに開きました。
  250. 受田新吉

    受田委員 その際、いかがわしい存在があったかなかったか、御答弁願いたいと思います。
  251. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いかがわしいということばは、私はお答えできませんが、いろいろな意見があったことだけは事実でございます。
  252. 受田新吉

    受田委員 相当抵抗した線があるということをにおわす御答弁だと思います。  せっかく人事院が忠実に法律の規定に基づいて勧告をした、その案というものをそのままのみ込むという慣例が最近においてできてきたわけなんです。それについて、ちょっと横道にそれるようですが、人事官でも局長でもけっこうですが、国家公務員法第六十四条の俸給表の規定のところです。「俸給表は、生計費民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、」と書いてある。この「人事院の決定する適当な事情」とは何か。そして、このたびこれを考慮されたかどうかをお答え願いたいと思います。
  253. 茨木広

    ○茨木説明員 六十四条の二項に「その他人事院の決定する適当な事情」と書いてありますが、これは、いますぐどういうものが入るかというふうなことば申し上げかねますが、今回これに相当するものが俸給表決定の事情として決定されたというように申し上げるほどのことはないんじゃなかろうかと思っております。
  254. 受田新吉

    受田委員 人事院には非常に強大な権能が与えられておる。人事院が適当とする事情、つまりある程度政治的な意図を織り込んでも、言いのがれができるような規定がここにあるわけです。ところが、この規定はこのたび採用しなかった。たとえば教職員俸給表を作成する際に、民間との比較で、きょうも大出委員からもお話が出ておったが、私、角度を変えてちょっと承りたい。これなどは、民間の大学の総長、学長、教授、助教授、こういうものと比較し、また私立学校の高等学校以下の学校と比較して、民間給与との比較においては実は民間のほうが低い。今度改定するにしてはどうも条件が悪い。こういうようなときは、人事院の「適当な事情」ということで片づけられるのじゃありませんか。
  255. 茨木広

    ○茨木説明員 教員のような場合には、先ほども、いわゆる公務部内均衡の原則と申しますか、行政職(一)あるいは(二)を基準としてほかの俸給表ができ上がってきておるという経緯を申し上げましたが、これは、もう一つ六十二条に「職員給与は、その官職の職務と責任に応じてこれをなす。」という原則が一つ示してございます。その辺のところから、公務部内の均衡が職責同士でどうだというようなところで考えていくということでなかろうかと思っております。
  256. 受田新吉

    受田委員 六十四条の俸給表——ずばり俸給表関係する問題です。これは教育職俸給表をつくる場合の原則ですから、その原則から見たら、人事院の定むる適当な事情という、政策的な意味を含めた、人事院も政策的なものを採用しているわけです。この五月にも一〇%の引き上げが、国会の意思が出た、その意思に基づいて勧告をした、その勧告に基づいて政府出したというややこしい手続を踏んでいる。人事院もそうした政治的な配慮というのを常にやっている。ほんとうはこれは政治的配慮をしてはいかぬのです。人事院の独立性をそこなわれること、はなはだしいものです。そういうときは、いち早く人事院がその大勢を察知して、他の圧力で勧告するというようなへまなことは、私はやらぬほうがいいと思うのですが、実際やられておるわけです。教員の給与、人材確保法に基づく給与改善などでも、みんなそれなんですね。そういう意味で、ずばりこの俸給表の六十四条の適用の中に入るのじゃないか、そう説明されるほうが賢明ではないか、かように感ずるわけでございます。これは人事官、国家公務員法を御担当の最高権威でもいらっしゃるわけですが、私はあまりお尋ねしますまい。答弁を要求しないことにして、私の見解のあったことを、今度人事官会議でひとつ御相談をしていただきたい。  話をもとへ戻しますが、公務員給与というもの、特に一般職給与給与基準になる。これは民間給与調査してということにもなっておるが、実は民間給与公務員給与がまた参考になる。三公社現業ども、やはり一般職を中心とした行政職が参考になってきておるのです。だから、一般職の特に行政職はすべての、国全体の給与の基本になる問題だと思うのですが、これはどうでしょうか。
  257. 茨木広

    ○茨木説明員 こちらの所管しております各俸給表基礎行政職俸給表がなっておるということは、先ほど来御説明申し上げているとおりでございます。それからあと、法定関係では御案内のように地方公務員法なり教育公務員特例法なり、それから企業関係のものにつきましても、それぞれの法律に、おっしゃられたように準じてとか、基準としてとかいうことがいろいろ書いてございます。ですから、法的にいえばこちらのほうが基礎でございまして、その他の俸給表はこちらのほうを勘案していただくというたてまえであるというふうに考えております。
  258. 受田新吉

