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1974-11-11 第73回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月十一日(月曜日)     午後一時三十四分開議  出席委員    委員長 勝澤 芳雄君   理事 小此木彦三郎君 理事 斉藤滋与史君    理事 中村 弘海君 理事 野中 英二君    理事 井上  泉君 理事 野坂 浩賢君       奥田 敬和君    片岡 清一君       唐沢俊二郎君    佐藤 守良君       久保 三郎君    紺野与次郎君       沖本 泰幸君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      竹岡 勝美君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       小林 育夫君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     富永 孝雄君         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省船員局長 山上 孝史君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君         運輸省自動車局         参事官     宇津木 巖君         運輸省航空局長 中村 大造君         運輸省航空局技         術部長     中曽  敬君         海上保安庁長官 寺井 久美君         海上保安庁次長 隅  健三君         消防庁長官  佐々木喜久治君         日本国有鉄道常         務理事     山岸 勘六君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君         日本国有鉄道電         気局長     尾関 雅則君         参  考  人         (日本航空株式         会社取締役)  冨田多喜雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  交通安全対策に関する件について、本日、参考人として日本航空株式会社取締役冨田多喜雄君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見聴取は、委員質疑により行ないます。      ————◇—————
  4. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。野中英二君。
  5. 野中英二

    野中委員 きょうは理事会の申し合わせによりまして、たいへん時間を削減されましたので、行けるところまで質問をしよう、こう考えておるわけでございます。  その冒頭に、実は十一月の九日午後一時四十五分ごろ、横浜港東方約八キロの地点中ノ瀬航路において起きましたLPGガスタンカー第十雄洋丸リベリア国籍貨物船パシフィックアリス号との衝突事件について、しかも地球よりも重いといわれる人命を十九柱失い、かつ十四名が行くえ不明となってしまったというこの衝突事件について、現在判明する事故概要について当局から概略説明していただきたい、こう思うわけであります。
  6. 寺井久美

    寺井説明員 ただいま御指摘海難事故概要について御報告申し上げます。  第十雄洋丸は、液化プロパンガスなどを満載いたしましてペルシャ湾のラスタヌラから川崎に向け航行中でございまして、浦賀水道中ノ瀬航路警戒船おりおん号を配備して北上中、十一月九日十三時三十八分ごろ同航路北端付近におきまして、君津からロサンゼルス向け出航中の貨物船パシフィックアリス号右舷前方を横切りの体勢で至近距離に接近してくるのを発見し、後進全速といたしましたが、間に合わずにパシフィックアリス号船首が第十雄洋丸右舷リザーブタンク付近衝突いたしました。  衝突と同時に、第十雄洋丸右舷船首リザーブタンク付近に破口を生じ、積み荷のナフサに引火、両船とも火炎に包まれました。一第十雄洋丸の乗り組み員は出火直後、海中に飛び込み、船外に退避いたしましたが、パシフィックアリス号の乗り組み員の大部分は船内に閉じ込められました。  当時の海上模様は、曇り、北北東の風毎秒五メートル、波浪は二十ないし三十センチメートル、視界は二ないし三キロメートルでございました。  なお、第十雄洋丸は四万三千七百二十三総トン、乗り組み員三十八名、船主は雄洋海運株式会社でございます。パシフィックアリス号は一万八百七十四総トン、二十九名乗り組み、船主リベリアパシフィック・バルクキャリヤー・インコーポレーション、用船主三光汽船株式会社積み荷は当時鋼材を一万四千八百三十五トン積んでおりました。  事故発生いたしますと同時に情報を入手いたしました第三管区海上保安本部は、巡視船二十隻及び航空機三機を現場に急行させ、両船乗り組み員の救助及び消火活動に当たらせました。一方、九日の午後二時十五分には現地に第十雄洋丸パシフィックアリス号海難対策本部を設置いたしまして、海上自衛隊消防機関及び民間船舶の協力を得て、次のような措置をとりました。  まず第一に遭難者救助でございますが、現場に急行いたしました巡視船及び「おりおん」等民間船により、海中に飛び込んだ第十雄洋丸乗り組み員三十三名及びパシフィックアリス号在船中の乗員一名を救助しました。本日十一日十二時現在、両船乗り組み員二十一名の死亡を確認し、十二名が行くえ不明となっております。  消防活動といたしましては、第十雄洋丸巡視船艇及び民間船舶の必死の消防活動にもかかわりませず、猛烈な火勢は衰えを見せないまま大爆発を起こし、当時の風潮流に圧流されまして、横須賀方面に接近いたしました。このままでは付近海岸浅所に乗り上げ、船体火災などにより大災害発生があると懸念されましたため、巡視船及び民間船によりまして、九日の二十三時三十七分木更津沖浅所に曳航座州させ、漂流防止措置をとるとともに、消火活動を続行いたしております。  一方、パシフィックアリス号は第十雄洋丸と同様、火災発生災上しつつ漂流を始めましたが、巡視船艇などによる消火活動により火勢が衰えてまいりましたので、民間曳船興津丸により曳航いたしまして、二十二時四十五分川崎沖錨泊させました。巡視船艇及び民間船舶によります消火活動を続行いたしました結果、十日の十三時五十五分に鎮火いたしております。  三番目といたしまして、入港船舶に対する安全指導関係でございますが、事故情報が入りますと同時に、海上保安庁におきましては、付近通航船舶に対し注意喚起緊急通報を行ない、九日の十八時、第十雄洋丸を中心に半径二海里以内の海域を航行禁止といたしました。  第十雄洋丸の座礁及びパシフィックアリス号錨泊に伴いまして、十日零時中ノ瀬航路を除き、浦賀水道航路航行禁止を解除いたしました。その後第十雄洋丸火勢が衰えましたので、十日十三時航行禁止区域を同船から一海里の区域に縮小し、中ノ瀬航路航行禁止を解除する措置をとりました。  以上が、本海難に関連いたします概況並びに措置概要でございます。
  7. 野中英二

    野中委員 いま海上保安庁長官から概略説明聞いたわけでございますが、しろうとでも考えられる、この事故の摩詞不思議な点は、当時の気象状況から判断いたしまして、こうした事故が起きるであろうというようなことは想像もつかなかったわけでございます。この概況報告によりますと、当時は曇り、北北東の風、毎秒五メートル、波浪二十ないし三十センチメートル、視界は二、三キロメートルであったということから考えますと、この事故原因一体何であったか、その点をひとつお聞かせ願いたい、こう思うわけであります。
  8. 隅健三

    隅説明員 お答えいたします。  この事故が起こりましたのは、中ノ瀬北端のところでございます。ここにおきましては、一つ海上交通安全法によります特殊のルールが一応ございます。また海上衝突予防法という法律もございます。この双方の法律両船が順守する場合には、かかる衝突事故が起こるとは、われわれといたしましても考えられないというふうに思っております。また視程も三キロということでございます。  今回の事故原因は、パ号のほうの船長が死亡いたしております。第十雄洋丸船長は、ただいま目下取り調べ中でございまして、この原因につきましては鋭意海上保安庁第三管区及び横浜保安部において調査中でございますけれども、基本的には、やはり法の順守に欠けるところ、一方あるいは両船ともあったのではないかというふうに考えられます。
  9. 野中英二

    野中委員 いま事故原因は究明中、こういうことでございますが、海上交通安全法に従えば、第十雄洋丸中ノ瀬航路内を運航中、パシフィックアリス号航路内を横切った場合には、当然これはパシフィックアリス号というものが違反をしていた、こういうことがいえるのじゃないか、こう思うわけであります。  もう一つ想定は、第十雄洋丸航路外を、あるいは、または出ようとしていた状態で、パシフィックアリス号航路外を横断していた、こういうふうなことが想定できるのではないか。この場合は海上衝突予防法に従って、当然その決着は第十雄洋丸があやまちであった、こういうことになるわけでございます。  こういう想定の上に立って、いま皆さん方がこの調査をなされていると思うのでありますが、事の善悪は別といたしまして、私も過般交通安全で巡視艇に乗せられて、この浦賀水道を視察したことがございます。海上輸送が非常にふくそうをいたしておるわけでございます。したがって、この安全対策として、私は、当然強制的に東京湾内水先案内をつける。いわゆる横浜港内における、あるいは横須賀における強制的な水先案内をつけるというふうな方法、それを拡大いたしまして、東京湾内は強制的に水先案内をつける、こういうことを考えてみたらどうだろうか。それに対して政務次官答弁ができましたら、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  10. 増岡博之

    増岡説明員 目下のところは水先案内人を乗せるように勧奨いたしておるわけでございますけれども先生指摘のとおり、それを強制化するということが一番最善の策であろうと思いますけれども水先案内人の人数その他のいろんなことがあろうかと思いますので、検討さしていただきたいと思います。
  11. 野中英二

    野中委員 御存じのとおり、この浦賀水道から来まして中ノ瀬航路、そしてこれから出ていくというこの地域は、陸上交通でいうならば、ちょうど交差点のようなものだ、こう私は思うのであります。ここに単にブイを置いているだけ、こういうことで海上運送の安全を期し得ない、期し得ることはできないのじゃないか。いわゆる航空機を誘導する電波であるとか、もう少し近代科学を利用して、海上輸送の安全をはかっていく必要があると思うのですが、そういう点で、海上輸送については科学性を非常に失っているのではないか。ここまで進歩してきた近代科学というものをフルに利用していないのではないか、こういう心配を持っている私は一人であります。それについて今後近代化していくか、そういうお考えがあるかどうか、あるいは試案でもけっこうでありますが、お聞かせ願いたい、こう思います。
  12. 隅健三

    隅説明員 ただいまも先生のおっしゃいましたとおり、中ノ瀬航路北端木更津航路の延長は入り口で交差をいたしております。この間の距離は約三キロメートルございますけれども、われわれといたしましては、木更津港へ入る船、あるいは木更津航路から出て行く船は、この中ノ瀬航路北端から一キロメートルくらいを離して迂回して出るようにという指導をいたしております。この指導につきましては英文その他で工ージェント会、その他にも連絡いたしておりますけれども、今後さらにこの点につきまして指導を徹底するつもりでございます。  なお、この方法一つといたしましては、一キロ先端に航路から一キロ離れておるという目視の航路標識ブイを置くことも一つ方法かと思います。また、先生指摘なさいました電波航法につきましては、いま東京湾で、横浜−観音崎を通しまして、海上保安庁におきまして、ハーバーレーダー、あるいは十六チャンネルを結びましての航行情報センターというものを計画しております。一方、船が聞きます、耳と申しますか、そういう国際VHFの問題、あるいはそれを全部各地点地点で結びます問題、いろいろの問題がございますので、この点を十分早く検討いたしまして、東京湾航行管制を、さらに電子的にも機能を向上さしていきたいというふうに考えております。
  13. 野中英二

    野中委員 ありがとうございました。  続いてちょっと質問しておきますが、この第十雄洋丸には、あとどれくらい重油が積んであるのですか。
  14. 隅健三

    隅説明員 ただいま調査をいたしておりますが、第十雄洋丸バンカーオイル燃料油といたしましては、A重油及びC重油で大体千二百トンが現在船に残っておるという調査をただいまいたしております。
  15. 野中英二

    野中委員 そこで次の質問をいたしますが、この消火活動のために・巡視船及び民間船により九日二十三時三十七分、木更津沖浅瀬に曳航したというふうなことが書いてありますが、一体ここに曳航することが妥当な処置であったかどうか。御存じのとおり、いま説明を聞きますと、A重油C重油を合わせまして千二百トン、もしこれが流出するというふうなことがありましたら、千葉のノリ養殖の漁民に与える影響というものを考えたときに、この処置が適切であったかどうか、その点をひとつお聞かせ願いたい、確かめておきたい、こう思います。
  16. 隅健三

    隅説明員 ただいまの先生の御質問は、曳航座礁したところがいかがだったかということでございます。実は、この二十三時、相当風も出てまいりまして、この第十雄洋丸横須賀のほうへ流されてまいりました。ところが、横須賀付近には、先生御存じのように浅瀬岩礁が点在いたしておりまして、その岩礁に乗り上げましたとき船体折損に伴う大災害、あるいは陸上施設等にも被害が及ぶということが考えられましたので、この木更津沖海岸の底がやわらかい砂でございます、そこで、これに座礁させました。  また、この場所は船舶交通の最も疎なところでございまして、通航船にも影響が少ない、また陸岸からも離れているということでございまして、各種災害が及ばないというふうに考えまして、この地点を選びましたけれども一、なお先生指摘のように、その重油による汚染につきましては、オイルフェンスその他の防除剤対策をもちまして十分なる準備をいたしております。
  17. 野中英二

    野中委員 ぜひ万全を期していただきたいと思います。  それでは、次の質問に入るわけでございますが、この私の質問に対して運輸省答弁できない、こういうことでございましたので、わざわざ日本航空株式会社冨田取締役さんにおいでを願いまして、はなはだ恐縮であります。どうぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。  さて、私は政務次官にもう一度確かめておきたいのでありますが、一体、空の交通安全を守るためにはどうしたらいいか、その基本問題をひとつお尋ねしておきたい。
  18. 増岡博之

    増岡説明員 安全問題は、施設機材、それを運営する人間、そういうものが所期の目的に従って有効に組み合わせられなければならないと思っておるところでございます。いろいろなレーダーその他の電波関係も整備せられておりますし、また飛行機そのもの運航される方に対する運輸省としてのいろいろな基準というものもつくっておるわけでございますけれども、最終的には、やはり航空会社が直接操縦者を使うわけでございますから、そういう人間的な面での運用のよろしきを得る、また運輸省側におきましては、地上の援助施設運用よろしきを得ることが一番大事であると考えております。
  19. 野中英二

    野中委員 いま政務次官から、人と機材のマッチ、こういうことでございましたので、まあ、これで了承しておきましょう。  特に私が聞きたいのは、その人の問題なのであります。いわゆる乗務員の健康を保持していく、そのためには適切なる休養を与えなければならないということも当然のことであります。精神的に、あるいは肉体的にも乗務員の健康を保持していく、これがやはり重要な問題であろうと私は思うわけでございます。  そこで、私が知り得ましたこの機上乗務員資料というものを手にいたしまして、これから日本航空冨田取締役さんにお尋ねをしたいと思うわけであります。  時間がございませんでしたので、全部が全部資料を入手するわけにまいりませんでしたが、国内線における機長Uという人は、飛行時間が十月一日から三十日までの一カ月に六十三時間四十二分、そして勤務時間を合わせますと百二時間三十九分ということになっております。それから太平洋線のほうを見ますと、機長Iという人は、飛行時間が四十六時間十二分、勤務時間が七十一時間五十六分、こういうことになっております。それから中国線の例をとりますと、機長Kさんは飛行時間が五十九時間十分、そして勤務時間が九十四時間十二分ということになっております。これで間違いないでしょうか。
  20. 冨田多喜雄

    冨田参考人 お答えいたします。  ただいま先生指摘資料につきまして、私もはっきりどの人ということは申し上げられませんけれども勤務時間につきましては、組合との間の勤務協約と申しますか、協定がございまして、この中で日間何時間、一日について、二十四時間以内について何時間の飛行時間あるいは勤務時間というような制約がございまして、その以内において勤務割りを、一応原則といたしましては各人公平にというふうにつくっておりますけれども、ただ路線資格等もございますので、操縦士につきましては、なおさらに路線構成等によりまして、ほんとうに平均というか同じような数には時間数がまいりません。それが実態でございます。
  21. 野中英二

    野中委員 法規上は国内線は八時間、国際線におきましては十時間ということになっておりますが、組合との話し合いによっては国内線が最大六時間、国際線が九時間ということになっておるようでございます。  そこで、私が国際線を見ますと、特に中国線でありますが、この中国線帰り操縦する者が行きの飛行機ファーストクラスに乗っていかれる。それを日航のほうでは半分にしか勤務時間として認めていない。一体飛行機の上へ乗っていて、操縦しようと、あるいはしなかろうと、疲労度というものはそう変わりはないと思う。完全にパイロットの健康を守る、休息を与える、こういう立場からいくと、はなはだ好ましくない処置がとられている、私はかように考えているわけでありますが、それはどういう理由でこういうふうなことをやっておられるか。  もし、これを半分に算定しないで、まるまる勤務したということに時間を計算いたしますと、中国線のこのK機長は百三時間十二分ということになります。国内線よりも過重な労働だということになる。しかも、御存じのとおり、この中国線はまだ一カ月しかたたない。こういうふうな状況下において、私は過重な労働を強要しているのじゃないか、こういう感じがするわけでありますが、それはどうしてこういうふうな結果になってきているのか、お聞かせ願いたい、こう思います。
  22. 冨田多喜雄

    冨田参考人 お答えします。  ただいま先生指摘の点は、飛行時間というよりはむしろ勤務時間、その中でも私どもが言っております便乗の時間、これをまるまる勤務時間と見るか見ないかという点だと思います。  私ども先ほども申し上げましたように、労働組合勤務時間の算定というような点については合意いたしまして、そしてその算定方式は用いて半分ということで、この点につきましては給与の対象にもなるということでございます。  ただ、ほんとう勤務についている時間と便乗という時間が同じでいいだろうかという点は、確かに議論の余地があると思いますけれども、一応組合側とのそういう協約に基づきまして、それから私ども運航乗務員勤務につきましては、運航規程、これは会社が申請しまして、航空局からも認められておりますけれども、その範囲で見ますと、一日について十時間の飛行時間、勤務時間は十五時間までということになっております。  そういう面から見ますと、この北京東京間のフライトにおきましては十五時間、あるいはその曜日によって違いますが、五分ほど差がございますが、大体十五時間という範囲でございまして、半分に見ますと十一時間ちょっととか、それから、先ほど申し上げましたように二十四時間以内の勤務時間あるいは飛行時間の制約から申しますと、これがまたこまかくきめてございまして、一日に一つ区間を飛んだ場合には先ほど先生おっしゃられましたように九時間、それから国内線のように短い区間を数回する場合には四回を限度とするというようなふうにございまして、その場合には飛行時間は六時間、勤務時間については十時間、こういうふうにこまかい定めがございまして、その範囲内で運用をしているということでございます。
  23. 野中英二

