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1974-09-10 第73回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月十日(火曜日)     午後一時三十八分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 孝行君    理事 太田 一夫君 理事 兒玉 末男君       阿部 喜元君    唐沢俊二郎君       關谷 勝利君    山村新治郎君       金瀬 俊雄君    神門至馬夫君       斉藤 正男君    坂本 恭一君       梅田  勝君    紺野与次郎君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      佐藤  徹君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君         運輸省航空局長 中村 大造君         運輸省航空局技         術部長     中曽  敬君         建設省計画局宅         地開発課長   沢本 守幸君         建設省河川局防         災課長     田原  隆君         自治省財政局公         営企業第一課長 坂田 期雄君         日本国有鉄道総         裁       藤井松太郎君         日本国有鉄道常         務理事     山岸 勘六君         日本国有鉄道常         務理事     天坂 昌司君         日本国有鉄道公         安本部長    星田  守君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 九月六日  辞任         補欠選任   斉藤 正男君     横路 孝弘君 同日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     斉藤 正男君     ————————————— 七月三十一日  一、航空法の一部を改正する法律案内閣提   出、第七十一回国会閣法第八八号)  二、陸運に関する件  三、海運に関する件  四、航空に関する件  五、日本国有鉄道経営に関する件  六、港湾に関する件  七、海上保安に関する件  八、観光に関する件  九、気象に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(バス事業に関する問題等)  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件(財政再建計画  に関する問題等)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  陸運航空及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  3. 兒玉末男

    兒玉委員 時間の制約がございますので、答弁のほうもひとつ明確に簡潔にお願いしたいと思います。  まず、航空関係についてお伺いしたいと存じます。去る九月四日、福岡から羽田行きの全日空のいわゆる新型新鋭機通称トライスターエンジン故障が発生して緊急着陸という事態が発生しておりまするが、これにつきまして一体いかなる措置をとっているのか、その経過について説明願いたい。  さらにまた、一般に報道されているところによりますと、このエンジンメーカーであるロールス・ロイス社RB211型というのは欠陥エンジンだということも報道されておりますが、その辺の状況はどうなっているのか。  さらにまた、この事故があった時点において、全日空においては、この原因というものが明確に追及されるまでは再開はしない、こういうことが言明されておるわけでありますし、特に大型機であり、三百名以上を搭載できる大型でもありますし、非常に重大な関心を持っておるわけでございますが、この辺の欠陥エンジン並びに原因追及というのはどの程度までなされているのか、まずお伺いしたいと思います。
  4. 中村大造

    中村説明員 お答え申し上げます。  全日空トライスターエンジン故障でございますけれども、去る九月一日にまず第一回の故障が出たわけでございまして、これは左翼、右翼両エンジンコンプレッサーケース亀裂が同時に入った、こういうことでございます。それから引き続きまして九月四日、同じくトライスターに同様の故障を生じたわけでございます。全日空は直ちに現有機六機のトライスター運航を中止したわけでございますけれども、運輸省といたしましては、とにかく両翼エンジンが同時に、しかも二回にわたって故障した、こういう事態重大性にかんがみまして、全日空において、このトライスターについての安全性の確保、対策が確立されるまでは運航を中止するように、こういう指示をしたわけでございます。  九月六日になりまして、製造元のロールス・ロイス社から、主任技術者を含めまして専門家の三名が来日いたしまして、六日の夜から七日の朝にかけまして徹夜で、全日空技術者と、それから運輸省のほうからも担当官を派遣いたしまして、そこで原因究明対策について検討をいたしたわけでございます。  その結果、とにかく今回の事故が二件連続して起こったわけでございますが、それがいずれも両翼同時に故障が起こった、こういう特異性にかんがみまして、ロールス・ロイス社世界一般に出しております技術通報、これは四百飛行時間内に一回ずつボアスコープという、いわゆる胃カメラでございますけれども、中をのぞくカメラでもって点検をする、こういう基準をはるかに越えましたシビアな内容勧告を提示したわけでございます。   〔三池委員長退席佐藤(孝)委員長代理着席〕  運輸省といたしましては、別途英国航空局に対しまして、その対策について照会をいたしておったわけでございますけれども、七日の朝になりまして英国航空局から運輸省に対しまして、ロールス・ロイス社全日空あてに出したそういう勧告を全面的に同意する、こういう旨の回答があったわけでございます。全日空はその勧告検討いたしました結果、さらにそれよりももっときびしい安全サイド対策を決定いたしまして、そういう対策条件として運航再開したい、こういうことを運輸省に申し出たわけでございます。  その再開条件と申しますのは、このエンジンケース新型旧型とあるわけでございますけれども、従来から故障を起こしておりますのはすべて旧型エンジンケースでございまして、新型においてはまだ一度も故障を起こした例がございませんし、また今回亀裂の入りましたその部分について、新型ケースについては補強がされております。そういうふうな新型を、両翼だけでなく——両翼について新しいケースに全部取りかえる、それから尾翼につきましては、これは新型であっても旧型であってもどちらでもいい、こういう勧告内容でありますけれども、これを全日空といたしましては尾翼を含めて全部新しいものに取りかえる、こういうことが一つ基準でございます。それからこれの点検でございますけれども、両翼エンジンについては十時間以内ごとケース点検をやる、それから後部エンジンにつきましては百時間以内ごとボアスコープで内部の検査をする、しかる後に、もし検査の結果少しでも亀裂が発見された場合にはそのエンジンを取りはずす、こういうふうな措置によりまして運航再開したい、こういう申し出があったわけでございまして、運輸省といたしましてはそれを検討いたしました結果、そういう条件であれば十分運航の安全を確保することができるというふうに判断いたしまして、運航再開を認めた、こういうことでございます。  それから先生御指摘のような、そのような故障を起こしたエンジン欠陥があるのではないか、こういうことでございますけれども、今回故障を起こしましたのはエンジンそのものではございませんで、それのいわゆるカバーが亀裂が入った、こういうことでございまして、エンジンそのものについてはロールス・ロイス社が豊富な経験を土台にして設計製作したものでございまして、種々のデータを比較いたしましても決して他のエンジンに劣るものではないというふうに思っておるわけでございます。問題は、今回のような事故が起こりました場合には、これは外国に起こりました場合でもできるだけ早くその通報を得ましてそれに対する的確な対策を早く立てる、こういうことが一番重要ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 局長はいろいろと説明されましたが、私の聞かんとするところは、新聞の報道でも完全にエンジン故障、こういうことに報道されておるわけですが、これは間違いだということですか。  また、お聞きしたいことは、再開をしておるそうですが、その場合に、今回の原因というものはしかじかの理由であったということが国民大衆に対して明確にされてないまま航空再開されているのじゃないか、これについてはどうなのか。  それからエンジンのことについては、局長エンジン欠陥じゃないということを明言されましたが、これは技術的にはっきりと解明できるのかどうか、されているのかどうか、現実に。同時にまた飛行事故につきやすいエンジン故障からもたらす火災発生ということを非常にわれわれは懸念するわけですが、この二点について再度ひとつ局長見解を承っておきたいと思います。
  6. 中村大造

    中村説明員 このエンジンがほんとうに欠陥がわかったのかどうか、こういう点については私先ほど御説明申し上げたとおりでございますけれども、さらに火災点等もございまして、詳細につきましては技術部長から御答弁をさせていただきたいと思います。
  7. 中曽敬

    中曽説明員 まず欠陥エンジンではないかという御質問に対しましてお答え申し上げます。  先ほど航空局長から申し上げましたように、RB211型というエンジンでございますが、このエンジンはい非常にロールス・ロイスと申しますイギリスの定評のあるエンジンメーカーがつくりましたエンジンでございまして、非常にロールス・ロイスというのは従来ともそういった航空機のエンジンをつくっておりますメーカーでございますので、そういった豊富な経験を動員してこのエンジンをつくっておるということでございまして、現にこのトライスターにつけられまして飛行機が動いているわけでございますけれども、その飛行機の動いている状態におきましていわゆる故障が起こった率をいろいろと統計的に調べてみますと、たとえばボーイングの747型の飛行機と比べまして大差のないような状態運航しておるというところでございまして、そこら辺が先ほど航空局長が申し上げました点でございます。  さて、しかしながら新型機という新型エンジンを開発いたしますときには、運航開始にあたりましてもちろんメーカーにおきまして台上運転とか実用試験などいろいろと試験をいたしましてそしてつくるのでございますけれども、そういった過程でどうしても発見できないというふうなある種のトラブルというものはどうしてもある。これを実は初期故障と申しておりますけれども、そういった初期故障というものはできるだけ避けたいのでございますけれども、どうしてもある程度出てくるという傾向があります。たとえば先ほど申しました747型のエンジンにつきましても、当初そういうことがございました。たとえばタービンブレードのひび割れとかあるいはディフューザーケースと申しまして、空気を燃焼器の中に入れますときに分散するケースでございますけれども、そういったケースクラックを起こすというふうなことがございまして、今度の場合におきましても、残念ながらそういった初期故障の一環といたしましてこのようなエンジンケースクラックひび割れというものが発生したということでございます。これは私どもとしてはいかにしてこういうクラックをなくすかということはもちろん大事でございますけれども、どうしてもクラックが発生したという場合には早くこれを発見いたしましてそうして早く対策を立てまして、大事故に至る前に未然にその芽をつみ取ってしまうということが一番大事なことでございます。われわれといたしましては、そういったことで今後とも努力しなければならぬと思いますし、今度の場合もそのように処置したというふうに思っておるわけでございます。  続きまして、原因調査は一体どこまで進んでおるかという御質問でございますが、ロールス・ロイスのエンジニアが三名参りまして、徹夜で、そして今日なお連続いたしまして原因調査究明に当たっております。そうしてわかりましたことは、エンジンがどうしてクラックが発生したかというその原因、そうしてまたまん中のエンジンと申しますか、後部エンジンにはクラックは発生しないで両翼エンジンだけクラックが発生したという、そういった理由は一体何であるかということはほぼ解明されたわけでございます。しかしながらもう一つ先ほど航空局長申しましたように、両翼エンジンがなぜ同時にアウトになったかという原因につきましては、なおいまのところは一〇〇%わかっていると申しがたいところがございまして、この問題につきまして目下鋭意調査中でございます。そしてロールス・ロイスにおきましてはこういった事態にかんがみまして、すでにロンドンといいますか、ダービーと申しましてイギリスロールス・ロイスの工場があるところでございますけれども、そこで実物のエンジンを使いましていろいろな運航状態と同じようなシミュレーションをやりまして原因究明に当たっているというのが実情でございます。  それからもう一つクラックが発生したら火災危険性があるのではないかという御質問だったと思いますが、それにつきまして申し上げますと、実はこの種クラックが発生いたしましたのは全日空の四件、両翼エンジンが同時に二回クラックが発生しております四件でございますが、この四件を含めまして全世界で十四件トライスターにつきまして同じようなクラックが発生しております。ところがこのクラックが発生いたしましても、一回も火災に至ったものはございません。まずは火災に至る危険はないと思われるわけでございました場合でも、実はエンジンの中には消火設備がございまして、この消火設備を発動することによってこの火災未然に防止することができる、そういうふうな構造になっているわけでございます。
  8. 兒玉末男

    兒玉委員 本日は時間の関係で、いまの答弁の中で私はたいへん不安にたえないのは、いわゆる両翼エンジンが同時に故障を起こしたということについて最終的な究明がまだなされていない、こういう技術部長答弁ですが、これにつきましては大体いつまでもそれが究明されないまま運航再開されるということは再びそういうふうな事故が起きる危険性というのはきわめて高い、こういうふうに判断せざるを得ないわけでございますが、しかも局長答弁にあるように十時間ごと点検しましても、原因というものが明確にされなければ一体どこを点検するのか、こういう技術的な問題が残されていようかと存じますので、その点をひとつその解明について、早急にその原因究明できるように積極的な措置をとってもらいたい、このことを強く要望しておきたいと思います。  では国鉄関係についてお伺いしたいと存じます。  本年二月の十三日、当委員会におきまして運輸大臣所信表明に対して私が質問の中で、秋富鉄監局長は、今回の国鉄運賃のいわゆる十月一日の再延長ということは諸般の情勢を考えた場合にわれわれが再建計画を手がけた時点においても少々の運賃値上げという、そういう措置では根本的な再建計画は不可能じゃないか、こういうふうな質問に対して、やはり昭和五十七年度においては予定されましたこの運賃改定を含めた計画で十分に収益はとれる、再建計画可能性というものについて明確な答弁をされておるわけです。ところが今回の監査報告を通じましても、やはり今日の国鉄経営状態から推してもやはり再建計画というものをもう一ぺんやり直さなければいけない、こういうことが先般の新聞でも報道されておるわけ決算の状態、それに十月一日から運賃改定が行なわれるわけでございますけれども、すでに各種公共料金が軒並みに高率のパーセントで決定されておる段階におきまして、政府当局は二月十三日の国会答弁からわずかまだ六カ月そこそこしかたってない段階においてこれの再修正をしなければいけない、こういう状態について一体今後の国鉄再建の抜本的な対策についてどういうような見解をお持ちなのか、御見解を承りたいと思います。
  9. 秋富公正

