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1974-09-10 第73回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月十日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 加藤常太郎君 理事 梶山 静六君    理事 阿部喜男君 理事 古川 喜一君    理事 土橋 一吉君       久保田円次君    白浜 仁吉君       染谷  誠君    高橋 千寿君       坪川 信三君    水野  清君       安田 貴六君    金丸 徳重君       久保  等君    田中 昭二君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  委員外出席者         公正取引委員会         審査部第一審査         長       妹尾  明君         防衛庁防衛局調         査第二課長   三好富美雄君         外務省アメリカ         局安全保障課長 山下新太郎君         大蔵省銀行局総         務課長     清水  汪君         通商産業省機械         情報産業局電子         機器電機課長  鈴木  健君         郵政政務次官 三ツ林弥太郎君         郵政大臣官房長 高仲  優君         郵政大臣官房首         席監察官    永末  浩君         郵政大臣官房電         気通信監理官  田所 文雄君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省電波監理         局長      石川 晃夫君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   北原 安定君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   三宅 正男君         日本電信電話公         社総務理事   遠藤 正介君         日本電信電話公         社施設局長   山本  孝君         参  考  人         (日本放送協会         営業総局総局         長)      市原 嘉男君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         社長)     菅野 義丸君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         副社長)    板野  學君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      古橋 好夫君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      鶴岡  寛君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      志村 靜一君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 九月十日  辞任         補欠選任   中馬 辰猪君     染谷  誠君   中村 寅太君     安田 貴六君   村岡 兼造君     白浜 仁吉君 同日  辞任         補欠選任   白浜 仁吉君     村岡 兼造君   染谷  誠君     中馬 辰猪君   安田 貴六君     中村 寅太君     ————————————— 七月三十一日  一、逓信行政に関する件  二、郵政事業に関する件  三、郵政監察に関する件  四、電気通信に関する件  五、電波監理及び放送に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を行ないます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣が閣議の都合でまだお見えになっていないようですから、大臣に御答弁をいただく点は後刻御答弁をいただくことにいたしまして、逐次質問させてもらいたいと思いますが、最近郵政省関係特定郵便局の、特に無集配夜間宿直のない無人局における夜間の窃盗と申しますか盗難が頻発をしておるようでございまして、ゆゆしい問題だと思いますが、最近のこの盗難事故発生状況被害額等についてわかっておりましたらひとつお聞かせ願いたいのです。
  4. 永末浩

    永末説明員 首席監察官でございます。  大体の郵政犯罪傾向を申し上げますと、四十六年をピークにしまして四十七年、四十八年と減少をたどっております。阿部先生おっしゃいますのは局舎侵入事件であろうかと思うわけでございますが、この局舎侵入事件も四十七年、四十八年と減少しているというのが現状でございます。ところが四十九年度になりましてこの局舎侵入事件だけに限りまして激増しているというのが現状でございます。  この件については後刻申し上げますけれども、少しばかり四十七年、四十八年の数字を申し上げますと、四十七年度における局舎侵入事件発生件数は三百四十五件でございました。それから四十八年度は二百八十一件に減少しております。今年度の第一・四半期までの局舎侵入事件発生を見ますると、昨年の同期が六十六件で、被害金額七十三万円でございました。ところが本年度に入りましてからは九十四件、被害金額八百十七万円と激増しているわけでございます。私たち四十八年まで犯罪が減ってきているということについてたいへん喜ばしい傾向に思っていたわけでございますが、局舎侵入事件に限りまして本年度激増しているということはまことに憂慮しているわけでございます。  この原因と申しますか犯罪の特徴としましては、数グループによる犯行反復が見られるわけでございます。一、二例を申し上げますと、四月の初めから全国指名手配されている者、この人の犯行と見られるものが東海、北陸管内を主として荒らしているようでございます。それから最近大分宮崎の両県で連続発生したもの、下関市と福岡県の築上郡で連続発生したもの、それと四国と九州管内発生していますガス溶接器を使用して金庫を焼き切るといったようなケースがあるわけでございまして、数グループによる犯行反復によりましてこの件数が激増しているのじゃないかというふうに考えている次第でございます。  それから局舎侵入防止対策といたしましては出入口、窓等が開かれますとベルが鳴るというような装置自動防犯ベルと私たち申しておりますが、この装置夜間無人となる郵便局にはすべて取りつけております。また先ほど申し上げましたように非常に激増しておりますので、再三通達あるいは会議等を通じて警戒するように申しておりますが、できるだけ早くこの犯人を検挙することが非常に大切じゃなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体犯罪の内容はわかりましたが、特定グループによる反復犯罪がずっと流行しておる。特にせんだって新聞で、いま首席監察官が申されましたように、そういうグループ犯行手口がきわめて詳細に報道をされたわけです。たとえば防犯ベルの場合にはガラスを切り破って入れば防犯ベルは鳴らないとか、金庫うしろ側下側は弱いのでここをぶち破っておるとか、あるいはガス溶接器で焼き切るとか、そういうことが非常に詳細に報道をされたので、ますますこうやればうまく盗めますよ、しかも特定郵便局の無集配無人局はだれもいませんよ、お金が置いてありますよということがあまねく周知をされた。そこでこういう犯行をする諸君、犯人にとっては非常に都合のいい状況になっておるようですが、これは新聞報道するのは当然だと思うのですけれども、それに対応する郵政施策がなお十分でないのではないか。いま防犯についていろいろの施策を講じて会議等も開いておるということでございましたけれども、たとえば一つは事前に犯罪を防ぐという方法がございます。それから一つは、犯罪が起こったとしてもその被害最小限に食いとめる、こういうことも考えなければならないと思うのですが、大体新聞等指摘をされておるきわめて賊が侵入しやすい状況にある局舎についてどういう施策をおとりになっておるのか、お聞かせ願いたい。
  6. 永末浩

    永末説明員 犯行手口でございますが、先生先ほどおっしゃいましたとおりでございまして、最近非常に巧妙になっております。防犯ベルを取りつけているわけでございますが、窓ガラスを音のしないように打ち破って侵入するというようなことでございます。それから金庫相当いいのが備えつけてあるわけでございますけれども、裏側からガス溶接器などで破って窃取するというようなことが起こっているわけでございます。まあいろいろと私たち検討しているわけでございます。たとえば窓をスチールシャッターにしたらどうかとか、あるいは金庫はもう少しじょうぶなものにしたらどうか、動かない金庫にしたらどうか、あるいは金庫の中にもう一つとられないような容器をつけたらどうか、いろいろ検討はいたしておりますけれども、これといったきめ手もないわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたように数グループによる犯行というふうに私たち考えておりますので、付近人たちにできるだけ協力を仰ぐとか、あるいは県警、付近の警察を通じてときどきパトロールをしてもらうとか、あるいは事故が起こったときには早急に連絡をして逮捕が早急にできるように努力する、そういったことをいまやっているというのが現状でございます。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まず防犯ベルについて考えてみましても、あれだけ報道をされまして、いわゆるガラスをうまく破って入ればもう防犯ベルは機能しないということになれば、防犯ベルそのものがまず意味のないものになってくる。それから金庫を買いかえるといってもなかなかたいへんなことだと思うのですが、現行金庫は確かに裏側下側が弱いのですね。ここをやられればこれは簡単にやられると思うのですけれども、この対策をまず立てていただかなければならないのではないか。いませっかく御検討のようですが、まず賊が入れないようにやることが大切だと思うのですが、現地の局長さんなど全く気の毒で、夜も寝ないで警戒をしておるような状況になっておるのでございます。  それから現行規定では、もう一つのほうの被害最小限にとどむるという点で、どうしても余裕金を局に置かざるを得ない規定になっておると思うのです。この点出納管理規程局長が持って帰るわけにもいきませんし、当然余裕のある金は過超金として資金局に送り返さなければならないのですが、いまの制度ですと資金局から資金を調達をする、ないしは過超金を送還するときに一便しかかりにない、大体いなかの局はそういうものです。一便しかないのですが、それが集配が午後一時なら午後一時にその局に到達をする。午後一時に過超金がたくさんあって、持って帰ってそれで終わればいいんですけれども、午後一時にはまだあと四時までの間に払い出しの要請があるかもわからないから、どうしても若干の金を置いておかなければならない。そこに加えて預金者がある、そういうことになりますと、かなり手持ちの金が多くなるわけです。したがって、危険な局舎に金を置かない、この方法についてはどうでしょうか。
  8. 永末浩

    永末説明員 金庫それからスチールシャッターの問題、こういったものは検討中でございますが、お金を置かない方法という問題の点について御指摘なさったわけでございます。まあ翌日の払いがあるわけでございまして、全く置かないというわけにはいきません。現場に対しましてはできるだけとめ置き資金を少なくするようにということは始終注意しているわけでございます。ただ銀行などにお金を送りましたあと利用者の方が預入をされるというようなこともございまして、そういった点につきましては、できるだけ置かないようにとは申しておりますが、サービスとのかね合いで、やはり置かざるを得ないというのが現状でございます。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いま首席監察官のおっしゃった翌日の支払いに支障ない程度のお金というのは、その当日の日締め計算時点ならば大体見当がつくわけでございますね。あしたの朝どのくらい余裕金を持っていればいいか見当がつくわけですが、さっき私が申し上げたのは、資金局からの取り集めの関係から申しますと、午後四時過ぎに資金局から来て過超金を持って帰ってくだされば、大体見当がつくのです。ところが早い局は十二時、午後一時、二時ごろまでに資金局からの集配が来るわけですね。そうすると、その時点で一銭もないように金を出してしまうわけにいかぬわけでしょう。午後の払いの分をまず残しておかなければならない。不幸にして午後払いじゃなくて預入が来た。ますます金がかさんでくる。したがって、私がいま申し上げているのは、午後四時の日締め計算の終わったあとで大体翌日の必要な分だけを保管をして、あとを全部資金局に返す、あるいは銀行預入をする、そういう方法が考えられないかということなんです。これは経理局のほうですか。
  10. 廣瀬弘

    廣瀬説明員 ただいま首席監察官が申しましたとおり、できるだけ郵便局には資金必要額にとどめて、それ以上のとめ置きをしないという原則で全般的な指導が行なわれているわけでございます。ただそのほかの方法といたしまして、ただいま先生指摘のように、ある郵便局では銀行預金というような制度をとっておりまして、その銀行預金局におきましては必要以上の金がある場合はそれを預金をいたしまして、出納管理の補完をする、こういう制度をとっております。ただ、これは全国的ではございません。御承知のように夜間無人局とか、あるいは局舎事情がきわめて悪いというようなところが優先して預金局に指定されてくる、こういうことになるわけでございます。また銀行の所在地にもよりまして、全局に及ぼすというのはとうてい困難かと思いますが、できる局につきましてはできるだけ預金局に指定するように努力をいたしております。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ひとつ整理していきますが、まず首席監察官にお願いしたいのは、賊が侵入をしないように防犯上の万全の施設をひとつ考えていただくということでございます。それから今度は経理局のほうにお願いしたいのは、いまお話がありましたが、現行の取り集め便では、先ほど私が申し上げましたような状態になってこざるを得ないので、日締め計算相当余裕金のある場合にはそれを銀行預金にする、こういう制度があるわけです。ところが現状銀行さんのほうでもあまり喜んで扱ってくれないのです。そうすると、郵便局には余った、銀行は扱ってくれないから、よんどころなく無人局にとめ置かなければならないという状態が出ておるわけです。もう一つ銀行指定に私は問題があると思うのです。銀行のほうで受けてくださらないのか、郵政のほうが頼まないのか、その辺はわかりませんが、たとえばさっき首席監察官がおっしゃった大分宮崎というのはちょっとこのところ事故が頻発したわけですけれども、いなかのほうにある銀行というのは、大分ではローカルの大分銀行というのが一番数が多いわけです。その大分銀行が全然扱ってくれないのです。そうすると、余裕金があって幾ら心配だと思っても、法規上局長は自宅に持って帰るわけにはまいらない。過超金はもう送ってしまって、金は残っておる。規定金庫に入れなければならぬ。金庫に入れた以上は、それがもう気になって夜も寝られない。ノイローゼぎみになって、毎晩局長局舎の周囲をぐるぐるしておらなければならぬというのが現状なんです。  ところで、大蔵省のほうに御出席願っておりますが、大体郵便貯金の利息の問題にしても、いろいろ市中銀行とのかね合い等相当お互い協力し合ってきておる間です。いま申し上げましたのは、銀行預金局として扱いをしてくれない等の問題について、郵政省大蔵省との間で話し合いをして、行政指導と申しますか、そういうものによってできるところは、余裕金の多い場合は銀行預金ができるというふうな措置をとることも、私は被害をなるべく僅少に押えるという意味では緊急の課題ではないかという気がするわけです。その辺についてひとつお考えを聞かしてもらいたいのですが。
  12. 清水汪

    清水説明員 ただいまの問題につきまして、民間金融機関の立場におきましても、できるだけ御協力といいますか、できるだけのことをすることが望ましいというふうに思います。ただ最近の事情といたしまして、金融機関の側におきましても、いわゆる人手不足とか時間外の勤務をめぐる問題というようなこともだんだんと出てきておる事情もあろうかと思います。その辺のことをどうやって解決するのがよろしいか、そういうことを含めまして、ただいま御指摘のようによく郵政省当局とも相談をさせていただきたい、かように思います。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 問題は非常に緊急を要するわけでございます。大体いま私ちょっと申し上げましたが、郵政のほうで預金をしないのか、銀行のほうで扱ってもらえないのか。もちろんそれは全部が扱わないとか、全部が預金をしないとかいうわけじゃないと思うのですが、実際の取り扱いの問題として、銀行から断わられている例が多いのですか、郵政のほうで預入をしない例が多いのですか、どっちですか。
  14. 廣瀬弘

    廣瀬説明員 ただいまの銀行預金につきましては、銀行側郵便局のほうに出向いて取り扱うというような契約になっております。したがいまして、銀行のほうが相当ただいま人手不足のようなこともございまして、あるいは交通事情等もあるかと思いますが、そういった理由で、若干の局につきましては銀行側取引を喜ばないという傾向は出ております。私のほうはできるだけこういった局につきましては銀行側と十分接触して、取引を行なうように積極的に努力をいたしておる次第でございます。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 率直に言いますと、若干ひっかかりがあるようですよ。何か最初指定するときは郵政省がかなり高くとまって、おまえのところみたいな小さい銀行相手にしないとかいったようないきさつがあるのです。それがいまになって頼むといっても、あのときおれのほうを相手にせぬでおって、いまごろ何をいうかという銀行側意見もあるようです。あるようですが、しかし問題がこういうふうになってきたわけですから、この点はひとつ大蔵のほうもぜひ郵政協力をして、こういう事故が起こらないように万全の措置をとるように、郵政もひとつその点は民間銀行に頭を下げてもいいじゃないですか、事故の起こらないように、大切な金を預かっておるわけですから。大蔵十分協議をして、まず、監察官にお願いしましたように、防犯に重点を置くと同時に、かりに犯罪が起こったとしてもその被害最小限に食いとめられるように、これは速急の対策を立てていただくように、そしてその進捗状況をひとつ報告を願いたいと思いますが、よろしゅうございますか、委員長
  16. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 承知しました。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは無人局侵入犯罪については終わります。  次に、まだ大臣見えになっていないようですけれども、先般来郵便料金値上げの問題がいろいろ報道されておるようでございます。大体大まかにいって、四十九年度、五十年度見通しての郵便収支はどういう状況になるわけでございますか。
  18. 廣瀬弘

    廣瀬説明員 四十九年度につきましては、御承知のように、当初予算におきまして六百九十六億の赤を生じております。これは借り入れ金によってまかなうということで予算編成がされておるわけでございます。その後の見通しでございますが、御承知のように二九・九九%の仲裁裁定によるベースアップがございます。この分につきましては今後補正予算におきまして措置をする必要があろうかと思っております。その額につきましては、まだ最終的なまとめに至っておりませんので、いま申し上げる段階ではございませんが、相当赤字のさらに累積があると思います。必要額が約七百億ぐらいでござますので、そのうち予備費等を使いましても相当額を必要とすることになろうかと思います。そういった全体の見通しがございますが、さらに五十年度におきましては、現在概算段階計算いたしましたところでは、人件費のアップを例年のとおり五%給与改善原資ということで見込んでおりまして、これを含めまして収支計算いたしますと、概算段階では二千三百三十億の収支上の赤を生じております。  以上でございます。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体いまの経理局長お話では、四十九年度おおむね千三百億になりますね、これは借り入れでやりたいということですが、五十年度で二千三百三十億の赤字になると。この郵便事業赤字を、借り入れ一般会計の繰り入れ、それから郵便料金値上げ、どう考えてもこの三つ以外にあまり知恵がないようでございますけれども、かりに郵便料金値上げでまかなおうとする場合に、どのくらいの値上げが想定されるわけですか。
  20. 石井多加三

