運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-12-02 第73回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十二月二日(月曜日)     午後一時三十一分開議  出席委員    委員長 安井 吉典君   理事 小宮山重四郎君 理事 田川 誠一君    理事 石野 久男君 理事 原   茂君    理事 瀬崎 博義君       竹中修一君     粟山 ひで君       河上 民雄君    米田 東吾君       近江巳記夫君    北側 義一君       内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      足立 篤郎君  委員外出席者         原子力委員会委         員       山田太三郎君         防衛庁防衛局調         査第二課長   三好富美雄君         経済企画庁総合         計画局長    小島 英敏君         経済企画庁総合         計画局電源開発         官       伊藤 謙一君         科学技術政務次         官       片山 正英君         科学技術庁長官         官房長     片山 石郎君         科学技術庁計画         局長      安尾  俊君         科学技術庁原子         力局長     生田 豊朗君         科学技術庁原子         力局次長    半澤 治雄君         法務省民事局第         三課長     吉野  衛君         大蔵省銀行局中         小金融課長   吉野 良彦君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     松尾 成美君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  高橋  宏君         建設大臣官房会         計課長     丸山 良仁君         建設省計画局計         画調整官    井沢 健二君         自治省税務局府         県税課長    福島  深君         参  考  人         (和光大学教授)生越  忠君         参  考  人         (動力炉・核燃         料開発事業団理         事長)     清成  迪君     ————————————— 委員の異動 十一月十五日  辞任         補欠選任   梶山 静六君     藤波 孝生君   中山 正暉君     木野 晴夫君 十二月二日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     米田 東吾君 同日  辞任         補欠選任   米田 東吾君     嶋崎  譲君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(原子力船むつ及  び原子力安全性確保に関する問題等)      ————◇—————
  2. 安井吉典

    安井委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  この際、先般科学技術庁長官就任されました足立篤郎君及び科学技術政務次官就任されました片山正英君より、それぞれ発言を求められておりますので、これを許します。足立国務大臣
  3. 足立篤郎

    足立国務大臣 先月十一日の内閣改造によりまして、はからずも科学技術庁長官を拝命いたしました足立篤郎でございます。  私は、正直に申し上げまして、いままで科学技術につきまして、特別な経験も知識も持ち合わせておりません。しかし、重大な使命を帯びましたので、全力をあげまして勉強をし、努力をいたしまして、その重責を果たしたいという気持ちで一ぱいでございます。何とぞ委員各位におかれましても、格別のご鞭撻と御協力を賜わりますように、まずもってお願い申し上げる次第でございます。  申すまでもなく、科学技術は、これまでわが国社会経済発展の原動力として大きく寄与してきたところでありますが、資源エネルギー危機の到来、環境悪化等の諸問題に対処し、わが国の繁栄を維持し、国民生活の一そうの充実をはかっていくためには、広く国民的要請にこたえて、先端科学技術分野をはじめ、あらゆる分野においてすぐれた科学技術開発し、科学技術を積極的に国民福祉の向上に役立てていかなければなりません。  中でも、多年にわたり開発努力が続けられてまいりました原子力は、わが国のエネルギー問題を解決する最大のにない手となるものでありまして、私も微力ではありますが、原子力平和利用推進努力してまいる決意でございます。  しかしながら、原子力施設周辺反対運動に見られるように、いまや原子力開発利用を取り巻く環境はまことにきびしいものがございます。特に、今度の原子力船むつ」問題を契機に、原子力行政のあり方について根本的な再検討が要請されておることは御承知のとおりでございます。  私は、今回総理諮問機関として設立されることになりました「むつ」の原因調査及び原子力行政体制検討のための二つ機関答申を待って、原子力平和利用の基本的な方策を決定する所存でありますが、当面、安全性確保環境の保全を進めることが基本的なきめ手であるとの認識のもとに、粘り強い話し合いによって地元の理解と協力を得て、真に国民信頼される原子力行政が確立されるよう努力してまいりたいと考えております。  このほか、私は、わが国の未来を開くかぎともいうべき宇宙開発海洋開発等を国の総力をあげて推進するとともに、地震等自然災害の防止、公害対策等国民生活に密着した問題についても、科学技術の面から適切な解決策を見出してまいりたいと考えております。  また、人の生命や福祉に貢献するライフサイエンス等新しい科学技術分野振興につとめるとともに、各分野科学技術の総合的な推進をはかるため、科学技術基本計画の策定、研究投資増大等科学技術振興のための基本的体制を整備してまいる所存であります。  以上の諸施策を推進するにあたっては、実行できるものは直ちに実行に移すことは当然でありますが、検討を要するものについては十分検討を加えて、その実現に誤りなきようつとめる考えでございます。  重ねて皆さま方の御指導、ご鞭撻をお願い申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手
  4. 安井吉典

  5. 片山正英

    片山(正)説明員 参議院の片山でございます。  このたびはからずも科学技術政務次官を命ぜられました。  もとより浅学非才ではございますが、一生懸命努力いたしたいと思いますので、よろしくお引き回しをお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  6. 安井吉典

    安井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹中修一君。
  7. 竹中修一

    竹中委員 ただいま足立長官、新政務次官から御就任の御決意を承ったわけで、まことに心強い限りだと思いますが、きょうは、先般問題になりました原子力船むつ」のその後の経緯について、若干御質問申し上げたいと思います。  大臣は、十一日に御就任の翌々日、さっそくむつ現地のほうに御出張になられまして、しかも、ちょうど国鉄のストライキの最中でございまして、飛行機、民間のフェリーボートを乗り継いで現地へおいでになられたという、非常な行動力と御熱意に心から敬意を表するものでございます。  そこで、一番先にお尋ねしたいと思いますのは、このたびの原子力船むつ」のトラブルによって、わが国原子力行政を原点に立ち返って見直すという事態がいま一つあるわけです。それと、具体的には原子力船むつ」の新定係港を一体どういうふうにして選定していくか。これは期限があるわけです。さらに、いまむつ港に非常にむなしくつながれておる原子力船むつ」の、いわゆる身の振り方をどういうふうに考えられるか。さらには、鈴木総務会長現地で締結をされました四者協定、これの実施をどうされるかというようなことをお伺いしたいと思いますが、それぞれについて、もしいまお考えがございましたらお示しをいただきたいと思います。これだけでいいのです。
  8. 足立篤郎

    足立国務大臣 まず、私、いま竹中さんがおっしゃったとおりすぐ現地に参りましたのは、正直に申し上げて私、「むつ」を見たことがございませんので、責任者になりました私が現物を見ていないのでは今後話にならぬと思いまして、まあとりあえず飛んでまいったわけであります。しかし、結果としては、やはり見ておいてよかったという感じを持っております。  そこで、現地で知事さんにも私、懇談的に申し上げたのでありますが、鈴木総務会長がお約束したことは、その後内閣としてこれを確認しておりますので、全部お約束どおりお守りいたします、しかし、将来の問題もございますから、これは努力をするということを申し上げたような次第でございます。  いま、定係港をどうするかという御質問でございますが、これはお約束した期限が四月十六日でございますか、いま慎重に、部内はもちろん、その関係筋、つまり運輸省とも協議をいたしておりまして、定係港を早くきめるような努力をしてまいりたいと思っておりますので、背信行為は一切いたさないというつもりでおります。  御承知のとおり、すでにキャスクも運び出しましたし、それから使用後の燃料を格納するプールも、埋めることについて、四者で形成された委員会の御意見を伺って処置するようにいたしておりますので、まずお約束どおり、これは逐次果たしてまいりたいというふうに思っております。  なお、予算上の措置につきましては、事業団にすでに計上されている、たとえば体育館とか有線放送施設とかいうものは別として、漁業振興対策費その他基金等はほぼ要求どおり、全額十二億一千八百万円補正予算に計上されることに政府内部決定をいたしましたので、お約束は果たせるというふうに考えておりますので、御了承をいただきたいと思います。
  9. 竹中修一

    竹中委員 大臣にもう一つお尋ねしたいのですが、新聞報道によりますと、十一月の十五日の閣議において大臣は、原子力船開発事業団法時限立法である、ここにいろいろ長い目で見た原子力行政に多少欠陥があるのだ、これを継続的なものにしたいというような御発言があったように伺っておりますが、お考えをお聞きしたいと思います。
  10. 足立篤郎

    足立国務大臣 私は出張いたしましたので、その報告閣議でいたしました。いま申し上げたような現地鈴木総務会長がお約束したことについては、一項目項目について現状と経過を申し述べまして、補正予算等について大蔵当局その他の御協力をいただきたいという意味発言をいたしました。  それから最後に、今回「むつ」がああいう状態におちいった原因考えますと、技術的なことは別として政治的な問題について、私が現地でいろいろ見たり聞いたりするところによりますと、政府側にも確かに情勢判断の甘さといいますか、エラーがあったと私は正直に認める、しかし、やはりその直接の衝に当たった原子力船開発事業団現地との接触等において、どうも正直言ってまずかった点が多いんじゃないかと思う、いろいろな断片的な話を聞いてきたが、それを総じて私が判断させてもらうと、やはりあの事業団寄り合い世帯である、それが結果として、はっきり申し上げれば無責任体制になってしまう、これが根本的な欠陥のように思う、同時に、今後の原子力船開発考えるときに、なかなか三年や五年ではっきりとこれがコマーシャルベースに乗らない、われわれは科学技術開発をやっているのですから、コマーシャルベースに乗れば、これは運輸省なら運輸省へその行政は渡していいわけで、われわれのほうは安全審査を厳重にやればいいということになると私は考えるが、なかなかそこまでいかぬ、まあ私の見当では、少なくとも十数年かかるのではないかと思う、しかもあの「むつ」は、構造その他から考え積載能力等もあまりないし、これを実用に供して、ランニングコスト等をはじき出すというには不適当な船だと思う、したがって、少なくとも第二船、第三船とさらに規模の大きな実用船をつくって、そして目の前で見ていただいて、それからイニシアルコストランニングコストをはじき出してもらって、政府がどの程度の助成をすればコマーシャルベースに乗るかということを業界で判断してもらうことが、原子力船開発にはどうしても必要だと思う、それをやろうとすれば、いまの事業団法時限立法では、本腰を据えてやってもらうことがどうもむずかしいように思われる、したがって、現在の事業団の法律は五十一年三月三十一日までという時限立法になっておる、これでは事業団で新しく大学出のエンジニアを採用しようとしても採用ができない、それではほんとう自分の生涯を原子力船開発のためにささげようという熱意を持った技術者等が、事業団に入ってくるチャンスはなくなってしまう、はっきり言えば、いわば出かせぎ根性のような寄り合い世帯では私はだめだと思う、したがって、従来の慣例では、期限が迫ってようやくこの処置を、延長なり何なりきめるのであるが、でき得べくんば、これを早目恒久立法に切りかえていただきたいと思う、この際、閣議の御了解をいただきたい、実はこういう発言をしたのであります。これは私の真意といいますか、ほんとう気持ちをそのままぶちまけて閣議で申したような次第でございます。
  11. 竹中修一

    竹中委員 大臣から非常な御決意を伺ったわけですが、全くそのとおりだと思うのです。そういうことで、そのときになってからじゃなく、原子力行政を長い目から見て、ぜひとも早目に御決定をいただきたいと思います。特に現地では、事業団プロパー職員等もいろいろ混乱しておるようでございますので、そういう意味からも、早期の御決定をお願いしたいと思います。  次は、事務的なことでございますが、十月の二十二日の当委員会で、前の長官がこういう御発言をされたわけです。先ほど足立大臣のごあいさつの中にもありましたけれども、森山大臣が、「この際、内閣総理大臣の臨時的な諮問機関として、それぞれ学識経験者からなる「むつ問題調査のための委員会及び原子力行政組織検討するための委員会を発足させてはどうかと考える。」という総理からの御発言があって、それぞれ「関係大臣協議の上具体化してもらいたい」という御発言があったという御答弁があったわけです。先ほどの大臣のごあいさつにもございましたが、この両委員会がどういう方々がお集まりになって、いままでどういうふうな活動をされておるかというようなことを御説明いただきたいと思います。
  12. 生田豊朗

    生田説明員 ただいま先生指摘二つ委員会でございますが、まず第一の「むつ」の放射線漏れ原因調査いたします調査委員会でございますが、これはもう発足しております。十一月の二十二日に第一回の会合を開きまして、今後月一回を基準にいたしまして続けて会合を開きまして、約六カ月をめどにいたしまして結論を得たいということでございます。  メンバーでございますが、東京工業大学の名誉教授大山義年先生が座長におなりになりまして、あと専門家先生九名で構成されております。この事務総理府が行なうことになっておりまして、科学技術庁運輸省協力してお手伝いをするということでございます。  それからもう一つ、第二の原子力行政あるいは行政機構全般検討いたします組織でございますが、これはまだ発足しておりません。先生承知のように、原子力に関係いたします官庁が数が非常に多うございまして、十以上ございます。各省庁意見を現在内閣が中心になりましてまとめている段階でございまして、まとまり次第発足させたいということで、ただいま事務的に準備を進めている段階でございます。
  13. 竹中修一

    竹中委員 二つ委員会が発足するわけですけれども、いまの長い目で原子力行政を見るという委員会ですが、いまお話しのように、十以上の関係省庁があるということでございます。それを統括して総理府事務局をつくるわけでありましょうけれども、この前の「むつ」の場合でも、運輸省あるいは科学技術庁、いろいろ接点がどこだかはっきりしない点が非常にたくさんあるわけです。そういうことで、いまの委員会も十以上の関係省庁があるとすると、これの調整がまたたいへんだと思うのです。そういうことで、私は大臣にこの点の調整を、ひとつうまくやっていただきたいということをお願いしたいと思います。  それから、放射線漏れ調査する委員会が十一月の二十二日に発足をして、毎月一回開催されるということでございますが、まだ具体的な調査は論議されていないのでございますか。
  14. 生田豊朗

    生田説明員 具体的な調査といたしましては、今度の調査委員会の発足いたします以前に、この問題の遮蔽につきまして、しゃへい小委員会が設けられまして、これは中間報告が出ております。この中間報告が、総理府に設けられました調査委員会の第一着手でございまして、この報告検討から始まりまして、あと、先ほど先生指摘になりましたような行政的な手続の問題その他にも分析を進めていくということにしております。
  15. 竹中修一

    竹中委員 これも新聞で見た話ですけれども、第一次遮蔽に非常に計算ミスがあったということが新聞記事に出ておりました。しかも、それに対してある原子力委員が、当時は精密なコンピューターも何もなくて計算したんだ、いまのコンピューターシステム等からいけば、当然そういうあやまちはなかったんじゃないかというふうな記事を見たわけです。これは真偽のほどはよくわかりませんけれども、そういう新聞記事を見ると、日本の原子力行政あるいは原子力の実力というものが、日進月歩の中で古いデータでそのままいままで実施されたというような、何か欠陥があるような気がするわけです。それに対して原子力委員会は、最初にただ基本設計で安全であるというだけのことであったというふうに、いまから考えると非常に信頼ができないような感じがするわけです。どういうふうにそれをお考えでございましょうか。
  16. 生田豊朗

    生田説明員 ただいま先生の御指摘の点が、実は問題の核心であろうかと思います。原子力発電につきましても、この原子力船と同じような審査手続になっておりまして、基本設計あるいは設計の基本的な考え方につきましては原子力委員会安全審査、それ以降の詳細設計あるいは工事方法につきましては、通産省が電気事業法に基づいて審査を行なうということでございますが、その間の連携と申しますか、あるいは関連性と申しますか、それが原子力発電のほうは非常に円滑にいっているように私は考えておりますが、原子力船の場合は、わが国最初のケースでもございますし、率直に申し上げまして、安全審査とそれに続きます運輸省詳細設計、あるいは工事方法審査または各種の検査、その間で必ずしも連絡が十分ではなかった点があろうかと深く反省している次第でございます。  その点におきまして、ただいま先生から御指摘のいろいろな問題、あるいは新しいデータをもっと取り入れるべきではなかったか、あるいは安全審査のときに取り上げられた問題点を、それ以降の段階においてもっと詳細に検討すべきではなかったか、さまざまな問題が出てまいろうかと考えております。そういう点につきましても、この調査委員会で逐次問題点あるいはその対策が明らかにされていくことになろうかと考えております。
  17. 竹中修一

    竹中委員 どうぞ、原子力開発を進めていく過程においても、われわれ国民信頼を失うようなことのないように、ひとつ御尽力いただきたいと思います。  次は、鈴木政府代表現地協定されたいわゆる四者協定、このことについてお尋ねしたいと思うのです。  根本的には、先ほど大臣からお話がありましたように、大臣現地に乗り込まれたときに現地記者団に対して、自分はあの協定を完全に実施するというお話がございました。あのことは、もちろん地元の漁民が安心をすることでありますけれども、さらには原子力関係責任者約束したことは必ず守るんだ、その一言が、これから原子力行政を進めていくために全国民に対する信頼を得られることだと思って、非常に敬意を表しているわけです。  二、三具体的に御質問申し上げますが、協定書のIIの定係港地元対策でございます。先ほども補正予算に計上しているんだというようなお話がございましたが、局長から具体的に、道路整備、いわゆる田名部——大湊間の道路整備、あるいは体育館建設有線放送、こまかく書いてあることについて御説明をいただきたいと思います。
  18. 生田豊朗

    生田説明員 地元対策でございますが、先生承知のように、むつ市に関連します地元対策と青森県の漁業に対します対策と二種類でございます。  まず、第一のむつ市の関連でございますが、田名部大湊間の道路につきましては、これは出港時に決定いたしました地元対策どおり実施する予定で進めております。  それから体育館建設、それから放送設備でございますが、これは原子力船事業団予算建設する予定でございまして、原子力船事業団予算の中にその所要の費用を計上いたしまして、今年度から来年度にかけまして両方とも実現する運びにいたしております。
  19. 竹中修一

    竹中委員 これは四十九年度にも入れているのですか。
  20. 生田豊朗

    生田説明員 四十九年度にも入れております。  それから漁業関係でございますが、これは先ほど大臣から御答弁になりましたように、総額十二億八百万円の漁業振興費、これを四十九年度の補正予算に計上いたしております。いずれ補正予算国会議決されますれば、実施運びになるいうことでございます。
  21. 竹中修一

    竹中委員 そうしますと、いわゆるむつ市の地元対策あるいは地元漁業振興対策補正予算に組んでおられるというふうにお話を承りました。臨時国会も間もなく開催されて、これが議決になるものと思います。議決になりましたら、間髪を入れずその予算実施をしていただきたいと思うわけです。  そこで、いわゆる地元漁港港湾整備事業というのがあるわけです。これはとりあえずの補正予算、そういうことじゃなくて、第五次漁港整備計画及び第四次港湾整備計画について、これをそれぞれの港について実施を早めるというふうなことになっているわけです。これについてどういうふうな対策を講じておられるか、御説明いただきたいと思います。
  22. 生田豊朗

    生田説明員 漁港整備計画港湾整備計画につきましては、既定の計画優先採択の形になります。したがいまして、漁港整備につきましては水産庁港湾整備につきましては運輸省、それぞれ担当の両省におきまして、その協定どおり実施する運びになっております。
  23. 竹中修一

    竹中委員 局長にもう一度お尋ねしますが、科学技術庁のほうからそれぞれ主管官庁に話をしている、こういうことでございますか。
  24. 生田豊朗

    生田説明員 科学技術庁からも話をしておりますが、私どもから話をいたしますよりも、関係閣僚懇談会決定されたことでございますし、当然のこととしまして両省において進めている、かように理解しております。
  25. 竹中修一

    竹中委員 わかりました。  それで、ちょっと前に戻りますけれども、地元漁業振興対策、たとえば荷さばき施設とかホタテ稚貝減産等補償対策補正予算で計上してある、こういうふうなお話でございましたけれども、予算の所管はどこなんですか。
  26. 生田豊朗

    生田説明員 予算要求科学技術庁でございます。それで予算が成立いたしました暁には水産庁に移しかえまして、実施水産庁で行なう予定にしております。  それから、先ほど私、予算の金額を十二億八百万円と申しましたが、これは事業費十二億八百万円でございまして、そのほかに一千万円弱の事務費補正予算に計上される予定になっております。
  27. 竹中修一

    竹中委員 最初申し上げました、これからの原子力行政について見直しをする、それぞれの委員会答申を待って実施をされるというようなお話で、心から賛意を表するものです。それができれば整正円滑に、しかもすみやかに実施されるように要望するものです。また、地元対策として現地協定をされました四者協定が、それぞれすでに政府機関のルートに乗ったということで、安心をするわけです。  ところで、最後に残りますのは、こういうふうに進めていくけれども、原子力船むつ」、あの船自体が将来とも原子力船として生きていくのかどうかということを、私は国民の一人として実は心配をするわけです。これからいろいろ委員会答申を経て最終決定をするものと思いますけれども、私は、何とかして原子力船むつ」を再び原子力船として生かしていただきたいと思うわけです、あれを投げてしまうというようなことでなく。そういう点について、大臣どういうふうにお考えになるか、最後でございますけれども、伺いたいと思います。
  28. 足立篤郎

    足立国務大臣 私も、さっき「むつ」を見た感想を率直に申し上げたのですが、やはり最初計画をした船でありますし、いまから十年余り前に考えた構想だものですから、いまになってみますと、あれが直ちに一つのデータを出す基本になる船のようには思いません。したがって、原子力船としてのテスト船という限度を出ないと思います。  しかし、あのまま投げるということは私ども毛頭考えておりませんで、将来海洋調査船にするとかいろいろな案もございますが、将来ともりっぱに国家のために役目を果たしてもらう船にいたしたい、こういう熱意で燃えております。
  29. 竹中修一

    竹中委員 いろいろ御質問申し上げましたが、ひとつ新大臣、新政務次官の御熱意によって原子力行政が整正円滑にいかれますように要望を申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  30. 安井吉典

  31. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 きょうは柏崎の東電の原発のことについてお伺いしたいと思います。  いろいろな新聞をとってみまして、その中からいろいろお聞きしたいと思いますけれども、その前に、東電は安全審査の前に電調審に申請されておりますけれども、その辺の結論は出ましたでしょうか。
  32. 生田豊朗

    生田説明員 東電の柏崎原子力発電所につきましては、七月四日の電調審で承認されております。したがいまして、近く原子力委員会安全審査を受けると申しますか、原子炉の設置許可の申請が出てまいると考えておりますが、現在までではまだ申請が出てまいっておりません。
  33. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 そうしますと、まだ安全審査はされていないということでございますね。
  34. 生田豊朗

    生田説明員 まだ安全審査はいたしておりません。
  35. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 私は、全部の新聞を読んでいって、たいへん危惧の念にたえない。基盤がとうふのようだとか、コンニャクのようだとかというような話が載っかっておる。また学者の発言もそうなっておるようでございます。コンニャク、とうふというのはたいへんふにゃふにゃでございまして、実際その地盤というのは私、存じ上げないのですけれども、その東電の原発の下の基盤というのはどういう形になっているのですか、御説明いただきたいと思います。
  36. 生田豊朗

    生田説明員 ただいまお答え申し上げましたように、まだ科学技術庁には設置許可の申請が出ておりませんので、私どもは、その地盤について承知しておりません。ただいま通産省が調査をしておりますので、通産省から御説明申し上げたほうがよろしいかと考えております。
  37. 井上力

