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1974-04-08 第72回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月八日(月曜日)    午前十時五分開会     —————————————    分科担当委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      中村 禎二君     高橋 邦雄君      鈴木  強君     小柳  勇君      小柳  勇君     須原 昭二君      瀬谷 英行君     辻  一彦君      中村 利次君     栗林 卓司君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         小野  明君     副主査         片山 正英君     分科担当委員                 梶木 又三君                 黒住 忠行君                 古賀雷四郎君                 高橋 邦雄君                 西村 尚治君                 小柳  勇君                 須原 昭二君                 鈴木  強君                 瀬谷 英行君                 辻  一彦君                 三木 忠雄君                 栗林 卓司君    国務大臣        運 輸 大 臣  徳永 正利君    政府委員        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       秋山  進君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸大臣官房観        光部長      高橋 寿夫君        運輸省海運局長  薗村 泰彦君        運輸省船舶局長  内田  守君        運輸省船員局長  住田 俊一君        運輸省港湾局長  竹内 良夫君        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        運輸省自動車局        長        中村 大造君        運輸省航空局長  寺井 久美君        建設省道路局長  菊池 三男君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        警察庁交通局参        事官       寺尾  繁君        首都圏整備委員        会事務局計画第        一部長      山東 良文君        外務省アジア局        外務参事官    大森 誠一君        外務省経済局次        長        西田 誠哉君        大蔵省関税局輸        出課長      斉藤 盛之君        通商産業省機械        情報産業局通商        課長       福島 公夫君        運輸省港湾局参        事官       満所 清吾君        建設省都市局参        事官       國塚 武平君        日本国有鉄道総        裁        藤井松太郎君        日本国有鉄道常        務理事      内田 隆滋君        日本国有鉄道常        務理事      加賀谷徳治君        日本国有鉄道常        務理事      速水 信一君        日本国有鉄道旅        客局長      柳井乃武夫君        日本国有鉄道環        境保全推進本部        事務局長     坂  芳雄君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      篠原 武司君        昭和海運株式会        社社長      末永 俊治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和四十九年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 小野明

    主査小野明君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、中村利次君が委員を辞任され、その補欠として栗林卓司君が選任されました。     —————————————
  3. 小野明

    主査小野明君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本日、昭和四十九年度総予算運輸省所管審査のため、昭和海運株式会社社長末永俊治君及び日本鉄道建設公団総裁篠原武司君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小野明

    主査小野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 小野明

    主査小野明君) 次に、昭和四十九年度総予算運輸省所管を議題といたします。  慣例では、まず政府から説明を求める順序でありますが、これを省略して、お手元に配付してあります資料をごらん願うこととし、その説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小野明

    主査小野明君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  7. 小野明

    主査小野明君) これより質疑に入ります。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 時間が非常に限られておりますので、幾つか質問を考えてみましたが、どうもこの時間では十分な質疑もできませんので、二、三の問題にだけついてお尋ねしたいと思います。  それで第一は、予算全体についてですが、御承知のように、三月三十一日実施国鉄運賃法が半年間延びたわけです。そうなりますと、当然歳入欠陥が出てくると思います。で、半年間歳入欠陥に対して国鉄当局が見積った収入見積りですね、年間予定はどのくらいになっておりますか。その補てんについては、当然国鉄が予想する運賃収入の半年分と、こういうことで今後建設計画、その他について支障がないのか、どうなのか。これは大ざっぱでけっこうですから。
  9. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答え申し上げます。  三月三十一日に上げるはずのが十月の一日になったということで、国鉄収入は九百七十六億の不足が生じますが、これは政府借金でもって穴埋めしていただきまして、なおかつ、再建期間中、十年間のそれに該当する金利をも助けてやるということにいたしてくださるはずなんで、さしあたり再建計画ひびが入らぬ、かように考えております。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 年間の、四十九年度の国鉄歳入見込みというのは、運賃ですね、これは旅客とか、荷物とかありますね、そういうものは幾らになりますか。
  11. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 全部概数ではなはだ申しわけありませんが、詳しい数字はあとで報告させますが、大体一兆三千億前後と、かように考えております。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 その半分がこれになるのですか。
  13. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 半分の、しかも運賃値上げの額と。
  14. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 国鉄の四十九年度の資金概計といたしましては、旅客収入は、ただいま総裁が申しました運輸収入、全体一兆四千百九十二億の中の旅客収入が一兆一千三百八十八億、貨物収入が二千八百四億、こういう予定でございます。
  15. 鈴木強

    鈴木強君 支障がなければ非常にけっこうなんですが、収入目標というもの自体の一兆四千百九十二億についても、ほんとうはもう少し私は詰めて伺いたいのです。しからば、四十八年度の予算収入目標に対して、これは運賃値上げできませんでしたけれども、現状の運賃収入目標幾ら、で、実績はどの程度になりますか、概算で。
  16. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 四十八年度は、当初の計画から一年おくれるということでございまして、それに伴う収入の減が千九百五十五億ということに相なります。したがってこれも先ほど申し上げたと同様に、政府からの借金で穴埋めしていただき、なおかつ、その金利再建期間中は持ってやるということになりまして、形の上ではひびが入りません。
  17. 鈴木強

    鈴木強君 大体収入に対して目標は、実績はとんとんにいくんですか。
  18. 柳井乃武夫

    説明員柳井乃武夫君) 昭和四十八年度は、まだ数字が精査されておりませんので、正確な数字は申し上げがたいのでございますけれども、大体の傾向といたしましては、客貨合わせまして、それからさらに自動車収入、そういうものを合わせますと、大体所定の線に運輸収入はいくかと思います。
  19. 鈴木強

    鈴木強君 では、大臣にひとつ公共料金の問題に関連してお尋ねしたいんでございますが、実は四日の第二分科会で、内田経済企画庁長官と私の間で、公共料金の問題、特に電力私鉄バストラックですね、こういった当面の問題について、いろいろ質疑応答をいたしましたが、その中で経済企画庁長官は、いつまでも値上げを待たせるわけにはいかない、したがって、四十九年度の上半期といいますか、四月から大体九月ぐらいの間に片をつけることについては、大体関係閣僚間で了解を得ておるんだというような趣旨お話でした。  それで、電気料金と、それから私鉄バストラック料金については、コスト上昇にもかかわらず、なおかつこれを押えるということは無理である、一緒に全部をやるか、あるいはまちまちになるか、ばらばらになるか、それは別として、参議院選挙というものが一つの政治的なテーマとしてあるが、これにはとらわれずに、とにかく実態に即してやっていくんだと、こういう趣旨の御回答がございました。それで、その翌日の衆議院商工委員会中曽根通産大臣も、電力料金値上げについては、申請が出たものについては、五月中旬から下旬の間に結論を出すと、こう、これは正式に議事録を見ましたが、出ておりますね。それから徳永運輸大臣が、五日の閣議後の記者会見——私もその第二分科会で申し上げたんですが、一昨年の秋、大手十四社の私鉄から出されております運賃についていろいろ質問したんですが、徳永運輸大臣は、五日の閣議後の記者会見で、大手十四社のこれからの運賃については、電力料金値上げ認可より早い時期に値上げを認めたいと、こういうふうな趣旨の御発言があったように記事で拝見しました。しかし、午後にさらに記者会見の席上、政府首脳の同意が得られず、値上げ実施は七月以降にずれ込みそうだと、こういうふうな御見解もあわせて私ども伺っておるわけですが、この辺非常に微妙だと思いますけれど、本委員会でも大臣に御所見を承って、大臣のお考え方はわかっておりますけれど、その後の微妙な動きがございますので、きょうあらためて私鉄運賃、あるいはバストラック等料金についてどうなさる方針か。やることはさまっておると思いますが、その時期その他を含めまして、御所見を承りたいと思います。
  20. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 電力は、これは通産関係でございますから一応省くといたしまして、私鉄につきましては、これは四十五年から今日まで値上げをしてないわけでございます。四十七年に料金値上げ申請が出ておりますけれども、それも諸般情勢諸般情勢ということばは、非常に便利なことばでございますが、まあいろんなことで今日まで押えた。  実は、ほんとうのことを申しますと、昨年の暮れにこういう石油パニックがなければ、こういう動揺がなければ、昨年の暮れごろはどうだろうかということが一応腹の中にあったわけでございます。しかし、昨年の暮れの予算編成をめぐりまして、公共料金の一切の凍結をやろうということで、非常な決意を固めましてきたために、この私鉄の問題も、その中の一連のものとして凍結することに腹を固めたわけでございます。その後、私鉄側からはいろんな窮状を訴えられましたけれども、私どもは、何とかつなぎ資金等においてやれるものなら、ひとつ何とかこの際押えたいということで今日に至りました。今日に至りまして、いろんなものを総合的に考えますと、そろそろもうたとえば踏切の安全問題投資とか、いろんな面において行き詰まりに来ていることは事実でございます。しかし、この際私どもは、融資で何とか切り抜けられるものはそれで努力してくれ、融資の面については、また自分たちも、政府としても特別に考えようということで話を進めております。  電力の問題よりも先にと申しましたのは、そういう背景を四十五年から今日までのずっと一連のものを見て、私は、もしも公共料金凍結解除もやむを得ぬという時期になれば、早く行なうべきじゃないかということを考えたわけでございますけれども、これも諸般情勢と申しますか、電力のはね返りというものは案外少ないわけでございます。全部の経費の五・五ぐらいだろうと思います。したがいまして、これは電力がいつになりますか、中曽根さんが五月と申しておられるならば、それはそれとしまして、国鉄値上げよりも前の時期に何とかやりたいということで、おおむね七月説というのが出てきたわけでございますが、最終的にまだ日にちを決定したわけではもちろんございません。その間に会社経理内容等も十分検討してみたいし、また、運輸審議会において現在検討されておりますから、その結論を待ちたいと思っております。  それから、バストラックにつきましては、これは、バスは二年ローテーションで、各県ごとにずっとやっておりますから、このローテーションを守ってやっていきたいと思っております。トラック等につきましても、いろいろ申請も出ておりますし、要望がございますが、これも会社運営状況経理内容というものを十分審査の上、関係当局面で話し合ってまいりたいと思いますが、いずれにしましても、安全の面にまでこれが及ぶということになったら、公共料金値上げもやむを得ないんじゃなかろうかというふうに考えておりまして、基本的には、内田経済企画庁長官考えと同じでございます。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、いまの大臣の御答弁を伺っておりまして、私鉄についてはかなりの緊急性というものを感ずるわけですね。バストラックについては、それはローカル的な二年ローテーションの問題もあるでしょうし、それからトラックの問題についても、経営状態をもう少し調べるということもあるですが、そうしますと、私鉄とそれからバストラックとはあえて切り離せば、切り離しても私鉄のほうを先にやろうと、そういうふうな御方針に受け取れるんですけど、その点どうですか。
  22. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 切り離して私鉄のほうを先という意味ではございません。バスはもう二年ローテーション考えまして、会社経営内容等もあわせまして、それ以前に各地区ごとに先にやることもあり得るわけでございます。したがいまして、私鉄運賃値上げと申しますか、これとは全然関連を持たないというふうに御理解いただきたいと思います。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 それでまあ値上げの時期の問題ですけれど、大体七月以降にずれ込むだろうというおよその御想定なんですが、これは電力がどうなりますか、それとの見合いだと思いますけれど、そこでどうなんでしょうか、いま物価が、三月のデータを見てみますと、卸売りが若干横ばい的になっていると思います。それから消費者物価のほうも、まだはっきりわかりませんが、やや鎮静のきざしといいますか、そういうふうな状況にきていると思うんですが、そういう時期に電力料金、さらに私鉄バストラック等公共料金が次々に上がってまいりますと、これらがさらに、いま鎮静のきざしを見せた諸物価に、悪い影響を与えてくるということは、これは間違いないわけですが、その辺の御判断は、大臣として、当然閣内においても論議されていると思いますが、さっき五・五%とか、ちょっと触れられましたですけれども一般物価への及ぼす影響、そういうものはどういうふうにお考えでございましょうか。
  24. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) もちろん、いま御指摘のような——私は時間か非常にもったいないものですから、背景をはしょって御説明申し上げたわけでございますが、背景は、あくまでもこの消費者物価——消費者物価の安定というものがこの内閣の使命でございます。おそらく、いまの政治的な一番大きな命題でもございますので、この物価の安定というのをにらみ合わしての話でございます。したがいまして、これから先、物価がどういうふうに動きますか、電力値上げのために、かりによほど大きな動きをするとするならば、あるいはその時点において、また、いろんな公共料金というものを考え直さなきゃならぬということもあろうかと思います。  しかし、ただいまのところ、大体物価鎮静方向に向いていると、第一段の作戦としてはやや成功したと。その物価の一応の動向を見きわめた上で電力もやろうというわけでございますし、その電力がどういうふうにはね返ってくるか、一応見定めても、たいした大きな反響はないんじゃなかろうか、そうすれば、第二段階として私鉄がやれるのじゃなかろうかという前提の上に、実は立っているわけでございまして、私鉄のまあ何%になりますか、審議会答申もちょうだいしなければわかりませんけれども、かりに二〇%ないし二四、五%というものを消費者物価に引き直してみますと、大体〇・一ちょっと、約〇・一%じゃないかと思います。したがいまして、数字の上からは非常に小さいですけれども、これはやはりそういう数字だけでつかまえてものを言ってもいかぬと思います。したがいまして、そういうようなものもいろいろ考えてみまして、大体その見当で、腹づもりとしてはそういうことに置いているわけでございます。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 内田さんにも私申し上げたんですけれども、確かに参議院選挙というものが目前に一つあるわけですから、これをもう政治家として、また政府として、意識するしないにかかわらず、配慮することは、これは当然の常識だと思うんです。ですから、経済企画庁長官に、参議院選挙をあまり考えないでなんていうことを言わぬで、ほんとうにあなたが必要であれば、参議院選挙前にやったらいいだろうと思うが、しかし、そうならぬと思うと、こういうことをちょっと申し上げたんでございますが、運輸大臣にそんな失礼なことを私申し上げようとは思いませんけれども、やはり、そういうものをひとつ若干意識しつつ、全体の、ここで消費者物価にもたいした悪影響を与えないようなかっこうでという配慮だと思いますけれども、なかなかそうは私はいかぬと思うんです。やっぱり電力料金というものは、これはものによりましては、相当に、消費者物価を押し上げる要因が三つぐらいあります。ですから、簡単にはいかぬと思います。  そこで、いまの問題になります、私鉄なり、バスなり、トラック料金というものが上がりますと、これまた、ここで第二の物価狂乱方向にカーブを切る危険性というのが相当あるわけですから、この辺は十分にひとつ配慮していただきたいと思います。  で、時間がありませんから次にまいりますが、タクシー料金のほうは、前回のお答えて——暫定的にこの前認めました、あれ以後、さらに認める方針はないと、こういうことでございましたね。そこで、それはそれでいいんですが、ちょうど二カ月たっておりますけれど、最近また、乗車拒否みたいなことが一面に出てきているようですね。それから、料金が中途はんぱなものですから、さらに上のせをして、便乗値上げ的な方法で、何ぼ上へ積み足さないといかぬぞとかというようなことが、ちまたの中で言われてきているんですね。これは非常に遺憾なことだと思うんですが、その実態を、もしわかっておったら簡単に……。
  26. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 暫定料金が、一月の終わりにやりまして、まだ二カ月でございますが、私どもこの暫定料金というのは、非常に利用者に対しましても御不便を与えておりますし、四十八年度の決算を見た上で固めようということで、この時期がいつになりますか、まだ、明確な時期を予想しておりませんけれども、そういうつもりでおるわけでございまして、いまこれを、電力あるいは油等において、それにからめて値上げをしようということは考えておりません。それは毎々申し上げているとおりでございます。  乗車拒否等、その他のそういう問題につきましては、もしそういうことがあるとするならば、私どもは十分これを取り締まり、戒めてまいるつもりでございます。  いま、詳細につきまして資料持っておりませんで、自動車局も来ておりませんので、自動車局からまた……。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 最近、タクシー近代化センターというのがありますね、あそこで発表したのを拝見しますと、一月が五百二十三件、二月が二百九十一件、三月が四百四十一件と、こういうふうに相当多いですね。しかも、料金の上のせ強要という例がかなりあるようです。これはけしからぬ話ですから、その点はひとつぜひ厳重に注意をしていただきたいと思います。  それから、料金値上げのときに、運輸省が公約をしました終バス延長とか、それからタクシー相乗り、それを拡大するという、そういう方針も出されたんですけれども、実際にまだ終バス延長なんということも全然——全然と言うと語弊があるかもしれませんが、ほとんど手がついてわらない。それから、タクシー相乗りの拡大の問題についても、これはまだ一向に実現しておりません。で、業界のほうでは乗り場を二百くらい、どこか市内にふやしまして、まあ油の節約にもなるし、そこで持っている車が次々にお客さんを乗せていくと、こういうことになっておるんですけれども、形はあっても、なかなかうまくいっておらないわけです。ですから、非常に利用者から不満があるわけですから、これは大臣から、もう少し実態を調べていただいて、適切な措置をとるように強くひとつ指示していただきたいと思います。
  28. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘の、料金の上のせ等のそういう事実を御指摘になりましたが、この点につきましては、さっそく十分調査いたしまして、厳重にこれは配慮いたします。  なお、バス延長は、いろいろやっているところも実はあるわけでございますが、一斉に全部できないというのは、勤務状況ともからみまして、いろんな問題がございまして、なるたけ利用者に御不便のないように努力したいと思います。  また、先ほどのお話のように、タクシーベイの増設はやりましたけれども、これで混雑の緩和に多少でもなればということで、今後もこの問題については、取り締まり当局とも十分協議いたしまして、やりたいと思っております。  なお、相乗りの問題は、これは主として団地でございまして、団地皆さん方とのお話し合いで、一、二進めておるところもございますが、なお今後も——いろいろなこれにも複雑な問題がございますし、団地皆さんの御了解を得た上でやってまいりたいと、かように考えております。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 では、ハイジャックを、もし時間があったらお伺いすることにして、もう一つ、ローカルの問題で恐縮ですが、国鉄にお伺いしたいんですが、実は、中央線合理化計画が進みまして——合理化計画というのは、サービスダウン合理化計画で、無人の駅になったり、急行がとまらなくなったり、いろいろ問題がありまして、これは評判が悪いです、正直に言いましてね。それで、それとの関連とは言いませんけれども、御承知のように、甲府の駅は、これはもう非常に古い駅でございまして、老朽化も非常に激しいところなんでして、何とかこれを近代化してほしいという、県、市当局、また、県民全体の強い要望でありまして、ここ数年間当局のほうにもいろいろと、私たち一緒に陳情もしておるわけですけれども、前の磯崎総裁がおやめになるとき、最後に運輸委員会で私が伺いましたら、従来は新幹線というものが、確かに中央新幹線というものが想定はされておりましたけれども、それは国鉄近代化の際には、関係がなく進んでいただいたわけですね、計画はずっと。ところが、磯崎さんがおやめになる前に、実は新幹線計画一つある、そうなると、従来進めてきた計画では問題になるので、ちょっと新幹線というものをひとつ踏まえた中での計画に変えなければならぬ、こういうようなお話だった。それはそれでけっこうです。新幹線が通ることについても、まあ公害問題もございますけれども、全体としては私ども賛成です。ただ、そのために、いまの甲府のあの老朽化した駅舎がそのまま放置されることでは困るわけですよ。ですから、何とかそういう計画があるならあるように抜本的にやり直しをしていただいて、そして、将来新幹線が入った場合にはこうする、しかし、当面こうするというのは、これはできると思うのですが、これは大臣にもあとから、政治的な点もありますからお考えを承りたいのですけれども、歴代運輸大臣も非常に理解をしていただいて、何とか実現してやろうという積極的な御協力をいただいてきておるのですけれども、そんなわけで、若干足踏み状態なものですから、せんだっても県のほうで、市のほうでも、一体どうなるのだろうかとたいへん心配をしておりましたから、大臣もおかわりになりましたし、総裁もおかわりになりましたので、きょう、もう一回あらためて伺ったわけですが、どんなふうな見通しになるのでございましょうか。
  30. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の甲府の駅につきましては、御承知のとおり、中央新幹線というようなもののあれが台頭してまいりまして、われわれとしては、そういうものが早晩できるのならば、当然それとも結び合わせて考えるべきであるということは、これは当然の理屈でございますが、それには、国鉄単独でやるのではなくて、地元というか、土地の皆さま方の御協力を得なくちゃいかぬということになるので、設備投資か何かで押えられておって、いつかわからぬのだが、ひとつ何とかというような話では、具体的に進めづらいと思いますが、お説のようなそういうことも含めて、その古い駅を何とかいい形に持っていきたい、かように考えておりますが、なお詳しい御答弁は事業局長から。
  31. 速水信一

    説明員(速水信一君) ただいま総裁から御答弁いたしましたとおりでございます。  ただいま先生お話しのように、駅というものは新幹線と切り離してやれるじゃないかというお話でございます。これは、絶対切り離せないかというと、そうも言えないわけでございますが、お客さんの流動とか、新幹線がかりにここへ入ったとしますと、そういう場合のお客さんの流れ、そういうものをやはり無視できないわけですね。それがもう少し詰まってきませんと、いまにわかにということでは、やはりそういうものが固まってからやらないと悔いを百年に残す、こういう感じがいたします。いま少し新幹線問題が煮詰まって、そういうことがいろいろレイアウトその他に計算に入れられる、こういう段階に踏み切るべきじゃないか、そうしないと、これだけで走りますと、やはりあとあと後悔する、こういう感じがいたします。しかし一基本的に、甲府の民衆駅の問題については、国鉄といたしましても地元の御協力、御声援を前提にいたしましてこれは将来ぜひやりたい、こう思っていることには変わりはございません。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 地元の御協力なんということをいまごろ言っても困るので、地元は、甲府駅近代化対策協議会というものをつくりまして、県をあげてやっておるし、何回も運輸大臣にも総裁にも陳情をしてきておるのです。貨物駅の移転の問題についても、その土地等については配慮するというところまできているわけですよ。ですから、問題は、国鉄の決断にかかっているわけですよ。たまたま新幹線というものが中央に通る予想が一つある。これはあなたがおっしゃるように、私も何も切り離せなんと言ってないですよ。だから、そういう計画があるならあるで、それを踏まえて将来構想というのを検討してみたらどうでしょうか、やるならば、ということを言っているのですよ。  だから問題は、新幹線が、整備計画というのですか、都市計画として日程にのぼってこなければ、甲府のいまの駅舎の近代化については手がつかぬということになるわけで、それは何年先になるのだかわからぬわけでしょう。そんな雲をつかむようなことを言われたって、これは困るわけですよ。だから、たとえば一年間の間にその計画が固まる、新幹線、新路線の建設計画が、その間まで待ってくれというならまた話はわかるけれども、いつのことかわからない。ただ、新幹線が通るまでは手がつきませんなんて、そんなことじゃだめですよ、これは。これは事務的なあなたの答弁だと思うけれども、そういうことを私は言っているのじゃない。だから、それならもっと通ることを前提にして、およそ通るでしょう。これはおそらく通るでしょう。通してもらわなければ困るのですね。だからして、結局は、そうなればそれを通るという前提に立って、いまから、従来の計画を拡大して、新幹線をかかえた甲府駅というものを考えなければいかぬ。  その一環としてどんどんやっていけばいいので、将来新幹線が入ってくれば、それを入れればいいのですから、それぐらいの頭を働かせなければまずいのじゃないのですかね。国鉄はいま評判が悪いのだから、とにかく国民から。国民の国鉄なんだ。それを無人化にしたり、とまるやつをとまらなかったりするものだから、うんと評判が悪い。だから、そういう評判を、国民の国鉄、そういうものにするためには、もっとこちらのほうでは積極的に協力しようという態勢を持っているのですから、あなた方が無理を言って、複線になるから土地を譲ってくれと言えば、これをとられたら、先祖代々ほんとうに泣くほどつらいことだけれども、上げますよ。そうしたら、何のことはない、急行をとめてくれるといったのにとめてくれないとか、普通列車がとまらなくなってしまったとか、そんなことをやるものだから、住民がおこるわけだ。
  33. 速水信一

    説明員(速水信一君) たいへん地元の御協力は感謝しておりまして、今後ともよろしくお願いいたしますが、ただいまの新幹線と切り離して、将来それを想定していまやれというお話でございますけれども、これは、もう少し新幹線の問題が調査、研究が進んできませんと、それがやはり熟した段階じゃないとできないということを申し上げているのでございまして、新幹線が全部でき上がらないとやれないと、こういうことを申し上げているわけじゃございませんので、その辺はよろしく御了察願います。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 だから、そうであれば、新幹線は、大体いつごろになったらそのめどがつくのですか。
  35. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 御指摘のとおりでございますが、先生の御了解願えるように、新幹線の問題は来年になるのか再来年になるのかと、いまの段階では、来年になりますということはお答え申し上げかねるのでございますが、いずれ、そういう大きなプロジェクトでもあり、甲府駅の改修というものはそれとは単独になし得ないのだということで、要するに、そういうものが現実化した場合でも、そいつを包含し得るような計画はあり得るはずだということの御指摘なんで、そういう線に沿いまして、これがきまるまでやらぬということじゃなくて、積極的に研究いたします。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 そうそう、総裁の言うとおりなんです。だから、そういうことが技術的にもなし得るかなし得ないかは、これは相当検討に値するのですよ。だから、事業部長さんですか、のおっしゃるように、それがきまらなければもうどうにもならないのですということじゃ、これは住民は納得しないのですよ。私はさきに言ったのは、要するにそのことなんですよ。そういうことが将来展望の中でできるなら、土地の取得とか計画も、そういうものを踏まえてやっていけばいいのだ。とりあえずは、既成、既定の甲府駅を改築してもらう。将来新幹線が入ってきたら、それを入れていくような計画ができないはずはないと思うのですよ。  これは大臣にもお願いしておきたいのですけれども、ぜひそういう強い要望がございます。一度機会がありますれば、甲府の駅へいらっしゃればよくわかっていただけるのでございますけれども、あの身延線というものも、中央−東海道を結ぶ一つの重要な幹線になっているのですけれども、そのホーム自体も並列に置かれていないのですね。非常に不便なんですよ。ですから駅前なんかも、駅が近代化されますと、商店街の方々にも御協力いただいて、近代的なターミナルセンターみたいなものをつくって、そうしてやろうじゃないかという計画がいま進んでいるわけですから、ひとつぜひ政治的に、いま総裁のおっしゃったような点を重点にして、できるだけ新幹線についてもめどをつけていただく。これは事業部長のおっしゃることも私はよくわかるわけでして、ただ、それだけでは住民が納得せないしするので、もう一歩先に進んだ高邁な構想を立てていただいて、そうしておりあえず近代化のおくれている甲府駅を直してもらうという方向に、ぜひひとつ大臣にも力をかしていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
  37. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) ただいま国鉄総裁がお答え申し上げましたように、やはり地域住民の御協力あるいは御支援がなければ、こういう公共性のある国鉄なんというものの運営はなかなかたいへんでございます。そういう御要望は十分拝聴しまして、前向きの検討を進めていくようにいたしたいと思っております。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 もう時間ですか。いいですか。
  39. 小野明

    主査小野明君) あと五分あります。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 それでは航空局長にちょっとお尋ねしたいのですが、ハイジャック対策というのは非常に重要でございまして、いろいろ御苦心をされておると思うんでございますが、まだ日本の場合は、たしかハイジャック三条約のうちモントリオール条約には入っておらぬのですね。これは民間航空の安全に対する不法行為防止条約でございますですから、こういうものはできるだけ早く国内法を整備して、そして批准できるような方向に持っていっていただきたいと思うんですけれども、この辺はどうでございましょうか。この条約の批准の見通し、国内法との関連では……。
  41. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) ただいま先生御指摘のように、ハイジャック関連の国際条約といたしましては、いわゆる東京条約、ヘーグ条約、それからただいま御指摘のモントリオール条約、この三本がございます。私ども、現在、このモントリオール条約に加盟いたすための国内法の整備ということで、法案をお願いをいたしておる段階でございまして、現在衆議院で御審議中でございますので、済みましたら、また参議院のほうで御審議をお願いする、こういう段取りになっております。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 それで、このハイジャックを防ぐのには、何といっても搭乗する際に、お客さんの持っておられる荷物とか身体にまで厳重な検査をして、そしてハイジャックの起こらないような防止が第一でございますね。そのためには、いろいろ探知機等も使って、主要空港にはそういう設備もしていただいておるようですけれども、いま国内空港といいますか、国内線も含めて、国際線も含めまして、日本国内に幾つあって、そして、そういうふうなハイジャック防止のための探知機をつけているのは幾つくらいあるのですか、空港は。
  43. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 現在、国内では五十三空港に金属探知機等がついております。また、警察官あるいは航空会社の職員によります開披点検というのも行なわれておりますが、その中で十六空港につきましては’新型の金属探知機並びにエックス線によります手荷物透視検査機を設定いたしまして、機内持ち込み手荷物の検査を厳重にやっております。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 全部で幾つあって、あと残っているのは幾つ……。
  45. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 定期航空が就航いたしております空港は、全部カバーいたしております。その中で、ジェットが飛んでおります空港は大体十六ございますが、これにつきましては、新型の機器を装備しております。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、お話の五十三空港のうちジェットが飛んでいるのは十六空港ですか。その十六空港には高周波金属探知機というものを装置してあると、あとの三十七のところは高周波金属探知機はやらなくても普通の検査でいいと、こういう意味ですか。
  47. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 残りのところは、実は旧型の金属探知機がついております。新型の金属探知機と申しますのは、大体人体を上中下三つに分けまして、どこに凶器らしきものが入っているかという位置を探知する性質のものでございまして、旧型のものであっても、金属に対する反応度というものはございますので、新型よりは位置その他がわかりにくいという点はございますけれども、一応、現在のところそれで検査をしております。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、エックス線等を通じての探知というのは、これで大体完ぺきであると、こう見ていいわけですね。ただし、それだけでも万全とは言えないんでございましょうね。どういうものでしょう、私も、しろうとですからよくわかりませんけれども。その探知機だけでなくて、やはりそこにおる職員が、いろいろな意味において、またこの探知機とあわせて御苦労しなければならぬと思うのですけれども、いまあなたの考え方で、これだけの探知機も設置し、要員も配置して、万々日本の国内におけるハイジャックというものはもう起きる余地は与えていないと、こう承っておいていいんですか。
  49. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 先生御指摘のように、手荷物あるいはからだにつけております凶器を排除するために、主として金属探知機によっておりますが、もちろん、これだけでは十分とは申せ、せんので、やはり乗客の挙動その他も総合的に判断をして検査をする必要がございます。したがいまして、必要な場合には、開披点検あるいはボデーチェックというものを併用いたしまして実施しているわけでございます。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 時間が来たそうですから、私は、国内はそれでいいとして、外国の空港におけるハイジャック対策、これはもうヨーロッパあたりはあちらの国がやるものですから、日本の日航あたりが直接タッチすることができないような状態があるようですね。ですから、その辺もひとつ国際的に十分連絡を取り合って、できれば、日本のほうでも日航に関する限りはやれるような方法をとるとか、それから、ボデータッチなんかについてもなかなかこれむずかしいようですね。やり方なんかについては。そこら辺を十分に配慮するとか、あるいは搭乗時間を、国際線は一時間前ですか、国内線は二十分、こういうやつをもう少し延ばして、時間をかけて周密な検査をするとか、そういうふうな——これはしようがないですよ、必要上最小限度。お客さんもたいへんだけれども、協力しなければいかぬと思いますよ、これは。  だから、そういう意味で、そこいらの点を十分に考慮するとか、あるいは海外におけるハイジャック情報等についてもできるだけこれを早目につかんで、そしてその原因等も究明し、また、いろんな情報があれば国内的にはね返ってきて、体制をさらに強化していくとか、そういうような意味においては、在外公館等における協力も得なければなりませんね。そこら辺も踏まえて、ひとつ万全の体制をつくっていただくように、時間がありませんから強く要請をして、これで私の質問を終わります。どうもありがとうございました。     —————————————
  51. 小野明

