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1974-11-12 第73回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月十二日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       愛野興一郎君    片岡 清一君       武藤 嘉文君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       山田 芳治君    多田 光雄君       林  百郎君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房同和対策室長 山縣 習作君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       小林 育夫君         環境庁水質保全         局水質規制課長 清滝昌三郎君         国土庁土地局次         長       松本 作衛君         法務省刑事局公         安課長     俵谷 利幸君         法務省人権擁護         局長      萩原 直三君         大蔵省主計局主         計官      梅澤 節男君         大蔵省主税局税         制第三課長   西野 襄一君         大蔵省銀行局銀         行課長     宮本 保孝君         文部省初等中等         教育局小学校教         育課長     島田  治君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   国川 建二君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課長     山崎  卓君         農林省構造改善         局農政部農政課         長       関谷 俊作君         通商産業省立地         公害局工業用水         課長      柴田 益男君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      太田 耕二君         労働省労政局労         働法規課長   松井 達郎君         建設省都市局下         水道部下水道事         業課長     井前 勝人君         建設省住宅局日         本住宅公団監理         官       有賀虎之進君         自治政務次官  古屋  亨君         自治大臣官房長 山本  悟君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省行政局公         務員部福利課長 大嶋  孝君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 十月四日  辞任         補欠選任   津金 佑近君     多田 光雄君 同月十五日  辞任         補欠選任   住  栄作君     石田 博英君 同日  辞任         補欠選任   石田 博英君     住  栄作君 十一月十一日  辞任         補欠選任   林  百郎君     田代 文久君 同日  辞任         補欠選任   田代 文久君     林  百郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  この際、地方行財政実情調査のため、去る九月三日から四日間にわたり長野県、富山県及び岐阜県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員から報告を求めます。中村弘海君。
  3. 中村弘海

    中村(弘)委員 先般長野富山岐阜の三県について調査を行ないましたので、便宜上私からその結果を御報告申し上げます。  今回の調査の目的は、第一に、広域行政、特に広域市町村圏現状問題点、第二に、過疎現状とその対策、第三に、地方超過負担をはじめ、地方財政現状問題点、第四に、地方公営企業、特に病院事業経営状況問題点、第五に、その他地方行財政上の問題点調査することであります。  派遣委員は、小山省二理事山本弥之助理事佐藤敬治理事三谷秀治理事小川省吾委員、林百郎委員、小濱新次委員小川新一郎委員及び折小野良一委員の各委員に私の十名でありますが、長野県では、林百郎委員及び中村茂議員が、富山県では、住栄作委員がそれぞれ現地参加され、岐阜県では、古屋亨自治政務次官が出席されました。なお、調査室からは直江鷹郎及び大久保晄の両調査員が同行いたしました。  調査は、九月三日から同六日までの四日間にわたって行なわれ、それぞれ関係当局から説明を聴取した後、現地視察を行ないました。  九月三日は、午後、長野佐久勤労福祉センターにおきまして、西屋敷ごみ焼却場敷地反対期成同盟会等から陳情を受けた後、長野県当局及び佐久地域広域行政事務組合当局から、それぞれ、県勢概要をはじめ過疎対策広域市町村圏概要等について説明を聴取いたしました。その後、佐久環境衛生組合屎尿処理施設及び佐久地域広域行政事務組合北部消防署を視察いたしました。  九月四日は、午前、県内北部過疎地域を視察しながら黒部ダムを経由して午後富山県に入り、立山、黒部の大自然の景観及び環境保全について富山県の自然解説員から説明を聴取した後、新川広域圏事務組合西部じんかい焼却場を視察いたしました。  九月五日は、午前、富山県庁において、富山県、同県警察本部及び新川広域圏事務組合当局から、それぞれ県勢概要県下治安情勢広域行政推進上の問題点並び要望を聴取したのであります。その後、東砺波郡の山間地帯小規模集落点在状況を視察し、上平村において、同村及び平村当局から過疎対策についての要望を聴取いたしました。午後は、岐阜県の過疎地域である白川郷を経て、高山市の岐阜飛騨総合庁舎において、岐阜県当局及び飛騨地域広域行政事務組合当局から、それぞれ県勢概要をはじめ、過疎対策広域市町村圏概要等について説明を聴取いたしました。記者会見の後、高山市内の文化財や同市公営企業として経営している民俗村を視察いたしました。  九月六日は、早朝、高山市内を視察した後、車中において、益田地域及び東濃地域町村の概況について県当局より説明を聴取いたしました。午後は、恵那山トンネル西工事事務所において、恵那地区市町村長及び同市町村議会議長連絡協議会等から、中央自動車道恵那トンネル安全対策の確立と救急体制整備等について要望を聴取し、また、これに対する日本道路公団当局の意見を聴取した後、恵那山トンネル工事現場を視察して、帰京した次第であります。  これらの調査内容の詳細につきましては、時間の関係もありますので報告書に譲り、ここではごく簡単に今後検討を要すると思われる若干の問題点について申し上げます。  まず第一に、広域市町村圏問題でありますが、調査を行ないました長野県の佐久地域富山県の新川地区岐阜県の飛騨地域の各広域市町村圏は、関係者の熱意と努力によって、道路整備を基軸として、環境衛生施設教育文化施設広域消防施設などの建設整備を推進し、着実な成果をあげつつあります。  しかしながら、地域住民の意思を的確に把握する手段あるいは広域市町村圏事業住民に知らせる機能が欠けているためか、一部の事業において、地域住民あるいは関係市町村理解が十分に得られない悩みが見受けられました。  これらの三広域市町村圏は、いずれも今年度、広域市町村圏振興整備構想に関する研究を行なう圏域として選定されたものでありますが、今後、振興整備に関する施策を有効適切に進めるにあたっては、構成市町村の十分な理解と積極的な意欲が必要であり、また、構成市町村財政負担が急増することにもなるので、国庫補助金地方交付税あるいは地方債による財政措置の積極的かつ重点的な配慮が望まれております。  第二に、過疎対策についてでありますが、三県及び関係市町村においては、それぞれ適切な計画を策定し、これに基づく各般の対策によって、地域住民生活環境整備中心として地域社会の基盤の強化がはかられてきており、一応の成果をあげつつあります。さらに今後引き続き地域特性に適合した積極的な施策を実施するための計画が策定されつつあります。しかしながら、過疎は自然的、経済的、社会的諸条件が重なり合って生じた現象でありますために、単に対症療法的な措置で解決できるものではなく、抜本的な対策が必要であります。そのためには、雇用の増大と安定した高水準の所得を確保するための地域の総合的、計画的な開発と産業振興中心とした地域振興の方途がはかられるべきであると考えられます。  御承知のとおり、過疎地域においては、道路整備地域特性に応じた産業振興、住みよい生活環境などの行政需要が多く、しかもそれには多額経費を要するのでありますが、一方、財政力はきわめて貧弱であるのが通例でありまして、三県の過疎地域におきましても同様のことが言えるのであります。また、過疎法指定要件に合致しない、いわゆる準過疎市町村が多く、これらの市町村においても過疎対策事業として多額一般財源を投入している実情にあります。これらのため、過疎法指定要件の緩和をはかること並びに過疎債辺地債の大幅な増額適用対象事業の拡大や過疎バス運行経費に対する国庫補助地方交付税措置拡充等財政措置が強く望まれております。  第三は、財政状況でありますが、最近における総需要抑制策によるきびしい経済情勢の影響により、三県及び三県下市町村財政はきわめて不安定な状態に置かれている一方、社会福祉事業、上下水道、その他生活環境施設整備事業など、住民生活に直結した財政需要や、地方公務員の大幅な給与改善等財政需要が増大し、これらの財源確保が緊急の課題となっております。したがって、地方交付税率引き上げ等による地方交付税増額地方税源拡充強化等自主財源強化するとともに、地方債増額をはかるほか、地方超過負担の解消について格別の措置を講ぜられたい旨の強い要望がありました。  特に、給与改定については、所要経費が巨額に達する一方、県税あるいは市町村税自然増収には多くを期待できない実情にあるため、地方交付税等において完全に措置するよう強い要請がありました。  また、県及び市町村は、上水道、病院、発電など数多くの地方公営企業を経営し、住民サービスの向上につとめているのでありますが、建設投資多額経費を必要とするもの、あるいは経営健全化を必要とするもの等、多くの問題をかかえております。したがって、病院事業については、診療報酬早期改善、医師、看護婦確保対策をはじめ、病院事業に対する国庫補助及び地方交付税措置拡充水道事業については国庫補助及び起債ワク拡充等について格段の配慮を願いたい旨の要望がありました。  なお、これら調査内容につきましては、委員長のお手元に提出いたしました報告書委員長において会議録に掲載されるようお取り計らいをお願いし、それによって御一覧をいただきたいと思います。  以上で報告を終わります。
  4. 伊能繁次郎

    伊能委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。     —————————————
  5. 伊能繁次郎

    伊能委員長 ただいまの報告者申し出のとおり、派遣委員調査報告書は、本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伊能繁次郎

    伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  7. 伊能繁次郎

    伊能委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤敬治君。
  8. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 山口県の防府市におきまして、水道事業組合とそれから水道管理者の間に結ばれた協定に対しましていろいろな紛争が起きておりますので、その点に関しまして、二、三質問をいたしたいと思います。  第一番に、この問題に関して管理者組合との間に協定されました正当なる協約市長昭和四十九年九月二十八日に市議会に対しまして承認第六号として「予算上不可能な支出内容とする協定承認について」、こういうものを市議会に追加して付議しておりますが、この問題について御質問いたします。  この提案理由に、当事者水道管理者水道労組であり、予算上不可能な支出であると市長が認める、こういうふうに書いてあります。私が非常におかしいと思いますのは、これは自治省行政局長かだれかでもいいのですけれども、ああいう人口十万なんというような小さい町の中で、水道管理者市長というものが、これほど大問題になるような問題が何の連絡もなくていきなり取りきめられておる、こういうことに非常に疑問を感ずるのです。私も長いこと同じようなくらいの人口の町で市長をやっておりましたけれども、この程度のものであれば、管理者というのは名前ですけれども、ほとんど市長と密接な連絡をとってやるのが私は普通だと思うのです。それが何の連絡もなくて、管理者組合がやったんだからおれは知らぬ、実行できないぞといって、いきなりこれは不可能だというので議会に提出するということは、法律上の形式論はどうあっても、行政上の問題として私はすこぶる不可解なんです。この点はどういうふうになっているか、自治省でただしたことはないのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。
  9. 植弘親民

    植弘説明員 その事案につきましては、基本的には、いま佐藤先生御指摘のように、地方公営企業労働関係法十条の解釈問題となってまいると思います。そこで、地公労法解釈そのもののもとは労働省のほうでまずお答えいただくのが筋かと思いますが、少なくとも、いま先生がおっしゃいました防府市のような地方団体においては、水道当局市長との間には連絡があったんじゃないだろうかという点でございますけれども、全然連絡なしにやっているとは思われませんが、最終的に協約を結ぶのは当事者とあれでございますし、現に、その内容が十条第一項にいうところの予算としても不可能であるということになってまいりますと、これは、市長としてはある程度そういう交渉が行なわれているということを知っているといたしましても、結果的には議会にかけざるを得ないのであろう、こういうふうに思うわけでございます。
  10. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は非常に市長の政治的な道義性を疑うんですね。おそらく、途中のプロセスはどうであろうが、最終的に協約を結ぶときは、水道管理者市長とが話しあって、こういうのを結びますよと言っているのに違いないと思うのです。もしそうだとすれば、片方ではちゃんと協約を結んで組合に約束をしておきながら、片方ではこれはできませんと、同じ人が一つのものを使い分けしている。これでは市長姿勢に対する不信感がわいてくるのは当然だと思うのです。この姿勢が大体この問題の発端ではないかと私は考えております。  この問題はまたあとで取り上げるといたしまして、この十条の問題としてこれを見た場合に、十条の場合には、予算上もあるいは資金上もとうてい不可能だと思われるときは議会承認を求めなさい、こういうふうに書いてあるわけですけれども、この防府の場合にこれを見てみますと、防府水道会計というものはそういう状態ではないのですね。これは一般会計よりの繰り入れが全然なされていない。それから二番目は、合理化が非常に進んで、いわゆる自治省が盛んにすすめるところの下請だとか、そういうのをどんどんやって、実際の職員というのは非常に少ない。それから、この必要経費を全部予備費の一千万から引いてみても三百万円ぐらいの黒字が残ってくる。しかも協定の必要な金額というものは百七十万三千円という非常に少ない金額である。こういうことをずっと考えてきますと、予算上も、資金上もこれは不可能であるという十条に当てはめることは、私は非常に無理だと思うのです。十条に抵触するということはこれを見ますと何にもない。こういうことを考えますと、この問題は、十条を適用させて議会に付議するということは大体不適当であるか、違法ではないか、こういうふうに思いますが、どうですか。これは労働省からひとつ見解をお伺いしたい。
  11. 松井達郎

    松井説明員 お答え申し上げます。  事実の態様につきましては、いま先生の申されたとおりでございます。問題は、いま先生のおっしゃいました法文解釈になるわけでございますが、先生御存じのとおり、この十条につきましては、「地方公営企業予算上又は資金上、不可能な資金支出内容とするいかなる協定も、当該地方公共団体議会によって所定の行為がなされるまでは、当該地方公共団体を拘束せず、且つ、いかなる資金といえども、そのような協定に基いて支出されてはならない。」こういうふうに書いてございます。  それで、この予算上実施不可能かどうかということを考える際の予算というものは何であるかということになりますと、私どもとしては、現在議会が議決しました予算というもので考えるということになりますれば、新しく結ばれました協定を実施することについては予算上不可能であるということになってまいりますので、したがって、このような協定議会にかけましたことにつきましては十条に従った措置である、こう思う次第でございます。
  12. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 自治省も同じですか。
  13. 植弘親民

    植弘説明員 十条の解釈につきましては、労働省と全く同じでございます。
  14. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は、それは法文上の解釈とかなんとかいえば、形式的にはそのとおりかもしれません。しかし、実際の行政上の運営で予算を置かないでやることがいろいろあるのです。特にいま言われたように、予算にないからやれないということは、形式的にいえばそのとおりですけれども、それに二色あると思うんですよ。一つは金がないからどうしても予算が組めないという場合、これはいたし方ない。あなたの言うとおりです。しかし現実に金があって、いま当初予算には組んでないけれども、これから組む余裕が十分あるとすれば、こういうふうな問題を起こす必要はない。予算に組めばそれで済む問題なんです。これは現実行政の問題としては幾らでもある問題なんです。それをあえてこういうふうに出すということは、私は非常に意図的だと思うのです。これは何も紛争を起こさなくたって、ほんとうに金があってやることができるとすれば、紛争を起こさなくたって、あとでちゃんと予算を組みますからと了解が十分つく事項なんです。それをあえてつけないで、ただ形式的に予算にないから出せないぞ。いま出してくれというんじゃないのです。これがちゃんときまったら、協定を結んでちゃんとしたならば、あと予算を出すから通してくれでもいいんですよ。そういう手続がなくて、いきなりこれでもってぽんと拒否している。ここに私は非常に意図的なものを感ずるのですよ。単に予算がないからということじゃなくて、ほんとうに金がないからならいいけれども、そうじゃないのですね。金はあるけれども予算にない、それだけの問題なんです。あと現実行政上の運用の問題として幾らでも解決がつく。それをなぜ解決しないでこういうふうにぽんとけ飛ばしているか。ここのところをひとつ、あなた方の解釈上、この問題からお聞きしたい。
  15. 植弘親民

    植弘説明員 事実関係として、当局のほうに何らかの意図があったかどうかということになってまいりますと、これはちょっと私どもが推測することは困難な問題でございます。  ただ現実に、おっしゃるように、なるほど当該水道会計におきまして将来を見渡した場合にある程度金があるのかもしれませんが、先ほど松井法規課長から御答弁申し上げましたように、予算が現にないわけでございますから、これはやはり二項によって議会にかけるというのは地公労法十条の精神だろうと思うのです。と申しますのは、なるほど、釈迦に説法で恐縮でございますけれども地公労法によるところの当局労組といいますか、これの団体交渉というのは労働基本権も通じて保障されております。しかし一方、議会のほうでは予算審議権というものが保障されておるわけであります。したがって、労働基本権に基づいて結ばれた協約と、それから議会の本来有しております予算審議権というものをどういうふうに調和をはかるかという問題がこの十条の考え方だろうと思うのであります。そこらのことがございますので、意図のほうはわかりませんが、市長議会に対して二項によって提案したのはそんなにおかしい措置じゃない、当然であろうと思っております。
  16. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は、その当然がよくわからないのですよ。予算審議権議会が持っているのはあたりまえの話ですよ。ただ出し方がおかしい。何があるかわからないというけれども水道会計についていろいろなパンフレットを盛んに議会が町の中に宣伝しているのですよ。その中に、これはもう防府市の財政を非常に圧迫して何も仕事ができなくなるのだということを盛んに書いてやっております。その意図からいいますと、この百七十万三千円をあげることによって防府財政が壊滅する、こういうふうなことが書いてあるのです。実際問題としてこれはもう初めから予算に組んであるし、この百七十万三千円を使っても何の財政上の痛手もこうむらない。一般会計から一銭も繰り入れてないのです。しかも三百万黒字である。何の被害も与えないで、しかも資金がある。これは予算上不可能だとは思えませんよ。ただ形式的に予算に現在ないだけの話だ。それをいまあなたの言うように予算にないからだめだといってけ飛ばすというのは、まことにこれは行政当局者としては当を得ない考え方だと私は思うのですよ。地公企労法の第七条に「職員に関する次に掲げる事項は、団体交渉対象とし、これに関し労働協約を締結することができる。」とあって、ちゃんと「賃金その他の給与」を認めてあるのですよ。第二条では「関係者は、紛争をできるだけ防止し、且つ、主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を尽さなければならない。」この趣旨からいきますと、この場合、当事者である管理者、当然これは先ほど言いましたように市長連絡があると考えられますが、この管理者組合が一致して協約を結んでおる。しかも、この場合、金が十分ある、こういって考えた場合、この第七条なり第二条なりの精神をくんだならば、この協約というものを誠実に実行する、これこそがこの法律趣旨なんです。それを、市長としてはただ断わるためにこれを利用しているにすぎない、こうとしか私は考えられない。そうじゃありませんか。
  17. 松井達郎

    松井説明員 実際の事情と申しますか、真意と申しますか、そういうことがどうであったかということについてはもちろん私どもも承知していないわけでございますが、先ほど植弘部長からお答えがありましたとおりでございまして、若干つけ加えさせていただければ、市当局のほうもこれは補正予算ということでもって、協定と同時に補正予算を提出いたしたわけでございまして、そこに提出されました補正予算が可決されれば協定は可能だというような形で市当局も提出いたしたわけでございます。  先ほどから申しましたことを繰り返しますが、すでに提出されて議決されております予算については、これは予算資金上不可能ということで、さてそれではどうするかということになってまいりまして、市当局もあわてて補正予算を出したわけでございますが、この補正予算については否決されましたことについては、当該部分については議会において可決されなかったことについては先生御存じのとおりだと思います。この趣旨につきましては、植弘部長からも御説明がありましたごとく、片方においては議会の審議権、片方においては両当事者が締結しました協定の尊重ということから、一がいにそのような協定の効力を否決せず、これを議会にかけまして、その承認があればそれを条件としてその協定が生きるというのがこの地公労法十条の精神でございます。この点につきましては、議会の審議権、それから労使の当事者協定の尊重というような調和をはかる意味で置かれておることば先ほどから申し上げましたとおりでございます。
  18. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 非常におかしいと思いませんか。片方では労働協約を結んで、そして補正予算を確かに出しているのですよ。そしてそれの出し方が予算上不可能だ、こういう出し方をしているのですよ。そうすると、一体不可能な予算を組めるはずがないじゃないですか。ちゃんと予算を組んでいる。そんなことを言いますけれども予算予算上組めない、できないというならば、そんな実行不可能な予算市長の責任で出せますか。初めから不可能だったら予算を出せないのですよ。予算を出しておきながら、しかもそれに不可能だというタイトルをつけて予算を出すというばかな話が一体ありますか。第一、そのものがもう自己矛盾でしょう。こんなばかな話はないですよ。しかも、金がないからこれはだめだという、それを削ってそっくりそのまま予備費に回しているのですよ。金はあるのですよ。どこにこれを削らなければいけない理由があるのですか。不可能な理由が一つもないのですよ。さっきも言ったとおり、不可能だという理由が一つもないのですよ。そういうように、予算を審議しないで、この協定内容が高過ぎる、こういって協定内容を先議している。しかし、この間社労で私のほうの山田耻目先生が質問したら、これは間違いだと植弘さんも道正労政局長もはっきり答えている。これは間違いである、先議するのは予算であって、協約ではないと言っている。おかしいでしょう。こんなばかな話はないですよ。一体、予算を組まれないものだったら予算を出されないじゃないですか。
  19. 植弘親民

    植弘説明員 十条一項の予算上不可能というのは、先ほどお答えしてございますように現在議会承認を得て実施されております予算で実施が不可能だということでございまして、それが金があるとかないとかいう問題とは別であります。予算がないものは実施不可能であります。したがって二項で出したのでありまして、いま先生、社労のあれを御引用なされましたけれども、社労で私どもそういう答弁をしていないつもりでございます。私いま速記録がございませんのであれですが、いまお答えしていることとそう矛盾したお答えをしているつもりではございませんので、速記録を調べさせていただきたいと思います。
  20. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 じゃ、速記録をよく調べてください。そういう答弁をはっきりしていますよ。先議されるべきものは予算であって協約ではない、はっきりそう言っているのです。  だから、もう一ぺん申し上げますけれども、これは予算があるなしにかかわらず、協定内容を否決したものなんですよ。だからおかしい。その協定は、この法律精神によって守らるべき性質のものだ。金がなければやむを得ない。しかし、金があったならばやらなければいけない性質のものだ。金があるにもかかわらずいきなり協定を否決してしまっておる。これでは管理者市長も要らないのですよ。議会組合と一緒にやればいいのです。当事者能力を、みずからあなた方が奪うような指導をするということは私はおかしいと思うんだ。これをよくひとつ考えていただきたい。  それから、山口県の総務部長から自治省に来た質問書ですか、それの回答に、協定が未議決であれば当該協定承認の議案は自然消滅したと解すべきだ、こういうふうになっているのですが、これの理由をちょっとお聞きしたいのですがね。
  21. 植弘親民

    植弘説明員 私ども社労委員会でもお答えいたしましたのは、こういうことだったと思います。  労働基本権に基づきまして両当事者の間に労働協約が締結されますのは、地方公営企業労働関係法趣旨とするところでございますから、協定そのものが議会承認によって効力が出るとか出ないとかいう問題ではないということははっきりと申し上げてあります。ただ、その協定そのものによって地方公共団体の当局者が、この場合市長が拘束されるかどうかという問題は、予算上不可能な内容とする場合には、その部分について第二項によって議会承認を得ないことには地方団体を拘束しないのだということを申し上げたつもりでございます。  そこで、第二項によるところのその部分に関する議会の議決がない限りは、一項によるところの地方団体の拘束という問題は起こりませんということでございます。
  22. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これはさっきのあれとちょっと関連するのですけれども、結局協定内容そのものを議会にかけなければ、議会承認を得なければだめだという意味ですか。
  23. 松井達郎

    松井説明員 現在問題になっております地公労法関係では、従来直接これに該当したケースはないのでございますが、これと全く同じ規定が公共企業体等労働関係法、いわゆる公労法にございます。公労法の場合に幾つか先例がございます。やや数字にわたりまして恐縮でございますが、これまで労使の当事者の間で話し合いがまとまらず、公労委にかかりまして、仲裁裁定が出たというケースが公労法に関してはもっぱらでございます。仲裁裁定につきましても、労使の協定と全く同じ手続がとられるということは、先生御承知のとおりであろうかと思います。  いままで出されました仲裁裁定、これは多数にのぼるわけでございますが、昭和三十一年以降五十件が予算上実施不可能であるとして国会に付議されたわけでございます。ところが、それにつきまして補正予算などが成立しまして、裁定の実施が可能となりました結果、案件は自然消滅した、こういう取り扱いになっているものが三十五件ございまして、ここに書いてあります自治省務員部長の山口県総務部長あての通達につきましては、このような考え方をおとりになってお書きになったものではなかろうか、こういうふうに思う次第でございます。
  24. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 この前の山田先生の社労の質問を聞いておりまして、結局予算が否決されるというようなことがあるかもしれないけれども、しかし、協定をしたという事実までは否定しているものではない、こういうような答弁をされているのですね。それについてちょっとお伺いしたいのです。  それは、結局協定を結んだという事実があとで生きているということでしょう。その事実が現実にはどういうふうに発展していくものですか。それをちょっとお伺いしたいのです。
  25. 松井達郎

    松井説明員 先生おっしゃいましたように、協定を結びましたのは事実でございます。  ところが、協定の発効要件につきましては、地方公営企業労働関係法十条に書いてございますように、このような協定につきましては、地方公共団体の議会によって所定の行為がなされるまでは、当該地方公共団体を拘束しないというふうに書いてございます。つまり、効力が出ていないわけでございますが、その所定の行為が何かということにつきましては、二項から出てくるわけでございまして、「前項の協定をしたときは、当該地方公共団体の長は、その締結後十日以内に、事由を附しこれを当該地方公共団体議会に付議して、その承認を求めなければならない。」このような手続をとりました結果、承認があれば協定が効力を発生する。そのような承認がなければ結局は効力は発生しない、こういうような経過をたどることになっています。
  26. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私いまお聞きしておるのは、たとえば議会予算を否決された、こういうような事実があっても、労働協約したという事実は否定されないから生きている、生きているものはどこかで動くのですが、どういうふうに動いていくか。死んでしまえば否定されて、いま言ったように全部無効だとなれば文句はないですよ。しかし、それにもかかわらず協定されたという事実が生きておるということは、何かしらそれが発動されなければいけないんですよ。それがどういうふうに発動されるものか、たとえばあとからもう一ぺんその事実に基づいて再提案するとか、一ぺんでは払えないから二へんで払うとか、何かそういうふうな形でまた生きていくのか、そういう手続がとられるのか、こういうことなんです。
  27. 植弘親民

    植弘説明員 先ほどお答えが舌足らずだったかもしれませんが、協約そのものは明らかに結ばれた事実は存在しておるわけでありますが、十条一項によってその部分が地方公共団体の当局、すなわち市長を拘束するかどうかということにつきましては、その議案が議会で否決されておりますから拘束しないのだということであります。したがって、もし先生のおっしゃるように協定した事項を実行するとするならば、あらためて協定を結び直してもらって、もしくは予算が別の角度で完全に議会承認される、そうするなら、予算上可能になりますから一項の問題は起こりません。そういうことはあると思います。
  28. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 わかりました。いま非常におもしろいことを言われたのですが、そうすると、管理者が同じものをもう一ぺん協約して、市長予算として提案すれば、それはそれで通るわけですね。
  29. 植弘親民

    植弘説明員 それは時期の問題によりまして、例の一事不再議だとかいう問題が起きてまいります。
  30. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それはもちろんそうでしょう。議会が変われば出していいわけですね。そういうことで私はぜひ自治省に指導してもらいたいと思うんですよ。いまこれを見ても、私はあとでまた質問しますが、十条にひっかかるところは何もない。ただあなた方が形式的に予算に金が出てないからだめだというだけです。予算はないけれども資金はある。ただ予算化するという手続だけの問題なんですよ。それが足りないから不可能だ不可能だと言っているわけだ。実際は形式上の問題で、内容上の問題ではない。  そこでこれを否決するところの金科玉条、にしきの御旗は、自治省の新しい見解だ新しい見解だと向こうでは一生懸命言っておる。自治省が、その協定を議決しなければだめだ、そう言ったのだから、協定を議決しなければ——否決したのだ、一生懸命そういうことを言っておるんですよ。しかし、実際問題としてそうじゃない。予算が先議さるべきもので協定は参考だ、こういうふうに言っておるわけだ。内情を見ると、実際に金はある、予算をただ編成して出せばいい、こういうふうになるならば、あなた方のいわゆる統一見解というものをもう一ぺん取り下げて、予算があるなら、内容的にできるならばやりなさい、金があるのになぜこういうふうに紛争を起こしておるのだ、こういうような指導はできませんか。
  31. 植弘親民

    植弘説明員 どうもお答えがまずいのか、まとめてしまいますと私の気持ちと変わらないのでございますけれども。すなわちいま言いましたのは、協定そのものはどうだと言われましたから、協定そのものは生きております、しかし、その協定市長を拘束いたしませんということを申し上げたわけです。  そこで、先生がそういった協定内容をどうにかしようとするならどうする手があるのかとおっしゃいましたから、それならあらためてまた協定をし直して議会承認を得るか、ないしはその協定に盛られたような事項予算化するという事態が起こるならばそれはいいでしょう、こう申し上げたので、これは仮定の問題であります。  そこでもう一つは、現にいま紛争が起こってどうするか、それについて自治省がどうしろというのは、これはちょっと個別の内容にまで立ち入ってどうというわけにはまいりません。  それからもう一つは、今度の場合自治省が見解を変えたのかどうかという問題ですけれども、別に見解を変えたのではございませんで、防府市の場合は監査委員から指摘があったわけです。監査委員の指摘に基づいて県に質問し、県から私どもに質問がありました。そこでいま先生のお持ちのような文書照会がございましたので、それならそのとおりだという回答をしただけでございまして、決してこれは従来からの解釈を変えたわけではありません。ただ従来、そう言われますと、たとえば予算案を出しまして、その説明資料に協定書を出して済ました例はないことはないようであります。しかし、それはいわば十条の解釈、運用上の便法をやっただけでありまして、開き直って十条の規定はどうだという質問を受けますと、二項によって承認を受けるべきである。先ほどそのものという問題がありましたけれども、それは法規課長のお答えのとおりでありまして、その点は私どもは別に考え方を変えたわけでも何でもないのであって、正確に十条の解釈をしているというだけであります。
  32. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、いままでの一つの慣例として予算案が先に出て、そして協定一つの付属文書として参考に出した。今度は協定を先にやって予算案が、金があるないは別にして、協定を先にやって、それの是非をやらなければ予算はきめられない、はっきりとそういう立場を今度はとるというわけですね。それは開き直って、どうかわからないけれども、いままでは予算を先議したけれども今度は協定を先議するということですか。
  33. 植弘親民

    植弘説明員 またそれについて補足させていただきますと、すなわち二項によるところの協定内容の議案とそれから補正予算と二本出るわけでございます。この二つの議案をどのように扱うかということは、これは当該議会においてきめることでございまして、私どもとやかく言うべきものではございません。
  34. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 地元の新聞をずっと見ますと、みんな自治省の新しい見解に基づいてこうやった、これは読売新聞も全国版から何からみんなそう書いてあるのですよ。自治省が示した新しい法的解釈によってこういうようなことをやったとみんな書いてある。これがにしきの御旗になって、自治省の見解だ自治省の見解だとやっているわけです。  いまあなたのお話を聞くと、必ずしも山口県が理解しているようなことでもないのですね。そこらあたりが非常にあいまいだからこういう紛争の発端になっているので、もう一ぺんこの見解というものをはっきり出して、こういう紛争のないようにすべきじゃないか、こう思いますよ。  この前の山田先生の御質問のときにも、あなた方、道正局長ですかな、山口県の地方課長を呼んで、そしてその点はよく指導します、善処します、こう答弁しているのですよ。一体それをやりましたかどうか、それをお聞きしたいのですがね。
  35. 松井達郎

