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1974-11-26 第73回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十一月二十六日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 守良君 理事 太田 一夫君    理事 兒玉 末男君 理事 三浦  久君       石井  一君    小渕 恵三君       大竹 太郎君    關谷 勝利君       宮崎 茂一君    綿貫 民輔君       金瀬 俊雄君    久保 三郎君       斉藤 正男君    梅田  勝君       紺野与次郎君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 江藤  智君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      佐藤  徹君         水産庁次長   松下 友成君         運輸政務次官 小此木彦三郎君         運輸大臣官房観         光部長     佐藤 久衛君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省船員局長 山上 孝史君         運輸省鉄道監督         局長      後藤 茂也君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君         運輸省航空局長 中村 大造君         海上保安庁長官 寺井 久美君         労働省職業安定         局主任中央職業         指導官     吉谷 二郎君         日本国有鉄道副         総裁      井上 邦之君         日本国有鉄道常         務理事     加賀谷徳治君         日本国有鉄道常         務理事     山岸 勘六君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君         日本国有鉄道環         境保全推進本部         事務局長    坂  芳雄君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団新幹線部         長)      藤田 雅弘君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君 委員の異動 十一月十五日  辞任         補欠選任   阿部 喜元君     西銘 順治君   江藤 隆美君     増岡 博之君  小此木彦三郎君     大竹 太郎君   國場 幸昌君     小渕 恵三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件(タクシー運賃の改定に関する  問題)  海上保安に関する件(第十雄洋丸とパシフィッ  ク・アリス号衝突事故に関する問題)  観光に関する件(海外旅行者に関する問題)  航空に関する件(外国人国際航空運送事業に関  する問題)  日本国有鉄道経営に関する件(国鉄保安対  策に関する問題等)      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  この際、運輸政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。小此木政務次官
  3. 小此木彦三郎

    小此木説明員 このたび運輸政務次官を拝命いたしました小此木でございます。時局が重大といいましょうか、たいへんな時期でございますけれども、不敏ながら懸命に努力いたしますので、委員長をはじめ皆さま方の御指導をよろしくお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  4. 三池信

    三池委員長 陸運航空日本国有鉄道経営海上保安及び観光に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日、日本国有鉄道経営に関する件について、日本鉄道建設公団新幹線部長藤田雅弘君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  6. 三池信

    三池委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。金瀬俊雄君。
  7. 金瀬俊雄

    金瀬委員 最近、国鉄新幹線東北本線及び外房線中心に連続して起きている故障事故、また東京湾におけるタンカーと貨物船事故、この二つはいま国民に大きな不安と恐怖を投げかけています。そして政府運輸行政に対する不信の声がきわめて高くなっています。このことは、政府交通政策に対し根本的にその政策の転換を求める強い声となっていることは御承知のとおりでございます。  まず最初に、海上衝突事故の問題について御質問申し上げます。  今回の東京湾におきます衝突事故は、漁民や沿岸の住民を不安と怒りの渦の中に巻き込んだきわめて重大な事故でございます。しかしこの事故に対して多くの人たちが来たるべきものがついに来たというようなことをいっております。まず私は、そうした観点に立ちまして、海上保安庁長官に率直なお考えをお聞きしたいと思います。答弁はきわめて簡単でけっこうですので、結論だけ言っていただきたいと思います。  この事故の第一の原因は、東京湾内航路内に航行船が最近非常に過密化しているというのが最大原因ではないか、さようにいわれていますが、これに対して長官考え、それから今後東京湾に入ってくる船に対します隻数の制限あるいは一方交通実施とか、そうしたことをする気がないかどうか、その点についてお伺いします。
  8. 寺井久美

    寺井説明員 今回の事故はまことに残念な事故でございます。東京湾内船舶交通状態が非常に過密ではないかという御指摘でございますが、確かに東京湾内船舶交通量は非常に多うございまして、大小いろいろな船が航行いたしております。そういうこともありまして、湾内航行に関しまして一定のルールを設け、そのルールのもとに安全の確保をはかってまいったわけでございます。今後湾内に入る船舶制限するかどうかという御質問に対しましては、現在のところ、交通整理のあり方を十分検討してまいりまして、航行管制等も十分行ない、さしあたり早急に湾内に出入する船舶数制限するという考えは持っておりません。
  9. 金瀬俊雄

    金瀬委員 ちょっともう一つ。一方交通について考慮しないかということについて答弁を……。
  10. 寺井久美

    寺井説明員 湾内交通を一方交通にするかしないかという点でございますが、この点は湾内の各港と航行船舶との関係検討の上、一方交通実施可能区域についてはそういうことも検討してまいりたいというふうに考えております。
  11. 金瀬俊雄

    金瀬委員 おたくの出した資料で、東京湾へ入ってきている船が一日に二百十六隻になっている。この二百十六隻というのは新幹線に匹敵する数なんですよね、東京湾に入ってきている数が。これは非常に多過ぎると思うのです。だからそのことについて特に制限を加えない、検討するということですが、検討してこれは制限を加えなければ再びこういう事故が起きる可能性があるということについて研究していただきたいと思います。  次に、中ノ瀬航路出口ブイ設置が必要である、特に木更津航路から来る船との交差点、これをブイによって明示することが非常に必要であるという話がいま漁民の間とか船長さんとかそういうところから出ております。  それからもう一つは、中ノ瀬航路の中に深さが十九メートルの浅い場所があるのだそうであります。だからその場所を通るときに巨大船等は迂回しなければならないということがやっぱり事故原因になっている。それに対する対策はどうなっていますか。
  12. 寺井久美

    寺井説明員 中ノ瀬航路出口につきまして、従来中ノ瀬航路から船が出ますと、海上衝突予防法一般原則が適用されますので、横切る船、たとえば木更津から出てまいりますような船は一キロ程度出口から迂回するようにという指導をいたしております。その意味におきまして迂回地点を明示するブイがあることが望ましいということでございまして、私どもブイ設置については前向きに目下検討いたしております。  第二点の先生指摘中ノ瀬航路の中に浅い部分があるという点につきましては、私、いまちょっとつまびらかにいたしておりませんが、中ノ瀬航路航行につきましては、大型船につきまして先導船をつけて走っておりますので、いまのところ大きな問題はないのではないかというふうに考えております。
  13. 金瀬俊雄

    金瀬委員 海交法施行規則の付則第二条に、中ノ瀬航路は十九メートルなので、喫水が十六メートル以上の巨大船が北上する場合に迂回しても差しつかえないとちゃんと書いてある、おたくで出した法律に。だからこれを直さなければ事故というのは防ぐことが困難だということのようです、これは船長とかいろいろな人に聞いてみると。だからその点についておたくのほうで十分再検討して、掘るべきところは掘るし、航路でないところを通すようなことになるとたいへんなことになるから、その点については再検討してほしい、さよう考えています。  それから次に、浦賀水道の第一ブイそれから第五ブイ、そこには海上保安庁巡視船が常時配置されて交通整理に当たっています。ところが、中ノ瀬航路出口のところに船が配置されてないのです。ここのところが一番船がふくそうする場所なんですよ。そのふくそうする場所巡視船を配置することが必要なわけですが、それについてのあなたの考え方をお尋ねします。
  14. 寺井久美

    寺井説明員 まず最初先生指摘中ノ瀬航路の浅い部分につきましては一さらに検討をさしていただきたいと存じます。  出口巡視船を配置するという点につきましては、実は海交法施行以来、浦賀航路出入り口等につきまして、できる限り巡視船を配置して指導に当たってまいっております。今後中ノ瀬航路出口に常時巡視船を配備するという点につきましては、まず当方の現在の業務量から考えまして、二十四時間張りつけるということはやや困難であろうというふうに考えています。したがいまして、先ほど申し上げました先導船十分出入り口、特に出口付近でどういうことをするかということを指示いたしましたマニュアルをつくりましてこれを順守させ、その実施状態を適宜巡視船によって検討していくという方法で安全をはかりたいというふうに考えております。
  15. 金瀬俊雄

    金瀬委員 時間がございませんので、結論だけでけっこうですのでお願いいたします。  エスコート船中ノ瀬航路で終わるようになっているけれども、これは桟橋に着くまで完全につけるほうが安全上必要だという声が、東京湾内の船で航行している人から相当世論として起きていますが、それに対する保安庁考え方を。
  16. 寺井久美

    寺井説明員 御指摘ように、中ノ瀬航路の末端で終わりということではなくて、さらに先のほうまでつけるという方向で目下検討いたしております。
  17. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまのことはひとつ必ず実施していただきたい、さよう考えております。  その次に、現在、川崎、横浜、東京港は強制パイロット、水先案内というのをつけることになっていますが、浦賀水道はそれをつげなくてもいいことになっています。浦賀水道にもそういうものをつけるよう処置することが防災上必要ではないか、衝突を防ぐのに必要ではないかというような話がございますが、これに対する長官考え方。また、外国では公海上のパイロット湾内パイロットとそれから桟橋へ船をつけるときのパイロットと、三種類あるわけですね。日本では全部同じ人がやっているのですね。しかも三十三名しかいない。そういうことについて長官は、もう少しパイロットというのをふやして、そして安全をはかるようなことを検討する気があるかどうか、その点についてお伺いします。
  18. 寺井久美

    寺井説明員 東京湾ように非常に船舶が錯綜いたしております湾内につきまして、やはりパイロットをつけたほうがいいというふうに考えております。ただパイロット制度につきましては、実は海上保安庁の所管でございませんので、これは私どもはそういうふうに希望いたしておりますが、制度をどうするかという点につきましては運輸省船員局のほうで主管いたしておりますので、私ちょっと御返事いたしかねます。
  19. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは海上保安庁のほうから船員局のほうへ話をしまして——いまこのふくそうするところに三十三名なんです。どうしても百名程度いなければ東京湾の中で安全を保つことができないというのが一般の、パイロットの声なんです。ですから、そういうことについて立法措置をするなり何か考えてほしい。政務次官、特にこの点はお願いしておきます。
  20. 小此木彦三郎

    小此木説明員 船員局長まだ来ておりませんが、このことに関しましては、現在、海上安全船員教育審議会の答申を待っているところでございまして、私どもといたしましては強制水域と申しますか強制海域というものの拡大をぜひ急いでもらいたいという意向を持っておることには変わりございません。
  21. 金瀬俊雄

    金瀬委員 十一月十日の日に、衝突して災上している船を富津沖に持ってきたわけでございますが、この富津へ持ってきた最大原因は、横須賀に漂流していった船を富津に持ってくるときに、横須賀には米軍基地がある、それからオイルタンクがある、そこで断わられてこっちへ持ってきたんだということを海上保安庁の人が漁民に話をしていますが、それは事実ですか。
  22. 寺井久美

    寺井説明員 横須賀でそういうことで断わられたというような事実はございません。富津へ持ってまいりましたのは、第十雄洋丸が大火災になりまして、必死の消火活動にもかかわらず非常に燃え広がっておりました。大爆発も起こす。当時の潮、風に流されて横須賀方面に接近したわけでございまして、横須賀付近の浅瀬には岩礁が非常に多うございまして、岩礁に乗り上げますと、船底を破損いたしまして燃料油等が流れ出る、あるいは積み荷LPG等爆発考えられまして、こういう危険を避けるために、海の底のやわらかい木更津沖に曳航して座礁さしたものでございまして、米軍との関係でいろいろ断わられたとかあるいは焼料タンクがあるからということよりも、そういう技術的な問題で最も安全と考えられる場所に曳航した次第でございます。
  23. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そのために、富津地区漁民というのは、相当長い期間にわたって、ノリをとるとか釣りをやるとか、漁業制限が加えられている。ところが事故を起こした巨大船というのは、航路を早くその船を片づけたために、全然制限を受けてない。だから、事故を起こした巨大船のほうは全然制限を受けずに、漁民だけが恐怖感を持たされたりあるいは不安に襲われたりあるいは休業させられたり、非常な被害を受けている。そのことについて長官はどう考えるか、その点をちょっと……。
  24. 寺井久美

    寺井説明員 富津沖約四・六キロの点に座礁さしたわけでございまして、そのために富津漁民がたいへん心理的に心配をした、また漁業もある一部で行なえなかったという事実がございます。その点、まことに同情申し上げる点でございますが、私どもといたしましては、さらに大きな災害を避けるためにやむを得なかった措置であるというふうに考えておりまして、また事実上の被害も最小限に食いとめ得たのではないかというふうに考えております。
  25. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これから先は、長官にひとつ事の真相についてはっきりした答弁をお願いしたいと思います。  それは、富津地区漁民海上保安庁に行って第三管区本部長と話をしたことなんですが、なぜ富津地区に船を持ってくるときに事前に連絡しなかったのか、千葉県を通してもいいじゃないか、漁連を通しても。その連絡しなかった理由は何だと聞いたら、話を聞きたければ、そちらから連絡するのがほんとうじゃないかと言ったという。それから第二点、炎上した第十雄洋丸を安全な場所に撤去してほしいということを申し込んだら、そんな考えはない、おまえたちがここにいたければ五日でも十日でも好きなだけいろということを言ったという。それからその他、そばにいる人におまえ写真をとっておけということを命令した、あたかも暴徒のごとく、抗議した漁民を取り扱ったといういきさつがあるわけです。そのことを漁民は、そういう三管本部長よう漁民を軽視したり漁民を人間と思っていないようなやり方について非常に不信の感を強く持っています。そういうことがあったかどうか。もしあなたが、なかったと言うなら、新聞社の人もついていることだし、いろいろな証人がいるから、この次の委員会のときに連れてくるけれども、実際調査したとき、そういうことがあったのかなかったのか、はっきりした答弁をお願いしたい。
  26. 寺井久美

    寺井説明員 まず第一点の、千葉県に連絡をしなかったという点でございますが、これは、あの被害の際に、一々了解をとって、船の持っていき先を決定するという性質のものでございませんで、あくまで緊急避難的な行為でございました。ただ、その事後に、通常の良識といたしまして、千葉県のほうに連絡をしてもよかったのではないかということは考えられますが、そういういきさつでございます。  それから、第二点の千葉県の漁民の方が三管の本部長と会ったときの話でございますが、これは十一日でございましたか、まだ事後処理に忙殺をされておる現場の修羅場でございまして、実際のやりとりにかなりエキサイトした面が出ておったというふうに私も聞いております。しかしながら、これは防火救援作業等に必死になっておりました現場の者といたしまして、ある程度やむを得なかったものというふうにお考えいただきたいと存じます。
  27. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この問題については、その後漁民長官のところへ来たときに、長官から丁重なおわびのことばがあったということでございますので、ひとつ了解することはけっこうでございますが、その三管の本部長に対して、東京湾漁民にもう少し、同じ海で働く者として、親切と申しますか、そうした態度がほしかったということを、長官からよく言っておいてください。そうでないと、今後こうした事故が起きた場合には、今度は感情的になって、大きな争いになって解決できないことがあると思いますので、その点については十分注意してほしい、さよう考えております。  それから、今度の事故について、海上保安庁は平素こういう事故を想定していろいろな訓練とか研究とか、そうしたことをしておったかどうか。火を消すためにイギリスから技師を呼んだとか、東大の教授に頼んだとかいろいろあるそうですが、そういう事実があったわけですか、その点について。
  28. 寺井久美

    寺井説明員 まず、火を消すためにイギリスから技師を呼んだという事実はございません。これは私の聞いておりますところでは、保険関係の依頼でLPG液化ガス専門家が来たというふうに聞いております。  それから、東大先生その他にいろいろ意見を聞いたと申しますのは、実はわが国でも初めての事故でございまして、この特殊なガスをどういうふうに処理すればいいかという意味でいろいろ技術的な御意見を伺うということで、海難防止協会中心にいたしまして、そういう会を持っていただきまして、あの船の状態、それが引き出せるものかどうか、どの程度積み荷爆発しないで済むか、そういった技術的な面をいろいろ御意見を伺って今回の事故処理をいたしたわけでございます。
  29. 金瀬俊雄

    金瀬委員 先ほど申し上げましたように、航路基地や工場を守るために富津へ船を持ってきたわけですが、そうしますと必然的に漁民が一方的に犠牲を押しつけられたことになるわけですが、これに対して水産庁海上保安庁に対してどういう申し入れをしたか、あるいは漁民を保護するためにどういう処置をとったのか、あるいはどんな役割りを果たしたのか、あるいは今後こうした被害が出た場合に、すみやかに対応できるよう救済基金を設立するような心がまえがあるのかどうか、その点についてお伺いします。
  30. 松下友成

    松下説明員 先生ただいま御指摘の点でございますが、水産庁といたしましては、海上保安庁から連絡を受けますと同時に、関係漁業者に極力影響が及ばないように配慮していただくよう申し入れたところでございます。  それから原因者不明の油濁につきましては、法案を提出いたすべく現在検討中でございます。今回の場合原因者がはっきりしておるものにつきましては、やはりこれは原因者負担原則によって措置されるべきものというふうに考えておるわけでございます。
  31. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは加害者である第十雄洋丸会社責任者漁民との間の対話があって、その間、漁民人たちに聞くと、今度の会社はこの前の明原丸会社よりよほど良心的であるように見受けられる。そして、新聞には富津漁民被害は大体三億であると書かれております。この三億の補償について、水産庁なりあるいは保安庁が仲に入って解決するということは困難かと思います。それは裁判とかいろいろあると思います。ただし、当事者同士が話が円満に解決できるように、指導とか助言はできるのじゃないかと思いますが、そうしたことをやる気があるかどうか、その点についてお伺いします。
  32. 寺井久美

    寺井説明員 本件の事故が起こりましたときに、私ども船主に対しまして、漁業補償の問題が発生しますよ、十分誠意をもって解決なさるようにということは、申した事実がございます。しかし、これはあくまで原因者である船主と、関係者と申しますか、被害者である漁民との間で自主的に解決されるのが筋だというふうに考えておりますので、現在、船主側としても解決に対して誠意を示しておるところでもございますし、私どもとしては当分静観をしたいというふうに考えます。
  33. 金瀬俊雄

    金瀬委員 水産庁保安庁と相談いたしまして、すみやかに補償が終わるよう助言とか指導をお願いいたしまして、保安庁に対する質問は終わります。  次に、国鉄について御質問を申し上げます。時間がございませんので、結論だけでけっこうでございますので、端的に答えていただきたい、さよう考えております。  新幹線東北本線外房線中心にしていま国鉄事故故障が相次いでいる。こんな事故故障が続発する原因というのは、レール、架線、車両などの施設設備が非常にいたんでいるためではないか、つまり、国鉄老化現象を起こしているのじゃないか、さよう考えていますが、それに対して、老化現象は起こしているのかいないのか、それだけ答えてくれませんか。
  34. 井上邦之

