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1974-04-03 第72回国会 参議院 予算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月三日(水曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員の異動  四月三日     辞任         補欠選任      林田悠紀夫君     川野辺 静君      大松 博文君     桧垣徳太郎君      竹田 四郎君     松永 忠二君      鈴木  強君     藤田  進君      前川  旦君     佐々木静子君      羽生 三七君     鈴木  力君      鈴木 一弘君     塩出 啓典君      沢田  実君     藤原 房雄君      田代富士男君     内田 善利君      星野  力君     小笠原貞子君      野末 和彦君     喜屋武眞榮君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鹿島 俊雄君     理 事                 片山 正英君                 嶋崎  均君                 西村 尚治君                 細川 護熙君                 吉武 恵市君                 小野  明君                 加瀬  完君                 矢追 秀彦君                 木島 則夫君     委 員                 岩動 道行君                 今泉 正二君                 小笠 公韶君                 大竹平八郎君                 梶木 又三君                 川野辺 静君                 木村 睦男君                 黒住 忠行君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 高橋 邦雄君                 竹内 藤男君                 玉置 和郎君                 内藤誉三郎君                 中村 禎二君                 原 文兵衛君                 桧垣徳太郎君                 米田 正文君                 上田  哲君                 辻  一彦君                 戸叶  武君                 羽生 三七君                 藤田  進君                 前川  旦君                 松永 忠二君                 宮之原貞光君                 塩出 啓典君                 田代富士男君                 藤原 房雄君                 中沢伊登子君                 小笠原貞子君                 星野  力君                 渡辺  武君                 野末 和彦君    政府委員        公正取引委員会        事務局長     吉田 文剛君        経済企画政務次        官        竹内 黎一君        経済企画庁国民        生活局長     喜多村治雄君        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵大臣官房審        議官       岩瀬 義郎君        厚生政務次官   石本  茂君        厚生省社会局長  高木  玄君        農林政務次官   山本茂一郎君        農林省畜産局長  澤邊  守君        農林省食品流通        局長       池田 正範君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        通商産業省基礎        産業局長     飯塚 史郎君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        通商産業省生活        産業局原料紡績        課長       堺   司君    参考人        物価安定政策会        議議長      中山伊知郎君        早稲田大学教授  宇野 政雄君        全国銀行協会連        合会会長     横田  郁君        経済団体連合会        副会長      堀越 禎三君        ブリヂストンタ        イヤ株式会社社        長        柴本 重理君        横浜ゴム株式会        社社長      吉武 広次君        ライオン油脂株        式会社社長    小林  宏君        花王石鹸株式会        社社長      丸田 芳郎君        株式会社かわい        コントローラー  川井 捷英君        旭化成工業株式        会社社長     宮崎  輝君        西田株式会社社        長        西田嘉兵衛君        日本配合飼料株        式会社社長    浜中  登君        日本農産工業株        式会社社長    松井  剛君        丸紅飼料株式会        社社長      白浜 孝一君        畜産振興事業団        理事長      岡田 覚夫君        日本食肉協議会        副会長      菊池  宏君        全国農業協同組        合連合会会長   真崎今一郎君        灘神戸生活協同        組合専務理事   春木 秋広君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十九年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算  昭和四十九年度特別会計予算  昭和四十九年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  本日は、昨日に引き続き、総予算審査のため、物価問題について参考人出席を求め、集中的に審議を行なうことにいたしております。本日出席をお願いいたしております参考人の方々は、お手元にお配りいたしましたとおりでございます。  この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、委員長から厚くお礼を申し上げます。(拍手)  物価問題は国民が当面する最大の関心事でありますので、各委員質疑に対しては率直にお答えをお願いいたしたいと存じます。なお御発言は、そのつど委員長の許可を得て行なうようお願いをいたします。時間の制約がありますので、御答弁はきわめて簡潔にお願いいたします。  次に、各委員質疑される場合は、参考人を指名していただきたいと存じます。  それでは、これより質疑を行ないます。玉置君。(拍手
  3. 玉置和郎

    玉置和郎君 参考人皆さん方におかれましては、お忙しい中をこうしてお出かけをいただきまして御意見をお聞かせいただきますこと、まことにありがたいことだと思っております。そこで、以下お尋ねいたしますことについて率直に御見解を御披瀝いただきたいと、こう思います。  冒頭から恐縮でございますが、銀行協会の代表であります横田参考人にお尋ねいたします。  最近の銀行はどこでも愛される銀行というキャッチフレーズで、銀行大衆化路線を歩んでおられるようでありますが、これが真実であれば、私は御同慶の至りだと、こう思うんです。しかし、私の調査では、なかなかそうまいらないというところがたくさん出てきております。で、いま大衆化といえば、大衆がいま一番のどの奥から手が出るほどほしがっているのがマイホームであります。ささやかな土地を求めて自分の家を建てるという庶民の夢に対して、大衆化路線を歩む公共的責任の強いわが国銀行がどのように関与しておられるか、まずお伺いいたします。
  4. 横田郁

    参考人横田郁君) お答えいたします。  住宅問題は、個人住宅保有という問題は現在の大きな国の政策であると考えまして、金融機関といたしましても、金融サイドからこの住宅建設につきましてできるだけの協力をいたしたいということを考えまして、ここ二、三年来、この住宅ローンというものにつきまして極力積極的に対応してまいってきたわけでございます。統計的な数字をちょっとはっきり覚えておりませんが、二、三年前は全体の融資額のうちに占めるシェアが二%以下であったというふうに記憶しておりますが、最近は四%台まで上がってきたわけでございます。なお、現在の強力な引き締め下にありましても、大体限界の、貸し付け増加率は大体一〇%から一二、三%を確保しているというのが実情でございますが、これでもなお不十分だというそしりは免れないと私は考えております。しかしながら、強力な引き締め下にありますので、全体の貸し付け増加率が非常に低い中でこれだけの資金を配分するということは銀行としても非常に悩みを持って事に当たっているわけなので、その点をひとつ御理解いただきたい。なお、こういった方針は今後とも銀行としては着実に実行していく所存でございまして、外国の例をとってみますと、アメリカあたりが大体一五%、西独あたりで一二、三%になっていると思いますが、一日も早くこの線に私どもは追いつきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  5. 玉置和郎

    玉置和郎君 いま会長の御答弁にありましたように、日本住宅ローンというものは四%というようなことを言っていますが、大体四十八年三月末のわが国ではわずか三%、アメリカ西ドイツのパーセンテージは会長の言われた大体そのとおりでありますが、西ドイツが少し低うございます。で、私は何としても、一般庶民の方、国民は、衣食住と、こういいまして、衣も、着るほうはまあどうにかこれはある、食うほうも、かなり物価が高うございますが、やれる。やっぱり生涯の夢というか、晩年を自分の家でという、この気持ち、これは私はだれしもいなめないと思うんです。  そこで、いまここに具体的な例を出してお聞きをすること、恐縮でございますが、お答えをいただきたいと思います。  ささやかなマイホームの夢と——これはずっと押えた見方をしております。通勤時間が約一時間、土地が五十坪、建物が二十坪、いわゆるささやかな庶民の夢であります。何としても最近はマンションよりも土地つきの家ということで、私たちもかつてレプケ経済学研究会におりましたときに、レプケ経済学の中にも、アパートメントされた、コンクリートにアパートメントされたところで三代続くと奇形児が出ると、こういうふうなことも教えられておりました。それだけに、大地に足して幼い子供を育てていくという、これは人間の本性です。それだけに、土地五十坪、建物二十坪というのは、これはもう最低限の要求だと思っております。そこで、この土地五十坪、これがかりに坪二十万円といたしますと一千万円、建物が坪当たり二十五万円としますと、これで五百万円、合計千五百万円の金が要るということになります。いまどきこんなものはないです。いまどき、通勤時間一時間で、こんな千五百万で三LDKというような家はないです、これは。二千万円以上する。しかし、きょうは最低限最低限ということで押えて、いまお聞きをするわけです。で、これをやっぱりやろうとすると、デベロッパーという、こういう業者がやるわけであります。その業者が大部分をいま銀行依存をしておるということ、これはお認めになりますか。
  6. 横田郁

    参考人横田郁君) お答え申し上げます。  デベロッパーが、資金援助銀行依存しているという御質問のようにお受けいたしましたけれども、確かに、デベロッパーは大部分のものが銀行借り入れ依存していると私は思います。ただ、自己資金の豊富なデベロッパーもございますので、あるいは銀行借り入れのないところもあろうかと思いますし、金融機関としましてもいろいろございますし、そういうような銀行は、たとえば不動産業者は、長期信用銀行とか、信託銀行とか、生保とか、あるいは信金、相互といったような、いろいろな金融機関からの援助を受けているということになろうかと思います。
  7. 玉置和郎

    玉置和郎君 いま、会長ね、私の聞かんとするのを、これ図面に書いていますから、これをひとつ……。(図面を示す)いま、その図面を見ていただきますとわかりますが、ここに、一番下のところに「国民」、「ローン設定者」と書いております。このローン設定者が、いま言いました、ささやかな夢である千五百万の家を買いたいと、こうします。そうすると、先ほども申しましたように、デベロッパーが開発をした、そこへ建てた家ということになります。かりに、このプロジェクトを、最初百億円の資金が要るということで、銀行に申し込んだとします。銀行がそれにオーケーをしたとする。そうすると、いまの金利では一〇%から一二%の金利を払えということになる。これはまあ間違いないですね。そのほかに歩積み建てというものが、銀行でやっぱりやれということになる。これが一〇%から一五%——これ何も第一勧銀を言っとるんじゃないですよ。きょうは、ほんとうに参考人、間違ってもらったら困るんで、いまのこういう——われわれは政治家として反省しておるんですから、実はこれを見て、いまから説明することを見て、はあ、われわれはいかぬかったと、政治家としていかぬかった、また政府もいかぬという反省のもとに、あなたに、これからどうしたらいいかという積極的な意見を聞くために、いま言っておるんです。そうすると、この歩積み建て貸し付けの、この金利概算が二%ぐらいになってまいります。それから実質金利合計一四%ぐらいになります——そうしますと、この一四%の金利を考えていきまして、大体、大型のプロジェクトというのは、三年から五年かかります。そのまん中の四年をとったとします。単純金利計算で四年借りたとすると——これはざっとの計算ですからね。五十六億円の金利をこのデベロッパー銀行に払うことになるんです。  そこで、もう一つ私はどうもふに落ちないのは、これはまあ第一勧銀のことを聞いて失礼でございますが、あなたのほうにも何か、何とか土地株式会社というのが——前、勧銀何とか土地株式会といった、まあ日本土地株式会社、ありますね、その日本土地株式会社は、十一人の役員は全部第一勧銀から出向したというか、そういう形になっておるそうであります。それで、いまの社長さんも、あなたのほうの銀行の常務さんだったと、それから残る社員が百二十何名ですか、そのうちの五十三名かなんかも第一勧銀から出ていった人であると、その残りというのは、ほとんども女子社員というふうなことでありまして、実質は、これはもう、株は五%しか持っておりませんが、しかし、内容的に見たときには、完全な系列会社であると、むしろ私たち銀行不動産部門であると、こう申しても決して言い過ぎじゃないと、この実態を実は銀行局から取りまして、そう思ったのであります。  その銀行系不動産会社が、このデベロッパー銀行の間に介在してくるのであります。それはどういう形かといいますと、業務提携料ということであります。その業務提携料を払わなかったら、銀行は渋るということになるわけです、金融をしぶるということになる。この実態は、私は神戸からも、大阪からも、仙台からも、その実態を事こまかに聞いておる。これはあなたが首をかしげるのだったら、具体的にあげていってもいいです。しかし、私はきょうは全般的なことを聞くんで、その個々の銀行名前をあげて、そうしてこういうふうな強迫的なこと——実際私たちが見るのは、銀行がこういうデベロッパーに対しても、かなり強い言辞でもってそういうことを押しつけておるという事実、何月何日のどこどこのということも言える。しかし、きょうはそういうことを言わない。言わないが、あなたが、銀行系不動産会社が、デベロッパー銀行の間にあって、業務提携料売り上げの三%から五%取っておるという事実——売り上げですからね、百億円のプロジェクトは、これ二百億円にもなり、三百億円にもなります。総売り上げのこの業務提携料でありますので、二百億円の売り上げになった場合には十億円、これは系列不動産会社から取られるということになる。これをお認めになりますか。
  8. 横田郁

    参考人横田郁君) ただいまの日本土地建物株式会社についてのお話につきましては、私は正直に申し上げまして事実を知らないわけでございます。まことに申しわけない次第でございますが、別法人になって、経営の責任者がそちらにおりますものですから、全部まかせておりまして、その営業方針について容喙をしてはおりませんが、ただ、お話のような事実は、あるいはあるかと思います。と申しますのは、まあデベロッパーデベロッパーとしての仕事を行なっておりまして、その販売につきましては、販売力はやはり不動産会社依存をしているということになろうかと思いますので、その間、販売会社販売手数料をある程度取ることは、これは商慣習として認められているところではなかろうかと思うわけでございますが、ただ、それがあまりに社会的な常識を逸脱しているようなことがありますれば、これは厳に、私のほうから日本土地に対しまして忠告をいたしたいというふうに考えております。  なお、この点はよく調査いたしまして御報告をいたしたいと思っております。
  9. 玉置和郎

    玉置和郎君 私は、ここへ出てきた参考人というのは、こんなこと知らぬのは、これはあたりまえだと思うんです。それだけにここが大事なんです。きのう来た商社も石油会社も、やっぱり末端のことをいまの大きな企業の中で知るはずがないんです。また、そういうシステムになっていないんです。だからこういうことが大事なんで、そこで実情を知らないと、こうおっしゃいましたが、私の資料日本政府大蔵省からとった資料なんです。だから、万々間違いがないということで、国会議員として行政府のこの資料提供を信用して申し上げておるんでありますから、これは間違いがないと思います。そして販売手数料の問題については、後段申しますが、こんなものは必要ないということなんです。そこまでして銀行はなぜやらなきゃならぬかと。やっぱり銀行の目的というのは、国民の福祉、国民の幸福を考えていくということにこれは第一義があるわけでありまして、こういう中に銀行系不動産会社を介在をさして、そして販売云々というようなことはもってのほかだということを言いたいためにいま言っているんです。まあ、これはいいです。  そこで、こういうことになりますと、この金利だけで五十六億円、百億のプロジェクトについてですね。それでそれが二百億にふくれ上がっていきますから、業務提携料として五%取られた場合には十億円。それだけにもう六十六億円というのがこれは頭から取られていくんです。  そのほかに、今度借りるほうの立場からいきますと、ローン設定者銀行に対して、大体いま大蔵省で聞きましたら、安いのが八・四、中小企業従業員が借りる場合、信用度が薄いということで一一%ぐらいのローンを設定しておる。そういうことになりますと、国民のほうが銀行に払う金利、かりにここで年率八・八八ということにいたします。そして、いま頭金うんと取られますので、かりに頭金が千五百万の三〇%、四百五十万、まあそれはややこしいから五百万払ったとします。で、一千万円のローンを設定したとします。そうしたときに、これを最長の二十年ということで払っていくとしますると、二千百四十四万四十円と。二千百四十四万四十円だな、これで。二千百四十四万だ、大体。これでいいや。これ間違ったらいかぬ。これややこしい。銀行やると頭が痛くなってくるんだ、数字があるんで。私はここ一週間ばかり苦労したんだよ。この元金が一千万円で、そして二十年間の払ってしまったときに計算をしたら、ローン設定者が何と元金よりも利息のほうが多いという結果になる。二千百四十四万円払ったことになる、銀行へ。これが、さっき言ったような中小企業信用度の薄い社員ローンを設定した場合の一一%とすると、約二千五百万円になるんです、最終払った金額が。そうすると、一千万借りて千五百万銀行金利を払うことになるんです。何のことはない、これは銀行に奉仕しておるようなものです。その預金は一体どこからくるのかと言ったら、これは一部、二部の上場会社預金をする金額と、いわゆる中小企業法人——会社名前でもって銀行に貸してくれと言ったってなかなか貸さない。個人裏書きをせよと言う、そういうものも含めた一般国民預金が、ざっと銀行と名のつくところの七〇%ぐらいの預金率を占めておる。言うなら、一般国民自分たちの仲間から預金したものを銀行へ行ってそれを借りて、また銀行へ御奉仕するという。  さらにそのほかに、私はもっともっと銀行というのは最近これ何とかしてもらわなきゃいかぬなと思うのは、損保、いわゆる損保だとか生保、いわゆる保険会社がこれに一枚かんでくるとします。そうすると、銀行損保から、いわゆる火災保険会社から、あるいは生命保険会社から、資金銀行が導入します。その導入をしたときに、銀行紹介預金というのを取っております、紹介預金。強制的に近く、保険料の五倍ないし八倍を定期預金として預けなさいと、損保にこう言っております。そうすると、いまこの千五百万のささやかな住宅を買うローン設定者が、いわゆる保険手数料として一千万円について二十年のローンを設定した場合には二十二万八千七百円、これを手数料として払わなければなりません。それから火災保険に入ったとしますと千五百万円で八万円、計三十万円というものをまたローン設定者自分のふところから出さなきゃならぬ。その大体五倍から八倍ですから百五十万から——千五百万のその手数料の五倍から八倍ですから、百五十万から二百四十万、銀行がじっとすわっておって自分のところの預金がふえるという、そういう仕組みになっておる。私は、こういうことを考えていきますと、何か割り切れないものを感ずるんですよ。どう思いますか。
  10. 横田郁

    参考人横田郁君) この二十年のローンの問題でございますけれども、ちょっとこの計算を私いますぐここではっきり御回答申し上げる力がございませんので、何とも申し上げかねるんでございますが、まあやはり金利の水準からいきまして、現在、御承知のように短期の公定歩合は九%になっております。当然長期のものでございますから、これ以上に上げてもいいという金融制度調査会の結論が出ているわけでございますけれども、先ほど先生のおっしゃいましたとおり、住宅政策というものは目下喫緊の政策であるから、われわれとしましても、銀行資金コストというものを顧みずに、個人向け住宅ローンにつきましては大体八%台に全部押えているわけでございます。そういうわけで、金利については相当の私どもとしましては優遇をしているというふうに考えておるわけでございますが、何ぶんにも年限が二十年という長期のものでございますから、その間にお払いになります金利につきましては、相当多額にのぼることになろうかと思います。ただ、まあ二十年の間に、残債と申しますか、元金を償還していかれるわけでございますから、その間、当然元金の減った額に応じて金利の支払いも減ってくると、後半にいけば、だんだんと元金の償還がふえて、金利の支払いが減ってくるということになろうかと思いますが、一応こういう数字は、私のほうでまたいろいろ計算をいたしまして先生のお手元にお届けしてもよろしいかと存じます。  それから、損保生保の問題でございますけれども、これは強制的に預金を取るとか、そういうことではなくて、生保損保いずれも業容の拡大を目的といたしまして、銀行に被保険者の紹介を希望してまいるわけでございます。したがいまして、銀行としましても被保険者をできるだけ紹介をするということにいたしますと、そのまあ取引の一つのカウンターオファーとして先方から預金をくれる、こういうようなことになっておるわけでございまして、これは決して強制的なものではないというふうに私は存じております。
  11. 玉置和郎

    玉置和郎君 会長ね、これ私の調べた範囲では、ほとんど半強制的になっていますよ、これは。結局、どっかの銀行がこれやりますと、みな右へならえなんです。というのは、またあとで言いますが、銀行というのは都市銀行は十三でしょう。銀行ほどこのお互いの話がすっとつくところないです。これはこの前大蔵省にも私は言ったんですけれども、もうどこが一番悪い、どこがいいとかいうことよりも、銀行自身があの大理石の建物の中に隠れて、そして銀行ほど簡単に話がつくところはないと。それでまた銀行の行員というのは、今度調べたときでもなかなか言わぬです、これは。りっぱなものだ、これは。りっぱなものだけれども、しかし、こういう国民的な声があるということを会長よく知ってもらいたいんですよ。  それで、こういうことになって、ローン設定者というものがあっちからもこっちからも結局は大きな負担がかかってくる。そのローン設定者である国民は、それなら担保は出さないのかというと、自分が買ったその土地建物をそのまま、また銀行に差し上げるんですよ、これ。担保に出すんですよ。何でこのような、損保生保のようにして、保険料保険手数料を払ったり、払わしたりなんかするんですか。私はこの辺がどうもふに落ちない。私はしろうとだからそう言うのかもしれませんが、間違っています、これは。  そしてもう一つここで聞きますが、このようなことをやっておりますと、銀行は片一方でどうかというと、銀行と名がついたら、まずつぶれませんね、これは。これはお認めになるんでしょう。どうですか。
  12. 横田郁

    参考人横田郁君) その点についてお答え申し上げますが、金融機関というものは、国の経済秩序あるいは信用秩序の維持を担当している次第でございますので、銀行が万一倒産をするようなことになりますと、経済界において大きな混乱を引き起こしかねないというようなことで、私ども常日ごろ安定経営ということを心がけておりますし、また行政当局におきましても、それを目標としまして非常にきびしい監督行政が行なわれているわけでございますので、まあよほど不始末を起こさない限りは、まず倒産ということはなかろうと思いますし、また、万一取りつけ等のことが起こりました場合には、われわれ自身が拠出しております預金保険というようなものもございまして、預金者の救済ということも、そういう制度もございますので、おっしゃるような、昔のような、つぶれてしまってどうにもならぬというような事態は、いまの時代ではあまり起こらないというふうに、先生の御指摘のとおりだと思います。
  13. 玉置和郎

    玉置和郎君 それであるならばあるほど、国民的願望というものに対して銀行は大きな窓を開くべきなんです、これは。大きな門戸を開くべきなんです。それは、経済秩序だとか信用秩序を維持していくということ、これは大事なことです。それだけに、国民があっての銀行じゃないですか。その国民の多くの方が望んでおるのが、こういうささやかな夢であるマイホームじゃないですか。それに対して、こっちもつけ、こっちもつけ、こっちもつけ、そうして担保も取り、どっちかいうと、いま平均九・七ですよ、ローンは平均しますと。そういうものまで取って、言うならば手でむしり取って、左手でこれ、むしり取って、またこっちでむしり取って、それで足らぬから足でひっかけて——これが銀行じゃないですか。私は、銀行というのは、何とこれりっぱなものだと、こう思っていたが、今度いろいろな人が応援してくれました。私はこの席上からそういう人たちに感謝します。神戸からも大阪からも仙台からも、そうして東京都内からも郊外からも、いろいろな人が、私がやると言うただけで応援をしてくれた。だから、この辺のことを銀行自身がお考えにならなかったら、私はたいへんなことになると思う。社会党の先輩であります木村先生がここに籍を置いておられたときに、この銀行実態国民の前にはっきりさらしたときには暴動が起きると、こう言われております。国会会議録にちゃんと載っておる。私はそれを読みながら、党は違っても、木村禧八郎先生というのはやっぱりりっぱだったなと、先生をしのびながらその会議録を読んだものです。(笑声)これはほんとうのことなんです。私は何もうそを言わない。私みたいに率直に言うのは少ないんですよ、こんなのは。  それから会長、普通預金。一般の方の普通預金は三%、それから銀行の行員さんは、これは普通預金は七・二五、社内預金は七・二五、これはお認めになりますか。
  14. 横田郁

    参考人横田郁君) 先生の御指摘のとおりでございます。
  15. 玉置和郎

    玉置和郎君 ぼくはこのことをさる銀行の人にも聞いてみたんですよ。そうしたら、なかなかこれは言わない。りっぱなもんです。しかし、ぼくらから、国会議員という立場から言わせますと、普通預金で三%の金利でもと願って預金をしに行く人は、当座預金も組めないのですよ。しかし、自分たちのこの住んでおる家じゃこれはとてもだめだから、おとうさんがんばってちょうだいと言って、一生懸命におやじさんのけつをたたいて、それでおやじさんがサラリーを持ってきて相談をして、今月はそれならこれだけ銀行に持っていきましょうというので普通預金に入っておるというのがほとんどです、これは。その奥さんがさいふを汗ばむようにして握りしめて銀行預金にいくのです。片や冷暖房のきいた銀行の中におって、そうして同じ預金したら七・二五と、これはどういうことなんですか。これで銀行が社会的な責任を果たしておるとか、経済の秩序だとか、信用の秩序を維持するために云々だとか、それ以前の問題じゃないですか。さらに、銀行の行員さんが今度住宅建てるとする、そうすると、銀行がその自分の行員さんに貸し出す住宅ローンというのは四%ですよ。これは住宅積み立てを少しやっておったら、もう簡単に四%で貸してくれるのです。さっきから言うように、一般庶民銀行住宅を買おうとしてローンを設定したら、平均して九・七ですよ。信用度の低い中小企業従業員は二%もとられるのですよ。私はこれを見たときに、ああこれはもうきょうは会長を責めるより、まず自分を責めるべきだ、まず国会議員としてこういうことを知らなかった不明さを国民に対しておわびをせにゃいかぬ、実はこう思った。これはきょうは中山先生が来ておりますからね、来ておいででございますから——ちょっとことばづかいが悪うございましたが、中山先生ね、こういう実態、先生御存じでございましたですか、お聞きしたいと思いますが。
  16. 中山伊知郎

    参考人中山伊知郎君) いまの預金利率の相違というのは、私は存じませんでした。きょう初めてお伺いしました。
  17. 玉置和郎

    玉置和郎君 それから中山先生にもう一問お聞きしますが、こういう仕組みになっておる。こういう仕組みになっておることを御存じでございましたですか。住宅ローンの設定をするときに、銀行デベロッパー、それから銀行系不動産会社が中に介在する、損保がこういう形になっていくということは御存じでございましたですか。
  18. 中山伊知郎

    参考人中山伊知郎君) 住宅ローンの問題につきましては、デベロッパーの介入する——デベロッパー不動産会社が介入する場合も、介入しない場合もあると思います。そういう点については私は実際の知識は、あまり誇るわけにはまいりませんが、一応存じております。
  19. 玉置和郎

    玉置和郎君 私はそのほかに、横田会長ね、銀行の行員が同じように千五百万の土地を買いたいとしますね。そうしたら、いまほとんどの銀行のそういう厚生関係をやっている人が、そのデベロッパー不動産会社に対して、うちの社員が、何何君があなたのところの千五百万の家を買いたいからと、こう言うのです。そしたら、銀行というものに対して、どっちかというとサービスしなきゃいかぬ、これは銀行の言うことを聞かなきゃいかぬということを思っておるデベロッパーの会社、不動産会社というものは、大体五%から一〇%値引きをするのです。そこにまた大きな差がつく。こういう実態、一体どう考えますか。
  20. 横田郁

    参考人横田郁君) 先ほどの行員預金の問題あるいは行員の住宅取得の問題につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。実は、行員預金につきましては、昨年の四月、一般の預金の利上げがありましたときに、利下げをいたしました。また、住宅貸し付け金利につきましても、現在利率の引き上げを交渉はいたしております。しかしながら、銀行員と申しましても、やはりこれも勤労大衆の一員でございますので、組合もございます。したがって、その従業員組合と長年の間折衝を重ねた結果の所産でございまして、これをできるだけ改善したいというふうには考えておりますけれども、組合もあることでございますので、なかなか思ったようなわけにはまいりません。  ただ、一言だけ申し上げておきたいのは、いろいろ御異論があろうかと思いますけれども、行内預金金利は、ほかの産業の社内預金金利に比べまして決して高いものでございません。むしろ、若干低めになっているかと思います。これは、大蔵当局の御指導によってこういうふうに昨年の四月に改めたわけでございます。  それからもう一つお話のございました、不動産取得の値引きの問題でございますが、そういう事実があるかどうかは私は確認はいたしておりません。しかし、まあおそらく関係会社であるとすれば、これはまあ多少割引くということはあろうかと推測されます。ということは、自社製品についてはある程度割引をするとか、そういうものが世間一般に行なわれておりますので、いいとは申しませんけれども、そういうことはあろうかと私は考えております。
  21. 玉置和郎

    玉置和郎君 そこで会長、私は、銀行の行員さん、いわゆる組合員さんに対して、そんな預金金利を下げろとか、あるいは住宅ローンのこの利率を引き上げろとか、そんなことを言ってるんじゃないんですよ。これは間違ってもらっては困る。それだけやれる銀行なのです。それだけやれる銀行であるならば、一般庶民に対してもう少し配意があっていいんじゃないかということを言いたいのですよ。これは間違ってもらっては困るのです。  そこで、いまの図面にありますのを、これはこう考えてみたいと思うのです。百億円を貸し付けるときに、かりに——これは政策的な問題もあります。これは国会でやらなければならぬ問題でもありますし、大蔵省がやらなければならぬ問題でもありますが、かりにいま農林公庫——これは政府資金ですね。農林公庫は三%ちょっとから最高は八%、平均したら六%ちょっと下がるというところですね。これはやり方によってはやれるということです。あるいは利子補給するとか、この政府資金をもっと使っていくとか、こういうことをやれるのですね。かりにいま、農林公庫が平均した六%以下という、六%と、こうとります。そうすると、百億借りて四年間ということになると二十四億円。それでこの銀行系不動産会社の介在をさせないということになります。かりにこれはないとしますね。このデベロッパーだとか、こういう会社が直接売るとします。そうしたら、さっきこの一四%掛ける四で五十六億、それから業務提携料十億で六十六億円となる。これからいまの二十四億を引きますと、四十二億がこれで浮いてくる。やはりこのローン設定者に負担がかからなくなるという、これはまあ単純な計算ですよ。その中にいろんな要素がありますが、単純な、きょうはこういうことを考えてもらいたい、私たちも考えていこうということなので、お考えをいただきたいと思います。  そうしてさらに、損保生保という問題もこれは、からまさなくていい。またこの預金の使い方については別途いろいろ方法があると思う。こういうふうなことを考え、さらに国民ローン設定者というものに対して、普通預金——この預金というものは相当あります、これは銀行と名のつくところに。そういう三%の金利を払っているというこの銀行、それをまあかりに一%とする。というのは、銀行の行員さんがローン設定をしたいというときには、あなたのところは四%で貸すことができるのです。その、かりに四%としたとする。片一方は六%で金を貸して、そうしていろんな付属物をみな取ってしまって、そうして国民ローン設定者というものに対して四%としたときに、千五百万の建物は大体どのくらいになると思いますか——それはむずかしいですよ。これはいま言ったって無理なので、これはぼくの計算でいくと、うんと安くなるのですよ。だから、銀行がこんなことをして、がたがたがたがた——私らから言ってもがたがただ、これは。やるものだから、千五百万になってしまうのであって、そういうものを全部はずしていってなにしますと、二割くらい安くなる。三百万円は安くなる。これを考えたときに、これは国会の議員の一人としてあなたにもものを言いたいし、また行政監督権を持つわれわれとして、政府は一体何をしておったのかということも言いたい。われわれは、もっとこういう問題について、国民サイドに立ってしっかり勉強せなければならぬということ、これはその結論が出てくるのは当然だと思うのですがね。どうですか。
  22. 横田郁

    参考人横田郁君) お答えいたします。  この方式でまいりますと、そういうことになろうかと思います。ただ、まあこの銀行系の不動産会社というお話でございますけれども銀行系でなくても、要するに不動産会社自分で、デベロッパーであって自分販売する場合と、それから販売力のないデベロッパーに対しまして販売力を付加するという場合と、いろいろあろうかと思います。販売力のないデベロッパーは、当然その販売力のある不動産会社販売を委託するということになるのではないかと思うので、この方式が必ずこういうふうに実行されているというものではなくて、こういう例もたまたまあろうかというふうに、はなはだ僭越でございますが、私は考えるわけでございます。  それから生保損保の介在につきましても、これはおっしゃるように、銀行というものは不特定多数の方々の大事な財産を預かって、これを貸し付けに振り向けているわけでございますので、ローンをお借り入れになった方の償還を確保する意味で、物件を担保に取るということは、銀行として当然の責務だと考えているわけでございます。したがって、その物件についてまあ損保をもし導入するとすれば、もし火災が起こったような場合には、火災保険をおつけなさいというようなことを当然条件としているというふうに考えられますので、これは銀行が何ももうけるためにやっているのではなくて、むしろ、債権の確保という意味で、健全経営のために損害保険をつけさせるということになろうかと思います。また、生保につきましては、いかなる場合に生命保険を導入するか、私はちょっとわかりませんのですが、まあそういうことがあるとすれば、おそらくその際借り入れ人の健康状態なり、あるいはまたいろいろなことを勘案いたしまして、将来のためを思って生保の付保を勧誘する場合がときによってはあろうかと思いますけれども、これは別に融資の原則ではございません。したがいまして、まあこういう例もたまたまあろうかと思いますけれども、これが一般的でないものと私は確信しておりますし、万一不当なこういうようなことが行なわれるといたしますれば、今後そういうことのないように私どもも善処したいというふうに考えております。
  23. 玉置和郎

    玉置和郎君 会長の言われる生保損保、これは私は当然だと思うのです。しかし、私の最も指摘したいのは、銀行の問題ですから、それによって紹介預金というものを、これを半強制的に入れさしていくというふうなことについては、これはやっぱり系列会社銀行系列生保、それから損保があるのじゃないですか。こういうことはやっぱりそれなりに考えていただきたいということ。  それからいま販売受託の問題をお話しいただきました。小さなデベロッパーの場合は、銀行自体が販売受託の契約をやるということ、これはもういろいろいま往々にしてあります。しかし、一般に販売を受託する場合は、業法でそのマージンは三%ときめられているにもかかわらず、銀行が受託する場合は実に一〇%のマージンにあたる受託費その他を徴収しておる。これがまた土地販売価格にオンされているわけです。これはいま答弁要りませんからね、会長はお調べください。いろんな名目ついておるのだ、こう銀行らしくね。まあほんとうによく調べたら理屈は通らぬのだけれども銀行という巨大な力、その前にはこれはもう青菜に塩ですよ、こんなもの。だから、その辺をお考えいただいて、一回銀行協会としてこういう問題、販売受託の問題、マージンがどうなっておるか——一〇%も取っておるという事実、この内容について銀行協会として銀行全体にやっぱり調査をしていただきたい。私は、このように土地庶民の手に入るまであらゆる面で銀行が介入しておる、庶民の夢を奪っておる、これはむしろ銀行じゃないかというふうな考え方すら持つんです。  大体、以上お伺いしたところをまとめてみますると、銀行デベロッパーに対して正規の融資金利以外に歩積み建てを行なう、代理会社である不動産会社に提携さして提携料を取る、一方、このローン設定者庶民に対してはローン金利と保証料を取る、さらに資金を流用した損保会社からは提携料を取ると、こういうふうに考えていくと、銀行土地というものにたいへんな執着を持っておる。これはどこから来たのかと最近考えてみたら、やっぱりあの過剰流動性の高かった四十六年、四十七年、あの時分に——いろんな会社から今度聞きましたが、これは優良会社からも聞きました。金が余ったからといって銀行さんに金利負担かなわぬからと返しに行った、そうしたら、こんなときばっかりじゃございませんよ、必ず資金の詰まるときが来ますよ、手元に置いといてください、そうして使い道すらわからぬような顔をすると、ちゃんと銀行さんが、あそこの土地を買ったらどうですか、これはいいですよと、そういうことをやった事実はこれはやっぱりあるんです。これを認めろとか認めないとか、そんなことはもういいですよ。これはもうすでに言い尽くされていることですから、私はこれ以上あなたに答弁を求めませんが、結局そういったようにして土地というものの価格を引き上げた。それがインフレの大きな引き金になっているということはもう国会で何回も言い尽くされたことなんですよ。もう銀行がそろそろ反省をするんかいなあと銀行の内容を知っている人たちは思ったでしょう。私なんかあんまり知らぬかったから、いままでぽけっとしておったのです。  実際調べてみたときに、極端なことばでございますが、言いたくないんですが、これはさながら水牛に群がるピラニアのようなどうもうさである。ここまで言わないと、ほんとうに銀行というものは反省をしないという信念みたいなものが私はできてきた。だから今日は会長にはあまり……。あとちょっと後段聞かしていただきますが、これはやっぱり行政府と国会の問題です。あそこまで法律で保護して、そうしてつぶれないままにずっと守ってきておるこの行政権力というもの、これに対して、国会という立場は、もう少し庶民の夢をかなえるためには一体どうしたらよいかということをわれわれ突っ込んでやるべきだと反省をいたしております。  もう一つ、ここでお聞きします。東京だとか、大阪だとか、名古屋だとか、また大都市の周辺ですね、人口急増地帯、こういうところで、かどのいい土地だと思われておるにもかかわらずあいていますね。で、聞いてみたら、大体どこどこさんの銀行がお越しになるようですよと、こう言う。それに対して商店街の人たちは、自分たちと直接関係のない銀行ならばとことんまで反対をするが、自分たちがいまお世話になっておる銀行、またその系列の中小金融機関が来られるときには、これは黙って見ておるという、こういう傾向があるんですが、これについてどうお考えになりますか。
  24. 横田郁