    野中委員 私は、その答弁に了承ができないのです。なぜならば、朝の九時に大阪を通って上海へおりて北京へ行って、そして折り返し帰ってくる、こういうようなことで、私の言うのは一つの区切りが非常に長い、連続して勤務するということなんです。モスクワ線のごときは途中で交代するわけでしょう。ですから、飛行時間の長いところは途中で交代する。考えてみると、往復だというと相当の時間になるわけです。途中で交代するのだということでございますけれども、乗っていること自体がもう疲れてくる、疲労度を増してくることなんです。ただ操縦かんを持っているか持っていないかだけの差で、こういうことでは交通の安全は期せられない。  どうしても私は、この機上乗務員というものは北京に一泊させるなりして休養をとらして、英気を養わして帰り操縦をやらせるなり、あるいは次の便の操縦をやらせる、こういう仕組みにしていったほうが安全なんじゃないか、こう思います。それに対して冨田取締役さん、どうお考えになりますか。
  24. 冨田多喜雄

    冨田参考人 ただいま先生指摘北京線についてでございますけれども、私どもも普通の路線の場合には、ただいまのように三回上がりおりをした、あるいは二回上がりおりした、そういう制限内において、宿泊可能の地であれば、これは当然宿泊すべきだと考えております。そういう点で、私どももまだ新しい路線が開設されたばかりでありますし、中国の場合に国内事情等もまだはっきりしないというような段階でございますので、いま北京に駐在しております支店長以下に対しまして、その事情等調査と申しますか、調べまして、そしてもちろんCAAC側中国民航側に対しまして、そういう申し入れをしまして、旅館の提供あるいは交通手段提供というようなことについて話し合いを進めなければならないということで、先般も東京からも調査の人を出しまして、北京側上海側の意向を伺ってまいりまして、いろいろ問題点はあるかと思いますけれども、一応宿泊をさせるという線では当初から考えておりましたけれども、いま申し上げましたような事情で時間がかかるということで、やっと東京からの事情調査というのも終わった段階でございますので、今後宿泊という方向で進めるというふうにいま準備中でございます。
  25. 野中英二

    野中委員 いま冨田取締役のほうから宿泊については考慮する、こういう答弁がありましたので、まことにありがたいと思いますが、しからばこれを中国政府と交渉しているやいなや、こういうことになりますと、たいへん私は疑問を抱かざるを得ないわけであります。なぜかならば、私が今度アジア局の次長であります王暁雲さんに会ったときも、日航側からはこういう話はありません、こう答えている。あるいは張香山駐日友好協会の副会長もそう答えております。あるいは秘書長であります孫平化さんもそう答えているわけです。もし日航側から話があるならば、受けて立ってこれを解決したい、こういうことを言っているわけです。  私は帰りに日航の北京支店長の安田君に会いまして、一体おまえ交渉しているのか、こういうことで話をしてきたわけでありますが、日航はそういう意思があるならば、当然正式に申し込んで、この問題を解決していく必要があると私は思うのです。  なお蛇足ではありますけれども、あの路線については、もう少し乗務員の訓練をしなければならぬと私は思う。御存じのとおり、今日有視界飛行などというものは非常事態でなければ考えられないことでありますけれども一体中国の地理というものをほんとうに知っているだろうか、一体おたくに何枚中国の地図があるのかと私は思うくらいで、機長をはじめ中国の地理というものを教えなければならぬ。そういう時間も宿泊している間に教えるべきだと私は思うのです。そうしますと日航のほうでは、やれ送迎用の運転手がチャーターできないからとかなんとかおっしゃられるだろうと思う。しかし、各大使館においても現地人をちゃんと調弁しているわけですから、これは当然できますから、ひとつよく社長とお話し合いになってこの交渉を進めて、とにかく機上乗務員の健康の保持、それが安全に即つながっていくのだ、こういう立場において善処していただきたい、こう思うわけであります。
  26. 冨田多喜雄

    冨田参考人 私どもとしましても、航空の安全という点では最高に配慮をして、努力をしていきたいと考えておりますので、ただいま先生指摘の点につきましては、今後ともそういう方向で進めさせていただきたいと思います。
  27. 野中英二

    野中委員 それでは、これで質問を終わります。
  28. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 次に、久保三郎君。
  29. 久保三郎

    ○久保(三)委員 先ほど保安庁長官から報告がありました第十雄洋丸アリス号衝突事件でありますが、ほかにも御質問をなさる方がありますので簡単に二、三お尋ねします。  一つは、先ほど隅次長は、この事故法律を守っていれば起こらなかった、こういうふうに断定しておりますが、ほんとうにそうだろうか、そういうふうに考えていいのかどうか。それから、もう一つは、法律そのものが守れる状況にあったのか、ないのか、そういう検討はなさっていないのではないかと思う。事故原因の究明について一番大事なのは、そういう点がいままでおろそかになっていることだと思う。  法律は、たとえば衝突予防法は御承知のように、こういうふうに大型、高速化された時代の衝突予防法ではなし、国際的な取りきめではないのです。低速で小型な船、しかも危険物、こういうものを大量に輸送する時代のものではなかった。それから海上交通安全法も、衝突予法法を土台にして組み立てられたものであって、必ずしもそういう点からいくと完全ではないというふうに私は思うのです。もちろん、事件の究明というか、捜査とその決着は現行法律に従って、これは処断するというかきめることだと思うんですね。これはそうだと思う。しかしながら反面、法律に対する反省と検討が全然なされないのでは事故は絶滅できないと思うのです、一つは。そういう点について、どういうふうに考えられているのか。
  30. 隅健三

    隅説明員 先ほど、海上衝突予防法及び海上交通安全法を順守しなかったという御答弁をいたしました。もちろん、この前提には見張りを十分にすること、それから普通の船舶職員、いわゆる船乗りとしての心がまえというものは当然でございますけれども海上交通安全法に定めました航路の出口の問題であるとか、あるいは新しい海上衝突予防法の条文の問題もございます。こういう点につきまして、われわれといたしましても、常に法の検討と申しますか、この事故が、なぜこのように起こったかという原因の究明はもちろん、これに関連しての法律あるいはその他の措置についての検討は十分続けていくつもりでございます。
  31. 久保三郎

    ○久保(三)委員 私から指摘されたので、いまお話しのとおりの答弁だと思うのであります。それまでは気がつかなかったのじゃなかろうかと私は疑っておるのです。ほんとうですよ。大体私はここへ来てこういうものをいただきましたので、あわてて法律と対照し始めたのです。質問の時間になりましたので、十分じゃありませんが、海上衝突予防法、それから海上交通安全法二つ見ても、木更津か君津か知りませんが、千葉県側から出てきた船の動向というものは、これは法律が守れるようになっていたかどうかわかりませんね、一つは。  こまかいことを聞いている時間はございませんが、木更津から出てくる場合は一号ブイというものを目標にして来るのですか。詳細にというわけにはいきませんけれども、具体的に知りたいのは、法律どおりやってきたような形跡があるかどうか。斜めに、これは大体中ノ瀬のほうの出入口のほうに向かっておるのじゃないですか。海上交通安全法によれば、中ノ瀬の航路の右側を通ってはいけないことになっておるのです。そして北を向いて通れ。ところが北を向いて通ってないんだ。一つです。  本来ならば、これはしろうとらしい質問で恐縮だが、そういう法律からいくならば、そのとおりのブイをちゃんと設定しておかなければいかぬわけです。そうすると、そのブイを目当てにして——これはたった一点しかないわけです。ほんとうに規制するならば、二点以上私は必要だと思うのです。しかも、こまかい話は別として、中ノ瀬航路を防護するとするならば、そのまわりをまず第一に防護しなければいかぬ。まわりの防護については何の規制もないんでしょう。一つはそこに問題があるというのです。まわりを防護しないでおいて、ただ七百かそこらの航路を一キロか二キロの間だけ規制しておるんでしょう。これは非常に問題だと思うのです。  それから右側に見たら待避しろ、こういうんだな。ところがこれは、そのとおり雄洋丸がバックをかけたんだろうと思うのだが、間に合わない。ところが別の法律では、左のほうにある船は別な方向をとらなければいかぬわけです。そうでしょう。そういうふうに現場、ちょっとポンチ絵でよくわかりませんが、私はどうもいまのこの法律というようなもののワク内では非常にむずかしい問題が出てくると思うのです。だから、これは一ぺん、部内において検討を始めたらどうかと思います。海上衝突予防法も、これは国際条約でありますけれども、これももはや用に立たない面がありはしないか。  それからもう一つ、積極的には、もっと広げる必要があると思うのですね。危険物を搭載した船についてはどうするかというようなものをも少し法体系の中にきちっと入れる必要がある、私はそういうふうに思うので、これは要望だけにしておきます。時間がありませんから。私もしろうとでありますから、いずれ検討を加えて、御意見も伺う機会もあろうかと思うので、次に行きます。  それから、もう一つは、新聞情報などによりますれば、この中ノ瀬航路の出入口付近事故事故というか、非常に危険視されていたという情報がありますね。これは海上保安庁も、あるいはその関係する人も、そういうふうに思っていた。だから新聞にそういうふうに報じられたと思うのです。なるほど見てみれば、そういうふうに考えるのも当然だと思う。これについて何らの事故防止対策というか、これを講じていなかったと思うのだが、これはどういうことかったとえば航法を設定するとか、速力の規制をするとか通航するところの船舶の制限をするとか、いろんな方法考えるべきだと思うのですね。それが全然やられていなかった。漫然として、どうも出入り口付近の細いところから出てきて、それからまわりから、ここは横断するところですから、京葉から来ればみんな横断して出ていくわけでしょう。そういうところで危険があることは、関係する人はだれもわかるわけです。ところが、いまだにやっていなかったようだけれども、やっていなかったんですか。やっていなかったとするならば、これからどうするのか、その点聞きたい。
  32. 隅健三

    隅説明員 先ほどのお話でございますが、パシフィックアリス号は君津を出まして、これはパイロットを乗せております。木更津航路、これは掘り込み航路でございますが、一番ブイと二番ブイ航路の幅を明示しております。そこの一番ブイでパイロットは下船をいたしておりますので、その後の航路、この船は十分航法を知っていたのではないかという推察はできるわけでございます。  この点は目下調査中でございますので、これ以上に言及することをやめさしていただきますけれども航路の出入り口につきましては、さきにも申しましたように、木更津からの木更津航路中ノ瀬航路との間は三キロしかあいておりませんので、中ノ瀬航路の末端から千メートル以上離して迂回するようにという指導はいままでしてきたわけでございます。この指導はさらに徹底いたしたい。さらには中ノ瀬航路の末端を示します七番ブイと八番ブイ、これからこのブイをさらに明確にするような大型の航路標識についても考える必要があるかと思います。  なお、先ほども申しましたように、このブイから千メートルないし千五百メートルのところに一つの標示と申しますか、航路の末端からここは千メートル離れておるということを明示する航路標識の設置ということも考えなければいけないというふうに考えております。なお航法その他についての検討につきましては、今後も鋭意進めていくつもりでございます。
  33. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いままでも千メートル離してそこを迂回しろ、こう言っている。いまの質問で、初めてそこへ今度新しくブイをつける。しろうとでもわかる話じゃないですか。そこを通りなさいという指導をするなら、目安をつけるのはあたりまえの話です。今度の事故で初めてそういうことをお考えになったというのは——あなた行ったばかりで酷だけれども、責任上これはたいへんなことですよ。海上保安庁船長をつかまえて取り調べる前に、保安庁長官を取り調べなければいかぬ。ほんとうですよ。こういうのは事故が起きてから何かがたがた騒いで、あたりまえのことをやっていないということに私は問題があると思うのです。政務次官どうですか。部内をもう少し締めたらどうです。これではだめです。
  34. 増岡博之

    増岡説明員 今回の事故が直接そういうことに起因しておるかどうかということは、今後の捜査の結果を待たなければならぬと思いますけれども先生指摘のとおり、時代が進化し、船が大型化し、専門化するわけでございますから、また航路の頻度も激しくなるばかりでございますので、常にそういう姿勢でおらなければならぬというふうに考えております。
  35. 久保三郎

    ○久保(三)委員 政務次官は、おざなりの答弁しているけれども、締めろといっても別に首を絞めるわけじゃありませんけれども、毎日やっている現場からも、もう少し声が来ていると思うのです。それがいまごろになって、やっとみこしをあげるようでは、他を責める前に自分を責める必要があるということを私は強調したいのであります。  時間がありませんから先に行きますが、いずれにしてもパシフィックアリス号のパイロットは第一号ブイ付近で下船したというが、パイロットはどこからどこまで使うのですか。義務があるのですか、ないのですか。
  36. 山上孝史

    ○山上説明員 パシフィックアリス号木更津の港を出て、その港域内につきましてはパイロットを乗り組ませました。水先法によりまして強制水先区にはなっておりませんが、海上保安庁を通じての行政指導に基づいてだと思いますけれども木更津の港内だけは水先人を乗せておりました。
  37. 久保三郎

    ○久保(三)委員 これは保安庁に尋ねたほうがいいかもしれませんが、どうして一号ブイでおりたのですか。強制水先じゃないそうでありますから、パイロットは常時つけないのもあると思うのですが、つけた場合でも一号ブイで大体おりるのですか。
  38. 隅健三

    隅説明員 木更津航路は、先生御存じのように遠浅のところをしゅんせつして大型船を入れるようにいたしました航路でございます。航路をはずれるまでは一応パイロットを乗せる、航路をはずれたところでおりるというのが、いままでの普通のやり方のようでございます。
  39. 久保三郎

    ○久保(三)委員 先ほど私が申し上げたように、中ノ瀬航路を防護するためには、まわりをまず押えろということからいきますれば、やはり単に木更津港の掘り割りというか、しゅんせつ地帯の安全だけじゃなくて、航路の安全からいっても、横断が完了するまでパイロットをつけるというようなことを考えていくべきではないのかどうか。その点について、ここでどうこうするというわけにはいかないけれども、私自身としては、そういう危険な区域ならば、さっき言ったように中ノ瀬航路の出入り口の付近の防護のために、たとえばそういうものも検討する必要がありはしないか、こういうふうに思いますので、一言言っておきます。  それから、第十雄洋丸はエスコートボートをつけてきたというのですが、エスコートボートにはパイロットが乗っているのかどうか。それからどこまでつけてきたのか。
  40. 隅健三

    隅説明員 「おりおん」一号というエスコートボートには、パイロットは乗っておりません。  それで、このエスコートボートが参りましたのは、十二時十五分に浦賀水道の入り口に入っております。それから中ノ瀬航路に十三時、中ノ瀬航路の出口が十三時三十分という「おりおん」一号の記録がございます。この「おりおん」一号、いわゆるエスコートボートは、浦賀水道の入り口からずっと浦賀水道を通りまして中ノ瀬へ来ております。
  41. 久保三郎

    ○久保(三)委員 この危険物搭載の船舶のエスコートボートの義務づけ、これはパイロットを乗せないでも、乗せなくちゃならないキャプテンの場合もあるだろうと思うのですね。乗せなくていい場合もある、乗せなくちゃならない場合もあると思うのですが、いずれにしても、一番危険なのは出入り口付近だとすれば、中ノ瀬航路が終わった時点で放すのじゃなくて、ある一定の距離までやはり誘導すべきではないのか、そういう点も今後考えてみる必要がありはしないか、こういうふうに思う。  それからもう一つは、その区間において中ノ瀬航路はパイロットを必要としないのかどうか、強制水先でないのかどうか、それはどうなんです。
  42. 隅健三

    隅説明員 この中ノ瀬航路は強制水先区ではございません。  それからエスコートボートは、先生のおっしゃいますように、航路筋で一応はいまのところ終わっております。
  43. 久保三郎

    ○久保(三)委員 操船ミスであるのか、あるいは地理不案内、地理というか海路不案内というのかな、そういう不案内で事故ができたのか、これからお調べになると思うのでありますが、少なくとも事故が起きる、あるいはあぶないという区域でありますから、これは経験者がちゃんと乗って、それで安全に誘導していくというのがたてまえだろうと思うのです。だからパイロットの需給関係もあるかもしれませんけれども、やはりこの出入り口付近については強制パイロットというか、水先を考えていくとかいう必要が私はあろうかと思うのです。いずれにしても、そういう点についてもう少し配慮する必要がある。  それからもう一つは、非常に大型になって、この大型船の規制というのが法律の上ではあまりないのですね。実際に時間あるいはその他も海上交通安全法では多少あるようでありますが、速力あるいは大型の場合の具体的な航法、そういうものについてこれはやはり規制すべきだと思うのです。  それから、総体として東京湾、特に浦賀あるいは中ノ瀬航路を通過するというのは、みんな東京湾ですね。東京湾に出入するところのタンカーを中心にする危険物搭載の船舶については、これはあとから港湾局長その他にもお尋ねしますが、これはやはり一日なら一日、一時間なら一時間におけるところの航行規制というか、そういう時間帯における航行規制というものは、ある程度考えていくべきじゃないか。無制限に来るものはどんどん受け入れてやる、湾内には停泊しているものもたくさんある、それからあとからあとから陸続として船が、大きいのが入ってくるというようなことでは、幸いといったら変ですが、幸か不幸かわかりませんが、二つの船だけで済んだが、まわりに大きいのが続いていたらどうなるのか。衝突して、第十雄洋丸のあとを追って大型タンカーがいたという、そういう場合には、海では船はあまりブレーキがききませんな。そういうことでありますから、そこへ突っ込んでいく、突っ込んでいった場合にはたいへんなことになると思うのです。いわゆる引き続いての連鎖的な事故が心配だと思うのですね。そういう意味も含めて、この航行の規制、速力、航法、もう少しきめをこまかくやって、特に大型のタンカー等について考えるべきではないのか、いかがですか。
  44. 隅健三