    井上説明員 最近国鉄事故ないし故障が続発しておりまして、皆様に非常に御心配をおかけしておりますことをおわびいたします。  老化現象が起きておるかどうかという端的なお尋ねでございますが、いろいろ老化現象を起こしておるものもありますし、そうでないものもありますから、なかなか御返事申し上げるのもむずがしいわけでございますが、ただ、先生御関心をお持ちいただいておりますところのレールのことにつきまして申し上げますと……
  35. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いや、あなたはいまの状態老化現象を起こしていると見るのか、健全な状態と見るか、どっちか答えればいいのだ。そんなレールとかなんとかということは言わなくていい。どっちかだよ。健全な状態なら健全な状態だと言えばいいじゃないか。悪ければ悪いとはっきり言えばいい。
  36. 井上邦之

    井上説明員 多少老化現象と言えば言えるかと思いますが、しかし、直ちに生命に危険を及ぼすよう状態ではないということだけは申し上げられると思います。
  37. 金瀬俊雄

    金瀬委員 結論だけ言えばいいですよ。あなたは長く国鉄関係して、相当国鉄のことをよく知っている人ですよ。あなたが老化現象でないということであれば、たいへんなことだと思うのですよ。多少そういうことがあると言うけれども、全く老化現象だと私ども考えている。昔は世界一安全であり、しかもダイヤが正確無比といわれていた国鉄ですよ。それが現在、故障事故のため全面運休の日もあるのですよ。スピードダウンのときもある。運転本数の間引きといった非常な処置をとらなければならなくなった。そういう非常な処理をとらなければならなくなっておって、老化現象でないということはないはずですよ。非常な処置をとるということは、すでに老化現象が起きているから非常な処置をとるのだと、私どもはそう解釈しているわけです。私は、こういう現象が起きている最大原因は、限界を越えて国鉄を酷使している。人も物も使い過ぎだ。そして過労だ。たとえば新幹線にしても現在の運転本数は一日に二百三十本前後、これは十年前の開業当時の約四倍です。東北本線の場合も外房線の場合も大体これと同じような使い方をしているわけです。それから特に昭和四十年の大宮付近の一日の列車本数は二百二十九本、いまやは三百四十七本。それだけでなくて、この暮れになると増発するでしょう。この暮れの年末年始のときはその間を縫ってまだ列車を動かすのでしょう。その状態というのはきわめて過密状態です。その上スピードアップしている。それから重量が重くなっている、ふえている。そういうことがレールを激しくすり減らしたり、架線を摩耗させたり、道床をこわしたり、下部構造とかまくら木まで非常に痛めつけているということだと私どもは解釈しているわけです。現場をずっと見て。国鉄は現状を認めますか。そういう状態だと認めますか認めませんか、それだけ答えてください。
  38. 井上邦之

    井上説明員 非常に輸送の需要がふえておりまして列車もふえております。過密になっておるという状態は、これは先生指摘のとおりでございますが、先ほど申しましたとおり、それが直ちに大きな危険につながっておる問題というふうにはわれわれは考えておりません。それ相応の対策を常に打ちつつこれに対処しております。
  39. 金瀬俊雄

    金瀬委員 相応の対策を立ててないからこうしてわれわれが質問しているのですよ。質問もするし、それから現場も見たわけです。十年前は空の旅とか海の旅とか自動車の旅に比べると、国鉄というのはきわめて安全だ、そういうふうにいわれてきたのです。いまは国鉄も危険なものに仲間入りですよ。あなたは危険が全然ないと言っているけれども、いまの過密状態で危険がないということを私は考えられない、さよう考えております。それから、技術がどんなに進歩しても絶対安全ということは私はないと思うのですよ。技術がどんなに進歩しても絶対安全ということはない。新幹線というのは世界に誇るものであると、国鉄人たちは技術とか力を非常に過信しているのじゃないかと思いますが、いま国道、たとえば建設省の例をとってみると、国道は毎日のように舗装のこわれた場所を直して回っていますよ。直す人がいて直してもらっている。場合によると、国道でも一方交通とか片側通行とか、通行どめをやって非常に道路を直すことに専念しています。それから車も大体貨物は一年、乗用車は二年ごとに車検をやっていますよ。車検をやるときは一週間から二週間車庫に入れて直している。そういうことを考えると、いまのたとえば新幹線の例で言いますが、保守対策、保守能力というのですか、そういうものが十分であるかどうかということについてあなたのお考えを聞きたいと思う。
  40. 篠原良男

    ○篠原説明員 新幹線につきましては、終列車から初列車の間に平均して大体六時間の間合いがございます。この間にレールを取りかえあるいは道床を取りかえております。レールは現在東京−大阪間は、五〇Tレールといいまして五十三キロレールを使っておりましたが、これを六十キロレールに取りかえつつあります。道床は大体年間四十キロくらい悪くなりますので、これはいま四十キロずつ取りかえておりますが、列車回数とともに道床の悪さは進んでまいります。したがって、基地をふやすなり、あるいはこれから七十キロの臨速てこを、百十キロの臨速てこをつくる、このようにしてパーティをふやしてやって能率をあげていきたい。したがって、不良個所の取りかえば鋭意進めておりますし、十日に一ぺん検測車でその状況をキャッチしておりますので、それを見て修繕計画、修繕場所の対策というものを講じておりますので、直接その安全を脅かすようなあれはございませんと確信しております。
  41. 金瀬俊雄

    金瀬委員 施設局長にちょっと質問しますが、いまは昼間の列車の本数が増加して昼間の保守作業というものはほとんどできない、これは事実ですね。それから保守作業が機械化して大がかりになったため短い時間で作業能率をあげることは困難だということも事実ですね。それからそうしたことを考えて保線のいろいろな作業というものが全部深夜になったということも認めます。そうすると深夜作業というものはきわめて重労働であって、しかも許された短い時間で作業を行なう、この労働力の確保というのはきわめてむずかしい問題である。季節労働者を使ったりいろいろやっている。それからおたくの保守能力が計画どおりいってないということは、いろいろな資料でもらっています。だからほとんど計画どおり整備されているということはないと思うのです。そうした中で国鉄が絶対安全だということはいえるかどうか、その点についてお伺いします。
  42. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生のいまの御質問は現在線のことだと思います。確かに東北線、高崎線、それから内房線、外房線は、最近開発が非常に進みまして列車回数がふえてきたことは事実でございまして、昼間なかなか列車の間合いがなくて保守する周期がないということは事実でございます。しかし、非常に最近線路の悪くなりつつあるところは緊急対策と称しまして、現在東北線は昼間三十五分間合いをとりまして機械を入れまして機械をフル稼働させております。それから外房線ようなところにつきましては、この間千葉の局では昼間列車を五時間とめました。午前中二時間、午後三時間、まん中に一本列車を入れまして通算五時間の列車をとめまして、約十一キロのレールを一ぺんに交換しております。三日間でございますが、このような方法を今後とっていきたい、こう考えておりますし、最近非常に稠密な開発の進んでおる房総につきましては、部分的に線増していただいて、その線増の線路を使って単線にして、残った線路を強化してりっぱな線路にして直す。線増いたしますと間合いが倍になるわけです。列車回数は半分になります。そのような対策でわれわれは保線のほうの必要な作業間合いを確保していきたい、こう考えております。
  43. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの話を聞くと、国鉄を完全な保守作業をしたり完全なものにするためには列車を休まさせなければいけない。つまり、過密状態のままでは絶対にできないということを認めるわけですね。過密の状態のままでは絶対に保守作業というものを行なうことが困難だということが言えるわけですね。
  44. 篠原良男

    ○篠原説明員 新幹線の場合は先ほど申し上げましたように夜六時間ございます。現在線にも間合いがなければ、これは間合いをとらなければいけませんが、特にレール交換なんというのは非常に長い区間を一ぺんに、二時間くらいかかってやらざるを得ません。ところが、毎日やる必要はない。一ぺんレールを取りかえますと二十年ないし二十数年、線区によってもちますので、必要なつど昼間間合いを設定してそして交換をしていくというような計画を立てたい、こう考えております。
  45. 金瀬俊雄

    金瀬委員 新幹線のことについて質問しますが、新幹線は外注が大体九〇%以上、それから在来線が五〇%に近い。この外注業者というのをせんだっての視察で調べたし、作業の状態現場で見てきましたけれども、きわめて能率があがりにくい。それから技術の点もそうよくない。そうしたことを考えた場合に、あなたのほうでこのまま外注を続けていく気ですか。それとも直轄工事をふやしたほうがいいのか。あるいはどっちがいいのか。それに対してちょっとお答え願いたい。
  46. 篠原良男

    ○篠原説明員 現在新幹線はおっしゃるとおり八十数%外注であります。それから現在線はいわゆる請負工事であります。私のほうは土木工事でございますのでいわゆる業務委託というのでなしに請負工事でやっているわけですが、現在線は約二割が請負工事になっております。業務委託的ないわゆる工事というのは一%くらいにしかすぎませんが、道床交換とかあるいはコンクリートまくら木交換というものは非常に波動的な仕事であります。一つの保線区にたとえば一月間毎日二十人ぐらいずつ人間を出してやらなければいけないというような仕事であります。しかも、非常に重労働であります。したがって、こういう波動的な一つの保線作業として飛び出したものについては従来から請負工事でやっておるのが原則であります。また、われわれ現場の者にしますと、保線区の仕事の中で、道床を扱う仕事というのが一番重労働であります。したがって、こういう仕事をやろうとしますと、なかなか保線の従事員の定着性がないというのが悩みであります。したがって今後はそういう請負業者の技術力をよく指導いたしまして、こういう業者の育成につとめていきたい、そういうよう考えております。
  47. 金瀬俊雄

    金瀬委員 形を変えて、皆さんフランスとかイギリスとかほかの国の鉄道を見てきていると思います。世界で日本の鉄道と同じくらい過密であり、スピード化して重量を運んで酷使しているところがあったら、どこか教えてくれませんか。世界のどこの国がこうだという情勢ですね。
  48. 山岸勘六

    ○山岸説明員 レールの線路容量に対しまして、列車回数がどうか、いわゆる列車の間隔がどうかということの判断からしか申し上げられないと思うのでありますが、そういう意味でいいますと、わが国鉄では一番ヘッドの短いのが中央線でございますが、中央線の二分ヘッドというものは諸外国でもいわゆる通勤輸送には見られる状況であります。ただ、全国的に平均しまして、レールの線路容量に対しまして単線あるいは複線ともにどこが一番多いかといわれれば、それはわが国鉄が一番多い、こういうふうにお答えできるかと思います。
  49. 金瀬俊雄

    金瀬委員 日本国鉄は、経営のしかたですかな、荷物を運ぶとか人を運ぶというのは世界一のようです、過密が。過密とかそういう状況が世界一。一番よく使われているということです。従業員の待遇というのは世界で一番悪い。全部調べたところによると、大体ほかの国の七〇%程度。それで、ほかの国の人が日本へ調べに来て、たいへん待遇が悪いし、過密であるということでびっくりしている。これに対して国鉄は、今後安全性の面からもう少し考えなければならない時期に来ているのじゃないか、さよう考えております。  次に、いま言ったことで、事故対策、安全対策のために十分であるかどうかということですが、国鉄の人、あるいは国鉄を離れた人、あるいは民間の人たち、いろいろな人に聞いてみますと、こういうことばがいまいわれているのですよ。国鉄は、第一に人が足らない。要員がない。第二点は資材が不足している。物もない。その次に三番目には、国鉄は時間がない。年じゅう汽車が走っているから直している時間がない。その次に、金がない。それは大蔵省が金をだいぶ締め上げるので金がないということに通ずると思うのですが、金がない。それから、国鉄は当局のほうにやる気がない。そういう状態を直す気魄がないといわれているのですよ。気魄というのはやはり皆さん方が現場で働いている人たち現場第一主義にして、そして大蔵省あるいは政府運輸省にぶつかって、もっと再建計画を改めるなりあるいは外注を廃止するなりして対策を立てなかったら、いまのままでは国鉄はたいへんなことになるということになるわけです。これはないないづくしだ。人がない、資材がない、時間がない、金がない、やる気がない。こういう状態にしたのは、これは国鉄の当局というよりも大蔵省あるいは政府運輸省に責任がある、そういうふうに私ども考えていますが、これに対して、大蔵省の主計官の人が来ておるようですが、五十年度予算なりあるいは何らかの方法で国鉄に対して安全性を高めるために処理することを考えているかどうか、運輸省と大蔵省に御質問申し上げます。
  50. 後藤茂也

    ○後藤説明員 お答えいたします。  先生ただいまいろいろと御指摘ように、国鉄の安全性につきまして国民の皆さまから不安の念を持たれておるということははなはだ遺憾に存じます。この点につきましては運輸省といたしましても、大臣から国鉄に警告をいたしまして、抜本的な対策を国鉄として立てるように要請をいたしました。また、国鉄では詳細なる対策というものを立てて私どもに示しております。私どもは、新幹線に関します限り、この国鉄の立てられた対策というものはけっこうな対策であると思っております。要は、それをいかにして紙に書いたものを実施に移すかということであると思っております。  先生の御指摘の、金がない、今日の現状は、いわば現在行なわれておる再建計画といったようなものに原因するのではないかといった御趣旨の御質問と承知いたしますけれども、四十八年度を初年度といたします国鉄再建計画は、長い間の経緯を経て、そしていろいろな方の御意向を承って、その時点におきまして国民の納得のいただけるぎりぎりの線としてつくったものと承知しておりまするけれども、その後現在に至りますまでの事柄の経緯を見ますと、いろいろな点でその基本計画は、そのまままっしぐらに進めることが適当であるかどうかについては若干の疑問を持っております。すなわち、運賃の改定の時期につきまして当初の予定より一年半もおくれておる。職員の賃金のベースは、この計画において想定しておりましたよりもはるかに高額となっておる。また、そもそもこのような計画が進みます日本の経済情勢が、いわゆる石油ショック以来基本的に大きな変化を見ておること。このような情勢のもとでは、いずれ早晩この基本計画というものはあらゆる角度からもう一度見直しをする必要があろうかと思います。しかしながら、その見直しと申しましても、また再びあらゆる国民の階層の方々の納得のいく形で見直しがなされなければならないと思います。したがいまして、とりあえずのところは、見直しの作業の進みますまでの間は、いわば暫定的な今日の基本計画を踏襲した形で国鉄の財政を見ていかざるを得ないと思っております。  ただいま話題になっております安全の確保についての諸問題についての国鉄の計画、それに要する財源につきましては、運輸省といたしましては最善の努力をいたすつもりでございます。
  51. 金瀬俊雄

    金瀬委員 運輸省国鉄に対してまず口を出す前に金を出す必要があるのですよ。文句をいう前に金をうんと出して、安全性を高めろということで、やらなかったら文句をいえばいいが、金を出さないで口だけ出すのは、それはほんとうの運輸省といえないわけだ。その点について運輸省は大いに反省をしなければならないのじゃないか、さよう考えています。  それから、過密というのと危険というのと混乱というのは、これは同居しているものですよ。過密だから混乱が起きるのですよ。それから事故が起きてくるのですよ。だから、安全性を高めるということは、過密の問題を解決しなければなかなか解決できるものじゃない、さように私ども考えております。  時間が参りましたので、最後に大蔵省と運輸省に御質問申し上げまして質問を打ち切りますが、国鉄が現在の混乱状態にある、しょっちゅう事故を起こしておる、それを解決するためには過密を解決して、思い切って人と物の投入をすることが必要である、私どもはさよう考えております。そうした面について予算の面から昭和五十年度は、ひとつ大蔵省のほうで特別な配慮をする必要があるんじゃないか、それが国民の足を守って命を守る最大の使命——大蔵省がそうした役割りを果たさなければならぬのじゃないか、さよう考えております。大蔵省の考え方をお聞きしたいと思います。  それから、国鉄当局が外注とか業務の委託ということで人件費の削減や事務費の節約をしているように見せかけている。実際は国鉄の近代化とか合理化がそういうことによって進められているけれども、かえって事故たくさん起きて逆な結果が出てきている。予算上の人件費というのは名目上外注とかそういうことでうまく外のほうに変えているということがわかるわけです。そうした予算上の処置、外注とかうまい形で隠してあるけれども、実際は総体的には業務量も減ってないし、金も減っていないわけですよ。このまま進んでいけば、国鉄というのはだんだん事故が多くなって、故障が大きくなってきて、信用を失ってくるわけです。だから国鉄は、安全の確保というのを第一にしてそれから公害の防止とかそうしたことにつとめるということは、結局直営体制を強化していかなければならぬ、さよう考えております。  そういう意味で、ひとつ政務次官に、今後国鉄に対して大いに予算を獲得するし、特に年末年始は臨時列車が大増発するわけですが、そういうことに対する安全について十分配慮する意味におきまして、ひとつ決意をお伺いいたしたい。
  52. 小此木彦三郎

    小此木説明員 ある国鉄の最高幹部が、有限をもって無限に対処するのはむずかしい、要するに有限な予算をもって無限に行なわなければならない安全確保、これを行なうことはむずかしいと言ったそうでありますが、私どもといたしましては、そのような抽象的なことばだけでなしに具体的な安全確保の道を一つ一つ積み重ねまして、先生の意向に従うよう努力するつもりでございます。
  53. 佐藤徹

    佐藤(徹)説明員 国鉄の安全問題は非常に重要であることは私ども十分認識しておるつもりでございます。  ただいま国鉄は財政再建計画の最中でございますし、四十九年度の予算は総需要抑制という全体的な経済運営の方針からかなり工事経費等は圧縮したわけでございますが、その中では安全対策の経費はかなり重点を置いて計上をしたつもりでございます。  五十年度はどういう方針かというお尋ねでございますが、五十年度予算はこれから編成にかかるわけでございますので、個々具体的には申し上げかねますけれども、全体的な方針といたしましては、先生指摘の安全対策重視ということで、これを最優先に考えて編成をするつもりでおります。
  54. 三池信

    三池委員長 斉藤正男君。
  55. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 関連をして三点ばかり伺いますので、私のお尋ねはきわめて明快でございますから、答弁もイエスかノーかということだけいただけばけっこうでございます。  国鉄並びに大蔵省、運輸省、そのままそこにいていただいて、答弁者はどなたでもけっこうでありますけれども国鉄首脳陣はひとつきょうの答弁をしっかりこの場で聞いておいていただきたいと思うわけであります。  二十五日の新聞報道によりますと、新幹線騒音対策として森田架道橋付近の被害者に対し住居移転を重点にした解決に踏み切るというようなことが報道されております。長い間問題になってきた新幹線公害対策として国鉄がおそまきながら踏み切るというこのことに対しましてはある程度の評価をするものでありますけれども、問題が全然ないわけではございませんので、この点についてお尋ねをしたい。  この対策は、本年六月発表された新幹線鉄道騒音の障害防止対策要綱に基づいてやるものと私は考えておりますけれども、この対策は新幹線鉄道騒音の障害防止対策要綱に基づいた対策であるかどうか、イエスかノーかだけでけっこうです。
  56. 坂芳雄

