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1974-04-10 第72回国会 参議院 予算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月十日(水曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員の異動  四月十日     辞任         補欠選任      岩動 道行君     寺下 岩蔵君      内藤誉三郎君     金井 元彦君      玉置 和郎君     中西 一郎君      小柳  勇君     工藤 良平君      高山 恒雄君     向井 長年君      青島 幸男君     喜屋武眞榮君     —————————————   出席者は左のとおり     委員長         鹿島 俊雄君     理 事                 片山 正英君                 嶋崎  均君                 西村 尚治君                 細川 護熙君                 吉武 恵市君                 小野  明君                 加瀬  完君                 矢追 秀彦君                 木島 則夫君     委 員                 今泉 正二君                 小笠 公韶君                 大竹平八郎君                 梶木 又三君                 金井 元彦君                 川野辺 静君                 木村 睦男君                 熊谷太三郎君                 黒住 忠行君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 高橋 邦雄君                 竹内 藤男君                 玉置 和郎君                 寺下 岩蔵君                 内藤誉三郎君                 中西 一郎君                 中村 禎二君                 中村 登美君                 原 文兵衛君                 米田 正文君                 上田  哲君                 工藤 良平君                 鈴木  強君                 辻  一彦君                 戸叶  武君                 中村 波男君                 羽生 三七君                 前川  旦君                 宮之原貞光君                 小平 芳平君                 沢田  実君                 三木 忠雄君                 向井 長年君                 須藤 五郎君                 渡辺  武君                 青島 幸男君    国務大臣        内閣総理大臣   田中 角榮君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君        法 務 大 臣  中村 梅吉君        外 務 大 臣  大平 正芳君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  奥野 誠亮君        厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        通商産業大臣   中曽根康弘君        運 輸 大 臣  徳永 正利君        郵 政 大 臣  原田  憲君        労 働 大 臣  長谷川 峻君        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (近畿圏整備長        官)        (中部圏開発整        備長官)        (首都圏整備委        員会委員長)   亀岡 高夫君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      町村 金五君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 二階堂 進君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       小坂徳三郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       保利  茂君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       森山 欽司君    政府委員        内閣法制局長官  吉國 一郎君        内閣法制局第一        部長       角田礼次郎君        人  事  官  島田  巽君        人事院事務総局        任用局長     大塚 順七君        人事院事務総局        職員局長     中村  博君        内閣総理大臣官        房広報室長兼内        閣官房内閣広報        室長       斎藤 一郎君        総理府人事局長  皆川 迪夫君        防衛庁長官官房        長        丸山  昂君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁経理局長  小田村四郎君        防衛庁装備局長  山口 衛一君        経済企画庁調整        局長       青木 慎三君        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        経済企画庁総合        計画局長     宮崎  仁君        科学技術庁原子        力局次長     生田 豊朗君        法務省民事局長  川島 一郎君        外務省欧亜局長  大和田 渉君        大蔵省主計局長  橋口  收君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省銀行局長  吉田太郎一君        厚生省社会局長  高木  玄君        農林大臣官房長 大河原太一郎君        農林省構造改善        局長       大山 一生君        農林省農蚕園芸        局長       松元 威雄君        農林省畜産局長  澤邊  守君        農林省食品流通        局長       池田 正範君        食糧庁長官    三善 信二君        通商産業審議官  森口 八郎君        通商産業省産業        政策局長     小松勇五郎君        通商産業省基礎        産業局長     飯塚 史郎君        資源エネルギー        庁石油部長    熊谷 善二君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岸田 文武君        中小企業庁計画        部長       吉川 佐吉君        運輸省海運局長  薗村 泰彦君        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        運輸省航空局次        長        後藤 茂也君        運輸省航空局技        術部長      中曽  敬君        郵政省電波監理        局長       齋藤 義郎君        労働大臣官房長  北川 俊夫君        労働省職業安定        局失業対策部長  佐藤 嘉一君        建設省道路局長  菊池 三男君        建設省住宅局長  沢田 光英君        自治省行政局選        挙部長      土屋 佳照君        自治省税務局長  首藤  堯君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        日本国有鉄道総        裁        藤井松太郎君        日本国有鉄道施        設局長      篠原 良男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十九年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算  昭和四十九年度特別会計予算  昭和四十九年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、三木君の質疑を行ないます。三木君。
  3. 三木忠雄

    三木忠雄君 初めに総理に伺いますが、一時国鉄民営論の問題が予算委員会総理から提案をされておりますけれども、この民営論の問題についてはムード的な問題と私たちは受け取っているわけです。総理思いつきかもしれませんけれども、しかし、国民は非常にこの問題に対して関心も持っている。こういう点については総理が実際ほんとに考えている問題なのかどうか、この点について。
  4. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 国鉄民営論については、これは私の思いつきでも何でもありません、占領軍から占領軍政策の一環としてメモランダムが交付されて、逓信省電気通信省郵政省に分離をし、しかる後電電公社になり、郵政省現業部門特別会計に移り、国鉄専売公社に移ったというようなときから、将来の問題としてこれは審議会調査会をつくって正規に検討したはずであります。ですから、戦後足かけ三十年、これらの問題は各方面から検討をせられてきておる問題でございます。  ただ、国有鉄道に対しては、非常に歴史の長い、鉄道省運輸通信省運輸省、それから日本国有鉄道公社と、このように移っておりますので、国有鉄道民営論というものに対してはいろいろな方面から、国有鉄道というもののままで残すべきであるという議論、それから民営に移すほうが望ましいという議論等がございますが、結論を得ないまま現在に至っておるというのが実情でございます。特に、帝都高速度交通営団、俗に言う地下鉄や、それから都営地下鉄というようなものを併立のまま存在をせしめたという過程において、国鉄会社にする場合には九分割案というようなものが勉強されたわけであります。それから、特に第一国鉄、第二国鉄案も検討された歴史がございます。第一国鉄とは何ぞやというと、東京大阪中心とする都市交通を一本にしようということであります。地下鉄及び山手線や、そういうものを中心にして、それに対して、その場合でも、幹線——東海道線とか東北線とか、幹線はこの第一国鉄というような企業に属すべきである、そして、鉄道とはいいながら、私鉄としては、民営鉄道としては経営が非常にむずかしいと思われる、俗に道路に近い公共性を持つものは経常赤字が計上されますので、これは国鉄として残すべきであろうとこういう議論が過去多年において検討されておることは申すまでもないことであります。私も、いやしくも行政の長が、思いつきなどで国会発言するはずはありません。
  5. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますとこの問題が急にいろいろ持ち上がってきた陰には、総理はやはり民営移管論を持っている、こういう考え方でございますか。
  6. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私個人は民営論推進者じゃありません。これは、場合によれば、ある意味において私は鉄道建設公団建議をし、小委員長として建議をして、大蔵大臣としてこれを受け取り、国会鉄道建設公団の設立の答弁に回った立場がございますから、日本のような地形、地勢、気候上の制約があるというようなところで、鉄道というものが完全に民営としてベイラインに乗るものであるという考え方だけでは律しられない問題がある。ただ、ここでもって率直に申し上げておきますが、民営論というのが強いのは、関西が強いです。大阪中心私鉄があれだけやっておるものを、関東は全部税金でやっているじゃないかと、これは不公平である、大阪中心にする関西政治に対する不公平論はここから出ているんです。ですから、歴史はそんな簡単な問題じゃないんです。ですから、日本航空がつくられ、特に石炭や電力に対してスト禁止法がつくられたときに、それなら国鉄電電や、それから専売というものの民営論も真剣に考えるべきだという議論もあったわけです。専売は、大体大蔵省反対だったですよ。長い専売局からの歴史があると同時に、専売とは、公社とは名のみであって、実際は第二国税庁の役をなしておるんだと、こういうことが反対の理由なんです。じゃ同じことをやっていて酒から税を取っているじゃないか、外国はたばこは全部民営じゃないかというような議論が錯綜して今日に至っておるということが事実でありまして、私はこれらの問題に対して足かけ三十年、いささか勉強しておるというだけであって、私は推進論者でもありません。  私は、そういう意味で、海運とか道路とか、いろんなものが全部整備されて、そうして国民の選択で何でも得られるんだというときになれば、これはもう民営だろうと思うんですよ。そうでなけりゃおかしいもの、実際において。そういう意味で、私自身私鉄経営も長いことやってまいりましたが、とても困難な仕事でございまして、たいへんなもので、やってみなきゃわからぬ問題がある。そういう意味で、二万何千キロにわたる鉄道が必ずしも私企業としてペイするものかどうか。ただ、国鉄なるがゆえに不当に運賃を押えられ、戦前あれだけとにかく戦時輸送力増強でもって人は目いっぱいに採った、しかも、海外から膨大もない人員を国鉄財政の中に全部抱き込んで、国鉄が四苦八苦しながら三十年の歴史をようやく生き延びてきたというその実態を考えますと、国鉄だけに要求することは無理だというような、私はそういう、場合によったら一般会計で当然負担しなきゃならないものさえも国鉄会計の中でやってきたというような歴史的事実を全部評価をしながら、それでおわかりにならなければ民営論も考えてみてはどうですかと、民営論でもってやれるものじゃないというなら、これはもういまの中でどう合理化をするかという問題、これはタブー視しちゃいかぬ。長い間全国のいろんな専門家が寄って、とにかく答申を出して、たな上げして、そしてそれに近い発言をすると、思いつきじゃないか——それじゃ進歩も前進もない、こういうことで申し上げているんです。
  7. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ、運賃の問題で行き詰まってくるとか、あるいは春闘の問題とからんで、やはりこういう問題が——いままでいろいろ論議されてきたことはわかります。しかし、こういう点が、急に総理から予算委員会等において出てきた問題については、やはり国民も奇異に感ずるわけなんですね。やはりこれまで運輸省内部でも、そういう問題はあまり論議もされてないわけですね。
  8. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そんなことはない。いまの連中は知らない。
  9. 三木忠雄

    三木忠雄君 いまの連中は知らないという話だけれども、総理自身からこう出てきた。運輸大臣も知らない問題ですね、この問題については。この点について、やはり閣内でもいろいろ論議をされている問題かどうか、この点について、いかがですか。
  10. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 過去に答申を求めたり勉強したものを知らないというのは不勉強しごくである。そういう閣僚がおるとすれば注意をいたします。こんな問題は国民的課題であって、これはもう当然タブー視すべきものじゃありません。これはもう、地下鉄をやっておれば二分の一、三分の二という建設費に対してはとにかく税金をつぎ込んでおるんでしょう。国鉄というものに対しては占領軍か無理な——それはもう無理で、こんなことできないと言ったんですがね。とにかく独立採算制をやりなさいと、それはもう国鉄はえらい目にあってきたんです。そのためには、一ぺんとめて一ぺん発進をする場合にはどれだけになるからといって、駅を全部間引きさしたんです。そういう無理な占領軍政策の中で国鉄が戦後三十年間とにかく国民経済の大動脈としてのあれをなしてきたんですから、ですから、私は、国鉄にいま金を出すとか、そういうことに対しては国民的理解を得られると思っているんです。思っていますが、そんなことを勉強しないなんというのは、ふらちなことですよ。そんなことじゃ公の責任を果たすゆえんじゃありません。ですから、もう当然、国民的課題国民の前に出して、国民からも検討していただく、そうでなけりゃ、赤字はやめなさいと言ったら北海道だけやめると思ったら、北海道だけやめるんじゃないんですよ、一番赤字は何かといったら大都会の鉄道が一番赤字なんですから。そうでしょう。とにかく地下鉄はやめなさいという議論と同じことをやっているんですから。そうじゃないんで、だから国有鉄道法が存在すると、こんな基本的な問題を議論しないで運輸省は驚いたなんて言ったら、それは驚くほうが間違いです。
  11. 三木忠雄

    三木忠雄君 この問題について、運輸大臣、具体的にどうですか。
  12. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私は、何か運輸省が驚いているというような御発言でございますけれども、ちっとも驚いてはおりません。いま総理からいろいろお話がございましたように、私どもいろいろ勉強はしておりますけれども、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、早急に結論を得てないというだけで、いろいろ考えてはおりますし、総理発言にちっとも驚いておらぬことをあらためて申し上げておきます。
  13. 三木忠雄

    三木忠雄君 総理ね、過去のことは、いろいろ省内でも勉強していることは事実わかるんですよ。しかし、この時点で、やはりいままでの状況を踏まえた上でこの民営論を考え出した総理考え方には、何かやはり国民民営論のほうに傾いているんじゃないかという考えがあるわけですね。
  14. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これ、あなたも国鉄再建問題を突っ込んでいただくと、これは必ず逢着する問題なんです。国鉄に対しては政府が支出する額が少ないということはあります。これは、政府としては国民税金を支出するわけですから、ですからそれに見合う応益負担という制度をやらなきゃならない。いまの何十分の一という国民所得のときに、とにかく東京大阪間の運賃が幾らだったということを考えればすぐわかるはずです。昭和九年から昭和十一年の平均鉄道運賃の基準で計算しますと、いまの三倍以上でなければならぬわけです。国民所得に対する鉄道運賃のウェートを考えれば、五倍になり六倍になってもいいという理論的な数値は出るわけです。しかしまあ、戦後に公共料金の据え置きということで、公共料金というものは相当低位に押えられておった。しかし、その中で、はがき切手はどうだったというと、はがき切手は一銭五厘が千倍近くなっているわけです。そういう意味から考えますとね、はがきたばこ、五銭のたばこ、七銭のたばこが七十円になり、これはもうとにかく同じ官製、公共料金の尤なるものでもこれはちゃんと上がってるわけです。鉄道運賃だけは不当に押えられておるというところに、応益負担ということを原則にして三公社にしたわけですから、鉄道省から公社にする、それでやがては民営にもという段階をたどるために公社制度をとったことは事実であります。ですから、公社現業——公社特殊会社民営にと、こういうことでスタートしたことであることは事実です。そういう意味で、やっぱり企業的な経理を考えないでむやみに国民税金をつぎ込むことはできないということで、政府も業態に対応しながら出資をふやしておるということであります。しかし、それが孫利子をとにかく負担することになり、やがて国鉄を根本的に再建をするためには出資を大幅にするか、それから資金運用部から貸し付けておるようなものを一挙に出資に振りかえるかしなきゃならぬと思います。ただ、そのときには親方日の丸のままでやることには国民は賛成しません。そのときには応益負担というものが少なくともフィフティーフィフティーということでなけりゃ、それは国民税金をそんなに全部出資に振りかえるということを国会が納得するわけがないです。そういう意味で、いま国鉄は一番無理な状態で運営をされておると私は思います。ですから、国鉄経営はそんなにしかく簡単なものじゃない、こう思います。  ですから、そういう意味で、国鉄というものを民間負担する、どうするかということに一つの案は出てるんです。これは三兆円ぐらい民間負担をし、国が三兆円ぐらい負担をして、そのまま六兆円です。あと四兆円ぐらいを加えて、ラウンド十兆円ぐらいの会社でスタートしても——会社でも公社でもいいんですよ、これはね。公社のままなら三兆円ないし四兆円の資金をどうして集めるかというので、法律を出して、そして十年間ぐらいの時限でもって二〇%の通行税をいただこうという案もあったんです。そうじゃなく無料パスを出そうと、一口三万円。一口三万円で無料パスを出すと。しかし、その場合には一番うしろにまたもとの展望車のように一車つけなきゃいかぬ。お召し列車特別列車を仕立てないというようなときに、いかに国鉄再建具体的方策であっても、それが一体国民が容認するだろうか、第一国会が認めるだろうかと、こういうことでこれもたな上げになっているんですよ。  ですから、国鉄はいま、国鉄再建計画国会で承認されて出ておりますが、しかしあれ四回も値を上げてくれるかどうか、なかなかたいへんなんでしょう。そうすると、あの間にはまた出てきますよ。この問題出てこなけりゃ鉄道ひっくり返っちゃたいへんですもの、これ。ほんとですよ。ですから、そういう意味で、三兆円程度の金を国鉄が入れて、それで新幹線とか、それから新しい政策目的を達成するために、国が必要とする、言うなれば道路港湾とひとしいような任務を持つ鉄道部分に対しては全額国出資をすべきだとか、いろんなものが積み重ねられておることは、これは膨大もない資料で明らかなんです。  ですから、ただ国鉄をこのままにしておって、毎日毎日何百万人という者を運んでる国鉄が人命を預かっておるということを考えますと、それは何十億、何百億の飛行機に投資をしているということを考えると、鉄道に対してもっとまじめに考えなきゃいかぬという立場から私は考えておるんでして、それは与野党の別なくお互いに乗ってるんですから、そういう意味で、自分もいつ鉄道はひっくり返るかわからぬというんじゃ、これはもうどうにもならぬ話ですから、与野党とか政府とかいう立場じゃなくひとつ検討してもらいたい、こういうことです。
  15. 三木忠雄

    三木忠雄君 もう一つだけ私聞いておきたいんですけれどもね。再建期間中、いま国鉄再建計画承認しましたね、この期間中、あるいは総理がいつまで続くか知らぬけれども、実際に総理期間中にこの民営論総理として持ち上げないという、こういう考え方と理解していいですか。
  16. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 持ち上げないというわけはないです。国民がやれといえば断じて行ないます。そんなことはないです。国民の輿望をになって政治は行なわれなけりゃならぬと、こういうことでしてね、やっぱりそれは日本国民のためにいずれが最も合理的かという道は絶えず探求しなきゃならぬし、絶えずそういう理想に向かって理想の顕現に努力をするというのが政治の責任だと、こう思います。しかし、三十年も結論が出ないものですから、いますぐ二、三日で結論が出せるほど——論文は出せますよ、それは。日本国有鉄道のあり方、それは日本列島改造論にひとしきものを書くことはできますが、しかし、それが実現するかどうかというのは国民的理解が前提である、こういうことです。
  17. 三木忠雄

    三木忠雄君 それじゃもう一つ。大正時代にできた鉄道敷設法ですね、これをこのままの形でいいかどうかということは非常に議論の問題があると思うんです。この問題について総理はどう考えますか。
  18. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 鉄道敷設法とか鉄道会計法とかそれから軌道法とかいうものはこれは非常に古いもんです。古いもんですが条文を読んでみますと、さすがやはりすばらしいものを書いているなあと思いますよ。そのころは人材があったのか、ひまがあったのかということで、いまのように混雑しておらなかったと思うのですな。誠心、立法者は広範なものをやっぱり目を通し世界のあの当時のものに対しては私はよく勉強しているんですがね、それは財政法でも、いろいろな明治、大正時代の基本法というものは、アメリカ法はどうであり、イギリス法はどうであり、西ドイツはどうであり、各国の条文を全部引用しましてね、そうしてちゃんとセレクションをして日本に適合するものをつくられておる。しかし今日の段階にこれが必ずしも合っているかどうかという問題はあります。ありますがね、時代の変遷に対応して読みかえればいまでもやはりちゃんと使えるというものであるということは事実なんです。それはもう日銀法が昭和十七年のものであってもいまでもちゃんと用をなしていると同じようにですね。まあしかし時代に即応しない面も確かにあると思います。それはもう鉄道オンリー、鉄道日本の交通動脈としては唯一のものであるというような考え方を前提にして立っております。しかし大正八年制定の道路法というものは、まあ道路は無料公開の原則に立つというものがありましたので、そういうものの中でやはり鉄道道路というものを区分しながら非常に合理的なものの考え方でつくられておることだけは事実ですが、勉強の対象になるということは事実だと思います。
  19. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは私やはり昔の人がえらかったと、いまの人はだめだと言わんばかりの——実際にやはり時代の要望というか、道路ができ、経済的な条件もずいぶん変わってきているわけですね。それは新緑建設と赤字路線の問題というのは絶えず国鉄再建問題にひっかかってくる問題なんですね。片っ方では新線をゆっくり建設しながら十年、二十年かけてつくっている、ところが片一方は赤字でどうにもならない、そのところにはいい道路ができ上がってしまっていると、道路輸送のほうが非常にその地域のためにもいいのではないかという問題があるわけです。しかし、なかなかこういう問題の解決ができないために国鉄経営自身もやはり問題であるし、こういう問題がひっかかってやはり運賃値上げという問題を絶えず論議をしなきゃならない。しかし、こういう問題が全然一向に進まないで、国民運賃負担とかあるいは合理化の問題が積極的にいま片づきやすいというか、こういう問題になってきて、こういう敷設法とか、こういう問題がやはり洗い直さなければならない私は問題点があるんじゃないかと、こう考えるのですがね、いかがですか。
  20. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 鉄道敷設法でもって問題になるのは別表なんです。鉄道敷設法というのはよく書いてありますよ。そしてやっぱりこれは基本法としてはりっぱなものだと思います。ただ、大正八年制定の道路法が昭和二十八年に議員立法でもって現行道路法になったわけです。それでこの現行道路法になるときには、道路整備費の財源等に関する法律——いまの有料道路法ですが、その法律といまの有料道路制度という道路三法が同時に議決になったわけです。それで道路のごときは、当時全国でもって一年間百九十八億、約二百億の道路費用が五年間十九兆五千億になったわけですから二百倍以上になったわけです。そういう意味道路は非常に国民の利便の用に供する交通網としてはウェートは高くなりましたけど、国民経済的な面から見ると必ずしも道路鉄道というものは同一に論ずることはできません。これはモータリゼーション時代ということで国民の嗜好という面から考えまして、これは道路をつくらないわけにいかない。いかないんですが、それは何と考えてみても北海道の牛乳をトラックで東京へ持ってくるということよりも、これは新幹線で持ってきたほうが安いにきまっているし、船を使えばなお安いにきまっております。いま東京に対する緊急野菜は宮崎県からトラック輸送をしておるわけですが、これはもう鉄道が安いことはさまっておりますし、これはもう船ならなお安いときまっています。そういう国民経済的な視野で、人間を運ぶこともさることながら、いわゆる貨物をどう運ぶかということを考えると、いままでの鉄道会計だけで鉄道を評価するわけにはまいりません。これは昭和六十年、私は、一兆三千二百億トンキロという貨物を輸送しましたが、一兆トンキロでもこれはとにかく道路で運べるわけはないんです。昭和六十年までに三百五十万人しか運転手ができないというときに、二千五百万人の運転手が日本人でもって採用できるはずがないんです。そんなことは算術以前の問題であるということを考えれば、鉄道を増強しなければならぬということは、もう増強しないでおいて、十二年たって一体当時の政府や当時の国会は何をしておったということになるはずです、これは。そればそのとおりなんです。ですから、そういうことはちゃんと事実であるにもかかわらず、鉄道赤字である、赤字でも運営しなければいかぬし、赤字鉄道でも維持しなければいかぬから国有鉄道法があるんです。もうかるんなら私鉄でやらせりゃいいんです。そうじゃないですか。だけど、そこらを堂々めぐりの議論だけでもってやっておっちゃかなわぬ。ですから、それは道路は無料公開の原則に立っておりますから、料金払わんでいけるからいいと思っているけど、そのかわりに国民税金をうんと払っているわけです。税金を払うことが一体いいのか鉄道運賃を上げるのがいいのかというのは、これはもう経済原則としては当然考えなきゃならない問題でございまして、とばくちでもってがたがたしているよりも、やはりどっか割り切って鉄道というものが必要であるというなら国民負担を最小限にして鉄道は整備しなきゃならぬ。北海道から鉄道を除いて——北海道鉄道はまだ当分赤字ですよ。明治四年に三万九千人であったものが何で一体五百二十万人になったかと北海道の人に聞けば、それは鉄道ができたからだと言います。鉄道がなくなったらどうします、全部東京に参りますと、こういう答えが返ってくるんですから、鉄道赤字の何百倍、何万倍という社会保障費が増大することになりますから、そう簡単に鉄道赤字に目を回しておったら国の政治は行なえないと、こういうことになるわけなんです。
  21. 三木忠雄

    三木忠雄君 その北海道赤字線とかそんな問題言ってるんじゃないんですよ。この鉄道敷設法があって、実際にこの新線建設はどうしてもつくらなきゃならないという、まあいろんな要望あるでしょう。長い、大正十一年つくったままの姿で遅々として進まない計画をやっているわけですよ。それを引き継ぐ、たとえば赤字線、建設することによってさらに赤字線を増すというような問題がいろいろあるわけです。これはここできよう議論するつもりはありませんけれども、そういう問題点についての部分的な問題はやはり調整しなきゃならない問題だと思うんです。幹線的な赤字の問題をどうこう言っているんじゃないんで、やはりこれから建設してもさらに赤字がふえるという、こういう問題が山積みされているわけです。そういう問題がこの敷設法と関係があるわけです。それを私は聞きたいわけなんです。
  22. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ですから先ほど申し上げましたように鉄道敷設法で問題になるのは別表であると。別表というのはもう六十年前から新線建設の予定線になり調査線になり実施線になっておりながら依然として年間一キロずつしか進まぬ。しかし例をあげて申し上げても高千穂線とか——熊本と延岡、宮崎をつなぐ線でございますが、これらはやれば上越線のようなものになるわけです。それから鳥取県から兵庫県に至る智頭線、これはもう幹線になることは事実であります。現在鳥取県に行く人とか、島根県に帰郷する人は一体どういうことをやっているかというと、京都から山陰本線に乗って行きません。みんな姫路におりたり、それから岡山でおりたり、山口でおりて国道九号沿いに浜田へ入ったり松江へ入ったりしているわけです。そのほうが近いからであります。日帰りができるからであります。  そういう意味で当分の間赤字だからといって私は建設を中止をすべきものでもないし、ですから国民的視野に立ってどう一体これがうまくいくのか。これはいまの野岩線などというのをやっておりますが、野岩線をやることによって東北本線の複々線化をしないで済むわけであります。それでなければ、もう野岩線をやらなければ東北線を複々線にしなければいかぬ。そうすれば人口が集中するだけでございましてね。公害問題とか、土地の利用とか、いろいろな問題水の利用とかいうと、そう一ぺんにできるものじゃありません。東海道線に対して中央新幹線をつくろうというのは結局その増強だけではなく他にメリットがあるという問題ですから、まあ国有鉄道というものはその線だけの赤字とかということだけではなく他に政策目的があると。これが民営になればあなたが言うとおりになりますよ。これはもう赤字のものは大体つくりません。つくるなら国が鉄道建設公団税金でつくって無償でこれを貸与するか交付をして当分の間か恒常的に赤字が出てもそれは税金で補てんをするという道を開かなければだめなわけです。  ですから、いま鉄道が戦後完全に独立採算性になりながら依然として日本国有鉄道ではなく鉄道省時代の考え、国の税金をもってまかなうという考え方を前提とした別表や新線建設がそのまま現在残されておるということに問題が存在するわけでございまして、そこらをやっぱり整理をして、いまの三公社五現業という形態をそのまま守っていくなら新線に対しては自動的に国が補てんをするのかどうか、いろいろな問題を検討して結論を出す必要がある、私はそう思ってます。
  23. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは私は有効投資をしっかり検討してもらいたいと思います。それから総需要抑制の中で北陸新幹線を初めとする——運輸大臣に聞きたいんですけれども、五新幹線の実施計画は相当おくれるという、こういう話ですけれども、この問題はどうなりますか。
  24. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 新幹線は、山陽新幹線は博多まででございますが、これは今年の十二月には完成したいということで鋭意努力しておりますし、完成させる予定でございます。  それから次に工事三線、いわゆる東北とか上越、成田線でございますが、これは今年度総需要の抑制の立場から予算も非常に削減しておりますし、しかしまあ隊道とか橋なんというようなものはこれは人間がよけいかかって、金をよけいつぎ込んだからといって一挙にできるもんじゃございませんから、こういうところを重点的に工事を進めて、五十二年の目標にはまた経済がどういうふうなこれから先動きをするか知りませんけれども、そういうような時点においてはそういうところ、今度は人間がよけい金をつぎ込んで人間がよけいいけば早くできるというようなところを急速に進めて、いまのところ五十二年度の予定はひとつやりたいということであるわけでございます。  それから整備計画の五線、いわゆる東北とか九州の二線でございますね。それから北海道、北陸、これにつきましてはいま国鉄それから鉄建公団で工事計画を策定中でございますから、その策定を待って対処してまいりたいと、かように考えております。
  25. 三木忠雄

    三木忠雄君 このいま策定中の新幹線、五新幹線ですね。これは公害問題で、いま東海道新幹線が非常に公害等の問題で大きな話題になっているわけです。この公害問題について特に地方自治体との話し合いも積極的に進める、それが了解を得られない限り着工もなかなかできないという、こういうふうな問題を私たちも伺っているわけですけれども、そうなりますと、相当この問題はおくれるという考え方か。公害問題はどういうふうに解決をしていくのか。この点について。
  26. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 公害問題は、環境庁から一応の基準の勧告を受けておりますし、それをただいまのところ中心にしまして、それよりも低い線で努力をするわけでございますが、新しい新線建設にあたりましては、この公害問題を、環境保全の問題をないがしろにして私は進めるわけにはまいらぬと思います。したがいまして、地元の公共団体等とも十分連絡をとりまして、御協力を得て進めてまいりたいと思いますから、そういう意味では、これができぬからおくれるんじゃないかという心配はいまのところしておりません。必ずそういうふうな方向で話はつくものと、またつけてやるものというふうに考えております。
  27. 三木忠雄