    ○井上説明員 原子力局長からお答え申し上げましたように、柏崎の地質の上に原子力発電所を設置した場合の安全性の問題につきましては、まだ検討しておらないわけでございますが、私どものほうにおきまして、一般的な環境問題として、あの辺の地質がどういうものであるかという見当をつけるような審査をやったわけでございます。  この審査におきましては、新潟県の地質あるいは敷地内の地質につきまして概括的な審査をやったわけでございますけれども、その結果によりますと、敷地内に試掘横坑を掘りまして、その中で実施いたしましたジャッキによる載荷試験によりますと、平方メートル当たり四百五十ないし七百トンの極限支持力を有しておるということでございます。
  38. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 私、いまの御答弁をいただいて、科学者じゃないものですからようわからぬのでございますけれども、たとえばこの近くの霞が関ビルを例にとりますと、これは第三紀だと思います。洪積層だろうと思うのです。東京の地盤というのは非常にやわらかいはずです。そうすると、私も少し理工科におりましたが、建物の一平米のところにかかる重量というのは、大体一トンぐらいであろうと考える。あれは三十六階あるはずです。そうすると、少なくとも三十トン以上のものが上にかかってくる。原発はそれより上であろうか。しかし、それよりそう大きくないであろう。  この地質的な問題と、もう一つこの場合考えなければいけないのは、工学的な問題を考えていただく必要がある。たとえばダムをつくる場合にしても、亀裂がないというようなところはほとんどないだろうと思います。それに工学的な補強をしてダムをつくるわけでございまして、そういう意味でも、ダムが安定し、安全であるということなのであろう。ただ、コンニャクとかとうふとかいう表現はたいへん不適当であろう。  もう一度通産省に聞きますけれども、われわれが想像するコンニャク、とうふと同じでございますか。
  39. 井上力

    ○井上説明員 私のほうにおきましても、具体的に柏崎地点の現地調査あるいは詳細な地質に関する調査をいたしておるわけではありませんが、東京電力から報告を受けております範囲内におきましては、とうふ、コンニャクというような地盤ではないというふうに聞いております。
  40. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 私は、ぜひこれは大臣にお願いしておきたいことでございますけれども、電調審の結論が出て安全審査を受ける場合に、コンニャク、とうふというような表現が新聞紙上、いわゆるマスメディアといわれるものを通して流布される、これはある意味でたいへんな不安感を与えるものであろうと思う。たとえばいま竹中君が質問しました「むつ」にしても、「むつ」が原子力で陸奥湾を出るという想像をしていた人が国民の大多数であろう。それは補助エンジンで出るということが事実であって、そういう誤解を招くことはたいへん国民に不安感を与える。私は、少なくともそういう不安感を取り除く意味においても、安全審査段階においては大規模な調査団を送って徹底調査をして、国民に納得していただく必要があろうかと存じます。その辺、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  41. 足立篤郎

    足立国務大臣 ただいま小宮山委員からの御注意がありましたとおり、今後やはり、原子力行政というものは国民安全性を腹の底から御信頼いただくということが眼目だと思いますから、いま御注意のありました点、十分拳々服膺いたしまして、調査団等の派遣については慎重に考えたいと思っております。
  42. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 たいへん明確な御答弁をいただきましてありがとうございました。  私、原子力発電、福島の東電の発電の作業を見たことがございます。そのときにはたいへん深く掘りまして、基盤となるところを補修し、かつ、それの上に工学的に安定を求めるというか、工学的な意味での工事をされて、その上に原子炉を建てた工程を見てまいりました。私は、原子力を取り扱う以上、科学技術庁はそういう意味でも、安全性という問題が流布されているときに、今後とも十分注意をされて、調査あるいは建設を許可していただきたいということをお願いします。  この柏崎の質問はこれで終わりますけれども、きょうはたいへん皆さま方に御迷惑をかけますので、私も短時間で話を終えますけれども、あと防衛庁が見えていらっしゃるようでございますので、防衛庁にちょっと御質問をさせていただきたいと思います。  第一点、これは簡単でございます。埼玉県所沢市に、OTHという電波を発するオーバー・ザ・ホライゾンという無線塔がございます。いま地元から私のほうに連絡が入りましたのは、建物の入り口に、「無線波長放射能危険区域」と書いてある。これは英文と両方書いてあるそうです。その下に、「アンテナ地区に進入する前に放射能保護将校に連絡せよ」と書いてあります。私たち、常識からいって放射能が出ると思っておりません。私は、この「無線波長放射能危険区域」というのを英文では、向こうから電話で入ってまいりませんので、何と書いてあるのですか。放射能が出るとは思いませんけれども、防衛庁はどのように聞いておるか、ちょっと聞かせていただきたい。
  43. 三好富美雄

    ○三好説明員 お話しのような看板はございました。私自身も見てまいりました。そこには、確かに日本語で「無線波長放射能危険区域」という字であったと思います。放射能ということばが使ってありました。しかし、これを私そこに一緒に並んでおりました英語と比較して見まして、必ずしも一適切な訳ではなかったと思います。英語に書いてありますのは、「レイディオ・フリークエンシー・レイディエーション・ハザード」、一番上に「ウォーニング」という、警告という見出しがありますが、いま申しましたように、「レイディオ・フリークエンシー・レイディエーション・ハザード」こういうふうに書いてございました。これは放射能という訳をつけるよりは、電波障害の危険に対する警告というふうにでも訳をつけたほうがよろしいかと思います。  OTHは、御承知のとおり、ハイフリークエンシーの電波を出してミサイルを探知する機能だけでございまして、いわゆる放射能を持った核物質のものなどとは全く関係のないものというふうに存じております。
  44. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 そうしますと、「アンテナ地区に進入する前に放射能保護将校に」という、放射能保護将校なんというのは私は聞いたことはないのですけれども、レイディエーション・プロテクション・オフィサーという意味ですな。
  45. 三好富美雄

    ○三好説明員 そのとおりでございます。「レイディエーション・プロテクション・オフィサー」と書いてあります。電波障害に対する危険について、何らかの忠告をしてくれるオフィサーであろうというふうに想像しています。
  46. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 これは地区がたいへん動揺しております。ここにOTHがあるから水爆が落ちるのだという宣伝をする方々がいるんで、たいへんナンセンスなことなんですが、放射能と書いてあるんでたいへん心配でございます。  もう一度聞いておきますけれども、放射能は出ないと確信してよろしゅうございますね。
  47. 三好富美雄

    ○三好説明員 私どもはそのように理解しております。
  48. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 ありがとうございました。  最後に、これはまた科学技術庁に戻らしていただきますけれども、きょうのニュースで、原子力船の国際基準をつくろうというニュースが流れておりましたけれども、その辺の情報はお持ちでございますか。
  49. 生田豊朗

    生田説明員 私も、きょう昼のニュースで見ただけでございまして、その件につきまして、情報はただいまのところ持ち合わせておりません。  ただ、先生承知のように、原子力商船につきましては、現在ではそれぞれの国に入港いたします場合に、事前に安全審査を受けることになっております。わが国の規制法でも同様でございます。これでは、将来原子力船時代が到来いたしましたときにたいへん不便でございますので、国際条約によりまして、個々の国の安全審査を受けなくても、つまり一定の基準を設けまして、ある国の安全審査を受けていれば、それが条約加盟国の全部に通用するという方向に世界の大勢が進んでおります。あるいはそのような大勢を受けましての本日のニュースの内容かとも考えておりますが、詳細は本日のところは承知いたしておりません。
  50. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員 ありがとうございました。
  51. 安井吉典

    安井委員長 次に、石野久男君。
  52. 石野久男

    ○石野委員 内閣がごたごたしている間に委員会のほうは延期ばかりしているわけですが、その間に、いろいろと原子力に関係する案件が片づけられていっているという印象が強いのです。特にそういう問題については、「むつ」の事故がありまして以来、原子力行政の基本に触れる問題として再検討をすべきだという意見も出ておりますし、それから本委員会でもそのことについての決議をしようという段階でありますが、そういうこととはもう関係なく、そしてまたわれわれが心配しているようなことを含みながらものごとがどんどん片づけられていくということに、私は非常に不信を持っておるわけです。原子力行政というのは、将来のいわゆるわが国原子力の安全利用ということについてきわめて重要な課題を投げかけているときでありますので、そういうことから、将来しまったなあというようなことのないように、私は長官がかまえておらなければいけない、こう思っております。  なぜそういうことを言うかといいますと、特にこの原子力行政の問題で、それらに関連して集中的に問題の出てきておるのは、原子力研究所なりあるいは事業団等があります茨城県であります。茨城県ではすでにこれらの問題に関連して、たとえば安全審査の再審査要求だとか、あるいはまたコールドテストの延期要求というようなものが出ておるわけでございます。そのようなことを承知の上でそういうことをやられたのでは困るので、私は大臣にまず、こういうような「むつ」の事態に関連して、原子力行政をするについて、先ほど所信表明にもあったような考え方であるならば、問題が現在提起されておることについて、回答をまず与えてからそういうことをすべきではないかというふうに思います。  そこで、まずお尋ねしますが、先にお尋ねしておきたいことは、茨城県の漁連のほうから、東海二号炉あるいは再処理工場についての安全審査の再審査要求するという要請が出ているであろうか。それからまた茨城県に東海地区環境放射線監視委員会というのがありますが、そこからも同じような要請が出ているはずであります。それから、なおまた茨城県の東海二号炉阻止訴訟原告団というところからも、同じような趣旨の要請が事業団のほうに出ていると思いますが、そういう事実があるかどうかということから先にまずひとつ聞かしてください。
  53. 生田豊朗

    生田説明員 先生指摘の茨城県漁連からの要望でございますが、これは要望が出ております。私どもといたしまして、その要望におこたえするということで事務的に御説明をしているわけでございますが、漁連会長の御都合がございましてまだ正式にこちらから御回答を申し上げ、先方もそれを了とされるという段階まではいっておりませんが、近日中にこの決着がつく見通しでございます。  それから第二点の、いわゆる第三者監視委員会といっております環境放射線監視委員会でございますが、その一部のメンバーの方から同様の趣旨の御要望が出されるというような情報はございますけれども、正式にはまだ出されておりません。  それから、第三点の原告団のほうからの御要望につきましては、やはりそういう情報は聞いておりますが、詳細は承知いたしておりません。
  54. 安井吉典

    安井委員長 石野君及び米田君の質疑に関し、和光大学教授生越忠君及び動力炉・核燃料開発事業団理事長清成迪君のお二人に参考人として御出席を願っております。  この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席くださいましてありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。  なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行ないますので、さよう御了承願います。
  55. 石野久男

    ○石野委員 そのような事情のもとで足立長官は今度就任されたのですが、先般長官は茨城県に参られて、そして水戸射爆場あと地を原研が核融合研究用地として使用の希望があったことを閣議にかけだそうです。それらの事情は新聞でいろいろ見ておりますが、どういう事情であったかひとつ御説明ください。
  56. 足立篤郎

    足立国務大臣 閣議にかけたと言われるとちょっと大げさになるわけでありますが、これまた一晩泊まりで出張いたしましたので、閣議の席上出張報告の形で簡単に申し上げたわけでございます。  いま原研が進めております核融合の試験炉でございますか、試験施設ですね、これはある程度の成果をおさめておるようでありますが、さらに大がかりなものを近くつくりたいという設計図その他もできているやに現地で聞きました。これを進めていきますには、どうしてもその予想される危険度等から考えまして、相当広範な場所を必要とするという現地の要望もございまして、そのときに、たまたま隣接地域の射爆場が返還になり、まだ使用方法がきまっていないという段階でございますから、相当なスペースについてこれを政府において確保されたいという原研当局からの陳情がありましたという趣旨のことを申し述べたのでございます。
  57. 石野久男

    ○石野委員 そこではただ報告だけにとどまっておったのですか。それとも、それ以上何か閣議としての考え方がきまったのですか。
  58. 足立篤郎

    足立国務大臣 報告だけでございます。
  59. 石野久男

    ○石野委員 大臣に先ほども申し上げましたように、現地では原子力施設の安全審査に対する不信から再審査要求がいろいろな形で出ております。言うなれば「むつ」で起きた問題に関連して、そしてまたその他の原子力施設で出てきている問題と関連して、現地の住民はこの問題についてまだ非常に疑義を持ち、コンセンサスが得られていないということなんですね。そういうようなときに、特にこの射爆場あと地の利用問題について、現地ではいろいろな意見が出ております。大臣はそれらのことを勘案しての上でそういう閣議報告をしたのか。もう閣議報告する以上は、一応の御所見があってのことだろうと思うが、私はちょっと早計に過ぎるのじゃないだろうかと思う。現地の事情等についてもう少し大臣は、他の地域住民の声を聞くという用意があってしかるべきじゃないかと思いますが、そういうことについてはどういうふうにお考えになりますか。
  60. 足立篤郎

    足立国務大臣 私は、先ほども就任のごあいさつに申し上げましたとおり、科学技術については特別な知識も経験もございません。したがって、現地で受けました説明をそのままのみ込んでおるわけでございますが、私が聞いたところでは、核融合こそ将来の理想のエネルギーである、夢のエネルギーである、クリーンエネルギーである。ただ、試験施設等については膨大な電力等を使いますので、やはり周辺の危険も考慮しなければなりませんが、これは従来の、いわゆる放射能等を多量に排出する原子力とは違うのだというふうに聞いておりますので、現地においていろいろな疑問や疑惑やいまおっしゃるような御心配があることは承知いたしておりますが、そういう御心配をなくする意味においても、将来のエネルギー問題を解決する上においても、この核融合の研究というものは、日本の立場でさらに強力に進めなければならぬという考え方から、いま申し上げたような、射爆場の一部でございまして、全部といっておるわけではございませんで、これは将来政府として確保してほしいという陳情がございましたので、そういう報告をしたのでございます。
  61. 石野久男

    ○石野委員 それからもう一つお聞きしますが、原子力船むつ」にかかわるいわゆる使用済み燃料運搬容器が、東海の原研へ運び込まれたということをすでに承知しておりますが、これは原研に運び込んだということの意味はどういう意味なのか。将来やはりあそこでこれを使うということなのか、あるいは原研がこの容器を所有するということなのか、そういうような一連のこの容器を東海原研に入れたということについての考え方、それについて。
  62. 足立篤郎

    足立国務大臣 これは率直に申し上げますと、一種の緊急避難のような形で、原研は同様のキャスクあるいはもっと大型の、私も現地で見ましたが、三十五トンなどというキャスクを持っておりますが、「むつ」の場合はたった四トンでございます。いわば一番小型なキャスクでございます。しかも、キャスクは全然放射能によって汚染はされておりません。そういう認識が深いところといいますか、認識のあるところへ運び込めば、そう誤解も生ぜずに済むという配慮から原研を選んだわけでございまして、他に理由は全くございません。
  63. 石野久男

    ○石野委員 母港の移転の問題は年限が限られておりますが、その問題についての見通しとの関係はあるのかないのか。
  64. 足立篤郎

    足立国務大臣 定係港の問題については、先ほどもお答えしましたとおりまだ模索中でございまして、検討中でございまして、どこときめたわけではございませんので、今回のキャスクを東海村へ運び込んだことについては、全く関係はございません。
  65. 石野久男

    ○石野委員 この茨城県の核融合研究所の問題にしても、あるいは「むつ」のこの容器を運び込んだという問題にしても、やはり事前に地元は何の意見も聞かれていないことでありますし、非常に唐突のことですから、疑義を生ずる面が多いのです。原子力の平和利用の側面で、特に自主、民主のその民主とか公開とかというような問題で、いろいろ問題のあるときですから、やはりあまり疑義を生じさせないように、ひとつ大臣に配慮してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  次にお尋ねいたしたいのは、今度これは清成さんにお尋ねしますが、再処理工場の化学テストをやるについて動燃の労働組合の側から、これはまだいろんな準備が整っていないから、従業員の訓練ができるまではやらないでくれという要請があった、そういう事実がありましたですか。
  66. 清成迪

    ○清成参考人 そういう事実はございました。
  67. 石野久男

    ○石野委員 動燃労組の東海支部の委員長の談話だということで、新聞で見ますると、「労働条件などが解決されないのに動燃側は二十五日からコールドテストを強行した。従業員の十分な教育をするまで化学試験を延期すべきである」という意見を出した。そしてまた、「化学テストが従業員への安全を考えずに行われることは後に続くウランテストヘの不安もあり〃従業員モルモット〃は許せない。水俣病の二の舞にはしたくない」と、ここまで現場の労働者が言っているということについて、清成理事長はどういうふうにお考えになっていますか。
  68. 清成迪

    ○清成参考人 私の考えを申し上げたいと思います。  御承知のように、再処理工場というものは日本で最初の工場でございまして、われわれにも全然経験がありません。再処理工場は日本で独自にやったものではございませんで、フランスのサンゴバンの技術を導入したものでございます。そうしてサンゴバンと日本揮発油という両社でもってコンソーシアムをつくらしてそこで建設をやらしたという状況にございます。  しかしながら、われわれとしては最初経験でございますので、なかなかほんとうのこまかいところまではわかりかねているという状態でございますが、われわれは少しでもこの不安のない形で運営したいと思いますために、フランスのサンゴバンにも十数名の人間は何年か前からずっと実習にやって、この点は確かめ、経験さしております。なお、原研やその他にも再処理の技術はずいぶん勉強にやっております。しかし、実際にこのケミカルテストを実行します際のほんとう意味のこまかいところは、なかなかやってみなければわからないということでございますので、これはやっていきながら、安全を確認しながら次に進んでいくという方法をとらざるを得ないのでございまして、新しい技術の導入は、そういうことはもう当然のことでございます。  したがって、組合の心配はわれわれも十分わかりますけれども、しかしながら、組合の心配するようなモルモットのようなことには絶対にいたしません。われわれは仕事を、あるいは試験を進めていきながら、始終この場内その他のモニタリングは十分にやっていきまして、少しでも不安な徴候があれば、それは中止してその原因調査する、そうしてそれの解決を得てからでなければ次に進まぬというようなことをずっとやっていくつもりでおります。  それでいいのですが、なお労働条件というようなことも、これは実際にやってみないとなかなかわかりません。たとえば、こまかい交代勤務のラップというようなことも、これは組合の主張するようなこともあるかもしれませんけれども、またそうでなくて少なくて済むかもしれません。それらはやってみなければわかりませんので、やった上で、組合がたとえば三十分のラップと言ったのが、やってみて四十分のラップを与えなければならぬことになるかもしれません。ただし二十分で済むかもしれません。こういうようなところはやってみながら、組合の主張するところを十分満足させるような形に解決していきたい、こういうふうに考えて着手をしておるところでございます。
  69. 石野久男

    ○石野委員 組合の要求しているのは、いまも言ったように、従業員の教育が十分に行なわれていないということや、あるいはまた安全な試験をするための引き継ぎのラップを最低三十分だけ用意すべきであるということ、また安全作業のための勤務体制をもう少し強化しろ、こういうことですね。再処理工場の全施設で、大体従業員が二百二十四名のうち、運転を実習したというのがわずかに十五人だというのですね。しかも、これが八割近くが二十前後の若い未経験者だ。だから、バルブやコックなどのいろいろな操作は、フランス人技術者にまだまかされていて、従業員は操作のしかたがわからない。こういうような事情を全然無視したままで先へ先へ進んでは、とても自主的な体制も整ってこない。  やってみなければわからないのだというようなことでは、ちょうど「むつ」の事故が起こるとき、やってみなければわからないのだということを事業団理事長が言いました。清成さんも同じことを言うのですね。それは私はまずいと思うのですよ。この点については私は論議をしませんけれども、少なくとも組合が要求している従業員の教育を十分にやりなさい、やって、しかもラップを三十分は、ぜひ必要だと言うのだったら、その組合員の諸君との合意の上でやはり仕事を進めるという体制に進めたほうがいいのじゃないか。  所長の石原さんのなにでは、「バルブやコックの操作は、現場で覚えるしかない。化学テストは、従業員教育の課題の一つだ」こういうふうに言い切って組合の要求を押さえているようですけれども、これはいろいろな行き方がありましょうが、「むつ」の経験に学んで、もう少し現場の労働者なり組合の要求を聞くという姿勢がないと、私はこれはまた同じようなあやまちをおかすのではないかというふうに思うので、この点は理事長のほうから、やはりしっかりと組合の意見を聞くように現場を指導する必要があるのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
  70. 清成迪

    ○清成参考人 石野先生からたいへんいい御注意がございましたが、御趣旨のような形でわれわれとしては訓練を手落ちなくやっていくという形にだんだん持っていきたいと思います。  先ほど、教育はほとんどやっていないというお話でございますが、教育はずっとオン・ザ・ジョブでやっていくということのほうが多いのでありまして、あれを開始しましてから非常に順調に教育も行なわれていきつつあるという形でございます。  それで、これは「むつ」の例といまおっしゃいましたけれども、そういうふうにならぬようにはわれわれも十分考えてやっていっておりますので、組合員の要望を全然無視したというかっこうではないのでありまして、やっていきさえすれば必ず従業員というものはわれわれの意思をくんでくれて、支障なくいくものとわれわれも信用しておりますし、また実際にそういうふうに動いていっております。しかし、御趣旨のように、必ず先生のおっしゃるようなかっこうでやっていきたい。  ただ一つだけ申しますが、水泳をすっかり覚えてから水に入れろ、水に入れないから水泳はいつまでたっても覚えられないという、これでは何べん繰り返したって同じことなんでございます。そういうことでございますので、よろしく御判断をお願いいたします。
  71. 石野久男

    ○石野委員 水泳を覚えなければ水に飛び込ますなというようなことではだめだという、そういう筆法を私に言わなくても、現場におる技術者がそう要求をしておるのだから、そういうことをここで、いかにも思いやりがあるようなことを言わないようにしてくださいよ。  同じような再処理工場の中止の申し入れを二号炉の阻止訴訟原告団がやっているわけですよ。周辺地の住民の一万二千三十五人の署名簿を持って行った。ところが事業団はそのことを、おまえらみたいなそんなわずかな者では相手にならない、こういうことではねつけているわけですね。こういう行き方はまずいですよ。だから、これはあと理事長、よく調査してほしい。一万数千人の署名を持って行き、しかも原告団だけじゃないんですよ。茨城県の労働組合連盟の諸君、それから社会党、みんな代表団が入っておるわけですよ。その代表団が入っておるものに対して、そういうような、ある程度まとまった団体でなければ回答はできない、こういう返事が来ている。これ以上まとまった団体は茨城県ではないんですよ。やはりこういう扱い方は非常に官僚的というか、権威的といいますか、まずいです。これはやはり理事長から注意してもらわなければ困る。これはひとつ注意してください。  それで、私は原子力局長に聞きますが、先ほどお尋ねしました県漁連のほうからの「再処理工場並びに東海第二原子力発電所の安全確保等に関する要望書」というのには、「とくに一乃至四の事項についてその実現が期せられないうちは、再処理工場の試験操業並びに東海第二発電所の試運転は認め得ないことを篤と申し添えます。」ということを書いてあります。その一から四までということは、一つ、「再処理工場の安全に関する再審査を直ちに実施すること。」二つは、「周辺環境の安全を確保するための中央評価機関を直ちに設置すること。」三つは、「再処理工場の設計および工事方法について、第三者による審査を行うこと。」第四は、「東海第二発電所の安全に関する再審査を直ちに実施すること。」こういうふうに書いてあるんです。この問題については、原子力局はどういうようなお考えをしておりますか。
  72. 生田豊朗