    ○坂説明員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃるとおり、要綱に基づいてやったものでございます。
  57. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 環境庁が発表いたしました騒音八十五ホン——暫定の基準でありますけれども、この八十五ホン以上の住居が対象になっておるようであります。もしかりに八十五ホン以上の被害者の住居が移転をしたという場合に、測定の結果八十五ホンには達していないけれども、それに近いが対象からはずれている。しかし隣接する住宅が撤去されたことによって、言うならば一つの壁がとれた、障害物がとれたという形になり、八十四なり八十三の住宅が、隣接家屋が撤去されたことによって八十五以上になるということは常識的に考えられます。その場合、現在では対象になっていないが隣接家屋がとれたことによって対象になるという場合は、当然これは補償対象とすべきだと思うけれども、これもイエスかノーかでけっこうです。
  58. 坂芳雄

    ○坂説明員 先生指摘ように、現状を変更したあと測定をいたしまして要綱に該当する事項があれば、要綱の趣旨に沿って実施をいたしたい、かように思っております。
  59. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 環境庁が進めております騒音本基準、私どもの追及の結果ではおそくも年度末すなわち五十年三月には本基準にしたい、こういうことを承っておるわけでありますけれども、もしかりに暫定八十五が七十五なり八十という本基準となって決定した場合、当然これもまた本基準に従って補償対象に含めるべきだ、このよう考えます。当然のことでありますけれども、念のためにイエスかノーか伺いたい。
  60. 坂芳雄

    ○坂説明員 先生指摘ように、環境庁から新たなる環境基準が設定されました場合には、その内容に沿いまして最大の努力をいたしたい、かように思っておる次第でございます。具体的に申しますと、範囲が広がりますと手法その他相当変えてまいりませんと、実施の期間その他いろいろ問題がございます。勧告の内容を見ましてから具体的に計画を立てて最大の努力をいたしたい、かように思っております。
  61. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 いまのお尋ねに対しては、イエスかノーでなくてぐだぐだ何か言いましたけれども、環境庁が本基準を出した、騒音はこれ以下でなければならぬといった場合に、手法とかその他とかあるわけがないじゃないですか。環境庁基準のとおり実施いたしますと言えばいいじゃないですか。イエスかノーだけでけっこうです。
  62. 坂芳雄

    ○坂説明員 航空機その他の例から申しますと、御承知のように環境基準の勧告の中身には、実施をすべき時期あるいは実施の方法等がある程度示されるのが例でございまして、それを見ながら実施をいたしたい、かように申した次第でございます。
  63. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 それならばわかるような気もいたします。  次に、振動基準が今日ないわけでありますけれども、騒音は基準以下であっても振動はきわめて激烈であって、たいへんな迷惑をこうむっているという被害住民が多いわけでありますが、振動基準もまた法制化とともに近い将来決定をされる、それが暫定であれ本基準であれ近い将来きまることは明らかである、その場合もやはり暫定基準を含め環境庁が振動の基準をきめた場合、すみやかにその基準に対応する処置をすべきだ、従前もそのようにいたしますということを言明しておりますので、問題はないと思いますけれども、確認のために伺っておきたいと思うが、振動基準が暫定であれ本基準であれ決定をしたという場合には、当然振動の対策としてやはり直ちに補償に踏み切るべきだというように思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  64. 坂芳雄

    ○坂説明員 これも騒音の環境基準と同様、目標値のほかに、実施すべき方法あるいは期間等を含みながら勧告なり基準が出るものと存じております。その内容を見まして、騒音同様、これの趣旨に沿うよう最大の努力をいたす所存でございます。
  65. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 担当の坂さんから責任ある答弁でございましたけれども国鉄諸般万事多難なときに、こういう問題と取り組まなければならないわけでございますので、次官あるいは鉄監局長、さらに大蔵省の主計官、出席をいただいておりますけれども、よく私のお尋ね、担当者の答弁を予算面で実効のあがるよう措置を要望し、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
  66. 三池信

    三池委員長 久保三郎君。
  67. 久保三郎

    ○久保(三)委員 国鉄の問題で二、三お尋ねしますが、時間があまりありませんので、私のほうも短く申し上げますが、答弁のほうも簡潔にお願いしたいと思います。  一つは、いまもお話がありました国鉄再建計画でありますが、鉄監局長から答弁があったように、これは見直しということでありますが、見直すという観点ですね。これは言うまでもございませんが、経済事情もたいへん変わってきた、だから十カ年計画の前提になる経済社会基本計画というようなものも御破算だということだし、総合交通体系についても大ざっぱなものはありましたが、これも見直しだということだと思うのですね。それにかてて加えて、国鉄の問題は言うならば合理化と安全性の問題について問題になってきた。だからこの二つの観点から見直しをやるべきだと考えておるわけでありますが、それはそのよう考えていいのかどうか。具体的にどう見直すかはこれからの作業だと思うのですがね。  いまあなたの答弁聞いていますと、五十年度は暫定としてこれまでの計画を踏襲する、そうすると、これは踏襲でありまして何らの反省もなしということなんですね。少なくとも確定した再建計画というのは、まあ半年なり一年かけて、あなたのおっしゃるように世間全体の意見も聞いて十全を期していくことは当然でありますが、それじゃその間の国鉄の運営はどうするのかというのは、大きな問題だと思うのですよ。暫定として踏襲していくというんじゃ踏襲には変わりがないので、何らの反省がないんじゃないかと思うんですね。私は多少の試行錯誤も加えながらこれはやっていくべきだと考えているわけです。反省についてはやはりそこでとどまって反省して、どうやったらいいかを考えながら暫定の措置を講ずるのが暫定だと思うんですね。暫定として踏襲するなら、これは暫定もへったくれもないんですね、次の計画ができるまで私は踏襲しますというので。そういうものじゃないんじゃないですか。鉄監局長からまずお答えをいただきましょう。私も演説をしましたが、あなたの演説も長いようですから、短くしてください。
  68. 後藤茂也

    ○後藤説明員 お答えいたします。  現在の基本計画は見直しの必要があるということを感じておりますが、どのような形でその見直し作業が終わるかについては、いま的確な見通しを立てておりません。したがいまして、五十年度予算は、私どもの希望といたしましては、そのようなものが立つ前の状態で、現行計画のベースの上に編成をせざるを得ないと思っております。
  69. 久保三郎

    ○久保(三)委員 予算の編成のことをまだ聞いていないんですよ。国鉄の運営をどうしていくかという問題を聞いておるのです。なるほど予算の問題もあります。ありますけれども、予算の前に、どう運営するかがわからなければ予算もきまらぬじゃないですか。何のために反省しているのか、見直しをするのか。見直す観点もわからないで見直すというのは何を言っているのか、私はそう思うのです。見直すといったらば、おおよそこういう観点から見直しをしなければなりません、しかし具体的にどうするかは、これは検討の余地がありますということでしょう。検討の余地というより検討しなければなりませんな。そうじゃないですか。だから既定計画をそのまま推進するということではないと承知するのだが、その点はどうか。
  70. 後藤茂也

    ○後藤説明員 先ほども申しましたとおり、また先生から御指摘もございましたとおり、現行の基本計画が予想しておった状態というものが変わってきておるというのが事実でございます。変わってきておるから、どこをどういうふうに見直すかということは、これから各般の御意見を伺いながら、いわゆる見直しをやるわけでございます。見直しをやる前に、見直しの必要は痛感しておりまするけれども、どこをどうやってどういうふうにするという構想が、いまはっきりあるわけではございません。
  71. 久保三郎

    ○久保(三)委員 話が長くなって困るんですがね。見直すということはしなければならぬと言うが、どういう観点から見直しするのかということを聞いておるのですよ。前提条件がくずれてきたということ、それと安全性や合理化の問題について大きな問題が出てきた、だから、そういう前提条件その他がくずれてきたんだから、そういう観点から検討を加えるということじゃないか。加えた結果なり加える形としては、これはいろいろあるだろうと思うんですね。その辺、間違わないで御答弁いただきたいと思うのですが、これ以上無理でしょうか。井上副総裁からお答えいただけるならいいでしょう。
  72. 井上邦之

    井上説明員 ただいま鉄監局長から御答弁がありましたとおりでございますけれども、現在の再建計画とされておりますものは、その基調におきまして、先ほどもお話しの出ておりました政府におかれて御作成になっておりましたところの経済社会基本計画というものが基本的な要素になっております。この経済社会基本計画も諸般の情勢がいろいろな面で変わっておりますので、現在政府におかれて見直しの検討を急いでおられる最中でございまして、やはり私どもの再建計画も、基本におきましては、この経済社会基本計画の見直しというものができたあとでありませんと確たるものはできないという事情がございます。この経済社会基本計画は、一応承りますところによりますと、政府におかれましても大体昭和五十一年度を目途としていま作業を急いでおられる、こういうことでございますので、私どももそれに歩調を合わせましていまいろいろの案を考えておるところでございますが、それを待ってやっておったのでは、これはまたいたずらに遷延いたしますので、基本的な考えとしてはいろいろそれまで勉強いたしておる、こういうことでございます。
  73. 久保三郎

    ○久保(三)委員 鉄監局長、わかりましたか。井上副総裁のお話のほうが幾らか筋が通っている。やはり実際やっているから違うんだな。(井上説明員「いや、いつも御連絡申し上げて……」と呼ぶ)いや、あなたは敬意を表して鉄監局長のお答えに間違いはないなんて、こう言ったが、それは一応エチケットとしてそう言ったんでしょう。いずれにしてもそういうことだと思うのですよ。だから五十年度というか、新しい計画ができるまでは、言うならば踏襲じゃなくてそういう観点を踏まえながら、いろいろな意見も出てくるだろうからそれを取り入れながらひとつやっていこうという、こういう大ざっぱな考えだと私は見ているのですよ。いままでの方針を、既定計画を推進するというなら、何も暫定もへったくれもないのですよ。そういうふうに考えていかなければいかぬだろうというふうにてまえども思っております。何もあわてて計画をつくらなければならぬということもないと思うのです。じっくり腰を落ちつけて正しいものをつくっていくべきだというふうに考えているわけです。  それからもう一つは、いままでの質問の中でも合理化の問題あるいは外注の問題が問題になっておりましたが、この見直しの内容ですがね、これは当然要員計画というか、そういうものも含めて見直しをする時期だと私は思うのですが、その点はどう思いますか。
  74. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 基本的に要員合理化の計画は昨年来の国会でいろいろ御説明申し上げたわけでございますが、客観情勢の変化、たとえば工事がおくれているとか、あるいは外部の協力がなかなか一得られなくなっているとかいった個々の問題については、これは再検討してあれしなければならぬという面はあるかもしれませんが、私どもやはりこの要員問題につきましては、将来の労働需給の長い目から見ますと、やはり国鉄の労働集約産業的な体質は絶えず変えていくという努力をしていかなければならぬというふうに基本認識しております。
  75. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまのお話、大体別な面からわれわれが考えますれば、いままでの合理化、いわゆる先ほど金瀬委員からも御指摘がありました、人件費を予算の帳づらからどこかへ移動するという、極端な言い方かもしれませんがそういう意味の要員合理化はもはや問題になる、限界に来たということだろうと思うのです。新たな観点からこの要員問題は取り上げる必要があるというお答えかと思うのです。私もそうだと思うのです。だからいままでの要員合理化を含んだ再建計画というのは、そういう意味でもやはり見直しをするべきだというふうに思っているわけなんです。そういうことで解釈してよろしいですね。
  76. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 基本的に先ほど申しましたように労働需給問題にからみまして、国鉄がいつまでもこういう大きな要員を確保できるかということは非常に大きな問題があると思うのです。そういった意味におきましては、われわれはあらゆる機会を通じてできるだけの努力をしていかなければならぬ。それから再建計画そのものの見直し方がどうなるか、こういうことは私どもまだわかりませんが、一応、三本の柱によってなされているという現状でございますが、そういった点につきましてはやはり国鉄の努力といったようなものは何らかの形でやはり私はあると思います。そういったものの一環の中で、相互関連があるわけでございますから、再検討されみということなら別でございますが、国鉄のやはり装置産業化の努力と申しますか、体質改善の努力といったようなものは絶えずあるものだと思っております。
  77. 久保三郎

    ○久保(三)委員 これに関連してもう一つお尋ねしておきたいんですが、いまのお考えでいきますれば、さっき鉄監局長なり井上副総裁からありました新しいというか再建計画の練り直し、それができます間というと、大体来年度にはすぐ間に合わぬことでありますが、来年度の計画は、さっき鉄監局長の話にはちょっと踏襲といって——要員計画その他すべて含めてこれはやはり見直しだろうと思うのですね。見直しということになりますれば、当然来年度についても既定計画もそのまま推進するということじゃなくて、これはやはり踏みとどまって再検討する。再検討の上でやはり試行錯誤もあると思うのですね。それから最近の要員事情も取り入れてこれはやはりやっていくというふうになるべきだと思うのですが、それはそういうふうに考えてよろしいですか。
  78. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 要員の関係、合理化の問題につきましていろいろな客観情勢がシビアになってきているという状況はあるわけでございます。しかし、もちろん先ほど申しましたように、やはり絶えずそういった努力はしなければならぬというふうなことで、目下本年度の合理化目標に向かって組合の協力も得て最大の努力をしているという段階でございますので、本年度の予算とかなんとかの措置につきましては今後の問題である、現在申し上げることができないと考えております。
  79. 久保三郎

    ○久保(三)委員 それはもちろん今後の問題ではありますが、心がまえというか、考え方としては、先ほど私から申し上げたよう考えていくべきだろうと思うのですね。だから既定計画を推進するということはあり得ない、これはやはり検討するというふうに、くどいようですが、とりますが、いかがです。
  80. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 基本的にはわれわれ努力していくべきことは努力していかなければならないという立場にやはり立たざるを得ないと思いますが、先ほど申しましたように、現実は非常にきびしくなっておりますが、現実を踏まえて運輸省、大蔵省その他に措置をお願いするということになると思います。
  81. 久保三郎

    ○久保(三)委員 次に、先ほども話がありましたが、外注体制ですね、外注体制にはいろいろな批判も出てきているわけなんです。特に安全の問題なんです。先ほど国鉄当局はやはり危険というものと安全というものとうらはらに直接考えて、これは当然そうだと思うのでありますが、いま言っている安全というのは、危険というものともう一つ国鉄が真正に走らぬということも入っているんですよ。おわかりですか。真正に走っていない。そういうのは世間でみんな安全でないと、こう言っている。ところが国鉄は、あまりにも職人かたぎなものだから、安全でないと言われると、危険であすにもひっくり返るから、そんなことはありませんと言って老朽の施設をかかえながらふんばるわけですね。まあ気持ちはたいへんりっぱだが、やり方はずいぶん損しているじゃないかと私は思っている。まあいずれにしても外注体制というのは見直す時期にきていると思うのですね。もちろん外注に従来からたよっていて、これでいいんだというのもあるかもしれない。しかしそれもあわせてやはり私は検討し直すということが必要だと思うのですよ。外注ばかりでなくて、保守体制あるいは検修体制というか、そういうものもこの際は一ぺん全部総ざらいするということが一つ、それから外注を中心にする仕事、保安というか、そういうものについては、外注当事者の、外注を請け負う人ですね、相手方の能力あるいは責任体制、それからはたしてこれは外注に値するかどうか、あるいは外注にすべきものであるかどうか、そういう観点から、ここまで問題になってはやはり検討する必要があると思う。この点はいかがですか。
  82. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 外注の問題は、国鉄もこれは非常に歴史が古うございまして、いろいろな段階を経てやってきております。もちろん、事安全に関することにつきましては、十分な歯どめを考えてやっておる。最近では特に、先ほどもいろいろ具体的に線路の話も出ておりましたが、線路構造も変わってきておりますし、なるほどダイヤも過密でございますので、なかなか間合いもとりにくいというような状況になってまいりますと、保守のやり方といいますか、そういうふうなものも変わってくるというようなことで、保守体制というものもだいぶ様相が変わってきております。しかし、適時必要な労働力を必要な時期、必要な時間に確保するというような合理性があってやらざるを得ないといったような面があるわけでございまして、ただいま先生指摘のとおり、言うまでもなく国鉄はもう安全第一でございますから、十分そういったものに対しての監督、指導体制、それから外注体制の、十分な信用のおける体制になっておるかどうかというような点につきましては、絶えず注意をしてやっていくということでございます。
  83. 久保三郎

    ○久保(三)委員 加賀谷常務の答弁でわかりましたが、検討するにしても、ただ検討するだけでは、国会の場所での答弁には半分だろうと思うのですね。満点の答弁にはならぬと思うので、要員問題を含めて、やはり安全の問題あるいは外注の問題も含めて抜本的に検討する、そういう体制を築く必要があると思うのですよ。ただ単に検討をしますというだけでは困るので、その点についてはどういうふうに考えられますか。体制というのは、たとえば年内のうちとか、あるいは年度内にそういう体制を築いてそこで一ぺん洗い直ししますというようなことくらい答弁あってしかるべきだと思うのですね。ただ検討しますでは、それぞれの部局でやっているのでは、これはどうかと思うのですよ。いかがでしょう。
  84. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 現在やっております外注について再検討するということは申し上げたわけではございませんが、当然外注するときにそういった考慮を払ってやっております。また今後も、いろいろ労働需給の面から合理的に労働力を使っていくためには、必要な場合にはやらざるを得ない、むしろそう申し上げたつもりでございますが、なお、先生の御指摘の点はごもっともでございます。事安全に関係するようなことがあれば、もちろんごもっともでございますので、今後ともそういうことのないように注意していきたいというふうに申し上げます。
  85. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間がありませんのでなんですが、いまのお話で、検討するということでありますが、いま世間では、あしたのストライキの問題も問題になっているのです。ここで一言最後に申し上げておきますが、いまの問題を含めて十分話し合いをして、ストライキを何としてでも回避する努力をするべきだと思うのですよ。ところが、最近はどうも、国鉄紛争にからんで、国鉄には時計がないようなんで、——おわかりですか、時計というのは。時計がないんで、時間にかまわずいつまでもだらだらと話をしておられるようだけれども、解決がつかないのかと思うと、ところが解決がつくのですね。その辺のところをわれわれはふしぎに思うのです。ついこの間も、国会では、一月から運転休止して総点検をするというのをもう少し繰り上げてやったらどうかというのが各党からも出てきた。世論もそうだった。ところが、頑強にも井上副総裁はこれに抵抗して、そういうことはできませんと言っていたのが、ストライキやったらば繰り上げになったんだな。こういうのは世間から見ればふしぎなんだ。ストライキをやらせるためにいろいろな仕事をやっているのかというんです、極端な話をすれば。だから、短い時間で舌足らずでありましたが、いま私が申し上げたこの中には幾つかいまの紛争の中身があるわけですね、外注問題、合理化の問題、要員の問題、みんなあるわけです。そういうものについて、きょう国会に引っぱられているから話し合いができないといえばそれまでの話かもしれませんが、時計を持って、十分回避ができるように努力してほしいと思うのです。  それから大蔵省主計官、忙しいところを恐縮でありましたが、あなたの答弁で、安全を重点に予算化を骨折るということで、それは当然でありますが、もう一つは、国鉄再建計画というのは財政措置をするというのが——何かいままで渋っていたきらいもあるのですね。多少はだんだん前進はしました。しかしながら、もう少し大蔵省も、単に財政措置ばかりじゃなくて、全体の立場を考えてひとつ予算の関係もめんどうを見るというか、積極的にめんどうを見るという立場が私はほしいと思うので、この際、お答えは要りませんけれども要望しておきます。  いま申し上げたこのストライキ回避の問題について、当面の責任者井上副総裁、あなたからお聞きしたほうがいいんですか。加賀谷さんがいいかな。
  86. 井上邦之