    参考人横田郁君) 銀行が店舗を出します場合には、大体利用者の便益を考えまして、どうしても人が集まりやすいようなところに出す。たとえて申し上げますれば、先生のおっしゃいましたように、郊外の店舗でありますれば、郊外の私鉄の駅の近所とか、そういうふうに利用者の便益を考えて立地条件を設定するわけでございますけれども、しかし、このごろ御承知のように周辺地区の発展が非常に著しく、地価も高騰しておりますので、われわれとしてはそういう立地を確保することが非常に困難になってまいりました。採算を無視してまで高いものを買おうという気持ちは毛頭ございません。ただ、銀行が出ていきたい先は大体すでにスーパーとかデパートとか、そういったものがいろいろ進出しておりまして、相当の値上がりしておる地域が多いものでございますから、これは私どもにとって非常に悩みでございますが、あまり高ければもう最適の地を避けまして次善の地を選ぶように努力をいたしておるわけでございます。特に今回、昨年の大蔵省の店舗行政によりまして、そういうことのないように長期の店舗新設の内示があったわけでございますから、長期間にわたってゆっくり店舗用地をさがすというようなことで、そういった事態はできるだけ避け得るかと思いますし、われわれも別に、特に高いものを買いたいというつもりは全くございませんので、今後も慎重にその点は対処したい。まことに先生のおっしゃるとおりだと思います。
  25. 玉置和郎

    玉置和郎君 会長、恐縮ですけれども、社会的責任を云々する銀行の責任のとり方は一体どうなのかということ、これはやっぱりお互いに十分考えていかなければならないと思うのです。何としても、こういうものが国民の前におそらく出ますね、ローンの問題、こういう問題が。そうしたときに、やっぱり銀行はあれだけもうけておるじゃないか、しかし、なぜこんなことをわれわれにまたしわ寄せせにゃならぬのかという国民の素朴な不満、疑惑、これをやっぱりこの際に少しでも解明をしたいと思いますので、四十八年九月期の決算の大法人上位三十社のうち実に十社までが銀行ですね。これはお認めになると思います。本年の三月決算ではどうなっておりますか、この金額
  26. 横田郁

    参考人横田郁君) ちょっと全体の銀行金額につきましては私どもは把握いたしておりません。しかしながら、今三月期の損益決算見込みにつきましては大体、まだ固まっておりませんけれども、担当者の意見を聞きますと、いろいろ諸物価の高騰、人件費の高騰、もちろん預金利子の支払いの高騰、貸し出し利回りは高騰しておりますけれども、預金利子ばかりではなくて、都市銀行は御承知のようにオーバーローンでございますので外部負債の金利が非常に上がっております。そういうような関係から申しまして、大体の見込みは経常利益で二〇%ぐらいは減益になる、公表利益でしたがって一〇%ぐらいの減益になるというような見込みでございます。
  27. 玉置和郎

    玉置和郎君 私が次にお聞きしたいのは、先ほどから言っておりますように、銀行というものは、いまの大蔵省の過保護政策、私はむしろそれは言い過ぎじゃないと思います、今度調べてみたときに。そして貸し出し金利預金金利にしても法律や行政指導によって制約されている、これはまた事実。いわば統制金利であると、こう思います。銀行協会銀行界の自主的な申し合わせというのを、これよくやっていますね。しかし、私から言わしたら、これは今度大蔵省とそれから日銀と都市銀行と、都市銀行からまた中小の金融機関に行っておるこの人事交流——交流といって、下から上へ行くことはないんですから、ずっと下がっていくんです。それを見たときに、これはたいへんなことだなと思ったんです。そういう中で、銀行相互の話し合いというのは一種のカルテルの類似行為でないかと、こういう見解はどうですか。
  28. 横田郁

    参考人横田郁君) お答えいたしますが、銀行の話し合いと申しましても、大体諸手続の問題とか、あるいは歩積み建ての自粛の問題とか、あるいはまた何と申しますか、御承知のように、銀行協会の内部にございます社会的責任問題に関する委員会とか、そういうところの話し合いはしょっちゅう行なわれておりますけれども、あとは大体金融政策並びに当局の政策、これを伝達するというようなことでありまして、カルテル行為と認められるようなものは行なっていないつもりでございます。
  29. 玉置和郎

    玉置和郎君 会長がカルテル行為を認めたら、これはたいへんなことになる。だから、その答弁は当然だと思いますが、私は類似行為と、こう言っておるんですね。類似行為というふうなことがありはしないか、私たちから今度見ておりますと、どうもやっぱりありそうだ、類似行為が。だから、こういうことについては閉ざされた銀行じゃない、開かれた銀行、こういう立場からぜひひとつ銀行協会長として、傘下の各銀行に対して御教導をお願いをしたいという意味で言っておるのであります。人事のリスト、これはいま手元に持っております。たいへんなことです。しかし、その中でそいう上から下っていくということと反対に天上がりというのがありますね、天上がり。これは中山先生、まことに恐縮ですが、天上がりというのを御存じですか。
  30. 中山伊知郎

    参考人中山伊知郎君) 私は残念ながら存じません。
  31. 玉置和郎

    玉置和郎君 ほんとうに失礼しました。  宇野先生、御存じでございますか。
  32. 宇野政雄

    参考人(宇野政雄君) 私も初めてでございます。
  33. 玉置和郎

    玉置和郎君 これは先生方の知らぬのはあたりまえだと思うんです。先生方のような経済学者が知らない間にいろんなことをやられておるんです。ここに問題がある。これは経団連の堀越先生、お聞きしますけれども、天上がりというのはどうですか、これ、堀越先生は知っておられると思いますけれども
  34. 堀越禎三

    参考人(堀越禎三君) ええ、私自身が天上がりでありましたから。終戦直後に経済安定本部の副長官であります。ぼくは銀行のエキスパートとかあるいは産業界のエキスパートが大いに官庁のために働くということはいいことじゃないかと思っております。ぼくは一年半やりましたが、非常に私自身のためにはいまプラスになっている。
  35. 玉置和郎

    玉置和郎君 堀越先生ね、私は堀越先生のような立場で行かれることは大いに望む。大いに歓迎をする。国会議員としてそれを奨励することについてはもう人後に落ちない。しかし、いまの天上がりという私の指摘をするのは、企業にあって、企業から月給をいただいて、そうして大蔵省とか経済企画庁だとか通産省だとか——優良企業に入って三年、四年勉強して、社内的なことも大体わかってきた、この辺でひとつ自分たちに関係の深い役所へということで、本籍は企業のほうに置いて、そうして収入もそこに求めて、その資格で大蔵省なり経済企画庁——経済企画庁が一番多うございますね、いま。こういうのはどうですか。
  36. 堀越禎三

    参考人(堀越禎三君) 私自身、当時一萬田総裁でしたが、どうせ安本へ行くと月給が減るから、貸してくれと、差額はもらいますと、それから一切ぼくの交際費は日本銀行で払ってくれと言って、ずいぶんかってに使ったんですが、私は本人の気持ちだけじゃないかと思いますね。あるいは会社が、そういうまるでスパイを出すようなつもりで出しているんじゃ毛頭ないと思います。むしろそういう民間のエキスパートがそうして国の行政に非常に貢献することはいいことだと思っております。ことに企画庁あたりはそういう実施機関でありませんから、大いにそういう知識を利用するのがいいんじゃないかと私は思っております。
  37. 玉置和郎

    玉置和郎君 堀越先生、エキスパートならいいんですよ。エキスパートなら、それは役所に籍を置かれて、それで、それが出した銀行なり企業なりの社長が、ああがんばってこいと、君の奥さんの手当ぐらいはおれのところから出すよと、そのぐらいの配慮のある経営者なら私は大歓迎。しかし、いまほとんどエキスパートでないですよ。さっき言った三年、四年ぐらいですよ。これでエキスパートになれますか。エキスパートというのは少なくともその一つの問題に十年以上。プロ野球の選手だって一人前になるのに十年かかる。トレードするのに十年選手というのはそこまで行く。十年もたたぬ、その半分もたたぬ、これはエキスパートと言われないですよ。そしてそれが何をやっているのかと聞いた。そうしたら、ガリ切りだと言うんです。そうして、いまコピーをとらすんだと、書類を運搬さすんだと。これなんです。さっきいみじくも堀越先生が言われたように、スパイだと、そういうことはいかぬと言われたが、それのやっぱり類似行為と見られてもしかたのないようなのがいまの天上がりなんですよ。ぼくはこれをやめろと言ったんです。そうしたら、役所の人たちは何と言ったか、それはやめてもいいですよと言った。やめてもいいですよ——これはあとでまたどこかでやりますけれどもね、国会で。これは国会議員としての責任においてやる。しかし、いろんな経済界の代表的立場におられる堀越先生として、こういう経済界、財界のあり方に対して、どういうふうなこの実態に基づいたお考え、これをお示しいただきたいと思います。
  38. 堀越禎三

    参考人(堀越禎三君) 私は、日本銀行の理事をやって、これをやめていったんでございます。最近そういうことがあるとは私ども知りませんでした。それは、採るほうもどうかしていますが、出すほうもどうかしているんじゃないかと思います。
  39. 玉置和郎

    玉置和郎君 そのとおりであります。出すほうもどうかしているし、引き受けるほうもどうかしている。これを知らなかった国会もどうかしていた。だからこの辺で、国民がこれを聞いたら、だれがこれに一番先手をつけるか、私はやっぱり政府であるし、また経済界であるというように思いますので、ぜひひとつ、これは国民の疑惑を解いていただくために、早急にやっぱり手を打っていただきたいとお願いをする次第であります。  で、もう一つ会長にお聞きします。最近、まあ会長、ため息せんでいいですよ、銀行で不祥事件が起こっておるでしょう。最近年々何か件数がふえてきておるし、金額も大きくなってきておる。この実態、どうお考えになりますか。
  40. 横田郁

    参考人横田郁君) 銀行の不祥事件というものは、これは絶滅すべきものであろうと考えます。銀行は一番信用を重んじなければならない企業でございますので、その企業内において不祥事件が起きるということは、はなはだ遺憾なことでございます。  御承知のように、昨年、いろいろ不祥事件が起きた次第でございますけれども、これによりまして、私どもは全銀協の内部におきまして、社会的責任問題委員会で、一応事務組織の総点検をやりまして、そういう事故が再発しないように、いろいろと衆知をしぼってこの防止につとめておるわけでございます。今後もそういうことのないように、できるだけ——できるだけというよりも、絶対に努力したいというふうに考えておるわけであります。
  41. 玉置和郎

    玉置和郎君 一応まあローン関係のやつはこの辺でおきまして、で、私の同僚議員から関連があります。大口融資の規制の問題について細川さんから関連があるそうですから。
  42. 細川護煕

    ○細川護熙君 横田参考人に一問だけ、ちょっと私、いまの同僚議員の質問の基調とちょっと違う問題で恐縮でございますが、実は、きのうもこの委員会で商社の方々においでをいただいて、銀行の大口融資規制の問題、あるいはまた系列融資の問題等についてお尋ねをしたわけであります。わが国における大口融資規制の問題、これはまあ何というのか、わが国の資本市場の未発達というような、非常にまあ特殊な金融構造によるものであって、融資を押えたからといって解決をするような問題ではないというふうにお考えになるのか、あるいはまた、アメリカや西独でやっておるように、やはり相当な大口融資というものは規制をしなければならないというふうにお考えになるのか、その辺のところ、ひとつ一点だけお尋ねをしておきたいと思います。
  43. 横田郁

    参考人横田郁君) お答え申し上げます。  大口融資の規制の問題は、常にまあ古くして新しい問題でございます。大口融資の規制のそもそもの発想は、預金者保護、銀行が一つの企業に対して集中的に多額の融資をするということは非常に経営上健全でないということから、大口融資の規制というものが発想されたわけでございまして、これはすでに戦後十何年となく論議されている問題でございますけれども、先ほど細川先生のおっしゃったように、わが国では資本市場が未発達、資金調達手段の多様化ができませんために、いまだに大口融資というものが存在しているわけでございますが、できる限り資本市場の発達を促進するとあわせて大口融資の規制をやられるということは、私は方向としては望ましいというふうに考えておるわけでございます。
  44. 岩動道行

    岩動道行君 私は、いまの物価問題において一番大きなのは、やはり超過需要をいかにして押えて、物価の鎮静、価格の安定をはかってまいるかと、こういうことにあろうかと思いまするが、そういう観点から、財政と金融両面があるわけでありまするが、本日は全銀協の会長さんに金融面の点について申し上げたいと思います。  この金融引き締めは相当浸透してきているというような傾向があらわれてきており、さらに五、六月ごろになると、それが最高潮になると申しますか、相当の影響が出てくると、こういうような状態であろうと思いまするが、しかしながら、なお金融引き締めを一そう強化する必要があるのかどうかということ。  それから、現在の金融引き締めの中におきまして、銀行保証の問題、これはいろいろな金融機関についてでありますが、特に農業系統の金融機関等については、これは大蔵省も直接タッチができない、あるいは農林省も直接タッチができないと、都道府県知事がこれを指導監督すると、こういうようなことから、農協の系統外資金の融資については今日までいろいろ問題があった。これに対しては、政府においても相当の引き締め措置を要請をし、協力をしてきておるわけであります。ただ、その場合に、実例として申し上げたいと思いまするが、まず農協資金自体がおおよそ十一兆五千億ぐらいあるわけであります。そのうち、員外貸し付けが三千五十一億と、これは昨年十二月の数字であります。あるいは信連の員外貸し付けは、県単位でありますが、これが四千八百四十一億円と、こういうような数字が出ております。こういうようなことがはたして適正な金融の中においてうまく作用しているのかどうか。特に、いわゆる準組合員に対する大口融資が建設業者あるいは大商社、こういうところに出ておるのでありまして、これは農林省の実態調査等にもいろいろ出ておるわけであります。具体的なことは申し上げませんが、その融資については都市銀行がかんでいると、都市銀行の保証によって初めてその貸し出しが可能になると、こういうことでありまして、この都市銀行銀行の保証ということは、金融引き締めのしり抜けになっているのかどうか、これはひとつ大きな問題ではないだろうかと、かように考えるのでありまして、この点についての銀行の、金融機関の心がまえと、そしてまた、資金が円満にいい流れ方をして使われていくためのお考えを伺いたい。  それからもう一つ、金融のしり抜けとなるかどうかは断定できませんけれども、インパクトローンあるいは外債の発行、これらが日本金融引き締めとどういう関連をもっていまは考えていくべきものであるか、この点についての御所見を明らかにしていただきたい。  なお、つけ加えて申し上げたいと思いまするが、国民はいま物価高、インフレに悩んでおります。そういう中において、預金金利が低いと、預金金利の引き上げ、この目減りをどうするかと、どうしてくれるんだということが庶民の声であろうと思います。これらについての率直な御所見をこの機会に承っておきたいと思います。
  45. 横田郁

    参考人横田郁君) お答え申し上げます。  最初の、今後引き締めをなお持続すべきかどうかという御質問でございますが、現在の段階では、仰せのとおりに、だんだんと引き締めが実態経済面に浸透してきておることは事実でございます。さらにまた、四月から六月の間に原油価格の高騰等によりまして、あるいはまた季節的に決算資金の需要、そういった資金需要が大きくなりまして、この四−六月ごろは金融が非常に引き締まる事態が生じてくる可能性が強いわけでございますが、この際、ここで金融をゆるめますということは、やはりいささか問題があろうかと思います。というのは、物価は一応卸売り物価にしましてもやや鎮静化の傾向にございますけれども、なお依然として高水準にございますし、また、輸入原油価格の高騰によりまして、これが電力料金とかあるいは石油製品その他の関連物資に波及する可能性もございますので、まだここで金融政策としては引き締めを当分の間続けていかなければならないというふうに考えますが、ただ、その場合に心配されますことは、オーバーキルの状態が現出するのではないか。需要も大体停滞いたしてきておるようでございますから、オーバーキルの状態が出てくる可能性もないわけではございません。したがって、今後の金融政策のかじのとり方としては非常にむずかしい局面にさしかかっている。したがって、大筋としては引き締め政策を堅持しながら、そのときときに応じまして、きめのこまかい配慮が必要になるのではないかというふうに私は考えております。  それからその次の問題は、農業金融の問題、農林関係の資金の問題でございます。これは、御指摘のように、非常に問題があろうかと思います。農林関係の資金が非常に豊富でございまして、それがいろいろの方面に流れていっている。ことにプロパーの産業じゃなくて、員外と申しますか、他産業の方向へも流れていっているということは非常に問題であろうかと思います。若干この辺を締めていかないと、やはり総需要抑制策というもののしり抜けになる可能性がないとは申せません。現在の金融引き締め政策というのは、どちらかというと都市銀行に重点が置かれて引き締め政策が強行されておるわけでございますので、勢い、いろいろの企業資金繰り難から、資金の豊富な農業金融機関にかけ込むという状態が出てくるわけでございまして、これに対して都市銀行が保証していることが非常に問題であろうかと思いますが、これは農林系統機関が融資をするに際しまして、担保を取るとか、そういうような手続がめんどうであるために、都市銀行の保証を取っておけば安心して貸せるということでそういう方向に向かっているんだと思いますが、これにつきましても、われわれは大いに自粛をしなければいけないというふうに考えております。もちろん、日本銀行からも大いにこれについては抑制するようにという方針が打ち出されておりまして、私どもとしましても、毎四半期ごとの保証ワクというものは極力押えていくような配慮をいたしておるわけでございます。  それからインパクトローンでございますが、インパクトローンが、あるいは外債の募集ということが盛んに行なわれるようになりまして、これで国内に資金が流入するということになれば、確かに引き締めのしり抜けになるわけでございますけれども、現在では、これらのインパクトローンの導入あるいは外債の発行というようなことにつきましては大蔵当局の認可が要るわけでございますし、当局としましても、インパクトローンの導入につきましては、現在のところ、電力とかあるいはガスとか、そういった公共性の強い、また、真にやむを得ざるものについてのみ許可を与えておるわけでございますので、まずまずやむを得ないことではないか。それからまたもう一つは、これは日本の国際収支がだんだんと悪化しておりますので、ことに長期資本収支のバランスが御承知のように非常に悪い状態でございますので、これの対策として、ある程度の外資の導入ということはやむを得ない点ではなかろうかと思うわけでございます。  それから預金の目減りの問題につきましては、これはもちろん私どももいろいろ苦慮しているところでございます。ただ、御承知のように、わが国では、先ほども御指摘がありましたように、金利の自由化が行なわれていませんので、非常に銀行が、特に預金の目減りに対してどう対処するかということがなかなかできにくい環境にあるわけでございます。それで、いろいろな考え方があるわけでございますし、われわれとしてもできるだけ預金者に対して有利な貯蓄手段を開発したいということで、郵便局のやっております定額預金制度とか、あるいはまた財形貯蓄による長期金利の高い預金を創設するとか、いろいろ考えてはおるのでございますけれども、御承知のように、金利体系というものが厳存しておりまして、預金金利をいじりますとすべての金利に影響をするということになって、したがってまた、財政負担の増大、あるいはまた借り入れ者の金利負担の増大、そういったことに全部結びつくわけで、なかなかいい案が出てまいりません。これはできれば何とかしたいというふうに私どもも考えておりますし、大蔵当局も当然考えておられるわけでございますが、いまのところ、ちょっとまだ名案が見つからないというのが実情でございます。  ほかに……。
  46. 岩動道行

    岩動道行君 いまの預金の目減りについては何とかしたいという前向きのお考えを申されたんでありますが、これはもう目前の問題であって、春闘も非常に熾烈な状態に入ってきております。この際、やはりこの問題について早急に具体的なことを国民に与えていかなければ、私は金融機関の立場というものも非常におかしいことになるのではないか。どうかそういう意味において、この点についての具体的なことを、もしこの席で、なおどういうことを検討しているのか、具体的なことをさらにここでお示しをいただきたいと、かように思います。
  47. 横田郁

    参考人横田郁君) お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたとおり、なかなかいろいろな案は——われわれの考え方の中にあるわけでございますけれども、同じことの繰り返しになりますが、金利体系の問題がありまして、われわれがやろうと思うことがなかなか他業界からの反対もあるとか、そういうようなことで実現ができない状態でございます。私どもの案ではございませんけれども、これはある国会議員の方の私案でございますけれども預金の目減りを救わなければならない対象というものは勤労大衆だ、したがって、大口預金について預金金利をとやかくすることはない、一口五十万円ぐらいのところで少なくとも一〇%ぐらいの金利をつけたらどうかというような御意見があったわけでございますが、これは一つの案だと私は考えております。  ただ、一人五十万円ということがどうやって確認できるか。要するに、これは人間のモラルの問題でございますけれども、五十万円を分割して一人の人間が百口預ければたいへんな金額になるわけでございますから、それをどうやってチェックしていくかということに一つの問題点があるわけでございますけれども、この問題点が解決されればそういう案も非常にけっこうなんではないかと、私は個人的には考えておるわけでございます。行政当局で何とおっしゃいますか、その辺は私はわかりませんけれども、そこいらあたりが一番実現の可能性のある対策ではなかろうかと思いますが、ただ、御承知のように、昨年の暮れに、六ヵ月の定期について七・二五ですか、一年もの以上の金利をつけまして——一年ものと同額でしたかな、金利をつけまして、いわゆるボーナス定期という、これが非常に好評だったわけでございますが、この期限が御承知のように六月にまいるわけでございます。六月から七月にかけてまいるのであります。この期限が切れた時期に大蔵省としては再びそういうようなものを御実施になるのかどうか、その点はわれわれ予測ができませんけれども、多少考えておられるように承っておるわけでございます。現在の段階でほんとにいい知恵がないので、これはもう国会議員の方々でも衆知を集めてひとつ考えていただきたい、お教え願いたいというふうに私どもは考えております。
  48. 今泉正二

    ○今泉正二君 私はスーパー関係について三つばかり質問をさせていただきます。  三月の二十三日のNHKの「物価高騰とゆれる生活意識」という番組の中で——ごらんになった方もいらっしゃると思いますが、そのときに、物を大事にするというのが六〇・〇、安い店をさがして買うというのが四〇・五、買いものをがまんするというのが三八・九、値が上がるので早目に買うというのが一〇・三、ここらあたりが家庭の主婦の生活物資に一番不安を感じている例の一つでございます。そして、この番組だけでなくて、今度は総理府のやつを拝見いたしますと、総理府の広報室から出ている印刷物を拝見しますと、物価の上昇に追いついていくのが精一ぱいで、生活を向上させるゆとりがないというのが三五%、生活は向上しているが物価の上昇で将来へのたくわえが心細い、それから買いもののくふうが二八%、生活を引き締め消費を押えているというのが二二%、それから特に何にもしていないという人が三〇%。それから主婦に——これは二千人ぐらいに会ったらしいんですが、聞いてみますと、特にしてないが二五%に減りまして、買いもののくふうが三八%として、やっぱり群を抜いております。  そして、生協がほかのスーパーよりも物を安くするということで発足され、幾らかその皆さま方の御努力が報いられてきたのでございますけれども、これは朝日新聞の記事を拝借いたしますと、三月十五日の分でございますが、灘神戸生協の北口店などは大手スーパーと変わらない。エスカレーターがあって、ムード音楽が流れて、いろいろ屋上には金魚や小鳥を売って、おとぎ電車がぐるぐる回っていると。こうなってきますと、別に生協でなくても百貨店と同じじゃないかというような気もしてまいりますが、それは買う方の趣味とか、あるいはいろいろ商業的なものの多様性で、そうならざるを得なかったということもわかるんでございますけれども、やはり新聞でこう取り上げている以上、灘神戸生協の代表の方もお見えでございますので、答弁簡単にお願いをして次に入りたいと思いますが、ちょっと伺いたいと思います。
  49. 春木秋広

    参考人(春木秋広君) ただいま灘神戸生協の北口店の話が出たわけでございますが、実は、私たちことしの二月から組合員に生活を見直そう運動というのを提唱いたしております。これは、最近の非常な高物価に非常に消費者が戦々恐々としておるわけでございまして、今後の物価高騰についても非常な心配をしているのが現状ではなかろうかと思います。そういう中で、私たちその消費者の皆さん方と相談しながら、もう一度私たちの生活を見直そうじゃないか——卑近な例でございますが、コーヒーをいただきますのに、角砂糖二個使う場合と、スプーンで普通のばら砂糖を入れる場合と比較いたしますと、値段が半分で済みます。また、最近よく出ております紅茶の、袋入りのパックの紅茶、これはたいへん便利ではございますが、これと、ばら紅茶を買いまして一ぱいのカップに紅茶を出す場合と値段を比較いたしますと、ばら紅茶を使いますと、これも半値で済むわけでございます。したがいまして、いろいろ便利性はあろうと思いますが、われわれとしてほんとうは困るなれば、こういう一つ一つのわれわれの消費の中で、ほんとうにつつましい家庭として、そういうふうな生活を見直すことによって、さらに私たちは将来への力をつくらないといけない。こういったことと同時に、もう無用な消費はやめよう、こういう運動を、実は私たち三十六万五千世帯の組合員でございますが、そういう方々に生活を見直そう運動、こういうことについての組合員からのアイデアも募集いたしまして、そしてそれらの家庭にも呼びかけてそういう運動を進めていきたい、こういうふうなことを、いまやっている最中でございます。  いま先生から御指摘になりましたマーケットの場合、これは北口を中心に約十万戸の組合員がございます。この人たちの買いものの場として、なるほど電車で十五分参りますと大阪にも出ます、神戸にも出ます。しかも、そこには大きなスーパーも百貨店もございます。しかし、そこで買うよりも、自分たちが確かめた商品を買うためにはどうしても生協の店で買いたい。生協には商品検査室がございまして、食料品すべてにわたって全部化学分析をし、細菌検査をして、そしてパスした商品だけを並べているわけでございます。したがいまして、そういう組合員の買いものの場所としてつくる場合に、やはりどうしても最近の社会的影響を考えてつくらないと、生協だからといいまして無味乾燥な店だけでは事は済まないような、いま社会情勢でございます。したがいまして、新聞記者の方がごらんになられますと、なるほどほかと変わらないというふうにごらんになられようかと思いますが、その中の運営のしかたについて、また、商品については全然違うわけでございますので、この点ひとつ御了承いただきたいと思います。
  50. 今泉正二

    ○今泉正二君 五月に出すはずの安売り禁止令、高橋公取委員長がこれを五月のを見送りました。安くてよい品物、昔からそれにこしたことないんです。あとどうしても金が余ってしようがないという人は別のものを買えばいいわけですから。普通そういう方は少ないことになっておりますから、安売り大賛成でございます。そしてその安売りを実施されているスーパーさんが——これはあとまた社会党の皆さまからも御質問があると思いますから、私はそうっと、なでるぐらいでございますが、松戸のほうのスーパーの川井さん、こちらはたいへん安くお売りになっている。私も現に向こうへ行った。しゃべっているだけじゃいけないというんで。これは一〇%しか掛けないんですね、川井さんところは。化粧品でも何でも、食べものでも。これ、二百五十二円の乳液でございます。その乳液に二十五円足しますから二百七十七円ということで、一〇%ぐらいしか掛けないでずっとやっているとなると、これは買う方には評判がいいらしいんですが、業者のほうから、上から、何でおまえのところだけそうやって、ほかがもうちょっと高く売っているのに安いんだというような圧迫があるというようなことを聞きましたが、川井さんいかがでございますか。それほんとうでしょうか。
  51. 川井捷英

    参考人(川井捷英君) ただいまの御質問ですが、上からの圧力という点について社会党の加瀬先生のほうからも御質問があると思いますけども、現実にあるわけです。で、それについてわれわれとしては、まあ可能な限り抵抗をいたしまして、何とかこれまでは続けてきたわけですけれども、やはり一部の商品については商品調達というものが十分にできなくて、消費者へどうもその商品の提供ができない面も出てきているということです。で、われわれ小売り業の使命としては十分な商品を提供することが使命というふうに考えていますので、そのやり方というものによって消費者に提供できないのならば、また次の方法を考えなければいけないのじゃないかというふうに考えています。
  52. 今泉正二

    ○今泉正二君 現実にそういうことがあったということがあなたの口からわかったわけでございます。そして今度、品物を具体的に一つずつ——まあ一つずつといっても時間がありませんから、二つぐらいですが、まず、私も大好きでございます、それから一般庶民的な中では、えらい方はあまり食べないでしょうけれども、即席ラーメンというのがございます。これは名前のとおり、すぐできるという。ところが、これが値が下がってまいりまして、私、目白に住んでおりますが、五十五円が五十円になったりして、けっこうなあんばいなんですが、これが、つくる方がやはり下請のほうへいろんな圧迫をかける。そうなると、下請はそのワクの中でつくらなきゃならないということで、この間公明党さんからも御質問がこの委員会でございましたとおり、いろいろ何か汚物が入ったり、何か金物が入っていたりなんかいろいろするということを、まあ新聞で、私切り抜きを持っておりますが、それを聞いたもんですから食糧庁のほうに聞きましたらば、こういうものはたまにっきゃないもんですから……。その御指摘のようにそうちょいちょいあるわけじゃないと言ったんですが、たまにっきゃないからこれたいへんなんで、交通事故と同じなんです。年じゅうぶつかって死んでいるわけじゃないんです、たまにというのが一回で最後なんですから。このたまにっていうやつのところが一番大事なんですよ。飛行機だって、たまに落ちるといったって、そのたまに乗った人は一回でおしまいですからね。  この即席ラーメンの業界の悪徳商法なんていうので、これ朝日さんばかりほめるといけないから、読売さんでございますが、これは。私は各社けんかしないように全部切り抜いて持っております。こういうところも非常にこまかく神経を使っておりますが、私その具体的なのを、ラーメンを十種類ぐらい買えば評判がいいんでしょうけど、私も三十一万円の給料でやっていますから、芸能界をもう引退しておりますから。その給料の中で買うんですから。この「サッポロ一番」とか「ビーフ味」とか、まあそれいいんですよ。ところが、こんなに何色も、七色も使ったような色で印刷なさいますと、こういうものの製品の印刷代と、この絵の具代といいますかね、カラフルにするための費用というものは、相当そばのほうへ、それこそ縮れてくるようなしわ寄せになってくるんです。で、現実にはこんなものないんですよ。チャーシューもなきゃタケノコもなきゃね、ホウレンソウもサヤエンドウも、何にも入っていない。御家庭で入れたらいいというのは大きなお世話なんです。これこのとおりゆがいて出すと、子供がね、これが入っていない、ゆで卵が入っていないというために、これが安くても、こんなに絵が、責任持たないでしょう、これ。お宅でお好芸好きにお入れくださいって、かってに、おおきにお世話ですよ。奥さんがダイヤモンド買おうが買うまいがかってなようなもんでね。そんなところまで、これ、やるよりも、昔のうどんの玉とか、そばの玉みたいなように素朴な袋で、不衛生ではいけませんが、そういうものでコストを幾らかでもお下げになれば、皆さまの本来のものを下げるという基本線に触れてくるんではないか。下請のほうからも、くやしいから少しは中に何か入れて、上の大手のやろう少しおどかしてやろうと、たとえば思っても、それっきりですよ。だから、こんなに万国博覧会みたいな色使わなくたっていいんですよ、そばなんていうのは。ですから、もっと素朴にやっていただいて、むだなお金を、経費をやめていただいたらいいんじゃないか。私は、きょうおそば屋さんはいないでしょうけども、これを、テレビをまたごらんになった方とか、聞いている方の中で、これ自粛していただきゃいいということで、私、これは御返答求めません、今後善処しますぐらいで終わるでしょうから。おなかの中にきゅっとおきゅうだけ据えておきます。  それから、もう一問で終わります。自民党は数が多いもんですから、いろいろスピーディにまいります。今度は化粧品なんです、化粧品。いろいろ自民党、選挙のとき化粧品のほうにお世話になっているからね、言わない人が多いんですが、私、言いましょう。この次の選挙やってくんないでしょうけど、やります。  化粧品高くったっていいじゃねえかという男がいたんです、この間。人間だって酒飲まないやつがいるんだからいいじゃねえかと。高きゃ買わなきゃいいんだと。これは男の場合と違うんです。女性で、若い方でお化粧品使わないという方はよっぽど美人で、生まれたまんまで顔は水で洗うだけでいいという方は別ですが、普通は、少しでもよりよく美しくなりたいというのが女性のもう当然の世界じゅうの願いです。そして、このごろはそれが何か横に広がって、男が化粧するようになってきまして、男の化粧品も各メーカーで非常に売れております。  大体国学院の先生の意見聞きますと、男の化粧が盛んになるときは動乱が起こる前兆だってえんです。その方が言ってるんですよ。私が言っているわけじゃない。平安朝時代で貴族政治がなくなって、いよいよ武家政治になるとき、男はみんな牛若丸みたいに塗ったというんです。元禄のあと、文化、文政ごろで動乱の前兆はやっぱりこうだった。フランスの大革命、ブルボン王朝が崩壊するときも、みんな男だか女だかわかんないような化粧をしたと。マリー・アントワネットがおしゃれに使った金はフランスの一年間の軍事費より多かったということは、私のように中学卒業ぐらいの程度でも西洋史で習いました。そうなってきますと、この化粧品の問題、大事なんです。  ところがお役所のほうの通商産業省は、これは趣味嗜好の問題であるから、それぞれの生活状態に応じたお値段でお買いになればいいから各分類がありますと、高級品は高級品のムードがあるので一がいに先生みたいにそう短兵急におっしゃるとてなことを言って、私をなだめようと思ったんですが、それじゃ私の考えが行き過ぎかなと思っていたら、天が味方をいたしまして、きのうの産経新聞、四十九年の四月二日朝刊、「名古屋大講師がショッキング報告 化粧品乱用 二・六人に一人が皮フ障害」——それは安いの使った人だけじゃないんですよ。二十代の独身女性と経済力のある中年女性に集中して調べましたところ、三千人のうちに半分の——半分になりませんが、三八・五%、千百五十五人回答よこした中の四百四十五人が、この乳液、化粧水、クリームで全障害の六九%ですね、はだが荒れたり、はれ上がったり、それからひりひりしたり、色がかえって黒くなっちゃったという。相当高い値段まであるんです。これは、その結果はまた名古屋大学の早川先生から発表があるでしょうけれども、こういうことを考えますと、高いとて必ずしもよくない。安いのはがまんしろと。そして外国製品にまねしてどんどんどんどん高級な箱に入って、クリームで私も三千円というのを手につけてみたり、五百五十円というのも塗ってみました。いまここで塗ったってしょうがないですけど。私は、見てそんなに変わらないような気がするんです。私は、そういう女性のいじましい気持ちまで何か値段によって差別つけるようなことはぜひなさらないように、なるたけ穏健な中庸な線をいくような中で美しくなられるように御腐心されることが化粧品業界の何か使命のような気がして、私はまあただひげそったあとにちょっと床屋でつけてくれるやつを塗るぐらいで、あんまり化粧品に対して語る資格はありませんが、あまり男の方がやらない問題で、それで女の方の委員があんまり少ないというこの委員会でございますので、あえて、きのうの新聞に合致して、私は前から調べたことを申し上げたんですが、そのラーメンと化粧品について一言だけ伺って私は終わりたいと思いますが、いかがでしょう。だれかお役所の方いますか、化粧品のほう。化粧品ない。じゃ、ラーメンのほうは、食糧のほうは——みなこわがって来ませんね。  それでは、私は結びに……。大体もう良心の苛責で来ないんですから、来ないのは。きょうは偶然にも四月三日、聖徳太子が憲法十七条を制定した日でございます。その十条の一部で終わりにいたします。「我必非聖、彼必非愚」、中略します、「我獨雖得、從衆同舉」といみじくも喝破されております。このことを業者の方々と、そのまた利用する方とに公平に行きわたるようにお願いをいたしまして、きょうの答弁のことは、私は後日のその製品の結果と良心的なことに待って終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  53. 梶木又三

