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1974-03-27 第72回国会 参議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十七日(水曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————    委員の異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      梶木 又三君     小山邦太郎君      堀本 宜実君     塩見 俊二君      野々山一三君     上田  哲君     茜ケ久保重光君     小柳  勇君      矢山 有作君     前川  旦君      内田 善利君     峯山 昭範君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鹿島 俊雄君     理 事                 片山 正英君                 嶋崎  均君                 西村 尚治君                 細川 護煕君                 吉武 恵市君                 小野  明君                 加瀬  完君                 矢追 秀彦君                 高山 恒雄君     委 員                 今泉 正二君                 小笠 公韶君                 大竹平八郎君                 川野辺 静君                 木村 睦男君                 熊谷太三郎君                 黒住 忠行君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 高橋 邦雄君                 竹内 藤男君                 玉置 和郎君                 内藤誉三郎君                 中村 禎二君                 中村 登美君                 原 文兵衛君                 米田 正文君                 上田  哲君                 神沢  浄君                 辻  一彦君                 戸叶  武君                 羽生 三七君                 前川  旦君                 宮之原貞光君                 矢山 有作君                 沢田  実君                 峯山 昭範君                 中沢伊登子君                 須藤 五郎君                 野末 和彦君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君        外 務 大 臣  大平 正芳君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  奥野 誠亮君        厚生大臣臨時代        理        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        通商産業大臣   中曽根康弘君        運 輸 大 臣  徳永 正利君        労 働 大 臣  長谷川 峻君        建 設 大 臣  亀岡 高夫君        自 治 大 臣  町村 金五君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 二階堂 進君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       保利  茂君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君      政府委員        内閣法制局長官  吉國 一郎君        内閣法制局第一        部長       角田礼次郎君        公正取引委員会        委員長      高橋 俊英君        行政管理庁行政        監察局長     大田 宗利君        防衛庁参事官   長坂  強君        防衛施設庁長官  田代 一正君        防衛施設庁総務        部長       安斉 正邦君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        経済企画庁長官        官房参事官    有松  晃君        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        環境庁自然保護        局長       江間 時彦君        外務省経済局長  宮崎 弘道君        外務省条約局長  松永 信雄君        外務省条約局外        務参事官     伊達 宗起君        大蔵省主計局長  橋口  收君        大蔵省関税局長  大蔵 公雄君        大蔵省理財局長  竹内 道雄君        大蔵省理財局次        長        井上 幸夫君        文部省体育局長  澁谷 敬三君        文部省管理局長  安嶋  彌君        厚生省環境衛生        局長       石丸 隆治君        厚生省薬務局長  松下 廉蔵君        厚生省児童家庭        局長       翁 久次郎君        農林省農蚕園芸        局長       松元 威雄君        農林省畜産局長  澤邊  守君        農林省食品流通        局長       池田 正範君        食糧庁長官    三善 信二君        林野庁長官    福田 省一君        通商産業省産業        政策局長     小松勇五郎君        通商産業省基礎        産業局長     飯塚 史郎君        通商産業省機械        情報産業局長   齋藤 太一君        通商産業省生活        産業局長     橋本 利一君        資源エネルギー        庁石油部長    熊谷 善二君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岸田 文武君        中小企業庁指導        部長       栗林 隆一君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省自動車局        長        中村 大造君        運輸省航空局長  寺井 久美君        運輸省航空局技        術部長      中曽  敬君        労働省労働基準        局長       渡邊 健二君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  松村 賢吉君        自治省行政局長  林  忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        厚生省社会局保        護課長      山崎  卓君        運輸省自動車局        整備部長     田村 健次君        運輸省自動車局        整備部公害防止        課長       北川  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十九年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度政府関係機関予算内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算  昭和四十九年度特別会計予算  昭和四十九年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、矢山君の質疑を行ないます。矢山君。
  3. 矢山有作

    矢山有作君 私は、主として社会保障関係の問題で、二、三お伺いしたいと思います。  まず、四十八年度は福祉元年と言われて、四十九年度予算編成も、物価対策のために総需要抑制に全力をあげる中で福祉優先政策を徹底することとしたとおっしゃって、福祉優先ということが強調されておるんでありますが、その実態はどうかということで、社会保障施策について私も現場等にも出向いていろいろ検討してみましたが、ことばに反して、その貧弱さに驚いたところであります。問題はきわめて複雑多岐にわたっておりますが、それらのすべてに触れることは時間的に困難でありますので、二つ三つの問題について取り上げまして、福祉優先ことばの空虚さを明らかにし、真の福祉実現への反省を求めたいと思います。  そこで、まず第一にお伺いいたしますが、生活扶助基準は何を根拠として算出されておりますか。
  4. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 抽象的に申しますと、憲法第二十五条の、健康で文化的な最低限の生活を国が保障するということを目標にしながら、財政の事情とか、あるいはまた一般勤労者最低所得実情に近づけるというようなことを目標にしながら私は進むべきものだと考えております。
  5. 矢山有作

    矢山有作君 いや、私のお聞きしているのは、生活扶助基準現実の積算の基礎は何かということを聞いているわけです。
  6. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 政府委員から……。
  7. 山崎卓

    説明員山崎卓君) お答え申し上げます。  生活扶助基準につきましては、ただいま大臣のほうからお答え申し上げましたとおり、一般国民消費水準動向というようなことを念頭におきまして、それとのある距離をおいたところに最低基準を持っていきたい、こういう考え方で進んできておりまして、具体的に申しますると、今年度二〇%という引き上げをいたしたわけでございますが、そのもとになりましたものは、政府経済見通しにおきます個人消費支出というようなもの、それを基礎におきまして、そのほか、物価動向とか、そういうようなものも勘案しつつ、きめておる次第でございます。
  8. 矢山有作

    矢山有作君 いや、私の聞いておるのは、上げ幅の問題だとか、物価動向だとか、個人消費支出伸びだとか、そんなことじゃないんです。そういうものを勘案して算定してくる元の数字は何なんだと聞いておるわけですよ。二〇%を掛けただけでは、あなた、数字は出てきやせぬだろう。
  9. 山崎卓