    三木忠雄君 成田新幹線の建設等をめぐって、地元とのいろんな問題があるわけですね。この五新幹線についても、やはり公害問題はこれは抜いて考えるわけにいかないと思うのですね。これを具体的に、やはり運輸省が施行にあたってどういうふうに解決をしていくのか。やはり住民の要望というものは絶えず無視をされ、そして一方的な工事計画によって施行されるという問題この点について、もっとこれは話し合いをするというか、具体的な対策を考えるべきじゃないかと思うのですけれども、この問題についてはいかがですか。
  28. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) お説のとおりでございまして、住民あるいは地方公共団体等との話し合いなくしてできる問題ではございません。いままでは、公害問題が東海道新幹線におきましては手おくれになっておったことは、これはもう事実を認めざるを得ませんが、今後は、そういうことのないように、最初から万全の話し合いを進めていくつもりでございます。
  29. 三木忠雄

    三木忠雄君 中央新幹線ですね、大阪の空港の公害問題あるいは東海道新幹線の公害問題、こういう問題等を含めて、やはりいま東海道新幹線も非常に乗降客が多い、こういう観点から、運輸省では、この中央新幹線を予定よりも早めて、そして建設をするという、こういう考え方が出ているそうでありますけれども、この問題についてはいかがですか。
  30. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まだ検討の段階でございまして、まだそこまで固まった、煮詰まった話ではございません。ただいま、いろいろなことを考えて検討しておると、そういう段階でございます。
  31. 三木忠雄

    三木忠雄君 総理ね、この問題、東海道新幹線の公害問題は非常に大きな問題です。これはまあ私は、三時間十分という問題も、国鉄の機能上いろいろな問題があるかもしれません。しかし、これを少しおくらしてもいいんじゃないかという感じも受けるんです。それと同時に、やはり東海道新幹線の公害問題を解決し、そして新たな中央新幹線をつくるという計画もいろいろ構想を練られているわけでありますけれども、公害問題の除去あるいは大阪空港問題を処理する意味においても、やはり中央新幹線もまさしく早くやるべきではないかという、こういう感じを受けるんですけどね。
  32. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 公害問題は、これは技術的に解決ができる問題であります。これは普通ですと、道路でもそうですが、道路ができると、道路の両側へさあっと、もうあっという間に人家ができるわけでございます。これは路線商業というので、路線に面して商店を持てば、とにかく人が通るから、人が来なければ物は売れないと、これはもう古来洋の東西を問わずそういうことになっているわけです。しかし、それは公害が起こるということでもって、ヨーロッパ各国などは、路線商業という観念を改めまして、ある一定の地域に商業地域をつくるということで、路線商業という問題はもう全く排除されて、公害問題と商業地域というものは別に解決できるようになりました。  ですから、大阪空港でも成田空港でもそうですが、空港ができる前に住宅があって、それで空港ができたために騒音公害になれば、これは原因者負担でございまして、当然、ずうっと前から住居している人間に対しては補償料を払わなければならぬ。ところが、飛行場ができて、飛行機の騒音というのはあるにきまっているのを知っておってそこへ寄ってきた人が、うるさいから飛行場どっかへ行きなさいと言っても、それは原因者負担にはならぬわけでございまして、これは、とにかく騒音があるならおまえさんのほうでどっかへ行ってくれと言うことは、これはもう当然のことでございます。まあそうもいかないからということで話し合いをやる、これは民主的なやり方でございまして、じゃ騒音料幾らか出そうか、立ちのきをしてくれるなら買いますと、こう言っているわけでございますから、まあこういう問題は技術的にも解決できます。いずれにしても、防音壁でもって全部おおいをかければ、これはもう確かに解決できます。吸音板を全部内装に張ってやればいいんですが、それはもう運賃を上げてもらわぬでですな、運賃は上げない、音は出すな、早くつけろと、こう言っても、これはもう無理な話でございまして、新幹線が三十分おくれると文句ばかりが来て、それはもう駅長は立ってもいてもおれないというような時代であると。これは時は金なりということもありますので、そこらの調整をやらないで、ただ騒音、騒音と言っても困るので、文明社会においては、やはり経済的利益を受ける場合には幾ばくかの私権の制限は受ける、こういうことの調整をそこにやっぱり考えるということでなければいかぬと。  その調整の中で、一番あなたがいま指摘をされた中で問題なのは、もう五十一年、あと二年半で東海道線はパンクするような状態です。これはどうにもならないんです。それでいま運輸省は、中央新幹線早くやってくださいと。そんなことはまあ口に出しては言いませんが、盛岡から札幌までを幾らか延ばしても中央新幹線をやらなければパンクすると、こう言うんです。パンクするような状態まで何でほうっておいたんだと、私は総理大臣ですからそのくらいのことは言いますよ。何だ一体それ、と。そういうあと追い投資ばかりやっているところに今日の過密の状態があるんだ、公害問題が起こるんだと。そうは言ってみてもね、パンクさしちゃ困るんです。それともう一つは、騒音公害というものもあるんですよ。中央新幹線は人のいないところを通るんですから。ですからね、大阪をはずして中央新幹線つくれないかと、こう言ったら、大阪はもう全部大挙して私のところへ来ましてね。大阪をはずすとは何だ、いや、大阪は騒音公害を排除せよと言うからだと言うたら、それとこれは別だ——そこらか非常に、国民の利益を守るためにはむずかしいわけでございます。ですから、騒音があってもいいから、少しあってもいいからと、とにかく長崎−佐賀線は早くやってくれと、こういうまあ陳情を受けて、とつおいつ、国民の利益を考えながらやろうと、こういうことでありましてね。まあできるだけ、旧来の幹線の駅を使うということじゃなく、私はやはり鉄道ルートというものはほんとうに新しい計画のもとに通すということのほうが、騒音公害やいろんな問題を解決するやっぱり根本的なものになるんじゃないかと。しかし、現在あるものに対しては、これはもう防音装置を確実にやると。どうしてもだめなら、もう鉄道の両側を買うというぐらいなことを——これは国鉄だけじゃできません。そこには国や地方公共団体が入って、別に移転する土地をつくって、それで安く提供することによって、騒音地帯、いわゆる防音帯、緑地帯、まあそれが一つの災害における避難帯にもなるわけですから、そういう問題もあわせて都市計画の問題として考えるということで解決をすべきである、また解決しようという考えです。
  33. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は何も新幹線を推進するほうじゃないんですけれどもね。やはりもっとやらなければならない問題点はいろいろあるわけです。特に、本四架橋の問題等、着工はおくれておりますけれども、この問題とひっくるめますと、やはり在来線の問題が非常に危険状態に置かれているということはもう事実なんです。確かに、新幹線の問題はいろいろ論議をしなければならぬ問題点が多いです。しかし、それ以上に、現在敷かれている在来線の問題が非常に危険な状態に置かれているという問題、あるいはこの本四架橋はできる、ところが、本四架橋はできても、たとえば四国へ渡ってみれば、在来線が非常に輸送力がない、あるいは非常におくれているという、こういう問題を考えると、やはり在来線の強化という問題に相当な力を入れなければならないのじゃないか。この問題について、新幹線の投資のほうを総理は積極的に進めるかもしれませんけれども、やはりこの在来線の強化の問題は真剣に取り組んでいかなければならない問題じゃないかと思うんですけれども、この点について。
  34. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それはもうそのとおりです。いまの十カ年計画の中では、一兆五千億ないし一兆七千億の在来線の投資がありますが、これをやっぱり十倍ぐらいにする必要があるということを考えています。これはラウンドの数字で述べているのですが、これは大体キロ当たり二億円から三億円、用地が大体六割ないし八割ぐらいありますから、だから、特に在来線の複線電化というものはいまある貨物線の利用もあるわけです。それで、貨物を増強するというのが一つの目的ですから、そういう意味で考えると、二万キロ十年間で整備をするということになると、これは年間二千キロずつ整備をするということになります。これ、三億ずつにしても三、二が六千億、一兆円足らずの金で二千キロ以上のものが整備できると大体考えます、それは。そんなに計算は間違ってないと思います。だから、十年というと十兆円です。そうすると、いまの国鉄再建計画は全部で十兆円ですから、これはどうしても十兆円では小さい。そこで、鉄道をどうするか、鉄道を敷設する場合には道路をどうするかというような問題が、いろいろ総需要抑制の中でどうしてもやらなきやならないものというものはやらなきやならぬわけですから、ある時期に私はもう一回国会でも十分審議をしていただきたい。近い間に審議していただきたい。そればこの間、運賃をちょっと上げるにも一年半もかかったでしょう。四回上げて十兆円ですから、二十兆円やるには八回も上げなきゃいかぬ。とてもそれは提案する政府のほうになってみてもたいへんですよ、それは。ですから、そういう意味で、これはやっぱりなるほどそれ以外にないんだと、税金は幾ら出す、応益負担は幾らする、こういうことをやっぱり結論を出していただくには、国会与野党の別なく私は半年間ぐらいみっちりとやってもらって、よし、もうきまった以上は一週間で衆参両院通してしまう、こういうぐらいな、そういうことを私は焦眉の問題として考えております。ですから、参議院選挙でも済みましたら、これはひとつほんとうにまじめな案を出しまして、これはもう与野党の別なく、国民的課題として考えてくださいというようなことを提案する予定でありますから、これはほんとうにそうしないと、ちょっと一日か二日鉄道がとまってもこの騒ぎですから、これがもう三年後、五年後になって——鉄道の切符か買えないなんというのは日本だけです。先進工業国にはそんな例はありません。ですから、そういう立場から、これはひとつほんとうに御相談を申し上げたい。これは国会の意思は私はすぐ変えるというのじゃありませんから、前向きにひとつ御相談を申し上げたい、こういうことをひとつ申し上げておきます。
  35. 三木忠雄

    三木忠雄君 いろいろその問題は、議論すべき問題はあると思います。で、具体的に、議論の段階ではなしに、いま国鉄が非常に在来線等を含めた新幹線、事故の危険にさらされているという問題がいろいろあるわけですね。特に在来線の強化に力を入れなければならないというこの問題に、具体的に国鉄がレール保守の近代化をはかる目的で軌道保守用の機械を購入しているわけです。その実態があまりにもいいかげんであるということを私は指摘したいと思う。この実態はどういうふうになっているか、国鉄総裁から。
  36. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えいたします。  軌道を機械的に保守しようということで、御承知のマチサであるとかプラッサーのごとき機械あるいは国産の芝浦、これを入れたんでございますが、私どもがこれを入れた根本は、軌道の保守は、昔と違いまして、ああいう重労働はいかに頼んで歩いてもなり手が少なくなってきたということで、一応は金の問題を少しは離れても機械を入れざるを得ないんじゃないかということで、四、五年前から機械を入れた次第でありますが、これ、先生よく御承知であり、会計検査院にも指摘されておるのでありますけれども、相当高価な機械を入れながらこの機械が実際にうまく動いていないじゃないかと。つまり、利用の頻度と申しますか、そいつがはなはだ利用率が低いんじゃないかと、何事だというおしかりを受けておるんでありますが、これは半ばおわびみたいな議論になりますけれども、新しい機械などというものは、それを使って働く者がそれになれてないとなかなか能率は出ないということは、これは初めはうまく動かぬものだということであり、それから第二は、これははなはだ申しわけみたいになりますけれども、やはり労働者が集まらぬといいながら、将来は自分の、何といいますか、働きにとってかわられるような機械が入ってくるということは、働く者は本能的にどうも反抗せざるを得ないんだというような面もありまして、当初は、会計検査院さんの御指摘のように、はなはな遺憾であるということを言わざるを得ないのでございますが、その後はだんだんとそういう方面も落ちついてまいりまして、いまだ一〇〇%とは申しませんけれども、だんだんよくなっている。同時に、その機械を使わないと将来の保守はできないんだということをひとつ御理解願いたいというお願いをしてお答えにかえます。
  37. 三木忠雄

    三木忠雄君 これはお願いだけで済まされない問題なんです。実際に四十五年、四十六年、四十七年と一機械の購入が約九十二億円に及んでいるわけです。それを会計検査院から指摘をされて、稼働率はほとんどないと、こういう実態で、機械を購入しっぱなしという、雨ざらしというか、そういうところまでは極端にいってないかもしれませんが、ほとんど稼働してない。稼働率を私調べました。ほとんど稼働していない状態で、機械は購入してそのままであるという——四十八年、指摘を受けながら、さらにまたこの軌道保守機械だけでも二十三億を投じているわけです。これがほとんど稼働してないような状態の中で、なぜ国鉄がこういう機械を購入しなければならないかという、この問題ですね。
  38. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答え申し上げます。  ほとんど稼働してないというお話がございましたけれども、ほとんど稼働はしてないというのはちょっと言い過ぎなので、実はこれもいばった数字じゃございませんけれども、大体その三割、あるいはメーカーあたりのいうアウトプットに関しては一五%といったような、きわめてこいつも恥ずかしい数字でございますけれども、そういう数字が出ておると。しかし、これも漸次改善していきたいということと、はなはだ不都合だという議論のとおりでございますけれども、こういうものを、ある程度は銭金の問題を離れて、こういう機械化保線の実態をつくっていかぬと、将来の保守はできないんだということもひとつ御理解願いたいとお願い申し上げる次第であります。
  39. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、機械を購入したことを悪いとは言ってない。だけれども、使えないような機械を購入しているところに問題があるし、その機械があるから保守はできているという感覚に立っているところが問題なんですね。実際その機械が稼働してないために保線が行なわれてないということなんですよ。それがほとんど危険度を増しているという、この問題を私は指摘をしているわけなんです。
  40. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えします。  先ほどの、能率がきわめて悪いというその原因を申し上げますと、先ほど言ったような、機械になれてないということであり、さらに大きく申しますと、国鉄の線路は非常に密に使われておりまして、ああいう重機械を入れるためには、線路間合いとわれわれと申しておりますけれども、相当の時間があいていなくちゃいかぬはずだ、そうしないと機械は入らぬと、それで相当の間合いのあいたところをねらって入れるのでございますけれども、当初は、機械の取り扱いになれないゆえをもって、たいした仕事ができなかったという例もあって、一五%だの三〇%だのということにとどまっておるのでございまして、これはしからば、その線区で使えぬとそれは廃物になるかといえば、これはまたその機械になれている線区に持っていってこれを生かす手もありますけれども、いずれにしても、それをならさなくちゃいかぬということで、いまはあまりよくない成績なんで、ひとつそこらもお考え願いたいと存じます。
  41. 三木忠雄

    三木忠雄君 四十七年に会計検査院から、こういう効率の悪い機械の問題については、相当きびしい指摘を受けているわけですよ。その後に対して、改善効果がなしに、さらに四十八年に二十三億なりを投じて、特にスイス、あるいはオーストリアからも、三井物産あるいは三菱商事等が輸入しているわけですね。何か計画輸入をしているような感じがありまして、こういう問題はやはりもう少し効率をよくした上で、必要ならばもっと検討した上で購入すべきじゃないか。あるいはオペレーターがわずか一週間の訓練でこれを操作するということは非常に不可能な問題なんです。それを片一方では合理化を進め、片一方は機械を購入しているからそれで済むんだ、金で購入しているからそれで済む、そして保線が行なわれないという、こういう実態になってくれば、ますます乗っている国民というものは危険にさらされているのじゃないかと思うのです。この点について、技術屋さん出身の総裁ですから、一番理解があると思うんですが。
  42. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 御指摘のごとく、四十八年度は四十七台の機械を買っておりますが、そのうちプラッサー、これはオーストリアの機械でございますが、これは十一台、それからマチサ、スイスの機械五台と、そのほかに芝浦製の機械三十一台というものを購入しておりますが、国産でまかなえばいいということは当然の議論でございますけれども、お値段に比べまして遺憾ながらまだ日本の機械は能率がよくない、お値段は半分ぐらいで能率は半分以下であると、ずっと下がるというようなことで、まあマチサにしろ、プラッサーにしろ、ヨーロッパじゃ非常に能率をあげている機械なんで、非常に機械そのものはいい機械なんでございますけれども、先ほど言ったような、使い方がはなはだじょうずじゃないということで効率をあげてないと、しかし、近い将来において必ずそのおしかりを挽回する努力をするつもりでございます。
  43. 三木忠雄

    三木忠雄君 この機械を実際に使うということ自身が、働いている人たちから言わしてみれば、実際にこの過密ダイヤの中で一時間実際にその時間があったにしたって、わずか十分しかその機械を動かすことができない。いわんや東京−下関間はわずかに一日一時間しか、この機械を導入してもできないという、こういう実態の中で、この機械はほとんど不可能じゃないか、無用の長物じゃないかという、こういう声がささやかれているわけですね。それを片一方では、この機械があるから合理化ということでまあ問題にするということ自体がやはり考えものじゃないかと思うんです。
  44. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えします。  御指摘のように、大きな機械を入れますので、線路間合いと申しますか、列車の間隔がなくちゃいかぬということで、これは列車のダイヤをつくる場合には、そういう機械を入れるということを前提にして極力列車間合いを一カ所、二カ所大きくとるという努力を傾けておりまして、大体一時間ぐらいの列車間合いをとりますと、機械を入れたり撤去したりするのに、かりに十五分ずつかかると申しましても、三十分ぐらいの稼働は可能であるということなんで、東京あたりはそんなものを入れずに保線の人手でやったらどうだという御議論も当然のことでございますけれども、なかなか先ほど申しましたように、どうも人間のその希望者と申しますか、だんだん少なくならざるを得ないというようなことで、線路の質を落とさないためにそういうことをやっておるということでございまして、機械を入れたから実質上の保線ができなくて危険な状態になっておるということは、もちろんそういうことは許さるべきことじゃなくて、そういう状態にはなっておりません。
  45. 三木忠雄

    三木忠雄君 具体的に私、数字で何か保線のP値という危険度を調べた全国平均のデータによりますと、特に修繕整備目標が全国で二二というのが危険の平均だそうです。ところが、四十六年にはもうすでに三五になっている。四十八年には三七・四に、全国平均。高低の問題だけ一つをとってみても、この二二で非常に危険であるという事態が、三七・四の平均値にいっているわけです。こういう問題を考えますと、やはり平均ですから、いいところは確かにあるでしょう。しかし、考えてみれば非常に危険な区域が相当あるというこの問題を、やはり私は真剣になって考えなきゃならない問題だと思うんです。
  46. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えします。  ただいま御指摘になりましたP値と申しますのは、ある一定の区間に保守する目標よりも、端的に言えば若干上回った、若干悪い点が幾つあるかという値でございまして、確かに過去よりもそのP値が大きくなった線区もございますけれども、全部がそうということでございませんし、ただ、P値が上がってくるということは決して好ましいことじゃないんで、これを極力下げなくちゃいけませんけれども、直ちにそいつが危険につながるということじゃなくて、もう少し安全の幅のある、こういう数字を使っていきたい。
  47. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ総裁になったばかりですから、具体的なところはまだ点検に入っていないかもわからぬけれども、非常に私はこの在来線の保線の問題というのは、機械化が稼働されない今日において、合理化の問題とあわせて非常に保線工事という問題がおくれをとっているじゃないか、非常に危険度を増しているじゃないか。だから、この間の鶴見事故一つをとってみても、やはりこれは工程から起こった問題なんです。これは結論は、下請会社のほうにまかしていろいろやったという、原因をなすりつけているような問題がありますけれども、実際にこういう問題が全国要所にあるということなんですね。こういう危険問題をやはり真剣になって考えていかなければ、乗っている国民というものは非常にたいへんな状況下に置かれているということなんですよ。これについての総裁の取り組む姿勢について伺いたい。
  48. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えします。  私は、たびたび申し上げておるんでございますが、交通機関の安全というものはすべてのものに優先した問題でございまして、いかなる事情があろうとも安全を低下さすということは許されない問題でございまして、遺憾ながらP値の御指摘があったように、若干ゆるんでいるじゃないかというようなことも否定できないのははなはだ残念でございますが、極力安全を高めるという努力をいたす所存でございます。
  49. 三木忠雄

    三木忠雄君 保線の問題の最後に、やはり機械自身にしても、たとえば機械を使うと百二十ホンの騒音が出るというのですね。こういうような問題を考えてみたって、この機械自身がやはりはたして保線の工事の最大の方法であるかどうかという問題もいろいろ議論しなければならないし、あるいはオペレーターを養成するのに一週間でこれを走らせるようなやり方で、それで保線をやっているとなると、まあ実際に現場で働いている人たちは非常に危機感を持っているわけです。危険を感じているわけですよ。こういう点をやはりもっと国鉄当局は真剣になって取り組まなければ私は国民国鉄と言えないと思うんです。この点について伺いたい。
  50. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えします。  ああいう重機械でございますので、御指摘のように騒音は出ますけれども、これにはサイレンサーをつけまして、大体八十ホン前後には落とすことは可能になっております。しかし、八十ホンでいいのかという議論になると、それも問題があるかもしれませんけれども、極力そういったことをやることによって騒音を殺していきたい、かように考えております。
  51. 三木忠雄

    三木忠雄君 このように百五億程度の機械を輸入して、ほとんど最近、稼働率を指摘されても、わずかに二〇%しか使えないという、こういう効率の悪い軌道車を、さらに四十九年はどういう計画になっているのか、この点について。
  52. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 四十九年にまた新しくセットいたしますが、これは機械化いたします場合には、国鉄当局と組合と労働協約で話し合いをいたします。本社、本部間では話し合いはつきますが、地方ではそれぞれの立地条件がございます。たとえば、いなかのほうにいきますと列車間合いが非常に長い、夜間はまるまるあいている。それから東京あるいは大阪の通勤線区では夜間終電車と初電車の間が四時間ぐらいある。ところが、高崎線のようになりますと一時間四十分ぐらいの間合いしかない。そうしますと、機械が構内から出ていくのに時間がかかるので横取りをする装置をつけろとか、あるいは夜間の回数を何回にするかというような話し合いを地方で行ないます。しかし、行なって、済んでから機械を入れたんじゃ間に合いませんので、機械を早期に入れまして、訓練をしながら話し合いをするというようなケースをとっております。しかし、合理化は機械が入って稼働してから要員の合理化をやるというように労使間で話がきまっております。昨年から会計検査院の指摘を受けまして、現地で話し合いを進めまして、現在管理局でいいますと五つの管理局が話し合いがついて稼働に移っております。四十九年度も同じような計画で、四十八年度のがこれから入りますので、四十八年度に入ります機械が四十九年度に稼働するということになると思います。
  53. 三木忠雄

    三木忠雄君 非常に納得できない。これもこまかな具体的な問題はまた委員会で私聞きたいと思いますけれども、ただいま四十九年も購入するわけですね。あまりにも、ある意味じゃむだが多いんじゃないかと、国鉄赤字赤字という中に、これは一つの例でありますけれども、保守機械一つにしたってこういう姿でやっていること自体が、私は納得できないと思うんです。  さらに、新幹線の保守工事の問題で、もう一つ伺っておきたいんですけれども、新幹線開業以来十年を経過をしている。特に監査委員会の報告等においても、やはり経年変化によって相当な事故の危険感が、危機度が増しているという、こういうように指摘も受けているわけです。最近、新幹線のレール破損による問題が非常に大きな問題としてクローズアップされているわけです。特に、四十五年に三十四件しかなかったのが四十七年には六十七件になり、四十八年はもうすでに十月までのデータを見ても四十七件を突破しているわけです。特に名古屋の保線所内では、四十七件のうち、その区間に三十件、そういう問題があるということですね。こういう問題が、やはり私はあとで指摘したいと思うんですけれども、工事の入札制度にいろんな問題があるんじゃないかと思うんです。あるいは、いままでゆれない新幹線と、こういわれておったのが、最近は相当ゆれる新幹線に変わってきたことは、ここに並んでいらっしゃる閣僚もみんな乗っているわけですから、よく感ぜられると思うんですよ。最近は新幹線が非常にゆれる、こういう問題についても、やはり工事の問題が大きく私は指摘をしなきゃならぬ問題じゃないかと思うんですけれども、この点についてはいかがですか。
  54. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えします。  最初のレールの破損の問題でございますが、御承知かとも思いますけれども、工事をやるときには、急ぐ場合にはテルミット溶接というんで、これは脆弱であまりいい溶接方法じゃございませんけれども、新幹線をつくるときはテルミットを相当使ったんでございますが、その後、これが破損するというようなことが起こりまして、漸次テルミットを征伐して、いま全部は征伐しておりませんけれども、テルミットが残っておるのはいつ折れるかもわからぬということで、両方から抱きの金を入れて押えているというようなことで、と同時に、新幹線はレールが折れますと、これ、決していい現象はないことはわかり切っておりますけれども、直ちに信号系統が赤になって列車をとめるということになっておりますので、結果的にはそう危険じゃないといったらしかられるんだけれども、そういうようなことに相なっておるということでございまして、最近、新幹線がゆれるぞというのは、先生だけじゃなくて、ある、ほかの先生からもお話を伺いまして、よく調べさしておるんでございますが、私は一番心配したのは、車両なんかの骨組みが弱まって、弱くなっているやつが出ているんじゃないかというようなことを心配して、よく調べさしていましたところ、ああいう柱などなくて、からのような構造になっているものは古くなったから柱がおかしくなってがさがさ、こうゆれるというような現象は起こらぬのだと。したがって、車軸受けとかなんとかの、たまたま保守のぐあいの行き届いてないものにゆれが出るということはいなめないかもしれませんけれども、いずれにしても安全の点からは心配はないというようなことに受け取れますが、一たび事故を起こすとたいへんなことになりますので、これ、極力ゆれの問題からスタートし、レールの破損の問題と、だんだん詰めていくつもりでございます。
  55. 三木忠雄

    三木忠雄君 これはだんだんじゃ間に合わない。いまもう乗って動いている人がいるんですよ。非常に危険な問題だから、早急にこういう問題に対する、私は新幹線の総点検をやるべきじゃないかと思うんです。この点についてはいかがですか。
  56. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 新幹線に関しましては、総点検というと、ちょっと全部とめて何とかというふうな印象がありますけれども、そういう骨組みというか、致命的といったら言い過ぎでございますが、欠くべからざるところは全部しょっちゅうこれの点検をやって、機器も衰えたものは新しく取りかえるということをやっておりますので、一番問題になるのは車軸とかなんとかということになりますけれども、そういうものは全部開業当初のものじゃなくて、新しくなっておるんだと。それは拝見したところ、だいぶおじいさんみたいな顔になったりして、あいつは弱ってるんじゃないかというような議論もあり、ゆれも出るというようなことで心配いたしておりますけれども、本質的には、私は危険はないものである、また危険があっては困りますが……、かように考えております。
  57. 三木忠雄

    三木忠雄君 具体的なこまかな問題は、私、もう少し指摘したいと思いますけれども、やはりこういう問題の陰に、新幹線の工事請負の実態というものが非常にいいかげんであるということからやはり災いしているんじゃないかと、私も実は勘ぐりたい。たとえば、この十年間に、同じ線区は同じ指名業者に、談合入札で、国鉄の天下り官僚がほとんど入っているところに、競争指名という制度じゃなしに、もう談合的に全部割当をつくってしまって落札をさしているという、指名入札が全然行なわれていない。こういうところに私は大きな問題があるんじゃないかと思うんです。この点についていかがですか。
  58. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えします。  新幹線の保守の問題で、その保守を請け負う請負人の議論だと思いますが、先生御承知のように、東京から岡山まで、いま十五社が入って請け負っておる。それでまあ線路の保守なんというのは、ほかの建設業のような、はでな仕事じゃないんで、非常にじみな仕事であるのにもかかわらず、列車の運転の規定であるとか、運転に対する経験であるとか、線路に対する非常に広範な知識が要求されるということで、かっては保線の請負業者なんというものはなかったのを、国鉄だの、私鉄さんもそうだろうと思いますが、これは頼み奉ったりして、そういうような会社をつくってきた。しかし、一たび会社をつくると、これは営利会社なんで、競争入札をやって安いほうにやるのは当然じゃないかという議論になりますけれども、まあ、はでな仕事がなくて、毎日、線路の狂いを直しているというようなことですから、人夫それ自身もある線区に固定して家を持ったり何なりし、機械などもそこらに固定しているというようなことで、おのずから何というのか、受け持っている線区がきまって、これは指名競争だから何だということになって、これは請け人の話し合いじゃないかという御議論にもなるんでございますけれども、そういうようなことで、十五ぐらいの業者は先生の御指摘のような形になっておる。しかし、これでいいのかというと、決してそうじゃないんで、過去においてはそういう業者は少ないし、育てるのは容易じゃなかったけれども、まあ彼らの下請をやっている会社がだんだん一人前になってきたり、先ほどもおしかりを受けた機械保線が進んできますと、新幹線のみならず、方々でこういうことをやらざるを得ないということになりますので、現在のOBが何とかかんとかいうことじゃなくて、技術力並びに資力の信用のおける者は漸次将来これをとり込んでやっていくべきだし、いかざるを得ないだろうと、かように考えておりますが、現在のところは、御指摘のような形を一応とっておりますけれども、これはまあそれなりに発生的にそんなような形になったんだと、これは決していばれることじゃないかもしれませんが、そういうことでございます。
  59. 三木忠雄