    生田説明員 ただいま先生御質問の点でございますが、まず第一の再処理工場の安全審査、いわゆる再審査でございます。私どもは、すでに済みました安全審査を全部初めからやり直すということは、ただいまのところは考えておりませんが、問題は、いわゆる海洋調査関連いたしまして、より詳細な審査をすべきであるという御趣旨かと思います。その点につきましては、昭和四十一年の原子力委員会決定もございますし、その線に沿いまして、より詳細な審査をつけ加えてまいりたい、かように考えております。  第二は、いわゆる中央評価機構の設置でございます。これは当然設置をすべきものと考えますので、なるべく早く、できれば年内にでも発足させたいと考えております。  それから第三番目は、設計工事方法につきまして、これは行政庁といたしまして設計工事方法審査をしてまいったわけでございますが、これを第三者にも見せて、その判断を仰ぐようにすべきであるという御趣旨かと理解しておりますが、これもそういう方向で、初めからやり直すということではございませんで、すでに行ないました設計工事方法審査を第三者の方に、やり方、結論その他を十分見ていただくという方向で進めてまいりたいと考えております。  四番目は、東海第二発電所でございます。これはもうすでに安全審査も終わり、設置の許可も済みまして、ただいま建設中のものでございます。したがいまして、これにつきましては十分安全審査あるいは通産省の詳細設計審査その他も終わっているものでございますので、特にあらためてこの再審査を行なう必要はない、かように考えております。
  73. 石野久男

    ○石野委員 漁連の要求しておる第一の、安全に関する再審査を直ちに実施せよということは、原子力委員会の責任でもう一度やれということなんですね。ですから、いま原子力局長が理解しているのとはちょっと違う。この点は、そういう理解のしかたでやれば、漁連の要望しておる意向とは全然違うんだということだけを指摘しておきます。やはりそういうことであるとするならば、これはおそらく現地では理解しないだろうと思います。しかもまた、漁連はこれらの問題を前提として事業団との間に漁業補償をしておりますね。漁業補償というのは、これが十分ならなければ、補償したことによる工事進捗というのは、またそれがひっかかってくるわけですから、やはり理解を正しくするように、これは望んでおきます。  時間がありませんから次の問題に移りますが、安全協定の問題で、現地ではいろいろやっておりますけれども、その中に総量規制の問題が出ております。この総量規制の問題について原子力局は、特に放射能によるところの汚染問題についての総量規制を、あそこには幾つかの事業所がございますけれども、それらを個別に見ていくのか。総量規制という問題では、その幾つかを全体にトータルとして広域総量規制ということを考えるべきじゃないかというふうに思いますけれども、その総量規制ということの意味をどういうふうにとらえるか、そこをひとつお聞きしたいと思います。
  74. 半澤治雄

    ○半澤説明員 安全協定で総量規制ということばが使われておりますが、私が理解しておりますところでは、個々の事業所ごとに、それぞれの事業所が放射線を管理する管理目標をきめていく、こういうふうに承知しております。
  75. 石野久男

    ○石野委員 これはもう論議はまたあとにいたしますが、総量規制の考え方というのは事業所ごとということになりますと、事業所が一つの場合は全域に一つになりますけれども、五つも十もあれば、総量の規制はずいぶん違ってくるはずですね。結局は四日市の問題のようなものが出てくる可能性がありまするので、私は原子力局の、あるいは科学技術庁の総量規制に対する考え方なり指導の問題については、いま一度ひとつ検討を加えてもらいたい。事業所別というのは意味がないと思うんですよ。その点、ただ思いますだけではなしに、今後どういう指導をなさいますか、所見を聞かしていただきたい。
  76. 半澤治雄

    ○半澤説明員 御案内のように、あの地区には放射線監視の委員会がございます。そこで総合的な地域の放射線のデータの収集、解析を行なっております。したがいまして、各事業所ごとの線量の管理目標をきめるわけでございますが、それはその地域全体における放射線被曝における安全性という点を当然に踏まえてつくられるものというふうに考えております。そのように指導したいと思っております。
  77. 石野久男

    ○石野委員 いま一度お尋ねしておきますが、監視委員会が各事業所別と折衝はするけれども、事業所はみな別個にあって委員会のほうは一つですから、委員会がトータルで押えていく場合と、それから事業所別に押える場合とは当然違ってくる。そのときにやはり委員会の線で、トータルでそれぞれの事業所をその中に包括する、こういうふうな指導をするという意味ですね。
  78. 半澤治雄

    ○半澤説明員 趣旨がはっきりいたしませんので申しわけございませんが、最初申し上げましたように、放射線管理の目標を各事業所ごとにきめますね。ただ、放射線の監視というのは、事業所ごとになされるのみならず、地域全体でもなされておりますので、その地域全体の放射線管理の水準から見て、問題がないというラインできめられるというふうには考えております。
  79. 石野久男

    ○石野委員 問題がないということは、たとえば総量規制を東海地区なら東海地区で三十ミリレムなら三十ミリレム、あるいは五ミリレムなら五ミリレムということできめますね。そのときに、各事業所ごとに五ミリレムを総量規制だということでやりますれば、三つあれば、それが重加算されれば十五ミリレムになってしまいますね。各一つ一つは五ミリレムずつできまるけれども、総量でいけば和がそれになってしまうのだから、そういうことではまずいのでしょう。
  80. 半澤治雄

    ○半澤説明員 それぞれの事業所ごとの管理目標をきめますと申し上げましたけれども、それぞれの事業所が出します放射線とその地域の被曝の関係は、先生御案内のように、たとえばあそこに一番大きな原子力発電所がございますけれども、この評価をいたします際には、発電所の場合は頂上を考慮した評価をいたしてございますね。ですから、いわゆる一般人の許容線量を五百ミリと申しておりますけれども、たとえば東海の発電所は五百ミリで管理するわけではございませんで、ずっと低いレベルで管理してございます。それは東海の発電所が動きました場合の放射線の影響の頂上を、ほかの施設から出る放射線の影響をも加えて評価しているわけでございますので、そのように御理解いただきたいと思います。
  81. 石野久男

    ○石野委員 総量規制というのは、ばらばらにやって全体のその地域における被曝線量の総和をこえるというようなことであったのでは意味がないので、そういうことでないということを、やはり確認しておかなければいけないと思います。  続いて、私は柏崎の原電の地盤の問題で伺いますが、先ほど小宮山氏からの質問もございました。あの地盤がどういう地盤であるかということについて、これはさだかにきめることはできないと思いますが、実は私もあそこへ行きまして調査もしました。前の委員会のときもちょっと申し上げたのですが、坑内にも入ったりしていろいろ見てきております。それで、東電さんのほうから資料も出てまいりましたが、いろいろ問題があるので、きょう参考人として和光大学の生越先生に来ていただいておりますので、時間があまりございませんけれども、問題になっている点について生越先生の御所見を承りたいのです。  東電さんから出した資料などをずっと見ますると、西山層の上にある安田層と番神砂層の生成年代について、東電側は二十万年ないし三十万年以前、または十五万年ないし二十万年以前だと言っておるのに対して、新潟大の測定では二ないし三万年というふうにけたが一つ違うわけですね。この新潟大学の測定からいいますと、この前も申し上げましたように、これは東電側が意識的に書きかえたのだというような疑義を反対同盟は提示しておるのですけれども、これらの問題について、先生はあそこで現地も見られたし、先生考え方をひとつここでお聞かせいただきたいのです。
  82. 生越忠

    ○生越参考人 お答えいたします。  西山層という地層が炉心を置く地層になっておりますが、その西山層の上に安田層という地層とそれから番神砂層という地層がございます。二つの地層はいずれも洪積層でございます。それから西山層は第三紀層でございます。それでいわゆる番神砂層は、これは古い砂丘になっておりますが、この年代につきましては、私の見解では、反対同盟の諸君の言うとおり非常に若いものであるというふうに思います。  東電のデータは、日本列島全体のおい立ちについていろいろ議論いたしました本の中で、新潟地方の洪積層を南関東と比べまして、ちょうど横浜市の鶴見のほうにございます下末吉層、それから下末吉ローム層、そういうものとたまたま比較いたしまして、それで、下末吉層は二、三十万年前なんだから安田層は二、三十万年前なんだという議論でございましたけれども、新潟と関東と比べることはいまの水準ではできません。私は二、三十年来関東地方の地質調査をやっておりますけれども、房総と三浦とを比べることすらできないのに、新潟と南関東を比べることはできません。やはり新潟大学でやりましたように、放射性炭素を使いまして直にはかった年代、これによりますと、安田層も番神砂層もいずれも東電のデータよりはゼロが一つ少なくなります。そちらのほうが正しいと私は思っております。
  83. 石野久男

    ○石野委員 私はあまり学問的にはわからないんだけれども、そういう地層の生成年代の上からいいまして、もし反対同盟の言っているような年代、それは地層によって地質がいろいろ違うと思いますけれども、あそこに行って私もいろいろ話を聞いたり見たりして、これではなかなか容易じゃないなと、こう思ったのですが、炉心を設置するような状態であるのだろうか、あるいはまたもしあるとすれば、あの敷地の中でどんなところが適地なんだろうかというようなことを実は疑問に思ってきましたが、先生はその点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  84. 生越忠

    ○生越参考人 私は、柏崎とそれから刈羽の地区内に関する限りは、炉心を設定するのに適した地盤はないと思っております。  その理由は、西山層という地層がほかの新潟油田地域の西山層に比べまして非常に風化が進んでおります。どこをたたきましてもぼろぼろでございます。これは坑内でもしかり、それから坑外でもしかりでございます。ひび割れが非常に多くて、それから小さな断層がたくさんございますし、そのひび割れあるいは断層などに沿いまして水が非常にたくさん含まれておる。含水比が五〇%という非常に水びたしの地層でございます。こういうところは炉心の設置場所としては適当でない。  それから、岩質が非常に不均質でございます。ハンマーでたたくとがさっとくずれるところもあるかと思えば、石灰分を含んでおって、そのために非常にかたくなっておりまして、ハンマーでたたきましても火花の出るようなところもございます。こういうふうに、やわらかいところとかたいところとが複雑にまじり合っているということですね。これは炉心を置く地盤としては最も不適当なところである、私はそういう感想を持っております。
  85. 石野久男

    ○石野委員 東電さんから出ておる資料で、特にこの地耐力をあらわす一軸圧縮強度でございますか、これはことのほか小さくてばらつきが多いとこちらは見ているわけなんですけれども、この点から見て、私ども、原子力の施設をするについて、どういうような問題が起きてくるんだろうかというようなことについてわかりませんけれども、先生は、そういう点についてどういうようなことをお考えになられていますか。
  86. 生越忠

    ○生越参考人 一軸圧縮強度というのは、岩石の強さをはかる一つの試験によって得られた強度、強さでございますが、これは東電も、実際の強さよりは低く出るというふうに言っております。あそこの強度は非常に低いわけでございますが、それはそのとおりなんでございますけれども、現地ではかるわけではなくて室内ではかりますので低く出ます。しかし、福島の原発の基盤のように二億年ぐらい前の古い地層でございましたら、現場から実験室の中へ持ってくるまでの間に乾燥がひどくなって、この強度がそんなに低くなるなんというようなことはないと思います。持ち歩いております間に値が非常に低くなるということは、もともとぼろぼろの地盤なんだからであって、東電が言っております実際の強さより低く出るというのは、まさにこの地層があるいは岩石が、炉心の設置場所として不適当であるということを間接的に言っていると思います。  それから東電は、飛び離れて低い値を示した四つのサンプルのデータを、これははかり方の不手ぎわによるものだということで切り捨てておりますが、先ほど申しましたように、この柏崎の原発の炉心を置きます基盤になる地層は非常に不均質でございますので、場所によっては非常に低い値を示し、場所によっては高い値を示す、こういうふうにばらつきがあるのは当然でございます。その当然なことを、非常に低い値が出たものは、測定の誤りないしはサンプル自体不適当だったということで切り捨てておりますけれども、これは非常に間違いであると思います。  それからもう一つ、荒浜というところに原発の一号炉が置かれるわけでございますが、なぜか最初に発表いたしました東電の資料では、原発を置く地盤の一軸圧縮強度については書いておりませんで、大湊地区という別のところのデータを出しておりまして、あとでもって荒浜地区もつけ加えましたけれども、荒浜地区は大湊地区に比べて、その一軸圧縮強度がはるかに低くなっております。しかも最低が、一平方センチ当たり五・五八、最高は四十・五六キログラムということで、ばらつきが非常に多いということですね。これは岩石の不均質性を示す一つのデータでございまして、そういう面から申しましても、ここは適当ではございません、かように思います。
  87. 石野久男

    ○石野委員 弾性波速度からいうと、西山層は椎谷層よりも第四紀層に近いというようなこともお聞きしておりますけれども、弾性波速度から見たこの地点のなにはどういうふうにお感じでしょうか。
  88. 生越忠

    ○生越参考人 西山層は、大体生成された年代が三百万年ないし五百万年前といわれております。大体第三紀の中ごろないしは多少新しいほうになりますが、そういう第三紀の泥岩の弾性波速度は、大体従来のデータでは、最低一秒二キロということでございまして、大体二キロと三キロの間に入る。ところが、ここの地点の弾性波速度は一・七ないし一・八キロでございます。普通の第三紀層に比べまして非常に低い値になっております。先生が先ほど申し上げましたように、西山層の下に椎谷層という地層がございますが、これは二・一キロでございます。それからずっと飛び離れまして、先ほど申しました安田層などの洪積層になりますと、これは一・五ないし一・六キロでございます。それに比べて西山層は一・七ないし一・八でございますから、むしろすぐ下にくる第三紀層の椎谷層よりもうんと新しい洪積世の安田層の弾性波速度のほうにずっと近いということは、これはどういうことかと申しますと、ごく最近できた洪積層の軟弱地盤、それこそやわらかい地層、それにかたさから申しますと非常に近いということになります。  要するに、これは一・七キロという第三紀層の粘土質、泥岩の弾性波速度というのは、風化してぼろぼろになっているということを示すんだと思います。ということで、これは第三紀層というよりは、弾性波速度の点から申しますと、むしろ洪積層に近い地層であるということになります。
  89. 石野久男

    ○石野委員 この前私どもがあすこに参りましたときに、先生は記者会見のときに、先ほど小宮山委員からもちょっとお話の出ました、風化が激しくてぼろぼろ、がたがたの地盤と言わざるを得ない、まさにとうふの上に原発をつくるようなもので危険が一ぱいだ、こういうふうにおっしゃられた。いわゆるここで先生の言う、とうふの上に原発をという意味はどういうことなんですか。
  90. 生越忠

    ○生越参考人 とうふの上に原発をというのは、地元の社会党の県会議員の方がいつでしたか言われていたことでございますが、まさにそのとおりだというふうに私が記者会見のときに申しましたのが、私が言ったようになっておりますが、これは科学的な表現でなくて文学的な表現になりますけれども、たとえば、福島の原発の基盤をといしだとすれば、まあ大体とうふだと言ってもいいんじゃないかというふうに思いますので、文学的に表現した場合にはそうなるということについては、間違いではないと思います。  それで、あそこの地域の西山層の比重でございますが、最高は、特別かたいところが二・六九、最低が一・一でございます。二をこえますと大体といしぐらいになりますが、一・一と申しますと水よりちょっと重いわけでございますので、大体たんぼのどろどろの土でございますね。そんなところもあるということでございまして、とうふの上にというのは、科学的には非常に穏当を欠くかと思いますが、そういうたんぼの土に近いようなどろどろ、じゃぶじゃぶのところもまたあるのだということでございます。
  91. 石野久男

    ○石野委員 極限支持力の問題で、反対同盟が出しました一平方センチ当たり十・六四キロと、それから東電が言っております一平方センチ当たり四十五ないし七十キロ、この開きが非常に大きいということについて、東電のほうでは、その算出根拠に疑問を持つというような意見が出ておりますけれども、これらの問題について、ただ明確にそれに対する疑問は投げかけておるけれども、反論も何もないのですね。こういうような事情が出てくる理由はどういうことからなんだろうか。ずいぶん開きが大きいですね。先生、これはどういうことなんでしょうか。
  92. 生越忠

    ○生越参考人 これは、おそらく先ほど井上審議官も言っておられました、一平方センチ当たり四十五ないし七十キロ、こういう東電のデータがあるということを申されておりましたが、柏崎・刈羽開発促進協議会のほうでは、ある関係式を用いまして十・六四という数字を出しております。まさに東電のデータの四分の一、五分の一、六分の一という非常に小さなデータになりますが、東電はわずか三カ所でしかデータを出しておりません。あれだけ不均質ないろいろなかたさ、やわらかさの地層であるにもかかわらず、たった三カ所ではかっただけでございます。おそらくデータのとり方がいかにも少ないということから、こういう数字の違いが出てきているのではないかと思います。  それで、ちなみに、先ほど先生からもお話ございました一軸圧縮強度、これの最低と最高の違いは一対十でございます。それから比重の違いは一対二・五になります。最低一・一、最高二・六九でございますので、一対二・五になります。ところが、極限支持力は最低が四十五、最高が七十でございますので、一対一・六にしかなりません。これに限ってばらつきが少ないです。一軸圧縮強度あるいは比重にこれだけばらつきがあるんだったら、極限支持力も当然もう少しばらつきがあってよろしいと思いますが、おそらくこのデータは、かたいところだけをはかってこういうふうにしたのではないか、私はそのように思っております。  ただ、このはかり方につきましては、東電自身も先ほど先生がおっしゃいましたように、柏崎・刈羽促進協の関係式の用い方などに疑問は提起しておりますけれども、明確な反論をいたしておりません。これについては私も十分まだわかりませんので、東電のほうでもっとたくさんデータをお集めになって十分御検討なさるように、私からそういうふうにお願いしたいと思いますが、ともかくいまの段階では、データのはかり方の非常に少ないということが、こういう問題をもたらしているのではないかというふうに感じます。
  93. 石野久男

    ○石野委員 あの地域の地盤が活褶曲地帯だということが、まあ大体私などあそこへ行きまして、専門的には何もわかりませんけれども、いろいろな人の意見を聞いたり何かしますと、そういうようなことをお聞きしました。こういうようなことは、断層などとの関係ではどういうふうに関係しているんだろうかという疑問を私たちしろうとは持つのですけれども、その点について、特にああいうような原子力の施設を置こうとする場合に考えておかなければならぬことがあるのではないだろうか、こういうように思いますけれども、それらの点について、先生はどういうようにお考えになっておりますか。
  94. 生越忠

    ○生越参考人 新潟油田地帯は、北海道の渡島半島あたりから津軽、それから秋田油田、山形油田、それから新潟油田、それから長野油田、それから八ケ岳のうしろあたりをもぐりまして南関東のほうへ、三浦、房総半島というふうにずっと連なっております一つの褶曲帯の一部に属しております。この第三紀の褶曲帯は日本全国で大体五つございますけれども、そのうちで活褶曲帯というのはここだけでございます。現在、地盤がかなりの速さで動いている場所である。褶曲もしておるし、断層も動いておる。全部動いておるわけではございませんが、断層のうちのあるものはいまでも動いているということでございます。  そこで、東京電力のほうでは、活褶曲帯であるということを認めながらも、たとえば年間一ミリとかなんとか、たいして動いているわけではないから、工学的には関係ないし、それから原子炉の炉心の耐用年数から見て、この程度なら問題ないと言っておりますけれども、動いている大地に地震が起きた場合にどうなるかということがやはり一番心配だと思います。活褶曲帯、活断層地帯では、そうでないところに比べて地震が起きた場合には非常に大きな変動を生じるということは、過去の地震のデータから見ても明らかなことではないかと思います。  そういうことから見まして、原子炉の耐用年数から見てこの程度はネグリジブルであるという議論は、これはまさに暴論でございまして、現在動いている大地であり、そこに原子炉を置くということについては細心の注意が必要であるのに、動き方がこの程度ならばだいじょうぶだという東雷側の見解でございますが、それに対して私は非常に危惧を持ちます。  そういう軟弱地盤であることに加えまして、現在なおかつ地殻運動を継続中の場所であり、それからまた、そろそろ地震が起こるかもしらぬぞということで、地震の予知のための観測を強化しているところでもございますので、そういう場所は、いかなる見地から見ましても、原子炉を置く場所としてはまことに不適当なところであるというふうに申さざるを得ません。
  95. 石野久男

    ○石野委員 先生のいろいろなお話を聞いておりまして、実は私、いまここに、「柏崎刈羽原子力地点の地盤について」という東電からの資料を持っておりますけれども、これの初めに、「これらの調査の結果、基礎地盤は、十分強固で、安全な発電所建設の適地であるとの確信をえております。」こういうように言っているわけです。いま先生からは不適当だということのお話があったので、お答えは要らないように思いますけれども、しかし、東電はこういう資料をたくさん出しておりますし、先生のいまのようなお話、またそれから現地で反対同盟の諸君も相当詳細な資料をあちこちから集めて、このような膨大な資料を持っておるわけですね。  これらのことから見まして、先生の立場から、この地盤問題をいまどういうふうにしたらいいか、特に先生は学者でございますが、学者の立場から、東電さんのこういうような意見がある場合、どうしたらいいだろうかということについてのお考えがあったら、ひとつ聞かせていただきたい。
  96. 生越忠

    ○生越参考人 お答えいたします。  まず、地質学のデータそのものについて、反対同盟の側と東電の側との間に大きな違いがございますので、なぜその違いが出たかということを両者でじっくり現地で討論する、その機会がまず最小限度必要であろうかと思います。聞くところによりますと、東電側にも専門の地質学者はおらぬそうでございます。この前私が参りまして御案内いただいたときも、これは工学のほうの関係の方で、地質学者はおらないということでございました。いずれ東電の側で地質の専門の方に意見を聞かれると思います。反対同盟の諸君のほうでも、私を含めていろいろ聞いておりますが、二つ意見を持っている者を現地で討論させる、これが大事であろうと思います。  それから、現にいままでさまざまな調査が進んでおりますけれども、その調査データを、得られた結果をみんなの前に公表して、みんながそのデータに基づいて公平な立場から検討する機会が必要であろうかと思います。私ども、いろいろの方法で東電の資料も見せていただきましたけれども、先ほどお話をいたしましたように、たとえば比重の中で非常に低い値が出たら、これははかり方がおかしかったのだということで切り捨てております。一軸圧縮強度にせよ比重にしろ、はかり方が間違いだったとか、サンプルが悪かったということでみな低い値を切り捨てて、わざわざ高い値だけをもとにして平均値を出したり、最低値を出したり最高値を出したりしているわけですね。ということで、反対同盟のデータよりも東電のデータのほうが平均値が高くなるのは、そういうことでございますからあたりまえでございます。反対同盟の諸君は、東電がデータを偽ったというふうに言っておりましたが、私は、そのデータを拝見して私なりに検討いたしました結果、低い値を切ったということであって、書きかえたということではございませんでした。ということで、東電の場合には、その低い値を切った上で、これこれしかじかの数字が出たのだから安全だということでございますが、それはそうではございません。  ですから、東電の資料そのものは、私から言えば、恣意的に都合のいいデータだけを取り上げて、それについてこれは安全だという結論を出したのであって、ほかのデータも入れれば、安全という結論は、おそらく十人中九・九人の人までは出さないだろうと思います。
  97. 石野久男