    秋富説明員 二月の段階におきましてそういう御答弁を申し上げた次第でございますが、その後の今回の春の春闘におきまして仲裁裁定の結果、人件費は二七・五九%ということになった次第でございます。私たち再建計画におきましては一二・三%ということを考えておった次第でございますが、このためのいわゆる仲裁裁定による人件費所要額は約二千七百億増加して、必要となった次第でございます。  また運賃改定のおくれにつきましては、先般もいろいろと御説明申し上げましたように、いわゆる借り入れ金あるいはこれに対する直接の子利子の補給あるいは出資の増加というような万般の措置をとってきた次第ではございますが、四十七年から比べますればすでに二年半、四十八年の再建計画を加えますと一年半の運賃改定のおくれと、いま申しました四十八年度が二八・三%、四十九年度が二七・六%、こういう人件費増加ということ、さらにまた物価高騰ということもございまして、いろいろ御審議いただきました再建計画と実際の状態という間にすでに相当乖離ができたということは事実でございます。で、この問題につきましていかにこれを処理し、いかにして国鉄財政再建をすべきかということにつきましては、現在あらゆる面からそのことにつきまして真剣にかつ慎重に検討している次第でございます。
  10. 兒玉末男

    兒玉委員 とにかく、いま局長人件費のいわゆる高騰ということを中心的に据えて話をされましたが、すでに各種公共料金値上がりあるいはいままでの卸売り物価あるいは消費者物価値上がりということは、当然この策定の段階でも予想されておったと私は思っておるわけであります。なおこの時点においても、われわれは、いまの田中内閣のこの物価対策というものが全く欺瞞的な政策である以上は、必ずこの物価高騰がこのような結果をもたらすことは当然予想されておりたのじゃないか。昨年の三月八日の本会議における私の代表質問においても私はこのことを指摘しまして、このような計画では絶対に再建は不可能だ、これを根本的に練り直して再建はすべきだ、こういうことを主張したにもかかわらず、総理大臣並びに運輸大臣答弁は、いま局長が言ったようなことを全く論外に置いた、確実に再建は可能だということを明確に答弁されているわけですが、このような長期展望に立たないところの再建計画ということと、もう一つは、一般的にいわれておりますように、十月の一日からの運賃値上げというものが、おそらくいまの状態では、さらに予定されておりました五十一年度運賃値上げを五十年度に繰り上げて改定をしなければ不可能ではないのか、こういうことも予想されておるわけでございますが、相次ぐ運賃値上げというものがこのような悪循環をもたらす中において、再建計画の破綻ということは当然目に見えておるわけですが、この辺の関係はどうお考えになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  11. 秋富公正

    秋富説明員 ただいま申し上げましたように、実際の再建計画実情と当初考えました再建計画の間に相当乖離が出ていることは事実でございます。しかし、現在再建計画をいつの時点において見直すべきかということば、全体の国の政策あるいは国の長期計画というものとのからみ合いもございまして、国鉄投資区分の問題にいたしましても、あるいは今後の人件費高騰の見通しにつきましても、いろいろと多くの問題がございますので、なお引き続き検討をしている段階でございます。
  12. 兒玉末男

    兒玉委員 国鉄当局にお伺いしたいわけでございますけれども、今回十月一日から値上げをするわけですが、大体六カ月間の収入予定が一千億と聞いておるわけでございますけれども、すでに先般電気関係料金値上がりをしておるようであります。今回の電気料金値上がりは、たくさん使えば使うほど高率電気料になる。このことで、たとえば私鉄関係におきましても、この電気料金値上がりが異常な影響を及ぼして、重大なピンチに立っている。あとで太田同僚委員からも質問があろうかと思うのですけれども、国鉄の場合でも、聞くところによりますと、この運賃値上げによる分の大半が電気料金関係値上がりによって吹っ飛んでしまう、こういうことも話として出ているわけでございますが、実態はどうなのか、これについてひとつ当局見解を承りたいと思います。
  13. 天坂昌司

    天坂説明員 ただいまのお話にございました物騰の影響でございますが、確かに、年度の初めに組みました予算と比べまして、数字上の乖離はございます。しかしながら、予算を組む際にはすでに物価状況相当変動しておりましたので、相当程度、主要な物資につきましては値上がりの率を見込みまして組んでおるわけでございまして、したがいまして、物騰の上げ幅をそのまま影響をこうむるという形では幸いにはございませんが、それにいたしましても、先ほど御指摘ありましたたとえば電力の料金につきましても、ただいま年度末の見込みで考えております数字といたしましては、二百五十億ほど不足をするであろうというふうに考えられますし、その他もろもろのものにつきましては、今後とも多少物価の変動がございますでしょうから、はっきりした数字は申し上げられないにいたしましても、大体五、六百億ほどは経費で差が出てくるということが、これは物件費で申し上げられるわけでございますが、人件費につきましては、すでに御存じのとおり裁定を受けまして、その所要額といたしまして二千八百億ほど必要でございますが、年度予算にはそのうち何がしかのものが組み込まれておりますので、不足額としては二千二百何がしという金額でございます。  で、先ほど鉄監局長から御説明ございましたように、現在ただいまで今年度不足額はどうなるかということをまとめて申しますと、大体二千七百億ほどが不足するであろうという現状でございます。
  14. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣がお見えになっていないので、今後の運賃政策等の基本的な点と再建計画の抜本的ないわゆる練り直し、こういう重大な点については大臣がお見えになった時点でお聞きしたいと思います。  次に国鉄当局にお伺いしたいわけでございますけれども、現在の経済情勢というものを踏まえて勘案する場合に、やはり今後の国鉄経営のあり方の中において考えられる点としては、もう少し陸上におけるいわゆるトラック輸送、こういうもの等についてやはり鉄道輸送分野というものをわれわれはいま少し拡大をしながら、たとえば西ドイツ等においてとられておりますように、いわゆる鉄道への輸送関係誘導政策と申しますか、こういう検討も含めて考えるべきではないのか。道路関係というのは、幾ら国投資をしても、トラック輸送等の要請になかなか応じ切れない、道路整備が常にもとである、こういう点等から、やはり私は、このような西欧諸国の例にならって、もう少し鉄道輸送分野というのを拡大をする、こういう検討を真剣に考える段階に来ておるのではないかということについて、どういうような見解をお持ちなのかお伺いをいたしたい。
  15. 天坂昌司

    天坂説明員 国鉄貨物輸送につきましては、毎回と申してもよろしいくらいこの委員会でもお取り上げをいただいておりますし、問題は広く、かつ多様でございます。ただいまお話がございましたように、道路との関係ということになりますと、いささか政策との関連も出てまいりますので、国鉄といたしまして考えております方向につきまして、多少御説明いたしたいと思います。確かにただいま先生がおっしゃったような意気込みで貨物としてはいろいろ方策を考えておるわけでございますし、特にエネルギーの問題が出て以来、部内的には検討を始めておるわけでございます。しかしながら、常々申し上げておりますように、貨物の輸送の体制というものが、今日的なあるいは将来の展望に立って考えた場合に、いまのままでは将来の貨物の輸送にマッチしてまいらない、つまり貨物の輸送につきまして基本的に改善をしなければならないということが、これは具体的には再建計画の中でも私ども盛り込んでおるつもりでございますが、さらにその度合いを進めまして、まず設備の点、それから輸送の方式の問題、いろいろございます。そういう、道路から受けるなら受ける体制を並行的に改善してまいる必要があろうかと思います。それから、その点につきまして、何ぶんにも一カ所改良したから貨物の輸送全体がよくなるという性質のものではございませんので、ある程度時間をおかしいただくということで、線区なら線区につきまして統一的な輸送が可能な設備というものができ上がるのを待ちまして、新しい輸送体系が実現できるわけでございますので、その点につきましては、いますぐ実現できないという苦しさはございますが、その方向では努力いたしておる次第でございます。
  16. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣への質問の時間だけは保留しまして、次に、飛び飛びになりますけれども、最近、新幹線の事故が非常に問題になっておるようであります。きのうも国鉄当局としては、いわゆる安全対策についての協議が持たれておるようでございますけれども、新幹線は絶対に安全だ、こういうふうな神話がすでに完全にくずれておるということがいわれておるわけであります。たとえばいままでの大きな事故としては鳥飼の脱線、それから羽島と新横浜におけるところの、非常に複雑な構造であるのでしょうけれども、いわゆる機械の指示が間違えて他線に待避もしくは進入した。もしこれが後続列車が接近しておったとするならば、逆の場合に行ったらたいへんな事故が予想されるわけです。こういうふうな具体的な事例が提起をされておる。しかも線路の状態におきましても、新幹線の場合は保守体制も一般在来線と変わっておるわけでございますが、その実態はきわめて憂慮すべき状態だという具体的な例が指摘をされておるわけでございます。これにつきましては、先般運輸大臣から、国鉄当局に対しまして、事故に対する対策を報告せよということについて一応、形式か具体的かわかりませんが、新聞の報道ではたいしたことはない、こういうような報告がなされておるわけでございますけれども、事は新幹線であり、二百キロをオーバーする超スピードであります。このような事態の中において、適当な、下部からの事故報告だけで国鉄当局は安心しておれるように国民は理解していない。この新幹線の安全対策について一体いまどういうような情勢の判断をし、対策を考えているのか、国鉄当局見解を承り、また監督当局である運輸省見解を承りたい。
  17. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  新幹線の安全の問題に関しましては、御承知のように非常なハイスピードで走っておるということで、一たび間違いがあるとおそるべきことになるということで、開業以来御承知のような努力を重ねてきたわけです。ところが、七月、八月の雨もございましたけれども、その間に架線事故を中心に相当事故がございまして、運輸大臣からもおしかりを受けました。その対策といたしましては、はなはだ御不満のようでございますけれども、さしあたり、とりあえずああいう事故をしばしば起こしたようなところを総点検いたしまして、直すべきものは直すということで、架線だのそういうものを中心といたしまして総点検をやります。これは八月に終わって、それだけでいいわけじゃございませんので、大体十月ごろになろうかと思いますが、いわゆる架線の強化の問題あるいはレールの道床の強化策をいませっかく検討して、大臣に報告申し上げるということに相なっております。  新幹線の安全に関しましては、神経系統みたいな機器に関しましては二重系、三重系というようなことになって、一つがフェイルしてもあとが助けてくれるというような系統になっており、しかも三つともこわれた場合には間違いのない方向に動く、つまりとまるとかなんとか安全な方向に動くということになっておる。軌道内は要するに防護して第三者が入れぬようにもなっておりますし、平面交差なんというものはない。それから地震だの風があればとめるというふうなことで、一応過去十年たいした——これは事故があっては困るのですが、それでやってきましたところ、最近架線であるとかなんとかそういうものが、これは主として雨に基因しておると思いますけれども、ございまして、総点検をやり、それから神話と申されましたけれども、神話じゃ困るので、初めに立ち返って再検討しようじゃないかというようなことをやっております。もちろん、架線であるとかいろいろなことでやっておりますけれども、これはたいした事故にならぬと言って午前中もしかられたのですが、そう致命的な事故にはならぬけれども、乗客に不安を与えるし、それが重なってくればまた致命的な事故に相なるということでございますので、そういうものを片っ端から点検してつぶしていこうというようなことをいま考えておる最中でございます。
  18. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣が来られましたので、その前にもう二件だけ国鉄見解を聞きながら、あわせて大臣見解を承りたいと思います。  第一点、国鉄当局に聞きたいことは、いま実際に運行し、あるいは線路の保守に当たっておる国鉄職員の意向を代表する組合として、とにかく夜間の間合いだけでは十分な保守はできない、たとえば架線の点検でもせいぜいやっても距離にして一日一・五キロ程度だ。そういう状態では、いま総裁の答弁もありましたが、ほんとうに安全性の確保ということについて多くの問題点が残る。そういう点から、いわれておるように、一定の期間ごとに昼間の運転を休止して整備点検をするとか、あるいは昼間の、たとえば午前中何時までとか午後の時間を早く切り上げて、運転休止の時間をなるべくとって整備点検を充実していかなければ、取り返しのつかない事態が起きるのじゃないかというのが一つ。もう一つは、先般三菱重工の本社にしかけられたあのような不慮の事件でございますが、こういうふうな爆発事故が先般水道橋の駅においても起きております。ですから、特に交通量の多い超スピードの新幹線においてこのような事故が全くないという保証はあり得ない。あることは絶対期待してはいけないことでありますけれども、万一という事態に対して、今後こういう事態を予想したところの対応策というものはやはり真剣に考えるべきじゃないか。この点についての当局見解を承りたい。  さらに、時間がありませんので引き続き、大臣がおみえになりましたが、国鉄の運賃政策というものと再建一画というものが大きな破綻を生じております。私は二月の十三日、当委員会大臣所信表明を通じまして十月に運賃値上げを延期しておるけれども、こういう状態で、しかも田中内閣物価政策は全く野放しである、そういう状態を踏まえる中において、せっかくの再建計画の遂行ということは可能なのか、また、運賃値上げということを幾ら繰り返してやりましても、国鉄交通政策全体の問題を根本的に考えていかなければ再建は可能ではないか、こういう根本的な再検討を強く要請したわけでございますが、政府当局は、五十七年度までの再建計画については全くそういうふうな体制を検討する必要はないという答弁をなされているわけです。わずか六カ月の間において、今回の四十八年度の決算、監査報告を通じましても、再建の遂行は不可能だということが決定的なものとしてこれが認識されておるわけでございますが、運輸行政の最高の責任者である大臣としては、十月一日からの運賃値上げは再検討すべきである。また、三年程度据え置きをして抜本的な各種公共料金対策検討しなければ絶対に再建不可能だ、こういうように考えるわけでございます。加えまして、大臣御不在でありましたが、重大な新幹線の事故が最近頻発しておる。これに対するところの当局の姿勢並びに安全対策についての政府当局見解について再度お伺いしたいと存じます。
  19. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 前半の問題に関してお答え申し上げます。  新幹線が事故がしばしば起こるので、どうも夜五時間くらいで十分に補修する時間がないから、十日に一回か何か休んで昼やったらどうだという御提案で、きわめて自然な御提案でございますが、御承知のように新幹線のシステムというのは非常に複雑なんで、仕事をやめてにらんで歩いたらわかるわけではもちろんないのでございまして、軌道には軌道検測車というものも定期的に走らせ、架線は電気関係の検測車を走らす、あるいは軌条は探傷車でもってチェックするというようなことで事なきを得ておるつもりでございますけれども、昼間やれば安全性が高まるということは常識的に考えられますので、現在すぐその状態にわれわれはいくものとは思いませんが、将来かりにそのような状態に立ち至りましたら、これは安全が最優先するので、いかなる手段でもとって安全を確保する所存でございます。  第二段の、三菱重工のような事故が起こったらどうするか、警戒体制に関しましては、私どものほうの公安専門の者からお答え申し上げます。
  20. 星田守

