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1974-04-05 第72回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月五日(金曜日)    午前十時二十八分開会     —————————————    分科担当委員の異動  四月五日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     上田  哲君      森中 守義君     須原 昭二君      上田  哲君     瀬谷 英行君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         小野  明君     副主査         片山 正英君     分科担当委員                 梶木 又三君                 黒住 忠行君                 古賀雷四郎君                 中村 禎二君                 西村 尚治君                 須原 昭二君                 鈴木  強君                 森中 守義君                 塩出 啓典君                 木島 則夫君    国務大臣        郵政大臣     原田  憲君    政府委員        科学技術庁研究        調整局長     千葉  博君        郵政政務次官  三ツ林弥太郎君        郵政大臣官房長  神山 文男君        郵政大臣官房電        気通信監理官   浅見 喜作君        郵政省郵務局長  石井多加三君        郵政省貯金局長  船津  茂君        郵政省簡易保険        局長       野田誠二郎君        郵政省電波監理        局長       齋藤 義郎君        郵政省人事局長  北 雄一郎君        郵政省経理局長  廣瀬  弘君    説明員        建設省住宅局建        築指導課長    佐藤  温君        自治省行政局行        政課長      砂子田 隆君        日本電信電話公        社総裁      米澤  滋君        日本電信電話公        社副総裁     秋草 篤二君        日本電信電話公        社計画局長    清水 通隆君        日本電信電話公        社施設局長    山本  孝君        日本電信電話公        社経理局長    好本  巧君    参考人        宇宙開発事業団        理事長      島  秀雄君        日本放送協会技        師長       藤島 克己君        日本放送協会営        業総局長     川原 正人君        社団法人日本民        間放送連盟専務        理事       杉山 一男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和四十九年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 小野明

    主査小野明君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本日、昭和四十九年度総予算郵政省所管の審査のため、日本放送協会役職員宇宙開発事業団理事長島秀雄君及び日本民間放送連盟専務理事杉山一男君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野明

    主査小野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 小野明

    主査小野明君) 次に、昭和四十九年度総予算郵政省所管を議題といたします。  慣例では、まず政府から説明を求める順序でありますが、これを省略して、お手元に配付してあります資料をごらん願うこととし、その説明資料は本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小野明

    主査小野明君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 郵政省関係予算について御質疑を申し上げるわけですが、その前に郵政大臣一つお願いしておきたいことがございます。それは国民春闘のことでございますが、いよいよ大詰を迎えまして重大な段階に入っていると存じます。それで政府のほうにおかれましてもいろいろと最高の御配慮をいただいているようでございますが、春闘共闘委員会あるいは郵政大臣所管関係組合等からもいろいろと御要求も出ていると思いますが、最大の誠意をもってぜひひとつ問題の解決に当たっていただき、最悪の事態を避けていただきたい、そういうふうに私は心から願っているものでございます。けさも何か閣議でいろいろと三公社五現業に対する回答等についても御相談があったと存じますが、ぜひひとつ最善の努力をしていただきたいと、そう思いますが、もし若干の大臣の御所見がありましたら承りたいと思います。
  7. 原田憲

    国務大臣原田憲君) ただいま鈴木委員の御意見なりお尋ねの点に関しまして、お答えを申し上げます。  鈴木さんと私は今次の問題に対するところ態度は全く一致いたしておると思います。最大努力をいたしまして、少なくとも世にいわれておるところのゼネストを回避するために全力を尽くす覚悟でございますが、具体的にはいまお話がございましたように、けさども総理を中心に関係閣僚、自由民主党の最高幹部も交えましてこの問題に対するところの協議をいたしたわけでございますが、有額回答をできるだけ早くやろうじゃないかと、こういうことに意見をまとめておるわけでございまして、なお引き続きお尋ねがありますとそれに対してお答えいたしますが、そういう覚悟で取り組んでおる、解決をしたいと、こう考えておるということを申し上げます。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 立ち入った質問ですから、もし御都合があればけっこうですが、有額回答の点につきましては長い歴史の中でここまできたんだと思います。それで、たいへん政府側の二、三年来における姿勢というのも積極的になってきていると思うんでありまして、この点は評価していいと思います。それで、きょうの閣議では有額回答額等についてはまだきまっておらないのでございますか、これからの手順として、それぞれの労働組合に、それぞれのところから有額回答が出されると思うんでございますが、額はまだきまっておらないのですか。それで、大体いつごろ各労働組合回答を出すようになるのでございましょうか。
  9. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 額はきまっておりません。しかし、先ほど申し上げましたように、今次の態度といたしまして有額回答をするのにもできるだけ早く回答をするようにという気持ちを持ちまして、関係大臣財政当局ともそれぞれ話をし、党との一致した段階でこれを提示すると、こういうことでございます。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 これは私の要望になりますが、有額回答の額の問題、これについてはさっき私がちょっと、申し上げましたように、確かに過去の歴史から見ますと積極的に最大のものを出そうという配慮政府がしてきていると思うんです。これは私は評価していいと、こう申し上げたのですが、そこで、やはりもちろん企業企業のあれもあるのでございましょうけれども、そうかといって各企業がそう段差をつけることもできないでしょうから、それぞれの、たとえば電電公社全電通労働組合、この間における団体交渉によって最終的な結論を出すという、そういう姿に実は制度上なっておりませんから、結局は政府の意向によって受けたものが出ていくというような形になるわけでございます。そこら辺は、私は制度の根本にさかのぼって、やっぱり論議をしておかなきゃならぬ問題だと思います。労使間において自主的に団体交渉をして、そこで結論が出るという、これがもう当然のことでございますから、そこがちょっといま問題がありましてこういうことになっているんですが、できるだけ有額回答については出し惜しみをしないでズバッと出していくという、そういうことだけは大臣ぜひひとつことし考慮していただきたいと思うんです。
  11. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 鈴木さんもあとでまたお尋ねがあろうかと思いますが、わがほうは決して出し惜しみをするような気持ちは持っておりませんが、今次の郵政財政状況というものはよく御存じのとおりでございます。有額回答をいたすことについて私らとして足を引っぱるわけではございませんで、とにかく有額回答をすることについては私も賛成をいたしております。また気持ちの上においてあなたがおっしゃっておることは十分理解をいたしまして対処をいたしたいと存じておりますが、そのことにつきまして先ほど申し上げましたように財政当局とも相談をしなきゃならぬ。経済的な交渉の以外にこれがスト権問題というような一つの別なケースにも先ほどの御意見だとつながっていくわけでございますが、それはそれといたしまして、今次の有額回答につきましてはできるだけ積極的な態度でもって臨みたいと思っております。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 どうぞひとつよろしくお願いします。  それでは次に郵政事業特別会計についてお尋ねしますが、ことしは非常に残念ですけれども赤字予算になっておるわけでありますが、郵政審議会の御答申等もありまして、現状、郵政事業赤字解決するためには何がしかの料金値上げが必要であるという答申が出たことは私どもも知っております。しかし政府が今日の狂乱物価といわれるような高物価政策の中で公共料金だけは押えたい、そういう政治的な御配慮で私は見送ったんだと思います。したがって、その穴埋めに借金でこれを補てんしていくという、こそく的と言えばこそく的な方法をとられたわけでありますが、この赤字が出ますについてはやはり経営に立つものとしてその責任を感じられていると思いますね。従来は、昨年のように持ち越し現金によって何とか収支ペイできるような予算を組んだのでありますが、ことしはその持ち越し現金自体ももうなくなっているんだと思います。ですからその辺のちょっと赤字になりました要因ですね、それと補てんする場合の借り入れ金利息なんかどうなるか。これはやっぱり来年になって七百億なら七百億というものを返さなきゃなりませんね。同時にまた予想される赤字対策に対してどうするかという、そういう点が私どもとしては心配になるわけです。きのうも内田経済企画庁長官とここでしたかな、ちょっと経済論争をいたしましたときに、たまたま鈴木さんの関係する郵政事業においてもなどというような話が出まして、公共料金何とかしなきゃならぬじゃないかというようなそういう御発言もあったわけであります。そういう関係もありますので、大臣として御就任以来事業の発展のために御努力をされておるわけですけれども努力をしてもなおかっこういう赤字になったのは何か、そしてやむを得ずこういう予算を組んだんだと、そこのとこら辺をひとつ国民にわかるように、そしてできますれば将来の展望としてはこれどうしていくんだと、そこまでひとつ突っ込んだお話をお聞かせいただければ幸いだと思います。
  13. 原田憲

    国務大臣原田憲君) もう鈴木さんよく御案内のように、郵政事業特別会計昭和四十六年度におきまして当年度以降四十八年度までの三カ年の収支均衡を目途として郵便料金の改定を行ないました。この間において各般にわたる経営努力と物数増加による収入増加があったにもかかわらず、予定を上回るベースアップに伴う人件費増加がこれをはるかに上回り、四十八年度には当初予算から百三十三億円の収入不足を生ずるに至りました。その後、昨年の仲裁裁定を含めた基準内給与上昇率は、一七・五%ときわめて大幅なものとなりました。郵便事業財政はきわめて憂慮すべき事態となったものであります。このため昨年十月に郵政審議会に対し、郵便事業の健全な経営を維持するための方策について諮問をいたしました。同年十二月、郵便事業収支改善をはかるため、昭和四十九年度において郵便料金を改定することが適当である旨の答申をいただきました。しかし政府といたしましては、現下経済情勢物価動向にかんがみまして、昭和四十九年度予算編成に当たっては、通常郵便物料金の引き上げを織り込まないこととして、六百九十六億円の収入不足については、緊急の措置として同額の借り入れ金を計上いたしたものでございます。今後の展望といたしましては、公企業としての郵便事業のあり方から申し上げますと、事業運営上必要な費用については料金収入でまかなうのが原則でありまして、このことは現行法でも定めているところでございますが、さらに今後における人件費動向社会経済環境の推移も考慮しつつ、郵便事業の安定と円滑な運営を阻害することのないよう関係の向きとも協議し、必要な措置を講じたいと考えておる次第でございます。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっといまのお話ですと、企業努力について、この前料金値上げしたときに大体三年間くらいだというようなことなんで、まあ当然出てきた赤字だというふうにもとれるような言い回しだったのですが、そうじゃないんですか。やはり、努力をし、努力をし、努力をして、なおかつ赤字になる。そこのところをもう少し、われわれが胸をつかれるような、そういう書いたものじゃなくて、やっぱりそういう私はお答えをほしいですね。
  15. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これは、間違いのないように書いたものを読みましたけれども、これはたびたび、鈴木さんもよく御存じのとおり、郵便事業というものが人手を使ってやっておるということですね。これで企業努力というものを懸命にやってまいりますけれども、やはり人件費というものは、初めに見込んでおりましたよりもきまったところで高ければこれは支払わなければならない性格のものでありまして、先ほどの御質問の中にもありましたけれども郵便で働いておる者とほかで働いておる者と差異をつけるべき筋合いのものでない。どちらかというと、私はわが田に水を引くようでありますが、私が郵政事業をやっておりますと、だれよりも郵政職員というものを優遇したいという気持ちはあります。そのことを実現しようと努力努力を重ねてまいりましても、やはり最後には人手で、——山の奥でも、あるいは団地の中でも、人手をもって十円のはがきを配達をしなければならない。こういう事業でございますから、ついに、まあ先ほど申し上げましたように、四十八年度におきましても当初から百三十三億の赤字を持って組まなきゃならぬという状態に立ち至っておると。そこで、今後のことをどうすべきかということにつきまして審議会答申を求めたわけでございますけれども審議会におきましても私どもに対して、これはいろいろくふうもしなければならないという、いろいろなサゼッションを指示されておりますけれども、しかし、郵便料金というものを結局値上げをすべきであるという答申をいただいたわけでございます。そのつもりでおりましたところ、御指摘のように現下狂乱といわれる物価問題、これを何としても押えることが政治課題最大の目標である。そのためには、政府がまずタッチしておるところ公共料金というものはまあどのような理屈があれ、押えていくことにしようということで、私も政府の一員としてそれに同意をしたというのが経緯でございまして、私どもといたしましては何とかこの難関を切り抜けていきはしますけれども、結局いまお話のように、この足りないところ借金をして切り抜けるという手だてをいまとっておるのでございまして、このことにつきましては、先ほど末端でも申し上げました、今度の春闘におきましてもやはり有額回答をし、しっかり働いてもらうためには待遇をよくしていかなければならないことはこれは当然でございますから、これらに対応するための措置関係方面とも相談をいたさなければならないと考えております。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 まあ確かに郵便事業は他の事業と比べまして人手を要する事業ですから、近代化合理化といいましてもなかなかむずかしい面があるのでございまして、そういうことが一つ問題点だということは国民も知っていただいていると思います。ですから、この前料金値上げをするに際して、利用者に対するサービスですね、サービスアップについても、いろいろと郵便をできるだけ早く安全に送達するとかですね、そういうふうなことも幾つか提案されました。ですから、それらの当初計画というものが着実に実を結び、そういう中で国民理解が、なるほど一面においては郵便事業、こういう面はよくやっていると。まあ一面において、またこういう欠陥があるということは大体わかっていると思うんですね。ですから、そういう問題を経営に当たる大臣以下関係の皆さんが勉強されておると私は思いますからね、ここで私が何か釈迦に説法みたいなことを言うのはたいへん失礼でございますけれども、やはり国会というのは国民に語るいい場所でございますから、そういう点をやはりわかりやすく、この三年間こういう前回のお約束は、いたしました、しかし、この点はまだ残っております、したがって、これからもこれはこういたしましょう、しかし、全体として予算が足りないんでございますから、とりあえずことしは借金でやりましたと、こういうまあほんとうにわかりやすい説明がほしいんですけれども、まあ時間も私少のうございますから、いずれまた機会を得てやりたいと思います。  そこで、この予算はあれですか、単金の面で、物価がことし二月、政府発表によりましても、卸売り物価は三六%ですね、それから消費者物価が二六・三%と、昨年同期に比べてたいへんな値上がりをしているわけですね。まあ予算編成の時期はもっとさかのぼっておりますから四十八年度のこの政府経済見通しというものから見ましてどの程度この予算の中に物価高騰分が入っておりますか。たとえば労賃の問題につきましても、あるいは局舎建設に対するコストにいたしましても、資材その他の値上がりというものを勘案して、どのくらい入っておりますか。
  17. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先ほど大臣からお話がございましたように、郵政事業の大部分と申していいかと思いますが、人件費でございます。これの歳出が一番大きなものになるかと思いますが、これは先生承知のように、四十八年度におきます仲裁裁定をもとにいたしまして、そのベースで組まれてくるわけでございます。その人件費アップは一七・五%ということであります。これは定昇込みでございます。当時の四十八年度の基礎になります定昇が二・五%でございます。そういうことで、それを基礎にいたしまして四十九年度の人件費を組むわけでございますが、それ以外に先生承知のように五%の改善経費を見るわけでございます。さらに予備費等も二十億ばかり見ております。こういった形で組まれておるわけでございます。それから物件費でございますが、これはただいま先生が言われましたように、当時予算編成時期におきましては、そういった環境が若干違っておりました。見通しの上ではただいまのところ変わってきておるということになるかと思いますが、当時におきましては当時における見通し卸売り物価といたしまして約二・五%程度増加というようなものを基礎にいたしまして、なおその上に当時個々には相当物価増高ども見られますので、ものによりましてはそれぞれの予測を立てまして加算をいたしております。そういった形で総額の予算をつくっていると、こういうことでございます。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 四十八年度の予算執行に際しても、たいへん苦心をされた点はおそらく四十七年度当時、四十八年度の経済見通しを立てて、それによって予算編成するわけですから、異常な物価高によって非常に苦心されたと思うんですよ。ですから、インフレ弾力なんかも多少は政府も考えたんですけど、それにしても追いつかないですね。ですから、工事を引き受けても損するのですよね。赤字が出てしまうというようなことも出てきたわけですね。ですから、ことしはさらに卸売り物価というものが異常に急上昇しておりますから、それがコストにだいぶ引っかかってくると思いますね。ですから、そういう面からいうと、ちょっとあなた、ぼかしているから、私もあまり詳しく掘り下げて聞こうとはしませんけどね。二・五%くらいの卸売り物価に対する上昇分を見ているということですけれど、これじゃ問題にならぬと思いますよ。ですから、もっと私は四十九年度予算執行に対してはことし以上にたいへんな目にことしってまあ四月になっているんだけど、昨年以上に、四十八年度予算執行以上に苦労があると思うのですね。人件費が五%、これは昨年も改善費として組んでいただいたんですが、これからこれはさっきも大臣の方針のように、有額回答が出てどういうふうに結着しますかね、それによってまた支出がふえてくると思いますが、それで大体二・五%で、いま私が申し上げたように、非常に今後たいへんだということは考えているんでしょう。
  19. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 私の説明が不十分であったかと思います。基本的な考え方といたしましてはそういうふうにとっておるわけでございますが、具体的に予算編成いたします場合にはそれぞれの費目につきまして見通しを立てるわけでございます。したがいまして人件費の非常にウエートの高いものにつきましては、そういった形で、たとえばそういう中身が人件費的な要素の強いむの、こういったものにつきましてはそれ相応のベースアップに伴うような考え方物件費をはじくわけでございます。その他の物件費につきましても、それぞれ将来それ以上に伸びるものにつきましては、そういう予測を持って立てますので、全般的にははるかにそれより、二・五%を上回る結果になると思うのでありますけれども、なお、それ以後の経済情勢の変動によって相当窮屈になってくることは確かでございます。たとえば先生指摘のような建設勘定等につきましては、資材等値上がりによりまして非常に工事が窮屈になるとか、そういった事態は生じてきております。全般的にそういった意味でやりくりは相当苦しくなっておるということは先生の御指摘のとおりでございます。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 それでことしは何とかやりくりしますけれど、来年はまたこれ赤字になるでしょうね、見通しとしては。それで借金を返すこともしなきゃなりませんしね。この借金利息政府が出すんですか、大臣利子補給はするんですか。それでそういう点とからんできますから、五十年の予算というのは、これはたいへんなことだと思いますがね。そこら辺はどうしようとするのか、大筋の考え方だけ聞かしておいてくださいよ。
  21. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先ほど大臣から御説明申し上げましたように、六百九十六億の赤字を生じておるわけでございまして、これにつきまして借り入れ金をもってまかなう、こういうことになっておるわけでありますが、これに対する年度内の処理といたしましては、何とかできるだけ利子のつかないような形でしのぎたいと思っておるわけでありますけれども、五十年度以降においては御指摘のようにこれを返すということになるわけでありますが、これを元本を返すにあたりまして利子をしからばどのように考えるかというような問題がございます。この基本的な問題につきましては今後におきまして財政当局とも十分折衝してまいりたいと思います。そうしてできるだけ将来の企業運営に阻害を生じないような形で返済してまいりたい。したがいましてそういった考え方のもとで利子条件、返済の条件、そういったようなものをこれから考えてまいりたい、こう考えております。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 考えてまいりたいと言っても、もうこれは十日には成立をするのですね、予算が。もう四月に入っておるわけですから、暫定予算との関連もあるでしょうが、この六百九十六億円というものは一体どこから借りて利息はどうなるのか、そうして将来六百九十六億については返済は一ぺんに返さなくてもいいのか、三回なり何回なり、長期に返済していくというような、そういう方法をとるのかどうなのか、その辺、もう簡単でいいですからね。
  23. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 六百九十六億につきましてはただいまの段階では四十九年度におけるやり方としては、でき得る限り先ほども申しましたように無利子と申しますか、国庫余裕金の繰りかえ使用によってやってまいりたいと思います。したがいまして四十九年度予算に関する限りはそれで一応解決するわけでございますが、五十年度以降においてしからばどういうふうに返済するか、あるいはどういう形で利子を考えるか、期間はどうするかということについてはまだ決定いたしておりません。それは五十年度の予算関係することでございますので、ただいまの段階ではそれを決定いたしておりません。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 決定はしていないけれども、借りることは間違いないでしょう。そうすれば、あなたのほうでは借りたものをどう返すかは、やっぱり返す考えがないで借りるばかはないでしょう。その返し方ですよ。私あとにまた郵便貯金の、あるいは簡易保険の運用の問題についてもいろいろ聞きたいと思う、時間ありますれば。そういう立場からいってもこの際郵政の非常事態だから、できるだけひとつ有利な金融をしていただいて、財政当局とも大いにやったらどうですか。遠慮することはないですよ、そういうことを。
  25. 廣瀬弘

    政府委員廣瀬弘君) 先生おっしゃるように、五十年度以降においてこれを返済する場合はできるだけ有利な条件でそれができますように努力いたしたい、こう考えております。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 それで借金するときに、実際こんなに借りたものを——私どもは金を借りる場合にも、一体自分の財政から見て借りたときにどう返済するかということのやはり大体心組みがなければ金は借りられないですよね、普通の場合に利息もつくわけですから。利息がばかになりませんよね、かなり大きいものですからね。そういう意味で私はおおよそ六百九十六億借りるときには返済その他についても話が詰まっているだろう。少なくとも予算を審議するわれわれから見るとその点はどうなるか、やはり一つ問題点ですから、当然これは一ぺんに返すのか、あるいは何回かに分けて返すのか、そういう構想はきまっておるんじゃないか、こう思いましたから、伺ったんですけれども、まだきまっていないのですか、それは。これから財政当局——どこですか、大蔵省てしょう——と相談するわけですね。  そこで郵便貯金はかなり郵政職員努力、皆さんの努力によって預金がふえてきておるわけでございますね。いまあれですか、四十八年度中でどれだけふえましたか。そしていまトータル何ぼになりますか、郵便貯金の預金高は。
  27. 船津茂

    政府委員(船津茂君) 郵便貯金は、この数年順調に伸びてきておりまして、そのふえ方でございますけれども、四十七年度末の現在高に比べまして、四十八年度末現在高は二四%強ふえておりまして、十五兆二千四百八十億円となっております。また、申し上げますと、目標を総純増二兆三千億円と立てましたところが、三兆七百四十一億円達成できまして、目標割合は一三四%、前年に比べますと一七%増というようなふえ方でございます。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、まあこれは大体ほとんどが財投の原資に充てられるわけですね。せんだって実は予算審議のときに、例の商社やあるいは石油業界のああいうやり方に対して、非常に非難が集中したわけです。国会でも集中審議もいたしましたし、個別にもいろいろな論争をし、その中で出てきたのですけれども、私もちょっとびっくりしたのですけれども、資金運用部資金、要するに財投から開銀とか輸銀を通じまして約七千億の金が大手商社ないし石油十二社にいっているのですよ。それで、買い占めをし、売り惜しみをしてあんな狂乱物価といわれるような悪性インフレを招来する原因をつくって、そして石油危機だということに便乗して不当な利得を得た。いま法律によってこれを取り上げようというようなところまできているわけですね。そういうところにわれわれの郵便貯金が七千億も貸し付けられているということ、これはたいへんなことだと思うのですよ。郵政省としてはどうですか、反社会的な犯罪的な商行為ともいわれるようなこういう人たちに、われわれの郵便貯金が七千億も貸し付けられておるということは、これは許せないですね。これは事実ですからね。そういうことが出てきたのですね。これは貯金局長どうだね、腹が立たぬかね。反社会的ということは、これはまだ——大蔵大臣が基準をつくるそうですから、だからそれはどういう基準か、いずれにしても、しかし反社会的な悪徳商法がやられたことは、これは認めているわけで、その基準というものは一がいにここでただ反社会的だという抽象論ではだめですから、ものさしをつくるということになっているのです。ものさしがやがて出てくると思う。そして、あの不当利得に対して取得税を累進課税でとるわけですね。そういうことになっているわけですよ。これどうですか、あなた一生懸命努力して、そして今度は郵政事業がピンチのとき六百九十六億、これがどうなるかまだわからぬというような話を聞くとその矛盾というものを私は感ずるのですよ。どうですか、大臣とあなたは一番事務当局だから腹が立つだろう、どうだい。
  29. 船津茂

    政府委員(船津茂君) 私のほうの郵便貯金は、ほとんど全部が大蔵省の資金運用部会計のほうに繰り入れられまして財政投融資の原資になるわけでございますけれども鈴木先生のおっしゃるように、財投の中のほぼ四〇%を占めるかと思います。資金運用部会計の中では、わがほうの郵便貯金は約五〇%強と、正確には五十何%という数字でございましょうが、占めておりますが、そういうふうに輸銀とか開銀とかを経ましていっておるという事実あるいはあるのかもしれませんけれども郵便貯金を込みにして財投の原資になりますので、郵便貯金がそこに七千億使われたと言われましても、そうかなあとすぐ胸に落ちませんけれども、だんだんと——資金運用部の資金運用審議会というものが開かれますが、私のほうからも、私のほうの意見を代表する委員の方もおいでございまして、そのときにはやはり福祉優先というような形で計画が組まれるように発言をしていただくように努力はしております。でございまして、だんだんと逐年たとえば四十九年度の財投計画なんかを見ますと、六四・四%が福祉関係といいますか、生活環境関係の投資に回される、融資に回されるというようなことになっておりまして、それは逐年ふえております。そういうふうな努力を、鈴木先生の御指摘をまつまでもなく続けていきたい、こういうふうに考えます。
  30. 原田憲

    国務大臣原田憲君) たいへん腹が立ちます、率直に言いまして。まあ私はあるテレビで対談をしたのですが、そのときも率直に申し上げましたけれども、こちらが赤字を出してどうしてもやっていけぬという最中に、何とかして物価を押えるために協力してくれと、こういうことで値上げを出して鈴木さんたちが賛成してくださるとは簡単に思いませんけれども、賛否は別にして、そうしなければやっていけぬ、それもしんぼうして借入金でまかなっておるというような仕事をしておる最中に、こちらの集めた金でずっとやっていたとは言いません、私は決して。しかしああいうときにそういう事態があらわれてきて、そうしてそれを担当しておる担当大臣がそれぞれ社会的な責任ということについて、これから検討して基準まできめるということをいっておられる事実を見ましても、私は率直にいって何ということだと、こういう気持ちがいたしておりますし、国民の大事なお金は大事に使ってもらいたいという気持ちで一ぱいであります。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。大臣のきわめて適切なお答えを伺いまして、私も大蔵大臣にも、総理にも言っておいたのです。だからその点は総理も大蔵大臣も認めてくださっておりますから、だから今後の運営の中で、やっぱり商社の方々にもあるいは企業の方々にも社会的責任ということを十分大臣おっしゃるように考えていただけば、こんなことはなかったと思うのですが、そういう点で再びこういうことのないように、大臣にもお骨折りいただくことにして次に進みます。  もう一つ、せんだって、物価が非常に上がったので預金者から見ると目減りをしているので、その目減りの分だけは返してくれというような訴訟が提起されておるのでございますが、これに対しての大臣の御所見はどういうものでございましょうか。いずれ法廷によって争われると思いますけれども郵政省の基本的な考え方だけは国民に示しておったほうがいいと思うのです。そういう意味でひとつ承りたいのでございますが……。
  32. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この問題も気持ちから言いますと、実にまあよくわかる、胸をうたれるような気がいたしますけれども物価が高騰をしたために、その物価の騰貴率というものと、少なくとも定期で金を預けておる利子の利率というものと考えて、それでそれを補償しろと、政府の責任であると、こういうお考えであろうと思いますが、気持ちは私はわかりますけれども、そういうことにならないようにまあ苦労をいたしまして、この一年間にも四回利上げをし、また昨年末には皆さんの御協力で限度額を広げ、また特別の利率の六カ月ものの定期を売り出すというような手だてを取りまして、預金者の利益を保護するとともに、一番大事な問題である物価という問題を解決することが根本だ、そのための方策をいま実施をしておる最中でございます。そのことが結局理由でございますから、私どもはそのことに全力をあげているというのが現状であります。  なお、私もこういう問題に対しましては何か知恵が出せないものかということで、大蔵大臣にもしばしばお互いにこういう問題の担当大臣として知恵を出そうじゃないかということを話し合いもいたしております。いまさしあたって国会におきましてのお尋ねに答えておりますところは、ちょうど十二月に実施いたしました新しいところの定期が満期になるし、またボーナス時期にも遭遇してまいりますから、これらを含んで何か具体的な措置がとれないかというようなことを勘案をいたしておるのでございますが、いずれにいたしましても、これは物価を引き下げるということによって解決することがもう一番問題の中心でございますから、これにつきまして全力を投入いたしておりますが、私はまだ大蔵大臣からじかにお話は伺っておりませんが、昨日でございますか、国会におきましてやや安定の動向を具体的に表明をなさっておるようでございますが、なお一そう力を入れましてこれから努力をいたしていきたいと考えております。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 これは訴訟が起きておるわけですから、いずれ法廷において争われると思いますから、これ以上私はお伺いすることをやめます。ただ、いままで上がった分に対するものですから、これから大いに物価を下げていただいて、そのきざしが若干見えるそうです、三月の指数を見ますと。しかし、まだなかなか、電力料金、私鉄料金、まあ次々に上がってきますからそうはいかないと思いますけれども、ひとつぜひお互いに物価安定ということは最大の願いでございますから、党派を乗りこえてやっぱりやらなきゃならぬと思いますが、その衝に当たる政府・自民党はさらに責任を痛感してやっていただきたいと思います。  それから、あと時間があまりありませんから公社のほうに移りますが、電電公社の場合は、四十八年度の収入の当初の目標から見まして実績はどのくらいになっておりますか。ごく最近のところでおわかりでしたら御説明していただきたい。
  34. 好本巧

