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1974-09-11 第73回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月十一日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 阪上安太郎君    理事 小沢 一郎君 理事 高鳥  修君    理事 安田 貴六君 理事 金丸 徳重君    理事 諫山  博君       瓦   力君    塩谷 一夫君       竹中 修一君    森  美秀君       阿部未喜男君    岩垂寿喜男君       金瀬 俊雄君    川俣健二郎君       柴田 健治君    山本弥之助君       栗田  翠君    中川利三郎君       山原健二郎君    広沢 直樹君       稲富 稜人君    宮田 早苗君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 西村 英一君  委員外出席者         国土政務次官  山内 一郎君         国土庁長官官房         審議官     横手  正君         国土庁長官官房         災害対策室長  杉岡  浩君         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         厚生省社会局施         設課長     舘山不二夫君         農林大臣官房審         議官      今村 宣夫君         農林省構造改善         局建設部長   福澤 達一君         農林省構造改善         局建設部防災課         長       棚橋 正治君         水産庁漁港部防         災海岸課長   根本 清英君         運輸省港湾局防         災課長     堀口 孝男君         気象庁予報部主         任予報官    越智  彊君         気象庁観測部長 有住 直介君         労働省労働基準         局補償課長   山口  全君         建設省都市局下         水道部下水道事         業課長     井前 勝人君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省河川局河         川計画課長   栂野 康行君         建設省河川局治         水課長     本間 俊朗君         建設省河川局開         発課長     佐々木才朗君         建設省河川局海         岸課長     豊島  修君         建設省河川局防         災課長     田原  隆君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      大工原 潮君         建設省道路局地         方道課長    三野栄三郎君         自治省財政局地         方債課長    小林 悦夫君     ――――――――――――― 委員の異動 九月十一日  辞任         補欠選任   大原  亨君     岩垂寿喜男君   柴田 睦夫君     中川利三郎君   津川 武一君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     栗田  翠君 同日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     大原  亨君   栗田  翠君     津川 武一君   中川利三郎君     柴田 睦夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 阪上安太郎

    阪上委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、台風第十六号及び第十八号による被害状況等について政府当局より説明を聴取いたします。国土庁長官官房審議官横手正君。
  3. 横手正

    横手説明員 十六号並びに十八号台風被害状況につきまして御報告を申し上げます。  お手元に資料をお配りいたしてございますが、台風第十六号による災害関連では、人的被害といたしましては、死者・行くえ不明者九名、これは愛媛県ほか四県において生じております。建物関係におきましては、全壊流失五十二戸、半壊百八十二戸、床上浸水千五百六十七戸等でございます。  なお、災害発生前から関係県並びに市町村では災害対策本部を設置いたしてございますが、この関係は七都県百七市町村に及んでおります。  また、災害救助法を適用されました市町村でございますが、高知県下で三市町村ございます。  次に、台風第十八号による災害関連でございますが、人的被害では死者十三名、これは大分県ほか三県でございます。また、建物関係では、全壊流失六十八戸、半壊百一戸、床上浸水四千六戸というような状況でございます。  災害対策本部は六県百七十二市町村に設置されております。  また災害救助法は、大分県で四市町、愛媛県で一市一町、兵庫県で一市、合わせて七市町村が適用されてございます。  被害額状況でございますが、目下関係省庁詳細調査中でございますが、台風十四号、十六号、十八号、この関係合わせまして、公共土木関係で約五百六十億円程度農林関係で四百億円程度被害が生じておるわけでございます。なお、この被害額は、今後調査が進みますと、まだ少し増加してまいるのではないかというふうな見込みでございます。  以上、簡単でございますが、御報告を終わります。     ―――――――――――――
  4. 阪上安太郎

    阪上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  5. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は、いま御報告をいただいた災害の中の、多摩川の問題について集中的に質問をいたしたいと思います。  亀岡建設大臣は、去る九日の参議院の建設委員会で、この多摩川堤防決壊事故というものについて、人災であると言われても抗弁する気にはならないという見解を示されました。これは自然に対する行政の甘さが招いた人災ではないかという社会党の沢田委員に対する答弁でありまして、この点について、最近の衆参両院建設委員会で、すでに各党の委員からあらゆる見解、あらゆる立場から解明がされてまいりましたので、私はここで繰り返すつもりはありません。その認識を私たちが妥当に、そのように考えてよろしいかどうかという問題点指摘せざるを得ないわけであります。  すでに多摩川災害調査技術委員会というものが昨日発足をいたしまして原因究明が行なわれるようになっているわけでありますが、この多摩川災害調査技術委員会の性格と機能について、大臣答弁事務当局答弁の間に若干の意見の食い違いがあるように見受けられます。つまり、それは原因究明と今後の対策、それから、いわゆる被害者補償を含めてこの委員会が担当していくことになっているのかどうか、その点についてまず伺っておきたいと思います。
  6. 増岡康治

    増岡説明員 お答えいたします。  多摩川災害調査技術委員会は、関東地方建設局局長の諮問に応ずることになってつくったわけでございますけれども、昨日発足いたしました。この目的は、第一に、災害原因追及でございます。第二に、災害に関する今後の技術的対策という二つの項目がございまして、これによって調査を早急に進めよう、そういうことになっております。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そうしますと、それは補償の問題などについてはこの委員会は議論する場所ではないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  8. 増岡康治

    増岡説明員 補償その他の問題につきましては、大臣が申しますように、この技術委員会原因追及をいたしますので、こういうものが大臣の判断の根拠の一つになると思いますが、これ自身は、そのものでなしに、原因究明技術的対策検討でございます。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 新聞で拝見しますと、年内に中間報告をまとめて、来年の三月末までに最終報告を提出する、こういうことになっているようでありますが、やはり現地の人たち気持ちをも含めて、もう少しスピードアップして――まあかなり早急にこの調査委員会を設置したことについては、一定見解を持つわけでありますが、周辺住民のために、あるいは台風の季節がまだ済んではいませんものですから、もうちょっとスピードアップをすることはできないのかどうか、その点について御見解をお伺いしておきたいと思います。
  10. 増岡康治

    増岡説明員 もちろん先生のおっしゃるとおりでございまして、この結論は早急に出したい。しかしながら、いろいろ複雑な問題がございます。まず測量をしなければいけない。洪水の解析だけで相当時間を要したり、いろいろ各方面の多角的な調査もしたいものですから、余裕をもって申し上げておりますが、先生のおっしゃいますように、中間報告はできるだけ早く出したいと努力いたします。
  11. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 人選についていろいろ申し上げるつもりはありませんが、どうもあまりにも政府関係者が多いのではないか、あるいはかねて建設省に御関係のあった方々がたくさんいるのではないだろうかという意味で、この委員会について被害者方々一定見解を持っていることは御存じだろうと思うのであります。この委員会にそういう観点からいろいろな角度で検討する人たちをそろえたことは私なりにも理解をするわけですが、もう少し被害者人たち気持ちをもストレートに反映できるような人選ができなかったものかどうか、あるいはそれらの経過関連をして、今後被害者の人を含めて周辺住民自治体気持ち要求あるいはこの災害に対する一定見解というものをこの委員会がくみ取っていく配慮、つまり住民参加のシステムを保証しておられるかどうか、この点について承っておきたいと思います。
  12. 増岡康治

    増岡説明員 今回の災害調査技術委員会につきましては、先生承知のとおり、私どもの本省におきましていろいろ公平な立場で選んだ結果がそういうようになりましたけれども、この災害というものは、先ほど私申し上げましたように、非常に多角的な面を含んでおりますし、東京都並びに川崎市等の地方自治体方々の御意見も十分反映いたしたい。いま先生のおっしゃるようなありとあらゆる資料を私どもいただきたいわけでございますので、ひとつそういう面で進めさしていただきたいと思っております。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 自治体のそれに対する配慮というものも十分考えるわけですが、被災者あるいは多摩川の自然を守る会というような形で結集している、それなりの立場でみんなが多摩川の自然を確保していこうという努力をなさってこられたこの種の住民運動といいましょうか、市民運動といいましょうか、そういう人たち気持ちを反映できるようにこの際確かめておきたいと思うのでありますが、お答えをいただきたいと思います。
  14. 増岡康治

    増岡説明員 調査の過程におきましてそういう団体の方々の御意見も十分お聞きいたしまして、そういうものを議事の中のといいますか、調査一つに加えさしていただきます。
  15. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これも衆参両院建設委員会などで各委員追及をし、あるいは指摘をしているところでありますが、天災であるというそういう見解に近いことはだれしもが了解をし合っているところであります。しかし、この調査委員会というものが発足したわけでありますから、その結論を待たなければなりませんけれども、この際、原因究明とあわせて、国家賠償を含む被災者に対する最大限補償措置といわれるものを行なうように、あらためてこの機会要請をいたしておきたいと思います。  続いて、質問を続けますが、建設省はこれまで多摩川護岸の再点検というものをおやりになったことがあるのかどうか。それから、そのおやりになったことと、今度の災害と、これからの対策について、大体一つ方向をお持ちだろうと思うのですが、その点について見解を示していただきたいと思います。
  16. 増岡康治

    増岡説明員 いわゆる河川管理者といたしまして、各堤防並びに河川を横断しておりますいろんな橋梁だとか水門その他たくさんございますけれども、この堤防につきましては、御承知のように、各出張所というものが各工事事務所にございますので、これは日常業務としてやっております。パトロールその他でやっておりますが、水門等につきましては、特に重要でございますので、本年におきましても、六月には事務次官通牒で、全国中小河川以上、直轄も府県も点検をするように指示してございまして、その要綱もあるわけでございますが、今回の多摩川災害を見まして、さらにこの原因を見ますと、従来の点検作業ではなかなか見つからないようなことが出ました。例の宿河原におきましても、六月の半ばに、川崎市の管理者の立ち会いの上で、私ども京浜事務所点検いたしましてやったわけでございますけれども、残念ながらそこまで見きわめることができなかったことは確かでございますので、今回は、その多摩川災害を頭に置きながら、さらに詳しい総点検を実施するように、先般全国中小河川以上に対しまして指示をいたしました。
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その多摩川点検と今度の事故との関係は、堰堤の問題もあるでしょうけれども、そのほかに、たとえば上流の問題、治山治水の問題あるいはダムの問題、そういう全般の問題について、いままで資料を持ち合わせてはいなかったのですか。
  18. 増岡康治

    増岡説明員 もちろん多摩川についても、上流小河内ダムからずっと下流までの全般の井ぜきの資料は全部持っております。もちろん所有しておりますが、いわゆる点検というものは、そういうものを持ちながらも、どうしても目で見た視察になり、あるいはゲートの操作が動くかどうか、そういう点に非常に焦点を置いた点検をしてきたわけでございます。
  19. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その点検関連をして、これはいつも起こることなんですけれども多摩川の増水によって、いわゆるバックウォーターとでもいいましょうか、溢水被害を受けた中小河川が、川崎にも――川崎だけじゃないのですが、たくさんあるわけであります。これは建設省ももう御存じのとおりであります。その中で、特に大きな被害というか影響をもたらしたのに平瀬川の問題がございます。これはかねてから問題にはなってきたことだろうと思いますけれども多摩川合流点処理についてどのような対策をとろうとしておられるか、その具体的な計画とそのめどをこの際はっきりさせていただきたい、このように思います。
  20. 増岡康治

    増岡説明員 多摩川支流平瀬川につきまして申し上げます。  支川の合流点処理といたしましては、本川洪水影響区間内の支川堤防本川と同一とするのが原則でございますが、この平瀬川の場合は、川沿いがすでに市街化しております。したがって、このような堤防の築造というのが非常に困難になっておりますので、私どもは、この解決にあたっては、バック堤をつくったらどうかとか、セミバック堤といいますか半分バック堤だとか、あるいは水門ポンプでやるとか、三つ方向につきまして検討を進めておるわけでございます。この中でどれが一番いいかという問題、いま一番検討しておりますが、現在、本年度におきましても、この平瀬川につきましては六億一千四百万の金をかけております。そういうようなことで、この三つの案を検討いたしまして方針が定まれば、これから事業実施を早く進めていきたい、そういうようなことを考えておる次第でございます。
  21. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その定まればということがいつまでも続いている間に、実は事故が起きるわけでありますので、たとえば来年までに結論を出して具体的な予算化をしていくという手だてを、この際私はお願いをしたいと思うのですが、今度の事故関連をして、そのようにお願いができるかどうか。
  22. 増岡康治

    増岡説明員 平瀬川につきましては、非常に大切なところということを十分存じ上げておりますので、先生の御趣旨に沿いまして、早く結論を出して早く着工していきたい、そういうぐあいに考えております。
  23. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 鶴見川の問題も同じでありまして、これは水害のたびに問題になるわけであります。特に矢上川の国の直轄個所改修がかなりおくれているというか、計画があるわけですけれども市民から見ると少し悠長ではないかという気持ちがあるわけでありますので、これを早めていただきたいという意味で、たとえば一年でもこれを繰り上げて、五十一年くらいのところまでに完成することができないかどうか。この際の教訓を生かしていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  24. 増岡康治

    増岡説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。鶴見川につきましても、改修計画上いろいろ問題がございましたけれども、ことしの四月に工事実施基本計画を改定いたしました。そういうようなことで、いかに重大な川かということを私ども存じておるわけでございますので、特にこういうような都市を守る都市河川といいますか、大河川につきましては、全国河川事業の中におきましても、特に焦点を合わせまして、一年でも早く進むような努力を今後とも続けさしていきたいと思っております。
  25. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それ以上言ってもあれだと思うのですけれども、来年の予算要求の中で実現ができるように、最大限努力をしてほしいと思います。これは矢上川だけでなくて、いまの平瀬川の問題もそうです。そのたび繰り返しておるわけです。その意味でぜひそのことをお願いをしておきたいと思うのであります。  それから、多摩川護岸被害個所早期復旧要請をしなければならぬわけですが、この際、完成のめどをどの辺に置いていらっしゃるか、聞いておきたいと思います。
  26. 増岡康治

    増岡説明員 ただいま宿河原の高堤ぜきにつきましては、今回の災害復旧の際に一部爆破せざるを得ないということでございます。これは私どもみずからが対策工事として実施したわけでございますので、来年のかんがい期といいますか、そういうことに間に合うように機能復旧をさせていただきます。
  27. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その堰堤だけじゃなくて堤防がほかにも決壊しておりますね。この問題もちょっとお答えをいただいておきたい。
  28. 増岡康治

    増岡説明員 堤防のことについて申し上げます。  現在の破堤個所とつきましては、この十六日ぐらいまでには狛江市のほうは完成いたすと思います。これは緊急堤防といいますか、でき上がりまして、今月じゅうにすべての堤防といいますかがその地区につきまして完成する。ところが、対岸におきます川崎市のほうにおきましても、延長八百五十メートルになりますが、この護岸が実はやられております。したがって、この中で緊急を要します地区については、百八十メートルにつきましては、特に緊急を要するということを考えておりまして、これは九月の十六日を目標に鋭意現在復旧をしております。その他の地区につきましては、その被害程度に応じまして、今後二年以内におきましてすべての護岸がこわれたところは完全復旧いたしたいと思っております。
  29. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それは全部国の責任でやっていただくというふうに理解してようございますね。
  30. 増岡康治

    増岡説明員 そのとおりでございます。
  31. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 引き続いてこの機会に伺っておきたいと思うのでありますが、私は、本年の二月の本院予算委員会分科会で、河川敷ゴルフ場の問題について、その開放亀岡建設大臣指摘をいたしました。同時に、私企業運動場一般公開の問題も質問をいたしまして、建設大臣からその約束を取りつけたわけでありますが、その後もう半年以上も経過いたしておりますので、この機会ゴルフ場開放計画が一体どうなっているか。それは多摩川に限らず全般的にぜひひとつこの際承っておきたい。中間報告でけっこうでありますから。と申しますのは、今後の問題に関連をして、またぞろ業者がゴルフ場を確保しておきたいという運動を始めているやに承っております。その意味で、建設省のきちんとした姿勢をこの際承っておきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
  32. 増岡康治

    増岡説明員 多摩川におきます河川敷地開放計画につきましては、全国いろい川がある中で、最も注目をしなければいけない川と思いまして、私どもは、この開放計画昭和四十九年度を初年度といたしまして、四カ年を目途としてやっておるわけでございますが、すでに第一次開放計画がございましたが、今度は多摩川日野橋から河口に至る約四十キロ間についてを対象にしております。特にいま先生指摘のような、すでに占用敷地の中で三つゴルフ場の問題がございます。これにつきましては、できるだけ早急にこの開放に持っていくような努力をさせていただきたいと思っております。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この際、荒川やあるいは江戸川のこともちょっと聞いておきたいのですが、それと関連して。  多摩川御存じのとおりに来年の三月三十一日で期限が切れるわけであります。私が伺ったのは、ことしの二月に、ことしの三月三十一日で切れて一年後ということで延ばした経過がありますので、よもやこれ以上更新をなさることはないと思いますが、そのような行政指導をなさっていらっしゃるかどうか、その点について見解を承っておきたいと思います。
  34. 増岡康治

    増岡説明員 この件については、非常に困難があるかもしれませんが、先生のおっしゃるような方向努力さしていただきます。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 特定の企業が河川敷といういわば国民の財産を占用しているという状態が非常に長く続いているわけあります。その意味では、市民の手にあるいは都民や県民の手に、国民の手にその広場を、その緑をやっぱり開放しなければならぬと思うのであります。その意味で、建設省がテンポを速めてもっと具体的に措置をいただきたいことを要請をいたしますが、荒川やあるいは江戸川の問題も承っておかなければなりません。  聞くところによると、メンバーをとりあえずパブリックにしていくような方針があるようですし、私企業運動場についても建設省管理に移していくというプログラムがあるように承っておりますが、その点をはっきりひとつこの際示していただきたいと思うのであります。聞くたびに少し延びていくというのでは困りますので、その点を、たいへん申しわけないのですが、きちんとひとつ御答弁をいただきたいと思っております。
  36. 増岡康治

    増岡説明員 いま先生のおっしゃったような項目につきましては、そういう方針を持っておりますが、いま直ちに、また多摩川のようなびしっとこういう計画をというところまでは、まだ若干進んでおりませんが、努力してまいりたいと思います。
  37. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その多摩川以外の荒川江戸川に現実に努力しているのですか。たとえばパブリック化の話あるいは開放の話、その点もうちょっと言っておいてください。
  38. 増岡康治

    増岡説明員 荒川につきましての御質問でございますけれども、この件につきましては、あと一年以内におきまして大体方向を、タイムスケジュールをつくりたい、そういうぐあいに考えております。
  39. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それは全部のゴルフ場ですか。一年以内というのはどういうことですか。パブリック化ということですか。その点の方向性をきちんとさしてくださいませんか。
  40. 増岡康治

    増岡説明員 ゴルフ場パブリック化についてはやります。すみやかにパブリック化をするとともに、その他の既占用敷地につきましていろいろございますが、そういうものに対して、そのほかのものに対して一年以内にはっきりそういうものをしていこう、そういうぐあいに申し上げたわけでございます。
  41. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 くどくしていて悪いのですが、ゴルフ場は一年以内にパブリック化を完了する、その他の占用敷地についても開放について具体的な手だてを明らかにして始めるというふうに理解してようございますか。
  42. 増岡康治

    増岡説明員 そのとおりでございます。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 多摩川といい荒川といい、実はたいへんな面積の占有でありますので、これはぜひ建設省としてはっきりしてほしい、いまお答えをいただいた方針に基づいて努力をしていただきたいと思います。  それに関連をいたしまして、この間新聞で実は河川敷管理財団の構想が明らかにされております。この際ですから、この計画の全容についてぜひ伺っておきたいと思うのであります。たとえば、どんな資本関係でその財団が発足するのか、どんな仕事をなさるのか、そのことを最初に承っておきたいと思います。
  44. 増岡康治

    増岡説明員 お答えします。  河川敷地管理財団、これは仮称でございます。これは来年度を目標にスタートしたらどうかといま検討しておるわけでございますが、本財団は、今後の増大いたします一般公衆の河川敷地利用の要請に対処をいたしますとともに、河川敷地の適正な管理運営をはかることを目的として設置するものでございます。  本財団は、みずからが公園、運動場等の利便施設の設置を行ないまして、その維持管理を行なうほか、地方公共団体等が所管いたします施設の維持管理業務の受託、河川管理者が行ないます河川環境整備事業、維持修繕事業の受託等の事業を行なうこととしておりまして、来年が発足の年度になりますけれども、約十一億円の事業費を予定して考えておる次第でございます。  本財団は、一市町村の区域を越えまして、広域的かつ一元的に河川敷地管理、運営を行なうこととしておりますので、当然流域の関係地方公共団体及び住民要請に沿って事業の実施をはかろう、そういう心がまえでいま検討しております。  まだいろいろ問題がございますけれども、現在なお勉強しておる最中でございます。
  45. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この資金計画の中に、たとえば東急などをはじめとする民間の資本が加わるという可能性はあるのかないのか、それから、地方自治体にどの程度の資金内容を要請しようとしていらっしゃるかどうか、この点について承っておきたいと思います。
  46. 増岡康治

    増岡説明員 この管理財団につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、河川管理とともに、利用する市民方々のためになるということで、やはり援助資金というもので、地方の皆さん方の団体といいますか、そういう方々の御援助もいただこう。まだ私企業その他については考えが及んでおりませんけれども、これからの話し合いによって御理解が得られるところからやはりこういう御援助をいただくことも考えております。
  47. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それは資本金ですか、寄付金ですか。
  48. 増岡康治

    増岡説明員 寄付金でございます。
  49. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 財団というものができて、それが河川管理をしていくということそれ自体に反対をするつもりはありませんけれども、それが、たとえば私企業の意向などというものに左右されるような多額の出資金を予定をしているということを承りましたので、その点を確かめたわけであります。出資金ではなくて、純粋に寄付金というふうに理解をしてようございますね。  それから、地方自治体はどのくらいの分担を予定をしていらっしゃるか。
  50. 増岡康治

    増岡説明員 お答えします。  地方公共団体につきましては、資本財産の造成補助という形で一億円を予定しております。  民間団体につきましては、これは寄付金を予定しております。
  51. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 どのくらい。
  52. 増岡康治

    増岡説明員 これが二千万でございます。
  53. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そういうものができて、どちらかというと、ことばはあまりいいことばじゃないのですが、お役人の天下りの場所にだけなったのでは、市民要求にこたえることにはならないと思うのですけれども、この運営や管理について、さっきも言いましたけれども、この財団自治体市民やの意向が反映できる、そういう手だてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、ちょっとその点を承っておきたいと思います。
  54. 増岡康治

    増岡説明員 この運営につきましては、今後まだいろいろ検討することがあると思いますけれども、この編成にあたりましては、やはり地方公共団体の長、あるいはまた民間におきましては公益法人等の代表者をもって、民主的に運営したい、そういうぐあいに考えております。
  55. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最後に、多摩川だけでなくて、一級河川管理関連をしてなのですけれども、土手の中にまで車が乗り入れられているのですね、かなり自由に。こういう状況というのは、どこかでやはりきちんとしませんと、公園で遊んで行く人たちを含めて、たいへんな不便を感じているわけであります。だから、私ども多摩川を文字どおり都民や県民の、大きな国民の公園施設というふうに見直していく、そういう計画を、東京都をはじめ関連のところで検討しなければならぬと思っておりますが、そういう自治体努力というものに対して、建設省が積極的な協力をしていかなければならぬと思うのでありますが、その点について一つと、それから、いまの自動車の乗り入れ規制を、河川敷地に対して乗り入れをしないような、そういう行政指導にもはや踏み切るべきだ、こういうふうに思いますが、承っておきたいと思います。
  56. 増岡康治