    石井説明員 お答えいたします。  昨年の十二月の郵政審議会にその問題につきまして諮問いたしました際にも答申をいただきまして、第一種は二十円を三十円に、第二種につきましては十円を二十円にという料金改定案をいただいたわけでございますが、その料金でいま直ちに、たとえば今年度内、新年早々にでも値上げをいたしましても、その当時予想しておりましたように、四十九、五十、五十一の三年間の収支をまかなうことはとうていできないということを前回の国会でも申し上げたわけでございまして、それより上の数字になるわけでございまして、あとは、問題は、これを前回答申のときに考えましたと同じように四十九、五十、五十一年の三年間に見るのか、あるいは、もういまからといいましても四十九年度相当過ぎておりますが、四十九年度、五十年度と二年度に見るのか、その期間をどのくらいもたせるかということが一つの大きな決定要素になると思いますし、また一方、この実施の時期が、ちょっと先ほど触れましたように、本年度内に、予算では料金値上げは想定しないで予算を編成いたしましたけれども、その後の事情変更がございますので、あるいは補正予算の際とかいった場合に料金値上げをかりにお願いするという場合、そうなると年度内実施ということになるわけでございますが、そういった場合に考えるものと、来年度予算で考える場合、そうしますとおよそ半年近くその間ズレがございますので、その二つの大きな、幾ら期間もたせるかということと、いま申し上げましたようにいつから実施するのか、その辺が非常に不確定要素と申しますか、われわれとしてもまだ事務当局としてはきめかねておりますので、ただいま御質問の、幾らにすればいいのかという御質問、ちょっと的確な数字の上でお答えすることがむずかしい状況でございます。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 しかし、少なくとも先般の郵政審議会答申の額では、これはもうすでに間に合わないことだけは間違いないわけですね。そこで、これは郵政当局が発表したのか、あるいはそのほかでかってに意見が出たのか知りませんが、たとえばはがきが三十円、手紙が五十円と、こういうふうな案も出ておるようですが、手紙が五十円、はがきが三十円とかりになった場合には、大体来年の一月から実施をして何年持ちこたえられるのか、それから来年の四月、いわゆる新年度から実施した場合に何年くらい持ちこたえられるのか、そういう計算はできていますか。
  22. 石井多加三

    石井説明員 お答えいたします。  ただいま仮定の数字として、かりに来年の一月一日から五十円、三十円という値上げがかりに実現いたしました場合にいつまでもつかということでございますが、われわれのほうの計算、結局問題は今後の五十年度あるいは五十一年度のベースアップが幾らになるかという、非常に支出の上の大きなエレメントが不確定でございますので計算がむずかしいわけでございますが、まあ大体五十円、三十円案を来年の一月一日からかりに実施するといたしますと、四十九年度、五十年度、五十一年度と、その三カ年間の収支は償えるのではなかろうかというふうに考えております。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣料金の問題は私は非常にむずかしい問題だと思うのです。ここだから率直に申し上げて、郵便料金がかなり上がってみても、一般の国民の消費生活に及ぼす影響は、私はそれほど大きなものだと思いません。思いませんが、公共料金値上げということが社会に与える影響というのは非常に大きいものが出てくるだろうと私は思うのです。それで、この際ですから一般会計からの繰り入ればどうだろうかということを、これはやっぱり常識的に考えますね。一般会計から繰り入れをした場合の負担のしかたを考えてみますと、いま郵便はかなり大口利用が多いと思うのですが、この大企業の出す郵便料金一般会計で負担をしてやるという変な形が出てくるわけなんですね。だからといって、いま申し上げたように、公共料金値上げをやれば、これはまた逆に、公共料金という形から、一般の物価に与える影響は非常に大きいという気がするのですが、この辺はやはり大臣の判断が非常に大きい要素にならなければならぬと思うのですが、どういうふうにお考えになっておりますか。
  24. 原田憲

    ○原田国務大臣 この郵便料金問題につきましては、だんだんとお話が進んでおると思いますけれども、去年審議会の答申が出ておる。政府としては、審議会に答申を求めたのでございますから、その答申を求めた結果についてどうするという政策を実施しなければならない立場にあるわけでございますが、しかしその場合には、料金値上げを含んで、その他こういうことに注意をしてやりなさいという答申でございますから、料金問題が中にあったわけでございますが、昨年私が大臣に就任いたしましてから、特にことしの初頭、一、二月ごろにかけましてはいわゆる物価狂乱といわれた状態でございまして、これを何としても押えなければならぬという見地に立ちまして、いま阿部委員お話しのように、それの示す数字というものはあるいは米なんかと比べると小さいかもわからぬけれども、その米も、それから鉄道運賃も、きまっておることすら半年を延ばすのであるから、この際、物価に対する政府の決断を国民に訴えるためにも、政治的判断としてこれを行なわないということをやったことは、御案内のとおりでございます。  そういう情勢がいまも続いておるかどうかということになりますと、一応狂乱状態ということは脱して鎮静への道をたどっておると思いますけれども、ちょっと間違うとまたぞろそういう状態にならぬとは何人も保証することはできないので、いま正念場というところであろうと思います。したがいまして、私といたしましては、この料金問題は非常に慎重に考えておるのでございますが、その中での非常に具体的な問題で、一般企業が出しておるところのダイレクトメールといわれるようなものと、それからほんとうに個人が出しておるところのお互いの心の疎通をはかっておるようなものと分けて考え、処置をするということを含んでのお尋ねであると思うのですが、私はこのことが非常に技術的にむずかしい問題でありますので、十分なお答えにはなりかねますけれども、やはりいまおっしゃいましたところのダイレクトメールを値上げをしないための補充を一般会計へ求めてやるということはちょっとむずかしいのではないか、このように思います。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 参考までに郵務局長にお伺いします。  郵便物の中で、わかりやすくいって企業ですね、企業から差し出されるものと、いわゆる親書、高等信と呼ばれるものとの割合は、どんな割合になりますか。
  26. 石井多加三

    石井説明員 お答えいたします。  全体の郵便物数の中で個人から差し出されるものが全部合わせまして一九・五%、残りの八〇・五%が企業から差し出されるものという数字が出ています。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 局長、ちょっと専門的になりますが、いわゆる親書、高等信というものと、いまおっしゃった企業から差し出されるもの、これは必ずしも不特定多数とはいかないと思いますけれども、要するに企業から差し出される、親書、高等信でないものとを、取り扱い上区別することは可能でしょうか。
  28. 石井多加三

    石井説明員 これはもう先生御案内のとおり、たとえば、第三種郵便物でありますとか、そういったものは別でございますけれども、第一種、第二種というふうな形として出されたもの、同じ料金を払ったものが、差し出し人が個人であるとかあるいは企業であるからといって、片方早くしたり、おそくしたりとか、あるいは料金を差をつけるということになりますと、私たちのほうで、引き受けました段階でそれを一々チェックするという作業が必要でございますので、実際上は大量の、一日約三千万通もの郵便物を引き受けております各郵便局で、引き受けの際にそれだけのものを一々区別するということは、事実上はむずかしいことであるというふうに考えております。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうではなくて、たとえばいまの一種、二種というような区分けをもっと細分化するといいますか、そして、高等信は高等信としての料金、ダイレクトメールはダイレクトメールとしての料金というようなものを設定すると仮定した場合に、取り扱い上、種別を分けることが可能かどうかということなんです。
  30. 石井多加三

    石井説明員 お答えいたします。  郵便物は、申し上げるまでもなく、郵便局の窓口へ持ち込まれるものと、ポストに投函されるものと、いろいろあるわけでございますが、ポストに投函されましたものは、局へ引き揚げました段階で見るとすれば見るわけでございますが、そういった郵便の内容によって、あるいは差し出し人の差によってそれを区別するということ自体、まあどこの段階でやるかということでございますが、いずれにいたしましても、窓口だけで引受けるものであれば若干そこへ手間をかければできないことはないかと思いますが、ポストに投函されたものまで一々それをやるということになりますとたいへんな手間がかかるのではないかと思います。ちょっと、いまの御質問に的確にお答えしなかったと思いますが……。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。  たとえば、率直に言いますと、ダイレクトメールというものを第一種の雑種なら雑種、こういうふうに仮定しますね。それは五十円、それから普通の親書の第一種は三十円なら三十円、こういう設定をしていった場合に、これを明確に分けて料金を徴収することが事実上できるだろうか、こういうことです。
  32. 石井多加三

    石井説明員 最近のダイレクトメールをいろいろ先生方もごらんになっていると思いますけれども、一見いかにもダイレクトメール風のダイレクトメールと申しますか、宣伝物であると思われるようなものはだんだん少なくなってまいりまして、いかにも親書的な、特定の自分にあてたものだという感じをもって開封する、それで、あけてみると、なんだ、ダイレクトメールだったというのがわれわれの偽らざる実感ではないかと思いますが、そういうふうに初めからダイレクトメールとわかるようなものを出しますといきなり郵便受けから反古箱へ運ばれるというふうなこともありまして、その辺が非常に巧妙で区別がつきにくくなってきておる、そういった傾向があるように思いますので、初めからこれはダイレクトメールではないか、これは普通の高等信であろうかというふうに区別することはむずかしいのではないかと思います。  また実際上、これはよけいでございますが、高等信の中でもそんなに急がない郵便もあるわけでありますが、そういった個人通信、企業通信、単に企業だから、個人だからといって、中身の重要度ということになりますと、またいろいろ見方の違いもあろうかと思います。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 非常にむずかしい問題で、たとえば、いまのはがきの場合でも、クイズの解答などというものは二十円とか、そうでない普通の親書は十円とか、実際問題としてはこれは私はなかなかむずかしい問題だと思うのです。しかし何かそこに知恵を働かして、今日の日本の文明の発達の中で分けることができないものだろうか。そして、できるならば、ほんとうに親書として意思の伝達をするような場合のものについては現行料金を据え置いて、そして商業用として扱うものについては、これは私は郵便法に定むるところの適当な料金というものになっていいのではないか、そういうような気がしますが、確かにむずかしい問題だと思います。これはひとつ検討していただきたいと思います。  それから、三種以下等の法定料金でない分のものについては、これはことさらここできめなければならぬわけではないのですが、小包については十月からの値上げがきまっておるようですが、その他のものはどうなっておりますか。
  34. 石井多加三

    石井説明員 ただいま御指摘のとおり、小包の料金につきましては、去る九月五日に郵政審議会答申を得まして、十月一日から新しい改正料金で取り扱うように目下運んでおる次第でございます。残りの法定料金以外の書留とか速達といったような特殊料金、あるいは一、二種以外の三種以下の料金といったようなものは、ただいまお話のありましたように、これは郵政審議会に諮問しまして郵政大臣が省令で定めるということになっておりますので、現在のところ、先ほど御質問のございました一種、二種の料金といったような大きな問題が残っておりますので、これはそれらとの関連もございまして、いつからこれを改正するということにつきまして現在まだきめておりませんで、目下検討中でございます。小包につきましては、先ほど経理局長の説明しました昭和四十九年度予算の概計要求の中で収入見込みにすでに十月一日から小包料金をかくかくの幅で上げるということで収入もすでに見込み済みでございましたので、あくまでその方針に従って十月一日からこれだけは先行して実施したという事情でございます。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは要らぬことですけれども、一種、二種については先ほど申し上げました区別が非常にむずかしいという問題もありますから、これは公共料金として非常に重要なあれもありますので十分な慎重な検討をしていただかなければならぬと思いますが、三種の場合など、新聞取り扱い店が手配りしたほうが安いところは全部手配りするわけですね。手配りよりも郵便が安いところは郵便を出すわけなんです。向こうもその採算に見合って出すわけです。郵便法もこれは明らかに採算のとれるようにという規定になっておるわけですから、これはことさら法定じゃないので、何も遠慮をせずにそういうものについては見合う料金を微収するのが私は法のたてまえだ。それで向こうが手配りがよければ手配りするでしょうし、郵便郵便料金として採算のとれる料金を定めて、それでなおそのほうが有利なら利用してくださるでしょうし、また向こうが手配りがよければ手配りしてくださるでしょうし、これにまでしんしゃくをして郵便料金赤字を背負い込んで、そして特に高等信についての値上げを余儀なくするという行き方は私はちょっと法のたてまえからも矛盾をするという気がするわけです。したがって、三種以下あるいは特殊取り扱い料金等については本来の法のたてまえに従って検討さるるべきではないかというふうに思うのですが、大臣、これはどうですか。
  36. 原田憲

    ○原田国務大臣 たいへん貴重な御意見を拝聴いたしましたのでございますが、四十九年度料金問題はこれを値上げをしないという方針をとりましたけれども、小包郵便は鉄道の小包との関係がありますので、これはいま局長から言いましたような措置をとったわけでございます。三種郵便等についてはたいへん貴重な御意見を賜わりましたので、今後もよく、そういう御意見もあるということを含んで検討をさせていただきたいと思います。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いろいろ御意見が出ておるようですが、いずれ郵政審議会に諮問をされることと思いますが、その時期はいつごろを予定されておりますか。
  38. 石井多加三

    石井説明員 郵政審議会に対する諮問はただいま御指摘になりましたいわゆる省令料金、特殊料金あるいは三種、四種の料金といったようなものももちろんありますが、法定料金であります一種、二種につきましても、これは重要事項でございまするので当然郵政審議会に諮問しなければなりません。この郵政審議会に対する諮問の時期は、この料金値上げがいつから実施できるか、もう少しめどが立ちませんと郵政審議会への諮問も、ただ、いますぐすればいいということでもございませんので、すでに一応昨年の十二月に答申をいただいておりますから、今度は郵便料金の具体的な数字を提示いたしまして諮問する、答申をいただくという形になろうかと思います。昨年の諮問の場合は、御案内のように郵便事業の健全な経営を維持する方策ということで郵便のサービス問題も含め、あるいは郵便事業の合理化問題等、できれば料金値上げをしないで済むいろいろな方策につきまして広く御審議をいただいた。その点今度の審議会はそのものずばりでいけるのではないかと考えておりますので、前回ほど、一カ月もかかる必要はないのではないかというふうにも考えておりますし、現在のところまだその時期をはっきりお答えすることができない状態でございます。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いずれにしても大臣郵便料金の問題は、大臣お話のありましたように、非常に公共料金として与えるところの影響が大きいわけでございますので特に慎重に、この委員会にも十分この意見を述べさせてもらって取り運んでもらいたいと思います。  次に郵便貯金関係について簡単にお伺いしますが、かねてからこの郵便貯金については、最近の物価の上昇で非常に目減りが大きいが、大衆の小口のお金を預かっておる郵政省郵便貯金としては何とか目減りをとめるような努力ができぬものだろうかということをずっとお願いしてきたんですが、現行の利息で定額の場合の三年以上というのが一番高いんですが、これとても現行七・五ぐらいにしかなってないわけです。もうすでに金融債等で回しても九%ぐらいには回るところが多いような気がするんですが、それから比べてみますと、庶民の零細なお金を預かって、しかもそれが目減りをしていく中で七・五%という利息はもはや今日の常識の外で、預けておくほど損をする、こういうことにもなってくるような気がするんですが、大幅にひとつ引き上げたらどうかということを前から申し上げておるんですが、貯金局長、どうですか。
  40. 船津茂