    説明員(好本巧君) 四十八年度の事業収支でございますが、四十八年度の予算におきまして事業収入は一兆六千六百二十五億円、収支差額は四十六億円を予定しております。予算に対しまして現在までの事業収入の実績でございますが、二月までのものが、いま最新のデータでございますが、大体予定に対しまして〇・七%、金額にいたしまして予定に対して約百億円程度の増収がございます。また、実績のほうでございますが、四十八年度は予算に定められましたもの以外に大きく支出が出ましたものは、仲裁裁定の実施でございますけれども、しかし、ただいま申し上げました予定に対する若干の増収と、それから経費のほうの節約節減等も順調に進んでおりますので、おそらく年度末では収支は均衡するという見通しでございます。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 それからもう一つ公社の場合には建設勘定が相当多うございますから、特に異常な物価高の中で御苦労があったと思うのでございますが、この建設工事予算に定められた目標に対して現在の進捗状況というのはどうなっておりますでしょうか。
  36. 山本孝

    説明員(山本孝君) 昭和四十八年度の建設工事費総額は成立予算の一兆一千九百四十億円と、それから四十七年度からの繰り越し額が五百四十六億円ございまして、総額一兆二千四百八十六億円でございます。この実施にあたりまして、政府の御方針もありまして、総需要抑制ということもございましたが、施工時期の調整を行ないました結果、二月末の数字で契約額が一兆一千五百四十億円、総額に対しまして九二%の進捗でございます。また、支出につきましては同じく二月末の見込みで約九千九百三十八億円で、総額に対しまして八〇%の進捗でございます。これは先ほどの施工調整などがございましたので、平常年度に比べますと契約額で約七%、それから支出で約一〇%程席下回っております。それから、年間の物価値上がりその他ございましたけれども、非常に大きな値上がりをいたしました鋼材、セメント関係につきましては、一部工程をずらしてできるだけ安い時期にやろうとか、あるいはそのほか整理品の利活用、経済的な設計を行なうということで一応工程を消化しております。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 それで、四十七年度の場合あるいは四十八年度の場合にも、総需要抑制の関係から、特に四十八年度については下期のほうにずっとこう繰り越してきたわけですね。したがって、工事を施工する場合に、ある程度平準化というものが例年のようにはいかなかったと思うのですよ。ある時期には工事が非常にダウンしちゃって、業界のほうもそれによって手待ちが出てくるというような、そういう現象もあったと思いますね。  そこで、そういういろんなからくりをしながら、物価は上がる、インフレの弾力条項等の発動も若干あったようですけれども、そういうことでやりくりをされてきて、いまお示しのような契約が九二%ですね、それから支出が八〇%というところまできているわけですけれども、やはりこの調子でいきますと、二月末ですからあと一カ月残っておるわけですが、やはり四十九年度への繰り越しというものは想定されますね。それ推算できますか、どのくらい四十九年度のほうに繰り越していくかということについては。大体わかりますか、大体消化できるか、それともやはり繰り越しになるかという点ですね。
  38. 好本巧

    説明員(好本巧君) 大体昨年の年末あたりにおきましては、四十八年度の繰り越し額は建設勘定で八百四十億程度であろうというふうに思っておりましたが、もう少しそれがふえるのじゃないかというふうな見通しを持っております。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 それで、この八百四十億というのは、おもに基礎工程におけるものであろうと思うのですが、そうでございますか。
  40. 山本孝

    説明員(山本孝君) いまの御指摘のとおり、おもに洞道でございますとか、それからそういう基礎工程が鋼材、セメントが非常に多うございますので、そういうものを中心にずらしております。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 公社が加入者開設等を最重点にしてサービスの向上に努力されておることは評価していいと思うのです。それで、私たちが心配するのは、その面はそれでいいのですけれども、結局基礎工程の面がずれていきまして、やがてそれがサービス関係に悪影響を与えてくるということが予想されますよね。その辺は八百四十億程度のかりに繰り越しになるとすればたいした心配はないと、こう見てよろしゅうございますか。
  42. 山本孝

    説明員(山本孝君) 八百四十億、あるいはそれを多少上回る繰り越し程度でございますので、従来、先ほどから申し上げましたように、四十七年度からの五百四十六億ぐらいの繰り越しがございますが、後年度に影響を及ぼさないようなものについて調整を行ないまして、延ばしたものにつきましては四十九年度でできるだけ回復するということにしております。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 公社の長期計画の中で、五十二年度末になりますと、積滞をなくして、申し込めば大体ついていくという状態にしようという目標を持っておられるわけですね。そこで、現在申し込んでまだつかないいわゆる電話はどのぐらい数がございますか。
  44. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) 四十八年度末で約二百万というふうに考えております。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 昭和四十九年度予算で加入者開通というのは三百何万でございましたかね。ですから、いま二百万ございまして、これは四十八年末の申し込みでつかない電話が二百万、それで四十九年になりまして、さらに予測としてどのくらいの積滞が出てくるのか、そしてそのトータルの中で、ことしつけるのが三百二十万なら三百二十万、そうすると、大体四十九年度末にはどの程度の電話がまだ申し込んでもつかないかという、この辺の推計でもいいんですけれども、ございましたら示していただけますか。
  46. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) ただいま御説明いたしましたように、四十八年度末の積滞が約二百万でございまして、四十九年度じゅうにどの程度の需要が出るかということにつきまして、私どもいろいろ推定いたしまして、今年度の予算におきましても問題はすでに計上済みでございますが、最近の非常に新しい数字をちょっと申し上げますと、四十九年度で新しい需要は二百八十万ぐらいあるのではなかろうかというふうに考えております。四十九年度の加入電話開通数が三百二十万という予定でございますものですから、その結果、ちょっと計算があれですが、積滞が百五十万ちょっとふえるぐらいになる予定でございます。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、これからの基礎工程、サービス工程、それぞれ進めていただくわけですけれども、おそらく基礎工程のズレというのは、ことしもまた非常に物価が高くなる、資材が足りないということでもって昨年にプラスして先へ延ばされる可能性というのは私はあると思うんです。しかしそこを努力していただいて三百二十万の加入者の開設というものは絶対に確保していくということを考えていただかないと、なかなかいま申し込んでつかないというやっぱり苦情が多うございます。それと加入区域をもう少し普通加入区域にしてくれないかというようなお話もございますので、それらの所要経費もかかると思いますけれども、いずれにしても早く電話を申し込んでつけてくれというのは、ほんとうに私たちもしょっちゅうどこへ行っても言われているわけで、その辺はどうでございましょうか。三百二十万については基礎工程がかりに若干の支障があってもその難関を乗り越えて三百二十万だけは必ずつけますという、そういうかたい決意がございますか。やっていただいていると思いますけれどもね、その辺ちょっと。
  48. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  ただいま御質問ございましたが、四十九年度の予算案で加入電話三百二十万をつけるということを予定しておりますが、これはぜひ達成したいと思います。どうやって達成するかということは、公社も現在いろいろ在庫の資材あるいは撤去品、こういうものを極力利用すること、それからまた設計をさらに一そう経済化すると、そういうようないろいろ創意を尽くしまして三百二十万の架設はぜひ達成したい、このように考えております。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 それで、この予算で、建設工事単金における物価高騰に伴うアップというのはどのくらい見ておられますか。
  50. 山本孝

    説明員(山本孝君) 四十九年度の予算の内訳は、ただいま御指摘のありました物価、それから人件費の上昇につきましては、政府それから日銀、その他の資料に基づきましてそれぞれの経常費であるとか、あるいは局舎の建設費でありますとか、あるいは土地の購買費、それぞれパーセンテージが違いますけれども一応見込んでございます。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 これから電力料金ども上がっていくということが大体はっきりしてきたわけですかち、それらの問題がどういうふうに諸物価に影響いたしますか、いろいろとこれから御苦心も要ると思いますが、こういう時期であるだけに、総裁以下どうぞひとつ決意を新たにして、いままで築き上げてまいりました皆さんの努力をさらに前進するように御奮闘いただきたいと思います。  それで最後に、さっき大臣にもお尋ねしましたが、春闘との関連のことですが、いずれ政府の御方針も示されると思います。で、ひとつきょうは総裁もいらしておりますが、全電通との間におきましても誠をもって事に当たっていただき、ぜひ円満に解決できるように政府ともどもひとつがんばっていただきたい、こういうことをお願いをしておきますが、若干の考え方を。
  52. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  全電通の首脳四役とは先般トップ会談をいたしましていろいろ意見を交換しました。今回の春闘解決につきましても、私といたしまして政府関係閣僚にいろいろお願いしてございますが、最大限の努力を尽くしていきたいと思います。
  53. 鈴木強

    鈴木強君 電波監理局長いますかね。……実は東京12チャンネルの問題でちょっとお伺いしたいのですが、私どもは設立当時から関係をしてきておりますから、そういうものから見ると、先般のあなたのほうの電波の免許についてちょっとふに落ちない点があるのです。ですから、科学技術振興財団が教育放送として認可をし、しかもこの電波はアメリカ軍が放出をしてくれた最後の電波であった。それだけにこの電波をどう使うかということについては当時党派を乗り越えていろいろと検討もし、協議もし、その結果、科学技術振興財団にやっていただくことが一番いいというのでああいう方針をとったわけですね。その後、確かに当事者の責任もあるのですよ、これは。割り当てられた拠出額というものが出されないで財政的に非常に困難をきたして、一時はこれが労働組合との間でたいへんなトラブルまで起き、非常に解決されない問題までかもし出したわけです。その後知らない間にスポンサーがついて、そうして、なんだ、教育放送だというのにスポンサーがついて何かやっているじゃないかというような不快な念を持ちながらも何となく時間が過ぎちゃったのですね。何かふわふわしている間に今度は一般のテレビ局のような形になって免許がされているのですね。そこのところなんですね、問題は。私どももたいへんな関心を持っていままでおったわけですから、これはひとつ大筋を齋藤さん説明してください、もう時間がありませんからポイントだけでいいですから。
  54. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 財団の教育専門局のできたいきさつはいま御指摘のあったとおりでございますが、これが事業を始めてからちょうど十年たったわけでございますけれども、科学技術を主とする教育専門局という開設の趣旨がその間必ずしも貫かれなかった。またスポンサーに基礎を置く教育専門局というものが初めて実験されてきたわけでございますけれども、必ずしもこれがうまく作用しなかったという事情がございまして、それで結局12チャンネルにつきましては一時は二十数億の赤字をかかえておったわけでございます。それで、去年の再免許の際にこれをどうするかということが問題になったわけでございますけれども、御承知のように昭和三十九年臨時放送関係法制調査会の答申が出てまいりまして、この答申の中で、将来スポンサー制度に根拠を置く、基礎を置く教育専門局というものは成り立たないことが明らかとなったから政府においてはすみやかに将来適当な機会に廃止すべきであるというような答申もいただいておるわけでございます。その間、しかし、何とか開設の本旨を貫いていただきたいということで、関係者の努力にもかかわらず事態は悪い方向に推移してきたということでございまして、去年の十一月の再免許に際しましては、10と12チャンネル、これが教育専門局に割り当てておったわけでございますけれども、これを一般局に割り当てるということで財団の教育専門局は廃止して、新たに株式会社東京12チャンネルというものに免許を与えた、こういういきさつでございます。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 それで当時私たちも、経営の面でいいますとたいへんなピンチに追い込まれて借金借金で何とかやり繰りしてきたことも知っておりますが、お話のように最終的に、教育放送だったのですけれど、スポンサーをつけてその面の収入で多少カバーしながらやってきたんだが、科学技術振興財団が最後に持っておった赤字は二十数億という、それだけですか。
  56. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 途中で肩がわりなどをいたしまして最終的には十数億だと思いますが、経営赤字が出たのは二十数億ということでございます。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 それで、臨時放送関係法制調査会の中にもそういう意見があったというお話をあなたいまされましたけれども、これはもちろんそれは放送法制調査会の御意見としてわれわれは傾聴しなければなりませんし、するのですけど、まああなたのほうでは都合のいいときにはそういうものを使う。それで、われわれが放送法の改正等についてもあの答申が出されてもう何年たっているのだということを言っても、なかなかそういう場合には、あの中にいい意見があっても、これが法律の中に生きてこない。どうも隠れみのにするような気がしてならない、私は。電電公社経営の問題についても昭和二十九年、時の吉田総理大臣に対して答申が出ていますし、三十一年、岸さんに対しても出ている。そういう答申がたなざらしにされて十数年、二十年近くたっても何ら生かされてないということもあるわけですね。ですから、まあ郵政省として直ちに方針を是認して認可したということですけれど、もうちょっと配慮がほしかった。そしてわれわれも、あなたがいつもおっしゃるし大臣もおっしゃるのだけれど、こういう問題については党派なんていうものを乗り越えて、そしてやっぱり国民理解と納得の上にやるというのが私は筋だと思うのですよ。われわれには一言の話もない。それは行政はあなたのサイドにあるかもしれませんよ。しかし当時あれだけの苦労をしてお互いに党派を乗り越えて鳩首協議をしながらやってきたものからすれば、せめて一言ぐらい、こういう事情でございますから今度はこうやりたいぐらいの話はあってもしかるべきだと私は思うのですね。不親切だ、そういう点は、電波行政は。もう少し私は、——私の言ってることは国民もそう思ってるのですよ、あの発足からの経緯の中で。ですからガラス張りの中で、どうしてもスポンサーをつけない教育専門局というのは成り立たないのだと、どうやってみても、だからこの際はこういう方法でいくのだということになれば、そういうことでやっぱり広く国民世論の理解を得るということが必要でしょう。そういう配慮ぐらいは私はしてほしかったですよ。それを何にも知らない中でぱっと結果だけが発表されましたからね。これはどうしたことだろうという疑義を持ったものですから、私は、ここであらためて経過を伺ったわけです。ですから、そういう配慮をぜひしていただきたい。電波は国民のものである。それは経営に携わっていただく民放の皆さんあるいはNHKの皆さんの努力を期待しつつ、この電波というものが国民、公共のために、教養のために生かされていくというそういうものだと私は思うだけに、堂々と皆さんの理解を得ながらやってほしかった、こういう点を申し上げておくわけです。今後のひとつ電波行政の参考にしていただければ幸いでございます。最後に若干その点を伺って、森中委員見えましたからこれで質問を終わります。
  58. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 御趣旨の点は十分理解することができますので、十分注意したいと思います。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 けっこうです、どうもありがとうございました。
  60. 森中守義

    森中守義君 郵政大臣、きのうでしたか、他の分科会で、いまの同僚の鈴木委員に対して企画庁長官が、私鉄、バス、トラック、あるいは航空も含むでしょうが、まあ郵便等の料金改定もやらざるを得ないだろう、こういう趣旨の答弁があったようですが、私は、時限的に、最低見まして、国鉄運賃が凍結される、この間はどう見ても、たとえその波及効果が微量であろうと軽微であろうと、他のものは一切凍結をすべきだ、最低の常識として。しかしこれが九月一ぱいで一応凍結解除になる。そのあとが、五十年度の編成に入るし、非常に微妙な時期を迎えると思うのです。そこで、郵政特別会計のことしの財投借り入れが約六百九十六億、これはもし来年改定ができないという場合に、その措置は依然として財投借り入れの上乗せということになっていくのか、どういう方法で処理されるのかということが一つと、それからいま一つは、きのうあたりからだいぶ、十一日、十二日のストライキ対策でかなり政府側も足取りがしげしくなってきたようですがね。一般的に世間でいわれている話としては二〇%から二五%幅である、最終のぎりぎりの決着が。これはあくまでも話ですからね。当事者がそういうことを言明されたわけでもありませんが、かりに二〇%ないしは二五%の幅で決着がつく場合、六百九十六億にどのくらい乗せねばならぬのか。いま手持ちの財源は郵政にはないでしょう、それに充当するものはね。そうなるとあらためてその分をどうするかという財政措置をとらねばならぬと、こういうことになるでしょうが、その辺の計数を、二〇あるいは二五という幅はこれは私が世間の話だと言っているわけですがね、措置はどうされるつもりか。この二つを最初に伺っておきたいと思います。
  61. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 実はけさほど新聞を見まして、私自身も委員会での企画庁長官の、質問に対する発言というものを知ったわけでございまして、担当である私のほうへは、そういうふうに言いまして郵便料金値上げをせざるを得ないということを言うぞ、ということはございません。どのような質問で、どのように具体的に答えたかということは私はつまびらかにはしておらないわけですが、そういう問答のあったことは大体推察ができます。  そこで、森中さんからのお尋ねは、もし国鉄はどうあろうとも十月まで伸ばしたと、これは法律改正で伸ばしたと、それからは上げるということになるんではないか。その場合にも、郵便料金というものは上げるのか上げないのかと、こういう一つお尋ねの要点ではないかと、こう思うんでありますが、私どもは当初、今日の郵便事業というものがまことに一生懸命やっておるにかかわらずいわゆる人が運ばなければ最終的に解決できないという企業の性格から努力努力を重ねましたけれども、これは何としても運営するのに困難を来たすと、どうしたものであろうかということも含めて審議会答申を求めたわけでございますが、その答申の中には種々の御指示もありましたが、郵便料金の改定をせざるを得ないという答申をいただいておったわけでございまして、私といたしましてはこの仕事を受け持つ責任者といたしましてそうせざるを得ないという立場でまず考えておったわけでありますが、いまの国の政治の最大目標は何としても物価を押えなきゃならぬ、この狂乱といわれておる物価を押えることが最大政治課題であると、こういう意味で財政当局者、関係閣僚相寄りまして、この際郵便業務の困難はわかるけれども、ひとつ値上げということについては見送るということにしようということに同意をいたしたわけでございます。したがいまして、この見通しがどう変わるかと、どうなっていくかということを完全に見きわめをつけないで私は責任者といたしまして値上げをするとかということは言えないのでございまして、一たんきめたことでございますから、今日からの動向を見ながら対処をしていくということでございます。  それから後者の問題につきましては、これもこの苦しい中で今日のいわゆる世にいわれる春闘という問題の一つの課題として賃金アップという問題と取り組んでいかなければならないわけでございますが、これは先ほども鈴木さんにお答えをしたのでございますが、これに幾らを要するかということはまだこまかい数字は出ておりませんが、けさほど総理大臣を中心に関係閣僚、党役員相寄りまして相談をいたしましていわゆる有額回答をしよう、そして積極的に取り組むことによってゼネストを回避し、国民に対して心配をかけておる問題を解決しようということをきめたわけでございますが、いずれにいたしましても、これらにつきましてもいま世間でいう、借金財政というところへ、なおかつ有額回答をしてベースアップするということになりますとまことに苦しい状態でございますが、私はその際にも申し上げたんですが、決して足を引っぱるようなことは言わぬ、有額回答けっこうだ、このことについて財政責任者においてもよく認識をしてもらいたい、こういうことでこれはよく各大臣財政当局者と相談をし、最後には党の三役ともお話をして結論を出そう、こういうことになっておる次第でございます。なお必要とありますならば、お尋ねがありますならばそれらの計数について計算をしておることがありましたら答弁させますけれども、まだ幾らにするということについては出ておらないというふうに御承知を願いたいと思います。   〔主査退席、副主査着席〕
  62. 森中守義

    森中守義君 これは目下四十九年度の予算の審議中ですから、五十年度のことまでもかけた話はどうかと思いますが、しかしそれにしても予算が成立しますとおのずから五十年の作業に入っていかれるわけですね。いずれ早晩何かの意思決定という段階にきましょうが、どうしても今日の物価対策という観点からいけばこれはやっぱりやるべきでないという以外に方法はないんですがね。ただ六百九十六億の現在の赤字というものは減少しなくて、むしろいま大臣も言われるようにベースアップの問題等で上乗せされていくことは間違いない。これはなかなかあとの始末がやっかいだと、こういうことになりますしね。  そこでちょっと内容的に入り過ぎるきらいもありますが、国会の議決承認による料金体系をいじることと、大臣の認可料金という二種類がありますね。それでどうしても財政上やむを得ないという場合には後者で一応処理をしていくという、そういうことは考えられませんか。
  63. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いま小包は、これは国鉄の輸送と関連がありますので、これは十月から値上げをすると八十億の収入を見込んでおります山それ以外には、答申の中にはいろいろございますけれども、私どもはこれを大胆に物価対策として見送っておるという状況でございますから、先ほど私が申し上げましたけれども、国鉄の問題もまだ仮定の問題でございますから、これもこれが上がればそれと関連して小包の問題というものは生じてくるわけでございますから、これらの問題は今後の問題として私いまのところまだ踏み切るという線で考えておるわけではございませんが、小包というものについての問題は生じてくると、こざるを得ないと、しかしこれは十月に上げるということになりました際の問題でございまして、この問題についていまそれより先に上げるとかということについては何も決定でもなく、話があるということでございますから、私といたしましてはこれらの問題についてまだちょっと、森中さん親切に立ち入って御質問いただいておりますけれども、私のほうではまだ何ら申し上げる段階ではございません。
  64. 森中守義

    森中守義君 それから米澤総裁、最近、経済の基調がもうほとんど乱調子な状態でございますからね、企画庁のほうでも、例の基本計画をできるだけ早い機会に見直したい、こういうことが関係の委員会等でほとんど確定的に企画庁のほうでは答えている。そこで九・四%の成長を維持していくのか、あるいは従来の七・二%に引き戻すのか、あるいは五%以内にもっと封じ込めていきますかね、とてもことしの二・五%が、さらに来年も再来年もというように継承されるとは思わないんですよ。しかし、いまの五十二年に至る五計というものは、非常に正確に整合されたものじゃございませんけれども、やはり基本計画の中にかなり通信政策の確立ということで問題はとらえているし、ただ、出発の時点は多少違いますね。違いますが、これはいずれ企画庁がいつから作業を始めるかわかりませんが、おそらくもうそろそろ始めると思う。そういう際に、公社の五カ年計画というものは一体どうなるのか、昨年から始まって三百十万戸、ことしは三百二十万戸というように、初年度は比較的順調に進んでいるわけですね。また、財政の手当てもかなり正確のようですが、要するに、企画庁が基本計画を見直した場合、この五カ年の長期計画というものはどういうことになりますか。
  65. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  電電公社といたしまして第五次五カ年計画を策定いたしましたが、ただいま、森中委員が御質問の中にもありましたように、これ時系列的にいいますと、電電公社の五カ年計画のほうが若干経済基本計画よりも少し先になっているということでございます。第五次五カ年計画最大の目標は、期末の五十二年度末におきまして、全国的規模において電話の積滞をなくなすと、これが最大の目標でありまして、これは私はぜひ達成したいというふうに考えております。  ところで、経済成長との関係でございますが、この際、この五カ年計画の中では、一般加入電話千五百三十万をつけるという計画でございます。四十九年度が、いま国会に、参議院に出ております予算が三百十五万つけるというのでございましたが、昨年の八月末で、公社郵政大臣ところに概算要求を出す時点におきましては、需要が主だ非常に強かったものでございますから、三百三十五万という案を大蔵省へ出しました。ところが、それが総需要抑制という、その後の経済情勢の変化で、三百三十五万という計画で、これは全体の投資規模が四十八年に対しまして一八%伸びるという案でございました。それが大臣折衡におきまして、電電は特別だということで五%の伸びを認めていただきまして、電話につきましては当初の三百十五万よりも五万伸びる三百二十万というのが現在国会に出ておるのでございます。ところで、五十年が三百十五万、五十一年が三百万、五十二年が二百九十万という状態でございますが、今後の物価の動きがどうなるかという問題はなかなか予測がつかないので、いわゆる投資額七兆円という数字は、若干これは今後の物価なり、経済成長に関連してくるんじゃないかというふうに思います。  それから需要につきましては、住宅電話がこの中で八〇%を占めております。住宅電話につきましては経済成長、GNPの伸び率にそれほど関係ないんじゃないか、需要のほうは関係ないんじゃないかと。それからむしろビジネス電話がこの中で二〇%を占めております。これは若干関係するんじゃないかと。ところで景気が強くなってまいりますと千五百三十万は強まる傾向にありますし、また、GNPがむしろ全体おさまって景気が悪くなってくると、若干減るような傾向にあるんじゃないかと、詳しくは計画局長から説明はさせますが、千五百三十万はそれほど変わりないんじゃないか、しかし収入とかあるいは支出面におきまして、たとえば最近の物価の上昇が非常に高いですから、この中で予定いたしましたいわゆる人件費の数字等は私はだいぶ変わるんではないかと思います。しかし、いずれにいたしましても、これは先のことでございまして、四十九年度におきましては三百二十万の加入電話をぜひ達成したいと、このように考えております。
  66. 森中守義

    森中守義君 総裁、今度の計画では、いまもちょっとお触れになりましたように、ビジネス加入が二〇%ですか、一八%か……。
  67. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 正確に言うと一八%。
  68. 森中守義