    松井説明員 お答えいたします。  法律解釈につきましては、先ほどから申し上げているとおりでございます。私どもとしましては、この事実と申しますか、話を伺いまして、さっそく山口県のほうからも来てもらいまして、事実を承り、そして私どものとっております法的見解をお伝えしておるわけでございまして、その際に、あるいは今後このような事態がどのように進むかというような見通しについても承った次第でございますが、道正局長がどのように答弁いたしましたか、実は私その委員会には不在でございまして正確には承知いたしておりませんが、今後とも必要に応じて実情調査するということはもちろんでございますし、またこの案件が、承りますところによりますれば、ちょうど地労委の調停にもかかっておるようでございまして、そのような事実の進展というものも私どもとしてはずっと注目していきたいと存じておる次第でございます。
  36. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 植弘さんにお伺いしたいのですが、十月三十日か三十一日に山口県に何か指導の通知を出していませんか。
  37. 植弘親民

    植弘説明員 その点については特別に通達を出したことはないと思います。
  38. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、この前のあれがあって、善処するという答弁があってから山口県とか防府市とは何も折衝していませんか。
  39. 植弘親民

    植弘説明員 その点につきましてはこの前もお答えいたしましたが、労使が正常な形で交渉するとか、ルールに基づいて話し合いをする、そういうことについては、これは私どもとしては望むところでございますので、地方課を通じまして、いまのような、いつまでも紛争状態にしないで、調和のとれた労使関係を樹立するようにという指導は地方課を通じてやっております。  ただ、いま松井課長からお話がございましたように、地労委の調停にかけようとかいろいろな問題がございますために、いまのところは若干膠着状態というようなかっこうじゃないかと思っております。
  40. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは非常に重要な問題なのですよ。単に一防府の問題じゃなくて、これは法律解釈だとか根本的な問題に関するのでこういうふうに大きくなったと私は思うのですね。これは、どう解釈するかによって、防府だけではなくて全国的に同じような問題が発生する危険性がある。ひとつこれをよく考えて、ほんとうに善処していただきたいと思うのです。  これはいまいろいろ答弁がありましたけれども一つの労使の慣行というのは一朝一夕にして築かれたのじゃなくて、長い時間をかけて築かれてきているのです。その一つの慣行が、予算を先議して協定は参考書類としていままでやってきた。それで長くやってきているのですよ。それをいま急にぽこんと変えた、そこのところに何か意図的なものを感じますけれども、その変えることによって非常に大きな混乱が起きてくる。このことをよく考えてひとつ善処していただきたい、私はこういうふうに思います。  一番最後に締めくくりをやるとしまして、二、三具体的なことをちょっとお伺いしたいと思います。  労働省にお伺いしますが、防府労働基準監督署長名で、十月二十六日に防府の水道労働組合の執行委員長守田一男が数項にまたがって申告を出している、その中で回答が一つありまして、こういうふうな回答が来ているのです。「昭和四十九年十月二十六日付をもつて提出されました標記申告の記の一については、地公労法第十条第三項に議会承認があった時に第一項の協定はそれに記載された日付にさかのぼって効力を発生するとあるので、この反対解釈として議会承認の場合は賃金債権が発生しないと解されます。よって賃金未払いは成立しません。」こういうような回答が来ているのですね。いまの場合を見ますと、これはどうも趣旨からしまして賃金債権というのがない、こういうことを基準監督署の立場として私はいえないと思うのですよ。それをこういうふうに、賃金債権というものが成立しない、こういうことだと、全く死んでしまうと同じことですが、ところが生きているとなると、こういうふうな答弁というものは非常に私はおかしいと思うのですが、どうですか。
  41. 松井達郎

    松井説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃいましたとおり、この問題、すなわち防府市水道組合委員長からの疑義につきましての照会を基準局のほうで回答いたしました、こういうのは事実でございます。直接これを回答いたしましたのはもちろん私ども労政局ではございませんが、ここに示しております答えの考え方につきましては私どもは全く同意する次第でございます。と申しますのは、先ほどから申し上げておりますように、労使の間に結ばれました協定の効力が発生するのはいつであるか、こう申しますと、承認された時点において発生するわけでございます。したがって、このように承認されなかった協定というものにつきましては、その解釈といたしまして効力がないということになりますと、協定に基づく賃金債権というものも成立することができないのではないか、こういうふうに考えますので、この回答につきましては私ども全く疑問はない、こういうふうに思う次第でございます。
  42. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 この問題をあまりやっていると時間がないのでこれでやめますけれども、まだ納得したわけじゃないのです。  それで、私はさっきも申し上げましたけれども市長なり管理者の態度、特に市長の態度に非常に疑問を感ずるのですよ。一方では協約を結んでおきながら、一方では不可能な支出だとして「不可能な支出内容とする協定承認について」というのを出している。私は道義的に非常におかしいと思うのです。結んだらそれをできるだけ誠実に実行してやるのが当然市長のつとめだと思います。それを初めから、頭から「不可能な支出内容とする協定承認」なんて出したら、これは否決してくださいということだ。市長の立場としては、片方では否決されると組合からやられるし、承認されるとどこかからまたやられるしというので、まことに板ばさみになって、苦しい立場はわかりますけれども、非常に私はこれはおかしいと思うのです。それでさっきからいろいろ聞いていましても、現地の事情がよくわからぬ、こういうことばが盛んに出てきます。私は、これは一防府の問題じゃなくて全国的な問題になるだろう、こういうふうに思いますので、できればこの次の委員会あたりで市長管理者、この人たちをひとつ参考人としてお呼びいただいて、そこでいろいろその内容をもう少し検討して勉強したい、こう思いますけれども委員長によってひとつお計らいを願いたいと思います。  それからもう一つお伺いしたいのです。これは警察庁にお伺いしたいのですが、この問題に関しまして、ちょっと脅迫文とおぼしきようなものが水道の組合の書記長のところに十月十二日の真夜中の零時五分に来ている。それを読みますと、こういう文章なんですね。「松永忠が水道局ノ書記長デアツテ責任ヲ回避スルヨウナ回答ナラ市民ノ総力ヲアゲテ徹頭徹尾市民ノ世論ニヨリ糾弾ヲ敢行スル決議アリ、明日マデ十四日水道局ニ大挙集団ヲシ委員長守田ナラビニ書記長松永、電話ニヨル徹底的ナ糾明ヲ自民党役員トシテ徹底的市民ノ世論トシテ糾明ヲスル計画ニツキ、充分ナ覚悟ヲシナサイ」 防府自民党党員一同」こういうようなものが来ている、自民党党員一同で。これは「充分ナ覚悟ヲシナサイ」なんというちょっと脅迫めいたものなので、実はきのうちょっとお話ししましたが、これは脅迫になりませんか。
  43. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 ややその内容がばく然としたところがありますので、まだ山口県警としても、実際に申告もございませんので、それを十分検討させていただいて、参考人等から聴取して事実をはっきりさせた上で結論を得たい、こういうふうに考えております。
  44. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 この少しあとに、委員長の守田さんが自動車にはねられて重体になっているのですよ。これは偶然か故意かわかりませんけれども、何かこういう脅迫の電報が来たりして自後に委員長が自動車にはねられて重体になったりすると不安を感ずるのです。だからひとつこれをお調べ願いたいと思います。  自治省行政局長さんに実はこれをお聞きしたいのですが、あなたでもいいです。これをずっと全体をながめますと、冒頭に私が言いましたように、どうもこの十条に該当さしてそして給与を押える、こういう形というのは非常に私は無理があると思うのですよ。金はある。ただ問題は予算に出ておるか出ていないかという問題で、これは実際に行政のあれとしてはよくあることで、幾らでもやろうとすればできるのです。それをばんとけ飛ばしているということは、何か非常にそこに作為があるのではないか、ある意図があるのではないか、こういうふうに考えました。これはどうも最近自治省地方公務員給与が高い高いと盛んに騒いでいる、あれと非常に関係があるのではないかと思うのですよ。給与を押えるために、ここで上げられちゃ困るから、この十条を使ってそれを押えよう、こういう意図に出たのではないか、そういう指導が実際にあったかないかわからぬけれども、そういう意図というものがこの中にあるのではないか、こういうふうに思うのです。私はそういうことをこれを見て非常に強く感じる。そうでなければ、何を好んで市長が自分の職員あるいは市民をこうして騒がして、自分の立場を不利にすることは何もないのですよ。金がなくてほんとうに背に腹はかえられないというならば、それはわかりますよ。どう見たって、百七十万三千円上げたって防府市の財政に何の関係もない。一銭も繰り入れしてないのですよ。しかもまだ黒字だ。それなのにこれを押えなければいかぬとすれば、単に給与が上がるのを押えるためにやっているとしか思われない。しかも、十条が適用されないのを無理に適用している。そこに混乱の非常に大きな原因があるのではないかと私は思うのですよ。  きのう田中さんが記者会見しまして、そして一番先にやらなければいけないのは、文春問題の国民の疑惑を晴らすことだ。ところが、そういう文春の問題なんかの疑惑をまぎらすために、逆に今度は内閣改造をぼんぼんとやって、そっちのほうにそらそうとしているのですが、ほんとうの問題は、国民の疑惑を晴らすことに主眼が置かれなければ改造したって何にもならぬと思う。私はそう思いますよ。この問題だって同じだと思うのですよ。水道局の組合幾ら春闘をやって給料を上げたって、インフレになればまたすぐ足りなくなってしまう。できるならば、どんな手段を尽くしても、少しでも給料を上げたいというのはあたりまえの話なんです。そっちのほうを何とか解決しないで、ただインフレになるのは、給料を上げるのは組合が悪いのだとして、組合をぶつつぶしにかかって、給料を上げるのをぶっつぶしにかかるというのは、こういうようなやり方というものは私は本末転倒だと思うのです。  これは大体十条を適用させる、このことによってこういう混乱を起こして、労使のいままでの慣行がこれによって破られた。その破られたことによって労使間にどのぐらい大きな不信感ができたかわからない。これは単に防府だけじゃないのですよ。これが破られるならばたいへんなことだというので、全国的に大きな労使間の不信感がこれによって起こる。市民も一体何をやっているのかといって当局を批判する。こういうようなことになってきますと、これはこんなに大きな問題にしてやるべきことじゃないというけれども、私はその裏に何かそういうような意図がある、こういうふうにしか考えられないのですよ。  そこでどうか、労働省にも自治省にもお願いしたいのですけれども、もう一ぺんこれをもとの白紙に、原点に返しまして、十条でこんなことをやるべきじゃない。給料を上げるのを押えたかったならば、別な方法で押えればいいのですよ。十条でこれを押えるということは、私はまことに不適当だと思う。たった一つの理由をさっきから聞いていますと、予算にないからだめです、これだけの話なんです。これはさっきから私が言っているとおり、実際の生きた行政の中では、予算にないからといっても、金があれば何とかしてやれるのです。幾らでもやれる、意図さえあれば。意図がないから、単に予算がないから予算がないからと言っているのですよ。それで内容を聞くとよくわからないと言う。やっぱり市長管理者を呼んできて、内容がどうなっているかを聞かなければ、ほんとうのことはわからないということになります。だけれども、結論的に言って、十条にこの問題をひっかけて賃金を押えるということは、私は無理だと思いますよ。もうああいう紛争を起こさないように、もう一ぺん原点に返って、そしてこの問題を処理するように善処して指導していただきたい、こういうふうに思います。
  45. 植弘親民

    植弘説明員 地方公務員給与が高いか低いか適当かという問題につきましては、四十八年四月現在の指定統計でもごらんをいただいたとおりでございまして、この給与そのものの適正化といいますか、国家公務員との均衡をはかるという点につきましては、一般的に私どもは従来から指導いたしております。また、当然地方団体にもそのようにお願いしたいと思っております。  しかし、防府市の場合に、個別的に防府市の水道関係をどうしようといったような、そういう個別の問題についての意図は決してございません。ただ、自治省が指導したと言われますのは、先ほどもお答えいたしましたように、監査委員からも防府市では指摘がございまして、十条の解釈はどうだという質問がございました。そうなりますと、私どもは十条の解釈はこうでございますというお答えをするしかないわけであります。したがって、いま御指摘のように、防府市でそういったように紛争が起きているということ自体は、決して私ども好ましいことではございませんけれども防府市をどうかして、また十条を無理やり使ってどうしようといったような意図は決してなかったという点は御理解いただきたいと思います。
  46. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 まあ、その点はそういうふうに強調されるならば一応理解しましょう。けっこうです。どうかひとつ、いま私が言いましたように、そういうのじゃなくて紛争を起こさないようにやりなさいというような指導をしていただきたいと思うのです。この前の山田質問でも、いまの私のいろいろ質問に対する御答弁でも、実際にこういうような協定だけを単独で付議して否決するということは、やはり十条の趣旨にもあの関係法にも必ずしも合致したものではない、ある意味では違法じゃないか、こういうようなことも考えられるのですね。大体そういうことが解明されたと思うのです。それで、この協定というものをもう一ぺん尊重して、市長に、予算を通す努力をもう少ししなさい——これは方法としてはいろいろあるでしょう。もう一ぺん新しい協約を結んで、今度は不可能なんという字をつけないで予算を通してくださいというあれもあるでしょう。どうかひとつ、そういうような紛争を起こさないでまともな方法でもって労使間の信頼を取り返せられるような強力な指導をしていただきたい。そうでなければ、これはますます大きくなって全国的な問題としてたいへんな問題になりますよ。実際にこういうような努力をした例があるのですね。尾道市あたりでも一ぺん否決されたものと同じものをまた議会に出して通しているのです。やればできるのです、幾らでも例があるのです。だからそういう例もあることだし、こういう無理して紛争を起こすようなことをしないで、労使の信頼をもう一ぺん取り返せるように市長努力するように、ひとつ労働省からも自治省からも強く御指導なり勧告なりをお願いいたしたい、こう思います。  これで私の質問を終わります。
  47. 伊能繁次郎

    伊能委員長 林百郎君。
  48. 林百郎

    ○林(百)委員 去る十月の二十日から十月の二十七日ころまで、もっともそれ以前からもありましたけれども、いわゆる解放同盟朝田一派と称する暴力集団が、兵庫県の朝来郡あるいは養父郡というところで暴力をほしいままにした。それに対して警察が何ら規制の措置をとらない。そして、捜査も何やかやいいながらも事実上進めておらない。この重大な警察の責任について、私はきょうは問い、さらに必ず警察が厳正な立場に立って強制捜査に踏み切るように要求をする質問をいたしたいと思います。  もちろん私たちの党も、封建時代のなごりである部落の差別というようなものをなくすことについては一貫して戦ってまいりました。しかし、これはやはり国民の皆さんの支持を得て、そして広範な民主的な人たちと力を合わせてこそ初めてできるものであって、一派の者が自分の個人的な、恣意な行動をすることによって、他人にどんな迷惑をかけてもかまわない、こういう暴力的なやり方で、長い間封建時代から続いておった部落というような差別が決して解消するものではない、こういうふうに私たちは考えております。  こういう立場から質問するわけでありますが、まず、十月二十日から、そういう正しい立場に立って、今日なお残っておる封建時代の残渣である部落あるいは差別というようなものをなくさなければならないという立場に立って、いわゆる朝田一派のやり方に対して批判的な立場にあった朝来町の朝来中学の橋本哲朗教諭宅に対する暴力行為等処罰二関スル法律の第一条の脅迫あるいは監禁罪、これについて警察が何らの手段を講じておらない、いまもって積極的な犯人に対する強制捜査に踏み切っておらないということについて、私はその理由をただしたいと思うのです。  その前にひとつ資料を提供いたしますが、その状態はこういう状態です。ちょっと警備局長、見てください。そういう状態で行なわれております。しかもそれは、こういう武装した警官の前で、機動隊の前で行なわれている。これも見せてください。だからもう犯人は現認しているわけですね。それで、私はここにテープも持ってきております。ラウドスピーカーで橋本宅をどのように脅迫し、そして不法な監禁をしたか。そこで名前が出てくるのは、朝来町の沢というところの解同朝田一派の支部長をしておる丸尾良昭、それから南但の支部連絡議会長の山本佐造。ここにみんなテープをとってあります。しかも丸尾良昭は何と言っているかといいますと、われわれは国家権力は何らおそれない、この事態に対して責任はおれが負う、そういうことをはっきり言っております。それにもかかわらず、警察はなぜこの丸尾という者に強制捜査に踏み切ることができないのですか。  なお、これは文部省にも申しますが、こういう暴力に屈して学生がこういう状態で動員されている。これが男子の学生の写真ですが、これが女子の学生。校長が脅迫されまして、そして学生を動員してこの不法な監禁、脅迫に一枚かんでおる。校長があるいは教頭が先に立って、学校の生徒を動員して、その学校の教諭の宅の周囲を取り巻いて、ばりざんぼうを吐いているという状態ですよ。文部省、来ていますか。こういう状態を許しておいていいですか。ちょっと見てください。中学校の教諭ですよ。自分の学校の教諭宅を、教頭が指揮をして、解放研と称する学生の組織をつくらして、それを動員して教諭の宅を取り巻いてばりざんぼうを吐かしている、そういうことが一体考えられますか。そしてしかも、その解放研と称する学生は、一人一人の教師を自分たちと同じ行動をさせるために、生徒のほうが教師を十数時間もつるし上げているのですよ。つるし上げるというのは、その教師を呼んできて生徒が取り巻いて、ハンドマイクで耳のそばへものすごい大きな声で、おれたちの言うとおりになるかどうか、こういうことで一人ずつ教師を十数時間つるし上げて、その行動に立たせているのですよ。教育の最も荒廃じゃありませんか。それをいいと思いますか、あなた。まず文部省から聞いておきます。警察がいくじがないからそういうことがどんどん行なわれるのですよ、最後はそこに持っていくのだから。
  49. 島田治

    ○島田説明員 南但馬の朝来中学でございますが、この件につきましては私ども非常に心配しております。現在、詳細なる事実を兵庫県教育委員会に十分徹底的に調べてほしいということで調査中でございますが、いま先生御指摘のところでございますけれども……。
  50. 林百郎

    ○林(百)委員 それは写真でわかるじゃないですか。その写真の状態ならどうかというのです。
  51. 島田治

    ○島田説明員 したがいまして、事のいきさつはどうあれ、小学生あるいは中学生の子供が、いわばおとなの紛争、社会でのできごと、こういうことに参加する、これは教育上好ましくないことと考えております。そういう観点から十分指導いたしたいし、現在そういう観点から、兵庫県の教育委員会を通じまして、そういうことのないように注意をしているところでございます。
  52. 林百郎

    ○林(百)委員 単なるおとなの紛争じゃないのですよ。自分の学校の教諭に対して子供が法律に触れるような行為を公然とする、そういうことが許されていいかどうかということですよ。ただ社会的な問題に子供が関与しているという、そういう単純な問題ではないのですよ。これはちゃんと裁判所からも仮処分が出まして、そういう行為をしてはならないという注意を受けているのですよ。受けているにもかかわらずそういうことをやっているのですよ。どう思いますか。
  53. 島田治

    ○島田説明員 現在このいきさつについては調査中でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、こういう社会的な活動、社会の場でのできごとに子供を巻き込む、これは十分慎重でなければならないし、やってはいけないことである、こう思っておるわけでございます。その観点から十分正していきたいと考えております。
  54. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、文部省としては、その写真で見えるようなそういう行為はさせないように指導していくということは約束できますね。
  55. 島田治

    ○島田説明員 ただいまの先生の御指摘でございますが、地域の実態ということと関連して、いきさつにはいろいろあろうかと思うわけでございますが、先生のおっしゃいますとおり、少なくとも子供が学校以外の活動で、おとなの場というと語弊がございますけれども、社会的なこういう場に参加する、これは十分注意をしていきたいと考えておるわけでございます。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 注意するのではなくて、再びその写真にあるようなことはさせない。これは裁判所からそういうことをしてはならないという仮処分が出ているのですよ。それをそういうことを生徒がするということ。子供のときから法律に違反するようなことをさせる。ここに仮処分が出ていますよ。これを読みますと、債務者というのは朝田一派のことです。それから債権者というのは橋本教諭ですが、債務者、要するに解同朝田一派は、「みずから又は第三者をして債権者の居宅の周囲を多人数で包囲し、同居宅に向けて拡声器を使用するなどして大声を発し、投光器で同居宅を照射するなど」——午前の四時ごろまで照らしているのですね。「債権者の私生活の平穏を侵害する行為をしてはならない。二、債務者は、みずから又は第三者をして債権者の居宅の周囲を多人数で包囲し、債権者の居宅からの出入りを自動車などでふさぐなど債権者の居宅からの出入りを妨害する行為をしてはならない。」「昭和四九年一〇月二三日神戸地方裁判所豊岡支部 裁判官大石貢二」こういう仮処分が出ているのですよ。裁判所からやっちゃいけないという仮処分が出ているのに、学校の先生が自分の生徒を連れてきてそういうことをやるということを今後はさせませんと、どうしてあなたは言えないのですか。
  57. 島田治

    ○島田説明員 ただいま申し上げましたのは、実はその趣旨は、口べたで恐縮でございましたけれども法律に触れるような行為、これはもちろんさせてはなりません。今後とも、法律に触れる行為、これはさせてはならない、こう思うわけでございます。
  58. 林百郎

    ○林(百)委員 警察のほうの質問があとになりますから次に進みますが、林行政局長、これは私あなたのところにも行って言っているはずです。朝来郡生野町の町役場の正面に、「日共差別キャンペーン粉砕 差別者集団宮本一派糾弾 勝利するまで闘うぞ 部落解放同盟南真弓支部」こういう大きなたれ幕をたらすのですよ。そんな例はありますか、いままで。国会で公党として公然と活動している共産党に対して、中立を保持すべき町役場が一党一派の者におどかされて、そんな共産党を誹謗するたれ幕を大きく町役場の二階からたらすなんということ、そういうことがあなた許されますか。まだありますよ。「有志連」の、いわゆる朝田一派と志を異なるようなもののビラがもしあったらこれを回収しろということで、生野町長と生野町の教育委員長の名前でこういう「当室口」というものが出ているのですよ。これは全く地方行政の自主性がそこなわれているのじゃないですか。しかもこれは知事の選挙中なんですよ。政党の活動が最も保障されなければならない決定的に重要な時期にそういうことがやられているのですよ。これはどう思いますか。私はあなたのところにもちゃんとそのことは報告しているはずですね。あなたの返事も私はちゃんととってあります。
  59. 林忠雄

    ○林説明員 いま起こっております事態については私ともども心配しております。地元でどういういきさつでどういう交渉、どういう折衝が行なわれ、だれがどういうふうに強制をされてどうなったかということについては、できるだけ詳しく地元から報告をとるようにしておりますが、先生のおっしゃいますとおり、役場というものは一方に不公平であってはならない、これは行政の通則でございます。おそらくこのたれ幕というのは、町がつくったものではなくて、庁舎の管理の問題だと思います。この庁舎にこういうものをかけていいかどうか、許したか許さないかという問題だと思います。それにつきましては、やはり行政の一般原則に従って、行政は常に公平でなければならないということにかんがみてものごとを決定すべきだと存じますが、それについての県なり何なりの指導ということについて今後とも注意してまいる。行政の不公平がないようにということは常に注意してまいる必要があるというふうに私たちは感じておりますし、今後ともそういう指導をしてまいろうと存じております。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、再びそういうような地方自治体が一まあそれは庁舎の管理もそうですが、内容は私がいま「急告」と告げたこれをあなたに見せましたが、地方自治体が中立性を害するような、意見の対立や運動の方法について対立があるような場合に、一方に立って、そして一方の思うままに財政行政をする。これは財政行政の問題については三谷さんが詳しく現地へ行って調査してありますから質問いたしますが、そういうことをすべきでない、そういうことはさせない。これは、自治省がそういう地方自治体に対する強制権力を持っていないことはわれわれ知っていますけれども、そういう方向で行政指導をするという考えはありますか。
  61. 林忠雄

    ○林説明員 おっしゃるとおり強制権力はございませんけれども行政は常に公平でなければならないという立場で指導してまいろうと思います。おそらくその町につきましては、その間にいろいろの事情があり、町長がどう判断しあるいは議会がどう判断したかということは、実態に即してみないとなかなかどれが正しいかということはわからない点がございますけれども、いずれにせよ原則として行政が不公平であってはならないという立場は常に堅持すべきでございます。そういう態度で指導してまいろうと思います。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 この部落解放問題についての意見の相違に対して、一方的な立場に立ってはならないということばかりでなくて、そこには、日共粉砕、こういうような公党に対する誹謗。しかも知事選の最中ですよ。そういうときにそういう行為を地方自治体が行なうということに対しては、事情がどういう事情であるにしろ許されることでしょうか。たとえばこれを自民党糾弾なんて書いたら、自民党だっておこりますよ。これは各政党の問題であって、何も共産党だけの問題じゃありませんよ。地方自治体が国会に参加している政党に対して、公然とたれ幕をたらして、そうしてそういう天下の公党を攻撃するようなことが許されていいかどうかということです。
  63. 林忠雄