    説明員山崎卓君) 最低生活基準につきましては、かつてマーケットバスケットというようなことで、個々の品目を積み上げまして計算した時期もございますし、その後、エンゲル係数を使いまして算定していくという時期もあったわけでございますけれども昭和四十年以降は、先ほど申しましたとおり、一般国民消費水準というようなことを念頭におきまして、それとのある距離を隔てたところに最低生活基準を置いていくというような考え方から、個々上げ幅並びに具体的数値を決定しておるわけでございまして、したがいまして、個々の物品を積み上げて算定していくというような考え方はとっておらないところでございます。
  10. 矢山有作

    矢山有作君 いやいや、ぼくの聞いておるのは、それだけじゃ出てこぬでしょう。たとえば、三十九年なら三十九年にエンゲル方式で出した、そのときの数字もとにして、その後の物価動向なり個人消費支出伸びなりを勘案しながらパーセンテージを掛けてきたと、こういうのかどうか。もと数字がなければ何にもやれぬでしょう。それを聞いておるわけだよ。
  11. 山崎卓

    説明員山崎卓君) お答え申し上げます。  具体的には三十九年の数字のときからというふうに記憶しておりますけれども、年々それをもとにしまして上げ幅を乗じてきております。ことしは二〇%でございますが、たとえば昨年は一四%、その前も一四%、四十五年以降は一四%というふうに続いておるというふうに記憶しております。
  12. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、要するに、厚生省の記憶は確かでないが、いずれにしても、三十九年度ごろのエンゲル方式で算出したその数字基礎にして、その後の状況上げ幅を掛けて出してきておる、こういうことで確認してよろしいね。
  13. 山崎卓

    説明員山崎卓君) そういうことでございます。
  14. 矢山有作

    矢山有作君 格差縮小方式をいまとっておるというのが厚生省の主張でありますが、その際、一般世帯生活費に対する被保護世帯生活費の比、これはどのくらいを目途としておりますか。
  15. 山崎卓

    説明員山崎卓君) 一般世帯に対しまする保護水準の比というもの、保護世帯の諸支出水準というものは、三十五年ごろを見ますと三八尾でありましたが、最近は、東京勤労世帯等をとりますると五二・二%ぐらいまで来ております。この辺の水準をどの辺に持っていくかということの御質問でございますけれども、これにつきましては、国全体の経済あるいは国民消費動向等々を念頭におきましてそのつど決定をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  16. 矢山有作

    矢山有作君 だから、もっと具体的に言ってくれなければだめだよ。そういう抽象的な答えじゃないのだ、私の聞いておるのは具体的に聞いておるのだから。大体格差縮小方式をとっておるというが、一体現在の一般世帯に対する比率はどのくらい考えておるのかと言っているのだから。将来のことはいい。現在どのくらい考えているのか。現在の目標としては、一定の目標を持ってやっているでしょう。八〇%にも九〇%にも持っていくのか。それを聞いているんだ。
  17. 山崎卓

    説明員山崎卓君) 昭和四十七年度におきます水準をとってみますと、被保護世帯東京勤労世帯におきます比率に対しまして五二・二%というような数字でございますが、この五二・二%をさらに、飲食物費とか被服費とか、それらに分解して考えてみますと、飲食物費等に一おきましては、第二五分位、収入階層別に見ました第二五分位以下の家庭飲食物費等と比べましてもさほど差がないというような実情に出ておる状況等から見まして、保護基準相当のところまで来ているというふうに——相当のところと申しまするか、現時点においては適当なところに来ているのじゃないだろうか、かように考えております。
  18. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、現在の五二・二%程度が適当なところに来ておると、こういうお考えですか。
  19. 山崎卓

    説明員山崎卓君) 国民生活が逐次生活の内容も非常に高度化し多様化してまいっております。年々進んでおりまするので、そうしたものとの均衡というものを常に考えながら考えて最低生活線をきめてまいりたい、かように考えておる次第でございますので、五二・二%がずっと固定されればいいというふうに考えているわけではございません。
  20. 矢山有作

    矢山有作君 何だ、これは。この答弁じゃだめじゃないか。だから、どのくらいを考えておるんだと言っているんですよ、現在。こちらは立っておらぬよ、時間のむだだから。
  21. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これは矢山さんに対するお答えそのものになるかどうかわかりませんけれども、現在、私の手元にある数字によりますと、全国の一般勤労者世帯月当たり収入を、御承知の下のほうから第一十分位とか、あるいはまた第一五分位とかいうふうにとってみますると、昭和四十八年度の被保護勤労世帯の一人当たり所得は、一般勤労世帯。うち第一五分位の所得に対しましては八二・五%になっており、それから第一十分位、一番低いほうの一割の方々一般勤労世帯方々に対しましては八三・五%になっておるという数字がございます。これは、これがこれでいいのか、あるいは八五%、九〇%がいいのかということにつきましては、やはり国民的な意識の上昇というものと関連をいたすものでありますけれども、私ども厚生省といたしまして、かような稼働能力のない人を保護するという立場に立ちますときには、一般勤労世帯最低のものとあまり格差がないところに持っていくということがこの生活保護政策目標でなければならないと私は考えます。
  22. 矢山有作

    矢山有作君 まあ、はっきりした意見が聞けないわけですがね。要するに、第一五分位の八三・五%ぐらいに来ておるから、まあまあこの程度のところじゃないかとおっしゃるが、第一五分位というと、これはまさに生活困窮世帯ですよ。それの八三・五%程度水準であるから生活保護基準が適当なところに来ておるという考え方そのもの一つは問題。そのことを指摘しておきます。  次に、生活保護開始のときの理由は、どういう状況開始されておりますか。
  23. 山崎卓

    説明員山崎卓君) 統計をとってみますと、傷病によります生活保護開始が一番多うございまして、約七割を占めておると思います。
  24. 矢山有作

    矢山有作君 もっと詳しくわかっているでしょう。私でも調べて知っているのに、専門家が知らぬことはないじゃないか。事務当局はよく知っているだろうけれども大臣方はそこまで御存じないだろうと思うから、ここで事務当局説明さして、はっきりさしておいたほうがいいと思って聞いているんだから、私が調べたようなことを事務当局が言えないなんてばかな話があるかい。
  25. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) ただいま矢山さんのお尋ねのありました一つについて、これも私が持っておる数字についてお答えをいたしますと、一般勤労世帯、つまり低所得勤労世帯所得に対比する被保護世帯の割合というものは年々近づいてきております。昭和四十七年におきましては、先ほど申し上げました四十八年をとりましても——これは四月から十月までの平均で計算をいたしました。八三・五%であったものに対しまして、八二・三%でございまして、これは四十七年であります。でありますから、わずかではありますけれども……
  26. 矢山有作