    森中守義君 そうですね。住宅が八二%。ここに少し疑問というよりは問題がありますのは、事務用電話というのは、もうすでに充足が終わってしまった。したがって、これからは一般加入のほうに重点を置こうという、こういう意味合いだと私は理解するんですよ。そこでここにいわれている一八%というのは、たとえば新全総がどういうことになりますか、とにかく動き出すと仮定した場合、工場は地方にどんどん分散するという、こういうような将来を考えた場合、それを想定して一八%とされているのか。現在における情勢からしますと、まあおおむね事務用電話というのは一八%ぐらいに見ておけば、架設の順位ももちろん高いし、大体間に合うということであるのか、その辺のかね合いはどうなっているんですか。
  69. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) この千五百三十万の予測にあたりまして、私どもは過去のいろいろな時系列、その時系列の中では、当然、経済成長率等をファクターといたしました予測式というものを使いまして、千五百三十万が昭和五十二年度までの五年間で新しく出るであろうという想定をしたわけでございますが、その千五百三十万の内訳といたしまして、事務用及び住宅用というのをそれぞれを分計して集計したものと、それから両方をマクロに、単に加入電話一本といたしまして予測したものと、三本立ての予測をいたしまして、おおむね、このいずれの式も大体一致いたしたものでございます。したがいまして過去の時系列及び今後の成長等についてのそれぞれの予測という面から見ては、住宅用、事務用及び両方足したもの、いずれも大体こういう範囲でおさまりそうである、その内訳が、いま先生おっしゃいましたような事務用が一八%ということになっておるわけでございますが、これはやはり新しいビル等が建ってまいりました場合の、そういったところに当然必要になります電話、そういうふうなものが当然含まれるわけでございまして、この程度おつけすれば、大体事務用としては十分間に合うであろうというふうに想定したわけでございます。ちなみに、四十七年度までにかなり需要が、五次五カ年計画の前半のほうにかなり強目に新規需要が出てまいりましたが、これはかなり事務用の影響が多うございまして、また、最近若干落ちついてまいっておりますが、これも事務用のほうが少し伸び悩んでおるというようなことでございますが、何せ、たかだか二〇%程度でございますものですから、全体の需要の中でそれほど大きな影響を占めていないということかと思います。
  70. 森中守義

    森中守義君 局長、もうちょっと簡潔に聞きましょう。  現在のシェアが一八と八二ということは、もうすでに事務用は充足がほとんど完了したと、ですから、これから先のおおむね自然増をこの程度見ておけばよろしいという意味で理解していいのかどうなのかというのが一つ。  それからいま一つは、新全総等々、これからの企業活動の立地環境が変化を遂げていく可能性も一応予測せざるを得ないでしょうし、あるんです、そういうことは。そういう場合に、この一八%というものは、そういう立地環境の変化ということを想定をしながら一八%としているのかどうなのか、もし、そうであるとすれば、その予測が変わってくるかわからない。予測が変わってきた場合に、一般加入というものはぐっと抑制をして事務用の一八%にまた上乗せしていこうというようなことになるのかならないのか。それはどうなのかと、こう聞いているわけですがね。
  71. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) 四十七年度末におきまして事務用と住宅用の電話がちょうど五十・五十という半々になったわけでございます。その後の新規需要及び電話を架設いたしてまいります比率が大体四十八年度及び四十九年度の予算等でもおわかりいただきますよりに、ちょうど五カ年計画とほとんど同じ比率の八割が住宅用電話で、二割しか実際事務用電話をおつけしていない状態に入っていると思います。この千五百三十万という電話をおつけいたしました場合の五十二年の末の姿を考えますと、七割ぐらいが住宅用電話になってしまいまして、三割程度に事務用がむしろ減ってしまうと、こういう予測を立てたわけであります。そういうことから先生いまおっしゃいましたようなことは、むしろ特別な配慮もなくて自然の流れの中で大体こういった数字になるであろうというふうに私ども予測したわけでございます。と申しますのは、この電話の需要といいますものを一つの電話局単位にながめてみますと、非常にばらつきが多いものでございますから、これを全国的なマクロの中で予測するのが一番正しそうだということで、ただいまの数字は全国的なマクロで予測したものでございますから、いろいろと新全総あるいはそのほかのいろんな要素を加味したとは私どもちょっと言いかねるというふうに考えておるわけでございます。
  72. 森中守義

    森中守義君 それで総裁、非常にはっきりしてきましたが、これから工場の地方分散というふうなことがおそらく日程にのぼってくる日もあると想定せざるを得ない。そういう場合に、一般加入の八二をずっと続けていけるのか。あるいは企業活動が非常に地方で旺盛になりますと、一八に八二のほうを幾らか転換せざるを得ないということになるのか。さっき総裁お答えでは、この長期五カ年計画というのはこのままの状態で推移すると、こういうことですから、それで尽きているようりにも思いますけれども、もしそういうふうな事態が発生した場合には一八・八二の関係はどうなりますか。動かしませんか。
  73. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  最近、郵政大臣ところに現在優先順位基準というものを直そうということで、従来は住宅というものを非常に後順位に——後順位というのは順位を下のほうにしておりましたが、今度は申し込み順にだんだんしょうという案をいまつくりまして認可申請しているわけでございます。したがって、事務用のほうを優先するというんじゃなくて、いわゆる申し込んだ順序に電話をつけたいという考え方一つあるわけでございます。したがってただいまの御質問のように、住宅が八二というのも、その八二が若干変わる、マクロ的な予測でございますから、地域別に見ますと場所によっちゃ八五になるところもあるし、あるいは八〇になるところもある。先ほど計画局長が言いましたように、これ全国的なマクロの数字でございますので、結局先ほど申し上げましたが、五十年三百十五万、五十一年三百万、五十二年二百九十万と下がっておりますが、もしもそういう需要が非常に出てまいりました場合には、そういうものは来年——まだ四十九年度子算成立しておりませんが、五十年度のことを申し上げますと、五十年度予算編成のときにそういうもの、あるいは五十一年のときにまた年度別に三百万というものを、たとえば三百二十万にするとかいうことはあり得るんじゃないかというふうに考えますが、マクロ的にいうとあんまり変わりないと、こういうことを申し上げたのであります。地域的には当然そういうものは考えに入れていきたいと、何といいましても長期計画でありまして、五年先まで入れまして、結局、五十一、五十二というのはまだだいぶ先でございますから、当然今後の国の経済情勢というものを反映させていかなきゃならない、しかし積滞解消というこの目標はぜひ達成したい、このように考えております。
  74. 森中守義

    森中守義君 これは長期計画とはいいながら、できるだけミクロであるほうがいいにきまっていますが、なかなかそういうとらえ方は困難でしょうが、少なくともこの八二と一八の比率というものは動かしてもらいたくないし、しかし片や事務用等が非常に急激に需要が喚起されるような場合、現在の大ワクというものをさらに上積みするということはあっても、この数字は動かさない、こういう方向で進んでいくものだというふうに理解しておっていいんですか。
  75. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  まあちょっとかなり技術的な要素が入っておりますが、基本的には何も住宅を押えるということは考えておりません。いわゆる国民の、従来——昔は電話というのは多少ぜいたく品だというような、公社はそう思わないですけれども財政当局あたりそういう意見があった時代がございますが、最近はもう電話は必需品だというふうになっておりますので、われわれといたしまして需要は十分考えに入れて、年度の予算のときにそれを取り入れていきたい。ですからいまおっしゃったように八二を査定するとか、押えるということは考えておりません。
  76. 森中守義

    森中守義君 これは大臣ね、きのうだか私のほうに送ってもらいましたが「ゆうせいトピックス」の中に郵政白書を書いてきたのがあるのです。この中でこう言っているのです。「企業活動に果たしている通信の役割りをみると、」ということに始まって、「郵便の八〇%以上は企業活動に関係するものであり、事務用電話の利用度数は住宅用電話の五・五倍であり、」そして結びが、「通信が企業と深いかかわりをもつものであることがうかがわれる。」、それで、白書を通読しましても随所にやはりこういう収益の状態であるとかあるいはサービス提供の状態というものはおおむねこういう傾向を示しているんですね。ですから、私はその一つとして公社のいまの八二を一般加入へ、一八を事務用へというこの比率というものを変えるべきでないという立論もここに根拠を置いているわけですがね。これから郵政、電通を見ていかれる大臣としまして、ことさらに企業活動に手を貸して、そのために一般加入者であるとか、一般利用者が非常に不便をかこうというようなことがあればこれは公共事業としての体をなさないことになりますからたいへんだと思います。そういう意味で郵政それから電通ともに大臣配慮が必要だと思うのですが、どういうお考えでございましょうか。
  77. 原田憲

    国務大臣原田憲君) もうあなたのおっしゃるとおりだと私は思います。一番最初にこれから新全総計画を手入れするにしても、地方分散ということになった場合のいわゆる生活一般加入電話というものと、企業電話というものと比べたときに、企業電話というものが一八では少ないということになってきやせぬかということも含めてのお尋ねがあったと思いますが、マクロでいうと、大体最後にはそういう形になるという電電公社が答弁いたしておるわけでございまして、いまお話のように、この線というものは今後とも守っていってしかるべきものであろうと思います。なお、いまおっしゃっておりました点についての懸念のないようには、公社総裁が言いましたように、五十年、五十一年、五十二年これらを架設電話の量においてもそこに幾らかのアローアンスを見ておるからそこにおいて解決することもできると思うと、こういうお話でございますから、大綱はあなたのおっしゃった線を守りつつ、積滞を解消しながら万遺憾なき、均衡のとれた姿というものを期待して行政を行なっていきたいと存じます。
  78. 森中守義

    森中守義君 それから昨年のたしか二月以降、例の日中海底ケーブルの問題に計画を合わせるようにしまして、東南アジアの通信ネットワークということがもうすでに動き出しているような話だったわけですが、これはその後どういうことになっていますか。特に日本からフィリピン、香港、シンガポール、タイ、インドネシア、これを結ぶのだという計画であり、経費は約三百億、この三百億は経済協力基金から出すのだというような状況に聞いておりますが、具体的な計画はどういうことになっていますか。
  79. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 実は先生承知のように、十年ほど前から東南アジア海底ケーブルネットワークにつきまして、日本が主唱国となりましていまおっしゃいました関係国当事者とITUの会議などの機会を利用いたしまして計画推進方を進めておったわけでございますが、ちょうどその後に衛星通信が脚光を浴びまして非常に国際通信が衛星通信によってまかなえるということが一般的に認識をされましたために、ちょっとこの海底ケーブル計画の影が薄くなったわけでございます。しかし、やはり海底同軸ケーブルの技術革新に伴いまして良質な国際通信が確保し得るということが認識されまして、再び東南アジア海底ケーブルにつきましての話を進めるべき機が熟してまいりました。そこで、非公式でございますが、どうも関係国全部集めましてお話をするのは全体の計画を進める上に得策でないと判断いたしまして、去る二月半ばでございました、まず日本と直接結びつくべきフィリピンそれから次の関係国でありますタイの主管庁の責任者に来てもらいまして、   〔副主査退席、主査着席〕 非公式に会談を持った次第でございます。ただ、その際これまた先生承知のように、こういう問題を議論しますと、各国の利害があからさまに出てまいります。ちょうどフィリピンはアメリカとの通信が非常に多いものでございますから、グァム−フィリピン間のケーブル、いま持っておりますけれども、それの第二路線というものをぜひ近く敷きたいということを強硬に主張いたしました。ところが、私どもといたしましては第二太平洋海底ケーブルが沖繩までまいっておるものでございますから、ぜひとも沖繩以南という形において対米通信、東南アジアと以東の通信を仲立ちしたいというふうに考えまして、私どもは沖繩−フィリピン回線を強く主張した次第でございます。この間タイの態度は端的に申しますればどちらでも対米通信が可能であればよろしいというような感触でございました。そういうような状況でございまして、これにまたC&Wというイギリス系の会社が香港を中心にネットを持っているわけでございますが、これとの利害もからみまして、現在やや停とんの状況にございまして、先生お話しの三百億構想と申しますものも現在その緒を見出せないでおるという状況にございます。
  80. 森中守義

    森中守義君 この東南アジタのケーブル計画というのは、大臣、前の久野大臣のときに一つの目玉みたいになっていた。対中ケーブルと東南アジアケーブル、これで東南アジア一帯における完全な通信ネットワークができるのだというわけで、かなり力が入っていたような気がするのですね。ただ、いま浅見監理官の御説明で一応のいきさつわかりましたが、これから先大臣は少なくともいま各国の意向打診という程度のものであって、基金の三百億構想も固まっていないということのようですが、どうされますか。ただ衛星が確かに、あとでこれもお尋ねいたしますけれども、そういう幕あけの時代にも入っておりますから、どちらが一体ネットを結ぶ場合に有効であり、適切であり、しかもコスト安であるかという、そういう計算よしなければなりますまいが、大臣はどうお考えですか、実現の意思がおありですか。
  81. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私よりも専門的にはあなたのほうがよく知っておられますから、私は大臣として政治姿勢といいますか、こういうことについて率直に申し上げたいと思うのでありますが、これからの世界の動向の中で衛星、それから海底同軸ケーブル、これらの仕事というものは私はもっと重要度をまだまだ増してくるように思っております。したがって、就任いたしましてから、これからの世界を結ぶ通信網というようなことについては、日本の国としては積極的に取り組むべきである、こういう姿勢でいくべきであると考え、ちょうどいまの国会にかかっております経済協力の問題につきましても、従来外務省とそれから通産省とそれから大蔵省とが集まって、そして海外経済協力ということの中心の話をしておった。これらのことが今日やはり問題になるところがたぶんたくさんあるんじゃないか。これはたとえば道路を一番つくれことが求められておるところへ、商売でもうけたらよいと、こういうやり方をしておることによって、これはほんとうの効果はあげられない。したがって、これからは、わが田へ水を引くようでありますけれども郵政省がやっておるところの行政の中で、世界の国々との協力を果たすための外交効果をあげるための施策というものを進めるべきである、こういう主張をいたしまして、今日その方向へ進んでいきつつあると、私はそのように考えておりますので、いまのお話も非常に専門的に浅目君は答え、そしてそのことについては森中さんも非常に専門家でありますから、よく技術的にも御存じであると思いますが、私は大臣としてそういう政策というものを伸ばしていくために最大努力をする、こういう線で処しておるつもりでございます。
  82. 森中守義

    森中守義君 これは大臣、別に私は専門家というわけでももちろんございませんしあれですが、本気でやるにはやはり大臣一つの構想を固められたならば、すでに基本的なものは固まっているんですよ。それで相手国と個別になり、あるいは数カ国なり関係国とじかにやらなければなかなか実現しませんね。その辺に姿勢がうかがわれるということだと思うのですが、目下のところあくまでも事務レベルというような感じがいたしますが、いずれ大臣の任期中に腰をすえてやろうということであれば、何かの方法でそのアプローチをやられる必要があると思いますが、そのお考えはお持ちでないのですね。
  83. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 一つ一つ事業について言いますと、KDDの仕事であるとかあるいはその他たくさん仕事がございまして、私も就任をいたしまして勉強もいたし、具体的な行動に入ろうというところまでいくまでにいま実際正直に言いまして予算で追われておりまして、森中さんが言われるように、これは具体的に乗り出していかなければならぬ。たとえば日中の場合前任の大臣が自分で乗り込んで行って解決をしたというような一例もございますが、具体的にいま私そのところ事務当局とも話しておるわけではございませんが、私はそういう姿勢で進まなければならぬと思い、それが東南アジアだけでなくて、この間からもアラブ諸国の中での通信網の問題について、いま具体的にクェートで起こっておる問題がございます。これらについても外務省との間に話を進めておるというように取り組んでおる次第でございます。
  84. 森中守義

    森中守義君 技術庁見えていますか。宇宙開発の見直しが三月終わったというふうに聞いておりますが、前回の見直しと今度の見直しでどういう内容的な変化がありますか。
  85. 千葉博

    政府委員(千葉博君) 三月に宇宙開発委員会でいわゆる日本の宇宙開発の見直しを行ないました。大体この宇宙開発の計画というのは毎年見直ししておるわけでございます。それはなぜかと申しますと、宇宙開発の基本はN計画というのが昭和四十五年——通称N計画と申しておりますが、それがセットされておる。これをこう毎年客観情勢がいろいろ変化しますので、御案内のとおり宇宙開発はいろいろこうたいへんな勢いで進んでおりまして、客観情勢がどんどん変わりますので毎年見直しを大体行なうという状況でございます。それで特に三月行ないましたのは、もう御案内のとおりの実験用中容量静止通信衛星、それから実験用の中型の放送衛星、これにつきまして昭和五十一年度を目標にこれを開発して試験を行なうと、こういったようなことがまず第一点盛られておるわけでございます。  それから、この打ち上げる場合にはこれを米国に依頼しようというように追加されております。  それからもう一つ重要な点は、いわゆるいまやっておりますN計画、いわゆるNロケットをつくりまして実験用の衛星を四個上げるというN計画のこれのあとに続くところの将来の宇宙開発計画、これに関連いたしまして、いわゆる数百キログラム程度の静止衛星を打ち上げる能力を有するロケットの開発研究に着手する。つまりNロケットでは静止軌道に約百三十キログラム程度の衛星しか打ち上げられない。ところが、先ほど申し上げましたような通信衛星あるいは放送衛星、これは実験用でございますけれども、三百キログラム台でございます。したがいまして、この百三十キログラム程度の打ち上げ能力ではとてももう足らぬということで、いわゆるポストNロケットといたしまして、どういったロケットを開発したらいいかという点を研究しようと、こういう点が大きな点でございます。そのほかもう一点小さな点はN計画の中の実験用の衛星の一部分の内容を変えようという点がつけ加えられておるわけでございます。
  86. 森中守義

    森中守義君 そこで、その通信衛星、放送衛星の五十一年というのは、その必要性、緊急性がはたして国民的な合意に達せるかどうか、かなり私、は疑問があると思うんですね。たとえば、あれはどの新聞でしたか、かなり詳細に、まあそれも一カ月ちょっとぐらい前ですよ。何でそんなに急ぐのか、その必要があるのかというようなことで非常に詳しい解説を出した記事がありました。読んで見ればまさに私もそのとおりだと思います。  そこで四十七年の九月六日郵政省から宇宙開発委員会にあてた要望書というのか計画書の提出ね、この中で郵政省が言っておりますのは、「わが国としてもできる限り早期に通信衛星放送衛星等の開発を進め、必要な通信需要、放送需要等を満たす技術を確立するとともに国際的な場においての発言力を強化し、必要な静止軌道、周波数等の電波権益の確保をはかる必要がある。」、こういう理由をうたい上げているわけですが、ところがこういう理由というものがだれにもわかるように、しかも具体的内容を伴ったものとしてみんなが理解しているかどうか、どうも、しかし、そういう理解程度からいくならば必ずしも十分ではない、こういうふうに私は思うんですがね。よって、郵政省が——何かあの記事でいきますと、まああまり宇宙開発委員会、技術庁としてはこの計画に全面的に賛同を表したというような意味合いにはとれないし、また過去のいろんないきさつ等からしても確かにそういう経緯を踏んできたと思う。しかしながら、これがいよいよ計画に移されるということになれば、この辺の内容というのはもう少し克明にだれしもにわかるような方向がとられてよかったんじゃないかと、こう思うんですが、その辺の認識はどうですか。
  87. 千葉博

    政府委員(千葉博君) その点につきましては、これは経過を御説明申し上げるとおわかりになると思います……
  88. 森中守義

    森中守義君 できるだけ簡単に、時間がないから。一通りわかっていますから。
  89. 千葉博

    政府委員(千葉博君) それじゃ簡単に申し上げますと、宇宙開発委員会はもう御案内のとおり、この利用をこれを所管しているというようにはなっておりません。宇宙の利用でございます。したがいまして、宇宙開発委員会が宇宙開発計画を立てる際には、いわゆる利用者の方か——官庁でいいますとこの利用を所管する官庁、通信、放映衛星につきましては郵政省あるいは電電公社あるいはNHK、まあこういったような機関の方々の御要望を十分承りまして、それでいわゆる宇宙開発という観点から見て、それでこのいろいろ重要性を検討いたしまして、それで宇宙開発計画をつくる、そういったような立場でございますし、また、そういったきめ方をしておるわけでございます。  それで通信、放送両衛星につきましては、まあ御案内のとおりのことで、一昨年夏に利用官庁でございます郵政側から強い御要望がありました。どうしても五十一年度に中容量の放送、通信両衛星を上げてほしい、こういったような御要望がありました。それでその御要望の内容をこの宇宙開発委員会におきましていろいろ検討した結果、さしあたり四十八年度においては非常に早く上げてほしいと、利用者の立場からくる熱意がわかるけれども、いわゆるそういったものの技術的な詰めがまだ足らぬと、つまり手順といたしまして御案内のとおり衛星の開発には概念設計、それから予備設計、それをやって、そのあとから今度いわゆる開発の基本設計製作、こう入るわけです。概念設計、予備設計という段階で十分に技術的にも詰めていく。それでこの両衛星をどういったような開発をするのか、それのオリエンテーションがなされるわけですが、これはまあ利用官庁のほうで十分やっていただくということにしておるのか、——普通はまあやっておらない。だから、これをまずやっていただく。そのあとで実際に開発に入る目標をきめて計画に移すということをきめたいという決定をいたしました。ところが四十八年度に郵政省がその前段でございます概念設計、予備設計、こういったものを完成いたしまして、それで昨年の十月、この五十一年度を目標にやるという計画を決定いたしまして、それでこれを見通しに宇宙開発計画に組み込むという経緯でございます。それで、それではその重要性は何かと申しますと、いわゆる開発の観点から見ますと、この利用の観点から見たのはあとで郵政省のほうから御答弁があると思いますけれども、委員会のほうから見ますと、これは世界的に、この放送衛星あるいは通信衛星について御案内のとおりに、カナダはじめイタリアあるいはヨーロッパのESRO、このESROというのはヨーロッパの宇宙研究開発機構ですね、あるいはフランス、ドイツとの間の機構、そういったようなところで急速に五十一年前後のところをねらって実験用の通信衛星あるいは放送衛星の打ち上げを進めているという世界的ないま傾向にございます。それで、そういったような客観情勢、それと技術的にもアメリカの援助を相当量入れますとこれが日本でも開発することが可能であると、こういったことが昨年の春から夏にかけての検討でわかってまいったわけでございます。そういった点からこれをわが国の宇宙開発、いわゆるN計画と並んでこの通信、放送衛星、両衛星を入れていくには十分な価値があるし、また早急に開発すべきである、そういったような結論に達しまして、それで先ほど申し上げましたような計画への見直し、追加ということに相なったわけでございます。
  90. 森中守義

    森中守義君 結局、国民的な合意がはたして得られているかどうかという問題なんですよ、私が言っているのは。というのは、さっきちょっと申し上げたように通信衛星、放送衛星の開発を進めて必要な通信の需要、放送需要を満たすと、こういうわけですね。その理由として一般的にいままで私どもが聞かされてきたことは、通信衛星の場合には離島通信、あるいは災害非常通信、こういうことを確保するためだと、また放送衛星は難視聴地域の解消に役に立てるんだということが理由としてあげられていた。こういうような幾つかのことが並べられていた。ところが、どうもその必要性について疑問があるという意見があるということですよ。それをどうして解明しないのか、きちっと解明されておれば問題ないんだろう。たとえば、緊急性、必要性というものが得心できないではないかという意見の中には、大西洋あるいはアメリカ大陸とは違うんだと、太平洋及び日本のほうに至ってはほとんど衛星という衛星というものはないと、いまあわてて席を取らなければあとで困るだろうというような状況にはないじゃないかと、これが急ぐべきでないという意見一つである。また、通信衛星の離島通信、災害通信をこれによって確保しなければならぬという現状のメリットというものは、もうすでに非常災害通信等は地上局において確保されているじゃないか、何も通信衛星によってそのことを対応しなきゃならぬという理由はないだろう。また放送衛星の場合にも難視聴地域の解消メリットも二千数百万の視聴者の中にもすでに百万を切っているのでしょう、その難視聴地域の対象契約者というのは。それで、そういうような意見一つ一つ答えなさいということだと私は考える。それで初めて、なるほどそうなのか、通信、放送衛星の需要を満たすという具体的な中身というものが実はやっぱり国民の前に知らされていかにゃなるまい。ただこういうように言われていたのでは、やっぱり新聞も言っているように、その必要性、緊急性というものには疑問があると、こういうことなんです。それをどう答えるのかと、むろんこれは宇宙開発委員会も技術庁も一応見直して入れられたわけだから、それはもう郵政が断わるべきだと言えばそれまでなんだろうけれども、やっぱり一応の閣議決定に持ち込み、総理に意見を具申されたというその責任があるわけだから、それは技術庁からもきちんと断わるべきであろうし、またその計画を開発委員会のほうに送り込んだ郵政も責任があると思う。この点を簡略に、ひとつこういうことなんだということをちょっと答えておいてもらいましょうか。
  91. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 二つの衛星を打ち上げる緊急性という問題でございますけれども、これは日本の通信衛星がたとえば予定している静止軌道の位置、これが最もわが国土に近い東経百三十度ないし百四十度、それから放送衛星は、衛星が地球の陰になって太陽電池が作動しないというのが真夜中になるような位置ということになりますと東経百十度付近に上げたいということを予定しているわけでございます。しかしわが国が利用しようとしております西太平洋地域では、現在その構想が知られているものだけでもフィリピンが上げたいという計画を持っておるようであります。あるいはオーストラリア、これが昭和五十三年ですか、打ち上げたいと……
  92. 森中守義

    森中守義君 局長、そんなことはいいから、放送需要に、そういう疑問に答えるような内容をちょっと答弁してもらわないとね。
  93. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) そういうことで、わが国が利用しようとしている軌道は必ずしもがらがらであるわけではございません。静止軌道並びにその軌道における周波数の確保という問題が国際的には緊急な問題になっておりますということが一つ、それから何に使うかということでございますけれども、たとえば通信衛星にしますと将来大容量の衛星が、これは実験でございますので、将来は大容量の衛星が出てくるとしますと、衛星がおそらく国内通信にも使われるだろうと、あるいはマイクロウエーブだけで日本全国の需要をまかなうという事柄はおそらく電電公社としてもやり得ないのではないかと、たとえばいま主要幹線が五万回線とかあるということでありますけれども、これがたとえば十倍になったとしますとどうしても衛星通信組織というものを導入しなきゃならない、そういうような問題、それと、かたがたあわせて災害に備えての多ルート化というような観点からの将来の展望という事柄で、できるだけ早く衛星技術を確立したいということ、それから放送衛星につきましては難視聴、いまNHKで大体百万ちょっとでございますけれども、これを解消する技術的な手段としてはこの衛星放送がおそらく唯一の一番安価な方法ではなかろうかと、あるいは将来放送大学というような構想が打ち出されておりますけれども、これに利用するには衛星放送が一番これまた安価で手っとり早い方法ではないかと、こういうことが考えられるわけでございます。
  94. 森中守義

    森中守義君 これは郵政大臣、いま齋藤局長が言われたようなことはもう少し整理をしまして、通信衛星の将来の展望、こういうことで非常に高い価値があるとか、放送衛星はこういうものだということを何かの形で集約をして一ぺん出すベきじゃないでしょうかね。やや、いま郵政省といい、あるいは技術庁といい、かなり高度な専門的な立場からの話で、さて放送衛星の恩典にあずかる者、通信衛星の恩典にあずかる者は何といっても国民ですからね。そういう人にすぐわかるように、衛星を上げればこういうことになるんだよ、こういう価値があるんだということを少し平たく解説をして、だれにも理解のできるような手段と方法を用いまして出される必要があるんじゃないかと、こう思うのですがね。そうしませんと、さっき、どうも緊急性、必要性というのは疑問があるという、そういう問題を投げかける、投げかけられる危険性はまだ私は除去されていないと思うんですね。で、そういう意味で、技術庁も郵政省もそれと公社もNHKも、それぞれの立場なり何なりを、主張されるものを一ぺん国民の前に出される必要があると思いますがね。いかがですか。
  95. 原田憲