    ○石野委員 いま一つ先生にお伺いしておきたいのですが、地質的な問題があるときに、それを工学的に補強するというようなことで、原子力の施設などをつくっていくということの可能性には限界があると思いますが、この柏崎地区は、そういうふうに地質学的に問題のあることを、工学的に補強していけるような可能性のある地点だというふうにごらんになっておられるかどうか、その点について……。
  98. 生越忠

    ○生越参考人 私は、どのような土質工学的ないろいろな新しい技術が最近生まれつつあるかということについては、十分には承知しておりませんけれども、進歩すればするほどかえってあぶないことがわかって、だめになるというデータもたくさんございます。その一例は、東京−大宮間の東北新幹線の地下トンネルがだめになったということで、高架か地下トンネルかでいま論争がございますね。ああいうふうに、進歩すれば何とかできるというものではございませんと思います。  それは、先生のおっしゃったとおり限界があるということで、あそこの地盤のようにただ軟弱だということだけでございましたら、あるいは土木工学が非常に進歩すれば、それに対応する新しい技術もできるかもしれませんけれども、何ぶんそろそろ地震が起こるかもわからぬ場所であるということ、それからまた日本で唯一の活褶曲帯であるということで、現に動いている場所だということですね。造山運動が行なわれている場所であるということからいいまして、それをとめることは実はだれにもできないと思いますので、わざわざ何でああいう地盤の悪いところを選んだかということがまさに問題なのであって、私のいまの考えでは、いかなる土木工学的あるいは土質工学的な技術を用いましても、あそこの軟弱地盤あるいはいま動いている大地、そういう場所に原子力発電所をつくることのマイナスあるいは危険性、それを補うということについては、これはしろうと考えでございますが、おそらく不可能ではないかと思います。そちらのほうにつきましては、土木技術のほうの御専門の方からひとつまた御意見をお聞きになればよろしいかと思いますが、私の立場からはその程度にしかお答えできません。
  99. 石野久男

    ○石野委員 大臣にお聞きしますが、私どもは実は柏崎の現地の地盤が問題になっているということで調査に参りまして、それでいろいろ見てまいりました。生越先生からの話はいまのような事情でございます。いろいろの問題があろうと思いますけれども、柏崎の原発は電調審を経て、これから原子力委員会安全審査にかかるわけでございますが、炉の安全審査の前に地盤の問題でこういう問題があるということは、きわめて重大でございます。  そういう点について、今後対処する考え方というものがわれわれにとっても非常に大事なので、どういうようなお考えで柏崎の発電所について見ておられるかということについての所見をひとつお聞かせ願いたい。原子力委員会のほうからもひとつ。
  100. 足立篤郎

    足立国務大臣 原子力発電所の設置にあたりましては、安全性について十分審査することが大前提であると考えております。  先ほど来お話も出ましたとおり、柏崎の原子力計画につきましては、設置許可申請が出ました暁におきまして、科学技術庁といたしましては鋭意審査を進めたいと思っておりますが、地元で、いま石野さん御指摘のとおり安全性の点でいろいろと疑問があり、特に地質の点について疑問が投げかけられておるということも承っておりますし、ただいまの質疑応答を私も拝聴いたしておりますので、この審査にあたりましては慎重を期したいと思っております。
  101. 山田太三郎

    ○山田説明員 お答えいたします。  元来、原子炉を設置します際には立地指針というものがございます。その中で大前提は、事故を誘発しないような場所であるということでございますからして、それは地震の問題あるいは津波の問題、いろいろな問題がまず検討される大前提になります。しかし、現在のところわれわれのほうに申請書が参っておるわけではございませんので、実態は一切わかりませんが、考える大前提はそこにあると思います。  それで、石野先生も申されましたように、それが工学的な手段で対抗できるものであるかどうかということは次の問題になると思いますが、それも当然考えてまいります。そういうような意味で、いままでいろいろお話を聞かせていただきましたが、慎重に取り扱っていかなければならぬ、こういうように考えております。
  102. 安井吉典

    安井委員長 次に、米田東吾君。
  103. 米田東吾

    米田委員 大臣が御都合で途中退席されるということを前もって聞いておりますので、おられる時間一ぱい大臣に二、三御質問をして、もし重要な部分が残れば、おいでいただいたときにもう一度時間をいただきたいと思います。  実は大臣、私、新潟県の第一区なんであります。新潟県は田中総理の出身の県でもございます。それからまた、今日のこの金脈問題で総理がとうとう辞意を表明されておりますが、その大きなポイントになっておりますのは柏崎の原発用地、それから鳥屋野潟、それから信濃川の河川敷、この三つが大きなポイントになっておるわけでありまして、それが全部新潟に集中しているわけであります。   〔委員長退席、瀬崎委員長代理着席〕 私は、そういう観点でこの柏崎の用地問題をひとつ見てみなければならぬ、そういう感じがするわけでありまして、大臣にお聞きする最初の問題はそこでございます。  ただ、柏崎の原発用地について、実際に田中ファミリーといわれる室町産業とか、あるいは後援会の地元の会長である木村博保現県議がどういう反社会的な方法でこの土地を取得したか、これはすでに参議院の委員会、衆議院の委員会等では問題になって追及されておるわけでありますけれども、そういうことを繰り返して私はここでやるつもりはないのです。これは、私はもうおそらく大臣だっておわかりになっていると思うのでございます。  そこで、大臣に端的にお聞きしたいのでありますけれども、田中総理は二十六日に「私の決意」というものを発表しておる。要約すれば、「最近における政局の混迷が、少なからず私個人にかかわる問題に端を発していることについて、私は国政の最高責任者として、政治的、道義的責任を痛感している。」それからいま一つは、「世間の誤解を招いたことは、公人として、不明、不徳のいたすところである」こういうような心境を漏らされまして、この際、総理、総裁から引くということを声明されておるわけであります。  この田中総理の心境をすなおに受けとめてみまして、このような心境に立ち至った柏崎原発用地に限ってみますときに、この用地問題というものは、もう一ぺんもとへ戻して見なければならない要素があるのじゃないか、こういうような気がするわけでありまして、私の心境というのは、原子力行政の面からいって、このような黒い霧といわれる金権、金脈問題に巻き込まれておるあるいは端を発しておる、そういうところに原子力発電というものをつくることについての可否の問題であります。これはひとつ政治家としての大臣から考えてもらうべき問題ではないか、こういうふうに私は思うのであります。  確かにこの土地は、いま東京電力が買収済みでありますし、そこに原子炉をつくるということで、すでに電調審の答申も出ておる。事態は進んでおりますけれども、このように用地にからまる疑惑といいますか、しかも、そのことによって総理自身が責任をとるという事態になっているその原因の用地問題について、事態がどういうふうに進展しておろうと、これは原子力行政の面からいってもとへ戻して見るということは必要なんじゃないか、こういうようなつもりで、大臣の心境をまずひとつ聞いておきたいと思います。おわかりになりますか、私の質問。
  104. 足立篤郎

    足立国務大臣 たいへんむずかしい質問で、私がここで答弁をするのが適当かどうか、自分でもちょっとわかりません。   〔瀬崎委員長代理退席、委員長着席〕  柏崎の用地の問題については、私、全く聞いておりませんので、どういういきさつでどうなったかということも存じません。また、科学技術庁としては、そうした用地問題等不動産取引というような問題については関与すべき役所でございませんで、原子力発電を設置するのに適当かいなか、特に安全性についての審査をする機関でございますので、私が、科学技術庁長官としていまの御質問にお答えするのはどうも不適当ではないか、かように考えております。
  105. 米田東吾

    米田委員 科学技術庁は、確かに安全性についてチェックをする一つの重要な機関だと思いますけれども、やはり同時に科学技術庁は、今日の原子力行政について内閣では最高の管理、指導、推進機関なんです。したがいまして、一企業の原発用地の取得という問題に下げる前に、国家の原子力行政という面から、このような反社会的な方法で用地が取得されておることに対して、企業の問題とはいいながら、そういう責任ある役所の立場からして、またその大臣の立場からして、せめて好ましいとか好ましくないぐらいの見解というものは持っておられるであろうし、また政治家というものはそうでなければならぬのじゃないか、私はこう思うのでお聞きをしておるわけです。
  106. 足立篤郎

    足立国務大臣 田中総理の引退の弁、先ほど要旨をお読み上げになりましたが、私は、いま米田委員がおっしゃいませんでしたが、田中総理のあのときの弁明といいますか、一番の要点は、政治に渋滞あらしめてはならないという点にあったと思います。同時に、記者会見でも総理がおっしゃっていらっしゃいますが、いろいろと文春で問題になった点については、すべての点について検討を加えて、世間に対して自分は明らかに釈明をする決意であるということを言っておりますので、いまの柏崎の用地の問題について、田中総理自身が反社会的行為に関与したかどうかということについては、私は、個人としてはさようなことはないというふうに信じております。まあ客観的にごらんになりまして、どうもくさい点があるとかいろいろなことがいわれるようでございますが、原子力行政の立場からいたしますと、そういううしろ指をさされるようなことがないことが望ましいということは、申すまでもございません。  先ほど石野委員の質問に対して、いろいろ地質の問題等について一問一答がございました。私もよく拝聴したわけでありますが、科学技術庁といたしましては、そういう点に最も重点を置いて今後審査を進めたいということを、先ほども申し上げたわけであります。
  107. 米田東吾

    米田委員 私は結論から先に申し上げますと、このようないわく因縁のついた、要するに俗なことばで言えばけちのついた土地は、この際大臣もアドバイスをされて、東電という大企業でありますから柏崎の現地に寄付ぐらいして、市民の利用できる公園にするとか、あそこはまた海浜で唯一の海水浴のできる地帯でもございますし、まあその他いろいろ方法はあると思いますけれども、ひとつ戻してやったらどうか。こういうふうにされることが、いまの原子力についてのイメージを変えることにもなるし、今後地元民に対して非常にいい雰囲気をつくることになるのじゃないか。現にそういうようなことを望んでいる声もあるわけであります。それは企業の問題だとおっしゃらずに、そのくらいは行政庁の長である大臣の政治手腕によって指導性というものを持っていただいていいのじゃないか、こんな気持ちがあるのでありますけれども、重ねて大臣、どうですか。
  108. 足立篤郎

    足立国務大臣 米田委員のお気持ちは御意見として拝聴いたしますが、いま私がこの問題について、こうするああするということを言明する立場にないと考えております。
  109. 米田東吾

    米田委員 次に私は、この間の七月四日の電調審の問題につきましてひとつお聞きしたいのであります。なお、参考人の生越先生、もし時間をお急ぎのようでなければ、若干の質問がありますので、待っていただきたいと思います。  まず、電調審の関係で私は経済企画庁に御質問したいのでありますけれども、質問の第一点は、七月四日、すなわち柏崎の東電百十万キロワットの第一号炉の設置許可も含めました四十九年度の電源開発計画、これが審議されました電調審の経過というものはどういう経過なんだろうかということです。私のいろいろ理解している状態では、電調審が真に電源開発促進法の趣旨に基づいて十分な審議をしておらないのではないか。またこの出席者のメンバー等を見ましても、きわめて形式的、あえてはっきり言えば、ふまじめな状態で審議がなされておるのじゃないか、そんな気がするわけであります。これは私の気持ちであります。この電源開発あるいは電源の問題について、最高といえる当時の田中総理が会長である電調審の会議というものが、こういうものであって一体いいのかどうかという疑問が私にはわくのであります。したがって、七月四日の電調審の会議の模様というものをひとつ聞かせてもらいたいと思います。
  110. 小島英敏

    ○小島説明員 ただいま七月四日に開催されました電源開発調整審議会の模様等についての御質問でございますが、これは実は六月末ぐらいまでにできるつもりでおりましたのが、いろいろ地点の問題で時間が経過いたしまして、七月四日にようやく開催されたわけであります。  当日は、内閣総理大臣及び企画庁長官は出席できませんで、定めによりまして進藤武左ヱ門氏が委員長代理ということで会議が行なわれたわけでございまして、役所関係以外の委員出席者は、進藤さんをはじめといたしまして石原委員、巽委員、平井委員、和田委員、以上五名でございます。そのほかに役所の関係で、これは代理が非常に多いわけでございますけれども、もともと役所の関係以外の委員の方は代理出席を認めないたてまえでございますけれども、役所の関係は、各大臣なかなか時間の差し繰りがつかないものでございますから、従来とも代理出席を認めているわけでございまして、大蔵大臣代理、農林大臣代理、通産大臣代理、建設大臣代理、自治大臣代理、環境長官代理、国土庁長官代理、それから経済企画庁は長官は出席できませんでしたけれども事務次官が出席いたしまして、以上のような経緯で会議が行なわれたわけでございます。  それから、調整審議会自身は当日二時間くらいの審議しかできないわけでございますけれども、実は調整審議会が行なわれますに先立ちまして各省の間で何回も幹事会が持たれまして、またその幹事会の前に担当省の間でいろいろな問題について十分検討を重ねているわけでございます。たとえば、電力の安定供給確保の上で一体こういう発電所が必要かどうかという点につきましては、通産省及び経企庁が中心になりまして需給バランス等の面から十分検討いたしております。それから発電所の設置に伴いまして植生あるいは自然景観等の自然環境に及ぼす影響につきましては、通産省及び環境庁が中心になりまして綿密に検討いたしております。さらに温排水の漁業及び海産生物に対する影響につきましては、温排水の拡散予測をもとにいたしまして通産省、環境庁及び水産庁が中心になりまして綿密に検討いたしております。さらに最近の事例は、先生も御承知のように地元の意向というものが非常に重要でございますので、新潟県知事に対しましてこの地点を電源開発基本計画に組み入れることにつきましての意見の照会を行なっておりまして、これに対しましては六月十九日付で、計画に組み入れることに異議ない旨の回答があったわけでございます。  以上のような経過を踏まえまして、当日行なわれました電調審におきまして、四十九年度の基本計画の中にこの地点を組み入れるということで審議が行なわれたわけでございます。
  111. 米田東吾

    米田委員 いまさらここで電源開発促進法の第三条を私が読み上げる必要はないと思うのですけれども、要するに、これは内閣総理大臣諮問機関ではなくて、内閣総理大臣自身が会長になって、ここでいう「国土の総合的な開発、利用及び保全、電力の需給その他電源開発の円滑な実施」の計画というようなものが審議されるわけなんであります。いわば電力エネルギーの最高プランをつくる。しかも、それは同時に、行政的には決定事項となるべき審議会であります。こういう調整審議会なのに、いまの答弁でありますと関係八大臣が一人も出ていない。ちゃんと法律では大臣がこの委員になっておるわけでありますし、そうして会長には総理大臣が当たるというふうにも明記されているわけであります。読み上げませんけれども、大蔵大臣以下経済企画庁長官まで大臣が一人も出ていない。そうしてここに代理として出ておられます方は課長から次官までであります。こういう状態、私は素朴に疑問を持ちます。こういうところでエネルギーの最高プランがきめられる。しかも四十九年から五十六年までの長期プランがそこできめられる。四十九年度の年度プランがここできめられる。しかもその決定事項の中には、たとえば原子力発電等については地名を含めてきめる。今回の場合は柏崎と九州の九電で一カ所でありますけれども、地名を含めて答申の中に織り込まれてくる、きめられるわけであります。  こういうような結果から受ける感じからいたしまして、この審議会というのはまことに形式的だ。言うなれば経済企画庁が各省から上がってくるものを調整して原案をつくって、ほとんど一時間か二時間ぐらいでそれがすらっと説明されて通ってしまう。こういうことで一体いいのだろうかということを私は疑問に思うのです。これは局長どうなんでしょうか。いっでもこうなんですか。
  112. 小島英敏

    ○小島説明員 ただいま申し上げましたとおり、各大臣が御本人出席されることはなかなかやはり実際問題としてむずかしゅうございまして、どうしても役所の関係は代理が多くなるわけでございますけれども、代理が出ているからといって、会議がふまじめであるというようなことは私ども全然考えておらないわけでございまして、先ほど申しましたように、各問題別に各省の間で十分に審議を尽くして、問題をなくした形で出てくるわけでございますから、決して先生おっしゃるような、ふまじめなものだというふうには毛頭考えていない。極力まじめにやっておるつもりでございます。
  113. 米田東吾

    米田委員 もしそういうことなら法律を改正して、大臣が出なくてもいいようにしたらどうですか。そのほうがすっきりするんじゃないですか。担当局長とか次官とか、法律改正をして、そういうふうにきちっとしたらどうなんですか。おそらく一回も電調審には総理以下大臣というのは出ないんじゃないかと私は思う。そういうところに、要するに役人ペースできめられる。これは学識経験者は入りますけれども、最高の責任者である各省庁大臣が入らないで、しかもこういう重要な問題がきめられる。あなたのいまの答弁によれば、事前に根回しをして審議をしてもらっているのだ、こうおっしゃる。それはあくまでも事前でありまして、電調審ではないのです。  そういうようなことを考えますと、まことにあなた方は慢性化して、しかもこれは別にふまじめでも何でもないと思っているとおっしゃるのですが、きわめて正直だと思いますが、そういうことになっておるのじゃないかと私は思うのです。これは今後ひとつ厳重にこの法律の趣旨に立脚をして、全大臣が出れるようにしてもらいたい。一人も出ないのですからね。はなはだしいのは課長クラスが二、三出ていますね。課長クラスということを私は別に軽視して言うわけじゃないのですけれども、局長以上が出ているならまだわかりますけれども、課長というのはほんの担当の部課の課長であります。私はこういう点についてはきわめて承服できないのでありますが、これはこれからのことを特に配慮していただきたい、こう思って申し上げるのでありまして、ひとつ担当の局長からきちっとしたお答えをいただいておきたい。
  114. 小島英敏

    ○小島説明員 従来におきましても、うちの大臣が、出られます場合には極力出るようにいたしておりました。そういう例もあるわけでございますが、先日の七月四日の会議は、どうしても都合がつきませんで出席できなかったわけでございまして、今後とも、おっしゃるように、少なくとも企画庁長官、都合のつく限りは極力出席するように私どもも努力いたしたいと思います。
  115. 米田東吾

    米田委員 そのお答えで一応承知しますが、私はなお念のために申し上げておきますが、七月四日というのは参議院選挙のまっ最中であります。もともとこのときに特別公務員である大臣が出れるはずはないのです。百も承知している。そういうときに、そうたいして緊急性があるかどうか私はわかりませんけれども、電調審を開いて二時間くらいで重要なこの案件がきめられた、こういうことでありまして、私はそのことも含めて、今後事務レベルが先ばしりするようなことのないように、ひとつ十分お願いを申し上げておきたい。  それから次に、七月四日の電源開発調整審議会、ここに、東電が申請といいますか、提起しておる柏崎についての原子力発電というものが一応組み込まれるようなことになったわけでありますけれども、これはどういう経過なんでしょうか。というのは、ここで審議をされました四十九年度電源開発基本計画、これによりますと、「昭和四十九年度の電源開発計画においては、現在までに調整がととのったものを新規に着手することとし、今年度においてさらに新規着手が必要なものについては、懸案事項の早期解決を図り、可及的速かに電源開発基本計画を変更し追加するものとする。」こういうふうにあるのでありますけれども、これは柏崎原発について現在までに調整が整ったという意味だと思うのですけれども、ここでいう調整が整って電調審にかけたという、その調整というものは具体的にどういうものなんですか。これをひとつお聞かせいただきたい。
  116. 小島英敏

    ○小島説明員 これは先ほど申しましたように、やはり電力の需給上こういう発電所の設置が必要であるかどうかという問題、それから自然環境、植生等に関する問題、それから温排水が水産業その他にどういう影響を及ぼすかというような問題につきまして、各省間の調整が整ったということが一つございます。それからもう一つは、地元に対して、おっしゃいますようにやはりいろいろ、必ずしも住民の方々が皆さん問題ないというふうにはなっていないということは承知いたしておりますけれども、新潟県知事に対する問い合わせにつきまして、県知事のほうから異議ない旨のお答えをいただきましたので、その段階で、私どもといたしましては、一応調整が整ったものということでこの計画に入れているわけでございます。  原子力安全性等につきましては、先生承知のとおり、今後原子力委員会及び通産省におきまして、原子炉等の規制法、それから電気事業法に基づきまして十分に詳細に安全審査を行なうということになっておるわけでございます。
  117. 米田東吾

    米田委員 安全性はきょうはおきましょう。おきまして、そうしますと、少なくともこの三つの条件、要するに地元の意向、それから温排水を含めて立地環境、それと電力の需要関係を含めた計画、この三つの関係というものが満たされた、したがって、電調審にかけるためにこれを取り入れた、こういうことなんですか。
  118. 小島英敏

    ○小島説明員 そのとおりでございます。
  119. 米田東吾

    米田委員 そこで私は、この中で一番重要だと思いますのは、一つは環境関係があります。これは先ほどの石野議員やあるいは小宮山議員の質問によって、主管である通産省が環境調査もやりましたというあれがありますし、またおそらく東電側からもデータが出ていると思うのですので、これは別にいたします。  そこで、地元の意向というものは、いまの説明ですと、単に県知事の同意書、これだけで足りるとお考えなんですか。法律的にあなた方は、行政解釈として、市長とか議会とかあるいは地元の県知事とかというふうにいままでお考えになっておられるようでございまして、それは私、わからないわけでもありませんけれども、今度の柏崎の場合は、実は東電が発表したのが四十四年度でありまして、以来ずっと、特に地盤の問題、安全性の問題では、現地では非常に賛成、反対の対立激化した事情があるわけです。こういうことは、当然この柏崎の原発推進にあたっては配慮されなければならない、私はこういうふうに思うのでありますけれども、地元の意向というのをどんなふうにあなたのほうは見ておられるのですか。みんな賛成していると思っておられるのですか。
  120. 小島英敏

    ○小島説明員 地元にやはりいろいろまだ反対の意見が多いことは承知いたしております。それから通産省、通産大臣あて及び私どもの大臣あてにも意見の申し出がたくさんあることも事実でございます。  ただ、基本計画に組み入れましたといっても、一番重要な安全審査の問題が残っておりますし、電調審にかけますということは一つのやはり手続上の出発点というような感じでございまして、電調審が終わりますと、たとえば農地転用の申請をするとか、あるいは埋め立ての申請をするとかいうような手続が進んでいくわけでございますけれども、そのどこかで区切りをつけるという意味におきましては、やはり地元の意向というのは、県知事の意見によって代表されるというふうに考えておるわけでございまして、あといろいろ個々の問題についてさらに違った意見があります場合には、このあとの具体的な建設段階で、やはり尊重していくということであろうかと思います。
  121. 米田東吾