    ○船津説明員 お答えいたしますが、世論その他、預貯金の目減りに対するあれが強うございますが、大幅に引き上げるということも一応できるものならと、預金者の利益の増進のためにいろいろ頭をしぼっておりますけれども、御承知のように、私のほうの郵便貯金はほとんどすべて資金運用部のほうに参りまして、現在正確に数字は記憶いたしませんけれども、十五兆円前後かと思いますが、その中の十二兆円定額郵便貯金、いま先生指摘の七分五厘を大幅といったらもっと一〇%近くということになりましょうが、かりに一%上げるということにいたしましても、私のほうの支払い利子が、概算でございますが、大体十二兆円に対しまして千二百億年間要るわけでございまして、それに対する見合うところの預託利率を上げるということが必須前提になります。預託利率を上げるということになりますと、これはめぐりめぐりまして政府系金融機関の貸し出し利率その他を上げなければいかぬというようないろいろな一連の金利体系の中にありまして、ほんとうに上げたいのではございますけれども、そう大幅な上げは現段階では非常に困難——非常に困難というよりもむしろ至難であるということでございまして、いろいろ頭をしぼります、しぼり続けていきたいと思いますけれども、そういう事情でございます。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政省だけではなかなかむずかしい問題で、資金運用部に入って預託利率の関係があるわけですが、しかし、いまお話がありましたように、かりに定額の七・五%を一%上げる、そうすると、十五、六兆預かっておるうちの十二兆円ぐらいがこの定額のそれに該当するとすると年間千二百億、千二百億なら、国全体で見るとたいした金じゃないと思うのですがね。郵政省で出せと言ったらたいへんですよ。郵政省の貯金局で出せと言ったらたいへんですが、国全体で見れば、今日のこの目減りの問題をカバーするために一年間千二百億ぐらいの金はそうたいした金じゃない。この際ひとつ大蔵からもお見えになっていただいておるんですが、郵便貯金の場合は最高制限があるわけでございますから三百万円より多い貯金はないんですから、したがって零細なそれらの貯金について思い切って目減りをさせない、そして総需要を押えるという意味からも、ひとつ一〇%ぐらいの貯金の金利を払ってみたらどうですか。これは預託利息を上げてもらわなければ郵政省は立っていけませんから、当然大蔵のほうの考えを聞かなければなりませんが、どういうお考えでしょうか。
  42. 清水汪

    清水説明員 ただいま御質問の預託金利の問題は大蔵省の中で理財局の所管あるいは主計局の問題になろうかと思いますので、私の立場で直接お答えすることは適当でないと思いますが、ただこの金利の問題は、先ほどの御答弁にもございましたように、民間の各種の金利とも非常に密接不可分に連動関係にあるということは否定できないと思います。現在御承知のように、民間金融機関預金金利につきましても現状においてできるだけのところでさらに引き上げをはかりたいと考えておりまして、これはすでに大蔵大臣からその発議もなされまして、近く金利調整審議会の意見を聞いてみるという段階になっておるわけでございますが、やはりこの特定のものについてという、そういう一つのお考えというものは従来もいろいろ言われておるわけでございますが、なかなかその点は問題が多くて解決がむずかしいんじゃないか。私どもとしましては、やはり金利が全体としては弾力的に働き得るということを前提にいたしまして、そうして各種の金融機関の経営努力もさらに要求をいたしまして、そうした中で預金者の立場に絶えずできるだけの考慮を払っていくべきであろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ぼくは大蔵省の理財のほうも来てもらおうと思ったのですが、銀行局ですね。それではしかたがありませんので、これは大臣にお願いしておきたいのですが、なるほど郵便貯金は長期のものになりますと利率は高くなるのです。しかしいまの経済情勢からいけば、逆に言えば長期になるほど目減りが大きくなるわけですね。だから長く預けてもらうということが、金利が高くなるということよりも目減りを大きくする結果になっておるということについても私は考えなければならないだろうと思うのです。なるほど郵便貯金は三年以上になればほかよりも利率が高うございますと、その限りにおいてはそうでしょう。しかし長く預けておいたために目減りも大きくなったということになれば、利率が〇・五%とかそこら高かったからといって、決して預金者にとって有利にはならないというこの経済の情勢の中での実態が生まれてくるわけです。したがって、いまお話もありましたが、近く金利の調整が行なわれる、聞くところによると平均して〇・五%ぐらいの引き上げではないかと言われておるのですが、特に郵便貯金については長期のものほど今日の経済情勢の中では目減りが大きくなるという点に思いをいたして、長期のものについてはもっと金利を引き上げてあげなければ預金もできなくなってくるでしょうし、せっかく預金をしてくださった零細な預金者に対して目減りの負担を大きくさせるという結果になる。この点で、郵便貯金の金利の引き上げについてはほかのものにとらわれることなく、特に長期のものについて少し大幅な引き上げを大蔵と折衝していただいて実現してもらいたい、こう思いますが、大臣どうですか。
  44. 原田憲

    ○原田国務大臣 金利問題は郵便貯金だけでなくあらゆる預貯金、国債等にまで影響するものでございますから、おっしゃるとおり一番長期にありますところの国債等の金利等もにらみ合わせて金利というものをきめていかなければならぬということではございますけれども、私は、この郵便貯金は国民の貯金であり、これに寄せられるものは大衆の貯金であるから、できることならばこれを一番優遇してもらいたいという気持ちも持っておりますし、政策として先般から総需要抑制、国民生活を守るために、貯金をしていただくために金利も引き上げ、制限額の拡大もいたしまして、これについて国民の理解があって、いま局長から言いましたように十四兆でありましたものが十六兆まで伸び、それと比例するように物価も鎮静状態に立ち至ってきておるということを考えますと、国民のこの郵便貯金に寄せられておるところの支持というものを深く考え、感謝をいたしまして、郵便貯金利子の引き上げについて指示をいたしておったところでございますが、これについて近々具体的に利上げをいたすということを考えておりまして、近々にこれを実施いたしたいと思っております。大蔵省に対しましては、これらの問題について事務当局間の折衝もいたしておりますが、私からも大臣に連絡しまして、郵便貯金の立場も考えてこれをやってもらいたいということも言いまして、実施時期のこと等につきましても十分配慮してやってもらうようにということで、最も近い時期に具体的に金利値上げということでお答えができると思うのでございますけれども、なお今後ともひとつ勉強をさしていただいて、預金者保護をするとともに、国家の経済、財政に貢献をいたしたいと思う次第でございます。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 貯金のことでもう一つ最後に聞きますが、かねてお願いをしておったのですが、いまの住宅貯金の募集について、これは少し手当を出すようにということをお願いしておったのですが、検討されておりますか。
  46. 船津茂

    ○船津説明員 せんだって委員会阿部先生から同じ趣旨の御質問を受けまして相当措置するとお答えした覚えがございます。調べましたところ住宅積み立て貯金は窓口で受け付けるのを大体の本旨にしておりまして、出かけて募集するということにはたてまえ上はなっておりませんけれども、実行上はやはり件数をかせぐために出向く人もおると思います。そこで、これに対します募集手当でございますけれども、募集手当はいろいろ問題がございまして、もう少し検討さしてもらって、来年度実施できるかできないかまたお答えしたいと思いますけれども、これに対しましては、奨励物品、個人あてと、それから施設費といたしまして局あてと、各十一郵政局管内統一的にはやっておりません。まちまちにやっておりまして、金額も五百円とか、少ないのは百円とか、物品のハンカチだとか何だとかというようなことでございますけれども、これを統一いたしまして、私のほうの単価といたしましては一件当たり四百円という基準で配算しておりますが、もう少しやはり労に報いるためには各郵政局の整合性、統一性をはかりまして労に報いたい、これを秩序あるものにしていきたい、こういうふうに考えております。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。  最後に電電公社にちょっと、もう時間がなくなりましたから取りまとめてお伺いしたいのですが、総裁ようございますか。大体五十年度の概計要求もできたようでございますけれども、だいぶん赤字が出るように見受けられます。すでに四十九年度でも相当赤字じゃないかと思いますが、五十年度の概計を見ますとさらに大きい赤字のように見受けられますけれども、第一に、私はこの第五次五カ年計画を、総裁もちょっとおっしゃっておったようですが、この際洗い直すほうが先じゃないか。一ぺん第五次五カ年計画を洗い直してみた上で計画を立てなければ、たとえば総需要抑制による建設勘定の繰り延べがずっと出てきております。それから膨大な赤字、五十年の資金調達の関係にしましても、財政投融資、特別債が六千四百三十七億ですか、こんな金は私は率直に言って集まりっこないと思うのです。そういう計画を立てなければならぬ、それ自体、私はもう公社の五カ年計画がもう一ぺんやり直してみなければならない段階に来ているのじゃないかという気がするのですが、時間がありませんから、その大筋をひとつ御説明願えませんか。
  48. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  公社といたしましては、現在第五次五カ年計画を進めておりまして、ちょうど四十九年度がその第二年度目になっております。第五次五カ年計画の最大の目標は、計画の終わります昭和五十二年度末におきまして電話の申し込み積滞を全国的規模においてなくすということでありまして、この目標は電話事業を経営している公社といたしましてぜひ達成したいというふうに思います。しかし昨年の十一月の石油危機以来非常にその状況が変わってまいりました。昭和四十九年度、本年度でいいましても全体の景気の沈滞、それから物価の異常な高騰、それに伴って起こった大きなベースアップの問題、そういうことがありまして、まあ予定収入が確保できたといたしましても、資金的にベースアップの資金あたりでも約二千億円要るというようなことから、大体千二百億円くらいの赤字になるのではないかというふうに考えております。  では収入状況はどうかといいますと、ことしの四月から現在の八月末までで大体二百六十億円くらいの赤字といいますか予定よりも収入が落ちているということでありまして、大体三%ちょっと以上の減収になる傾向になっております。  そういうことでありますが、しかし四十九年度は何とか、これは補正予算をこれからお願いしなければならないのでありますが、予算できめられました三百二十万個の電話をつけるということはぜひやりたい、在庫の資材を活用するとか、そういうようなことでやりたいと思います。  ところで、ただいま御質問ございましたが、昭和五十年度概算要求、これは八月末に郵政大臣のところへ出しました。この時点におきましては、公社としてとりあえず収入の欠陥、これは五%のベースアップしか各省ともあるいは各企業体とも大蔵省は認めてないもので、五%のベースアップしか組んでおりませんが、それにいたしましても、約二千六百億円の赤字、この赤字をどうするかということは、公社といたしましていまいろいろ検討しておりまして、昭和五十一年、五十二年の今後の見通し等を含めて、大体十一月の初めまでには公社の案をつくって郵政大臣あるいは政府に要望いたしたいというふうに思っております。現在検討中でございます。したがって、ただいま阿部委員のおっしゃったように、この赤字並びに昭和五十年度の拡張に要する財投それから特別債というものの六千五百億というのは非常に過大な数字でありまして、私はこれの措置はいずれまた政府、さらにまた国会等にお願いしなければならぬ時期が来ると思いますが、現在はこれを検討している、こういう状態でございます。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ちょっと申し上げますが、人件費というのはわりあいに目につきやすくて言いやすいのですよ。ですから人件費が今年度千二百億ふえました。来年はもっとふえます。これは簡単に言えるのですが、公社のこの資産状況等の伸びから見て、人件費はそれほど大したことじゃないような気がするのですよ。むしろ私は率直に言って公社は少し設備の過熱、投資の過熱じゃないかという気がするのです。そういう意味から、ここできょうはゆっくり議論はできませんが、五カ年計画を洗い直す、たとえばいま申し上げましたこの五十年度の財政投融資の特別債の関係でも、こんな六千四百三十七億というワクが、総裁本気で集まると思われておるのかどうか、これが集まらなければ五十年三百二十万の加入電話の可能性がなくなってくるのです。そうすると、昭和五十二年に申し込めばつく電話などと言ってみたところで架空の論議になるのですよ。ですから私はこの際、この公社としての設備投資の過熱についてもう一ぺん考えて、五十二年度までの計画を、こういう時期ですから思い切ってやり直したほうがいいのじゃないか、こういう気がするわけですが、ちなみに、この六千億などという金は集まりますか。
  50. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘ございましたように、五カ年計画につきましては、五カ年間に千五百三十万つけるというこの電話の架設数は変えないで行きたい、これは大体予測をいたしましても、ふえる要素と減る要素とございまして、景気が沈滞してまいりますと、ビジネス電話の要望というものは減ってまいります。しかし、住宅電話に対してはそれほど、あまり変わらないというようなことを勘案いたしますと、千五百三十万はあまり変わらない。しかし、この資金計画は、ただいま御指摘のように、昨年の石油ショック以後非常に変わってきたということでございます。したがって、これに対しましては、すでに公社の中でいろいろ検討はしておりますが、まだ経営委員会でこれをきめるとかいうような段階まで行っておりませんので、ただいま申し上げましたように、六千五百億をそのまま借り入れ金でやるということは、実際問題としておそらく非常に困難じゃないかと思いますが、その対案につきましては、また後刻御説明する機会を得たいというふうに思います。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もう一つ具体的にお伺いしますが、例をとって申し上げますよ。たとえば「既設の地域集団電話についても、要望に応じて逐次一般加入電話への変更等のサービス改善を行う」、これは去年もあった。ことしもまた出ておるわけです。しかし、私どものところでは新しい交換機、可搬型の交換機だと思うのですが、入ってきて、自動化されるのに、加入者の要望があるにもかかわらず一般加入電話にならない。地域集団電話のまま残さねばならない。しかもそれが、公社のやり方がおかしいのですが、その一般加入電話への切りかえを申し込んでおるうちの二割程度を一般加入にして、あとの八割は残すというのですよ。自動化するときに何で二割だけして、あとの八割を残すのか、その残し方も地域で残すのではないのです。十軒なら十軒のうちで特に必要の高い家を一般加入にして、あとの八軒はそのまま地域集団電話で残しておきたい。これは委員長承知でしょう。南海部郡の直川村です。だれか公社お聞きになっておると思うのですが、そういう計画を立てなければならぬほど公社は苦しいのだろうか。交換機が入ってきて、一般加入に切りかえるのに、その地域のうちの何人かを一般加入にして、あとは地集で残しておく、下部のほうではこういう計画を立てておるのですよ。それほど資金繰りが苦しいのですよ。どうなんですか。
  52. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  たまたま大分県の直川の話が出ました。私も陳情を受けましてよく承知をいたしておりますが、この問題は経緯がございまして、ちょっと一般例にならないかと思うのでございますが、やはり私どもが一般化をいたしてまいりますのは、非常にその必要性の高いものからやっていくということにいたしておりまして、まあ資金上の問題もございます。しかしそういう計画、順序を立ててやっておる過程でございますので、どちらかというと順序の問題でございまして、資金そのものの問題ではございません。ただ、私どもとしてはこういうサービス改善は、こういう時節柄でもございますので、できるだけ順序をつけて、必要の高いところからやっていきたいという気持ちでやっておるわけでございます。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それはわかるのですよ。それはわかりますが、いま私が申し上げたのは、必要の高い地域というふうにわれわれは理解をするわけです。必要の高い地域、したがってAという地域が必要が高ければ、Aという地域の集団電話は一般加入に切りかえられるもの、こう常識的に理解をする。ところがそのAという地域の中で、十人あれば二つは一般加入にするが、八つは地域集団のまま残さなければならない。なぜそういうばかげたことをするかと言ったら、予算がないからこうやらざるを得ない、こういうわけなんですよ。これは遠藤さんどうですか。私は必要の高い地域と理解するわけです。いまの総務の話では家というふうに、個人というふうに理解をされているようですが……。
  54. 山本孝