    矢山有作君 それはいま聞いているのとは違うんだ。事務当局のほうがよく知っている。
  27. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 委員長から注意します。不分明の説明をよく整理して答えてください。
  28. 山崎卓

    説明員山崎卓君) 傷病によります開始が七七%でございます。それから稼働収入の減少によりますものが五・九%。その他によりますものが一七・〇%。これは四十七年度の数字でございます。
  29. 矢山有作

    矢山有作君 お聞きのように、生活保護開始の中では傷病によるものが圧倒的な多数を占めております。次に、高齢者世帯母子世帯で被保護世帯になっておるものの比率はどうなっていますか。
  30. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 進行のために、私が前官礼遇でお答え申し上げますと、私が承知いたしております限りにおきましては、被保護世帯というものは、近年、昔の事情と非常に変わってまいりまして、健康で働き盛りだけれども生活ができないというパーセンテージがぐうっと落ちまして、身体障害でありますとか、あるいは高齢のために被保護世帯におちいっているというケースがずうっとふえてきておりますので、私ども生活保護政策に関する考え方というものも、そのことを基礎において私は政策を進めるべきであると、私がかつて厚生大臣時代には、そういうことで進めてまいりました。
  31. 矢山有作

    矢山有作君 事務当局は何しに来ているんだ、事務当局は。そこへ来てただ並んでいるだけじゃしょうがないよ。
  32. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ちょっと政府委員に注意いたします。  不分明な点につきましては十分に検討を加え、その上で答弁をしてください。質問によく焦点を合わせて。
  33. 山崎卓

    説明員山崎卓君) はい。  保護世帯の中におきます高齢者世帯……
  34. 矢山有作

    矢山有作君 違う、違う。高齢者世帯なり母子世帯で被保護世帯になっておるものはどの程度になっておるのかと言っている。
  35. 山崎卓

    説明員山崎卓君) 高齢者世帯保護世帯数は私ども把握しておりますけれども、全体におきまするパーセンテージは、ちょっと、いま手元数字の持ち合わせがございませんので、さっそく、後刻調べまして御返事いたしたいと思います。
  36. 矢山有作

    矢山有作君 高齢者世帯母子世帯は、これは、ほとんど圧倒的な多数が生活保護世帯になっているはずです。数字はそちらから知らしてください。  次に、政府生活扶助基準を大幅に引き上げたと主張しておられます。ところが、ここ数年の物価上昇率に対する扶助基準上昇率を比較してみますと、これは必ずしも大きく上がっておるとは言えない。私はそういうふうに考えておるわけです。たとえば、物価上昇状態生活扶助基準上昇、これを比べて差し引きしてみると、四十五年には、まあ改善された分と言ったらいいんですか、それが九・二%、四十六年に八・五、四十七年に八・七、四十八年に八・五、四十八年の十月——四十八年は、最初申しましたのは四十八年四月、これが八・五、四十八年の十月、これは、例の五%生活扶助がアップされました、そのときの状態で言うと、消費者物価上昇もありますので五%。それから四十九年の四月一日では五・三%しか改善されたと見られるものはない。こういう状態ですが、いかがですか。
  37. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) そのとおりだろうと私は思います。
  38. 矢山有作

    矢山有作君 まさにそのとおりということで、生活保護基準は大幅に上げて被保護世帯生活は大いに改善されたとおっしゃったが、そうでないということをいま大臣はお認めになった。それを頭に入れておいていただきたいと思います。  次にお伺いします。  消費者物価について、政府は、ことしの経済目通しで九・六%とはわれております。ところが、国民経済研究会調査あるいは野村総合研究所、日興リサーチセンター、大和証券、山一証券等調査で見ますと、はるかにこれよりも消費者物価見通しは高いという数字を算出しております。さらに、個人消費支出伸びで見ましても、政府け一七%と考えておるようでありますが、先ほど申し上げました権威ある研究機関数字すべてれより大幅に上回っておりますが、この点の御所見を伺いたい。
  39. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) ことしというわけではございません。来年から始まる昭和四十九年度の消費者物価ということであろうと思いますが、これはいまお述べになりましたように九・六%の上昇を見込んでおるわけであります。民間の御指摘になりましたような研究機関におきましては、これも御指摘のように、より高い見積もりをなさっておるところもあるようでございますが、私どもが本年一月いろいろな要素を総合いたしましてこの物価上昇見込み等をつくります場合には、必ずしも経済企画庁の官僚だけが集まったわけではございませんので、経済審議会その他民間エコノミスト等の見解をも十分参照をいたしながらつくったものでございまして、私は四十八年度の物価上昇が非常に著しかっただけに、それに比べる四十九年度の物価上昇というものは、これは絶対金額は上がるんでございましょうけれども比率にいたしますと、いま述べましたような九・六というような数字の前後でおさまることを期待をいたしますし、またそれを目標として経済政策を集中するような努力をぜひ続けなければならない。物価政策政府の最大の課題と、こういうことの努力を続けるつもりでございます。
  40. 矢山有作