    主査小野明君) 分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、中村禎二君及び鈴木強君が委員を辞任され、その補欠として高橋邦雄君及び小柳勇君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  52. 小柳勇

    小柳勇君 昭和海運の社長さん、ありがとうございました、お忙しいところ。  私は、日本海運の、現在の海運企業の実態について質問をいたしますが、時間が限られておりますから——ほんとうは根本的にもう少し論議しなきゃならぬと思うんです。きょうはわずかの時間ですから、部分的にやる以外にありません。ほんとうは、総括質問か一般質問で政府に対してこれは質問しなければならぬ問題でありますが、きょうはここに時間を与えられまして、与えられた範囲内で質問いたしたいと思います。  計画造船に加えまして、現在、日本の海運企業というものが世界に劣らない発展をしてまいりました。ところが、最近に至りまして、急に海外売船が多くなって、特に四十七年ごろから海外売船にたよるようになった。昨年七月に発行されました海運局の「日本海運の現況」の一七ページによりますと、わが国の海外売船は非常に多くなったと、「依然として便宜置籍国への売船が多い。」と書いてある。私は、仕組み船とチャーターバックの問題を論議するのでありますが、便宜置籍国ということば運輸省が使っているその意図は、一体どういうところにあるのか、御説明を求めます。
  53. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 世界的に、リベリア、パナマを主といたしまして、その他ソマリア、キプロス、シンガポールの五カ国に便宜的に籍を置いて、世界的な海運活動をしているという一団のグルーブがございます。これが世界の船腹量のうちで非常に大きなウェートを占めて、ほとんど五千万トンに近いのでございます。その集団の活動につきましては、国際的にはいろいろ論議はされておりますけれども、現在のところ、日本に入ってきている用船のうちでも、そういった便宜置籍の国からの用船が多い、また、海外に売っている船の中にも、そういった国への売船の実績が多いということでございます。
  54. 小柳勇

    小柳勇君 そういうことでなくて、便宜置籍なんということば運輸省が使うのは一体何かということを言っているんです。
  55. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) これは、便宜的にそういった五カ国に籍を置いている船が多いということで、私どもは、便宜的にそういった国に籍を置いて、本来海運国でない国にほかの海運国から籍が置かれているということで、便宜置籍ということばを使っているということでございます。
  56. 小柳勇

    小柳勇君 衆議院でも問題になったようでありますが、低利の金で計画造船をやる、で、外国の会社にその船を売って、そして日本の海運業者がそれを用船して動かしている。しかも、それには日本の船員を乗せないで、外国の船員を乗せて動かしている。また、古い船を売って、そしてまた、日本が用船をして動かしておるという現象、こういうものについて正常な海運企業だと思っておるのかどうか、大臣から答弁求めましょう。
  57. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) この問題は、御指摘はもうかねがねいろんなところにあるわけでございまして、計画造船で船をつくっておいて、そして片方では売って、またその船を日本に雇うてくるとは一体おかしいじゃないかということでございますが、技術面におきましても、船型にいたしましても、非常に技術革新が進んでいる今日でございまして、古い船、もう経済性のない船というものをかかえて赤字を出すというよりも、買い手があれば、それを売ったほうがいいということにこの売船問題があるだろうと思います。これは一面考えますと、やむを得ぬことでございますけれども、これに対しましては、一つは雇用問題があるわけでございます。したがいまして、売船、今年度はまだほんのわずかでございますが、雇用問題が解決しない限り売船はやらせないと、これを原則にいたしております。したがいまして、その点については、今後も十分厳重にこれを取り締まって、話し合っていくつもりでございます。  しかし、経済性のない古い船を海外に売るという、そこまではやむを得ぬことじゃないだろうか。ところが、それをまた日本に逆に用船すると、ここに問題があるわけでございますが、これらの問題につきましては非常にいろいろの面で、本来は、日本の船に日本船員を乗せるというのがこれが基本でございます。これをあくまでも貫いていくことが海運の基本でございますが、そういう場合に、経済性のない船を外国に売る、そうしてこの船を再びすぐ日本に用船するというんじゃなくって、いろんな荷動きその他の面において、これが海運に支障を来たすというようなときにやむを得ず用船する、こういう形をとっているのが現状でございまして、原則的には非常にこれはいい姿ではございませんが、やむを得ざる姿であるというふうに考えております。
  58. 小柳勇

    小柳勇君 いまの日本の造船能力、及び優秀な船員、また、通商立国を主張する日本、及び国際的な関係、特に発展途上国と日本との関係などを考えて、日本国籍の船隊を中核としつつ日本海運の前進をはかるという、このことについては、運輸大臣としても違った考えはありませんか。
  59. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘のように、日本の船員による日本船というものが中核でなきゃならぬということは、もう全くお説のとおりでございます。
  60. 小柳勇

    小柳勇君 それじゃ、具体的に質問をいたします。  これはフルムーン号という便宜置籍船の問題であります。事件の概要を申し上げますと、昭和二十六年の十月、第六次計画造船として建造された八馬汽船所属の永安丸、六千四百七十八総トンでありますが、これが昭和四十一年にリベリア国のフルムーン・マリタイム・コーポレーションに売船をされた。その場で——日本でですよ、「フルムーン」と改名された。そうして台湾籍中国人がかわって乗船すると同時に、昭和海運が定期船として用船し、わが国を中心として外国貿易に就航しておった。昭和四十五年三月に同船は対馬海峡を航行しておるとき、おりしも同海域にて操業中の長崎県所属第二十三大宝丸——三十二総トン、乗り組み員四名——と衝突した。そのため第二十三大宝丸は大破して沈没。同船乗り組み員四名のうち二名が死亡した。その後、長崎地方海難審判庁において海難審判が行なわれ、昭和四十六年三月十二日、同海難は「フルムーン」の不当運航によって発生したものであると裁決が出されておる。それと前後して、当時死亡した二名の乗り組み員の遺家族は、船会社を相手に損害賠償を請求したが、船会社が不明である、いまだその所在すらつかめないような状況であった、そのため、同船を用船していた昭和海運こそ商法第七百四条によって損害賠償の責めを負うべきであるとして、東京地裁にて目下係争中であります。  この事件につきまして、運輸省はどういう把握をしておられるか、お聞きをいたします。
  61. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 私どももこの事件の調査をいろいろいたしました。それで、具体的にこの用船社とそれから船主との間の責任関係がどうであるかということについては、これは商法その他のことでいろんな学説もございますし、いろんな裁判例もございまして、非常にむずかしい問題だと思っております。裁判係争中と聞いておりますので、本件についてのその責任の所在その他については、裁判の結果を待ちたいというふうに私ども考えております。
  62. 小柳勇

    小柳勇君 責任の所在については裁判で問題が明らかになりますが、この実態について、八馬汽船からフルムーン・マリタイム会社に売船したと、それから、その船を日本の現地で昭和海運が用船したと、この事実は御存じですか。
  63. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) その現場においてとかというのは、実は四十一年ごろの話でございますので、私ども実態は明らかにしておりませんが、売船をするときに、売船の許可を与えた。それから、用船については届け出を受けているということは事実でございます。
  64. 小柳勇

    小柳勇君 売船した場合の売買契約書をおたくから出していただきました。これによりますと、昭和四十一年に売船されて、そして同じ年に用船されておる。その売船の許可証など、おたくのほうに出ておるんですが、売船したときの場所なり、あるいは乗り組み員の交代の状態なりについては、どういうふうに掌握されておりますか。
  65. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 四十一年の三月に私どもは許可を与えております。それから、用船されたのはその年の七月ぐらいではないかと思っております。で、私どもは、海上運送法の許可の条件に照らして許可をいたしましたし、用船のほうは届け出ということになっておりますので、私どものそのときのやり方は、法律に基づいてやっておるということでございます。
  66. 小柳勇

    小柳勇君 この前、衆議院の速記録を見ますと、売船のときは船員対策の説明書をつけると書いてある。船員対策などつけてあるんですが、その実態はどうですか。どういう人が船長の海技免状なり、あるいは船員の数なり、そういうものについて具体的に御説明いただきたいと思います。  それから、造船の引き渡しの時期、場所、そういうものを御説明願います。
  67. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 売船にあたって、船員対策を考慮するといって御説明申し上げておりますが、これは実は、四十七年の十月に外航労務協会、それから外航中小船主労務協会と全日海との間でこの労務問題について、売船などに際してよく話し合いをしようと、そういう話が出てきたのが四十七年十月でございますので、実は、四十一年のころはまだ売船の実績もそうたいしたものではございませんし、労務問題というものもそんなにシビアな話として出てきていない実態でございますので、私ども現実に船員対策を考慮しで売船の許可を行なっていると申しますのは、先ほどの話の四十七年十月以降のことでございます。  なお、引き渡し場所とか、その他につきましては、私どもは売買契約書その他を見て、法律に照らして許可を与えるのでございまして、現実にどこでどう行なわれたかということは、実は許可にあたっては明らかにすることにはなっておりません。
  68. 小柳勇

    小柳勇君 売船のときは売船対策の証明書をつけると、こういうことになっているんでしょう。そのことはどうですか。これは将来の問題もありますから。衆議院で答弁しておりますよ。
  69. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 労務の問題については、先ほどお答えしたとおり、四十七年十月以降の全日海と労務協会の話し合いに基づいて、そういう事実を裏づけにして私どもはチェックをしていこうと、それで、船員の雇用に不安が生じないように今後の売船についてチェックしていくということで現在やっているということでございます。四十一年の当時は、まだそういうことは行なわれておらないという現実でございます。
  70. 小柳勇

    小柳勇君 四十一年ごろはまだそんな規約はなかったからやってないと、だからどこに売って、売った先は許可証が出ているからわかるが、それからあとどういうふうに船がなってしまったのか、全然わからないのですか。
  71. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 私どもは、海上運送法でチェックいたしますのは、この船を売ることによって日本海運の活動に重大な支障を起こさないというような面からチェックをいたしまして、そういうことがなければ許可は与えなければならないという海上運送法の法律になっておりますので、そういった面でのチェックをするということで、四十一年当時は、その労務の問題はまだ出ていなかったということで、チェックをすることをやっておりません。  それから、引き渡しの場所とかというようなことにつきましては、私どもは売買契約書を見て、ちゃんとその売買契約に基づく金額が入ってくる、そういった契約関係の正確であるかどうかということを確かめまして、私どもは売船の許可をするということでございます。
  72. 小柳勇

    小柳勇君 許可申請書に売船の場所、譲渡の予定期日及び譲渡場所、譲渡の予定期日は四十一年六月中、譲渡の場所は日立造船尾道造船所、あるいは買い主指定内地造船所と書いてある。そうすると、そういうものを見てやって、しかもこれだけの船を、計画造船でつくった船を外国に売るのに、ただ書類の上だけでこうやって見てオーケーするのですか。現状やっているのですか、それで。
  73. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) その場所に立ち会ってどうこうというようなことは、実は件数がかなり多うございますので、私どもは法律でチェックすべきことをチェックして、書面で審査をしているということでございまして、現場に行ってどうこうというようなことは、実はやってはおりません。
  74. 小柳勇

    小柳勇君 通産省にお聞きいたしますが、いまの永安丸の売買ですね、通産省にも許可申請を出すのですが、その実態についていかがですか。
  75. 福島公夫

    説明員(福島公夫君) ただいまのことにお答えいたします。  一般に中古船の輸出をする場合には、一応運輸大臣の譲渡許可が得られているかどうか。それから船の中の、中古船の所有者と輸出申請をする申請者との間の関係、たとえば売買契約とか委託契約とか、そういうのがはっきりしているかどうか。それから、いわゆる輸出契約というものがはっきりしているかどうか。それから、これは決済の方法が、たとえば標準決済の場合だったら問題はございませんが、そういう決済方法がはっきりしているかどうかということをチェックしてやりますが、この永安丸につきましては、四十一年四月七日に受け付けて、翌日の八日に許可、承認しております。ということは、実は古いために、そのときの書類はございませんが、われわれの処理台張のほうから判断しまして、おそらくこの辺の書類は全部完備していたと、そういうように考えております。
  76. 小柳勇

    小柳勇君 大蔵省についての、この売買の場所なり、通関手続上、どういうところでなされたか、報告を願います。
  77. 斉藤盛之

    説明員(斉藤盛之君) ただいまの御質問でございますが、私どもの輸出の許可にあたりましては、運輸省、通産省のそれぞれのライセンスなしに船が輸出されないようにチェックするのが主眼でございまして、ただいまのお話がございましたので、尾道の税関のほうにも問い合わせてみましたけれども、当時の書類は残っておりません。したがいまして、確認はできかねます。
  78. 小柳勇

    小柳勇君 尾道でやったことは事実ですね。
  79. 斉藤盛之

    説明員(斉藤盛之君) それは事実であるかどうかはわかりません。会社側の照会に対する返答によりまして、尾道であるということでございましたから、尾道の税関を調べてみましたけれども、尾道にはなかったということでございます。
  80. 小柳勇

    小柳勇君 そこで、時間が少ないものですからどうしようもないのですが、それじゃ、いまの問題は今後の問題として残します。大事な船を売るのに、ただ机の上だけで運輸省が見て、そうして、交代船員がどういうふうになったか見ないで売るような、そういう仕組みについては根本的に私はまた取り上げますが、昭和海運の社長さんに、それを売られたのを日本でそのまままた用船しておられますが、そのときの実情をお知らせ願います。
  81. 末永俊治

    参考人末永俊治君) 本船は、日本で受け取りましたときは、船名は「フルムーン」と書いて受け取りましたのですが、会社が用船しましたのは四十一年七月十五日、それから五カ年の用船契約をいたしまして、四十六年十二月二十八日にはこれを返船しております。こういうような船の定期用船に関する受け渡しというのは、海運業としてはまことに通常的な問題でございまして、本船が特に特別な状況下のもとに受け渡したというようなことは、記憶に残っておりません。
  82. 小柳勇

    小柳勇君 用船された場合の船の、日本の岸壁で引き取りをなされておるんですが、そのころの乗り組み員の実態などはいかがですか。
  83. 末永俊治

    参考人末永俊治君) 乗り組み員の実態につきましては、それぞれ船主の指揮、命令にございまして、一定の国際的な法規のもとに資格を受け取るというふうにわれわれは考え、そのこと自体が本船の保険の対象にもなり、また、船の運航上の必要を完備をしておるというふうに考えております。
  84. 小柳勇

    小柳勇君 そうすると、用船されたときの場所は、港はどこなんでございますか、その受け取られたときの。
  85. 末永俊治

    参考人末永俊治君) たくさんあるものですから、いまの用船場所については私記憶しておりません。契約書には、門司−横浜レンジというふうな名称になっております。
  86. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、そのころの海事免状の所有者など具体的なことは、いま社長は御存じないわけですね。
  87. 末永俊治

    参考人末永俊治君) 船舶の運航に関しましては、私たちは、国際法規上技術免状が当然取得されておるというふうに解釈しております。
  88. 小柳勇

    小柳勇君 私、ここに用船契約書を持っているんでございますが、この人の、この場合のリベリアのフルムーン・マリタイム・コーポレーションとここに、契約書にサインしておりますイースト・サン・ショッピング・カンパニー・リミテッドとの関係はどういう関係でございますか。
  89. 末永俊治

    参考人末永俊治君) フルムーン・マリタイム・コーポレーションというのは、先ほど御指摘がありましたように、便宜置籍船の解釈にあたるかとも思いますが、イースト・サン・シッピングというのは、フルムーン・マリタイム・コーポレーションの親会社——香港の会社でありますので、非常に機構が複雑でございますが、P・S・リーという香港の——現在では約百万トン近い新造船をかかえておりまして、香港では有力船主の中に入っております。そのP・S・リーが、東京にイースト・サン・シッピングという会社がございますが、ミスター鄭という人をここの主任としておりまして、同じような香港の同業者ということで、フルムーン・マリタイム・コーポレーションの代理人と指定したと考えております。
  90. 小柳勇

    小柳勇君 ここにサインしてありますが、このサイン読めませんし、このフルネームは何となっているんですか。
  91. 末永俊治

    参考人末永俊治君) フルネームとおっしゃいますと……
  92. 小柳勇

    小柳勇君 これ、スペルが、全然こちらのほうはわかりませんですね。ただM字をずっと書いたようなかっこうでございますが。
  93. 末永俊治

    参考人末永俊治君) フルネームとおっしゃいますと……
  94. 小柳勇

    小柳勇君 スペルです。
  95. 末永俊治

    参考人末永俊治君) サインをした人のフルネームですか。
  96. 小柳勇

    小柳勇君 そうです。
  97. 末永俊治

    参考人末永俊治君) 名前は、私も非常に古い何十年間のつき合いでございますが、鄭——何と言いましたか、いま私もサインからちょっと判断しにくいんですが、ちょっと名前のほうは失念いたしましたです。
  98. 小柳勇

    小柳勇君 大事なことなんですがね、名前がわかりませんと論議にならないんですが。
  99. 末永俊治

    参考人末永俊治君) 調べればすぐわかります。
  100. 小柳勇

    小柳勇君 フルネームと、それからそのときの所属の会社の資本構成は、いまおっしゃいましたその香港の会社なんですか、それは。
  101. 末永俊治

    参考人末永俊治君) P・S・リーというのは、香港に所在しております会社でございます。御質問のところにお答えいたしますが、フルムーンの会社は、資本金が二十五万ドルだったと思いますが、ほとんどがP・S・リーのファミリーでもって全株を所有しております。
  102. 小柳勇

    小柳勇君 こちらのほうの昭和海運は、おたくのほうの定期船部長のK・佐藤と書いてありますね。
  103. 末永俊治

    参考人末永俊治君) はい。
  104. 小柳勇

    小柳勇君 東陽シッピングのほうはただ署名だけで、リベリア・フルムーン・マリタイム・コーポレーションの代理とずっと書いてあります。  そこで、外務省にお聞きいたしますがね。いまのこのP・S・リー・カンパニー・リミテッドという会社はどんな会社でございましょう。お調べを願ったのですが、いかがですか。
  105. 大森誠一

    説明員(大森誠一君) 私どもの手持ちの資料によっては、この会社の性格その他十分な資料がないという状況でございます。
  106. 小柳勇

    小柳勇君 資料がない……。  それから、フルムーン・マリタイム・コーポレーションも調べてもらったんですが、リベリアのほういかがですか。
  107. 西田誠哉

    説明員(西田誠哉君) 私どものほうでもいろいろ調べてみましたけれども結論から先に申し上げますと、実体はよくわかりませんで、リベリアに多数存在いたします便宜置籍のための会社一つではないかということでございます。なお、私どものほうアフリカ局のほうを通じまして、現在、東京にございますリベリア大使館に引き続き問い合わせ中でございます。
  108. 小柳勇

    小柳勇君 P・S・リー・カンパニーのほうはどうですかね。これはおたくのほうじゃわかりませんか。
  109. 西田誠哉

    説明員(西田誠哉君) 先ほど昭和海運の方から御説明がございましたように、私どものほうで承知しておりますのは、P・S・リー氏を代表者とする船会社であるという程度しかわかっておりませんが、引き続き運輸省その他とも御相談いたしまして、実態について調べてみたいと思います。
  110. 末永俊治

    参考人末永俊治君) 御質問のフルムーンの会社とP・S・リーの会社の概要についてお答えいたします。  フルムーン・マリタイム・コーポレーションは、リベリアに籍がございまして、おもな株主といたしましては、P・S・リー、ダニエル・リー、デニス・リー、S・S・リーというふうにして、ほとんど一家巻族で全株を所有しておるという会社でございます。資本金は二十五万ドル、で、一九六六年三月八日に設立されております。それで、先ほど申し上げましたとおり、フルムーンは、一九七三年十月十六日に高雄でスクラップになっております。  それから、P・S・リーの会社に関しましてお答えいたします。  本店の所在地は、香港のクイーンス・ロードにございます。株主はP・S・リーと奥さんのリーさん、それからダニエル・リー、デニス、S・Sリーというふうに、これも同じようにリー一家が全株を保有しておるということでございます。資本金は香港ダラーで百万ドルを払い込みしております。一族で全株を保有しておるということでございます。会社は、一九六五年三月十五日に香港において設立されております。  船舶部門を御説明いたしますと、ユナイテッド・ベンチャー・ナビゲーションという会社、グランド・マリン・ホールディングという会社、それぞれに、前者は五隻、後者は六隻、合計十一隻、約二十万トンの船舶を保有しております。  信用状態につきましては、収益は非常に良好で、銀行を積極的に利用し、償還はスムーズであり、商業道義は非常に高いと、経営内容は良好で、中堅会社としては上位にランクされておるというふうに報告が来ております。  当社は、香港船主の内部でも非常に有名でありまして、先ほどお話ししましたように、日本の大手造船所に相当量の船舶の建造の注文を出しておりますし、日本の有力オペレーターもこの会社の船を用船しておる、取引関係にあると考えております。私もリーさんとは古いつき合いでございまして、人格、識見ともまことにりっぱな人と考えております。そのほかに……
  111. 小柳勇

    小柳勇君 社長、あとでまた聞きますから、時間がありませんものですから。
  112. 末永俊治

    参考人末永俊治君) では、大体そういうところでひとつごかんべん願います。
  113. 小柳勇

    小柳勇君 用船料の支払いはどこでなされておるか。それから乗り組み員の給料の支払いですね。それから、その船の運航採算ベースは一体だれがどこではじいておるのか。いかがですか。
  114. 末永俊治

    参考人末永俊治君) 定期用船契約によりまして、用船料はニューヨークにおいて支払っております。
  115. 小柳勇

    小柳勇君 ニューヨークに会社があります。それからいまの香港の八が、この国籍はリベリアにありまして、それで借りた。今度は、契約はいまおっしゃったように香港。ところが用船料、何かお金の支払いはアメリカで、ニューヨークでやっておられると、その関係が、ずっと用船契約書とか読んでみましても全部わからぬのですね。どういうことになっているのですか。
  116. 末永俊治

    参考人末永俊治君) これはこのフルムーン・マリタイム・コーポレーションだけに限りませんで、用船料の支払いは当事者間のとりきめになりますが、通常の取引といたしましては、ニューヨークまたはロンドンで支払うということが一般の風習になっております。
  117. 小柳勇

    小柳勇君 ここに売船契約書のときのこのサイン、それから用船契約書のときのこのサイン、相手のサイン、同じなんですね。それでさっき運輸省は、何か売船と用船と全然別個のように言われたけども、ずっと私が集めましたこの書類から見ますと、その計画造船永安丸というのを日本の港で売る。その場で今度は韓国系の中国人に乗務員は乗りかえさして、その場で借りる。そして今度はそれを運航する。それで用船料などはニューヨークでやっておると。事故を起こした、ところがなくなった、日本人の乗り組み員が訴訟起こしたら、相手の会社は所有者がいないということですよ。昭和海運は非常な利益を私は見てみたら、どんどん利益をあげておられるようですけれども昭和海運だけとは思いません。ほかにもまだ具体的例がありますから、時間がありましたら一時間でも二時間でもやらなきゃなりません。これは根本的に私は問題だと思う。あなたがいまおっしゃるように、はっきり船の所有者がわかったら、なぜ裁判で、船の所有者が不明だから、いま用船している昭和海運と、そうなりましょうか、ならぬはずでしょう、はっきりしておれば。船を持っている所有者が不明だというのですよ。そういうもので海上、この海運関係の企業の安全などというものは保てないじゃないか。これ、サイン同じなんですよ、海運局長、これを見てください、あなたは知らぬ顔しているけれども
  118. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 私、ちょっと御説明不十分かと思いますけれども、売船のときの相手と、それから、これはおそらく八馬でございます。それから、用船をする昭和海運の相手とこれは同じだったらいけないということはございませんので、これはやはり日本の現状といたしまして、売った船をそのままチャーターバックで、ある部分についてはそのままの物資を運ぶのが大事であるということで、この場合は、売った八馬と雇った昭和海運は別でございますけれども、同じ船主でそういったチャーターバックというのは行なわれているという実情は私どもは知っております。その際に、私どもは、船を売ることによって船員の雇用安定に支障を来たしたらいかぬということで、四十一年当時はまだシビアな問題ではございませんでしたけれども、現在はそういうことになっておりますので、海外売船をするときに、船員の対策というものをどうするんですかということで、私どもがチェックしているということでございます。そういったことで、この売った人と、それから今度は雇った先のサインとが同じであるということは、私はあり得ることだと思っております。
  119. 小柳勇

    小柳勇君 そういうことはあり得ましょうね。私が言っておるのは、日本の港で船が売買されている。いままで日本の計画造船であった、日本の船員が乗っていた、それを売る。日本の船員をおろしまして、今度はその場で第三の人を、中国人、韓国籍中国人を乗せる。日本の昭和海運という海運会社が用船する。で、それを動かします。その代金の取引などはアメリカでやる。私ども勘ぐれば、脱税行為ではないかという気もする。それはいろいろ海運企業の習慣がありましょうから、たとえばドルをかせがなければなりません。いろいろな面、それはわかります。いまの円切り下げの問題、切り上げの問題など、ようわかりますが、ただ、それにしても、優秀な日本の船員がこれに全面的に不満を持つようなやり方は、これはやっぱりどこかに矛盾があるんじゃないでしょうか。法律上は、あるいは規則上は、あるいはそれで通っていっているかもしれぬけれども、たとえばペーパー・カンパニーをつくっておいてそういう行為をやる。そして、あと事故を起こしたらそれを救済する措置もないという、ほかにまだ例がありますが、これは別の機会にやりましょう、時間がありませんから。そういうことでは正しい海運企業とは言えぬのではないかということを言いたいわけです。どうですか、大臣から聞きましょう。
  120. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 先ほどもお話し申し上げましたように、日本船員を日本の船に乗せる、そして海運の業務を遂行する、これがやはり中核でなければならぬと思います。お説のように、船員等からいろいろなこれに対して批判が出る、不満が出るということは、決していいことではございません。今後につきましては、売船等につきましては、この点は十分配慮していくつもりでございます。  それからまた、いまおっしゃいましたように、脱税の一つの根拠になっておるのではないかというお話でございますが、この点につきましても、国税庁当局とも十分連絡をとっておるわけでございます。したがいまして、そういうような懸念も実はないわけではございませんが、そういう点については、厳重な監督と指導をやってまいるつもりでございます。
  121. 小柳勇

    小柳勇君 時間がありませんから、もう終わらなければなりません。日本籍の船に外国の船員が乗りまして、不明確な会社が運航しているいわゆるチャーターバックもあります。その例もありますから、これはまた後日問題にいたします。こういうようなものも、またあと資料要求などいたしまして時間があるときやりますが、計画造船の問題にも、これは私ども波及していかなければなりません。根本的に海運業あるいは造船業などの問題を論議しなければならぬと思いますが、きょうは時間がありませんから、この問題はこれで終わります。  最後に、私の地元のほうで、鉄道線建設の問題で油須原線の建設の問題が話題になっておりますから、この問題について大臣の御見解を聞きます。
  122. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 油須原線はかねがね地元の皆さん方からも非常に強い要望がございます。先生もたびたびこの問題については触れておられますが、今年度まだ予算の最終的な配分の決定をしておりませんけれども、四十九年度に完成を目途に予算配分をしていきたいと、かように考えております。
  123. 小柳勇