    ○林説明員 選挙中には、そういう政治活動その他につきまして、しばしば過激なものも行なわれますけれども、役場の庁舎にたれ幕をたらしたということは、ことに時期が時期であれば、適当であるとは私も思いません。この写真を拝見した限りでは、こういうことは許されるべきでないと思います。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 では、山本警備局長にお尋ねします。  そういう事情でこれが二十日から二十六日ごろまで続いているわけです。その橋本教諭一家というのは、八十九歳になるおばあさん、六十一歳になるおかあさん、小学校一年の長女、腕を骨折した三歳の長男、一歳の次女、この家族ですね。そして主人と奥さんが教諭をやっているわけです。それで、いまあなたに写真を見せたように、ここを取り巻いてラウンドスビーカーを数個となくつけて、午前四時ごろまでどなりまくっている。どなりまくっている内容についてば、もし必要ならこのテープをお貸しします。そしてその指導者である、さっき私が言いました山本、丸尾というのは、われわれは国家権力を何らおそれない、これは私の指示でやったことだからほかの者には責任はないと言っている。全部私の指示でやったということがちゃんとこれでとれてます。しかもそこでは、写真で見たように機動隊が聞いているのです。どうしてこれを逮捕できないのですか。あなた方は何か特別な関係でもあるのですか。われわれには想像できませんよ。どうして逮捕できないのですか。現行犯ですよ。現行犯は警察官でなくても逮捕できるのですよ。それを機動隊が出動している前でそういうことが行なわれているのに逮捕もしないということはどういうことですか。  負傷者の写真も見せます。これはあとで聞きますが、四人も負傷者が出ているのですよ。これは警察の悪意かあるいは怠慢か、われわれは何としても納得できませんよ。どうして強制捜査に踏み切らないのですか。現行犯逮捕をするべきものをのがしている。あなた方は、捜査している、していると言うけれども、被害者のほうばかり聞いているのですよ。加害者のほうはどうしているかというと、われわれの得ている情報では、この責任はおれが負うと言っている丸尾が、いまや町の中を歩いて、ああいうようにおれが言ったということは警察が来たら言わなんでくれ、これはそれぞれがやったことにしておいてくれと、こう回り歩いている。証拠隠滅ですよ。それにもかかわらず一度も呼び出しもしてないのですよ。これはどういうことなんですか。知事が警察関係の知事だから、兵庫県警はその知事に遠慮して何もやらないのですか。ちょっと警備局長、私は警察の権威のためにも一このことはどうしてもただしておかなければならぬ。町ではもう警察に対しては非常な不信がみなぎっているのですよ。あと報告しますけれども、どうするつもりですか。
  65. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 警察といたしましては、理由のいかんを問わずそういう不法行為を許すということは絶対にございません。違法行為を看過するというような姿勢は全くないというふうに信じております。この件については、告訴ということもなされておりますので、告訴人、参考人から連日にわたって兵庫県警のほうで事情を聴取しております。その件については私ども承知いたしております。それから強制的に検証もするというような準備もいたしております。御承知のとおり、こういう告訴がありますと、その告訴人や参考人からこまかい事情を聞いて、最後に被疑者に及ぶというのは捜査の常道でございますので、遠からず被疑者を喚問して取り調べを行なって必要な措置をとるように取り運ぶというように兵庫県警から連絡を受けておりまして、われわれとしては、こういう違法行為があれば、これを看過するという姿勢は全くとっておりませんので、この点誤解のないようにしていただきたいと思います。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 私は二十日から幾度か警察へ通って、こういう事態が起きているから、警察の権威のために適切な措置をとるようにということを言って、ここに警察関係の名刺が四枚ありますよ。普通は国島官房長のところに行きますけれども、ちょうど国島官房長が転任されまして下稲葉官房長になったりして、いろいろ忙しいからだれだれに会ってくれと言われて会っています。これは名前は速記に載せないが、参考のためにあなたに見せておきます。私のほうがどんなに警察に通ってこの事態に対して警告を発していたかということを、あなたよく知ってもらいたいのですよ。それも、局長に会いたいと言ったけれども局長が彼ならわかるからと言って、指示を受けた人にみんな私は会っているのですよ。(山本(鎮)説明員「これは文部省のほうですね」と呼ぶ)文部省のほうは別です。文部省のほうへも行っているということです。それから当直のところへも行っているのですよ、日曜の日に門の締められた警察庁へ。(山本(鎮)説明員「わかりました」と呼ぶ)あなた、わかったですね。あなた、一度も私に会わないで、みんなこういうのに会わしている。  それで、住民のほうからこういう声が出ているのですね。「血のついたこん棒がごろごろころがっていて、警察は何もしないのか。おそろしい。」これは前文もありますが、町では共産党が暴力をふるうといっていたけれども、共産党ではなかったじゃないか、解同の人たちじゃないか。そうして、血のついたこん棒がごろごろころがっておるのに警察は何にもしないのか。それから「駐車違反で警察にやられたところへ連中が車をとめている。警察に「何で違反の紙張らへんのや」と言ったら、「どうもしようない」と言った。これからあそこへ駐車したろうか。警察はかってやな。」地元じゃこう言っているのですよ。もう警察を全然信用してないのです。だから私は警察へ通ったのですよ。  さらに私言いますけれども、二十六日の日に、朝来郡の和田山、新井、青倉、竹田、生野、この播但線の五つの駅で、ちょうど知事選だったから、共産党の諸君がビラをまきます、しかし事態はこういう事態であるので、警察のほうも不慮の事態が起きないように万全の措置をされたい、こうあなたのほうへ二十五日の日に申し込んでいるのですよ。私のほうは現地へもすぐ連絡をして、暴力と暴力というようなことになってはいけないから、こちらから絶対に手を出してはいけない、しかし、そういう事態が起きた場合には警察が取り締まりをするのだから、警察にも連絡をしておきなさい、こう言ったら現地では、夜中の十二時だったですけれども、ちゃんと警察のほうへ連絡をして、この五つの駅でビラをまきますから、万一不慮の事態の起きないように保障されたいということを申し入れているのですよ。ところが、そういうふうに現地の警察と事前に打ち合わせをしているにもかかわらず、その日に数十名の負傷者が出るようなこういう事態が起きているのですよ、こん棒や木刀やファンタのびんでなぐられて。それで重傷者四人が入院しているようだ、警察であなたのほうから何とか救急車を頼んでくれ、重傷者が出ているが——これは私も警察へ電話したのですよ。現地の警察へも電話した。いや警察には救急車はありませんよ、それは消防のほうです。消防のほうへ電話したら、いやあの町には消防団があって消防署がありませんから救急車は出せません——これは一体何ですか。それて人の生命や財産の安全を保障する警察といえますか。私のほうが好意を持って警察に言ったことが相手方に全部通じられて、相手方はそれを暴力の機会に使っておるじゃないですか。それに対して警察はいまもって何の捜査もしておらない。こんな無責任な警察どこにありますか。私はそのために、いまあなたに見せたような名刺のところへもちゃんと行っているのですよ。あなた部下から聞いているでしょう。警察は一体どういう責任をとるのですか。私たちは場合によっては、県警の本部長も、あるいは山本警備局長も、国家賠償法の一条で——こういう八十名もの負傷者が出ているのですからね。そのうち病院でとりあえずの治療を受けたのが四十名。入院で、いまここであなたに写真を見せましたように、これ見てください、こういう状態になっているのが四名ですよ。前の日に警察にちゃんと私のほうで連絡してあるのですよ。笑いごとじゃないですよ、あなた。どうしてそれを捜査に踏み切らないのですか。しかもそこには——まあいいわ。それでは、二十六日の日に、私のほうの申し入れに対して、あなたのほうはどういう措置をしましたか。
  67. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 二十六日にそういうようなビラまきをやるから十分警戒しろという御趣旨先生からも承りましたし、県警本部、署のほうにもそれぞれ連絡がありました。したがってその点は十分承知いたしておりました。その関係で調べますと、当日午前一時にはすでに制服部隊、私服部隊合わせて七百十五名が所要の警備に当たっております。それで当日、内容と申しましては、前夜から徹宵警備についておりました県の機動隊百五十二名、管区の機動隊二百二十一名と交代させて第二機動隊二百五十二名は、現地の状況判断で橋本先生の付近にいろんなトラブルが起こるんじゃないかということで、橋本氏宅付近の護国神社に二百二十五名を配置して橋本氏宅周辺の警戒警備に当たらせておったということでございます。その他交代した機動隊等は八鹿の公民館で、それから管区機動隊のうちの一部が八鹿署で、その他の部隊が和田山署でそれぞれ、夜間でありますので、一応そこに配置して休憩をしておったということでございます。それから、そういうビラをまくということで、午前七時からは私服警官を、新井駅、青倉駅、ここに一個班を配置いたしました。それから竹田駅。これは竹田外科センター、それから佐藤氏、これは町会議員でありますが、その議員のお宅の付近に一個班、生野の駅に一個班、それから口田路橋付近に一個班、これを警戒のための触覚配置ということで配置をしておったわけでございます。  そうするところ、午前七時四十五分に、青倉駅でビラ配布しておる者と部落解放同盟の者とのトラブルが発生したという報告が来ましたので、直ちに、さっき言った橋本先生のお宅を警戒しておった部隊、これを同所に転進をさせる、それから和田山署におった部隊も直ちに転進させるということで、両方で四個小隊がそちらに向かっておりました。それから引き続いて新井駅、竹田駅あるいは生野駅で同じような事件が発生したということで、先ほど申しました八鹿の公民館、八鹿署に休憩している県の機動隊、管区機動隊も直ちに出動いたしまして、新井駅には二個小隊、生野駅には二個小隊、竹田駅に同じく二個小隊が急派されております。しかし、まことにこの点は残念なわけでございますが、私服が警戒触覚配置におりましたので、これはわずかの二人か一人でございますので連絡員である。こういう部隊が行ったところ時間的に間に合わないで、そういう事件が終わってしまった事態に着いたということで、事件を現認し直ちにその場で検挙するというようなことにならなかったということについて、現地の警備本部の判断の内容においてこれから検討すべき問題が残っているというふうには考えますけれども、何もしてなかったというわけじゃなくて、そのような配置は一応いたしておったわけです。  それから捜査のほうも、全然しておらぬじゃないかということはまことに心外でございまして、この点についてはそれぞれ告訴、告発も出ておりますが、それと相まって現在それぞれ兵庫県警本部から専従の捜査員を現地のほうに派遣いたしまして、参考人、告訴人その他からいろいろと事情聴取を進めておりますので、遠からずこの事件の全貌がわかり、被疑者の検挙に至るものというふうに確信をいたしておりますし、もしそのような一般民衆の警察に対する不信があるというならば、それは非常に残念なことであり、そういう不信がないように、不信感を取り払うべくわれわれとしては現在事実の究明に全力を傾注している事実を御報告いたしておきます。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた捜査をしているというけれども、機動隊の前でこの責任はおれが全部負うのだということを公然としてアジ演説をして、それをしかもテープにもとっているわけですよ。これは丸尾良昭、山本佐造を被告訴人として告訴状にちゃんと明記してあるわけです。機動隊の警官がこのことはちゃんと目の前で見ているわけですよ。私服だって、証拠の収集にその場で写真をとるなり、あるいは顔は現認しているわけでしょう、だれだということを。それならいまやるあなた方の捜査というのは、まず加害者に対してこれで強制捜査に踏み切るということじゃありませんか。先ほどあなたも、時期が来たら必ず検挙するということを言いましたけれども警察がわかり切っていることなんですよ。しかも、現行犯で逮捕すべき義務を負っている警察官が、いろいろな事情でかりにあなたの言うとおりにしても、現行犯逮捕ができなかったとすれば、すぐ相手方を逮捕すべきじゃないですか。いまに至ってそれを被害者のほうばかりぐるぐるやっておって、ちっとも加害者のほうを調べなければ、証拠はどんどん隠滅していくし、町民の不信は高まるのは当然じゃありませんか。一体いつ強制捜査に踏み切るのですか。
  69. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 そのお話しになりました丸尾という方ですか、この被疑者についてはすでに取り調べをいたしておるというふうに報告が来ております。これは九月八日の事件についてでございます。したがって、いま御指摘の橋本哲朗氏宅の事件についても引き続いて本人を取り調べるという予定で進めておりますので、その点は、先ほど申し上げましたような形の捜査の順序がありますので、警察の現地の捜査本部の指導におまかせいただきたいというふうに考えております。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 必要によって検挙もするということもここで約束できますね。
  71. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 この捜査が進みまして、必要によって現地の判断で検挙することも十分予想されるというふうに考えております。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃまた橋本教諭のところへ戻りますが、これちょっと見てください、山本さん。これは一晩じゅうこういう投光器で橋本氏宅を照らしているのですよ。寝かさないのですよ。そのために、いま私の言いました橋本一家では、食欲不振、睡眠不足、心理的圧迫さえ来たし、その健康維持が気づかわれているという状態なんだ。このテープではっきりしていますが、大きな声でどなられるものですから、一歳になる次女が泣き叫ぶんですよ、おとうちゃん、おとうちゃんといって。何ならこれ貸してあげますから、あなた聞いてごらんなさい、そのかわいそうな子供の泣き声を。そういう状態なんですよ。だから間をおいていくような余地がない。もう明々白々な犯罪なんですよ。  それからその次に、これは和田山町の町会議員である佐藤昌之さんという人の家ですね。共産党の町会議員ですが、この家がごらんのように破損されている。ちょっとこれ見てください。町会議員の、しかも共産党の支部ですよ。政党の支部で、しかもときあたかも県知事選が行なわれているときに、そういう暴行が公然と行なわれているんですよ。そこでもまた二人の重傷者が出て、一人は視力がもともと弱い人だったんですけれども、その目をなぐられて——連中は糾弾するといえば、まずバケツで水をぶっかけて、棒でなぐり、げんこつでなぐり、くつで腹をけりしますから、失明の危険があるとまでいわれているんですね。もうちゃんと被告訴人については、私のほうから長谷川清次と——これは町会議員ですから、町のだれがやったかということははっきりしているわけですから、それから周囲の近所の人が見ているわけですから特定しているんですよ。床屋でもってガラスは破られ、あのぐるぐる回る施設はこわされ、そしてそこにたまたまいた人が二人重傷を負って、一人は失明の状態になろうとしている。しかもやった人はこの人ですよと示しているのに、警察はそれを呼びもしないじゃないですか。長谷川清次を呼んだんですか。そんな捜査が一体どこにあるんですか。
  73. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 長谷川さんという名前があがっておるわけです。この点は承知いたしておりますが、警察官としては現認もしていかったので、長谷川さんに間違いないかどうかということについて、いま参考人について調べておるわけなんです。これがはっきりいたしますれば、もちろん長谷川さんを被疑者として呼ばざるを得ないというふうに考えておりますが、まだはっきり確定するまでに至らないということでございます。捜査は進んでおります。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた、そんなのんきなことを言っておりますが、町会議員が、これは私の町の人ですと言い、近所の人も、これは長谷川さんですと言っているのに、警察だけがなんでそんなに疑うのですか。まず呼んで聞いたらいいじゃないですか。被害者本人はこう言っている、近所の人もこう言っている、あなたこれをやったんじゃないかと。場合によっては強制捜査をしたっていいでしょう。なぜそれをやらないのですか。あなた方何か因縁があるのですか、いわゆる解同朝田一派と。どうしてもおかしいんです。町会議員がはっきり言い、近所の人もはっきり言い、それでもう失明するような負傷も受けている人がいる。それを、目下確認しております、もし長谷川さんだったら何とかいたします、そんなのんきなことを言っている警察がどこにありますか。あなた、これが労働者だとかあるいは民主的な組織だったら、警察官に手一本つけたって公務執行妨害でどんどんやっていくじゃありませんか。その警察が何ですか、このていたらくは。一体どういうことなんですか。いつ長谷川君を呼んで、そしていつ強制捜査に踏み切るんですか。はっきりここで言ってください。
  75. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 長谷川という人がその被疑者であるという指摘をした関係について、現在まだ若干疑問の点があるので、その点を調べているということで、それがはっきりすればそのような形で取り調べが進むというふうに思っております。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 どういう疑問が残っているのですか。ちゃんと被害者がこうだと言い、近所の人もこうだと言っているのになお警察が——どこが残っているのですか。残っているところを言ってください。
  77. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 非常に微妙なところですが、被害者としてははっきり言っておらないのです。その点はわれわれのほうも捜査できちんと調べておりますので、その点がはっきりすればわれわれとしてはいつでも強制なり具体的な捜査の措置を一歩進めることにはやぶさかではございませんが、その点やや疑問の点があるのでございます。その点ややはっきりしない点があるということで……。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 いや、これはもう告訴していますよ。あなた知らないのですか。ちゃんと告訴をして、そして被告訴人は長谷川清次ということで、佐藤昌之さん名義で告訴しているのですよ。それから失明しかけた人は山本茂という名前もちゃんと書いてある。告訴しているのに被害者がまだ言わない、とんでもないうそをあなた言っちゃだめですよ。そんな無責任なことありますか。
  79. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 被害者の山本さんですね、この方は、自分にそういうことをしたのは長谷川何がしであるということをはっきり言っておらないのです。これは私どもの調べで間違いないです。はっきり言っておりません。その点がはっきりすればこれは問題ない。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 視力が弱くて、しかも目をなぐられて失明するかどうかという人ですよ。入院して医者もしばらく面会を待ってくれと言っている人ですよ。もう一人、家を破壊された被害者がいるでしょう、佐藤さんという町会議員が。これが告訴しているじゃありませんか。そんなことは言いのがれですよ、あなた。捜査をサボっている言いのがれじゃないですか。それじゃ佐藤会議員は何と言っています。佐藤会議員が、加害者が長谷川清次でないと言っていますか。——うしろで何か知恵つけている。あなただれですか。あなた現地へ行って見てきたのですか。われわれはもう国会議員を六名も派遣して、全部調査してあるのですよ。あなただれですか。ちょっと委員長、何だか知らないがうしろで……。
  81. 伊能繁次郎

    伊能委員長 警察庁の職員であると思います。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 と思いますですか。
  83. 伊能繁次郎

    伊能委員長 間違いありません。
  84. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 われわれのほうも、もちろん多数の捜査員を投入してしっかりと調べておりますので、そういういいかげんなことで御答弁申し上げているのじゃございません。その点はわれわれを信頼していただいて、専門家である捜査員の捜査を信頼していただいて、その結果を待っていただきたいと思います。この点については、かなり重要な事件でございますので、われわれとしてはしっかりした形で間違いない捜査を進めておりますので、おまかせいただきたいと思います。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、こういう人体に重大な傷害を加え、そして町の平穏をこのように害した者に対しては、警察も必要によって強制捜査に踏み切るということを含めて捜査するということですね。そうしなければ片づきませんよこれは、あなた。
  86. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 もちろんそのようなかっこうでやっております。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもう一つ、国会議員の身元に関することですが、木下という兵庫県出身の国会議員が橋本哲朗教諭宅へ二十二日に行ったわけですね。これは警察も知っているわけですね。それで私のほうから警察へ、あの橋本教諭宅から出すようにするから万全の措置をとれということを言って、私の指示があったときには警察はそのようにしました。それで木下君は出てきました。しかしその前に、木下君が自発的に出ようとしましたら、解同一派が木下君の乗っている自動車の前に車をとめて木下君の自動車を動かないようにして、その下へもぐり込んで、もし木下議員が橋本教諭宅から出るならおれをひき殺してから出ていけ、こういうことを言ったために、署長はやむを得ず一そこに署長も行っているのですよ。署長はやむを得ず、木下さんしばらく身の安全が保障できませんからもう一度戻ってくれと言って、橋本教諭の宅へ戻っているのですよ。こういう事実をあなた知っていますか。
  88. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 大体そういう事実を承知いたしております。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、それは署長の目の前でやっているわけなんですから、その自動車の下にもぐり込んだ男もわかるわけでしょう。それを捜査していますか。
  90. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 その点も含めて、いま言った木下議員に対するいろいろな事件は現在捜査をいたしております。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 国会議員が国政調査のためにそういう被害を受けている教諭の宅へ入ることすら自由の保障がないということは、重大なことですよ。これは単に私の党の議員だからということだけでなくて、こんなことができないようだったら、国会議員がそういう違法な状態のもとに置かれておる教育に携わっている人の家へ出入りすることの自由すらない。署長が、ちょっと待ってください、いまあなたの身の安全が保障できませんからといって戻されるなんという、こういう状態警察がしておくということは重大な責任でしょう。これはどう思いますか。
  92. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 現場の状況を見ますと、結局、警察官の配置が、御承知のように小さい署でございますので三十人か四十人ぐらいしか署員がおらないという形で、署長が率先して行ってその車を排除しようとしたのですけれども、これを妨害する者の数がかなり多いということで、いたずらにここで事態を紛糾させるのもいかがかということで兵庫県警察本部に応援を求めたわけですが、神戸から現地まで到着するのに結局五時間ぐらいかかったのです。それで強力な部隊が来てこれを排除して、木下先生に出ていっていただくというだけの措置がとれたわけでございますので、力関係でそういうことになったことについてはわれわれとしては十分反省をして、これからは事前に適切な警備措置をとって、そのような事態が起こらないように配意していきたいというふうに考えております。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもう一つ、二十七日に、養父町の大薮公民館で、吉井誠一、吉井誠という二人の親子が、いわゆる糾弾と称して、くちびるを切り、それからまぶたに傷を負っているという状態で彼らに監禁されているということで、わが党の東中議員が現場を調べたいといって行ったら、署長が出てきて、ちょっと待ってもらいたい、先生、そこまで行かなんでくださいといって、そこへ行かせなくて、そして署長がその大薮公民館へ行って、東中議員が現場を確認しに行くと言って初めて署長がそこへ行って、署長と町長で吉井親子を東中議員が途中でとまっているところまで連れてきた、こういう事実ですね。これはもう警察の署長が現認しているわけですよ、そこでつるし上げられている、しかも傷害を受けているということを。この事実を知っていますか。そしてこれに対してはどういう措置をしているのですか。
  94. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 この事実はもちろん承知いたしております。繰り返すようでございますが、現在関係者等の捜査を進めておりまして、この被害者というものを特定すれば、これに対して捜査をするということにいたしております。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 被害者を特定すれば、特定すればということを繰り返して言っているけれども、みんな警察官の目の前でやっていることですよ。警察官の目の前でやっており、そしてわれわれ国会議員の調査でもはっきり加害者がわかっており、周囲の人たちの証言によってもはっきりしているのに、警察官の目の前で行なわれていることを、まだ現認する必要があるから、現認する必要があるからといって、どうして加害者の捜査をやらないのですか。もうこれだってわかっておることです。行っているんですよ、そこへ和田山警察の署長が。
  96. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 これは八鹿署だと思いますが、八鹿署の署長が公民館に入って吉井誠一さんに会って確認をいたしております。ところが同人が、この集会は高島区長の主宰でやっており、自分の意思で来ているのだ、こういうことを言った。さらにその高島さんから事情を聞いたところ、この集会は町の責任でやっているのだ、必ず町長、教育長で収拾するというようなことを言った。さらに、状況が平穏であるという判断をもって署長は外に引き揚げた、こういう事情で、署長が入ったときはそういうような監禁、暴行の事実はなかったということでございます。あとでさらに東中代議士のほうから、吉井さん親子に接触されたときに暴行を受けたということでございますので、これは事後捜査という形になっておるわけでございます。したがって事件としては、もちろん現在捜査を詰めている状況でございます。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 これは八鹿警察です。これはあなたもさっき言ったように、署長が行って現認し、そして東中議員と署長の前でむすこさんの吉井誠一氏が、私はこういう暴行を受けました。それで、初め養父という部落の非常に強いところへ連れていかれようとしたから、養父へは連れていかなんでくれ、いわゆる大薮の公民館ですか、ここへなら行く、こう言ったというんですよ。しかしその前にもう暴行を受けて、くちびるは切られ、まぶたに傷を受けているわけなんですよ。そういうことを東中議員の前ではっきり言っているわけですよ。署長もそれを聞いているわけですよ。だからこのことはもう明瞭に立証されているわけですよ。それを何の事後捜査がまだ必要なんですか。本人がそう言っているんですよ、署長の前で。しかも国会議員が立ち会っている前で言っているんですよ。
  98. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 それはよく承知いたしておりますが、その加害者が何のだれがしということをはっきり言っていないわけです。それで捜査を進めて加害者を特定して、しかるべき措置をするということでございます。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 加害者も、これも告訴状を見ればわかりますけれども、私のほうからも警察へ言っているはずです。これはあとであなたのほうも調べてください。もしそれで加害者がわかれば、これも強制捜査に踏み切りますか。
  100. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 もちろん強制捜査を含めた捜査を徹底的にやるということをお約束いたします。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 あと時間がありませんので一応聞きますが、橋本教諭宅の周囲を取り巻いて、いわゆる橋本教諭糾弾なるこの行為を二十日から二十六日まで一週間、警察ヘデモの届け出をしてやっているわけなんですが、これに対して警察は、道交法のどういう条件をつけて許可しているのですか。
  102. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 順守事項でございますが、条件ですね。よろしゅうございますか、読み上げて。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 いいです。
  104. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 「一、行進は三列縦隊とし、責任者をつけ常に道路の左側端に沿って行進すること。二、プラカード、のぼり、旗その他の物件を横に向け、又は振り回すなど一般交通の妨害となるような行為をしないこと。三、蛇行進、渦巻き行進、ことさらに道路に広がったままの行進、停滞又はみだりに駈足行進をし、あるいはみだりにおそ足行進をするなど交通の妨害となる行為をしないこと。四、現場警察官の指示に従うこと。五、解散地点では到着順にすみやかに流れ解散をすること。」順守事項「一、申請者、現場責任者は、行進出発前にこの条件を参加者全員に放送するなどの方法により周知徹底させること。二、現場責任者及びその補助者は、役職を明示した腕章、たすき等により責任を明らかにすること。」こういうような条件をつけております。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 この写真を見てください。これ守っていますか。それが一週間続いているのですよ。それが流れ解散の状態ですか。しかも解散場所は橋本教諭宅ですよ。二百メートルくらいの間を毎晩毎晩デモの届け出をして、流れ解散場所が橋本教諭宅。そこで旗を立てているじゃないですか。何も解散していないじゃないですか。取り巻いているじゃないですか。どうしてそれを道交法で取り締まらないのですか。
  106. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 デモ行進については、その現場でそれぞれ警察官が警告、制止、そういうような指導をしておるというふうに聞いております。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 とんでもない。局長、そんなことを聞いていてはだめですよ。その写真を見たってわかるでしょう。(「それだったら仮処分が出るわけがない」と呼ぶ者あり)そうですよ。それならわざわざ仮処分を出して、大ぜいで取り囲んで大声を出しちゃいけない、自動車をとめて包囲しちゃいけないなんという仮処分が二十三日に出るはずないじゃないですか。そういう道交法の条件を守っていないからこそ裁判所も見るに見かねて——ちょっと法務省、来ていますか。これは判事が現場を現認して、そしてやっているはずですが、どうですか、法務省の人権擁護局長
  108. 萩原直三

    ○萩原説明員 お答えいたします。  先月の二十三日に仮処分決定が出たという情報を受けまして、その事実を確かめましたところ、ただいま御指摘のような仮処分決定が出たということは確認いたしました。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 判事が現場を確認したのですね。あなた参議院でもそう言っていましたね。わざわざ見に行ったと言った。
  110. 萩原直三

    ○萩原説明員 判事が現場へ行ってその状況を見たということも報告を受けております。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 どうですか、局長。道交法を全然守っていないじゃないですか。警察が道交法を守らせるような規制をしないから、やむを得ず裁判所が仮処分で、おまえたちはこういうことをしちゃいけないよというものが出たわけですよ。しかしこの仮処分も守らないのですよ。それで警察もそれをそのまま許しているのです。そんなこと、どこにありますか。
  112. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 この道交法による許可事項の順守については、現場の署長としてそれを守らせる責任があるわけでございますので、これについては、私としては現場で十分警告、制止をしたと思います。それに従わない場合には、部隊で実力的にこれを規制しなければいけない。ところがそれだけの部隊がこのときになかったのだと私は思います。したがって、いずれ部隊を十分配置してぴちっとした形で行なわれるものと考えます。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 この写真を見なさいよ。機動隊が出てちゃんといるじゃないですか。あなた、そんないいかげんなことで国会の答弁をのがれようと思ったってだめですよ。警察の重大な責任ですよ。ちゃんと機動隊が出ている。
  114. 伊能繁次郎

    伊能委員長 林君、時間がもう過ぎましたから。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 それではもう言だけ。診断書がこれだけ出ています。これは必要なら出しますけれども。それで私もこういうことを憂えまして、警察の権威のためにもということで幾度か足を運びました。あなたがちっとも会わないから、それで官房総務課の課長の武田安雄氏に会いました。武田氏はこう言っています。これをぜひ実行をする必要があると思うのです。私のほうからこういう暴行を至急取り締まるようにということを申し入れたことに対して、武田総務課長は、和田山署だけでは手が足りないので県警から二十名の捜査員を派遣し捜査を始めた、さらに増員も考える、このような生命に関する重大な事件なので必ず措置をする、告訴もあるのできちっと始末をする、こう言っております。このきちっと処置をする、必ず措置をするということは、強制捜査に踏み切って早く加害者を逮捕なり捜査しませんと、証拠が次から次へと隠滅されてしまうということなんですよ。そしてそのことは同時に、さっき町民の声も読みましたけれども警察の威信を失っているわけなんですよ。この点について、警備局長も腹を据えて断固とした処置をとって、そして町民から警察の威信を失わさせないようにする、こういうことをここで答弁できますか。
  116. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 これについては、先ほどから御答弁申し上げておりますように、この事件の真相を徹底的に解明して、被疑者がはっきりすれば、必要によれば強制捜査も含めて必ずぴちっとした形で事件をまとめるという覚悟でおります。そのように兵庫県警のほうにも十分連絡をいたしておるわけでございます。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんからこれでやめますが、強制捜査というのは、逮捕も含めて至急措置をすると聞いておいていいですか。ちょっとはっきり答弁してください。
  118. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 もちろん強制捜査というのは逮捕も含めてということでございます。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの言うことだから、念のために聞いておかないと、あとであれだから。
  120. 伊能繁次郎

    伊能委員長 この際、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後一時五分開議
  121. 伊能繁次郎

    伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山田芳治君。
  122. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 水道の問題について、全面的に時間がございませんけれども、基本的な問題についてお伺いをしたいというふうに思うわけであります。  現在の水道法によりますと、水道事業整備普及ということ及び給水の責任の主体が明確でないわけであります。私たちの立場からいいますと、政治的なあるいは経済的な重要性から見て、当然水道の問題というものは国にその責任があるというふうに考えているわけですけれども、それが水道法の中で一体だれが水道、すなわち地域住民に対する給水の責任を持っているのかということが明確でないというふうに考えるわけであります。  私たちとしては、特に東京都の問題を一つ取り上げてみましても、あとで具体的に触れますけれども、当然その地域に集まっている住民に給水をするということが義務になっておっても、水資源が開発されない限り不可能であるわけであります。いま考えられている東京都の問題をとりましても、群馬県なり何なりから、はるか上流の地域からダムをこしらえて取水をしなければならないというような問題を、単に一地方自治体である東京都の責任であるというふうな形にするということはできないわけでありまして、そういう観点からするならば、水の問題というのは、わが国の経済、財政政策の基本として、国土利用あるいは環境保全、都市問題という国の政策の基本問題にかかわる問題として位置づけなければならないわけでありますが、そういう基本的な課題としての位置づけが不十分ではないかというふうに考えるわけであります。  厚生省では、水道法の全面的な改正を次の通常国会に提案をされるというような意向をわれわれは聞いておるわけでありますが、少なくとも、もしその水道法というものを考えるならば、そういった国の責任というものを明確にすべきである、さらに一歩進めるならば、水資源の開発というものを国の責任において行なうべきであるという点に立って、あとでも触れますけれども、水利権の調整の問題やアロケーションの問題を含めて、水資源開発についての基本法というようなものを立法化していくべきではないか。水道法はその水資源の基本的な利用の立場、その中にはアロケーションの問題も含むであろうし、水利権の問題も含むであろうという、水資源基本法的な立法のもとにおける水道法という考え方に立って、それには国が基本的責任を持ちながら、地方も共同の責任を持つという立場に立った立法がなされるべきものであるというふうに理解をすべき段階が来ているというふうに考えるわけでありますが、厚生省当局の御意見をまずお伺いいたしたいと思います。
  123. 山崎卓

    ○山崎説明員 計画課長の山崎でございます。  水道法の改正につきまして、厚生省は現在どのようなことを考えておるのかという趣旨のお尋ねのように承りましたが、現在の水道法は、三十二年にできまして、給水の主体は、先生御承知のとおり、通常の場合は市町村を想定いたしまして、市町村以外のものが水道事業を行ないますときには、市町村の同意を得るという仕組みになっております。そういう仕組みで三十二年に現行の水道法ができておるわけでございますけれども、その後におきまする水道を取り巻きます環境、これが非常に大きく変化してきていることは先生御指摘のとおりでございます。  そういうことを考えまして、私どもといたしましては、現在の法律の性格が事業規制法というような性格でございますので、はたしてこのままでいいであろうかどうであろうかということを中心にして、目下事務的にいろいろと部内で検討しておる段階でございます。まだ成案を得るに至っておりませんけれども、その場合にはやはり一体単なる事業規制法でいいのかどうか、事業体とあるいは国、県、そうしたようなものはどういうふうになっていくのか、あるいは現在お尋ねの中のことばにございましたが、いろいろ水源開発、これにつきましては、私どもの所管ではございませんけれども、各種の法律も立法をなされております。そういうもの等々の関係も当然私ども考えながら判断をしていかなければならない、かように考えておりますけれども、現在そういうことで、水道法を取り巻きます外界の変化ということは認識しておりますが、それに基づきます所要の改正につきまして、目下作業中でございます。
  124. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 ちょっとすれ違ったように思うのですが、私の言いますのは、いま答弁がありましたように、環境が非常に違ってきた、いまの水道法は、確かに市町村というものを予定しているとはありますが、市町村というふうにはなっていない、しかしいまの段階ではっきり水資源の問題を関係づけないで水道の問題を論じてみても、何の意味もないと思うのです。  ここにおたくのほうで出した「日本の水道」というのがあるのですが、これの第九ページを読みますと、こういうふうに書いてあるわけです。「水道の整備計画」というのがあって「増大する水需要に対処するため全国の水道を計画的に整備しなければなりません。」そして厚生省では、全国の年間給水量についてのいろいろの数字をあげまして、たとえば東京都の場合は、八百三十四万四千トンが昭和五十五年に要りますということになっているのですが、一方、経済企画庁の水資源の開発計画を見ましても、昭和五十五年の段階においては二百十一万トンが不足をしておるというような数字しかあがっていないわけですね。ですから幾ら厚生省で、私のほうでは昭和五十五年に東京都は八百三十四万四千トンの水を確保するように整備計画計画的に進めることにいたしておりますとは書いてあっても、厚生省でこれはできるわけではないと思うのです。  ですから、水資源の基本的な問題というものを考えた立法なり何なりをしながら、その中で国の責任を明らかにしていかなければ、地方自治体だけにその責任を持たせるということ、市町村だけにその責任を分担をさせるということは、いまの段階では不可能であるというふうに考えなければならない段階ではないか。そういうことを水道法の中に、あるいはそれよりももっと、水道法だけではいけないのなら、水資源利用基本法というがごとき法律を出して、水資源の、水利権の民主的な配分というものをはかる考え方を持ち出さなければ、もうとうてい水の問題については処理できないのではないかということについて、どうお考えかということを聞いているわけです。
  125. 山崎卓

    ○山崎説明員 先生の御指摘のとおり、だいぶ水の需要、水道を取り巻きます環境も一変化をしてきておることは事実でございます。そういうことから水道法の問題あるいは水道行政を所管しております厚生省といたしましては、昭和四十二年以来、ダムの問題でございますとか、あるいは水道の広域化につきましての補助金等も予算に計上いたしまして、その助成につとめておるところでございますけれども先生の問題としての全国的な水資源の枯渇あるいは有効利用、高度利用ということになってまいりますると、先ごろ発足いたしました国土庁のほうでは、いろいろと水資源開発促進法とか、そういうような法律もございますし、水資源局もできておるわけでございます。したがいまして、私ども政府の、厚生省の一員といたしまして、そうした関係のところと緊密な連絡をとりつつ、今後はたして水道法の中ではどういうようなところを受け持つべきであろうかということも今後詰めていくべきである、かように考えておるということを申し上げたかったわけでございます。
  126. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 私は、いま言った水資源の開発の基本的な問題は、確かに国土庁だと思うのですが、水道を所管する厚生省としては水道、すなわち給水の義務というものを単に地方自治体だけに持たせるべきものではなくて、国の基本的な責任にかかわる問題ではないか。先ほど申しましたように、一つの大きな国土計画の一環であり、環境保全の一環であり、都市問題の一環であるという立場に立って考えないと、この問題は解決しない、そういう立場を厚生省はおとりになるかどうかということを聞いているのです。  私は、これ以上は時間がありませんから追及しませんけれども、いま専用水道を除いて地方自治体以外に水道事業を経営しているところがあるか、おそらくないと思います。それはなぜかというと、同じように公共的な仕事であるにしても、学校にしろ都市交通にしろ住宅にしろ病院にしろ、そういうようなものは、民間でやっても企業として成り立っていくというふうになっているわけですね。ところが水道は、企業として成り立たないということで、企業がこれを取り上げていない。法律は都道府県知事なり何なりの認可を得れば水道事業はやれるという法体系になっているけれども現実にやっていないのだという事実は、これは水道というものは、もうかるものでない、というよりも、むしろいま言った国土利用計画なり環境保全なり都市問題の、いわゆる国の基本的政策にかかわる問題との関連においての事業であるという点において民間事業にはなじまないものであるというふうに位置づけをすべきではないかということを私は申し上げているわけなんで、この点をしっかり厚生省が踏んまえて、水道法の改正をおやりになるというなら、そういう点を十分踏んまえてやっていただきたいということを要求しているわけなんですが、この点だけ簡単にお答えいただきたい。
  127. 山崎卓

    ○山崎説明員 現行水道法におきますたてまえが、市町村がやることを原則といたしておりまして、市町村以外のものがやることを例外と考えておる趣旨が、先生おっしゃったような趣旨であるかどうかにつきましては、私ども立法当時のことまでちょっと調べませんとわかりませんけれども、現在の水道のたてまえは、ただいま申しましたとおりのたてまえでございますし、なおかつ地方公営企業法の適用事業にもなっておるところでございます。  ただ、先生おっしゃいましたとおり、水の取得というものを、水源の取得というものを自治体だけの問題にしておいてはたしていいものかどうかという点についての問題意識でございますので、その問題意識につきましては、十分私どもそういうような事態に来ているのではないかという問題の観点から各種の問題を検討してまいりたい、こういう気持ちであることは、はっきり申し上げられるわけでございます。
  128. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 自治省に伺いますが、いま私が申し上げたように、水道事業公営企業としていま経営されているわけでありますが、私は、何も公営企業からはずせとは申しませんが、専用水道は別として市町村以外に水道事業が経営をされていないということの事実からいって、企業として非常にきびしい環境のもとにあるというふうに考えられる事業である、民間がこれになじまない事業であるというふうに考えてしかるべきであるというふうに思うのですが、その点について自治省としてはどうお考えでしょうか。
  129. 松浦功