    増岡説明員 いま先生がおっしゃいますように、河川管理につきましてはいろいろと地域の住民の意向というものを非常に尊重しなければいけない、そういうぐあいに感じております。  いまおっしゃいますような、高水敷の自動車の乗り入れを禁止したらどうかというお話でございますが、河川管理施設を保全するために、多摩川のほぼ全線にわたりまして自動車の乗り入れを禁止しておるわけでございますが、しかしながら、公園等の利用者に対しまして、一定の区域を指定いたしまして、治水上支障のない範囲で利用するなど現在しておるものですから、この点について、この是非の問題につきましては、今後さらに先生の御趣旨に沿いながら検討させていただきたいと思います。
  57. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最後に一つだけ。もう建設省御存じのとおりに、今度の水害でたとえば川崎市だけでも数億のいわば被害を受けているわけであります。それは川の改修費や公園の改修費や、あるいは商店や工場の被害というものに対する問題や、あるいは応急対策その他の問題でありますが、これらについて、政府といいましょうか国の財政的な援助を、特に費用の負担補助をこの機会要請をしておきたいと思うのですが、この点について、せっかく国土庁長官がお見えですから、自治体に対して、市民に対して、今度の被害に対して万全の財政的補助をひとつ要請をしたいと思うのでありますが、その点について建設省と長官にお答えをいただいて終わりたいと思います。
  58. 増岡康治

    増岡説明員 建設省の所管におきます中におきまして、先ほど申し上げました堤防復旧なり宅地の回復なり、私どもの範囲におきましての最大限のことをしてまいる予定でございますが、この救助措置等につきましては、各省関連をしておりますので、そういうところと相談の上で努力させていただきたいと思います。
  59. 西村英一

    ○西村国務大臣 このたびの多摩川災害につきまして、これは法律できめられたことは全部その法に基づいてやるわけでございますが、しかし、さりとて、なかなか法にひっかからないところがある。したがいまして、地方公共団体等につきましても、その補助を、いろいろ救済の手を差し伸べまするが、政府といたしましても、地方への交付税等の考慮によりまして、ひとつ住民が貧困におちいらないように、困らないように、それだけの措置はいたしたい、さように考えておる次第でございます。
  60. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 では、以上で終わります。
  61. 阪上安太郎

    阪上委員長 柴田健治君。
  62. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間が制約されておりますから、簡潔にお答えを願いたいと思います。  今回の災害について、日本列島は年じゅういろいろな災害が起きる、半ば宿命的な災害列島だといわれておるわけでありますが、まあ雨の降るたびに災害が起きる、その原因は何かというと、天災だ、人災だ、こういうことで常に論戦が行なわれてくるわけでありますが、私たちの目から見ると、日本の場合は、天災というよりか人災のほうが多いのではなかろうか、こういう気がいたします。今度の多摩川災害の実態を見てもそういうことがいえるのではなかろうか、天災でなし、人災だとこういわざるを得ない。そういう河川管理行政の姿というものをわれわれは感じるわけでありまして、この河川法の精神を十分理解していないのじゃないか、都合のいいところだけをこの行政を担当する建設省は運用をして、肝心なところの理解という、法の精神の認識が足りないのじゃなかろうか、こういう気がいたします。河川法に対してどれだけ認識をしているのだろうか、こういう疑問を持っておりますので、これに対する見解をひとつ聞きたい、こう思います。
  63. 増岡康治

    増岡説明員 河川法に対する認識が河川管理者として足りないんじゃないかということでございますが、私どもは、河川法の精神に基づいて今日までまいったものでございます。いろいろ御指摘、御批判の点があるかと思いますけれども、大きな災害が昔から積み重なってまいっております。私どもは、この災害一つ一つを教訓としながら、河川法の精神にマッチしながら、あわせまして今後ともその精神に沿いながら災害防止につとめていきたい、そういうぐあいに考えておる次第でございます。
  64. 柴田健治

    柴田(健)委員 十分認識しておるようなお答えですが、やはり法の目的、河川管理の原則というものを十分理解をして平素の行政指導を十分発揮しておけば、こんな災害というものはある程度食いとめられる、こういう判断をわれわれはしておるわけであります。  たとえば、河川管理施設等の構造の基準、これらについて十分であったかどうか。ダムや井ぜきや水門堤防護岸、床止めというようないろいろな施設が、それぞれの河川水系の中には数多くつくられておるのが日本の実態であります。同じ水系ですよ。上流に多目的ダム、または利水だけのダム、いろいろなダムの建設をされておる。そのダムのこの地域における社会経済の発展の過程の中で、たとえば人口増が十年の間に四倍も五倍もふえておる地域に対するこの河川管理行政指導、またその認識というものについて、建設省はそれに対処していくためにどう取り組んできたかという姿勢の問題。たとえば今度の多摩川のを見ても、この十年間にどれだけ人口増があの付近にあったか、五倍から六倍ふえている。それから、昔のようにたんぼがあり、山がありというような自然のときの降雨量、そのときの水の速さ、流れの速さというものと今日とは違う。同じ四百ミリ降っても、それが二十時間で四百ミリか、三十時間で四百ミリか。しかしながら、この水の流れというものは大きく変わっている。その大きく変わっているのを十分理解をしておったんだろうかどうかという疑問が起きるわけであります。  たとえば小河内ダムは、こしらえたときにはただ利水だけが目的である。あれは、築造のときには利水だけでよかったかもしれないけれども、今日では人口密度がどんどん高くなっている。その地域に治水ということをなぜ考えなかったんだろうか、義務を負わせなかったんだろうか、こういう気がするわけですね。  それからもう一つは、この河川の敷地にいろいろな利用計画を立てて、公共団体なり民間団体なりその他にいろいろ使われておるが、これらの面においても、ただ、広いから遊ばしておるのはもったいないという空地空間の利用の考え方だけで占用を許してきた。一貫性のない、計画性のない利用許可を、占用許可をおろしておるところに問題があるのではなかろうか。  こういういろいろな行政的な欠陥というものが至るところに出ておる、こう私は思うのですが、その点の欠陥があったかなかったのか、どう反省しておるのか、お答え願いたいと思います。
  65. 増岡康治

    増岡説明員 いま先生の御質問三つあったと思います。  第一は、流域開発等で川の周辺がどんどん変化しておる、これに河川行政がついていっておるかということでございます。  たとえば例を多摩川にとってまいりますと、現在の多摩川改修計画は確かに古い、明治四十三年の計画洪水量でございます。それでいま私どもは、多摩川は五十年に一度という程度のレベルの川でございますけれども、これではいけないということで、私ども多摩川については、いわゆる日本で最高級の利根川だとかそれに匹敵いたします二百年に一度ぐらいのもので守るべき川であろうということを考えておったわけでございます。そういうことで現在の多摩川も七〇%の進捗率を見ておりまして、他の川に比べればこれでも安全度が高いと称せられておる多摩川につきましても、現在の開発――開発と申しましても特に下流部の開発でございますが、それを守るには、やはりレベルを上げようということで、来年の三月までには、今回の災害を契機といたしましてスピードアップいたしまして、工事実施基本計画を新たにつくり直そうと考えておるわけでございます。  このときにあたりまして、いま二番目に先生のおっしゃいました小河内のダムの問題が出ました。これは御承知の利水単独のダムでございます。今回の出水におきまして、小河内ダムの操作は、ダムに入ってくるものを流入量と申しますが、流入量をこえない範囲で放水を行なったわけでございますが、絶えず私どもの治水関係と連絡いたしまして適正な操作をしていただきましたおかげで、ピークをずっとずらしていただきまして、安全なときにちょうど小河内の水がおりてくるというようなことで、非常に幸いしたわけでございますし、また現在、なおかつ次の台風が来た場合にはどうなるかということも考えまして、きょう現在でも千百万トンの空間をあけております。いつでも来てもいいような空間をあけて待っておるわけでございます。したがいまして、従来より、洪水時におきましては、小河内であろうとも水位を下げていただこうということで、これを操作規程に今後明記していこうという努力をいま考えております。  ただ一般に、利水ダムの操作は、河川の従来の機能をそこなわないという基本原則がございますけれども、先ほど申し上げましたように、この多摩川を見直そうというときには、さらに洪水量がふえてくるわけでございますので、いま私ども多摩川におきまして、多目的ダムの建設のための調査を行なっておる中で、小河内ダムの扱い方についても一応考えてみようということで、他の多目的ダムとあわせまして現在検討しておりまして、早く結論を出そうと考えておるわけでございます。  それから、三つ目に占用関係のことでございますが、いろいろ河川敷の利用につきましては、たくさん利用価値があるわけでございます。利水のためには井ぜきはもちろん要るわけでございます。また、広い高水敷をやはり市民のいこいの場所にしようということもございます。これにあたりましては、治水にマイナス点がないというたてまえから、一つ一つ慎重に現在までは占用を許可してまいったわけでございます。しかしながら、いろいろとまだ問題点があると思いますけれども、そういう点についてはまた今後とも勉強してまいりたいと思っております。
  66. 柴田健治

    柴田(健)委員 私たちは、いまの日本のせめて一級河川だけでも完全に管理体制を強化してもらい、こういうことを長年言うてきて、順次河川の監視員制度を設けて、多摩川が監視員制度で、どういう任務を持たして、平素どういう役割りをして、どういう報告をさしておったんだろうか、この監視員の制度をつくりながら、それが十分発揮されてないという欠陥があるのじゃないか、この点どうですか。
  67. 増岡康治

    増岡説明員 河川監視の問題でございますけれども、私ども建設省には内部規程がいろいろございます。その中で、たとえば関東地方建設局では河川管理巡視規定というものがございまして、これによって日常作業といたしましてパトロールその他いろいろきめておるわけでございます。それによってやっておりますけれども、特に井ぜき等の大きな問題につきましては、定期点検というものをやっております。本年度におきましても、六月に事務次官通牒をもちましていろいろ細部のものを流しておりました。しかしながら、そこまでやりましても今回のような問題が起こりましたので、先般再度さらに違った立場から構造的なもの、あるいはそで部の問題、いろいろと広い範囲の立場から、また特に重要な井ぜきにつきましては総点検を実施した次第でございます。
  68. 柴田健治

    柴田(健)委員 局長河川堤防、要するに護岸がこわれるという統計的数字というものは、常に井ぜきの上下ですよ。大体もうあなたらは専門家だからよくわかっていると思う。開閉式の井ぜきにいま順次農林省は変えておりますけれども、まだまだこの開閉式でない旧式の井ぜきで、その井ぜきの左右の護岸の取りつけ工事というものが、ただ井ぜきをすればいいんだという考え方――その上下の基準というもの、護岸のあり方というものにもつと早くからあなたらは気がついておったと思うのですよ。水害のたびに河川護岸がこわれるというのは大体井ぜきの上下ですよ。きまっているのですよ。その他はもう微々たるものですよ。統計的にちゃんとわかっているはずですよ。それを、たとえば多摩川には九つの井ぜきがある。この九つの井ぜきの実態がどうなっておったのか。これはもう行政的に大きな欠陥だと私は思う。国鉄のほうはちゃんと基準があって、上下何メートルはどうするとか、上下何メートルの砂利採取は許さないとか、ちゃんと基準があって厳重に守っている。ところがもう一級河川だろうと二級河川だろうと、井ぜきなら井ぜきだけ直したらいいんだ、その上下は十メートルか二十メートルやっておけばいいんだというような安易な考え方がある。それは要するに、農林省と建設省の技術的な専門的なそういうものが常時加えられていない。それはやはり、社会開発、社会経済発展の中で人口密度がどんどんふえて、そういう人口増の地域の河川についてはどうすべきかということは、平素からやっておかなければならぬ問題だと思う。それは局長そうでしょうが。井ぜきの上下のやつは、多摩川の九つの井ぜきにはどういう見解を出しておったか、せめて全面改修は――それはあなたが言われるように、二百年ぶりだとか六十年ぶりだとかなんだとかいうよに言われますよ。今度は四百七十四ミリも降ったんだとか、その降雨量とか洪水量とかいうのでなくして、そういう河川の中の構造物に対する護岸のあり方というものは、統計的にちゃんと――もう日本列島、年じゅう何カ所かで災害が起きているのですから、そのときの河川のはんらん、そして護岸の破壊ということはもうきまっているのですよ。統計的にちゃんと認識されておったのじゃないですか、どうですか。
  69. 増岡康治

    増岡説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、この河川の中に構造物をつくれば、その周辺が最も洪水の流れを乱すということで、従来から利水施設等の設置につきましては、相当厳重な審査をやってまいっております。いろいろ案を持っております。そういうもので実際にきびしくやっておるわけでございますが、今回の宿河原のせきというものは、先生承知のように、昭和十五年に神奈川県知事と東京都知事から許可されて、昭和二十四年に実はできたということで、構造的には古いのでございますけれども、せきの上下流についてもちゃんと低水護岸も実はできております。それから取りつけ部分の高水敷が比較的他のところより高いとか、いろいろやはり気を配ったものになっておりまして、ただ、私どもがこの点検にあたりまして、いろいろいまから、結果的には、やはりとにかく堤防とせきとそで部ということになりますと、そで部の接触がやられたという現象が起こりまして非常に反省しておりますが、今後、先生のおっしゃるとおり、一番大切なところということは十分認識しておるわけでございますが、その認識のしかたがさらにシビアでなければいけないということで、先般、総点検のやり方の方向を変えまして、角度の違ったものでもう一度見直すということを指示したわけでございます。
  70. 柴田健治

    柴田(健)委員 もう災害のたびに日本の河川護岸が破壊されるのは井ぜきの上下、きまっているのですよ。そういうことは、これはもう専門的にいままでにもわかっておらなければならぬ。われわれみたいなしろうとでもちゃんと長い経験からわかっているのだ。だから、それくらいのことはわかっているのだから、河川の監視体制の中で監視員等が常時――だから安心するというか、災害に対して日本ではマンネリ化してしまっておる。もういつも起きるのだ、起きたら仕事があるのだ、災害が起きなければ仕事がないのだというような安易な考え方があるところに、私は問題があると思う。特に人口密度のふえる地域については、河川対策を常時計画変更していくだけの――工事実施計画の中で常時計画変更してもいいじゃないか。一たん計画を立てたらもう動かすものではないというような考えでなしに、ちゃんと変えていく、その地域開発に伴ってこの基本計画を変えていくというくらいの姿勢があってほしい。きめたら最後もうてこでも動かさぬというような考え方が役所にある。そういう対応性のない姿勢が大きな災いをする。昭和二十四年に完成してその後相当たっておるのに、いまだにそれを放任してきたというところに、技術的な面――その技術が私は日本がおくれておるとは言わない。技術は非常に進んでおるけれども、それを活用するその時期、そうしてそのときの取り上げ方、これが私は行政的におくれておる。これは行政の大きな欠陥だと思う。技術的においては、私は日本くらい進んでおる国は、まあ世界最高にいっておるのではなかろうか、こう思うけれども、取り上げ方が認識の足らないところから起きておるのではないか、こう思います。  今度多摩川の技術調査委員会が設置されて専門家を何人か置くということがきょうの新聞に出ておりますが、これは原因究明と技術関係調査するという二つの目的なんですが、原因究明というのはただ単なる技術的な欠陥というのでなしに、行政の欠陥までこれは調査をする委員会ですか。
  71. 増岡康治

    増岡説明員 今回関東地方建設局に設置いたしました多摩川災害調査技術委員会は、先生のおっしゃいますように、一つの目的は災害原因の探求でございます。いろいろと起こりましたものすべての総合的な調査でございます。  それから二番目は、その災害に関しましての今後の技術的対策でございまして、今後どうしたらいいかということが出ますと、また全国的な、いま先生のおっしゃたようなさらにいい設計、横断構造物なら横断構造物のいいものはどうしたらいいかということも従来の方式を持っておりますが、さらにそれを検討するほうへ、行政的な指導のほうへこれを持っていこうということで、あくまで技術的な観点に立ちました委員会でございます。
  72. 柴田健治

    柴田(健)委員 私たちはこの行政の欠陥というものを究明をすべきだ。技術的にはすぐ結論が出ると思うのですよ、対応策は、技術的な面は。これは一種の今度の委員会というものは、ぼくはまた要領よう行政の欠陥をごまかす、逃げる手に使う機関だというような解釈をする。やはり行政の欠陥というものを十分摘出していくというような、そういう姿勢で取り組んでもらいたいという気がするのですが、どうも御用機関的な委員会というものは逃げの一手だということになる可能性がある。その点を心配して、もっと原因究明をやる場合は、いままでのそれぞれ河川の水系についてのいろいろな欠陥というものを十分に出すべきだと思う。ただ多摩川だけじゃなしに、どこの河川でもそうだと思うのですが、もういままで取り組んできた管理体制の欠陥というものを十分摘出して、それを是正していくというような姿勢になってもらいたい、こう思う。  それから、今日河川河川敷地の中にいろいろな施設を許した。特にわれわれが疑問を持つことは、いままでたとえば放牧場に使っているのを、畜産はほうり出してしまって、ゴルフ場にするのだということで、至るところ各河川の敷地は全部ゴルフ場だとか子供の遊び場というようなていさいのいい調子ですね。いろいろなことに使っているわけですが、全国河川ゴルフ場に何カ所占用料を取って貸しているのですか。一平米の占用料はどの程度で、何カ所いま全国で占用許可を出しているのですか。
  73. 増岡康治

    増岡説明員 いま手元に持ち合わせておりませんので、後日御報告させていただきたいと思います。
  74. 柴田健治

    柴田(健)委員 私はそれはおかしいと思う。河川管理者の責任者がそういう実態を常時頭に置いてないところに私は問題があると思う。河川の利用認可を出しておる限りは、いつでもちゃんと把握して頭に置いておかなければならぬはずだ。それは時間かかるから省略しますが、あとから報告願いたいと思います。  それから、大臣にこの問題について聞いておきたいのですが、調査技術委員会が今度設置されたが、大臣として、ほんとうにこれを技術的よりか行政的な面から取り上げて、いままでの河川管理体制の欠陥というものを十分国民の前に明らかにしていくという考えがあるかどうか、その点を大臣に聞いておきたいのです。
  75. 西村英一

    ○西村国務大臣 この多摩川事故につきまする技術委員会は、建設省だけの技術委員会でございます。私ももちろん関心は持っておりまするが、先般国土庁でつくりましたのは由比の地すべりの対策、これは建設省のみではございません。農林省に関係があり、いろいろな鉄道にも関係があり、道路局にも関係があり、いろいろなところに関係があるから、私のところで所管いたしておる次第でございます。したがいまして、その目的は、主として技術上の、何が原因であったかということを突きとめるのが主としての目的ではございますが、それに波及して行政上の問題も出ることは当然でございます。したがいまして、建設省でやっておる技術は、建設大臣がお見えになりませんが、おそらくそういうところまで議論が及ばなければほんとうの究明はできないと思っております。私のほうでいまやっておるのは、由比の地すべり、これは各省が関係しています。建設省でやっておるのは建設省だけでやっておる次第でございます。
  76. 柴田健治

    柴田(健)委員 国土庁ができて、国土保全という立場であなたは最高責任者だから、河川であろうと地すべりであろと何であろうと国土保全の立場で今度は認識を変えていただきたいという気持ちお願い申し上げているのです。その点は、ただ建設省が専門委員会調査委員会を設けたら建設省だけでというようなことじゃなくして、国土保全の全体の責任者として、長官がもう少し発言を高めてもらいたい、こういう気がします。  それから、今度の多摩川の井せきの爆破なんですが、何回となく爆破をやられた。水の流れを変えるためにあの井せきの爆破をやったのですが、一番最初は自衛隊がやったのでしょう。ダイナマイトに換算して第一回の爆破は一トンからの爆薬を使った。あの実態を見ておると、あんな爆破の方法でいいのだろうか。それこそ五千世帯の避難、一万人の避難命令を出している。それでまことにお粗末な――一トンの爆薬をかける場合には、どういう構造なら効果があるかないかくらいのことは専門的にわかっておるはずです。ぼくらが見ておって、いやしくも一トンの爆薬を使う場合には、ああいうかけ方をしたらきき目がないし、かえって被害を大きくするだけだ。それは人心に与える影響のほうが大きい。これは自衛隊がしたのだから知らぬといって建設省は逃げるか知らぬけどれも、たとえば狛江市の市長が、深夜に応急の緊急対策要請を出した。そして二日の午後三時ごろに爆薬をかけた。その間、長時間慎重審議されたのだろうと思う。けれども、爆薬をかけるときには、よほど慎重な構造というか方法を講じない限り、その効果がなくして他に与える被害のほうが大きい。その被害がいまや社会問題、政治問題になっておるということになるわけですが、こういう点について、建設省はあれがやり方としては非常にけっこうなやり方だという認識に立っているのかどうか、見解を聞いておきたい。
  77. 増岡康治

    増岡説明員 せきの爆破にあたりましては、当時の第一回目は、水防という立場でございまして、警視庁の機動隊だとか自衛隊だとか地元水防団、建設省というところで臨時協議しながら進めたわけでございますが、また非常に水位の高いところで家がどんどんとくずれていくというさなかの判断でございまして、当時四者会談いたしまして、やはりいま非常に水位が高いし、だれも近寄れないということで、機械がせきのところに持っていけない。いわゆる機械削孔で穴を掘ることができない状況において相談が起こったわけでございますが、そういうようなことで、ひとつ自衛隊の技術におまかせしようということで、第一回の二日の二時四十分でございますか、自衛隊におまかせしたわけでございます。  三日目から私どもが今度は復旧という面からこの面をやろうということで、たまたまその日になりますと水位が下がってまいりましたので、警視庁のヘリコプターを借りまして私どもはコンプレッサーをせきの上に持っていくことができまして、通常行ないますように、コンプレッサーが入りますと非常にたくさんの応用動作ができますので、十キロ内外のわずかなカーリットのあれで、瞬間的の爆風がないものを使いまして順次こわしていきまして、三日の日は三回、四日の日は九回というようなことで、逐次バイステップに少しずつはずしながらいって今日のように私どもは一応目的を果たしたわけでございます。  自衛隊のハッパのかけ方がいいのか悪いのか、どうだったかという御質問でございますが、結果的にいえば、いかに大きな火薬を上に積んで土のうを積んでも、ああいうコンクリートの場合はなかなか下に及ばないという結果が出たということの事実は、私ども現地でよく知っております。反省しておるわけでございますが、ただ、あのときの、もうそれしか方法がないという非常に水位の高いときに行なわれたという事情を察していただきたいと思います。
  78. 柴田健治

    柴田(健)委員 われわれが見ておると、まことに幼稚な、あれはしろうと考えなやり方だ。たとえ緊急の場合でも、下のほうの作業をした者は幼稚であっても、この爆破作業を命じた指導者というものは、よほど技術的面その他を考えなければならないのに、これはまことに幼稚だった。自衛隊そのものが、ああいう爆破作業は幼稚だという気がするけれども、いまから責めてもいけないけれども、今後あり得ることだから、よほど考えないと、人家に与える影響というものは非常に大きい、爆破そのものの効果よりか人家に与える被害のほうが大きい、こういうことになる。私は、もう慎重に将来考えるべきだ、こう思います。  時間がございませんから、ちょっと農林省にお尋ねしますが、たとえば一時間に二十ミリ降る、三十ミリ降る、四十ミリ降る、いろいろ時と場合によってあるわけですが、何せ、いま一番困っているのはため池の問題なんです。これは、ため池の本来の使命からいうと農業用施設。ところが、農業用施設というため池というのが完全に機能を発揮していない。もういまのような農業政策の中で、宅地に転用され、工場用地に転用され、そして農地としてもう使えない荒廃地になっておる。池だけが残っておる。だれも管理する者がない。こういう池がだんだんふえてきている。だれも管理しない。いま全国で約二十六万ほどため池があるといわれておる。岡山県の場合一万一千何ぼあるのですが、その中で約一千八百くらいはもうどうにもならないため池である。雨が降るたびにこの地域の住民なり消防が出て夜でも昼でも警戒をしなければならぬ。考えてみると、だれの財産であるか、だれの財産を守るのか。やはり農業用施設としての財産でなしに、もはやこの施設は国有財産の第三種という形に移っておる。その財産はもはや国土保全、防災対策、ただそれのみの対象物件にしかならぬ。そういうため池がたくさんあるわけです。農林省として、たとえば一時間に二十ミリ降った場合の危険ため池はいま何カ所あるのか、一時間三十ミリ降ったら危険なため池は何カ所あるのか、その点の危険性の高いため池が全国にいま何カ所あるのか、その数字を言うてもらいたい。  と同時に、それに対する対処のしかた、どうするのか。ただ農業用施設というだけでは、もはや私は予算のとり方はできないと思うのですよ。国土庁長官がおられるのですが、国土保全、防災という立場で予算は別途につける、また別途の制度をつくってこのため池の処理を考えるということをしないと、これはもうたいへんなことになるという気がするわけですが、この点のお答えを願いたいと思う。
  79. 福澤達一