    国務大臣原田憲君) たいへんけっこうなサゼッションをいただきありがとうございます。私も就任いたしまして、予算の折衝をいたします責任者といたしまして、いろんな議論のあるものを勇気をふるってこれ、やるという決断をするためには、それだけの説明というものがのみ込めなければなりません。そこで、いま局長説明を申し上げましたようなこと、科学技術庁との間の話し合い、これでこれが必要であるということを認識して、この予算を昨年に引き続き確保したと、こういうことでございますから、そのためにはいまおっしゃるように、しろうとにもわかりやすいように、反対意見のほうがわかりやすくてやるというほうがわかりにくいということでは困りますので、よくわかるようにつとめてまいりたいと存じます。どうもありがとうございます。
  96. 森中守義

    森中守義君 これは、そうすると技術庁は衛星の開発はいつごろになりますか。新聞等でいわれるのは、その国産率は通信衛星で三〇%、放送衛星で一五%、他は全部アメリカに依存をしている。しかもでき上がった衛星はNASAに持っていって上げるんだと、こういうことのようですが、これがまた四十八年、九年の見直しで変わりましたということにはもうならぬと思いますが、大体衛星の開発はいつなんですか。いつ完了するのですか。
  97. 千葉博

    政府委員(千葉博君) 両衛星につきましては、計画の面は五十一年度に打ち上げるんだということになっておりまして、それまでに開発するというような計画一つございます。これはもう見直しで決定しております。それは今後もう変わることはないと思います。そこで、それでは実際の裏打ちとしてできるんだろうか、予算的にも、それからこの開発を担当いたします事業団、あるいはつくるメーカー、こういった点の実態はどうかということでございますが、これにつきましては、まず予算面ではすでに四十九年度におきまして、事業団たけでも現金で三十数億円、マル債で——債務負担行為で二百数十億円、これはもう計上されております。それで大勢といたしましては、宇宙開発事業団、開発グループでございますが、こういったものをさらに部までふやしてこれが開発を進めようと、人員もふやしてやろう、こういうようなことでいま進めております。
  98. 森中守義

    森中守義君 だからいつごろそれが完成するか、衛星が。
  99. 千葉博

    政府委員(千葉博君) 完成いたしますのは、五十一年度に打ち上げますので、少なくとも打ち上げの数カ月前には完了してしまうということになりますし、またその計画で進むものといまのところ見ておるわけでございます。まあ極端に何か事故でも起きれば別でございますけれども、先ほど先生指摘のとおり、アメリカのほうで相当な支援をしてくれるということでございますので、計画どおりいくものとわれわれのほうでは見ておるわけでございます。
  100. 森中守義

    森中守義君 事業団見えていますか。——実施機関としまして気象衛星、それに通信、放送衛星、三つが五十一年ということになりますと、これはなかなかたいへんな仕事だと思うんですね。しかもそれにちゃんと見合うような予算もついているということなんですが、はたしてそういうような状況でいまの事業団の機能をもって完全に五十一年の見通しが立てますか。
  101. 島秀雄

    参考人(島秀雄君) 宇宙開発事業団理事長の島といたしまして御返事申し上げます。  衛星そのものにつきましては、これはまだ非常に若い仕事でございますので、経験のあるなしによりまして非常にものをつくり上げるのに時間の差があることはやむを得ないのでございますが、幸いにいたしまして、今回の気象衛星につきましてはアメリカが二つ打ち上げ、ヨーロッパ連合が一つ打ち上げ、ソ連が一つ打ち上げ、そして日本が一つ打ち上げるというようなことになっておりまして、それらがお互いに同じような役目を果たすようにということになっております。そして、それに対します、それを一等先に言い出しましたアメリカにおきましては、その仕事が非常に進んでおりまして、初めの計画によりますどもうすでに打ち上がっているというような状態でありますが、多少の引っかかりがございまして、ロケットのほうの引っかかりがございまして延びておりまして、何か一カ月ぐらいの間に打ち上がるだろうというようなことになって衛星ができております。それと同じような衛星をつくるという、前例のあるものでございますので、これはほとんど似たものをつくるという意味におきまして、それをつくるところ、あるいはそれをつくるところに非常に近くやっておりますところでは、われわれが自分のところで初めて衛星をつくるというのに比べましてずいぶん早くできるという幸いな点がございます。  同じようなことが放送衛星でございます。放送衛星は実はいままで日本が一等先になるんだろうと思いますが、通信衛星につきましてはやはり似たような前例のものが幸いにしてありますものですから、そういうのも参考にしながらやるというのが、先ほどの国産率一〇〇にいたしまして日本でやってしまおうという場合に比べまして、アメリカでその前例を参考にしながらやってくれるということになりますとずいぶん早くできるという点がございます。放送衛星につきましても、これは三軸制御衛星でございまして、御案内のアーツ衛星というのとかっこうから言うとよく似たようなものでございまして、たいへんそっちのほうの経験が生かされるという状況にございます。そういうことを勘案いたしまして、よく調べました末、これはできるというふうに私どもとしても考えまして事業団としてお引き受けしたような次第でございます。  したがいまして、いまのところ、たとえば通信衛星にいたしましては五十一年の末、三月ごろに打ち上げるということになっておりますが、それに対しまして十分ほんとうに打ち上げる前に現物をロケットのところへ持ってまいりましてテストするのでございますが、末にアメリカでも普通に必要としている二カ月余りの時間というものをそこに生み出せるようなときに入手できるという確信があるわけでございます。また、そのように製造家のほうも申しておりますし、最近の情報によりますと、もう少し余裕がたくさんとれますぞと言ってくれているような状態でもございますので、この点につきましては確信をもって間に合うものと考えております。  なお、その打ち上げますロケットの順番でございますが、これはアメリカが有償をもって各国に打ち上げを引き受けますということを言っておるわけでございます。それをたよりにいたしまして日本からも頼むわけでございますが、その外交的なほんとうの取り組み方というのはできておりませんで、目下作業中でございますが、内々に順番をこう調べてまいりますと、幸いにしてそのところにすき間があるのでございます。それは二十カ月前に確約してくれるならその時期をリザーブしてやるぞという話がございますので、まだだいじょうぶだと確信をいたしておる次第でございます。
  102. 森中守義

    森中守義君 もうこれで時間が参ったようですから、あと一問だけで終わりますが、事業団の場合、さっきちょっと申し上げたように、それもおそらく反論があると思うのですね。国産率が通信衛星で三〇%、放送衛星で一五%ということであれば、いままで一〇〇%開発じゃないわけですから、さほど窮屈なものとも思えませんけれども、要するに、いまのお答えからいきましても、三つのものを五十一年に上げるということであれば、やっぱり事業団としては相当な精力を用いないと容易なことじゃないだろうと、こういうように思いますし、——もうお答え要りません、ぜひひとつ所期の目的が達せられるようにお願いしたいと思いますし、また、技術庁のほうも、あらためて見直しなんということにならないように、ぜひひとつ実現さしてもらいたい。  それで、最後に、NHKの都市難視、それから騒音難視、振動難視、こういう問題ですがね。時間がなくなってしまいましたのでゆっくりお話が伺えませんけれども、これ、郵政大臣、いまの電波法あるいは放送法を見た場合、送り手側といいますか、免許をもらったものに対する一定のワクがはめてある、あるいは保護措置がとられている。NHKに例をとれば、受信契約者側のことは全然放送法でも電波法でも保護条項がないんですね。むしろ私はそれがいまのところ非常に大きな問題じゃないのか。もちろん都市難視なんというのはこれから住宅環境がどんどんどんどん変わっていきますと、減るんでなくてふえると思う。ですから、調査会でしたか、そういうものをつくっておられるようですが、これは法令上の隘路もありますから、そういうものに手を加えていかないとやはりなかなかこれはたいへんですよ。むしろ受信対策ということがある意味ではこれは社会資本の充実という見方も私はしてもいいように思うのですね。それで、いまひとりNHKになぜ開発を急がない、こういう責め方もさることながらやはり法令の整備というものもこれからの電波障害に対応するような、少なくとも契約者を何らかの方法で救済する、あるいは保護していくという、そういうことを一ぺんお考えになったらどうでしょう。  それからいま一つ、NHK自体も被害者意識に立ち過ぎて、自分たちのほうでは電波を正当に発射しているんだから、他の物体で切られているんだし、これはやっぱり音源措置をどうするかとか、発生源をもう少しどうかしてもらわなきゃならぬという意味はよくわかりますよ。しかし、いろいろ聞いてみると、かなりスタッフもそろえてこういう開発をやっておられるようですが、ただし予算を通じてみる場合に、ほんとうにNHKやる気でやっているかどうか、こんなことを言えば放送技術研究所の研究者たちは、冗談じゃない、ということになると私は思う。しかしそういう気魂でやってほしいと思うんですよ。しかし騒音、振動の研究ですね、こういうことに投じられている予算というものは、きのうこれはもらったんですが、四十五年で五千五百万、四十六年で七千万ですね、四十七年六千五百万、四十八年七千万、四十九年八千五百万、合計三億四千五百万。すでに一千億をこえる、いまや一千三百億になんなんとする協会予算で都市難視、振動を出す、あるいは騒音だという、こういう新しい現代の電波障害に対応する予算の投じ方、研究体制というのはどう考えてみても少し姿勢それ自体が被害者意識に立ち過ぎているんじゃないか。言うまでもなく、広くあまねく良質電波ということが原則ですから、そこに公共放送の使命があると思うのです。だから被害者意識に立ち過ぎて加害者の側で一切がっさいやるべきだということはやっぱり公共放送のNHKとしては許されない。進んで新しい障害体制に挑戦をしていくぐらいの姿勢が私は望ましいと思うんです。  そういうことのためにいままでの僻地難視などというものも、さっき電波局長は百万ちょっとと言われましたがね、これは放送衛星によらなければ解決できないということも私は少々疑問があるんですよ。もっと積極的にサテライトをつくっていくとか、いろいろな技術開発をやっていけば片づきますよ。しかもこういうものとは別に都市障害、それに空港、新幹線、こういう振動や騒音などがつきまとってきますと、もう限界にきているNHKの受信契約、それから見えないからもうやめてしまえとか、料金払いませんよと、こういう運動が発展していけば四十五億余りの赤字に転化をした。一体黒字にいつ転化をするのか、想像できませんね。いずれNHKの腹の中にはやむを得なければ受信料の改正をという、そういうつもりのようにも受け取れますけれども、こういう状態を放置したまま受信料を直していくなんていってもちょっと相談に乗れませんね。だから、そういう見方からしますとやはり研究体制を新たな観点からもう一回見直す、やり直すという、こういう姿勢が必要じゃないでしょうか。このことと、それと大臣に申し上げるように、やはり法令上の一つの隘路がありますよ。放送局を保護している、送り手側だけをめんどうを見るという、こういう法令から利用者をどういったように守っていくかという法令整備が並行的に行なわれないと、これはやはりNHKだけ責めてみてもまたNHKの努力というものもどうも報われないような気がするんですがね。このことを最後にお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
  103. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) ただいま先生からたいへん御激励をいただきまして、これから私どもの施策の関係を実施してまいりたいと思います。先生指摘のように、たいへんこの前差し出しました資料だけを見ますと、確かに研究費が少ない、もうちょっとやれということだろうかと思います。私どももできることならさようにしたいと思いますけれども、全体の環境の中で音の問題というものは、結局以前から放送の中心でございますので、いろいろな関連研究をやっております。その中で、特定の振動や音とかに関連するものだけ抜き出したものですから、やや御指摘のようなことになっておりますけれども考え方といたしますと私ども決してそういうものをなおざりにしておるとは思っておりませんし、しかし施策において不十分な点もあろうかと思います。これは先生指摘のとおりだと思いますので、今後その点については十分検討を重ねて一日も早くそういうものが解消できるようなところへ持っていきたいと思います。ただ、先ほど先生も仰せになりましたように、都市難視というものは、端的に言いまして、きのうまでは電波がちゃんときて見えていた、それがある日突然とは申しませんけれども、ある構築物ができた、建物ができた、そのために見えなくなったということでございますので、やはり受信者の側にされますと、一番先にNHKさん何とかしてくれと必ず言ってまいりますし、私どもとしましても御案内のように受信者各戸から受信料をいただいて経営をしているわけでございますから、そういう事実に対しては一番先に救済の手を差し伸べる。そうしませんと経営の基盤になっておる受信料の契約なり収納ということにもたいへん円滑を欠いてまいりますので、その点でも私どもは十分配慮してまいるつもりでおります。  それからもう一つ、辺地のほうの難視百万と仰せられましたのもそのとおりでございまして、四十八年度末でまるい数字で申し上げますと大体百万でございます。そのうちさらにそれを少し分析いたしてみますと、そのうちの約三十万くらいは全く僻地といいますか、散在地帯でございまして、一世帯当たり十数万の経費をかけませんと共同聴視ができないという状態でございます。そうしますと、それだけでも三十万やりますともう百何十億という金がそこだけでかかってしまいますので、これは先ほどから話が出ておりますように、この前の衛星の開発ともあわせて何とか考えていかないとなかなか手に負えないと思います。もう一つ、三十万といいますのは、ずっと以前からやはり僻地のほうでございますけれども、いつまでもサテライトをつくってくれぬので自分で高いアンテナを立てたりなんかいたしまして、何とか受信をしておられる部類でございまして、これもいずれは私どもが手を差し伸べなければいかぬと思っております。この三十万、三十万を引きました残りの四十万というものが、当面私どもが毎年直接引くとしますと約五十億、その他の関連設置費を入れますと、約百億を投入いたしまして解消を進めておる数字でございます。そういう関係がございますので、いろいろ僻地のほうになってまいりますと施設単価が非常に上がってまいります。それで、衛星も一つの方法でございますし、これに対してはおそらく万能薬というのはございませんので、いろいろな技術開発をいたしましてそれを総合的に運用をして一日も早く解消できるように、私どもはこれ決して途中で責任を放棄する気はございません。徹底的に解消するのがNHKの任務だと、こう思っております。
  104. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 難視問題の解消につきましては、四十九年度NHK予算の審議に当たりましても、政府といたしましても難視解消ということを特に意見書の中に意見としてつけ加えております。衆参両院におきましても、御決議を賜っておるところでございまして、御指摘のように私どもはこの問題について真剣に取り組んでおるところでございます。政府といたしましては、いまのお話のように法的な根拠はないとして、これを根本的に解決することはむずかしいという御意見も賜っておるところでございますが、まずその現在起こっておる問題に対処するために調査会をつくりまして、従来ありました辺地の難視という問題から新しい都市難視、空港周辺あるいは新幹線、都市の難視、こういう問題に取り組むためにいまもまず都市難視の問題について取り組んでおるところでございます。なかなか問題が複雑多岐でありますために、最初は一年もあればというふうに考えておったようでございますが、この結論が出るのは少し日にちがかかるようでございまして、これが終わりますればいわゆる僻地の難視問題に取り組んでその結論を得たいと思っておりますが、その結果を待ってあるいは法的措置ということも考えられるわけでございますけれども、現実の問題を解決するためには、やはり原因者負担という原則に立ちまして私どもの全力をあげて万全を期して難視解消ということにやっていきたいと思いますけれども、いまのお話にありますように、それではNHKが責任がないのかということではなしに、十分NHKのほうでもいま答弁をいたしておりますが、私どものほうでもこういう面の情勢については懸命の努力を払いまして、御期待に沿いたいと思う次第でございます。
  105. 森中守義

    森中守義君 大臣、おことばですが、私はさっきからちょっと考え方だけにとどめておりますが、少し議論を深めていくと、こう単純な受け答えだけでは終わりませんよ。どちらかというならば、郵政省もNHKもやっぱり今日のこの事態に対して対策が非常に緩慢ですよ。それは、都市難視というのは、さっきちょっと触れましたようにだんだんだんだんと増大していきますから、これはいま僻地で百万出るか出ないかのところまで一応カバーしてきたと、こういうものではもう済まなくなってきています。もう少し、やっぱり事態の認識を正確に把握して先取りするような行き方をしないとたいへんですね。ですから、いま郵政あるいはNHKよりも、地方自治体のほうが率先してやっています。条例をつくってみたり、それから訴訟も幾つか起きております。また、近々名古屋でも訴訟がこの問題で起きてるようです。  それで私は、発生源の問題、その原因者負担という、こういうことて何とはなしに非常に——責任がないのだと、けれども公共放送だから電波法、放送法を扱っているからせにゃならぬというこの姿勢が問題だと思う。といいますのは、一体原因者負担というのがこの電波障害、放送障害に当てはまるかどうかは疑問ですよ。それは原因者負担をきちんと規定づけてる法律がありますか、——ありませんよ。ですから、やはり放送というものは電波障害というものを原因者負担で片づけよう、ということは、これはもう法理論的にも非常に問題がある。むしろ建築基準法ですとか、民法まで及ぶでしょうね。同時に一体憲法で何と定めてあるか。表現の自由、聞く権利というのがあるわけですから、そういうことを考えると、これは常々NHK、郵政省でいわれるように原因者負担でございます、私のほうは善意でそういうことをやるんだという、そういう姿勢ではやっぱりこの問題は乗り切るべきものではないでしょうね、国民の知る権利をふさごうとしているのだから。これは良質の電波を提供する義務があります。その義務を原因者負担という単純な考え方で押え込んでいくということについては、私は大いに疑問があります。ですから大臣、この際はあまり原因者負担を振りかざさないで、もう少し時点を変えて検討すべきじゃないですか。そういう意味で建設大臣とも相談をされて、一体建築基準法上どういうことになるのか、あるいはこういうふうの土地、あるいは物件の占有権をどうするかという、民法にもやっぱりこれは関係がありますからね。で、そういうことをやっぱり考えながらやっていただく必要があろうかと思います。まあ調査会の結論がどうなるかわかりませんけれども郵政省としてそういう次元を広げて、いわば電波を提供するのは義務である、責任であるという、こういう角度から処理にあたってもらうべきだと思いますね。相談してください。
  106. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いまお話しのありましたような、実は私は先般参議院の逓信委員会でも答弁をいたしておるのでございまして、それらも含みまして今後積極的にひとつ取り組んでまいりたいと思います。     —————————————
  107. 小野明

    主査小野明君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、鈴木強君が委員を辞任され、その補欠として上田哲君が選任されました。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後一時十一分休憩      —————・—————    午後二時四分開会
  108. 片山正英

    ○副主査(片山正英君) ただいまから予算委員会第三分科会を再開いたします。  分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、森中守義君及び上田哲君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として須原昭二君及び瀬谷英行君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  109. 片山正英

    ○副主査(片山正英君) 休憩前に引き続き、郵政省所管質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  110. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 郵政事業の末端を支えている簡易郵便局は、非常に地域において多大のそういう使命を果たしておるわけでありますが、今日のインフレ下の経済情勢にありまして、特に個人受託者が現在の取り扱い手数料では非常に生活を脅かされるおそれがある、そういうようないろいろな要望が出て、大幅な引き上げをしてもらいたい、そういう要望が出ているわけでありますが、郵政省としては、四十九年度においてはどのように改善するのか、それを伺いたい。
  111. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) お答えいたします。  ただいま国会に提案いたしております予算によりますと、四十八年度の予算額が、基本額、取り扱い料、加算額、合計いたしまして平均四万五千六百八十七円でございますものを五万五千百九十円というふうに、約二割程度、二〇・七%でございますか、引き上げるということで要求をいたしておるわけでございます。これによりまして、四十八年度のこの関係に対します手数料全体が約二十二億でございますけれども、今度は成立いたしますれば、約二十七億というふうな額を予定いたしておるわけでございます。
  112. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 基本額の内容は人件費なのか、あるいは物件費も含まれるのか、これはどうですかね。
  113. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) 基本額の中には、人件費アップ分と物件費アップ分と、それぞれ入っておりまして、人件費のほうで申しますと、四十八年度が一万三千六百二十六円というものを四十九年度の要求では一万六千八百七十六円というふうに、約三千二百円ばかりアップいたしますし、物件費のほうにつきましては、四十八年度六千四百三十円を四十九年度は七千四百円と、約千円近くアップするというふうなものが内容になっておるわけでございます。
  114. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 全国簡易郵便局連合会の要望については、これは当局も承知していると思いますが、為替、貯金一件に対し四十円、それから郵便一件に対し二十五円等々と、そういう要望がなされておりますが、それについては今年度予算ではどうするのか、それを伺っておきたいと思います。
  115. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) ちょっといまの簡易局の連合会の要求の数字をいま持っておりませんが、四十九年度の取り扱い料の中で、郵便で申しますと一件当たり四十八年度は二十円でございましたものを二十三円にいたしたいと、それから貯金につきましては一件当たり四十八年度は三十二円でございましたものを三十七円にいたしたいと、このようなものが内容になっておるわけでございます。
  116. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういう点、国民の福祉に寄与している簡易局でございますので、郵政省としてもこの受託者の処遇改善に今後とも努力をしてもらいたい、このことを要望しておきます。  それから集配請負人は、全国で現在何人おるのか。また、一人平均の手数料は幾らになるのか。
  117. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) 郵便集配業務に従事しております請負人の数は、四十八年の四月一日現在で約千五百人おるわけでございます。この人たちに対して払っておりまする請負費の額は、一カ月平均いたしまして、同じく四十八年の数字で八万七千五百円ということになっておるわけでございます。
  118. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 一日八時間以上作業をしている人はどれぐらいいるんですか。
  119. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) 一日八時間以上作業をしておるという実は数字はいま持っておりませんが、おそらくそういった方はあまりないものと常識的に考えておるわけでございます。
  120. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 では、八時間も働いている人はいないとなりますと、いまさっき八万七千円ですか、これは、結局、中には三時間しか働かない人も四時間しか働かない人もいると思うんですけれども、この八万七千円という請負人の給与というのは、これはどういう平均になりますか、あるいは平均は何時間ぐらい働いてこれぐらいの賃金であるか。
  121. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) いま申し上げました八万七千五百円の数字は一カ月の総平均でございまして、勤務時間の実態につきましては非常に千差万別でございまして、平均の勤務時間の人ということの計が八万七千五百円ということでございまして、八時間以上も勤務をしておるという人はほとんどないと思いますが、平均的に何時から何時までにつきましては、ちょっといま数字を持っておりません。
  122. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その点はあとからまた資料を提出していただいて、要は請負人の皆さんに対する待遇にも十分配慮をしていただきたい、そういう要望でございますので……。  それから、地方において郵政事業運営の円滑をはかるために、いろいろ集配所とか、あるいは休息所、保管所、そういうところがあるわけでございますが、そういう設置個所と、その手数料ですね。それから集配所と休息所、保管所というのはどういうことをするのか、それもちょっと説明してもらいたいと思うんです。
  123. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) 集配所と申しますのは、郵便のいわゆる市外区を担当しておる職員が実際に配達にあたりまして、午前中の配達が終わったあと、普通ならば郵便局なら郵便局に帰ってきて、そこで食事をしてまた出かけるというのが普通の市内区の場合のやり方でございますけれども、市外区の場合はそういうことをいたしますと、時間のロスがございまするので、普通局でも特定局でもそういった集配所というところを設けまして、そこは集配の多少の作業もいたしまするけれども、主としては休息をし、そこで食事をするといったような場所でございます。休息所というのは、もうこれこそ単純に休息、昼めしを食べるだけのところでございます。保管所といいますのは、郵便の保管をお願いしておるというところでございまして、一般の民家等で雑貨商その他にお願いしておるわけでございます。  全国で、集配所は千五百六十四カ所、休息所は二万五千四百七十七カ所、保管所は八百十二カ所、合計いたしまして二万七千八百五十三カ所、そういったものがあるわけでございます。そういったところに対するお礼と申しますか、お払いしている額は現在それぞれ一カ所で一カ月当たり千五百円でございます。今度四十九年度は千八百円でございます。
  124. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはどうなんですか、千八百円と申しますと、一日でいえば五十八円になるわけですけれども、国の事業に、まあ公共事業だからひとつただで協力してくれと、そういう意味なのか、あるいはどういう計算の上でこれは千八百円になったのか、計算の根拠はどうなっていますか。
  125. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) いまのような休息所にしろ、集配所にしろ、保管所にしろ、私たちが御迷惑をおかけいたします時間は非常に限られた短い時間でもありまするし、その間、ちょっとお茶のサービスをしていただくとか、あるいは寒いときはまきをくべてたくということもあろうかと思いますけれども、厳密な科学的な計算根拠はございませんが、協力をいただきながら謝礼を申し上げておるということでございまして、実は四十六年度までは大体千円から安いところは六百円ぐらいであったわけでございますが、それを四十七年度に約五割アップいたしまして、千円のところを千五百円、六百円のところを九百円というふうに上げましたし、また、四十八年度も九百円のところを千五百円に上げるなどいたしまして、ここのところ二、三年間急速に上げてきたわけでございます。それから今後も、四十九年度も、いま申し上げましたように、二割アップということを考えておりますが、どの程度が妥当であるかという科学的な計算根拠は持っておりませんけれども、なお、十分とは言えないと思いますので、今後も増額に心したいと思います。
  126. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 次官にお願いいたしますが、こういうような諸問題につきましても、郵政事業はなかなか赤字で、非常に前途多難であることはわかりますけれども、そのために特定の人が犠牲になるということも好ましくございませんので、そういう点さらに今後とも検討していただいて、やはり協力者の善意ばかりに頼るのもこれはよくありませんし、そういう点ひとつ今後とも検討していただきたい。
  127. 三ツ林弥太郎