    山本(孝)説明員 現在地域集団電話は全国で大体三千カ所をこしておりまして、百三十万加入をこしておると思いますが、地域集団電話につきましては御承知のように組み合わせ数が一回線当たり七加入とかいう程度でございまして、トラフィック上非常に加入者の皆さま方に御迷惑をかけておりまして、多くの方々から一般加入への切りかえの御要求がございます。それで、ただいま遠藤総務からお答え申し上げましたように、全国的に一時にやることができませんので、そのうちトラフィックが多くて、ほかのお客さまに迷惑をかけているような高トラフィックの加入者だけを一応抜き出しまして、平均的にサービスをよくしたいということで、地域的に見ますと非常に多くの地域でございますので、やむを得ず全体のうちから六万加入ぐらいをこの年度に一般化したいということであります。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 総裁、よくわからないのですけれども、私ども地域集団電話を一般加入に切りかえるという際は、いままで少なくともその地域ごとにやっていくものというふうに理解をしておったのです。そうでなければAは一般加入になって、隣のBは一般加入にならないというふうな不公平が出てくるから、当然公社としては必要の高い地域から切りかえていくものと理解しておった。ところが、いまお話をお聞きのように、その地域の中の必要の高い、利用度の高い人だけを一般加入にして、あとは地集で残しておく、こういう方法をとる、そんなばかげたことをしたら地域から非常な苦情が出るじゃないかと聞いたら、公社のほうでは予算上やむを得ない、予算があれば全部やりたいのですけれども、予算がないのでこういう措置をとるというのですが、この措置をとっていくとたいへんな不平が出てくると私は思うのです。よかれあしかれやはり地域の必要度の高いものから切りかえていくというような、地域性を重んずるということをしていかないと困ったことになるんじゃないか。先ほど特別な事情だというから、特別な事情ならやむを得ませんが、私はそこまで公社の建設予算がかなり苦しい状態になっておるのではないかということを懸念をしたわけで申し上げたのですが、この点については、ひとつ御検討いただいて——率直に言ってかなり地域で不平が出ています。どこが一般加入になるんだろうか、うちはなるのだろうかならぬのだろうか、これは当然そう思うのが人情でしょう、隣がなって自分のところがならぬというのですから。そういうやり方についても私は問題があろうと思うから、やるのならその地域を全部まとめてやってあげるという方法のほうが好ましいのではないかと思います。  最後に、料金改定の問題で私の希望を申し上げておきたいのですが、最近のいわゆる限りある資源を使うわけですから、いままでのようにたくさん使えば安くなるというものの考え方を変えて、日常生活に最低限必要なシビルミニマムと申しますか、そういうようなものについては安い料金で提供してやる、しかし、たくさん使う方についてはたくさんいただきますよ。したがって、まず電話の場合にも、住宅用というようなものについては、営業用はもともと利益を得るために使うのですから、かまわぬですよ。しかし、一般加入の住宅の電話についてはこの料金現行のまま据え置く。ではどんなふうな形があるか。いろいろ考えられますが、一つの案としては、たとえば一つの加入電話が一カ月の通話平均が百であるとするならば、住宅電話一カ月百回までは現行料金にする。それを越して使ってけっこうですが、それ以上使う場合には、これは少し高くなりますよとか、そういうふうな方法が私は電話の場合には考えられるのではないか、したがって、日常生活に欠かすことのできない最低限の利用については安い料金で提供をし、営業上もうけるために使うとか、必要以上にといいますと語弊がありますが、一般の人よりもたくさん使うというような方については、これはある程度高い料金をとってもやむを得ないのではないか、そういう意味で公共料金の引き上げ、好ましくありませんが、こういう財政の中でお考えになるとするならば、そういう料金改定の方法等についても検討が願えないものだろうか、そういうことを私は個人的に考えておるのですが、いかがでしょうか。
  56. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいまいろいろ御意見がございましたが、公社の今後の検討事項の中に入れまして、検討さしていただきたいと思います。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  58. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 この際申し上げます。  本日参考人として、日本放送協会から営業総局局長市原嘉男君、国際電信電話株式会社から取締役社長菅野義丸君、取締役副社長板野學君、取締役古橋好夫君、取締役鶴岡寛君及び取締役志村静一君の方々が出席されております。  参考人からの意見聴取は委員からの質疑によって行なうことといたします。  土橋一吉君。
  59. 土橋一吉

    ○土橋委員 国会の閉会中に本委員会を開きまして、政府並びに参考人の皆さん、たいへん暑い中出席をしていただきまして、感謝にたえないところであります。ありがとうございます。  外務省の方お見えになっておりますか。——外務省お見えになってなければ、防衛庁お見えになっておりますか。——ちょっとお尋ねしたいのですが、最近OTHという超短波レーダーがわが国の沖繩県泡瀬、埼玉県の所沢、北海道の千歳などにあるのであります。私は過日二回ほど埼玉県のOTHのレーダー基地を見学させていただきました。このOTHというレーダー基地は——簡単でよろしいです。基本的な問題だけ答えていただけばよろしい。どういう機能で、何をする目的を持ってこれが設置されているか。肝心なところだけ答えていただけばけっこうであります。
  60. 三好富美雄

    ○三好説明員 所沢その他にございますOTHレーダーと申しますのは、その軍事的機能は、核の抑止力、これを有効かつ安定にするための装置である、一言にして申しますれば、そういうことになると思います。核の抑止力と申しますのは、御存じのとおりでございますが、核保有国のいずれか一国が第一撃を開始したといたしましても、相手方は第二撃の報復力によりまして、最初に第一撃を行なった国に対して、その国が一つの社会として存続を続けていくことが不可能になる程度の耐えがたい損害を与え得る、そういう体制を確実にすることによって、実は相互に核を使用することを差し控えさせる、こういう力が抑止力でございます。そして、この抑止力に対しましてOTHレーダーというのは、ミサイルを発射しましたときの早期警戒装置という機能を果たしまして、それによりまして、まずほんとうに使う意思がないのに、錯誤によって核を使用してしまうというようなことを防止いたしますとともに、かつ、確実に相手の意思を間違いなく判断いたしまして、そしてその場合には報復力を確実に発動できるという機能に貢献しているものであります。
  61. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは安保条約の一体第何条及び地位協定の第何条に従ってこれが認められていますか。
  62. 三好富美雄

    ○三好説明員 これは外務省の御答弁かと思いますが、私が伺いましたところでは、安全保障条約の趣旨に合致するものであるというふうにお答えされたことを記憶しております。
  63. 土橋一吉

    ○土橋委員 安全保障条約の第何条に当たるのですか、御存じないですか——ではそのことは外務省に聞くことにしましょう。  これは大体いつごろから設置を具体的にしたのですか。三つの場所はございますけれども、日本でいつごろからこれを設置をしたのか、具体的に……。
  64. 三好富美雄

    ○三好説明員 ちょっと資料を拝見させていただきます。
  65. 土橋一吉

    ○土橋委員 わかりませんか。
  66. 三好富美雄

    ○三好説明員 ちょっと正確なものが。
  67. 土橋一吉

    ○土橋委員 わかったらあとで……。  それじゃもう一度お尋ねしたいのですが、これは核の抑止力であるということをおっしゃったのですが、安保条約の規定や地位協定の規定からはずれておるわけですね。安保条約はわが国の安全を守るため、極東の平和と安全のために安保条約はつくられておるわけですね。これはアメリカの安全のために設けておるのじゃないですか。どう思われますか。
  68. 三好富美雄

    ○三好説明員 先生ただいま安保条約に反するとおっしゃいましたけれども、私申し上げましたのは、外務大臣が、あるいは条約局長が安全保障条約の趣旨にかなうものであるというふうにお答えしたと申し上げたつもりでございます。  それから、アメリカを守るためではないかとおっしゃいますが、この核につきましては、アメリカといえども実はICBM等の攻撃によって有効に防御する手段を持たないのであります。それでありますので、ただいま申し上げましたように、手出しをすれば必ず第二撃の報復力によりまして、これは相手一つの社会として存続する力をなくしてしまうまでの損害を与え得るという体制にありますので、その場合には防衛という問題ではございませんで、まさに自殺行為というものであると考えます。
  69. 土橋一吉

    ○土橋委員 続いて、それでは防衛庁にお尋ねしますが、これはどういう電波を発射しておるのですか。その電波をどこが受けておるのでしょうか。
  70. 三好富美雄

    ○三好説明員 俗に短波と称しております。アメリカのほうの表現ではハイフリークエンシーといっております。それを発射しております。
  71. 土橋一吉

    ○土橋委員 それはあなたのほうが認めたのですか。わが国の電波法第五条にはそういうことを認めていないのですが、どこが認めたのですか。
  72. 三好富美雄

    ○三好説明員 ちょっとこれは防衛庁の所管でございませんので、私……。
  73. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまあなたは、アメリカは防衛の手段を持っていないということをおっしゃったのですが、アメリカはアラスカにも持っておるわけですね。また人工衛星も打ち上げておるわけです。防衛の手段はかなり彼らは講じておるわけですよ。日本にあるOTHのレーダーが三カ所とフィリピンにも一カ所あるようですね。これらは要するにアメリカの空軍、国際宇宙防衛部隊というのが担当しておるわけですね。ですから、アメリカはかなりの措置を講じてはいるのですよ。講じてはおるが、時間的にもっと有効な措置を講ずるためにここを設けておるわけです。私は、あなたがおっしゃったことについて、それは違うということを——この規定を私ちょっと読んでみましょう。これは安保条約の第六条の規定に書いておりますが、「日本国の安全に寄与し」日本国の安全に寄与しなければいかぬわけですね。「並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本において施設及び区域を使用することを許される。」ところがOTHは日本の安全じゃないじゃないですか。もし戦争が起こってくれば、そこが一番最初にやられてしまうじゃないですか。迎撃ミサイルを発射するためにそういう施設のあるところがまっ先にやられてしまうじゃないですか。安保条約第六条の規定から見て、どこにOTHレーダーを日本の安全のために設けたということがいえますか。
  74. 三好富美雄

    ○三好説明員 条約の解釈は私どもの所管でございませんので、軍事的機能についてだけ申し上げます。  日本の防衛は、第四次防衛力整備計画の防衛構想その他再々発表されておりますが、そこには明確に日本の核につきましては、日本の防衛はアメリカの核の抑止力に依存する、こういうふうに書いてございます。したがいまして、この抑止力に貢献するもの、こういったものは日本の核に関する安全に寄与するものだ、こういうふうに考えております。  それからもう一つ、アメリカはABMで守っているではないかということでございますが、アメリカのABMは、これは実はまだ完成いたしておるものではございません。来年の中ごろにようやくオペレーションを開始する、そういう予定のものでございます。  それからアラスカにあるというふうに仰せられたのは、これはアラスカにございます大陸間弾道弾早期発見用のレーダーで、これはまさしく通常の概念でいいますレーダーに当たります。OTHはまたそれよりもずっと前段階のもので、OTHレーダーということばは若干その装置に対しては名称が不適当なものかと思います。
  75. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは郵政大臣にお尋ねをいたしますが、電波法第五条の規定を御承知だと思います。条文を私があげなくても、これははっきりしておるわけですから。郵政省はいつそういう通知を受けて、不法なそういう電波をわが国において発射するアメリカ軍を知ったのか。いつごろからこの問題がわかっておったのか。
  76. 原田憲

    ○原田国務大臣 いまの問題については先般から問題になっておりまして、私は事務当局に命じまして、これについての郵政省の立場というものを明快にお答えができるようにということを言っておりますので、事務当局からひとつ答弁をさせます。
  77. 石川晃夫

    ○石川説明員 お答え申し上げます。  ただいまの件につきましては、電波法の特例法がございまして、その特例法の中におきまして、この日米の問題につきましては地位協定に依存する、こういう特例がございます。したがいまして、先ほど先生の御指摘の点につきましては電波法の特例法でやっているということでございます。  それから次に、電波監理局としてはこの問題をどう受けとめているかという問題でございますが、これにつきましては、電波につきましては、安全保障条約第六条を受けまして地位協定がございまして、その地位協定の三条二項におきまして両国が協議するという形式になっております。そのために日米合同委員会の中に周波数分科委員会というものを設置してございまして、そこで日米が、在日米軍が日本で使用いたします周波数、電力等について協議いたすことになっております。その事務機関といたしまして周波数分料委員会の下にTLCというのがありまして、そこでいろいろ事務的に進めているわけでございます。われわれといたしましては、周波数、電力等について日米双方で協議する、その協議された内容について日本側といたしましてそれがわが国の電波に対して障害を与えないという事実が確認されましたときは合意に達する、こういう段階になっております。
  78. 土橋一吉

    ○土橋委員 いつからそういうことがわかっておりましたか。何年くらい前からそういうことがわかっておったのですか。
  79. 石川晃夫

    ○石川説明員 このOTHの問題につきましては外務省の所管でございますが、大体四十二年ころにアメリカから申し入れがあったというふうに聞いております。しかし、われわれのほうといたしましては、これは周波数、電力についての相談でございまして、目的についてはこの協議の内容になっておりません。したがいまして、われわれといたしましては周波数、電力についての協議はいたしておりますが、その点についてOTHがどのように使われておるかということについては全然関知していないわけでございます。
  80. 土橋一吉

    ○土橋委員 NHKさんにお尋ねします。  浦和放送支局においては、この所沢のOTHの電波で、両サイドにわたって非常に障害を生じて、それで線がどんどん入りましてわからないという方々が大ぜいいらっしゃるんですが、それは事実かどうか、あるいはいつごろそういうことがわかったのか、時期をお答え願いたい。
  81. 市原嘉男

    ○市原参考人 お答え申し上げます。  浦和放送局では、四十四年当時に障害が発生しているということの依頼がありまして、その当時調査をいたしましたけれども、人家が少なくて的確に把握ができなかった。その後四十六年に、あそこに所沢ニュータウンというのができまして、そこで再度調査をした結果所沢ニュータウンの中に障害が発生しているということで、その地域については一部共同受信をすることによって解消をした。それ以外に、ニュータウン以外の場所に人家が散在しておりまして、それも同様に被害を受けているということがほぼわかりましたので、防衛施設局のほうにその旨申し入れをしてあります。そして四十八年に防衛施設局のほうで調査をされまして、四十九年に入りましてから、地元の局からも東京の防衛施設局のほうに障害の救済の依頼をされたと聞いております。   〔委員長退席、加藤(常)委員長代理着席〕
  82. 土橋一吉

    ○土橋委員 それで、現在はどういう状態ですか。
  83. 市原嘉男

    ○市原参考人 引き続いてお答えいたしますが、四十九年の五月に防衛施設局とNHKのほうで合同の調査をいたしまして、それで現在、未救済の世帯がほぼ四百世帯あるということがわかりました。そして、その被害状況につきましては、ラジオ、FM、それからテレビ、いずれも妨害が入っている。特にテレビにつきまして住民からの苦情が非常に大きいということで、特に調査をいたしました結果、基本的には共同受信施設で救済しよう。しかしながら、いわゆるハイパスフィルターと称しますが、受像機の入り口にフィルターを入れることによってかなり防止ができるんじゃないかということが判明いたしましたので、現在そのフィルターの試作をすると同時に、防衛施設局のほうにはその旨連絡をして、早期に改善をしようという計画を進めております。
  84. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると郵政省にお尋ねしますが、あなたは、電波障害はないという条件でわれわれは認めた、こういう御発言が先ほどあったように思うのですが、いまの放送局の説明によりまして現に電波障害が生じておるんじゃないですか。この問題は所沢だけじゃございませんよ。私は詳しいデータは持っておりませんけれども、泡瀬の場合にもあるいは千歳の場合にも起こっておりますよ。それは電波監理主管庁としてはどういうふうにお考えになっていますか。
  85. 石川晃夫

    ○石川説明員 お答え申し上げます。  周波数、電力等につきましてはアメリカ側と相談する、いろいろ協議するわけでございますが、その時点におきます周波数、電力というものにつきましては、われわれの場合はいわゆる国内の通信というものに対しての検討でございます。この受信障害につきましては、この問題だけでなく、各地でいろいろな受信障害を起こしております。したがいまして、やはり受信障害が起きた時点におきましてはそれに対する対策を講ずるということで、電波障害防止協議会というものをつくって対処するようにいたしております。
  86. 土橋一吉

    ○土橋委員 それならば、NHKは何でそういう障害が起こるかわからないというのでたいへん苦労をして、浦和支局から人が行って個々の調査をしておる。こういうことで、結局これはOTHの電波発射によるんだということを突きとめたわけです。そういうことをあなたのほうで、こういうことになっておりますよとNHKさんに一言通告してやれば、そんな全部回らなくたってよかったのですが、なぜそういうような余分な仕事までNHKさんに負わせるようなことを、つまり、電波監理局として知っていながらなぜそういうふうに放任しておったか。
  87. 石川晃夫

    ○石川説明員 私たち検討した段階におきましては、そのような障害が起きないというふうに判断したわけでございます。この受信障害につきましては、基地周辺の、ことに米軍の通信基地周辺におきましては、従来からあまりそういうような現象が起きていなかったために、われわれとしてもOTHというようなものがあるということは判断しておりませんので、その点につきましてこの問題は障害なしというふうに判断したわけでございます。  しかしながら通信基地におきまして——われわれとしてはそういうことでございますので、やはり電力等につきましても十分配意して合意したわけでございますが、ただ聞くところによりますと、相当ハイパワーで出しているということも聞いております。しかし、そのような使い方をするということにつきましては私たちとしては関知しておりませんので、個々の通信については障害なしというふうに判断したわけでございます。
  88. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは断続的に電波を発射しておると見ておるのですか、それとも四六時中電波を発射しておるとあなたは見ているか、どういうふうに見ているのですか。
  89. 石川晃夫

    ○石川説明員 この通信の内容につきましては、どのような出し方をするかということにつきましては、日米両国の合議の内容にはなっていないわけでございます。周波数あるいは電力等についてのみわれわれとしては協議をするという形になっておりますので、したがいまして、この点につきましては、それがどのような形で最終的に出て妨害を与えるかということについては、私たち十分了解できなかったわけでございます。
  90. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたの方では、VOAは別としまして、電波は全国的に管理していらっしゃるのでしょう。現にそういう電波を発射するところがあれば、これが他の受信者に、あるいは他の電波関係の方々にどういう迷惑が及ぶだろう、しかもこれは発射して受けるところがあるにきまっているわけですね。現在は西ドイツだと言われているわけですね。そこで、電波を四六時中発射していなければ先ほどの核抑止力の基本的原則を満たすことができないという結果にもなるわけです。そういうものを認可すれば必ずこれは日本の電波関係に大きな障害を与えることは、事前にわかっておったのではないでしょうか。  それともう一つは、周波数をきめておるわけですから、どういう電波を出すかということは大体わかっておるのじゃないでしょうか。
  91. 石川晃夫

