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1974-11-28 第73回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月二十八日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 金子 岩三君 理事 羽田  孜君    理事 阿部未喜男君 理事 土橋 一吉君       久保田円次君    志賀  節君       高橋 千寿君   三ツ林弥太郎君       久保  等君    堀  昌雄君       米田 東吾君    平田 藤吉君       大野  潔君    田中 昭二君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 鹿島 俊雄君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房同和対策室長 山縣 習作君         警察庁警備局警         備課長     佐々 淳行君         大蔵政務次官  大野  明君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         大蔵省銀行局総         務課長     清水  汪君         厚生省社会局老         人福祉課長   吉原 健二君         郵政政務次官  稲村 利幸君         郵政大臣官房長 高仲  優君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省簡易保険         局長      北 雄一郎君         郵政省電波監理         局長      石川 晃夫君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君         自治省行政局振         興課長     竹村  晟君         自治省財政局交         付税課長    森  審一君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   遠藤 正介君         日本電信電話公         社理事     好本  巧君         日本電信電話公         社職員局長   中林 正夫君         日本電信電話公         社業務管理局長 小畑 新造君         日本電信電話公         社施設局長   山本  孝君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     橋本 忠正君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 十一月十一日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     山中 貞則君 同月十五日  辞任         補欠選任   梶山 静六君    三ツ林弥太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  この際、鹿島郵政大臣及び稲村郵政政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。鹿島郵政大臣
  3. 鹿島俊雄

    鹿島国務大臣 このたび郵政大臣を拝命いたしました鹿島俊雄でございます。逓信委員会皆さまには、平素から郵政省所管業務の適切な運営につきまして格別の御尽力をいただき、厚くお礼を申し上げます。  郵政省は、郵便貯金及び保険の各事業電気通信電波及び放送に関する行政を受け持っておりますので、すべて国民日常生活に深い関係を持つものばかりであります。国民の立場に立って施策を行ない、皆さま方の御支援、御協力をいただきまして、その重責を全ういたしたいと存じます。  何と申しましても、郵政事業は三十二万余の職員により運営しておりますので、正常な労使関係を基盤にし、明るく秩序のある職場をつくり、職員全員一致協力して国民へのサービスをモットーに努力し、国民皆さまに信頼される郵政事業を育てていきたいと考えております。  とりわけ郵便事業につきましては、年末年始の最繁忙期を前にいたしまして、大量の年賀状をお正月に国民皆さまにお届けできるよう、その対策に万全を期してまいりたいと思っております。郵便事業財政はきわめて逼迫しておりますが、本年度における赤字の増大に対しましては補正予算により措置することとし、近く国会の御審議を仰ぐことになっておりますので、よろしくお願いをいたします。  また、昭和五十年度概算要求おきましては、二千三百億円をこえる膨大な赤字を計上せざるを得ない状況になっております。したがいまして、すでに昨年末郵政審議会から料金改正答申をいただき、物価抑制大局的見地からこれを現在まで見送ってまいった経過の中で、さらに来年度このまま推移いたしまするならば、現在の危殆に瀕した事業財政を改善することはもはや至難である上、国民の最も基本的な通信手段である郵便サービスを確保していくことさえ困難なものと懸念されるのであります。このような事情から、去る十一月十四日に郵政審議会を開き、来年度郵便料金につき第一種五十円、第二種三十円を骨子とする具体的な改正案について諮問いたしました。私といたしましては、原田郵政大臣から事務引き継ぎを受け、今後とも郵便事業実情を十分把握することに努力するとともに、郵政審議会答申を待って郵便財政の立て直しをはかる所存でございます。  次に、郵便貯金につきましては、昨今のきびしい経済事情下にあって、貯蓄の果たす役割りはますます高まっていることにかんがみ、今後とも国民に魅力ある貯蓄手段を提供し、健全な資産形成に寄与しつつ貯蓄の増強に努力いたしたいと考えております。  また、簡易生命保険に関しては、最近の社会経済情勢の変化に対応して、国民保険に対する需要高度化、多様化しておりますので、簡易保険は今後とも国営事業としての特色をを生かしながら、時代の推移に即応したサービスの向上と経営効率化に一そうの努力を払ってまいりたいと存じます。  電気通信電波及び放送に関する行政につきましては、情報化社会におけるこれらの行政役割りはきわめて大きいものがあると思います。技術革新社会経済の発展に伴い、電波電気通信利用もますます拡大し、重要性を加えるものと思いますので、今後、電気通信の一そうの普及につとめる所存であります。  最近、日本電信電話公社から、経営の悪化に対処するため料金改正案を提出してまいりましたので、これについても十分実情を把握し早急に検討してまいりたいと考えておりますが、さしあたって本年度は、ベースアップによる人件費増及び不況経済下における事業収入の伸び悩みにより大幅な赤字が見込まれており、これに対しましては、郵政事業の場合と同様補正予算により処置することとしておりますので、よろしくお願い申し上げます。なお、衛星通信放送衛星をはじめとする新たな利用分野の開発をはかり、新しい時代要求に即応した諸施設をも積極的に推進してまいりたい所存であります。  以上のように、郵政省の所管する業務は多様でありまして、そのいずれもが重大であります。郵政大臣として今後私は国民の負託にこたえて、その業務の推進に全力を傾注する所存であります。何とぞよろしくお願いいたします。
  4. 廣瀬正雄

  5. 稲村利幸

    稲村説明員 お許しをいただきまして、一言ごあいさつを申し上げます。  私がこのたび郵政政務次官を拝命いたしました衆議院議員稲村利幸でございます。微力でございますが、大臣を助け、一生懸命努力さしていただきたいと思いますので、どうぞ諸先生方の御指導を心からお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。      ————◇—————
  6. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、逓信行政に関する件について調査を行ないます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  鹿島郵政大臣の時間の都合上、大臣に対する質疑最初にすることといたします。堀昌雄君。
  7. 堀昌雄

    堀委員 私は、ことしの五月十五日の日に当委員会老人福祉電話の問題と簡易保険限度額の問題の二つを実は取り上げまして、厚生省自治省大蔵省に対して、各省協議の上でひとつ五十年度予算に間に合うような措置をしてもらいたいということで、十一月の末に再度当委員会質問をさしていただくというふうに結んでおるわけであります。  そこで、それらの経過について担当各省のほうから最初にちょっと——時間が二十分しかありません。この電話に十五分、あとの五分で簡易保険をやりますから、簡単、正確に御答弁をいただきたいと思うのです。まず厚生省からお答えを願います。
  8. 吉原健二

    吉原説明員 老人福祉電話につきましては、堀先生より格別の御鞭撻をかねてからいただいておるところでございますけれども、来年度予算おきましては——年度二千五百台、四千百九十一万の予算でございますけれども、五十年度予算要求といたしましては、台数を二千五百台から八千四百四十台にふやす、金額といたしまして一億四千百五十一万一千円の要求をいたしております。
  9. 堀昌雄

    堀委員 私は、この前にこういうふうに伺っているのですね。予算要求すればいいということじゃないですよ、一体どういう実際の必要があるのか、まず先にそういう実際の必要を自治省とも相談をして調べなさい。それについて、あなたの前任者かもわかりませんが、山本説明員はこういうふうに答えておるのですね。「これは現に私どもことしの補助金を分配する上にも自治体にはそういう依頼をしているわけでございます。これをさらに詰めて、これから先明年度事業をどうするかその他もいま現に自治体とは相談しながら進めておるわけでございますが、きちんとした調査を、実際に調査票を配り、それらを集計するという形でやってもらうということも実はまだはっきりとしておらなかったわけですが、御指摘のように自治省なり関係方面とひとつ相談いたしまして、それがもしできるならば、私どもはたいへんありがたいことでございますから、さっそく相談を始めたいと思います。」と、こう答弁しているのですね。だから、そのバックグラウンドのほうは一体どういうふうになっているのかを簡単にちょっと答えていただきたいのです。
  10. 吉原健二

    吉原説明員 私どもといたしましては、市町村における老人福祉電話のニーズに基づいた設置計画というものを調査いたしたわけでございます。その調査結果を申し上げますと、全国で合計約四万三千台の老人福祉電話設置計画というものを持っているということが判明いたしたわけでございます。私どもその数字に基づきまして、おおむねこの四万三千台の設置計画というものを明年度以降三年計画で達成するという考え方に基づきまして、先ほど申し上げましたように、前年度おきましては八千四百四十台の予算要求をいたしておるわけでございます。
  11. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いまあなたのほうで明年度は八千四百四十台、それを引きますとざっと三万四千台ぐらいまだ残るのですね。そうすると三年計画というものは、最初年度は八千四百だけれども、次は一万七千ぐらいになる、その次も一万七千ということになるのですが、いまの三年計画というのはそういうことの計画ですか。
  12. 吉原健二

    吉原説明員 先ほど申し上げましたように、老人福祉電話設置必要数設置計画数は約四万三千台でございますけれども昭和四十九年度末までにすでに設置される見込みの数が約七千九百台というふうに見込まれておりますので、それを差し引きました約三万五千台につきまして三年計画で達成をするという考え方でございます。
  13. 堀昌雄

    堀委員 いま、あなた、四十九年度末までに七千九百台あると言われたのですけれども、この前大蔵政務次官お答えになっているのでは、「昭和四十六年から昭和四十八年までの電話相談センターおきまして、予算では二千五十二台認めておったのでございますけれども、取りつけになりましたのは千三百七十七台だと聞いております。」と。実は予算が通っていても、自治体がそれに対応できないために予算が消化されていなかった、というのがこの前の大蔵政務次官の御答弁にあるわけです。しかし、それだけれどもひとっことしは二千五百台ということで、四十九年は二千五百台、合わせると三千五、六百台にしかならないで、あなたのいまのお話の七千九百台も四十九年度末までについているというのも、どうもちょっと納得いかないのですね。じゃ、ちょっとそれを答えてください。
  14. 吉原健二

    吉原説明員 実際の調査結果を見てみますと、先生がおっしゃいましたように、実績が予算を下回っているということは事実でございましたけれども、実際に一人暮らし老人老人福祉電話が必要な世帯、そのうち、県なり市町村単独事業として、あるいは個人として、すでに設置されているという数が先ほど申し上げましたように相当数ございますので、予算上はそういうことになったわけでございます。
  15. 堀昌雄

    堀委員 いまの説明で大体事情はよくわかりました。  そこで、そうするといまの、これを差し引きました約三万五千台というものが当面必要になるということのようですね。三万五千台というのを平均的に割れば一万二千台弱ということになるのですが、初年度八千四百台というのは、過去の経緯から自治体側としても急速に受け入れないという面もあってこういう配慮になったと思うのですけれども——自治省来ておりますね、自治省のほうでは、これに対する予算としての対応策はどういうふうに考えておられるかをちょっと簡単にお答えいただきたいと思います。
  16. 森審一

    森説明員 ただいまの御質問につきましては、本年度厚生省国庫補助に見合う地方負担分につきまして交付税計算の中に入れてございますが、来年度厚生省予算に応じましてその分を交付税計算に入れていきたいというように考えております。
  17. 堀昌雄

    堀委員 わかりました。  そこで、残っておるのは、今度は大蔵省の問題でありますけれども、実はこの前、大蔵省にもひとつ御検討をいただきたいとお願いしておりますのが、基本料負担問題がはたしてこれまでのように自治体だけでいいのかどうかという問題がありまして、前回自治省側はこう答えておるのですね。「それで今後の問題でございますけれども、今後これを国の施策として、モデルじゃなくて全面的に事業として実施していくということになりますと、この三分の一ずつという負担、これでいいのかどうか、基本料はどうするのか、通話料はどうするのか。現在御案内のように基本料通話料団体によってまちまちでございます。国と地方公共団体だけで負担するのかどうか、またその負担区分はどうか、こういったことについてもおそらく関係各省で詰めなければならないと思います。そこで国の方針として地方団体の持ち分がこうであるというふうにきまりますれば、当然自治省といたしましてはその財源措置を講ずるという形になろうかと存じます。」と、こう答弁をしておるのですが、私は通話料とか最初架設料というのは——通話料はしょっちゅうですが、老人福祉電話ですからそんなに多数の通話負担はない。それから架設料は一回だから、これもたいした負担はない。残っているのは基本料負担だ。こういうふうに見て、はたしていま地方自治体だけでそれをするのがいいのか、国としてもある程度の配慮をするのが適当なのかということについて、少し財政当局でも検討してもらいたいということを含めて実は前回質問をしてあるのですけれども、これらの問題を含めて、いま厚生省が出されておるところの八千四百四十台については、自治省はおそらくこれまでどおりの考え方架設費の三分の一を基準財政需要額に組もう、交付税に組もう、こういうことであろうと思うのでありますけれども、そこらの問題を含めてそういう関係者との間の御協議があったのか、なかったのか。来年度は一応しかしこういうことでやろうということになっておる内容をちょっと大蔵省側から、先に事務当局からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  18. 辻敬一

    辻説明員 本年度予算に計上いたしております老人福祉電話設置費補助につきましては、新しい構想のもとに出発をさせていただいたわけでございますが、この金額四千二百万円は、ただいま御指摘がございましたように一台当たりの架設費五万三百円、それの二千五百台分の補助率三分の一ということになっておるわけでございます。  基本料の問題につきましては、前回指摘のあったことは承知いたしておりますが、老人対策全体について見ますと、御承知のように年金でございますとか、医療でございますとか、老人ホームでございますとか、そういう基本的な施策につきましては国も大幅な助成をいたしておりますし、巨額な負担をいたしておるわけでございます。その他、こういう老人福祉電話のような一人暮らし老人対策、あるいはまた老人クラブのような生きがい対策というようなものにつきましては、より地域性のある施策ではなかろうか、地域社会あるいは地方公共団体施策になじむものではなかろうか。したがいまして、先ほど申し上げましたような基本施策に比べますと、国の助成の対象なり、関与の度合いなり、あるいは補助率というものにつきましておのずから濃淡の差があってもやむを得ないんではなかろうかと考えておるわけでございます。四十九年度予算おきましてせっかく新しい構想のもとに出発さしていただいた補助金でございますので、私どもといたしましては、さしあたりはそのワク組みの中におきまして今後その充実、拡充につきまして努力をいたしたい、かように考えておるところでございます。
  19. 堀昌雄

    堀委員 厚生省のほうにお伺いしておきますが、いま財政当局のほうでは一応四十九年度と同じパターンでやりたい、こうなっているわけですね。実際には自治体の問題ですけれども、あなたのほうでいろいろそういう福祉電話の話を自治体とする際に、これらの問題についてはそう大きな問題になっていないのかどうか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  20. 吉原健二

    吉原説明員 問題の重要性につきましては、堀先生から御指摘をいただいておりますので十分認識をしておりますけれども、当面、厚生省といたしましては自治省大蔵省とも協議をいたしまして、設置台数をふやすということに重点を置いて進めたいということで、先ほど申し上げましたような予算要求をいたしておるわけでございます。
  21. 堀昌雄

    堀委員 それではちょっと大蔵政務次官お願いをしたいと思うのですけれども、これは私、四十七年の十月以来これに取りかかっておるわけでございますが、確かに老人福祉の問題というのは、いま辻次長お話もありましたように、非常に大きな柱の問題もあります。しかし、また取り残されたお年寄りといいますか、こういう方に対するあたたかい配慮というものもやはり老人福祉の中で非常に大きな比重を考えていいことではないか、こう私は考えておるわけです。いま聞きますと、実は、厚生省調査をいたしまして大体四万三千台の必要がある、そのうちで、自分たちがつけ、あるいは自治体単独でつけたものを引くと三万五千台程度だ、こうなっておるわけですね。初年度としてはもちろん対応の問題もありましょうから八千四百四十台を要求しておるということでありましょうが、ことしは御承知のような財政の問題もありましょうから新規なものはなかなか困難な点もあろうと思いますけれども、しかし、実は、これは金額としてはそう大きなものじゃないんですね。しかし、そのもたらす効果というのは、私はこの金額に比してはるかに大きな効果老人福祉の上にもたらすことだと思いますので、ひとつ五十年度予算については大蔵省として、現在の厚生省要求に対してできるだけこれが実現をするように、御配慮を特にお願いをしておきたいと思いますが、政務次官の御答弁をいただきたいと思います。
  22. 大野明

    大野説明員 ただいま先生指摘老人福祉電話架設につきましては、先ほどもども辻次長からいろいろ御説明を申し上げました。四十九年度以降は全国的な規模でやらしていただくということで、当初でございますので二千五百台の予算を計上し、来年度はただいまも厚生省のほうから八千四百四十台というものの予算要求いたしておるという現況でございます。それにつきましては、いま具体的に必ずそうするということにつきましてはこれからが作業でございますので申し上げられませんけれども、確かに先生昭和四十七年の十一月の衆議院の本会議で御指摘になり、本年五月の当委員会おきましてもまた御質問もあり、私ども老人福祉対策は国の施策としても重要でありますのでその点はよく承知をいたしております。かような意味から申しましても、ただ本年は、これまた御指摘のとおり財政のなかなか逼迫した年でございますけれども、その中においても老人福祉については十二分な配慮をしたいと考えております。来年度予算につきましては、ひとつ厚生省自治省ともよく相談してやっていく所存であります。
  23. 堀昌雄

    堀委員 ぜひこれは二千五百台からだいぶふえておりますから、こんなにふやす必要はないじゃないかということかもわかりませんが、しかし全体の必要が三万五千台もあるということならば、それとの見合いでぜひこれが実行されるようにお願いをしておきたいと思います。
  24. 大野明

    大野説明員 先生のお気持ちというものを十二分に体してやっていく所存です。
  25. 堀昌雄

    堀委員 それでは郵政大臣、いまごあいさつをいただいたところですから 事務当局のほうにちょっと先にあれして、結論だけ大臣から伺うことにしたいと思うのでありますけれども、実は同じ日に簡易保険限度額について私はお尋ねがしてございます。これは法律で現在ならば三百万円、少し前は二百万円が限度であった。どうも限度額をこえて、ともかく簡易保険を集めればいいという安易な姿勢はおかしいではないか。法律に違反して行政が行なわれることは適当でない。こういうことについては、前回原田郵政大臣もそれは適当でありませんということをはっきり答えておるわけでありますが、たまたまけさ新聞を見ておりますと、松山市の不動産業の者が「母親を殺したあと傷害特約分などを含め四千九十万円の郵便局簡易保険金支払いを受けていたことが、二十七日四国郵政局の調べで確認された。」このことについて「全逓四国地本では「当時郵政省保険貯金契約者をふやすためマル生運動を展開しており、ノルマの押しつけから現場の局で簡易保険法に禁じられた超過契約を見過ごし、犯罪の誘発につながった」と四国郵政局側の責任を追及している。」、こうなっておるわけですが、その終わりのほうを見ますと、「伊予郡松前町の松前郵便局で、四十五年三月十日から三十日にかけ二—三日おきに十回にわたり、各回ごと母トキヨさんを被保険者とする限度額いっぱいの二百万円ずつかけ、さらに、不慮の事故死の場合支払いが倍になる傷害特約つき簡易保険契約をした。立川はこのほか三十九年にも二口計四十万円の契約をしており、総額は限度額の十倍を超し、トキヨさんを死なせたあと四十六年一月から六月にかけ、四千九十万円の支払いを受けている。」、こういうふうにけさ新聞で報道されておるわけですね。まさに限度額をこえて簡易保険をやるということがもしなければ、簡易保険利用したそういう母親を殺人するなどという案件は少なくとも起きていなかったのではないか。ところが、限度額を安易にこしても、郵便局が四十五年三月十日から三十日にかけ二、三日おきに十回にわたって傷害特約をつけたものを受けつけるなどということは私は非常に大きな問題がある、こう思いますので、きょうは中身の議論は時間が参りましたからやりませんが、郵政大臣にひとつお答えをいただきたいのは、郵政省としては限度額をこえた簡易保険なりそういうものが見つかったときには、その郵便局長を処分する何らかの内規を考えていただきたいと思うのです。少しきちんとしませんと、やったって別に罰則もなければ何もないんだということになっているから、ともかくやれ、こういうことになる、ということでは困りますし、これは簡易保険に対する国民の不信を招くことになると思いますので、郵政大臣として、今後限度額をこえたようなものが明らかになった場合には何らかの責任を当該郵便局長にとらせる、ということをちょっとここで御答弁をいただいておきたいと思います。
  26. 鹿島俊雄

    鹿島国務大臣 ただいま御指摘の問題につきましては、本質が国民の生活安定というようなことにつながる問題でありますので、ある程度正しく指導し、募集をしなければならぬと思います。ただいまのような事態につきましてははなはだ遺憾でございますので、さようなことが現実にあったということを踏まえまして、もし今後さようなことがありました場合には、御指摘のような趣旨で十分に取り締まっていきたいと考えております。
  27. 堀昌雄

    堀委員 それでは、時間がありませんから終わります。
  28. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、土橋一吉君。
  29. 土橋一吉

    ○土橋委員 新任の鹿島郵政大臣から先ほどごあいさつがあったばかりで、私はお聞きするのはたいへん苦しいのですが、大臣も十一月十四日にすでに郵政審議会へ大幅値上げの諮問をなさっておりますので、あれから日数も相当経過いたしておりますから質問をさしていただきたいと思うのであります。  今度の郵便料金値上げは、御承知のようにはがきが十円から三十円、封書が二十円から五十円、そして第三種郵便物などにおいてはものによっては五倍という大幅な値上げでございます。こういう三倍とか六倍というようなことは郵政史上いまだかつてない、わが郵政制度の中では初めてという大幅な値上げであります。あなたはこれを諮問されましたが、その諮問の経過はどうなっておるのか。来年度にこの問題についてやはり国会の審議要求するように法案などを提出する考えであるかどうか。この点についてお答えを願いたいと思います。
  30. 鹿島俊雄

    鹿島国務大臣 お答えをいたします。  御存じのとおり、郵便事業は実質九〇%が人件費である。いまどき物件費の上昇等もございます。実は、御承知のとおり昨年十二月には郵政審議会から料金改定の答申もいただきました。しかしながら、本省といたしましては物価抑制、公共料金引き上げによる物価の上昇、はね返り等も考慮いたしましてこれを見送ったわけでございます。その当初から、四十九年度予算の編成にあたりましても、大体六百九十六億円の赤字がある、これを借り入れ金によって編成をしたような状況で今日に至りました。しかるところ、最近のべースアップに伴いましてますます財政が逼迫をし、本年度おきましては、推計千四百億円程度の赤字が予想されるところになりました。このまま推移いたしますると、明年度は二千八百億円程度と推計されます。われわれといたしましては、この際、物価抑制の意味からこの公共料金を引き上げるのはまことに忍びがたいところでございますが、ただいま申し上げましたような事情でやむを得ず引き上げを行なわなければならない。前大臣からも引き継ぎを受けまして、とりあえず十四日に諮問いたしましたが、まだ答申をいただいておりません。この答申を待って善処していきたいと思います。本年度は、御承知のとおり、公共料金の引き上げは閣議決定によりましてやらないということになっておりますが、明年度以降につきましては、ただいまの答申を待って善処していきたい。明年度以降の状態は、物価上昇等の状況にかんがみましてある程度政治的に考える余地はあるのではないか、こう考えております。
  31. 土橋一吉

    ○土橋委員 そこで私は、郵政審議会答申がもし出ましたならば、直ちにわれわれ委員のほうへその内容について配付をしていただきたいということが第一点であります。  第二点としては、すでに大臣もよく御承知のように、また郵政当局の幹部もよく知っておられるように、七二年二月にやっと三五%程度の郵便料金の大幅値上げを行ないました。自来二年九カ月を経て、今度は、先ほど申し上げたように二・五倍から、ものによっては五倍も上げるというような、われわれ常識では考えられないような値上げ、しかも公共性を持った郵便料金を上げようということは文字どおり無法といわなければなりません。  郵便法第一条の目的には「この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」こういう条文がございますが、これはおそらく大臣もよく御承知だと思うのです。つまり、通信制度はすべての国民に安い料金で、あまねく公平に提供しなければならない、こういう大原則を持っておるのであります。ところが、いまあなたもおっしゃいましたように、人件費の高騰であるとか、あるいはその他の問題を一つの柱としたかつてないような料金の値上げ、これは必ず国民生活の他の分野に波及することはきわめて明瞭であります。しかも郵便法第一条は、安い料金で提供しなさいということをきちっといっておるわけです。  その次に第三条、これは七一年の改正でこういう規定をつくったわけですが、「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」これはもうよく御承知のように、独立採算制を強化した条文をここへ一つ無理やりに挿入したわけです。この両方の関係から見ましても、郵便制度全般にわたって検討する問題はたくさんあるのじゃなかろうか。その検討をやらないでおいて、ただ料金を上げてくるということは、たとえば個人間の信書などを出す人にとってはまことに迷惑千万なことではなかろうか、というふうに私は考えておるわけです。  そこで、御承知かと思いますが、いわゆるダイレクトメールあるいは営業用の通信、さらには高級逓信職員がたとえばあいさつ状を出すとか、あるいはそんなものは出さなくともと思うようなものまで通信事務でどんどん出すということも間々見受けられておるわけですよ。こういう点はまことに遺憾千万といわなければなりませんので、この公共料金を上げる前に、まず、郵政省としてはどういう措置をしなければならないのか、そういう点について考えておるのかどうか。ダイレクトメールあるいは営業用通信についてどう考えておるのか。あるいは大口についてまけておるわけですが、たとえば切手別納であるとか、そういうまけておるような問題をも含めて大臣の確たる態度を示していただきませんと、ただ物価が上がったからあるいは多少人件費が上がったからということで二倍半とか三倍とか六倍も上げるようなことをしたのでは、これは非常に問題がある。特にそれが庶民にはね返ってくるわけです。これはもう大臣もよく御承知のとおり。しかも物価狂乱状態といわれる今日、こういうことをやりますと、ある大きな企業体はそれに便乗したと思われるような大幅な値上げをやはりやってくるわけです。こんなことは許すべからざることでありますので、ぜひそういう点についてのあなたの所信をひとつ聞かしていただきたいと思うのであります。
  32. 石井多加三

    ○石井説明員 お答えいたします。  ただいまお尋ねの料金改正全般につきましての考え方につきましては大臣からお触れになりましたわけでございますが、いま先生から御指摘になりました郵便料金を改定する場合でも、たとえばDMとかあるいは個人通信といったようなものについての料金に格差をつけて、個人の通信を優遇すると申しますか、できるだけ安く押えるような方策を考えたかどうかという点につきまして私からお答え申し上げたいと思います。  もう先生御案内のように、DMといったようなものと個人のものとを分けるということにつきましては、実は昨年の郵政審議会審議の際にも大いに議論がなされた点でございます。まあ結論的に申し上げますと、このような区別をいたしましてかりに別の料金を設定いたしました場合には、郵便局おきましては料金を適用していく上におきまして、あるいは封書の内容を検査して、ダイレクトメールであるかあるいは個人通信であるかといったようなことを認定する必要があるわけでございますが、こういうことをいたしますと通信の内容に郵便局が立ち入るということになりまして、利用者の方から見て何か昔の検閲といったような感じを抱かせるのではないか。また信書の秘密確保といったような点から問題があるわけでございます。もしかりに内容検査をするといたしましても、利用者はできるだけ安い料金の適用を受けるということを期待されるわけでございますので、実質はダイレクトメールであるものが形式的には個人通信の内容あるいは書き方というような形をとって差し出されることが予想されるわけでございますが、事柄が通信の内容に関することでありますだけに、統一的な基準を設定いたしまして、全国どこの郵便局でも一定の解釈のもとにこの二つを区別して料金をいただくということの非常にむずかしいことは先生御理解いただけるのではないかと思います。また最近におきますダイレクトメールの出され方をいろいろ見てまいりますと、いかにもダイレクトメールらしいダイレクトメールと申しますか、そのような形をあまりとらないで、一見信書風と申しますか、特に個人にあてた手紙であるかのごとく外観、ていさいがなされておりまして、あけてみましてはじめてダイレクトメールであったかといったような感じを持つような通信が最近多いということも事実であろうかと思います。そのほか、もし内容検査をいたしますと、そういうことを容易にしていただくためには開封で差し出していただくといったことを条件にする必要があるわけでございますけれども、これは御案内のようにせっかく軌道に乗ってきました郵便事業の近代化あるいは機械化といったようなことをまた阻害することになるのではないかという問題も出てまいろうかと思います。いろいろなことで内容による区別といったことは非常にむずかしいような感じがいたすわけでございます。四十一年までいわゆる第五種という制度がございまして、印刷物につきましては割安の料金で別のシステムでわれわれは扱ったのでございますけれども、そういったものの中にも重要な通信もありましたために第一種と第五種を統合して、今日におきましてはその内容によっては料金の差をつけない。定形外とか定形内といったような形の大きさの大小によっては差をつけておりますけれども、内容には立ち入らないということが郵便の大量処理の上に非常に大事なことではないかと思いまして、現在の料金体系ができておるわけでございます。先ほど申しました審議会でもそういった点が議論されたわけでございます。
  33. 土橋一吉