    ○梶木又三君 だいぶ身近な問題が出ましたので、私も、食生活に欠かせない牛肉について畜産事業団理事長にお伺いしたいと思います。  もうだんだん言うまでもありませんが、だいぶウエートが肉、豚、食生活で上がっております。それで、畜産事業団は、これの価格の操作あるいは需給、そういうふうなものを取り扱っておられる、たいへん大切な仕事をやっておられるわけなんですが、ことし輸入牛肉をだいぶ放出された。もちろん、この物価がやかましいときですから、国内産のやつがだんだん上がってくれば、当然輸入のワクをふやして牛肉をうんと放出して価格を安定さす、これはまあ一番の大切な仕事だと思うんですよ。ところが、去年からことしの初めにかけて相当輸入が多過ぎたと、昨年四十八年度——これは農林省にお聞きすべきだと思うんですよ。だから、農林省に対しましては私はまた別の機会を見てあれしますが、十六万トンのワクで実際は十二万何千トンですか、輸入された。そのうちいろいろ問題が昨今出てきて、そのうちの四万トンさらに凍結をされましたけれども、とにかく十二万何千トンかを入れられた。このために国内価格が、国内産の卸売り価格が暴落した。これは御承知のとおりだと思うんですよ。ところが、国内の卸売り価格が非常に下がっておるのに、店頭での小売り価格はさっぱり下がらぬ、これをどういうふうに考えられておるかということと、私は長期的に見た場合、もちろんいまの物価の状態ですから、そこをうまくやって、あまり価格が上がれば当然牛肉の輸入をやって調整すべきだと、これはもちろん思うんですが、去年からことしにかけてこういう状態になりますと、長期的に見た場合に、だんだんだんだん国内で牛を養う方がなくなる。これは牛肉だけじゃありません。この間から問題になっておる牛乳関係も同じですわね。酪農農家がだんだんやめてしまうと、こういうことになって、輸入肉の放出いかんというのは非常に計画的にやってもらわないと、循環が悪いほうに循環しちゃって、だんだん国内の酪農家がなくなろと、こういうことになれば、長い目で見ればこれは消費者に必ず悪影響を及ぼす。一時的にはよくても、長期的に見た場合、肉というものが投機的な産物になってくる。非常に私はその点に危険を感ずるので、ことし十二万何千トンかを輸入された、その数量を出された根拠ですか、国内産も下がってきた、あるいは消費が伸びてきたかどうか知りませんが、その見積もりについてちょっと過大な見積もりがあったんじゃないか。だから、今後はやはり長い目で見た場合、くどいようだけども、消費者を守るという立場から見れば、私はやっぱり国内産というものも相当伸ばしていく必要があると、これのほうが安定的だという考えに私は立っておるものだから、そういう観点から、どういう計算のもとに割り当て量を勘定されたかということ。それから今後、だから私はぜひ、全体の消費量と、それから国内産の産出量、これをほんとうに正しくつかんでいただいて、もうむちゃくちゃな輸入を差し控えていただきたいとこれはお願いをするわけでございます。  それからもう一つは、十六万トンもワクをつくって、それがオーストラリアとか割り当てておきますと、解約ということになるわけですよね。いまの日本の畜産の問題から見て、解約して、あるいは四万トン凍結どうされたか知らぬけれども、入ったものを日本で凍結して冷蔵庫に入れておられるのか。私はその細部は知りませんが、もしか向こうの国で待っとってくれと、四万トンはちょっと待ってくれと、こういうことであれば、向こうだって私は困ると思うんですよ。どうせこれ、冷凍肉だとか冷蔵肉でしょう。いままで契約しとったやつを待ってくれと、これは向こうも困ると思うんだ。だから、そういう点で、ひとつ十分計画的にやっていただきたい。  そういう意味で、先ほど言いました、なぜ輸入がこれだけ多かったのに小売り価格が下がらなかったかということと、それから十二万トンをどういう勘定のもとにやられたか、それを畜産事業団の理事長としてひとつお答えを願いたいと思います。
  54. 岡田覚夫

    参考人(岡田覚夫君) ただいま御質問の点でございますが、実は、お話のように、昨年の十一月ごろから牛肉の卸売り価格が急落をいたしたわけでございますが、当初輸入計画をいたします場合に、四十七年は七万一千五百トン程度であったわけですが、四十八年度は十六万トンということで倍増いたしておるわけであります。これは、輸入計画を立てます場合には、もちろん農林省と通産省で御相談できめられることでございますが、従来牛肉の消費は非常に伸びておりまして、毎年一〇%ないし一五%伸びておった。ところが、国内の供給力が必ずしも十分でないために、まあ輸入せざるを得ないということで、そういう計算のもとで輸入量がきめられたと思うのでございます。しかし、実際問題といたしましては、四十七年の一月−十二月と四十八年の一月−十二月を比べてみますと、国内供給量と輸入量を合わせますとそれほど違わない数字になっておるわけでございますが、それにもかかわらず四十八年の十一月ごろから急に価格が下がってきたということは、やはり消費が減退をしてきたというふうに基本的には考えられるのでございます。したがいまして、過剰なものをそのままにしておくということは必ずしも適当でございませんので、先ほどお話がございましたように、四十八年の割り当て量のうち四万トンは凍結をいたしまして、なお事業団が持っておりました一万トンは現在冷蔵倉庫の中に入れて保管をいたし、売り出しをいたしてないということにいたしておるわけでございます。そのほか、入ってくるものにつきましても、できるだけ買い入れするものと、それから海外の販売をする人との間の話し合いをつけましてわが国への輸入を延期するというふうな措置をとっておるわけでございます、で、当初われわれは必ずしもそう全体の供給量としては多くないと思っておったわけでございますけれども、結果的には過剰ということになって、まことに申しわけないと思っておるわけでございますが、今後はまあ、もっときめこまかい需給に応じた輸入方式というものを検討していく必要があるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  それから第二の問題でございますが、卸売り価格が下がっているのに小売りはなぜ下がらないかという問題でございますが、お話のように、卸売り価格が下がれば当然それに比例して小売り価格が下がるというものが本来の筋だというふうに思うわけでございます。しかし、現実の問題といたしましては、御承知のように、各大都市には市場がございまして、市場で売買をされたものによりまして卸売り価格が形成されておるわけでございますが、日本の卸売り市場というのはまだ非常に規模が小さくて、そこへ出荷されます量が非常に少ない、消費量に比べては非常に少ない、そういうことから、多少の需要がふえるとか出荷が減るとかということになりますと、かなり卸売り価格が変動いたすわけでございます。一月の間でも相当の上下があるわけでございます。したがいまして、卸売り価格の毎日の変動に応じて小売り業者が小売り価格をきめるということは現実問題としてはなかなかやりにくいということがございまして、多少傾向的に下がるというふうなことが確定いたしますと、それにつれまして小売り価格を下げるというのが従来の例であろうかと思います。そういう関係から、卸売り価格と小売り価格の関係の間には若干のタイムラグがあるわけでございます。  それからもう一つは、御承知のように、外国では牛肉——牛肉だけに限りませんけれども、肉類は一キロ、二キロということで、かたまりで買ってくるのが常識であると思うのでございますけれどもわが国の場合は、消費量が非常に小さいという点もありますし、従来の生活様式、態度ということにも関連いたしまして、スライスいたしまして非常に薄い肉に切る。そういうことがありますために、かなり労賃が高くなっておる現在におきましては、コストが高くなるという問題も一方ではあるわけでございます。そういうことでありますし、また、価格が下がりますと、おのずから肉の質の問題にも関連してきます。御承知のように、牛肉につきましては、豚肉や鶏肉と違いまして非常に複雑な内容を持っておりまして、簡単に割り切れないものがあるわけでございますが、しかし、先ほど申し上げましたように、本来卸売り価格が下がれば小売り価格が下がるべきものであるというふうに思うわけでございます。そういう点で、農林省が強力に御指導になりまして、最近は徐々に低落の方向に向かってまいっておるわけでございます。今後も、卸売り価格との関連につきましては十分農林省からの御指導をいただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  55. 梶木又三

    ○梶木又三君 もう一問だけ、時間がありませんから簡単にお尋ねしますから、御答弁もひとつ簡単にお願いします。事業団。  ただいま申し上げました十二万何千トンかの輸入牛肉を取り扱っておられる。それを販売されるときに調整金を取っておられますね。冷凍肉は平均二十円ですか、それから冷蔵肉はボンレスの場合は五十円、それから骨つきの場合三十五円——間違っておったら訂正してください。これ、私なりに勘定しますと、ことしは去年に比べて輸入量が五万何千トンから十二万何千トンにふえておりますから、相当な金に、十数億になるんじゃないかと思うのですがね。これも間違っておったら訂正していただいてけっこうですが、そのお金が事業団に入る。いろいろ振興に使われたりと聞いておるんですが、これをどのように御使用になっておるのか。それから、物価がやかましいときに調整金をもっと下げる意図があるのかどうか。あるいはもっと上げて、積極的に国内の畜産の振興に使うほうがいいかどうか。これは農林省の見解がいろいろあろうと思うんですが、それは別として、現実に入る十数億円をどういうふうに使われておるか。それから、さらに手数料も取っておられますな、販売先に。それについてどういうふうにお考えになっておるか。これをお尋ねしまして、私質問を終わります。
  56. 岡田覚夫

    参考人(岡田覚夫君) ただいま御質問ございました調整金と、それから手数料の問題でございますが、現在輸入されております輸入牛肉は、関税二五%加えましてもなお国内の価格よりは安いわけでございます。食肉業界というのは非常に複雑でございまして、これをこのまま放置いたしますと、それが消費者のために還元されないで、流通業界のために吸収されてしまうというふうなおそれが十分にあるわけでございます。そういう意味から、その一定の差額につきまして事業団がそれを取りまして、それをオンした形で売り渡すという形にいたしておるわけでございます。最近、大体フローズンに、お話のように平均二十円、それからチルドビーフにつきましては平均五十円ということで一キログラム当たり徴収をいたしておるわけでございますが、四十七年度の決算におきましては、これから生じます当事業団の利益が約十五億円ということになっております。で、法律の規定によりまして私どものほうの団体としましていろいろな感じを持っておるわけでございますが、輸入牛肉勘定におきましては、そのうち、将来の損失の場合もございますので、準備金として二割はためておいて、その八割を助成勘定というところに繰り入れまして、助成勘定から肉牛の振興に使用することにいたしておるわけでございます。本年度助成勘定に繰り入れまして助成勘定として使用いたしておりますのが大体十二億円ぐらいになるわけでございますが、それがどういうものに使われておるかと申しますと、一つは肉牛の緊急生産振興対策ということで、一等肉牛が生まれました場合にそれに対して約一万円の補助をするということにいたしております。それから、残りは全国の生産県に肉牛の価格安定基金というものを設置いたしておりまして、その基金は生産者が積み立てまして、もちろん国、県の補助もございますけれども、積み立てまして、その積み立てた額で、子牛が下がったときに支払いをすることにいたしておるわけでございますが、積み立てました基金で不足な場合に融資をするということで全国の肉用牛基金というものができておりまして、そこで融資をすることにする基金を造成するために当事業団から助成をいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、牛肉につきましては将来国際的には非常に不足する、おそらく農産物の中で一番不足するのは牛肉ではないかと言われているわけでございまして、したがいまして、国内生産を振興するということ、国内でできるだけ牛肉の生産をするということは将来にわたって必要なことだと思うわけでございまして、私が申し上げるまでもなく、牛というのは、生まれるまでに人間と同じように十ヵ月かかりまして、それから生まれましてさらに一人前になるのには十六ヵ月ないし十八ヵ月かかるというのが実情でございまして、ひとたび資源が減少いたしますと、これを回復するということは実に容易ならざることだと思うのでございまして、資源の減少を食いとめ、さらに将来長期的に不足いたします牛肉資源を供給するという意味においては、この際国内振興ということも相当思い切ってやらなければならないというふうに思うのでございまして、そういう意味で事業団のとりました差益金につきましては使用さしていただいておるわけでございます。  それから手数料の問題でございますが、これは事業団が売り渡した場合に団体が手数料をとっているかどうかと、こういう問題でございますね。これは、事業団が売り渡します牛肉は、個々の小売り業者に売り渡すということは非常にむずかしいことでありますから、全国団体に売り渡しをいたしております。たとえば、牛肉の小売り商の団体、主として全国の連合会がございます。あるいはハム・ソーセージ業界の連合体がございます。そういったものに売り渡しをいたします関係から、どうしてもそれを全国へ配送するということが必要になってまいります。そのためには、人件費でございますとか、あるいは運搬費でありますとか、あるいは保管料でありますとかというものが相当経費がかかるわけでございますから、手数料を取りますのはこれはやむを得ないことではないかと思っております。ただ、手数料が高いか安いかという問題でございますが、現在、団体の性格によりまして必ずしも一様ではございませんけれども、〇・五%ないし一・五%ぐらいが普通の水準であるというふうに存じております。数字自体から見ますと、それほど高い手数料だとは思わないわけでございますけれども、しかし、量がだんだんふえてまいりますと金額もふえてまいることになりますので、農林省の御協力を得まして、われわれとしてもできるだけ適正な水準の手数料が取られるように努力をいたしまして、それによって小売り価格が安定するようなことをやってまいりたいというふうに考えております。
  57. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 せっかく物価安定推進会議に寄与されております中山先生がおいでになっておりますし、また、流通問題の権威の宇野先生がおいでになっております。一問だけ、まことに恐縮ですが、私からお願いをいたしたいと思います。  御承知のように、私も第一次物価問題懇談会のときに物価政策課長をやっておりまして、先生にたいへんごやっかい、御指導をいただいたわけでございますが、現在の異常な物価高、特に昨秋来の狂乱物価の中におってそれを考えてみますと、それまでの物価上昇、卸売り物価の安定、消費者物価の生産性格差インフレーションによる値上げ等、昨秋来の物価高、さらには今後に予想される物価高というのは非常に異質なものに変わりつつあるのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。そこで、権威であられる先生にお伺いをするわけでございますが、第一に、いままでのわが国物価問題と現在及び将来に予想される物価問題との性格的な差異というものが私はあると判断をしておるわけでございますが、先生はどういうぐあいにお考えなのかというのが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、現在の物価問題というのはいろんな総合的な要因で上昇しておると思います。私の考えるところでは、政策にもよりましょうけれども、すなわち総需要の抑制策という雰囲気の中で政策は進めなければならないと思いますけれども、供給面に非常に多くの解決のむずかしい問題を包蔵して、今後コストインフレーションというような特色がわが国物価問題に非常に大きくクローズアップされていくのではないかということを憂慮をしておるわけでございます。それだけに、その解決はいままで以上に総合的な、しかも国民的な、国民全体のコンセンサスの上に立って、国民各層個々の利害を越えた強力な政策の展開が必要なのではないかと思うのでございます。そういう意味で、今後の物価対策を推進していく場合に基本的に重要であり、また、従来の物価政策に比して特徴的な方向として考えなきゃならない点がどこにあるかという二点について、中山参考人にお伺いしたいと思います。  それから次に、宇野先生にお伺いいたしますが、わが国物価問題を考える場合にマクロ的な施策が重要であることは申すまでもありませんけれども、常に問題があると指摘されながらなかなか鮮明な理解がされないし、また明確な政策が打ち出されてない問題に、流通問題があると思います。理論的には、流通の問題というのは、空間と時間と所有を転移することに応じて、いかにして生産と消費を合理的に結びつけるかということに尽きるかと思うのでございますが、日本の流通機構の問題というのは非常に歴史的に伝統の深い慣習があるわけでございます。そういう意味で、最近いろいろバーティカルインテグリエーションといったように、縦の系列というものが進んでおります。そしてスーパーなり、あるいは産地直結といったような流通システムが進んでおりますけれども、その中で中小企業問題というのは非常にやっかいな問題だと思います。そういう中小企業問題をかかえておる今後のわが国の流通問題、流通機構の合理化の方向といった点について御意見を承りたいと思うのでございます。
  58. 中山伊知郎

    参考人中山伊知郎君) 第一の問題でございますが、日本物価騰貴、あるいは私はインフレーションと言っておりますので、そう申し上げますが、インフレーションの性格が変わったかと、こういう御質問でございます。私は基本的には変わっていないと存じます。大体日本のインフレーションが始まりましてから今日まで十五年たっておると思いますが、その間に徐々に今日のような状態が醸成されてまいったのでございまして、したがって、どこかで特に急激な変化、あるいは性格が変わったということは申せないのではないかと存じます。それではどういう形でそれが進行したか。これは、先ほど御発言がありましたように、過剰流動性と申しますか、購買力自体が非常に大きくなってしまったこと、一つは世界的な原因、これはアメリカのドルの金からの乖離という問題が非常に大きな刺激になって、世界的にドルのばらまきと申しますか、過剰な散布があったということ、これはやはり大きな原因であったと思います。第二は、それに乗じてやはり日本の中にも、国内的にも過剰購買力、過剰の資金が流れたということ、それの吸収の方法が幾らかタイミングを失していたということ、こういうことが日本的な特殊の事情であったと思うのでございますが、要するに、世界的に金でもって成長をささえる、あるいはもっと簡単に言いますれば、資金を出して完全雇用を守っていくという政策がとられた結果、今日のインフレーションが徐々に育成されたと、その意味においては私は特に目立った原因はないと思います。もしそういう原因を特につけ加えますれば、それは昨年の秋に起こりました石油の資源の問題でございまして、これは量の問題も非常に大きな問題でございましたけれども、今日振り返ってみますと、われわれのいま立っております状態では、むしろ価格の問題が重要な問題で、御承知のように、一年少しの間に四倍というような原油の値上がりと、これを日本の経済がどう吸収するかということが現在の物価問題とからんでいるという点に一つの大きな特色があると存じます。  第二の問題は、それならばそういう状態に対して何か特別の、あるいは有効なこれを鎮静する手段があるかと、こういう御質問でございます。これは私のみならず、ほとんどすべての経済学者、あるいは政治に関係のある人々が考えている問題でございまして、私それに対して十分なお答えができるとは存じませんが、率直に愚見を申し上げますと、やはり王道、そういう問題に対する王道というのは、これは現在の需要の抑制政策を続けるということだと思います。これにはいろいろな議論がございますけれども、私が現在の物価と、そうして供給力との関係を見ておりますというと、やはり古くからいわれております、金のないところにインフレーションはない、金の出ないインフレーションはない、もしそういう金の出ないインフレーションを考えるとすれば、それはハムレットという王子のいない、王子のいないハムレットを考えることだ、こういう昔からの言い伝えがあるのでございますけれども、まさにそれに当たるのじゃないかと思うのであります。で、いつでもそうだということは、これは申せませんので、ある場合には供給力のほうが非常に減少するために起こるインフレーション、あるいは物価騰貴というものもございます。しかし、今日の世界の状況あるいはまた同時に日本の状況というのは、それはやはり金が少し出過ぎているということではないかと思いますので、先ほどから御指摘もありましたように、もし引き締め政策——まあ需要抑制政策というのを簡単に引き締め政策と申し上げますが、これが続きますれば、いろいろな問題が——あるいは倒産とか、あるいはまあ一般的には不景気、スタグフレーションということばが使われておりますが、スタグネーション、成長率の切り下げとそれに伴う不況感あるいは不況自体、もっとも日本では失業者が非常にたくさん出るという不況は私はいまのところ考えられないと思うんでございますけれども、しかし、いままでの成長に乗って動いていた経済がそのままでは動かないという意味の不況は、ほとんど確実にくるのじゃないかと思います。それに対してはまたいろいろな摩擦が起こると思いますけれども、それをある程度経過しないと、鎮静というのは効果が出てこないのではないだろうか。どうも、もっといい非常に有効な手段を申し上げられるとしあわせなんでございますけれども、残念ながら、私はそういう王道をここで強調する以外に道を知らないのでございます。同時に、いろんな国のインフレ対策、物価対策を見ておりましても、つづまるところは、やはりある程度金融面、財政面において引き締め的な政策をやって、これもなかなかむずかしいのですけれども、そうしてその効果を待つということ以外には結局効果をあげていないように思いますので、その点を重ねて強調いたしたいと思います。
  59. 宇野政雄

    参考人(宇野政雄君) 物の値段の半分は大体流通費と、こう考えていただいてよろしいわけでございます。生産コストのほうは切り下げる努力を企業はするわけでございます。ところが、物の値段が上がるという点から見まして、流通というものに物価を上げる一因があるのじゃないかと、こういうことだろうと思うのでありますが、その点から流通の近代化ということが当然考えられなければならない。  その具体的なことでありますが、これは若干その中に入りますもので、物の流れに関する輸送、保管の物流の問題と、それから、そうではない商取引の商流、取引流通に関連する問題に分けて考えてみる必要があるわけでありますが、商流の問題に関しましては、先ほど御指摘があったわけでございますが、問題は有効競争をより一そう展開し得るようにしていくということが一番のきめ手だと思います。競争には、私たち流通問題の観点から言いますと三つあると思うのでありまして、一つは同業者間の水平的な競争、それから異業者間のインタータイプ競争、百貨店とかスーパーとが競争するというような。それから第三番目には、先ほど御指摘がありましたようなバーティカルな、垂直的な競争と、こういうものがあると思うのでありますが、日本では残念ながら、まだ第一の段階から第二段階程度のところが幾らかある程度でありまして、第三段階まではいかない。欧米を考えますと第三段階までいっているわけでありまして、その点ではやはり基本的には中小小売り商の問題というようなものを単に保護の問題として考えるのではなくて、中小小売り商に競争力をつけてもらいまして、そして大きなものに立ち向かっていけるようなものをつくり上げてもらいたいということであります。  その点から見ますと、前回の国会で百貨店法を改正していただきまして、大規模店舗法と、それに対してもう一つの問題としまして中小小売商業振興法というような法律がつくられているわけでありますが、その方向としては、その点で現段階を考えますと、ある程度大規模なものに若干の足かせをしながら、早く小さい小売り商に競争力をつけてもらうという意味において私はけっこうなことだと思うのでありますが、問題は、それをいかに速度を速めるかというところにどうも問題があるようなわけでありまして、総論はたいへんけっこうなわけでありますが、各論について、実際に運用いたしまする振興法などの行き方についてもっとくふうをしてもらえればと、かように思うわけでございます。  それからやはり問題は、先ほど言いました流涌のもう一つの面は物流に関する問題でありまして、物流に関しましては、有効競争ということも当然考えられなきゃならないわけでありますが、むしろ、国がかなり基礎になる施設というようなものについては心がけてもらわなければならないものがあるわけでありまして、民間ではなかなかできにくいわけでありますが、この辺のおくれというようなものが回り回りまして、その物流というもののおくれを来たしているということを私感ずるわけでございまして、その辺の両面を御検計いただきますならば、かなり物価問題に関連して流通という面から問題解決の一助になるのではないかと、かように考える次第でございます。
  60. 玉置和郎

    玉置和郎君 あと九分でございますので、最初、銀行協会長に私の意見を交えて御見解を承りたいと思います。残りました時間を両先生、それから堀越先生に最後の結びとして御見解を承りたい、こういうふうに思いますので、なるべく私のほうも簡潔に言いますから、お答えも簡潔にして、この与党のほうの立場で申し上げますことに、結び的なもの、結論的なもの、こういうものをお互いが引き出したい、こう思いますのでよろしくお願い申し上げます。  私は先ほどから銀行協会長に、銀行の責任ということをずっと言ってまいりました。会長も、責任ということについては十分お考えであるという御答弁をいただきました。非常にけっこうなことだと思います。  そこで、銀行は常に国民の立場というものを十分考えていくという考え方は、これはごうも変わりがないと思います。だから、国民の要請を踏まえて行動していただきたいということは、国会議員として当然のまたこれは願いだと思います。そこで、これだけの利益をあげておる銀行が、利益を多少減らしてもいい、国家的見地からなすべきことはなし遂げるという不退転の決意を、この際、各銀行の経営者に私は伝えていただきたい。国会の要請として、これは国民の代表としての声だということをぜひ行員の端に至るまでお伝えを願いたいと思います。  それで、興銀の中山相談役が、御承知でしょうが、名誉ある減配を産業界に呼びかけたことはこれは事実であります。一般の企業経営者が、これは堀越さんにもお願いすることでありますが、名誉ある減益や減配に踏み切るということ、私は最近の大企業というものがこういう公共的な責任、国家的な責任、国際的な責任を問われておる今日ですから、中山相談役のこういう呼びかけというものは私は聞くに値をする、それをまた実行をしていくには、これはやっぱりちゅうちょしてはならぬという考えを持っておるのでありまして、企業がそういうふうなかまえに出てくるときに、銀行のほうはそういう環境をいち早くつくれるような自己犠牲を先頭切って払う決意があるのかどうか、ここをお聞きしたいと思います。
  61. 横田郁

    参考人横田郁君) 金融機関としては、先生のおっしゃることはまことにごもっともだと思いますし、社会的な使命というものを十分意識をいたしておりまして、このごろの銀行経営者というものは相当ビヘービアが変わっていることを御理解いただきたいと思います。  具体的なあらわれといたしましては、先ほど御指摘のありました住宅ローン金利、これは公定歩合が九%、大企業に対するプライムレートが九・二五%のときに、八%台に押えております。これはそれだけの面で見ますれば、明らかに不採算の貸し付けでございます。同時にまた最近は、この石油危機を契機といたしまして、低金利中小企業対策融資というものについて二千億円の資金をイヤマークするというような、やはり採算を度外視した施策を講じているわけでございます。そういった意味でも私どもの意のあるところをおくみ取り願いたい。  それから名誉ある減益と申しますか、減配と申しますか、これはいろいろ意見の分かれるところでございますが、私どもとしましては、いたずらに収益をあげるということを念願としているものではなくて、むしろ預金者に対してはできるだけ有利な貯蓄手段の開発を考え、また資金の需要者に対しては良質な資金の供給というものを考えると同時に、銀行の持っております決済機能を十分に発揮して、一般の方々の労力、時間の省略、省力化に努力を今後とも続けてまいりたいと思っておるわけでございます。  はなはだ簡単でございますが、意のあるところをおくみ取り願えればしあわせでございます。
  62. 玉置和郎

    玉置和郎君 そこで、最後に会長にお願いをしておきますが、この前に、うしろにおられる中村調査部長が参議院へ来られていろいろわれわれに教えていただきました。そのときに、私たちの同僚議員からも中村調査部長に質問をしましたが、日本民族というのは国内だけでやるんじゃないんだと、この民族の持つすばらしいバイタリティーというものを国外でやっぱり活用してきたらどうか。現在の日本銀行というのは、海外で得ている収入というものは大体収益の一〇%ぐらいで、アメリカ銀行なんかは約半分近くまであげておる。アメリカ人と日本人の優秀さというものは決して私は劣るものじゃないと思う。それだけに、私はいま持論としてお願いをしておるのは、やっぱり日本でかなりの成績をあげておる、そして優秀企業だと言われておるようなこういう企業が外国において社債を発行する。そしてそこで外国人のふところの中から資金を得る、原資を得る。それを日本に持ち込むと過剰流動性になるから持ち込ませないで、そのまままた外国のところにおいてこれを使わすという、こういうやり方。  それともう一つ。この予算委員会で昨年も一昨年も、佐藤総理に、田中総理に私はここの場所でお願いをした。それは、これから日本の青少年、学生、これは海外にどんどんどんどん出て行きます。その青年、学生が、いながらにして国際的な教養を身につけられる、そうして交流できるという——日本の国内には青年の家だとかユースホステルだとか、いわゆる西ドイツがやりましたワンダーフォーゲルという渡り鳥運動、これが成功しておりまして定着しております。この国際版をひとつやりたいというのが、長らく青少年対策をやってきた私たちの願望であります。西豪州の首相なんかも、これはぜひそうやってくれるならば土地を提供すると言う。だから豪州だとか、あるいはペルーだとか、ブラジルだとか、ヨーロッパだとか、そうしてアジアだとか、日本にもちろんセンターもつくる。そこに出かけていけばもう各国から青年、学生が集まってきておるという国際青年学生センターというふうなものの建設にあたって、銀行協会は、さっき二つの問題について言われまして、採算を度外視しておると言っておりましたが、しかし、まだあれだけもうけておる。これはたいへんなものですよ。だから、そういう中から国家的な要請として、私はこれは世界史的使命だと思う、こういうことについて果たす役割り、これはぜひお聞かせ願いたいと思います。
  63. 横田郁

    参考人横田郁君) ただいまのお話は、青少年を海外に派遣し、国際的な視野を広め、その能力の向上をはかるという御趣旨でそういった施設をおつくりになりたいというようなお話のように受け取りましたのですが、もちろん先生の御趣旨、大賛成でございます。また、銀行協会といたしまして、もしそういうふうな計画が具体化することがあれば、何分の御協力はいたしたいというふうには考えております。
  64. 玉置和郎

    玉置和郎君 ありがとうございます。
  65. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 午前中の質疑はこの程度にして、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      —————・—————    午後一時三十六分開会
  66. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから委員会を再開いたします。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわりませず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  なお、御発言に対しましては、そのつど委員長の許可を得て行なうようにお願いをいたします。また、時間の制約がありますので、御答弁は簡潔にお願いをいたします。  次に、各委員質疑をされる場合は、参考人を指名していただきたいと存じます。  それでは、これより質疑を行ないます。小野君。(拍手
  67. 小野明

    ○小野明君 吉武社長さん、それから柴本社長さん、御出席ありがとうございました。  御承知のように、協会が昨日公正取引委員会から臨検検査を受けられたわけであります。今回の疑いからまいりますと、もちろん一〇〇%のシェアを持っている協会でございますから、ユーザーそのほか社会的な責任もこれまた非常に大きな本のがあると存じます。この検査を受けられた、これに対する御見解をまず承りたいと存じます。
  68. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) どなたにですか。
  69. 小野明

    ○小野明君 協会の会長吉武さんでありますから……。
  70. 吉武広次

    参考人吉武広次君) 吉武でございます。  実は協会長ではございませんが、御指名により御回答申し上げたいと思います。  昨日、公正取引委員会の検査を受けましたが、私は横浜ゴムの社長といたしまして常々従業員に指示していますのは、絶対違法な行為をしてはいけない、こういう私の経営理念を常に指示しているわけでございます。昨日公正取引委員会から臨検を受けるような疑いを持たれたことを、非常に私は残念に思っています。私の経営理念がまだ従業員に徹底していないとも思われますので、今後はさらに反省いたしまして、私の信念を全社に徹底いたしたいと思っています。
  71. 小野明

    ○小野明君 BSの柴本社長さんからも承りたいと思います。
  72. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) ただいま吉武さんから御回答がございましたけれども、私は実はタイヤ協会の会長も兼ねております。  タイヤ協会並びに業界の各社が昨日検査を受けました。まことに恥ずかしいような、不名誉な話だと、かように考えております。結果がどういうふうに出るか、取り調べの結果を見まして、われわれはその結果によりましてよく考えてみたいと、かように考えております。
  73. 小野明

    ○小野明君 お見えになっております二社につきましては、前昭和四十五年あるいは四十六年、それぞれコンベアゴムベルト、またタイヤ、チューブについても公取から勧告を受け、これを応諾をされ、それぞれ同意審決に相なっております。今回の件につきまして、この勧告については残念であるというお話はわかるわけでありますが、これに対する方針はいかようなものであるか、お聞かせいただければ幸いだと思います。
  74. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) 前回、四十五年にタイヤに関しての勧告を受けまして、四十六年に工業用品の関係で勧告を受けておる、これは事実でございまして、はなはだ申しわけないことだというふうに考えております。自来、そういったことを再び重ねないようにということは、業界全体としましても相戒めておって今日まで来ておったわけでございますが、またこういうような疑いを受けまして御調査があったということは、われわれのやっておりますことに何か欠点があるのではないかというような気もいたします。一そう自粛自戒いたしまして、そのような疑いを受けないような体制を固めなければいけない、かように考えておる次第でございます。
  75. 小野明

    ○小野明君 公取の調査、いわゆる疑いによりますと、御承知のように昭和四十八年の五月から今日まで計四回の値上げをやっておられます。新車用につきましては三回であります。それで、そのために乗用タイヤから見ますと、三千四百円ないし三千六百円程度でありましたものが、四十九年一月になりますと約七千六百円から八千円と、倍に値上げをされております。また、ちなみに十トントラックでいきますと、一万七千円、五月価格でありましたものが、一月になりますと三万七千円、二〇〇%をこえる値上げ幅に相なっておるわけでございます。これらにつきまして、それぞれ値上げをされました理由というのはいかなるものでございましょうか、お伺いをいたします。
  76. 吉武広次

    参考人吉武広次君) 私の会社は値上げをいたしましたのは、昨年の七月に一回、十一月に一回、十二月に一回、それから本年に入りまして一回、それから二月は逆に、通産の御指導もございましたので値下げをしたわけでございます。この点、先生が先ほどおっしゃいましたのと私どものほうは少し違うようでございます。値上げをいたしました、いたさざるを得ませんでした一番大きな原因をここでちょっと申し上げさせていただきます。  御承知の先生方もおありかと存じますが、自動車タイヤの原材料の約七割が石油製品でございます。昨年の夏以来、化学工場の事故等が相次ぎまして、そのためにいろいろな材料が入手困難に相成った次第でございます。一方品物は、製品が非常に不足でございますので、私どもは遠く海外からそういう不足な物資を緊急、飛行便で輸入するとか、そういうことをいたしまして、製品の供給を絶やさないようにいたしたわけでございます。ところが、原材料自体が非常に入手が困難になり、かつまた値段も上がったわけでございまして、一年間で、ものによりますと約倍になった原材料もある次第でございます。こういったわけで、社内におきましてはできる限り生産の合理化をはかり、また管理部門の合理化もはかりまして、コストを下げて、安くお客さんに供給する、これが企業の生命だということで努力いたしましたが、何ぶんにも倍近い原材料になりますと、一年や半年の企業の努力ではこれをカバーすることはできなかったわけでございます。かような次第でございまして、コスト自体が、昨年の一月に比べますと、十二月は六割以上に高くなった次第でございます。こういったわけで、もうこれ以上は原材料も上がらないだろうということで七月に値上げしましたが、それでも追っつかないということで、十一月、十二月、さらに本年に至っても値上げをした次第でございます。  以上でございます。
  77. 小野明

    ○小野明君 BSの社長さん。
  78. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) 値上げ理由につきましては、いま吉武さんが説明されましたのと概略似ておりますが、昨日新聞に出ておりました数値、時期におきましては若干食い違いがございますので、実情を申し上げたいと存じております。  私のほうの値上げは、七三年の六月に一回、それから十一月に一回、一月に一回、それから七四年の二月に値下げと、こういうようなことになっております。率も、きのう新聞に出ておりましたけれども、若干数字が違っておりましたので、これは後ほど御必要があればわれわれの数字は御説明申し上げたいと思っております。  七三年の六月のときの値上げの主たる理由は、これは生ゴムの暴騰とカーボンブラックの暴騰ということでございまして、売り上げ品原価で約五%上昇しております。これに対しましての値上げでございます。それから十一月は売り上げ品原価が一二%になっておりまして、これに対する値上げを実行したわけでございます。一月は約一四〇%になっております。こういうような値上げの理由によりまして値上げをしたわけでございますが、この一月の値上げにつきましては、これは石油の影響でございます。十一月までの値上げは、むしろ昨年来の原材料不足、国内の理由によります原材料不足による値段の高騰、これによる値上げということになっております。石油の影響というものは、七四年一月以降の分が石油の影響と、こういうふうにわれわれは考えております。  以上でございます。
  79. 小野明

    ○小野明君 公取にお尋ねをいたしますが、局長見えておりますね。昨日の理由から見ますと、いま工業界を代表されるお二人の御発言と若干違うようですが、この辺の御見解を承りたいと思います。
  80. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 昨日臨検をいたしましたのは一応の疑いでございまして、これは現在審査中でございますので詳しい内容は申し上げられませんけれども、一応の疑いとしましては、自動車タイヤ製造業者ら、あるいはその団体、それが補修用自動車タイヤの販売価格を昭和四十八年五月一日から五ないし六%、同年十一月一日から平均一五%引き上げたのに引き続きまして、さらに同年十二月二十一日から一五%、さらに四十九年一月一日から四〇%引き上げることを申し合わせ、これを実施しているという疑いでございます。  なお、新車用の自動車タイヤにつきましては、同じく販売価格を昭和四十八年十月一日から五%引き上げる、それに引き続きまして、十二月二十一日から一五%、さらに四十九年二月一日から三〇%引き上げることを申し合わせ、これを実施しているという疑いでございます。  なお、そのほかに自動車タイヤ製造業者らは、自動車用のチューブ及びフラップについても販売価格の引き上げを申し合わせ、実施している疑いがあるということでございます。
  81. 小野明