    米田委員 一番肝心の、その地域の利害関係者ですね、この動向が私は重要だと思うのですね。あなた方は、反対同盟というのは反対のために反対やっているんだというふうに頭からきめつけて、聞こうとされないようでありますけれども、それでは私はこの問題の解決にはならないと思うのです。  私の持っている資料によりますと、地元の新潟県の地方紙である新潟日報が、この柏崎原発について四十八年の秋に世論調査をやっております。これは柏崎市と刈羽郡の全住民に対する世論調査であります。新聞社の発表によりますと、八〇%が反対である。賛成はわずかに八%である。これは新潟日報のデータによってそれが示されておる。これは、四十八年といいますと昨年でありますから、最も新しいですね。  それよりもややさかのぼりますけれども、刈羽村、これは用地の中に食い込んでいる刈羽村であります。刈羽村では、四十六年の十二月、三千八百五十三有権者のうち二千三十九、パーセントにして五三%、これが反対署名をして村長並びに東電のほうに出しております。  それから四十七年の七月、これはその用地に最も隣接しておる荒浜地区、ここは三百三十戸の戸数がある部落でありますけれども、ここで反対が二百五十一、賛成が三十九。この場合の調査では、推進派といわれる、特にここではっきり言えば越山会であります。市長も越山会の幹部でありますし、村長も越山会の幹部でありますし、それぞれ行政の部落長とかそういうような有力者というのはみんな越山会の幹部であります。そういう方々がもう相当妨害をした。にもかかわらず反対が二百五十一という結果になっておる。もしそれがなかったら、おそらく全戸反対したのじゃないか。  それから、もう一つは宮川地区であります。同じく隣接しておる宮川地区、これが、四十七年十月三十日の調査でありますけれども、二百十六世帯、これは町内が集まりまして臨時総会を開いて、ここでは二百十六世帯のうち百九十三世帯が出席をして、満場一致で反対の決議をしておる。利害関係の最も濃いところの地元の意向というのはこうなんであります。  それを無視して、そのまま問答無用にして押えておいて、一体この重要な原発が推進できますか。県知事の同意書は確かに出たでありましょう。これはそれ自体問題でありますが、それは新潟県議会の問題としておそらく今後尾を引くと思いますけれども、ここでは私は、少なくとも地元の意向というものについてはもっと慎重に配慮されなければならなかったのじゃないか、こう思うのでありますけれども、この点いかがですか。
  122. 小島英敏

    ○小島説明員 私ども極力やはり現地の意向というものが、賛成が多くなるということが望ましいことは言うまでもないわけでございます。  ただ、先ほど申しましたように、中央の官庁といたしましては、やはりその県知事の意向というものが地元意見の代表として受け取るのがどうも常識的なことではないかと思います。住民調査というものも、住民の範囲をどうとるかというようなことによりまして、非常に大きく結論が変わってまいりますし、やはりある一つの行政的な判断をしていきます場合に、これが絶対正しいという世論調査というものはなかなかないわけでございまして、どうしても私どもといたしましては、一つの区切りとして県知事の意見というものを重視せざるを得ない。あと、ただ、おっしゃるように、いろんな不満、不安というようなものがなお残っていることは事実でございますので、これは今後の進め方の中で極力やはり尊重して、そういう不安や不満がないようにしていかなければいけないということは、先生おっしゃるとおりだと思います。
  123. 米田東吾

    米田委員 とにかく促進一本で、せっかくの主管の企画庁にしても通産省にしても科学技術庁にしても、企業の側に立って促進一本で、本来原子力なんかについては自主、民主、公開という、一番住民のコンセンサスを必要とする特に公開等については、一向に皆さんは熱意を示されない。あえて言えば、それは企業が悪いんだということで逃げられる。こういう姿勢が、私はあえて言えば、今度のこの「むつ」なんかのああいう事態を引き起こしておると思うのです。いまそれが反省されて原子力行政というものが再検討されなければならないという事態に追い込まれておるといわれておりますけれども、どんないいプランができたって皆さんの姿勢が変わらない限り、私はこの問題についての真の解決にはならぬと思うのです。こういう点については、特に私は関係各省に厳重に御忠告を申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、調整ができたという中で十分私も聞きたいのでありますけれども、この用地は東京電力の施設計画届け出書、これによりますと、大体用地は四百三十万平方メートルということになっております。この膨大な四百三十万平方メートルの用地というものは、私が調査しているところでは、まだ全部東電が取得をしておらない、残っておるというふうに聞いておるわけであります。この現状についてはどういうふうに理解されておるわけですか。
  124. 井上力

    ○井上説明員 お答えいたします。  私どものほうで承知いたしております用地の取得状況でございますが、取得分といたしまして民有地が合計三百九十三・九万平方メートル、未取得分といたしまして民有地が〇・一万平方メートル、国有地が九万平方メートル、公有地が、これは柏崎市有地でございますが、二十五万平方メートル、合計三十四・一万平方メートルというふうに聞いております。なお、電源開発基本計画への組み入れにあたりましては、必ずしも全部の用地の取得完了を必要としないというふうにわれわれは考えております。
  125. 米田東吾

    米田委員 ここに、いま聞きましたが、この中の国有地、それから市有地、この関係では非常に問題が残っておる部分があるわけですね。これはいま答弁されました井上審議官も御存じだと思うのです。要するに民有地じゃない、国有地あるいは公有地だから話は簡単だという御理解なんですか。いままだこの用地の取得はおくれておるけれども、これは話は簡単なんだということなんでしょうか。
  126. 井上力

    ○井上説明員 私どものほうといたしましては、公有地、柏崎市所有の土地でございますが、先生承知のように、四十四年の三月に柏崎市議会におきまして誘致決議をいただいておるわけでございます。また、公有地につきましては、電源開発調整審議会の審議におきまして関係各省の同意が得られておるわけでございますので、見通しとしては、使用し得る状態になる可能性が大きいのではないかというふうにわれわれは考えております。
  127. 米田東吾

    米田委員 これは一応問題だけあなたのほうに申し上げておきますけれども、柏崎の市有地はそう簡単に東電のほうに所有権が移るということにはなりませんよ。というのは、柏崎市議会がかつて、四十四年の三月に原発誘致を確かに決議しておりますけれども、その後市民の感情も変わっておりますし、市議会の議員の理解も変わってきておりまして、現にいま市長が、この問題についてはもう強行できない、地盤の問題については、特に第三者の調査なり意向を聞かなければ収拾できないというふうに市ぐるみ変わってきておるのですから、そういう情勢でありますので、そう簡単に市有地が、四十四年の三月に決議をしたと同じように、簡単にすんなり払い下げの議決ができるような状態ではない。  それから公有地というのは、おそらくあの中に通っておる里道のことだろうと私は思う。あなたは里道は国有地のほうに入れておられるのですか、公有地のほうに入れておられるのですか。約三千坪の里道があるはずです。
  128. 井上力

    ○井上説明員 御指摘の里道につきましては、国有地の中に含めて考えております。
  129. 米田東吾

    米田委員 この国有地なんかも、東電という企業に売却するには住民の同意が必要なんですね。そういう手続が必要なのでありまして、そういうことからいきましても、そう簡単に東電のほうに買収が可能になるなんということは考えられない。  私が言いたいことは、いずれにいたしましても問題がたくさん残っているということなんです。あなた方東京で見ておられますけれども、問題はたくさん残っている。こういうようなものが調整できたのだからといって、ことしの七月の電調審にかけるということについては、あえて言えば、あなたのほうの取り扱いというものがきわめて早過ぎたし、軽率でなかったか。もっと十分に会社のほうと地元との関係というものを、経済企画庁もそれから通産省も指導されるべきではなかったか、こういうふうに私は言いたいのであります。その点については、経済企画庁として別に意見はありませんか。これは当然だということですか。
  130. 小島英敏

    ○小島説明員 先ほど来申しておりますように、電調審は一つの手続上の出発点ということでございまして、地元の反対がなお残っている中で組み入れざるを得なかったという点は、遺憾な点ではございますけれども、現段階において原子力発電の重要性等から考えますと、私どもの手続といたしましては、あの段階計画の中に入れることはやむを得なかったというふうに思っております。  ただ、先生もおっしゃいますように、地盤の問題なんかで市長自身がさらに検討するということを言っておられるようでございますし、安全審査に関しましても、今後十分に念を入れて地元の不安等を少なくしていくように、十分の努力を傾けられるものというふうに期待しておるわけでございます。
  131. 米田東吾

    米田委員 もう一点聞いておきますが、この電調審の答申に基づきまして、地元の利害関係者から異議の申し立てといいますか、意見の申し立てが出ているはずであります。これはいまどういうふうに処理されておりますか。
  132. 伊藤謙一

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ございました意見の申し出につきましては、私ども経済企画庁をはじめといたしまして、通産省、農林省、建設省、科学技術庁の五省庁意見の申し出が出されておるわけでございます。  この点につきましては、電源開発促進法施行令の第六条第一項の規定に基づきまして、意見の申し出の相手側となる大臣は通商産業大臣であろう。その理由は、意見の申し出につきましては、この施行令によりますと、その利害関係を有する者が営む事業、それを所管する省庁大臣がその相手側の大臣になるという規定が第一号にあるわけでございますが、ただいまの本件の申し出内容につきましては、その住民の立場ということで意見が出されておるということで第三号に該当するということで、そういうふうに判断いたしておりまして、これにつきましては、関係省庁におきましてそういう取り扱いをするという方針で、ただいま検討がなされておるという状況でございます。
  133. 米田東吾

    米田委員 ことしの十一月二十三日の新潟日報紙、これは新潟県の地元新聞でありますけれども、日報紙によりますと、経済企画庁としてはこの意見書については申し出者に通知しない、通知すると新たな問題が起きることも考えられるので、県知事だけに処理模様については通知をしておく、こういう方針だということが新聞に提起されております。一体、この取り扱いについてはそういう方向で処理されようとしているのですか。時間がないから私、簡単に言うのです。
  134. 伊藤謙一

    ○伊藤説明員 いま、この点につきましては、法令上は回答することは要しないというふうに考えられるわけでございますけれども、なおその点につきましては、検討をいたしておるという状況でございます。
  135. 米田東吾

    米田委員 とかく皆さんは法規法令に基づくのでしょうけれども、やはりこのような案件の扱いについては、私は、法律上落ちがないというだけでは済まされないと思います。おそらく十数名、あるいはそれらの団体が異議の申し立てですか、意見を申し立てておるわけでありますから、それには、やはりあなたのほうの処理模様等を明確に答えていただきたい。そして法律によりますと、この電源開発促進法によりますと、その申し立てについては関係省庁は、妥当なものについてはしんしゃくをするんだということがちゃんとうたわれております。したがいまして、地元の関係者が出したものについて必要があるならばしんしゃくをしてもらう。これは第三条第四項にあるわけであります。「しんしゃくして必要な措置を講じなければならない。」こういうふうに明記されております。このしんしゃくというものはどういうものを意味するか、これもはっきりさせたいところでありますけれども、時間がありませんからやめます。  いずれにしても、この利害関係者あるいは住民が、国の決定なり行政措置に対して、これは憲法上でも保障されておりますように、これに対して発言ができる、異議の申し立てができる。要するに、憲法でいう請願とかあるいは陳情とかあらゆることが保障されているのは、私はそういう意味で非常に重要なんだと思いますし、この「しんしゃくして必要な措置を講じなければならない。」ということが、直ちにそこから来ているかどうかはわかりませんけれども、いずれにしても、私は十分な措置をしてもらわなければならない。ましてや、関係者に黙って県知事だけに一応扱いを話しておいて、問題が起きるからできるだけ秘密に処理をしてしまうというようなことだけはもう絶対にやってもらいたくない、こう思っておりますので、これはひとつはっきりと返事をしておいていただきたい、こう思います。局長からひとつ返事をしてください。
  136. 小島英敏

    ○小島説明員 役所の仕事といいますのは、どうも前例になりますと、あとがずっとそれでいくというのが普通でございますものですから、今回の場合は、件数からいってもそうたいした数でございませんけれども、将来非常にこれが多くの件数になりました場合に、個々に御返事をすることがはたしてできるかどうかという点も非常に問題でございます。  そういう意味もございまして、私どもの気持ちといたしましては、なるべくやはり親切にお答えをすべきだという気もいたしますけれども、やはり先ほど来の行政上のそういう問題もからみますので、いま各省とも鋭意検討しておりますので、きょうの段階は、こんなところでごかんべんいただきたいと思います。
  137. 安井吉典

    安井委員長 米田君、時間がもうすでに経過しておりますので……。
  138. 米田東吾

    米田委員 はい。それでなお現地のほうでは柏崎の市長から、先ほどからの地盤の、地質の関係につきまして疑問が出ておりますが、これらの問題も含めまして、現地の市長のほうでは、第三者による権威のあるものから調査をし判断をしてもらう、こういうふうに言っておるわけでありますし、それがきまるまでは、要するに住民に不安が解消するまでは、この許可申請が出ても受け付けてもらいたくないという意思表示まで付して当該市長が意思表示をしておるわけでありますので、こういうことにつきましても、ひとつ関係省庁としては十分配慮をしておいていただきたい。これだけ要望申し上げておきます。  それから、この前の質問で私は、現地に公開の説明会ぐらい開いたらどうか、こういう質問をしまして、これにつきましては、そういう方向で努力をしましょうという答弁もいただいておりますので、これもひとつぜひ促進するようにお願いしたい。  なお生越先生、申しわけないのですが、ほんの一つだけお聞かせいただいて終わりたいと思いますが、あそこの用地の下を通っているといわれる真殿坂断層は、先生の見解では、あの下をほんとうに通っていると見ておられますか。それとも、東電が言うように、褶曲かあるいは向斜じゃないかというふうに言っておるのですけれども、そういうふうにごらんになっておりますか。そのことだけ聞かしていただいて終わりたいと思います。
  139. 生越忠

    ○生越参考人 現地で、真殿坂断層という断層の存否について、ただいま大きな問題になっておりますが、これはちょうど炉心を置く用地の一帯が砂丘になっておりまして、いままでの大ざっぱな調査では、現地で見られません場合には断層を引きません。それで、たとえば三十七年にできました新潟県の三十万分の一の地質図では、これは現地にはないことになっております。  しかし、この断層は非常に大きな断層でございまして、それからまた、先ほど活褶曲帯、活断層帯ということを申しましたが、現在動いているという明確な証拠がございます。この断層の付近の建てられているうちがかなり急スピードで傾いたり沈下したりということで、かさ上げしているような家屋もございます。それで私は、おそらく現地の反対同盟の諸君が言うように、これはいままで地質図にかいてありませんでしたのは、確認されていなかったのでかいてなかったのであって、おそらく通っていると思います。  それは、やはり西山層というのは非常に場所によって傾きが違っておりまして、水平かと思うと四十五度ぐらい急傾斜しておったり、しかも、それが百メートルとか二百メートルぐらいの短距離でそのように傾斜が変わっております。そういう場合は、私が長年南関東の房総半島とか三浦半島なんかで調査した結果から推測いたしますと、やはり短距離で急に傾斜が変わるようなところには、断層がある場合が多いわけなんですね。  それから、穴の中にもぐって私はいろいろ見ましたけれども、小さな断層がたくさんございます。この小さな断層というのは、これまた独立して存在するのではなくて、大きな断層に伴って存在することが非常に多うございます。大きな断層というのは、たとえば一キロとか二キロ幅でございますが、小さな断層は、もうそれこそ一つの小さな岩石のサンプルの中にたくさん見られるというようなことで、これは頻度は全然違いますけれども、そういうたまたま坑内でこの真殿坂断層の続きがはっきり確認できなかったからといってないという保証はなくて、これはよく調べれば、おそらく出てくる可能性は十分あるというふうに私は思います。これは諸般の事情、それから私がほかの地域で詳しい調査をやったその結果から、大きな断層と小さな断層との関係、それから褶曲と断層との関係、そういう関連から見まして、ここにはおそらくあるだろう。  それから、部分的に非常に破砕帯のようになっておりまして、これはおそらく岩石破砕帯のようになっているところがございまして、これは付近に大きな断層がある証拠ではないかと思っております。これはまだ未確認でございますけれども、以上が私の感想でございます。
  140. 米田東吾

    米田委員 終わります。
  141. 安井吉典

    安井委員長 この際、生越参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、貴重な御意見をいただき、たいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  次に、瀬崎博義君。
  142. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 東電の柏崎・刈羽原発用地をめぐる問題について、政府の態度をただしたい。  地域住民の理解と協力を得て原発立地を進めるのが第一要件だということは、最近特に政府が論調しておられる点でありますが、本日も、新大臣あいさつでは、粘り強い話し合いで地元の理解と協力を得たいと言われたように思うのです。問題は、これを具体的に実行されるかどうかにかかっておると思うのです。あらためてお聞きするのは失礼かもしれませんが、政府を代表して、実行する意図のもとにあいさつされたのかどうか、政務次官にお答えいただきたいと思います。
  143. 片山正英

    片山(正)説明員 大臣が先ほど御答弁申し上げましたとおりでございますが、要は、原子力であれ新しい科学技術であれ、とにかく新しい問題の解決には、どうしても地元住民あるいはそれを取り巻くいろいろな御意見、そういうものと、安心感のある、信頼感のあるそういう形の中で実施してまいりたい、こういうふうに思っております。
  144. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういたしますと、ことしは分析研問題に続いて「むつ」問題、これで原子力行政をあずかる科学技術庁を中心として、政府に対する国民信頼が、ある意味からいえば根本的に崩壊したような状態になっておると思うのですが、その点は十分認識していらっしゃっての上のことですね。
  145. 片山正英

    片山(正)説明員 私もまだ勉強が実は足りないと思います。しかし、いま私個人の感じも含めて申し上げたいのでございますが、先ほど申し上げましたように、新しい技術というものが全国民ほんとうに理解される、そういう姿のPRというのは、正直言ってまだ足りないのではないかと私、思います。そういう意味での努力は、今後とも大いに続けてまいりたい、こう思いますが、その中で、やはり新しい技術でございますから、先ほど申し上げましたような、より安心感のある、信頼感のある、そういうものを進めていきたい。  ただ、ものごとを進める場合に、人間が白と黒との限界というものをはっきりできるものじゃない。そこに一つの限界というものがある。そこで、やはりいろいろな知識経験者、その知識経験者の中の一つの限界というものがあろうと思うのですが、そういうものを明確にしながら、ほんとう国民が理解される、安心感の持てるものをもって推進したい、かように思っております。
  146. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 住民のほんとうの理解とか安心感を得るものに原子力行政をしたいとおっしゃるのですが、そのためには、原子力行政をあずかる政府の政治姿勢に対する国民信頼感が何としても回復されないと、いかに政府がよいことを言っても、国民が納得しないのじゃないかと思うのです。その信頼感を回復するための努力はいかなる犠牲を払ってもなさいますね。
  147. 片山正英

    片山(正)説明員 当然、政府といたしまして国民信頼のないものをやっていけるはずはございません。そういうものについては、全力を注いでまいりたいと考えております。
  148. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃ、そういう立場で考えますと、巨大化、集中化の典型であるような柏崎の原発用地の取得過程で、田中首相の金脈にまつわる疑惑が生じているということは、これはきわめて遺憾なことだと思うのですが、御見解はいかがです。
  149. 片山正英

    片山(正)説明員 よくいろいろな報道の中で、金脈問題というような表現の中でいろいろございますけれども、私は実態そのものを知っておりませんので、ここで答弁することはできません。
  150. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう態度自身が、私は国民信頼をますます失うもとになるのではないかと思うのですが、では、一応次官の承知している事実関係がどの程度のものか、お聞きしたいと思うのです。  これはすでに国会にも問題になっております。昭和四十五年当時から問題に出ております。ですから新聞等の報道のみではありません。すでに事実として明らかになっているところでは、元刈羽村村長木村博保氏が用地の一部五十二ヘクタールを買収したのが昭和四十一年の八月、これを問題の幽霊企業室町産業に転売したのが四十一年の九月九日、ところが、これが翌年四十二年一月十三日、錯誤による抹消登記が行なわれ、登記上木村氏の所有に戻った、こういうふうないきさつが事実として明らかになっているのですが、これくらいのことは御承知でしょうね。
  151. 片山正英

    片山(正)説明員 残念ながら、私はその事実を知っておりません。
  152. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、本日出席の政府関係者から、これはすでに国会でも認められている事実であるので、お答えをいただきたいと思います。次官が知らないとおっしゃいますから。——だれが答えます。
  153. 安井吉典

    安井委員長 知っている人はどなたかな。
  154. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 知らないの。——次官、こういう状態に対して責任のある回答をしてください。——議事録を読みましょうか。
  155. 片山正英

    片山(正)説明員 いま御指摘のそういう問題について、いまここで私に責任ある回答と言われても、それはちょっと、実態を知らないわけでございますから、御答弁ができないことを御了承いただきたいと思います。
  156. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ、これは昭和四十五年の七月九日の参議院の決算委員会、それから四十九年十一月十二日、ついこの間の参議院大蔵委員会、ここでいずれもこういう事実があるということが政府側によって答弁をされております。ですから今後の話は、あらためてこういうことを知っていただいた上でのことで進めます。いいですね。——この議事録に問題があるとおっしゃいますか。ごらんになりますか。
  157. 片山正英

    片山(正)説明員 突然でございますので、そういう議事録も実は私、読んでおりません。  なお、この問題は、当面の科学技術の問題としての関連性の中では本日の議題として実は考えておらなかったものですから、私も読んできておりませんので、御了承いただきたいと思います。
  158. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 だから、私がいま指摘をして教えてあげましたように、そういう事実がすでに明らかになっているのです。  そこで、通産省が原子力平和利用委託費で、この柏崎・刈羽地点について原発立地の適地調査を行なっているわけなんですが、これはいつでしたか。
  159. 高橋宏

    ○高橋説明員 先生お尋ねの通産省でやりました立地調査でございますけれども、実施いたしましたのは四十二年二月ないし三月にやっております。
  160. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この適地調査という制度はいつから始めましたか。
  161. 高橋宏

    ○高橋説明員 三十八年度から、原子力平和利用研究促進費の中で、原子力発電立地調査委託費によって行なっております。
  162. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 四十二年二月ないし三月に柏崎・刈羽地点を調査されたわけなんですが、調査対象に選んだいきさつはどういうことでしたか。
  163. 高橋宏

    ○高橋説明員 この立地調査の趣旨でございますが、原子力発電がエネルギーの政策上きわめて重要であるという一方、その立地が自然的、社会的条件に関係する部分が非常に多うございますので、国といたしましても長期的、全国的な立場から立地地点を調査して、そのガイドラインとするという趣旨で行なっておるものでございますが、一般的に、この立地地点の選定にあたりましては、通産局等を通じまして県と協議をして行なっております。  この柏崎地点につきましても、四十二年ごろから地方通産局、県等との話し合いによりまして候補地を選定いたしまして、四十二年秋ごろ、通産省は新潟県と立地調査についての委託契約を締結いたしております。
  164. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 四十二年二月か三月に調査したのですか。
  165. 高橋宏

    ○高橋説明員 失礼いたしました。四十三年の二月ないし三月でございます。四十二年秋ごろ、通産省は新潟県と立地調査についての委託契約を締結いたしております。県はこの契約に基づきまして、翌年、すなわち四十三年の二月ないし三月に調査実施いたし、その報告を通産省にいたしております。
  166. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その通産省の結論はどうだったのですか。
  167. 高橋宏

    ○高橋説明員 この調査報告書は、結論として、妥当だとか不適当だとかいう表現ではございませんで、その調査の実際の中身を記載するにとどめております。そういうような趣旨の報告書でございます。
  168. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それは、判断としてはどちらなんですか、適否は。
  169. 高橋宏

    ○高橋説明員 いま申し上げましたように、適否の判断をいたすような報告書ではございませんが、その一部に、この地点は地盤が深いので、建造物を基礎地盤まで下げて立地する必要があるので、経済性は劣るというような表現にはなっております。
  170. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 経済性は劣るけれども、しかし、原発立地に適さないというふうなことではなかったわけですか。
  171. 高橋宏