    ○福澤説明員 農業用に使っておりますため池関係の数でございますが、昭和四十七年度の時点で総点検をいたしまして、そのときに調べた数字がただいま先生が申されました総数で二十七万七千カ所ということになっておりまして、その中で整備をしなければならない補助の対象になる個所数といたしまして約一万カ所あるわけでございます。中でも一番多いのが岡山県でございまして、岡山県のため池の総数が一万五百七十カ所にあがっておりまして、その中で整備を必要とするため池が千八百四十五カ所という、飛び抜けて多い県が岡山県でございます。  これらのため池につきましては、農業目的に使っておるため池につきまして、整備を必要とするものについては、私どもは、防災事業の一環としてのため池等整備事業をもってその整備をはかりながら、出水期その他の異常事態に対応するような予算措置を講じておるわけでございます。  ただいま先生からお話のございました、すでに農用目的を逸脱しておる、離れたようなそういうため池については、もちろん農林省といたしましては予算措置を講ずるわけにはまいらないと思うわけでございますが、これらのため池と申しますのは、国有の土地改良財産ではございませんで、大多数と申しますか、ほとんどが市町村ないしは土地改良区の財産になっておるわけでございます。したがいまして、それらの管理の点につきましては、その農用目的をすでに離れているものにつきましては、私どもは弱小の土地改良区などが管理するというのは非常に問題もあるというので、市町村などに管理を移管してお願いするような、そういう対応の指導をしておるわけでございます。そうすることによりまして界常事態に対応するような管理の適正化をはかっていくように、指導をしておる現状でございます。
  80. 柴田健治

    柴田(健)委員 農林省は指導しておる、指導しておると、どういう指導をしておるのかわれわれはちんぷんかんぷん、聞いたこともない。それなら、たとえば農業施設としての機能が失われておるため池は直ちに埋めてしまえ、埋めて子供の遊び場をつくれ、こういう指導をしたらどうですか。市町村なり県から申請したら直ちに認める。埋めてもう宅地にするとか小公園、子供の遊び場にするとか、いずれにしてもよろしい、こういうことで直ちに埋めてしまう。水をためておくと非常に危険性が高い。こういうところの指導を十分指導したらいい。処置しなさい処置しなさいといっても、何もしない、できやしない。その点について、特にまだ農業用施設として使えるやつでも、やはり防災対策上これは早急にしなければならぬ。いまのやり方を見ていると、何十年かかるかわからない。災害が起きてから、さてどうするかというどろなわ式になる可能性がある。この点について予算のつけ方、とり方というものを考え方を変えたらどうか、こういう気がするわけですが、大臣、この点について国土庁は、防災対策からこれはもう早急に別途予算をつけてでもやるというくらいな気持ちを持たれませんか。
  81. 西村英一

    ○西村国務大臣 いわゆる老朽ため池です。昔の人は生活の方法としてああいう降った水はためなければならぬということであった。しかしその後、農業用水も他の方法によってまかなえるものだから、自然にいわゆる老朽ため池という名ができたぐらいに手を入れていないことは、柴田さんのおっしゃるとおりでございます。  私は、実はため池に非常に関心を従来から持っておりまして、これに対して相当な経費をつぎ込まなければならぬということを思っておりました。いま農林省からああいう御答弁がありましたが、まさに降った水はやはりためなければならぬ。ことに、しょっちゅう雨が降るわけじゃございません、干ばつもございます。干ばつがあったときは、やはりそれをたよりにするのであります。しこうして、私も県でやったことがございますが、干ばつのときはため池の水はなくなる。しかし、何とか救農土木をやらなければならぬ。そういうときは、ため池の修繕をずいぶんさせたこともあります。特別な経費を国からも出し、地方公共団体も出しまして、特別な修理をしたこともあります。やはりいまあるため池をつぶすことは不賛成でございます。あくまで修理をして生かす。降った雨はためなければならぬということは、やはり原則であろうと私は思います。予算がこれについて僅少であることにつきましては、国土庁といたしましても、国土行政の一環として、私もため池には多少関心を持っておる次第でございますから、せっかくの御注意でございますので、今後ひとつ農林省等と十分連絡をとってやりたい。何さま、国土庁ができましてからまだ二カ月でございまして、そこまで私が思い切って何もかもやるといったってできるものではございませんが、多少私も関心を持っていることをひとつ御了承賜わりたいと思います。
  82. 柴田健治

    柴田(健)委員 農林省、いまのような老朽ため池のやり方というか、助成の処置方法では、何十年かかるかわからぬのですが、これをやれ一年でどうするということはなかなかできないにしても、いままでのような考え方でなしに、思い切ってどうするのかという考え方を一口だけ聞かしてもらいたい。どうするのか。ただ、言うておるとか、やっておりますだけでは、具体的に実績があがっていない、実効があがっていない。どうしたら早急に解決できるのか、その考えを一口だけ言うてもらいたい。
  83. 福澤達一

    ○福澤説明員 先ほども言及したと思いますが、ため池を必要とするようなところは非常に水の少ないところであったと思います。したがって、それらが農用目的という形で利水の大切な水源となっておりました経緯から考えまして、私どもは、農用目的になるものにつきましてはできるだけこれを整備をはかっていくということで、申請に基づいてやっております。そして、これは現在の段階では、出てきたものはほとんどその目的を達するように私どもは事業を採択しておるつもりでございます。なお、いまの予算で足らないということでございますれば、これに対しては、さらに私どもは全力をあげて予算措置もしていきたい、こういうように考えております。  もう一つ先生の御質問の中で、使わないようなため池だったらつぶしてしまったらとかなんとか、そういう積極的な措置をしたらどうか、こういうお話でございますが、これも先ほど御答弁申し上げましたように、財産そのものは、土地改良区とかあるいは一部市町村等もあると思いますが、そういう財産でございます。したがいまして、そういう全く使う目的がないような非常にあぶないような老朽ため池というものにつきましては、これはもうすでに農用目的を逸脱しておるということでございますので、所有者あるいは市町村等がそのダム処理に対しまして十分御検討いただければよろしいのではないかと考えております。
  84. 柴田健治

    柴田(健)委員 終わります。
  85. 阪上安太郎

    阪上委員長 阿部未喜男君。
  86. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 今年は数次にわたって台風の来襲がありまして、中央防災会議をはじめ関係の皆さん方がたいへんな御努力をなさっておることについて敬意を払っておりますが、ひとつこの上とも罹災者の立場に立っての十分な対策を立てていただくように冒頭にお願いをして、順を追って質問させてもらいたいと思います。  まず台風十八号について、大分の気象台のほうの発表では、当時暴風雨波浪警報は発令をされておったのでございますけれども洪水の警報はなくて、洪水については単なる注意報でございました。しかし結果的には、台風十八号の性質が秋雨前線を刺激をして大量の雨が降るという洪水型の被害が出たわけでございますけれども、気象庁としてこういうような場合に、何か一つの基準があって警報ないしは注意報というものについての判断をするのか、単なる責任者の判断によって注意報でありあるいはまた警報になるのか。もしここで警報が発令をされておったならば、十八号の、特に大分県下の洪水被害についてはもう少し何らかの措置ができたのではないか、そう思われる節もありますので、まず気象庁の見解をお伺いしたいのです。
  87. 越智彊

    ○越智説明員 お答え申し上げます。  先生がおっしゃいましたように、当日は、九月八日の二十一時三十分に大分地方気象台は、暴風雨波浪警報それから洪水注意報でございます。あの場合大分地方気象台の判断は、気象庁の示しました進路予想で、扇形幅のどちらかというと宮崎県寄りのほうを通るのをとったわけであります。したがいまして、大分地方気象台の雨量予想は大体百五十ミリぐらい、こう予想したのであります。大分県下におきましては、洪水の警報の基準は、二百ミリをこした場合には警報でございます。それはあくまでも予想でございますけれども、そういう判断で暴風波浪警報のところに洪水警報とせずに、洪水につきましては注意報どまり、こういうわけであります。で、やはり大分県に非常に接近している――大分県を通過したわけでございますが、そういうときに、暴風雨と海上の海難に備えまして波浪警報、こういうのは非常によろしいのですけれども、やはり台風の場合にも、梅雨期の集中豪雨と同じように、洪水についても十分注意すべきであったと思います。こういう点、気象庁といたしましても、今後十分台風の場合についても洪水警報、そういう点を重視しまして指導しなければならない、そういうふうに思っております。今回、そういうふうな判断のもとに大分地方気象台が洪水警報を出しませんでしたことは、まことに残念でございますけれども、以上のとおりでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  88. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 長官にもちょっとお聞きを願いたいのですけれども、大体いまお聞きのように、気象庁としても手落ちがあったようではございますが、全体的な雨量から考えて、大分の場合に大河川のはんらんは起こっていないのです。中小河川がはんらんしておるのです。これは短時間に集中的な豪雨があったことを意味しておるわけですけれども、したがって、短時間に集中的な豪雨があって、特に小さい河川がはんらんをしたということは、御承知のように、大分が新産都市の指定を受けていま開発が行なわれております。この開発の鉄砲水的な性格が非常に強くて今度の洪水が起こったのではないか、こういう見方もできるわけですが、長官のほうはどういうふうにお考えになっておりますか。
  89. 西村英一

    ○西村国務大臣 今回、多摩川のように直轄河川であのように起こったというのは珍しいですが、いままでも直轄の大河川についてはほとんど事故は起こっていない。しかし、あらゆる台風の場合は、中小河川、しかも中小河川都市を流れておる都市河川、これはやはりいろいろな開発が原因しておるとは思います。したがいまして、中小河川の現況を見ますと、やはり地方公共団体ももう少し中小河川には気をつけなければいかぬ。ある町で川があるということは一つの資源だ。あまりに等閑に付しておるではないか。しかし、地方公共団体といえども、資金の問題でそうなるのでございましょうが、政府としては、まあ大河川もさることながら、もう少し中小河川について予算なり重点の置き方を変えなければいかぬよということはずっと前から言われておりますが、いまだにやはりなかなか直らないところを見ますと、今後ともひとつ政府はもちろんのこと、地方公共団体も中小河川――道路の陳情は非常にあるのですが、河川の陳情はわりあい少ないのです。河川改修ということになると、土地をとるとかなんとかいうことで、どっちかというと地方公共団体の長も、雨さえ降らなければあたりさわりはない。いまは河川にごみを捨てるような愚かな者もないようでございますが、昔はごみの捨て場であったのですが、それは直りました。しかし、至るところアシがはえて、河川の幅は三分の一くらいになっておるのです。地方公共団体の資金面じゃとても改修できない程度になっておりますから、政府はやはり中小河川について、もう少し予算なりその他の管理の方法について地方公共団体と十分な打ち合わせをする必要がある、かように考えておる、次第でございます。
  90. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 長官もおっしゃったように、前は大分でも番匠川とかそれから熊本でも白川とかいうようないわゆる大河川のはんらんが多かったのですが、最近はおっしゃるように、集中豪雨の河川はんらんは中小が非常に多いようです。しかもおっしゃったように、川はほとんどアシがはえて水の流れを妨げておる、こういう状況ですので、一つには中小都市河川が、先ほど申し上げた開発に伴って鉄砲水的な性格の水が出てくるおそれがある。これも一つの大きい原因になっておると思いますので、河川改修等について、特に防災の立場からもひとつ十分な御尽力を願いたいと思います。  それから次に、先ほど資料をいただきまして、ここに台風十八号による災害被害が出ておるのですが、この被害状況の把握についても若干違うような気がいたしますし、これは非常に重要なことだと思いますから、対策室のほうにお伺いしたいのですけれども、私ども資料では、たとえば床上浸水というのを見ますと、これが九州、四国合わせて大体四千六という数字になっておりますが、こちらの、これは九日の新聞だったと思いますけれども大分県だけで床上浸水が二千二百八十四、大体この半数ですが、その次に罹災世帯に至っては、こっちが四千百十二となっていますけれども大分県だけで被災の世帯は九千二百八十一と、この資料の倍の被災世帯がある。あるいは罹災者の数にいたしましても、いただいた資料では一万百五十ですが、大分県だけでも二万八千七百二十二人という罹災者が出ておるようでございます。資料が非常に食い違っておるようですが、もちろん順を追ってお集めになったものですから、若干の手違いはあろうと思いますが、こちらが九月十日十五時現在の資料のようでございます。こちらが九日ですから、若干の違いはあるかもわかりませんけれども、非常に罹災者の数あたりは食い違っておるようですが、これはその後報告か何かあって違っているなら、いまお示しを願いたいと思うのですが……。
  91. 阪上安太郎

    阪上委員長 阿部君に申し上げますが、西村長官に対する質問はよろしゅうございますか。
  92. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 長官どこか出かけられますか。それじゃ、あともう一、二点。
  93. 横手正

    横手説明員 本日お手元にお配りいたしました資料、これは九月十日十五時現在となっておりますが、この資料は、警察庁のほうから各都道府県の警察本部、これを通じまして速報的に調べた数字でございます。したがいまして、人的被害は大体合ってまいるわけでございますが、建物その他の被害調査が進むにつれましてかなり移動が見込まれるわけでございます。そうしたことから、先ほど御指摘のように、相違が出てまいっておるもの、かように存じます。
  94. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その点、あとで重ねて質問いたしますが、長官が何か席をはずされるそうですから、長官に一つ要望と一つ質問を申し上げたいのです。  質問のほうは、長官も御案内のように、大分県国東半島に大規模農道、地元ではオレンジロードと呼んでおりますけれども、大規模農道を建設中でございます。すでに一定区間については竣工を見ておるようでございますけれども、この大規模農道がどういうものか非常に決壊が多いようでございまして、先般来の台風、十八号を除いてですけれども台風等で数カ所決壊しておるのを私は見かけておるわけでございますけれども、これは防災上の立場からも、農林省が行なっておる大規模農道あるいは林道等について何か長官のほうとしてお考えがないのかどうか、このままああいう工事を進めていくのかどうか、それをお認めになるのかどうか。これは質問です。  要望は、十八号を含む十四、十六、十八というような一連の台風によって起こっておる被害について、激甚指定等をこれからお願いしようと思っておるところですが、これについてひとつ長官も十分配意願いたい。  二点目はお願いですが、一点目の質問についてお答え願いたいと思います。
  95. 西村英一

    ○西村国務大臣 国東半島の農道をやっておりますが、これはやることそれ自身についてはいろいろな必要性からやったと思われますが、十分気をつけなければ、あなたもごらんのとおり安岐川のはんらんによって二十七人の人がかつて失われたことがございます。あれもやはり安岐の上の山にミカンをつくる一つの開発についてああいう事故が起こったのでございます。したがいまして、今度農道をつくるにしても十分――いままで乱開発、乱開発といって、乱開発とは一体何か、こういうことですが、私は乱開発とは、農道をつくるということだけを主眼にしてやるから、農道をつくれば、自然に手を加えればどこかに影響が出るという、そのどこかに影響が出ることを考えないから乱開発になるのでございまして、いま河川のところのせきの問題が出ましたが、やはりあそこに手を入れて、一たん土をいじれば、土の強度というものは一たん掘れば三十年ぐらいは強度がもとに返らないということになっておりますから、開発は開発としても、乱開発というのは、自然に手をつければどこかにそれの影響が出る、その影響をやはり防いでもらわなければ困るのでございまして、いま国東半島のあのはち巻き道路が一つの乱開発になっては絶対いけません。私は現地を今度は見ておりませんが、おそらく被害がたくさん出ておるだろうということは想像がつくわけでございます。したがいまして、今後は十分気をつけたいと思っておる次第でございます。いま直ちにあれをやめるとかなんとかいうようなことはこの際申し上げるわけにはいかないと思います。
  96. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それはやめてもらっては困るのです。進めてもらわなければいけませんが、ただもう一つお願いしたいのは、特に防災という立場からも、開発という立場からもですが、道路行政について、御承知のように、国道二百十三号線が海岸を通って建設省の所管になっておるわけですけれども、それに並行していまの大規模農道がずっとつけられておる。大規模農道のほうは農林省の所管で維持管理を行なう。国道のほうはもちろん建設省でやる。こういうふうに道路行政が二元化しておる。しかも専門的でないというようないろいろな問題があるのですが、予算的にはいろいろな問題があると思いますけれども、道路の建設なり維持管理については、いま長官も御心配なさっておりますような災害対策立場からも、一元化するというような方向努力が願えないものかどうか、この点も非常に気になる点ですが、それをお答えいただいて御退席いただいてけっこうでございます。
  97. 西村英一

    ○西村国務大臣 それぞれの省でそれぞれの目的をもってやっておるわけでございまするが、いま国東半島の二百十三号線の国道の真上に国道よりは規模の大きい農道が通っております。だれが考えても、農林省も道路をやる、建設省も道路をやる、また農林省も農家住宅につきましていろいろやっておりますから、行政が入り乱れておることは確かでございます。したがって、一本化いたしたいとは思いまするが、それぞれの目的がありまするから、それぞれの目的をそこなわないように、国土庁としても調整の役をとるというのが最も任務の重要なところでございますので、それぞれの目的でやりましても、一本化できるものは十分一本化を考えるという方向でやはり調整等しなければならぬと思っておる次第でございます。
  98. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 長官、けっこうでございます。  先ほどの質問に続いて質問さしてもらいたいと思いますが、先ほどもお話がありましたように、農地の被害とかそういうものについては、逐次調査が進むに従って広がっていくだろうということは私も了解ができますが、いわゆる人的被害についてはそう大きい差は出てこないのではないか。その人的被害が、たとえば被災者の数において、大分だけで二万八千七百二十二人の被災者があるといわれておるのに、こちらの資料では全国的に一万百五十しかない。あるいは被災世帯にいたしましても、大分だけで九千二百八十一世帯の被災があると報告をされておるのに、おたくのほうの資料では四千百十二。これも半分足らずしかない。こういう人的な被災についての数字が大きく食い違うということが私はちょっと気になるのです。この点どうでしょうかね。
  99. 横手正

    横手説明員 被害状況を私ども調査いたします際、どうしても迅速にこれを把握する、こういう必要がございますので、現在は、被災直後はもっぱら警察庁のほうの調査、これによって被災状況の把握をいたしておるわけでございます。したがいまして、市町村ごとに各地方団体が把握いたします数字等は、被災直後においてはやはりかなりの相違が見られようかと存じます。大分県下におきましても、死者、行くえ不明者、こうした数字は合致いたしておりますが、負傷者の数にしましても、警察庁の調べと市町村ごとに調査されました結果ではかなりの開きも現在は見られるような状況でございます。これは被災後かなり期間がたちまして完全に把握し得た段階では、双方の調査の結果も合致してまいる、かようなことになっておりまして、被災直後のしばらくの間はやはりどうしてもこうした数字は相違が出てまいるものと、かように存じております。
  100. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 若干数字の違いはあるようですけれども台風十八号が相当大きい被害をもたらしたことは、これは調査でも大体明らかなところのようでございます。  そこでお伺いしたいのですけれども、かりに大分の場合は、私ちょっと調査をさせてもらったんですが、いわゆる公共土木の関係でも河川被害が七億七千万、道路被害が六億二千万、砂防一億、こういうような数字が出ておるようでございますが、この公共土木の関係についての被害は、これは建設省のほうですが、大体この数字に間違いありませんか。
  101. 増岡康治

    増岡説明員 詳細な説明を防災課長のほうからさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  102. 田原隆

    ○田原説明員 お答えします。  建設省関係被害をまとめて報告いたしますが、建設省所管の公共土木施設の被害は、大分県につきまして千二百七十八カ所ございまして、ただいままで判明いたしております数字は二十九億六千六百万円余りとなっております。  その内訳としまして、直轄災害が四十三カ所、九億三千五百万円、補助災害、これは県、市町村でございますが、この関係災害が一千二百三十五カ所、二十億三千百五十二万円となっております。  直轄災害につきましては、河川が四十カ所、九億二千三百万円、道路が三カ所、千二百万円、合計四十三カ所、九億三千五百万というのが現在までわかっておる数字でございます。  補助につきましては、個所が多うございましてまだまだ調査が進んでおりませんので、具体的に河川が何カ所、道路が何カ所というようなことはなかなかつかめない状況でございます、分類できないわけでございます。と申しますのは、道路沿いの河川などは、河川に入るのか道路に入るのかわからぬというような分類の問題がございますので、合計いたしまして千二百三十五カ所、二十億三千百五十二万円というのが現在までわかっておる数字でございます。  これは公共土木施設災害でございます。
  103. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうしますと、公共土木の関係で、大体いまの数字が、さらに調査をされて、査定もあると思うのですが、そういう数字になるとすれば、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律、これが大体適用されるというふうに理解をしてようございますか。
  104. 横手正

    横手説明員 十八号台風関連でございますが、まだ各省庁とも被害状況調査中でございまして、明確な見通しを持っていないというのが現状でございます。ただ、被害の結果がかなり出ました場合に、おそらく局地激甚等、こうした面につきましては私ども検討してまいりたい、かように存じます。
  105. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまのお話ですと、局地激甚の指定だということのようでございますが、局地激甚になるのか、その台風十八号の九州全体から四国にかけての被害を考えてみると、局地激甚ではなくて激甚地指定になるのか、この辺まだはっきりしないのですが、いずれにしても、いまの数字から考えて、最悪の場合でも局地激甚は当然指定されるだろうというふうに考えておるのですが、これはそれで大体いいでしょう。どうですか。
  106. 横手正

    横手説明員 私ども、まだ市町村ごとの災害の査定見込み額も十分把握いたしておりませんので、ここではどうもまだ明確にお答えできる段階にないわけでございます。その点御了承願いたいと存じます。
  107. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうむずかしく言わなくても、大体感じで、いままでのあり方でもわかるはずなんですが、この激甚指定のそれぞれの各項の条項から考えてみても、どんなに悪くてもこれはまあ局地激甚は間違いない、私は大体激甚指定が可能じゃないかというふうに思っておるのです。いま建設のほうの課長さんからお話のありました公共土木については、これは大体それでいけるというふうに思うのですが、どうですか。
  108. 田原隆