    受田委員 そういうたてまえからいうと、一般職俸給をきめる際に、今度こうした勧告に基づく措置をする際には、そうすると、今度は国家財政を考えて、租税の収入その他いろいろな財政事情等を検討するということになると、長官がいまおっしゃったような、誠意を持って善処するというようなことにしかならなくなってくる。ところが、やっぱり一応人事院という公務員の代償機関がある。その機関がきめたことは忠実に守るという原則を確立しておかないと、そこにおのずからこうした問題に対して、政治的な動きによって、その給与体系そのものがぐらつく危険がある。三公社現業の公労法の適用を受ける職員、団体交渉権を持った皆さんが、交渉できめるとはいっても、やっぱり一般職給与というものが終始中核になって動いてくるという事情は、私は、長い給与史を見て肯定できると思うのです。だから、三公社現業職員の交渉権による給与決定など見ても、一般職とあまりかけ離れるような答えは出ない。多少のズレはある。交渉権を持っているのと交渉権を持たぬ分とに多少のズレはある。同じ三公社現業でも、その中では多少の金額の差が事実出ておるということがあるんですからね。そうすると、やはり政府一般職給与体系だけをすかっと立てて、他はこれへ右へならえという原則を確立することはきわめて重要なことであると思うのです。そこに人事院の存在意義があり、また、人事院勧告を受けて給与を担当する総理府の責任がある、こう思います。意見を開陳して、答弁を必要としないことにします。  もう一つ、人事行政上の問題。ここでちょっと横へ入りますが、人事局が総理府にできた。ところが同じ総理府の中に官房人事課というものがある。この二つを総務長官はいずれも指揮監督される。ところが人事局長は、人事課長を指揮監督する権限がない。総理府に関する職員給与の問題は人事課が担当するが、総理府人事局は一般的な広い面で人事を担当していく、こういう関係になっておる。これは、この前もちょっと質問したのですが、人事行政上ちょっと不便を感じないかと思うのです。いかがでしょう。
  259. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 総理府の官房に人事課がございます。そしてまた、そこは部内の人事行政を担当いたしますが、その人事局との関係は、ちょうどあたかも他の省における人事課とか秘書課と同じような立場でございます。一般的な調整は人事局で行ないますが、省内の人事については、この人事課が担当するというふうにして運営をされておるのが現状でございます。  しかし、ただいまの受田委員の御質問は、そうしたことに不便はないかという御質問でございまして、考えようによりましては、きわめて——われわれは謙虚に反省し、また、ただいまのおことばを参考にして、何らかの改善をはかったほうがいいのではないかというような議論も省内にはあるわけであります。たまたま、そうした問題についての御指摘でございまして、承りました。
  260. 受田新吉

    受田委員 もう一つ総務長官に。  人事局長にもっと高い権限を与えるべきであると思います。「人事局においては、次に掲げる事務をつかさどる。」という中に、「国家公務員に関する制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。」「国家公務員等の人事管理に関する各行政機関の方針、計画等の総合調整に関すること。」「国家公務員等の退職手当に関すること。」「特別職の国家公務員給与制度に関すること。」「前各号に掲げるもののほか、国家公務員等の人事行政に関する事務(他の行政機関の所掌に属するものを除く。)に関すること。」こういうところがあるのです。  そうすると、せっかく総理府に人事局ができて、各省間の連絡調整をはかる、はかるけれども、ただ連絡調整をするだけで、そこに何らの指示権もなければ、勧告権もないというようなことになってくると、人事局というのは、研究し、調整し、企画したが、それをやってくれなければおしまいだという、たいへん弱い存在になってきておるわけですね。これは、せっかく人事局をつくった以上は、各省間の人事行政に関して総合調整、企画調整、調査でなくて調整機能を発揮させるような、調整権を持っていくというのが私はいいのじゃないかと思うのです。この調整権を持つと、そこに各省間の人事行政に対して総理府が高い観点からある程度指示権のようなものも加わることになり、ますます権能が高くなると思うのです。  これは今度の給与法を出される場合でも、「特別職の国家公務員給与制度に関すること。」とあるだけで、たとえば検察官の俸給表を出す、他の特別職とのバランスもあるから、これはちょっとやめてくれとか、検察官は一般職ですが、一般職であるにかかわらず法務省がこれを握っておる。総理府で、検事や判事の待遇と一般職とでバランスをとりたいと思うがと言っても一向に聞かない。法務委員会ががんがんがんばれば一切向こうの言うとおりになる、こういう危険がある。これは人事局長、特別職としての裁判官や一般職の検察官の給与のときに、あなたのほうで、これは他の一般職とこういう点でちょっと比較検討しなければいかぬ、初任給調整手当みたいなものでも、ちょっと二万五千は多いじゃないか、もっと下げようじゃないかというような相談でもできるというようなことがほんとうに可能なのかどうか、ちょっと人事局長から御答弁願いたい。
  261. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 たびたび御指摘のある問題でございますが、いまの最後にお話しのございました特別職等の給与につきましては、その規定に基づきまして、特別職であるところの、たとえば自衛隊の職員あるいは税務官等の職員給与につきましては、私どものほうで起案をし、それぞれの協議によって決定をするということにいたしております。税務官についてはそうでございますが、防衛庁につきましては、防衛庁で立案をして御相談をいただくということにいたしております。それからお話しのございました検察官等につきましては、法務省で立案をされて私どもに協議をいただくということになります。
  262. 受田新吉