    三木忠雄君 決していばれる問題じゃ私はないと思うんですよ。たとえば東京、何ですか、キロをきめてみますと、まあ四十キロから六十キロぐらいの間をやっている旭工業、全社は私指摘するつもりはありませんけれども、全役員数八人のうち、国鉄出身者が七人、全社員が百十名のうち、九十四名が国鉄出身者と、あとは二十五社を下請に全部使っている。まあ、いわば実際に工事はやるんじゃなしに、トンネル会社じゃないかという、これ以外に何ものも考えられないわけです。十五社を平均しますと、三千六百五十六名のうちに千五百三十四名が国鉄出身者で占めている会社なんです。これはあまりにも私はひどいんじゃないか、あるいは女の子の事務員や何人かの保線に関係のない者を入れれば、ほとんどがもう職員のOBで占めているという感じで談合入札が行なわれているというのは、これはやはり、こういう問題が手抜きが行なわれたり、軌道整備上欠かせないいろんな問題点が出てきているのではないかということで非常に危機感を持っているわけです。この点についていかがですか。
  60. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えします。  先ほども申しましたように、非常な特殊な仕事であるゆえをもって、国鉄の出身者が多い、同時に、ほかの職業の経歴のある人はそういうことはできないというのが実態なんで、そういうことに相なっておるということとも存じますが、それにしましても、先ほどの、実際はやらずにトンネルであるというような御指摘がございましたが、私はその実態をあまり知りませんので、よく調べまして、かりにそういうことであれば、これをただすべきものはただして、安くていい仕事をしていただくという形に切りかえなければいかぬし、なおかつ、社会的の疑念もこうむらぬような形にもっていきたいと、かように考えております。
  61. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、これ、指名入札制度にし、やはりもう少し下請で——いじめられるというと語弊があるかもしれませんけれども、この一部の企業だけに仕事を出して、技術も競わない、あるいは自然とここへ来るんだと、これは一年間に五十億も六十億もの仕事があるわけですね。こういう点を考えますと、これはこの企業の中にもほかの関連企業をやっている会社も入っているわけですね。こういう点を考えますと、あまりにも第二国鉄をここへつくっているんじゃないかという感じを受けるわけですよ。やはりそういう点をもっと、私たちの生命を預かるこの国鉄、信頼している新幹線のこの工事がこういう姿で行なわれているという、個々の具体的な問題については私また別に委員会で指摘したいと思いますけれども、こういう問題が国民がはたして納得できるかということになると、非常にゆれる、あるいは工事が抜かれているという問題が非常に不安感にかられているわけです。保線で働いている国鉄職員ですらも実際この問題に危機感を感じているわけです。こういうふうなやり方ではたしていいんだろうかというまじめな保線区の職員もいるわけです。こういう点、やはり真剣になって当局は取り組んでいかなければ、大事故があってから、こうだった、ああだったと言ってもしょうがないと思う。あるいはテルミット溶接の問題、これ、いろいろな問題点がある。おそらくきょう衆議院で指摘がされていると思います。こういう問題は専門的に研究すればするほど非常に危険な問題があるということですね。この点について私は真剣なやはり国鉄の改革をしなければこれはたいへんな問題になるのではないかということを指摘しておきたいわけですけれども、総裁の考えは。
  62. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) よく実情を調べまして、先生御指摘のようなことに相なっておれば、これまた御指摘のような結論になりかねぬと思いますので、慎重に調べまして、しかるべく手を打ちたいと思います。
  63. 三木忠雄

    三木忠雄君 国鉄問題これで終わりたいと思いますけれども、総理、こういう問題はやはり新幹線の、さらに北陸新幹線あるいは東北新幹線、こういう問題が広がってきますと、ますますこういう傾向というものか拡大するのは——ある意味じゃ国民合意の上でやるいろんな問題ではあると思います。しかし、こういう問題が間に合わない。いろんな保守の問題が非常にたいへんな状況下に置かれている、あるいはレールをつくる問題にしたって非常にたいへんな状況下であるということですね。やはり危険を考えないで、ただ、もう便利だから、走ればいいんだから、あるいは新幹線をつくればいいんだからという、こういう考え方で進めると非常にたいへんな問題が来るんじゃないかと思うのですけれども、いままで指摘をした問題等を含めて感想を伺いたいと思います。
  64. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 鉄道が重要な国民生活の交通動脈であるということは、道路がいかに発達をしても、また海運が発達をしてまいりましても、日本の特性から考えて、これはもうどうしても鉄道が重要視されなければならない。私はその意味鉄道問題、特に在来線の増強等が国会で真剣に取り上げられたということはたいへん有意義なことだと考えておりまして、政府も本問題に対してはひとつ積極的な検討努力を進めてまいりたいと考えます。日本鉄道に対しては百年の歴史があるだけに、どうも伝統の重さということで、近代化をやっていくと同時に百年前に建設をされたままのレール、三十キロレールが現に使われておる。いま国鉄では三十キロレール、三十七キロレール、五十キロレール、七十キロレール、九十キロレールとこうなっていると思うのですが、これは実際ばらばらなんです。ですから、七十キロレールの上を五十トン、八十トンという車がスピードでもって通っているわけですが、中には三十キロレールのままの区間もあるわけですから、そこらがあぶないわけですよ。  ですから、私は西ドイツに二十年前に行って、日本とこうも違うかなあと思うところが二つありました。一つは、西ドイツは切符を切ったり事務をやっている人は全部傷痍軍人もしくは身体障害者です。すわっておれる人というものが全部事務をやっている、合理性があるなあということを感じました。もう一つは、戦後ドイツは全部時速九十キロに押えたわけです。そこで一番初めにやったことは起重機——クレーンの能力を全部倍にしたということと、レールを五十キロか七十キロに全部統一をした、これによって鉄道の安全率は倍になるわけです。そういうところから考えると、日本はまず鉄道をやると駅を先につくる、こういうことでございます。ですから、役所ができると、役所のまず建物をつくり、自動車をつくり、人間を配置してから仕事が始まるというので、仕事を始めることが私は先だと思うのです。そういう意味で、さすがに西ドイツに学ぶべきところは非常に多いということで、その後鉄道建設公団をつくったり、国鉄再建問題等を検討したときには、西ドイツを引用すべくいろいろなことを言っているわけでありますが、歴史が長いだけに、あなたがいま御指摘になったように、同じところをとにかく七十キロのレールと三十キロのレールが継ぎ目板でもって一緒になっておる。百メーターのレールを使っておると同時に依然として十五メーターのレールも使われておるというようなことで、保守という問題、非常にむずかしい問題だと思うのです。私は国鉄総裁、日本を代表する技術屋でありますから、そういう意味では、藤井総裁のもとで近代的国鉄ということに広範にメスを入れるいいチャンスだろう、こう思います。ですから、やはり過去のことだけにとらわれないで、合理化というような面だけではなく、人命尊重という面で、スピードもとにかく二百五十キロもあるし、二百キロもあるし、三十キロもあるし、十五キロの貨車も同じレールの上を走っているという不合理性、こういうものに対して私は専門的にメスを入れるときが来たと、政府もそういう立場でまじめに取り組んでまいりたいと考えます。
  65. 三木忠雄

    三木忠雄君 それではエアバスの問題で一点伺っておきたいのですけれども、四月一日からエアバスが認可をされて、東京−福岡、あるいは東京−札幌を就航しているわけでありますけれども、この事業の認可申請がいつ出たのか、それでいつ認可したのか、これについで。——わからなければこれでいいよ、時間がもったいないから。  事業計画の申請を出したのは三月十一日、認可が三月二十九日なんですね。四月一日から飛んでいるわけです。こういう問題がはたして施設の検査とか、あるいは認可の条件として十分完了しているのかどうかということが非常に私は疑問点が多いと思うのです。この点についていかがですか。
  66. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) お答え申し上げます。  航空法に基づきますエアバスの導入に伴うダイヤの変更認可の申請は、ただいま御指摘のように、二十八日、実際に運航を開始します三日前に出されております。このエアバスの導入に伴います各般の法律に基づきます運輸省の検査は、ただいま御説明申し上げましたダイヤの事業計画の変更の申請に対する認可をもって最終の段階となるわけでございまするけれども、そこに至りますまでには、私どもといたしましては、各般の法律上の、あるいは実際上の点検を行なっているわけでございまして、最後に行なわれたのが、おっしゃいます三月二十八日の事業計画の変更の認可申請ということでございます。  この事業計画の認可申請というものにつきましては、新しい機種の導入に伴います各飛行場のダイヤの変更をよろしいと最終的に認可する行為と、それからこの飛行機が導入されるにつきまして発地、着地の各般の施設というものが全部そろっている、法律上の各要件に照らして係官の検査を合格したということを確認した上で出されるものでございまして、事柄の性質上すべての準備が完了した段階で出されるということでございます。この段階に参りますにつきましては、その前に航空機あるいは整備要員、操縦要員、その他各般の施設につきまして、ただいま御説明申し上げました法律とは別の運輸省におきます検査というものが先行しておることは申すまでもございません。
  67. 三木忠雄

    三木忠雄君 それはあとからとつてつけた答弁であって、実際に四月一日から飛ぶけれども、もうお客さんの募集については三月なり二月からやっているわけですよ。この検査の内容の一つを見ましても、ダイヤ一つ調べましても、いままでのダイヤと同じ状態なんだ。たとえば福岡に十七時四十分に着いて、折り返しが十八時三十分、この時間中にはたしてジャンボの整備ができるかどうかということは整備士自身が非常に不安がっているわけです。こういう点について何の検討も行なわれないで、こういうダイヤで航空券を発売しているという、やはり日本航空が運輸省をなめ切っているという一つの姿じゃないかと思うのです。航空行政があまりにもいいかげんじゃないかということだ。この点についていかがですか。
  68. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) お客さんの申し込みに対する予約の受け付けということにつきましては、これと別に航空会社から申請をされ、運輸大臣が認可をしております運輸運送約款におきまして、日本の国内定期航路におきましては一カ月前から予約を受け付けるというたてまえがとられております。これはお客さんの利便あるいは航空の旅客輸送の商売上の都合から申しまして、一つの妥当な予約の期間であろうかと考えております。  ただいま御指摘になりましたように、また前に私が御説明申し上げましたように、最後の三日前に出されました事業計画の変更の認可と申しますのは、この新機材導入に伴う各般の準備が完全にそろったということを運輸省の係官が確認をいたしました上で、運輸大臣のお名前で出されるものでございまして、たとえば、整備員が何人、どこに配置されているという状態まで、もちろんその最後の検討の対象になるわけでございます。あるいは各種の各般の部品がどこどこの飛行場のどこの倉庫にすでに納入され、用意されている、こういうこともまた最後の検討の対象になるわけでございます。もちろんその前に、先ほども申し上げましたように必要な人数の整備員あるいは操縦要員、そういった人々に対する個人的な試験、検査はすでに全部終了しております。ただ、そのような人々が福岡なり札幌なり東京なりの各ポストに人事上の発令も済んで全部配置されているという状態を確認した上で、一方では最終的な認可が出るわけでございます。たとえばエアバスを例にとりまして、このエアバスの導入に伴います準備は長い間かかっていろいろと各般の準備を進めてきたわけでございまして、その最終的な認可が二十八日に出たということと、その一カ月前に、そのことを前提とした航空会社がお客さんの予約を受け付けておったということは、これはやむを得ないことと思っております。
  69. 三木忠雄

    三木忠雄君 これはやむを得ないと言うが、やはりもう少し私は制度を変えればいいと思うのです。総理、こういう問題総理に聞く問題ではないかもしれませんが、技術的な問題でも、やはり十七時四十分で十八時三十分、これはちょっと整備士自身——新機種を導入するわけてすね、これは運輸大臣。こういう問題についてはやはりふなれであるし、いろいろ整備をやってきているという、上のほうはそう考えているかもしれないけれども、現場はそうはいかないわけです。実際にいままでと同じような、727なんかと同じような形で、同じ時間帯でやれるというはずはないと思うのです。それに加えてパイロットの訓練等も、いままでの727等の訓練状況から比べても非常に時間が短縮をされたパイロットが多い。こういうパイロットの訓練一つ見ても非常に不備じゃないか。こういう問題を考えたときに、やはり企業性が優先してしまって、人命尊重という立場から考えた場合に、こういうふうなやはり非常に菜算ベースで何でもかんでも事が運ばれているという点が、私は航空行政に対して非常にたいへんな問題じゃないかと思うのですけれども、この問題について総理普びに運輸大臣の見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  70. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 輸送機関にいささかも安全の疑点があってはならないと思います。これは使用者あるいは勤務者、労使の問題を超越した問題でございます。したがいまして、私どもは十分この点については事前に万般のチェックをしているつもりでございますが、なお、そういう御指摘の点につきましてはなお一そうの配慮を払って、一点の疑念もないように、念の上にもさらに念を入れて安全のための確保をやってまいりたいと、かように考えております。
  71. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いま運輸大臣述べたとおりでございます。まあ大量輸送機関であるということでございます。非常に精巧な航空機でございまして、これからは、ある時期には無人飛行ということも考えられるわけです。そして高速鉄道でも運転士なしで自動制御ということに移っていくのは時の問題だというような状態でございますが、それだけに機械万能ということで、それにたより過ぎると取り返しのつかない大事故、大惨事を引き起こすわけでございますから、そういう意味では国際的な例等も十分参考にしなければなりませんし、また日本の狭い施設内という特性にも適合しなければならないわけでございますから、そういう問題、とにかく安全運航ということを第一義に各般の体制を整備してまいりたいと、こう考えます。
  72. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これにて三木君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  73. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 木島君。(拍手)
  74. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま国民の最大の関心事はあしたに迫ったゼネストであります。しかし、収拾の具体策というものは示されていない。世間では無謀なゼネストに対してきびしい批判があると同時に、政府のはっきりしないなまぬるい姿勢に対してもきびしい批判があるわけです。  最初に、総理にお聞きしたいのでありますけれど、ゼネストに入るのはこれはやむを得ないことなんだ、しかたのないことだとお考えになっているのかどうか、対策を立てる期間は私は十分にあったはずだと思いますけれど、いま一番心配しているわけですね、あしたに迫ったゼネスト。国民にはっきりした政府の統一見解を示していただきたい。
  75. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ゼネストは国民生活に非常に大きな影響を与えるわけでございますから、これを回避したいという政府の熱意というものは国民は理解していただいておると思います。ただ、これは政府だけでできるものじゃありません。これはお互いに労働者が政府及び使用者側との間に意思の疎通をはかって、ゼネストを回避しようというお互いのその努力がなければできるものじゃありません。話はついても一日はやるんだというような、こんな計画的なスケジュールゼネストを計画し、これを行なおうということが前提である場合、これは回避することができないわけです。ですから、お互いに誠意をもってこれを解決するんだという大前提がなくして解決ができるものではない。だから、政府はそのためには全精力を傾けておるわけです。そういう意味で、政府は何もしないということはありません。ちゃんとやっています。やっておりますが、それはもう労働組合の要求だからストレートに受けてやったという、そういうかっこうはとりません。とりませんけれども、国会の御審議の過程において、百三十億の予備費を使いながら恵まれない人たちにも出しましょうと、もう出しておるじゃありませんか。しかし、百三十億出せば三百億だと、三百億出せば一千億だと、こういうことで、闘争を前提としておる、ゼネストを前提としておるということになれば、政府にもおのずからの限界があるということで、この判断は国民に仰ぐ以外にない、こういうことになるわけです。
  76. 向井長年

    向井長年君 関連。  いま総理は、国民は理解しておると、こう言われましたが、私はこれは非常に疑惑を持っておると思います。ということは、今回の春闘共闘のゼネストは、賃金だけではなく、スト権奪還、これを加えておりますね。したがって、民間を別といたしましても、公労協並びに公務員も含めてのストライキを敢行しようと、こういうことでしょう。これに対して、政府は、ただ自粛の要望を今日までしてきただけであって、どこまでの努力を今日までしたかと、これは国民は疑惑を持っておりますよ。したがって、この点は、いま言われたように、必ずしも国民は納得しておるという問題ではないと思う。  それから第二点は、特に国民の疑惑は——公労協にいたしましても、公務員にいたしましても、スト権はないはずですよ、現在ね。ところが、スト権奪還のためにストライキをやる、これはどういうことなんですか、これ。こういう不思議な話は、国民は、まことに奇々怪々だと思ってますよ。不可解に思っていますよ。それに対して政府は何ら十分な手を打たない、あるいはまた先般来、御承知のとおり、労働大臣なりあるいはまた総務長官がいろんな話し合いをしているけれども、何ら誠意をもってこれを食いとめようとしない政府の態度にも私は欠陥があると思う。だから、この問題について政府は、いま木島委員が言われたように、なまぬるいと言ったのはそういうことであって、国民は理解しておりませんよ。  総理はどう考えるか知らぬが、きょうから始まるストライキ、これに対しては、すべて国民の足を奪う、こういう問題については、いわゆる組織に対する批判もあるでしょう。しかし、政府に対する批判も強いということ、これをひとつ総理は十分考えなければならぬのじゃないか。国民が理解しておるということで押えるわけにはまいらぬと思う。そしてストライキをやったあとはどうなんですか。若干の処分者をつくるか知らぬが、これに対しても直ちにまた復権という問題が出てくるでしょう。悪循環をやっておるんじゃないんですか、今日まで。ここに問題がある。したがって、スト権、これに対しても審議会でやるならやる、こういうことをなぜ今日までやらなかったか。しかも、このスト宣言も相当以前からこれは宣言されているはずですよ。これを今日になって、あすからの問題、これに対して、国民は理解しておるということでこれは済まされぬ問題である、私はこう思います。総理、どう考えますか。
  77. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 政府は誠意をもってこれに対処しているわけでございます。しかも、いまあなたが述べられたような問題に対しても政府は勉強しております。もう寝ないで勉強しているんです。そうして近く政府の態度を公にしたいと思います。しかし、政府はオールマイティーじゃないんです。国会の審議も求めないで、国会結論を待たずして政府が専断的行為をやることはできません。予算の審議も待たずして、国会の意思の決定も待たずして政府が独断専行の答弁ができるわけがないんです。そういう問題もありますから、そういう問題に対しては政府はこういうことをやります——スト権の問題に対しても八年間もかかってやっと結論を出してもらったものを、半年間でイエスかノーと言えと、そんな無理なことが一体できるわけないじゃありませんか。そんなことは国民は容認しませんよ。八年間もかかったものに対しては、政府は真剣に考えて結論を出さなけりゃならぬ。そう何年も待ってくれというんじゃありません。そういう問題に対して有無も言わせずやるということを国民は容認するはずはありません。政府はちゃんと行政権として国民の利益を守らなけりゃならない。公の立場に対しては責任を持っています。一方的な力に押しまくられ、それに対して、はいそうでございますかと言うことが政府の責任を果たすゆえんでないことは申すまでもないことであります。政府も思っているんですよ。ゼネラルストライキをこの石油のさなかに、物価問題のさなかにやられて——その主張を通すには、一番政府が困っているときにきゅっと言わせるにはいいかもしらぬ。しかし、その結果、国民がどのくらい一体影響を受けると思いますか。そういうためには、政府は成案を持って徹夜をしながら交渉をしているんですけども、向こうはイエスかノーかだ、こういうことでありますが、しかし、政府は最後まで努力をいたします。  もう一つは、政府が授権せられておるものは、国会の意思の決定によって法律をちゃんと守らせられておるんです。法律の範囲内において授権せられておるわけでございます。行政権行使にもおのずから限界があることは言うまでもありません。これだって無制限だったらたいへんであります。しかし、それに対しても誠意をもって答えているわけであります。法治国家でありながら、禁止されておる争議行為を、それを手段として使う、そんなことは許されるはずはありません。許されると考えておるのが大体においておかしいんです。それはとにかく違法行為をやれば——石油企業がとにかく独禁法のカルテルを何回も勧告されてもやっている。罵倒を受けているじゃありませんか、国会で。私はそれなりの理由があると思う。同じことじゃありませんか。国民税金によってまかなわれておる、公務員法を準用されておる、法律は明確に争議を禁止しておる。これを改正するために国民運動を起こすことはけっこうですよ。それによってゼネラルストライキをし、国民の足をとめることが労働者の権利として許されるはずはありません。私は、そういう問題に対して、政府は誠意をもってこれに対処すると同時に、政府が行なわなきゃならない責任は勇敢に行なっていくつもりであります。責任を果たしてまいります。
  78. 木島則夫

    ○木島則夫君 誠意を持つならば、やはりそれを態度で示すというのが私はしかるべき姿であろうと思います。で、ゼネスト収拾策の中心となるのはやはりスト権問題だと思います。このスト権問題についてはいろんな伝えられ方がしている。つまり、専門家レベルの審議会を新たに設けるとか、政府独自の委員会ですとか、協議会をつくるなど、いろんな言い方がされているわけであります。それというのも、このスト権問題をめぐって政府・自民党の統一した考え方が示されていないからだと私は思う。で、伝えられるような新たな審議会、協議会などを設けてスト権問題の収拾のめどをはかるつもりであるのは事実であるかどうか。それから、統一見解を出すことがこのスト収拾のめどになるとするならば、これはもうできるだけ私は早いほうがいいと思いますね。いつももう、ストに入ってからお互いに腰を上げる。これじゃ私は、国民はほんとうに置き去りになった、それ以外の何ものでもないと思います。つまり、労働者側は国民春闘と言う。政府国民に与える影響大なりと言う。みんな国民国民と言っているけれど、結局は、とどのつまり、国民が置き去りを食うということであってはいけないという意味で、いま私が申しました具体的な問題については、関係大臣から前進あるお答えをちょうだいをして、あしたに迫ったこのストに対して政府は誠意をもってやっているんだと、その裏づけはこうですよということを、やっぱりここでお示しになるのが私は当然ではないかと思います。
  79. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 八日から順法闘争が始まって、新聞で拝見すると、もうすでにけが人が出ております。そして今晩零時から国労はじめの全面ストライキ、ゼネスト、こういうことで、内閣はもちろんのこと、国民各位がみんな御心配のところであります。そういう中において、ただいまスト権の問題が出ましたが、総理からのお話のように、国会マターの問題、国会そのものの議論されるものがあります。公務員制度審議会が八年かかって、そしてそれを受けて立って公務員連絡会議を開いていままで検討してまいりました。それには経営の問題があります。先ほどおっしゃったように、親方日の丸論、そういうところの問題を、そのままスト権を認めた場合には、国民税金でやられてしまうというふうなこともございますので、これはもうほんとうに永遠に国民に関係ある問題でありますから、慎重であることは御理解いただきます。同盟のように、違法スト反対、そしてまた、このスト権問題についても審議会等を設け、あるいはそれに準ずる機関を設けてやるべしという貴重な意見も私たちは拝見しております。そういう中において、いろいろいま総理が誠意をもってこたえると、こういう形においてそれぞれ研究しているということをこの際にお伝えしておきます。
  80. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) あなたの御発言どおりです。もう時をおくれて政府の最終的な態度を言っても効果ありません。ですから、非常にめんどうな問題であるということで徹宵勉強してまいりましたが、もう午前零時を前にしての問題ですから、昼めしの時間でもですな、昼めしを食わなくてもいいです、もう。私は毎日そういう生活をやってるんですから。ですから、もうその間にでも、これは実際まじめにやりたいんです。もう私たちも一日ぐらいぶっ続けでやりたいんですけれども、なかなかそれはもう時間もありませんし、国会が終われば、夜は事務当局側と徹宵して折衝しながら、こっちでは政府部内の意見をまとめているわけですから、これはお昼の休みでも決断します。そして政府・与党との合意を早急に見て、とにかく半日でも、国民も当事者も、政府の誠意ある態度をやっぱり検討できる時間がないと、時間切れということがありますから、そういう処置をとります。それでもなおスケジュール闘争にウエートを置いてやるなら政府政府の責任を果たしてまいります。
  81. 木島則夫

    ○木島則夫君 たいへんな極端な言い方かもしれませんけれども、もし昼休みを返上してまでとおっしゃるならば、そしてそのことをきょう御協議なさることでストが収拾をされるならば、私の質問は割愛してもいいですよ、ほんとうに。そのくらいの気持ちで臨んでいただきたいということを申し上げたいと思います。総務長官から一言。
  82. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) ただいま総理から非常に明快な御答弁があったと思います。また、労働大臣からもそれに付随したきわめて具体的な方向だとわれわれ了解しておりますが、御答弁がありました。私、公制審の答申中心にスト権問題は解決に進むべきだという信念のもとに今日まで努力をいたしております。いよいよ木島委員の御指摘の日にちが迫っておるということも十分踏まえて努力をいたしております。
  83. 木島則夫

    ○木島則夫君 くどいようですけれど、ほんとうに国民国民というその看板が泣かないように、この際、もう従来の慣行、パターン、同じことを繰り返さないで、やはりストに入る前に政府が積極的姿勢を示すことでもう一つ前進が得られるならば、私はいままでの悪い慣行をこの際打ち破る、そういうことを望みたいと思います。これは私の要望として、国民立場に立っての要望として申し上げたいと思います。ございますか。
  84. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) この際一言お願いしておきますが、政府は公の責任は果たしてまいります。同時に、違法ストに訴えるという、こういう人たちに対しても、皆さんひとつ国民の利益を守るために、とにかくストライキが目的でないはずだと、なぜ一体半年前からのものをやらなきゃならないんだと、政府がこれだけの誠意を示したならストライキをやめたまえ、われわれも真剣に努力して討議をするからまずストライキは排除しなさい、こういうやっぱり態度をとっていただきたい。そうでなくて、すべてが政府の責任であると、政府が向こう側の要求をのむことによってのみ解決をはからなきやならぬ——それで私は国民か容認し、国民の利益が守れるならけっこうですが、公の立場で将来も考えながら、国民のほんとうに要望にこたえなきやならぬという立場で理解していただきたい。
  85. 木島則夫

    ○木島則夫君 それじゃ本題に入ります。  まず、公共料金の値上げについてお伺いいたします。  政府は三月十六日の閣議の決定で公共料金は極力抑制をするという方針を決定されたことは御承知のとおりです。ところが、すでに電力料金の値上げは既定の事実のように伝えられるし、また内田長官は、四日の参議院予算委員会の第二分科会でしたか、電力、私鉄、バスなどの公共料金は四月から九月の間に決着をつけたいということで、一斉値上げを示唆されているようであります。私は、中身の問題は別といたしまして、まず政府政治姿勢の問題を伺いたいんです。わずか一カ月にも満たない前に、国の最高行政機関、閣議において公共料金は極力抑制をするときめながら、その担当大臣である経済企画庁長官が早期値上げをほのめかすということは、言ってみれば、閣議決定の権威をみずから否定するものだと思うし、国民政治に対する不信感を招くものであるというふうに思いますけれど、企画庁長官の御意見を伺いたい。
  86. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 公共料金につきましてはこれを極力抑制するという考え方は三月十六日に始まったものではございませんで、すでに昨年のうちから始まった——始まったといいますか、昨年のうちから政府はその態度を表明しておりますことは御承知のとおりであります。しかしながら、公共料金に限らず、一般の重要資材、生活関連物資等の価格抑制の措置につきましても、一般的には三月一ぱいまでは押え込むんだというような、何となくそういう空気がございましたので、三月十六日の閣議の段階で、そうではないと、四十九年度に入りましても、三月を越えて引き続き極力抑制の姿勢を続けるんだと、これは公共料金ばかりではございませんで、総需要抑制についても実は同じ考え方を四十九年度に入りましても続けるわけでございます。したがいまして、一カ月にして私が考え方を変えたということではございませんので、これは今後におきましても極力抑制し、かつ慎重な態度をもって対処をいたします。しかし、くどいようでありますけれども、国鉄料金あるいは米価などにつきましても、御承知のように、九月までいろいろな財政的措置を講じて抑制してまいることになっておりまして、それにつきましてはいろいろ財政的用意もいたしておりますが、その時点までには政府は全体としての物価を鎮静させるといういろいろな総合的施策を進めておりますので、現にまた二月、三月の段階から物価鎮静もいたしておりますので、したがって、それこれの間に公共料金の問題は対処をしていくと、こういう考え方を持つものでございます。もちろん、その間におきましても、公共料金につきましては、十分経営合理化などを前提とした考え方をもって査定にも当たりますし、しかしまた、これ一年、二年先まで延ばすということになりますと、これはその公共料金にかかわる事業が崩壊をして国民生活に非常な不便も与えることもございますので、そういう点を考えなければならないと、こういうことはもちろんであります。経済でありますから、複合体でありますから、複合体組織をもって対処をいたしておるわけでございます。
  87. 木島則夫

