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1974-08-01 第73回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年八月一日(木曜日)委員会におい て、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  災害対策の基本問題に関する小委員       天野 光晴君    宇田 國榮君       小沢 一郎君    高鳥  修君       竹中 修一君    安田 貴六君       金丸 徳重君    米田 東吾君       諫山  博君    高橋  繁君  災害対策の基本問題に関する小委員長                 宇田 國榮君 ————————————————————— 昭和四十九年八月一日(木曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 阪上安太郎君    理事 高鳥  修君 理事 安田 貴六君    理事 金丸 徳重君 理事 米田 東吾君    理事 諫山  博君       越智 伊平君    瓦   力君       志賀  節君    塩谷 一夫君       島田 安夫君    竹中 修一君       萩原 幸雄君    旗野 進一君       綿貫 民輔君    渡部 恒三君       阿部未喜男君    岩垂寿喜男君       大原  亨君    勝澤 芳雄君       神門至馬夫君    斉藤 正男君       柴田 健治君    栗田  翠君       柴田 睦夫君    中路 雅弘君       新井 彬之君    瀬野栄次郎君       高橋  繁君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 西村 英一君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部施設対策第一         課長      宇都 信義君         環境庁水質保全         局長      大場 敏彦君         国土政務次官  山内 一郎君         国土庁長官官房         審議官     横手  正君         国土庁長官官房         災害対策室長  杉岡  浩君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 安倍 基雄君         文部省管理局教         育施設部指導課         長       大井 久弘君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   国川 建二君         厚生省社会局施         設課長     舘山不二夫君         厚生省保険局国         民健康保険課長 下村  健君         農林大臣官房審         議官      今村 宣夫君         農林省農林経済         局保険管理課長 市川 博昭君         農林省構造改善         局建設部長   福澤 達一君         林野庁指導部長 藍原 義邦君         林野庁指導部治         山課長     鈴木 郁男君         水産庁漁政部漁         業保険課長   山内 静夫君         中小企業庁計画         部金融課長   若杉 和夫君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部土         木電気課長   横山 義一君         気象庁予報部主         任予報官    越智  彊君         気象庁観測部長 有住 直介君         建設省計画局宅         地部宅地開発課         長       沢本 守幸君         建設省都市局街         路課長     中野 三男君         建設省都市局下         水道部長    久保  赳君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省河川局防         災課長     田原  隆君         建設省道路局長 井上  孝君         建設省住宅局建         築指導課長   大田 敏彦君         自治大臣官房参         事官      大畑 耕治君         自治省税務局府         県税課長    福島  深君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君     ————————————— 委員異動 八月一日  辞任         補欠選任   大原  亨君     岩垂寿喜男君   川俣健二郎君     勝澤 芳雄君   山本弥之助君     斉藤 正男君   津川 武一君     栗田  翠君   広沢 直樹君     新井 彬之君 同日  辞任         補欠選任   栗田  翠君     中路 雅弘君   新井 彬之君     瀬野栄次郎君 同日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     大原  亨君   勝澤 芳雄君     川俣健二郎君   斉藤 正男君     山本弥之助君   中路 雅弘君     津川 武一君   瀬野栄次郎君     広沢 直樹君     ————————————— 七月三十一日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害対策      ————◇—————
  2. 阪上安太郎

    阪上委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、小委員会設置の件についておはかりいたします。  本委員会に小委員十名よりなる災害対策の基本問題に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 阪上安太郎

    阪上委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、小委員及び小委員長選任の件についておはかりいたします。  小委員の各会派割り当ては、自由民主党六名、日本社会党二名、日本共産党革新共同一名、公明党一名とし、小委員及び小委員長委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 阪上安太郎

    阪上委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、災害対策の基本問題に関する小委員に、       天野 光晴君    宇田 國榮君       小沢 一郎君    高鳥  修君       竹中 修一君    安田 貴六君       金丸 徳重君    米田 東吾君       諫山  博君    高橋  繁君以上十名を指名し、小委員長宇田國榮君を指名いたします。  なお、本委員異動等に伴う小委員及び小委員長辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 阪上安太郎

    阪上委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  6. 阪上安太郎

    阪上委員長 次に、台風第八号及び梅雨前線豪雨による被害状況等について発言を求められておりますので、これを許します。金丸徳重君。
  7. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 台風第八号及び梅雨前線豪雨による被害状況について、去る七月十七月から二十日までの四日間、神奈川県、静岡県、兵庫県、岡山県及び香川県を調査いたしましたので、この際被害概要等を御報告申し上げます。  参加委員は、小沢一郎君、高鳥修君、森美秀君、米田束吾君、諫山博君、柴田睦夫君、高橋繁君、広沢直樹君、宮田早苗君及び私金丸徳重で、それに地元選出議員も多数御参加いただき、各県の被害状況をつぶさに調査してまいりました。  まず、気象の概要について簡単に御報告申し上げます。  六月下旬より日本付近に停滞していた梅雨前線が、七月一日に鳥島付近に発生した台風第八号が北上するに従い、その影響により活動を次第に活発化し、六日から七日にかけて徳島県、香川県、兵庫県を中心に、二十四時間雨量三百ミリから七百ミリに達する大雨を降らせたのでありますが、特に、香川小豆島内海地域においては、地元観測で時間雨量九十三ミリの豪雨を記録したのであります。  その後、台風の北上とともに大雨地域も東日本に移り、被害地域も三重県、静岡県にと移り、特に静岡県においては七日から八日にかけて太平洋岸のほとんどの地域において二百ミリから五百ミリの大雨となり、太平洋ベルト地帯市町村被害を与え、八日早朝には神奈川横須賀地域に時間雨量三十ミリから五十ミリの強い雨を降らせたのであります。  その結果、各地にがけくずれ、河川はんらん、特に市街地域における中小河川はんらん堤防決壊等を発生させ、崩壊土砂を伴う鉄砲水は多数のとうとい人命を奪い、家屋を倒壊流失させ、道路鉄道、橋梁を破壊し、それまで災害の比較的少なかった地方人々の夢想だにしなかった大災害となったのであります。  以下、視察いたしました各県の被害状況につきまして御報告申し上げるのでありますが、各県の被害の詳細及び要望事項等につきましては、第七十二回国会の当委員会議録附録に掲載いたしましたので、省略させていただき、ここでは視察地域中心にその概要を御報告いたします。  最初に、神奈川横須賀地域について申し上げます。  十七日東京を出発して横須賀に着き、まず、市役所において、県当局及び市当局から被害概要及び要望等を聴取した後、市内佐野地区のがけくずれの現地被災状況視察いたしました。  この地域丘陵地帯に発展した市街地であり、被災の多くは、自然がけの下の住宅ががけくずれによって崩壊したために発生したものであり、全壊家屋はともかくとして、その周辺住宅に流れ込んだ崩土の排出については、機械力が使えず、人力にたよる場所も多く、市当局も特別の配慮を講じて対処しているとのことでありました。  なお、ここでは自衛隊の救援活動が引き続き行なわれておりました。  また浸水家屋市街地域に発生し、床上浸水二千八百八十二戸、床下浸水三千二百六十八戸の多きにわたり、もともと低地にある住宅地浸水したため、地元住民からの声も、市内河川改修排水施設整備等について多くの要望がありました。  さらに、市内平作川のはんらんによって浸水した舟倉地区に参りましたが、ここでは当日もなお、援助物資を受け取る姿が見受けられました。  次に、静岡県について申し上げます。  まず、県庁大会議室において、県当局及び市当局から被害概要及び要望事項等を聴取した後、市内丸山町の急傾斜地域のがけくずれの現地に参り、静岡市内における死者二十三名中の大半がこの種の災害によったものであり、五百ミリを超えた雨量の力とそれによるところの災害がいかに悲惨なものであるかを視察団一同いまさらのごとくに痛感した次第であります。  引き続き、市内北街道地域一面を浸水させた巴川堤防決壊個所視察し、翌十八日には清水市に参り、市当局より被害概要要望事項等を聴取いたしました。  清水市は巴川はんらんにより、ほとんど全域にわたって浸水し、十日を経過した視察当日も、道路わきの金網の囲いにかかったごみ等が地上一メートル五十センチまで達しておりまして、当時の異常な洪水の残骸がいまもなお残っておりました。  また、この地域は、市街地浸水であるため、一般住宅はもとより、商店、中小企業の受けた被害も甚大であり、市当局からは、巴川改修はもとより、前から提言している大屋放水路建設の実現を一日も早く行なってほしいとの強い要望がありました。  次に、由比町に参り、車中由比町当局から被害概要及び要望事項等を聴取した後、今宿、にごり沢、中倉沢等崩壊個所視察いたしました。  この地区は、細い地域東海道線国道一号線、東名高速道路日本の東西を結ぶ幹線が平行しており、崩土が直ちに交通を遮断し、このたびの災害によりまして、東海道線が五日間にわたって不通となりました。  また、国道一号線も、七月八日全面通行不能となりましたが、夜を徹する復旧工事の結果、翌九日から上下一車線のみ通行可能となったのでありますが、車両の渋滞は延々四十キロに及び、各方面に相当な影響を及ぼしたものと推察されるのであります。  従来から国及び県は、この地域地すべり対策について、施策を講じてまいっておりますが、今次の災害を起点としていま一度根本的な対策を立てる必要があると思われます。  なお、にごり沢は、六万立方メートルに及ぶ崩土があり、今後も二次災害のおそれがありますので、住民避難命令はいまもなお解除できない状況であるとのことでありました。  次に、浜松地域に参り、車中にて浜北市当局及び細江町当局から被害概要及び要望事項等を聴取した後、まず、細江町におもむきました。  浸水時の最高は、軒先までも水が達していたとの説明を聞きながら、都田川堤防決壊個所視察いたしました。  次は、積志地区であります。  この地域は、上流河川はんらんにより一面の田畑が冠水したのであります。その上同地域は、馬込川と染地川の合流点にあるため堤防排水をおくらせる結果となり、やむを得ず堤防を切断したとのことでありまして、地元住民からは馬込川の掘さくを一メートルほど行なってほしいとの要望がありました。  次に、浜松地域に入り、車中にて浜松市当局から被害概要及び要望事項等を聴取した後、都田地域における都田川はんらん状況及び都田橋流失現地視察いたしました。  現地人々からは、浜松から都田をつなぐ幹線道路であり、都田橋流失によって迂回を余儀なくされているとのことであり、その復旧を急ぐようにとの強い要望がありました。  次に、市内萩町に入り、都市下水路が未整備のため過去二回も浸水があり、地元住民からはそのつど、整備を急ぐようにと、市及び県に要望したにもかかわらず、未整備のため三たび三百余戸が床上床下浸水被害を受けたとして、強い不満が表明されました。  なお、この地域の沢には、四十六年災以後において千二百万円の経費を費やして砂防工事を完了させた個所があり、その沢周辺被害を受けませんでしたが、隣接する未工事の沢は、このたびの大雨によりがけくずれを起こし、付近一帯に甚大なる被害を与えている個所がありまして、いまさらのごとく防災の整備がいかに重要であるかを痛感いたしました。  次に、兵庫県について申し上げます。赤穂市には午前八時ころに着きましたが、直ちに兵庫県当局から被害概要及び要望事項等を聴取し、翌十九日派遣委員を二班に分けて、一班は上郡地域中心視察し、他の一班は相生地域中心視察いたしました。  まず、上郡地域の班から申し上げます。  上郡町役場にて町当局から被害概要及び要望事項等を聴取した後、安室川のはんらんにより浸水しました町の中心部から方張橋流失現地視察いたしました。  今次災害により、安室川にかかる町橋全部を流失したため、橋に併設してあった給水管が破損し、町は三日間にわたって給水車による給水を受けていたとのことでありました。  また、流入崩土による農地の被害が甚大で、これが復旧はかなり困難であり、地元住民からも何らかの方策を考えてほしいとの強い要望がありました。  次に、長谷川の堤防決壊個所視察いたしまた。  同河川は今年の五月改修が完了したものでありますが、護岸下部ブロック部分はともかくとして、上部土堤のところは、まだ固まっておらず、今度の出水により、至るところで決壊しており、派遣委員からも、ブロック部分がもう三十センチ高ければ、との発言があり、これに対して県及び市当局説明によれば、過去の降雨量の最大限をもとに設計したものであり、今回の雨量が予測し得なかったとのことであり、このたびの豪雨がいかに記録的なものであったかを物語っておりました。  次に、相生地域の班について申し上げます。  まず、相生市役所において被害状況説明を聴取した後、直ちに矢野川流域の被災個所視察いたしました。  市当局説明によれば、同河川決壊により矢野町四百三十町歩が冠水したとのことであります。  また、市内福浦地区でありますが、急傾斜地後背地に立つ住家が山くずれにより全壊いたしました。このため、痛ましい死者を発生せしめ、いまさらながら急傾斜地対策の重要さを感じた次第であります。  次に、赤穂地域については、赤穂有年公民館にて、赤穂市当局から被害概要及び要望事項等を聴取した後、矢野川の破堤の現場におもむき視察したのでありますが、未改修であるがために破堤したものであり、家屋田畑に甚大なる被害を与えている現状から、地域の代表からも、早期改修について強い要望がありました。  また、高雄橋落橋現地視察いたしました。  この橋の落橋により、地域の小学生ははるか上流有年地域を迂回して通学している等、日常生活にも影響を与えているとのことであり、早期復旧について強い要望がありました。  また、市街地千種川の増水により市内中小河川が各所で温水、決壊個所が続出し、市街の大部分浸水したのでありますが、もともとこの地域低地位個所が多く、この排水にはポンプを使わざるを得なかったとのことでありました。  次に岡山県について申し上げます。  まず、備前市の三石支所にて県当局から被害概要及び要望事項等を聴取した後、金剛川のはんらんにより被害をこうむった吉延鉄工所裏被害個所視察。この地域の川は未改修である上に湾曲しており、流水による被害を甚大化させたとのことであり、県当局からも、金剛川の復旧については、原形復旧でなく湾曲部を少なくした改良復旧を行ないたいとの説明がありました。  次に、吉永地域に入り、金剛川の破堤個所、そのあと大谷川、伊里川合流地点大谷川が二カ所にわたって破堤した現地をそれぞれ視察した後、備前井田地域における宮山山腹に、七、八十メートルに及ぶ亀裂が生じ、付近住民六戸に発した避難命令を解除しないままに、目下地質等調査を行なっているとの市当局説明がありました。  日生地域に入り、車中日生町当局から被害概要を聴取、三軒屋地域における西谷川のはんらん地域視察。同河川はんらんした水は濁流と化し、町の中心を通っている国道二百五十号線が川と化し、その水深は一時一メートル五十センチにも達し、両側の住宅に甚大なる被害を与えておりました。また、がけくずれにより、住居が全壊した現地視察したのでありますが、地質が水分を含んでおるため、今後も危険が予想されるとのことでありました。  次に、香川小豆島地域について申し上げます。  二十日朝、香川県及び内海町当局から被害概要及び要望事項等を聴取した後、木庄川及び用水池である夫婦池の破堤個所視察。その被害は山くずれによる土石流田畑を埋没させ、また山腹崩壊により巨大な岩石が木庄川の原形を喪失させており、付近住宅にも甚大なる被害を与えておりました。また、被害は今次災害にとどまらず、用水池の破堤により、夏の渇水期を迎えて農業用水不足が生じ、水害を免れた田畑も、今度は干害のため収穫は期待できないであろうという地元住民の声があり、農作物の収穫が憂慮されるところであり、このため、復旧は急を要することであります。  次に、安田大川上流下流視察しましたが、この川は上流地域流出土砂により川の全面が埋没し、はんらんした濁流付近住宅に甚大な被害を与えており、また下流湾曲部が多く、至るところで住居流失または破損しておりました。  次に、一瞬にして死者十九名、重軽傷者十数名の犠牲者が発生した橘地区視察いたしました。  この地域住宅は急傾斜地住居階段状に建っております。今次災害は、上部の小さい沢が豪雨とともに土砂くずれを起こし、鉄砲水となって住宅地を襲ったために起こった災害であります。  県の説明によれば、同所を急傾斜地崩壊危険区域指定し、その防止工事等も行なったとのことでありますが、今後、このような災害防止のためには、危険区域防止工事をすみやかに整備することはもとより、集団移住等抜本策を検討する必要がありましょう。  次に、岩ケ谷地域において、大阪城築城の際の残石の落下により発生した家屋崩壊現場福田地域における崩壊土石流により埋没した家屋、伊豆川のはんらんによる流失崩壊した家屋等被害現地吉田地域では吉田川の上流部におけるがけくずれにより流出した土砂下流田畑一面を埋没させている現地視察してまいりました。  もともと、内海地域は干ばつ、渇水等水不足に悩まされた地域であり、島全体の土質も風化しやすい花こう岩で占められております上に、想像を絶する三百ミリ以上という雨量により、至るところでがけくずれが発生しておりました。  以上、五県における視察地域中心とした調査概要であります。  最後に、今回の視察を通じまして、若干の所見を申し述べたいと存じます。  今次災害の特徴の一つは、雨による被害が少なかった地域に記録的な集中豪雨があり、しかも山間部より平野部に集中したため、大河川による被害に比較して改修のおくれている中小河川の破堤、はんらん等により、下流市町村に甚大な被害を与えたことであります。また、集中豪雨は、急傾斜地崩壊により住宅地を一瞬にして破壊し、とうとい人命を数多くなくしたことであります。被災地にとって、恒常的な対策はもとより重要でありますが、緊急対策急務であります。  その第一は、各地で最も要望の強かった激甚災害指定についてであります。  被害は、各地とも想像を絶するものがあります。これがため、政府は、災害査定をすみやかに行なうとともに、被災地要望にこたえて、公共土木施設関係農林水産関係中小企業関係等について、激甚災害指定を決定するよう検討すべきであります。  第二は、都市河川抜本的改修特別補助制度確立であります。  視察いたしました横須賀市、静岡市など、最近の産業の発展等に伴う宅地造成等により、急激な人口の増加を見、過密都市特有の問題が発生しておりますが、それに対する治水排水施策が万全とは申せないのであります。今回の災害もそうしたことが原因の一つではないかと考えられますので、この際、具体的な抜本策を立て、将来憂いのない復旧並びに改修工事を進められたいと思うのであります。  第三は、中小河川改修についてであります。  今次災害は、中小河川決壊被害を大きくしたのでありますが、そのほとんどが未改修部分決壊によるのであります。特に、都市部における中小河川については、すみやかに決壊個所復旧工事を進めることはもとよりでありまするが、その場合でも、改良復旧を主とした工事を進めるべきであります。  第四は急傾斜地対策であります。  全国で、六万カ所を数える急傾斜地は、一たび豪雨に見舞われれば、土砂崩壊により、住家の損壊、とうとい人命をも失わしめております。背後地に山林あるいは急傾斜地を背に住家が密集する被災地特有立地条件から、関係政府におかれましては、急傾斜地崩壊対策事業の促進、あるいは広範囲な緊急治山治水事業及び荒廃砂防事業整備事業確立急務であります。  第五は、中小企業に対する融資についてであります。  金融引き締めは、全国的な傾向でありますが、今次災害によって中小企業者の受けた被害は甚大であります。これが救済にあたっては、政府関係中小企業金融機関に対し、災害復旧のための資金の貸し付け限度額の引き上げ、貸し付け期間及び据え置き期間の延長、貸し付け手続敏速化等について、適切な指導をすべきであります。また、一般金融機関災害融資についても、貸し出しワクの確保について、各地方公共団体地元金融機関の協力を得るよう配慮を願いたいところであります。  第六は、個人災害に対する救済についてであります。  昨年成立を見た災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律によって、被災者に対しましては救済の方途の一端を講じたところでありますが、特に、被害の甚大さにかんがみ、被災世帯に対する資金の貸し付けについては、現在の経済情勢にかんがみ、限度額の引き上げ等を行なうとともに、各自治体に対し、その事務に遺漏なきを期し、被災住民サイドに立った行政を行なうよう指導すべきであります。  また、住宅金融公庫の災害復興住宅資金の貸し付けについても、特段の配慮を行ない、これら個人災害救済に万全を期すべきであります。  さらに、地方税等の減免措置等についても検討すべきであります。  以上、被害状況調査概要について報告を終了するにあたり、今次災害によってなくなられた多数の方々の御冥福を祈るとともに、なくなられた方の遺族の人々並びに一瞬のうちに住む家を失った多くの人々に対し、衷心より御同情申し上げる次第であります。  終わりに、今回の調査にあたって御協力いただきました関係各位に対し、心から感謝して御報告を終わることといたします。
  8. 阪上安太郎

    阪上委員長 参加委員にはたいへんご苦労さまでございました。  この際、国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。西村英一君。
  9. 西村英一

    ○西村国務大臣 今回の災害における被害等について御報告をするに先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げます。  国土庁発足とともに国土庁長官を拝命いたしまして、国土行政の一環として災害対策の重責に携わることになりました。  国土庁におきましては、従来総理府審議室において取り行なわれていた中央防災会議事務局の運営その他、災害対策全般にわたる連絡調整事務を行なうことになるものであります。  今後、委員長をはじめ委員の皆さま方の格段なる御指導を仰ぎつつ、国民の生命、財産の安全確保を第一義の目的として、台風豪雨、地震等各般の災害に関する施策に積極的に取り組んでまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。  それでは、台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害についての被害状況並びにその災害に対してとったおもな措置を御報告いたします。  まず初めに、各地災害によっておなくなりになりました方々の御冥福を心からお祈り申し上げ、かつ被害をこうむられた方々に衷心からお見舞い申し上げます。  さて、今年の梅雨は例年に比べ長期にわたり、五月下旬に九州南部が梅雨入りして以来、七月下旬に東北地方が梅雨明けをするまで、二カ月余りに及んでおります。この間、七月二日から十日にかけての台風第八号の影響による災害をはじめとして、梅雨前線の活発化に伴う断続した局地的集中豪雨による災害が発生し、静岡兵庫神奈川、三重、愛知、香川等の各県に、山くずれ、がけくずれや河川はんらんによる甚大な被害をもたらしました。  これら一連の災害による被害状況は、現在までに調査したところによりますと、次のようになっております。  一般災害といたしましては、死者、行くえ不明者百三十六人、建物の全半壊、流失千六百四十六棟、床上浸水七万三千五百五十二棟となっており、施設関係等の被害額といたしましては、公共土木施設千二百九十六億円、農地等七百九十四億円、農作物等百九十一億円、中小企業関係八百三十三億円、その他の被害を合わせて総額約三千五百億円にのぼっております。  この災害に対してとった措置といたしましては、まず災害発生に伴い、消防職員、消防団員、警察官、自衛隊員、海上保安官など、延べ約十三万六千人を動員して被災者の救出、救護につとめるほか、被害の特に大きかった静岡市をはじめとする三十二市、三区、二十九町、二村に災害救助法を適用し、たき出し、避難所の設置、医療などを行なうとともに、応急仮設住宅建設を進めております。  次に、被災現地調査のため、政府調査団を七月九日に静岡兵庫香川の各県に派遣いたしました。また、関係省庁においては災害発生後直ちに関係係官を現地に派遣し、被害の実情調査及び応急復旧措置の指導に当たっております。  次に、被災中小企業者及び被災農林漁業者などに対しては、関係金融機関から災害貸し付けを行なうよう指導するとともに、被災者に対する災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸し付けを早期に実施するよう、地方公共団体指導しております。  次に、被災地方公共団体に対して、普通交付税の繰り上げ交付を行なうとともに、国税及び地方税については、納税期限の延長等の措置が講じられております。  次に、被害が甚大であることにかんがみ、激甚災害指定については、被害調査結果を待って、基準に該当する場合には早期指定するようつとめてまいる所存であります。  なお、今後さらに被害復旧に必要な万全の措置を講じてまいりたいと存じております。以上ご報告を終わります。     —————————————
  10. 阪上安太郎

    阪上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高鳥修君。
  11. 高鳥修

    高鳥委員 私の質問時間の開始が十時四十分からということであったわけでありますが、すでに十七、八分食い込まれておりますので、大至急、ひとつはしょりまして、今回の災害についての、個別的な問題は別といたしまして、現地視察をいたしました結果として、基本的な問題について若干お尋ねを申し上げたい、こう思うわけであります。  まず第一に、国土庁長官にお尋ねをいたしますが、長官、よろしゅうございますか。  今回の災害を見ますと、非常に局地的な降雨量が多くて、年間降雨量の三分の一ほどがきわめて短時間に降った。その結果として、地域によりましては非常に数多くの人命が失われ、まことにお気の毒の限りでございますし、思わざるところに土石流が発生をするというようなことでありまして、その災害は非常に激甚でございます。全体としてこれを見ますと、農林、農地等の災害あるいは中小企業等の受けた被害、これらについては局地激甚なり何なりの採択がかなり可能ではないかという、現地状況を見ての感じを私は持ってまいったわけであります。しかし、短時間に降った雨量が非常に多くて、それが平地にはんらんをして、そして水が引いたあとを見ますと、公共施設等について、特に公共土木施設等については、その被害金額は金額的に見れば必ずしも大きな額にはならないという姿が見えるわけであります。したがいまして、これは国土庁中央防災会議が今度肩がわりをいたしました災害対策室として総体的な計数をまとめていかれると思いますが、公共土木施設について激甚災の採択の見通しはかなりむずかしいのではないかという感じを、私は一つ持ったわけであります。  そこで、これはもし採択ができないとすれば、採択基準の緩和ということも考えなければならないでありましょうし、あるいはまたさらに、本来この激甚災というのは市町村に対するいわば財政援助法という性格を非常に持っておりますので、私どもといたしましてはその基本的な再検討もしなければならないと思いますが、現在の段階でのいわゆる激甚災、局地激甚なり本激甚なりの採択の見通し、あるいはそれに対する国土庁長官としての、今次災害をかんがみてのお考え、それをひとつまず第一に承りたいと思います。
  12. 西村英一

    ○西村国務大臣 激甚災の指定が公共土木について特におくれる。災害につきましては、いろいろやってきておりまするが、残念ながら毎年毎年、雨の降り方によっては災害が起こるのでございまして、いままで相当に事務的な問題としては詰めてまいっておるわけでございますが、いま仰せのとおり、農地等あるいは中小企業等に対する激甚災の指定のやり方と土木災害についてのやり方とは、いまの定めでは違っておるわけでございまして、あくまでも公共事業の査定につきましては、現地のあらましの調査ではなくて、査定官が行って、その査定を見まして、そして税収との比較をするというのでございますから、従来ともややその他の激甚災の指定と比べておくれておるわけでございます。しかし、相当にいままでやってきておりまするから、激甚災の指定の基準をどうするかというようなことにつきましては、せっかく国土庁といたしましても、総理府から受け継ぎまして、ここで新しい観点に立って、ひとつ十分この基準の点を検討したい。なお、基準の緩和についてもひとつ非常に考えたいと私は思っておるような次第でございます。  今次災害についてどうなるかということにつきましては、事務当局から御報告申し上げたいと思っております。
  13. 横手正

    ○横手説明員 今回の災害に関連しましての激甚災害指定の見通しについて、簡単に御説明申し上げます。  まず、農地等関係並びに中小企業関係でございますが、これは大体基準に該当するものと思われますので、おそくとも九月ごろまでには手続を進めるようにいたしたい、かように考えております。  公共土木については、先生すでに御指摘のとおりでございますが、これにつきましては、局地激甚につきまして、各省の査定の結果を待ちまして早急に行ないたい、かように思っております。
  14. 高鳥修

    高鳥委員 公共土木施設災害についても、たとえば町村によりましては、小豆島内海町でありますとか、当然やはり激甚災として指定されてしかるべきと思われる町村もございますので、なお地域の実情を十分御検討くださいまして、指定ができるように御努力をいただきたいと思いますし、採択基準の緩和ということも当然考えなければならない事態もあり得ると思います。これについては、わが党としても強く御要望をいたしているところでございますので、十分御検討いただきたいと思います。  それから、長官に重ねてもう一言お伺いをいたしたいわけでありますが、長官はただいま、特に国土庁として発足を見た、国土庁ができた、そしてそこが災害担当になったという意義にかんがみて、災害対策について熱心にお取り組みになるという御趣旨の御発言があったと思いますが、国土庁としてまさに災害を担当することになった以上は、たとえば今回の災害については、実は人災であるというようないろいろなことも言われておるわけであります。巷間、いろいろの災害について人災というようなそしりを受けておるところもわれわれの耳にいたしておるところであります。それについては、一々それなりの理由もあると思いますが、私は、中央防災会議が今度国土庁長官の所管になったこの機会に、大規模プロジェクトなり、たとえば新幹線でありますとか高速自動車道路その他地域の現状、国土の現状に変更を加える場合には、当然やはり災害の発生ということが懸念をされる事態があるわけであります。そういうことについて、全体として国土庁として、広い視野に立って、災害を未然に防止をする、国民生活の安全を確保するという意味において、長官にお取り組みをいただきたいと思うのでありますが、御決意のほどを重ねて承りたいと思います。
  15. 西村英一

    ○西村国務大臣 いままで総理府で中央防災会議はやっておったのでございますが、ややともすれば、これは総理府を悪く言うわけではございませんが、各省の数字だけを集計しておったというようなこともあるわけでございます。しかし、政府はあまり機関をつくりたくないのにあえて国土庁というようなことをやるし、皆さま方の御賛成を得て国土庁という庁ができましたことにかんがみまして、やはり国土を守る——守られていないからこのような災害が年々歳々繰り返されるというのでございますから、国土庁ができた以上は、これを契機にして、もう一ぺん災害を、ことに戦後の災害をもう一ぺん統計的にも内容的にも検討すべきじゃないか、こういうような気持ちがいたしておるのでございまして、これは国土庁だけでできるものではございません。皆さま方——従来も年々歳々災害が起こっており、相当な人数の方々がなくなっておるのでございますから、ここでひとつこれを機会に再検討をしてみたい、予防についても、対策についても、国土全般のやり方についても、再検討をしてみたいと思いますから、私から当災害対策委員会の皆さま方にお願いをしたい、かように思って、今後一生懸命取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。よろしくお願い申し上げます。
  16. 高鳥修