    隅説明員 海上交通安全法に定めます航法の順守、航路通報の励行で船舶の交通の安全をはかっております。ただいま先生のおっしゃいました巨大船である危険物積載船につきましては、浦賀水道航路中ノ瀬航路には次のような指示を行なっております。  これは、海上交通安全法では、当然前日までにこの航路に入ってくる時間の通知をさせますけれども、その航路へ入ってまいります時間が変わった場合には、これを直ちに届けさせる、それから航路航行する速力を制限させる、浦賀航路は十二ノットに押えております。それから視界が制限されている場合の航路制限をやっております。第十雄洋丸は、この航路へ入るのがおくれましたのは視程一マイル以上の霧がございまして、一時間以上航路へ入るのをとめております。それから余裕水深の保持あるいはさっき申しました消防設備を備えている船舶の警戒配備、これはエスコートボートをつける、あるいは夜間航行につきましては日没から日出一時間前まで禁止をいたしております。  このような指示を海上保安庁といたしましてはいたしておりますし、さらに目視、見張りの強化とレーダーを使うというようなことも、あるいは外国船についてはパイロットをとるように勧奨するということも、一応海上保安庁としては指示をいたしております。
  45. 久保三郎

    ○久保(三)委員 次にいきます。  いずれにしても、いま実施している航法なり規制なり、そういうものについて、もう一ぺん、この航路ばかりじゃなくて全体の航路について、特に海上交通安全法が適用になっている航路について、これはやはり点検する必要があると思うので、この際、点検を要望しておきます。  それから次に、これは船員局長にお尋ねしたほうがいいのですが、まだどちらがどうだという結論には達しませんけれども、世上特にいわれているし、われわれも特に申し上げている点は、外国船員によるいわゆる操船の技術の問題が、やはり事故につながると思うのです。  日本の船員は、御承知のように厳格な試験制度あるいは訓練制度によって養成されているわけであります。最近、海運会社というか海運企業は、ことさらに便宜置籍船あるいは用船、こういうものをたくさんやってまいりました。それで安い船価というか船費というか、そういうもので太刀打ちしようという考えからでもありましょうが、かなり多くなってきている。これは従来からのわが海運政策にも関係することでありますが、いずれにしても、いまのような形では、どうも危険という問題もはらんできたというふうに思うのです。ことさらにこの事故が、いわゆる便宜置籍船であったアリス号ですか、これの乗り組み員が全体に悪いということではありませんけれども、特に少なくとも、日本の港湾における、あるいは日本近辺におけるところの航海は、日本の船員が一番よく知っているわけです。また素質としても、世界的に優秀であることはナンバーワンであると思うのですね。そういうことからいくならば、船社はすべからく日本の船員を乗せた日本船を使うべきだとわれわれは主張しているわけであります。  今回事故が起きておりますが、この事故の直接の関係じゃなくて私はお尋ねするわけだが、これは質も低下していることは事実だと思うのです。よって、これは国際会議の舞台にも持っていかなければならぬと思うのでありますが、一つは、世界的に船員の資格というのは、やはり統一していくべきだと思うのです。それからもう一つは、事故や安全の観点から、船社に対しては日本人の船員を極力使う、そういうための雇用政策というか計画をやはり立てて、これに干渉していくという立場が必要じゃないかというふうに思う。その点、二つの点についていかがですか。——海運局長答弁されるのなら、一つ申し上げておきます。  それはいま申し上げたとおりでありますが、海運政策として、いまのような便宜置籍船のあり方は、これは何といっても邪道だと私は思うのです。もちろん考え方によれば、海運企業がうまくやってうまくいけば、それでいいのだという考え方もあるかと思うのでありますが、やはり日本の海運政策というのは、日本の船員の雇用対策と表裏一体となったものでなくては意味がないと私は思うのです。それでなくては新しい方向がどうも出ないと思うのです。そういうものについて、あなたらはどういうふうに考えておられるのか、それから指導はどういうふうになさるつもりであるか、それをあわせてお答えください。
  46. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 ただいま久保先生からたいへん大事なお話を承りました。順序がいろいろになるかと思いますけれども、私どもやはり日本船で物を運びたい、日本船員を極力雇用していきたいということは、先生おっしゃるとおりだと思います。ただ、日本船の絶対数が足りないということと、それから中小型の船について船員費等の高騰から競争力がなくなってきたというような点がございますので、先生御承知のとおり、日本船の積み取り比率はどんどん落ちてきております。しかし、いま御指摘のとおり、日本の海運政策としては、できるだけ日本船で物を運びたい、日本船員を雇用していきたいということは、お説のとおりでございます。  この船のことにちょっと触れさせていただきますと、いま調べてまいりましたのですけれども、この船は、実は三光汽船が信託船でつくって五年ほど使いまして、去年の十二月に海外売船をして、それでことしの一月にその売船が実行されたということでございます。その後、外国の市場で自由におったのですが、ことしの八月になって鋼材を運ぶために二航海だけ航海用船を結びまして、アメリカに鋼材を運ぶという契約をするために三光汽船が用船したようでございます。したがって、チャーターバック船でもなければ、仕組み船でもございません。  ただ、仕組み船とチャーターバック船について、日本の船員を使わないというような点が出てまいりましたので、これも前にもお話しさせていただいたように、日本の船員の雇用安定に不安がないようにということで、海外売船について、私どもは実は許可のときにそういう点を考慮していっているということでございますし、その後、会社組合の間での話し合いができて、雇用安定上落ち度のないような形での海外売船が行なわれるかっこうに現在なっている状態でございます。  ただ、便宜置籍船について先生おっしゃるとおり、便宜置籍船だけが事故が多いということではございませんけれども、外国船については日本船に比べると、日本の優秀な船員に技術的にも劣る点があって、事故が多いというのは事実でございますので、こういった事故が起こらないように、海上保安庁から事前指導はやっているようでございますけれども、もっと強化してやっていきたいと思っております。
  47. 山上孝史

    ○山上説明員 ただいま先生指摘の乗り組み員の資格の問題でございますが、これにつきましては御承知のとおり、現在では国際的な適切な取りきめはございません。したがって、各国の主権にゆだねられて、各国が法律等を制定して運用している状況でございます。したがって、わが国におきましても船舶職員法によりまして外国船につきましては、日本の船社がベアチャーター、裸用船した場合だけは適用になりますけれども、それ以外の場合には適用がありません。したがいまして、ただいま御指摘のような便宜置籍船につきましては船舶職員法の適用はありません。  しかし現在IMCO、政府間海事協議機構におきまして特に訓練・当直基準小委員会というものを設けまして、例のトリー・キャニオン号事件を契機に当直士官の資格要件を中心に何らか統一的な基準をつくるべきではないかということで、目下作業中でございます。これにはリベリアとかパナマ等のいわゆる便宜置籍国も積極的に参加をしている模様でございますので、わが国といたしましても、従来もうすでに四回この小委員会に代表を派遣しておりますが、今後ともこの審議を中心に検討してまいりたいと思います。
  48. 久保三郎

    ○久保(三)委員 IMCOで検討中だという話でありますが、わが方はここに積極的に具体的な提案をし、推進をすべきだと思うのです。何といったって日本の海運に依存する度合いというものは相当多いのでありますから、そういうことからいっても外国船員の質的向上についても、干渉といったらおかしいが、やはり主張すべきだろうと思うのです。その場合、特に海運政策とも表裏一体なんでありまして、先ほど薗村海運局長は、私が申し上げたように日本の船員を乗せたものを中心に考えていきたい、こういうことでありますから、そういう観点からひとつ進めてもらわなければいかぬ、こういうふうに思います。時間もありませんので、海運政策に関係した船員対策というものについては、後ほどまた伺う機会を持ちたいと思うのです。  それともう一つ申し上げたいのは、あまり大型化してきたところにやはり問題が一つあると思うのです。災害も大きくなってくる。これは海運局長に聞いたほうがいいのかもしれませんが、構造についてはあと船舶局から聞きますけれども、海運政策もやはりこういう安全、環境の問題を織り込んで質的転換をはかるべき時期だと私は思うのです。この点については、どういうふうに考えられますか。  最近、聞くところによれば百万トンというような話も出ているようでありますが、これはべらぼうな話だと思うのです。しかも、港湾局長もおいでになりますからあとから聞きますが、港湾施設だって無限じゃないのですね。日本の海岸線はかなり長いけれども、そう簡単にとれるものじゃないのです。特に外湾じゃなくて内湾である東京湾のようなところは場所が小さいのでありますから、あるいは出入り口が細いのでありますから、当然やはりそれに合わせた船というものがあるべきだと思うのです。ところが、いままでは御承知のように大量輸送、高速輸送というのが至上命令のようにどんどん際限もなく続いてきたわけですね。これについてある程度制限というか規制をすべきだと思う。やはり限界があると思うのです。その限界についてどういうふうに思っていますか。海運局長に聞きましょう。
  49. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 いまの先生のお話、確かに大型化のスピードは近来非常に著しいものがございましたけれども、現在の時点ではたしかデッドウェートで五十万トン足らずのところで進化の度合いがとどまっておるのじゃないかと私実は承知しております。それ以上船自体の経済性の点もございますけれども、安全面からの世界の関心が集まって、これは船舶局長のほうでございますけれども、あまりに大きな一つのタンクを持って危険な航海をするというのではなくて、大きければ大きいなりにそのタンクを幾つかに分割するというような国際的な規制の検討が進められておりますが、わが国としても港湾の寸法に合わないような巨大船が入ってくるということは、これは当然させることもできない話でございますし、またいま一番大きな船はたしか鹿児島の喜入でとどまっておりまして、そこから内航タンカーで二次輸送しているという状態でございますので、当然日本の近海の港の安全を守るという面からの規制は、経済面とは別個に検討されていいのではないかと私思っております。
  50. 久保三郎

    ○久保(三)委員 船舶局長に、同じような話ですが、今度の事故については構造的に欠陥があるとかないとか、まだそれはわかりませんな。ただああいう程度のものが現在のタンカーの構造なんでありますか。  それからもう一つは、国際的に規格があって統一されているかどうか。もしもそうだとするならば、さっき海上保安庁にも要望しておきましたが、やはり一ぺん見直しをしてほしい。  それから海運局長質問したように、もはや限界というのがあると思う。だから船の建造についても、大きいものはいいものだというのは、もはや過去のものになったと思うのですね。その点についてどういうふうに船舶行政というか、あなたのほうの方針としては考えておられるか。安全性といま言った大型化に対する規制について、いかように考えられておりますか。
  51. 内田守

    ○内田説明員 第一点の第十雄洋丸でございますけれども、これはデッドウェートにしまして五万トン程度、LPG船としては構造的に見ましても、いわゆる標準的な構造の船でございます。先生御承知のようにLPG船の場合には、クリーンタンカーのいわゆるスタンダードに加えまして、現在運輸大臣の指示によってさらに加えるべきものを加えさすという制度をとっているわけでございます。基本的にLPG船ばかりでございませんけれども、こういうタンカーの特に火災問題につきましては、大量の危険物、特に可燃性物質を搭載しているわけでございますので、何よりも初期消火体制というものが重点になっておるわけでございます。それにも増して今度の事故のように、事故を未然に防止するということが第一点でございますけれども、実際に大火災になってしまいますと、これは消火とかそういう点は技術的にも非常にむずかしい状況になっております。  それから、なお国際的な動きといたしましては、現在、先ほど船員局長から御説明になりましたようにIMCOでございますけれども、IMCO従来から危険物の搭載船というものについて順次国際基準を定めておるわけでございまして、従来までに定めましたものについては、われわれのほうで受け入れておるわけでございますけれども、日本の基準とそう変わるものではございません。ただ、LPGにつきましては、現在国際的なスタンダードとしては作業中でございまして、見通しとしては来年の秋ごろに一応採択されることになろうと思いますけれども、中身はあまり画期的なものではございません。  それから第二点の、先ほど百万トンというお話がございましたけれども、私どもも決して大きいことはいいことだというふうに考えておるわけではございません。ただ先ほど、ちょっと御説明がありましたように百万トン、船が大きくなるに従いまして当然タンクサイズであるとかいろいろな防災上の観点というものはより一そう強化していかなければいけないわけでございますが、特に港湾施設とかそういうようなものと見合った上での問題点でございます。ただ、われわれいま百万トン、確かにいろいろ勉強いたしておりますが、決して百万トンがここ近いうちに現出するという見通しに立ってやっているわけではございません。むしろそういう百万トンというものを想定いたしまして、逆に上からこういう大型船の安全性というものを一ぺん見直ししたいということから、これは審議会の御答申も得ておるわけでございますけれども、大型船の安全性を検討しておるところでございます。
  52. 久保三郎

    ○久保(三)委員 最後に港湾局長消防庁長官にお伺いしたいのでありますが、港湾取り扱いの荷物というのがかなりふえてきているわけですね。その中でも、最近やや横ばいぎみだろうと思うのでありますが、油関係、こういうものが多くなってきている。しかも大体基地である臨海地帯は、最近は扱い量が内湾のほうが多いのです。もうこれは限界だと私は思うのです。だから特に東京湾内におけるところの港湾施設などは、あるいは瀬戸内海もそうでありますが、こういうもののいわゆる港湾施設の増強というのは量から質への転換をはかるべきだと思うのです。たとえばシーバースの増設とかそういうものじゃなくて、むしろ安全あるいは環境整備のために良好な港湾に形を変えていくということがあり得ると思うのですね。  そういう考えでいくべきであって、どんどんシーバースをふやす、そしてどんどん大型のタンカーを入れるというようなことは、この際見直す必要があると思う。だから、これは省内で——政務次官おられるが、港湾局ひとりでもできないし、海運局ひとりでもできない、省内で、少なくとも通産を入れて油の問題はもう少し見通しを立ててきちっとすべきだと思うのです。そうでないと、いまの規則や法律ではどんどん大きくなっても大きいやつを通さぬというわけにはいかなくて、通しているでしょう。事故が起きると大騒ぎするのでしょう。これはばかげた話だと思うのですね。  ついては、そういう意味で港湾局長にお尋ねしますが、いま申し上げたようにもはや限界だと私は思うのです。だから港湾施設の整備というのは、もう増強じゃなくて質的転換を重点に考えるべきである。いま申請その他があっても、これは押えていく方向にひとつ考えてもらいたい。それから港湾サイドから安全あるいは環境問題はどうなのかという問題をやはり提言してもらいたい。そういうものも海運あるいは造船、そういうものへ持っていく必要が私はあろうかと思うのです。その点についていかがか。  それから時間がありませんので続けて消防庁長官にお伺いしますが、今回の事故は海上のまっただ中でできたわけであります。これがコンビナートというか、そういうところの近辺でできた場合には、消防の責任は、陸上は消防庁というか自治体、そういうものがやる、海上については保安庁がやるということだろうと思うのでありますが、考えてみれば、そういう危険な施設を持っているものが、おかの上では消防せんをつけろとか、あるいはどういう器具をどういうふうにしろとかいう消防法によるところの一応の規制がありますね。ところが海上については、これは全然ないわけだ。たとえばタンクから油が流出し、あるいはナフサが流出して、それで海上に流れ込んだといった場合には、これはどこが主としてそういうものについての取り締まりをやるのか。いま申し上げたように海上に対する防災、こういうものはそれぞれの大きいそういう特殊な企業は、おのれ自身でやはりある程度持ってもらう必要があると思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えであるのか、消防庁長官からその点は伺いたいと思います。
  53. 竹内良夫

    ○竹内説明員 東京湾先生のおっしゃるように非常に混雑してまいりまして、昭和四十七年の総取り扱い貨物量が四億二千万トン弱でございます。そのうち半分が油というふうな形でございまして、たいへん多くの油が出入し、あるいは動いているということは、先生のおっしゃるとおりでございます。  これは社会的変化とかエネルギー需要がそうなっているわけでございますが、東京湾というのは非常によい場所であるという面が一方ではございます。しかしながら、そのような混雑をしているということは、確かにその危険というものは増大されているわけでございますので、港湾そのもののつくり方は確かに先生のおっしゃるように量から質の方向へいかなければいけないのじゃないか。安全であるとかあるいは環境の面を重点に置いた港湾に変えていくべきである。といいますのは、いままで量のことに少しウエートを置き過ぎたようなきらいがございます。今後は量だけでなく、質のことに十分心を入れた港をつくっていくということにしなければいけないと思います。  それと、たとえば東京湾でございますが、先ほど申し上げましたように非常によい場所だからこのような形になったのですが、やはり今後は重化学工業というような、そういう性質のものはできるだけ湾の中につくらせないというような方向に指導すべきではないかというように考えます。その結果、たとえば東京湾の中におけるシーバース等が結果として少なくなる、少なくなるというか増設を見合わしていくということの方向にいくべきでございまして、湾の中の工場の配置等の性質を考えていかなければいけないのじゃないかというように考えます。  また、私ども港湾をつくる、その場合に質のことを考えて防波堤であるとか航路であるとか、あるいは危険物を隔離するとかいうような質の点を考えるというだけでなく、たとえば東京湾の中で、あるいは東京湾で従来扱っていたような貨物を東京湾以外のところから持ってこさせるというふうなことも必要ではないかと思います。たとえば茨城県であるとか、あるいは千葉県の外海のほうから荷物を運び入れるというようなことも構想の一つとして考えていくべきではないかというような構想を持っているわけでございます。  そのほか、東京湾の入り口の航路の整備、東京湾は御承知のように入り口がS字型になっておりますので、あのS字型を直すとか、そのような航路の整備をやるとともに、また東京湾の中に思い切って大型船を入れていかない、油の船を入れていかない、そのためには湾外にCTSみたいなものを設けまして、そこからパイプラインで輸送するというようなことも構想の一つとして提案していかなければいけないというように考えている次第でございます。
  54. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 海上に対します消防の問題でございますけれども、現在地方団体の海上における行政区域というものは一般的に定められております法令の規定がないわけでございます。したがいまして、海上部分につきましての行政権限が及びますものは、特別の個別立法によりまして港湾法による港湾区域あるいは河川法、海岸法、これらの規定によって海岸からあるいは河口から五十メートルないし百メートルの地域については、それぞれの河川行政としての行政権限、海岸行政としての行政権限が及ぶということになっておりますだけでございまして、そういう意味におきましては、海上について一般的な行政権の行使が行なわれる区域がない、こういうことになるわけでございます。したがいまして消防につきましても、現在はいわば陸上部分について消防法のもとにおいて消防活動が行なわれる、こういうことになっておるわけでございます。  ただ、海上におきまして事故発生をして、それが陸上部分に非常な災害が及ぶということは今後も予想されることでございますので、海面部分につきましての消防関係の規制は、これは現在海上保安庁のほうで担当されているわけでありますけれども、十分にそれぞれの沿岸市町村との間におきまして業務協定その他によりまして、お互いの活動関係を調整をし相互応援をする、こういう体制をとっているところでございます。
  55. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間でありますが、どうもいまの消防庁長官は、おかの上のお話しかできないようでありますから、海上保安庁意見を求めておきたいことは、いま申し上げたように大きいコンビナートや何かは当然そこの近くにシーバースを持つとか何かありますね。船が来る。だから当然そういうものに対する防災対策というか、これは持つべきだと思うのです。陸上については防災対策を持っているわけだ、消防法とかその他で。ところが海上についてのものについては、いまのお話のように何もないわけですね、防災対策についての義務づけは。たとえば消防艇を持てとか、あるいはオイルフェンスを持てとか中和剤を持っていろとかいうようなことはないわけでしょう。これはあるの。あるならばどういうふうにやっているのか、なければこれはどうするのか、それだけ……。
  56. 隅健三