    ○田原説明員 激甚災害指定に関しましては、俗語で申しまして本激と局激とございますが、本激甚災につきましては、現在まで全国被害状況が、公共土木で判明しておりますのが八千カ所で百五十六億でございます。そうしますと、激甚災指定の基準がございまして、全国の標税のほぱ四%と災害額と比べるとかいうような問題になりますと、本激にはちょっと問題があろうかと思います。  局地激甚災と申しますのは、それぞれの市町村の、管理団体ごとの標準税収入と災害額との比較になります。そうしますと、各市町村災害額を把握し、査定して、その結果で比較しなければならぬわけでございますが、現在台風災害発生後まだ日が浅うございまして、大分県につきましても、昨夜から係員に徹夜で電話で連絡させておりますけれども市町村別の被害額がまだはっきり入ってこない状況でございます。と申しますのは、県におきましても、市町村におきましても、おそらく現地の応急対策とか、それから被害把握につとめておることと思いますが、残念ながら現在まだ市町村別のがわかっておりませんので、いまのところお答えできないわけでございます。
  109. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まあなかなかむずかしいところだろうと思います。ここで私は明確にとは言いませんが、しかし現地としては、すでに災害救助法も発動をして、そして公共土木等についても、すでに県費によっても万全の対策を立てておるわけなんです。したがって、可能な限り早く調査をしていただいて、かりに局地指定であったとしても激甚指定をしてやって、地域の住民が安心して復旧ができるようにひとつ建設省のほうでも速急に対策を立ててもらいたい。よろしゅうございますか。
  110. 増岡康治

    増岡説明員 大分災害は今回の十八号で最も大きい県でございますので、そういうための調査、査定を早急に進めさせていただきます。
  111. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次に、農林省お見えになっていただいておりますか。――同じくこの台風十八号の被害でございますけれども、私ども承知しておるところでは、農産物の被害が八億をこえておる、あるいは農地の被害が四億をこえ、林業の被害も四億をこえておるというのが、大分県の調査の、これは十日のお昼ごろの段階でございますから、まださらにふえるものと思われますが、この農業災害の場合には、単に十八号だけでなく、十四、十六とずっと関連をしての被害になっておるわけですけれども、これもいま建設省にお伺いしましたような観点から、激甚地指定あるいは局地激甚でもけっこうですが指定をしていただいて、復旧をやらさなければ、今日の農業事情から考えてもたいへんな問題だというふうに思っておりますが、農林省のほうの調査状況とお考えを聞きたいのです。
  112. 今村宣夫

    ○今村説明員 先生お話のございましたように、大分県につきまして見ましても、農業関係での被害は、漁港とか治山、海岸等の公共関係で二億三千四百万、それから農地、農業用施設林道を含めまして九億七千七百万、それからそのほかに荒廃林地、共同利用施設等を含めまして、以上の施設関係で大体十五億四千九百万程度被害が出ております。そのほかに、お話のございました農作物関係で約七億六千百万程度被害が出ておりまして、合わせて二十三億一千万の被害でございます。これは九月十日の県報告でございますので、私たちといたしまして、現在鋭意被害状況調査中でございます。したがいまして、お話のございました激甚災の指定につきましては、被害額調査中でございますので、その結果をまって、関係各省とも協議の上検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  113. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 調査の結果をまたなければ農林省もはっきりしたことは言えないと思うのですが、特に現地の農業をなさっている方々は非常に大きい不安を持っておると思うのです。大体の見通しとして、相当の可能性があるのかどうか、そのにおいの程度でけっこうですが、ちょっとお知らせ願えませんか。
  114. 今村宣夫

    ○今村説明員 ただいま申し上げましたように、激甚災害の指定につきましては、調査の結果をまって検討いたしたいと思いますが、もう一つ私のほうの関係としまして、農作物の関係被害がございます。農作物の関係被害は、ただ単に十八号台風だけではございませんで、八月中旬の台風十四号から九月上旬の台風十八号まで連続して本土を襲いました関係上、農作物の被害はそれだけで相当の金額にのぼってございます。したがいまして、これに対する対策としての天災融資法の発動につきましては、現在統計調査部で鋭意被害状況調査中でございますので、その結果をまって検討いたすつもりでおりますけれども、農作物につきましては、相当被害が発生いたしておりますので、天災融資法につきましては十分検討をしていかなければならないという心がまえでおる次第でございます。
  115. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。ありがとございました。  その次に、先ほどちょっと長官にお話したのですが、いま農林省のほうで国東半島につくっておる大規模農道、地元ではオレンジロードと呼んでおるですけれども、これが申し上げましたように、どうも工事がうまくいっていないのかどか、すでに竣工したところで数個所に及ぶ決壊が、あまり大きい台風等でなくて起こっておるわけなんで、これは防災上も非常に問題のあるところですが、この点どういうふうに把握をしておられ、どういう対策をお考えなのか、農林省のほうからお伺いしたいのです。
  116. 福澤達一

    ○福澤説明員 国東半島の大規模農道でございますが、七月四日の集中豪雨から十八号台風を含める、ことしの一連の集中豪雨並びに台風によって発生いたしました被害額は四百万、個所数にいたしまして十五カ所というように報告を受けております。  これらにつきましては、農道を建設する段階におきまして、本地域が火山灰性の、しかも集塊岩の風化した地域でございますので、それらの工法につきましては、その局所局所に応じまして対応の工法を考えまして、擁壁の個所とか、あるいはモルタルの吹きつけの個所とか、あるいは植生とかいうように工法を検討いたしまして実施してきたわけでございます。  しかしながら、集中豪雨はやはり相当の雨になっておりまして、七月四日の集中豪雨をとってみますと、時間雨量六十五ミリ、日雨量百三十七ミリ、また九月八日の十八号台風につきましても、日雨量が二百十ミリ、それから時間雨量にいたしましても四十ミリ、こういうような非常に強度の、しかも多量の雨が降ったわけでございまして、これらにつきましては、現在工事中あるいは工事完成後間もなくで、植生状態もまだ十分でないというような点もございまして、こういうような結果を生じたものと考えております。  私どもはこういう事態に直面いたしまして、被災箇所につきまして今後の防災上の措置を十分検討の上、早急に復旧をはかっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  117. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 道路行政の一元化等については、これは政治的な課題でございますから、なかなかここで結論の出る問題ではないと思いますが、せっかくオレンジロードをつくっていただいて、ミカンの出荷の時期になっておるわけでございます。もちろん全部完成しておるわけではありませんが、すでに完成した部分だけでも有効に使わしてもらわけなれば、せっかくつくっていただいた意味がないわけでございますので、これから先もずっと延ばしていくわけですから、今日まで竣工した地域の災害等について十分研究をされて、今後の開発については、こういう前車の轍を踏まないようにお願いをすると同時に、いま決壊等の故障の起こっているところについては、ミカンの出荷がもう始まっている状況ですから、ひとつ早急な復旧対策を立てていただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  118. 阪上安太郎

    阪上委員長 この際、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ――――◇―――――    午後一時三分開議
  119. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山原健二郎君。
  120. 山原健二郎

    ○山原委員 台風常襲地帯の一例として、高知県を襲った台風十六号の問題について質問いたします。  九月一日に高知県のどまん中の中土佐町に十六号が上陸したのが十八時二十二分です。満潮時がこの日十八時十分、ちょうど十二分間だけの差しかないわけですね。こういう状態の中で大きな被害が起こりました。一つは高潮の問題があります。さらに防潮堤内に入りました内水の排除の問題があります。しかもポンプは停電のために稼働しない、しかもポンプは停電のために稼働しない、しかもやみ夜である、こういう状態の中で被害地の住民は恐怖のどん底に追い込まれました。  私が行きましたところでは、ある身体障害者の家ですが、ここ五年間に三回このような被害を受けた。逃げ場所もなくて、ひじで階段をやっとのぼつて助かった。私が行きましたときには、家財道具一切潮水、どろ水につかりまして、泣くずれておったわけです。  さらに、高知市の浦戸湾のそばにあります心身障害児の玉島園、児童は逃げ惑うという状態がございました。こういう状態、これがたびたびのできごとでございます。  そこで、最初に二、三問題になっておる個所について、建設省その他の見解を伺いたいのです。  まず第一番に、高知市の竹島川水門並びにポンプ施設、これは昭和四十五年の十号台風のときに、何とでもして完成してもらいたい、また、国や県もこれはやらなければならないということで来たわけですが、今日まだ設置をされておりません。十号台風のときには、高知市の七割が浸水をするという大災害を起こしたわけです。少なくともいままでの約束は、来年の三月までには完成をするという約束でありましたが、聞くところによりますと、まだ来年の十二月までかかる。来年の台風時には完成をしないという問題が起こりまして、住民は非常に激高して、県などに対して交渉しておるわけですが、県のほうでも何とか努力をしたい、来年の台風時までには完成をしたい、こういっておりますが、この実情を建設省は知っておりますか。そして、県が努力しようとしておることに対して積極的に援助をして、少なくとも来年の七月までには完成をする、こういう自信があるかどうか、最初に伺っておきたいのです。
  121. 堀口孝男

    ○堀口説明員 これは運輸省の所管でありますので、私からお答えさせていただきますが、先ほど先生の御指摘になりましたとおり、四十五年の十号台風以後、われわれのほうも一生懸命、延々浦戸湾の二十二キロの全延長にわたりまして、同時に全部一斉にスタートして、約百億円の金をかけて現在防災事業を続行中でございます。  問題の竹島川でございますが、この地点におきましては、大型の排水機場でございまして、しかも河川にかけておるというところでございまして、通常の流水の機能を遮断するわけにまいりませんので、まず水門をつくり、その仮締め切りをやり、そして水門をつくり、その後今度水門の仮締め切りをはずして水門のほうにその流水を疎通させ、今度排水機場のほうに仮締め切りをして排水機場をつくるという段取りをしなければならないわけでございます。したがいまして、通常の時間でございますと、工期的に見ますと水門というのはどうしても二年かかります。それから排水機場もどうしても三年はかかるということで、われわれのほうといたしましても、こういう河川のところの締め切りというのにつきましては、従来から非常に頭を痛めていたわけでございます。しかしながら、今回また再び浸水被害が起こりましたので、何といたしましてもできるだけ早急にポンプ場を完成いたしたいというふうに考えておりまして、現在工期的に見ますと――先ほど先生は十二月までとおっしゃいましたが、工期的に見ますと、これは通常のスピードでまいりますと大体十一月でございます。ところが、それでは当然のことながら来年度の台風期に間に合いませんので、現在、排水機場の能力は三十トン毎秒でございますけれども、とりあえずとにかく二十トン毎秒の排水能力を持たせよう、これを七月までにぜひ完成させていこうというふうに考えております。  今回の降雨量でございますと、時間雨量最大で二十五ミリでございまして、この二十トンの排水能力は時間雨量の最大で六十ミリまて十分持ちこたえることができるというかっこうになっておりますので、とりあえず七月までこれをやりまして、しかも、さらにどういう降雨状況になるかまだこれはわからぬ問題がございますので、さらに八月の末までに、残りの十トンでございますか、これの排水機場もできるだけ早急に手当ていたしたいというふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  122. 山原健二郎

    ○山原委員 これは全く市民並びに市当局の切望するところでありますから、いまお答えになりましたように、来年の台風時までには完成をしていただくという御回答でございますから、ぜひそのように進めていただきたいと思います。  二つ目の問題は、南国市の久枝の問題です。  これは建設省だと思いますが、今回も再び決壊をいたしました。十四号台風のときにひび割れを生じて、懸念をしておったわけですが、今回決壊をいたしまして、御承知のような災害が起こっております。これは、建設省は、災害復旧としては五億何がしかの資金で工事を十月から始めるといっておりますが、その前にあります例の離岸堤の問題です。この離岸堤三基を次の台風時までに完成をしてもらいたい、こういう要求があるわけです。離岸堤の功罪については、現地へ行けば一目りょう然でありまして、現在できておる離岸堤のところは砂が蓄積をされて、堤防は残っています、そのそばがくずれている、こういう状態ですから、ここもたびたび被害を受けているとこでありますので、これはぜひ実現をしていってもらいたいと思うのですが、この点について答弁お願いします。
  123. 豊島修

    ○豊島説明員 お答えいたします。  問題の高知海岸堤防は、南海地震の際に沈下をいたしまして、まず初めに堤防ができまして、その後改良事業で何回かかさ上げ補強してきたわけでございます。ところが、昭和四十年前後からだんだん一これは一部、先生も御承知かとも思いますが、砂取りの問題がございまして、海岸の砂浜がだんだん減ってまいりまして、建設省としましても、昭和四十二年からすでにこういう浸食性の問題があることに気づきまして、調査を始めたわけでございます。そうしまして、昭和四十四年から直轄海岸として、取り上げまして、いま先生のおっしゃいました離岸堤に実は着手したわけでございますが、いろいろ地元漁業組合その他の関連がございまして、四十四年に着手はいたしましたけれども、実際上の離岸堤の工事には着手することができませんで、昭和四十八年度に初めて一基完成したような次第でございます。  最近になりましては、地元の方も離岸堤の効用を認めていただきまして、先ほど申されましたように、来年の台風までに何とか三基つくってくれということで、ここ何回か陳情が出ております。私どもとしましても、もう少し早く着工しておれば、今回の災害もあるいは防げたのではないかと思いますけれども、事情はそういうことで、やむを得ないことがあったわけでございますが、ただいま来年度の予算要求の準備中でございますけれども、できるだけ来年の台風期までに何とか三基できるように努力をしていきたいと思っております。
  124. 山原健二郎

    ○山原委員 ここは、ただいまの御答弁で了承いたしますが、大体砂を取るということですね、これは空港に砂を取ったり、あるいは堤防工事に砂を取ったり――砂を取ることを許可したということも、私は非常にふしぎに思うのですけれども、それは時間の関係で申し上げません。それからまた、漁業補償の問題がありましたから、それで多少時期がずれたということも了解できますが、今日、漁業補償問題は解決しておるようでございますから、そういう事態が発展をしていますので、ぜひ必ず実現をしてもらいたいと再度要求しておきます。  次に、南国市の国分川の問題があります。これは質問はいたしません。ここは今度新しく医科大学が設置されるところでありますが、医科大学が遊水地帯にできるわけですね。そのために、この付近の堤防問題が非常に住民の心配の種になっております。これはこの前の台風で非常に大きな被害を受けたところであります。  また、南国市の下田川防潮堤の問題です。これも今度の被害によりまして相当数が被害を受けているわけであります。  さらに、高岡郡興津浦分漁港の問題があります。これは現地へ私も参りましたが、高潮のために、台風十号と全く同じ被害が起こっておりまして、漁業協同組合の建物も一切――建物自体は残っておりますが、すべて洗い流されておるという事態が起こっております。これは五カ年計画で進んでおるそうですけれども、これはぜひ、繰り返し繰り返し受ける被害で、私どもも見舞いにも行く気にならないという状態でありますが、この五カ年計画はもっとスピードを上げる必要があるのではないかと思いますが、この浦分漁港についてちょっと質問をしておきたいのです。
  125. 根本清英

    ○根本説明員 確かにお尋ねの浦分漁港は、堤防の天端高も低く、また老朽もいたしております。それで高潮の被害が予想されておりましたので、五カ年計画を立てて、実は四十九年度、本年度に着工したばかりでございます。それで本年度着工した個所は、堤防の高いほう、非常に老朽の進んだところを先に着工したわけですけれども、これは入札しておりますので、ことしはそれでやらしていただいて、来年やる個所につきましては、特に被害の大きかったところの実態を踏まえましてやらしていただきたいと思います。  なお、その進め方も早く完了するように努力いたしたいと思います。
  126. 山原健二郎

    ○山原委員 そのほか中土佐町の浸水、土佐市宇佐町の浸水問題などあります。  引き続いて、十八号台風によりまして、これは私の郷里でありますけれども、相当な被害を受けるという状態、しかも十八号によりまして土讃線が現在ストップをいたしております。一日ストップをいたしますと、県の園芸連だけの被害が一日で一千万円の被害です。これはピーマンその他の輸送に関係してまいります。これが約一週間とまるということでございますから、これだけでも園芸連だけの被害が七千万円、しかも土讃線は四十ミリの雨量であれば運行を停止するというような国鉄当局のやり方でございまして、こういう被害ですね、考えてみますと、高潮それから排水、それから停電、さらに鉄道の輸送のストップ、これはもう二重にも三重にも被害台風常襲地帯にはかかってきておる。ことに高知市は有数の、全国第四位のゼロメートル地帯、こういう状態ですね。もうこれでは何ともならないというのが県民の気持ちであります。  そこで、まず高潮の問題について大蔵省にお伺いをしたいのですが、今度の予算で繰り延べ八%というのが出ておりますけれども、高潮もその中に入っています。しかし、高知県における台風被害というのは、ほとんど高潮の被害なんですね。それを八%繰り延べる、また下水道も四%繰り延べる、こういうことになってまいりますと、ゼロメートル地帯における下水道は、これは排水の用もなしておるわけでありまして、そういう点で、防災の関係から見ましても、高潮、下水道については、予算の繰り延べなどということは絶対にしてはならぬ、こう思っていますが、これは大蔵省の見解を伺ってみたいのです。
  127. 西垣昭

    ○西垣説明員 お答えいたします。  今回の繰り延べ措置は、先生も御承知だと思いますが、当面の経済情勢から見まして、総需要抑制策を堅持して物価の安定に資する必要があるという、いわば経済政策全般の運営の方針の一環として緊急に行なっているものでございます。  それで、御指摘台風常襲地帯におきます高潮対策や下水道関連の公共事業につきましても、こうした大方針のもとで繰り延べの対象としているものでございます。しかし、繰り延べ額全体のワクの中で実行上配意する余地というものは十分にあると思われますので、事業執行上、具体的に支障を生ずるおそれが万一生ずるような場合には、関係省の御意見もよく聞きまして、十分に対処したい、このように考えております。
  128. 山原健二郎

    ○山原委員 この問題は、実行上の問題として、当然、当面解決をしてもらいたいと思うのですが、高潮対策の防潮堤が計画どおりできていない繰り延べ分からこの災害が起こっている分がたくさんあるわけですね。そういう意味で、こういう高潮による被害というものは、これは何といっても大きいわけですから、これは今後の問題としてぜひ考えていくべきだと私は思います。現実の問題として、実行上の問題としてぜひ検討してほしい、こう思います。  次に、ゼロメートル地帯に対する対策ですね。これは建設省になると思いますけれども、一級河川、二級河川の場合は別としまして、流域面積二平方キロ未満の場合ですね、これは市町村がやることになっているわけですが、これが市町村財政を圧迫しているわけです。第一、ポンプでも一億二千万はするわけですね。それからさらに水路、しゅんせつ、すべて市町村にまかされておる。これが地方財政をまさに圧迫しておるという状態でありまして、ゼロメートル地帯に対する対策というのは特別につくる必要があるのではないか、この点いかがでしょうか。
  129. 井前勝人

    ○井前説明員 お答えいたします。  市街地の内水排除につきましては、私どもの下水道事業とそれから河川事業と綿密な計画の調整なり提携をとっていかなければ、根本的な解決はできないと思います。われわれといたしましては、河川局と相談しながら、ある一定規模以上、先生の言われました二平方キロ以下は大体下水道で責任をひとつ持とうじゃないかということで、市町村の指導をしておりますが、この二以下を下水道でやります場合には、やり方といたしまして、いわゆる公共下水道として網の目のようにやる場合と、それから、そこまで及ばない地域は都市下水路として浸水だけを対象にするという、二つの事業のやり方があるわけでございますが、いずれにしましても、内水排除につきましては、そういう河川との分担をはっきりした上で、内水排除のための下水道をひとつ進めてまいりたいと思っておりますが、御承知のように、高知の場合は、まだ下水道の市街地に対する普及率が二〇%前後で非常に低うございまして、今後やはりそういう浸水問題に対しましては、もっと下水道事業を伸ばしたい、努力していきたいというふうに考えておるところでございます。
  130. 山原健二郎

    ○山原委員 内水排除補助制度というのは考えたことはないのですか。これはいままでの答弁の中で一定見解が出されておるようですが、検討するというお話もあったように伺っておりますがね。いかがですか。二平方未満といいますとかなり広いのですよ、市町村におきましてはね。
  131. 井前勝人

    ○井前説明員 お答えいたします。  まず、浸水対策として二以下を下水道で行ないます場合には、いわゆる都市計画事業といたしまして採択いたしまして、採択されますと、いわゆる国の補助は十分の四ということで、国の財政の援助がなされるのでございます。  それから、公共下水道で雨水対策を行ないます場合には、公共下水道の補助率は、パイプにつきましては十分の六というふうな補助率になっております。  それぞれで事業を実施していきたいと思っております。
  132. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、厚生省に伺いますが、個人補償の問題です。  先ほど言いましたように、五年間に三回も浸水をする。床上浸水ですね。電気洗たく機もテレビも何もあったものじゃない。畳は常にどろ水、潮水で捨てなければならぬ。ほんとうにやりきれない状態ですが、災害援護資金貸し付け制度というのができております。しかし、この死亡者弔慰金にしましても五十万とか、あるいは災害援護にしましても全壊五十万、半壊三十万とか、家財三分の一消滅した場合に二十万とかいうような金額になっておりますが、実際に実情として調べてみますと、二回も三回も受けるとどうにもならぬわけですね。貸し付けは返さなければならぬというような問題があるわけです。そういう災害援護制度の不備の改善、またはワクの拡大、そういうものも私は必要だと思います。大体貸し付けなどというようなものではなくして、こういうものに対しては補償していくというのがたてまえだと思いますけれども、この災害援護制度について改善をするというかまえがあるのかどうか、伺っておきたいです。
  133. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律は、昨年議員立法で成立したものでございます。この内容につきましては、先般の災害以来各方面からいろいろと御意見をちょうだいしているところでございまして、特にその中でも、災害援護資金の貸し付け限度額の引き上げの問題につきましては、昨年法律ができましたときからの社会経済情勢の変化というものを考えるならば、いま一度検討しなければならない、私どもはかように考えているわけでございます。その点につきまして、今後検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  134. 山原健二郎

    ○山原委員 私も、ここに実情についての資料を持っていないわけではございません。けれども、おそらく各党とも、これはまさにこの状態ではだめだという意向だろうと思うのです。そういう意味で、議員立法ではありますけれども、各党の議員の方たちの中でこの問題の意思統一ができれば、こういう問題はさらに改善をしていく、さらに災害被害に対する単なる貸し付けという形ではなくして、いわゆる補償をですね、そういうところまで前進をさせていくべきだと私は思っております。それはいまの厚生省のお話でも、いまのままでは不十分だろうという御意見でございますから、ぜひこの点は委員長にもお願いをいたしたいわけですが、災害委員会で御検討いただきまして、前進をさせていただくようにぜひお願いをいたしたいと思います。  次に、私は、いま台風常襲地帯としてのそこの出身の議員として申し上げておるわけですが、いま言いましたように高潮、さらには内水排除の問題、あるいはいろいろの列車がとまるとか、それから山くずれによる人命の被害とかいうのがもう絶えず続いているわけです。  実は、台風常襲地帯対策審議会というのがあります。私も審議委員です。私は内閣総理大臣田中角榮氏から、台風常襲地帯対策審議会委員に任命するという任命書を、昭和四十八年二月五日にもらっているのですが、一ぺんも会議が開かれていない、これはどういうことですか。一度も会議が開かれていない、いつから開かれていないのですか。
  135. 横手正

    横手説明員 お答えいたします。  台風常襲地帯対策につきましては、台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法、これが昭和三十二年に制定されたわけでございますが、この法律に基づいて各種の事業が実施されてきておるところでございます。その後、昭和三十五年に治山治水緊急措置法が公布され、また同年でございますが、治山事業、治水事業の十カ年計画、これが決定を見たところでございます。  当時、こういうような情勢を踏まえまして、特別措置法の第十三条に基づきます昭和三十八年度以降の第二次五カ年計画、この計画の策定につきましては、今後の災害防除対策は、これら治山治水等に関する長期計画において十分考慮すれば、この特別措置法の趣旨と実質的に変わりがないというようなことから、審議会の議を経まして、昭和三十八年でございますが、総理府でその旨の告示が出されまして、特別の五カ年計画というのは策定しないで済ますことというようになったわけでございます。  その後、この総理府の告示に基づきまして、関係省庁とも協議して災害防除事業を適切かつ円滑に推進することにつとめておる次第でございまして、以後先生指摘のように、三十八年度以後でございますが、審議会はそうした事情から開催をしていないところでございます。
  136. 山原健二郎