    高鳥委員 長官の御決意、たいへんけっこうだと思います。大いにそれは、「みたい」だけでなくて、実際におやりいただくことを強く希望いたしておきます。  次に、建設省河川局長に承りたいと思いますが、こういう災害があるたびに、原形復旧ではいかぬのだ、改良復旧をやりなさいということが各委員から非常に強く指摘をされますし、災害地からも強い要望があるわけであります。私どもは的良復旧は当然であると考えておりますが、これは事務的な面と、それから現地の感覚ないしわれわれ、事務的にはしろうとであって政治的にものごとを考えているものとの間では、若干、用語、字句の使い方、あるいは具体的な事務の取り扱い等について、そごをしておる面があるように思います。  そこで、一体原形復旧とは何ぞや、あるいは改良復旧をやるというのはどういうことであるか、その点について少し明確にしていただきたい、こう思うわけであります。
  17. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  いまの御質問でございますが、おっしゃいましたように、災害復旧原形に復するという原則になっておりますが、これでは非常に現実にそぐわないわけでございます。したがいまして、建設省といたしましては、改良復旧という手法を持っておるわけでございますが、改良復旧には二つございます。一つは、河川と海岸につきましては、助成工事という方法を持っております。あるいはまた、災害復旧関連事業というのがもう一つあります。これは河川、海岸、砂防、道路、橋梁というものを対象にしておるわけでございますが、いま先生がおっしゃいますように、これらの採択にあたりましては、私ども、いわゆる関連規則として査定方針というものがございまして、一定の基準を持っております。この一番の問題は、復旧に要する事業費と、それに関連してやればいい事業というものがあります。あるいはまた、災害復旧の仕事と、それからまた助成をして抜本的にやろうという仕事があります場合の採択基準は、一対一の場合、五割と五割というとき以下に採用されているというのが実情でございますが、過去の大災害におきましても、これは弾力的に運用した場合がございます。今回の台風八号並びに梅雨前線の大災害を見ますと、特に一般災が多いということでございます。先ほど御報告がございましたように、一般的な災害が非常に多い場合は、この比率というものを弾力的に運用いたしまして、地域住民のための工事を早くやりたい、そういうぐあいに、考えております。
  18. 高鳥修

    高鳥委員 ただいま採択基準の問題について説明がございましたが、今回の災害静岡県——残念ながら私行ってみませんでしたが、現地の様子を承りますと、一時に非常な増水を見て、たくさんの家が床上浸水、まさに家屋埋没というような被害も出ておるわけでありますが、水が引いてみると、先刻申し上げたように、公共施設被害金額は必ずしも多くにのぼらない。住民被害は非常に大きいけれども、公共施設災害としては災害にとれない。そういうことになると、その河川なり何なりが現況に合わなくなっていて、それがもとで災害が起こっているにもかかわらず、災害関連なり災害助成はとれない。いわゆる一般の中小河川改良費なり何なりでやっていくよりしようがないということになれば、これは何年もかかるということになっていくと思うのであります。でありますから、今次災害のような場合に、これは採択基準を再検討する必要があるのではないだろうか。いまお話がありましたように、災害対改良費を一対一というようなことでは、これはとうてい災害なり災害査定はもちろんのこととして、災害関連、災害助成というような手法でこれをやっていくことはできないわけでありますから、一対三〇、一対五〇、一対一〇〇でも私はかまわぬと思うのであります。現実にその地域住民被害を受ける。また同じような降雨があれば同じような被害を受ける可能性は十分にあるわけでありますから、それらをひとつ十分財政当局とも御折衝になって、積極的にお進めになることを希望いたしておきます。  それから、時間の関係でなお一、二お尋ねしたいと思います。  簡潔に申し上げますと、災害の査定については、各地で早く査定を進めてくれという要望が非常に強うございます。私は、実は二十年間災害関係に直接間接にいろいろな面で携わりながら、政治活動をやってまいっておりますので、災害状況、それに対する対処のしかた等についてはある程度承知をいたしておりますが、地域によって非常にばらつきがあるように思います。そこで私が特に必要だと思いますことは、災害があった場合にはすみやかに地域住民災害から直接災害後遺症として受けておる状態を直していく、そのためには災害査定前のいわゆる事前着工というものを制度化する必要があるというふうに思うわけであります。そういう点について河川局長としての考え方を承りたい。  それからもう一点は、都市の災害、特に静岡などの状況を見ますと、都市災害というものが今後大きな問題になってくると思います。公園とかあるいは流域下水道、こういうものの住民生活に占める割合は今後非常にますます大きくなる。ところが、公共土木施設災害復旧事業の国庫負担法によれば、対象地域は限定されておって、これら国民の生活様式の新しい変化に伴う公共性の非常に強い施設についての、いわゆる災害復旧の国庫負担法というのが適用の対象外になっておる、そういう状況が現にあるわけであります。これらについては、この法律の改正なり何なりをして、対象地域に当てはめるなりあるいは流動的な措置がとれるならば、これをとっていく必要があると思うのであります。それらについて時間の関係がありますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  19. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  一番最初の御要望の件でございますが、いわゆる災害助成、災害関連につきましては弾力的に運用させていくようにがんばりたいと思います。  それから、一番目の御質問でございますけれども、査定事務が非常におそいということでございまして、もう少しやり方はないだろうかということでございますが、御承知のとおり現在やっておりますのは、災害が出ますと、応急復旧だけは直ちにやっております。その後しっかりしたものにつきましては、現地調査いたしまして、それからまた地元では、設計書をつくる、それから申請する、査定に入る、それから予算措置をして初めて着工ということになる順番でございます。この間にいろいろともう少し早くやれというようなこともございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、緊急の工事はすぐ復旧をやっておるわけでございますが、それと査定を受ける間が非常に長い。この間にもう一つワンポイントを設けて事前着工でもできるような制度はどうかというような御質問でございますが、私どものほうも各地方の地方建設局に災害査定官を一人ずつ置いております、ことしの四月からでございますが。その辺とかね合わせまして、何かその辺の制度でもってその穴場を埋めるといいますか、そういうこともこれから勉強してまいりたいと思っております。  それから二番目の問題でございますが、いわゆる公共施設というものを対象にいたしまして、下水道なり公園が入っていないがどうだろうか。今回の都市災害におきましてはこういうものが大きな問題になっているという御指摘でございます。なるほどそうでございまして、これは先生おっしゃいましたように法律的な問題でございますので、各関係省庁並びに財政当局等ともこの問題につきましては十分検討をしてまいりたいと思います。  終わります。
  20. 高鳥修

    高鳥委員 ただいまの問題については、制度的にも、なお当委員会としても小委員会等もあることでありますから、私も今後大いに検討をしてみたいと思いますし、なおまた建設省、大蔵省の前向きの検討を強く要望いたしておきます。  最後に、今次災害とは若干違いますが、たまたま私、桜島等の火山爆発に関連をいたしまして、火山、地震等の関係について一生懸命取り組んでまいっておるわけでありますが、先般、実は新潟県の妙高高原と糸魚川市の境界にある焼山というのが突然爆発をいたしました。二十五年ぶりの爆発であります。噴煙が上がりまして、火山灰が相当幅広く降ったわけであります。たまたまこの山は、何かあのときのテレビ等の報道によれば、C級の火山であって常時観測はしておらない。ところが、現実には噴煙が上がっており、そしてときに爆発をすることがあるという状態の山であります。かねてから火山活動、地震活動についての研究、観測の強化ということを当委員会としても強く要望いたしておるわけでありますが、そういう点についてはまだまだ不十分だ、こう思うわけであります。現にこの爆発をしたときに、女性二人が焼山に登っておりましてキャンプを張っておった。無事に下山したからいいようなものでありますが、当然もう少し観測体制が強化をされておれば、登山禁止等の措置が行なわれておったのではないか、このように思うわけであります。今後のさらにこの火山についての観測あるいは今後の活動の見通し、そういうことについて気象庁観測部長お見えでありますが、率直に承りたいと思います。
  21. 有住直介

    ○有住説明員 ただいまの御質問についてお答えいたします。  本火山は、七月二十七日の夜間の二十一時半ごろでございますけれども、高田測候所とそれから長野地方気象台の地震計に地震、火山爆発のような震動を記録いたしました。その翌日の二十八日の二時半ごろ爆発いたしたのでございます。その事前には、水蒸気の噴気がどうもおかしくなったということに高田のほうで気づきまして、それにつきましては注意いたしておりました。そのやさきにこういう爆発が起こったのでございますが、これはいま先生からお話ございましたように、二十五年ぶりのものでございますが、爆発は溶岩円頂部の頂部から斜面の亀裂にかけて起こりまして、多数の噴気口から灰色の噴煙を上げまして、北北東のほうに、ちょうど風向きがそういうふうでございましたので、百キロぐらい流れまして、人的な被害はございませんでしたけれども、降灰による農作物の被害が懸念されたわけでございます。  過去の活動といたしましては、八八七年、一三六一年、それから一八五二年から五四年、一九四九年、一九六二年、一九六三年に活動がございまして、随伴現象としては降灰とか二次泥流がございます。  これからの見通しでございますけれども、現在火山噴火予知技術というものはまだ開発途上でございますので、確かなことということにはいかないのでございますけれども、過去の噴火様式、それから今回も水蒸気爆発が主でございますので、今後活動は続くといたしましても、降灰を伴う程度で大爆発に進展するということはないものというふうに考えております。  今回の処置でございますけれども、先ほどもお話しましたが、二十八日の朝六時半、新潟地方気象台から爆発した旨の電話連絡がございまして、新潟地台では緊急対策をしきまして、爆発状況の収集、それから二十八日の七時十分には火山情報の第一号を発表いたしまして、それで登山関係に注意を喚起いたしまして、災害の防止というものにつとめたわけでございます。  一方、気象庁でございますけれども、七月二十九日に火山噴火予知連絡会の関係機関といろいろ御相談いたしまして、気象庁は、笹倉という火口の北側七キロのところに部落がございますが、そこと、それから東京大学では笹ケ峰、これは火口の南東八キロメートルでございますが、そこに機動観測班を派遣いたしまして、この活動状況の把握とそれから災害防止に努力しております。  この機動観測班は、昨日から観測に取りかかりまして、けさほども報告が参っておりますが、割れ目があるらしくて、白煙がのぼっているようでございますが、三十一日の二十一時、月あかりで噴煙が見えておりましたけれども、前回よりはかなり少なくなってきているということでございます。なお火映−火映というのはつまり火山の火が雲にはえる現象でございますが、そういうものは見られておりませんということでございます。  以上でございます。
  22. 高鳥修

    高鳥委員 終わります。
  23. 阪上安太郎

    阪上委員長 次に、勝澤芳雄君。
  24. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、会合があってお急ぎのようですから、簡単に私、二、三お尋ねいたしたいと存じます。  先ほどの御質疑の中で激甚災害指定につきましていろいろと考慮されている点をお述べになりました。やはり災害の問題でありますから、私は、できるだけ早急に、そして実情に即して十分な、地域の点を考えた激甚災害指定を急いでいただきたい。大臣も急いでおられるように言われましたので、ぜひその点第一に要望いたしたいと存じます。  第二は、災害について異常気象とかあるいは天災とか言われておりますけれども、根本的に考えてみると、やはりもう少し防災対策の抜本的な対策が必要であったということは、大臣もお認めになっているようであります。たとえば静岡地域を見てみましても、三百ミリぐらいまでならだいじょうぶだけれども、しかし五百ミリならこれは無理だ、こういうことも言われておるわけであります。いまの河川なり治山、治水の実情を見てみましても、異常雨量というものが各所にあらわれておるわけでありまして、これも大臣この機会に十分見直しをして、大臣も努力をされるけれどもわれわれにも協力をというお話がありましたが、この問題もぜひひとつ大臣に私はとくと御要望いたしておきます。  何といいましても、大臣が初代の国土庁長官になられたのは、いまの田中内閣の一番の中心的なお立場にあられ、建設大臣も経験をされ、また厚生大臣も経験をされて、いま災害の問題について国土庁長官が主管大臣になられたという点で、いまこそ、国民に災害のたびにもっと早くもっと基本的にという希望があるわけでありますから、そういう点ひとつぜひもう一回見直しをする、また大臣もしたいとお約束をされましたので、特にこの二点については要望いたしておきます。  それから次の問題であります。これは大臣直接御関係がないかと思いますけれども、厚生大臣をすでに経験をされ、建設大臣あるいは国務大臣としていま田中内閣の一番中心的な存在でありますので、この災害特に個人災害についての救済制度でありますけれども、いままではなかなか個人災害までは目が届かないというところで放任をされてきて、最近ようやく弔慰金なども出されるようになったわけでありますが、これはすでに二年ほど前の基準でありますから、いまの実情からあるいは今次の災害の実情からいってもっと個人災害についてあたたかい弔慰金、見舞い金、いまは五十万円ですか、これを百万円程度にというような希望も私たちの党から長官にも昨日申し入れをしておるわけでありますが、そういう点についてひとつお考えをいただきたいという点が第一。  第二は、災害救助法の適用でありますけれども、この救助の種類にそれぞれいろいろの区別があるわけであります。しかしこれも、やはり救済の程度やあるいは方法やあるいは地域や実費弁済についてもう少しこの際検討して、大幅に改善をしなければならぬときに来ているのではないだろうか、こう思うわけであります。  私は、この個人災害の問題とそれから災害救助法の適用に対する諸問題、これらについての御検討をぜひお願いいたしたい、こう思うわけでありますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  25. 西村英一

    ○西村国務大臣 いろいろ災害の点について御要望がございましたが、一体、集中豪雨集中豪雨と言うのでございますが、これは異常気象といっても昔から集中豪雨というものはあったと思うのです。ただ施設がなかったからあるいは自然のままであったからということで、いまほど被害状況を訴えることが少なかったのだと思います。いずれにいたしましても、今日のような社会情勢になっておって、やはり年々歳々集中豪雨というものがあるのでございますから、これに対してどういうふうに対処していくかということをこの際もう一ぺん考えてみたい。なかんずく従来手が出なかったのは個人の救済でございます。原則として国家は個人に直接に対抗はできませんから、いろいろな案が出ておりましたが、なかなかできませんでした。幸いに皆さま方のお知恵で、昨年ですか弔慰金の制度が議員立法でできた、これは私もこの法律には携わっておりませんが、皆さま方のおかげであると私は思っておる次第でございます。しかし、これは昨年生まれたばかりの法律でございまして、今日のこのような経済情勢のときに対応できるかどうか、マッチできるかどうかというようなことについては、いま弔慰金の問題、援護法の問題等につきまして御要望がございましたから、その辺は最も重要な点であろうと思いまして、それをも含んでこの際ひとつ勉強してみたい、再検討してみたい。あくまでも災害を個人が受けるということは、このような世の中ではたいへんなことだろうと思いますから、これをひとつ再検討をしてみたい。国民の御要望に沿いたいというような気持ちでやってみたい、かように思っておる次第でございます。
  26. 勝澤芳雄

    勝澤委員 時間もあれですから、もう一点だけ。  大臣、東海道線由比というところで地すべりがありまして、そしていまその地すべりの関係で海岸を埋め立てをして、国道一号線なりあるいは東名高速道路がつくられているわけです。この間もここで被害がありまして、御承知のとおり、ここは東海道線が通っておりますし、国道一号線がある、約十日間にわたって交通が麻痺状態になり、東名高速道路もまた新幹線も相当な被害で、まさに日本の大動脈といわれるこの東海道が数日間にわたって交通が途絶したというような状態が起きたわけであります。  この原因は、ここに地すべり地域がありまして、その土砂家屋崩壊をさせ、また東海道線から国道にかけて土砂で埋まったわけであります。これは直接に大臣の御関係ではない、林野庁の関係になるのかと思いますけれども、この地すべり地帯につきましては、やはり国が直接にもっと積極的に対策をしないと、ここはまた同じような災害が起きる可能性があるという個所でございますので、特にこの地すべり復旧事業を現状にとどめずに拡大をして、そしておそれのあるところについても十分な抜本的な対策を行なうべきだ、こういうように私は思うわけでありますけれども、その点について大臣の御所管でなければ国務大臣とされてこの点を、特にまた国鉄のことにもお詳しい大臣でありますので、ぜひ総合的な御判断でひとつ強力な施策を行なって、二度とこういうことが起きないようにしていただきたいと思いますので、お考えをお伺いいたしたいと思います。
  27. 西村英一

    ○西村国務大臣 あそこは非常に難所でございまして、したがってあらゆる面の交通路線になっておるわけで、新幹線あたりが通るときにも、あるいは高速道路が通るときもルートは相当に検討したと思っていますが、あのようになったわけでございます。いま林野庁で一生懸命やっていますが、私は前の状態は知っておりますけれども、事故後の現地はまだ見ておりません。さっそく時間があればひとつ現地を拝見いたしまして、林野庁等、関係のところとひとつ十分抜本的に——抜本的というのは、一体どういうふうにできるのか、その点はわかりませんが、たいへんな事故があそこで起こっておりますので、ひとつ十分考えたいと思っております。  林野庁の方もおいでになりますから、詳しいことは林野庁の方から……。
  28. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、御会合のようでございますから、どうぞけっこうでございます。  いまの問題につきまして、林野庁ですか、ひとつ関係のところからもう少し詳細に御説明を願いたいと存じます。
  29. 藍原義邦

    ○藍原説明員 お答えいたします。  由比の治山につきましては、先生御存じのとおり、過去に何回もございまして、林野庁といたしましては過去におきまして各省庁と協力し、林野庁で直轄におきまして約二十億近い金を投じまして、あそこにおきます地すべりその他の対策をやってまいりました。一段落いたしまして、その後四十年に入りましてまた小さな被害が出ておりますので、今度は補助治山事業としてその後継続してあそこの災害対策を講じてまいったわけでございますが、本年度も約一億近い金を投じましてにごり沢付近の復旧を行なうという予定をいたしておりました矢先に、今回の大雨のために大きな被害が出たわけでございますが、ただいまあの地域を含めまして、全般的に関係方面と十分連絡をとりながら実施方法を含めまして総合的な検討を早急に立て、関係方面と折衝の上、対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  30. 勝澤芳雄

    勝澤委員 特にいまの地域は二次災害等のおそれもある地域でありますし、またこの危険個所住民住居の移転等についても考えざるを得ないというようなことも言われておるわけでありますから、ぜひひとつ地元要望に沿った十分な対策を練られて、国道が、あるいは東海道が一週間も交通が麻痺状態になるようなことのないような抜本的な対策を特に要望いたしておきます。  それから、今度のこの静岡清水地区の都市災害の状態を見てみますと、やはり治水の問題ということが言われるわけであります。沼を埋め立てをして家を建てる、あるいはたんぼや畑を減らして、そこがまた都市になっていく。しかしまた、危険な山地帯であるにかかわらず、建てるべき土地でないのにそこに家を建てる。やはりこういう水の問題が十分な処理をなされないままに建設が行なわれているという点から考えてみますと、やはり総合的な治水というものを十分考えなければならないと同時に、家を建てるときにこれでいいのかどうなのかという点についてももう少し十分検討すべきではないだろうか、私はこう思っております。  それと同時に、いま特に地元で、この静清地区治水対策として巴川あるいは大谷川の改修事業をもっと先にやるべきではなかったのではないのかという点が言われております。特に地元清水の市長は、国会にもおられ、建設委員であった佐藤虎次郎氏でありまして、当時から大谷川の改修については主張をし、そうしてまた少しずつ始めておったわけでありますが、地元からのいろいろな障害でそれがおくれておったということであります。ですから、考えてみますと、やはり必要なものは十分地元に対し誠意を持って努力をし、納得をさせてそれを実行していく。いや、地元で反対があるからできないのだ、こういうことで放任をせずに、もっと地域住民に十分な理解をさせ、納得をさせ、そうして必要なことはやはり必要なものとしてやっていく、こういうことをしていかなければ、災害が起きたたびに、それが行政の怠慢であるとか、あるいは人災であるとかということが言われるのではないのかと思うのです。やはりそういう点から考えて、私は特に、この巴川大谷川の改修事業の促進についてはひとつ特段の御考慮をいただきたいと思うわけでありますが、その点についてのお考えをお伺いいたします。
  31. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  巴川は、先生御承知のように、昭和三十四年から着工したわけでございます。これは中小河川改修事業でございますが、それから四十六年までは清水市内の現河道の護岸整備等をやってきたわけでございますが、いまおっしゃいますように、抜本的な改修ということを考えないといけないような都市の発展を来たしまして、その意味から、放水路以外にはないのではないかということになったわけでございます。こういう計画がきまりまして、関係住民の皆さん方の御理解を得るよう鋭意努力してまいったところ、御承知のとおり、県並びに市におかれましては、用地先行取得制度というものを活用なさいまして、昭和四十八年から四十九年度におきまして用地先行資金約二十四億円という多額な金を投入して促進しておるわけでございますし、また、まだ残りが二十数億というような大事業でございます。そういうようなことで地域の皆さん方と非常に協定がうまくいくようになりましたものですから、私どもも大いにこれが事業の促進をはかりたいと思っております。  工事につきましては、昭和四十九年度、本年底でございますが、日本平に源を発します小鹿沢までは暫定通水いたしたい、そういうように考えております。また、麻機地区の例の遊水地という計画がございますが、これは四十八年度に制度化されたいわゆる都市河川治水緑地事業というのがございますが、ことしからこの事業によってこの遊水地を施工することになりまして、現在用地買収に着手しておるわけでございます。  今後の進め方といたしまして、今回の被害がたいへんなものでございますので、この遊水地の問題と放水路の問題に全力をあげて、昭和五十年度の予算要求にも反映いたしたいと思っております。
  32. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから、先ほど衆議院の災害対策特別委員会現地視察をしていただきました静岡の浅間さんの丸山地域でありますが、この辺は賎機山という山が崩壊をいたしまして、死傷者あるいは家屋倒壊も出ておるわけであります。この地域静岡鉄道がロープウエーを架設をしたためにこういう崩壊が起きたのだということも実は言われておるわけであります。しかしまた、山のほうを見てみますと、ミカン畑も開墾されておるような状態からいきまして、必ずしもロープウエーに限るとは申せないとは思いますけれども、地元住民からいえば、やはりこんなところにロープウエーをつくってよかっただろうか、どうだろうかという実は疑問が起きているわけであります。一部の住民からは訴訟もというような声も出ておるような実情からいきまして、こういう問題については関係官庁として、十分な調査、あるいは当時の模様あるいは今次災害というものの経過から見て、その原因の究明というものを十分して、地域住民というものを納得さした復興対策といいますか、あるいは今後の対策というものを考えるべきだろう、こう私は思うわけであります。この点についての御見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  33. 増岡康治

    ○増岡説明員 建設省の立場から申し上げます。  いま先生がおっしゃいましたことは、静岡鉄道のロープウェーの問題もございます。これは私どもの所管でございませんが、私どもの立場といたしましては、いわゆる崩壊斜面の対策というものにつきましていろいろ努力してまいっておるわけでございますが、そういうようなことがありましたものですから、二次災害というものを非常におそれております。あるいはまた民心の安定という立場から、県御当局からいろいろと御要望、要請がございますと、緊急急傾斜地崩壊対策事業で処置いたしたい、そのように考えております。
  34. 勝澤芳雄

    勝澤委員 運輸省いらっしゃっていますか。ちょっと説明してください。
  35. 横山義一

    ○横山説明員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘のリフトは、静岡鉄道が経営いたしますところの、普通索道で申しますと、甲種リフトと申すものでございます。これは三十四年の十一月に免許を受けまして、そして三十五年の十一月から営業を開始しているものでございます。今回の山くずれの事故に関しましては、陸運局の鉄道部長が政府調査団の随員ということで、事故直後参りました。その後陸運局の技術課長現地調査をいたしたのでございますが、まだ、はたしてリフトの施設というものが事故の原因であったかどうかという点につきましては、さだかにわからないような状況でございます。  索道は、これは全面的に陸運局長の権限事項でございますけれども、運輸省といたしましては、今後陸運局に、県とか市のほうといろいろ御協議を申し上げまして、それでもし防災上必要であるということであれば、リフトの施設も含めまして必要な対策を講じさせたいと考えておるわけでございます。
  36. 勝澤芳雄

    勝澤委員 災害が起きるといろいろな問題が起きてくると思うわけでありまして、特にきめこまかな親切な対策といいますか、あるいは原因についての究明というものをなされるように要望いたしたいと存じます。  そこで最後に、特に中小企業関係の災害が多いわけでありまして、特に工場や施設や原料あるいは商店における商品などの被害というのがたいへん大きくて、再建はなかなか困難であります。したがって、中小企業関係金融機関融資の問題あるいはこれについての貸し付け利率の問題あるいは据え置き期間や返済、こういうものについての特別な措置について要望いたすと同時に、また一般金融機関に対しましても、災害融資について地元の金融機関にいま協力の要請をいたしておるわけでありますが、こういう点から中小企業に対する対策というものについての実情について、ひとつ御説明を賜わりたいと思うわけです。
  37. 若杉和夫

    ○若杉説明員 お答えいたします。  今度の災害の特徴は、市街地がかなりやられましたので、商工業被害が非常に大きいということでございます。それで、最初のときは約七百億くらいと言われていたのですが、三重県その他が加わりまして、九百億近い商工被害があるというふうにいま把握しております。  したがいまして、われわれのほうとしては全力をあげてこれをやらねばいかぬということでございますが、激災に指定できるじゃないかということで、別途調査して緊急に仕上げる予定でございますけれども、それを待っていたのではぐあいが悪いという向きもございますから、もうすでに一月ほど前から緊急災害貸し付けというのをやっているわけでございます。  その内容というのは、通常の貸し付け限度、企業別の貸し付け限度をオーバーしてもよろしいとか、あるいは据え置き期間あるいは貸し付け期間を延長するとか、あるいは既往の貸し付けの債務の償還猶予をするとか、そういうような弾力的な措置を含んだ災害の緊急貸し付けというのは実施しているわけです。  ところが、現実問題になりますと、三機関の全体の資金量の中で優先して災害貸し付けをするということになっておりますけれども、各三機関の八月、九月分にこれだけずつ使うというものが、いろいろな各業種がいま不況で相当困っているものですから、なかなかきついという問題があります。ただ、われわれのほうはとにかく災害優先で、極端な言い方をすれば、九月にそういうものをほかのほうに回す予定であったものまで引き揚げて、とにかく優先的にやれ、そして最悪の場合はまたその場で何か考えようということで、三機関を強く指導しております。  それからもう一つ特徴は、率直に言いまして、災害被害額と三機関融資額というのは、まあ経験則上一定の比率みたいなものがあるのでございますが、いまは全国的に非常に金融難のときでございますので、通常のそういう比率をもってしては非常な不満と不評を買うのではないか。そういうことではならぬということで、われわれも実は覚悟しておりまして、相当思い切ったお金を出していくということで指導しておりますし、またその全体の資金手当てのほうもいま検討中でございます。おおむね、大きな不満はないようにとにかく処理したいという思いで努力しておるところでございます。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、農業関係についてでありますけれども、特に農道、林道の崩壊、農作物の被害、ミカン、イチゴ、お茶などたいへん被害が多いわけでありますが、これらについての対策についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  39. 今村宣夫

    ○今村説明員 まず私から、被害農林漁業者に対します対応につきまして御説明を申し上げます。  被害農林漁業者の経営資金につきましては、天災融資法でむちまして融資をいたすことに相なっておりますが、現在統計情報部をもちまして被害の実情を調査をいたしておりますが、今回の被害の実態にかんがみまして、天災融資法の発動につきましては、私たちとしては前向きで対応いたしてまいりたいと思います。  なおまた、農家の経営の安定のための自作農資金の融通につきましては、それぞれ天災融資法の発動と見合いまして、融資ワクの設定につきまして、被害状況、農業経営の実情をよく見まして、遺憾のなきようにいたしてまいりたいと思っております。  なおまた、農林漁業金融公庫を通じます災害資金の融通につきましては、その円滑な融通をはかるようにするということで、農林漁業金融公庫にはすでに経済局長名をもって通達済みでありますし、またその円滑な融資につきましては十分指導をしてまいりたいと思っております。  なおまた、農業共済金の早期支払いにつきましては、早期支払いを被害状況に応じて行なうように、すでに指導をいたしておるところでございます。  御質問の第二の農地農業用施設の復旧につきましては、建設部長のほうから御説明を申し上げます。
  40. 福澤達一

    ○福澤説明員 今回の梅雨前線及び台風八号の豪雨災害に伴いまして起こりました被害につきましては、現在関係の都道府県からの報告によりますと、七月二十九日現在におきまして三十九都道府県にわたっておりまして、農地農業用施設、林道を含めまして総額七百九十四億円の被害に達しております。現在この被害額を基礎といたしまして、査定見込み額を、過去五カ年間にわたりましての査定の実績と被害額との関係からの推定をいたしまして考えてみますと、大体五百億少しぐらいの査定見込みに達する予定でございます。したがいまして、先ほど国土庁の中央防災会議のほうにおきまして御説明がありましたように、激甚災害指定につきましては、現在都道府県からの最終的な被害の報告を受けまして、関係各省と協議して早急に決定をいたしたい、こういうように考えておるわけでございます。
  41. 勝澤芳雄

    勝澤委員 時間がありませんので、以上、特に災害の問題ですから、緊急な、そして地元要望に沿った処理を要望いたしまして、私の質問を終わります。
  42. 阪上安太郎

  43. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 全般的なお尋ねに対しましてはそれぞれ見解の表明がございましたので、私は、個々の問題で二、三伺いたいと思います。  時雨量百ミリ、総降雨量五百ミリといったような異常な大雨であったことは間違いありませんけれども、ただ天災だからといって済ませる問題でない、多分に人災ではなかったかと思われる被害が続発いたしておるわけであります。  最初に伺いたいのは、建設省都市局下水道部ですか、に伺いたいわけでありますが、浜松市に段子川という川がございます。この川はふしぎなことに、東名高速道路建設に伴いましてここに水路橋が設けられておるのでありますけれども、その流量は毎秒十四トン。ところがその下流市街地へ入ってまいりますと流量九トンしかないわけでございます。さらにその下流へ行きますと十七・六トンの排水が可能な水路になっているわけであります。言うならばヒョウタンのくびれみたいになっておりまして、上流下流とも十分な排水量があるのに、中間でくびれていて狭くなっていますから、上流から流れてきた水がこのヒョウタンのくびれへ来れば温水してあたりまえであります。先ほど調査団長の報告にもありましたように、両二年の間に三回も床上床下浸水が起きて、地域住民の不満は爆発的であります。私も地元議員として塩谷議員とともにこの日現地へ参りましたけれども、罵倒され、たいへんなけんまくでやられました。まさに政治の貧困だと、こういうのでありますけれども、なぜ、わずか五百八十八メートルの都市下水路ができないのか。地元住民の協力の態度あるいは市、県、国等の問題点などなどあると思うのですけれども、ひとつ、いままではこういう事情で仕事ができませんでした、ということについて説明をいただきたい。
  44. 久保赳