    ○松浦説明員 人間が生活していく上において基本的に欠くべからざる水という問題について、また水資源の合理的な活用という観点から、これを民間で経営するということを日本の歴史としては当初から予想しておらなかったものというふうに私どもは考えておりますし、現在のように基本的には市町村が直接住民に密接する行政として処理をしていただくという方向が正しいものというふうに考えております。
  130. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それでは大蔵省にお伺いをいたしたいのですが、いまずっと私が申し上げてきたように、また自治省当局からもお答えがあったように、少なくとも民間の企業になじまないものである、しかも一国土の保全、資源の利用というきわめて高次元の立場からいって、やはり水の配分の問題、それの大きな一環としての水道事業というものは、当然ある意味において公共事業的性格を持つ事業である。このことは、私は社会的な消費手段の領域に属する部分であって、社会投資をする部分であろうと思うのでありますが、同じようなものでも住宅あるいは都市交通、清掃、病院、下水、公園、教育等がいわゆるこの社会的な消費手段の領域に属するところの社会投資をしなければならない部門であるというふうに考えた場合に、水道以外にはほとんど国庫補助、国費の導入がなされているわけですね。しかるに水道については、先ほど厚生省からお話がありましたように、七年くらい前から広域水道についてば国費の導入が、きわめて若干ではありますけれどもなされている。しかし上水道——簡易水道は別といたしまして、水道には国費導入がなされていないということが今日まで及んでいるわけであります。しかも本日出されましたところの公営企業昭和四十八年の決算を見ますと、相当額の赤字が出ております。欠損金と不良債務を合わせると一千億という数字が出されているわけでありまして、そういう点からいうと、われわれは水道の事業について当然国費導入をすべきであるというふうに考えるわけであります。  私の立場は、いま言いましたように、公営企業をはずして公共事業にせよとは言いません。公営企業でいくべきである。水には金がかかるものである。水はただだという考え方は間違いで、水には金がかかる。しかし、これはいま言った公共事業的性格を有するものであるから、当然国費の導入をはかるべきである。じゃ、あとはどうするかというと、料金の問題はまたあとで触れますけれども、シビルミニマム、ナショナルミニマム、たとえば日量二十立方メートルぐらいまではきわめて安くするけれども、それをこえるものは累進的に高い料金体系をとるというような方法で、企業的な採算というものはそこで合わしていくという考え方に立ちながらも国費を導入すべきである、私ばそう思うわけでありますが、大蔵省の考え方はいかがなものでしょう。
  131. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 現在の水道事業に対しまする国の助成の問題でございますけれども、先ほど来議論が出ておりますように、現行の水道法におきましては助成と申しますか、二つの型がございまして、一つはいわゆる簡易水道でございますが、主として農山漁村の地域の水道につきましては、地方公共団体の財政力も脆弱である、かたがた施工のコストが非常に高くつくということで、法律的に国庫の補助を行なうというたてまえになっております。そのほかに水道事業全般につきましては、これも水道法に規定がございまして、国といたしまして資金の融通、いわゆる財政投融資でございますが、四十九年度の場合で申し上げますと約八割政府資金なり公庫資金でカバーしておるということになっております。そのほかに、これも先ほど厚生省のほうから御説明がございましたけれども、最近の水道をめぐる環境の推移に着目いたしまして、これば四十九年度から予算補助としてやっておるわけでございますけれども、いわゆる水道の水資源の開発でございますが、これはダム等の先行投資という側面がございまして、原水代が高くなる、したがって一定のそういうコスト以上のものにつきましては国が助成をする、あるいは広域水道の点につきましては、これはどちらかといいますと、先生先ほど御指摘になっておりますように、水資源の有効活用あるいは重複投資を排除しながら効率的な水資源の活用を促進するという意味で、広域水道につきましても予算措置として現在この助成をやっておるわけでございます。  一般論といたしまして、水道事業について国の助成はいかがあるべきかという非常に大きなむずかしい問題を提起されたわけでございますけれども、いま申しましたように、現在の水道法のたてまえなりあるいは基本論といたしまして、水道事業というものは、本来地方公共団体が一義的にやっていただく仕事である、ただ全般の水道をめぐる環境の推移等をよく勘案しながら、ただいま御紹介申し上げましたように、四十二年度以降現行法のたてまえの中で予算措置というかっこうで、国としてはそれぞれその情勢に適応した対応を財政的サイドから見ましてしてきておる、そういうふうに考えております。
  132. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 いま日本の経済政策全体は、これば政府もいわれているように、高度成長から福祉型である。現実にはなかなかそう一ぺんにいっていないというのが現実でありますけれども、われわれとしては、やはり福祉型の経済政策あるいは福祉型の政策というものを大胆に採用していくのだということが、政府のいうように福祉元年だとかなんとかいうのならば、われわれからいえば、水というものは生活の基本的な問題であるわけでありますから、これに対して、一定量の生活用水というものに対しては非常に低廉で、かっきれいな水が十分補給をされるということが必要であるわけであります。そのためには、私たちとしては、シビルミニマムとしての水というものに対しては、やはり国費を導入すべきものであるというふうに考えているわけであります。  なぜそういうふうに言うかというと、これは通産省にもお伺いをするわけでありますが、工業用水というものに対しては補助をしながら、料金というものの頭打ちを——まあケース・バイ・ケースでありますが、一ころは四円、いまごろは上がって七円ということになっているということであります。しかし生活的な用水になると、最近開発されたコストを見ると、四十円、五十円というふうな高い水である。工場の工業用水はどんどんどんどん使って、民間のいわゆる生活用水が不足しても、工業用水というものは一定の量は十分使えて、しかも低廉であり補助金を出しているということに政策の跛行性、アンバランスというものを感ずるわけでありますけれども、この点について大蔵省はいかがお考えになるかということをお伺いしたいと思います。
  133. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 いま御指摘の点は、具体的に申し上げますと、工業用水に対する補助の考え方と現在の水道に対する補助の考え方がおかしいのではないかという端的な御指摘かと思いますけれども、現在の工業用水に対する私どもの助成の考え方と申しますのは、工業用水を施工していきます際の地盤沈下対策でございますね、むしろそういう国土保全的な観点からの助成というふうに観念いたしております。
  134. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それは、おそらく地盤沈下という問題とのかね合いの問題を言われているのであろうと思うのであります。確かに、発生的には地盤沈下問題というものが取り上げられたことは事実でありますけれども、それ以降の状況を見ていると、地盤沈下その他とは関係のないところで工業用水がいろいろ行なわれていることも事実であるわけでありますし、国費の導入をそこにやっているというのは、私は、もういまの時代では時代おくれである、もっと生活用水にウエートを置いて、むしろ、工業用水に補助を出していくものならば、一般水道に補助を出すべきものであるというふうに考えるのが当然であるというふうに思いますが、この点について通産省の工業用水課長さんから、工業用水道についての将来の考え方についてちょっと御答弁をいただきたい。
  135. 柴田益男

    ○柴田説明員 現在の工業用水道事業につきましては、地盤沈下防止という観点、最近は産業基盤整備という観点から、公共事業の一環として国の助成をいただいているわけでございますが、料金の設定につきましては、また公営企業の一環でもございますので、原価主義に基づきまして料金の設定を行なっているところでございます。先生ただいま御発言ございましたように、最近の水源開発は非常に高騰してまいりまして、料金についても、実態に合わせまして引き上げてきているところでございます。工業用水道の使命でありますところの地盤沈下防止、産業基盤整備という公共性と公営企業としての経営の健全性、両方合わせまして料金を設定しているところでございます。
  136. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 工業用水道について国費の補助をしながら料金を押えるという政策はもう時代おくれではないか、もっと原価あるいは原価以上に、多く使う場合には必要な料金を取っていくべきだというふうに私どもとしては考えているわけでありますが、そういう方向を早急にとる意思があるかないか、ひとつお聞きせいただきたいと思います。
  137. 柴田益男

    ○柴田説明員 先生ただいま御指摘のとおり、基本的には原価主義に基づいて料金を設定する方向で指導しておりますが、工業用水道は何ぶんにも先行的な投資の場合、需要が十分張りついていない場合に、全部料金に反映するということはできない場合がございますし、あるいは地下水を工業用水に転換させるという場合に、政策的にある程度安い料金に押えざるを得ないという場合がございますし、あるいは中小企業に対しまして安い料金を出さざるを得ない、あるいは地域に対しまして企業を誘導していく場合に、水が大きなメリットだという場合には、地方自治体の判断によってある程度の政策料金を設定するという方策をとる場合もございます。しかしながら基本的には、おっしゃるように、原価主義に基づきまして地域の政策を加味して料金を設定していく、そういう方向で指導していく所存でございます。
  138. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 時間がございませんので次に移りますが、広域水道の問題についてお伺いをしたいと思うのであります。  先ほど厚生省のほうから話がありましたように、水道法について検討しておられる、その点の内容としては、広域水道の問題ということを想定しておるというわけでありますが、広域水道を考えなければならないということは、これはもう現段階においては当然のことでありますけれども、その広域水道を考える場合に、水道法の改正をもし行なうとするならば、各地域ごとに長期需給計画というものを策定すべきである。もちろんこれは非常にむずかしいわけでありますけれども、長期需給計画というものを考えながら、やはりそれと水資源の開発との関連というものを考えなければ、単に事業主体だけを広域化してみても、これは意味がないわけでありまして、そういう意味では、やはり長期需給計画というものを当然水道法の中に明記をして、そしてそれがやはり政府の一定の責任であるということを前提としながら広域水道というものをやっていくということを考えないといけないのではないか、あるいはまた中水道というようなもの、あるいは還流式の雑用水の考え方というようなものを導入していくべきではないかということでありますが、こういう点は、いまいろいろと議論をされているわけでありますが、こういう点についての広域水道等を考える場合あるいはまた水道法の改正を考える場合には、長期需給計画の策定というのは国の責任において行なう、また中水道やビルなんかにおける還流式雑用水の導入というようなものを考えていくべきではないかと思うが、この点について考えがどうかというのと、やはりいかに広域水道を考えても、末端の市町村の、自治体の配水というものの権限、事務というものを、基本的に市町村に置いておくというふうにすべきであるとわれわれは考えているわけでありますが、こういう点についての厚生省の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  139. 山崎卓

    ○山崎説明員 まず広域化の問題でございますけれども、この広域化の点につきましては、昨年でございましたか、生活環境議会のほうから答申が出されました水道のアプローチにおきましても、広域化をはかるべきであるという御指摘がございましたし、その広域化に伴いますメリットも、いろいろなパターンに応じて分類されているような次第でございます。確かに現在、簡易水道まで含めますと約二万弱の事業体がございます。非常に小さいものもございますので、その中間答申にございましたように、確かに広域化につきましては、いろいろなメリットがあるであろうということは、私どもも認識しております。したがいまして、これをどういうふうに扱っていくかというようなことが、やはりわれわれの検討の課題の一つであろうというふうには認識しております。その場合にも、やはりすぐれて水は地域密着性を持ったものでございます。したがいまして、その広域化と直ちに一対一で対応するように長期需給計画というようなものを国がつくるかどうか、その辺につきましては、いろいろ問題がございますが、やはり広域化を推進していく場合には、常に有形無形に水源の確保あるいは需給の問題ということを念頭に置きつつその促進というものは進められなければならない問題であろう、かような認識を持っております。それをはたして法律制度に置きかえます場合に、あるいは乗せていく場合に、どういうような形になりますか、その辺がわれわれのいろいろ検討しなければならない問題ではなかろうか、こういうふうに率直のところ考えております。  なお、それに関連しまして、中水道とか雑用水道とかそういう御指摘がございましたが、確かに水の合理的使用というようなこと、あるいはそのことをまた水源確保との関連から見ましても、上水道のあそこまできれいにした水でなくてもよろしいものがもしあるならば、そういう一種の水源の代替性というような形で、飲み水とそれに伴います生活用水という分野での雑用水道と申しますか、中水道と申しますか、そういうようなものはどういうふうに位置づけられるべきであろうか、あるいは位置づけられたら、それが現在の情勢においてより合目的的なものとして生まれてくるであろうかというようなこともやはりわれわれの検討課題である、こういう認識は持っております。  なおその場合、広域化を進めます場合に、末端の市町村の役割りというものについては、やはり残しておくべきではないか、こういう御指摘でございますが、現在確かに、原則として市町村が行なっておりますけれども一つの様相といたしましては、県が用水供給事業あるいは別の企業団をつくりまして用水供給事業を行ないまして、各水道事業体たる市町村は、それの用水供給事業から水を受けられるというような形態も相当数ございますし、あるいは数市町村一つの企業団をつくられまして、そして一つ事業体となって水道事業を広域化していかれるというような形態もあるわけでございます。それらにつきましてのいろいろなメリット、デメリットあるいは地域におきます特性、そういうようなものも十分あろうかと思います。その辺につきまして、法制的にどういうふうにあれしていくか、今後十分詰めさしていただきたいと思っております。
  140. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 やはり答えとしていただいておらぬのですが、それでは、水道法の改正を行なうという話を伺っているわけでありますが、厚生省としては、一体いつごろに水道法の改正等の基本的な考え方をお立てになるのか、その点をひとつお伺いをしておきたい。通常国会に出される御意思があるのかないのか。
  141. 山崎卓

    ○山崎説明員 現在、私ども事務方としていろいろと各方面から御意見があるところとか、あるいは事務方なりにいろいろ考えております問題意識等を事務的に部内で検討をし、できるだけ早く上司のほうにもいろいろ申し上げられるような段階に持っていきたいというふうに事務方としての心組みでやっておるわけでございますけれども、いつ国会への御提案がなるかという点につきましては、実は田中内閣も昨日発足したばかりでございますし、私どもの進捗状況の問題もございますので、ちょっと私のほうの口からは申し上げにくい点を御了承願いたいと思います。
  142. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それでは、議論してもあまり意味がないんであるわけですが、次に、よい水を供給するという意味で環境保全の問題に入っていきたいというふうに思います。  まず第一に、環境庁のほうにお伺いをいたしたいと思うのですが、これも他の委員会で相当議論をされ、いろいろ問題になっているわけでありますし、過般局長にも会っていろいろ伺いましたが、環境庁としては、水質汚濁防止法を強化して、いわゆる汚染物質の総量規制の問題という点については一体いつごろをめどに、いつごろ技術的な仕上げをやられるか、そういう総量規制の問題について一体いかがお考えになっているかということをここではっきりしていただきたいということと、規制物質の追加あるいは水質環境基準の強化というような、公害対策特別委員会等でも何べんか出ている問題につきまして、水道全般の問題として環境庁としていかに考えておられるかをまずお答えをいただきたいと思います。
  143. 清滝昌三郎

    ○清滝説明員 まず、第一番目の御質問にございます総量規制の件でございますが、現在の水質汚濁防止法によります規制方式が濃度規制であるということになっておるわけですが、濃度規制による規制にはかなり限度がある。特に閉鎖的な水域と申しますか停滞性の水域と申しますか、そういったところはやはり限度がございます。そういったことで、総量規制方式を導入するという方針はすでに固めまして、早急に実施すべく現在検討中でございます。御質問にございます時期につきましては、できるだけ早くということで、めどといたしましては、五十一年度中にはというふうに考えておるところでございます。  それから二番目の御質問にございます追加項目、規制項目としての追加につきましては、以前から問題になっておりましたPCBにつきましては、近々中央公害対策議会の答申をいただきまして規制対象としていく予定でございます。そのほか、たとえばアンチモンなり、最近の富栄養化問題といたしまして注目されます窒素、燐、そういったものにつきましても、現在調査中でございまして、その調査の結果を得ました上で規制の追加の可否というものは検討してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから第三番目の御質問にございます基準の強化という点でございますが、一つには環境基準がございます。これは公害対策基本法に基づきまして、各水域にそれぞれ利水目的に応じました環境水準が指定されておるわけでございますけれども、特にその環境水準を見直すと申しますか、見直す形でも一部実施しております。また環境基準を達成するために、具体的には水質汚濁防止法に基づきまして排水規制を行なっておるわけでございますけれども、全国一律の排水基準の上に、さらに各都道府県では、地域、水域の状況に応じまして、上乗せ排水基準を設定しておるということで、かなり排水規制の面では強化されておるというふうに考えておる次第であります。
  144. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 総量規制というものは、懸案になっているわけでありますから、できるだけ早くやってもらいたい。技術的な問題が非常にむずかしいという点はあります。しかしながら、これをやらなければほんとうの意味の環境保全ができないので、この点は要望しておきたいと思います。  次に、中性洗剤の使用禁止、販売禁止の問題であります。中性洗剤の問題については、多くの学者の先生方から——たとえばここに「日本の洗剤その総点検」という一冊の本がございますが、これなどを読んでみると、われわれの家庭で中性洗剤あるいは合成洗剤というものを使用しておるということが非常におそろしいというような状態になっているわけですね。いわゆるABSと申しますか、あるいはLASにいたしましても、中性洗剤あるいは合成洗剤は皮膚をおかしたり、あるいは体内に入りますとヘモグロビンに反応を起こしたりする、あるいは生化学反応を起こす、あるいは酵素を弱めるというような実験が現実に示されておる。また発ガンを促進する四NQOにABSというものが加わると、非常に発ガン性を強化するという実験もネズミを使って行われておる。また奇形を起こすこともあり得るということも、これは実験がなされているわけであります。また水道の中にABSの許容量の基準というものが〇・五PPMということになっておるわけでありますが、これについては生物学的あるいは医学的な根拠が全然なくて、あわ立ちするかしないかというようなところで厚生省できめられているというような点で多くの問題があるということは、もう指摘をされているところであります。またソフトといわれるLASについても、川の中だけでは完全に分解をしないし、日本の水道のように最近のように早くろ過をするような設備ではLASも分解をしないということがいわれておるし、活性炭を使うとある程度は取れるというけれども、活性炭を使うと非常に水道のコストがかかるということで、よほどのときでないと使うだけのいま水道会計に余裕がないということで、中性洗剤のおそろしさという点からいうと、ずいぶん論じ尽くされておるわけでありますが、ここにも具体的な例が全部写真に載っておりますけれども、これを製造禁止、販売中止、回収ということをすべきであるというふうにわれわれは考える。なぜならば、疑わしきは罰せずは刑法でありますが、疑わしいものはやめるというのが公害に対する対策の基本的な考え方であるというふうに思うわけであります。多くの主婦からもそういうことが言われておるのでありますが、この点について厚生省、通産省あるいは環境庁の御意見をそれぞれお伺いをしたいと思います。
  145. 国川建二

    ○国川説明員 ただいま先生が御指摘になりました中性洗剤についてでございますが、厚生省といたしましては、いわゆる中性洗剤がおもに野菜とかくだものあるいは飲食器の洗浄用に従来使われておる、そういう観点から、これらの洗剤の安全性につきましては、昭和三十七年度以来、通常の洗浄の目的で使用する場合におきましては、人体に対する悪影響はまずないという結論のもとに今日まで来ておるわけでございますが、ただいま先生も御指摘になりましたように、たとえば皮膚に与える影響等の問題につきまして一部の方の御意見等もございますので、ただいま主として食品の衛生と申しますか、そういう立場から引き続き関係者、これは労働省あるいは科学技術庁等との協力のもとに、たとえば経皮毒性あるいは催奇形性試験等総合的な検討を現在行なっている段階でございまして、今後も引き続きそれらにつきましてはこれらの検討を進めてまいりたい、そのように考えております。
  146. 太田耕二

    ○太田説明員 いま厚生省のほうから毒性問題についての見解の表明がございましたが、通産省といたしましては、現状はやはり通常の使用の状況においては差しつかえないという見解をとりまして、目下のところ製造中止なり回収なりのことは考えておりません。現実の問題といたしまして、いろいろな方々から断片的に危険性が指摘されていることは、私どもよく承知いたしております。現実の問題といたしまして、世界各国ほとんど合成洗剤、中性洗剤を使っておりますし、そういった問題、具体的な問題が、まだその代替につきまして議論されておりません。粉石けんを使ったらどうかというふうなことがしばしば提起されますけれども、これも粉石けんを使うには原料の油脂が必要でございます。これが食料問題ともからみまして、合成洗剤に代替する量を確保するのがきわめて困難であるという状況もございますし、なおかつ粉石けん用の油脂を調達いたしたとしましても、それから石けんをつくって合成洗剤の代替にいたしますと、洗たく費用に非常にお金がかかることになります。そういった実情もございますから、ただいま申し上げましたように製造中止、回収は考えておりませんけれども、その検討結果——毒性についての検討を関係各省庁かなさっておりますが、その結果に基づきまして、必要があれば所要の措置をとりたい、こういうことになるわけでございます。
  147. 清滝昌三郎

    ○清滝説明員 ただいま厚生省なり通産省からお答えいただいた内容とほぼ同様かと思いますが、環境庁といたしまして、これを規制対象とするかいなかということにつきましては、各関係省庁で行なわれております研究結果を見まして、その上で措置をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
  148. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 どうも不満足でありますが、それでは特に環境庁にお伺いをしますが、環境庁としては、この中性洗剤が、たとえば琵琶湖であるとか、あるいは長野県の諏訪湖であるとかというものに、あるいはまた瀬戸内海の赤潮というようなものが中性洗剤の関係で起こっておるという点について、いわゆる水質汚濁問題というものに非常に根拠があるというふうに、いろいろの実験が行なわれ、言われております。水質保全局の小川さんという人は、やはり代替品の使用促進等を考える等総合的な対策が必要であるというようなことも発言されておるわけでありますけれども、環境庁としては、この中性洗剤というものが環境汚染をして、そして非常に問題を起こしているというような点についてはどう考えておりますか。
  149. 清滝昌三郎

    ○清滝説明員 中性洗剤によります環境、水質汚染の問題は、おそらく三つあげられるのであろうかと思います。第一番目には、先ほど御質問のございました毒性がどうかという問題が一つございます。第二番目には、目で見た感じと申しますか、いわゆる発泡、あわ立ちの問題がございます。三番目には、いわば富栄養化と申しますか、洗剤中に含まれております燐などが富栄養化の大きな原因であろうということにされておるわけでございますが、おそらくそういう三つの問題があろうかと思います。  毒性の問題につきましては、先ほど関係省庁からお答えいただいたところでございます。  発泡の問題につきましては、従来のあわ立ちが消えないものから分解しやすいソフト型に変えられてきておるということで、かなり問題は少なくなりつつあると考えておるわけであります。  残ります富栄養化の問題でございますが、これは洗剤中に含まれております燐が一つの要素となっておりますので、こういった燐の含有量というものをできるだけ減らすということで、実は通産省のほうにも申し入れを行なってきたわけでございます。その結果、通産省の御努力もありまして、来年早々からかなりこれが満たされていくというふうな見通しでございますので、水質汚濁防止という面ではかなり効果はあるだろうと思います。ただゼロではございませんので、代替品の研究開発というものは、当然これと並行して行なわれるべきであるというふうに考えております。
  150. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 いま環境庁が言われたように、これは人体についても非常に問題がある、また環境を非常に汚濁するということで問題があることは明らかなことなのですね。だから、いまの答弁は私ははなはだ不満足であります。また日を改めて一ぺん徹底的に、これは科学的な問題を含めてやらしていただきますが、きょうは時間がございませんから次へ移りますけれども、これはもう非常に不満であるということだけ申し上げたいと思います。  次に、これは厚生省にもお伺いをいたしたいし、自治省にもお伺いをしたいのですが、いま水道の水質の検査というものについては、水道の部内の検査もあるわけでありますが、川の上下流をめぐっての検査があるわけであります。われわれとしては、府県をまたがって川が流れている以上、また市町村を越えて川が流れている以上、水質汚濁を起こすという問題については、水道当局だけでは権限が及ばないので、県を含め、市町村を含めて共同の監視機構というようなものを法制的につくっていかなければ、たとえば淀川の場合——私は京都でありますけれども、淀川の場合、大阪から言わせると京都がよごすと言うし、京都から言えば滋賀がよごすのだ、こういうふうに言うているわけでありますが、これは全部が共同して責任を持たなきゃならないというふうに川の汚染対策は必要である。そういう意味からいうと、水道当局を含めてやはり沿岸の自治体がすべて加わるような監視機構というものが必要ではないか、この点について水道法の改正等の中にこういうものを盛るべきではないかというふうに考えるので、この点をまずお伺いをしたいというのが第一点。  それから第二番目には、確かに指定都市の大きな水道当局は水質保全の検査の機器というものを備えておりますけれども、中都市以下の都市では金魚やフナを飼っておって、死んだら、これはあぶないぞ。こういうまるで戦国時代に武将が毒殺されないかというときに、自分の井戸に金魚を飼って、死んだらこれは飲まないというふうな前時代的なやり方で水質検査をやっているということであります。ですから、水質検査の機器あるいはそういうものに対する係員の配置というようなものを、水道局が自己検査ができるという体制をぜひとってほしい。交付税等においてそういうものが一般会計から繰り出せるというような措置を考えないと、なかなか中小都市以下の水道をやっている担当部局では検査機構というものがほとんどできておらないというのが実態であります。この点についての財政措置なり立法的な措置はいかようにお考えになるかという点をお伺いしたい。  第三番目に、企業排水をやはりクローズド処理をしないといかぬと思うのでありますが、このクローズド処理の義務化という問題について早急にやってほしいと思うわけでありますが、この点についてどう考えるか。  それから、各自治体では公害防止条例等ができておりまして、公害発生企業に対して給水制限というようなものをやっておりますけれども、そういうものは法的に不可能なのであるか。そういうものを立法する意思があるかないかという点についてお伺いをしたい。  それから、下水道の第三次処理というものを——いま第二次処理までやろうという段階でありますが、第三次処理までやらなければ、もちろん、これは重金属その他は取れないわけでありますけれども、第三次処理までしなければほんとうの下水処理といえないわけでありまして、厚生省としてあるいはこれは建設省でございますか、第三次処理の目標というようなものが政府当局にあるかどうか、その考えについてお伺いしたいと思います。
  151. 国川建二

    ○国川説明員 ただいま先生がおっしゃいました中から、厚生省関係のものにつきましてお答えいたします。  まず第一点のいわゆる水道の水源であります河川等におきます水質の共同の監視と申しますか、そういった制度改正の問題でございますが、最近といいますか近年公共水域の汚染の機会がふえてきている、あるいは水道の水源の水質が悪化しておるというようなことで、厚生省といたしましては、従来あまりそういう体制がとられてなかったのでございますけれども、汚染の事故等の早期発見並びにその河川の上下流の水道当局の間の連絡通報体制をすみやかに整備する必要があるという観点から、去る昭和四十五年に厚生省環境衛生局長名をもちまして、各都道府県を通じましてその通報体制の整備をお願いしたわけでございます。先生も御承知のとおり、たとえば淀川水系あるいは利根川水系、木曽川水系等におきましては、関係の上下流の水道当局者あるいは関連の国の出先機関、あるいは公害関係等の関係者というものを網羅いたしました水質に関する緊急の連絡通報あるいは協議会等を設定されておるわけでございますが、すべての河川についてできておるわけでもございませんので、今後とも私どもといたしましてはそれらの体制の早急な整備をいたしたいと考えております。  なお、この点につきまして直ちに法律的に措置できるかどうかということにつきましては、今後検討をいたしてまいりたいと思います。  次の第二点の水質検査の設備と申しますか、機器と申しますか、その整備の問題でございますが、水道用水を供給するたてまえである以上、供給する水質の安全は常に確保されなければならないのは申し上げるまでもございません。したがいまして今日までできる限りそれぞれの水道事業体におきましてそういう検査の設備、機器あるいは技術者の確保ということにつとめてまいったわけでございますが、先生も御指摘のように、中小規模の水道事業者におきましてはなかなかそこまで手が回りかねるのが事実でございます。主として設備等の所要経費の問題さらには技術者の確保等の問題が実はもう他方でございます。しかしながら今後もさらにこれらの対応につきましては強化していく必要があることは当然でございますので、私どもといたしましては、場合によりましては共同でそれらの設備を整備する方法はないものか、そういったことも考えてまいりたいと思いますし、それに必要な経費等につきましても、関係省と今後とも御相談をしてまいりたいと思います。  なおそれから、公害事業に対します給水の制限の話でございますけれども、これは法律上のきわめてむずかしい問題でございます。現行水道法のたてまえから申しますと、法律上認められております正当な理由がない限りは一応水道の供給にこたえていくという原則的なたてまえでございまして、個々のケースでその判断が非常に異なりますことはいろいろ行政上も問題が出てくるかと思うのであります。したがいまして、これらのことにつきましては慎重に私どもも今後考えてまいりたいと思っております。
  152. 井前勝人

    ○井前説明員 先生の最後の問題、下水道の三次処理につきましてお答えいたしたいと思います。  下水道の三次処理は大まかに分けますと二つございまして、一つは現在きまっております水質環境基準のそれぞれの項目を達成するように、現在の二次処理ではできないものをさらに高度に処理していく。端的に言いますと、たとえば浮遊物質とかBODとかそういうものを落とすための三次処理。それからもう一つは、現在環境基準の項目にはなっておりませんけれども将来なるであろうと考えられます窒素、燐、これは御承知のように湖とか閉鎖水域の水質の悪化になりますので、これを取るための三次処理。大まかに分けますと二つございますが、昭和四十六年度からパイロットプラント等でいろいろ研究しておりまして、前者の現在きまっております程度の項目につきましては三次処理ができる技術的な見通しが立っておりますので、必要な水域からやっていきたい。なお窒素、燐につきましては、やはりもう少し技術的に研究する問題がございますので、並行して技術開発を進めていきたい。環境基準がきまればそれに応じた実際の施設の建設をやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  153. 柴田益男