    ○星田説明員 お答えいたします。  まずもって、この種事件につきましては、その本質はきわめて悪質であり、その事件の発生を防止するために全知全力を尽くすというのがわれわれの課題であることは申すまでもないところでございます。そのための措置につきましては、従来から幾たびとなく関係機関とも連絡し、また検討してまいりまして、訓練も行なってきたところでございますが、御承知のとおり、最近では去る二月に真岡事件が起こっております。それから近鉄の爆発事件、こういったふうな事件が発生いたしましたので、特にこの事件を契機といたしまして特別通達を出しまして、これに対処する体制を整えたわけでございます。  なお、この種事件につきましてのわれわれの体制といたしましては、第一に通常における措置、それから情報があった場合の措置、遺憾ながら事件が発生した場合の措置、この三つに分けて措置をとっておるわけでございます。通常における措置といたしましては、最近のような状況にかんがみまして、特に列車内については車掌の車内放送、公安職員の警乗等によりまして持ち主不明の荷物の発見に努力を尽くす。駅構内につきましては、公安職員、管理者、警察官等により特にそうした物件の放置される危険性のある場所について構内巡回を厳重に実施しておる、こういう状況でございます。  情報がありました場合につきましては、列車の場合においては車内検索による不審物の発見と車両の下回り点検を厳重に実施いたしまして、状況によりましては旅客を降車避難させることもやろうと考えておる次第でございます。また、さらに公安職員、警察官による警乗を実施いたしまして、施設物の場合につきましては列車に順次検索、警備を実施する、こういう方針でございます。  ちなみに本年度に入りましてからのこの種爆破電話は四十八件発生いたしておりまして、内容別には新幹線に対するものが四件、在来線に対するものが八件、施設物に対するものが三十六件ということになっておりまして、去る八月三十日の三菱事件以来、急激にこの種怪情報が増加をいたしてまいりました。昨日も午後二時に東京駅を爆破する、こういう電話が入っているわけでございまして、同事件以降昨日までに十七件、こういう怪電話がわれわれのほうに入っておる、こういう状況でございます。  それから爆発物を発見いたしました場合の措置でございますが、これは何よりも旅客、公衆の避難誘導ということが優先いたします。さらにまた、この危険物についての処置につきましては、警察にその処置をお願いいたしまして、特殊な爆発物処理班よるところの処置を期待する、こういう体制をとっております。不幸にして死傷事故が発生いたしました場合は、何よりも負傷者の救出を第一といたしまして、その体制につきましては先般御報告いたしましたように、関係の機関との連絡を十分にとりながらこれに対処する、こういう訓練も行なっておる状況でございます。  以上でございます。
  21. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 まず新幹線の安全対策でございますが、六月から七月にかけましていろいろな故障事故が出てまいりましたのは御承知のとおりでございます。私ども非常に憂慮いたしまして、国鉄に対してこれらの問題を十分究明するように、さしあたり応急対策を立てられるものは応急対策を立て、将来恒久的に検討を加えるものについては十分配慮して報告をされたいという趣旨の警告をいたしたわけでございます。  さしあたりの臨時対策につきましては、報告が九月三日にございまして、それなりの評価を私はいたしておるわけでございます。事故等につきましても、新幹線の事故は一たび起これば重大な事故につながり、また、わずかな小さい事故でも重なってこれが慢性になりますと、これも許しがたい大きな問題に発展するわけでございますから、その点は国鉄当局も十分配慮の上応急対策を立て、その後におきましても車両の取りかえでございますとか、あるいは軌条をでかいものにするとか、あるいは架線の体質の強化工事を進めるとか、あるいは日常の保守点検のあり方についてさらに十分検討を加えるとか、あるいはお客さんをたくさん運ぶ繁忙期あるいは降雪期等についてはさらに重点的に点検を行なうとか、また監視体制を強化するとか、職員及び請負い作業者の技術レベルを十分向上してもらいたいというような点についてあらためてさらに指示をし、お願いをいたしておる次第でございます。国鉄におきましても、先ほど来のお話しのように、この点については事の重大性にかんがみまして、全力を尽くしてやっておるというふうに認めておる次第でございます。  それから、運賃の問題が再建十カ年計画とからんですでにくずれておるんじゃないかということでございますが、再建十カ年計画を見直す時期というものは私は見直さなければならないと思います。したがいまして、いつ見直すかということにつきまして、ただいまいろいろの角度から、あるいはまた政府全体の作業の、たとえば経済社会基本計画の見直し等も合わせまして、慎重に検討をいたしておる次第でございます。だから十月一日の国鉄運賃値上げというものを、この際さらに凍結して再検討をしたらどうかということでございますが、さなきだに経営費の増加等によりまして、いろいろと運営に支障を来たしているわけでございます。いま十月一日の運賃を再凍結するという考えは持っておりません。
  22. 佐藤孝行

    佐藤(孝)委員長代理 太田一夫君。
  23. 太田一夫

    太田委員 私は、主として地方交通網の整備という問題に関連をいたしましてお尋ねをいたします。  最初に鉄監局長にお尋ねをいたしますが、今度の地方交通整備の一つの目玉に、地方中小私鉄の欠損補助の拡大があったと思うのです。このたび運輸省としてはどのような方針をきめて要求されておるのか、内容をちょっと御説明をいただきたいと思います。
  24. 秋富公正

    秋富説明員 本年度予算におきまして、中小私鉄の欠損補助につきましては約二十一倍という大幅な予算が獲得されましたのは、ひとえに諸先生のおかげでございますが、来年度はさらに本年度の中小私鉄の欠損補助というものを強化してまいりたいと考えております。これにつきましては、その原則というものは変わっておりませんが、これをさらに強化拡大するということで、大体現在考えておりますのは、中小私鉄が大体六十三社ございますが、その三分の一程度、これを欠損補助の対象にいたしたいと考えております。  またさらに、現在公営の路面電車が全国で七市ございますが、その中でいわゆる中小私鉄に該当するような地域で、しかもその路面の上を自動車の乗り入れを禁止しているという三市につきまして、これを新しく欠損補助の対象にいたしたい、かように考えております。その結果、現在八月末に財政当局に要求いたしました予算といたしましては、大体四十九年度の三倍の額を考えております。
  25. 太田一夫

    太田委員 六十三社の中の二十一社ということですが、この三分の一に対して赤字補てんをするとおっしゃる。この数も少なければ、その内容も対象がふえているんだから金額もふえたわけなんであって、いままで大体赤字の六割ぐらいにしか相当しなかったわけですね。全額の補助じゃないわけです。赤字で困っている倒産寸前の中小私鉄が補助金によってどうなるかというと、その六割か七割は補てんをされるがあとは自力で何とかしなければならぬというので、借り入れ金の増大ということに相なっていきますね。ですから、その辺のところを考えて、二十一社なら二十一社でもいいけれども、大体大ざっぱにいって中小百社が百億ぐらいの赤字を持っていると世間でいっているんだから、総合収支のことは別といたしまして、鉄軌道の赤字ならば百社、百億ぐらいのものがあると仮定してみるならば、その中のかりに十五億や二十億程度の金であっては、これはなかなか火が消えないと私は思います。   〔佐藤(孝)委員長代理退席、委員長着席〕 赤字の交通機関をもっと補助しなければならないというのか——地方鉄道整備法の条件に該当するものと認められたらば、その赤字に対して全額を補助する。そこまでいって、対象の事業をふやすという思い切った政策を立てなければ、地方交通というのは整備されるどころか衰退するじゃありませんか。その点どうですか。
  26. 秋富公正

    秋富説明員 ただいま先生御指摘の欠損額の六割ではないかということでございましたが、過去におきましては確かにその程度でございましたが、本年度四十九年度からはこれを全額欠損補助するということでございまして、これは過去二カ年間の平均の欠損額を全額補てんするというふうに改正し、強化した次第でございます。したがいまして、過去債務のいわゆる利子でございますが、これも鉄道部門につきましては、いわゆる過去債務の利子、これも全部欠損補助の対象といたしておる次第でございます。
  27. 太田一夫

    太田委員 鉄監局長、ほんとうに事態を御認識になっていらっしゃるかどうか存じませんが、過去二年間の赤字の何とか平均とかいうようなそういう算式をお使いになることは補助金を少なくすることであって、一〇〇%見るということではない。しかもその交付のしかたはいつもおくれておりまして、なかなか補助金の支給がないということになりますと、実際上何か絵にかいたものはなかなかりっぱなようだが、さてとなってみると手にとりがたいものに思われる点があるのです。ですから、一〇〇%なら一〇〇%でよろしいが、当該前年度の赤字一〇〇%を補てんをする、すべきならする、する必要がないときにはその事由を指摘してそれを除外するというのがほんとうじゃありませんか。したがって私は二十一社という点についても不満なんでありますが、二十一社などという、どうしてその程度にしかならないのか。なぜこれをもう少しふやして、赤字会社全体を対象にするためにもうちょっと近づけないのか、何かそれには障害があるのでありますか。
  28. 秋富公正

    秋富説明員 この欠損補助の精神でございますが、これは御承知のように地方鉄道整備法に基づいておるものでございます。いわゆる地方におきまして、たとえその乗客は少なくなりましても、鉄道としてこれを存続することがその地域におきましても必要なものである、こういうものにつきましてこれを補助の対象としているわけでございます。したがいまして、その乗車密度が八千人以上でございますと、これはいわば運賃改定あるいは近代化の設備助成その他財政融資、開銀融資こういったようなことで自立していけると考えておるのでございますが、いわゆる八千人以下というところにつきましては、運賃改定だけではなかなか自立できない、かように考えておるわけでございます。また乗車密度でございますが、一方におきましてラッシュ時に一千人以上というところでは、これはバス輸送ということは事実できませんので、そういう線区もまた対象としておる次第でございまして、私たちといたしましては、中小私鉄いわゆる大都市周辺のものを除きまして約六十三社ございますが、これをさらに分けまして、運賃改定あるいはいわゆる近代化の助成あるいは踏切の助成あるいは財投の融資こういったことで自立していきます分野と、とてもそういった措置では是正できない分野に分けまして、いま申しましたような自立できない分野を本年度は二十一社としたのでございますが、これをさらに来年ふやしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  29. 太田一夫