    ○土橋委員 石井さんの懇切な説明、私もわからないわけではございませんが、郵便法第一条の規定というのはこれは要するに国民的な要望をになった規定でありますし、この問題と第三条とは、独立採算制を強要するという観点においては、相矛盾をする点を含んでおる条文だと思うのであります。したがって、第一条は郵便法の基本的な原則をうたっておるのでありますから、たとえば郵便局が全国に一万八千余の小局をかかえて土地の購入だとか建物だとか人件費とかいろいろなものを組んでいるという点もわかりますので、これはそういう点をやはり根本的に検討をしなければ、いまのような安易な方法で郵政大臣がたびたび郵政審議会に、料金のはね返りだけで問題を解決するということは郵便法第一条の規定から見ても許しがたい内容を一部持っていると私は思うのです。これはぜひひとつあとでまとめて、検討してもらいたい。こういう点をはっきり検討いたしませんと、国民サービスの基本である地方のたとえば特定局の集配局なんかは、全く国民のためサービスをしておるのですね、そこも独立採算でやれというようなことを押しつけること自身がまことに矛盾をしておるということであります。  時間がもうあとございませんので、次は電電公社の問題について、郵政大臣も先ほどのあいさつでちょっと触れられておりました。私は、電電公社が今度料金を値上げをするというので、十月の二十三日の朝日新聞などを拝見いたしますと、これまた非常に無法な料金値上げ制度を考えておるわけですね。それはどういうことかというと、広域時分制になりましてから三分七円のをまず十円に上げるというわけですよ。そして度数は二百度までが二千円の定額料金制をとって、そして基礎料金も八百円とか九百円を家庭用あるいは業務用で取って、二千円を取るというのですね。そうすると、家庭用の電話をつけておる人でも二千八百円はいや応なしに電話を持っておるだけで取られる。二百度をこすと、それが十円で取られる。遠距離については若干の秒で料金をまけたという形をとっておる。一体こんなことが許せるでしょうか。私は、この無法なことについては、米澤総裁もおられますけれども、あまりに無法といわなければならない。たとえば一つの例であります。これはささやかな例ですが、私は国会議員で、電話をつけておるわけです。私のうちの九月一日から九月三十日の電話料金の状態を見ますと、ダイヤル通話料は八百四十円私は使っております。そして八百円の基礎料金を払いますと、千六百四十円国会議員で電話料金を払わしていただいておる。これは時期にもよるし、いろいろな条件があって、一万円近く払うときもありますけれども、平生は大体この程度しか私のうちは使っていない。多くの家庭の方々がこの前後のところであろうと思います。そうしますと、二千円を取る、しかも八百円の基礎料金を取ってくるということになると倍の金額になってくるわけです。これは大臣、実物ですから、ちょっとあなたごらんください。一体そんなことを許していいのかどうか。  電電公社の経理上の問題はあとで私はいろいろ追及いたしますけれども、たとえば資産の償却において彼らは三四%以上の減価償却をしておるわけです。総支出に占める割合は三四、五%という世界で類例のない減価償却をして資産をごまかしているわけです。米澤総裁が常にモットーとされておる、あるいはそういう方向を目ざしておられるベル系の電信電話株式会社などにおいてもその半分の減価償却であります。特に日本のがめついといわれエコノミックアニマルといわれるそういう諸君でも、減価償却というのはたかだか四、五%。国際電電が一七%程度の割合を占めておる。これは最高の部類です。その倍の減価償却をしておるわけです。そういうことをやりますと、少々の収入があっても何でもかんでも減価償却で吸収してしまいますから、いつでも赤字だという、手をあげた万歳の形をとっておるわけです。まことに不都合千万。何で一体そんなことをするのか。しかも、使って十分使えるものも、技術革新と称してこれをやめてしまう。ものによっては耐用年数をこえてやる、こういうこともあります。  時間が来ましたので、そういうことについてひっくるめて、料金値上げについては一体大臣はどう考えているのか。こういう点を簡単に答えていただきまして、私の大臣に対する質問を一応終わります。大臣から、直接そういう仕組みになっていることについて検討するかどうか……。
  34. 鹿島俊雄

    鹿島国務大臣 ただいまの御指摘の点につきましては、電電公社の財政が非常に悪いという現実は御了解いただけると思います。ただ、その財政立て直しのやり方に問題がある。ただいま御指摘のような定額通話料金のようなもの、庶民にはね返りが大きい、こういうようなこともお説の点につきましては十分に考えなければならぬと思います。ただいま公社から要請書も出ておりまするが、これを鋭意検討中でございます。ただいま御質問の詳細につきましては、担当官から御説明を申し上げることにいたしたいと思います。
  35. 土橋一吉

    ○土橋委員 終わります。
  36. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、田中昭二君。
  37. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最初に、大臣の都合で要約して御質問いたしますから、そのつもりで御答弁いただきたいと思います。  現在のこのような狂乱物価に引き続きます物価高騰の中で、特にまた最近は不況の中のインフレという状態の中で、公共料金の最たるものであります郵便料金が、このように国民の苦しむ生活の中で上げられようとしております。これはいま土橋委員からも御質問がありましたが、私も基本的に郵便法第一条に掲げてありますことと、今度の料金値上げを見てみますと、国民に対してはたいへん過酷なる値上げではないか、このように思うわけであります。  そこで、先ほど大臣からのごあいさつの中にも今回の値上げについての御説明がございましたが、せっかく昨年の年末に郵便料金に対する答申が出た、それを四十九年度は諸般の事情により押えてきた、そういうことでございますから、そういうことと現在の国民の苦しみを考えてみますと、ここでこのように前回答申よりもさらにまた倍する値上げに対して、この郵便法第一条の基本精神からどうお考えになっておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  38. 鹿島俊雄

    鹿島国務大臣 ただいまの御設問でございますが、確かに第一条の精神を見てみますると、できるだけ安価な料金の状態において奉仕をするという精神については全く同感でございまするが、何ぶんにも独立採算の事業でございまして、ベースアップの今日の現況から見まして、これ以上借り入れ金によって運用は不可能な状態と私どもは判断いたしております。しかしながら他面、法定料金の引き上げが一般物価にはね返りを及ぼす、物価抑制の方針に反するというようなことを考えますると、その点、いささか私どもも矛盾を感じざるを得ないのでありますが、昨年度は何とかこれを見送りました。本年度、御承知のとおり千四百億円という赤字が出てくる。明年度、このままでありますると二千八百億円。独立採算制の郵便事業財政といたしましてはどうにもならない状況になる。やむにやまれない中で今回諮問をいたしたわけでございますが、審議会におきましてもこの情勢等を把握の上で御答申もいただけるものと考えておりますので、その答申と相まって、私は適正な手段を講じたい。とにかく独立採算制の中でやりくりのつかない財政にいま逢着した、ということが今回の引き上げの原因であるという点について御了解を得たいと存じます。
  39. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまの御説明の中で一つの重要なことは、郵政事業は人件費の額が相当占めておるということが赤字の一つの原因だというようなことを言われたと思いますが、四十六年度の改正のときに、先ほどから問題になっておりますこの第三条でございますが、この第三条の中に健全なる運営をうたってあるわけでございますが、この健全なる運営ということがいまのような人件費の問題だけを考えてくるとするならば、値上げはもうそのたびに、人件費の膨張に対する料金値上げを繰り返す。そして郵便事業がいまその健全なる運営をやっているかどうかということは、また私は詳しく大臣にお聞きしたがったわけでございますけれども、時間がございませんから、そういう第一条の精神から見ても、いわゆる第三条の健全なる運営ができる、またやっておるということであれば、私は第三条が生かされてくるのではなかろうか、そう思うわけでありますが、それも無視されているような状態の中で、また特にこの第三条をつくりますときには、聞きますとその提案の理由の中には、利用者に対するサービス改善ということがうたわれておった、こういうことでございます。そこで、一つだけ例をとりますと、現時点でこのような値上げを国民の側に立って考えますと、いまの郵便事業の困難な状況もわかりますけれども、はなはだいわゆる国民の理解は得られないのではないか、このように思うわけでございますが、先ほどから言います利用者に対するサービス、または健全なる運営という問題に関する一つの例を申し上げますと、前回のときに郵便標準送達日数表、こういうものを公表したわけでございますけれども、これもその直後から完全に無視されておる。ということは、国民はその料金値上げのたびに郵便事業国民に約束したことまでも踏みにじっていくということについてどのような御認識を持っておられるか、大臣にお聞きしたいと思います。
  40. 鹿島俊雄

    鹿島国務大臣 ただいま郵便法第三条の精神の御趣旨の御質問もございましたが、われわれといたしましては収支相償う、これが可能な水準までは引き上げてもやむを得ないのではないかという気持ちは持っております。しかし、何といたしましても物価高騰抑制という前段階がございますので、その点は、御設問の精神もよくわかりますから、何といたしましても独立採算制の郵便事業については、これ以上の借り入れ金による運営はわれわれといたしましてはとり行なうことができなくなってきた。もう一つ申し上げたいことは、家計費の中に占める郵便料の比率でありまするが、これは〇・一二と承っておりまするが、まあ金額にして百四十円程度、こういうことになりますると、実質家計費の中のはね返りというものはそう大きなものではないとはいえるわけでございじゃす。しかし、名目二・五倍という引き上げというものは相当大幅なものであることは間違いございません。そういったことにつきましては先ほど申し上げましたとおり、審議会におきましても良識的な御判断のもとに答申がいただける、こういうことでございますので、事情御了察の上で御了承いただきたいと考えます。
  41. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は、そのことについてはまた後ほど詳しく事務当局からも答弁を求めながらその矛盾を暴露していきたい、こう思っております。  いま私がお尋ねしたのは、国民に約束した郵便の送達の日数表ですね。こういうものが公表されておるのですけれども、これは現実にこのとおり全然いっていないですよ。こういうことを繰り返すようでは料金値上げは国民は納得できませんよ、こう言っているわけですよ。おそらく大臣はまだ就任早々で、御認識といいますか御勉強ができていない面もあるかと思いますけれども、先ほど私が言いましたように、いわゆる料金値上げが繰り返されていく。その値上げの幅も、当初言いましたように、昨年の答申の値上げ案と今度の値上げ案というものはそういう説明は何もないわけですね。ただ上がったから、人件費が大きい割合を占めておるからというような理由がおもなんです。それでは国民は納得しませんよ、私はこういうふうに申し上げたわけでございます。国民にはその約束は何にも果たされてない。果たされるどころか、たいへんな迷惑を受けておる。そういう中で昨年末から起こった狂乱物価。物価が高騰しておるといいながら、また公共料金である郵便料金が狂乱値上げをしていいのか、というような率直な問いも投げかけざるを得ないわけでございます。いずれにしろ、時間もございませんから、この郵便料金の値上げについては私どもは絶対に認めることはできないということを強く申し上げて、次の問題に移っていきます。  次は、郵便貯金の問題でございますが、貯金がいまのインフレ下においてたいへん問題になっておりますが、まず大臣国民がいま思っておりますことは、このインフレ、物価高の中でさらに貯金をしなければならない。また実際貯金はずっとふえておるようでございます。この国民貯蓄心というものに対して、貯蓄をふやしていく、こういうことに対しては大臣はどのような御認識を持っておられますか。
  42. 鹿島俊雄

    鹿島国務大臣 郵便貯金の実態につきましては、国民の経済生活の安定をはかる、またその福祉の増強に直結するものでなければならぬ、かように考えております。したがいまして、郵便貯金の利子等の問題につきましては、でき得る限り考慮を払ってきたところであります。御承知のとおり、昨年は五回にわたって利子の引き上げ等も行ないました。二・五%程度の引き上げを行なっております。なお、これに関連いたしまして、昨年末と本年度夏季におきましては、預入期間六カ月の定期預金を創設いたしまして、これに特別の利子を付するというような、預金者の利益もあがってきたところでありますが、いまのところ何といたしましても郵便貯金として集められました資金は資金運用部資金に預託され、財投計画の主要な原資となっておりますが、昭和四十九年における財投計画によりますると、総額七兆九千億円余のうち、住宅、生活環境、厚生、福祉施設、あるいは文教施設、中小企業、農林漁業等の国民生活の安定、向上に直接役立つ方向にも出し、その融資は六一・三%にも達しております。したがって、還元的な方向で福祉の充実等もはかっておるわけでございます。そういった関係を十分に年頭に置きまして、この問題を処置していくかまえでございます。
  43. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は率直な、常識的な質問を申し上げておるわけで、いまの御答弁は先のことまでずっとお述べになったようでございますけれども、ただそういう金利をちょっと上げるというようなことでは、かえって金融機関をはじめ貯金で集めた資金そのものが——金融機関は不況下であっても貸し出しと預金金利の両方でもうかる、ちょっと上げてみてもそんなことは金融機関の批判をはずすためだけなんだというような議論もあるわけですよ。ですから私はそういうことじゃなくて、いわゆる率直な国民のこのインフレ下における貯蓄をふやしていかなければならぬということはどういうふうに思っておられますかとお聞きしたわけでございますけれども最初はいまのようにただ金利をちょっと上げたというような御答弁が中心だったと思いますけれども、時間も制約されておりますから次に移ります。  そういうわが国の現状は確かに低金利政策というものをとっておるわけでございますが、この低金利の政策に対しては、国民はたいへんインフレ下におきましては不満を持っております。そこで、いま大臣がおっしゃった郵便貯金の資金は、資金運用部から財政投融資として企業に低利の貸し出しとなっておるわけですが、このわが国の基本的な金融の姿勢は、しょせん預貯金者は貯蓄をするためではなくて、資金の一部調達手段にすぎない。そして、集められたその預貯金の目減りというのは、いわゆるいま大臣がおっしゃった金利機能でカバーするということはとうてい不可能である、こういうふうに結論づける人がおります。私もそう思えてならないのです。この点はどうですか。
  44. 鹿島俊雄

    鹿島国務大臣 私は、特に支払い利子の問題は先ほど申し上げましたが、これを改善するということになりますると、まず利子の増大に伴いまする預託利率の引き上げが必要だと思います。ひいては資金運用部からの貸し出し金利の引き上げ等も金利体系全体の中で検討をしなければ実効があがらない、かように考えます。したがって、これらの情勢を踏まえながら慎重に検討をして、御趣旨にこたえたいと考えております。
  45. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私の質問の趣旨をひとつよく、一言でいいですから、とっていただきましてお答えいただかないと困るわけですが、それじゃこういうインフレの続く中では、また企業や金持ちは金よりも物、そのほうが得するんだ、それでこういう経済成長、自民党政府の中で経済成長を続けてきたその恩恵に浴しないいわゆる少額の貯金をする郵便貯金者、こういう人たちは金持ちのようなことはできないわけです、企業のようなことは。大きな金を借りて、その金利だけでもかせぐということはできません。そういう中でわずかな預貯金の目減りの被害をもろに受けるだけなんです、いわゆる郵便貯金者なんかという人たちは。そういう反面、いま申し上げましたように、金融機関や財投資金から借り入れる企業等はインフレのおかげであらゆる借金が減価する。そういうことで返済面ではたいへん得をしておる。だから、そういう企業からは国の税金を一ぱい取って、そして逆にインフレで困る個人の、少額貯金者の目減りを補償することは当然である、こういうふうに言う人がおりますが、大臣はこれはいかがお考えですか。
  46. 鹿島俊雄

    鹿島国務大臣 金利の目減りということになりますると、他の預金、債券等の関連もございます。しかし、ただいまの御設問のとおり郵便貯金は零細な預金でありまして国民生活にも影響が大きい。この目減りに対する対策といたしましては、先ほど申し上げましたとおり大きな金利体系の中で考えていかなければ、いまのところ特別な措置は考えられない。しかし、できるだけ他の還元方式で零細預金者の利益を守っていくというふうなことでございますが、詳細につきましては、私の答弁、どうも完全な答弁でございませんので、担当官から答弁させたいと思います。
  47. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それでは私、もう少し端的に申し上げます。郵便貯金の増強、いわゆる貯金をしなさいしなさいと国民に毎年言ってきまして、その貯金の目標は毎年大幅に達していっている。その結果、ここ十年間ぐらいさかのぼってみましても郵便貯金だけはずっとふえまして、ほかの預金、銀行預金などに比べ、その伸び率は郵便貯金がはるかに多いのです。ということは、少額な預金者がたくさんふえたということですね。そのことに郵政省貯金局はあげてがんばった。目標達成、目標達成で三割も四割も資金をどんどんふやしていき、その他の金融機関預金よりも郵便貯金がぐっとふえているのは年報の統計によりましてもはっきりしております。そうしますと、そういった郵政省郵便貯金の増加目標を突破していくということは、いわゆるインフレ下におきます貯金の目減りの最大の犠牲者である少額預金者をどんどん拡大し、つくっていったということになるのじゃないですか。この責任は、いままでの自民党政府の政策の一環だからしかたがないといえばそれまでですけれども、そういう体制内の考え方だけではもう国民には許されない。そういうことをするから、金さえ持っていれば何でもいいということが反面助長されていくのですね。そういうことでございますから、大臣も就任なさって先のほうも見えておるようでございますが、大臣でいらっしゃる間に、自分の個人的意見としても、こういう貯金の目減りについては確固たる意見、郵政大臣の重大な責任を国民の前に披瀝してもらうことが私は大事なんじゃなかろうかと思うのです。最近日本消費者連盟からも、これは郵便貯金ではありませんけれども、千円未満には利子をつけなくて百何十億というもうけをしているじゃないかというようなことまで問題になるように、いわゆる貯金の目減りということについてはたいへんな問題が起こっておるわけであります。ですから、けさの報道にもよりますと、何とかこの貯金の目減りについては政府も考えてもらわなければならないという、いわゆる国民世論というものもございますから、どうかひとつ大臣、就任早々ですが、また大臣は重大な職責にいらっしゃいますから、ほんとうに弱者救済という意味での御決意を一言伺いたいわけです。いかがですか。
  48. 鹿島俊雄

    鹿島国務大臣 郵便貯金は勤労者の財形にもつながります。したがってマル優の額も上限を上げるというようなことによって利益を守るというような方法は考えておるところでありますが、御設問の点につきましてはまことにごもっともでございますので、御意見につきましては十分これを拝聴いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように一応検討を加えてみたいと思っております。
  49. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 終わります。
  50. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 郵政大臣は御退席になってけっこうでございます。  次に、阿部未喜男君。
  51. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実は、私も大臣の所信についていろいろお伺いしたかったのですけれども、いま御案内のように郵政の労使の紛争で、郵政の労働者がストライキに入っておる。すでに国鉄あるいは動力車が解決を見た段階でもありますので、この年末、利用者が首を長くして待ちかまえておるであろう郵便物が一日も早く届くように、その解決のために大臣にその努力を重ねてもらいたい、そういう趣旨で実は大臣に対する質問は割愛をいたしますが、幸い政務次官お見えでございます。私どもそういう気持ちでこの委員会委員長の計らいで大臣御退席を願った経過もあるわけですが、特に政務次官大臣を補佐しておいでになるわけでございますから、今日のこの郵政労使の紛争について鋭意努力をなさって解決をはかってもらいたいと思いますが、その点についての次官のお考えを承りたいと思います。
  52. 稲村利幸

    稲村説明員 労使お互いに協調して、国民に迷惑がかからないような方向でお互いに納得いく線が出たらと、こう考えております。
  53. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次官も案外ふなれかもわかりませんが、ちょっと私触れましたように、同じ公労協の組合の中でもすでに国鉄あるいは動力車は解決をして、本日から正常な運営に戻っておるようです。ひとり郵政関係がなおあしたもずっとストライキに入っていくという状況にあるだけに、誠意をもって問題の解決に当たってもらいたい。だれが考えても次官のおっしゃることは当然ですが、その責任ある立場からこの解決についてどういうお考えがあるのか承りたかったのです。
  54. 稲村利幸

    稲村説明員 時間がかかりますと国民に迷惑がかかりますし、御趣旨に沿ってすみやかに解決をするように努力いたします。
  55. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。  それでは郵務局長に伺いますが、せんだって私ども委員会から派遣をされまして、沖繩の逓信行政について勉強させてもらったわけですけれども、今日、沖繩県における速達郵便の制度がどうなっておるか、ちょっと御説明願いたいのです。
  56. 石井多加三

    ○石井説明員 お答えいたします。  沖繩の復帰と同時に、本土と沖繩の間に発着する郵便につきまして速達の取り扱いを開始いたしたわけでございます。沖繩県内相互間における速達につきましては、これは復帰前の当委員会でもいろいろ御質問があったようでございますが、運送施設の整備等もありまして若干おくれましたけれども、四十八年二月に沖繩県内から那覇市内あてに出される郵便物につきましては、速達の取り扱いを開始いたしたわけでございます。現在、県内から那覇市内あての速達郵便物の物数は一日約四百通程度でございますが、このような利用状況から見まして、さらに今後県内相互間の、残っております部分についての速達の取り扱いを開始するかどうか、いままだ検討中でございますけれども、もし開始いたしましても、おそらくその利用通数はかなり僅少ではないかと考えられるわけでございます。しかしこの点は、現地の御要望等も考えながら、また需要の動向等を見ながら、対処していきたいと思っておるわけでございます。
  57. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 沖繩県以外で日本の中で速達が出せないところ、扱ってないところはございますか。
  58. 石井多加三

    ○石井説明員 配達関係につきましては、配達局から一定の距離以外のところは配達しないという問題はございます。いまお尋ねのように、差し出す場合、速達の引き受けをそういった条件以外のところで受けていないところはない、というふうに私も思っております。
  59. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 制度として差し出すことができない、そういうところはないはずです。沖繩県以外にはないはずです。  そこでお伺いしたいのですが、海洋博も迫っておりますが、これは委員長大臣のときだったのですけれども、沖繩の祖国復帰に伴って——実は沖繩県には特定郵便局という制度がなかったのです。ことさらに特定郵便局などという制度をつくらなくてもいいではないかということを私は申し上げたのです。そのとき郵政当局は何とお答えになったかといいますと、本土並みになるのですから、本土にある制度ですから、やらなければなりませんというのがあなた方の主張だったわけですよ。ところが、本土復帰して、特定局制度という、なかった制度をわざわざ持ち込んだが、なぜ沖繩に速達制度だけが、いま那覇市内にだけはあるようですが、それ以外のところにないのか。本土並みじゃないじゃないですか。特定局制度などという自分たちに都合のいいものは本土並み、本土並みと押し込んでおいて、利用者に一番重要な速達制度がなぜ沖繩県に適用されないのですか。これはどういう理由ですか。
  60. 石井多加三

    ○石井説明員 お答えいたします。  先生御案内のように、現在、沖繩県内の相互間における郵便物の運送につきましては、運送便が上下大体一便だけになっておるわけでございます。この点も一つの問題点ではございますけれども、実は郵便物数が非常に少ないというようなこともございまして、これをたとえばいまの倍にいたしましても、実際上は運送の車に乗っける郵便物はがらがらで走るといったような状況が予想されるわけでございまして、もし現在のそういった運送便をそのままにしたままで速達郵便制度を制度として取り入れていきましても、利用者の方に非常に高い料金を払っていただいて、実際のサービスは、運送便が一便でございますと通常郵便物とのスピードの差というものは実際上あまり出てこないわけでございます。二便になってもその程度の差しかございませんけれども、そういった郵便物の絶対数が非常に少ないということから、そういった制度の実施について、運送便等の問題あるいはまた要員の問題等もございますけれども、なおもう少しいろいろな点を総合的に整備いたしまして、方向としては、私もこういった内地並みの速達サービスを確立するという方向に持っていきたいと思っておるわけでございますが、現在のところまだそこまでに至っていないということでございます。
  61. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 郵務局長、そういうのは詭弁ですよ。運送便が一便しかなければ、なおのこと速達を期待するのですよ。たとえば郵便物を航空でやりましたね。あの場合だって、早くなるのは、着いてから特使をもって配達するから早かったのでしょう。特別な配達をするから早かったのであって、途中の運送というものはそれほど大きい影響はないのです。ですから、運送便が少なければ少ないほど速達を期待する声は大きいはずです。都市間における速達を期待する声は大きいはずですよ。それをあなた方は、金がかかるからか何か知らぬけれども、ほかのことは本土並み、本土並みと言いながら、速達郵便物だけは沖繩の県内に相互に出させないなどというのは制度上おかしくないですか。制度としてまず考えて、本土並みというなら沖繩県内にも相互に速達郵便制度を設ける、その利用についてなお不便があるなら今後検討していく、これなら筋が通りますよ。本土だってずいぶんありますよ、そんなローカル線のところは。沖繩と同じ条件のところは幾らだってありますよ。そうでしょう。なぜ沖繩にその制度を適用しないのか。本土並みとは何をいうのか。理屈にならぬですよ、あなたの答弁では。
  62. 石井多加三

    ○石井説明員 現地にお行きになりましてのいろいろの御発言でございますから御存じと思いますけれども、現在まだ沖繩と本土との郵便の取り扱い上の差と申しまするのは、ただいまの速達の問題以外にも、たとえば郵便局の窓口の取り扱い時間の関係等もございます。こういった点は、実は現地の組合のほうの労務条件といいますか、そういった点のからみもございまして、必ずしもスムーズにまだ話がついておりません。それから先ほど申し上げました運送便も、実は特に那覇あるいは名護間といったようなところにつきましては増便したいということで現在われわれのほうは計画を持っておりまして、現地ではそういった話を組合といまいたしておるわけでございますけれども、これもいろいろ労働条件等のからみもございまして現在まだ話がついておりませんけれども、先ほど御指摘のように、基本的にサービスを内地並みにするということで出発いたしたわけでございますから、現在の時点で必ずしもそこまでいっておりませんけれども、今後なおよく現地の組合の諸君とも相談し、いろいろな面で施設その他の増強をはかるべき点ははかりまして、ただいまの御趣旨に沿うような方向に持っていきたい、さように考えます。
  63. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 都合のいいときだけ組合と相談するなどと言いますが、それでは私が特定局制度の問題を提起したときに、沖繩の労働組合と相談をして、特定局制度を持ち込むのがいいのかといって一回だって議論したことがありますか。ずいぶん現地では反対しておったのを、あなた方は、本土並みだからといって強引に押し切って制度を持ち込んだんじゃありませんか。そんなら、今度のこの速達というサービスが本土並みにならないことについて、いまさら組合との協議だとかなんだとか、そんなばかなことがありますか。制度がある以上は、本土並みとなっておるから当然制度を設けて、あと労働条件の問題なり運送便の問題について検討していく、これが本筋じゃありませか。どういうわけですか、これは。
  64. 石井多加三