    小柳勇君 よろしくお願いします。
  124. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、港湾問題に焦点をしぼって質問をしたいと思います。特に港湾運送事業の現状は、非常に険悪化が伝えられているわけでありますけれども、この港湾運送事業の現状を運輸大臣はどのように認識しているか、まずそれを。
  125. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 港湾運送事業につきましては、いままでいろんな経緯があり、いろんな過程をたどって今日にあるわけでございますが、特に運送料金につきましては、まだ正式な申請は出ておりません。出ておりませんけれども、事業者またその他から、業界は早期の改定を強く要望していることもよく存じております。そういう要望が、日本港湾協会からも要望書が出ておるわけでございます。したがいまして、運輸省としましては、まだ料金を改定して一年足らずでございますけれども、ほとんどが労務費、物件費というようなものでございますから、こういう点も、公共料金を抑制するという原則の上に立ってはおりますが、本年度はかなりの赤字経営が予想されると思いますし、また、それが荷役の遅延等にもはね返ってもいかぬのじゃないかというようなことを配慮しつつこの問題に対処していきたいと、かように考えております。
  126. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 特にいまの大臣の答弁でありませんけれども、やはり中小の運送事業者は、この四月から六月にかけては非常にピンチに追い込まれるのじゃないかと、特に赤字経営の会社ですね。これはもう融資の問題にしても何にしても、非常にたいへんな状況に置かれているわけです。こういう中小の運送事業に対して、運輸省としてどういう対策で今後この運営を行なっていくのか、この点についてお伺いしたい。
  127. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 港湾事業の収支状況をまずちょっと御説明したいと思います。  港湾事業は、元請、船内、はしけ、沿岸、いかだ、検数、鑑定、検量の事業種別がございまして、   〔主査退席、副主査着席〕 四十八年度末現在、全国で九十五港の事業者数が約千六百事業者となっております。非常に中小企業が大部分の点は、いま先生のおっしゃったとおりでございます。で、これら事業者の港運の収支は、四十八年四月に約二二%増の料金改定を行ないましたけれども昭和四十八年度の推定値では、港運収入が約二千六百三十一億円、支出が約二千六百二十億円、この結果約十億円程度の黒字の、収支とんとんということが見込まれると思います。なお、この支出でございますけれども、いま申し上げました二千六百二十億円のうち、労務費は約千九百八十八億円でございまして、全体の七六%、これが労務費になっている次第でございます。  で、四十九年度の収支予算につきまして考えますと、燃料費あるいは各種物件費の高騰、並びに現在も行なわれております春闘等の問題、港湾労働者の不足傾向、こういうことを背景といたしまして、労務費が相当上がるということを考えますと、大幅な赤字になるんではないかということでございます。そのような背景をもととしながら、中小企業が大部分を占めておりますので、この中の運営につきましては近促協との、港湾近代化促進協議会というものを別に設けまして、そこでいろいろ港湾運送の建議機関としてのディスカッションをいたしまして、この港湾運送事業のあり方を考えていかなければいかぬと、そういうシステムとしております。運輸省といたしましては、こういう近促協等の議論を通しながらこの港湾運送事業の指導をしていきたいと、このように考えている次第でございます。
  128. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 特に近代促進協のいろいろ勧告問題、あるいは建議の問題はあとにしましても、現実に四月から労務賃は値上げしなきゃならないのは当然だと思うんですね、これだけの物価高騰のおりから。特に港湾事業に占める労務賃というのは、先ほど示された七六%、あるいは八割程度を占めているわけです。そうしますと、特に中小の経営基盤の非常に弱いところ、賃上げはしなければならない、しかし、実際に経営基盤が弱いためにおそらく支払いもできないじゃないかと、こういう運送業者がだいぶ出てくるんじゃないかという、こういう懸念があるんですけれども、この問題についての運輸省としてのてこ入ればどう考えているのかとか、公共料金抑制の中にあって、実際に私たちも港湾料金値上げは賛成しないわけです。しかし、もう少し近代化の問題、あるいは大手の商社までが最近はこの事業に介入をしてきていると、こういう昔の倉庫業との関連から。そうしますと、ますます中小、まじめに港湾運送事業に長年取り組んできたこの中小の港湾運送事業者が最大のピンチに追い込まれるんじゃないかと私は思うんです。この点について、もっと具体的に対策を講ずる方法を運輸省としてどう考えているのか、この問題について。
  129. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いまお説のように、非常に小零細企業が多いわけでございます。一億円以下の資本金のものが八五%を占めているというような状況でございますから、しかも経費の七六%を人件費で食っていると、いろんな人件費の高騰はいま御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもとしては、公共料金の抑制には十分配慮する必要があると、このことはもう痛感し、口をすっぱくして言っているわけでございますけれども、とにかく、業界の合理化努力によってできるだけ対処してもらいたいという希望とお願いは、今日も変わりませんけれども、しかし、これはもう料金によって始末するよりほかにはないんじゃないかと思うわけでございまして、申請が出てまいりましたときには、これは前向きにひとつ検討せざるを得ないのじゃないかというのが、偽らざる率直な私のいまの考えでございます。
  130. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、その問題いろいろ論議の問題点があると思いますが、当面のこの港湾運送の近代化基金ですね。これが相当な金があるわけです。特に三年間にわたって近代化基金を徴収してきたわけですね。この近代化、あるいはまた、経営強化等の対策として講ぜられてきた近代化基金の運営の実態はどういうぐあいになっているのか、その点について。
  131. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 基金の現状につきまして御説明いたします。  この設立の目的でございますが、昭和四十年代に入りまして、わが国の内外の経済事情が非常に変わってきた、特に労務者不足といったような社会情勢背景といたしまして、物的流通体系の革新が急速に進展いたしたわけでございます。そこで、船会社とか荷主等の強い港湾運送事業の近代化の要請に対処いたしましてこの基金を設けまして、港湾運送事業者が港湾運送近代化資金を拠出いたしまして基金をつくる、政府は、これに関連いたしまして、財政資金を確保しながら事業を進めるということとなったわけでございます。で、先ほど申し上げました港湾運送事業の近代化資金の受け入れ機関といたしまして、昭和四十四年八月にこの港湾運送近代化基金が設立されました。この基金は、港湾運送事業の近代化のための施設の整備、それから資金の調達、調査研究等に関する助成を行なう、そして、それを通しまして港湾運送事業の近代化を進めるということを目的としたわけでございます。  で、いま先生おっしゃいました、どのような事業内容をやっていたかと申し上げますと、過去三年間昭和四十六年、四十七年、四十八年におきまして、まず第一番に、共同荷さばき施設の拡充整備に関する助成事業を行ないました。港湾運送事業者が結成する事業協同組合に対しまして、その協同組合の共同荷さばき施設用の土地であるとか、あるいは施設の購入費用、あるいは建設費用につきまして、この場合には中小企業金融公庫等の特別融資とリンクいたしまして助成を行なってまいりました。第二番目には、荷役機械の拡充整備に関する助成事業、これは船舶整備公団とリンクしてやってまいりました。それから第三番目には、これは昨年度行なってまいったわけでございますが、過剰はしけ等の買い上げ、廃棄に関する事業を行ないました。それから第四番目には、港湾運送事業の近代化に関する調査、研究、指導等の事業に対する助成事業を行ないました。  まあこのような事業を行なってきたわけでございますが、この間の収入を申し上げますと、四十四年八月基金設立から四十八年度までの収入合計は、約七十九億円でございます。それから事業費は、トータルいたしまして、先ほど申し上げましたようなことのトータルで、七十八億七千七百万円からその事業費を除いた現在の差し引き額が三十二億でございますので、その間約四十七億の事業を行なったことになるわけでございます。内訳は省略させていただきたいと思います。  以上でございます。
  132. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ところが、もう現在、近代化基金の徴収は四十八年三月までで終わっているわけですね。これは事実間違いないですね。
  133. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 四十七年度までは、元請収入の一%までをこの基金の資金といたしまして徴収いたしておりました。四十八年度につきましては、休止状態が続いていたわけでございますが、そのうち、はしけに関しましては、はしけに関する元請の中から八月までやっております。そのほかのものは一応現在休止をしている状態でございまして、全部これで停止というつもりはございません。
  134. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ところが、ちょっとおかしいのは、四十七年まで近代化資金できた、四十八年度から今度円滑化資金に変わったわけですね。この円滑化資金の問題は税法上いろいろ問題があるので、実際に基金に少し、四十八年度は四億円ばかり繰り入れたわけですね。こういう形でこの近代化基金が七十億を集めて、実際にこれから具体的に聞きたいと思いますけれども、この近代化基金の必要性というものは考えられないんじゃないかという私は考え方があるんです。これはあとで具体的な問題をお聞きしたいと思います。  港運協会がある、近代化基金がある、それから、近代化基金の仕事の一つの最後に言われたこの助成事業だって、近代化促進協議会にこの委託費を出すだけの事業なんですね。こういう点をやってること自体がこの近代化基金の目的から、運送事業者がほんとうに零細な基金を出した目的から考えてみたら、これはちょっと考えられないような問題じゃないかと思うのですね。この点について、私は、近代化基金の必要性はもう終わったのじゃないか、使命は終わったのじゃないかという感じもするわけなんですけど、この点いかがですか。
  135. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 実をいいまして、結果的に見ますと、いま先生のおっしゃったような姿になっているのではないかということをわれわれも考えている次第でございます。当初の考え方は、先ほども申し上げましたように、共同荷さばき施設の整備であるとか、荷役機械の整備、あるいは集約合併資金借り入れ金等の債務保証というような形で、港湾運送事業の近代化というものを大きな目的としていたわけでございますけれども、事実この基金の運営にあたりまして、この荷役機械の整備、これは比較的うまく進んでいたわけでございますが、この荷さばき施設の整備等につきましては、共同荷さばき施設というような形で事業協同組合をつくるというような条件を付されていたわけでございまして、このような背景があって融資希望者があまりいなかった、若干しかなかったというのが過去の現実の姿になっているわけでございます。  また、この集約合併資金借り入れ金等の債務保証の問題でございますが、これは表面から見ますと、基金の設立が四十一、二年の港運業の集約合併のあとであったということもございましてか、この保証の実績が皆無であったというようなことがございまして、結果的に見ますと、かなりの運用残を残したわけでございます。その思ったよりも、当初予定していた事業に使われずに、そしてその運用残が残ってきたということは、確かにそのとおりでございます。ただ、実はその後、いろいろ努力いたしまして、四十八年度におきましては、先ほど申し上げました過剰はしけの対策、こういうことを実施いたしまして、このような事業が拡大されたり、あるいはまた、荷役機械の整備事業等につきましては、当初、従来の希望者の数よりも非常に多くの希望者が出てまいりまして、そちらのほうの事業を拡大したというようなことも含めまして、現在三十億円ばかりの運用残になっている、これが現状でございます。
  136. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 だから、一応近代化として集めるまでは、いろいろ役割りがあったと思うのですよ。しかし、もうこの機能は、いまのような形であれは一むしろ実際の業務委託も港運協会がやってるわけですね。港運協会の上にさらにまたこの近代化基金をつくって、基金をプールして運営しなければならないというほどの仕事がないわけですよ、実際に。それよりもむしろ各港単位のいろんな各運送業者、特に中小の運送業者というものは、その港々によってやはり近代化状況も違うし、状況はずいぶん変わっているわけですね。やはりそういう実情を見きわめた上で、中央で何もかも一本でコントロールするというやり方ではなしに、各港運協会に、この拠出金もわかってるわけですから、それを港運協会に返還して、その港運協会で基金を運用するという形のほうが、実際の資金の運用等については、当然これは近代化基金と同じように大臣の許可を得る、こういう形をとれば、私は、その港々の具体的な発展につながってくるんじゃないか、あるいはその地域によっては、運送事業にもっと具体的なてこ入れができるんじゃないかという、こういう問題を考えるんですけれども、その点いかがですか。
  137. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 先生のおっしゃる考え方は一つ考え方であると思います。研究したい点でございますけれども、現在三十数億円残っておりますが、そのうちすでに四十九年度といたしましてきまっているものがございまして、それは先ほど申し上げましたはしけの処理の問題、それから荷役機械の整備、これが相当また拡大いたしてまいりました。それから荷さばきの施設の問題、この三点だけで約十六億円使用する予定でございます。残りが十六億円あるわけでございますが、これにつきましては、現在近保協におきまして討議をしていただいて、その意見を聞きたいというふうに考えておりますが、いろいろその中での討議の状態を見ますと、たとえば外貿埠頭公団埠頭というのがございますが、この外貿埠頭公団等でつくった埠頭を港湾運送事業者が占用して使うというような場合、これも一つの例として考えられるわけでございますが、そういう場合の助成の問題。それから、いままでは荷役機械といいましても、小型の荷役機械を考えていたわけでございますが、大型の荷役機械がやはり必要になってくる、そういう大型荷役機械の製造に対する助成の問題。それからさらには、労働者の共同住宅の建設に対する助成の問題等々が議論の対象となっておりまして、まだそういうものに使わなくちゃいかぬじゃないか、そういう基金をそのようなことに運営すべきではないかという点が議論されておりまして、私どもといたしましては、同協議会における関係者間の意見を十分に尊重しながら、基金が港運業界の経営の合理化、基盤の強化等に一そう資するような指導をしていきたいというふうに考えているわけでございます。  それで、先ほど先生おっしゃいましたように、この基金を中央でやらないで、各地区に分散してはどうかというようなお話でございますけれども、事実、基金の運営資金が非常に大きくなった場合には、そのようなことも確かに考えられると思いますけれども、現段階におきましては、やはり全国的視野におきまして、効率的かつ重点的な運用をはかる必要があるんじゃないかということを中心にして考えております。先ほど申し上げましたように、中小企業金融公庫とリンクする問題、あるいは船舶整備公団とリンクしていくというようなことを考えますと、やはり中央で一元的に運用するということが現段階においては適切ではないか。しかし、将来——いまは一応休止しておりますけれども、順次、研究の結果この基金の方向が定まりますと、近代化資金の規模が拡大いたしまして、そのような場合には先生おっしゃったような、主要の地区に地区の自主性を取り入れるような基金の支部等を設けるということも考えていいんではないかというように現在では考えている次第でございます。
  138. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、基金の支部を設けることには賛成ではないんです。具体的に港運協会があるわけですからね、そこにわざわざ業務委託費まで出して、そんな複雑なことをさらにする必要はないわけですよ。それよりも、港運協会の自主的な運営にまかせたほうが、具体的にスムーズに進むわけですね。  それで、そのリンクの問題も、たとえば四十七年度発足当初からの間は、船舶整備公団とか中小企業金融公庫で、荷役機械の関係とか、協同組合組織による荷揚げ施設関係とかいう、リンクされて融資しておったんです。ところが、四十九年度から全然そういう中小企業金融公庫や船舶整備公団とのリンクの問題でも、具体的に話が煮詰まっていないわけですね。実際に基金が何のためにあるのかということです。まだしも、リンクさせて基金と同じようにやるんであれば、まだ効果は幾分あるわけですよ。  ところが、何にもないようなところで実際金だけ集めて、具体的に調べてみれば、五十八億定期預金をしているわけです。あるいは、貸付信託に預金しっぱなしなんです。こういうふうな金を近代化基金に残しておいて、そうして港湾業者は非常に困っているわけです。積極的に借りられないような方法でこのプールをしてしまっているというようなやり方は、これは、実際に港湾業者としては納得のできない問題なんですね。いわんや、こういう労働賃金等も非常に上がってくるその中で、中小企業の港湾業者が対応していくことになれば、非常にたいへんな問題じゃないかと思うのです。こういうときにこそ、この基金をしっかり運用すべきじゃないかということを私は申し上げたいのですが、どうですか。
  139. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) いま先生おっしゃいました、定期預金残五十八億のお話でございますが、これは、一月の末には確かに五十八億ございました。普通財産としまして五十四億でございます。それから基本財産といいまして、これが四億というふうにありまして、これが定期預金あるいは貸付信託として金融機関に預金されているのであります。しかしながら、これは一月末の金額でございまして、四十八年度の事業費は、それ以後に支出されているのでございます。つまり、はしけの買い上げ対策費といたしまして約十億円、それから荷役機械の、これは公団とのリンクで融資する金額でございますが、これにつきまして十二億強というふうに出ておりまして、そういうものを差し引きますと、やはり三十二億くらいの残が現在あるわけでございます。この三十二億の残につきましては、新年度、つまり四十九年度におきまして、さらに荷役機械の整備、それから共同荷さばき施設の整備等々に使われるのが十六億でございます。したがいまして、三十二億の余裕金の中で十六億がすでに予約でございまして、残りの十六億につきましては、さらに先ほど港湾局長が申し上げましたように、大型機械の整備とか、あるいは労務者住宅の建設、あるいは病院等のセンターを整備するとか、あるいはまた専用埠頭の確保のための資金の手当て、こういうものに大体使われる見込みになっておるのでございまして、必ずしも過分の余裕金を残しておるということでもないのではないかと思う次第でございます。
  140. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあこまかく、私、具体的な一つ一つについて聞く時間もありませんけれども、実際にこの三十億あるいはこれから貸すという問題——四十八年度の事業だって、上期は全然支出していないわけですよ。下期になってばたばたと、この二月、三月になって私が資料を要求してからですよ、はっきり言えば。この問題は、一月から私はこの問題の検討に入った。港湾業者から、いろいろな点で困っていると、こういう訴えを聞いて、実際にこの金はどうなっているのだとなると、やっぱりそういう問題がなかなかはっきりしない問題なんですよ。実際に支出してくれればけっこうですよ、具体的に運用されれば。何も私は悪用して使ったと言っているわけじゃないのだから、近代化基金が。しかし、効率的に運用が行なわれていないということが問題なんですね。いわんや、運送事業者が非常に困っている中で、こういうふうな形で何だか銀行ばかり喜ぶような、それで中小企業が借りられないような、こういうふうな姿で基金がプールされているということ自体が、やはり監督不十分じゃないかということなんです。もう少しそういう点を積極的にやってもらいたいということです。  それからもう一つは、やはり、この四十九年度の事業を拡大する。確かに余っているから貸すよ、うにしたのです。確かにけっこうだと思うのです。しかし、リンクの問題をしっかりやるという手はずが全然整っていないんですよ。たとえば、上屋の保管施設関係だって、財投の金は全然これに繰り入れられない、あるいは港湾労務者の確保対策の関係だって、五十年以降については資金に努力するという名目はあるけれども、実際的にそういうふうなものが、基金があるために、業者に対しては、この基金によって政府金融をやりやすくするんだという話を進めているけれども、実際は、この基金と中小企業金融公庫や船舶整理公団との、あるいは他の金融機関、財投との関係のリンクが行なわれていないんですよ。この基金があるために、政府金融はさらに有利になるんだという業者に説得はするけれども、実際にはこういうことが行なわれていないということね、これは実際に四十八年度以降この基金が冬眠状態にあったという、実際活躍していないという。いわんや近代化促進協議会にトンネル機関として業務委託費を一千八百万も出すという、それだけにしかすぎない問題じゃないかと思うんですね。この点についていかがですか。
  141. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) 四十九年度の余裕金の運用につきましては、共同荷さばき施設につきましてはすでに申し込みがあるのでございまして、和歌山、それから神戸、名古屋等におきまして事業協同組合から融資の申し込みを受けておるわけでございます。これは、中小企業金融公庫とリンクいたしまして支出をする予定になっております。その金額は約五億でございます。  それから荷役機械につきましても、ことしは若干募集の期日がおくれたのでございますが、幸いにしまして非常に希望が多うございまして、二十四億数千万の融資総額に対しまして希望が約三倍の六十数億あったわけでございます。四十九年度につきましても、この荷役機械についての需要はかなりあるのでございまして、むしろ資金が足りないのではないかと、こういうふうに思っておるわけでございます。
  142. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その上屋と港湾労務者のリンクの問題はどうなっていますか。
  143. 満所清吾

    説明員(満所清吾君) 上屋と港湾労務者につきましては政府機関のリンクはないのでございますが、これにつきましてはすでに更生福祉協会等を通じるか、あるいはまた独自の方法によってそういう労務者の住宅の施設の充実につとめるわけでございますが、これにつきましては、政府の金融機関とのリンクがないのでございまして、この点につきましては今後なお関係当局と折衝をしていきたいと思っております。
  144. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 だから、ここが私は問題にしたいんですよ。個々の問題よりもやはりこういう点が、基金があるために政府の金融がほんとうに借りやすいんだという形で基金が運用されているわけですよ、業者に対しては。しかし何らメリットがないわけですよ。上屋のこの施設関係にしたって、あるいは港湾労務者の確保対策にしたって、基金の金プラス中小企業金融公庫なり、あるいは開発銀行からいろいろ借りられるとかいう、こういうメリットがあるのであればまだ基金としての救いようがあるんですよ。それが全然努力されていないんですね、実際に。こういう問題はもっと積極的に運輸省が働くなり、あるいはそれをしないんであれば港湾の各港にこの資金を返してしまうとか、もっと近代的な方法をやったほうがいいと思うのですよ。宙ぶらりんなこんな機関ばかり置いて業務委託費だとか管理費に一億数千万もかかるような、そんな近代化基金なんか置く必要ないと思うんですよ、私は。むだづかいじゃないですか、ある意味では。こんなものは解散するなり何かしたほうが私はいいと思うんです。限られた人間でやって、実際に政府から金も引っぱり出せないというか、実際そういう方向に、港湾労務者がほんとに一番困る仕事に、金を投資をされておって、それがうまく運用されないような基金なんか、私はいつまでも置いておく必要ないと思うんですよ。もっと積極的に働いて、これに財投の借り入れをするとか港湾運送業者の近代化のためにもっと積極的な融資を拡充するとか、そういう明確な話が四十九年度についているのであれば、これはまだ救いようがあると思うのですね。その点について、いかがですか。
  145. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 先生のいまおっしゃっていることは一々もっともであると存じます。なぜいまのような形で三十数億の運用残が残ってきたかということを、つぶさにその背景考えてみますと、先ほど申し上げました表面の理由というだけでなく、ここにはやはり相当複雑な経緯があったと私は思います。どういうことかと申し上げますと、この基金というものは港湾運送事業者の元請の中から一%出しておるというような形で、港湾運送事業者の金であるというような感じが一つはこの事業者自体にあるわけでございまして、そういうわけでございますので、この基金の運用に関しましては、単に運輸省であるとか、近代化基金というところで十分審議いたすといたしましても、港湾運送事業者の意見を強く反映しなければいけない、こういう点がございます。  この港湾運送事業者の意見と申しますと、これは結局は千六百社でつくっておりますところの日本港運協会——日港協と申しますが、この日港協の意見に代表される、こういうことでございまして、過去三年間、この日港協の意見を通しながらやっていくという姿でございまして、各事業者の意見は日港協を経由して出すということになっております。  それからまた各事業者の欲する事業の申請はやはり日港協を経由して出すというような形がございまして、この日港協においてスクリーンをするというような運営のしかたをしてきたわけでございます。  問題はこの日港協でございますが、この業界は私どもからいいましても非常にむずかしい業界であったと思います。中の意見もある程度完全に調和のとれたものであったとは言い切れないものがございまして、過去三年の間にこの日港協の中の意見というものが比較的まとまっていなかった面がございます。そういう経緯がございまして、たとえば近代化資金借り入れ金の債務保証などはこの日港協の内部の意見が統一されないために年々繰り越ししてきた、こういうことがございます。  それからまた、実は船舶整備公団におきまして、予算といいますか、この資金を準備いたしまして、九億円なら九億円、四十七年度は資金を準備いたしましてこれを使おうとしたのでございますけれども、これも各地区の事業者の希望はあったんだけれども、どうもそれが使い切れないような形が実際には出てきたようでございます。また日港協自体の内部にもこの基金を使わないで、ある程度大きくしてから使ったほうが有効的であるというような意見もあったようでございます。このようなことがすっきりといかなかったという点は確かでございまして、ここら辺のところが積み重なって運用残がふえてきたわけでございます。  で、私どもこの基金を完全に——基金の目的はこれは何と言おうとも私どもやっぱり相当な理想と、そのために一生懸命やってきたと思いますし、そのつもりで設立してきたわけでございますが、そのような形でうまくいかなかったと。そこら辺のことはやはりこの日港協自体の体質をもうある程度変えていってもらいたいというような努力をいたしまして、実は昨年来この体質改善というものについて日港協内部におきましても相当努力いたしまして、たしか昨年の暮れであったと思いますが、再編成の集会を開き、またその再編成の努力をいたしまして現在に及んでいる次第でございます。  その結果、実ははしけ等もこの際やろうじゃないかというような結果に出てまいりました。それからまた、実は荷役機械もいままであまり、押えられていたといってはちょっと語弊があるかもわかりませんけれども、従来に比べまして数倍の希望者なども出てまいりまして、そういうような効果が順次あらわれているわけでございます。  で、私ども実はやはり日本港運協会あるいは日本の港運事業者自体の近代化に対する感覚を目ざめてもらうとともに、この協会の再編成というものに全力を尽くしまして、それを経由しながら基金運営に対処していかなければいけないというように思っているのがほんとうのところでございまして、私どもはそういう努力を通しながら基金運営の万全をはかっていきたい、先ほども申し上げましたような近代化促進協議会も過去非常にいいディスカッションや討論をやっておりまして、そして、それの建議も相当りっぱなものが次々出てきているわけでございまして、たとえば基金も近促協の建議から生じてきたというような歴史もございます。この近促協には各界の、たとえば船社であるとか、あるいは荷主であるとか、あるいは港湾関係のその他の権威者であるというような方々が、ほんとうにまじめに港湾の近代化についての討論を行なっているわけでございまして、近促協の討論の場を通しながらも、この基金というものに対する運営に全力を尽くしていきたいというように考えておる次第でございます。
  146. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 四十九年度の事業計画を見ると資金の融資を少しやるようになるのですか、四十九年度は。それとあと、基金を中心とした政府の財投関係、これはやはりリンクさせる方向に将来は広げる計画運輸省では持っておるのかどうか、この点についてはどうですか。
  147. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 融資につきましては、先ほども申し上げましたような荷さばき施設であるとか荷役機械、そういう施設等の融資、これは当然いままでどおり行なっていくべきでございますし、また先ほど来申し上げましたように、専用埠頭の助成の問題とか、大型荷役機械の問題、また労務者の福祉施設というものに対する融資は当然これは行なっていく。  おそらく先生のおっしゃいますのは、非常に資金的に弱者である企業に対する事業融資という面でございますか、そういう点をおっしゃっていることであると思いますが、先ほど来申し上げましたように、基金はできるだけ前向きの助成に使っていきたいというような考え方が現在は支配的でございます。しかしながら、もし事業者の中でそういう意見が出てまいりますれば、これは先ほども申し上げましたように、日港協の内部においてまた議論されると思いますけれども、そういう意見が非常に強くなった場合には、て関係者とも十分関係を保ちながらきめていかなければならないというようには考えております。しかしながら、考え方自体としては、どっちかというと前向きの施設近代化のための助成というように力点が置かれることとなると思います。  また第二点のリンクの問題でございますけれども、これは先ほど満所参事官が言いましたように、事業の拡大につきましては今後できるだけそのような筋と話しながらリンクしていくべきであると考えておりますが、四十九年度につきまして直ちにリンクが実行できるというところまでは何とも申し上げることはできないと思います。
  148. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう時間も参りましたのであれですけれども運輸大臣、やっぱりこういう基金ですね、先ほどから局長がいろいろ答弁されておりますけれども、やはり休眠状態が一、二年続いたわけです、極端に言えば。そうでもないという議論もあるかもしれませんけれども、やはり私は、もっと積極的に、近代化基金がこういう経営基盤の弱い中小港運業者に対して、もっと積極的な私は手を打つべきじゃないかと思うのです。その点が、やはり物価対策としても非常に大きな問題でありますし、やはりこのままいきますと、港湾業者は非常に四月から六月にかけて大きなピンチに巻き込まれるのじゃないかという、非常に危機感を感ずるわけですね。この問題、先ほど料金の問題も出ましたけれども、さらに経営規模を拡大するために、基金を中心なら中心とするにしても、やはり財投の金なり、あるいは運輸省が積極的に動いて、この港湾業者の経営基盤強化のための努力を私は積極的にやってもらいたいと思うのです。そうしませんと、労賃が八割まで占めているこういう特殊な運送事業について、実際に働くけれども賃金はもらえないような、そういう労働者が相当ふえてくるのじゃないかという心配があるから、こういう問題についての積極的な私は手を打っていただきたいと思うのですけれども、この点についての運輸大臣の見解を。
  149. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いままでの質疑を通しまして、私どもよく御意見を拝聴しておりまして、港湾事業者そのものにもいろいろな問題があったことも事実のようでございます。私が昨年就任いたしましてから、この問題の統一のために、実はいまのままではいけないというわけで、皆さん非常に御熱心に御共鳴いただきまして、りっぱな協会がいまできたわけでございます。それにいたしましても、いまの御指摘のような近代化基金の機能につきましてもう一度再点検をいたしたい、かように考えている次第でございます。
  150. 片山正英

    ○副主査(片山正英君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後零時五十分まで休憩いたします。    午後零時十六分休憩      —————・—————    午後零時五十四分開会
  151. 小野明

    主査小野明君) ただいまから予算委員会第三分科会を再開いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、小柳勇君が委員を辞任され、その補欠として須原昭二君が選任されました。     —————————————
  152. 小野明

    主査小野明君) 休憩前に引き続き、運輸省所管質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  153. 高橋邦雄

    高橋邦雄君 私は、上越新幹線の工事に伴って生じております水源枯渇問題について御質問を申し上げます。時間が限られておりますので、あまり質問をやりとりする時間がないと思いますので、一わたり申し述べまして、それに対してひとつ明確な御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。  上越新幹線のトンネル工事に伴いまして、群馬県内において水がかれるという問題が起きておることは御承知のとおりであります。場所は群馬県北群馬郡の榛東村、それから吉岡村というところでございますが、いま両村に十四・四キロというたいへん長い榛名トンネルの掘削工事が進められておるのでありますが、この榛名トンネルの工事に伴いまして昨年の十一月、榛東村において上水道の水源池の貯水量が非常に減った。そのために上水道の使用ができないような事態が発生いたしたわけであります。また、井戸水が非常にかれてきたというようなことから、村ではとりあえず給水車を出しまして給水を実施する。さらに群馬用水の水路に利根川から取水をして、それを貯水池に補給をして、急場をしのぐというようなことなどをやってきておるわけであります。さらに、続いて暫定対策としまして斜坑のそばに深井戸を掘って、そこから出る水を上水道や貯水地につなげる、そして送水をすると、こういうことで当面をしのいでおるわけであります。  また、その隣の吉岡村におきましても、飲料用水が昨年の十一月ごろから非常にかれてきて、上水道の深井戸が十五メーターも水位が低下をしておる。また残井戸の水が非常に減ってきたというような事態が発生しておるのであります。さらにこれから農業用水などにつきましても、かんがい期を控えて非常に心配がされておるわけでありますし、また農業用水については、坑内から出る水を使う場合に、水温が非常に低いものでありますから、ここに問題が一つあるわけであります。  こうした事態になりましたので、榛東村では去る三月十八日に村の議会でも決議をいたしまして、それを鉄建公団のほうに提出してあるわけでございます。また吉岡村でも三月の二十八日に村長や議長から渇水対策についての要請が出されておるのであります。その結果、榛東村においては、三月の三十一日に鉄建公団と榛東村との間に水の問題について誓約書が取りかわされたということになったわけであります。さらに県におきましても、非常に事態が重大でありますので、一月に上越新幹線建設に伴う要望についてというのを知事から鉄建公団の総裁あてに提出してあるわけでございます。県の議会におきましても、去る三月二十九日に、やはり上越新幹線建設工事に伴う水源枯渇等の対策についてという意見書を議決をいたしまして、これまた提出されておるわけでございます。  まあ、あの地帯に非常に長いトンネルが掘られると、水源の枯渇という問題が起きるのではないかということを早くから地元では心配をしておりました。知事からもすでに四十七年の一月に上越新幹線建設に伴う要望についてという、これが十四項目ばかりについて、いろいろ要望を出しておるわけでありますが、その第一番目に、やはり水源の枯渇するおそれがあるので、十分な対策を講じてほしいと、こういうことを申し入れてあるわけでございますし、また榛東村におきましても、昨年の二月に、やはり水の問題について恒久対策をひとつ講じてほしいと、こういう要請をいたしておるわけであります。こういうわけで、地元では早くから水の問題について不測の事態が起きないように申し入れしてきておったわけでありますが、今回水の枯渇という問題が起きて、住民の生活、また将来の不安、こういう問題が起きたというのはたいへん残念に思うのであります。  そこでお伺いいたしたいのでありますが、地元の関係者から、いま申しましたように、かねてから要望書でありますとか、あるいは決議でありますとか、また意見書というようなものが提出されておるわけでございますから、これらに対しましてすみやかに検討を加えて、地元民の生活の不安を取り除く、また将来も心配がないと、こういうふうにしてもらいたいわけでありますが、この点についてのひとつお考えをまずお聞きしたいのであります。  それから二番目に、これもさっき申しましたように、榛東村と鉄建公団の間で取りかわした誓約書があるわけでございます。これは当然のことでありますけれども、この誓約書はぜひこれは誠実に履行をしてもらわなければならぬと思うわけでございます。この点について、お考えをお伺いいたしたいのであります。  それから三番目としまして、この榛名トンネルの工事の進捗に伴いまして、将来榛名山の東ろく一帯の地下水系に変動が生ずるのではないかということが考えられるわけであります。したがって、すみやかに調査をひとつしていただきまして、それと同時に対策のひとつ検討も進めていただきたいというふうに考えるのでありますが、この点に対するお考えをお伺いいたしたい。  それから、さらに榛名トンネルに続きまして中山トンネルというものがあるわけで、これが一四・七キロもこれもある非常に長いトンネルです。それから月夜野トンネルというのがあり、これが六・五キロも。それからずっと山のほうに行きますと、大清水トンネルというのがありまして、これは群馬県内だけで七キロ、湯沢まで含めると二十二・三キロという話でありますが、こうした長大なトンネル工事があるわけでありますので、いま榛東村、吉岡村にいろいろな問題が起こっておるわけでありますが、さらにこれからその通過地である渋川、小野上、中山、それから月夜野、水上町、こういうところにも同じような問題が生ずるおそれがあるのではないか。そうしたことが起きたら困るのでありますけれども、そうした心配があるわけでありますので、これも事前によくひとつ調査をしていただいて、問題が起きたならば即時にやはり対応できるような、そういう対策を立てる必要があるというふうに考えるわけでおります。  それから五番目として、この工事を進めるにあたってはどうしてもやはり地元の市町村あるいけ県などと緊密な連絡をとり、また協議をしながら進めるのでないと、工事もうまく進まないのではないかというふうに思うものであります。ですから、現地の工事事務所にそうした補償対策などについてある程度権限を持った担当者を常駐さしておく必要があるというふうに思うのであります。一々どうも地元が東京のほうの役所と相談しなければ話がなかなか進まぬと、こういうのでは非常に都合が悪いのではないかというふうに思うわけであります。  それから六番目として、これもまあ当然のことでありますけれども、工事に伴って生ずる損失についてはこれはやはり十分な誠意をもって補償をしていただかなければならぬというふうに考えるのでありますが、それらの点についてもひとつお伺いいたしたいのであります。  で、いま取っておりますのは飲料水が主でありますけれども、さっきもちょっと触れましたように、農業用水という、これはまた今後心配であります。あの地帯一帯はもともと水利が非常に便の悪いところでありまして、地下水にたよっている部面が非常に多いわけでありますので、今後さらにこの農業用水についても細心のひとつ注意を払って対策を考えておいていただかなければならぬというふうに考えるのであります。  以上の点につきまして、ひとつ鉄建公団の総裁からお答えをお願いいたしたいと思います。
  154. 篠原武司

