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1974-10-15 第73回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十月十五日(火曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 松岡 松平君 理事 綿貫 民輔君    理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君    理事 庄司 幸助君       伊藤宗一郎君    佐々木義武君       田川 誠一君    中尾  宏君       前田 正男君    三原 朝雄君       稲葉 誠一君    坂井 弘一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      後藤 達太君         大蔵省主税局長 中橋敬次郎君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業省生活         産業局通商課長 黒田  真君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君         会計検査院事務         総局第一局長  高橋 保司君         日本専売公社総         裁       木村 秀弘君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 十月十五日  辞任         補欠選任   石田 博英君     田川 誠一君   大石 武一君     伊藤宗一郎君   菅野和太郎君     前田 正男君  橋本登美三郎君     三原 朝雄君   吉永 治市君     佐々木義武君 同日  辞任         補欠選任   伊藤宗一郎君     大石 武一君   佐々木義武君     吉永 治市君   田川 誠一君     石田 博英君   前田 正男君     菅野和太郎君   三原 朝雄君    橋本登美三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十七年度政府関係機関決算書  昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (大蔵省所管日本専売公社国民金融公庫)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  昭和四十七年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、大蔵省所管日本専売公社及び国民金融公庫について審査を行ないます。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。松岡松平君。
  3. 松岡松平

    松岡委員 大蔵大臣にお尋ねいたします。  大蔵省並び日銀がいまなお総需要抑制を堅持すると言っておいでになります。総需要抑制も根本的にはけっこうなんですけれども、しかし、この抑制のために非常に不況をかもしておる事実がたくさんあるのです。たとえば各地方における河川の工事あるいは市町村の道路の仕事その他のために、土木業者がもう干上がり状態であります。御承知のとおり、土木業者といいましてもみなそれぞれ労務者を使役していることでございまして、これがみな労務者生活関係してくる。仕事があれば労務者を養っていくことはできるが、仕事がなくなると、業者の疲弊はむろんのこと、働いている労務者生活に非常に困窮を来たす。どうもそれが、私ども見ますと、もうピークに来ているんじゃないかと思われる点も多々あります。だから、原則的に総需要抑制されるということはインフレ高進に対するブレーキであることは承知しておりますが、これがあまり行き過ぎますと不況の促進になり、やがては勤労者生活を圧迫することになるんですが、この点についての大臣の御所見を承りたいと思います。なお一言、いまやもうピークに達している、これを逸するとおしまいには取り返しのつかぬことになりはしないかと思わるる状態にまで来ているんじゃなかろうかと思うのであります。
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 昨年来、政府日銀財政金融面で総需要抑制策を講じてまいっておりますことは御指摘のとおりでございまして、これは、ただいまなお、経済運営にわたりまして物価鎮静化をはかることが第一義的に大切であるという考えに基づくものでございます。そして、この政策は、いま松岡委員も御指摘のように、総論といたしましては大かたの支持を得ておるように思うのでございます。しかし、御指摘にもありましたように、この政策が相当行き渡ってまいりまして、業界の部門によりましては相当困難な局面が出てまいっておりますことも、私ども承知いたしておるわけでございます。したがって、そういう事態に対処いたしまして、私どもといたしましては、総需要抑制策という大きなフレームの中におきましてできるだけ周到な配慮を加えてまいりまして、健全な企業が総需要抑制策のゆえをもちまして非常に苦しむ状況に相なるというようなことはできるだけ避けなければならないと考えておるわけでございます。  したがって、お答えといたしましては、私ども、この政策が限界にすでに達しておるというようにはまだ見ていないわけでございますけれども、しかし、経済実態に対しまして注意深く観察を怠ることなく、実態に即した金融ないしは財政の執行というものができるように、きめこまかい配慮を加えていかなければならぬと心得ておるわけでございます。
  5. 松岡松平

    松岡委員 御趣旨はよくわかりますが、現在、木材なんぞにいたしましてもたいへんなストック状況であります。また、一面見まして、住宅需要というものは依然としてあるわけです。この辺を勘案して住宅資金、これは最近少し動いているようでありますけれども、これによって木材ストックの処理、それから土建業者仕事もふえてまいりますし、これ自体によって物価の上昇を来たすような範囲ではないと私は思っております。機械その他についても、それの一番隘路になっているのがやはり金融であります。  私ども地方を歩きまして訴えられることは、何しろ銀行相手にしてくれない、不動産を持っていってもそんなもの相手にしない、こういうことでまことに困る、金融をもっと緩和してもらわなければ仕事ができない。住宅需要があるけれども、なかなか手続がめんどうであるのみならず、これはやはり順番とか抽せんとか割り当てとかいろいろなことで、結果的に行なわれるのがごく少数の範囲に限られてしまう。これでは不況が深刻になるのじゃないか。中小企業庁の配慮で、九月六日の閣議報告を見ますと、第一・四半期の約千五百十億の融資がきまっているようでありまするが、これはこれとして、一般市中銀行地方銀行あたりがもっと融資を適切に行なってもらう。健全なる経済運営を主眼にして融資せらるることはむろんのことでありまするが、どうもその点が非常に窮屈を訴えられるのでありますが、この点、大臣の御配慮はどうなっておりますか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 住宅政策政府重点施策一つといたしまして推進いたしておりますことは、御案内のとおりでございます。われわれが福祉経済福祉社会を志向いたしまして経済政策財政政策を進めてまいる場合におきましても、住宅政策というものは大きな一つの道標であろうと思うのでございます。したがって、この推進は、政府が、財政面におきましても金融面におきましても鋭意進めてまいらなければいかないものと考えております。  ただいま松岡委員も御指摘のように、最近、景気の沈滞から民間住宅建設が非常に落ち込んでまいりまして、政府に対する住宅資金要請が非常に強くなっておりますことは御指摘のとおりでございます。私どもはこれに対処をいたしまして、政府でできるだけの措置を講じなければならぬことは当然であると考えますけれども、同時に市中金融機関に対しましても、住宅ローン等を中心にいたしました住宅金融の疎通に意を用いてもらうように強く要請をいたしておるわけでございます。  で、政府機関でございまする住宅金融公庫につきましては、すでにことしのワクは消化してしまいまして、相当超過した申し込みを受けておるような状況でございますので、先般来建設省と相談いたしまして、七月二十日までに受け付けた超過分につきましては資金手当てをして差し上げるという配慮をいたすべく用意をいたしておるところでございます。  民間金融機関につきましては、いま申しましたように、絶えず住宅金融に意を用いてもらうように要請いたしておりますが、事実、民間市中金融機関融資残高を見ましても、住宅金融に充てられた資金シェアはだんだん漸増いたしてきておるわけでございます。したがって、民間金融機関におかれましても、採算上必ずしも有利といわれないこういう部面にも相当配慮していただいた形跡は明らかであると思うのでございます。  しかし、仰せのように、それでもなお住宅金融に対する需要は非常に旺盛でございますし、これに対する手当てが十分でないという状況は依然として変わらないわけでございます。したがって、私どもといたしましては、多ければ多いほどいいのでお世話を申しましょうというわけにはまいらぬわけでございます。総需要抑制策という基本をくずさない範囲におきまして、可能な限り民間金融機関に対しても要請を続けてまいりますし、財政資金、予算あるいは財政投融資等におきましてもできるだけの配慮を加えて対処していきたいと考えておるわけでございます。
  7. 松岡松平

    松岡委員 最近、地方におきまして、地方公社出先機関等が非常に地方銀行あたり融資ワクを食うんですね。これが中小企業に対して非常に圧迫を加えている。そういう政府公社関係融資地方中小企業などに対する融資ワクまでも食っているという事実があるんですけれども、これはよほど銀行当局としても考えてもらわなければならぬことでもあり、公社自身金融について地方金融を食うというようなことのないように、ひとつこれは、大臣のほうから特に指示願いたいと思うのであります。ことに、地方にも大企業のあるいは支店とか工場とかというものがございます。これが大企業の権威をもって、銀行中小企業向けに充てられるべき融資ワクまでも食う傾向が最近強くなってきております。これはぜひ大臣も深い思いやりで、なるべく中小企業というものを保護するという立場から、そういう公社並びに大企業形態地方銀行貸し出し預金というものを圧迫しないように特に配慮をしていただきたいと思うのであります。  この際に申し上げておきますが、この間も私、ある地方に参りましたところが、一時間も食い下がられた話がある。これはぜひひとつ参考に聞いていただきたい。  これはどうも日給払い労務者じゃないかと思うのですけれども、いろいろせんさくしてみましたら、田中総理の生家の一里先で生まれたんだと言っておりましたが、彼に言わせると五人家族だという。それが、健康保険の金がもう重圧になってきた。自分はかつて過去七、八年も、妻も子供も、医者にかかったことがないんだ。それがどうも——私、話しながら計算しておったのですが、月に四千円ほど取られる勘定になるというのです。こういう、医者に一ぺんもかかったことのない者から年々これを取られては過酷じゃないか、政治というものはそういうところにあるのじゃないか、こういうことで私、一時間も食い下がられて、たいへん、しかし勉強しました。なるほど、毎月取られる四千円ぐらいとはいいながら、この人の収入はどれだけか聞くのははなはだ失礼と思って聞きませんでしたが、ともかくとうとうと論じられるには、こちらのほうが答弁に窮してしまって、それを結論を言うと、あなたは割り戻せと言うのか、そうだ、全然医者にもかからない者の金でそうして毎日行っておる者もある、これでは世の中不公平じゃないか、こういって私は訴えられた。  中小企業というものは、そういうような深刻なものを地方においてはかかえているわけですね。月給制ではなさそうであります。そうすると、仕事がなくなればこの人たちが干上がってくる。そういう負担金が依然として、収入にかかわりなく取られる。これをひとつ現実収入計算してその率をきめてもらうとかなんとかするか、または少なくとも一年間治療を受けなかった、医者にめんどうをかけなかったという者に割り戻しをしろ、この人の意見を聞きまして、私は痛切に考えさせられた。なるほど、政治というものはそういうところに配慮をしてこそ国民が納得するんだ、こう考えた次第であります。  これと関連しまして、五十人、百人かかえている中小企業、これがもし倒産した場合には、これは全部失業者になるわけです。ところが、一人の勤労者の背景に少なくとも合計四、五人の家族ぐらいのものは計算しなければならぬ。そうすると、勤労者一人に対してまあ五人というものが生活に悩まなければならぬ。失業手当はいただくけれども、これはある一定期間だけのことでありまして、しかも収入の六〇%程度のものであります。これらがだんだんふえてまいりますと、その失業者をはたして大企業収容能力があるか。大企業にはもはや収容能力はないし、また技術関係からいいましても、中小企業を大企業がかかえ込んでいくだけの能力はないと私は思う。こういうことになりますると、中小企業と大企業一つの構成からいいまして、大企業だけで単独で立っている企業はないはずであります。必ずその下には中小企業がある。ところが、大企業は、自分従業員に対しては給料は定期的に払うけれども下請の子会社に対する支払いはやはり非常に延べ払いになる。手形のサイトも六十日が九十日になり、九十日が百二十日になれば、その間の金利負担もなかなか大きい。なるほど、いまのところは大企業は相当の収益はあげておられるけれども中小企業はだんだん落ち込んでおります。これはもう間違いないことでありまして、中小企業でも、何も下請関係に立たない業種もあり、またそういう企業もありますけれども、その点ひとつ大臣におかれても、中小企業というものは日本経済界の根底である、一つの基礎であるということを考えて、各銀行金融機関に対しても、ほんとうに思いやりの深い配慮をするように、ひとつすみやかに達しを願いたいと私は思うのであります。
  8. 後藤達太

    後藤説明員 銀行局担当審議官後藤であります。  大臣の御答弁の前に、具体的にやっておりますことを御説明させていただきたいと思います。  先生指摘の第一点の、地方公社資金需要がたいへん旺盛でございまして、中小企業資金ワクを食うというようなことが起こっておる、こういう御指摘でございますが、これは地方地方によりまして事情は異なるかと存じますけれども、私どもしばしばそういう御指摘を耳にいたしておる次第でございます。  地方公社といえども、やはりこの総需要抑制下におきましては、その基本政策に添いました仕事をしていただくべきであるというのがもちろん基本的な考えでございますが、地方公社仕事一般企業の場合とは違いまして、やはり地方福祉のためにという面が多分にございます。その中でも特に学校のための用地を取得するとか、しかも非常に緊急を要するというようなものもかなり含まれておるわけでございまして、そのあたりを限られた資金の中でどう調整をするかというのが、銀行にとりましてもたいへんむずかしいところかと存じます。原則的には私ども不動産を取得するような資金につきましてはやはり抑制をしていただきたいと、こうお願い申し上げておりますが、地方公社のそういう性格から、具体的な緊要性を伺いまして、ケースバイケースに地方の実情に合うように対応していただくということを、銀行に向かってお願いをしておる次第でございます。  それからもう一つ、大企業資金需要が強くて中小企業が食われておるのではないか、この御指摘でございますが、中小金融専門金融機関のほうは、これはもう御承知のように中小企業に対する金融専門にやっておりまして、主として御指摘普通銀行全国銀行のほうのやり方の問題であろうかと存じます。  そこで、私ども銀行に対しまして、こういう際でございますので、健全な中小企業が困らないように中小企業向け金融については特に配慮をしろ、これは住宅ローンなどと並びましてたいへん重要な課題であるということをお願いをいたしておりまして、特に中小企業向け貸し出しシェアと申しますか、ウエートと申しますか、そこは決して落としてはいかぬ、こういう話をいたしております。現在、総貸し出しの中で、残高で見まして三六%台のシェアは維持しておると存じますが、それを一生懸命やってもらうように指示をいたしておる次第でございます。  それから、並びに、その具体的な業種によりましては非常に深刻な事態に遭遇するというようなことがございますので、特別な融資ワクをつくりまして、特定業種指定をいたしまして、そういう業種につきましては、繊維とか土建でございますとか、最近では木材関係下請あるいは機械関係下請というようなところを指定をいたしまして、そういうところにつきましては安い金利特定ワク融資をするということをいたしております。現在、繊維土建につきましては、ほぼその予定融資を完了する段階に至っておりまして、木材関係あるいは家電自動車関係下請とか機械関係のほうは、先般その措置をとりまして、ただいま融資申し込みを受けておる、こういう段階でございまして、中小企業金融については特にその意を用いるように、銀行に対してはいろいろな機会に指示をしてまいっておる次第でございます。
  9. 松岡松平

    松岡委員 ただいまの審議官にこれに関連してお尋ねしたいのですけれども、九月六日の閣議報告に出ている第一・四半期の一千五百十億円、この内訳中小企業金融三百億、国民金融公庫三百億、商工組合中央金庫四百億、沖繩振興開発金融公庫十億、合計一千十億、あわせて、さらに民間金融機関中小企業救済特別融資三千二百億を織り込んで、千五百十億円というものが閣議報告になっておるが、審議官にお尋ねしたいのですが、もうすでにこの金はワクなのか、つまりこれから出ていくものか。それから、すでにこのうちどれだけ出て、あとどれだけ残っているのか、これはひとつ、概数でけっこうです、お聞かせ願いたい。
  10. 後藤達太

    後藤説明員 ちょっとこまかくなりまして恐縮でございますが御説明させていただきますと、最初政府関係金融機関国民中小公庫と商中でございますが、これにつきましては第一・四半期に千五百十億円のワク追加をいたしました。第二・四半期に一千十億円の、いま御指摘追加をいたしたわけでございます。その各公庫別内訳はいま先生指摘のとおりでございまして、これは各公庫別にすでに手当てをいたしておりまして、第一・四半期の千五百億円はすでに融資をいたしております。それから第二・四半期に九月の六日に追加をいたしました千十億円につきましては、すでに手当てをいたしておりますが、九月になりましてからのワクの増加をいたしましたので、実行が十月にずれ込んでおるものは若干あり得るかと存じます。  それから第二番目の、市中銀行におきます中小企業救済特別融資のほうでございますが、これは三千二百億円の別ワクを設定をいたしまして、これを金利政府機関並み金利で貸すことにいたしております。現在までに実行いたしましたものが、こまかくて恐縮でございますが、本年の初めごろに始めましたネオン業界というのが最初でございまして、これに八億円を融資をいたしました。それから中小都市ガス関係でございまして、これが三十億円でございます。それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、繊維関係建設業関係、これが、繊維関係が三百億と予定をしておりましたのが、申し込みが四百億円ほどに相なっております。それから建設業関係が二百億と予定しておりましたのが、申し込み百五十億でございまして、これは九月末までを目途として実行いたすことに相なっておりまして、ほぼもう終わる段階であろうかと存じます。  それから、そのほかにいまおっしゃいました自動車家電関連とか、あるいは木材、合板、家具関連のものは、新しくこの九月から業種指定をいたしましたものでございまして、木材関係につきまして二百億をめどにいたしております。それから機械関係につきまして三百億をめどにいたしておりまして、これはただいま融資申し込みを受け付けて手続をとっておる段階でございます。したがいまして、ここまで融資が実行されますと、合計をいたしまして千百億程度がこの関係では融資をされる、こういうことに相なっております。基金の別ワクの総額は三千二百億でございます。
  11. 松岡松平

    松岡委員 ただいまの審議官お話はよくわかりました。  これは私の案でも何でもありませんけれども一般大衆からの意見が出ているのですが、銀行預金準備といって積んでいる金がある、こういうのですね。それが、私にもよくわからないのですけれども、借りた場合に歩金というものを銀行が取りますね。一千万借りれば、あれは五十万円取るのか百万円取るのか、私はあまり最近借金したことはないからわかりませんけれども預金準備金とかなんとかいってお取りになるのですが、一体これは、銀行自分のところに置く金なのか、日本銀行に納める金なのか、これをひとつお教え願いたいと思うのです。
  12. 後藤達太