    矢山有作君 この議論はあなたのほうと幾らやっても、四十九年度経済見通しについて、あなた方のほうは、おれらのほうが低過ぎるんだということはおっしゃらぬだろうと思う。しかしながら、現実民間の四十九年度の経済見通しによる消費者物価上昇なり個人消費支出上昇政府見通しよりもはるかに高いということは事実です。しかも御案内のように石油製品値上げが行なわれた。さらに電力料金の六〇%以上の値上げも近いうちに行なわれるようであります。これらに伴ってさらにその他の公共料金値上げはされるでありましょう。秋には消費者米価なり国鉄運賃値上げも予定されておるところであります。そしてしかも政府は、一方では物価の上がらないようにいろいろな目張りをしたとおっしゃっておるけれども、伝えられるところによれば、その目張りもおそらく参議院選挙までで、それが済んでしまえば一ぺんに目張りが破れてどんと上がるだろう、こういわれております。私どもはそう思っております。そういうようなきびしい状態を前提におきながら私は生活保護の問題というものを皆さんに真剣に御検討いただきたいのであります。  そこで、お伺いしたいのは、憲法二十五条と生活保護との関係をどういうふうに理解しておられるかということであります。
  41. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私は、憲法は厳粛なものでありまして、政府の施策というものも憲法の理想を目標として進むべきものであると考えますので、そもそも生活保護制度の発端なり運営というものは、やはりそういうところから発生をし、またそういう目標で運営をすべきものであると考えますので、物価論争はここでいたしませんけれども消費者物価が上がったりなんかいたしますと、そのことによって被保護世帯生活がますます苦しくなることがないように、先ほどの議論にもありましたように一般国民生活消費水準にでき得る限り近づけるということは憲法の精神であろう。また、われわれの行政の目標として達成をしたいところであると考えます。
  42. 矢山有作

    矢山有作君 この憲法二十五条を受けて、生活保護法の第三条にも「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。」と、こうなっておるわけです。そうすると、「健康で文化的な生活水準」といわれるものが第一五分位階層の八二%の生活水準でよいとか、あるいは一般勤労世帯の五二・五%の生活水準であるなら「健康で文化的な生活水準」が維持できるんだというその説明が私どもには理解できない。一体どういうところからそういう発想が出てくるのか承りたい。しかも福祉重点がいわれているときであります。
  43. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これは所属政党は違いますけれども矢山さんのお話をだんだん承っておりますと、私なんかの考えるところとそんなに離れておりません。私はさっきここに立ちまして、生活保護目標というものは一般国民消費水準にだんだん近づけていくことがわれわれの行政努力目標であり精神であるということも申しておるところでありまして、決して八三・五%をもってそれで憲法の目標あるいは生活保護法第三条の目標が達成されてよしとするものではない。ただ、財政の事情がございますし、また国民負担の問題等がございますので、一挙にそれらのものが達せられませんので、私どもといたしましては、この社会福祉に対するあるいは社会保障に対する国民の理念、意識の高まりを起こしながら漸次その理念を実現していきたいと、こういうことでおります。
  44. 矢山有作

    矢山有作君 おかしいじゃありませんか。あなたの言うことは、理念としてそう考えておるとおっしゃっても、あなた、たったいま、四十九年二〇%の大幅な生活扶助基準を引き上げたんだと言っているけれども物価に合わしてみたらここ数年来一番落ち込んでいるということをいま認めたばかりですよ。それを認めておいて、物価上昇のときに二〇%アップをしても、なおかつその改善は従来よりももっと低いところへ落ち込んでいるのだということを認めておいて、理念として健康で文化的な水準に近づけるように努力しているということがどこで言えるのですか。
  45. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 議論をいたしたり反論をいたす趣旨ではございませんけれども矢山さんが先ほど提示をされました各年の物価上昇生活扶助基準上昇の幅が狭まって最近来ておるということについては、私はそういうことを認めました。しかし、その幅は決して物価上昇を食い込むようなことになってはならないということを考えておるわけでございまして、明年度に……。
  46. 矢山有作

    矢山有作君 何の幅が狭まっているのですか。
  47. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 物価上昇によって、生活保護基準が引き上げられたその幅をだんだん食い込まれて……。
  48. 矢山有作

    矢山有作君 つまり、その幅は改善分ですね。
  49. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) そう、幅はつまり……。
  50. 矢山有作

    矢山有作君 改善分は落ちているということなんですか。
  51. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) いや、物価上昇に対しまして、さらにそれに食い込まれないような生活扶助基準をきめておる。それを乗り越えるその幅は、おっしゃるように最近狭まっていた。これは物価がああいう思わざる事態もあったことがございましょうけれども、しかし、それは物価で食い込ませるようなことは私はしたくないと、こういう考えでございます。
  52. 矢山有作