    隅説明員 海上保安庁消防機関との業務協定につきましては、自来いろいろ問題がございましたけれども、昭和四十三年の三月に、海上保安庁長官消防庁長官との間で覚え書きが締結されまして、円滑に消火活動を行なうために協力をして行なうということで、わがほうの保安部あるいは保安署と地方自治体の消防と協定を結んでおります。  なお大型タンカー等の事故の場合における消火活動を効果的に行なうために、海上保安署及び消防機関は地方防災会議等を活用して、おおむね次の事項につき連絡調整を行なうということで、情報及び資料の交換であるとか消火活動要領の作成であるとか必要な機材器具の整備計画の作成、その実施の推進ということを連絡協調してやっております。  それから、われわれといたしましては、民間に対して民間の自衛消防船の建造及び運営を指導をいたしております。実際に一隻できております。  なお、この前の港湾法等の一部を改正する法律におきまして、海洋汚染防止法三十九条の二と思いますけれどもオイルフェンスあるいは除去剤の備えつけ、備蓄を法定いたしております。
  57. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それじゃ消防艇だけが重要のようだけれども、それ以外に消防施設の問題は、これはやはりオイルフェンスまで義務づけるのなら、そういうものを義務づけておく必要が私はあると思う。研究してください。  以上で終わります。ありがとうございました。
  58. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 次に、野坂浩賢君。
  59. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この間私ども新幹線の事故対策のためにいろいろ調査をいたしました。その結果に基づいて国鉄当局に見解を求めておきたいと思います。  まず初めに、国鉄は運輸大臣の勧告に基づいていろいろと協議され、事故をなくするために、来年一、二月ごろに日中に列車をとめて運休をして、すべて万般にわたって検査をするということでありますが、何日間、そしてそれは延べ何時間、実施をされるのか、またその日時がはっきりしておりましたら、お話をいただきたいと思います。
  60. 山岸勘六

    ○山岸説明員 お答えいたします。  一月の二十五日から二月の下旬にかけまして四回実施する予定にいたしております。そのやり方は、大約、午前中の列車をやめさしていただきまして、夜間から連続いたしまして、東京−大阪間どの地点でも約十二時間連続して保守点検に当たられる体制をとる予定にいたしておるわけであります。
  61. 野坂浩賢

    ○野坂委員 四回実施をするということでありますが、それから聞いておきたいのは車両の更換ですね、これは走行何キロ走ったら車両は更換をいたしますか。そして何年ごろからかえるかということを、新聞等で発表はされておりますが、はっきりさしていただきたい。
  62. 山岸勘六

    ○山岸説明員 車両につきましては、私ども一番最初に新幹線を開業するにあたりましてつくりました車、一次車、二次車と称しておりますが、三百六十両ございます。これにつきまして、昭和五十一年度から廃車作業にかかりまして、五十三年度までに一、二次車につきまして完了する予定をいたしております。(野坂委員「走行キロは何キロが限度ですか」と呼ぶ)走行キロは、現在最高のもので四百五十万キロぐらい走っておりますので、その時点まで約六百万キロぐらいになろうかと思います。
  63. 野坂浩賢

    ○野坂委員 六百万キロは限度ですか。
  64. 山岸勘六

    ○山岸説明員 車両につきましては、足まわりと申します、いわゆる台車がすでに更換されているものもございますので、いわゆる車両といいましても、車両全部がどの点で限界ということにはならないわけでありますが、いま申し上げておりますのは、車体を主体とした部分でありまして、必ずしも六百万キロが限度とは考えておりませんけれども、限度が来てから取りかえるという対策では追いつかないわけでありまして、私ども現時点におきまして、いまも全般検査と称しまして、浜松工場を出てから九十万キロ安全を保証される状態で出ておるわけであります。それらを勘案いたしまして、早目に五十一年度から廃車計画を立てた次第でございます。
  65. 野坂浩賢

    ○野坂委員 お話がありましたように、一、二次車三百六十両のうち五十三年度までにかえ得るのは二百十五両じゃないですか。それと、九十万キロ走れば全般検査をするということになっております。しかし、九十万キロ以上走っておるのが今日五十九両もあるというふうに私たちは承知しておりますが、あなたのおっしゃっておることと違うのじゃないですか。
  66. 山岸勘六

    ○山岸説明員 五十三年度まで廃車ができるのが二百十五両じゃないかという先生のお話でございますけれども先生のこの計算の根拠がちょっと私どもわかりかねるのであります。と申しますのは、現実に車には個体差があるわけでありまして、一次車、二次車としていま申し上げているわけでありますし、さらに三次車についても絶対安全かどうかというような確証がないわけでありますから、廃車をしながら、状態の推移を見ながら決心をしていくという、いわゆるあとの車に対しての決心も必要であるというようなことでありまして、一応私どもは三百六十両を五十一年から五十三年にかけてやるという目安をつけたわけでありますが、実際問題としては若干三次車が入り、あるいは二次車が若干残るということもあり得るのではないかと考えておる次第であります。  それから九十万キロをこえた車がだいぶあるんじゃないかということでありますが、九十万キロをこして全般検査に入れておるという事実はないはずでございます。
  67. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうですか。浜松でそういうふうなことを、われわれは承知をしておるわけでありますが、いずれ調査をしていただきたいと思います。  それから五十一年から五十三年にかけて車両更換をやる、その目標は三百六十両であるということでございますが、計算をいたしますと、それまでに六百万キロ以上、七百五十万ぐらい走るという結果になると私たちは承知をしております。六百万キロ走ったら、それ以内でかえるということでありますから、その程度で、台車その他の関係もありますが、全般的にはそういうふうにして理解してよろしいんですか。六百万キロ以上走ることはないというふうに考えてよろしいか。
  68. 山岸勘六

    ○山岸説明員 車両の廃車計画につきまして何百万キロ走ったら廃車にするんだという考え方は私どもいたしておらないわけでありますけれども、現在線では一番走っておりますのが、たとえば上越線の「とき」の車でありますが、これが大体四百万キロちょっとオーバーしたところぐらいではないかと思いますが、新幹線におきましては、さらに停車回数も少ない車であり、なお非常にじょうぶな車になっておりますので、私が大体六百万キロぐらいじゃなかろうかと、こう申し上げたのであります。ただし、六百万キロが限度だというような考え方はいたしておりません。また状態によっては、それ以前の場合もあり得ますし、車体の状況によっては、さらに六百万キロをこしたからいかぬという状態には相ならぬのではないかと思うわけであります。
  69. 野坂浩賢

    ○野坂委員 一番最初御答弁をいただきましたのは、六百万キロ以内でかえていきたい、かえることのほうが安全であるというお話をいただいたんですよね。それが一つの基準だけれども、それ以内で努力をするが、それ以上になってもやむを得ないというと、線を引くことはできないですね。その車の状態等を見てと、こう逃げたり、答弁いかんによっては、これはまあだいぶじょうぶだからよろしい、これはだめだから六百万キロ以内だということがありましょうが、   〔委員長退席、井上(泉)委員長代理着席〕 一つの線を引くと六百万キロということを考えて進まなければ、台車をいろいろと修理なり点検をいたしますけれども、まあ三十万キロですか走れば台車検査もやるのですから、それもチェックもしますけれども、全般的にそれもゆるんでくるということは言い得るわけですから、一つの線としては六百万キロ以内で、良心的に国鉄としては車両を更換をしていくというふうに考えていいんですか。何か非常に不明確で、一応はそうだけれども、そうでない、前後あるのだ。大体それならば許容はどの程度かということがはっきり言えるなら、していただきたい。
  70. 山岸勘六

    ○山岸説明員 先ほど申し上げましたように、車体に対する寿命でありますから、許容がどこかということ、それからまた私どもにとりましても、この問題は新しい経験であります。したがいまして、私が申し上げましたのは、六百万キロぐらいから廃車という問題について頭に置きながらこの問題に当たっていかなければならぬということでありまして、いわゆるたとえば全般検査が九十万キロである、台検は三十万キロであるというキロ数とは本質的に性質が違うもの、このように理解しております。
  71. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そういうことですから、なかなか事故はなくならぬと思うのです。国会ですからそういうことでしょうけれども一、具体的になりますと、では十分検査をしておるかということをお尋ねしたいと思うのです。  検査の方法は、交番検査とかあるいは台車検査とかあるいは全般検査とか仕業検査とかありますが、三万キロ走れば交番検査をやるということになっておりますね。これは従来十二両当時は六時間ぐらいかかってやったものですね。十六両になってまいりますと、今度は四時間にされておりますね。この四時間で、あなたがおっしゃるように車両の更換等も含む検査を十分しておらなければなりませんから、四時間で十分な検査ができるかということをお尋ねをしておきたいと思うのです。
  72. 山岸勘六

    ○山岸説明員 私ども、回帰の延長と申しますか、交番検査を三万キロにしたために、どういう変化が出ているのか、あるいはまた交番検査を四時間にしたために、結果としてどういう変化が出ているのかということをチェックいたしているつもりでございますが、それらによる悪影響というものは、いまのところ私どもといたしましては出ていないという確信を持っている次第でございます。
  73. 野坂浩賢

    ○野坂委員 国鉄の用語の中に、マル物とかマル時とかマル記というのがありますね。これは時間がないから発車をさせるんだ。指令としては時間どおり新幹線を動かしたい、しかし検査をする者は納得をして十分だということでなければ発車をさせない、こういうことでなければ交通の安全を保つことはできないということは御承知のとおりです。ところがマル物というのは、物が足りなくて十分でないけれども一発車をさせました。もう一つマル時というのは、時間がないから発車をさせたということになろうと思うのですね。  劣化をしてまいりますと、交番検査なんかで、下についておる箱のネジががたがたになってくるということがよくありますですね。だから六日の午前十一時六分ですか、京都府で「こだま」四五一号の床下の機器カバーが軽金属パイプによって落とされたというようなこともありますね。調査はどのようにされたかまだ承知いたしておりませんが、そういう箱なんかが落ちるという可能性がある。これは交番検査でやるわけですね。そういうマル時とかマル物があるというのは、時間の余裕がないということじゃないですか。
  74. 山岸勘六

    ○山岸説明員 先生御承知のように、車両は非常に多くの部品からなっておりまして、旅客に対するサービス部品もありますし、直接的に安全に関係のない部分もあるわけでありまして、昔からいわゆる走行部分、非常に危険な部分に対して問題があるという場合には直ちに車両を取りかえる、どうしてもだめな場合には列車の運休もやむを得ないという原則はくずしておりません。先ほど来のマル時、マル物あるいはマル記というようなことばも新幹線では非常に使われておるわけでありますけれども、これらはいずれも走行部分、安全部分に関係のない部分であると承知いたしておりますし、この件数の調査をいたしてみますと、昨年度よりも格段に改善されているという状況でありまして、今後一そうこの点の改善に努力をしてまいりたいと思います。  なお、先ほど六日の溢水管のはずれによる、たいへん御迷惑をかけた事故の御指摘があったのでありますが、目下材質等の、オール新傷でありまして、これは時間があったから発見できるというものではない。何かが当たったものか、あるいはオール新傷で材質的なものかの両面からの攻めをただいまやっておるところでございます。
  75. 野坂浩賢

    ○野坂委員 去年よりも調子がいいということですけれども、山岸さん、時間がなくてできるようになりましたのは、御承知だと思うのですが、検査標準というものが変わっておるのですね。これは改善じゃなくて改悪されたものですよ。言うなれば、要所要所ここだけは見なければならぬというものが、十五あるものが十三になって、それだけ集約をされておるわけですよ。早くしなければならぬ、早くするために検査の標準の改定がされておるわけです。だから、実際に検査に当たる人たちに聞いてみますと、自分たちは納得をして、もうこれで万全だという気持ちになったことは一回もないというのです。東京に着くまではだいじょうぶかな、こういつも思うというのです。これが交番検査の現場の声だ。  一番初めできたときの車両というものは、確かに事故が多いと思うのですね。しかし、だんだん減って、ある程度になったけれども、最近はまた多くなってきている、こういうのが実情であります。それは御承知のとおりです。そうすると、納得のできないままに発車をする。たとえば便所の壁が破れたとか、あるいは食堂車がどうだとか、あるいは車両番号数がどうだとか、そういう走行に関係がない、こうおっしゃいますけれども、箱その他が落ちるというようなことは、非常に交番検査のときに重要なんです。それについては、もっと余裕があるかと当局に聞きますと、当局は山岸さんみたいな、かたくななことを言っておるのですけれども、しかし余裕があるということだけは言えない。余裕があって十分だというようなところまではいかない。とにかく六分以内に出していかなければならぬ、四十分程度でやってしまわなければならぬ、こういうことで非常に過酷といいますか、非常に不安定な検査をやらざるを得ない、私はそう思うのです。  そういう点については、やはり時間数か要員か、ふやすか延ばすかで、この万全対策をとってもらわなければならぬと思うのですが、どうでしょう。
  76. 山岸勘六

    ○山岸説明員 お客さん、人命に関する輸送でありますから、おっしゃるように余裕があれば、よりよいかと思いますけれども先生のおっしゃるように、要員とか時間とか、このほかにやはり物として予備の問題があろうかと思います。私どもこの点に着目いたしまして、予備の車の適正値、これをいま勉強中でありますが、目下のところは山陽新幹線の開業の車がありますために、その点の余裕はあるはずでありますが、この予備の問題についてさらに勉強をし、必要なものはつくっていかなければならない、こういう対応のしかたがあるということで考えているわけであります。
  77. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、お話がありましたように、予備車両というのは、いま何両ありますか。
  78. 山岸勘六

    ○山岸説明員 現在では、山陽新幹線開業前の状態になって、そのための車が入っておりますので、予備として何両が適当かどうかわからない、すなわち必要以上にたくさん持っているという状態であります。しかしながら在来の、山陽新幹線開業用を除いてみますと、一日使わないで非常の場合に充てるという車は大体八%ぐらいになっておりますが、八%では若干きついのじゃなかろうかということで研究をしているわけであります。
  79. 野坂浩賢

    ○野坂委員 予備車両八%というと具体的に何両になりますか。それと、真に国鉄ダイヤに影響のないようにするためには、この予備車両というものは何%が一番妥当とお考えですか。
  80. 山岸勘六

    ○山岸説明員 在来線でありますと、経験上私ども約一〇%ぐらいというふうに考えているわけでありますけれども、新幹線の場合には先生御承知のように、非常に波動がございまして、いわゆる閑散期には非常に車が遊ぶ、多客期には目一ぱいに使わなければいかぬという状態にありますので、その辺を勘案して、一〇%ぐらいで足りるのだろうか。山陽新幹線が開業すれば約二千両でありますから、一〇%と申しますと、二百両ぐらいになるわけでありますけれども、このくらいのもので足りるかどうかということ、波動を見ながら考えていかなければならぬ、こういうふうに考えている次第であります。
  81. 野坂浩賢

    ○野坂委員 予備車両が目一ぱい、だから運転その他、何か事故があると完全にとまって、乗客に迷惑をかける、いまこういうことの繰り返しになっておるわけなんですね。だから予備車両が少ないために早く汽車を出さなければならぬから、マル物、マル時、マル記というようなことが発明をされる、従業員は十分に納得をして検査をして出すということもできないという結果であろうと思うのです。  そのために下請業者が入っておるわけですね。下請業者というのは、この間運輸委員会で社会党の議員が資料要求をして出してもらっておるのですけれども、大阪であっても東京であっても浜松であっても、この中にある会社が全部下請なり外注はやっておるのでしょうか。これ見てもらってもいいのですがね。——これ以外のところありますか。
  82. 山岸勘六

    ○山岸説明員 これらの会社は、一応全部下請をしているとお考えいただいてけっこうだと思います。
  83. 野坂浩賢

    ○野坂委員 では、孫請というのはないのですか。
  84. 山岸勘六

    ○山岸説明員 孫請はあると存じます。
  85. 野坂浩賢

    ○野坂委員 あなたのほうの資料では、孫請はありませんと書いてありますね。あるのですか。あれば、どこの孫請ですか。資料では、ないと書いてある、出してもらったのは。
  86. 山岸勘六

    ○山岸説明員 先生お持ちの資料を私持っておりませんで、たいへんむだな時間を使って申しわけありません。私ども持っている資料には、カーテンの洗浄関係など、そういうものは孫請がある、こういうことでございます。
  87. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大阪の運転所に行きましたら、三立電子とか安藤電気というのも下請会社に入っているのですね。これにはないのですよ。それはやはり下請会社なんですか。それではあとで調べておいてください。時間を急がれますから。  それで孫請はカーテンの洗浄だけでなくて、たくさんありますよ。たとえば近畿車輌の孫請に大成電器というのもあるのです。ちゃんとあるのです。だから、技術の高いようなものについては、いろいろ出しますということをたくさん言われますけれども、もう一ぺん調査をしてもらって、ほんとうに責任をもって車両整備をするためには、国鉄の従業員が直轄でやることが一番いいと私は思うのです。  といいますのは、たとえばガラスをはめる一つにいたしましても、どうやってはめるのかといって国鉄従業員に聞く、こうやってやるんだ、というふうなところまでいくわけですからね。しかも、ガラスの事故というようなものは、石が当たったり、外部の圧力でこわれるということがありますが、車両が非常に劣化しまして曲がっておるために、入れてもまたこわれるというようなことも起きております。だから、孫請、下請の点については、もう一ぺんきちんと調べて資料を出してもらいたい。非常にいいかげんのように思うのです。それについて、どのように考えておられるか。
  88. 山岸勘六