    政府委員三ツ林弥太郎君) いま先生の一連の御質問、まことにごもっともでございますので、私どもといたしましても、郵政事業という仕事の重要性等にかんがみまして、これが適正、しかも円滑に、敏速にでき得るような事柄を考えまして、御趣旨に沿うようにひとつ改善につとめてまいりたいと、かように考えておる次第であります。
  128. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、これは私のところへ手紙の投書がまいったわけでありますが、東京あるいは大都市の普通局のいわゆる現場の管理者ですね、特に中でも課長クラスの管理者でございますが、その家族が訴えてきているわけでありますが、自分たちの家庭は母子家庭みたいなものだと、休日でもなかなか休めない、過労のためになくなったと思われる人も出ておるし、できることなら管理者だけの組合をつくりたいと、そういう気持ちであるというようなことを言ってきているわけであります。委員会においても、たびたびそういう組合員の皆さんの問題については問題になるわけでございますが、やはり管理者といえども、これは同じ人間でございますので、管理者だから無理をしてもいいという、そういう道理は成り立たないんじゃないかと思うのでありますが、たとえば休日出勤ですね、こういうような現状はどうなっているのか、これをひとつ。
  129. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 現場管理職員の休日等の勤務状況につきましては、必ずしも正確な実態を把握しているわけではございませんけれども、大都市の普通局の局課長、なかんずく、庶務あるいは郵便集配というような関係の人々がやはり休日に出勤する等、種々苦労しておる実態にあることは承知をいたしております。その原因等になりますと、郵便関係につきましては、これは先生も御承知いただいておると思いますが、季節的に波動性のある業務でございまして、それを常に正常運行を確保しておくという、そういう責任が管理者にありますために、こういったことになる。あるいはまた、まあ小さい——そのこと自体は小さい問題でございますけれども、毎年四月に新卒者を採用するんでありますが、この採用試験というものを、身分が生徒でありますから、秋の休みの日に試験を各郵便局で行なう。そのため、その局の管理者みな出勤せにゃいかぬというような状況等がございましてそういう実態に至っておるというふうに思っております。
  130. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、昨年の九月一日から本年の一月五日まで東京の各局の管理者の日曜、祝日等の出勤状況という資料をいただいておるわけでありますが、これはどうなんですか、いやしくも郵政省の人事局としては、やはり労働組合対策ばかりが人事局の仕事ではない。やっぱり管理職がファイトを持って仕事のできるように、休日出勤等は何日ぐらいしているのか。そしてまた、それは試験の関係で休日出勤しなければならない場合には、やはり休暇等もかわりにとられるようにしなければならぬ。それが何か日曜でも休んだりすると、日曜出勤してその代休なんかとれないような、そういう雰囲気ではいけないんじゃないかと思うのですけれども、その点は人事局として掌握しているのかどうか、どうなんですかね。
  131. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 私どもも、そういった状況が一部大都市にあるだろうということで、実は昨年、いま先生指摘のような結果の出ました調査を大都市についてしたわけでございます。先ほどそれが必ずしも正確でないと申し上げましたのは、大体そういう状況はわかっている、しかし、もう少し正確にとろうということでその調査をいたしましたので、調査自体は必ずしも正確なものではない。たとえば休日のうち何日出勤したかということを聞きましたけれども、これは休日でも八時間フルに出たのか、あるいは二時間出たのかというようなことは聞いておりませんでしたので、そういう意味で不正確であると、かように申し上げた次第であります。そういう調査をしたこと自体、やはりそういった状態に対して改善措置を講ずる必要があると、こういう問題意職を持って調査をしたわけではございます。申すまでもなく、管理者はやはりその局の業務運行等のかなめでございますので、これは大いに働いてもらわにゃいかぬわけでありますけれども、いわゆる奔命に疲れるということでは、これはもうかえってマイナスになる、そういう角度から改善策を講ずる必要があるだろうということで調査したわけであります。したがいまして、これに対しましては、本年度におきまして、ただいま先生おっしゃいましたように、日曜にどうしても出ざるを得ぬという用事があれば、ウィークデーにそのかわりできるだけ休め、かわりに休みをとるようにせよということ、これも会議等ですでに指導いたしました。また、休日に、やはり秋の休日にはそういった試験をせなければいかぬわけでありますが、その場合、現場の管理者を動員しないで、むしろ郵政局あたりから出向いて、郵便局を会場にしてそういう試験をするというような措置もとるように、四十九年度においては実は考えておる次第でございます。
  132. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは昨年の九月一日からことしの一月五日まで休日が二十三日あるわけでございますが、郵政省からいただきましたデータでは、十六日以上出勤している人が五人、それから六日から十五日出勤している人が百五十一人。そういうことで、大体平均すれば休日の半分ぐらいは出ているような、そういう状態になるわけであります。それで、結局、管理者になれば管理者手当の増額が年に二回あるけれども、残業手当がない、残業手当のつく副課長のほうが給料は上になっているんですね。管理者への昇格が非常に敬遠される傾向が強い、そういうようにその人は言っておるわけでありますが、これはやっぱり一つ郵政事業の意欲の低下として同じようにゆゆしき問題ではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  133. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 都内約二十局について局長、次長、課長副課長、課長代理、主事と、職制はそういった順番でございますが、これを平均してみますと、やはり職制順に平均の年間給与は多くなっております。逆ではございません。ただ、その二十局のうちのたしか二、三の局だと思いますが、二、三の局を見ますと、先生ただいまおっしゃいましたように、副課長のほうが課長より上というような局もあるわけでございますが、ただ、副課長でありましても非常に勤続年数が長いとか、それからこれまでの職務歴、それから課長でありましても抜てきされてなった非常に若い課長、勤続年数はしたがって短い、そういったようないろいろな要素を捨象しての資格ではございませんので、全体としてはやはり職制順になっているのではないだろうか。しかし、御指摘のような点につきましては今後十分検討し、改善し得るものは改善してまいりたいと思っております。
  134. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは最後に郵政大臣に要望しておきたいわけでありますが、やはり現場の課長クラスの管理者というのは一番中核でございますので、そういう人たちの立場も十分配慮して、もちろん国会開会中の郵政の本省の人もたいへんですけれども、ひとつ現場のほうも十分考えていただいて、特に勤続十年前後の職員の給与が中だるみになっている問題、それから現場の管理者が二年で異動しているというようなことも、事業運営の上からいろいろ検討すべきではないか。一年で土地のことを知るのにせい一ぱいで、二年目から自分の仕事をやろうと思うとすぐかわらなきゃならぬと、あるいはそのために単身赴任をしたり、あるいは長距離の通勤をしなければならない、そういうような話もあちこちから聞いておりますので、そういう点もよく実態を御調査の上で、家庭が明るくて職場もやはり元気が出るわけで、そういう無理をするところなんかよろしくないと思うので、そういう点も十分配慮して進めてもらいたい、このことを要望しておきます。
  135. 原田憲

    国務大臣原田憲君) ただいま有益な御意見を承りまして、確かに管理職におる、しかも、第一線の者たちの職務というものは、休みも休めないというような点もあることは、局長も答弁いたしておると思います。御指摘のような点もあろうかと思います。あまり長いのも一方でマンネリということもありますけれども、少なくとも一年というようなことでは、御指摘のように落ち着いて仕事もできませんし、家庭というような問題もございますので、御指摘の点は十分配慮いたしまして、今後職員の職責に見合った適正な処遇をよく配慮してまいりたいと存じます。
  136. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、次に簡易保険の団体の取り扱察の問題でございますが、これは四十五年の十二月十日でございましたか、あるいはその後さらに何回か私はこの問題で、現在の郵政省のやり方が非常に行き過ぎではないかと。いわゆる団体の取り扱いというのは、職域とか、そういう自然にできた団体が団体の責任のもとにお金を集めた場合に手数料の二%あるいはプラス五%して七%の割り引きがある。それを人間ドックとか観劇とか旅行とか、そういうような理由で、結局、高額者だけを集めて、それを郵政省の簡易保険局の外交員の皆さんがそういうのを勧誘をして、そして、あとから郵政省が産婆役になってそういう団体をつくるということは、本来の趣旨に反するし、そういうことはやめるべきではないかと、そういうことを私もたびたび申し上げてきたわけでございますが、昨年、都信用のそういう事件も起りまして、私たちも心配したことが現実に起こった。非常に残念に思っておるわけでありますが、そこで、現在のいわゆる保険の加入の状況、その中における団体取り扱いの状況が件数、金額等において最近はどのように変化しているのか、これをまず伺っておきます。
  137. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 先生指摘のように、四十五年のたしか逓信委員会だったと思いますが、いろいろ団体組成あるいは募集にからむ団体の問題の行き過ぎ等につきましていろいろ御指摘を受けましたし、さらに、その後におきましても累次にわたって御注意を受けたのでありますが、基本的な態度といたしまして、国の営んでおる事業でございますので、お客さんの側に立ちました顧客サービスというものを本位にいたしまして、決してこの事業郵便局のため、あるいは保険を募集をしております者のために存在する事業でございませんので、そういういま御指摘のような、ためにするための募集あるいは団体というようなものでなく、あるべき姿に立ち返ったものに規制をしていきたいということで各種の手段を講じておるのが現状の段階でありまして、総体的には好転をいたしておる、このように考えております。  なお、現在の団体の組成といいますか、結成の割合でございますが、四十八年十月現在におきまして団体の組数が二十六万六千組でございます。件数にいたしますと一千六百四十六万件が団体に組み入れられております。表定保険料は四百二十億円、こういうことになっておりまして、大体、件数では総件数の約三分の一、三四%程度のものが団体になっておる、こういう実情でございます。
  138. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 件数で三四%、金額で何%になりますか。
  139. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 大体四五%程度になるかと思います。
  140. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、私が当初委員会でこのことを取り上げた当時は、もっと低かったと思います。そのときのデータはございますか。大体、四十五年末とか——これはいいてしょう。四十六年の六月末で、件数で大体一七・九%、金額で二七・二%、こうなっていると思うのですが、それがいま件数でも倍、それから金額でも倍になっておるわけで、郵政省は、こういう団体のほうにそれから以後もかなり力を入れているんじゃないか、そういうことは言えますね、これはどうですか。
  141. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) やはり基本的に申し上げますと、団体をつくります意図が、集金の効率化と申しますか、ばらばらの個々の契約を集金するよりも団体でまとめまして、団体の代表者に集金をしていただき、かつこれを一括して郵便局に払い込んでいただくということが集金の効率化、したがって、経営合理化にもつながるわけでございます。さらに、契約者の側に立ちまして申し上げますと、この割り引き額の利用ということを通じて、加入者同士の間の何といいますか、親睦あるいは親密化ということに役立つと同時に、やはり契約の保金、契約の維持の上でも大きな効果があがっておるのではないかと、このように考えます。  先生指摘の件数及び金額におきまして数がふえておることは事実でございます。これは地域団体、特に同趣同好団体というものだけでなく、職域団体等についてもある程度の伸びが見られると思います。
  142. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういう団体がふえること自体は別に、いいわけなんですけれども、いわゆる職場においてそういう団体をつくって、そしてその中の代表者が集めるという、これならまだいいわけなんです。これは本来のあり方なんですけれども、これがいわゆる団体以外の者に集金を委託するような形、それも団体そのものが職域等において総員一致して、じゃあ、あの人信用があるからあの人にまかせようというのならいいわけですけれども、全然これは郵政省のほうで準備をした、そういう人に集めさせる、そういうような団体が一番今回の都信用のような結果になるのではないかと思うのですが、そういう点で、現在、団体の中で、職域団体とか町内会とか、そういう団体と、それ以外のいわゆる郵政省のほうで外務員が勧誘をして同趣同好ということでつくった団体、これもかなりふえているわけですけれども、それはどの程度ふえていますか。
  143. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 御指摘の問題でございますけれど、新規契約の募集の一つの施策としまして、払い込み団体の組成を積極的に勧奨し始めましたのが大体昭和四十三年度初めからでございますが、その時分の払い込み中契約件数に対するいわゆる同趣同好団体の割合というのは二九%であったわけでありますが、この五、六年の間に一一%程度この同趣同好団体がふえておるわけでございまして、この同趣同好団体全部がただいま先生の御指摘郵便局のほうで世話をしたものが代表者となって集金をし、あるいは取りまとめて払い込んでおるかどうか、その辺の実態ははっきりいたしませんけれども、同趣同好団体につきましては、そのように増加をいたしております。
  144. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この件数の中で二九%が一一%ぐらいふえていると、件数全体が非常にふえているから、これはかなりふえていると思うんですね。しかも、金額においてはもっとふえているわけでありますが、それで、この都信用のような事件がございまして、これは衆議院の委員会においても問題になったようでありますが、そういう点を踏まえて、郵政省としては、今後どういう方向にこれを持っていくのかですね。私としては、やはり郵政省簡保事業の長き将来を思うならば、ここで少々契約の成績が下がっても、やはり本来の立場に立ち返るべきじゃないかと、思い切った転換をいまやはりだれかが勇気をもってやっていかないと、これはずるずるになって、将来に禍根を残すんではないか、そういう心配をしているわけでありますが、どういう方向で今後いくのか、それを承っておきたいと思います。
  145. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 御指摘のような次第もございましたので、基本的には、私が冒頭申し上げましたように、やはり国民の側に立った——顧客といいますか、消費者の側に立ったサービスの提供という基本的立場に立ち返る、これがいずれにいたしても基本だと、このように思うわけでございますが、われわれ、現業あるいは個々の業務に従事しております保険の外勤の人たちにこのように指導をいたしておるのであります。  累次にわたって通達を出しておりますが、これはその都度御報告を申し上げておると思いますが、昨年の年末に、現在課題になっておりますこの同趣同好団体の総点検をいたしまして、この総点検に基づきまして、今後の払い込み団体の組成並びに運営に関しますいろんな細目の事項を郵政局等に通達をいたしまして、まず第一に、団体加入の各契約者の意思をはっきりさせると、団体の目的あるいは行事、行動等をはっきりさせる、規約を明確にすること。いずれにいたしましても、団体構成の意思が明確であること、規約がしっかりしており、団体意思というものが確定をいたしておる。さらに毎月の集金、集金しましたものを管理、郵便局に対する払い込み、それから七%の割り引き額があるわけでございますが、その割り引かれた保険料の積み立て金の管理、それから行事の実施等々につきまして、細目にわたりまして現場を指導し、かつ団体との接触を密にするようにいたしたわけでありますが、さらに基本的に、この同趣同好団体の結成につきましては、いままでは約款に定まる要件さえ備えておりますと、これはもう届け出さえすると割引を適用する、これを団体として取り扱うと、こういうことにいたしておりましたものを郵政局による事前承認制ということにいたしました。したがって、今後新しくといいますか、ことしの一月以降新しく同趣同好団体を結成いたします場合には、郵政局の事前の承認が必要となる。さらに、やはり何といいましても問題が起こりますのは、その団体の実態把握が不十分であるところから発生をいたすわけでございますので、団体の代表者あるいは現実に取り扱っておる集金を取りまとめる方々等との連携を密にするといいますか、指導を強化をしていく、このようにいたしておるわけでございます。
  146. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 では、具体的にお聞きしますが、四十七年の十二月二十五日に、二百七十三号による通達を簡易保険局長から各郵政局長に出しておりますが、この内容等において、いまでもこれは生きているのかどうかですね、これはどうなんですか。
  147. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) ただいま御指摘の通達につきましては、実は全部は生きておりません。と申しますのは、私ども実態の掌握がいまだ不十分なまま出した点もございます。もう一つは、労働組合からのこれに対する反発という点もございました。これは基本的に集金の合理化につながって、集金要員の削減ということを目ざしておるというような理由からでございますが、反対もございました。したがって、その通達につきましては全面的に発動をいたしておりませんで、一部保留をいたしております。なお、その実施期日等につきましても詳細にわたって実は指導をいたしておるわけでございますが、基本的な考え方においてはそれほど変わっておりませんけれども、内部指導におきましても、一部まだその執行を保留をいたしておる部分がございます。
  148. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この通達が十二月二十五日に出されておりながら、現地の局には、現場には去年の十月ごろ流れておるわけなんですよ。その間、本省においてこれを保留しておったということなんですが、これはどういうわけで保留しておったのか。
  149. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) ただいまもちょっと触れましたように、私ども、実態の掌握が完全でなかったといいますか、不徹底といいますか、郵政局にそれまでの施策を要求し得るというふうに判断したわけでございますけれど、実に保険料払い込み団体の実態が千差万別といいますか、また現場における実態もいろいろありまして、本省としましては郵政局に通達をいたしておりますが、郵政局からこれを現地に実際に適用して指導をいたします場合に、なかなかあの通達どおりに動けないという現実がはっきりいたしております。したがいまして、この趣旨においては私どもそのとおりであろうと思いますが、それぞれ地方の実情に応じてこの通達どおりに執行をしていこうと、このように考えております。  ここで一番問題になりますのは、この同趣同好団体を郵政局ごとにひとつ取りまとめて、事務の取り扱いの簡素化あるいは団体事務の運営の簡素化なり合理化と、それから契約者の保護のための集金の保管あるいは積み立て金の管理、行事執行を援助するというようなことを考えておったのでございますが、そういう点にもいろいろ問題がございまして、あの通達でうたっております同一の行政区内、たとえば大きな市なら市あるいは県なら県を一まとめにして、そういう事務局みたいなもの、連合会をつくって事務処理をしたらより的確にいくだろうという判断をいたしておりましたが、その地区連合会以上の部分にわたりまする、そういうものを加入者協会に委託したらどうだろうかということをわれわれ考えまして、一応通達をしたのでありますが、いま申し上げました局ごとに取りまとめるという点は各局で大体実行いたしておりますが、地区連合といいますか、これ以上、それから事務を加入者協会に委託をする、この二点につきましては、先ほど申し上げましたように保留をいたしておる、強行いたしていないわけであります。
  150. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは私が実は四十五年にこの問題を最初取り上げたときにも、その一週間前にその当時の簡易保険局長が通達を出しておるわけで、郵政省のそういうやり方が何となくその場限りの、やっぱりこういう通達を出してそれで対策を立てているんじゃないかと、そういうようなことで、そのためにせっかく通達ができながらそれを末端に流せない。これはあまりにもこそくな手段であって、そういうようなあり方については、これは大いに反省をすべきである。これは今後の問題として私の意見を申し上げておきたいと思うんです。  それで、公益法人にいわゆる集金を委託すると、その公益法人としていわゆる加入者協会というものがあるように私は判断しているわけでありますが、今回の都信用の負債の整理の問題についても、この加入者協会が責任を持って事務を受け継いでいる。そうして、その手数料二%の中から幾がしかをその返済に充てるような形にしておると、このように私判断しているわけでありますが、こういう公益法人に集金を委託すると、これはこの二百七十三号の通達にはあるわけでありますが、こういう方針は今後も続けていくのか、これは郵政省の方針なのかどうか、これをちょっと承っておきたい。
  151. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 先ほど申し上げましたように、地区連合会以上のものにつきましてこれらを強行していこう、こういうつもりはないわけでありますが、この簡易保険加入者協会は、御指摘のように、公益法人として設立をせられまして、定款といいますか、寄付行為の目的に掲げてあります加入者共同の利益と福祉の増進ということをはかり、同時に簡易保険、郵便年金の普及発達に寄与するために設立をせられた団体であるわけでございますので、保険料払い込み団体から集金を委託されて、現実に現在東京郵政局管内、関東郵政局管内及び大阪郵政局管内の同趣同好団体のうち、特に旅行団体等の集金、それの払い込み、積み立て金の保管等については、私、相当の実績をあげておると、このように判断をいたしております。したがいまして、これは一方的な強制ということではもちろんないわけでございますので、申し上げました集金の合理化及び契約の保全、さらには加入者の保護という観点に立ちますと、その観点に立ちます限りにおいては身元も確実であるし、しかも、いままでの実績にかんがみまして、このような協会に集金を委託をしていくということはけっこうな方法であると、このように考えております。
  152. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この加入者協会の事務局の職員の身分保障については、いわゆる郵政局の主事以上の人が責任を持つと、そういうようになっております。そうしますと、この加入者協会においてもし事故が起きた場合は、これは郵政省が責任を持つと、そう考えていいわけですね、これは。
  153. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) ただいまの御質問の趣旨、私もほんとうに理解したかどうかわかりませんけれども、加入者協会で起きました問題につきましては、当然加入者協会が責任を持つべきであると、このように思います。ただ、この加入者協会は公益法人として郵政大臣の管理監督下にあるわけでございまして、管理監督につきまして責任があるとするならば、当然主務官庁が責任を負うべきだと、このように考えます。
  154. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、私は郵政大臣にお聞きしたいわけですけれども、そういう形で、ここにたとえば人間ドックとか、あるいは観劇とか、そういうことで高額者の一つのグループをつくって、それを郵政省のいわゆる外務員が集めるんじゃなしに加入者協会が集めれば七%安くなると、ところが、一般の加入者から見れば、一方は低額の一般の加入者は郵政省が集めにくると、それは一〇〇%料金を払わなくちゃいかぬ。ところが高額の人たちは、いわゆるその観劇の団体に入ったがゆえに加入者協会の集金人が集めに来ると、こちらのほうは七%安いと、そういうことになりますと、やはりこの簡易保険法の第一条の国民に安い料金で公平にそして国民福祉の向上を目的とするという、そういう趣旨から言えば非常に不公平ではないかと。ただ、本来、団体というのは自然にできた職域団体なり、あるいは町内の団体なり、あるいはPTAの会合等で、その団体においての自主的判断のもとに集金をする、そういうのが本来の国体であって、そういうワクを広げたところに非常に不公平が出てくるんで、そこに私は大きな矛盾があると思うんですが、その点は郵政大臣はどう考えますか。
  155. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 保険事業というものを通じて国民の生活、福祉増進につとめようと、これが目的でございますけれども、保険事業という性格から、相当やっぱり積極的にすすめてお入りを願うと。これはどちらかというと、入っておいてよかったというあとで結果が出る事業でございますから、相当積極的に勧誘をしてお入りを願うという性格を持っておりますから、これにつきまして団体でお入り願って、たくさんな方がお入り願うということによってのメリットというものを、加入者だけでなしに、こちらのほうもいただいておるということに対して、いまお話の七%ということが出てくるのだと思います。ただし、それが塩出さんのおっしゃるように、ちゃんとした団体であったらまあまあであるけれども、目的がどこにあるかわからぬ、手数料のほうに目的があって、保険事業よりもそれが目的のようになって最後には事故を起こすというようなことから指摘を受けて、今日、そのようなことのないようにつとめなければならぬ、こういうことで、私も着任をいたしましてからこの問題の御指摘を受けまして、よいほうを伸ばすということのために、一つの間違いからせっかく一生懸命やっておるものが伸びないということになってはいかぬから、これに責任を持って是正する方法を講じなさいということを言いまして、先ほどから局長がいろいろお答えを申し上げておるのでございますが、本年の一月になりましてから簡易生命保険の約款も改正をして、そしてそれに整わないものはいわゆる団体として取り扱わない、受け付けないということまでつとめて徹底をしておるところでございます。したがいまして、この問題は、個々の方々がお入り願っておる、団体で入ればそこに七%というものがある、不公平ということはないかということでありますけれども、これは広く行なうために保険加入者がたくさんお入り願って、この制度によるところの福祉を受けられるという点を主眼に考えましたときに、事業としてこの程度のことはお許し願えるのではないか。逆にそういうことにおいて間違いがないようにするということに力を入れてしていくべきではないかと、このように考えまして、今後ともなお一そう御指摘のありました点等に留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
  156. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いまの点は私の考えとはだいぶ食い違いがあるわけで、その点はまた後日日をあらためて、これは郵政省の根本方針の問題ですから、郵政大臣もそうやすやすといままでの方針を変えるわけにいかぬ点もあると思いますから、これは今後検討したいと思うんですよ。  それで、時間もあまりありませんので、本年一月末、同趣同好団体の事務局の状況、こういう資料をいただきましたが、かなり局内に、京橋、神田、足立西、中野、あるいは代々木、千歳、大森、大崎、ほかにもたくさんあります。五十七局ですか、このようにまだ局内に事務局が置かれておるわけで、こういう通達に違反をしているわけでありますが、これはそういう委員会における当局の答弁と現実の進みぐあいというのは全く離れておるわけでね。こういうのはどうなんですか、これは。
  157. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) ただいま御指摘郵便局内に団体の事務局を置いてはいけないという通達を出しましてから相当の時日がたっておりまして、たびたび御指摘を受けておるのでありますが、現在の実情を申し上げますと、東京都で六十二局のうち局のうち局内に団体の事務局を置いておりますのがまだ二十一残っております。六十二分の二十一であります。愛知県におきましては、六十四局のうち六十局がすでに局外に出まして、四局が局内にまだ残っておる。大阪府におきましては、七十二局中六十六、局内に残っておりますのが六局でございまして、昨年の逓信委員会でございましたか、先生お答え申し上げましたときには、東京都及び大阪市内等は約半数以上まだ残っておったかと思いますが、ただいま申し上げましたまでに改善をいたしたと、このように考えております。なお、特に東京都等におきましては、事務室の事情その他もいろいろあろうかと思いますが、できるだけ通達の趣旨に徹しまして、できるだけ早く局外に事務所を移すようになお督励をいたしておるわけでございます。
  158. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは局内、局外ということよりも、局内に置かなければならないようなそういう団体をつくることがそもそも出発の間違いでありまして、ここまできたものをやはりただ局外に移せばいいと一律に考えて、移したためにまた事故が起こるようなことになってはいけませんしね。われわれは、そういう目先のことを云々するわけではありませんけれども、長い方針に立ってこの問題は処理してもらいたいと思うんです。  それと、時間がございませんので、資料要求したいと思いますが、一つは、たとえば京橋局におけるそういう旅行の団体につきましては、加入者協会の報告では、一団体三千十八だと、旅行団体が。郵政省のあれでは二十二団体ある。それで、そういう団体名は、一体、代表者はだれなんだと、こういうことを資料要求しましたところが、何年か前はこれは自由に——去年とかおととしてあれば、どういう団体があるかということをはっきり言ったわけでありますけれども、これは団体の名前も所在地も全然われわれのところに報告がない。これを報告してもらいたい。こういうことはプライバシーとか秘密とか、そういうことには属さない問題ですからね。  それともう一つは、この加入者協会が、いわゆる二%の手数料のうち、四十七年度においては一・八%とか、あるいは四十六年度は一・五%とか、こういうように手数料以下の手数料でやっておるわけで、それの余分についてはいわゆる契約者に払っている、そういうことでございますが、そのあたりはどういうようになっておるのか、これを資料として提出願いたい。これはお願いできますか。
  159. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 十分調査いたしまして、御報告するようにいたします。
  160. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ、その点につきましては、今後次の委員会においていろいろそれで質問さしていただきたいと思います。  最後に一問だけ。この都信用のこういうような事件が起きまして、郵政省は厳罰を指示すると、そういうようなことを新聞で見たわけでありますが、何か現地の話じゃ、そんなこと言ったって、そんな厳罰なんかあるわけないよ、そういうような声をわれわれはあちこちで耳にするわけでありますが、こういうような事件を今後起こさないために、こういうのはもう郵政省の責任とは認めないのか、あるいは厳罰主義で臨んだからといって事故が減るとは言えないし、われわれも必ずしも厳罰にしろと言うわけではありませんけれども、ほんとうにやはりこういうことが起きたときにやっぱり反省してもらわなくちゃ、世間的な表向き、本音とたてまえに違いがあるようでは困るよ、やっぱり。そういう点で郵政大臣としてこれをどう考えているのか、それを最後にお聞きをして終わりたいと思います。
  161. 原田憲

    国務大臣原田憲君) もう御指摘のとおりです。これは衆議院の委員会におきましても、都信用の事件ではございませんが、保険事業に携わる郵政省の職員の綱紀の問題についてお尋ねがありまして、そういうことは一切なくするということでいかなければならぬ。少なくとも、委員会でこういう問題はどうだというお尋ねがあったことを再び三たび指摘されて、それが結末がつかないというようなことであってはならないということで、私は、局長以下行政の責任者はそういう態度で臨むということをお答えを申し上げたところでございます。特にこういうような仕事を扱っておる者は、そういう綱紀粛正、信賞必罰ということが明らかにならない限り、信用というものが根底でございますから、私といたしましてはそのような態度で臨んでまいりたいと存じます。
  162. 木島則夫

    ○木島則夫君 きょうは、杉山参考人にはたいへんお忙しい中を急邊お願いをいたしまして、まことに申しわけございませんでした。放送上のたいへん大事な問題がございますので、きょうはあえておいでをいただいたわけでございます。どうもありがとうございます。  さっそくお伺いいたします。反社会的企業として疑惑を持たれる、公取の勧告も受ける、検察庁の捜査の対象になるというような企業がスポンサーとして電波に乗るというのは、たとえその現在の放送基準からは問題はないとしましても、国民感情としては釈然としないわけであります。この問題については、私は、先の委員会のときにも、また予算委員会でも指摘をいたしました。そのとき、民放連としては前向きに検討を進めるというふうにおっしゃってくだすったわけでありますが、その後この問題についてはどういう進展を見せておりますでしょうか。国会でも反社会的企業の問題がやかましく言われているときであります。反社会的企業の基準が問題になっているときでもございます。まずこの辺からお伺いをしたいと思います。その後いかがでございますか。杉山さんにお願いいたします。
  163. 杉山一男