    ○石井説明員 現在の運送便をそのままにしたままで速達制度をかりに制度上して始めました場合は、先ほど申し上げましたように、実は利用者の方に逆に非常に不利な条件の速達料金をいただく。と申しまするのは、いま申し上げましたように、運送便等がいまのままでありますると、通常便とほとんど差がない。配達の面で若干の差は出てまいりまするけれども、その差が非常に少ないものでございますから、当然運送便の変更、増強といいますか、それが必要でございまして、そういった面で現在すでにいろいろ現地のそういった方面とも話し合いをしておるということを申し上げたいわけでございまして、われわれとしては、できるだけ早く話をつけまして、この制度が確立できまするようにやってまいりたいと思っております。
  65. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 現行運送便でも一日違いの配達のところは相当出ると思うのですよ。たとえば二号便のある町で仮定しますと、二号便に間に合うように到着した郵便物は、それはその日の二号便にかかるからあまり大きな差は出ないでしょう。二号便に間に合わない時間に到着する都市については、その旧のうちに速達ならば配達ができるはずですよ。ところが、速達でなければ翌日の配達にしかならないから、明らかに一日違うということが出てくるはずなんです。ましてや、一号便のところは完全に一日違うはずですから、そのことを考えれば、現行運送便が少なければ少ないほどなお速達が必要ではないかという議論も出てくると思うのです。ですから、これはいまのところないのですからしかたがありませんが、いませっかく郵務局長そうおっしゃっていますから、なるべく早い時期に本土並みに沖繩の県なり相互間で速達郵便物の取り扱いができるようにひとつ御努力を願いたい。御要望にとどめておきます。  それから次に、盲人用点字郵便物の規格の問題ですが、何かこれは最近新しい機械ができまして、そのために現行の規格では、折りたたまなければ盲人用点字の郵便が発送できない、そういうものとなったらしいので、これについては郵政省のほうにも協会のほうから何度か陳情に行っておるそうですが、確かに郵便物の規格は法定事項でございますからむずかしい問題もあると思うのですけれども、せっかくそういう新しい機械ができて、郵便で扱ってもらいたい——郵政省にしてみれば、もうかりませんから冷たいのかもわかりませんけれども、せっかく制度があるわけですから、少し規格を変えればそれがそのまま折りたたまずに送れる。あれは折りたたむとだめになる。御承知のように点字ですからね。折りたたまずに送れるように法改正やっていけばいいんじゃないですか。どうですか。
  66. 石井多加三

    ○石井説明員 ただいま御指摘のように、盲人用の郵便物の規格、これは法律事項でございますから、これをもし大きくするとかいろいろ変える場合には、当然法律改正が必要でございます。まだ現在の時点で、ただいま御提案のございました盲人用のいろいろな道具類のことであろうかと思いますが、そういったものにつきましては、たとえば盲人用の補装具でございますとかあるいは用具といったようなものにつきましては、無料にしてほしいという要望は出ておりますけれども、こういった点につきましては、なおわれわれのほうではいろいろ問題もありますので検討いたしております。  それから、盲人用の郵便物の規格は、御案内と思いますけれども、現在の通常郵便物の規格の大きさの制限、長さ四十七センチ、幅が二十七センチ、厚さが十センチということでやっているわけでございますが、特に他の第四種につきましては重さは一キログラムまでしか送れないということになっておりますのに対しまして、盲人用のいま申されましたような録音物その他につきましては三キロまで送れる、三倍の重さまで送れることにいたしておるわけでございます。郵政省といたしましては、基本的にはわれわれのほうの職員が作業をしやすいように、できるだけ郵便物の大きさとか重量制限につきましては小型化をしていただきたいわけでございまして、現在の基準はそのような考え方でできておると思っているわけでございます。かりに、もしこれでお送りになれないような場合には、いずれにしても無料で扱っておるわけでございまするから、分割して差し出されればおおむね目的は達せられるのではないか、こう思うわけでございます。大体そのように考えております。
  67. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体そういうことなんですが、分割してもだめなんです。一番困るのは、折らなければならないか、そのまま郵便にされるか、ここのところなんです。何か最近外国から入った機械がいまの郵便物規格よりちょっと大きいんだそうです。したがって、四十センチを四十五センチぐらい、それから二十七センチを三十五センチぐらい、厚さの十センチを二十センチぐらい——厚さの二十センチは、これは郵務局長お話のようにいけると思うのです。それから三キロの問題は、これは三キロで分ければいいわけですから。ただ、折らなければならないというのは非常に困るわけですので、折らなくて済むためには四十センチを四十五、それから二十七を三十五ぐらいにしてもらいたい。この程度のことは、どうせ郵便法の改正を出さなければならない時期が近いうちに来るでしょう、そのときに、せっかくある制度ですから、それが五センチ伸びたから、だからだめだということにはならぬはずです。折りたたむ場合は、点字で打ってありますから、すれてしまてだめなんです。そのまま出してやらなければならない。そこに盲人用の点字の郵便物の扱いのむずかしいところがあるわけですから、これをよく聞いて、そしてこの程度のことならばひとつ郵便法改正で考えてやってもらいたいと思いますが、検討に値するかどうか、ちょっと答えてください。
  68. 石井多加三

    ○石井説明員 ただいま御指摘のようなものにつきましては、私もまだ的確な情報を得ておりませんので、そういったものがありますかどうかよく調べまして、もしそういった趣旨で、この規格を若干変えることによってそういった面で非常にプラスが出てくるということがありますれば、なお検討させていただきたいと思います。
  69. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次に、電電公社お見えになっておられますね。——電電公社にお伺いいたしますが、公社がついせんだって発表されました参考資料によりますと、四十九年度に二千億ぐらいの赤字が出るのではないか、そういう資料を拝見しておるのでございますが、大体四十九年度二千億といえばかなり大きい数字のようですけれども、この決算をしなければわからぬでしょうけれども、見込みとして二千億という膨大な赤字が出るという根拠は一体どういうものなのか。
  70. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  昨年の石油ショック以来物価が非常に高騰してまいりまして、本年度おきましても、仲裁裁定によりまして定期昇給込みで約三〇%のベースアップが行なわれまして、本年度はそういう大きなベースアップなりあるいは物価の高騰がなければ、収支差額が若干の黒字で出てくる予定でございましたが、その関係によります赤字が約千二百億円ぐらいになると思います。それからもう一つは、総需要抑制の影響がやはり通信に対しまして非常に大きく影響いたしまして、その結果大体三・三%ぐらいの減収になっておりまして、これがまだ十二月から三月までございますけれども、その予定収入に対する落ち込みが全体で約七百億円ぐらいになるというふうに考えます。大体赤字といたしまして収入減によるものとそれから支出の増によるもの、特に人件費のアップによる支出の増によるもの、合わせまして約千九百億円から二千億円になるというふうに考えております。
  71. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 郵政の経理局長お見えですね。——いま電電公社のほうで人件費赤字が約千二百億ではないかというお話です。郵政省のほうで大体七百億ぐらいではないかというお話も承っております。貯金保険事業というものもあるにはあると思うのですけれども予算に対する赤字としては大体似たような数字が出るのではないかという気がするのですが、この間どうなっておりますか。
  72. 廣瀬弘

    廣瀬説明員 お答え申し上げます。  予算が収入で四千百七十四億でございます。それに対しまして支出が四千八百七十億ということでありますが、その中で人件費が三千三百七十億ということであります。したがいまして、ほとんどが人件費、約七割でございます。その影響で六百九十六億の赤ということになっておるわけでございます。
  73. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いやいや、そうではなくて、六百九十六億の赤は、最初からそれは四十九年度予算で見込まれた赤です。ところが、今度の仲裁裁定の実施によって電電公社では千二百億、郵政省では約七百億ぐらいではないかといっておるでしょう。それで合わせて赤字が千四百億になるのでしょう。その際、電電公社が千二百億というのに郵政省は七百億でいいという、その差がどこから出てくるかということです。
  74. 廣瀬弘

    廣瀬説明員 先ほど申し上げましたのは、郵政固有業務についてのみ申し上げたわけでございます。御承知のように、郵政事業特別会計は、貯金保険はそれぞれの固有の会計から繰り入れてまいります。その分を含めて計算いたしますとさらに大きな数字になりまして、仲裁裁定によりますと大体千七百六億ということになります。そのうちの郵便固有;郵政固有業務と称しておりますけれども郵便分担分が約七百億と称しておるわけでございます。他のものは貯金保険それから電電公社の繰り入れ、そういったものが加わってまいります。
  75. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは千七百億になるわけですね。そうすると、大体いまの定員は郵政と電電はあまり変わらないかと思うのですが、今度は郵政のほうが大きくなり過ぎますね。電電が千二百億、郵政が千七百億というと、五百億ほど郵政が多くなるような気がするのです。人件費というのはわれわれなかなかわかりにくいのですが、サバを読んでいるわけじゃないでしょう。大きくなり過ぎる。
  76. 廣瀬弘

    廣瀬説明員 ただいま申し上げましたのは、仲裁に要する額ということで申し上げたわけで、ただ四十九年度予算の中には給与改善原資を見込んでございます。それば御承知のように五%分がございます。これが三百二十三億ございますので、これを差し引きますと千三百八十億くらいになるわけでございます。
  77. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その関係はわかりました。  そこで続いてお伺いしますが、公社のほうは総需要の抑制でちょっと工程を繰り延べていかなければならないような状況になってきております。せんだってもちょっとお伺いしましたけれども、四十九年度末で繰り延べるのは大体どのくらいの額になりますか。
  78. 山本孝

    山本(孝)説明員 四十九年度建設勘定予算のうち人件費を除きまして八%、ただし積雪寒冷地につきましては四%を目途にしておりますが、八百四十三億を繰り延べる予定にしております。
  79. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 総裁、この繰り延べが、第五次五カ年計画、五十二年の終わりには、申し込めばすぐ電話がつくという積滞ゼロの計画に影響を与えるか与えないか、どうでしょう。
  80. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  この問題は、来年度予算の場合にどれだけの投資額が取れるかという問題に関係いたすと思います。公社といたしましては、五十年から五十一年、五十二年と三カ年間に九百万の加入電話をつける。それによって、ただいま御質問がございましたような、昭和五十二年度末におきまして電話の申し込みの積滞をなくなす、こういうことを考えておりますが、明年はやはり総需要抑制の線がもし出てくるといたしますと、結局五十年予算が、私たちの提出しておりますものに査定されてくるというようなことになってまいります。その際に、いま御指摘のございました約八百億円の建設勘定における繰り延べがどういうふうにその中に盛り込まれてくるか、これに関係するものと思います。しかし、大きくいいますと、公社といたしまして赤字問題、それから料金改定問題、これのほうがもっと大きな影響を及ぼすというふうに考えております。
  81. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あまり早く予防線をお張りにならなくてもけっこうです。そうすると、大体次の五十年度予算を見なければ、影響があるかどうかいまのところはっきりわからない、簡単に言えばそういうことですね。  そこで、ちょっとお伺いしたいのですが、四十八年度に新たに架設をされた電話は何加入ぐらいですか。四十九年度末までに幾つつけるおつもりですか。
  82. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  ただいまの繰り延べの場合におきましても、加入電話の分は全然計画されておりません。したがいまして、四十八年度は三百十万、四十九年度は現在三百二十万で実施中でありまして、おおむねこれが達成される見込みでございます。
  83. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、第五次五カ年計画電話架設については、今日まず狂いはない、こう理解をしていいわけですね。  その次にお伺いしたいのは資金計画ですけれども、四十九年度の財投の特別債は予算どおりに集まっておりますか。どうでしょうか。
  84. 好本巧

    ○好本説明員 お答えいたします。  四十九年度の債券発行計画でありますが、政府引き受け債三百四十一億円、特別債二千百二十五億円、これは額面ベースであります。四十九年十一月末現在、すでに発行したものが、政府引き受け債三百四十一億円のうち二百億円発行しております。残りが百四十億円でございます。それから特別債、公募、非公募合算で二千百二十五億円の予定に対しまして、十一月末で一千五百億円発行済みでございまして、特別債について言いますと七〇%を消化いたしまして、三〇%が十二月から三月までの四カ月間に残っておるわけでございますが、ただいま十二月の発行計画も進んでおりますし、残りは三月までに全部消化できる、起債できるというふうに見込んでおります。
  85. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 消化できないと狂いが出るわけですけれども、今日のような金融の逼迫で総需要の抑制があって、あともう七百億ばかりのようですが、だいじょうぶですか、総裁。
  86. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいま経理局長からお答えいたしましたが、これは何とか達成したい。そのほか、実は一時借り入れ金も必要になっておるわけでございまして、いまの特別債の発行はぜひ完成したいというふうに思っております。
  87. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それから第五次五カ年計画の見直し等いろいろ拝見させてもらったのですけれども、特に電話料金、電報料金の値上げについて経営委員会のほうのお話もあったようでございますが、基本的な問題は先ほどそれぞれの委員の方々から大臣にお尋ねがあっておったようですから、私は基本的な問題には触れませんですけれども、どっちにしても、この時期に公共料金の引き上げというのは好ましくないことは、これはだれが考えても当然だと思うのです。特にその中で問題になると思うのは、先ほど土橋委員からもお話がありました定額通話料というものをつくるという発想、これがどうも私は理解ができないのです。せんだって私、この委員会でこういう趣旨のことを申し上げたのです。いわゆる日常生活に欠かすことのできない電話、たとえば一カ月百通話なら百通話というものについては、かりにほかの通話料の値上げをするにしても、その分だけは何とか現行料金に据え置かれないものだろうか、そういうことを私はお伺いしたのですが、それとはまるで逆に、かけてもかけぬでも二千円、この発想がどうも私はわからないのです。単に経理という考えだけでなく、電話の公共性から考えた場合に、かけてもかけぬでも二千円、電話をつけるときは二千円という発想はどうも納得がいかないのですが、これはどういう考えで考えつかれたわけでございますか。
  88. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 これは確かに新しい制度でございます。また、いまお話がありましたように、ある面では現在の収支の問題、当面の収支の問題あるいは当面の資金の問題と別の考え方の部分もあるかと思います。しかしながら、私どもといたしましては、やはりその根底にありますのは、電話というものは生活必需品とは申しましても、たとえば電気、水道のようなものと少し違うんじゃないか。どこが違うかと申しますと、やはり構造的にはネットワークというものの中に入っておるわけでございます。そこで、私どもとしては、その方方が使っていただくというために電話というものを貴重な資材あるいは労力でつけておるわけでございまして、もし全然使わないで電話をつけておられる極端な例があるとすれば、それは資材なりあるいは国家的な労力の非常な浪費にもなろうかと思うのであります。私はそういう意味で現在の電話の経費というものを見ますと、先生御存じのように、従来自動化その他あるいは新しい技術で経費はずっと安定的に継続してまいりました。しかしこれから先は、こういう状態で、また自動化もほとんど終わりました状況では、経費というのは一本当たり大体五千三百円程度の経費がかかるわけでございます。これを現在私ども基本料という形で、事務、住宅それぞれ差はございますが約千円程度のものをいただいて、あとは従量制ということになっておるのですが、この従量制の部分におきましても先ほど申し上げましたような意味で、やはりおかけになる回数が少なくても、たとえば電話帳を配らなくちゃいけないとか、あるいは着信ということがございますから、先ほど申し上げましたネットワークに入るという意味では、着信される場合の品質をほかのよくお使いになる電話と同じように維持していかなければならないための保守の経費ですとか、そういうものがかかるわけでございます。これを従量制のままでやっておりますと、公社の財務との関係でどうしても維持できない現状におきましては、やはり通話料のある部分について定額という部分をとらしていただくことが、今日のあるいはこれから先の公社の経営上の構造的な問題を解決するたった一つのものじゃないか、こう思います。これは基本料という形で取るということも確かに考えられるのでございますけれども基本料ですと、かけてもかけなくてもやはり取られっぱなしということにもっとなると思います。定額通話料でございますと、御存じのように、現在一般の庶民の方の電話も御使用回数総平均としては着実に伸びておる状況でございます。そこで定額通話料という、従量制のある部分を固定化することによって、それを御自分で回収していただくこともできるほうが正しいやり方ではないか。まあこういう考えで、時間も短いのでもっと御納得いただけるような説明ができないでたいへん残念でございますけれども、大体そういう考えでこの制度をお願いをしておるわけでございます。
  89. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 早くいえば、たくさん使ってもらえないから、したがって、かけてもかけぬでも二千円、こういうような発想ですわね。今度は郵便局に比較をしてみますと、おまえたちは郵便を出しても出さぬでも、郵便局はちゃんと施設をして待っているのだから、郵便料を毎月何ほか払えということと似たようなことになってこようかと思う。むしろ、どうして電話を使ってもらうかということに重点を置くべきであって、使っても使わなくても布設をしたのだから出せ。すでにいま総裁もおっしゃったように、住宅用でも八百円という基本料を出しておる。それに、つけてもらうときに架設料も出しておる。それから債券も買っておる。かなりの負担をしてもらっておることは間違いがないわけです。そして、一ぺん電話をつけてもらえば、たとえ一日に二回か三回しかかけなくても、なくなるといわれれば困りますから、それは強みがあるから、出せといえばみんな出すかもわかりませんが、その加入者の弱みにつけ込んで、おまえたち、つけてやってこれだけ金がかかるんだから、当然かけてもかけぬでも二千円出せ、というこの発想はちょっとおかしいのじゃないか。むしろそれよりも、どういうふうにして電話利用してもらって、ランニングコストといいますか、そこに落ちつくように利用させるかということをいま公社は考えるべきであって、一番これは安易ですよ。かけてもかけぬでも二千円出せというなら、郵政省もちゃんとポストを道路に立てて、切手の箱場をつくって、いつでも利用できるようにしてある、そういうこまかい経費が要るのだから、郵便を出しても出さぬでも金を出せということと大体似たようなことになってくるのですね。これはもう少し考え直す余地はありませんか。
  90. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 一番最初お話ございましたように、公社のお願いを政府にいたしておるわけでございまして、その根底は、ただいま申し上げましたような財務の、あるいは経営の構造的な基本問題にからんでおると思うのであります。したがいまして、私どもとしては考え直すつもりはありません。ありませんと申しますとたいへん申しわけないのですが、やはりこの問題を解決していただかないと、公社というものは従来黒字でずっと来ておりまして、皆さま方から公社の経営について御批判もなく、あれだったのですが、これから先、九百万つけます電話のうち八割が住宅電話でございます。私は、住宅電話全部そういう対象になるとは決して思っておりませんし、住宅電話も、従来の統計を見ますと、おつけになりました初年度から三年あるいは四年になりますと、確かに先生のおっしゃいましたように通話度数もふえてまいります。それから、現在でも総平均で二百四十度でございますから、かりに十円にいたしますと、二千四百円の通話料を総平均ではいただいておるわけでございます。したがいまして、制度を表面からごらんになりますと、二千円ただ取ってしまうというお考えのように、そういう印象をお持ちになることはわかりますけれども、決してそういう考え方を私どもはしておりませんし、この問題を何とか解決しませんと、やはり将来の公社の経営の問題としてここで見のがしてしまう、ただ当面の問題だけに問題がからんでしまう、ということを私ども非常に心配いたしております。したがって、公社としては結論として考え直すつもりはございません。
  91. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 かりに公社の経営的な立場、そして長い期間にわたってサービスを提供する、役務を提供するという立場から考えて、いま総務理事のおっしゃるようなことが一つの理論であったにしても、特に、先ほど来議論のありました、なぜこの時期にこういうものを持ち出さなければならないかということについても、私は大きい疑問があるのです。どうしてもこれはこの時期にやらなければならぬというふうにお考えですか。その点はもう少し経済の鎮静化を待って、抜本的なこういう問題についての検討をすべきではないか。いまこの時期にどうでもこうでも、公社は二千億赤字だから、来年は二千八百億だ、だからこれ以外にないのだというふうに、目先だけにとらわれてこういう制度をつくってしまうことについて私は非常に危惧を持つのです。ですから、かりに総務理事お話をある程度理解ができるとしても、この時期にやることについてなお疑問が残るのですが、どうでしょう。
  92. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  これは私がお答えするのはまことに僭越でございますが、私は電電公社の一社員でありまして、公社の社員としては公社の経営の問題をまず中心に考え、先ほどのようなお答えをいたしましたわけですが、あるいは公社の総裁、あるいは政府の方々、あるいは国会の先生方が、さらに大所高所からお考えになる立場もおありだろうと思います。しかし、私は、公社の一社員としてはやはり、単に公社が黒字になるということは私の月給がふえるということとは無関係でありまして、やはり国民の方々から公社の経営を負託されておる者の立場としては、この問題を私の立場としてはそうお答えする以外にありません。
  93. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 総務理事の立場はよく理解ができましたが、それでは総裁にお伺いいたしますけれども、同じ質問ですが、どうしてもこの時期にというふうにお考えになりますか。もう少しこの時期はずらして、検討する必要があるのじゃないかというふうにお考えになりますか。どうです。
  94. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいま遠藤総務理事が答えましたように、この電話というものが一つの線で結ばれましたネットワークとして形成されている、こういう特殊な事情があります。ただいまの定額通話料の問題につきましては、基本料を上げるという方法、それからまた、先ほど阿部委員の御指摘になりましたように、ある度数までは少し安い料金にしたらどうかという問題、これは前回質問がありまして、検討すると私申し上げました。それらをいろいろ検討いたしまして、経営委員会できめたのがあの案でございます。で、前の原田郵政大臣のときに、十一月八日の日に政府に改定をお願いいたしました。電電公社といたしましては何といいましても経営——もちろん、経営というのは電電公社のための経営ではなくて、国民のために経営しておるつもりなのでございますが、しかし政府あるいはまた国会におきまして、これは法律事項でございますから、さらに別な、国全体の立場からお考えになるということは当然あるわけでございまして、まあ、とにかく現在の時点におきましては公社としてこの案を提出した、こういうことでございます。
  95. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、まだ十分議論の余地が残っておるというふうに理解をして、ちょっとこまかい数字で恐縮なのですけれども、この資料ですが、この一四ページです。あの二千円をはじき出した根拠として二百度数ということを置いておるようですね。一日二回程度の通話回数となっておるのですが、大体いま一通話平均どのくらいの時間になっていますか。
  96. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 いまの現在時点で一回というのは、普通のことばで言う一回の通話の登算度数でいいますと、大体一回の通話が四登算度数になるわけであります。そういう統計の数字になります。それはなぜかと申しますと、これはたとえば現在の三分、七円の区域内通話だけではなくて、中距離、遠距離全部を含めた通話一回当たりにいたしております。それですから、登算度数は、一回つまり電話をかけるときに、たとえば九州のような遠いところですと三十登算度数の場合もございますし、あるいは百登算の場合もあるでしょう。それを全部統計的に処理をいたしますと、一回の通話が四登算度数。したがって、いまの計算は一日二回、登算度数に直すと八登算度数。そういう計算になるわけでございます。
  97. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、この二百度までは無料とするというこの二百度というのは、市外通話も含めて二百度までいれるわけでございますか。
  98. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 登算度数としては市外通話までもちろん入ります。
  99. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 非常にむずかしいことばですが、市外通話も入るということは、しろうとが考えれば市外にかけた料金も含めてということになりますか。
  100. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 先生の御疑問はよくわかるのですが、昔の度数制のときの度数という意味と私が申し上げている登算度数とは違います。したがって、いま御質問のありましたように、市外通話を含めまして要するに二百登算度数までは無料にする、こういうわけでございます。
  101. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 なかなかよくわからないのですが、要するにいま市内同士でかける場合に今度の広域時分制で三分で七円になった。そこで、市内通話のみを対象にして考えた場合に、一日に二回市内で話をする、そうしますと十四円ということになります。上がって二十円という勘定になるわけです。ところがこれでいきますと、一日二回程度の通話回数があっていまの八度数ということになると、これは逆にいえば一回の通話が十二分以内になる。十二分以内になって二回で二十四分以内になって、そうするとこれは大体二百円ですね。こういう勘定になってくる。こういう勘定にならないのでしょうか。二百四十から二百度とおっしゃられますけれども
  102. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 いま、恐縮ですが、十円としてお話をさせていただきます。十円でございますと、要するに二千円の通話料金までは無料にするということです。したがって、先ほどお話ししたのけ全国の平均で申し上げたのですが、たとえば市内ばかりおかけになれば三分以内の通話を二百回おかけになってちょうど二千円になりますね。ですから、そこにございますように一回の通話が三分以内の場合だといたしますと、今度は回数にすると二百回通話をかけられてもそれはただになる、こういうことです。
  103. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 反対に計算をすればそういう非常に耳ざわりのいい話なんですが、逆に使うほうから計算しますと、二百回かけるのには一日何べんかけるだろうかということになるわけですね。そうすると、いま総務理事おっしゃったように一日二回かけると計算をすれば、二千円のもとをとるためには少なくとも一回に十二分話をしなければ二千円にはならぬぞということになるわけですよ、一回に十二分話をして一日二へんかけることをしないと。それで初めて二千円の価値が出てくるのであって、それより少ない場合は全部上前をはねられている。こういう理屈になってくるし、この二千円というものを算定の基礎にして、それを当てはめるためにどうもこういう数字を持ってきたような気がして——利用者からすればそういう気になるでしょう。一日二回で勘定してありますので、それなら市内にかけるときは一回に十二分かけるのだ、それで二回で二十四分、あるいは二十分までで二百円から二百四十円だという勘定になってこの二千円が出てくる。そういう勘定になるでしょう。
  104. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 いま先生のおっしゃった例はまた逆の一番ひどい例をおっしゃっておるのですが、つまり市内ばかりおかけになる、絶対ほかはかけられない、こういう方々の例でありまして、そういう極端な場合にはもちろんそういうことになります。
  105. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは時間がなくなりますから、いずれまた詳しく議論しますが、私は、総裁、特にこの時期にこれはやるべきでない、かりにいまこういう発想があるとしても、これはもっと慎重に検討しなければならない内容を持っておるように思われますので、そのことを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ公社にお伺いしたいのですが、公社の減価償却の問題がまたいろいろ議論されておるようですけれども、この減価償却というのは、私どもしろうとでよくわかりませんが、現行のいわゆる定率制を定額制に改めた場合、どういう違いが出てくるわけですか。
  106. 好本巧