    ○久保説明員 ただいま御指摘をいただきました都市下水路の問題でございますが、この問題につきましてはすでに、その地域都市下水路整備の必要性があることから、都市計画の決定その他の所要の手続をいたしまして、事業にも着手をしておったわけでございますが、その都市下水路の計画路線の一部が道路敷に暗渠で入る、こういうことでございますので、街路事業の用地買収が済んで、そのあとで都市下水路事業を、暗渠工事を進める、こういう予定にしておったわけでございますが、街路事業の用地買収がいまのところ進みませんでしたので、したがって都市下水路事業もおくれた。そこにこのたびの非常に大きな降雨がございまして、地域の問題に大きく被害が及んだということでございますが、その後街路事業の用地買収も、地域住民の方々の御協力を得まして、今年度用地買収だけ先行取得をする、こういうめどがつきかけておりますので、下水道事業としてはそれに対応して処置をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  45. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 御案内のように、国道二百五十七号線バイパスの建設が行なわれ、その道路敷の下に暗渠をつくるということで工事が設計をされ、進められてきたけれども、残余の部分道路敷の買収が地元住民の理解も十分得られず、進まなかったところに問題がある、こういうことでありますが、ようやく地元住民の理解も得て先行取得の見通しもついた、したがって、これができさえすれば早急に施工できるというお答えで、地元住民の協力がなかったためにこうなったんだ、悪いやつは地元住民だというような印象もないわけではありません。説明のしよう、あるいは要請のやりよう等々で地元住民が文句を言う、これは今日常識的なことでありますけれども、せっかくお骨折りをいただいて、このわずか六百メートル足らずの二百五十七号線バイパス道路の用地買収の見込みも立って、県が先行取得の理解もされ、資金的な手当ても見通しがついた、したがって、これができさえすれば実施をする、こういうように解釈していいと思うのですけれども、問題は、今後必要な残事業は、額にして二億七千五百万円というように聞いておりますけれども、部長の理解と協力、お骨折りをいただいて、一億七千三百万はすでに工事費としてつけてもいいというような表明があったというように聞いておりますけれども、この五百八十八メートル、二億七千五百万のうち、一億七千三百万では、まだ全部というわけにはいかぬと思うのです。残った部分があるわけでありますけれども、五百八十八メートルのうちの一億七千三百万については、見通しを確実につけていただいたというように理解していいのかどうか、さらに、残余の分についてはどうしたら五百八十八メートル全延長について実施の可能性があるのか、その点をひとつ御説明ください。
  46. 久保赳

    ○久保説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の都市下水路事業でございますが、用地補償問題が完全にまだ解決という段階ではございませんが、用地補償問題が解決いたしましたならば、その下に都市下水路施設が入るものですから、それが解決のめどに、あわせて全線が完成して、来年度の出水期にはこのような事故が起こらぬような措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  47. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私が聞いた範囲では、移転補償等でわずか三軒だけが未解決だ、この三軒の移転補償が解決すれば、全線の見通しは明るいというように聞いておるわけでありますが、地元の市並びに県がわずか三戸の移転について十分な円満な話し合いがついた暁には五百八十八メートル全延長について国は助成の措置をとっていただけるというように確認してよろしいかどうか。
  48. 久保赳

    ○久保説明員 そのとおりでけっこうでございます。
  49. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 非常に難航いたしておりました工事でございますけれども、今度の災害を契機に、地域住民の考え方も変わり、市も県も積極的にこの問題と取り組むということを建設省としても理解をいただき、総事業量の少ない予算の中で特段の配慮をいただけるということで多といたしますが、地元もこの問題に精力的に取り組みますので、今後の御協力をぜひお願いをいたしたいと思うわけであります。  次に、先ほど農業災害について勝澤委員のお尋ね等もあったわけでありますけれども、若干不備な点があるやに思いますので、率直なお尋ねをいたします。  一つは、共済制度がございまして、いろいろな共済対象があるわけでありますけれども、たとえば、漁業災害補償法に基づくノリ、カキ、真珠、真珠母貝、ホタテガイ、ハマチ等につきましては該当をいたしておるわけでありますが、ウナギは内水面なるがゆえにと思うのですけれども、全くこの対象になっていない。アユもそうだと思うのですけれども、一体このウナギが対象にならないというのは、養鰻家が悪いのか、それとも内水面ははずしているのですというのか、どちらなんでしょう。  養鰻家というのは、ウナギをつかむようなものだということばがありますけれども、ぬるぬるして全くそれはちょっとつかみにくい対象であろうと思うのですけれども、今度の災害で浜名湖周辺のウナギは約六十五万匹逃げちゃったわけですよ。これは養鰻池の堤塘の決壊でも何でもない。オーバーフローでウナギが喜んで海へ出たわけです。これは回収する方法全くないわけなんです。しかし、ウナギに対しましては全く保険、補償の対象になってないのでありますけれども、どういうわけですかね。
  50. 山内静夫

    山内(静)説明員 お答え申し上げます。  現在の漁業災害補償制度におきまして、養殖共済の対象とされるのは、御案内のように、先生が申された各養殖業の種類でございます。現在残念ながらウナギにつきましては養殖共済の対象になっておりません。その理由といたしましては、決して内水面だからと、こういうことではございませんでして、現在の養殖共済の仕組みといたしまして、その仕組みが物損保険方式をとっているために、何匹死んだか、たとえば現在量を確認いたしまして、流失したものが何匹であるか、死亡したものが何匹であるかと、こういうものを的確に把握できなければなかなか共済の仕組みとして成り立ちがたい、こういうたてまえで、ウナギにつきましていろいろ要望を聞いておりまして、わがほうといたしまして、現在のところはたしてそういう確認の方法ができるか、養殖の仕組みとして乗り得るかと、こういう問題につきまして四十七年以来学識者に依頼いたしまして現在検討中でございます。
  51. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 ウナギのようにつかみにくい答弁だし、事実そうだろうと思うのですけれども、しからばノリやカキやハマチは確実につかめるか。なるほどノリだなを見ればわかる、カキだなを見ればわかる、ハマチの網の中を見ればわかるということだろうと思うのですね。これは養鰻業者というのは、対象にしてくれという運動は全くやってないのでしょうか。国のほうがいま言ったような理由で加えないのだと言っているのでしょうか。原因はどちらですか。要するに、いま言ったように実態がつかみにくい。何匹死んだのか、何匹逃げたのかわからぬということが理由であって、業者の怠慢でもなければ、政府の無情でもない、まさにそこだということなんでしょうか。もう一ぺんお答えください。
  52. 山内静夫

    山内(静)説明員 お答え申し上げます。  ウナギの養殖共済の対象の問題につきましては、関係業界からも過去要望がございます。それに従いまして、うちのほうは四十七年以降委託費を計上しまして、学識経験者に養鰻の共済の仕組みにつきましてどうやったらよろしいか、こういうことを三年来研究しているところでございます。どちらが悪いということでございませんが、わがほうもできるならば取り込みたい、こういう考えは持っておりますが、なかなかいまの仕組みで容易ではない、こういう学識経験者のレポートが一応出ているわけでございます。
  53. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 学識経験者のレポートもさることながら、この際、やはり養殖業者とさらに十分な連絡をとった上、結論を、加入の方向で御検討いただくように強く要望をいたします。  やはりこの共済問題で、乳用牛、肉用牛、馬、種豚、これが対象になっているけれども、いわゆる一般の豚、そして鶏が対象になっていない。これも私はふしぎに思うのでありますけれども、種豚は何頭ある、これはもう種豚ですから登録してありますし、わかっているが、豚は一体何百頭あるのか、何十頭あったのかわからぬというのか。あるいは鶏も何万羽、何十万羽ということで、これもちょっと三月か半年で肉用などは出してしまうし、どうもちょっとつかみにくいということではずれているというのか。この辺が、同じ豚であっても、種豚はいいけれども普通の豚はだめだというのも、私にはちょっとわからぬのですけれども、これはどういうことですか。
  54. 市川博昭

    ○市川説明員 お答えいたします。  先生御承知のように、豚は確かに回転が早いとか、鶏もいま全国に一億何千万羽とおりますし、非常に多頭羽飼育にもなっておる。確かにその損害評価の点に問題があることは事実でございます。  実は豚につきましては豚コレラ、鶏につきましてはニューカッスル病が大発生したことがございます。そのときにおきまして、やはり肉豚それから鶏について共済制度化してくれという要望があったわけでございます。私のほうもさっそく取り上げて検討を始めたわけでございますが、その後有効なワクチン等の開発もございまして、予防接種をやりますと一〇〇%伝染病の発生がないというようなことがございまして、共済事故の発生率が非常に少ない。たとえば自然災害の場合でございますと、私ども過去に被害率の調査をやっておりますが、〇・〇八%というような被害率でございまして、どうも共済事故の発生率が低い。もちろん共済にいたしますと農家も掛け金を負担するわけでございます。私ども二年、三年かかりまして農家の需要をやはり調査したわけでございますが、さっぱり盛り上がってこないということでございまして、現在のところ、いろいろな方法もまだあるだろうということで検討はしておりますけれども、残念ながら共済需要が非常に低いということが原因でございます。
  55. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 鶏のニューカッスル、豚のコレラ、これは対策が十分できて発生が激減をした、その理由は一つはわかるのです。しかし、天災ですね、たとえば出水によって大量の鶏が流失、死亡した、豚が全部流れてしまって死亡したというような問題は、ニューカッスルやコレラとは違った問題であります。飼育農家の熱意が足りないということで片づけてしまえばそれまででありますけれども、病疫による被害でなくて出水による被害といったようなものに対しましては、ぜひひとつもう一度御検討をいただきたいというように思うわけであります。  お尋ねが多岐にわたって恐縮です。静岡県では学校施設、社会教育施設がたいへんやられました。県立高校で十三校、市町村立幼稚園、小学校、中学校で七十八校、九十一校が床上床下浸水、そして校地、校舎への土砂の流入ということで十億の被害を受けているわけであります。これらは文部省では何にも救済、助成の措置はないわけでありますけれども、何かあるというのですか、どうしてくれるのですか、これは。
  56. 大井久弘

    ○大井説明員 学校施設の災害復旧につきましては、公立学校施設災害復旧費国庫負担法という法律がございまして、その法律に基づきましてその復旧費の三分の二の国庫補助をするというたてまえになっております。今回の災害につきましても、現地調査を早急に実施いたしまして、この法律に基づく国庫補助金を早急に交付するということについて予定をしておる次第でございます。
  57. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 調査の上、法に基づく助成をしてくださるということだそうでありますけれども、調査はもう完了したのかどうなのか、そして助成をいただくとするならば、いつごろまでに助成をいただけるのか、その時期と方法についてお尋ねをします。
  58. 大井久弘

    ○大井説明員 現地調査につきましては、現地復旧計画書の提出を待ちまして実施する予定でございますが、現在のところ、八月の上旬から下旬ぐらいにかけまして調査をいたすという予定でございます。
  59. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 時間がありませんのでもう一つだけ伺って終わりますけれども、個人災害に対する対策災害対策特別委員会委員会中心にしてようやくめどが立ったことはたいへんけっこうなことでありますが、しかし、これとても行政措置であって、法律化されてないわけであります。災害死亡者に対する弔慰金制度などは、まあ人命を五十万でというようなことで、私は額の多少は言いません、気持ちだけでもということで支給されるようになったことはたいへんけっこうでありますけれども、これも増額すべきだと思いますし、それから負傷者に対する見舞い金等についても再検討すべきだと思うし、それから家屋流失、埋没といったようなものに対しましても、死亡並びに負傷に準じた対策があってしかるべきだ。いやそれは、農家ならば火災共済へ入っているし、普通の民家ならば火災保険へ入っているし、労働者の住宅はそれぞれ共済制度の対象になっているし、そういうものでやってもらうのであって、国が見る必要ないということならば論外でありますけれども、私は、やはり天災によつて死亡され、負傷され、あるいは家屋が埋没、流失をしたというものに対しましては、もう一度検討をいただきたいというように思うのですけれども、お尋ねの一点は、行政措置でなくて法制化すべきだ、それから未適用のものにつきましても、行政指導であっても前進をすべきだ、このように思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  60. 横手正

    ○横手説明員 個人災害に対する救済制度でございますが、先生のお話の災害弔慰金の制度並びに災害援護資金の制度、これは昨年議員立法によりまして法制化を見ておるところでございます。  なお、弔慰金につきましては五十万円、また援護資金につきましては、家屋の全壊、半壊、そうした被害状況に応じまして五十万円以内で貸し付けが行なわれる、こういう仕組みになっております。これは厚生省のほうで所管いたしまして、適切な措置を講じてまいってきておるわけでございます。  ただ、そうした金額の面、これが現在適当であるかどうか、こうした面につきましては、厚生省とも連絡をとりながら私どもも検討してまいりたい、かように存じます。
  61. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私のお尋ね、ちょっと間違っておりまして、法制化されているそうでございましてけっこうでありますけれども、なお前進の方向で御検討いただきますように要望をいたします。  自治省お願いしておりますので、悪いので一つだけ聞いて終わります。  災害市町村は財政規模が小さく、かつ財源の少ないところがたくさんあります。これらは、交付税並びに特交で見ていただくわけでありますけれども、これらの査定と交付を早くやっていただきたいと思うのでありますが、これもいままで常識的に、交付税については四半期ごとに、それから特交については年度末にということでありますが、これは何とかならぬものでございましょうか。そういう制度になっていますからそれまでですといえばそれまでだけれども、お答えください。
  62. 大畑耕治

    ○大畑説明員 お答え申し上げます。  第一点で、地方交付税のうちに普通交付税がございますが、これにつきましては、すでに七月二十三日でございますが、百八十五市町村に対しまして五十三億五千五百万円を繰り上げ交付、早く出すということは処置しております。  それから特別交付税でございますが、これから起こってまいりますいろいろな事象、それから各項目がございますものですから、そういった点で、やはり従来どおり二月ごろということ、それを早めることはむずかしいかと存じます。
  63. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 普通交付税の繰り上げ支給につきましては多とするものでありますけれども、なお今後地方自治体の要望を聞いて、前向きで取り組んでいただくことを御要望申し上げ、私の質問を終わります。
  64. 阪上安太郎

    阪上委員長 午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ————◇—————    午後一時十二分開議
  65. 米田東吾

    米田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田健治君。
  66. 柴田健治

    柴田(健)委員 災害関連について同僚議員からいろいろ御質問があったわけでありますから、私は三十分という質問時間でありますから、その範囲内で簡潔にお尋ねを申し上げたい、こう思います。  まず建設省、農林省ともに緊急査定についてお尋ねしたいのですが、まず、この査定に入るまでの準備、市町村側が相当準備をするわけでありますが、いままでこの準備をする過程の中に、非常に事務的に繁雑というか、たとえば災害被害額の大きな個所、それから小規模の災害個所、たとえば三十万だとか五十万だとか、百万以内の小規模災害個所について、同じように書類をつくらなければならぬという、非常に事務的に追いまくられるという市町村の、人手も足らないし、技術要員も足らないという機構の弱体からくるそういうもろもろの矛盾も持っておるわけでありますから、やはり緊急査定を受けるということは、住民側からいうと一日も早く査定を受けて工事着工ということにしてもらいたい、しかし、それまでの手続等が非常に繁雑だ。私たちは、大規模の個所はいざ知らずも、小規模のところだけはせめて事務の簡素化を思い切ってやれないものだろうか、こういう気がいたします。  それで、百万以下の個所については事務的な簡素化を思い切ってやるんだ、こういうお考えがあるならば、建設省、農林省ともにお答えを願いたい、こう思います。
  67. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  いま先生のおっしゃいますとおりでございまして、市町村の関係の小規模の災害につきましては、早くから事務手続の簡素化をはかろうということで数年前から勉強してまいりまして、本年度から災害査定事務の合理化、簡素化をはかるために、小額の災害個所を特定災害個所として特定災害個所査定事務要領を定めました。そして総合単価の仕様と申請設計書の抜本的簡素化をはかっておるところでございます。  また、この実施にあたりましての設計変更等の認可申請手続につきましても、事務処理の合理化をはかりました。
  68. 福澤達一

    ○福澤説明員 ただいま建設省のほうからもお答えがありましたが、まずたてまえ論を申し上げますと、農地農業用関係の施設の災害復旧概要書と申しますのは、従来から災害査定の根幹になるものであるということで、適正を期さなければいけないというような、そういう気持ちで対応してきたわけでございますが、たび重なる災害によりまして、何とかしてその手続その他設計書の組み方等も簡素化していかなければいけないという努力は積み重ねまして順次改良を加えてきたわけでございます。先ほど建設省のほうからもお答えがありましたように、今回はとりあえず申請額につきまして五十万円未満のものにつきましては、従来の積算方式というものを改善を加えまして、標準設計の利用等によりまして簡素化した設計書で取り扱えるような方法を講じてまいりたいと思っております。  なお、こういう問題につきましては、被災地における事務手続あるいはその事務手続を遂行するための人員、そういう者が非常に不足する。一度にどっと起こるような場合が非常に多いものですから、それに対しましても、農林省の職員はもちろんのこと、被害の少ない県の人間も動員いたしまして査定設計書の早期に作成できるような対応体制というものを固めております。  今回の被災の例を見ましても、農地農業用施設関係だけでも八万四千三百数十カ所というような膨大な個所になっておりますので、この現実を踏まえながら私どもは、ひとつ何とかして簡素化をしながら実態に即応して早く災害復旧を行ない、民生の安定がはかられるように今後とも努力を続けていきたいと思っております。
  69. 柴田健治

    柴田(健)委員 農林省の建設部長は五十万という数字を言われたのですが、建設省は何も言わたい。建設省のほうは何も言わないのですが、ただ考えてもらいたいことは、小規模の個所であっても応急措置費が案外高くかかっておる個所もあるわけであります。それと一列に、この査定の設計金額、査定額からも大体何%だということを、いままで基準というか多少の弾力運用はあるのですが、何か額で押えられるので、市町村持ち出しというのが多い。こういうことで設計監督費、緊急査定までにおける緊急の査定の準備費と、それから応急費というものが、国で見ていただける額よりどうしてもオーバーしなければならぬ。そういう点で非常に市町村財政の圧迫ということが言えるわけですが、そういう点を最大に考慮すべきではなかろうか、こういう気がするわけであります。その点建設省からお答え願いたいと思います。
  70. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  先ほどの金額の面を最初に申し上げさせていただきます。小規模と申しましたが、県が百万以下、市町村が五十万以下でございます。  それから、ただいまの応急復旧の点あるいは災害査定に要するいろいろな費用、いろいろと地方財政を圧迫するというお話でございますが、応急工事費は国みずから見るということになっております。水防活動のほうは、これはまた別でございます。それで、そういうような災害査定に要する調査だとかにいろいろな多額の金がかかるということにつきましては、いろいろ実情を調べましてまた検討していきたいと思っております。
  71. 柴田健治

    柴田(健)委員 ここではなかなか幅のある答弁をされるのですが、しかし建設省は、長い歴史を持っておるこの災害査定官というものは法理論一本でいきますからね、局長ぐらいになると高度の政治判断をされるのですが。災害査定官というのは、それこそ重箱のすみもほじくるようにしていくわけですからね。ところが、受ける末端の市町村側というものは、まあきびしい査定官だ、こういうことでおそれをなしてしまって、言うことも言えないという弱さがあるわけですね。だから、たとえば応急処置で、こんなでたらめな応急処置はないじゃないか、こう言われたら、もう、はあそうですかといって引っ込んでしまう。あとは市町村長に泣きついて金を出してもらう、こういうことになるのですね。そういう点の幅があってほしい、こういう気がしますが、査定に当たっては十分配慮してもらいたい、これをお願いしておきたい。  それから、自治省見えておると思うのですが、たとえば災害該当市町村に対する交付税の繰り上げ支給、これはいつのときもやっておるわけですが、交付税の算定基礎、この災害に対する考え方を改めてもらいたいという気がする。  それからもう一つは、特別交付税。この特別交付税というものはまことに幅があり過ぎて何が何だかわからぬような面もあるわけですけれども、単年度だけの特別交付税で事終われりというようなことでなしに、二、三年は続けて考えてやるべきではなかろうか。特に激甚地の市町村については、特別交付税は二、三年は考えてやるべきではないか。  それから交付税の算定基礎についてお尋ねしたいのですが、たとえば人的被害の場合に死者、行くえ不明、負傷者、このそれぞれにどれだけの額を交付税の算定で見るのか。それから住宅被害、全壊、流失、半壊、その他床上浸水床下浸水、また農地、農作物の被害に対して交付税の算定基礎というものはどういうぐあいになっておるのか、自治省のほうから具体的に金額をお示し願いたいと思います。
  72. 大畑耕治

    ○大畑説明員 お答えいたします。  先ほどの第一点、交付税について単年度でなくて次年度以降もという点でございますが、この点につきましては、普通交付税のほうは、元利償還で見ておりますので次年度以降も措置しておるわけでございます。特別交付税のほうは、いまおっしゃったように単年度で現在までのところはまいっておるわけでございます。  いま具体的に数字をということでございましたが、手元にちょっと古い資料しかございませんで、この数字が多少変わってきておりますが、死者は都道府県の場合については四十七年度、一年古うございますが、二万五千円ということになっております。それから全壊家屋については二万円、半壊が一万一千円、それから浸水家屋については百八十円ということでございます。なお申し上げますが、市町村の場合も死者については二万五千円ということでございます。一年古い数字でございまして恐縮でございます。
  73. 柴田健治

    柴田(健)委員 これはあなた、古い資料でいいかげんなことを言うてくれちゃ困るのですが、まあお断わりをされて答弁されたのだから了承いたしますが、いま聞くところによると、たとえば死者二万五千円、これは古いですよ。それから家屋の全壊でもいまは三万円ぐらいになっておる。床上浸水は大体二戸四百円、床下が二百円、こういうことになっておると思うのですが、この現在の上がった額ですら、この交付税の算定は何が基準でこんな低い額で押えられるのか。たとえば行くえ不明者一名さがすために市町村がどれだけ捜査費を使うか、金を使うかということを考えたときに、災害対策基本法の施行令によってもちゃんと市町村のこの財政金融措置については国は十分考えなければならぬ任務を持っておる、そういうことからいってあまりにも低過ぎる。床上浸水になった場合には畳も何も全部全滅です。それに対して四百円、市町村の財源の基礎単価を見るというところに私は自治省というのはどういう算用をするのかという気がいたします。  国土庁長官、西村大臣が見えておるのですが、この点あなたはどう思われますか。市町村の財政援助措置ということから考えた場合に、こういう算定で、こういう数字でいいのかどうか。これは国全体として考えなければならぬ問題だと私は思うのですが……。
  74. 西村英一

    ○西村国務大臣 御指摘でございますが、そういうことに対する交付税の算定方式について私はよく存じませんが、十分私も研究してみたいと思っております。
  75. 柴田健治

    柴田(健)委員 一方では交付税の算定がいまお聞きのような低い数字で押えられておる。それで一方では特別交付税という制度がある。交付税の低い額をカバーするために特別交付税というものがある程度勘案されておるのだろう、こうわれわれは判断しておる。ところが、その特別交付税はこれまた勘であります。自治省の勘で、まあワクがこれだけあるのだからこれだけ見ておけ、こういうことになるわけです。それが、ことしは少なくても来年もう一年特別交付税をもらえるのだ、こういうことになるとまた慰めの道もある。だから私は、特別交付税は二年、三年、激甚地の該当市町村については少なくとも二カ年は続けるべきだ。要するにいまのように低い交付税の算定基礎、死者二万五千円、いま三万円になっておる、これでは気の毒ですよ。おまえ個人が流れて死んだんだ、被害を受けたんだから運が悪かったんだ、あとはおまえ、平素から生命保険に入っておるじゃないか、共済保険に入っておるじゃないか、それでカバーしなさい、それでしんぼうしなさい。これではほんとうの災害対策にはならない。この点は自治省だけ責めるわけにはいかないが、国全体として抜本的に、しかも激甚災害として指定を受けた町村、特に災害救助法を適用した町村、ここについては考え方を変えるべきだと思います。この点について、自治省もう一ぺん検討する余地があるのかないのか、しないのか、お答え願いたいと思います。
  76. 大畑耕治

    ○大畑説明員 お答え申し上げます。  先ほど具体的に数値を示して単価は幾らかということでございましたので、その点を御説明したわけでございますか、それ以外の項目といたしましては、災害復旧事業費あるいは農作物の被害だとか、こういったもの全部を勘案いたしまして算定をいたしておるわけでございます。  それから特別交付税について二年にわたって考えてはいかがかということでございますが、一般的な災害復旧事業につきましては、おおむね国庫負担あるいは補助、それから起債措置、なおそれに対します元利償還金の措置をしてございます。したがいまして、特別交付税の措置と申しますのは、税が減ったりあるいは災害の応急対策という意味でございますので、やはり単年度で見ていくのが特別交付税の趣旨からすれば妥当ではないかというふうに考えます。
  77. 柴田健治

    柴田(健)委員 まあ、あなたのほうは何とでも逃げ道があるわけですが、われわれ被害市町村からいうとそういう気持ちを持っておる。同時にまた、この交付税の算定の額の低さというものが非常に矛盾がある。厚生省見えておると思いますが、厚生省のほうは、家が一戸全壊した場合、これには助成金として四人家族−一人家族、二人家族、三人家族、四人家族と員数でこれは基礎を置いておるが、四人家族として一万六千四百円、半壊で六千三百円というように助成措置がある。これも低いのですよ。低いのですが、厚生省どうですか、これを思い切って上げる気持ちはありませんか。
  78. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 災害救助法の単価につきましては、全般的に低いという御指摘をかねてから受けているところでございます。したがいまして、ことしは昨年度に比べましてかなり大幅な見直しを私ども各項目についてやったわけでございます。しかしながら、昨年来の物価騰貴ということでなかなか追いつかないということもまた実態でございますので、私ども当面のところは、一般基準に対応するものとして特別基準というようなものを設定して、各地域地域の実情に即した救助を行なっていきたい、かように存じております。
  79. 柴田健治

    柴田(健)委員 次に厚生省に尋ねますが、災害救助法またはそういうことで緊急措置をしなければならないときに、たとえば避難命令市町村知事の命令で出す。学校へ避難させる。家屋が全部浸水した、流失したということで一部落、一集団ということで全部避難命令を強制的にやらせるわけですが、その場合のたき出し、まかない料は、ここ二、三年のうちに何回か少しずつは上げられたけれども、今日では二百九十円ですよ。二百九十円で三食まかなえというのです。どういう積算の根拠があるか示してもらいたい。たとえば二百九十円の中で材料費が幾ら、副食費が幾ら、燃料費が幾らと全部ひとつ示してもらいたいのですよ。
  80. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 二百九十円と定めておりますのは、昨年二百四十円だったものを、その後の物価上昇に応じて引き上げたというものでございまして、特に内訳というものは持っておりません。
  81. 柴田健治

    柴田(健)委員 ただつまみでこう、一番最初は九十円、いまから六、七年前は九十円だった。安いじゃないかと言ったら今度は百三十円になり百七十円になった。それから二百四十円で、今度二百九十円。物価上昇率——われわれから見ると現実にまかないをしなければならない。安いところをさがして回れというわけにいかない。昔と違っていまはつけものでも何でもみんな買わなければならない。ただでだれも寄付してくれない。いまは昔のように農家が倉の中で四斗だるで何本もたくわんづけをするような時代ではない。寄付はできない、受けられないという、そういういまの現状なんです。どうしても全部買わなければならない。買うて、たき出しを婦人会の皆さんや消防団の皆さんがやるわけです。どう勘定してもできない。できないものを、国がどういう基礎単価でこういう数字を出してきたのか。ただ、つまみだけか。これがほんとうに血の通うた、基本的に災害対策をやっている、援助措置をやっているということか。われわれとしては実際やっているのだ。一緒にわれわれは現場でやっているのですが、どう勘定してもできない。それをやれというんだから、こんなむちゃな話はない。これから災害が起きたら、厚生省全部出てきて二百九十円でやってごらんなさい。みなおまかせする。できない。せめてもう百円ふやしてくれ。百円ふやすことできませんか、もう百円。もう百円あれば、どうにかこうにか最低の……。どうですか、もう百円。バナナのたたき売りみたいなことを言いますが、どうですか。
  82. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 災害救助法によるたき出しの基準は、それだけできめているわけではございませんで、他の生活保護の基準あるいは社会福祉施設の食費などと関連を持ってきまってくるわけでございます。したがいまして、他の制度に比べて著しく上げるということは、制度間のバランスにおいて問題があるのではないだろうかと思っております。  ただ私、先生が御指摘になった点というものはほんとうだろうと思います。と申しますか、それで一体できるのかということについての点検をやってみなければやはりいけないんじゃないかということで、実は現在都道府県に対して指示をいたしまして、実際どういうふうにやってどこがどういうふうになっているんだということをもう一ぺん洗い直してみる作業をいたしたい、かように考えております。その上で適切な措置をとりたい、かように存じております。
  83. 柴田健治

    柴田(健)委員 それに、あわせて十分考えてもらいたいことは、防除作業、防疫対策、この防疫で、薬は都道府県が、どこへ持ってこいというて要求すれば、むちゃ使うなよ、こういうことで県のほうは回してくれますが、しかし今度は人夫賃を非常に低く押えてくる。国のほうがどうも十分見てくれないんだからそうそう高い賃金は払えないという。この人夫賃、労務賃金の低さというものをもう少し考えてやらなければいかぬ。これは意見として、総合的にいまのまかない賃はほかの生活保護費だとかいろいろなものがあるからと言うが、それはぼくはものの考え方が違うと思う。災害の場合は緊急を要するのですよ。老人ホームとは違うんですよ。こういう点をもう少し厚生省内部、各省にわたっての内部検討をしていただいて、早急に改善してもらいたい。これは大臣にひとつ、国土庁初めてできて、ひとつあなたの手でこういう問題を解決するんだということをお答え願いたい。
  84. 西村英一