    矢山有作君 何か物価に、物価より非常に下回ったらたいへんですよ。あのね大臣、あなた、誤解しているんじゃないの、私の言っているのはね……。
  53. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 矢山君ちょっと……。
  54. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと待ってください。向こうが理解できておらぬ。生活扶助基準を引き上げたと、これだけに上げた。ところが物価はこう上がっている。この差は水準改善分だと、こう言っているわけです。ところが、これがいままでは八%程度水準改善ができておったというわけだ。ところが、今度は物価上昇が激しいものだから、その水準改善分の幅がむしろ狭まっておると、水準改善分が落ちておる。つまりいまの物価高の中で、生活保護世帯生活基準というのはむしろ非常な圧迫を受けているのだということを言っているのですよ。それをあなた認めたわけなんだ。それじゃ話にならぬじゃないかと。理念として「健康で文化的な生活水準」維持だと言っているのに、理念として言われたってだめというのだ、現実がだめなんだから。それを言っているわけですよ。わかりますか。
  55. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 矢山さんのおっしゃること、私よくわかるんですよ。よくわかるんです、その限りにおいては。しかし、それは今日の物価上昇と、それから国民の、生活保護世帯ばかりでなしに、一般生活水準生活支出というものも、それはあなたが御指摘なされると同じようなかっこうにあるわけだろうと私は想像いたします。ですから、その物価から追いかけられてはおりながら、生活扶助基準というものはその追いかけを逃げて、そうして一般の勤労生活者の全体標準とは言いませんけれども、第一五分位なりに少しでも追いつくような努力を続けていると、こういうことを申し上げておるのでありますから、そのことも御理解をいただきたい。いまこれ、議論をしないで、よく話はわかりました。
  56. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。  かみ合わないのは、結局何%か社会保障費が上がったということを否定しているわけではない。しかし、その上げ方は、量はふえたということはわかるけれども、質を変えてはおらない。むしろ質は構成比を比較をしても落ちている。昨年の予算と来年度の予算と比べるとはるかに落ちている。そういうことでは大臣が御説明するような内容にはなっておらないんじゃないか。こういう点を矢山委員指摘をしておるわけですよ。  で、もう一つ私のほうで加えて伺いたいと思いますのは、憲法からいっても、いま言った生活保護法からいっても、一体最低生活基準というものは何だと、これが明確でありませんと、自然現象的に起こった五分段階の最低をとって、これは生活困窮者ですよね、生活困窮者、インフレになればさらに生活が困窮する、ほんとうはこれは救済の対象になるべきものですね。それを基準として、それの何%ということでは、これは憲法からいっても、生活保護法からいっても、最低生活を維持させるという条件にはならないじゃないかと。これをいわゆる質を変えない限りはどうにもならないと思うけれども、質を変えるような政策にはなっておらないじゃないか、むしろ悪くなっておるんじゃないかと、この点も質問をしている点でございますので、あわせて御解明をいただきます。
  57. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 加瀬さんからの重ねての御意見、私はよくわかっております。よくわかっておるわけでございまして、生活扶助基準というものは、物価水準上昇にそれが追い越されるなんていうことはとんでもないことで、もちろん考えませんが、物価水準は遠慮なく追いかけてきますので、矢山さんが御指摘になったような、最近のその幅がだんだん狭まってきたということはそのまま私はすなおに認めるわけでありますけれども、しかし、一般勤労世帯がやはり物価水準上昇によって追いかけられている幅よりもこの生活扶助の場合のほうを少しでもよくするということで、それが先ほども数字を申し上げましたが、昭和四十七年度の一般勤労世帯生活水準の低いランクに属するものに対する割合というものは幾らかながら上がっておる。しかし、その上がり方をもって足れりとしない。それを私は終着目標とするものではございませんので、ここでいま何十%ということを私は申しませんけれども、社会福祉、社会保障に対する国民の意識が高まっており、政府もそのことを特に強調をしておる政府でございますので、お二人の御意見、十分私は胸に刻みまして、今後の政策目標として対処をいたしてまいりたいと、こういうことでございます。  これはまあ毎日私が申して恐縮でありますけれども、大蔵大臣もおられますので聞いておられる。私が厚生大臣のときは、実はこれを一三%から一四%に上げるのに、その扶助基準の増加を、非常に苦労いたしましたが、昨年は一四%であり、それに五%乗っけて、途中からですが一九%に上がってきているということもいま私が申し述べましたことの一端を示すものではないかと思います。来年はそれをまた二〇にする、これについていろいろ御批判はあろうと思いますけれども、そういうこともよく心得た上でやりたいと思います。
  58. 加瀬完