    ○柴田説明員 企業排水のクローズドシステム化につきましては、まことに御趣旨ごもっともでございます。通産省といたしましても、四十六年実績でまいりますと、企業排水の回収率が五六%でございますが、当面これを七〇%に引き上げる方向で指導しているところでございます。公害防止、水資源の有効利用という観点からぜひ今後とも進めていきたい。そういうことで、現在は業種別に合理化の指針を策定すると同時に、実用規模の実験を行ないまして技術開発を進めているところでございますが、先生御指摘がありましたように、法律で強制することも地域によっては必要かということで、現在検討中でございます。
  154. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 若干時間が延びましたけれども小川委員から了解を得ておりますので、最後の財政問題をひとつ取り上げてみたいと思います。  先ほど大蔵省の主計官から非常にきびしい話もありましたけれども、私たちとしては、水道には当然国費の導入が行なわれるべきであるというふうに考えているわけでありますが、水道施設の新設、拡張や改良に対して、いま御承知のように簡易水道については、新設に補助金が出ているということであります。これも改良事業等については出ていないわけでありますが、われわれとしては、簡易水道のみでなく、水道施設の新設、拡張、改良事業国庫補助制度を導入すべきであるというふうに考えますが、この点について厚生省ではどう考えられるかというのが一点。  それから続いて、災害復旧についても、やはり当然国庫負担制度を導入をして、他の公共事業等の災害復旧と同じようにやるべきではないかというふうに考えられるわけでありますが、この点はどう考えられるかということであります。  それから三番目に、これは自治省でありますが、交付税措置として、高料金対策等の交付税措置がされておるわけでございます。また水源開発対策、広域化対策等の交付税が措置されているということは、非常に評価すべきことでありますけれども、私たちとしては、これは交付税措置ということよりも、当然国庫の負担にしなければ、交付税がますます補助金化するという批判を受けるのではないかというふうに思うので、この点について自治省としてはどうお考えになられるかということと、公庫資金が現在二十八年であります、政府資金は三十年であります、四十年程度に延長をすべきではないか。また利率につきましても、縁故資金等は非常に高いわけであります。そういう点を引き下げるべきであるというふうに考えるが、本日配られた水道の決算を見ましても、非常な赤字であるという点は明白であって、毎年これがふえているわけであります。そういう措置を講じなければ水道の財政は今後立ち行かない。そういうことで、いずれの日にかこれは病院なり、交通と同じように赤字たな上げ、利子補給という措置を講じていかなければならない段階があるというふうに思うのでありますが、そういう点について自治省当局はどうお考えになるかという点をお伺いしたいと思います。
  155. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  最初に、一般の上水道の施設の拡張あるいは改良事業に対する助成の問題でございますが、先ほど大蔵省からもお話しございましたように、水道事業そのものが現在公営企業といたしまして、常に公共性を確保しつつも、一応独立採算制のもとに経営すべきものであるというのがたてまえとなってまいっておるわけでございます。  しかしながら、御承知のように最近水の需給問題が逼迫してきた、そのために大規模な水源を造成しなければならない、あるいは広域的に処理しなければならないというようなことで、給水原価がやむを得ず上昇してきているわけでございます。したがいまして、厚生省といたしましては、そういう角度からこの事業整備を円滑に進めていくための方策を求めまして、先ほども説明申し上げましたように、特に水源確保に関する事業、あるいは水道料金となって反映するわけでございますが、コストの急上昇をできるだけ押えていくあるいは水資源の有効な利用をはかるという観点からの広域的な施設整備、このほうに対し補助金等を導入しまして、全体的な水道事業の経営を安定していきたいというたてまえを今日とっておるわけでございますので、四十二年以降この新しい制度のもとに今日まで施設整備を進めてまいりましたけれども、その間も、これらに関する国庫補助金額等も年々かなり大幅に増額させてまいったわけでございますが、今後ともこれらにつきましては特別に努力を積み重ねてまいりたいと思っております。  また、災害復旧事業につきましては、これも予算措置といたしまして、小規模な災害の場合は除きまして、一定規模以上の災害が起きました場合には、水道事業体あるいは市町村等の財政負担等を軽減するという角度から、現在二分の一の国庫補助を行なってまいっておるわけでございます。そういう角度から、今後とも災害等に伴います住民の方の負担の軽減をはかっていきたい、このように考えております。
  156. 松浦功

    ○松浦説明員 水道財政に関しましての国の補助の投入の問題でございます。私どもといたしましては、ただいま厚生省からお答えもございましたように、独立採算という基本原則をくずさないということについては毎回繰り返して申し上げておるとおりでございますが、それにつきましても、現在のような状況でございますと、水資源の開発の問題広域化の問題等いろいろ大きな問題がございます。これらの問題についての補助制度を増強することによって、できる限り水道財政の運営がやりやすいようにしていくということは当然であろうと考えておりますし、国の補助制度で片づかない、たとえば裏負担の問題等につきましては交付税で、非常に条件の悪い団体の水道でございますから、地方団体の共有財源でできるだけこれをカバーするという方向を強化してまいりたいと考えております。  なお、地方債の償還期限の問題あるいは利率の問題については、これまでも先生御指摘の方向で努力をしてまいりました。今後も努力を続けてまいりたい、こう考えます。  それから赤字のたな上げの問題でありますが、現在出ております赤字の中には大都市等におきます値上げが必ずしもうまくいかなかったことに伴います分も入っておるように私ども受け取れます。値上げをしなかった部分をたな上げというわけにはなかなかまいらないかと思います。それらの事情をいろいろ勘案いたしながら検討しておるところでございますが、現在の段階では交通、病院にとりましたような制度をとることについて私どもは必ずしも賛成をいたしておりません。ただ、いずれ将来の問題になってどういうことになるかはここで申し上げかねますけれども、現在のところ直ちにこの問題を取り上げる気持ちはないということを申し上げます。
  157. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 時間が参りましたのでこれでやめますが、非常に不満な点が多々ありますので、日を改めてまた一度やらせていただきたいと思います。
  158. 伊能繁次郎

  159. 小川省吾

    小川(省)委員 時間にかなりきびしい制限がございますので、私もそういたしますけれども、答弁のほうも簡潔にお願いをいたしたいと思います。  まず最初に、自治省以外からおいでをいただいておりますので、その点から始めたいと思います。  いま税制調査会でいろいろ審議のさなかだと思うわけでありますが、特に相続税、特に農地にかかわる部分についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  農林省の農政課長においでをいただいておるわけでありますけれども農林省は農業と農業者を守る立場にあると思うのでありますけれども、大蔵省に対して、いつ、だれが、どのような形で、いかなる内容について、相続税の問題について協議をされたのか、まずその点についてお伺いをいたしたいと思います。
  160. 関谷俊作

    ○関谷説明員 農地にかかる相続税の問題でございますが、御承知のように、全体的に土地の価格が上昇してまいりまして、そういう関係から農地についても相続税の負担が比較的重くなっているのではないか、こういうふうに私どもも考えておりまして、地域によりましては、かなり相続税の支払いのために農地を売却せざるを得ないような事態が見られているのではないか、こう考えております。いま御質問のございました相続税の改善につきましては、こういうような事態に対処して、農業経営の維持、存続をはかる、そういう見地からできる限り相続税の軽減をはかっていただきたい、そういう趣旨で、五十年の税制改正要望の一環としまして、相続税の農業経営に支障を及ぼさないような形での軽減措置、そういうことを講じてもらいたい、こういう要望をいたしておるところでございます。
  161. 小川省吾

    小川(省)委員 わかりました。そういう形で強く大蔵省に対して農林省としては働きかけをお願いをしたいと思うのです。  そこで、大蔵省に伺いますけれども、農業はまさに危機的な状況にあるわけであります。特に、農業後継者は激減をし、第二種兼業農家が続出をいたしておるわけであります。このことは特にいま、この相続税をめぐって税制の面から農業と農業者を破壊をしているのではないかというふうにも考えられるわけであります。食糧危機がいま叫ばれている現状の中で、少なくともこういう点を是正をして、日本農業が、日本の農業者がほんとうに意欲をもって食糧の増産ができるような状態にしていかなければならぬというふうに思うわけであります。  税調の審議はいま別として、大蔵省としては相続税の中で特に農地に、いわゆる農業用資産である農用地にかかわるものについて、どのように考えて相続税の改正について対処をしていかれようとしているのか、その点をお伺いをいたします。
  162. 西野襄一

    ○西野説明員 大蔵省といたしましては、従来から純農地の通常の農家につきまして相続税の課税が生じませんように、相続税の課税最低限を定めてきておるところでございまして、昭和四十八年の税制改正におきましても課税最低限を思い切って五割引き上げまして、配偶者と子四人の場合で見ますと、従来の千二百万円の課税最低限でありましたものを千八百万円といたしてございます。ではございますが、都市近郊の農家におきまして、土地の値上がりが激しゅうございまして、相続税が課税される事例が生じてまいっております。  しかしながら、このような農家についてのみ適用されますような特例措置を設けるということにつきましては、中小企業者とか、さらにサラリーマンの世帯とかいったものとの相互の負担の公平、その点で見ますと、負担の公平を失するという問題が生ずるのでございまして、つまるところ、相続税について課税最低限の引き上げ等によりまして負担の緩和をはかっていくということでいくほかはないのではないだろうかというふうに考えられておるところでございますが、なお今後とも税制調査会などにはかりまして検討してまいりたいというふうに思っております。
  163. 小川省吾

    小川(省)委員 いま課税最低限の引き上げというふうな形で十分努力をするということでありますが、実はこれでは実際に農業者が、現行の相続税の中で課税最低限をずっと引き上げてきたわけだけれども、これを納付をする場合には、どうしても農地を売却しなければ相続税が納められないというふうな状態が現に出てきているわけであります。そういう中での離農等が実は出てきているような状態でありますから、税の上では、この税がいわゆる財産税であるとかあるいは収益課税であるとか、いろいろな論議があることはわかるわけでありますけれども、いま日本の農業の危機なり日本の農業を守るという見地からするならば、少なくともいまの考え方を抜本的に改めなければならぬというふうに思うわけであります。そうでなければ税制面から農業後継者をなくしてしまうという状態ができてくるわけでありますから、何といっても、宅地並み課税のときでも論議をされたわけでありますが、先ほど農林省の答弁のように、いわゆる農用に供されている純農地、こういうものはやはり農地としての収益の課税をしていかなければ日本の農業は守れないというふうに考えますし、そういう点で、税調の中でも大蔵省として配慮をしていかなければ日本の農業は守れない、こういうふうに思いますので、そういう点について大蔵省の見解を伺いたいと思います。
  164. 西野襄一

    ○西野説明員 農家の相続税の問題でございますが、確かに最近いろいろ議論が出てまいっております。  農家の相続税の課税状況でございますが、課税を受けます農家のうちで約九割ぐらいが都市あるいは都市近郊の農家でございまして、純農地といわれておりますところにつきましては約一割の課税が行なわれている状況でございます。その一割の農家の相続税の課税の内容を見てまいりますと、農地を持っておるというだけで課税される例ではございませんで、農地のほかに山林その他の財産があるというような場合でございます。したがいまして、問題になってまいりますのは、主として市街地とか市街地周辺の農地の評価の問題かと思いますけれども、相続税と申しますのは、御案内のようにすべての財産を課税対象にしてその財産を評価して課税を行なうということでございます。そういったふうな相続財産の、しかも全体の資産というものを評価するということになりますと、その場合の評価につきましてはやはり共通の客観的な評価というのが行なわれなければならないのではないだろうかということになるわけでございます。農地の評価につきまして、実際に売買されている価格というのはかなり高うございます。しかし相続税につきましては、それにつきましてかなりのしんしゃくをしまして仲値を出しまして、さらに相当のしんしゃくをして課税標準というものを定めるというような形になっております。  そういう状況にあって、この農家の課税の問題をどうするかということでお話が出ているかと思いますけれども、つまるところは、やはり全体の資産価格というものが最近上昇してきているということにつながる問題でございまして、やはり農家のみならずその他の中小企業であるとかサラリーマン世帯につきましても宅地の問題その他の問題がございますので、総体といたしまして、相続税の課税のあり方がどうなのかという問題に立ち返りまして検討しなければならないのではないだろうかというふうに考えております。
  165. 小川省吾

    小川(省)委員 時間がありませんから要約して申し上げておきますけれども、いずれにしても、日本の農業を破壊し、農業者をなくすような政策を税制面からとらないように、ぜひ大蔵省としてはそういう点を配慮をしてもらいたいと思います。  時間がありませんから次に進みますが、地方公務員の共済組合法に関連をしてお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、地方公務員共済組合法施行令の第五十三条の二についてお尋ねをいたしたいわけであります。五十三条の二というのは「年金条例職員期間に準ずる期間等」ということで、要するに準ずる期間で、これを通算をしていくために、ある一定の期間に掛け金未納期間がある場合に、これを一定の期間納付をすれば扱っていくという令でありますけれども、実は自治省のPRといいますか、行政指導も、賃金の面ではつまらない指導を幾らもするけれども、この点についてはあまり指導をされていないので、自治体がこれを受けてあまり手続的に進んでいないのが実態であります。幾つかの自治体ではこれを受けてやっているわけでありますが、当然PRをして、救える職員を救うような状態をつくらなければならぬと思うのでありますが、その中で昭和四十八年十月一日から一年間というふうになっておりますから、九月三十日で一応切れたことになるわけでありますが、最も近い機会に、施行令を改正をする機会に、これは自治省のPRなりも含めて、少なくとも三年なり五年なりの日子が必要だというふうに私は思うわけでありますが、そういう意味で、やはりこういう準ずる期間を持った人たちを救済をするということで、令の改正に応じてもらえるかどうか、この一点だけをまず最初に伺いたいと思います。
  166. 植弘親民

    植弘説明員 共済制度は非常に入り組みがございますので、おっしゃるようにほんとうは一人一人によく徹底するようにPRしなければならない問題でありますが、PRのよくいっているところでは比較的この制度を利用しておるし、比較的利用の悪いところもございます。その点はいま先生の御指摘のとおりでありますが、十分やはりその制度が一人一人にまで徹底するように、各地方共済本部を通じましてもお願いしたいと思いますが、いまの御指摘の点につきましては十分よく検討させていただきたいと思います。
  167. 小川省吾

    小川(省)委員 十分検討するというのは、そういうふうに、いま私が申し上げたようなPR期間を含めて救済できるような期間に改正をするようにしていただけるという理解でよろしいですか。
  168. 大嶋孝

    ○大嶋説明員 私ども近県につきましてどのように利用されておるかということを若干調査いたしたわけでありますが、確かに県によりまして非常にアンバランスがございます。多いところは二千件近いところ、あるいは少ないところは六十数件というところもございます。ただ、これはその対象になる人の分布の状況等も関連するかと思いますが、いずれにいたしましても、この制度を利用する資格があってかつ利用したい、ところがまだこれを知らなかったというような例が非常に多いということでございますれば、私どもは前向きに検討してまいりたい、かように考えます。
  169. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつそういう形で、救済をできる人間がみすみす、自治省行政指導も不徹底だし、自治体が取り組みを前向きにしていないというのがあるわけでございますから、そういう点についてはぜひひとついま言われるような形で 令の改正の機会にこれを改めてほしいと思います。  次に、財源率再計算のいわゆる五年目の時期に来ているわけであります。組合員の権利に関する重大な問題であるわけでありますが、きょう、あす地方行政委員会が開会をされるということを百も承知をしておりながら、なぜ十一月一日に局長通達を出したのか、この点についてまず最初に伺います。
  170. 植弘親民

    植弘説明員 御指摘のように、財源率の再計算は法の百十三条でございましたか、この規定によりまして五年以内に見直しをしろということになっております。去年、ことし、その前もそうでございますが、当委員会におきまして御審議いただきましたように、相当給付内容の改善、特にことしにおきましては、三年平均というのを一年平均にさせていただくとかいったようなこともございましたので、当然にことしは五年目にもなりますし、財源率再計算をさせていただかなければなりません。財源率再計算は、原則的に十二月一日に施行だったのでございますが、前回はいろいろな都合もございまして若干延びたようでありますが、ことしは国家公務員の場合には十月にやってございますので、私どもといたしましては十二月一日でやっていただきたい。そうなりますと、事務的にいろいろと資料を操作して計算しなければなりません、算定しなければなりませんので、十一月一日に事務的な連絡をしたということでございますので、御理解いただきたいと思います。
  171. 小川省吾

    小川(省)委員 国公が十月一日にやられた。大蔵委員会の中であまり問題にならなかったようで、非常に遺憾に思っているのです。事務的にはおそらく九月段階から出したのでしょうね、市町村共済なりあるいは学校共済なりでは再計算ができているようでありますから。十一月一日に通達を出してそれから始めたら、いまごろまだできていないわけでありますが、すでにできているのですから、自治省はちゃんと前々から、九月段階から根回しをされたのだと思うのだけれども、国公が千分の五・五引き上げるということで、地公についてもそれに沿ってやるのだというのが基本だろうと思うのでありますが、私どもは、長い間自治省がいわゆる公費負担を一五%から二〇%に引き上げる要求をしてきていることも承知をしています。大蔵省との感触がどうなのかわかりませんけれども自治省としても一応取り組んでくれたということは一応承知をいたしておるわけであります。これは私学なり農林なりが一八%でありますから、公務員共済だけが一五%というのは当然片手落ちなんでありますけれども、少なくともおそらく五十年度についても二〇%の要求を大蔵に対してしていると思うのでありますが、そういうめどがつかない。感触がどうなのかわかりませんけれども、そういう点が明らかになって、たしか前回は四十五年一月一日ですから、五年をめどということですから一月一日なりあるいは二月なり三月なり四月なりでもよろしいわけなんだと思うのですが、そういう要求をしておりながら、片方ではもう一五%ということであきらめてやったのではないかというふうにとられてもしようがないと思うのですね。その点については、公務員部長はどういうふうに思っているのですか。
  172. 植弘親民

    植弘説明員 先生よく御承知いただいておると思いますが、公費負担につきましては当委員会でも附帯決議もいただいてございますし、毎年努力してまいりました。しかし、私ども努力の足りない点もあると存じますが、いまもって実現を見ておりません。本年も警察なり教育関係につきましては、国の予算の形で要求もいたしてございます。ただ、一般的に地方公務員の場合は、地方財政計画の中で措置させていただくものですから、具体的予算になってまいりませんが、少なくともことしも予算編成期には十分大蔵省に対して要求を続けていくつもりでおります。  ただ、それができない先にやるのはおかしいではないかという御意見でございますが、冒頭に申し上げましたように、五年以内にいろいろの給付内容等を考えまして再計算をしなければなりませんので、再計算の事務もやはりさせていただく。そして、もしそういった公費負担の要求がうまくまいりました段階においては、これはまた掛け金率の修正といった点もできますので、そういうことで措置させていただきたいというふうに考えております。
  173. 小川省吾

    小川(省)委員 今度大蔵とやるときには、まず革新市長会でも自治大臣の廊下へすわり込むわけですから、話してくださいよ、ぼくらも一緒に行って大蔵とやりますから。保革伯仲の時代なんですから、ちゃんとわれわれに言ってもらえば、大蔵へ行ってちゃんと折衝しますから、ひとつ話してくださいよ。  政府が、何日だかちょっと日にちは忘れましたが、たしかある時期に官房長官が、昭和五十年度の年金問題については積み立て方式から少なくとも賦課方式に切りかえるのだ、これが重点なんだというようなことも言っているわけですよ。そうなってくればなおさら、この時期に財源率を引き上げるというのはおかしい。どう見ても政府の方針として首尾一貫していない。官房長官がああいう談話をする際には、ある程度、そういう部局に話がないにしても、官房長官がそういう発表をする以上は、そういう方向だということぐらいは承知をしているはずだと思うのだけれども、そういう点についてなおかつ再計算に、五年以内というのがあることはわかるけれども、取り組んできた理由は何ですか。
  174. 植弘親民

    植弘説明員 財政方式をどうするかという問題は、共済制度といいますか社会保険、年金制度においては非常に重大な問題でございまして、ことしも去年もずっと賦課方式をとったらどうかという御意見はございまして、当委員会の附帯決議でもそういったものを含めた上で検討してはどうかという御意見もついているわけであります。  なるほど、せんだってそういった一部の報道がございましたが、社会保険の主管省でございます厚生省では、どうもそれについて打ち消しのような談話も出たりいたしておりまして、私どもは実はいきさつを存じておりません。  しかし、いずれにいたしましても、この財政方式を現在のような積み立て方式から賦課方式に変えるかどうかという問題は非常に大きな問題です。そして他の公的年金とあわせまして検討しなければならない問題と思いますが、それはそういう形で別途検討するといたしましても、当面私どもの共済制度をどう運営していくか、健全性を確保していくかということになりますと、若干方式は違いますけれども再計算させていただく、こういうふうにお願いしたいと思うのであります。
  175. 小川省吾

    小川(省)委員 局長通達の再計算の方法でお尋ねをしたいのですけれども、その中に運用利回りがありますね。何か五分五厘ということにして再計算をやらせているようであります。しかし共済連合会等に聞いてみますと、大体実勢の運用利回りというのは六分一厘くらいだというのですね。大体五厘違いますと千分の十くらい違ってくるというのですよ。実勢で見れば引き上げる必要なんか毛頭ない、こういう状態なんだろうと思うのです。将来にわたって確保するということがありますけれども、実勢からいけば引き上げる必要は毛頭ないというふうに思うけれども、五分五厘というふうに固定をして考えて、実勢利回りを考慮しないということは何なのか。  時間の制約がありますから、それと重ねて、算定基礎となっている資料を見ると四十四年、四十五年、四十六年度の実績によるとしていますけれども、なぜ四十七年度なり四十八年度なりをとらないのか。四十七年度なり四十八年度をとると、ある程度賃金が上がっていますから、そうなってくるとどうも引き上げる必要がなくなってしまう、こういうことなので、四十七年、四十八年度はオミットしたのではないかというふうに推察をされるのですが、その点についてのお答えをいただきたい。
  176. 大嶋孝

    ○大嶋説明員 運用利回りの問題でございますけれども、これは平準保険料率を出しまして、それに一定の修正率を掛けてもよろしいのですよ、というような計算方法も、これは国共審等の懇談会等で出たようでございます。そういう際には実勢運用利回りを考慮してやってもいいんだということでございまして、私どものほうといたしましては、数理的保険料率によるしかないというような実情でございますので、五分五厘、これはすべて共通でございます。  それから四十四年度、五年度、六年度の実績ということをとりましたのは、多くの組合かいろいろなデータをそろえる過程におきまして、こういうところしかとれないというのが大部分でございます。したがいまして、この三年度を大体原則としたということでございまして、ただ四十七年度を、四十五、六、七というところをとる共済組合もあるようでございます。ただ、いずれにいたしましても、先生が御指摘になりましたような意図でこういうことにしたのではございませんのでございまして、その点は御理解をいただきたいと思います。また、四十四年度を捨てて四十七年度を取り入れたといたしましても、財源率においてはそう大きな影響はない、かように私ども理解をしております。
  177. 小川省吾

    小川(省)委員 通達の二項と四項から理解をしていきますと、いま言ったような実勢六分一厘の利回りで再計算をしてみて引き上げる必要はないと判断をされる共済組合は、定款を変更しなくてもいいし、自治省と協議をすれば、引き上げないということに自治省としては応じていくのかどうかということと、それから、いま出たけれども、平準保険料率に若干の修正率を掛けると言ったけれども、再計算をやっているのを見ると、市町村共済なり学校共済なり等は、どうも修正率を乗じていないようだ。修正率を乗ずれば引き上げる必要がなくなってしまうという計算になってくるようなんですけれども、そういう点は、自治省が指導して、修正率は掛けないでやるのだ、引き上げるのだということで、もう引き上げるのを前提とした指導をあなた方やっているのじゃないですか。
  178. 大嶋孝

    ○大嶋説明員 決して引き上げを前提にして指導をやっておるわけではございませんので、平準保険料率に一定の割り落としを掛けるというようなことを考えてみましても、それはやはり数理的保険料率は確保しなければならないというようなことが、これは国の共済の場合も同様でございますし、私どもも同様に考えております。  それから、実勢利回り等を考慮して、掛け金率を引き上げないで済むではないかというような御議論でございますけれども、片やその実勢利回り等を考慮いたしますとしますならば、将来のベースアップといったようなものも考慮しなければならないということになるわけでございまして、それらをベースアップは考慮せずに実勢利回りだけを考慮していくということにつきましては、財源計算上片手落ちになる、また将来のベースアップ等を見込むといたしますと、かりに実勢利回り等を考慮いたしましたとしても、はるかに高い掛け金率、財源率しか出てこない、かようになるわけでございまして、従来ともベースアップ等を見込まないということでまいったわけでございまして、今回も同様にいたしておるところでございます。
  179. 小川省吾

    小川(省)委員 問題がいろいろあるのですけれども、いずれにしても今回の財源率の再計算はどうも問題だと思うのです。  地方公務員の場合に、これは政府が悪いのだけれども給与改定が行なわれてまだ差額支給を——まあ一〇%というのがありますけれども、差額の支給を手にしていない。こういう状態の中で、引き上げるのは引き上げて十二月からなんという考え方を持っていること自体が、大体地方公務員のことを自治省は考えているのかどうかわからぬ。これはまさにナンセンスだと思うのですよ。問題にならぬというふうに思うのです。そういう意味では、五年をめどにやるのですから、別に十二月一日にやる必要はないし、来年度の四月一日からやったっていいわけですし、その間にはいわゆる公費負担率が引き上げられるような状態というものも出てくるだろうと思うし、少なくともそういうことでは十二月一日という考え方を撤回をして、少なくともそういう状態で財源率の再計算には対処すべきだというふうに思うけれども、その点については、どうですか。
  180. 植弘親民

    植弘説明員 地方公務員のことを考えないというおしかりは、まことに耳が痛いのでございますが、やはり同じ公務員という立場で国家公務員とのそういった勤務条件というのは均衡をとるべきことが、法律もありますし、実際問題としてもそうだと思います。現実給与の決定のしかた等を考えましても、やはりそういった国家公務員とまず均衡をとるということが、長い間のいわば国民的なコンセンサスもある問題だと思うのです。そういう点からいきますと、こういった年金の問題につきましても、国家公務員についてとられている制度というものをある程度私どもは考えて、それにはずを合わせませんことには、これから給付内容の充実といったような問題についても、強く国家公務員のほうと折衝するということにつきましても、非常に弱くなるという点も心配でございます。そういう意味では、ある程度尽くすべきところは尽くした上で主張すべきものはするという立場で、地方公務員のためにもがんばりたい、こう思っております。  いまの点でございますが、五年以内ということでございますので、もともと十二月で出発しておりますので、まあ十二月でやらしていただきたい、お願いしたいと思います。
  181. 小川省吾

    小川(省)委員 あなたは国家公務員だから、おれたちはもう十月から取られちゃった、まあ地公もしようがないだろうというような考え方でやられたのでは、これは困るのですよね。だから、そういう点を十分ひとつ配慮をしてもらいたいと思う。  あと一点だけ伺いたいのですが、何か聞くところによると、市町村共済組合では、市町村職員給与は低いから、千分の〇・五他の共済組合よりもよけい出してもらうのだというふうなことがあるようなんだけれども、そういうことがあるのですか、どうなんですか。
  182. 大嶋孝

    ○大嶋説明員 市町村職員給与が低いから高く上げてもらうのだということではございませんので、ことし行ないました制度改正、御承知のとおりの制度改正を行なったわけでございます。それらの恩恵といいますか、それらの制度によって一番利益を受けるというのが、市町村共済関係職員でございます。したがいまして、必然的に財源率は高くならざるを得ない、こういうことでございます。
  183. 小川省吾

    小川(省)委員 共済組合の給付の改善は、あに一つ市町村共済だけじゃないわけです。地共済だって何だって給付改善がされたわけですよ。だからといってあなた方は、いや市町村職員給与は低いということは言えないのですよ。給与課の中じゃ高いということを言っているのだからね。そういうことで言えないのだと思うけれども、実際には市町村職員給与が低いから上げようなどという考え方をかりに持つとすれば、それは明らかな誤りなので、少なくともそういう点で地公は国公にならうのだ、市町村はこれは低いから上げるのだなんというふうなアンバラな指導をやらないようにしてほしい。  要するに、時間が制約されておりますので、いずれにいたしましても、この引き上げについては多くの問題点があります。一方では公費負担の引き上げをやろうとしている、要求しているわけでありますから、そういう点をまって、財源率の再計算については、この前だって一カ月おくれて四十五年一月一日にしたわけですから、そういう点を勘案をしながら、少なくとも今年度においてはこれを延ばして五十年度から考えるということで、ぜひ対処をしてもらいたい。これはまた具体的に自治省に行っていろいろお話し合いをいたしますけれども、ひとつそういうことでこの問題のある点については対処をしてほしいということを最後に要請をいたしておきます。  次に、実は盛んにいま自治省地方公務員給与が高いのだということを意図的にキャンペーンを張っております。私は、地方公務員給与は高くないという観点からこれからの質問をしたいと思う。地方財政の危機と公務員給与に関連をしてお尋ねをいたします。  いま地方財政は、まさに昭和二十九年以来という、それ以上の深刻な危機に直面をいたしておるわけであります。現在の地方財政の危機は、税源だとか財政制度が非常に構造的な弱さを持っている地方財政が、高度経済成長、その破綻としての総需要抑制によってもたらされたものであって、その根本的な原因を明らかにして抜本的な対策を迫られていると思うのであります。  地方財政の危機は、まず第一に地方財政の構造的な貧弱さと、国と自治体との行政経費が七、三であって、税収は三対七というふうな問題にあるし、自治体の財源的な自主性のなさにあることはもう明らかな事実です。第二番目に、六〇年度からの高度経済成長政策で、自治体財政多額に企業のためにいろいろな意味で投入をさせられてしまった。結果的には、公害対策であるとか、あるいは福祉対策等の先取り等によって、いわゆるひずみの是正という中での多額の出費をしいられてきているわけであります。さらに起債の統制であるとか、あるいは成長政策による、インフレによる負担の増大等の原因があるし、三つ目にはあらゆる事業に見られるような膨大な超過負担が実態としてあるわけであります。こういう状態の中で地方財政の危機が招来をされたわけであります。  しかるに、最近自治省は、地方財政の危機があたかも公務員の賃金にあるようなことを、誤ったキャンペーンを張っていますし、財源危機を公務員の人件費の増加に転嫁をしようとするような宣伝を意図的にどうも繰り返してしているのではないかというふうに実は私は考えています。給与改定により地方自治体の財政が危機になるなんて、こんなばかな話はないんで、もしもそうだとするならば、そういう状態に追い込んだ政府の地方財政施策の貧困にあるといったってこれは間違いじゃないし、そのとおりだと思うのですね。そういうことから考えれば、当然、責任は政府にあることは明らかな事実であります。そういう点で、地方財政危機の真の原因をどうとらえているのか。それと、地方財政の危機の原因はやはり先ほど申し上げたように、基本的には国と地方の税配分の不均衡と高度経済成長政策にあるし、さらにインフレと総需要抑制の自治体に対するしわ寄せが、まさに危機が深刻になってきた原因だと思っておりますけれども、この点について公務員部長の見解はどうか。
  184. 植弘親民

    植弘説明員 地方財政全般、国と地方との財源配分、税源配分といったような非常に基本的な問題までお説きになっての御質問でございますので、どうも私の手には少し余りますが、しかし、給与費というのが地方財政の中において、その運営上も大きなウエートを占めていることば事実でございます。しかも、きょうお手元に資料を提出さしていただいたと存じますが、四十八年四月一日現在の指定統計を見ましても、やはりいろいろと心配されておりましたように、地方公務員給与ベースは高い結果が出ております。もちろん、地方公務員と国家公務員と比較いたします場合に、単純には比較できません。地方公務員の中でも、たとえば警察官だとか、学校の先生消防といったようなもの、それから単労と称しているものでも、清掃職員、こういう方々は国家公務員の中にはほとんどいません。したがって、そう単純には私ども比較するつもりはございませんけれども、やはり国家公務員と地方公務員と一番対応しやすいもの、それは般行政職でございますから、一般行政職の水準を比べてみますと、ラスパイレス方式、まあラスパイレス方式にもいろいろ問題があることば承知いたしております。決して万能なものではないことは存じておりますが、人事院が官民給与比較をする場合に使っておりますのもラスパイレス方式でございまして、現在ではそういった給与の適正、高低といったものを比較するには最も定着した制度だと思っております。そういう意味からラスパイレスで比較してみますと、一般行政職で全職員で一〇八・六という数字が出ております。その点はやはり地方公務員給与水準が高いのだということをいわざるを得ないと思います。  それからまた一方では地域差があるという問題もありますが、これは調整手当の問題等で措置すべき問題ということで、いずれにいたしましても給与費が相当高いウエートを占めてきたということは、地方財政運営上に相当大きなウエートで影響を与えているだろうと思います。もちろん私どもはいま先生がいろいろと御指摘のように、給与費だけが現在の地方財政の危機といいますか、窮迫をもたらした原因とは思いません。しかし大きなウエートであろうということは想像できるものであります。
  185. 小川省吾