    井上説明員 あらゆる闘争の機会に、私どもできるだけ話し合いによって問題を解決し、国民の皆さまに御迷惑をかけないようにということで交渉を進めておることは事実でございます。ただ、交渉というのは相手があることでございまして、私どもだけの努力で交渉が成り立つわけでもございません。いろいろの手を尽くして組合側とも話をしながら、できるだけストに入らないように最善の努力を続けてまいりたい、いままでもやってまいりましたけれども、今日の時点においてもさような決意でおるということを申し上げます。
  87. 久保三郎

    ○久保(三)委員 政務次官おいでですが、当面あなたらにお願いするのは、あしたのストライキを回避するためにあなたらがどれだけ骨折れるかということだけなんだ。あとのことはまたあとでお願いしますが、どうでしょう。
  88. 小此木彦三郎

    小此木説明員 久保先生のおっしゃるとおり、時計を持って対処するように大いに努力させますし、私どもも努力いたします。
  89. 久保三郎

    ○久保(三)委員 終わります。
  90. 三池信

    三池委員長 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ————◇—————    午後一時三十七分開議
  91. 三池信

    三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。江藤運輸大臣。
  92. 江藤智

    江藤国務大臣 私、このたび運輸大臣を拝命いたしました江藤智でございます。  もう皆さま方のほうがよく御存じと思いますが、ただいま運輸行政の面におきましてはたくさんの難問が山積をしておるわけでございまして、私自身非常に責任の重大さを感じておるような次第でございます。しかし、何ぶんにも不敏なものでございます。今後皆さま方の御指導、御協力あるいは御注意などによりまして職責を全うしてまいりたい、かよう考えておりますので、よろしくお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえる次第でございます。  どうもありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  93. 三池信

    三池委員長 陸運航空日本国有鉄道経営海上保安及び観光に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。梅田勝君。
  94. 梅田勝

    ○梅田委員 御承知のように、本日田中総理大臣が正式に辞任を表明いたしました。きわめて短命な内閣でありましたが、これはきわめて当然だと思います。  田中総理が登場いたしまして以来、日本列島改造と大きなことを言いまして、そして国民にもたらしたものは、御承知のように狂乱物価といわれるようなインフレであり、そして現在は深刻な不況でございます。国民生活はきわめて困難におちいっております。しかし、一方で、総理のほうは、いま問題になっておりますように財産がだんだん、だんだん大きくなっておる。田中式蓄財法が問題となり、田中金脈政治の問題が大きな国民的な問題となってきているわけであります。したがって、今日田中総理が退陣に追い込まれたということは、これはきわめて当然、国民はそのように受け取っております。しかし、田中金脈腐敗政治の問題は、単に田中がやめればそれで片がつく、そういう問題ではないと思います。むしろ、ああいう問題が出てくるというのは今日の日本の政治経済制度、いわゆる国家独占資本主義と申しますか、国家のばく大な財政に依拠してあるいは寄生して、そして一部の大企業や特権的なものたちが大もうけをする、こういう政治の仕組みというものを徹底的に解明することなしにはああいった問題が再び起こらないということにはならないわけであります。また田中さんがやめられても、田中さんが国民の間に大きくまきました黒い霧の疑惑というものも解明されないわけであります。したがいまして、われわれは今後ああいう問題が絶対に起こらない、そういう保証というものをつくり上げる、地位利用でありますとかあるいは国家の権力の特権を利用して利権をあさるということが今後起こらないよう状態に今回の問題を通してつくり上げることが大切ではないかと思います。また国民もそういうことを国の政治に求めておりますし、国会の議論を通してそのことを明らかにするということを私は求めておると思います。したがいまして、日本共産党はそういう角度で今後も田中金脈腐敗政治の問題は国会の場を通して、あらゆる機会を通して徹底的に解明していきたい。当運輸委員会におきましても、御承知のように列島改造論に基づく大規模プロジェクトというものはたくさんあるわけでありまして、それにからむさまざまな問題はそのつど明らかにしなければならないと思います。  私はきょうは上越新幹線工事にからむ政府の政治姿勢、これを尋ねていき、姿勢をただしていきたい、こう思います。  まず上越新幹線工事でございますが、新聞によりますと大蔵省は来年度の予算におきまして公共事業の中核となる大規模プロジェクトについて物価安定、公害防止などの立場から、新幹線の工事費を二年連続伸び率ゼロに押える、こういうことを明らかにし、上越、東北両新幹線の当初完成予定五十一年度末を思い切って五十三年度以降に延ばす、こういう方針を固めたと伝えておりますが、運輸省はそういう方針に対してどういう考えを持っておられるかをお尋ねしたいのです。
  95. 後藤茂也

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  五十年度予算の編成につきましてはただいま私どもと大蔵省といろいろと折衝中でございまして、その最終案はもうしばらくときを経過してから最終的な政府の案として決定される見込みでございます。先生がただいま御指摘になりましたよう新聞記事につきましては、私どもは全くそのようには承知をいたしておりません。
  96. 梅田勝

    ○梅田委員 いずれ政府原案として出てくると思いますが、大蔵当局がそういった意向を固めつつっっある。運輸省はいまの御答弁によりますと、まだ承知しておらないとおっしゃっておりますが、大規模プロジェクトを変更せざるを得ないということはやはり列島改造論に基づく高度成長というものが一つの重大な問題に突き当たってきているということを物語っておると私は思います。  そこで現在までの工事の進捗率はどれくらいになっておりますか。
  97. 藤田雅弘

    藤田参考人 それではいま先生から御質問ございました工事が現在どの程度進んでおりますかをお答え申し上げます。  上越新幹線の現在までの年度ごとの進捗状況を申し上げますと、まず用地の取得でございまして、用地の取得は十月一日現在で百七十五万八千平方メートル、これは全所要面積の四三%に当たる用地を取得してございます。それから現在工事をいたしております延長は百二十四・一キロメートル、これも四五%の一応進捗をしております。  以上、お答えいたします。
  98. 梅田勝

    ○梅田委員 現在工事に参加している請負業者の数は何ぼになりますか。
  99. 藤田雅弘

    藤田参考人 お答えいたします。ただいま昨日まで工事をやっておりますのは五十五社でございます。
  100. 梅田勝

    ○梅田委員 その工事に参加している企業名を明らかにできますか。
  101. 藤田雅弘

    藤田参考人 これにつきましては、業者が何社、それぞれのことにつきましては私どもといたしましては一応こういう業者であるということは発表はできます。
  102. 梅田勝

    ○梅田委員 発表してください。
  103. 藤田雅弘

    藤田参考人 それでは御説明申し上げますが、一応県名ごとにいろいろ出ておりましてダブっておるのがございますので、それをダブらないように説明するのでございますので、その辺で数がおかしくなることがあったら御容赦願いたいと思います。資料がそうなっておりません。  前田建設、大成建設、鹿島建設、佐藤工業、熊谷組、大林組、三井建設、鉄建建設、飛島建設、西松建設、五洋建設、間組、青木建設、奥村組、第一建設工業、福田組、加賀田組、植木組、竹中土木、フジタ工業、清水建設、銭高組、戸田建設、日本国土開発、白石基礎、大豊建設、大本組、日産建設、若築建設、伊藤組、地崎工業、浅沼組、ピー・エス・コンクリート、株木建設、オリエンタルコンクリート、以上でございます。
  104. 梅田勝

    ○梅田委員 いまあげられました数は何社でございますか。
  105. 藤田雅弘

    藤田参考人 五十五社でございます。
  106. 梅田勝

    ○梅田委員 三十六じゃないですか。
  107. 藤田雅弘

    藤田参考人 この入札しております落札いたしました業者は三十六でございまして、入札に参加しておる業者が五十五社、こういうことでございます。
  108. 梅田勝

    ○梅田委員 入札に参加した企業が五十五社、そして落札した企業が三十六社ですね。そうしたら、落札できなかった業者はわかりますか。
  109. 藤田雅弘

    藤田参考人 落札いたしません業者につきましては、これは現地で私どもは、入札と申しますのは、それぞれの建設局で行なっておりまして、そこの契約担当役がそういう業務をやっております。私どものところで、これは資料を取り寄せて調べますればわかりますが、この場ではちょっとございません。
  110. 梅田勝

    ○梅田委員 入札の方法はどういう方式でやられますか。
  111. 藤田雅弘

    藤田参考人 これは私どもの契約事務規程という規程がございまして、それに基づきまして、その中でこういう工事につきましては五名以上の資格の者を選んで入札するということがきまっております。それによって行なっております。
  112. 梅田勝

    ○梅田委員 それは一件について五名以上の業者が寄って入札する。その入札する業者というのはあらかじめ指名するのですか。いわゆる指名公開入札という方法でやっているのですか。
  113. 藤田雅弘

    藤田参考人 そうでございます。
  114. 梅田勝

    ○梅田委員 後ほど資料で一入札に参加したけれども、落札することができなかった企業というのを明らかにできますですか。提出していただけますか。
  115. 藤田雅弘

    藤田参考人 これは提出いたします。
  116. 梅田勝

    ○梅田委員 それではさらに落札されましたそれぞれの工事ですね、工事のいわゆる予定した価額と落札した価額の開きはどうなりますか。幾らくらいになりますか、平均して。
  117. 藤田雅弘

    藤田参考人 この件につきましてはちょっと申し上げかねます。
  118. 梅田勝

    ○梅田委員 その申し上げられないという理由は何でございますか。秘密ですか。
  119. 藤田雅弘

    藤田参考人 これは私どものあれでは落札が終わりましても、その予定価格調書は公表しないということにきまっておりますので、これは申し上げるわけにはまいりません。
  120. 梅田勝

    ○梅田委員 抗議が実際に行なわれているわけですからね。当初予定したのとどのくらいの差があったかくらいは明らかにしていただかないと、その工事にからまる疑惑が出たときにはっきりしないと思うのですね。だから、どうですか、運輸大臣、ああいう方法でやって、その開きは明らかにできないと言っているのですけれども政府の政治姿勢をきちっと正すためには、その結果についても公表してもいいのではないですか、どうですか。
  121. 江藤智

    江藤国務大臣 やはり工事の最初の予定価格というものがありますね、実際に落とした、その間にどれだけ差があったということを一々公表するということはやはりそれぞれがいろいろなくふうをして高く入れたり安く入れたりしておるわけでございますから、それをこれはこれだけだったのだぞ、おまえこれだけあいておるぞというようなことを公表することはやっぱり慎むべきことじゃないか。これはただいまの商売のあり方からいいまして、予定価格を公表することは慎んだほうがいいのじゃないか、かように私考えます。
  122. 梅田勝

    ○梅田委員 そういう点がやはり明らかになりませんと、いろいろ疑惑というものが出てくる一つの要因になるという点で、私はその点はすきっとしていただくように要求したいと思うのですが、さて、この落札いたしました業者三十六社でございますが、これを調査いたしまして、一つの重要な問題が出てきております。  それは、入札が行なわれましたのは昭和四十六年度が三件、四十七年度が四十三件、四十八年度が二十二件、四十九年度が三件、合計七十一件というように思いますが、四十七年度に一番集中しております。その四十七年の政治献金の状況を調べてみますというと、これは官報に出ておりますので、だれでも見ることができるわけでございますが、三十六社のうち三十一社、八六%に相当する企業が政治献金をしております。福田組が七百万円、加賀田組が九百万円、植木組が三百万円、前田建設が千五百六十万円、大豊建設が五百五十万円、大本組が六百六十万円、森本組が三百四十万円、西松建設が千六百十万円、日本国土開発が四百九十万円、大成建設が三千四百六十万円、このうちの十社でございますが、いま申し上げました金額のうちいわゆる田中系五団体ですね、これは越山会、財政調査会、新政経振興会、経済社会研究会、政治経済調査会と、このいわゆる田中総理が関係する五団体に対する政治献金がこの十社から行なわれております。先ほど申し上げました金額のうち福田組が七百万、加賀田組が九百万、植木組が三百万、この三社は田中系だけに政治献金をしております。御承知のように、この三社は新潟県の土建業者ですね。それから前田建設が六百万円、大豊建設が五百万円、大本組が四百万円、森本組が二百五十万円、西松建設が五百万円、日本国土開発が四百万円、大成建設が六百万、五千百五十万円の献金を上越新幹線を落札した請負業者が一年の間に集中して政治献金を行なっている。  そのほか三百万円以上の大口を調べてみますと、浅沼組が四百四十万円、五洋建設が二千四百五十万円、間組が五百五十万円、清水建設が三百七十万、大林組が三千五百八十三万円、フジタ工業が四百万円、三井建設が三百三十万円、戸田建設が四百七十八万円、飛島建設が千八十八万円、熊谷組が四百九十万円、若築建設が二千百三十万円、伊藤組が三百五十万円。結局三十一社ですね、あとまだ申し上げてないのがありますが、三十一社合計いたしますと二億四千三百九十二万九千九百円の政治献金をした。これはたいへんな数字ですね。  また、田中系の五団体につきましては、四十四年の下期以来四十七年までの政治献金の実態を調べてみますと、この請負業者の三十六社中十四社、三九%に相当する業者が一億円をこえる政治献金をしたということになっております。これはいろいろ幽霊企業でありますとか脱税問題とかいうことで田中総理の身辺にまつわる疑惑の問題で徹底的な追及がなされ、大きな国民世論にもなっているというおりから、この問題はやはり解明しなければならぬ重要な問題だろうと思うわけであります。  さらにこの献金のしかたというものの特徴を見ますと、計画がいろいろ問題になる、そのころからぼつぼつ始まって、そして入札のピークになる昭和四十七年ごろに非常にふえておるというのが特徴でございます。また一回きりしかやってないというものもございます。その入札をした前後に一回だけ政治献金をするという例もございます。またさらに、これは田中系団体だけじゃございませんでして、多くの政治団体に政治献金がなされておるわけでありますが、大成建設は相当巨額の政治献金をしておりますが、田中派以外に昭和四十六年上期には現在の大蔵大臣をしている大平正芳氏の関係する新財政研究会にも百万円の政治献金をしておる。だから単に田中総理だけの問題ではないというのがその実態からわかるわけでございます。  このように一連の事実を見てみますと、上越新幹線の工事落札を重要な目的として、あるいはそれを唯一の目的としてその利権のために政治献金という形をとって行なわれた、きつい表現で言えば政治的贈収賄の疑いが生ずる問題だと思うのです。これは国民的なサイドから見ると、その工事の計画が発表される、そして引き続いて入札が行なわれ、落札が始まる、お金がおりてくる、同時に、それと同じ時期に政府機関に関係する人たちのところへ政治献金が集まっていくということを見れば、この両者のつながりというものはだれだって疑惑を持つ問題だと思うのです。こういう点において、やはり自由民主党の今日の政治というものは徹底的にたださなければならぬ。運輸省ように大型のプロジェクトをたくさん持っているところだけに、公の資金を使って工事をやる、ところがその工事をやったものが大もうけをしてそして政治献金をやるというならば、これはリベートの関係だというように普通の人は思います。やはりそういった問題について一点の疑惑も生まれないように行政の姿勢を正すということが今日必要ではないかと思うのです。そういう点で、命脈は尽きかけた田中内閣でございますけれども、すでに総理は辞任を表明した、その運輸大臣ではありますけれども、しかし国政は一日もゆるがせにできないわけであります。そういう点でき然とした態度を表明していただきたいと思います。
  123. 江藤智

    江藤国務大臣 いまいろいろと数字をおあげになりましたが、これはおそらく政治資金規正法に基づいて正規の手続で自治省に出された数字をお集めになったものだと解釈いたしますので、その数字につきましては私はそのまま信じていいと思います。ただ、いまおあげになった業者というのは、これは全国的に一流業者の方々ばかりであります。しかも上越新幹線というのは、確かに非常な長大隧道だとか橋梁だとかというようなものが入っておりますから、当然全国的な業者がたくさん入っておる、こういうことになるわけでございます。したがっていまの献金は全国的な仕事をしておる業者の献金であって、いま直ちにいわれるようにこれが上越新幹線と密着しておるかどうか、私はさようには考えておりません。
  124. 梅田勝

    ○梅田委員 お金にしるしはついていないのですね。だからやはりここでこれだけ工事が行なわれて、それだけお金がおりた、そして見返りにお金が行ったというのはだれしも描く構想であります。そして新潟のこの三社、これは資本金もそんな大きな企業ではないのです。たとえば植木組は資本金が一億円ですか、それから加賀田組は二億六千万円。ところがここは昭和四十三年以降二千五百万円の政治献金をしているのです。これはどうですか。身に余る政治献金をやっているとは思いませんか。
  125. 江藤智

    江藤国務大臣 どうも政治献金のほうは私あまり詳しゅうございませんけれども、いまの組も、年間の工事をやっておる量の中において占める上越新幹線の割合というのは少ないのじゃないか。これは私の見当でございますよ。やはり一番大きい工事をやっております、工事が出ておりますのは、御承知のとおりに民間です、これまでは。それから官庁工事では建設省でございます。国鉄あるいは運輸省関係の工事というのは、そういう他の省に比べますと非常にわずかなものなんです。そういうようなことから考えますと、上越新幹線をやったからこれだけの献金をしたというふうには解釈すべきではない、私はかよう考えます。
  126. 梅田勝

    ○梅田委員 岸内閣の当時、昭和三十二年の四月二十日にこういう申し合わせがあったと聞いております。一、営利企業については報酬を得るといなとにかかわらず兼職を認めない。二、公益法人その他これに類する諸団体の名誉職等の地位については、報酬を得ない限り兼職は差しつかえない。これは御存じですか。
  127. 江藤智

    江藤国務大臣 それはやはりそれだけの責任を持っておる者といたしましては、地位の利用というような事柄で国民の疑惑を受けることのないように、そういうためにそういう申し合わせをしたものだと考えております。
  128. 梅田勝