    ○西村国務大臣 前向きに検討してまいりたいと考えます。
  85. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間が参りますから、これは地元のことで具体的に建設省河川局長にお願いをしたいんですが、岡山県の東備のこの災害地域、特に金剛川、伊里川大谷川という川がある。この金剛川は吉井川に流れ出しておるのですが、これは一市二町にまたがっておる。和気町、吉永町、奥が備前市、こういうことになっておるのですが、いま当然この河川は危険河川として、国の水防法に基づいて都道府県が水防計画の中で警戒区域を指定して、平素から十分警戒をしてきた河川です。それだから、もう長年にわたっての危険河川であります。それをちびりちびりと予算をつけて、いまのような予算のつけ方をすると三十年も四十年もかかるだろう、こういう実態の中で今度の集中豪雨を受けた。あっという間に河川はんらん住宅地域が浸水流失という被害を受けた。伊里川大谷川もそうですが、特にこの金剛川だけは、これは建設省の重大な責任だと私は思う。いままで当然直さなければならぬのを少しずつ予算をつけて一それで災害が起きた。地元住民からいえば、もっと国なり県が早く直してくれておけばこういうことにはならなかったんだ、こういうことが言われているわけですね。これは災害を受けたのだからしかたがない、いまから言うてみてもしょうがないのだが、今後の取り扱いとして災害助成、災害関連——ところが、方法はありますが、採択基準の中に税収だのいろいろなことでまたむずかしい基準がある。それだからこの際思い切って、この基準に当てはまるところがあろうとなかろうと、こういう長い、危険河川としてわれわれ水防計画の中から警戒河川として取り組んできた立場から言うと、多少の無理があっても災害関連事業として早急に取り上げてやるべきではないか、こういう気がいたします。この点について、金剛川に対する考え方を聞かせていただきたい、こう思います。
  86. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  金剛川の今回の災害につきましては、先生のおっしゃるとおりでございます。私どもは、御承知のように、和気を中心とする直轄河川事業を鋭意やっております。相当集中投資をして現在やっておりますが、これから上流に向かって中小河川改修工事をやっておるわけでございますが、今回は、先生おっしゃいますように、未改修区間のはんらんが起こったわけでございます。もちろんこれは、非常に大きな雨が降りまして、時間雨量百ミリという大きな雨が降ったわけでございます。そういうことで、私どもは今後、和気周辺は直轄関係もあと三年ぐらいで概成してしまいたいという感じでおりますし、この中小河川、いわゆる金剛川につきましても、どんどんと上流に向かって改修を早く進めていくということを考えておりまして、やはり今回の集中豪雨にかんがみまして、こういう中小河川に重点を当てようということで鋭意がんばっていく所存でございます。
  87. 柴田健治

    柴田(健)委員 それなら災害関連として採択される考えがあるのですな。
  88. 増岡康治

    ○増岡説明員 一つ忘れまして申しわけありませんが、災害関連というお話でございましたが、この金剛川は中小河川でございますので、中小河川そのものの改修計画を進めさせていただきます。
  89. 柴田健治

    柴田(健)委員 次に、農林省に一言だけ聞きたいのですが、もう時間も参りましたが、金融措置について、先ほど今村審議官が御答弁されておったから詳しく申し上げませんが、ワクについては無制限にあるということなのか、それからいままで借金をしておる額についての償還年限の大幅延期というか、そういうものの具体的なことについて説明を願いたい、こう思います。
  90. 今村宣夫

    ○今村説明員 まず農林漁業金融公庫資金の災害ワクにつきましては、これは融資について決して支障のない状況にございます。同時に、すでに貸し付けてございますそういう農林漁業金融公庫等の資金の償還期限の延長等につきましては、農林漁業金融公庫において、その実態に即して償還期限の延長等をはかるように指導をいたしておるところでございます。  なおまた自作農資金につきましては、自作農資金をすでに借り受けておる農家、現在限度額は百万円でございますけれども、借り受けておる農家がおりまして、さらにこのたびの災害によって自作農資金を借りる場合に、ワクが頭打ちになるというふうな事態が起こりました場合には、天災融資法の発動と相まちまして、そういう資金限度額を引き上げるという措置によって遺憾のないように対応してまいりたいと思っておる次第でございます。
  91. 柴田健治

    柴田(健)委員 終わります。
  92. 米田東吾

  93. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は最初に、本委員会委員並びに政府関係者が横須賀地域現地調査にお見えになりまして、横須賀市当局やあるいは罹災者の皆さんに直接会って、それらの人たちの要求を受けとめていただいたことに、この機会をかりてお礼を申し上げたいと思うのであります。  その際市民からも切実に要望されたこと、特に被災を受けてからまだなまなましい現場で、被害を受けた人たちの気持ちを受けとめながら皆さんが現地調査に参加されたことは、市民もたいへん関心を持っておりますし、それだけにその対策のすみやかなる実現、現地で要請されたさまざまな事柄に対する誠意ある回答を求めていることも申し添えておきたいと思うのであります。先ほど金丸委員からも御報告がありましたような諸点について、ぜひとも政府関係者が、そしてまたこの委員会が具体的な対策を示されるように心から要請をいたしたいと思います。  基本的な問題についてはすでに先輩の皆さんからも御指摘をいただきましたし、私はどっちかというとしろうとでありますから、こまかいことについて、つまり横須賀現場の問題について御質問を申し上げて、その対応を求めたいと思うのであります。  当日調査をいただきましたように、一瞬のうちに十三名のとうとい人命を失いまして、二十数名にわたる重軽傷や、とりわけ千二百カ所にのぼるところのがけくずれが起こったのであります。この影響というものは、もう御調査をいただきましたから、私からるる説明をする必要はないと思うのですが、激甚災害指定というのは、横須賀のケースで、見通しとして、まだデータがそろっていないかもし航ませんけれども、どのような見通しを持っているのか、御答弁をいただけますならば、まず第一点にその点を伺っておきたいと思います。
  94. 横手正

    ○横手説明員 激甚の関係でございますが、中小企業関係につきましては、全国的に被害も非常に大きいものですから、この関係はおそらく指定は間違いないんじゃないかというふうに見ております。そのほかに全国的に見ますと、先ほども御説明申し上げましたが、農地等の関係は一応全国的な激甚に指定される見込みがございます。いずれもおそくとも九月までには指定の手続を進めたい、こういうふうに考えております。
  95. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 具体的なケースで伺っております。
  96. 横手正

    ○横手説明員 横須賀市の場合、中小企業関係の被害は非常に多いわけでございまして、これは全国激甚がかかりますとおそらく適応の見込みがあろう、こういうふうに見ております。
  97. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 横須賀のがけくずれの特徴をちょっと申し上げておきたいと思うのですが、自然がけ崩壊が非常に多いということが特徴でございます。千二百カ所のうちほとんどが実は自然がけなんであります。この自然がけ崩壊というのは、神奈川県の場合は、皆さん御存じのとおりに、岩盤の上に積み重なりました関東ローム層という表土がありまして、普通ならばこれがくずれてくるわけはないのですけれども、短時間の集中豪雨によって表土と岩盤の間に水が通って、つまり水道になってしまって、そして表土がくずれて災害が起こった、このケースが圧倒的に多いのであります。これは横浜国大の先生などの見解によっても、安定していた自然に対して何らかの人工的な力が加えられた結果がけのバランスというものがくずれたものだ。だから集中豪雨というのはその引き金だというふうに言っているわけですが、まさに私はその意味では人災だというふうに端的に申し上げたいわけであります。  その立場に立って第一に伺いたいことは急傾斜地法の問題であります。  これは四十三年に成立したことを承っておりますが、高さ五メートル、そしてがけの傾斜が三十度、がけ下に民家が五戸以上、こういうふうに実はなっているそうでありますが、四十三年以来神奈川県が指定したこの傾斜地地域というのは二百七十二カ所なんです。そのうち工事が終わったのが百四十三カ所でありまして、非常に少ないわけであります。ところが、この法律ができる前に県の企画部が調査をしたところによると、がけの高さが五メートルで、そしてその傾斜は三十度で、崩壊すれば人家に影響があるという自然がけというのは県下に千二百三十四あるわけでありまして、つまり五戸以上の民家がある場合というこの五戸だけを除いてしまいますと、実に指定した四倍から五倍の個所が実はあるわけでありまして、そういう意味ではやはり五戸以上というふうに機械的に基準を引いてしまっていいものだろうかどうだろうか、これが一点。  二点目は、がけの高さを五メートル以上というふうにしたことの意味も、たとえば、では五メートル以下ならば被害はないのかというと、実はこれもずいぶん起こっているわけでありまして、そういった意味では五メートル以下でも危険な個所がたくさんあるといわなければなりません。そうした意味で、指定基準の見直しをこの際なさる必要があるのではないだろうか、つまり現実の災害に対応して指定基準の見直しというものが行なわれなければいけないのではないだろうか、こんなふうに思いますが、その点について、これはどなたになりますか、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
  98. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  がけくずれの急傾斜の指定のお話がございまして、高さ五メートル、五戸というようなことで、それ以外にもまだいろいろ災害が発生するなにがあるじゃないかという御指摘でございますが、私どもこういう一つ指定基準をもちまして、また御承知のように、工事の採択にあたりましてはまた別の基準を持っておりますが、そういうようにして、すでに全国六万何カ所総点検の結果出たわけであります。それをいま逐次重点的に施工していこうという段階でございますが、指定の問題は現在いま先生おっしゃるところに限ってものを考えておるわけでございます。
  99. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 考えておることはわかるのですが、それで合理的だとはおそらく思っていらっしゃらないと思うので、その見直しをなさるおつもりというのは当局としてあるのかどうか、これを承っておきたいと思うのであります。
  100. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えします。  いま申し上げましたように、今後の災害の実態というものを踏んまえまして、いままでどういうところがどういうことになっておるかということの実態調査の問題は、絶えず調査していって、いますぐとは申し上げられませんが、そういう実態だけはしっかりつかんでおこうということを考えておるわけでございます。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 実態はもうつかんでいらっしゃると思うのです。今度の災害状況を見ただけでなくて、もっとさかのぼってそれを検討いただければ……。一つのめどとして必要なことの意味はわかります。しかも法律ができて五年間の経過しかありませんから、その意味で法律的な安定性というような問題も十分ではないと思いますが、しかし、もうここまできたわけですから、五戸の問題、高さの問題もさることながらとりわけ五戸の問題、これらはすみやかに再検討なさるべきだというふうに思いますが、もう一ぺん、しつこいようですが、承っておきたいと思います。
  102. 西村英一

    ○西村国務大臣 がけくずれ、山くずれの問題ですが、実は今回の死傷者が百三十六人でございますが、そのうちがけくずれ、山くずれが百十七人でございます。したがってこの問題は、いまのいろいろ基準はございますけれども、実はがけくずれ、山くずれのことでございますが、国家が施設をするといえばある一定の標準をつくらなければならぬ。しかしいまあなたがおっしゃいましたように、そういう標準以外のところも、一軒の家があってもやはり死ぬるじゃないかというようなこと、また三十度でなくても災害が起こるじゃないかというようなことはございます。しかし、出発の当時から申しますと、やはり多くの人が一時に死ぬるところをまず先にやらなければならぬということで、家屋の密集の程度は、いまではようやく五戸までこぎつけましたが、前は、予算の関係もありますので、大蔵省とは三十戸以上ということからスタートして、それが二十五戸になり二十戸になり、ようやく五戸までこぎつけたようなわけでございます。それはなぜかというと、やはり施設をしなければならぬという義務が国家にあるからでございますが、この点もやはり今後の問題としていろいろ検討しなければならぬのじゃないか。緩和をすること、これはもちろん金の要る問題でございますが、そのほかに、山くずれ、がけくずれ等について、まず人命を守る方法を他にも講ずる方法があるのではないか、こういうことも含めまして検討してまいりたいということを私は特に申し上げておきますが、指定のほうは、これは建設省がやっておりますので、私は、いままでの経過を見まして、ちょっと自分の気づいたところを申し上げる次第でございます。
  103. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えします。  先ほどから五戸だとか五メートルに私どもこだわっておりますのは、五戸でも公共事業の手当てをするかどうかという一つのほうからの数字が出たわけでございます。五メートルということになると、五メートル以下は比較的災害が少ないというような過去の経過がある。そういうような両面からの問題、公共事業として扱うという立場が中心になってきたわけでございます。いま大臣からもおっしゃいましたように、この問題はさらに今後の発展とともにやはりいろんな問題がふくそうしてまいります。こういうようながけくずれだけの対策以外の立場もございますので、総合的な施策の中において検討さしていただきたいと思います。
  104. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 実態に即して五年間の歴史を振り返ってみて、やはり見直すべきは見直して、そしてやはり五戸という機械的な数字にこだわらないで、実態に応じて検討をいただきたい。よろしゅうございますね。そういうふうに、大臣、いいですね。——ありがとうございました。  それで引き続いて質問をいたしますが、また横須賀のケースなんですが、御存じのとおりに、危険地域に未指定のところが圧倒的に多いのです。しかし、にもかかわらず、くずれた個所というのは早目に復旧しなければなりません。しかも心配なことは、二次災害のおそれというようなものもあるわけであります。そういう意味で指定を急いでいただくこと、そして同時に工事を急ぐということの意味を含めて、指定地域の拡大ということを横須賀の時点で——横須賀に限らずこれは佐世保なんかでもあるいはあるのかもしれませんけれども、特に横須賀について申し上げますと、その点についてぜひ御配慮をいただきたいと思うのですが、横須賀のケースですでに陳情も行っていますし、もう皆さんもお調べいただいておりますので、そのケースについてお答えをいただきたいと思います。
  105. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  危険地域の総点検が行なわれてきたわけでございますが、危険区域指定されなかった個所等もあるというようなお話、いろいろいまお話ございましたが、これに対して私どもは現在まで、いろいろと急傾斜地崩壊対策につきましては、指定地に編入いたしまして、緊急な個所から計画的に順次施行してまいったわけでございます。しかしながら今回の災害によりまして、未指定地域におきまして崩壊が起こっておるということがございまして、特に激甚な被害個所につきましてはこの緊急の急傾斜地対策事業によって直ちに処置いたします。
  106. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 たいへん前向きな御答弁をいただいているわけですが、工事費の負担の問題、これはいつも問題になっている例の受益者分担の問題ですが、実際問題として、家がなくなってしまったり、もう正直なところ、生活のめどが立たないという状態のところがたくさんあるわけです。現実に私の友人にもあるわけですが、まあそれは個人的な関係としても、そういう市民の生活の状態ということを考えてみて、災害のケースの場合に、この受益者負担というものをやめることについてお考えいただきたいというふうに私は思うのですが、これはすでに罹災地からもいろいろな角度でもう全国的に陳情がおそらく寄せられていると思うのですが、その点について承っておきたいと思うのです。
  107. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  従来のことは先生もよく御存じだと思うのでございますが、さきの伊豆半島沖の地震による災害がございました。このときは、当地区におきまして、緊急の急傾斜地崩壊対策事業の受益者負担金が、公共関連を五%、その他の場合を一〇%に軽減さしていただいたわけでございますが、今回の災害に対しましても、災害の実情を十分調査いたしまして、受益者負担金の軽減について検討してまいりたいと思っております。
  108. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その結論をできるだけ急いでいただいて、そして、やはり生活上の問題それから、住むところもまだ落ちつかない状態のもとで、復旧に立ち上がっている人たちにできるだけ早い処置を求めたいと思います。  大蔵省お見えですか。——これは私、この前も森田さんのところに陳情に伺ったんでございますけれども、横須賀には、実は旧海軍財産がたくさんあって、それがそのまま国有地で、大蔵省の管財が管理をしているところがあるわけでございます。それががけだけというケースも実はあるわけでございますが、それはまあ別として、国有地が加害者になっている。つまり、そこのがけがくずれて、普通の民地に被害を及ぼしているというケースが横須賀だけで七十五あるわけですね。これは実は一番対策がおくれているわけです。しょうがないから市がとりあえず土砂を片づけるとか、あるいは二次災害の起きないような手当てをするというようなことについて手を加えなければなりません。とりわけ、生活道路のところへ土砂が落っこってきちゃって、片づけないものだからその人たちが出入りができないというような地域も、数は多くありませんけれどもあるわけです。これについては、加害者なんですから、率直に申し上げて、これは国家賠償法のケースなんか考えたって負担をすべきだと思うのですが、責任を持って処理をいただけるかどうか。この点を質問しておきたいと思うのであります。
  109. 安倍基雄

    ○安倍説明員 いま、実は私も着任早々なんでございますけれども、いろいろ事情を部下から聞いておりますと、関東財務局におきましてさっそく調査をいたした、それで、その結果一応調査は完了というか、いまその結果を検討中というところでございます。それで、さしずめ二次災害が起こりそうだというところは早く手を打たなくちゃいかぬということで、現在検討しておるところでございます。  ただ、いまいろいろ議論がございましたように、いろいろ傾斜地の経費とか、どういう場合にどのくらいどう負担するとか、そういう問題もございまして、一応、二次災害の起こりそうな部分は早く手を打つけれども、その次に、第二の段階として、結局、いわば緊急急傾斜地崩壊対策事業というのに乗るものはそれでやる。そういったことで、現在主計局などとも折衝中でございます。これが全部国の負担という——まあ国が加害者というような話もございますけれども、がけだけ持っているとか、上も下も持っておるとか、いろいろなケースがございまして、一がいにはちょっと言えない。それはもちろんできるだけ国が負担したほうがいいには違いないのでございますけれども、やはりケース・バイ・ケースがあるので、それはやはり十分調査した上ということで、まあ調査した上というと、いかにも国がスローモーションだということを言われるかもしれませんけれども、できるだけわれわれとしては早い機会にいたしたいと思っております。
  110. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 実は、きょう質問をするということがゆうべきまったものですから、前もってあなたにはよくお話をするチャンスがなかったのですが、全部調べたデータありますね。関東財務局には、おそらく私が申し上げてかなり詳細に調べていただいているのですが、そのデータは発表できませんか。何カ所で、どのくらいの見当になるか。
  111. 安倍基雄

    ○安倍説明員 一応七十五カ所という話は聞いておりますけれども、詳しいデータは現在取り寄せて検討中というところらしいので、私は突然飛び出してきたものですからあれですけれども、また、何でしたら役所のほうにでも、あるいはこちらからお伺いさせていただいて、見ていただくということでよろしゅうございましょうか。
  112. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 被害を及ぼしているわけですね。これは民間の場合でも、がけがくずれて他人の家に迷惑をかければ、一般的な場合、損害賠償という問題が出てきますね。つまりそのことは、国有地が原因者なんですから、加害者なんですから、これはやはり損害賠償を含めて考慮するという検討をなさっていらっしゃるかどうか。また、もしなさっていらっしゃるかどうかわからないとすれば、そういうおつもりで主計局との折衝をなさっていらっしゃるかどうか。そして、それがもしまだわからないというならば、国有財産を管理しているお立場ではどういう姿勢で省内で意見の一致を求めようとしているか、その姿勢を承っておきたいと思うのです。
  113. 安倍基雄

    ○安倍説明員 実は私自身、まあこれは別に、赴任したばかりということを言うのは非常に申しわけないのでございますけれども、いま鋭意勉強——というのは、七月二十六日に赴任いたしまして、まだ一週間……
  114. 米田東吾

    米田委員長代理 それなら、かわりの人を出してくださいよ。そんな答弁ないよ。冗談じゃないよ。
  115. 安倍基雄

    ○安倍説明員 失礼いたしました。  何といいますか、もちろんいまおっしゃったようなこと、国が加害者であるという意見も十分あるとは思いますけれども、まあ、私ども加害者という面もございますけれども、がけだけ持っておるというのもちょっと異常なケースといいますか、これはどういったことでそういったがけだけという話になったのか、いろいろな経緯もあるようでありますけれども、私どもとして、もちろんその被害を受けられた方に対してできるだけのことはしたい、それは国としては当然だと思いますけれども、この点、至急内部で検討いたしまして、できるだけ御期待に沿うようにと思っております。
  116. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大臣、ちょっと伺いたいのですが、いま着任早々だということですから私もあまり強く言うつもりはないのですけれども、被害を受けた立場の人は、被害を受けてからかなり経過しているわけで、しかも国有財産の国有地がくずれて普通の民間の人の家を埋没させたり、損壊させたり、道路が事実上通れなくなってしまったり、そして生活道路が行ったり来たりできなくなってしまったというケースがあるわけです。ひどさは、ひどいところとそうでないところとあるのですけれども。それがいま調査によっても七十五カ所に及んでいるわけであります。これは、御存じだと思いますけれども、横須賀の特異なケースなんです。かつての旧海軍のいわば財産がたくさんありまして、だからこれは横須賀だけだといってもあるいはいいのかもしれません。全国にそんなケースがたくさんあると思いません。しかし、少なくとも国有地が加害者になっているわけです。そして一般の人たちに迷惑を及ぼしているわけであります。  私が要求したいのは、早く土砂を整理しなさい。しようがないから、いま市がやっているのです。あるいは第二次災害のおそれのないような手当てだけはしなさい。これは国が責任を持ってやるべきだ。市がそれをいまやっているけれども、その費用は国が持つことが当然ではないか、これが一点です。  二番目は、迷惑を与えたとすれば、つまり加害者とすれば、国が、これは国家賠償法を待つまでもなく、当然被害者に対して、金額はともかくとしても、応分の賠償というものをやるべきだと私は思うのです。  この辺について、これは新任の課長さんでたいへんあれですから、大臣に、所管が違うなどとおっしゃらないで、あたりまえの、つまり常識なんですから、常識の実現について長官としても閣内で努力をするということを、田中内閣の実力者に私はこの際要請をし、具体的な御答弁をいただきたいと思うのであります。
  117. 西村英一

    ○西村国務大臣 まあ、あらゆる場合に、一般の場合、土砂がくずれた、それによって被害を受けた、それでその土砂が民有地であるか国有地であるかということによって、それはまあ平たく言えば加害者というでしょう、それは国有地でも民有地でも。しかし、天然災害の場合において、それでは民有地であれば、土砂の落ちた民有地の人に災害の全部の負担をさせるかということは、これはできないと思います。したがって、そういう理屈から言えば、その被害を及ぼした個所が民有地であろうと国有地であろうと、それはやはり天然災害でございますので、そこに起こった被害については、普通の方法でやはり被害救済をやればいいと私は思うのです。しかし、その場合に、特にその土地が国有地であったから、それに対して災害の救助をするために、復旧をするために地方公共団体に負担がかかる、それは民有と違うから国家がひとつ金を出してやったらいいんじゃないか、このことだけは私はわかるわけでございます。したがいまして、実際の場合はどうなっておるか知りませんが、先生の言う精神は私は十分了解できますから、ひとつ大蔵省等とも相談をいたしまして善処したい、かように考えておる次第でございます。
  118. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 損害賠償ということになると、ケース・バイ・ケースがあることを私も承知しています。しかし、前者ですね、私の前段の質問、これはやはり早急にそうしたい、ついては、市のほうも御協力をいただいたけれども、それに感謝しながら、ひとつめんどうを見るからということをすみやかにやはり連絡をしてほしい。これはもうそうしてもらわないと、一生懸命でやったはいいけれども、その帳じりをどこへ持っていったらいいのか、また市民の税金で始末をしなければならぬのじゃないかというような議論が出てくるわけですから、その辺ははっきりさしておいていただきたい。  大蔵省、帰ってしまったのですか。−安倍さん、いまの大臣の答弁を含めて、ひとつあなた、もう一ぺんおさらいのつもりでしっかりしゃべっておいてくれませんか。
  119. 安倍基雄

    ○安倍説明員 いま長官からお話もございました。確かにこの問題は天然災害であるというので、それが結局所有者が国であるか民間であるかでどう違うかという基本的な問題もあると思います。確かにがけ地が国の場合に、それによって被害を受けられた方というのは非常にお気の毒であると思います。この点に関しまして、いま長官からもお話がありました趣旨を考えまして、私ども、内部でいろいろ検討してみたいと思っております。
  120. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 安倍さん、おそらく担当じゃないからそういうことになったと思って、私もそれは了としますけれども、大蔵省はさいふを握っているだけじゃなくて、現実に国有財産を管理していらっしゃるわけですから、やはりできた事件についてすみやかに対応していくという役割りを、私はこの際お願いをしておきたいと思うのであります。  それに関連をして、実は大蔵省のほうにも陳情が行っていると思うのですが、横須賀の田浦、船越地区というところに大きな宅地造成が予定されているわけです。そこには約二万七千平米の国有地がやはり点在しています。これは国有地を払い下げないと、大和土地というのですけれども、この大和土地というところの宅地造成は困難であります。私どもは国有地をいつまでも都市の公共の緑地帯として残してほしいということを陳情してまいりました。市民もそのことを求めています。県もその意思表示をしようとしています。そういう意味では、個々のケースでたいへん申しわけないのですけれども、今度がけくずれが起こったり、あるいはいろいろな災害が起こったその原因が、乱開発とまでは言わないまでも、いま一番最初に申し上げましたとおり、関東ローム層という弱い地盤のもとでその表土がくずれてきたというケース、それから緑を破壊をしてきたというケース、自然破壊が行なわれたというケース、そういう宅地開発のいわば原因が現実にあるわけでありますので、国有財産を安易に払い下げてほしくない、そして少なくてももしそういうものがあるならば、この際、この災害を機会にして公共緑地帯としてその地域の国有財産は残すべきだというふうに私たちは主張しているわけでありますが、その点は、国有財産管理をなさっていらっしゃる安倍さんの立場で、私どものその気持ち、特に今度の災害の結果として、その原因がどうであったかということを振り返ってみたときに、そのことが切実な問題であることを市民がみんなで理解をしていると思いますから、それについて慎重に対処をしてほしいというふうに要望をしたいわけですが、これはおそらくもうお耳に届いていると思いますから、それについてお答えをいただきたいと思うのです。
  121. 安倍基雄

    ○安倍説明員 お答えいたします。  まあ具体的ケースもさることながら、いまお話がありましたように、われわれとしては、国有地はできるだけ公共用、公園とか緑地とかそういうぐあいに活用すべきであるという基本的な考え方を持っておりまして、いまおっしゃったような趣旨に沿って、われわれとしてはすでに行動していると考えてもいいと思います。
  122. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 理財局長通達が、各地方の財政局長に向けて、国有地の払い下げについて通達が、三月の二十幾日でしたか、出ていますね。あれは、要するに小さい規模であってもそれが一つのエリアをなす場合は国有財産審議会にかけなければならぬという意味のような通達だと承っているのですが、それは御存じですか。
  123. 安倍基雄

    ○安倍説明員 私、いま現在勉強中でございますけれども、中央審議会の考え方によりまして、できるだけ——国有地というものは、いわばいままでは非常に産業優先でございまして、産業用というのにどんどんと払い下げておった。しかし、これだけいろいろ産業も発展する反面、公害なども出てきておる。いまおっしゃったように、宅地造成なども一つの公害といえば公害という問題でございます。そういうことでございまして、できるだけそういったことは、産業優先というようなことは避けていこう、むしろ公共用とか公用とか、いまの緑地とか公園とかそういうほうに重点を置くべきではないかということにいたしまして、また民間への払い下げを、一般的にはたとえば隣地、接近しておる場所で非常に小さなものというものについては、これは簡単に契約できるけれども、それ以外のものはあまり積極的に払い下げはせぬというような、むしろ公共用、公用に使うという趣旨の通達でございます。
  124. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ありがとうございました。たいへん申しわけないけれども、もう一問だけいいですか。
  125. 米田東吾

    米田委員長代理 早いところやってください。
  126. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ちょっと時間がなくなってしまって申しわけありません。自治省にお願いをいたしたいと思います。  これも横須賀のケースでたいへん恐縮ですが、御存じだと思いますが、民間の土砂の片づけに対して五十万円を限度として実は市が貸し出しました。あるいは床上浸水についても二十万を限度として被害者に貸し付けざるを得ませんでした。というのは、御存じだと思いますけれども、横須賀というところは山の中に住んでいるわけでありまして、早く手だてをしないことには、生活それ自体が成り立っていかないものですからそういう手だてをしたわけですが、そうしますと、みんな持ち出しになるわけであります、大体十一億まではいかないと思いますが。これは市当局からも強く県を含めて要請をしておりますが、起債の特別ワクをひとつぜひ認めていただきたい、このことについて御配慮をいただきたいということが一点であります。  それから、これは言うまでもない、どこのケースでもありますし、先ほどから質問があったわけで、重ねてになりますけれども、災害応急対策災害復旧事業にかかわる財政資金がかなり困難をきわめております。とりわけ地方財政が財源的に非常に困難な条件のもとに置かれておりますので、特交の配分についても特段の御考慮をいただきたい、こういうことを申し上げているわけですが、自治省にこの際、その私どもの要請、市民の気持ちをどのように受けとめていただけるかどうか承っておきたいと思います。
  127. 大畑耕治

    ○大畑説明員 お答えいたします。  第一点の起債の件でございますが、現在までにこのような起債を許可した前例がございませんものですから、なかなかむずかしいとは思うのでございます。ただ、私どもまだ状況をつぶさには知っておりませんし、具体的な申請を待ちまして、県の意向も十分聞きまして検討いたしたいと考えております。  また、第二点の特別交付税につきましては、先ほど御説明したわけでございますが、四十九年度の配分の際に考慮させていただきたい、かように考えております。
  128. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間がなくなってしまいましたので、どうもありがとうございました、質問を終わります。
  129. 米田東吾