    ○高橋説明員 そういう判断及び記載はございません。
  172. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま大臣が来られましたことですから、もう一ぺん確認しておきますけれども、四十一年の八月に、元刈羽村長木村民が北越製紙から、現在の原発用地の一部をなす五十二ヘクタールを買収された。これが四十一年九月九日、問題の幽霊企業室町産業に転売された。四十二年一月十三日に錯誤ということで抹消登記が行なわれ、もとどおり木村氏の所有になった。そしてその直後、四十二年秋、適地調査についての話し合いが新潟県と行なわれ、翌四十三年二月ないし三月に実際の適地調査が行なわれた。そして、経済性は劣るけれども、別に原発に不適であるとかないとかいう結論はないけれども、そういう結果が出ている、こういういきさつですね、いまのお話をまとめれば。そのあとさらに、柏崎・刈羽総合開発促進協議会が三十二本のボーリングを行なったり弾性波測定を行なっている、こういう年代順になるわけです。続いて、四十四年九月に東電が原発立地の予定を発表している。四十六年十月、この五十二ヘクタールを東電が買収している。このときの価格は坪二千六百円、総額三億九千五百万円。当初の買収価格は坪百円程度、総額せいぜい一千五百万円だったといわれるから、室町産業と木村氏とで約三億八千万円前後の大もうけをされた、こういうことに一応話はなってくるのですね。  こういう一連の日取り等考え合わせるとき、木村氏と室町産業がふしぎな経過で買収したこの土地が最終的に原発用地になった、こういうことについて、これは全くの偶然だと考えられるだろうか。それとも、国民のほうはあまりにもでき過ぎた話だと受け取ってもしかたがないことになるんじゃないだろうか。この点について、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  173. 足立篤郎

    足立国務大臣 先ほど米田さんからの御質問もございまして、私はっきり御答弁申し上げたのですが、その柏崎の用地の問題につきましては、どういう手順でどうなったかということは、全く私個人としても存じませんし、科学技術庁としては知る由もないわけでございますので、御答弁ができかねます。
  174. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣がおいでにならなかったから、その間、いままですでに国会の各委員会政府側答弁した事実関係を、あらためて私がいまここで申し述べたわけです。ですから、これは私の主観で申し上げている話ではなくて、すでに確認をされている事実関係だけを申し上げている。そういうものを追っていった場合に、もとは原発を対象としたものでも何でもない五十二ヘクタールの荒れ地が、いろいろな経過を経て原発用地にだんだんまとまっていくわけですね。これが、あまりでき過ぎた話だと住民の方々や国民の目に映ってもふしぎではないんではないか。  こういう問題に対して政府側責任者が、特にこれから安全審査をやらなければならない科学技術庁大臣が、私は関知しない、これで一体ほんとう国民信頼が取り戻せるだろうか、こういうことを申し上げているわけなんですね。ですから、一番最初大臣にかわって次官にも念を押してあるのです。大臣が一番最初あいさつの中で、粘り強い話し合いで地元の理解と協力を得たい、こうおっしゃった。これは実行しますね、ほんとうの理解と協力を得ようと思ったら、原子力行政をあずかる政府、とりわけ科学技術庁などが国民信頼を取り戻さなくちゃいけませんよ、その信頼を取り戻そうと思ったら、いま私が申し上げましたような、こういう疑惑にこたえないではたして信頼が取り戻せるだろうか、こういう話になるのですね。そういう立場でいま一度大臣、もう少し実のある答弁をしてください。
  175. 足立篤郎

    足立国務大臣 先ほどもお答えしましたように、まだ設置許可申請も受け付けておりませんし、科学技術庁がこの柏崎について、原発の適地であるかどうかという審査に入っていない現段階でございます。したがって、私は科学技術庁を所管はいたしておりますが、いま御指摘のような、この土地がいわくつきである、不動産取引に不純なものがあったとかないとかいうようなことについて、私が科学技術庁長官という立場で、こうした席上お答えする立場にないんではないかと私は考えておるのでございます。  さっきも米田さんの御質問にお答えしたとおり、国民からいやしくもうしろ指をさされるようなことのない、いわば満点の土地であることが望ましいということは申すまでもございませんが、私がさっき申し上げた国民の理解と納得という意味は、原子力安全性についてどこまでもわれわれは全力をあげて努力して、国民の納得を得たいという意味で申し上げたのでございますから、地質の問題その他いろいろ先ほどから指摘されておりますから、そういう点については、万遺憾なきを期して慎重に検討してまいりたい、こういう考えでございます。
  176. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私はもう一度だけ、この柏崎原発にまつわる政府行政措置としてただしておきたい問題があるので、それをお尋ねした上、あらためて大臣政府の姿勢をお聞きしましょう。  東京電力が室町産業の関係いたしました土地を買収した翌年の四十七年から、新潟地域大型エネルギー基地計画調査が始まるわけでございます。そこで、時間の関係もありますから、ごく簡単にその目的、調査項目予算等について、これは建設、通産の共同所管にわたりますが、まず建設のほうで説明を願いたいと思います。
  177. 井沢健二

    ○井沢説明員 建設省がこういう調査を始めましたのは、特にこの北陸地方は世界でも有数の豪雪地帯でありまして、この雪をどのようにして克服するかというふうなことが、雪国一般の悲願であると考えております。それから、そういうふうにすることによって、北陸の発展の重要なかぎが解けるのではないかというふうなことを考えておるわけでございます。  そういう観点から、北陸地建ではこの問題を解決するためにはいろいろな調査を行なっておりますが、その一つの方法といたしまして、たとえば発電所の排熱であるとかあるいはごみ焼却場の排湯であるとか、そういうふうなものを利用いたしまして、道路の融雪あるいは地域暖房等の可能性というふうなものを調査しております。  これにつきましては、建設省のほうはそういうものから出る排熱と申しますか、お湯でございますが、そういうものをどのように使ってこの地域の役に立つかというふうな可能性を調査いたしておるわけでございます。四十七年から始めております。
  178. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 予算は……。
  179. 井沢健二

    ○井沢説明員 予算は、ちょっとあとで調べてまいります。
  180. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ちょっと調べてすぐ答えてください。
  181. 井沢健二

    ○井沢説明員 予算は、四十七年度が二千二百十七万八千円でございます。それから四十八年度が二千九百八十九万八千円でございます。四十九年度は三千三百五十七万九千円でございます。
  182. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 三カ年ですか、全部で。
  183. 井沢健二

    ○井沢説明員 三カ年分でございます。
  184. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは総額約一億の投資ですね。  一方、柏崎の小林市長さんが、第六回の原子力産業会議に出席されまして九つの提言というのをされているのです。その中の一つに、熱エネルギー活用のためのプロジェクト結成というのがあるのですが、これは何かこれと関係があるのですか、全然無関係の話ですか。
  185. 井沢健二

    ○井沢説明員 関係ございません。
  186. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの説明に基づいて、現在途中まで進んでいる調査内容が、「熱エネルギー利用による雪国の改善計画」というこんなパンフレットになって出ていますね。これによりますと、こんなことが書いてあるのですね。「百万キロワット級の普通の規模の発電所からでる排熱で雪を融かしたとすると、長岡市付近の積雪程度で、約十五平方キロメートルの面積の雪が完全に融かせる」とある。一方、「電気事業の現状」の四十七年版を見ますと、この基地計画調査の対象地域として、「新潟市を中心にやや内陸に入ると三条、長岡市、北東に上ると村上市まで、」「南西へ下ると原子力発電所の建設計画が進められている柏崎市まで、」「海岸線で約百キロメートル、内陸への奥行き約四十キロメートルの地域を考えている。」パンフによれば、これだけの地域で道路、鉄道、屋根雪の融雪ですか、それから公園、グラウンド、急傾斜地などの融雪、地域暖房、それから温室栽培、育苗センター、魚介類養殖、温水プール、フラワーセンター、たくさん出ておりますね。こういうものを実際にやるとしますと、その百万キロワットクラスの原発なり火発なり、一体何基くらい要るのですか。
  187. 井沢健二

    ○井沢説明員 私ども、まだ全部そういう全体の計算はいたしておりませんで、そういうふうなものに使えるかどうかというふうなことをいま検討しておるわけでございます。
  188. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、まだ海のものとも山のものともわからない、めどは全然立たない、こういう性質のこれは調査ですか。
  189. 井沢健二

    ○井沢説明員 実際には、たとえば長岡市では国道、県道、市道全部合わせますと、現在の道路の融雪装置というのは、総延長が約七十キロあるということですが……
  190. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういうことを聞いているのではない。
  191. 井沢健二

    ○井沢説明員 そういうふうなものをやるのに、いま地下水をくみ上げておりますが、そういう地下水というものが現在はもうなくなりまして、非常に苦労しておるわけです。私どものほうの国道なんかも、そういうわけでふだん、要するに雪の降らないときのくみ上げ等を制限しておるというふうなかっこうになっております。融雪パイプと申しますのは、十数度の非常に低温の……
  192. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 要は、原発や火発を使ってそういうことをする可能性というのは、どの程度のものなのかということだけを答えてもらえばいいのです。
  193. 井沢健二

    ○井沢説明員 いわゆる排熱、火力発電所なり何なりそういうものを冷却した水は、取水した水の約十度くらい上がりますので、ちょうど地下水くらいの温度になるわけです。ですから、それを持っていきまして地下水のかわりに使えばいいのじゃないかというふうなことがいえるわけです。
  194. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 原理はもういいのです。可能性の問題なんです。
  195. 井沢健二

    ○井沢説明員 そういうふうなことでございますので、やはり一カ所のところであの地域全体を、そういうものでくまなくまとめようというふうなところまでは私ども考えておらぬわけでございます。
  196. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 何の説明をしておられるのかよくわからないのですが、要は、海岸線百キロメートル、奥行き四十キロメートルの地域を対象とするというのでしょう。そうしますと、四千平方キロメートルになりますね。もちろんその全部がこの融雪対象ではないにしたって、一割の面積をとったって四百平方キロメートルありますよね。ところが、百万キロワットクラスの原発を例にここに書いてあるのですが、それでわずか十五平方キロメートルの雪しかとかせない、こういうのですから、まあわれわれの考え方が単純過ぎるのかもしらぬけれども、これはばく大な原子力発電所なり火力発電所が要るな、こう思うのです。  いろいろ聞いてみますと、現在の柏崎の原発とかあるいは巻に予定されている東北電力の原発はこれの熱源としては別に充てていない、こうおっしゃるのでしょう。それじゃほんとうにこういう調査研究をした結果、はたして熱源となる原発や火発の立地は一体どこに可能なんだろうかということを私たちは心配するわけなんです。その可能性を聞いているわけなんです。これはお答えは通産のほうですか。
  197. 松尾成美

    ○松尾説明員 ただいまの御質問でございますが、実はこの調査につきましては、建設省と私ども共同でやっておるわけでございますが、ちょっと私どもの白書と申しますか、これに書きましたのが、実はやや説明として十分でなかったという点がございまして、広い地域を対象にするように書いてございますが、この調査というのは、その広い地域を一応最初に想定いたしました。それはその地域を対象として考えて、その全部の雪をとかそうという計画ではございません。その中で、実際にやりますときには幾つかのテストケースといたしまして、ケーススタディーとして、仮設例として計算をいたしましたけれども、これについて、この地区でどこで具体的にどうするというより、たまたまこの場所で積雪がある、いろいろな自然条件がそろっているものですから、ここで研究的にやってみようということでやったケースでございます。  したがいまして、いまお尋ねになるような、どこに具体的にとか、あるいはこれだけにどれだけ必要かとか、そういう方向での検討というのは、実はこの作業ではやっておらないわけでございます。
  198. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣、このパンフレットの中にはこういうふうな絵がかいてあるのです。これは専門家向けじゃないと思うのです。一般の住民や国民向けにつくられているパンフレットだと思いますね。だから決していま説明されているように、まさにこれからだというのではなくて、これですと非常に現実性のある夢に思えるわけですね。夢が現実のものになるように思える。ところが、実際話を聞けば、これは相当困難な課題だろうと思うのですよ。そこでなんですよ、問題は。  もう一ぺん繰り返しになりますけれども、四十一年から四十二年の初めにかけて登記上のややこしいいきさつがありながら、要は、北越製紙の持っておった五十二ヘクタールの土地が室町産業だか木村氏だか知りませんけれども、その所有になったのです。この時点では、これが一体原発の用地になるものやら、何の用地になるものやらさっぱりこれはわからないのですよ。私も現地に二回ほど行っておりますけれども、ぼうばくとした荒れ地であります。そのあと急に行政サイドの動きが活発になりまして、直ちに通産省の原発立地の適地調査が始まってきた。現地のほうは現地のほうで、柏崎・刈羽総合開発促進協議会ですか、これは何も原発のためにつくられたのではないようでありますが、これが原発のボーリング調査などをやってみる、そのあと東電が立地計画を発表する、四十六年に土地を取得する、その翌年からいま申し上げましたようなこういう研究調査が始まって、こんな豪華なパンフレットが出てくるわけです。  こういうふうにずっと見てくると、まあ邪推だと言われればそれまでですけれども、普通常識的に国民が見れば、ははあ、これはどうも何のへんてつもない荒れ地を手に入れた、これを日本一の巨大原発用地に仕立て上げるために、ほかでは見られないような大がかりな政治的手段が動員されて巨利を博したのではないか、あるいはまた、職務上そうなることを知り得た人が、そういう情報を利用して土地売買をやったのではないか、こういう疑惑を持ってくるのは、私、当然だと思うのですね。持つなと言ったってこれは持ちますよ。  ですから、今後こういう巨大な集中立地の原発の安全審査に当たる科学技術庁が、大臣の所管で直接これを調査する性質のものでないなら、通産省なりほかの関係する省庁にでも命じて、やはりこの疑惑についてはまずただす、ここから出発しなかったら、国民信頼なんてとても取り戻せませんよ。こういう意味でどうです、こういういきさつをごらんになって、これは一ぺん政府の責任においてよく調査してみにゃいかぬなとお思いになりませんか。
  199. 足立篤郎

    足立国務大臣 ぶっきらぼうな答弁だと言ってまたしかられるかもしれませんが、科学技術庁としてはこの柏崎の原発につきましては、設置許可申請が出まして原子力委員会でこの安全審査を正式に始める段階から直接の関係が出てくるわけでございます。したがって、その前に、いまいろいろ御意見がございましたけれども、御意見は御意見として拝聴いたしますが、いまの私の立場でああのこうの申し上げることは、ちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  200. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 田中首相と運命をともにしようとお考えのようでもあるように受け取れるのですが、では、角度を変えまして、直接土地の所有権の移動等に伴ういろいろな疑惑について、関係する省庁にただしてみましょう。  経企庁にお尋ねしたいのですが、経企庁が電調審にかける計画原案づくりを行なうにあたって、当年度計画に組み入れるべき候補地点の資格としては、最低どういう条件に合ったものを選んでいらっしゃるのですか。
  201. 伊藤謙一

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  電源開発調整審議会に付議します際の候補地点につきましては、事前に関係省庁協議いたすわけでございますけれども、まず第一点は、電気の安定供給確保上の必要性でございます。この点につきましては、通産省及び当庁が中心になりまして、需給バランスの面から検討しております。それから環境問題についてでございますけれども、この点につきましては、通産省及び環境庁が中心になって検討いたしております。それから、その中でも特に温排水に関連いたします漁業の問題、海産生物に及ぼす影響につきましては、さらに水産庁検討しておるところであります。  こういうようなことで、そのほかにも関連する省庁はございますけれども、そういったところに御相談いたしまして、この地点について計画上支障ないということになりますと、さらにこれにつきましては地元の関係知事に御意見を照会いたしまして、当地点を電源開発基本計画に組み入れるについて異議ないという旨の回答を得た上で、各地点を電源開発調整審議会に付議しておる次第でございます。
  202. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃ、そうしますと、少なくとも用地については確保が可能であるというくらいのことは、経企庁としてはチェックができるような状態になって計画原案に入れていますか。
  203. 伊藤謙一

    ○伊藤説明員 この点につきましては、先生の御指摘のように、用地の確保につきましても一応の検討の対象にはなりますけれども、完全に確保していなければならぬということではございませんで、確保することが期待されておるという状態であれば、付議いたすことにいたしております。
  204. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう確保が期待される地点というふうな判断材料ですね、これはどこから得ておられますか。
  205. 伊藤謙一

    ○伊藤説明員 この点につきましては、毎年度の電源開発基本計画の原案を策定する段階で、私どもは資源エネルギー庁より各個別地点につきましての候補案というものを提出していただいておるわけでございますが、そういった際に、資源エネルギー庁のほうからその点についての情報を得ております。
  206. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、話は資源エネルギー庁のほうへいきますね。  資源エネルギー庁のほうは、どういうのですか、経企庁のほうに候補地点を提出するにあたって、用地の期待度についてはどの程度まで見込みをつけていますか。
  207. 松尾成美

    ○松尾説明員 ただいまの柏崎地点についてのお尋ねであろうかと思いますが、原則につきましては、先ほど経済企画庁のほうから御説明しましたように、用地の取得完了は必ずしも必要としないが、期待されなければならないということでございます。  柏崎地点につきましては、総所要面積のうちざっと九割までは手配がついておりまして、民有地が、先ほど申しましたように千平方メートル、それから国、公有地で三十四万平方メートルというのが未取得であるというような状態になっておりますが、市有地につきましては、市の誘致決議もあり、市としては誘致に賛成であるという立場を表明していた点から考えまして可能であろう。また、民有地につきましてはもっぱら条件の問題で、これはあまり大きな問題はございませんので、取得が可能であろうというふうに見通しをつけまして、電調審へ上程するに相当するというふうに考えた次第でございます。
  208. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私も、柏崎市役所へもう二回行っておりますし、そのときも、誘致決議はしてあるけれども、市有地の処分は全く未定である、まだ議会の同意を得ていない、こういうことでしたし、この質問にあたって、再度電話で現時点の市当局の態度をただしましたら、処分は全く未定である、こういうことでした。もしもこの市有地が払い下げられないというふうなことに市当局の意向が固まった場合、この用地は原発用地として役に立ちますか、立ちませんか。
  209. 松尾成美

    ○松尾説明員 この用地は、東京電力のものであるか、ないしは東京電力が何らかの形で使用できるという法律的な裏づけがなければ、発電所の用地としては使えないだろうと考えます。
  210. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 取得された部分を使えないということですか。
  211. 松尾成美

    ○松尾説明員 いまのお尋ねは、公有地のこの部分についてということではなかろうかと思いましたので、この部分については、使えなかろうということです。
  212. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私の質問はそうじゃない。もしもこの市有地が払い下げられなかったとしたら、現在確保されているあの用地全体が、原発用地として役に立つのですかと、こういうことなんです。
  213. 松尾成美

    ○松尾説明員 市有地は海岸の一部であるというふうに承知しておりますが、地形がかなり入り組んでおりますので、これで技術的に、そこに現実に原子力発電所の建設が、その市有地なしではたして可能であるかというのは、最終的に許認可段階での判断の場合に検討すべき問題で、直ちにどうこうということは、いま結論を下せないだろうというふうに考えております。
  214. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの答弁では、国有地のほうはあまり問題はないとおっしゃいましたね。その根拠はどこにあるのですか。
  215. 松尾成美

    ○松尾説明員 国有地の払い下げにつきましては、これは所管が建設省のほうでございまして、私どものほうで決定できる事項ではございませんが、建設省も、建設大臣が電源開発調整審議会の委員として参加しておられまして、この地区については、細目について検討段階で参加しておられます。そういうことで通産省としては参加しておられるので、したがって、これについては可能性があるだろうというふうに判断しておるわけでございます。
  216. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ、建設省はそういう判断をどういう根拠に基づいてやったのか、お尋ねしましょう。
  217. 丸山良仁

    ○丸山説明員 ただいま御質問の公有地につきましては、国有財産法の規定に基づきまして新潟県知事が処分することになっております。それからもう一点は、電源開発に使う場合に、一般の場合には建設大臣の承認が要るわけでございますが、電源開発等の公益事業に使う場合には、知事限りで処分できるようになっております。  したがいまして、政府の方針として電源開発をここでやるということがきまる段階におきましては、建設省といたしましても、また新潟県知事といたしましても、里道あるいは水路等の廃止の処分をする予定になっております。
  218. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ここに原子力発電所をつくることが妥当であるという段階というのは、どこを意味しますか。
  219. 丸山良仁

    ○丸山説明員 それは、ただいまいろいろ御議論になっておりますように、たとえば通産当局あるいは科学技術庁当局の許可が出るとか、あるいは許可が出る見込みが確かであるというような段階になったときには、われわれとしましては、公共財産を廃止処分いたしまして大蔵省に普通財産として引き継ぎ、大蔵省から東京電力に払い下げる、こういう形になっております。
  220. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 念のためお聞きしておきますけれども、面積にしてみれば、確かに認定外道路というのですか、建設省所管の国有地は少ないわけなんですが、柏崎市内が五千九百平方メートル、刈羽のほうで三万平方メートルほどですか。しかし、もしこれが払い下げられないという事情ができた場合、はたして現在取得されている東電の用地は、原発用地として役に立つことになるのですか、立たなくなるのですか。これはどちらですか。
  221. 松尾成美

    ○松尾説明員 私どもは、この計画考える場合に、これらの土地については取得が可能であろうというふうに考えて進めたわけでございますが、私ども、なお可能であろうという考えを変えておりませんので、その問題については、あまり考えたことございません。
  222. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 現在東電がすでに取得を終わっております用地が、原子力発電所の建設用地として最終的に役に立つか立たないかは、現在まだ未買収の状態にある市有地と国有地の動向いかんによってきまるというのが現地の実態なんです。ですから、それぞれを所管している省庁や自治体のこれに対する態度が、こういう事態の中ではきわめて慎重になって私は当然だと思うのですね。少なくとも原発用地としてものの役に立てようとするには、いままでの議論からよくおわかりのように、どうしても必要になってくるこの国有地や市有地が、自由にできるという前提でしか考えられないような状態なんです。こういう国有地やあるいは市有地が、自由にできるというふうな前提でこのような大規模な原発計画が進められていった、こういうふうにいままでの経過から見れば見られるのです。  そこで、大臣、よく聞いてください。こういう次第ですから、よほどこれは大きな権限を持った人が背後にいないと、こんな一方的な判断で用地の買収をして原発をつくるというふうなことにならないと思うのですが、大臣はそうお考えになりませんか。
  223. 足立篤郎

    足立国務大臣 私は先ほどから申し上げているように、柏崎の用地のいままでの経過ですか、全く存じておりませんので、いまそういう突き詰めた御質問をいただいても、ちょっと御答弁できかねますので、ごかんべん願います。
  224. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 どこまでも知らぬ存ぜぬで突っぱっていこうとおっしゃるわけですね。すでにこの十五万六千坪の土地、五十二ヘクタールの元北越製紙の土地が、四十二年一月十三日付で所有権の移転登記の抹消登記が行なわれている。このことについて、こんな膨大な土地の、一たん登記されたものが抹消されるなんてあり得ることだろうかという疑問は、もうこの国会にも提起されているわけなんです。そのことについて、私はここで法律論争しようというのじゃないのですが、大臣にも考えていただきたいのです。  登記簿によりますと、四十一年の八月十八日に柏崎信用金庫に対する根抵当権の設定が行なわれておりまして、この根抵当権は四十一年九月二十二日には解除されているわけなんです。木村氏から室町産業への所有権移転登記は四十一年の九月九日であり、これがほんとう意味での代金受け渡しであったからこそ、その金で木村氏は受けた融資を返済した、そして抵当権解除が行なわれたと見るのが、私は妥当であろうと思うのです。  したがって、錯誤による抹消登記というのは、なるほど登記の法律の上から見ればあり得ることかもしれないけれども、しかし、実際は作意的な抹消登記ではないか、こういうふうに見られてもしかたのない事実関係ではないかと思うのですが、大臣、もし何でしたらごらんいただいてもいい、ここにその登記簿の写しがあるんです。こういう事態をごらんになって、おかしいなとお思いになりませんか。
  225. 足立篤郎