    ○梅田委員 国民から地位利用したんじゃないかといわれる疑惑を生まないためにこれはつくられた。現にこれは生きているということになりますと、予算の公正な執行という観点から見た場合に、予算を執行した業者から——その業者があなたの言われるようにほかにもたくさん仕事をしておる、そういう弁解をしようとも、少なくとも公共事業として予算を受けて仕事をして利潤を出した企業から、予算を編成し、決定する立場にある当局者が政治献金をいただく、これはきわめて不明朗じゃないですか。これは明らかに地位利用の疑いというものが当然出てくるじゃないですか。どうですか。
  129. 江藤智

    江藤国務大臣 これは私なら私にいたしましても、報酬のあるといなとにかかわらず、いわゆる企業に関係しちゃいかぬ、こういうことであります。しかしながら、後援会に善意によってこの人を応援しょうというわけで、政治資金規正法に基づいて献金をするということは許されておるわけですね。ですから、やはりそこに区別をつけて考えなければいかぬじゃないか。直ちにこれがいま仰せのように地位利用につながるというふうには考えられない。事実、法律もそういうふうに認めておるわけでございますから。さように私は考えております。
  130. 梅田勝

    ○梅田委員 いかに手続が合法的であったとしても、田中総理がやめざるを得なかったのは、紙の上の会社だけつくって、いわゆる幽霊会社だ。それが会社法か何か、手続的には合法だとしても、そのやり方が政治的、道義的に許されるべきものではないということで追及を受けて、そしてついに解明できないままでやめていく、そういっているんでしょう。だから、こういった後援会に政治献金をされることは、法の上では許されておるということでいって済む問題ではないのが今日の問題なんです。ここのところを明らかにすることが、私は政治姿勢を正すという場合には重要じゃないかと思うのです。とりわけ、国鉄経営はいま赤字なんですね。もう赤字で首が回らないから、運賃値上げ御了承くださいということでお願いし、先日の運輸委員会でも質問をいたしますと、計画も見直しが必要であり、運賃値上げの時期も繰り上げをせにゃどうにもならぬというところへ来ている。そういうことをいま検討しておるというときに、その赤字の国鉄建設をやって、そこから政治献金をどっと持っていく、これは国民感情が許しませんな。そういう点でやはり政府は、今回の問題を契機に姿勢を正さなければならぬ。私どもは、すでに政治献金のあり方につきましては、公選委員会におきまして改正要綱を出しまして、企業の献金を禁止するとともに、たとえ個人であっても、国、公共企業体、地方公共団体から補助金、寄付金をもらったり、これらと請負契約を結んだりしている団体の役員は政治献金ができないようにする、こういう趣旨の提起もしているわけであります。したがって、この際運輸省におきましては、公共事業を発注する場合、これを請負った企業に対して政治献金したらいかぬという禁止の条件をつけて落札をさせる、落札にあたっての条件とする。これを率先、運輸大臣ひとつ実行する決意ありやいなや、お伺いしたいと思います。
  131. 江藤智

    江藤国務大臣 政治資金の問題につきましては、各党それぞれでいろいろと検討しておるわけでございます。また財界においても、検討しておるやに聞いております。少なくとも政治資金というものにつきまして、国民が納得する姿のものでなければいかぬ、かように私は考えます。先生は、共産党のおきめになった趣旨をもとにしてお話しになっておるわけでございますけれども、ほかの党のほうでもそれぞれやはり考え方を進めておるわけでございますから、そういう結論がまとまれば私はその線に沿ってはっきりとやってまいりたい、かよう考えております。
  132. 梅田勝

    ○梅田委員 よそがどうということではなくて、いま政府自身の政治姿勢が問われているわけですから、そういう疑惑が起こらないようにするためにはこうしたらいいというのを積極的に私は出すべきだ、そしてみずから黒い霧問題について今後二度と起こらない保障を与えていく。入札をするに際してはいろいろ条件をつけてやっているんだから、その条件の一つに今後政治献金をしない、ということはこれは運輸大臣の決意いかんできめられる問題なんですね。その点もっと積極的な姿勢を、もう一度お伺いしたい。
  133. 江藤智

    江藤国務大臣 梅田先生の御意見として、承っておきたいと思います。
  134. 梅田勝

    ○梅田委員 この問題は、さらに今後引き続き追及していきたいと思います。  次に、新幹線事故の問題についてお伺いしたいと思います。  最近、新幹線事故が多い。開業十年ということで老化したんじゃないかということで、ATCの問題も含めまして見直しが問題になっております。国民は安心して乗れる、安全、快適、迅速、こういう国鉄を望んでおるわけでございます。やはり当局は事故が起これば、一つ一つ事故について今後同じ誤りが再び起こらないということを目標にして努力をしていただかなければならぬと思います。そういう点で、ことしの十一月六日午前十一時六分ごろ、京都——大阪間の大山崎町付近で発生いたしました「こだま」四五一号の事故について質問をしたいと思います。  まず事故の概要と列車の破損個所、被害状況、事故原因等について調査の結果を聞きたいと思います。
  135. 山岸勘六

    ○山岸説明員 先生指摘の四五一A「こだま」号が、京都を出まして東京起点四百九十キロ付近で車掌が床下から異音を感知をして車掌が非常ブレーキを使っているわけでありますが、電車運転士と車掌で相談の結果、床下機器を取り調べましたところ、十一号目以降十六号車までの主として床下機器の点検ぶた等が破損いたしておりました、あるいはまた屈曲いたしておったのであります。  この原因を取り調べましたところ、十一号車の水タンクの溢水管をささえております三本のバンドが新きずによって破損していることがわかりまして、結局この溢水管が脱落いたしましてその後方の車両の床下機器の間を攪乱いたしまして、さらにこれによる飛散物を四戸の民家の屋根に衝撃させましてこれらを破損していたのであります。  なぜこの溢水管のささえの部分が折れたかということでありますが、明らかにすべて新きずでありまして、何ものかの衝撃によるものという判断に立ちまして、いろいろこの最初の衝撃が何かという点について落下物等をさらに詳細に取り調べてもらったのでありますけれども、結局最初の衝撃物はわかりません。しかしながら衝撃による打痕その他もありますので、これが最初に何ものかによって衝撃し、折れましてこのよう事故を発生したものというふうに推定いたしているところであります。
  136. 梅田勝

    ○梅田委員 私も現地を調べたのです。そうしたらこういうバラストが飛んできて、これはたくさんありますが、こういう割れ方をしているのですね、裂けているのですね。当たったところは小さくて、裂けたところは大きいというようにですね。相当の衝撃で打ち抜いてるということなんです。もしこれが人に当たったらたいへんな被害が出ると思います。もし死傷者が出たらだれの責任になりますか、これは。
  137. 井上邦之

    井上説明員 新幹線の列車が運行しておりますことによって部外の方々に御迷惑をかけ、あるいはまた死傷事故も起こすというよう事故が起こりました場合、明らかに鉄道の責任であるとしますればそれはもちろん鉄道が賠償責任を負います。ただ何らかの事由で外から、たとえばこれは極端な例でございますけれども、飛行機が落ちて、そしてそのはずみで……。(梅田委員「この場合です」と呼ぶ)この場合には、これはまあ鉄道の責任だと考えざるを得ませんから国鉄がその賠償の責めを負います。
  138. 梅田勝

    ○梅田委員 時間がありませんので、この事故原因、バラストが舞い上がってそしてぶつかって落ちてきたということになりますと、スピード自体が問題だ。それから、これは二日前に仕業検査に入っている。にもかかわらずこういう事故が起こっているという点で、検査体制の合理化問題、要員問題という問題もございます。いろいろ追及したいことがあるわけでございますが時間の関係でできませんので、問題は住民が非常に不安を覚えているわけですね。こんなものが落ちてきたらたいへんだということで、ここにも写真を持ってきておりますけれども、スーパーの前には「許すな一一・六新幹線事故、お客さまを新幹線から守る運動」というのが展開されて、請願——書面にするか陳情にするか、とにかく運動を起こそうということまでやっておるわけです。ところが、ここの防音壁は非常に低いのですね。これだけ人がたくさん通るところで落下物が来るということになりますと、これをもっと背の高いものにする必要があるんじゃないか、少なくとも二・五メートルぐらいの防音壁が必要じゃないかと思うのですが、そのように改善をする方針をお持ちかどうか。
  139. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生のおっしゃるところの現在のいわゆるフォーメーションから一メートルのあれは防音壁ではございませんで、手すりなのです。したがって現在環境庁から基準が出まして防音壁をいま全線やっております。この地点につきまして約二メートルの防音壁をいま計画しております。おそらく今年度中に工事契約が発注できると思いますので、二メートルでいいか二メートル五十でいいかというのは今後検討しなければわかりませんが、高ければ高いほどいいのでしょうが、これは日照権の問題も出てきますので、一応車のスカートよりも、いまの手すりはスカートと同じぐらいの位置ですからこれを飛び越すのがたまたまあると思いますので、いまより倍の高さまで上げるように防音壁として計画しております。防音壁でこういうものの直撃を防げるということになれば一石二鳥ではないか、かよう考えております。
  140. 梅田勝

    ○梅田委員 運輸大臣、いまのお話を聞かれてあれだと思いますが、とにかく住民が危害を受けるかもしれないという問題について、新幹線の安全について万全の指揮をやるという点でひとつ決意を聞かせてください。
  141. 江藤智

    江藤国務大臣 全く先生と同感でございます。できるだけ早くそういう処置をとらせるようにいたしたいと思っております。
  142. 梅田勝

    ○梅田委員 最後に、ノースウエスト航空の労働問題について質問をしたいと思います。  現在、羽田空港にありますノースウエスト航空に働く労働者が十一月一日よりストライキに入っております。今日なお争議が続いておる。またノースウエスト航空労働組合の浜島委員長並びに外国航空労働組合共闘会議小泉議長が日本空港サービス株式会社山田社長並びにノースウエスト航空東洋支社長レジナルド・C・ジェンキンスら幹部数名を告発をしておりますが、この事件について運輸省当局は御存じですか。
  143. 中村大造

    ○中村説明員 ノースウエストの労働争議の内容につきましては私どもつまびらかにいたしませんけれども、とにかくノースウエスト社において争議が行なわれ、また先生いま御指摘になりましたような告発が行なわれておるということも、その概要は承知いたしております。
  144. 梅田勝

    ○梅田委員 労働省、どうですか。
  145. 吉谷二郎

    ○吉谷説明員 御指摘のございましたノースウエスト航空東洋支社及び日本空港サービスとの関係が職業安定法四十四条、これは労働者供給事業の禁止でございますが、に違反するかどうかという問題につきましては、本件がすでに東京地方検察庁に告発をされているという経緯もございますので、最終的にはその捜査結果を待つことになるわけでございますが、私どもとしましても行政指導を行なうという立場から東京都に実情調査をするように命じてございます。東京都におきましては双方の会社、組合から事情聴取を行なうことについて鋭意努力をしている段階でございます。
  146. 梅田勝

    ○梅田委員 ここの問題は日本空港サービス、俗にJASCOと言われておりますが、このJASCO並びにノースウエスト航空が、いま言われましたように職安法第四十四条、すなわち「何人も、第四十五条に規定する場合を除く外、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を使用してはならない。」こういう明確な条項に違反している、ここが問題の核心であります。実際に私ども調査をいたしまして、JASCOがやっておりますのはいわゆる請負ではなくて労働者供給である、これは事実が証明しております。たくさん問題ありますけれども、二つだけ申し上げますと、一つは労務指揮系統がノースウエスト側によって行なわれている。たとえばグラウンドホステスと呼ばれる旅客案内の業務がございますが、これはもともとノースウエストの正社員がやっておりました。これを現在、下請させたJASCOからの労働者供給によって行なわれておる。これは搭乗案内とか通関、検疫、出入国手続などに関する旅客の応対一切をやっておるわけであります。ユニホームあるいはハンドバッグ、帽子に至るまでノースウエストの貸与品を身につけて、全くノースウエストの正社員と変わらない作業内容、タイムカードまで同じシステムでやっているということですね。そしてJASCO自身にはそういう作業をやる場合の独自の監督機構というのはないわけです。これは明らかにただ人だけ送り込んで、そして賃金をピンはねしているという、そういうたいへんな会社ですよ。もう一つは、JASCOとノースウエスト航空の間に明確な労働者供給の契約が存在している。しかもその契約におきましては対価の支払い方法が独立の仕事に対応するものではなくて、毎月ごとに供給された人員に労働時間を乗じ、延べ労働時間に時間単価を乗じて計算した額を支払っている、こういう方法なんですね。これは賃金の支払い形態を調べますと請負ではなくて、明らかに労務提供だ、労務提供に対する対価の計算方法というようになっている。本年二月二十一日にJASCOとノースウエストの間に契約がかわされておるというように私ども聞いておりますが、職安局、どうでございますか。
  147. 吉谷二郎

    ○吉谷説明員 先生から御指摘ございました請負契約の内容、それから労務供給契約の内容、そういう内容も含めまして、現在調査実施中でございます。
  148. 梅田勝

    ○梅田委員 それは契約書を手にしているわけですか。
  149. 吉谷二郎

    ○吉谷説明員 取り寄せるようにしております。
  150. 梅田勝

    ○梅田委員 いつ取り寄せるように要求したのですか。
  151. 吉谷二郎

    ○吉谷説明員 私ども、この前国会で御指摘がありましてすぐ東京都に指示をいたしました。東京都において進めておるわけでございます。
  152. 梅田勝

    ○梅田委員 やはり職安法の第四十九条第二項によりますと「必要があると認めるときは、当該官吏をして、事業所、事務所その他の施設に臨み、帳簿及び書類の提出を求め、又は事業主、使用者、労働者の募集を行う者、労働者の募集に従事する者若しくは労働者に対して質問させることができる。」ちゃんと法は権限を与えているわけですよ。二月に契約をしている。その契約は、たとえばグラウンドホステス、「JASはノースウエストに英語を話せるグラウンドホステス及び女子事務員を要求された数だけ提供する、選考に関してはノースウエストが最終的決定権を持つ」こんな契約は明らかに労務提供の機関じゃないですか。明らかに職安法第四十四条違反が現に行なわれている。労働組合の告発を待たずして職安がやらなければならぬ。どうですか。
  153. 吉谷二郎

    ○吉谷説明員 私どもがこの情報を入手いたしましたのは最近のことでございます。国会における指摘の次第もございましたので直ちに東京都に指示をいたしまして、現在東京都は鋭意努力をしているわけでございますが、現在組合がストをしているという状況もございまして作業の実態調査をするのがむずかしい面がございます。また実地調査を行なうとしましてもあらかじめ問題点の把握をしておく必要がございますので、まず会社側それから組合側の事情聴取を行なっている状況でございます。そのような事情聴取を行なったあとで必要があれば実地調査実施したいというふうに考えております。
  154. 梅田勝

    ○梅田委員 いや、しごく簡単なんですね。契約が行なわれておる。その契約書の提出を労働省としてすぐにやれないのですか、一々東京都を通さないとできないのですか。
  155. 吉谷二郎

    ○吉谷説明員 その点につきましてはさらに東京都に指示をいたしまして、できるだけ早く入手するようにしたいと思います。
  156. 梅田勝

    ○梅田委員 それは非常になまぬるい答弁で納得できませんが、至急に契約書を取り寄せて、これは明らかに四十四条違反だということでノースウエスト航空に対して改善を指示するということをやるべきだと思う。  なお、航空局は、そういうインチキ会社みたいなものですね、構内営業を許可している。これは重大な問題ですが、航空局、どうですか。
  157. 中村大造

    ○中村説明員 日本空港サービスについてノースウエストとの間にただいま御指摘ような問題が生じておることについて、関係機関においていろいろ御調査になっているわけでございまして、私どもといたしましては、その調査の結果を待って、私どもとしての判断をしなければならない面があろうと思います。したがいまして、私どもといたしましては、いま直ちに日本空港サービスが港内営業者として適格性を欠くかどうかということについて即断をすることはできないというふうに思います。
  158. 梅田勝

    ○梅田委員 港内営業については羽田の空港長が許可するのである。許可権限を持っているわけです一ところが日本空港サービスの営業種目は、航空機の清掃、整備及び旅具の運搬、搭載、旅客案内その他これに付随する一切の業務というようにうたっているけれども、しかし実際やっている中身はこんな営業内容じゃないのだよ。労務提供をやっているのだ。労働者提供をやっているのだ。そうしたら、許可するあなたのほうが実態をよく調査をして、実態がそれに即していないということになれば、許可の取り消しをも含めて厳重な処置を要求することができるじゃないか。そんななまやさしいことをやっていたら、いまストライキをやっている労働者はおこりますよ。
  159. 中村大造

    ○中村説明員 ただいま御答弁申し上げましたように、ノースウエストと日本空港サービスとの間でどのような契約が取りかわされ、また事実関係がどうであるかということについて、現在関係機関において調査になっておる、こういうことでございまして、私どもといたしましては、ノースウエスト株式会社日本空港サービスに対しまして旅具の運搬、搭載その他の港内における業務を請け負わせておる、こういうふうに承知いたしておるわけでございます。
  160. 梅田勝

    ○梅田委員 時間がございませんのでやめなければなりませんけれども、とにかく航空事業といいますものはやはり安全が第一でなければならない。ところがそれの空港における作業体制というものは下請下請によって、下請のさらに下請というような形でばらばらにされて、責任体制というものがきわめてあいまいになるというようなことでは、実際に航空機の安全飛行という点におきましてきわめて不安な問題が残るわけであります。したがいまして、これは現在労働者が争議を行なって、いわゆる安全も含めて解決しようということでやっておるわけでありますから、監督官庁として厳重にこの問題を調査し、すみやかに改善するということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  161. 三池信

    三池委員長 松本忠助君。
  162. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先に江藤運輸大臣に伺います。  大臣が御就任になりまして当運輸委員会に初めての御出席でございます。したがいまして、私は、運輸行政全般について大臣から所信の表明を伺いたいと思って準備しておりました。ところが、はからずもきょう午前中田中総理が退陣の声明を発せられました。その席で行政は寸時も停滞を許さない、後任の首班が決定するまでは努力してほしい、こういうお話があったというふうに伺っておりますので、きょうは全般に対する問題を離れまして、ごく身近な若干の問題についてお答えを願いたいと思います。  その問題は公共料金の問題でございます。公共料金の値上げが物価高騰の引き金になっていることはもう御承知のとおりでございます。特にその中でも交通関係の料金の値上げというものが国民生活を非常に苦しめていることは御承知のとおりでございます。したがいまして、この重大な影響を与えているこの交通料金の値上げ、これに対して大臣はどのよう考えられるか。それから特に大都市のタクシーはことし二回にわたりまして値上げをされましたことは御承知のとおりと思います。この二回にわたって行なわれました値上げ、こういったことはいままでかつてなかったことでございまして、私どもこの問題については非常に神経をとがらしているわけでございます。そこで要するに、公共料金の値上げという問題について全般の問題としてどう考えるか、それから交通関係の公共料金の値上げについてどう考えるか、さらには三点目がことし二回にわたって値上げをされたところのタクシー、大都市タクシー運賃についてどのよう考えられるか、この三点についての明快な御回答をひとつお願いいたしたいと思います。
  163. 江藤智