    ○好本説明員 お答えいたします。  公社は昭和三十七年度から定額制を定率制に改めまして、現在償却方法といたしましては定率制をとっております。これを定額制に改めた場合——定額制と定率制の長所、短所ということかと思いますが、私どものような事業おきましては適正妥当な減価償却制度を採用いたしまして、過小償却のないように、あるいは過大償却のないように、長いスパン、長い期間正しい財務制度をとるということが必要かと思います。これで定率制の償却法をとるか定額制をとるかということと、それから耐用年数が妥当であるか、この二つが正しい減価償却を長期間にわたって適正妥当に行なう一つの根本的なかぎであろうかと思います。先生御存じのように、耐用命数が妥当なものであるとするならば、その耐用命数の一つのスパンの中におきましては、定額制をとろうと定率制をとろうと、トータルでは減価償却費の累計は同じになるわけでございまして、ただ定額制は毎年の減価償却費が、取得価額、簿価を一定の耐用命数で割りまして毎年同じ金額を主として償却費として立てていくという方法でありますが、定率のほうは少し前重に持っていく。これは耐用命数が非常に妥当であるならば、どちらの制度をとろうと同じであろうと思いますけれども、やはり耐用命数というものは将来の予測に立って、これは何年というふうに規定するものでございますので、事業の非常に大きな技術革新でありますとか大きなサービスの改善を行なっていきますとか、あるいは都市計画でありますとか道路計画でありますとかそういったいろいろな物理的な事業のほかに、他律的、他動的な要因によって資産を撤去する、あるいは廃棄しなければいかぬという事態が非常に起こりやすいというふうな環境のもとに置かれました企業におきましては、定率法をとるほうが非常に大きなメリットがあるというふうにされております。私ども事業は、そういった非常に妥当な償却法をとろうと思いますと、定率法をとるのに非常にふさわしい企業であろうかと思いますし、また御案内のように現在の日本の企業の中で定率法というのは非常に広く採用されておりますし、税法上もこれは認められております。そういう観点から私どもは定率法をとっております。したがいまして、毎年の償却費が定率法のほうが大きいか、定額制ではじいたほうが大きいのか小さいのかということは、現在の投資が年々どういうふうな傾向で持続していっておるかという企業の型によって違うかと思いますが、私どものような最近毎年毎年相当大きく投資が伸びてきておるというふうな企業におきましては、その年度、非常に短い期間で見ますと、定額法をとりましたほうが定率法をとりましたより単年度の減価償却費は小さ目に出る、ということは事実であろうかと思います。
  107. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。したがって、いつだったですか、定額法から定率法に変えたのが何年か前でしたね。これが今日いいかどうか問題があると思うのですが、これは検討していただくことにして、あと質問に移らしてもらいます。  次にNHK、いらしていますか。——まず政府の電波監理のほうにお伺いしますけれども放送法の三十三条ですか、郵政大臣日本放送協会に国際放送を命令する、いわゆる五十年度の命令の内容はどうなっておりますか。
  108. 石川晃夫

    ○石川説明員 お答え申し上げます。  五十年度の国際放送、NHKの海外放送につきましては、ただいま大蔵省のほうにその予算要求はいたしておりますが、まだ命令の内容につきましては決定しておりません。
  109. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると国家予算が成立をするまではNHKは国際放送についての計画ができぬことになりますか。
  110. 石川晃夫

    ○石川説明員 明年度行ないます海外放送につきましては、NHKとは事務的には折衝いたしておりますが、決定は現段階においてはできかねると思います。
  111. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは大蔵省予算要求をしてある内容は大体どういうものですか。
  112. 石川晃夫

    ○石川説明員 お答え申し上げます。  明年度郵政省といたしましてNHKにお願いして国際放送をやっていただきたいというものにつきましては、腹づもりといたしましては、内容においては四十九年度と大体同じようなものでございます。したがいまして、放送区域といたしましては十八放送区域、それから時間といたしましては大体二十三時間程度、この程度お願いしたいというふうに考えております。
  113. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そのために国が負担しなければならない予算はどのくらいになりますか。
  114. 石川晃夫

    ○石川説明員 このような考え方で現在大蔵省のほうには五億三百万円の予算要求をいたしております。
  115. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 NHKにお伺いしますが、大体郵政省お話し合いの上だと思いますけれども、十八方向二十三時間で計画をして大体NHKが国から負担してもらう予算が五億三百万ですか、そのくらいでいいことになっておりますか。
  116. 橋本忠正

    ○橋本参考人 お答えいたします。  明年度の国際放送の実施の計画等につきましては、まだ予算が固まっておりませんので、具体的なこまかい点は申し上げられません。ただ、いまの腹づもりでは、先ほど来お話しのように、私どもとしては大体本年度並みという点は少なくとも維持していきたい、かように考えて現在努力中でございます。
  117. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その場合の予算が、いま郵政省大蔵省要求をしておる額でいいのですかと聞いておるのです。
  118. 橋本忠正

    ○橋本参考人 お答えいたします。  阿部先生も十分御承知と思いますが、国際放送につきましては、放送法三十三条によります郵政大臣、政府の実施命令による国際放送と、それから第九条の二にございますNHKの国際的な認識の上に自主的に行なう、つまりNHKの本来業務としての国際放送、二つがございますが、これは現実の問題といたしまして、この両者を一体として放送効果をあげろということでございますので、私どもといたしましてはこれを一体に考えていろいろ実施してまいっております。したがいまして、ただいま先生の御指摘の、郵政省要求しております予算額で十分であるかいなかという点については、ダイレクトにお答えすることはたいへんむずかしい点でございますが、私どもといたしましては、本年度予算が二億四千五百万というふうに理解しておりますし、来年度予算が五億以上ということでありますならば当然それは倍額ということになりますので、そういうふうな増額ということになりますと、私ども放送番組の内容の充実等々そういう点で意義があろうかと思います。そういう点でその予算額の実現という点にいろいろ御努力お願いしたい、かように考えております。
  119. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうもいつ話をしてもその予算が先に立って、もうただし書きのほうが先に来て基本があとに来るのですが、これは大体法の精神からいえば、くどくなりますけれども、国が命令をする、その予算負担しなければならない、これが原則ですよね。ただ、国家予算で縛られた場合には、その予算の範囲内でやらざるを得ぬことになるでしょう。したがって、いま十八方向二十三時間で国がNHKに国際放送を命令をするならば、当然それに必要な予算は国が出さなければならぬ。これをずっと私は言い続けてきたんです。したがって今回、いま事務的な話し合いらしいですけれども、それができておるとするならば、十八方向二十三時間でやってもらう以上、これを命令した郵政省としては、要求してある予算を満額大蔵省のほうからもらってNHKのほうにお渡しをする、こういうことにならなければこの計画十八方向二十三時間は狂ってくる、こういうことにもなると私は思うのです。いままではそれをNHKに負担をさせて——NHKが負担するわけではないのです、受信者が負担をしていたわけですね、そこに負担をさせて、国がほおかぶりをして逃げる。こういう方向にあったものですから、私は何回もくどく申し上げてきておりますが、今年度はいまの必要な予算について必ず獲得をして措置をするようにお願いしたいと思いますが、どうですか。
  120. 石川晃夫

    ○石川説明員 先ほど申し上げましたように、五十年度予算要求としては五億三百万という額を要求しているわけでございますが、これは国の財政規模等で必ずしもその額が満額とれるかどうか、この点はやはり国会での御審議を経なければならないというふうに考えております。しかしわれわれといたしましても、国際放送が非常に重要な放送であるということは重々承知しておりますので、なるべくこの金額に近い額をとれるよう大いに努力したいというふうに考えております。
  121. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 近い額などと言わぬで、それは必要なものだから、命令する以上はその予算を裏づけてやらなければいかぬでしょう。命令はしたわ、予算はとれなかったということになれば、当然放送内容は変わってこなければならぬことになるでしょう。その辺の考え方がおかしい。命令する以上はそれだけ予算をつけなければならぬ。当然でしょう。どうなんですか。近い額をとろうなんて、そういうことじゃだめですよ。
  122. 石川晃夫

    ○石川説明員 命令をいたしました内容については、その裏づけの金額というものが必要でございますが、この命令につきましては、予算が成立いたしましたときにわれわれのほうから来年度命令を出すということになっております。したがいまして、先生指摘ございましたように、われわれとしては予算は、とにかく何とでもして、獲得したいということは考えております。
  123. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大蔵省を呼んでおけばよかったのですけれども、大蔵を呼んでないから、ここで水かけ論してもしかたがないのですが、とにかく命令をする以上は負担しなければならぬという大原則があるのです。だからもしも五億三百万がとれなかったときに、いま考えておるNHKの国際放送とその予算がもしも五億三百万にならなかったときの放送内容がどう変わったか、そのときに私は明確に聞きますから、いいですね。覚悟して予算の折衝をしてください。  それからもう一つ伺いますが、放送法三十四条による「放送及びその受信の進歩発達を図るため必要と認めるときは、協会に対し、事項を定めてその研究を命ずることができる。」、何か研究を命じたことが郵政省ありますか。
  124. 石川晃夫

    ○石川説明員 ただいま御指摘のような件につきましての命令というものはございません。ただ協会に対していろいろ研究上の委託をしておることはございます。
  125. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは法律があるわけですから、もし命令をするときは間違わぬように、事前に十分予算のことを考えて措置をしてもらわないと——私はNHKの問題、もっと議論をしたかったのですが、時間がなくなってしまったようですけれども、たとえば受信料の減免などの問題についても、本来国が負担しなければならないようなものをたくさんNHKにかぶせておるわけですね。NHKの責任で減免させてしまって、たとえば学校の受信についてはこれは文部省が負担をするとか、それから身体障害者については厚生省負担をするとか、それが私は国の福祉施策の原則でなければならぬと思うのです。それを現在のところ全部NHKにかぶせてしまって、NHKがかぶったのではなくて受信者がかぶって、ことしはやらぬそうですが、来年度あたりはいずれ受信料の値上げとかなんとかいってくることは間違いないですね。国が本来しなければならないものを放置しておいて、そして受信者に肩がわりをさして受信料を値上げをする、そういうやり方はもう許されない。このことはひとつ監督官庁である郵政省も十分心にきめてこれからやってもらいたいと思います。  最後にもう一つお伺いしますが、NHKのラジオ部門ですけれども、国際放送で、「紅白歌合戦」か何かのときに南氷洋の捕鯨船か何かに乗っておる人たちから白が勝てとか紅が勝てとかいうような激励の電報が来ておるものですから、ずいぶん遠くまで電波がいくものだと思って私は喜んでおったのですが、最近ちょっと調査をしてみますと、大西洋の西側、それからアメリカ大陸のほうの東側といいますか、日本からいったら東側になるんですか、のほうはどうもNHKの電波が届かないようで、特に外国に派遣をされておる大使館等あるいはそこに住んでおる在留邦人が日本の電波を全然聞くことができない、そのために非常に外国の方々と話をするのに困っておるというお話だったわけですが、何かこの方法が考えられないものですか。
  126. 橋本忠正

    ○橋本参考人 お答えいたします。  ただいま先生指摘の「紅白歌合戦」につきましては、国内向けのラジオ放送でございますが、それをそのまま同時に毎年大みそかに全世界向けに国際放送に乗っけまして放送しております。それが南極とかあるいは大西洋そのほかで航行中の漁船等にもよく受信されまして、放送中にいろいろ反響の電報等をいただくということでございます。すべてこういうふうにうまく聞こえれば問題はございませんが、ただいま御指摘のように、私どもといたしましてはこれだけの国際放送を二十四時間連続勤務でやっておるわけですから、世界のあらゆるところで聞いていただければこれは最高でございますが、残念ながら必ずしも受信状況が安定しているとは申せない地域がございます。御指摘のようにたとえばアメリカの東海岸、大西洋地域とかあるいは北アフリカあるいはヨーロッパの一部とかというところはなかなか受信状態が安定しておりません。  私は技術的な問題はよく承知しておりませんが、私どもが日ごろいろいろ調査し検討し考えている点を若干ここで申させていただきますと、一つは、やはりそういう地域は日本から距離が遠いということもございます。したがいまして電波の力が弱くなる、そこへもってきて外国の短波による国際放送がそこに入ってまいりますので、ある意味では電波の戦いといいますか、電波の競い合いがございますので、どうしてもそういう外国の強い電波に押されてしまう、それからまた混信があるというふうなことで、なかなかその受信状況が安定しない、不安定なところがございます。しかしながら、少なくとも東南アジアだとか太平洋地域については、場合によっては国内への放送と同じぐらいに聞こえるというふうな調査もございます。そういたしますと、ではどうしたら聞こえるか、聞こえるようにするかということが最大の問題でございまして、これは私ども当然常日ごろいろいろな点を考えております。その一つは、たとえば電波の力を強める、つまり増力という点もございましょうし、あるいはできれば、これはたいへんむずかしいのですが、外国に中継基地というようなものができないかとか、あるいは外国とお互いに電波を交換といいますか、そういうふうなこと。あるいはもっと場合によっては、金があれば外国に電波を買ってそこへやるというふうなこともございます。短波による国際放送を補足する意味で、私どもは日本の国内のテレビ、ラジオ等の番組を場合によっては外国に提供する、あるいは外国の番組と交換するということによって、広い意味ではございますけれども、直接の短波による国際放送ではございませんけれども、われわれの日本のNHKがつくった番組を番組交換というふうな形を通して外国で放送してもらって、そしてそれによってわれわれの目的でございます日本並びに日本人の今日の姿を理解させる、相互理解に持っていくというふうなこともございまして、いろいろそういう点は考えております。
  127. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。私がこういう方法はないだろうかと幾つか申し上げたいと思った点をみんなおっしゃっていただきましたから。要するに、外国との間で話し合いをつけて、たとえばイギリスのBBCを使うとか、そういう基地をつくるとか何か考えて、要は外国の方々に日本の放送、特にニュースを非常に期待しておるようですから、そういうものが伝達できるような御努力を願いたいと思います。
  128. 橋本忠正

    ○橋本参考人 御指摘のそういった一種の交換放送とか、あるいは中継所の設置という点は、確かに改善の方法でございますが、現実の問題といたしましてはいろいろたいへん問題がございますので、さしあたってこれがすぐ実現するというふうにお考えいただいてもちょっとその点はいろいろ問題がございますので、それをかりに実施する場合にはたいへんむずかしい問題が多々ございます、という点だけは御指摘させていただきたいと思います。
  129. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 終わります。
  130. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に平田藤吉君。
  131. 平田藤吉

    ○平田委員 私は近畿通信局の同和問題の通達とその実施をめぐる諸問題について質問したいと思います。  電電公社にお伺いしますけれども、近秘第八百八十六号、四十九年九月十七日付の「同和問題について」という文書が近畿通信局から出ていますけれども、知っていますか。
  132. 中林正夫

    ○中林説明員 今年の八月ごろだったかと思いますが、そういった文書が近畿通信局から管内に通達されております。
  133. 平田藤吉

    ○平田委員 手元に文書が来ているのだろうと思うのですけれども、短い文章ですからちょっとあなた読み上げてみてくれませんか。
  134. 中林正夫

    ○中林説明員 読み上げます。  近畿通信局の秘書課長、職員部長の連名で、現場管理機関長、それから局内一般長あての文書でございますが、「同和問題について 標記について、電文第三百十号(昭和四十八年八月十五日)等に基づきすでにその趣旨徹底に十分配意せられていることと思われるが、三田問題を契機として、なお、一層の趣旨徹底を図るため別添「昭和四十九年度同和問題に関する研修」に基づき、研修を実施することとなったので各機関においても行き違いのないよう実施方配意願いたい。なお、具体的な研修計画については、事前に連絡のうえ実施するとともに、今後、管内において同和問題に関連すると思われる事案についても、すみやかに連絡願いたい。」ということで、「別添」としまして「昭和四十九年度同和問題に関する研修について 行政当局ならびに解放同盟の指導のもとに、公社管理者および職員に対し、別紙「同和教育管理者研修計画」ならびに「同和教育管理者研修内容」により積極的に研修を実施し、同和問題に関する理解と認識を高めることとする。」ということで別紙の計画がございます。
  135. 平田藤吉

    ○平田委員 この「別添」の中でいっている「行政当局」というのは、一体どこのことをいうのですか。
  136. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  同通達のほうでいっております「行政当局」というのは、具体的には府、県、市等の労働部であるとかあるいは職業安定所あるいは同和対策室、人権擁護委員会等のことをさしておるというふうに理解しております。
  137. 平田藤吉

    ○平田委員 自治省にお伺いしますけれども、地方自治体、つまり県や市町村が電電公社を指導することができるのかどうか。できるとすれば、その指導する法的な根拠があるのかどうかをはっきりさせていただきたい。
  138. 竹村晟

    ○竹村説明員 電電公社は国の機関でありますので、その通信などの業務につきましては、御承知のように、電電公社法に基づいて所定の監督を受けるわけでありますが、地方団体の監督はこの関係では受けないということになろうかと思います。地方団体が同和に関する研修関係業務をやるわけですけれども、この研修関係業務をやるにあたりましては、同和対策特別措置法とかあるいは同対審の趣旨に沿いまして、それぞれ地域の実情によりまして地方団体が自己の判断で行なうというふうな形になっております。
  139. 平田藤吉

    ○平田委員 いまと同じ問題です。つまり、県、市町村、地方自治体の指導を電電公社は受けるのかどうか。その法的根拠を明らかにしてもらいたい。これを総理府、それから郵政省、電電公社の順に答えてもらいたい。
  140. 山縣習作

    ○山縣説明員 いま自治省のほうからお話がございましたとおりに、地方公共団体関係でございますので、自治省のお考えのとおりであろうと思います。
  141. 佐野芳男

    ○佐野説明員 お答えいたします。  先生承知のように、電気通信一般につきましての管理監督というのは、郵政省でやっております。したがって、いま問題の同和問題につきましては、正常なる公衆電気通信法の運営が妨げられるようなトラブル、そういうことがないように包括的な指導はしております。個々の指導についてはしていないと思います。
  142. 平田藤吉

    ○平田委員 聞いている話を、あなた、よく聞いていなかったんだろうと思うのです。つまり、ここで「行政当局ならびに」云々というふうにいっているけれども、指導を受けるというふうにいっているわけですよ。この「行政当局」というのは、いま職員局長のほうからお話がありましたように、県、市町村を含んでいるわけです。そこの指導を受けるといっているわけですよ。電電公社は地方自治体の指導を受けることができるのか。できるとすれば、法的な根拠を示してもらいたい、こう言っているのですよ。
  143. 佐野芳男

    ○佐野説明員 お答えいたします。  繰り返しになるかもしれませんが、公社は、言うまでもなく、私たち郵政省の一般的指導監督を受けるものでありますが、同和問題につきましては、電信電話事業の運営上の問題としてではなく、同和対策審議会の答申あるいは同和対策事業特別法というものに定められた事柄が円滑に実施されるように、いわばその地域の住民やあるいは一般企業と同じような立場からこれに協力するということになるので、そういう意味で関係行政当局の指導を受けるというふうに理解しております。
  144. 平田藤吉

    ○平田委員 電電公社は、地方自治体の指導を受けるという判断ですか。もし、そういう判断であるとすれば、法的な根拠を示してもらいたい。
  145. 佐野芳男

    ○佐野説明員 委員長、少し時間を下さい。
  146. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 ちょっとお待ちください。
  147. 佐野芳男

    ○佐野説明員 ちょっと答弁が明確でなかった点がありますが、電電公社に対する監督はあくまでも郵政省でやっておりまして、当面のいま問題になっておりますような問題につきましては、地方公共団体の助言があったりあるいは協力を求められることがあるという立場でございます。
  148. 平田藤吉

    ○平田委員 当然そうだろうと思うのですよ。地域で仕事をしているのですから、地方自治体との協力関係、意見を求めるとか、そういうことはあると思う。しかし指導というのは、やはり郵政省の指導を受けてやっていくというのがたてまえだと思うのです。電電公社はこの点どう考えているのですか、職員局長
  149. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  先ほどの通達の指導ということばについては、適切であったかどうか反省をいたしておりますが、ただいまの郵政省答弁のとおりに考えております。
  150. 平田藤吉

    ○平田委員 いまの通達の中で「解放同盟の指導」というふうに出ておるのですが、未解放部落の住民組織には同和会だとかあるいは部落解放同盟の正常化を願って結集した部落解放同盟正常化全国連絡会などがある。そこで聞きたいのですけれども、この文書の中で言っている部落解放同盟の中央の委員長というのはだれなんです。
  151. 中林正夫

    ○中林説明員 委員長の名前は私ども了知いたしておりません。
  152. 平田藤吉

    ○平田委員 知らないじゃ済まないでしょうが。指導を受けると書いてある。「指導のもとに」と書いてある。だからあなた知らないじゃ済みませんよ。明確に答えてください。
  153. 中林正夫

    ○中林説明員 通達を出しました近畿通信局は当然了知しておると思いますが、私どもそれからまだ報告を受けておりませんので、さっそく報告を受けて了知するようにいたしたいと思います。
  154. 平田藤吉

    ○平田委員 それはだめですよ。逃げ手なんだ。私が兵庫へ調査へ入るについて、電電公社から一緒に行かなくてもいいから現地で立ち会ってくれ、答弁ができないようなことがあっては困るのだということをちゃんと念押しをした。そこまで私のほうは親切にしてやっている。質問する中身については全部明らかにしてやろうというつもりでやっているんですよ。あなたのほうは何なんです。委員派遣なら一緒に行くけれども、そうでなければ行かぬと言う。国鉄はそんなこと言わぬですよ。調査して質問するから、一緒に行かなくてもいいから、行った先で立ち会っておいてくれ。そしてお答えできません、わかりませんというような答えが出ないようにしてくれ。私のほうはちゃんとそこまで配慮して、電電公社に対して困らないようにしようと思ってちゃんと手を打ってあるんですよ。全部わかるようにしておきますから、これがあなた方の答弁だ。わからないじゃ済みません。すぐ調べてちゃんと答えなさい。
  155. 中林正夫

    ○中林説明員 直ちに近畿通信局のほうへ問い合わせて、後刻お答えをいたします。
  156. 平田藤吉

    ○平田委員 聞こえない。
  157. 中林正夫

    ○中林説明員 近畿通信局のほうへ照会いたしましてお答えいたします。
  158. 平田藤吉

    ○平田委員 じゃ、いますぐ問い合わせますね。それがあなた出てこなければ、私が話すのもたいへんぐあいが悪いのだ。  そこで、この部落解放同盟、これは朝田という人が委員長のはずです。そして部落解放運動を進めている多くの人々の間では、あなた方が言っている部落解放同盟というのを朝田一派というふうに言っているのです。一つの集団です。部落解放同盟全体を総称していないという立場に立っているのですよ。それであなた方がここで指導を受けると言っているこの勢力がどんなことをしているか。どういう勢力か。最近の新しい事例を——これはどうしても検討してもらわなければならぬ問題ですから、紹介しておきます。  きのう神戸で「公正、民主的同和行政の推進、地方自治、教育と人権を守る兵庫県共闘会議」というのが声明を発表しているのです。その中身をお伝えしておきたいと思います。問題はテレビでも新聞でも報道されました兵庫県の八鹿町、八鹿高校事件といわれるものです。こう言っております。  「この事件のまえ、「解同」丸尾一派らは教職員にたいする暴力的“糾弾”を目的とした「八鹿高校差別教育糾弾闘争共闘会議」なるものをつくったが、その本部は八鹿高校内の応接室におかれた。この応接室には、丸尾らのほか、校長、教頭、同校育友会会長、副会長、県教育委員会同対室参事の畑中、同係長の前田らが連日たむろしていた。こうした状況のもとで、二十日ごろには、丸尾一派が「解放車」をしばしば校内に入れ、マイクで宣伝。十九日には学校内で工事し投光器をとりつけ、校舎内をわがもの顔に歩きまわる状態になった。二十二日、身体の危険に直面した六十一人の教師は、生徒と教師の身体、生命の安全をまもるため下校することにきめ、年休届をだすこととして、その旨を生徒に伝えると、教頭はこれを放送で妨害。下校をはじめると、丸尾が数百人の集団の先頭にたって阻止し、襲撃を指揮した。この間、県教育委員会の畑中が、これを玄関前で見守り、校外に出るなと先生たちを制止している。襲撃現場には警官が当初三人おり、公道上でリンチがはじまると、一台のパトカーと六人の警官が出たが、まったくこれを放置していた。丸尾一派は、教師の顔、手、腕、背中などをなぐりつけ、両手足をとってトラック、「解放車」に投げこむなどして、人によっては両手足をもたれ、ぶらさげられたまま正門まではこばれた。そのさい、教師は、警官の足につかまったり、剣帯につかまるなどしているが、警官は足をはらうなどし、丸尾らの暴行を放置していた。警官のなかには路上で傷をうけた教師一人を病院へはこび、病院で多数の被害、教師の名前を確認しているものもある。警察は、事態を完全に諒知していた。この間、約一時間、生徒と町民の目の前でこの事件がおきたもので、多くの目撃者がおり、警察にたいし丸尾一派を逮捕せよと要求する町民さえあった。教師たちは旧体育館につれこまれ、そこでいったん、なぐる、ける、水をかけるなどの徹底的なリンチをうけたあと、バラバラに二階会議室、「解放研」部室(これは教職員会議で反対されているのに、校長が部屋をあたえることを許可した)などにつれこまれ、さらにリンチをくわえられた。重体者のなかには、休養室、応接室などにいれられたものもある。このリンチのなかで多くの教師が県教育委員会の前田や校長やはちまきをしめてあるきまわっている但馬教育事務所長上田平雄を確認している。水をぶっかけられてずぶぬれになった教師は、下着を着がえさせられた。なかには、放置すれば死にかけたため、強心剤をうたれたり、全身マッサージをうけたものもいる。注射をしたり、マッサージをしたりしたのは、それまで待機していた町職員の保健婦である。いかに計画的であったかは明白である。暴行は異常をきわめ、一度、強心剤をうった教師に暴行を加えたり、水をかけられて、ずぶぬれになった男女の教師をむりやり裸にしたり、気絶した人の顔面にたばこの火をいく度もおしつけるなど、戦前の特高の拷問を思わせるものであった。これらの戦りつすべき暴行のなかで重傷をおい、気絶し生命に危険が生じたため病院にはこばざるをえなくなった教師は、現在、はっきりしているだけで七人はいる。こうした蛮行が十二時間以上もつづけられたうえ、それまでに病院にはこばれなかった教師は、最後に新体育館にならばされ、「解同」県連幹部山口、丸尾らが一人ひとりの教師の名をなのらせ、「自己批判書」は自分の意思で書いたことを確認させ、さらに「解放研」の生徒に先生の前で行進させるなどの「儀式」をおこない、勝利宣言なるものをおこなった。かれらは、そのまま重傷者を放置し、証拠いん滅をはかり、丸尾が「いまから機動隊がはいるから、機動隊には手をだすな」と告げて体育館を引き揚げた。残された教師たちは、職員に車をたのんでもらい病院にいくなどの状態であった。この教師たちにたいし、職員室にいた校長は「ご苦労さん、おくるまを用意してあります」とのべ、自分が丸尾一派と協力してリンチを遂行したことを放言したのである。  以上の新事実はつぎのことを物語っている。  (1) この血の集団リンチはたんに丸尾一派だけでなく、県教育委員会関係者、校長、育友会一部役員らがぐるになっておこなった計画的な犯行であることは明白であり警察はこれに協力している。県教育委員会関係者や校長、育友会役員が学内での暴力事件があったこと自体をみとめず、朝の路上での暴力事件をただのもみあいであったかのようにいいつくろっているが、これは、かれら自身の共犯者としての犯行をもみけすためのいいのがれにすぎない。また、校長、教頭、教育委員会関係者、育友会役員は、校内でのせい惨をきわめたリンチの現場を目撃しており、あきらかに生命に危険が生じているものにたいして、みずから救急車をよんでいる。しかるに警察当局の言によれば「正常な話しあいだから学内にはいってくれるな」と、警察が学内にはいることをこばんだという。まったくの丸尾一派との共謀によるリンチ事件であることは明白である。  (2)警察は、当然やらなければならない現行犯逮捕、被害者救出、犯行現場確認、犯人逃亡放置などの責任をまぬがれようとしている。警察が当初、路上で重傷者がでていることを諒知していたのは、警察官が立ちあっていたことでも明らかである。むりやりけがをした教師がら致されていくのも、現場にいて諒知している。さらに、警察は八鹿病院にいき、重傷者の名前の確認をしながら、危険があるか、ないかわからぬ、として校内にはいり、教師たちを救出することなく、リンチを野ばなししてきた。教師たちは、警察によって救出されてはいない。丸尾一派がリンチを終わり、教師が病院に向かったのち、はじめて校内にはいったのであり、まだ校内にいた丸尾一派をまったく放置したのであり、警察の責任はあまりにも明白である。  われわれは以上の重大な事実を国民のまえにあきらかにするとともに、法治国日本において絶対に許しがたい今回のファッショ的残虐行為を断固糾弾し、犯人の即時逮捕を要求してひきつづきたたかうものである。」こういうふうに声明を出しております。  私が全文読み上げましたのは、とにかくこんな事態が日本で起こっているのだ、しかも教育史上初めてといわれるような重大事件が起こっている。これを起こしたのはだれなのかということなんですね。これはあなた、ここで言っている解放同盟、あなた方が指導を受けると言っている解放同盟の連中なんです。だから私は全文読み上げている。きょうは警察庁からも来てもらっていますから、まず最初に警察庁にお伺いしましょう。こういうふうに歴然としている事実に対して、警察庁は犯人を何人逮捕したのか。もし逮捕してないとすれば、いつ逮捕するのか明らかにしてもらいたい。
  159. 佐々淳行