    後藤説明員 先生の御指摘お話が私、正確に理解できておらないといたしますとたいへん恐縮でございますが、預金準備ということばで私どもいま申しておりますのは、各銀行日本銀行へ無利息で預けておる資金のほうでございまして、それからもう一つ、その貸し出しをしたときに、その貸し出し先から預金を取っておるということでございますと、これはいまの準備預金とは全く関係はございません。どうもその後者のほうは、銀行取引の慣例上、企業のほうとしても貸し出しを全部引き出してしまうのではなくて、一部預金に置いておくということが必要であるという場合もあろうかと思いますが、逆に、先般来から——先般来と申しますか、すでに長く国会のほうでも御指摘をいただいておりますが、両建て歩積みというようなことでたいへん無理な負担債務者にかけるというようなことも、間々起こりがちなことでございます。その点につきましては、数次にわたる御指摘もございますし、私どもも十年来、そういう過当な歩積み建てというようなことで債務者に過重な負担をかけるということはやめなさいと、基準は何度も強化をしてまいりまして、その絶滅につとめておるところでございます。だんだん実態のほうは改善をされておるという状況でございますが、百点満点というところまではもちろんまだ参っておりませんので、なおこれからも一そうその過当なものの絶滅には努力してまいりたいと思っております。
  13. 松岡松平

    松岡委員 そのほうは、先ほどの後者の例ですけれども、これはやはり依然として行なわれておるようで、なかなか改善というのは、当局に対する報告が令色を加えておる点はあるようですが、借り入れをする者にとっては、弱者ですから、ほしいからいわれるままに歩積みをしていく、この点はわかるんですが、各銀行から預金に対する準備というのは、これは何に使われる性質のものですか、これをちょっとこの際お教え願いたいんです。
  14. 後藤達太

    後藤説明員 預金に対する準備というところが、どうも私よく理解できませんので、もう少し具体的に御指摘をいただけますれば、また御答弁さしていただきます。
  15. 松岡松平

    松岡委員 つまり、各銀行預金額に対するあるパーセンテージのものを日銀に積むという金ですね、その制度ですね、これは何に運用されて、何の目的のためにこういうことが行なわれているのか、これを承りたいのです。
  16. 後藤達太

    後藤説明員 わかりました。いまのは準備預金制度の御指摘のことだと存じます。  これは、どうも釈迦に説法なようなことを申し上げてたいへん恐縮でございますが、金融政策の手段として、公定歩合政策と並びまして準備預金率の操作というものがたいへん重要な政策になっておりますが、各銀行から預金残高に応じて日銀資金を取りますが、これは利息をつけておりません。したがいまして、これによりまして市中資金の需給関係を調節をいたしまして、これはつまり、高く取りますれば金融引き締めの効果をあげる、これをゆるめることによって金融緩和の効果をあげる。これを預金準備率操作とか、あるいは日銀貸し出し政策と一体となり、相応じて運用することによりまして金融調節を行なおう、こういうものでございます。日本の場合には、まだ預金準備率の率自体は、諸外国の例に比べますとたいへん低いところでございます。高い銀行で三%強の率でございまして、これは預金残高に応じまして日銀に無利息の預け金を取っておるわけでございます。つまり、それだけ信用の収縮をはかっておるわけでございます。
  17. 松岡松平

    松岡委員 もう時間ですから、中途はんぱになりますが、この程度で……。  大臣の御説明はよくわかりました。ただ、審議官に最後に、預金準備に対する、各地方銀行側でもいろいろな意見があるようですね、この機会にひとつ当局においても、もっと合理的な見地からこれを御検討願いたいと思うのです。  これで終わります。
  18. 臼井莊一

    臼井委員長 次は、原茂君。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 四、五点の問題をお伺いしたいと思いますので、簡潔に御答弁もいただきながら、私も簡潔にお伺いをしたいと思います。  最初に、いままで租税の徴収にあたって、取り不足のほうはあまり問題にしないのですが、取り過ぎというものがございました。四十七年度の検査報告が、ちょうだいしてここにあるわけですが、これの更正処置をしていますが、最近の傾向というのは、取り過ぎ、取り不足という誤差が減っているんですか、多くなっているんですか。
  20. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 いま御質問の取り過ぎ、取り不足という意味におきまして、現実に税務執行上調査をいたしまして、申告額を調査額と対比いたしまして不足額がありました場合に更正をいたしましたり、それから、申告すべきものがありましたのに申告をいたしていないというときは決定をいたすわけでございますが、手元に正確な数字は持っておりませんけれども、最近の傾向を概観いたしますれば、その更正決定額というのはそんなに年年ふえておるというわけではございませんで、むしろ、申告額に対比いたしますればその割合は漸減しておるんじゃないかというふうに思っております。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 これは次の機会に必要ですから、四十八年度をお出しいただいて、漸減しているという数字を見られるようにひとつしていただきます。四十七年度のはありますから、四十八年度をあとで参考にちょうだいしたい。  それから、いま松岡先生のお触れになりました中小企業の問題でございますが、特にこの緊急融資についてお尋ねをしたいのですが、去る八月に、首相官邸に大蔵省の高木さんや、あるいはきょうおいでの銀行局長などを集めて、繊維木材その他いまお話しにありました業界に対する緊急の手当てをしようじゃないかということをおきめになったわけですが、そのおきめになったあと、実際にどういうふうに数字をお示しいただいて手当てをしたか。総額でけっこうですから、業種別の金額とその総額をひとつ、どの程度今日までに緊急融資手当てをしたのかをお伺いしたい。
  22. 後藤達太

    後藤説明員 お答え申し上げます。  救済特別融資の実行済みのことでございますが、すでにはっきり私ども数字をつかんでおりますものが、ネオン業界の八億円と、それから都市ガス関係の三十億円でございます。それから、夏ごろから融資手続を開始いたしまして、ほぼ九月末を目途にやっておりますのでもうそろそろ終わるはずでございますが、繊維関係が三百億を目途にやりまして、申し込みが四百七億と承知をいたしております。それから建設業関係が百五十億でございます。これは二百億を目途にいたしておりましたが、申し込みが百五十億になっておりまして、まだ、九月末が目途でございますので、最終的な固まった数字は承知をいたしておりません。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 実際に融資をされました額は、私が想像したより少ないのですが、現在の段階になりますと、いま特別融資の対象になっておりますような業種ではなくて、電子関係、精密機械関係、工作機械関係、あるいはカメラその他にまで非常に資金不足が目立ってきて、何とか手当てをしないとたいへんな事態になるだろうと予想されているわけです。こういう事態の中でこの緊急融資をおきめになって、たとえば先ほどもお話がありましたような中小企業特別融資制度、これは民間が自発的にやっているようですが、三千二百億というワクをつくり、たぶんこのままで手当てをするという方針だろうと思うのですが、端的にお伺いしたいのは、年末を控えて、いままで説明のありましたような緊急融資の内容と方向だけでやっていくのか。年末に向かって、いまの総需要抑制の中で非常に窮屈になってきた中小企業全般に、金額的にも相当大きくワクを広げて手当てをしていかないと異常な事態が発生するだろうと思うのですが、その方向をお伺いいたしたい。十二月末まで含めてこの緊急融資というものを新たに考えるべきではないかと思うのですが、考える方向でいるのかどうか。その金額等も一緒に……。
  24. 後藤達太

    後藤説明員 いまの特別融資のほうから申し上げますと、先生指摘機械関係あるいは木材関係につきましては、先月、実はそういう業種を、中小企業庁とも御相談をいたしまして指定をいたしました。この制度に乗せて融資をするということになっておりまして、手続中でございます。この金額の予定は、両者合わせまして目下五百億でございます。ただ、この金額のほうは、政府機関の場合等とは違いまして弾力的に考えてまいりたいと思っております。つまり実情に応じまして、五百億ぴったりで天井打ちで、もう一文も出ない、こういうような性質のものではございません。  この三千二百億円の別ワクにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、現在、この機械関係木材関係の五百億が実行されまして、実行済みが千億ちょっとになるわけでございます。まだワクの残りがございます。この制度は、やはりこういう事態でございますから、極力弾力的に実情に応じて運用をしてまいりたい、こう考えております。  なお、十−十二の年末にかけましての金融でございますが、これは十−十二の日本銀行の窓口規制のワクども、季節性その他最近の事情を考慮されて決定されたように承知をいたしております。それから毎年、政府関係機関につきましては、年末の状況に応じまして配慮をするということに相なっておりまして、これも近々中小企業庁と御相談をすることに相なろうかと存じております。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 ここで大ざっぱにいうと、五百億あるいは三千二百億がまだ相当余っている。そのほかに政府三機関があります。これも五千億円か何かのワクでいまやっておるはずだ。しかし、こういう事態になったときに、中小企業の緊急融資をするときに配慮しなければいけない問題が多々あるんじゃないかと思う。従来と同じような期限、従来と同じような担保という考え方でいきますと、現在のような、近く経験したことのないこの緊急事態に対処するのには不適当じゃないか。緊急融資といいながらも、従来と同じような条件で中小企業に対する対策をやっていくんだというのでは、これは非常に問題があるんじゃないか。いままで相当困難を乗り切りながら近代化を進め、合理化を進めながら経営をやってきた。総需要抑制という、インフレを押えるための大きな国家的な目的から、非常に人為的な不況感というものがあるわけです。こういう中では、まあ国民全体がインフレで苦しんでいるんだから、ある意味では公平にみんな苦しんでいいと言っていられるかもしれませんが、やはり中小企業金融対策を考えるときには、そのことを全体的に配慮すれば、特別に、たとえば貸し出し期間の長期化を特に考えてやらないと——現在、政府金融機関であろうと、民間の都銀なりこの三千二百億のワクで借りるといっても、従来と同じ条件になっているわけです。この条件を緩和してやる。信用保証協会の保証の限度額も相当程度大幅に引き上げ、その裏に必要とする担保力その他に関しても思い切って緩和するというようなことが配慮されないと、名前はいかにも緊急融資なんですが、この融資を使う力を持ったところはもう限られている。自動的に選別をされている。もうちょっと手当てをすれば何とかなる見込みのある中小企業も、その条件で行き過ぎてしまって手が出ない、緊急融資を受けることができない、こういうのがいま実態なので、この点を何か配慮しないことには、従来と同じ条件で貸し出しの条件が設定されていく限り、どうもこの緊急な総需要抑制下における、ある意味では人為的なこの不況感の強い状態、これを切り抜けるということはむずかしいのじゃないか、こう思うので、この点は、こまかく各金融機関ともにいろいろ条件が違っているのですが、私は、政府の立場ではこの条件の緩和ということに思い切って目を向けていかない限り、ほんとうの意味の緊急措置にならないのじゃないか、こう思うのです。  まず第一に期間の問題ですが、少なくとも最低十年、十五年、長期でしかも低利のものを考えてやる。そうして担保に関しては相当程度緩和する措置を国の立場で講じてやるということがなければ、もうすでに借りられる余力のある、力のある者は借りて、いよいよ困るというような人たちが、その条件が合わないために手が出ない。こういうのを何とか救済しなければ、本年度に緊急融資と銘打ったこの非常事態の中で、救済措置を講じたということにはならない、こういうように思うのです。事務当局の皆さんではなかなかにそのことを講ずることは不可能かもしれませんが、これは方向としてそのことが確認されれば、多少でもいままでと違う条件の緩和を考えてやることがきまるなら、皆さんが知恵をしぼればその内容が少しでも改善されていくのじゃないか、こう思うのですが、大蔵大臣どうでしょう。こういう中小企業の緊急融資対策をほんとうに行なうというならば、従来と違った貸し出し条件というものを配慮する必要があると思うのですが、この点を先にお伺いしておきたい。
  26. 後藤達太

    後藤説明員 大臣の御答弁の前にちょっと御説明をさせていただきますが、ただいまのその緊急融資につきましては、これは、従来市中銀行中小企業貸し出しをしておりましたその条件とは、かなり変わった条件に相なっております。御承知のように、金利政府機関並み金利でございます。あるいは担保等も、これは保証協会の保証だけで、特別な物的担保を出さなくていい、こういうことになっております。それから期間等も、これは普通でございますと資金、使途等に応じていろいろございますので、一がいに比較はできないのでございますが、やはり緊急な事態に対処する資金でございますから、金融としては五年、十年というわけにはまいらないということであろうかと思います。しかし、実情に応じましてケース・バイ・ケースで考えるということが基本ではあろうかと思いますが、緊急融資、こういうたてまえといたしまして、現在の程度まで精一ぱいやらしておるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  27. 大平正芳

    大平国務大臣 こういう緊急の事態でございまするから、中小企業金融について期間、金利それから担保等の条件を緩和するという方針で臨めないかという御相談でございます。私ども、仰せのような事態でございまするので、先ほどから事務当局からもお話がありますように、政府関係機関の増ワクの問題、そして、いままで私も聞いたことがなかった、市中金融機関が特別ワクを設定してこの事態乗り切りに協力しようという緊急特別融資制度、そういった新たな手が講じられておるわけでございますが、特に条件、担保その他に特別な配慮をいま加えようという考え方は政府は持っていないのであります。  原さんも御承知のように、いま世界的に高金利時代でございまして、わが国はいま資本を非常に必要としている段階でございます。金利は安いほうがいいということではないのでありまして、必要な資金はわれわれは調達しなければならぬわけでございます。日本金利水準が低いということになりますと、市場からの逃避という姿になることにもなるわけでございまして、金利はいまむしろ上がる傾向、つまり金が高くつく傾向になってきておるわけでございます。それと逆行いたしまして金利を特に政策的に安くするという考えは、いまのところ持っていないわけでございます。しかし問題は、健全な中小企業がこの事態を乗り切るために金融的な面で不当な状況にあえぐというようなことになることは、どうしても避けなければいかぬことでございますので、あらゆる努力をいたしまして、そういうことのないような周到な配慮、きめのこまかい配慮は加えてまいるつもりでございますが、一般的に担保その他期間、利率等をこの機会に更訂して臨むという方針は、政府は持っておりません。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは実際には、この段階における中小企業に対する救済措置としての緊急融資というのは実効をあげることはない。やはり、せめて貸し出し期間だけは大幅に延ばしてやる。いま担保の問題も信用保証協会の保証だけと言いましたが、保証協会がまたそれを要求する。したがって、この二点だけは何とか配慮しないことには、この年末を控えた中小企業——そうでなくても中堅あるいは大会社といわれるところも相当がたついている状況の中で、私は、実際に中小企業の緊急融資を行なったという血の通った配慮にはならないのじゃないか、こう思います。何とかその二点をもう一度お答えいただきたい。
  29. 後藤達太

    後藤説明員 少し補足をいたしまして、いま御指摘の点を申し上げたいと存じますが、期間のほうにつきましては、ただいま申し上げました特別融資につきましては三年ということにいたしております。これは普通の金融といたしましてはかなり長期のほうに属すると思います。期間的にはそういう配慮は加えておる次第でございます。  それから保証のほうも、ただいま申し上げましたような業種につきましては指定をされるという手続をとっておりまして、その指定を受けましたものにつきましては、一般の保証の限度の倍の額まで保証ができる、こういうことでございまして、金額的にもかなりのめんどうを見れるというたてまえにいたしております。普通保険が御案内のように五千万円でございますが、この場合は一億になる。無担保でございますと普通は五百万円でございますが、一千万になる。こういうことで、普通の場合に比べますと倍の金額はできる、こういう配慮はいたしておる次第でございます。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 いまおっしゃったことはみんな承知の上でものを言っているんですが、私は、これからの三年というのは、中小企業がつぶれないでこぎ抜けていくのが精一ぱいの期間だと思う。そうなまやさしい経済状況ではない。一年や二年でまた景気が三年以前の状況に戻るだろうか。私は戻らないと思う。総需要抑制政策も、一体いつになったらストップするのかというなら、これは、大蔵大臣おいでになりますが、そう短期間に、ここでやめだという時期は来ない。その相当長い総需要抑制という期間を切り抜けて、これから一年なり半年やっていったそのあとの二年なんというものは、自分が生きていくためにはどうしたらいいのかというのが中小企業の切実な実態なんで、三年だから長い、既往の観念からいうと確かに倍だ、保証額もいい、無担保でも一千万だ、こういうことが言えるのですが、そういう従来の考え方に当てはめていまの経済を見ることは、非常に私は不均衡だと思う。たいへんな経済実態になりつつあるし、なっているというふうな認識がまずないと、五百万が一千万だからいいじゃないか、三年だから長期なんだ、こういう考えになるのですが、ほんとうに血の通った中小企業の対策をやろうというなら、私は、いまの考え方や、基本的に現在の景気の動向というものをどう見るかという問題などをあらためて検討してもらわないと——中小企業の置かれている立場というのは、まあ生き抜けたといえる状態が三年なんで、三年あるから何とかなるだろうといって何とかなるようななまやさしい事態ではない、こういう認識を私は持っているわけです。したがって、この点はまた、まだ次の機会があると思いますから、年末までにはもう一度も二度もいま私が言った線で、こんな事態になって一体どうするのだというたてまえで再考をいただくように、次の機会にお願いをしてみたいと思うのです。  そこで、いまの民間の都銀中心に——これは信託も入っているのでしょうが、三千二百億の特別ワクを設けた。民間銀行で特別ワクを三千二百億設けたのが、まだ二千億ぐらい余っております。それはいま私が言ったようなことなども含めて、なかなか消化し切れない面も一面にあります。それから、そうでなくて、都銀全体のこの中小企業に対する貸し出しワクを見てみますと、これもお調べいただいたので、たぶん大蔵省からお出しいただいたのか、これは日銀経済統計月報から見たものですが、たとえば本年の一月から七月まで、大体一億円以下の、あるいは何百人以下を使っているとかいう中小企業の一応ワクがあります。その定義の中に入るものに貸し出されているのを、全国の銀行全体を調べてもらったものがありますが、一月には四〇・五六%が中小企業に行っている。二月四〇・四六、三月四〇・六五、四月四〇・四八、五月四〇・二七、六月四〇・四七、七月四〇・二八。月を経るに従って中小企業に対するワクが下がっているということが、この数字でわかるのです。事態中小企業に対してより手当てをしなければいけないたいへんな緊急なときなのに、実は、この勘定を見た目でも、民間がだんだんに中小企業に対する貸し出しワクを下げてきている。これは非常に重大な傾向じゃないかと思う。  私は、大蔵省がある程度の大胆な指導を行なって、中小企業に対する貸し出しワクを、少なくともこの数字で見る限りでも、下げてはいけない、最小限度、わずかでも上げていくようにという指導ができないだろうかと思うのですが、いかがでしょう。ぜひやらなければいけない、放置してはいけないと思う。
  31. 後藤達太