    ○小野明君 そこで、いま補修用タイヤと新車用タイヤとがごっちゃになりまして御説明になったのではないかと思われるわけです。そういうことで、いま公取から御説明がありましたが、これについて、新車用あるいは補修用と、意見の食い違いがあれば簡単にひとつ会長さんのほうから御説明いただきたい。
  82. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) これは、当社の値段の変動の状況を御報告いたしたいと、かように存じておりますが、私どものほうの七三年の六月に引き上げました率は四%でございます。昨日の新聞の発表によりますと、これは五ないし六というふうになっております。——これは、リプレースのほうのことをいま御説明申し上げます。それから、十一月の時点におきましては約一五%、これは御発表のとおりでございます。それから十二月二十一日から一五%という事実は、私のほうはございません。それから一月から四〇%というのは、私のほうは三〇%でございます。以上が、リプレースのほうの現在までの状況でございます。  それから新車関係につきましては、十月の一日から五%の引き上げをいたしております。それから十二月二十一日から一五%引き上げ、こういうふうになっておりますけれども、実際は一月一日から一五%の引き上げというふうに私どものほうは実施をしております。さらに、二月一日から三〇%ということでございますけれども、これは、現在二月一日から一五%引き上げるということで自動車メーカーさんのほうとお話し合いをしておりまして、ほぼ合意が成立しておる段階でございます。  以上、御説明を申し上げます。
  83. 小野明

    ○小野明君 横浜ゴムの……。
  84. 吉武広次

    参考人吉武広次君) 補修用の値上げしました事実と時期は先ほど申し上げたとおりでございますので、新車用のほうは、昨年の十月に六%の値上げを自動車会社にお願いいたしましたが、五%しか認めていただけなかった次第でございます。十二月に一部の自動車メーカーに一五%の値上げを御了承願った次第でございまして、その他の自動車メーカーは一月に一五%値上げを認めていただいた次第でございます。二月になりまして一五%の値上げを御了承願っていることは、先ほど柴本さんの御説明と同じでございます。  以上でございます。
  85. 小野明

    ○小野明君 原材料費の値上がりということが値上げのおもな理由になっておるようでございます。そこで、御承知のように、石油輸入価格から申し上げますと、昨年の五月半ばは新ジュネーブ協定で三・〇九ドル——これは、バーレルですね。十一月が四・〇九ドル、四十九年一月で六・〇六ドル、三月十六日に十ドル五〇と、こういう値上げの推移をたどっておるわけであります。さらに、産業連関表によります、これは純粋試算でございますが、ゴム製品に与えます影響というのは、もし十ドルになった場合でも、コンマ〇五の影響しかございません。これは石油製品になりますと、十ドルになった場合はほぼ一・五九でございますから、かなりの値上げ幅と、こういうことになります。でございますから、この価格の面を見てみますと、価格構成を見てみますと、大体原材料費で六割という構成になっておりまして、そのうちに合成ゴム、天然ゴムがございますが、ほぼ二〇%から二二%と、こういう構成のようでございます。こういう比率のようでございます。そういたしますと、石油の値上がりということがそのまま価格構成にはね返る分というのは、この産業連関表から見ましても、あるいはタイヤの価格構成から見ましても、きわめて影響が低い。したがいまして、この油危機の前から、いま御説明になりました七月の値上げなり十一月の値上げなり、あるいは一月の値上げというのは、これは便乗値上げではないのか。原材料費に与える影響がきわめて低率でありますから、そういう推測が成り立つわけでございます。この点いかがでございましょう。どちらからでもけっこうですから。
  86. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) 産業連関表の問題につきましては、実はタイヤのほうの業界だけでなく、ゴム工業界全体で、非常に、どういう根拠でそういう数字が出ておるか疑問にしておるところでございまして、実はわれわれも、よくその出所がわからない次第でございます。タイヤの状況を申し上げますと、タイヤの原材料のうちのおよそ七〇%というものは石油製品でございます。合成ゴムはもちろんでございますが、そのほかタイヤコード、それからカーボンブラック、加硫促進剤等等、ほとんどの薬品その他は石油製品であるということになっております。したがいまして、その影響度は、とうてい産業連関表に示されているようなわずかなものではとどまっておりません。相当大幅な、先ほどから説明しておりますような大幅な影響を受けておるというのが実情でございます。  以上、御説明申し上げます。
  87. 小野明

    ○小野明君 いまの石油製品の問題でありますが、これが原材料費六割に占めますパーセンテージというのは、ゴム部分がほぼ二割、それからナイロンコードで一割五分、カーボンブラックで八%、強化剤その他で二%、これはいずれも、かなり価格構成における比率というのが少ない。同時に、油の値上げの状況も、十一月段階でありますと、石油製品で見まして大体三割程度であります。この産業連関表、これは通産省が計算をし、出しておるんでありますが、それらから見ましても、やはり先取り値上げではないかと、こういう感じを率直に受けるわけであります。もちろん、これは理論計算値でありますから、実勢との差というのはかなりあるのではないかという感じはいたしますけれども、それにいたしましても、そういう、これは先取り値上げではないかという感じを持つのは、これ当然ではないかと思うんです。——横浜ゴムの社長さん。
  88. 吉武広次

    参考人吉武広次君) 産業連関表につきまして、私どもはああいうむずかしいものはよくわかりませんが、現実に私どもが原材料を購入いたしまして、その実績に基づいて計算いたしますと、先ほども申しましたが、原価自体は一年間に約六割、六〇%から七〇%現実には上がっております。そういったわけでございまして、先ほど一般補修用のタイヤの値上げもし、新車用のタイヤも値上げいたしましたと申し上げましたけれども、原材料の高騰によりますコストアップまで値上げは私どもは実施いたしておりません。したがって、経営の面から見ますと、収益はかなり落ちております。  以上でございます。
  89. 小野明

    ○小野明君 まあ、御両者とも日本のゴム工業界を代表される、シェア七〇を持たれておる両社であります。会社経理の実情も、前期比、前々期比から見ましても順調な伸びを見ておるようであります。したがいまして、少なくとも先取り値上げというようなことを無理をなさらなくてもよろしいのではないか、こういう感じを財務諸表からは受けるわけであります。まあお考えはわかりましたが、こういう数回の値上げに対しまして、通産省は一体いかなる指導をなされてこられたか、お伺いいたします。
  90. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) タイヤの値上げは、メーカーやその品種によって違っておりますが、先ほどからお話が出ておりますとおり、昨年来三回もしくは四回にわたって値上げが行なわれておるのでございます。その結果、メーカーはものによっては二倍、平均しますと大体一・七倍ぐらいになっておると承知いたしておりますが、これも先ほどから出ておりますが、タイヤの製造費のうち、原材料費用が約六割弱を占めておりまして、天然ゴム、合成ゴム、タイヤコードその他の高騰があったので、昨年秋までのタイヤ値上げは原材料の高騰に見合うものと思われるのであります。しかし、昨年から本年当初にかけての値上げ幅は必ずしも適当と思われませんでしたので、本年二月十三日、タイヤ及びメーカーに対して平均一五%の値上げを指導してまいったのでございます。今後は、御承知のとおり届け出対象品目でございますから、届け出がございました場合には厳重にチェックいたすように相なるわけでございます。
  91. 小野明

    ○小野明君 いま次官お聞きのように、二社ともに産業連関表を否定をされておるわけですね。これは通産省として実にゆゆしい問題であると思いますが、これに対する御答弁、御見解を局長からいただきたいと思うのです。
  92. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 産業連関表は、四十五年度におきます産業連関をもとにいたしまして試算をいたしたものでございますが、私どもはあの線に沿って石油の値上げの影響をできるだけチェックしたいと考えておるわけでございますが、ただ、個々の物資について見ますと、全部あのとおりに必ずしもいかないという面もございまして、たとえばいまのゴムのような場合ですと、天然ゴムの値上げの影響というようなものは、実はああいう試算の中には入れ込んでないわけでございますが、ただ、いずれにいたしましても、私どもはあれが一つの私どもの行政上の指標でございますので、大幅な値上がりについては極力引き下げるということで指導をいたしておるわけでございます。
  93. 小野明

    ○小野明君 いや、否定をしておられるのだが、その正否の度合い——正否というか、自信がおありになるのかどうかということを尋ねたんです。
  94. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 個々の製品につきまして、あの数字でないといかぬというところまではなかなか言い切れない特殊な事情もあるかと思います。
  95. 小野明

    ○小野明君 そういういいかげんなものなら、むしろ出さんほうがいいんじゃないか、出さないほうがいいんですよ。きちんと業界も理論的に納得し得るようなものを出してもらいたい。いいかげんな数字じゃだめだ。これを否定をして値上げをするわけです。それをお認めになっているようなことだが、もっとちゃんとした指導をしてもらいたい。同時に、通産省が初めて指導したというのは、数回の値上げをやっておるにもかかわらず、ことしの二月十三日一回しか指導してないんですよ、少し下げてもらいたい、こういうことで。行政指導が泣きますよ。見放すんじゃなくて、もっときちんとして、理論、根拠をもってやってもらいたいと思います。  それから、時間がありませんから簡単にいきますが、両社長にお尋ねいたしますが、今回のカルテルの疑いについてはお認めになるわけですか、ならないわけでございますか、横浜ゴムの社長さん。
  96. 吉武広次

    参考人吉武広次君) これは、私、先ほど申し上げましたように、私の会社では絶対そういうことをやってはいけない、こう指示しておりますが、公正取引委員会の御調査を待ちませんと、従業員も相当数いるわけでございますので、本日は何とも申し上げかねる次第でございます。
  97. 小野明

    ○小野明君 昭和四十五年のタイヤ、チューブの際には、これはFB会というのがありまして、補修用タイヤの販売担当役員、このメンバーが中心になりまして、この価格値上げをきめられておる。申し合わせの値段を下回るのが出たら制裁の対象にすると、こういうことですね。それから、四十六年のコンベアベルトの際は、七重会という担当部長の会合あるいは月曜会という課長の会合が中心になっております。これは幹事会社を設けて、引き合いがあったら幹事会社に届けると、その届け出を行なわないで見積もりをした場合には、違約金を一件について五千円徴収すると、こういうかたい申し合わせをしております。制裁をきめ、あるいは違約金をきめる。それで、なお販売価格についても、一つの基準になる価格と、どれだけ値下げしてもよろしいという最低価格というのをきめて、この範囲内しかできない。同時に、ユーザーについては、たとえば千円でありますと、その半分しか値下げ幅を認めない、これらに違反すれば制裁措置、こういうふうになっておるわけですね。この七重会なり月曜会あるいはFB会というものはいまだに存続をしておるわけですか。どうでしょうか、横浜ゴムの社長さん。
  98. 吉武広次

    参考人吉武広次君) ただいま先生のおっしゃいましたべルトのことは、そんな詳細私は存じていないわけでございますが、公正取引委員会から、そういうことをやってはいけないという御勧告がありましたので、そういう会合は現在はないと思います。
  99. 小野明

    ○小野明君 言い切れますね。
  100. 吉武広次

    参考人吉武広次君) はい。
  101. 小野明

    ○小野明君 BSの社長さん、いかがですか。
  102. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) FB会というのは、四十五年の勧告を受けました時点におきまして解散をいたしておりまして、その以後はございません。  それから工業品関係は、実は、私あまりよく存じておりませんですが、現在はそういう組織はないように聞いております。
  103. 小野明

    ○小野明君 公取から指摘をされ、応諾をされておるのでありますから、こういう組織はきちっと私は解散すべきであると思います。私はここに資料を持ってきておりますが、七三年十月の横浜ゴム——ブリヂストンも入っておりますが、この十月の価格と、今年二月十五日の両社の小売り価格表というのがございます。これを見ますと、トラックあるいは軽トラック、乗用車の代表的な部分をとってみまして、いろんな、自動車のタイヤも種類がございますが、全く同一であります。小売り価格が全く同一、十月と二月の分ですね、これは十月と二月しかございませんが。これは、やっぱり両社で七〇%のシェアを占められておるわけですから、全く価格が同じというのは、だれが見ましてもこれはカルテルではないか、やっておるんではないか、これは当然だと思うのですね。これはいかがでしょうか、これは現在回収をされておるようでありますけれども
  104. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) その問題につきましては、たぶん福岡県の例をお話しになっておるんだろうと考えますので、そのことにつきまして、若干私も調査をいたしましたので、御報告をいたしたいと思います。
  105. 小野明

    ○小野明君 簡単に願います。
  106. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) はい。  大体タイヤというものは、性格といいますか、タイヤの特質上、ああいう、かっこうは大体同じようなかっこうをしておりますし、また規格もほとんど同じでございます、表面上は。したがって、これは高く売るという定価表は出すわけになかなかいかない。それから、安く表示するということは、逆にブランドのイメージをダウンさせる、いわゆる二流品というようなイメージを与えるというようなおそれがございますので、どうしても他の会社のものに追随するという傾向がいままでもございました。他の地区でもそういう例がたくさんございます。実は、実勢価格というものはそれとは全然違いまして、それはあくまで標準の価格でありまして、これで売らなければならないという価格ではございません。したがって、各地とも違っております。非常にばらばらでございます、全国的に見ますと。その作成いたしたのは、私のほうがおそらく一番早くつくったんではないかと思います。時期的に見まして、私が値下げの発表をしましたのが全社のうちで一番早くやりまして、手配も一番早かったと思います。その関係上、私のほうよりもあとの会社は、私のほうのものをみな同じようなものにつくっていったと、こういうふうに私は報告を受けております。したがって、どうしても同じようなものが出てくるということは、今度の場合は避けられないんじゃないだろうか、かように思っております。
  107. 小野明

    ○小野明君 それでも、もうどのタイヤの種類をとりましても全く同じというのは、これは偶然とは言えませんですね。これは、特に福岡の場合は、横浜ゴムで七千五百万、それからBSの場合で一億六千万という一〇〇%子会社。これが、横浜ゴムの場合は一〇〇%出資が九社、全国に。ブリヂストンの場合は三十五ございますが、これらの店——販売会社も、一次代理店ですが、全部同じ方針でおやりになっておるんじゃございませんか。これは横浜ゴムの社長さんからお伺いします。
  108. 吉武広次

    参考人吉武広次君) 先生の御指摘のように、第一次販売店で資本を一〇〇%持っているのがございます。しかし、これは別法人でございますので、経営全般の指導は私どもも投資しているからやりますが、個々の商売、特に値段については一切私どもメーカーはタッチいたしません。そういう間違いがないように私ども社員を出向をいたさしております。そういうわけでございますので、先ほど先生からお見せくださいました表は、実は販売店の段階でつくるものでございまして、私どものメーカーでつくるものではございません。ただ、でき上がったものは、市場調査その他の参考になりますので、一枚、二枚とることがございます。さようでございます。
  109. 小野明

    ○小野明君 時間が過ぎておりますから……。  ただこれ、一〇〇%子会社の最高の販売方針、しかもそれが公取に違反するかどうか、独禁に。重大な問題なんですね。これを知らないというのは、ちょっとこれ、おかしいんじゃないか。私が聞いたところでは、この一次販売店では、これは公取なんかくそ食らえ、違反、承知だと、こういうことでわめいておるというのですね。そして、これらの書類を机の上にほっぽらかして、机の中に入れるのでもない、こういう状態だと聞いております。今後そういうことが、公取なんかくそ食らえとかいうようなことでは、はなはだけしからぬ。特にBSの場合、地域的にも文化センターとか、あるいはいろんな美術館、あるいは医科大学とか、かなり貢献をされておる。その会社がこういうふうな状態では、私ども、全くけしからぬ、うんざりするような気持ちであります。さらに、今後どうなさるのか、御見解を承りたいと思います。簡単にひとつ。
  110. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) ただいま御指摘のようなことがあるとすれば、まことに遺憾でございます。十分気をつけまして、そういうことのないように指導いたしたいと思います。
  111. 吉武広次

    参考人吉武広次君) 販売会社に至りますまで、私の考え方を今後もっと徹底さして、こういう恥ずかしいことのないようにいたしたいと思っております。
  112. 小野明

    ○小野明君 終わります。(拍手
  113. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 加瀬君。(拍手
  114. 加瀬完

    ○加瀬完君 川井さんは、「ホワイトライオン」、一般市価二百円のものを百七十六円、「ブルーチャイム」三百六十円ものを二百九十五円、「キングソープ」百二十円ものを九十九円、文房具にいたしましても、百五十円のパレットを百六円、百五十円のノートを百六円というように、仕入れ原価に一〇%のマージンということで販売をいたしておりますが、これで、こういう原価公開という方法で採算がとれますか。
  115. 川井捷英

    参考人(川井捷英君) 仕入れ原価に一〇%の利益をのせて経営の採算がとれるかどうかという問題につきましては、とれないということが答えになります。われわれの業界で、最低でも二割の利益がなければ経営を維持していくことはできないわけです。ところが、なぜこのようなことをやったかといいますと、昨今のインフレなり、便乗値上げということで、消費者が非常に企業不信におちいっている。また国会においても、大手メーカーに原価を公開するようにというような討論がなされながら、原価の公開ができないということがあったわけです。それならば、われわれとしていまなすべきことは、企業姿勢を正すということで、一つの手段として、原価の公開をしようじゃないかという趣旨から、この原価公開制度というものを始めたわけですけども、本来からすれば、原価に二割か三割の利益をのせた販売をしたいわけですけれども、現状から判断して、それではお客さんは納得しないだろうということで、とりあえず、お客さんに還元するという趣旨から、一〇%で始めたわけです。ところが、売り上げが、一人当たりの生産性が現状から二倍に伸びれば、その利益率というのは単純計算で二割になるわけです。二割になれば経営の採算は何とかとれるという、そういうような計算から始めたわけです。
  116. 加瀬完

    ○加瀬完君 こういう方法で、従来、あるいは現在でも他の店とは違いますので、問屋からいろいろの苦情なり圧力はございませんか。
  117. 川井捷英

    参考人(川井捷英君) 圧力という問題につきましては、まず問屋の段階からなんですけれども、現実に出荷ができないという問屋もあるわけです。ところが、それは私どもが判断するに、圧力としては受けとめてはいないわけです。問屋自体も、非常に中小業者でありまして力が弱いわけです。力が弱い業者が、われわれがこういう方法をとったがために、逆にメーカーなり同業者から突き上げがきて納入ができないという、かえって、いわば圧力ではなくて、犠牲者的な立場ではないかというふうに思います、一般の問屋については。ところが、メーカーについては、非常に力が強いわけです。特に寡占的なメーカーについては、その強力な力をもってわれわれに圧力をかけてきて、出荷制限というような方法でもって問題提起をなしてきているということです。
  118. 加瀬完

    ○加瀬完君 おたくでは、花王さん、ライオンさんとの取引が大きいわけでございますので、そこで、花王さんにまず聞きますが、花王製品は登録制度で、メーカーの方針に違反すると、入荷の中止や発送遅延などの報復手段をとるので、全国の小売り店は困っておる、こういう投書を私どもの党はいただいたわけであります。そういう事実はございませんか。
  119. 丸田芳郎

    参考人(丸田芳郎君) そういう事実はございません。再販製品につきましては、法律の範囲内におきまして、再販の価格を維持していただくという要請はいたしておりますけれども、それ以外の商品につきまして、そういうことはいたしておりません。
  120. 加瀬完

    ○加瀬完君 古い話で恐縮ですが、昭和三十九年、花王さんは、指示小売り価格維持に同意する旨の承諾書というものを提出させて、この承諾書を守らない場合には、当該適用団体を除外する——その署名捺印をさせて、それに違反した者に対しましては出荷できなくさせた、こういう事実が公取から勧告をされておりますね。それから、本年の二月九日、理事会並びに流通懇談会というところで、小野理事長から、昨年秋から暮れにかけて、トイレットペーパー、歯みがき等の日用必需品雑貨、それから粉乳、食料品のパニック状態が出て、これの便乗値上げ等もあり、さらにそれに追い打ちして、商品代金の支払いに関し、従来の商慣習を度外視した一方的な代金の回収が行なわれた。こういうことについて、いろいろ事情の話し合いをした場合、おたくのほうの大阪花王南販売というのですか——の長田専務は、過去の実績データによる公平なる配送を得た旨の答弁があり、一部にあやまって抱き合わせ配送をしたものもあるが、これは回収したと、こういう報告をしておりますが、これはお認めになりますね。
  121. 丸田芳郎

    参考人(丸田芳郎君) 先の第一点でございますが、昭和三十九年十月にわれわれは再販維持価格制度、独禁法の除外条項を適用いたしまして、その前から非常に荒れておりました価格の訂正をいたしました。その際には、いまお説のとおり、われわれとしまして、この価格を維持すると、再販維持契約の法律にのっとりまして、そういう行為をいたしたことは事実でございます。  それから、次の問題でございますけれども、回収サイトの問題でございますが、これは私のほうは昭和四十三年の七月に、流通機能が非常に非近代化しております関係上、何とかこれを通常の商品の回転の中で支払いというものは行なうべきだということで、そのときに現金取引制度というものを設けまして、その現金取引に対しましては二%の割引をするという制度をつくりまして、順次この制度にのっとってやってまいりました。昭和四十七年の十月からこの制度を正式に採用いたしまして、全国にこの制度を適用するようにということでやっております。これはあくまでも商品が大体年に二十四回転から五十回転いたしております。その範囲内において回収するという原則でありまして、決してそれ以上無理なことはいたしてはおりません。  それから第三番目の抱き合わせ販売、これは非常に問題が多いところでございまして、抱き合わせ販売をしてはいけないということは強く言っておりますが、たまたま非常に物がないときでありますから、持ってまいりますとこれが抱き合わせ販売のごとくとられる場合があります。そういった例は全国に私の承知しております限りでは約三件ほど出ておりますことは、これは事実でございます。
  122. 加瀬完

    ○加瀬完君 これはおいでをいただいた花王さん、ライオンさんに限ったことではございませんが、三月の五日に、「高く仕入れ、安く売れでは」「問屋に泣かされる零細小売店」という投書が読売新聞に出ておりました。七百五十枚三百二十円のちり紙を仕入れたところが、通産省の通達があるから二百二十八円に値下げをして売れという命令をされた。あるいは二百十円で仕入れた砂糖を二百円で売らねばならなくなった、こういう実情を通産省は知っておりますか。
  123. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 担当の局長が参っておりませんので、いま至急手配をいたします。
  124. 加瀬完

    ○加瀬完君 末端価格だけ凍結しても、結局仕入れ価格のほうを野放しにしておいては問屋筋からこういう強引な手で小売り店はいじめられるということにもなる。そうすれば値上げをせざるを得ないわけですね、損をして商売するわけにいきませんから。問屋にどう言われても値上げせざるを得ない、こういう矛盾があって、こういうところには何も指導が届いておらない。あとでこの問題はもう少し触れます。  そこで、ライオンさんに伺いますが、仕切り価格以後は小売り店の自由でこれはいいはずでしょう、いかがですか。
  125. 小林宏

    参考人(小林宏君) 仕切り価格以後の商売については自由でございます。
  126. 加瀬完

    ○加瀬完君 ところが、おたくのほうも小売り店の登録制度をとっておりますね。そして登録店に対しましては、価格改定のお願いといったようなものを出しておりますね。これによりますと、品名それから仕切り価格、小売り価格、こういうものも示して、これをお出しになっておる。これ、守らなくてもいいという保証はどこにも書かれておりませんね。これはどういう目的でそれをお出しになったか。
  127. 小林宏

    参考人(小林宏君) 価格改定につきましては、前に価格表示を全般的にはずしたいきさつがございます。その前は定価が入っておったわけでございますが、私どもは標準的な価格としてもとは定価販売を中心にしておりましたが、その当時は再販商品でございましたので、いわゆる値幅再販ということで一割ダウンの、たとえば百円の場合は九十円以上でお売りくださいという指導価格的なものがあったわけでございますが、価格をはずしたあとに一つの標準がございませんと小売り価格が混乱いたしますので、標準的な価格のお願いをいたしておるわけでございます。
  128. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、メーカーの方針に反しましても、登録を取り消したりあるいは販売制限をするということは絶対にないと言い切れますか。
  129. 小林宏

    参考人(小林宏君) 再販商品をはずしたあとのものにつきましては、私どもは標準価格は申し上げておりますが、それをお安く売っておられる小売り店については、私どもから何ら指示いたしておりません。
  130. 加瀬完

    ○加瀬完君 再販でやっておったわけですね。再販の指示と同じような内容のものが配られて、これは守らなくてもよろしゅうございますよと言ったって、受けるほうは、守らなければ、登録制というのがあるんだから登録を取り消されるんじゃないか、品物の荷が制限されるんじゃないかという危惧の念を抱くのは当然ではありませんか。
  131. 小林宏

    参考人(小林宏君) 私ども問屋を通して売っている関係もございまして、問屋にははっきりしたそういったいわゆる会員制度がございますが、問屋からあとの登録制につきましても、小売り店さんの登録制度というものはあるわけでございますが、これに対しては、私どもはいわゆるお願いをしながら売ってきている商品でございますので、小売りさんがその標準価格よりも下げられて売られることにつきましては、私ども制約することができませんのでやっておりません。
  132. 加瀬完

    ○加瀬完君 公取に伺いますが、価格改定に、「価格改定の内容」というものがしるされておりまして、その下に「取引制度は従来通りです。」「標準小売価格の維持にご協力下さい。」、そして注として「再販売価格維持契約は廃止いたします。」とは書いてある。しかし、「取引制度は従来通りです。」「標準小売価格の維持にご協力下さい。」、そして再販当時と同じものが配られたら、これは末端の販売機構としてはこれを守らなけりゃならないという受け取り方を当然せざるを得ないじゃありませんか。
  133. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) お答え申し上げます。  ライオン油脂につきましては、現在、合成洗剤でございますが、「せせらぎ」と「チャーミー」を除きまして再販契約はしておりませんので、その二品目以外のものについて再販売価格維持行為があればこれはやみ再販として問題になると思いますが、いまお示しの場合に、はたして拘束を加えて守らしているのかどうかというところが問題でございまして、まあ再販制度はありませんと、契約はしておりませんというふうに書いてございますけれども、いろんな手段を使ってそれを事実上守らせるというようにしていれば、それはやはり問題になるんじゃないかというふうに思います。ただ、もう少し実情を調べてみませんと、直ちにそれが、いまいわゆる拘束して価格を守らしているのか、単なる希望価格であるのかということは、これははっきり申し上げられません。
  134. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは、そうすると十分調査の対象にはなると判断してよろしゅうございますか。
  135. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 実情調査いたしたいというふうに思います。
  136. 加瀬完

    ○加瀬完君 川井さんに伺いますが、これは川井さんのほうから出たものではございません。ほかから手に入れたものでございますが、このような「価格改定のご案内」という、かつての再販当時の価格改定の内容みたいなものをほかの会社からは、たとえば花王さんあたりからは来たことはございませんか。
  137. 川井捷英

    参考人(川井捷英君) 価格改定の案内につきましては、価格の改正された段階で花王、ライオン両社とも私どもにいただいております。  それで、ただいまの問題についてちょっと申し上げたいんですけれども、いまライオンさんが標準価格を割っても何ら問題ないという御答弁だったんですけれども、これから申し上げることは、非常にわれわれのみならずメーカーとの間に入っている卸売り業者の方に迷惑がかかる可能性もありますので、一応何ら不利益を及ぼさないというお約束をライオンさんの社長さんからちょっといただきたいんですが……。
  138. 小林宏

    参考人(小林宏君) たいへん、私どもちょっとびっくりした御発言をされましたが、卸価格、小売り価格というものについては、私どもメーカーから希望を申し上げることについては、あるいはお願いすることについては全く法に触れないと考えております。統制したり制裁したりしますと、これは法に触れるということははっきりいたしておりますので、私どもは、たとえばいま大きなスーパーさんで、私どもの商品を非常にお安く売っておられるスーパーさんがございますけれども、私どもこれに対してお願いはいたしますけれども、決して商品をとめたりあるいは制裁を——何らかの意味で制裁といいますか、やるというような考え方は毛頭ございませんので……。
  139. 加瀬完

    ○加瀬完君 じゃ、川井さん、答えてください、毛頭ないそうですから。
  140. 川井捷英

    参考人(川井捷英君) 一応お約束いただいたというふうに判断して申し上げます。  私どもいま原価公開制度をやっておりまして、ライオン製品につきまして原価の一〇%を乗せますと、メーカーの指導価格の下限価格からものによって大体七、八円安いわけです。それで販売を始めたわけですけれども、そのあと私どもの取引をしていただいています卸業者の方が見えて、それは困るんだと、そういうことをやられてしまっては自分の立場がなくて、ライオンさんからも、至急話に行ってそれをやめさせるように話してこいというふうに言われていると。それで私どもとしては、ライオンさんと戦うことはやぶさかではないんですけれども中小企業者である卸業者の立場を考えると、その人たちもやはり大メーカーの犠牲になってしまうということです。それでかりに私どもがずっと続けていくとなると、その卸業者というのは最悪の場合、代理店資格の取り消しとか出荷制限もされるということを言ってきたわけです。そのような状況でわれわれはなおかつ抵抗してやってしまうということは、その業者の立場を悪くしますのでどうしてもできなかったわけです。で、最悪の場合は公取にまで訴えようというような気持ちでおりたわけですけれども、ライオンさんの指示価格というものが一応通産省も了解しているというようなお話だったので、かりにそのような場合に公取に訴えて、公取がそれを取り上げてくれるのかどうかという疑問もありましたし、そうしたときにその卸売り業者の立場がどうなるかという不安もありましたので、一応は行かなかったわけですけれども、そういうようなメーカーの流通支配戦略というものが直接表面には出ないで、卸売り業者を通じてわれわれと話し合いをさせて、両者の立場を利用して何とかまるくおさめるという、そういう戦略があると思うんで、その辺をついていただきたいと思います。(笑声)
  141. 加瀬完

    ○加瀬完君 いま参考人から御指示をいただきましたので。  結局、メーカーは問屋という中間機関を置いて、問屋に圧力をかけるような形で小売り業者にいまのような心配の種をまく。メーカーとしては仕切り価格が維持できれば、仕切り価格以後はどういう値段で売ろうとも、これは法律の定める範囲の中での売買については文句も何も言う必要もなければ資格もないわけですね。先ほど社長さんが御証言なさいましたように、ライオンさんなり、花王さんも同じことだと思いますが、花王さんなりとしては、かわいスーパーのようなやり方については異議はありませんと、品物を制限したりその他制裁の方法を加えたりするようなことは全然ないと、こう御確認してよろしゅうございますね。
  142. 小林宏

    参考人(小林宏君) けっこうでございます。現に三月も出荷制限というものは行なわれてないと、問屋さんからは私どもへ報告が来ております。そういうことは考えておりません。
  143. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは通産省なり企画庁なりに伺いますが、かわいスーパー方式でやりましても、仕切り原価以後の売り値を最小限度に押えるということにすぎないですよ。仕切り価格そのものが高ければこれは小売り価格というのは必然的に上がらざるを得ない。いまあなたのほうでは、小売り価格の何品目か凍結しておるけれども、その凍結を永続させるためには、仕切り価格にも変化がないというそういう行政指導がなければどうにもならない。いまお聞きのとおり、小売りでどんなに、いま川井さんのように、これはあなた方の方針に沿って営業をしようとしても、元が高くなったらこれはどうにもなりませんよ。ところが元が高くならないという保証はいまの行政指導では何にもない。この点をどうお考えになりますか。
  144. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) まず、小売りが仕入れます値段について値上げのファクターが出てまいりますときには、そのもとについて通産省なり農林省なりが調べることになると思います。それでその値上げ自身がやむを得ないものであるのかどうかチェックをいたしまして、極力値上げをしないように行政指導するということが第一点でございます。それから、もしその仕切り価格の引き上げがやむを得ないものであるということになりますと、これは小売りの段階についてそれが企業努力によって吸収できないかどうかということを検討して、できるだけ吸収してもらうように指導しますけれども、吸収しきれないということになれば、これはやはり値上げを認めざるを得ないということになると思います。
  145. 加瀬完

    ○加瀬完君 川井さんが証言しているように、一〇%のもうけではこれは商業常識として商売にならないと、しかし、いま物価で大きな問題でもありますから犠牲的にやっておると、こう言ってらっしゃる。ですからね、かわい方式というものはこれはこのままじゃ採算に合わないということになるわけです。どの店にも全部同じような方式でやれと言うわけにはまいらない。どうやらやれるのは、仕切り価格がもっと下がってくる場合なら、これはあなた方の凍結した価格をそのまま続けていくということは可能だということになる。いまあなたは仕切り価格のところでいろいろ行政指導をすると言うけれども、それなら指導価格なり、ものによって標準価格なりというものもいまきめておるのだけれども、この指導価格なり標準価格なりというものはどういう積み上げによって算出したのか、その根拠を示してください。通産省でいいですよ。どっちでもいいです。
  146. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 通産省の担当局長まだ来ておりませんので私からお答えいたしますけれども、通産省が今度きめました百四十八品目を基準として示しましたものの中には、五十三品目のいわゆる事前了承制的なものも入っておりまして、これはメーカーの段階で値上げのファクターがあるかどうかということをきびしくチェックをして、事前にその必要があるかどうかということをチェックできますから、これはそういう保証があるわけでございます。ただ、それ以外のものにつきましては、なかなかメーカーも中小企業が多いような業界でございますから、これ一々事前了承制にすることは不可能であるということで末端の段階でしか押えていないわけでございまして、ですから、その場合にやはり先生おっしゃるように、メーカーから出てくる段階で何らかの事情で値上げがあるということになりますれば、それはやはりいつまでも小売り価格自身を押えておくことができないということになると思います。
  147. 加瀬完

    ○加瀬完君 だから質問しているんですよ。末端だけ凍結価格にしても、その凍結価格が現状のとおり維持できるという保証はどこにもない。それは仕切り価格が変化がないという前提でなければどうにもならない。ところが、仕切り価格についての標準価格というものは一体幾らにすべきだということは、生活必需物資、あなた方が凍結価格で押えたその品名に対しても、指導価格なり標準価格なりの積算基礎はこうだという確実な基礎は何にもないでしょう。これで物価対策といったって物価対策になりますか。仕切り価格は業者の都合で上げほうだい。ところが、末端の小売り店の価格だけは凍結しようと、こんな無理なことはできないでしょう。この点どうですか。
  148. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 大企業がつくっておりますようなものにつきましては、先ほど申しましたように、極力事前了承制にのっけまして、合理的な値上げであるかどうかということをチェックをするということによって防げるわけでございますけれども中小企業製品につきましては、なかなかメーカーなり卸について一々そういうことをやっているわけにまいらないわけでございまして、どうしても、これは、ですから、いまのように中小企業製品でしかも末端の百貨店、スーパーの小売り価格を押えるというのは、百貨店なりスーパーなりの協力を得てここしばらくの間要するに値上げをしませんということでございますので、これを長期にわたって維持していくということはかかなかやはりむずかしい問題があるというふうに考えております。
  149. 加瀬完

    ○加瀬完君 むずかしい問題を行政的に処理していくのがおたくのほうの役目じゃないですか。仕切り価格が適正かどうかという見きわめがなくて標準価格が適正かどうかという判断はできないでしょう。生産費なり適正利潤なりというものが明瞭にならなければ、すなわち原価というものを把握できなければ、適正か適正でないかという判断はできませんよね。ところが、あなた方は、原価が幾らかというこういう質問に対しては一切答えない。答えなくてもいいけれども、原価の把握ができなくて、適正利潤か適正価格か、そういう決定ができますか。そこがおかしいと言うんだ。末端だけを凍結させて、その適正利潤によって生産者に適正利潤をプラスしてこれが適正価格だという、そういういわゆる原価の押え方というものは一切秘めておいて、そんな物価対策というのがありますか。物価対策はできないでしょう、そんなことじゃ。通産省答えなさい、政務次官来ているん、だから答えなさい。
  150. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 今回の百貨店、スーパーに対する末端価格の凍結というのは、そうシビアな統制経済でございませんので、もう長期にわたってそういうことをやっていこうということは無理であろうということは私もわかっております。むしろ、ですから、ああいう百四十八品目を示しまして、各百貨店なりスーパーなりがそれをもとにしてさらに多くのものをつけ加えているところもありますけれども、これは百貨店、スーパーの立場で業界の状況を考えて、こういうような品目は当分やはり元値から上がる要素がないだろうということをおそらく検討した上で個々の自分の店の凍結品目をきめて実行しているというふうに私は判断しております。
  151. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは経済企画庁としては聞き捨てならない御答弁だ。いま国をあげて物価対策をやっているんでしょう。その物価対策の一端として小売り店の生活必需品的なものに対しては凍結という形をとったでしょう。しかし、この凍結は一時的なもので、仕切り価格が上がればそのうちに上がるだろうと、お先別に私どもは凍結していけるかどうかという保証はいたしませんという、そんな一体行政指導というのがありますか。どこでそれならこういうふうな物価狂乱といわれる物価の特に末端の生活必需品的なものの価格を押えるのですか。末端の何品目かを凍結しても、それはもういつ改定するかわからない。それなら、全体の物価をどこでどういう方法で押えようとしているのか。
  152. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 今回の措置は、あくまでも石油価格の大幅値上げに伴って、また、昨年の十二月から一、二月にかけて起こりましたような便乗的な値上げを防ぐということが最大の目標でございます。したがいまして、合理的な根拠がないのに、石油が上がる、何が上がるということで非常にムード的に個々の末端商品をまた上げやすいようなムードがございますから、そういうものを防ぐためにここ当分の間何しろ凍結いたしますという協力を得てやっているわけでございまして、その過程においていままで便乗で上げ過ぎたと思うようなものにつきましては、これは通産省、農林省とも値下げの指導も強力に行なうということを言っております。そういうことで、先生おっしゃるほど個々のものについて一々こまかく原価をきめて——統制経済でございませんので、私どもといたしましては、そこまで無理に押え込みますと、そういうものの生産が減ったり、あるいは商店にしてもうまみのないものは扱わなくなるというようなことになりますと、かえって消費者にとって迷惑が生じますので、そこはかなりソフトな形の価格指導であるというふうに理解しております。
  153. 加瀬完