    米田委員長代理 栗田翠君。
  130. 栗田翠

    栗田委員 先ほど国土庁長官が、国土が守られていないから災害が起こるということをおっしゃっていましたが、私も今度の八号台風災害を見ましてまさにそのとおりだということを感じております。私自身静岡市にあの日におりまして、午前零時ごろ腰までつかる水の中を家へやっと帰りました。その翌日から調査に入りまして、委員会調査にも参加させていただきましたし、またその前後県下百カ所近くにわたって視察調査をしまして、被害の深刻さというのをあらためて感じております。  今度の静岡県の被害の特徴を見ますと、まず第一が中小河川はんらん堤防決壊による被害、もう一つが山くずれ、がけくずれ、鉄砲水などによる被害が大体その特徴だと思います。これは静岡県だけでなくて全国的に共通している問題ではなかろうかというふうに思うわけでございます。いま、県都であります静岡市、清水市だけを見ますと、静岡市の世帯の六分の一以上が浸水して、隣接している清水市の三分の一以上の世帯がやはり浸水被害を受けるという大被害でございました。  この静岡清水被害を起こしました一つの原因になっていますこの両市にまたがっている巴川はんらん決壊状況をいろいろ検討してみました。  この田川の流域には麻機団地、上土団地、千代田団地、東部団地、南沼上団地など県、市営の大団地が麻機沼を埋めてつくられております。そしてさらに最近は、県立養護学校、流通センターが埋め立てられまして、この埋め立てている土だけで百六十万立米という、こういう分量になっていますけれども、こういうものが一つはいままでの遊水地であった沼の保水能力を落としているのだろう、これは間違いないことです。そのために巴川が大はんらんを起こしたというのが今度の静岡市、清水にわたる被害一つの大きな原因でございました。沼津市でも浮島沼を埋めまして宅地造成がされていました。これが沼川、新中川、高橋川などのはんらんを起こしております。  さて、こういうようなケースを見ていって言えることですけれども、まず宅地開発など、状況の変化に応じまして、本来だったらば都市下水道だとか河川改修などの対策がとられるべきであったと思います。これが非常におくれていたということが今度の洪水の原因をつくっておりますけれども、二度とこのような被害をなくしていくために、国として今度の被害にかんがみてどのような施策をおとりになるおつもりでしょうか。
  131. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問は、巴川等を例におとりになりまして、いわゆる中小河川改修計画がどうなっているのか、特に最近におきます宅地造成その他の背景を考えてどう思うか、そういうような御質問だと解釈しておりますが、建設省といたしましては、中小河川につきましての被害が最近非常に多くなりまして、この理由はいろいろ多々あると思いますけれども、このような実情にかんがみまして、さらに河川事業全体のウエートの中から中小河川事業、特にそれと都市小河川といいますか、この二つに重点を合わしておりまして、現在におきましてもすでに中小河川のウエートというものはすべての河川事業の半分以上をこえました。そういうように中心的にこの問題を取り扱っておるわけでございます。しかしながら、中小河川の抜本的なものをやっていこうと思いますと、都市というものがありまして、上流のほうの改修をするよりずっとむずかしゅうございます。いろいろな困難がございます。御承知のように、大きな用地買収を伴いまして、地域住民と手を合わせなければいけないいろいろ多くの問題がございますし、また上流下流の利害が相反するというような問題もございます。いろいろ困難がございますけれども、一つ一つ一生懸命に実はやっておるわけでございます。  巴川につきましては、先生御承知のように、抜本的な計画があるわけでございますが、その途中におきまして災害を受けたことは非常に残念でございますが、幸いにして用地買収その他、あるいはまた県、市のいろいろな御協力をいただいた先行買収というものが実りまして、これからいよいよこういうものでみんな力を合わしていくようなことになったわけでございます。そういう意味で、省といたしましても、いま申し上げましたように、特に中小河川、都市小河川に重点を今後合わしていくつもりでございます。
  132. 栗田翠

    栗田委員 この静岡県下の中小河川の中で、巴川は一番大きな改修予算がついでおります。四十九年度で三億三千万円だと思います。ところが、巴川全部改修するのに必要だという県の見積もりは百四十億円になっております。このいまの調子で改修予算がついていきますと、全部改修するのに五十年かかるわけです。これではとても間に合いません。このような事態を今後どう変えていらっしゃるおつもりでしょうか。
  133. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  巴川改修計画をいまのような予算でいけばいつまでたっても終わらぬじゃないかというようなことでございます。いま申し上げましたように、重点の川でございます。ここは大きな目玉が二つございます。上流の麻機地区の遊水地がございます。これは四十九年度より都市河川治水緑地事業によって用地買収に着工いたしましたし、先ほど申し上げました放水路につきましても、用地買収で四十八年、四十九年度と県並びに静岡の用地先行資金約二十四億円が投入されました。しかしながら、この問題も二十数億円の用地費がまだ残っております。そういうようなことで、いろいろ困難性がございますけれども、今後の進め方といたしましては、今回の被害を十分念頭に置きまして、この遊水地の設置と放水路の早期通水ということに全力をあげるつもりでございまして、これは来年度予算に直ちに反映いたしたいということばかりいま考えておるわけでございます。
  134. 栗田翠

    栗田委員 いま巴川を例にあげて申し上げましたけれども、県下の中小河川どこを見ましても、予算が年度ごとに分割されてついていますために、改修が継ぎはぎになっているというのが一つの大きな特徴です。その改修がされなかった境目のところが決壊しているという場合がたくさんあるわけです。短年度、これは短い年度という意味ですが、短い年度の中に改修が完成できるような措置というのを今後とっていただく必要があるということ。それから、その復旧事業の予算対関連事業の予算がいままで一対一ぐらいになっていると思います。関連事業予算というのをもっとふやしていく必要があると思いますが、この辺についていかがでしょうか。
  135. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  先生おっしゃいますように、中小河川は全国に多くありまして、どこへまた大きな雨が降るやらわからないということで、全般に手当てをしなければいけない実情でございまして、非常に苦慮しておるわけでございますが、いま先生おっしゃいましたような災害関連事業というものがございます。これは一対一というような基準もございますけれども、大きな被害をこうむったところには弾力的にこれの運用をはかりたいと思っております。そうして改修工事といいますか、改良的な復旧という立場でそれを援助する、そういうもので考えておるわけでございます。
  136. 栗田翠

    栗田委員 とにかく政府の治山治水政策の立ちおくれというのが今度の被害を非常に大きくしたということは言えると思います。そういう中で、いま個人がたいへん大きな被害を受けております。国民の生命財産を守るというのは憲法にも述べられている精神で、これを順守していくということは、政府としてもとらなければならない、政治として私たちも責任を持っていかなければならないという問題だと思っております。ところで今度の被害の中で、個人のたとえば家屋などが受けました被害総額がどのくらいになっているか、政府はつかんでいらっしゃいますか。
  137. 横手正

    ○横手説明員 今回の災害に伴います個人の被害瀬の状況でございますが、個人の被災額を金額面で把握いたしますことは、被災後早急の間にこれを調査し把握するということは非常に困難でございますので、現在は住居被害等につきましては、倒壊、破壊の状況あるいは浸水状況、こうした観点でとらえております。全国的に見ますと、建物の被害でございますが、全壊、流失が七百四棟、半壊九百四十二棟、床上浸水七万三千五百五十二棟、床下浸水二十七万余り、一部破損が千五百四十四棟、こういったような戸数によってとらえるということにいたしております。
  138. 栗田翠

    栗田委員 早急につかむのは無理だから個人の被害総額をつかんでいないというふうにおっしゃいました。それでは、いままでこのような災害がありましたときに、個人の被害総額はその後時間をかけてつかんでいられるのでしょうか。それとも法の適用には該当しないから、戸数は数えるけれども総額というものは調べていないのだということなのでしょうか。
  139. 横手正

    ○横手説明員 個人の被害額につきましては、現実にはこれを的確に把握するということは非常に困難な面があろうかと思います。そういうようなこともありまして、従来はそうした調査を行なっておりません。従来どちらかといいますと公共災害面に重点を置きまして、そうした面の応急復旧なりそちらに非常に力を注いでまいったということもあろうかと思いますが、ただいま申し上げましたように、従来からそうした調査を行なっていないところでございます。
  140. 栗田翠

    栗田委員 その点は問題だと思います。正確にはつかめないという面はあったにしても、やはりリアルに個人の被害などについても国は把握すべきではないだろうか、その努力をしていくべきではないだろうかと思います。大体政府の治山治水政策の立ちおくれによって大きな被害を個人が受けている場合、それに対する責任というのは当然あるべきだし、本来法による救済措置がない、融資などの制度はありますけれどもそれ以外にないということは、私はたいへん問題だと思うのです。これは中小企業なんかについても言えますけれども、中小企業の機械などの被害、そういう施設などの被害は調べられても、被害を受けたために何日か休業して再び仕事ができるまで仕事を休んでいた、その間に受けている損失などというものも大きいわけです。こういうものはやはり調べて、リアルにつかんでいくべきだし、そして法の救済の措置が必要であると考えておりますが、その辺についての今後のお考えを伺いたいと思います。
  141. 横手正

    ○横手説明員 従来から個人に関連します被災救済措置、これはいろいろと検討されてまいったわけでございますが、幸いにしまして、昨年ようやくではございますが、災害弔慰金あるいは災害援護資金、こうした制度が整ってまいったところでございます。あるいは個人に対する救済措置はまだ万全でない面があろうかと存じますけれども、私どもとしましては、今後ともそうした面についても極力検討を重ねてまいりたい、かように存じます。
  142. 栗田翠

    栗田委員 いまの援護資金の問題などにつきましても、たとえば手続が非常にむずかしいということ、それから課税標準額百五十万円までという所得制限があります。それから、出される資金額が五十万円以下ですが、たとえば床上浸水などの場合も二十万ぐらい。いまの物価になかなか見合わないという面があります。こういう中で、増額、手続の簡素化、それから所得制限の緩和措置など、いま非常に強い要望が出ているわけです。その辺についてのお考えを一つ伺いたい。  それからもう一つ伺います。救助法では家が半壊した場合には応急修理費として十一万四千四百円出される。これだけのもので修理をすることになっております。しかし、床上浸水などの場合も、これは半壊にひとしいぐらいの被害を受けている場合がありまして、どろ水が入ったりしたらもう当分住めないし、畳、床板、その下、ずいぶんひどいものなんです。家具などの被害もあります。こういうものについて、やはり半壊同様ぐらいの応急修理費を救助法としても適用させて出すべきではないだろうかと、私は思います。  この二点についてお考えを伺いたいと思います。
  143. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 まず第一に、災害援護資金の問題でございますが、貸し付け手続が複雑であるということについては、災害という緊急時の場合でございますので、そういうことのないよう私たちも心してまいりたいと、かように存ずるわけでございます。  それから次に、所得制限額が給与所得者にすれば二百万ということになっているわけでございますが、これは昨年法律ができましたときの経緯といたしまして、三分の二のカバレージというものを考えているわけでございますので、物価の上昇に応じて当然今後引き上げられるべきものと考えているわけでございます。  それから第三番目に、援護資金が床上浸水の場合には二十万ということになって、これは低いのではないかという御質問でございますが、これにつきましては今後検討してまいりたい、かように考える次第でございます。  それから、災害救助法によって行ないます住宅の応急修理については、半壊のものについてしか現在制度上認めておりません。床上浸水については認めていないところでございます。この点につきましては、今回の災害の実態などを見ましてもかなり問題があるので、一度検討してみたい、かように私ども考えております。
  144. 栗田翠

    栗田委員 今度の災害に対して援護資金の増額などを間に合わせて検討していただくことはできないでしょうか。
  145. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 実現をお約束するというわけにはまいりませんけれども、その問題も含めて検討させていただきたいと思います。
  146. 栗田翠

    栗田委員 次に、民有地のがけくずれについて伺います。  静岡県下でも大きながけくずれが各所に出ておりますが、特に林地崩壊防止事業にも、また急傾斜地崩壊対策事業にも当てはまらないようながけくずれがかなりありまして、しかも、実際にはそれが危険な状態になっています。下に民家がある場合もあるし、上に家が宙ぶらりんになっているような事態も出てきておりまして、一刻も早くその防止をしなければならないという事態が出ておりますが、こういう場合の救済はどういうふうにしていらっしゃるおつもりでしょうか。先ほど指定されないものでも緊急急傾斜地崩壊防止工事をすぐにやっていくというふうにおっしゃいましたが、これらのものは全部そういう形で、現にくずれているものについては当てはめてやっていけるということなんでしょうか。
  147. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  災害によって緊急に行なわなければいけない急傾斜地崩壊につきましては、基準の以内におきましてすぐ工事をやりたい、そういうぐあいに考えております。
  148. 栗田翠

    栗田委員 この緊急性について重ねて申し上げます。  たとえば沼津の獅子浜、この下には百戸の家があります。ここがくずれています。まあ民地でございますが、指定されて、工事をされるように県から申請が出ておりますが、きのうあたり伺ったのではまだ検討されていないということです。ところが、雨が降るたびにこの百戸の人たちは避難しているのです。こういうところが各所にありますので、非常に緊急を要しますが、その辺についての御努力の気持ちをもう一度伺わせていただきたいと思います。
  149. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  ただいまの個所につきましては、県から申請がございましたので、本省といたしましては直ちに協議をいま実施中で、これから大蔵省と折衝いたします。
  150. 栗田翠

    栗田委員 静岡市の丸山町がやはりがけくずれを起こしまして、死者八名、全半壊七戸、それ以外に、こわれませんでしたが土砂が入った家などというのが非常にあります。この丸山町は静岡鉄道がリフトをつくっていて、そのリフトによって切り開かれた道の真下から大きな崩壊が起きています。私も二回ほどあの場所を、災害の翌朝すぐに一度は見ましたし、視察をいたしましたけれども、確かにその道の真下から落ちているという意味では、いわゆる企業開発による被害のケースとしていま非常に問題になっているわけです。私自身それを見まして、企業責任があるという疑いは非常に濃厚だというふうに思っております。これはもちろん、災害を防止するという意味での緊急の対策工事というのは何よりも必要だと思いますが、もう一つ被害を受けられた方の損害賠償などにもかかわってまいりますので、この責任についての判断というのは、被害者たちに不利益にならぬように、十分軽率でない立場でやっていただきたいということを重ねて要望しておきます。  次に、がけくずれとの関係ですが、静岡県の藤枝市で、がけ地近接危険住宅移転事業の対象になって移転した方が、移転したので今度の被害を受けずに助かったというところがあります。こういうふうに移転が必要である場合、緊急に移転できるようにするということも、いま非常に必要です。  ところで移転のための費用ですが、私の調べたところでは、移転のために家を除去する等で三十一万円、建物、土地で百五十万円ほどが出され、しかも百五十万円は貸し付け金だということです。いま方々で出ています一つの悩みは、移転はしたいし、自治体も移転をさせたい、実際危険なんだけれども、これだけの金額ではとても家をどこかへ建て直して移すなんということはできないのだ、そのためにどうしようもない、危険なままで暮らしているというのがあります。この金額についてもっと増額する必要があると思いますが、その辺についてのお考えを伺いたいと思います。
  151. 大田敏彦

    ○大田説明員 お答え申し上げます。  災害危険区域あるいはがけ条例できめております急峻ながけ、そういったものに近接しております住宅につきましては、私のほうでがけ地近接危険住宅移転事業という事業で移転の促進をはかってまいっております。この事業では、危険住宅の除却等に対しまして実費の補助金としまして三十一万円、それから危険住宅にかわる新たな住宅建設資金に対し、これは建設資金ではございませんで、銀行あるいは公庫その他から借り入れた借り入れ利息を無利子にするために百五十万円補助金を出しております。  以上でございます。
  152. 栗田翠

    栗田委員 私がいま伺いましたのは、その金額が非常に低くて、実際にはよほど資産でもなかったら移転できないけれども、もっと額をふやす気持ちはないのかということです。
  153. 大田敏彦

    ○大田説明員 この積算の基礎になっておりますのは、大体現在住宅公庫等が貸し付けておりますその貸し付け金の利息相当分を見ておりますので、通常の家なら建つというふうな積算の根拠でございます。
  154. 栗田翠

    栗田委員 しかし百五十万円で家は建たないし、しかも貸し付け金ですね。(大田説明員「そうではありません」と呼ぶ)そうじゃないのですか。ちょっとそこをもう一度説明してください。
  155. 大田敏彦

    ○大田説明員 これを貸し付け金に直しますと、大体三百四、五十万円になります。それの毎年毎年の利息を初年度に一回に払う補助金が百五十万円でございます。
  156. 栗田翠

    栗田委員 その点についてわかりました。しかし、あくまで貸し付け金であるということです。そこのところの問題がやはりあります、返さなければならないわけですから。ここのところでもっともっと増額すべきだという声があるわけです。
  157. 大田敏彦

    ○大田説明員 個人の住宅建設に補助金を出すという制度はいまのところございませんで、あくまでも金融ベースでお借りいただいて返す、しかしその返す場合の負担の利息を無利子にしようというのが本制度の趣旨でございます。
  158. 栗田翠

    栗田委員 その件については、また額その他御検討いただきたいと思います。  次に、先ほど国有地の崩壊による被害の問題が出ておりました。静岡県の三島市小山では、国道崩壊して民家がつぶれております。しかも、過失責任が国にあるのではないかと思われるケースがあります。それは、その国道が三十六年につくられたときに、その土質ではくずれやすいのではないかという住民の声があった。それをあえてそのまま同じ土を使って国道建設したところが、ちょうど盛り土したところから今度くずれております。これについて善処していただきたい。補償の要求が出ておりますが、どのようにお考えでしょうか。
  159. 井上孝

    ○井上説明員 お答えいたします。  御指摘の今回災害を受けました国道一号線三島市の谷田地区は、御指摘のとおり昭和三十六年に着工いたしまして、三十八年末に完成した個所でございます。ただ、御質問にございました土質に関する住民の指摘につきましては、現地について調査をいたしましたけれども、そういう事実があったという報告をまだ受けておりません。土質は特にここだけが悪いというのではなくて、御承知のように関東、静岡一円が関東ロームという必ずしも土工に好適とはいえない土質でございますけれども、ここだけが特に悪いという土質を使ったわけではございません。  また、補償要求につきましては、今回の台風八号に伴います集中豪雨は、静岡市におきましては気象台創設以来の雨量を記録した。また三島市におきましても、一日二十四時間の雨量が約三百ミリ、一時間の雨量が六十四ミリという非常に大きなものでございまして、それぞれ三島測候所開設以来二番目、三番目というような記録でございます。まさに異常気象と申すべきであろうと思います。静岡県下の調査では、今回の大雨によりまして、道路決壊静岡県内だけで三千五百六十個所あるというふうに聞いておりますことから見ましても、この谷田地区道路決壊は天災による不可抗力であろうというふうに考えざるを得ないのでありまして、道路の設置管理の瑕疵、したがってそれに伴う補償というふうには考えておらないのでございます。  しかしながら、被災者に対しまして、私どもの出先でございます中部地建に対しましては、県及び三島市と協議をいたしまして、先ほどの住宅貸し付け等につきましてできる限り有利な措置を受けられるように、誠意をもって協議をするように指導をいたしております。
  160. 栗田翠

    栗田委員 今度の問題で、非常な豪雨であったから、考えられない豪雨であったから事故が起こったということがたびたび言われているように私は思います。ところが私、気象庁から資料をいただきまして調べましたけれども、いままで日本で降った雨の雨量の多いもの二十位というのがあるのです。これは一日の雨量、また時間雨量、両方出ておりますけれども、一日の雨量で一番多いものは千百九ミリ、二十位でも七百五十五ミリ、今度の台風八号による災害で、静岡市が一番多かったですが五百八ミリ。確かに多いことは多いのです。しかしこういう雨であって、じゃ今後決して降らないようなたいへんな雨だということではない。これからも降る可能性があるわけです。それから時間当たりを調べましたが、やはり最高が百六十七・二ミリ、二十位でも百二十三・三ミリです。しかも、私がいま問題にしております静岡県の富士宮では、百五十三・二ミリというのがおととし降っております。これは第二位になっております。こういうことを見ますと、異常気象であったというだけで片づけてしまっては、今後また異常気象だったときに起こってもしかたがないのだ、こういうことにもなりかねないわけでして、やはり今度は、これからこういう雨が降ってもそれに耐えられるような、もちろん国道建設もそうだし、河川対策もそうだし、これが必要だと私は思っております。その点を申し上げまして、次の問題に移らせていただきます。  次に、農業被害でございますが、静岡県は有名なイチゴの産地です。静岡市の久能のイチゴなど、今度は久能山がほとんどくずれて、山からイチゴのがけを全部つぶしまして、海にまで出てきてしまっている。たいへんな状態で、冬場のイチゴはことしはできないのではないか、クリスマスケーキにイチゴが乗らなくなるのじゃないだろうか、こういうことまで言われている状態です。深刻な被害です。また、ミカンなども、清水市の宮加三、北矢部なども、私、視察しましたけれども、中にはミカン山がほとんどなくなってしまっているようなところが出てきております。ミカンの山そのものがなくなった場合もあるし、また、たいへんなお金をかけてまだ借金になっているケーブルだとかモノレールだとか、また、共同防除施設だとか貯蔵庫だとか、こういうものがすっかりなくなって、残ったのは借金だけである、こういう事態もいま出ているわけです。鶏や豚の被害というものもばく大なものであります。この農業の復旧のためにまず全力を尽くしていっていただきたいと思います。   〔米田委員長代理退席、金丸(徳)委員長代理着席〕  そこで、天災融資法の適用を急いでいただくこと。それからまた、農家のつなぎのための資金として保険金の早期支払いなどについての努力をしていただきたいと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  161. 今村宣夫

    ○今村説明員 今回の農林漁業者につきましての農作物の被害が、百九十一億という相当な数字にのぼっております。したがいまして、そのような災害の性格にかんがみまして、私たちとしては現在天災融資法の発動につきまして鋭意検討中でございます。統計情報部からそれぞれ被害があがってきておりますので、その被害の取りまとめを待ちまして、天災融資法の発動について積極的に検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  さらにまた、農家経営の安定のための農林漁業金融公庫からの自作農資金の貸し付けにつきましては、天災融資法の発動と相まって、その貸し出しにつきまして十分配慮してまいりたいと思っておる次第でございます。  なお、保険金の仮払いにつきましては、すでに経済局長通達を出しまして、その状況に応じて仮払いを急ぐようにという指導をいたしておるとこりでございます。
  162. 栗田翠

    栗田委員 農業というのは季節との関係が非常にございます。たとえば査定を待っていたのではことしの収穫ができないという問題も出てきておりまして、一例をあげれば、先ほどあげたミカンですが、山の上のほうで助かっているミカンがあっても、途中の農道がこわれたり、ケーブルがだめになっていたり、橋が落ちていたり、共同防除施設がなくなってしまった、こういう場合に、早急に復旧しませんと、せっかく実ったものさえも収穫としてあげられないという事態がいま出てきております。そこで、査定を待っていたのでは間に合わない、事前着工の措置をとっていただきたいわけです。その辺についてのお考えを伺いたいと思います。
  163. 福澤達一

    ○福澤説明員 ただいまの御質問でございますが、ミカンの生産に伴う農道等の災害復旧の問題につきましては、私どもは被災地の現状を把握すると同時に、早期にこれの査定を行なうと同時に災害復旧が行なわれるように対処したいと思っておるわけでございます。  静岡の場合におきましては、緊急な査定といたしまして、八月十九日から二十四日までに実施する予定にしております。個所数は三百カ所に全体としては上がっておるわけでございますが、それ以外に、ただいま御質問にありましたように、早期に、緊急査定よりももっと早く何とかしなければならないというような措置に対しましては、査定前に着工できるような制度もございます。応急的な措置もとられる方法もございますので、そういういままでの制度運用というものの全力をあげまして、被災者の人たちが安定的な方向に一日も早く向かうように対処してまいりたいと思っております。
  164. 栗田翠

    栗田委員 時間がなくなりましたので、あとまとめて三点ほど農業に関して伺います。  一つは、静岡県を特別被害地域指定することができるかどうか、それをぜひしていただきたいということ。  それからもう一つは、貯蔵庫などがすぐ建てられるように補助、融資などをしていっていただきたいということ。  特にもう一つ、共同施設の復旧にあたって、農協以外の団体であります、たとえば共同防除組合などの行なっている事業に対しても、暫定措置法を適用していただきたいということ。  この三点についていかがでしょうか。
  165. 今村宣夫

    ○今村説明員 お答え申し上げます。  特別被害地域という御趣旨は、天災融資法の特別被害地域という意味が一つございまして、これは特別被害地域の特別被害農林漁業者ということになりますと、三分の天災資金の借り受けができるということでございますが、静岡県の被害状況にかんがみますに、天災融資法上の特別被害地域になり得るのではないかというふうに考えておるわけでございます。  第二の貯蔵庫の件につきましては、共同利用施設として行ないますものにつきましては、いろいろお話のございましたように、暫定措置法その他の措置が講じ得るわけでございますが、個人あるいは生産組合等の所有する貯蔵庫その他につきましては、特に補助の制度はございませんけれども、天災融資法に基づきます低利の融資あるいは農業近代化資金によりますいろいろの共同利用施設につきましての融資等、あるいはまた農林漁業金融公庫の災害復旧融資等をもちまして対処をしてまいるつもりでございます。
  166. 栗田翠

    栗田委員 いまの共同防除施設などでも、清水市北矢部の一つの例でも二千万円ぐらいの借金を負っているということで、非常に深刻な状態ですので、そういう点での大きな御努力をお願いします。  いま農民の状態を見ますと、田畑流失して収穫が望めないということが深刻な悩みになっていますけれども、それともう一つは、たとえ復旧しても復旧後の農業として農業経営の採算が合うのだろうか、そこまで暗い見通しになっているわけなんです。これは一災害対策委員会で論議する問題ではなくて、もっとワクを大きくはみ出して、日本農業の将来にかかわる問題ではあると思いますけれども、この日本農業の将来をほんとうに明るいものにしていくためにも、政府として大きな御努力をお願いしたいし、私たちもやっていかなければならない、こういうふうに思っております。その点を申し添えます。  それからもう一つは、中小企業の場合でも同じですが、もう時間がありませんので二百だけ申し上げますが、実際スーパーマーケットなどで、インスタントラーメンが水につかって山のようにふやけてしまったのを一生懸命に片づけている姿だとか、せっかく購入したモーターが使えなくなって、それをどうしようもないでいる中小業者の姿というものは、全く悲惨なものでした。商店というものは表をまずきれいに片づけて商売ができるようにしておりますが、その裏のありさまというものは、ほんとうに災害の悲惨さをまざまざと思わせるものです。こういう意味では災害復旧融資政府関連金融機関融資のワクをふやしていただいて、そして十分な融資、そして据え置き期間貸し付け期間、限度額、利率などの改善に大いに努力をしていっていただきませんと、日本中小企業者たちを守ることができないと思います。その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  167. 若杉和夫

    ○若杉説明員 お答えいたします。  今度の災害が商工災害が非常に多いということで、深刻にわれわれは受けとめております。現行の範囲ぎりぎりまでできるだけの努力をいたしまして、商売が立ち行くように、個別的にもいろいろきめのこまかい指導といいますか、融資あっせんを含めてやっていきたいと思います。
  168. 栗田翠

    栗田委員 災害が起きてからその復旧のために予算を使うよりは、防災のために十分な予算をとっていくべきだということを最後に申し上げたいと思います。それによって国民が大きな被害を受けているこの状態を見るにつけて、復旧にかかる費用を防災に使って、それだけじゃ足りないと思いますが、それをその立場で努力をしていっていただきたいということ、また一度受けた被害に対しましては、たとえば激甚災の適用もいろいろな基準、むずかしいものがあるわけですけれども、あの基準に該当するぐらいに、そこに満たないものでもほんとうは国が補償し、また援助していくべきだというふうに思います。  このことを申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。
  169. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次に、柴田睦夫君。
  170. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今回の台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害は、西は九州から東は東京に及んで、死者、行くえ不明者百三十六名、被害額も三千五百億円を上回るという大きな被害でございました。衆議院の災害対策特別委員会が直接現場調査されたほかに、私ども共産党・革新共同でも、全国の災害の現状を調査しております。  そして、今度の災害については河川災害が集中的にあらわれていると思うのですが、この原因を考えてみますと、一つは、治山治水計画というのがあっても、それが実際上は災害復旧、あと始末ということが主になっておって、都市水害の防止を含む必要な手だてが打たれていないということ、また日本じゅうが乱開発で荒らされたり、河川はんらんから見てみましても、いままでは雨水を吸収していた田や林がつぶされて、吸収力も調整力もない裸の川にかわる。こうした乱開発がされても、その結果に対する手当は行なわれない。また地盤沈下の問題があります。愛知や三重県北部の開発に伴いまして、今度の水害地は全体的に地盤が沈下したところでありまして、満潮時には潮位以下に沈下する。そういうことになって、水害常襲地帯になっているわけです。さらに下水道、排水路の完備ということが防災面から見て非常に重要であるということがまた証明されていると思います。結局は、都市がかかえております防災面の弱みが集中的にあらわれたものであって、測候所始まって以来の雨というようなことでは済ますことができない、このように考えているわけです。  具体的に申し上げますと、三重県の災害対策本部がまとめました七月二十五日の低気圧による集中豪雨の概況と対策、その中に、三重県の記録的な豪雨として知られる昭和三十六年六月の豪雨当時遊水地であった区域の一部が、今回住宅浸水区域となり、大きな被害を受けたということが指摘されております。私も三重県の一部を自分の目で確かめたわけなんですけれども、たとえば鈴鹿市の寺家地区で遊水地が宅地にかわって、それが被害を受けたその現状を見ましたし、また鈴鹿サーキットが開発されたあと、鈴鹿市の木鎌地区では毎年水が出るようになった。これは鈴鹿サーキットのコースから国道の上に滝のように水が落ちて、その水が木鎌地区に流れてくる、こういうことであるわけです。隣の亀山市に行きますと、御幸町は竜川が破堤して大水害に見舞われ、床上浸水で屋根を伝って逃げなければならなかったというようなところですけれども、ここも竜川の上流で宅地開発が行なわれ、その後は毎年この竜川が溢水する状態になっております。そして今回は、簡単な堤防でありましたけれども、それが破堤して大水害になる、こういうことになっております。  そこで伺いますけれども、河川上流部において宅地などの開発が行なわれる場合へまた従来の遊水地を宅地化するというような場合に、水害防止の観点からそれに対応する排水のための施策が講じられなければならないと思うのですけれども、開発に対応する防災施策ということについてどういう考えであるか、基本的な考えを伺いたいと思います。
  171. 沢本守幸