    後藤説明員 先生指摘のように、全国銀行に対しましても、中小金融を重視するようにということは指導いたしております。季節的にいろいろフレが出てくることはやむを得ないと思いますが、トレンドとして下がっていくということはあってはいかぬ、これは機会あるごとに私ども指導をしておる次第でございます。  並びに、なおこれと関係をいたしまして、一つ日銀の窓口規制のワクども関係があるわけでございますが、その際にも、ことに中小金融関係の機関につきましては非常に弾力的な指導をいたしておるわけでございます。あるいは預金準備率をきめますときにも、中小金融機関に対してはゆるい規制をする。  こういうことで、いろいろな方面から一生懸命、中小金融には無理のいかないようにという指導をいたしておる次第でございますが、今後も、先生指摘のような点は確かにあるかと思いますので、いろいろな機会に十分指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、個人の金融資産の目減り問題ですが、これはもう相当真剣に考える時期が来ていると思う。  まず第一に、預貯金の目減り、これについて何とか手当てをしてやらなければいけない。こまかい数字を物価の上がっていく率と対比して申し上げる必要もないと思います。したがって、時間の関係もありますから、いわゆる個人の金融資産のうち特に預貯金の目減り、これに対して何らかの手当てをすべきだと思いますが、大臣いかがでしょう。
  33. 大平正芳

    大平国務大臣 消費者物価が大幅に上昇を見て預金の目減りが目立ってまいっておりますので、個人預金金利についての引き上げの要請が強まっておることは御指摘のとおりでございます。こうした預金者の立場を考慮しながら、昨年以降本年九月までに五回にわたりまして預金金利の引き上げを実施いたしまして、できるだけの配慮は加えてまいった次第でございます。  個人預金中心にさらに大幅な金利引き上げを実施いたしますと、個人預金比率の高い相互銀行、信金等、中小企業金融機関に過重な負担がかかることは申し上げるまでもないことでございます。その結果は貸し出し金利にはね返らざるを得ないことになるわけでございまして、中小企業金融にとっては新たな困難を増すことになろうと思うのでございます。これは原さんにこういうことを申し上げても釈迦に説法でございますが、こういう状況でございまして、非常に多方面に影響を及ぼす問題でございますので、預金金利引き上げは単に物価との関係だけで考えるというわけにはまいらないことは御案内のとおりでございまして、したがって、この間われわれ、一律に〇・五%の定期性の預金の率の引き上げを行なったのでございますが、スズメの涙みたいなものじゃないかという御指摘もいろいろあるわけでございますけれども、いろいろな点から検討いたしましてぎりぎりなし得る限界、精一ぱいのところであったことは、ひとつ御評価いただきたいものと思っております。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 おっしゃるとおり、内容はわかるんですが、五回引き上げたといっても、物価の上昇の率からいうならおよそ及びもつかない。つい先ごろ〇・五%上げて、一年の定期預金のものでたしか七・二五になったと思うのですが、しかし、物価の上昇の率には、近年のものをずっと比較してみますと、とても追いついていない。現在これがストップして、インフレがもうおさまったという状況になっていれば、まあまあ、いま大臣のおっしゃったように、〇・五でもできるだけやったんだからがまんせいということにもなるのですが、現にまだ上がりつつある。このインフレの傾向に対して、いつになれば歯どめをかけるという自信、保証というものがいまのところない。アメリカなどと違って、日本では個人の預貯金の率が非常に多い。これが日本経済をある程度ささえている。この預金がばからしいというのでしなくなったら、日本の場合たいへんなことになる。非常に高率の預貯金を個人がやる。それを中心に日本経済運営が行なわれている。いい悪いは別にして、そういう他国に例を見ない特性をわが国では持っているわけですから、この預貯金に対しては、貯金しているやつだけ損なんだ、ある意味では逆にいって、借りるだけ借りたほうが得なんだ、こういうような傾向がだんだんいま強くなっているのを何とか、それこそ歯どめをかけてやるという意味では、この目減り対策というものはもうちょっと真剣に考えてやらなければいけないのじゃないか。大臣お話だと、手がない、いまのところはもうこれ以上やりようがないんだ、こういうことになるのだろうと思うのですが、やはり定期性の預金に関して特別の配慮を行なうことが大胆に行なわれていいのじゃないかという気が私はするのです。そうしないと、この預貯金の目減りによる損失というものはたいへんなものになっていますから、実際には。数字を一々申し上げてもしかたがないと思いますから申し上げませんが、とにもかくにも現在のように、そう言ってもまだ多少ずつでも定期性預金の伸びている傾向にあるわけですから、こういう状態の中でいいわいいわでほっておかないで、何らかの対策を立ててやる、こういうことをぜひ私は考えるべきだと思うのですが、何か手はないでしょうか。
  35. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘のように、わが国の貯蓄性向が依然として高い水準を維持できていることは、非常にしあわせなことだと思います。いまの日本経済が維持されておる大きな原動力の一つであると思うわけでございます。したがって、この預金者保護ということについては、原さんの御指摘のとおり、最大限の配慮を加えてまいらなければならぬことは当然のことだと思うのでございます。しからば、それは物価にスライドしたような姿においての目減り対策がそれの対応策としてとるべき道かということを問われるならば、いや、そうではなくて、一番いい方法は、やはりわれわれが物価を鎮静させてインフレを収束するということに全力投球することが一番いいことなんで、いま言われるような物価スライド制というような姿において対策を講じますと、これはせっかくのインフレ対策というものがイージーに流れてしまうおそれもありまして、回り回って結局、預金者保護に背馳することになりはしないかと心配するわけでございまして、政府といたしましては、物価鎮静化を通じましてインフレ対策に全力をあげるということで、預金者に報いたいと思います。  預金者におかれましても、だんだん預金の蓄積が多くなってまいりまして、割り安な金利でございますけれども金利収入というものは全体として年々歳々ふえてきておるわけでございますので、私どもといたしましては、こういう時期、いましばらくごしんぼうをいただきたいものと思っております。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 手がないようですね。確かに国、国民全体の税金で預金者だけを多少とも保護するということは、アンバランスの問題があるだろうと思うのです。しかし、いろんな形で利子補給など政府はやっているわけですから、この預金、しかも庶民性預金というものに対して何がしかの——いまの物価スライド、そのままやれとは言いませんけれども、それに準じたような手当て考えてやることがこの際どうしても必要だろうと思うし、やがてその時期が来るのじゃないかと思うので、これはきょう大臣のお考えがわかりましたから、どうこうしろということは言えませんので、なお一そう検討していただき、おっしゃったようにインフレが早く終わることが一番いいわけですから、それに全力をあげていただく。インフレがおさまるまでは手はないのだということでほうりっぱなしで、インフレがこれから長く続いた場合でも放任しておくにしては、庶民性預金をされております多くの人々に非常に気の毒だという点で、何らかの暫定的な措置を講ずる必要を私は痛感していますので、御検討をいただきたいと思う。  これに関連して、地震のときの保険のことを、これは担当がどなたか知りませんがお伺いしておきたいのですが、いま地震保険というのが現に行なわれております。これは独立した単独の地震保険というのはないので、住宅だ何だという総合保険の中に組み込まれているという保険なんですが、この地震保険というのを御存じでしょうか。知らないなら知らないでいいのですが……。
  37. 後藤達太

    後藤説明員 地震保険も銀行局の担当でございますが、私担当いたしておりませんので、詳細をよく存じておりません。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、担当していないから、地震保険のことは、聞かれてもあまりわかりませんか。
  39. 後藤達太

    後藤説明員 どうも申しわけございませんが、保険部のほうをお呼びいただいてお尋ねいただきましたほうがよいかと思います。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、端的に結論のうちのおもなところだけを、大臣にもちょっと聞いておいていただきたいのですが、せっかく地震保険がありましても、しかも相当のワクはとってあるのですが、その保険金をいままであまり支払っていない。これが創設されて今日までに二百件くらいしか払っていない。この間、南伊豆の地震がありました。あの地震でもわずかに二件くらいしか該当しない。なぜかといいますと、全壊でない限り対象にしないのですね。ですから、せっかくいい保険が創設されて、実施に移されて今日もう相当期間がたっているのに、この地震国日本でいまだに二百件しか該当していない。あの伊豆の地震で二件しか該当者がいない。伊豆に行ってみると、実際にはとんでもない、この地震保険がもらえたらなあという人がたくさんいる。では、なぜとれなかったのかといいますと、住宅その他の総合保険には入っているくせに、全壊でないからいけないという。半壊じゃだめなんです。  これはたいへん大きな欠点だと私は思うので、担当でなくておわかりにならないといっても、とにかく基幹の幹部であられる皆さんですから、大臣を中心に、この点は何とか改善するということを早期にお約束を願いたいのです。これは大臣が勘で言えないかどうか知りませんが、私はこれは矛盾だと思うのです。いままでの実績を調べた上で、大至急に改善をするということだけ、ひとつ進めていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  41. 後藤達太

    後藤説明員 先生指摘の点はよくわかりましたので、さっそく保険部と検討させていただきたいと存じます。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、来年度の所得税の減税についてお伺いしたいのですが、聞くところによりますと、どうもこういう状況だから減税は大幅にはむずかしい、したがって、インフレ下であり、総需要抑制下であるから、物価調整的なごく小さな範囲の減税にとどめたい、こういうような意向が、すでに新聞にいつか出されていました。これは大蔵省の見解のようです。  そこで、減税の方針について、大型な大幅な減税は、なるほど私も考えてむずかしかろうと思います。しかし、かといって物価調整的なミニ減税で終わるんだという、その限界があると思うので、これは一体どんな程度考えているのかが一つです。それからもう一つは、この年末にこれだけのインフレが進行している中で、やはり国民大衆の暮らしを考えれば、ここで追加減税を多少でも年内にやるというくらいのことが考えられていいんじゃないかと思うのですが、この二点をお伺いしたい。
  43. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 まず、来年度の所得税の問題でございますけれども、いま原委員は、来年度はほとんど減税を当局としては考えていないではないかというふうにおっしゃいましたけれども、これは実は、本年度に大幅にやりました減税ということをまず思い出していただきたいのでございます。本年度の一兆四千五百億円、初年度の減税といいますのが、非常に大幅なものでございました。これは初年度でございまするから、当然来年度には平年度化するわけでございます。税収でも、あのときのベースで申しましても約六千億円というものは平年度化で減税になるわけでございますから、本年度の大減税といいますのは、いわば二、三年分を固めてやったという、非常に意義のある所得税の減税だと思っておりますから、もうあれは、ことしの法律改正で既定事実であるから減税でないんだとおっしゃられれば、それはそうかもしれませんけれども、それは実際の納税者にとってみれば、非常に大きな、平年度化によるところの減税が、また来年も引き続き行なわれるということでございます。  それから、いまミニ減税あるいは物価調整減税ということでおっしゃいました点につきましては、これは私どもは、こういうふうに従来説明をいたしておりました。と申しますのは、この六千億円にのぼりますところの、本年度の大減税の平年度化の中に約二千億円、当時のベースで申しまして約二千億円くらいの、課税最低限の引き上げが平年度化することによる減税というのがもう予定をされております。これは夫婦、子供上人の給与所得者で、課税最低限が百五十万円から百七十万円になる。二十万円上がるということは約一二%上がるわけでございます。これも予定の通りに実施されるわけでございますけれども、その一三%の課税最低限の引き上げによりまして——その後の物価上昇、来年度の物価上昇を一体どのくらいに見込むのかというのが今後の問題でございますけれども、そういうものを勘案いたしまして、一二%の課税最低限の引き上げということの平年度化によるところの、課税最低限の上昇ということで間に合わないということであれば、その上にプラスアルファとしまして物価調整減税というのを追加する必要もあるのではないか。しかし、それは一にかかって物価の動向によりますということを申し上げておりますから、私ども物価調整減税と言っておりますのは、本年度の約二兆円減税と申しました、平年度化によりますそのほかに必要な物価調整減税ということを言っておることを、まず御了承いただきたいのでございます。  それから、本年末におきますところの年内減税を一体どういうふうに考えているかという御質問でございますけれども、これは私どもといたしますれば、今日の税収の推移が今後、本年度内に一体どの程度になるのかという見通しがございます。それに伴いまして歳出の需要というものと勘案して、おそらく最近の機会におきまして補正予算の問題で御討議をいただくことになると思いますけれども、私どもといたしますれば、かりにいまの所得税の収入が非常に好調であると申しましても、先ほど申しましたように本年の大幅な減税がありまして、実はかなり実質所得が、春闘のべースアップ等に伴いましてふえてきた。それにはかなりの減税の効果というものもあったと思っております。それから、いまの物価状況からいいまして、はたしてここで所得税の減税をさらに追加するのがいいかどうかという経済政策からの問題がございますから、むしろ私どもは、年内におきますところの所得税減税というものは、非常に現在のところは消極的に考えております。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 本年度大体二年分、一兆四千億円にのぼる減税があった、平年度化を考えたら、その上に多少とも考えると相当の減税になるだろうという、集約するとそういうことになる。そのとおりであります。やったことはそうなんですが、御存じの、先ほどから言うインフレですね、このインフレの異常な高進のために、実際には実質の所得というのは相当下がっているのですね。これはまあ数字を一々読み上げて比較してもいいのですが、そんなことはむだだと思うから申し上げないのですが、とにかくインフレによる実質所得の減りというものはたいへんなものです。そこへベースアップによる名目所得に税金がかかるために、実際には増税をされたと同じ状態になっているものがずいぶんあるわけですね。現にある。平均して考えても、いま大いばりで言うような減税の恩典というのは、毎日働く大衆の側にはそうたいした恩典とはなっていない。インフレでなければ別なんです。ひど過ぎるこのインフレのために、実質所得というのは非常に食われちゃっているのですね。そこへベースアップしたというので名目所得に課税されまして、二倍にマイナス要因が重なってきますと、実はおっしゃるような、二年分やっているんだというようには、実際に感じとしても、生活の実感からいっても、現在ではこの減税があまり生きていなかった。生きていないということになれば、本年やった減税の精神を生かす意味で、先ほどの目減り対策ではありませんが、インフレによるベアの名目所得にかかる増税感というようなものを取り返してやろうという意味で、私は年内減税を多少でもやるのが常識だと思う。それが本来の一兆四千億円の減税をやった精神を生かすゆえんだ。一応やったんだ、あとインフレでどうなろうと、ベアで名目所得に増税がされたと同じ結果にどんどんかかってこようと、これは知ったこっちゃないというのでは、生きた減税とはいえない。減税の実態がどうなっているかを計算して、そうして年内減税というものをやはりもう一度考えて、その精神を生かしてやる、多少とも減税を考えるということが、これが当然の配慮でなければいけないと私は思うのです。来年度の減税も、同じ思考から言うなら、物価調整的な減税に終わろうというような方針がこの間大蔵省で出されましたが、これは私は断固反対なんです。これは、いろいろ減税をやる、インフレにまた火をかけるといったような表面的な論理もわかります。しかし、そうでなくて、やはり最低生活を営む国民大部分の人々に対して、減税の恩典というものが実際にあったという実感も与える意味で、補足的な年内減税なり、それを受けた来年度の減税というものを考えなければ私はいけないのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか、もう一度。
  45. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 本年におきますところの所得税の大減税の評価でございますけれども、これが行なわれていなければ実は非常に問題だったと思いますけれども、あの当時、はたして所得税の減税をやったほうがいいのか、あるいはそれを見送ったほうがいいのか、経済政策的にもかなり問題があったところであります。しかし、いろいろな事情からあの大減税を踏み切ったわけでございまして、課税最低限で申しましても、夫婦、子供二人で百五十万円になりました。その前年は百十二万円でございましたから、三四・四%も引き上げたわけでございます。独身者で見れば、課税最低限は六〇・六%も引き上げたわけでございます。かなりの課税最低限の引き上げがございます。それから税率の緩和がございました。実際に春闘で約三〇%をこえるところの給与の増加というのがございましたけれども、一人一人の月給袋を減税後でごらんいただければ、給与がそれだけ伸びたのにかなりの減税の効果はあったと思います。もちろんその中には、消費者物価の上昇ということで目減りの問題もございますけれども、三四%ないし六〇%という課税最低限は、実はそういう点からは非常にやってよかった、しかもそれが非常に効果があったというふうに私ども考えております。  さらに、この年内にもう一回追加すべき必要があるのかということになりますと、それは減税によって実質所得がふえることは、みんな国民として喜ぶところであるかもしれませんけれども、しかし、そういうことで物価ということにまた一方の影響を及ぼすということもいかがかと思いますから、私どもは、この際は、本年度当初におきますところの大減税の効果を非常に重視するとともに、やはり年内減税というようなことについてはきわめて消極的にならざるを得ないのでございます。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 中橋さんあたりどのくらい給料を取っているのか私知らないのだけれども、十万、十五万で生活している人に同じように物価が一割、二割上がってごらんなさい。もっと生活実態というものを、国民の低レベルといっては悪いですが、所得のわりあいに低いところでやってみますと、インフレの影響というものはどのくらいあるか。三四%減税をいたしました、百十二万円が百五十万円になりました、今度百七十万円になります、これは何割に相当いたします、それと、いま言った所得が十万、十五万、二十万というところを考えたときの物価の三割以上のいわゆる恒常的な上昇の中で、しかも名目所得に対してその税率がかかってくるということのマイナスを考えますと、決して恩恵的な——第一、一兆四千億円の減税をやったなんといったって、してやったんだ、減税してやったんだ、恩恵的な感じがするのですが、あれはそういう必要があり、そのことをしなければいけない事態だからしたのであって、決して恩恵的なものではないということを考えれば、年内減税はちょっと考えない、消極的にならざるを得ないというのは、どうもこれは考え方が少し皮相なんで、私は、もう少しこれに対して真剣に取り組んで、当初の一兆四千億円の減税の精神が、年末になって、やはり確かに二年分減税だったという実質的な減税の恩典になるような意味の配慮の年内減税というのが行なわれて、なおかつ来年度の減税が相当のものにならないと、いまのインフレの傾向と、あるいは名目所得の上がった分に対する課税のその入り組みの中で言うなら、相当程度の減税が必要だと思っておりますが、これも、いまここでそういう見解はわかりましたが、私は、そういう配慮ではいけない、もう少し違った角度から年内減税も考えるべきではないかというふうに思うわけですが、大臣黙っておいでになるから、おそらく大臣も中橋さんと同感で、あまり積極的ではない、いま考えているというところだと思いますから、私の希望だけ申し上げて、次の機会に譲ります。  それから、こまかいことをいろいろお伺いするようですが、塩、たばこの値上げに関してはどう考えていますか。
  47. 木村秀弘