    ○加瀬完君 国民は、ソフトで値上がりするよりは、厳格でも値下がりすることを望んでいるんですよ。あなた方の一体物価行政というのは、国民の側に立っているんですか、業者側に立っているんですか。仕切り原価の把握というものがはっきりできなくて小売り価格を安い点に押えるということは不可能ですよ。公表しろと言っていない。しかし、それぞれの監督官庁は、生産原価なり仕切り原価なりというものに対しては内容をはっきりつかんで、これは高過ぎると、これは妥当であろうと、こういう判断をすることができなくてどうして値段がきめられますか。
  154. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 小売りの段階だけで価格を押えるということだけではなく、メーカーの段階でも卸売りの段階でも強力な行政指導をやっていくというようにわれわれ考えてこの処置をとったわけでございます。したがって、先生の御心配もあろうかと存じますが、今後そういった行政指導をやって間違いのないようにやっていきたいというように考えております。
  155. 加瀬完

    ○加瀬完君 行政指導をするには原価の把握というものができなくちゃ少なくも物価対策は立たないでしょう。なぜ一体原価の把握というものを十分にしてその上に適正価格というものをきめるという方法をとらないのか、その基礎資料というのを十分役所として集めないのかということを言っているんですよ。
  156. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 現在の体制は自由経済体制でございまして、大企業中心の業界においては業界から各種の原価的なものも通産省、農林省はとって、ある程度の数字は持っていると思いますけれども、百貨店なんかで売っております個個の、特に中小企業中心の業界でつくっておりますようなものにつきまして、一々こまかい原価はとりようもございませんし、把握しておらないと思います。ですから、やはりこれは業界の協力で、これ以上は当分の間値上げはしませんということで協力してもらって価格の安定をはかるという、まあ先生からおっしゃるとなまぬるいとおっしゃられるかもしれませんけれども、これは行政の実体としてそれ以上のことはやはり無理であると思います。
  157. 加瀬完

    ○加瀬完君 行政の実体はないでしょう。ゼロでしょう、行政は。何か、あなた方、実体があったら出しなさいよ。固体にはなっていない、気体だよ。わからないよ。石油危機というものがあって便乗値上げだけがあって物価が形成されているわけじゃないでしょう。それも一つの一因だが、物価はその前から上がっている。しかも、石油関係だけではなくて、生活必需品の物資が非常に上がっている。それを押えなきゃならないというので重要品目を指定して末端の価格を凍結したでしょう。末端価格は凍結しましたが、元値が上がればひとりでに末端価格は上がります、しかし元値は押えられませんと、こんなばかな話がありますか。生活必需物資についてだけでもこれはきちんと標準価格というものやあるいは行政の指導価格というものをきめて、それをはっきりはじき出した上で末端価格はこれくらいと凍結しなければ、凍結になりませんよ。そういうこまかいことと言うけれども、そういうこまかいことを国民は要求しているんですよ。石油は使わなくていい階層があるかもしれぬけれども、生活必需物資は使わなくてもいいという階層はないですよ。もう一回答えてください。
  158. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) デパート、スーパーにおける原価の把握というのはこれは非常に不可能でございまして、しかし、必要に応じて卸売り価格それから原価についてこちらが行政指導によりまして問いただすことはできるわけでございますから、その点で小売り価格を圧迫するような事態が起こりました場合には、われわれのほうで指導をいたしていきたいと思っております。
  159. 加瀬完

    ○加瀬完君 春夏秋冬、自然現象にまかしたようなものだ、これは。元値が上がれば小売りも上がらざるを得ないと、そういうやり方じゃありませんか。  そこで、公取と通産省にもう一回伺いますが、公取は、いままで、再販を認めたり、あるいは安売り禁止令を出そうとしたり、いろいろやっておりますが、結局、消費者サービスという面が強調されているということにはならないじゃないですか。これが一点。通産省も、物価対策がこう薬ばりですよね。基本的にいまの例を引くならば、仕切り価格はこういうふうにして押えて、そして末端価格はこう凍結すると、そういう具体性が何もない。どうなりますか、これで。
  160. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 公取も再販の規制につきましてはことしの九月から縮小の方向を打ち出しておりまして、石けん、洗剤、歯みがき等については廃止する、それ以外のものについても極力縮めるということで、それからまた、これは将来の問題でございますが、再販を全廃しようという方向で検討も進めたいと思います。(拍手
  161. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 上田君。
  162. 上田哲

    ○上田哲君 いまの川井さんの指摘された問題の背景にメーカーの巨大な寡占体制というのが横たわっている。これが私は問題だと思う。調べてみて驚くんですが、あの去年の洗剤パニック、この洗剤パニックの裏側で花王、ライオンの二社だけで実に七〇%に近いシェア、この巨大な寡占体制というのができ上がったというところがポイントだと私は思うのです。しかも、その中で——時間を節約するために公取に聞きましたけれども、二社で七〇%近いシェアなんというものは、これは自動車とか鉄鋼とかいろいろなことがあるんですけれども、生活必需品というところであるかといったら、まあビールかウイスキーぐらいしかないんじゃないか。ビールかウイスキーはこれはまあ飲まなくたって生きていけますよ。いまの都市生活構造の中でいえば、この洗剤というのはそういうものにはならない。これは決定的なシェアだと言わなきゃならぬのですが、そういう中で品不足で悩んでいたころの十一月から二月ごろに、花王とライオンでは、目玉商品の再販指定を相次いで取り消す、「ホワイトワンダフル」、「ポピンズ」、「ニュービッグ」、これは花王ですが、ライオンでは「ダッシュ」、「スパーク」、「ピンキー」、こういう状況になってきた。これはつまりこの二社だけで自由自在に値上げ操作ができるという体制ができ上がったと、川井さんのような形というものが幾らでもがしゃっとつかむことができるという状況ができ上がったという、その体制の完成を意味していると私は考えなきゃならない。しかも、その上で残ったのは何かというと、ずうっと値上げですね。十二月一日に「スパーク」、「ダッシュ」、一月二十一日に「ブルーチャイム」、「ピンキー」、一月一日に「ホワイトワンダフル」、「ポピンズ」、平均二〇%の値上げがずっと続いた。まさにこれはもう便乗パニック、便乗値上げの典型であるというのがいろいろなところで指摘されたとおりであります。まあここは前段ですから、このことについては御答弁いただいていると時間がありません。  この上どういうことがこういうところから出てくるのか。つまり、今日の都市生活構造、あるいは日本全体が都市だといわれるような状況の中でいうと、四十七年に一人に使う洗剤の量は六・五六キログラム、電気洗濯機もこれだけ普及したということになると、大体洗剤というのは頭打ちになっている。あと洗剤のメーカーというのが売り上げの業績を伸ばしていくということのためには値上げしかない、伸ばしていくには値上げしかないのだという構造にこの寡占体制から結果するところ落ちついているのだと思うのです。これはひとつそういう意味でこの再販指定の取り消しの雄でありますライオンさんに伺います。値上げしかないのだというところに業績の可能性を発見していられると思うが、どうですか。
  163. 小林宏

    参考人(小林宏君) 洗剤は、最近の年率は約一〇六、七%というふうに考えております。したがいまして、私どもは、いままでは、洗剤はスケールメリットで合理化をしながら値段を上げないという方針で、洗剤発売以来十数年間値段を上げなかったわけでございますが、ここに至りまして昨年の一月以降徐々に原価圧迫の材料がふえてまいったことは御承知だと思いますが、これの原料が主として石油製品あるいは無機ソーダ関係が大半でございまして、これが十月以降平均して約七〇%の値上げをされてまいりました。いままで十数年間耐えておりましたのは……。
  164. 上田哲

    ○上田哲君 値上げ以外の道はないだろうと、頭打ちの状況になっているだろうという事実を認めていただければいいんです。
  165. 小林宏

    参考人(小林宏君) 現在はもう値上げ以外ございません。
  166. 上田哲

    ○上田哲君 値上げ以外ないのだと。そして値上げ以外はないためにこういう状況ができ上がった。ほかの業界には見当たらない、特に生活必需品の業界としては全くほかに例を見ないような完全な寡占体制、そして再販指定の取り消し、それからあの洗剤パニックが明白に示しておりますように、たとえばトイレットペーパーのように、原料がなかったから起きたのではない、明らかにつくられた便乗パニックだった、こういう状況を考えますと、洗剤がこれから先値上げという攻勢が生活にかかってくる——先ほど来標準価格の問題がいろいろ出ておりますけれども、最大の危険、風穴がここにある。都市生活者、国民生活者にとっては非常に大きな危険がこの洗剤からくずれてくるのじゃないかという私たちは危機感にさいなまれる。公取はもう手が出せませんよ。また、標準価格云々、出荷価格云々というところがさっきからの話で全然野放しになっている。消費者にとっては完全にもう手のつけられない野放し状態で、簡単に言うならば、この花王、ライオンの二社がその気になれば、いつでも、いまお認めになったように値上げ以外に方法がないのだという、その値上げが自由にできるという状況になっている。これは何とかしなければならないのだということを、通産省、先ほど来非常にはっきりしませんけれども、その見解、その感覚をきちっと出してください。
  167. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 御指摘のように、二社で七〇%のシェアを占めておりまして、非常な寡占体制をしいていることは事実でございますが、ただ、洗剤につきましては、昨年来以来のパニックということで通産省といたしましてもこの問題については非常に重大な関心をもって対処しているわけでございまして、十二月末から一月の初め、それから二月まで、増産を強く要請いたしましてそれが達成されたわけでございますけれども、価格につきましては価格の事前届け出制になっておりまして、メーカーからの出荷価格を私のほうに、もし原料の値上がり等でどうしても上げなきゃいかぬというときには届け出ていただいて、その中身を私どもは厳格にチェックをして、ほんとうに上げなきゃいかぬものかどうか。まあ私どもとしてはできるだけ原料が上がっても上げないでがんばってもらいたいということを強く要請しているわけですけれども、どうしても上げなきゃいかぬというときでも、厳格にチェックをしてその上げ幅というのは極力押えていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  168. 上田哲

    ○上田哲君 最大の野放し状態だということを認めますね、洗剤。
  169. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 御指摘のように、七〇%のシェアを二社が占めているという点では、非常に危険な要素をはらんでいることは事実でございまして、そういう実態を踏まえた上で私どもは強い行政指導をしていく必要があることは考えております。
  170. 上田哲

    ○上田哲君 そこで、これはひとつ花王さんのほうに伺いましょうか。  行政指導も大事ですよ。行政指導も大事でしょうが、あのパニックは申しわけないということを言われている、社会的に。社会的責任を痛感されるのならば、行政指導なんていう問題じゃない。もう一つ前に、メーカーの社会的責任として、原価の公表あるいは出荷価格の公表、このことは社会的につとめられるべき任務だろうと私は思うのです。現に、東京都が皆さんのほうに原価の公開を求められたら、拒否されておる。これは国会で皆さん、このパニックは申しわけないと言われておるんです。頭を下げておるんです。それならば、いま行政当局も認めたように、欠くことのできない生活必需品である今日の洗剤が、しかも最大の野放し状態の危機にある。このときに、社会的責任を感ぜられると言うのなら、原価の公表をなさるがよかろう。少なくとも、それが一般に、新聞に出せテレビに出せということができなくても、地方自治団体である、一千万人以上いる東京の、東京都物価局ができあがって、東京都が皆さんのほうに公表を求めるというんなら、たとえばその中の部内秘でもいい、部内秘でもいいですよ。ほんとうに社会的責任という立場においてならば、そこに皆さん方からしっかりした資料をお出しになる。これは国会に向かって、国民に向かってここでお約束をいただきたいと思うのです。そうでなければ、この二ヵ月間われわれ懸命に皆さん方お話をしてきたことの意味がない。国民はほんとうに不安を感じております。トイレットペーパーとは違うんです。あなた方の手の、そのお二人の手のひらの中にあるんです。七〇%ある。寡占体制ができ上がっている。どうにでも物価操作ができるようになっている。  この部分について具体的に言いましょう。いま求められているんですから、拒否しているその原価の公表ということを、たとえば東京都段階でもいい、お出しになるかどうか。
  171. 丸田芳郎

    参考人(丸田芳郎君) 原価の公表ということは、非常にこれは意味の深いものでございまして、この中には人間の英知でありますとか、あるいはいろいろな創造とか、いろいろなものが入っております。したがって、企業におきましては、自由主義社会だけでございません、社会主義社会におきましても、この原価の公表ということはどこでもやっておりません。しかし、非常にこれは疑問を持ちました場合に、ある程度原価を公表しなければならぬということはありますが、その場合には、やはり個人を信用してやるという場合はあります。現にわれわれは、洗剤につきましても、社会党のある特定な方には原価を公表しております。しかし、こういったことはあくまでも個人の信用においてやることでありまして、原価を公に開くということは、これは世界においても例のないことでありまして、私はそれはいたしません。
  172. 上田哲

    ○上田哲君 とんでもないことですよ。個人になんてことを言ってませんよ。企業機密ということは、今日私たちはみだりに全く踏みにじっていいものとのみは考えておりません。しかし、それ以上に守られるべき国民生活、庶民生活というものがあるだろう、しかも、洗剤の意味合いというものはそこまできているし、企業の責任は、さっきからいろいろ議論がされているような具体的な問題をはらんでいる。となれば——私はあえて中間体として東京都という地方公共団体を例に出している。そこに向かって、個人に出している、信用で出しているとおっしゃるのならば、そこにいろいろな制限をつけてもいいからお出しになるということで、原価の公表ということを、ほかのいろんな形でもいい、具体的な一歩踏み込んだ資料でもいい、お出しになるんでなければ、あなた方が社会的責任を果たすと言うことがうそになると思うんです。再度御答弁を、一歩でもいい、前向きにお答えいただきたいと思います。
  173. 丸田芳郎

    参考人(丸田芳郎君) いまの申し上げております原価の公表は、これはまことに申しわけありませんけれどお断わりいたします。あらゆる努力をいたしまして、われわれが公表して差しつかえないデータにつきましては、極力御協力を申し上げております。
  174. 上田哲

    ○上田哲君 東京都と話し合いますか。
  175. 丸田芳郎

    参考人(丸田芳郎君) 原価の公表はいたしません。
  176. 上田哲

    ○上田哲君 東京都と話し合いますか。
  177. 丸田芳郎

    参考人(丸田芳郎君) 先日のデータも私たちは非常に協力いたしたデータでありますけれど、あのデータがああいう形になって私は出されるということになりますと、今後ああいう調査というものに対して非常に大きな疑いを持っておるわけでありまして、この点につきましては、いずれあらためて東京都とよくお話ししたいと思っております。(拍手
  178. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 小林参考人、丸田参考人、お引き取り願ってけっこうです。御苦労でした。
  179. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 辻君。
  180. 辻一彦

    ○辻一彦君 宮崎参考人と西田参考人にたいへん御多忙な中を御出席いただいてありがとうございます。  まず、宮崎さんにお伺いしますけれど、現在全国の繊維、織物の産地では、原糸高製品安で、金融引き締めのあおりを受けまして、大多数の糸商や機屋は赤字倒産の寸前にあります。先日も、福井の産地で、七十台も織機を持つ中堅機屋が不況で自殺をいたしております。産地の状況は非常にいま深刻です。こういう中で、大手の原糸メーカーが、十二月に既契約の一部破棄、数量カット、原糸の大幅の値上げ、こういうことで三月の決算が、史上空前といわれた九月の好決算に近い高い収益があると。こういうことは、非常に私その差が大きいのじゃないかと思います。  そこで、昨年の十二月に原糸供給の既契約の破棄、数量カット、原糸値上げによる糸商、機屋の受けた深刻なしわ寄せの実態をどういうように御理解されておりますか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  181. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) ただいまの御質問でございますが、御承知のように、糸はいま十二月ごろの値段の据え置きになっておりますが、よく世間で、糸が高くて織物が安いではないかと、それなら糸を下げたらいいじゃないかということを言われますが、そのことは、いわゆる常識的には非常によく了解できます。しかしながら、かりに私どもが糸を下げて売りますと、いよいよメーカーが下げに転じたということで、糸綿の値段はもちろん、織物にも波及いたしまして、値段が非常に暴落をいたします。そういたしますと、糸を持っている人はもちろんですが、織物を持っている人、機屋さんもおられますから、そういう人たちが全部その被害を受けられるわけですね。この点が、世間の常識と、実際の取引をしているものの私どもの悩みでございまして、そういう意味では、できる限り糸の値段をキープしまたは強含みであることが、織物の値段に反映いたしまして、織物の値段も、値段がキープされるかまたは高くなっていく可能性があるということでありまして、物の値段というものは、先生御承知のとおり、行く先少しこう上がりぎみであるという場合には買い手がつきますけれども、下がるかもしれないというときには、売りはありましても買いはとまります。そういう意味におきまして、糸の値段を私どもは極力いまキープしておりますが、しかし実際は、御指摘のとおり、金融引き締め等がございまして売れないんです。ですから、売れない分は結局どうするかと申しますと、輸出ドライビング——輸出に振り向けざるを得ないというので、最近御承知のとおりに輸出が相当伸びてきているという現状でございます。しかしながら、その輸出といえども、御承知のとおり国際協定がございますから、無制限にこの物、量を出すことはできないのみならず、安値売りをいたしますと市場攪条乱項でやられますから、これもできないという状況でございます。  それから十二月の問題でございますが、これは少し時間を拝借いたしますが……。
  182. 辻一彦

    ○辻一彦君 ちょっと。逐次聞きますから、大体でよろしいです。
  183. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) それでよろしいですか。
  184. 辻一彦

    ○辻一彦君 時間が限られておりますので、簡潔に伺ったことをひとつまた聞かしていただければいいと思います。  大きなメーカーの社会的責任として、いろいろ私伺って、実態の認識が多少甘い点もあるのじゃないかと思いますが、そこで先物契約の破棄はここ二十数年来かつてなかったということで、商業ルールを無視したというので、産地では非常なふんまんやる方ないと、こういう声がありましたが、これを御存じですか。
  185. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) これは御承知のように、十一月二十日から石油、電力の規制が始まりまして、特に一月以降の見通しが全然当時は立たなかったわけでございますが、特に私のほうは、工場が延岡にございます。タンカーが、約五百トンぐらいの船で運んでるんですが、タンカーの獲得もできなかったということで、十二月の半ばになりまして、とうてい予定どおりの供給をするほどの生産ができないということがはっきりいたしまして、そのためには、あるいはそのままの契約をそのままの状態に置いておいて、できるだけのものを供給して、あとは繰り越しをするというような手もございます。しかしながら、現実には、当時の状況としては、糸をほんとうにくれるのかと、あるいはどの程度ならくれるのかという要請が非常に強うございまして、そのたびに、私のほうとしてはきわめて正直に、八割は供給できますと、しかし、それ以上はどう努力してもできませんということで、第一次商社とよく話をいたしまして、そして了解の上で二割を削りましたです。と申しますのは、私どもは製品を第一次商社に売りまして、第一次商社が第二次その他の商社、または機屋に売るか、または機屋に賃織りをさしておるというのが現状でありますから、そのときに、第一次商社の方に、何とかぜひあとのほうに影響がきわめて少なくなるように御配慮をいただくとともに、特に十一月末の出荷の残もございますから、それをなるべく急ぐということと、それから十二月末と一月の初めは年末年始の休暇がございますから、自然に操業日数も減りますから、何とかこの点を切り抜けてほしいというような、いろんな配慮をいたしまして、一週間以上かかってお互いの話し合いをした結果、たしか十二月の十八日だと思いますが、二割をカットという方法をとったわけでございます。
  186. 辻一彦

    ○辻一彦君 重油という点の私は事情があるとは思いますが、しかし、あなたと同じ大体シェアを持っているクラレ、あるいはちょっとシェア低いですが、ユニチカ、こういうものが数量カットをやらずにやっていると、こういう中であなたのところは二割カットされたということは、非常に深刻な産地への影響を与えている。その深刻さを、私は具体的にどういうようにからだで受けとめておられるか、こういうことを伺いたいと思うんです。  で、お話がありませんから、私が実態を少し申し上げましょう。原糸メーカーの糸が第一次商社、特約店から二次の産地の商社にまいって、いわゆる糸商に流れて、この糸商が零細な機屋に賃織りに出し、できた織物を集散地の商社、関西でいいますと、大阪に契約をして、そして納入をすると、これは先物契約ですから、きわめて——きめたその時期に、きめた織物製品を集散地の問屋に納めなくてはならないと、この約束が守られないと、小さな糸商や、機屋が長年にわたって築いた信用が一時にくずれてしまうと。それで、これが私は仕組みであると思うんですね。そういうことで、一方的にこの数量をばっさり切ったらどういうことになるということを御存じでしょうか。これは時間がありませんから、御存じならばごく簡単に、まあ実態御存じでなければ私のほうから申し上げますから、ごく簡単でけっこうですから。
  187. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  188. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。
  189. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) それは先ほどもちょっと触れましたが、一律にカットと申しましても、一方的にやったことではないんで、商社と話し合いをしてやったということが第一点ですね。  第二点は、影響が及ぶであろうという意味で、先ほど申しましたように、十一月末の残の、なるべくこれを出荷を急ぐということと、それから年末年始がありますから、それに休日がありますから、何とかしのげるんではないかということと、その他商社の手持ちもありますから、それをなるべく融通してくれということでありましたので、実はその後、クレームがつけばわれわれは良識をもって解決するつもりでおりましたが、具体的にはいままでその申し出がございません。しかし、今後といえども、その点については商社と話し合いをして、実際出れば考えるということにいたしております。
  190. 辻一彦

    ○辻一彦君 話し合いをやってカットされたと言いますが、私がいろいろ聞いた中では、なかなか、一部はそういう条件があったかもわかりませんが、多くは一方的な打ち切りが行なわれておるんじゃないかと思います。たとえば日経産業新聞十二月十四日が明確に書いておりますが、「人絹糸の十二月契約分のうち二〇%相当の数量を契約破棄すると、系列糸商に通告した。」云々とあって、糸商は「定期、仲間市場での先物取引のルールを根底から覆すことになるとして強く反発している。」と、これが私、産地の実態だと思います。また、業界の新聞を見ますと、ここにありますが、「既契約人絹糸20%カット」「産地に不満の声高まる」と、こうして、「A社」と、こう書いてありますが、「さきほど特約店を通じて十二月物既契約分の数量を一方的に二〇%カットを打ち出し、産地では憤まんやる方なしといきどおりの声が聞かれる。」と、こうなっておりますが、私はこういう例を見て、非常に話し合いができてスムーズにカットがされたというようには思いませんが、一方的にかなり通告で打ち切られていると、こう思いますが、いかがですか。時間の点から簡単でけっこうです。
  191. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) それは非常に事実と違いますが、その新聞の記事は、ちょうど交渉のまっ最中でありまして、交渉中のことが新聞に出ておりますが、われわれは、たしか十二日から十七日ぐらいにかかりまして各商社を全部回りまして、それで了解を取りつけたわけです。そのときに同時に、先ほど申しましたように、事後の対策も十分に検討いたしましてやったんでありまして、その後、実際的にはかりにクレームが出ましたら処理をするようなことを考えておりましたが、何も出ておりません。その後——その前ですが、過去においてもそういう経験が実はありまして、話し合いで十分最終末端までめんどうを見たという例がございます。
  192. 松永忠二

    松永忠二君 関連。  いろいろお話ありますけれども、レーヨンは四〇%あなたのところで、それからクラレが四〇%、二〇%がユニチカです。同じシェアを持っている四〇%、二〇%のクラレやユニチカが生産削減をしないのに、あなたのところだけがなぜ生産削減といいますか、二〇%をカットしなければできないのかと、その点が問題なんです。  で、実際のところ、あなたのところは、延岡の工場は水力発電が二二・八%、火力が七六%、したがって、あなたのところは、電力とそれから石油の削減が二重にかぶるという状況ではないわけであります。しかも、通産省は特に指導を強めて、石油の原料在庫を極力投入して、中小企業向けの不足を来たさぬようにしなさい、間接部門は使用される重油、電力を節約して生産部門に振り向けなさいと、こういう指導をしているのにかかわらず、あなたのところだけ二〇%カットしなきゃできない理由は一体どこにあるんでしょうか。
  193. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) それは一つは減産率が高いんです、私のほうは。よそさんのことは申し上げるのは差しつかえますが、減産率がよそより高いというのは、先生も御指摘のとおり、水力と火力がございますが、十二月は渇水でございます。それで水力は非常に出ないんです。そういう意味で、石油に対する依存度がさらに高くなります。その石油がちょうど切られたわけですから、そういう意味においては減産率が非常に高いと。それから第二は、レーヨンは、これは各社共通でございますが、私のほうはベンベルグをやっております。そういう意味で、エネルギーを非常に使う産業が延岡に多くあるということですね。そういう意味において全体的に減産率が高いということでございますね。  それから第二点は、私のほうは糸売りが多いんです。賃織りよりも糸売りが多いんです。したがって、私の糸が多く福井に回っているという理由でございます。  それから第三は、先ほど申し上げましたように、カットしないでもあるいはできるだけを出荷して、できないものは一月にキャリーオーバーするという方法もあるわけですね。しかし、当時の情勢といたしましては、一体どれだけ保証してくれるのかと、ほんとうに「くれる」のかという要請が非常に強かったもんですから、私のほうは八割は保証いたしますと、必ず。そのかわり二割はがまんしてくださいという態度をとったわけですね、そういう差でございます。
  194. 辻一彦

    ○辻一彦君 よく話し合いされたと言いますが、赤伝票というのを御存じですか、恐縮ですが。
  195. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) それは、カットする、契約をキャンセルする場合の伝票でございましょう。
  196. 辻一彦

    ○辻一彦君 ここに小さな糸商が受けた赤伝票、カットの通告書があります。これをごらんになればいいと思いますが、私はこの赤伝票が来たために小さな糸商がどういう実態になっているかということをちょっと申し上げたいと思うんです。契約の場合には黒伝票、これを破棄をする場合には赤伝票が使われる。ここに数量、価格が出ています。名前のところは切ってありますが、これはなかなかいろいろな御心配があって切られております。そこで、この二〇%の赤伝票で一方通告をされた場合に、産地に「ふみ」ということばがありますですね。これは、損をしても約束を守るという商業ルールだということを私は聞いておりますが、もしカットされて、そして一番簡単に言うならば、その二割機屋さんを切るか、あるいは大阪の商社における品物を納める、これを契約破棄をすればいいんですが、それをやると長い間築いた信用が一ぺんにだめになる。だから、やむを得ないから糸をどうしても手当てをしなけりゃいけない。そこで、市中の糸を手当てをする。そうなりますと、当時一キロ六百円ぐらいの人絹糸が市中では千円ぐらいしているらしいですね。その千円の糸を買い入れて、そしてそのカットされた分を埋めてこれを機屋さんに渡して賃織りをして、きめられた時期に問屋にこれを納めた。これを「ふみ」といっておりますが、そういう中で機屋さんは逆に今度は、高い糸を糸商が買うわけですから、結局機屋は大幅の工賃ダウンがある。こういうようにしてこの夫婦ものの糸商がこのカットによって七、八十万の損害を、損失を受けたと、こういうことを私はじかに聞きましたが、こういうようにして産地では先物契約が戦後契約されたことが破られたことがなかった。それが、二十数年来なかったことが破られたことについてがまんができないと、こういう声が非常に強く出ている。たとえば投書が出ておりますが、ここにあります。「原糸の各メーカーは今回の石油危機に籍口して商社賃織原糸の既契約分十二月物、一−三月物を白紙に還元するとの一方的契約破棄を厳命せられた由、われわれ商社の賃織業者の由々しき重大なる問題」だ云々と、こうずっとして、全部読むのは省略をしますが、「大メーカーが石油危機のショックに常軌を逸し大企業の面目と襟度をゆるがし、商業道徳を忘れられたる行為であると思う。故に特によく自重考慮せられ速やかにその厳命を撤回せられて契約通り賃織原糸を商社に渡されるよう失礼ながら忠告致したい。」と、こういうように率直な声が出ておりますが、こういう事実を十分御存じなのかどうか、いかがですか、こまかいことはけっこうですが。
  197. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) そういうこともいろいろ考えまして、私どもは、繰り返し申し上げますが、私どもと第一次商社の間ではそういうようないろんなケースがあった場合には、私どもはもちろんですが、商社も手持ち在庫を放出するとか、あるいは私どもが持っている輸送中のものをもっと繰り上げるとか、輸送しようとしている在庫を繰り上げるとかいうようなことで何とかそれを切り抜けてほしいということでございまして、実は私どもと商社の間には話がありまして、リベート政策というのがございます。それで実際に第一次商社と私どもの関係なんですが、二次・三次商社とのお話かと思いますよ、その二次、三次の商社と第一次商社とこうつながっているわけですね。その間においてそういうクレームがあったら必ず一次商社が吸い上げてくるわけです。で、私どもに話を持ってくるわけです。そのつど解決できるような態勢になっておりますが、そのために期末のリベート調整というのをやるわけでありまして、そういう準備はちゃんとしてあるんでございます。ですから、私どもが先生にお願いしたいことは、そういう声がありましたら、ぜひそれを糸商を通じて私どもに反映さしていただけますなら、私ども即刻解決できるんですけれどもね。そういうようにお手配願えませんでしょうか。  実は、投書は私どもに逆に来るんですよ、いろんなことが。匿名が多いもんですからできませんけれども、しかし、零細な機屋さんというのは私どもの大事なお客さんですから、間接に回って糸がいくわけですね。その人たちの声がまた二次、三次商を通じて、一次商を通じて私どもにも反映するはずなんです。それで一次商と私どもの間についてはリベート政策いろいろありますから、そういう問題解決するような仕組みになっているんです。
  198. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、仕組みはなっておるかどうかは私もわかりませんが、実態は私がいま申し上げたことがたくさん出ているということです。そこで、先ほど減産からのお話がありましたが、私はその事情は重油や電力の関係からある面では理解ができます。しかし、十二月の四日のこのやはり日本産業新聞を見ますと、こういう例があります。この電力や重油のカットによって旭化成においては減産を考えなけりゃならぬと。こういう中で、「この場合は、「不採算部門の切り捨てなど経営戦略を基本的に再検討せざるを得なくなる」と厳しい見方をしている。」と出されています。それからこれと並んで、一方東レといいますか、これはほかのメーカーですが、「東レは「零細企業への影響が大きいので採算の悪い部門を切り捨てることはやらない。安定供給が責務」と原料確保に躍気になっている。」と、こう出ております。私は、まあ二割減産——一九%減産ですか、そして二割のカットという、これが安易にやられたのでないか、その点に企業の経営といいますか零細な企業をかかえているそういうことに対する社会的な責任というものが十分感じておられたかどうか、こういう点に非常に不信を持ちますが、その点、いかがですか。
  199. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) その新聞記事は私もあとで拝見いたしましたんですが、私どもが不採算部門を切り捨てるとたしか私どものある重役が言っているようでありますが、それはあくまでも社内における合理化のことを言ったわけでありまして、私どもがたとえば福井産地にありますいろんな零細企業を切り捨てるんだということとは全く関係ございません。私どもが実はレーヨン工業を守っております理由は、かつては二十二社あったんですがいま三社しかございませんが、あくまでもレーヨンというものに依存している人がたくさんおられますから、私どもは合繊に転換したほうがある場合においては有利だと思いますけれども、あえてレーヨン工業の合理化をはかって努力しております理由は、そういう零細な機屋さんに対する配慮も十分に考えておりまして、そういう意味においては社会的責任は十分にわかっておりますから、御理解いただきたいと存じます。
  200. 松永忠二

    松永忠二君 関連。  いまさっきからお話が出ておりますけれども、たとえば化繊協会では、十二月の合繊の減産は九・六%にとどまった、当初一五%削減の見込みを大幅に下回ったのは、石油の在庫を極力食いつぶすなど生産増強につとめた結果だと説明をしているわけです。通産省が指導した方向にそのまま努力をして中小企業向けの不足を来たさないように、石油の原料在庫を使うとか、あるいは間接部門に使用している重油とか電力を節約して生産部門に使いさえすれば、ほかの同じくレーヨンを生産しているところがそんなにあなたのように一九%も生産削減しなくても現に生産をもっと削減を少なく、しかも、そこはカットをしていないのにあなたのところは生産削減をうんとしておいてカットをしているということになると、やはりあなたのところの努力が足らないのじゃないか。もう過大に将来の石油とかあるいは重油とか電力不足を予想して、もう生産を削減しカットをしておいて、そうしておいて、これからお話のあるとおりぱっと値段を上げたんです。そういう根拠をみずからつくっていくという、過大にそういうことを考えたというところに間違いがあったんでしょう。少なくもあなたの生産削減の度合いというのは他のより多かったという点。しかも、あなたの会社だけがカットしたという事実は、見通しを少なくも誤ったという点について少しは反省がなけりゃならないのに、私のほうがほかよりも確実なんですという、こういう御答弁ではちょっと私は納得ができません。
  201. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) それは、そういう意味ではございませんで、結局契約を繰り延べると、十二月の出荷不能の分が出ることは予想されますけれども、そのまま契約をしておきまして、そして現実には繰り延べをするという方法もあるということを申し上げたにとどまりまして、私のほうが正確だと申したわけではございません。私のほうは、要するに八割は供給いたしますと、当時の状況としては何割供給してくれんのかとという非常に緊迫した空気でございましたから、八割は必ず供給いたしますということを申し上げた意味でございますから、誤解のないように御理解いただきたいと思います。  それからもう一つの、一般より非常に多いじゃないかという御指摘、御疑問はもっともでありますが、私のほうは先ほど申しましたように延岡にございます、工場が。ああいう石油危機になりますと、私、実は私自身が石油を買いに回ったんです。石油対策緊急委員会をつくりましたのは十月の終わりですが、そして各石油精製会社を回り、千キロリッターでもよいからいうことで私自身で買って回ったわけです。それでも、延岡には遺憾ながらタンクが非常に少ない、数日分しかないんです。ですから、そのタンクを食いつぶしますと、万一次の石油が入りませんと、石油はここではとまります。大体三割以上工場が操短になりますと、全工場がストップするんです。特にレーヨン工場のようなものは、公害防止の関係の設備がありますよ。これはフル運転しなければいけませんし、その他、カットをしたからといって全部二割なら二割カットできませんので、あるものはフル運転をしておるわけです。したがって、メインのところは非常に落ちるわけです。そういう分もありまして、延岡の特殊事情もありまして、全力をあげましたが、さっき言いました二割の操短になったということでございまして、これはよく御理解をいただきたいと思います。
  202. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、公害の問題は、十二月だけに私限ったことではないと思いますが、時間の点から第二の問題を伺います。通産省にちょっと簡単に伺いますが、この昨年の十一月、十二月石油危機の中でいわゆる契約破棄、カット、値上げ等があった中でこの間の国会答弁で極力抑制するようにつとめたと、こう言っていますが、具体的にどうやったのか、ごく簡単に報告してください。
  203. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 十二月から一月上旬にかけまして、可能な限りコスト上昇を企業努力で吸収するようにという価格抑制の要請をいたしましたことが一つと、それから原糸のあっせん所を活用するということにつきまして十六件申請が出ましてこれをあっせんいたしましたが、中小需要者に対する原糸の確保という観点からそういったことをいたしております。それから第三番目には増産の要請をいたしておりますが、もちろん一月からは市況が悪うございますので、増産の要請はもちろんいたしておりませんが、三つの点につきまして行政指導をいたしております。
  204. 辻一彦