    参考人篠原武司君) ただいまの点につきましてお答え申し上げます。  上越新幹線は非常にトンネルの多いところでございまして、大宮から新潟まで二百七十キロぐらいでございますが、そのうちの大部分、百五・五キロぐらいは全部トンネルでございます。まあそういうようなことでトンネルに対する問題というものは非常に重大でございまして、   〔主査退席、副主査着席〕 その中には大清水トンネルは世界一のトンネルになるというような性格のものでございまして、その手前にあります中山トンネル、いまお話に出ております榛名トンネル、いずれも大きな大トンネルでございまして、これによっていろいろ渇水問題なんかできてはいけないということで、当初からいろいろ心配して調査をさしてきたわけでございますが、この渇水が起きますとその原因者である公団がそれに対して補償しなきゃならぬというのは当然でございますので、早くから市町村、県にもそうでございますが、工事着手前からお話し合いしておりまして、水源の現状だとか、あるいはそのほか、常時水の状態を観測しておかなければなりませんので、そういう点の打ち合わせとか、まあいろいろやりまして、地元の方々にできるだけ御迷惑のかからぬように心がけてまいってきているわけでございます。トンネル工事と渇水との因果関係のはっきりしております水源、まあトンネルの特に近くにあります水源につきましては、事前に予防措置を講ずるようにしてきておったんでございますが、これもなかなか水の問題はむずかしいんでございます。一般にはトンネル工事によりましてどこが渇水するかなかなか予測が非常にむずかしいというようなこともございますので、現実に渇水を起こしていろいろ地元の方に御迷惑をおかけしているケースも起きております。このような場合、トンネルの湧水を浄化いたしまして直接給水したり、あるいは貯水池に送水いたしまして、それでなければ新しく井戸を掘ったり、いろいろな措置を講じまして、御迷惑を極力少なくするように誠心誠意努力してまいったわけでございます。  恒久的な対策といたしましては、今後の問題が非常にたくさん起こってくるわけでございますが、地元の市町村と十分協議いたしまして、そういう対策の手を打っていきたいというふうに考えております。  実際問題といたしまして、榛名トンネルの全体の湧水は二十五トンぐらいございまして、中山トンネルは、これは実際渇水とかなんとかという問題じゃなく、トンネル全体の現場から出てまいります水でございますが、四十トンにも及ぶというように非常に湧水が多いんでございます。それから、先ほども先生からお話のありましたように、榛名トンネルの通過する地帯は大体非常に水の便が悪くて、常時水に困っておられるような地域でございますので、特にこういう問題が深刻に出てきているように思います。なお地元の方々の連絡はもちろんでございますが、われわれといたしましても、また知事さんが常時東京においでになりますと、お寄りいただいて、いろいろ連絡とっておりますが、一週間ばかり前にも知事さんが直接お見えになりまして、この問題についてお話があったわけでございます。われわれとしても真剣にこの問題を解決していきたいというふうに考えております。  それから第二点、榛東村に対する誓約書の問題でございますが、これは公団の東京新幹線建設局とそれから地元の方との間に結んだ誓約書でございますが、これにつきましても誠心誠意おこたえしていきたいというふうにわれわれは考えておりますし、数日前にも東京新幹線建設局へ私と、隣におります担当の理事と一緒に行きまして、よく打ち合わせてまいったんでありますが、なかなかこういう問題はむずかしい問題もございますので、しかし、これを誠心誠意やらなければならないということで検討を進めて、少しも早くこういう対策が打てるようにわれわれとしても考えていきたいと思っております。  それからかんがい用水の問題でございますが、こういう問題も今後田植え時期を控えておりまして、いろいろむずかしい問題が出てまいりまして、これがこのトンネルの原因かどうかという問題もいろいろあると思いますが、さしあたりとにかく手を打たなきゃならぬという問題で、私どもとしましても、地元とよくお打ち合わせしまして、できるだけの措置をとってまいりたい。それから、そういう問題の原因者負担とかなんとかいう問題はそのあとで考えてもいいんじゃないかというように考えているわけでございますが、しかし、このかんがい用水につきましては非常に大量の水も要しますし、また温度の問題とか、いろいろむずかしい問題もございますので、誠意をもってこういう問題も解決してまいりたいというふうに考えております。  それから先ほどもお触れになりましたんですが、中山トンネル、月夜野トンネル、大清水と、さっきの榛名トンネルというように、群馬県の近くには大きなトンネルをたくさん控えておりまして、これの影響といいますか、いま問題になっております大清水トンネルにつきまして、新潟県側において、湯沢のところで温水の水源がだいぶ減ってきているというようなお話もございますので、こういうような問題につきましてもいま調査しておりまして、いろいろ地元ともお打ち合わせし、できるだけの措置をとってまいりたいというふうに考えております。中山トンネルにつきましては非常にたくさんの湧水がございますが、これはまだ縦坑を掘っている段階で、非常にむずかしい隊道工事がございまして、この縦坑の深井戸を掘りまして、それから水をどんどん揚げておるわけでございますが、この水が非常に多いということでございますが、これから本トンネルに入ってまいりますと、よけいそういう問題が深刻になってくるおそれもあります。幸いここではまだそう大きな渇水問題は出ておりませんけれども、慎重にやりまして、トンネルの中をコンクリートで巻きまして、それから裏に水が通って、浸透してまいってたくさんの水が出てまいると困りますので、そういう点についての、裏へセメント注入を行なうとか、いろいろな対策をこれから真剣に考えてまいりまして、少しでもこういう問題で御迷惑をかけないように、止水の方法を講じてまいりたいと、そういうふうに考えるわけでございます。  それからもう一つの問題としまして、市町村や県などと緊密な連絡がとりにくいというお話もございました。これについては、現地の建設事務所がございまして、それが主体になって連絡をとっておりますんですが、どうももう少し責任の高い責任者が常時いないとまずいというお話もございますので、これをどういうふうにするか。たとえば高崎地区にそういうような出先機関の小規模なものでもつくって常時連絡をとるとか、あるいは県庁の中に、何らかのそういう日をきめて出張してまいりまして、いろいろ地元とお打ち合わせをするとか、まあいろいろな方法が考えられると思いますので、早急にその問題も詰めまして、地元にあまり御迷惑のかからぬようにわれわれも誠意をもってこういう問題も解決してまいりたいというふうに考えるわけでございます。  それから最後にお話のありました、工事に伴った補償の問題でございますが、補償につきましては最初に申し上げましたように、トンネル工事によって渇水を引き起こしたということならば、当然原因者である公団がその責任を負うというのがたてまえでございますので、あくまでもその点はそういう考えで地元に対する補償を考えていきたいというふうに思っております。ただ、その原因を探求するのに非常に時間がかかっては、また地元に非常に御迷惑かけるので、その点についても、今後早急にそういう問題が解決するように、われわれとしては努力してまいりたいというふうに考えます。
  155. 高橋邦雄

    高橋邦雄君 いま総裁からいろいろ御答弁いただきましたんですが、まあ私どもといたしましても、地元におきましても、この新幹線工事が早く無事に完成されるように願っておるわけでございます。この工事は、特に群馬県内は七十一キロも距離があるわけなんですが、そのうちの六三%がトンネルというのですから、どういう影響が今後出てくるか、たいへんこれはむずかしい問題であろうと、私もしろうとながら思うわけでございますが、それだけに、先ほど申し上げたこと、ただいま総裁からお話のありました十分なる調査もできるだけしていただいて、そして地元と摩擦を起こさないで、この工事が円滑に進められるように私どもは願っておるわけでございますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思うわけでございます。以上で終わらさしていただきます。
  156. 片山正英

    ○副主査(片山正英君) 篠原参考人、簡潔にお願いいたします。
  157. 篠原武司

    参考人篠原武司君) ただいま御懇篤なる御注意をいただきまして、まことにありがとうございました。私どもといたしましては、誠心誠意、地元に御迷惑のかからぬように努力してまいるつもりでございますので、今後ともどうぞよろしく御叱正をいただきたいと思います。ありがとうございました。
  158. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最初に、明治百年記念事業の森林公園、これが埼玉県にことし完成をしようとしておりますけれども、この森林公園が最高十万の人出を予定をしているということなんですが、現在までにわれわれが調べた範囲では、この森林公園ができ上がっても、ここに至る道路以外には鉄道の便はないわけでございます。したがって実際に十万の人が押しかけると仮定をすると、どうやってその人を運ぶのか、道路はそれこそパンクをしてしまうんじゃないか、鉄道は全然ないということだと、国家的な事業として森林公園をこしらえても、いたずらにその付近の道路の渋滞を招くだけになってしまう、これはちょっと無責任じゃないかという気がするわけです。したがって当然この森林公園に至る足を確保するという手だてを講ずる必要があると思うんですけれども、今日のところ、政府としては一切道路に依存をするというだけで何も考えていないのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  159. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま県の方も、あるいは建設省の方もおられませんようでございます。私、鉄道監督局長という立場からお答え申し上げたいと思います。  この森林公園につきましては、ただいまお話のございましたように、かねがね計画されてきたわけでございますが、これに対するいわゆる輸送関係につきましては、運輸省鉄道監督局といたしましては、東武東上線の森林公園駅、それと国鉄高崎線の熊谷駅、それのほぼ中間に位置しているわけでございまして、現在のところ、この東武東上線の輸送力につきましては、平日におきましては、御承知のとおり、通勤輸送の逆輸送になると、こういうこともございますし、また休日におきましても十分輸送力があると考えまして、この点は対応できると考えております。高崎線につきましては、これは御承知のとおり、現在、上信越片面の長距離旅客というものとの競合という面もございますが、この点につきましても、なお努力していきたいと思っております。  それから次に、いわゆるこの両駅から森林公園へのアプローチの問題かと思うわけでございますが、現在、直接建設省のほうからはお話はございませんが、これにつきまして承知いたしておりますのは、森林公園駅から公園の中まで緑地道、いわゆる緑の歩道、あるいは東松山——熊谷間に有料自動車道、こういう計画があって、こういう地区によって、お考えになっているように、私たち承知いたしております。
  160. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 東武東上線からも、高崎線からもかなり離れているわけですよ、森林公園というのは。歩いていくには一里以上あるわけです。そうすると、その間を有料道路という計画もありますけれども、開園のほうが先になって道路のほうがあと回しになる、関越自動車道のほうもだいぶ開通がおくれるということなんですね。そういうふうに公園が先にできたけれども、道路も鉄道も、それに伴う足を運ぶ機関ができない場合には、それじゃ建設省のほうに話をして開園を延期させるというようにするつもりなのかどうか、開園をさせて、ほんとうに人が充満をするようになったらどういうことになるのか、その点は建設省のほうと、だから道路事情がどんなに混雑しても運輸省としては関知しないということなのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  161. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 私たちのほうに地元の県、あるいはこの森林公園の関係につきまして、輸送施設の増強、あるいは改善方につきましては、現在までのところ、要望は来ておりません。しかしながら、私たちとしましては、現在申しましたように、東上線につきましては十分まだ輸送力があるわけでございます。で、現在のところ、森林公園につきましてはアプローチといたしましては、ただいま申し上げましたような自動車道あるいは歩道ということを考えられておるようでございますし、大体、現在十万人ということのようにも資料その他によりますと考えておられますようでございますが、この点につきまして、もし今後、いま申しましたような自動車の、バスだとか、あるいは一般自動車とか、あるいは歩道、あるいは自転車というもので間に合わない場合、地元のほう、あるいは建設省のほう、関係者のほうから御要望がございましたら、モノレールその他につきましても、私たちといたしましては、地元のほうでそういうお気持ちがあれば、こういう点につきまして前向きで考えていきたいと考えております。
  162. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 たとえば長瀞というところがあるんですが、きのうのように花見どきになりますと、電車以外には二車線の道路しかないわけです。そうすると、道が渋滞してにっちもさっちもいかなくかるわけです。もう私はそれで苦い経験をしておるわけです。この森林公園も輸送力があるということを一生懸命言っておられるけれども、東武東上線の楽林公園駅の鼻っ先にあるんじゃないんですよ、この公園は。はるかに離れているんですよ。だから、駅からおりててくてく歩くという、そういうわけにいかないと思うのです。これは実情御存じないようだけれども、もう少し実情をお調べになったほうがいいと思う。そうすると、道路だって有料道路まだでき上がりやしませんよ。どんなことになるのかというんですよね。県道は一ぱいになってしまって、これは身動きならなくなるんじゃないの、こういうことも心配されるんです。そういう点、建設省も公園を担当するほうと、道路を担当するほうとは全然別人格のようでおかしいなと思ったんですけれども、建設省の内部ですらそうなんだから、建設省と運輸省となると、なおさらこれはよそごとになっちゃっているわけですね。実際にそれで道が一ぱいになって、交通が渋滞して迷惑するのは付近の住民なんですよ。そういう場合のことは政府として、建設省、運輸省ということでなく、当然考えるべきことじゃないかと思うんですけれども、そういう責任は別に感じなくていいんでしょうか。
  163. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 運輸行政につきましては、当然、私どもに責任があることでございまして、まだ、この森林公園のことにつきましては、つまびらかにいたしておりませんでしたが、いまお話を聞きますと、今年にはもう開園の運びになるようでございます。至急、それぞれの官庁と連絡をとりまして、どういうふうな計画を進めるか、まあ鉄道といいましても、これをいますぐというわけにもまいりませんけれども、一応、輸送の体系というものをどういうふうにものを考えるかということにつきまして検討いたしたいと思います。
  164. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 モノレールもしくは鉄道が態谷と東松山もしくは森林公園駅との間にできれば、私は非常に輸送効率からいっていいんじゃないかという気がするんですよ。ただ自動車だと、公園の自動車の駐車場の収容数は三千台分しかない。ほんとうに万の人が出るようなことになると、駐車場も足りないし、今度は周辺の道路は一ぱいになるし、これはたいへんなことになると思うのですよ。  その意味では、面積三百四ヘクタール、相当の規模の公園ですから、公園をつくってなるべく人を寄せないというなら別だけれども、公園をつくってほんとうに人が集まるようになったら、これはどうしたって運ぶということを考えるのがあたりまえのことだと思うんですよ。それを考えた場合に、鉄道輸送という点が全然考慮されてないというのは不思議に思っているんですよ、私は。だから、この間鉄道を建設をするか、あるいはモノレールを建設するか、いずれかの方法はとらなきゃいかぬだろうという気がするんですよ。だからそれらの交通機関、鉄道もしくはモノレール等の交通機関について必要を予想される場合に、運輸省としてはどのような指導をされるつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  165. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 先ほどもございました輸送量の想定の問題が一つございます。で、大体どのくらいの人出がこの森林公園にピークのときはあるのか、また平均いたしましたときはどのくらいあるか、そういった点も実は私たちつまびらかではございませんが、ただいま大臣からのお話がございましたように、こういう点につきましても、もう少し私たちといたしましても積極的に建設省なり関係のほうとも、こちらからもその意向を確かめまして、もし現在の輸送計画におきまして向こうが考えておられます輸送の想定、あるいは輸送力との関係でアンバランスがあるような場合には、こちらからもそのモノレールの問題、あるいは鉄道といったようなことを将来の輸送量を見ながら、こちらからもそういう点についていろいろとサゼッションあるいは協力いたしたいと考えております。
  166. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 地元の村からはモノレールの要望なんかがすでにあるわけですよ。しかし、私鉄ではどこもやろうとしていないわけだし、国鉄は全然考えていないというのが実情ですね。しかし、いままでなかった大規模な公園がそこにでき上がることだけは間違いないんだから、その足の問題を考えなければうそだと思うんですよ。東上線で間に合うはずだと、こういうことだけでは、これはいざとなったらあわてなきゃいけないと思うんです。それは建設省の関係だからおれは知らぬという態度をおとりになるのだったら、これは無責任になるということを私は指摘したいんです。  で、それでは森林公園について、検討してないということがそもそもおかしいと思うのだけれども、検討して、相当の輸送を必要とする場合には、運輸省として、じゃあ国鉄にやらせるのか、私鉄にやらせるのか、いずれかの方法について一つ方針を出すというふうに承ってよろしいんですか。
  167. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 現在のところでは、こういった場合いろいろとその他の地域もございますが、輸送量と輸送力との関係、あるいは森林公園という一つの国としての大きなプロジェクトという問題を考えますと、国鉄がいいのか、あるいは現在の既存の私鉄がいいのか、あるいは地元の県、あるいは市町村、あるいはこの森林公園自体がいいのか、あるいは第三セクターといったようないろんな形を合わしたものがいいか、こういったまず建設主体の問題、それから経営主体の問題、こういった点につきましてはさらに地元の意向も確かめながら検討いたしてまいりたいと考えております。
  168. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 昨日の毎日新聞に「中央新幹線の開通早める」という記事が出ておったんですけれども、先般、私予算委員会で質問したのは、早晩東海道新幹線はもう逼迫をして限界に達するだろうう。その場合に、第二東海道新幹線の必要性が生じてくるんじゃないかということを質問いたしました。これは運輸省委員会で言ったんですが、この第二東海道新幹線の必要性が予見をされた場合に、この中央新幹線を東海道新幹線のバイパス的な役割りを果たすために建設をするというふうに理解をしてよろしいのかどうか、この点をお伺いしたいと思うんです。
  169. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 現在の東海道新幹線は、御承知のように、約三十四万人を運んでおるわけでございますが、この前の委員会でもお答え申し上げましたように、昭和五十年代の半ばには——五十何年になりますかまだ明確な計算をしたわけではございませんけれども、五十年代の半ばになればもう輸送も限界に達してくるんじゃないか。飛行機にいたしましても、御承知のような状況でございますから、大きくこれに依存するということは考えられぬわけでございます。このために、現在工事実施計画を策定中の北陸新幹線の開業による輸送力の増強とも見合いながら、昨年の秋に基本計画を検討しました中央の新幹線の整備というものを行なっていかなければならぬと思っております。  しかし、いまこれに早急に手をつけるというような決定をした、あるいはまたそういう構想をいま直ちに持っているわけではございません。
  170. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大阪——東京間の飛行機の輸送力にきもこれは限界がある、これは空港の問題とも関連するんですがね。そうすると、東京−大阪間の輸送力ということはどっちみち考えなければならぬでしょう。どっちみち考えなければならないとすれば、第二新幹線といったような役割りを果たす東京−大阪間の最短距離を結ぶ新幹線考えるというのは、これは当然のことだと思うんですよ。  したがって、その当然な結論として、中央新幹線という記事が出ておったんですけれども、この中央新幹線については、第二東海道新幹線という意味を持たせるつもりなのかどうか、持たせることができるのかどうか。また、もし建設をする場合には、この東京——古屋間を最短距離で結ぶとなると、山を抜けるわけですね、南アルプスを。そうすると、途中駅としてあまり考えられるところはないわけですよ、東海道のように。しいて言えば、山梨県で甲府、あとは長野県でどこか一つという程度しか考えられないわけですね。そうなれば、岐阜羽島のほうへ寄り道をする必要はなくて、まっすぐに大阪まで結ぶということになると、新幹線らしい駅というものはなくなってくるわけですね。これならば、ひかり号とこだま号と分ける必要はないという気がするんですがね。そこまでは検討してないのかどうか、その点もお伺いしたいと思うんです。
  171. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 中央新幹線につきましては、昨秋、ただいま大臣から申しましたように、基本計画を決定した次第でございまして、そのときは、経過地といたしまして、甲府並びに奈良付近ということにしたわけでございますが、この中央新幹線と申しますものは、やはり現在その中央新幹線の沿線——これはまた明確にそのルートがきまったわけではございませんが、その沿線のやはり国土総合開発、あるいは地元の地域開発ということもあわせにらみながら、この駅といったような問題は考えられていくべきでございます。  一方におきまして、これは東京−名古屋−大阪を結ぶ場合、非常に短いルートになることも予想されるわけでございまして、そういった意味におきまして、現在の東海道新幹線の補完的と申しますか、それを代替すると申しますか、補強すると申しますか、そういった意義もきわめて大きなものであると予想される次第でございます。
  172. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それでこの新幹線の今後の問題ですけれども、そうすると、東京−大阪間を結ぶ中央新幹線なら中央新幹線を新たに建設する場合には、東京駅から出すのか、それとも新宿駅から出すのか、その辺の東京のターミナルをどういうところに置くのか、その点は考えておかなくてもいいことではないと思うんですが、その点はどうでしょうかね。必要なことじゃないでしょうか、それは。
  173. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) かつて東北新幹線、上越新幹線の整備計画を定めました際に、東京都におきましてもいわゆる都心の駅につきまして一カ所に集中することは極力避けられたいと、こういう要望も強く出た次第でございまして、現在は東京駅だけでございますが、今後新しい新幹線ができる場合に新宿ということも一つの重要な考慮の問題であるということは考えておる次第でございまして、必ずしも現在の東京駅にすべてを集中するという考えではございません。
  174. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これはわれわれが常識で考えてみても、もう一度東海道に新幹線の役割りを果たす新幹線をつくる場合に、東京駅というのはなかなか因難じゃないか。特に中央新幹線ということになりますと、山梨県へ抜けるわけですからね。これは新宿あたりが副都心として候補にあげざるを得ないのじゃないかということは、これは常識的に考えられることなんです。  そこで、上越新幹線なり東北新幹線、北陸新幹線関係ですけどね、これからも東京へ入れるということになると、将来計画として東北、上越あるいは北陸、これが全部東京へ入ってくるということは相当困難になるんじゃないか。それならばいっそのこと新宿へ入れて、新宿へ入る線と東京へ入る線とを分けて、そして中央新幹線とたとえば上越新幹線を接続をさせるといったような方法をとることが、わりあいと妥当ではないかという気がいたしますが、そこまで検討しているのかいないのか、その点どうでしょう。
  175. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 現在、北陸新幹線は鉄道建設公団におきまして整備計画を策定中でございます。  それから中央新幹線につきましては、いまだ建設主体もきまっていない段階でございますが、いずれにいたしましてもこれが建設された暁は、日本国有鉄道においてその運営をお願いする次第でございまして、ただいまお話のございましたようなスルー運転というようなことにつきましても、最も旅客の利便になりますように国鉄当局とも十分協議して、この運行形態というものは決定いたしたいと考えております。
  176. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 旅容の利便ということを考える場合には、現在は利便じゃなくてたいへん不便なんですよ。上野を始発とする東北、上信越、常磐線と東海道線の関係は。だから、これらをもう少し考えてみて、いまのように上野と東京ということだけじゃなくて、副都心の新宿から新宿を使うということで、新宿と上越を結ぶ、あるいは東北を結ぶといったようなことだって考えないと、これは無理じゃないかなという気がするわけですよ、現在の線路の状態から見て。  そこで、新幹線の問題ももちろんですけれど、新幹線よりやはり先に在来線の輸送力を強化するということをやらないと、この利用者としては納得しないだろうという気がするのです。特に現在上信越線、高崎線、東北線は全部上野へ集中するようになっている。それで東海道に比べるとずっと便利が悪いわけです。最近は総武線も東京駅まで乗り入れするようになりました。したがって東海道、総武線、これはかなり便利がよくなったわけですよ。しかし上野から先の東北方面は相変わらずなんです。これは私は何回も指摘をしているんですけれども、一向に改善されようとしませんし、不便なところは、たとえば順法闘争といったような、こういう時期になるとますます不便になるわけです。所要時間は多くなるし、まあどうにもこうにもならなくなるわけですね。だから現在不便なところをもう少し投資をして改善をするということを先にやらないと、これは新幹線だなんて言ったつて、それは利用者としては納得しないと思うのです。そういう点、在来線の輸送力を強化をすると、こまごまと一々申し上げませんけれども、そういう考え方が政府としてないのかどうか、この点まず大臣のほうからお伺いしたいと思うのです。
  177. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 在来線の複線電化、またそのほか近郊都市における輸送力の増強につきましては、これはもうお説までもなく進めていかなきゃなりませんし、今年度も予算面においてもそういうような配慮をいたしておるわけでございます。したがいまして、新幹線は総需要の抑制等からも多少ダウンいたしますけれども、在来線の強化、整備につきましては一段の力を入れてまいらなければならないことは、お説のとおりでございまして、今後もその方向で進めるつもりでございます。
  178. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 具体的な方法として、武蔵野線の建設がかなり進捗をしているわけですけれども、武蔵野線が完成をするということを考えた場合に、いままでの貨物線を利用して、たとえば大宮−赤羽間の貨物線を利用するといったような方法でもってストートに大宮のほうから赤羽を通って池袋、新宿へ入る。こういったようなことは技術的に可能でないのかどうか。こういう方法をとれば現在の輸送力をかなり増強することが私は可能じゃないかと思うんですけれども、問題はそれをやる気があるかないかということになってくると思うのですが、その点はどうでしょう。
  179. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 先生の御指摘のようなことは考えております。ただ、これらの工事はたとえば上野駅に入れるとしても尾久−王子間の線路の増設が必要でありますし、池袋駅に入れるにしましても池袋の大改造なり、あるいはまた赤羽駅も相当の改造をしなければできないというようなことでございまして、やはり新幹線計画と並行してこれらの大改造計画を進めてまいる。したがって、将来の形においては先生の御指摘のあったような形に持ってまいりたいというふうに考えております。
  180. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まあ上野の駅の構造だって、明治時代の構造そのままになっているわけですね。きわめて不便ですよ。それから一赤羽駅の構造にしたって、あの乗りかえの不便なことお話になりません。高架の線路と下を走っておる線路と両方あって、それをそれこそ上がったり下がったりしなければ乗りかえができないようになっているわけです。ああいうばかげた構造をそのままにしておくという手はないと思う。だから、高架にするものは全部高架にして、踏切を廃止をして、その下をくぐれるようにすれば、住民にとっても非常に便利がよくなると思う。そういう大改造を積極的にやって利用者の便宜をはかる、輸送力の増強をはかるということは、これは金を惜しまずにやらなければならぬことだと思うんですね。つまり金を惜しまないでやるべきことをやっておれば、これは運賃値上げといったような場合にある程度は利用者のほうだって納得するかもしれない。ところが、やるべきことを全然やらずに、もう金を惜しむだけ惜しんで、間に合うぎりぎりのことをやっていれば、運賃値上げのときになって御協力をお願いしますと言ったって、利用者のほうはそっぽ向くのはあたりまえなんですよ。その点少しは考える気があるのかどうか、この点国鉄総裁にもお伺いしたいと思うんです。これは技術的な問題だから御専門にもなると思うんですがね。
  181. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 御指摘のように、御利用になる方が便利にするのにはどうするかということをわれわれ交通機関を計画したりあずかっておる者はまず考えるということはお説のとおりでございますが、先ほどのお話のように、金は相当かかってもいいのかどうかというようなことになってくると、そのときの財政状況などがものを言って、あるいは先生のように、不便なものをつくっておいて運賃値上げだけ何だというようなことも事実としては起こっておるかもしれませんけれども、根本的の観念としては先生の御意見に同感でございまして、できるだけ可能な限り便宜なものを提供して、こういうことをやって金がかかったんだからひとつ御協力願いたいというのに持っていくのが本筋であろうと私は思います。
  182. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 きのう、きょうと私は国鉄を利用して感じたんですけれども、きのうは多客のために、それからきょうは順法闘争等の影響かと思いますけれども、列車が非常に混雑をして、またおくれました。そういう場合に、急行料金について疑問を感じたんですよ、私は。きょう私が乗った急行なんというのは二時間以上おくれてきている。一体一時間でどのくらい走るのか計算してみましたら、三十六キロです。時速三十六キロです。それで途中から通勤客が乗り込めば、急行だから急行料金をちょうだいするといって急行券代を取るわけですよね。これは仕事の面、規則の面からいえば間違っちゃいないかもしれませんけれども、これはお客にしてみれば納得いかないだろうと思うんですね。三十何キロというスピードは、これは人が走るスピードなんですよね。短距離の選手だって時速に換算すれば三十六キロぐらい走れる。それを鉄道が急行——急いで行くって書くんですからね、急いで行くって書く急行料金を三十何キロの汽車に乗っけておいて徴収するというのはふしぎだと思うわけですよ。だから、いっそのこと私は、急行料金なんというのはある程度の速さの急行からだけは徴収をするというようにしないと筋が通らぬと思うんですがね。のろい急行は急行料金を取らない。もっとも急行料金を取らないで快速なんて名前がありますけれども、快速というのはなおさら速くなければいけないと思うんだけれども、名前をどういうふうにつけてみたって、金を取る値のないものから金を取るということはこれは間違いだろうと思う。だから、むしろ方針としては、急行料金を取ると、いうことをやめてしまって、座席料を取る、すわり賃を取るというふうに方針を変えるというほうが私は合理的だと思うんですが、その点はどうですか。
  183. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) どうも急行といっても鈍行で、金を取るのはけしからぬじゃないかという御意見で、まことに残念ながら御同感のようなところもあるのでございますけれども、これは、病的な時期と申しますか、そういうときに、そういうことが起こっておって、しかも、それもはなはだしく急行がおそくなったような場合は、その料金の払い戻しというようなこともある程度——御満足かどうかは別として、やっておるというようなことでございまして、第二段の、急行に通勤とかなんとか入れてしまえばいいじゃないかというような御議論も、これは急行は正常な状態で動いているときにそういうことをいたしますと、急行列車というのは相当満員と申しますか、利用者が多いので、その方々に御不便を与えるということにもなるので、根本的な考え方としては、はなはだおしかりを受けたような形になっておりますが、まあこれにも、何と申しますか、一応の理屈があると言ったら語弊があるのですが、そういうことからなっておりますので、これは担当の者から詳しく御説明させます。
  184. 柳井乃武夫