    ○木島則夫君 答弁はできるだけ簡潔に、大臣、お願いしたいと思います。私は、公共料金といえども値上げをしなければならないものは、その理由をはっきり明確にして値上げをすることも、ある点やむを得ないと思いますね。ところが、一方では、極力抑制すると決定をしておきながら、その舌の根もかわかないうちに一連の値上げを行なうという、その姿勢が問題だと思います。だから、今後の政治姿勢としましては、もうはっきり、できるものはできる、できないものはできない、こういうふうに言わないと、国民は一体どっちなのかわからない。だから、いまできることは何なのか、そしてできないことは何なのかということをもう一回伺いたい。
  88. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 極力抑制するということは、一般から要望がありますように、二年、三年の期間、長きにわたって抑制するということではございません。物価全体の鎮静の中において公共料金を慎重にかつ厳密な態度をもってやるということでございますから、まあ、はっきり申しますと、公共料金の大部分のものは九月に、九月の終わりに、国鉄あるいは米価等の要件を対処するまでの間には、一つの方向づけを合理的にしなければならない、また、いたしましても、これは国民生活に物価の問題を通じて大きな狂乱的な事態を再び生ずることがないような配慮のもとにやってまいる、私はこういう考え方でおります。
  89. 木島則夫

    ○木島則夫君 そうすると、第二分科会でおっしゃったように、やはり公共料金においても九月までには何らかの決着を示したいということを、いまここで再確認なすったわけでございますね。
  90. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 特別の事態が生じない限り、それがよかろうと私は考えております。
  91. 木島則夫

    ○木島則夫君 次に、具体的にお聞きしたいんですけれど、現在申請されている電力料金の値上げを認めた場合、電気税はどの程度の増収になるんでしょうか、お伺いをしたい。
  92. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) まだ引き上げがどの程度になるかわかりませんけれど、一応言われておるところで試算をいたしますると、五百億円程度と聞いております。
  93. 木島則夫

    ○木島則夫君 その増収部分については当然今国会において調整措置をとるべきであると思いますけれど、いかがでございましょうか。
  94. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 御承知のように、電気税につきましては、いま御提案申し上げておりまする地方税の中で、免税点を引き上げるという措置を講じておるわけでありまして、このたびの引き上げが一体いつから行なわれるかというようなことが明らかになっておりませんので、いまの段階で今回の引き上げ分についてどうこうするということは考えておりません、現在の提案いたしておるところでは。
  95. 木島則夫

    ○木島則夫君 この際、家庭用電灯についての値上げの影響を少なくするためにも、電気税の免税点、政府は千二百円というふうに言われておりますけれど、私は三千円程度にまで引き上げて、そのための地方自治体における減収分については、今回新たに設けられました会社臨時利得税の増収分の一部をこれに充てるべきであるというふうにも考えるのでありますけれど、これはどうでしょうか。
  96. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) このたびの電気料金の引き上げによりまして これは東京電力か一家庭の電気の消費量を平均いたしましたものが、現在電気料金として千八百七円だそうであります。かりに三〇%程度上がるということになりますると二千三百四十円というようなことになるわけでありまして、したがって、免税点を三千円まで引き上げるということは、一般の平均の納税者よりもはるかにこれを上げてしまうということでございまして、いまの千二百円をそのままでいいというふうには私は考えませんけれども、三千円まで引き上げるということはちょっと無理ではないか。なおまた、その地方団体が、免税点と申しましょうか、相当に引き上げるということによりまする減収補てん分をこのたびの臨時会社税で支払うということにつきましては、ちょっと私からはお答えをいたしかねるところでございます。
  97. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私からいまお尋ねの点をお答えしますが、臨時利得税は、これはもう臨時的なものでありまして、ただいまお話しのような恒久的な用途にこれを使うと、こういうことは妥当でない。これは一応御理解いただけると思うんですが、いずれにいたしましても、臨時利得税というものはこれは一般財源として収納する、こういうことになるわけでありまして、その一般財源として収納いたしましたこの臨時的な収入、これは、これからの財政がどういう推移を示しますか、また社会がどういうふうに動きますか、そういうものをある時点において総合的に観察いたしまして、まあ、万一補正予算を年度内に編成することが必要であるというようなことになりますれば、そういう用途に使うと、こういうことになる。いまこの電源開発促進税、そういうもの、あるいは電気料金の引き上げに伴う電気税の軽減問題それとひっからめて考えることは妥当でないと、こういうふうに考えます。
  98. 向井長年

    向井長年君 関連。  ただいまの電気ガス消費税の問題、これは地方税でございますが、実は、これはもう歴代の総理が悪税だということを言い続けて、しかも、ただいまのところは必要悪だからやむを得ないんだ、こういうことでしたね。それからまあ、若干の軽減をしてまいりました。これは自然増収分を大体軽減したと私は見ている。そうですね。したがって、地方自治体の財源を脅かしているものではないと、こういう経過が過去においてはあると思います。  そこで、私はここで特に質問しなけりゃならぬのは、十二月の十三日に私がこの予算委員会で質問したときに、田中総理大臣が、ただいまの電源開発促進税という問題、言うならば開発税、この問題を新設をすべきではないかと思うというような発言があったと思うんです。その当時は、電源地帯の整備法が出されまして、これに対しては財源措置は大体一般会計でこれを支出していくという方向であったんじゃないかと思います、当時は。それが、たまたま総理大臣がそういう答弁をされてから、御承知のごとく、これは今国会に出そうとしております、出しております、政府が。新しい新税として促進税をいま提起いたしておりますね。これは結局は国民負担でしょう。言うならば料金に加算される結果になると思います。これはやはり私は屋上屋を重ねるのじゃないかと思う。そこで問題は、電気消費税が、いまも自治大臣から答弁がありましたように、五百億あると、一応推定できると。電気料金の値上げによってそれだけ推定できる。あるいは自然増収は毎年たいてい百億近く、七十億程度、あるいは場合によれば五十億程度になるかもわかりませんが、そういう財源が見込まれると思います。そうなってくると、新しいそういう税金を新設するんじゃなくて、少なくともただいま悪税だといわれているやつをできるだけ軽減をするというのは、これはもう本来でございますけれども、場合によれば、新しい新税をつくらずして、この電気消費税の中で二割か三割程度国に吸い上げて、そしてそれを電源地帯に交付すると、こういうことになれば国民も了解するのではないかと、こういう感じがいたしますが、この点についてどうですか。私は総理大臣が、思いつきと言ったら失礼かもしらぬけれども、あそこでとっさにその発言があったことがいまや実現してきたと思う。当時は、一般会計でこれを考えるという考え方があったように私は思っている。こういう点についても、私は、そういう屋上屋を重ねずして、結局は電気消費税の中から国が二割三割吸い上げて、そしてそれをやはり電源地帯に優遇をしていくという、こういう方向を考えるべきではないかと思いますが、その点どうですか。
  99. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は、思いつきで言っているんじゃありません。これは、都市政策大綱という六、七年前からもう世に公にしておる中で指摘をしておるものでございますから、私は、いやしくも国会思いつき発言なんかしませんから、そういう意味じゃ、長いことお互いを理解し合っている向井さんの発言とも思えないということを明確にしておきます。  それで、私は、御承知のとおり、大蔵大臣在職中からこの電気ガス税というのを廃止したいという考え方の持ち主である。それで、私が三十八年、九年、四十年の三年間で年率一%ずつ引き下げて七%にしたわけでございます。七%にしましたら、その後、自治体である都市の有力な財源であるので、他に財源が確保されないような状態なら、なかなかこれが一年に一%ずつ漸減することはむずかしいということで、その後ずっと十年間そのままになってきたわけです。ところが、私は四十年に福田大蔵大臣にバトンタッチするときに、当時非常に地方財政が困難な状態もありましたが、交付税率二%引き上げてバトンタッチしたわけでございます。ですから、この税金に対しては非常に私は因縁のある税金なんです。それで、私が内閣を組織したと同時に、また十年ぶりで一%引き下げたわけであります、去年。ですから、ことしはもう一%引き下げて普通なら五%にする。あとまあ財政状態を見ながら一%ずつ引き下げるか、五%を当分の間維持するか、三%まで引き下げるかという問題であるわけです。   〔委員長退席、理事西村尚治君着席〕 そこへ電源開発の必要性というものが出てきたわけでありますから、ここでひとつやはり一般会計でやるといってもなかなかむずかしい問題です。電力会社が電源開発をするために非常に困難をしているわけですから、そういう意味で結局電源開発地帯に恩恵を与えなければならない、こういうことですが、普通なら六%残っているものをそのまま私は電気税をやめて、そして、それに見合うものを電源開発促進税に置きかえれば、最もこれはわかると思うのですよ、国民負担もふえないで。電力を供給されない限り大都市は困るのですから、財源を確保する前にまず電力を供給されなければ生活が困るのですから、生活が先だと、こういう議論でしたが、なかなか財政計画の面でそうもいきますまいということで、ことしはガス税と電気税を分離をしたというにとどまったわけです。ですから、大蔵大臣が述べましたとおり、これは政府としてこの税をからめてどうこうしようということは考えません。また、考えられないことです。ただ、電源開発促進税はいま衆議院に提案しているわけですから、この過程で院議がどうきまるかは、これは院の仕事でございます。院議が少なくとも地方財政計画、四十九年の地方財政計画は電気料金が上がるというようなことを想定してないで予算が組まれているわけですから、それが二〇%でも二五%でも上がるということになれば、その六%という電気税が上がることは事実です。で、いま自治大臣が述べたとおり、おおむね三〇%上がれば五百億もふえますというんですから、それを電気ガス税という法律の審議段階において、院の決議が、これは電気ガス税の少なくとも六%の中で五百億を引いた部分がちょうど四%になるから、電気税の六%というものを四%にする、そして、いま出しているものを、百五十億じゃだめだから、これを五百億プラスして六百五十億にする、そうすれば、もう電力の開発はできるにきまっていますから、国民負担は何にも変わらぬわけです。そういうことは考えられますが、提案をしておる政府がそんなことを言うなら出し直せということになる。それは国会を尊重しないということになりますから、政府立場ではお出ししているもので御審議をいただきます、国会の決議には従いますということで御理解をいただきたい。
  100. 向井長年

    向井長年君 総理思いつきだと言ったんですがね。これは国会で初めて言ったことですよ。自分でずっと長年思っていたか知らぬが、総理は。しかし、国会で初めて発言したのが去年の十二月十三日、私の質問のときに発言した。だから、私は、あれ、そんなことを考えているんだろうかという、思いつきと、こう言う。だから、そういうことで、国民総理が考えていることは知りません、思いつきだと思っていますから。これがいいか悪いか別にして。  そこで、問題は、先ほど申しましたように、本来であるならば、電源地帯の優遇措置という問題は、私は趣旨としてはいいと思うのですよ、これはね、趣旨としては。ところが、これに対して事実上現実はどうであるかというならば、国がやらなければならぬ問題を企業が今日までやってきたということですよ。たとえば、二級国道の改修の助成を企業にやりなさい、あるいは治山治水なり河川のほうもやりなさいとかいうようなことを現にやってきているのだ、これをね。本来であるならば一般会計でやるべきなんだ、これは。ところが、今回こういう問題で整備法が出され、これに対する財源を——そうでしょう、大蔵大臣、整備法を出したけれども、財源措置は何もしていなかったでしょう、前の国会で。法律だけを出しておいて財源措置は何も考えていない。本来であるならば今国会の予算の中で考えるべき問題であったと思うが、ところが何も考えていない。そこで今度は新しくこの国会で促進税というものを出してきたんですよ。そうでしょう。したがって、促進税という問題については結局は料金問題と考えるならば、これは当然に国民負担になってくるということです。そうなるとするならば、そういうことをやめて、先ほど言った電気税が、しかもこれだけ膨張するのだから、この問題をやはり整備に回したらどうだと、こういうことを私は言っておるのであって、これは検討する余地があるんではないですか。国会がという逃げ方じゃなくて、政府自身も検討する余地があるんじゃないか。この点どうでしょう、ひとつ大蔵大臣からも答えていただきたい。
  101. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 本問題のいきさつは、初めは私どもも一般会計から電源開発促進費というような性格のものを出そうとしておったんです。ところが、それでは金額に制約があろう。ある程度のまとまったものが必要であるというようなことで、初期の段階では電源開発促進税たる国税を設ける、一方におきまして電気ガス税を軽減する、こういう構想もあって、いろいろ相談したんです。ところが、地方財政——当時もうすでに地方財政の、地方税制のほうも固まってきておる。そういう段階で地方財政に与える影響を考えまするときに、本年度の問題としてはなかなかむずかしい、結局これは地方の電気税の修正問題は見送りにしましょう、こういうことで今日に至っておる、こういうことでございます。  そこで、向井さんが、今回電気料金の値上げがあればかなりの増収がある、その一部を国で使ったらどうか、こういうようなお考えですが、お考えの趣旨は私はわかりますけれども、私どもといたしましては、とにかくいろいろ各方面と意見調整いたしまして電源開発促進税というものを御提案を申し上げておる次第なんです。ですから、もし向井さんがおっしゃるような趣旨を貫くとすれば、むしろ電気税の軽減をこの際やったらどうか、こういうふうになるんじゃないかと思うのです。そういうふうなお考えをとられるということになれば、私もそれはお考えよく理解できますし、現に自治省に対しましてもそういう方向のことは考えられないものかなあというような御相談もいたしておる、こういうことで御理解願います。
  102. 向井長年

    向井長年君 大蔵大臣ね、そうなれば、電気税で軽減ということになれば、大幅軽減をやる、今日まで軽減した軽減したと言われるけれども、これは国民に対しては軽減になっていないですよ。ということは、自然増収分だけを、言うなら一%ずつやめてきたのであって——ただ危税点の若干引き上げはございますよ。ただいま千二百円でしょう。千二百円の免税点というのは大体どうですか、全国でこれの恩恵を受けるのは一五%程度じゃありませんか。千二百円で免税になるのは一五%程度、私はそう思っている。したがって、言うなら、千二百五円になれば全部かかっちゃうのですから、基礎控除じゃありませんから。したがって、一五%程度の国民が、若干低所得階層と申しますか、これが影響を受けるだけであって、その他は自然増収分だけを軽減したにすぎないということ、今日まで。現状そうですよ。したがって、電気をよけい使った、かかるのはやむを得ずいままでの税金はそのまま払っているということになるわけですね。したがって、これは軽減になっていない。いま福田大蔵大臣が言われるならば、今度電気料金が若干是正されるとするならば、じゃあ大幅な軽減をいたしますか、自治大臣も含めてお答えいただきたいのですが、たとえば五百億なら五百億、それをいま財源として一千億余りでしょう。そうすると、大体、いま総理も言われましたように、六%のやつを三%くらいにすると、あるいは二%にすると、こういうことが政府は考えられますか、どうです。ただ、一%かくらいの軽減では軽減になりませんよ、どうでしょう、いまそういうことを言われるならば。少なくとも三%以上の軽減をしてもいいのではないかと、こういう感じを受けます。そうなれば、相当国民がその恩恵をこうむると、こういうことになりますから、この点お答えいただきたい。
  103. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、考え方としてそういう考え方があり得るということを申し上げたわけです。また、そういう考え方に理解を持ちながら、いま自治省と話をしておると、こういうことでございまして、いま何%どうするというところまで具体的に詰めてはおらないのですが、その辺は自治省が地方財政の状態等を見て、あるいは軽減に踏み切るか、あるいは軽減に踏み切った場合におきましてはどういう軽減の方式をとるか、これは自治省においてきめるべき問題である、かように考えております。
  104. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 先ほども電気税が大体五百億円程度、大体三〇%程度の引き上げが行なわれるようになるであろうというふうにお答えを申し上げたわけであります。そこで、このたびの引き上げによりまして、消費税がそれだけふえる消費者の負担がふえるわけでございますので、これをどうするかということにつきましては、いま大蔵省といろいろ検討をいたしておるところでございますが、私どもは、やはりこのたびの増徴分を全部消費者にかぶせるということでなく、あるいはいまの免税点をどの程度に引き上げるか、さらにはまた、一般の税率をどうするかということについては、目下検討を開始いたしたところでございます。
  105. 木島則夫

    ○木島則夫君 電力料金の値上げが卸売り物価の上昇にどれくらい寄与するか、また石油の値上げについてはどの程度の上昇になるのか、そういったような試算があると思いますので、これを明らかにしていただきたいと思います。
  106. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 卸売り物価と消費者物価の両方にもちろん影響がございます。卸売り物価につきましては、ちょうど私の手元に一つの試算がございますが、詳しくは申し上げませんけれども、各種の物資によって違いますけれども、おおむね〇・四、五%、しかし、高いものは一%あるいは一〇%、アルミニウムのように一三%をこえるものもあるということでございますが、平均をいたしますとおおむね一%、卸売り物価の生産コストの一%以下にとどますと、こういうことに私どもは見ております。
  107. 木島則夫

    ○木島則夫君 福田大蔵大臣も、電力料金の値上げは、卸売り物価をわずかに一%そこそこしか上昇させないというふうにも言っていらっしゃるようであります。私は、石油、電力の値上げは、ほかの各産業に対して——二、三の例をこれは除きますけれども、それほど大きなコストの圧迫要因にはならないというふうに私も考える。まして、これまでの便乗値上げによる利益が相当あることなどを考えますと、燃料のコストアップというものは、企業の合理化の努力で十分に吸収できるのではないかと思います。この点をひとつ、企画庁長官と通産大臣からお答えをいただきたい。
  108. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) いまのように、アルミのような電力のかたまり、あるいは一部の化学工業につきましては、これは個別に検討をしなければならないものがございますが、一般的には木島さんのおっしゃるとおりに私どもは考えております。
  109. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一般的にはそういう考え方で臨みたいと思いますが、個々の物資につきましては、その物資特有の事情がございますから、個別的に審査してみたいと思います。
  110. 木島則夫

    ○木島則夫君 こういうふうに考えますと、現在政府が実施している五十三品目の価格事前了承制と、百四十八品目の商品の凍結については、私は、今後相当長期にわたって持続すべきであると思いますが、あらためて企画庁長官の御意見を伺いたい。
  111. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) これは逃げ口上でもございませんし、逆説的に申すわけではありませんが、長期にわたってそういう無理なことをしないでいいような、全体の物価情勢というものを私どもは馴致いたしたいと考えております。したがって当分の間、別のことばで言いますと、物価全体が鎮静するまでのしばらくの間と、こういうふうにお考えをいただきたいし、私どもも考えております。
  112. 木島則夫

    ○木島則夫君 次に、私が聞きましたところでは、通産省のお役人が、これは東京ですけれど、チェーンストア協会の説明会に出ました際に、この凍結は大体六月ごろまでであると説明をされているようでありますが、これはほんとうでしょうか。
  113. 小松勇五郎

    政府委員小松勇五郎君) チェーンストア協会におきまして、担当の者か百四十八品目——当時は百四十八品目ときまっておりませんでしたけれども、そういうものについて、当分の間値上げしないようにという要請をいたしましたときに、少なくとも三カ月ぐらいは続きますようにという要請をいたしました。それが六月ぐらいまでというふうに誤り伝えられたものと思いますが、少なくとも三カ月ぐらいは上げないようにというのが真相でございます。
  114. 木島則夫

    ○木島則夫君 少なくとも三カ月ぐらいまではということは、結局それを具体的にいうと、六月まではというふうにとるのは、これはあたりまえだと私は思いますね。これはたいへん問題じゃないかと思う。またほんとうにその六月までだとするならば、これは明らかに参議院選挙を意識したことから出ているのじゃないかというふうに勘ぐりたくなるのは、これは当然だと思います。大体そういう誤解を与えるようなことを、まだはっきりきまっていない段階で言うということも私はおかしいと思うし、それを聞いた業者の人たちが、大体六月まではやるのだから、六月ごろまではがまんをしてほしいというふうに受け取っている、これは事実なんですよ。だから、あなたがさつき言われた大体三カ月ということは、ああそれじゃ六月までだなというふうにとるのは、これは私はあたりまえだと思うけれど、その辺どうですか、たいへん大事なことだと思う。
  115. 小松勇五郎

    政府委員小松勇五郎君) 先生御指摘のように、三カ月ぐらいと、少なくとも三カ月ぐらいはと申しましたことは、必ずしも適切ではなかったかもしれませんが、決してその担当官、参議院選挙を意識するような立場ではございませんで、六月ぐらいになれば、物価の鎮静化が全国的に行なわれておるものという期待感を持って申したというふうに私は解釈をいたしております。
  116. 木島則夫

    ○木島則夫君 あのねえ、やっぱり政府のお役人が期待感を持ってというのも、これはわからないわけじゃありません。私は、あなたを別にいじめようとも思っていないのです。それじゃ、大体三カ月はというのは、どういう根拠に基づいて、その期待感だけですか。別にあなたを私は決していじめようなんと思っていま質問しているのじゃない。やはりこういう行政、非常にいま大事な物価の問題を扱うときに、感覚とか——わりあい総理は感覚的なことがお好きなようだけれど、そういう感覚的なことだけで三カ月ぐらいというような示唆をされるというのは、私はどうだろうかと思いますね。行政の任に当たる人としてはどうだろうかと思う。その根拠というのは何かあったのですか。
  117. 小松勇五郎

    政府委員小松勇五郎君) 先ほどお答え申し上げましたように、二カ月とか、三カ月とか、四カ月とか、具体的な数字ということは、政府としても一切きまっておりませんし、物価が鎮静するまでの当分の間ということでございますので、その点はやや配慮を欠いたかと思います。しかし、その担当官、私ではございませんけれども、その担当官の報告によりますと、まあ物によりましては、二月すでに物価が下落方向に向いているものもかなり出てまいりましたし、五月、六月という段階まで、ことしの初めのような物価狂乱状態が続くようではたいへんでございますので、政府は一生懸命になっていろいろな努力をしているわけでございますが、このような人為的な個別物資対策は、そういう、先ほど企画庁長官がお答えになりましたように、やらないでも済むような状態に持っていくことが望ましいし、現にそのために全力をあげているわけでございますから、まあ六月ぐらいになれば、そういう個別物資対策がなくても済むような状態になるのではないかというような期待感を持っておったというふうに私は解釈をいたしておるわけでございます。
  118. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあたいへん大事なことですから、やはり一番現場段階でおっしゃるときには御注意が必要だと私は思いますね。できるだけ私は長期に凍結を続けていきたい、いってもらいたい。また、解除についても、一度に全部の品目を解除するんじゃなくて、現在、いまのお話にもあったように、すでに市況が下落しているものを、値下げの方向で凍結をはずすべきであると、これはもう当然だと思いますね。というのは、一度に凍結を解除されますと、それはその値上げを公認をされたというような認識をメーカーとか小売り店に与える、これはもう明白であります。したがって、そのような印象を与えないためにも、値下げできる品目などから順番に凍結を解除すべきであると、また逆に値上げ品目については、これははっきりと、これこれこういう理由で値上げをしなければならないんですということをやはり周知徹底させる必要があると思いますけれど、どうでしょうか。
  119. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういう御趣旨に沿ってやりたいと思います。
  120. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 全く同意見で、そういう方向でやるつもりでおります。
  121. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ、企業の社会的責任について入る前に、私がたまたま逓信委員をしておりまして、前にマスコミにおりました関係から、もうそろそろ四月で日も長くなった、そして夏時間というか、夏場にくると、夜の深夜放送をもう少し復活してくれないかという声が私のところへもずいぶん来ている。で、この電力制限については、電力不足ということから、石油不足ということから起こったことで、これはもう私は当然の措置だと思いますけれど、この措置というものは、制限はまだしばらく続くんでしょうか。やっぱり深夜放送を楽しみにしている人もたくさんいると思いますがね。この辺いかがですか。
  122. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 石油、電気につきましては、目下規制を継続しておるところであり、また、やはり省資源、省エネルギー、節約ということである程度引き締めている条件がまだ消えていないと思います。でありますから、しばらくまだ現状で様子を見ていきたいと思います。
  123. 木島則夫

    ○木島則夫君 わかりました。  次に、私は、企業の社会的責任についてお聞きしたいと思う。これまでの国会審議を通じまして、まあ大企業のいろんな問題点が浮き彫りにされ、その責任が追及をされてきたわけでありますけれど、これが道義論として終わっているような感じを私は受けるんであります。問題は、単なる道義論あるいは倫理問題として片づけるんじゃなくて、今後いかに制度的にあるいは社会的責任の遂行を義務づけるのかという点があろうかと思う。  そこで政府にお聞きをしたいのでありますが、総理は、企業の社会的責任をどのように認識をされているか、お聞きをしたい。これには一つ具体的な例を申し上げます。  先日、ここで行なわれました物価集中審議のおりに出席をされました経団連の方が、私の質問に答えて、物価狂乱の原因、こういう状況をつくり出した一番の責任者、悪者はどなたですかと聞いたらば、経団連の責任者の方は、幹部の方は、それは国民全部が悪いんだというお答えをくださった。確かにこの難局を乗り切るためには、各層各界の人たちが痛みを分担をして、この難局を乗り切らなければいけない。これは私もそういう考え方に間違いはないと思いますけれど、やっぱりその前提条件たるものが私は必要じゃないかと思う。その前提条件が、いわゆる企業、経済界のトップレベルの方から一言も触れられなかったというこの事実を土台にして、企業の社会的な責任、こういうものをもう一度私は総理に伺いたい。
  124. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 企業あっての国民ではなく、国民あっての企業でありますから、企業は社会的な責任を果たさなければならぬことは申すまでもありません。これはもう法律以前の問題でございます。そういう意味で企業が社会的責任を果たさなければならないと、企業の社会的責任というものは、これはまあ観念的にも実際的にも、企業に社会的責任があるということは間違いありません。ただこの企業の社会的責任というものが果たされないということの認定ということは非常にむずかしいわけであります。ですから、制度としては二つございます。これは法律的な違法行為が行なわれれば、脱税をすれば税法によって処分せられますし、関税法違反があれば関税法違反でもって処分せられますし、また、刑法や商法上の違法行為があれば法律で罰せられるということになるわけでございます。それで、その罰せられただけで済むかというと、そうではなく、国際的にも、また国民的にも、社会的にも目に見えない制裁を受けます。それは企業というものに対して、のれんということがいかに大事であるかということはもう申すまでもないことでございます。そういう意味で、とにかく悪いことをした、反社会的行為をしたということに対しては、これはもう、あそこの品物は買わないとか、あそこの品物は高いとか、そういうことで企業としての制裁を受けるわけです。これはまあ徳川幕府時代の例をとるまでもありませんが、士農工商といわれたわけです。士農工商、商人というものはもうけるためにはなかなかどしがたきところもあるよということがあったわけですから、これはもう非常にこう、評価を受けておったわけです。そういう評価は、反社会的な行為ということが法律違反でなくとも、反社会的な行為をやっていると見られるものに対しては依然として世間のきびしい批判があるということはもう当然でございます。ですから、反社会的な行為があってはならない。これは企業だけではなく、すべてのものにそうである。これはお互い個人が憲法に保障されておると同じように、企業も憲法で保障されております。しかし、個人が反社会的な行為をやってはならないと同時に、企業もまた例外たり得ないということであります。
  125. 木島則夫