    小川(省)委員 時間がないので困ってしまったのですけれども、一般行政職を比較したと言いましたね。実際に国の一般行政職は約五〇%だというふうに聞いています。都道府県では約二割強が一般行政職ということですね。地公は三二%というふうにいわれていますね。さらに地方の一般行政職、いま期せずして植弘部長が言ったように、事実国にないようないわゆる専門職、ケースワーカーであるとか保母であるとかあるいは施設の教母だとかいろいろな職種があるわけですね。そういう点で大体比較すること自体が私はおかしいというふうに思うのですね。それからラスパイレス方式にしたところで、いわゆる職員構成にしても、国の職員構成というのは、言うならば原爆型の構成になっていると思うのですよ、四十代のところはふくれ上がっているような。ところが地方の市町村などは、わりといわゆるノーマルな円錐型の職員構成をしているわけです。どうもあの給与実態調査を見ると、国の職員構成の比率で地方の実態を推しはかって、類推してやったのではないかというふうにすら実は考えられるわけであります。そういう点になると、あのラスパイレス方式というやつもかなり疑問がある。信憑性がないというふうに私どもは考えているわけです。それと、あの結果を見ると、高いところに確かに個別の自治体が出ていますね。給与の実態が、個人の給与費が高いというのは事実あるでしょう。ぼくらも自治労の幹部として賃金闘争を指導してきたわけですから、事実かちとったというか、とったところは高いところもありますよ。しかし全般的にはまだまだ国に準じて低いところがかなりあるわけであります。また地域の実態もあるわけでありますから、そういう実態の中で賃金というのはきまってくるわけでありますから、地方公務員法の二十四条というのは必ずしも国に準ずるなどということをいっているわけじゃないのですよ。地方には人事委員会があって、議会があって、そこで給与は決定をしろというのが地方公務員法の精神だろうと私は思うのです。そういうことになれば、大体国と比較してどうだというふうなことはおかしいというふうに思うのです。  それから財政的の面から考えれば、いわゆる個別賃金が高いとか低いとかいうふうな話にはならぬと思うのですよ。そうではなくして、歳出規模における、予算総額の中におけるところの人件費がどのくらいコストとして占めているのか。人件費比率がどのくらいあるから、これは人件費が事業費を圧迫しているとか、全体の中で、財政の中に人件費が一つの要素として財政が苦しくなっているのだということがいえるけれども、あの給与実態調査というのは個別人件費の比較であって、人件費総額の比較で高いといっているだけで、人件費比率でいっているわけではないでしょう。
  186. 植弘親民

    植弘説明員 ラスパイレスの信憑性、私も先ほど申し上げましたように一〇〇%とは申し上げません。しかし学歴別、経験年数別に一定のグループを選びましてそれで計算してまいりますと、非常に誤差が小さくなります。特に市と都道府県の場合ですともうほとんど誤差はないと考えていいと思います。もちろん何か新聞によりますと、ある市では経験年数と普通の年齢とを間違えて違ったなどといっておりますけれども、そういった特例の場合出てきたことはそれは別といたしまして、一般的に言いますと、市以上になりますと非常に確度が高いということは従来から実証されております。  それからもう一つは、人件費論を個別的な比較でなしに、歳出総額に占める割合で見たらどうかという、まさにそれは財政運営としては当然の御指摘だと思います。ただその場合に気をつけなければならないと思われますことは、私が申し上げていいのかどうかわかりませんけれども、御承知のように、歳出規模というのは国の公共事業の政策等によって起債なり何なり増額いたしますと相当ふえてまいりますけれども、人件費は御承知のように大体一般財源で、ございますから、一般財源ベースでものを考えていかなければなりません。そこで、歳出予算の中に占める比率があまり上がってないということでは見られないのでございまして、今度のように総需要抑制といったような問題が起こってまいりますと、当然今度は人件費が浮かび上がってくる。そこらのところに、人件費総額を見る場合には十分注意して見なければならない点があるだろうという点が私どもの立場から言えるだろうと思います。
  187. 小川省吾

    小川(省)委員 私はここに一つの資料を持っているのですが、私の経験からしても二十九年、三十年ごろ確かに地方財政は苦しかった。この当時の人件費というのは、実は大体歳出総額の四〇%台ですよね、ぼくらも承知をしているわけだけれども。それから高度経済成長政策が始まってきて三六、七%になり、ずっと下がってきて三〇%台になったわけですよ。ここのところまた一、二%上がりましたけれども現状では三二%というふうにいわれています。少なくとも三十年ごろから人件費は、国においてもそうだけれども、下がってきたわけですよね。どうなんですか、その点は認めますか。
  188. 植弘親民

    植弘説明員 御指摘のように、歳出規模の中に占める割合はふえておりません。
  189. 小川省吾

    小川(省)委員 地方財政の中で人件費云々というのは、そういう人件費総額を取り上げるのであって、個々の某が、植弘君ばどうもこのときに入ったにしては、経験年数換算表のとり方が違ったか少し高いやというふうな比較ではないのでしょう。人件費総額でいくわけでしょう。
  190. 植弘親民

    植弘説明員 それは私ども給与行政という立場から見ますときには、二十四条の三項はなるほどおっしゃるように文言としては準ずると書いてございません。しかし、生計費なり国家公務員なり他の地方公共団体の公務員なり、あるいは地域内における民間事業の従事者の給与との均衡を考慮しなさいと書いてございます。これは均衡原則でありまして、そうなりますと、やはり最も身近な公務員グループであります国家公務員の給与というものをもとにして、それに準じていくというのが運営としては最も妥当であろうという考え方でございます。そういうことから言いますと、総額論と個別論とありますけれども、私どもは個別のきめ方、運用のしかたというものが行政としては非常に大事な問題と思っております。
  191. 小川省吾

    小川(省)委員 いま言われたように、確かに人件費は下がってきているわけですよ。地公法二十四条三項というのは、何も国家公務員に準ずるということじゃなくて、国家公務員を参考にするのは一つのファクターなんですよ。たくさんあるうちの一つのファクターであって、それだけをことさらに摘出をして、国の公務員に準じなければならぬけれども、個別賃金が高いからこうだというふうな、地方公務員の人件費が高いなどというPRはやめてくださいよ。それはあなた方自治省という役所はいろいろな統制をする役割りもあるだろうけれども、地方やあるいはまた地方公務員を守る立場にも一面あるわけですよね。そういう点で、いわゆる人件費攻撃をするような形は、これはやめていただきたいと思うんだ。  そこで最後に、時間がないですから一つだけ。日経新聞の十月十一日号に地方公務員給与の特集というのがあるわけですね。それによると、高いほうの賃金の実態が幾つか出ているのだけれども、今度の給与実態調査から見ると、これが一〇%も入れかわっているようなのが事実出てきているわけですよ。一年に一〇%も賃金がアップしたりダウンしたりすることは、大体地方公務員の定期昇給というのは通常三・二%くらいですかね。そのくらいのはずであります。こういう事実はないと思うので、私はますます自治省が出したあの実態調査というものはどうも信頼がおけないのだというふうに思っているわけです。そういう点では四十七年度、四十八年度の個別のあれというものを示していないわけだけれども、そういう点についてはひとつ資料として出していただいて、あの資料がほんとうに正確で地方公務員給与が高いのかどうか、詳細に検討をしたいと思うのだけれども、残念ながら四十七年、四十八年の資料が出ていないものだから、ぼくらにもよくわからない。そういう点ではこれを資料として出していただくことをお願いいたしたいし、国分寺でも——経験年数のとり方と何とかというのがありましたけれども、そういうのがやはり自治省調査の中にもかなり信頼を欠くようなものがあるのではないか、日経とのあれでは一〇%の差があるわけですよ。こんなことはあり得ないと思うのですね。そういう点についてはいかがですか。
  192. 植弘親民

    植弘説明員 四十七年のものが日本経済新聞に出て私も拝見いたしましたが、実は四十七年については私どもから公式に発表いたしてございません。と申しますのは、ほんとうに外に出せるような数値といいますのは指定統計のときでありまして、これは悉皆調査をやっております。その間におきましてはサンプリングでございますから、私どもが責任をもって外に出せない数字であります。したがって日経新聞はどこで御調査になっておるのか、よく存じません。したがってそういう意味では四十七年、四十八年を単純に比較することは適当でない。ただ全体としての地方公共団体に勤務する職員全体の水準がどうかということになりますと、これはもう二百万をこえておる職員でございますから、おおむねブレが少なくなるということは言えます。  それからもう一つ、個別的な資料は四十七年はそうですが、四十八年もやはり全体を出すことはいかがであろうか。私どもといたしましては、メッシュで切りましたような段階に大体どのあたりにあるということを参考にして運営していただくのが地方団体として適当ではないだろうかということで、その点は御理解いただきたいと思います。
  193. 小川省吾

    小川(省)委員 時間が来ましたのでやめますが、いずれにしてもあの給与実態調査ほんとうにそういう意味で信頼できるものかどうか。サンプリング調査だというお話ですけれども、権威ある地方行政委員会に資料として出してもらいたい。そしてほんとうに検討をして、自治省であろうとわれわれであろうと、自治体の財政やあるいは自治体の職員の問題について真剣に考慮しているわけでありますから、そういう意味では資料として御提出を願いたい。こういう点を強く申し上げまして、一応時間が来ましたから、質問を終了します。
  194. 伊能繁次郎

  195. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はきょう建設関係のお話をちょっとお伺いしたいのですが、日本住宅公団の問題についてお尋ねいたします。  これは日本住宅公団の地方住民税の問題に関係しておりますので二、三お尋ねいたしますが、日本住宅公団の管理している賃貸住宅に住民登録をしないで不正に入居している世帯、いわゆる幽霊世帯の実態調査をしたことがあるかどうか、住宅公団にお尋ねいたします。
  196. 有賀虎之進

    ○有賀説明員 お答えいたします。  不正入居というものについてはいろいろとやっておりますけれども住民登録とかそういった関係について特別な調査をしたということはいままでございません。
  197. 小川新一郎

    小川(新)委員 私がいまからお話し申し上げますのは埼玉県草加市の松原団地に入居している約六千世帯のうち、約二〇%が住民登録をしていない幽霊世帯であるということが、埼玉県浦和地方県民センターの調査でわかったわけであります。埼玉県下には公団賃貸住宅が五十九団地、約六万戸ありますが、埼玉県ではこのような世帯が約二〇%、一万二千戸あると推定しております。それも埼玉県浦和地方県民センターの調査でわかったわけでございますが、これについてどうお考えになりますか。
  198. 有賀虎之進

    ○有賀説明員 実は、草加松原団地の住民が非常に大量に不正入居しているという新聞報道がございまして、ただいま先生おっしゃられたとおりでございます。公団から県のほうに一度問い合わせてみましたけれども、どういう調査でやられたのかという点についてはいまのところ不明でございます。ただ、私どももそういうように不正入居が非常に大量にあるというふうには考えておらないわけでございますけれども、万一の場合もございますので実は草加松原団地につきまして賃貸住宅の契約名義人と住民台帳に記載されているものとの突き合わせをいたしまして、そして疑いがあるというものにつきましては事実を確かめた上で所要の措置をとりたいと考えております。
  199. 小川新一郎

    小川(新)委員 いま地方財政が非常に緊迫しているおりから、当該市町村行政サービスに非常に問題が起きているわけでございます。松原団地に六千戸ある。五十九団地ということになりますと相当な数、二〇%と踏んで約六万世帯の一万二千戸ということはたいへんな数になるわけですね。これが問題になることは、一つは県民税や市民税を支払わないにもかかわらず行政需要だけを地元自治体に押しつけていることになるということが一つ。二点目は入居者の交代が無断で行なわれているためにあき家募集などに期待している一般住民の入居のチャンスを奪うことになる。三番目は選挙権の登録や国勢調査をはじめとする住民調査に漏れが起きる。また納税、公民権行使、治安などの面から好ましくない、住宅行政に不公正があるということで地元住民の中にも非常に批判があるわけでございます。こういう問題については、自治省としては当該の市町村に、指導なり勧告なりを住宅公団にさせるようなことを指導する考えがありますか。
  200. 有賀虎之進

    ○有賀説明員 その前にちょっともう一言申し上げますが、松原団地につきまして草加市で調べたところによりますと、住宅の戸数の割合に比べまして約三・八%ぐらい住民台帳に載ってないというような調査の結果があるということを聞きまして、これにつきましても現在事実を調べまして、もしそういうことがあれば、住宅公団が直接住民登録についての所管の機関ではございませんけれども、やはり住民票と実際の住居とは合っているのがたてまえでございますので、いろいろな手段といいますか、周知の方法を講じまして是正させるよう指導してまいりたいと思っております。  それからもう一つ先生お尋ねのそういう不正入居の問題がいろいろありまして、住宅行政の面から見ても問題があるというふうなお話でございますが、ただいま申し上げました住民登録をしていない三・八%ぐらいのものというのが直ちに不正入居であるかどうかという点については問題があるかと思いますけれども、私ども、住宅公団の賃貸住宅契約につきましては、かねてから不正入居等がないように、賃貸住宅契約書におきましても明文をもちまして、そういうことがない、それからあった場合には契約を解除するというふうなたてまえをとっております。そしてまた、そういうような話を聞いたりあるいは何か疑いがあるというような場合には直ちに調査いたしまして、厳正な処置をとっておるということが実情でございますが、それでもなお、さらに不正入居の問題につきましてその対策を徹底化しようということで、実は、去る九月本社から各現場のほうに全部指示を出しまして、一斉調査等を含めまして、もう少し制度的あるいは計画的にやろうということで、現在各支社でもってそれぞれの団地ごとにどういう方法でやるかという点を考慮しながら具体案を立案中でございます。したがって、そういうものができましたらば、なお一そうそういった点について管理の適正化をはかっていきたい、こういうふうに考えております。
  201. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治省のお考えをちょっとお聞きして終わりますけれども
  202. 松浦功

    ○松浦説明員 担当の局長が参っておりませんのでかわってお答え申し上げますが、いまお話のございましたような事実が存するといたしますればまことに遺憾なことでございます。関係機関と連絡をとって、当然是正措置をそれぞれのところでお願いをするということがわれわれのとるべき措置ではなかろうかというふうに考えております。
  203. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、住宅公団ではこの問題に対して調査なり対策なりを講じてくださるのですね。
  204. 有賀虎之進

    ○有賀説明員 ただいま、そういう新聞報道がございましたので、具体的に実態を調査中でございまして、その調査の結果が出ましたら、不正入居というような問題がございますればこれは厳正に処置したい、こういうふうに思っております。  それから住民登録につきましては、関係の市なりそういうところとも十分協議いたしまして、いろいろなパンフレットとかを通じまして適正に行なわれるよう推進したい、こういうように思っております。
  205. 小川新一郎

    小川(新)委員 もう一つ住宅公団の問題でお尋ねしますが、埼玉県越谷の区画整理事業が住宅公団と競合していま問題になっている地域がございます。せんげん台団地というのですけれども、越谷市の市議会が公団の場当たり的建設計画を批判して、御存じのとおり、住宅公団を締め出したわけですね。もう入れない、そういうことで、四十三年に住宅公団の誘致反対を決議しておりますが、その団地予定地が、約三十億円もかけて市が区画整理中の事業区域の中心部を、公団が公団法第三十四条に従って、あなたのほうでその土地を買ってしまった。そしていまそこで対立をしているわけです。住宅公団は、越谷市が絶対にこの地域は区画整理地域で越谷でやっていくという土地を三十四億で買ってしまったわけですけれども、これは五省協定や何かを無視して住宅公団がこういうところへ進出することについては、地方公共団体の立場という問題を尊重してないのではないかという市議会の問題が出ておりますが、このせんげん台団地についてはどういう考えで進めていくわけですか。
  206. 有賀虎之進

    ○有賀説明員 御指摘のせんげん台団地につきましては、実は昨年土地を買ったわけでございますが、買う前に市のほうとも一応お話をしまして、一応の基本的な了解は得たということで取得したわけでございます。ただその後、まだ一部土地が残っておりまして、その土地をことしの五月ごろになりましてそれらも取得するめどがつきましたので、具体の住宅の建設計画につきまして、公団法によりまして意見も聞かなければならぬことになっておりますので、市の当局に意見の照合をしたところ、主とした理由はやはり土地の利用の密度が市が考えておるものよりも高過ぎる、それからもう一つは住宅を建てるスピードがちょっと速過ぎるというふうなことで、了解には現在達しておりません。実はこの地域は、四十八年に都市計画の用途規制は第二種住専に指定されておりまして、先生御承知のように、第二種住専というのはいわば中高層の住宅地域でございますけれども、そういった点も考慮しまして、公団では土地の有効利用をはかる点から約二千戸ぐらいの住宅を建てたいということで協議を始めたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、密度が高過ぎるというような点、あるいは二千戸を二年ぐらいで建てるというのはいろいろな面でたいへんスピードが速過ぎるというようなお考えがございまして、いま協議中でございます。したがって今後私どもとしましては、戸数の問題とそれからもう一つは建てるスピードをスローダウンするとか、そういった点を含めまして、この計画についてなお一そう市と協議を続けまして、納得をいただいた上でもって住宅の着工に持っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  207. 小川新一郎

    小川(新)委員 結局は、いま御説明があったけれども、越谷では、あなた方の団地建設に対しては反対しているわけでしょう。それを強行してやるわけですか。
  208. 有賀虎之進

    ○有賀説明員 いま申し上げましたように、具体的な計画の戸数とか建て方、それからスピード、そういった点についてもう少し市当局とお話を申し上げまして、従来とも公団の建て方はそうでございましたけれども、意見がととのわないまま強行するというようなことはございませんで、市の了解を得た上で着工に持っていきたい、こういうように考えております。
  209. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは、あくまでも市の了解を求めて、それで建設をするということでございますね。ありがとうございます。  そういうことを聞いておいて、次は、国土利用計画法をちょっとお尋ねいたしますけれども、これはさきの国会で成立した議員立法でございますが、この国土利用計画法が施行されるのはいつでございますか。
  210. 松本作衛

    ○松本説明員 現在、国土利用計画法の政令について準備をいたしておりますが、期限は十二月二十四日までということになっておりますので、それ以前、十二月の上、中旬の間に公布をいたしまして、中旬中に法律の施行を進めたいというふうに考えております。
  211. 小川新一郎

    小川(新)委員 建設省来ておりますか。——土地の公示価格については当該市町村長、知事の御意見などを聞きながらきめるわけでございますが、大体土地の値段については、公示価格は昭和四十八年度に比べてどの程度におさまる予定になっておりますか。
  212. 松本作衛

    ○松本説明員 公示価格の関係は国土庁のほうで担当いたしておりますので申し上げますと、公示価格につきましては、過去二年間ほど非常な値上がりを見せておるわけでございますが、四十九年一月一日の公示価格に対しまして、来年の一月一日の公示価格をどのように評価していくかということにつきまして、現在いろいろと検討をいたしております。これは法律の施行に伴います政令価格の問題とも関連いたすわけでございますけれども、国土計画法ができました現段階におきまして、できるだけ地価の安定をはかっていくということが必要でございますから、公示価格の基礎になります土地の評価につきましてできるだけ現在の実態に即した適正な評価をしていきたいということで、評価のしかた、不動産の鑑定基準の運用のしかた等につきまして改善をはかっていきたいということで、先刻も土地鑑定委員会からこの評価に関しての改善についての建議を受けておるわけでございますので、できるだけそういうふうな方向で考えていきたいと思っております。
  213. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治省では、各都道府県に土地利用計画法の細則、政令を定めて、十二月の中旬にこれを法律で実施する。土地公示価格がきまらなければ、当該知事は規制開発区域の価格をどの基準できめるのですか。そして、それを何割までに押えるのかか——いま言ったように、国土庁ではまだまだ土地価格の基準の公示価格が定まらないのに、十二月の初旬にこれを実施するということになってしまうと、それを受けるほうの地方公共団体、県はどこの基準でやるのですか。
  214. 松本作衛

    ○松本説明員 国土庁のほうがその県の指導をいたしておりますので、国土庁としての考え方を申し述べさせていただきたいと思います。  ただいま御質問ございましたように、国土利用計画法が十二月で発足をいたしますと、その時点で都道府県知事が届け出を受けまして、それについての土地の価格の判定をする必要があるわけでございますが、その価格につきましては、現在、政令価格のきめ方について準備をいたしております。法律施行までには政令の内容をもちまして価格の判定の基準を明らかにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。その価格の考え方につきましては、ただいま御質問がありました公示価格の評価の方法とも関連づけまして、現在の地価の動向を十分に考え、適正な価格にしていきたいと思っておりますが、特にこの法律が提案され、成立を見る過程におきまして、国会の審議の過程で、宅地については市場相場の七、八割を目途として定めていくということが定められておりますので、私どもはその趣旨に沿って政令の内容を固めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  215. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、地価公示価格ができないから政令価格というのをつくるのですか。この政令価格に違反した場合の罰則などはまだわからないと思うのですけれども、この政令価格というのは現行の地価公示価格よりも三割安いわけですか。いままである地価公示価格よりも、今度地価が幾らか安定しておりますね。そういたしますと、私が聞きたいのは、いままである一万数千点の地価公示価格よりも、この次できてくる地価公示価格のほうが多少三割ぐらいダウンする、そのまた三割ダウンしたのを政令価格と見るのか。政令価格というのは、地価公示価格と同じものを政令価格というのか。初めて政令価格というのがきょう出てきて戸惑っているのですけれども、土地の価格にもう一つ新しい価格がきょう生み出されたような感じがするのですが、政令価格なんということはみな知っているのですか。
  216. 松本作衛

    ○松本説明員 国土利用計画法の中におきましては、価格を政令で定めることになっておりまして、その価格は許可を受けます規制区域における許可基準の価格、それから届け出をいたしました場合の届け出について妥当かどうかということを判断する価格、それから不許可になりました土地を都道府県が買い入れます場合の価格、それと遊休地についての買い入れをする場合の価格、これをいずれも政令できめることになっております。これを私、いま政令価格と申したわけでございますけれども、その価格につきまして政令で定めることになっておるわけでございますが、この政令の価格の考え方につきましては、先生から御質問がございましたように、公示価格との関連を法律上も定められておるわけでございます。そこで、従来の公示価格につきましては、市場相場から見ますと、大体八割余という程度の水準でございますので、私どもといたしましては、従来の公示価格の評価のしかたをさらに検討いたしまして、公示価格自体につきましても引き下げるような評価のしかたを考えていきたい、そのことによりまして市場相場の七、八割というふうな水準に価格を安定するようにこの法律の運用をはかっていきたいというふうに考えておるわけであります。
  217. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、現在の公示価格も政令価格に準じて下げるということですか。
  218. 松本作衛

    ○松本説明員 今度の評価のしかたを改善することによりまして、私どもはそのように努力をしていきたいというふうに思っております。
  219. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは非常に大きな問題だと思うんですがね。公示価格を今度ダウンさせて、またあらためて公示するわけですね。新公示価格というのができるわけですか。
  220. 松本作衛

    ○松本説明員 公示価格は御案内のように公示価格の法律によりまして、一月一日時点で毎年公示をすることになっております。ですから、四十九年の一月一日の公示価格以降は五十年の一月一日の公示価格になるわけでございます。したがいまして、新公示価格というか、毎年一度の公示価格を今後評価するにあたりましては、従来の水準よりも引き下げられるように努力をして考えてみたいということを申し上げたわけでございます。
  221. 小川新一郎

    小川(新)委員 よくわかりました。そういう公示価格が万能でないということで、あらためて新しい要素を入れて公示価格を定めるということについては私も賛成でございます。  そこで、これは自治省にお尋ねいたしますが、土地取引を知事の許可制とする規制区域の指定というものは、全国的に見て自治省ではどのくらい推定しているのですか。これはあくまで地方自治の本旨に従って地方公共団体の知事に全部委任して、規制区域というものはその当該県の知事にすべてまかせる、自治省としては何ら関与しないということなんでしょうか。それとも大体の目安というものがあって、その範囲内の財政の処置とか、まあこの程度は大体線引きされるんではないかということを踏まえた上で、国土庁とか建設省と連携をとっていらっしゃるのかどうか。
  222. 松浦功

    ○松浦説明員 国土法で知事に権限を委任しております問題、それを知事がどのような形の判断でどのような指定をするか、これは全く各地方公共団体のおきめになる問題だと思います。国土法は、御承知のように施行官庁として国土庁がございますので、国土庁のほうでそこいらの、ほんとうにこれは単なる見通しの見通しだろうと思いますが、どの程度の買収があり得るだろうかとか、そういうことを御検討いただいたようでございまして、それらの数字をちょうだいをいたしまして、来年度の地方債計画に買い上げの経費を見込む、あるいは利子補給について大蔵省に国土庁から御要求なさる金額について御相談を受けるというような手続は私どもいままでとっておりますけれども、施行官庁は国土庁でございますので、その辺のところは国土庁のほうにお聞きをいただきたいと思います。
  223. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただこれに要する費用の予算の問題でございますが、「国土利用計画法施行に要する経費の補助及び財源について」というものが埼玉県から来ているのですが、要望内容としては、大幅な経費の補助、土地買収等にかかわる財源の確保、これなくしては土地利用計画が全くお先まっ暗な絵にかいたもちになるということでございます。概算要求といたしましては、埼玉県の例を取り上げますと八億円から三十七億円必要だといわれておる。その中で新規に規制関係人件費というのがございます。ところが実際にはもう二課七係を新設して、土地対策課というのをつくりまして、そのほかに土地規制課というのがもう一つできました。この規制課というのが規制関係人件費ということでございまして、昭和四十九年度の後半からこれは所要経費が計上されるわけでございます。これは大蔵省に国土庁のほうが要求をするわけでございますが、こういうふうにもう四十九年の下半期から、十二月から仕事をするということになりますと、こういう新設の課を設けたり、人事、組織というものをつくってまいりますが、予算規模としてはこういう規制関係人件費なども新規に要求している中にございますが、これはどういうふうに見ていただけるんでございましょうか。それが一つ。  その次に、土地の買い上げ資金については起債を充当させるのか、それとも土地開発資金のお金をもってするのか、目的財源をつくってやるのか、この辺のところがはっきりいたしませんけれども、この埼玉県だけでも三十七億なんということをいっておりますが、これだけの面積に見合う土地の開発規制区域というのを設けようという考え方なんだと思うのですが、これについては大蔵省来ていらっしゃると思いますが、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  224. 松本作衛

    ○松本説明員 ただいまの国土利用計画法の施行に必要な地方財政に対する国の援助措置でございますが、来年度、五十年度の予算措置といたしまして、土地利用規制関係で四十一億円ほど要求をいたしております。これは本年度が八億二千万円でございますから、私ども大幅に予算増額を要求いたしておるわけでございますが、その内容の主要なものは、ただいま御指摘がございました都道府県の人件費の補助、これを各県平均、標準県で十七名を要求いたしております。それと、地方公共団体に対します補助金の補助率を、本年度二分の一補助でありましたものを三分の二補助に引き上げたいという点が主要な内容でございまして、できるだけ地方公共団体に活躍願うための経費について予算獲得に努力していきたいというふうに考えております。  それから、土地の買収に必要な財源でございますけれども、これは二種類ございまして、一つは規制区域におきまして評価になりました際の土地買い上げ資金、これを四百五十億円見ております。それから遊休地の買い上げに必要な資金、これを三百五十億円見込んでおりまして、これはいずれも起債ができるように自治省に対してお願いをしておるわけでございます。最近におきましては非常に土地のだぶつきが出てまいりまして、むしろ都道府県等に買ってくれというふうな希望も非常に強くなっておりますが、この辺につきましては、一方におきましては非常に価格の下ざさえをするというふうな問題もございますので、適正なものについて買い上げるというようなことを考えていきたいと思いますし、今後の運用によりまして、さらに財源等につきましても自治省と御相談をしてまいりたいというふうに考えております。
  225. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治省、起債のいま要求出ているものについてお願いします。
  226. 松浦功

    ○松浦説明員 ただいま次長からお話ございましたように、地方債計画の中で規制地域の買収費四百五十億円、それから遊休地の買い上げ資金三百五十億円をそれぞれ計画の中に織り込みまして大蔵省に要求をいたしております。
  227. 小川新一郎

    小川(新)委員 ひとつ財源措置の点については十二分な御配慮をお願いしたいと思います。  そこで、話が前後して恐縮でございますけれども、公示価格の鑑定法についていまお話がありましたのですが、従来の周辺の土地取引の事例を基準にはじき出されるための狂乱地価追認型でございますが、この売買事例比較法を改めて、原価法とか収益還元法を採用した新しい地価公示価格の鑑定法というものを取り上げたらいいんじゃないかという考えを私ども持っておるのですが、いま新地価公示価格の算定については新しい要素を入れてやるということでございますが、そういう周辺地価の売買実例の追認方式でなくして、いま言った還元方式とか原価方式とかというような、地価公示価格をきめる上に必要な要素を取り入れる考えがあったら、この際ここで御説明をしていただきたいと思います。
  228. 松本作衛

    ○松本説明員 ただいま御指摘がございました土地の鑑定評価に関する考え方でございますが、先ほど申し上げましたように、先日土地鑑定委員会の委員長から国土庁長官に対しまして建議がございまして、その改善方向が示されております。その内容につきましては、ただいま御指摘がございましたように、従来の評価方法におきましては、どちらかというと周辺土地の売買事例を重視する傾向がありましたので、今度の評価におきましてはこの売買事例のほかに収益還元方式及び原価方式、この三つの評価方式をいずれも重要なものとして取り上げるようにということが第一点でございます。  それから第二番目は、収益還元価格を見る際にその収益の見方をあまり過大に織り込まないように、特にその期間につきましては三年程度の収益にとどめて評価をすべきであるというのが第二点でございます。  それからもう一つは、土地の売買事例をとります際に、その売買事例の中に非常に特異なものがとられがちである。特定の利用目的であるとか、ないしは特に収益の高いような売買事例がとられる危険性がありますので、具体的に、こういう場合は特殊の事例として排除して考えるようにということを十五項目ほど列記いたしまして、できるだけ適正なものだけをとっていくように改善をはかるというようなことが示されておるわけでございます。  したがいまして、ただいま御指摘がございましたような方向に沿って、今後の改善のあり方については努力をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  229. 小川新一郎

    小川(新)委員 結局、その新しい方式を取り入れれば、従来の地価公示価格よりも低廉な価格を公示できる、こう理解しているわけでございます。どうぞひとつよろしくその点をお願いしたいと思います。  次に、自動車排気ガスの点でちょっと一、二点お尋ねいたしますが、自動車排気ガスの五十一年度規制、つまり自動車排ガス中の窒素酸化物を現行規制値の約十分の一、一キロ当たり〇・二五グラム以下に押えようとする日本版マスキー法の実施というものは、実際には昭和五十一年度からできるのでございましょうか。
  230. 小林育夫

    ○小林説明員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、現在その問題につきましては、私どもの中央公害対策議会の中に自動車公害専門委員会という委員会を設けまして、その中で、八月九日以来、きょういまやっておりますが、それで十三回審議をしております。私どもといたしましては、その審議の結果をまって、規制値がどうなるか、方針どおりやるかあるいはそれ以外の方法をやるかということを決定するようにいたしておりますので、現在の段階でそれがどうなるということにつきましては、はっきり申し上げられないのが現状でございます。
  231. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、はっきりしないということは五十一年度からは絶対——絶対ということはないけれども、五十一年度からはスタートできない。私は端的に聞きますが、こう理解していいのですか。
  232. 小林育夫

    ○小林説明員 できないということを私申し上げたわけではございませんけれども、ただ、私どもが自動車公害専門委員会にばかりました趣旨といいますのは、私どもが六月から延べ十数日にわたって各自動車メーカーを呼んでヒヤリングをやったわけでございますが、その結果におきましては、メーカー側は非常にむずかしいということを言っております。しかしこれは自動車メーカーの言い分でございまして、公正に見てその言い分が正しいかどうかというものは私どもの知識では判断できかねる面がございますので、そういう専門の方々にお集まりいただきまして、それを御検討願っておるという段階でございます。
  233. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、その自動車公害専門委員会では、五十一年の規制は五十四年まで三年間延長し、その間は暫定規制値を設けるべきであるとの意見が大勢を占めたと聞いておりますが、そういう傾向に落ちつくのでしょうか。
  234. 小林育夫