    説明員柳井乃武夫君) ただいま総裁から申し上げましたように、先生御高承のように、いろいろ列車の使命がございまして、急行につきましてはスピードという要素と、それからまたアコモデーションという要素と、それから有効時間帯便利性、あるいは近距離客と長距離にいらっしゃる方の調整と、こういう要素がございまして料金というものをいただいているわけでございますが、ただいまお話にございましたように、通常に走っております場合には、まあ一時間に六十キロとか、六十数キロとか、適正なるスピードで走っているわけでございます。またおくれました場合には、ただいま払い戻しという制度もあるわけでございますが、ただいま先生のお話のように、また使命によりまして、これは快速にしたほうがいいというものにつきましては逐次また見直しというものも必要かと存じます。また急行列車で末端のほうに参りましてからはローカルにしたほうがよろしいというものもございますので、これは近年、逐次実施いたしまして、二百本ほどそういうものもつくってきておるわけでございます。
  185. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 病的な場合はしかたがないというけれども、病的でない場合でも、私は、このダイヤを広げて、時刻改正前のダイヤと比較をしてみた。そうしたら、ちゃんと正規のダイヤでも、前の各駅停車よりものろいやつがあるんですよ。それで急行料金を取っているのですね。私が乗ってみて、ばかにこれはのろくておかしいなと思ったことがある。それからちょっとダイヤを取り寄せて調べてみたら、ほんとうにのろいんですよ、これは。よくまあこんなのろい急行であつかましく急行料金を取れるもんだと思ってあきれたんですよ。これじゃ、もう詐欺と同じですよ、こういうことをやっていたのでは。そういうことをやっていたのではいけないと思うんです。  だから、あえて私は、でき上がったダイヤについて、これは指摘するんだが、詐欺と同じだというのですよ。そのことをいまさら言っても始まらないけれども、すみやかにこういうことはやめるべきだと思うんですね。そうして近距離の、ある距離以内は、これは急行料金を取らない、通過駅があっても。そういう方法をとらないとつり合いがとれない。特にその結果どうなっているかというと、特急だけを優遇しているということになる。方法としては、特急を入れる以上はこうなるのはやむを得ないという説明があるかもしれませんが、ここにやはり近距離客あるいは通勤客を全く軽視をしたというよりか、無視をした国鉄方針というものがあらわれておると思うのです。だから、そういう方針がある以上は、幾ら新幹線に協力してほしいといっても、利用者のほうは納得しないということになるわけです。  だから、私は、現在のようなやり方を改めて、こまごまとしたことはここで指摘いたしませんけれども、近距離の通勤者の立場に立った運営ということを真剣に考えるべきである、それをやらないことには、とうてい地域の住民は新幹線にはすなおに協力しないだろうということを言いたい。その点を最後に大臣から、どのようにお考えになるのかお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  186. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まあいろいろ組み合わせがあろうと思いますけれども、いま御指摘の点等については、ごもっともの面もたくさんございます。今後も、要するに乗客の利便をどういうふうに確保するかということが根本でなけりゃならぬと思います。収益をどうするかが先に出ていきますと、やはり利用者との摩擦も出てくるわけでございますから、こういう面につきましても、十分、今後配慮して、まだこれからいろんな、新幹線等について企画があるわけでございますから、地元の皆さん方の御協力が得られるような方策というものを練って、対処してまいりたいと思う次第でございます。
  187. 片山正英

    ○副主査(片山正英君) 分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、瀬谷英行君が委員を辞任され、その補欠として辻一彦君が選任されました。     —————————————
  188. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 来年度の予算で、地方バスに対する補助といったようなことにつきまして、二十一億九千万円、それから中小私鉄対策として六億六千万円が計上されておりまして、いままでと比べますと相当な増額になっているわけでございますが、まず第一点として、しかしながら、現在、バス会社、あるいは私鉄等におきまして、事業全体として、維持することが困難であるというふうな深刻な状況になっておりますけれども、その点につきまして、どのように把握をしておられるかお伺いしておきます。
  189. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 今日までは、これも説明申し上げるまでもなく、黒住先生御専門で、私よりもはるかに詳しいだろうと思いますが、昨年度は特に地方の過疎バス対策と、いわゆる弱小民営軌道にどういうふうに対処していくかということで、いろいろ予算編成を通じまして、私どもも検討もし、努力もしてきたわけでございます。その結果、いま御指摘のような、過疎バス対策につきましては約二十二億、四十八年度に比べますと、約倍額の予算が出てきたわけでございますが、これとて、もとが小さいんですから、これはお話にならぬわけです。それから民鉄の欠損補助につきましても、多少の増額は見たわけでございますけれども、これで全きを期したとはとうてい考えられません。  そこで運輸行政全般から見て、この過疎地の——過疎地というよりも、むしろ地方運送というものについて、運輸行政というものをどういうふうに考えるかというのは、私は根本的に考え直さにゃいかぬと思うんですよ。この運輸行政に漏れてきたところがたくさんあるわけでございます。いま約二十二億を確かに補助の対象にいたしましてと言いますけれども、これは御承知のような、これよりもさらに漏れたものに対して、一体どういうふうに運輸省考えるかということを、根本的な問題として私は考え直していかなきゃならぬと思います。これから先は、これに漏れた人は、あとはもう自前でおやりなさいと、みんな自前に追い込んでしまうと、こういうようなことではならないと思います。  そこで、これの対策につきましては、明年度を期して、ひとつどういうような運輸行政として対処していく道があるかということを、根本的に、洗いざらい検討してまいりたいと、かように考える次第でございます。
  190. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 いま大臣が言われましたような深刻な状況になっておるわけでございます。  ところで、この場合におきまして、私鉄においては、もうこれはやっていけぬから線路を廃止したいというふうな場合がございます。で、地方と協議をする、それで許可されるというふうなことになっておりますし、バスにおきましては、市町村なり、県当局と、補助金との関係もあって、これまた、なかなか、廃止ということになりますと問題が多いわけでございますけれども、そういうふうなことで、いろいろと地方で問題になっているわけでございます。鉄監局長なり自動車局長は、その点をどのように報告その他受けて、考えられておるか、まず承りたいと思います。
  191. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 中小私鉄につきましては、いわゆる過疎化の現象、あるいはモータリゼーションの顕著なる伸展、あるいは人件費の高騰、こういうことによりまして、その財政状況と申しますか、経営状況はきわめて悪化いたしておりまして、大体四十三年度以降ここ数年百五十キロ前後廃止してきた次第でございます。で、これにつきましては、いわゆる地方におきます交通機関はどうあるべきかという根本問題もあるわけでございますが、道路の整備、あるいは現在の輸送量、こういったことをすべて勘案いたしまして、いずれにいたしましても地元の住民の足の確保ということにつきましては、十分私といたしましても配慮して今後も進めていかなけれりゃいけない、かように考えております。
  192. 中村大造

    政府委員中村大造君) バスにつきましても、鉄監局長から御説明申し上げましたように、最近、過疎化の現象が非常に進展いたしておりまして、いわゆる乗車密度の非常に低い路線が全国的に数多くあるわけでございまして、これがいわゆる民営企業であるバス事業の経営を非常に圧迫しておる、こういう実態でございます。しかしながら、それがやはりその地方地方の、いわゆる最低限度の公共輸送機関ということで、これを維持してほしいという要望も非常に強いわけでございます。したがって、これの廃止につきましては、やはりきわめて乗車密度の低い路線でございましても、その地元住民の意思を無視してそれを廃止できないというのが実態でございまして、この点が、私どもといたしましては、従来からいわゆるきわめて乗車密度の低い路線につきましては、これを市町村の代替バスということで、これを代行する、それに対して車両補助をすると、こういう制度も実施しておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そういう過疎化現象による地方バス路線の維持ないし廃止と、こういう問題、それと関連いたしまして、いわゆる経営の非常な何といいますか、困難な状態に立ち入っている状態、こういうことを含めまして、私どもとしては、現在のこういう地方バスに対してとっておりますわれわれの行政というものを、もう一度具体的に見直しをいたしまして、それに対して、具体的な措置を来年度においてとっていくように、早急に検討を開始したい、こういうように思っているわけでございます。
  193. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 いま御答弁がありましたように、いろいろ深刻な状況になっております。廃止しようとしても、なかなかそうはいかない。一方、事業として立ち行かないというふうなことでございます。それに対して政府としても補助金等の助成措置をとってきたわけでございますが、いま、お話がありましたように、この際、解決をしていく緊急課題ではないかと思うわけです。したがいまして、いまの根本策を確立するためにも、一つの方法としては、関係官庁、これは運輸省はもちろん大蔵省、自治省等、関係官庁がございます。それから学識経験者、それから事業者の団体、そしてまた利用者の代表と、おのおの関係のところが組織するような協議会のようなものをつくって根本策を練ったらどうか、あるいは運政審という機構はございますけれども、このような特殊な問題でございますので、関係の向きもいろいろ多いわけでございますので、そういう組織をつくって、五十年ですか、の予算までにそれらの点を確立していただいたらどうかと思って提案をしたいと思いますが、大臣どうでございますか。
  194. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 先ほど私が申し上げましたように、いわゆるいままでの行政ベースに乗らないような問題がたくさん出てきて、しかも見のがすことができぬわけであります。それらの方々に対してはそれじゃどうかというと、マイカーにたよるほかにしょうがない。片一方じゃマイカーを規制しろという声さえあがっている、こういうような矛盾がいま出てきておることはお話の片りんに出てきているわけでございますが、いま御提案になりましたような運輸政策審議会の検討をいただくのも一つの方法だと思いますし、また特殊なこういった問題でございますから、これにはどうしても財政を一枚加えておかなければ、どんな絵を描いてみたって動くわけはない。そこで財政と申しますと、やはり大蔵省なり自治省なり、そういうものの協力も得てまいらなければならぬと思います。したがいまして、いま御提案になりましたようなことは真剣にひとつ今後の一つのたたき材料の問題として検討してまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  195. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 いまのような点につきましては至急ひとつお願いしたいと思います。  次に、自動車関係で、自賠責保険ができましたのは昭和三十年でございますが、その当時は車と人、被害者はもちろん人でございますけれども、車対人の事故というものに重点が置かれましたし、現実に事故はそのような姿であったわけでございますが、現在では車対車、車に乗っておるお客が車対車の事故によって死傷をする、あるいは運転手同士が衝突によりまして事故によってけがをしたり、あるいは死亡すると、こういうような車対車の事故が多いわけです。  その場合に事故が起きますというと、損害賠償ということになると、これはいわゆる共同不法行為ということになるわけですけれども、過失相殺等が行なわれるわけです。保険金の支払いの場合において、共同不法行為では両方の車から出るわけでございますが、その場合においていわゆる過失の度合いに応じた保険金額の算定が公平かつ正しく行なわれているのかどうかという点でございまして、自動車局長どうですか。
  196. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先生御指摘のように、いわゆる車対車による事故が生じました場合、いわゆる共同不法行為の事案といたしまして、その乗客はいわゆるそのどちらに保険金の給付の請求をいたしてもいいことになっておるわけでございます。したがいまして、おそらく先生御指摘の御趣旨は、たとえばタクシーに乗っております客が自家用車と衝突してけがをした、こういうふうな場合に、かりに相手方のほうに大きな責任があるというふうなケースの場合でもタクシーのほうにこれを請求する、こういうことで必ずしもその保険金の給付とそれからその責任と、こういうものとの間にバランスといいますか、そういうものがとれていないのではないかというふうな御指摘かと思います。  実はこの点につきましては、四十八年、去年の四月から八月にかけましてそのような共同不法行為事故のいわゆる負担についてどのような当事者間で過不足があるかということを自動車保険料率の算定会で調査した結果がございますが、これによりますと、率そのものはあまり大きいわけではございませんけれども、やはり何といいますか、ほかの車種から受け取るべきものといいますか、要するにその責任の度合いから考えますと、よけいに負担しておる、こういうふうな率は約二%程度の結果になっておる、こういうふうな調査がございます。
  197. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 いま申し上げました共同不法行為の場合の算定につきましては、さらに検討を加えて公平を期する必要があると私は思います。  それから交通戦争ということばが最近出てきておりますけれども、そのように交通事故を起こすバックグランドというもの、共通のバックグランドというものを考えなければなりません。それからまたしき逃げとか無保険の場合の保障事業がありますが、いまでは各車種の保険料率に対する一定の率でもって保障事業の補償金を負担しておるという点もございます。率が同じであると保険料が高い場合はたいへんな保険料になる、ところが事業者の場合にはおそらく無保険なんというものはないと思います。そういう矛盾点がある。当初におきましてはさほど保険料の差がなかったので、そういうふうになっておるわけでございます。現在におきましてはだいぶん事情が変わってきておるということ。それから予算にもありますが、運用利益等をどのように活用するかということで事故防止対策等に使っておるわけでございますけれども、これも一つの共通部門といってもいいと思うわけです。自賠責保険の場合には国庫に対してもたいへんなサービスをしておるわけでございますので、そういう共通部門というのを取り上げてみて将来の保険料率の合理化ということを考えていただきたい。  専門的な質問でちょっと恐縮でございますけれども、そのような点の改善をする必要があるのではないかということが一点と、それからハイタクの保険料率は四段階になっておるわけでございますけれども、これが改定につきまして、この秋ごろにやるというふうなことが前から宿題になっておると思っております。したがいまして、その進捗状況はどうかということのお答えをお願いしたいと思います。  で、結論としては自賠責保険というものは、もうすでに保険料収入が五千億をこえておる金額になってきておりますし、被害者保護ということでもって出発した制度でございますので、国民のために、被害者保護のために、制度の合理化につきましては一段の努力をする必要があると思う次第でございまして、前段につきまして局長から御答弁をいただき、またこれの将来の育成につきまして大臣から御所見を承って質問を終わります。
  198. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先生御指摘の現在のいわゆる保険料率のきめ方につきまして、いわゆる比較的こまかく車種別にその損害率を算定いたしまして、それによって保険料を定めておる、こういうことでございまして、そこから来る一つの問題点、こういうものについての御指摘かと存じます。したがって、その保険料率のきめ方について共通部分を取り出して、いわゆる共通の負担部分と車種別の損害率による負担部分と、こういうものをうまく組み合わせたようなかっこうにすべきではないかという御指摘だと思います。この御指摘はきわめて私ども傾聴に値する非常に参考になる御意見だということで、かねがね検討をいたしておるわけでございますけれども、これはいわゆる損害保険というものの性格上、いろいろな観点から検討する必要もございます。損害保険というものの性格からの検討と、それから先生おっしゃいましたいわゆる自賠責保険の特殊性といいますか、こういうものを十分勘案いたしまして慎重に検討さしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  199. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 保険でございますから、これは成り立たなければどうにもならぬわけでございまして、これにはいろんな組み合わせのむずかしい操作があるようでございますが、しかし、それはそれとしまして、私どもいま御指摘のような点につきましては、これは政策的に、やはり計算はどういうふうに成り立とうとも、一般の利用していただく方の理解が得られなければならぬし、そういう点におきましては、今後また検討すべき点が多々あろうと思います。そういう点につきましては、十分いまの御指摘の点等も参考にいたしまして努力してまいりたいと思います。
  200. 辻一彦

    ○辻一彦君 私、二、三点お伺いしたいと思います。  一つは、北陸トンネルの事故が一昨年の十一月上旬にありましてもう一年半近くになります。被災者の問題がまだ解決をしていないと思うのですが、そこで本件では、一部ではこの問題では訴訟中の地域もありますので、深く入ることは私は避けますが、二、三点伺ってみたいと思います。  一つは、当時から生死のさまよいをと、こう言われましたが、ああいう暗やみの中に七時間も放置をされて生死の境を彷徨したと、こういうことで、非常に精神的にもあるいは身体的にもいろんなショックを受けた人が多いわけです。そういう人が、一人五万円あるいは一晩入院した場合は十万円という、そういう最低の一つの補償の基準が出されておりますが、これは被災者の皆さんが出されている要求された額からいうと非常に大きな隔たりがあるわけですが、この点ひとつどう考えておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  201. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 昨年の九月末にこの負傷者についての補償の考え方を打ち出しましたけれども、それから鋭意ひとつ御協力願うということで、残っております負傷者、まあ当時としましてはほとんど七割の人は解決しておりますので、あと残っておられる方は三割程度だったわけでございますが、そういうことで鋭意私どもやってきたわけでございます。  ただいま御指摘の、基準の問題につきましての御質問でございますが、私どもとしましては、最近の裁判例あるいは最近の他の事故例、そういったようなものを十分に加味いたしまして、それからさらに北陸トンネル事故の特殊性といったようなものも私ども加味いたしまして、負傷の態様に応じていろんな段階ができておりますが、そういったものに応じて補償を支払うというような案を提示しておるわけでございまして、現在不幸にしてこれでは満足しないということで、八十八名の皆さんでございますが、ことしの二月の末になりまして訴訟というふうなことに相なったわけでございますけれども、私どもとしましては、現在のこの時点では、一応誠意を持った回答だといいうふうに考えておる次第でございます。
  202. 辻一彦

    ○辻一彦君 いま新潟それから大阪管理局管内でも同様な動きがあるというように私は聞いておりますが、そういう時期でありますが、飛行機の乗っ取り事件なんかのときに、いろいろ慰謝料とかいうのが私はあると思うのですね。そういう点から考えて、この基準を現在の段階で引き上げるというようなお考えはいまのところはないわけなんですか。
  203. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 飛行機なんかで一律機らというようなことも、私どもこれは詳細はわかりませんが、新聞紙上なんかで存じております。あれは物損とかいろいろなものを加味したものとして出しているというふうに受け取っておりますが、私どもも当時としましては、治療費とか入院料とか、あるいは物損がありましたら物損について、そういったものは個々にいろいろお話しして支払い申し上げているわけでございまして、さらにその負傷の態様に応じて補償というものをこういうふうに考えるのだということで、それに加えまして、私ども案を提示し、個々の人たちに御協力願うということで説得しているわけでございます。まあ当時は七割程度でございましたが、いま現在では八割に近い人との話し合いができて解決しておるというような現状でございますので、私ども、そういったものを考えましても、決してそれに劣るものじゃないというふうに考えております。
  204. 辻一彦

    ○辻一彦君 すでに訴訟中の問題ですから、これ以上は立ち入りませんが、被災者の皆さんの願うところと開きがあまりにも大きいと、こういう点が私は一応言えると思います。しかしこれは深く入るのを避けます。  そこで、今度の事故の特徴は、去年の二月にも私アンケートの結果で指摘をしたのですが、のどをやられている人が非常に多いですね。いま一年ほどたって、あるところで調査をした資料がありますが、七百四十四通のアンケートを出して五百九通が返ってきている。その中で、のどの異常、声の異常を訴える人が七十六人、たんが五十七人、せき二十五人、かぜを引きやすい二十三人、気管支の異常十三人というように、非常にのどや気管支の関係が、これは一年前の私たちのアンケート調査でも同じでありましたし、同じ傾向が言えると思うのです。  そこで、声帯をやられたり、声がまだ出ないというような人があるようですが、こういう医療対策、治療の対策は万全を期しておるのかどうか、この点はいかがですか。
  205. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 昨年の国会でも、医療に万全を期するのだということでいろいろ御説明申し上げましたわけでございますが、その後もいろいろ一斉に希望によっては検査をするとか、そういった措置を講じております。現在でも約七十名、大体負傷者の一割程度でございますが、その程度は時に通院して治療をしているという方がございます。私どもとしましては、これは最後まで万全を期さなければならぬというようなことで、個人的にそういう申し出があれば、いつでもそういった病院に御案内するというような形で、誠心誠意やっておるわけでございますが、なお御承知のように、北陸のこの事故に際しまして特につくりました医療対策委員会、こういったようなものも現在も設置しておりまして、そのつどその後いろいろな症状を訴える問題につきまして、具体的に医療委員会でいろいろ御審議願っていると、そういった関係がありまして、特にいま現在、非常にはっきりこれはあとに残る症状があるという者の認定は一人もないというようなことでありまして、しかし、われわれこの医療委員会なんかも活用いたしまして、そのあとの治療方法なんかも御指導いただいて、万全を尽くしていきたいというふうに考えている次第でございます。
  206. 辻一彦

    ○辻一彦君 香川県で前に頭の小さい小頭児病といいますか、出産したという問題があって、あと新聞で否定的な見解がちょっと出ておったように思いますが、簡単でいいですから、その経緯を御説明願いたい。
  207. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 被災者の中で当時妊娠をしておられて出産しましたら、多少そういう問題、小頭児じゃなかろうかという疑いをかけられたという問題が確かにございました。それにつきまして、私どもも専門の医師にこれを診断していただきまして、その結果を先ほども申しましたような北陸のこの事故の対策医療委員会でございますか、そういうものにそのデータを持ち寄って、かけて審議していただいております。三月の中ごろの医療委員会だったと思いますが、その席においても、これとは直接に関係はないというふうに認定されたというふうに聞いております。
  208. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ私のほうに十五名ほど後遺症状の重い人という名前が、一応聞いておりますが、医療対策委員会でそれぞれ努力はされておると思いますが、この十五名の方のいわゆる医療対策委員会資料がそれぞれあると思うんですが、万全を期せられておるかどうかをなお確認をするために、この十五名について、あとでメモを差し上げますが、宇野英子さんほか十五名の、これらについての医療対策委の資料を提出いただけますか。
  209. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) その十五名の方というのは、私どももいま承知しておりませんし、データもございませんが、なおこれは医療対策委員会の意思もお伺いいたしまして、また先生にあとで御連絡をいたしたいと思います。
  210. 辻一彦

    ○辻一彦君 時間の関係でその名前を全部読むのは省略しますが、あとで差し上げますから、取り計らっていただきたいと思います。  総裁、この事故の当時、私も現地に参りましたし、それから当時運輸大臣も当時の総裁もそれぞれ現地に参られて、この補償について、あるいは医療、治療、後遺症の問題これらについては、まさに万全の対策を講ずるという決意を強く披瀝をされておったわけですね。そういう点で一部はすでに訴訟中でありますが、しかしその訴訟以外のたくさんの人があるわけでありますから、個々のケースはいま時間の点で申し上げませんが、この補償の問題、あるいは医療、あるいは後遺症的な状況があれば、その治療に絶対ひとつ責任をもって最後まできちっとやっていただきたい。これをひとつ運輸大臣総裁から一言伺いたいと思います。
  211. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 当時お約束したとおりに、万全を期して実行していきたいと思います。
  212. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) ただいま運輸大臣も御発言のとおり、責めは国鉄にあるのでございますので、万全を期していきたいと思います。
  213. 辻一彦

    ○辻一彦君 第二に、事故の当時に運転をしておりました機関士の皆さんが三人おられましたですね。主任の作田機関士は殉職をされました。非常な努力をされて殉職をされた。それから、あとの二人は国鉄の監査報告書によりますと、失神を繰り返しながら援助に当たり、最後にみずからも救助されたと、こういうように出ておりますね。そして、これに基づいて、その二人の方には国鉄総裁の表彰の予定であり、さしあたって二号俸の特進が行なわれた、こう聞いておるのですが、これは事実ですか、いかがですか。
  214. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) ただいまの機関士の関係は、管理局長の権限で管理局において判断してやることでございますが、いま言いましたように、表彰ということは別に考えておらないようでございます。ただ私どものほうには成績のいい者につきまして抜てき昇給という制度がございます。それにつきましては最近の昇給の際に抜てき昇給をやっておると、これは事実でございます。で、まあいろいろこれは起訴されたという、そういう形になっておりますが、私どもとしましては、当時まあ彼らはできるだけのことをやったというふうに考えておる次第でございます。まあ結果が結果でございますから、起訴されるというような形はやむを得ない点もあるかもしれませんが、まあしかし、彼らもできるだけの行動をやってできるだけ被害を少なくする努力をしたというふうに考えておるわけでございます。したがって、これは起訴された状況にありますので、これ以上につきましては私どもの意見は差し控えたいというふうに考えます。御了承願います。
  215. 辻一彦

    ○辻一彦君 運輸大臣に伺いますが……
  216. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 委員長、ちょっと訂正。  起訴したということばを使いましたが、まだ起訴はきまっておりませんで、送検されたという段階でございます。これは訂正させていただきます。
  217. 辻一彦

    ○辻一彦君 国鉄当局からあまりお聞きするのもいかがかと思いますから大臣にお伺いしますが、そういう努力を、生存された二人の機関士が非常な努力をして、そして何回か失神を繰り返しながら、ついにほかの人によって助け出されたと、この努力が認められておるにもかかわらず、なおその努力が足りないということで、警察当局のほうで書類送検が行なわれておりますが、これは監査報告書に照らしても私は問題があるんじゃないか、こういうように思いますが、運輸大臣から、どうお考えになるか、お伺いいたしたいと思います。
  218. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 二人の機関士が失神を繰り返しながら乗客の皆さん方の救助に当たったということは、私も記録を拝見しておりまして承知いたしております。また先ほど国鉄当局からのお話にもよりまして、非常に責任感が強く、国鉄の職員としてりっぱな働きをしてくれたということは、もう先ほどの御見解でも明確になっているわけでございます。  私、その送検された理由というものについてまだ内容をはっきり承知しておりませんけれども、努力が不足で送検したというふうにいま御指摘がございましたけれども、私は失神を繰り返しながらその非常な事態に当たって国鉄職員の面目にかけて使命を達成をしたということを伺っておるわけでございまして、努力が不足のために——このどういう努力か、その辺のことも、よく前後の問題を明確にしないとわからないのですけれども、その事後の処置の努力が足りなかったということは私はないんじゃないだろうかというふうにも伺うわけでございますが、何分にもこれは行政の立ち入る範囲がおのずから限界がございますけれども、私どもとしましては、国鉄職員としての使命のために全きを期してくれたというふうに考えておるわけでございます。
  219. 辻一彦

    ○辻一彦君 私の申し上げた努力が足りないという表現は、これはことばは、私正確でないかもわかりません。しかしまあ一般的にまだまだやることがあったのにと、こういうことで送検を受けたというように私は聞いております。そこで非常の場合に乗客の生命と安全を守るために一人は殉職をし、二人は失神を繰り返しながら全力をあげて救援作業に当たった、倒れてあと救助されて、その結果が刑事責任に問われるというようなことですね、あるいはどうしたらそれじゃいいのかと、こういう不安と動揺が機関士の皆さんの中にかなり広範にあるように思います。これは私は当然じゃないかと思うんですね。そういう意味で、これはいま御発言のように、行政の立ち入る範囲もおのずとあるということで、その点は私もわかるわけでありますが、やはり運輸省国鉄当局としましても、倒れるまで努力をしたこれらの人が起訴されるというようなことが現実に起こらないような努力をしてもらうべきでなかろうかと、こう考えますが、この点についていま一度お伺いいたしたいと思います。
  220. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 国鉄におきましても、その件は十分認め、配慮して、その送検された機関士の方に対しまして弁護人もつけて弁護しておるようでございます。今後も、そういう問題につきましては、国鉄をして万全を期するように指示いたしたいと思っております。
  221. 辻一彦

    ○辻一彦君 これは問題に入っているわけでありますから立ち入ることは私も避けたいと思いますが、大臣には答弁の線で努力を願いたいと思います。  そこで、問題三つ目でありますが、さっき出ておりましたが、私、バス料金のきめ方の問題についてお伺いをいたしたいと、こう思うんです。というのは、過疎地における−私の県なんかを例に引いてもいいわけですが、人口が横ばいとか減るような、そういう過疎県といいますか、過疎地帯、ものすごく過疎になるというのじゃないんでありますが、一般的にいう過疎地帯、ここで国鉄バスというのは住民の足を確保する上において非常に大事なたよりにされている交通機関であると、こういうように思います。ところが値上げが二年前になされて、また最近かなり大幅な値上げになっております。私、ちょっと調べてみると、通勤、通学の場合ですが、非常に大きな打撃を受けておりますが、たとえば若狭湾のあそこに小浜という市がありますが、ここから名田庄という京都のほうにバス路線がありますが、一カ月通学が二十七キロで片道三百九十円になりまして、一万四千円、それからちょっと近いところになりますと一万四百四十円という、これは下といいますか、かなり通学生、そういうものが多いのですが、一万円を三千円も四千円もこえるというのは、通勤のバス定期料金としては非常に負担が多いように思えますですね。こういう点で、これは国鉄バス料金のきめ方がどういう仕組みになっておるのか。自動的にこういう形にならざるを得ないのならば、その仕組みを変えるか、あるいはこういう地帯について特別な対策を講ずるか、何らかの必要があるように思うんですが、これらについてどういう見解を持っておられるか、まずお伺いいたしたいと思います。
  222. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  現在、バスにつきましては、国鉄バスにつきましても、これは道路運送法によりまして、その運賃を認可に準じたいわゆる承認というかっこうで、道路運送法のワク内で措置いたしておるわけでございます。したがいまして、いわゆる国鉄の経営いたしておりますバス運賃をどういう考え方できめるかということになろうかと思いますけれども、これをいわゆる国鉄が経営しておるのであるから、国鉄の線路と同じような基準できめるというのももちろん一つ考え方かと存じますが、現実に行なっておりますやり方は、いわゆる民営バスにおいてとっております——現在、全国を沖繩を含めて三十六のブロックに分けておりますけれども、そのブロックごとに、それぞれの各事業者の経営状態を慎重に勘案いたしまして、現在の場合には、たとえば二カ年に一回見直すというふうなルールでもって運賃改定をやっているわけでございますが、その場合に、その中に当然国鉄バスがあるわけでございますけれども、原則といたしまして、いわゆるそのブロック内における民営バスというものとの調整をとりまして国鉄バス運賃を設定しておる、こういうやり方をやっておるわけでございます。
  223. 辻一彦