    ○佐々説明員 お答えいたします。  警察庁といたしましては、十一月二十二日、八鹿町におきまする県立八鹿高校において発生をいたしました集団暴行事件につきまして、現在、兵庫県警におきまして捜査を続行しておる状況でありますが、現時点まで逮捕者はまだ出ておりませんが、五十三名の捜査体制をもちまして鋭意真相究明のための捜査を続けております。また、警察庁の基本的な姿勢でございますが、違法行為は看過しないという基本的な姿勢をもって本件の真相を究明し、可及的すみやかに強制捜査を含む捜査的な措置を本件についてとるべく、現在鋭意努力をいたしております。
  160. 平田藤吉

    ○平田委員 鋭意努力もいいけれども、こういう事態でしょう。目の前でリンチを受けている。重傷を負わされている。それが見過ごされている警察なんです。それであなた、鋭意努力をする。この間も山原議員が質問したのに対してそう言っている。だけれども、まだあなた、逮捕者をきちっときめていない。ずいぶんのんびりした話だと思うのですよ。とにかくあなたが言ったように、すみやかに急速に対処することを要求します。  で、ここに書いてある解放同盟の委員長、わかりましたか。
  161. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  解放同盟の中央委員長が朝田善之助というふうに報告を受けております。
  162. 平田藤吉

    ○平田委員 先ほどもちょっと触れましたように、いま報告された朝田善之助というのが委員長だそうだけれども、さっきも言ったように、部落解放運動に携わる人々の間では朝田一派といわれている集団、利権と暴力の集団といわれている。この問題、もう一度あとで聞きますけれども……。そこで、この兵庫県委員長をやっているのが、この朝田一派のもとで兵庫県の解放同盟の一部を握っている勢力、小西弥一郎。これは解放新報社発行の冊子の中でこう書いているんですね。「解放運動とともに」という冊子の中で、「日本共産党の国会議員は、「この法律は毒まんじゅうだから反対だ」と評価したことは間違いのない事実である。」こう言っている。それでずうっと反共論文を書いているでしょう。共産党が何でこの法律を、というふうに言っているかというと、同和対策でしょう。共産党は一体国会で同対法に対して毒まんじゅうだと一ぺんでも言ったことがあるか。これをひとつ明らかにしてもらいたい。こういうことが、あなた方、正しいと考えているのか。またこういう状態、「差別者集団共産党宮本一派各地で暴挙」。何をやった。これを大見出しですよ。こういうものを正しいと思っているの。電電公社、代表してどなたか答えてください。これを正しいと思っているのかどうか。それから総理府からもひとつ答えてもらいたい。
  163. 山本正司

    山本(正)説明員 ただいまの御指摘に関しましてお答え申し上げます。  御指摘の解放新報は、私のほうの三田の局におきまして同和問題が発生をいたしまして、その問題の収拾あるいは一般職員へ同和問題の認識をさらに浸透さすために、兵庫県あるいは三田市等の行政機関とも十分御相談の上、そういった趣旨に適したテキストとして三田の局に配付いたしたものであります。この新報の中には同和問題の歴史だとかあるいは法律等の解説等もありまして、テキストとして関係行政官庁から推薦を受けたものでございます。
  164. 平田藤吉

    ○平田委員 よそを向いた答弁しなさんなよ。私の聞いたことに答えてください。いま読み上げたようなことをあなた方正しいと考えているのか、と聞いているんですよ。
  165. 山本正司

    山本(正)説明員 そのパンフレットの中身に関しまして私どもとやかく批判する立場にはございませんが、同和行政に関する責任ある中央行政機関からの推薦に基づいて配付したものでございまして、電電公社といたしましては、これがその趣旨、目的を達成するために適切な手段であった、というふうに理解をいたしておるわけであります。
  166. 平田藤吉

    ○平田委員 理解をする上で適切であったというのは、この内容を含んでいるじゃないか。わが党が同対法のときに毒まんじゅうだと言って反対したことがあるんだったら、ちゃんと言いなさい。あなたは正しいと言っている、適切だと言っている。そういうことが適切であるかどうか、はっきり言いなさいよ。
  167. 山本正司

    山本(正)説明員 先ほども申し上げましたように、繰り返すことになりますが、中身に関しましては私どもノータッチでございまして、関係行政機関から推薦されたものを配付いたしたわけであります。
  168. 平田藤吉

    ○平田委員 あなた、中身ノータッチだって。ばかな話ないでしょう。こう書いてあるでしょう。「同和問題を正しく理解し認識を深めていくための学習資料の一つとして本書を配付いたしますのでみなさんとともに学習に励みましょう。昭和四十九年九月三田電報電話局長」。  まだ中身に責任負わないの、あなたは。答えなさいよ、ちゃんと。推薦しているんだよ、中身を。答えてくださいよ。
  169. 山本正司

    山本(正)説明員 そのパンフレットは、公社が独自に選定したものではないのでありまして、兵庫県の行政官庁の推薦を受けて配布したものであります。
  170. 平田藤吉

    ○平田委員 いかにも自主性がないじゃないか。こんなでたらめなことを国会で答弁していていいんですか。人がこれはどうですかといったから、はいよといって配る。そんな無批判にやるのですか、あなた方は。しかも、三田電報電話局長のちゃんと署名入りで推薦しているのですよ。よそが推薦したから配ったのでございます——子供みたいなことを言いなさんな。子供だってもう少し気のきいたことを言いますよ。わからないのですか。見せてやりましょう。——きちんと答えてもらいましょう。名前を書いてあるのですから。推薦しますといっている。中身を推薦しているんだ。だから、あなた方はこういう中身を正しいと考えるのかどうか。答えてください。
  171. 山本正司

    山本(正)説明員 何回も御説明いたしますように、同和問題に関しまして、電電公社よりもさらに専門的な指導能力を持っておられる行政当局の推薦によったものでありまして、公社としては、この問題処理のためにとり得る適切な手段であったというふうに考えております。
  172. 平田藤吉

    ○平田委員 市が推薦したら、日本共産党が国会で同対法に毒まんじゅうだといって反対したということが書いてあっても、あなた方は一向にかかわり合いないと言うのですか。こんな話じゃ世の中通りませんよ。  自治省、こういうものを地方自治体が推薦しているわけだけれども、共産党は同対法に対してそういう態度をとったというふうに考えますか。自治省、答えてください。
  173. 竹村晟

    ○竹村説明員 その経緯につきましては私も存じませんけれども、やはり同和関係の研修なり資料関係等につきましては、同和対策の特別措置法なり、あるいは同対審の答申に沿って、それぞれ地域の実情に応じてやっているところではないかというふうに考えております。
  174. 平田藤吉

    ○平田委員 地域の実情を聞いているんじゃないんだよ。いまの中身を、あなた方は正しいと考えるか、事実だと思うのかということなんだ。事実関係を聞いているんだよ。国会でちゃんと論議して、同対法に対しては日本共産党が毒まんじゅうだといって反対したという事実はあるのか、ということを聞いているんだよ。自治省、もう一ぺん答えてください。
  175. 竹村晟

    ○竹村説明員 その事実につきましては、私は承知いたしておりません。やはり、この同和関係行政につきましては、その辺総理府のほうが一応総括的な仕事をやっておりますので、総理府のほうから御答弁いただきたいというふうに思います。
  176. 平田藤吉

    ○平田委員 じゃ、総理府から答えてください。
  177. 山縣習作

    ○山縣説明員 先生承知のとおり、政府におきましては、四十四年に制定されました同和対策事業特別措置法と同和対策長期計画、これに基づきまして事業をやっているわけでございまして、総理府は関係各省事業の総合調整機関でございますので、いまの点につきましてはお答えいたしかねると申しますか、差し控えたいというふうに考えております。
  178. 平田藤吉

    ○平田委員 じゃ、総理府にこれを読んでもらいましょう。——この赤線を引っぱった部分を読んでもらいましょう。同対審だ。
  179. 山縣習作

    ○山縣説明員 それでは読み上げたいと思います。同和対策審議会の答申でございますが、「なお、同和教育を進めるに当っては、「教育の中立性」が守らるべきことはいうまでもない。同和教育と政治運動や社会運動の関係を明確に区別し、それらの運動そのものも教育であるといったような考え方はさけられなければならない。」。かように書かれております。
  180. 平田藤吉

    ○平田委員 いま総理府のほうで読み上げたとおりだ、同対審が教育という問題について考えているのは。しかもこれも教育内容なんだ。だからこの中身が正しいのかどうかというふうに聞いているんだよ。いつまでたってもあなたは答えないんじゃだめですよ。逃げないで答えなさいよ。推薦している以上、中身を推薦したんだろう。どうなんです、答えてください。
  181. 山本正司

    山本(正)説明員 先ほど来申し上げておりますような経緯に基づきまして同和問題の研修テキストとしてそのパンフレット、むろん中身も含まれるわけでありますが、そのパンフレットを行政官庁の推薦に基づいて配布したものでありまして、私どもがその中身についてとかくの批判を下すべきものではないと思います。
  182. 平田藤吉

    ○平田委員 それじゃ聞くけれども、日本共産党が同対法を毒まんじゅうだといって反対したという事実はあるのかないのか。これははっきりさせておいてもらいたい。——どこです、総理府ですか。
  183. 山縣習作

    ○山縣説明員 そういう事実がございましたか、あるいは全くございませんか、そこら辺の関係は私残念ながら承知してないところでございます。
  184. 平田藤吉

    ○平田委員 日本共産党は、不十分ではあるけれども、ということで賛成しているんですよ。それを、毒まんじゅうだといって反対したといって、全くのでたらめを書いている。こういうものを電電公社の職員に教材として与えているんだよ。だから事は重大なんですよ。地方自治体が推薦したんだから私のほうには責任がありませんというばかな話はないんですよ。これは米澤総裁、もう一ペんひとつ総裁の立場から、いまの論議を聞いて、こんなばかなことを電電公社はするのかと思うのだけれども、答えてください。
  185. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  いろいろお話を伺っておりまして、今後とも行政当局の指導を受けまして、慎重に対処いたしたいと思います。
  186. 平田藤吉

    ○平田委員 いま言ったようなでたらめを並べ立てている部落解放同盟の朝田一派、この朝田一派の中から電電公社の研修の講師が当てられることになっているのです。近畿通信局の職員研修計画表によりますと、講師の六名中五名が、先ほど申し上げたようなリンチ事件を組織してくるような連中の中から当てられているのですよ。講義時間十八時間中十五時間が、この朝田一派を講師としているのです。なぜこんなことがきめられたか。これ、ひとつはっきり聞かせてもらいたい。
  187. 中林正夫

    ○中林説明員 研修の講師につきましては、いろいろ専門的な問題でもございますので、行政当局、地方行政当局といろいろ相談をいたしまして、行政当局の方あるいは行政当局の推薦された解放同盟の方というものを講師にいたしておるわけでございます。
  188. 平田藤吉

    ○平田委員 全く、電電公社、自主性がないのですな。みずからが責任を負うという態度がないのですよ。行政当局、行政当局と言って、市が推薦したのだから何でもいいのだという立場に立って事に処している。だから私は、指導という問題について非常に重大な関心を払ったわけですよ。  すでに実施された七百四十名の採用担当管理研修で、会場費、講師の謝礼だけで三十万円かかっています。近畿の全管理者四千二百五十名、職員四万六千名の研修を完了する費用は百万円くらいに押えたい、というふうに近畿の通信局では言っております。しかし、実際にどのくらい費用がかかるのかというのは、これは大問題ですね。全職員約五万人でしょう。十八時間の研修を実施しますと、時間給にして幾らくらいになるか、お答え願いたい。
  189. 山本正司

    山本(正)説明員 ただいま御指摘の研修の件でありますが、とりあえず、通信局の部長あるいは現場機関長それから採用担当者等の管理者に対する研修を実施いたしたわけでありますが、一般職員に対する研修につきましては、さらに具体的な計画をこれから立てなければなりませんので、そういったものを待って経費の算定をいたすことになると思いますけれども、それぞれ段階別にいろいろ研修のやり方等も異なってまいりますので、総体として近畿通信局の言っておる百万円程度の経費でおさまるのではなかろうかと思いますが、もう少し具体的な計画がはっきりいたしませんと、明確なことはちょっとお答えいたしかねるわけでございます。
  190. 平田藤吉

    ○平田委員 単純な質問をしているのですよ。約五万人で十八時間の研修を実施すると、時間給にして総額幾らかかるのだと聞いているのですよ。約六億円でございますというのがあなた方の返事なんだよ。六億円だよ。公社は赤字でございますと言っているけれども、これだけに六億円かけるのだ。しかも朝田一派、あの利権と暴力の集団と言われている朝田一派を講師にして六億円かけるのですよ。とぼけちゃだめですよ。実施計画が具体化しておりませんからと言ったって、この通達によれば全部だ。こういうあなた方の不誠実な態度が問題を引き起こすのですよ。聞いてみると講師との打ち合わせもしてない。中身はまかせきり。これが実態ですよ。何しゃべっているかわからない。しかも、兵庫での研修会の講師は、日本共産党を誹謗中傷しているいまの解放新報の編集長の久保重蔵と編集次長の北川文彦、これに講義をさせている。実質的には朝田一派の指導でばく大な費用と時間を費やして行なわれる偏向研修ですよ。不偏不党の立場を守らなければならない電電公社の立場に反するものだと考えるけれども、どう思うのか。これは総裁、ひとつお答え願います。
  191. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、同和事業特別措置法の精神によりまして、関係行政機関の指導を受けつつこれに対処する、こういう基本方針でいくことにしております。
  192. 平田藤吉

    ○平田委員 いま言ったように、これはやはりあなた方にもう少しはっきりさせておかなければならない問題だと思うのだけれども、さっき行政機関の指導を受けてと言っているが、「解放同盟の指導のもとに、」というふうに通達では言っているのですね。解放同盟の指導を受けるという法的根拠を示してください。
  193. 山本正司

    山本(正)説明員 ただいま御指摘の近畿通信局が出しました通牒の中にそういう表現がございますが、これは研修に関する通達でございまして、研修に関しましては、先ほど来御説明いたしておりますように、地域の行政機関等の指導協力を得ながらやるというたてまえになっております。地域の行政機関からそれぞれ講師のあっせん等も受けております。その中に解放同盟の方々も入っておりますので、この研修に関する通達におきましては、行政機関及び解放同盟というように並べて書いたわけでございますが、こういう表現をとりました意味合いはただいま説明したようなことでございます。
  194. 平田藤吉

    ○平田委員 あなたは全くわからないことを言う人だね。解放同盟の指導を受けるという方針なんでしょう。法的根拠を示しなさいと言っておるのですよ。出しなさいよ。
  195. 山本正司

    山本(正)説明員 直接解放同盟の指導を受けるということではなくて、行政機関の指導、協力を得てということでありますが、研修に関しては、関係行政機関からあっせん、推薦を受けました講師の中に解放同盟の方々が入っておりますので、その研修の通達の表現としてはそういうふうになったわけでございます。
  196. 平田藤吉

    ○平田委員 そうじゃないんだよ。もう一ぺんよく読みますか。「行政当局ならびに」、並びにですよ、「解放同盟の指導のもとに、公社管理者および職員に対し、」研修を行なうということなんですね。教育するんだよ。  では、もう一つ聞くけれども、この研修はどういうふうにしてやるつもりです。業務命令で研修させるんですか。
  197. 山本正司

    山本(正)説明員 一般職に関する研修につきましては、今後労働組合とも十分話をしながら、業務命令といったような事態に立ち至らないように話をしながら、進めてまいりたいというふうに考えております。
  198. 平田藤吉

    ○平田委員 業務命令にならないように指導する。では、管理職は業務命令でやるのか。あなたの話だとそういうことになりますな。大体、公社が中立性を貫くという立場からいっても、一党一派に偏しないという立場からいっても、こういうことはふさわしくないというんだよ。部落解放同盟の指導を受ける。「指導」となっておる。何をあなた方は考えておるか。指導を受ける筋合いは全くないんだよ。教育に関しては、運動団体の指導を受けるなんということはあり得ない。しかも電電公社が大衆運動団体の指導を受けるなんということはあり得ない。もう一ぺん答えなさいよ、指導を受けるということについて。
  199. 山本正司

    山本(正)説明員 市町村の推薦に基づいて講師をあっせんしていただいて、講師としての指導、研修を受ける、こういう意味でございます。
  200. 平田藤吉

    ○平田委員 現場はそうなっていないんだよ。解放同盟と相談をして講師をきめているんだよ。指導を受けてきめているんだよ。あなたは行政当局という市町村に全部責任をなすりつけている。電電公社としてどうするのかということを聞いているのだよ。責任ある態度をとりなさいよ。誤りでしょう。行政当局並びに解放同盟の指導のもとにやる、指導を受けるということ自体が誤りなんじゃないですか。さっき論議したばかりです。認めなさいよ、誤りであることを。——答えてもらいましょう。
  201. 山本正司

    山本(正)説明員 行政当局の指導協力をまって同和問題の処理に当たるということは、同和対策事業特別措置法あるいは同対審の答申等の趣旨からいたしましても誤りではないと思います。
  202. 平田藤吉

    ○平田委員 電電公社はこういっているんだけれども、さっきの自治省の見解、それから総理府の見解、郵政省の見解と全く対立するんだけれども郵政省はどう考えますか。いつまでたってもこういうことを返事している。
  203. 佐野芳男

    ○佐野説明員 お答えします。  先ほどから先生の御指摘ありますように、同和問題の重要性につきましては、省といたしましてもっとに認識しているところであります。したがって、公社当局におきましても、先ほど総裁のほうから御答弁がありましたが、全く同じ考えであろうと確信しております。御指摘の近通局における問題につきましても、この種同和問題の正しい認識あるいは理解を深めるということから、公社みずからの判断に基づいて研修会等の企画をしたものと思います。なお、今後につきましては公社に対しまして、省といたしましてその取り扱いに関して御指摘の点も十分に顧慮しながら、適切かつ慎重に配意するように指導していきたいと考えております。
  204. 平田藤吉

    ○平田委員 またあなたもまともに返事してないんだよ。解放同盟の指導を受ける、朝田一派の指導を受けることになるわけだが、指導を受けるということは一体正しいのかどうかということを私はさっきから聞いている。さっきの見解と食い違っておるから。あなた方が言っていることと電電公社が言っていることとは全く違うんだ。こういうでたらめが通用していいはずがない。だから解放同盟の指導を電電公社は受けるようになっているんですか、と指導機関としての郵政省に聞いているんですよ。もう一ぺん答えてください。
  205. 佐野芳男

    ○佐野説明員 ちょっと私の答弁が抽象的であったかもしれませんが、先生指摘の点も含めて今後適切かつ慎重に配意するように指導していきたいというふうに考えております。
  206. 平田藤吉

    ○平田委員 だめですよ。こういう返事ばかりしているんですからね。指導を受けるのかどうかということを言っているんです。指導を受けることが正しいのかどうか。もし正しいとすれば、法的根拠を示しなさい、こう言っているんだ。話はわかるんですよ。
  207. 佐野芳男

    ○佐野説明員 お答えします。  先ほども公社のほうから答弁がありましたが、郵政省としましても、関係行政機関の推薦する同和問題の研修にふさわしい講師の指導といいますか助言を受けてこの研修会が開かれ得るように指導したいと思います。
  208. 平田藤吉

    ○平田委員 つまり解放同盟の指導を受けるということは一体どういうことなんだと言うんですよ。法的根拠を示しなさい。電電公社が解放同盟、大衆運動組織の指導を受ける、それで法的にも根拠がありますというのか。
  209. 佐野芳男

    ○佐野説明員 お答えします。  繰り返しになりますが、研修会等の講師につきましては、一般的には同和問題に学識経験のある方に依頼するのが適当と考えております。  なお、特定の団体といってもいろいろあると思いますが、そのことだけによって不適当、適当ということは、私どもの立場としては言えないと思います。
  210. 平田藤吉

    ○平田委員 それじゃ、部落解放同盟の指導を受けてという文章は正しいという見解ですね。もう一ぺん答えてください。
  211. 佐野芳男

    ○佐野説明員 部落解放同盟とか、あるいはほかの団体も各種あると思いますが、私は特定の団体の、特定の人といいますか、そういう人たちが講師になることが適切というふうには答えておりません。
  212. 平田藤吉

    ○平田委員 これは講師になるかどうか聞いているんじゃないんですよ。研修をするに当たって、「行政当局ならびに解放同盟の指導」を受けるということになっているが、これは正しいのかというんですよ。指導を受けるということは正しいのか。さっき行政当局の指導というのは正しくない、指導機関としては郵政省でございます、という返事なんだ。この段に及んだら、ここのところは強引にあなた方は拒否している。指導を受けるということは、行政当局については、これは郵政省なんだよというふうにはっきりしながら、部落解放同盟の指導も受けますということなんです。そういうふうに理解していいんだね。
  213. 佐野芳男

    ○佐野説明員 先ほど、公社側のほうから御返事がありましたが、私の理解としましては、そこに書いてある指導という意味は、先ほど私が申しましたように、行政機関の御推薦によって選ばれた講師といいましょうか、一般的な意味の指導ということで使われていることばではないかと思います。
  214. 平田藤吉

    ○平田委員 いやしくも通達に指導と書いてあるんだよ。一般的な意味じゃないんだよ。あんたわからないね。それは講師をだれを選んでくるか、かれを選んでくるかということはあると思うよ。私が聞いているのはそうじゃないんだよ。通達でもって研修会を「行政当局ならびに解放同盟の指導のもとに、」というふうに言い切っていいのか。講師をだれにするか、かれにするかじゃないんだよ。
  215. 佐野芳男

    ○佐野説明員 その指導ということばにこだわるようでございますが、私の理解といたしましては、指導という一般的に使われることばじゃなしに、単に先生の講義を受ける、こういうふうに理解したいと思います。
  216. 平田藤吉

    ○平田委員 そうしたら、そういうふうな文章にするならそういう文章でやったらいいので、指導というのは正しくないという見解を示せばいいでしょう。
  217. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  近畿通信局が出しました通達の文言、「行政当局ならびに解放同盟の指導」ということは、適切であったかどうか非常に疑問に思いますが、近畿通信局が出した意味は、行政当局のいろいろ助言なり協力なりを得ながら、そこで講師につきましては解放同盟の方というものも推薦されておりますので、そういった解放同盟の方の講師の講義を受ける、そういったような意味合いでこの文字を使っておるのだというふうに理解しております。
  218. 平田藤吉

    ○平田委員 郵政省に聞いているんだ。
  219. 佐野芳男

    ○佐野説明員 いま電電公社の職員局長から御答弁がありましたが、その答弁のとおり郵政省として今後指導していきたい、こういうふうに考えます。
  220. 平田藤吉

    ○平田委員 これは重大問題ですよ。今後において指導を受けますということをあなたは確認するんだったら、これは重大問題だ。
  221. 佐野芳男

    ○佐野説明員 いま私が答弁いたしましたのは、指導を受けるということを言っているわけじゃありませんで、先ほど言いましたように講義を受けるというふうに公社も理解をしておりますので、私たちも当然そういうふうに理解しておりますし、今後もそういうふうな行き方でやっていきたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  222. 平田藤吉

    ○平田委員 ここでいわれている指導を受けるというのは正しくないんだということですな。
  223. 佐野芳男

    ○佐野説明員 文章につきましては、先ほどから私聞いておりますのでよくわかりますが、文言そのものにつきましては、起案しておりますのは電電公社でありますので、私の口からじかに申し上げられないと思います。
  224. 平田藤吉

    ○平田委員 それじゃ電電公社に、この表現は正しくないというなら正しくないで取り消しておいてもらいたい。
  225. 中林正夫

    ○中林説明員 通達の表現は、ごく一般的な意味で指導という表現を使っておりますが、行政当局との接し方というものと、解放同盟の講師の人との接し方とはおのずから違うものでございますから、この点については必ずしも表現は的確ではないというふうに考えております。
  226. 平田藤吉

    ○平田委員 いま指導という表現については取り消すという趣旨で理解していいんだね。三田電報電話局に対して、今後この種の、いま申し上げたように中立を堅持しなければならない電電公社が、この種のものを配布するということは正しくないと思うんです。だから公社自身がこういうものを配るというようなことはやめるべきだというふうに思うけれども、どうですか。担当は職員局長かな。
  227. 山本正司

    山本(正)説明員 研修等に使いますテキストにつきましては、今後とも関係行政官庁等の指導あっせん等によりまして、適切に処理をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  228. 平田藤吉

    ○平田委員 ついては、最初から問題にしました方針と計画、これは全面的に撤回して再検討し直すべきだというふうに思いますが、米澤総裁、ひとつお答え願います。
  229. 山本正司

    山本(正)説明員 電電公社といたしましては、法律あるいは答申の趣旨にのっとりまして、今後とも行政官庁等の指導を得ながら、十分法律答申の趣旨が徹底するように下部機関を指導してまいりたい、こういうふうに思います。
  230. 平田藤吉

    ○平田委員 最後に一つお聞きしておきたいのですけれども、公社はことしの八月六日に部落解放同盟兵庫県連合会委員長小西弥一郎殿とした近職第五九二号という文書によりますと、「公社は職員の採用に当って、差別的な選考を実施し、同和地区出身者等に対する就職の機会を奪っていたことを深く反省します。」というふうに謝罪文書を出しているけれども、就職の機会を奪ったという事実があるのかどうか。
  231. 山本正司

    山本(正)説明員 新入職員の採用試験にあたりまして、従来身上調書だとかその他いろいろ身元を調査する等、通常やっておったわけでございますが、そういったものがこの法律の趣旨、精神に反するのじゃないか、こういう疑問が出てまいりまして、そういった点について改善、検討を加えたわけでございます。具体的に就職の機会を奪った事例があるのかないのか、その辺は必ずしもつまびらかにいたしておりません。
  232. 平田藤吉