    ○加瀬完君 矢山委員は上がっておらないと指摘しているんですよ。大臣数字の上で上がっておるという点をおっしゃっていらっしゃるだろうと思いますけれども数字の上では上がっておっても、質は、内容的には落ちていると。だから、上がっている上がっているとおっしゃるけれども、実質は上がっておらないんだという点を指摘しているわけですよ。そこで、矢山委員数字をいろいろお持ちでございますが、時間の関係で数字を示せないようでございますが、一般勤労者世帯最低限度というものを押えてみても、それ自体がこのようなインフレ下ではもうこれは欠陥世帯ですね、この欠陥世帯を上げなきゃならないのは当然これは政府としての義務もあるわけです。したがいまして、それは基準にならないじゃないかと、そういうすでに欠陥のある家庭というものの何%ということになりますから、ますますそれはずり落ちてしまって上がったことにならないと、こういう点も指摘しておるわけですよ。  それからもう一つ私は指摘したいと思いますのは、積み上げ方式でだんだん上げているわけですね。昭和三十何年度ですか、それを基準にして、それに一〇%上げ、二〇%上げてやっているわけですけれども、その基準にした基礎数字というものがはなはだ不確実だと思う。ほんとうに最低生活を維持するに足るような内容や条件というものを具備して基礎数字が固められたわけじゃないですから。こういうときになったらもう一回洗い直して、この基礎数字最低生活を保障する限度になっておるかどうかということを確かめて、私は確実なこれだけならば最低生活を維持するに足る条件と内容を持っているというものをはじき出さなければならないと思うんですよ。不確実なものに積み上げていっても、それは確実な憲法なり生活保護法なりの内容をなすものにはならない、こういう点の研究が私はもう一度努力さるべき問題じゃないかと思うんです。くどいようですけれども大臣のおっしゃるように生活保護費等が上がっても、内容的には下がったことになっているんだと、この事実を認めて改善を考えなければ生活保護対策は不完全なままに見過ごされる、こういう点を質問者は指摘しているわけですから、それに対してお答えをいただきます。
  59. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) たいへん議論になりますので、要は矢山さん並びに加瀬さんその他、この生活扶助基準の議論は私どももしばしば聞かされております。また、現に厚生省が毎年の予算で大蔵省と予算折衝をいたします場合に、最初に始まり、最後に大臣折衝で引き受けますものもこの生活扶助基準でございまして、それほど厚生省はこれを厚生政策の出発点であり、また一つ目標であると思って重視をいたしておるものでございますので、私はまあここでこれ以上反論をいたすつもりはございません。また、事実おっしゃるお気持ちもよくわかりましたので、私はまあ臨時の厚生大臣といえども閣僚の一人でございますし、社会福祉の向上を非常に重要だと考えておる政府の甘貝でもございますので、なお大蔵大臣、齋藤厚生大臣を激励をしてまいりたいと考えます。
  60. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、時間をとるからやるまいと思ったんですけれども、一応御参考に申し上げます。  四十五年の四月に生活扶助基準のアップ率は一四%、その年度の消費者物価の実績は四・八%のアップです。そうするとその差し引き九・二%、つまり一四%扶助基準を上げたと、物価は四・八%上がった、九・二%改善されているわけですね、この差を見ると。ぼくはこれを水準改善分九・二%と、こう言っているわけです。ところが、四十六年の四月で見ると一四%生活扶助基準をアップした、物価は五・五%上がった、消費者物価です、差し引き八・五%の水準改善が行なわれた。こういうふうに見ていって、四十八年の十月一日に五%またかさ上げされて、当初に一四%やっておりましたから一九%の改善をやったと、ところが、その当時の消費者物価上昇の見込みが二四%と発表されておりました。そこで差し引きずると五%の水準改善しかなされてない。ところが、四十九年の四月一日に二〇%アップされた、補正のときの数字からいうなら実質は一四・九%の改善にしかすぎない。それに対して政府見通しでも九・六%の消費者物価上昇を見ているんだから水準改善は五・三%しかないんじゃないか。したがって、大幅にアップしたとおっしゃるけれども、実際には大幅にアップされたことによって改善はされてないと、このことを言っているわけです。  そこで、私が申し上げたいのは、これは大蔵大臣にもお聞きしたい。そういう状態です。先ほどお話があったように、生活扶助基準算定の基礎数字が三十九年ごろの数字であろうと、エンゲル方式で出したというぐらいな答弁しかできないような根拠薄弱なもの、それをもとにして扶助率を上げてきても、その上げ方というものは、いま指摘したとおりに物価上昇に比べるときわめて不十分なものである。しかもその結果が今日一般勤労世帯に比べて五二・五%の水準である、第一五分位と称せられるまさに生活困窮世帯に比べても八三・五%しか保障されてない、こういうようなことが福祉だと言えるのかということなんです。  あなたは本会議の演説でこうおっしゃっている。「国民の求めるもので解決できない問題は何一つないと思います。なぜならば、われわれは、これに対する手段、すなわち、問題を解決するに足る経済力、財政力を」いまや「持つに至ったから」であると、こうおっしゃっている。生活扶助基準を引き上げてわれわれの生活を改善してもらいたいというのは、これはたいへんな国民の熱望です。それで、私のいま言ったようなことをお考えになって、大蔵大臣は一体どうお考えになるのか。そして厚生大臣は、先ほど加瀬委員から指摘されたように、生活扶助基準の全面的な洗い直しをしてみる意思があるかないか、これを伺いたい。
  61. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 生活保護ということは、社会保障政策のほんとの中心の柱の一つでございます。そういうことで、大蔵大臣といたしましても、この生活扶助基準をどうするか、これは深い関心事であるわけなんです。さっき内田厚生大臣は、さらに大蔵大臣を鞭撻すると、こういうことを言われておりますが、昭和四十九年度の予算は、これは総需要抑制というので御承知のとおり非常な圧縮予算になったわけでありますが、しかし、この公共事業なんかを押えるにしても、社会保障費、特に社会保障対象者に対する配慮、これは十分にしなければならぬというので、生活保護につきましてはこれを二〇%に引き上げてある。この二〇%引き上げというのは、これは一般物価の動き、またこの一般家庭消費水準の動き、そういうものを見て、まあとにかく九・六%という消費者物価上昇に誤りなければ、かなりこれは充実した内容のものになるであろうと、こういうことを考え、二〇%というものをきめたんです。  この二〇%というのは、これは毎年毎年この生活扶助基準をめぐりまして政治折衝が大臣間で行なわれる。ところが、ことしは、昭和四十九年度の予算の編成にあたっては、大蔵省が二〇%と出しまして、まあびっくりしたかどうかは私もその顔色は見ておりませんけれども、とにかく厚生省はたいへんありがとうございましたということで、何のむずかしい問題もなく決着を見たわけなんです。これは当初の大蔵省の査定案です、当初の。それで二〇%増と、こういうふうに打ち出したわけであります。そういう気持ちでおりますので、今後もこの問題につきましては大蔵省も重大な関心を持ってまいる、ひとつさように御了承願います。
  62. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 計数の問題でございますので、ちょっと簡単に御説明を申し上げたいと思いますが、四十九年度の東京の標準世帯は、御承知のように六万六百九十円ということになっております。先ほど先生がおっしゃいました補正後に対しましては約一五%の伸びでございますが、四十八年度の平均をとりますと五万一千六百八十五円ということになります。つまり当初と補正後と平均をして計算をいたしますと五万一千六百八十五円となります。それに対する六万六百九十円の伸びは一七・四%となっております。それから先ほどお話がございました消費支出でございますが、これは一七%でございますが、人口増加がございますので、一人当たりに換算をいたしますと一五・六%でございます。そういう意味におきまして、四十九年度の二〇%の内容は一人当たり一五・六%を約二%上回ると、こういう計算になっております。
  63. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) お説のとおり、生活扶助基準の計算というものを物価動向などを見ながら毎年何%か積み上げていくという、そういうやり方ばかり続けていけばいいというものではない面があろうと思いますので、政府のいろいろな、たとえば総理府の家計調査数字等もあるはずでございますので、そういうものを縦横分析をいたしまして、扶助基準の進め方については十分検証をいたして、合理的な進め方をいたしてまいるように私からも厚生省に申しつけたいと思います。
  64. 矢山有作

    矢山有作君 まあ、主計局長との数字のやりとりは、これはあなたのほうは十月にアップされたのを年間にならして言うだけの話だから、ぼくはならしてないんだから、そんなこまかい数字のやりとりはいいです、これは。私の指摘したのも事実なんだから。  そこで、いま大蔵大臣の御答弁を聞いておると、大体厚生省がたるんでおるということがわかったわけですよ。二〇%アップしてもらって、厚生省のほうが御の字だと言う。何の一体、厚生省国民生活の実態をどうとらえているかということですよ。生活保護世帯の実態をどうとらえているかということです。まさにいまの生活扶助基準の低さは、すべてかかって厚生省にこれは全責任があるよ、いまの大蔵大臣答弁では。厚生省はもっとしゃんとしなければだめですよ、これ。  四十六年に中央社会福祉審議会から「国民生活の変化等に対応した生活保護制度のあり方について」という答申がある。四十六年ですよ。そのときにすでにこの答申でこういう指摘がある。「この数年間消費者物価の著しい上昇等のため被保護世帯生活内容はむしろ停滞しているものとみられる。すなわち、被保護世帯生活実態調査によれば、この一両年、格差は拡大の徴候が見受けられるだけでなく、消費内容をみても、社会生活維持のための支出をきりつめ、食費にあてている傾向がうかがわれ、消費者物価の高騰を考慮すれば栄養面に影響を与えているという見方もできる」。四十六年のときですらこういう指摘なんです。まさにいまのこの気違いじみた物価上昇の中で、これは生活保護世帯というのはたいへんですよ、これは。したがって、早急にいまの物価上昇から見て私は生活扶助基準は修正しなければならぬと思う、アップしていかなければならぬと思う。この考え方を聞きたい。
  65. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 四十六年の審議会の答申のことも私の記憶に残っておるわけであります。厚生省も社会保障を重視しなければならない官庁でございますので、ますますその方面に政策の重点を向けさせるように私も協力をいたしてまいります。しかし、いませっかく昭和四十九年度の生活扶助基準の引き上げを含みます予算の審議中でございますので、ここで予算修正をするということはもちろんできませんが、私は先般来申し上げます社会福祉、社会保障重視の考え方政策というものを、今年度を通じまして、いろいろなその施策の中でも一歩一歩近づけるように努力をいたしたいと考えます。
  66. 矢山有作