    ○山原委員 三十八年から開かれていないということですね。三十八年度あたりから高度経済成長政策が始まりまして、御承知のように遊水地帯がなくなる、乱開発が行なわれる、今日のような問題になっているわけですね。その十一年間どんな理由があるにしろ開かないというところに、災害常襲地帯に対する政府の考え方――これは国土庁できたばかりですから、国土庁の責任を追及するというのは気の毒でございますけれども、しかし、こんなばかなことないでしょう。では五カ年計画は必要ないから、じゃ審議会は必要ないというのですか。不必要なものを昭和三十八年、昨年度何で山原健二郎その他常襲地帯の議員が衆参両院合わせて本会議で任命をされて、告示にも出て、新聞にも出て、災害常襲地帯の議員がそんなことで調査もしてやってくれておるのだろう、こう思っておるわけですよ。十一年間も開かないということは、これはまさに審議会の名を形骸化、死滅させておいて、全くこれは国民に対する欺瞞的行為だといわれてもいたし方ない状態ですね。どうしてこうなったのですか。だから、あなた方必要なければ、告示の問題じゃない、院が決定しているのですから、国会が決定しておる委員がおるわけですから、それに対してはかって解散するなら解散する、もう任命しないなら任命しないという行為がなされなければ、何のために私たちはここにこんなものをもらって任務も何にも果たせないで名前だけ連ねておる、こんなばかなこと、これは国会議員に対する全くのの侮辱ですよ。この点については、きょうは長官がおりませんけれども、政務次官から明確な答えをあとでいただきたいと思うのです。いかがですか。
  137. 山内一郎

    ○山内説明員 御承知のとおり、台風常襲地帯の法律は三十三年に制定されたものでございますけれども、この内容は大きいところは二つあると思うのです。  第一は災害常襲地帯を指定する問題、もう一点は指定された地域における防災の五カ年計画をつくる、この二つがあったわけでございます。その昭和三十三年の当時は、大体西日本に毎年台風がやってきた、そういう経緯で、主として西日本の防災対策についてひとつ審議会をつくって大いに検討していこう。これが法律の趣旨であったろうと私は思います。これは経済企画庁の所管でございまして国土庁に移管したものでございますが、ところが最近の災害状況を見ますと、西日本には限らない、全国的に災害を受ける範囲が広がっております。そういたしますと、全国を指定しないといけない。全国の防災計画というものは、各河川とか砂防とかいろいろの防災施設五カ年計画というものをもちまして現在進行中でございます。したがって、それらの全国計画によって、全国台風常襲地帯でございますので、それでやっていけばこの目的が果たされるんじゃないか、こういうことで昭和三十八年から全然動いてないということでございます。  大体以上でございますが……。
  138. 山原健二郎

    ○山原委員 それは理由になりますかね。では、全国的にそういう災害が起こるという事態ですね、昭和三十八年から。これはいま私が言いましたような理由があると思いますよ。そうすれば、委員の数をふやすとか、全国的に審議委員をふやしていくとかというような方法もあるでしょう。しかし、政府が恣意的に機能をストップさすなんという権限は、私は少なくとも審議委員に聞かなければ、かってにあなた方の主観的解釈で、全国的に広がったんだから必要なかろうなどということで開店休業の状態に十一年間もおくというのは、全く不誠意な態度じゃないですか。私はあなたの答弁では了解できません。国土庁は答弁もしにくいと思うのですよ。その点はわかりますけれども、しかし新たな立場で、だから私はいままで長々と常襲地帯の問題の一例として申し上げてきているわけですから、私の先ほどからの質問を聞いていただいて、それに対していまどうすべきかということですね。これを考えていただきたい。  それから、その目的も、これは御承知のように、台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法の中の審議会がここでつくられて、その第七条には「審議会は、この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項その他台風常襲地帯における災害の防除に関する重要事項を調査審議する」とあるのですよ。それからさらに「関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。」という任務があります。調査審議するということですから、防災計画がどのようにできようとも、五カ年計画、十カ年計画があろうとも、しかし台風常襲地帯という、これは全国的だと、こう一般化してはいかぬと思うのです。やはり鹿児島なり、私もここへ資料を持ってきていますけれども、いままで激甚地災害指定を受けたところのトータルを見ましたら、おのずから常襲地帯というのは出てくるわけです。だから、常襲地帯だけを守れというのではないのですけれども、しかし、少なくともこういう審議会があれば、これは活用しなければならぬ。政府のお考えすと、これは廃止するのだというならば、なぜ昨年の二月に私たちを任命したのだということになってまいります。だから、いずれにしろこの台風常襲地帯対策審議会ですね、これは開く必要がある、開かなければどうにもならぬです。私は任命されたのだから、これは私たちはその責任もあるわけですね。だから、今度国土庁がその所管になれば、あなたのほうで開いていただいて、これから先どうすべきかということを検討するのが、いずれにしろまず先決じゃないのですか。かってに政府がこれを全く形骸化するとか、あってなきものにするとかというようなかってなものじゃない。これは国会の決議です。どうですか。
  139. 山内一郎

    ○山内説明員 どうも政府がかってにやったようにおとりでございますけれども、三十八年ごろの審議会におきまして、全国的な災害になったじゃないか、また、五カ年計画というものは、それぞれの防災事業について五カ年計画は確立をしている、こういうことのいろいろな審議がございまして、三十八年以降の五カ年計画をつくることはそれらにまかせようということで、それ以後審議会が開かれていない、こういう情勢でございます。  そこで、いろいろその後大災害がございまして、災害対策基本法というのが、これは三十六年に法律が制定されたわけでございます。したがって、現在は防災に関することは災害対策基本法に乗り移って現在やっている最中でございます。したがって、これらにおきましては、中央防災会議を設置するとか、そういう会議におきまして十分審査をしていろいろな対策を決定してやっているような次第でございます。
  140. 山原健二郎

    ○山原委員 私の質問お答えになっていないのですよ。三十八年、全国的になったからといって五カ年計画をつくる必要ないのじゃないか。じゃ、この審議会の任務は単に五カ年計画をつくることだけではないということで、いま私は七条を読み上げたわけですね。調査審議するということもあるわけですから。しかも、それによって任命されているわけですね。だから、そういうことなら、三十八年に解散してもよかったと思う。法律は依然として残っておる。審議委員はそのつど任命されているのですね。任期は二年間でございましたかね、任命されているわけでしょう。だから、そういうことですから、いままで確かに五カ年計画は、別途のもので代用できるということで開かなかったということならまだわかるのですけれども、あなたのお考え方ですと――私は開きなさいとこう言っているのですよ。一度は開いて委員意見も聞きなさい。でも、それは開くという意思もない。大体廃止するという方針ですか。台風常襲地帯審議会は廃止する、法律にはあるけれども法律はもう空文化したというのがあなたのお考えですか。
  141. 山内一郎

    ○山内説明員 いままで御説明したとおりでございますが、ほかの形に移行しておりますから、台風常襲地帯というのはこの線に沿って現在のところはほかの形でやるのが妥当である、こういうふうに考えているわけでございます。
  142. 山原健二郎

    ○山原委員 妥当であるといったって、その審議会はあるわけですよ。じゃこれは廃止するという方針ですか。もうこれはただ名前だけ置いておくのだ、こういうことですか。それなら国会の問題として重大問題ですよ。これはこの場では済みませんよ。どうですか。そんなことで審議委員が任命されるとはとんでもない話だよ。
  143. 山内一郎

    ○山内説明員 御趣旨の点もよくわかりますので、少し検討させていただきたいと思います。せっかく任命されたのでございますから、どうぞよろしくお願いします。
  144. 山原健二郎

    ○山原委員 せっかく任命されたのだからなんて、そんな軽い取り扱いを言わせないために私は常襲地帯の住民の苦しみを申し上げたわけですから、真剣に考えてください。  以上申し上げまして私の質問を終わります。
  145. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 中川利三郎君。
  146. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 八月一日に秋田県、山形県の両県を襲いました集中豪雨、この被害は秋田県で申しますと総額六十九億、とりわけ県南部の集中したところには十四億円、雄勝町というところであります。山形県の損害は二百四十億へ特に集中いたしました新庄市は四十九億円、こういう膨大な被害をもたらしているわけですね。いかにこれが深刻なものであるかということを、たとえば秋田県南部の雄勝町の例で申しますと、ここの町は年間予算が十億円でありますが、十四億という大きい被害を出しておるわけであります。そこで、国では天災融資法による激甚指定をした。このことはけっこうでございますが、私自身あの現地を二つとも見に参りまして、いかに災害のつめあとがおそろしいものか、再びこういうことがあってはならないのだということを痛切に感じてまいったわけでありますが、国におきましても、激甚指定をしたからこれで事足れりだ、こういうことではなかなかおさまらないだろうと思うのですね。したがって、そうした激甚指定、天災融資法、こういうもののワクの外に今後いろいろな問題が住民の側から出されると思うのですが、まず冒頭国土庁にお聞きしたいことは、その被害復旧に対して、住民の汗と血の要求にこたえるような前向きの施策を今後とも積極的にやる御意思があるのかどうか、この点をまずお聞きしておきたいと思います。
  147. 横手正

    横手説明員 被災後の対策につきましては、従来から万全の措置を講ずるようにつとめてまいってきておるところでございますが、特に大臣からの話もございまして、従来からの災害の見直し、こうしたこともやるようにというような指示も受けております。私ども、これからも災害対策に万全を期すべくできるだけ検討を進めてまいりたい、かように存じております。
  148. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 特にこの災害で心打つものは、新庄市の升形川という川を横断する県道、つまりこれは昔の旧国道十三号線でありましたが、この橋を渡ろうとした御婦人が橋もろとも流されてそして死んでしまったという例でありますが、この事故につきまして、目撃者の報告によりますと、こういう状況でありました。事故時には減水し、しかし、まだ道路上、つまり橋でありますが、びしゃぴしゃ水が上がってくる状態であったが、自動車は通っていないが人や自転車は往来をし始めていたという。自分の兄さんの宅の水害救済に向かおうとして通りかかった加藤さん、死亡者は、もう橋を渡ってもよいのですかと付近の市民に聞きながら自転車に乗って渡り、中央を越えて自転車の前輪が向こう側の橋のはずれにかかるかかからないか、あと一歩というところに来たときに、ばりっという音で路床盤が折れるようにして一たん下がり、そしてどんという鈍い音を出して急角度に落ち込み、加藤さんは路床盤を手でかきながらはい上がろうとしながら絶叫の中で激流にのまれてしまった。この一連の動作はまるでスローモーションカメラを見ているような状態だったという。こういう悲惨な実態があるわけであります。  そこで私が建設省にお伺いしたいことは、この橋の流失と責任の所在の問題であります。なぜならば、この橋は調べてみますと、確かに大正十一年に山形県がつくっているのでありますけれども、そのあと国に移管されまして、ごく数年前の昭和四十四年十一月五日までの数十年間というものは国が管理、維持その他の責任を持っておったものであります。そこで、昭和四十四年の十一月以降、先ほど申しました国道のバイパス完成によりまして、再び県に移管されたという経緯を持っているのでありますけれども、全体としての橋という性格から見て、また歴史的な経過から見て、国にも当然その責任の一端はあるものではないか、こう思うのでありますが、これに対してひとつ御所見を伺いたいと思うのであります。
  149. 三野栄三郎

    ○三野説明員 お答えいたします。  事故のありました橋梁は旧十三号国道でございます。この国道は、昭和三十八年に指定区間として国が直轄管理をいたしまして、その後新庄バイパスの建設を進めておりまして、これが完成をいたしましたのが昭和四十四年でございます。四十四年にバイパスが完成いたしましたものですから、この橋を含めました道路のバイパスをいたしました区間を山形県のほうに引き継ぐということで、四十五年に引き継ぎの完了をいたしておるわけでございます。  そこで、国道が、バイパス等ができましたときに県道へ引き継ぎます場合、一般的には、国のほうから関係書類の引き継ぎとともに、国と県とが現地の立ち会いをいたしまして、引き継ぎます道路の現況あるいは官民境界の確認、それから重要な構造物に対してクラックがあるかどうか、あるいは河川等に、橋梁などにつきましては根の深掘りがないかどうか、そういった外観からの安全性の確認等、両者が立ち会いまして引き継ぎをしているわけでございます。この区間につきましても、同じような行為を行ないまして引き継ぎをしているわけでございますが、私どもが聞いております範囲では、四十四年に引き継ぎをいたしましたときに、そういった安全について、両者がこれで十分であるというふうに確認をいたしたという報告を受けておるわけでございまして、そのほか、一般に国道の管理につきましては、道路パトロール等を行ないまして、常時そういった橋梁の点検等も行なっているわけでございます。したがいまして、国道から県道に引き継ぎます場合には、構造上の安定計算といったようなことまで行なわずに引き継ぎをしているというのが実態でございます。
  150. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまのお答えだと、したがって国には責任はないのだ、こういうことでありますか。
  151. 三野栄三郎

    ○三野説明員 今回の新庄の降雨を見ますると、八月十日の日雨量が二百五ミリになっております。また、最大の時間雨量を見ますると、七十三ミリというような時間雨量になっているわけでございます。これは私の判断では、相当な集中豪雨であるというふうに判断をいたします。かつ、この橋梁のかかっております川の上流にため池がございまして、これが八月一日の異常降雨によりまして決壊をしている。そしてこの川に流れ込んだということで、この金沢橋の一番流量が多くなりましたときには、橋面上五十センチも水位が上がったというような実態でございまして、私たちといたしましては、こういった異常出水によってこの橋梁が流失したというふうに判断をいたしております。
  152. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私が聞いたことは、ただ一言です。したがって、そういう状況を踏まえて国には全く責任はないのか、何ぽかの責任はあるのか、このことをはっきりイエスかノーかで答えていただきたいということを言っているのです。
  153. 三野栄三郎

    ○三野説明員 橋梁が流失いたしましたのは、異常出水によって流失したというふうに判断をいたしております。
  154. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたは異常出水によって生じた天災だ、こうおっしゃるけれども、異常出水によってこわれたというなら、常時データとしても、国のあるいは県のそうした施設に対するちゃんとした安全が点検されてなきゃならない。しかし、移管時に際しても、あなたは外見上の評価の中で国が安全だと認めてこれを移管した、こういうことなんだね。これは国の責任があるということでしょう。県から最初国に移管した当時、この橋がだいじょうぶであったか、補修が必要な個所はどこだか、そういう点検はやられていないんだな、歴史的に見ても。また、国から県に移管した昭和四十四年の際、十分安全性を検討して県に移管すべきものであると思いますが、いまあなたの御答弁にあるように、単なる外見上の、外観からの評価にしかすぎなかったということをおっしゃっているわけですね。  特にこのピア――橋脚をささえるピアですね、この橋の拡幅工事を国が所管しておった昭和二十三年、かけかえでやっているわけでありますけれども、そのときでさえもこのピアにはさわっておらないのです。当然、こういうものに対しては安全を確かめる、そうして移管すべきことが筋だと私は思うのです。  そういう手抜かりを一切なくして、これは異常な集中豪雨のせいだ、こうきめつけて、災害に責任ある国の出方といいますか、国の言い方として、これは妥当なものかどうかということをあらためてお聞きしたいと思うわけであります。
  155. 三野栄三郎

    ○三野説明員 実態は、先ほど申しましたとおりでございます。  私どもは、現在県が管理をいたしておりまして、四十四年に引き継ぎをいたしました時点では、われわれの技術的判断で十分であるというふうに判断をいたしまして、県もそれを引き取っておるわけでございます。その後いろいろな河相の変化等がございまして、いろいろな問題も出てきたんだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、私たちはそういう報告を受けておりますので、なお先生から御指摘がございましたので、私たちといたしましてもなお実態をもう少し詳細に調べさしていただきたいというふうに思います。
  156. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 だから、そういう歴史的経過――国にも十分責任があるんだ、私の調べによりますと。ましてや、技術的判断であなたがだいじょうぶだと判定した、こういうことでありますが、技術的判断の基準になったいろいろな調査のデータ、あなたこういうものをお出しになりますか。たとえばこのピアは、そのときの強度がどうで、どれだけ安全なのかというような、そういう実態について調べたのですか。
  157. 三野栄三郎

    ○三野説明員 お答えいたします。  この橋梁は、大正年間につくられました古い橋梁でございます。そういうことで、かなり調査も困難をすると思いますけれども、私たちのできる範囲で十分な調査をしてみたいというふうに考えております。
  158. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いずれ、いままでのやりとりの中で明らかなことは、もう一回国のほうでも再検討してみる、こういう御答弁をいただいたわけでありますが、同じこの流された橋のそばにくっついて、歩道橋が昭和四十八年につくられておるわけでありますが、これは上流にもかかわらず、両側にボルトがかっちり固定されておりまして、そのため安全であったわけですね。そういう経過から見ても、完全にこのピアの管理そのものが、移管のやりとりの中にも非常におろそかになっておった、こういう実態が明らかにされたと思うんです。いずれ、現実問題としてこの橋が流れ、その中に貴重な人命が失われている、こういう状態でありますので、ひとつこの橋のたとえば復旧その他の問題もあると思うんですけれども、県だけの責任だなんというようなことじゃなしに、国が、たとえば直轄でやるとか何か責任を負ったかっこうでやっていただきたい、こういうふうに私考えるのでありますが、この点についてひとつお答えいただきたいと思います。
  159. 三野栄三郎

    ○三野説明員 この橋梁の管理者は、現在山形県でございます。したがいまして、山形県と十分連絡をとって進めてまいりたいというふうに思います。
  160. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 次に、農林省にお聞きするわけでありますが、今冬の豪雪は、もう秋田県始まって以来のたいへんな被害を農家にもたらしたわけでありますが、このため国では天災融資法を発動いたしまして、私どもの該当市町村に融資ワクをそれぞれ決定したわけであります。  参考までに申しますと、あの豪雪の被害の中心地帯である平鹿町は五千九百万円、雄勝町は二千三百万円、増田町は五千九百万円、横手市は五千九百万円、それぞれこのような融資ワクが決定されたことはたいへんありがたいことでありますけれども、ただ問題なのは、その原資ですね。国はこの利息に対しては補給する、こういうけれども、原資そのものは長い間の慣習上、農協あるいは信連さらには農林中金、こういうところから借り出しているわけですね。ところが最近、金融引き締めあるいは総需要抑制ということの中で、肝心の原資が農協にも信連にも、なかなか都市の農協や信連と違いまして、いま逼迫してたいへん困っているという状況が起こっているわけですね。資金難なんですよ。ですから、この原資そのものに対して、これは政府がどんなワクをきめたところで、おれのほうに金がないんだということで、非常に困難な状況を来たしておる。したがって制度からいいましても、制度自体十分生かされておらないというきらいがあるわけでありますので、利子補給だけでなくて、国の施策として金融引き締めをやっているわけでありますから、そういう制度が死ぬようなことのないように、国が原資の金のめんどうをそういう地帯については見てやる、こういうことでなければ、法の趣旨が生かされないような現状がいま生まれているということについて、農林当局の関係者の御答弁をいただきたいと思うんです。
  161. 今村宣夫

    ○今村説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘にございますように、天災融資法の原資は、それぞれ系統金融機関の原資を使いまして、それに対して国と県が利子補給をするという制度のたてまえに立っておるわけでございます。最近におきます系統金融がいろいろ逼迫しておる関係上、原資の提供が困難であるという御指摘でございますが、私たちといたしましては、やはり災害というふうなものは、地元の信連あるいは単協にとりましても、いろいろ金が要ることではございますけれども、系統の金融機関の使命としては、やはりそういう面での融資というものは優先的に考えていただかなければならないものであろうと思います。そういうことで私たちも従来から指導をしてまいっておるわけでございますが、あるいは一部の県においては、そういう原資の十分でないところはあるかと思いますけれども、もしそういうことでございますならば、私のほうとしましても、県によく連絡をとりまして、状況を把握をいたし、もし必要があればあるいは中金等から原資を供給するような措置をとりたいと思いますので、よく県等とも協議をいたしてまいりたいと思っております。
  162. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまの御答弁の趣旨をひとつ十分生かされますように強く希望いたしまして、ちょうど私の時間を終わります。
  163. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 関連質疑の申し出があります。これを許します。栗田翠君。
  164. 栗田翠

    栗田委員 私は、七月七日の第八号台風被害のあと始末について、関連という形で質問させていただきます。  これは、そのあとどのようにこの災害自治体財政を圧迫しているかということ、国の補助の制度などが不備であるために市が単独でどれだけ負担していなければならないかという、そういう問題についての質問でございまして、静岡県の清水市を例にとりますけれども、これは一清水市の問題ではなく、静岡県全体の問題でもあり、また全国共通の問題だし、八号台風ばかりでなくて、その他の災害にも共通する問題だと思って、そのような観点で質問させていただきます。  まず清水市の場合ですが、この市の一般会計総額は今年度百五十八億二千百九十七万五千円という額になっています。これは八月の補正を含んでおりますので、災害関係の予算も含んだ総額です。このうち清水市の災害救助及び復旧関係予算総額は、一般会計で十六億五千二百九万円、つまり、全一般会計総額の一割以上にまずなっております。  この事態について自治省に伺いますけれども、最近の地方財政の状態なども考え合わせまして、一般会計総額の一割以上を災害復旧で使わなければならないという事態は、私はたいへんなことだと思いますが、どのようにお考えになりますか。
  165. 小林悦夫

    ○小林説明員 お答えいたします。  災害復旧費の予算総額に占める割合がそのくらいになるということでございますが、これらのうち国庫補助金、地方債等で措置される分がございまして、一般財源の負担としてはこれより相当少額になるのではないかと考えます。これら激甚災法等の適用を通じまして、国の補助金、負担金または地方債、こういうものを通じまして、できるだけめんどうを見ておるつもりでございます。
  166. 栗田翠