    ○石川説明員 周波数につきましては、いろいろ個々のケースを一括いたしまして協議するわけでございますが、私たちが協議を受けた内容におきましては、新聞紙上等に報ぜられておりますような大電力の協議は受けていないわけでございます。少なくとも通常の通信に必要な電力、周波数ということで協議を受けておりますので、われわれといたしましては、そのような周波数、電力においてはこれは障害はないというふうに考えたわけでございます。  ただ、あとでいろいろ新聞紙上等で見ますと、われわれの想像以上の電力で出ているということも報道されております。しかし少なくともわれわれが協議を受けた内容におきましては、そのような電力の協議は全然受けていないわけでございます。したがいまして、われわれとしてはこれは通信に障害ないというように判断をした次第でございます。
  92. 土橋一吉

    ○土橋委員 外務省からお見えになったようでありますので、もう一回お尋ねをしますが、外務省はアメリカ軍及び安保条約の関係者から、一体いつごろそういうものを設置することを、まあいわば申し入れがあったのか、具体的にいつそれが設置されたのか、簡単に山下安保課長さんに答弁をお願いしたいと思います。——もう一回言います。いつごろ外務省に対してアメリカ軍及びアメリカ当局から申し入れがあって、そして具体的にはいつごろそういうものを設置して——いままで私が調べたところによりますと、全部外務省は知っておるというのですよ。向こうの司令官もそういう諸君も、外務省が全部知っておる、こういうことを私にはっきり言っておるわけですね。ですからあなたのほうは、いつごろ話があって、いつ具体的にそれを実施したか、どういう内容の電波を出しておるのか、その電波を一体どこで受けておるのか、はたしてそれで、あの人たちが言うような核抑止力の問題がほんとうに解決できておるのかどうか。特に安保条約第六条の規定を先ほど読みましたけれども、これは日本の安全と極東の安全、平和のためにあるんだ、これは明らかに迎撃ミサイルをアメリカが打ち込んでいって、あるいは艦船からポラリス型の迎撃ミサイルを打ち込んで、そしてアメリカ本国の安全と平和のために、これは日本に設置されておるわけです。そうしたことは安保条約第六条の地位協定の規定その他に違反するのじゃないかという問題があるわけですが、そこいらについてひとつ簡単に、時間も少ないですから、答えていただきたい。
  93. 山下新太郎

    ○山下説明員 お答え申し上げます。  米側から最初に私どものほうに連絡がございましたのは、すでに国会でも御答弁申し上げておりますが、四十二年の二月でございます。それで、その後、じゃどういうプロセスで関係施設がつくられたかということでございますが、その当時連絡がございましたのは所沢及び千歳に関係のものをつくる。現実にできましたのは、所沢は四十三年の六月でございます。それから千歳のほうでございますが、これができましたのが——ちょっと手元の資料がすぐ出てまいりませんですが、いま調べまして……。
  94. 土橋一吉

    ○土橋委員 沖繩県の泡瀬は……。
  95. 山下新太郎

    ○山下説明員 泡瀬のほうは七二年の五月十五日、御承知のように沖繩の返還がございましたが、その段階ですでにできていたと私ども了解しております。  いまわかりましたですが、千歳の場合には四十五年に着工いたしておりまして、その後、何か中断したようでございますが、四十六年春に工事を再開いたしまして、四十七年夏ごろに完成したというふうに了解しております。  それから、お話ございました安保条約との関係でございますが、御承知のとおり、六条では「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は」云々、こういう規定をしておるわけでございます。それで各施設、区域につきまして、いま申し上げましたこととの関係で使用が許されておる、こういうことになっております。そういたしますと、これらの千歳あるいは所沢ないしは泡瀬におけるOTHの送信施設というものが、それらの目的からいって合致するのか、こういう御質問かと思いますが 八月二日木村外務大臣がお答え申し上げましたように、私どもは安保条約六条の目的に何ら反するものでない。その理由は、すでにそのとき大臣が申し上げましたとおり、日本は安全保障条約によりまして、アメリカの核抑止力というものを、言うなれば利用している、それでそれは日本の安全の維持に寄与するものである、そういう核抑止力を確保する、維持する、そういうファンクション、機能を営んでいる施設であるということから申しまして「日本の安全に寄与し」という六条の規定にまさに合致するものである、こういう法律解釈、条約解釈をいたしておりまして、この点からいって問題ない、こういうことでございます。
  96. 土橋一吉

    ○土橋委員 山下さん、せっかく答弁をしていただきましてありがとうございますが、文字どおりこの内容を見れば、アメリカの要するに撃ち込まれるであろうところの仮想敵国からの多段式大陸弾道弾をアメリカが防止をするということで設けられておるのであって、必ずそういうレーダーのあるところは、いままでの戦いのそういうものから見ますと、まっ先にやられてくる、こういうことがいわれておるわけです。私もそうだと思うのです。そうすれば、結局このOTHのレーダーというものは、これが千歳であろうとあるいは埼玉の所沢であろうと沖繩県であろうと、そこには多くの日本人が住んでおるわけですね。それがまっ先にやられてしまうというようなことについて、話の内容を曲げて、核抑止力のもとにあるからこれは第六条に合致をするというような説明では、これは国民は納得しないと思うのです。ですから、そういう不法、よくない電波を発射しておることについて——わかりました、もう御答弁よろしいですが、郵政大臣はどう考えておるのですか。こういう危険、物騒なものを置いて、それで実は内容はわからなかった、だんだんやっておるうちに電波障害が起こってたいへんな騒ぎになった、NHKさんは難視聴解消のために努力しておる、電波監理局は黙って見ておる、こういう全くどうも私ども常識では考えられないようなことが行なわれておるのですが、これはすみやかに電波発射をやめさせるという決意を、私は大臣にひとつお願いしたいと思うのですが、どうですか。   〔加藤(常)委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 原田憲

    ○原田国務大臣 所沢、千歳、沖繩におけるところのレーダー施設の電波をとめろ、こういうお話に対しましては、これは所管大臣から答弁をするのが筋道という先ほどの答弁と同じことになるわけでございますが、私はいわゆる防衛論争をあなたとここでやろうと思っておりませんので、これはそれがあることによってあなたの言われるようにたたかれるということについて前提をしてやるかどうかということまで及んでまいりますから、そこまで論争しようと思いません、いまのこの時間で十分でございませんので。ただ私の所管といたしましては、そういうものがあるために難視聴問題を惹起しておる。そしてあなたも御指摘のように、NHKのほうではそれでたいへん——郵政省が電波というものを監理しておりながら早く知らしてやらないためにNHKが苦労しておるじゃないかというような御指摘がありましたが、そのようなことがないように、その周辺におけるところの難視聴問題等につきましては、これが除去できるように、私は全力をあげたい、このように思います。  電波を発射させるかどうかという問題につきましては、御不満ではございましょうが、私からそれをやめろということを申し上げるわけにはまいらぬ、こう御了解を賜わりたいと思います。
  98. 土橋一吉

    ○土橋委員 この問題最後に、今後こういうことはあり得ると思うのですよ。だから電波監理局としてはやはり緊密な連係をとって——問題の中心は国民にあるわけです。国民が非常に困難を感じ、せっかくのテレビが見えないとかあるいは騒音を発してどうにもしようがないという事態をいち早く電波監理局長のほうでもきちっととめる体制をとって国民に奉仕をするという基本路線を明確にしておいてもらいたいと思います。この問題はこれで終わります。  次、これは電電公社と国際電電株式会社の問題ですが、私の見るところでは、八月二十二日の一般新聞で、これはもうすでに皆さんも御承知だと思いますが、値上げやみ協定、十五社手入れということが新聞に出ておるわけです。公正取引委員会の方に——一体これは電電公社が告発をしたのかどうか。電電公社が告発をし、あるいは国際電電株式会社が告発をしてこのような手入れになったのかどうか。そして手入れをしたところは一体どこのいわゆる十五社であるのか。つまりこれらがどういうやみ協定を結んで——ここに書いてありますのは、電話交換機と電話機の要するに二倍近い値上げをやったという問題でありますが、そこいらの点についてひとつ公正取引委員会の方にちょっと説明をしていただきたいと思います。
  99. 妹尾明

    ○妹尾説明員 お答えいたします。電話交換機及び電話機の製造業者らに対しまして本年八月二十二日に独禁法第三条後段の規定に違反する疑いで立ち入り調査を行ないました。違反被疑事実の内容は、電話交換機につきましては、電話交換機の製造業者らが電話交換機の販売価格を昨年秋ごろから本年一月にかけまして大幅に引き上げた疑いがありましたところ、さらに本年四月から約二〇%引き上げることを申し合わせましてこれを実施した、こういう疑いでございます。それから電話機につきましては、電話機の製造業者らが電話機の販売価格を本年一月から約九〇%引き上げることを申し合わせてこれを実施しておる、こういう疑いでございます。  それから立ち入り調査の先でございますが、電話交換機及び電話機の主要な製造業者十五社でございます。会社のお名前はよろしゅうございますか。
  100. 土橋一吉

    ○土橋委員 簡単に十五社の……。
  101. 妹尾明

    ○妹尾説明員 日本電気、日立製作所、沖電気、富士通以下主要な業者を対象に立ち入り調査を行ないました。そのほか業界団体の事務所に対しても行ないました。
  102. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまのお話だと、交換機と電話機だけですが、ケーブルとかコンピューターとか、そういうようなことについてはまだおやりになっていませんですか。
  103. 妹尾明

    ○妹尾説明員 今回の調査におきましては、そういうケーブル等は対象になっておりません。  それから、この事件の情報源でございますが、これは、事件につきましてはどういうところから情報を入手したかということにつきましては、本件に限らず、一切申し上げておりませんので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  104. 土橋一吉

    ○土橋委員 はい、ありがとうございました。通産省、お見えになっていますか——通産省では、こういう事態が起こる前に、最近、石油問題をはじめとして、とかく世間では、通産省も高値安定に落ちつくような、そういうことが行なわれておるのではないかということは過日の予算委員会においても追及されました。したがって、こういう通信メーカー、先ほど言われました十五社のうち、日本電気であるとか沖電気であるとか、あるいは岩崎通信というような大手通信メーカーについてどういう指導をしておられるのか、簡単に。
  105. 鈴木健

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  通産省といたしましては、通信機器の重要性にかんがみまして、これまで機械工業振興臨時措置法、それから特定電子工業及び特定機械工業臨時措置法等によりまして、これら通信機産業における合理化、試験研究の推進等をはかりまして、安価ですぐれた性能の機器が需要者に提供されるように育成しているわけでございます。
  106. 土橋一吉

    ○土橋委員 もう一回ちょっとそのまま……。安価ということは安いということですね。安くて、それでやるということと、それから通産省では、暴利をむさぼってぼろもうけをしておるというようなことは許しておるのですか。
  107. 鈴木健

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  通信機、電話機、交換機等につきましては電電公社の需要が中心でございまして、電電公社と通信機メーカーの間に価格が決定されるのが中心になっております。で、これらの機器の価格につきましては、昭和四十五年の価格指数を一〇〇といたしますと、昭和四十九年の七月で、電話機につきましては一一二・六、電話交換機につきましては一〇九・二というぐあいになっておりまして、他の物価等に比べまして決して高価になっておるというような状況にはなっていないように了解いたしております。
  108. 土橋一吉

    ○土橋委員 それではちょっと電電公社にお尋ねをいたしますが、私は「通信電線線材」というような、つまり通信電線線材協会会報というものを見せていただいております。この中からずっと見ますと、電話機と、それから自動交換機は、これは四十八年度ですが、四十八年度で購入した金額は大体どれくらいの金額なんでしょうか。電話機と自動交換機、どの程度の支出をしていますか。
  109. 三宅正男

    ○三宅説明員 お答え申し上げます。  四十八年度の公社の購入金額につきまして、電話機につきましては総額で三百四十八億、それから交換機につきましては一千二百十八億、大体そういう数になっております。
  110. 土橋一吉

    ○土橋委員 業界誌によると、電電公社の電話機及び交換自動機の買い入れは、そのシェアにおいて八〇%をこしておるというふうにいわれていますが、米澤総裁、その程度通信メーカーから買い上げているのですか。通信メーカーの売り出すところの電話機と交換機の、要するに電電公社さんが買い入れるのは、大体八五%ぐらい買い上げているというふうにいわれておりますが、どうお考えになりますか。
  111. 三宅正男

    ○三宅説明員 お答え申し上げます。  電話機、交換機等につきましては、電電公社が相当大量に購入いたしておりますが、会社の製造いたしておりますものは、そのほか一般民間関係へ出ていくもの、さらに外国へ輸出されるものがございます。いまのお尋ねでございますが、外国へ輸出されるものを含めまして、総生産額の中で、交換機では七〇%をちょっと切るぐらい、それから電話機につきましては約八〇%ということになっております。
  112. 土橋一吉

    ○土橋委員 国際電電株式会社はこの通信メーカーから電話機及び交換機などを大体どの程度お買いになっておりますか。
  113. 菅野義丸

    ○菅野参考人 国際通信のうち国際電話につきましては、端末は電電公社の電話機を使いますものですから、私どものほうで電話機の調達ということはあり得ません。ただ交換機につきましては電話の交換機を毎年注文しておりますが、大体最近五年間、一年間で三億円ぐらいでございます。五年間で十五億、それで大体昭和四十七年ぐらいまではほとんど値上がりはなかったのですが、最近一〇%ないし二〇%ぐらいの値上がりをしております。ただ国際通信の電話交換機といいますと、非常にいろいろな新しい技術を入れまして、これは全部注文生産でございます。でき合いのものを買うというものではございませんで、また技術的にもこれをつくるメーカーというものはそんなに多くはございません。で、私どものほうでは、それに指名競争入札あるいは見積もり合わせというようなことをいたして、しかも最後に決算をするときには実費決算をやっておりますので、先ほど来問題になっておりますやみ協定とかそういうものがございましても、それはもう全然関係ないように考えている次第であります。
  114. 土橋一吉

    ○土橋委員 それじゃ具体的に、先ほど三百二十万台の電話機と、それから四万台近い公衆電話機を四十九年度購入する予定になっておりますが、これは二つ合わせまして金額は大体どれぐらいですか。全体のところ、おおまかに大体三百二十二万台になると思うが……。
  115. 三宅正男

    ○三宅説明員 お答え申し上げます。  ただいまちょっと手元に資料を持っておりませんので、具体的な数量を申し上げられませんが、電話機につきましては、加入電話は今年度三百二十万でございますが、そのほかに公社が直営でつけますPBX用の電話機あるいは付属電話機等といったようなものもございますので、三百二十万よりはだいぶ大きな数になっているはずでございます。
  116. 土橋一吉

    ○土橋委員 そこで、電電公社にお尋ねをするのですが、業界との、特に日電あたり、あるいは岩崎通信もそうですが、大きいメーカーとの間の発注については、私どもの知っておる普通契約方法というのは一般競争契約、つまり入札という問題がございます。それから指名的にその業者を指名する、あるいは随意契約、それぞれの話し合いで従来の関係から随意契約という形式をとるものがあるわけです。それから公正協議契約というようなものがあるのですが、電電公社は品物にもよるしまた資材にも関係があって一様にいえないと思うのです。それは、ここにあなた方がお出しになっている「資材用語ガイド」というのをずっと拝見してみると、なかなか多種多様にわたっておりまして、一律にどうということはいえないと思うのですよ。だが、いま問題になっているこの交換機とそれについてはどういう契約方法で購入しておるのですか。
  117. 三宅正男

    ○三宅説明員 お答え申し上げます。電話機、交換機等はただいま申し上げましたように生産量の相当大部分のものを電電公社が購入しておる。しかも全く同じ仕様のものを多年にわたりまして継続的に買っていくということがございますので、生産の面からいきましても、競争入札をいたしますと、その競争に勝つために過剰な設備投資を会社がやる、これがコストへはね返ってくるということもございますし、また御承知のようにこの関係は非常に技術革新が早いわけでございますが、この技術革新に対応するための一応研究、開発といったようなものを会社としても相当継続的にやらなければならない。さらに電電公社の要求しております品質というものが、たとえば電話機にいたしましても八年以上ほとんど故障なしで使えるものである、交換機にいたしましても、一つの交換機の接続、一つの呼びの接続に数百、場合によると数千のリレーを通っていくというようなことがございまして、この品質を非常に高いものに、しかも同じものに、レベルを同じにしておかなければいけない、こういったような問題がございますために、公社といたしましてはそういう能力を持っている会社から随意契約によって購入をいたしております。  なお、先ほどちょっと通産省の方からもお話がございましたのですが、たとえば電話機に例をとってみますと、昨年の三月、いわゆる物価がまだそんなにいまのような状態になっていない以前、これを一〇〇といたしましても、現在の電話機の購入価格は一四・一%上がっておる。これはまあ電話機の中へ使います材料、特にプラスチック類の値上がりによりましてこの程度上げざるを得なかったわけでございます。  そういったようなことで、価格的にも、こういう制度をとりますことによって非常に安定した価格で購入することができる、さらに公社が必要とする時期に必要な数量だけが購入できる、こういう形での運用をやってまいっておるわけでございます。
  118. 土橋一吉