    ○木村説明員 たばこの値上げにつきましては、御承知のようにここ数年来、原材料費あるいは労務費の非常な値上がりでございまして、特に昨年の石油危機以来異常な値上がりを示しております。御承知のように公社といたしましては、従来から総定価代金の大体五八%ないし九%を専売納付金あるいはたばこ消費税として、国庫及び地方公共団体に納めております。これに必要な限度の内部留保を含めまして、大体総定価代金に対しまして六〇%台のいわゆる益金率を保っていくことが必要でございまして、こういう観点からいたしますと、昭和四十八年度でこの益金率が五九・三%、まあ公社始まって以来の低率に落ちております。なお、今年度の見通しを立ててみますと、これが五四…二%台ぐらいになるかと思います。こういうことでございますと、公社のいわゆるたばこの専売制度の意義が非常にそこなわれることにもなりますので、でき得れば五十年度に値上げをお願いをいたしたいと考えております。  また、塩につきましても、これは制度の趣旨が公益専売でございまして、たばことは違っておりますけれども、今年度の売り上げ高二百四十億円ぐらいに対しまして百十五億円程度の赤字になる見込みでございます。これは単年度でございますと、二十年以上もしんぼうしてまいりましたので、できるだけこれをがまんしていくというのが筋でございましょうけれども、しかし、来年度以降におきましても、いまの石油危機以来の燃料、動力費あるいは包装材料費、労務費等の値上がり、また輸入塩につきましても、海上運賃の値上がりによりまして昨年と比べますと約倍の価格になっておりますので、こういう状態が今年度で終わるとはちょっと考えられません。おそらく来年度以降も続くと思います。そうなりますと、いつまでもこういう、売り値の半分が赤字であるというような状態を続けていくわけにもまいりませんので、でき得ればとんとんになる程度の値上げをお認めいただきたい、こういうふうに考えております。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 たばこの値上げ率をどのくらいにする予定なんですか。塩に関しては従来も赤字だったと思うんだが、これは専売会計の中で、平たく言うとたばこで補ったというような状況になってきたんじゃないかと思うのですが、たばこをどのくらい値上げして、そして塩もどのくらい値上げするのか。特に塩の場合には、多少値上げしても、これがすぐにまた、便乗値上げじゃないがはね返っていきまして、ちょっと塩が上がったというんで、しょうゆがそれっ、何がというんで、また相当の高率の値上げの口実になるだろうと思うので、塩の値上げなんか、気の毒だけれども、従来どおり何とかたばこで補っていくというくらいにしないと、どうも便乗値上げというのがまた必ずある。ないという保証はないと思いますので、塩は、どうも値上げをしたいお気持ちでしょうが、すべきではない。それから、たばこに関しても、格安の銘柄もののほうをできるだけ上げてやろう、これは逆だと思うので、その点も一緒に、どうお考えになっているかお答えをいただいて、一体率はどのくらいのことを考えているのか、何%くらいを考えているのかをお伺いしたい。
  49. 木村秀弘

    ○木村説明員 値上げ幅につきましては、まず、たばこにつきましては、最終的には国会の御審議で法律の改正を要することになりますので、ただいまのところは事務的に検討を進めている段階でございまして、まだ関係省庁との意見の調整を終えておりません。そういう関係で、幅についてはまだ未定でございます。  また、塩につきましても、四十八年度の決算では十七億程度の赤字でございまして、この程度ならば、先ほど委員が御指摘のように、たばこの益金でもって補いをつけていくということも可能でございますけれども、しかし、一方において、先ほど申し上げましたようにたばこの益金が激減をします上に、今年度の予想は百十五億円内外の赤でございまして、その両方をにらみ合わせますと、こういう状況を続けてまいるということはたいへん困難であると思います。  それから、たばこの銘柄別に低価格品を上げ幅を多くするのはおかしいじゃないかというお話でございますけれども、これも先ほど申し上げましたように、まだ具体的にはきまった案は持っておりませんけれども、しかし、考え方といたしましては、やはり低所得者の方々あるいは老人の方々に対しては何らかの方法によって低価格品の供給が可能になるように、そういう点のことは十分今後配慮を加えてまいらねばならぬと思っております。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 総裁、九月の八日に例のたばこの値上げ審議会か何か、葉たばこの値上げの答申が出ましたね。四四・何%か上げた。その翌日の九月九日に記者会見を総裁やられている。そこで五五から六五%上げたいと言っているんですね。ここでも、そういう意向かどうか、はっきり言ってください。なぜ一体、記者会見で九月九日には言えておいて、ここでは全然案がないみたいなことを言うのですか。私は、五五から六五なんていうたばこの値上げは、しかも安い銘柄のものに重点を置くような値上げなんということを考えるその根拠がわからないので、時間があればもっとこのことをお伺いしたかったんですが、せめて記者会見でおっしゃったような五五から六五上げるというその根拠。それから、たばこの値上げを五五から六五にやると一体国庫納付金、いわゆる国庫財政への寄与率が何%くらいになる見込みで、こんな膨大な値上げを言うんだか。おそらく現在では二・七、八%しかなっていない。それを、かつて歳入の二〇%までたばこの益金で占めていたという昔の夢がありますが、そこまでいかないまでも、もっと相当のところまで近づけよう、こういうことをいま考えているんじゃないかと思うのですが、そうでなくてもインフレ下、公共料金をなるべく押えながら諸物価のはね上がりを防ごうというときに、いわゆる公社のこの種の専売事業がこんな大幅な、しかも——葉たばこの四四・何%は、これは農民の立場からいってけっこうですけれども、そのかわり国庫納付金が少なくなるのはあたりまえなんです。少なくなっても値上げはがまんする。そうして、ほんとうに納付金がゼロにならないまでも、一切のものを含めてとんとんくらいまでは、この際インフレを押える意味からいっても、総需要抑制のこの苦しみを国民全体が耐える意味からいっても、私は、公社の専売の事業に関しては値上げは控えるということがたてまえであっていいと思う。そのくらいのことを公社がやらない限り、これはインフレを押えるなんといったって、なかなか押えられっこない。したがって、納付金をどのくらい考えているのか、率をですね。そうして、その前提で何十%値上げを考えるかということをひとつお答えいただきたい。
  51. 木村秀弘

    ○木村説明員 たばこ耕作審議会の翌日の新聞記者会見の際に私が申したことに対しましては、多少誤解がございます。それは、葉たばこの購入価格が四四・三三%上がったが、これは製品にどういう影響を及ぼすか、値上げを一体どう考えておるのか、こういう質問でございました。そのときの話では、公社が従来のたばこ消費税及び専売納付金率、そういうものを維持していくという前提で考えれば、五五%ないし六五%、ワンパックについて五十円ないし六十円上げなければなりません、こういうお答えをいたしております。これはそういうことで案を立てておるとか、そういうことでやるんだということではございませんので、これはもちろん、先ほど申し上げましたように、関係省庁との意見の調整、最終的には国会における定価法の改定という国会の御審議をわずらわさなければなりませんので、そういうことは言えるはずのものではございません。ただ、筋として、従来の益金率を確保するという前提で考えれば五五%ないし六五%という数字になります、こういうお答えをいたしておるのでございます。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 これで終わります。
  53. 臼井莊一

    臼井委員長 次は、稲葉誠一君。
  54. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 私は、別にむずかしいことを聞くというわけではなくて、国民の皆さんが疑問に思っているというか、あるいはこうしてほしいとか、いろいろ考えておられると思うんですよね、そのことを端的にいろいろお聞きをしていきたい、こういうふうに思うわけですから、大臣もひとつフランクにお答えを願いたい、こう思うのです。  まず、あなたが大蔵大臣になられた。で、国民はあなたに一体何を期待をしているというふうに、あなた自身はお考えなんでしょうか。
  55. 大平正芳

    大平国務大臣 国の財政を預かる立場になったわけでございますから、今日の日本の内外の状況を冷静に判断いたしまして、まず物価鎮静化、インフレの収束という方向に着実な財政をやるように期待をいたしておられるものと思います。
  56. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 もちろんそうですけれども、同時に不況という問題——かりに不況というのをどの程度に認識しておるか、ちょっと私もよくわからないのですが、これはいわゆる一般的な不況という現象ととらえるのか、あるいは局部的なものというふうにとらえるのか、よくわかりませんけれども、まあ不況の克服というか、そういうふうなものも含めてあなたにやってもらいたいというふうに考えておるのではないか、こういうふうに思うわけですが、不況ということについては、現段階はどの程度のものであるというふうに認識をされていらっしゃるんでしょうか。あるいは、そうじゃないというふうに考えておられるのか。そこら辺のところはどうなんでしょうか。
  57. 大平正芳

    大平国務大臣 確かに生産は減退いたしておりますし、出荷もさえませんし、在庫に至りましては空前の在庫でございまして、その限りにおきましては非常に典型的な不況現象が出ておると思うのであります。けれども、他面におきまして、一般国民の消費需要というものはそんなに衰えを見せておるようには思えないわけでございまするし、投資需要にいたしましても、一時のような旺盛さは見られませんけれども、なお根強いものを持っておるわけでございますから、いまの日本経済をどう診断するか。不況と見るか、確かに不況的様相は見えるわけでございますけれども、それで割り切ってしまうには少し複雑過ぎるのではないかと思うのであります。したがって、不況を心配する向きもございますけれども、同時に、物価がまた新たな狂乱時代を迎えやしないかと憂慮する向きさえあるわけでございまして、今日の事態の判断というのはたいへんむずかしゅうございますが、私は、まだ不況がまんべんなく行き渡って底をついたというようには、少なくとも見ておりません。
  58. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 現代という雑誌の十一月号ですね、週刊誌じゃないほうですが、そこで城山三郎という方と対談をされておるわけですね。これは対談で出ているから、どの程度あなたの真意を伝えておるのか。速記らしいから真意を伝えておるのではないかと思うのですが、真意を伝えてないところがございましたならば、遠慮なく言っていただいてけっこうだと思うのです。  この中にたとえば、過去の時代と違った新しい時代にいま入ってきてるんだ、そして「なんというか、ぜんぜん違った時代にわれわれは入り込んで来た感じがします。」とか、それから「物価や、消費に対する、そして物に対する考え方を変えなきゃならない時代になってきた、という感じがするんです。」ということを言われているように出ているわけですね。どうもここら辺のところはちょっと、わかったような気がしますけれども、何かばく然としておってよくわからない点があるわけですね。もう少しこう具体的にというか、こまかくこの点についてお話をしていただきたいというふうに思うわけです。
  59. 大平正芳

    大平国務大臣 対談でございまして、学術論文ではございませんので感覚的にものを言っているわけでございますから、御理解をいただきにくいところがあろうかと心配いたします。しかし、私がそこで言おうとしている意味は、こういう感じを申し述べたわけでございます。  すなわち、ここ二、三年来、たいへん世界経済がさま変わりした。一口に言うと、資源の買い手市場時代から売り手市場時代に変わった。われわれは、ドルを持っておりさえすれば、必要なものは、必要なときに、必要な分量をどこからでも買ってこられるのであるというような想定で、安心の上に立って経済を営むことができておったのでございますけれども、そうはいかなくなった。これは資源が有限であるということを物語っておるわけでございましょうし、しかも、いまのわれわれ同時代に生きておる人間が、こんなに潤沢に資源を消費しておっていいものかどうか、後世に資源を残しておかなければならぬのに、同時代の者がこんなにどんどん消費していいものかどうかというようなことが、いまにわかに問われかけておると思うのでございまするし、また、非常に恵まれた条件のもとで経済の成長が見られた時代にはあらわになっていなかった環境問題も、非常にやかましい問題になってきておるわけでございますし、労働力自体も、農村からたくさんの新鮮な労働力が移動してまいりまして経済の成長を見たような時代と変わりまして、たいへん労働力の制約を見るようになってきた。そういうときでございまするので、どうもいま、むやみに成長とか発展とか繁栄とかいうようなことを考える時代よりは一歩退いて、つましい、静かな経済を思うという時代が来たのではないか、そういう感じを率直に申し上げたつもりでございます。
  60. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それに関連をすることだと思うのですが、「けれども、不景気であろうとなかろうと、のべつまくなしに財政政策を手軽に使い過ぎて、けじめがなくなってしまったのが現状ではないでしょうか。」こう言われているのですよね。これはもう少し具体的にいうとどういうことなんでしょうか。ちょっとあなたの大蔵大臣としての立場としては、あなた自身が前に通産大臣とかほかのいろいろなことをやっておられて関係をされていたこと自身に対する反省というか批判というか、そういうふうなものも出てくるので答えにくいというのか、あるいは勇気をもって答えるというのか、どういうことを言っておられるのでしょうか。
  61. 大平正芳

    大平国務大臣 まあ一九三〇年の悲劇を経験いたしたあとでケインズ経済学というものが出てまいりまして、不況なときには、景気を刺激するために財政支出あるいは信用の創造をやりまして経済に活力をもたらす、したがって不況という事態は避けられる事態である、人間の英知で、また財政当局政府の手で避けられる事態なんだという自信を持ちまして、財政政策というようなものを少しぞんざいに使い過ぎた傾向がありはしないか。つまり、不景気なときに大きな予算を組む、あるいは中央銀行の信用政策を活発にやりまして景気をささえていくというようなことはよろしいのですけれども、よろしいといたしましても、不景気でもないのに、依然として景気がいいにかかわらず財政は年々歳々膨張していく、中央銀行の信用政策自体にもきびしい反省が見えないというようなことは、決してほめた事態ではない。最近、日本財政を私も預かってみて感じるのでございますけれども、相当硬直化いたしておるわけでございます。すなわち、好景気だからうんと財政は締めてかかろうとしてもなかなか締められない、硬直化現象が非常に顕著になってきておるわけでございます。しかし、これはいろいろな制度の制約があり、いろいろな慣行がございまして、なかなかこれを克服していくということはむずかしいことでございますけれども、少なくともこれ以上首が回らぬようなことは、硬直化が進むようなことは、やはり戒めてかからなければいかぬのじゃないか、そういう反省も込めまして、財政政策というのは慎重を期すべきではなかろうかという感じを申し述べたまででございます。
  62. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 具体的にいつごろ、そしてだれがということばを言うと答えづらいかもしれませんが、どういうときに、景気がいいのにもかかわらずそういうような政策をとったのでしょうか。どうなんでしょうか、それは。だれに今日の責任があるということになるのでしょうか。
  63. 大平正芳

    大平国務大臣 私、裁判官でございませんで、だれがいい悪いという問題でなくて、まあフィスカルポリシーを考える場合に、やはりけじめがなければならぬのじゃないか。日本の場合を考えても、いつもちゃんとけじめのついた、折り目の正しいことを終始やってきたと言えないじゃないか、私も含めましてそういう反省を申し上げたまででございます。
  64. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そういう反省というか認識というのは、いまになってできたのですか。それをやっているときにはそういうふうな、将来こうなるだろうという認識はなかったのですか。私どもが再三にわたって警告してきたことではないでしょうか。そこをどういうふうに御理解されましょうか。
  65. 大平正芳

    大平国務大臣 私も、稲葉さんに劣らず、そういう反省はいつも自分で持ちながら、現実に党にあって、あるいは政府にあって責任ある地位についてやったこともあるわけでございますが、ただ、なかなか思うにまかせなかったということでございまして、常にそういう反省は頭に置いてやってきたつもりでございます。
  66. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 思うにまかせなかったというのは、結局、田中総理の積極的な財政政策というか考え方と大平さんの考え方との間に、多少ニュアンスの違いがあったと承ってよろしいでしょうか。あるいは、それをチェックしたがったけれども、チェックできなかったのだということでしょうか。
  67. 大平正芳

    大平国務大臣 田中さんと私との認識の違いなんという小さい問題じゃなくて、わが国の制度、慣行、それが非常に固定しておるわけでございまして、これにもう少し弾力性を持つことができれば、財政が硬直化するというようなこともだんだん避けられてきたと思うのでございますけれども、なかなかこれに切り込むというようなことがむずかしかったわけでございまして、試みてなお果たせ得なかったということが多いわけでございますし、個人的な見解の相違というようなものよりもっと大きな課題だと私は思います。
  68. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 非常に大きな問題ですし、これは本来なら予算委員会か大蔵委員会でやることですからね。  そこで、いまの不況なり物価高の克服ということについて、どうも大平さんの考え方はわりあいに楽観的なようにとれるわけですね。この対談の中でも「両方を同時に解決することは必ずしも不可能だとは思っていません。」こう言っておられますね。それは不可能ではないかもしれませんが、そこでお尋ねをしたいのは、たとえば物価対策なりあるいは不況の克服なり、そういうふうなことについて——話を分けましょうね。物価のほうにしますか。物価の問題で、具体的に一体どういう対策を立てればいつごろどういうふうになるということ、そのことの目安は一体どこに置かれるわけでしょうか。それについて、それは政府もこういうふうにやるんだ、国民も協力してほしいということを実態を示してフランクに言われれば、国民も協力するのに決してやぶさかではないというふうに思うのですが、具体的に一体どういうふうにして、いつごろどういうふうになるという目安、それをお聞かせ願いたいと思うのです。国民はそれを聞きたがっているわけですよ。
  69. 大平正芳