    ○山岸説明員 車両関係の孫請の実態につきまして、さらに調査をして、先生のほうへ資料をお届けいたしたいと思います。
  89. 野坂浩賢

    ○野坂委員 下請と孫請全部の会社をよくやっていただいて、全部に出してほしいと思うのです。その場合は、下請会社がやっておりますけれども、下請会社からは監督は来ておりますけれども、従業員個々は孫請が来ておるというようなのが多いのです。そういう点については精査をしてもらって、私は、やはりできる限り国鉄従業員がやることが望ましいというふうに考えるがどうかということと、時間がありませんから、環境の問題ですが、あなたが先ほど言われた、台車を入れますね、気吹室というのがあります。  あそこは、砂塵もうもうとしております。そうして、当局のほうに聞いてみますと、確かに、からだに悪いから交代はさせる、しかし労働基準局からの指定によると、これは不法ではないといっておられます、こう言っています。しかし、不法ではないかもしらぬけれども、私は不当だと思うのです。だから、ああいうものこそ、あなた方が推進をしている機械力とか省力化によって、完全に人体に影響のないような——部屋なんですから、一室で、そういう措置をやらなければならぬではないかというと、四十七年度から予算は要求しておるけれども、やってもらえない、こういうふうに言っておるのです。それについては直ちに実施をしなければ、人命に関係がある、こう思うのですが、それについては、常務でお答えができればそれでいいし、できなければ、鉄監局長でもけっこうですから、明確にしてもらいたいと思うのです。
  90. 山岸勘六

    ○山岸説明員 気吹室の作業につきましては、人間を配転させる、あるいは十分に防毒マスク、防塵めがねをかけさせる等、できるだけの配慮はいたしておりますけれども先生のおっしゃるように、決していい環境ではございません。したがいまして、私どももこの自動化という問題につきまして、いろいろ勉強をしているわけでありますが、何とか技術的な目鼻がつきかかっております。したがいまして、最初に、来年度開業いたします博多の車両基地におきまして、来年のいまごろまではかかると思いますけれども、試運転をするようにいたしたい。その結果を待って、大阪の改善もしてまいりたい、このように考えております。
  91. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんから申し上げますが、たとえば運転者が機関車で輸送していますね。私たちも前に乗ってみたのですけれども、洪水とか天災がありますね、風とか雪とか、これに弱いですね、新幹線は。これは内部問題ではなしに外部だからといって簡単に片づけられる。しかし、乗っておる人たちは非常に危険ですから、路肩、そういうところがあぶないという表示をしてもらわなければ通りにくい。自分たちは東京から大阪まで六カ所ぐらいは知っておって、その辺は調整をしながら走らざるを得ない。極端に言いますと、目を閉じたままその場所は通ってしまわなければ、こわいと思ったらやりきれぬ、こういう状況であります。  したがって、いま一連に申し上げましたように、予備車両の問題、検査の時間的制約の問題そういうことからして、やはり事故が起きるという可能性を私は包蔵しておるように思いました。  これはやはりダイヤが過密化をしておるということになってくるのではなかろうかと思うのです。このダイヤ過密というものは飽和点に達しつつあると藤井総裁も、この間の委員会でお話になったわけですから、もう一度検討を要するではないかという点があります。  それから、一月二十五日以降一カ月の間に四回、半日間運休をするということでございますけれども、もっと早い機会にやらなければ、あるいは正月なり年末にはさらにふくそうし、その際に事故が起きれば、もっと事故も大きくなるような気がいたします。早急にもっと抜本的に線路なり、あるいは検査所なり、運転所なり十分やらなければなりませんし、時間がありますと、線路の状態等についても十分御質問を申し上げて、そうしなければならないというふうに考えていただくことになろうと思うのですが、時間がもう全然ありませんので、この次は線路をやるとして、東海道新幹線においては、そういうダイヤの問題等を検討すべき時期、あるいはスピードについても車両保持のために、また交通の安全のためにも検討する時期が来ておるのではなかろうか、そう思うのですが、その点についてはどうでしょうか。この辺でやめますから、明確にお答えをいただきたいと思うのです。
  92. 山岸勘六

    ○山岸説明員 私ども現在のダイヤが過密であるとは思っていないわけであります。それは御承知のように「こだま」と「ひかり」の二種類の列車しかございません。それで七分から八分の時隔をもって走らせているわけでありますから、いわゆるダイヤの過密であるという表現は当たらないんじゃないかと思います。ただ七月以来の故障、事故の続発によりまして非常に大きな輸送障害を、お客さまに御迷惑をかけてしまったわけでありますけれども、これらの車両、線路あるいは電気施設の点検整備という問題につきまして、一そう細密に勉強をして実施をしてまいりたい、このように考えております。
  93. 野坂浩賢

    ○野坂委員 あなた方は事故があっても、きめたことについては一歩も出ないという考え方なんですけれども、ATCもCTCも神話ではないということになったわけでありますし、現場の声ももっと聞いて点検が安全であるように、国鉄の頭の中からマル物とかマル記とかマル時というものの字句がなくなるように、そういう検査体制なり線路の保持、そして昔のように国鉄は正確であるという、こういう原則になるためには、もっと深く検討をして万般にわたっての配慮を要望しておきたいと思うのです。この次また線路その他をやらしていただきますので、十分御検討をしておいていただきますようにお願いをして、質問を終わります。
  94. 井上泉

    ○井上(泉)委員長代理 次に、紺野与次郎君。
  95. 紺野与次郎

    ○紺野委員 私は、二つの問題をお聞きします。一つは、今度の東京湾における汽船の衝突問題と、もう一つは、新幹線の問題と、この二つをお聞きします。  最初に、十一月九日のお昼に起こった、四万トンのタンカー船と一万トンの貨物船が、白昼いわば堂々というか、もうそれこそ全く白昼ですね、あの東京湾のまん中で衝突事件を起こしたわけですけれども、この衝突が直角衝突なんですね。四万トンの、ちょうど船首付近の横に、直角に衝突しているわけですね。典型的な衝突であります。このようなことがなぜ起こったのかということについて、先ほど二つの法律をいわば順守してなかったという答弁が行なわれておりますけれども、ほんとにそうか、それだけか、もっと重大な問題がほんとう原因として伏在しているのではないか、この点について私はお聞きしたいと思うのです。  その点で、やはり東京湾の実情が、高度成長政策の結果というか、あっちこっちで高度成長は極点に達しておりますが、まさに東京湾においてもそういう飽和状態、過飽和状態というか過密状態になって、そして船の運航がそういう衝突を確率的にも避けがたくしているような状態になっているのじゃないか。特に過密の船舶通航と、その中に危険な爆発物である石油を大型のタンカーが自由に無制限に入ってきているというところに、今度の大事件の大きな問題があるのであって、この点にもっとメスを入れなければ、やはり何度でもこれを引き起こす危険があるというように思うのです。  それで、お聞きしたいのですが、いま一年間に一体どれだけの油が東京湾に大型タンカーで運ばれてきているのか、そして去年の一年間の実際の汽船の通過量と、大型タンカー船の通過量というものを、ひとつ正確に、昨年のと、ことしの状況を知らしてもらいたいと思うのです。
  96. 竹内良夫

    ○竹内説明員 港湾局のほうからお答えいたします。  東京湾そのものに対する数字は私ども握っておりませんですが、東京湾における港湾の総貨物量を調査してまいりました。  昭和四十七年における東京湾における港湾の総取り扱い貨物量は四億一千六百九十五万八千トンでございます。それから昭和四十八年、昨年は、これは概算速報でございますが、四億七千百八十九万トンでございます。  そのうち油でございますけれども、私、現在の手持ちでは、四十七年の数字だけしかございませんが、原油の輸入が、四十七年九千八百五十七万四千トンでございます。それから、原油以外の油の出し入れでございますが、それが一億百五十二万三千トンでございます。  そういたしますと、四十七年におきましては、四億一千六百九十五万八千トンのうち、油類が二億九万七千トンという数字になっております。  次に入港船舶でございますけれども、昭和四十七年におきましては、港湾に入ってきた船の数が四十二万八千七百五十三隻でございます。  それから、少し数字がばらばらになるのでございますけれども、以上の資料は港湾統計という統計からとったわけでございますが、タンカーの数につきましては、そちらのほうははっきりしておりませんので、一応われわれで調査した数字がございますので、お答えしたいと思います。   〔井上(泉)委員長代理退席、野坂委員長代理   着席〕  昨年、四十八年の東京湾に入港したタンカーでございますが、横浜港におきましては、アジア石油に二十四隻、日本石油に百十隻、同じく根岸に二百二十四隻。それから川崎におきましては、東亜燃料と日網石油に九十六隻、それから三菱石油に七十九隻、昭和石油に五十二隻、ゼネラル石油に六十四隻、東亜石油に二十九隻でございます。それから千葉の市原でございますが、出光に百二十六隻、丸善に八十七隻、それから千葉の極東石油に四十隻、袖ヶ浦の富士石油に五十一隻、以上合計いたしますと、東京湾に昭和四十八年に九百八十二隻の大型タンカーが入っているわけでございます。  大型タンカーの内訳でございますが、五万トン以下が百八十一隻、十万トン以下が三百五十三隻、二十万トン以下が二百四十八隻、二十万トン以上が二百隻、合計が九百八十二隻でございます。この数字は私ども一のヒヤリングといいますか、会社に聞いた数字でございまして、いわゆる港湾統計と必ずしも一致しない面があるようでございます。  以上でございます。
  97. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、石油は大体二億トンですか、東京湾内に入っているのは。
  98. 竹内良夫

    ○竹内説明員 一億トンのほうは原油でございますから、外から入ってきたものでございます。あとの原油以外の一億トン東京湾の中の移動のものも入っているかと思います。
  99. 紺野与次郎

    ○紺野委員 もう一つだけ聞いておきますけれども、いま言いました多くの石油コンビナートのあれがありますね。そこで持っておる貯油、大体どれくらい持っていると思いますか。
  100. 竹内良夫

    ○竹内説明員 私ども貯油能力は持っておりませんが、精製能力は一応調べてございます。全部で百九十五万四千バーレル、四十八年九月現在でごいます。
  101. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これは一日の能力ですね。
  102. 竹内良夫

    ○竹内説明員 そうでございます。
  103. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、こういう点で、東京の港内に四十万隻以上の船が出入りして、その中で約二億トンの——キロリットルはトンとほぼ同じですからね、油が入っているのです。そしてしかも、五万トン、十万トン、二十万トン、二十万トン以上の大型タンカーも一自由に入ってきている。こういう状態で、今度のような衝突が昼間から起きたわけでありますけれども、だから一番重要な点は、もうこの状態で何らかの規制というよりは油を東京港へ入れるべきではない。二億トンの油を——毎日毎日、いろいろな新聞社の調査や私ども調査によっても、一日に百六十九隻のタンカーが入っているのですね。船は、九百四十九隻の船が全体として出入りしている。その中でそういうタンカーが入っている。みんな危険物を持って出入りをしているということですから、ここでわれわれとして一大決断をしなければならないのは、こういった無制限にタンカーを入れさせているという東京湾の状況を抜本的に再検討して、そして基本的にはパイプラインによって大型のタンカーが入り込むという現状を打開する必要があるのじゃないか。そういうことを今度ははっきりと示したのじゃないかというふうに思うのですけれども、その点についてどうでしょうか。
  104. 竹内良夫

    ○竹内説明員 東京湾付近のいろいろ都市のエネルギー消費量といいますのは順次上がってきている、今後もあるいは増大していくと思います。しかしながら、東京湾における油の輸送というものはできるだけ少なくしていきたいということは、先生のいまおっしゃったとおりでございますので、私どもといたしましては、いまおっしゃるように、東京湾の外に何らかの受け皿を設けまして、それをパイプラインで輸送する、そのことによって東京湾の内部に油ができるだけ入るのを少なくするようにするというような方向の考え方は、非常にけっこうな考え方であるというふうに思っておりまして、現在研究を進めている最中でございます。
  105. 紺野与次郎

    ○紺野委員 私も当日横浜海上保安庁のほうに行っていろいろ聞きましたけれども、ちょうどあれは八時ごろだったと思いますが、その時点で、きょうのこの資料にあるように、船がどんどんどんどん中ノ瀬の出口の衝突地点から九時の地点まで流されてきているのですね。炎上、爆発をしながら、この船がずっと流れてきた。そして、そのところを見ますと、横須賀港の真正面なんですね。横須賀港の真正面に向かって、四万トンのLPガスやその他の石油をどんどん炎上させている船が流されていく、自由がきかない、こういう事態が起こっておるわけですね。  ですから、先ほどありましたように、この湾岸一帯にたくさんの製油所がある。今度の場合に、たまたまこういう重油ではなかった。しかし、ほんとう重油が、十万トン、二十万トンのタンカーがかりに衝突して、そうして火を出して、こういう状態で沿岸に押し寄せるということになった場合、重化学工業のこの地帯一帯に引火するというそういった危険、その可能性というのは、やはりどうなんですかね。海上保安庁の方からでもいいから、そういう危険というものがやはりあるのかどうか。単にこれをフェンスで何とか防火しようというようなことでは防ぎ切れないような事態に——ああいう衝突重油に火がついてどんどん岸へ押しやられたような場合には、そういう危険というのはあるのかないのか、もう一つお聞きしたい。
  106. 隅健三

    隅説明員 お答えいたします。  第十雄洋丸の件につきましては、先ほどお話をいたしましたとおり、当時、先生がおっしゃいましたとおり、風と潮に流されまして横須賀港のところへ参りました。あそこは岩礁浅瀬も多いものでございますし、船体の折損それから引火爆発を考えまして、決死的にロープをとりまして現在地へ持ってきたわけでございますが、確かに、室蘭の事故、あるいはいままで経験をいたしました事故から考えれば、ことに原油の積載船がバースに接岸するとき、あるいは接岸してからの火災につきましては、非常に重大な事態を生ずるということは憂慮をいたしております。
  107. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、そういう点で、単なる消化施設というものではちょっと防ぎ切れないような事態ですね。あのとき海上保安庁では、接近できない、もうあぶなくて消火もどうにもできない、燃すよりしょうがないんだ、こういうことを言っておりまして、現在でも燃えているんでしょう。たぶんそうだと思います。そういう事態ですから、やはり根本的にあの湾内に大型のタンカーが自由にいま入っているというこの事態を大きく規制して、そうして大体はあの中へ入れない、パイプライン制度等々で置きかえるような英断的なことを、いま研究していると言いましたけれども、できるだけ早くこれを実行するということが必要じゃないかというふうに思いますが、重ねてその点について、これは次官のほうから……。
  108. 増岡博之

    増岡説明員 首都圏整備委員会でもいろいろ御検討をいただいておる問題であろうと思います。  先生指摘のとおり、これ以上過大に設備をし、それに補給に要する船舶が多数通航するということは考えなければならないことであろうと思います。そういう意味で、今後私どももいろいろ検討してまいりたいと思っております。
  109. 紺野与次郎

    ○紺野委員 私は特に、危険物をあの中に入れるなということを申し上げたいですね。そういう意味で、パイプライン等々を真剣に検討してもらいたいということです。  それから、これと関連して、今度の事件についていろいろいわれてもおりますけれども、確かめたい点は、やはりパイロットが両方とも乗っておらなかったんですね。衝突時点では両船ともパイロットは乗っておりませんね。これはまずいと思うのです。この過密地帯で、特に中ノ瀬航路の外側をぐるっとまわって、そして浦賀水道の入り口に入るところまでは絶対にパイロットが、水先案内が要るんじゃないかというふうに、今度の事件を通じて感じられます。第一ブイのところで、ずっとこっちの木更津の沖のほうで離れたということを言っておりますけれども、問題はそこからですね。のこのこ出て中ノ瀬航路の出口のところでひっかかっちゃったんですね。  ですから、その点で二点改善を必要とすると思われるのは、東京湾に入るものは、この過密の状態では、やはりパイロットを乗せる、そうしてそれを安全な地点まで義務的にも乗せるということが必要じゃないかということ。  それからもう一つは、あの中ノ瀬航路の出口のところですね。あそこは専門家に聞いても、もっと迂回したほうがいい。先ほど一千メートルのところでどうこうと言っておりましたが、単に一千メートルということだけにこだわらず、もっと安全に迂回とか何かその辺のところで改善をする必要があるのではないか。特に東京湾の構造として、西と東に京浜工業地帯と京葉工業地帯があり、奥のほうに東京港が存在する、こういうふうになっておりますから、どうしても十字に交差するように船の移動が起きがちですね、あの状態では。今度も木更津から出た船があそこを直角に横断しようとして事故を起こしておりますから、そういう点でどうしてもこの現在の航路浦賀水道中ノ瀬航路、この二つだけでいいということにならないんじゃないか。あるいはこの出口を中心にして、さらにもっと考案を加えて、迂回その他のいろいろの改善を加えて、そしてこれらの四方八方から行ったり来たりする船がうまく航路の中に吸い込まれていくように、出ていくように、その辺の改善、これはどうしても必要ではないかというふうに思いますが、この点についてどうですか。
  110. 山上孝史