    江藤国務大臣 公共料金は国民生活に非常に密接な関係を持っておりますし、また一般物価にも広く影響を与えるという面におきましては、できるだけ公共料金をふやすといいますか、上げるということは押えたい、かよう考えます。けさの閣議におきましても、郵便、塩その他の値上げは年度内には行なわないということを決定をいたしました。これもそういう趣旨から行なっておるものでございます。ところが、問題は公共料金といえども二通りありまして、完全な民間企業で行なっておるものと政府機関のものとがある。これは御承知と思いますが、国鉄は今年度すでに運輸収入に九五%が人件費でございます。これをどういうふうに切り抜けるか。今年度は補正予算で切り抜けますけれども、今後の問題についてはまだいろいろとむずかしい問題が起こっておりますけれども国鉄においては少なくとも国家資金、税金になりますが、こういうもので補うことも、これは可能でございます。しかしながら、タクシーであるとかあるいは民間企業、こういうものにつきましては国のほうでこれを助成するということが現在の法律ではできない。そういうところにおきましては、その業者をつぶすということは非常な影響を及ぼしますから、できるだけ低く押えることには努力をいたしますけれども経営が成り立つ程度の料金というものはこれは与えてやらなければいかぬ、かように私、考えております。  最後のタクシー料金につきましても、御承知のように昨年の暮れLPGが非常に上がりました。したがって、各会社がこれじゃとてもやれないというので、暫定的にとりあえず値上げを認めましたし、その後の人件費増というようなものも考慮いたしまして最低限度の値上げをした、こういうよういきさつでございます。
  164. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この料金の問題についてはこれはやり始めたらきりがない話でございますし、私どもはこういった公共料金の値上げについては全面的に抑制すべきである、特に国鉄の運賃などはほんとうにこれは三年間停止すべきであるというよう意見を申し上げているわけです。  国鉄の財政の問題についていま大臣からお話がありました。この問題は先般の国鉄の監査報告を見て私どもわかっておりますので、いずれこれは機会を改めてまたお話をやらなければいけないと思っております。しかし、やはり国民生活に及ぼす影響というものは非常に多いというところから、何としても公共料金の抑制というものを前向きの姿勢で取り組まなければならないと思います。きょうの閣議でいわゆる郵便料金の問題が出たというお話でございますけれども、年度内はやらないといっても四月にやるというのではこれは同じことなんです。全くその辺のズレですね。年度内にやらないということは全然やらないのではなくて四月の一日からやるということでは、これは全くばかにした話なんで、こういうことについてやはり私ども、国民生活を守る上から慎重に取り扱いをすべきじゃないか、こう思うわけでございます。  そこで問題は、自動車局長に伺いたいことでございます。  さっきまでおりました中村さん、航空局長がいた当時の問題、しかもまた前大臣徳永さんの時代の問題なんで蒸し返しになりますが、ちょっと聞いていただきたいわけです。  それはことしの第一回の値上げ、いまも大臣からお話がありました暫定料金の値上げをした、そのときに実施までにはきわめて短期間だったわけです。そこで換算料金——メーターそれから換算表、それを見比べて支払うべき運賃をきめてお客さんが払う。ところがこれが夜間暗い車内で非常に物議をかもしたという事例がございます。そういったところでわれわれもこの換算表を使うということは好ましい状態でない、メーターそのものはずばりで払う、こういった方法が一番好ましいということはもうそのときも申し上げたわけでございます。ところが今回は十一月の値上げ、これは事実上十月には値上げは決定しておりました。そういったために、一カ月間の余裕があったので完全に今度はついたわけです。しかし今度の料金はびっくりするほどはね上がるので乗っていてひやひやするわけです。しかしとにかくメーターに出たものをそのものずばりで払えるということになったわけです。そこで問題は今度は起きません。しかし高いということに一般の市民の方々が非常に恐慌を来たしていることは事実でございます。  そこで、私がことしの二月の十三日に当委員会でその問題を取り上げましたときにも、年内に値上げを予想するからメーターの交換をしないのだろう、こう指摘したわけです。そのときに前大臣の徳永さんは答えられてこう言っておる。「下げるのか上げるのか」ということに対して、わからないということですね。「下げる場合もありましょうし、いろいろあると思います。したがいまして、そういう面も含めてさらに今後検討しなければならぬということで、ただいま調査さしている」ということの逃げ方なんです。それから自動車局長も、その問題を突っ込んでいきましたところが、  「全国的な規模でメーターの改造をいたしますということになりますと、最終的に全部そろうまでには相当長期間の日数を要する。こういう点もございまして、いま全国的に一斉に新しいメーターに切りかえるということは、現実の問題としてなかなかむずかしい」こう言っておられたわけです。しかし今回は一カでもうぴしっとできた。しかも私十一月になって乗ってから、メーターをいつ取りかえたか運転手さんに一々聞いてみますと、一番早い人は二十八日に取りかえている。これは個人タクシーでございますけれども、いろいろの状況もあったと思いますが、二十八日に取りかえれば二十九日、三十日、三十一日と四日目に初めて仕事ができる状態ですね。三日間休んでも新しいメーターに取りかえることができた。ですから、ことしの二月十三日に言ったときに、自動車局長はとても全国的な問題としてできない、こう言っておりましたけれども、現実にことしの十一月の時点においてはもう一カ月で完全に新しいメーターにつけかえることができたわけですね。こういった点を考えまして、——私は昔のことは前のことは言いません。しかし今後の問題として、要するにこの料金の上げる下げる、いずれの場合もあると思います。メーターを交換して、そして要するに正確な表示をもって代金支払いをするというふうな方向にこれはぜひともやるべきじゃないか、こう思うわけです。今回のことで一カ月の期間を経ずして全メーターの取りかえが完了したということからして、決して至難なわざじゃないと思うのです。そういう点から今後の問題として上げるか下げるか、いずれの場合もありましょうけれども、そういった場合にメーターを直してからのちにその運賃の実施をする、こういうふうなことについて前向きに私はひとつ検討してもらいたいと思うわけです。この点についての自動車局長の御答弁をいただいておきたい。
  165. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  従来タクシーの運賃改定のときには、メーターの切りかえに若干の時間がかかるものでございますから、すぐにメーターに切りかえることを強制せずに、暫定表、暫定的な換算表というものをぶら下げてやっていたことが従来の例でございました。ことしの暫定運賃のときも、おそらく当時の事情からそういった従来の慣例もあったものですから踏襲いたしましたのだろうと思いますけれども、やはりやっていますとこれはたいへん問題が多うございます。そこで私は少なくとも今後におきましては、先生指摘ように、運賃改定をしたときにはすべてこれはメーターで収受するということにすべきであろうと思います。もちろんそのメーターの作製とかあるいは交換等の手間のかかるというような事情によりまして一〇〇%はつかない場合があるかもしれませんけれども、しかしもう八割とか八割五分とか大半のものは新しい運賃実施の日からメーターで明朗にトラブルなくお客さんと相対するということができるようにいたしたいと思います。
  166. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その問題は了解しました。それでは自動車局長けっこうでございます。  あと国鉄の問題についてお答えを願いたいことでございます。  私は今月の十二日、高崎線の熊谷保線区それからまた八高線の高崎保線区、こちらのほうの国鉄の軌道等の安全調査をいたしてまいりました。また、昨日も東京北鉄道管理局管内の小山の保線区内についてこのよう国鉄の軌道等の安全調査をいたしました。その問題からいろいろ申し上げたい、そしてまた御答弁をいただきたいと思うわけでありますが、十一月の十二日に行ないました高崎線、この調査におきまして、北本と桶川の間の上り本線の道床の交換作業というのを実際に見てみました。請負によってやられておる状態です。請負の問題をいろいろ指摘されておりますが、私も今回初めて見まして、これは非常にたいへんな問題だなと思います。見張りが立ってやっておりますが、しかも、列車の間合いが非常に少ない、こういった中において困難な手作業をやっておるという点、非常にたいへんだと思います。しかし、やっておる人に聞いてみますと、実際上経験を持っているのはたった一人しかいないのですね。十年間経験を持っております、こう言いました。しかしあとの人は髪を長くしたおにいちゃんなんですね。農閑期に出てきたというようなかっこうの人、あるいはまた、東北方面から出かせぎに来ているというような人が多いわけですね。こういう面を考えますと、非常に工事というものも進行しないし、また、はたして、あの熟練者が一人しかいなくて、二組に分かれてやっていて、それでいいだろうか、監督さんがついているというけれども、やはり遠くのほうで見ているだけなんだ、こういう問題を見まして、軌道の保守というものの状況について非常に不安を覚えたわけなんです。  それは一応本線の状況でございますが、問題は八高線のほうに行ってみますと、特に驚きましたのは寄居駅の構内においてほんとうにびっくりしたわけでありますけれども、噴泥です。これは線路の状況はもう荒廃そのきわみといいますか、たいへんな状態になっているわけですね。説明によりますと、ことしの六月から八月までの間、相当に雨の期間が長かった、その間に保守の作業ができなかった、だからこういう状態になっているのだというのですね。列車間合いを聞いてみますと、そこは一日に上り下りで五十二本通っている、貨車が十六本に旅客が三十六本ということなんです。本線と違って、こちらのほうは相当の列車間合いもあるわけなんですね。そういう点を考えますと、このまま放置しておいたらたいへんなことになるのではないか、これだけの列車間合いがあるのだから、できないことはないのではないかというふうに私は考えたわけでございますが、これに対して国鉄としてはどのようにお考えであるか、ひとつ答弁を承りたい。
  167. 篠原良男

    ○篠原説明員 高崎線の道床交換を先生ごらんになったそうですが、保線作業の中で一番きつい仕事というのは道床交換なんであります。したがいまして、私のほうは、道床交換というのは昔から請負競争入札で工事をやっておりまして、工事を施行する業者の選定は非常にシビアにしております。工事指揮者あるいは見張り要員、保安要員というのは当局が試験をいたしまして、そして鑑札をつけた連中を立てる、並びに私のほうの監督もつけることにしております。おっしゃるとおり、線路を抜本的に恒久的によくするというのは道床までかえるわけであります。短期的によくするのはレールだけかえればいいわけであります。そうしますと、さしあたっては線路が非常にじょうぶになります。しかし、レールを長もちさし、恒久的によくするためには道床まで交換すべきだと思っております。しかし、先生も御承知かと思いますが、道床をいじるという仕事は非常にきつうございますし、ある一つの保線区に何か月も非常に波動的に仕事が集中いたしますと、ほかの本来やるべき仕事、タンピングとかそういうような軌道の巡回あるいは平常の保守をする仕事のほうに手が回らない、したがってこういう波動的な仕事は昔から請負に出してまいった。今後請負業者の指導あるいは技術の育成については努力してまいります。  八高線につきましては、確かにことしの夏季一時的に雨が多くて、噴泥が出ておるところもございますが、まずさしあたってレールを取りかえろということで、午前中二時間、あとに列車を一本入れて午後三時間、合計五時間の間合いをとりまして、約十キロメートルのレールを交換しました。いままで三十七キログラムのレールでしたが、古ですが五十キログラムのレールに取りかえまして、まずさしあたってそのレールを強くしております。今後道床を逐次整備していきたい、かよう考えております。
  168. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま私申し上げたのは、本線のほうはともかく、八高線の問題なんです。寄居の駅の中の噴泥の問題なんです。ああいうふうなものはそのまま放置しておいても危険でないのかということを端的にお答え願えればいいのですよ。
  169. 篠原良男

    ○篠原説明員 道床が悪くなるということは直接運転保安関係ございませんが、保守周期がきわめて短くなる、したがってしょっちゅうそこへタンピングをやらなければいけないという、やっかいなことでございますので、これではわれわれ線路を守りする者はたまりませんから、これは道床交換をしていかなければならぬ、こう考えております。
  170. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 とにかく私どもが見ましてもこの状態では非常にまずい。また現場にいるところの保守の要員の方々も、こういう状態ではほんとうに心配です、こういうことを言うものですから、そこで局長に伺うわけなんです。  それから、八高線の五十四・二五五という地点に飯田川橋梁があります。このまくら木の荒廃ぶりは実にもうどうにもならぬ状態です。これはもう、すぐに取りかえるんだというお話でございます。私が指摘します前に、おそらくもう取りかえ作業が行なわれているんじゃなかろうかと思いますけれども、このままであの鉄橋の上を通っているということは非常に危険じゃないかと思うのです。それが一つ。  それから同時に、この付近は東武鉄道と並行して走っている部分なんです。これを見ますと、私鉄の軌道状況というものは国鉄の軌道状況に比べて格段の差があるのです。どういう差があるかについては、もうこれは言わなくてもわかると思うのです。国鉄のほうがずっと見劣りしているわけですね。やはりこういったものについては、同一の地点ですから気候風土というものは全く同じ影響を受けると私は思うのです。国鉄のほうが保守ができない。私鉄のほうはりっぱな保守ができている。いろいろ聞いて見れば、私鉄のほうは言うならば貨物が通らないとかいうようなことも言っています。しかしいずれにしても、そのままの状態で置いておいたのでは、これはもう危険につながるのじゃなかろうか。安全輸送という面からもたいへんかけ離れた問題なんです。  ここでひとつ副総裁、国鉄と私鉄とそう差があっていいものかどうか、あなた国鉄の副総裁としてどうお考えになりますか。
  171. 井上邦之

    井上説明員 日本の鉄道の模範となるものはやはり国鉄でなければならぬという考えを持っております。したがいまして、全般的に申しまして私鉄より国鉄状態が悪いということ、これは私どもとしても許されないことでありますし、そういうことがないように努力していかなくちゃならぬと思います。  ただ御指摘ように、ある地点で私鉄とそれから国鉄とが非常に接近しております場合でも、その線区の使命というものは、私鉄における使命とそれから国鉄における使命といろいろの差異もございますし、また部内的に考えましても、国鉄の中で重点的に取り上げる線区と、それから私鉄でどういう順序でその線区を考えておるかという点はおのずから違う場合もございます。したがいまして、そういう点で非常に接近しているところで顕著な違いが出てくるということも、これはある場合にはやむを得ないと考えますが、全般的に申しますれば、やはり国鉄は私鉄の模範でなくちゃならぬという考えを持っております。
  172. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、いまの副総裁のお話を聞いておられましてどうお考えになったか承りたいわけです。私は、国鉄といえども私鉄といえども、少なくとも人間の生命を安全に輸送するという責任があると思うのです。ですから私鉄ができる、それが国鉄にできないということには、何かそこに欠陥があると思うのですね。大臣、安全輸送という面について国鉄、私鉄に差があってもよろしいとお考えになりますか。
  173. 江藤智