    ○土橋委員 この新聞に書いておる内容を見ますと、大体ことしの初めごろには四、五千円であったものが大体八千円ぐらいにはね上がっておるというふうに説明してあるわけです。これはおそらく公正取引委員会が調べた要するに内容ですから、かなり信憑性があると私は考えておるわけです。問題の中心点は、電電公社や国際電電がさような電話機に付属する機械を購入するときに、そういう高いやみ価格協定を結んだような品物を買ったかどうかということがここで一番問題になるわけです。あなたのほうの、たとえばこういう会社と契約を結ぶときの契約書、どういうふうに品物を調べてそして金を払うかということを書いた契約書もございます。それから品物をいろいろ購入するにあたっても、年度とかいろいろな関係でそういうものが出ておるわけなんですが、そういう場合に、いまのような事態が起こって敏感に、はたして一体うちは高く買ったんじゃないかどうかといったようなことを調べる措置をやっておるのかどうか、それとも高い言い値のままで品物を、今年はもう四月も過ぎましたし、また六月の時期も過ぎて、いま九月なんですが、そういう時期に購入するものは、そういう事態について実際われわれは非常にあぶなく見ておるわけですね。こういう点はいかがですか。
  119. 三宅正男

    ○三宅説明員 お答え申し上げます。  公社が電話機、交換機等を購入いたします場合には、先ほど随意契約で購入いたしておると申し上げたわけでございますが、この随意契約で購入をいたしますための一つの必要な条件としては、会社の製造原価を正確に把握をいたしまして、いわゆる不当な価格にならないように、高く買い過ぎないようにという注意がこれは絶対に必要だと思います。私どももそういったために公社の資材局の中に原価調査課というような一つの専門の課も置きまして、ここでメーカーの原価を書きました調査書を出させましたものをさらに実施に検査をする調査をするといったようなことをいたしまして、厳重に原価計算をして、その価格に基づいて契約をいたしております。したがいまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、先ほど公正取引委員会の方がおっしゃいましたように、これはおそらく一般民需の問題だと思います。相当値上がりをしておるというようなことがございますが、私どもは電話機につきまして先ほど申し上げましたように一四%程度上げた価格でしか買っておらないということでございまして、おそらく何割増しとかあるいは倍とかいうような値段というものは一般民需の問題だろう、こういうふうに考えております。私どもの購入価格につきましてはそんなべらぼうな値上がりというようなこともございませんし、常に原価を把握して実態の値段で買っておるということをはっきり申し上げておくことができます。
  120. 土橋一吉

    ○土橋委員 大体わかりました。まあ電電公社ともあろう大きな組織が、そんななまっちょろいことで業者が倍も上げて不当なやみ協定をしておるところにおそらく支払いはしていないとは思いますけれども、しかしこういう事態が起こっておることについて、あなた方のほうも、それは少しおかしいんじゃないかというようなことはわかっていらっしゃると思うのですが、ましてインフレで最近物価が上がっておりますね、そうすれば電電公社としても従来の会社関係でそれはどうもおかしいじゃないかというぐらいなことは御注意なさっても、日本経済全般の関係から見ると決してインフレ抑制という観点からは、どうなんでしょうかね、そういう点では。民需だと言って知らぬ顔して、民需のほうがいい、交換機倍で売ったって、あるいは電話機もそうだ、うちはもういいのだというようなことだけでは、電話通信メーカーに対する電電公社の指導性といいましょうか、そういう点どんなものでしょうか。
  121. 三宅正男

    ○三宅説明員 私どもこの公正取引委員会調査がありましたことを新聞で知るまで、こういう問題について全然存じなかったわけでございます。ただ、この調査というものがどういう結果になりますかということについても私ども注目はいたしておりますが、電電公社としては、いわゆるそういうような行政指導的なものをやるような立場ではございません。そういった意味で、正常な取引が行なわれることはこれは非常に望ましいことだと思いますが、私どもの力でどうするということにはいかないということは御了承願いたいと思います。
  122. 土橋一吉

    ○土橋委員 この問題は後ほどまた次の臨時国会などでよく私のほうでもいろいろお聞きして、内容その他について、特にケーブルの問題であるとか資材などたくさんの問題を持っておりますので、私のほうでも研究さしていただいていろいろ質問したいと思います。  次は、もう時間もだいぶん経過しておりますので郵政大臣にお尋ねいたしますが、八月の十二日の日に、これは読売新聞です。ほかの新聞もみな同様ですが、あなたのほうは「はがき三十円封書五十円?郵政省一月実施へ近く諮問」こういう題で出ておるわけですが、はたして新聞のようにこういう値でお上げになるでしょうか、こういう考えをお持ちでしょうか。
  123. 石井多加三

    石井説明員 ただいま具体的な数字で御指摘がございました料金案は、私たちのいろいろ今後の郵便料金改正案のたくさん考えられる案の一つにはそういった数字もありますけれども、郵政省としてその案を必ず提案する、国会の御審議を経るわけでございますが、そういったことを現在の段階できめておる料金ではございません。
  124. 土橋一吉

    ○土橋委員 先ほどの他の委員質問については、たとえばこういうお話がございましたね。臨時国会ならばまあはがきは二十円とかあるいは書状は三十円とか四十円とか、しかしこれが来年、つまり五十年度予算になればそれは別にまた高くなってくる、こういうような意味の御発言があったと思うのですが、一体、物価狂乱状態大臣の説明によると鎮静の方向にあると説明されておるわけですが、鎮静どころではなくて、ますます狂乱状態がいま第三波として押し寄せておるわけですね。これは皆さん御承知のとおり、鎮静でも何でもない。また不況という問題についても業者間においては建築とか繊維とか、その他業者がどんどん倒産をしておる、こういう状態にある。こういう中でこういうものをどんどん発表して、またあなたのほうが発表しておるから電電公社も発表する、またそういう公共性を持った料金のところか一斉にそういうことを発表する、国民に対して物価高を非常に乱暴にやってくるということは、物価狂乱状態に拍車をかけるような立場に立っているのじゃないかというふうにも私は推定ができるわけですよ。できるだけ公共料金は上げない、もちろん私鉄運賃にしましてもそうですし、できるだけ物価は要するに国民生活に適合する体制をとらなければならぬ、だのにこういうことをどんどん発表して、そしておやりになる根拠というのは一体どういうところにあるのですか。
  125. 石井多加三

    石井説明員 先ほどお答えいたしましたことを探り返すことになりますが、現在郵便料金値上げのいろいろ検討をしておる段階でございますけれども、実施の時期をいつからにするかということが一つの大きな値上げの幅の決定のポイントになりますが、同時に新しい料金が何年もつのか、一年もたせるのか、三年もたせるのかといったようなことでも具体的な数字が変わってきますので、それらの中では、いまお読みになりましたような数字ももちろん考えられるわけでございますけれども、先ほど阿部委員からの御質問でもございましたように、五十円、三十円でかりに来年の一月から実施した場合に、いつまでもつかという御質問でございましたから、それに対しましては、ての場合は五十一年までもつということが見込まれますというふうにお答え申したわけでございまして、現在われわれのほうで料金改定案を具体的に固めておるという段階ではございません。これからいろいろ関係各方面、政府部内ももちろんでございますが、よく協議いたしましてわれわれの態度をきめていかなければならぬと考えておるわけでございます。
  126. 土橋一吉

    ○土橋委員 この問題についてわれわれは反対でありますので、そのことをはっきり申し上げておきたいと思うのですが、もう時間が来ましたので……。  ちょっと、大蔵省の方いらっしゃるのですが、この郵便貯金法の規定を見ますと、確か第一条でございましたか、確実なる貯蓄ということが書いてあったと思うのです。郵便貯金には必ず確実な貯蓄を保障するということが書いてあったと思うのです。ところが、現在のように物価がどんどん上がってまいりますと、確実な貯蓄を保障をしていないわけなんです。この法文に違反をするような狂乱状態が行なわれておる。ところが先ほどからいろいろありますように、確実な貯金を保障するというこの貯金法第一条の規定に従わない事態が生まれておるときに、当然大蔵省としては特に零細な、たとえば百万であるとか百五十万であるとかという零細な貯蓄をして、それが自分の身上として、生きるために貯蓄をしているような場合に、われわれは一〇%ぐらい現在の七・五%に上積みしてしかるべきだ、企業的な貯蓄は別といたしまして。こういう考え方を私は持っておるのですが、大蔵省は一体どう考えておられるのでございましょうか。
  127. 清水汪

    清水説明員 ただいまの確実な貯蓄という御指摘でございますが、これはもう世間一般でも郵便貯金の信頼性につきましては全く疑問のないところだろうと思っております。ただいまの金利の問題でございますが、先ほども多少御説明申し上げましたが、やはり金利の問題というのは各種の金利に微妙に、かつ非常に密接につながっております。これが経済全体の中で調和のとれた形で処理されることがきわめて必要であろうと考えるわけでございます。そういう観点から、私どもとしましては、従来の預金金利のあり方につきまして、絶えず検討はいたしてまいりました。御承知のようにごく最近におきまして、さらにもう一段預金金利の水準を引き上げるということを現在考えておりますけれども、ある特定の分野についてだけ、たとえば特に高い金利をつけるというお話もございますが、こういったことは全体の金利体系なりあるいはかりにそういうことをいたすといたしますと、そのはね返りといたしまして、特定の分野の貸し出し金利なりに重大な影響を及ぼす、その問題がなかなか簡単には解決がつかないのじゃないか、こういうような各種の問題がございます。いろいろ金融情勢あるいは金融機関の経営の実態等を絶えず見きわめまして、できるだけのことをやっていきたい、こういう考え方で対処しておりますことを御了承いただきたいと思います。
  128. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま大蔵省そういう説明をされているのですが、郵政大臣はこの第一条の規定で、「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させる」のだ、こういうふうに条文は書いてあるわけです。したがって、この貯金の目減りであるとか、あるいはインフレによってこういう状態が起こっていることについて、この第一条の基本的な、要するに確実な方法で貯金をして、国民の生活の安定をはかるという精神からいうと、全く安定どころではなくて、そんなところに貯金をするとえらい損がくるという事態が起こっておるのですが、郵政大臣はいままで努力はされておると思うのですけれども、この問題についてやはり大蔵省とよく話し合っていただいて、特に環境をよく見まして、家族構成であるとかそういう点から雰細な庶民の貯蓄についてはここで大幅に利子を上げる、そしてこの第一条のみならず、生活を保障するということについて重ねてあなたの決意なりお考えを簡単に承りたい。
  129. 原田憲

    ○原田国務大臣 先ほどもお答えいたしたところでございますが、お説のとおり国民の生活を守り、これを向上させるために、確実な方法で貯金をしていただくということになっておりますので、郵政省では全国に二万近い郵便局の窓口を設けまして、だれでも貯金ができるという方法をとり、その貯金には利子に税をかけない、こういうきめを法律をもっていたしまして、奉仕をしておるところでございますが、何ぷんともにお話のごとく、いわゆる異常に物価が騰貴してまいりますと、この制度の根本にまで触れてまいりますことになりますので、これを押えるために鋭意努力をいたしておることは御理解を賜わるのでございますが、その中におきましても、それが一番基本でございますけれども、預金者にサービスをするために、預金金利の引き上げということにつきましては、先ほど申し上げましたように、近いうちにこれを実施し、なお今後とも努力を続けていきたいと思っております。
  130. 土橋一吉

    ○土橋委員 終わります。
  131. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、田中昭二君。
  132. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は最初に郵政省所管の特別会計、一般会計赤字になっておることにつきましてお尋ねをしていきますが、いままでの御質問と重複することもございますが、ひとつなるべく親切に教えていただきたいと思います。また変わった面での、立場でのお話も承りたいと思います。  最近のわが国の経済は、政府の産業第一、高度成長政策によります悪性インフレーション、この進行の中で、特に昨年来の狂乱物価による経済の混乱と国民生活破壊は目にあまるものがあります。そして、本年の参議院選挙前後の政府・与党の公約も物価高については有名無実であり、さらに悪化しておる現状であります。この政府の高物価政策の中で、公共料金であります郵便料金値上げを断行しようとする政府の決意をお伺いしたいと思います。
  133. 原田憲

    ○原田国務大臣 お答えを申し上げますが、先ほどから重ねてお答えを申し上げておりますが、お話の中に出てきましたように、物価が非常に高騰をしておるという状況を克服するために努力をいたしておるところでございますが、これは完全に鎮静をしておるということは申し上げることはできないと思います。しかし、先ほどから申し上げておりますように、狂乱状態といわれておる状態を脱して、本年の二月以降、三月、四月、五月、今日まで、ときには対前月比二%というような数字も出ましたけれども、平均には一%以下という状態で今日まで来ております。したがいまして、この十月に予定されておる消費者米価の問題あるいは国鉄運賃の問題につきましても、私どもは私どもなりに公共料金が物価に及ぼす影響等も考えながら、いま検討を進めておる最中でございますが、私どもの所管をいたします公共料金一つである郵便料金も昨年度、何度も申し上げるようでございますが、すでにこの経営状態、財政状態が悪くなりまして、今後の問題につきまして審議会に諮問をいたしたのでございますが、審議会からはこれにつき答申をいただきました。その中に料金値上げの問題も含まれておったわけでございますが、これも公共料金を据え置くことによって物価抑制という政府の姿勢を示すために処置を行なったことは、田中委員も御了解賜わるのでございます。  そのために、初めて私は大臣といたしましてこの四十九年度予算に対しまして約九百億の赤字を持ったままの予算を組まなければならぬという、私の代になってこういうことになるということはまことに残念でございましたけれども、しかし、物価抑制ということのためにあえてこれをやろうということでやったのでございます。その後、御案内のように、ベースアップも勧告をされ、行なってまいっておりますので、今年度におけるところの、この会計におけるところの状態というものが改善できない、来年はどうかというようなことを勘案をいたしますと、これは相当真剣に、慎重に検討をしなければならない、こういうことで、目下これについての検討を鋭意進めておるところでございまして、私どもは国民へのサービスを万全を期していくために、いわゆる郵便事業の財政もやはり確立しなければならぬという立場に立ちまして、まだ値上げをするということを決定をいたしてはおりません。しかし、財政というものを確立するためにどうしたらよいかということにつきまして、目下検討を進めておる、こういう過程にあることを御了解賜わりたいのでございます。
  134. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま郵政大臣から相当深刻な状態を踏まえての決意をお聞きしたわけでございますが、財政全体の状態の中から、物価指数というようなことも大事な一つの要点ではありましょうけれども、やはり国民生活を構成しております一般大衆の側から見れば、この公共料金値上げを安易な形で行なうということは、現状分析の中においてたいへんな問題をはらむものがある。というのは、いまおっしゃったように、米価が上がるというようなことだけでも、庶民は米を買いだめしておかなければいかぬ、ある食堂では半年分くらい買いだめしょうというような話が報道機関を通じて毎日テレビ等に出ております。そういう現状ですね。そういう国民の側に立った立場から考えれば、そのような問題に郵政省のほうはもう少し慎重な配慮が足りないのではないか。お米は買いだめができますけれども、これもささやかな庶民の抵抗ですよ。郵便料金はそんなに上がるから早く出しておけというわけにはいきませんし、早く電話をかけておくわけにもいきません。そういうことから見ますと、これはもう少し郵政省郵便料金の改定ということについての取り組み方が、いま大臣お話ではきめたわけではありませんとおっしゃいますが、どうも先ほどから聞いておりますと、腹の中では値上げがきまっておるような受け取り方をしたのですが、私の間違いでしょうか。ただ、きまっておるけれども、いろいろな周囲の状況で、いまその具体的な案はここに出せないということのように、私はすなおに受け取ったわけでございますが、その辺、どうもここで実のないことばのやりとりをするだけでなくて、腹がきまっておるのであれば腹がきまっておる、しかし国民のことを考えてその時期について、また値上げの幅については努力しますということを御発言になるのが大臣の立場ではなかろうか、私はこのように思いますが、その辺腹がきまっておるということはそのとおりだろう、私の受け取り方が間違いなのかどうか、その辺も加えて、ひとつもう一ぺん承りたいと思います。
  135. 原田憲