    栗田委員 市の負担が九億三千十一万二千円、市債四億、一般財源五億くらいということになっております。とにかくいま全国の地方財政の状況を見ますと、平均しまして民生費が八・七%くらい、農林水産費九%くらいですから、一割をこえるというのはどちらにしても非常に重大な事態だと思いますし、清水市当局の話でも、これだけのものを出すと、民生予算だとか、それから市の職員の給与のアップにもかかわってくるということをいっております。  さて、この中身ですけれども、この中で応急復旧、また救援にかかった費用で、国の補助を受けられないものだけでざっと三億あります。一例をあげますと、農道、水路、林道等の農業施設の応急復旧費、それから道路、橋梁、河川等の公共土木施設の応急復旧費、堆積土砂の排除事業の中で国の補助対象にならなかったものが八千九百十七万五千円もあります。それからまた、救助法の適用が解除されたあとの、しかし実際にはかかった医療費は、これだけで五十万円。援護物資配付にかかった人夫賃が二十万円、海へ土砂が流出して漁協が作業した、それに対する費用三十万とか、例をあげてもこんなふうにかかっているわけでございます。  特にその中で、清水市宮加三という地域の堆積土砂排除作業を一例としてあげてみたいと思います。これは山から三万立米の土砂がくずれ落ちまして、都市のかなりまん中なんですけれども、ミカン山はくずれ、それから家が破壊され、道路が埋まり、川も埋まったという、こういうところです。この土砂の排除作業に実際にかかったのが千七百八十六万二千円かかっております。ところが、補助対象になっているのが一千万円だけですから、市が単独で負担したのが七百八十六万二千円という金額になっています。この市単独分がどのようにして出てきたかということです。まず第一には、重機類の単価の差額が出ております。実際にかかる市場価格よりも国がきめている基準が安いということです。それから二番目は、ここにあります川は杣川という川ですけれども、杣川に堆積した土砂が査定を受けまして、実際の堆積量の七割しか査定をされていないということです。三番目には、二メートル以下の道路がこの宮加三の場合に一部土砂で埋まりましたけれども、二メートル以下の道路の土砂の除去は対象外になっておりまして、しかし実際にはそれだけでも二百万円かかっております。  一つ一ついまからやらせていただきますが、たとえば重機類の単価の問題です。国がきめています基準は、一立米幾らというふうにきまっているそうです。ところが市場価格では、一日幾らというふうに大体きめます。それで、国の基準を一日当たりに換算しまして大体どのくらいの差が出ているかということを一例としてあげますと、十一トンのブルドーザーは、設計価格では二万九千七百円です。ところが市場価格が三万六千円、これだけで実費六千三百円の差が出てまいります。二十一トンのブルドーザー、設計では四万四千六百円、ところが市場では七万円、二万五千四百円の差が出ます。トラックのパワーショベル一・三立米のもの、二万九千六百五十円が設計価格ですが、市場の実費では四万円、これでもうすでに一万三百五十円の差額が出ます。やはり一・八立米のパワーショベル、設計では三万七千九百円、市場価格では五万円、一万二千百円の差額が出ているわけでございます。こういう差を合わせて非常に大きな市の負担になっております。  それから土工人夫賃が、国の基準は四千八十円、ところが実際には五千円払っていまして、約千円近いものが差となって出ていますし、それからトラックの運搬時速二十五キロというふうにきまっているそうです。ところが、あの当時は災害のための渋滞で十五キロしか走れなかった。こういうことでもやはり差額が出てきております。  まずこの点ですけれども、このような重機その他の単価の差額を実費に見合うように上げて払わられるようなそういう意思はないでしょうか。そういうふうに改正なさる意思はないかどうか伺いたいと思います。
  167. 田原隆

    ○田原説明員 お答えします。  ただいま災害復旧事業の単価、人夫賃等につきまして御質問があったわけでございますが、災害の事業の仕組みから申しますと、まず災害がありまして、それから査定が行なわれ、査定によりましてその団体の県とか市町村の事業費が決定され、それから実施に入るわけでございますが、実施のときには実施の設計書を組みまして、これは査定の設計書と別のものでございます。査定の場合は、一律に、ある基準で年度初めにいろいろ単価等を地方団体の申請によりまして大臣が承認いたしまして、それを年間通用させてやるわけでございますから、多少実施のときと差がありますけれども、これは総額をきめるためでございまして、実施の場合にはそのときの実勢単価で設計するということになっておりますので、原則的にそういう差がないようになっておるはずでございまして、事実私ども実勢単価で設計をするように指導しておりますし、そういう差があるとすれば、それは設計のときに実勢単価をつかんで設計しなかったのじゃないか、そういうふうに考えております。
  168. 栗田翠

    栗田委員 実施の場合は実勢単価で考えるような準備があるというお答えでございましたので、わかりました。  では次に、流れている川に埋まっている土砂の堆積量を七割に見るというこの見方ですが、これは国庫負担法の六条にあるように思いますけれども、たいへん不都合だと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  169. 田原隆

    ○田原説明員 河川の埋塞に対する災害復旧事業の採択の範囲というのは六条ではないと思いますが、法律に基づく一連の諸規定の中にございまして、自然流下で将来流れ去ることがあり得るわけでございますので、統計的にいままで考慮した結果、規定といたしまして、当面の災害査定では七割を採択の対象にするというふうになっておりまして、あとの三割はその後の、洪水に至らないような自然出水で通常流れ去るということでございますけれども、ただ、災害復旧の着工時におきましてそれらのものがもし排除されずに残っておれば、それは実施にあたりましては、実施設計の上では計上してやってもいいように考えておるわけでございます。したがいまして、そういうふうに査定できまりましても、実施のときに現地の実情を考慮してやればいいわけでございます。先ほど申しましたように、災害の査定は、個々の工事の査定をいたしまして、全体を積み上げて、全体のワクをきめるということに大きな意義があるわけでございますから、査定の迅速化とか広域の全国的な一つの統計に基づいてやる必要があるわけでございまして、個々のものに対しましては、その着工の実情に合うように設計するのが認められているわけでございます。
  170. 栗田翠

    栗田委員 地元の話でございますと、かわいた土砂をすくうよりは、ぬれた、川の中の土砂をすくうのがたいへんだというんです。たくさんすくえませんから、何度も何度もやらなければならない。実際には七割に減らされたのではたまらないし、一〇〇%であっても、かわいた土砂をすくうよりは費用がかかるということがいわれております。いま、着工のときに手直しをする、そういう弾力的な配慮があるということでございますから、ぜひその方向でやっていただきたいと思います。  それでは、いまの宮加三の例の第三点ですが、二メートル以下の道路についてその土砂の取り除きが適用除外されている、この点はどうしてこうなっているのでしょうか。
  171. 田原隆

    ○田原説明員 災害の査定というのは、公共土木施設等国庫負担法に従ってやっているわけでございますが、その六条に国庫負担法の除外規定というものがございまして、それにはいろいろ規定がございますが、その中の一つに、道路でございましたら二メートル未満の道路は災害復旧の対象にしないというふうな趣旨の規定がございまして、法律で定めらられている事項でございますので採択できないわけでございます。
  172. 栗田翠

    栗田委員 二メートル以下であろうと一メートル以下であろうと、そこは人が通っている、使っている道路です。実際には土砂が埋まれば取り除かなければならないし、現実にこの宮加三の例を引きますと、その除去作業に二百万円もかかっていますが、それが市の負担になっているわけです。それが、さっき言いましたように、七百何十万という市単独の負担に加算されていくというわけです。この点は非常に不都合ではないかと私は思います。そういう公共的な道路の土砂の取り除きの問題について、法の改正も検討していただく必要があるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。いかがでしょうか。
  173. 田原隆

    ○田原説明員 国庫負担法が昭二十六年に制定されておりますが、そのときに定められた除外規定は、ただいま申しましたように、二メートル未満の道路とか、直高一メートル未満の河川堤防とか、あるいは一件十五万以下の県工事とか、一件十万以下の市町村工事というように、比較的小さい施設、少額のものを除いているわけでございますが、これは別途のたとえば県単その他でやるということになるわけでございまして、その場合に、少額災害につきましては起債が認められるとかいうようなことでやられているようでございます。
  174. 栗田翠

    栗田委員 三万立米の土砂がくぐずれ落ちて、同じ土砂で埋まりながら少額災害であるというのも、ちょっと納得できません。引き続き御検討お願いします。  次の点ですが、国庫補助の対象事業になるのだけれども、必要な書類が整わないために提出できないでいるものの救済措置について伺いたいと思います。このようなものだけで、清水市で約一千万円あります。これは実情を聞きましたけれども災害のあった翌日あたりは、まだ水が引かないで人が屋根にのぼっている状態ですから、市としては全員出動させてそういう人たちの人命救済に当たっているわけです。ところが、一方では市民がどんどんと土砂の取り除きの作業もやって、市と連絡をとりながら、自分たちで重機を借りて取り除きもやるということが片方でやられていきます。写真などはとってないようなもので、実際には市の了承を得て重機を使って取り除いたというものなどがかなりあるわけなんですが、こういうものについて弾力的な扱いをしていただけるかどうかという点、伺いたいと思います。
  175. 田原隆

    ○田原説明員 お答えします。  災害が多い地区につきましては、個所が多うございますから、当然査定も通常一回では済まずに、二回、三回というふうに行なわれる場合があるわけでございます。と申しますのは、査定を受けるためには申請しなければいかぬ。申請して設計書をつくって金をきめていかなければいかぬわけでございますから、当然間に合わない場合もありますし、水が引かなけばわからないものもありますから、したがいまして、一回に終わらないときには二回目に申請していただくとか、二回目でだめなときは三回目のときに申請していただくとかいうふうにやっておりまして、それは後日発見されたときに、査定が年末まで行なわれますから、申請していただいて査定を受けていただければよいかと思います。
  176. 栗田翠

    栗田委員 私が伺いましたのは、後日発見されたということでなくて、書類が整わないために市が提出できないでいるものです。写真がないとか、いろいろはっきりしてない。しかし、請求書その他があったり、それはしているわけです。こういう場合の扱い方について伺っているわけです。
  177. 田原隆

    ○田原説明員 そういうこともあるかもしれませんが、通常、現地で査定官が実地に検査しておりますので、そこで実情をよくお話していただきまして、写真等がなくても、現地の判断その他で、それがこれはなるほど言われるとおりであって、災害に該当するということであれば、査定官がそこで採択するようになると思います。
  178. 栗田翠

    栗田委員 信憑性があれば採択していただけるということなのでしょうか。道路の土砂などはどけてしまえば何もないわけです。そのあと査定官が行ったって査定しようがない場合がありますけれども、実際にはどけているし、そのために重機も使っている、請求書などは出ているという場合があるわけですね。こういう場合は、信憑性さえあれば査定していただけるのでしょうか。
  179. 田原隆

    ○田原説明員 原則的にそのとおりでございますが、現地に参りまして査定官が、だれがどういうふうに運んだとかいう、たとえば業者が運んだ場合にその領収書とか、そういうもので信憑性を確かめることができれば採択いたすことになると思います。
  180. 栗田翠

    栗田委員 わかりました。  それでは、次に中小河川改修について伺います。  清水市で河川の決壊個所その他九十九カ所の被害がありました。復旧工事はされますけれども改修の必要なものがほとんどなんです。私、この前の八月一日のこの委員会での質問でこの点なども質問いたしまして、災害関連事業を弾力的に考えていくというようなお答えをいただいております。特に大きな被害をこうむったところには運用を弾力的にしていく、そして改修工事のようなものについても、その改良的な復旧という立場でそれを援助するというお答えをいただいております。  ところで、清水市の中小河川、いま県河川が二十一、市の管轄六百二十三、これは一メートル以上のものだけですが、こんなにたくさんあるんです。ところが、いまこの改修について、国は補助を出さないばかりか起債さえ認めておりません。けれども、今度のこの災害のあとで改修をしませんと、また次の豪雨のときに大きな災害が起こるだろうということが予想されるものがたくさんあるわけですけれども、補正予算などでこの起債だけでも認めていただくことはできないでしょうか。
  181. 小林悦夫

    ○小林説明員 普通河川等につきましては、大体それらの事業が経常的に行なわれる事業だということで、交付税等におきまして財源措置をしておるところでございます。それが災害等で非常に金額がかさむ、こういうことでございますが、これらの点につきましては、実情を把握の上、また財源措置について検討させていただきたいと考えています。
  182. 栗田翠

    栗田委員 前回の委員会で、共産党の中路議員の質問に対して、民地の排土作業についてもめんどうを見ていくという回答をいただいております。このことについて、各都道府県にどのように指示、指導されているでしょうか。また、実際に今度の災害で前回のこの発言が適用された例がありましたら教えていただきたいと思います。
  183. 田原隆

    ○田原説明員 民地の排土の場合、市街地のような場合は、市街地の排土事業として、都市関係災害復旧事業としてやっておる場合が多いと思いますが、これも一定の基準があると思います。ただ、都市関係者は現在来ておりませんので、後ほどお知らせいたします。
  184. 栗田翠

    栗田委員 最後に一点だけ伺いますが、緊急治山事業で、県は今度の災害関連して百八カ所の希望個所を出しました。十五億二千九百四十万円の予算で申請したわけです。これはすべて採択基準に合っております。とこが、査定で七十三カ所に切られております。この前の審議の中でも、基準に合うものは緊急に事業としてやっていくという回答をいただいておりますが、一体これはどういうことなのかということ。実際には、くずれ落ちそうなところがそのままになって査定からはずれているところがあります。この点について伺いたいと思います。
  185. 今村宣夫

    ○今村説明員 私たち、緊急治山につきましては、できるだけ地元の御要望に沿って、基準に該当するものは漏れなく拾うように心がけておるわけでございまして、そういう意味合いから、いま御質問の点につきましては、どういう事情でそういうことに相なっておりますか現地等に照会をいたしましてよく調査をいたしてみたいと思っております。
  186. 栗田翠

    栗田委員 以上のように、いろいろな例を出しましたけれども、地方財政が非常に総需要抑制の中で逼迫している事態の中で、ほんとうに住民国民の命を守るという立場から、政府としては災害復旧に本気で努力をしていただきたいということ、そういうことを要望して、私の質問を終わります。
  187. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次いで、諫山博君。
  188. 諫山博

    ○諫山委員 私は、共産党の全国遊説計画に従って九月一日から一週間の間鹿児島県に入って桜島をつぶさに調査してまいりました。そして桜島の火山のおそろしさをあらためて再認識したわけであります。  幾つかの問題について質問いたします。  第一は、六月十七日午後四時ごろ、鹿児島市古里町第一古里川で砂防修繕工事をしていた三名の人が土石流にのまれて死亡しました。中村実さん、中村光子さん、山下文子さん。これは明らかに法律的には災害による死亡であります。労働法的に見れば労働災害の適用されるべきケースであります。ところが、この人に対する補償金は、中村実さん、光子さんについてそれぞれ十万円、山下文子さんについて二十万円が払われたのみであります。  それからしばらくたった八月九日の午後四時三十分ごろ、桜島町の野尻川で砂防災害復旧工事をしていた五名の人が同じように土石流にのまれて死亡いたしました。この人に対する支払いは、竹沢輝夫さんに対して十万円、竹沢幸子さんに対して十万円、小学六年の竹沢和弘さんに対しては支払いなし、山道実さんに対しては二十万円、横道久雄さんに対しては二十万円。  私は、六月十七日に起こった第一古里川の災害現場に登って調査いたしました。これは普通の水害による死亡などと違いまして、桜島の火山岩が一気に流れ込んでくる。見ていた人の話によれば、百メートルの距離を八秒ぐらいで土石流が押し寄せてくる、そしてあっという間にのみ込まれてしまうというような火山特有の事故のようです。ことしの夏相次いで大きな悲惨な事故が発生したわけですが、こういう事故というのは避けられないものかどうか、何か管理上政府に手落ちはなかったのか。この点について建設省としてはどのように考えておられるのか、お聞きします。
  189. 増岡康治

    増岡説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃいましたとおり、六月十七日の第一古里川の事故でございますが、当地帯は普通の場所と非常に違っております。火山灰が堆積しておりまして、急激に砂れきが流れてくるということでございまして、工事の施工にあたりましては十分注意するよう県が指導しておった工事でございますし、続いて八月九日の野尻川の事故におきましても、御承知のように、十六ミリの雨でこういう災害が起こるということで、非常に発見がおくれたということ、見張り人がちゃんとついておりまして避難指示を出したわけでございますけれども、残念ながらいま先生のおっしゃったような人身事故にまでつながったわけでございます。  建設省といたしましては、今回の事故につきましては、いわゆる天然現象による事故として判断したものでございまして、工事の安全管理上の瑕疵があったとは思量されないと思っておるわけでございます。
  190. 諫山博

    ○諫山委員 工事の安全管理上の瑕疵であるかどうかは別としまして、たとえば河川の維持管理という点から見ての瑕疵はどうでしょうか。もう少し質問を補足しますと、完全な砂防工事がなされていたとすればこの種の事故は避けられたのではないか。それともこれは不可抗力の事故だと言われるのか。どちらでしょう。
  191. 増岡康治

    増岡説明員 いまの二つの川につきましては、そういう意味におきまして、どんどん砂防工事を進めることが下流の災害等も防ぎ得るということで、一つ治山治水工事としての砂防工事であったわけでございまして、その仕事そのものがやはりそういうものを救おうという一つの工事そのものであったわけでございます。
  192. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、火山に必然的に伴う不可抗力の事故ではなくて、完全にもっと早く砂防工事をしていたとすれば避けられたかもわからない事故だと理解していいですか。
  193. 増岡康治

    増岡説明員 その点につきましては、十分調査してみないとわかりませんが、先ほど申したとおりでございまして、砂防工事ができておればそういうことがなかったかどうか、この点についてまだいろいろと工事が残っておると思いますし、それだけで防げたかどうかわかりませんが、私どもは、その水系をそういうような災害のないようなことにしようということの砂防計画の一環でやっておったということしか申し上げられないわけでございます。
  194. 諫山博

    ○諫山委員 いずれにしても、こういう事故が起こらないような工事をしていたときの事故ですから、完全に砂防工事が行なわれていなかった段階での事故だということはお認めになりますか。
  195. 増岡康治

    増岡説明員 おっしゃるとおりでございます。
  196. 諫山博

    ○諫山委員 そこで、厚生省にお聞きします。この種の災害による死亡事故では、見舞い金に関する法律が改正されて従来より改善されているはずです。ところが、鹿児島県での実際の取り扱いを見てみると、新しい法律を適用するのではなくて、死亡者に対して十万円とか二十万円とか、ひどい人はゼロというような弔慰金しか払われておりません。この問題で、私は鹿児島県の総務部長と共産党の鹿児島県会議員などと一緒に交渉いたしました。そのときの鹿児島県総務部長の発言は、これは災害救助法も発動されていないから、あの災害弔慰金に関する法律は適用されないものだという立場から、いま私が読み上げたような見舞い金しか払わなかったというふうに言っております。私は、これは法律の解釈、適用を誤っていると思います。厚生省としては、このような場合にはあの災害弔慰金の法律は適用されなくてもいいと考えておるのか、それとも私たちの主張どおり、あの法律に従って弔慰金が払わるべきだという立場でしょうか。私たちは、強くあの法律の適用を主張して、災害弔慰金を少なくとも五十万円は払うべきだという主張をしてきたわけですが、いかがでしょう。
  197. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 お答えいたします。  現行の災害弔慰金支給法の前身でございます市町村災害弔慰金制度の場合には、災害救助法が適用された地域における死亡について弔慰金を出す、こういうことになっていたわけでございますが、現行法成立後におきましては、災害救助法適用地域よりも広げてございます。先生がおっしゃいました事例につきましては、広がった例に該当するかどうかということは、なお災害の実情などを調査しなければ判然とはいたしませんが、災害弔慰金支給法のできました趣旨、立法経過というものからかんがみまして、前向きの姿勢で対処するべく検討いたしたい、かように考えております。
  198. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、鹿児島県が災害弔慰金の法律を適用しなかったのは間違いだから、あの法律で災害弔慰金を払うように処置したいという趣旨に受け取っていいでしょうか。
  199. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 鹿児島県当局が、もし災害救助法が適用された地域における死亡でなければ弔慰金の支給は行なわれないということを申し上げたとするならば、それは誤りでございます。  しかし、その災害救助法適用地域以外の地域における死亡につきましては、これに準ずるものとして、厚生大臣が定める場合に支給されるということになるわけでございまして、具体的な災害のケース、ケースに応じて判断をしなければならない、かように考えております。この意味で、鹿児島県当局と協議をいたしたい、かようにお答えした次第でございます。
  200. 諫山博

    ○諫山委員 この事故については、あらかじめ厚生省に調査をしていただくようにお願いしていたのですが、現在の調査段階では、あの法律に基づく弔慰金が払われてしかるべきだとお考えですか。さっき前向きにという発言があったのですが、それはそういう意味に解していいかどうかです。
  201. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 鹿児島県当局からまだ確定した返事がきておりませんので、いましばらく猶予をいただきたい、かように考えます。
  202. 諫山博

    ○諫山委員 これは台風八号並びに梅雨前線による集中豪雨と関係のある災害です。そしてこの種の災害に対して、あの災害弔慰金が支払われなくてもいいということになれば、何のための法律だったのかと、その根本にさかのぼって問題を提起せざるを得ないわけです。厚生省としては、それなりの調査をされているはずですが、この具体的なケースについて前向きに、すなわち災害弔慰金をあの法律に従って支払うという立場検討されるのではないのですか。
  203. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 お答えいたします。  先生がおっしゃったケースだけでは私はないと思います。ほかの県でも同じようなケースがありますものですから、全体を考えましてしかるべく処置をいたしたい、かように考えております。
  204. 諫山博

    ○諫山委員 私は、この八名の死亡者のことを聞いているのです。そして八名の死亡原因については、さっきの論争でも明らかになったわけですが、こういう場合にはあの法律を弾力的に適用して、少なくとも五十万円の弔慰金を支払うように措置をするというのが厚生省の役目ではないのですか。
  205. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 先ほどもお答えいたしましたように、この法律のできました趣旨、立法経過などにかんがみまして、妥当な処置をとりたい、かように考えております。
  206. 諫山博

    ○諫山委員 あなたの答弁で、前向きにとか妥当な処置という発言があったのですが、これは私が主張しているような支給をする方向検討するというふうに理解していいのですか。
  207. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 そのとおりでございます。
  208. 諫山博

    ○諫山委員 労働省からお見えでしょうか。――労働省にお聞きします。  この八名の死亡事故に対して、労働災害上の取り扱いはどうなっていましょうか。
  209. 山口全

    ○山口説明員 労働災害についての災害調査報告が実は安全衛生部のほうに参っておりましたので、私、ただいまそれを拝見しながら参ったところでございます。なお、補償関係につきましては、電話等で調査した限りで一部が判明しておりますので、補償関係についてお答えしたい、こう思います。  第一古里川の災害発生昭和四十九年六月十七日、これについては労災請求が七月三日になされております。しかし、報告によりますと、遺族の状況あるいは平均賃金等の算定に若干日時を要して、いまだ支給決定に至っていない。遺族が西宮のほうにお住まいのようでございまして、そういう関係調査がおくれておるという報告を得ております。  なお、野尻川について発生した八月九日発生の事故につきましては、八月二十二日に保険給付の請求がありまして、二十六日に支給決定をいたしております。
  210. 諫山博

    ○諫山委員 六月十七日の第一古里川にも当然労災扱いがされるべきだと思いますが、この点は異論ありませんか。
  211. 山口全

    ○山口説明員 現地からの報告によりますと、業務災害としてとらえておりますので、労働者については当然労災補償がなされる、かように存じております。
  212. 諫山博

    ○諫山委員 それから、厚生省にさっきの点もう一つ補足して聞きます。  これは、本人にあの災害弔慰金の法律で見舞い金が支払われるとすれば、どういう手続をとればいいのですか。
  213. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 住所地の市町村でそれぞれ災害弔慰金支給条例が定められておりまして、その条例に従って遺族の方が申請をなさればけっこうだと存じております。
  214. 諫山博

    ○諫山委員 それでいいです。  次に、今度はほかの問題に移ります。昨年の七月二十四日、火山に関する法律が制定されました。これがどのように運用されていくかという問題に私たちは非常に関心を持っていたわけですが、このたび桜島町、鹿児島県などで事情を調査して、たいへんな問題が発生していることに気づきました。  その一つは、たとえばあの事業の一環として酸土矯正をする、石灰を散布する、こういう作業が行なわれています。昭和四十八年度の農林省の計画によると、酸土矯正の区域が六百五十六ヘクタール、このために一万九千六百八十袋の石灰を必要とする。二十キロ入りの石灰一袋を百三十円で見積もった。こういうことで作業が始まったわけですが、実際は二十キロ入り石灰一袋当たりの価格は二百五十円になった。一袋について百二十円だけ不足している、こういう数字が出ております。これはいわゆる超過負担として地方自治体を非常に苦しめているわけです。  さらに、鹿児島市ではあの火山に関する法律に基づいてビワの貯蔵庫が建設されていますが、昭和四十八年度の農林省の予算では三十坪の建物一むね二百七十二万五千円、こういうことで準備がされております。ところが、実際鹿児島市が支出したのは三十坪の建物一むねで四百二万円だ。これもいわゆる起過負担が非常にばく大な金額になっているわけです。  火山に対する緊急な対策でこういう不当な財政負担が自治体にかかってくるというのは許すべからざることだと思います。私たちは法律作成に参加した者として、こういう状態を黙って見ておくわけにいきません。農林省はこういう状態になっていることを認めるか。認めるとすれば、この状態が正常だと考えておられるのか、御説明ください。
  215. 今村宣夫