    ○木島則夫君 確かにそのとおりなんですけれど、まだまだやはり政府の答弁、総理の答弁を伺っていると、依然として道義論のようなウエートが強いように私は思う。これではまた異常な事態が起こった場合には、悪徳企業であるとか便乗値上げの企業が出てくる、続出することは私は必至であるというふうに思うんです。  そこで、具体的にお聞きをしたいのでありますが、まず企業が、ほんとうに社会的な責任を果たすためには、企業秘密の問題、このごろはやたらに企業秘密、企業秘密ということばが使われておりますけれど、この企業秘密の問題について、その範囲を私はできるだけ狭める必要がある。そして原則として原価も公開することが必要であると思いますが、この企業秘密というものの法的な根拠、その範囲について、ここではっきりさしておく必要があると思うので、法制局長官に伺いたいのですけれど、いわゆる企業秘密の法的な根拠、その範囲について聞かしてください。
  126. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) いわゆる企業秘密につきましては、現在の自由競争を前提としております経済体制のもとでは、保護されるべきことが原則であると考えられます。その憲法上の根拠といたしましては、憲法第二十二条の職業選択の自由の規定、また第二十九条の財産権の保障の規定に求めることができると思います。もとよりこれらの自由や保障につきましても、公共の福祉の要請から生ずる制約があることは申すまでもございませんで、その要請に基づいて、ある場合には法令によって公的な規制の対象とされることもございまするし、その限度において企業の秘密として企業の内部にとどめておくことができないという場合があり得ることはもちろんでございます。その企業秘密として認められる範囲の問題でございますが、その範囲は、個々の場合について、その企業秘密を外部に対して明らかにすることの必要性の程度、それから企業側のこうむる不利益の程度等を総合的に、かつ慎重に検討した上で判断すべきものでございまして、このことは、かりに立法をもって措置する場合におきましても、また行政運営上の処断をする場合におきましても同様でありまして、あらかじめ一般的な基準を抽象的に立てるということはきわめて困難であろうと思います。
  127. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ職業選択の自由、それから財産権の問題というのは私もよくわかるんですけれど、しかし、そういうものを確固として守るということの行き過ぎたがために、いわゆる公共の福祉、利益というものがいまそこなわれているというような現在の状況の中では、やはり私は後者のほうにある程度のウエートがかからなければいけない。そういう意味でのバランスをどういうふうに判断をするか、これはあなたの言っていることはわからないわけじゃない。しかし、いま置かれている企業を取り巻く環境、国民感情、そのほかもろもろの条件の中で、企業のいわゆる秘密、あるいは営業選択の自由、それから財産権の問題、そういうものを法律できちっと守ること、そのために知る権利がそこなわれたり、そのために公共の福祉がそこなわれたりすることにいま問題が起こっていると私は思う。だから、その辺のバランスをあなた方はどういうふうに考えていらっしゃるかという、ここら辺が非常にぼくは政治姿勢として問題があるように思う。
  128. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは旧憲法と新憲法との差がそこにあるわけですが、これはやはり基本的人権を侵してはならない、団体結社の自由を侵してはならないと、これはもうそこに新憲法のウエートがあるわけです。ですから、公共の福祉というような名前で旧憲法のように人権がそこなわれたというようなことがあってはならない。ですから、新刑事訴訟法のメモランダムにも明確になっておりますように、九十九人の罪人をのがしても一人の無事の民を罰することなかれということが戦後の法律に一貫して流れておる基本的な思想であるということは事実でございます。ですから、そういうことと反社会的というような国民的要請の調和点をどうするかということは、これは政治的に大きな問題です。ですから、それは憲法の条章をやっぱり読んで、いわゆる人権の自由は確実に保障すると、しかし公共の福祉のためには制約があると、その制約に対しては法律をもって定めなければならない、準拠規定を明確にしなければならぬと、こう言っているわけです。ですから、政令は罰則を設けてはならないと、こう言っているわけです。ですから、そういう意味で、罰則のないものは政令をもって足ると、罰則を設ける、権利を制約するという場合には法律をもって定めろと、これは罪刑法定主義であり、これは法律万能だと言われる一面もある、現憲法の精神はそこにあると思うんです。ですから、いま問題になっておりますのは、刑法の改正部会で企業秘密の問題をいま挿入しようと、明確にする必要があるということですが、結論が出ないことは御承知のとおりです。ですから、特許法とか、登録商標とか、いろいろな問題で国際的な慣行や国際的な判例や、法律で明定されているもののあるものは別にしまして、これを明確に社会公共のためにという場合にはやっぱり法律をもってするということで、先ほど言ったように、まあ関税違反の問題は関税法がありますし、いろいろな問題で法律がございます。ですから、便乗値上げ等が行なわれた場合にはどうしたかというと、法律をもってお願いしたわけです。これは、土地に対しては二〇%の重課、それから法人税に対しては四〇%にこれを引き上げる、それから今度は国民生活安定法や石油法という法律を制定してもらった。ですから、二の法律に準拠して物資を指定すれば、これはそれ以上に売ることはできない、売れば罰則があると、こういうことになるわけです。ですから、そこらは社会主義的な経済機構というものと、いわゆる自由を原則にした憲法のもとで認められる企業活動というもの、これは個人と企業を区別することはできない、こういうことでございますので、必要があれば法令の制定をもって明確に反社会的行為を律するということが必要だと考えます。
  129. 木島則夫

    ○木島則夫君 この企業の秘密、いわゆる企業秘密問題と関連をして、企業行動の総合的、社会的責任指標とでも申しますか、そういったものをつくるべきであるという声が高まっています。で、前に私が予算委員会でもちょっと取り上げたんでありますけれども、要するに、民間放送に、悪徳商社としての疑惑を持たれたり、反社会的行動をしたというようなことで問題になっている、そういう企業がスポンサーとして電波に登場することについてどうであるかというような問題に対しても、いま民放連の放送基準、そういうものを大改定をしているわけですね。   〔理事西村尚治君退席、委員長着席〕 もうやはりそういうものをやらざるを得ない、そういうふうに社会がいま流動的で醸成をしてきたという、この現実の上に立って、いま私が申し上げたように、企業秘密の問題と関連をして、いわゆる企業行動の総合的な社会的責任指標をつくるべきであるという声があっちからもこっちからも上がっていますね。これなんかもその一つの例だと思います。生産性本部でつくりましたね、こういうものを。つい先日発表された生産性本部の試案によりますと、たとえば経営責任指標あるいは従業員福祉責任指標、狭い意味での社会的責任指標などが取り上げられて、その企業への適用例が示されているわけであります。この問題については、単に民間団体にまかせっきりというのじゃなくて、何か私は、政府みずからもそういうモデルをつくって研究すべきじゃないかと思う。と言って、何も政府が、これこれこういうものだからといった、そのひな形を押しつけることは問題があろうかと思いますけれども、いまやはりこういうふうな世の中で、そういうものがあっちからもこっちからも醸成をされてきたという、そういう社会をどう受けとめるかという、これはやはり政府の姿勢にも私はつながると思うから、時代の先取りという意味でも私は必要じゃないかということで、むしろ政府が率先して、こんなモデルがあるけれどもどうだろうかといって、それをお示しになるような前向きな姿勢はないだろうかということを申し上げているわけです。
  130. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 勉強課題であるということは事実でございますが、へたをしますと、これは国家統制だと言われるわけです。これは、あなたはマスコミの専門家でありますから、いみじくもいま述べられましたが、放送等においては、放送は新聞と違うということはもう当然でございます。新聞、雑誌は全く自由なものであるが、放送は限られた国家の電波を特定な業者に割り当てられておる。ですから、これはもう新聞や雑誌とは全く違うものであり、電波法と放送法によって規律を求められておるということは当然でございます。しかし、私も放送法の改正を十五年前に提案をしましたが、しかし、これは強行すべきものでないんで、これは放送法、放送事業法、日本放送協会法、こういうものであって、私は現時点に適合する法体系だと思いましたけれども、しかしそのままになって、審議は結了をしなかったわけでございます。ですから、放送コードをつくったりされることが望ましいということは当然でございます。しかし、放送に対してはモニターをつくったり、いろいろなことをしておっても、放送の倫理や放送綱領や、そういうものに対して政府が試案をつくってさえも差し上げないわけです、これは。ですから、これは電波法と放送法の精神というものは、とにかく新聞や雑誌とは全く違うものであっても、新聞や雑誌と似たるものとして政府は勉強の課題さえも提示をしないということであります。  商社は別だということですが、商社とか企業に対しましては、銀行法があるし、それから信託業法もございますし、いろいろな法律があるわけです。そういう意味で商社法をつくってはどうかという議論国会にあるわけです。しかし政府は、そういう御議論がございますが、憲法の精神も踏まえて、商社法をいま必要とするとは思いませんと答えながらも、あまり荒っぽいことをやっていると国会にある議論政府も同調せざるを得ませんよと、これは無言の圧力になっていることは事実なんです。ですから、商社行動基準というものをつくってやっているわけですから、ですから、企業というものがどうあるべきかという問題に対しては、法曹の問題としても、刑法の改正に企業の秘密を入れると同時に、商法や民法だけで律しられない社会的企業に対する要請というものをどうすべきかということは、いま立法論との間に非常にめんどうなものがあって、学界でも賛否両論です。そういうときでありますから、政府が一案を出して、企業とはかくなるべきものだ——これは社会主義国とか低開発国においては、混乱さしたときには銃殺したりやっているわけですから、非常にきびしいことをやっているわけです。日本はそんな法律をつくるということはないにしても、せめて企業コードというようなものぐらい勉強して、こうであってほしい、この程度のことが守られないと、望ましいことではないが商社法のようなものができるおそれもありますよというぐらいな立場政府が勉強する、勉強の成果を発表するということは考えられることである、意義あることであるということを、ここでまだ率直に申し上げられません。これは自由という憲法の精神をほんとうに守ろうという立場に立っていますものですから、どうもそれによって角をためて牛を殺すようになっちゃ困るので、そこらは自重を求めながら慎重にということでございますが、しかし、御提案に対しては理解しないわけじゃないのです。同じ考えがあるのですが、シカを追う者山を見ず、木を見て森を見ずということではえらいことになるから、そこらはひとつ、三十年前のこともあるので、ひとつ静かに現状を把握して適正なる行政を行なわなければならぬ、こう考えております。
  131. 木島則夫

    ○木島則夫君 政府は、今回の商法改正に関連しまして、株式会社の貸借対照表及び損益計算書に関する規則と、それから財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の改正を検討しているということでありますけれども、これはいつ改正をするのか、その方向というものはどういうものなのかということをお聞きしたいと思います。まず法務大臣から……。
  132. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お答えいたします。  先般、商法改正が両院を通りまして、適当な時期に準備が整いましたら公布する予定でございますが、その時期までには、大蔵省の財務諸表規則と法務省の省令である計算書類規則と、これをできるだけ一本にしたほうが各会社も都合がいいんではないか、いままでばらばらでございますから。そういうような観点に立ちまして両省で協議中でございますが、改正商法の施行時期までにはそれをまとめたい、かように考えています。
  133. 木島則夫

    ○木島則夫君 大蔵大臣、いかがですか。
  134. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 財務諸表につきましても大蔵省令の改正を検討しておりますが、その時期は、いま法務大臣からお答えしたとおり、歩調を合わしていきたい、かように考えております。
  135. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は、この二つの規則を改正するにあたりましては、当然、さっきから問題になっている企業秘密の、何というか、限定縮小化といいますか、それから経営内容の当然オープンにすべき事柄についてはこれをオープンにする、そしてその範囲も拡張するというようなことをはかって、できれば社会的責任指標の作成にまでこれは触れなければならない問題だと思うんですね。で、特に今国会でも問題になりましたように、商社、何というか、多業種企業に対する事業別損益の公示基準の確立といいますか、株式会社の取締役の報酬の公開であるとか、コストの公開などについてその実現をはかるべきであると思いますが、これは総理並びに各大臣からお答えをいただきたい。
  136. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 有価証券報告書のごときものはどういう目的で出すのかというと、一般投資家のその会社に対する評価、それを正確にしようという、そういう意味合いを持つわけなんです。ですから、これは貸借対照表や損益計算書となるべく内容は統一されることが好ましいのでございますが、しかし、その目的によって違うところが出てくると、こういうこともやむを得ないと思うのです。有価証券報告書はそういうような意味合いを持つものでありますので、さあ、その事業の部門別の報告までそこに求めるかどうか、これは私は問題があろうかと、こういうふうに思います。
  137. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 財務諸表は、まあ公表されるものを統一するということはいいことです、これは。そして、いまの貸借対照表等にはその会社の資産に対する償却額の累計等が計上されるようになりましてから、投資家というようなものに非常にその利便を与えておるわけです。そういうのは、企業秘密を明らかにするという立場からではなく、これは証券とか、いわゆる市場を拡大するとか、いわゆる投資者保護というような立場から考えてみまして、財務諸表、特に貸借対照表以外に損益計算書や資産勘定を、まあ含み資産がどのくらいあるのかというようなことを明確にするということは望ましいことであるということは、私もそう考えております。ただ、望ましいのですから、なるべく国民大衆にわかるようにしたいけれども企業秘密は守りたいというバランスがむずかしかったのです、いままでは。ですから、書式を統一することによりまして相当程度整理されるということは事実です。ただ、その会社が払っている役員の報酬の総額は幾らだとか、それから宣伝費は幾らだとか、それから交際費が幾らだとか、部門別の損益計算書を添付せよということになると、これは非常にむずかしい、広範なものでありまして、時間的に六十日というようなものでとても間に合わぬということもありまして、これは現実に合うように、いまよりもよくなればいいと。しかも、企業秘密を明らかにするという立場なら別な法制でいくべきでして、そうではなく、これは企業を守り、同時に投資者を保護する立場から商法の改正が行なわれておるということでありますから、どうもいまあなたか言われた——まあ結果的にはそういう効果もありますが、すべてをそれでもって片づけるというわけにはいかないと思います、おのずから限界があると、こう思います。
  138. 木島則夫

    ○木島則夫君 最後に、やはりその企業の社会的責任をより一そう私は徹底をする意味で、その遂行を容易にするためには、その企業の労働者並びに消費者、地域代表などの参加が、これはもう不可欠の条件であるように思いますね。いわゆる労働者の経営参加については、すでにドイツでは一九五一年ですか、共同決議法が制定をされておる。五二年には経営組織法が制定されて、労使協議制というものが制度的に保障されているわけです。わが国においても、労働者の経営参加の問題がいま急速に取り上げられているわけであります。  きょうは時間がありませんので、一つだけ要望をしておきたいのでありますけれど、今日直ちにこれを導入することは、これはとっても無理だろうと私も思う。政府は、せめて労使協議制についての審議会を設けるなりして、国民的な世論を巻き起こして、数年後に答申を求めて、その法的な制度化をはかるべきだというふうに私は思いますけれど、労働大臣と、それから総理にも御見解を伺いたい。
  139. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) お答えします。  最近の社会事情はどんどん変化します。労働者の諸君のほうでも、希望の多様化、要求の非常な向上、そういうことがありますから、私はやはり労使のいろんなコミュニケーションというのは大事だと思います。労働省としましては、中山伊知郎さんを座長として産業労働懇話会、これは使用者のトップレベル、労働組合のトップレベル、学識経験者、こういう方々でここ五、六年間ずっとやっておりまして、非常に私はいい効果をもたらしておる、こう思っております。こういうものをやっぱり各地、各産業、そういうものに必要だろう、こう思っております。  もう一つは、法制化の問題がありますが、日本の労働組合の場合はやっぱり企業別労働組合だという歴史と、それからヨーロッパとまた事情が違うというふうなことからいたしますと、法制化そのものについては、ちょっとやっぱりわが国の実情に即して考えなきゃならぬものであって、検討の事項だとこう思っております。
  140. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御提案の問題と同じような問題、私たちも考えております。  第一、私は労資ということばそのものが、これが十八世紀的な発想であるという感じなんですよ。第一、日本は現実的にもう七五%までが給与所得者でしょう。そして日本には、労資——資というもの、いわゆる資本家代表というようなものではなくて、管理者——現実的に管理者と生産者というような状態になっているんです。ですから、国民総資本というような状態で、いまの一流企業でもって一〇%を持っている経営者はもういない、これは。これはもう累積投票権さえ持ってないんです。これはもう全く戦前のように三分の二の特別議決権を持ってるなんて人はいませんよ。だから、そういう意味から言いまして、今度労働者財産形成制度の発足によりまして、自社株をうんと持つようになりますと、過半数以上労働者が持つようになるんです。なります、必ず。私は六十年まで試算をしてみましたら、これはほとんどそうなる。これはできません、現実問題としては、これ以上倍額増資——いままあ十四兆円ばかりの払い込み資本ですが、これが六十年まで五〇、五〇ということでもって計算してみますとね、これはもう百兆円から百五十兆円ぐらいになってくるんです。そうしますとね、とても日本のいまの給与所得者の中で、現行税法の中でこれは持てるわけがないんです。そうしますと、多数の国民出資者になるということになりますと、企業の中では、労資という、収奪をするような労資というような関係ではなく、管理者と生産者ということになると思うんです。だから、そういう場合は、いろんな制度をつくらなくとも、自動的に、今度は二〇%とか三万円以上とかという、この回答が出るのは、これはもういままでの労資という観念じゃないからこそ、こういう回答も出るし、私は結論も出ると思うのですよ。そうでなかったらね、一年後の配当が全然約束されないような状態で、はい三万円出しましょうなんということは起こるわけはないのです。そういう意味で、私は自然に置いてもできると思いますが、やっぱり長期的なそういう流れの中でお互いが考えていくこと。  私は西ドイツに行きましたが、百人の中でもってわずか三人か四人しか管理者はいません。ですから、あとの百人がすべての生産管理を行なっているわけです。ですから、西ドイツの輸出力は非常に強い。日本に対して車を出しておりますが、ベンツを。なぜベンツは注文してから一年半も受け取れないかというと、生産管理をちゃんと行なっておりましてね、日本には二千台しか割り当てないんです。全世界にベンツは確実に売れる。つくったらもう必ず在庫なしで、六十日で、現金になる。こういう体制になっているんですから、日本もこれだけの高度成長が行なわれて、労資だというようなことかどうもおかしくて——おかしいんじゃないですが、まあそれはほんとうに何か少し一世紀も前を歩いているんじゃないかと、こういう感じがするのですよ。ですから、私はそういう意味で、ほんとうに国の実態、日本の実態に合うように、やっぱりいろんな人たち、第三者に検討してもらって、新しい日本の産業の形態とか、俗に言う労資というような名前からまず変えていきたい。生産者、管理者と、こういうようになれば、闘争的にもなりませんしね。私はそういうことを、ほんとうに国民のために、まじめに勉強すべき問題だと思っています。
  141. 木島則夫

    ○木島則夫君 最後に。まあその十八世紀的発想かどうかは別にいたしましてね。その労使の問題が、すでにあしたに迫ったゼネストを前にして、やはり解決をしなければならない問題として現実の目の前にあるわけです。さっき、ゼネストに対する政府の統一見解をお出しになるとおっしゃった。本予算委員会中にお出しになるべきだと思いますが、出していただけますね。
  142. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) あなたの質問が終わったら、すぐ政府・与党は重大な会議を開きたいと、こう思っています。
  143. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これにて木島君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後二時まで休憩いたします。    午後一時五分休憩      —————・—————    午後二時十七分開会
  144. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  この際、内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田中内閣総理大臣
  145. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 春闘が重大な段階を迎えておりますときに、各党代表から政府の措置を強く求められておりましたので、本日十三時五十分から院内において臨時閣議を開き、別紙のとおり決定をいたしましたので、この際明らかにいたしたいと存じます。      ゼネストについて  一、 公務員制度審議会答申を尊重し、三公社五現業等の労働基本権問題に対処するため内閣官房長官を長とする関係閣僚協議会を設置する。    なお専門的事項を調査するため、学識経験者二十名程度の専門委員を置く。    関係労使の意見は随時、これを徴する。    右の閣僚協議会における結論は二年を目途とする。  二、 ゼネストは国民生活に重大な影響を与えるので直ちに中止するよう関係労働団体に要請する。  三、 法律により禁止されているストライキを行った場合は厳正な措置をとるものとする。  以上であります。
  146. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 木島君。
  147. 木島則夫

    ○木島則夫君 前向きでいま御検討いただいたことに対しては、私もそれを多とするものでありますけれど、いまの内容を伺っておりますと、まだまだ問題点が多いようでございます。したがって、こういう一つのめどをお出しになった以上、それがやはりほんとうに前向きに、建設的に進むように、これは鋭意取り組んでいただきたい、国民立場立場としてやっていただきたいということを、もう時間がございませんので、一言つけ加えさしていただきたい。  以上です。     —————————————
  148. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) それでは、午前に引き続き、質疑を行ないます。渡辺君。(拍手)
  149. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま総理から、臨時閣議の結論の報告がありましたけれども、私、この報告の内容について、いまここで全面的には問題しませんけれども、多くの点で非常な不満を持っております。特にこの中でも、いわゆる弱者救済の問題、この問題について政府が一言もいま触れることがなかったという点は、きわめてこれは遺憾なことだと思っております。もう申し上げるまでもなく、御存じのとおり、この生活保護世帯、あるいは年金生活者、失対労働者など、こういう低所得の人たちが、いまの物価狂乱で一番深刻な打撃を受けているということは、これはもう議論の余地のないところであります。特に福岡県の実情を申しますと、たとえば生活保護世帯で申しますと、全国では千人当たりについて十二・四五人の生活保護世帯がおりますが、福岡県では五十一・一人である。しかも炭鉱地帯では、たとえば糸田町という町では、千人について二百七十一・六人もの生活保護世帯がいる。ほかの近隣の町も同じような状況であります。失業問題が非常に深刻です。こういう、いわゆる社会的弱者に対するいままでの政府の回答は、全くこれは不十分なものだというふうに考えます。労働者のこの点についての要求はすでに御存じのとおりだと思いますけれども、これを全面的に実施すべきだと思いますが、どうでしょう。
  150. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 春闘をもくろんでおりまする労働団体からは、いろいろな要望が出ておることは私も承知をいたしております。しかし、こうした問題はすべて予算あるいは法律に関係する問題ばかりでございまして、労働組合と話し合いによって解決するという事項では全然ございません。しかも、スト気がまえの状況のもとにおいて労働組合と話し合いによって解決する性質のものではない、かように私はかたく考えておるものでございまして、こういう問題は国会の審議の場において、必要があれば解決せられるべきものであるという基本的態度を持しておるわけでございます。しかしまた、こうした弱者に対しましては何にもやっておらぬではないかとおっしゃいますが、私どもは、昭和四十八年度の年度末において、最近における物価の動向にかんがみまして異例の措置の一時金の措置を講じてまいりました。さらにまた、四十九年度におきましては、すでに暫定予算が組まれておりますが、四月一日から扶助基準は前年度に比べましてすでに二〇%の引き上げを行なってまいっております。すでに行なっておるのであります。さらにまた、年金等につきましては、福祉年金につきましては五千円を七千五百円に引き上げるとか、あるいは障害福祉年金については、昨年七千五百円になりましたのを本年は一万一千三百円に上げるとか、こういうふうな、それぞれ必要な措置を講じておるものでございます。ただ、その中で一つ問題になりますのは、拠出制年金の問題でございまして、このタイムラグを短縮したらどうだという各方面の御意見のあることは十分尊重いたしておりますが、これは業務的にも非常にむずかしい問題ではありますが、このタイムラグの短縮についてはさらに研究を続けたい、こういうことを申し上げておるわけでありまして、母子世帯に対しましても、生活扶助世帯に対しましても、身障者の方々に対しましても、政府としてはできるだけの努力をしておるというわけでございますから御理解をいただきたいものだと、かように考えておる次第でございます。
  151. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理大臣はどうお考えですか。
  152. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ただいま厚生大臣から申し上げたとおりでございます。
  153. 渡辺武

    ○渡辺武君 いろいろやっているという趣旨の答弁でありました。私も全然やっていないなんということは、さっき言わなかったんです。たとえばインフレ手当の問題一つとってみましょう。労働者側の要求はインフレ手当三万円でしょう。ところが、さっきおっしゃったこの措置、これは、たとえば生活保護世帯については一人二千円、老人ホームに住んでいる老人や福祉年金の受給者は二千五百円、三万円の要求に対して二千円や二千五百円ということで、この物価狂乱のおりに満足できましょうか。どうでしょう。
  154. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) こういう最低生活に悩んでおられる方々に対しまする扶助基準というものは合理的に算定をいたしておるものでございまして、物価の動向ににらみ合わせながら扶助基準の改定を今日までいたしておるわけでございます。御承知のように、昭和四十八年度におきましては当初一四%引き上げました。さらに八月ごろ物価が上がってまいりましたので五%をさらに上乗せをする、すなわち一九%台に引き上げてまいりました。さらに年末においては、一人二千円当たりの一時金を上積みしておるわけでございます。さらにまた、ことしの一月から三月の物価動向に対応いたしまして、一人当たり二千円という、四人ならば八千円、三人ならば六千円と、こういう上積みをしておるのでございまして、二千円だけが扶助というのではない、従来の扶助額の上に一人当たり二千円というものを上積みしておる。これは全部物価動向に即応してやっておるのでありまして、思いつきでやっておるのでは全然ありません。それを単に、いかなる根拠か知りませんが、ただ三万円と、そういうインフレ手当を上積みしろ、それを出せと、こう言われましても、この制度そのものは、国費によって最低生活の方々の生活を守るという制度であるならば、やはり物価動向に即応してやる、これは当然のことでございますから、ただ単に三万円を出せと、こう言われましても、私どもは出す考えは全然ありません。
  155. 渡辺武

    ○渡辺武君 そのほかの問題もありますが、先ほど財源の問題もと言われましたので、大蔵大臣に伺いたいと思うのですけれども、この間会社臨時特別税法が成立いたしました。ところが、他方で四十八年の大法人の申告所得、これが国税庁から発表されましたが、これを見てみますと、たとえば、日本鋼管は前の年に比べて九・三倍、新日本製鉄は三・五倍近い、川崎製鉄は五・一倍、あるいはまた東洋レーヨンは五・六倍近いと、その他等々、数えあげればたくさん、全く胸のむかつくような荒かせぎをこの間うちの物価狂乱の中で大企業はやっているんです。先ほど申しました税法を適用したら、一体四十九年度どのくらいの税収の見込みになりますか。
  156. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 概算でございますが、  一千七百五十億円程度じゃないか、さように見積もっております。
  157. 渡辺武

    ○渡辺武君 厚生大臣、このインフレ手当は予備費から約百三十億円出したとおっしゃっておられた。いま大企業の荒かせぎに臨時利得税をかけただけで一千七百億円をこえる税収が見込まれているわけですよ。財源という点からしたら、何ら問題がない。まさに大企業から取ってこういう生活に苦しい人たちに使うということこそ、ほんとうの政治のあり方じゃないでしょうか。どうでしょう。
  158. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 財源があるとかないとかいうことは問題が別でございまして、私どもは、物価動向に即応して生活扶助をきめるという、この大きな筋を曲げるということはできない、かように考えておるものでございます。
  159. 渡辺武

    ○渡辺武君 物価動向といいましても、たとえば生活保護費、これはあれでしょう、昨年の当初に比べて約二〇%アップというのが今度やられた措置ですね。ところが、二月の物価指数は、すでに前年の二月に比べて二六・一%も上がっている。特に食料品については三一・八%も上がっているんですよ。物価動向を勘案してというなら、当然これはもっと引き上げるべきだと思いますが、どうですか。
  160. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) すでに御承知のように、昨年の四月一四%引き上げ、さらに昨年の十月に五%を引き上げてまいりました。すなわち扶助基準は一九%でございます。そこで、十二月までの消費者物価指数の前年度の上昇率は一九%以下であったわけでございます。ところが、一月になりまして、消費者物価が東京で申しますと二〇%になり、二月は二四%になったわけでございます。そこで、従来の一九%の扶助基準のアップだけでは不十分ではないか、こういうことを考えまして、そして一−三月の扶助基準というもの、扶助というものは、あと払いというのは筋ではございません。あと払いは筋ではございませんが、二月の統計が出たのはずっとあとでございます。一月の統計の出たのもこれはずっとあとでございますので、そこで、一時金の一人当たり二千円というのにしたわけであります。二千円というのは、これは一カ月で計算いたしますと扶助基準で六%になるはずでございます。六%になるわけであります。それをあと追いというのもおかしい筋ではございますが、この際六%、毎月一、二、三各月上げるとすれば六%になる。それを一括して一人当たり二千円だけ上げることにしようと、こういうことにしたのでございまして、私どもは常に消費者物価指数の動向を十分監視して、それに合理的な筋を通して扶助基準の改定を今日までいたしておるわけでございまして、今後とも私どもは消費者物価がこれ以上上がってもらいたくないと思います。政府をあげていま物価抑制に懸命の努力をしているわけでございますので、こういうことは二度三度やってもらいたくはありませんが、将来物価が上がるようなことになれば、それに即応をして、最低生活の方々の扶助の基準は上げると、こういう覚悟はいたしておるわけでございまして、私どもは、この扶助基準の改定、扶助基準なりあるいは一時金というものは、常に物価指数の動向とにらみ合わして、ほんとうに最低生活の方々の生活を守らなければならぬ、こういう強い覚悟でやっているわけでございます。
  161. 渡辺武

    ○渡辺武君 それから厚生年金や国民年金などについて、もっと引き上げてほしいという要求があるということを先ほどもおっしゃっておられましたが、この点についてはどうですか、この実施時期を。
  162. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 年金につきましては二つありまして、御承知のように、七十歳以上の方々の老齢福祉年金と拠出制の年金と二つあるわけでございますが、福祉年金につきましては昨年五千円でございます。昨年の十月から五千円、三千三百円から五千円に上げました。さらにこれを本年度は七千五百円。そこでもっとこれを上げたらどうかと、御意見のあることは私よくわかっています。しかし、これは全額国費でございまして、たった二千五百円なんということをおっしゃる方もありますが、これを本年度だけ考えてみましても四百四十億かかるんです。これを平年度に直しますと一千三百億、五〇%引き上げて実はたいへんなことでございまして、その辺にアクセントを置いて私は御理解をいただきたいと思います。  ただ、拠出制の年金については、タイムラグというのがありまして、本年度厚生年金で申しますと、ことしの十一月にスライド制をいたすわけでございます。スライド制をするわけです。これはもう、ことし初めて実施する制度でございます。それが、ことしの十一月にスライドをいたしますと、これが来年の二月に本人の手元に入る。そこで、このタイムラグを短縮したらどうだという御意見は政府部内にもあるんです、これは。皆さん方おっしゃるばかりじゃないんです。そこで、このタイムラグをこういう際だから短縮する方法がないかと、こういうわけですが、これをやるには実は三百万人になんなんとする厚生年金受給者の金額を一つ一つ直していく、これはたいへんな手間のかかることでございますので、非常にむずかしい問題であるということを衆議院の段階においてもお答えをしてまいりました。しかし、こういう年金受給者の気持ちもわかりますので、何とかならぬかというんで、いま研究をしておるわけで、結論はまだ出していない、こういう段階でございます。
  163. 渡辺武