    ○小林説明員 新聞にはそのように報道されている向きもございますけれども、現在、いま申し上げましたように、私どもはこの問題を専門委員会で御検討いただいている段階でございまして、現在、きょうも行なわれておりますけれども、最終のターゲットがどうだとか暫定値をどうするかということにつきましては、各委員さん方の意見が述べられたという事実はありますけれども、これについて、ではどういうふうに持っていくんだという討論は現在までされておりません。したがいまして、きょう、私出席しておりませんのでわかりませんけれども、きょう以後の議論においてそういうことが決定されるということでございまして、その新聞に報道された大勢を占めたというのは、その辺は多少、私どもの立場とすればそういう事実はないのではないか。そういう意見は確かにございました。ございましたけれども委員会としてそういうことをきめたとかあるいはそれが全体の大勢だということは私どもはないというふうに判断しております。
  235. 小川新一郎

    小川(新)委員 いま東京都知事が地方財源の強化と、もう一つは、このまま推移していくならば、自動車の一キロ当たり走行の窒素酸化物、要するに有害有機物の排出によって東京都民の健康と生命は保障しがたい、自動車のどんどんふえていく倍率と、この野放しになっております——野放しでばございませんが、ある程度のこのゆるい規制では都民の健康を十分保障し得ないために、自動車税を三倍にして都独自の車の規制を行なうのだということを言っておりますが、私はここで端的にお伺いしたいのは、五十一年度にこういういまの十分の一の有害物質の規制を行なわない限り、自動車の増加に伴ってスモッグや排気ガス公害によるところの状態というものは極限に来るのでしょうか。ほんとう住民にはどういう健康の障害が出るのか、どういう観点から環境庁では五十一年、マスキー版をやらねばならないとはじき出されたのか、その辺のところが自動車メーカー側の言い分だけを聞いておって、実際には東洋工業とか本田では現在〇・三二グラム、〇・二五グラムに近づいておる規制の車が出ている、こういうことを考えたときに、私どもとしてはわれわれの健康と生命に関するがゆえに真剣にこの問題を考えているわけですが、五十一年にやらないで五十四年まで延ばしたときの結果の数字はどういうふうに出てくるのですか。
  236. 小林育夫

    ○小林説明員 自動車排出ガスと環境大気の汚染物の濃度という問題につきましては、非常にいろいろな条件がございまして、現在でも一定のモデルでこれをシミュレーションするということは、わが国においてもできておりませんし、アメリカにおきましてもできておらない次第でございます。  それでは五十一年規制と健康の関係というお話でございますけれども、私どもが五十年、五十一年規制をやりました当時におきまして、直接これを健康の立場から、たとえば環境基準が何PPMだということに対しまして、自動車の排出量が幾らであればよいかということを直接結びつけたわけではないわけでございます。と申しますのは、現在五十年、五十一年で規制をしようとしております汚染物質は、一酸化炭素と炭化水素と窒素酸化物があるわけでございます。このうち、四十七年の十月の答申の時点で環境基準としてきまっておりましたのは、一酸化炭素のみでございます。その後、四十八年、昨年の五月に窒素酸化物の環境基準というものがきまったわけでございます。炭化水素につきましては、現在環境基準が審議中でございまして、まだ環境基準としてはさまっていないということでございます。したがいまして、私どもがこの自動車の排ガスの規制を行ないます場合に、そういう環境基準との直接の結びつけでやったわけではなくて、むしろそういうものがはっきりするまで自動車の排出ガスを放置しておけば、これは重大な問題になる、だから早いうちに長期的な目標を掲げて、この線で自動車メーカーに開発を努力させるというのが五十年、五十一年の規制の趣旨でございます。  そういうことで、これは直接は環境基準とは結びつかないということを申し上げたわけでございますけれども、それでは実際の排出量はどうなるかということをお話しいたしますと、一番問題になりますのが窒素酸化物であろうかと思います。窒素酸化物につきましては、五十年規制におきまして、現在走っている車の約二分の一になるわけでございます。五十一年ではさらにそれを五分の一にするという計画でございまして、この五十年規制はもうすでに告示としてきまっておりまして、来年の四月から実施されることになっておりますけれども、少なくとも自動車から排出される窒素酸化物につきましては、大都市におきましても、自動車数の伸びあるいは走行量の伸びを考えましても、ここ数年の間現在より排出量がふえるということは私どもの試算ではないようでございます。
  237. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、車の台数も減らさなくてもいいし、こういうわけで、いまお聞きしていると、何か私どもは非常に切迫した空気にならないのですけれども、これは四年も延びてしまっても、時間がもうありませんので簡単な御説明でけっこうですが、車の台数の伸びその他でほんとうにだいじょうぶなんですか、この点は。では、なぜ東京都の都知事が自動車税を三倍にしてでも車を抑制しなければならぬということを強硬に打ち出したのですか。この点が私にはわからないのです。
  238. 小林育夫

    ○小林説明員 ただいま私が申し上げましたのは排出総量のことでございまして、先ほども申し上げましたように、窒素酸化物には昨年環境基準ができております。この窒素酸化物の環境基準といいますのは、二十四時間平均で〇・〇二PPMという世界で最もきびしい環境基準でございます。現状はどうかといいますと、これを大きく上回るというのが現状でございます。  したがいまして、いま先生御指摘のようにだいじょうぶかというお話に対しましては、私ども決してだいじょうぶだとは思っておりません。したがいまして、むしろこのコンマ二五が達成されましても、大都市においてこの環境基準というものが完全にそれだけで守れるかどうかとかうことには、なお私は疑問があると思います。したがいまして、この五十一年規制をやってさえも、その環境基準というものが完全に守れるかどうかということはわからないわけでございますので、もし暫定値ということになりますと、やはり環境基準を達成するにはほかのいろいろの施策をあわせて用いていかなければ非常に問題があろう、そのように判断しております。
  239. 小川新一郎

    小川(新)委員 十分の一に減らしても、なおかつ環境の基準というものは保ちがたい。それを自動車メ−カー側の言い分によって自動車専門委員会の連中はきょうも十三回だか十四回だかやっておっても、いまだに結論が出ない。そのことについて業を煮やして、東京都では、現実の問題を踏まえて都知事が自動車税を三倍ということを打ち出してきたわけですね。自治省としては、こういう東京都のやり方に対してどうお考えになっておりますか。これは自主財源強化というような問題よりももっと自動車問題の深刻な環境の問題、生命、健康の問題、こういう問題とあわせてその財源の問題というのは論ずるのであって、財源が取りたいから自動車税を三倍にしたら何とかなるのだというような甘い考えじゃないと思うのですね。もっと大事な人間の生命と健康という問題を踏まえた上で美濃部さんは打ち出したと思うのですが、自治省としてはこういう問題については受け入れますか。いまのような環境庁の姿勢というものは、十分の一に減らしても保ちがたいと非常に不安定なことをおっしゃっている。それができない、いまだはっきりしてないわけですから、これはいかがでございましょう。
  240. 首藤堯

    ○首藤説明員 自動車の排ガスに関します規制が環境基準にできるだけ早く適合するように進められるべきであるということにつきましては、もう全く御指摘のとおりだと私どもも考えておるわけでございますが、ただいまそのことにつきましての技術的な可能性等の問題も含めまして、どのように進めていくかが議論をされておる最中と承っておるわけでございます。私どもは技術的な点は全然わかりませんものですから、その点について論評するすべがないわけでございますが、そのことに関連をして、自動車税の三倍増税といったような点についてどう考えるかという御指摘でございます。このような環境規制の問題は、やはり正面的にはその環境を規制していくという技術問題として解決をしていくということが本来の考え方かと思うわけでございます。そのような処置の可能、不可能の問題を取り上げまして、すぐに税にこれを短絡をして、いわば税制のみでそのような政策目的を達成をしていくということについては若干問題があろうか、このように根本的には考えておる次第でございます。  それからなお、自動車の超過課税を行ないます場合にこれを超過課税としてとらまえます場合には、これは先生御案内のように、財政上の特別の事情がある場合に超過課税制度というものが許されておるわけでございます。そういった財政上の特別な必要等との関連においてこれは慎重に検討すべき問題であって、ただいま御指摘の問題とはおのずと違った問題になろうか、このように考えておる次第でございます。
  241. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは結局五十一年規制ができない場合には、このままではあと四年も五年もたって、一体いつごろできるのかという見通しがはっきりしない。自動車はどんどんふえてくる。このまま放置しておったならば都民の健康、生命に影響が出てくるし、交通問題その他に重大な影響が出る。放置できない。じゃ一体どうやって車を抑制するんだということになるわけです。何かほかにいい手でもあるのですか。排気ガスのほうはどうしようもない。いまのままやれといってもどうも自動車メーカーがうんと言わない。車はどんどんふえてくる。排気ガスはどんどんふえてくる。自動車ばふえる。じゃ一体何で規制するかというと、東京都は飽和状態だ。われわれが見ておってももう息苦しい状態です。きょうなんかもスモッグです。これがさらにふえていくわけです。  これを税金の面だけで押えるということについて議論するならば、それにかわるべき指導を自治省が提案しなければならぬ。美濃部さんのほうから投げられた石に対して、間違っているなら、こういうふうにしなさいとか、じゃこういうふうに政府のほうはさせます、田中内閣でこういうふうに責任を持ちます。こういう問題がはっきりしない以上は、自治体のこういうシビルミニマムの問題では、この前の大気汚染の問題では煙突から出る煙のことも東京都では言っていましたね。これは国の基準よりもさらに強い基準を東京都が持ったわけです。今回の場合は性質が違いますが、税という問題でこれは規制しようという。私は、そのことがいいか悪いかいろいろな問題があると思いますが、これに対して具体的に自治省は断わって、東京都に対してこういうことをやっちゃいけないと指導する、そのかわりどうするんだと言われたときにはどういう案があるのです。
  242. 首藤堯

    ○首藤説明員 自動車の排気ガス規制の問題が各般の点から検討されなければならないということは、全く御指摘のとおりだろうと思います。そのせいでまた、ただいまも環境庁を中心にいたしまして、いかにしてこれを規制していくかという基本的な問題が検討され続けておるのであろうと考えておる次第でございます。やはりこの問題は、基礎的にはそのような基本的問題を解決していくということでもって解決されていくということが一番大事なことであって、それがいまどうなるかわからない時点において、ただ単に自動車の保有課税を高めることによって規制をするということになりますことについては若干問題があるのではないか、それだけではなかなかうまくいかないのではないか、このように考えておる次第でございます。保有課税そのものも、御案内のように自動車税の本来の考え方から標準税率が設定をされておりますし、また、各県における均衡その他の問題等もいろいろあろうかと思いますので、ここのところは慎重な検討が必要ではないか、こう考えておる次第でございます。
  243. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは公開論議をして、なぜ三年間の延期をするか、なぜ昭和五十一年にやらねばならないかという危険な状態を国民に知らしめて、確かに税制ではいろいろな問題があるが、東京都の場合は一日も猶予ができない。であるから、これを各般によっていろいろな面で論議し、車を規制する、総量抑制をする。この問題について自治省が何らかの指導的立場に立った提言を東京都に対しなすのかなさないのか、私は聞きたいわけです。だめだということは、美濃部さんの提言に対してはあなたのほうは断わるわけですね、こういうことはだめだと。それではどうするんだと言われたときはどうしますかということを聞いているのです。慎重な検討はわかっていますから、それに対してはどういう対案があるのです。
  244. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま排ガス規制の基本的な問題について政府における検討も続いておる事態でございますので、そういったものの推移なり結果なり、そういった点を踏まえて対策を講ずべきものと、こう考えておる次第でございます。  ただいま自治省としてはそういった技術的な観点につきましては能力を持っておりませんので、直ちにどうしたらいいかという対案を持っておるわけではございませんが、そのような規制の基本的方向のあり方、これに応じまして、今後慎重に検討していくべきものである、こう考えておる次第であります。
  245. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、三倍の自動車税を都が徴収することについては、これはだめだという指導をするわけですね。
  246. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま地方税法上で、いわゆる標準税率超過課税という制度を想定されておりますこの制度は、先生も御案内のように財政上の特別の必要、これに即応して特別の必要がある場合にとり得る、こういう体制になっておるわけでございまして、税法上の立場そのものとしては財政上以外の他の目的と申しますか、そのことに即応して超過課税を取るというしかけになっておりませんのは、御案内のとおりでございます。  したがいまして、純然たる超過課税として財政上の事由からいろいろと検討が進められるというのであれば、それはそれで一つの検討事項かと思いますが、排ガス規制のことに関連をいたしまして、直ちに税をもってこれに対応するという点は現在の地方税法上は想定されていないという状況であるのは先生御承知のとおりでございます。
  247. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういうことでございますからだめだということですね。そうすると、どうするかということがまだ検討の段階だということになると、これは持ち回り閣議みたいなもので、あっちこっち責任が転嫁するわけです。まあひとつ、これはきょうは時間がないから、私これ以上言えないのですけれども、美濃部さんにとっては気の毒な結論が出たわけですが、これはわれわれもこうやってお互い東京に生きているわけですね。あなたも私も東京都の空の下でいま呼吸しているわけですよ。お互いの生命、健康ということだって考えなければならないのじゃないですか。そういうことを考えたときに、こういう硫酸ミストが降ったり、窒素酸化物の中で、一体、われわれのような体力のある者はいいですよ。子供や病人はどうなるのだということを考えたときに、これは真剣に取り組まなければならぬ問題ですね。どうか公害の関係の環境庁もひとつその点、五十一年にやれるようにやっていただかないと困るのです。  そこで次の問題に移りますが、地方土地開発公社の資金、総需要抑制の中でこの間から問題になっております開発公社等の融資については、大蔵省はまだまだ銀行の引き締めで貸し付けというものをゆるめる意図はないのですか。地方公社の金融引き締めについてお尋ねいたしますが。
  248. 宮本保孝

    ○宮本説明員 選別融資通達自体につきましては、実はもうそろそろ見直してもいいのかなという感じはございますけれども、全般的な引き締め政策自体は堅持されておりますので、いま直ちにこれを撤廃することは無理ではなかろうかと思っております。  ただ地方公社に対します融資につきましては非常に要望も強うございますし、地元あるいは地域におけるニーズというものも非常に強いわけでございますから、同じ不動産業の中にありましても格別の配慮をしろということでこちらといたしましても指導いたしております。その結果、選別融資通達におきましては、不動産業につきましては総貸し出しの増加額といいますか、総貸し出しの伸び率以下に押えてくれということを要請しているわけでございますけれども現実問題といたしましては、総貸し出しの伸び率よりも地方公社に対します融資がはるかに高い伸び率を示しておる現実でございます。ただそれでもなお非常に御要望も強いようでございます。その点につきましてはケース・バイ・ケースで、私どもも中に入りまして、ほんとうに緊急なものにつきましては個々に銀行からも事情を聞きまして、十分指導をいたしていま対処いたしておるところでございます。
  249. 小川新一郎

    小川(新)委員 それはあれですか、地方債の引き受け手である銀行が融資を渋っているわけですけれども、日銀のワクを別ワクとして、この問題で大蔵省で早急にやってもらわないと、確かに総需要抑制ということが続く限り、今年一ぱいはもうこういう別ワクで日銀が引き受けてくれるようなことはできませんでしょうか。
  250. 宮本保孝

    ○宮本説明員 日銀の窓口規制といいますのは、大体総体で第三・四半期あなたの銀行は幾らしか貸し増しちゃいけませんという規制でございまして、それで別ワクの話になりますと、どうしてもたとえば、ある地方の繊維業者が非常に困っておるので、それじゃその点については繊維については別ワクにしろとか、たとえば中小企業一般について別ワクにしろ、いろいろとこう出てまいりますので、現在なお国の一般的な金融政策がマクロ的に引き締め政策をとっておりますので、どうしても窓口規制が、マクロ的な制度である以上別ワクをつくるというのは非常にむずかしかろうと思うのでございますけれども、ただ窓口規制というのは別に法律できめているわけでも何でもございませんで、たとえば繊維なら繊維につきましてあるいはある県におきまする大都市近郊の需要が非常に強いというふうな場合に、かりにAならAという銀行が割り当てられた規制よりも若干それをオーバーしておるからといって、日本銀行ばそれに対してどうだこうだというふうなものでもないと思いますので、その辺は個々のケースにつきまして弾力的な運用が行なわれるのじゃないかと私どもは思っておるのでございます。
  251. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間が来たので、これでやめるのですけれども、全国知事会でこの問題が出ております。地方公共団体金融公庫をつくって何とかしたいという要望があるのですけれども、まだこういう問題ば時期尚早であり、検討を要する段階であって、ここまで知事会で要求度のある金融引き締めの選別融資の問題について道がとられないとするならば、こういう地方公共団体金融公庫というものをつくって、そこで金融の融資の対象にしたいという考えについては、その見通しなり、お考えなりはいかがでございましょう。
  252. 松浦功

    ○松浦説明員 現在のような金融引き締めという異常な事態のもとにおいては、そういう公庫をつくってあったとしても、公庫自体が締められますから、結果的には私ども同じではなかろうか。それよりは毎回各委員からいろいろ御指摘をいただいておりますように、明年つくらなければならない小中学校の用地とか、保育所の用地とか、そういったものにはただいま大蔵省からも御発言ございましたように、ケース・バイ・ケースということで緊急なものについてばお願いをして、いままでお話のございましたものについては全部私どもとしては措置ができたと思っております。そういう形で今後とも地方公共団体の行政にそごが来ないように、現実状況をよく把握しながら運営をしてまいりたい、このように思っております。
  253. 小川新一郎

    小川(新)委員 これでやめますが、措置ができたというふうに理解なさっているようでございますが、実際にそういうことは措置ができていないからいろいろな問題が出ていま騒ぎ立てているのだと思うのです。一日も早くいまの、先ほど言った地方公社の対象をはずしてもらわなければならぬということで、特に松浦さんのお話でございますけれども措置ができたというのはちょっと私も理解に苦しむのですが、その辺のところをちょっとお聞きして終わらしていただきます。
  254. 松浦功

    ○松浦説明員 お話がございました場合には、各自治体で具体的に、こういう土地を何億円で何のために買いたいということでお話を持ってきていただきたいということを繰り返して申し上げております。持ってきたところについては私のほうは全部片づいておる、こういう認識でおるわけでございます。
  255. 伊能繁次郎

  256. 三谷秀治

    三谷委員 午前中の質問に関連をしますが、昨年の十二月から本年夏にかけまして兵庫県の日高、養父、朝来郡など但馬一帯で、行政点検と称して部落解放同盟と名のる集団が、町長、町の幹部、校長、教師、一般住民などを長時間にわたって包囲をして、脅迫、威圧を行なって、憲法、自治法に違反する窓口一本化を認めさせ、解放車と称する自動車の提供、ガソリン代の強要を行ない、またその種の集団的威圧行為を連続して行なうための糾弾費の支給を行なわせておりますが、この実態を調査されておりますかどうか、警察ばこの糾弾の実態について御承知かどうかお尋ねしたいと思うのです。
  257. 林忠雄

    ○林説明員 兵庫県を通じましてあるいは新聞その他によりまして、ある程度の範囲は承知しております。
  258. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 警察としても、一般的な情報としては大体の輪郭程度は知っておりますけれども、詳しいことは私は把握いたしておりません。
  259. 三谷秀治

    三谷委員 自治省はそれを御承知であれば、それに対してはどのような見解や対策をお持ちかお聞きしたい。
  260. 林忠雄

    ○林説明員 この問題は行政上非常に扱いのむずかしい問題でございまして、それぞれ現地の実情に即して適切な解決をはからなければならないという考え方を持っておりますので、直接の指導については現地あるいは県というところに当たっていただくことにしております。私のほうからは、一般的には行政の公平性を常に確保すべきだということで一般的な指導方針を示しております。
  261. 三谷秀治

    三谷委員 その指導方針が通っていない場合にはどうなるんですか。  それから、警察のほうでありますが、警察がこの糾弾の内容を御承知ないとしますと、これは治安の維持に任ずる者としてきわめて怠慢といわざるを得ません。参議院の地方行政委員会で警備課長はこうおっしゃっている。糾弾というものが暴力、威圧を伴う長時間にわたる脅迫行為だとは知らなかった、普通の意味の糾弾であると思っておった。警察は今日におきましても糾弾なるものの実態を御承知ないでしょう。これは単にいま但馬で起きただけでなしに、大阪府下におきましてはひんぱんに発生した問題でありますが、この実態、いまだに御承知ありませんか。
  262. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 糾弾というのがいつどこでどのような形で行なわれたか、そういう問題について一々詳しくは存じないということでございまして、糾弾というのは解放同盟のほうからいいますと、差別糾弾という形で糾明して考え方を変えていくというような形で行なわれているということですが、その中で不法、違法行為があれば、そういうことがあれば、われわれとしてはそれをほっとくことはない、これは大いに取り締まるという立場でございます。
  263. 林忠雄

    ○林説明員 私はさきにお答えをしたつもりでございます。この一般的な指導……。
  264. 三谷秀治

    三谷委員 それをあなたにお尋ねしたでしょう。その指導が通ってない場合どうするかというんだ。
  265. 林忠雄

    ○林説明員 これは繰り返し繰り返し、それが通るように指導を根気よく続ける以外にはないと考えております。
  266. 三谷秀治

    三谷委員 糾弾というものの内容は普遍性を持っているんです。特殊なものがいま但馬で起きたわけじゃない。これは大阪府下などにおきましてひんぱんに発生をして、そして警察事案にもなったことがしばしばあります。  この内容というものを見ますと、特徴がありますが、一つは、基本的な人権を踏みにじって言論の自由や批判の自由を認めない。市民的な自由を抹殺する。これが一つの特徴なんです。  もう一つは、糾弾となる人の人格を侮辱して、人間の尊厳を汚して差別者というレッテルを張りつける。そしてこの対象者が言いなりになって、自分だけでなく、他の人々をも差別者として傷つける行為に参加することを強要しておる。これを聞くまで脅迫、威圧を加え、屈服させる。これが糾弾の内容なんだ。警察は、すでに今日までのこの種の事案を通じて、こういう内容については御承知のはずなんだ。こういう事態が警察の取り締まりの対象になり得ないものかどうか。先ほど糾弾というものについての警察側の考え方をおっしゃいましたけれども、糾弾という名がつけばいかなる不法行為もかまわないという事態がいま起きてきておる。あなたの御説明と実態が違っておるのだ。一体糾弾について具体的にお調べになっておるのか。あなた方は民主団体の集会などについてはきわめて熱心に調査をされたり、聞き込みをされますけれども、この糾弾についてはそういう調査はできていないのかどうか、これをお尋ねしたい。
  267. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 糾弾というのは、先ほど申し上げましたように、はっきりした形で、いつ、どこで行なわれたか。それが全部をわれわれとしては把握できていない。しかしそういう問題があり、そういう報告があり、うわさがあり、申し出があればこれは徹底的に調査するという気持ちでございます。
  268. 三谷秀治

    三谷委員 この問題は、糾弾されました対象者がなかなか警察に持ち込めない。大阪などの例でいきますと、持ち込んでも警察はその権限を発動しないという例などがしばしばあるために、持ち込むことをちゅうちょする、していない。そういう背景がある。その中で、この但馬地方におきまして連続して行政確認会というのが行なわれております。たとえば昨年の十二月の四日、八日には和田山町、十二月十三、十四日に山東町、十二月十九日に朝来町、本年の九月十三日、再び山東町、本年の十月の二十七日、二十八日の和田山町、反復して行なわれております。学校だとか一般の人を加えますと、千数百回にわたる確認会、糾弾会がなされておる。たとえば和田山町の行政確認会というのは、昨年の十二月四日でございますが、枚田岡公民館というところで、町長は出なかったのですが、その他の町役場の幹部を全部呼び出して、多衆が包囲し、ひっきりなしに怒号、雑言を浴びせてつるし上げをやっておる。威圧、脅迫、どうかつによって解放同盟という特定団体の方針に従って行政を行なうことを誓わしめておる。欠席した町長は十二月の八日に再び西土田部落というところに呼び出された。これは町会議員とともに一緒につるし上げされたのですが、町長、町議は机一つはさんですわらされておる。それを何十人かが包囲してどなる、ののしる、そして机をたたく、そういう威圧を繰り返し加えておる。参加しました人のメモによりますと、こういうやりとりがなされておる。四日に何で来なかったんや、部局に相談した結果出ないことになった、おんどれ、町長のくせして一々部局に相談しなければできぬのか、この豚が何を言いくさる、こんな豚ならミキサーにかけてこなごなにしてやる、こういう脅迫によりまして町長は青くなってしまった。さらに続いております。町長おまえのところに娘がおるか、おります、おれがその娘をひっかけてはらませてやる、おんどれというふうな罵声が一斉に起きて机をたたく、こういう状況で、八日の午後七時半から翌日の五時まで怒号ややじを浴びせながら糾弾をやっておる。そして、ついに同和行政を彼らの言いなりに実施することを誓約させられておる。こういう状況について警察が御承知ないというのはどうもおかしい。従来の事例から見ましても、その場所におきましてしばしば不法行為が起きておる。午前中に質問がありましたように、八鹿町におきましても起きている、養父町においても起きているわけです。そういう状態から見ます場合に、この事態を御承知ないということは、警察の警備上の問題からしましてもきわめてゆゆしい問題だと私は思います。そして、この事態について、自治省にしましてももう少し指導を強化する必要がある。第一、こういう問題が起きておりますのに現地に調査一人行きましたか。警察も一緒なんでしょう、現地の報告だけを聞いている。ところが現地の状態を見ますと、まともに報告がいく状態ではない、第一これは町役場だけではありません、県の出先機関が全部同じことを言っておりますでしょう、同じような違法文書を出しておりますでしょう。警察に行きますとどうですか、和田山署の署長に会いますと、三十二人しか警官がおりません、何百人も来られたら対抗のようがおまへん、だからこれはたいへんなことで思うようにはいきません、こう言っている。さらに追及しますとどうですか、もう私は倒れます、おまかせしますと言っている。こういう状態警察というものが真に正確な状況報告をするかどうか、これは全く信憑性はありません。ですからこれだけの問題が起きておれば、警察庁も担当者を派遣して現地を実際に調べるということが当然なされるべき処置じゃないでしょうか。それがなされていないというのはどういうことなのか、こういう事態に対する認識が非常に足りません、お尋ねしたいと思います。
  269. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 いまのような事案についてはまだ私ども報告を聞いておりませんし、したがって、その事実があったかどうか確認できないわけですが、さっそくこの件については調査してその事実を明らかにしたいというふうに考えております。
  270. 三谷秀治

    三谷委員 自治省はどうです。
  271. 林忠雄

    ○林説明員 市町村行政というのは、その市町村自体の責任で、当局者その他がこうあるべきだという信念でおやりになるべきものと存じます。その信念なり考え方なりを強制的に曲げるという姿がもしあったとすれば、これは非常に遺憾なことでございますし、行政の公正さが確保できないのじゃないかと思いますけれども、そういう意思に圧迫を加えるような、いま先生の御指摘になったようなことがある場合は、これはもちろん治安の問題として警察にも御相談をしなければならないし、しかるべき措置をとるべきものと考えております。  町村の指導につきましては、一般に私のほうは県を通じて行なっておりまして、直接には、こういう治安問題にかかればあるいは警察の問題かも存じませんが、ほかのすべての運営について大体県を通じて指導しておりますし、県からの報告も絶えずとっておるつもりでございますが、あるいは先生のおっしゃるような理由で、その報告が必ずしも真実を反映していないとすれば、なおもっと真実の正しい報告をとるように重ねて督促もし、指導に遺憾なきを期したいと存じております。
  272. 三谷秀治

    三谷委員 この問題に関連します暴行事件については、午前中に林さんが質問されましたけれども、失明の疑いが出てくる重傷者一人、それからなお今後長期にわたって入院の必要がある重傷者が四名も出ておる。軽傷者合わせますと百数十名に達している。告訴、告発をやっている。それほどの事態が起きておりますのに、現地に特別に人を派遣するという処置もおとりになっていない。そこのところにやはりこの問題について、こういう事案についての姿勢の弱さがある。  この確認会というものが町や学校において引き続き連続して行なわれているのです。これが放置されておりまして、地方自治法にいいます地方自治体の責任であります公共の秩序の維持がどうして保てますか。公共の秩序の維持を守るべき公共団体が暴力的な威圧、脅迫によって違法な処置を次々と繰り返すという状態になってきておる。こういう状態についてはもう少し重視する必要がありはしませんか。法治国における、しかも公権力を持つべき自治体がそういう状態に追い込まれておるという事態について、考え方や認識が少し弱いのと違いますか、御見解承りたい。
  273. 林忠雄

    ○林説明員 非常に憂慮しておる次第でございます。
  274. 三谷秀治

    三谷委員 警察はどうです。
  275. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 午前中に申し上げましたように、兵庫県警本部のほうからも捜査員がかなり行って現在鋭意捜査をしております。それから情報収集につとめて、そういう事案が起こりそうなときにはさらに機動隊を派遣して、未然の防止あるいはそういう事態が起こらないように警告、制止、そういう点について万全の措置を講じたいと考えております。
  276. 三谷秀治

    三谷委員 私は現地に四日ほど行っておりましたが、いま申しますような暴力事犯というものは警察の警備実施中に起きているのだ。しかも現地に私服警官がおる、機動隊が派遣されてきておる、そういう状態の中でこのような残虐な暴行事件が公然と起きてきている。しかもいまだに一人も逮捕していない。逮捕したのは九月八日、九日に起きました二十名にわたる不法監禁事件。それを十月二日に調べて、その調べられたのがさらにまた十月二十二日以後の糾弾闘争に参加して、引き続き暴力行為を働いている。この状態を見ますと、初動における取り締まりができていないということだ。確認会、糾弾会そうして監禁事件が起きてきた、その一連の過程におきまして何ら手を打っていない。だからこれはエスカレートして、次々と、いま言いましたような百数十名が重軽傷を負うようなたいへんな違法行為がなされている。この過程におきまして警察の責任は全くないとお考えですか。
  277. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 かなりの負傷者が出たといわれます二十六日の事件については、先ほど林委員からの御質問がございましたように、それぞれの配置はしたのでございますけれども、なかなか距離の関係その他で現行犯逮捕という形で機動隊が現場に到着する時間がおくれた。この点については情勢判断において考えるべき点があったんじゃないか、こういう反省の点は先ほど申し上げたわけでございますが、われわれとしてはそういう不法行為、違法行為を絶対に起こさせないようにという形でいろいろ現在体制を考え、警備の万全を期するように努力をいたしておるわけでございますが、先ほどのような例の再び起こらないように十分処置をしていきたいと考えております。
  278. 三谷秀治

    三谷委員 私は警備局長の御説明では納得しませんのは、機動隊が出動しております目の前で暴行をふるっている。たとえばあれは二十三日の朝でありましたか、橋本邸の約八十メートル手前におきまして、橋本さんを救援に行った人たちがそこにたむろしている集団によって川に突き落とされる、バケツで水をかけられる、あるいはくつでけとばされる、さまざまな暴行を受けております。機動隊が目前におります。それからまた十月二十六日におきましては、大阪あたりからこの問題についてかけつける車を生野峠で全部ストップさせる、そうして検問をする、車の中を調べる、そういう権利がだれ人にありますか。しかも機動隊が通過してこれを見ておりながら何一つ取り締まっていない、私はこれは目撃して知っているのだ。この状態を見出すときに、この事案に対する警察の態度というものはまことに奇怪千万なものがあります。もう少し厳密に法に基づいて職務を執行するという態度が必要だと思いますが、一度これは現地に人を派遣してお調べになったらどうですか。それくらいのことをおやりにならぬと、答弁なさいますことと実態とがあまりにも離れ過ぎている、どうです。
  279. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 私としては、違法行為を目前にしておいて警察官がそれを黙視するというようなことば、これはあってはならないことと思います。あり得べからざることと思うわけでございますが、ただいま御指摘のあったということもございますので、この事実をはっきり把握いたしまして、よくその問題をはっきりさせたい、このように思います。そのためには、場合によっては人を派遣するというような形もとりたいと考えております。
  280. 三谷秀治