    ○沢本説明員 お答えいたします。  宅地開発にあたりましては、先生御指摘のとおり、乱開発が行なわれた場合には下流河川等に溢水を生ずる、こういうようなことになりますので、一応まず単にでき上がってからその調整池をつくるというだけでなくて、すでに宅地造成の工事中の段階から調整池を設けまして、下流河川の容量をオーバーしないように設計にあたって指導するというような形をとりまして、開発許可の指導をやっております。  それからまた、先生から御指摘のありました出水しやすい場所、こういうようなものにつきましては、いわゆる都市計画の線引きで調整区域、開発を抑制すべき区域というものをきめますが、その際に、本来遊水地としての機能を果たしておるようなところとか、あるいは出水しやすいところ、こういうようなところにつきましてはできるだけ調整区域として残す、こういうような方向で指導しておる次第でございます。
  172. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 結局、指導をしているということでありますけれども、こういう問題というのは、今回の水害においてはまさに全国的な問題になっていると思うわけです。先ほど話がありました静岡県の巴川の問題にしても、沼地を宅地にした。それから伊勢市の勢田川のはんらんも、上流を開発して下流を埋め立てている。こういうことがあるわけで、指導をしているといっても現実には水害を防げなかったということで、さらにやはり根本的な問題を考え、対策を立てなければならないと思うわけであります。  次に、地盤沈下の問題ですけれども、国土地理院の調査によりますと、名古屋市の港区、ここで過去五年間に十七・六センチ、過去十年間には二十七・八センチ、それから十四山村の日光川樋門のたもと、ここでは過去五年間に五十五・六センチ、十年間には八十三・一センチ、弥富町の森津橋、五年間に三十・六センチ、十年間には五十一・六センチ、それから三重県の四日市市では五年間に三・六センチ、十年間には十センチ沈下する、そしてひどいところでは、これは名古屋の中川区ですけれども、一年間に十二・七センチ沈下している、こういう調査があるわけであります。  この地盤沈下の実態については御承知のことだと思いますけれども、いまこの地盤沈下の原因についてどのような考えであるか、環境庁のほうにお伺いしたいと思います。
  173. 大場敏彦

    ○大場説明員 いま御指摘ありましたように、名古屋市の南西部を中心といたしまして、濃尾平野のかなり広域な範囲にわたりまして地盤沈下の現象が起きているということは事実でございます。  その地盤沈下の原因でございますけれども、いろいろな原因はあろうかと思いますけれども、主たる原因といたしましては、これは明らかに地下水の過剰くみ上げによるものだ、こういうふうに私どもは考えております。
  174. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この地下水のくみ上げがおもな原因であるということですけれども、この地下水をくみ上げる中で一番多くくみ上げているのはやはり工業用水だろうと思うのですけれども、その点までお認めですか。
  175. 大場敏彦

    ○大場説明員 現在、名古屋市を中心といたしました濃尾平野の地下水のくみ上げの状況でございますけれども、昭和四十七年と四十八年をとりますと、日量約三百八十万立方メートルということになっておりまして、その約七割が工業用水及びビル用水であります。ビル用水というのは、建築物の水洗便所とか冷暖房用のための水であります。
  176. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 現在、名古屋などではゼロメートル地帯というのが非常に多くなっているわけです。東海三県地盤沈下調査会というところで出しております地盤沈下等量線図の図面を見てみましても、相当部分がゼロメートル地帯ということになっております。さらに地盤が沈下するということになりますと、もう災害常襲地帯から抜け切れないのはもちろん、一そう危険を増していくということが明らかであります。ですから、この地下水のくみ上げの規制ということを当然考えなければならないと思うのですけれども、この規制についての考え方はいかがですか。
  177. 大場敏彦

    ○大場説明員 ただいまも御指摘になりましたように、伊勢湾沿岸の主としてゼロメートル地帯、こういった低地におきまして排水が非常に問題になっておる。それから災害対策上もいろいろ懸念すべき事柄が多いということは、私どもも常日ごろそういうふうに思っております。  地盤沈下の防止対策といたしましては、結局、現在あります法律、つまり工業用水法あるいはわれわれはビル用水法と称しておりますが、その法律に基づきまして対策地域指定いたしまして、その地域内における地下水のくみ上げの規制、実質禁止にひとしいかなりきびしい規制をしております。  具体的に申し上げますれば、名古屋市につきましては、これはかなり古い話でございますが、昭和三十七年に一部を指定しておりまして、その後四日市市の一部も追加指定をいたしております。これは工業用水のくみ上げの規制でございます。  それから同時に、もう一方、ビル用水というものもございますので、名古屋市市域を中心といたしまして、ビル用水地域としてその対策地域指定いたしまして、そこにおいてビル用水をくみ上げることを規制するということにつきまして、いま愛知県あるいは名古屋市と協議中でございまして、近々結論を出したい、こう思っております。
  178. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 規制ということを考え、対策をしておられるということでありますけれども、なお、さきに言いましたように、この過去の一年間においても十二・七センチメートルも沈下するというような実態が現実に存するわけですから、これはやはり根本的な対策、規制をやらなければならないと考えるわけであります。  それから、今度は下水道の問題ですけれども、名古屋市の中川区、それから港区、こういうところは、今度床上床下浸水合わせると非常に膨大な地域にわたって被害が生じているところであります。この辺についての地図もございますけれども、この名古屋市の下水道局が出しております名古屋市の下水道平面図というのを見てみますと、ほかの区には下水道管がずっと入れられておりますけれども、この中川区と港区には下水道管が通っていない、こういうことであります。回の水害もこの二つの区に集中的に起こっているということから考えてみますと、まさに下水道の問題もこの災害に非常に大きな原因を持っているということが証明されたと言ってもいいと思うわけであります。  そして、今度の災害地を見てみますと、たとえば三重県の伊勢市やあるいは鈴鹿市、こういうところは公共下水道が全くないというところであるわけです。ですから、この水害の防止ということから考えてみました場合に、地方自治体の財政というのは絶えず圧迫されて緊迫した状態にあるわけですから、この災害防止ということから考えてみた場合に、下水道、排水路の整備ということを国の財政援助のもとにおいて大きく進めなければならないと思うのですけれども、この点についての見解をお伺いします。
  179. 増岡康治

    ○増岡説明員 ただいまの下水道の促進その他につきまして、下水道部長がただいま来ておりませんので、私のほうからよく連絡しまして、またいろいろと御答弁を申し上げたいと思います。
  180. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの点についての国土庁長官の御見解がございましたら、お伺いしたいと思いますが……。
  181. 西村英一

    ○西村国務大臣 下水道の問題でございますが、実は、いろいろな五カ年計画がございますが、中でも下水道の問題は、比較的五カ年計画がおそかったのでございまして、しかしこのように都市化されまして、また水質の問題等につきまして重大な影響がありますので、いまは第二次下水道五カ年計画ですが、これがおそらく明年度で終わりを告げるわけでございましょう。しかし、計画全体としていまの状況では小規模ではないか、もっと規模を大きくすべきだということでございます。いま、いろいろな都市をあげての問題であったそうでありますが、私も名古屋市等の下水道については、十分部分的には承知しております。一体名古屋の市長はどうしておるのか、こう言ったことがあるのです。そのように大都市は非常におくれておりますので、ご指摘のとおり、総体的として、金額的に、また方法等、いろいろな問題があります。したがって、そういうような技術的な問題も考えつつ、政府全体として十分力を入れたい、かように思う次第でございます。
  182. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間が参りましたので、最後に一つ。  中小河川はんらんということが大きな問題になりましたし、これから根本的な対策中小河川についてとらなければならないと思うのですけれども、準用河川、普通河川はんらんというのも今度は非常に大きな問題になっております。四日市に千代田川という川がありまして、幅一メートルぐらいであるわけです。小さな河川で、雨が降るといつもこれが満水するということなんですけれども、こういった小さい河川がいつもはんらんするということをいろんなところで聞いてまいりました。ところで、こうした普通河川についての管理はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
  183. 西村英一

    ○西村国務大臣 これは私に御指名はありませんが、私は中小河川について多少意見を持っておるし、また考え方も持っておるわけでございます。  たとえば一〇〇%の経費のうち、金を大河川、直轄河川に使うのか、あるいは中小河川に使うのか、零細な河川に使うのかという、その分配の問題です。実はいままで、これは河川改修の五カ年計画がございますが、戦後間もなくは大河川はんらんをいたしておりましたので、相当に大河川のほうに力を入れました。したがいまして、いまの災害から申しますと、大河川はんらんして大きな災害を受けるということは比較的少ないわけです。しかし、ようやく大河川改修ができましたので、いま災害を一番起こすのは中小河川でございます。この中小河川の問題を皆さま方からやかましく言われ、世間からまたやかましく言われたのはもう相当の前からです。前からでございますが、なかなかこれがうまくいかないのでございます。私はやはり、これからはもちろん中小河川に力を入れなければなりませんが、その中小河川の管理は県がやっておるわけです。また市町村がやっておるわけです。これは補助河川に全部なるわけですが、地方公共団体の管理をする長がもう少し河川を愛さなければならぬと思うのです。やはり自分の市に川が通っておるということは、これは相当な資源でありますが、どちらかというと、金の面もあるんでしょうが、雨が降らなければ、もうほったらかしです。したがって、今度中小河川があふれた、はんらんしたと言いますけれども、その河川改修ではなしに、整理ができていないのです。いまは川のふちにごみを捨てるようなばか者はあまりありませんけれども、やはり改修があまりうまくできていないのですね。もうたいへんなアシがはえまして、河川の幅が十メートルあるといっても、五メートルはアシでもってほとんどふさがっておる。そういうようなものを除去するのは地方公共団体の責務でございますけれども、いまはとても地方の金ではやる能力はないと私は思っております。したがって、河川改修の点について、寄り州とか中州とかいうようなものの除去はやはり国家の河川改修の対象にしなければならぬと思うのです。これは建設省は少し考えてもらわなければ困るのです。いまは対象になっていないのですよ。そういう点について、中小河川はずいぶん前から言われておりますが、直っておらないのは、政府にしても、われわれのほうにも手落ちがあります。なかんずくこれは建設省です。  それから地方公共団体についても、長はやはりもう少し河川に対して——道路は、つくってくれ、つくってくれということは言いますが、河川改修は比較的、雨が降らなければほったらかしですね。そういう傾向がどちらかというとあるのですがね。  それからもう一つは、いまお話が出ました岡山県の吉井川——吉井川は直轄河川でございますが、その支流はみな県の河川になっておるのです。もとを正さぬで、下のほうを正すような結果になって、大きい川幅のところは直轄でございますから、それは直轄でやっていますが、その支川はみな県の所管になっておるのです。したがいまして、直轄河川のほうでもってだんだんよくなりましたから、その直轄河川の範囲をもう少し広げてやる、上流まで範囲を広げて、やはり直轄でもって見てやるというようなことも考えなければならぬというような河川は相当にあるわけでございます。  したがいまして、中小河川といいましても、改修の方法には、たとえば東京都であるとか、あるいはいなかの中小河川等とはやり方が違いますけれども、おおむねやはり今後は直轄のほうに投資をするよりも中小河川のほうにもつと投資をしなさいというような気持ちが私はいたしておるのでございまして、いつもいつも、毎年毎年、災害のときは中小河川中小河川と言われてきたのでございまするから、先生の御指摘のように、私もその点は十分総括的に、総合的に見まして今後やっていきたいような気持ちでございます。  これは私の私見でございますけれども、ひとつ申し上げまして御了承を賜わりたいと思う次第でございます。
  184. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 まだお話したいこともありますし、それからいまの御見解についてただしたいこともありますけれども、時間が参りましたので、本日は、この程度で終わらしていただきます。
  185. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 長代理次に、中路雅弘君。
  186. 中路雅弘

    中路委員 時間が非常に限られていますし、私たちの党の時間が少し延びていますから、十分余りで二、三点だけお聞きしたいと思います。災害対策特別委員会の皆さんに私も同行しまして、横須賀の主としてがけくずれについて視察をいたしましたので、この問題を中心に二、三点だけお伺いをしたいと思います。  視察に行った際に、横須賀市が出しました資料によりましても、台風八号に伴う集中豪雨によるがけくずれが横須賀市だけで千五百五十七カ所、一瞬のうちに十三名の死者と二十数名の重軽傷者を出しているわけで、このがけの恐怖をまざまざと見てきたわけでございますが、特に横須賀のように丘陵が海岸線まで接近している、あるいは米軍基地が平たん地の三分の一以上を占めていて、都市が主としてがけに沿って人家が建つという、こういう横須賀市の地形、都市の特殊の事情も非常にあると思いますが、この地形の中で、主として視察をしていてわかったのですが、岩盤が厚くあって、その上に関東ローム層の表土が薄くある。だから、自然に残されたところはほとんどくずれていないのですね。何らかの形で宅造をはじめとした手が加わってこれがくずされたところ、その表土と岩盤の間に水が入ってくずれるというのが中心の問題ですから、私は、この点では、こういう地域における都市政策、開発の問題について根本的に検討しなければいけないと思います。  しかし、この問題についてはきょう時間もありませんから論議をしませんが、第一番目に、特にこの被害中心であるがけくずれの問題ですね。五年前に急傾斜地の法案が成立しまして、指定区域としては、高さ五メートル、傾斜三十度、がけ下民家五戸以上というのが指定区域になり、この中で対策工事がやられているのは、がけの高さ十メートル、がけ下民家二十戸以上ということで進められているわけでありますが、今度の横須賀の千五百カ所にのぼるがけくずれは、五メートル以下の自然がけ、この崩壊が多数を占めている、ほとんどを占めているということなのですね。神奈川県の調査によりますと、四十三年法制定以来の地域指定が全県で二百七十二カ所、工事を終わったのが百四十三カ所、県がさらに新しく指定したいというのが四百十三カ所ありますが、法制定の前年四十二年度に県が調査しました、この五戸以上という民家だけはずしますと、五メートル以上のところ、三十度の傾斜のところが全県で千二百三十四カ所あるというのが四十二年度の統計で出ているわけです。しかも、これは五メートル以上ですから、五メートル以下を拾いますと、予想できないほどの数に達するだろうと思うのです。しかも、この五メートル以下のところで危険な個所が、今度も人命まで失われているわけですから、たくさん出ている。こういう事情を見ますと、五年間たちましたけれども、現在のこの急傾斜地の法律、これが全くいまの対策にそぐわない、こういう特に横須賀のような地形あるいは特質を持った地域対策として全く実情にそぐわない状態になっているのではないかと私は思うのですが、最初に、この急傾斜地崩壊防止法について、いま実情に合わないというのが今度のこの事故やあるいは現状からいっても明確ですから、これについて、今後この法についてさらに指定地域を拡大適用できるような方向で法の改正なりを考えることが必要だと思いますし、特に横須賀の場合は、この法律の適用についても、これを拡大適用して対策を立てないと、復旧の問題についても何ら手が出ないという現状にあります。第一番にこの点についてお考えをひとつお聞きしたいと思うのです。
  187. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  先ほどこの件につきましては西村大臣がずっと経過をお話しなさったわけでございますが、現在私ども建設省といたしましては、指定基準といいますか、指定区域は五戸以上の問題で作業をしておりまして、また、この工事の採択基準は、さらにがけが十メートル、それから人家が二十戸以上、それから災害のときは十戸以上というものを採択基準にしております。で、指定区域の中でさらにそういう必要のあるものを、今回の災害でいろいろお話を聞いておりますので、いろいろこれは調査して、勉強してみたいというようなことに考えております。
  188. 中路雅弘

    中路委員 現在の被害が、ほとんどこの法で規定されている五メートル以下のところなんですね。そこで人命まで失われているという現状ですから、この対策について、とりあえずこの法律による指定地域を拡大適用して対策を考える、準用する、こういう点ではもう少し具体的な対策を立てないと、復旧そのものも、あとでお話しますが、ほとんど手が出ないという現状にあるわけで=が、将来この法の改正の問題を検討していただくとともに、現状のこの問題についてどういう対策を立てられるのか、もう一言お聞きしたい。
  189. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  まあ法律その他ございますが、御承知の角度の三十度という一つの条件がございます。これは非常にきつい条件でございますが、あとの高さその他については現地の様子を合わせまして弾力的運用もさせていただきたい、そういうぐあいに考えております。
  190. 中路雅弘

    中路委員 いまの問題と関連するわけですが、これは先ほど質問もあったそうですが、現在の土砂くずれの土砂の片づけの問題でも、千五百カ所にのぼる中で、自衛隊が片づけたのが百数十カ所、あとは全部、いま九〇%までが市と個人の負担ということになっているわけです。なかなか個人ではこれは土砂を道へ出すのもできませんが、横須賀市のほうでは、やむを得ず、今回の災害に限ってだけ、この土砂の片づけと本復旧について、先日市議会で五十立米以上に五十万限度の補助を出す、そして五十立米以上に二十万円の貸し付けをするということをきめているそうですが、貸し付けを合わせても七十万円ですね。私が現地で聞いたのでも、半崩壊のところ、少し土砂が入っているところでも、あとの擁壁なんかを考えますと、やはり最低三百万はかかるというお話も聞いているわけですが、この問題について、横須賀市は崩壊個所についての復旧経費として全体で三十二億という要望も、先日視察に行ったときお聞きしました。市のほうは一応貸し付けも含めて七十万までの対策をいま立てておりますが、これについてどうしているのか。先ほどお話しましたように、指定地以外の問題が多いわけですから、少なくともこの問題について法に準じた補助事業としてやるか、あるいは災害の特別交付税で見ていくか、幾つかの方法があると思いますが、何らかの手を打たないと、いまなお片づけられていない、市民の人たちはいつこれを片づけてくれるのかというような強い要望、不安もあるわけですが、この点につきましていまどのような対策をお考えか、お聞きしたいと思うのです。
  191. 中野三男

    ○中野説明員 お答えいたします。  堆積土砂につきましては、道路河川、水路、そういったものに被害を及ぼしながら土砂が堆積した場合には、これは公共土木施設災害といたしまして復旧することになるわけでございます。そういうものに被害を及ぼさないで、一般の民地に被害を及ぼしたといいますか、堆積土砂があるという場合には、法律に基づいておりませんけれども、予算補助で、私のほうで公共団体の施行するものについて補助の制度がございます。これは二分の一の国庫補助に相なっております。この採択基準といいますか、これは市全体で三万立方メートル以上あれば、そういうものですべて処理することができるということに相なっておりますので、横須賀の場合にはこれに該当するかと思いますが、原則といたしまして、民地から市町村長の指定する場所に住民の方が出していただいて、それを公共団体が排除する場合に国の補助の対象にするというのが原則でございます。ただし、これを民地に放置することがたいへん問題が多い、公益上非常に支障があるという場合につきましては、直接民地から市町村が排除することができる、そういうものをすべて国の補助の対象にするということがきめられております。  公営事業につきましては、一日も早く排除する必要がございますので、私ども災害の査定を待たずして排除してもよろしいということを常々指示してございます。横須賀の場合にも県を通じましてそういう指示をいたしまして、御指摘のように自衛隊あるいは市の手で、現在のところおおむね二五%ぐらいは排除したというふうに聞いておりますが、残りにつきましても引き続き排除していい、ただしそれは災害査定ができますような資料を十分整えておいていただきたいというふうにして、住民の方々に御迷惑のかからないようにいたしておるわけでございます。  ただ、先生いま御指摘になりましたように、横須賀市が住民の方々に補助金を出すというふうになっておるということを初めてお聞きしたわけでございますが、そういうものに対して私どもが補助するということは制度上ございませんので、現在のところ私どもではそういうものは国庫補助の対象としては考えておりません。
  192. 中路雅弘

    中路委員 これで終わりますが、いまおっしゃった後半の部分ですね。横須賀の場合はまさに民地から道路へ出すのがたいへんなんですね。それでみんな放置されたままになっているわけですから、出してくれればやりますということじゃ一切解決をしない。しかもこれは自衛隊の問題ですから、この場所ではよしますが、現状を見てみると、みんな自衛隊はよりすぐっていったんですね。めんどうなところは全部はずしてしまってやっていったわけですから、あとの九〇%が全く個人や市の負担に残されているということで、私は市のいまの補助に直接手当てができないとしても、豪雪の場合なんかも特別交付税で見られているところもあるわけですから、災害の特別交付税の中で、こういう問題についても、市が事業主体になって、それについて何らかの補助を国がするということは可能じゃないかと思うのですが、そのことをもう一言お聞きしておきたいと思うのです。
  193. 中野三男

    ○中野説明員 ただいまの問題につきましては、先ほど自治省からお答えがあったわけでございますが、自治省でもそういうものを起債の対象にするということは従来やったことがない、新しい問題として検討するというように御答弁になったように私は聞いたわけでございますが、私どものほうからも自治省のほうに、そういう問題についてどういうお考えであるかということはもう一ぺん聞いてみたいと思っております。  ただ、申し添えておきたいのは、私どものほうでも、民有地から直接公共団体が排除するものについて補助ができるということにはなっております。
  194. 中路雅弘

    中路委員 時間が過ぎましたので、終わります。
  195. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次に、諫山博君。
  196. 諫山博

    諫山委員 台風第八号に始まる一連の水害について、共産党としては十数名の国会議員が手分けをして、おもな被災地ほとんど全部に調査に入りました。私もこの調査に参加して、いまさらのごとく災害のおそろしさを再認識したわけです。  きょうの委員派遣報告の中で、たとえば河川改修が行なわれていたところでは災害が避けられたけれども、それがやられていないところでずいぶんたくさん災害が出たということがありました。これは委員会としての結論ですが、建設省としては同様の認識を持っておられるのかどうか、河川関係者にお聞きします。
  197. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  いま先生の御質問は、全国の中小河川等に十分な対策がとられているのかどうかということでございますが、国といたしましては、全国の各河川につきましておのおの計画を持ち、計画的にさらにその中を選択しながら重点的にやってまいったわけでございますけれども、まだまだ及びもつかないということは先生の御指摘どおりでございます。今後とも重点的に、ことに中小河川、都市小河川については実施していきたい、そう考えております。
  198. 諫山博

    諫山委員 国土庁長官にお聞きします。  これから防災対策を立てる責任を負っていただくわけですが、とかく水害などというのは、空前の大雨だからしかたがないのだというふうに考えられがちです。しかし私たちの調査によれば、たとえば中小河川の場合には完全な補修をすれば相当被害が避けられるということが明らかになりましたが、長官はこの点はいかが御認識でしょうか。
  199. 西村英一

    ○西村国務大臣 諫山さんの言うとおりです。改修投資すれば絶対に防げるところがたいへんあります。いま申しましたように、どちらかというと治山治水の、ことに川のほうでは中小河川に対する投資が少なかったからだ、これは明らかであります。したがいまして、それは国にも責任がありますが、地方公共団体、管理をしておる管理の方方にもやはり責任があると思います。もう少し河川を愛する気持ちがなければならぬ、私はこう思います。  もちろんたいへん荒れておりますから、もう地方公共団体の金ぐらいじゃ追っつかないから、やはり河川でも改修をする対象というものがいろいろあります、そういうようなものにつきましても、やはり改修の対象になる、補助の対象になるような個所を広げていく。それからまた、大河川のほうはだいぶよくなりましたから、その金を中小河川のほうにだんだん広げていく。大河川がありましても、みな上のほうは県の所管でありますから、それをだんだん広げていくというので、いまおっしゃいましたように、しかたがないと思うかどうかということですが、しかたがないとは思いません。投資をすればよくなると思います。現に投資をしたところはやはり災害を受ける程度が非常に少ないのでございますから、今後十分投資をして改修をしたい、かように思っておる次第でございます。
  200. 諫山博

    諫山委員 国の予算には限度があるわけです。問題は、たとえば大企業なんかに湯水のように金を使って、災害対策にはあまり金を使わないというような政策をとるのか、それとも均衡のとれた経済の発展をはかって生活を守るということを優先して予算を組むのかということになるわけです。いま長官がそれだけの認識と決意を述べられたわけですから、これを予算編成の面でぜひあらわしてもらいたいということを願うわけですが、いかがでしょうか。
  201. 西村英一

    ○西村国務大臣 金をどこに使うかということは大事でございますので、やはりそういうことについては均衡のある予算を組まなければならぬ。小さいものも必要である。大きなものも必要である。やはり均衡のとれたやり方が予算配分に対する最もいいやり方で、そのように心がけていきたいと思っております。
  202. 諫山博

    諫山委員 きのうの衆議院の本会議で、野党から内閣に対する不信任案が提起されて、それぞれいままで続いた自民党政府の政治に対するきびしい批判が提起されました。その中心になったのは、大企業だけの利益をはかるのではなくて、もっと国民の身近な生活を考えろ、予算もそういう点に重点を置くべきではないか、そうしないことが参議院選挙の結果にあらわれたのではないかというのが共通した結論だったと思います。そういう点をどういうふうにいま始まっている予算編成に生かされるつもりなのか、お聞きしたいと思います。
  203. 西村英一

    ○西村国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がわかりませんが、国会のことは国会のほうでそれぞれ議院運営委員会あるいは党等との話し合いできめることでございまして、そういうことについては私は直接自分の個人の考えを持っておってもどうこうするということはできませんので、ちょっと御質問の趣旨もそういうことであれば、私は自分の意見をこの際申し上げるわけにはいきません。国会のことは国会の運営のほうにおまかせするということではなかろうかと思っています。
  204. 諫山博

    諫山委員 いまの点では、私は、災害というのは金を使えば相当部分避けられる、こういう点で認識が一致したわけですから、ぜひそういう面にもっと積極的に予算を組んでもらいたいという要求を重ねて申し上げて、次の問題に移ります。  兵庫県の長谷川を視察したときのことですが、河川ブロックの防護壁がつくられ、一応改修が済んでいるわけです。ところが、実際は水量が予想以上にふえて、せっかく改修しているのにブロックが積まれていないところから改修部分がこわれた、そして堤防決壊する、こういう状態が何カ所かで起こっております。これは改修するときに、もっと安全度を大きく見て、たとえばブロックの積み上げをずっと高くしておれば避けられたのではなかろうかと思ったのですが、いかがでしょうか。
  205. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  長谷川の例がございました。おり、昭和四十五年に被害を受けまして、大きな災害を受けたわけでございますが、災害復旧助成事業として採択された個所でございまして、その後大幅に予算を伸ばして、四十八年度に一応は終わったわけでございます。それで四十五年度の洪水を中心にして現在の川幅を広げて、拡大しながら必要な護岸施設を今日までしてまいりました。今回の洪水はほぼ計画に近い規模であったわけです。結果的に見てそういうことになったわけですが、おかげさまで河積をずっと拡大してまいってきておりましたものですから、洪水の流水といいますか、洪水が河道を流れてくれまして、家屋流失等、一般被害を免れたわけでございます。  この点はよかったわけでございますが、この被災個所は、四十八年度施工のところ、最も新しいところでございますが、一部土羽工がやられたわけでございますが、これは施工後間もないということと、急流によりまして洗い流されて崩落した個所がありまして、これがまた原因となって護岸の裏側から崩落したわけでございます。この問題は、御承知のように、堤防はつくったばかりでは非常にまだ軟弱でございます。先生おっしゃいましたように、もう少し早くできておれば完全に防げたものであろう、そういうぐあいに考えておるわけでございます。
  206. 諫山博

    諫山委員 私は、現地を見て、まだ竣工後間もないというだけではなくて、護岸のブロック積みが低過ぎたということに原因があると思うのですが、いかがでしょう。
  207. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  私も現地をまだ見ておりません。現地に同行した関係官がおりますので、いまの先生の御指摘については十分また検討さしていただきたい、そう考えます。
  208. 諫山博

    諫山委員 見ておられなければ、これ以上の質問はあまり意味がないと思います。しかし、明らかにきょうの派遣報告でも指摘されていますように、もっと安全度を大きく見て、たとえば普通予想しないような大雨が降ってもだいじょうぶなような改修工事をしておくということがやられていたら避けられたはずだというのが、私だけではなくて、現地を見た委員の共通した認識だったと思います。ぜひこの点は検討して、さっきから改良復旧ということが言われているわけですが、近ごろ異常気象もいろいろ言われている現在、相当がんじょうな、予想しない大雨でも水害を避けられるような改修というのを希望します。  さらに、私の手元に香川県小豆郡の内海町の岩谷の部落総代の人から陳情書が来ております。これを見ると、大阪城築城残石の落下で家がこわされる、死亡者が出る、そうして田畑が破壊される、こういう問題で陳情が来ているわけです。今度の災害で人災ということがいろいろ指摘されているわけですが、これはまさに政治とからみ合った災害だというふうにいわなければならないと思います。普通の災害の場合には、個人の損失に対する補償というのが法的にも非常に不備で困難なようですが、この場合は、たとえば法律的には国家賠償というような考え方さえ適用されるのではないかというふうに考えられるのです。普通の被害と幾らか違うように思うのですが、どのように認識しておられましょうか。——国土庁ではわかりませんか。
  209. 横手正

    ○横手説明員 小豆島におきまして、文化財として指定されておった関係の関連で災害があったということは聞いております。この件につきましては、文部省においてもさっそく調査をいたしておるようでございますが、調査の結果につきまして私どもまだ聞いておりません。文部省にあらためてその状況を連絡して、必要な措置を講ずる必要があれば万全の措置を講ずるよう連絡してまいりたい、かように存じます。
  210. 諫山博

    諫山委員 災害の場合に、個人の損失に対する補償が非常に不完全だという背景にあるのは、災害の責任者がなかなか特定しにくいということからだと思います。ところが、この場合は、災害の責任者は政府だということがきわめて明白だと思います。もし文化財の保存設備に手落ちがなかったとすれば、少なくともこの事故は避けられたということは明白ですから、これは現在の法律のもとでも特殊な事例として検討するに値すると思いますから、指摘をしておきます。  いずれにしましても、今度の災害というのは、私たちにさまざまな教訓を与えてくれました。私たちも、今度の国会では物価と災害というのを二大重点にして取り組むつもりだったわけですが、残念ながら国会では議論を深めることができませんでした。国土庁がこういう問題で今後責任を負われるそうですから、ぜひこういう災害が二度と起こらないような政治を進めていただくことを希望しまして、質問を終わります。
  211. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次に、新井彬之君。
  212. 新井彬之