    受田委員 そのときに人事局長として、他の特別職、一般職と比べて、ここはちょっと遠慮してくれと言うことができるのかできぬのか、言うことを聞くのかということです。
  263. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 これは、どういう考え方が最も説得力を持っているかということになると思います。私のほうで申し上げて、先様のほうで、それはごもっともであるということであれば、それを採用していただく、こちらの主張が少し虫がいいということであれば、なかなか話がつかないということになるわけであります。
  264. 受田新吉

    受田委員 話がつかぬときには、向こうの言うとおりになるんですね。ここに「特別職の国家公務員給与制度に関すること。」という人事局長の権能があるが、この権能も、向こうが言うことを聞かないことには、もうそのままじゃないですか。
  265. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 これは、もちろん法律案でございますから、国会に出す場合には、内閣として決定をするわけでございます。その場合に、閣議に出す際に、協議機関として私どもがございますので、もちろん同意を得ないで法務省だけで腹案を閣議に出すということはできないわけでございます。
  266. 受田新吉

    受田委員 つまり強姦をされるわけですね。失礼なことばを使うが、言いなりになって判をつく、こういうことでは総理府の権能としてははなはだ弱い。やはり法務省の出す法案でも、総理府がチェックして、そして他の公務員とのバランスを考えてやる、こういうふうになさるべきである。こういうところで、研究し及び企画し、調整するという調整権みたいなものを、人事局の機能を高める上においてぜひ取り上げるべきである。意見を十分尊重するということですから、そういうことで検討をしていただくことになっておるようですが、人事官、あなたのほうに一つの強大な権能がまだここにあるわけです。それは人事行政改善勧告、「人事院は、人事行政の改善に関し、関係大臣その他の機関の長に勧告することができる。」これは、そこにおられる小坂先生も関係大臣ですが、そういうふうに長に勧告したことがありますか、どうですか。国家公務員法第二十二条の勧告権の発動があったかなかったか。
  267. 島田巽

    ○島田説明員 現在までございません。
  268. 受田新吉

    受田委員 勧告したことがない。しかし人事行政上、事実問題として各省間の給与がばらばらになっている。昇級の早いところ、昇格の早いところもある。そういうところの調整を総理府でやらしてあげぬと——各省によって非常にテンポの早い省と非常におくれた省がある。これは事務次官などを見てもそうです。早く事務次官になるところがある。最近はだいぶ調整がとれてきたが、早く次官や局長になって、早く退任して民間その他に行かれるとか、あるいは公社、公団等の特殊法人に行かれるとか、そういうところがある。そういうところは、やはり人事院が、そうした人事行政の機能が巧みに発揮できるように適当に各省の長に勧告する。特に総理府を助けていく。あなた方は、いま名コンビでやっておられるのだから、名コンビが実際の上で効力を発揮するようにしてしかるべきだ。どんどん勧告をされていいでしょう。いま総務長官御自身も、人事局長御自身も実に弱い権能しかないところを嘆いておられると私は思うのです。こういうところを人事院が国家公務員法の発動をされればいいのです。
  269. 島田巽

    ○島田説明員 非常に、私どもの権限と申しますか、力づけていただく御発言で、承っておきますが、ただ万一の場合、任命権者であられる各省の方々に対して、人事院が干渉がましいことになってもいけないと思いますので、その点十分考えた上でそういうことはやるべきだというふうに思います。原則の問題ならよろしいと思いますが、あまり個々の具体的な例について、ことばを差しはさむのもどうかというふうな気がいたします。
  270. 受田新吉