    三谷委員 幾つかの例を申し上げますが、日高町というのがあります。八月の十八日に日高東中学校の体育館で行政確認会が行なわれました。町長以下幹部職員、教職員が全部出席している。百五十人の集団によって包囲されて、これまた言語に絶するばり雑言、怒号の中で午前九時から五時三十分まで糾弾会がなされている。そこで、日高町におきましては、部落解放運動というものがそういう暴力や威圧によってなされたのでは、むしろ差別を拡大するばかりだ、部落解放運動に役に立たないというので、そういうやり方について反対をするというので、統一刷新有志連合というのが組織されました。この暴力的な蛮行を批判する運動が起きてきましたが、これに対する非難声明を町長と教育長が連名で発表しろ、こういう要求を糾弾会で突きつけられて長時間にわたりまして暴力的な威圧を受けましたために、これを認めて声明書を出しました。声明書はここにあります。解放運動を阻害する行動を起しているのは部落解放統一刷新有志連合であります、こういう声明書を町長や教育長の公印入りで出して、これを全町に配るというような行為をやっておる、これについてどうお考えですか。
  281. 林忠雄

    ○林説明員 先ほど申しましたように、自治体の行政というのは、まさにその当局の方が自己の良心に従って決断し、それに伴って実行するということが行政が円滑に行なわれるむしろ先決の問題でございますので、もし先生が御指摘されたようなこと、通常では、ちょっと公の機関がそういうふうに、何と申しますか、一つの声明を発表するということはもう常識では考えられないことだと存じますが、もしそうせざるを得ないような先生のおっしゃいますような威圧なり圧迫なりがありとすれば、まずそこに基本的な問題があると思います。自由に——自由にと申しますか、行政当局がみずからの責任をもってきめるということの自由がない場合は、すでにそちらのほうの問題を先行させるというか、そちらを解決するということでない限り運営が改まらないのではないか、その辺、たいへん憂慮しております。
  282. 三谷秀治

    三谷委員 その先行的に解決すべき問題について自治省はどういう処置をとられましたか。たとえば警察庁に対して申し入れをするとか、いろいろな処置があると思いますけれども、どういう処置を今日までおとりになりましたか。ただ、今日まで、同和行政の受益が対象地区住民にひとしく及ぶことが必要である、こういう通達は示されております。これは各省がしばしば示しております。しかし地方公共団体理事者は、一片の政府通達よりも目前の暴力を回避することのほうが一そう切実な状況に置かれている。そのために実際の同和行政というものが政府の通達とは逆に、今日におきましても特定団体に属する者にのみ受益が限定される不法な状態がますます拡大しておる。政府の通達のいかんにかかわらずそういう不法な状態が拡大してきている。ですから、政府の通達はから手本になってしまっておる。ここに原因があるのです。その原因について、それを払拭するためにどういう処置を自治省や、それから総理府、お見えになっておりますね、総理府はどうお考えになり、どういう処置をおとりになったのか、お聞きしたい。
  283. 林忠雄

    ○林説明員 自治省といたしましては、いま先生の御指摘になったようなその前提の問題に問題があるようなこと、それによっていろいろ市町村行政上に問題があることについてはしばしば耳にしておりまして、たいへん憂慮もしておりますが、現実にそういう治安状況を確保するというか、意思決定の自由がないというような状態になるということは、これはまさに治安の問題でもございますので、もちろん警察にもお願いしてございますし、それから兵庫県というものが直接の指導の立場に立っておりますし、そこの兵庫県にはまた兵庫県警もございますから、県のほうにもその辺、治安当局ともよく連絡して平穏を保つようにということの指導は口を重ねて申しておる次第でございます。
  284. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと、警察のほうは自治省から口がすっぱくなるほどそういう依頼を受けておりながら、こういう事態の発生をいまだに看過しておるのはどういうわけですか。
  285. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 それは自治省から府県自治体に言われたことだと思います。私のほうへは自治体のほうから何も言ってきておりません。
  286. 三谷秀治

    三谷委員 それば府県だけじゃなしに、警察庁に言わなければいけませんがな。あなた方、内務省官僚できわめて密接な関係にありながら、なぜこれは警察庁のほうには申し入れがないわけですか。
  287. 林忠雄

    ○林説明員 いま警備局長がお話しになりましたように、直接警察庁に正式にということではございませんけれども、要するに、兵庫県のいま問題になっておりますもの以外にも、大阪地区とか広島地区とかで非常に似たようなケースで市町村行政上むずかしい、何か回復しなければならない問題が生じておりますので、それは日常の話題として、何とかしなければならないという話は年じゅう、もう同じ役所同士ですから、しております。  そこで、具体的なそういう町村に対する指導としては、まさにさっき私が申しましたように県が当たり、その県には同和対策室もあり、地方課もあり、かつ県警もあるわけでございますから、県のほうにもその間の連絡をよくしてということを始終言っておる次第でございます。
  288. 三谷秀治

    三谷委員 それでは世間話みたいなことになってますがな。けじめをつけてやらなければいけませんがな。いまおっしゃいますように、市町村長がこういう違法な行為をとるについては、それをとらしめておる問題があるとおっしゃっているわけなんでしょう。そのとらしめている問題というのは自治省ではなかなか手がつけられない。そうすれば、当然警察に対してその問題についての申し入れをするとかなんとかの処置が必要じゃないですか。しかも、公安委員長と自治大臣は同じ人なんでしょう。つまり同じ責任に立っているわけなんでしょう。それがなぜこういう状態で放置されておりますのか、まことにけげんと言わざるを得ない。
  289. 林忠雄

    ○林説明員 この問題がだいぶ長く、しかもなかなか解決していないことば憂慮しておりますが、警察庁といたしましても、直接の御責任でございますので、われわれが考えている以上にこの問題については気を使っておられることと存じます。警察庁としておとりになる手段はすべてとっておられるというふうに私は解しております。
  290. 三谷秀治

    三谷委員 それはあなたはえらい推定に基づく警察庁の答弁みたいなことを言っておりますけれども、何に気を使っておるか知りませんけれども、こういう事態が引き続き出てくるということは、何ら適切な処置がとられていないことじゃないですか。事実がはっきり証明しておるのじゃないですか。
  291. 林忠雄

    ○林説明員 ただいま問題になっております兵庫県の問題のほかに、同じような問題は大阪府下においても、あらゆる県においてもいろいろございまして、それなりに一時非常にひどくなり、それから各官庁の御努力によってある程度平静になりということも繰り返しておる次第でございますが、この兵庫県の問題も、いまの先生の御指摘によれば、いま一番ひどい状態かと存じますが、これらについての平静の事態の取り戻しについては関係官庁全部よく協力して当たりたいと存じます。
  292. 三谷秀治

    三谷委員 私ども大阪でずいぶん経験しましたけれども、兵庫県の事態が特に異常でありますのは、大阪などの市長などが屈服をしましても、住民に対する処置として声明書を出したり、あるいはこの団体の方針をそのまま町の方針として町民にアピールしたり、そんなことはしていない。窓口一本化の問題というのが若干の解決を見ながらもじぐざぐをたどっておる。ここの問題は窓口一本化だけじゃないのです。そこに問題があると思う。  それで、いままだ総理府の答弁を聞いておりませんが、一体公法で覊絆される地方公共団体や教育機関が特定の政治運動や社会運動を行政の事務として取り上げる、そういう行動が認められますか。
  293. 山縣習作

    ○山縣説明員 行政の公平性の確保と地域住民の信頼性の確保につきましては、先生御案内のとおり、昨年、各省事務次官通達で都道府県等に御連絡したところでございます。いまお示しの問題でございますが、総理府の同和対策室は同和対策事業の総合調整の任務を主としているところでございまして、いまの問題点につきまして私どものほうから御答弁申し上げるのはいかがかというふうに思っております。
  294. 三谷秀治

    三谷委員 総合調整でも何でも、こういう事態を無視して同和対策がありますか。こういう無法な、違法な事態が行なわれておって、住民のひんしゅくを買うようなことを繰り返しやっておって、そこに何ぼ予算を出したって部落解放なんか進みますか。進みはしませんでしょう。部落解放ということは重要な問題です。ですから、これは国民全体の協力を受け、支持を受けて初めて成功するものです、理解が必要なものです。そこにおいて町長を拉致して脅迫するとか、校長を引っぱってきておどかすとか、そんなことを繰り返しておってどうして部落解放ができますか、差別がなくなりますか。そういう点に立ちますと、その観点に立って調整が必要なわけなんでしょう。  そこで、もう一つお尋ねしますが、こういう声明書を出してまるで特定団体の代弁者のようなことを言っている。しかも日高町におきましては、こういう集団脅迫以後、いわゆる窓口一本化と称しまして、解同に属さない未解放部落住民に対しては役務の提供をしない。これは自治法の違法だ。そのしないことにつきましての回答書というものを日高町長が公印をつけて出しておる。教育長も公印をつけて出している。これによりますと、未解放部落住民に対して行なわれております税の減免でありますか、この減免につきまして認めないということなんです。これは明らかにいまおっしゃいます行政の公平に反する処置であります。これはどのようにお考えですか。
  295. 林忠雄

    ○林説明員 現実に税の減免につきましてどういう人を対象にし、どういう人を対象にしないか、詳細なことは私のほうで報告を受けておりませんが、本来税の減免というのは行政当局者がちゃんと税法に基づいて、しかるべき者に減免をし、それ以外の者にはしないということを自由に決定し——自由に決定しと申しますか、自己の良心に従って決定するということであるべきでございまして、その決定にもし先生の御指摘のような圧力が加わって良心に従うことができないということであれば、そこに問題があると存じます。これを指導いたします県にいたしましても、それから町村当局にいたしましても、通常ならば法規の規定に従って適正に執行していくということに一〇〇%努力を払うべきものであると存じますので、もしそうでない場合は、そこの問題につきましては、何としても関係者寄って解決するという努力を続けなければならないと存じます。
  296. 三谷秀治

    三谷委員 これはいまおっしゃいますようなことではなしに、内容が非常に明白に記載されている。なぜ君に金を貸さないか、それは「申請者自身が現在部落民としておかれている社会的立場を自覚し、権利意識にめざめ、解放に立ちあがろうとする姿勢」がない、そこで本制度の趣旨及び期待される行政効果に適合しない、だから貸さぬ、こういっている。つまりこれは、このことばはしばしば解放同盟の機関誌などに書かれていることばでありますけれども、要するにこの同和対策事業というものが未解放地区を対象としている、未解放地区住民対象とするものである、これは非常に明白なことなんです。イデオロギーを対象にするものでも何でもない、あるいは特定の運動体を対象にするものでもない、総理府、これははっきりしているだろう。ところがこれによりますと、そうではなしに特定のイデオロギー、特定の運動体、それに適合していないからだめだ、こういつている。こういうような公文書を出している。これについてどうお考えですか。
  297. 山縣習作

    ○山縣説明員 同和対策事業特別措置法の第一条に規定されておるとおり、先生のおっしゃるとおりのことで運用されているところでございます。
  298. 三谷秀治

    三谷委員 おっしゃるとおりでありますのに、おっしゃるとおりではない違法な行為がこの地域一帯に行なわれておるという状態です。これに対してどうされますか。
  299. 林忠雄

    ○林説明員 たびたび御答弁申し上げているところでございますけれども市町村行政、これは本来公平無私に行なわれなければいけないということであれば、それがもしそう行われない原因があるとすれば、関係者全部寄って力を合わしてその原因を取り除くということにまず全力を尽くしていくことが大切だと存じます。
  300. 三谷秀治

    三谷委員 奥歯にものがはさまったような返事でありますが、いまお尋ねしますとそんなことをおっしゃっておりますけれども、もっと早くから随所で起きている問題なんでしょう。それについて適切な手が打たれていない。ですから、憲法の十四条は、言うまでもありませんけれども、法のもとの平等を定めております。「人種、信條、性別、社會的身分又は門地により、政治的、経済的又は社會的関係において、差別されない。」としている。もちろんこれは例示的な列挙規定でありますから、不合理な差別を全面的に禁止したものなんだ。それからまた地方自治法におきましては、法律の定めるところに従って普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有しておる、そして負担を分任する義務を負っておると規定されております。この日高町長の通知というものは、役務の提供をひとしく受ける権利を奪うことになりはしないか。これに対して見解をお聞きしたい。
  301. 林忠雄

    ○林説明員 具体的なそこの町につきましてどういう結果になるかということは、私のほうでも資料を持ち合わせておりませんし、ちょっと申し上げられませんけれども、税の減免の規定や何かの運用につきましては、かねがね法の規定に定められたとおりに公平にやるべきものと考えております。ですから、その町の当局の判断が正しければ公平に行なわれているだろうと思いますけれども、それについてはいま先生の御指摘になったような現地の事態があって、ある意味ではそれがゆがめられているのではないかということであれば、関係者一致して直さなければいけない、そう考えます。
  302. 三谷秀治

    三谷委員 関係者一致してといいますと、何か他動的な感じを受けます。どこに責任があるかわからない感じを受けますけれども自治省も責任を持ち、あるいは総理府も責任を持ち、警察庁も責任を持って直すということなのかどうか、それぞれお答えをお聞きしたい。
  303. 林忠雄

    ○林説明員 もちろんそういうことでございます。私のほうも町村行政が正しく行なわれるということについては責任を持っておりますし、県も持っておりますし、それからそれぞれほかの御所管のところからお答えがあると思いますが、関係者一致して努力が必要であると考えております。
  304. 三谷秀治

    三谷委員 みなそれぞれ答えてください。
  305. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 警察としては、もちろん関係の自治体の長からそういう事実についていろいろと話があれば、幾らでもそれに相談に乗るし、違法行為はただすという姿勢でございます。
  306. 山縣習作

    ○山縣説明員 各行政機関の同和対策事業の総合調整という意味合いにおきまして、関係省庁総合調整に努力いたしたいというふうに考えております。
  307. 三谷秀治

    三谷委員 警察のお答えは、相談があればでなしに、こういう事態が起きておるとすれば、あるなしにかかわらずこれは当然対処するということでなければならぬと思いますが、そうと違いますか。
  308. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 もちろんそういう事態があればそうでございますが、ひそかに特定の場所の中で行なわれた場合、なかなか把握できない場合があります。そういう場合はやはり積極的に自治体の長が良心をもって言ってきていただかないと、われわれとしてはなかなか把握できない面がある、こういうことを申し上げたわけであります。
  309. 三谷秀治

    三谷委員 これについては、自治体の首長だとかあるいは教育長だとかが好んでこういう場所に出かけて、好んで侮辱を受けるということをする性質のものでは決してありませんが、警察に言うても取り締まりの対象にはしてもらえない。だから、そういうことによって一そうきびしい糾弾を受けるよりも、むしろ黙っていこうかというところに問題があるのです。そうしますと、あなた方のほうはこの問題については、そういう地域の長などに対して、そういう事態が生じた場合、そういうことがある場合には十分に相談をしなさい、責任をもって人権を守り、そうして安全を保障しますという態度を積極的に示していくということが、この問題の経過から見ますと非常に必要になってきている。その点についてどうでしょうか。
  310. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 自治体の長がそういうお考えになっているとすれば、われわれとして非常に心配している点なのでございまして、本来ならば、そういうことがあればやはり行政の長としてどんどん言うてきてもらう、それについてはもちろん警察としては積極的に対応する、地方行政の中で警察と自治体が一心同体になってやらなければ、ほんとうの意味の行政はできないということは、われわれとしても十分承知しております。したがって、それぞれたとえば朝来郡なら朝来郡で町長と警察署長は日ごろからいろいろと話し合いの機会があるはずでございます。そういう中でそういう問題も取り上げていくべきものであるというふうに考えております。
  311. 三谷秀治

    三谷委員 その問題につきましては、大阪の経験から申し上げますと、羽曳野市長を十九時間にわたって監禁した事件がある。これにつきましては、市長が退去命令を出す、そうしてそれを警察に頼む、そうすると秘書課長が行ったのではだめだ、総務課長言うてこい、総務課長が言うていくと、ハンドマイクで庁内全部ふれて回れ、こういうことを繰り返しとって、適切な処置をとらなかった例がある。たくさんの事例を私たち持っている。そういう警察の実態からしまして、だんだんとこういう暴力行為がエスカレートしてきているわけだ。だから、これはいまおっしゃいますように、署長がどうとかこうとかおっしゃってますが、署長自身がすでに糾弾をおそれてしまっているじゃありませんか。三十二名ではどうにも対抗できませんと言っているじゃないですか。そういう状態というものを考えてみますと、警察がこの際におきましては、こういう事犯についての一般的な見解なり方針なりを示して、そうしてこういう不法には屈服しないということを保障するということは、きわめて緊急な問題だと私は考えております。  それから、自治省や総理府などは総合的に相談してやるというけれども、こういうふうな処置をとらずに、一体どうするという何らかの具体策がありますか。
  312. 林忠雄

    ○林説明員 繰り返し御答弁しておりますが、自治体の行政の運営というのは、その当局者の良心に基づく判断と、さらにそれに対する住民の支持ということにささえられなければならないと存じます。そこでそのもとにつきまして、もし先生の御指摘のような遺憾の状態があるとすれば、それをまず取り除くことに——関係者と申しますのは、もちろん警察もそうでございますが、これを指導する県もそうでございましょうし、さらにそれらを一般的に指導しております私たちの役所とか総理府とか、およそ同和関係行政関係のあるものは全部そうでございますが、まずその根本の問題をあるべき姿にし、さらに具体的な運営の指導に参るべきであろうというふうに考えておる次第でございます。
  313. 山本鎮彦

    山本(鎮)説明員 午前中も申し上げましたけれども警察としては、いかなる運動いかなる目的があるにしろ、やはり違法行為、不法行為は許さない、こういう強い姿勢ですべての問題に対して対処しておるわけでございます。
  314. 三谷秀治

    三谷委員 そのお答えは、いまの質問に対する答えとしましてはきわめて抽象的で、しかも具体の事実にはそぐわないということをさっきから申し上げております。  しかし、時間があまりありませんから次に行きますけれども、いま言いましたのは単に日高の町長だけではありませんよ、但馬地方におきましては一般的になってきている。違法行為を平然と重ねてきている。たとえば九月七日、いま警察が取り調べをすると言った問題が発生した原因になりましたのは、統一刷新有志連が地域内の新聞販売店と契約して、暴力行為批判のビラを折り込みにして配布しようとした。これを統一刷新有志連と話し合いがついておると偽って、町長の指示によって町当局が没収してしまった。朝来町では町長、助役が指示しておる、生野町では町長が指示しておる、和田山町では教育委員長が指示しておる、そして町職員や教員が回収に回っている、ビラを持って帰る、これが皆さん地方公共団体の事務として許せますか。  それからその翌日の九月八日に、折り込みができなくなりましたからやむを得ず各戸配布にかかった。その過程で監禁事件が起きた。これはさっき取り調べしたとおっしゃった。ところが、この各戸配布しましたビラを町長や教育委員長が、自分たちも加わって、職員や教員に指示して抜き取って回収しておる。八時にまいたものが十時には回収されてしまった。そして翌日町長の公印入りのビラがまかれておる、統一刷新有志連のビラは差別というそのビラだ。こういう宣伝をしておる。これが地方公共団体の正当な事務として認められますかどうですか。
  315. 林忠雄

    ○林説明員 具体的な事情を具体的なその状況について詳しくはございませんので、確とは言いかねる面もございますけれども、地方公共団体の長、教育委員長、そういった正当な権限を持った機関がこうすべきだと判断するにはそれ相当の事情が通常の場合はあるはずでございます。大体町村当局というのは、通常の場合そう間違ったことをするとはわれわれは思っておらないわけでございますが、ここに先生の御指摘のような特殊事情がございまして、何らかの意味でみずからの意思にもし達しないという面があるならばはなはだ遺憾なことであろうと存じます。
  316. 三谷秀治

    三谷委員 これが「急告」というビラ、公印入りですよ。それからこれも山東町長がまきましたビラです。これは町だけではないですよ。兵庫県の特徴は、この地域に存在します県の出先機関が全部同じ立場をとって、声明書を出したりあるいは回答文を出したりしておる。「在豊岡市、県地方機関長一同」という名前で出しておる。これでは何ぼ県に言っても役に立ちゃしません。これに書いてありますのは、「部落の完全解放は部落解放同盟と連帯して差別と闘う以外、その実現は期し難い」こういうことをいっておる。これは公共団体でしょう。政治運動やあるいは社会運動というものと教育とは厳密に区別しなくちゃならぬ。あるいは社会運動や政治運動と公共団体の事務は厳密に区別しなければならぬ、このことは同対審答申にもはっきり出ておることなんでしょう。ところがこれはどうですか、県の地方機関長一同の名前をもってこのような声明が出されておる。これではあなた何ぼ県のほうに照会してもだめですよ。町だけではない、県がすでにそうなっておるという状態なんです。これはどうお考えですか。
  317. 林忠雄

    ○林説明員 町の場合は非常に小さい世帯で、また事務に練達な人も少ないという面もあるかもしれませんけれども、県の場合はあれだけの大きな世帯を持ち、行政というものに責任を持っておるわけでございますから、通常の場合は私たちは県の行政能力なり県の指導というものは常に信頼しております。ですから、県の機関が何らかの措置に出たとすれば、やはりみずからの判断とみずからの良心に従ってやったと通常は考えたいところでございまして、もしそれが県の本庁ではなくてある出先機関でございまして、ある特定の地方における特定の状況のもとに、さっき私が申しました自分のほんとうの気持ちないし良心に反したことをしいられておるとすればやはり同じ問題であろう。私たちのほうは県というものは通常は信頼しておりますし、県が自分の責任をもってやったことということに対してはそれなりの理由があると常に考えておりますが、もしそこに異常な状態があるとすればこれは非常に遺憾なことでございますし、先ほど申しましたように、そういう状態でないようにすることに全員努力が必要であると考えております。
  318. 三谷秀治

    三谷委員 県といえどもこの糾弾、確認などの対象から免れません。兵庫におきましては、つい先般、建設部長が糾弾会の席上で、おまえはぼやぼやしている、水などかぶれと言われて、どうですか、そばにあったバケツの水を頭からかぶったでしょう。そういう状態が県段階においても起きている。こういうことがあなた方がお好みになります法治国家におきまして許されていいことなのですか。ですから、県がやったものであろうとどこのものであろうと、憲法や自治法に違反するものは明らかに違反するわけであって、県だから違反しない、町だから違反する、そういう性質のものじゃありません。  時間がありませんから次に行きますけれども、たとえば八鹿町ではこういうことが起きているでしょう。部落解放日高刷新有志連のビラを町内の印刷所で印刷したというのであります。町長がその印刷所に社会福祉主事を派遣をして、町がきめた解同路線に反するから印刷を今後引き受けちゃだめだとこう言ったのでしょう。そうしたら業者はこれを聞き入れません。商売です。そうしたらどうですか、町長と教育長と商工会長の連名で、部落解放学習会を開くから出てこいといって八人の印刷業者を引っぱり出した。そして九月十八日に町民ホールで学習会をやった。解放同盟という集団が四、五十人来て、これが監視している中で学習会をやりて、今後印刷はいたしません、こういうことまで約束さしている。これは明白なる公権力を利用した言論妨害であり、営業の妨害ではないですか。職権乱用罪にも該当するものです。そうお考えと違いますか。
  319. 林忠雄

    ○林説明員 そのときにどういう事態であったのか承知しておりませんので、先生のおっしゃるような罪名に特に当たるとか当たらぬとかの論評は差し控えたいと思いますが、要するに、町長あるいは教育委員長、そういった公職にあるものについては常に自分の良心に従った行動をするのが当然であろうと考えております。
  320. 三谷秀治

    三谷委員 抽象的な返事だけれども、法務省の人権擁護局長お見えになっておりますが、こういう人権侵害に対して法務局のほうはお調べになったのですか、どういうことなんです。これは放任したままで、何ら人権擁護に積極的に乗り出そうとしないということはどういうわけなんです。
  321. 萩原直三

    ○萩原説明員 先ほど来の糾弾会等については、実はこの席で初めて伺ったわけでございます。私どもに入りました情報といたしましては、午前中に御質問がありました仮処分決定の下された事案についてでございます。この事案につきましては、たしかこれは十月二十三日に決定が下されたと記憶いたしておりますけれども、その翌日から直ちに地元の神戸地方法務局、並びに地元の人権擁護委員の方々が情報収集につとめて、その実態の把握につとめてまいっておるのでございますけれども、いまだにその結論を得るまでには至っていないのでございます。ただ仮処分決定の前提となった事実がありとするならば、これはまことに人権擁護上看過すべき問題ではないと考えております。したがってわれわれとしましては、主義主張はどのようなものであれ、暴力に及ぶ行為は、これはいかなる場合にも認めない、私どもとしては厳正公平な立場で、われわれの能力の範囲内で、できるだけ人権を守るための努力を続けていきたいと考えております。
  322. 三谷秀治

    三谷委員 お答えはけっこうでありますけれども現実に人権がじゅうりんされている、無視されている、こういう事態が発生しておりますのに対して何ら手を打たずにそういうことをおっしゃっても、これは合点のいくものじゃないですよ。この事案に対してどういう手段をおとりになるのかお尋ねしたい。
  323. 萩原直三

    ○萩原説明員 私どものほうでは、その事実関係を私どもの立場で正確に把握したいとつとめているわけでございます。  それからさらに申し上げたいのは、私どものほうは全く強制権限を持ちません。もっぱら人の気持ちに訴えて、こういうことは人権上やってはならないことだというふうな意識が一般に浸透するように説得活動につとめなければならないと思っております。
  324. 三谷秀治

    三谷委員 それはどういう活動でもかまいませんけれども、こういう事態を放置しておって人権のじゅうりんや侵害がひんぱんに起きてきておる、それに対して何ら具体的な処置をとらないということでは、おっしゃいますような責任は果たせませんですよ。これをおとりになりますか。  時間の関係で次に一括してもう一つお尋ねしておきますけれども、こういう問題も起きているのですよ。たとえばこれは豊岡でありますけれども、ここにおきましては行政確認、糾弾会によりまして、窓口一本化だけでなしに、部落問題研究所という出版社が発行しました書籍は市民に閲覧させることを中止しろ、中止します、こういう確約までやっている。豊岡の市立図書館からはこの特定の書籍を排除する、こういう不法な処置まで行なわれておる。図書選択の自由、言論の自由というのが完全に侵害されてしまっている、これについてはどうお考えですか。
  325. 萩原直三

    ○萩原説明員 そのことも実は初めてお伺いしたわけでございまして、そのこと自体について答弁することは差し控えたいと存じます。ただ一般論といたしまして、部報解放運動のあり方についてはいろいろな考え方があり得るだろうと思います。そうしてその主張を自由な言論の範囲内で戦わせるということには格別問題はなかろうと思うのでございます。しかし、それがエスカレートいたしまして暴力ざたに及ぶような場合、これはその動機、原因のいかんにかかわらず差し控えられなければならないことではなかろうかと考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、暴力はいかなる意味においても認めない、そして私どもの立場から、厳正公平に人権擁護に役立つための努力を続けていきたい、このように考えております。
  326. 三谷秀治

    三谷委員 この事態についてどういう処置をされますかと言っているのであって、その一般論を聞いているのと違います。  いまこの地域におきましては人権侵害が起きておる、あるいは人権じゅうりんがなされておる。公共団体の長までが糾弾会、確認会といって、徹夜でつるし上げされている。そういう事態に対してさしあたりどういう処置をおとりになるのか、これを聞いている。  それからもう一つ法務省にお尋ねしておきたいのですが、公安課長お見えになっておりますが、ここにおきまして、こういう状態ですから当然自治体の財政が乱脈をきわめている。要求に従って財政を組み上げる、しかも財源がない、雑入というような全く入る見込みがない歳入を記載して、そしてこれはこのままでいけば穴があきますとちゃんと説明書に書いて、そういう予算まで出している。しかも、こういう糾弾とか確認会とかいうふうな行為に対して、糾弾費用を出せといって三千万円要求している。これは南但八町に対する要求であります。つまり、朝来郡と養父郡の八つの町村に対する要求なんです。三千万円は高いから千五百万円でかんにんしてくださいということで千五百万円出している。それはことしの三月の四十八年度の最終予算におきまして補正している。財政規模によってこれを分割して負担している。その糾弾費というのは何に使われるのか、どのような内容のものか、議会で質問してもわからない。しかも、そういう質問をすること自体が差別者である、そういうことが糾弾の対象になるんだという、こういう状況になってきている。  予算の問題を私申し上げる予定でありましたけれども、時間がありませんから予算は次に割愛しますけれども、いかに乱脈な状態になっているか、この次の委員会までに自治省は調べておいてもらいたい。どうですか。
  327. 林忠雄

    ○林説明員 できるだけの資料をそろえるようにいたします。
  328. 伊能繁次郎

    伊能委員長 時間がありません。時間はとっくに過ぎております。
  329. 三谷秀治

    三谷委員 もう一つだけ聞かせてください。  法務省の公安課長わざわざおこしいただきましたのでお尋ねさせてもらいますが、その乱脈な予算の中の一つが、狭山差別裁判糾弾と称して、これらの公共団体が公費をもって職員や教員を東京に派遣する、この種のビラを町内に張り出す。これは養父町という町がやった行為ですよ。町民に対してこういう活動を行なっている。これが正当な行政活動といえますか、行政事務ですか。  私どもは、一般国民の刑事事件に対する態度というものは、正義と真実、人権を守るという観点であって、それが基本になるものである。この立場からしますと、事実と証拠に基づいて公正な裁判によって真実を明らかにし、被告の人権を守る、正義を守る、これが焦点だ。ですから、狭山裁判について言いますと、その立場に立って、疑わしきは罰しない、証拠不十分だ、そういう刑訴法の原則に立って、正義と人権を守る、これが刑事裁判に対する国民の態度だと思う。ところが、これを差別裁判というように一面的に主張して、裁判糾弾、石川青年奪還、こういう要求や運動というものがなされる。現行法令上認められないこういう状況に対して、地方公共団体が膨大な予算を組んで職員や教員を参加させる、公費でビラを印刷して町じゅう張り回す、こういう行動に対してどのような御見解か、公安課長にお尋ねしておきます。
  330. 俵谷利幸

    ○俵谷説明員 御指摘の点でございますが、この問題必ずしも私どもの所管であるかどうか、ちょっとはっきりいたしかねるところもございます。しかし、町がその町長の権限によりまして金を出すということは、法規等に違反しない限りは問題ないのだろうと思いますが、これが法規その他に違反しておるというようなことになれば、公費の不正流用という問題も起きるでありましょう、こういうふうに考えられるわけで二ざいます。  それからまた、裁判は証拠に基づきまして裁判所で厳正、公平に行なわれるべきでありますので、予断と申しますか、一方的な判断でそういうビラがまかれるというようなことは、裁判の中立保持という点から見ましても好ましいことではない、かように考えます。具体的な事実につきましては承知いたしておりませんので、断定的には申し上げられませんけれども、当面かように考えております。
  331. 三谷秀治

    三谷委員 一般の国民のする運動でなしに、公共団体がそれをやっているというところに問題があるわけなんです。それについて自治省はどうお考えですか。
  332. 林忠雄

    ○林説明員 たびたびの答弁の繰り返しでおそれ入りますけれども、公共団体としては公共団体として当然やるべき道があり、良心に従って責任ある機関はやっておるもの、通常はそう考えておるわけでございます。  この問題は、いま先生の御質問、それに対する法務省の御見解のように、それにふさわしくないものがあるのではないかという疑いは持っておりますけれども、具体的な事情は、どういう状況のもとにどういう町民の世論のもとにどういうことをやったかというのを、さらによく県のほうを通じて聞いてみたいと思っております。
  333. 三谷秀治

    三谷委員 時間が来ましたので、中途でたいへん残念ですけれどもこれで終わっておきますが、いまお答えになりましたように、これは総合的な対策を立てて対処しなくちゃならぬとおっしゃったけれども、その対策をどのように立てるか、あとで協議をして、そしていずれまた委員会がありますので、その席上で明確なお答えをお聞きしたいと思う。時間の関係でたいへんはんぱになりまして残念でありますが、これで終わります。
  334. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次回は、明十三日午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会