○土井
委員 諸外国の例もひとつ
参考にしながらということをおっしゃいましたが、肝心かなめは、わが
日本の事情であります。諸外国の例とおっしゃるのなら、近い
一つの
参考資料はあることはある。それはどういう
参考資料かと申し上げれば、ニューヨーク港外に埋め立て空港を建設しようとして、しかし、その
計画はさたやみになりました。かなり具体的に
計画を組んで、具体的に着工するまでいっていたけれ
ども、それがとりやめになったんです。なぜか、これはやはり航空機の騒音や
排気ガスの問題はもとより、あのニューヨーク港外に埋め立てで空港を建設することが、あの海域に及ぼす
影響が絶大だと
考えたから、やめたんですよ。諸外国のいろいろな事例を
参考にしなければならない
参考の
一つに、それがございます。
しかし、忘れられてならないのは、わが国の事情でございまして、特にあの海域は、
大臣御承知のとおり、瀬戸内海
環境保全臨時
措置法の対象になっている海域なんです。この五月に、瀬戸内海
環境保全審議会では、埋め立てに対してきびしい
規制を行なうというはっきりした
姿勢を出しています。特に泉南沖は、泉南沖のみならず
大阪湾、さらには播磨灘、ずっと一帯瀬戸内海に及ぼす
影響が大きいということを
大臣御自身もよく御承知のとおりであります。その場所で、最終的にはどれだけの規模の埋め立てになるか、まだはっきりわからない
段階でいろいろと御理解もいただき、
説明もいたしたいとおっしゃるのが、私はふしぎでならないのです。
内閣の閣議に対しては、これをすでに御報告になったのでありましょうか。また、いろいろ地元に対する
説明資料というものは御準備なすったのでありましょうか。私は、答申を尊重したいとおっしゃる
大臣の御
態度にも、いろいろな答申の尊重のしかたがあろうと思うのです。答申をそのまま受けて、あいまいなところは、あいまいなままで、
計画に対しても、具体的でないところは具体的でないままで、ゴリ押しをする尊重のしかたもあれば、もう一度これは基本的に
考え直さなければならないという尊重のしかたもあろうと思うのですよ。しかし、後者の
立場をとるならば、報告にしたって
説明にしたって、これは時間をかけなければなりません。スピーディーにやることがベストとは絶対いえない。むしろ、こういう問題に対して忘れられてならないのは、いまの
大阪国際空港を見た限りでもはっきりわかるように、
環境保全であります。いかに
環境を
破壊しないか、いかに地方の住民の生活や健康を守っていくか、このことでございましょう。
ところが、今回のこの答申の中身を見た場合に、その点が欠落しているのですよ。だから、
環境庁は
態度保留ということになっているのです。水産坊もそうであります。気象庁もそうであります。住民の
立場からすれば、最も近くに建設される予定になるという住民の
立場からすれば、空港が建設されて、経済的効率がどうのこうの、経済的発展がどうのこうの、空港の利用がどうのこうのよりも、気にかかるのは、やっぱりいま申し上げた
環境保全の問題であり、健康の問題であり、生活の問題じゃないでしょうか。そういうことからすれば、自分たちの一番
考えている、気にかかる、そういう中身を代弁してくれるはずの
環境庁や水産庁や気象庁というのが
態度を保留にしている答申ですよ。したがって、経済的効率や、経済圏の近くに空港は建設しなければならないという、そういう側面でだけこの問題を理解し、また建設
計画を進められるということに対しては認めるわけには亀かないわけであります。
したがいまして、先ほど申し上げた建議書のまず筆頭に書いてある、各省庁連絡を密にして、政府として一本になって、この空港建設には当たらなければならないという点については、いま申し上げたことからすると、むしろ順序が逆なような答申であります。経済的効率であるとか、いかにこれから空港の需要というものが問題にされるかということが非常に前面に出て、大切に
考えられなければならないその問題が影をひそめている。このことがはっきり納得されない限りは、運輸
大臣、だめなんですよ。したがいまして、この答申を尊重なさるという尊重のしかたについて、運輸
大臣はどういう
姿勢で臨まれるのか、ひとつはっきり御答弁願います。