    新井委員 私は、昭和四十九年の台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害につきまして、若干の質問をさしていただきます。  今回のこの災害につきましては、多くの方がなくなられておりまして、心からの御冥福をお祈りする次第でございます。また、被災者の方々に対しまして心からのお見舞いを申し上げる次第でございます。  私も、今回の災害につきましては、相生市、赤穂市、上郡町、それから家島町、そういうようなところに参りまして、いろいろと現場を見せていただいたわけでございます。災害対策特別委員会の方々の派遣もございまして、いろいろの現場を見ていただいたわけでございますが、私は、今回のこの災害、特に集中豪雨ということでございますが、これは来年も再来年も今後ますますそういうような集中豪雨被害というものが起こるのではないか。そのときに指摘されますのが、とにかく備えあれば憂いなし。今回の、先ほどからも問題になっておりますが、中小河川にいたしましても、去年ですか、相生等でそういう災害があったためにきちっとした工事ができておるところは、今回のあの集中豪雨でもきちっと守られたというような結果があるわけでございますけれども、いままで陳情なりいろいろな形において、とにかく早くやらなければこういうような災害が起こるんだということを指摘されてきて、なかなか現在できない。特に山くずれ等におきましても、多くの方がなくなっておられますけれども、このほうについてもなかなかできていないというのが現状であるわけでございます。したがいまして、早急に災害対策という問題については多額の予算をもって、こういうような集中豪雨、これからもそういうことがどんどん起こると思いますが、断じてないようにしなければならない、こういうことを思うのでございます。  特にもう一つの面からいきますと、災害を受けたところ、ここにはまた問題がございまして、とにかく激甚災害指定を受けたい——非常に財政規模も少ないわけでございまして、そういうことの検討については鋭意やっておるようでございますけれども、これについても大きな面から激甚災害指定になるようにやっていただきたい、このように思うんですが、まず国土庁長官、この面についてはいかがですか。
  213. 西村英一

    ○西村国務大臣 さいぜんも申し上げましたのですが、私のほうが中央防災会議の事務を引き受けたことになるのでございまするから、ここで、年年歳々非常に災害を受けておりますから、予防ないし防止の点についてひとつ今後見直して、あらゆる点から検討したい。災害の防除問題にいたしても、各省、このようにたくさんな省が関係いたしております。救助の面につきましても、関係省が非常に多いわけでございまするが、いろいろな面においてちぐはぐもないわけではございませんから、その辺で、年々歳々あるし、また相当の経験もいままで積んでおることでございますから、そういうことを踏まえまして、今後の対策につきましても十分再検討してみたい、こう思っておるような次第でございます。
  214. 新井彬之

    新井委員 その件については、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  がけくずれの危険区域でございますが、建設省が四十七年の十一月に総点検をやりまして、これが全国で六万七百五十六カ所がけくずれの危険区域というのがある。そこで、現在急傾斜地指定されているものが四十九年五月末現在で四千百二十二カ所、こういうことで、今回のこの台風八号での全国からの報告、がけくずれであったのは二百二十九カ所でございますが、この中で、急傾斜地指定の中では全国で三十七カ所入っているわけです。したがいまして、総点検をやられた結果、ここはそういう危険があるだろうということでない地域、ここはだいじょうぶだという地域に比較的たくさんのがけくずれがあったわけですね。したがいまして、こういうことについてはどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  215. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  先生いまおっしゃいましたように、今回の台風八号並びに梅雨前線のがけくずれの内容を見てみますと、総点検をやりましていろいろ危険地域指定したわけでございますが、たとえば、大半はこの区域に入っておりますが、一部静岡県等のミカン山等が指定されなかった例もございます。これはいろいろと問題がありまして、指定いたしますと制限行為が加わるというようなことで、やむを得ず地方公共団体指定されなかった例もありますけれども、今回の災害にかんがみまして、これに漏れたところを特に集中的に体系的に捕捉して点検をいたしたいと思います。
  216. 新井彬之

    新井委員 一つの例をあげますと、赤穂市では、国から急傾斜地指定地域として二十カ所指定されておるわけです。そのうち現在まで全然手がつけられていない個所が十三カ所、そこから福浦のように死者が出ている。また一部工事にかかっている個所が三カ所あります。それから大かたでき上がっているところが四カ所あるわけでございますが、この二十カ所のうちで今回被害を受けたのが九カ所です。そして四十九年度の予算は三千万円しかついておりませんが、現在指定を受けている二十カ所全部の工事費は大体二億から三億ぐらいかかるのではないか、こういうぐあいに予想されているわけでございます。  また、さっきも問題になりましたけれども、この急傾斜地指定基準というのは、勾配が三十度以上、高さが五メートル以上、家屋が五軒以上、こういうことになっているわけでございますが、今回の災害赤穂市においては、そういう採択基準にはもう少し足らないというところが八十カ所がけくずれがあったわけでございますね。これについても、先ほどから採択基準というものをやはりもう一度検討しなければならないというお話が出ておりますが、これは当然考えていただかなければならないというぐあいに思いますが、この点はいかがですか。
  217. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  採択基準の問題もございますし、またいまおっしゃいますように、採択されてもまだやっていないじゃないかという御指摘でございます。おっしゃるとおりで、総点検数六万余りでございますけれども、この中から国といたしましては優先順位を実はつけておりまして、その重点事項だけでも四千七百カ所という問題がありまして、鋭意これに努力しております。この対策事業ほど伸びた事業はございません。倍、倍と伸びてきた事業でございます。今回の実情にかんがみまして、さらにこの事業費の拡大をはかるつもりでございます。  それと採択基準の問題でございますけれども、いま申し上げましたように、この問題よりは私どもはいますでに危険地域指定されて採択されるようなところを早く守っていくほうに実は力点を置いて、予算要求をしたり、いろいろがんばっておるところでございます。
  218. 新井彬之

    新井委員 まあ結局は指定をされながら未着工のところ、こういうところを早期にやらなければいけないということ。それから、それをやるにしましても、予算があまりにも少な過ぎて十年ぐらいかかるのじゃないか。これでは間に合わないわけですね。それから採択基準の拡大ですね。それからがけくずれ危険区域指定の促進、こういうことが今回のことでやはり真剣に検討されなければならいというぐあいに思うわけです。  そういうことで各町いろいろ言ってきておりますけれども、私が行きました家島町におきましても、もうあと一雨降ったらまたつぶれるというところがたくさんあるわけですね。だから、家島町におきましても三名の方がなくなっておられまして、その現場まで行きましたけれども、とにかくあっちもこっちももう一雨、もうちょっと降っていればまたたくさんの方がやられていたのだ。したがって、そういうところの急傾斜地崩壊防止工事のいろいろの陳情がありますけれども、そういう問題についても、やはり命にかかわる問題ですから、そういうことでよく調査をされて早急にやっていただきたい、このように思うわけでございます。  それから予算が非常に少ないということで、四十九年度のがけくずれ防止工事の事業費は八十七億円、これで六百カ所しか工事ができないという実情ですね。それから、砂防工事の予算も二百七十億円で千百八十個所しかできない。それからまた、受益者負担ということが非常に重荷になっていて、これに対してはやはり国庫補助の大幅な改善、こういうことがいろいろとそちらのほうにも出ていると思いますが、そういう点については、予算が倍々に伸びてきたと言いますけれども、それを今後どのようにするのか、これだけたくさんある中で。具体的にひとつ、予算を幾らぐらいにして、これはこういうぐあいにして発展をはかるんだというようなことを、ちょっとわかればお願いしたいと思います。
  219. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  予算の問題でございますが、これから大蔵要求するところでございます。河川局内部においては、いろいろ積極的な態度でこの急傾斜地対策工事は考えておりますけれども、まだ公表するまでにオーソライズしておりません。  ただ、いま先生がおっしゃいましたように、二次災害を続いて起こしそうなところについては、優先的に取り上げてまいりたい、そういうことも考えております。
  220. 新井彬之

    新井委員 現在、第四次の治水五カ年計画、これは四十七年から五十一年までやっておりますが、先ほども申しましたように、今回の集中豪雨というのは、普通河川、二級河川、この改修のおくれというのが非常な被害の増大をもたらしていることは、先ほど来答弁のあるとおりですね。  そこで、四十九年度の治水事業費は前年度と大体同額、こういうことになっておりますが、実際問題は、建設費の高騰がありますね。また、そのために事業量が非常に縮小されている。こういうような現状であるために、この第四次治水五カ年計画をやはり改定するなり、大幅に繰り上げるなり、それをやらなければ、この委員会を何のために開いたかわからないと思うのですね。それが一つ。  それから、現在、普通河川改修というのは、いずれの市町村も財政上の問題からほとんど手がついていない。これは建設委員会でもあるいはまたこの災害委員会におきましても始終言われていることでありますが、現行制度においては、この助成制度が人口四十万以上の都市河川、その改修しか認められていない。ここに大きな進まない原因があるわけでございますが、この普通河川改修に関する助成ですね、これを当然やらなければならない。そうしなければ、いつまでたっても災害が来たときしかそういう改修はできないわけでございますが、そういう点についてはいかがでございますか。
  221. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  第四次治水事業計画を改定する気はないかという御質問でございますが、ことしが第三年目でございます。おかげさまで事業費的には計画どおりまいっておりますが、こういう総需要抑制下でございますので、この五カ年がそのままうまくいくことだけでも大成功だと思っておりまして、先生のおっしゃるとおりでございますが、現在のところ、このままいまの計画どおり、さらにそれに今回の災害を加えまして、緊急事業ということで別途付与いたすべく予算要求する所存でございます。  それから、第二番目に普通河川の問題がございました。現在、私どもは、昭和四十七年六月に河川法の改正がございまして、従来の単独水系の川についてのみ制度化されておりました準用河川制度というのがございます。これを拡大いたしまして、一級及び二級水系にかかわります普通河川についても指定できることにいたしまして、放置されておりました普通河川を準用河川として管理の強化をはかることとしたわけでございます。まだこれにつきましては財政補助の問題がいろいろございますけれども、これからの検討ということで勉強中でございます。
  222. 新井彬之

    新井委員 いまの問題は大事ですから、長官もひとつよく聞いておいていただきたい、このように思うわけでございます。  それから、これは赤穂市でございますが、二級河川の中の千種川、矢野川、長谷川、大津川堤防決壊部分があるわけでございますけれども、これをすぐに応急復旧しなければ、次の雨が来た場合にはこれはたいへんな問題になる、こういうようなことがあるわけでございまして、とにかくそういう応急の処置については、今後どのように行なわれるのか、お伺いしておきたいと思います。
  223. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  いま赤穂市の千種川その他の例を引かれましたけれども、緊急を要します応急工事については、地方公共団体、いわゆる現地の方の判断によりまして、直ちにいま実施圧しております。
  224. 新井彬之

    新井委員 それから上郡町で、今回、高田川からだいぶん水が出まして、たんぼの冠水ということがだいぶあったわけでございますが、この一つの原因を見ますと、昭和四十五年から河川改修をずっとやってもらってきたわけですね。ところが、国鉄の鉄橋の部分がなかなか話し合いがつかないために、そこで工事がとまってしまった。そこで、今回の雨によってそこに非常に材木が流されたりして、そこがちょうどダムのようになって、上の橋が次々と全部流失してしまったわけですね。  こういうような問題がありますけれども、とにかく何回も四十五年から、これはもう当然こうなるんだとだれが見てもわかるわけでありますけれども、各省庁のなわ張りといいますか、なかなか、いや、うちのほうはやるけれども向こうはやらないとか、そういう調整がありまして、現実にそういう災害を直そうというような状況ではなかったわけですね。この点について、早急にやらなければならないと思いますけれども、いかがですか。
  225. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  先生の御指摘どおりでございまして、当省といたしましても、国鉄当局と協議を終えまして、来年度から着工いたします。
  226. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生御指摘の高田川でございますが、ちょうどこの千種川水系の高田川の橋梁のすぐそばに矢野川橋梁というのがございまして、これは同じ千種川の水系でございまして、これの河川改修が実はことしの十月竣工ですが、非常に近いところで二カ所同時にやりますと、徐行区間が非常に長くなりまして、列車のおくれが非常にひどくなるというので、一カ所ずつやっておりました。  したがいまして、これがことし終わりますので、高田川については建設省と早急に協議いたしまして、協議のととのい次第さっそく着工したい、かように考えております。
  227. 新井彬之

    新井委員 それから、これは厚生省のほうにはまだ正確にお願いをしたいということが出ていないようでございますが、地元としては至急に何とかしなければならないという問題があります。  これは、家島町の国民健康保険の家島診療所というのがあるわけですが、そこの医師の住宅、これは百四平方メートル、それから看護婦宿舎六十一平方メートル、これが今回の山津波によって全部流されてしまったわけですね。したがいまして、どうしてもそういう宿舎とか施設がなければ、いまなかなか、そういう家島とかあるいは過疎地域におきましてはお医者さんが来てくれない、こういうことで非常に苦慮いたしておるわけでございますが、こういう問題におきましても、国庫補助金の交付というものを当然してあげなければならないと思いますが、この件についてはいかがですか。
  228. 下村健

    ○下村説明員 お答えいたします。  ただいま先生お話しになりました問題については、お話のとおりでございまして、やはり僻地のようなところでは、医師の住宅とか看護婦の宿舎というものが不可欠の問題になってくるわけでございます。ただし、家島町の問題につきましては、実は休止中というふうなことになっておりまして、このようなケースにつきましては、ケース・バイ・ケースで弾力的な取り扱いをいたしておるわけでございます。  目下、私どものほうから具体的な復旧計画と、それから今後の運営方針について地元の町のほうに照会をいたしておりますので、それが出てまいりました段階で、慎重に検討いたしまして取りきめたいというふうに考えております。
  229. 新井彬之

    新井委員 それから、今回相生市等におきましても非常に災害を受けたわけでございますが、国道二号線、二百五十号線、あるいは県道相生——山崎線、それが災害に伴いまして、国道も、一部といいますか、路肩がくずれたために非常に停滞をしたわけです。  したがいまして、そういうような道路の問題、こういうことについて、この前視察等をいただいたわけでございますが、どのようにお考えになっておるか、お伺いしておきたいと思います。
  230. 田原隆

    ○田原説明員 一般国道の二号線につきましては、相生市若狭野地区におきまして七月六日に災害が発生しておりますが、一時通行どめとなりましたけれども、当該国道の重要性にかんがみまして、直轄道路災害として緊急復旧工事を実施いたしてまいりました。七月十三日夜半に二車線に復旧いたしました。  なお、この本復旧については、関係機関と協議の上に早急に着手する予定で考えております。  それから二百五十号線その他の県の工事につきましては、緊急個所につきましては応急的な工事をやっておりますが、査定の準備ができ次第に現地の査定を行ない、必要な予算措置を行ないまして、緊要なものから順次すみやかに着手していく予定でございます。
  231. 新井彬之

    新井委員 また、今回の未改修河川早期改修、こういうことでいろいろありますが、相生市とか赤穂市におきましては、あるいはまた今回淡路地区におきましても非常な災害をこうむったわけでございますが、これは先ほどから申しておりますように、非常に緊急を要するという問題です。したがいまして、一般河川とは別にこれをやっていただきたいということがあるわけです。  それから、もう一つ一般住宅について、この被災住宅の復興に対する助成制度でございますけれども、住宅金融公庫による災害復興住宅資金の貸し付けが受けられるようにしていただきたい。また、早急に大臣が指定するとともに、建設費の実情に見合う額を融資するように貸し付け限度額の引き上げ措置を願いたいということが出ておるわけでございますが、これも現実にその災害地に行きまして、さっきも個人の方の問題が出ておりましたけれども、それはもう確かに切実な問題でございます。したがいまして、当然こういうことは、貸し付けでございますのでできるのではないか、こういうぐあいに思うわけでございますけれども、さっきの問題とこの問題とをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  232. 増岡康治

    ○増岡説明員 先生の最初のおことばに御答弁申し上げます。  普通河川により今回災害にやられたところを重点にやれとおっしゃいますが、そのとおりでございまして、今回の災害を受けた川については、重点的に施行してまいるつもりでございます。
  233. 横手正

    ○横手説明員 住宅に対する資金対策でございますが、災害復興住宅資金の貸し付け、これを行なえるよう見通しもついておりますので、住宅金融公庫のほうへも、先生のお話の趣旨は伝えておきたいと思います。
  234. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次に、瀬野栄次郎君。
  235. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和四十九年台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害対策について、西村国土庁長官並びに関係各当局に質問いたします。  まず最初に、今次災害でとうとい生命をなくされた多くの犠牲者の皆さまに、つつしんで哀悼の意をささげるとともに、負傷された皆さまの一日も早い御全快を、心からお祈り申し上げる次第でございます。  国土庁長官官房災害対策室並びに中央防災会議事務局が行なった七月三十一日十八時現在の調査によれば、三十二市三区二十九町二村、六十六団体に被害が及び、死者百三十四名、行くえ不明二名、負傷百九十九名、罹災世帯数が八万五千五百六十八世帯、罹災者数三十万二千九百二十八人となっておりまして、施設関係等被害額は三千五百六億八百六十七万三千円という膨大な大災害になっておるわけでございます。  今次災害について、一日も早い対策が必要であることは、もう言うまでもありません。政府機関も現在調査を行なっておられますけれども、緊急査定あるいは災害査定等について、応急対策を含めて設計、工事、着工等一連のスケジュールはどうなっておるのか、現在見通しをどういうふうに立てておられるのか、その点、まず最初にお伺いしたいのであります。
  236. 横手正

    ○横手説明員 各省におきましては、災害後直ちに関係係官が現地に派遣されております。また、各省ごとにそれぞれ査定の計画を立てて早急にこの実施に当たる、こういうことでございまして、おおむね八月中、下旬ごろから九月初めにかけてそうした査定が行なわれる、こういう計画になっております。
  237. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今次災害がたいへんな範囲に及び、また、被害額もかなりの激甚災害になっておる関係から、ひとつ急いで工事着工ができるように要望いたしておきます。  そこで、今次災害災害名が、昭和四十九年台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害、こういうふうに名をつけてありますけれども、これはいつからいつまでをこのように言うのか、この期間についてはどういうふうになっておるのか、明確にしていただきたいのです。
  238. 横手正

    ○横手説明員 長官からの災害の報告にもございましたように、今回のつゆ入りは五月二十九日でございまして、つゆ明けは七月二十六日、こういうことでございます。私どもとしましては、この間の期間の梅雨前線にかかる豪雨並びに台風の第八号、これを一括して扱いたい、かように考えております。
  239. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、つゆ明けと普通いわれます七月二十六日、その後に起きた災害等は含まないのか。また、この災害名が、先ほど申したようなことになっておりますけれども、調査の結果で、この災害期間等の関係等から災害名が変わるということもあり得るというふうに私は理解しているのですけれども、その点はどうですか。
  240. 横手正

    ○横手説明員 一応、今回の一連の災害は、その終わりを七月二十六日までと、こういうふうに考えております。したがいまして、台風第八号及び今回の断続した梅雨前線豪雨、この期間は、先ほど申し上げました期間にかかる災害、こういうふうにしてとらえたい、かように思っております。
  241. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国土庁長官にお尋ねしますけれども、先ほど来いろいろ論議してきたところでありますが、災害にはぜひとも激甚災害指定を早急にやっていただきたいというのは、これはもう当然のことであります。大臣のお考えは、弾力的に早急にやっていくというようなお考えのようでありますが、この激甚災害指定の見通しは、大体いつごろと立てておられますか、お伺いしたいのです。
  242. 横手正

    ○横手説明員 今回の一連の災害につきまして、激甚指定関係でございますが、農地等の関係並びに中小企業関係につきましては、おそくとも九月初旬には指定できるように、早急に手続を進めてまいりたいと、かように考えております。  公共土木関係でございますが、これは全国的な激甚の基準には到達しないかと思われますので、これにつきましては別途、関係各省の査定の結果をまちまして局地激甚の指定、この手続を早急に進めてまいりたい、かように考えております。
  243. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省当局にお尋ねしますけれども、天災融資法の発動についても、災害においては当然これは早急に発動していただくことは言うまでもありませんが、この天災融資法の発動については、統計情報部の報告をまって行なうということですけれども、統計情報部の報告はいつごろになるのか。これまた早急にやっていただきたい。この見通しはどうなっているか。  さらに、農業共済金についても、仮払いをすでに指示されたようであるが、これについての見通しはどうなっているか。  この二点について、見通しを簡潔にお答えいただきたい。
  244. 今村宣夫

    ○今村説明員 天災融資法の発動につきましては、今次の災害の特性にかんがみまして、私たちといたしましては、積極的に検討に取り組んでおる次第でございます。統計情報部で被害は現在鋭意取りまとめておるところでありますが、数日を出ずして取りまとめを終わる予定でございます。したがいまして、その方向に従って、私たちとしてもできるだけ早く検討を取り進めるつもりであります。  なお、保険金の仮払いにつきましては、被害状況に応じすみやかに実施をするように、それぞれ通達を発したところでございますので、関係者機関において、そのような方向において仕事を取り進めておるところでございます。
  245. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 自治省にお伺いしますけれども、普通交付税の繰り上げ交付の問題と、災害にかかわる特別交付税の配分の問題でありますが、もう御承知のように、被害市町村は、災害応急対策並びに災害復旧事業等に緊急多額の財政資金を要することは言うまでもありません。そういった意味から十分配慮して、早急に普通交付税の繰り上げ交付、災害にかかわる特別交付税の配分、こういったことを行なっていただきたいというのが、各関係県市町村要望でございます。この点についてのお考えはどうですか。
  246. 大畑耕治

    ○大畑説明員 お答え申し上げます。  さきの七月二十三日におきまして、一たん、該当の市町村につきましては五十五億円を、九月に交付いたします普通交付税を繰り上げ交付いたしておりますが、なお、その後におきましても被害か出ておりますので、現在、第二次の分の被害状況を調べております。これにつきまして、基準に該当いたしますれば、早急に繰り上げ交付を行ないたいと思います。それから、特別交付税につきましては、先ほども御説明いたしましたように、災害復旧事業費とかあるいは被害世帯数とか、そういったものを勘案いたしまして、四十九年度の特別交付税で配慮いたしたいと、かように考えております。
  247. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 西村国土庁長官に、このことについて、さらにお願いかたがたお伺いしますけれども、各関係町村は、公共事業抑制その他によって相当財政圧迫を受けておることはもう御承知のとおりであります。そこへ、こういった災害を受けたわけでございますので、こういった普通交付税の繰り上げ交付、また、災害にかかわる特別交付祝の配分等についても、ひとつ新しくできた国土庁長官として、自治大臣とも十分協議をされて、今後、これらの要望にこたえていただくように施策を講じていただきたいと思うのですが、そのようなことをなさっておられるか、またお考えがあるか、ぜひお願いしたいのですが、その点、御見解を承っておきたいのです。
  248. 西村英一

    ○西村国務大臣 実は、ただいまもあなたから御質問ありましたように、この今回の台風の名称ですね、台風第八号、それと梅雨前線というものを一緒にくっつけたのでございます。まあそれは、厳密にいいますと別々な災害になっておることもありますけれども、くっつけた意味は、思わざる被害を受けた方々がたくさんにありましょうから、なるべく激甚災害にしたいという意味でございまして、この点は、苦心のあるところでございます。  したがって、いま事務当局から申しましたように、梅雨から梅雨が明けたそれまでを一つ災害とみなしてすべての措置をするということにいたしておるのでございまして、非常に思わざること、それでなくても生活がなかなか思うようにいかないのに、思わざる災害を受けたことに対して、政府は十分な措置をしなければならぬという立場に立っていろいろやっておるのでございます。たいへんいろいろな面から災害の給与をするのでございまするから、私のほうでもって、今後は災害の総括をするようになりましたから、それをも含めまして、足らざるところは制度上でも補いたいという気持ちでやっておる次第でございますから、御了承を賜わりたいと思います。
  249. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の制約がありますので、はしょって申し上げますが、建設省に次にお尋ねいたしたいと思います。  七月十七日、災害救助法の適用を受けました熊本県上益城郡御船町の中央を貫流しておる、一級河川御船川の応急的な改修と恒久的改修について建設当局にお尋ねするわけですが、先日もこの件については指摘をしておきましたので、いろいろ御検討いただいているところと思いますが、この地域は、御船町をはじめ嘉島など周辺町村では、昭和二十六年、二十八年、三十八年、四十七年、そして今回四十九年と、たび重なる水害で物心両面に甚大な被害を受けておるところでございます。川自体が短い、しかも短時間の増水に対して流量に限界があるためになかなか水はけが悪い、しかも町の中心部を蛇行しておるところが多い。地元では、加藤清正以来手をつけていない左岸の天然護岸があって、これらが災害のたびに問題化している。地元の方たちは、人災である、しかもおそい河川改修が問題だといって、地域住民はまさに爆発寸前に来ております。  従来、御船川の恒久的な改修については、何回となく当局に要請をしてきたところでありますが、現在、四十八年度で二百万円の調査費、四十九年度で五百万円の調査費がついたということで、遅々として進まず、まさしく文字どおり百年河清を待つというような状態でございます。地域住民の不満、その頂点に達しているというわけでございまして、この御船川の災害の最大の原因に、先ほども申しましたが、次のような四点が指摘されるわけです。  一つには、河床に堆積した土砂が、町を流れている中央部に相当量堆積しております。それでこのしゅんせつが必要である。川幅が約六十メートルございますが、少なくとも右岸、左岸十メートルを残して、中央部四十メートルについて約一メートル以上のしゅんせつをしなければ流量がうまくはけない、こういう状況になっています。  二つには、河川内に十ヘクタール以上の私有地があるわけでございます。この私有地に杉や竹林が点在しております。この杉や竹林の地上物件をまず国で買収して、しかる後、私有地の国による買収を行ない改修せねば根本的な対策とならない、こういうふうにわれわれは考えておりますし、またそのようになっております。  三つには、河川内にある私有家屋五ないし六戸について、ぜひ国で買収し、移転補償をしなければ、これがまた大きな障害になっております。  四番目には、応急護岸工事の実施でありますが、先ほども申しましたように、右岸のほうは一応できておりますけれども、左岸が全然護岸ができておりませんで、天然護岸になっております。この護岸工事を、町を中心として約三キロぐらいやらなければ、これらの災害は根本的に解決できない、こういうふうになっておりまして、このような対策をしないと、抜本的恒久対策にはならないというのが実情で、災害のたびにこの御船川は、あばれん坊として地元のひんしゅくを買っている河川でございます。もちろん、上流のほうは県管理の河川になっておりますが、御船町の若宮神社というところから下流は、国が管轄する一級河川になっておりますので、これに対する建設省の対策、どのように考えておられるか、先日から指摘しておきましたので十分お考えであろうと思うし、また、調査をした上でいろいろ検討をいただくと思いますが、ぜひともひとつこの機会に、徹底的な抜本的な恒久対策を講じていただきたい、かように思うわけでございます。ひとつ明快なる御答弁をいただきたい。
  250. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  先生の御指摘どおり、緑川の支川の御船川は大災害を受けまして、計画洪水量を上回る出水になったわけでございます。  これに関しまして、第一番は、先生のおっしゃいました河床のしゅんせつを早くやれということでございますが、これは直ちに本年度より、他の予算を流用いたしましても実施いたします。  それから、二番目の河川区域の私有地の買収、これについても、直ちに町とともに相談をいたしまして先行買収するなど、いろいろな手を加えまして、これにも手をつける予定でございます。  それから、今回の出水にかんがみまして、いま申し上げました河床の掘さくはもちろんでございますが、洪水時の流下を妨げております立木の伐採も、同時にあわせましてやる予定でございます。  それから、左岸の無堤区間の問題等、今後の問題がございますけれども、来年度以降におきましては、このダム計画も含めまして、全体の計画を確立する覚悟でございます。  以上でございます。
  251. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 河川局長から明快な答弁がございましたが、ぜひひとつ、早急にそれぞれの処置をなさるということでございますので、期待しておりますので、地域住民の不安を除くためにもぜひ早急にやっていただきたい。  護岸の問題については、来年度ダム計画等も考えて行うということでありますが、これは少し早急な対策のようではないようでありますけれども、もちろんダムのこともありましょうが、町の中を流れている左岸について、約三キロ護岸がないために、天然護岸であるために、たいへん地元住民は不安でありますので、これも十分早急に査定をして対策を講じていただくように、重ねてお願いをしておきます。  それからもう一点、この御船川で、これも先日指摘をしておきましたが、御船川の下流の八竜橋付近のカーブカットをしていただきたいということが一つ問題になっております。御承知のように、九州縦貫高速自動車道の——ちょうどこの八竜橋の付近が一番川幅の狭いところで、そこへこの九州縦貫高速自動車道の大きな橋脚がまん中に立っている。これがまた相当流量を妨げる。しかも川幅がここが一番狭いヒョウタンのくびれみたいになっておりまして、しかも湾曲している。こういうことでございますので、これらは設計上から、何というへたなことをやったもの、だろうと、われわれも現地を見て憤慨をしておりますけれども、九州縦貫高速自動車道もぜひ必要でありますし、私たちは、この橋脚が立っておる前後少なくとも約六百メートルぐらいカーブカットをしてやらなければ、せっかく上流改修をしても、下流でまたいわゆる流水の限界を越える状態になりますので、大災害を起こすということになります。この点、十分道路公団とも相談の上、カーブカットを急いでやってもらわなければならぬ。それでなければたいへんな問題になると思う。この点についてはどういうふうに検討しておられるか、御見解をさらに承りたいのであります。
  252. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  いまの個所は、非常に私どもも問題点に考えております。やはり一番出っぱりのところは、本年度からカットしていきたいと考えております。
  253. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 本年度からカーブカットするということでございますので、どうかひとつ、九州縦貫高速自動車道の建設がなされますとまたいろいろ問題も起きますので、早急にひとつ対策をさらにするようにお願いいたしておきます。  次は、厚生省にお伺いしますが、水道施設の災害復旧についてでありますけれども、この問題についても、全国的に水道施設で六億六千三百余万円の被害が起きております。きょうの質疑の中でもこれの指摘がなかったように私、記憶しておりますけれども、実は熊本県の阿蘇山の周辺町村で、特に高森町、久木野村、白水村、蘇陽町等、関係市町村の簡易水道が今回の災害被害を受けて、地元住民はたいへん困っております。これは何といっても生命に関係する問題でございます。  そこで、これの復旧については、地元の財政負担がたいへん困難な状態でございますので、国庫補助によるところの格別の対策をして早急なる復旧をしてもらわなければたいへんである、かように思うわけです。こういった火山地帯においては、ヨナの中から流れてくる水等を飲むと、風土病にかかったりいろいろな問題も起きてまいりますので、何としても簡易水道施設の復旧は焦眉の急務である、かように思っておりますが、厚生省はどういうふうに対策を立てておられるか、御見解はどうであるか、伺いたいのであります。
  254. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  水道施設の災害復旧につきましては、先生のおっしゃるとおり、生活用水を確保するという意味で、施設の復旧は最も緊急を要するものでございます。  水道施設の災害を受けました直後、事故の内容、災害の内容にもよりますが、とりあえず応急的な復旧工事を行ないまして、ただいまのところ何とか生活用水は確保するという状態には持ってきておりますが、私どもといたしましては、この復旧事業につきましては、目下被害の詳しい内容並びに復旧の方法等を調査し、さらにその対策を立てておるところでございます。終了次第直ちに施設の復旧をいたしますし、それに必要な財政措置等につきましても、十分配慮してまいりたいと思います。  一般に、通常の災害になります、軽微な被害を除きまして、災害復旧事業に対しましては二分の一の国庫補助と、さらに残りの起債は、災害債を充当し、所要の財政措置をいたすということにいたしておりますので、被害の内容その他詳細に調べました上で、十分な対策を講じてまいりたいと思っております。
  255. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この簡易水道施設等の被害に対する対策については、財政も考慮した上で早急に復旧するように対策を講ずるということでございますが、この点については生活にかかわる問題でございますので、ぜひひとつ早急に対策を講じていただきたい。また西村国土庁長官としても、こういったことをひとつ十分監督していただいて、こういった問題についても、十分各省間の連絡をとって対策を講じていただくように、重ねてお願いをしておきます。  もう一点お伺いをいたしますが、実はこれは防衛施設庁にお尋ねしますけれども、七月六日の台風八号及び七月十五日から十八日までの豪雨災害で、熊本県上益城郡矢部町にある防衛庁の大矢野原演習場周辺豪雨によって出水し、橋梁流失が十七カ所、河川堤防決壊が大小合わせて九十カ所、砂防堰堤決壊が大小五十三カ所、農業用水の施設が四百八十八カ所、被害額が、農林水産関係で約七億二千万円、公共土木関係が約九億三千七百十四万円という災害でございました。九州山脈の僻地にある矢部町でございますが、このような小さい町としてはかつてない大きな災害を受けておりますけれども、この災害の一因に、大矢野原演習場が問題化しておるわけでございます。  この演習場は、面積が約千八百ヘクタールぐらいございますが、植林をやっても差しつかえないところがたくさん残されております。実際演習場に必要な原野はどのくらいか、われわれはその担当でないので一々これを指摘するわけにまいりませんけれども、従来からの演習の状況その他を見ましても、かなりの面積について植林を行なって一向に差しつかえない、かようにわれわれは思うわけでございます。このような膨大な面積の中で、要造林地が植林が行なわれますと、災害もかなり防げる。一刻も早く造林をしなければ年々災害につながっていくということで、地元の不安はつのっておるわけでございます。今次災害のように集中豪雨がありますと、一時に出水をして地域住民被害をもたらし、不安を与えて、これまた演習場に対してたいへんな攻撃をしております。地元の町長はじめ議会からも当局には陳情をいたしたところでありますが、自衛隊としても、国民に愛される自衛隊ということで、たいへん国民に対してPRをしておられるところでありますけれども、このようなことでは、愛されるどころか、まさに批判を受ける自衛隊ということで、地元ではけしからぬと、こういうふうに言っているわけです。  そこで、防衛施設庁において、地元要望にこたえて、まず一つは、演習を減らしていただきたいという強い要望がございます。二つには、早急に計画を立てて植林を行なう、それを明らかにしていただきたい、こういうことが強い要請となっておりますけれども、防衛施設庁としては、これら地域住民の要請にこたえてどのようにお考えであるか。今回、災害があったのであるから、特別こういったことについての配慮をお願いしたい、かように思うわけですが、その点についてのお考えをお聞きしたい。すでに去る七月二十五日でしたか、われわれが指摘した時点で二名の係官を現地に派遣したように聞いておりますが、現地へ行ってすでに調査を終えて帰っておられると思うが、その点もあわせて御報告かたがた質問に答えていただきたい、かように思います。
  256. 宇都信義