    ○辻一彦君 私は、その仕組みは一応伺いましたが、しかし、そういう仕組みによって国鉄バス料金がきまると、この一月十九日に、たとえば二十七キロぐらいのところで二百八十円、通勤では一カ月一万二千六百円の定期代、通学では一万八十円。ちょっと行って二百九十円のところ、これは二十七キロ前後ですが、一万三千五十円と一万四百四十円。一番奥の三百九十円、片道になりますね、これは。ここへいきますと通勤が一万七千五百五十円、通学が一万四千四十円なんですね。国鉄の公共的な性格からいえば、料金のきめ方はいろいろあろうとは思いますが、通学をする定期券が一万円をこすという、二十七キロ程度でですね、というのは何と考えてもやっぱり高いというように思いますし、父兄の実感としても、これだけの負担じゃどうにもならぬという声が非常に強くて、私らのほうにずいぶん手紙等がきておりますが、これが仕組み上動かせないのか、あるいは仕組みが動けないものであれば、こういう特殊な地帯については何らかの改善策を考える必要があるのでないか。その二点についてはどうですか、現行はこうなっておるということはわかりましたが。   〔副主査退席、主査着席〕
  224. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは先生御指摘でございますけれども、現在国鉄バス運賃につきましては全国的にそのような原則で貫かれておるわけでございまして、この制度、考え方そのものを再検討することにつきましては、先生の御意見を私ども拝聴さしていただいておるわけでございますけれども、にわかにこれを改定するということについてはきわめて困難ではないかというふうに思うわけでございまして、この地域につきましてはやはり民営のバス等もそれぞれ路線を持っておりまして、そういう路線についてもやはり通勤客あり、通学客ありということでございまして、バスとしての条件についてはあまり大きな差がないというふうに考えて、この一月に改定したような運賃になったということでございます。しかしながら、たとえばその地域住民の足の確保と、こういう点につきましては、やはり運賃の改定に伴いまして、いろいろなサービスの向上その他についてはきめのこまかい措置をとるべきでありまして、その点を総合してわれわれとしては手を打ってまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  225. 辻一彦

    ○辻一彦君 運輸大臣にお伺いしますが、局長の御見解は事務的にはわかりますが、通勤のバス代に、二十七キロぐらいのところを一月通って一万数千円というのは、これは負担が高いというように常識的にお考えになりませんか、いかがですか。
  226. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 二十七キロぐらいで一万数千円というのはなかなか高いように思うわけでございます。三十日にいたしますと何ぼになりますか、一日が六百円、片道が三百円見当になるわけでございまして、なかなかいまの状況から見ると高いような気もするわけでございます。これはその地域だけでなくて、やっぱり全国的にこういうような計算をし、算定をしているわけでございまして、そうは思いますけれども、しからば、国鉄だから採算を割ったひとつ運行をやるかということになりますと、またこれにもいろんな問題が出てこようと思うわけでございます。バスはいままで全国を通じてこういうふうな算定基準をもって動かしている、民営バスも同じでございますが動かしているわけでございまして、御指摘のように、非常に高いように思いますけれども、いまここでお約束を申し上げて、これの算定基準を変更すると言うほどの思いも、実は申し上げかねるわけでございます。
  227. 辻一彦

    ○辻一彦君 これね、民営のほうはほかのほうを走ってるんですね。この間は国鉄が走ってるんです。二本並んでるわけじゃないんですね。しかし、周辺のつり合いからこういう価格はきめられると思いますが、国鉄の公共的な性格から推して、二十七キロ程度のところに一万二、三千円も通学バス代がかかるというのは、これはやっぱり運賃のきめ方自体に問題があると思うんですよ。だから、そういう点で、そういう条件をひとつ調査をしてもらって、検討をしてもらいたいと思うんです。これはいかがですか。
  228. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) なお、いまの御指摘のように、私どももそういう面について精査することにはやぶさかではございません。検討いたしたいと思います。
  229. 辻一彦

    ○辻一彦君 その結論が出るまで、当面ですね、こういう非常に率の高いところについては特別な対策を講ずる必要があると思うんですが、この点についてはいかがですか。
  230. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先ほど申し上げましたように、バス運賃と言いますのは、全国を三十六ブロックに分けまして順次改定、見直しをやっておるということでございまして、たとえば国鉄運賃とかその他のように、ある時期に全国一斉にということではございません。したがいまして、先生御指摘のような問題点について結論が出るまでこれを一応ストップしてどうのこうのということは、これはなかなかむずかしいと思いますけれども大臣が御答弁申し上げましたように、いずれにいたしましても、国鉄という特殊な性格の運営するものである、その公共的な使命というものと、しかし、バスの機能ということについて民営企業との関係はどうか、民営企業につきましてもやはり同じように定期の割り引きをし、そうして閑散路線についてもやはり経営を度外視してということになりますと大げさでございますけれども、しかし、それに近い状況でいわゆる過疎対策に懸命に努力していると、こういう中での運賃の適正化ということを考えますと、また、その一つ一つの路線につきまして並行路線がある路線とない路線、いろいろ千差万別でございますので、そういう点もいろいろと検討をいたしませんと、にわかにある一つの事象だけを取り上げてすぐにその結論を出すということは、他に波及することもございますし、なかなかむずかしいという状況でございますので、これはこれとしてひとつ懸命に検討をさしていただくということで、ひとつお許しをいただきたいと思います。
  231. 辻一彦

    ○辻一彦君 もう一つお伺いしたいんですが、線路は一キロ全国どこでも一律に幾らってきまってますね、料金は。バスの場合はその地域によって民間のつり合いでということですが、非常に違うわけですね。こういうものは、ある面においては、民間とのつり合いからやむを得ないという側面がありますが、しかし、国鉄の持つ性格から推すと、線路は一キロどこでも全国同じ、バスの場合は全部千差万別というのは問題があると思うんですが、この点の検討もしてもらう必要があると思いますが、これはいかがですか。
  232. 中村大造

    政府委員中村大造君) 確かに、そういうふうな矛盾と言いますか、問題点はあろうかと思います。しかしながら、かりにやはりバスにつきまして国鉄と同じように全国同一運賃というものにいたしました場合に、はたしてその原価計算というのを、たとえば国鉄の線路と引っくるめたようなかっこうで原価計算をするのか、あるいはバスだけを取り上げてバスだけの原価計算をしてきめるのか、この点もその取り方によってずいぶん結論は変わってこようと思います。そういう問題がございますし、それから全国一律にすること、民営の非常に網の目のように張りめぐらされておりますバス路線についてそのような全国一本がいいかどうかと、こういう問題いろいろございまして、確かに先生御指摘のような問題点はあるわけでございますが、しからばと言って、国鉄の現在とっております原則に合わした場合にどうなるかということもやはりいろいろ精査して検討いたしませんと、直ちに結論は出しにくい。こういうふうな状況でございますので、ひとつわれわれの研究の時間をちょうだいできればしあわせであると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  233. 辻一彦

    ○辻一彦君 時間的にもなかなかこの問題は論議が無理と思いますが、とにかくそんな一カ所じゃない、この僻地の不便なところで、こういう問題は全国に私はたくさんあると思うのです。そういう意味で、先ほど大臣の答弁のとおり、これをひとつぜひ精査して必要な対策を立ててもらうようにお願いをいたしたいと思います。  それからもう一つバスの問題ですが、この新幹線は利益があがり黒字になる、そちらのほうに力を入れてローカル線のほうは赤字が出るから廃線にまくってしまうという傾向がいままで非常に強かったのですが、同様な傾向がバスの場合にも、この黒字が出そうな、あるいは重複せなならぬという面があるのは、これはわかりますね。しかし、そういうのと引きかえに過疎地帯における住民の足を守っている国鉄バスを間引きをどんどんしていくという、こういう傾向が私はやはり地方にいま出ているように思いますが、この点も国鉄バスの特に公共的な性格から推して、みだりに住民の意向等を無視をして間引いてしまって足に不便を与えるということのないようにしてもらいたいと思うのですが、この点ひとつ大臣から御見解をお願いしたいと思います。
  234. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 運送事業というのはみんな公共性を持っているものでございます。とりわけ国鉄はそういう面が公共企業体として非常に大きくあるわけでございますから、やはり地元住民の皆さんの意思あるいはまた利便というものを−ほかの自動車は考えぬでもいいというわけではございませんけれども、特にそういうものにも留意して運営していかなければならぬと思います。間引き等につきましては、やはり利用していただく方々の十分意見も拝聴して御不便のないような、さりとて、それにも限界があると思いますけれども、その辺は十分話し合ってやっていかなければならぬと、かように考える次第でございます。
  235. 辻一彦

    ○辻一彦君 ちょっと急いで申し上げますので、御答弁は簡潔にお願いできればありがたいと思います。  一つは、いま九十九里浜とそれから若狭湾に運輸省は海洋性大規模のレクリエーション開発の問題を取り上げていらっしゃる。しかし、どうも両方ともあまり進展を最近していないように思うのですが、どういう状況であるか、簡単にちょっとお願いしたいと思います。
  236. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答え申し上げます。  御指摘のように、昭和四十四年度から四十八年度まで五年かけまして各種の調査を続けてまいりました。九十九里につきましては、一つはやはりその五年の間に自然をこわすことに対する非常な地元の抵抗というものが強くなりました。そういった意味で、なかなか私ども考えておりますような計画の実現がまだ進展しておりません。しかしながら、なお引き続きまして千葉県当局とも御相談申し上げまして、できるだけ早くこれを実現したいと思っております。  それから若狭湾につきましては地元各市各町、この連携プレーというふうなもの、さらにそれに対する県全体のお考え方、こういったものがだいぶ煮詰まってきたようでございますので、私どもといたしましては、ぜひ五十年度には頭を出したいと思っております。  ただ、現実問題といたしまして、若狭湾につきましては昭和四十八年度から公共レクリエーション港湾の整備という事業がすでに進んでおります。これは和田港でありますけれども、これを一つの目にいたしまして若狭湾地区の大規模レクリエーション地帯が整備されることは私どもも期待しておる次第でございます。
  237. 辻一彦

    ○辻一彦君 運輸省は地元の府県、市町村がプランを立ててやってくるのを待っている、こういうことで、ある意味においては受け身の姿勢なんですが、しかし、いまいろいろ問題がありますが、週休二日制ということがかなり広くなってきましたですね。こういう中で、将来を展望していくと、国民の余暇を健全に過ごすために、国民的な規模の保養基地を設ける必要ということは十分考えられると思うんですね。そういう意味で、国家的な見地からも運輸省等がもう少しこれに積極的なかまえを示す必要があるんではないかと思いますが、これも簡単でけっこうですが、いかがでしょう。
  238. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 御指摘のとおりでございます。私どもも決して受け身で待っておるわけじゃございませんで、積極的にやっております。来年度につきましてもぜひがんばりたいと思っております。
  239. 辻一彦

    ○辻一彦君 いままでの場合だと、私的資本というものがいいところを買って食い荒しをして、地域の開発というのは自然をこわして、必ずしもほんとうに自然を守りながら、そういう保養基地をつくるという方向に私はいかないと思うんですね。そういう意味で、公共的な投資といいますか、こういうものがかなりウエートを置かれないといかないんであって、私的資本が入ってくるのを待って、それが出てくれば何か援助しようというかまえじゃなしに、公共の投資によって国民の保養基地をやはりつくっていく、そういうかまえに転換をすべきじゃないかと思うんですが、この点はいかがですか。
  240. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 若狭湾の、いまおっしゃいました港湾の設備についてちょっと御説明したいと思います。  ここでは、レクリエーションのための港湾をつくるということと、もう一つ、いま先生おっしゃいましたように、海浜そのものにもレクリエーションとしての海浜をつくりたい、こういう施策を進めたいと思っております。港湾につきましては、四十七年度からすでに着工するつもりでございましたけれども、四十七年度におきましては地元の意見がまとまらず、本年ようやく決定いたしまして、四十七年度の繰り越しした事業費を含めまして五千万円の事業を翌年度に実施したいと思います。四十八年の予算につきましては一億八千万円でやろうとしたわけでございますが、いま申し上げましたように、そのうちの二千万円を四十八年度に使用し、残りの一億六千万円は四十九年度に繰り越す、このような形でございます。  なお四十九年度につきましても、できるだけ大きな事業費でこのレクリエーション港湾を進めたいと思っております。大体、五百隻の船を収容する港をつくる、それでレクリエーションヨットをセーリングする場所等につきましても、地元の漁業組合等ともすでに話がついているような形で事業を進めております。  海岸の環境整備でございますけれども、小浜市の鯉川地区というところに年間二十五万人ぐらいの利用者想定いたしまして、人工的に三万……
  241. 辻一彦

    ○辻一彦君 時間がないですから、ごく簡潔でけっこうです。
  242. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) これは四十八年度着工の予定のところが意見まとまりませず、四十九年度に繰り越しいたしまして、実行に移していきたいということでございます。
  243. 辻一彦

    ○辻一彦君 時間があれば、その公共的な性格についてもう少し伺いたいと思いますが、迫りましたから、いまの程度で伺っておきます。  そこで運輸省のほうは、将来、若狭湾に海洋性の大規模のリクリエーション基地をつくった場合に、ほぼどのぐらいの保養人口を吸収するというか、呼び入れるというようなお考えをお持ちですか、構想のまだ段階だと思いますから簡単でけっこうです。
  244. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) これは実は若狭湾、東から西まで全域約百キロございますので、これを全部入れればたいへんな収容力がありますけれども、おそらく現実問題といたしましては、私どもが手がけますリクリエーション地区の開発はそのうちの一部だろうと思います。私どもといたしましては、一部にいたしましても最小限度十万人程度の規模のものはつくりたいと思っております。
  245. 辻一彦

    ○辻一彦君 一年間にどのぐらい考えておりますか。
  246. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) これは一年間と申しますと、結局、季節の問題もございますので、ちょっと計算がしにくいと思いますけれども、私どもが申し上げましたのは、収容力が最高ピーク時で一日十万人ということでございます。
  247. 辻一彦

    ○辻一彦君 計画によれば、年間千五百万とか千数百万という数字計画ではあげられております。ピーク時が一日十万と、こういう構想であると伺いました。  そこで、これを安全に確実に輸送する手段として、私はおそらくは北陸新幹線があすこを通った理由には、そういう構想を背景にしての路線がきまったのじゃないかと思いますが、この点についてはいかがですか。
  248. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 北陸新幹線につきましては、昨年の十一月十三日に整備計画を決定いたしまして、現在、鉄道建設公団に工事実施計画の策定を指示しております。で鉄道建設公団におきましては、全国的な計画と同時に、地域における開発計画、こういうこともいろいろと考慮いたしまして、現在、実施計画を策定中でございまして、そういった各般の問題を踏まえまして、運輸省といたしましてはこれを処理してまいりたいと考えております。
  249. 辻一彦

    ○辻一彦君 大体、一日にピーク時に十万程度収容しょうという、そうして路線決定についてもそういう開発構想あるいは国民保養基地構想を背景にして路線が引かれる、こういう御答弁であります。  そこで、その一日十万という、将来の問題でありますが、大量の人を乗せてくればどこかでおろす必要があるわけですが、この若狭湾一帯に新幹線をとめて、そして人をおろす場所といいますか、停車の駅、こういうことは全般の開発の中でどういう場所を大体考えておられますか。
  250. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) これは、現在、鉄道建設公団が工事実施計画を策定中でございますので、私のほうからお答え申し上げますが、いま申しましたように地域の開発計画ということを十分踏まえながら、同時に新幹線鉄道と申しますものの特殊性からいきまして、その駅間距離と申しますものはおのずから一つの制約があるわけでございます。この両者を踏まえながら決定してまいりたいと思っております。
  251. 辻一彦

    ○辻一彦君 これで終わります。  大体、敦賀から小浜ですね、一つの基幹になるんですが、距離等から考えてそのあたりは大体お考えになっていらっしゃるのか、この点いかがですか。
  252. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま、どの地域かということは、非常にいろんな問題がございますので、なお検討いたしてまいりたいと思っております。
  253. 栗林卓司

    栗林卓司君 自動車交通の問題について、いろいろな面から幾つかお伺いしたいと思います。  これはお伺いするときに、たいへん聞きづらい気がしているんですけれども、最近わりあいに世間で言われがちな議論というのは、発電所はつくるな、電気はよこせ。で発電所はつくるなというのは、上から出ている煙を考えればなるほどもっともです。なきゃ困るからよこせというのも、なるほどもっともなんですけれども、理屈としてつながってこない。そうはいっても、たとえばいま例を発電所にあげましたけれども、発電所の公害問題にしても、あるいは電力の供給問題にしても、具体的に解決をしないと国民生活が困る問題であることだけははっきりしているわけです。問題は、そういう議論をどうやってこれからわれわれが進めていったらいいんだろうか、そのために必要なものをどうやって与えていったらいいんだろうか。私は同じことが自動車交通についても言えると思います。  今日、自動車の利便性を否定する人は一人もありませんし、国民生活に深く結びついた存在になってしまったことも否定はしません。が、困ったことに、安全問題がある、公害問題がある、最近ではエネルギー問題がある。なまじ利便性があり生活に結びついているだけに、さあどうしたらいいんだということになっている。ところがこれについても、これまでの議論というのは往々にしてムード的であり感情的であり、じゃまるきり車をよしてしまうかという極端な議論のほうに走りがちだと思うんです。しかし、この議論を幾ら繰り返していても、現実に自動車について、それが生活に深く食い込んでいる関係をどう整理するかということは解きほぐすことができない。じゃ一体どうしたらいいんだろうか。こんなことから御意見を伺っていきたいと思います。  で、問題を整理してみますと、たとえば安全問題、公害問題、あるいは石油に代表されるエネルギー問題をどうするか。これは結局技術開発の問題だと思います。いまたまたまガソリンやあるいは軽油を使った内燃機関を動力とした自動車というものがわれわれの目の前にある。しかし、これは交通ということで考えたら、わだちが四つある、しかもほかの動力で動く交通手段ということであって、それがどういう技術的な手続で動くのかというのは将来の技術開発にかかわる問題でしかない。その意味で安全、公害問題あるいは資源問題というのは、当面の対策として一体何を打つのか、将来の技術開発として何を打つのかと、局面の問題とまず分けておかないと、話が私はこんがらがってくるのじゃないか。  じゃ分けたとして、あと何が残るかというと、なるほどその場合に自動車というのはたいへんに便益性が高い。国民全部が自動車を、しかもそれにのみすがって交通体系を組み立てていけるかといったら、だれが見たって不可能です。じゃ一体どういうぐあいに組み立てていくか。これが従来から総合交通体系ということでいわれてきたと思うんです。ここのところを、観念的な議論ではなくて、具体的に整理をしたら一体どうなるのか。ここの議論を今後は積極的に詰めていかないと、差し迫った大きな問題になっている自動車交通に対して回答が出ないのではないか。  前置きが長くなりましたけれども、以上のような考え方でそれぞれの御意見を伺っていきたいと思います。  で、話を具体的に伺う意味で一つ例を申し上げます。総理府にお伺いしたいと思うのですけれども、「自動車交通の安全に関する当面の問題と対策について」昭和四十九年二月。この中に「都市の自動車交通総量を削減する方向で、都市交通のあり方を全体として改善するための施策を総合的に推進する必要がある。」こう書いてあります。発想は理解できる気がします。問題は、都市の自動車交通総量を削減というんですけれども、何%削減することを考えてこれは書きましたか。
  254. 秋山進

    政府委員(秋山進君) ただいまの自動車交通総量の削減につきましては、具体的に何%という目標を設定するには非常にいろいろな困難な問題がございますので、具体的にどうということはいまのところお答えできない状況でございます。  しかしながら、先ほどお話がございましたように、自動車交通量というものにつきましては私どもはもっぱら安全の問題でアプローチしているわけでございますけれども、最近における自動車の交通量の増大から、生活道路その他における事故は漸次多くなっていっている、いわば自動車の交通量がオーバーフローしている。さらに公害とか渋滞等の問題がございますので、したがいまして交通安全対策というのは、従来私どもがやってまいりました安全施設の整備その他を強力に推進すると同時に、やはり交通総量についてその抑制策を考えていかなければならないという発想のもとに、ここに対策を打ち出したわけでございますが、ただ現段階においては、できるだけの抑制策を講じていくという程度でございまして、具体的な目標がないのは申しわけないと思っております。
  255. 栗林卓司

    栗林卓司君 これは自動車交通問題に限らないのですけれども、具体的な目標がない行政というのはないのだと思います。で、たとえばガソリンが足らなくなる、したがって何%削減しろ——まあよく引き合いに出される例で、アメリカのホワイトハウスだったら大体こんな方法がある。積み上げていくと大体何%ぐらいできるからやってくれ。これはわかるわけです。何となく感じで削減というと、行政に乗らない道徳運動にしかならないのです。私は、これは一番いけないと思うので、引き合いに出して恐縮ですけれども、実は同じことが運輸省についても言えるはずだと思います。  ですから、たとえば自動車の保有台数について、だれしも感覚的にいま少しオーバーフローしているのじゃないかと言うんです。でオーバーフローというものがどういう実態なり、ことばであるかの吟味は別にして、何となくそんな感じがある。ほんとうは自動車の交通というものがある量は必要なんだということになりますと、大体これぐらいの保有は想定しておかなければいけないという数字が出るんだろうと思いますけれども、私が理解する限りでは、そういう数字運輸省ではつくることはきわめて困難である。困難である理由は、いま総理府が言われたことと全く同じだと理解しますけれども、間違いありませんか。
  256. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先生御指摘のとおり、数量的にどの程度が摘正な自動車の保有台数であるかどうか、こういう点については残念ながら定量的にきめることは非常に私ども困難である、こういうふうに申し上げざるを得ないと思います。
  257. 栗林卓司

    栗林卓司君 そうすると、自動車に対する行政というのは、とにかくふえちゃってしょうがないから一生懸命上から圧力をかけるだけ、抑制の圧力をかけるだけだという仕事にならざるを得ないと思いますけれども、この点運輸省いかがですか。
  258. 中村大造

    政府委員中村大造君) 私どもといたしましては、特に自動車の総量を意識的に全部抑制しよう、こういう考えはないわけでございまして、ただ自動車の中には、営業用に使われております、いわゆる公共交通機関として使われております自動車と、それからいわゆる自家用——自家用の中にももう千差万別でございまして、ほんとうに業務用その他必要に迫られて使っておるものと、そうでないものとある。したがって、その自家用車の中でどういう部分が必要なものであり、またその一台の車についてどの程度の割合でその必要な仕事に使われ、また全くのレジャーに使われているかこういうふうな使用の実態というものが実はわれわれとしても正確につかんでいないわけでございますけれども、そういうふうな詳細な実態を把握した上でないと、具体的に自家用車であるからといってそれをどの程度に減らしたらいいかとかなんとかいうことは実は正確に数量を出すことがむずかしいわけでございます。
  259. 栗林卓司

    栗林卓司君 そうすると、そういう調査をしないと軽々には言いがたいという御判断と、総理府のほうの都市の自動車交通総量を削減する方向でということをきめてしまっている行き方というのは、多小ニュアンスの差があるということになりますか。
  260. 中村大造

    政府委員中村大造君) 私が申し上げましたのは、いわゆるこれをマクロ的に申しまして非常にむずかしい、こういうわけでございます。  ただ、たとえば大都市、東京というところに例をとってみますと、現在の道路交通の実態というものからいわゆる総量というものがこれでいいのかどうかという判断が出されるなら、またこれは一つの見方でございます。われわれとしても、そういうふうな過密化しておるところについて、一方では公共交通機関の輸送を適正にしまた効率をあげる意味からいいましても、自動車の総量というものが大都市においてはやはり抑制ということについて配慮が払われるべきであるという点については、われわれとしては同感でございます。
  261. 秋山進

    政府委員(秋山進君) ただいま運輸省のほうから答弁がありましたとおりでございまして、私どもといたしましても、全体の目標、具体的な数字というのは現在のところ算定は困難でございますけれども、ある特定の都市あるいは特定の地域において適正な交通量は何かということを検討した上で、いろいろな交通対策を立てていくということは現段階においてはどうしても必要ではないかということで、これは新しい問題でございますけれども、今後、この方向での検討も加えていこうということで施策として取り上げているところでございまして、運輸省と特に意見の違うところはございません。
  262. 栗林卓司

    栗林卓司君 具体的な問題を考え方で議論すると全く隔靴掻痒の感があるのですけれども、大都市と一口に言うのですけれども——じゃこれ運輸省に聞きます。  都心部と周辺部、それを取り巻いている郡部、いまおっしゃった大都市というのはどこまで——大都市というのはいまたまたま総理府のほうでお使いになったわけですから、そちらにお伺いするのが順序かもしれません、どちらでもけっこうですけれども、どういう考え方でこの大都市というものをつかまえておられるわけですか。
  263. 秋山進

    政府委員(秋山進君) 大都市と申しますのは、一応、私どもとして考えておりますのは、東京、大阪、名古屋等のいわゆるブロックセンター的な都市を大都市と考えておりますが、その中でさらに大都市圏全体を考える場合と、それから都市の中心部を考える場合、それから周辺部に対する場合、種々ございます。それぞれの地域の特性に応じてこまかい分析も必要であろうと思いますし、全体としての分析も必要であろうか、こういうふうに考えております。
  264. 中村大造

    政府委員中村大造君) おそらく先生のおっしゃいました意味は、大都市といってもたとえばいわゆる大都市の中心部といいますか、そういうところと、それから大都市の周辺、たとえばそこに団地等が最近造成されておりますとか、そういう周辺地域といいますか、こういうところとはやはり実体的に相違があるんではないか、したがって大都市交通、大都市といってもそういう中心的なところと周辺においてはおのずから考え方に相違があるのではないか、こういう意味で御質問があったんではないかというふうに推察するわけでございますけれども、確かにそのとおりでございまして、特に大都市のいわゆる周辺地域、こういうところについては、これは自動車だけの問題ではございませんけれども、むしろ必要な輸送力というものが総体的にあるいは部分的に不足しておる、こういうところにどのような必要な輸送力をつけるか、こういう問題が現在ある、こういうことはいえるかと思います。
  265. 栗林卓司

    栗林卓司君 いま運輸省のおっしゃったような違いがそれぞれにあるので、それぞれに精査しながら考えなきゃいかんという意味では全くそのとおりなんですけれどもほんとうは精査が済んでないと実は何も対策が打てないのだろうと思うのです。  いまお二人のお答えを伺っていながらちょっと理解しかねる面があったものですから、整理の意味で伺うのですけれども、自動車というもの、これ一台数えたとしても、こういうそのものを問題にするのか、これが動いている状態を問題にされるのか、これは同じようでいて違うわけです。たとえば都市部ではオーバーフローしています、安全対策云々という場合には、この動いている状態をさしておったわけです。もっともとまっている場合について問題がないかといえば、これは駐車場等の問題はもちろんあります。ただ、いままでの議論というのは、動いている状態に対して一というのは、交通そのものの容量なり需要なり、そういったものの観点で多い少ないということが議論されているように理解するのですけれども、そういうことですね。
  266. 秋山進

    政府委員(秋山進君) 現段階では、やはり交通が動いている場合を主として対象に問題を検討してまいっております。
  267. 栗林卓司

    栗林卓司君 そこで、なるべく具体的な例を出しながら伺ったほうがいいと思います。  そうすると、たとえば通勤というのを考えますと、自動車による通勤交通を減らすのが目的なのか、あるいは車は多目的の理由で使用されるわけですけれども、その車の台数そのものを減らすのかというと、自動車の通勤そのものをどうやって抑制するかというように言いかえても間違いないと思いますね。  で、一つの例を申し上げますと、これは東京二十三区を中心にして調べた資料から例を出しますと、何で通勤するのだと聞きますと、通勤に使用している乗用車の二五%、それから通勤に使用しているライトバンの六七%、これは仕事で必要だから持っていく。人の通勤じゃなくて車の通勤なんですね。で警視庁の調査によりますと、通勤先に駐車場がないから自宅に持ち帰らざるを得ない、これが一一・三%。じゃ一体あんた、通勤と業務と両方一緒に使っているのかと言ったら——環七のある交差点で調べたのだそうですけれども、全乗用車の四一%がそうなんですという答えが出てきた。  そうすると、いまこの表から見ますと、たとえば具体的に通勤交通をどうやって減らすかというのは、車の通勤を減らしたほうが手っとり早いかもしれない。都心に駐車場をつくれという議論が出てしかるべきだと思うのですけれども、しかしこれまで理解しているのは、あまり駐車場つくるなということが、どちらかというと自動車の抑制とくっつくような感覚で議論されていたと思うのですけれども、かりにいまの数字考えていくとすると、通勤交通をどうやって減らすかということは、かりに通勤に使っている乗用車二五%、ライトバンの六七%が仕事の面で車が必要だから自宅から持っていくのだという話になると、相当都心部に駐車場をつくらせないと通勤交通は減らないということになると思うのですけれども、こういう点について、たとえば運輸省はどういうぐあいにお感じになりますか。
  268. 中村大造

    政府委員中村大造君) 確かに、一台の車を通勤用と業務用にいわゆる共用して使う、おそらく自家用車というものがそういうかっこうで使われておるというケースが非常に多いのではないか。そこに、いわゆる自家用車なるがゆえに抑制するといっても、なかなか事はそう簡単ではないということがそこから出てくるのだと思うわけでございます。  ただ、たとえば東京に例をとってみますと、これはある一面の数字だけでございますけれども、ここずっとこの十年間ぐらいの二十三区の中のいわゆる輸送人員の推移をずっと見てみますと、もちろん自家用車はここに入っておりませんけれども国鉄やハイヤー、タクシー利用者というのはいわば横ばいのようなかっこうでございまして、私鉄、地下鉄による利用者が非常にふえておる。で従来路面電車がございましたけれども、これが撤去されて、その路面電車に乗っておった人がいわゆるどちらへ転移しているかというと、実は大体地下鉄等に転移している、こういうかっこうでございます。  大都市内の交通ということを考えますと、東京の場合特にでございますけれども、地下鉄あるいは私鉄国鉄のようないわゆる大量の交通機関というものをできる限り整備いたしまして、それにバスを補完的に使う、特殊な利用形態についてはハイヤー、タクシーを活用する、こういうふうなことで都市内への通勤、それから都市の中での経済活動といいますか、事業活動というものもできる限りそういうふうないわゆる公共交通機関を活用していく、こういうことがこれからの行き方としては本筋ではないかということで、やはり限られた道路のスペースというものを考えました場合に、大都市内で自由自在に車が走り回って用を足せるということは、これは理想でございますけれども、しかし現実はやはりそれを許さない状況になっているのではないかというふうに思います。
  269. 栗林卓司