    太田委員 いや、あなたのほうの御苦心はわかるのです。あなたのほうがやりたいといったからといって、それはできるものじゃない。うしろに大蔵省があったり何々があったりして、小じゅうと大じゅうとうるさくてしょうがないから、運輸省だけできるものじゃないでしょうが、運輸省の腹を固めてもらわなければ困ると私は思う。四十六年度の統計によっても、六十七社、五十億ぐらいの赤字が出ておったわけでありますから、今度二十一社、十八億では、これは何倍かの倍率は大きい御要求をなさいましたけれども、焼け石に水だということを私は申し上げておかなければならぬと思う。  ついでに、あなたのほうの時間がちょっとないので、私飛躍したことをお尋ねいたしますが、先ほど千人というラッシュ時の交通量をもってバス化と鉄道との境となさった、そういう一つの御説明がありましたが、いま問題になっておりますあの近鉄の四日市の八王子線、あれなど災害で道床がくずされたままほったらかしにされて、沿線の通学の学生諸君がたいへん難渋しておる。千人で線を引いたら、これはバス化じゃ無理だということは、向こうの陳情を聞くまでもなくわかるわけでありますが、あれはどうなさるつもりですか、この際についでに聞いておきたい。
  30. 秋富公正

    秋富説明員 八王子線の問題につきましては、たまたま今回不幸にして提防が決壊いたしまして、現在この河川の修理、治水という問題が一方にはあるわけでございます。御承知のようにその先のほう半分は大体河川の土手の上でございまして、一方は県道と川との間でございまして、その拡幅あるいは複線化というようなことはできない地域でございます。現在これにつきましては御指摘のようにとりあえずバスによる代行運送を行なっておるのでございますが、これにつきまして今後どうするかということにつきましては、いわゆる河川の修理の今後の問題を十分に考えなければいけませんし、一方この地域におきますいわゆる交通体系についての現在調査会が発足いたしておりまして、この検討を待ちまして恒久的な対策というものについて考えたいと考えております。
  31. 太田一夫

    太田委員 これは大臣に聞いておいていただきたいと思いますが、おそらくあなたのほうにも地元からの陳情がそろそろ行っておると思うのですが、私はその決壊したところを拝見しただけなんであって、一々その線路全体を調査したわけじゃありませんが、非常に交通量があるのでありまして、企業採算という点からいいますと、できるならこの際やめたいという気持ちもあるのじゃなかろうかと思いますが、やはり地域の交通の需要というものと、それから鉄道とバスとの境の引き方という点からいいまして、今後はできるだけ鉄道は温存をして、鉄道の交通量をふやすということのほうがほんとうと思いますから、ひとつ十分この復旧の問題については建設省とも御相談をいただいて、地元住民の期待にこたえていただきたいと思います。これは要望しておきます。  あと少しの時間しかありませんから、バスの問題に移りますが、地方交通確保の中心は、やはり依然として過疎地並びにその周辺においてはバスだと思うのです。今度もバスの問題につきましては新たなる予算要求がなされておるようでありますし、かなりそれは理解されておるようでありますが、ひとつ一元化という問題につきままして私はこの際もう一回聞いておきたいのであります。  それは、一元化というのは、赤字のバス会社と赤字のバス会社と赤字のバス会社、すべて赤字のバス会社があって、それを経営を一元化する。それは、形態は純株式会社の場合もありましょうが、やはり地方自治体というのが住民の足を守るという非常に大きな義務があるように思いますので、地方の公共団体、この協力を得て一元化、経営の再編成をはかって、そうして住民の足を守りつつその機能を果たしていくということにならなければいけないと思うのです。ところが、この間も岩手県において経営一元化の話が進もうかとしておりますときに人事の異動があって、一元化の問題について非常に熱心な陸運局の局長さんが転出をされたというので、地元のほうではたいへんに残念に思っておるのです。私は、必ずしもそれがマイナスの人事であったのじゃなくて、後任の方は相当理解を示される人であるのであろうと思っておるのでありますけれども、それにしても一元化に若干水をさしたことは事実なんです。しかもその中においては、県南というバスなどは、必ずしも小さな会社じゃないのでありまして、資本金一億一千万円、従業員千五百人、車両三百九十三台というような会社ですね。それだけの中型企業でありますが、そこでさえ何ともやっていけないというので、会社更生法の適用申請などというような非常な手段に踏み切ってしまった。これは全く困ったことでありまして、そういう考え方、発想そのものが地方交通の整備にはつながらない、破壊につながるのですから、たいへん残念だと思います。それからもう一つ、その同じ仙台陸運局管内に岩手県の花巻バスというのがありますが、これは三百十二人の従業員で車八十六台の小さな会社でありますが、そこが、何と七十一系統のうちに四十九系統を廃止をしたい、そして従業員は百人余りを首切りたい、こういうことをいってきた。そこで、そんなばかなことはいけないというて、いま押し問答しております最中に、この非常な際において、つなぎ融資として県ほうでも、経営が苦しければ何らかのめんどうを見ましょうといったところが、会社のほうは何というかというと、なかなか組合が協力してくれないし、路線の廃止もできないし首切りもできないことだから、どうでもいいです。そんなことは、といって逃げてしまっておる。これは、無責任といえば無責任だが、かかる手合いに経営させておくということは地方の足を守ることに相ならないと思うのです。そこで今度新しい仙台陸運局長さんは、当該県知事さんと密接な関係を保たれまして、前任者のお開きになった道をさらに進んで一元化のために相当努力をしてほしいと思うのでありますが、局長さんどうですか、あちらのほうの具体的な話になって恐縮ですが、一つのモデルとして取り上げたのでありまして、何が御存じでございますか。
  32. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  岩手県のバス各社の経営の現状につきましては、先生の御承知のとおりでございます。そして、初めは岩手県が一枚かんだところの公的一元化ということでいろいろ相談をしてきたわけでありますけれども、なかなかそれが相ととのわない。それではひとつ公的というところはやめて民営同士の民営ベースの一元化で進もうか、というふうな話をしております途中で県南バスが会社更生法の申請をして脱落しかけたという状況でございまして、残っているのが岩手中央バスと花巻バスの二社でございます。新しく仙台陸運局長になりました南に私どもが話しておりますのは、従来前局長がやってきましたところの民営ベースでの一元化をできるだけ促進してほしいということを私は申しております。と申しますのは、これはすべての県、すべての地域についてそういったことが適用できるとは限りませんけれども、岩手県につきましては、たまたま県当局も当初そういった方向に賛成されて、関係者いろいろそういった形で事態が進んでおりますので、私はそういった方向を、新しい局長になりましても進めるようにということを話をしてございます。そういった線に沿いまして所局長も努力をいたしておると思います。最近私が伺いました話では、岩手中央バスが新しく、従来の赤字を別会社にしょわせまして、赤字のないバス会社を新しくつくるということを聞いておりますが、おそらくこれが一つの民営ベースでの一元化の核になるのじゃないかというふうに私は考えておりますが、ただこれに対しまして花巻バスの態度ははっきりいたしておりません。それから県南バスは御承知のように現在会社更生法の適用を申請中でございますから、帰趨はわかりませんけれども、そういう動きがありますので、できればその動きを見守りまして、岩手中央バス的なものが核になりまして、花巻とできれば県南バスまでも一緒になった一元化ができることがいいのではないだろうかと私は考えております。
  33. 太田一夫

    太田委員 ぜひその一元化問題については取り組んでほしいと思います。  ここで自治省の関係者の方にお尋ねをいたしますが、言うなら、一元化をするとかいろんなことをわれわれがかねがね申しておりますし、運輸省においても御指導いただいていろいろやった。これは運輸省が中心となってやるというだけでなくして、県知事さんの乗り出しというのが実に私は大切だと思うのです。そうしないと、いろいろ補助金なども県が支出したものに対してその半額を国が交付するとかいうようなたてまえになっておりまして、陸運事務所はああいう形でありまして、はっきりしておりませんけれども、あるいは交通の問題は県の固有の事務ではないという議論はありますけれども、具体的な問題となれば県民の足を守り、その福祉を守るということでありますから、県知事が主導権をとって一元化にも進むというのが本来の姿じゃないか、こう思います。その点、どうでしょう。
  34. 坂田期雄

    ○坂田説明員 ただいまお話ございました公的一元化の件でございますが、岩手県の事例につきましては、私ども自治省のほうでも事情はいろいろと伺い知っております。それで、この一元化の問題につきましては、当該地方団体のいろいろ判断等もあろうかと思いますが、やはり地方の交通行政全般の問題でございますので、やはり一義的には運輸省の所管に置いて、運輸省でいろいろとお考えいただくべきじゃなかろうか。ただ、自治省の立場といたしましても、地方団体として住民の足を確保するということは非常に重要な問題でございますので、地方財政の面におきまして、国のほうでいろいろと財政措置をなさるのと並行いたしまして、その地方負担分について自治省のほうで交付税による財政措置をするというような形で今後国と地方と相まって住民の足を十分確保できるように、そういう方向で指導を十分いたしたいと考えております。
  35. 太田一夫

    太田委員 大臣、ちょっとお尋ねしますが、いま自治省のほうからいうと、財政的にも行政的にもやはりめんどうを見るべきだという原則的なお立場で、決して否定の御議論ではなかったわけですね。そこで、運輸大臣としていかがですか。運輸省の権限というと大ざっぱでありますが、現実には地方の住民の足を守るローカル的交通のいろいろな取り回しというものは、県知事さんの手の中に入っていかなきゃならぬという問題、事態になってきておると思う。だから権限が運輸省のものだとか何のものだという在来の観念にとらわれないで、新しい時代の新しい交通網の整備という観点からそういう一元化の問題に取り組んでもよろしい、そういうお気持ちはおありでしょうか。
  36. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 この一元化の問題につきまして、まあ一元化といわず地方交通の問題でございますが、これはいまの法律上のたてまえは運輸大臣の権限下にあるわけでございますけれども、先ほど先生の御指摘にもございましたように、地方住民の生活を守り、福祉を守るというのは、これはもう各地方の当然の責務であろうと私は思います。そういう意味から、今日まで法律は別といたしましても、十分御協力をいただいておりますし、また御理解もいただいておると思うわけでございますが、今後こういう問題あるいは一元化の問題ばかりではなくて、路線等のいろんな過疎化の問題等が出てくると思います。そういう問題を一元的に運輸省でコントロールできるかどうか、これはもういっそのこと、法律的にもさらに検討を加えるべきじゃないかという有力な意見があることも承知しております。私はこういう点等につきましても今後十分検討してまいりたい、かように考えております。
  37. 太田一夫

    太田委員 そこで、これはどなたに聞きましょう。自動車局長でもよろしいから、中小私鉄、バスが今度何か——どちらでしたか、不良債務に対する利子の補給というのは。これは自動車局ですか。じゃ自動車局長さんお願いしますが、不良債務に対する利子の補給をするという一つの進歩した提案があります。けっこうです。ただその対象が累積赤字相当額に対してのみ行なうということでありまして、ないよりいいということは事実でありますが、必ずしもそれで急場の危機が救われるとは私は思えない。もしやるとするなら、思い切って長期負債に対する利息は全額これをめんどうを見るというところまでいかなければいけないと思いますが、なかなかそこまでどうして見れないのでしょうね。
  38. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 私ども現在の地方のバスの経営の現状、それからまた地域の交通の実情に照らしまして、現在の制度を事務的にできる限りふくらまして、かつはまた新しい制度を中に取り込みまして要求をいたしておるわけでございます。したがいまして、過去の分につきましても、いまの状況では累積債務につきましてたな上げし、利子補給するというところが精一ぱいのところでございます。それができますれば、私は現状に対しましてはかなりの改善になるというふうに考えております。もちろん一〇〇%といきませんけれども、これはまた漸を追うて進むことにすべきではないかと思います。
  39. 太田一夫