    参考人杉山一男君) いま木島先生からお話がございましたが、この前のときは、あれを基準で何か考えてもらえないかというお話でございましたので、私は、民放連に基準審議会がございますので、そこで研究さしていただくというお話をしたわけであります。その後、民放連では基準の総点検をやっております。そして基準をいま変更するということで、いろいろ努力をしながら基準の改定作業を行なっておるわけでありますが、何せいろんな問題を含んでおりますので、現在のところ、まだ全部の改定作業を完成していません。おそらくあと三、四カ月かかるんじゃないかと思います。その中で、先生のおっしゃった問題についても、どう考えるかということを検討したいということで、いろいろ意見は交換しておりますが、まだ結論は出ておりません。  何ぶん放送基準というのは番組についての一つの基準を設けるということでございまして、そういう商社あるいはその他問題になったものがスポンサーになれるかどうかということは、ちょっと基準とまた違うという見解がわりに強いわけであります。しかし、いろいろ社会的な問題もございますので、そういうものを含めながら現在作業しておりますので、いずれ結論が出ましたらそのとき御報告したい、こう思っております。
  164. 木島則夫

    ○木島則夫君 非常に前向きに御検討いただいて、私もこの点ではお礼を申し上げたいと思います。  そこで、杉山参考人に、おっしゃりにくかったらはっきりお断りをいただいてけっこうでありますけれど、要するに基準の改定作業をされている、これはたいへん大事な問題ですね。少なくとも三カ月ぐらいはかかるだろうということであります。いままでの放送基準というものは、いわゆる電波に乗った部分からが問題であって、それ以前の問題というのはあまり問題にされていなかったわけであります。今度改定をしなければいけないということは、電波に乗る以前の問題も含めた改定なのかどうか、この辺たいへん大事でございますので、もしお触れになれたらひとつ聞かしていただきたいと思います。
  165. 杉山一男

    参考人杉山一男君) 基準は、先生がおっしゃったように、電波に乗ったいわゆる放送の商品となる番組を中心にするのが基準でございます。しかし、その前にいろいろ基準には精神的な面もございますので、そういうものの中で検討できるかどうかという点は、一応、先生お話もございますので、検討しておるということでございます。  もう一つは、放送契約というのがございまして、放送局が放送番組を販売する場合には、その放送契約にのっとってこれをきめるわけであります。これは商法にのっとって行なわうわけでありまして、そこにも営業の自由というものもございますので、この辺非常にむずかしい問題があるわけです。放送基準にこういうものを盛るべきか、あるいは放送契約上の問題になるのか、その辺の問題もございますので、連盟では、大体これは昨年の四月ごろから総点検を始めまして、やはりこの際放送基準を変えるべきであるという議論が出てまいりまして、海外の放送基準は一体どうなっているか、あるいは番組の自主規制はどういうように行なわれているか、それぞれの国の社会制度の中で放送基準というものがどういう形できめ、それが守られているかということについて調査団も組織して一カ月余にわたって調査をしてきております。その報告も十一月には出ましたので、それをもとにいま全条項にわたって大かたの検討が終わっています。残っている問題点、これをいま煮詰めておる段階でございます。そういう点だけ報告しておきます。
  166. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま大事な作業が進んでいるというお話でございますので、ここでそれ以上お伺いすることはどうかと思いますけれど、しかし、いずれにしましても、大きく改定に取り組まれたという、このことは私大きく評価をしたいと思います。何ぶんこういう時世でございますから、ひとつ万遺漏のないように御検討を願いたいと思うのであります。  そこで、直接放送当事者のこれは問題でありますから、郵政省がとやかく言うことではございませんけれど、放送基準の改定作業がいま大幅に進んでいるという、このことについては、やはり郵政省としてもこれ非常に大事なことだと私は思いますね。このことについて郵政省どういうふうにお考えですか。
  167. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 直接に放送基準についてあれこれ申し上げるのは適当ではないと思いますけれども、民放連がせっかくおやりになっている改定作業、これが御案内のように、放送法四十四条の各規定の趣旨に合致したような放送基準ができることが望ましいということは言えると思います。
  168. 木島則夫

    ○木島則夫君 その場合非常に大事な問題がある。いわゆるあの放送法ができてから何年になりますか——二十五年になりますか、かれこれ。ちょっと私もうっかりしましたけれど、とにかく二十数年たっている。世の中は大きく流動的にいま変わっているわけであります。放送法四十四条、いまの法律に照らしてそれが問題ではないかという、そういう検討のしかたというものももちろん大事なんでありますけれども、世の中が動いているということで、大もとの基準になる放送法自体もやはりある程度動かさなければいけないんじゃないだろうか。がんじがらめに、二十数年前のものを持ってきて、それに当てはまらないからこれはだめなんだという、そういう考え方がいいのか。やはり世の中が非常に流動的に動いてきておる、そこでやはり大もとになる法律というものもこの際検討をするべきではないかという議論がそこから起こってくると思いますね、いかがですか。
  169. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) いまのお話でございますけれども、これは放送法の根本的な問題に触れる議論でございまして、外国の立法例なんかを見ましても、放送に関する限りにおきましては、表現の自由の確保ということと、それから放送の準則という事柄が大体規定されておりまして、しかし、この放送の準則なるものは、具体的な個々の番組をこの基準に違反しているとかどうとかというようなことではなしに、何と申しますか、倫理的な綱領という意味で、各民放の事業者が自分でみずから番組基準をつくる基本原理を明示してある、こういう形でございますので、世の中は相当移り変わりがありましても、必ずしもこの条項を軽々に変えるという事柄はいかがかと、実は慎重に検討する必要があると思います。
  170. 木島則夫

    ○木島則夫君 いずれこの問題はゆっくり時間をかけて伺いたいと思いますが、もう一つ非常にいま大事な問題がございます。NHKの四十九年度予算採決のおりに付せられました附帯決議にも、表現の自由と放送の不倫不党というものを確保しなければいけない、こういう項目が付せられたのは御承知のとおりであります。  そこで、これは衆議院でも問題になったのでおりますけれど、東京十二チャンネル三月十一日夜十一時半放送の特集「虎さんと丹後過疎民・京都府政二十四年の体質」についてお伺いをしたい。告示を二日後に控えて、その内容がはなはだ問題であったわけであります。  その内容とするところは、「記者会見における七選出馬の弁」に始まりまして、「知事の自信はどこからくるか。丹後から様子を探ることとする。三、丹後の青年の弁。丹後の漁村では京都に生まれてよかったと思う。知事は公害企業を誘致しないなど、先が見えている。福井の漁師は、工場の公害がふえて困っている。四、他の中年の男の弁。私は衆議院は前尾だが、知事は蜷川だ。五、海洋センター起工式の場面。市長の祝辞。市長は、電力用地としていたものだが、漁業開発のため海洋センターとなった。六、決起集会。過疎対策としての措置を実現するための集会場面。」、最後に「蜷川知事は初の七選を果たそうとしている。」、これが告示二日前の放送であります。まるで選挙運動じゃないかというふうに、私のところにもずいぶん実は電話があったのであります。これは明らかに問題だと思います。これを衆議院の民社党の小沢貞孝も質問をしたわけでありますけれども、この問題のその後がどうなっておりますか。当事者に伺うのがほんとうはしかるべきだと思いますけれど、民放連としてどういうふうにこの問題を把握なさっていらっしゃるか。現在までの経過、お聞きしたいと思います。
  171. 杉山一男

    参考人杉山一男君) 民放連では、先ほども申しましたが、放送基準の改定作業の中でそういう問題が出ました。しかし、これはあくまでも放送の編集権というものは、木島先生御存じのように、放送法の第三条ではっきりと局にあるということが規定されておるわけであります。そういう問題については、事実上の問題については、民放連は放送基準に抵触していない限りこの問題をどうこうというわけにはいかない、そういうことで、具体的にどうするということは、民放連ではいまのところ問題になっていないわけですが、そういういまのような問題も含めて、放送基準の改定の中でどういう表現をするかということが今後の問題として出てきておるということでございます。
  172. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ、ちょっとその辺は私問題があると思うのでございますよ。これは放送当事者のあくまで判断、自主的な編成ということは、私も表現の自由ということをよく知っています。私もマスコミにおりましたので、とやかく云々はしたくございませんけれど、やはり時期が時期、その内容が内容であるということになれば、これはその放送の自由ということと同時に、やっぱり国民の電波をあずかる放送局として守らなければならない準則の中にきちっと歯どめがされるのじゃないだろうかという意味で、杉山さん、恐れ入りますが、もう一度お答えいただけますか。恐縮です。
  173. 杉山一男

    参考人杉山一男君) 選挙の問題になりますと、これは公職選挙法というものがございまして、その公職選挙法にのっとって選挙が行なわれる。放送は、その公職選挙法に盛られておる法律に抵触しない範囲内において放送を実施するわけであります。したがいまして、これが公職選挙法にもとっておるとか、あるいはそうでない、いわゆる放送法できめられておる政治の不偏不党、こういう問題に抵触しておるということになりますと、これが問題になりますので、この点につきましては、私たちのほうの自主規制の機関である放送番組向上委員会もございます。そういうところでも、問題があるとすれば、今後検討されて、民放連のほうへもそういう意見が出てくるかと思いますが、現在のところ、まだそういう見解について向上委員会のほうからも私はまだ意見を聞いておりません。したがいまして、いますぐこれをどうするというようなことになりますと、民放連としては、そういう編成権の立場から、局に対してどうこうということは言えないし、放送基準にそれが抵触しておるかどうかということになりますと、目下のところ、私ども、現在の放送基準には抵触していないというふうに見ておるわけであります。
  174. 木島則夫

    ○木島則夫君 杉山専務理事のお立場も私よくわかりますから、もうこれ以上申し上げませんけれど、これはちょっといまのお答えだと、お立場はわかるので、私もあまり強いこと言えないのですけれど、やはり公的に考えた場合に、これはどうかなあというふうに首をかしげざるを得ない。これは政府に見解を求めても、あなたも同じようなきっとお答えをするだろうと思いますけれど、念のためにちょっとあなたに伺っておきましょうか。
  175. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、政府の立場としましては、四十四条の基準でもって、個々の番組が政治的公平を欠いているか欠いていないかという事柄は適当ではない、あるいは四十四条はそういう規定ではないと解釈しておりますので、具体的問題について触れることは、政府としては適当ではないと考えるわけでございます。
  176. 木島則夫

    ○木島則夫君 この問題は、一つの問題提起として私は提出をしたい。要するに、放送局、放送事業者が自主的に番組を編成するのだと、だからそれはそれでもって絶対的な権利がある、治外法権ということばはいやなことばでありますけれど、外からは何ら文句が言えない、政府もそういう見解をとると、民放連もそうおっしゃるというと、やっぱり国民の電波という立場に、もう一度原点に戻ってみたときに、これはどういうことになるのだろうかという、私は、きょう時間がありませんから、問題提起にとどめたいと思います。これは非常に大事な問題ですから、ひとつ御検討いただきたいと思います。(「放送基準に抵触しないことないと思うけどな」と呼ぶ者あり)きょうは、十二チャンネルの当事者の方がおいでになりません。民放連という一つの団体の、何というか、強制権もないわけでありますから、これは杉山さんをこれ以上責めることは私もあえてしたくございません。  さて、杉山さん、もう一つちょっとお伺いしたいことがあるのであります。これは十二チャンネルで放送された「総理と語る」という番組がございますね。やはりNHKと同じように、民放でも「総理と語る」という番組がございます。これはスポンサーがちゃんとついておりまして、私は、いつ幾日というはっきりした日にちはちょっと記憶がないのでありますけれど、東レ、山一、自転車振興会、日本オリベッティ、丸紅飯田というのがついているのですね。さっき言った反社会的企業の疑惑を持たれた企業がこの中に入っているということになると、三カ月後の放送改定まではこういう問題は一切問題にならないのかどうか、念のためにこの辺もちょっと伺っておきたいと思います。これは一応済んだものですから、私もあえてこれ以上はお伺いしませんけれど、いかがですか。
  177. 杉山一男

    参考人杉山一男君) このいまあげられたスポンサーの中に問題になった商社があるということでございますが、結局、民放連で番組の問題で関与できるのは、放送基準に抵触しているかどうかということ以外に一歩も出れないわけであります。その点からまいりますと、この商社がどういう商社かわかりませんが、その商社が特に罪を犯したとか、あるいはそういう何か問題を持っておるその商社が、その人が直接番組に出てくるというようなことになれば、これは放送基準に抵触しますからお断わりすることができるわけですが、スポンサーということになりますと、これは営業行為になってくるわけでありまして、そうなりますと、そのスポンサーがりっぱな番組、非常にいい番組についたということになれば、これは仮定ですが、非常にすぐれた番組のスポンサーになったということになれば、これを拒否する理由かなかなかないわけであります。それが現在の放送基準になっております。したがいまして、この問題は非常にむずかしい問題だと私は思います。じゃ、問題にならなかった非常にいい企業が、非常に悪い番組をつくって、そのスポンサーになったということ、逆にそういう問題が出てきたとすれば、これまた問題になるわけでありまして、むしろそちらのほうが直接国民に与える影響が大きいのじゃないかというふうにも考えます。いま木島先生もおっしゃったように、現在の基準では、そういう点ではどうもタッチできないというのが民放連の立場でございます。
  178. 木島則夫

    ○木島則夫君 いやな言い方ですけどね、庶民感情としては、きたなくかせいできれいに使うという、そういう感覚を持っているのですね、やっぱり茶の間で受けとめる人というのは。この間も、私は、ある子供さんを持つお母さんに言われた。ニュースでやっている——つまり検察庁の手入れを受けたようなところが、公取の勧告を受けたようなところが、堂々とスポンサーとして番組に名を連ねている、こういうのを子供に何というふうに説明していいんだろうかという話が実はあったわけですよね。だから、それは現在の放送基準の中では何とも手のつけようがないというお話であるならば、これはやむを得ないわけでありますけれど、これは郵政大臣、私見でもけっこうですよ。郵政大臣が前にテレビをよくごらんになるというお話でしたから伺いますけれど、問題になった、国会で問題になっているいわゆる悪徳商社、反社会的な企業としての疑感ですね、疑感でもいいですよ、持たれた企業名がスポンサー名として画面にぴしゃっと出てくるときに、どういうお気持ちでこれをお受けとめになりますか。これは私見でもけっこうでございます、もちろん。
  179. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私見ということですが、放送ぐらいむずかしいものはないですな、放送の問題ほど。私は、これは木島さんに予算委員会のときに、あなたが関連質問に立たれて、私がお答えに立ちまして、それは何々グループというように出てくる、その中に、いま御指摘のような丸紅があったとか、どこの会社があったとかいう問題を含んでいるので検討いたしてみたいと思いますと、こういうことをあのとき答えたと思うんですが、検討すればするほどこれは非常にむずかしい問題で、私、けさ質問のときに、私ども郵政省が値上げもせずにもう一生懸命苦しみ抜いておるときに、その大事な郵便の金を、商社が開発銀行から金を借りたりいろいろしているのにどう思うかと言われて、腹立ちますと、こう答えたんですが、それでは、それでこの場合解決できるかというと、放送というものは放送法により、あるいは民放の場合はそれに準じて、正直言いまして、電波の認可を与えたらあとはその次の改定のときまで何らこちらは、法律に許されたことでなければ口出しができないと、こういうような問題を含んでおりまして、非常に問題がいまあるように思います。  それはもう私が答えるまでもなく、木島さんも、皆さんここにおいでの方はよく御存じで、放送法というものはやはり改正しなきゃならぬと、電波法、放送法というものは問題があるぞと、こういうことで前に提案をされてそのままになっておるので、答えが長くなりますけれども、どうするんだと、こういうことのお尋ねがありました。歴代大臣がいつもできるだけ早く提出するようにするという答弁をしているがどうだというお尋ねがありました。私は、正直に言いまして、今国会、四月の二十九日までの会期で三月の十六日まで、予算関連は二月十六日までに提出すると、そして審議を十分にしてもらうと、こういう国会における現在の状況で、政府から提出しますということは申し上げられませんと、こういうことを言って、そこで、今国会には間に合いませんけれども、ほんとうにこれは真剣に放送問題に取り組まなきゃならぬということを考えておりますということをお答えいたしておるわけでございます。先ほど電波局長が放送問題は重要な問題だから慎重にと言いましたけれども、慎重であることと待っておることとは……。これはどうしてもこういう問題を含んで放送法の問題についてできるだけ早く、政府も皆さんも一体となりまして、解決しなければならぬ問題があまりにも多いと、まあ、お答えになったかどうかと思いますけれども、こういうことでごかんべん願いたいと思います。
  180. 木島則夫

    ○木島則夫君 検討すれば検討するほど見当がつかないというのじゃ困るわけで、その辺はひとつ、いま大臣のニュアンスからくみ取りますと、今国会にはだめだけれど、できるだけ近い機会というところが非常に私は大事なお答えであったというふうに理解をしたい。したがって、これはやはりもうそういう時期に来てますね、大臣。慎重に、慎重に、慎重にといって待っていても、やはり情勢がもう何というか、熟してしまってきて、あっちでもこっちでも噴火寸前というような形になってきておるわけですから、これはやはり前向きに検討しなければいけないということ。杉山専務理事もたいへん前向きに放送基準を大改定をするんだ、改定するんだと、もうあと三カ月くらいだというふうなおことばからすれば、やはりことしじゅうあたりにそういうことを検討していただかないといけなくなるんじゃないだろうか。もう一回おそれいりますが、もう少し具体的に聞かしていただければありがたいです。もうこれ以上無理ですか。
  181. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この前にも委員会で同様趣旨のお尋ねがありまして、これは私ども政府も検討を続けておるところでございますが、各党ともこの問題について取り組んでおられると思います。わがほうでは自由民主党の政調部会の中で真剣に取り組まれております。したがいまして、非常にむずかしい問題でありますけれども、番組基準をどうしていくかということを先ほど民放のほうでは考えておるというお話でございましたが、政府といたしましても、できるだけ努力をいたしまして、結論が出れば御審議願うことができるように努力を傾けてまいりたいと存じます。
  182. 木島則夫

    ○木島則夫君 ほんとうにもう世の中がそういうふうなものを必然的に要求をしているわけでありますから、その社会の情勢、社会のそういう成熟度にこたえて、やはり法律も対応していかないと私はいけないと思います。そのことを申し上げたいと思います。  とにかく、きょうは一時間しかございませんので、杉山さん、おそれいりますが、もう一つお願いをいたします。  実は、全郵政北海道地方本部というところが地元民放テレビ二社——これはSTVとUHBです。これにCMの放送を依頼しましたところ、一社から断わりが参りました。その理由は、労働組合が二つあって問題があるとするものでありました。われわれは、どっちの組合がどうなったとかという、そんな小さい観点からここで論じようとするものではありません。そこでお伺いをしたいのでありますが、この件について、私は、民放連のお立場を伺ったおりのお電話では、民放連としては、放送基準には触れないが、北海道ではこのような放送を出すと意見広告が出てきたとき問題が起こらないかと懸念をしている。北海道地区のテレビ会社が集まって意見交換会を開きたい意向であるという御返事をちょうだいをしております。このことについては間違いないと思います。  そこで、この問題に関するその後の何というか、進展を聞かしていただきたいと思います。一つの職場に二つの組合がある場合に、一方の組合からCM依頼があった場合の放送事業者のとるべき措置。民放連としては放送基準には触れないと言われているけれど、お断わりになった放送局の措置は、あくまで私は政治的な判断だったというふうに解釈をしております。こうした判断は、放送基準のどこに該当をするものであるか。私もその当事者として、放送当事者として内部の様子を多少知っているつもりであります。STVは先発のテレビ会社でありまして、財政事情はよいことも明らかでありますが、その当該社の労働組合の動きなど背景的なものはさだかではありませんけれど、少なくともトラブルに巻き込まれたくないというような政治的判断にお立ちになってこういう措置をおとりになったというふうに思うのであります。大事なことは、今後この種のものを放送すると意見広告が出てきたときに問題になる懸念があるという、ここにポイントを置いてひとつお答えをいただきたいと思います。このときのコマーシャルはきっと、お聞きになったかと思いますけれど、十五秒の中で「郵便ポストも逆上したこのインフレ!!」という漫画みたいなものが書いてございますね。それから「郵便を守り愛される郵便局づくり」というのが、まあ大体二つに分かれた十五秒の中の絵柄でございます。だから、これ自体は放送基準には抵触していないのだということは、私もうなづけるわけでありますね、いかがでございましょうか。
  183. 杉山一男

    参考人杉山一男君) これは放送基準というよりも、私は、その社がどう判断するかの問題ではないかと思います。放送の場合は、新聞と違いまして、放送法の規制を受けるわけです。その放送法の中には、政治については公平でなくてはいけないという、先はどからのお話の四十四条が問題になるわけでございまして、それを放送局がどう判断するかということによって局の姿勢が出てくるのではないかと思います。先ほど木島先生は、局の内部事情もあるんではないかというお話でございますけれども、私のほうでは、局のほうからそういうように言ってくれば、それも一理あることで、局の内部事情というより、むしろ政治的公平の判断というところに大きなウエートを置いたんではないかと、こういうふうにひとつ考えておるわけであります。それで、民放連のほうでも意見広告が出てくると問題になるという点でございますが、実は民放連では、この意見広告というものについては、放送基準の改定の作業の中でいま問題になっておるわけであります。これをどう考えていくか、あるいは基準に取り入れるべきか、あるいはどうすべきか、また意見広告そのもののあり方、考え方、どうとらえていいか、これはいろいろなケースがございます。政治的な問題もあれば、最近は公共放送というような形でいろいろな企業あるいは公共団体からのそういう意見めいた広告が出てまいります。そういったものも含めまして、これをどうするかということで、いま重要な研究課題の一つとして検討が進められておるので、その作業の結果によっては、いろいろ現在その局の判断が正しいか正しくないか、あるいは基準に触れるか触れないかという問題に関連するものですから、そういうことを伝えたと思います。
  184. 木島則夫

    ○木島則夫君 意見広告について、少し杉山参考人にお伺いしたいんであります。意見広告は、いまのお話の中でも、今後いろいろな点で、つまり社会的要請が私は出てくると思いますね。そういう意味で、たいへん重要な意味を持つものと思います。私が考えておりますのは、一つは表現の自由の幅を広げることにこれがつながるのだという考え方ですね。それからもう一つは、意見広告が新聞広告の大きな収入源であると同じような意味のスポンサーソースとなる可能性がこれからあるんだという、この二点について私は日ごろ考えています。きょう、あまり時間がございませんので、こういう観点からいたしますと、当然、社会の要請として、放送のメディアにも意見広告の要請が出てくると思うわけでありますけれども、先ほどの放送基準の改定の中に意見広告の問題項目もお入れになっていま検討中であるということでございましたけれども、どうなんでしょうか、民間放送としては、こういう意見広告というものにある程度積極的に取り組むおつもりなのか、それとも、いろいろ問題が多いから、さっき大臣がおっしゃったように、慎重に慎重に検討をしていくんだというようなおつもりなのか。これは大臣がさっきおっしゃったように、私も、三すくみと言うか、すくんじゃうわけですね、いろいろのことを考えていくと。表現の自由を強調しなきゃならない、しかし、電波という制約も考えていかなければならない、社会的要請として。当然、意見広告はもう新聞紙上ではたくさん出ておりますね、ごらんのように。たくさん出ています。この春闘を中心にして政府自民党のおっしゃりようも出ているし、共闘委員会側のいわゆる言い分も出ている。そういうものが新聞では堂々と論戦を戦わしているわけでありますけれど、私は、新聞のようにはテレビは扱えないと思いますね。そこで、その放送基準改定の中でこのことも取り入れられているということは、考えられているということは、積極的な姿勢でこういう問題に取り組もうとなさるバックグラウンドなのかどうかということです。
  185. 杉山一男

    参考人杉山一男君) 私が話したのは、放送基準を改定する作業の中で意見広告を取り入れるか取り入れないか、あるいはこれをどういうようなワクの中で考えていったらいいかということがいま問題になっておるということを話したわけであります。  それで、意見広告を取り上げて基準にも盛るということになりますと、今度はいろいろなケースが出てきて、それが放送法との関連で非常にむずかしくなるんじゃないか、したがって、あまり積極的にこれは考えないほうがいいんじゃないかという意見もあります。それからもう一つは、先ほど木島先生がおっしゃったように、これからの社会の情勢を考えていくときに、意見広告というものはやはり取り入れたほうがいいんじゃないかという積極的な意見もあります。そうした場合に、やはり新聞は、そういう放送法とか、あるいは新聞紙法とか、そういうあれの制約がないわけです。ですから、新聞社の判断である程度法律に抵触するというようなこともなくなるわけでありますが、放送の場合は、一つの放送法の中の番組規律の問題がございまして、それとの関係で解釈上非常に微妙な見解の分かれが出てくる可能性がある。そういうことを含めまして、いまどうしていいかということで、これは非常に放送基準改定の重要な研究課題の一つとして、いろいろなケースを想定しましていま検討しておるということでございます。
  186. 木島則夫

    ○木島則夫君 やはり情勢は非常に動いているということをいまのお話の中で私もつくづく感じているわけであります。私は、こういうふうに思いますね、昨今のように激しくゆれ動いている社会経済状況の中にありましては、放送というものがその持てる機能というものを最大限に発揮し、公正的確な情報を国民に提供しなければならないとするならば、私は、むしろ積極的にこういう問題を前向きで検討していかなければいけないというふうに考えています。そこで、これだけ流動する変化の激しい世の中に対して、一体、政府はどういうふうにそれを認識していらっしゃるかということは、これはたいへん大事な問題になってきます。最近の放送番組、CMも含めてのあり方から、私は一つの傾向というものを見つけることができるのであります。たとえば、狂乱物価の中で国民の生活を防衛をするという見地から行なわれている物価情報はその一つですね。それから生活情報番組が非常に多くなりましたね。ほかよりも安くこの品物を提供する——この間、多少この安く提供するというような広報が問題にはなりましたけれども、これも広い意味からすれば、やはり生活情報は一つの大きな傾向だと思いますね。それからCMも、単に売らぬかなというよりも消費生活をリードするようなものに方向転換をしてきているということですね。こういった傾向がつまり意見広告への一つの私はプロセスと見ていいのかどうか。見ているとすれば、意見広告についてどの程度の御認識をお持ちであるか。これは郵政省に伺います。
  187. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 非常にむずかしい問題でございまして、的確に表現されましたように、一方には表現の自由ということから、これは断固として守らなければならない、あるいは電波は独占的性格を持っておると、したがって新聞と同じようなわけにはいかぬという面もあるではないかというような問題、それから放送のテレビコードと申しますか、準則の問題、その間において意見広告なるものはどんな地位を占めるのかというようなことだと思いますけれども、われわれが申し上げ得るのは、放送法の四十四条の問題であるわけでございますけれども、そこの中で意見の分かれておる問題についてはできるだけ多角的な見地からひとつ論じてもらいたいというような一項がありますので、意見広告がいいとか悪いとかということよりも取り扱いにはこの趣旨を生かして慎重にひとつ対処していただきたいということでございます。ただ、放送法の改正は、これとは直接にはつながらないということだと思います。
  188. 木島則夫