    ○渡辺武君 主として事務的能力という見地からのお答えだと思いますけれども、もう厚生大臣も御存じかと思いますが、私どもの党は、年金給付額の引き上げ等についての緊急措置法の要綱というものを発表しております。衆議院の社会労働委員会などでは、わが党の委員が大臣にその趣旨は御説明したと思いますが、重ねて概略申しますと、まず厚生年金、国民年金、これは拠出制のものですが、この年金給付額を現行年金給付額の二五%増とする。そうして実施時期は厚生年金で九月から、国民年金では七月からにする。それから福祉年金等の給付額ですが、老齢福祉年金の月額を一万五千円として、障害、母子、準母子、老齢特別給付金、児童扶養手当、特別児童扶養手当をこれに準じて引き上げていく。実施時期は九月からにして、そうして福祉年金等の支給期間、支払い期月を年四回、二月、五月、八月、十一月とする。そうして年金等の支払い対象月を前三カ月分から当月分を含む三カ月分に変更する。そうして厚生年金、福祉年金等は八月支払い月から、国民年金、各種共済年金は九月支払い月から実施する。  これだったら現在の事務能力からしましても比較的簡単に、やろうと思えば私は実施できることだと思います。この点についてどうでしょうか。
  164. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) そういう提案が野党から出ておりますことは私も承知いたしておりますが、その案で私どもはいろいろ考えるところがありますが、賃金スライド制を採用しておるという点については私どもは採用するわけにはまいりません。これはもう絶対に賛成するわけにまいりません。かえって、そのことがなかなか容易でない問題がたくさんあるわけでございます。さらにまた、老齢福祉年金を一万五千円に——私どもは七千五百円と言っているんですが、一万五千円に上げよう、こういうふうな案であることも承知しておりますが、これも私どもは賛成いたしかねる、こういうことを申し上げておきます。
  165. 渡辺武

    ○渡辺武君 実施時期の繰り上げについてはどうですか。いまの事務能力でもできるはずです。
  166. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) と申しましても、これは三百万人になんなんとする方について賃金スライド的な要素でございますから、事務的にも全部同じでございまして、よりかえってむずかしくなるんじゃないか、かように考えておるわけでございまして、私どもは賛成いたしかねます。
  167. 渡辺武

    ○渡辺武君 次に、労働大臣に伺いたいと思いますが、失対賃金の問題ですが、先ごろ一九・二%引き上げられました。しかし、それでも日額わずか千七百二十八円。月二十二日働くとして三万八千三十四円です。これでは平均家族構成二・二人の生活を維持するということは非常に……
  168. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  169. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。
  170. 渡辺武

    ○渡辺武君 それでは、いまの物価の問題に先に入りたいと思います。  御承知のように、中部電力の平均七七・七四%を先頭にして、九電力各社が、平均すると六二・八九%もの大幅な料金引き上げを申請してきております。これは、若干は家庭用の電灯料金については引き上げ率を緩和するなどの措置はとっておりますけれども、それにしても、家庭に対する影響はもとよりのことですが、物価全体に対する影響は非常に大きいと思います。この値上げの申請について、通産大臣としてはどういう措置をおとりになるのか、伺いたい。
  171. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 申請が出ましたので、いま審査を開始したところでございますが、いずれ法の手続に従って公聴会を開く等、諸般の手続を進めて、まあ私の考えでは来月の中、下旬ぐらいまでの間に決断しなければならぬと、そう思っております。
  172. 渡辺武

    ○渡辺武君 大体値上げの率はともかくとして、値上げを認める方向らしいという観測が非常に強うございますが、どうですか。
  173. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 経理の内容を概括聞いてみておるところによると、原油の値げが非常にありまして、経理関係で非常に苦しくなっておるので、値上げはある程度認めざるを得ないであろうと思います。
  174. 渡辺武

    ○渡辺武君 これは電気料金だけでは私はないと思うんです。たとえば、ガス料金の引き上げの問題も問題になっております。また、運輸省関係では私鉄、タクシー、それからちょっと時間もあるでしょうけれども、国鉄運賃の引き上げ、それから農林省関係ではやはり米価の問題がまだ凍結状態になっておるという状況であります。それに加えまして、農産物の国際価格の大幅な値上がり、それからまた飼料や肥料や、あるいはまた農機具などの大幅な値上がりというようなこととも関連いたしまして、この農産物の今後の値上がりというのが非常に懸念されているわけであります。で、各省の担当の大臣に、これらについての現状とそれから見通し、これをぜひ伺いたいと思います。
  175. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) ただいまお話のございました国際価和でありますが、これはなかなか見通しもつきがたいのでありますが、私ども農産物に影響のあります飼料穀物等は、これは一昨年は非常に国際的に異常な状態だったんですけれども、昨年もことしも引き続いてアメリカもソビエトロシアも天候はよくて、たいへんな豊作であると、したがって、にわかに下落ということは期待もできませんけれども、価格は大体弱含みで推移しているんではないか、そういうことを踏まえてやっておるわけでありますが、政府、私ども農林省の介入いたしております農産物価格決定のときには、いまの輸入物資等が非常に高騰いたしておりましたときでありますので、そういうものが若干価格にはね返ってきておることは、乳価、豚価等、それから本日きめますビート価格等についてもそういうことを盛り込んで価格が大体決定されておると、こういう状況であります。  それから石油、電力等でありますが、石油は、農産物につきましては、直接使っております、たとえばハウス園芸のキュウリ、トマトみたいなものは大体生産費のうちの五%ぐらいを占める、これが一番大手でありますが、あとは計算してみると大体一%そこそこの影響であるようであります。したがって、私どものほうの価格といたしましては、いま申し上げましたようなことで推移していくんではないか、やや高含みで推移してまいるんではないだろうかと、このように考えております。
  176. 渡辺武

    ○渡辺武君 肉類や、それから乳製品ですね、この辺についてはどういうお見通しですか。
  177. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 乳製品は、先月末に保証価格を決定いたしました。その影響も若干あるかもしれませんが、つまり、片方の市乳と加工原料乳との価格は歴年非常に価格差が出てきておりましたが、大体やや詰まる傾向でありますが、こういうものにも若干の影響はあります。それから豚、鶏等につきましては、御存じのように大体横ばいでございますが、これは若干生産が多いということもありまして、頭打ちであります。それから牛肉につきましては、これも大体価格としては横ばいの状況であります。
  178. 渡辺武

    ○渡辺武君 今年度の生産者米価ですね、いまの状況では相当大幅な引き上げという声が出ておりますが、その辺はどうお考えか。また、消費者米価について、いま引き上げを引き延ばしているわけですけれども、おそらく現在の状況で行けば、凍結解除のときにはいままでの率よりもかなり大幅な引き上げということになるのじゃないかというようなことも言われております。その点はどうでしょう。
  179. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 消費者米価は、御存じのように、四月一日から上げることになっておりましたけれども、今日のような経済状況でございますので、物価抑制等の考え方もありまして、政府の方針で九月三十日まで据え置くということになっております。この方針をいまのところ政府は変更する意思は持っておりません。  それから本年の生産者米価でありますが、これは、決定すべき基礎資料等もまだ集める時期でもございませんし、かたがた、そのころになりますれば、どういうふうに物価の傾向が動いてまいりますか、なお、決定にあたりましては御存じのように米価審議会の意見を尊重するということになっておりますので、いまのところ何とも判断もできかねておる次第であります。
  180. 渡辺武

    ○渡辺武君 運輸大臣と通産大臣、先ほど申しましたが、ガス、運輸関係。
  181. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 地方ガスにつきましては、全国で二百五十業者でございますが、値上げ申請しているものは四月九日現在で四十二業者であります。これらの理由は、資本費、労務費の上昇に加えて、最近燃料代の急騰によって著しく経営が悪化したということであります。一方、ガス事業は大体全部ほとんどが中小企業で、二百五十のうち九六%の二百四十が中小企業であると、そういう点も考慮し、安定供給を長期にわたって保障するということも必要でありますので、必要やむを得ざるものについてのみ価格の上昇、料金の値上げというものも限定的に認めていかざるを得ないと思っております。
  182. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 国鉄に対しましては、この間御審議をいただきまして半年間延長のお願いを提案いたしまして可決していただきました。それ以上のことはいまのところ考えておりません。それから私鉄につきましては、ただいま運輸審議会において検討をいたしてもらっておりますが、これは四十五年の十月に前回上げております。で四十七年に申請が出まして、申請が出てからもう二年たったわけでございますけれども、しかし、公共料金を極力抑制するという立場でいままで押えてきております。まあ運輸行政のことでございますから、安全の質、量、そういうものまで影響を与えるということになりますと、これは個々の実態を十分審査いたしまして善処いたしたいと、かように考えております。
  183. 渡辺武

    ○渡辺武君 大臣は私鉄運賃の値上げについてはかなり積極的な態度だということが新聞などには盛んに書かれております。その点重ねて伺いたい。もう一つ、タクシー料金については、これは暫定料金になっております。これは今後どうなさるおつもりか。
  184. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私鉄につきましては、私は決して積極的ではございません。非常に慎重論者でございまして、関係閣僚とも相談して十分慎重に配慮いたしておりますけれども、ただいま申し上げましたように、個々の実態を十分見きわめた上で、いま審査がなされておりますけれども、これはやはり交通のことでございますから、安全の問題にまで意欲を失うようなことがあってはならぬというようなことを私は非常に心配しているわけでございまして、料金の引き上げにつきましてはきわめて慎重でございます。  それからタクシーは暫定運賃でいまやっておりますが、あくまで暫定でございますけれども、これは四十八年度の、今年度の決算を十分見きわめた上でこれの処理をいたしたいと、かように考えております。
  185. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理大臣と経済企画庁長官に伺いたいと思うのですが、いまお聞きのとおり、公共料金の料金改定の申請が軒並み出てきているという状況だと思うのです。石油の大幅引き上げに加えて、この公共料金の一せい大幅な引き上げの動きというのは、これは非常に重大だと私は思います。これは、電気料金の引き上げの消費者物価指数に対する寄与率が〇・何%だとか何とかというような、こういうようなことでは私は考えられない問題だと。と申しますのは、昨年のあの経験でもわかりますが、石油を中心とした売り惜しみ、大幅価格引き上げが、これがあの物価狂乱の引き金になった。もういままでの経験からする寄与率何%などというものは、とうていものさしにならぬというような事態になってきているわけです。この電気料金など公共料金の引き上げに対して、物価を安定させるという見地から、どういうふうな立場でお臨みになりますか。この点まず伺いたい。
  186. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) たびたび申し述べておりますように、極力抑制するという態度をもちまして慎重に対処をいたしております。でございますから、たとえば私鉄運賃をとりましても、運輸大臣のお話がございましたように、一昨年から申請がなされておりましたのを、渡辺さんからお話のような昨年暮れからの状況もございましたので、国鉄とともに押え込んでまいりました。ガスなどにつきましてもまことに同じ事情で、十年以上も押え込んでいるというような状況でございます。もちろん、これは公益事業とはいえ、これを永久に二年も三年も押えてまいりますと、たびたび申し述べますように、資源配分を妨げてその事業が崩壊する、運営が不可能になりまして、国民生活にいろいろな影響を与えますので、一方において総需要の抑制を継続しながら、全体の物価を鎮静をさせながら、その中に吸収をしていくというようなやり方を私はとるようにいたしておるわけでございます。査定にあたりましては、関係大臣の査定のほか、経済企画庁といたしましても、できるだけこれを企業努力の中に吸収させるという、二重チェックといいますか、クロスチェック方式などをとりまして、再び石油価格狂乱のようなことが起こらないように万全の配意をいたしてまいる所存でございます。
  187. 渡辺武

    ○渡辺武君 ちょっと総理大臣、いまの経済企画庁長官の御答弁いただいたそれを踏まえて、あらためて伺いたいと思いますが、政府は物価安定は最重点政策だということをかねがね言ってこられた。また公共料金は極力引き上げはしないように努力するんだということを言ってこられた。ところが、いままでの経験によりますと、口ではそう言いながら、しかし公共料金の引き上げの申請が出ますと、結局のところ、資源配分がうまくいかないとかなんとかというような理屈をつけて認めてきたというのが私は実情だと思うんです。公共料金というのは、これは別のことばで言えば、政府介入物価だと言って差しつかえない。政府の政策が非常に決定的な影響を及ぼす物価の範囲だと思うんです。したがって、公共料金についてどういう態度をとるかということは、物価問題に対して政府がほんとうに真剣な態度をとっているかどうかということをはかる重要なものさしになると思うんです。いまの物価狂乱の折に、この公共料金の一斉大幅な引き上げ、これを阻止して、少なくともここ二、三年くらいは公共料金の引き上げは政府の努力によってやめるというくらいのことを私はやるべきだと思いますが、どうですか。
  188. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 物価安定をはかっておる過程において公共料金が重要な問題であるということば、理解をいたしております。政府は、公共料金の抑制に努力をしてきたわけでございます。ですから、昭和九年から十一年平均に比べて、鉄道運賃は三百倍程度に押さえられておるわけでございます。しかもまた私鉄運賃も、二年も前に申請したものでございますが、いままで押え込んできたと、こういうことでございまして、政府公共料金に対して相当な強い姿勢を持っていることは事実でございます。  しかし、公共料金といえども、これはやはり税金負担するか、応益負担になるかということでしかないわけでございます。そうでなければ、電気事業者は一切月給を上げないで済むわけはありません。それはそういうわけにはいかないんです。ですから、国民税金でまかなうということには問題がありますから、結局は、公害を起こさないように重油からナフサをたくというような場合にどうするかという場合には、それに対して特例措置を法律でもってきめてもらって、税制上の恩典を与えるというようなことをいろいろやっているわけです。しかし、燃料が三倍にも四倍にもなるというようなそんな状態でございまして、とてもそれは吸収できるものじゃありません。そういう意味では、とにかくしさいに検討しまして、真にやむを得ないものは、これはやはり応益負担でもって消費者に負担をしてもらうということにならなけりゃ、これはどうにもなりません。だからそういう意味で、非常に抑制をしておりますが、ものには限度があるということでございまして、限度をこして政策を行なうわけにはまいりません。そういう意味で、真にやむを得ない状態とはいかなる数字であるかということで、いま精査を行なっておるというのが実情であります。
  189. 渡辺武

    ○渡辺武君 それでは物価安定を最重点施策にするということには私はならぬと思うですね。物価安定を最重点施策にするというのだったら、まず上げないということを前提条件にして、上げなければいろいろな問題が当然起こってきますよ。それについて政府がどういう政策をやっていくかということになるのが私は当然だと思う。いまの総理大臣のおっしゃることを伺っておりますと、私はどうもその辺がまことにあいまいもことしていると思う。どうなさいますか、それじゃ。物価をやはり最重点施策としていくという点に徹しますか、徹しないんですか。
  190. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 物価を最重点施策にやっていることは事実でございます。それかといって、できないことをやろうといってもそれは無理です。物価が最重点でございますから、春闘があろうがなかろうが賃金は全部ストップだということはできますか。それは、できないことはできないので、賃金は必要であればこれはやっぱり是正しなけりゃならぬじゃありませんか。
  191. 渡辺武

    ○渡辺武君 賃金のことを言っているんじゃない。
  192. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いや、同じことですよ。あなた、自分の立場でできない話ばかりしたってだめなんです。だから、税金は減税しなさい、二兆円じゃたいへんだと言ったけれども、二兆円減税もやりなさい、これでもまだ少ないくらいだ、賃金は二万円だ、三万円だ、五万円だ、やむを得なければストライキも認めなさい、そんなことでどうして一体物価が下がりますかということになるじゃありませんか。ものには限度があるんでしてね、そうでしょう。限度をこしてあなたが幾ら政府に求められても、それは無理だということですよ。だから、そういう取捨選択を十分して、ですから二年前から私鉄を押えているんですよ。私鉄もその間に二〇%、二五%と月給が上がっている。私鉄は六〇何%が賃金でしょう。賃金が倍以上になっておって、その間押えられている私鉄経営というものは、たいへんなことは言うまでもないんですよ。そして一日何百万人の人の命を預かっているんですね。ひっくり返ったらどうしますか。そうかといって、それは、じゃ税金私鉄にどんどんつぎ込むわけにいかないじゃありませんか。税金ではほんとうに、あなたがさつき言ったように、日の当たらない人、働けない人がおるんだから、そういう人に税金をやりなさいと、こう言っておるんでしょう。ですから、ものには限度があるんでしてね、弓弦の際限を破って新しい法則を出すような話じゃ、それはいかんともなしがたい。そういうことですから、そこらはひとつ誠意のあるところを理解してくださいよ。
  193. 渡辺武

    ○渡辺武君 いかんともなしがたいという御答弁は、私は全く国民立場からすれば、全くいかんともなしがたい答弁だなあというふうにしか感ぜざるを得ないですね。盛んに物価は最重点施策だと言いながら、この物価狂乱になったら、そうしたら、できないんだというような趣旨の御答弁ではあきれ返りますよ、実際のところ。  さて、それじゃほんとうにできないのかという点を問題として投げかけながら、今度の九電力中最大の規模を持つ東京電力の料金値上げについて伺いたいと思います。  先ほど通産大臣も石油価格の大幅な値上がりということを言われましたけれども、どのくらいの値上がりを見込んで今度のこの料金引き上げを申請してきておりましょうか。
  194. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 東京電力においては、いまいろいろ審査しているところでございますが、こまかい数字になりますので政府委員から答弁させます。
  195. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 申請の内容は目下審査中でございますから、詳細はまだ不明でございますが、燃料費につきまして五千三百七十五億円の必要経費を見込んでおります。昨年上期と比べますと、やはり三倍余りの申請内容でございます。   〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕
  196. 渡辺武

    ○渡辺武君 私、通産省からいただいた資料で計算してみますとね、四十七年度のこの東京電力の使った石油の重油換算の一キロリットル当たりの価格、四十七年度は七千七百六円、四十八年度は一万二千五百四十八円、それから今度の申請は二万七千六百七円と、こういうことになっている。そうしますと、四十七年度の価格に比べて三・五八倍という大幅な値上がりを見込んでいるということになりますけれども、その辺は通産省として適切かどうか、どうお考えでしょうか。
  197. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 目下内容を審査中でございますから、その数字自体の適否はお答えすることができませんが、一般的に申しまして、原油の価格の値上がり状況、あるいはそれによって生じた重油の値上がり状況からいたしますと、やはり全体として三倍あるいはそれ以上の値上がりがあったということは、うなずけるような気がいたします。
  198. 渡辺武

    ○渡辺武君 これは四十九年度の経営の見通しでやっているわけですが、今後のこの石油価格の値上がりの状況は、どんなふうに予想されておりますか。
  199. 熊谷善二

    政府委員熊谷善二君) お答えいたします。  今後の石油の価格につきましては、現在、メジャーから暫定価格としてまいっております価格に対する追徴分が個々に参っておるわけでございます。これはなお金額自体につきましてメジャー側と精製側との間の交渉が残っておりますが、情勢といたしましては、なお強含みの状況が今後もあろうというふうな判断をいたしておるわけでございます。  もっとも、他方におきまして、OPECの諸国におきましても、値下げの動きも全くないわけではございませんが、傾向といたしましては強含みで、今後さらに追加の要素があるのではないかという点は否定できないかと考えられます。
  200. 渡辺武

    ○渡辺武君 東京電力は、この四十九年度の石油価格の計算にあたって為替相場は幾らぐらいに見ておりますか。
  201. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 申請によりますと、三百円を積算としておるようでございます。
  202. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま、円は一ドル約二百八十円台というのが普通だと思うのです。それからまた、ことしは、先へいけばいくほど円は高くなりはせぬかという見通しのほうが私は強いと思うんです。それが一ドル三百円で計算しているということになれば、その分だけでも製品価格の値上がりは過大評価ということになりはしませんか。
  203. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 私どもは査定をいたします際には、査定の前提となる原価計算期間における為替レートの見通しいかんということを事務当局内で十分詰めました上で、算定限拠といたしたいと思っております。
  204. 渡辺武

    ○渡辺武君 いろいろこまかく伺いたいのですけれども、いま言ったようなところが一つの大きな疑問点です。  同時にまた、私この間予算委員会の分科会で伺ったところによりますと、ミナス原油の輸入価格の値上がり、昨年の春に比べてことしの四月ごろにはまだ三倍くらいの値上がりにしかなっていない。しかも東京電力は、四十九年度にミナス原油級のものを圧倒的にたくさん使う、半分以上も使おうということで、ミナス原油の価格の動きというのが非常に大きな影響を与えるということがわかるわけですけれども、いままでで三倍程度、それが大体先ほど申しましたように三・五八倍も価格の上昇を見込んでいるというのは、どうもふに落ちない。便乗値上げの疑いが非常に強い。この点はどう思われますか。
  205. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) これまた査定の内容に入るわけでございますが、お話のございましたミナス原油のほかに、中近東原油につきましては四倍に近い値上げが行なわれておりますこと、また、ミナスの低硫黄分の重油につきましては特に値上がり問題が大きいというような事情、各種の油種につきまして今後の見通しを十分立てた上で査定をいたしたいと思っております。また、公害規制が今年から強化をされまして、それに対応するために一そうの低硫黄化が要請されているという事情もくみ取っておく必要があろうと思っております。
  206. 渡辺武

    ○渡辺武君 今後検討すると言われるので、いま申し上げたような点を十分に考えて、厳密に検討していただきたいと思う。こんな大幅な料金値上げをやられたら、国民生活も国民経済もたまったものじゃないです、これは。これを許せば東京電力は大幅な増益になりますよ。私はそう思うんです。  しかし同時に、政府の努力としても、私は関税を除いたガソリン税、軽油引取税など石油関係の諸税が、四十九年度ではおそらく税収一兆三千億円を予定していると思いますけれども、これを大幅に引き下げるか、あるいはまたなくすということによって、石油価格を大幅に引き下げるということをやりさえするならば、電力料金の値上げというのはやらなくても私は済むと思うのです。その点はどういうふうにお考えでしょうか。
  207. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 石油関連税収入を減らすということになりますれば、これは御説のようなことになりますが、そういうことをした場合に、この財源欠陥を一体どうするか、こういう問題がある。共産党からは会社の増税をすればいいじゃないかど、こういうことをいわれておる。しかし、それが簡単にできる問題じゃありません。会社にそれだけの負担力があるわけじゃありません。そういうことを考えますと、理屈はいろいろ言われますけれども、現実的な財政運営といたしまして、石油関連諸税を廃止する、あるいは軽減するということは、これは妥当ではないと、かように考えております。しかも、わが国の石油関係税は非常に低率なんです、これは。一バーレル三ドル程度です。国際社会じゃ十ドル以上を取っておるんです。そういうような状況で、税の体系としてもこれは妥当な税である、かように考えております。
  208. 渡辺武

    ○渡辺武君 それごらんなさい。物価の安定を最重点施策とするんだといっておきながら、問題が起こってくると、やれ道路関係の財源が云々というようなことでやろうとしない。そこに私は政府の姿勢があると思うんです。この問題はもう少し詳しく論議する場を持ちたいと思いますから、次に移ります。  次に、東京電力の出しております「電気料金改定の申請について」というものの七ページに総括原価表というのが出ております。そこに先ほどのお話のあった燃料費も計上されておりますが、同時に、燃料費に次いで大きな項目として資本費というのが計上されておりますけれども、この資本費というのは一体何でしょう。内容を言っていただきたいと思う。
  209. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 東京電力の保有しております資産に対する償却費及び東京電力の資産に対する報酬、これが合計されたものであろうと思います。
  210. 渡辺武

    ○渡辺武君 資産に対する報酬というのは何ですか。少し説明していただきたい。
  211. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 電気料金の算定にあたりましては、資産に対する一定の報酬率をその原価計算の中に算入をするというやり方をやっておりまして、これは欧米各国とも公共料金算定のための一般的な方法でございます。電気事業の料金算定基準によりますと、有効真実な資産に対して八%の報酬を与えるということが定められております。
  212. 渡辺武

    ○渡辺武君 この資産をつくるには、自己資本と他人資本が動くと思いますが、自己資本、他人資本について、何%ですか。
  213. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 総合いたしまして、八%というやり方をやっております。
  214. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、この資本費というものは、これは配当に充てる予定のものと、それからまた支払い金利、これに充てる予定のものと、こういうふうに理解していいですか。
  215. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 自己資本の場合でございますと、資本に対する配当、それから他人資本の場合には借り入れ金に対する金利、これがおもなものでございます。
  216. 渡辺武

    ○渡辺武君 もう時間があまりなくなったから、詳しくは申し上げられませんけれども、東京電力が昭和三十六年に料金改定を行なったときも、この資産に対する八%という資本費を含ましている。ところが、つまり別のことばで言えば、配当も約八%、金利も約八%ということで、この料金を計算している。ところが、現実はどうだったんだろうか。いま私はここに大蔵省の発表している法人企業統計を持っておりますけれども、昭和四十七年のこの売り上げ高営業利益率を見てみますというと、電力九社は実に一八%、ほかの産業に比べても最高です。もう不動産業も、自動車産業も、とうてい足元にも及ばないような高収益を続けてきたというのが私は実情だと思うんです。しかも、いままで一割配当だということを言っておきながら、実際は増資のたびに二〇%の無償新株を割り当てている。だから、事実上の配当は一割ではなくて、額面どおりで言えば一二・五%、ただでくれているのを含めば、二割五分以上もの高配当をやってきたというのが私は実情だと思うんです。その上に、ばく大な内部留保を持っております。こういうことを今度の料金値上げに含まして、国民からしぼり取ろうということではないかと思いますが、その点通産大臣どう思われますか。
  217. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 東電の場合は、総資本に比して相対的に低い、売り上げ高に対する利益率は。全産業に比して利益率は高くなっておりますが、しかし、これは固定資産を多く有する電気事業の性格によるもので、総資本に対する収益率を見れば、全産業が四十七年下期三・八七%に対して、東電は二・七三%となっておって、必ずしも高水準のものではありません。また、繰り越し金として百六十八億円を保有しているほか、引き当て金として、退職給与引き当て金七百三十三億円、原子力発電工事償却準備引き当て金二百六億円を保有しており、四十八年度下期決算においては相当の収支悪化が予想されるため、これらの繰り越し金及び取りくずし得る引き当て金は取りくずしを余儀なくされるものと考えられております。   〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
  218. 渡辺武

    ○渡辺武君 もう時間が来ましたので、労働大臣に先ほど御質問しようかと思いましたが、いらっしゃいますか……。
  219. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  220. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。  簡潔に願います。
  221. 渡辺武

    ○渡辺武君 労働大臣に伺います。  いまの、労働者の大きなストライキの中で、特に、いわゆる弱者救済という問題が重要な闘争課題になっておりますが、その中で、失対労働者や、開就、緊就の労働者の賃金の状態は、特別にこれは深刻だと思うんです。特に、失対労働者の場合は、四月に若干の改定がありましたけれども、とうていこれでは食っていけないという状況でありまして、一日一千五百円のアップの要求が出ております。この点は、ぜひ実現さしていく必要があると思いますが、その点を伺いたい。それから開就、緊就の問題でも、いま単価が低いために、入札があっても落札、応札しないという実情で、労働者は失業状態という深刻な状態であります。この点も至急に解決する必要があると思います。その点、意見を伺いたい。  もう一点、これは先ほどの通産大臣の御答弁に関連してでありますが、売り上げ高営業利益率で私は申しましたが、売り上げ純利益率をとってみましても、電力各社は各産業のトップクラス、ものすごい超高収益産業なんです。しかも、内部留保は、二千二百九十六億円も昨年の九月期決算で積み上げているという状況です。こういうことを許しておいて今度の大幅料金値上げ、これはとうてい国民としては私は納得できないと思うんです。この点も十分に検討していただきたいと思うんです。特に、無償新株に対して、ただでもって株を割り当てて、これれにまた一割配当をつけている。こういうものは全部なくすべきだと思う。それからまた、大株主十一社、これが東京電力の株の二六%近くを握っている。この大株主に対しては一割配当もしばらく遠慮してもらうという措置をとるべきだと私は思います。内部留保についても、これはもうあまり積み過ぎている。だから……
  222. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 渡辺君、時間ですから、簡潔にお願いします。
  223. 渡辺武