    太田委員 大蔵省にお尋ねをいたしますが、いまのお話を聞いていただいて、地方鉄道あるいはバスの経営上の危機というのは財政的なものが非常に多いのでありまして、その底が知れないということをお気づきになったと思いますが、花巻バスという例をとってみるまでもなくて、どこでも組合が労働金庫から金を借りて一時金やら給料の未払い分を補てんしておるのがたくさんあるわけであります。そこまでやりくりしておるのであります。  そこで、いまの不良債務の利子の一部を補助するという新しい提案が出た。けっこうです。けれども、地方の経営者は、それだけではなくて、元金も返済しなければならないのであるから、毎年毎年新たな債務の積み重ねをしておるわけであります。そういうことでありますから、地方の銀行に行っても、あなたのところは何が担保になるんだ、担保がないじゃありませんか、もうこれ以上できないというようなことでことばを濁してなかなかうんと言わない。そこで金を借りようとしても借りられないという状態が起きておるのであります。環境衛生の床屋さんやすし屋さんやパーマネント屋さん、料理屋さん、魚屋さんには環境金融公庫あり、それからお医者さんには医療金融公庫あり、農林漁業者には農林漁業金融公庫があり、公営企業には公営企業金融公庫あるのだが、どうして民鉄なら民鉄だけでも、実際一年に百億の人を運んでおるというこういう地方の住民の足に対する民営交通機関に対する金融機関が設置されないのか、こういう点を私どもふしぎに思うのですが、何か大蔵省のほうとしては、いまの地方交通に対する手当ては大体いまぐらいしかやりようがないのだということでございましょうか、御見解を承りたいと思います。
  40. 佐藤徹

    佐藤説明員 お答えいたします。  金融の問題実は私ども直接のあれではございません。はたして十分なことができるかどうかわかりませんが、全体私鉄なりバスに対する助成の問題、私どもここ数年来できるだけ充実をするように運輸省ともお話をしながら進めてきたわけであります。先ほど来運輸省のほうからお答えしておりましたように、来年度も、現在要求としてかなりいろいろな施策をやりたいということでいただいておるわけでございます。  お尋ねの金融機関の問題でございますが、私から申し上げるまでもなく、私鉄なりバスなりにつきましては、既存の政府関係機関で、それぞれ設備であれば開銀の融資でありますとか、あるいは中小企業金融公庫でございますとか、あるいは運転資金につきましても中小企業金融公庫でございますとか、私鉄と特定したわけではありませんが、一応守備範囲になっております。お尋ねの趣旨は、それでは不十分なので専門の機関というものが考えられないかということでございますが、この問題は全体としての助成策の一環として今後の検討課題ではあろうと思いますが、目下のところ運輸省と来年度の御相談をします際の緊急の問題といたしましては、むしろ当面の補助をどうするかという問題が先決問題であろうかというふうに考えております。十分なお答えになったかどうかわかりませんが……。
  41. 太田一夫

    太田委員 時間が超過しましたからこれで終わりますが、前の主計官からおかわりになったのでありまして、引き継ぎがあったことと思いますが、一番発言力の弱い立場の中小地方交通機関でありますから、十分めんどう見てくださるように、認識だけは高く持ってほしい。独特の専門金融機関については、これは大臣ひとつ、ことし間に合う話じゃありませんが、よそのほうにそういうふうに手厚く制度がされておるのに、私鉄の私バスに対してはどこに行って借りたらいいか、しまいには労働金庫か農協かといったようなことを言っておったんじゃ困ると思うのです。これもぜひひとつ検討してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  42. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 この運輸関係の金融機関の問題については、ずっと前にこういう議論があったということを私、承知しております。そのときどういうふうなぐあいに立ち消えになりましたのか、特にバス等の赤字が二、三年前から急激な赤字を増してきたわけで、それまではそういうような機関というものがあまり話題になるほどのものでなかったんじゃないかというふうなことも想像されるわけでございますが、今日、こういうふうな窮乏化にありまして、お説のように私ども担当しているものといたしましてもその必要性は認めるわけでございますが、五十年直ちにというわけにはまいりませんけれども、今後ひとつ検討させていただきたい、かように思います。
  43. 三池信

    ○三池委員長 梅田勝君。
  44. 梅田勝

    ○梅田委員 私は、きょうは日本国有鉄道の財政問題を主としてお伺いしたいのでありますが、その前に一言、先日、新幹線の事故問題で調査をいたしましたので、一つだけ御質問を申し上げたいと思います。  実際に新幹線の現場を回りまして、現場の人たちが非常に御努力をされているという実情を見まして、私どもは皆さん方の努力に敬意を表したいと思うのです。  同時に、なかなか問題がたくさんある。きょうはすべて申し上げることができませんが、一つだけお聞きしたいのは、六月十一日の朝九時十五分ごろ、浜松と静岡間において上り列車が工事中のミキサー車のホースとぶつかるという事故が発生しておったということをお伺いしたわけです。実際その列車に乗務をしていた乗務員の方々からもお伺いしました。非常にびっくりするような事故なんですね。すでに新聞に出ましたので当局はよく御存じかと思いますが、一体なぜあのような信じられないような事故が起こったのか、その責任と今後の対応策、これについて国鉄総裁からお伺いしたいと思います。
  45. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えを申し上げます。  前段の、国鉄職員が非常に新幹線で努力しておるとおほめにあずかって、まずもってお礼を申し上げます。  しかし、御指摘のようにいろいろの問題がございまして、工事中のクレーンか何かが列車をとめたということはちょっと聞きました。しかしそうたいしたことでないような気がしておりますが、その記憶があれなので、担当しておる常務にひとつ詳しく説明させます。
  46. 山岸勘六

    ○山岸説明員 先生御指摘のように、六月十二日の朝でございます。六月十二日に、防音壁工事に関するコンクリートポンプ車のゴムホースの操作誤りによりまして、新幹線列車に触れたことはおっしゃるとおりでございます。  私ども、沿線におきます大型機械の使用につきまして、部内の工事、それからもう一つは部外の工事もあるわけであります。部外の工事と申しますのは、実は昭和四十六年七月七日に新横浜駅の構内で、横浜市の水道局の工事でございますが、このクレーン車が実は線路内に倒れてまいりまして、新幹線発足以来、御指摘の今年の六月十二日の事故と二件に相なっておるわけであります。いずれもきわめて危険性を含んでいる事故でございまして、私どもとして、今後起きない十分な対策を構じてまいらなければいかぬ問題であると把握しているわけでございます。  今年の部内工事に関する事故でございますけれども、これは実は、私ども指導監督の不行き届きと申しましょうか、特に橋梁上になっておるわけでございまして、クレーン等の持ち込みについては厳に禁止しているものでございます。しかしながら、そういう中にあって監督者の目をのがれ、そういった事故が発生したということにつきまして、私どもといたしまして、いままでの規程の見直し、それから、これは防音壁工事でありますが、防音壁工事の工法の見直し、この点につきまして改善をはかったわけであります。同時にまた、この問題は工事の計画者の指導という問題に大きな弱点があったと認められますので、この工事計画者に対して厳重な注意を申しますと同時に、この工事請負業者に対しまして十五日間の指名停止措置をとったわけでございます。今後につきましては、こういう問題を含めて、監督並びに技術指導につきまして最善の努力をしてまいりまして、このような事故の絶滅を期したいと思っておるわけであります。  もう一つ、また部外の近接工事の問題でありますけれども、この問題につきましては、私ども強制力を持たないわけであります。しかしながら昭和四十六年の事故にかんがみまして、関係の建設省の地方局長、あるいは都道府県知事、または政令によります特別市長さんのところが一番多いわけでありますが、こういった関係個所に対しまして書面をもちまして、建設工事等に近接した工事等の場合には、ぜひ事前協議をお願いしたいということを強くお願いいたすと同時に、また、私どもといたしましては、各種巡回車が常にその点を留意いたしまして、もし近接工事等の準備作業等を見受けました場合には、たちまちその建設業者あるいはその施工者等と事前によく打ち合わせをして、そして間違っても線内に倒れるというようなことのないように、十分事前協議をはかってまいりたい、このように存じておる次第でございます。
  47. 梅田勝

    ○梅田委員 ぶつかったときの速度、それから被害の程度をちょっと言ってください。
  48. 山岸勘六

    ○山岸説明員 大体二百キロぐらいではないかと存じます。それから被害の程度でありますが、大体十六両編成をすべてこすっていったという状況でありまして、各車につきましてゴムホースのこすった痕跡が認められたわけでございます。
  49. 梅田勝

    ○梅田委員 約二百キロの高速でぶつかっている。それから、私どもが実際に乗務員からお聞きしたときには、十六両編成でありますが、車側灯というのがありますね、それが十六個中五個はもう飛んでしまっているんですね。それから一個は破壊されている。それから二個は電球が切れているということで、結局半分が被害を受け、そして前面からずうっとこすっている。だから、幸い窓の部分ははずれたものの、猛烈な速度で当たっているのですから、乗客はびっくりしているんですね。そして臨時停車をして、ぶつかったということを言っているのです。ところが、発車の際には何にも答えなしに動いている。こういう非常に大きな問題を起こしながら、国鉄総裁は、先ほど聞いたら、この事件は知ってなかったんですね。いま初めて聞いたと言う。これは幸い人身事故がなかったから、いわゆる国鉄用語でいう、マルにしたというやつですね。いわゆる事故ではなかったというように扱っておられるのか、どうなんですか。安全上、重大な問題として総裁の耳にまで達するようなことをやらなかったのは、これは非常に重大な問題だと思うのだが、どうですか。
  50. 山岸勘六

    ○山岸説明員 いわゆる事故をマルにしたかどうかということでありますけれども、私ども、すぐに報告を受け、これに対する対策関係局に厳重に申しつけて、その報告を受けたわけでありますが、総裁に対しまして詳しく御報告申し上げなかったのは私の責任であると思います。しかし、事故の件数としてはあげてございますので、決してマルにしたという性格のものではございませんし、責任者も明確にしておりますし、相手業者に対してもそれ相応の処分をとっておるつもりでございます。
  51. 梅田勝

    ○梅田委員 総裁、いまのやりとりをお聞きになって、安全上、重大な問題が発生しておった、国民の皆さまに対して非常に申しわけない、今後はきちっとやりますという点について一言言ってください。
  52. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 報告のあるなしに関せず、いずれ新聞などに報道されたことと思いますので、それを見落としたということは、はなはだ残念でございまして、心からおわびを申し上げると同時に、今後はひとつそういう誤りをおかさぬようにいたします。
  53. 梅田勝

    ○梅田委員 それはきちっとやっていただくことにして、国鉄財政の問題につきましてお尋ねしたいと思います。  先ほど来、国鉄財政の問題も質問をされておったわけでありますが、昭和四十八年度監査報告が出まして、私ども読ましていただいたわけでありますが、初年度において早くも計画が狂ってきた。これはやはり重大な問題だと思うんですね。営業収入におきましても、経費の点におきましてもそれぞれ狂いが出まして、大きな、四千五百四十四億円の赤字が出ている。そして、先ほど来言われましたように、見直しの必要性も出てきているということでありますが、われわれは、これはもう計画が早くも破綻したというように思うわけでありますが、この事実そのものについて大臣はお認めになりますか、どうですか。
  54. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 四十七年度からいろいろなそごを来たしまして、繰り延べ繰り延べということで、本年の十月にそれが運賃収入の繰り延べになるわけでございますが、その間、融資でございますとか、あるいは政府の出資あるいは金融等によってつないできたわけでございます。そういうようなことで見直さなければならない事態に立ち至っていることば先ほどお答え申し上げたとおりでございます。ただ、まだ計画をくずしたわけではもちろんございませんで、これに乗っかった一つ対策を進めておるわけでございますから、いつかの時期に、適当な時期に私は見直さなければならないということは、先生御指摘のとおりでございます。先ほど申し上げましたように、それをいつやるかということでございますが、これはいろいろ政府全体の施策の背景もございますし、先ほど申し上げましたように、経済社会基本計画等も五十年には見直す、五十一年度から新しい対策を樹立するということでございますから、そういうようなもの等々も十分配慮いたしまして、ひとつ見直してまいりたい、かように考える次第でございます。
  55. 梅田勝