    大平国務大臣 この前も衆議院の大蔵委員会でそういう議論が出まして、具体的に目標を示せ、国民もそれを望んで期待しておるんじゃないかということでございますけれども、具体的にこうすればいつごろこうなるなんという、そんな手軽な物価政策があれば、私は教えてもらいたいと思うのでございます。  問題は、せっかく狂乱時代を越えて、この春から卸売り物価をはじめといたしまして消費者物価もやや鎮静化の歩みを示してきておるわけでございます。これには内外の要因があると思うのでございまして、国際的な、石油をはじめ綿花、羊毛から小麦、砂糖その他いろいろな重要な商品、相当上がりましたけれども、また現に騰勢の強いものもありますけれども、ロイター指数で見ましても一時よりやや落ちつきを示してきておると思うのでございます。国内におきましても、季節的にはいろいろな要因で踏み上げられる場合もございましょうけれども、先ほど申しましたように、やや鎮静化の動きを来たしておるわけでございますので、何とかこの動きを定着化させていきたいということを念願いたしておるわけでございまして、まず対前月比で消費者物価の値上がりが一%以下に押えられるような、そういう事態が望ましいのではないか。そういたしますと年間十何%かの程度に押えられるということになるわけでございまするので、一応それは望ましい事態じゃないかと思うのでございます。  しかし、そんなことを言っておっても、消費者米価を上げてみたり、あるいは国鉄運賃を上げてみたり、あるいは社会保険診療費を上げてみたりなんかするから、そんなことできないじゃないかと仰せかもしれませんけれども、こういうものをいびつな状態にいつまでも置いておくわけにもまいりませんから、合理的な改定はやってまいらなければいかぬが、そういうことも含めましてその程度に何とかいかないものか、いろいろ知恵をしぼってみようじゃないかというようなことを、いまわれわれ政府部内におきまして協議しながら進めておるわけでございます。  そして、これはことしの暮れから来年の春にかけてどういう状況になりますか、さだかに展望することはできませんけれども、私がここで申し上げられることは、できるだけ低位に押えるように努力をしてみよう、しなければ相すまぬのではないか、そう考えておるわけでございます。
  70. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それはそのとおりですよ。問題はその次のことでしょう。できるだけ低位に押えるためには具体的にどういうふうにするのかということですよ。たとえば今度の補正予算なり来年度予算をどうするとか、たくさんの問題があるでしょう。それを具体的にどういうふうにしたいのかということを、その他の問題も含めて国民が一番聞きたがっているのじゃないでしょうか。あなたのそうしたいしたいというのではなくて、したいのはわかるのだけれども、具体的にそれに伴ってどうするのかということをお聞きしたいわけです。
  71. 大平正芳

    大平国務大臣 それはもう御承知のように、ことしの予算もいろいろ制約がございましたけれども、前大臣たいへん御努力されまして、二〇%以下の規模に押え込んだわけでございます。しかも、そういたしました予算にいたしましても、その中で公共事業費につきましては四半期ごとに契約率を押えてまいっておるわけでございまして、財政の執行を慎重にいたしまして需要インフレを起こさないようにつとめておりますことは、御案内のとおりでございます。  金融面におきましては、総需要抑制策の一環といたしまして日本銀行が非常にきびしい窓口規制をやっておりますことは、これまた御案内のとおりでございまして、四半期ごとに各金融機関融資ワクを提示いたして、それで押え込んでおるわけでございます。  もとより、先ほどから御議論がありましたように、中小企業あるいは特定業界におかれまして非常に困難な状況が出てまいっておりますので、そういう事態に対処することを怠ってはいけないわけでございますけれども、そういうことに対処しながら、全体としてこの総需要抑制体制というものを堅持していくということが基本であるわけでございます。これにはいろいろな御批判があろうと思いますけれども、私どもといたしましては、いまの段階でこれを堅持してまいることが、非常に国民に御不自由を願っておるわけでございますけれども物価鎮静化してまいり、為替相場を維持し、日本経済を安定的に維持してまいる上におきましては、いまこのワクをはずしてはならぬと考えておるわけでございます。  それから第二は、個別の物資対策でございます。なるほど、石油危機が起こりました直後におきましては、便乗値上げ抑制というような意味から申しまして、立法措置によりましていろいろな措置を講じましたけれども、漸次それは市場の価格形成の機能にゆだねていくような方向をとっておるわけでございますが、これとてもまだ手放しで安心しているわけじゃございませんで、その後の状況を見ながら、もう一度また政府の監視下に置かなければならぬことも考えながら事態の推移を注視いたしておる状況でございます。  それから第三には、補正予算、来年の本予算の編成にわれわれはこれから取り組まなければいかぬわけでございますけれども、こういう状況でございまするだけに、ますます慎重に抑制的な予算の編成に当たらなければいかぬと思っておるわけでございます。先ほど原さんが減税の問題等、あるいは酒あるいはたばこ、塩等の値上げの問題等も言及されたわけでございますけれども、こういった問題もそういう角度から、私どもとしては非常に慎重に対処していかなければならぬのじゃないかと考えておるわけでございます。  具体的に申し上げれば際限ございませんけれども、大きな筋から申しますと、いま申しましたような姿勢で事に当たっておると御承知願いたいと思います。
  72. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そういう政策、そういう姿勢を続けていって、それはいろいろな条件があるかもわかりませんけれども、いつごろになったらどういう状況日本経済は、ことに物価の問題でなるということについての目安というものは、これはとてもそういうことを聞くのが無理だということなんでしょうか。答えるのが無理なのか、聞くのが無理なのか、どっちなのか。両方無理なのかもわからぬけれども、そういうことを聞くのは無理ですか。
  73. 大平正芳

    大平国務大臣 外向き、世界経済状況があんまり大きな変化がない——異常な天候異変が起こるとか、あるいは一部局地的に戦争が起こるとかいうようなことになると、これは元も子もなくなってしまいまして、根っこからやり直さなければいかぬことになりまするけれども、そういったことがない限りにおきまして、慎重な、総需要抑制策を軸にいたしました政策を進めてまいり、国民の理解と御協力が得られますならば、私は、漸次この物価鎮静化の傾向は定着していくと思うわけでございまして、来年は少なくとももっといい状況をお互いにエンジョイすることができるのではないかと思うわけでございます。  そのときの物価状況というのはどのぐらいのパーセンテージを記録するであろうかなどということを申し上げるほど、ぼくも自信がないわけでございますけれども、少なくともことしよりはもっと鎮静化が定着いたした状況を持つことができるのではないかと思っております。
  74. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、経済社会基本計画というのがありますね、こういうのはもうやめるのですか。どういうふうにしていくのですか。
  75. 大平正芳

    大平国務大臣 経済社会の中期的な計画自体は、私は、あの政策自体がいい悪いというより、あれはりっぱな政策だと思うのでございます。あれをどういう状況のもとでリアライズしていくかという状況をつくるのがわれわれの経済政策のねらいでなければならぬと思っておるわけでございまして、物価の安定をまず最優先の政策課題として総需要抑制をはかる、それから石油その他物資の需給の均衡を確保いたしまして、生活必需物資に困らぬようにこれを保障するというようなこと、社会保障の充実、国民福祉の向上等の施策を推進するということ、資源、エネルギー、食糧等の安定供給の確保、省資源の推進、そういったことをいま政府政策運営基本課題として追求いたしておりますけれども、そういう状況、そういうことを追求していきますならば、経済社会基本計画というようなもの、そういうものの実のある実現が可能な環境ができるのではないかと私は思うのでありまして、あの計画自体がいい悪いというより、あの計画自体はけっこうだと私は思いますが、それを現実に効果的に生かしていく環境を経済政策を通じてつくり出していくということがわれわれの任務でなかろうかと考えております。
  76. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 どうも役人の書いたメモを読むときは、トーンがだいぶ落ちますね。もっとあなたの持ち味を生かして答弁されたほうがぼくはいいと思うのですよ。そう思わないですか。あなたは将来総理大臣を目ざすのでしょうから、しっかりやってくださいよ。  なぜぼくはいまのことを聞いたかというと、これはおわかりでしょう、あなたの前の、何とかという方がおられましたね。あの方は、まず、経済社会基本計画などという野心的な長期計画は、過去の行きがかりを捨てて、ここで御破算として出直すということを言っているのですね。それでなければだめだと言っているのですよ、あなたの前任者の方は。だから、ぼくは聞いたわけですよ。これは十分に通告してなかったから、ちょっと悪かったかもしれませんが……。御破算にしなければ、ほんとうの安定成長には向かわないのじゃないでしょうか。これは高度経済成長を軸とした計画じゃないのですか。これはそこに非常に違いが出てきているのじゃないですか、と私は思うのですがね。あなたのほうの中に御破算にしろという人もいらっしゃるから、ぼくは聞いているのですよ、有力者がそういうことを言っているから。それとあなたのお考えとは違うわけですか。
  77. 大平正芳

    大平国務大臣 経済社会基本計画というのは、あそこにも書いてあるように、活力ある福祉社会、すなわち、公害はなく、自然環境が豊かに保たれ、また教育や社会保障も充実し、国民生活に安定とゆとりを約束するとともに、国際社会と協調しつつ長期的に発展を続ける経済社会の建設を目ざすと書いてあるのです。したがって、ここにいう経済社会基本計画、それがいいの、悪いのというと、これはりっぱな計画じゃないかと思うのです。問題は、こういう計画を、ここにうたってあるようなことを実現していくにつきましては、われわれが置かれた環境に対して処理を誤らぬようにしなければならぬということを先ほど私は申し上げたわけでございまして、福田さんがこれを言われた意味も、おそらくは、いままでのような頭でやっておると元も子もなくなる心配があるのじゃないかという警告をされたものと思うのでございまして、経済社会基本計画というようなものはやはりりっぱな、これ自体に罪は別にないわけでございまして、それが実行できるような環境をどうしてつくるかということがわれわれの任務であるということを私は申し上げたわけでございます。
  78. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 その計画のことはここで論議してもあれですけれども、そこでお聞きしたいのは、大蔵大臣というよりも国務大臣としての大平さんにお尋ねをすることになろうか、こう思うわけですが、いまやかましく言われておる、いわゆる金権政治あるいは金権的な体質、そういうふうなものについて、一体どこにその原因があって、どういうふうにこれを直していかなきゃいけないか——あるいは直さなくてもいいという意見もあるかもわかりませんが、というふうにあなた自身がお考えになっていられるのでしょうか。これはちょっと大蔵大臣とは直接関係ないかもわかりませんが、重要なことですからお尋ねをしておきたい、こういうふうに考えるわけです。
  79. 大平正芳

    大平国務大臣 いま稲葉さんの言われる金権政治というのは何を言うのか、まずそれからきめていただかないと答えようがないわけでございます。私は、政治家というのは謙虚でなければならぬわけでございまして、金力とか権力とかいうようなものをかさに着て驕慢に流れてはならぬと思うのでありまして、あくまでも、金に対しても権力に対してもおそれおののいた、健康な態度は堅持していかなければいかぬと私は考えております。
  80. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それでは、あなたのお考えになっておるいわゆる金権政治というものは、どういうふうに御理解をされていらっしゃるのでしょうか。いまあなたの言われているのは抽象的な話だけですよね。それはだれに聞いたってそういうふうに答えるので、これは子供の答えみたいなものですわ。それではなくて、では、日本の社会の中にいわゆる金権政治というか、そういうようなもの、特に自民党の中に、といっては失礼かもわかりませんが、その体質が非常に強い。これは世間一般でいわれていることですね。それを具体的にあなたとしてはどういうふうになくしていきたいのか。ただ、政治家として謙虚になろうとかなんとかだけで解決がつく問題ではないのではないでしょうか。大企業に癒着をしているとよくいわれる。そういうふうなことを中心として政治が行なわれていると考えられるかもわからない。いろいろな面での金、金、金ですべての日本政治がかりに行なわれておるとするならば、そういうふうなことについてあなたとしてはどう理解をし、その原因はどこにあって、それを自分としてはこういう決意のもとにこれを打破していくなら打破していく、この辺のところの考え方が当然、ぼくは非常に高邁な一つの気宇の中に出てこなければならないのじゃないか、こういうふうに思うものですから、あえてお尋ねをするわけです。
  81. 大平正芳

    大平国務大臣 選挙をはじめ政治活動に金がかかる、これはある程度私は金がかかると思うのであります。みずからの主張を理解していただくためにPRもしなければならないし、自分を知っていただくためにいろいろな機会をつくり上げていくために、政治家はもちろん、政治家を志す者はいろいろくふうをいたしておるわけでございまして、それに若干の金がかかるということはいなみがたい事実であろうと思うのでございまして、問題は、そういう金の出所と使途というものが公明に処理されるということでいかないといかぬと思うのであります。その金額の多寡も問題でございましょうが、それの処理が非常に大事なことではないかと思うのでありまして、いやしくも国民から疑惑とか指弾を受けることのないようにやってまいるべきものと思います。
  82. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いろいろなことに金がかかるというのは、そのことはそのとおりかもわかりませんけれども、かかり過ぎるということに問題があるわけですね。節度を越えておるというところに問題がある。選挙だけじゃないですよ、あらゆる政治運営に。ここに問題があるわけではないのでしょうか。  そうすると、いま、あなたの政党と言っては、これは語弊があるかもわかりませんから、じゃ、日本政治としましょうか。日本政治の中で、節度を越えた金が政治に使われておる。その金によって日本政治は、全部ではないけれども、大部分というか、動かされておる傾向なきにしもあらずだ。節度を越えているのではないか、こういうふうなことについて、あなた自身は、いや、いまの日本政治なり何なりというのはこの程度はしようがないんだ、あんまりやかましいことを言うなというふうなことをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。そこはどうでしょうか。どうも歯切れがあまりよくないですね。もう少し歯切れのいい答えはできないですかな。
  83. 大平正芳

    大平国務大臣 日本政治が金がかかり過ぎておるかどうかという実態について、十分責任の持てるデータを私持っておりませんから、とやかくコメントできないと思うのでございますが、私があなたの御質問に答えて申し上げておりますことは、あなたがおっしゃるとおり、金の使い方、権力の行使、やはり節度がなければならぬ。私自身は、乏しいながら、その節度を踏みはずさないようにやっていかなければいかぬと考えておりますということでございます。
  84. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、たいへん失礼なことをお聞きしますけれども、あなた自身は、大企業とかあるいは経団連とかなんとかいろいろなものがありますね、ああいうところから政治献金なり何なりを受けるのはいたしかたがないというふうにお考えなんでしょうか。これは政治にとって金かかるのはあたりまえなんだから、大企業からもらったって、どこからもらったって、ひもがつかなければいいじゃないか、こういうことでしょうか、話は。
  85. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申し上げましたように、その程度、それからそれの処理のしかた、そういうものを自分なりに考えてやっておるわけでございまして、私は不当なことをいたしておるとは思いません。
  86. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いまの問題については、私としても、率直に言うともっと聞きたいわけです。しかし、それはちょっと、この場で聞くことがいいかどうか、いろいろな問題もあるし、別な機会のほうがいいんじゃないかということも考えるのですが、いずれにしても、いろいろあなたのお答えを聞いていますと、率直に言って、なかなか正直にお答え願っておるところも確かにあると思うのですが、それはそれとして、やはり日本経済政策全体、財政政策というか、非常に重要な時期に来ておる。そこで、具体的にどういうふうにするかということについて、ぼくは言いにくいことがあると思うのですよ。言いにくいことがあったとしても、それは事実を明らかにして国民の前に示してやっていくという態度が私は必要なのではないかというふうに思うのです。  それから、どうも聞いていますと、具体的な施策というか、それは数学の問題解くのと違いますから、そう簡単にはいかないかもわからぬけれども、どうも具体的な施策という点になるとトーンがダウンしちゃうという感じを受けてならないのですが、これはまたほかの委員会なり何なりでお聞かせを願うなりするということにして、私の質問は終わります。
  87. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、庄司幸助君。
  88. 庄司幸助

    ○庄司委員 まず第一番目に、先ほど来緊急対策としての融資問題が論じられておりますが、その点で関連して一つ伺っておきたいのですが、これは銀行局長でいいです。  いわゆる中小企業その他はほとんど、金額にもよりますが、   〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕 一千万あるいは二千万となれば、必ずといっていいぐらい担保が取られているわけです。ところが、一流商社あるいは大企業は、手形割引の際その他は担保を取らないという事例が多い。これは非常に不公平だと思うのです。  そこで、これは具体的にお伺いしたいのですが、昭和四十二年一月の衆議院の選挙では、約二十億円、これが国民協会——これは自民党の政治資金の受け入れの窓口になっておりますが、ここに無担保で金が貸されている。それから四十九年の七月、つまりことしの参議院選挙では、九十億円以上が無担保で、やはり国民協会に銀行から融資されている。しかもこの銀行は、いわゆる政治献金の御三家ともいわれるぐらいの多額の政治献金をやっている団体です。そのほとんどは自民党ですが……。こういう自由民主党という政党の政治資金受け入れの窓口には無担保で金を貸している、こういう点、銀行局長、先ほど来いろいろ大臣答弁されて、厳重な窓口規制をやっているというさなかで、なぜこういうことが行なわれているのか、この辺、お調べになったのか。お調べになっているとすれば、どういう理由で無担保でこういう特定の政党の窓口には金が流れるのか、この辺、どういうふうにお考えになりますか。
  89. 後藤達太

    後藤説明員 国民協会に貸しておるかということでございますが、私、最近の模様を詳細には承知いたしておりません。調べておりません。が、従来金が出ておりましたのは、債権という形で出ておったと記憶をいたしております。  それから、担保を取るか取らないか、最近の事実を私まだ調べておりませんので、事実に基づいて御答弁できないのは恐縮でございますが、貸し出しの場合に担保を取るか取らないかは一にその信用の状態等でございますが、手形割引の場合には、これは連名、つまり複名と申しておりますが、そういう手形になっておりますので、そのための歩積み等はあるかと思います。一般に根担保以外取られてないというふうに承知いたしております。
  90. 庄司幸助

    ○庄司委員 では、調べておられないようですから、これはぜひ、過去五年分ぐらいでいいですから、当委員会に資料として、いわゆる国民協会に無担保で貸し付けられたもの、これは手形割引も含みますが、   〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕 これについての資料を当委員会に出していただきますようにお願いしたいのです。  これは委員長からもひとつお取り計らい願いたいと思うのです。
  91. 臼井莊一