    ○宇都説明員 ただいまの御質問に御説明いたします。  大矢野原演習場は昭和三十二年から自衛隊の演習場として使用してきておりますが、防衛施設庁では、実弾射撃演習あるいは戦車の走行等による場内の荒廃というものを考慮しまして、被害が演習場の外に及ばないように、昭和三十七年から障害防止対策事業を実施してきております。いま先生の御質問の植林事業でございますが、演習場の運用と植林あるいは障害防止対策事業、そういうもののかね合いから、十分に検討していきたいというふうに考えております。
  257. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それだけではどうもぴんとこないんだが、植林事業並びに障害防止対策事業を十分に検討していきたいというのですが、これはぜひひとつやってもらわなければいかぬわけだが、当面計画は何もないのですか。いま計画を立てておられるのですか。また、立てておるとすればどういうようなことになっているか。もうちょっと具体的におっしゃらぬと、そんな答弁ではなかなか納得できませんぞ。
  258. 宇都信義

    ○宇都説明員 演習場周辺の植林事業につきましては、一部の演習場におきまして実施してきた例がございますが、目下施設庁としまして、全国的に演習場の植林事業を検討しております。大矢野原演習場についても、そういう全体計画の中で処理していきたいというふうに考えております。
  259. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたので、国土庁長官に最後にお伺いします。  いまの問題ですけれども、いろいろお聞きしたいことがあるけれども、時間がございませんので、全国的な問題であると思いますけれども、いま申しましたように、矢部町に千八百ヘクタールに及ぶ膨大な大矢野原演習場があるわけです。大臣もあちこち見て御存じかと思いますけれども、どこの演習場も似たようなことでございますが、相当の面積にわたって、演習に差しつかえないところで、植林も十分できる、また植林すべきだと思うところは、かなりの面積あるわけです。これは国土保全上からも、また将来の国土資源の造成の上からも、またあらゆる意味から、地域住民がこういったことに対して重大関心をもって指摘をしているし、従来の演習の状況から見ても、演習を少し減らしていただきたいとか、また演習場自体相当植林の可能なところがある。こういったところを、いわゆる防衛庁の施設庁関係であるからといって、民間は一生懸命植林事業にいそしんで造成をやっておるのに、国のこういった施設が、ぽつんと広大な面積が造林もせずに残っている。私は、何も演習するまん中にまで造林をせよとは言わない。必要な分は残されてけっこうであるが、大矢野原演習場を見ますと、全国的な演習場に対する、国土資源の培養または自然を育成していく、そしてまた国土を保全していくという意味からも、災害防止の上からも重大な問題であるので、こういった演習場の植林については総点検をして、こういった金は十分五十年度の予算にも組んで対策を講ずるように、国土庁としても十分な連絡、打ち合わせをされて推進されるようにお願いしたいと思う。  防衛庁予算は膨大な予算である。その中で、国民に愛される自衛隊というならば、こういった造林なんかは大いにやって、地域住民にこれらが災害の原因にならないように、十分な対策をしていくことは当然のことであると私は思う。そういったことに対して国土庁長官も、いわゆる新進気鋭として今回国民の脚光を浴びて登場されたわけですが、こういったことについてはひとつ真剣に手を打って、国民の要請にこたえていただくようにお願いしたい、かように思うのです。長官の決意のほどを承りたい。
  260. 西村英一

    ○西村国務大臣 新進気鋭ではございませんし、担当はもちろん防衛施設庁でございます。しかし、先生の御要望、十分わかるわけでございます。私もその御意見には賛成でございます。  国土保全のために植林をやる、これは、この件は防衛庁の仕事ではございまするが、国全体として見れば、当然私もまた御要望を承った以上は、関心を持たざるを得ないのでございまするから、防衛庁等々もまたいろいろお話もございましょうから、十分御要望は承っておきたいと思います。
  261. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国土庁長官の今後の施策に期待をしまして、以上で、時間が参りましたので、質問を終わらしていだきます。
  262. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 次に、高橋繁君。
  263. 高橋繁

    高橋(繁)委員 最初に、気象庁に質問をいたしたいのですが、今回の七夕集中豪雨、確かに大雨注意警報は出されておりました。ところが、局部的にあれだけの記録破りの集中豪雨があったということは、だれも予想しなかったし、一応大雨が来るということで警戒体制はしいておったのですが、そうした局部的な集中豪雨に対する予報観測ということでそういうことがわからなかったのか、あるいはそういう観測体制にまだ不備があるのか、そういう点をお聞きをいたしたいと思います。  世界的に異常気象、寒波、干ばつが起こっているが、わが国のように、いわゆる寒気と暖気の隣合っている地域では、気象庁でも、こうした大雨集中豪雨が集中するということは警告をされております。  そういうことから関連をされて、こうした四十年来の、あるいは地域によっては気象台始まって以来とか、小豆島のように何百年以来のことであるというようなことで、たいへんな集中豪雨でありますが、そういった点について、気象庁としてはどういうようにお考えになっておりますか、まず最初にお答えをいただきたい。
  264. 越智彊

    越智説明員 お答え申し上げます。  先生の最初の御質問、今回の異常な集中豪雨に対して、予報体制その他いかんということでございますが、集中豪雨といいますのは、きわめて短時間に狭い地域に集中して降る、そのために、いつどこでどのぐらいの雨量があるのかということを的確に予報することは、非常にむずかしいことであります。  しかしながら、気象庁としましては、昭和四十六年の七月の兵庫県相生の豪雨を契機といたしまして、積極的に集中豪雨の予報をするんだという体制をとりまして、たとえば集中豪雨予報対策要綱におきましては、大雨が降るとすればどの辺で降るのかという大雨ポテンシャル予報、そういったものを開発しております。  それから、レーダーでもって刻々と雨雲の成長を見るという重要エコーの速度体制、そういったものもその後やっております。  それから、あといよいよ注意報とか大雨警報を出しますその基準は、従来は二十四時間雨量でやっておりましたけれども、現在では、さらに短時間で降るということから、一時間とかあるいは三時間という短時間雨量の基準もつくって鋭意努力はいたしております。  しかしながら、なかなか事前に予報するということはむずかしいもので、雨量の速報体制、つまり一般にAMeDASといわれております地域気象観測網も、ことしの十一月からは正式に運用になる。そういったことから、だんだんと集中豪雨の注意報、警報というものも次第に早く的確に出したい、そういうふうに考えている次第であります。  なお、今回の集中豪雨小豆島とか静岡県、神奈川県にありましたけれども、一応は気象庁としてもできるだけの努力をして、ああいうような時間に出したというように考えていただきたいと思います。  なお、先生の第二の質問は、現在世界的な異常天候といわれている、これに今回の大きな集中豪雨がどういった関係があるかということだと思いますが、いわゆる世界的な異常天候あるいは異常気象といいますのは、気候変動に関連して統計的に調べた結果いわれていることであります。で、そういった気候変動の立場からいえば、異常気象は起こりやすくなっているということは言えます。しかしながら、今回のような台風八号とそれから梅雨前線活動に伴った集中豪雨といったような、一つ一つの個々の異常気象については、直接それを結びつけるということは、ちょっと困難じゃないかと思います。  したがいまして、そういった統計的な立場での世界の異常天候と今回の集中豪雨のような個々の異常気象というものは、直接に結びつけるということは、ちょっとむずかしいのじゃないかというような考え方を、気象庁ではいまとっております。  以上でございます。
  265. 高橋繁

    高橋(繁)委員 いわゆる観測体制の強化あるいは研究体制の充実ということによって、将来そうした集中豪雨等についても予報のある程度観測ができる、このように理解してよろしいですか。
  266. 越智彊

    越智説明員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃるとおりに、できるだけ努力いたしまして、的確な注意報、警報を早目に出すように努力したいと思います。
  267. 高橋繁

    高橋(繁)委員 今後ひとつ努力をしていただきたい。  それから、国土庁長官でもあるいはそのほかの方でもけっこうですが、今回の災害について激甚災害指定の基準の問題でありますが、非常に特徴を持った今回の災害でありますので、こういう点について私は要望し、あるいは考えていただきたいということを申し上げるわけです。  まず第一点は、激甚災害指定基準等について、たとえば、激甚災害法によるいわゆる本激甚と局地激甚との間に、県単位による激甚災害を設けることはできないか。たとえば、一都道府県の公共土木施設災害復旧事業費が、当該都道府県の標準税収入の〇・一倍をこえるとき、または都道府県内の市町村の公共土木施設災害復旧事業費の合計額が、都道府県内の全市町村の標準税収入の総額の〇・一倍をこえるときには、都道府県を激甚災を受けた都道府県として指定をする、また都道府県及び都道府県内の市町村を、激甚災害による特別の財政援助の対象にするということができないか。  それからもう一つは、公共土木施設災害復旧事業費の対象事業の拡大であります。現在、河川、海岸、砂防設備あるいは道路、港湾、漁港というようなものに指定がされておりますが、そのほかに公立の医療機関であるとか、あるいは交通の安全施設、その他あげればたくさんありますが、上水道の施設であるとか、あるいは社会教育の施設等々、土木施設災害復旧事業等の対象事業を拡大するお考えはないかどうか。  それから三番目は、特別財政援助算定方式、これを実情に即しまして、現行の政令の第一条の規定による特定地方公共団体の適用条件、普通地方公共団体では足切り条件といっておりますが、これを撤廃されたい。その算定方式は、例を申し上げれば、地方負担が標準税収入のゼロから百分の五十までを百分の六十とかいうように、そうした算定方式を改正するとともに、その足切り条件を撤廃をされたい。  この三つについて、激甚災害指定にからんで、考え方をまずお聞きをしたいと思います。
  268. 横手正

    ○横手説明員 激甚の指定基準、特に公共土木関係の指定基準のことだと存じます。  第一の県単位に新たに基準を設けたらどうか、こういう御趣旨のようでございます。ただ現在までのところ、当初は全国的な激甚の指定基準を定めまして、その後非常に局地的な激甚災害も見られるというようなところから、市町村単位と申しましょうか、いわゆる局地激甚の基準が定められたわけでございまして、必要のつどこうした基準については検討を加えてまいっておりますが、いまの段階では、県段階に新たに基準を設けるということについては、一つの御提案として承りまして、私ども検討してまいりたい、かように存じます。  対象事業の拡大の面でございますが、もうすでに先生御承知のように、相当範囲のものが公共土木関連に関連さして、地方団体に対する財政援助のかさ上げが行なわれておるわけでございます。ほとんどのものが入っていようかと思いますが、先生御指摘のような事業、これについてまで含めることにつきましては、今後検討さしていただきたい、かように存じます。  三番目が、政令の第一条にありますいわゆる一〇%、二〇%の足切りの点でございます。公共土木関係につきましてこうした激甚災害の仕組みがとられましたのは、財政力に比しまして非常に災害が大きな地方団体に対して、何とかその負担の緩和をはかろう、こういう趣旨から設けられたわけでございます。そうした趣旨等から考え、その他の災害を受けた地方団体との均衡、こうしたものもあわせ考えますと、こうした一〇%、二〇%程度の足切りは、やはり必要なのではなかろうかというふうに考えております。  なお、今回の災害に関連しまして、いろいろ激甚指定の基準の再検討につきまして、地方団体その他各方面から要望が出ておるところでございまして、私どもとしましては、関係省庁と十分連絡をしながら、こうした基準が適当であるかどうか一応見直し的なことはやってまいりたい、かように考えております。
  269. 高橋繁

    高橋(繁)委員 ここで結論が出ないとは思います。特に静岡県の場合、全県的に今度の災害を受けておるものですから、そういう一つの提案を私、いたしたわけでありますが、どうか財政規模の小さい市町村等についても、その足切りの問題も、あわせてひとつ検討をしていただきたいと思います。  今回の災害の特徴は、朝来からいろいろ意見が出されております。一つ災害復旧事業の事前着工の承認についてでありますが、特に二次災害ということを考えますと、緊急にやらなければならない事業が、特にがけくずれ等についてあるわけです。これはけさからのお答えでもありますが、早急に検討するというような長官のお答えもありました。  問題は、緊急事業もあわせて、災害復旧事業の査定官の問題です。特に今回の全国的な規模に広がっての災害でありますと、いま建設省にあります査定官の数はたしか二十八名ですか、その二十八名の査定官で今回の災害を査定するということはなかなかたいへんで、災害を査定するのにかなりの時間がかかる、こう思います。したがって、こうした場合に、定員があるだろうと思うが、ひとつ臨時にその査定官を任命していただいて、その災害復旧事業の、特に緊急を要する場合については、早急な手が打てないものかどうか、この問題についてお聞きをいたします。
  270. 増岡康治

    ○増岡説明員 お答えいたします。  先生いまおっしゃいましたとおり、二十八名の災害査定官を持っておりますが、実際には防災課に十名でございまして、あとの十名は、本省の各局のいろいろな専門の方にお願いしておるわけでございます。あとの残りの八名は、地方建設局に一名ずつ置いてございます。これは本年度からでございまして、新しい制度でございます。  なお、四十九年度現在五百七名の検査官というものを併任しております。検査官と申しますのは、査定にあたりまして、災害査定官とともに災害の規模に応じまして必要な検査の補助をするわけでございまして、これも大切なポストでございますが、五百七名おるわけでございます。そういうことで、現在はこういう人たちが現地に行きまして、応急工法の指導や事前工法の協議等をやって災害復旧工事が一日も早くやれるように努力しておるわけでございます。  なお、これを、人の問題と、さらに事務的簡素化をはかろうということで、本年度から災害査定事務の合理化、簡素化の問題の中で、少額の災害個所についての問題、申請設計書だとかそういうような問題に、抜本的な簡素化をはかったつもりでございます。  なお、この問題につきましては、本日防災課長が参っておりますので、補足説明をさしていただきたいと思います。
  271. 田原隆

    ○田原説明員 ただいま河川局長から御説明ございましたように、防災課に査定官が十名おりまして、このほかに、在来十名の査定官が併任できるという省令定数がございましたが、本年度から改正されまして、このほかに地方建設局に一名ずつ置いて、計二十八名置けるようになっております。この二十八名の下に、先ほど河川局長から御説明ありましたように、防災課の係長等で三十名程度、それから地方建設局に五百七名程度の検査官を併任いたしております。検査官が実質の検査をして回りまして、それを後ほど総括的に査定官が査定するわけでございますが、こういう体制で臨んでおりますので、人員的にはただいま、ことしの災害程度ではまずまずであろうと考えております。  さらに、いろいろ制度上に改善を加えまして、受検側の査定の設計書の簡素化、それから見るほうの査定官が、それをすばやく見れるような体制にするということで、県工事につきましては百万円以下、市町村工事につきましては五十万円以下のものを、特定災害と称しまして、これらにつきましては、総合単価というものをことしから初めて使用するようにいたしております。この総合単価と申しますのは、コンピューターを使いまして、コンクリートならコンクリートをもう初めから一立米幾らというような形で出せるようにいたしまして、それに数量をぶっかければすぐ工事費が出るというようなことで、査定に関する限りは相当大簡素化をはかっております。  そういうふうな制度の合理化と、もう一つは、ちょっとけさほども高鳥先生から出ましたけれども、事前着工と申しまして、これは俗語でございますが、法律的には、負担法施行令の第四条に規定されております応急工事のことでございますが、民生安定上、その他緊急やむを得ないような応急工事に対しましては、査定の前に着工できるという体制をつくっております。  それで、工法に疑義がある場合には、本省に合い議するということで、本省に合い議して直ちに着工できる。それから、工法に疑義がないものについては、もう現場の判断で着工できる。そして着工したものにつきましては、完成しておっても、災害査定のときに現地を見て、そのときの設計書を見て、そして金額を決定するというような方法がとられておりますが、これにつきましても、けさほどの高鳥先生の御質問の中にございましたように、県によってだいぶ運用のやり方がじょうず、へたがございますので、この辺を、もう少し制度的に全般的にながめ直しまして、もうちょっと検討してうまく運用していけば、非常に合理化がはかれると思います。  先ほど申しましたような人員の省令定数の増と、こういう合理化によって、うまくやれると判断しておる次第でございます。
  272. 高橋繁

    高橋(繁)委員 努力なさっておるようでありますから、ひとつ今回の災害についての事前着工も、よろしくお願いいたしたいと思います。  それから、先ほどから申し上げておりますように、今回の災害の特徴として、中小河川改修のおくれや、あるいは林地のがけくずれ、特に民有地における林地のがけくずれが、特につめあとのような形でもう何カ所も落ちているわけですが、そうした民有地における林地のがけくずれに対する資金の援助をしてもらいたいという声がかなりあるわけですが、これについて、林野庁のほうでどんなふうにお考えですか。
  273. 鈴木郁男

    ○鈴木説明員 今回の集中豪雨によりまして、各地に林地崩壊が起こりまして、人家、人命被害を与えましたことは、先生御指摘のとおりでございます。  これらの個所のうち、次期の降雨等によりまして人家、公共施設等に再度災害が及ぶおそれのある個所につきましては、全額国県費で、緊急治山事業によりまして早急に復旧を行なうこととしまして、今回の分につきましても、各県とも計画を終わりまして、林野庁の審査を終わりまして、財政当局と打ち合わせまして、早急に着手するというぐあいにいたしております。  なお、この緊急治山事業でございますが、一定の採択条件がございまして、たとえば人家が十戸以上とか、あるいは公共施設がある場合とか一定の条件がございますが、これに当てはまらない場合におきましては、人家の裏山等の小崩壊、これらにつきましては、この災害が激甚災に指定をされました場合は、林地崩壊防止事業によりまして、国が二分の一の補助をいたしまして復旧してまいるというぐあいにいたしております。
  274. 高橋繁

    高橋(繁)委員 採択の基準でありますが、十戸以上とか公共施設がある場合ということでありますが、そのがけくずれの大小は関係ありませんか、幅が何メートルとか。
  275. 鈴木郁男

    ○鈴木説明員 大小は関係ございませんが、一カ所の工事費が、緊急治山の場合は八十万以上、それから林地崩壊防止事業の場合は三十万以上ということにいたしております。
  276. 高橋繁

    高橋(繁)委員 やはり建設省にお伺いをしたいのですけれども、今度の災害で、これははたして建設省の監督下にあるかどうかよくわかりませんが、静岡県の富士地区昭和第一放水路というのがある。この第一放水路の門が、実はその鎖がくさっておりまして上げることもできない。水がたまってくるというので、とうとうダイナマイトで爆破してやっと水を流した。それがかなりおそくなったものですから、かなりの農地や人家に浸水を来たしました。  そういう問題、あるいは沼津の江川ポンプ場、これは昨年建設省でりっぱなものをつくってくれた、たいへんりっぱなものであります。吸水量もたくさんありまして、確かに今回このポンプ場が動いたわけでありますが、そのポンプに至る運河といいますか、川といいますか、これが小さいものですから、とてもポンプにはかし切れないほど水がこないわけです。ところが上部ではもう浸水をしておる。りっぱなポンプ場をつくっても、それに至る河川なり運河を改修しなければ、何の効果もあらわさない。  また、もう一つの浪人川というポンプ場は、これは管理人の人が多少おそくなったというような話も地元ではありますけれども、今回の雨量について実際ははかし切れない。記録破りの雨量ですから、そこまで計算に入れてつくってなかったのではないかと思います。  そういういろいろな問題が、富士地区昭和第一放水路あるいはポンプ場について出てきているわけですが、それらについて建設省の考えている、あるいは今後の処置についてお答えをいただきたい。
  277. 福澤達一

    ○福澤説明員 ただいまの先生の、沼川の富士地区の問題についてお答えしたいと思います。実は、これは急なお話なものですから、私のほう、実態を十分心得てはおりませんが、確かに沼川の排水事業と申しますのは、戦前から農林省で排水事業としてやりました。おそらく昭和八、九年ぐらいに着工したものだと思います。したがいまして、その水門そのものも相当老朽化して、当然改修しなければならない時期になっておると思いますし、その間にありまして、おそらくその施工した排水路そのものが法定河川、二級河川としての認定を受けたというような経緯もあるのじゃないかと思います。  したがいまして、その間における管理の問題について、先生御指摘ありましたように、不明確な点が確かにあるように受けとめます。実態は十分把握しておりませんので、あまりに軽々しい発言はできませんけれども、その地域は、おそらく先生も御承知と思いますけれども、河口閉塞などを起こしまして低湿地になっておる地域でございますので、農林省といたしましては、現在湛水防除などによりまして新しくその体制を整備させよう、こういう計画のもとに、いま湛水防除事業というものを取り上げようとしております。  したがいまして、私のほうは実態を十分調査いたしまして、それに基づいて御要望に沿うように処置をしてまいりたいと思いますし、もし現在、私のお答えした中で誤りがありましたら、後日あらためて先生のほうに御説明申し上げたいと思います。御了承願いたいと思います。
  278. 増岡康治

    ○増岡説明員 二番目のポンプの問題についてお答え申し上げます。  江川のポンプにつきましては、先生御指摘の上おりでありまして、ポンプだけは直轄河川工事で昨年完成したわけでございますけれども、今回の出水に際しましては、ポンプのほうが能力がありまして、集まってくる集水量が少ないという、まことにどうもお恥ずかしい問題ではございますけれども……。  これはいろいろ考えてみますと、江川改修工重は補助河川改修事業でございまして、これが四十七年度より促進中でございましたけれども、市街地のために非常に用地が困難しております。もう用地さえうまくいければうまくいくところでございました。なお、これにつきましては、用地の先行による一括買収という形を県と市の間でいま検討しておりますので、国としてもよく指導いたしたいと思っておるわけでございます。  それから、その次の浪人川のはんらんの問題でございますけれども、今回の原因が、先生御承知の、合流点のポンプ場の約五百メートル上流にあります市道で相生橋という橋がございますか、これが落ちたために、流木がせきとめられる、それで上流部はんらんする、こういうようなことでございまして、ポンプそのものは正常に動いたという例でございます。  いずれにいたしましても、問題がいろいろございます。こういうことのないように、関連のいろいろな問題を総合的にひとつ検討させていただきまして、今後適切な処置をとっていきたいと思います。
  279. 高橋繁

    高橋(繁)委員 あと二点だけで終わりますから……。  自治省にお伺いしますが、今度の災害についての減免の問題ですが、たとえば、中小企業の所得あるいは農業所得について差があるわけですね。たとえば二百万円以下の場合に、中小企業の場合は五〇%の減免、農業所得の場合一〇〇%減免されるわけです。三百万円以下の場合は、中小企業の場合が二五%、農業所得は四〇%。これは中小企業の経営者と農家にとってたいへんな差があるわけですが、特に市街地におけるそうした税金の非常な不公平な減免措置のように思いますが、これはどんな問題ですか。
  280. 福島深

    ○福島説明員 災害がありました場合の減免措置につきましては、三十九年に次官通達をもちまして、一応の基準を示しているわけでございます。  ただいま先生の御指摘の趣旨が、必ずしも私そのとおりだとは思っていないわけでございますが、御案内のように、事業税につきましては、これは農業課税はございませんので、そのようないわゆる個人の事業者に対しましての減免措置がとられておるわけでございます。それから、住民税につきましては、これは農業者につきましてもあるいは中小企業者につきましても、同じような所得課税ということでございますから、課税があるわけでございますが、その基準は、住宅だとかあるいは家財道具について災害があった場合の扱いは、中小企業者もあるいは農業者も全く同じ扱いになっているわけでございます。ただ、冷害だとか、それから霜の害だとか、あるいは干ばつだとかそういう害であって、住宅だとか家財に全然影響のないような特殊な災害というものが、農業の場合には考えられるわけでございまして、その場合には、農業プロパーの問題といたしまして、特に軽減または免除の規定を設けておるということになっているわけでございますから、災害につきまして、特に中小企業者よりも農家のほうが有利になっているとかなんとか、そういうことではないというふうに考えておるわけでございます。
  281. 高橋繁

    高橋(繁)委員 私の調査がまだ不十分かもしれませんが、またあとでお尋ねします。  最後に、長官にお伺いいたしますが、中央には中央防災会議地方には地方防災会議があります。それで防災計画もせっかくりっぱなものができておりますが、いざ災害になると、何の役にも立っておらないというのが現状です。  たとえば、小学校が避難場所になっておる。だけれども、実際行けば、小学校のかぎがあかない。だれがかぎを持っているかといって一生懸命さがして、二時間も三時間も四時間もだってからやっと学校があくという状態で、その地域防災計画なるものが、実情に即していない、単なる机上の計画にすぎない。これは今回の災害についてもあるいは南伊豆沖の地震についても言えることであります。せっかく国土庁ができたこの機会に、地方にそうした指導を的確にひとつなされて、実情に即した防災計画というものができるように、長官から厳重な指導をしていただきたい、このように考えますが、お考えのほどをお聞きいたします。
  282. 西村英一

    ○西村国務大臣 いずれにいたしましても、一生懸命防止をやりましても、今後も災害はやはり起こると思いますから、私は、さいぜん気象庁のお話もございましたが、気象観測及び通報等は、昔から相当進歩したと思っております。これは気象庁の職員の努力でございましょう。  しかし、それなら末端の状況がどうか。集中豪雨が降っても、三十分降って直ちにがけくずれが起こるものじゃない。がけくずれが起こるのには、相当に時間的経過があるわけでございますから、やはりこのがけくずれで危険な個所の方々は、相当にみずから警備体制をとる、通報、周知体制をとるというようなことも含めて、いまおっしゃられましたように、さあというときには役立たぬじゃないか、こういうようなことも多々あるかと思いまするが、十分総合的に連絡をとりまして、人命の損傷がないように、ひとつ万全の措置を国土庁としては研究していきたい、かように思っておる次第でございますので、御了承を賜わりたいと思います。
  283. 金丸徳重

    金丸(徳)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十七分散会