    ○梅田委員 大臣、見直しをやらざるを得ないということ自体は、この計画の早くも初年度における破綻という事実を、これは客観的に認めざるを得なかったという御発言だと思うんです、いまの問題は。政府は、それだったら計画を新しくやり直したらいいんだというようにおっしゃいますが、国民の側から見ますと、またわれわれ委員の立場として、計画の問題、運賃値上げの問題、いろいろ議論をしてきたという私どもとすれば、これは納得がいかない。やはり十カ年計画の初年度において早くも破綻を来たすというような計画を出してきたという政治責任は一体どうなるのかという問題が残ると思うのです。私どもは、去年は相当長時間をかけて議論する中で、共産党としては御承知のように国鉄財政を真に再建するための民主的な方策、五項目の提案というものもやってきて、これをやれば四苦八苦しなければならぬようなことにはならないんだと言ってきたにもかかわらず、そういうことには馬耳東風で聞き流してきた。それが今回の初年度における破綻という事実になっておるとするならば、やはり運輸大臣として——当時はあなたは運輸大臣ではなかったけれども、踏襲されているわけですから、その政治責任はどうなるかという点を明確にお答え願いたいと思います。
  56. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 当時、十カ年再建計画をお願いいたしましていろいろ御審議をわずらわしたわけでございますが、その中に運賃の問題もあったわけでございます。国会でいろいろ御審議の結果これがついに四十七年度に実らずだんだんと延びてまいって結局今年の三月からと、さらにそれをまた御審議いただきまして十月一日から値上げ、こういうふうなことになりまして、非常に再建計画がそういうような面でくずれたことも事実でございます。したがいまして、そういうふうなくずれは見ましたけれども、その間は、御指摘にお答え申し上げましたように、政府の出資でございますとか、あるいは財投の借り入れ金でございますとか、借り入れ金に対する金額の利子補給でございますとか、政府としてはあらゆる再建策のそごを来たさないように努力を重ねてまいったことも先刻御案内のとおりでございます。しかし総体的に見まして、この再建計画で今後十カ年が、あと残りの八年でございますか、それが完遂できるというふうには考えないわけでございまして、そういう面におきまして私は見直ししなければならぬ。その時期をいつにするかということについて私は簡単に、やりそこなったから見直しするんだ、それでいいだろうなんというふうに居直っておるわけではございません。今日までとってまいりました施策については先ほど来御説明申し上げたとおりでございまして、こういう時点に立ち至りましてからひとつ見直さなければならぬということは率直に認めざるを得ないということでございまして、この見直すにあたりましての時期あるいは背景というものをただいま慎重に検討している、こういうことでございますから、何とぞ御理解をいただきたいと思います。
  57. 梅田勝

    ○梅田委員 いろいろ言われたわけでありますが、赤字の原因とか計画の破綻ですね、それの最も深いところの原因はどこにあるとお考えですか、いまおっしゃったようなことだけですか。
  58. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 法案の成立のおくれに始まりまして、諸経費の高騰あるいはまた運営費の見積もり誤りとかいろいろな問題がからみまして今日に至っているわけでございます。
  59. 梅田勝

    ○梅田委員 いまの御発言ですと、赤字の真の原因というものがどこにあったかということを深刻につかんで、そして新しい計画ですね、新々計画ともいうべきものをつくる場合にいまのような姿勢ではぐあいが悪いと思うのです。  もう少し突っ込んで聞きたいと思いますけれども、それだったら新しい計画ですね、これはどういう柱でどういう方向で財政再建を考えるべきだとお考えですか。
  60. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 やはり十カ年計画でお願いしておりましたような三つの柱を中心にしまして、運賃収入もございますし、政府の出資もございますし、さらに合理化による経費の節約等もございます、そういうようなものを総合的に十分勘案いたしまして新しい事態に即したような対策を立てていきたい、鋭意検討していきたい、かように考える次第でございます。
  61. 梅田勝

    ○梅田委員 秋富さんが八月二十九日に記者会見をなさったことが毎日新聞に出ています。各紙にも出ておりますが、その中で手直しが必要だということでいろいろ手直しの方法が考えられておりますけれども、もう少し詳しくその問題点を言ってもらえませんか。
  62. 秋富公正

    秋富説明員 当時新聞に出ましたのは、来年度予算要求の発表をいたしましたときのことが記事になったかと思うわけでございます。ただいま大臣からお答え申し上げましたように、私といたしましてはいろいろと努力を重ねてきておるわけでございますが、何と申しましても運賃の改定再建計画をつくりました四十八年度からでも一年半おくれたということが大きな一つ原因でございますし、先ほどお答え申し上げました再建計画、最初の五年間は人件費を一二・三%アップと見込んでおったのでございますが、これまた四十八年度、四十九年度ともに仲裁裁定の結果は予期以上の大幅になったということでございます。また物件費につきましても三%のアップということを毎年考えておった次第でございますが、これも昨年の暮れの異常ないわゆる石油問題にからみましての物騰ということが出てまいりまして、いわゆる収入、支出両面にわたりまして、実際の再建計画というものが事実と計画との間に相当乖離を来たしていることは事実でございます。この点につきましてもう一度あらためて再建計画というものを検討する時期がいずれ来るわけでございまして、それは、先ほどから申しましたように、いろいろな国全体の計画の問題あるいはタイミングの問題、すべてを考えまして、その時期を慎重に検討しているということを申し上げましたのが新聞に出た次第でございます。
  63. 梅田勝

    ○梅田委員 新聞記事でございますから、このとおりおっしゃったのかどうか知りませんけれども、新たな計画策定にあたっては、経済情勢に対応して実効をあげるために計画期間を五年以下の短いものとするほか、新線工事計画の大幅縮減など思い切った手を打ちたいというようなことが書かれているんですが、こういう構想が、先ほど大臣のおっしゃった三原則にプラスして入ってくるのかどうか。
  64. 秋富公正

    秋富説明員 四十七年、四十八年におきましてこの運輸委員会の審議におきましても、再建期間が十年がいいのかどうか、もう少し短い期間にすべきではないかというような御意見もございました。私たちといたしましても、国会におきますいろいろな御意見というものは今後の再建計画を見直す際にも十分にあらためてまた検討させていただきたいと思っておるわけでございますが、いまどういった方向でいくかというようなことはきまっているわけではございません。いろいろといろいろな面から検討する一つの問題点であるというわけでございます。
  65. 梅田勝

    ○梅田委員 それは深追いするのはやめまして、それならば、手直しは必然だ。これは五十一年度からの新々計画になっていくのか、今後検討されるでしょうけれども、その場合、新しい計画を五十一年度より実施ということになるとするならば、五十年度には運賃値上げはあり得ない、このように考えてよろしいですか、大臣、いかがですか。
  66. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 ただいまそういうようなこともあわせて省内におきましても、また与党でございます党の皆さん方に御相談して検討を続けておる次第でございます。
  67. 梅田勝

    ○梅田委員 いまの発言は重大ですよ。私は五十一年から新々計画というものが出てくるならば、当然五十年までは現在の計画でいくんですから、五十年度には運賃値上げというものはあり得ないということで大臣の御意思を確認しようと思ったんですけれども、そのことも含めて検討ということは、それだと運賃値上げ五十年度にやる気ですか。
  68. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 十月から運賃の値上げをしていただくわけでございます。そういうようないろいろな観点から今後これをどういうふうにするか。いま私どもの考えとしては、いろいろな要素を検討いたしまして、十分国民の皆さんの納得のいくような方法をひとつとりたい、かように考えている次第でございます。
  69. 梅田勝

    ○梅田委員 いまの話では何の話かわからぬですよね。私が質問していることに対してきちっと明確にお答えを願いたい。現在は計画は進行中だ、だとするならば次の値上げは五十一年度からですね。五十年度にはあり得ないのですよ。それをや、ろうというんだったら国民はおこりますよ。十月からの運賃値上げだって、この狂乱物価のもとで何だ、もっと政府は別の手当てをすべきではないかということが言われているのですね。このさなかにまた来年運賃値上げをすると言ったって、これは国民の納得を得られるものではない。だから、この計画が初年度に破綻をしたという事実についてもっと深刻な分析と政策の抜本的な検討が必要ではないかということを申し上げている。そのことについてきちっとお答えを願いたい。
  70. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 そういうようなことをただいま検討している、こういうことでございます。
  71. 梅田勝

    ○梅田委員 まあすれ違いになりそうですがね。しかし政府の政治責任というものは重大なんですよ。そこのところをよく心して考えていただきたいと思います。  そこで、監査報告によりますと「運賃料金制度について弾力性を付与することなどその在り方に関し、根本的に再検討をされるべきである。」というのが述べられておりますが、これもきわめて重大な問題だと思うのです。これにつきましてまず国鉄総裁にお伺いしたいのでありますが、ことしの五月にも井上副総裁は同様の趣旨のことを発言されておったと思うのです。このことについて国鉄当局としてどういうお考えをお持ちなのか、お答え願いたいと思います。
  72. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えします。  監査報告に弾力性を持って云々と書いてありまして、すこぶる名文で、実は筆者に聞いてないので私は意味はよくわかりませんけれども、おそらくお書きになった意味は、事のよしあしに関せず、運賃決定というようなことが相当の時間を要して、国鉄の何というか資金とかなんとかの需給にマッチしないというようなことが過去においてしばしばあったので、それを何とか国鉄の要るようなところに直ちに間に合わしてやるような方途なきやいなやというようなことがおよそ弾力性というような意味で書かれたと思いますので、国鉄としましては、これは今年、物価とか賃金とか三〇%上がって、直ちに三〇%とは言いませんけれども、直ちにそこに即応したような手がとれればまことにけっこうだし、それが大臣の、国の認可であろうと国会の御認可であろうと、これは国民の意識を全部入れるというたてまえからいえば国会で御議論なさるほうがいいだろう。しかし私どもとしてはそういう議論はともかくとして、早くそういう処置をとっていただきたいというのが偽らざる本音でございまして、お書きになった方はどういう意味でお書きになったか私はよくわかりかねます。
  73. 梅田勝

    ○梅田委員 大臣はどのようにお考えですか。
  74. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 この運賃の問題につきましては、いろいろな角度からいろいろな御意見が出ていることも承知しております。そういうようなもろもろのことをひとつ弾力的に考えてみたらどうかということであろうと思いますが、そういう意味に私は考えております。
  75. 梅田勝

    ○梅田委員 弾力的に考えるも考えないもない、基本運賃は国会できめなければならぬわけです。それを運輸大臣の認可事項とかあるいは国鉄の内部でかってにきめられるとかいうようにされたのでは、財政法の趣旨がどうなるのですか。これは重大な問題だと思うのですよ。私どもはやはり国民経済の上におきまして国鉄運賃の果たしている役割り、位置づけというものを考える場合に、運賃法の改悪、これが計画されるというようなことは重大な問題だと思いますので、そういうことはやらないということについて御明言を得られませんか大臣
  76. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 現にやっておらぬことでございます。これはやろうとしても国会のあることでございますから、もう私一存でどうなることでもないわけでございます。まあそういう意味におきまして、いま直ちにそういうものに、ではどうである、こうであるということについて、私の意思の中にはまだないわけでございます。
  77. 梅田勝

    ○梅田委員 時間がありませんのでさらにちょっと進めていきたいと思いますが、先ほど計画が破綻していく重要な要素として諸経費の高騰という問題がありました。これは要するに今日まで自由民主党の政府が進めてきたところのインフレ政策に根本的な要因があるというように私どもは思うわけですね。ですから皆さん方が国鉄経営をほんとうに長期安定をさしていきたいと考えるならば、まず第一に考えなければならぬのは、このインフレをやめさせるということが大前提となるんじゃないかと思うのですよ。だから、まずこの病根の一番大事なところをすっぱり切るということについて政府の御決意をお伺いしたいわけです。
  78. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 まあ物価の問題につきましては、政府あげてこれに対決して撲滅をはかろうということで、鋭意これに努力している最中でございます。その成果というものは起伏はございますけれども、私は漸次見るべきものが出てきていると思います。消費者物価の上昇等につきましても十月はお米の問題あるいは運賃の問題等、その他いろいろの問題がからみまして、あるいは二%ぐらいの消費者物価の上昇を見るかもわかりませんけれども、対前年比で比べますとそれは相当大きな上昇になると思いますが、しかし来年、年を越しますとこの対前年比の割合というものがぐんと狭まってくる、今年度における見通しというものは大体十数%ということを経済企画庁長官が言っておりますが、十数%以内に上昇率は押えられるのじゃないかというふうに私も考える次第でございますが、まあ国鉄再建がそれさえうまくいけばすぐに直ちに諸経費の問題が解決するというふうな、しかく簡単なものではないと思います。今年度いままでにおきましてもすでに人件費あるいは物件費等が運賃を上回るというような状態でございますから、そういうような問題等についても今後十分配慮し検討してまいりたいと、このように考えております。
  79. 梅田勝