    ○木島則夫君 ただ、世の中が非常にゆれ動いておりまして、ことにいまのような社会経済状況のもとでは、どんどんどんどん流動的に世の中が変わっていく。それに電波というものが的確に適応して、その持てる機能を最大限に果たしていかなければいけないとするならば、あまりにもその放送準則、電波は新聞とは違うのですよということにだけ閉じ込もると、今度は社会と隔絶をして社会に対応できないものになってしまう。また、反対に表現の自由を強調するあまり、そういうところにウェートが置かれ過ぎると今度は問題が起こってくるということで、これはほんとうにどこでバランスをとるかということは実に私はむずかしいと思いますね。だから、これは一党一派とかそんな問題じゃなくて、国民の電波をあずかる行政機関なり放送当事者なりということで、もう国民全部の問題として私は考えていかなければいけないという意味で、きょうはむしろ問題提起として、意見広告ですか、これも実はお出ししたわけであります。  そこで、もう時間がございませんから、私は、結論を急ぎたいと思いますけれど、この意見広告がもし放送局に取り入れられてくると、もう一つこれとからんで、一体、社説放送、放送の社説というものはあり得るのかどうかというようなことにもつながってくるわけであります。アメリカでもずいぶん問題になっております。杉山参考人、これはたいへんむずかしいところでありますけれど、ひとつお答えをいただきたいと思います。ある人が、社説放送ということは、たてまえとしてはわかるけれど、現在の放送法あるいは放送基準から考えれば、それは神様でなければできないよと言った人がいますけれど、まことに事の重大性、複雑さ、問題性を含んでいることばだと思いますけれど、いかができょうか。将来、そういう方向にやはり放送機関も進んでいったほうがいいのかどうか。
  189. 杉山一男

    参考人杉山一男君) これは民間放送ができてしばらくしてから、この社説放送の問題がわれわれ内部でいつも論議をして、社説放送はやるべきだという意見と、いや、それは実際上やれない、だから社説放送にいくことは無理であろうという意見が二ついつもあるわけです。現在も二つがございます。しかし、地方の局で、社説放送的なものを放送しておる局も出ました。しかし、実際問題として、いわゆる先ほどからも出ておる放送番組の準則の基準からして、はたして公正な社説というものが放送側にできるかどうか、   〔副主査退席、主査着席〕 それだけのスタッフを十分用意し、それに見合うだけのデータなり資料を準備して問題ない放送ができるかどうかということがいろいろ検討されておりますが、むずかしいというのが大かたの意見でございます。
  190. 木島則夫

    ○木島則夫君 これで最後にします。  きょう、私、非常に大きな収穫を得ました。それは、現在の流動する世の中にあって、いわゆる民放の放送基準というものの改定が行なわれていること、そしてその改定作業が三カ月ぐらいかかるだろうという非常に前向きなお答えをいただいて、私もお礼を申し上げたいところであります。さっきから何べんも申し上げておりますように、昨今の激しくゆれ動くこの政治経済状況の中にありまして、放送がその持てる機能というものを最大限に発揮をする、そして公正的確な情報を国民に提供することがその責務であるとするならばまだ固まっていませんね、日本では意見広告、そのほかの問題というのは。固まってはいませんけれど、この意見広告の分野に憶病になっては私はいけないと思う。やはり積極的にアプローチすることから時代の要請する電波、放送というものが生まれてくるという意味では、積極的にアプローチをすべきではないかというふうに思います。そしてそこに出てきた問題の取捨選択をきちっとすればいい、こういうことになってくるのではないかと思います。  最後に、私のいま申し上げたことがそのとおりである、積極的にアプローチをするのだというお気持ちがもしあるならば、民放連の杉山参考人と、政府からも、郵政大臣からも、そのことをひとつお答えをいただきたいと思います。これで最後にいたします。
  191. 杉山一男

    参考人杉山一男君) 流動する社会の中で大胆にものごとの先取りをするようにという先生の御趣旨はよくわかります。われわれも決して憶病になっているわけではございませんけれども、実際具体的な問題に当たりますと、必ずしもわれわれの考えておる理念なり、われわれの願う方向にすぐ取り組めるかどうかという点になりますと、いろいろ問題が出てまいります。そういうことを踏んまえながら、これから善処をしていきたいというふうに思っております。
  192. 木島則夫

    ○木島則夫君 郵政大臣、この激しくゆれ動く世の中ですから、それに対応するやはり放送行政というものがなければいけない、電波行政というものがなければいけないという意味で、ひとつこれは国民的な課題として検討をしていかなければいかんという、そういうお気持ちをもう一回繰り返していただきたいと思います。  まあ、こんなことを言うといけないのですけれど、ここじゃ各大臣、一生懸命やるやるとおっしゃるけれど、一年ぐらいたつとおやめになっちゃうわけですよ。そうすると、ここでわれわれが一生懸命議論したことが、ほごにはならぬでしょうけれど、何かスタートラインに返ってもう一回お話しをしなければわからないというようなことでは、私は、とてもじゃないけれど、このふくそうする複雑な電波行政に取り組むことは無理だという意味で、大臣の重なる決意をお聞きして私の質問を終わります。
  193. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 先ほどもお答えいたしましたが、私は正直に——まあ、ここではもう皆さん古い方ばかりですね。きょうは分科会ですけれども、逓信委員会では、だから、私が出てまいりまして、同様のことについてのお尋ねがありますと、いま木島さんが言われるように、歴代大臣出てきては、できるだけ慎重にやりますと、可及的すみやかにやりますと、こう言ってるがどうだと言われたので、私は国対委員長として、法案の審議をしてもらうためには十分な時間を提供しなければならない、そのためには予算関連法案は二月十五日まで、それ以外のものは三月十五日までに政府は責任を持って出しなさい、こう言ってやってきた人間が、今日政府の側に立ちまして、今日の状態で放送法の改正案を出せるかと言われたら、これは出せると私は正直に申し上げられない段階である。しかし、この問題については、確かに歴代の大臣が真剣に取り組んできたと思う。しかし、いま、もう一度言えということでございますから、もう一度言うのでございますが、非常に木島さんみずからが三すくみになってくると、こういうことで、政治的な中立ということになってきますと、これはもうここでも、田中さんがかってに話しているじゃないか、NHKの会長どうだと、こういう話か出ますね、こちらでまた——それは出ていませんよ。出てませんけれども、そんなら美濃部がやってるのはどうだと、こういうことになる性格のもので、それらを総合して、そしてそれを持っているものが社説と同じような、社説放送を出すということについての考え方はわからぬではありませんけれども、先ほど言うように、議論としては出ているけれども結論はどうだろうという杉山さんのお答えは、私も、それはそうじゃないかという気持ちが率直にいたします。現在の放送法には、意見を出すときでも、あらゆる方面からの意見を検討しなければならないというようなことが書かれておりますことは、やはりこの放送法をつくるときに相当気をつかっておると、そこで当事者にまかして、その当事者がすべての責任を持って——これは良識の府てす。一番最高の日本の良識者ですよ、あなた方はと、こういうことに私はなっておると思うんですが、あなたのおっしゃるように、しかし、時代は移り変わっていきまして、そして、その移り変わる世の中に対応するためには、やはりあなたが言われた、問題提起をされたようなことが事実ございますから、これにつきましてはほんとうに真剣に検討いたします。私は、国会でもおそらくこの問題についてどうするかというようなことについてのお考えが、これは国会のことですから、私が申し上げる必要はないのでございますが、あなたが言われたように、すべての全国民の立場に立ってこれから放送をどうするか、電波をどうするかというようなことについての考え方について、結論を出そうじゃないかというふうに向いてこざるを得ないと思いますので、慎重に検討をするということは、逃げ腰じゃないという意味で検討をすると申し上げる次第でございます。
  194. 木島則夫

    ○木島則夫君 憶病になってほしくないということを最後に申し上げます。失礼いたしました。どうもありがとうございました。
  195. 須原昭二

    須原昭二君 私は、きょうは難視聴の対策についてひとつお尋ねをいたしたいと思うわけなんでず。その前段として、法律的な解釈の問題でひとつ御所見を承っておきたいと思いますが、憲法二五条で、すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障されております。これは言うまでもないことでありますが、都市地域、あるいはまた山村僻地で生活する国民のテレビまたはラジオのいわゆる視聴権といいますか、こういう視聴権というものは、この憲法でいう文化的な生活の範嗜の一部と私は考えるものでありますが、その点の御所見はいかがなものでしょう。
  196. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 最近の放送、特にテレビジョン放送は、あらゆる面で国民生活に密着しているわけでございまして、これなくしては日常生活がなかなかうまく営まれないというぐあいに、国民生活に密着しておるという認識を持っておるわけでございまして、憲法の問題はさておいて、平易に申しまして、国民の日常生活と切っても切れない関係であるのだと考えております。
  197. 須原昭二

    須原昭二君 文化的な最低限度の生活、この範疇の中に入ると解釈すべきだというのが諸般の皆さんの意見で、そういうことになりますと、昨年も国会で、知る権利ということで非常に論議がなされました。見たり、聞いたりすることも、いわゆる国民の知る権利として文化的な現代の文明の生活においては、不可欠な私は権利の一部であると断定してもいいのではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  198. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 権利であるかないかという問題になりますと、多少議論をしなければならないと思いますけれども、とにかく、実態としましては、国民生活と切っても切れない関係にあるという認識のもとに電波行政を進めているわけでございます。
  199. 須原昭二

    須原昭二君 非常にあいまいでございますが、この点は、これを論議をいたしますと、若干平行線をたどるきらいがあって、時間の要請がございます。したがいまして、私は、いまそういう立場からやはりものを見ていくことが正しいのではないか、そういう点から若干質問を展開をいたしてまいりたいと思うわけです。  先ほども放送法のお話がございましたが、昭和二十五年だったと思いますね、制定は。この放送法第一条の目的を達成するために、いわゆる日本放送協会、NHKに法人格を与えて設立されたものであると、実は私は解釈をしておりますが、そういうふうに理解してもよろしいですか。
  200. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) そのとおりでございます。
  201. 須原昭二

    須原昭二君 日本放送協会の目的は何か。もう言うまでもございませんが、放送法の第七条に明記をされております。「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うこと」と、明確に実は書かれておるわけであります。そして、その目的を達成するために、その業務の規定が放送法第九条に示されております。その項目を追ってまいりますと、第四項でありますが、「協会は」、NHKですね、「あまねく全国において受信できるように措置をしなければならない。」と実は明記をされております。協会はそのようにやっておられるかどうか、いかなる措置を講ぜられておるのか。時間の関係がございますから、要約をして明確なる御答弁をお願いいたします。
  202. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) 技師長の藤島でございます。ちょっと御質問お答えをする前に一言お断わり申し上げますけれども、実は、会長に出てという御趣旨のようでございましたけれども、何ぶんにもスケジュールの都合がつきませんので、技師長の私と、それから営業担当の川原理事と二人で参りましたので、ひとつあしからず御了承いただきたいと思います。  そこで、最初の御質問の、難視聴の解決にどのような施策を講じておるかというお尋ねでございますので、私どもは、ただいま御指摘の放送法の規定をまつまでもなく、もう難視聴の解消ということはNHKに課せられた最大の業務である、基本的な業務であるという認識に立ちまして、いろいろの財政上の問題もございますけれども、最重点的に取り上げてずっとやってまいっております。特に四十九年度の予算につきましては、建設予算そのものが、多少昨年に比べますと圧縮をしておるわけでございますけれども、その中でも難視聴につきましては、特に昨年と同程度の線を維持すべく努力をいたしておりまして、今後ともこういう姿勢はくずさず努力を続けてまいりたいと、さように考えておるわけでございます。
  203. 須原昭二

    須原昭二君 小野吉郎さんですか、NHKの会長さんにきょうはお出ましを願いたいと、実は前もって釈明がございましたから、あえて申し上げませんが、実は政府委員ではないんだ、私は参考人だからあまりと、こういう話が伝えられてまいりました。それでは困ると、やはり少なくとも国営放送であり、政府一つの出先機関として放送をやっておるんだから、これは予算委員会に出てきてもらいたいと再度要請したわけです。そういう点の事情については特にあろうかと思いますけれども、その点は後ほどまたお話をすることとして、実は、きょうは小野さんにお尋ねをしたいことは、テレビを通じて直接言われたことでありますから、その問題について一応解明をしたい、こういうことでお呼びをいたしたわけであります。後ほどかわって御答弁をいただきたいと思います。  ただ、いまお話ございました難視聴の問題については、もちろんNHKの課せられた最大の使命の一つだと。実はここに放送受信料領収書を持ってきておりますが、「四、三二二とは何の数字」ですかということに始まって、実は「中継局の数字です。」山間・へき地などまだ全国にはよく電波のとどきにくいところがたくさんあります。」というように実は書いてあります。ただ、山間僻地の問題だけにNHKは一生懸命やっておられるそうでありますが、私はきょうは、都市地域における難視聴、この問題点に集約をしてお尋ねをいたしてまいりたいと思うわけです。この点については、前段で私は申し上げておきますが、何ら具体的に対策を練っておらない、こういうことを指摘しておかなければならないわけです。  その前に実はお尋ねをしておきたいのは、現在テレビの未契約者が約二百六十万人、こう聞いておりますが、間違いありませんか。
  204. 川原正人

    参考人(川原正人君) いまの御指摘の二百六十八万というのは、四十七年度末に私どもが想定した数字でございます。その間四十七年度、若干契約数がふえまして、最終的には二百六十一万という数字になりました。
  205. 須原昭二

    須原昭二君 いま一つお尋ねしたいのは、電波は国民の九七・七%に届いている、こう言っておられますが、そうですか。
  206. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) 全国的な電波の分布から申し上げますと、いま御指摘のとおり、おっしゃったとおりでございます。
  207. 須原昭二

    須原昭二君 そういたしますと、二・三%という電波が届かない地域というのは、この計算でいいますと、山村僻地だけのことをおっしゃっておるんではないでしょうか。
  208. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) 多少、その辺御説明申し上げないとわかりにくいかと思いますが、仰せのとおり、山村僻地のほうは、いまだ電波が届いていないところでございまして、私どもはそこへ最重点的に電波を届かすべく、毎年毎年、サテライトを建設したり、あるいは共同受信設備をつくったりいたしまして、少しずつ広げてまいっております。これにはかなりの経費を使って重点的にやっておりますけれども、御指摘の都市難視と申しますのは、それと多少趣が変わっておりまして、従来、もうすでに相当強い電波が届いているところでございます。電波は届いていて、たとえて申し上げますならば、数日来までちゃんと見えておったものが、障害物ができて見えなくなったというふうな難視でございまして、辺地のほうとは、そういう点が多少事情が違うことだろうと思います。
  209. 須原昭二

    須原昭二君 ですから、二・三%という数字は、お話から伺いますと、山村僻地で電波が行ってないところ、こういうふうに理解をしてよろしいですね。
  210. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) そのとおりでございます。
  211. 須原昭二

    須原昭二君 そこで、参考のためにお尋ねをいたしておきたいんですが、NHKは受信料の収納をはかるために、本年度の予算では、営業関係費から百四十九億円ほどをさいて集金人の増員、あるいはまた、未契約世帯に対しては、夜間でも家庭訪問をやって徴収をする、あるいはまた、郵便で自動払い込みの依頼をすると、こういうことでありますが、そうですか。
  212. 川原正人

    参考人(川原正人君) 四十九年度の予算では、御指摘のとおり、百四十九億円の金額を営業関係に振り当てております。そして、まあ正直申しまして、なかなか昼間御不在のお宅等も多くて、契約が十分していただけない、あるいは契約はしていただいておりますけれども、集金に伺ってお会いできないということのために、一部、夜間おたずねをせざるを得ないというふうなことも出てくるかと思います。
  213. 須原昭二

    須原昭二君 そこで、問題になってくることは、先ほど申された強い電波を都市の中心部には出しているんだ、しかし、障害物があるから行かないんだ、こういういまおことばがございました。そこで私は、障害物なるがゆえに電波が届く、届かないは別として、やはり、いまわれわれが考え、聞いておる範囲内においては、国民は放送法で定められた受信料、視聴料、これを払って、電波障害で見えなくなった場合には、放送法三十二条の権利を失うことになるわけです。そういたしますと、権利を失ったものはもう払わなくてもいいという考え方が市民の中にたくさんあるわけです。受信機があっても、いわゆる受信ができないのだから支払う義務はないんだ、こういうものの考え方に立つ市民の皆さんがお見えになります。この点についてNHKはどうお答えになりますか。
  214. 川原正人

    参考人(川原正人君) いま御指摘のような気持ちをお持ちになる方があることは、実際そのとおりだと思います。承知もしておりますが、NHKといたしましては、多少理屈っぽくなるんでございますが、放送法のいま御指摘の三十二条の、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、」と、こういう解釈からまいりますと、実際に受信機をお持ちになって御利用になっている限りは、やはりその受信者から受信料をいただきませんと、負担の公平という意味で非常に問題が生じますし、法律解釈からいいましても、私どもは受信料をいただかなければならぬと、こういうことで受信料のお支払いをお願いしているわけでございます。
  215. 須原昭二

    須原昭二君 そこが一番大きな問題点なんです。受信機があれば、受信ができなくても払わなきゃならないという論理が私たちには理解ができない。先ほども私は知る権利、視聴権の問題を申し上げました。憲法でそういうふうな最低生活の、文化的な生活の中で享有すべき権利の一部であると、こういう観点から立つならば、電波を受ける受信機がある、しかし、受信機に映像が入らないような場合には、権利を失ったんですから、その三十二条の権利は失うんだから、もうあえて出す必要はないという論理が出てくるわけです。そこで、そういう論議を、水かけ論をやっておってもだめですから、そこで、いかにして受信機を持っている人に映像が映るか、声が入るか、ここに視点を置いて、われわれはきょう論議をしたいと思うわけです。  そこで、放送法三十四条、「(放送に関する研究)」というところに、「郵政大臣は、放送及びその受信の進歩発達を図るため必要と認めるときは、協会に対し、事項を定めてその研究を命ずることができる。」。郵政大臣は、都市地域の難視聴について協会に研究を命ぜられたことがございますか。
  216. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) NHKが都市難視に対するアンテナの改善方策とか、その他技術的ないろいろなことを自発的にやっておるわけでございまして、政府としては、別に特にNHKに……。  先生のおっしゃるのは、研究命令を出したかどうかということでございますか、金をつけて。
  217. 須原昭二

    須原昭二君 金をつける、つけぬはともかくとして、命令をしたことがありますかと言っている。
  218. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) いままで命令したことはございません。
  219. 須原昭二

    須原昭二君 研究を命ぜられたことがないということです。ここにまた一つ問題点が出て、政府の怠慢をやはり私たちは指摘をしておかなければなりません。  では、自発的にというお話がございましたから、加えてお尋ねをいたしておきまするが、協会にお尋ねをいたしますが、放送法九条の二項の十号、「放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣の認可を受けたもの」を行なうことがあると、こう書いてあります。受信について、日本放送協会は、いかなる進歩発展に関してどのような申請を出したかあるいはまた許可を受けたか、自発的にやったことがあるかということです。
  220. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) 特に、この問題を研究したいというふうに指定をいたしまして申請を出したことはございません。
  221. 須原昭二

    須原昭二君 え、ないでしょう。
  222. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) 特に何か受信に関する特定の問題をひっさげまして、この問題は特に研究したいということを申請したことはございませんです。
  223. 須原昭二

    須原昭二君 双方ともに、積極的な姿勢がこれで見受けられないということですよ。ここに、いま山村僻地の問題は一生懸命やっておられる。なるほど、私たちもそれは伺い、知っております。しかし、都市地域においては、次々に建ってくるところの高層ビル、きのうは何か新宿なんかでは五十数階の日本一のビルが完成をして披露をされたそうでありますが、こうしたビルがどんどん、どんどん建ってくるわけです。その陰などで、ひどい電波障害がふえておるわけです。私も、実は私の地元は愛知県、特に名古屋のまん中に住んでおりますが、名古屋駅の西に住んでおるわけでありますが、名古屋駅の東側に、もうたくさんのビルが林立をいたしておるわけです。テレビの画面を見ておりますると、非常に見にくいわけです。なるほど声だけは入ってきます。映像はほとんど皆無にひとしいような状態です。この難視聴はあのビルの影響なんだと、あの横にあるビルが影響があるんだといってよく言われておるわけですが、ところによっては、この原因者負担の原則によって多かれ少なかれ何らかの補償がなされているような地域もございますが、この補償の内容も、ところによっては相手次第でまさにまちまちです。しかも、法的な裏づけがございません。したがって、名古屋では当該被害住民が連合組織をつくって、補償の法制化を叫び出しております。この電波障害の補償の統一、あるいは法制化を要求する声が非常に高くなってきておるわけですが、現在では、法律上からいっても、行政の上からみても、直接補償がはぐらかされています。いわゆる建築主と地域住民、その近くにおるところの地域住民のお互いの私権、私権同士の果てしないどろ試合の状態を演じておる、こう言っても私は過言でないと思うんです。  そこで、まず問題の焦点は、その原因者負担の原則というものはどういうものかということなんです。私はここに資料を持ってきておりますが、たとえばここにありますが、「ビル陰障害とその改善方法」こういうパンフレットが出ている。あるいは「建造物による電波障害改善の手引き」というやつが出ている。いわゆる、原因者負担改造対策措置の原則をうたったパンフレットがどんどん出て回っておるんです。こういうパンフレットが出回っていることを、郵政省あるいはまたNHKというのは御存じですか。両方から。
  224. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) そのパンフレット自体、私はまだ拝見したように思っておりませんけれども、それに類似するいろいろなパンフレットがあることは承知いたしております。  それから、先ほどの私のお答えが多少不十分な点がございましたので、ちょっと二一日補足させていただきますと、先ほど、難視聴の解消に対していろいろ申請はしたことがあるかという御質問でございましたので、そういう申請はしたことはございませんと、私はお答えをいたしました。ところが、その難視聴その他受信の進歩改善に役立つような研究開発というものは、申請を待たなくても、NHKの本来業務としてそういうことをやりなさいということは放送法の第九条に書いてございます。その線によりまして、私どもは日常、先ほど最初に申し上げましたように、難視解消を最重点的に考えておるという姿勢の中で、いろんなことを研究所あるいは現場において研究はいたしております。
  225. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) そのパンフレット、よく承知しておりません。
  226. 須原昭二

    須原昭二君 ちょっとごらんになってください。(資料を手渡す)  いま、その申請を出したことはないけれども、自発的に内部でやっておるということなんですが、しかし、私の調べたところにおいては、これという抜本的なことはやっておらないんですよ。後ほどこれは指摘をいたしたいと思うんです。  そこで、いま電波監理局長、そういうものは見たことないとおっしゃいましたけれども、実はこれは、「建造物による電波障害改善の手引き」というのは、関東電波障害防止協議会、これは電波監理局の中にあるわけです。それからNHKの中にもあるわけです、この「ビル陰障害とその改善法」、東海電波障害防止協議会、これは東海電波監理局内にちゃんと事務所を設けている。そういうものを局長さん御存じないというところに問題があるわけですよ。この内容を読みますると、私の言からいうならば、原因者のすりかえがなされておるといわなければなりません。原因者のすりかえになっておる、こう私は言いたいんですが、そう思われませんか。
  227. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) ちょっと失礼いたしまして、パンフレットの内容、具体的にはそのものは確認しておりませんけれども、類似のものは、私のほうの関係しております防止協議会というところが出しておるということは事実でございます。  それから、すりかえが行なわれておるという事実は、承知しておりません。
  228. 須原昭二

    須原昭二君 その点はあとでいいです。またあとで論議しますから。  ですから、この東海電波障害防止協議会、あるいはまた関東電波障害防止協議会、これはみんな監理局内にちゃんと事務所を設けているわけです。この団体はどういう団体なんですか。まず、それだけお尋ねしましょう。
  229. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 電波関係あるいは放送関係の諸団体が集まってつくっておる一つの協議会でございまして、主として受信障害の対策について活動するというところが目的でございます。
  230. 須原昭二

    須原昭二君 それで、あくまでもこれは民間ですね。そうすると、事務所だけは提供しているわけですね。この関係はどうなんですか、局との関係
  231. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 局との関係は、防止協議会の一員でございます。それで、事務所は電波監理局に置いてあると思います。
  232. 須原昭二

    須原昭二君 どうもあいまいもこの御答弁ですが、現実にこういう協議会ができて、その事務所が電波監理局の中にあるということになれば、これは局が指導をし、あるいは援助しているといっても私は過言ではないと思う。その点はどうですか。
  233. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) その協議会の性格上、できるだけの援助は与えておるわけでございます。
  234. 須原昭二

    須原昭二君 したがって、そういう性格の団体だとするならば、その中に盛られている、言っていることは、要するに、原因者負担の原則をこの中で言っているわけだ。そうすると、原因者負担の原則というものは、いわゆる局が指導しておると言っても私は結びつく問題だと思いますが、その点はどうですか。
  235. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 都市難視の場合におきましては、いままで平穏と申しますか、良好な電波を受けてテレビを楽しんでいるというのが、突然建物その他の原因によりまして、電波が不十分、あるいは映らなくなったという事態でございますので、できるだけそういうようなことがないようにと、あるいは、もしそういうことができました場合には、たとえばビルの陰だといたしますと、ビルの建て主に金を出していただいて、従来の良好な視聴ができるように措置したいのだと、これが郵政省が考えております原因者責任主義なるものでございます。
  236. 須原昭二

    須原昭二君 それでわかりました。やはり郵政省も、いわゆる電波が届かないのは、実はその中に建っておるところの建物が障害になっているのだ、したがって、難視聴を解消する道は建築主と地域住民が話し合ってやれということに、その責任を建築主にかぶせておる、こういうことがよくわかってまいりました。  そこで、NHKさんにもう一ぺん聞きたい。ここで実は小野さんに御登場願わなきゃいかぬわけだ。ですからお呼びをしたんですけれども、御都合があってお見えにならない、きわめて残念です。しかしながら、やむを得ません。四月の一日です。まだ数日前です。午後七時三十分から八時まで三十分間で「みなさんとNHK」という番組が流されました。この番組に小野吉郎NHK会長と作家の三浦朱門さんとが対談をされました。御存じでしょう。そのときに、小野会長はこう言っておられます。電波権というのは日照権と同じである、障害となる建物など人為的なものは原因者負担とすべきだ、こう明確に断言をされております。そうですね。
  237. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) いま御指摘の対談というものは、毎年NHKの予算が通過しますと、第一番にそういうことをやる恒例になっておりますので、その線に沿ってことしもやられたわけでございますけれども、その中で、いま先生の御指摘のような話が出たことも承知いたしております。
  238. 須原昭二

    須原昭二君 そうすると、この内容、会長さんがおっしゃったことも、これはNHKの精神、NHKのものの考え方、こういうふうに代表されておると解釈をしても間違いございませんか。
  239. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) ことばの扱いの問題でございまして、日照権と同じであるというふうに断言したということになろうかとも思いますけれども、ことばのニュアンスとして、会長の言わんとしたところは、たとえて言えば日照権のようなものであるという言い方をするつもりであっただろうと、これは私の推察でございます。私どものいままでの、今後もそうでございますけれども、そういう問題に対処している考え方は、何もこれは日照権と同じであると、そう断言したことでやっておるわけじゃございませんで、たとえて言えばそういうものだろうと、わかりやすい説明の方法として申し上げたのじゃないかと思います。
  240. 須原昭二