    ○渡辺武君 法の許す範囲で、できる限りこれは圧縮すべきだと思う。その点、あわせて御答弁いただきたい。
  224. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 総資本に対する利益率等は、ただいま申し上げました。また、内部留保につきましては、今回の決算において、やむを得ざるもの以外は吐き出さざるを得ないであろう、そういうところへ追い込まれております。
  225. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 先ほどは失礼しました。  失対就労者の問題については、私たちもことし一九・一%上げてもおりますし、ちょっと数字を申し上げますと、大体二十二日で三万八千三十四円、それから失業保険で四千六百四十円、そのほか臨時の賃金で四千七百五十四円で、一カ月四万七千四百二十八円、こういうことになっておりますので、お苦しいと思いますけれども、いまから先の問題としては、いろいろ考えてみたいと……。  それから緊急就労事業について、なかなか落札ができないというお話がありましたけれども、これは各町村が請負業者と契約をしておりまして、ほとんど大部分が三月下旬に入札を行なって、完了しているということを報告を受けております。
  226. 渡辺武

    ○渡辺武君 欠損覚悟でやってるんですよ。
  227. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) そういうこともわかっております。
  228. 渡辺武

    ○渡辺武君 終わります。
  229. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) それでは、これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  230. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 青島君。
  231. 青島幸男

    青島幸男君 私は、第二院クラブを代表いたしまして、若干の質問を試みたいと思います。  当委員会におきましても、国民の最大関心事でございます物価の問題につきまして集中的に論議が行なわれました。そのことは当然かと思います。しかし、最近の世情の物価の狂乱的な高騰あるいは悪徳商法の横行というようなことでたいへんに国民は悩んでいるわけですけれども、こういうことの背後には、政府と企業が癒着していることから起因することが幾つかあるんではなかろうかというような疑念が一般国民の間にもわき起こっているということも事実だと思いますけれども、この辺のところを総理はどういうふうに受けとめられているかというところからお尋ねしたいと思います。
  232. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 政府は、国民のために産業政策、経済政策をやっておるのでございます。また、産業経済というものは国民生活に不可欠な問題でございます。政府は公の立場行政権を行使をする立場にございまして、産業と癒着をしておるというようなことはございません。
  233. 青島幸男

    青島幸男君 総理が確信を持ってそのようにお述べになることは責任者として当然であると思います。そうあってほしいと思います。国民のだれ一人としてそれに疑念を差しはさまないというようなことであれば、たいへんけっこうなことだと私も確信いたしております。  質問の方向をちょっと変えますけれども、人事院にお尋ねをいたします。国家公務員法百三条第二項というのはどういう趣旨できめられておりますか、その点を明らかにしていただきたい。
  234. 島田巽

    政府委員(島田巽君) 第二項に規定しておりますのは、一般職の国家公務員が離職前五年間に在職しておりました地位とこれから就職いたそうという地位とが密接な関係にある場合には二年間就職を禁止するということでございます。その密接な関係と申しますのは、その省庁が就職する先の企業に対して直接に許認可権を持っている、あるいはまた監督、監査の権限を持っている、さらにまた工事などの契約、あるいは物品の納入、それらの関係がある場合をさしているわけでございます。
  235. 青島幸男

    青島幸男君 まさにそのとおりで、行政立場におる者が私企業と癒着をするというようなことの疑いを持たれるということは非常によくないんで、それを避けるために法制化してあるわけですね。一部では、そこまできびしくしなくてもいいんではなかろうか、むしろ憲法二十二条で保障されているところの職業の選択の自由を侵す部分もあるんではなかろうか、あるいは有為な人材を二年間も浪人さしておくというようなことが事実上行なわれるんで、多少むだがあるんではなかろうか、そこまで悪者扱いして考えることはないんではないかというような考え方もありますけれども、その点に関しまして、この第百三条二項の規定について総理はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  236. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 公務員として特殊な任務につくことを前提として就職したわけでございますから、そのときには、この法律、公務員法の規定があることを承知をして入っているわけでございます。ですから、この法律の条文を十分に守っていかなきゃならないということも事実でございますし、またその後、退職後人事院の承認がなければ就職はできないという制限のあることも事実でございます。これはやむを得ないことだと思いますが、しかし、この法律の条文をつくるならば、それなりに私は国家補償という規定が前提になるべきだろうと憲法上やっぱり非常に当を得ない面が出てくると。それはいかなる場合でも大前提は憲法の規定です。憲法の規定というと、職業の選択の自由、こういうものです。それが、管理職のゆえをもって一つの制限を受けているというなら、そういう期間、二年だったら二年は在職中と同じような俸給を与えるとか、身分と給与の保障というものがなくて制限をしているというところには、これは私は問題があると思います。法制上問題があると思います。国民の基本的な権利という面から言うと問題があると思います。しかし、国民の利益を守るという立場からの公務員制度でございますから、そういう意味で、まあ公務員が多少身分的にも、また職業選定にもワクをはめられておる。これは現職の場合にはいろいろな制約があるわけです。だから、そういうことで、これらの調整の問題は、まあこれから議論をだんだん積み重ねていくことによって、やっぱり制度上も完ぺきなものにしなければいかぬだろうと、こう思います。現在のように公務員制度の中で、公務員になるときにはもう承知してなったんだろうと。そうすれば、まあ五十から五十五歳ぐらいまでの人生一番大切な時期に二年間も遊ばせられたって、それは承知で入ったんじゃないかと言えば、これは身もふたもない話でございましてね。公務員が天下りというようなことばかり、その面からだけ議論されておりますが、私はやはり公平な目で見て、公務員も人の子でございますし、国民の一人であることも事実でございますし、懸命な努力をして一生やはり国民のためにと思って努力をしてきた人たちでございますから、やはり制限を行なう場合には相当の補償があってしかるべきだという考えを強く持っております。
  237. 青島幸男

    青島幸男君 この法律自体のあり方について、いまいろいろ総理からお話もありましたし、お考えも伺いました。私も納得する部分はかなりあります。しかし、いずれにいたしましても、この法の意味するところは、その権力と企業というようなものの癒着があってはならない、少なくともそういう疑いを一般国民に与えてはならないというところから、かなりシビアに規制がされておるのだと思うのです。その点には総理も御異論はないと思います。
  238. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) その職務や地位を利用して自分の栄達をはかったり、再就職ができるあらかじめ予備的な行為を行なったり、いわゆる公、権力の乱用を戒めておるということが大前提でございます。
  239. 青島幸男

    青島幸男君 私もそのとおり認識しております。  それではまた方角をかえますけれども、防衛庁にお尋ねいたしますか、主要装備の発注先——こまかいことは要りませんけれども、航空機、艦艇その他戦車などでけっこうですけれども、発注先を明らかにしていただきたい。
  240. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) いつのやつですか。
  241. 青島幸男

    青島幸男君 前年度でけっこうです。
  242. 山口衛一

    政府委員(山口衛一君) 四十八年度におきますおもな装備品の発注先を簡単に申し上げます。  最初に御質疑がありました航空機関係でございますが、四十八年度は、先般三月末におきまして九十八機契約をいたしました。そのおもなものを申し上げますと、戦闘機でF4EJ二十四機、これはプライムは三菱重工業でございます。その次に対潜硝戒機P2Jでございますが八機、これはプライムは川崎重工業でございます。次に対潜飛行艇PS1一機、これは新明和工業。救難飛行艇PS1改で二機、これは新明和工業。対潜ヘリコプターHSS2六機、これは三菱重工業でございます。  その次に陸上関係の装備品でございますが、六一式の戦車六十両、これは四十八年度で終わるわけでございますが、これはプライムは三菱重工業でございます。その次に七三式装甲車三十四両、これは三菱重工業と小松製作所がそれぞれ三十四両につきまして分割契約をいたしております。  次に艦艇でございますが、艦艇につきましては、継続費関係の護衛艦二隻、潜水艦一隻は三月末では契約を次年度に繰り越しましたが、二年ないし三年の国債艦艇におきましておもなものは、一つは輸送艦、これは大型でございますが一隻、これは石川島播磨重工業でございます。その次に中型掃海艇二隻、これは一隻が日立造船でございます。  大体四十八年度に契約をいたしましたおもな装備品の発注先は以上でございます。
  243. 青島幸男

    青島幸男君 かなりばく大な金額にのぼる契約だと思います。そのほか運輸省につきましても、通産省につきましても幾つかの質問を用意いたしまして、企業と省との関係を明らかにしたいと思いましたが、前に立ちました質問者の発言などを伺いまして、おおむね了解したところもございますので、重複を避けるために、その質問については避けますけども、いずれにいたしましても、ばく大な金額の契約関係あるいは許認可の権限というものを各省庁が持っておるわけです。で、先ほど人事院の見解まで私はお尋ねして明らかにしたように、特別国家公務員というのは国家公務員法の適用を受けないことは私も承知しておりますが、少なくとも特別国家公務員も国家公務員に準ずるような身の正しさを証明するようなあり方が必要だと思うんですけども、少なくともこの許認可の権限だとか、あるいは契約というものの権限を持つその主務大臣あるいは閣僚の存在する政党に、こういう企業から、たとえ国民協会を通じたにしても、寄付を受けているということは、国民からさまざまな疑念を持たれてもいたしかたがないんではなかろうかという見解を持つんですが、その点いかがお考えでしょうか、総理
  244. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは毎度の国会論議をすることでございますが、これはまあ政党が直接受けてはいかぬということで、国民協会というもので——まあ政党か直接受けると、とこの会社から拠出されたかということがわかりますから、だからもう全然政党は関係をしない協会が設立されて、その協会が一括して拠出を受けると。ですから、どこから幾ら拠出を受けたかわからないと、こういうことにしておるわけでございます。  まあ政治資金というものに対してどうかというと、これ、なかなかめんどうな問題でございまして、民主政治というものは、国民のための国民が行なう政治ということでございまして、これは国民の権利としては、御承知のとおり、選挙の運動をするということも、政治に対して関与する国民の権利でございますし、それから政治資金を拠出するというのも国民の権利でございます。投票権を行使するというのは国民の直接権利でございます。そういうものを観念的な問題だけでもって解決をするということになると、一体どうするのかということになるわけです。そうすると、まあ公費でやると、公営の拡大ということになるわけです。公営の拡大といったら、これはもう官営選挙と同じことであって、これにも弊害がたくさんある。まあ長い歴史を経なければなかなかいい制度は出てこないと思うんです。ですから、あなたがそういうことを御指摘すれば、まあいろいろな角度からいろいろなことが言われると思いますが、許認可を得ておる企業といったら、もうほとんどの企業というのは大体そうだと思うんです。そうすると、企業からの政党に対する拠出は、これを禁止をすべきだという議論になるわけです。そうすると個人がということになります。で、まあ個人ということに対しては所得税法の中に特例がございますが、しかし、そういうものに限定をするとすれば、相当制度上も確立をしないと民主政治そのものが根底から破られるということにもなるわけでございます。そういう意味で、皆さんが間々御発言なさる企業の政党に対する拠金問題ということに対しては、これは自民党も考えておりますし、いろんな政党も考えておるであろうと思いますし、国民各位もいろいろな面からお考えをいただいておるわけでありますが、これに対してほんとうに結論を出すというにはいまだしという状態だと率直に申し上げておきます。
  245. 青島幸男

    青島幸男君 せんだっての集中審議の際に、企業の代表が証人として御出席なさるか、あるいは参考人として御出席なさるかということで、かなり議論が分かれまして、何度も審議がストップをしたりしたこともございました。しかし、そのことから推しましても、一般国民は、ふだん寄付を受けているから、その人を証人として呼ぶことはできないんではなかろうかというような疑念をやっぱり持っているわけですよ。  それからもう一つは、今度電力の料金も値上げになる、私鉄運賃も値上げになるというような方向にきまりつつあるようですけれども、私鉄からも電力からも国民協会を通じてお金が入っている。そうすると、何にも知らないというか、一般の国民は、ふだん寄付を受けているから電力の料金の値上げを認可するんであろう、ふだん寄付を受けているから私鉄運賃値上げも認可をするんであろう、そういうようなふうに考えているといたしますと、総理のお立場ではどのようにしてこの疑念をお晴らしになるおつもりですか。
  246. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは、あなたの言うように、そんなに考えていませんよ。それはあなたがそういうお考えで、特別な角度から特別なものさしをもってお考えになられておりますけれどもね、やっぱり制度の上で、企業も個人と同じなわけです。権利があるわけです。法律上も認められておる制度の中で政治資金を拠出をするということに対して、金をもらっておるから電力の料金を値上げするんだろうなどと考えている人はないと思いますよ。それよりも、三十六年から十何年間もよくまあ値上げをしなかったなと、その間に二割ずつも月給を上げてきておって、どうして一体とにかく電気料金を値上げしなかったんだと、もう去年からことしにかけては石油料金は三倍半にもなっておる。ナフサを使い、低硫黄のとにかくミナス原油をたき、これだけ公害問題にあらゆる投資をしながら、よくまあやってきたなと、よく自民党が押えているなと。それは自分の角度からだけで国民を律しちゃいけませんよ。それは国民はそういう理解をしてなかったら、自由民主党なんか選挙で飛んでしまっているはずですよ。それはもう皆さん野党の方々がとっくに政権を取っているはずなんです。十一カ月に一回ずつ全国的選挙が行なわれてきたんです。戦後十二回の総選挙、九回の参議院選挙、今度入れりゃ十回です。統一選挙は七回行なわれてきているんです。絶えず国会ではあなたと同じような発言をされているんです。ですから、制度上は公営も拡大をしてまいりましたし、所得税法にある政治資金を個人的にやるというものを、制度的にとにかく年間の所得の一〇%以内であるならば、これはもう企業に対して認めたと同じように、社会保障に出したい人は社会保障に、政治資金を出したい人は政治資金にと、こういうことにしようかというところまで考えたこともあるんです。  しかし、それは政党や内閣だけが考えちゃいけないので、とにかく第三者に考えていただこうというんで、二十何年間もかかって日本の最も地位のある人たち、常識的な人たちに委員になっていただいて、しかもその中には政党の代表も入ってもらってやったんですよ。それで政治資金だけで結論が出ないんだと、それはもう制度の問題も全部合わせてこうあるべきだという答申を受けているわけです。その答申を土台にして国会政治資金規正法の改正案は出すと、出しても何回も何回も審議未了であるということでございます。じゃもう最後に、しょうがないから手直しを全然しないで、答申いただいたものをそっくりお出ししょうとしたら、その中には小選挙区があるから出すことはまかりならぬと、こういうことでありますから、これは非常にこまかい配慮をしておると、このぐらい明快なお答えをしているわけですから、まああなたのお気持ちはわかりますよ、それはそういうようなあなたの立場でのお気持ち、国民の間にはそういう声もあるということはよく理解をいたしますが、しかし、現実に民主政治をこれから育てる、後代にまで続く日本の民主制度、議会政治、議会制民主主義を育てる過程におけるお互いの悩みというものは、やっぱりこうお互いが議論をしながらも前進を続けていくということでなければならないと、こう考えます。
  247. 青島幸男

    青島幸男君 先ほど人事院の見解をただしたのも、私は総理と法律的な論争をここでしょうというわけではございませんで、ただ道義的な問題として、みずから姿勢を正していかなければいけないのではなかろうか、そういうことからすれば、いまあるような方向を漸次解除していくような方向で御検討になるような立場がなければいけないのではなかろうかということを言っているわけです。
  248. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) それは、いま申し上げたように、私のほうの政党がつらいこともあります。あなた自身がつらいこともあります。野党には手きびしくつらいことがあっても、そういうものを全部まとめて前進をしようということでなければならない。これは個人に対して、ある意味からいうと、個人及び企業等の政治資金の拠出というものが無制限であってはならないから、これに対して一つのワクをはめようという考え方もあります。まず個人と政党というものを考えると、これはあなたはまだ政党にしぼっておられるようですが、長い歴史の中で検討された課題には、個人が政治資金の名において受けたものでも他に流用してはならないということで、個人は押えなければならない。政党というものは——議院内閣制は政党政治です。政党に拠出されるものを禁止をしておるのは、第三国から——これは主権に関する問題を前提として、第三国から政治資金を受けてはならない、こういう規定があります。これは法律上制限を受けているわけです。これは罰を加えられるわけであります。  しかし、国民が企業及び個人を問わず、政治資金の拠出をするということは、国民の権利の行使である。これを抑制するということは、感覚やその他でもって抑制してはならない。国民の権利の制約は非常に厳密な立場でなければならない。特にそのために、四年ごとに衆議院は総選挙を受けなければならない。参議院は三年ごとに半数改選という通常選挙制度がとられているのです。ですから、国民というものが判断をして、みずから一票行使において、そのような国民に指弾をされ、ひんしゅくを買うような、また評価を軽からしめるような行為を行なっておるとすれば、国民が直接判断することになっているのです。制度的救済ができるようになっております。それはもう二十年も三十年も続けようと思っても、選挙の洗礼を経なければできないようになっているのです。ですから感じの上だけでこうしなければならないということには、にわかに賛成できないのです。ですから、私は、今度は私も勤続二十五年を過ぎましたので、何も私が選挙法とかなにを言っているんじゃないんですよ。これは各党の代表もみんな入って、二十四年間、もう四半世紀という間検討を続け、第八次答申まで行なうというような、そのものを全部一括してテーブルの上に、国会の議題に供します、そうして国会にそれを判断していただく、それば政府の、審議会をつくったものの私は生命だと思っておったのですが、それもまだいま至らない、提出するに至らない、機が熟さない。出さないうちに大声をあげて指弾されておるようなときに、民主政治家は一歩下がって考えるべきだと、こういう考え方で私もがまんしているわけですから、そこらの苦衷もひとつ十分評価をされて考えていただかないと、これは、あなたが政府政府と言いますけれども、政治資金の規制をやられるなら、あなたが立法権を行使して提案されてもいいのです。私はよくそう言ったのです。何も多数党や政府でなくても、どうぞお出しくださればいいのです。唯一無二の立法府の議員としてお出しになればいいのです。ただ、政府に出せ出せといってあなた方がお出しにならぬのは、お出しになると多数党もすぐ出す、そうすると、どこかで決着をつけられる、こういうので、御自分の立法権の行使を行なわないで足かけ三十年の歳月を過ごしたということでございますから、そこらはひとつ十分国会の記録も御勉強いただきたい、こう思います。
  249. 青島幸男

    青島幸男君 国会の記録を御勉強いただきたいまで言われれば申し上げることもあるのですけれども、総理がおっしゃられたように、さまざま選挙制度審議会答申を受けておられますね。八次まで来ておりますか。その中で一番有名で、しかも与野党の間で一番の合意点に達したのは、第五次の選挙制度審議会答申でございました。これは野党側もほとんど原案と同じものを主張しておりましたし、それには特定会社の寄付の制限と、いま私がるる申し上げましたように、国と特別の関係のあるような何か疑いを持たれるようなところからはもらってはいけないのだ、特定会社の寄付の禁止というようなことまでうたい上げて、しかもこのときに佐藤前総理が、小骨一本抜かないとまで言われて、それを突きくずしてしまわれたのは、時の官房長官であったのですか、総理は。
  250. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) いや、違いますよ。
  251. 青島幸男

    青島幸男君 たしか、この選挙制度審議会の第五次の答申案が非常に理想的なものであったのに、これをぐずぐずぐずぐず言っているうちに、結局いまのような、だれも納得し得ないようなものをずっと守って押し通してこられておるわけじゃないですか、自民党は。
  252. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は、その経緯も承知しております。おりますが、第五次の答申だけというのは、そういうのはあなたのお考えなんです。自民党は自民党の考えがまたあるわけでしょう、これは。自民党もありますから、政府は、内閣の首班はかわっております。かわっておりますが、自由民主党であり、自由民主党の前身であることは間違いありません、大体答申をもらったのは。ですから、内閣は、それを五次案がいいとか、四次案がいいとか、都合のいいところだけとらないで、第一次から第八次答申まで全部ちゃんと前提として、その中には労働組合の問題もあるのですよ。それだけじゃないのです。いま政治活動をしておるでしょう、労働組合の名において。それで膨大もない資金の拠出を求めておるじゃありませんか。やっていることは何ですか、これは政治活動ですよ。  これに対して、それでは一つの問題として、政府政治資金規正法の立場から報告を求むべきであるという議論もありますよ。それで、あなたですから率直に申し上げますと、労働者が解雇をされたり、それからいろいろな法律的処置を受けますと、ある組合は何十億という補償をしているわけです。これは給与なんです。当然税の対象になるわけです。なるのですが、これは税を徴収しておりません、これは。それは、ある意味から言ったら、決算委員会で問題になるはずなんです。これ、二十年間といえば何百億にもなるのですから。しかし、それは政治資金規正法の問題の過程において議題になり、そしてなかなか結論が出なかった問題である。こういう問題に対しては国会であらためてその結論を出すべきであるという審議の過程がありますから、あえて税の対象にもしておらぬわけですよ。そういう問題は全部、過去二十五年の間には爼上にのった問題であります。それをただ感覚論からだけ言って、企業からの政党に対しての拠出、しかも政党側でこれは何びとが幾ら出したかとわからないようにしておるという、そういう制度をとっておるにもかかわらず、とにかくもやもやするから何とかそこだけでもやろうやという話には、これは政府立場としては——これは議員立法でもってお出しになることはこれは一向差しつかえありません。これはもう政府もつつしんでその案を検討さしていただくということでありますが、星霜二十四年間というものは無為に過ごしてきたわけじゃない。もうほんとうに、私がちょっと触れてもいやな顔をなさるような問題も、全部このテーブルの上の議題になっておることは事実なんですよ。皆さん、とにかく政党の代表として参加されたのですから、激論をしましたよ。しましたけれども、一応の問題は出ているのですから、そういう問題を全部爼上にして、ここらで足かけ三十年、考えましょうやということなら、私は、政党の間でも、どうぞ政府が関与しなくとも、これはもう議員立法をやってくださいというように、自民党を促してもけっこうです。  そうじゃなく、ただ自分に都合の悪いような話は全部別にしまして、自民党が憎たらしいというような、何とかして自民党がかわらないかなというような面からだけ指摘をされても、遺憾ながら、はいそうですかとは申し上げられない。これは私は自民党の総裁だから言うんじゃありません。これは国民の一人として私は申し上げるわけですから、そこらはひとつまげて御理解をいただきたい。
  253. 青島幸男

    青島幸男君 しかし、現行の政治資金規正法というものは不備であるということは全くの事実だとお認めになりませんか。しかも、それがさまざまの政治不信のいしずえになっているんだというようなことをお認めになれば、積極的に何か国民の納得得られるような方向にしていかなきゃならないんではなかろうかという御意思は持って当然だと思います。私も微力ではございますが、議員立法を企画したこともございますよ。で、そのことは幾つかそういう努力は積み重ねてまいりました。しかし、おたくのほうはどういうわけか数が多いですね、いつも。ですからいつもつぶされてしまうわけですよ。そのことで積極的に皆さん方が、政治資金規正法がすべての疑念のもとだから、これを正していこうではなかろうかという姿勢をお持ちにならないわけです、残念ながら。そのことがいままで野党間にふんまんを積み重ねているだけなんですよ。どういうふうに理想的に持っていこうとしても、おたくのほうの御都合でいままでつぶれていることのケースのほうが多いんです。そのことを指摘したいと思います。
  254. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 政治資金規正法という問題に対してあなたの言われることはわかりますよ。私もまじめなんです。私も何も自民党だけを守ろうなんという考えを持っていません。そういうことでございまして、政治資金規正法というものを正さなきゃならぬというので、いままで何回も何回も提案をしたんですが、しかしなかなかものにならないで今日に至っておるという歴史的な事実をすなおに述べておるわけです。  政治資金規正法というのはどういう問題かというと、これは私は二十三年ぐらいの法律だと思います。これは議員立法であります。いや、実際は議員立法じゃないんです、これは。これは占領軍のメモでもってつくったものでして、これはもう議員はつくるのをあまりに望まなかったということで、議員はこれを政府提案で行なうべし、こういうことでございましたが、さすがに占領軍といえどもこの制度を内閣に出せとは言えなかったんです。それでケージス氏やウィリアムズ氏やホイットニー氏が議長サロンに毎日来ておって、各党の代表を毎日呼び出して、これを議員立法にせしめたという経緯のあるもんです。これは芦田内閣か片山内閣のときだと思います。私はそのときには民主党所属議員でございましたので、片山、芦田内閣の与党だったわけです。ですから、そういう意味で、そういうことをよく知っているわけですがね。そういう議員立法をやったのは、議員同士でやるといってもなかなかむずかしい。それでこの法律をいろんな状態でもって検討した結果、最終的には、これは国民に公表するんで、いわゆる制限をすべきではないんだと。この政治資金の状態を公表を原則として、最終的には主権者である国民が判断をするために本法の成立を必要とする、こういうことであったわけでございますので、そういう経緯があるだけに、何回か何回かやったけれども、ものにならなかったということです。  これはあなたね、私も出しますよと、そのときに自民党が出すこともこれはひとつ御承知いただきたい。それで自民党が数が多いから通ると、それはもう数の原則ですから、これは当然のことなんです、それは。悪かったら国民が批判するような制度になっているんですよ。そうすると今度はあなたが私と立場をかえるということになるわけです。  ですから、そういういわゆる憲法の中における国民を愚なりという考え方でものを律することは、これはもう非常に私は間違ったことでございまして、そうでなければ、こんなに物価問題や石油問題で毎日毎日こう御追及を受けているわけですから、政府も誠意をもってやっているなあということでないと、自民党か支持されることはないわけであります。ですから、そこらを十分お考えいただいて——私はこの間出そうとしたんです。小選挙区だけではありません。小選挙区を出せば、もう政治資金規正法も何もみんな一つにして出そうと思っておったら、ちょっと待てということでございましたから、声なき声に耳を傾けておるわけでございます。そういう謙虚なひとつ政府立場も御理解を賜わりたい。
  255. 青島幸男

    青島幸男君 それは、あなたのほうはあなたのほうに都合のいいことばかり考えると総理はおっしゃいましたけれども、しかし、小選挙区制度にしても、それは野党の側からいえば、また違った面から同じようなことを申し上げられるわけでして、それなら政治資金規正法をそのままいじらないでもできる部分から身を正すというような形で、国民の前に疑問を残さないようにするというような方向でお考えいただくというわけにはまいりませんか。  たとえば国民協会の中に入っているお金で、寄付として自治省に届け出たもののうち、明確にどこから幾ら何が出たかということが明らかになっているのはほんの二〇%ですよ。年間二百億もあるお金で二〇%しか明らかになっていない。しかも、あとの八〇%は会費であるとか、あるいは特別賛助費であるとか、何かよくわからない名目です。しかも、総理がおっしゃるように、どこからだれがどう出したのだかよくわからないというのは、国民協会自体だってわからないような状態では、どういう理由の金で党が運営されているのかということが党の責任者としての総理だっておわかりにならないような事態になったら、たいへん困るのではなかろうかという気がしますけれどもね。そういうふうに——ちょっとお待ちください。そういうふうにできるところから、国民の疑惑を受けないように身を正していくというような方向でお考えいただくことはできませんかということを申し上げているわけです。
  256. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) あなたはせっかくいま御発言になりましたけれども、どこからもらったかわからないようなことが理想なんです。わかると人情がわきますから、やっぱり遠くから来ても、あの人は党に大きな寄付をしてくれていると思うと、いやあと、こうやっぱり心もち頭が下がるようになっちゃいかぬのですよ。(笑声)そこらから国民協会ができたんでしょう。ですから、私ども、あなたが幾ら言っても、どこからもらったかわからぬですから、そこらに民主政治はだんだん根をおろしているなあという感じなんですよ。  ですから、それはあなたは御自分の角度からだけおっしゃるなら、私の角度からいえば、それはあなたの考え方は自分の判断だけですよ。私の考え方は個人じゃないんですよ。公の立場答申を受けて、これを国会の爼上にのせなさい、公的な責めを果たさなければならない立場ですから、私はそういう意味で個人的な考えよりも公的な立場でもって——小選挙区法だけじゃないんです、これは。小選挙区というのはどこででもやっておるのでしょう。それはどこででもやっておるのですし、いまの中選挙区制度そのものが世界に例がない。これは旧政友、民政というような二大政党対立の状態であったからこそ、こういう制度が明治二十三年から九九%続いておる。大選挙区連記投票のときをやって、その次には片山内閣もできたんですから。  少なくとも、私は、小選挙区になれば、一回は野党の方が半分ぐらいになるかもしらぬが、二回目には自民党と与野党立場をかえる、こう思っているのです、ほんとうにそう思っているのですよ。それは小選挙区以外にない、こう思っているのです。そうなれば、基本政策である外交や教育や治安や、こういう問題も右と左にもう全く分かれておるというようなことでいれるわけはない。そうなれば、自民党のほうへすぱっと寄ってくださるか、自民党がさっと寄るか、まあどっちでもいいですよ、とにかく基本政策は一つになると思うのですよ。アメリカの共和党と民主党のように、イギリスの労働党と保守党のように、外交政策に変わりはないじゃありませんか。そういうことは、いまの中選挙区制度の中にあるからこそ、こんなことだって——私はある意味国民は不幸だと思うのですよ。自民党がたまには野党になってひとつそちらにすわってばりばりとやれるとも、こう思うのですよ、ほんとうに。そこに民主政治というものは私は前進すると思う。そのためになぜ小選挙区をとれないか。田中角榮個人なんかじゃありませんよ。そういうことをまじめにひとつ考えていただいて——私はほんとうにそんなにこれから長く長く議席を保とうと思っていませんから、ここだけ真実を述べて共感を得たい、こう思って、いますから、どうぞひとつすなおに評価をいただきたい。
  257. 青島幸男