    ○山上説明員 先生指摘のとおり、衝突したその時期におきましては、両船とも水先人は乗船しておりませんでした。   〔野坂委員長代理退席、委員長着席〕  ただパシフィックアリス号につきましては、木更津港の港域の中だけは水先人の乗り組みがありました。それがおりてから港域外に出まして、そこで衝突事故があったという実情でございます。水先法に基づきまして強制水先というのがきまっておりますが、この東京湾内におきましては、浦賀水道は強制ではございません。したがいまして、法律的に強制はございませんが、四十五年の十一月に海上保安庁におきまして、浦賀水道航行する外国船につきまして行政指導で極力水先人を乗せるようにという指導をしてきていただいております。また四十九年、ことしの四月からは、いわゆる巨大船、長さ二百メートル以上、それから危険物を積載しているタンカーにつきましては、これも行政指導で極力水先人を乗せるようにという措置をとっていただいております。しかし法律的には、強制水先区ではないということでございます。  なお、この強制水先区、これの今後のあり方につきましては、現在運輸大臣の諮問機関であります海上安全船員教育審議会、ここでことし四月から水先区、強制水先区の区域をどうするか、あるいは強制水先区自体が現在全国で六区ありますが、それでもって足りるかどうかを審議していただいておりますので、その審議の問題の中に、この浦賀水道航路を強制水先区にすべきかどうかという点を含ませて御審議をさらに続行していただきたいと考えております。
  111. 紺野与次郎

    ○紺野委員 ぜひそれは強制水先区にしてもらいたいと思います。  それから第二点として、もう一つの今度の衝突の問題、他方のパシフィックアリス号のほうですけれども、これについてお聞きしたいのは、これはリベリア船で、その船主、それから総代理店、それから今度の荷主、チャーターしている船会社、こういうふうな点を重ねてちょっと正確にお聞きしたいのですが、それは結局、いわゆる便宜置籍船といわれるものの典型ではないかということを、ここでちょっとお聞きしておきます。
  112. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 先ほどちょっとお答えさしていただいたのですが、この船は、当初、今回の用船者である三光汽船が一九六八年に建造いたしました。その後約五年間ほど三光汽船がみずから使っておったのですが、去年の十二月に海外売船を行ないまして、実際行なわれたのは、ことしの一月でございますけれども、そこでパシフィック・バルクキャリヤーというリベリア会社に売船がされたのでございます。そこで、その後外国の自由な用船の業界の中で働いておったのでございますが、今年の八月に三光汽船が鋼材をアメリカに運ぶために二航海、航海用船をしようという契約を結びまして、一航海が完了して今度は二航海目でございます。  一般に便宜置籍船といわれますのは、リベリア、パナマ、その他五カ国の国に船籍が置籍されておる船を便宜置籍船というのでございますが、そういった意味では、この船は三光汽船から買い受けた船主リベリア船主であるという意味で、便宜置籍船だと思います。
  113. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、これは典型的な三光汽船の持っている便宜置籍船と判断していいんじゃないですか。これは売ったというけれども、相手の会社パシフィック・バルクキャリヤー・インコーポレーションですか、これはどこの資本ですか。
  114. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 パシフィック・バルクキャリヤーというのは、リベリア船主で、日本の三光汽船とは何ら資本関係はありません。全く独立したリベリア船主でございますので、売船をことしの一月実行しましたあとは、三光汽船とは船自体も何も関係なければ、会社自体も三光汽船とは何にも関係がない。単なる外国の用船界にあるところの便宜置籍船、リベリア国籍船ということでございます。
  115. 紺野与次郎

    ○紺野委員 この結果として、これは三光汽船がチャーターしている。そうすると、三光汽船が使っていたときの船員さんは乗っておらなくて、いま乗っているのは、いわゆるチャーターしている船の船員は、資本が変わると同時に変わったでしょう。どこに変わったのですか。
  116. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 乗っている船員は、台湾の船員さんであると聞いております。
  117. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、やはり三光汽船は売船をしたことによってチャーターをするということで、実質的には、経営として、日本船員のかわりに安い台湾の船員で運航することに実際的には変わってきている。いわゆる便宜置籍船というものの特徴の一つである人件費を安くするという一つの手であるということが一ついわれております。  それからもう一つは、税金とか登録料とか、こういうものを実際に軽くするということでリベリア国籍にして船の税金を実際上免れるということと、経営的にはやはり人件費を非常に軽減するやり方として行なわれる、それが特徴だといわれております。ですから、こういう便宜置籍船を三光汽船がいまチャーターして使っているということは、そういった海運政策を実際やられており、あなた方もそれを認め、奨励してこういうことをやったのかどうか。
  118. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 先ほども説明申し上げましたが、この船自体は、三光汽船の手が離れましてからは、パシフィック・バルクキャリヤーというリベリア船主が船を持っている、それに船員も乗せているということでありまして、三光汽船とはもうそこで完全に関係は切れておるのでございます。その後自由な外国の用船業界で、この船がありましたのを、たまたま三光汽船が用船してまいったという関係でございますから、三光汽船とは、本件につきましては直接御関係がないということを御理解いただきたいのでございます。  なお、便宜置籍船一般の問題といたしましては、先生指摘のように、税金の面が安いとか、あるいは乗せている船員さんの人件費が安いとかいう問題はございます。ただ、ちょっとここでお断わりしておかなければいけませんのは、私どもは便宜置籍船の用船を奨励しているとか、あるいはそれについて政府が勧奨しているという立場では全然ございません。実は世界の海運界の中で船舶を一番よけい持っている国籍と申しますと、リベリア国籍でございます。そのほかパナマ、キプロス、ソマリア、シンガポールといった便宜置籍船の船腹を全部加えましたら、世界の船腹量のうちで二三%くらいのものが、いわゆる便宜置籍船といわれている船でございます。  したがって、世界のうちで一番貿易量が多くて海運の交通、取り扱い量が多いというわが国としては、外国の用船をいたします場合に、その中に便宜置籍船が入ってくるというのはやむを得ないことでございます。と申しますのは、私どもは日本船をつくりたい、日本船員の乗った日本船を重点的に考えていきたいということで、すでに三十次に及ぶような計画造船をずっと続けてまいりまして、日本船腹の増強を心がけてまいりましたが、遺憾ながら世界一の物量を運ぶための船舶としては日本船だけではとても一足りませんで、輸出、輸入の日本船だけの積み取り比率というのは、どんどん下がってきているのは御承知のとおりでございます。  そこで私ども日本といたしましては、どうしても外国の用船によらざるを得ない。大体大ざっぱに申しまして、日本の貿易物資を運びますのに必要な船腹量を一〇〇といたしましたら、そのうち六〇は日本の船で運べておりますけれども、残りの四〇は外国用船によらざるを得ない。その外国用船の中で、先ほど申し上げました世界のうちで二三%を占めておる便宜置籍船がまたその六割くらい、したがって日本の物資を運んでいる船腹量の中で二四%ぐらいのものを便宜置籍船にたよらざるを得ないということでございまして、これを用船市場で用いないということになりますと、日本の必要な貿易物資がわが国に入ってこない、また輸出品が日本から出ていかないという現状でございますので、その辺を御理解いただきたいと思います。
  119. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから問題は、一つはこういうふうに資料をお願いしたいと思うのです。いま言いましたリベリア、それからパナマ、シンガポール、ソマリア、あともう一つどこですか。(薗村説明員「キプロスです。その五カ国です」と呼ぶ)この五カ国の国籍の船を用船している日本の船会社ですね。いろいろなところから用船しているでしょうけれども、特に便宜置籍船の本山といわれる、これらの五つの国の船籍を用船している会社名と、その会社がどういう船を——リベリア船では何という、シンガポールの船では何という船を用船しているかというふうな一覧表をぜひお願いしたいのです。  たまたまこれは三光汽船のものでありましたけれども——というのは、こういう点があるのです。三光汽船はいままで五年間、これをつくったのは自分たちなんですね。そして売ったのですね。何で売ったのか。そしてまたチャーターしているのです。変わったのは、その間にやはり外国人、台湾人の船員さんが乗って今度の事故を起こしたわけですね。たいへん不幸を取引したような話に結果的になっている。ですから、こういう弱点を持った、しかし一面見ると、これは非常に超過利潤というか、日本の船員では、もうけられないようなことが実際ころがり込んできているわけなんです。そういう魅力があったから売って、そしてこういう形態にしているというふうなところに大きな落とし穴があったということを、これは証明しているわけなんですね。  そして現在、三光汽船はこういっております。私がこの事件は処理をします。ほんとうならば船会社が、これはやるべきではないのでしょうか。その責任はリベリア船主さんがやるのがほんとうじゃないのですか。ところが実際は三光汽船が、私のところで全部処理いたします、こういっているということは、実質的なこの便宜置籍船の支配者というか責任者というのは三光汽船で、何の関係もないのだということにはならないということを私は意味していると思うのです。  ですから、そういう点で、三光汽船が今度の船と何の関係もないというのじゃなくて、実際にこの事件について責任があり、処理をするといっているそうでありますけれども、こういった実態をどういうふうに解釈するのか、もうちょっと御説明を聞きたいと思うのです。関係ないということと、あるということとを。
  120. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 日本の船会社が用船しているのは、私五カ国と申しましたうちでリベリア、パナマがほとんど大部分だと思います。世界的には先ほどのとおり五カ国と申し上げました。  それで、リベリア、パナマ籍の船を日本海運全体として何隻ぐらい用船しているかということを、ある時点で押えることは概数としては可能かと思いますので、合計の数字でリベリア、パナマ船について調査を申し上げて先生のところに御連絡をいたします。  それから、いま三光汽船の御発言がございましたけれども、それはどういう意味でお話が出たのか私つぶさに存じませんので、その真意については私からこの席でお答えする限りでないと思います。  ただ用船契約につきましては、用船者の責任とそれから所有者の責任というものは、非常に微妙な問題が契約上の問題としてございまして、いろいろなところでそれが取り上げられておりますので、学説としてもいろいろあるようでございますし、裁判上の取り扱いとしてもいろいろあるようでございまして、なかなかむずかしい問題で、私どもにも簡単に割り切れない問題がございまして、御説明できないと思います。いずれにいたしましても、リベリア籍とパナマ籍の船について、ある時点でトータルとして、どれだけぐらいの数字があるかということは調査の上、先生に御連絡を申し上げたいと思います。
  121. 紺野与次郎

    ○紺野委員 じゃ、まずトータルからいきましょう。一ぺんでいけないようですから、パナマとリベリアの船を日本でどれだけチャータしているかという点について。そしておいおい各個別会社についても明らかにしていきたいと思いますが、それもできますか。
  122. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 個々の会社につきまして一々申し上げることができるかどうか、これは会社の経営上の問題もございますので、私ども慎重に考えなければいかぬと思っておりますので、いま申し上げられることは、先生にトータルの数字で御説明させていただくということでございます。
  123. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それじゃ今度は、便宜置籍船というものが、いま言いましたように非常に海を俳回している一つの妖怪のような性質を持っているのですね。これはたいへん責任のない船なんです。そういうことで、あっちこっちで不始末をしている。安全その他日本の近海でも、海難あるいは海洋汚染を非常に行なっております。そういう点でここ最近の、一九七〇年ごろから、ことしまでの海難とおもな海洋汚染と合わせて報告があがっているその中で、こういう便宜船が事故を起こしているというふうなことがありましたら、これをひとつ資料で提出をお願いしたいのですが、これは海上保安庁でしょうか、そういう点は。
  124. 隅健三

    隅説明員 ただいま私のほうにございます資料といたしましては、特定港に入港いたしました総隻数は、これは把握をいたしております。それから、わが国沿岸におきまして事故発生いたしました船もわかっております。そういうことで事故率は、四十七年、四十八年は国籍別に出す。ただ公害につきましては、ただいまその資料が直ちに出るかどうか調査をする必要があると思います。
  125. 紺野与次郎

    ○紺野委員 じゃ、その事故のほうでけっこうですから、ひとつあとで資料をお願い申し上げます。  それから最後に、海難の点で便宜船というものがそういったいろいろなことを起こしているのですが、これの行政の責任ですね。どこが責任をもって監督しているのかというこのことが一つ。  それから実際にこれらの船に対して、日本の海または領海においていろいろ指導する、あるいは点検するというふうに、積極的にこれをもっと安全という点で何らかの対策を強化するということにしてもらいたいと思うのですが、これは国際法上のいろいろなことがあるのかどうかを研究してですが、ひとつこの点についてお聞きしたいと思います。
  126. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 リベリア籍の船はリベリアの政府が船の安全なりその他の点をチェックする責任者であると思っております。日本へ来た場合に、どういう場合であるかということにつきましては、それぞれ関係の向きからお答えをしたいと思います。
  127. 山上孝史

    ○山上説明員 便宜置籍船につきましては、船舶職員法、それから船員法の規定は適用がございません。便宜置籍船は外国船の一種でございますが、これが裸用船をされた場合のみ適用がございます。今回のような場合には適用がありません。なお水先法、これはわが国の領海に入りますと適用があります。したがって、たとえば強制水先区に入った場合には、水先人を強制的に乗り込ませる必要が出てまいります。
  128. 内田守

    ○内田説明員 船の施設的な安全でございますけれども、これはわがほうの船舶安全法の安全基準は日本へ入港してまいります外国船には適用されます。しかし、先生御承知のように、具体的には多国間条約で海上における人命の安全のための国際条約、それから国際満載吃水線条約というのがございまして、これはいずれも、わがほうも、それからいまの例で言えばリベリアも加入しておるわけでございます。  それぞれの二つの条約は、それぞれの条約に定められました安全基準につきまして、その船が安全基準に合致していることを自国が証明する国際的にきめられた様式の証書を受有することになっております。この証書を受有する船につきましては誤認と申しますか、条約の当事国に入港した場合には、その当該国によって発行された証書と同等の効力ということで容認されるという規定になっております。したがいまして事実上は、それぞれの国の船の持っております条約証書が適正なものであるかどうかということが監督の対象になるということでございます。
  129. 紺野与次郎

    ○紺野委員 やはりこの点で、便宜置籍船の監督官庁というのは、どこだかはっきりしませんでしたね、どうですか。どこが担当しているのですか。
  130. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 リベリア船についてはリベリア政府、それからパナマ船についてはパナマ政府でございます。
  131. 紺野与次郎

    ○紺野委員 日本に来た場合はどうですか。
  132. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 日本に来た場合でも、それぞれの国で、いまお話がございましたように、船舶安全関係についてはその国の政府で、また船員関係についても、その国の法律で監督をしているということでございます。
  133. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、いまのあれは非常に大きなしり抜け行政だと思うのです。  この点については多国間の条約及び水先法とかそういった、いまあるものでもって極力安全のように全力を尽くしてもらいたいというふうに思いますが、なおこの点については実際上放任、取り締まりができない、本国がしないのが便宜置籍船の特徴なんですから。だからその点で、やはり何らかの対策考えるということが、今度の事件の大きな教訓だと思うのです。これについて何にも知らぬよということじゃ済まされないということですよね。
  134. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 便宜置籍船だけが何か野方図になっているということでございますけれども、たとえばアメリカ船はアメリカ政府がやっておりますし、日本船については日本政府がやっております。船舶の安全管理の面では、いま船舶局から説明がありましたように、SOLASの条約でやっている。これは水準として国際水準に基づいて共通にやっているということでございます。それぞれの政府がそれぞれの船について責任を持つということが世界の海運の実情でございます。
  135. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最後にどうしても聞いておきたいことは新幹線問題ですけれども、実は「現代」十二月号、これは十二月号だから、いまわれわれ問題にしないとジャーナリズムからも、何だ、何も知らぬのかということにもなりますし、皆さんこれで一番おしまいのほうに書いてあるのは、新幹線が大惨事を引き起こす可能性があるということを、たとえばこういうことになるであろうということを、これは書いてあるわけなんですね。ですから、これはどういうことを意味するか。これは国民が非常に心配していることを良識のある知識人たちが共同でつくられたか、とにかくこういうものを書いて反省を促す、こういうことが起こらないうちにということでいっているのですが、これについて国鉄当局または運輸当局はどういうふうにお考えになるか、ちょっとお聞きしたいのです。衝突という事件ですね、新幹線の衝突ということがあり得るかということです。
  136. 山岸勘六

    ○山岸説明員 私、不幸にしてまだ「現代」の十二月号を見せていただいておりませんので、中身についてはわかりませんけれども衝突が起こり得るかどうかという御質問でございます。私ども現状において衝突は起こり得ない、そういう自信を持って運転をいたしております。
  137. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これを読んでいないというのが——私はあなたに言ったでしょう、こういうものが出ていますよ、読んでくださいよと。あなたはそれを全然無視しましたね。そういうことが私は、そもそもたいへんな思い上がりだと思うのです。あなた、そうしたら、起きたらどうしますか。思います、と言ったって、多くの人はこういうことが起こり得ると言っているのですよ。それを研究して、それはありません、こういう点からありませんというふうに親切に反論するのならだけれども、読んでいませんと、そういうことは私はとんでもない無責任な態度だと思います。そして現実に、それではないか、起こり得る可能性は一ぱいあると思うのです。  第一番に、この間も九月十二日、品川における事故ですね。本線に向かって東京の運転所から上り線のあれにちゃんと開いているところに、ゴー、行きなさい、こういうふうに信号が出たのですね、この事件が起きておりますよ。こういうことが、つまり私たちが一番大きな一つの不信というか問題なのは、ポイントがおかしいということです。しばしばポイントがおかしなことをやる。そしてそこには、いろいろなおかしな電流が入ってきて、そうしたのだということとか、いろいろなことを言っておりますけれども、現実に大阪でも、行っちゃならない方向にポイントが開いておったとか、そういうことが起きるということなんですね。  それから鳥飼の事故だってそうでしょう。ポイントのところでオーバーランしちゃったのですね。あれは油ですべったのだと珍無類のあれがありましたけれども、しかしオーバーランして、そしてうしろにバックしようとして脱線をした。明らかに脱線が起きていますよ。  それからもう一つ、この間東海道線で、きょうも先ほどマル物問題からして、つまり部品が落っこっちゃうのですね。そして民家のほうに吹っ飛んでいって、びっくりぎょうてんするということが起きているわけですね。あれが車輪にかまったらどうなるのですか。車輪にひっかかったりなにかしたら、脱線する可能性はありませんか。だから、脱線ということが絶対にないと言い切れないことが現に起こっている。あるいはそれに近い事故が起きているということなんです。  時間がありませんから問題提起しますけれども、そういう事故が脱線の可能性があるということを示していると思います。現に鳥飼で起きたのですから……。そして問題は、反対方向からこの過密のダイヤのもとで偶然にそこにぶつかったならば、やはり正面衝突——先ほど東京湾のまん中で白昼午後一時三十七分、天下承知のそのまん中で直角衝突ですよ。あり得ないようなことが起こっているのですね。過密ですよ、過密からそういうことが起きているのだ。だから、こういう過密のダイヤのもとで二百十キロで飛ばして、そして片側で多少ともそういった脱線があったら、これがいっている正面衝突がやはり起こり得るということ、そういうことを真剣に考えて、そうしてそういうことが絶対に起きないような、あらゆる検討をすることを私は求めるわけですが、これについて重ねて御答弁願います。
  138. 山岸勘六