    ○辻一彦君 担当局長がおられないのでちょっと困りますが、さきの国会答弁で私の質問に、十二月から一月にかけて十一月対比大体原糸の値上げは九−一〇%程度と、こう言っておりますが、これはいかがですか。
  205. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) ナイロン糸につきまして、四十九年の一月において対先月比九・九%の上昇を見ております。
  206. 辻一彦

    ○辻一彦君 人絹は。
  207. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 失礼いたしました。二三・七%でございます。
  208. 辻一彦

    ○辻一彦君 私の聞いているのは、幾ら上がったかということを、いま幾ら上がったかということでなしに、去年の十二月に大体平均してどのくらい上がったと、あるいは上がってもいいと通産省は考えておったか、その幅は、めどは幾らなのか、こういうことなんです。何%ですか。
  209. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) それは石油原料の値上がり等ございまして、幾ら値上がりするというようなことにつきまして通産省としては何ら指導する立場にはございません。
  210. 辻一彦

    ○辻一彦君 この間、国会の予算の答弁では大体九から一〇%、こういう答弁が担当局長からあったわけですね。そこで私は若干それをめどにして論議を少し荒っぽいがいたしますと、宮崎参考人にお伺いしますが、旭化成から人絹の普通糸一二〇デニールですね、これを十一月、十二月、一月、それぞれキロ当たり幾らでお出しになっているか、数字だけでけっこうですから、ちょっと。
  211. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) 私の記憶では、十一月が六百円ですね。十二月のたしか二十日以降と思いますが、これが百四十円ですから、七百四十円です。ですから二十何%——二一、二%ですか、というようなところです。  いまは失礼いたしました。それは一月八日でございます。十一月、十二月は六百円です。
  212. 辻一彦

    ○辻一彦君 西田さんにお伺いしますけれども、あなたのところは旭化成の特約第一商社ですが、メーカーの出し値とそれからあなたの出し値、受け取られた値段とそれからお出しになった値段、どうなってますか、簡単に。
  213. 西田嘉兵衛

    参考人西田嘉兵衛君) お答えいたします。  大体問屋マージンは八%内外でございますので、六百円の当時売りましたものは六百五十円内外ということになるわけでございます。それで商いのしかたといたしましては、九月に、十、十一、十二の商いをいたしまして、その時点において、先ほども先生がお話しになりました先物取引の形で取引が進められます。したがって、十二月の時点におきましても、先物が当月に回りましても、もちろん値段は変わらないわけでございます。
  214. 辻一彦

    ○辻一彦君 通産にちょっと簡単に伺いますが、なるべく価格を抑制するようにと、こう押えてきたということで、一〇%程度にこの大体値上がりと見ているという御答弁を前に予算でも伺っていますが、いまのお話だと全然そういう行政指導をやっていないということですが、一体どちらなんですか。
  215. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 行政指導をしたということは、個別に原糸メーカーに対してはいたしましたが、商社に対してはいたしておりません。
  216. 辻一彦

    ○辻一彦君 いや、この六百円の出し値が七百四十円ということは約二五%上がっているわけですね。だからそういうことについて抑制をされておったのか、それはもう野放しだったのか、その点はどうなんですか、簡単に。——これは担当局長呼んであるのにどうして出てこないんですか。論議にならないじゃないですか。
  217. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 説明員に説明させます。
  218. 堺司

    説明員(堺司君) お答え申し上げます。  行政指導につきましては、価格水準を極力抑制するようにということで、原糸メーカーのほうに話してございますけれども、商社につきまして具体的にどの水準でというようなことは話しておりませんので、いま先生がおっしゃっております七百四十円といいますのは商社の水準でございますし、通産省としては、特に商社の卸売り物価水準でどのようになるべきかということについて、当時も指導しておらなかったわけでございますので、特段、現在この時点で商社の販売について云云ということをいま考えているわけではございません。
  219. 辻一彦

    ○辻一彦君 いや、いま一月の出し値は七百四十円と、こういうお話でしょう。それについては全然抑制の措置といいますか、働きかけなかったんですか。メーカーの出し値が七百四十円とおっしゃったでしょう。
  220. 堺司

    説明員(堺司君) 十二月、一月の水準で、極力コスト上昇要因を社内の合理化等によって吸収するようにというふうに話してあるわけでございまして、具体的に幾らの水準でというふうに依頼してあるわけではございません。したがって、通産省といたしましては、その七百四十円なる水準が原糸メーカーの合理化努力等その他石油、原材料としての溶解パルプ、この辺の値上がりの状況を極力価格に反映しない形で売り値に決定したのではないかというふうに判断をいたしております。
  221. 辻一彦

    ○辻一彦君 簡単にお答えいただければいいんですが、二五%の値上がりは、その抑制の働きかけをしたにかかわらず、かなり高いと思いますが、いかが考えますか、通産は。
  222. 堺司

    説明員(堺司君) レーヨン糸の一月における卸売り物価指数の上昇は二三・七%でございまして、この上昇率、確かにその時点では高かったと思いますけれども、御承知のように、一月、二月の全産業における卸売り物価上昇率は、ちょっといま正確な数字を記憶しておりませんが、私、三〇%程度ではないかと思っております。そういたしますと、この水準はまあまあ相当努力をした水準ではなかろうかというふうに考えております。
  223. 松永忠二

    松永忠二君 関連。  いまお話を聞いていますと、もう少し具体的なあれでありますけれども、いま普通糸といわれている百二十番の話でありましたけれども、私の調査したのは二百五十番から五十番のさらしのブライト、いわゆるビスが十二月に西田さんが六百十円で売っているわけです。一月に八百十円になっているわけです。これ、二百円上がっているわけです。いまお話がありました旭化成のほうは、十二月に六百円だったものを一月に七百四十円にしたというわけであります。だから、それが手元に入ると、やはりそこに約二百円程度の差ができることはもうはっきりしているわけなんです。いわゆる一ヵ月の間に一キログラムについて二百円の値上がりをしている事実を指摘をしているわけです。この二百円の値上がりというのは、一月から十二月までの値上がりの幅が大体二百円である。ところが、一気に十二月から一月にかけて二百円、一年分上がっちゃってるわけだ。それを通産省あたりが、これはほかよりも上がりが少ないだなんて、そんなとんでもないことを言ったら、これこそどこで一体どういう原価計算をして、それが値上がりが適当だというのですか。私はそういうことをいま指摘をしているのであって、しかも、二百円の値上がりのいわゆる根拠というのはどこにあるかといえば——二〇%カットにして、糸はもうなかなか手に入りませんよ、そう言って注文をカット、契約をカットしておいて、カットされたものが入ったら値上がりを二百円もしていたという事実をいま指摘をしているのに、この二百円——一年かかって二百円上がったものが一ヵ月のうちに二百円上がってそれが妥当だなどというような通産省の言い方を聞いて、私たちはそれを受け取るわけにはいきません。高くないというなら原価計算をちゃんと出して説明しなさい。これはこういうところで説明はできないけれども、ちょっとそのことについて答弁しなさい。
  224. 堺司

    説明員(堺司君) お答え申し上げます。  私が申し上げました二三・七%と申し上げますのは、日銀の物価指数によって申し上げたわけでございます。日銀の卸売り物価指数につきましては、これは実は日銀はどういう企業からとっているか、明白に各省に通知していただけないわけでございますが、当然旭化成等を含めた会社の水準を卸売り物価指数として反映させておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。特に、先生のお話しになりました二百円の上昇、この点につきましては、私ども個別企業、具体的に幾らで出しているかという数字を聴取いたしておらないものでございますから、いままでわからなかったわけでございますけれども、二百円の水準についてはこの卸売り物価指数の上昇から比べると高いのではないかというふうに感じられるわけでございます。
  225. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、極力抑制のために働きかけをしたと、こう答弁をし、そういう努力をしたと言いながら、二五%上がってそれはもう普通でしょうと、こういうことはどうしても納得ができない。で、レーヨン糸が二五%がどの程度の妥当性を持つか、政府でひとつ調べてもらいたい。   〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕  それからもう一つ、時間の点がありますのでちょっと急ぎますが、この十二月段階で、東紡といいますか、紡績メーカーの東紡一社を除いて、ほとんどの各社が合繊については一〇%から二〇%のカット、そして二割前後、大体百五十円から大きいのは二百円、百二十円から百五十円ぐらいはほとんど値上げをしておりますが、十二月で契約を破棄して、そしてカットをして、そして値上げをするということは、私は非常に便乗的な値上げの性格が濃いと思いますが、旭さんはこの十二月に値上げされましたか、いかがですか、アセテートあるいはその他の合繊について。
  226. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) 十二月に合繊は入っておりません、旭化成は。——失礼しました。カットはしていないです。カットはもちろんしていない。値上げはしてあるそうです。
  227. 辻一彦

    ○辻一彦君 私の調べたのでも、アセテートは六百円が十二月で二割カットで八百円になっておりますよ。だから、数量を切り、そして契約をはずして、そして値上げをしたという、これはもう十二月における各社、業界紙は全部書いておりますが、どのくらい値上げがあったのか、ちょっと数字だけでけっこうですから知らしてください。
  228. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) アセテートは十二月で平均百二十円から百四十円上がっております。
  229. 辻一彦

    ○辻一彦君 百四十円ということは三〇から四〇、三割から四割ということでしょう。そうですか。
  230. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) デニールで違いまして、一例を申し上げますと、七百円のものが八百五十円に上がっておりますから、七百円が百五十円上がったということですから、二、七、十四、二割何分ですね。二割三分ですか。
  231. 辻一彦

    ○辻一彦君 七百円が、八百五十円ですか、八百円ですか。
  232. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) 七百円が八百五十円でございます。
  233. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ二割でしょう。
  234. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) 二割です。
  235. 辻一彦

    ○辻一彦君 わかりました。  これは、まあ時間がないから私詳しくは申しあげませんが、たとえばあなたのところで、この合繊の生産量は十二月一万トン余りというふうに思いますが、この中で百五十円合繊をずうっと上げたとすると十億程度が、この十二月に約束をしたけれども値上げをしたという、たいへん荒っぽい計算ですよ——なりますね。それから合繊業界全体で、十二月における合繊は、短繊維五万六百二十トン、長繊維三万六千七百八十六トン、八万七千四百六トン、これが百五十円ずうっと十二月で約束をしながら契約破棄で上げたとすると百三十一億、百二十円アップと見ても百五億と、こういうふうになりますが、十二月におけるこのような、これはたいへん荒っぽい計算ですから数字は必ずしも正確ではないと思いますが、かりに単純計算での話です。しかし、十二月にこういう値上げは便乗的値上げの性格が非常に強いと思いますが、公取の見解を伺いたい。
  236. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) お答え申し上げます。  まだ実態をつかんでおりませんので違反になるかならないか、これは申し上げかねますけれども、もしそれが共同して値上げをしたということであれば、これは違反の疑いというのが生じてまいります。
  237. 辻一彦

    ○辻一彦君 共同ということは、これはまあ同じ時期に同じようには上がっていません。上がり幅や時期はいろいろありますよ。しかし、このむずかしい時期に、同じ時期に一せいに上げるというようなことは、もう普通では考えられないのであって、実際はやはり時期をはずすとか値上げの幅を変えるとかして上げられている疑いが私は十二月に合繊については濃いと思うので、公取で調査をされるかどうか。いかがですか。
  238. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 実情調査をいたします。
  239. 辻一彦

    ○辻一彦君 では、その実態は時間の点からひとつあとでよく伺うことにしましょう。これは調査をされて検討されるんですか。いかがですか。
  240. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 検討はいたします。
  241. 辻一彦

    ○辻一彦君 私最後にこの取引の問題について若干申し上げたいと思います。  それで、旭さんのつくられている糸のケースの箱に買い主のいわゆる糸商やあるいは機屋さんの名前が赤マジックで大きく書き入れてある、あるいは判が押されている。売った先の先々まで商品に一々買い主の名前を入れるというようなことはあまりないと思うんですが、これは一体メーカーがやっておられるのか、あるいは特約店がやっておられるのか、あるいはどこでやっておられるのか、まず事実関係だけちょっとお伺いいたしたい。
  242. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) これはあんまり事実だけ申し上げましたら誤解を受けますからちょっと触れさしていただきます。  実は古くから、三十八年ごろから一部ございまして、たとえばある会社がストップされる、生産をストップされますと値段が暴騰する、こういう例がちゃんとあるわけです。ですから、その際に私どもがラベルをつけて、一部あて先の機屋さんがわかっているところに送りませんと、その人方へ行く糸がほかへ回りまして行きませんから、そういう習慣が三十八年ごろからできまして、それから、たしか四十六年だと思いますが、そのときは、これはまあ新聞に載っておりますからよそさんの名前をあげてもいいと思いますが、帝人さん東洋紡さんがおやめになりまして、その直後にもやはり値段が上がっております。ですから、そういう事実から、やっぱりどうしても機屋さんに行く糸が確保されるためには、一部そういう名前を書き込みまして——どもで非常に手数がかかるんです、そのためには。しかし、そうしてやっておるという慣習がございまして、これは私どもメーカーがやっております。しかし現在はもうやめております。と申しますのは、必要がなくなりましたからです。
  243. 辻一彦

    ○辻一彦君 現在やめておられるということですが、これちょっと見ていただきたいのだけれども、(資料を示す)四十九年二月に生産された、こういうふうにして出ているのはこれは現在のじゃないのですか。
  244. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) やめたのは三月の五日です。
  245. 辻一彦

    ○辻一彦君 私が三月一日ごろですね、かなり各産地に入ってずっとこの問題を調べて、その時点で十日ごろにかなり四十七年度の名前の書いてある荷が動いているという倉庫の実態も聞いております。だからまあ三月五日におやめになったということでありますが、しかしそれはこの問題が、国会においてはなるほどきょうでありますが、われわれのいろいろな調査を通して具体化したそういう中でおやめになったと思います。そこで、私は、三月の五日までこれはあったのですからね、だから、そうとすれば、この個々のこの商品に一度売ったものに、その先まで名前をつけて、たとえば糸商が資金繰りで糸を売りたいという場合、あるいは機屋が従業員が休んで糸が余った場合に売りたいという、こういう問題がいろいろありますですね。そういうときに、その人が余った糸を売るということは、自分が買ったならば原則的にいって自由だということは商業ルールからいって当然じゃないかと思いますが、この点いかがですか。簡単でけっこうです。
  246. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) これは実は賛否両論といいますか、メリット、デメリットがございまして、先ほど申しましたように、私どもが単純に糸商だけに売りまして、そして行き先も指定しない場合には、投機に回って暴騰する。そうすると機屋さんは暴騰したものを買わなくちゃならぬという事実が過去において何回かあったわけですね。ですから私どもは行き先のわかっているものは第一次商の指定によってそこまで送り届ける。そのわからないものは第一次商指定の倉庫に入れるということで分けておりまして、それは私は機屋さんの保護のためにやったことであって、機屋さんにいかない分は御承知のとおり、いまの取引所を通じて販売されること、その可能性は残っている。こういうことで、ちょうど両方のメリット、デメリットをうまくバランスした方法じゃないかと思っております。
  247. 辻一彦

    ○辻一彦君 これはいろいろな面がありますから、あなたの言われることを全面的に私は否定しようとは思いません。しかしこういう事実がありますよ。昨年ですが、この名前の書かれたケースの糸を資金繰りの関係で市中に売った糸商や機屋さんがあった。これは一般的にいえば、大体系商が普通に市中売りの慣習というのがいままでからあったわけなんですね。ところが、これがパトロールに摘発された。言われておるのは、メーカーの委託によって懇意な人が、あるいは会社が市中に出た糸を買い取る、そしてこれが通報される。そういうことによって名前が書いてあるから、直ちにだれが売ったかわかる。そこでメーカーから呼び出しまたは通知で、あなたは売るほど糸があるのだから、これからは糸を出しません、あるいはカットいたします、こういう通知があって現実に糸どめを受けた人があるということも私は直接聞いておりますよ。あるいは削減を受けたという人の数も全体の中に幾つかある。そうしますと、糸商や機屋はメーカーから糸が来なければもうこれは死活問題なんですね。だから一度買った糸はもうどうすることもできない、目に見えないひもが最後までついている。こういうように言っていることを私は実態として把握をいたしておりますが、こういうことは一体公正な取引という点からいっていかがお考えか、公取の見解をお伺いいたしたい。
  248. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) お答え申し上げます。  原糸メーカーが原糸の販売に当たりまして、たとえば価格維持のための手段として、販売する商品のケースに密番とかあるいは機屋の名前等を記入して横流しをした場合にそれを売りどめをする、つまり出荷停止をするというようなことがあれば、そういう事実があればこれは一般指定の八、不公正取引方法に該当するおそれはございます。
  249. 辻一彦

    ○辻一彦君 もう一つ、私はさっき参考人が言われたように、動機はいろいろあったと思うんですよ。しかし、たとえばこういう機能によって市中に糸が出にくくなる。そうしますと、市中相場というものはやはり高目になっていく。その定期相場、取引相場は、そういう市中相場をある程度反映をしてきめられていく。なっていく。そこで、メーカーはそういう定期取引の相場を見て値段をきめるという今日の人絹糸の価格形成のシステムから見れば、私はこういうことによって市中における価格がつり上げられる、あるいは維持されるというような可能性があると思うんですが、これはこの公正な取引においていかがですか、公取の見解をもう一度。
  250. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 私が先ほど申し上げましたのは、いわゆる再販売価格的なものを一応指示しまして、希望小売り価格と、表現はそうあっても、それを守らない場合に出荷停止をするというようなことがあれば、これは不公正取引方法のおそれがあるんじゃないかということでございます。
  251. 辻一彦

    ○辻一彦君 宮崎さんにお伺いしますが、三月五日にもうおやめになったということですが、これはすでに私たちがいろいろこの一週間を調べに歩いたその時点でおやめになったということは、これはやはり公取の結論のいかんを問わず、あまりいいことではないと、こういうようにお考えになっておやめになったのかどうか、いかがですか。
  252. 宮崎輝

    参考人(宮崎輝君) これは全くそういうことはございません。と申しますのは、取引所がもうすでに機能を停止しておりまして、現実に福井の取引所は動いておりません。それと、糸が最近大体非常に量が昔と比べて減ってまいりまして、そして流通機構もはっきりしておりますから、もうその必要がないんで、あれをやりますには一人一人名前を書くわけです。人間もわれわれとしてよけい要るわけですね。ですから、非常に合理化をやるとき、従来はほんとうを言えばサービス業務でやっておったわけですから、そういう意味で、いいチャンスであるからやめようということでございまして、そういうことでは絶対ございません。  それからもう一つ、恐縮ですが、この機会ですから申し上げたいのは、先ほど公取の事務局長に質問ございましたが、私どもメーカーはあくまでも第一次の糸商に売っておるのでありまして、第一次の糸商以外の方は私どもは非コントロールですから、ですから、私どもが行く先の指定をするということは、一次商の依頼によって売っておるだけでありますから、そういうことは絶対やっておりませんから、どうかこの機会に御理解いただきたいと思います。
  253. 西田嘉兵衛

    参考人西田嘉兵衛君) ただいま宮崎さんがおっしゃったことの補足でございますけれども、第一次糸商は、いまの箱に名前をつける仕事にも参画いたしておりませんし、またそれがどういう流れ方をしたということを生産会社に通報するということも絶対にいたしておりません。そのことは、一次糸商が何か会社側と一緒に仕事をしているようにある新聞が書きましたけれども、そういう事実がないということを、ここでわれわれ糸商の名誉のためにも申し上げておきたいと思います。
  254. 辻一彦

    ○辻一彦君 どうも。(拍手
  255. 吉武恵市

    ○理事(吉武恵市君) 田代君。
  256. 田代富士男

    田代富士男君 きょうは、参考人の皆さま、ほんとうに御苦労さまでございます。若干の質問をいたしますが、的確にお答えを願いたいと思います。  最初に、飼料の関係を質問をしたいと思います。御承知のとおりに、畜産価格が大幅値上げいたしまして、先日政治加算をされまして、豚の値段とそれから加工原料乳の値段がきまりましたが、現在畜産農家の皆さん方が一番困っている問題は、飼料の問題でございます。ある人が言っておりましたが、諸悪の根源は飼料にあるんだ、こういうことを言っていた人がありますが、そこで最初にお尋ねしたいことは、この飼料は袋で販売されたり、いま直接輸送されたりしておりますが、まず袋で販売される場合には、飼料の公定規格——粗たん白質、粗脂肪、粗繊維、粗灰分、この四つが明らかにされておるわけなんですが、公明党で、参考人皆さん方の関係会社の品物を検査をいたしました。関係会社の品物は全部ここにございます、全部。時間がありませんから、代表的なものを申し上げます。  まず最初に丸紅でございますが、丸紅飼料でございますが、丸紅じるしの肉豚用、前期若豚用の品物でございます。これが、表示されているのが粗たん白質が一五・〇%でございます。しかし、公明党の調べました調査によりますと、一四・三%。規格以下になっております。それから粗脂肪が一五%、これが三・三%。それから粗繊維が七・五%、これが三・五。粗灰分が一〇・〇が四・八。それから丸紅じるしの幼豚の子豚育成用の飼料でございますが、これには製造年月日が入っておりません。  次に、全農関係でございますが、くみあい配合飼料の子豚育成用の品物でございます。これは、表示には粗たん白質が一七%、しかし実際には一六・五%。粗脂肪が二・〇%が四・〇。粗繊維が六・五%が二・九。それから粗灰分が九・〇が六・四%。この中で粗たん白質は規定より以下になっております。  それから日配でございますが、日配は、日配の一つの品物は一三・五が一五・三。二・〇が三・五。八・〇が六・〇。九・〇が六・五。これは春豚飼育用子豚飼育という品物でございます。  それから日本農産工でございますが、「プロミナーB」、種豚用の品物ですが、粗たん白質一四・〇が一四・六。粗脂肪二・〇が三・六。粗繊維が九・〇が五・〇。九・〇が五・六と、このようになっておりますが、規定されたものよりも数字が違っておる。特に丸紅と全農のこれは規定以下になっておりますけれども、まず、これに対してどういうお考えであるか、お尋ねをしたいと思います。時間がありませんから簡単にお願いいたします。
  257. 白浜孝一

    参考人(白浜孝一君) お答え申し上げます。  先生が御指摘ございましたような品質の品物がありましたことはまことに申しわけないと思っております。  丸紅飼料といたしましては、政府の定めました飼料の品質改善法に基づきまして厳正に品質をチェックいたしまして、そういうような品物が絶対に出ないように指示しておるのでございます。  御指摘の豚のえさにつきましては、おそらく千葉工場が第二系列を新たにつくりました試運転中に起こったんじゃないかと聞いております。そのものにつきましては直ちに回収いたしまして、今後そういうことのないように十分注意してやっております。
  258. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) お答えを申し上げます。  ただいま御指摘のような品物が見つかりましたことはまことに遺憾に存じます。おわびを申し上げます。しかし、わが社関係は五十六の工場がございまして、それぞれ工場には分析機器その他を備えつけて十分の配慮をいたしておるつもりでございます。また、飼料中央研究所もつくりまして、十二分の監視をいたしておりますけれども、御指摘のようなものがございますものは、直ちに現場に私ども参りまして、取りかえるなり、または製造工場に指導申し上げ、反省をするようにやりたいと、かように思っております。
  259. 田代富士男

    田代富士男君 時間がありませんから、けっこうです。  あとの参考人の方はこれからお聞きしますが、いまお二人の参考人のお方から申しわけないという、そういうお答えがございましたが、ただ、ここで私がそういう実態を示したから申しわけないという、そういうものでは済まされないと思うんです。ということは、四十八年の九月に、農林省の畜産局長から、配・混合飼料の原料等の表示につきまして、いままでと違いまして、もう諸外国においては実施されておりますけれども、明確にそういう配合飼料の原料及び飼料添加物の内容を表示しなさいという通達が行っております。御承知だと思います。これです。(資料を示す)全部御存じだと思います。これが九月に出されたにもかかわらず、一向に改善されてない。それで、ことしの二月に、再び畜産局長から通達を出されておりますが、これでもなお通達どおりされてない。その実態はここにあります。(資料を示す)これが全農の、真崎参考人のほうの全農のあれですが、何ら、原料あるいは添加物、そういうものを明示しなさいと昨年の九月に言われているにもかかわらず、明示されてない。まして——これも同じです。これは日本農産工の飼料です。これも同じです。まして日本農産工に至りましては、製造年月日が書いてありません。日本農産工の参考人の方ちょっと見てください。(資料を示す)製造年月日を出さずに、これは畜産局長からの指示どおりのことも書いてない、製造年月日も書いてない。こういうようなことをどう思うか。特に飼料関係のシェア四〇%を扱っていらっしゃる全農、それから日本農産工のお二人の参考人から、いかがですか。九月と二月に通達が出ているにもかかわらず、依然として改められない。現実のものを提示したら遺憾であったと、これでは済まされないと思うんです。どうです。簡単にお願いします。
  260. 松井剛

    参考人(松井剛君) お答えいたします。  袋につきましては、非常に不如意の状態でございましたので、品種別にできるものから入れてまいりました。その関係で、一部にそういう粗漏があったことは認めます。しかし、現実の問題として、それ以上の故意にやった問題は一つもございません。
  261. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) ただいまの問題は、御指摘のあったことは私も認めます。  ちょうど一月から実施の予定になっておったわけでございますが、ちょうどその当時に非常に紙袋不足を来たしました。新しい紙袋に取りかえることができなかった。で、古い印刷をそのまま使っておったと、こういう事実でございます。この問題も現時点においては完全に実施いたしております。
  262. 田代富士男

    田代富士男君 現時点においては実施していると言いますが、これは、じゃ、全農の真崎参考人、現時点においては実施しているとおっしゃるならば、これは、あなたの会社の三月度の商品ですよ。(資料を示す)これを見てください。あなたは、ただいま現時点においては実施していると言う。これは三月の商品ですよ。見てください。実施してないじゃないですか。これは三月の商品です。どうなんですか。三月ですよ、これは。現時点には——そういう通達を受けたと。しかし、これは三月のですよ。あなたのほうの商品です。豚の絵もかいてありますよ。どうなんですか、それは。どうなんです、それ。はっきりしてください。
  263. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) それはまことに申しわけございません。
  264. 田代富士男

    田代富士男君 まことに申しわけない、では……。私にまことに申しわけございませんと言ってもらいたくないんです。畜産農家の皆さん方に申しわけないと言うべきじゃないでしょうか。
  265. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) はい、そうです。
  266. 田代富士男

    田代富士男君 それと、農林省の指導を守ってないという点はどうなんですか。
  267. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) われわれとして、守っていないこの事実はまことに申しわけないと思っております。
  268. 田代富士男

    田代富士男君 けっこうです。  いま、まことに申しわけないということですが、何も私は参考人の皆さんを追及しようと思いません。この内容表示の問題、このもの自身に問題があると思うんです。飼料品質改善に関する法律は昭和二十八年に制定された法律です。いまから二十年前のやり方を一われわれの食生活からいいましても変わっております。それを依然としてやっている。こういうところの根本的な問題を改めない限り、いまのような問題は解決できないと思います。だから、これは農林省当局に今後かけ合うべき問題じゃないかと思います。だから、時間もありませんから次に移ります。  次に、価格の問題に移りたいと思いますが、私も、今回質問をしようと思いましていろいろ調査をしました。飼料関係は、私も驚いたことに価格表というものがほとんどないんです。特約店にもどういう店にでも、価格表というものがない。どういうわけで価格表というものを表示できないのか、これを日配の参考人の方に尋ねたいと思います。どうでしょうか。
  269. 浜中登

    参考人(浜中登君) お答え申し上げます。  ただいま先生から、価格表がどこにも見当らないというお話でございますが、実は、私それを伺って驚いておるわけでございます。私どもは、価格は全国同一値段で、一定条件ではっきりしたものを各お店に出しておりますので、私どもとしては、それだけの目が届かなかった、ということを申し上げますと不敏の至りでございますけれども、全然出しておらないということはまずないんじゃないかと私は思っておりますが、私の間違いでございましたらばおわび申し上げます。
  270. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、次に進みます。この問題につきましては、後ほどまたお尋ねをいたします。時間がありませんから……。  ことしに入りまして、飼料が一万一千六百円値上げしております。この内容はもうすでに皆さん方御承知のとおりだと思いますが、全農が一万一千六百円値上がりしておりまして、商社関係は約一万三千円ほどの値上げになっている。しかし、この内容を見てみますと、一万一千六百円の値上げの内容のうち、外国為替変動による値上げ分というのが四千三十六円含まれております。トウモロコシ等の原料値上げ分が五千二百十九円、包装資材費千百四十五円、原料運賃費、加工料あるいは金利等で千二百円、これで一万一千六百円ですが、問題は、この外国為替変動による値上げ分四千三十六円でございますが、この価格を出すに至りました基準となります一ドル三百八円という計算でこれが出されております。ところが、昨日の円相場を調べてみましたら、一ドル二百七十八円三十銭になっております。そうしますと、三百八円で計算をされておりますけれども、これを計算をいたしますとどうなるか。で、二百七十八円三十銭で毎月平均で百五十万トン品物が動いております。二月、三月はちょっと低い、百二十万トン前後ですが、だから、一ドルを二百七十八円三十銭で計算をいたしますと、三百八円との差益が出てきます。その差益がどのくらい出てくるか。百二十万トンであった場合には、私の試算では三十五億六千四百万円、農林省からの試算を聞きましたら三十四億、ほぼ同じ金額。百五十万トンであったならば、私の試算では四十四億五千五百万円、農林省からの資料では約四十二億円。これだけの為替差益。これだけの余分のお金がもうかるということなんです。しかし、これはいま支払いするわけではありませんから、五月か六月の先に支払うといった場合に、昨日現在の先物は、六月度は二百九十七円、これで支払ったとしましても、百二十万トンの場合は約十三億、農林省では十二億と言っております。百五十万トンの場合は、私の試算では十六億五千万円、農林省は約十六億と言っている。このようなばく大なお金というものがただでもうかるわけなんです。ところが、現時点におきまして、畜産農家というものは、自殺者も出てきた、離職者も出てきたと、こういう事態でありますし、このような一万一千六百円の値上げ幅でありますけれども、これだけの差益があるならば、今後、皆さん方がそういう畜産農家の皆さん方に対して誠意を持つならば、飼料の値下げをしても当然じゃないかと思うんですが、この点はどうでしょうか。特に業界の四〇%のシェアを持っていらっしゃいます真崎参考人にお尋ねしたいと思いますが、どうでしょう。
  271. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) お答え申し上げます。  お説のとおり、二−三月の為替相場は差益がございました。したがいまして、全農といたしましては、四半期ごとにえさの値を決定をいたしております。したがいまして、四月はえさの高騰もありますけれども一応据え置きにいたしました。で、五−六月の調子を見て、もし高騰があればそれに充当する、還元する、もし差益が出ますれば、これは系統を通じて常に還元をいたしております。さような取り計らいをいたしたい、かように思っております。
  272. 田代富士男

    田代富士男君 値下げは考えていないんですか。
  273. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) いや、値下げをいたします。
  274. 田代富士男

    田代富士男君 値下げしますね。
  275. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) はい。
  276. 田代富士男

    田代富士男君 全農は値下げをするとおっしゃいましたが、商社代表の日本農産の方、いかがでございましょうか。全農は値下げをするとおっしゃいました。
  277. 松井剛

    参考人(松井剛君) お答えいたします。
  278. 田代富士男

    田代富士男君 簡単でけっこうですよ、要点だけ。
  279. 松井剛

    参考人(松井剛君) 当社は五月決算でございますが、その利益を想定いたしますと一千三百億円の収入に対しまして純益〇・八%、したがいまして、その時点におきましてスポット買いが非常に有利になりました場合には、もちろんそれにつきましては、そのあれを戻すか戻さないか、その時点でよく原料との見合いで考えます。しかし、現在のところ、純益がおそらく〇・八%しかございませんですから、なかなか可能性はないんじゃないかと思っております。
  280. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、全農は値下げするとおっしゃるけれども、商社関係は値下げしないんですか。
  281. 松井剛

    参考人(松井剛君) そういう意味じゃございません。
  282. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、一応検討はされますか。
  283. 松井剛

    参考人(松井剛君) もちろん検討いたします。
  284. 田代富士男

    田代富士男君 値下げをされますか、将来において。
  285. 松井剛

    参考人(松井剛君) 検討をいたします。
  286. 田代富士男

    田代富士男君 そういうわけで、今後検討されますけれども日本農産工業株式会社の場合は——全農の場合はすなおにそういうことを前向きにこたえるとおっしゃった。あなたの場合は何か引っかかる、私は。だから、そういうわけじゃないけれども、あなたの場合は、今回の場合に出荷操作をやられた傾向があります。ということは、昨年の十二月、本社から支店に対して、支店からバルクセンター、そこを経由しまして、どこどこの特約店には一〇〇%、どこどこの特約店には五〇%、どこどこの特約店には三〇%という出荷操作をやった。来年の一月からの飼料の出荷見通しは立たないんだと、仮需要をあおるようなことをやられた。これは支店、バルクセンター、特約店、畜産農家、全部歩きましてその証言は取っております。このようにして、そういう出荷見通しがありませんよとあおった上の値上がり環境をつくられた。この点はどうでございますか。
  287. 松井剛

    参考人(松井剛君) 皆さんのよく御存じないことが一つございます。家畜類というものは自由がない。したがいまして、お米がないから隣のラーメン屋へ行ってラーメンを食べるというわけにはまいりません。したがいまして、われわれメーカーといたしましては、必ず傘下の全消費者にまんべんなく渡すことを念願いたします。したがいまして、われわれのほうとしましては、それだけの数量を最初より全部割り当てまして、その割り当ても、昨年の十二月におきましては大体の、平均の十三万六千トンでございましたか、それの約一二五%を割り当てております。したがいまして、現実の問題といたしましては、むしろノーマルの状態のときよりも二五%よけいに割り当てているわけでございます。
  288. 田代富士男

    田代富士男君 あなたはそうおっしゃるけれども、私は実際調査をしまして、ここにその証拠がありますが、私のうちには一〇〇%の割り当てがきましたけれども、よそのうちには五〇%、三〇%——名前は隠しております。これを謙虚に認めたらどうですか。
  289. 松井剛

    参考人(松井剛君) 謙虚には認めますが……。
  290. 田代富士男

    田代富士男君 認めればいいじゃないですか。——だから、時間がありませんからね、謙虚に認めさえすればいいんです。
  291. 松井剛

    参考人(松井剛君) それじゃ謙虚に認めます。(笑声)
  292. 田代富士男

    田代富士男君 謙虚に認めさえすればいいんです。だから、いまさっきから何となく引っかかるけれども、そこのところが……。私は追及しようと思いません。畜産農家の皆さんの代弁者としてやっているんですから、その点理解してください。  だから、こういう出荷操作をやられたということは、あなたの会社だけじゃないです。これはまた真崎参考人に申しわけないけれども、全農ではこういうことをおやりになりましたか。どうでしょうか。
  293. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) 全農も、さような意味の調整じゃございませんけれども、私のほうは、かようなときには非常に仮需要が、予約が参ります。それをそのままにいたしておきますと、かねて正直に利用したものと、こういう場合に利用するものの差が出てきます。したがいまして、実績をとらえて配給を公平にするために出荷調整はいたすものでございます。
  294. 田代富士男

    田代富士男君 いま真崎参考人は率直に申されましたから申し上げますが、ここに、二月一日出荷分より改定の時期を実施すると書きまして、一月に引き続いて出荷規制を行ない、割り当て数量の範囲内の出荷実績に対して、二十八分の四日分は一月価格を適用し、別途処遇する、これは全農関係の公文書です。だから、今後とも、このためにずいぶん畜産農家の人たちが苦しんでおりますから、こういう点は慎重に改善していただきたいと思うんです。
  295. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) はい、承知しました。
  296. 田代富士男

    田代富士男君 その点をよろしくお願いいたします。  時間がありませんから次に移りますが……。
  297. 吉武恵市

    ○理事(吉武恵市君) 田代参考人——いや、田代君。
  298. 田代富士男

    田代富士男君 参考人と違いますよ、委員長。しっかりしてください。(笑声)  じゃ、次に、委員長がそういうことをおっしゃるから問題を変えます。銀行の問題に移ります。  御承知のとおりに、ことしの一月の二十一日、公取委員会が六大商社に対しまして、圧倒的な流通シェアで日本経済を寡占支配しているという、資金力も合わせまして、そういうわけで商社に関する調査を発表いたしました。行き過ぎであるという警告を発しました。このような力を商社がつけたのは何か、これは都市銀行と商社の相互依存、相互協力の関係をあげておりますけれども、六大商社がそういう警告を受けた、金融サイドに立った都市銀行として、どのように今後方針を変えられるのか、簡単にお願いいたします。
  299. 横田郁