    ○梅田委員 本年の七月の一番新しい物価指数ですね、これを調べてみますと対前年同月比で消費者物価指数では二五・二%、卸売り物価指数では三四・二%です。だから狂乱物価であるといわれる。田中総理が本会議の席上において一−三、四−六ですか馬券みたいなことを言いましたけれども、一−三、四−六には物価は鎮静してない。そしてますます公共料金の引き上げを導火線にして引き続く第三次の物価狂乱になっていく、こういう状況ですから——おまけに十月から国鉄運賃値上がりということになる。われわれはこういうことに対して絶対反対で戦ってきたわけでありますけれども、いよいよ国鉄運賃値上げされようとしている。  そこで、先ほど大臣がおっしゃったように、諸経費の高騰といっても、インフレが前提になっているのですから、運賃値上げすること自体が全体の諸物価高騰させる一つの大きな拍車になっておる、力になっておるということで考えますと、最大限それは押える努力をしなければならぬ。  そこで、大臣大臣の認可権によって押えられる運賃がありますね、料金。たとえば通勤定期の値上げの認可とか、あるいは特急、急行料金の認可といったような問題については、大臣が絶対に決意してやられるならば、これは押えられるのですよ。せめて徳永運輸大臣、この際、そういう諸物価高騰のおりから、またそのこと自身が国鉄経営を圧迫しているという事実から、これはこの際据え置きということをおやりになる決意がないかどうか、それを最後にお伺いして、私の質問を終わります。
  80. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 今年の七月の指数をとっていろいろお話しでございましたが、七月は新聞代の値上げあるいは野菜等の高騰で、一番この月が悪かった。消費者物価も前月比二%増になっている月をおとりになってお話しになったわけですが、私は、これが続いてないことも先刻御承知のとおりだと思います。  なお、いま御指摘の点につきましては、いろいろなことを考えまして、今後十分検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  81. 梅田勝

    ○梅田委員 終わります。
  82. 三池信

  83. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、先ほど太田委員からもお話のありました私鉄問題とりわけ先般災害のありました近鉄八王子線の問題について、まず質疑を行ないたいと思うわけであります。  その近鉄八王子線の話に入る前に、まず大臣に基本的な問題でお伺いをしたいのでありますが、いわゆる過密過疎の問題は、日本の社会にとっても非常に大きな問題でありますが、特に過疎対策一つとしては、交通機関の整備もまた重要な政治的な問題であろうかと思います。この過疎地方、過疎地帯の交通機関の実情を見ますれば、先般もニュースで報道しておりましたが、高知県交通が二十億の負債で倒産をいたした、こういうような実情であります。地方の私鉄、国鉄の過疎地帯の、いわゆるそういった国鉄の赤字、あるいは過疎地帯のところの私鉄のバスあるいは航路の問題も、特にそういった過疎地帯を担当しております東亜航空の赤字が非常に大きい、こういうような問題が山積をいたしておるわけでございますけれども、一体、こういう過疎地帯の交通機関の整備に対して運輸省はどういう基本的な対策をお持ちなのか。特に財政的な問題においてどうお考えなのか、ここら辺からまずお伺いをしたいと思います。
  84. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 この過疎の問題につきましては、特に、地方過疎地帯においては、ここ二、三年来特に急激な交通機関の経営悪化を見てきたわけでございます。これにつきましては、先ほど来いろいろ御質疑がございましたように、バスの補助対策の問題でございますとかあるいは地方軌道鉄道の欠損補助の問題でございますとか、一応運賃の適正化を確保するとともに、そういう点を十分配慮し、昨年度、昨年度というよりも、今年度におきましては、バス対策等につきましては、十分ではございませんでしたけれども、大蔵、財政当局の理解も得まして、相当計画的な予算の伸びを見てきたわけでございますけれども、しかしそんなもので、ほんとうの焼け石に水で、満足な手当てができるわけではございません。今年度はさらに各方面の状況を踏まえましてこれらの問題の解決に当たりたい、予算面においても当たりたい、かように考えておる次第でございます。
  85. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 基本的な考え方についてはお伺いをしたわけでございますけれども、いま特に私鉄関係におきましては赤字を理由にして廃線をしたい、こういうような動きも、一、二にとどまらずあるように思います。特に地方のバス路線なんかは便数もだんだん少なくなるというような状況もあろうかと思いますし、私鉄の経営全体をトータルで見ただけではこの問題はなかなか解決をしない、そういった意味におきまして、そういった私鉄関係なんかのいろいろなこまかい路線についても十分運輸省としては状況を把握しながらやっておられるのかどうか、またそれに対する財政援助の原則というものが明確になっているのかどうか、ここら辺はいかがでしょう。
  86. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 私鉄の欠損補助につきましては、先ほど来政府委員から御答弁を申し上げておりますように、今年来もさらに増額いたしましてこれの対策を進めようとしておるわけでございます。  なお、赤字を理由に路線の廃止を迫るという事例はつかまえておるかということでございますが、これは地域、団体、住民等の意向等を十分配慮いたしまして決定しなければいかぬ問題でございまして、ただ赤字がゆえにこれを切り捨てごめんで処理するというようなことはいたしてはならないことでもございますし、いたすつもりはございません。
  87. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは具体的に近鉄八王子線の問題に入るわけでございますが、これは三月の二十日に私が当委員会におきまして簡単に質問をいたしたのでございますけれども、そのとき大臣はおられませんでしたのでなかなか責任者の明確な答弁をいただけませんでした。そういった意味におきましても、今回状況の変化もありますので、まず大臣にこれからいろいろ承っていきたいと思います。  まず、これは三十九年ごろいわゆる廃線というような問題が大きくクローズアップされまして、自来十年を経過いたしておるわけでございますけれども、その十年間に問題の進展はほとんどなかった。ところが、本年の七月二十五日、いわゆる三重県の北部におきまして集中豪雨がありまして、この近鉄八王子線が通っております天白川の堤防が決壊をいたしまして、現在休止状態であるわけであります。そういう状況の変化があるということをまず大臣に申し上げておきたいと思います。  その状況をわかっていただくために、まず建設省に質問をしたいと思いますが、田原河川局防災課長いらっしゃっておりますか。——一体、建設省はこの天白川の堤防決壊に対してどのような復旧計画を立てているのか、いままでこの堤防敷の一部を近鉄八王子線が通過をしておったわけでありますけれども、復旧後技術的に支障のないように、そういう方向で復旧計画を立てていらっしゃると私は思うのでございますけれども、そこら辺の実情についてお伺いをいたしたいと思います。  それから、時間があまりありませんから重ねて伺うわけでございますけれども、建設省当局としては、応急工事後の近鉄八王子線再開、この問題について仮工事の工法に対して近鉄にこういうような工法でやって支障がないかどうかを、八月初旬か中旬には照会したという話も聞いております。これはしかし、仮工事については八月末に完了というようなことになっておるわけでございますけれども、この近鉄の返事がないままに完成をしてしまったのかどうか、なおあるいは継続されているのかどうか、ここら辺の問題をどういうふうに処置されておるのか、あわせて伺いたいと思います。
  88. 田原隆

    ○田原説明員 お答えいたします。  今回の三重県の、特に天白川周辺に災害をもたらしました豪雨は、過去の記録を非常に上回るものでございまして、天白川一帯は非常に大きな災害を受けております。特にその災害個所は天白川だけで六十一カ所に及びまして、その被害額は五億円を上回っておるようでございます。それで、必要なところには応急仮工事をやってまいりまして、そのうち三十四カ所やったわけでございますが、近鉄線沿いの応急仮工事はその中でも十二カ所やられております。応急工事は八月中に完了しております。特に、近鉄線沿いは八月二十日までに完了しておるというふうに資料をもらっております。応急工法は土のうを積んだり、その前面にさらにファブリフォームという新しい工法を使いまして、非常に補強しておるわけでございますが、この工法は私どもとしましては応急工事としては相当上等な工法だと信じております。ただ、先ほど先生おっしゃいましたように、八月上旬に近鉄に照会したというふうに県が答えておったようでございますが、さらに詳しく照会しましたところ、どうもその辺があやふやでございましたので、最近に至りましてもう一度よく、こちらとしては十分な工法と思うがどうだということを照会しておるわけでございますが、返事が参っておりません。ただ、私どもといたしましては、さらに応急工法のあと本工法に入るわけでございますけれども、本工法の場合には根止めに矢板鋼を使い、さらに石積み護岸をやることによりまして、一そうじょうぶにしてまいりたいと思っております。ただ、天白川の災害は激甚でございましたので、この復旧にあたりましては、改良復旧費を投入いたしまして、災害助成事業としてやるように県からも要望が出ておりますので、その検討をいたしております。その場合には、改良工法でございますから将来の流量とかそういうものを検討いたしますために、改良本格復旧に着工いたしますのは相当先になると思いますけれども、ただこの近鉄線の付近は、たぶんその場合にも本線の移動はないと思いますので、十月中にはできれば本復旧を完了したいという方針で進んでおるわけでございます。簡単でございますが……。
  89. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 宅地開発課長いらっしゃいますか。  宅地開発課長に伺いますが、この天白川の今回の河川の決壊につきましては、いわゆるこの近辺にありますところの笹川団地ですか、あそこら辺に日本住宅公団が団地を形成する場合に、いわゆる山間部を開いて団地を造成していくわけでございますから、大雨が降った場合、必ずその水が天白川に集中して、天白川は決壊するだろう、こういうような現地の危惧から、住宅公団の宅地造成に件う代理事業ですか、そういう整備事業をやる場合に県当局が出てきたのだと思うのだけれども、そういうところに明確な陳情があって、そういう危険性もあるだろう、ですからこの天白川は将来一・八メートルぐらいはどうしても掘り下げなければならないのではないかというような答えをしておったようなんですが、まあしかし、これはしろうとが考えてみてもそういうところに大型の団地を形成すれば、そのそばを流れている河川にそういう雨量が流れ込んでくることは当然のことだと思うのですけれども、そういった意味において今回の堤防決壊並びに八王子線の決壊については、建設省のほうは責任があるのではないかと私は思うのですが、ここらの事情はどうなっているのですか。
  90. 沢本守幸

    ○沢本説明員 お答えいたします。  団地開発をいたしますと、いろいろと山を切ったりするわけでございますので、洪水の出るおそれもあるということもございますので、その地域の団地の開発の規模あるいは地形、あるいはそこに建てられます建築物の用途、あるいはその地域の洪水量の問題、あるいはさらに放流先の排水施設の能力、そういうようなものを勘案いたしまして、その団地開発に件いまして出てまいります水の量というものについて、十分排出できるように検討して、排出施設をつくっておるのでございます。そしてそれも単にでき上がった段階だけでなくて、工事中におきまして山はだをはぎますので、そうしますと洪水が出る、あるいは土砂くずれがある、こういうような問題もございますので、そういう場合には調整池をつくる、遊水池をつくる、こういうことによりまして工事中の災害も防ぐということをやっておるわけでございます。そしてこういう工法あるいは設計につきましては、事業認可の段階におきましてチェックしておるわけでございますが、この笹川団地は県が施工いたしまして、そして上ものは住宅公団が建てたわけでございますが、この事業にあたりましても、この天白川についての河川の事業費の一部を住宅公団が負担するというようなことで、事業者と河川の管理者とが協議いたした上で事業に取りかかった次第でございます。
  91. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ですから、そういうような問題について明確に地元との約束があるわけだ。しかしその後にあれでしょう。そういった河川の掘り下げ等はやっておおらぬでしょう。どうですか。
  92. 沢本守幸

    ○沢本説明員 お答えいまします。  ここの排水につきましては、一応水道基準にございます五十ミリということで排水施設をつくりまして、それから河川につきましては天白川への取りつけ口におきましての工事、それからまた天白川の中におきます整地の問題、そういう工事をやっておると私は聞いております。
  93. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間がありませんからその問題についてはこれ以上言及しませんけれども、さらに県当局といろいろ折衝して、地元に約束した分をもう一ぺん確認をしてもらいたい。この返事はいただきたいと思います。明確に地元との約束を果たすように、さらにまた県当局にも建設省のほうから要請をしてもらいたい、これは要望をいたしておきます。  それから、これは運輸省当局からいろいろと資料をもらったのでございますが、記録にとどめておく必要上お伺いをするわけでありますが、国鉄部長お見えになっておりますか、杉浦さん来てないですか。——じゃ鉄監局長でけっこうでございますが、過去十年間におきましておもな災害、いろいろありますが、その災害の中で国鉄として災害復旧しないで廃線をした例があるか、あるいは民間では災害があまり大きかったために復旧できずに廃線をした、そういう例はありますか。
  94. 秋富公正