    ○山岸説明員 「現代」について、私は検討しないと申し上げたんじゃありませんで、不幸にして現在までまだ読ましていただいてないと申し上げましたので、十分に検討させていただきたいと思います。  なお、脱線の可能性という問題、非常に重大な事故の可能性という問題につきましては、私どもの把握としては、やはり車軸の折損ということに非常に神経を使って第一義的に考えているということであります。それからもう一つは、道路から落ちてくる自動車等の落下物であります。私どもは、これがその次に非常に危険なものと考えております。その次に、やはり地震等の災害によるものが非常に危険であると思います。  もちろん、正確な輸送をするためには線路、車両、電気設備、それから信号保安設備等万般にわたって一つ一つ謙虚に勉強をしていかなければならぬと思いますけれども、「現代」を読ましていただいていない現在の段階におきまして、私どもが一番心配して細心の注意を払っている順序について申し上げた次第であります。
  139. 紺野与次郎

    ○紺野委員 重ねてお聞きしますが、いま脱線が起こる可能性について言われましたね。脱線が起これば反対方向から来るやっと衝突する危険もあるでしょう。うしろのほうから来るのはとまるかもしれませんけれども、どうですか。
  140. 山岸勘六

    ○山岸説明員 出会いがしらにであれば、絶対にないとは申し上げられません。
  141. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これはそういうことがあり得るということを示しております。ですから、二百十キロ、それから過密ダイヤについても、それとの関連で検討する必要がないかということについて、鉄監局長来ていましたね、最後に聞かしてください。
  142. 秋富公正

    秋富説明員 新幹線に限らず在来線につきましても、すべて国鉄におきます最大の使命は、輸送の安全確保ということでございます。運輸省といたしましても、この点を最も大きな目標といたしまして国鉄を指導しているところでございます。  先生の御指摘のスピードの問題でございますとかダイヤの問題でございますが、私たちが緻密に検討いたしております現在の段階におきましては、この問題については国鉄の現在の計画というものを信頼しております。
  143. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これはたぶん国鉄の財政の根幹にかかわることで、いまのような制度のもとでは、かせがなくちゃ、かせがなくちゃということで、到達したダイヤとスピードは絶対に下げられないということでがんばっているんだと思いますけれども、やはりたてまえとしては、もっと国の予算、一般会計から基本建設その他に導入することができるようにして、そして国鉄が営業の上でももっと息がつけるような制度にすれば、スピードとか過密ダイヤというふうなことで綱渡りや危険なことをしないで済むようになると思いますが、そういうことをひとつ真剣に考えてもらいたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  144. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 次に、沖本泰幸君。
  145. 沖本泰幸

    ○沖本委員 最初にタンカーの衝突事故をお伺いして、そのあと五十一年の排気ガスの規制問題をお伺いしたいと思います。  衝突してすぐの問題であって、これからいろいろ問題点が出てくると思いますし、いろいろな点で指摘もされていくと思いますし、それから、すでにいろいろ心配しておったことが現実に起きた、こういう問題もいろいろ出てくると思うわけです。それで先ほどから便宜置籍船の問題も出てきたわけですけれども、幸いにして視界もある程度あった、風もそんなになかったということで危険のないところに引っぱっていけた、こういうことで事故が大きくなるという点は防げたわけです。しかし、もっと風が強くて、波も荒いし、視界も非常に悪い、こういうようなときに重なって起きた場合には、もっと憂慮されるような事態を招いたかもわからないということになるわけです。そういう点を考えていきますと、これはもうただ事が起きたということだけでいろいろ検討するような問題ではなくて、いままで考えられたことをもう一度洗い直して、海上交通法の中身にまでもっと立ち至って検討していただかなければならない、こういうふうに私は考えるわけです。  そういうことで、たとえばパイロットの問題も出てきましたけれども、非常に素朴な質問になるかもわかりませんが、国際的な衝突防止の規定の問題とか、日本の中に入ってきた場合には海上交通法ができているのだという日本国内の法律、そういうようなものの周知徹底はどういう形でされておるか、どういう形で理解されておるか、そういう点について先にお伺いしたいと思います。
  146. 隅健三

    隅説明員 お答えいたします。  海上衝突予防法につきましては、IMCO等を通じましての取りきめでございますので、各国においてそれぞれ指導あるいは乗船の船長以下は熟知しておるものと思います。  本邦の海上交通安全法及び港則法につきましては、わが国の特殊のルールでございますので、一つは在外公館に対しまして、このような海上交通安全法の特別のルールができたということの各国に対する周知のお願い、これはパンフレットその他をもっていたしております。それから新しいチャート、わがほうの海上交通安全法でありますと、特定の水域についてのチャートを各国政府に記入していただくように依頼をいたしております。また日本のチャート、海図につきましても、主要国でできるだけこれを入手できるような形をとりたいということで、船主協会、外国船舶協会、あるいは外船代理店協議会等を通しまして周知をいたしておりますけれども、やはり数多い船舶でございますので、まだまだわれわれの努力が完全に達成したとは考えておりません。今後ともその努力を続けていきたいというふうに考えております。
  147. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そういうことで、そういう日本の国内のいろんな法律をどの程度外国船が熟知しているか、あるいは大型船が熟知しておるかという点を、あるいは入港した船について、あるいは出港する船についてお問い合わせになったり、お調べになったりすることはあるのですか。
  148. 隅健三

    隅説明員 この点につきましては、各海上保安部署におきまして代理店を通じ、あるいは直接本船で船長に会ったりして、この点を確かめておるようでございます。
  149. 沖本泰幸

    ○沖本委員 その確かめた結果、どの程度承知しておったか、全然そういう面は暗かったとか、それに対してこういうことをしていかなければならないというようなものがすでにあったと思うのですが……。
  150. 隅健三

    隅説明員 ただいま聞きましたところ、第三管区海上保安本部におきまして、東京湾に入りました外船に対する訪船の結果の資料があるようでございます。ただいまここへ持ってきておりません。後ほど御報告にあがりたいと思います。
  151. 沖本泰幸

    ○沖本委員 やはりそういう点が徹底されていってこそ、初めてある程度事故を防止できるという形になるので、そういう点は十分手落ちのないように処置をしていただきたいと思うわけです。また、これからも起きる事柄ですから、そういう点は徹底していただかなければならない、こういうことになります。  それから、この雄洋丸はエスコートボートをつけておったということなんですが、このエスコートボートの働きというのは、この衝突事故とどういう関連があるわけですか。全然関係がなく、責任がないということになるのでしょうか。この衝突に対する、鉄材を積んだ船とタンカーとの原因、あるいはおもなる原因はどちら側にあったかということは、これからいろいろ海事審判なり何なりの形でお調べになるはずなんですけれども、まあパイロットがついてなかった、しかしエスコートボートはつけてあったということなんですが、そのエスコートボートはそういう事故を防ぐだけの働きがあるのか、ただ大型タンカーに火災なんかの防止のためにつけてあるという働きだけなのか、その点はいかがなんですか。
  152. 隅健三

    隅説明員 一応エスコートボートの働きといたしましては、前路の警戒、それから前路にそういうような異常な事態が発生すれば、直ちに本船に対する緊急連絡、そのために国際VHFを積んでおります。こういうことでございますが、この「おりおん」一号につきましては右方向を走っておる、その角度は不明でございます。それから何メートルこれと離れて前方を行っていたかということは、目下「おりおん」一号の乗組員に対しまして海上保安庁においてこれを捜査をいたしております。こういうことで、詳細は目下調査中でございますので不明でございます。将来、エスコートボートに対しましても、これの任務の再確認と申しますか、徹底をはかる必要があるというふうに存じております。
  153. 沖本泰幸

    ○沖本委員 私たちは新聞記事による以外に、事実の内容というのを知りようがなかったわけです。そういう点、いろいろさがしてみますと、エスコートボートがついておったということだけで、このタンカーの船長は、外国船が横切ってきているので、急いで全速後進のあれをやったけれども間に合わなかったということなので、タンカーだけがその事態を認めて、それで措置をとったのか、エスコートボートのほうから、いろいろそういう点についてのアドバイスがあったのか、その辺が不明だったわけです。現在調査中だということなんですけれども、先ほどの御質問の中で、もっと先の海域まで水先案内をつけるべきだ、こういういろいろ御議論もあったわけですけれども、やはりこういうところでは、こういうふうな船の役割りというものが大きく、またその海域なり航路なりについては一番よくわかるわけなんですから、やはりある程度のパイロットの役割りを果たしていくような仕事をさすべきであると考えるわけです。そういう点はひとつ御検討いただきたい、こういうふうに考えます。  それから、この便宜置籍船について、私たちはからずも、この事故の前の日に海員組合の皆さんから、これからの問題についていろいろなアドバイスを受けておったんですが、そのとき、たまたまこの便宜置籍船の話が出てきまして、そこで一番印象を受けましたのは、日の丸の旗をつけた船に全然日本人でない人たちばかり乗っておるということですね、これはどういうことだということのいろいろ討論の中で、そういう話が出てきておるということになるわけです。  先ほど海運局長さんの御説明でいろいろな点が指摘されてきておるわけで、国際的な問題としてどうしょうもないような問題がありますけれども、言ってみるなれば、ここで問題になっておるのは、だんだんと系列化された問題の中に船が掌握されていって大型化されていくために、だんだん集約化されていって、そしてあまり必要でないことはないんですけれども、能率のあがらない船が、こういう形の船にすりかえられていくということで、各国とも目を光らしてこの問題は注目はしておるけれども、いまのところ、これという方法がない、こういうふうなことなんですけれども、しかし、いまその中にあって、この前の久保先生の御質問の中でも、やはり乗り組み員の技術なり資質なり、そういうようなことに実際上問題が出てくる。また、先ほど紺野先生のお話でも、やはりそこの辺にいろいろ問題があって、日本の中で事故を起こす大きな問題になるのじゃないか、あるいはそのためにいろいろと外国のまあ比較的労働賃金の安いお国から乗り込んでいらっしゃるところの船ほど事故率が高いじゃないかというようなことがあるわけなんですね。  そういう点が、やはり日本の労働力あるいは海員組合あるいは船に乗る人たちの労働の市場を確保するという面あるいは日本で使うべきものは、やはり日本の船で運ぶべきだ、こういうふうな内容、それから国際的な運賃の問題、いろいろな問題がからみ合ってきて、ふくそうしていることは、われわれも理解はできるんですけれども、やはりその中にあって、いま指摘したような問題が解決の方向なり、あるいは改善されていく方向に向かって海運局としてあるいは運輸省として十分努力をはかられていき、そういう方向に方向、けがされていくということが必要じゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。  ですから、これからも船腹がだんだんと増加されていくということになり、あるいはコンテナ船に代表されるような船舶のいろいろな形の変わり方というものと、それからどうしても運賃の内容が違ってくると、とたんにこういうふうな船が利用されていく、その利用度がだんだん高くなっていくということで日本の海運の内容がいろいろ変わっていくということに対しては、やはり運輸省として何らかの形で力を注いでいかなければならない、こういうふうに私は考えるわけです。そういう点について将来に向かって、その方向で努力をなさるのか、いまはやむを得ないから現状をただ見守りながら何らかやっていきたい、こうお考えなのか、その辺いかがですか。
  154. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 先生のお話のとおり、私はできるだけ日本の物資は日本船員を乗せた純粋な日本船で運んでいきたいと思います。いままでも、計画造船をそういう趣旨で続けてまいりましたし、ちょうど来年度以降新しい計画造船をどう続けるかということが論議になっておりますので、ぜひ日本船員を乗せた日本船で日本の物資を運んでいきたいということに御理解をいただきたいと思います。  便宜置籍船の事故の関係につきましては、先ほどからもいろいろお話がございました。便宜置籍船だけが特に事故率が高いということではなくて、日本船と比べたときに、外国船が一般に日本船に劣って事故率が高いようでございます。そこで、やはり先ほどからも海上保安庁からも御説明申し上げましたとおり、外国船に対して、日本の近海へ来ましたら、海象、地形その他複雑な海域でございますので、ぜひ事故を起こさないように、周知徹底方をはかっていくということだと思います。ただ、先ほど申しましたように、やはり現状で申しますと、四〇%程度のものはどうしても外国船によらざるを得ないということがございますので、われわれは、やむを得ず四〇%の外国用船ということでございますけれども、それをできるだけ少なくしていきたいし、危険な便宜置籍船ということでございましたら、それになるべくよらないということにはしていきたいと思います。  全世界的に、便宜置籍船の占めるウエートというのはかなり高うございます。先ほど申し上げたとおりでございますので、これを許可しないとか、これを全くなくしてしまうのだとかいうようなことは、ちょっと日本だけの事情として申し上げられませんが、できるだけそういう方向で、日本船員と日本船とで日本のものを運んでいきたいということに今後政策的に私ども努力させていただきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  155. 沖本泰幸

    ○沖本委員 海員組合のほうでも、「外国人船員が日本国旗を掲げる船に乗り込んでいるのは海上運送法でも認めてある。裸で外国に貸して、再び日本の船主なり業主なりに用船しているが運輸省でもこの実態をつかんでいない。」こういう指摘も、海員組合から出している「船員しんぶん」という中に討論という形で出ておるわけですけれども、そういう点、先ほど申し上げたとおりですから、あらためて海員組合意見もよく聞いて、こういう問題に対する対処をしていっていただきたい、こういうふうに考えたいわけです。  それから、東京湾事故が起きたわけですけれども、すでに水島でも大型船が入るのは、船腹ばいというふうな状態の中で水路を渡って、危険が一ぱいだという事情もあるわけです。港湾局長さんは、こういう問題に対して、だんだんと臨海工事地帯の造成なり何なりというものに対して、これからはもっとやっていきたいというようなお話が先ほどあったわけですけれども、たとえば、東京の埋め立て地が、最も泊地に近いところを埋めてしまっておる。船には非常に都合の悪いような内容で、いま埋め立てが進められておるというふうな現状だということもあるわけなんですね。そういう点で、この問題ももう一つ検討してもらわなければならないし、海上交通法ができたからといって、ずいぶん検討されてこの法律はでき上がっていったわけなんですけれども、こういう問題が起きてみると、もっと検討しなければならない、こういうことになりますので、運輸省のほうとしては、これを機会に洗いざらい問題を検討していただいて、港がだんだん狭くなっていくというふうな現状に合わせてやっていただきたいと考えるわけです。  これはあとで次官に、これからの所信を伺いたいと思いますが、同時に、先ほども消防艇のお話が出たんですけれども、私は以前から、この問題やかましく申し上げているはずなんです。「ひりゅう」一つしかないというのはけしからぬということもすでに申し上げて、来年か再来年もう一隻できますと、こういうことなんですが、先ほども指摘があったとおりに、たとえば堺でバルブの締め忘れからオイルがブローしてしまって火災になったというときには、大阪の消防艇がかけつけて消火に当たって、堺の臨海工業地帯には一切そういうものはなかったという現実があるわけです。  その辺に消防庁と海上保安庁との守備範囲ですか、そういうものの食い違いがあるのかということになってくるんじゃないかと思うのですけれども、海上のいろいろな災害に対しては、それにあうような船は、お互いに共同し合って防止に当たっていくという、ぴしっとした慣行があるわけなんですね、台風が来たりしたら、タグボートも出ていって同じように働いて船の安全をはかっていくというようなこともあるし、港はできるだけ協力して船をつないで、しけから守るというようなこともあるわけなんですけれども、そういうふうな内容から考えていくと、この港の中で起きる事故あるいはそれに近いところで起きるいろいろな船の災害に対しての防災というものが全くしり抜けじゃないかと、こういうふうに考えられます。  そして、これだけ科学的な船ができて現実にこれだけの大災害が起きたわけなんですけれども、写真なんかで見ると、たくさんの船が行って消火には当たっておりますけれども、その守備範囲なりが海上保安庁だけにとどまっておるという点に、まだ大きな問題がたくさん残っていると思うのです。ですから、化学消防艇ももっと十分準備しなければならないし、いろいろな条件の災害に合うような防災体制を海の上でもつくってもらわなければならない、こういうふうに考えます。これはLPGのタンカーが起こした事故で、燃えてしまえばそれなりだということで、幸いに炎なり災害が飛び火しないような状態に守れたわけですけれども、大型タンカーで、もっと原油を積んでおるとか、あるいは重油を積んであるとか、あるいはクリーンであるとかいうような場合に及ぼしてくる災害というものは、もっとその範囲が広がっていって、そして思いもしないところに事故を起こすという危険性が十分あるわけなんです。  そういうものに対するきちっとした防災体制というものが、あるいは防災体制というものに対して具体的な内容のものが整っていないことも、これまた現実の事実なんです。そういう点について、昔から盛んにこういわれるんですね、事故が起きたあとで大騒ぎやっていると。天災か人災かということが議論されるわけですけれども、これは全くそういう点がまた大きく問題になるおそれが十分あるわけです。おそれておったことが起きたということができているわけなんですから、そういう点についてどういうふうな対策をお考えなのか、これは海上と陸上から、両方からお考えいただきたいと思うのです。
  156. 隅健三