    ○今村説明員 ただいま先生の御指摘のように、酸土矯正におきます炭カルの単価は、予算上は百三十円、こういうことでございますが、最近、特に四十九年度に入りましてその単価が非常に上昇をしておることはお話のとおりでございます。
  216. 諫山博

    ○諫山委員 その状態が当然だと思っているのですかという質問もあったのですが、お答えください。
  217. 今村宣夫

    ○今村説明員 私たちといたしましては、予算上の単価はお話のとおり百三十円ではございますけれども、実行上の問題としていろいろ県と相談をいたしまして、四十八年度におきましても、できる限り実態に合わせて運用上補助単価を引き上げるような措置をとりまして、被災者の、生産者の負担の軽減につとめておるところでございます。
  218. 諫山博

    ○諫山委員 いまの状態を是認しておられるのか、よくないと思っておられるのか、さっぱりわかりません。  それでは、この作業というのは今後も続くわけですが、来年度の概算要求ではどのくらい見積もっているのでしょうか。
  219. 今村宣夫

    ○今村説明員 なお、ちょっと御説明を申し上げますと、一つ先生承知のとおり、炭カルは酸土の状況によって投入をいたすわけでございまして、地域により一律ではございません。したがいまして、地域の面積と単価との範囲内で実態に合うように予算を県においてよく運用してもらうように協議をととのえていくということによって対処していけるのではないかというふうに考えております。  現に、従来の予算の実行をとってみますと、当初百五十円でやりました地域が千二百四十八ヘクタールございます。さらにまた百五十七円の単価でやりましたところが百七十ヘクタール、二百七円の単価で行ないましたところが千百七十一ヘクタールというようなかっこうで、予算の単価が百三十円ではございますが、実行上の補助単価はいま申し上げたような形で実行されておるということでございますので、予算上の百三十円そのものをいろいろ問題――それは問題でもございますけれども、実行上そういう形で、私たちとしてはいろいろ県のほうと協議をしながらその措置を行なっておるところでございます。  四十九年度におきましても、大体同様な考え方で処理をいたすつもりでございますが、もしそういう状態で処理が困難であるということでございますれば、いろいろ検討いたさなければならないと思いますけれども、現在までのところ、県のほうとの協議でそういう実行上の単価によって措置いたしておるのが現状でございます。
  220. 諫山博

    ○諫山委員 あなたは、石灰二十キロを百三十円で見積もっているけれども、実際は二百五十円になっているどいうことは御承知ですか。
  221. 今村宣夫

    ○今村説明員 実勢はその程度になっておることは承知いたしております。
  222. 諫山博

    ○諫山委員 実勢があなたたちの予算の倍額近くになっているのですから、当然どこかに無理がくるはずです。どこに無理がくるかというと、予定どおりの面積をこなさずに、面積を狭くしか処理できないという結論にならざるを得ません。こういうやり方は正しくないということは、最近自治省でも認めておりますよ。農林省はこういうやり方はあたりまえだと思っているのですか、それとも金繰りがつかないからやむを得ずこういうこそくな手段をとっているということですか、どちらでしょうか。
  223. 今村宣夫

    ○今村説明員 予算上の単価が低いから直ちに面積がそれに見合って削られるかどうかということにつきましては、これは施用量がそれぞれ酸土によって状況が違いますから、そういう状況のもとで、さらに今度地域の拡大ということを行ないますれば、拡大します地域については従来の地域よりも被害の少ない地域でございますから、そういう意味合いにおきまして、その施用量その他の問題で十分実行上効果があげられるのではないか。もとより単価そのものが低いということは私たちも十分承知をいたしておりますが、そういう実行上の問題として処理をしていけるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  224. 諫山博

    ○諫山委員 政務次官にお聞きします。  いまのやりとりをお聞きだと思います。この火山に関する法律というのは、火山の被害を緊急に防止するためにつくられた特別な法律です。そしてこの負担をする自治体というのは、年じゅう火山の被害を受けている気の毒な自治体です。そしていま指摘しましたように、火山灰による酸土を矯正するために石灰をまく。そこで、政府が予算を組むわけですが、二十キロが百三十円で計算されているのに、実際は二百五十円かかっている。だれが考えたってこれは不正常です。ところがいまの説明では、いささかも反省していないのではないかというふうに思われますが、防災に責任を持たれる国土庁としてはいかがですか。
  225. 山内一郎

    ○山内説明員 私も聞いておりましたけれども、設計単価と実際違う、こういうことは実際に仕事をされる方にとってはやはりたいへんな問題があると思います。そこで、農林省もいろいろお答えいたしましたとおり、単価が足りない場合にはそれ相応の、見合うようなやり方をやる、そういうことで、当然二百五十円かかるものならかかるものといたしまして処理していくのが妥当であろう。私どもの直接の責任かどうかわかりませんけれども、そういうふうに考えるわけでございます。
  226. 諫山博

    ○諫山委員 見合うような処理というのは、石灰の散布量を少なくするか、あるいは石灰を散布する面積を狭くするか、どっちかしかやりくりはつかないわけですよ。そして実際は、予定された面積に全部散布するのじゃなくて、赤字をしょい込むわけにはいきませんから、面積を狭くして処理しているというのが実情です。これでは、計画どおり防災工事が進まないということを農林省が押しつけているということになるじゃないですか。私はこの点について是正を求めますが、次官いかがでしょう。
  227. 今村宣夫

    ○今村説明員 私たちは反当の施用量六十キログラムということで考えておりますので、実行上はそういうふうな施用量を全部要するところもあり、あるいはまたそれ以下のところもございますから、実行上の単価としていろいろ県と協議をしながら処理をしてきておったわけでございますけれども、ただいまいろいろ先生の御指摘もございますので、四十九年度以降の酸土矯正事業の実施につきましては、桜島噴火の活発化による地域の拡大の問題等もございますので、それとあわせて、今後地域の実態も考慮いたしまして十分検討してまいりたいと考えております。
  228. 諫山博

    ○諫山委員 酸土矯正はわかりましたが、ビワの貯蔵庫についても同様に検討されますか。
  229. 今村宣夫

    ○今村説明員 貯蔵庫につきましても、今後どの程度の貯蔵庫を必要とするのか、その建設棟数との関係もございますので、それも見合いながら検討してまいりたいと思っております。
  230. 諫山博

    ○諫山委員 それから、この法律に基づく地域指定というのはいまのところ非常に狭いわけです。ところが実際は、お隣の宮崎県あたりまで桜島の灰による被害を非常に受けておりますが、これは地域指定をすみやかに拡大すべきだと私たち要求しているのですが、いかがでしょうか。
  231. 今村宣夫

    ○今村説明員 防災の整備計画の対象地域の拡大につきましては、鹿児島県からいろいろ希望が参っております。それにつきましては、私たちとしては積極的に取り組んでいきたいと思っておる次第でございますので、県からまだ正式な申請があがってきておりませんけれども、正式な申請がございますれば、十分地域の拡大につきまして取り計らっていきたいというふうに考えておりまして、大体どの程度地域を広げるかということは、県の希望も十分私たち承知をいたしております。
  232. 諫山博

    ○諫山委員 灰による被害というのは宮崎県にまで及んでいるのですが、宮崎県についてこれを適用する意向はありませんか。私たちはそれを要望します。
  233. 今村宣夫

    ○今村説明委員 私の承知しております限りにおきましては、宮崎県からはそういう御要望はきておりません。その状況によりまして、いろいろまた考えていきたいと思っております。
  234. 諫山博

    ○諫山委員 宮崎県で桜島の灰による被害が広範に及んでいることは明白ですから、これはぜひ調査して、できるなら鹿児島県内で拡大する機会に、宮崎県で被害を受けている地域にも同様な取り扱いをしていただくことを要望します。  さらに、この桜島の灰による被害で一番みじめな被害を受けているのはミカン類です。ところが、鹿児島県の特産であるポンカンが農業災害補償法に基づく農業共済の適用を受けていないというので、非常に問題になっております。ポンカンは、鹿児島県でいいますと、温州ミカンが六千三百ヘクタールに栽培されているのに対して、鹿児島県で二千二百五十ヘクタール、温州ミカンの三分の一以上の面積で栽培されているわけですが、温州ミカン、夏ミカンについては農業共済が適用されるけれども、ポンカンに適用されていない。これをぜひポンカンまで広げてもらいたいというのが地元の強い要望だし、私たちもこれを支持していますが、いかがでしょう。
  235. 今村宣夫

    ○今村説明員 先生御存じのとおり、現在の果樹共済で対象となっておりますものは、昭和四十三年度から五カ年間試験実施の対象品目に取り上げられて、被害率等の保険設計に必要な資料が整備された六つの果樹、すなわち温州ミカン、夏ミカン、リンゴ、ブドウ、ナシ、桃でございます。これら以外の果樹につきましては、今後の資料の整備を待ちまして、準備の整ったものから政令で指定をする方針といたしておるところでございますが、ポンカンにつきましては、被害率等の基礎資料を得る調査を実施しておりまして、保険設計に必要な資料を整備しまして、五十年度から果樹共済の対象として引き受け実施できるように、所要の予算措置を五十年度において講じたいというふうに考えております。
  236. 諫山博

    ○諫山委員 そうするとすでに編成されている概算要求の中でもこれは当然考慮されていると聞いていいですか。
  237. 今村宣夫

    ○今村説明員 五十年度の予算に要求をいたしておる次第でございます。
  238. 諫山博

    ○諫山委員 最後に政務次官にお聞きします。   さっき山原委員質問した台風常襲地帯対策審議会の問題というのは、私たち災害対策特別委員会理事としてやはり重視せざるを得ない問題です。長年にわたってこれが一回も開催されなかったというのは驚くべきことです。この点で検討するという答弁があったようですが、いつごろどういう形で検討の結果をお知らせいただけるかお聞きします。
  239. 山内一郎

    ○山内説明員 先ほど申し上げましたように、台風常襲地帯の法律をつくりました当時と現状はいろいろな点で違っております。西日本の災害を主としてひとつ対策をやっていこうじゃないか、そういう趣旨でできた法律でございまして、したがって、そのときと情勢が違っている。それではいま何もやっていないのかといいますと、災害対策基本法という法律がそのあとにできまして、中央防災会議でやっていることは御承知のとおりでございます。したがって審議会は、地域の指定の問題と五カ年計画をつくるのを主体として審議会がその当時は続けられてまいっていたのでございます。それが三十八年ごろまでの実態でございます。  そこで先ほど、私寡聞でございますけれども、経済企画庁から移ってまいったばかりの法律でございますので、委員が辞令をもらっておられる、こういうことを聞きまして、ひとつどういうふうにやるか、いつまでというのはちょっと困りますけれども、至急検討させていただいて、別の機会お答え申し上げたい、こう考えております。
  240. 諫山博

    ○諫山委員 山原委員が最後に聞き漏らしたから、ぜひいつごろまでにどういう方法で回答いただけるかを聞いてくれと私に頼んでいったのですが、私は山原さんにどう答えたらいいでしょうか。
  241. 山内一郎

    ○山内説明員 私、先ほど申し上げたとおりにお答えをいただきまして、至急ひとつ検討させていただきます。よろしくお願いします。
  242. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、至急という点だけは認めていただくとして、それがいつまでとは約束できないという趣旨ですか。――そうすると、それはどういう方法で知らせていただけますか。
  243. 山内一郎

    ○山内説明員 お知らせする方法は、ひとつよくまた御相談させていただきたいと思います。
  244. 諫山博

    ○諫山委員 じゃ、これは別個に相談するとして質問を終わります。
  245. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次に、広沢直樹君。
  246. 広沢直樹

    ○広沢委員 これまでとかく災害対策といいますと、防災対策というよりも、年々起こってまいります甚大な被害のために、いわゆる災害復旧という面にウエートが置かれてきたといっても過言ではないわけであります。したがいまして、私はきょうは防災対策という立場から若干の質問をいたしたいと思います。  防災のために緊急に立てなければならない対策は、まず第一には気象観測あるいは予報の充実、さらに危険地域の的確な掌握も必要でありますし、また、それに対応した住民の体制、防災教育といいますか、あるいは緊急時には避難体制がどういうふうに行なわれるようになっておるか。またその次には、開発の制限、先ほど西村国土庁長官も申しておりましたように、乱開発というよりもばらばらな開発、連携のとれない開発が災害を大きくしている、そういう面について検討しなければならないというお答えもしておられましたが、そういう開発の制限はどうするのか、あるいはいわゆる危険個所になっている防災工事はどのような計画で進めていくのか、そしてまた第二次災害が絶えず心配になります被害を受けた個所の復旧を早急にどうしていくか、こういった面を早急に立てていくことが防災対策として緊急に必要なことだろうと思うわけであります。  そこで、まず第一番に若干お伺いしておきたいのは、気象庁関係でありますが、いわゆる予報の問題であります。ことしに入りましても、梅雨前線あるいは八号台風に始まり、たびたび台風がわが国を襲っているわけでありますが、そのたびごとに、きょうも報告がありましたとおり、必ず死者、行先不明あるいは家屋の流失等、悲惨な事故が繰り返されております。その原因というのは、たとえば先般問題になりましたいわゆる香川県の小豆島におけるあの災害、内海町の中心のほうには避難体制が出たけれども、実際にあの惨事を引き起こしましたいわゆる橘地域につきましては、避難体制の連絡がおくれたか、あるいは聞いてなかったか、ああいう悲惨事が起こったわけであります。それについても予報体制とそういう町の防災体制、地方の防災体制というものがどういう連携ができているのか。場合によっては、その予報がおくれたためにそういう悲惨な事故が起きている場合もなきにしもあらずではないかと思います。あるいは多摩川の決壊の問題につきましても、これもいままでにない増水、あるいは降雨量があった、こういうことがああいう悲惨な事故災害を起こしている。こういうことでありまして、そういう予想観測の正確な掌握あるいは通報、そういったものが防災のまず第一に考えなければならないことだろうと思うのですが、最近コンピューター等の導入で気象予測技術というのは飛躍的に伸びてきておりますが、そういう関係で、予想の的中率というのもいままでにないようにだんだん充実されているということはわかるのですが、その状況について簡単に御説明をいただきたいと思うのであります。
  247. 有住直介

    ○有住説明員 いまの御質問に対して簡単にお答え申し上げたいと思います。  いま先生からもたいへん予報はよくなったというようなおことばを聞きまして、非常にうれしく思うのでございますが、私どもといたしましては、誠意、予報精度をあげるために努力いたしております。  いまコンピューターのお話も先生からございましたけれども、現在非常に大型のハイタックの八八〇〇、八七〇〇という機械が入りまして、ただいまそれを運用させていただいておりまして、いままでの予報に比べますと、非常にデータを豊富に使いまして、かついままで格子点と申しておりますが、天気図の上を碁盤のような目に分けて予報しておるわけでございますけれども、その各点ごとの値を計算しては予報をするわけですが、その格子点の距離というのが従来は三百キロあまりでございましたが、それを今度大型の計算機を入れていただきまして、百五十キロのメッシュにしまして、そういうことで、雨域の予報などにつきましてもいままでよりは非常によくなったというふうにわれわれ考えております。先生方の御支援のおかげでそういうコンピューターも整備されたわけでございます。ラージスケールのものにつきましてはそういう考え方をとっております。  それより少しこまかいスケールのものにつきましては、レーダー網を整備させていただいております。レーダー観測所というのは二十カ所現在ございまして、そのデータを利用するためにレーダー電送の電送網というものを整備させていただいております。四十九年度で大体機械のほうはつきまして、五十年度に人の問題が若干残っておりますけれども、ほとんど整備さしていただいたような状態で、これにつきましても、二十カ所のレーダーの情報というものが、スケッチをし、コメントをつけた形のものが、テレファックスの形で各地台に配られまして、地方気象台でそれをもとにして予報を出させるようになっておりまして、その点でも非常に進歩したように思っております。  しかし、雨につきましては、さらにこまかい情報が必要でございますので、それにつきましては、現在計画テスト中でございますけれども、約九百カ所の地点につきまして自動的に観測いたしまして、それを東京にございます大型コンピューターに自動的にデータを集めまして、さらにそれを必要の地方気象台に配るというシステムがいまテスト中でございます。これが十一月一日からは正式に運用されます。それで、これも格段にわれわれにとっては役に立ちまして、テスト中でございますけれども、非常に役に立つということがわれわれわかってきております。  さらに、五十年度におきましては、雨だけではなしに、気温、日照、風向、風速というようなものにつきましてもデータを集めたいということで、計画を立てている次第でございます。  そういうものが入りますと、毎時ごとにデータが大型の東京の計算機に入りまして、それを自動的に集配信いたしますので、毎正時の二十分後にはデータが各地方気象台には集まるというふうになっております。  そういう意味で警報、注意報等におきましても出しおくれのないよう努力いたしておりますし、これからもよくなるというふうにわれわれ思っているわけでございます。警報、注意報はできるだけ早く出さないといけないわけでございますけれども、技術的な諸問題その他がございまして、どうしても一日前とか半日前とかいうふうな速さでは出せないと私ども考えております。ですけれども、できるだけ早くしたいということで努力はいたしておるわけでございます。  それから、非常に大きなスケールのものにつきましては、静止気象衛星というものを五十一年度には打ち上げたい。これは財政的な諸問題もございますので問題はいろいろございますけれども計画といたしましては五十一年度には打ち上げたい。これは地球からは三万六千キロの距離にございますが、静止しておりますので、地球と同じ速度で自転しておりますので、地球上から見ますと静止していることになりまして、そこから常時日本付近の気象状況を監視いたしまして、その写真を地上に送ってくる。これが入りますと、台風の移動その他が時々刻々つかめるというので、将来においては、さらにこれが有努な武器になるだろうと私ども考えております。  そういうようなことで、スケールの非常に大きなことから小さいものまで、鋭意、警報、注意報を出しおくれないよう出すように努力いたしております。よろしくお願いいたしたいと思います。
  248. 広沢直樹

    ○広沢委員 備えあれば憂いなしで、予告なしに大雨が降ったりいろいろなことがありますと、やはり被害を多くしてくるわけでありますが、特に今日報告されているいろいろな災害の問題については、雨による災害が多いわけです。したがいまして、特に緻密な、そういうわけで緻密な予報というものが必要になってくるのではないか。その点について今日までの気象通報のあり方について、非常におくれたから災害を多くしたという問題というのはあまり指摘されておりませんけれども、しかしながら、だんだんこういうふうに全国的に雨による被害というものが出てきている、そしてそれが局地的なものである、こういうことになれば、非常に観測網あるいは予報網――局地的に適正というか正確な予報が迅速になされなければならない、そういう体制においての充実した予報体制をしいていただきたい。これはいま具体的にどれという問題はありませんので、現状を聞いただけにとどめますが、それでけっこうであります。  続いて次は、いま申し上げました集中豪雨による災害が発生しているわけでありますが、そのたびごとに天災か人災かという盛んな論議が行なわれます。どちらにいたしましても、被害をこうむった者については、やはり万全の対策を講じていかなければならない。集中豪雨は自然現象でありますからいたし方ない、とはいえませんけれども、しかしながら、それによって起こる被害というのは、いつの場合においてもやはり行政の不備というかあるいは立ちおくれ、こういったものが被害を大きくいたしております。特に年々環境が著しい変化をしている。さらにはその変化に対応した対策という、あるいは行政がそれに対応できていない、こういった面がやはり被害を大きくしているということは指摘するまでもないことであります。したがって、そういう観点から考えていくならば、当然今日の災害の問題については、やはり人為的な、人災的な要素が非常に大きいわけでありまして、もう少し対策がとられていたならば、万全であったならば被害を少なくしたのではないか。こういうことはどの災害をとらえてみましても明確なわけであります。  したがいまして、今後の災害対策、防災対策としては、やはりすべて人災的要素が多いんだという認識に立って取り組むべきであると思うのですが、まずその基本的な考え方につきまして次官にお伺いしておきたいと思います。
  249. 山内一郎

    ○山内説明員 どうも日本は地形上、地勢上といいますか、台風の進路に当たっておりまして、水害が多いのはもう御承知のとおりでございます。そこで、われわれ政府といたしましても、国土庁は各省庁の災害関係を取りまとめて全力をあげて防災措置を講じているわけでございますけれども、あまりにも防災措置を講じなければいけないところがたくさんございます。御承知のとおりでございます。  一例をあげますと、ごく最近の災害で、まことにお気の毒でございますけれども、なくなられた方というのはがけくずれが非常に多うございます。あるいは砂防の土砂流の原因によってなくなられた、そういうことで、そちらの方面も、指定をやったりあるいは地すべり対策、がけくずれの対策を一生懸命やっております。したがって、油断をしているわけではございませんけれども、われわれは全力をあげてやっておるということだけはひとつお認めを願いたいと思います。
  250. 広沢直樹

    ○広沢委員 何もしてないとは申しておりません。それぞれ関係者も限られた中で全力を尽くしているだろうと思いますが、そこで、いま政務次官からお話がありましたやはり第一に治山治水関係、これはもっと強化すべきではないかという見地から、もう少し具体的にお伺いしてみたいと思います。  そこでまず第一に、急傾斜地の崩壊危険個所指定区域の個所、それと地すべり地の危険区域の指定個所、これはいま何カ所になっているのか、ひとつ最初にお答えください。
  251. 大工原潮

    大工原説明員 先生指摘のように、非常に災害個所が多いわけでございますが、四十七年の災害を契機といたしまして、全国的な災害だったものですから、総点検を実施したわけでございます。  その総点検の結果を申し上げますと、いま御指摘のがけくずれの危険個所、約六万でございます。正確に申し上げますと六万七百五十六カ所ということでございますし、それから地すべりということでございますが、地すべりは先生指摘のように、御承知のように三省で実施いたしております。建設省所管だけを申し上げますと、五千二百二カ所というのが危険個所の実数でございます。その他概数で申し上げますと、林野庁所管あるいは農地局所管を含めまして約一万カ所というのがその時点の調査で判明いたしております。
  252. 広沢直樹

    ○広沢委員 四十七年の十一月の総点検による集計であろうと思うのですが、かれこれもう二年たっているわけでありますね。したがいまして、やはり先ほど申し上げましたように、環境の変化ということに従ってこの危険個所というのもふえてきているのではないか。最近の災害を見ておりますと、局地的にはいわゆる指定個所以外の地域でがけくずれがある、あるいは地すべりがある、こういうような現象が出ております。したがいまして、六万カ所あるいは地すべり個所五千カ所、その他の分野合わせて一万カ所だとおっしゃっているのですが、この数字というものはすでに変わっているのではないか。  それから四十七年の数字だけをとらえて考えてみましても、それに対して予算措置といいますか、実際に事業をやっている、事業費がついているというのは何カ所あるのか、その点両方の見解を含めてひとつ御説明いただきたいと思うのです。
  253. 大工原潮