    受田委員 これは各省が、それぞれの省で独自の立場でやられる。各省の人事担当者会議というのは、どういうかっこうでやっていますか。君のところは少し早く課長になり過ぎる、君のところは昇級昇格のテンポがおそいぞというようなことを話し合う人事担当者会議、人事課長会議というのがあるのですか。
  271. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 人事課長会議というのと人事管理官会議というのと二つございまして、人事管理官会議のほうは、総理府の人事局のほうで所管をいたしております。ただ、この会議は具体的な人事あるいは承認というような行為を取り扱うものではなくて、各省の人事のごく基本的な問題について相談をするというたえまえでございますので、いまお話のございましたような問題は、あるいは雑談の中にもいろいろ出るかもしれませんが、正規の議題としては出てこないわけでございます。
  272. 受田新吉

    受田委員 人事局長、あなたのいま持っておられる権能はたくさんあると思うのです。この権能を発揮するために各省の人事担当の責任者を集めて、そこで調整機能を発揮するというようなことをしてしかるべきだと思うのですが、せっかくこの権能を実施するために、あなたが招集する会議というのはないのですか。
  273. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 ただいまお答え申し上げましたように、人事管理官会議、これは人事課長が大半でございますが、私のほうで主宰をいたしております。ただ、ここにもありますように、人事局の所掌事務というのは「国家公務員等の人事管理に関する各行政機関の方針、計画等の総合調整」でございます。個々の人事の発令というようなことにはタッチできませんので、そういう問題は出てこないわけでございます。
  274. 受田新吉

    受田委員 それを、やはり各省の人事交流等にも妙味が発揮できるような機関になってほしいと思うのです。そういうことを私、かつて一部の問題で提案しておったが、きょうは総合的な機能を発揮するべきであるということを提案します。そのために人事院は、勇気をもって各省のばらばらな人事行政、交流人事の妙味を発揮するのに欠陥があることをこの際取り上げて、人事行政の勧告権の発動ぐらいやられていい問題だと思います。  私、長官にもう一つ伺っておきたいのですが、八日間の短い国会で、われわれの党は、せっかく人事院が三週間も早く勧告をしたのだから、ぜひ給与の問題だけはこの国会で成立せしめたいというので、五日ぐらい延ばしたら、この法律案が審議できるじゃないかという提案をしました。八日間をせめて十三日にして、そして各党が話し合いできまる問題だからというので出した。出したのに、理屈の中に、これを法案にするのに時間がかかる、特に防衛庁のごときは、法律文書にするのにはいろいろと調整をするのに時間がかかるという話が一つ出ておったのです。勧告案を法律案に直す前に、数字のめどがおおよそついておるのだから、それに基づいて事前調整というか、勧告が出るとすぐ法律案に切りかえできるような作業というものは、事前にもう十分できて待機する姿勢ではなかったのかどうかお答え願いたい。
  275. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 御質問の趣旨が、勧告の出る前に俸給表を事前に検討するわけにはいかないかということであったかと思いますが、そうじゃございませんか。(受田委員「そうじゃないです」と呼ぶ)勧告の実態はむしろ俸給表でございまして、それが出ないうちは、何とも防衛職員俸給表をつくる基本はないわけでございます。
  276. 受田新吉

    受田委員 私がお尋ねしておるのは、勧告数字が出て初めて法律文書にできるわけです。しかし大体、勧告案を法律案に切りかえるというような作業はすぐできると思うのです。その中に数字が出た、その数字に基づいて作業をするのに、勧告数字と合わせて何日ぐらいでこれを法律案にできるものか。特に防衛庁では、これに二週間ぐらいほしいという声も出ておったということになると、どこにその日数がかかる理由があるのか。はっきり申し上げて、勧告が出て法律案として作成できる日数は何日か。数字が出たらすぐできるようになっておるのか。どうです。
  277. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 俸給表をつくるのに一番時間がかかるわけでございまして、それを法律案にするのにはそれほど時間はかからないと思います。ただ、防衛職員俸給表は、人事院勧告にない職種、職階の人たちが多うございますから、したがって、たとえば公安職の何等級と何等級の間にもう一つ別な俸給表をつくるわけでございますが、その俸給表を個々幾らにするかというのに、やはりそれぞれの立場がございまして、いろいろと議論があるわけでございます。ただ昨年、同じように急ぐべきであるということでたいへん努力をいたしました。その経過からいたしまして、これは、やってみなければわからぬ話でございますけれども、昨年は一カ月かかったわけでございますが、もう少し短縮する余地があるんじゃないだろうかということで、お話しのようなことが出たのかもしれないと思います。
  278. 受田新吉