    栗林卓司君 大都市内で自家用自動車が自由自在にということが理想だとはとても思えません。むしろ別な姿だろうと思う。  いまおっしゃったように、なるべく大量公共輸送機関に移ってという部分では、いま申し上げた乗用車二五%、ライトバンの六七%は仕事で要ると言っている、この部分に対して役に立たないんじゃないか、あえて分けて考えればですよ。この部分の対策というのはこういう対策しかない。じゃ、こっち側の、逆算すれば乗用車の七五%、ライトバンの三三%をどうするかといったら、確かにおっしゃるように公共輸送機関に乗り移ってください、こういう政策が当然とられてくると思うんです。そこでバスめ優先走行の問題も含めてやっているんですけれども、じゃ、どのくらいあれをやったことによって乗り移ったか、ほんとうはこの測定をしないと次の手が打てないはずですね。どのくらい乗り移ったのかという調査は、警察庁にお伺いしますけれども、残念ながらないと伺っておりますが、間違いありませんか。
  270. 寺尾繁

    説明員(寺尾繁君) 総体としてどういうふうに移ったかということについては調査はできておりませんですけれども、個々の路線をバス優先レーンをつくったということによってどの程度乗客がふえたかということについての若干の調査はございます。  たとえば東京の玉川通りでございますけれども、これは少ない例でございますが、四万八千四百人から五万二百人にふえた、約三・七%の増加である。あるいは名古屋の十九路線全部ひっくるめてでございますが、一万二千三百人から一万五千人、二千七百人の人員増加になったということでございます。なお大阪の分についてはいま調査中でございます。過去のものもそれぞれございますけれども、いま手元にございませんけれども、そのときどきの調査はやってございます。
  271. 栗林卓司

    栗林卓司君 大切なのは利用者がどのくらいふえたかではなくて、従来Aという交通手段を利用していたのがバス優先通行制度をとったためにこっちに移ってきた、従来どういう手段で通っていましたかという調査をやらなきゃいかぬわけですね。そういう問題意識でお調べになっておりましたか。
  272. 寺尾繁

    説明員(寺尾繁君) 私どもバスヘの転移ということは、大体、自家用車からかわるものだというふうに推定して調査したものでございます。
  273. 栗林卓司

    栗林卓司君 私の暮らしているところでも、バスがとにかくつながってしまいますと歩いたほうが速いんです。近いとしょうがないから歩くんです。すうすう来るようになると乗るんです。ですから、全部が全部、自家用自動車から移ったという想定を立ててはいけないだろうと思うのです。しかし、これも、先ほど来のお話のように、なかなかもって調べるのがたいへんでということになる。それはわかるんです。  そこで、じゃ通勤に自動車をどれくらい使っているかというと、一つ資料を見ますと東京二十三区内、周辺都市部、郡部と分けますと、郡部では約三四%。これは何の目的で車を動かしてますかという単一目的に対して調査をしたんですけれども、三四%の人が通勤に使う。周辺都市部になるとぐっと減って二四%。都心部になると激減して一三%。これはどういうことをいっているかというと、このちょうど逆が大量公共輸送機関の整備状況なんです。ほんとうはこういったものとの見合いで、先ほど運輸省のほうで大量公共輸送機関に乗りかえてくださいという話をされましたけれども、乗りかえてくれというためには、その輸送機関、バスならバス想定していただいてけっこうですけれども、最低どういう条件を備えていなければいけないんだ、そういう点についてはどうお考えですか、運輸省にお聞きします。
  274. 中村大造

    政府委員中村大造君) まず、たとえば大都市の周辺について考えますと、そこに団地の造成が最近はずいぶんございますが、その団地といわゆる鉄道の駅との間の交通機関というものが問題になるんではないかと思います。こういうものについて、たとえばバス輸送を確保する、あるいは終バス延長をするということ、あるいはところによってはタクシー相乗り制度というふうなものもございますが、できる限り、あるまとまった輸送需要のあるところについては公共交通機関を何らかのかっこうで整備する、こういうことでできるだけそれをもよりの大量交通機関の駅のところまで運んでくる、あとはそこから地下鉄あるいは高速鉄道でもって都心に運んでくる、こういうふうなシステムになるんではなかろうかと思います。
  275. 栗林卓司

    栗林卓司君 ちょっと違うんですけれども、いまどういう条件が必要かということを申し上げたのは、たとえば四十六年十二月に臨時総合交通問題閣僚協議会で総合交通体系についてきめましたね。そのときに冒頭でいっているのは、総合交通体系は「各交通機関の競争と」——これはいいですけれども、「個々の利用者の自由な選考を反映して形成することが望ましい。」——この「個々の利用者の自由な選考を反映」させながら大量公共輸送機関に需要を引き込んでくるためにはどういう条件がなければいけないと思いますか、という質問です。  じゃ具体的に例で言いますと、何時から何時まで運行していなければいけないんでしょうか。
  276. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは各都市都市によってやはり非常な相違があると思います。始発・終発、こういうものが全国一律に何時でなければいけないということは、これは一律には申し上げかねると思いますけれども、たとえば東京周辺について考えますと、バスについて午後十一時まではできる限りバスの運行ができるようにということで指導いたしております。二十三時以降になりますと、いわゆる深夜バスという考え方で一応これは現在のいわゆる一般的な賃率でもって運行を確保するということではなく、若干違った考え方で、しかしいわゆるまとまった輸送力を提供するということで深夜バスということを考えておりますけれども、したがって、一般的に言って二十三時というのが一つの目安になるんではないか、こういうふうに思います。
  277. 栗林卓司

    栗林卓司君 これは前、一般質問でも申し上げたんですけれども、交代制勤務労働者の割合平均一二・五%、製造業一六%、運輸通信二三・六%、電気ガス水道熱供給業一二・九%、これはいまあなたがおっしゃった深夜という感じがひっくり返っているわけです。もしおっしゃったように深夜、これはもう夜寝るんだということになったら、ここからここまでの人はバスは利用したくてもできないんです。  御承知のように、日本の場合、都市周辺を含めて深夜の足が何で確保されているかというとタクシーなんです。東京だけでいま四万台近い、こえていますか。これはニューヨークに比べたって目が飛び出るくらい大きいんだけれども、なぜ必要かというと深夜の足がタクシーなんです。ほんとうタクシーというのは輸送機関からすると非常にぜいたくな機関ですから、もっと高い給料でもっと安心して老人を運んでいただけるような環境を整備しなきゃいけないんです。夜の足が全部タクシーになっているから、公共料金だってがっちり不必要に管理されている面があることは御承知のとおりなんです。  いまのはちょっと余談ですけれども、ですから、いまの交代勤務の場合を考えると、これはもうバスは使わなくてもよろしいというぐあいに考えるということですか。
  278. 中村大造

    政府委員中村大造君) バスを使わなくてもよろしいというふうにそこまで割り切って考えておるわけではございませんけれども、しかしバスの輸送力を深夜にわたって、まあ極端なことを言えば二十四時間バスの運行を確保するということは、これは望ましいことでございましょうけれども、しかしこれは鉄道においても私鉄においてもそうでございますけれども、これは経営的に限界がございますので、ある一定の時間で運行を打ち切るということは、これはもうやむを得ないんではないか。  しからばあとの一体輸送はどうするのかということでございますけれども、その場合にはタクシー等の利用、それからそのほかやっぱりマイカーというものの活用ということもこれはやむを得ないというふうに思うわけでございます。
  279. 栗林卓司

    栗林卓司君 では、いままでの議論を整理しますと、業務用に車が必要なんで通勤に使っている人たちは大量公共輸送機関ではこれは代替することはできぬ。それから交代勤務者についても、バスあるいは私鉄等についてその需要にこたえるわけにはいかぬ、これは別だ、こうなりますね。  今度は、では、そのほかの人のことを考えますとどういう希望条件が必要かという点で申し上げるのですが、バスの例をとりますと、バスの停留所というのは何メートル間隔が望ましいと考えておりますか。
  280. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは一がいには申し上げかねますけれども、まあ三百メートルから五百メートル程度が一つの目安ではなかろうかというふうに考えております。
  281. 栗林卓司

    栗林卓司君 これはおそらくこういったところからきていると思うのです。私もよく知っているわけじゃないのですけれども、スウェーデンで調査したのだそうですが、一般的なヨーロッパの道路では、それ以上歩くことは不満である、そう半分以上の人が答えた距離が四百メートルです。ところが商店街がありますとつい魅力に引かれて三割から五割増しぐらい歩いてしまう、四百メートルより。ところが雨が降ってくる、毎秒一ミリメートル以上の雨が降ったり、零下の場合には、四百メートルが半分の二百メートルに落ちる。私は、こういう調査をしながら交通政策を組み立てていくという発想が、先ほど読みました臨時総合交通問題閣僚協議会で「個々の利用者の自由な選考を反映して形成する」ということの中身だと思うのです。  そうなると、いまおっしゃったように三百メートルから五百メートルということになると、そういうこまかいバスストップの間隔を持った路線を、東京の周辺都市部、郡部にまで採算を考えながら——もう深夜はあきらめましたけれども、引くことがほんとうに可能なんでしょうか。
  282. 中村大造

    政府委員中村大造君) これはそういうことが望ましいということと、それからいま目先の問題としてどこまでそれが可能であるかという点については、そこにギャップのあることはいなめないわけでございます。  ただ私どもといたしましては、相当まとまった交通需要が発生する、あるいは現に発生しておる、そういう地域についてはわれわれとしても公共交通機関がそこに設定されるというふうに、できる限り行政指導をしてまいりたいと思います。またそこで輸送を担当いたしております輸送業者といたしましても、当然、そのような点に着目いたしましてそこに輸送力をつけるということになろうかと思います。われわれとしてはそういうことのために、いろいろな補助制度というものも拡充いたしまして、できるだけそういう方向に誘導していく、こういうことを考えておるわけでございます。  ただしかし、それではほんとうに網の目のこまかい輸送網というものがいつ完成されるかということになりますと、これはちょっとここで御即答を申し上げかねるわけでございますが、むしろやはり私ども輸送を担当しております立場から申し上げますと、その周辺地域でいわゆる無秩序にといいますか、無制限にそういうふうな団地開発がされまして、そしてそれにあと追い的に輸送力をつけなければならないということではなくて、団地形成の段階からそういう輸送ということも含めて計画的な形成をしていく、こういうことが望ましい、また現にそういう方向で進められておるというのが状況でございます。
  283. 栗林卓司

    栗林卓司君 いま続けて伺いたいことを逆に局長のほうから言われたのですけれども、という点について、建設省は、おいでになっておると思いますが、現状をどう判断されておいでになるわけですか。
  284. 國塚武平

    政府委員國塚武平君) 交通に関連いたしまして、住宅地、特に大規模な住宅団地におきます交通問題のお尋ねでございますが、ただいまお話ございましたように、都市周辺部の住宅地域からの通勤交通の問題につきましては、基本的には鉄道等の大量輸送機関によるわけでございますので、これらの機関と団地間の輸送の問題がきわめて重要でございますので、この鉄道とバスとをリンクいたしましたできるだけ効率のいい街路網の整備あるいは結節点になります駅前広場の整備というのが重要なことだと考えております。  駅前広場につきましては、すでに都市計画を決定いたしております駐車場の整備、駅前広場の整備につきまして長期計画を立てて、逐次、道路整備五カ年計画の一環として進めておるわけでございます。  なお、住宅地域そのものの中の整備につきましては、ただいま自動車局長からお話しございましたように、やはり街路等の先行的な整備をしていかないと、あと追いになるではないかということでございますので、私どもといたしましては、都市計画法に基づく市街化区域のうち、特に新市街地になるものにつきましては、できるだけ区画整理事業その他の面開発事業を先行的に行ないまして、多面的な整備を進める、これによりまして道路網等の整備を他の地域に先がけて推進するように努力をしている次第でございます。
  285. 栗林卓司

    栗林卓司君 お答えとしてはそうなんだろうと思うんですけれども、交通御三家ということばがありまして——たしかそうだと思います、建設省と運輸省と警察庁、しぼってみたところでこの三つになっちゃう。みんなそれぞれ集まらないと一つのことがきまらないという仕組みが悩みの種なんです。  たとえばたいへんしろうとの質問をしますけれども、あっちこっちに団地ができる、宅地造成がされる、事業所が立地される、そのときに運輸大臣が判こを押さなきゃ、警察庁長官が判こを押さなきゃ、そいつはだめなんだというぐあいに、この流れを変えるというのは、大臣、いかがなものでしょうか。
  286. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) やはり、この輸送体系というのは一元化が望ましいことだと思います。また、そうなくてはならぬと思います。  が、いままでの長い歴史もございますし、またこの御三家のうちの一家は取り締まりをやってもらわなければ、やはり円滑な運営はできませんし、そういうようなことで、それぞれにまた役目があるわけでございますが、望ましいことは、やはりこういうようなものは総合的にだれかが責任者になってそれを運営していくということが望ましいことでございますし、また総合輸送体系におきましても、私どもはそういうつもりで運営をしていくようなつもりで努力をしているわけでございます。
  287. 栗林卓司

    栗林卓司君 もう少し話を続けますけれども、こまかいメッシュで大量輸送機関を組むというのは実際問題なかなかむずかしい。で団地建設等を含めて努力したい気持ちはありながら、なかなかそうはいかないという問題がある。そうすると大量公共輸送機関に依存するを得ない分野はやっぱりマイカーを買うわけです。  私が問題だと思うのは、マイカーを買って、それに対する周辺の環境対策はとにかく全部あと追いになるわけですから、何にもないんです。ほんとうはこの地域については大量公共輸送機関はもうそこまではとっても線が延ばせない、延ばしちゃったらもう赤字なんで、したがってこの地域は住宅をつくるんなら駐車場をつくりなさい、それを建築基準の中に入れなさい、あるいは団地をつくるんだったら、この地域についてはマイカーを使うということを前提にした町づくりをしなさい、ほんとうはこうなってくるとうまいぐあいに合ってくると思う。  通勤交通にしても、おもしろいなあと思うのは、十キロ未満しか車を使わない——二里ちょっとですから、ほんとうに短距離しか通勤交通に使ってないのが、郡部にいくと五七%になります。というのは、もよりの駅まで行って、駐車禁止何するものぞって車を捨てちゃって通ってくるわけですから。しかし、それも住んでいる人たちが大量公共輸送機関を期待し得ないところだったら、その人たちにはやっぱり公的な駐車場が確保される。そのかわり大量輸送機関がある人については、それは別なんだというような、きめのこまかな対策がほんとうは打たれなければいけないんじゃないか。そうなってきますと観念的にいわゆるマイカーとはとか、自家用自動車とはという議論はほんとうは起こらないんじゃないか。  もう一つの例を申し上げますと、自動車を買いものに使う——これはまたぜいたくなという話になるわけですけれども、買いもの交通を見ますと、郡部が五七%、周辺都市部が四四%で、都心部が三三%。これは先ほど申し上げた大量公共輸送機関の整備状態との見合いですから、なるほどわかる気がするんです。  たいへんおもしろかったのは、オイルショックの前後に調べた資料だったものですから、オイルショックによってこの買いもの交通が減ったのかっていうと、ほとんど減ってないんですね。というのは、自動車による買いものというのは相当生活の重要部分に入っちゃっている、こういうことと、いまスーパーを先端にした流通革命というものをくっつけて考えますと、なるほど、これはその分野ではそういうことになっちゃっているわけです。これも大量公共輸送機関の整備ということだけではなかなか解消ができない。  こう考えていきますと、時間がないんで先を急ぐようになりますけれども、これは建設省にお伺いしたいんですが、よく道路整備、道路整備と言うんですけれども、自動車が担当している分野というのは、公的大量輸送機関ではなかなかもうどうしようもないところを結局みんなマイカーでやるわけです。そうすると、道路整備というのは生活道路を第一にすべきであって、高速自動車道なんというのはつくらなくてもいいぐらいじゃないかという気がするんですけれども、いかがでしょうか。
  288. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) 今度の第七次道路整備五カ年計画では、十九兆五千億という非常に大きな数字になっておりますが、その中で、考え方としては、いま先生のおっしゃいますように、生活道路が優先するという思想がそのまま貫かれております。  たとえばそれを数字で申し上げますと、お話に出た高速道路というもののウェートは、その五カ年の約二〇%でございます。この二〇%というのは、全国七千六百キロの高速道路のほかに、たとえば首都高速道路、阪神高速道路という、一応高速道路という名のつくものを全部足した数字でございます。私は首部高速あるいは阪神高速というのは、高速道路という名前はついておりますけれども、これはやはりもう道路密度が少ないということのためにそうかといって新しい道路ができずに、やむを得ず、立体的に使っている信号のない道路ということであって、ほんとうのいわゆる高速道路ではないと思いますけれども、それをひっくるめてもなお二〇%程度であって、残りの八〇%はほとんどがやはり生活道路、いままで車で通れないナショナルミニマムとしての道路、あるいはほんとうに県道であり市町村道でありというのが八〇%ございますので、そうかといって、その高速道路も全然要らないかというと、これまたいろいろな御議論があろうと思いますけれども、やはり過密、過疎の解消とか、あるいは国土の普遍的な利用というようなことを考えますと、ずっと全国どこからでも高速道路を利用できるというネットワークは最終必要でございますので、その程度のものしか今度の計画には入れてないということでございます。
  289. 栗林卓司

    栗林卓司君 よく言われる総合交通体系における各交通機関の分担ということを単純に理解しますと、いまおっしゃったように、全国どこからでも車で来れるような道路を整備しちゃうと、やっぱり使っちゃうわけです。もう国鉄を使ってくれ、あるいは内航船舶を使ってくれということになると、ほんとうは高速道路をつくらないのが一番的確な対策になるわけです。  少ししか使っていませんと言うけれども、やっぱりそれもひっくるめて、生活道路、端末面状交通に対して全額を投入する、で専用自動車高速道路については、これはつくらないことによって結果としてレールに乗せていくのだというほうが的確じゃないんでしょうか。
  290. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ただいまの高速道路の七千六百キロというのは、確かにどこからでも二時間で乗れるということでございますけれども、そのネットワークを離れると、それでは非常に長い距離が利用されるのかというようなことが当然考えられるわけでございますが、実はここにもやはり利用者の選考という問題が入りまして、そういう長距離というものは鉄道なりあるいは船なりということに自然に選考される。  いま、たとえば東名と名神高速道路、東京から大阪まで高速道路約五百キロございますけれども、それの利用状況を見てみますと、八五%が小型の乗用車であり貨物でございますけれども、それの平均走行距離は五十キロでございます。トラックになりますと、残りの十数%がトラックで、これが平均走行距離が百キロ、トレラーになりますと非常にその台数が少なくなり、ウェートとして考える必要もないくらいでありますけれども、これが百五十キロでございます。  したがいまして、そういうような高速道路のネットワークができたからといって、必ずしも三百キロも五百キロも走るような車がどんどんふえるものではなくて、その地域内の、域内を出ない範囲のやはり業務交通である、あるいはそれが生活交通であるというような形での使われ方をするのだろうと思うのです。これが九州まで延びますと、いまの東名、名神より若干あるいは利用の形が伸びることは考えられますけれども、非常に大きな差というものはないだろうというふうに考えております。
  291. 栗林卓司

    栗林卓司君 いま申し上げている理由というのは、品物にしても人にしても、結局は出発点から終点まで行くわけです。途中で大量公共輸送機関が入るというのは、まず乗せかえが入らなければいかぬ。この区間の運行はきわめて不定期だということになると、ここからここまで、おっしゃった短い距離も含めて、運びたいというのは、効率の点だけ考えたら、そうなる。そうなると国鉄の貨物における扱いシェアはどんどんやっぱり下がってくる、特定の品物に限られてくる。  しかし乗せかえていくのだ、正直な点問題があるのだということになると、トラックの多少中距離輸送についても不便を忍ばせながらこっちに移していくということをしなければいけません。極端に言ったら、ああいう高速道路を引っぱったって、途中でせきとめちゃったっていいのかもしらぬということも考えていくのかいかないのか。そこのところが政府として一貫した方向考えられておりますとたいへんものわかりがいいのですけれども、片方ではやっぱり自動車の大量輸送への活用面が拡大する施策があるかと思うと、片方ではどうもなかなかそうではないらしい。この辺、何とか、せっかく大臣のほうで交通整理をお願いしたいと思うのです。  時間がありません。ほんとうはいろいろ伺いたかったのですけれども、最後に一点だけでやめますけれども、最初総理府の方にお伺いしたように、自動車の台数じゃなくて交通に対してどう管理するのか、それをどうやって抑制するのだということで、まず確認しながら伺ってきました。通勤交通については、業務上使っている部分は別な対策になります、あるいは交代勤務の場合も別な対策になります。そう考えていくと、画一的にそれは大量公共輸送機関でということにはなりませんということを申し上げたわけです。  今度、物流ということで考えますと、東京都内を必死に走り回っている車というのは全部東京都にとってだけ必要な物流であり交通需要である、こう考えてみると、これもよく出る議論ですけれども、大体都心にあんなに事務所を置いておいて事務所に関連して業務通行が増大するのはあたりまえじゃないか、早く事務所を外に出すような施策を打つべきだという議論もされますし、倉庫はどうかといいますと、これもある資料ですけれども、東京都心五区、千代田、中央、台東、隅田、江東、この都心五区だけで見ますと、卸売り業の五七%はここに集まっているのだそうですね。倉庫は面積で見ると七八%、工場数では二二%、トラックターミナルが五二%、これが何と都心五区に集まっている。どうするかというと、そこに運び込まれた鮮魚の四三%は全部出ていく。青物についていえばどうかというと二四%が出ていく。  この辺をどうさばくかということを同時並行的に考えないと、たまたまいまの安全施設、交通容量からいってやっぱり自動車交通総量の削減ですといってみても、ほんとうに作文になってしまう。この辺どうするか、また大臣にもお考えいただきたいと思うのですけれども、せっかく首都圏整備委員会においでいただいておりますので、かねがね答申が出ながら、事務所の立地規制問題についてなぜ今日まで遅延し国会提案に至らないのか、状況だけお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  292. 山東良文

    説明員(山東良文君) 確かにおっしゃいますように、交通対策といたしましては、その発生源である事業所、事務所を適正に配置しなければいけないということは当然のことであろうと思います。  それで昭和四十七年の六月に、首都圏整備審議会のほうから事務所立地の規制について答申が出ておるわけでございますけれども、それ以後、私たちいろいろと検討をしております。それで検討しておって、なぜいまの段階になってもなおかつ立法措置が講じられないかという点でございますけれども、この点につきましては、正直言いまして、かなりこの問題自体につきましては、答申自体を具体化していく場合におきましていろいろと問題点がございます。  それで一つ、二つ申し上げますと、まず第一には、答申の目的でございますけれども、事務所の規制というものは、人口、産業集中の抑制に役立たなければいけないというようなことから出てきておるわけでございますが、しかしどうもいろいろと読んでまいりますと、たとえば都心地区についてだけ事務所を許可制にするとか、あるいはせいぜい東京都の二十三区、武蔵野、三鷹といったようなところに対しましてだけ賦課金をかけるとかいうようなことで、いま問題になっております首都圏域、東京圏域は非常に現在広くなっておりまして、五十キロ地帯もすでにもういま都市化しておるということでございますけれども、この人口集中の抑制にはたして役立つかどうかというようなこともあるわけであります。  それからもう一つは、器だけの規制だけでもってはたして効果があるかどうかというような面がございまして、これもたとえばでございますけれども、この答申の中には、いろいろと都心になければならないものについてはやむを得ない、しかし都心にある必要のないものは外に出せというような意味で、選別をやることを前提にしておるようでありますけれども、現実の問題といたしまして、どういう事務所がはたして都心に必要なものであり、どういう事務所が不必要なものであるかとか、これは一例でございますけれども、いろいろとそういう点でも問題があるわけでございまして、その辺のところをいろいろと詰めてまいりたい。  それで、ただ将来の問題といたしましては、これは工場の場合のように規制だけではなくて、やはり誘導先というようなものをちゃんと設けていかなければいけないというようなこともございますので、まず第一にはやはり誘導先として現在の東京の周辺、たとえば大宮とか千葉とか、あるいは横浜、川崎とかいったようなあたりのところにつきまして、はたしてそこまでの誘導ができるかどうかというようなこともいろいろ検討し、それからまた業界のほうからもヒヤリングをやっておるというようなことであります。  それから、さらにまた答申の中で提案されております、許可制以外にも賦課金をかけるというようなそういうことも出ておりまして、これも具体的に技術的に可能な範囲というようなものをできるだけ詰めていきたいというようなことでございまして、首都圏整備委員会といたしましては、やはり全体の大都市への人口、産業の集中抑制、それからまた都市内におきまする、先生いま言われましたような交通体系をちゃんと整備していくというようなことのために、この対策をも含めまして全体としての抑制策を検討してまいりたい、そう思っております。
  293. 栗林卓司

    栗林卓司君 意見だけ申し上げておきますけれども、確かにこれらがむずかしいのはよくわかる。英国で一つの実験例がありますけれども、必ずしも成功したわけじゃない。だから、いろいろ試行錯誤しなければいかぬというのはわかるのですけれども、そうやって思い悩んでいるうちにどんどん建ってしまうのですよ、でっかい事務所が。だから、それだけでもとめないと、これは収拾つかなくなってしまう。  ですから、御担当それぞれの事情がもちろんあるのでしょうから、たいへんだというのはよくわかりますけれども、たいへんだで済まさないで、昨今は法律の裏づけがあろうとなかろうと行政指導をおっかぶせる世の中ですから、ある意味ではいいチャンスなんですね。がばっとやって絶対つくらせない、つくったって入れさせないというぐらいの大胆なことをしないと処置なしじゃないかと思いますので、ぜひがんばっていただきたいと申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  294. 須原昭二

    須原昭二君 きょう、私は、新幹線公害についてすでに国鉄に対して訴訟が起きておりますが、この問題の内容についてはあまり触れない。  ただ、この間、二月の十五日、私は新幹線沿線の病人救済対策に関する質問主意書を提出いたしました。これについては政府から二月二十二日御回答をいただきました。この内容について若干疑義をただしてまいりたい、かように思います。  まず、新幹線公害についてでございますが、新幹線に乗っている分には快適そのものであります。看過できないことは、その陰で実は多くの当該住民の人たちの生活を犠牲にしていることであって、訴訟の内容についても、訴状を読んでまいりますと、騒音は、圧迫感を伴い、地震を思わせる振動とともに突然たたきつけるように襲ってくるので原告らに苦痛をこえた恐怖を与えている、こういっております。  実は、私も名古屋の出身でありますから、この新幹線公害訴訟の地いわゆる名古屋は私の地元です。したがって、その当該の被害地域を訪れて、たったわずか半日ではありましたが、実はゼロメートル地帯の友人の家で実情をみずから体験をしてみました。ごうっと地鳴りがするような音が聞こえて、二、三秒たちますとががっどしんと、実はまるで地震のような状態であります。百ホンの騒音、毎秒三ミリないし五ミリのこの振動がどんなものか、これは体験してみなければわからないと思います。実に私には震度三の地震を思わせるような感じがします。しかも、それは上下線ともに通算いたしますと五分おきごとにやってくるわけです。私はわずかたった半日の体験ではございますが、勉強のために行ったわけです。原告ら被害住民の人たちにとってはそれが生活なのです。しかもそれも十年もその生活は続いていることであります。  この住民が、十年も放置されてもう黙っておれない、繁雑な裁判やばく大な費用を顧みず、あえて訴訟に踏み切ったその気持ちは、実は聞くところによりますと一千五百万ぐらいの裁判費用がかかるということではございますが、この費用もまたたく間に被害住民が持ち寄ったその熱情——過日、衆議院におきまして干草恒男さんですか、参考人が述べられた、もう忍耐の限界にきたんだと、こういうことばがすべてを私は表現しているのではないかと実は思います。  そこでひとつ、私も地元の皆さんもそう思っておられますが、運輸大臣なかなか庶民的でございますから、一度現地を視察せられて現実をみずからやっぱり体験をされる必要があるのではないかと思うんですが、非常にお忙しいところでございますが、一ぺんお出かけになる気持ちはございませんか、まず冒頭にお伺いいたしておきたいと思います。
  295. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私、名古屋まで出かける出かけぬはまたいろいろ、またひまもございますし、いろいろ考え、また時期を見てとも思いますが、私はどういうものであるかということは、実は新幹線の横浜にもございますし、それからこちらでもございますから、行ってみたんです。ほんとうになかなかひどいもんでございます。  でございますから、確かに新幹線をつくるときには非常な便利な乗りものだというのでたくさんの金とあれをかけてやったわけでございますが、公害等につきましては手おくれであったことはもういなめない事実でございます。新幹線ばかりじゃなくて普通の貨物列車でも相当なものでございますから、その苦痛というものは私にはよくわかります。したがいまして国鉄に対しましても早急にその対策を現実の問題として取り除いていく、この努力をしてもらうようにいま実は国鉄を叱咤激励しているところでございまして、この裁判とか何とかいうものとは別に、行政の面では誠心誠意この問題の解決に当たっていかなければならぬと思っております。
  296. 須原昭二

    須原昭二君 裁判とは別に、運輸大臣もひとつ問題の焦点になっております名古屋へ一ぺんお出かけをいただきたい、これは要望しておきます。  そこで去る二月の十五日、私は国会法七十四条の規定に基づいて実は質問書を提出いたしたんですが、この質問書と答弁の内容について、関連について実は質問を申し上げたいと思うわけです。  まずその答弁書の「一、について」でありますが、「昭和四十八年六月十七日日本国有鉄道新幹線総局環境管理室職員と名古屋新幹線公害対策同盟会世話人数名とが新幹線沿線の病人の救済対策について協議し、」云々とありますが、実は後日のために事実確認の意味においてひとつ確認をしておきたいと思います。  「世話人数名」とありますが、これはあたかも任意のような人たちが集まって協議したようにとられますが、正式には対策同盟を代表する世話人が少なくとも十数人参加しておったと私は思います。そうではなかったかということです。いま一つは「新幹線総局環境管理室職員」云々としるされておりますが、これはだれをさしておられるのか、これは簡単にひとつ御答弁をいただきたい。
  297. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 人数につきましては「数名」というふうに御回答申し上げましたけれども、幹事さんがもし相当あれば、その幹事さん全部というふうにわれわれのほうとしては解釈をしております。  それから国鉄の職員でございますが、これは新幹線総局の環境管理室長ほかというふうにわれわれのほうとしては考えております。
  298. 須原昭二

    須原昭二君 実は、「数名」とあるのは数十名の間違いではないかと思います。やはりこれは記録を当事者の皆さんはきちんととっておいていただかなきゃいけないと思います。  それからもう一つ、室長以下云々と言われますが、実は室長は出ておらないはずです。これは谷田部室長補佐が出ているわけで、その点は間違いでしょう。
  299. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 事実問題としては、谷田部室長補佐が権限を委任されて出ております。
  300. 須原昭二