    ○原田国務大臣 昨年度もあそこまできまっておるものを据え置いたという経過をたどっておりますから、物価問題経済問題というのは非常に重要なことでございますから、政治的判断ということで、この当時も私だけでなしに大蔵財政当局、それから経済企画庁、官房長官まで入れましてとっておった処置をこうしたという経緯があることは、御案内のとおりでございます。そういう面で、私は、非常に深刻な状態に立ち至っておるけれども、きめておるわけでございません、こういうことを申し上げた、こういうように御了解を賜わりたいのでございまして、いま田中さんの言われるように、安易に値上げをしたらいかぬぞということは、この前の国会でもあなたから御質問をされ、御意見も賜わり、また先般も熱心な御意見を賜わりまして、私もそのような安易なことで値上げをしようなどということは毛頭考えておりませんけれども、いまの郵便事業の当面しておる問題はたいへん深刻なところへ来ておるということを申し上げておるつもりでございます。
  136. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう何べんも繰り返しませんけれども、やはりいろいろな新聞報道等によりましても、先ほどから言われておりますように、「郵便・電話・電報値上げ」「自民部会に説明」大幅の値上げすることは強調した、こういう報道がなされる時期でございますから、その辺は私のとり方が幼稚なとり方をしておるのかどうか知りませんけれども、それで、この問題は、いま大臣は安易な料金値上げをやらないというような御発言もございましたけれども、もう少し内容に入っていって進めてまいりたいと思います。  まず、五十年度郵便事業の特別会計の予算概算要求、私もいただきまして一応説明を聞いたわけでございますが、その中において二千三百二十九億の大幅な赤字が計上されております。この赤字の原因は何でしょうか。
  137. 廣瀬弘

    廣瀬説明員 ただいま概計の段階でございますので、最終決定に至るまでの確たる内容になっておりません。したがいまして、概計の段階で申し上げますと、御承知のように四十九年度予算におきましては六百九十六億の当初予算における赤が出ております。その上にさらに五十年度におきます概計の段階では一千六百億ばかりの赤が重なりまして、合計二千三百億程度の赤、こういうことになっておるわけでございます。  そこで、その支出の増加の内容をながめてみますと、人件費の増加部分で約千二百億くらいございます。これは給与改定に関する仲裁裁定の増加分、あるいは定期昇給の原資の増加分だとか、給与改善原資五%分もございますし、そういつたものの増加でございます。それから物件費におきましても四百億をこえる増加がございます。  しかしながら、一方収入の面で見ましてもあまり大きな伸びはございません。百億に欠けるくらいの増加しか見込めないというような現状でございまして、一方において支出が千七百億ほどに増加する。同時に収入のほうが非常に伸びが少ない。したがいまして、その差額が千六百億ばかり五十年度において出てくる。四十九年度におきます約七百億の赤字部分と加えまして、二千三百億程度の赤が概算段階で出ておるということでございます。
  138. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私も昨年からのこの郵政審議会答申等も読ましてもらいまして、いろいろ見てみたのです。そこの中に、昨年郵政省がこの審議会に諮問しましたときの赤字の見込みとして、四十九年から三年間、各年の赤字とその累計額が出ておるようでございますが、これはどのようになつておりますか。
  139. 廣瀬弘

    廣瀬説明員 ただいまの御質問は、郵政審議会にはかつた当時の収支の見込みという意味に解してよろしゆうございますか。
  140. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そこに出ておる赤字の内容。
  141. 廣瀬弘

    廣瀬説明員 その当時のでございますか。——当時の赤字は、やはり先ほど申しましたように、収入の見込みと支出の見込みとそれぞれ立てておりまして、当時収入の見込みを立てておりますのは、物増率に応じてと申しますか、GNPの伸びに応じて、それに関連して収入を見込んでいます。それから支出の場合は一二・三%の伸びがあるものということで計算をいたしまして、三年間の見込みを立てたわけでございます。それが先ほど申しましたように大幅に変わってまいりましたのは、一二・三%の見込みに対する実際の違いがあるわけでございます。
  142. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私が言っているのは、ちゃんと前もって質問の要旨も伝えてあって、いま言ったように審議会に諮問をするときの各年の赤字の見込みとその三カ年の赤字の累計は幾らですかと聞いているのですよ。あなたの説明は、いろいろ言いますけれども、そんなことを言っておったら——あなたたち数字というのはそのたびに変わっていますよ。だから私はいま、大臣もそういう安易なことはやらないというようなことをおっしゃっているから、その内容を聞いているんですから、私の言うたことだけを答えてください。ここだけで言えば終わることだから、そういうことばかり繰り返しては何にもならぬでしょうが。大臣、これは去年四十八年に諮問されたんですよ。答申が四十八年の十二月に出ておるのです。そのときには三カ年の赤字が四千四百五十三億と出ている。三カ年の累計でございますから、四十九年が何ぼ、五十年が何ぼ、五十一年が何ぼと出ているはずなんです。それが答申後私が聞いてみますと、その数字がまた違うのです。ですから、数字のことだけを言っているのじゃなくて、そういう出すたびに——経済の変動とか、ベースアップで賃金がふえたとか、そういうことはわかりますけれども、あまりにもみっともないじゃないか、そういうような感じがしてならないのです。ですから前もって質問要求もしてあったんです。そういうことができなければ次に回します。  いずれにしろ、こういうその場だけの赤字の見積もりを出しておけばいいという証拠に、郵政省の現場に行って職員の人に、あなたたちの事業はどういう収入を得、どういう支出がなされておるかと聞いても、一人も大まかな答えもできないのですよ。いつもここの委員会でいわれますが、郵政事業の経費はほとんど人件費が九〇%に近い、こういうふうに答弁なさる。そういうことは第一線の現場では何の認識もなされてない。そういう人たちが仕事をやって、収入と支出を予算できめられた中でやっていくというシステムの中には、職場意欲も起こらないし、親方日の丸ということで一笑に付されてもしかたがない。そういうのは国民の立場から見れば、安易な、ただ予算上の、また決算上の数字を扱って値上げだけをするということはよくありませんよ、こういうことを言いたいために、いま数字を聞きましたけれども、その数字は、前もって質問の要求を出してあっても答えができない。  時間がございませんから、次に、郵政事業特別会計のこの危機を、そのような料金改定だけで解決しようと思ってやることは、私はどうも納得がいかない。料金改定だけで解決できますか。できるならできるとはっきり言ってください。
  143. 石井多加三

    石井説明員 お答えいたします。  昨年末の郵便事業の健全な経営を維持する方策についての郵政審議会答申の中で、労働集約的な郵便事業にありましては、いろいろな合理化もやらなければならぬけれども、短時日の間に収支改善の実績をあげるということになると、やはり利用者負担の原則を貫かなければならない、特に事業収支の改善の道は、先ほども議論が出ましたように、企業の利用が八割も占めておるような最近の郵便事業の実態から見ますと、一般会計からの繰り入れ論ということは適切なものじゃないというふうな指示をしているわけでございます。  また、現在の郵便法、これは先回の国会でたしか田中先生から御質問があったと思うのですが、郵便法第三条の規定も、いわゆる郵便事業の独立採算ということを意識して特に挿入された条文でございまするので、その趣旨からいって、やはり郵便事業経営上の必要な経費はあくまでも料金収入によってまかなうべきものであるという考え方をわれわれは現在も持っておるわけでございます。
  144. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 まあ、端的に言えば料金改定だけでは解決できないということですね。それは受益者負担なんということを言われておりますけれども、もうそういうことはいま初めて言われることでなく、いままでもずっと言われてきたことなんです。  次に移ります。あなたがいま言われました同じ答申案の中にはこういうふうに出ていますね。「国営事業であるがゆえに一般に与える心理的影響を無視することはできない」「このことにかんがみ、国民の理解と協力をうるよう適切な措置が必要である。」理解と協力を求めるために適切な措置が必要であるといわれておりますが、当局のこれに対する具体的な考えがございましたらひとつ教えていただきたいと思います。
  145. 石井多加三

    石井説明員 確かにこの審議会の答申を待つまでもなく、かりに郵便料金の改正をいたすということになりますと、非常に多くの国民の皆さま方に理解と協力を得なければならないことはもう当然のことでございまして、従来からもそういったことはわれわれ心がけておったつもりでございますが、今後なおマスコミ等の媒体やあるいはその他いろいろの機会を通じまして、事業の実態、現在の窮状というふうなことをよく御理解いただき、郵便事業の社会的な意義を理解していただくように今後も働き続けていかなければならぬと考えておるわけでございまして、この点は従来におきまして必ずしも十分の施策を講じたとは思いませんが、今後この点に十分配意してまいりたいと思っております。  なお、これも先般の国会でも御指示いただきましたやはり郵便事業の正常運行と申しますか、業務の運行が最近とかく乱れがちでございまして、私たち非常に申しわけなく思っておるわけでございますが、この姿勢を正しまして郵便事業に対する信頼を回復する、これがある意味では一番大切なPRのしかたではないかと考えておるわけでございます。
  146. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私の聞こうとすることを先に答弁されたような形になってしまいましたけれども、ですから、いまちょっとお話しのあった程度では国民を納得させるような新しい具体策はなかったように感じます。まあ答申の中には幾らかそういうものが出ておりますから、もう少しそれを具体的に煮詰めていきますが、大臣、この国民の理解と協力を得るために、業務の正常化ということもありましょうけれども、たとえば国民に対するサービスの向上というふうなこともこの中の大事な一つの要素ではなかろうか、こう思います。これは大臣もそのように思われますね。そうしますと、郵政省赤字解消ということだけの立場に立っての考え方から、やはり国民の側に立ったサービスの向上、改善というようなものを、私は将来の試案的なものでもいい。いままでいろいろな意見もあったでしょうし、そういうものの中からでもいい。どういう具体的な方策があるのか、ひとつ教えていただきたいと思います。
  147. 石井多加三

    石井説明員 確かに郵便料金をかりに上げるといたしますと、国民に御理解いただくためには、従来になかったこういった新しいサービスをいたしますとかあるいは従来のサービスをより一そう向上させますといったことをお約束できますと、われわれといたしましても非常に御理解を得やすいわけでございます。また現に過去におきまして、昭和四十一年の料金値上げの際には、御案内のように第一種、第二種の郵便につきまして、速達でないものも全部航空機に搭載いたします、そういったようなことによりまして、全国の主要都市相互間は翌日配達ができますといったようなことをお約束申し上げたことを覚えておるわけでございます。あるいはまた、四十六年の値上げの際には、特に目新しいサービスの向上ということはございませんでしたけれども、御案内のようにいわゆる主要都市間の送達日数表の公表、郵便のサービスの一つの最低と言いますか、これだけはお約束いたしますというふうな形のものではございましたけれども、ああいったものを発表いたしまして、今日までそういったサービス基準の維持につとめてまいっておるわけでございますが、残念ながら先ほど触れましたように必ずしも業務運行がいつも正常に運行いたしておるとは申せませんで、最近いわゆる組合の闘争期間のみならず、それが済みましたあとも、何かこう余波といいますか、その後も惰性的に、一部の局ではありますけれども、郵便の滞留状況がまだ解決してないということは、まことに残念でございます。  私たちといたしましては、今後の料金値上げの際に、従来もありましたような何か新しい、いま申し上げましたような目玉といいますか、サービスのアップというものの具体的な方策を何か考えておるかという御質問につきましては、実は現在の郵便状況からいいまして、むしろ正常な運行を確保するということが何よりも一番のわれわれ郵便の現在の使命であろうと思います。目新しい、はでなサービスアップの方策は別に具体的にありませんけれども、何よりも郵便に対する信頼を、失われかかっているものを失われないようにするということに最低の努力をしなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  148. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは石井郵務局長が、郵政内部のことを考えて遠慮した慎重な発言をなさることはいいのですが、いま大臣もお聞きになったように、業務の正常化もこれは努力しますということで、これは努力してみても悪くなったら影響は全部国民が受けるわけです。サービスの向上は必要である、こういう国民の理解と協力を得るために、その中の一つとしてサービス問題をあげれば、それはサービスを向上することは必要であるということは、大臣もお認めになった。このサービスについても、前回は何ですか郵便日数表を公示する、こういうようなことをやった。今度値上げは、先ほどからのお話を私なりに大体集約してみますと、来年の一月とか新年度の、あともう何カ月ですか、そういう段階に来ておって、サービスも新しいものは考えてない、業務の正常化も、これは努力するけれども悪くなるかもわからぬというようなことで、ほんとうにどうですかね、私は先ほど安易なということを大臣がおっしゃったからそのことばを使ったのですけれども、どうも国民にとってはめちゃくちゃな、踏んだりけったりのような料金改定になることを、私はこの委員会で認めなければいかぬ。まあできるものから、小さなことからでもやっていくという具体的なものをお聞きしなければ賛成できないような気持ちがするのですが、いかがでしょうか。
  149. 原田憲

    ○原田国務大臣 一番、何と表現したらよろしゅうございましょうか、問題になっておるところをお尋ねになっておると私は思います。これは郵便事業が、やっておりましてその仕事がちゃんと行なわれておりましたら、それがうまくいくように国民も協力していただけると私は思うのであります。いま、それでは郵便事業というものがどうなっておるかということは、もう口をすっぱくして言うようでございますが、国民の皆さん方にも御協力を求めるためには、私も街頭に立っても申し上げておるのでございますが、まず何と申しましてもこれは人件費ですね。この事業が人件費が多いということは田中さんもよく御存じで、今日まで合理化、近代化、いろいろな努力をして、最大のところまで来ておるけれども、やはり人々がこれを配って歩いておる事業である。だからこの事業をやっていくうちの経営費の中で大きく占めるのが人件費である。それでは郵便で働いておる人たちが高い月給をもらっておるかというと、決してそうではない。しかしそれに人並みの月給を払っていこうとすると、現在の収入をもってするとこういう状態になります。で、郵便料金はどうかというと、世界で一番安い。だからこの料金も上げてよかろうというところの審議会の答申も得た。しかし、それよりも物価の問題が大事だということが今日までの状態であったことは、もう繰り返して申し上げるまでもなく、御理解賜われると思うのですが、その郵便がちゃんと来ないじゃないか、そこに一番問題があるということを御指摘になっておる、私もそのとおりだと思う。  そこで、これは何といいますか、労使ともに心をいたして、この郵便事業というものが国民にサービスをしておるという立場をよくお互いに理解するように、明るい職場づくりということについても、予算上にも措置をいたして、あらゆる努力を傾けてこの問題を解決していくということが、今日重要な郵便事業の中の問題点であるということは私も認識をし、このことについて当局者については指示もいたしておるところでございます。これらの問題につきまして努力を傾けるとともに、この今日の郵便事業の危機というものを突破していきたい、このように考えておる次第でございます。
  150. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 郵務局長さんからでいいのですけれども、まあいずれ料金改定を、いつ出すかというようなことまで論議があったわけですからね。ここにある審議会の答申は尊重されていくと思いますが、この中に、当面措置すべきサービスの向上というのがありますね。一つ最初にあげてあるのは、郵便集配関係で、集合受け箱。これは何ですか、高層住宅の中で一階に受け箱をつくるとか、別荘地であるところに受け箱をつくるとか、こういうことが出ているのですが、これはサービスということから見た場合には、サービスの向上ですか、それとも何ですか。
  151. 石井多加三