    矢山有作君 大蔵大臣にもこれはお聞きしたいのですがね。二〇%扶助基準をアップしたといっても、すでに消費者物価は二月の段階で二四%の値上がりでしょう。しかも今後も、大体政府はそんなことはないと言っておるけれども、たいへんな消費者物価は上がるだろうという見込みが大方なんですよ。そうすれば、いまずっと議論してきたように、いまの生活扶助基準は非常に低いわけですからね。あなたは、厚生省からはことしは四十九年度予算編成のときには感謝されたにしても、その感謝された中身が問題なんでね、これは感謝するに当たらぬ。これは厚生省が感謝しておるだけで、被保護世帯は感謝していないのですよ。これはどうにもならぬと、こう言っているわけですから。したがって、四十九年度予算で、いま予算審議の最中にこの予算をどうしなさいというのでなしに、いまのこの消費者物価上昇の傾向から見たら、たとえば五月なら五月にでも緊急に生活扶助基準を修正をして、アップをして、困っておる被保護世帯、これを救おうというお気持ちはありませんか。というのは、ここらの世帯というのは、もとがないのですからね、消費者物価が上がっていけば、これは全く困ってしまう。対応能力がないわけですから、これだけ消費者物価が上がると。したがって、これは私は、どうしても生活扶助基準は五月なら五月でもいい、四月の終わりでもいい、可及的にすみやかに大幅に消費者物価上昇に見合わして修正してもらいたい。そうせぬとどうにもならぬと思うのです。これはあなたの考え方と厚生大臣にも——厚生大臣のほうがそれを言わなければだめですよ、大蔵大臣に。どうなんでしょう。
  67. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 来年度の消費者物価は九・六%上昇するであろう。それに狂いがなければ、この二〇%というのは、これはかなり配慮してある、そういうふうに思います。この九・六%というのを、これをいかに実現するかということが、これが政府としては一番頭の痛いところでありますが、まあ努力努力をいたします。しかし、四十八年度は非常な物価高になりまして、年度の途中で、あれは五%でありましたか、生活扶助基準の引き上げ率を上げる、また二回にわたりまして一時金の支給をする、こういうようなことをしましたが、四十九年度において生活消費水準やあるいは消費者物価の動き、そういうものが非常に予算の前提として見通したこの経済見通しと狂いが出てきたというようなことになりますれば、これはとにかく何としても保護世帯に対する予算上の計画、こういうものにつきましては見直しをしなければならぬ、さように考えます。
  68. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 大蔵大臣が言われるとおりでありますが、大蔵大臣がへっぴり腰でないように私からも十分激励をしてまいりたいと、かように思います。(「要求しないものは大蔵大臣出さないよ」と呼ぶ者あり)
  69. 矢山有作

    矢山有作君 そうだよ、厚生省がへっぴり腰だから困る。これは切実な問題ですからね。  ところで両大臣生活扶助基準をアップしただけでは解決しない問題があるわけですね、いまのように毎月毎月消費者物価がこう急激に上がってきますとね。そこで考えなきゃならぬのは、その物価上昇に機敏に適応するために物価スライド制を生活扶助基準の算定の中に考えていくかどうか、この問題が一つあります。それからもう一つは、こういう階層というのは物価が上がっていって少々金もらったって生活必需物資の調達ができないという問題が起こってくると思うんです、こう急激に上がっていくと、扶助基準の改善のほうがあとからひっついていくわけですからね。したがって、そういう階層に対して現物支給という問題は考えられないのか、この二つはどうですか。これはまず厚生大臣のほうからお伺いしたい。
  70. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) おっしゃるお気持ちはよく理解をできますが、たとえば昨年厚生年金や国民年金については初めてスライド制が公式に導入されました。しかし、これは本人が掛け金をされているためにその掛け金の減価というものを補う意味も多分にあると思いますが、一方、老齢福祉年金等につきましてはスライド制ではなしに、その年々といいますか、時々の情勢に応じて支給額を政策的にふやすという方向をとっておりますことも御承知のとおりでございますので、おそらくこれは大蔵省とも相談をしてみたいと思いますけれども生活扶助基準物価スライドとか、あるいは勤労者賃金スライドというものは、いまの国民福祉年金、老齢福祉年金と同じような範疇に属するものだろうとは私は考えます。しかし、これは逐次是正の方向でいくということについては先ほど来申し述べているとおりでございます。
  71. 矢山有作