    受田委員 一般職の分はすぐ作業できる。それから防衛庁のようなのがある。もう一つ特別職。特別職も、去年は公害等調整委員会委員長をランク上げしたのです。そういう特別職の俸給などというのは、もう事前に、今度はこれを上へ上げる、これを下げる——かつては国家公安委員が国務大臣と同額の給料をもらった時代があった。そういうのが、いまはだんだんと押し下げられてきたわけですが、そういうものは、特別職の場合は勧告が出る前に、このランクにはどれとどれとを固定する、これは職務が非常にきびしくなったからひとつ上げようかというのは、もうちゃんと用意してなきゃいけない。ちゃんと準備しておかなければいかぬ。今度もそういう準備をして、多少特別職を従来より変更する用意をされたのが幾つかあったのですか。白紙ですか。
  279. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 もちろん特別職の場合でも、指定職の俸給表が一つの目安になっておりますので、それが出てきませんと、具体的にどういう金額が適当であるかというのは、はじき出しにくいわけでございます。もちろんわれわれとしては、いろんな事態に応じてそれぞれの用意はいたしますけれども、これは各省にしましても、正式に閣議決定がありましてからでないと、公式には要求も出てまいりませんので、これは内々の研究ということにとどまろうかと思います。
  280. 受田新吉

    受田委員 指定職の俸給表が明確になってから特別職はきまるわけです。それはわかっております。ただ、同じ特別職の中で、このままで指定職へはめるのはごく簡単にいくわけです。しかし今度は、去年の公害等調整委員会委員長を一階級上げていくというようなことで、従来にない変化があるのです。そこで、上げたり下げたりするそのものが、ちゃんと今度はどうするという準備ができておらなければいかぬということを私は指摘しておるのです。そういうものは急に法案を作成してもしようのない、つまり準備しておかぬと、指定職の俸給表がきまってにわかにどうするかこうするかじゃない問題です。事前に調べておかなければいかぬ。そういう作業は、このたびも用意されておったのかどうかです。
  281. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 いまのお話しの点は、それぞれ各省そういう御要求を持っておられるところは、内々で御検討はしておられたと思います。私のほうでも、そういう内部的な検討はいろいろとしておるわけでございますが、正式な討議ということになりますと、まだそういう時期に至っておらなかったというのが実情でございます。
  282. 受田新吉

    受田委員 私は、こうしたせっぱ詰まった情勢の中で公務員立場のことを考えていくと、もう勧告が出た、二、三日うちには法案が出る、特別職ももう二、三日おくれて五、六日で出る、そして八日間の会期がせめてもう五日ぐらい延びれば法案が両院を通る、このぐらいの心づかいをしてもらいたい、その準備が必要だったということを感じるのです。何のために早く勧告したか。人事院に苦労だけかけて、そうして大きな貫禄を示して、政府案がきまるのは、おれたちのほうでやることなんだということの大きな顔はなされないほうがいい、こう思います。準備期間に二週間も一月もかかったなんというようなこんな長たらしい話は、これは、そのうちに「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいずこに月宿るらん」ということになってしまう。すみやかにきめていくのにあなた方の使命があったのです。少し公務員に対して誠意を欠いているという感じがします。  そこでもう一つ、この法案に直接関係することをお聞きしておきたいのですが、国会の請願の扱いというものは、これはたいへん大事なことなんです。六月三日に当委員会で請願の扱いをしました給与関係の請願で、ここで給与に直接響かなければいけないものだけでも二つあったと思うのです。きょう配付された請願審査報告書、この中の一一ページ、宿日直手当実施時期に関する請願、当委員会はこれを議決した。ところが今度の勧告を見ると、四月一日に実施してくれという請願を当委員会で採択したのに、やはり宿日直手当期末手当とは九月一日ということでやっておるんですね。人事院は一体この当委員会の採択を認識されたのかどうか、お答え願いたい。
  283. 茨木広

    ○茨木説明員 先ほど通告がございましたので、初めて見ましたような次第でございます。
  284. 受田新吉

    受田委員 初めて見たような次第でございますということになると、この内閣委員会請願審査報告書というのは、政府にはどう行っておるのかね、総務長官。人事院はいま初めてごらんになったそうです。四月一日の実施にしてくれという請願を当委員会で採択した。この勧告に間に合ったはずです。当然間に合っておる。九月一日実施を四月一日に上げてくれないかというささやかな要請です。簡単なことですよ。一体請願の政府への伝達は、どこがどういうふうにやるようになっておるのか。それから人事院に対しては、これをどういうふうにしておるのか。九月一日実施を四月一日に、たった五カ月早めてくれぬかというささやかな要望。何のためにわれわれ請願を採択したか、わけがわからぬことになっておるんですね。
  285. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 たいへん答弁がおくれて申しわけございません。  採択されました件につきましては、内閣官房に国会から送付を受けまして、内閣官房におきまして、これを各省に配付をする、そのときに、これは何月までに一応回答なり検討をするようにということが付せられて配付をされるわけでございます。
  286. 受田新吉