    ○平田委員 事例を知っていないで重大な文書が出されていますね。ちゃんとわかるようにしておいてくださいよと言っているのですから、まことに不誠意な態度だといわざるを得ません。時間も来ておりますから、私はまた次の機会にこの問題については触れたいと思います。ほうっておくわけにはいかない。いままで答弁されたことのすべてを容認するわけにはいかない。ある程度あなた方の考え方もわかる。法律を基礎にしてこれからがっちりそのつもりでやりますから。しかも就職の機会を奪ったといって謝罪文を出しているんでしょう。謝罪文を出している以上、具体的な事例があるんでしょうが。あったら、具体的な事例を出して、まことに申しわけなかったと言って、ここであやまるのがあたりまえなんですよ。朝田一派に謝罪文を出したところで事態は解決しやしないのですから。そういう意味で私はこの近職第五九二号なる文書も撤回すべきであるというふうに考えます。  時間も経過しましたから以上で一応きょうのところは終わりますけれども、わが党は戦前戦後を通じて、創立以来一貫して未解放部落の住民の解放のために戦い抜いてきた唯一の党であります。いま部落解放同盟の朝田一派は暴力と利権をほしいままにしていますけれども、それは未解放部落住民の意思に反するものであり、差別を新たに助長し、民主主義を踏みにじるものであります。部落解放同盟正常化全国連絡会に結集した人々をはじめ多くの未解放部落の住民と広範な国民は、朝田一派の横暴をいつまでも許さないでありましょう。わが党は、これらの人々とともに部落解放運動の正しい発展のために、民主主義を守るために一そう奮闘します。  今回、電電公社の一部にあらわれた誤りを正すということはそういう意味で非常に重大だ。たとえば業務命令で講習を受けさせるかどうかという問題一つをめぐっても今後紛糾を招く。これはもうわかり切っている。というのは、朝田一派のあの暴力集団の一部が講師になって出てくるわけですから、そういう暴力集団の講義を受けることができないといった場合に、あなた方は業務命令違反という形で押してくるという危険性すらあるのです。だから私はさっき追及した。強制的に講義を受けさせるということは思想、信条の自由、憲法に違反することにもなるでしょう。そういう意味で、中立であるべき公社のとるべき厳正な態度、これを貫いていく上でこの問題を私は重視して今回取り上げたわけです。したがって、引き続いてこの問題については検討します。そうしてあなた方も、まことに不明確な、まことにずさんな答弁しかしておりません。これもあなた方自身も検討してもらって、法律に基づいて正しい運営が行なわれるようにすべきであるというふうに考えます。  以上、申し上げまして今回の質問を終わります。
  233. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に田中昭二君。
  234. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それでは最初郵便事業につきましてお尋ねしますが、まず、このたびの赤字の原因は一体どういう実態になっておりますか、ひとつわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  235. 廣瀬弘

    廣瀬説明員 この前も若干御説明申し上げましたけれども、主として郵便事業の収支の赤字の傾向でございますが、その基本的な理由ということになりますと、先ほど大臣も申し上げましたけれども、収入がきわめて弾力性に乏しい仕事であるということと同時に、支出の面でながめてみますと、人件費がその大宗を占めるというようなことでありまして、給与改定が大きくなりますと、それに左右されまして赤字が大きくなるという性質のものであろうと思うのであります。たとえば四十七年度を一〇〇といたしまして最近の傾向をながめてみますと、収入は四十九年度で一一四ぐらいの係数になっておりますが、支出は、四十七年度を一〇〇といたしますと一五五という大幅なものになっておりまして、その格差が相当広がっております。また、今後もこういった傾向は続いていくものと思われるわけでございます。  ところで、こういった傾向を具体的な年次につきましてたどってまいりますと、四十八年度おきまして郵便事業収入は三千八百十四億でございますけれども、その年次におきます支出は四千六十四億でございますので、二百五十億円の赤が出ております。この四十八年度の処理は、持ち越し資金によって充当いたしてその年を過ごしたわけでございます。さらに、この郵政財政はその後非常に逼迫してまいりまして、昨年の十月郵政審議会から郵便料金を改正することが適当であるという旨の答申をいただきましたけれども物価抑制という見地から、四十九年度予算おきましては値上げを含まない、値上げを折り込まない予算とするということで編成されたわけでありますが、この際、六百九十六億円の赤字を生じておるわけでございます。この六百九十六億円の赤字につきましては、借り入れ金によってこれをまかなうという形で予算編成されたわけでございます。この四十九年度赤字の内容でございますが、収入は四千百七十四億でございまして、これに対する支出が四千八百七十億円であったわけであります。したがいまして、差し引き六百九十六億円の収入不足ということが出ておるわけでございます。なお四十九年度につきましては、当初予算後仲裁裁定がございまして、さらに支出がふくらんでおります。そのために、その関係で約七百億程度の予算支出の増が見込まれるのが現在の状態でございます。したがいまして、年間を通じますと赤字はおそらく千四百億程度になろうかと思っておりますが、今後補正予算関係でまだ数字が確定いたしておりません。そういった状況でございますが、同時に物件費のほうも相当の値上がり等がございますし、また物件費の内容も、賃金だとか、あるいは請け負い費のように非常に人件費的な性格のものが多いために、これらの値上がりによる必要額もふえております。したがいまして、本四十九年度おきまして人件費、物件費を合わせまして、総体として千四百億ぐらいの赤が出るというようなことになっております。さらに五十年度になりますとこの赤字が増大するというようなことが見込まれるわけでございます。  以上が大体の最近の経理状況から見ました赤字の内容でございます。
  236. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私、いま数字的に述べられましたものにつきましてはおおよその見当はつくわけでございますが、私は、その数字をかもし出しておりますさまざまな状況が現場の郵便事業の中でどのように評価されておるかというようなことも国民に明らかにしなければ、ただ数字の足し算、引き算だけでは了解できない、こういうことを思うわけでございます。  そこで、先ほどもちょっと問題にしましたが、前回値上げのときに、いわゆる四十六年当時に法第三条も挿入された、それで、そういう独立採算制というようなものを確立していくということにおいては、国民にほんとうに協力を得、理解をしてもらうためには利用者に対するサービス改善ということをうたってあった、このように聞いておりますが、これは間違いございませんね。確認しておきたいと思いますが、ございませんね。——そうしますと、そういう考え方であったわけですね。  私はその一例として先ほど郵便標準送達所要日数ですか、これを取り上げたわけでございます。これが最近変わっておるようでございますが、一応の例としまして、東京から札幌、それから東京から福岡の普通郵便で、この日数表にありますのを改正したのはいつか。改正後はどういう標準日数になっておるか、お示し願いたいと思います。
  237. 石井多加三

    ○石井説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のございました東京から札幌に対する郵便日数表でございますが、当初昭和四十六年の十月に日数表を公表いたしたわけでございますが、その当時の東京−札幌間の所要日数につきまして公示いたしましたのは、東京の中央郵便局から出す場合でございまして、一日ないし二日ということで発表いたしました。ところが、これは御案内のとおり、深夜における夜間の郵便専用機を飛ばすことができなくなりまして、そのために、この十一月一日からそういった面でのおくれが出まして、現在の中央郵便局で発表いたしております札幌までの所要日数は二ないし三日ということになっております。それから福岡あてのものでございますが、これもちょうど同じ数字でございまして、これはことしの三月一日から深夜の航空便を廃止いたしましたので、それまでは一ないし二日、それがことしの三月一日から二ないし三日ということになっておるわけでございます。もちろんこれは、その前の夕刻五時ごろまでに差し出されたものがあと何日で到着するかということで申し上げておるわけでございますが、同時に、お触れになりましたように、たとえば組合の闘争期間中とか、そういった異常事態の場合は必ずしも日数表にはよれないということにしておるわけでございます。
  238. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま日数表を読んで説明してもらったわけでございますが、事実こういう標準日数をせっかく発表しながら、現実に東京−札幌間で通常郵便で二日か三日で行っているというようなことが、これは数字で発表しただけで、現状がこうなっておるかということについてはたいへん疑問がある。速達でも、私は九州でございますけれども、こういう日数ではほとんど届いていないということをしょっちゅう聞くわけです。それは一応別にしまして、そういう状況で、やっておることがいかに現実と違っておるかということをほんとうは当局は調べなければならない、こう思うのです。   〔委員長退席、羽田委員長代理着席〕  そこで、昨年度初めて発表になりました通信白書、これを読ましてもらいますと、この中にも、これに関連のある「サービスの現況」というところの「業務運行の現況」、この中に、いま局長からお話があったように、四十六年に改正して、四十六年は大体順調にいった、引き続いて四十七年は四十六年よりもよくなった、こういうふうな現況を書いてあるわけでございますが、ただ一部の地域、特定の期間にはたいへん利用者に迷惑をかけているというふうに現況を述べてあります。その内容がまたその次に詳しく述べてありますが、この四十六年、四十七年、いわゆるここに通信白書に出ていますこの利用者に迷惑をかけた一部の地域、特定の期間というのは、どういうところでどういうおくれになっておるのか、どういう迷惑をかけたのか、わかっておれば教えてもらいたいと思います。
  239. 石井多加三

    ○石井説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の通信白書の中で郵便事業の現況を説明申し上げておるわけでございますが、ただいまの四十七年度における郵便業務につきましては、お話しのとおり全般的には順調に運行されたわけでございますが、七月に西日本地区、これは松江市、鳥取市、それから山口県、福岡県等に非常に集中豪雨がありましたためにその地域での郵便がおくれましたということと、九月になりまして中旬以降いわゆる合理化問題が出てまいりまして、全国的に三六協定と申しますか、超過勤務協約が締結されなかったために若干の郵便物が遅延したことがございます。それから十一月には年末闘争が始まりまして、一日約百二十万通程度の郵便が滞留し、送達がおくれたわけでございます。四十七年度郵便業務につきましては、そういった特別な地域あるいは特別な時期を除きますと、全般的には順調に運行された、かように聞いております。
  240. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは、災害等があった場合おくれるというのは私はわかるのですけれども、いまの、ただそういう災害を除けば業務の運行が正しくいったとはいえないようないわゆる郵便の遅配等の現象があるということ、それもたまたま一部分だろうと思いますが、そういうふうに私は受け取るわけでございますが、同じく四十八年はどういうふうになっておりますか。   〔羽田委員長代理退席、委員長着席〕
  241. 石井多加三

    ○石井説明員 お答えいたします。  四十八年度につきましてはまず春闘の時期、したがいまして四月でございますが、多い日では二百万あるいは三百万というふうな滞留が四月の十六日ごろから、五月に入りましても十四、五日ぐらいまでの間に、そういった日がかなり続いたことがございます。それから十一月になりまして、これは年末闘争でございますが、これは御案内かと思いますけれども、十二月十日に二千三百万という史上最高の滞留を生じたわけでございまして、昨年の十一月から十二月にかけましては、かなり長期にわたりまして相当大量な郵便物の滞貨が出まして、たいへん御迷惑をおかけしたということは、私どもは具体的な数字として掌握いたしております。
  242. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 四十八年度は史上最高のことが二回も続いた。最後の年末は、いまおっしゃったように、二千三百万、四十九年はさらに悪くなったというような状況も聞いておりますけれども、こういうことで二千三百万とか四百万という郵便物が滞留する。それはただストだけではなくて、そうじゃないときでもそういう業務の低下といいますか、私たちしろうとでよくわかりませんが、そういうもとでは、先ほど言った標準日数表というものはその意味をなしていない。その証拠に、毎年九万件、十一万件という郵便物に対する異常申告——申告といいますか利用者からの文句が行っておるようでございますが、そういう状況から見ましても、まあ九万件といいましても、四十六年に料金改正して四十七年も順調にいったというときでもその件数はあまり減っておりませんし、そういう客観情勢、それからまた投書等にあらわれます郵便業務に対するいろいろな不満事項の表明。また私たちがいままで当委員会指摘しましたように、あるところでは生活保護を受けている人が年金を郵便局に取りに来いという通知があったから行ったところが、郵便局には来ていなかった。生活保護を受けている老人の年金が十日間もおくれる、そういうのも私たちから指摘しなければわからない。また前回、私、委員会でも言いましたように、当然配られていなければならない地点に郵便が十日間も配達されていない。そういう国民郵便事業に対する不満を持っておる客観情勢を考えますと、いま言いましたように、日数表というのはただ紙に書いて窓口にぶら下げておるだけで、その実態は国民にたいへん迷惑をかけておる。そういう上でさらに、先ほど経理局長から話があったように、数字的には赤字になりますということを考えますと、郵便法の第一条並びに第三条の、郵便事業の能率的な経営のもとに健全なる運営がはかられておるといわれましょうかね。それは当局としてはそういうお答えをなさると思いますが、率直にいって、この第三条にもはなはだ違反しておる。ただ帳じりの赤字だけを埋めようとしている。それもまた内容は給与体系の改善によって人件費が上がったからだ、こういうことを繰り返す。率直にいって国民の不満、ある場合には生活の上にかかってくるような、生存権まで云々されるようなことを起こしておりながら、その原因についても、こちらから指摘してもわからない。もしもそういう零細な収入者が郵便業務の低下によって生活もできなくなった場合にはどこが責任を持つのか。そういうことも考えますと、しいてここで業務の運行について健全な運営がはかられると答弁なさっても、私はそれは無意味なような感じがしてならないのですが、いかがですか。
  243. 石井多加三

    ○石井説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、昭和四十六年の十月に、郵便料金の値上げのあとの一つのお返しといいますか、郵便の日数表というものを国民皆さまにお約束申し上げまして、それに従って郵便の配送を申し上げるサービスを確保いたしますというお約束を申し上げたわけでございますが、先ほど触れましたように、その後、伊丹空港その他の深夜の騒音問題から郵便の専用機を夜飛ばすことができなくなりましたために、若干日数表の訂正、少し遅延ということになったわけでございますけれども、そこに示されておりまする標準の送達日数につきましては、私たちも職員みんな一緒に、何としても国民にお約束したサービスの基準でございまするので、これを確保するように最大の努力を今日までしてきたわけでございます。全般的に申し上げますと、いま申し上げました春闘の時期でございますとかあるいは年末闘争の時期でございますとか、そういった特殊な時期を除きますと、比較的順調に今日まで運行されてきたということはいえると思うのでございますが、ただいま御指摘ございましたように、最近の情勢を見ますと、一部の郵便局ではございますけれども、平常時、そういった闘争時期じゃない時期におきましても、いろいろ労働問題等がその局限りの問題として発生いたしておる例も少なくございませんで、そういったところでは標準日数の確保が十分とはいえない状況にあるわけでございます。もちろんその場合でも、その局の受け持っておる配達区域全部に対して郵便の遅配が起こっているわけではございませんで、その中のまたある一部の受け持ち配達地域だけについての遅配といったようなこともございまして、そこの地域にお住みになっておる方々に対しましては、まことにいま仰せになりましたような重要な郵便がおくれて御迷惑をおかけしておるということを私たちも非常に申しわけなく思っておるわけでございます。しかし、そういった局におきましても、その他の大多数の区域は毎日完配をいたしておりまするし、またそういった局は全国でもそうたくさんあるわけでもございません。われわれとしましては、職員とそういった問題をよく話し合いまして、そういった御迷惑をおかけしないようにいままでもやってまいりましたが、今後も努力をしてまいりたいと思うわけでございます。そういった闘争の時期を除きますと、多少先生の仰せ方からすると私の見方は甘いと言われるかもしれませんが、大体九〇%ぐらいの郵便物は日数表どおり現在も配達されておるというふうに考えておるわけでございます。今後ともこの日数表の確保ということはわれわれの最大の責務であると考えておりまするので、最善を尽くしてまいりたいと思います。
  244. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最善を尽くされるということをここで言われることは、私は何べんも聞いてきたつもりでございます。くどいようでございますけれども、昨年一年をとってみても、局長は一部の地域とか特定の期間とおっしゃいますけれども、春から三百万、二百万、九月ごろまで続いたところもありましたね。そういうことを考えてみますと、また年末の二千三百万というような郵便物の滞留、そしてその中からそういう局のほうにたまたま郵便物について不満を申し入れた人が四十八年でも一日三百件。十一万件からあるのですから。私は、これは一部の地域、特定の期間だけというようなことは言えないと思うのです。ということは、いまおっしゃったように九〇%は郵便物がこの標準日数表どおり届いているとするならば、そういうものを郵政当局がきちっとした調査をして把握があれば、私はそれを聞きたいですね。そういうことがない証拠に、この郵便日数表を守るという通達だけでもこの四十六年以降六回にわたって毎年二回ぐらい出されている。それじゃ、出されたならば、その出されたことによってどういうふうにこの日数表が守られたかというような実績は、何の開陳もないじゃありませんか。そうじゃないですか。それとも通達というものは、この標準日数を守りなさいということはただ形だけ出しているのですか。出すたびにかえって悪くなっておるじゃないですか。何千万という郵便物の滞留というものを見れば、そう判断せざるを得ないじゃないですか。また、国民が不満を申し立てる件数から考えても、そんなに、一日に三百件、年間十一万件、十二万件近い。これは郵便局がタッチしたものだけでそうなんですよ。私が先ほど言いましたように、まだタッチしない件数を入れれば、タッチしない不満を述べれば、これは全国的にあるものと私はいわざるを得ない。そういう状態で、この法に定めた「能率的な経営の下に」「健全な運営を図る」ということですが、仕事をする人が仕事をしなくなったら、大体これは能率的ですか。そのために郵便物がおくれたら、これは「能率的な経営の下」ですか。それが「健全な運営を図る」ことになりますか。どうでしょうか。もう一ぺん、この法律に従って「能率的な経営」であり、そして「健全な運営を図る」ということに実態が即しておるのかどうか、ということだけをお聞きしたいですね。
  245. 石井多加三

    ○石井説明員 私たちのほうで、先ほど申し上げました郵便の日数表というものがはたして実際にそのとおり行なわれておるかどうかということを、毎日絶えずこれを調査するということはできませんけれども、毎月いわゆる試験通信といいますか、私たちのほうで郵便日数の確保状況を確かめるために郵政省独自の調査をいたしておるわけでございまして、それによって見ますと、この日数表を公表しました四十六年の十月からことしの六月までの間の平均の、われわれのほうで結束率と申しておるわけでございますが、順調にいった場合を一〇〇と見るわけでございますが、これを単純平均いたしますと、一つの管内あて——郵便局のある郵政局管内ということでございますが、管内あてのもので見ますと九三・一%という数字が出ております。それからもう一つ、単純平均ではなくて、たとえば先ほども申されましたような年末闘争という大きな闘争のために二千万通といった滞留をかかえたような、そういう特殊な時期はこれを除きまして、いわゆる異常月と申しますか、そういったような春闘の時期とか年末闘争の時期を除いて見ました場合の平均をとってみますと、同じような数字が、一つの郵政局管内で見ますと九五・二%という数字が出ておるわけでございます。したがいまして、私たちとしては全般的にはこういった到達日数表はおおむね守られておるというふうに意識しておるわけでございます。  それから、ただいまお触れになりました中で、確かに郵便法の第三条にいわゆる独立採算と申しますか、いろいろなそういったいままでなかった性格の規程が設けられましたが、その中にお説のとおり健全な経営を云々という文句があることは事実でございまして、私たちといたしましては四十六年から四十八年の三カ年間の収支の均衡をはかる、ということで前回料金改正お願いしたわけでございますが、その最終年度であります四十八年度には約二百五十億円の赤字を出したわけでございます。しかしその間におきましては、郵便利用の増進をはかっていわゆる増収策を講じるとか、あるいは計画を上回るような増収をあげるような配慮をするといったようなこと、それから物件費の節約でございますとか、いろいろな機械化、合理化の推進、いろいろ企業努力を払ってまいりまして、最後の年は赤字になりましたけれども、三年間を通算すると、この前お約束した四十六年の料金値上げそのままで当初の予定どおり三年間は何とかもたすことができた。もちろん四十九年になりますと、先ほど経理局長申しましたように最初から大きな赤字が予定されておるようでございますが、郵政省としましては、そういった健全な経営のための最大の努力は今日までもしてきておる、いままで続けてきたということを申し上げたいのでございます。
  246. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ここで押し問答してもなかなか始まりませんが、私はいま局長が言われることはうそとは思いません。しかし、そういう郵便日数表がどうなっておるかということを試験的に何かやられるとするならば、その結果が九十何%と出た、そういうものこそ私はこういう通信白書なんかに載せて明らかにすべきであると思う。これはまた時間をいただいて別に提示してもらって、私はよく検討してみたいと思う。そうしませんと、先ほどから言いますように四十八年——前回の料金値上げは四十六、四十七、四十八、三年とおっしゃった。その四十六年も四十七年も、特に四十八年には史上最高というような滞留が続いた。その時期だけではない、春から滞留は史上最高を続けておる。春過ぎですか、五月ごろからずっと史上最高を続けておるのですよ。そうでしょう。ですから、もう少しその認識を国民に与えなければいけない。また郵政当局もそれを進んで明らかにしなければいけない。この通信白書を見ましても、その次の「要員」のところなんかに「郵便物と定員の推移」、並びに郵便業務の定員を、いろいろな合理化とか努力をしたために、これだけ人員が減りましたというのが載っております。四十七年ではいわゆる合理化その他を含めて、ほんとうならば千八百四十五人ですか要るものを、それだけ軽減した。こういうものの実態が各郵便局に行った場合、職員がどういう感じで見ているかということです。聞いてみました。こういうものを聞いてみますと、かえって反発こそあれ、これに納得する者は一人もいない。またそのほか集配のことにつきましても、郵便受け箱とか集合箱をこういうふうに義務づけました、よくなりました、九〇%ぐらい備えつけてもらいましたというけれども、その郵便受け箱で子供が不具者になったというような事故もこの前から報道されておりましたね。ある地方においてはこの郵便箱がどのように強制的に売りつけられているかという事実も私は聞いたことがあります。また、全部見ていきますと、人件費の問題でも、郵便事業の収支の問題でも、最終的には人件費が出てきますが、この人件費でもいままで安い給料の人がだんだん正常に戻っていく段階で、もう少し適切な配慮があるのではなかろうか、私はこういうような感じがしてならなかったのです、これを読んでみまして。それからまた、せんだって東京では外国郵便を扱うところで国民のたいへん貴重な料金を詐欺をしておった、悪いことをしておったというような問題も報道されておる。それで年間ほとんど郵便物が——普通ならばここに書いてありますように、たとえば一時間当たり一〇〇の仕事をするのが、現状においては一〇以下の割合しか仕事ができないような状態もあるというようなことも聞いております。そしてその間にやれ闘争がある、やれいろいろな状況で郵便物がおくれるということを重ねていく。こういうことでは、私は何べんも言うようでございますが、この第三条の能率的な経営と健全な運営ということについてはどうしても納得するわけにいかないのですが、これはひとつ政務次官からお答えいただきたいと思います。
  247. 稲村利幸

    稲村説明員 田中先生の御質問経営の健全化をはかって業務の停滞のないように努力いたしたいと思います。
  248. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私はいまずっと業務の運行が正常にいってない、健全にいってない、非能率的なことが多過ぎるのじゃないか、そういう中でまた料金値上げを繰り返すということは国民として了解できない、こういうふうに言ったわけですよ。ほんとうにあなたがいまおっしゃるように、私の言ったような健全な運営と業務、これが今後必ずうまくいくと約束できますか。できればけっこうですよ。いまの御発言はそういうふうにとっていいですか。
  249. 稲村利幸

    稲村説明員 いま、努力いたします、こういうふうに言ったわけです。
  250. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 努力してみても、国民が納得のいくような努力をしてもらわなければいけないと言っているのです。おそらく、政務次官も就任早早ですから、郵便事業の実態というものを私以上には知っておられぬと思いますけれども、ほんとうにこの委員会でいろいろと問題が提起されますし、たいへんな状況にあるということを聞いておりますから、それをいま要約してわずかな時間とことばで述べたわけですけれども、これはまた今後、いま郵務局長さんのほうからもたいへん健全にいっているという何か資料もあるようでございますから、そういうものを見せていただいて、了解しなければ郵便料金値上げはとめてもらわなければならぬということを表明して、私は次の問題に移ります。  次に、先ほど述べました郵便貯金の問題でございますが、ひとつ昭和四十一年と四十八年を比較して教えていただきたいと思います。その内容は、郵便貯金は日本全国の世帯の何%くらいが貯金しておるかということでございますが、その郵便貯金貯金者の一世帯当たりの貯蓄高とその口座または枚数を、四十一年と四十八年と比較して教えていただきたい。それから大蔵省のほうには、同じくその年度で、いま言ったように預金高と口数を教えていただきたいと思います。
  251. 船津茂

    ○船津説明員 こまかい数字になってお聞き取りにくいかと思いますが、四十一年と四十八年の郵便貯金の口座数と現在高ないしは一世帯当たりの郵便貯金保有高をお答えします。  まず、四十一年を見てみますと、通常貯金につきましては、口座数が五千九百六十五万口座で一兆一千百八十八億円、積み立て貯金が一千百三十四万口座でございまして……。(田中(昭)委員「合計でいいですよ」と呼ぶ)合計いたしますと、四十一年度は約三兆二千億円、四十八年度金額に直しますと約十五兆一千億円でございまして、一世帯当たりで見ますと、大体郵便貯金利用世帯は全世帯数の六〇%、千八百万世帯というとらまえ方をいたしますと四十一年が平均十八万円、四十八年におきましてはこれが八十五万円、こういうふうな金額になっております。
  252. 清水汪

    ○清水説明員 民間の金融機関の数字でございますが、全国銀行で申し上げますと、これは中身は都市銀行、地方銀行、長期信用銀行、信託銀行ということでございますが、昭和四十年度末、つまり四十一年三月末の預金総額は、二十五兆一千百九十億円でございます。四十八年度末、つまりことしの三月末で申し上げますと、ちょうど百兆千二百億円でございます。倍率にいたしますと三・九九倍ということになっております。これは銀行でございますが、そのほかにおもな金融機関はまだございまして、相互銀行で申し上げますと、四十一年三月末が三兆二千八百六十億円、それがことしの三月末は十一兆九千九百三十億円、信用金庫で申し上げますと、前が三兆一千七百五十億円、この三月末が十四兆七千三百五十億円、さらに信用組合は前が八千九十億円、ことしが三兆六千八百十億円、こういう数字になっております。  口座数は、たいへん恐縮でございますが、いまちょっと整理できた統計を手元に持っておりません。
  253. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 貯金局長さん、申し上げますけれども、私が言うたのは、一世帯当たり貯蓄高が何ぼか、それと口数が何ぼか、それを開いたわけですよ。いまのお答えでは、まだちょっと不完全ですけれども、おおよそがわかりましたから、これはあとで正確にひとつ出してもらうということで……。  それで、いまこれを聞いておるのは、稲村さん、普通預金、郵便貯金を除いた銀行預金全部、信用組合等も入れましてもいいですが、大体いま聞きますと、四十一年と四十八年と比較いたしますと、銀行預金のほうが大体三・九倍、平均すれば三倍ぐらいになっている、こういうことなんですよ。それと郵便貯金のほうは大体五倍、一世帯当たりも大体そういうふうになっておるだろうと思われます。ほんとうは、時間があればもう少しあれしなければいけないのですが、そういう認識をまずしてもらって、これからお尋ねすることを考えてもらいたいわけです。  先ほど私は大臣にも言いましたが、いまたいへんなインフレのもとに、低金利政策のために、預金の目減り云々、こういわれておりますね。これは御存じでございますね。そこでもう一ぺん読みますが、郵便貯金の資金は大蔵省資金運用部から財政投融資として、企業に低利の貸し出しがなされていくというわが国の金融の基本的姿勢、そういう姿は、預金も貯金も含めて、結局は貯蓄のためではなく、資金の一部の調達手段にすぎない、インフレのもとでは。だから預貯金の目減りが問題になって、預貯金の金利だけでは調整機能をカバーするということはとうてい不可能である、こういうふうに言う人がおるのですが、これに対してそう思いますか、思いませんか。それだけでけっこうです。いろいろなことをつけ加えてもあれですから、思うなら思う、思わないなら思わないでけっこうですから、お答えいただきたい。
  254. 稲村利幸