    青島幸男君 小選挙区法をわが国に直ちに取り入れるその弊害についても、それから議員個人の支援団体からくる金の政治資金規正法の中でのあり方についても、いまも総理がるるお述べになりましたことを徹底的にくつがえすだけの用意は私あります、ここで御議論する時間があれば。しかし一分しかございませんから、延々長くなりますから、これにとどめますけれども、しかし、先ほどからるる繰り返しておりますように、人事院の話まで持ち出しまして、身を正していなきゃいけないんだと、李下に冠を正さずの精神を常にお持ちにならなければ、国民からの支持もお受けにならない。そういう疑いを持たれるような姿勢をなくするように御努力いただきたいということを申し上げているわけでして、その方向で国民の支持が得られるように御検討になってください。  時間もなくなりまして、たいへん恐縮ですけれども、最後に一問だけお許しいただきたいと思います。
  258. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) なるべく簡潔にお願いいたします。
  259. 青島幸男

    青島幸男君 簡単です。参議院の選挙の問題ですけれども、いつになりますか、明確にお答えいただけたら。
  260. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 参議院選挙は、参議院の議員の任期は七月の七日でございます。ですから七月七日以前に選挙が終了するということが一つの方法でございます。もう一つは、参議院議員の任期終了後選挙を行なうということが二つ目の道でございます。国会は四月の二十九日をもってすでに百五十日の通常国会の会期を終わるわけでございます。そういう状態でございますので、この会期中に、会期制度をとっているという以上、特に今度参議院の通常選挙でございますから、今度は法案の継続審査ということはございません。すべて通過をせざるものは廃案になるわけでございます。これは三年間に一回ずつ行なわれるわけでございます。ここに国会の非能率化ということも心ある国民は指摘をしておるわけでございますから、会期制度をとってる限りにおいて法案提出、議案の可否は決定しなければなりません。これは少なくとも新しい国会法、新しい衆参両院規則をつくりますときにも、会期制度をとっておる限りにおいては議案というものは議了することが前提である、しかし特にむずかしい問題に対して院の決議があればこれを継続審査案件として休会中審査をすることを妨げない、こういうことでございます。だから当時は両院協議会の制度もあったわけでございます。そういうことでございますから、今度は国会に出した法律を議了するという国会でございます。そういう意味で二十九日までに議案の議了が行なわれれば、当然、七月七日以前に参議院通常選挙が行なわれる、これは常識的でございます。
  261. 青島幸男

    青島幸男君 以上です。
  262. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これにて青島君の質疑は終了いたしました。(拍手)  以上をもちまして、締めくくり総括質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。よって、三案の質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  263. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これより討論に入ります。  討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べを願います。小野君。(拍手)
  264. 小野明

    ○小野明君 私は、日本社会党を代表して、昭和四十九年度予算三案に対し、反対の意見を表明いたします。  日本経済の現状は、田中内閣の相次ぐ経済政策の失敗により、卸売り物価は前年比三七%、消費者物価は前年比二六%、国際収支は年間百億ドルをこす赤字、GNP成長率は、名目で三七%、実質で五%という異状な状態にあります。このような経済状態の中で、企業は便乗値上げに走り、国民生活はインフレと物不足にほんろうされております。経済的強者と経済的弱者の差は今日ほど開いたことばなく、社会的公正が今日ほどそこなわれていることはありません。このような状況を前にして、政府は物価対策や国民生活の防衛について何ら有効な対策を打ち出せないでいるのみならず、この原因を石油危機を中心とする海外要因のせいにしようとさえいたしております。  しかし、日本経済を今日のような状況にした根本の原因は、田中内閣の列島改造論を中心とする経済政策の失敗と国際収支の黒字による過剰流動性対策の失敗及び円切り上げ以後の野放図な財政金融の拡大による調整インフレ政策にあることは周知の事実であり、石油危機はこれを加速せしめたにすぎないことは、あらためて指摘するまでもありません。田中総理は、昨年来たびたび本委員会の席上で経済政策に失敗したときは出処進退を明らかにすると言明しているにもかかわらず、いまだに政治責任を明らかにしていないことはきわめて遺憾であります。  申すまでもなく、日本経済の当面する最大の課題は、物価の安定であり、国民生活と福祉の確保及び社会的不公正の是正にあります。したがって、財政の役割りは、財政支出を通ずる総需要の抑制、税制、公債政策等財政の持つ政策手段を通じていかにこれに対処するかにかかっております。しかるに、四十九年度予算の内容を見ると、その対処策はきわめて不適切、不十分であり、われわれのとうてい賛成できるものではありません。  その第一は、財政支出と物価対策との関連であります。  総需要の抑制は物価対策の基本であり、したがって財政規模を圧縮しなければならないことは当然であります。しかるに、政府の財政規模圧縮策を見ると、法律上当然交付しなければならない地方交付税を借り上げによって削減するなど全くのごまかしの圧縮策がとられ、その結果でもなおGNPの名目成長率を上回る財政規模となっております。また、政府は、総需要抑制の目玉として公共事業費の伸び率をゼロとした点を強調しておりますが、超大型の公共事業費を組んだ前年度の繰り延べ分が加わるので、実質上の伸び率は八・九%、財政投融資は三四%もの伸び率となり、総需要抑制のしり抜けになるおそれさえあります。公共料金は、国鉄料金と米価を半年間据え置くことといたしておりますが、わずか半年の据え置きが今日の物価情勢でどれほどの効果があるか疑問であります。また、物価対策費は、一般会計特別会計を通じわずか二八・九%で、前年度の伸び率の半分であります。これではたして物価に最重点を置いて編成された予算といえるかどうか、いなであることはだれの目にも明らかであります。  その第二は、歳出面における財源配分の問題であります。  インフレ下にあって何よりも重視すべきは生活や福祉の面への対策でありますが、これらの面に対する財源配分はきわめて不十分であります。すなわち、社会保障費は三六・七%も伸ばしたとしておりますが、その中身は、大部分社会保険費を中心とした当然増経費であり、最近の物価情勢を考えた措置は一つもとられておりません。福祉年金の引き上げは一年も前から約束されていたものであり、生活保護費は、消費者物価の上昇率にも及ばない内容であります。また、住宅や生活環境対策費は金額では若干ふえていても戸数や事業量は軒並み減少しており、国民生活の実態や福祉から見ればほど遠い予算であることは火を見るよりも明らかであります。  その第三は、税制についてであります。  社会的不公正の是正は、ひとり税制だけでできるものではなく、歳出面の施策と相まって初めて可能であることは言うまでもありません。しかし、税制面からの社会的不公正の是正をはかるにとはきわめて重要であります。しかるに、この予算では、法人税は増税が行なわれておりますが、引き上げ幅は低く押えられ、配当軽課措置は、基本税率への引き上げ時期を一年延期する措置さえとられております。また、所得税減税は、税率の緩和が三千万円の高所得者にも及ぶ金持ち減税であり、利子、配当の分離課税や医師の社会保険診療報酬の特例など、不公平税制は依然として存置されたままであります。社会的不公正は、是正されるどころか拡大されております。  その第四は、公債についてであります。  公債政策については、財政法の精神からいっても、財政政策の上から見ましても、その運用は慎重でなければならないことは言うまでもありません。特に今日のような経済情勢下にあっては、公債の減額は景気政策上きわめて重要であります。しかるに、今年度予算では、前年度より千八百億円減額しただけであり、相変わらず二兆一千六百億円もの公債を計上しております。公債依存率は、一二・六%が先進国中最高であります。昨年度予算で好況下に多額の公債を計上し、民間投資と相まって景気を過熱させた反省は、全くあらわれておりません。  このほか、農林予算、中小企業予算、文教予算、エネルギー対策、地方財政対策等いずれも不十分であり、今日の物価情勢と国民生活の現状に対処することは不可能であります。日本経済は、いまや政府みずからが行なった石油の大幅値上げによって、物価の安定に最重点を置いて編成した予算とはうらはらに、空前の高物価時代を迎えようといたしておりますが、政府は、物価安定への明確な方途を示さないのみならず、あまつさえ、その責任を国民生活の防衛を掲げて戦っている春闘に転嫁し、コストインフレの名のもとにこれを押えようとさえしております。しかも許しがたいことは、今日のような狂乱物価の状態を招いた根本の原因は、田中内閣の経済政策の失敗にあることは明らかであるのに、今後の経済政策の運営について、田中総理と福田蔵相との間に根本的な考え方の相違すら見られたことであり、再び高度成長政策に復帰する危険さえあります。政府の言う物価の安定とは、国民の望む狂乱物価の引き下げではなく、新物価体系の名のもとに政府みずからが主導する高値安定であることは、委員会における閣僚の答弁と、電力をはじめとする公共料金を相次いで認めようとしている最近の動きから見ても明らかであります。  政府の経済見通しは、すでに全く現実と遊離したものとなっており、予算の内容も、国民生活の実態に即していないことは明白であります。政府は、すみやかに経済見通しを修正し、予算の内容を全面的に補正して、国会に提出すべきであります。  以上の理由により、四十九年度予算に反対をいたします。(拍手)
  265. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 嶋崎君。
  266. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 私は、自由民主党を代表しまして、ただいま議題となりました昭和四十九年度一般会計予算外二件につき、賛成の討論を行なうものであります。  戦後の復興期を脱したわが国経済は、一九六〇年代を通じてすばらしい発展成長を遂げましたが、このような成長発展を可能ならしめた環境や条件は、一九七〇年代に入って、国際的にも国内的にも急速に変化してきております。とりわけ、昨年秋中東紛争に端を発した石油の生産制限と、価格の三ないし四倍にも及ぶ引き上げは、近時ようやく鎮静化のきざしを示しているとはいえ、狂乱とまで呼ばれる異常な物価高と、現在進行中の春闘による大幅な賃金上昇を誘発し、国際収支の先行きに大きな不安を投げかけております。  われわれは、このような激しく、しかも深刻な条件の変化に対応して、いま、長期的な展望のもとに、当面する困難を乗り越えて、明日の日本を切り開く処方せんを求められているのであります。  四十九年度予算は、このような諸情勢を背景に、わが国経済の運営の方向を転換して、これを安定成長路線に乗せることを主眼とし、国民生活の基盤である物価の安定と福祉の充実に特に配意しつつ、厳に抑制的なものにするとともに、今後の経済情勢の推移に対応し得るように編成されたものであります。  まず、予算の規模であります。  一般会計の規模は、対前年度比一九・七%増の十七兆九百九十四億円となっており、一見伸び率も高く、規模も大きいように思われるが、前年度の伸び率を大幅に下回っているのみならず、社会保障、社会福祉の充実、文教及び科学技術の振興、中小企業対策、物価抑制のための財政負担増などを考えると、十分に抑制的なものであることがうかがわれ、その苦心は評価できるものであります。  また、新年度の財政投融資の計画額は、七兆九千二百三十四億円で、伸び率は一四・四%となっており、前年度の伸び率が二八・三%であったのに比べれば、規模の抑制はまことに顕著なものがあります。このことは、景気刺激的な効果の強い公共事業費を対前年同額以下に圧縮したことと相まって、国民経済計算における中央、地方を通ずる政府の財貨サービス購入の対前年度伸び率を一四・九%にとどめることになり、物価その他の動向から判断して、四十九年度予算が、いかに総需要抑制の立場を貫き、物価の異常事態を他のすべてに優先させて克服せんとしているかを示す左証と言わなければなりません。  また、物価の異常な高騰を早期に鎮静するため、すでに決定されていた国鉄運賃及び米の政府売り渡し価格の改定をそれぞれ六カ月間延期するとともに、郵便料金についても、通常郵便物の料金改定を行なわないこととし、予算及び財政投融資で手当てをしていることも、物価問題の緊急性を考慮しての適切な施策であると考えるものであります。  ここで国債問題について触れる必要があると思います。  四十九年度は、国債及び政府保証債の発行額を減額しているが、なお二兆一千六百億円、四千億円も発行することを予定しており、インフレ的であるという批判があります。しかし、この点については、すでにさきに述べましたように、四十九年度の政府財貨サービスの購入が一四・九%にとどまっているという事実を指摘するとともに、あとで述べる所得税の大幅減税との選択の問題があることに留意すべきであり、転換期の財政の姿としてやむを得ないものと思います。  以上のように、新年度予算は、総体として抑制的な性格を持つものでありますが、その中にあっても、国民福祉の向上に資する諸施策については、これを積極的に推進しているものと認められます。  その端的なあらわれは、社会保障関係費の三六・七%にも及ぶ大幅な増額であります。  四十九年度においては、社会保障諸制度を一段と拡充するほか、特に物価の影響を受けやすい人々に対する生活の安定と福祉の向上をはかるため、福祉年金の五割の改善、物価スライド別による厚生、国民年金額の引き上げ、生活扶助基準の引き上げを行なうとともに、社会福祉施設の整備促進、老人福祉対策、心身障害者対策、母子福祉対策等各般にわたり、きめのこまかい施策を講じていること、及び公共投資全体の規模圧縮の中で、一戸当たり規模の拡大等、質的向上がはかられている住宅対策、下水道の補助率引き上げでわかるように、生活環境施設の整備について特に配意されている点は、適切であると思います。  以上申し上げましたほか、新年度予算においては、財源の重点的かつ効果的な配分に努力が払われ、教員の給与、定数の改善、私学助成の強化、中小企業対策、農林漁業の振興、公害防止及び環境保全対策、エネルギー対策、地方財政の健全化など、適切な施策が講じられており、国民の期待に十分こたえ得るものと確信するものであります。  歳出予算についての終わりに、防衛関係費について簡単に述べておきたいと思います。  四十九年度予算において防衛関係費が一兆円をこえたことをとらえて、新予算の不当性を唱える向きがあります。しかし、一国が、その国の平和を守り、国の安全を保つために自衛力を保持することは当然であり、独立国の責務ですらあると私は考えるものであります。わが国の防衛費が、国際的に見て予算全体に占める割合はもちろん、国民総生産に占める割合もきわ立って小さいことは周知の事実でありますが、特に四十九年度は、一般会計予算の伸び率一九・七%に対し、防衛関係費の伸び率は、抑制予算の趣旨に沿って一六・八%にとどまっております。また、その増加額も基地周辺の民生安定に資する基地対策費と人件費の増加が大部分を占めている事実を指摘して、国民の公正な判断を得たいと考える次第であります。  最後に私は、たぶん、空前絶後になると思われる画期的な所得税の減税を含む税制改正について申し述べたいと思いましたが、すでに税制改正法案は、自由民主党提案の会社臨時特別税法案とともに可決成立いたしましたので、時間の関係もあり、簡単に所得税について触れるだけにとどめます。  今回の所得税法改正は、給与所得者の負担軽減に重点を置き、給与所得控除の抜本的拡充、人的控除の引き上げ、税率の緩和などを行なったものでありますが、課税最低限は、欧米のどの先進国をも大幅に上回る状態であり、税率の刻みも、欧米のそれに比肩し得る状態に達しました。政府は、今回の所得税の減税総額を初年度一兆四千五百億円、平年度一兆七千二百億円と称していますが、私は、進行しつつある春闘の状況から、私の推算によれば、減税規模は初年度一兆七千億円以上、平年度二兆円以上のものであることを確信しております。総理は胸を張って、二兆円減税に公約違反なしと言うべきであると思います。  しかし、ここまで達した所得税制については、現在のわが国の財政体質、特に公債を多額にかかえた現状を考えるとき、ここは私の私見でありますが、今後の減税については、慎重かつ総合的な判断が必要であると考えます。  最後に、新予算の執行と運用について一言申し上げます。  当面の景気、物価の動向は、まことに微妙なものがあります。すなわち、一方で総需要抑制策の浸透に伴って、業種により、地方により、企業の規模によって景気停滞が深刻化していく反面、他方で、石油価格値上げ、電力などの公共料金の改定、春闘による大幅賃上げなど、コストの面からの価格上昇要因が圧力を増していく可能性も少なくないと考えます。また、鎮静化している民間設備投資が、環境条件に対してどのように対応していくかも必ずしも明らかではありません。このような微妙な景気や物価の動向に絶えざる注意と監視を怠らず、適時適切な施策が講じられる必要が、今日ほど高いときはないと思います。  新年度の予算と経済運営にあたって、政府が格段の努力を払い、国民生活のすみやかなる安定と国民経済の健全な発展をはかられるよう強く要望して、予算三案に対する賛成の討論を終わります。(拍手)
  267. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 矢追君。
  268. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました四十九年度予算三案に反対の討論を行なうものであります。  まず第一は、田中内閣の失政を国民大衆に転稼し、多くの犠牲をしいる本予算の背景となっている経済運営についてであります。  狂乱物価は、自民党長期政権の政策の誤りによる恒常化したインフレ体質と、田中内閣の列島改造計画によるインフレ扇動、公共投資拡大による福祉充実といったうたい文句の財政インフレ、さらに、為替政策の失敗と並んで過剰流動性をつくり出したことによる投機インフレ、さらにその上、昨年暮れの石油危機を千載一遇の好機と、先取り便乗値上げに狂奔した大企業や商社の行動を、物価三法があるのに容認した悪性インフレなどの積み重ねによるものです、すべて政府与党の政策の失敗によるものであります。年間二〇%をこえる消費者物価の上昇に庶民の生活は極度に苦しくなっております。しかるに、政府は、みずから失政をたな上げにし、物価高騰の原因が個人消費支出の行き過ぎにあるとの全くすりかえの論理を振りかざして、狂乱物価の被害者である国民大衆に、四十九年度経済運営の主柱として総需要抑制という名の不況政策をとり、中小企業の倒産、労働者の失業、賃金手取り額の減少等を惹起させようとするやり口に、わが党は反対せざるを得ません。  第二は、国民の最大の願いである物価安定とは逆に、きびしい値上げのむちを打つ物価政策についてであります。  狂乱物価で足腰が立たなくなった庶民の家計が、消費支出の鈍化、貯蓄の減少となってあらわれていることは、統計的にはっきり出ております。しかるに政府は、さきに石油価格の大幅値上げを行ない、近日中に九社平均六二%という電力料金の引き上げをねらっており、さらに私鉄、バス、国鉄、消費者米価と、すべての公共料金の値上げをたくらんでおります。政府は、価格凍結とか事前承認制とか、かっこういいポーズをとって、新価格体系移行などとことばでごまかし、国民には物価の安値安定の期待とムードをちらつかせながら、その実態は、すべての物の価格をさみだれ式に値上げすることにしており、高値安定どころか、高値追いの競争となるのが落ちであり、不況下の物価高騰で庶民を苦しめる田中内閣の新価格体系という新しいインフレ政策に反対するものであります。  第三は、この予算が政府の宣伝とはうらはらに、規模縮小もインフレ対策も不十分であることを指摘しなくてはなりません。  予算規模の圧縮が不当表示であることは、財政インフレを燃え上がらせた昭和四十八年度予算の伸び率二四・六%に比べて、一九・七%が若干低めであるというにすぎず、四十年代の一般会計予算の伸び率で見ますと、三番目に高く、これまで政府が、財政の経済に対する影響を説明するために用いた政府財貨サービスの購入の伸び率と経済の名目成長率比較で見ても、四十九年度は財貨サービス購入一四・九%、経済成長率一二・九%と、財政が経済成長率を上回っており、景気刺激型の財政規模と言わねばなりません。さらに、財政収支のバランスがくずれ、予算総額の一割三分もの赤字国債を招いた財政は身分不相応の肥満児であり、総需要抑制の改善と矛盾していることは明らかであります。さらに、物価安定の武器として政府がその手中におさめている唯一の公共料金も、消費者米価、国鉄運賃のわずか半年の延期だけで他に見るべきものがないばかりか、さきに指摘したごとく、いまや第二の物価狂乱の引き金にすら公共料金の値上げがなろうとしているのでありまして、この予算では、国民が望む物価安定は期しがたいと断ぜざるを得ません。  第四は、インフレ、物価高の被害を最も受ける社会的、経済的弱者の生活擁護に欠けている点であります。  年率二〇%の物価高騰のもとで、老齢福祉年金はわずかに月額七千五百円であり、生活扶助基準や福祉施設の入所者の措置費等が対前年度比一五%引き上げられても、それはインフレに食われ、実質的な生活改善にならないことは、本委員会でも明らかになったところであります。政府は、四十九年度の社会保障関係費三六%の伸びを、鬼の首でも取ったかのごとく、福祉重視の予算と誇大宣伝をしておりますが、その伸びの大きな理由が、医療費の値上げによるものであることには口をつぐんでおります。インフレ下での弱者救済の最優先課題が所得保障にあることを忘れ、内容の説明をひた隠しにし、形式的に社会保障費の伸び率を宣伝する田中内閣は、だれよりも自分の無為無策を承知していることの証拠であります。さらに、狂乱物価のあおりで、マイホームの夢はその実現の見通しが全くなくなりましたが、現在五百万戸とも八百万戸とも言われる住宅困窮者に対し、四十九年度の政府の公共住宅建設は前年度より四万五千戸も削減しており、社会的、経済的弱者には安心して住める場所すら与えない政策をとっており、それでも福祉重視の予算とは驚きのほかありません。  第五は、不公平拡大の税制改正についてであります。  課税最低限百五十万円では、物価高騰に泣く庶民の生活安定に配慮したとは言えないばかりか、上厚下薄の重役減税は富める者のための減税であります。その他、利子配当所得の優遇措置や法人の受け取り配当減免など、金持ちと大企業優遇の不公平税制に何ら手をつけず、配当所得者の課税最低限が三百五十七万円と、給与所得者の二倍をこえていることば、政府出資料からも明らかであり、政府は、国民大衆に負担を転稼し、大企業や一握りの金持ち階級擁護のために税制を使っていると言われてもしかたありません。こうした不公平税制を前提とする本予算案に対し、賛成するわけにはまいりません。  以上をもって反対討論を終論を終わります。(拍手)
  269. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 木島君。
  270. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は、民社党を代表して、ただいま議題の昭和四十九年度予算三案に対して、次の理由により反対するものです。  その第一は、この予算案で、はたしてほんとうにインフレが抑制できるかという大きな疑問であります。なるほど、予算案の表向きは、総需要抑制の一つと称して公共事業費が押えられています。しかし、つぶさに検討すると、そこには四十八年度からの繰り延べ分が相当多くプラスされています。これでは不当表示のそしりを免れません。また、政府は、前々からインフレ抑制の短期決着をつけると表明されましたが、たとえば、石油価格をこれ以上引き上げないという確信がおありなのか、さらには公共料金の据え置き、あるいは生活関連物資の価格をどこまで押えられるのか、長い予算委員会の審議を通じて、ついに明らかにされませんでした。  第二の反対理由は、この予算案は福祉重点と言われているものでありますが、その内容に至ってはきわめて不満足なものです。確かに、社会保障費関係、これは対前年度比で三六・七%近く伸びています。しかし、今日、消費者物価が前年度比二五%以上も上昇している現在、実質においてわずか数%の伸びにすぎません。また、住宅政策につきましても、公団公営などの公共住宅の建設戸数は、四十八年度よりも四万五千戸削減されています。いま全国には、三百万世帯が住宅難にあえいでおります。そしてこれらの大半の方々は、条件の悪い木賃アパート生活を余儀なくされています。その願いは、せめて公営住宅にでも入居できたらということでありますが、昨今の用地費や工事費の値上がりによって、おそらく計画は大幅に下回ることでありましょう。国民の期待は、ここでも大きく裏切られようとしています。インフレによって最も大きな痛手を受けている社会的弱者に対して、できるだけの施策を講ずる、これは政府の当然のつとめでなければならないと思います。  第三に反対する理由は、この予算案が国民の不公平をさらに拡大している点であります。二兆円減税について、当初、夫婦と子供二人の標準世帯で年間百七十万円まで非課税とされていたのが、これが後退して、百五十万円に引き下げられました。今日のインフレ下におきまして、まさに焼け石に水であります。それだけではありません。給与所得控除の上限撤廃、高額所得層の税率軽減など、減税の重点が高額所得者に置かれているなど、所得の格差と分配の不公平をさらに拡大するものであります。  また、弱い立場にある農畜水産業の予算も、その近代化と食糧確保の使命にこたえる基本的な施策について、積極的な対策が見出せないばかりか、当面する危機的状態に対応する姿勢もまたほとんど見られないのはまことに残念であります。  私は、以上三つの理由から本予算案に反対の意思を明確にして、討論を終わるものです。(拍手)
  271. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 須藤君。
  272. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十九年度予算三案に反対の討論を行ないます。  反対理由の第一は、本予算案が国民の切実な要求である狂乱物価の鎮静、国民生活防衛の課題に何ら抜本的対策を講ぜず、国民に重い犠牲を負わせる予算案となっている点であります。  すなわち予算案は、依然、二兆一千六百億円ものばく大な赤字公債をかかえ、産業基盤中心の公共事業費は、四十八年度繰り延べ分を含め実に三兆円に及び、国民的批判にさらされた列島改造計画に執着し、依然として高度成長推進、物価引き上げの予算となっているのであります。しかも、わが党などの追及によって、次々と大企業、商社の前代未聞の反社会的行為が暴露され、その徹底的な究明と不当利得の還元が圧倒的要求となったにもかかわらず、政府・自民党は、これら大企業、商社の証人喚問要求さえ拒否し、会社臨時特別税に至っては、財界と一体となって骨抜きに狂奔し、ついには、暴利をむさぼった大企業ほど有利なものとなったのであります。これでは、インフレ抑制ができる道理がありません。  第二の反対理由は、この予算案が福祉重点を唱えながらも、実際には弱者切り捨て、社会的不公正拡大の予算となっている点であります。  老齢福祉年金の引き上げは十月以降ようやく月額七千五百円になるにすぎず、生活保護費も、去年十月の五%増を含めてもわずか二〇%にすぎません。これではこの狂乱物価を生き抜くことは不可能であります。また、鳴り物入りで宣伝された二兆円減税も、初年度では一兆四千五百億円にすぎず、しかもその内容は、高額所得者の累進税率は緩和され、給与所得控除の上限を撤廃するなど、国民の要望に反した高額所得者優遇減税なのであります。  さらに政府は、一方で列島改造の推進をはかりながら、国民生活に直結する公共事業には、過酷なまでに削減を押しつけ、低家賃住宅を中心にした公共住宅建設四万五千戸の削減、第四次下水道整備五カ年計画の見送り、緊急を要する学校、保育所など、生活関連公共施設の整備をきわめて困難な状態に追い込んでいるのであります。しかも重大なのは、インフレからの住民生活防衛のために乏しい地方財政を投入している地方自治体に対し、予算案は、地方交付税法、地方財政法をじゅうりんして一方的に地方交付税千六百七十九億円の削減をしていることであり、わが党は、地方自治破壊のこの暴挙を断じて認めることができないのであります。  第三の反対理由は、国民生活の破綻をよそに、憲法違反の自衛隊増強など防衛関係予算が前年比で千五百七十六億円増額され、一兆円をこえる巨額に達していることであります。しかも、アジアの反共政権援助を主にした対外進出費は、一般会計の経済協力費、財政投融資、特別会計などを含め、総額一兆円規模に達するのであります。対米従属、憲法違反の自衛隊の侵略的強化をはかり、新植民地主義的進出を目ざすこれらの経費こそ、不要不急予算の最たるものであり、その大幅な削減を強く要求するものであります。  最後に、私は、以上のような国民生活破壊の予算を、文字どおり物価安定とインフレからの国民生活防衛の予算とするために、四次防、列島改造を中止し、公共投資の産業基盤中心から生活基盤中心への転換、福祉の向上、農漁業、中小企業への積極的援助など、経済・外交政策の根本的転換の第一歩となる予算とするよう強く要求し、私の討論を終わります。(拍手)
  273. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 以上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行ないます。  昭和四十九年度一般会計予算昭和四十九年度特別会計予算昭和四十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して問題に供します。三案に賛成の方の起立を願います。   〔賛成者起立〕
  274. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 起立多数と認めます。よって、三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  275. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会