    受田委員 えらい力のない何ですが、これは一体何月何日までに回答せよという要求をしたわけですか。六月三日に採択されたんですよ。
  287. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 九月十四日までに、総理府としては内閣官房のほうにそれに対応した政策なり考え方を申し出るようにという付せんがついておったそうであります。
  288. 受田新吉

    受田委員 のんびりしていますね。国会の意思がそんなに延び延びして人事院にも届いておらぬ。これは人事院に対する注文ですからね。もうそんなに時間のかかる問題じゃないのです。人事院勧告にゆっくり間に合うておる。六月の末ごろまでに出しておかれれば間に合っておる。ささやかなものです。こういうときには、そうすると人事院勧告には盛り込まれていないが、総理府としては九月十四日以後に法案が出る場合には、これを勧告があったものとして扱うのかどうか、総務長官。
  289. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 そこは行政府と立法府との関係だと思います。われわれ行政府立場で申し上げるのならば、立法府の要望に対してもちろん十分検討して、それに沿うよう努力をいたしますが、やはり行政府といたしましての立場もあって、それを尊重する気持ちはあっても、具体的な法律案になる、そこは必らずしも保証できない点もあるかと思います。しかし、もちろん立法府の御見解というものを十分私自身は尊重していきたい、こう考えております。
  290. 受田新吉

    受田委員 さらに、これの二五ページの国立学校の付属教官、地方公務員から付属教官になると急に給与を下げられる。事実地方公務員よりも低いところが大半です。その間に特別調整措置をしてくれぬかという要望が出ておる。これは、もうごもっともだ。当委員会では、ここで賛意を表して採択したのです。このほうはどうですか。
  291. 茨木広

    ○茨木説明員 内容のほうにわたる問題でございますので、両方お答え申し上げておきたいと思いますが、いまの最初のは、小中高等の教員が公立から国立に移られたときの問題であろうと思います。ほんとうは、こちらが基準になって地方がきまっておるべきなんですけれども、一号半ないし四号俸ぐらい、はなはだしい場合には七、八号俸高いという例がございます。それで各県ごとにずっと、前に二月ごろにも、私のほうの一課が担当していまして、いままでの実例から検討した結果を持っておりますけれども、それから見ますと、やはりそういう実態が起こります。それで初任給調整と申しますか、移りましたときの格づけの規則を最大限に運用いたしまして、三号俸までの範囲内で現在調整を加えて、あまり下がらないようにということを実はやっておるわけでございます。そういうところで、実は苦労しながらもやっておるということを御理解いただきたいと思っております。  それから、ただ地方でいろいろやったものを全部こちらがそのまま受け継ぎますと、こっちの部内のほうが大混乱を起こしてくるわけでございます。(受田委員「どこがですか」と呼ぶ)こちらの、要するに逐次人が異動して入ってくるわけでございますが、そうしますと、今度は在職者同士の、こちらに前からおりました、その適正な給与管理のもとに昇給をしておりました者と、それから地方のほうから高いものを持ってきて入りました者との間で、また今度は問題が出てまいります。そうなりますと、職場全体として全部この逆にやらなければいかぬことになりまして、それは、もうたいへんなことになるものですから、いまのそういう規定の範囲内で、三号俸以内の調整をというところでいまやっておるわけでございます。  それから、先ほどの宿日直の関係でございますが、請願の採択の趣旨は承りましたが、一応ことし九月と申し上げましたのは、昨年も実は改正をお願い申し上げまして、そして九月一日からということでやっていただいたものでございますから、ちょうど一年たったというような意味もございまして、今回も九月一日からお願い申し上げたいというふうにしたわけです。この点は、一つは官民較差からいきますと、四月に遡及を当然しなければならぬわけでございますが、これは較差外の財源でやっておりますものでございますから、それで前向きというようなことで従来もきておりまして、勧告に間近い時期を押えましてというふうにきている、それで九月一日というような経緯でございます。一応経緯だけ申し上げさせていただきたいと思います。
  292. 受田新吉