    臼井委員長 資料につきましては、いずれ理事会でもう一度伺いましてお計らいいたします。
  92. 庄司幸助

    ○庄司委員 その点で、銀行局のほうで出せる準備があるかないか、出すか出さないか、これをひとつ伺っておきます。
  93. 臼井莊一

    臼井委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  94. 臼井莊一

    臼井委員長 速記を起こして。  資料につきましては、機微な点もございますから、先ほど申し上げたように、理事会で御相談申し上げて取り計らうことにいたしたいと存じます。
  95. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、それは理事会で相談するとしまして、この問題については話は聞いていますね。どうですか、その辺。
  96. 後藤達太

    後藤説明員 無担保で貸しておるかということでございましたら、私は承知をいたしておりません。
  97. 庄司幸助

    ○庄司委員 じゃ、これはあとでお調べ願います。  それで、本論に入ります。  これは大臣にお伺いしたいのですが、大臣、この間、九月下旬からいろいろな国際会議に出席されたわけです。その中でいろいろ論議があったやに伝えられておりますが、ただ、五カ国蔵相会議の中身については、アメリカのサイモン財務長官から記者会見でちらほら述べられている程度で、若干内容がわからない問題があるわけです。これは日本経済の行く末と世界の資本主義経済の動向、その辺からんだ重要な会議じゃなかったかと私は思うわけです。  その点でスタグフレーションの問題ですね、これはOECDが七月に発表した数字によりますと、GNPと消費者物価との関係の数字があります。フランスの場合は、GNPが四・七%プラスで、消費者物価は二二・五%のアップだ。イタリアは三・二%の成長で、物価は一八%アップしている。西ドイツは二%の成長で、物価は九%のアップ。アメリカがマイナス〇・五%の成長で、一〇%の物価上昇。イギリスはマイナス二%で、物価は一四・五%のアップ。日本がマイナス一・五%の成長で、消費者物価だけは二四・七%上がっている。これは、世界の先進資本主義国のいわゆるスタグフレーション現象が全般的に進行しているということを数字が物語っていると思いますが、大臣が一連の国際会議にこの間出席されて、討議に参加されたわけです。その中からスタグフレーションの克服、つまり不況とインフレの共存という関係ですね、きわめて深刻な状況、この克服についてどういう方向が結論として出たのか、あるいは出なかったのか。私は出なかったように聞いておりますが、そういう討議の過程で大臣として、日本経済の進路としてどういう方向をとるべきかというような所感も相当おありだったろうと思います。その辺をひとつ率直に、簡明にお聞かせ願いたいと思います。
  98. 大平正芳

    大平国務大臣 五カ国会議というものについてのお尋ねでございますが、これは本来非公式の、米、日、英、独、仏、五カ国の集まりでございます。特に議題を設けて集まったわけでもなく、また、この集まりの結果を決議等の形で具体化するという意図を持った会合でもないわけでございます。世界の経済に大きく責任を持っておる五大国が、お互いにインフォーマルな姿で意思の疎通をはかろうという会合でございます。  この会合に出席してみての感じでは、物価の安定と申しますか、インフレの収束にアクセントを置いた、力点を置いた考え方をどちらかといえばしておる向きと、それから、どちらかというと不況の克服というようなことにむしろ力点を置いておるように思える向きと、二つの流れが感じられたわけでございまして、ヨーロッパはおおむね後者でございますし、アメリカは前者であるように私は判断するわけでございます。しかし、五大国とも、非常に大事な時期であるし、通貨の問題も、資源の問題も、貿易の問題も、いろいろな問題が国際協力にまたなければならぬことでございますので、お互いに協力は十分し、接触はしょっちゅう持っていこうじゃないかということについては、意見の一致を見ておるわけでございます。  そういう会合に出席してみての私の感じでございますが、日本はどうすべきかというお尋ねでございますが、私はまず、五大国に仲間入りしておる日本でございまして、世界経済にある意味において責任を大きく持っておる国の一つだ、したがって、自重した態度に終始しなければならぬと思います。  それから、国際協調というものは非常に大事なことでございますので、今後とも十分、この五大国ばかりでなく、国際協調には周到な配慮を加えていかなければならない。したがって、外国にインフレを輸出したりあるいは貧困を輸出したりするようなことのないように十分自重した経済運営をやらなければならぬ、そういう責任があるのではないかと感じております。  しかし、何よりも大事なことは、やはり日本政府国民がしっかりいたしまして、こういう事態に誤りないことを期することが一番大事なことでございまして、すべてのことはそれがなければやはり実らぬことであろう、そのように感じたのでございます。
  99. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま大臣から、インフレ、貧困の輸出をしないようにするのが国際協調の大事な点だというお話ですが、日本がインフレであって、これを輸出しないという意味だろうと思います。昨年の国会論議では、インフレであるかないかについておかしな答弁もあったのですが、大臣としては、いまの時点ではもはや日本はインフレだ、この点は明確にお認めになっているわけですね。その点、ひとつ伺っておきます。
  100. 大平正芳

    大平国務大臣 常識的に申しまして、わが国がインフレ的な状況にあることは申すまでもないことと考えております。
  101. 庄司幸助

    ○庄司委員 それから、貧困の輸出というおことばがあったのですが、これは具体的には何をさしているのか、ひとつお教え願いたいと思います。
  102. 大平正芳

    大平国務大臣 われわれは国際社会の中でお互いに共存いたしておるわけでございます。したがって、外国から買うべきものは買う、売るべきものは売る。つまり、世界経済全体が縮小均衡の方向にいくことはいわば貧困の輸出であって、そういうことは望ましいことではないのではないか。われわれはできるだけ買うけれども、できるだけ買ってももらうという拡大均衡の方向に経済政策運営してまいるということが必要でないかという感じを申し上げたわけでございます。
  103. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま拡大均衡というおことばを使われましたが、いままでやってきた経済政策、高度経済成長政策を続けてこられて、これが破綻した。それが現在の国内のいわゆるスタグフレーション現象に輪をかけているという認識、その点での拡大均衡論ですね、これをとっていかれる限り、いままでの経済政策と全然変わりがないんじゃないか。相も変わらずインフレが促進される、あるいはそれに伴って不況が併存していく、そういう資本主義経済一つの全般的な矛盾がさらに拡大される理論じゃないかと思うのですが、その辺、大蔵大臣としてどうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  104. 大平正芳

    大平国務大臣 世界経済の拡大的な均衡と高度経済成長とは別な問題だと私は思うのでありまして、私ども申し上げておりますのは、世界の貿易をはじめ世界の経済交流というものが縮小した方向に向くというようなことは世界のしあわせではないんではないかと考えておるわけでございます。われわれは精一ぱい外国のものも買うけれども日本のものも買ってもらうという方向に努力していく。そして世界の市場ができるだけ自由な方向に、世界の貿易ができるだけ自由な姿で行なわれるという方向に努力するということ。相当努力しないと、へたするとブロック化したりあるいは縮小均衡の方向に向いたりするわけでございまして、そういう努力をすること自体が非常にとうといことだと私は思うのでございまして、常にそういうことを指向しながら経済政策運営してまいるということであってほしいと私は考えております。
  105. 庄司幸助

    ○庄司委員 時間がありませんからその点で論争しようとは思いませんが、いままでの日本経済の流れを見ておりますと、輸出第一主義といいますか、あるいは輸出入第一主義といいますか、国内の資源その他をあまり大事にしない状態のまま海外に資源を求める、あるいは食糧は海外から持ってくる、エネルギーも持ってくる、こういうかっこうで高度経済成長の土台をつくっていったわけですが、これをさらに輸出入の拡大という方向をとりますと、どうしても高度経済成長政策に対するいわゆる批判なり反省なりの方向とは逆行するんじゃないか、こういう感じがするわけですが、それは論争はしません。  第二番目にお伺いしたいのは、私は、そういう世界のスタグフレーションの渦の中で、日本が特にしわ寄せを受けている面があると思います。それは一次産品がほとんど海外に依存しているという関係もありますが、あるいはドルとの関係で強い立場をとってこられなかったというような矛盾もありますから、そういうしわ寄せは日本に一番きておるんじゃないか。イタリアなんかは若干破産状況が出てきておりますが、そういう渦中で日本政府として、このいわゆるインフレと不況の共存という現象の解決のためにどういう処置をとらねばならないか。この辺は大臣、五カ国蔵相会議の問題、あるいはIMFの総会にも出られたやに聞いておりますが、あるいは各国際人との交流もあったわけでしょうから、どういうふうにしたらこのスタグフレーションの解消ができるか、この辺、簡潔にひとつ所信を述べていただきたいと思います。
  106. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほどの稲葉さんの御質問でもお答え申し上げましたように、いま日本経済の場合は明らかに不況的な現象が出ておりますけれども不況が底をついたと見るわけにもいかない。コスト・プッシュ・インフレの脅威、危険はまだ十分あるんだという状況でございますので、われわれといたしましては、いまとっております財政金融を通じましての総需要抑制策というような政策は、ここ当分はずすわけにはまいらないと思うのであります。これを手がたく堅持してまいってこの微妙な段階を乗り越えていかねばいかぬと思うのでありまして、そういうことは、五カ国会議におきましても、IMF総会におきましても、私は主張して、世界の理解を求めたつもりでございました。世界もまた、日本がこういう状況のもとでこういう政策をやることは理解できるという態度であったと私は判断いたしておるわけでございます。すなわち、国際的に見まして、いま日本がとっておる政策は身がってな政策ではない。世界経済におきまして約一割のシェアを持つ日本経済でございまして、日本経済の消長というのは世界の経済にとって非常に大きな影響力を持っておるわけでございますので、日本がいまそういう政策をとっておるということは、世界もまた、理解できることであると見てくれておると私は考えております。
  107. 庄司幸助

    ○庄司委員 総需要抑制については、あとでまた具体的にお伺いします。  その次に、先ほどの国際会議との関連で、石油政策について少しお伺いしたいと思うのです。  国連総会でのフォード大統領の演説は、相当、産油国に対する強硬姿勢があったやに伝えられております。それから、アメリカの新経済政策についても、石油消費の節約、この点が出されております。おとといですか、エバリー特使が参りまして、日本にその方針を押しつけるつもりはないと語られたようでありますが、アメリカの場合、石油については自分の資源もあるし、同時に石炭も豊富だ、あるいはウラン燃料についても非常に豊富だ、そういう特殊な事情があるわけですね。日本の場合は、そういう点では全くアメリカとは事情が違うだろうと思うのです。その点で、こういった対産油国との関係日本としてはどういう対応をすべきか。これは大臣としては、アメリカでの記者会見その他で、アメリカとは別な方向をとると言われたようでありますが、その辺、対応をどうするのか、これを簡単にひとつお聞かせ願いたいと思います。  それから同時に、石油価格の見通しがどうなのか、この間の国際会議でつかまれた感触ですね、その辺もひとつお聞かせ願いたいと思います。
  108. 大平正芳

    大平国務大臣 政府の石油政策につきまして私が責任を持って御答弁する立場にあるかどうか別にいたしまして、せっかくの御質問でございますから、石油政策、石油問題につきまして私の所見を申し述べさせていただきます。  仰せのように非常に資源に弱い国でございまして、石油のほとんど全部を輸入に仰いでおる国、先進国の中でも一番足腰の弱い立場にあると思うのでございますが、その石油がいままでは非常に低廉な価格で安定供給が確保できて、まあ、海上輸送革命で非常に輸送コストが下がってきたというようなことも手伝いまして、わが国の経済は非常に割り安に資源の安定供給を受けることができたと思うのでありまして、これはわが国の経済にたいへんメリットであったと思うわけでございますが、一夜にしてこのメリットが、今度はデメリットに転化したわけでございます。したがって、去年からことしにかけて朝野をあげて大騒ぎをいたしたことも、これは日本の立場としてはやむを得なかったことと思うわけであります。  こんなに高くなった資源でございまして、しかもこんなに大事な資源でございますから、これは申すまでもなく、みんなが節約していくばかりでなく、この資源の活用ということをいろいろ考えていくのが日本の立場でなかろうかと思います。ほとんど全部を輸入に仰いでおるわけでございますから、これの安定供給を確保することは当然考えなければなりませんし、確保するにつきまして産油国と友好信頼の関係をつないでまいらなければならぬことは当然でございますけれども、その確保を通じまして有効な活用ということを、それから非常にシビアーな節約ということを、あわせてやはり日本は実践してまいらなければならぬと思うのであります。  アメリカが、みずからは世界で一番たくさんの資源を持っておるわけでございますけれども、しかし、それでいて最大の輸入国でもある。最大の消費国であり、最大の生産国であるというアメリカが、こんなに大切な資源を自国でこんなによけい使っておったのでは人類に相済まぬということで、思い切って節約を考え、代替エネルギーの開発を考えて、それから各国に呼びかけて、お互いに協力して事態を乗り切ろうじゃないかということに努力をしておる姿は、評価していいと私は考えるわけでございます。このことは石油経済の緊張緩和をもたらす大きな力になるに違いないと考えております。  石油価格の今後の動きでございますけれども、少なくとも大きな異変のない限り、当面大きな変化はないのではないかと思うのでありまして、われわれは価格が下がることをまた期待いたしますけれども、いま、いつごろ幾ら下がるであろうなんというようなことは全然わかりませんわけでございます。ただ、いちずに、大切な資源でございますから、きびしい節約と有効な活用に努力しなければならぬ立場である、そういう日本であると私は承知いたしております。
  109. 庄司幸助

    ○庄司委員 節約と活用と言われたわけですが、節約という方向では、アメリカがとっている消費規制あるいは輸入規制、こういう方向も検討されるという意味ですか。
  110. 大平正芳

    大平国務大臣 それはアメリカはアメリカの状況に合ったような節約の方法をとるのでございましょうし、日本日本状況に合ったことを考えればいいと思っているわけでございまして、何もアメリカのまねをする必要はないと思っております。
  111. 庄司幸助

    ○庄司委員 その辺で、エバリー特使との間では何の話もなかったですか、その節約あるいは消費規制の問題で。
  112. 大平正芳

    大平国務大臣 エバリー氏はアメリカの政策を説明いたしただけでございまして、日本に何ら求めるところはなかったわけでございます。今度の大統領の経済政策、石油政策、そういったものを友好国である日本に説明をしておきたいということで、関係閣僚がそれぞれ聞いたというわけでございます。
  113. 庄司幸助

    ○庄司委員 こうやってお聞きしているのは、いずれ臨時国会あるいは通常国会の予算委員あたりでいろいろ論議になる問題の前段階の論議をしているわけですから、そのつもりで……。  それで、石油価格の問題ですが、実際、三月のあの規制撤廃以来どんどん上がって、灯油はすでに六百円をこした。さらにメジャーからの値上げ要請があって、灯油が七百円くらいになるんじゃないか。北海道では現に七百円くらいになっている場所もあるのです。その点での、石油の値段を下げる問題についての御質問をちょっといたしますが、やはりメジャーの規制の問題、これはアメリカの国会で、メジャーが極東諸国、なかんずく日本でぼろもうけをしているといったような論議がかわされて、これは確認されたようでございますが、このメジャーの規制について、われわれとしてはどうしても、いずれ国会にも証人を喚問して、この規制をやりたいと思っておりますが、政府として、この辺でメジャーの利益、これを規制して日本の石油価格の安定をはかられるおつもりはあるのかないのか、その辺。  それからもう一つは、これは産油国の間でも論議になっておりますが、原油が高い高いというけれども、消費国では原油に対して関税をかけてみたり、あるいは日本のように揮発油消費税ですか、あるいは軽油引取税、こういったものをかけているじゃないか、そうやって値段を上げているんじゃないかという論議があるわけですね。これは産油国としての感情からいえば当然な感情だろうと思いますが、われわれ日本国民の感情からいっても、この石油諸税ないしは関税、これはぜひ撤廃してもらう。そのかわり、これは自治体の財源にも一部はなっておりますから、その分の見返りは当然国として講じてあげる。そうすれば一キロ当たり大体四千円くらい下がるという数字もあるわけです。その辺での関税ないしは石油のいろいろな税金、これを思い切って撤廃される意図がないかどうか。撤廃してもらいたいのですが、その辺の二点について伺います。
  114. 大平正芳

    大平国務大臣 石油政策は、通産省の資源エネルギー庁のほうでやっておることでございますから、メジャー対策なんということはそちらのほうにお聞き取りをいただきたいと思います。  それから、石油課税の問題でございますが、石油課税をやめたらどうだという庄司さんの御提案、私はそういう考えは持っておりません。第一、世界的に見まして石油課税が比較的少ないのは日本とかアメリカでございます。ヨーロッパなんかはもっと高いと思っておりまして、日本が不当に石油並びに石油製品に重課いたしておるとは考えておりません。  しかし、それはそれといたしましても、それをやめるということになりますと、それで道路財源その他がまかなわれておるわけでございまして、中央地方を通じまして多くの財源がまかなわれておるわけでございますので、それを他に求めるなんという手軽ないい方法はないわけでございまして、私はそういう考えには賛成いたしかねます。
  115. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは非常に重要な問題なんですね。いずれ臨時国会ないしは通常国会で論議したいと思います。  次に、やはり先ほど来の関連で金価格の問題をちょっと伺っておきたいのです。  もともと金価格は一本だったわけですが、例のドル危機以来二重価格制度になった。これが崩壊しているわけですね。その点で、イタリアの救済の場合、西ドイツが金担保借款制度、これを二国間協議でやって、現実には公定価格を自由市場価格の大体八〇%プラスぐらいに評価して、ワクをはずしている。八月末の評価によると、一オンス百二十ドルで西ドイツとイタリアで評価された。そうすると、この金価格の引き上げ、これは自動的に金・外貨準備をふやしていくことになるだろうと思うのです。  ところが、日本の金準備は非常に少ないわけです。アメリカは百十六億ドルぐらい持っておる。西ドイツが四十九億ドル、ベルギーが十八億ドル。外務省の試算がございますが、昨年末の時点で評価がえするとどれぐらいになるのか。アメリカの場合は、金価格の変動によって評価益だけで二百九十七億ドル出てくる。外貨準備が一挙に百四十四億ドルから四百四十一億ドルにふえる。イタリアの場合でさえも、八十八億ドルから百五十三億ドルにふえる。ところが、あのドル・ショックの際やその他、たとえばイギリスにしろフランスにしろ西ドイツにしろ、全部アメリカに金を要求してどんどん持っていきましたが、日本はアメリカべったりでございまして、たいへん御協力申し上げて金の準備が少なくなったわけです。二十九億ドルです。それで、評価益に直すと二十二億ドルだと外務省は言っているのですね。そして日本の外貨準備が、それに応じて百四十五億ドルになる。これはイタリアよりも少ないのですね。  そういう点で、金価格の引き上げが行なわれれば、一方で国際的流動性が拡大する、同時にドルが相対的に減価するわけですね。そうして、これが国際的インフレの促進や、あるいはまた通貨危機をつくり出す材料になるおそれがある。そうすると、一次産品の自給率がわが国はきわめて低いわけですから、外貨準備が相対的に低下する。こういった被害に加えて、いわゆるインフレの被害といいますか、一次産品が急騰する、こういう心配があるんじゃないかと思うのです。  その辺、大蔵大臣、蔵相会議その他で論議もあっただろうと私は思うのですよ。中央銀行の総裁も出ておられますからね。こういう金価格の問題についてどう対処されるのか。これはたいへんな問題になるんじゃないかと私は思っているのですが、その辺ひとつお聞かせ願いたいのです。
  116. 大平正芳