    江藤国務大臣 軌道の保守というのは列車運転の基盤でございます。したがって、安全確保の面におきまして、保線というものが十分に行なわれていなければいけないことは御指摘のとおりでございます。この問題につきましては、最近各方面から非常に御指摘を受けまして、国鉄のほうでもそれぞれ計画を立てて至急に、万全を期するようにいまやっておる最中でございます。これまでは、やはり列車が非常に多くなった、保守間合いも少ないというようなところから、いささか保守に回る手が少なかったような点もなきにしもあらずというふうに、私、先般来の話を聞きまして感じておりますけれども、最重点的に軌道の保守に手を入れよう、こういうふうに国鉄も申しており、またその計画も立てておるようでございますから、その点はひとつ御了承願いたい、かよう考えます。
  174. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣のおことばを返すようでありますけれども、実際国鉄が全国の鉄道の模範にならなければいけないという、いまの副総裁のことばは私は非常にけっこうだと思うのです。そのことばのとおりにならなければいけないと思うのですけれども、現在の状態では、これはなかなかむずかしい問題だと思う。やはり列車間合いというような問題もありましょう。それから資材はもちろん確保されていると思います。しかし、やはり人間と人間の要するに話し合いの問題が根本的にくずれているところから、どうも国鉄部内のいろいろな仕事がうまくいっていないように私は思うのです。この点非常に心配いたしております。大臣も、今後またどのようになるかわかりませんけれども、とにかく、担当されておられる間はやはり国鉄の輸送、私鉄の輸送全般に対しての責任をお持ちいただいていると思いますので、せっかくこの点については御努力を願いたいと思うわけでございます。  時間がございませんから、東北本線の問題に移りますが、きのう小山と間々田という駅の中間を私は歩いてみました。実際に歩きましたのは、間々田の駅からずっと上り線を小山のほうへ向かって歩いたわけです。約一キロぐらい歩きました。その間に、まくら木の荒廃がひどい。特にレールの継ぎ目のところのまくら木は全くひどいですね。あとは大体、継ぎ目のないところはコンクリートまくら木になっています。しかしまだ二十五メートルのレールでございまして、長尺のロングレールはなかなか入っていないわけです。ごく最近取りかえたというのが一、二ございましたけれども、まあそれ以外は、レールの継ぎ目のところのまくら木、これは木ですが、それがほとんど腐っているわけです。もちろん、そのまくら木には全部しるしがしてあって、これを交換しなければならないということは書いてあります。書いてあるだけの話であって、交換をするのは一体いつなのかということですね。普通の、いわゆるレールの継ぎ目のないところならばいざ知らず、あの一番大事な継ぎ目のところ、そこがああいう状態のままで放置しておいてもよろしいのかと、非常に心配するわけです。特に私、ひどくびっくりしましたのは、上り線をずっと見ていったわけでありますが、上り線で、要するに内側といいますか、下り線の側のほうのレールが、大宮方に向かって四十センチも移動しちゃっている。要するに、まくら木の上に、両方のレールが大体同じ間隔のところで継ぎ目になっているのが普通ですね。ところが一方の、内側のほうのレールは、大宮方に向かって四十センチも移動している。しかもそれが、まくら木とまくら木の間に継ぎ目があるのですね。こういう個所を見まして実はびっくりしたわけです。そのままになっている。普通ならば、まくら木の上にレールの継ぎ目というのがあるのが常識です。しかも両側のレールが平行して、同じよう場所に継ぎ目があるわけです。大体そうです。ところが、あの東北線の小山と間々田の間には、そうでなくて、一方だけが特に大宮方に向かって出ちゃっている。ですから、いわゆる継ぎ目の、次の大宮方にあるところのコンクリートまくら木が一方のほうだけが非常にかしがっているのですね。そういった状態で次の間のところがものすごくバラストが盛り上がっている。その問題の木のまくら木と最初の一本目のコンクリートまくら木の間のバラストがなくなって薄くなっている。ああいう状態のままで置いておいても、一体これでいいのかしらという、危険なことが予感されるわけでございますけれども、こうした部分を単に一つだけ指摘して、それがすぐ事故につながる、そんなことはないだろうとは思いますけれども、われわれが見ても非常に危険な状態があのまま放置されておる。一日にたいへん、本線のほうは五分ないし十分間隔で列車が通っているわけですね。ああいう状態のままで置いておいても一体いいのかしらと非常に危険を感ずる。この点について、施設局長どう思われますか。
  175. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生のおっしゃるとおり、あるべき姿でございません。さっそく現場に指示をいたしておりますが、十二月中に、これは遊間整備がおくれておるために、ファスニングがゆるみまして動いたと思うのです。それは急遽レール・ファスニングの取りかえとそれから遊間整備をやる計画だというふうに聞いております。十二月の中旬に遊間整備をやるそうです。それから、レールのファスニングは十二月上旬までに施工いたします。継ぎ目のいわゆる一本の大判まくら木、普通の並まくら木じゃございません、でっかいまくら木で、購入に時間がかかっておるわけですが、これも十二月中に施工いたします。先生のおっしゃる場所については決していい状態ではございません。それで私のほうは東北線につきましては、宇都宮まで最近線路が徐々に悪くなりつつある。これはやはり昼間の保守間合いがない。それから夜間列車回数が非常に多くなって、ここ数年非常に急激に多くなりまして、約四千万トン、通過トン数はこしております。したがいまして、いま急遽緊急整備と称しまして、日中、お昼に三十五分の間合いをとりまして列車を切りました。そして緊急に整備しろということで、三月まで緊急に整備したい、こう思っております。したがいまして、その中で十二月中にそういう計画が入っておる、こう聞いておりますが、御指摘の点については決して良好な状態ではないと思っております。
  176. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その昼間、列車間合いを三十分延長して作業をやるということは、きのうは月曜日でございました関係上見ることができませんでしたので、私は非常に残念に思っております。やむを得なかったと思いますが、きょう、火曜から金曜の間は連続して列車を間合いをとってやるということでございますので、やはりああいう問題は至急片づけていただかなければいかぬのじゃないか、こう思います。  それからレールの下にあるゴムのパッドですね。あれがこうわれわれの手で引き出せるのが幾らもあるということです。  それから写真をとってまいりましたので、これはあとでお目にかけたいと思いますが、もうボルトが、犬くぎが抜けているのですね。一カ所が二本とも完全に抜けるのですね。そういった状態があっても、それが直接事故に結びつかないということを説明される方は非常に強調しておられましたけれども、われわれしろうとだと、そのくぎが抜けているという状態を見て、あのままでいいのかしら、あれが事故につながらないと言っているけれども、ほんとうにどうなのかしら、こう危険を予測するわけですね。そういう点もございますので、私は一つ一つの問題は非常にたいへんだと思います。雨風の日もあります。そして、ましてやまた、いわゆる黄色い黄害を受けながら保線の人たちがやっている御苦労、非常によくわかるわけでございますけれども、それだけに私はやはりこういう一つ一つの問題にもっと真剣にひとつ取り組んでもらわなければ、いわゆる安全確保ということができないのじゃなかろうか、こう思うわけです。先般の古河と野木の問の脱線事故の問題につきましても、いろいろ同行の人たちから聞いてみました。やはりすでに指摘している場所なのですね、あの場所は。必ず事故が起きるぞ、こういうことを指摘していた場所で、この間の野木と古河の間問の事故が起きているわけです。非常に大きなカーブのところです。東北本線の中でも珍しく大きなカーブだといわれているあのカーブですね、汽車がこんなふうにかしがるぐらいのカーブですから。しかしあの場所はもうすでに事故の出現することを予測していた。そういった場所で起きているだけに、今後やはりそうした危険が指摘されたならば、いち早くそれに対し整備をすることが、人命尊重という点から当然のことではなかろうか、こう思うわけです。  そこで一つ聞きたい点は、競合脱線ということをよく国鉄で言われるのですね。競合脱線ということばは、非常にむずかしい、いろいろな要素が重なって脱線するのであって、一つ一つこれがこうなってという、たった一つ原因というわけにはいかない、いろいろな要素が重なり合っているのだといういろいろな専門的な説明を聞きましたけれども、どうも考えてみると、いつもいつも国鉄では競合脱線ということを言って、脱線事故というものの解明を何かはぐらかしているような気がする。そしてまた、その競合脱線なることばによって、事故責任者というか、その処分というか、そういった点までも、うやむやにしているような気がしてならないのでありますけれども、これに対して鉄監局長どう考えられますか。まず先に運輸省側の専門的な意見として……。
  177. 後藤茂也

    ○後藤説明員 私御質問に応じて的確なるお答えができるかどうか、若干自信がございません。ただ、従来競合脱線という名前でいわれているものは、それはそれなりに国鉄の、私どもはこれは鉄道に関する限り日本最高の技術陣であり、長い伝統を持った人たちの集団であると思いますけれども、その人たちが良心的に考えて、そして出しておる結論であると思います。
  178. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは国鉄側から簡単に言ってください。
  179. 山岸勘六

    ○山岸説明員 競合脱線というのは、私どもといたしてはできるだけそういうことばを使わぬで済むように、技術屋として最大限の努力を払って原因を究明すべきものと考えております。ここのところ、年間十件ぐらい四十四、五年にはあったものがまだ残念ながら年間三件ぐらいこのことばを使っているということは、鉄監局長の御期待にもかかわらず、まことに残念だと思います。  この古河の事故につきましても、まだ競合脱線というふうに断定はいたしておりません。なお一そう、それじゃ何に、より問題があったのかというようなことで、ただいま私自身追求いたしておるところでございます。
  180. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それじゃ、その問題はまた日を改めて伺うことにしまして、あと一つ聞きたい点は、われわれしろうとが見ましても、東北本線のきのう見たところなんか、全くまっすぐの直線のところを見ますと、かなりの軌道の狂いが見られるわけですね。軌道の高低、通りといいますか、そういった状況が、私はしろうと目でありますけれども、見られたわけでございます。  そこで、たとえば一つの問題として、東京北鉄道管理局の管内で五つの保線区がありますけれども、この保線区のいわゆる通り、あるいは高低、こういった問題は、全国平均の高低、通りと比べたときに、どんな状態にあるのか。全国平均と比べて高いのか低いのか。この点ひとつ、特にできれば小山保線区管内の実態についてお知らせ願いたい。
  181. 篠原良男

    ○篠原説明員 小山保線区は一級線でございます。全国平均の一級線は大体P値と申しまして、プラスマイナス三ミリをこす狂いの百分率をはかっておりますが、全国平均では三二というのが一級線の標準でございます。小山は四五であります。したがいまして、現在軌道狂いの大きいところは徐行させ、日中三十五分の間合いをとって緊急整備をしておるというような実情であります。
  182. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 とにかく宇都宮から以南というものは、全く通勤列車のラッシュ、これはたいへんなものでございますし、また、急行が通る、特急が通る、たいへんな量が通っているわけでございますし、われわれが歩いて見ておりましても、五分も歩こうものならすぐ退避してくださいという声がかかるぐらいに、ひんぱんに通るわけでありますし、そうした中において現在の小山保線区の状態を聞いてみまして、全国の平均から比べてみたときに、やはり欠陥があるのではなかろうか。まあ非常に若い区長さんが努力してやっていることはよく認めますけれども、やはりどうもこういった重要な問題はなおざりにできないと思います。ぜひともこれらの点についても十分調査をして、早いところやはり宇都宮以南というものの通勤区間、乗っている人がとにかく多いのですから、その区間の問題はよく片づけてもらいたいと思うわけであります。  それから、私いろいろ伺いたいのでありますけれども、用意しましたがあとに質問者がありますので、簡単に最後の点を伺いますが、この東北本線の、たとえばいまいうところのいわゆる東京北鉄道管理局管内のレールの交換実績、どれぐらい交換されているかということなんです。これをまず最近の五カ年間にわたって伺ってみたいと思う。
  183. 篠原良男

    ○篠原説明員 さっき急遽調べましたのですが、ちょっと数字が正確じゃないかもしれませんので、もし必要でございましたら、あと帰りまして精査しまして御説明いたしますが、レールだけでなしに修繕費を全部一応拾ってみましたのですが、小山保線区じゃなしに、北局の管内の大体四十七年度のキロ当たりの修繕費が百六十五万円、全国平均が百三十万円でございますから、お金自身は相当かけてある。これはもちろんレール、まくら木、砂利の金でございますが、レールだけについてちょっと正確な数字をいま持っておりませんですが……。
  184. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私が聞きたいのはレールの交換なんです。お金のことじゃない。レールはどれぐらいの長さ、交換したかということなんです。
  185. 篠原良男

    ○篠原説明員 私ども実はきょうつかみましたのは全部金でつかみましたので、レールに換算いたしますとちょっとわかりませんが、これは若干不正確になるかもしれませんが、東北線は、小山の保線区管内で四十七年度三十一・八キロであります。北局全体では、東北本線では百十六・五キロになっております。
  186. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま百十六・五とおっしゃいましたのは四十七年ですね。  私もいろんな資料をいただいて調査してみますと、大体四十四年が八十九・七、四十五年が百十九・九、四十六年が百四十一、四十七年はいま御指摘のとおり、四十八年が五十四・四、合計五百二十一・五、これが五カ年の平均であると、一年間の平均が百四・三という数字が出る。これは全くしろうとの計算でございます。  そこで、簡単な事例としまして、この五つのいわゆる保線区、東京北鉄道管理局管内の要するに上野−白河管内百九十一キロあります。単純な計算をしてみても、ほかのものは考えないで本線だけとして百九十一キロ。この線路の長さというものは、要すれば複線でありますし、まあ二本通っているわけですから四倍になると七百六十四キロ。年平均百四キロ、レールの交換のために投入しているということになりますと、かなりのものがもう入っているのじゃなかろうか、こう思うのです。そしてしかも、もうほとんどレールが交換されていていいんじゃなかろうかというぐらいに私はしろうと計算で思うのでありますけれども、それが現場に行ってみると、まだまだ三十七キロのレールがかなりあるわけですね。そういう点で私は、これは一ぺんレールの交換の実績というものをもう一度調べてもらうということが一つと、投入の実績というものとレールの交換の実績というものと、それからそこに当然繰り越しもあるでしょう。それから、言うならば残、在庫の残が残っていなければならないと私は思うのです。それでいろいろの保線区からいろいろな注文があってこれだけの物を入れてほしいという要求に従って査定をし、そして入れる。入れたけれども、それが使われないで置かれてあったのでは、これはたいへんなむだ使いになるのではなかろうか。これは膨大な国全体、国鉄全体のことであると全くわからないわけです。それで私は参考のために、要すれば東京北鉄道管理局というもの、その五つの保線区というもの、それを対象にしてみて、どれぐらいのものが投入され、どれぐらいのものが使われ、そしてどれぐらい残っているのだというものは一ぺん出してみせてもらいたいと思うのです。そしてあの状態から比べてみたときに、これはどっかにその欠陥があって保守、保線の問題が思うようにいってないのではなかろうかというようなものも出てくるのではなかろうか。まくら木のほうについては、コンクリートまくら木、それから木のまくら木、いろいろありますし、それからまたその使用の本数等についてもいろいろの差もあると思います。まあ、ほんとうに私の言うのはしろうとの考えで、本線のいうならば百九十一キロというこの区間に対して、それを四倍した七百六十四キロ、これだけを計算してみてやってみましても、そういうちょっとした疑問が出てまいりますので、これは一ぺん整理をした上で私のほうに報告を願いたいと思うわけであります。  以上で、いろいろございますけれども、もうやめます。  最後に一つだけ伺いたい点があります。それは明日のいわゆるストがどうなるかという問題であります。国民はもう非常に関心を持っております。この問題に対して国鉄副総裁から二十七日、八日のストの問題について見通しはどうかという問題、これを伺って質問を終わりたいと思います。
  187. 井上邦之

    井上説明員 毎度の闘争で国民の皆さまに御迷惑をおかけしておることをまことに申しわけなく存じますが、あらゆる闘争に際しまして私どもまず第一に考えますことは、できるだけ交渉を話し合いで煮詰めまして、ストに入らないように、国民の皆さまに御迷惑のかからぬようにということで努力をいたしております。おりますが、何ぶんにも現在国鉄がかかえております問題は非常に深刻な問題がございます。これは労使ともに深刻な問題をかかえておるわけでございまして、交渉も非常に難航いたします。したがいまして、私どもができるだけ国民の皆さまに御迷惑のかからぬようにということでやりましても、なかなか煮詰まらぬ結果、ストに入るという事態も出てまいりますけれども考え方といたしましてはもうできるだけ闘争前、突入時間の前に話し合いをつけるという決意で交渉を進めております。
  188. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろまだ聞きたいことが残っておりますが、あともう一名残っておりますので一応これで終わりますが、国民の要望であるところのストを回避してほしいという気持ちはほんとうにもう深刻なものがあります。先般のストだけでもみんなうんざりしているわけでありますから、ぜひこの問題については労使間の話を円満に妥結されて、ストが起こらないで解決できるようにひとつ努力を願いたい。また大臣もひとつ側面からの御協力をお願いしたい、こう思います。
  189. 三池信

    三池委員長 河村勝君。
  190. 河村勝

    ○河村委員 最初日本人の海外旅行者の行動の問題についてお尋ねをいたします。  私、この十月に二十日ばかり東南アジア諸国の技術協力の実態調査に行ってきたのでありますが、各地で日本の技術の専門家それから青年協力隊のボランティア活動、こうしたものが非常にりっぱに行なわれておりまして、特に山間僻地まで入って、それで現地の農民と一緒に暮らして、どろにまみれて稲作の指導をやったり何かをして、それで技術を教えるのと一緒に、地域住民との連帯感を深めて、それで日本とそれらの諸国との関係をよくするのに非常に役に立っておるのです。  ところが、一たびマニラとかジャカルタというところに帰ってきますと日本観光客の目に余る行動が非常に多い。特にいま、マニラが多いですね。これは台湾、韓国がぐあいが悪くなって、バンコクがまた反日運動が起こって、そこで今度はいよいよマニラだというようなことで、いまマニラに集中をしておる。その行動はあまりひどいものですから、せっかく一方でもって営々として日本とフィリピンとの関係をよくしつつあるにもかかわらず、そういった観光客の行動によって一ぺんにマイナスをかせいで非常に悪くするという危険性が多分にある。いま、特にきょうはマニラのことで伺いますけれども、それは各地で共通の問題でもあるわけです。フィリピンはいまマルコス大統領が非常に親日的な政策をとっておる。もともとフィリピンは対日感情はよいところではないですね、歴史的に見ても。それが最近非常によくなってきている。それにはそれなりの努力をしている人たちがいるわけですね。その問題で、これはほっておけない、そう思っております。  観光旅客のほとんど全部が日本の旅行業者の手によって送られている団体客がほとんど九五%以上を占めているわけですね。運輸省としては一体いまフィリピンにどのくらい観光客が行っているかお調べになったことがありますか。
  191. 佐藤久衛

    佐藤(久)説明員 お答え申し上げます。  昨年一年間で約三万人がフィリピンに参っておりますが、ことしに入りまして、ことしの一月から六月まで二万九千人の日本観光客がフィリピンに参っております。六月以降につきましてはまだ手元に資料がございません。
  192. 河村勝

    ○河村委員 六月までに二万九千人なんて、そんななまやさしいものじゃない。いま一カ月に一万人以上行っている。一カ月に一万人だから、これはたいへんなものですよ。もうちょっと新しいデータを——六月以降はわかりませんなんということではだめなんだな。
  193. 佐藤久衛

    佐藤(久)説明員 ただいま申し上げましたのは法務省の出入国統計によりますところの渡航地先別の旅券の発給によります数字でございます。現地のフィリピン政府観光局が調べて報じておりますところによりますと、四十九年の一月から八月までの間に九万人ほどの日本人客が入り込んでおる。正確に申し上げますと九万六百九十三人、これが一月から八月いっぱいまでの日本観光客である、こういうふうに伝えております。
  194. 河村勝

    ○河村委員 だから、ざっと一カ月に一万人台。そうでしょう。  それで、フィリピン側でも外貨がほしいから、少しぐらいのことはがまんをして、外貨獲得優先という政策をとっているけれども、特に悪いのは集団で漁色することなんですよ。こういうことは国会であんまり言いたくないけれども、これは事柄が事柄だから、私も相当オーバーな話もあるかと思って、かなりきびしく調べました。ところが、聞けば聞くほどひどいんでびっくりしちゃった。ひどいのになりますと三百人ぐらいの団体客がキャバレーに押しかけていって、そしてその三百人がいなくなったとたんに、そこにいるホステスが残らずいなくなっちゃう。全部ホテルに連れていっちゃう。集団でやるのが一番いけない。ばらばらならよろしいというわけじゃないけれども、これはどの国の人間でも、ないわけでないから、それはたいした非難のあれにならないけれども日本のやっているのは集団なんです。集団だということは、偶然集団じゃないのですよね。旅行業者が、そのものではないかもしれない、現地のエージェント、こういうものと手を組んで、ちゃんとスケジュールの中にも織り込んであるんだな。もうスタートのときのオリエンテーションから、マニラではこれをやりますというようなことになっておるらしい、大体。それでちゃんと向こうのキャバレーその他とも特約をしてやっている。そういう事実は知っていますか。
  195. 佐藤久衛

    佐藤(久)説明員 ただいま先生の御指摘の点につきましては、業界紙あるいは一般紙等の報ずるところによりまして、私どももそういう事実があるという風評を耳にいたしております。
  196. 河村勝

    ○河村委員 風評だけで、実際調べたことはないのですか。
  197. 佐藤久衛

    佐藤(久)説明員 在外公館であるフィリピン大使館の関係者等からの情報もそのような趣旨を伝えております。私どもも非常に心を痛めておりまして、この日本人旅客をフィリピンに送っております業界の団体としまして、海外旅行業協会、俗にJATAと申しますが、そこの責任者を二回ほど現地に派遣いたしまして、現地の実情並びに現地のフィリピンの旅行関係の業界といろいろ情報交換させ、そして健全化のほうに持っていくにはどうしたらいいかというふうな意味での情報交換をさせた、こういう実績がございます。
  198. 河村勝

    ○河村委員 情報交換ぐらいにとどまっていたのではだめなんです。もうおそらく、こういう状態が数カ月続いたら、やはりかつてタイや何かで起きたのと同じようなことが起きますよ。だから、これはせっかく一昨年かな、旅行業法というような法律をつくったわけでしょう。そういう法律をつくっているんだから、これはまだ、条文を見ましても、どれにはっきり該当するか、ぼくも若干自信はない。だけれども、もしその改正が必要なら改正をする、現行法でもってやれるならば、そういうものがあれば、かりにその旅行業者自体がやってなくても、向こうのエージェントと手を結んでやっているという場合には、そういうものは事実上の営業停止、何カ月かマニラには行かせぬあるいは東南アジア全部に行かせないというぐらいの規制をやらないことには、情報交換ぐらいでおさまるようなものじゃないと私は思うのだけれども、その旅行業法を活用してやる方法はないのですか。
  199. 佐藤久衛