    須原昭二君 したがって、会長さんにお出ましをいただきたいと思ったのですが、これはビデオもとってあるでありましょうから、もう一ぺん調べてごらんなさい。たとえ電波権というものは日照権と同じだと言おうが、あるいは日照権と同じようなものであろうという表現であろうと、この精神には変わりないと思います。  そこで私が言いたいのは、日照というものは人為的に変えるわけにまいらないのです。言うまでもありません、天体の運行ですよ。東から太陽が上がって西へ没する、この太陽の運行を変えるわけにはまいりません。ここから出てくる光を方向を変えるわけにはまいらないのです。しかし、電波というものは、そもそも電波を送ることそのことが人為的なものですよ、そうでしょう。人間がやるものです。日照と電波とは本質的に違うものです。その点を間違えてもらっちゃ困るわけです。放送法第九条は、NHKの目的達成のため幸務の義務を規定いたしております。第九条の第四項は、あまねく全国で受信できるよう措置を義務づけているわけです。しかし、この放送法の第九条の第四項の措置については、昭和二十五年の敗戦の焦土の時代に制定をされたわけですね。全くその後その考え方は変わっていないわけです。百六十メーターから二百五十メーターですか、高さのテレビ塔から電波を送られる、すなわち水平送信がなされるわけですね。ですから、焼け野原の時代は、どこへでも電波飛んでいったわけです。しかし、高層ビルが林立をしておる現在では、全くこのようなビルがたくさんでき上がっておる段階でも同じ状態に置かれておる、ここに一つ問題点がある。こんなことを言うとあまりいい表現じゃないかもしれませんけれども、消防の火の見やぐら、終戦後のころはこれで間に合ったのだ。今日は、消防署の火の見やぐらというのはもはやその存在の意義がなくなっているわけです。ここに問題の焦点を一ぺん見きわめてもらわなければならぬ。電波障害の原因者は建物だと言っておりますが、法律の規定からいい、また、電波というものがそもそも人為的なものである以上、政府、NHKそのものが放送法第九条の四項の措置の義務、これを怠っていればこそこういう電波障害が出ておると言わざるを得ない。そうじゃないですか。法律の解釈からいうならば、明らかに原因者は政府でありNHKなんだ。それを、電波の障害は建物が建ったから建物が原因者だというものの見方というのは、これはすりかえ論ではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  241. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) ただいま前段で御指摘のとおり、放送法ができました当時は、現在のような都市構造というのはおそらく考えられていなかったのではないかと、これは私の推察でございますが、そういう点では多少、多少よりも大いにこれから検討していただかなければいかぬものがあろうかと思いますけれども、現実の問題といたしますと、やはり、いま第四項のお話ございましたけれども、そのほかに第二項の第三号に、「放送の普及発達に必要な周知宣伝を行い、出版をし、及び放送の受信に関し公衆の相談に応ずること。」という規定がございますので、いまさらこういう規定を引っぱり出す必要もございませんけれども、私どもは全力をあげて、その要望にこたえて解決すべく努力をいたしております。  ただ、その場合に、いま御指摘のように、すりかえているんではないかという御指摘がございますけれども、決してさような気持ちはないわけでございまして、ただ、私どものほうから一言だけ弁解をさしていただきますと、焼け野が原とは申しませんけれども、つい最近まで、かなりいい形で見えておったのは確かでございます。それが非常にはっきりした原因のために、マスクされて見えなくなったという場合は、非常にはっきりした原因者に、一応あなたのほうでいろいろ措置をするための費用を持ってもらいたい、そして、早くもとの見えるように復旧していただきたい、そのために必要な技術的な方法あるいは措置については、NHKがいかようにも御協力申し上げますという形で、その苦情を申し立てられた受信者と、その障害物をつくられた施主との間に立ちまして、いろいろお話をまとめているのが現状でございます。
  242. 須原昭二

    須原昭二君 いま二項の三号ですか、御指摘がありました「公衆の相談に応ずる」これは当然のことです。私は見えなくなりました、どうしたらいいでしょうかと相談に行けば、いや、君のところが見えぬのはあのビルが建っておるからだと、こういう指導です。いいですか、そういう指導なんですよ。  そこで、NHK中部本部の営業技術課長殿というこういう見本ですけれども、ここに「テレビジョン受信障害調査依頼について」という、こう書いていらっしゃいと書いてある。中身を読みましょう。これは施主、建築主、あるいはまた工事責任者の印鑑を押してNHKの営業技術課長に出すことになっている。「時候あいさつ、さて、このたび別紙図面のとおり〇〇ビルの建築を計画しております。建築に伴ってテレビ受信障害が予想されますので、ご多忙のところ恐縮に存じますが調査をお願いいたします。なお調査結果にもとづき改善対策を実施いたしますので改善方法等についてもあわせてご指導願います。」云々と書いてある。建築主に出せというのです。これが相談ですか、応ずるということですか。いわゆる、あまねく全国民に周知徹底をするように電波を送らなければならない。送れなければ、それは措置しなければならないという義務規定をないがしろにしておいて、あたかも建築ビルが原因者であるようなことにすりかえておるいい証拠だと言わなければならぬ。ここで、はたしてビル主が加害者、原因者とする法的根拠、これがありますか、明確にしていただきたいと思います。
  243. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) いまの原因者責任主義というのは、あくまで、現実に即した解決一つの方法として申し上げているわけでございまして、法律的にはもちろん裏づけはございません。
  244. 須原昭二

    須原昭二君 そういう法律的に根拠のないことをどうして指導するのですか。ここに一つ大きな、地域において私権同士がどろ沼に入ったような紛争がどこでも惹起しているわけです。  私は、この際、自治省がお見えになっておりますから、自治省にもひとつお尋ねをしたいと思うのです。もう一つのパンフレットが実はあるわけですが、これは、ある地方自治体の建築局指導部が出しておる「テレビ受信障害とその改善対策のてびき」、これに出ておる。このパンフレットを見ますると、都市地域のビルは、建築が終わって電波障害が出た場合、民法七百九条の不法行為といえると説明しておる。はたして、これは民法の規定からいって不法行為になるのかどうか、ここが問題点です。いかがですか。
  245. 砂子田隆

    説明員(砂子田隆君) 私たちのほうといたしましては、自治法の解釈に関する主管省でありますが、民法に関する主管省でございませんので、不法行為の解釈はいたしかねます。
  246. 須原昭二

    須原昭二君 それはわかりました。  じゃ、そういう指導を自治省はされておりますか、自治体に。
  247. 砂子田隆

    説明員(砂子田隆君) しておりません。
  248. 須原昭二

    須原昭二君 そこで、ひとつ問題点になってくるわけです。こういうことは自治省は出しておらない。しかし地方自治体へ行きますと、これは電波監理局なり、あるいはまたNHKと相談をしてつくっているんです。同じように小野会長がいみじくも言われました、電波権は日照権と同じだと。その障害となるものが原因者だと、だから負担をさせよと、この論理が一貫して各機関に流されておるわけです。  そこで、私は、都市地域の高い建物は実は大なり小なり形が違うわけですよ。複雑な要因をしているわけです。たとえば端的な例を言いますと、一つのビルができる、そうするとこのビルだと、この原因者はこのビルだと思っていると、そのあくる日には次のビルが建つわけです。もっとそれより大きいやつが建つわけです。きょうまでこれが原因者であったのが、これなのか、これなのか、また三つ目にできるビルが原因者なのか、ここに問題点があるわけです。そういう法的根拠もないものを、あるいは民法の規定からいっても私の規定からいっても私の論理からいうならばこれはおかしいと思うわけでありますが、単純に民法七百九条の不法行為とみなして、賠償の責任を簡単にこのビルの責任者に与えていくということは法治国家としては私は許しがたきことである、こういうふうに思います。いかがですか。
  249. 川原正人

    参考人(川原正人君) いま御指摘のとおり、この原因者責任主義につき——これは実は法的根拠というのはむしろ行政官庁のほうからお答えしでいただくほうがいいのかもしれません。私どものほうは事業体のほうでございますので、そこについてあまり責任あるあれは申し上げられませんが、一般的な社会的な通念といたしまして、いま御指摘の民法七百九条と申しますか、いまの日本の法律体系のもとを流れております一つのものの考え方の中に、やはり過失責任主義と申しますか、一応いまの電波で申し上げれば普通正常な形で電波が出ているところにある種の障害物を人為的におつくりになったと、そのためにその電波が届かなくなる、あるいは見えにくくなったということがあるならば、やはりその原因をおつくりになった方が一応その原因を取り除くという責任は持っていただきたいと、別に法律的にこれは何法の何条ということでなくて、それがやはりいまの社会的な通念として妥当に受け入れられるんではないかということで、各方面にそういうことをお願いし、また大かたそういうことで御理解をいただいているというふうに私どもは思っておるわけでございます。
  250. 須原昭二

    須原昭二君 これは非常に民法の解釈というのはむずかしいことはよくわかります。しかし単純に七百九条だというふうには断定でき得ません。私もいろいろ専門家等のお話を聞いたんですが、これはおかしいという論議がなされているわけなんです。  そういうあいまいもこで、たとえば建築主にこういう文書を持っていらっしゃい、あるいはまたはこういうふうに一般住民に対しては原因者負担のの原則によって当事者の建築主と話し合いなさい、テレビ障害になっている範囲はこういう範囲ですと図面に書いて、あんたの家はここにありますからこのビルでしょう、こういう指導しかなされていないわけなんです。どうして届かないのか、これは技術的な面としてあとから御質問をいたしますけれども、そこで建設省さんにお尋ねをしたいと思う。見えますか。  ビルはいかなる法的根拠に立つかという問題点です。この点から解釈をいたしますと、原因者負担というのはひっくり返るわけですよ。  憲法二十九条——ちょっと聞いておっていただきたいと思うんですが、私の見解が間違っておったらひとつお教えをいただきたい。間違っておらなかったらお認めをいただきたい。  憲法二十九条は財産権の不可侵を保障しております。それが一つです。民法百七十五条、占有権、所有権を定めております。三つ目、民法二百七条、土地の所有権の範囲を法令の制限内でその土地の地上、地下に及ぶと規定をいたしております。間違いございませんでしょうか。
  251. 佐藤温

    説明員(佐藤温君) 私は建築行政に携わっているものでございまして、民法のことにつきまして、それが正しいかどうかということにつきましては答弁をいたしかねますので、御了承をいただきたいと思います。
  252. 須原昭二

    須原昭二君 答弁してくれる人が出てこないといかぬな。  これは建築行政をやっていれば常識ですよ。憲法二十九条、民法百七十五条、民法二百七条、特に二百七条の論理からいいますと、建物の所有権の範囲はその地下、地上全部及ぶんです。この論理からいえば、電波をかってに出してていくことこそ、この範囲内に入った場合には電波はいわゆる不法侵入になるんですよ。さらに建物を建てる場合には、その地下、地上に及ぶ範囲内で都市計画法令あるいは建築基準法令あるいは都市防災諸法令その他の規制の法令がありますが、その規制の法令内で国が資格者と認めたものが諸法令の適正であるかどうかをチェックして、そして適格である場合は適法であると、そういう確認を受けて建設がされる。検査済み証が交付されて適法の建物とみなされるわけです。これは間違いないでしょう。ビルはこのように、いかなる法的根拠に立つかというのはこれに総括をされると思うわけです。間違いないですか。
  253. 佐藤温

    説明員(佐藤温君) 建築基準法で定めておりますのは、建築物に関する敷地、構造、設備に関しまする技術的基準を定めておりまして、建物の敷地、それから建築物そのものにつきます私的な権利関係については触れておりませんけれども、建築基準法におきます確認につきましては、おっしゃるように確認申請を出してそれの確認を受けて、あと建築物の種類によりましては検査済み証の交付を受けて建築物を使用する、こういう形になります。
  254. 須原昭二

    須原昭二君 こういう法的根拠に基づいて、いまおっしゃったように適法の建物として実は建つ。その所有権なりあるいは占有権なりというものは民法の規定の中からはっきりしているわけなんです。こういう点からいうならば不法行為になるはずがないんです。これは電波監理局の局長さん、ひとつ御見解を明らかにしていただきたいと思うんですが、この点は非常に重要な問題点です。この点はっきりひとつ御答弁をいただきたい。
  255. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 御承知のように、建築基準法が改正になります前は、三十何メーター、三十三メーターでしたか、の高さに建築が制限されておった、そういうことで電波もそういうたてまえですべて置局され、あるいはアンテナの高さもそれではかられてきておった。ところが、いまいろいろな情勢で建築基準法の改正が行なわれて相当高いビルができるようになった。それでいままでの何と申しますか、日常生活がうまく三十三メーターのところにおいてはある程度調和がとれておったのが、建物の高さによって調和がくずされてきた、その再調整の段階にあるのではなかろうか、こういうぐあいに考えるわけでありますが、先生が言われておりますように、電波の権益と申しましょうか、権利と申しますか、これは確かにお説のように確立されたものではございません。ただし、これが、将来、電波あるいは放送の重要性が認識されました場合には、徐々に日照権と同じような権利にまで高められるかどうかというのが、これは世界各国の今後の趨勢と申しますか、問題だと思います。  したがって、いまの段階では権利としてこれを認めろということはなかなかできがたいと思いますけれども、ただ、ある日突然と申しますか、ビルができた、それのビル陰、確かにこの建物の陰に入って、そのために見えなくなった、これをどういうぐあいに救済するか、だれの負担でどういう方法で救済するか、これが現実の問題でございまして、いま私たちがお願いしておりますのは、ビルの建て主にひとつ費用を負担して、技術的ないろんな援助はNHKあるいは私のほうでやることにいたしまして、そういうような形でできるだけ早く救済しようというのがいままでのたてまえでございましたけれども、ただビルが非常に多くなりまして、それだけではなかなかうまくいかない。あるいは反射波によるゴーストの問題も出てまいりまして、そういうことで実態がきわめて複雑になってまいったものですから、いわゆる調査会を郵政省に設けまして、各界の権威者に集まっていただきまして、去年の六月から調査、検討を進めておるわけでございますけれども、これが世界的にも非常に大きな、何と申しますか、各国とも苦しんでおる問題でございまして、それほど簡単にその結論はなかなか出ないということでございますけれども、来年の三月ごろまでには抜本的なひとつ解決策を出していただいて、それに基づいて必要ならば法制的な措置もとって、だれがどういう方法で経費の負担はどうなるかというような事柄も根本的に検討してみたいというのが現段階でございます。
  256. 須原昭二

    須原昭二君 非常に困っておるというお話でございますが、困っておることはよく私たちもわからないわけではございません。ただ、今日の時点において電波も日照と同じだと、こういう観念からいって、都市地域は人為的な障害だから、これは全国あまねく措置をしなければならないという規定があるにもかかわらず措置しなくてもいいんだと、こういう居すわりの姿というのが、私のことばで、このばは悪いのですが、けしからんということですよ。当然、政府、NHKが措置しなければならないことを措置しないから、したがって原因者が不特定多数の建築主などにすりかえられてしまって、その上に民法の不法行為論までまじって、おれが被害者だおまえは加害者だ、いやおれは加害者じゃない、おれも被害者だ、こういうどろまみれの紛争がいま各地で行なわれているわけです。  特に、この問題点については法制化の問題を急ぐというお話でございますが、このようなどろまみれの紛争をいつまでも放置しておくのはどうかということで、やはり国会の中で真剣に討議されなければならないということで、私はここで問題を提起したわけです。  したがって、このとろまみれの紛争を——これは名古屋の問題だけではないんです、東京でも大阪でも京都でも、いわゆる都市化を進められているところにおいてはすべてこの問題がいま紛争の種です。こういう現況を郵政大臣としてはどのようなお考えで見ておられるか、どのような気持ちでこれに対処されようとしておるのか、ひとつ所見を承っておきたい。
  257. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いま局長が答えたことがいまの状態でございます。したがいまして法的にこの問題の解決を求めるとするならば、来年の三月ごろまでに何とかみなの英知を集めてという話でございますが、いまの難視聴問題は現実の問題であります。  私どもはしろうとでございますが、私が具体的な問題としてこういう問題と取り組んだのは私の地元の大阪空港周辺の問題でございました。これはもう当然見えないんだからNHKに負けてもらおう、こういうことを言うのは住民としては当然であります。したがいまして最初はこれはNHKが負担をしたと思います。そうしまして、人の名前を出して恐縮でございますが、これは与野党という問題でなしに、堀君だとか岡本君だとか、私どもはみな周辺の国会議員でございますが、これはおかしいやないかと、NHKは電波を出しておって、これが見えなくなっているのは飛行機が飛んでくるそのためじゃないか、こういう問題から話し合いが行なわれ、須原さん御案内のとおり、いま公害防止協会がこれをやっておる、こういう具体的な措置でもって難視問題に対処しております。これは飛行機が飛んでおりますので……
  258. 須原昭二

    須原昭二君 建物とは若干違うんですよ。
  259. 原田憲

    国務大臣原田憲君) ええ、違うんです、まあ飛行機の問題でございますから、これは見えないんですね、いまでもなかなか。  一方、建物の問題がございますが、建物の場合は、共同施設をつくってこれをやると見える、もとのように見ることができる。だれがそれを負担するか、こういうことでこれは問題はまた別でございますけれども、交通が激しくなってきた、交通が激しくなってきたから高架をつくって道路の流れをスムーズにしよう、このことも建設省と国鉄の間で話し合いをして、そして話し合いの結果、これは法律の裏づけは私はなかったと承知いたしますか、これは原因者と——一応原因者という名前を使っていますが、建設省のほうの側から九割か八割か持って鉄道側が一割ということになってから非常にこういうことはスムーズに進んだ。  今日のこの場合も、いまも局長が言いますように、法律的にこれは原因者の責任であるということは言えないということは明らかでありますが、これはいま急に高いビルができてきた、これは常識的に考えたらそうじゃないかと、こういうことで、私もあなたに似た議論をもちまして対抗していろいろここで議論を重ねてまいりましたけれども、なおかつその結論を求めるならば、さきに戻りますけれども、調査会の結論を待たなきゃならぬ、それまでの間としましては話し合いをつけて、見えるようにするための指導といいますか、それを進める、こういう措置をもちまして対処しておる、こういうのが偽らざるところの現在の措置であります。
  260. 須原昭二

    須原昭二君 現況を申し上げますと、たとえば原因者負担なるものがまことしやかに伝わってそういう感じが大衆の中に素朴に入っております。したがってビルに対して熾烈に当たっていく。ビルは二千数百万円もかけてつくります。配線は自分でやりなさいということ、組合をつくってやりました、われわれもそう言って指導したです、実際問題。そういたしますと、台風がきた、こわれました、このときに誰がやるかといったときはもうビルは知らぬと言うのです。これは天災だと、こう言う。そしてまたどろ沼の抗争が始まるわけです。  まさに尽きない紛争が続いておるわけであって、この際、私は大臣に申し上げたいんですが、だれが責任だ、だれが被害者だ、だれが加害者だというようなそういう状態に放置しておくのではなくして、私が言うならば、それは全国あまねく受信ができるように措置するのは政府の責任である、NHKの責任である、こう言いたいんですが、今日の段階で少なくとも法体系を整備する、法制化というものについて前向きにやはり対処する、そのぐらいの意欲を持たなければならないと思うんです。それは住民たちでやりなさい、ただその指導だけにNHKや電波監理局が当たるというだけでは本質の解決には私はならないと思う。したがって直ちにひとつ法体系の整備、法制化を急ぐというような積極的な態度が私は必要だと思いますが、大臣どうですか。
  261. 原田憲

    国務大臣原田憲君) そういうことも含んで、けさども同様な御質問がありまして、そういうことも含んで対処してまいりたい、こういう御答弁を申し上げておるところでございます。
  262. 須原昭二

    須原昭二君 時間の関係もございますから先に進めたいと思うんですが、いわゆる都市地域の弱い小市民あるいは善良な難視聴者を、正しい法体系の中で、一日も早く除去、改善措置、いわゆる永久保障というものをしてやるのが私は急務だと思う。その方策があるかということを今度は技術的な面からお尋ねをしたいわけであります。  技術開発を積極的にやっておられる、こういうことを仄聞いたしておりますから、そういう方策がほんとうにあるのかどうか、この点は視点を変えて今度はNHKさんにお尋ねをいたしたい、こういうふうに思います。
  263. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) 技術的にいろんなことを検討いたしていることは事実でございまして、ただ都市難視の実態というものが各種各様で非常に複雑でございます。したがいまして、どれか一つの手段をもってすればこれで全部解決をするということがいまの段階ではございませんです。  けれども、それに寄与できる、たとえば非常に小さな送信機を開発してあっちこっちばらまくとか、あるいは有線共聴をやりましてそれを解決するとか、いろいろございますけれども、何せ都市の中で有線を引っぱりますということはたいへんな費用がかかりますものですから、そういうことがなるべく軽易にできるようなこともこれは研究の対象としていたしております。  それからもう一つは、いままでのは主としてビルの陰に関するものでございますけれども、もう一つの難視といたしまして、先ほどもちょっと話が出たと思いますけれども、陰ではございませんで、反射によるものがございます。反射の実態というものがこれまたたいへん複雑なものでございまして、実際にはいろんな処置を講じなければいけないわけでございますけれども、この一つの方法として、一つは受信アンテナを改善いたしますと、主として受信する相手の電波は入るけれども反射の電波はあまり入らないというような、いわゆるゴースト除去のアンテナというものも手がけていろいろ検討いたしております。  それから、たとえば飛行体の妨害のように飛行機が飛ぶことによりまして絵がちらちら動きます。そういうフラッター防止のアンテナというものを研究、開発いたしまして、これは空港周辺ではかなり実用いたしております。そういう点で、その他SHFのもっと波長の短いものを使ったらどうだろうとか、いろんな方策を日夜相当気を入れて研究いたしていることは確かです。  ただ、いますぐこれを出せばあしたからよくなるじゃないかという方法はなかなか見当たらない。これはまことに残念でございますけれども、実情はそのとおりでございます。
  264. 須原昭二

    須原昭二君 そこで素朴な国民大衆は、こういう論理を展開している人もあるんですよ。私はそれは出力の関係からいって非常にむずかしい。いわゆる放送衛星の問題。水平送信ならこれは障害物が出てくる、垂直送信にすべきである、しからばそれは放送衛星を打ち上げたらいいじゃないか、で五十一年に打ち上げるというようなことが大きく記事に出ると、まあそれまではがまんしようじゃないか、永久保障になるというような素朴な観念が大衆の中にあるわけです。  私は出力が百万キロワットですか、ぐらいの小さな衛星では、これは永久保障にならないと実は思うんですが、技術的な面の担当であるおたくから一ぺんその点のことは、やはり国民に周知徹底させる意味においても、どのようなものであるかほんとうに永久対策になるかどうか、この点は明確にしておいていただきたい。
  265. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) まだ上がっていないのであまり明確に言うということもいかがかと思いますけれども、従来の計算による方法、あるいはわれわれの経験から推察いたします結果について申し上げますと、たとえば出力は百ワットでございます。
  266. 須原昭二

    須原昭二君 百ワット、そうですか。
  267. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) それで、問題はそれを受信する場合に、受信する方法はいろいろございますけれども、大衆が負担にたえるような安いものでなければいかぬということが前提としてございますので、通信衛星の場合は、これは専門の会社が相当の経費を投入してやられるから別問題でございますけれども、放送の場合は、要するに不特定多数の方がどなたでもそのアンテナを庭先なり屋根の上につけられますとそれが受かるというものでなくちゃいけないわけでございますから、いわゆる安いものでなければいかぬわけです。  そういう点で、この放送衛星に関係いたしましては、星の問題だけじゃなくて、下の受ける装置が非常に大事なことになりますので、従来から私どもの技術研究所はここへ研究の重点を置きまして、実は昨年あたりほぼ完成をいたしております。現段階のものはまだ多少コスト的には問題がございますけれども、いまの段階で言いますと、十万台つくれば一台当たり大体四、五万円ぐらいだろうという程度のものまでできるようになっておりまして、これはもう世界的に初めてのものでございまして、先般ジュネーブで行なわれた国際会議でも展示をいたしまして、各国にたいへんな反響を呼び起こしておるわけでございますけれども、私どもはこの放送衛星の開発の中の重要な部分として受ける側の負担をなるべく安くして、うまく受かる方法ということに重点を置いていま申し上げたようなものがほぼ完成をいたしております。今後はさらにその四、五万円が半分ぐらいになるように努力をいたしたいと思いますけれども、これは主として大量生産の関係もございまして、これからの問題だと思っております。
  268. 須原昭二

    須原昭二君 耳寄りな話でありますけれども、価格が高いと。しかし打ち上げなければならないわけで、その点の経過について、永久保障というものを考えた場合、これは暫定的な期間がございますから、打ち上げるまでが問題ですから、めどをひとつ押えておきたいと思うんですが、五十一年に上げられるとかなんと言っておられますけれども、庶民にほんとうにくっきりした画像が映る、こういう予想というのは、いまの計画からいっていつごろですか。
  269. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 五十一年に打ち上げるのは、まず初歩的な、放送衛星につきましてはきわめて玉が小さいわけでございまして、それで実験を重ねまして、ある技術的な確信を得た上で、五十年代の後半に一つ大きなやつを打ち上げる。それは各家庭で完全に受信できるやつをねらいたいというような計画を持っておるわけでございます。
  270. 須原昭二

    須原昭二君 そうすると、負担の問題が多少ありますけれども、一応、国としては、政府としては五十一年度内にやるということですね。
  271. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 五十一年度に実験用の放送衛星を打ち上げますけれども、それは直接に各家庭で受信することを目的とするものではございませんで、その次の……
  272. 須原昭二

    須原昭二君 それはいつなんですか。
  273. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 五十年代の後半に……
  274. 須原昭二

    須原昭二君 五十年代の後半。
  275. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) はい。それを上げるための技術的な実験を重ねたいと。したがって、先生のいまおっしゃいますように、直接受信ということになりますと、まあ五十年代の後半と申しますか、その実験の結果によってわかるわけでございますけれども、それほど早いものではないと考えます。
  276. 須原昭二

    須原昭二君 そういたしますと、ますますこれは心配になってくるわけですが、五十年代の後半といえばこれはたいへんなことであって、あと十年くらいかかるわけです。その間のこの紛争をほうっておくというわけにはまいらないわけです。ここに力点を置いて、やはり大臣の所見を承っておかなければならないわけですが、この紛争が十年もこれ以上続いてはたいへんなことですよ。どんどん紛争はふえます。一日も早くやはり永久保障ができるまでに、この期限が十年もあるんですから、この暫定的な期限保障といいますか、そういうものの法体系を整備して、あるいは法制化をするなり、やはりきちんとした体系に落ちつかせなければ、大衆間におけるところの私権同士のどろまみれの紛争というのはあとを断たないと思います。  私は、時間が来てしまいましたから、最後に、大臣に、この法制化、法体系の整備、この一点にしぼって、どのように対処されるのか、決意のほどを承っておきたいと思います。
  277. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 先ほども申し上げましたが、わがほうでただいま調査会を設けて権威ある回答をいただくべく努力をいたしておるところでございます。この答申を、できるだけ確実な、権威のあるものをいただきまして対処をするということがまず基本でございます。  それまでには、先ほど申し上げましたが、逓信委員会では、たとえば都市の問題として、新幹線問題等で同じような問題があるので、運輸省から出てきて、私どものほうから指示を受ければそれをやる、こういう答弁もございましたから、それにのっとりまして運輸省、国鉄との間の話、また建設大臣とも話をいたしまして、紛争をするのではなしに、話をまとめてまず映像を見るということについて努力もあわせて続けていきたい、このように考えておりますが、根本問題につきましては、鋭意、懸命の努力をいたしたいと存じます。
  278. 須原昭二

    須原昭二君 最後ですが、この原因者負担の原則そのものに大きな問題点があることだけはおわかりをいただいたと思います。したがって、こういう一方的な措置で住民同士で話し合わしていくというような姿勢はこの際改めて、あくまでも政府、NHKがあまねく措置をするという義務があるのだ、この義務感、任務感の上に立って、この処理に当たっていただきたい、特に要望しておいて質問を終わります。
  279. 小野明

    主査小野明君) 以上をもちまして郵政省所管に関する質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会      —————・—————