    参考人横田郁君) お答えいたします。  そのような御指摘が公取からあったわけでございますけれども、私どもといたしましては、商社が非常に、ことに十大商社でございますが、多角的、多面的な活動をいたしておるわけでございまして、商社があながち日本の経済界を寡占支配しようとする意図を持っているとは私は考えてはおりませんけれども、しかし、そういう御指摘を受けたということは事実だろうと思います。そこで、私どもといたしましては、商社に対する融資態度は、常に商社の国内商取引あるいは国外との貿易取引等をあわせまして商社金融を行ない、あるいはまた資源開発の手伝いをしているということでございまして、これは一般産業並びに中小企業あるいは個人に対する資金援助と同じ意味合いにおいて資金援助をしているわけでございますが、しかし、何といっても商社に対する貸し付け額が過大であるという御指摘はごもっともだと思いますんで、私どもとしては、商社に対する融資方針は極力抑制の方針で臨んでおりまして、昭和四十六年に比べまして、四十八年の十二月には、全体の貸し付け額の中の商社に対する融資シェアが一一%台であったものが八%台まで低下をいたしております。こういう努力をいたしておりますと同時に、今後の方針といたしましては、すでにこれは銀行自体の方針のみならず中央銀行方針もございまして、四半期ごとに商社に対する貸し出し額は一定の額にきめられて、それを配給しているというようなのが現実でございます。そうして商社の資金需要に対しましてわれわれが対応している対応率というものは大体一〇%から三〇%の間で、あとの七、八〇%というものは、私どもとしては対応できない金融引き締め政策でございます。
  300. 田代富士男

    田代富士男君 努力されている点は認めますけれども、そういう商社の金融サイドという姿勢から改めて、庶民の味方に立ってもらいたい。  その点を具体的に申し上げますと、都市銀行十三行におきます四十八年九月期の貸し出し金利回りと預金利回りとの差、いわゆる利ざやでございますが、これは四十八年三月期と比較いたしますと、東京銀行以外はすべてよい結果が出ております。時間がありませんから、こまかい数字は申し上げません、ここに資料を持っておりますけれども。それでおそらく三月期もさらによくなるのじゃないか、こういう見込みを立てております。こういうわけでもうかっている、銀行は。  その次に、銀行は税法上の恩典を受けました貸し倒れ引き当て金あるいは価格変動準備金、いわゆる準備金、引き当て金でございますが、留保される額、これが四十八年九月期の十三行の残高が約一兆円、そのうちの六六%が、六千八百七十二億円が貸し倒れ引き当て金でございますが、これは貸し倒れ引き当て金といいましても、銀行が金を貸す場合は必ず担保を取っているわけです、損をするわけはないけれども、なおかつこれだけのものが取られておりますし、税法上では千分の十五から十二、最近は十というふうに、そのように規定されまして、これが課税の対象からはずされております。もうかっている上にこういう恩典を受けている。そうすると、全国の銀行の貸し倒れ引き当て金等を集めますとばく大な資金になる、これが課税の対象からはずされて恩典を受けている。それに比べまして今度は、銀行に貯金をしている庶民の立場です。庶民の立場から申し上げますと、目減りによる損失、いわゆるキャピタルロスでございますが、四十八年度上期だけで四兆三千六百億円、これが四十三年上期から四十八年上期までの五年間合計いたしますと十四兆四千億円、驚くなかれ。庶民は想像もつかない金です。私は計算をしてみますと、三億円の犯人がまだつかまっておりませんが、三億円犯人が毎日起きたとして何日になるか、四万八千日になる、年にして百三十一年になる。これから聞けば、どのくらいの国民は目減りをしたか、インフレによってもうけたのは銀行であるし、大企業である、損をしたものは預金者である国民である。いま三億円犯人にたとえて言ったんですけれども、こういうことを考えるならば、せめて社会的責任を感ずるならばこういうような引き当て金だとか、そういうものが、もうかっているならば、目減りのそういう国民に対しまして何らかの形で報いていく姿勢がありますか、どうですか。
  301. 横田郁

    参考人横田郁君) 御指摘の点は、銀行のもうけ過ぎの問題にまず触れたいと思いますが、銀行のもうけ過ぎという点は、絶対額において総資金運用量が非常に大きいものでございますから、どうしても利益の絶対額が大きくなるということは、これは否定できない事実でございます。ただ、銀行の収益関係から申し上げますと、総資金運用量に対する利益率というものは〇・四%台でございまして、製造工業は四%から五%の間を維持しておるわけでございまして、物品販売業においてすら一・九八%くらいの利益率を維持しておるので、銀行業の利益率というものは、むしろ産業、企業界、経済界で最低といっていいわけでございまするが、これは別にこれについて不満を申し述べているわけでは決してないので、銀行の公共的使命からいって、当然利益率が低くてしかるべきだというふうに私は考えておる次第でございます。  それからもう一つ、貸し倒れ引き当て金の問題でございますが、貸し倒れ引き当て金の問題は、御承知のように経験率から見ますと非常に高いわけでございます。これは非常な恩典でございます。おっしゃるとおり恩典でございます。ただこのことは、銀行というものが一国の信用秩序の中枢をになっているということを考えての税制上の恩典、また経理統一基準においても、税制で許された範囲にさらに三%上積みをして貸し倒れ引き当て金を積むようにという当局の御指示もございますわけで、これは一般大衆の方々からきわめて貴重な財産をお預かりして運用している関係上、やはり金融機関の体質というものを強化する必要があるという行政的な目的に基づいた結果だろうと思うのでございまして、私どもとしては決して、これを利用して、その上にあぐらをかいているというわけではない次第でございます。  外国の例を申し上げますと、アメリカでは現在の段階で千分の十八、西独は千分の十七というふうに、日本銀行よりはるかに優遇をされているわけで、このことは、やはり日本銀行というものの経済界における評価をどう考えるかということによってきまってくるのではなかろうかと私は考えている次第でございます。  それから社会還元の問題、これはもとより私どもとしては十分考えて、たとえば今朝来いろいろ御質問がございましたが、住宅金融ローンについての金利については、公定歩合九%、プライムレート九・二五%の現在にあって、さらに八%台に据え置いている。このことは銀行経営にとっては異常なことでございますけれども、いまの社会情勢、それからいろいろな御批判を勘案いたしましてこういう措置を講じている。  また、中小企業の救済問題につきましては、全銀協において、都市銀行だけで二千億の資金をイヤマークして、これもプライムレート以下、あるいは定期預金金利以下のレートで救済に当たろうという施策を講じているわけで、いろいろ不備の点、足りない点がおありだろうと思いますけれども、今後どしどし御指摘をいただきまして、正すべきものは正したいと思っておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
  302. 田代富士男

    田代富士男君 時間があればもっとゆっくりお聞きしたいんですが、いま社会還元の一つとして住宅ローンの問題を申されました。昨年の末に住宅ローンの利子が値上がりするかわからないというときに当たりまして、横田会長は、第一勧銀の頭取でありますが、一番最初に金利据え置きという態度を示されました。そういう点では私も尊敬をしております。それで、いまもまた金利等は据え置いていくべきであるという指示を出したと、こう申されました、答弁の中に。ところが、会長として一月八日にそういうことを申されましたけども、実際は据え置きされてないんです。これどうしますか、どうですか、一言でいい。据え置きされてなかったらどうしますか、一言でいいです。
  303. 横田郁

    参考人横田郁君) この住宅ローン金利は、金融制度調査会で結論が出ましたのは、結局、長期プライムレートなり長期定期預金金利なりが上げられた場合には上げてもいいという結論が出ているわけでございます。そうしてこれは各金融機関の経営判断によってきめるべき性質のものであって、整合性がなくてもいいんだという結論が金融制度調査会で出ております。したがいまして、私のほうの銀行は私どものほうの経営判断によって住宅ローン金利を据え置いたわけでございますが、しかし、ほかの銀行も、私のほうが据え置いたために、大部分の都市銀行がこれに追随し、地方銀行の一部もこれに追随していることと私は思いますが、一部には自分の経営判断によって、もっと金利を上げたところもあろうかと思います。この点については、全銀協の内部において統一して行動を起こしたわけではないのでございまして、どうも全銀協会長としての立場からいろいろ御答弁をすることはいたしかねるわけでございます。個々の金融機関の経営判断の問題でございます。
  304. 田代富士男

    田代富士男君 一月八日の全銀協理事会後の記者会見では、この全銀協傘下の銀行につきましては一応据え置くというような、そういう内容になっておりましたんですが、いまのお話のものでは内容が幾ぶん違いますけれども、しかし、ほとんどの全銀協の都市銀行等は参加しておりますが、ここに琉球銀行ローン金利の状況があります。これを見てください。これではいま申された趣旨と違いまして、公定歩合が上がれば上がっただけこれは全部上げているのです。だから第五次引き上げが四十八年十二月二十二日にありましたら既契約分が引き上げられております。信託預金配当率の引き上げとかいうような通達のもとに——その通達書もここにありますけれども、利息を上げられております。こういうようなことをやっておいてよいものかどうかですね。だから記者会見のときの内容といささか違いがありますけれども、どうなんですか。一面では、国民皆さん方金利は上げられてないんだと安心しているけれども、既契約分まで上げられているのです。これは、そこにありますのは信託貸し付けローンですけれども実質的な住宅ローンと変わりがありませんけれども、関係書を書いてあります。時間があれば一つ一つ追っていきたかったんですけれども、その点はいかがでございますか。簡単に……。
  305. 横田郁

    参考人横田郁君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、これは個々の金融機関の経営判断に基づいてやってよろしいという金融制度調査会の結論が出ておりますので、全銀協として統一的にこれを指導するということはなかなかむずかしい。ただ、私のほうは私のほうの独自の判断で据え置いたわけで、これが一つのプライスリーダーとなって全金融機関に及ぶことを私は期待してそういうことをしたわけでございますけれども、この期待につながらない銀行があったということは、その銀行の経営判断によるわけでございますが、私としては、あまり望ましいことではないというふうに考えております。
  306. 田代富士男

    田代富士男君 横田参考人は頭取であると同時に会長ですから、いまさきあなたが、私は銀行の実例と庶民の側と両方あったときに、社会に還元していく姿勢を住宅ローン等において示していきますと申されたそれでも、もう今度住宅ローンの説明になったら、がらりと態度が変わると、それでは姿勢は疑われますよ。まして庶民皆さん方は、銀行住宅ローシは金利は据え置きということ、こういう見方を全部持っております、記者会見以来。ところが、いまも少し話が出ておりますとおりに、各銀行が出資してつくりました日本住宅金融あるいは住宅ローンサービス、住宅総合センター、相銀住宅ローンセンター、いわゆる住宅専門の四社でございますが、このローン金利、日にちは若干の違いがありますけれども、一月四日から二月一日にかけまして、十年以下のものは九・四八から一一・〇四、十年超は九・八四から一一・四〇%、それぞれ引き上げられているわけです。これは銀行の窓口へ、第一勧銀へ行きますと据え置きと、ところが第一勧銀が出資していらっしゃる会社があります。——時間がありませんから省略しますが、頭取は御存じだと思います。そこへ行きますと、金利が上がった金利貸し付けをされると、こうなるわけです。そうすると、ほとんどの都市銀行金利据え置きとなっている。都市銀行では金利は据え置きというかっこういいことを言っているけれども、ところが、都市銀行が出資しているこの住宅ローンの会社というものは金利が上がっている。こういうことは頭隠してしり隠さずということがあるわけなんです。銀行ローンはかっこうのいいこと、据え置きましたよと言いながら、自分のほうは貸し出しているところにそこで値上げをやっている。この点はどうお考えですか。事実、この住宅に対して貸し出していらっしゃる金利計算もここに私やっております、どのように変わっているかと。時間がないから省略しますけれども、頭隠してしり隠さずというこのことに対してどうお考えですか。私は、そうだと言いたい。あなたが社会的責任という、還元するのは住宅ローンに力を入れたいとおっしゃったから、その点が矛盾するので、その辺を明確に姿勢を示してください。
  307. 横田郁

    参考人横田郁君) お答えいたします。  全銀協の一月の記者会見のときに、私は、全銀協の決定事項ではないということは新聞社の諸君には申し上げてあるわけでございますけれども、やはり全銀協の決定かのごとくにどうしても読む方には受け取られたと思います。ただ、私はプライスリーダーになりまして、私どもに追随してくれることを期待しておったわけでございます。  それから、いま住宅ローン会社と金融機関、都市銀行との金利の差について御質問があったわけでございますが、これはまことに御指摘のとおりでございます。私どももその点は非常に反省しているわけでございますが、ただ、あえていろいろ弁解をさしていただきますれば、私どものほうの銀行のほうの融資といたしましては、企業金融個人金融というものを区別したわけでございます。で、個人金融に対して特に優遇のレートを与えるということを考えて処理したわけでございますが、一方、住宅ローン会社というものは、住宅ローンを扱ってはおりますけれども、これは一つの企業体でございますので、ほかの企業とのバランスの問題もこれあり、また、その企業体が、住宅ローン会社が資金調達をする場合に、母体銀行数行あるわけでございますけれども、母体銀行資金依存しているのは四〇%程度で、あと六〇%程度は他の金融機関からの資金借り入れに依存しているわけでございます。それがローン会社が一つの資金調達手段の多様化という意味で設立された理由でございますが、他の金融機関からの借り入れレートというものは、当然、その時点における金利情勢、金利体系というものを反映して上がらざるを得ないわけでございます。したがいまして、母体銀行金利も他の金融機関と同調していくという姿勢が金融の常識としてはあるわけでございますが、確かに御指摘の点は、私も深く反省はいたしております。それと同時に、ローンサービスの会社につきましては、いろいろ資金調達について問題があろうかと思いますので、できれば住宅債券とか、そういうようなものの発行をお認めいただいて、資金調達の多様化をはかっていただくことが肝要じゃなかろうかというふうに私は考えているわけでございます。どうかよろしくお願いしたいと思います。
  308. 田代富士男

    田代富士男君 次に、参考人のお方をお呼びしておりますが、時間がもう来たようでございまして、もう少ししかありませんが、輸入牛肉のことでお尋ねしたいと思いますが、輸入牛肉の取り扱いは、畜産振興事業団日本食肉協議会、この二つのところで取り扱われている。特に振興事業団は九〇%、日食協は一〇%、ここで取り扱いに対しまして調整金がとられている。事業団のほうでは、四十八年度は三十六億円の調整金が入っております。日食協会は四億二千万円の調整金が入っております。この調整金は畜産農家の保護育成とか、そういう方面に使われるということが本来の目的でありますけれども、いささか最近はこの調整金の使われている内容が、法人だとか、そういう団体の育成のために調整金が使われたり、あるいは消費者動向調査あるいは海外資料収集費とか、そういう名目のもとに、食肉関係は売れてしかたがない、こういう食肉関係の消費者動向とか、そういう必要もないにもかかわらず、そういうものにも二千万円金を出したり、あるいは海外資料収集費とか、そういうわけで、関係団体が海外視察に出かけるときには相手の国の参考資料を集めてもらいたいというわけで、そういう名目のものにこの調査費が出されている。これはことばをかえて言うならば、調査委託費という名目のせんべつじゃないかと疑われるような面があるわけなんですが、調整金の使い方については改善すべき余地があるのじゃないかという点が第一でございます。これは事業団と日食協から尋ねたい。  それから、まとめてお尋ねいたしますが、第二の問題は、今度は事業団の下にそれぞれの協会、あるいはそれぞれの組合があります。そこへ輸入牛肉が割り当てられていくわけなんですが、その協会、組合というものは、それぞれに組合費あるいは協会費なるものを徴収しております。それに、なおかつ、そこで今度はそれから下部の人人、下部の団体へ牛肉を割り当てる場合に手数料をとっております。この手数料が、四十八年度分を試算してみますと、十三億円というような手数料になります。農林省は安い牛肉だといいながら、そういう十三億円の手数料をとらなくても、その下部機構は会費あるいは、そういうものは運営できるわけなんです。十三億円の手数料等はとる必要はないじゃないか。そういうわけで、庶民の手元には直接輸入牛肉は半分以下でございます、手渡っているのは。あとの半分は大企業に渡る、ハム、ソーセージの会社に。そのハム、ソーセージの会社におきましては、安い牛肉を売ったならば安いハム、ソーセージを出せばよいけれども、高いハム、ソーセージをもって消費者に渡している。こういうような割り当て等についても検討する余地があるのじゃないか。手数料の問題、それからそういう割り当ての問題と、庶民の立場から、そういう点、下部組織に対してどういうお考えであるのか、この点まとめてお二人の方から御答弁願いたいと思います。
  309. 岡田覚夫

    参考人(岡田覚夫君) ただいま御質問のまず第一点の調整金の問題でございますが、輸入牛肉は、一般的に申しまして、関税をかけましてもなお国内牛肉より安いということに相なっておるわけでございまして、当然差額が出るわけでございますが、その差額は、流通業界非常に複雑でございますので、吸収されてしまって消費者に還元されないというおそれもございますので、これは事業団で吸収いたしまして、これを生産振興に使うということにいたしておるわけでございますが、事業団といたしましては、法律の規定で、輸入牛肉で利益が出ました場合に二割を積み立てまして八割は助成勘定に入れまして、生産振興、流通の改善等に使うということにいたしておるわけでございます。昭和四十七年度の決算で、利益が出ましたものは約十五億でございます。四十八年度でこれを使うことにいたしておりまして、現在、これは肉牛資源の確保のために、肉牛が子供を産みました場合にはその子供に対しまして約一万円を補助するということになっておるわけでございますが、このほか、価格安定のために全国肉用牛協会で価格安定基金におきまして子牛の価格安定をいたしておりますが、資金が不足する場合には融資の必要がございますので、全国の肉用牛協会にそのような融資の資金の造成をいたしております。それに対しまして四十七年度に二億八千万円、四十八年度に三億二千万円ということで助成をいたしまして、それで全部収益は生産関係に助成をいたしておるわけでございます。  それから手数料の問題でございますが、もちろんこれは事業団が売り渡します場合には、全国団体に売らないと、なかなか全部の需要者に売るということは非常に技術的にむずかしい面がございますので、全国団体に売り渡しをいたしておるわけでございますが、これがその業態によって違いますけれども、末端の全国の津々浦々まで売られてまいるということになりますので、その間に人件費でございますとか、あるいは輸送費、冷蔵庫の保管費等がかかりますので、手数料をある程度とることはやむを得ないのではないかというふうに思っておるわけでございまして、もちろん団体はそれぞれ会費をとっておりますけれども、特別に行なわれておる事業でございますので、そういうための必要な経費というものはやはり手数料でとるということになろうかと思うのでございまして、問題は、たくさんとっているかどうかという問題だと思うのでございます。現在は、団体によってそれぞれ性格的に違いますので、とっておる率も違いますけれども、おおむね〇・五%から一・五%ぐらいが普通だと思うので、率としてはそれほど大きな問題ではないと思いますけれども、量がふえてまいっておりますので、実質的に手数料金額がふえてまいるということになろうかと思うのでございます。そういう点につきましては、適正な手数料をとって消費者に還元するということを当然やるべきだと私は思いますので、農林省の御協力も得まして、各団体にその点については十分話し合いをいたしまして、協力をお願いしたいというふうに考えております。
  310. 吉武恵市

    ○理事(吉武恵市君) 簡単に、簡潔に願います。
  311. 菊池宏

    参考人(菊池宏君) 御説明申し上げます。  ただいま事業団の理事長から、調整金をとる趣旨についてはお話がありました。その使途につきましては、先ほど言われました四億六千八百万というのは四十六年度の事業でございますが、いろいろ御批判もありまして、昭和四十七年度に、農林省に第三者による輸入牛肉調整金管理委員会というものが設けられまして、ここで基本的な使途が定められました。民貿分については特にその内容までチェックされまして、農林省の監督のもとにこの適正な運営をはかってまいっておるわけでございます。本年は、特に四十八年度におきましては、そういう趣旨を生かしまして、取りまとめまして重点的に生産対策に使用しておる現状でございます。
  312. 田代富士男

    田代富士男君 最後に一問だけ。
  313. 吉武恵市

    ○理事(吉武恵市君) 簡単に願います。
  314. 田代富士男

    田代富士男君 簡単にやります。  最後に、全農の真崎参考人に。いま、今後の飼料に対して新しい姿勢で取り組んでいくとおっしゃいましたが、全農は三人の常任理事の人に対しまして、使途不明の件につきまして国税庁の監査がありまして、現在大きな問題になっておりますけれども、こういうようなことでは畜産農家の皆さんたちに対して申しわけないと思いますけれども、これもあわせて最後に御答弁願いたい。それで私の質問を終わりたいと思います。
  315. 吉武恵市

    ○理事(吉武恵市君) 簡潔に願います。
  316. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) ただいま御指摘の三人の常務ということでございましたが、新聞に出ました者はすでに退職をいたしております。現在、常勤じゃないと思います。しかし、われわれ全農にとりまして、さようなうわさが出たということは、私も非常に遺憾に思っております。  私は、あと事態収拾のために一月から就任をいたしました。全農の姿勢としては、協同組合の精神にのっとっていささかも批判を受けないような努力をやりたい、かように思っております。
  317. 田代富士男

    田代富士男君 終わります。(拍手
  318. 吉武恵市

    ○理事(吉武恵市君) 木島君。
  319. 木島則夫

    ○木島則夫君 参考人の方、きょうは御苦労さまでございます。  まず、春木参考人にお尋ねをいたします。  あなたは、物価高の中で消費者を守るために、日夜たいへんな努力をされております。このことに対して私は敬意を払うものでございます。そこで、あなたにお伺いをいたしますが、あなたは生活協同組合の専務理事、消費者の代表でもあり、また、物価高をまともにかぶる被害者という立場でもあるわけであります。春木さん、いま消費者物価指数は前年度に比べて二六・三%でありますけれど、あなたが実感として受けとめている実感指数はどのくらいか、おっしゃっていただきたい。
  320. 春木秋広

    参考人(春木秋広君) ただいま木島先生からのお問い合わせでございますが、私たちの毎日の生活関連物資、特に生鮮食料品を中心にいたしました物価の値上がりからいたしまして、私たちは、三〇%ないし三五%の数字を実感として持っております。これは生活関連物資と申しましても、かない幅が広うございます。ところが、家庭の主婦が毎日のお買い物の中には、やはり野菜であるとか魚であるとか、こういう生鮮品が非常に購買頻度が高いわけでございます。ところが、そういう生鮮食料品の値上げ率がおそらくほかの食料品よりも高いということが、実感としては総合数字でもっと高いものになるんじゃないか、こういうふうに受けとっているわけでございます。
  321. 木島則夫

    ○木島則夫君 灘神戸生協では、政府の行政指導を前にしまして、三月一日に生鮮食料品を除いた生活関連物資について凍結を約束されておりますが、これはどういう意図で行なわれたのか、その効果。自主的に凍結をなすったわけでありますから、損害が出たはずだと思います。この損害をどういうふうに処理をされるのか。ごく簡単でけっこうでありますから、時間の関係で。
  322. 春木秋広

    参考人(春木秋広君) 三月一日から、灘神戸生協におきましては、生鮮食料品を除いた全取り扱い品の価格凍結をいたしております。これをきめますまでには、実は一月、二月と私たちの組合員の集会に出まして、私たちのほうは尼崎から西は加古川まででございますが、この間に三十二ヵ所の集会を持っております。それで、いずれの集会所に出ましても、昨年の暮れ以来の物価高騰に対しましては、消費者は非常な混乱を——混乱よりも苦痛を感じておるわけでございます。その消費者がつくりました灘神戸生協でございまして、何とかわれわれのこの上がっていく物価を、生協さんよ、ひとつしばらくとめてくれないかと、こういう実は要請がございました。ところが、だんだんそれが具体的になりましたのは二月の中旬ごろからかと思いますが、通産省のほうからスーパーマーケット協会、また百貨店協会に対して凍結の要請があるというふうな記事が出ておりました。そこで、消費者は、こういうふうに政府も考えておるじゃないか、ところが、一般の百貨店さんも、またチェーンストア協会のスーパーもいずれはそうなると思うが、ここでひとつ灘神戸生協は率先してこれをやってくれないかと。と申しますのは、われわれの活動いたしておりますエリアの人口が大体二百七、八十万でございます。現在灘神戸生協の組合員が三十六万五千世帯でございます。したがいまして、一戸当たり三人半ぐらいにいたしましても、少なくともそのエリア内の百二、三十万の方々がれれわれと何らかの関係があるわけでございます。したがいまして、このエリアの中で百貨店さんも、スーパーマーケットも、いろいろな業界があるわけでございますが、消費者の意向として、生協がもしそういう凍結をするなれば、それが一つのプライスリーダーになって、百貨店さんも、スーパーさんもみな協力してくれるだろう、そうすれば、少なくとも阪神間、神戸地帯においてはどこよりも値段が上がらないんじゃないか、そのために灘神戸生協はひとつしっかりやれと。  私は、そのときにいろいろな試算を出しました。われわれが三月の一日に発表いたしましたのは、三月、四月最低二ヵ月は凍結しましょうと。しかし、私の手元での試算では、少なくても——これはわかりませんが、まあ二千万円ぐらいの実損が出るんじゃないか。これは最終数字がまだ締め切られておりませんのでわかりませんが、少なくとも二千万円の欠損が出た場合、これはその間における収益減が二千万円でございますが、それは何としても組合員も承知するから、生協の成績が落ちても承知するからやりなさいと、こういうふうな強い消費者の要請がございましたので、われわれはついに踏み切ったわけでございます。したがいまして、この二千万円の減収につきましては、これはわれわれの企業努力で何としてでもこれをつづめていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  323. 木島則夫

    ○木島則夫君 あとで、堀越参考人もこの辺をよく聞いておいていただきたいのでございます。  つまり、生協でも——と言ってはいけないかもしれませんけれど、企業努力によって数千万円の損というものを、損害を企業努力によって埋めていこうという、この姿勢は私非常に大事だと思います。  そこで、時間がありませんから、ひとつ参考人の皆さん簡単にお答えをいただきたい。去年のようなああいうパニックというものが再び起こるとお考えでしょうか。起こるとすればいつごろ、どういう形で起こってくるか、その根拠についてもよろしかったら伺いたい。
  324. 春木秋広

    参考人(春木秋広君) たいへんむずかしい問題だとは思いますが、消費者の実感として、また値上がりするんじゃないかということを実際にいま感じております。これは先ほど申しましたように、通産省、農林省のほうで百四十八品目、農林省の六品目の一応業界の、しかも末端に協力しなさいということで現在価格凍結が行なわれておりますが、三月の十六日にいわゆる石油製品の値上がりをとうとう政府はお認めになりました。おそらく企業としては最大の努力を、これは企業と申しましても小売り企業でございます。卸、メーカーじゃございません。小売り企業としてその要請に応じて現在凍結してがんばってはおります。私たちのほうはチェーンストア協会にも加盟いたしておりましたので、チェーンストア協会からのお呼びがございまして、通産省のほうからこれに対する説明会があるから出てこいと、こういうことで参りましたが、そのときも、六月までは何とかひとつ凍結してくれないかと……。
  325. 木島則夫

    ○木島則夫君 何月までですか。
  326. 春木秋広

    参考人(春木秋広君) 六月ぐらいまでは凍結してくれないかというふうなお話し合いがあったようでございます。したがいまして、われわれは四月末日までは一応努力したいと思います。しかし、それから先も生協としては凍結と同じような意味で価格を上げない努力をしたいと思います。しかし、いわゆる限界がございます。この限界がもしそれより早く来るかおそく来るかはわれわれわかりませんが、少なくとも凍結しておる間は、価格戦争は一応その商品については休戦状態でございます。この休戦状態の間に政府がどういうふうな手をお打ちいただいているか、そして六月から先がどうなるかということ、消費者としてはそれがほんとうは知りたいわけでございます。そういう意味で、われわれの企業努力はわれわれのサイドで、また、消費者と一緒になって努力はしたいと思いますが、そこから先は非常な不安がいま待っているのが現状ではないか、こういうふうに思うわけでございます。
  327. 木島則夫

    ○木島則夫君 実は、きょう政府の大臣にも御出席をいただきたいとわれわれが要求したのは、この辺にポイントがあるわけです。つまり、六月ぐらいまではこの凍結価格をぜひ守ってほしいという要請があった、いまお話であります。しかし、それ以後のことについては一体どうなるのかわからない。おそらく、消費者の生活を守るために孤軍奮闘をされている末端でのお店の方々、もちろん協同組合もそうでありますけれど、これから先一体どうなるのか——政府関係の経済企画庁、来ておりますか、   〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕 来ておりますね。六月以降一体どうなるのか、つまり生協の責任者としてはその先のことがわからなければ計画も立てられないという、こういう状況ですね。具体的にひとつ説明をしていただきたい。時間の関係で、短く、ひとつ簡潔にやっていただきたい。
  328. 竹内黎一

    政府委員竹内黎一君) その六月までという通産省の指導については、私どもは、実は直接には承知してないわけでございますが、しかし御承知のように、石油価格改定に伴いまして日本の価格体系というものは、もう一ぺん新しいところにシフトしていかなければならぬ事情は先生も御承知だと思います。その新しいシフトにおいて、できるだけ摩擦、混乱のないように政府としてはあらゆる政策を駆使いたしまして、いわばソフトランディングを試みてみたいというのが私どもの目下の考えでございます。
  329. 木島則夫

    ○木島則夫君 春木さんにもう一度お尋ねいたしますけれど、六月ごろまではこの凍結を守ってほしいというのは直接のお話でございましょうか、それとも間接的にお受け取りになったことでしょうか。  それから経企庁にもう一つ、要するに、六月以降メジロ押しに私は物価が上がると思う。その場合に、一体どういう形で凍結を完全に解いていくのか、部分的にはずしていくのか、あるいは野放し状態になるのか、その辺までわかれば教えてもらいたい。まず春木さん。
  330. 春木秋広

    参考人(春木秋広君) チェーンストア協会のほうから、会員でありますわれわれのほうに、通産省の百四十八品目についての凍結について説明会があるから来い。こういうふうな通知が参りました。私のほうは、私が参ったわけはございませんが、私の下におります常務がそれに出席いたしまして、通産省のほうから御説明に来られた事務官の方からるるその説明があったようでございます。
  331. 木島則夫

    ○木島則夫君 それで、六月ということははっきり言われたのですか。
  332. 春木秋広

    参考人(春木秋広君) その方の話に、少なくとも六月末ぐらいまでは凍結してほしいというふうなことばがあったんじゃなかろうかと思います。それで私は、その常務からそういうふうに報告を聞いております。
  333. 木島則夫

    ○木島則夫君 いかがですか、その辺もう一回お答えください。せっかく参考人の方も今後の政府の施策についてはっきりした方針をお聞きになりたいと言っているわけです。
  334. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 私が知ります限りにおいては、六月ということは指導いたしておりません。
  335. 木島則夫

    ○木島則夫君 そういう指導をしたかどうか、これはよくまたわれわれも実態を調べたいと思いますので 一応、きょう参考人が今後の物価体系、どういうふうな形で物が上がっていくか、それにやはり生協の経営者としては対処をしなければいけないという、これは当然のことだと思いますね。だから、しばらく当分の間はがまんをしてくださいというのでは、これは私は政治ではないと思いますよ、行政ではないと思う。いまここでその議論をすると、これは問題でありますから、私はそういうことは一応今後の問題として保留しながら、さて、春木さんに伺います。参考人に伺います。  灘神戸生協は組合員三十六万というふうに伺っておりますけれど、このくらいの規模の生協が一体日本に幾つくらいあったら日本物価は安定をするとお思いでしょうか。ちょっと飛躍的な質問かもしれませんが。
  336. 春木秋広

    参考人(春木秋広君) 私はこの問題につきまして、実は、かねてヨーロッパを回りました。御承知のように、イギリスをはじめフランス、西ドイツ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ここには生活協同組合がずいぶん古くございます。一八四四年から始まっているわけでございますが、最近は実は、生活協同組合が新しいスーパー攻勢にあいまして各国で若干退歩はいたしておりますが、イギリスなり、西ドイツなり、デンマークなり、スウェーデンにおきましての物価の変動につきましては、非常に振幅の幅が少ないと伺っております。しかも、そういう協同組合の連合会に参りますと、食料品でございますれば、多い国になりますと、その国の食料品の小売り総額の三〇%を生活協同組合で扱っております。少ないところでも一〇%は扱っております。そういうふうになりますと、やはり国家のいろいろな行政御指導の中にも生協をほっておいてするわけにまいりません。ある程度シェアの大きいところでは、生協の考え方をそういった中に十分取り入れて対策をお考えになるようでございます。したがいまして、第二次世界大戦のさ中でも、そういった国々での物価流通については非常に円滑にいった、また最近の物価上昇についても、協同組合組織のかなり広がっておる国においては案外安定しておる、こういうことを聞かされておるわけでございます。現在、灘神戸生協は、四十八年度におきまして大体年間八百億の扱いでございます。しかも、われわれには協同組合として全農さん傘下の全国の農業協同組合がございます。こういう農業協同組合、生活協同組合が手を握って今後の生活物資についてやるなれば、かなり大きな効果があろうと思いますが、はなはだ残念なことには、日本では生活協同組合があまり伸びてはおりません。少なくとも、灘神戸生協規模のものが全国にせめて二十でもできますれば、もう少しわれわれは消費者サイドのこういうことに対する取り組みがもっともっと力強くできるのじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  337. 木島則夫

    ○木島則夫君 せめて灘生活協同組合程度のものが二十もあれば日本物価に寄与することが大きいということです。それにしては、どうも政府がこの生協を積極的に助成をしないようですね。生協の主管者は厚生省社会局だそうでありますけれど、私は、もういま物価の問題を前面に控えて、経企庁あたりに移すべきじゃないかと思いますね。どうして積極的に助成ができていないのか、経企庁に移すことについてどうお考えか、これはまた予算の締めくくりで私も尋ねたいと思いますけれど、まずそれを簡単に、簡潔にひとつ答えてください。
  338. 竹内黎一

    政府委員竹内黎一君) ただいまの生協の所管を経済企画庁に移してはいかがかという御提案につきましては、今後政府部内で慎重に検討いたしたいと存じます。
  339. 木島則夫

    ○木島則夫君 それに、商工中金とか農林中金などいろいろありますけれど、やはり私は生協が育てば日本物価の安定になる。そうすれば、それが政治に寄与をするという意味では、私はもっと積極的に助成をしていただきたいと思います。そういう意味で、いま系統金融もありませんね。こういうものをはっきりさすおつもりはございませんか。これは大蔵省ですか。
  340. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) お答えいたします。  ただいま税法上の優遇措置と育成に対する低利資金貸し付け制度を持っておりますが、その他の問題につきましては、一般の小売り業者並みの金融制度のもとに融資をいたしております。したがいまして、ただいまこの育成方法について新しい融資制度を講ずるということにつきましては、慎重に検討して御回答申し上げたいと思います。
  341. 木島則夫

    ○木島則夫君 先ほど、物価の上がり方についていわゆるさみだれ的に上がるのか、あるいは野放しにするのか、そこら辺はまだお答えになっておりませんね。
  342. 竹内黎一

    政府委員竹内黎一君) ただいまのお尋ねは、現在凍結をお願いしています品目を解除するときは一斉にやるのか、また部分的にかというお尋ねだろうと思いますが、政府といたしましては、その点についてまだ意思決定をしておりませんが、これは私の予想を申し上げて恐縮でございますが、かりに解除がある場合におきましても、おそらく部分的なという形をとるのではなかろうかと思います。
  343. 木島則夫

    ○木島則夫君 もう一回。
  344. 竹内黎一

    政府委員竹内黎一君) 部分的な解除が続くという、こういう形になるのではなかろうか……。
  345. 木島則夫

    ○木島則夫君 つまり、さみだれ的に上がっていくということですね。
  346. 竹内黎一

    政府委員竹内黎一君) 解除は、さみだれ的ということでございましたら、そのような表現になるかと思います。
  347. 木島則夫

    ○木島則夫君 とにかく時間がございませんから、春木参考人に。いまのようにあいまいもことしております。そういう中で生協の方針をお立てになるということはたいへんだろうと私も思います。そこで、物価抑制に財界も経済界も協力するといっておりますけれど、あなたはこのことばを信用なさいますか。
  348. 春木秋広