    受田委員 いまの地方公務員から国家公務員、国家公務員からまた地方公務員に戻る、その調整措置というものは、そうむずかしい問題ではないですよ。これは、たいへんなことになるとおっしゃるから、私は何か大ごとが起こるのかと思っていま言ったので、それは簡単なことですよ。それぞれ、今度もとへ戻るときに、かつて自分のおった職場で三年たったら三年の三号俸、上へ当然いけばいいわけです。この調整措置は、そんなにむずかしい問題ではないのです。  それで、たいへんなことというのは、どういうことなんですか、現場に大混乱が起こるというのは。
  293. 茨木広

    ○茨木説明員 いま先生がおっしゃられたのは、度公立から国立にまいりまして、それからまたもとのところへお帰りになったときのお話のようにいまおっしゃられましたが、そういうことでございますと、それは地方団体のほうで、おそらくそういうような調整をおやりになっているのではないかと思います。私が申し上げましたのは、逆に公立から国立に移ってまいります際に、二号俸高くてくる方もあれば、七号俸高くてくる方もある。それをそのままこちらに受け入れましては、こちらの国立のほうの勤務者相互関係がたいへんデリケートな問題になる、こういうことでございまして、いま、後ほどおっしゃられたような意味の、またもとの職場にお帰りになるということでございますれば、こちらの問題というよりも、むしろ各都道府県の問題でございます。
  294. 受田新吉

    受田委員 私は、両方ともむずかしい問題ではないかと思う。国立にいくときに、大体序列、卒業年次はきまっておるんですよ。それで十年たった人が付属教官になった場合には、先輩と後輩との関係でおよそここへいくというのは自然にきまるわけですから、だから、そういうのを従来就任しておった人の分も一諸に含めてこの際引き上げ措置を講じておけばいいわけなんで、混乱も何もないですよ。従来の人も一諸に上げていけばいいのです。ダウンした分を一緒に上げていけばいい。  これは御研究をしていただく問題として私、もう夜がふけてきますから質問を終わりますが、最後に、この俸給表の中で、さっき鈴切さんが質問されたということですが、私ちょっと触れておかなければいかぬのは、この指定職です。指定職俸給表というものは、私も何回か質問申し上げたけれども、どうもあいまいな点がある。会社の役員と比較する、その役員がどの程度——総理大臣はどれに当たる、国務大臣はどれに当たるかといつか御質問したことがあるのですが、専務とか社長とかまた重役、重役の中に常務、平重役、そういうものの数字を見せていただいたことがありますが、これはどの程度の規模の——企業規模百人以上ということでなくて、どうも五百人とかいうところ以上の数字出しておられました。つまり指定職の場合は、五百人以上の規模の役員を対象にする。一般職の分は企業規模百、事業所規模五十、低いところでやっておいて、そして今度指定職のほうは、五百人以上の規模の重役の給与を引っぱり出して、それを参考にしてくれというようなことを申された。これは私、非常におかしいことであるということを指摘したことがあるんですが、こういうことはあいまいにしてはいかぬ。やるならもう百人以上の企業規模の平均、五十人以上の事業所の平均、これは平均は全部平均にせねばいかぬ。都合のいいところだけをとって、都合の悪いところを捨てるような比較はいけません。いかかでしょうか。
  295. 茨木広

    ○茨木説明員 従来からそういうような扱いになっておりますが、大体局でございますと、指定職といったら局長以上、最近は部長が入ってまいっておりますが、課を幾つかやはり統轄をしておるわけです。課ということになりますと、小さいのも、十人ぐらいのところから五十人ぐらいと大きなのもございます。そうすると、やはり相当規模の人数のところを、これは統轄するというようなことに相なってまいるわけでございます。そんなことから、やはりそういうようなところで考えておる。それからまたキャリア的に見ました場合に、競争関係に立つのがどの辺かというようなことも考えられて、従来そういう取り扱いをやってまいったものだというように考えております。  また、私どもの所管外の人事局のほうでお扱いになりますのは、もっとまた、国全体として見ての何人もおらない人々のことでございますから、さらに規模を変えて比較されるというような取り扱いをされているのだというふうに考えております。この間の例の教員の特別改善をやりましたけれども、あの場合でも文部省のほうでおっしゃられたのは、結局五百人以上の規模と教員は比較してというようなところで、いま百人以上の規模については、たいへん不満なんだというようなところで、いろいろNHKのモニター等をとる際にも、そういうものと比較しながら国民の意見をお聞きになったようでございますが、やはりそれぞれの対応関係というようなものも職務によってあるのではなかろうかというように考えております。
  296. 受田新吉