    大工原説明員 四十七年の調査の方法をまずちょっと御説明申し上げたいと思います。  がけくずれ関係の危険個所につきましては、一応物理的に三十度以上という傾斜を持った裏山を持ち、しかも五メートル以上というふうながけの高さでございますが、さらに人家が五戸以上あるという条件でもって調査した個所でございます。いま先生指摘のように、特に四十九年の災害におきまして各所に災害が発生いたしておりますけれども、そういった条件で調査いたしました結果でございますので、ほとんどのものがその調査個所で災害が発生しておる。ただ、一部ミカン畑といいますか、農業生産上の場というものががけ地になっておるというふうな関係で、調査漏れの個所もあったわけでございますので、そういった特定の個所につきましては、現在該当県につきまして再調査をさせておるような状況でございます。  地すべり関係につきましても、三省共同いたしまして、地すべりの過去に発生があった個所を中心にいたしまして調査をいたしております。地すべりは、大体がけくずれと違いまして、地質的にある程度地域的にも地形的にも予測がつくわけでございます。たとえて申しますと、地質的には第三紀層の地域あるいは破砕帯の地域、あるいは火山地帯――温泉地帯でございますが、そういった特殊な地質条件のところで発生するということでございますので、大体そういった調査の危険個所というものは把握できているように承知いたしております。  それで、いま御指摘の指定という問題と調査という問題が、ちょっと差がございまして、そういった危険個所の中から、危険度に応じまして、危険度の高いものから順次指定を促進しながら、さらに対策工事をやっておるというのが現状でございます。  がけくずれの関係につきましては、先ほど申し上げました六万カ所のうち、五月末現在におきまして指定済みの個所が四千百二十二カ所ございます。現在、四十九年度の予算といたしましては、対策費でございますが、補助事業といたしまして約八十七億でございます。しかし、今回の災害の実態から、すでにそういった予算も、一部災害のためにとめ置いておりました予算がすでにオーバーしておりますので、現在財政当局と打ち合わせいたしまして、できるだけ防止工事を実施するようにいま協議中でございます。それからさらに、そういった危険個所が非常に将来の問題として多いわけでございますが、建設省といたしましても、来年度の要求といたしましては、他の事業に比較いたしまして、非常に大幅な伸びをもちまして積極的に取り組むということで、約二倍の伸びをもって現在要求をいたしております。  それから、地すべり関係でございますが、これは治水特別会計のワクの中でございますので、そういった治水費のバランス等を勘案いたしまして、その中で優先的に促進をしていくというふうな方向で、平均的な伸びでもって要求をいたしております。  以上、大体促進する方向で現在取り組んでおるということでございます。
  254. 広沢直樹

    ○広沢委員 ちょっと課長さん、いまの地すべり危険個所の調査、指定、これは何件になっているのですか、五月末現在で。急傾斜地だけは四千百二十二カ所といまおっしゃったのですが……。
  255. 大工原潮

    大工原説明員 失礼申し上げました。  地すべりにつきましては、建設省所管分の五千二百二カ所に対しまして、指定済みが二千二百八十五でございます。
  256. 広沢直樹

    ○広沢委員 急傾斜地を調査して危険個所としてあるものが六万、それに対して五月末現在で実際に事業費がついているものが四千百二十二カ所ですか、こういうことになると、やはり危険個所というものは、ここが危険だということがわかっても、しかしながらなかなかそれが十分な対策が講じられない、こういったところに、やはり災害が大きく発生していく原因があるんではないか、こう思うわけです。財源的にいって、それは非常に窮屈ですから、一ぺんにばっとやってしまうわけにいかないだろうと思うのですが。  それと、もう一つ勘ぐって考えれば、先ほど申し上げましたように、危険個所は、これ以外にも、もっと精密にやってまいりますと、二年のズレという年月のズレを考えても、まだあるだろうと思うのですね。それを予算等の関係もあるのか、あるいは小さくしているんではないかというひねくった見方もあるのかもしれませんけれども、要するに、いまあなたがお答えになった中にでも、非常にわずかしか事業費がついていない。こういうことであれば、いま危険だといわれる場所はいつになったら安心してやっていけるようになるのかというようなことで、非常に問題があろうかと思うのです。  特に河川敷、というよりも河川周辺ですね、それから山の地帯にずっと家が立ち並んでおりますが、そういった点から考えてまいりますと、すべて危険の上に家を建て、そこに住んでいる、こういうことになるわけでしょう。したがって、危険個所の調査ができれば、これに対して早急に対策を立てることが、防災のまず第一に考えていかなければならない問題じゃないかと思うのです。ところが、先ほどもお話し申し上げましたように、災害が起こってから、それに対する手当てとして、災害復旧という面には、これは放置できないから当然のこととしてまず第一に取り組まなければなりませんが、勢い、こういう防災関係においては、こういうふうな非常に立ちおくれをしているのではないか。こういった面から、危険だとあらかじめ承知をしながら、それがいろいろな関係でできない。それがまた、いわゆる集中豪雨を受けてがけくずれあるいは地すべり等があって、こんな悲惨な災害が起きる。こういったところをもう少し考え直していかなければならないと思うのです。  そこで、まず危険個所の基準の問題ですけれども、いま課長さんがお答えになりましたその基準を、もう少し、五軒以上とかあるいは高さ五メートル、傾斜角度が三十度ですか、そういうことではなくて、あるいはまた国庫補助対象になるのはそれ以上の基準ですね、そういった面をもう少し配慮していく考え方はないのかということ。それから、いま四十七年の実態で申されましたけれども、年々急激にいま都市化の傾向にあり、地域の環境状況というものは変化しているわけでありますが、それにつれてやはり的確に、危険地域の変化あるいは場所の問題等についても検討していかなければならないと思うのですが、その点をどういうふうに考えておられるか。これは一ぺん総点検をすれば、それを基準としてすべて考えているというのじゃなくて、災害はそんなことは一つも考えてくれませんから、やはり現実に即した的確な把握というものが必要であろうと思うのですが、その点をどう考えていらっしゃるか、お伺いしたいですね。
  257. 大工原潮

    大工原説明員 先生指摘のように、危険個所が非常に多い、それに対しまして対策費が非常に少ないということであろうと思います。先ほどちょっと申し落としましたのですが、国庫補助事業としては、現在、先ほど申し上げました八十七億ということでがけくずれ対策をやっておるわけでございますけれども、採択基準がございまして、先生承知のように、国庫補助事業といたしましては、人家が二十戸以上、災害がありました場合には十戸以上ということで実施いたしております。それ以下のものが発生した場合には、県におきまして、県の単独費でもって実施しておる県が大多数ございまして、そういった小規模のものにつきましては、県でそういった助成制度を設けておるというふうなことでございます。  そこで、全体の六万カ所を、どういうふうな取り組み方をするか。六万カ所は、先ほど申し上げましたように、五戸以上、五メートル以上というふうなことでございますが、実際の災害の実例から申し上げますと、やはり十メートル以上の個所――死者あるいは全壊家屋とかいうふうに、非常に激甚な被害を受けているのはやはり十メートル以上であるというふうな、過去の災害の実例等から判断いたしまして、積極的に、そういった十メートル以上といいますか、災害の規模が大きくなるであろう危険度の高いものから順次取り組んでおるということでございます。  そのほかの対策といたしましては、危険個所につきましては、警戒避難体制をとるように地方防災計画の中に織り込んで、そして避難場所あるいは避難経路等を明示するように消防・防災担当の部局と十分連携をとっておるところでございますし、さらにまた一方では、住宅局所管の予算でございますけれども、がけ地近接危険住宅移転事業制度がございます。そういった移転をさせるというふうなことでの取り組み方等を順次あわせまして、危険度の高いところから積極的に取り組んでいこうというふうに考えております。
  258. 広沢直樹

    ○広沢委員 おっしゃることはわからぬでもないのですが、ただ、いわゆる一つの設定基準を設けなければ個所づけもわからないと思うのですけれども、やはりいまこういう集中豪雨による災害等を見ましても、ただ、国庫補助の対象になるのは人家二十戸以上だとか、あるいは高さ十メートル以上ですか、傾斜角度は三十度で変わりませんけれども、そういうふうな基準よりも、やはり地域によりましてはもっともっと少ない、あるいは一軒でも家がある。これは移転するかあるいは移転しないというならば、ちゃんとしたそういうふうな対象として考えていかないと、そこは危険じゃないのだというわけにいかないと思うのですね。やはり危険個所としての考え方としては、すべてそこに、防災というのは人命尊重が第一でありますから、たとえ一軒であろうとも、やはり危険個所の指定としては、基準としては考えるべきではないか。補助対象としてはいま申し上げたとおりですが、危険個所の指定になるというのは、五戸以上とかいうふうにきめてあるようですけれども、それはもう一ぺん考え直してみる必要があるのじゃないかと思うのですよ。一戸や二戸だったらそれでよろしいというわけにいかないわけでしょう。ですから、やはり危険個所をどうするかという問題については、これはいろいろな考え方、やり方があろうかと思いますが、危険であるからどうするか。これは予報体制の問題もあるしあるいは避難体制の問題もあるし、ここは危険ですよということを、たとえ二戸あろうと四戸あろうと五戸あろうと百戸あろうと、ちゃんと調査して通知する、対策を立てる、これは当然のことじゃないでしょうか。そこで、いまいう危険個所の基準というものを改正したらいかがですか、こう申し上げておるのです。  それから、もう一点正確にお答えいただきたいのですが、いわゆる年月がたっているわけでありますから、もう一ぺんそういう面から考えても、危険個所の総点検といいますか、洗い直しをするべきではないか、こう思います。そういう面はどうお考えになっていらっしゃるのか、簡単にお答えください。
  259. 大工原潮

    大工原説明員 第一点の、危険区域の一戸でもやはり指定すべきではないか、あるいはそういった個所に対する防災対策をやるべきではないかというふうな御指摘だと思います。私どものほうでは、やはり現在実施いたしております急傾斜地対策事業というのは、非常に個人の財産に直結した事業でございます。法律の目的といたしましては、やはり人命ということが目的になっておりますので、人命が対象でございます。先生指摘のように、やはり二月でも人命が大切だということになろうかと思いますが、そういったことが望ましいと思います。しかしながら、公共性というふうな、ある程度の公共的な考え方からいきますと、ある程度の複数的な効果といいますか、そういった範囲のものが必要になってくる。当初、この法律ができました場合も、いろいろ議論のあったところでございますけれども、一応相当数以上の居住者に災害を与えるというふうな場合ということになっておりまして、法律のたてまえから、現在のところ五戸以上というふうにやっておるわけでございます。したがいまして、それ以下のものにつきましては、現在のところ私どものほうでは、そこまでさらに再点検をいたしましてやるというふうなところまではいっておらないわけでございます。一応いまのところ五戸以上のままでやっていきたいと思っております。  それから、さらに全体の状況変化によります総点検をするべきじゃないかという御指摘でございますが、その点につきましても、先ほど申し上げましたように、一応物理的にそういった危険個所を把握いたしておるということでございまして、ただ先ほど申し上げましたように、特殊な事例といたしまして、静岡等におきましてはミカン畑等によります被災の事例がございましたが、そういった個所がいまの法律の適用を受けますと、農地の生産性としての制限を受けるとか、いろいろ将来の地域的な問題が出てくる予想があるために、静岡県の調査の段階でそれが落とされたということが最近の災害の事例として出てきたものですから、再度そういった個所につきましては調査をさせておるという状況でございます。
  260. 広沢直樹

    ○広沢委員 それから、先ほどお話しのように、地すべり地域あるいはがけくずれ地域の危険個所、この指定漏れというか、になっておる箇所もあるし、あるいは指定されたとしても、なかなか工事が着工できないという例もあります。  そこで、私は具体的に先刻お調べいただくように申し上げてありましたので、徳島県の勝浦郡上勝町生実字樫原地区、ここが緊急地すべり対策地帯、こういうことになっております。この地すべり対策指定地域として指定されたのは、三十一年に指定されているわけでございますけれども、実際に工事にかかったというのは四十三年、現在工事中であるということでありますけれども、たび重なる集中豪雨で相当地すべりが起きている。私も現地に行ってみましたけれども、一雨ごとに約三十センチほどだんだん落ち込んでいっているような状況なんですね。その付近の状況を見ますと、家が傾いてみたりあるいはそこに散在している二十あるいは三十戸余りのうちの中は、面戸が割れてみたりあるいは戸がゆがんでみたり、こういうような状況が起きているわけです。この一つをとらえてみまして、いまから具体的に状況説明し、今後どうするか、一つの例としましてお伺いしておきたいと思うのですが、こういうせっかく指定を受けても、相当の年月手が入れられない。そしてやっと入ったと思っても、いつ完成といいますか、現実的には雨ざらしになったままずっと進んでいっているわけですね。こういうことを一つ見ましても、いかに防災対策が言うほどに進んでいないかということの明確な事例じゃないかと思うのです。いま具体的に申し上げましたので、この問題についてどういうふうな状況になっているのか、そして今後どう対処なさるのか、御説明をまずいただきたいと思います。
  261. 大工原潮

    大工原説明員 いま御指摘のありました徳島県の生実地区の地すべりでございますが、地すべり等防止法は三十三年の施行でございますが、指定地になりましたのは三十五年一月というふうになっていると思います。  まず、あの地域は非常に面積が広い。全国的に見ますと、非常に大規模な地域の指定を行なっております。数字で申し上げますと、約四百ヘクタ-ルという地域を地すべり防止区域として指定しているわけでございます。御承知のように、昭和四十三年以降事業を実施してきておるわけでございますが、すでに地域が非常に広いというふうなことから、地域別には四十三年から四地域にわたりまして継続して実施してきておるわけでございます。各地域ごとに危険度あるいは移動量が激しいところから順次実施してきたというふうな状況でございまして、特に本年におきましては、樫原地区というところで千五百万円当初予算をつけまして、年度当初から実施しておるわけでございます。最近の災害によりまして、今度緊急対策といたしまして、それは樫原地区ではなくてむしろ川西地区だと思いますが、ちょうど旭川に面しました人家が数戸ある個所でございます。そこはむしろがけくずれ的な災害でございまして、人家もございますし、さっそく緊急対策ということで、緊急地すべり対策事業を実施するべく、すでに財政当局と協議を終えまして、千二百万円で事業を実施するような運びにいたしておるわけでございます。  先生指摘のように、この地域につきましては、非常に大規模な地域でございますので、そういった全体につきまして、いま申し上げたように、移動量の激しいところから順次施工しておりますので、現在のところそういった計画によりましてやっておる結果では、実施いたしました個所につきましては、一応概成といいますか、安定を見ておるというふうに解釈いたしておりますし、今後移動の激しいところにつきましては、積極的に事業を実施するように指導してまいりたいと思っております。
  262. 広沢直樹

    ○広沢委員 あまり時間がありませんので、順次進めてまいります。  そこで問題になるのは、いわゆる集中豪雨、強い雨による山くずれだとかあるいは中小河川の出水、降雨量の予測あるいは予報が不可欠な条件だろうと思うのです。被害発生の限度に当たるような限界雨量を地域ごとに詳細に知らなければならない。それに従って対策を立てていかなければならない。危険度ということを推しはかっていく上においてはそういったものが必要であろうかと思うのですが、こうした具体的な計画、予測、予報体制、こういうものは確立されているのでしょうか。これは河川関係にも影響しますし、いわゆる治山関係にも影響するわけでありますが、先ほど危険個所云々の話がありましたけれども、こういった具体的な地域別の計画が明確に立っていなければ、これまた予防体制というものはとられないわけなんです。どうもこういった点が、最近の災害の発生状況から見ているとあまり適正に把握されていないのではないかと見られるのですが、この点いかがでしょう。
  263. 大工原潮

    大工原説明員 いま御指摘のような警戒避難につきましては、適正避難基準といいますか、そういったものが明確にならなければならないと思っております。がけくずれ等につきましては、現在のところ、こういった雨の降った場合にはどういうくずれを起こすか、くずれる範囲はどうかというようなことが、やはり避難、人身事故を防ぐ一つの基準になろうかと思っております。たとえば被害程度等につきましては、過去の災害の事例等から判断いたしまして、がけの高さに対してどの程度までは危険の範囲であるというようなことを指導いたしております。  それから、一番むずかしいのはやはり気象関係のつかみ方、それから、気象条件がどういうふうにくずれに影響するかということになろうかと思います。昨年から行政部費をもちまして、避難基準の確立ということで、現在、代表県を選びまして、被害の多かった県を選びまして、いろいろな資料の収集をやっております。土木研究所、それから建設省と一緒になりまして、現在約四年を目標にいたしまして避難基準を確立いたしたいというふうに考えております。  現在までの調査経過から申しますと、当日雨量というよりも、むしろその雨量経歴といいますか、約二週間ほど前から雨量を積算いたしまして、そういった雨量の影響が非常に大きく出ておるわけでございますので、したがって、必ずしもその当日雨量だけの判断ということではなくて、それより以前の雨量を積算いたしまして、そして避難というふうな問題に結びつけたいというふうに考えております。現在のところそういった確立したものがないわけでございますけれども、一応全国的な平均というようなことから、時間雨量が二十ミリ以上になった場合とかあるいは日雨量が百ミリ以上になった場合とかいうふうな一つの基準をもちまして、そして避難をさせるようなことを一つの標準値として考えておりますけれども、しかし、地域別にもあるいは一つの県の中でも、やはりそういった条件が当てはまらないわけでございますので、地域別のそういった詳細なワクをきめまして、さらに避難基準を明確にしていきたいというふうなことで努力いたしておるところでございます。
  264. 広沢直樹

    ○広沢委員 そこで、先ほどの話に若干戻りますけれども、やはりもう一ぺん危険個所の洗い直しをする必要があるのじゃないか。いまいったような検討も十分になされておりませんと、災害のたびごとにこういう悲惨な多数の死者を出す、あるいは貴重な財産をなくしてしまう、こういう問題が起こってくるわけですね。そういう面が的確に掌握されているところについては、少しオーバー過ぎるかもわかりませんけれども、早々に避難体制をしいて、被害の大きいわりに死者とかそういう悲惨な事故は未然に防いでいる、こういうことがいえると思うのです。したがいまして、危険な個所を的確に掌握をしていく、そしていまいったような基準のもとに設定される、こういうことが確立いたしませんと、防災というのは、何もそこだけを直すという意味だけじゃありませんので、やはりいま課長さんおっしゃいました避難体制とか、先ほど私が冒頭に申し上げました、あらゆる体制をそこに敷くことが防災体制でありますから、そういう面から考えていくと、いまの体制では不精である。したがって、もう一ぺんこういう危険個所についての洗い直し、総点検、これが必要ではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  265. 大工原潮

    大工原説明員 先ほども申し上げましたように、現在の調査いたしました六万個所につきましては、一応一つの物理的条件というふうなものを設定いたしておりました関係上、先生指摘のような、さらにそういった危険な状態があるのじゃないかということでございますが、特異なケースというふうなことで、現在一部には再点検をやっておりますので、その結果等を見合わしまして将来検討してまいりたいと思っております。
  266. 広沢直樹

    ○広沢委員 そこで、国土庁の政務次官にお伺いいたしますけれども、いまいろいろ論議してまいりましたように、危険だとわかりながら、なかなかその対策が十二分に財源等の関係で打てない、こういう状況であります。したがって、打てないからといってただ手をこまねいていたんではしようがない。いまちょっと調べてみますと、治山治水関係で一般会計に占める割合、比率というものが過去から比べて現在までにどうなっているかということを検討してみますと、三十六年においては一般会計に占める治山治水事業費の割合というものが三・六七%、いわゆる三十年代は大体三・五%前後、これだけの比率を持っておったわけでありますけれども、大体四十年代に入って三・〇%、年度によって多少違いますけれども、平均しますとそうです。そして四十九年は二・六四%、こういうふうになっていますね。四十九年度は総需要抑制云々の関係もあるかと思います。それはわかるわけでありますが、財政当局においても、総需要抑制云々の問題は、防災の問題については対象外とするということは明確になっているわけでありまして、治山治水関係というのは、今日の災害の中では最も大きなウエートを占めた問題でありますから、当然予算的にも防災の見地からは充実して考えなければならぬ。先ほど課長さんがお答えになったように、実態を調査してもなかなかそこへ事業費がつけられないという現状であるわけですね。そういう面から考えますと、もう少し今後の防災対策を立てる上において、中央防災会議も毎年開かれておるようでありますけれども、財政的な措置をどうするかということを検討してみる必要があるのではないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  267. 山内一郎

    ○山内説明員 御説のとおりだと思います。ただ、国土庁がそこまでやれるかどうかという問題になりますと、ちょっと問題があるかと思いますけれども、御承知のとおり、中央防災会議におきまして、防災に関する基本というものは、各省庁全部集まりまして、何省はこうすべきである、ある庁はこうすべきであると、いろいろきめております。それには、中央防災会議におきまして防災基本計画というものを策定いたしておりますが、それに基づいて各省庁にやっていただいているというのが現状でございます。  そこで、防災面について国土庁ももう少し深く入ったらどうかという御意見のようでございますが、御承知のとおり、いろいろな五カ年計画というのがございます。治山治水はもちろんその中に入っておりますが、十幾つかの五カ年計画がございまして、これは昭和五十一年からひとつ一斉に見直そう、五十年度は勉強さしていただきたい、こういうことで、予算の面につきましては、これは五カ年計画でありますけれども、毎年の予算まで入るというのはなかなか困難であろうかと思います。ただ、五カ年計画の面におきましては、防災の面を重点に置くようにひとつ考えてまいったらどうかというふうにいま考えておるところでございます。まだ国土庁としては決定をいたしておりませんが、五十年度にはそういうふうに準備を進めてまいりたいと考えております。それまでは現行の各省庁のそれぞれの五カ年計画を極力推進していただく、そういう点でお願いをしたいと思っております。
  268. 広沢直樹

    ○広沢委員 なお、市町村段階では、最近毎年毎年災害が各所に頻発しているわけでありますが、防災の関係でもう少し先に手が打てたらということをいうのです。これはまあだれが考えてもそのとおりであります。したがって、災害が起きて、それに対する原形復旧ではなくて改良復旧という体制に現状は大体なっておりますが、そういうことによって改良されていく。ところが、災害が起きなければよりよいものができない。そういうような考え方になるということは困った考え方だろうと私は思うのです。災害が起きるまでに未然に予算措置をして、災害を未然に防ぐ、こういう方法をとっていかなければならない。そういうことで、市町村段階においては、防災という意味からある程度起債のワクを大きくしてもらえないだろうかという要望があるわけであります。これは確かに、起債の問題は自治省の問題でして、政務次官にお伺いをしても、するとかせぬとかいうことはお答えにくい問題であろうと思うのですけれども、ただ、防災計画をお立てになるのは国土庁の中にあるいわゆる中央防災会議です。したがって、そこにおいて、いま次官もお答えになったように、各省の方々を集めてそこで調整をとっていらっしゃる。そういう中で、やはりこれだけの災害が多発している中で、少しでも防災に力を入れていこうということになれば、財源的な話をそこへ持っていって、別に特別な起債をつくるとか何らかの方法で、もう少し――現在の一般会計の予算の中をさけといいましても、財政需要が非常に大きくなってきている今日でありますから、それに全部さけというわけにはいきません。そういう意味で、特別な財源措置を講ずるような施策というものを防災会議の中でも十分検討すべきではないだろうか。こういう意味で次官にお伺いしておるわけでありますが、その点いかがでしょう。
  269. 小林悦夫

    ○小林説明員 防災の観点からの事業の執行につきましては、一応防災というものは、計画的に事業を執行していくべきものと考えまして、これを普通交付税等で年々措置いたしまして、それを増額したいと考えておるわけでございます。なお、地すべり防止とかそういう点で、事業量が年度間に非常に変動があるというもので国庫補助のつきますようなものについては、従来も起債で措置しておるわけでございますが、一般的に防災の観点からする事業につきましては、年々これを行なうべきものとして普通交付税でできるだけ措置したいという観点からいままでやってきたわけでございます。なお、先生のおことばがございますので、今後どのようなやり方でやっていくか、これについては十分検討させていただきたいと考えております。
  270. 広沢直樹

    ○広沢委員 以上で終わります。
  271. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十六分散会