    大平国務大臣 世界では、金の問題にたいへん関心を持っている国と必ずしもそうでない国とあるわけでございます。今度のIMFの総会におきまして、金の問題について、これを取り上げて議論すべきではないかという一部の国の主張もございました。また、そういう必要はないのではないかという多くの国の主張もございました。しかし、発展途上国側も加わって、暫定委員会におきましては、ほかのいろいろな問題とあわせて検討することはしようじゃないかということでございまして、あなたの言う金の評価がえとか、あるいはこれの外貨準備との関係をどうするかとかいうような問題につきましては、何ら結論が出ておるわけではないわけでございます。これは、IMFで金の問題を取り上げて勉強しようじゃないかという提案は必ずしも否決されなかったということにすぎないわけでございまして、今後どのような経過をたどりますか、いま予測することはできないわけでございます。  日本といたしましては、こういった問題は、何も取り急いで検討する必要はないじゃないか。すでにナイロビの大会におきまして、国際通貨は脱金の方向でいこうじゃないかという基本方向はきまっておるじゃないか。したがって、そういう問題については、日本として特に興味を感じておりません。
  117. 庄司幸助

    ○庄司委員 それは大臣、興味を感じてもらわないと困るのですよ。実際、日本の金準備が非常に少ないということは——ある国と、大臣ぼかされましたが、これは日本のことなんですよ。それが今度、外国ではそういう金相場制のあれによってどんどん外貨準備がふえていく、日本はさっぱりふえない。しかも、そういう中で一次産品の問題もあるわけです。これは日本にとって重大な問題だと私は思うのですがね。これについて、あまり興味がない、急ぐことはないと言う。これは日本一国だけできまる問題ではないと思いますけれども、やはり日本の腹がまえというものをはっきりしておかないと困ると思うのです。その辺、大臣、一言でいいから簡単に述べてもらいたいと思うのですよ。
  118. 大平正芳

    大平国務大臣 日本の立場は、国際通貨というものは脱金の方向でいくべきだという、ナイロビできまりました方向を支持していきたいと考えております。
  119. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは非常に重大な問題です。しかし、時間もありませんので、若干残った問題を、ちょっとこまかくなりますが、お伺いしておきます。  今度の五十年度予算編成の方針で、いわゆるスタグフレーション解消の方向あるいはインフレ解消の方向かどうかわかりませんが、方針をきめられる。その場合、いわゆる概算要求の額から見ると非常にふくれ上がっているわけですが、その中で、伸び率を昨年度よりあまり伸ばしたくないということになると、一つは産業基盤の公共事業と生活基盤の公共事業、この関係が必ず出てくるだろうと思うのですよ。いわゆる高度経済成長政策の反省の上に立って、しかもインフレ克服、同時に不況、なかんずく中小企業不況対策ということになれば、産業基盤の投資と生活基盤投資の関係ですね、いままで二対一ぐらいで産業基盤が優先していたと思いますが、この辺、逆にするぐらいの勇断をふるわなくちゃならないのじゃないか、こう思うのです。  それから財投にしても、昨年の決算委員会の席上問題になりました、例の対韓援助の問題を含めたいわゆる経済援助、この辺の問題も当然検討の対象にしなくちゃいけないのじゃないかと思うのですが、その辺いかがでございますか。
  120. 大平正芳

    大平国務大臣 いま大蔵省で、来年度の予算編成に関連して各省からの概算要求を八月末までに受けまして、その内容の聴取をいたしている段階でございます。仰せのようないろいろな問題が出てまいるわけでございますが、先ほど申しましたように、私といたしましてはできるだけ抑制ぎみのつましい予算を組まなければならぬと考えております。御指摘のような問題いろいろ出てくると思いますけれども、これは歳入歳出ともこれから十分の用意を整えた上で、データを踏まえた上で御答弁しなければなりませんので、この段階におきましては、できるだけつましい節度のある予算を組みたい、そういうことを通じて物価の安定、鎮静化に寄与したい、そう考えていることだけをお答え申し上げておきたいと思います。
  121. 庄司幸助

    ○庄司委員 それから、いずれ臨時国会を開くと田中総理も言っておりますし、公務員給与のべースアップの問題ですね、人事院勧告の実施の財源の問題が当然に出てくると思います。それからもう一つは、地方公務員のいわゆる人事院勧告実施に伴うベースアップの財源ですね。これはあした知事会議が持たれて、相当強硬な要請があるだろうと思います。国家公務員並びに地方公務員のベアの財源問題、これは当然に地方自治体に対しても財源措置、補てんをやってしかるべきだというのがわれわれの主張でもありますし、地方自治体の市長さんの非常に強い要望です。その点、地方公共団体についても財源補てんをやるのかどうか、それから財源措置についての方針がいつきまるのか、これをひとつお聞かせ願います。
  122. 大平正芳

    大平国務大臣 公務員の給与に関する人事院勧告につきましては、誠意をもってその完全実施の方向で検討してまいりますということを言ってまいったわけでございます。私どもは、これに関連して財源を捻出するために既定費をどのように節約をお願いするか、それから給与の支払い方法、それから役所の定員の適正な配置の問題いろいろ関連いたした問題を鋭意各省と協議しながら検討を進めておるところでございまして、近く給与関係閣僚会議を開きまして結論を出さなければならぬと考えております。  その場合に、いま仰せの地方公共団体の給与所要財源の補てんでございますけれども、これは政府としては、国家公務員の給与水準をベースにいたしまして、地方財政計画の人員、員数というものをベースにいたしまして財源の補てんを考えてまいるつもりでいま用意をいたしておるところでございます。
  123. 庄司幸助

    ○庄司委員 これはぜひひとつ、地方公共団体の財源補てんについても積極的に実施していただきたい。これは御要望しておきます。  最後に、緊急融資の問題で二点ほどお伺いしますが、一つは、最近、繊維業界あるいはその他の建設業界を回ってみますと、確かに金は貸してもらいたい、しかし、それも必要だが、もう一つ大事なのは、いままで借りた分の償還期限を延長してくれないか。この間、繊維業界の大会がありまして、二年間ひとつ繰り延べしてくれ、たな上げですね、こういう御要望もあったわけですが、この二年間という御要望、あるいは期限は限らないにしてもとにかく償還期限をもっとたな上げしてくれという要望について、どういうふうに対処されるか。これはやってもらいたいのですが……。  それから、食いつなぎ資金の問題が出ているのですね、繊維の石川県とか福井県あたり状況を見ると。つまり、仕事がなくて、あしたの御飯を食べるのにも金が足りない。それで食いつなぎ、まあ生活資金ですな、こういうものもほしいという要望があるわけです。  それからもう一つ政府機関の年末融資、これは緊急融資も入ると思いますが、政府機関の年末融資について実施時期を早めてもらいたい。この間、国民金融公庫へ参りましたら、十一月の末ごろなどというようなお話もちらりと聞いたわけですが、十一月末では、もうすでに業者資金繰りの対策を講じ終わっている時期でなければならないのです。銀行あたりに行っても、いまごろ借りに来たのかということで、十二月あたり行くとおこられるような状況もあるわけでしょう。これはどうしても政府機関についてだけでも、十一月の初旬にはもう出せるようにぜひやっていただきたい。  それからもう一つ繊維の問題では、中小企業庁いらしていると思いますが、通産関係ですね、輸入規制の問題、特に韓国が相当ことばに出てくる問題です。韓国の輸入の問題については、昨年のこの決算委員会でも論議されたように、日本の大企業、大商社が、輸銀や開銀の低利の資金をふんだんに使って進出する、そうやって、一カ月二万円以下の低賃金でいわゆる朝鮮の労働者を使って、それで安く日本へまた持ってくる、関税もかからない、こういう具体的な状況があるわけです。ですから、一般的な輸入規制というだけではなくて、こういった具体的な状況考えて、ぜひ——しかも、韓国問題については、ああいう大騒ぎにもなっているし、非常に日本の商社資本が受けが悪いという問題もあるわけですから、その辺を考えて、やはり具体的な対策を打ってもらいたい。  以上、四点ほどですかお伺いしたのですが、御答弁願います。
  124. 後藤達太

    後藤説明員 最初に繰り延べの問題でございますが、市中のやっております特別融資につきまして、一律に何年という、そういうことをする性質のものではないと存じます。具体的に個々の融資先の実情に応じまして措置するということであろうかと存じます。なお、政府関係金融機関につきましても、個々の取引先の実情に応じて繰り延べ等の措置を講じているところでございます。  それから、年末融資の問題につきましては、おそらく近々、中小企業庁との御相談を始めることに相なろうかと存じます。いずれにしましても、この機を失せず、健全な中小企業が困らないように措置をしたいと考えておる次第でございます。
  125. 黒田真

    ○黒田説明員 お答えいたします。  繊維製品につきまして輸入が非常にふえているという御指摘がございますが、確かに昨年の後半以降、相当高い水準での輸入がございました。しかし、昨今の不況等も反映いたしまして、その輸入水準は相当鎮静化しつつあるというふうに私ども考えております。  その中で、わが国から進出いたしました企業の製品が相当量逆輸入されているのではないかという御指摘が従来ございます。確かに日本からの進出企業の製品の一部がわが国に逆流しておるという事情はございますが、その比率というものを的確には把握しておりませんけれども、むしろ割合としてはそれほど大きくはない、韓国自身の繊維産業の発展というものが日本の産業を追い上げてきておるということのほうがより正しい姿ではないかと思っております。しかしながら、わが国企業の海外進出につきましては、わが国の中小企業等に悪影響のないように所要の指導をしてまいるつもりでおります。
  126. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  127. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、坂井弘一君。
  128. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間に限りがございますので、御答弁はできるだけ簡明にお願いしたいと思います。  九電力会社の財政の運用のあり方に触れましてお伺いしたいのでございますが、あらかじめ大蔵当局に御調査をお願いいたしておりますので、まず確認の意味で承っておきたいと思います。  日本開発銀行、それから日本輸出入銀行、これが九電力会社に対しまして融資をしてございますが、この融資につきまして昭和四十九年三月三十一日現在の融資残高、これはトータルでけっこうでございますが、それぞれ幾らになっておりますか。
  129. 後藤達太

    後藤説明員 お答え申し上げます。  輸出入銀行が八百十億四千四百万円、開発銀行が四千五十二億六千二百万円となっております。
  130. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、トータルは四千八百六十三億、こうなると思いますが、一方、九電力会社の、これもトータルでけっこうでございますが、四十九年三月三十一日現在の総借り入れ金残高、これは幾らでございますか。
  131. 後藤達太

    後藤説明員 お答え申し上げます。  合計で一兆九千四百六十四億二千万円と承知をいたしております。
  132. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、総借り入れ金残高に対します開銀、輸銀の融資残高の割合は二五%、こういうことでございましょうか。
  133. 後藤達太

    後藤説明員 そのとおりでございます。
  134. 坂井弘一

    ○坂井委員 つまり、政策金融残高でございますけれども、約四分の一、開銀、輸銀の金が融資をされておる、こういうことでございますね。  さらに伺いますが、この開銀、輸銀の金利、これは平均でけっこうでございますが、幾らになりますか。
  135. 後藤達太

    後藤説明員 平均金利を出しておりませんのでございます。貸した時期等によって違っておりますので、ちょっと正確に平均金利を出しておりません。
  136. 坂井弘一

    ○坂井委員 いろいろあろうかと思いますが、大体平均七・五%くらいじゃなかろうか。そういたしますと、この借り入れ金の中には一般市中銀行からのものもございますが、普通市中銀行は大体平均しますと、金利はどれくらいになりますか。
  137. 後藤達太

    後藤説明員 市中の平均の約定金利が九・二と承知をいたしております。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、通産省に伺いますが、この九電力会社、これが出資をいたしまして多くの関連子会社を持っているわけですね。この関連子会社に対して、親会社の九電力会社からかなりな出資がございます。その実態について伺いたいのでありますが、数字の上で伺います。九電力会社の会社別の出資件数、出資額、それからその合計及び配当率、これはいかほどになっておりますか。
  139. 大永勇作

    ○大永説明員 お答えいたします。  関係会社——関係会社といいますのは、株式二〇%以上または実質的に支配をしておる会社という意味でございますが、そういう意味で関係会社を拾いますと、北海道電力の場合に会社数が四でございまして、出資額が二十四億六千五百万円。東北電力が十六ございまして、五十五億一千九百万円。それから東京電力が十九ございまして、二百六十一億一千五百万円。それから中部電力が二十四社でございまして、三十一億六千八百万円。北陸電力が十二社ございまして、五十九億三千八百万円。関西電力が二十五社ございまして、四十六億一千七百万円。中国電力が十六社ございまして、六十五億八千八百万円。四国電力は九社ございまして、五億四千百万円。九州電力、二十社ございまして、七十二億四千六百万円。それで、合計いたしまして百四十四社でございまして、総出資額は六百二十一億九千七百万円ということでございます。  それから、このそれぞれの会社の配当率は千差万別でございまして、平均をちょっと出していないわけでございますが、営業収益比率で見ますと五・九六%というようなところでございます。ちょっとこの数字は正確でございませんので、配当につきましては千差万別ということで、個々には資料がございますけれども、ちょっと平均は不正確でございますので御容赦いただきたいと思います。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 それぞれの数字につきましては、実は私のほうの調査と幾らかの食い違いがあるようでございます。これはとらまえた時点でも多少違うかと思います。いまの通産省のお答えはそのままいただいておきますが、配当率につきまして、これは私どもの調査では非常に低い。実は二・六%という配当率が、これはトータルでございますが、出てきております。つまり低い。通産省の試算、計算とは幾らかの食い違いがあるやもわかりませんが、配当率については、調査は全然なさっておりませんか。つかんではいらっしゃいませんか。
  141. 大永勇作

    ○大永説明員 お答えいたします。  個々の会社につきましては営業報告書等によりましてつかまえておりますが、平均値を出していないわけでございます。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 実は私どもは、通産省からいただいた資料に基づきまして、なおこの配当等につきましても、これは半期しか出ていない分もございます、そういうものはこれは一年分として、つまりかける二というようなことでの計算に基づくものでございますが、この配当率をそういう試算に基づいて出してみますと、トータルで二・六%、こういうことに相なるようであります。いずれにいたしましても、配当が非常に低いということは事実でございます。  そこで、考えなければならぬことは、政府が電力会社に対しまして、政策金融として開銀、輸銀から多額な金が出ておる。その比率が、残高で見ますと実に四分の一にも及ぶ。これは前段、あなたのほうからお示しになったとおりでございますが、そういう借り入れ金のめんどうを政府が見ておる。一方、市中銀行からも九・二%平均の金を借りておる。これらが多くの関連子会社を持って、その関連子会社から株の配当、親会社に対する配当がございます。一〇〇%出資なんという形態が多いようでございますけれども、その配当が二・六%。これはたとえば三%あるいは四%という数字がかりに出たといたしましても、いずれにしましても資金の運用が非常に悪い。そういう一つの仕組みになっておる。これは構造上の欠陥かどうか。いずれにしても、そのようなことでありますならば、これは親会社たる電力会社の一つの赤字の要因になりかねない、こういうふうに思うのですけれども実態は配当が非常に低い。したがって、そういうことは親会社の財政運用上、少なくともこれが好ましからざる影響を持っておるということについては、お認めになられますか。
  143. 大永勇作

    ○大永説明員 お答えいたします。  平均の配当率につきましては、一割とか八分とか配当しておる会社も数多いわけでございますが、中に無配の会社がまたかなりございますので、総平均では、御計算なさいましたような数字になるのだろうというふうに思っております。  それで、関係会社の形につきましてはいろいろありますけれども、たとえば電力会社の事業活動に必要な土地、建物の取得でございますとか、あるいは電気機器とか資材の円滑な供給といったような仕事をやっておりまして、場合によりましては、電力会社に対しまして比較的安い価格でそういった資材とか土地とかなんとかを提供するというふうなこともございますので、そういう配当、営業収益がよくないものも出てくるというふうな面もあろうかと思います。したがいまして、必ずしも配当率が低いからという、それだけで電力会社の収支その他に悪影響を与えるというふうには判断できませんで、やはり個別に考えてまいる面も相当多いのではなかろうかと考えております。
  144. 坂井弘一

    ○坂井委員 あなたのおっしゃっていることは、私はよくわかりますよ。よくわかる。無配当、ゼロ配当が、先ほど示されたように百四十四社の子会社の中で五十五社ある。出資額の合計が六百二十一億九千七百万円ということですね。百四十四社のうち五十五社が無配当である。しかし、事情は確かに個々にいろいろあるようでございます。あるようでございますが、ここでひとつ端的な事例として提示いたしますから、この是非について率直にお答えいただきたいと思いますが、九電力会社が子会社に不動産会社を持っておる。いいですか、不動産会社を持っておる。不動産会社をやらしておる。そういう実態になっておる。これは、つかんでいらっしゃる分でけっこうですが、何社あって、どういう会社ですか。できれば会社の名前をあげてください。
  145. 大永勇作

    ○大永説明員 不動産会社何社というところまで整理しておりませんが、たとえば東京電力の場合でございますと東電不動産、それから関西電力の場合でございますと昭和土地といったような事例があろうかと思います。
  146. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういう子会社の不動産会社の業務内容、つくった目的は一体何ですか。
  147. 大永勇作