    参考人(春木秋広君) いまの先生のお尋ねでございますが、実は最近、消費者一般大衆は、いわゆる政府に対しても何となしに不信感を持っております。また、財界に対しても、企業界に対しても実は不信感を持っております。これが何から来たかということは、われわれの口から申し上げるよりも、ぜひひとつ政府の部内で検討していただきたいと、こういうふうに実は思うわけです。そして、この不信感を一掃するということは、ほんとうにお互いが信じ合い、手を携えてやっていけるもとになるんじゃなかろうか。実は衛生基準にいたしましても、厚生省からPCBとか、いろいろなそういったものの衛生基準が出ておりますが、たとえばまたハムに使います亜硝酸塩の量でございますが、こういったことについても最近の消費者団体並びに消費者は、そういう政府がお示しいただいておる安全基準ですらも信じないというふうな傾向が非常に強うございます。したがってわれわれは、やはり法治国家内でやっておりますので、できるだけ政府の御方針どおりやりたいと、こういうふうに思いましても、消費者がなかなか納得してくれない、これはたいへん残念なことだと思っております。
  349. 木島則夫

    ○木島則夫君 灘神戸生協の前身である灘購買組合は、大正十年に発足をしておりますけれど、その発起人の中には当時、鉄鋼、銀行、商社など大阪の大企業社長がずらりと顔を並べていたことを考えますと、私は隔世の感があると思います。  そこで最後に、春木参考人に伺います。いま、この狂乱物価の原因ともいうべきワーストは次の中のどれでありましょうか、ずばりおっしゃっていただきたい。政府企業、マスコミ、労働組合、消費者、金融機関、ほかにあげたいんでありますけれど、あんまり多くなるといけません。その中で一つでも二つでもけっこう、あなたが一番悪いと思うものを御指摘ください。
  350. 春木秋広

    参考人(春木秋広君) 木島先生からいま灘神戸生協の……。
  351. 木島則夫

    ○木島則夫君 ずばりおっしゃっていただきたい。
  352. 春木秋広

    参考人(春木秋広君) はい、ちょっとその前提を話さしてください。
  353. 木島則夫

    ○木島則夫君 いや、前提よりも、もう時間がないんで、まことに申しわけない。
  354. 春木秋広

    参考人(春木秋広君) それじゃ、実感ずばり申し上げますと、政府企業じゃないかと思っております。(笑声)
  355. 木島則夫

    ○木島則夫君 どうもありがとうございました。前提を無理に省略さして恐縮でございます。時間の関係でお許しください。  そこで、堀越参考人にお伺いをいたします。政府企業が一番悪いそうでありますけれど、これをどうお受けとめでございますか。
  356. 堀越禎三

    参考人(堀越禎三君) 私は、何か値上げの先取りというようなことばが出たり、そしてまたいろんな点で悪意、悪意に報道されてるような感じがするんであります。この石油の先取り問題でも、弁解になりますけれども、実際自由企業企業がやっておりまして、先でどうしても値を上げなくちゃならぬというようなことがはっきりわかってるときには徐々に上げていく、一ぺんに上げたら売れぬようになりますからね、やっぱり売れる範囲において少しずつ値を上げていくというのが私は常道だと思う。ですから、これは先取りというようなことばで言うべき問題じゃなかったんですが、たまたま非常にメジャーから言われたことばがあまりにきつい制限だったために、むやみと周章ろうばいしたという点は、確かに企業の非常な責任だと思います。  それから、私たちとしましては、経団連といたしましてはそれほどの力はないんですが、しかし皆に、会員にお願いすることはできますので、もう一月の十日以来、三べんぐらい各業種の責任者に集まってもらいまして、そしていまは各業種の中に一つの値上げ自粛委員会といったようなものをつくりまして、紙パルプが一番先つくりました。そしていまずっとその委員会で押えてやっておりますのが、最近は非常に卸売り物価も落ちついている一つの原因だと自負しておるわけです。
  357. 木島則夫

    ○木島則夫君 いろいろ伺いたかったんでありますが、とにかく時間がございません。  企業の反社会的行為がいま指弾されております。で、あなた方の仲間からこういうものが出ていることについてどういう受けとめ方をされておりますか、私、個条的に申し上げます。企業は利潤追求体であるからこれはあたりまえであるという感覚か、苦々しく思ってらっしゃるか、あるいは自由社会をみずから崩壊させるものであるから断じて許されない、この三つの中であなたはどれを御指摘になりますか。
  358. 堀越禎三

    参考人(堀越禎三君) 最後のほうにお話しになった、自由社会の問題だと私は思います。
  359. 木島則夫

    ○木島則夫君 そうしますと、自分自分の首を絞めることは断じて許されないということは、そういう反社会的行為があった企業は仲間とは思わないと思ってよろしゅうございますか。——そうしましたらね、私はもう一つ具体的に、つまりそうお思いになるならやはり行動、態度でお示しになることが必要だと思います。そういう意味で、反社会的企業が国会でも問題になっておりますおりから、あなた方の内部から自主的に反社会的企業の基準を示されるおつもりはございませんでしょうか、この点についてできれば具体的におっしゃっていただきたい。
  360. 堀越禎三

    参考人(堀越禎三君) 社会的責任の問題につきましては、もう去年の私どもの総会ではっきり決議しております。そしてこれをみな各企業が社会的責任を守るように、特に社会的責任の担当重役をつくれということでみなつくっているわけであります。  ただ、木島先生に申し上げるんですが、経団連というところは、実は会員の会費で食っております。私も会費で食わしてもらっておるわけです。(笑声)それで、百五十人の事務員を私はかかえて会員に食わしてもらっておるわけでしてね、あまり、おまえはもう村八分にするぞというようなことは、こっちの会費が減りますからできない。それはひとつ……。(笑声)
  361. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ強力なるひとつ指導性を発揮していただきたいと思います。  春木参考人に御質問をしたさっきの企業政府、マスコミ、労組、消費者、金融機関、その中であなたはどれが一番悪いとお考えでございましょうか。この点を最後に御質問をいたします。堀越さんに最後にそれ一問で私やめます。
  362. 堀越禎三

    参考人(堀越禎三君) ちょっといま聞きもらしたんですけれども
  363. 木島則夫

    ○木島則夫君 政府企業、マスコミ、労組、消費者、金融機関、そのほかございますけれど、その中で一番いま問題なのは何か。
  364. 堀越禎三

    参考人(堀越禎三君) 全部責任があります。
  365. 木島則夫

    ○木島則夫君 わかりました。
  366. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 堀越参考人、春木参考人、御苦労でございました。御退席願います。
  367. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 小笠原君。
  368. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まず最初に、ゴム問題、タイヤの問題についてお伺いいたします。  通産省が二月に、タイヤ類の価格一五%平均引き下げるようにという行政指導があったと思います。それについてブリヂストン、それから横浜ゴムさん、この行政指導をどういうふうに受けとめてきちっと守っておられますか。それから、通産省もこの指導を引き続いて進めていられるか、その辺を簡単にお答えいただきたい。
  369. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) 二月十三日に……
  370. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 一言で。やっていらっしゃるかどうかということ。
  371. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) 突行いたしております。
  372. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい、けっこうです。
  373. 吉武広次

    参考人吉武広次君) 私どものほうも通産省の御指示どおり実施しております。
  374. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 通産省。
  375. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) タイヤにつきましては、価格を上げる場合には届け出制度になっておりますので、今後、それによりまして指導をしていきたいと思っております。
  376. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ここにおたくの、二つの会社の子会社であるブリヂストンタイヤ東京販売株式会社、新東京横浜タイヤ株式会社資料から、私、これから質問させていただきたいと思うのですが、これ、ちょっとお持ちになっていらっしゃらないといけないと思いまして、こちらにこのとおりを、うそ書いてございませんので、これでごらんいただきたいと思います。(資料を示す)いまその表をごらんいただけますとたいへんわかりやすく書いてございます。  で、私、これずっと拝見させていただきまして、たいへんなごまかしがあるということに驚いたわけでございます。たとえば中小企業、零細企業がたいへん使っております二トン積み小型トラック用タイヤ七〇〇−一五でございますね。上のほうから四番目にございます。この場合、小売り価格が一万八千五百円から一万八千三百円とわずか二百円の値下げでございまして、一五%どころか一%の値下げにしかなっておりません。特に横浜ゴムさん、下のほうの横浜ゴムを見ていただきたいのでございますけれども、この場合は値下げどころか、一万八千四百円であったものが、一万八千八百円と実に四百円の値上げをしていらっしゃるわけなんです。これが標準小売り価格でございますが、これだけではございませんで、仕切り価格のほうをごらんいただいてもおわかりだと思いますけれども、全くいま値下げについて一生懸命やっているというようなお答えがございましたけれども、仕切り価格でも両社とも全く値下げをしていらっしゃいません。  それからまた、乗用車の扁平タイヤ六四五−一四というのを見ますと、小売り価格表で見ますと、ブリヂストンさん一月には一万一千六百円でありましたのが一万一千三百円、わずか三百円の値下げでございます。横浜ゴムさん一万一千五百円から一万一千二百七十円、これまたわずか二百三十円、つまり、パーセントに直しますと二ないし三・六%しか下げていらっしゃらないわけなんでございます。たいへん先ほどはいいお答えだったんですけれども、実際にはこういうようなわけで、値下げをしていないどころか、値上げしていらっしゃるというようなことになっております。この辺は私たちたいへんびっくりしたわけでございますが、これも簡単にお答えいただきたいと思います。
  377. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) お答え申し上げます。  値下げの実施は、あのときに発表いたしましたように平均でやっております。採算によりまして、サイズによっては値引き率の少ないもの、あるいは大きいものがございます。非常にばらついておるのが実情でございます。
  378. 吉武広次

    参考人吉武広次君) 先ほど、通産の御指示どおり値下げしたと申しましたが、これは全体で一五%引いているわけでございます。それで、サイズによりましては必ずしもそういってない分があると思います。これは販売会社がやっていることでございますので、私どもはさように承知しているわけでございます。
  379. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 平均として下げているから、ここではたいして下げていないと、こういうことでございますね。  私が一つ申し上げたいのは、いま言いましたような、ここでほとんど値下げされていないというような車種は、零細企業が使っておりますとか、また、たいへん私たちも必要とするようなタイヤの種類だと私は思うわけなんです。ここでは下げてもわずかに一、二、三・六%程度という下げ方でございます。これもぜひ考えていただかなきゃならないと思いますけれども、それに反しまして、その下のほうに産業車両用というのが書いてございます。産業車両用、たとえばフォークリフトの八二五−一五でございますね、これは小売り価格が四万一千九百円から二万一千円と実に五〇%、半額も値段を下げていらっしゃるわけです。それから九〇〇−一六というのを見ますと、これまた四万九千円から三万二千八百円と三分の一の値下げになっているわけです。これは販売会社の仕切り価格を見ましても、仕切りのほうでも両社ともに四七・五%、これもきちっとそろいまして四七・五%もの値下げになっているわけなんです。  つまり、国民がいまほんとうに生活の中で苦しんでいるときに、国民大衆が必要としているタイヤについてはわずかしか値下げをされていない。にもかかわらず、産業用のこういうものには大幅な値下げになっている。これで平均で一五%という姿勢ではまさに大企業優先の姿勢であって、いまのこの審議している物価審議の趣旨とも反する。こういうふうな点をどう考えられるか。  また、それも簡単にお答えいただいて、通産省としても、一般的な一五%の値下げというのではなくて、真にいま困っている立場でなすった指導だと思うんです。そうすると、こういう産業に優先する、大企業優先というような、そんな指導というのは全然もう、ざるで、役に立たない、この辺のところをしっかり考えてやっていただきたい、そのところをちょっとお答えください。
  380. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) ここに出ておるサイズは、たまたまそういうような特徴のあるサイズが出てございます。タイヤのサイズは、一般市販されているものだけでも千種類からございまして、非常に一般に使われておるタイヤがこの中には書いてないようにも私は思っております。たとえば、トラックのタイヤとかあるいは五六〇−一三とかいうような、ごく一般のタイヤ、こういったような、一般大衆の使われるタイヤは、かなり大幅に下がっておる。ここには特にそういうものが出ておらないというふうな感じもいたしますので、その辺の点もお調べいただきたいと、かように考えます。
  381. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 通産省の値下げ指導は、トラックと乗用車の特別な品目につきまして値下げ指導を行なっておりますので、決して大企業優先というような立場からものを考えておりません。
  382. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その乗用車も、さっぱり値下げのうちに入っていないんですから、よく考えていただきたいと思います。  それから、これはたまたまこういう数字だとおっしゃるだろうと思いました。だけど、私のほうもずっと調べてみました。これ、おたくも全部自信おありですか。私のほうも全部調べて、そして非常に特徴だと思って書きましたわけでございます。ですから私が言いたいのは、こういうような姿勢では国民の生活は安定できないということで、この辺のところ、まさに五〇%も片や値下げしている。片や一%、二%、あまりにもけた違いではないか。こういうような姿勢では幾ら指導を受けてやっていますと言われても、私たちは安心できない。やっぱり企業は口だけだということになるわけなんです。だから、これからもう一度おたくのほうも検討されまして、この辺のところ、平均一五%ととられるならば、一体どこを優先して、どこの生活を守るかという立場で、値下げの行政指導の精神も踏まえて御検討いただきたいと思います。その辺いかがでございますか、一言。
  383. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) おっしゃることはまことにごもっともだと思います。しかし、こういう価格の変動の時期におきましては、できるだけやはりコストとの見合いということも調整しなければならぬ点もございます。たまたまこういうふうな大きな偏差が出ておることは、一見奇異にお考えになることも当然かと思います。また今後の値動きがあるというような場合には、そういった点をできるだけ留意いたしまして、大衆に御迷惑のかからぬようなくふうを考えたいと、かように思います。
  384. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは今後こういうような態度を改めて、大衆に迷惑をかけないようにという考えで、しっかりと検討されるということでございますね。
  385. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) できるだけ合理的な線を研究してみたいと思っております。
  386. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 会社の合理的なんじゃなくて、国民の立場に立って。
  387. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) 国民の立場も考え、われわれの立場も合理的な線で研究をいたしたい、かように考えます。
  388. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 さすが社長さんだけあって、なかなかじょうずなおっしゃり方でございますけれども、会社の立場で合理的ということになりますと、また問題がございます。私たち別に会社をつぶせと言っているわけでございませんけれども、あまりにもこの差がひどい。産業優先、大企業優先だと、こういう姿勢では困りますので、そういう意味でございます。再度その辺を確認させていただきまして次に移らせていただきたいと思います。  こういうわけで、私見ましたら、もう非常に——一五%の値下げというのにわずかしか値下げしていないという点と、大企業優先というように、たいへん口が悪うございますけれども、二重のごまかしを私は見なければならないと、こういうふうになりますと、国民は一体何だというような、事実を知れば私みたいにおこるのが出てくるかもしれません。こういうおこるのが出てこないほうがよろしゅうございますから、なるべくおこらせないためにも、皆さんの主張なすっていらっしゃることが正当であるというようなことでありますれば、やはりタイヤというものは一体原価が幾らくらいかかっているんだろうかというようなことが、私たちにはわかりません。だから結局いろいろと疑惑が持たれるというようなことになろうかと思います。  先ほどからもお話がございましたように、公取で調査に入ったというようなことも出ております。先ほどいろいろと小野さんの御質問にお答えになりましたけれども、カルテルではないと、標準価格というのはきまっていても、実勢価格で各地方はそれぞれ違うんだというようなこともおっしゃいましたし、それは福岡のことではないかというふうにお話しくださいましたけれども、私が持っておりますのは、これは東京でございまして、ブリヂストン、横浜ゴム、それぞれの筆頭の販売会社というようなことになっているわけでございますから、これは決して福岡であったというようなことではなくて、全国的に出ていることではないかと、そう思うわけなんです。こういうふうになりますと、仕切り価格、ここにもぴたっと全部金額も一緒でございますね。仕切り価格も標準価格も全部きれいに一致しております。こういうことになりますと、ますますどこでいつ談合したというようなことがないにしても、実質的にはもうカルテルだというふうに言われてもしようがないんじゃないかと。そういうようなことから、疑いがないと、われわれには自信があるとおっしゃるのならば、メーカー出し値の原価というものを公表されるべきではないか。そのことがおたくに自信がおありになったら、当然のことで、疑惑を晴らせることではないか。原価幾らであるかということを公表なさるお気持ちはございませんか。どちらかお一人でけっこうでございます。
  389. 吉武広次

    参考人吉武広次君) 原価を公表しろという先生の御意見でございますが、原価は企業の秘密でございますので、ごかんべん願いたいと思います。
  390. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ごかんべんして差し上げたいんでございますけれども、疑惑がさっぱり晴れませんのですね。だから何とかして原価公表ということになさらないと、おたくのほうの疑惑はますます深まっていくと、そう思うわけなんです。ここで、しろしないと言ってもあれですけれども、それじゃ絶対されないということになれば、私のほうで大体原価とはどれくらいかと推定していかたければならないわけでございますけれども、ブリヂストンも横浜ゴムさんも、自分の会社の倉庫に保管なさいますタイヤにつきましては損害保険庁おかけになる寄託価格というのがございますね。その寄託価格はメーカーの仕切り価格の半額だというふうにいわれているのが常識だというふうにみんなが言っておりました。大体そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  391. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) 保険のかけ方については、実はまことに申しわけないのですが、詳しいことは存じておりません。どの程度の付保をしておりますか、はっきりここでお答えできないのでございます。
  392. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 社長さんだから、そこまでこまかくおわかりにならないかと思いますけれども、私のほうで調べましたら、そういうことでございますので、もしおわかりにならなければ、あとでそういうことをお調べいただきまして、資料として私のほうにいただけたらと思います。よろしゅうございますか。お調べいただいてお答えいただけますか、あとで。
  393. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  394. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。
  395. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) 当委員会からの御命令でございますれば提出いたします。
  396. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃどうぞお願いいたします。
  397. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 資料は理事会に一応はかって要求をいたします。
  398. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 でも本人はいいとおっしゃったんだから、いいじゃないですか。
  399. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 委員会の要請ならばということでございますから。
  400. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、いま委員会とはおっしゃらなかった。私そこは聞いていた。ここで委員会とごちゃごちゃおっしゃったから、だからそこであれされた——だめだ、そんなの。ここで予防線張っているのだもの。ずるいわ、そんなやり方。ずるいよ、その辺。
  401. 柴本重理

    参考人(柴本重理君) ただいまはっきりと委員会のと申し上げました。
  402. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 後ほど理事会ではかります。
  403. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ委員会で。
  404. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 理事会ではかります。
  405. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ぜひ、国民の立場に立つなら、委員会でしっかりはかっていただきたいと思います。
  406. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 理事会ではかります。
  407. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい。  それじゃ次に丸紅飼料さんにお伺いしたいと思います。  丸紅さんでチャンキーというの、鳥のチャンキーというのをやっていらっしゃいますね。これはおたくからいただいたわけですけれども。それで、これで種鶏を輸入なすって、丸紅さんが輸入して、特約ふ化場にそれをふ化させて、それを丸紅飼料さんがお買いになって、そしてこれを農民にまた飼育させて、そしてブロイラーにできるように成鶏になったらこれまた丸紅さんが買って、そしてスーパーやデパートにおろされる、そして飼料は全部丸紅さんの飼料を食べさせると、こういうことになっているわけですね。いわゆるインテグレーション契約になっているわけです。こうしますと、もうこれは丸紅さん全部通してやられることで、そしてたいへん、その手を通すだけで丸紅さんも大もうけなさるというわけなんです。ここで具体的に私のほうにいろいろ被害、損害の出たところから訴えが来たわけでございます。それは、たとえば徳島のあるN産業というところ、それから大阪にもございましたし、岡山にもございました。その点御存じでいらっしゃいますですね。——はい。それじゃそういうところから訴えが来まして、私も現地へ調査させまして、そしていろいろ資料ども取りそろえました。  ここで私、考えていただきたいと思いますのは、その病気の原因が何だかわからない、それなのに、死んだときにはこれは一方的な農民の犠牲になってしまって、会社としては何らそこに損失は受けていない。そしてまた丸紅さんのテキストで、丸紅さんの指導員の指導のもとに買っていたというような仲ですね。まさに農民のほうは一生懸命に——おたくはいいひなだと、ここにも宣伝してあります、じょうぶでいいんだと。そしておたくの飼料を食べて、おたくの指導を受けたのに、死んだからといって、そっちは全然会社は責任持たないで、そして農民ばっかりに責任が負わされる。それもわずかの損害ではございませんで、徳島の場合には二億二千万円の損害だと。いままで一生懸命にやって五千五百万円は払いました、大阪の場合には約五千万もございますと、こういうような中で非常に苦労して、苦しんでいらっしゃるわけなんですよね。  そういうことについて、やはり社長さんの顔がここに出てまして、たいへん畜産振興、ひいては国民の皆さまの、というようなお気持ちで書いていらっしゃるとすれば、こういうような被害に対して、やはり当事者の犠牲を受けた、損害を受けた農民と誠実に、農村の農民の要望も聞いて解決をしていただきたいと、そういうふうに思うわけなんです。この国会で丸紅さんが参考人としていらっしゃるというようなときから、現地で調査して、また電話を入れたんですけれども、まあいろいろ話し合いを進めていらっしゃるそうで、それでもう一つ言わなきゃいけないのは、強いところにはちょっとやさしいんですね。強いところには利子は払わなくてもよろしいとおっしゃるけれども、弱いところに行きますと、男の人が何人でも行って、そしてもう圧力かけられるというようなことで、施設設備から家屋敷、土地まで全部担保に入れられてやられるわけですね。こういうことでは、もうとてもとても農民はたいへんな目にあうわけでございます。ですから、話し合いを誠実にお進めいただいて、そして農民の意見をいれて解決をしていただくというようにお願いしたいと思いますが、やっていただければ、一言でやりますというふうに御確約いただきたいと思います。
  408. 白浜孝一

    参考人(白浜孝一君) ただいま先生のおっしゃいましたように、私どものインテグレーションの中でも不成功に終わった例もございます。先月、先ほど御指摘ございました大阪のある養鶏家の方から債権の支払いの延期の話がございまして、いろいろ状況判断いたしまして、できるだけ御協力するようにしております。また、おっしゃいました趣旨に沿いまして、弱い農家にできるだけ同情的に協力していきたいと、こういうふうに考えております。
  409. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは最後に、飼料の問題についてお伺いしたいと思います。  言われているように、飼料の値上がりというのが非常に深刻な状態に来ております。その値上がりの問題、先ほど公明党さんのほうからもおっしゃいましたけれども、一つにはレートの差損を見込んでのもうけが値上がり——もうけと言えばいけませんか、差損を見込んでの幅で値上げがされているという面と、それからもう一つは輸入価格の上昇が原因になっていると、この二つが大きな原因として値上げされているように思います。  そこで私は、その輸入価格の面をしばらく聞きたいと思うわけなんです。で、これは日配さんにお伺い——そちらですか、お伺いしたいわけなんですけれども、これはおたくの会社で出されております有価証券報告書でございます。ここで、トウモロコシとマイロについて、主要原料価格の動向ということで購入諸掛かりを加えたものが公表されているわけなんです。ところが、この購入価格と通関統計によりますCIF価格との差でございますね、この差が非常に急速にふえているわけでございます。輸入価格が、平均価格だと。だからこういうふうに差が出るんだと、あるいはおっしゃるかもしれないけれども、四十七年九月、輸入価格と購買価格の差が千六百六円だったものが、一年後には五千八百十五円、実に四千二百九円と、三倍にこの差が拡大しているわけなんです。で、この差の拡大は購入諸掛かりの上昇と思われるという点がございましたので、その諸掛かりというものが何だということを、また横浜へ飛びまして調査してまいりました。そうしますと、荷役料金、通関手数料、サイロ港湾料金など全部加えても、四十七年九月から一年後の上昇分は三百円でございます。それに金利上昇分五百円を加えて、八百円程度のものにしかなりません。こまかい数字ございます、時間がありませんからあとでごらんいただいてもけっこうですけれども、そうすると、諸掛かりとユーザンス金利を加えまして八百円程度にしか、私のほうではどう調べても調べようがない。それが実にこのひどい拡大になっているというその原因は一体何なのか。それは商社のマージンが入っているのか、それとも有価証券報告書の記載に誤りがあるのか、このどっちかしかないと思うんです。  そこで、この差額ですね、この疑問があまりにも多過ぎますので、この差額のだんだん拡大していくということについての納得できる資料を出していただきたいと思うわけです。時間がないからお答えいただけないと思いますので、それも資料として出していただきたいと思います。  それから日産工、丸紅飼料などは購入価格さえも出ていないわけです。だから日産工と、それから丸紅さんも、この購入諸掛かりという項目別の経費、輸入価格、トウモロコシ、マイロ、これをぜひ公開して出していただきたいと思います。  それから先ほど全農さんと、それから日産工のほうはレート差損を還元するということを約束されたり検討されましたが、日配さんとしても、この辺のところは当然検討なすって、還元して値下げに結びつけていただくということを、ぜひお答えいただきたいと思います。  で、こういうふうになりまして、この飼料の問題たいへんな問題で、実は私先月、北海道酪農地帯を全部回ったんです。で、最後に行ったのが北桧山というところ、ここは酪農民が非常に優秀な人で、これは他庁にも講師として行っている。そこが一家四人全部蒸発してしまいました。それで調べに行きましたら、雪の中にぽつんと家がありまして、着類から、それからふとんから家具、そのまんまあって家がある。そして残された牛は餓死してしまうというような悲惨な状態に追い込まれているわけです。で、たまたま、おたくで使ったのはどこの飼料かと聞きましたら、まあ何といいましょうか、日配さんの飼料だったわけで、またきょう私はそのことも言わなければならないわけですけれども、こういうように農民が非常に苦しんでいるということを考えられたら、いま私が申し上げました、明らかにその差額の拡大、これについての資料を出していただくこと。それから、レート分についての余分なものは還元して値下げに努力していただくというようなことを、はっきりさせていただきたいと思います。頭でわかっていらっしゃるかもしれませんけれども、いまほんとうに酪農民というのはたいへんな状態に置かれている。知っているんじゃなくて、理解して、そして値下げに善処していただきたいということを最後にお願いして、質問を終わらしていただきます。(拍手
  410. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 浜中参考人、簡単に、簡潔に願います。
  411. 浜中登

    参考人(浜中登君) ただいま先生のおっしゃられましたことにつきまして、要点だけかいつまんで御報告申し上げたいと思います。  第一問の、為替差金と申しますか、につきまして……。通関ベース等のことでございましたな。
  412. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 輸入価格とそれから購買価格との差でございます。
  413. 浜中登

    参考人(浜中登君) 失礼しました。これは実はデータをとる基礎がたいへん違っておるようでございます。先ほど書類でもって出せないかとおっしゃいましたので、ぜひひとつ明細を書類でお出しさしていただきたいと思います。
  414. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 え。
  415. 浜中登

    参考人(浜中登君) 書類でお出しさせていただきます。
  416. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 出してくださいますね。
  417. 浜中登

    参考人(浜中登君) はい。  それから、餓死をされたという酪農家の飼料が日配の飼料であったということにつきましては、どうも違っておるようでございます。
  418. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 北海食糧から入っているんです。
  419. 浜中登

    参考人(浜中登君) はい、ほかから入っております。
  420. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 おたくの飼料が北海食糧を通して入っておると。それはいいです。  それで値下げは。
  421. 浜中登

    参考人(浜中登君) 値下げにつきましては、値下げということばが少し誤解をしよるといけませんので、私といたしましてお答えできる範囲は、四月−六月になりまして為替の益金が出た場合には、これはお戻しいたす覚悟でございます。それ以上につきましては、今後の問題にさしていただきたいと思います。どうも失礼しました。
  422. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) この程度でお願いいたします。
  423. 松井剛

    参考人(松井剛君) 社名をお間違えになっておりますので、日本農産工業と申しますので、念のため。
  424. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) それでは終わります。時間がだいぶ経過しましたので。  野末君。
  425. 野末和彦

    野末和彦君 最近、畜産危機などといわれておりますけれども、私は、肉を食べるほうの立場から二、三お伺いしたいんです。  家畜が非常にこのごろ病気——変死したり病死したりするのが多いとか、あるいはちょっと奇病があるとか、いままでは考えられなかったような病気が発生しているとか、それから豚の場合なんか特に胃が悪いと、豚の胃かいようということがいわれておりますね。これ、農林省でも普通の豚の六五%以上が胃をやられているというようなことを認めているわけなんですが、こういう健康体でない牛とか豚が最近多くなってきた。で、これが原因がいろいろあるんでしょうが、われわれとしては、いわば欠陥豚だとか欠陥牛ですよね、これは。少なくとも健康体ではなくなっている。本来、それが人体に害があるとか何とかは言いませんけれども、健康体の家畜の肉を食べなければならぬですが、この原因について配合飼料ではないかという説がだいぶある。そこで、えさをつくっておられる日配、あるいはそれを生産者に流している全農の立場でもって、最近家畜が病弱化しているというような原因が配合飼料にあるという見方にどうお考えか、まずそれを。
  426. 浜中登

    参考人(浜中登君) ただいま先生の御質問でございますが、さような説が二、三年来出てまいっております。事実でございますが、これは配合飼料の結果ではないというような結論が、大多数の学界有識者の方々の御意見になっておるように存じております。私、実はその方面の専門家でないものでございますので、はっきりしたことを申し上げられませんけれども、どうも豚の飼育状況の変化に伴った、わら類と申しますか、そのようなものを食わなくなってきたからではないかというようなことをかすかに聞き及んでおります。これは、かすかでございまして、確実な御返事にはなりませんが、以上でございます。
  427. 野末和彦

    野末和彦君 そういう説もまたあるんですけれども、それでは配合飼料をおもに使っているような地域に、このいわゆる病弱化が目立つというようなデータもまた一部にあるわけですから、それについては、じゃ、どうお考えになりますか。
  428. 浜中登

    参考人(浜中登君) お答え申し上げます。  現在のところまででは確証があがっておりませんので、何とも御返事申し上げられません。もし御入用でございましたらば、私どもの中央研究所並びに同業各位の研究所の御意見もあわせまして、あるいはまた、国の御意見もあわせまして御報告してけっこうだと思っております。
  429. 野末和彦

    野末和彦君 今度は全農の立場でいいますと、そうすると、いまの、たとえば家畜がだめになって、自分のところの豚なんかだめになってくると、損をするのは生産者ですよね。その生産者がそれについてどういうことを訴えていますか。つまり、配合飼料だというところもあるんじゃないかと思うんです。それから、このままだったら、配合飼料ばっかりやってると不安じゃないかというところもあるんじゃないかと思うんです。全農の立場では、生産者の声をどういうふうに結論づけていらっしゃるか。
  430. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) 全農といたしましては、製品だけの問題じゃございませんで、生産にかかわる問題でございます。ただいまのようないろいろ意見が出てくるわけでございますけれども、これが実態的に濃厚飼料であるか、または濃厚飼料と自給飼料の割合に問題があるのか、そこらをまだ実態的には結論は出ておりません。しかし、最近豚を屠殺してみまして、胃かいようがたくさんあるというのは事実でございます。したがいまして、私は、個人の立場といたしまするならば、これはやはり濃厚飼料と自給飼料の併用あたりに問題があるんじゃなかろうか。濃厚飼料と、いわゆる稲わらとか雑草とか、ああいうものをやります生産豚の母豚は非常に健康でございますから、そこらあたりにいまから指導をやっぱりやっていかんならぬと。しかし、農家の立場にいたしますと、農家経営全体でそこらあたりを濃厚飼料をたくさんやったほうがいいのか。なかなか自給飼料というものは労力が要って、今度の豚価の問題にしても、自給飼料というものが大きく取り上げられましたが、こういう問題を考えてみなければならぬと、かように考えております。
  431. 野末和彦

    野末和彦君 まあ、えさの問題は非常にむずかしいわけですから、いまの農協の会長さんのお話はわかりますがね。それ以前の段階でもって、日配の社長さんは、まずその確証がないんで、病弱化したのは配合飼料じゃなくて、ほかのほうの原困だと、これが大体の結論だというようなお話でしたけども、しかし、やっぱりそれもまだはっきりしてないわけですよね、いま。現実はそうですね。で、食べるほうからいいますとね、何かいまのは、とにかくえさ代が高くなったからやむを得ないんですが、早く大きく育てることばっかりが目的になっていますよね。ですから、中身の薄い肥満児が出てきているわけでしょう。そういう家畜の肉が何か人工栄養で育てられているわけで、牛乳の場合なんかでも当然栄養価が低くなっている。もちろん、配合飼料のせいじゃないんだとおっしゃれば、もうこれは話になりませんけれども、いずれにしても、何か最近の病弱化した豚とか牛とか、不健康な体のそういう家畜の肉は、栄養価がかなり低くなっているんじゃないかという気を持つわけです。そこで、根本のえさをつくる、えさを供給する立場の飼料会社としては、それぞれ研究所もあるでしょうが、もう少しこの問題について研究をしなきゃだめなんじゃないか。あるいはそのデータをもう少し発表してもらわなきゃ困るんじゃないかと思うんです。なぜなら、あまり、実験段階を経て、これはだいじょうぶだというほどのものじゃないんですよね、えさは。ですから、農林省が規格をしているのだって、要するに、それほど害があるというところまで——絶対にだいじょうぶだという保証があって規格をつくっているわけじゃないでしょう。その辺で、どうも私の考えでは、ちょっと自分らに都合のいい結論に傾き過ぎている。家畜に配合飼料がいい影響を与えないという説があり、事実病気が最近ふえてきているということなれば、それは人間に結局影響するわけですから、もう少し、えさをつくって供給する企業としては、何かどうも、違うと言うだけではぼくは納得できないんで、いかがでしょうかね、企業モラルとして、この問題を今後当然第一に研究していかなきゃならないんだということを考えるんです。輸入する部分が高くなりますと、どうしても安くするためにほかのものをまぜるんじゃないか、化学飼料の部分をまぜるんじゃないかと、そう思いますので、これは非常に今後重要じゃないか。生産者にも直接影響があるし、やがては人体にも影響があるかもしれないし、その辺いかがでしょうか。
  432. 浜中登

    参考人(浜中登君) 先生のだんだんのお話をいただきまして、私どももその責任があるんだということを感じておる次第でございますが、現在のところでは、それ以上に、先ほど申し上げました以上に進んでおらないということでございまして、なお一そう鋭意研究いたしまして、的確な御返事ができるように努力いたしたいと思っております。  以上でございます。
  433. 野末和彦

    野末和彦君 その研究の結果ですけれども、結局それの主体は学者にまかせるのですか、それとも、政府のほうにまかせちゃうのですか、それとも、生産して供給する立場の義務だとお考えになりますか、全農では。
  434. 真崎今一郎

    参考人(真崎今一郎君) 畜産につきまして、生産から消費まで責任を持って指導いたしておりまする全農といたしましては、一貫してこれが解決には努力せにゃならぬ、かように考えております。
  435. 野末和彦

    野末和彦君 農産工の社長さんと、それから丸紅の社長さんにもお聞きしなかったので、ちょっとこの問題について御意見を伺いたいのですが、配合飼料というのはそんなに安心していいものかどうか。最近ふえている家畜の病弱化という問題について、これは全然原因が違うのだと割り切ってしまっていいものかどうか。
  436. 松井剛

    参考人(松井剛君) 御心配は非常にごもっともだと存じます。われわれは全分野をあげてこれについて十分検討してまいりたいと思っております。
  437. 白浜孝一

    参考人(白浜孝一君) 飼料の品質に関しましては、農林省が規格基準をきめておりまして、それに基づきましてつくっておりますので、飼料が病気の原因ではないと、私こう思っております。しかしながら、家畜の病気がふえておるといいますのは先生のおっしゃるとおりでございまして、これにつきましてはわれわれとしましても重大な関心を持っております。社員の中でも最優秀の人間をこれに充てまして、また、各工場で獣医を置きまして、臨床的な研究も進めております。今後ともこういう問題に対しまして積極的に取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
  438. 野末和彦

    野末和彦君 大体農林省とか厚生省とか、いろいろやっているようですけれども、まあちょっとその辺を当てにするようなのはまずいと思うのですよ。つまりあっちが、政府のほうではだいじょうぶだと言っているからということでなくて、何かこれからは企業のほうが中心になって研究する、検討するなら、その主体は企業になくちゃいけないという、何か積極的な姿勢がほしいというふうに考えるわけです。まあ、これは政府のほうが出てきてないわけですから、あまりお話しできませんけれども、ひとつこの配合飼料の問題、家畜の病弱化とかいう問題は、これからがいよいよ問題になるんじゃないかと思っていますので、よろしくその辺をひとつ検討していただきたいと思います。(拍手
  439. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 委員長より参考人各位に申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見を賜わり、ありがとうございました。委員長より厚くお礼を申し上げます。  これにて二日間にわたる物価問題についての集中審議は終了いたしました。  明四日から八日までの間四日間、分科会の審査を行ないます。  次回は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十六分散会