    足立国務大臣 私も一社会人として、それだけの土地が、抹消登記というのは、何か新聞によると、非常に手数料が安いからそういうのをとったのじゃないかというような新聞を読んだことがありますが、非常に非常識といいますか、理解しがたい点だと思っております。
  226. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 非常識である上に、いま申し上げましたような融資もからんで抵当権の移動が行なわれていますから、ますますもってこれは私はおかしいと思うのが妥当だと思うのですよ。  いま一つ、この登記面によりますと、木村氏は柏崎信用金庫からの借り入れの裏づけとして、いま申し上げました根抵当権設定なんですが、字小丸山六番の十一と七番の二つの土地に、それぞれ一千百万円の抵当権設定をしているわけなんです。これは大蔵省にちょっと聞いておきたいんですが、おいでになっていますね。——自分の家を建てる用地でもない、特別な事業目的の対象地でもない、もちろんこれを売買する目的を持った不動産業者でもない人が、ただたまたま土地が買えるからということで金融機関から融資を受ける、こういうことは、一般的にはあり得るんでしょうか。
  227. 吉野良彦

    吉野(良)説明員 お答え申し上げます。  ただいまの具体的な柏崎信用金庫の件でございますが、これは私、ちょっと承知しておりませんのでお答えしかねるわけでございますけれども、一般論として申し上げますと、土地を買うと、具体的にいますぐ何に使うか必ずしも明瞭でない、けれども、ともかくいまこの土地を買いたいという方がおられまして、その方が金融機関に融資の申し込みをなさるわけです。その場合に、融資機関といたしましては、その担保等について慎重に検討いたしまして、貸し付けいたしましても回収に不安がないというようなことでございますと、そういう場合にも融資が行なわれるということは、一般的にもあり得ることだというふうに考えております。
  228. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういうふうなことが可能であるならば、このごろはちょっと何ですけれども、一時の土地の暴騰時代には、国民だれだって融資を受けて土地を買えるわけなんですが、そんなに甘いものなんですか。私もかつては中小企業の経営者で、ずいぶん融資に苦労しているわけなんですが、おかしいですね。
  229. 吉野良彦

    吉野(良)説明員 信用金庫、これは御承知のように、いわゆる会員組織による特殊の金融機関でございます。したがいまして、信用金庫法上も預金者保護という観点から、ある特定の一人の貸し出し先に、たとえば金庫の自己資本の二割以上を貸してはならぬというようなさまざまな制限がございます。そういう法律あるいは政令等に定められております制限の中におきましては、具体的にどういう方にどの程度の融資をされるかということは、それぞれの金融機関の判断の問題でございますので、それが直ちに法令に違反するとかあるいは著しく不適当だというようなことには、その法令あるいは通達に定められております制限を越えていない限りは、特に問題はないというふうに考えております。
  230. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、少なくとも返済のめどだけは確実でないといけませんね。
  231. 吉野良彦

    吉野(良)説明員 それは当然でございまして、預金者からお預かりする預金を原資としてお貸しするわけでございますから、貸し付けにあたりましては、回収に不安のないように、審査あるいは管理を周到、綿密にやるということは当然のことだと思います。
  232. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もう一つ伺いますが、買収するための資金がなくて借りる。しかも、その買った土地を利用して上に工場を建てて何か事業をするというのではなくて、土地は買い取ったままほっておくわけですね。そうすると、返済のめどというのは、その土地そのものを売るということ以外に生まれてこないように思うのでありますが、それ以外のケースなんてあり得るでしょうか。
  233. 吉野良彦

    吉野(良)説明員 やや具体的な御質問でございますので、私もちょっと困るのですけれども、一般論として申しますと、その土地が担保に入っている、そしてまた月々のあるいは年々の利息の回収についても不安がないというようなことが、融資の希望者からいろいろ説明を聞いて、金庫側として納得のできるような状況がございますれば、それは大いにあり得るというふうに思います。
  234. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう場合は大いにあり得るだろうけれども、しかし、この木村さんの場合は当時村長の職責を持っておられた。どのくらいの月給を取っておられたのか私はそれは調べておりませんが、とうていそういう給料で、金利が払えたり返済ができたりできるものではないと思うのですね。もちろんあの土地で事業も何も行なっておられた形跡はありません。だのにこの木村氏に、あの荒れ地を担保に金庫が相当巨額の融資をしていること自体、これは常識では考えられない部類に属するのではないかと思うのですね。  こういうこともあるのですが、大臣、先ほどのお話とあわせて社会人としてのお考えはどうです。社会人としての考えをひとつおっしゃってください。
  235. 足立篤郎

    足立国務大臣 これは、その土地の有望性といいますか、価値といいますか、その価値判断の問題にからんでくることでございますから、私ども一社会人としても、これは論評すべきものではないように思います。
  236. 安井吉典

    安井委員長 ちょうど時間ですから、結論を急いでください。
  237. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いみじくも言われましたね。有望性の問題とおっしゃいましたでしょう。ここに問題があると思うのですね。普通に、常識的に見れば有望性なんて何もない土地なんですよ。ところが、それに有望性がもしあったとするなら、その有望性を裏づけたのは一体何か、こういうことに話は当然なると思うのですね。問題はここだと思うのです。  昭和四十五年七月九日の参議院の決算委員会では、この用地の疑惑のはしりが問題になりました。当時の通産省の馬場公益事業局長は、今日と似たような質問を受けておるわけなんです。疑惑に満ちた土地は避けての用地取得を電力会社に指導すべきではないかというふうに問われて、電気事業法上の施設計画が出ていない以上、適法かどうかの判断をする筋合いではない、こうおっしゃっておるわけです。いまは違うのですね。施設計画に基づいて通産、経企、電調審、ここまで来ておるわけなんです。ですから、今日では適当かどうかの判断をする段階ではないとは言えないと思うのです。やろうと思えばやれる段階に来ておると私は思う。  そこで通産、経企にも私は尋ねておきたい。すでに昭和四十五年当時の答弁があるのだから、いまはもう一度この政治的な適否を判断すべき時期に来ているんじゃないか、調べるべきではないか。いかがですか。
  238. 松尾成美

    ○松尾説明員 たいへん恐縮でございますが、四十五年の答弁、実は私、勉強しておりませんで、初めて伺いましたので、実はその細目は承知しておらないわけでございます。したがって、その答弁の趣旨はどういうふうに行なわれたか、私、正確に承知しておりませんが、私が承知する限りでは、施設計画に基づいて電源開発調整審議会に提出する際に、私どもで調べますのは、どれだけの土地が確保されておるか、あるいは今後確保されるかということを調べるというのが、私どもの電源開発調整審議会の前提段階として要求されておる調査内容であろうというふうに私は考えております。  したがいまして、どれだけ確保したかというようなことは調べておりますけれども、その背景については、調査はしておらないというふうに私は承知いたしております。
  239. 伊藤謙一

    ○伊藤説明員 私どものほうで検討いたしますのは、先ほどお答え申し上げましたように、用地取得の状況、あるいはそういったことが期待し得るかどうかといった点でございまして、いま先生の御質問のような点については、私どもの検討すべき内容となっておりませんので、御返答いたしかねます。
  240. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは議事録を一ぺんあとで調べられたらいいのですが、いまのように、こういう政治的に疑惑のある土地は原発に適しないということについて、大臣にも言っておけ、その結果を報告しろという質問があって、馬場氏は、「ただいま先生から伺いましたお話、了承しました。」と、こう言っている。しかし、結果が報告された形跡はないのです。だから、いまはもうできる段階だから、私は当然これはやってもらわなくちゃいけないと思うのです。ひとつ委員長からもやるように言ってください。
  241. 安井吉典

    安井委員長 いまの発言の趣旨はわかりましたか。——それではもう時間も過ぎておりますので……。
  242. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 わかりました。  とにかく大臣は、先ほどから盛んに関知しないとおっしゃいますけれども、他のいろいろな金脈関連の土地と違って、ここにはそれこそ、安全性で非常に重大な問題をはらみ、かつ、国民の理解や協力を得る上ではきわめて、それこそ困難の多い巨大集中原発立地が予定されている。つまり問題はこれからの土地なんですね。  いまその一端を申し上げただけでありますけれども、まとめれば、もともと北越製紙は何の目的でこの土地を持っていたのか。これがどういうきっかけで手放すに至ったのか。刈羽村長であった木村博保氏がこの売買に登場した背景には一体何があったのか。柏崎信用金庫の融資は正常な審査や基準に基づいたものなんだろうか。木村氏と、田中ファミリーの幽霊企業といわれる室町産業との所有権移転登記及びその抹消登記を含む、大臣も社会人としてはいささか非常識かと言われた、実態に全くそぐわない関係に対する疑惑にどうこたえられるのか。田中首相が政府の要職や自民党の幹事長時代の一連の金脈事件と相前後するこの事件で得られたばく大な土地売買利益、四億近い利益、これは黒い政治資金とはかかわりないと言い切れるのかどうか。そして、そもそもが安全性が最優先でなければならない原発用地選定ではなく、田中ファミリーの私財蓄積の一環をなして、この荒れ地五十二ヘクタールを手に入れ、これを金の卵にするために、あらゆる政治的手段を弄して原発適地に仕立て上げていったのではないか。こういう節がこうも明らかにされてきますと、このまま私は立地を進めるべきではないと思うのです。  そこで、固めて要望しておきますが、まず第一、通産、経企、科学の関連省庁は、少なくともいま私が申し上げました疑惑について調査を徹底して行なうこと。それまでは東電の一切の建設にかかる準備作業をやめさせること。第二は、科学技術庁は、それらの事実が解明されるまで、安全審査の申請を受け付けるべきではないということ。それから第三は、建設省は、まさにこの建設省の所管する土地の動向いかんが、この土地が役に立つかどうかのきめ手なんでもありますから、これまた疑惑が解明されるまで払い下げに応じるべきではなく、したがって、用途変更の申請などを認めないよう、これはやはり所管官庁なんだから知事に対して行政指導が必要だ。こういう点について、ある意味では政府自身が、国民にとって原子力行政をにない得る政府なのかどうか、その安全審査を受けているようなものですから、私はこれをぜひひとつやってもらいたいと思うのです。これはひとつ各関係省庁、あるいは大臣が代表して答えていただいてもけっこうです。  いま一つ、これが最後ですが、これは委員長にお願いなんです。以上のような状態であります。大臣答弁をお聞きになっても、これだけの疑惑がありながら、ほんとうに田中内閣の一閣僚として、国民に対しこの疑惑にこたえようとなかなかなさらない。まあ逃げの一手と申し上げてもいいでしょう。こういう事態では、やはり本委員会が事態究明に私は立ち上がらなくちゃいけないと思うのです。そのために、証人喚問を私はこの際要求したい。  その証人としては、木村博保氏、それから、これは越山会の役員をしている人なんですが中村浩章氏、室町産業の代表として入内島金一氏、そして東京電力のこの用地買収に関係した責任者、これだけを証人喚問として申請したいし、またできるだけ早急に委員会を開いて、田中首相の出席を本委員会に求めるべきである、こういうふうに思うのであります。これについて委員長発言を求めたいと思います。以上です。まず大臣のお答えをいただき、それから委員長の御発言を得たいと思います。
  243. 足立篤郎

    足立国務大臣 いろいろと過去の問題について御指摘があって、土地の取得の経過について政府はよく調べろというお話でございますが、先ほど来関係省庁からもお答えしているとおり、政府としての立場は、その土地が確実に確保されるものであるかどうか、そして原子力発電について適地であるかどうか、なお、原子力発電が安全に建設されるかどうかという点について、職務権限といいますか、責任といいますか、義務といいますか、それを負っているわけでございまして、道義的な問題についてまでいまの原子力行政の中で取り上げろということについては、私はいささか、これは御要求ではございますが、そこまでお引き受けをするということはいたしかねますので、御了承いただきたいと思います。
  244. 安井吉典

    安井委員長 ただいまの瀬崎委員の証人喚問並びに委員会の開会についての御発言については、後刻理事会で協議いたします。
  245. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは終わります。
  246. 安井吉典

    安井委員長 次に、近江巳記夫君。
  247. 近江巳記夫

    ○近江委員 私も、この柏崎の原発の問題の用地でございますが、この前も関連質問をいたしたわけでございます。いま地質上におきましても非常に大きな問題がある。しかも、その取得につきまして非常に大きな疑問がある。私もここに登記簿謄本をはじめ各種の資料を取りそろえておりますが、こういう形で取得された土地を東電が買収し、そこに日本でも有数の原発地帯ができるというこの問題でございます。  ここで、重なるようでございますが、この柏崎の東電の原発用地のうち、中央部の三十二筆、五十二町四反二畝二十九歩の土地につきまして、四十一年の七月の二十日に木村氏が旧地主から買い集めております。四十一年の九月の一日に木村氏が室町産業に売却しております。ところが、四十二年の一月の十三日に、四十一年九月一日の売買に基づく所有権移転登記が錯誤ということで抹消されておるわけです。その後、四十六年の十月の八日に木村氏から東京電力に売却されておるわけです。こういう間に、いわゆる百円から二百円で買ったのが坪当たり二千六百円で売られておる。こういうような形で取得したその土地のところに、いわゆる原発の用地としていままさにこれが決定されようとしてきておるわけです。  先ほど和光大学の先生からも、参考人としてのいろいろな御意見がございました。この地帯としては原子炉を置くということについてはきわめて不安がある、問題があるということが指摘されたわけです。最も安全ということに重点を置かなければならない、そういう地点がこういう形で取得され、そしてずるずると歯どめのないままで実施されていくということは、これはもうきわめて大問題であると私は思うのです。この辺について、大臣はどういう御見解をお持ちですか。
  248. 足立篤郎

    足立国務大臣 先ほど来瀬崎委員の御質問に対して、私は率直にお答えを申し上げたのでありますが、いま御指摘の、先ほどの大学の先生の御意見については、私も耳を傾けました。十分に安全審査にあたってはこういう点にまで意を配って、国民に不安なからしめるように慎重を期したいと思っております。  その土地の取得の経過等につきましては、これは不動産取引関係の問題でございまして、私の全く所管外でもございますし、これは私のいまの立場で、お答えを申し上げるべき立場にないと考えておりますので、その点は御了承いただきたいと思います。
  249. 近江巳記夫

    ○近江委員 この原発の地帯というもののいわゆる選定につきまして、強引に引っぱってこられたというか、そういう形でこの地点というものが設定されるということになってきますと、いわゆる最も安全な地帯に設置するんだとか、安全性環境保全という点において、最大の重点を置いて考えておりますという政府のそういう答弁とは違う形で選ばれてくるというような、そのことを私は、その不動産のそういう取得の問題と同時に、きわめて危険な問題であると思っておるのです。  大体、電調審にいたしましても、これは当然電力会社等が敷地の選定等について、いろいろなそういう話し合いということをなさっておられると思うのですが、そういうような最も地形的にも問題がない、いろいろな環境保全の点、安全性から見て最も適地であるということを、やはりこの電調審等においても検討なさるはずなんですね。それが、こういう形で取得されたところでずるずると決定していく、その辺の姿勢を私は聞いておるわけです。そういう審査にあたっては、どういう姿勢で政府は臨んでおられるんですか、これはひとつ経企庁にお聞きしたいと思うのです。
  250. 伊藤謙一

    ○伊藤説明員 私どもが電源開発調整審議会に、当該年度の電源開発基本計画に組み入れるべき地点といたしまして候補地点を付議いたします際には、事前に関係省庁間で慎重に検討をしておるわけでございます。  検討をいたします主要な点について申し上げますと、一つは電気の安定供給確保上の問題でございますが、これにつきましては、資源エネルギー庁と当庁が中心になって、需給バランスの面から検討しておるところでございます。それから環境問題につきましては、通産省と環境庁が中心になって検討いたしております。さらに、温排水等の影響によります漁業問題あるいは海産生物に及ぼす影響につきましては、水産庁がこれについて検討しておるところでございます。さらに、地点を組み入れる際について、地元の知事の意向を尊重するという立場から、当該地点を基本計画に組み入れることについて知事の異議ないという旨の同意を確認した上で、電調審に付議しておるということでございます。  それから、いま先生が御指摘になりました、たとえば地質等の安全問題についてでございますけれども、これにつきましては、基本計画に組み入れた後におきまして、原子炉等規制法、電気事業法に基づく許可、認可、検査といったような段階におきまして確保されるものであるというふうに考えておるわけでございます。
  251. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、地質の問題について電調審でやったときには、この地点についてどういう論議が出たんですか。
  252. 伊藤謙一

    ○伊藤説明員 この点につきましては、事前の各省庁検討段階検討しておるわけでございまして、本質的には、先ほど申し上げましたように、地質等の問題は原子力安全性に関する問題であるという立場から、基本計画に組み入れた後に、原子炉等規制法及び電気事業法に基づく許可、認可、検査等の段階安全性確保するという考え方でございますけれども、ただ、地質につきましては、その地点の計画調査というような段階で、資源エネルギー庁のほうで調査をしておるということでございます。
  253. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃ、資源エネルギー庁と科学技術庁にお聞きしますが、この前の委員会で、私は柏崎のこの問題に関しまして関連で質問したときに、いわゆるその時点で政府に対して接触はなかったのかと言ったときに、生田さんは一切ございませんということを言いましたね。ところが、その後私が調査しましたら、通産省は新潟県と契約を結んで調査をやっておるわけですよ。私はこの質問のときに、通産省、科学技術庁ということを言っておるわけですよ。そのときには資源エネルギー庁もおられたじゃないですか。なぜそのときに答弁しないのですか。生田さんが、もしも善意に解釈して知らなかったと言えば、科学技術庁としては調査しなかったかもしれない。だけれども、私はこのときに、通産省と科学技術庁ということを言っておるのですよ。なぜそのとき答弁しなかったのですか。この点ちょっと答えてください。
  254. 高橋宏

    ○高橋説明員 ただいま御指摘の立地調査の件でございますが、これは御存じのように、原子力発電はエネルギー政策上は重要でございますが、一方では自然環境とか社会環境とか、そういうものに非常に密接な関係があるという観点から、私ども、すでに三十八年からでございますが、国として長期的かつ全国的な立場からこういう調査をいたしておりまして、それを一つのガイドラインというかっこうで用いておるわけでございます。したがいまして、いわば予備的なものであるということで、実際に電力会社がその地点を決定するにあたりましては、当然それなりの詳細な調査を経て決定する、そういう仕組みになっております。  ちなみに、この立地地点の調査につきましては、一カ地点の調査費は百五、六十万円でございまして、ボーリングの数等もほんの二、三本ということで、ほんの概査でございます。そういう全体的な概査ということでございまして、これが直接発電所の立地、具体的なプロジェクトということに結びつくというものではございません。一つのガイドラインということでございます。そういう趣旨で、この間は直接関連がないと思いましたので、特に補足はいたしませんでした。
  255. 近江巳記夫

    ○近江委員 当然その地点が問題になっているのですから、この点は、その時点において答弁するのが当然じゃないですか。そうでしょう。  それで、三十八年以来全国で何カ所ぐらいそういう調査をやったのですか。
  256. 高橋宏

    ○高橋説明員 お答えいたします。  三十八年以来、地点数として三十六カ地点ほどやっております。
  257. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、この柏崎をその三十六カ所の中に入れた理由は何ですか。どういうわけでこの地点を選定したのですか。どこからか調査しろということを言われてやったのですか。
  258. 高橋宏

    ○高橋説明員 この調査は、一般的なルールとしましては、通産局を通じまして県等と協議しながら進めておるわけでございまして、私のほうから押しつけるというふうなことはございませんで、地点としてはむしろそういう県、通産局、地元等のお話の中できまっていくということで、候補地点はあまりございませんのが実情でございます。
  259. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、県から通産省に対して要望があったわけですか。どっちから先にそういう申し入れがあったのですか。微妙な点ですけれども大事なことなんですよ、こういうことは。
  260. 高橋宏

    ○高橋説明員 この地点は、四十三年の二月ないし三月に調査が行なわれております。当時の事情を私、十分よく存じませんので、ちょっとお答えできかねますので、御了承いただきたいと思います。
  261. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃ、このときに調査した書類をすぐ提出してもらいたい。これはいつ出しますか。
  262. 高橋宏

    ○高橋説明員 この調査書は非常に分厚うございまして、要するに、どういう調査の結果どういうデータが出たかという報告書でございますが、中身についてはすでに公開、公表いたしておるものでございます。
  263. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは出しますか。
  264. 高橋宏

    ○高橋説明員 もうすでに県、市等を通じて地元の皆さん方にもお手に入っておると思いますし、そういった性格のものでございます。
  265. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、先ほどエネルギー庁の方から答弁があったわけですが、いわゆるこの地質等の問題については安全性審査の問題の中で検討する。そうすると、それは原子力委員会安全審査が出てからですね。しかし、私はお聞きしたいのですが、原子力委員会の中に地質の専門家、そういう方がほんとうにおられるのですか。これは山田さん、ひとつお聞かせください。
  266. 山田太三郎

    ○山田説明員 お答えいたします。  安全審査に申請が出てまいりますと、原子炉安全専門審査会でそれを引き受けることになると思いますが、その中には地質の専門家、地震の専門家、構造の専門家等がおります。
  267. 近江巳記夫

    ○近江委員 しかし、実際上、安全審査といいましても、たとえば「むつ」の問題に見るごとく、いまやこの安全審査という問題については、国民はみな非常に不安感を持っているわけです。そういう場合におきましては、当然この地質の問題については電調審において、それを上げてくる段階において徹底した地質の解明ということが行なわれなければならないわけですよ。いまの原子力委員会で、そこまで学者の動員もし、徹底した調査ができますか。結局、向こうから出してきた資料で、それで検討するということになるじゃありませんか。その辺のプロセスについて、原子力委員会へ上がってきた段階調査する、そういう甘いやり方でいいんですか。
  268. 山田太三郎

    ○山田説明員 安全審査委員の数は三十人と限られておりまして、しかも、いろいろな分野の人がおりますから、地質の人が三十人いるというわけではございません。しかし、調査員等もございますし、特別な方法でいろいろな意見を聞くことも可能でありますし、現地調査も行ないますので、いまの先生の御心配のようなことはないというふうに申し上げられると思います。
  269. 近江巳記夫

    ○近江委員 エネルギー庁なり科学技術庁は、これだけの大型の原発基地の問題でありますから、ただ原子力委員会安全審査が出てきてからの段階でいい、そういう傍観的なことでいいかどうかという問題なんです。その点、実際に原子力委員会に上げるまでの段階において、どの程度その問題についてはいろいろな点で検討されてきたんですか。当然事前のそういうような審査なりいろいろな協議なりは行なってきているはずでしょう、形式はそうであっても。実質においてどういうような取り組みをしてきたのですか。
  270. 生田豊朗