    受田委員 おしまいですが、この公務員給与は、特別職から一般職を含めて上に薄く下に厚いという配慮を組むべきなんです。にもかかわらず、指定職あるいは特別職の上位にある皆さんが、日本にめったにないポストだから、どんどんかせぎまくれという根性は許されません。やはり上に立つ者が、謙虚で末端の苦労をしている人のことを考えて、指定職はめったにない、国全体でもわずかしかおらぬごくエリートのエリートだから、おれたちは少しいいのをかせごうじゃないかというさびしい気持は捨てたほうがいいですよ。総務長官、あなたもそれは同感でしょう。  だから、やはり一般公務員基準の中の社長、重役の給与を対象にして、一般公務員と同じ立場でその中の社長——それは何千、何万とおる社長もおろうし、百人の社長もおろうが、その平均を対象にした給与に甘んじていただく。政治が正しく、率いるに正をもってすれば百姓——国民は全部従うであろう、これは礼記にうたってあることばです。東洋道徳をあえてここで取り上げるのは問題があるかもしれませんが、そういう政治の衝に当たる者は、常に国民を前提にしてやるべきで、国民全体の奉仕者です。たとえ総理といえども国民全体の奉仕者です。指定職も国民全体の奉仕者です。だから、できるだけ全体と同じ、一般公務員と同じ基準給与をきめていけばいい。ごくまれな地位にあるものとして、まれな高禄をはむということは、道に反すると私は思うのです。  人事官、あなたはこの指定職をやられるときに、私のいまの主張を十分取り入れられて、今後御留意していただきたいと思うが、同感かどうかお答え願いたい。
  297. 島田巽

    ○島田説明員 公務員給与を決定します場合の職務と責任ということからまいりますと、やはり指定職におられる方の責任の度合いというものは、これは、やはり相当に評価しなければならないというふうに私は考えます。五百人以上で調査するか、百人で調査するか、その辺のところは、貴重な御意見を伺いまして、私も非常に感銘しておるところでございます。そういう責任に対するものとしてやっていく。ただ、民間の役職の者の五百人以上でやっておりますけれども、必ずしもそれとぴったり合わせるというよりも、どちらかというと、それより少しずつ下げたあたりに評価するというふうなことを、いままで私どものほうではやっているわけであります。会社の社長などのことしの出てきた数字を見ますと、千人の社長で九十何万円とか百万円とかいう方ももちろんあるわけなんですけれども、とてもわれわれそういうものを、これに取り入れるというようなことはいたしておりません。
  298. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 受田委員のただいまの政治に対する姿勢と申しますか、また、そうした重要な役割りをする人間の心がまえと申しますか、私は、全く同感でございます。
  299. 受田新吉

    受田委員 今後、特別職を出されるとき、指定職を一応参考にしながらやる場合に、ひとつぜひこれを配慮して、総理や国務大臣の給料をあまりばかな値段をつけぬように、そしてわれわれ国会議員も薄給に甘んじて国民の範を示したい。だから、指定職の俸給表がきまって、われわれのほうもきまってくるわけだが、われわれは、そういうことをできるだけ国民の側に立つ立場で甘んじますから、そういうことを配慮してもらいたい。  最後に、臨時国会を開く要望大出さんからも出ておったと思うのですが、私も同様、できるだけ総理の外遊の間を縫って、短期間の国会を召集してこの給与問題を取り急ぎやる。準備ができておる。人事院勧告を三週間も繰り上げた趣旨にこたえ、また第一線で苦労しておる公務員に報ゆる意味で、臨時国会召集をできるだけ早い機会にするよう総務長官から閣議で御主張くださるように要望いたしたい。  ところで、きょうはニクソン大統領が辞意を表明する可能性があるというので、情勢が急変しておるようですが、総理の外遊の中に、ニクソン殿がやめられたあとで、フォードという副大統領がおるわけですが、情勢が急変したらカナダから南米のほうへ行く途中でアメリカへもちょっと寄らなければいけぬというような情勢が起こる可能性が私はあると思う。国際情勢は常に流転しておるのだから、そういうときに、アメリカと新体制の中にとけ込んで日米首脳会議というのをやる可能性というものが当然起こると思うのですが、そういうときに国会をできるだけ早く召集して、この問題を片づけて行ってもらうというような配慮を、あなたから総理に進言していただけるかどうか。むずかしいですか。給与担当国務大臣としては、そこをやらなければいかぬ。
  300. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 受田委員の御意見を十分拝聴いたしました。
  301. 受田新吉

    受田委員 拝聴したんですか。
  302. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 そういうことです。
  303. 受田新吉

    受田委員 まあ、それくらいにしょうか。  それでは、きょうはおそくまで御苦労でした。
  304. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十七分散会