    隅説明員 現在海上保安庁が持っております大型の消防船は、先生おっしゃいました東京湾には「ひりゅう」がございます。伊勢湾それから関西地区に一隻、それから最近は中型の消防艇を、能力のいいものをつくりまして、これを東京湾と瀬戸内海に重点的に配置している。それから巡視船についても消防能力を付与しております。こういう、海上保安庁を中心とする海上消防体系、それから民間関係が大型消防船を共同で建造して運用するという、これは「おおたき」という船が四十七年度に建造されました。今度の事故で活躍いたしております。さらに一隻、五十年当初にはでき上がります。  それからもう一つは、三十二隻の引き船、タグボートに科学消防能力を付与いたしました。これが一つの中心となっております。  これが洋上におきます消防体制でございます。  沿岸につきましては、消防機関と業務協定を締結いたしました。バースについております船あるいは上架しておる船、そういうものにつきましては、円滑に消防ができるように互いに協定を結んでおるというのが現状でございます。
  157. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 消防機関が船につきまして消防体制をとっておりますのは、ただいま海上保安庁のほうからも説明がありましたように、岸壁に係留された船舶あるいはドックに入っております船舶、それからあとは河川等の内水面における船についての消防体制でございます。  消防機関が持っております消防艇は、港湾地域における市街地において、普通ポンプ自動車の陸上からの進入が非常にむずかしい地域がありました場合に、これを海上から消防活動を行なう、そのための消防艇でございます。したがいまして、消防機関が持っております消防艇は、どうしても内水面なり港湾だけの、いわば非常に波の穏やかな、そういう地域での活動に適するようにつくられておりますので、今回のような事故がありました場合には、消防機関の保有する消防艇は活動が非常に困難ではないか。また、そういう目的の消防艇でございますので、現在、消防機関が持っております消防艇は大体三十トンないし五十トンの消防艇でございまして、例外的に東京消防庁が百トンの消防艇を持っておるというのが現在の消防機関の現状でございます。
  158. 沖本泰幸

    ○沖本委員 あまりこれに時間をとれないのですが、御説明だけじゃまずいのですね。これからもっと協議していただいて、現実に地方自治体が持っている消防艇も、波の荒いところを港外に出て仕事をやっていることも事実なんですから、その辺の内容的なものはよく研究していただいて、お互いに連絡し合って十分機能を果たすような方向で今後協議していただかなければ、おれのところの守備位置はここだけで、知らぬぞという行き方は私は全くけしからぬと思うのです。そういう点よく考えていただいて、それから企業のほうも責任があるわけですから、企業と、あるいはタンカーを持っている船舶会社なりなんなりが、やはり事故防止の立場で問題をいろいろ検討して、住民に大きな不安なり危険を及ぼさないようにやることが当然だと思います。その点はもっと前向きに取り組んでいただきたいと思います。  それでは、言うことだけ言ったわけですから、あとは守っていただきたいということで、船のほうはけっこうですから、自動車の規制のほうにいきたいと思います。  自動車の排出ガスの五十一年規制について、いまいろいろな議論がされており、国民が非常に注目しておるというところにあるわけなんですが、中公審では、現在この問題についてどういう状況になっておるのでしょうか。
  159. 小林育夫

    ○小林説明員 お答えいたします。  現在中公審におきましては、中公審大気部会のもとに自動車公害専門委員会というのがございます。これが審議中でございます。  現在までに委員会を十回程度行ないまして、ごく最近では、あしたまた会議があるわけでございます。審議の内容につきましては、だいぶ議論も煮詰まった状態でございまして、いよいよ最終的なまとめに入る前の段階と申しますか、問題点の詰めを行なったという段階でございます。今後のスケジュールがどうなるかということでございますけれども、これにつきましては、今後審議が行なわれるわけで、はっきりしたことは申し上げられませんけれども、早ければ今月中に専門委員会報告が出るというような段階ではなかろうかというふうに事務当局は考えております。
  160. 沖本泰幸

    ○沖本委員 新聞でもいろいろ報道されておりますけれども、五十一年度規制の問題が後退してしまって、二、三年延期あるいはその暫定値の規制が実施というふうになりそうだということになるわけですけれども、地方自治体の人たちの中からの問題は、五十一年に規制してもらいたい、こういう内容のことが出ているわけです。それで素朴な国民の立場から考えてみても、そうあるべきだ、こう考えるわけなんですが、それに対して、中公審の結論が出るのは今月中かもわかりませんが、環境庁としては、これにどういう決意で臨んでいらっしゃるのか、待たないと決意が出ないのか、どっちかということなんです。
  161. 小林育夫

    ○小林説明員 この委員会で私、以前環境庁の考え方というものを度述べさせていただいたことがあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、もちろん中公審の答申を待って結論を出すという立場にあるわけでございますけれども、環境庁の立場としては、やはり国民の健康ということを義的に考えまして、もうできるだけきびしい規制をしたいということが環境庁の従来からの方針でもございます。  それから中公審の、四十七年の十月にいただきました答申におきましても、その実施にあたっては、技術の開発状況は勘案しよう、しかし、その場合においても、いたずらにその設定日時を延ばすな、要するに対応できる技術で一番きびしい規制をやれということも答申としていただいておりますので、現在でもその方針は変わってないということでございます。
  162. 沖本泰幸

    ○沖本委員 まあいままでのニュースの報道なり、いろいろな御議論の中から出てくるのは、そういうふうな環境庁長官からのきびしいあれもあるということなんですけれども、毛利長官は就任のときに、企業の都合より人間の健康を優先させる、こういう非常に強い決意を述べていらっしゃる。こういう問いかけを申し上げると、皆さんのほうから全くそのとおりだということになるのですけれども、その点について自動車メーカーだけの資料説明で、いろいろお答えを出していらっしゃるのじゃないか。メーカーのほうは、いままでやってきたことのデータを全然表へ出さない。これは企業秘密だというような内容の答えで、その点についてはやかましく言えないのだ、こういうふうな環境庁側からの説明もあるように聞いているのですけれども、一応どんなデータに基づいて判断を下していくか、判断を下す以上は一つのデータがなければ下していけないわけなんです。  東京都のほうでは、在来の市販された車を使っていろいろデータをとったりしておるわけなんですが、環境庁のほうでは、企業が言うことに対して、それを全くそのとおりだ、こううなずけるようなところまでデータをとって国民に説明しておるのか、あるいは企業の言うことだけを聞いておっしゃっておるのかという点が、どうも企業の圧力に負けたんじゃないか、極端にいえば企業べったりじゃないか、そういうふうに受け取られる節がたくさんあるのですが、そういう点について環境庁のほうはどういうふうな具体的な方法でおやりになっておるのか、それを御説明願いたいと思います。
  163. 小林育夫

    ○小林説明員 ただいまの先生の御質問は、環境庁はメーカーの出したデータだけを信じてそれで結論を下そうとしているのではないか、端的に言えばそういう御質問だと思います。  私どもは決してこの問題を、そういういわゆるメーカーの見た、あるいは出したデータだけから判断しようということではございませんで、この問題に対するアメリカでの審議、EPAの議事録、あるいはアメリカのナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスという機関がございますけれども、こういうところの調査、その他私どもが入手できます範囲内のいろいろ技術論文、そうしたものも中心にやっておるわけでございます。しかしながら実際問題といたしましては、やはりこれは自動車技術の世界的なトップといいますか、一番先端の技術でございまして、やはりデータを一番持っているのはメーカーだということも、これは否定できない事実だと思います。したがいまして、そういうデータにつきましても極力入手するということで現在までやってきておるわけでございます。  いま先生企業秘密というお話がございましたけれども、私どももちろん企業秘密にわたる部門のものも入手しておりますし、それからそれ以外に、この問題は少なくとも——触媒装置等を使うものにつきましては、メーカーにそういうものを供給しているメーカーというものがあるわけでございまして、こういった産業の方々は一日も早くそういう技術が完成して、そういうものが商品として出るということが、やはりそれはそれなりに企業的に有利であるということでございますので、こういう方々がいろいろの資料なり論文も発表しておりますので、そういうものもできる限り入手するということで広く資料を集めておるわけでございまして、メーカー一辺倒で、メーカーだけの資料で判断するということではないわけでございます。  そういった意味におきまして、私ども行政事務当局といたしましても、そういう努力はいたしておるわけでございますけれども、それではなお不十分であろうということで中公審の大気部会のほうで、専門委員会に、さらに私どもよりもそういう専門的な知識なり学識なりを持っておられる方々に、もう一度御検討を願っておるというのが実情でございます。
  164. 沖本泰幸

    ○沖本委員 五十一年規制は無理だ、メーカーがそう言っておるわけですね。それに対して無理じゃないんだ、あるいは無理なんだということは、やはり国民が納得いくような形で環境庁のほうが説明しなければなりませんし、たとえば納得いくようなデータが出て、それで無理なんだという結論が出てきても国民は納得しないわけですね。そういう点にあるわけなんで、七大都市のあれによりましても、そういう点非常に検討してきておるわけです。この点についても企業秘密をたてにデータの公開を拒否しておるという中にあるわけなんですから、そういう点は、やはりどうしても企業の横暴な態度に政府が屈しているといえるんじゃないか。  たとえば、きょう持ってきていませんけれども、メーカーからの文書によっても、自分の業界の中に出している文書の中に、環境庁のほうが言っているからという逆の説明の文書が出ているわけです。こういうふうなのは、もう明らかに政府を言いくるめて企業の中のあれをはかっておるということがいえるわけです。  最近の新聞によりますと、ヤマハとか、それからロータリーとかCVCC、触媒技術を開発していけば、規制はできるんじゃないかという点も発表されているわけなんですね。そういう点をさらに努力していって、いろいろな点の努力を重ねながら五十一年度規制をやっていこう、こういうふうにしていこうとお考えなのか、あるいは中公審のほうの態度というのは、この間テレビなんかでも取材している中からいくと、企業の側のほうが、もうとうていそういうことは無理だと言っているから、それはやはり無理じゃないかというような、そういうふうな、まだこれから検討して結論は出すけれどもというような前もってのお答えがあったりしているわけなんですけれども、この点もっとこういう内容を積み重ねて、きびしい態度で結論を得ていこうとお考えなのか、ただ中公審の答申どおりお計らいになっていくのかどうか、その点はいかがなんですか。
  165. 小林育夫

    ○小林説明員 ただいまのお話でございますけれども、私どもは、先ほど申し上げましたように、現在ある技術で最もきびしい規制をするということがたてまえでございますので、メーカーができないと言ったからやらないとか、そういうことではないわけでございます。ただいま先生のお話しございましたCVCCあるいはロータリーという問題にいたしましても、それは現在五十年規制というものはクリアするものができておりますけれども、五十一年の段階までクリアできるかどうかということに関しましては、メーカー自身は非常にむずかしいと言っておりますけれども、はたしてそれがほんとうにむずかしいのかどうか。むずかしいとすれば、現在の技術でどこまでいけるかということを、やはりとことんまで追求いたしまして、その上で五十一年規制をどうするかということがきまるんであろうと私ども考えております。  したがいまして、先生の御指摘になりましたテレビでの発言云々というものは、この間行なわれましたそのテレビで、どの部分をされるのか、ちょっとさだかでございませんけれども、私どもそういうふうにメーカーができないと言っているから、やらないんだということでは決してないわけでございます。
  166. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そこで、環境庁だけでなくて、運輸省や通産省のほうでも、この規制を十分実現するために、先ほどもちょっと触れたんですけれども、実際に実験車をつくって可能性を追求していらっしゃるのかどうか、ただ資料だけ検討していらっしゃるのかどうか、その点各省どうなんです。
  167. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  運輸省には、直轄の研究所といたしまして、交通安全公害研究所という四十五年にできたのがございます。あまり多くの人数じゃございませんけれども、全体で七十五人ほどの人員でやっておりますが、このうち自動車の公害関係に二十七人の人間がかかわりまして、ことしの予算でございますと約三億円ほどの予算でやっております。  この仕事は二つございまして、一つは自動車の公害の防止に関する研究、どのような規制をしたらいいのかという研究をいたします。これに十一人かかっております。それからもう一つのセクションは、自動車の型式指定規則というのがございますが、それによって公害関係の審査を申請してきたときに、それを審査するための、いわゆる行政事務的なことをやっております人間が十五人ございます。  これが私どものかかえております運輸省の自動車の公害関係の研究機関の全部でございますけれども、これはおそらく現在問われている自動車の排気ガス規制に関する技術を解明するための問題の大きさ、深さ等から申しますと、とてもこの程度の人員なり規模なりでは、国の力で完全に解明し切るということは、あるいはできないのではないか、こういうふうに思っております。
  168. 沖本泰幸

    ○沖本委員 通産のほうはどうですか。
  169. 富永孝雄

    ○富永説明員 お答え申し上げます。  先生から御指摘いただきました自動車の排ガスの防止技術等につきましては、通産省におきましては工業技術院というようなものがございまして、ここで燃料の組成の研究でございますとか、あるいは触媒等についての基礎研究あるいはエンジンの燃焼室でございますとか、そういったエンジンの、たとえば層状吸気方式といったような燃焼方式につきましての研究といったようなことを行なっておるわけでございますが、いずれもこの研究は基礎研究でございまして、個々のメーカーのつくっております千幾つにも及びますエンジンの一つ一つについて適用する技術の研究ではございません。  それから、若干長期的なことになるわけでございますけれども、いわゆる大型プロジェクトという名のもとに電気自動車それからいわゆる総合交通管制技術、これはソフトウエアのほうでございますけれども、そういった長期的な低公害エンジンの開発あるいは交通管制技術といったような点でのソフトウエアの技術の開発、そういったことをやっているわけでございます。
  170. 沖本泰幸

    ○沖本委員 もう時間がなくなって、あと二、三分しかないのですが、この規制が十分できなかったら地方自治体、七大都市にしたって、いろいろ検討していることが全部基準からはずれてしまうわけですね、土台から。そういう問題もありますし、東京都は、メーカーどおり五十一年規制値を一・〇グラムにした場合は、空の環境基準に合わすためには都内の車の保有台数を百万台減らさなければならない。こういうことをいっていらっしゃるわけですし、同じように、そのためには、どうしても都民の健康を守るためには自動車重量税を三倍にするような措置についてどんどん都知事は発言しているわけです。  それとあわせて、やはり使用過程車の規制の強化、たとえば触媒式点火時期規制装置の併用あるいはトラックの規制の強化ですね。それからガソリン車以外の車に対する規制なり、いろいろなものがまだたくさんあるわけなんですけれども、そういう点について、あくまで五十一年規制をやるという判断に立って、またその目的を達成するということなんだけれども、外国のほうでは非常にこの問題をこういうふうなとらえ方をしていっているということになってきているわけなんです。これは健康を守るために、どうしてもそうしなければいけないという問題点があるわけなんですが、その点について、生産台数を減らしていくというふうな考え方があるのか、あるいはいま申し上げたような点について、環境庁はどういうふうなお考えを持っているのか、その点をお答え願いたいと思います。
  171. 小林育夫

    ○小林説明員 生産規制をどうするかというような問題につきましては、後ほど通産の担当のほうから御説明いただくといたしまして、私どもは、その五十一年の〇・二五グラム・パー・キロメートルという値を完全に実施いたしましても、やはり大都市におきましては窒素酸化物の環境基準は、必ずしもそれだけでは守れないのではないかということを以前から考えております。したがいまして、そうした問題は、いま先生のお話がございましたように総合的に、ガソリン車以外のディーゼルあるいはガソリンでもトラックとかバスとかいうものにつきまして、さらに規制を強化していくとかということは当然考えております。中公審から四十七年にいただきました答申も、とりあえずガソリンの乗用車について答申をするということでございますので、この問題が終わりますれば、さらに引き続いてそういう問題も検討しなければならないんじゃないかということでございます。  さらに、交通量の削減の問題とかあるいは税金の問題、すべて総合的にやはりそういうものもやりますとともに、窒素酸化物につきましては、家庭とかあるいは工場とかの問題もあるわけでございまして、環境庁としては、それらを総合的に判断して検討いたしまして対処しなければならぬ、そういうふうに考えております。
  172. 沖本泰幸

    ○沖本委員 通産省のほう、どうですか。
  173. 富永孝雄

    ○富永説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘になりました生産の制限をすべきじゃないのか、排ガスの量が五十一年規制によりまして減らないのであれば台数を減らしたらどうかという御趣旨だと思いますが、現在生産されております車は、すべて環境庁、運輸省がきめられました保安基準なり、基準に従いまして生産されている車でございまして、私どもといたしましては、きめられました基準に従いましてメーカーが生産していくように指導してまいりたいというふうに考えております。  それから車には、いろいろ車種がたくさんあるわけでございまして、それぞれ需要に従いまして生産されているわけでございますので、ある一定の輸送需要を満たすための車の生産というものはあるわけでございまして、これが多いか少ないかというのは一がいにきめられないというふうに考えております。  現在生産台数はかなり、昨年に比べまして一割近く落ちておるわけでございますけれども、今後こういった傾向がどうなるかということにつきましては、私どもの産業構造審議会という中に自動車分科会というものがございますが、そこで若干の長期的な予測というものをやっておるわけでございますけれども、現在の輸送需要、国民総生産の見通し等からいきまして、いままでのような高い伸びでは生産ないし内需の伸びは続かないであろう、せいぜい三%ぐらいの生産の伸びというもので今後は推移するのではないかというふうな一応の試算をしております。
  174. 沖本泰幸

    ○沖本委員 重大な問題なので、もっとその研究を強化して、メーカーのいろいろなデータ以外に、やはり政府独自のデータを出して、そして、もしメーカー側のほうにいろいろ間違った点があれば、それを指摘していくような体制をとっていただかないと、あくまでメーカー次第で答えを出していらっしゃるということになるわけです。そういう点はもっと改めて、金はかかると思いますけれども、命ほど大事なものはないわけですから、事故が一たん起きれば、たいへんな事態を起こすということは御承知の上で、こういうことをやっていらっしゃるわけなんですから、その点十分考えて対処していただきたいと思うのです。  これはいま中間的なところで御質問しているわけなので、はっきりしたお答えはいただけないことは承知で質問はしているのですが、あくまでも七大都市がやったことは、必要に迫られて、そして真剣に取っ組んでやっているわけなんですから、自治体から出てきた問題を無視していくというようなことのないように、ひとつ厳重にお考えになって取り入れていただきたいし、あくまでも五十一年規制ということを目標にする決意でやっていかなければならないと考えます。  以上で終わります。
  175. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十分散会