    生田説明員 科学技術庁あるいは原子力局といたしましては、ただいま山田先生からの御説明がございましたように、申請が出てまいりましたあと段階で慎重に現地調査も含めまして安全審査を行ないたい、かように考えております。  その前段階といたしましては、先ほど瀬崎先生の御質問のときにもありましたように、新潟県あるいは柏崎市でも調査を手がけるということにいたしておりますし、中央におきましては、通産省におきましてもただいま調査を行なっておるという段階でございます。各段階におきまして、でき得る限り詳細な調査審査を進めてまいりたいと考えております。
  271. 近江巳記夫

    ○近江委員 ちょっともとへ戻りますが、法務省来られていますか。——自治省来られていますか。  まず自治省に伺いますが、この柏崎の用地につきまして、地方税の課税の観点からいきますと、不動産取得税という問題についてどうなるのですか。これは錯誤ということで抹消になっておるわけでしょう。それはどうなっていますか。
  272. 福島深

    ○福島説明員 地方税の不動産取得税の課税でございますが、これは実は私のほうで課税しておりませんので、県当局に照会をいたしまして聞いたことを申し上げたいと思います。  不動産取得税は、登記上の登記原因が真実であるかどうかということはわからないものでございますから、したがって、通常、この登記をなされますと、その原因が抹消であれ何であれ、取得の事実というものをとらまえまして、一般的には全部課税をするという形をとっております。  ただ、実際問題といたしましては、錯誤ということもあり得るわけでございますから、一応課税をいたしまして、それがほんとうにやむを得ない事情で錯誤による抹消がなされたというような場合には、納税者のほうからその反証をあげて課税の取り消しの申請が出てまいります。それによって、それが真実であれば、やむを得ないものであれば課税を取り消すというような形をとっておりますけれども、一般的には、登記原因が錯誤による抹消というようなことでありましても不動産取得税を課税する、そういうたてまえをとっておるわけでございます。
  273. 近江巳記夫

    ○近江委員 法務省にちょっとお聞きしますが、いわゆるこの柏崎の原発用地の問題なんです。四十二年の一月十三日に、四十一年九月一日の売買に基づく所有権移転登記が錯誤ということで抹消されているわけですね。これだけの土地が錯誤ということが考えられるかどうかということなんです。錯誤というのは、たとえば、よくおやじの知らない間に子供が売買したとか、そういうようなことでまた申請があって、これは誤りでしたということはあるわけです。これだけの用地がそういう錯誤ということで済むのかどうかなんですね。普通の間違えましたという錯誤ではないと思うのですけれども、こういう問題は、登記官庁でどのように認定をされておられるわけですか、錯誤という問題について。
  274. 吉野衛

    吉野(衛)説明員 お答えいたします。  たとえば本件のように、木村さんから室町産業に所有権移転登記がなされておりますが、その所有権移転登記の申請が間違いであったということを原因といたしまして、その抹消登記を申請する場合には、先ほど申しましたように、原因錯誤ということでその抹消登記をすることになるわけです。  お尋ねは、その非常に大きな本件のような土地について、そういう原因で抹消登記を申請することはおかしいのではないかという御質問でございますが、御承知のように登記官は、当事者双方がそういうことで申請書を作成してきますと、登記官の形式的審査権限の立場から、その登記を受理して登記せざるを得ない、却下事由がない限りそのまま受理せざるを得ないというふうになっておるわけでありまして、その錯誤はおかしいじゃないかとか、実態はどうなのかというようなことを、聞いたりあるいは審査するというたてまえにはならないわけであります。  ただ、こういうばく大な土地について、そういうことでいままで抹消登記が行なわれたことがあるか、こういう御質問でございますと、私、実は現場登記官をやったことはないのでわかりませんが、実際登記所などで登記事務に従事した職員たちの話を総合いたしますと、こういうようなことで抹消した例はきわめてまれである、自分の十何年間かの経験では一回もなかった、こういうようなことを申しております。そういうことでひとつごかんべんのほどをお願いします。
  275. 近江巳記夫

    ○近江委員 結局、こういう常識外のいわゆる錯誤になっておるわけですよ。きわめてまれどころか、これだけの大きなものが錯誤というようなことで削除されている。税金のほうもどないになっておるか、一ぺん調べて資料をくださいよ。いますぐと言ったってあなたのほうも整わないと思いますから、これは委員長、ひとつお願いしておきます。私のところへ届けてもらうようにお願いします。
  276. 安井吉典

    安井委員長 府県税課長どうですか。
  277. 福島深

    ○福島説明員 不動産取得税の課税の実態と申しますか、たとえば課税標準がどうであって、いつ、幾らの税額でもって課税したかというようなことにつきましては、いろいろな機会に申し上げておりますように、税務職員の守秘義務との関係がございまして、こういう場で申し上げるわけにはいかないわけでございますが、県当局に照会をいたしましたところ、先ほど申し上げましたようなことで、かりに登記人の錯誤でありましても課税をするというたてまえを貫いているわけでございます。  この件につきましても、木村さんから室町産業に行き、また木村さんに錯誤によって戻ったわけでございますが、この段階につきましても、原則どおりの課税をしておるという、そういう報告を聞いておりますので、そういう報告を申し上げることで御容赦をいただきたいと思います。
  278. 近江巳記夫

    ○近江委員 本来なら、この科学技術特別委員会でこういう建設関係ですか、そういうような問題自体も、もちろんこれは関連があるわけですけれども、こういうことは科学技術特別委員会では、われわれとしても、ほんとうは本筋の安全性の問題であるとかをやりたいわけです。質問しながらでも非常に残念に思うわけですよ、こういうことをやらなければならないかと一こういう形で、それをいわゆる東電が買収し、しかも電調においてずるずるとそれを認め、安全審査という形でずるずるとまたそれが許可の方向に進もうとしておる。あの生越先生の話なんかを聞いておりますとおそろしくなりますよ。実際に大地震でもあった場合、地殻は一体どうなるかという問題ですよ。これはたいへんな問題になるんですよ。  ですから、そういうような背景もあるし、しかも地質上においても、これはもうたいへんな、そういう不安な地点なんです。これは根本的に政府が本格的な調査をやらない限り、将来においてそういう一番心配しているような大地震等の発生があったときに、ほんとうに申しわけが立ちませんよ。  ですから、手続として安全審査、いわゆる原子力委員会に提出した段階でそれを検討するということをおっしゃっておるわけですから、その段階で——大臣もこういうことは認識されたわけです。大臣就任されて新しいですから非常にたいへんな点もあろうかと思いますが、これだけの問題点があるところなんですよ。大臣はいわゆる原子力委員長でもあるわけです。ですから、この問題をどのようにいま感じ、今後どういうようにこの不安な問題点を解消なさっていかれるのか、またその不安な点が今後解消されない時点においては、これの取り消しをされるかどうか、ひとつきちっとした御答弁をいただきたいと思うのです。
  279. 足立篤郎

    足立国務大臣 御指摘のとおり、科学技術庁安全審査の責任を持つわけでございますので、私も原子力委員長という立場におきまして、国民ほんとう原子力についての安全性を御信頼いただくように、「むつ」の失態を二度と繰り返さないように、全力をあげて慎重の上にも慎重を期して審査の完ぺきを期したい、かように考えております。
  280. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま大臣も慎重の上にも慎重を重ねるということをおっしゃったわけですが、それをただこの場のことばだけに終わらしてもらうと困るわけですね。これはひとつ、原子力委員長でもあるわけだし、徹底してこの安全性の問題については、いままでの経過があるか知りませんけれども、総力をあげてチェックをしていただきたいと思うのです。山田さんにもひとつその点は強く要望しておきます。ちょっと御返事ください。
  281. 山田太三郎

    ○山田説明員 いまの問題は非常に重要な問題でありまして、原子力委員会安全審査の申請が出されたら、それが必ずパスするというようなものではございません。われわれとしてもじっくりと検討して、慎重にやっていきたいというふうに考えております。
  282. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、今度はちょっと話題が変わりますが、総合エネルギー問題でありますけれども、いわゆる中間答申を見ますと、昭和六十年度において原子力は七千万キロワットになっておるわけですね。こういう点、この「むつ」の問題をはじめとしまして、最近の原発事故の激増等、安全性あるいは環境保全等の問題からいたしましても、やはりこういう中間答申をそのまま政府としては受けて、この昭和六十年七千万キロワットのそういう線を目ざしていかれるのかどうか。下限はまあ五千万ということになっておるわけですけれども、その点についてはどのようにお考えですか。どなたでもけっこうですから……。
  283. 生田豊朗

    生田説明員 ただいま先生指摘の数字は、通産省の総合エネルギー調査会の答申の数字であろうかと思います。ただいま御指摘がありましたように、昭和六十年度の原子力発電の規模が五千万キロワットないし七千万キロワットということになっていると承知しております。一方、先生承知のことでございますが、昭和四十七年につくりました原子力委員会の長期計画におきましては、昭和六十年度六千万キロワットという数字になっております。それをことしになりましてから、原子力委員の稲葉先生が作業をされまして、いわゆる稲葉私案という形で三つのケースについて計算されたわけでございますが、その中間のものが六千万キロワットということでございます。これは経済成長率その他最近の情勢に合わせました数字で、結果的には昭和四十七年の数字と同じになったわけでございます。  そういうことで、エネルギーの需給あるいは経済成長とエネルギーとの関係その他を総合的に考えまして、昭和四十七年度の六千万キロワットという目標が、現在でもほぼ妥当なものであるという感じになっておりますが、実現いたしますまでの途中の過程の問題もございます。あるいは六千万キロワットという原子力発電の規模が実現いたしました暁におきます日本経済の中におけるいろいろな問題、あるいは核燃料サイクルがどういう形になるか、原子力発電のサイトがどういう形になるか、そういう問題につきましても引き続き検討を進めてまいりたいと考えておりまして、その作業の段取りその他につきまして、ただいま事務的にまとめている段階でございます。
  284. 近江巳記夫

    ○近江委員 いわゆるやることもやらずに、そういう目標ばかり目ざしておるというところを私は言いたいわけです。原子力委員会のそういう安全審査の体制の問題にしても一貫したものがない。これは「むつ」において象徴的に出ておるわけですね。そういういろんな問題について今後どうするかということも出さずに、中間答申がこうだからその方向がほぼ妥当です、そんなことは言えないのと違いますか。こうこうこういう問題を改革し、こうやっていく上において踏み台にして、これならいけると思いますというのが当然じゃないですか。本委員会において何回も聞きますけれども、一つもそういう前進的なものがないのです。ただ目標は妥当だと思います、そんなことでは納得できませんよ、これは。いつになったら本格的に、いつのめどをつけてやるのですか。それはひとつ山田さんに原子力委員会の立場からお聞きしたいと思います。
  285. 山田太三郎

    ○山田説明員 目標だけ立てて足元があぶないではないかというお話、まことにそのとおりであると思います。それで、六千万キロワットというお題目を唱えることよりももっと大事なことは、それに行く過程においてどういう問題があって、それをどういう掘り下げ方をしていかなければならないかということを目下検討しておるところでございます。  それは、いま生田局長が御答弁申し上げたのでございますけれども、「むつ」問題以来、原子力委員会はある意味では被告になっておりまして、例の原子力行政云々という懇談会が政府にできるという話もございます。しかし、それでやっていただくのは非常にけっこうですけれども、原子力委員会といたしましても自分のことでございますから、その方向の改革について目下検討中でございます。近いうちにその意見を発表したいというふうに考えております。
  286. 近江巳記夫

    ○近江委員 生田局長政府としてはこういうふうに改革をしていくという、そういうめどですね、そういうものはいつわれわれに発表してくれるのですか。そういうものが一つも出ないから、非常にわれわれとしては、このままで続けさせていくとまたとんでもないことになると心配しているのです。その点について、ほぼ明らかになっている点についてひとつお知らせいただきたいと思うのです。
  287. 生田豊朗

    生田説明員 先ほどの私の答弁が不十分で意を尽くせませんでしたので、たいへん申しわけございませんでした。  先ほど、たとえば六千万キロワットという数字が妥当だと申し上げましたのは、一つのエネルギーの需給という観点から見た場合でございます。ただ、先生の御指摘のように、それでは何が何でも六千万キロワットというのを実現するのかということになりますと、私どもはそのようなことは考えておりませんで、先ほど来、大臣の御答弁にも繰り返しありましたように、まず原子力発電あるいは原子力開発利用というものを推進するためには、何をおきましても安全性確保をすることが第一でございます。特に、「むつ」の問題でたいへん苦い経験、貴重な教訓を得たわけでございますので、まず安全第一という観点で原子力行政をもう一度立て直してまいりたい、かように考えておりまして、これはもうさっそく実行に移す所存でございます。  あと、ほかの問題でございますが、たとえば核燃料サイクルの確立の問題であります。原子力発電と申しますのは、これは先生に申し上げるまでもございませんけれども、ただ原子力発電所を建てるだけが能ではございません。全体の核燃料サイクルがしっかりと確立されることが第一と考えておりますので、その点にも十分意を払いまして、総合的なバランスのとれた原子力政策を、先ほども申しましたように、安全性確保を第一の問題といたしまして立て直してまいりたい。これはいつからと申しますよりも、もうすぐにも実施に移していく考え方で進めている段階でございます。
  288. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまの御答弁でもまだまだわれわれからすると前進してません。ですから、そういう点においてやはり政府としては総力をあげて取っ組んで、もっと具体的に、環境保全についてはこのようにやっていく、安全性についてはこれこれこれこれのことをやっていく、廃棄物の処理についてはこうする、そういうような問題点が一つも明らかになっていないわけですよ、対策というものが。こんなことをしておって目標だけを目ざして、そうして目標のことをちょっと言いますと、六千万ができなくともそれはいたし方ない。やはりもっとしっかり国民に納得を——なかなか国民も納得ということは、いまのような政府の姿勢を見ておればできませんけれども、少なくともやはりそれだけの腰の入ったそういう取り組みをやってもらいたいと思うんですよ。足立さんも就任早早でたいへんと思いますが、その点はひとつ力を入れてやっていただきたいと思うんです。  それから、いま省エネルギーということがいろいろいわれておるわけですが、当然産業構造の転換ということになってきますと、いわゆる合理化の省技術の開発の問題であるとかいろいろなことが必要になってくるわけです。こういう問題も、いわゆる通産省の工業技術院等がやっておりますが、科学技術庁としてはこういう技術の問題については、一体どれだけ力を入れているかという問題なんです。一番密着しておるのは通産省との間であろうかと思いますけれども、そういう問題について取り組みを真剣にやってますか。関係のどなたか答えてください。もう時間がありませんから簡潔に。
  289. 安尾俊

    ○安尾説明員 お答えいたします。  科学技術庁といたしまして、と申しますか、むしろ科学技術庁が主管いたします科学技術会議におきまして、先生承知のように、エネルギー技術の部会を設けておりまして、この部会ですでに、わが国のエネルギー開発技術について今後どうすべきかという問題につきまして本年夏に中間報告を出しておりますが、その後もさらに審議を続けておりまして、おおむね来年の春をめどに目下、今後わが国としてエネルギー方面での科学技術開発についてどういうふうに進めていくか、審議をいたしておりますので、この線に沿って科学技術庁といたしましても、エネルギー技術開発の促進をはかりたいと考えております。
  290. 近江巳記夫

    ○近江委員 このサンシャイン計画にしましてもいろいろ中身が出ておるわけですけれども、たとえば地熱発電等の問題は、環境庁からクレームがついておりますね。しかしこの計画書を見ますと、地熱発電はどんどんやっていく、もうすでにこういう矛盾が出てきているわけですよ。こういうような問題につきまして真剣に政府が取っ組みをやらなければいけませんよ。サンシャイン計画について、それじゃ科学技術庁はどういう取り組みをしていくか、その辺が非常にばらばらなんですよ。その点について、局長、簡潔に考え方をひとつ述べてください。
  291. 安尾俊

    ○安尾説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘ございました、たぶん地熱発電のことだと思いますが、これにつきましては、先ほど申しました科学技術会議のエネルギー技術部会におきましても、地熱発電を今後開発するにあたって必要なのは、基本的な調査並びに探査技術、それから、特にいま御指摘のような環境問題が非常に大きな問題であるので、これについての技術を開発する必要があるというふうに指摘いたしておりまして、今後の審議に当たりましても、その点十分考慮したいと考えております。
  292. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんからあと一問聞きますが、これは私、前々から思っておることなんですが、それは、いわゆるわが国が核に対する特殊の感情を持っているということを、この間もフォードさんが来られまして、日米首脳会談におきましてこういうことをおっしゃっているわけですね。そのときの朝日新聞ですが、十一月二十日に載っております。ちょっと読んでみますと、「田中首相は席上、わが国が世界唯一の被爆国であり、特別の憲法を持ち、しかも国会議決された非核三原則があること、日本政府はこれらに基づいて政策を決めており、他国にはあまりみられない事情にあるとして、改めて米側の理解を求めた。大統領はこれに対して、日米安保条約の運用について今後とも隔意のない協力をするとともに、すでに何度も米政府の方針として明らかにしている「日本国民の核兵器に対する特殊の感情を深く理解していることを改めて確認する」と述べた。」と、こう出ているのですよね。  この特殊の感情ということについて、大統領もこのように述べておられるわけですが、科学技術庁の所管長官として、日本国民の核兵器に対する姿勢についてはどのように考えておられるのですか。やはり特殊な感情を持っておるとお思いなんでしょうか。その点、ひとつおきかせください。
  293. 足立篤郎

    足立国務大臣 被爆国は世界に例がないわけでございまして、日本国民全般が核についての一種のアレルギーを持っておるということについては、私も国民の一人として率直に認めます。  最初私、ごあいさつで申し上げたとおり、私は原子力については全くのしろうとでございますが、先般大急ぎで原研その他を視察してまいりまして、私はしろうとながら、先ほど来御指摘のありましたとおり、原子力安全性についてほんとう国民の理解を求めるのでなければ、これから原子力行政は進まないという観点に立ちまして、原研に参りましても、しつこいくらい実はそれを質問してまいりました。  たとえば一例を申し上げると、日本は原子力については相当な技術を身につけたということで、世評といいますか、一般の人はえてして原子爆弾くらいは即座につくれるんだというようなことを言う人がございます。私もしろうとの質問として原研でやってみたのですが、それは大臣とんでもない話でございますよ、原子力の安全利用については相当な技術水準まで達しておりますが、ここで原爆をつくれという命令が出たらたいへんなことですというふうなお話を聞きまして、ああそういうものかなと思って帰ってきたわけでございますが、結局、原子力を安全に、そして使いこなすという点について私どもは全力をあげ、これを国民によく知っていただくということがどうしても肝要だというふうに考えております。
  294. 近江巳記夫

    ○近江委員 歴代の科学技術庁長官は、みなそういう同じお考えを持っておられるわけですよ。特殊の感情を持っているという認識自体がおかしいと私は思うのですよ。大体、核兵器を持つ、あるいはそのもとに身を寄せるということが戦争の歯どめになる、これが核抑止論ですね、この考え方が。やはり核なんというものはこの地上から抹殺しなければいかぬわけですよ。製造、保有、使用、こんなものは全部なくさなければいけない。これはもうサタンの行為なんですよ。  ですから、日本国民が今日の核に対して持っておる気持ちというものが、これが非常に正常なんですよ。それが特殊な感情を持つと、何か核アレルギーをと、非常に特殊な感情を持っておるという考え方、こういう考え方がいま定着化しつつあるのですよ。非常に問題ですよ、これは。日本国民考え方が普通なんです。そんなものはたいしたことはないわと、核抑止論というものについて肯定するような考え方自体が誤りなんです。その辺の認識をしてもらわないと、結局根本的なそういう考え方がありますと、みんなやあやあ何やら言っているけれども、たいしたことないのに言っているじゃないかと、そういう考え方でこの原子力行政というものを進められていきますと、何にも進歩しませんよ。これはひとつこの機会に山田さんにも聞いておきたいと思うのです。山田さん、どう思いますか、これは。
  295. 山田太三郎

    ○山田説明員 原子力委員会の非常に重要な任務は、いかに原子力の利用開発を進めていくにしても、日本の場合には、これは平和利用に限るということがうたわれておりまして、原子力委員会の責務の非常に重大な部分はそれであるというふうに考えております。しかし、核アレルギーということばの意味は、いまの原子爆弾に対するものと、同時に平和利用についても出ているのではないかという感じがしないでもございません。  たとえば、最近アズ・ロー・アズ・プラクチカブルという、いわゆるALAPということがいわれますが、日本はアメリカと同じように、軽水炉発電所の場合に五ミリレムという方向にいこうとしております。これは環境安全専門部会の答申を得ました。しかし、ヨーロッパではそういう方向にいっておらないのです。ですから、そこら辺についてはどういうふうなことが基本にあるかということを検討しなければならぬと思いますが、近江先生の言われましたこの軍事利用の問題については、原子力委員会がある限り、そういうことはさせません。
  296. 近江巳記夫

    ○近江委員 この平和利用につきましても、一たん事故があり、また環境汚染というようなことになってきますと、これはもうほんとにシビアにやっていかなければならぬわけですよ。そういう問題で、日本の国民が非常にきびしい見方に立っておると皆さんおっしゃるわけですよ。しかし、それは正常であって、甘い考えであるというのはおかしいんだということを私は言っているんですよ。特殊な感情とあなたも見るんですか、いまの国民の感情というものを。決して特殊じゃありませんよ。軍事利用、平和利用においてもそういうシビアな考えを持つのがあたりまえなんですよ。  いま、特殊な感情というのがだんだん普遍化してきて、日本国民だけが何かやかましい、そういうきびしいことばかり言っているような感じが普及しておるように思うわけです。ですから、その辺の考え方を最高責任者の皆さん方は改めてもらわなければいかぬ。何かあったら、ひとつ山田さん……。
  297. 山田太三郎

    ○山田説明員 先ほども申し上げましたように、原爆あるいは核爆発といったようなものについては、われわれは厳重にそういうことが行なわれないように監視するというのが原子力委員会の任務でございます。  しかし、平和利用におきましては、必ずしもそれと全く同じではないというふうに私は考えています。それが原因するところが原爆であったかもしれないのですけれども、しかし、平和利用についてはそれがコントロールされておるわけでございますから、その範囲内においてわれわれは十分にやっていけば安全であるということがいえるんだと私は思います。しかし、いまのアズ・ロー・アズ・プラクチカブルにいたしましても、ヨーロッパ流にいますぐ従うというふうには考えておりませんが、そういう国もたくさんあるということを御承知願いたいというふうに思うのです。  それから、核爆弾の問題につきましては私は全然知らないわけですけれども、たとえば防衛についても、ヨーロッパのやり方、特に西独のあり方と日本のあり方とはずいぶん違うということがあると思います。それが核アレルギーといわれているのじゃないかと私は考えています。
  298. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がないから終わりますが、いわゆるその特殊の感情といわれている今日のそういう問題が、だんだん国際的にも定着しつつあるのです。そうじゃない、日本の国民感じておることが正常なんだ。だから、国民気持ちに沿って軍事利用なんということは、どんなことがあっても許すわけにいきませんし、平和利用においても、ほんとうにきびしいそういう安全性環境汚染の問題等についてやっていただきたいということであります。  時間がありませんから、これで終わります。
  299. 安井吉典

    安井委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後六時二十分散会