    佐藤(久)説明員 ただいま先生指摘の、いわゆる日本人の団体客の不健全な行為というふうなものをどういう形で健全な方向に誘導するかということにつきまして、実はこれは韓国の例あるいはそれに先立ちます台湾の場合も、いろいろ対策を考えてまいったわけでございますけれども、ことしの五月から私ども役所とそれから旅行業界の団体とを中心といたしまして、海外旅行健全化対策打ち合わせ会というふうなものをつくりまして、どうしたらそういった不健全な旅行というものをなくすることができるかということで、寄り寄りいろいろ対策を考えてまいりました。その結果といたしまして、ことしの七月の末でございますけれども、大ざっぱに申しまして三つの対策というものを考え関係の業界並びに交通関係の機関に通達いたしまして、協力をお願いしたわけでございます。  その三つの点といいますのは、もちろん旅行業者に対する指導監督はあとでいろいろ申し上げますけれども、まず、その旅行される観光客自体についての心がまえ、マナーというふうなものにつきまして、やはり十分誇りをもって行動していただきたいということで、外務省のほうとも連携をいたしました上で、まず総理府が中心となりました総理府広報室に依頼いたしまして、テレビとかラジオとかあるいは週刊誌というふうなものの広告媒体というものを利用いたしまして、国民に広く、海外旅行をするにつきましての心がまえというふうなものにつきまして広報宣伝活動をやったわけでございます。と同時に、ことしの八月一日から八月七日が御承知の観光週間でございました。その期間を利用いたしまして、関係業界はもちろんのこと、都道府県あるいは関係団体等にも、いろいろな機会を通じてその周知徹底をはかる。と同時に、単にそれだけではなくて個々の旅行者に対しましては、旅行に際しまして先ほど先生お話ございましたようにオリエンテーションのときにそういったマナーを十分に口頭で徹底させるだけでなく、パスポートサイズのしおり等をつくりましてよく読んでいただくというふうなことで、いろいろ旅行される方にひとつ十分にその間の心がまえ、心の準備をしていただきたいということで、そういう意味のキャンペーンをやったわけでございます。と同時に、業者に対しましても、いやしくもそういうふうな不健全な旅行というふうなものに関与するということを差し控えるように私どもは強力な行政指導をいたしまして、まずそのためにはいろいろうわさがございます添乗員をはじめといたしまして従業員それ自体の教育、これを徹底させましてその素質を向上させる、そういう必要がある。同時に、われわれのほうもいろいろな情報を収集いたしまして、もしも伝えられるような不健全な観光旅行に業者が関与いたしました場合においては、その事実を調査の上、業界あるいは運輸省におきましてその業者の名前を公表する等、その他の所要の措置をとりまして、再びこういうふうな不健全な旅行というものにかかわり合いを持つことのないよう厳重に指導いたしておる、こういうことでございます。  同時に、また先ほどもちょっと申し上げましたけれども、私どもの監督下にございます国際観光振興会、これがたまたまマニラに事務所がございます。そこらあたりを通じまして情報を得ると同時に、またマニラの大使館の関係者からもいろいろ御協力いただきまして情報を送っていただく、それをもとといたしまして、先ほど申し上げましたようにこちらのほうの旅行業界の責任者とマニラのほうの観光関係の業界の代表者と情報交換をいたしまして、どうしたらこういった旅行を健全化に持っていけるか、そして日本とフィリピンとの間の国際親善の実をあげることができるか、こういうことについて具体的な形でひとついろいろな対策を考えるということで実は進めてまいったのでございます。
  200. 河村勝

    ○河村委員 一応整ったような御返事であるけれども、実際効能は全然あがってない。何かどろぼうと相談してどろぼうしてくれるなと頼んでいるような感じであって——私は全部の旅行業者がやっているとも思わないし、直接やっているとは思わない。だけれども完全に計画的な行動であることだけは間違いないのだ。だからそういう情報を交換してとかどこかから情報をとってでなしに、一ぺん直接にお調べなさいよ、ほんとうに。  たとえばアジ研にほんとうに心配している学者が一ぱいいますわ。アジア経済研究所があるでしょう。東南アジアとの経済協力や何かについてほんとうにまじめに心配している人たちがおって、そういう人たちはかなり長く逗留しているから、こういう人たちに委託をしてもいいし、やはり実態を調べて早急にやってほしい。  それだけでなく、問題はもう一つあるのですよ。これもやはりガイドを使ってのことだけれども、ガイドは旅行業者と独立のものだろうと思うけれども、事実上は全部団体客を案内していって店に連れていくでしょう。そうすると普通の店より大体三割ぐらい高く品物を売るのです。リベートを一〇%とか一五%ガイドがふところに入れる。向こうも利益するらしい。結局特定のそういう店と手を組んでしまって必ずそこに案内していく。ことばが不便なものだから、そういうところに連れていくとみんなそこでしか買わない、だから観光客自身損をするわけですね。それだけでなくて、そういうところにばかり連れていくものだから、ほかの一般の地元のそういうものを売っている店は非常な反感を持っている。だから直接に反感を植えつけるようなことになっておるわけですね。だから漁色するということ、そういうリベートを取って地元のみやげもの屋と結託するというようなこと、両面からひとつ大臣早急にやってほしいと思うのですが、いかがでございますか。
  201. 江藤智

    江藤国務大臣 私最近、フィリピンのほうで率直に申しまして目に余るような団体客があるという話を耳にしておりました。したがいまして、気にかけておったところでございますけれども、ただいま具体的にお話を承って非常に参考になったと思います。せっかくわが国が対外経済協力あるいは国際交流というようなことで世界的に尊敬されるような国になっていきたいと努力をしておるにかかわらず、日本人としての体面を汚し、ひいては相手の国の排日感情をあおるというようなそういう行為は何とか取り締まらなければいかぬ。ただいま観光部長がるるいろいろ苦心しておることは御説明したようでございますけれども、いまの河村先生のお話を聞きますと、もっと真剣に突っ込んでその対策をしなければいけない。旅行業法も改正をいたしました。それによって一体どこのところまで行政指導ができるか、処分もできるか、そういう点も研究しますし、またJATAのほうの人にも来てもらいまして、私が直接出ましてできるだけ早く適切な処理をとりたい、かよう考えます。
  202. 河村勝

    ○河村委員 旅行業法ができたけれども、あれは登録制度で認可制度でありませんから、直接に営業停止や何かできるかどうかも法律上は疑問の点もあると思うので、要すれば国際観光業者だけでも、海外に行く者だけでもいいから、もうちょっときつい規制をする必要があるのじゃないかと思う。とにかく事柄はこまかいようだけれども日本の国益に重大にかかわることですから、時間をおかないで、だめになっちゃったらおしまいですからね。今度はまたマニラを荒らし尽くしてサイゴンに行こうかというような傾向も見える。そうなってしまうとどこもここもみんな悪くしてしまうので、ひとつお願いします。  それからもう一つの問題、十一月の九日に起こった東京湾衝突事件、このことで二、三伺います。  この問題は二つの大きな問題を含んでおりますね。一つは前々から心配されておった過密状態になっている狭水道の事故であり、かつこれはLPG船であるけれども、タンカーが非常に多いところで万一そういうことが起こったらたいへんだというのがたまたま起きた。これはLPG船だから油は流れなかったけれども、かわりに燃えてたいへんだということですね。もう一つは第十雄洋丸衝突した船がパシフィック・アリスこれがいま問題になっておる便宜置籍船、三光汽船がチャーターしたリベリアの船ですね。この便宜置籍船の事故だというところで、これは海運政策そのものに大きな影響を与えるこの種の船がたまたま事故を起こした。二つの意味があるわけですね。  そこで最初に、海上交通法が四十七年の五月にできました。そのときに附帯決議がついているわけですね。附帯決議では、東京湾、瀬戸内海、伊勢湾のようなこういう過密状態にあるところ、こういうところについては今後外海の適地に中継基地をつくって、パイプラインか何かで油を引っぱってきなさいというようなことが書いてあるわけですね。附帯決議というのはとかくなおざりにされがちであるけれども、それじゃいけないので、いまこの事故が起きたからあらためて言うまでもなく、四十七年の五月に交通法が通ってからもう二年近くたつわけです。一体そういう方向で運輸省としてはどれだけの施策を進める用意があるのか。まだ何もやってないだろうと思うけれども、一体その辺はどうなんです。
  203. 江藤智

    江藤国務大臣 私まだなったばっかりでございますから詳しく——これは港湾局長の所管でございますが、パシフィック・アリス号とこの第十雄洋丸との衝突事故は、私の着任二、三日前のことでございます。しかし重大な問題でございますから、さっそくこれに対する処置とそれから今後の予防措置について、私もいろいろと検討いたしました。非常にふくそうした狭水道の扱いについて、これはあとで海上保安庁長官のほうから説明をいたさせますが、いまの問題は、実は私港湾局長のほうから聞きました。それで、結局この第三海星の撤去と、それからそういう油をおろす場所を、いわゆる東京のあの湾の外に出しまして、そこからパイプラインで持っていく、この二つの計画は進めることになっておるのです。しかし第三海堡の撤去は、漁業者との関係でいまのところどうにもなりません。それからパイプラインの問題も、御承知のようにパイプラインは実にむずかしい情勢でございますね。そういうことでさっぱり進みません。どちらもやる決心ではおるし、予算も入れているそうです。入れているそうだけれども、実質的にさっぱり進みません。こういう報告を受けていることをお話ししておきます。
  204. 河村勝

    ○河村委員 ではその問題は、呼ぶ人を間違えちゃったものですから、またいずれあらためて伺います。  この便宜置籍船、きょうは海運政策との関連は聞きませんが、日本に入ってくる外国船、その中で便宜置籍船の割合というのは一体どのくらいあるのですか。
  205. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 先生御承知のとおり世界全体での便宜置籍船の船腹量は、リベリア、パナマ、一番大きなのとその次とこの二カ国で、世界の船腹量のうちの二一%ございます。  それからわが国に入ってきている物量で、どの国の船が運んでいるかというパーセントで申しますと、これはすでに御承知のとおり、純粋な日本船で運べているのは輸出で二七%、輸入で四四%、輸出入合計で申しますと四二%しか日本船で運べておりません。それに対しまして、便宜置籍国船によってわが国の輸出入物資が運ばれている分量は全体のうちの約二五%ございます。
  206. 河村勝

    ○河村委員 いや、ぼくが言ったのは、日本が用船しているものに限らず、およそリベリア、パナマ等のそういうたぐいの船が外国船の中で何割占めているかということを聞きたかったのですよ。そういう数字はありませんか。
  207. 薗村泰彦

    ○薗村説明員 日本向けの輸出入物資で申しましたら、日本船が四〇、残り六〇が外国用船で、そのうちの四〇%、したがって、全体で申しますと二五%がリベリアとパナマ二カ国の船で運ばれている物量でございます。
  208. 河村勝

    ○河村委員 とにかく相当大きな数のものが入ってきておる。それが日本船舶職員法の適用を受けてないことはもちろん、先進諸外国船舶職員法に比べても——船舶職員法と言うかどうかは別として、職員の技量等についても非常にゆるい規制が認められておって、それで船長などについても相当程度が落ちるというのが定評なんですが、一体その辺の実態はどうですか。
  209. 山上孝史

    ○山上説明員 先生指摘のとおり便宜置籍船、すなわちこれは外国船ですが、外国船に対しましては、わが国の船員法なり船舶職員法の適用はありません。世界的にも船舶への海運従事者の乗り組みにつきましては、現在適切な国際的な取りきめ、条約等はございません。そこで、各国の主権に基づきまして各国それぞれの法令を適用しているという現状でございます。  しかし、いわゆる便宜置籍船につきましては、すでに先生指摘ような問題意識は国際的にあります。これはすでに一九七〇年の五月、OECD、経済協力開発機構の海運委員会におきまして、当時イタリアの要求によりまして、便宜置籍船の海上安全あるいは国際競争等に関連した問題を取り上げることが要請されまして、これに基づきまして、一九七二年六月以来、OECDの海運委員会に便宜置籍船の問題についての作業部会というのを設けて、現在まで検討を続けております。そのようなことで、世界的に問題意識は非常にあるということでございます。(「日本はどうだ」と呼ぶ者あり)このOECDには当然日本も参加しております。  なお、一九六七年三月に御承知のトリー・キャニオン号の事故がございました。これを契機にIMCO、政府間海事協議機関でございますが、このIMCOにおきまして訓練当直基準小委員会というものを特に設けまして、当直士官の資格要件等についての統一的な基準を設けたいということで検討を続けてまいっております。これにはリベリア等のいわゆる便宜置籍国も参加をしておりますので、もとより日本も参加をしております。それで、一九七二年以来四回にわたって日本運輸省から代表を出しております。現に、現在ロンドンにおいてこの小委員会を開催しておりまして、船員局からも担当の課長を参加させております。  そういうようなことで、特に現在はIMCOの小委員会の場におきまして何とか世界的な統一基準というものの実現をはかるように、今後ともこの審議に積極的に参加してまいりたいと思います。
  210. 河村勝

    ○河村委員 それは一つの条約の形にして、それで各国がそれに批准するという方法がとられるのですか。それで、それはいつごろをめどにしてやっているわけですか。
  211. 山上孝史

    ○山上説明員 この小委員会におきましては、できれば条約として採択をしていきたい、そして採択された場合には当然関係の各国の批准を求めるようにしたいということでございます。  なお、この小委員会におきましては、現在のところ、一九七七年に条約会議を開きたいという希望を持っているようであります。
  212. 河村勝

    ○河村委員 わかりました。とにかくこうした事故を防ぐために一日も早くそういう条約——まあ日本だけでできることではないが、積極的に推進をしてほしいと思います。  それからこの事件の経過を見ていますと、まあ今度は必ずしもパシフィック・アリスが悪いかどうかはまだわかりませんけれども、このパシフィック・アリスが君津から出てきて木更津まではパイロットをつけておって、これからいよいよむずかしいところへ差しかかろうというときにはパイロットをつけてないという事実があるようですが、これは一体どういう経過なんですか。
  213. 山上孝史

    ○山上説明員 先生指摘のとおり、パシフィック・アリス号は、木更津港の港域におきましてはパイロットを乗せておりました。しかし、港域を出る際にパイロットをおろしまして、それで中ノ瀬航路に向かおうとしたというように聞いております。御承知のように、水先法によります強制水先といたしましては、東京湾内につきましては横須賀港と横浜港だけの海域が強制になっております。したがいまして、浦賀水道あるいは中ノ瀬航路につきましては、法律的に強制ではございません。しかし、四十五年以来、海上保安庁におきまして、外国船につきましては、浦賀水道を通過する場合にはできるだけ水先人を乗せるようにという行政指導をしていると聞いておりますし、また、ことしの初めからは、船の長さが二百メートル以上の長大船あるいは危険物運搬船につきまして、できるだけ水先人を乗せるように行政指導をしているということでございましたが、この事故に関しましては、御指摘のとおり、両船とも水先人は乗っけていなかったということでございます。
  214. 河村勝

    ○河村委員 常識的にいって、東京湾でも一番問題なのは浦賀水道であり、同時に新しくつくられた中ノ瀬航路であるわけですね。だから、ほかに強制水先の制度を適用しているところがあるのに、浦賀水道中ノ瀬航路を除いてあるというのは、何か理由があるのですか。
  215. 山上孝史

    ○山上説明員 御指摘のとおり、現在水先法によります強制水先の水域といたしましては、全国で三十七水先区がありますが、その中で六区だけであります。先ほど御説明申し上げましたとおり、東京湾内では横須賀港、横浜港だけでございます。なお、この強制の対象につきましては、終戦後設定したままでありますので、私どもといたしましては、本年の四月以来、運輸大臣の諮問機関であります海上安全船員教育審議会に、今後の強制をすべき港あるいは水域の設定に関する方針につきまして諮問を申し上げております。その審議会におきましては、水先部会あるいは専門の小委員会を設けまして、現在鋭意御審議をお願いしている最中でございます。
  216. 河村勝

    ○河村委員 御審議をお願いしているのかもしれないが、具体的に一体この浦賀水道並びに中ノ瀬航路については、運輸省としてはどういう諮問のしかたをしているのですか。
  217. 山上孝史

    ○山上説明員 ただいま申し上げました四月の諮問の一環といたしまして、いま言った地域をも含めて、どうあるべきかにつきまして諮問をいたしております。
  218. 河村勝

    ○河村委員 運輸大臣、実際はおそいのですね。こういう事件が起こってから常に問題にするのですけれども、前々から心配だったところですから、これは水先をつけるだけでなしに、航路の問題ももちろんあるでしょう、航路と航法がはっきりしなければ水先をつけてもしようがないでしょうから。その点は保安庁長官、何か考えていることはあるのですか。
  219. 寺井久美

    寺井説明員 先生御存じのように、海上交通安全法ができまして、浦賀水道中ノ瀬航路につきまして、いわゆる一方交通的な特殊な航法を設定して実施してきておるわけでございます。その結果事故が非常に少なくなったということは、一般論として申し上げられると思うのです。今回の事故の発生しました原因はまだ正確にはわかりませんけれども、事態にかんがみまして、やはりそれだけでは不十分ではないか、もう少し湾内全体の航行のあり方を検討する必要があるということを考えまして、目下そういう、どの点をどうすればいいかというようなことを検討を始めたいというふうに思っております。
  220. 河村勝

    ○河村委員 千葉方面から出てくる場合には、海の上は立体交差というわけにいかないから、どうしても航路を横断して出ていくかっこうになるのでしょうけれども、しかしそれはそれなりに何か規制の方法もあるでしょうから、いまの強制水先の問題等を含めてぜひ検討してほしいと思います。
  221. 江藤智

    江藤国務大臣 私も河村先生の御意見と全く同じなのです。せっかく中ノ瀬航路をつくりまして、しかもエスコート船というおつきの船までつけまして、そうして一方通行をやっているその出口を、木更津方面から横浜のほうに行くのがすぐクロスしているのですね。これなんか明らかにあぶない。そうならば、たとえばブイでももっと移しまして、遠回りをさせてそこに余裕を置くとか、あるいはいま御指摘のとおりに、水先案内がその前までは乗っていたのですね。それをおろしちゃってぶつかっているのですね。そういうことになると当然水先という問題を考えねばいかぬ。現在は東京湾の中でみんななわ張りを持っておりまして、そして水先はこれだけはぜひやらなければいかぬ、ここはもうそうじゃないというようなことになっておりますから、こういう過密状態東京湾全体としてやはり安全を考え、水先案内のつけ方も考えなければいかぬ。これは実は指示してございますので、至急そういう方針で検討したい、かよう考えております。
  222. 河村勝

    ○河村委員 質問を終わります。
  223. 三池信

    三池委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後四時七分散会