    石井説明員 ただいまの御指摘の点は、答申の中に「当面措置すべき事項」という表題がついておりまして、その(ア)に「利用者協力を求めるべき事項」というような表現になっておるわけでございまして、むしろ利用者の方々に、たとえばいま御指摘の高層建築物の場合に、一戸、一戸階段を上がっていって最上階まで郵便を配達するというのはたいへんだから、そういう場合には集合受け箱を一番下のところにお願いする、あるいはエレベーターのところにお願いするというようなことで御協力をいただいておりますが、まだ十分御協力をいただいてない面がありますので、そういった点でなおもっとお願いしたらどうかという御趣旨でございますので、これはむしろ利用者の方々には負担にもある程度なるかと思いますが、われわれのほうでサービスをよくするという問題ではございません。
  152. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 サービスの向上じゃないということを当局は考えておるということになるわけですね。  そこで、先ほど大臣は大事な御発言をなさったと思うのです。大体郵便が届かない。郵便が届かないのを、何でこんな郵便の日数表なんかを公示してやるんですか。それは、現状は届かないから、そういうことのないようにしますとおっしゃる、それはわかるのですけれども。それで、私はいままで、逓信委員になりましてこの委員会でいろいろ問題を聞いておりまして、総括的に申し上げますけれども、この委員会でも郵政当局に対する指摘事項、中で一番多いのは労使の問題ですね。郵政監察の結果によっても逐次内容が悪質で、事案がふえておる。私は本予算がきまりまして郵政省の概況説明がある場合にいつも指摘しておる。ほんとうにこれはゆゆしき問題の事案がふえておる。そういうことに対する利用者の苦情も深刻なものが増加しております。これでは国民から見て郵政業務の適正なる運営とも理解できないし、そういうことで国民の信頼をも失するような現状が多くあるのが現実なんです。それは大臣も認められたのですから、その中の一つとして郵便が届かないということ。ですから、私もその例としまして申し上げますと、郵便物の集配にかかわるものを遅配、欠配、そして監督者の不行き届きによります職務規程違反、また簡易保険業務についても、超過契約の横行、その他以前から私が指摘しましたような簡保に関する犯罪につながるような問題、それから労使間のもつれから起こります労働過重の問題、そのために職員が殉職をしたり、自殺をしたり、この人命尊重のいわゆる近代文明社会の中でこういうことが平然と行なわれておる、そういうことを惹起しておる。また最近は、先ほども御指摘になりました簡易郵便局が襲われて、そして重大な内容を含む損害が発生している、こういう現状であります。このようなことを大臣はどのように認識して、その責任をまず一つでも果たしていくことが国民に理解と協力ということになるのだろうと私は思います。それとも大臣はそういうことを御存じないのかどうか。どの項目でもけっこうでございますから、ひとつ大臣の所感をお聞きしたいと思います。
  153. 原田憲

    ○原田国務大臣 郵便に届かないものがあるということは確かに認めました。しかし、郵便は全部届かないのではないのでございまして、私は日本の郵便事業が決して世界で一番いいとは申しませんけれども、(田中(昭)委員「なりつつある」と呼ぶ)そうです。そのことが私は一番心配をいたしておるところでございます。ゆえにどっかの国のようなことにならないようにするにはどうしたらよいかということが一番大事で、私は行政の責任者として、どっかで何かいいことがあるか、こういうことがございましたけれども、これは犯罪の面でも減ってきております。今度の場合は減ってきておる。ただし質が変わって、ところによっては、押し入り件数がふえておるとか、そのような報告を私は受けておりますから、そういう悪質なものは徹底的に追及してなくするようにということを指示もいたしております。したがいまして、御指摘のような郵政職員の欠点というようなことで郵政当局を非難し、批判し、攻撃されるような投書を見ますと、私は一番悲しくなるが、反面一生懸命にやっておるからりっぱであるという投書も拝見いたしまして、郵政事業というものは決して完全に麻痺しておるような状態ではない、こういう見地に立ちまして、労使の間もこれをお互いに理解を求め合って、国民にサービスをする、こういうふうに私は努力をしておるつもりでございますので、どうぞひとつ御了解を賜わりたいと思います。
  154. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま私がいろいろ申し上げました中で、監察の結果についてはそうでないとおっしゃいましたけれども、これはまた私はあらためてはっきりしたいと思います。  そこで、そのほかのことにつきましては大体お認めになった上での発言のように思いますが、これは私はあえてこういうところ言いたくないのですけれども、大臣がおっしゃるように、全部の郵便が届かないなんというようなことはあり得ないと思います。しかし、あえてそういうことを言わなければならないような事実が——私はいまの監察の結果でも、郵便の遅配、欠配でも大臣のところまで来ないのですよ。ところが現場ではふえているのです。  事実を申し上げましょう。ある町で郵便集配が、町のある地域をきめまして——これは郵政省の職務規程によりますと、郵便局長がきめるそうでございますが、この郵便物の集配が実際は行なわれていないという問題です。どういうようにきめてあるかといいますと、職務規程の二十三条の八項に「郵便集配時刻、集配巡路及び集配定日」を郵便局長は決定して、その決定したものに従って郵便物が配達されなければならない、こういうふうにきまっているんですね。ところが、これがある地域で、この郵便局長の監督に違反して——日にちだけ申し上げましょう。八月の一日から十日間、この職務規程に違反して、郵便物がある時点まで届いて、それから先は届いていないのです。そういうことは郵政省の監察の結果、上がってきますか。これは私が一カ所たまたま聞いたのであって、現場を調べてみたら事実です。そして日本全国、たくさんあるとは言いません。郵政職員を私は信頼して、たくさんあるとは言いませんけれども、こういう職務規程、また監督者は、私のほうから指示しなければわからない。郵便局長さんは完全な監督不行き届きでしょう。それが一日か二日ならともかく、十日間ですよ。そのためにそこの市会議員さんは、自分は大きな不利益を受けている、将来に希望を持った学生が、入学金が着かなかったために、おくれたために入学が取り消されたという問題、これも私はいままでたくさん聞いております。また、あるところでは生活保護者が保護費を指定された日に郵便局に取りに行ったところが、指定された日に受けられない、そのために、保護者なんというような人は、一日千円、二千円の金がないかあるかによって生死にかかわる問題です。それも調べてみましたところが、どこでどう間違ったのか、十日おくれて支給された、こういう問題を私はあえてきょうは言わなければならない。まあ、この事実についてはまた後ほど調べてもらうということにしまして、こういう事実を見てみますと、いま大臣がおっしゃった、国民に対する、安易な料金改定をやらないということ、私はどうしても了解できない、また不安がある。いかがでしょうか。
  155. 原田憲

    ○原田国務大臣 私は、御指摘のような事実がなしとは言えないと思います。そのようなことが起こらないように努力を傾けていくことは、私はもう絶対条件であると思っております。しかしながら、現在、この郵政事業がうまくいかないということが続きますと、そういう事犯もまたふえてくるというのが、悪くなるときはどんどん悪くなっていきますから……。基本的にこの郵政事業というものが心配ない、そこで働いておる者も、これなら誇りを持って働けるというように持っていくことが一番の基本の問題であり、なお、世の中では、そういうふうにしておっても間違ったことを犯す者が出てくるのでありますから、さようなものに対しては、起こらないように全力を尽くす、こういうことで、いまの御指摘のようなことは、もうすぐに調べさしていただいて、再びそのようなことが起こらないように努力をしていくつもりでございます。
  156. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう少し具体的に、こまかい問題ですけれども、郵便局の窓口や、それからいろんな外務員の方、集配人等に、利用者から郵政業務に対して意見や陳情、苦情といいますか、そういうものが持ち込まれると思いますが、このような場合に、局の現場ではどのように処理して、それが上級機関でどのように取り扱われておるのか、また、その数がわかっておれば教えていただきたい。
  157. 永末浩

    永末説明員 利用者の方々から現場に持ち込まれますところの苦情、申告等、郵便に関するものがほとんどでございます。郵便に関するものにつきましては、郵便物の事故申告制度というのを私たちつくっているわけでございます。これは郵便物の不着であるとか、あるいは内容品がなくなっているとか、あるいは誤配達になったとか、おくれて配達されたといったような申告を書面なりあるいは実地に調査して、申告された方々に回答するというシステムをとっているわけでございます。  件数でございますけれども、四十八年度に受け付けましたところの件数は十一万二千三百十六件でございまして、四十七年度に比較いたしますと二万二百六十六件、二二%ほど増加しております。この調査の結果でございますが、書面あるいは実地の調査によりまして異状なく配達が済みました、あるいは受け取り人、発信人の行き違いでございます、あるいは名あてや包装が不完全のために配達が不能というふうに判明いたしたものが、この十一万二千三百十六件中八万千三百九十九件でございます。約七二%、そのような結論が出ているわけでございます。そのほかの二八%につきましては、引き続き調査中であるというのが現状でございます。
  158. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、いま監察のほうからお話がありましたが、その十一万にものぼる意見や苦情については、おそらく大臣はこまかなことは御存じないと思うんです。だけれども、こういう料金改定をやろうというときには、その中に貴重な意見があるんですよ。それは、いま数字の報告だけは私、お聞きしましたけれども、私は、その数字は信用しません。というのは、現場では郵政本省に報告する内容と、現場だけで処理する内容と両方あるんです。ですからそういうものまで入れますと、何十万という意見、苦情になるかもわからない。ですから私は信用できないと、こう言っているんです。私がお尋ねしたときには、そういう意見や陳情については本省は把握しておらないというお答えをいただいておる。いま監察のほうからはそのようなお話を聞きましたけれども、そのことだけから見ても、いかに信用できないかということがわかる。ですから、これはひとつ本格的に、臨時国会になりましたら、私、くどいようですけれどももう少し、この料金改定をやるためには国民の側に立った、サービス向上であれ業務の正常化であれ何でもいい、そういうものをほんとうに約束できなければ、絶対に料金改定は私は了承できないということを強く大臣にひとつ申し上げておきます。時間もございませんし、次の問題に移らしてもらいます。  次に電電の総裁にお尋ねしますが、先ほどから話があっておりましたので重複いたしますが、ひとつごかんべんいただいて、新聞報道等によりますと、五十年度赤字計上のために、やはり電電もどうも料金値上げに踏み切らざるを得ないというような感触を受けたのですが、その御真意を簡単にお聞かせ願いたい。
  159. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、第五次五カ年計画を進めておりまして、ちょうど昭和四十九年度がその二年目になっております。それで、昨年の十一月のあの石油の危機以来、全般的に非常に物価が上昇し、またその影響を受けまして、本年のベースアップも定昇込みで約三〇%に近いというような数字になってまいりました。したがって、四十九年度状況を見ますと、こういう総需要引き締めによる景気の沈滞ということによる減収傾向が出ておりますが、かりにこの減収傾向がなかったといたしましても、千二百億円ぐらい赤字になるのじゃないか。それから、これはまた補正予算をお願いしなければならないわけでございますが、ことしの三百二十万の加入電話だけはぜひ達成したいと思いますけれども、後年度に対します基礎設備等を考えますと、やはり補正予算というものはどうしても考えなければならない。それで、その補正予算等を考える場合に、人件費の影響する分というものは損益勘定の中で約二千億円に達するというような数字でございます。それからまた収入結果がどのぐらいあるかといいますと、四月から八月までで約二百六十億予定よりも減っておる。三%の減収になっておるということでございます。しかし四十九年度は何とかやりくりいたしまして、料金値上げはしないということでいきたいと思います。ところで、五十年に対しましては、先般八月末に郵政大臣のところに五十年度概算要求を提出いたしました。これは、結局国会に参りますと、たまっている、積滞している電話をどんどんつけろという御要望があります。またわれわれといたしましても、ぜひこの積滞の電話を全国的規模で解消したい、その時点を第五次五カ年計画の終わる昭和五十二年度末というふうに考えておりまして、その数は五カ年間に千五百三十万を予定いたしております。したがって残る五十年から先九百万つけるということになると思います。  ところでこの赤字傾向というものは、この五カ年計画の最後に三〇%上がったというわけではなくて二年目に上がっておるわけでありますから、これは当面後年度に大きな影響を及ぼしてまいります。したがって、この第五次五カ年計画を達成するためには、たとえば五十年度概算要求におきましても五%のベースアップしか、これは大蔵省の指示で五%しか組んでおりませんけれども、赤字が二千六百億円、それから建設に要する資金とこの赤字補てんを合わせますと、財投あるいはその他の特別債というものを合わせまして約六千五百億円の金が要るというような数字になっております。これをどうするかということをいま公社の中でいろいろ検討しておりまして、十一月に入りましたならば公社の経営委員会できめて郵政大臣あるいは政府のほうに要望いたしたい、こういうことをいま考えている次第でありまして、現在のところこのように御理解願いたいと思います。
  160. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そこで、これだけ情報化の進んだ中で公衆通信事業というのはたいへん重要になってきておると思います。この電電公社の事業自体も、いまお話がありましたように電話の需要というのを満たす、そのためにこの第五次五カ年計画というものもちょうど二年目、山場に差しかかったような現在だろうと思います。この計画の達成によります需要に応じられる体制がまず大事ではなかろうか。しかしながら、そのための膨大な建設資金の調達とか、いまお述べになった人件費の増加のために、料金値上げを行なうことによって収支の改善の目途を立てるということはあまりにも知恵がなさ過ぎるんではなかろうかというような感じがしてなりません。いわゆる電電公社の独占的な企業、この事業と政府・与党の失敗によります経済政策の失敗、こういうものに悪乗りするような料金値上げは絶対に許されない。国民生活を破壊しております悪性インフレーションと物価高をさらに助長することになるからでございます。したがって公社の公共性、社会的責任から見ましても、たとえばいま電電が行なっております事業内容の中では、電話の需給体制よりも新規電話といいますか、新製品をどんどん販売拡張していく、そういう姿、また公社の内部のいわゆるマンネリ化した姿によります企業努力の欠除、また職員の中ぶくれといいますか、そういうものの職員の職場に対する不満の解消の欠除、そういうものが重大な要素であるというふうに私は認識せざるを得ないのであります。その解決努力をなさないでの料金値上げは国民の批判が増すばかりであると思いますが、この点いかがでございましょうか。
  161. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいまいろいろ経営上の問題点を御指摘いただきました。公社といたしましては昭和四十一年に労使関係近代化路線というもの、これは労働組合と重要なことは話し合って処理していこうという路線を昭和四十一年以来ずっと継続しておりまして、私は他の企業体に比べれば労使関係はわりあいに順調にいっているんではないかというふうに思います。  それからいま新製品の問題が出ましたが、これは時間がありますれば詳しく御説明いたしますけれども、私たち赤字で新製品をやるということは全然考えておりません。したがって、これは現場に対しましてもその他管理機関におきましても、なるべくいろいろ新しい技術を経営の中に反映いたしまして生産性をあげる、そういうことでやっておるのでありまして、この新製品といっても大体外国で使っているものを日本でアプライしているというのがおもな状態でございます。ただ日本で使った最近の新しいものは何かといいますと、これは一ぺんここで御披露したかもしれませんが、たとえば老人用の福祉電話、ボタンを一つ押せばその老人が寝たきり老人でも中のテープがいろいろ考えられている場所へ順繰りにいくというような、これは外国にないと思うのですけれども、あとのたとえばプッシュホンみたいなものはアメリカでずいぶん前からやっているのを日本がやっているということでありまして、これも別に赤字でやっているわけではございません。それから第五次五カ年計画の中でもたとえばテレビ電話を三千個つけるというのは、これは料金値上げを考え検討する時点ではそういうものはむしろ後年度に繰り延べてしまうというふうなことにいたしたいと思います。  それからまた生産性向上につきましては、私は技術革新はこれからもまだある、技術革新はまだどんどん経営の中に取り入れる余地があるというふうに思っておりまして、具体的にどういうのがあるかというのはちょっと時間の関係で省略いたしますが、そういう点。  それからまた最近エネルギーの危機の問題等がありますが、そのエネルギー問題等を公社の中でどうするかということ、それからまた公社の中でいわゆる廃棄物処理、代替資源活用というふうなことで、実は石油危機の始まる半年ぐらい前からクリーンリサイクル委員会というものをつくりまして、一ぺん公社で処理したものを再活用、再利用する、あるいは代替資源を活用するというようなことをいまやっておりまして、十五の分科会においてそういうものを活用する。そういう点でいろいろ努力をしておるのでございまして、時間があればもっと詳しく申し上げますが、決して安易に料金の改定を政府にお願いするということは考えておりません。
  162. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最後に一言。いま最初におっしゃった労使間はうまいぐあいにいっておるということは、これはけっこうなことだと思います。しかし労使間がうまいこといっているから問題がないということではない。という証拠に、これは新聞報道ですけれども、「電話料金値上げに反対」全電通労組、大会で決議しておる。その内容を見ましても、簡単に言いますと「公社事業は景気に左右されず、順調に伸びている」これはそうだろうと思います。今度、いまあなたがいろいろなところで七円を十円にするなんかということをいろいろ発言なさっておりますが、こういうことになった場合、これは順調に伸びないかもわからない。だいぶん問題があると思うんですね。それから二番目には「設備の過当償却で巨大な隠し利益があり、これをはき出せば値上げしなくともすむ」これはどうも、私は福岡に住んでおりますが、ずっと見渡してみましても、もう少し調べてみなければいけない、どうも少し真実性があるのではないか、そんな気持ちもしてならないわけでございます。どうか一つこういう電電公社を形成している職場の働く人たちにも国民全体にも、いわゆる公平なる了解の得られるような点は明らかにしていかなければ私は料金値上げは賛成できないということを表明しまして、きょうの質問を終わっておきます。
  163. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次回の委員会は、公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十九分散会