    秋富説明員 国鉄におきましては過去十カ年間のいろいろな災害がございますが、これによりまして廃止したというものはございませんが、ただ四十七年の七月に起こりました災害でこれは山陰と山陽を連絡する三江線でございますが、その工事につきましては河川改修と同時に並行して工事を進めておりまして、現在なお不通で工事中というのが一線ございます。  それから私鉄のほうでございますが、これは国鉄と違いまして過去十カ年間という記録がございませんのでおもなものでございますが、四十三年に十勝沖地震によりまして、青森県でございますが、南部鉄道が、これは延長十二・三キロメートルでございますが廃止いたしました。それから現在開通しておりませんのは、四十七年の七月に集中豪雨によりまして、これは愛知県でございますが東濃鉄道、これが橋梁を流失いたしまして現在休止いたしております。それから今年の七月でございますが、台風八号によりまして静岡鉄道の清水の市内線が橋脚の破損によりまして、これは延長四・六キロでございますが、運休いたしております。
  95. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ことしのものはいま対策を立てているわけだからこれは何とも言えませんけれども、少なくともいままでの記録の中では、いわゆる人口二十万以上の都市の近辺で多少そういうような災害があったからといって、それを理由にそういうような鉄道が廃止された例というのはございませんでしょう、どうですか。
  96. 秋富公正

    秋富説明員 現在、静岡県市内の問題、それから東濃鉄道というのが休止中で、これはまだ態度未定でございます。  それで運輸省といたしましては、この基本的な方針でございますが、地元の住民のための足は必ず確保するということが基本方針でございます。それが鉄道がいいのかバスがいいのか、こういった点につきましては、これは総合交通という体系から全般的な検討を重ねていくということでございますが、いずれにいたしましても、地元住民の方々の足を確保するということは、運輸省といたしまして基本的な姿勢でございます。
  97. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは大臣にお伺いをするわけでございますが、いままで人口二十万以上の都市の近辺におきまして——この近鉄八王子線というのは四日市市内です。そういうようなところではそういうようなことを理由にして廃線にした実例というのは、私の知る限りにおいてはないわけですよ、ところが近鉄さんの態度というのはきわめて遺憾に私は思うのですが、たとえば堤防を直す際においてもひとつこれは廃線をしたいからそういう角度で検討してもらいたいというのを市当局か県当局あたりに要請をいたしておるわけです、私、そういう書類を持っておりますけれども。あくまでも廃線をせねばならぬというそういうような姿勢に終始しているようです。そこら辺から出てくる問題だと思うのでございますけれども、先ほどのようにいわゆる応急仮工事の工法に対しても、建設省がこれでよろしゅうございますかということについても全く返事がない。あるいはいまお手元に写真をお示しをしましたように、そういうふうにいまだに線路というのは土砂に埋まったままで、それを片づけようとする意思がない。あるいはこれは朝日新聞かと思いますけれども、いわゆる集中豪雨で不通の近鉄八王子線に対して、このままでいけば近鉄側が廃線という方向を強く打ち出してくるであろうというので、地元の住民が百人も参加していわゆる除草作業をやっておるわけです、まあ一カ月以上たっていますからね そういうことに対しても近鉄の態度というのはきわめて冷酷かつむざんな言い方をしておられると私は思うのです。こういうところに対してこういう返事ですね。「貴四郷地区自治会及び西日野自治会の方々が、当社八王子線の線路内に入って除草作業を始められた様子ですが、線路内の立入りは鉄道営業法三十七条により禁止されているのみならず、軌条・枕木など現状より更に損壊の恐れも多分にありますので、」管理上線路に立ち入らないようにしてもらいたい、こういう要求ですね。ところが、これは現場を見ればおわかりのとおり、まさに線路と道路の区別だって明確な区別があるというような状況のところではないわけです。  こういうような終始一貫地元の人たちの、まあ私に言わせれば善意の上に立った希望でございますけれども、そういうようなこともまっこうから対立しよう、あるいは建設当局からの要望に対しても一つもこたえようとしない、そういう姿勢について一体大臣はどう思われますか、いかがでしょう。
  98. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 その書類は私承知しております。つい二、三日前でございますか、陳情の方々がお持ちいただきまして、もうこれはだいぶ感情的にもこじれたようでございまして、私はまた、それはたしか常務理事の名前になっていると思うのですが、草を取ってくれたのにありがとうございますとおじぎをしておけばいいものを、そんなものを書類まで出してやるということはまことにおとなげない話だと思うのです。先生も百も御承知のように、これには長い間の歴史があるわけでございまして、この歴史の上にさらにまた今度の水害、災害というようなことが横からぶつかったわけでございます。  そういうようなことでございますが、先ほど太田一夫先生からも、この問題については十分慎重に、しかも地域住民の願望を願い届けてやるような方法をひとつとれというお話もございました。まあ地域住民の皆さん方が非常に御熱心に望んでおられることも私も承知しております。これは各党の皆さん方が陳情団のごあっせんをいただいて、私のところにもお見えになっております。鉄道、軌道というのは、私も生まれ故郷の軽便鉄道をついにはずしたことがございますが、これはもう地域住民の生活の中に郷愁としてとけ込んでいるので、ほんとうに自分のなま身をはがされるような気が実はするわけでございます。そういうような住民感情も私は十分わかるわけでございます。せっかくいま四日市におきましても調査会というものをつくりまして、四日市市陸上交通問題温麺調査会でございますか、そういう会をつくって、そうして総合的な対策検討するということで、多少時間がかかっておるようでございますけれども、これは急いでもらいまして、そうして十分こういうところに地域住民の皆さん方の御意見を反映していただいて、今後、いままでのことばかりではなくて、笹川団地とか、あるいは将来の団地計画等もあろうと思います。そういうものを十分配慮の上、総合的な結論をひとつお出しいただきたい、かように考えておるわけでございまして、ただもうからぬから、水害を受けたからということで一方的に切り捨てごめんというような態度はとるべきでない、このように考えております。
  99. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣から基本的に将来への方向に向かっての考え方をお示しになりましたので、これ以上質問することはないように思うのですけれども、なかなかそうもまいりませんので、もう少し伺いたいわけでございます。  交通機関の確保というものは安全第一でなければならぬというのが運輸行政の第一歩だと思うのでございますけれども、残念ながら私たちが見てきた段階では、廃線とか存続とかという問題はあるにしても、今回の堤防決壊に伴う線路の破壊という状況がございまして、過去十年間にわたって、ここが完全に安全であるというような状況ではなかったわけですね。こういう問題について一体運輸省の責任はどうなるのか。ほんとうに行政指導をしてこられたのかどうか。そういう記録があるならば、鉄監局長にもひとつお示しをいただきたいと思うのでございますけれども、歩道と軌道との問題にいたしましても、ここだけの問題じゃありませんけれども、たとえば岐阜の東濃方面に向かう軌道にいたしましても非常に危険な状態がそのまま放置されておるわけです。確かにそういう問題を片づけるには金がかかるでしょう。金がかかるからそういう問題は一切手をつけないんだということでは困る。こういうような問題を一体どうお考えになるか、あるいはまた、はたしてこれからの都市構成の上からいって、自動車が安全であるのか、ここの問題を考えましても——この間も四日市市長にただしたわけでございますけれども、いま通過しているバス道路のネックがありまして、ここを買収して完全に通したならば、もっとスムーズに交通機関も走れるんじゃないか、こう言ってもやはり財政的な問題もあり、近辺の反対もあり、ここら辺は買収できません、こういうことを明確に言っておるわけですね。そういうようなことを考えますと、今度はいわゆる排気ガスの問題が出てくるでしょう。いま乗用車でさえも五十一年にマスキー法が完全実施できるかどうか、技術的に困難である、そういうようなことが業界のほうから盛んにいわれている状況の中にあって、四日市という都市全体の構成を見ますれば、四日市公害という特殊なものがあるから、どうしても北部へ宅地造成をしてそちらに住宅を移さざるを得ないというのが現在の状況であるし、また着々とそういうような方向になっておるわけでしょう。そうしてまいりますと、人口急増地帯の排気ガスの問題もまたさらに問題になるわけですね。いろいろな問題がふくそうされておるわけでございますので、私らが考えれば、やはり住民の方々が御要望なさるように、鉄道とバスを関連づけて一つの総合交通体系というものを都市内につくらねばならぬ。大都会においては地下鉄を走らして、そのターミナルにバスターミナルを設けて直結してやっておるわけですよ。まあ四日市はそれだけ大都会だとは私は申し上げませんけれども、こういうような問題も、今後運輸省としてその方向を明示なさるべき問題点が非常に含まれていると私は思うのですよ。このままではどういう方向に行くのがより賢明なのか。住民側もさだかでない、近鉄側もさだかでない、市当局も勉強中、運輸省は何も言わぬということでは、このまま野放しになっちゃって問題はますますふくそうし、また地域感情はますますもつれてくるという状況にあろうかと思う。ここら辺も聞きたいところですけれども、時間がありませんからやめましょう。ただ、大臣運輸省当局に私は要望したいのは——新聞記事等を見ますと、明確に近鉄側はこの八王子線をこの際撤廃したいという意思を何回も表明しております。また地元住民の方々は、もちろんいままでの利便性を考えれば、あるいは近辺に学校もあり、通勤ということを考えれば、時間の正確度、あるいはまた老人、子供等のバス輸送よりも電車でという要望、そういうものもありますから、ぜひとも存続をしてもらいたいという。そういうふうに意見が対立したまま今日動かないわけです。しかも建設省はこの堤防を直すについては、明確に八王子線の存続というものを前提にして堤防を直すんだというところまで来ているわけですね。そういうことを考えますと、やはり運輸省が中に入って、どういう方向がいいのか、明確に模索をする方向、その糸口を行政の責任としてつけなきゃならぬ、私はこう思うわけです。この点いかがでしょう。過去十年間もこの問題がそのままになってきたということは、明確な行政上の指導というものがないから、こういうような混乱が今日まで続いてきたと思う。近鉄にも責任があるでしょう。あるいは地元にも何か問題があるかもしれない。しかし少なくともこういう問題は、相対立した問題になっているわけですから、行政がこれに手を加えて指導をしていこう、住民を納得させるだけのものを引き出そうというような方向がなければ、何年たったって片づかないです。三年たったって五年たったってこの問題は片づきませんよ。そういった意味で行政としての責任をぜひ果たしてもらいたい、こう思うのでございますけれども、いかがでしょう。
  100. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 先生のおっしゃること、よくわかります。理解できますが、また住民の願望というものも私は受けとめているつもりでございます。したがいまして、私どもの出先でございます責任者もこの調査委員会の中に名を連ねまして、総合的な交通体系について、一体どれが一番いいかということをせっかく調査会をつくって検討に入ろうとしておる、あるいはもう回を重ねて入っておるわけでございますから、これの現場の皆さん方の御意見、また運輸省の責任ある出先の者たちも中に入って同じ議論をして結論を出そうとしているわけでございますから、その結論を十分尊重して善処してまいりたい、かように考える次第でございます。
  101. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 四日市でつくられました陸上交通問題の調査会でございますけれども、大臣、これは別に本質的に近鉄八王子線の問題を論議しているわけじゃないのです。私はこの間四日市市長に会って確認をしました。時間がありませんからこれ以上申し上げませんけれども、ひとつぜひとももう少し、四日市市の陸上交通の問題だけでなくて、近鉄と地元感情との調節役を積極的につとめるんだという方向で御検討を願いたいと思います。  最後にキャセイ航空の問題についてひとつお伺いをしたいと思います。  例の大阪どまりの便についていろいろ申請があった。週七便をソウルまで延長する話。それに対してこちらがそれができないということに対して、日本航空の香港−シドニー間の運航停止を行なった。さらにまたいままでの話につけ加えて、香港−大阪—ソウル、週七便運航の事業計画の変更申請を行なっておる。ところがこれもできないということに対して、英国からは、その報復措置というのですか、九月十五日以降、日航の香港−シンガポール、週七便の運航停止を通告してきたということについて、非常にまた国益上私は問題があると思うのでございますけれども、ここら辺はどのように解決をなさろうとしていらっしゃるのかお伺いをしておきたいと思います。
  102. 中村大造

    中村説明員 ただいま先生が御指摘になったとおりの経過でございます。私どもといたしましては、このような英国側の一方的な通告はきわめて不合理でございまして、現在その撤回を強く求めておるところでございます。この十五日を期限といたしておりまするけれども、十五日になりまして向こうの通告どおりシンガポール線についてこれを切ってきた場合に、これに対してどういう措置をとるかということにつきましては、目下慎重に検討しておるところでございます。
  103. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これはそういう報復措置を受けたまま日本がそういう損害をこうむりながらその措置を甘受するというのでははなはだ遺憾でございますので、ひとつ十分な対策を運輸当局に望んでおく次第でございます。  以上で質問を終ります。
  104. 三池信

    ○三池委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会