    稲村説明員 私、まだ新米でよく理解できませんが、自分の感じとしては、郵便貯金というのは、やはり国民生活の安定のためと、福祉等に役立っている、こう考えております。
  255. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは、法律にそういうふうにしなければいけないと書いてあるのですね。それはそれでまた次の質問のときに申し上げるのですが、いま私が読んだようなことを言う人がおるのです。貯金をすれば利子がつくわけですけれども貯金の金利というものではこういうインフレのもとではどうしようもない。だから貯金の目減りが問題になっておるわけでしょう。そういう状態を考えると、一つには、貯金というのは資金調達の手段にしかなっていない。それと、このインフレのもとには郵便貯金をはじめ、ほかの預金もですけれども、その金利で目減りを調整することができないという状況なんだ、そう思いますかどうですか、こういうように聞いておるのですよ。それを答えてください。
  256. 稲村利幸

    稲村説明員 その目減りの問題ははなはだ遺憾ではありますが、国民生活の安定と福祉に貯金のあれは先ほど言ったように役立っている、というふうに考えております。
  257. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは、言われたようにそういう面もあるでしょう。だけれども貯金の目減りとは関係ないです。貯金は経済の安定と福利の増進に資する、そういう目的、精神をうたってあるわけです。  それではもう一つ。先ほど銀行預金の増加を述べてもらいましたね。そうしますと、銀行預金の伸びよりも郵便貯金がずっとふえておる。これはけっこうなことで、郵政省としては目標を掲げて一生懸命やったために銀行預金よりもぐっと伸びがよくなった。これはお認めになりますね。
  258. 稲村利幸

    稲村説明員 認めます。
  259. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、そのぐっとふえた郵便貯金の人たちは、このインフレのもとでは貯金の目減りはよけいに受けますね、ずっとふえたのだから。銀行預金をする人たちは少なくなっているというか伸びが縮んでおるのですが、郵便貯金はぐっと伸びているのです。この経済指標でいきますと、何ぼ違うかということがはっきりするのです。ということは、結局小さな所得者がたくさん郵便貯金をした、そういうことですね。そうなりますと、そういう零細な貯金ですから目減りの被害はたくさん受けるということになるわけですが、これはどうですか。
  260. 稲村利幸

    稲村説明員 銀行預金と比較してそれより目減りを大きく受けておるということはありませんが、ひとしく全般的に目減りは受けておるということは考えられます。
  261. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いいところまで答弁なさったのですよ。それで、銀行預金もこのインフレのもとでは目減りを受けておるでしょうね。ところが、貯金者でいきますと、普通預金よりも郵便貯金がずっと人数がふえた。そのふえた部分はいまの目減りの被害者が多くなったということになるんですね。これは何も精神論とかなんとかでなく、具体的に数字の上で、客観的にそうなる。そうでしょう。たとえば四十八年度でいいでしょう。先ほど言っていたように、四十一年度で普通預金の人が一〇〇だった。その人が四十八年度にはかりに四〇〇になった。郵便貯金のほうは、四十一年を一〇〇にすると四十八年には五〇〇になった。そうすると、単純にその一〇〇の人たちは、普通の預金から郵便貯金をした人もおるでしょう、それから新しく郵便貯金だけした人もおるでしょう、一〇〇の範囲の人たちはね。その人たちもやはり預金の目減りの被害は受ける。ようございますか、それで。
  262. 稲村利幸

    稲村説明員 そうです。同じです。
  263. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、ここ四十一年から四十八年まで、郵政省郵便貯金の目標額を立てまして、どんどん目標達成のために働いた。その結果、いま言うたような貯金の目減りの被害を受ける人が一〇〇なら一〇〇ふえたということと、この郵便貯金法の第一条の、国民の経済生活の安定はさておくとして、福祉を増進することというそういう精神と合致しますかね。合致すると思いますか。いわゆる第一条の目的に、このように利用者の国民の福祉を増進するということを目的としてありますが、このインフレのもとに、いま私が言ったように、郵便貯金がどんどん目標額を突破してそしてふえてきている。そのふえてきたことによって貯金の目減りの拡大もなされた。それをもう一ぺんたたみ込んで言えば、貯金の目減りの最大の犠牲者は少額の貯金をする人たちですから、その少額の貯金に該当する郵便貯金の預金者がその目減りの被害を受けたということ。その責任はどうなりますか。
  264. 船津茂

    ○船津説明員 先生の御指摘は、郵便貯金の伸びが民間の金融機関の預金量の伸びよりも、いままで四十一年から四十八年をとらまえまして大きい。それだけ目減りを受ける人が——利用人口は変わりませんけれども、先ほど申し上げましたように、四十一年の十八万が八十五万というそういう量になっておりますので、そういう意味ではよけい受けるということになりましょうと思います。しかしながら、インフレ進行下におきましては、ひとり郵便貯金だけでなく、あらゆる金銭債権がそういうふうな目減りという影響を受けるわけでございまして、非常に残念なことでございますけれども、みんな通有的にそういうことになるわけでございます。私のほうといたしましては、郵便貯金法の一条の法の精神から、それで国民生活を安定いたし、かつ福祉をはかっておるか、貯金量のふえたことによってより多くそういうものがはかれてないのではないか、それが目減りの現象だという御指摘だと思いますけれども、私のほうも一般の金融機関もともにでございますが、大きな金利体系の中で、大臣も午前中にお答えになっておりましたように、去年の四月からことしの九月まで、五回にわたって二・五%の上げ幅で金利改定をやってきておりますし、今後とも与えられた条件ではございますけれども、いろいろなくふうをいたしまして、広範な郵便貯金利用者の方の利益の増進に当たってまいりたい、こういうふうに考えております。
  265. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 前段のほうのしかしの前は大体よかったのだけれども、そういう認識は。ですからそれは、郵政省だけの、郵便貯金だけの問題ではないということもわかりますから、それでは大蔵省のほうから、いまの預金全体としてそういう方向にあることに対して、弱者救済という立場に立って、ひとつお答え願いたいと思います。
  266. 清水汪

    ○清水説明員 基本的にはただいまの貯金局長お答えに尽きるかと思いますが、私どものほうといたしましても、なるべくまずインフレという問題自体を早く解決したい、これがまずすべての根本だということでいろいろ努力いたしておるわけでございます。そうした過程におきまして、この預金の金利問題につきましても、貸し出し金利の趨勢というものもよく見きわめまして、できるだけ多くを預金者に払っていくという趣旨で、預金金利につきましてできるだけの努力をしてきたつもりでございます。遺憾ながら元本につきまして、いまのインフレとの関係で御指摘のような目減りという議論が依然強いことは承知いたしております。ただ、そのことにつきまして前回も御議論があったかと思いますが、特にそのことを金利で埋め合わせをしようということでございますれば、たとえば非常に高い金利のものを考えなければならないわけでございますが、そのことは現実問題といたしまして、それを貸し出し金利でどうやって補てんできるかということ一つをとってみましても、これは容易ならざる問題であるわけでございます。したがいまして、今後とも預金につきましては、税制上でも御承知のように非課税措置の拡大というようなことも現に行なわれておるわけでございますが、その他の問題を含めまして絶えず検討はしていきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  267. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 先ほどの貯金局長の考えと基本的に大体同じだということになれば、そういう認識は、大体国民全体がそういう強い世論を形成するような考え方を持っておるのですよ。ただしかし、大蔵省郵政省もいまの金利体系というワクの中に入って操作しようとするからそういうことの議論になるのであって、それでは私が午前中に申し上げたように、あなたたちが預金金利を上げられないという、それの裏には貸し出し金利も上げられないということがあるとするならば、その安い貸し出し金利でもうけている企業から税金が入るのだから、その税金を目減りした人たちに分けてやるのは当然じゃないか、という議論になってくるわけです。そういうこともいまの体制内ではできない。できないできないと言うから、だんだん苦しくなってくる。そうして経済は、インフレはおさまるようにというけれども、インフレは簡単におさまらないじゃないですか。狂乱物価は鎮静したとかなんとか言いますけれども、その後も物価はずっと高値安定を続けておる。そういうことをするから、私、これは言い過ぎかどうか知りませんが、この前の新聞でしたか、霞が関ではたいへん蒸発する人間が多くなっておる、何万人とおるそうですね。そういう体制の中で自分で自分を苦しめるようなことを、ここで答弁を繰り返すような仕事に精出しているから蒸発がふえているのじゃなかろうか。たいへん人間生活の中においては不幸なことです。その反面、一部の金持ちや大企業はぬくぬくとしていくというような、そういうところをいかに役人さんといえども発想の転換をしなければならない重大ないまの状況——たとえば貯金局長さんでも、あなたが貯金局長のときの前に、そういうことはわかりながら貯金をどんどんふやしてきた。それは、この経済の混乱の時代に、インフレで苦しんでおる国民に対して、ほんとうのこの貯金法の精神や、また公僕として国民に仕える立場の皆さんが本気になってこの発想の転換を進めていかなければ——これはお互い、法律をつくる立場、その法律をつくる立場の協力者である皆さんがその発想の転換をしなければ、たいへんなことになるということを私は言わざるを得ないわけであります。またこの問題については、時間があるときにお尋ねするとしまして、時間がきましたので最後に電電公社のほうに一言お尋ねします。  私、前回委員会で公社の値上げがいろいろうわさされておることについてお尋ねしたわけでございますが、きょうも時間がございませんから一言だけお尋ねしますと、あのときにも申し上げましたが、公社は現在相当なマンモス企業となって、この白書によりましても約三十万の職員、そして資産は四兆円といいますか、そして年間の収入以上の投資を重ねている。先ほどから出ましたように、その資産の償却の問題についても、公社に働く皆さんの組合からもいろいろ指摘されておるということについて、私はもう少し時間をいただいて明らかにしなければいけないと思いますが、第一に、公社の年間収入それ以上の建設投資をしていくということは、大体経営として、それが第五次計画までなされてきておるわけでございますが、年間の収入をオーバーする建設投資ということは私らとしてどのように考えればいいのか、お教えいただきたいと思います。
  268. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  本年度の収入が一兆九千億円でございまして、建設投資額が一兆二千五百四十億、収入よりはもちろん投資のほうが——いま多いとおっしゃいましたけれども、これは少なくなっております。ところで、昭和四十八年の建設投資額に対しまして、本年度は五%伸びということになっております。それから加入電話にいたしまして、三百二十万電話をつける。前々からこの委員会おきましても、あるいは衆議院予算委員会等におきましても、電話の積滞を早くなくなせという、これは附帯決議にもなっておりますし、質問の中にもそういう御意見をいろいろ伺っております。電電公社といたしまして、サービスレベルは世界の最高とは申しませんが、大体最高の水準、最高のレベルにあると思います。ただ電話を申し込んで積滞が多いという点、これは昭和四十五年が最高でございまして、約二百九十万ほど積滞がございました。それがだんだん減りまして、昨年あたりは約五十万近く減って、四十九年の三月すなわち本年度の初めには約百八十万に下がりました。しかし、これを完全に積滞をなくなすというためには、残り三カ年間に九百万の加入電話をつける必要がある、そういう状態でございます。したがって、この九百万というものを能率よく、しかもできるだけ安い経費でつけていくという必要がありますので、その一番有効な方法といたしまして、これまで技術の開発をいろいろ進めてまいりました。第五次五カ年計画、これは千五百三十万ほどの加入電話をつけるということが主体になっておりますが、これは石油ショックの始まる前でございますけれども、見込みました投資額が七兆円でございます。それに対して、いろいろ新しい技術を使うことによって約一〇%、一割の七千億円を建設投資の中で節減する、こういう予想を立てておる次第でございます。したがいまして、先ほど御質問ございましたが、収入に対しまして投資額というものは確かに額は大きいけれども、それをオーバーしていることはございません。したがって、第五次五カ年計画最初つくりましたときは、全体として五十億円ぐらいの赤字、ほとんどすれすれでいくことになっておりましたけれども、石油のああいう大きな値上がり、それが三〇%とか四〇%という値上がりではなくて三倍、四倍という大きな値上がりでございますから、それが物価に影響し、また本年の仲裁裁定におきまして定昇込み三〇%のベースアップが行なわれる、こういうために公社の財政に非常に大きな影響を与えてきた、こういう状態が現状でございます。
  269. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もうこれで終わりにいたしますが、いま私がこの通信白書を見ました範囲では、四十七年は大体年間の収入よりも建設投資が多い、こういうように四十七年に書いてあったものですからいま申し上げたので、四十八年は建設投資が少ないということはわかりましたが、これを見ましても四兆円近い固定資産、これのいわゆる組合から指摘されております過当な償却をやって云々というようなことと関連しまして、この前東北に行きましたときに、いろいろあっちの通信局のほうの実情を聞いてまいりました。そのときも私建設勘定についていろいろお尋ねしたわけでございますが、いわゆる固定資産の内容についても、そのときに御提示なかったものをあと調査していただくということでお願いしておったのですけれども、簡単な四十八年末の固定資産の帳簿価格、それのその後の移動につきましても、いまだもって提出いただいておりません。そういうようなことで、私は公社全体の四兆円の資産についてももう少し勉強しなければいけないということと、また現場に行きまして見ましても、公社の土地で何に使っているかわからない——設備、機械は別にしまして、私たちしろうとが見てもそういう土地、資産で目につくものもありまして、今後この問題についていろいろ解明しながら、この次また質問をさせていただきたいと思います。  以上、きょうはこれで終わります。
  270. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、土橋一吉君。
  271. 土橋一吉

    ○土橋委員 先ほど郵政大臣答弁も聞きましたけれども、どうしても値上げをかまえての答弁のように承りましたので、私は政務次官並びに郵政当局の皆さんに、このような二・五倍から五倍というような郵政省始まって以来の大幅の郵便料金の値上げは、そのはね返りがまことに重要であるし、普通常識では考えられない。しかも今日も日々に物価は上がっております。物価狂乱状態と言われるほど物価は上がっておるわけです。一方においては総需要抑制を唱えながら、こういうことを郵政審議会答申どおりにもし上げるということになってくれば、これは国民大衆の異常な生活脅威と生活破壊が考えられるわけです。ですから私は、かような郵便料金の値上げは断じて行なうべきじゃないし、総需要抑制の観点からいっても、これは他の方法において解決するのが至当ではないかというふうに考えておるわけです。一言で他の方法というのは、先ほど申し上げましたようにダイレクトメール、営業用の通信あるいはどんどん使っておる通信事務と称するそういうもの。あるいは先ほどの石井郵務局長答弁によっても、なかなかむずかしいということを言っておるのですけれども、しかしこの営業用の通信やダイレクトメールについては、かなり金もうけのためにやっておるものである。一方、一般個人間の通信というのは生活上やむを得ず、また世間的なそういうことでやっておるものであります。したがって、郵便法第一条の規定に基づいて当然安い料金でサービスを提供するというのが郵便局の基本的な原則である。だからして、もし合理的な料金、つまり営業継続の上に必要だというならば、大口のものはたとえばまけるとか、あるいはそういうものについては相当考慮する必要がある。全国至るところに郵便局はあるのですから、この管理運営は並みたいていではないと私は考える。したがって、独立採算だけでこれを背負い切れない現状に現在来ておるというふうに、われわれは考えて見ておるわけです。そういう点について、ただ料金を上げることによって問題を解決するのじゃなくて、いま申し上げたような問題について考慮する余地があると私は考えておるから、最後に考慮する余地があるか、あるいは余地はないというのか、簡単に答弁をしていただきたい。
  272. 石井多加三

    ○石井説明員 お答えいたします。  先ほどのダイレクトメールと個人用の通信につきまして、こういった大幅な値上げの際には個人用を少し押える方法を考えたらどうかという御質問に対するお答えは、先ほど申し上げましたように、そういった制度のよしあしということよりも、私は事務的、技術的に見ましてそういった制度を導入し得ないのではないか。また、そういうことによってかえって手間ひまがかかることになりますと、またそれが料金にもはね返ってくることにもなりまするので、一日三千万通以上もの大量の郵便物を引き受け、配達をしておる郵便事業といたしましては、できるだけ単純な作業工程でやるのが望ましいわけでございまして、御案内のとおり、昭和四十一年における郵便料金改定の際に第一種と第五種というものを統合いたしまして、通信の内容がいかに信書であれ、あるいはダイレクトメールであれ、そういった内容による善はつけないで、形によってだけ差をつけようということから、いわゆる第一種定形外、定形内という制度ができましたので、この制度は私たちとしましては世界各国にも例のない——むしろ世界各国の例は第一種はいわゆる信書でございますものを中心にしまして、第五種的な印刷物を中心にしたものは比較的割り安な料金、したがって、DMのようなものは昔あったと同様に割り安な料金でいっておるというのが、世界的な料金体系の傾向でもあるわけでございまして、それを個人通信あるいはDMといったものを一緒にしたということは、非常に思い切った措置ではございますが、今後の郵便事業の発展を考えますと、私たちはいまでも適切な措置ではなかったかと考えておるわけでございます。したがいまして、私たち考慮の余地がないということを申し上げるのは非常に僭越でございまするけれども、ただいま郵便料金の問題につきまして私たちが郵政審議会に諮問をしております郵政省案にはその点は盛り込まれておりませんけれども審議会の場ではいろいろまた御議論も出ようかと思います。あるいはまた、別途、いまの個人と企業というふうな分け方は、実際には非常にむずかしい区分になりまするので、一見わかる、あるいは手書き、印刷といったようなもので分けたらどうかというような御意見も持っておられる委員の方もありまするし、今後いろいろむずかしい問題ではございまするけれども郵便料金のこういった体系の問題につきましては、なお慎重に検討してまいりたいと思うわけでございます。
  273. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵政従業員は三十三万人といわれておりますが、郵便に携わっておる従業員は全員で十三万ともいわれておりますが、間違いありませんか。
  274. 石井多加三

    ○石井説明員 直接郵便事業に携わっております職員は十三万でございますけれども、御存じのように管理共通と申しまするか、貯金保険郵便というふうに分けました場合に、それ以外の管理共通の職員もたくさんございまするので、それぞれの中で割り振りといいますか、郵便に間接的に従事しておるという者がなおそのほかに二万五、六千人あろうかと思います。合計しますと十五万五、六千といった数字であろうかと思います。
  275. 土橋一吉

    ○土橋委員 三十三万いる中で、かりに局長なんか入れて十五万と計算しても、十五万のこのいわば部内で独立採算的に計算してみると、委託業務と称するものが約五千億近い金をあげておるわけです。郵便業務が大体三千九百億ほど金をあげておる。そうすると郵政省全体のバランスからみると、十三万にしろ十五万にしろ、要するに百三十億通の郵便を動かしておいて、そして田中自民党政府の悪政のもとにおいてインフレを高進して、そのたびに料金を上げていく、こういうことをやったのでは切りがないわけですよ。ほかのほうのたとえば委託業務である電信電話の問題にしても、あるいは貯金保険関係の皆さんにしても、あるいは電波行政は特別に郵政省としてちゃんと金を組んでおるわけです。郵便業務の十三万のところで、いつでも問題を起こしておるわけです。それが百三十億通あるとか百四十億あるという中で、どうしてこの基本的な問題の解決ができないのか。  もう一つは、全国に散らばっておる普通局、特定局並びに簡易郵便局はかりにはずしても、一万八千の局を持っておるわけです。これを入れたら、二万二千以上の局を持っておるわけです。これが網の目のように、全国の国民サービスを提供しておるわけです。そこへ持ってきて、郵便法の第三条の規定で独立採算を無理やりに押し込んでくる。これじゃ郵政省は、国民にはサービスをしなければならない。田中政府のようなああいう悪性インフレをどんどんやる中で、常に従業員と正常な国民でいわゆる郵便法第一条の規定に基づくものは、そのあふりを食って二割しかいないといわれておる。大多数はさっきあなたのおっしゃったように、四十一年からダイレクトメールは異常な伸び方をしたけれども、高層建築があるとかいろいろな関係で結局仕事が間に合わない。こういう悪循環を繰り返しておるから私は言っておる。これ以上は、時間の節約上私は追及いたしませんけれども、こういうでたらめなことを繰り返して、約十五万の郵便労働者が、郵政全体の三十三万と一緒になって要するに苦しむような形を、いや応なしに割り込んでつくっていくということは、許されないではないかというふうに私は思うわけですから、この点はあとでまたこれをゆるめることなく、私たちは反対ですから、こんなでたらめなことはどこまでも本委員会において追及する考えでありますので、この問題はこれで一応私は郵政局のほうは打ち切りまして、なお言っていただかなければならない問題があるのですが、次は電電公社です。  私は先ほど以来、遠藤総務理事が来ておるかどうか知りませんけれども、非常にやせて落ち込んで、答弁もそれこそ肩で息をするような、こういう遠藤総務理事を引っぱり出して答弁さすということは、これは人道上からも私は考慮すべき問題だと考えておるわけです。皆さんどうですか。はたでごらんになってわかるけれども、ここに筋が出張っちゃって青息で答弁をしておる。こういうようなことまでやらせる電電公社という全体の仕組みについて——やはり休養さして、そしてかわりの者が答弁をするというぐらいな余裕がなければ電電公社はならない、と私は考えるのであります。ですから、かわって米澤総裁が答弁をしてしかるべきだと私は思うのであります。(笑声)これは笑いごとじゃございません、ほんとうです。あんなに弱って、息ふうふうで答弁させるようなことをやっちゃいかぬですよ。  さて、あなたのほうからいただきましたこの四十九年度日本電信電話公社予算案というのを拝見しまして、ここで支出の部の減価償却が六千五百十五億円ということになっておるのですが、これは全支出に対して何%を占めておりますか。
  276. 好本巧

    ○好本説明員 昭和四十九年度予算の支出の部の減価償却費は、六千五百十五億円でありますが、これは支出総額一兆九千二百四十七億円の三三・九を占めております。
  277. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいま三三・九%だというこの数字を私は一応信頼をして、大体大まかにいって三四%近い支出をしておるというふうに私は承るわけです。  そこで、一体電電公社はいつごろからこの定率制をとったのですか。定額制から定率制に移ったのは、いつごろ減価償却はそういうことをやり始めたのでしょうか。
  278. 好本巧

    ○好本説明員 減価償却の方法の中の定額法を定率法に制度を改めましたのは昭和三十六年度からでございます。
  279. 土橋一吉

    ○土橋委員 三十六年度にどうしてこの定率制に改めなければならないような事態が起こったのでしょうか。どういう理由で定額制を定率制にしたのでしょうか。理由を聞きましょう。
  280. 好本巧

    ○好本説明員 昭和三十六年度に減価償却の方法を改めました。一つは先ほど御指摘の定額法を定率法に改定いたしました。もう一つは、逓信省以来の電信電話施設の耐用命数の改定と両方あわせて昭和三十六年度に着手いたしました。理由は、三十五年度以前四、五年間特に顕著でございますが、当時の三十五年度以前にとっておりました耐用命数及び定額法、そういう古いもとの制度におきましては毎年度償却不足があらわれておりまして、毎年不足額を特別償却をやった。特別償却をやってこの場を切り抜けてきております。要するに三十三、四年ごろから実態に即しない償却方法を適正なものに改めるという必要が明確になりましたので、三十六年度から改定に着手したわけでございます。
  281. 土橋一吉

    ○土橋委員 総資産が今日五兆円をこえるともいわれ六兆円近いともいわれておるのですが、間違いないですか。正確な数字は……。
  282. 好本巧

    ○好本説明員 四十八年度の決算におきましては、総資産は約五兆一千億円でございます。
  283. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、五兆円に対してこの減価償却の比率は一体何ぼの比率になるのですか。
  284. 好本巧

    ○好本説明員 一般的には総資産に対しての比率はただいまちょっと手元に持っておりませんが、正味の固定資産に対しては約一三%に当たっております。
  285. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまお話があったように一三%というまれな償却率を見込んでおるわけですね。  そこで米澤さんにお尋ねいたしますが、最近の技術革新や生産が非常に高まってきたということで、電電公社が使用する線材にしても機械にしてもその他の器具類にしましても研究が非常に進んで、それで耐久年数が非常に長くなってきておる。それはいまから二十年とか三十年前に比べれば、比べものにならぬほど最近の機械なり線材なりその他のものは、その耐用年数がかなり長期に耐えられるようなものを買っておる。私はこういうふうに思っておるのですが、どうですか。
  286. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  技術革新の成果というものはいろいろな線路、機械、伝送無線と、ものものによって非常に違いまして、一口には言えないと思います。ただしかし、全体の方向といたしまして、いわゆる保守費を安くするというのが技術の一番の方向でございます。建設費が幾ら安くなっても保守費が安くならなければ、やはり結果としてはその技術は使うわけにいかない。したがって保守費をいかにして安くするかという、そういう観点から考えられてくるわけであります。線路関係でいいますと、たとえばプラスチックケーブルみたいなもの、これはプラスチックケーブルをいままでの塩ビケーブルのかわりにいろいろ市内方面あるいは市外に使いまして、その結果このプラスチックケーブルによっていろいろ、たとえば塩ビケーブルの場合には水が入りますと中の紙まで絶縁が下がってしまう。ところが、プラスチックケーブルの場合には、かりに一番外側のシースが穴があきましても、中にプラスチックが入っておりますから障害にはならない。そういうことで、いわゆる保守の非常な近代化といいますかそういうことが行なわれる。ところが線路あたりを見ますと、特に日本の場合には道路が狭かったり都市が計画的に発達しなかった、そういうためにいわゆる支障移転というものがどうしても起こってくる。ですから減価償却の数字を出す場合に、その物理的な寿命じやなくて、そういうたとえば道路計画あるいは道路の支障移転、そういうために線路を動かさなくちゃならない、そういう要素が出てまいりますので、物理的な寿命というものに比べましていわゆる実用寿命というものが別な数字になっておる、こういうことがございます。それからいま新しく入ってくる電子交換機みたいなものに対しましては、これは確かにクロスバー交換機よりもライフが長いということでありまして、いろいろ使う材料、素材によって違っているというのが現状でありまして、電電公社といたしましてもその減価償却というものを何も急いでやる必要はないのでありまして、適正な耐用命数というものを考えて、そしてそれをアプライしていく、そういうことでやっておるのであります。
  287. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま米澤総裁のお答えを承っておると、知らない者が聞くとなるほどと思うような説明をしておられるわけです。しかし電電公社が最近のいろいろな状況から見まして、たとえばここに、これは四十七年の資料で一年ほど古い資料ですが、これによりますと、エコノミックアニマルといわれる日本の企業体のたとえば製造業において減価償却は四・六%を普通やっておる。電気機械では大体三・五%やっておる。特に電気関係では一七・八%やっておるし、ガスでは一二・七%減価償却はやっておる。合計すると大体三・一%が全企業の減価償却、えげつないもうけをしておる諸君といえども大体三・一%から四%前後、というのが減価償却の要するに一般の状態であります。  さて今度はわれわれに最も関係の深い方面からみますと、KDDは一七・三%の減価償却率をやっておるわけです。国鉄はどうか。国鉄はずいぶん新幹線など新しい機械も入れておりますが、これは一一・三%の減価償却率で進んでおるわけです。私鉄はどうか、これも大体九・八%であります。日立のように相当多くもうけるといっておる諸君でも四・一%。ベル系の電信電話関係の会社では一七・七%であります。最近非常に石油問題その他で機械をどんどん導入して近代的な製鉄をやっておる新日鉄でも四・一%であります。そうすると、どうして電電公社だけが三三・九%、あるいはまた四十七年には三三・三%というような高率の減価償却をしなければならないのか。なぜそういう世間で考えられないようなことをやってのけるのか。しかも、耐久力その他は最近の技術革新によってかなり進んできておる。なるほどしょっちゅう穴を掘ったりいろいろなことはありましょうけれども、ここに電電公社が隠し資産を持っておるのではなかろうかといわれておる、まあ世間の人は多くそう言っておりますが、そういう大きな問題があるのであります。もし、こういうことをやって収支とんとんでいくというようなことになってくるというと、ちょっと変動があれば必ずまた電話料金か電報料金にはね返って、上げる。こういう仕組みを今日まで継続しておるわけであります。一体なぜこういうとほうもない減価償却をするのか。しかも、これは米澤総裁がよく知っていらっしゃるように、私のほうで調べてまいりますと、約十年前から、全体の資産の伸び方は大体四倍です。大体十年間ぐらいで資産は四倍伸ばしておるわけです。今日は約五兆円をこえておると先ほど答弁があったはずです。ところが減価償却率は六倍やっておるわけですね、この十年間の比率を計算してみると。こんなばかなことがありましょうか。この支出面のあなたのほうの計算を見ましても、一兆九千二百七十八億の総計の支出の中で五千五百十五億という減価償却を見込んでおるわけです。こんなことをすれば労働者の賃金を上げることもできなければ、もしこういうものをそのまま通していくというと、経済の変動が、田中政府じゃないけれども、それこそこれから出てくる自民党の政府ではもっとひどいことをやってくるかもわからない情勢が生まれてくる。そうすればますます料金にはね返ってくる。こういう形をとっておるのでありますから、これはわれわれは何としても承服しがたいものであります。明確な答弁お願いしましょう。
  288. 好本巧