    ○大永説明員 当初の目的は、たとえば電力会社の入っておりますビルの管理でございますとか、あるいは電力会社の必要とします、これは社宅の用地等々も含みますけれども、そういった土地の取得というのが、当初つくりました目的でございますけれども、その後だんだん経営を広げまして、一般的な土地の造成、分譲といったようなところに手を出しているケースもあるわけでございます。
  148. 坂井弘一

    ○坂井委員 その実態については、通産省はつまびらかに掌握をなさっていらっしゃいますか。
  149. 大永勇作

    ○大永説明員 詳細には調査しておりませんが、概略は、業務監査等を通じましてつかんでおるつもりでございます。
  150. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は実態をここに提示します。その上で、電気事業法との関係もございますので、その是非について後ほど伺いたいと思います。  まず、いまあなたのほうから言われました東電不動産管理株式会社、これは東京電力が四百万株、一〇〇%出資です。金額は二十二億余円ですね。社長さんは中村茂富さんとおっしゃる。このパンフレットをごらんになってください。土地分譲、宅地売買、たいへんな規模ですよ。これをやっていらっしゃる。この会社が設立された目的は何かといいますと、ビルの管理、いまあなたのおっしゃったようなことですね。少なくとも親会社たる電力会社の電気事業にかかわり合いのあるビルの管理であるとか、そういうことを主たる目的としてつくられた。それが業務内容であったはずなんですね。実態はそうじゃなくて不動産の売買なんですよ。不動産管理というのは裏にあるのです。確かにビル管理等でしょう。表は東電不動産。これは本体は不動産屋です。一〇〇%出資ですよ。金額にして二十二億余り東電から金が出ているんですよ。こういう実態を御存じですか。
  151. 大永勇作

    ○大永説明員 いまのその土地については詳細を存じませんが、あるいは火力の灰捨て場を利用しての土地の分譲ではないかというふうに察せられますが、詳細は承知しておりません。
  152. 坂井弘一

    ○坂井委員 じゃ、次々あげましょう。  中部電力関係。永楽不動産。これは新聞の折り込みです。土地分譲、宅地分譲。これは三万株。一〇〇%です、中部電力が。金額にいたしまして千五百万、その上に中部電力からさらに三億、貸し付けをしておりますよ。しかも、その利率が年わずかに六分五厘、貸し付け期限が五十年三月三十一日まで。そして一般土地分譲。これは新聞の折り込み広告です。これをやっている。これが永楽不動産実態です。  さらに、関西電力。関西電力は昭和土地開発株式会社。これは六十万株の九〇%、つまり五十四万株を関西電力が出資をした。金額が二億七千万。社長さんが坂口潔さん。これは配当はございません。中は全部一緒です。土地分譲。  こういう形で、電力会社が一〇〇%出資をして子会社に不動産屋をやらしておる。これは好ましいと言えますか。どうですか。こういう行為は許されるのですか。これでよろしいのですか。
  153. 大永勇作

    ○大永説明員 関係会社に対します出資につきましては、電気事業法上特に規制はございませんけれども、実は電力会社が兼業いたします際には、いわゆる兼業の許可というのがございまして、電気事業の適確な遂行に支障を生ずるかどうかという観点から許可制をしいておるわけでございます。それで、関連会社に対する出資につきましてはそのような許可制はございませんが、やはり類似の行為になりますので、業務監査等の場を通じまして、電気事業の適確な遂行に支障があるかどうかというような点からチェックをし、指導をしておるつもりでございます。
  154. 坂井弘一

    ○坂井委員 指導していらっしゃるとおっしゃいましたね。では、その行政指導のめどですね。どういうような具体的行政指導をなさっておりますか。たとえば、私はここではっきり申し上げますが、関係会社に対する投資比率と、その投資された子会社と親会社との関係における取引比率、こういうものを一つめどにして通産省は指導なさっているはずです、少なくともそれが著しく過大にならないようにと。取引比率はどれくらいですか。
  155. 大永勇作

    ○大永説明員 これも千差万別でございますが、先生が御指摘になりましたケースの中には、出資比率は相当高いけれども取引比率は非常に小さいというケースが確かにございます。これは、会社ができました当初におきましては、先ほども申し上げましたような会社関連の不動産の取り扱いが中心であったわけでございますが、子会社ができまして、その子会社がだんだん自立的に活動を活発化しまして取引の範囲を広げるということで、だんだんその取引比率が減ってまいっておるというようなケースが確かにあるわけでございます。  こういうものについてどういうふうに考えるかということでございますが、やはりこれがあまり乖離することは適当でないと考えます。したがいまして、そういう場合には株式の分散化を極力はかるように今後とも指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  156. 坂井弘一

    ○坂井委員 なお具体的に出しますが、まずこれでひとつ明確に聞いておきましょう。こういうパンフレットを出し、新聞折り込みを出してやる行為、これはこのまま野放しにされますか。これでよろしいですか。
  157. 大永勇作

    ○大永説明員 先ほども申し上げましたように、電気事業の適確な遂行に支障があるかどうかということでございますけれども、これはなかなかむずかしい問題でございますが、そういう広告、パンフレットを出すこと、そのことが電気事業の適確な遂行に支障を生ずるということは必ずしも言えないのではないかというふうに考えます。
  158. 坂井弘一

    ○坂井委員 あなた、もっと常識的に答弁してもらいたいと思いますね。納得できませんよ。  それならばほかでもあげますが、たとえば北海道電力、これは私ども調査しました。北海興業というのがあります。これは投資比率が八六・五%、取引比率は、いわゆる北海興業と親会社たる北海道電力との取引比率が一二%ないし三三%です。これは不動産屋です。これは四十五年から四十八年に至る調査。あとの八〇%内外あるいは七〇数%、それは一般土地分譲、それが主ですよ。親会社に対してわずかに一〇数%の取引しかないのですよ。こういう実態。あとは大体推して知るべしですよ。私のほうで調査いたしました。このパーセントについては、必ずしも完全な調査の結果ではございませんので、いまここでは直ちに申し上げませんけれども、少なくとも二〇%から四〇%、五〇%、こういう程度しかないのです。主としてこのようなことによって一般土地分譲、不動産土地というのは投機です、そういうことを主とした事業としてやっておるのです。いいですか。こういう実態をよくひとつ認識し、踏まえられた上での御答弁でないと、私は納得できませんよ。  さらに申しますが、人間もつながりがあるのです。親会社の電力会社の重役さんが子会社のこのような不動産会社の社長を兼務したり、あるいは元電力会社の幹部がこのような子会社に巣くっておる。こういう実態。  あなた方のほうでもある程度はつかんでいらっしゃると思いますからここで一応伺っておきますが、一〇〇%の分だけでけっこうです。親会社が一〇〇%出資をしてつくった子会社の役員を現役の電力会社の役員が兼務しておる、そういう実態を電力会社別に御調査していらっしゃればお示しをいただきたい。
  159. 大永勇作

    ○大永説明員 個別の会社につきまして営業報告書等から、電力会社の役員その他と比較いたしましてリストアップしている資料は手元にございますけれども、電力会社別に何名、何名というふうな調査は計算はいたしておりませんので、この場ではちょっとお答えいたしかねる次第でございます。
  160. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、私どもの調査を申し上げましょう。株保有率が一〇〇%で、現役の電力会社の役員が関係会社の役員を兼務しているもの、東北電力五社、役員二十六人中兼務が六人。東京電力についても五社、四十一人中五人。中部電力については二社、三十七人中四人。北陸電力につきましては二社、十一人中三人。関西電力につきましては八社、六十九名中十三名。中国電力につきましては八社、四十九名中十名。四国電力につきましては三社、二十四名中三名、こういう実態。しかも、この兼務以外は——分母から分子の兼務を引いた残りはほとんど元電力会社の幹部、こういうことです。兼務取締役は子会社の給与も受けております。つまり二足のわらじをはいておる。  ここで言いたいことは、人的にも一体だということです。資金の面では一〇〇%親会社の電力会社から金が流れる、人間も一緒だ、こういう実態。これを踏まえていただきたい。そういう実態不動産会社、土地投機、一般土地分譲、新聞折り込み、広告、ばんばんやっている。親会社たる電力会社には何ら関係ない。いわゆる電気事業そのものには何ら関係のない不動産業、こういうことが野放しで今日置かれてきたという実態、これをしかとひとつ御認識をいただきたいということで申し上げたわけであります。  森下政務次官きょう御出席でございますので、いま申しましたような実態からいたしまして、これはひとつ率直にお答えいただきたいと思いますけれども、私は、きわめて好ましくない。少なくとも電力会社は公益性が非常に高い、公益事業である。そのゆえをもちまして、あとで触れますが、電気事業法十二条におきましても、つまり電気事業者は電気事業に専念すべし、いたずらに関連会社を持つものではない、持ってはいけない、ましていわんや、電気事業に何らかかわり合いのないような業務を行なおうとするときにおいては、特に通産大臣の許可を受けなければならない、これは明確にあるわけですね。これは電気の供給を受ける、需要者であるところの国民の権利、国民の立場、これをやはり守らなければならない。そういう公益性にかんがみて国が開銀、輸銀の金を大量にこの電力会社に政策金融をして、厚い保護のもとに置かれておる。それだけに、このような電力会社の基盤をゆるがすような、少なくとも基礎を脅かすようなそういう関連の子会社を持ってはいけないのだ。不動産会社などはとんでもない話ですね。それを禁止している、規制しているにもかかわらず実態がこのようなことであるということであります。これは私はきわめて遺憾なことだと思うわけでありますけれども、こういう実態にかんがみて、森下政務次官、どのようにこれを御認識されるか、政務次官としての率直なお考えをひとつこの際承っておきたいと思います。
  161. 森下元晴

    ○森下説明員 坂井先生の御質問の趣旨、もっともだと私は思います。率直に、常識的に御答弁申し上げたい。  御指摘のように、電気事業は公益性のまことに強い事業でございまして、いわゆる料金にいたしましても、適正な原価に適正な利潤を加えて、そしてガラス張りの中で公聴会等を開いてきめられるわけでございまして、国家的な、また社会的な保護を非常に大きく受けておることは事実でございます。当初は、先ほど部長からもお答えいたしましたように、会社直接のためにそういう子会社が、いわゆる密接な関連のある事業としてその事業目的を遂行するために寄与する、そういう趣旨であったと思いますけれども、年月を経るごとに、いわゆる副次的な収入をあげることにかなりウエートがかかってきたように思います。そういうことで、会社との直接関連がわずか二五%になるとか三〇%になるとか、そういうように非常に当初の目的とかけ離れた方向にいっておる。特に大きな広告までして売らんかなということにつきましては、電気事業が公共性が非常に強くて、特に社会全般から見られておる中でこういう態度はよくない、非常に遺憾であると思います。  そういうことで、通産省当省としても、そういう特殊性に基づきまして十分な指導をするとともに、必要のある場合には株式の分散、そういう処置を強力に実施していきたい。法的にはいろいろ許されておる行為と思いますけれども、やはり道義的な問題、また現在のこういう社会情勢のもとでそういうことは許さるべき問題ではない。もちろん全体の企業の中にはまじめな、しかも電力会社そのものに直接寄与するような事業もあると思いますけれども、やはり全般の流れの中で先生指摘のような方向になりつつあることはわれわれも認めざるを得ない。そういうことで、通産省としてもやはり社会的な要請国民要請によって強く指導していきたい、こういう強い決意で臨んでいきたいと思います。
  162. 坂井弘一

    ○坂井委員 森下通産政務次官から御答弁いただきましたので、大蔵大臣、この際伺っておきたいと思いますが、前段申し上げましたように、政策金融として、これは公共性、公益性が非常に高いということでもって輸銀、開銀の金がこの電力会社に非常に多額融資をされておる、私はこのことを認めるにはやぶさかでは決してございません。しかしながら、いま言ったような実態の中でこのような、まさに財政運用の乱用と申しますか、そういうようなことが行なわれておる。土地投機、不動産売買、一〇〇%という出資、あるいは人的に全く一体化の中でこういう形が行なわれるということは、いま通産政務次官から御答弁いただきましたように、きわめて好ましくない。少なくともそのことが非常に大きな、電力会社の財政基盤にも触れるような、そういう要因にもなりかねない。私は、ここに当時のこの電気事業法が制定されました際の議論の会議録を持参いたしております。まさにそういう点についても憂慮いたしまして、決してそのようなことのないようにという強い委員の発言に対しまして、当時の通産大臣また政府委員は、決してそのような形をみだりに許すものではない、厳重な監督下に置いて、この出資がきわめて効率的に電気事業を推進し国民の利益を守る、そういう方向に行政も指導していきたいというような趣旨のことが、こもごもここで議論されております。しかるに、当時そのようにして警戒され、危惧されたことが、いま現実の問題としてこのような実態である。私はこれはきわめて遺憾なことであるといわざるを得ないわけでありますが、こうした輸銀、開銀の金、そういうものが四分の一も残高において占められるようなこの電力会社においていまのような実態であるとするならば、これは大蔵大臣としても、こういう事実に対してこれを看過することはできないだろう。したがって、これも大蔵大臣から具体的な、こういう実態を是正していくという方向での御答弁をいただければはなはだけっこうでございますけれども、いずれにいたしましても、何らかの形でこのようなことを許さないという方向、これは当然お考えにならなければならないことであろうと私は思いますので、この際、大蔵大臣からも率直に御答弁をいただきたいと思います。
  163. 大平正芳

    大平国務大臣 電力事業は公益事業であるということ、そしてそれには巨額の財政資金が投入されておるということから見まして、電力事業が高い社会性を持っておるということは仰せのとおりだと思うのであります。いま電力事業が兼営というか、出資にかかる関連企業に言及がございましたが、この問題につきましては通産省のほうで御答弁があったわけでございますが、大蔵省といたしましては、本件につきまして通産御当局とよく相談し、また、これは企業側の社会的な責任の自覚の上で処理していかなければならぬ問題だと思いますので、通産省とよく御相談申し上げて、どのように対処してまいりますか検討を進めてみたいと思います。
  164. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間がございませんので、私は、いまの大平大蔵大臣の御答弁はきわめて前向きに検討するというように理解をいたしまして、その結果を期待してお待ちいたしたいと思います。  なお、念には及ばないかと思いますが、この際、やはり当時この電気事業法が制定されまして議論された際の主たる部分について、これは通産省もよく御認識いただきたいから申し上げておきます。  これは昭和三十九年六月の九日の商工委員会でございますが、宮本さん——当時公益事業局長です。こう答えていますね。「投資をした結果、たとえば何かほかのことをやったためにそちらで穴をあけて、公益事業の基礎をあやうくするということを押えるのが精神でございます」と。それから通産大臣、福田さんです。ここで大臣はやはり同じように、「関連会社に投資するというようなことは、いままでもたくさんはやっておりません。そういうことをむやみにやるような電力会社の社長は、経営能力があまりない者だ」と、こうまで言っていらっしゃる。「しかし、それは全然そういうものを禁止すべきかということになると、私は事情によっては許してもいいものもあるだろうと思いますから、それはやはりいわゆる運営の面において十分監督いたしてまいりたいと思っております。」これは何もかも関連会社はだめだというんではないということです。これは私はよく理解できます。つまり、電力会社が電気事業を円滑に、公益性が高い、国民に対して電気を提供せにゃいかぬために、効率的に運用するために電気事業に関係のある小会社を持つ、これは当然だと思いますね。しかし、ここで言っておるのはまさに不動産会社、こういうものは、これは断じてならぬ。これは電力会社の財政の基礎をゆるがす、不健全にするおそれがある。電力会社は電気事業、この事業に専念すべしという立法の精神からいっても、これは当然のことだと思うのですね。ですから、そういう点も再度、これは非常にシビアに踏まえられて、いま政務次官それから大蔵大臣が御答弁いただきましたので、ひとつ御検討の上できわめて前向きに、早急に結論をお出しいただきたい。お願いしておきたいと思います。  なお、この際、時間が参りましたので御参考までにという意味で申し上げておきたいと思いますが、私ここに持ってまいりました。こういうことを言われておるわけですね。これも私、ちょっと勉強しているのです。これは早稲田の大濱信泉さんが「従属会社の独立性とその限界」ということにつきましてこう言っておりますよ。「従属会社は親会社が第三者に対して負担している義務を回避する手段として、利用されることがある。」ここで第三者を政府なり通産なり大蔵とこう置きかえますと、これは非常に明確だと思いますね。回避する手段として子会社を持つ、従属会社を持つ、関連会社を持つ、こういうことがあり得る。このことは「新会社の形式上の独立性を楯にして、自己の義務違背に対する責任回避の理由となすことは不当といわなければならない。」これは最も当然なものの考え方だと思うのですね。これも一つの学説としてしまいますかどうですか……。  いずれにしても、そうした明確な従属会社、子会社の一つの独立性という問題と、その独立性という名を理由にして親会社が第三者に負うべき義務、つまり政府に負うべき義務、それを回避する手段として、いまのような不動産会社が、まさに電気事業法十二条のしり抜けの形の中で、出資は自由だ、投資は自由だというような形でどんどんと行なわれている。この事実をこそ直視をして、このような実態はきわめて好ましくないということ。同時に大事なことは、最初申しましたように、少なくとも国の金が出ておる。国民の血税であります。そういうことから考えても、これはひとつ真剣な受けとめ方の中で御検討をいただきたいと思うわけであります。少なくともこういうことが親会社の赤字の一つの要因をなしていることも事実であります。そのことがいま直ちに電気料金の値上げにどう影響するかということを、私はここで議論するいとまがございません。しかしながら、少なくとも親会社たる電力会社の赤字、あるいは赤字になる危険性をかかえる状態の中でこのまま放置していいはずはありませんし、それが間接的であれ電気料金にはね返らないということは、これは論法としては言えないと思うのですね。これらが具体的にどういう影響を持つかということについては、なお私のほうで調査検討いたしまして、次の機会に譲りたいと思いますが、本日の委員会におきましては、そうした事実関係の問題提起の中でひとつ前向きにお取り組みをいただくということでもって了解いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  165. 臼井莊一

    臼井委員長 次回は明十六日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十分散会