    須原昭二君 そういたしますと、谷田部さんは実は室長といいますか、日本国有鉄道新幹線総局を代表していると解釈をしてもよろしいですか。
  301. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) そのとおりでございます。
  302. 須原昭二

    須原昭二君 そういたしますと、四項目の合意事項については国鉄は責任を持っておる、こういう意味に再確認してもよろしいですか。
  303. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) そのとおりでございます。
  304. 須原昭二

    須原昭二君 これは国鉄とのやりとりでございますが、実は運輸省にお尋ねをいたしますが、政府もまたこの四項目の合意事項をただ知っておるという段階ではなくして、責任をもって対処するという御見解ですか、この点を明確にしていただきたい。
  305. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) この問題につきましては、ただいま国鉄のほうから答弁いたしましたように、国鉄が地元におきましていろいろと御協議申し上げたのでございます。したがいまして国鉄が第一次的にはもちろんいたすことでございますが、運輸省としましても十分この答弁書の趣旨に即しまして事を処してまいりたいと考えております。
  306. 須原昭二

    須原昭二君 そういたしますと、政府もまたただ知っておるという、了解をしているということだけではなくして、責任をもって対処される、こう理解いたしたいと思います。  そこで、この文章を読んでまいりますと「新幹線列車の走行と病気の発生若しくは病状の悪化との間に相当因果関係がある場合には、」こう書いてあります。合意を見た新幹線沿線の病人対策については、まず「一、」として(救済対象区域)ということになっておるわけですが、その中に「新幹線の騒音、振動により病気になった人もしくは、安静療養ができない病人の居住地域。」云々、こういうことを合意を見ております。  安静療養できない病人については、因果関係がたとえあるなしにかかわらず、実は対象にすでになっておるのではないか、こういうように私は理解をいたしますが、どうでしょう。
  307. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 了解事項といたしまして、八十ホン以上にこだわらないということで了解事項としてお話をしております。
  308. 須原昭二

    須原昭二君 ちょっと私の質問を理解をされておらないと思いますが、「新幹線沿線の病人救済対策について」という四項目の確認事項、その第一が(救済対策区域)、この区域はどこなのか。「新幹線の騒音、振動により病気になった人もしくは、安静療養ができない病人の居住地域。」——「安静療養ができない病人の居住地域。」と実は書いてあるわけです。ホンとか、八十ホンだとか、八十ホン台だとか何だとかいうことは、実は文句の中に入ってないわけです。振動によって、騒音によって病気になった人だけではなくして、安静療養できない病人も入っているじゃないかということを確認したいのです。明確にしていただきたい。
  309. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) 私どものほうの議事録及び了解事項によりますと、当時の模様は区域をどうするかについていろいろ議論がございまして、私どものほうは八十ホンという主張をした次第でございます。そのやりとりの中で八十ホンが絶対的なものかというやりとりがございまして、例外的には八十ホンに満たない場合等でも処置することがあり得るであろうという了解に基づきまして、この四項目の確認事項がなされておる、このように理解をいたしておりまして、「安静療養ができない病人の居住地域。」という表現もその一環として私どもは理解をしております。
  310. 須原昭二

    須原昭二君 私がお尋ねしたいことは、振動やあるいは騒音によって病気になった人、これは因果関係がはっきりしなければわからないでしょう、この点わかる。しかし、ほかの病気になって安静療養ができない人もいるんですから、そういう人も当該救済の対象になるかということを聞いているわけです。
  311. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) ただいまの先生の御発言の中でお答えいたしますと、まず病気の種類でございますとかその他ございますけれども、これはあくまでも騒音、振動の関係あることが前提になっておりまして、この関係のない病気につきましては対象としないということで地元も御了解をいただいておるものと私ども考えております。
  312. 須原昭二

    須原昭二君 その点は、私、これは一つ問題点が残ると思うんですが、実は、新幹線によっての騒音、振動によって病気になった人、それも一つでしょう。それは当然のことです。しかし、いま一つは、病気になって安静療養しなきゃならない人たちは振動あるいはまた騒音によって大きに病状が変化を来たすわけですから、当然この安静療養できない病人も私は対象に入るものである、こう理解をしておったのですが、それは違うのですか。
  313. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) 先ほどお答え申し上げたように、病状の変化が騒音、振動に密接な関係のある場合ということで、これを裏返しをいたしますと、やはり因果関係相当あるという場合に限定をするというふうに私どもは解釈をいたしております。
  314. 須原昭二

    須原昭二君 そういう答弁が出てくるであろうと予期をして、実は私も若干医学、薬学に関係がございますから申し上げておきたいと思うんです。  この点については今後問題になるところと思いますから、答弁は必要はございません。ただし、御認識をいただいておきたいと思うわけです。  ここに実は「私は赤ちゃん」という、松田道雄さん、有名な方の岩波新書から出ている本です。この一ページを開きますと−この本は、そもそもいまから十年前でしたか、市川崑監督が映画化した有名な本なんです。その第一章に「産院」という項目がありますが、「産院……やかましいのが一ばんきらい」と書いてあるわけです。産院でドアをあけ締めする、その看護婦さんが手荒いことをするだけでも赤ちゃんそのものというのは非常に発育不良になっていくんだということを表現しておるわけです。  このように、たとえ新幹線によって騒音あるいは振動によって病気になろうがなるまいが、病気そのものに対して安静が必要であるということは、もうこれは医学の常識なんですよ。こういう関連をどう処理をするか。当然、私たちは、安静療養を、どのような病気であろうとも、そこに居住権がある以上、やはりこれは当該の中に入れていくべきであると実は思っております。その点はひとつ入れるべきであるということを要望申し上げておきたいと思います。  そこで、答弁書の第二の問題点について続けてお尋ねをいたしておきたいと思うわけです。  第二の項目についてでありますが、答弁書の「二、について」であります。「国鉄は、騒音、振動と疾病との因果関係を明らかにすることは難しい問題であるので、中立公正な専門家による新幹線騒音等に関する医療委員会(仮称)によって判定すべく鋭意その準備を進めているところである。」こう述べておられるわけでありますが、現地で四項目の合意事項がお互いに確認されたのは昨年の六月十七日であります。それから私がこのことについて質問主意書を提出して政府から回答が来たのがことしの二月二十二日です。その間実に八カ月間にわたって時間が経過をいたしております。しかも医療委員会は三月中旬を目途に設置する、こういうふうに実はいわれております。  私の質問がうがった見方をするようで恐縮でありますが、私の質問で急遽取りあわてて実はこうした医療委員会を設置しようという決意に入られたのではないかと思うんですけれども、いずれにいたしましても、なぜ八カ月間も放置しておったのか、この点について、ひとつ明確な御答弁をいただきたいと思います。
  315. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) いま御指摘のように、この確認がなされたのは六月十七日でございますが、その後、私どもの中のいろいろの議論を重ねまして、具体的に委員におなりいただく先生方と下交渉を始めたのが秋の時点でございます。それで年末から正月にかけまして、いろいろお断わりを受けましたり、あるいは御内意をいただきましたり、いろいろやりまして、ほぼ固まった時点で実は先生から質問書をちょうだいしたわけでございます。先生御承知のように、半月ぐらいで処置できる問題ではございませんので、御了解いただけたら幸いと思います。
  316. 須原昭二

    須原昭二君 どうも私はいまの答弁は信頼できないんですよ。学者の皆さんからも話は聞いています。最近のことではないですか、委嘱をしたということは。  特に四十八年六月十七日以前に発病し、しかも療養が終わった者の取り扱いについては、実はこの合意事項の中で、この場で確認できないということで後日に回されております。しかも、この問題については、谷田部補佐はそれは一カ月後までに回答するということを答弁しているんです。しかも一カ月を経過してももちろん回答はありません。私の答弁書が出てきて初めて明確になったわけです。この保留になった分ですら一カ月後に必ず回答すると言っておきながら実は回答してないんです。学者に委嘱をしたのも最近じゃないですか。この点を明確にしていただきたいと思います。
  317. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) 重ねてお答え申し上げますが、委員におなりいただく先生方と交渉いたしましたのは昨年の秋からでございます。これは間違いございません。  それから、お答えすべき点がおくれた点、これはいろいろ事情がございまして、言いわけがましくなりますが、一カ月後というはっきりした約束がなされたかどうかはやや議事録では不分明な点がございました。その点はまた確認をさしていただきますが、いずれにいたしましても、おくれた点についてはおわびを申し上げたい、かように存じております。
  318. 須原昭二

    須原昭二君 ただおわびだけではいけないのですよ。そういうことをやっているからますますもう訴訟でやらなければならないという気持ちに追い込んでいってしまった、これは国鉄の責任だと私は思います。  なお、今日に至るまで、合意事項に基づいて救済の受付をせよと言っておきながら、実は十一名の人々が新幹線総局名古屋保線所環境管理課を通じて文書で救済申請をいたしております。これについてはいずれもナシのつぶてです。これが住民に対する誠意であるか。私は、そういうところに大きなやはり国鉄の官僚的なそういう意識があるのではないか、私は特に指摘をしておかなければならないと思います。  特に因果関係のむずかしい問題ということは私もわかります。せめて、そのいかんは別として、申請が出てきたら、どうされましたかという事情聴取ぐらいはやっぱりやるべきがほんとうに誠意のある取り扱いではないでしょうか。せめてことばだけでもけっこうですよ。そういうものを全然やっておらないから、実は私も聞いておりますが、名古屋の中川区の八島町というところに竹内綱男さんという老人がお見えになります、御存じだと思いますが。たくさんの陳情なんかをどんどん書類で送っているはずです。これでも何にも回答がないから、おれ一人でも裁判をしてみせる、最後には、竹ざおであの新幹線一緒に心中してやろう、こういうところまでせっぱ詰まった思いにかり立てているのが少なくともあなたたちの冷淡な取り扱いだと私は思わざるを得ない。  運輸大臣、これほど住民をばかにした冷淡な取り扱いというのは私はないと思います。八カ月もナシのつぶてですよ。少なくとも事情聴取ぐらいあって私はしかるべきじゃないか。事情聴取というと何かむずかしいようですけれども、こういう申請が来ましたけれどもどういう御事情ですかぐらいのあたたかいことばぐらいひとつ私はあってしかるべきではないかと思うのですが、あまりにも私は無責任であり、あまりにも無神経である、こう思いますが、運輸大臣のひとつ所見を承っておきたいと思います。
  319. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) この種の問題は、ひとり名古屋のこういう問題ばかりではなくて、大阪の騒音の問題にいたしましても、そのほか類似の問題があると思います。その場合に、一番やっぱりり大切なことは、悪かったのは悪かったでしかたないんですから、やっぱり裸で飛び込んでいって誠意を披瀝して、できるだけのことはいたしますと——で島ことまで約束してくるといろいろ問題が起こりますから、できるだけのことはひとつやりますということで、やはり誠意を届けなければならぬと思います、まず。そういうようなものが届かぬ間に、不信に不信を重ねて、いろんな問題がこじれてきて、にっちもさっちも動かぬようになるというのがえてこういう問題にありがちなことでございまして、私は、裸になってやはり誠意を届けてまいらなければならないと思います。  おくれるにはおくれた理由があるだろうと思うんです。しかし、それは行って、こういう理由でまことに申しわけないからということを言えば、たたき殺される心配は、人を殺すようなことはありませんから、それだから、そのぐらいの覚悟をきめてこういう問題には私は対処していかなければならぬのじゃないか、こう思います。
  320. 須原昭二

    須原昭二君 さすがにやはり私も庶民的だと思っている大臣だけあって、ことばの上だけは一応了承いたします。そういう行動をひとつとらせるように運輸大臣から御指摘をいただきたいと思うのです。これは要望しておきましょう。後ほど関連がございますから、これは要望しておきます。  医療委員会の設置についてでありますが、三月中旬を目途にされる、こういうことをいわれております。すでに四月はもうきょう八日ですか、したがって中旬を目途に設けるということでありますが、月も変わってしまったことありますから、もう設置されておるものであろうと実は推察をいたします。  そこで「中立公正」とは何を意味するのか、構成メンバーはどういうメンバーになっておるのか、この点をまずお尋ねをしておきましょう。
  321. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) 御依頼申し上げました委員の諸先生方、これは私ども実はしろうとで、先生のほうが御専門と存じますけれども、各科を代表をされるような方々に御依頼申し上げておりまして、いま御質問のございましたお名前につきましては、実は御承諾の正式の書面、これが十人中八人はいただいておりますけれども、まだお二人いただいておらないものでございますから、お名前を申し上げることは遠慮さしていただきたい、かように考えております。
  322. 須原昭二

    須原昭二君 そうすると約束違うじゃないですか、三月中旬を目途に設けると、少なくとも三月中旬という時間を切った以上は、それに対して努力をすべきですよ。いまは四月八日ですよ、中旬といえば三月二十日までですよ、もう半月もおくれているじゃないですか。
  323. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) 私の答弁で漏らしましてたいへん恐縮でございますが、部内手続は三月中に完了いたしました。御指摘のように、御返事の正式にいただけるのがおくれておりまして、そういう意味ではややおくれておるということでございます。
  324. 須原昭二

    須原昭二君 じゃ十名のうちの八名はもう承諾をいただいておるというならば、発表されても何も支障はないのじゃないですか。
  325. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) 先ほど御答弁申し上げましたように、全先生方おそろいになられてから発表さしていただきたい、かように思っております。
  326. 須原昭二

    須原昭二君 ばかなこと言っとってだめですよ。そういうのが「中立公正」なんですか。私は「中立公正」というのは第三者機関でなくちゃならぬということですよ。国鉄の内部、国鉄だけで考えて、こういう人を委嘱するというようなものの考え方は、もはや「中立公正」を欠いています。そうじゃないですか。少なくとも私は、国鉄がそういう指名をすれば、国鉄の都合の悪い、逆に言えば被害住民に対して有利な認定をするようなことは望めないと私は実は思うのです。これは「中立公正」ではございませんよ。  少なくとも、私は、地方住民の皆さん、あるいは地方自治体、あるいはほんとうにこの現地を調べておるところの学者の皆さん、たとえば名古屋の公衆衛生教室の中川武夫さんという学者がお見えになりますが、毎日のように新幹線実態を調査されております。こういう学者を第三者的に認定をするということが私は必要じゃないかと思うのです。国鉄が委嘱をするしかたもいいでしょう、そうしたら地元の皆さんからも一緒に入れて、そうしてやるというような中立性を保つ、こういうことが私は必要だと思うのですが、これと同時に、三月中旬までにやるということになっているにもかかわらず、まだきまっておらないというのはまさに怠慢と言わざるを得ません。どうですか。
  327. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) お答え申し上げます。  この委員会の性格でございますが、これは私ども専門的な知識が不足でございますので、そういう意味で部外の権威のある先生にお知恵を拝借いたしまして、その出た結論につきましては国鉄の責任で対処をするという考え方でございます。
  328. 須原昭二

    須原昭二君 全くこれは設置の約束からいってもおかしいし、そうして「中立公正」を標榜しておりながら、実はその実態がそうではない。私はこの際十名の中の八名は公表していただきたい、後ほどまででけっこうです、要求しておきます。  それからもう一つは、どんな基準で因果関係を判定しようとするかということです。特に国は大阪空港の裁判でも騒音と病気との因果関係を否定いたしておる。委員会で、だれが、どのような基準に基づいてこの因果関係を判定するのかが非常に大きな問題点です。  国がもう騒音と病気との因果関係において否定しているんですよ。現代の近代医学でも騒音や振動と病気との因果関係というものは実は立証でき得ないのが今日の状態なんです。それをあたかもできるような印象をまき散らしてここで論議を起こそうというのは、まさに私に言わしめるならば、無益の医学論争を続けていくということなんです。こういう一まつの何か清涼飲料水的に頭をなぜるような表現はこの際やめてもらいたい。  私は、この際、この因果関係の問題について特に主張いたしておきたいと思うんですけれども国鉄のいう立証が、実はいまだ不可能な自然的な因果関係でなく、すなわち、その沿線住民が他の住宅地域の住民に比べて病気にかかりやすい率だとか、あるいはそのかかる率が高くなるとか、あるいはなおりにくいとか、あるいはまた死ぬ場合さえあるというような事実のもとに、いわゆる疫学的に因果関係を認めるべきだ、そういう段階でなければ、今日の医学の段階においては、このような自然的な因果関係を導き出そうと思ったって全世界でまだ前例がないのです。前例がないようなことをあたかもやれるがごとき印象を与えて答弁書を出してくるというのは、まさに私は大衆を愚弄するもはなはだしいと言わざるを得ません。この点についての御見解をいただきたい。  時間の関係がございますから、さらに委員会の今後のスケジュール——十名きめたけれども八人だ、あと二名ちょっともまだ連絡がない、だから発足ができないという口実がつくかもわかりませんが、この医療委員会というものは、いつまでにつくって、そしていつまでにどういう基準に基づいて審議をして結論を出すのか、そして具体的に手だてをするのはいつごろなのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  329. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) 後段の御質問に先にお答え申し上げますが、実を申しますと、二名の先生方も書面が発送されたことは確認をいたしております。
  330. 須原昭二

    須原昭二君 いつ発送したの、じゃ秋か、去年の秋だと言ったじゃないか、うそ言っちゃだめだよ。
  331. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) 失礼しました。二名の先生の回答が未着でございますけれども、第一回の会合予定は、実は、二十日過ぎに予定をいたしております。第一回の会合でございます。準備を進めております。
  332. 須原昭二

    須原昭二君 答弁になってないじゃないですか。あなたは昨年の秋ごろにはこの問題をやったと言っている。今日まで——四月ですよ、秋だったらもう六カ月たってんだよ。通知を出して回答しなかったら、まだ黙ってほっかっておくのか、うそ言ったらだめじゃないか、うそ言うな。
  333. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) 私のお答えのしかたが悪かったのかもしれませんけれども、秋と申し上げましたのは、交渉を始めた時点でございまして、御内意をいただいたのが一月でございます。それで正式の依頼書を発送いたしましたのが三月でございます。それで、そのうち八名が正式の承諾書、これは御本人ではございませんで、公立の場合には学部長さんの御承諾書その他をいただいております。その正式のお答えがまだ二名いただいておらない——
  334. 須原昭二

    須原昭二君 四カ月も待っているのか、そんなら。
  335. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) ということでお答えをしたわけでございます。
  336. 須原昭二

    須原昭二君 運輸大臣、このようなことですよ、これ聞いていただいてもわかりますでしょう。秋に設置をすることをきめて、そして一月に出して、四カ月もたったのに、まだ二人回答がこないから開けないというようなこんな怠慢がありますか。  私が聞いているのは、私が質問書を出してから医療委員会をつくることにして、それから学者の皆さんに通知をしたというように私は聞いております。この点は明らかにしてください。  そして因果関係の問題についてもその手だて、これから委員会をどうやって運営するのか、どういう基準に基づいてやるのか、いつごろまでに結論を出すのか、そして具体的に手だてをいつまでにするのか、この点を明らかにしてください。
  337. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) 実は因果関係の判定につきましては、お集まりを願いましてから御審議をいただこうということでやっております。
  338. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘のように、何か、やはりなかなかむずかしい問題でございますから、お引き受けいただくのにもいろいろやっぱり御覚悟なりいろんな問題があろうとは思いますけれども、それにしても文書を出しっ切りで、どうもその返事がきませんというようなことではなくって、現場においても、ぜひお引き受けいただいて、事実こういうふうにして八名の方はお引き受けいただいているが、しかも日々現状においては苦しんでおられる方もあるんだから、何とかひとつ御協力をいただきたいというぐらいの、足を運んだごあいさつ等は私は当然やってもいいと思います。今後、そういうことに手抜かりのないように、この場で国鉄に指示をいたしておく次第でございます。
  339. 須原昭二

    須原昭二君 全くけしからぬ話ですよ。大臣からもひとつ適切な指導を要請しておきます。  それから答弁書の三から四についての問題点です。  この救済申請をせよといってから実は八カ月を経過しているわけです。その間何の音さたもなし。私の質問が出て初めてこれらの医療委員会をこれからつくる、そしていま人選をしておるというようなことで、全くけしからぬことであります。その間実は申請者が十一名出ているわけです。その中の一人水野よしさんはなくなられてしまっているわけです。その問題を私は指摘をいたしました。国鉄は一言のこれまた見舞いのことばすら実は出しておりません。八カ月も事情聴取をせずに待たしておいて、この世を去られた水野さんの霊に対して少なくても国鉄は道義的にも人道的にいっても遺憾の表示があって私はしかるべきだと思う。全く私は国鉄は怠慢もはなはだしいと言わなければなりません。遺憾の意思があったら、この際、この席上を通じて遺憾の表示をしたらどうですか。
  340. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 地元の皆さんに非常に御迷惑をおかけしていることにつきましては深くおわびをいたします。  ただ、先生もおっしゃられましたように、われわれとしては、これは純粋の医学的な問題でございまして、それの因果関係につきましては非常に判定がむずかしいと、先生もおっしゃられるように。われわれとしてもこの問題につきましてはわからないわけでございます。したがって、そういうものにつきましては、今後先生のおっしゃられるとおり、そのかかったお医者さん等の診察した結果、それらを参考にいたしまして、そういうものを今後処置してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  341. 須原昭二

    須原昭二君 もっとけしからぬことはね、これは大臣よく聞いておっていただきたいと思うんです。なくなられた水野よしさんについても、実は因果関係の判定が技術的に困難であると思われるけれども、これも判定の「結果いかんによつて善処する」と書いてある。  普通でも医学的に立証できないで、立証がむずかしいといわれている今日、少なくともなくなられて荼毘に付されてしまって、いま検体すらないというのに科学的に因果関係を認定することができますか。それをあたかもできるがごとき印象を与えて「判定結果いかんによって善処する」、これこそ冷淡な口上であると言わざるを得ないんです。あまりにもその場限り、その場逃避の責任のない回答書であると言わなければならないと思うんですが、この点は、回答書を出されたのは政府でございますから、運輸大臣から所見を承っておきたいと思います。
  342. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私も非常にむずかしい専門的な問題でございまして、いまはたしてこの因果関係というものが専門的な討議あるいは解明によって判明するかどうかということは、私実は判定するだけの知識を持っておりますんが、まあいずれにいたしましても、こういうふうに多くの方に御迷惑をかけておるわけでございまして、一日も早くこういう問題に対処できるようなまず委員会をつくり上げる、その委員会の運営もいつまでも議論しているんじゃなくて、できる限りのすみやかな対処をしていただく。なお環境庁のこの間騒音対策等についての意見等も拝承しておったわけでございますが、環境庁においてもいろいろこれらの問題について勉強もし、また研究もしておるようでございますから、私どもといたしましては、そういう因果関係を明確にする努力をすると同時に、そればかりを追及することじゃなくって、いまの時点においてどういうふうに苦悩を軽減していくかという行政的な力をその面に注いでいくことを並行してより重要にやっていかなきゃならぬというふうに考えておる次第でございます。  いま御意見は一々ごもっともでございまして、いままでに手抜かりの点等もあったろうと思いますが、今後はそういう問題についてさらに一段の努力をしてまいるつもりでございます。
  343. 須原昭二

    須原昭二君 非常に時間に追われておりますから、ほんとうにもっと微に入り細にわたって御質問いたしたいんですが、まことに残念です、次にいかざるを得ません。  答弁書の五について、「当面医療費の実費の負担に応ずる意向である。」こう述べております。四項目の確認事項の三に「(救済内容)」として「四十八年六月十七日現在より将来にわたって転地療養を含む」——転地療養も含むと書いてありますよ。「転地療養を含む医療費の実費を負担する。」こういっておきながら、当面医療費だけで済まそうとするのか。これは約束に反しているじゃないですか。  しかも、時間がございませんから次へまいりますが、これは答弁をいただきたいと思うんですが、これと同時に、医療費の実費だけとありますが、運輸大臣も御案内のとおり、病人は老人が多い。老人は医療の無料化でただですよ。国鉄の不安はゼロで済むんです。その他といえども保険医療の充実している今日では、ほんとうに自己負担というのは一部ですよ、この一部を国鉄が負担するだけです。こういう経費を考えて当然私は医療費の実費はあたりまえのことである。なぜ「転地療養を含む」といっておきながら、実費だけのほうに制約をしてしまったのか。明らかにこれは約束違反ではないか。どうですか。
  344. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) これは転地療養を含めての医療費を払うということでございまして、転地療養をした場合に病院の付添人とか、そういう費用も全部含むつもりにしております。
  345. 須原昭二

    須原昭二君 この点明確にしておきますが、そうすると「当面医療費の実費の負担に応ずる意向である。」というのは、いわゆる転地療養費も実はこの中に含まれておると、こう解釈してもいいんですね。
  346. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 必要があれば、そういうものは実費の中に入ると思います。
  347. 須原昭二

    須原昭二君 実は、あなたたちは非常にこの医療委員会の問題、病人救済対策については軽易に考えられているかもわかりませんが、当該住民にとっては非常に大きな問題点です。特に地方住民においては——ここに「朝日」「毎日」「中日」全部持ってきておりますが、全国版にはともかくとして、地方版においてはこの大新聞が六段抜きでこの答弁書について報道しているんですよ。そういう社会的な風潮にもかかわらず、私がたった四十五分間ではございますが申し上げていることごとについては全く怠慢じゃございませんか。こういう状態ではやはり私はうなずけるわけです、訴訟に持っていかなければしょうがない、こういう気持ちが起きてくるのは私は当然だと思う。ほんとう国鉄というものが国民に信頼され、愛される国鉄としての態度があるとするならば、この際、決然として反省をして、ほんとうに積極的に彼らの要望にこたえるような気持ちが当然なくてはならぬと思うのです。その点の決意をひとつ伺っておきたいと思うのです。
  348. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 名古屋の新幹線の公害問題に関しましては、種々の問題を起こしましてまことに申しわけないと存じておる次第でありますが、当初は列車回数が少なかったのが漸次ふえてきて現在のようなそういう状態になってきたということでございますので、国鉄自身もできるだけの努力はやっておったつもりでございますけれども、先ほどからのおしかりのように、非常に手抜かりなどがございまして、非常に行き届かなかったということも多々あると思いますので、この点は率直におわびを申し上げまして、先ほども運輸大臣の御答弁にありましたように、騒音の問題などというものはすぐ解決できない問題もあり解決できる問題もあるということでございますので、率直に地元の方々の御意向もすなおに伺ってできるものは直ちにやっていく。  先ほど来医療委員会の御議論もございましたけれども、これは何も医者に責任を持たせて、彼らは責任がなさそうだと言ったからあれを払うまいとか何とかということじゃなくして、私どもはそういうことに対しては全然のしろうとなんで、最終的の責任は国鉄が持ちますけれども、まあ専門屋の御意向も伺ってその決断をしたいということでございまするので、その点もひとつおくみ取り願いまして、いずれにいたしましてもできるだけの処置を講じて、住民の方々の御納得がいくように最大の努力をするつもりでございます。
  349. 須原昭二

    須原昭二君 いま総裁から遺憾の意の表明がありました。まことに申しわけないというお話ですから、私はそのことばを率直に承ります。ですから、ただあやまるだけではいけません、そのあやまったのを行動にあらわしてもらいたいと思うんです。  そこで、実はこの現地の被害住民の皆さんから病人救済対策で二月二十日に、三月十日の日に話し合いたい、こういう現地の同盟からお話し合いの申し入れが国鉄になされているはずです。そういたしましたら、実は私への答弁書が政府から出された瞬間に、三月十日は実は延期をさせてもらいたい、たしかそういう話で延期をされてしまいました。今度四月二十八日再度申し入れがあるはずです。これに参加されますか、この点は明確にしておいていただきたい。
  350. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) 三月十日のお申し入れがございまして、私のほうで御相談した結果、先方が少し延期してくれというお話で延期をしたと私ども承知をいたしております。それからもう一点、四月二十八日は参上いたすという予定でおります。
  351. 須原昭二

    須原昭二君 二月二十二日に国鉄が延期を申し入れてきた、現地から延期してくれと言っていない。この点は明確にしておいてください。
  352. 坂芳雄

    説明員(坂芳雄君) 三月の時点では、私どもが聞いた範囲では、先方の御都合もあって延期をした、このように私どもは報告を受けております。
  353. 須原昭二

    須原昭二君 この点は保留をしておきましょう。事実違いますよ。現地から申し入れたわけじゃなくて、国鉄が延期をしてくれと、こういうふうに聞いております。  この問題一つを取り上げてみても、やはり住民に対応する積極的な国鉄の姿勢がないということです。ですから私は最後に申し上げておきますが、これは申し上げることだけにしておきましょう。  いま裁判になっております原君五百七十五名の中には、団長の干草さんをはじめとして、老人が非常に多いわけです。病床の中に伏しておる人もあるわけです。これらの人にとっては判決は一日千秋の思いで待っているといっても過言でないと思う。したがって自分の生命のあるうちに今度の訴訟にこう強く打ち込んでおるという姿を認識をしていただきたい。したがって日本の裁判の審理というのは非常におそいというのが定評でありますが、この裁判の審理を早急に進めていくという立場に立って、国鉄は積極的にこの審査に協力する姿勢を私は堅持すべきである、こういうふうに思いますが、それに対する決意、さらに運輸大臣もこの四十何分の質疑を通じてよく国鉄の怠慢ぶり、これがおわかりになったと思いますから、最後にひとつ今後運輸大臣としてどのように対処されるのか、総括的に御答弁をいただきたいと思います。
  354. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) ただいま先生が御指摘になりました干草先生その他に私も実はお会いして、全く御同様のことを伺っておるんでございまして、国鉄といたしましては裁判の結果がいかにあろうとも、われわれとしてはできるだけの努力をして、皆さまの御要望に沿いたい、そういう努力をいたしますというお約束をしております。
  355. 須原昭二

    須原昭二君 裁判に協力しますね。——
  356. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 実は、騒音、いわゆる公害等について、裁判がいま各所から出てまいっております。大阪もそうでございますし、私ども関係といたしまして新潟もそうでございますし、また名古屋もそうでございますし、各所から騒音、振動その他の裁判等が出てまいっておりますが、私は裁判はもう残念ながらやむを得ぬで、私どものいままでの公害対策に対する手おくれもあったわけでございまして、これはそれといたしまして、とにかくそういうような裁判も提起されるという現状を十分認識いたしまして、これはひとり名古屋ばかりではございません、その他の地区に対しましても全力をあげてそれらの苦悩解消のために努力をしなければならぬし、またその解消をすることによってお報いしなければならぬ、かように考えておる次第でございます。今後も一生懸命になってこれらの問題解決に前進を続ける決意でございます。
  357. 小野明

    主査小野明君) 以上をもちまして運輸省の所管に関する質疑は終了いたしました。これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  なお審査報告書の作成は、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  358. 小野明

    主査小野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて散会いたします。    午後五時三分散会      —————・—————