    ○好本説明員 お答えいたします。  全体のその年度の総経費に減価償却費が何%を占めておるかということにつきましては、先ほど御説明がありましたように、製造業で四・六%でありますとか電気機械製造業で三・五%とか、そういう数字がございます。しかし、これはあくまで総経費の中で占める比率でございまして、減価償却費が総経費に何%占めるかという見方もございますが、先ほど申し上げましたように、現在保有しておる固定資産に対して毎年減価償却の費用が何%の比率を示しておるかということを見る見方がございます。私はこの見方は一つの非常に妥当な見方じゃないかと思われます。日本銀行の最近の二百五十四社の統計によりますと、全産業で見ますと、四十八年度で正味の固定資産に対して二百五十四社の平均で一二・四%を示しておりまして、電電公社が約一三%というのとそうたいして違いはないわけであります。なぜ総経費に占める比率が三%の会社もあるかと思えば三三%の会社もあるかといいますと、これはもう御案内のように、電電公社のような業種業態といいますのは総資産の八八・二%が固定資産でございまして、完全な設備産業でございます。それから固定資産比率の相当高い鉄道でありますとかその他の産業、電力とかガスとかいうものもございますけれども、こういう業種は、すでに御案内のごとく、総経費の中で相当大きな比率を占めますものは原材料費でありまして、たとえば新日鉄でありますとか東京瓦斯でありますとかあるいは東京電力、そういうところにおきましては、石油でありますとかその他、そういう材料費、電力費というふうなものが三〇%あるいは五〇%を占めておる業種もございます。そういうところにおきましては相対的に人件費の比率あるいは減価償却費の比率が非常に小さくなるのは当然でございまして、減価償却の現在やっておりますものが過大なものであるかどうかを他の業種、他の会社と比較する場合には、やはり固定資産に対して何%占めておるかという比を見たほうがよりベターではなかろうかと思います。
  289. 土橋一吉

    ○土橋委員 固定資産というのは、先ほどから説明もされておりますけれども、要するに電電公社が持っておる全体の財産だと思うのですよ。しかも、ケーブルにしてもあるいはその他の機械類にしても、かなり技術革新等によって長期耐用年数があるわけですよ。たとえば電子計算機のようなものとかあるいはマイクロウエーブのような、そういう機械はかなり研究してみる必要がありましょうけれども、建物にしてもあるいは土地にしても減価償却というものはかなりゆるいわけだ。そうすれば、三三・九%になっておるようなそういう最も中心的な——たとえばどうしても耐用年数が非常に短いというようなものがあなたの説明からはうかがえるわけですけれども、そういうものはあとで私のほうに資料提出をしていただきたい。これは電電公社全体の企業運営の上からも私のほうで、研究させてもらいますけれども、そんなにたくさんはないと思うのです。かりに一つの例でKDDが一七・三%、ベルが一七・七%、同僚的な仕事をしておるわけですね、電電公社と同じ。その倍の減価償却をしておるじゃありませんか。これで減価償却はあたりまえだ。ところが、総資産の伸びは十年間に四倍、減価償却の伸び率は六倍というような、こういうことをやっておるわけですね。  それでは、私お聞きしましょう。こういう経営のやり方をやっておる電電公社は、たとえば無料の電話を公社員に何ぼつけておりますか、ただで電話を使っておる公社員は。何台ぐらいつけておりますか。
  290. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  業務用の官舎の電話は現在約二万八千でございます。
  291. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵政省などの無料電話を自宅につけておるのは大体六千五百といわれております。三十三万の従業員を持ち、しかも全国に二万二千の事務所を持っておるものが六千五百程度の無料の電話を自宅につけさせておる。あなたのほうは、事業所は二千ばかりですよ。事業所は全国で二千二百ぐらいしか持っていない。それで従業員は電電公社何名いるのですか。
  292. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  従業員の数は約三十一万でございます。
  293. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま、はしなくも答弁されておりますが、ほぼ同じような機構で事業所は二千二百、それでただの電話を二万八千つけておる。これは私は全部が必要ないなんてそんなやぼなことは言いません。必要なこともたくさんあることは私よくわかります。しかし、郵政との比較においてはあまりに多過ぎるじゃないですか。しかも、度数は五百度まで無料電話にしておるのですよ。
  294. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  公社の場合には、御承知のように、公社の事業遂行上、たとえば非常災害が発生いたしますとかあるいは障害が発生しますとか、そういうようなことが非常に多いわけでございまして、そういうような非常災害とかあるいは障害が発生した場合に、管理者がすぐに関係の部外、部内の機関に連絡しますとか、あるいは場合によって職員を呼び出すとかそういうようなこともございますし、あるいはお客さんの苦情だとかそういうようなことも非常にございますので、そういうような連絡に使うので、他の官庁等の電話の数はよくわかりませんけれども、公社としては業務遂行上適当な数だというふうに思っております。
  295. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、それはあなたのそういう適当と思いますなんという答弁じゃ済まされない問題なんだ。あなたのほうでは、要するに、先ほど資料を私がお見せしたように、今度料金を大きく上げようとしておるわけなんだ。だからできるだけ節約をし、使う機械は目一ぱい使う。それでどうしても取りかえなければならぬものは取りかえても、それは必要ですから。しかし、ほかの官庁とならせという意味じゃないけれども事業所の数から見て、従業員の数から見て、二万八千の無料電話を従業員につけてやるということについてはかなり検討してみる必要があるんじゃないか、というふうに私は考えたから質問しておるわけですよ。米澤総裁、どうですか。二万八千は、一つもやらないで、これはやはり全部つけておこうというわけですか。ちょっと聞いておきます。
  296. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 先ほど土橋先生から、おまえ気の毒だというお話がありましたが、ちょっと失礼いたしますが、私も三十年来先生に御指導をいただいておりまして、三十年前よりはもう年もとりましたからあれですが、決してここに出て答弁するのが肉体的に困るほど弱っておりません。ただちょっとかぜを引いて声が出ませんので、あるいはそういう印象を受けられたかもわかりません。どうもお志はありがたいのですが、御心配なくお聞きいただいてけっこうです。  ところで、いまの業務電話でございますが、これは公衆法上も普通の一般加入電話とは別になっております。別にはなっておりますが、確かに当面、私ども国民の皆さんに二十年来初めての値上げをする機会でございますから、もう一ぺん私は見直しをする必要があると思います。特に定額通話料というような問題が設定をされました場合には、一般の国民の方々の気持ちも考えた上で値上げをいたしたいと思います。ただ、先生最初におっしゃいましたように、電電公社はやはり電話の仕事をやっている関係上、いろいろ保守でございますとか、災害時に機関で一人だけ呼び集めるわけにいかない場合が相当ございます。そういう意味で一般の官庁なり会社の社費でまかなっておられる電話とはやはり別の、違った性格の業務電話でございまして、これが公衆法上業務電話という形で別になっている御趣旨でもあろうと思います。その辺のところはこの機会にあるいは料金値上げをお認めいただいた直後に、私どもとしては十分検討させていただきます。
  297. 土橋一吉

    ○土橋委員 それと減価償却の問題にからんで、いま遠藤さんはきわめて悲痛な声でかぜを引いておるというようなことをおっしゃっておるのですけれども、昔の遠藤さんを知っておる者はかなり疲れておるなという感じを、おそらく総裁も持っていると思うのですよ。すべからく休養させてやるべきであって、本人がかりにそういう答弁をしたからいいということでは済まされないと思うのですよ。やはりこれは十分休養させて、再起をさせる必要があろうと私は思います。  さて、見直しをするということであるから、私はこれ以上は追及しませんけれども、他の官庁その他においても——なぜ私はこんなことを言ったかというと、板橋から私のところに手紙をよこして、そしてけしからぬじゃないか、あなた逓信委員でこういう問題がわからぬのかというのでおしかりを受けたから、この問題でやはり世間の人は目が高いと私は見たわけですよ。一電報局の課長さんとかそういうところへ電話を五百もつけても、ただだ。ところが、われわれのほうは電話債券を買う、架設料を払う、そして基本料金を払う、こういうことじゃほんとうに大衆からは苦情の出ることはもっともだろう、ということから私は申し上げているのです。ですからこれは相当検討してみる必要がある、こういうことです。  次は、資材購入の問題ですが、過日私は、電電公社をおやめになって、会社などにいらっしゃった幹部の方、つまり本社の幹部あるいは地方通信局の幹部さんというような方々がどれくらいあるかという資料をお願いしたところ、実はこういう資料を私どもへ持ってきた。これを拝見しまして、いかに不熱心であるか。電電公社の幹部というから部長さんとか課長さんということなんですよ。ところが、こういう資料を持ってきておられる。私がそういうことを言ったら、今度は第二番目にまたこういう資料を持ってこられた。こういうふうにきわめて官僚化して、そしてまじめにものを考えない諸君が多く仕事についておるわけです。これは事実であります。この点は総裁は、膨大な組織になったためにかなり無能な者が職についておるということも、また仕事が非常に細分化してほんとうによくないということも検討してみる必要があるということが一つです。  そこで、ここで見ると、たとえば三菱電機とかあるいは日本電気とか富士通信というようなところに、何十名という諸君が退職をしてまた働いていらっしゃる。これは私、全部悪いとは言いません。その技術を生かしたり、そういう点において御奮闘願うことは国全体から見るとけっこうだと思いますけれども、しかし電電公社の要するに幹部級がこういうふうに大きな通信メーカーや線材メーカーへどんどん天下っていくということの中には、ただ仕事の上においてけっこうだというだけでは済まされぬものがあるのじゃないか。特に機材購入にあたっては随意契約を結んだり、いろいろなことをしておりまして、特に高い機械をツーツーで買い込んでおるのではなかろうかという疑いを多くの国民に抱かしておるわけです。ですから、先ほどから申し上げますように、減価償却の面においてもやはり再検討してみる必要があるのじゃないか。そうでありませんと、働く従業員の給料の問題にしましてもあるいは期末手当の問題にしても、常にそういうものが変動してくれば料金にはね返ってくる、こういう不都合な事態になっておるのであります。ですから私は、出向といいましょうか、あるいは退職して再就職といいましょうか、こういう方々は少なくとも一年とかあるいは一年半はやはり関係の自分の担当した会社には行かない、というようなことも相当研究してみる必要があるのではなかろうか。たとえば、電波監理局長は自分が許認可を持っているところのその放送局、民放へ就職をするなんということは、これは従来のことからいってもそうですが、かなり検討してみる余地があるというふうに私は見ておるのですけれども、あなたのほうだって同じことだと思うのです。こういう点はどうですか。
  298. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいま公社をやめた人が民間の製造会社、そういうところに就職している件につきまして御質問がございました。電電公社の場合には、電波監理局が電波放送免許を持っているというそういういわゆる権利関係行政の権利というような、そういう問題はないわけでありまして、ただいま私、その表の中をよく見たわけじゃないのでございますが、何といいましても技術水準が電電公社が、世界の最高とは申しませんが、最高水準になった。したがって、管理職の場合には大体五十八でやめることになっておるわけなのですが、戦前のようにやめて恩給——いま恩給というのはないわけですが、戦前のような恩給で生活できるという状態ならそれでもいいのでありますけれども、実際問題として五十八でやめて何もしないで公社の共済組合の資金をもらってやるというわけにはいかない。そうすると、じゃ、その人が天下りかというと、天下りといういわゆる行政官庁からよくいわれる天下りではないので、公社の場合には大体エンジニアあるいは専門家が主体なのでありますから、それらの人がその持っている技術なりそれらをもって、さらにまた五十八からおそらく七十ぐらいまで働けるでしょうから、その先をそういう専門的な技術で働いて、そして国のためといいますか国民のために仕事をするということは、私はあっていいのじゃないかというふうに思います。ただ、それが公社のいろいろな、たとえば資材の購入に便益を計らうとかそういうことはあってはならないのでありまして、そういう点につきましてはいま厳重な監査と注意をしているつもりでございます。なお、詳しいことは担当の総務理事からお答えさせます。
  299. 土橋一吉

    ○土橋委員 いやいや、それだけの答弁でいいです。  その問題はやはり厳重な見直しをして、いま申し上げますように、特にあなたのほうからたとえば日本電気へ行っている人で、向こうの役員をしている、つまり取締役とかそういう役員とか幹部をしている人が二名ほどおられます。富士通でも五名ほどおられます。それから岩崎通信機では三名おられます。この表から見ると、こういうことになっております。それで、たとえば五名おる富士通の例をとると、二十六名ここに行っておられるわけですね。こういう関係から見ると、どうしても一応われわれは従来の高い機械を買っておる関係から見て、どうもそういう点をいろいろ考えざるを得ない、こういうことでありますので、これは電電公社の将来のためにも、この随意契約制度というものと、それから競争入札ということについても、これだけのメーカーがおるのですから、競争入札をして、できるだけ正確で堅牢でしかも安く入れる物を入れることが必要である。これはいま料金値上げしようとする観点から当然といわなければいけない。ですから、随意契約その他についても見直しをする必要があるのではないかというふうに考えておるから、私はこれを質問しておるわけです。  そこで、減価償却の問題を先ほど好本さんからいろいろ答えていただきましたけれども、私は納得ができないのです。それはどうしてかというと、先ほども申し上げましたように、他の同種の会社に比べて倍というような異常に高い、たとえばいまあなたがおっしゃいましたことから申して、ベルという一つの米系の電信電話会社を例にとりますと、もう技術的にも、あるいは全体の技術の促進そういうものから見ても、ベル並みになっておるという自負を持っておられると思います。ところが、ベルは減価償却は一七・七%しかしていない。電電公社は三四%近い減価償却をしておる。それじゃ、従業員の給料はどうかといってみれば、ベルは日本の電電公社の大体倍ぐらい払っておるわけですね。倍の給料を払っておっても減価償却一七・七%でちゃんと押していけるわけです。これは一体どういうわけでしょうか。
  300. 好本巧

    ○好本説明員 お答えいたします。  米系のAT&Tは全米最大と言いますか世界最大の電話事業であります。技術的にも最高水準を行っております会社でございます。そういう意味で、わが日本電信電話公社がこれと対比することが多うございます。また大いに学ぶべきことも多かろうかと思いますが、先ほど御指摘の減価償却比率というものを比較をしてみて、その数字で相当な格差がある。これにつきましてどういうことかというような御質問かと思いますが、何しろ外国の企業体であり、また株式会社でありというようなことで、比較することはなかなかむずかしい点もあろうかと思います。ただ、私どものわずかに調べましたところによりますと、減価償却制度というものはもちろん監督官庁の認可を得てやっておられるようでありますが、その現在の制度によりますところの単年度の減価償却費の金額、総額というものはいまおっしゃったような数字であろうかと思いますが、そのほかに税制面でいろいろ優遇を受けておりまして、いわゆる税制面から内部留保を認められておる。それを新しい建設投資に回す財源にもしておる。いろいろ複雑な、私ども日本電信電話公社では比較できないようなものもございますので、そういうものを含めますと相当数字も違うようでございますし、また現にAT&Tにおきましては、現行の償却制度によるところの減価償却制度というものについてはやはり不満を持っておるようでありまして、会社としては現在の減価償却制度が最も妥当であるというふうに思っていないようでございまして、これの改善を必要とするというふうに思っておるというふうにも聞いております。
  301. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、減価償却制度そのものについてこれからも少しここでいろいろ質問をし、私のほうでも勉強していきたいと思っておりますが、たとえば四十九年度の一般電話加入の伸び率とか、あるいはホームテレホンとかあるいはプッシュホンとかビジネスホンというようなもの、もちろんデータ通信の在庫管理等のそういう伸び全体を見ますと、一般加入電話の伸び率というのはそんなに伸びていないわけです。ところが、ホームテレホンなんかは四十八年度に比較して五〇%伸ばそうというわけです。あるいは販売在庫管理システムは四〇%伸びを示そうとしておるわけですね。一方においては、公衆電話などは五千六百個減で行なわれようとしているわけであります。こういうことを考えますと、いま電電公社のプッシュホンにしてもホームテレホンにしてもあるいはビジネスホンにしても、あるいはデータ通信のその他のものとか、大量の電波を輸送するそういう専用回線というようなものについて、少し荷が重いのじゃないか。もっとこれを削減をして、そして健全な財政措置を講ずる必要があるのじゃないか。特にことしは福祉第二年であるとか第一年であるとかいうふうなことをいわれていることから考えますと、私は当然の措置じゃないかと思う。  それで、これらの建設費用というものはばく大な金を食うわけですね。たとえば、一般加入電話は一万九千円で資材を購入できるのに、ビル電話では十九万一千円ですか、あるいはホームテレホンなんかに至っては十万五千円ですか、こういうたいへんな金を食っていくわけですね。そういうところに力を入れておりますから、結局今度あなた方が提唱されているような、つまり七円のものを十円に上げて、二百度までは二千円を取る、二百度をこえれば十円の高い料金にするというようなことにならざるを得ない結果をみずから招いているのではなかろうか。特に電電公社の職員は、一昨年あたりの給与の体系から見ると、国家公務員あるいは普通の公共企業体関係の中では最低の給料体系をとっているわけですね。こういう点を米澤総裁としては、技術革新ということを常々おっしゃっておるけれども、しかし相当考慮してみる必要があるのではないか。そうでなかったら、なぜこんな大幅の、要するに先ほど私の資料を差し上げたのですか、私の家なんか、これは私の家というよりは私たち同じような関係の人は、倍の料金を払わなければならぬ。八百四十円しか一月電話は使わないものを二千円払っていかなければならない。そして基礎料金を八百円払っていく。そうすると二千八百円払わなければならない。こんなことをしていいでしょうか。しかも、全電通労働者の待遇というものは、さっき申し上げますように、公企体関係では一番低い。それは交換手の方々のように年齢の若い層もかかえてはおりますけれども、こういう点をやはりここで十分検討してみる必要があると思うが、いかがですか。
  302. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  給与水準の問題は、いま先生最後におっしゃいましたように、それはそれなりに一つの水準に達しておると思います。それから、私ども計画を立てております向こう三カ年間の計画の見直しにおきましては、やはり電話の拡充、あるいは加入区域の拡大でありますとか、いわゆる今日の福祉国家にふさわしい点に重点を置きまして、データ通信等につきましては、できるだけ削減または繰り延べをいたすことにしております。ただ、いまお話しのございましたホームテレホンあるいはプッシュホンというものにつきましても、現在私のほうの組合の全電通とも話をしておるのでございますけれども、これは先生に御理解をいただかなくちゃいけない点だと思いますが、私どもはこのホームテレホン、プッシュホンを販売をいたすことによって、先ほどお話の出ましたAT&Tのようなメーカーとしての利益を得るわけではございません。私どもはそれを購入し、その購入金額に合わせまして使用料というものをいただいておるわけなんです。したがいまして、全然それをつくるための経費あるいは資金というものが、たとえば工場設備というような形でふえてくるわけではございません。ただ、そういうものを設置します場合に、工事費あるいは局内設備というようなものの私ども関係の工事は若干ございます。この金額は総体の中で占めますと非常に低いものでございます。しかし、それらのものを含めて、いま御存じのように、プッシュホンあるいはホームテレホンというものにつきましては、使用料というものが一般の方々からちょっと見られると高いという御議論も当委員会でございましたが、高いほどの料金をいただいておるわけでございます。私どもが土橋先生に御理解いただきたいのは、これを非常に低いあるいはただで提供しておれば、確かに大企業ですとかあるいは金持ちに奉仕をしておるというおことばもうなずけるのでございますが、私どもはこのホームテレホンあるいはプッシュホンをお使いになる方々が全部大企業あるいは金持ちとは申しませんけれども、そういう方々にふさわしい料金をいただきまして、そしてそれによって通話がさらにふえるという形で、一本当たりの通話がふえ、それを逆に今度は一般の庶民の黒電話の、先ほど申し上げました経費倒れ、コスト倒れのところに充当して従来やってきたわけでございます。ですから、ことばを全然逆に変えますと、大企業に奉仕するどころじゃなく、大企業から取って庶民のほうに回しておったわけです。私はこの問題はそういう見方をしていただいていいのじゃないか、こう思っておりますが、ただ幾らお話しいたしましても、土橋先生おわかりいただいても、なかなか納得いただけない場合もあろうかと思いまして、プッシュホンについてはさらに工程を低める場合もございますが、基本的な考え方は、私はこれが不当な料金であれば、あるいはただで提供しておれば、大企業に奉仕をしておるという非難にも当たると思いますが、ちゃんとそれ以上の値段をいただき、さらに通話量をふやして、現在までコスト倒れのものを何とか維持してきたわけでございますから、その点は御了承いただきたいと思います。そうして、そういったような状況がもうすでに継続できないほどコストがどんどん上がってきた、そこで今回の料金改定をお願いしておる、これが私どもの現在の立場でございます。
  303. 土橋一吉

    ○土橋委員 答弁を聞くのも痛々しいような状態でございまして、拝聴いたしましたが、電電公社の総収入の約八五%から九〇%は電話収入です。そうしますと、一兆九千億のうち一兆七千億まで電話収入です。それ以外のものはどんどん投資をして、先ほどあなたがおっしゃった、資本家から取ってそれで電話のほうへ回しておるような説明の部分もあったようにいま聞いたのですけれども、逆じゃないですか。たとえばビル電話あるいはプッシュホンを、もし需要に応ずるような形でどんどん投資をしていけば、何百億という投資をしなければならないのじゃないですか。専用線のものにしても、あるいは同軸ケーブルの設置にしても、詳しい数字は私ここにあげておりますが、たとえばデータ通信の各種を実施しても、一つをつけてやろうとしても、百八十六億かかるじゃありませんか。わずかの料金を少しぐらいもらったからといって、それで電話のほうを補ってやるなんて、そういうしろものじゃないですよ。販売、在庫、科学技術等の計算機は一システムで百九十億もかかるじゃありませんか。現在のような七年とか八年計画で料金を取るなんてことでは、とてもじゃないが、解決しないですよ。たとえば特定回線一つやるにしても、一回線で二十一億の金をかけておるじゃありませんか。端末機なんかは物によっては十七億もかかるような、こういうところに仕事を集中しておいて、それで四十七年までには必ず電話の積滞を解消するということを明言しておった電電公社は、いまだ解消できていないじゃないですか。明治二十三年からつけっ放しに仕事をしておって、まだ全国至るところ、たくさんの金を出さなきゃ電話をつけられないような状況にありながら、なぜそんなところばかり血道を上げるのか。なぜそんなところばかり集中するのか。それは技術革新ということもよくわかる。しかしながら問題は、要するに明治二十三年から始めた電話制度が、まだ東京都内においても電話がつかないところがあるんですよ。まして埼玉県、千葉県にいけば、大騒ぎをして、電話がつかない。四十七年といえば、おととしですよ。おととしまでに電話の積滞を解消するといっておった電電公社が、なぜこんなところへ曲がり道をし道くさを食っておるのか。おまけに、電報料金は今度は普通電報は二倍に上げるというじゃありませんか。慶弔電報は三倍に上げるなんといっておるじゃありませんか。電報というものは、電話のないところや、また最近の風潮として、慶弔電報などを出すことは国民的な一般の関心事である。それをつけ込んで、三倍も料金を値上げするとは一体何事ですか。そういうでたらめなことをしておいて、一方においては技術革新技術革新だというので、大資本が喜んで使うようなところにはどんどん金をつぎ込む。いい例はビル電話ですよ。もしプッシュホンがほんとうに国民のためならば、なぜ国民一般にプッシュホンをつけてやらないのですか。そういうところにのみ走っておって、そしていま申し上げるようなこういう企業にはたくさんの人が行って、随意契約とか任意契約を結んでどんどん機械を入れておる。こういうことから見て、電電公社は減価償却がいま申し上げるように三四%というような、かつてない償却制度をとって、そしていつでもお手上げ状態にしておいて、問題が起こってくれば料金を上げていく、こういう形にはね返ってくるわけです。こういうことが許されていいでしょうか。政務次官どうですか。こういう悪循環を繰り返していいでしょうか。日本の公共企業体である電報電話制度という国民の非常に大切なものです。お尋ねします。
  304. 佐野芳男

    ○佐野説明員 お答えします。  公社におきましても現在財政的に非常に苦しんでおりますが、郵政省としましては、先生指摘のように、五十二年度末までに電話の積滞を解消するという目標の達成を基本として厳重に対処したいというふうに考えております。公社もこの方針に沿っているものというふうに、先ほど総裁の御発言もありましたが、全く同じ精神であるものと考えております。  それからデータ通信あるいは画像通信につきましては、別に大企業べったりでありませんで、こういうものは高度化あるいは多様化します電気通信に対する社会的な要請もありまして、必要な限度においてこれにこたえていくということが肝要と考えておりますが、大企業を優先するというようなことはあってはなりませんし、現に行なっていないというふうに考えております。なお、御指摘もございますので、今後とも電話増設を重点に、社会的な要請と調和のとれた拡充計画の推進に郵政省としても努力する所存であります。
  305. 土橋一吉

    ○土橋委員 最後になりましたので、私はこの前からもしょっちゅう申し上げておりますように、日本の電信電話制度は明治二十三年からやっておって、そして電話事業というものは国民の非常に必要とするものである。ところが、あれから八十数年間たって、それからあとにできた水道にしてもガスにしても電気にしても、あるいはすべての制度がどんどん国民に奉仕する体制を固めておる。電話だけは依然として、まだ山村電話あるいは集団電話、あらゆることで電話がついていない、こういう状態を放置したままで、そういう別の方向へと進んでいく体制をぜひ再検討して、減らすとか、あるいはもっと働く人々のためあるいは国民のために電電公社が活動されるよう私は希望して、この問題はまた次の委員会でも私のふに落ちるまでいろいろ追及していきたいと思いますので、きょうはこれで終わりたいと思います。      ————◇—————
  306. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 この際、おはかりいたします。  当委員会おきましては、逓信行政実情調査のため、去る十月十四日から十月十七日まで各地に委員を派遣したのでありますが、その報告書が委員長の手元に提出されております。これを参考のため会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  307. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十分散会      ————◇—————