    矢山有作君 現物支給は。
  72. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これも何とも言えませんが、これは地方公共団体の問題が多分になってまいりますので、いまここで私どもが中央政府として現物支給の方向というようなことをお答えをするわけにはまいりませんけれども、物資の全部ということじゃなしに、特定の物資などについては研究の課題とされることであると私は思います。そういう問題については研究をいたすつもりでおります。
  73. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 生活保護費の支給額のスライド制採用と、こういう問題ですが、これは二つ問題があるんじゃないでしょうか。一つは、スライドにすると、スライドは物価指数だとか生計費指数だとかそういうものをいろいろ組み合わせたものが基準になるだろうと思うんですがね、いずれにしてもあと払いになる。これで一体生活保護世帯の要請が満足できるか、こういう問題があるだろうと思います。それからもう一つは、スライド制を採用したという場合に、たとえば、これはまあたとえでありますが、九・六%、消費者物価見通し、これを持っておりますが、それに対して四十九年度は二〇%の基準引き上げだと、こういうことになる。それを見ますと、これは物価スライドじゃないんです。やっぱり物価スライドをこれをのみ込みまして、さらに内容の改善をする、こういう意図が入っておるわけなんです。ただ単に一般の消費生活水準だとかあるいは物価だと、そういうものをとらえまして、それにスライドしていくというんじゃこれは私は生活保護問題に対処する姿勢としては好ましい形じゃないんじゃないか、そういうふうに思います。でありまするから、問題は物価動向等を織り込んで十分な処置をする。ところが、見通しましたその動向というものに重大な狂いが出てきたという際には、それに応じての調整をするという措置のほうが、これは私はあたたかいやり方になるのじゃあるまいか、そういうふうに考えます。  それから一般論といたしまして、スライド制スライド制と言われますが、スライド制というのは、とにかく皆さんが今日の物価の動き、そういうものを見て着想されることだろうと思いまするけれども、今日のようなこの物価の動きというものを定着化させるというようなことになったら、たいへんな世の中になるだろうと思うのです。早くこの物価が、スライドなんというそういう考えが頭を去来するというようなことのないような世の中にしなければならぬ、そっちのほうに一生懸命努力したいと思います。
  74. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと誤解があるようですから私言っておきたいんですが、二〇%の扶助費のアップで被保護世帯生活内容が改善されて向上したという私は認識に立ってないんです。大臣はそういうふうになっておると思っておられるから、いまのようなことばになるんだと思う。私は生活扶助基準二〇%のアップで、現在の物価上昇の中、国民消費支出伸びから見て決して被保護世帯生活内容は改善されていない。したがって、これを改善するためには、まず第一にもっと大幅な扶助基準の改善が必要である。ところが、扶助基準を大幅に改善をして生活内容が改善された状態に持っていったとしても、いまのような物価が急テンポで上がっていくときには、それだけでは対応できないから、消費者物価上昇というものを加味して適時適切に扶助基準をアップさしていくべきであるというのが私の主張なんです。ただ、スライド制の採用ということば、スライド制ということばを使ったことが、あるいは十分意が通じなかったかもしれませんが、私の申し上げたのはそういうことなんです。その点でお答えいただきたい。
  75. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 保護基準、これを算定いたしましたその前提となるいろいろな経済の動き、そういうものに変化があった場合に、それに対して対応する適切な手を打てと、こういうお話かと思うのですが、そういうお話ならば、まさに私はそのとおりに考えております。いま九・六%消費者物価上昇でありますと、その前提に立って二〇%とやっております、そういう仕組みになっておりまするけれども、その二〇%生活保護基準の引き上げという前提となりました経済の動きに重要な変化があるというようなことでありますれば、それに応じまして適時適切な調整を加えなけばならぬ、こういうふうに考えます。
  76. 矢山有作

    矢山有作君 厚生大臣ね、あなた、おそらく臨時だ臨時だと言っておられるから十分お聞きになつとらぬのかもしれませんがね、厚生省は母子保護家庭に値引きクーポン券を研究しておるという話が新聞記事に出ているわけです。だから私は、現実の問題として現物給付の問題を厚生省が検討しておるのではないかと思ったからお聞きした。これを一つ含んでいてください。それからもう一つの別の質問に移りますから。  もう一つは、東京都が四十九年度中の物価上昇政府見込みの九・六%をオーバーした場合に、その超過分を保護基準額にスライドさせ、現金で上積み支給する方針をきめたと、こういっておりますが、これに対する厚生省の見解。この二つ。
  77. 山崎卓

    説明員山崎卓君) 第二点の東京都の問題につきましては、東京都のほうからまだ正式に私のほうに協議は来ておりませんけれども、いろいろ係あたりで聞いておるところによりましては、保護基準の上積みをするという考え方ではないようでございます。
  78. 矢山有作

    矢山有作君 だったら何だい、それだけではだめ……。
  79. 山崎卓

    説明員山崎卓君) その辺につきましては、まだ十分私のほうに正式な協議が来ておりません。
  80. 矢山有作

    矢山有作君 だから、もし東京都がそういう措置をとったら、どういう考え方か、厚生省考え方を聞きたい。
  81. 山崎卓

    説明員山崎卓君) 生活保護の仕組みにおきましては……
  82. 矢山有作

    矢山有作君 それをまた持ち出すのか。
  83. 山崎卓

    説明員山崎卓君) 個人の持てる資産及び能力を活用した上で、なおその最低生活基準に達しない場合に、その部分を公費で支給するという制度でございます。ただ、例外といたしまして、年末等に地方団体が最低生活者に対する見舞いの気持ちを込めまして贈るものにつきましては、その額が常識的な線の範囲内でございますならば、その部分につきましては収入認定をしないという扱いがございます。今回の東京都のものがそのどちらに属するものであるかにつきましては、よく東京都のほうの考え方を聞いた上で結論を出したい、こういうように考えております。
  84. 矢山有作

    矢山有作君 現物給付はどうなる、クーポン券は。いま言わなかった。
  85. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) いま厚生省の担当官が私のところへちょろちょろっと来まして、現在その研究はしておりませんと、こういうことでございましたが、それは、矢山さん、こういうことだろうと思います。この間、二月に、例の一人当たり生活困窮世帯、低生活世帯等に対しまして二千五百円ないし二千円の国庫支給をいたしました。あれをやります際に、私はとにかく経済企画庁のほうもやっておるものでございますから、ことに物資などにも関係があるものでございますから、総理大臣から、何かそういうような家庭に物資を出す方法はないだろうかという実は話がありました。さっそくそれは、通産省、厚生省と相談をいたしまして、研究をしてもらったことがございますが、それは結局お金で出すことになりましたので、その過程の話、そのときの経過の話であろうと思いますが、それはそれといたしまして、公共団体等の問題がありますが、先ほどお答えしましたとおり、ある特定のものについては、そういうことができるかできないかの可能性を検討させるということはいいのではないかと思います。
  86. 矢山有作

    矢山有作君 これで最後にもう一問。  最近、一部の病院や歯科医師の中に生活保護者の入院、治療を辞退する傾向が出ておると伝えられております。その実態と、これに対する対策。
  87. 山崎卓

    説明員山崎卓君) 御指摘のとおり、医療扶助は、生活保護におきます指定医療機関に患者が参って、そこで受けるわけでございますけれども、その指定医療機関の指定率が、特に歯医者の、歯科の先生のほうで下がってきているという事実がございます。私ども、これにつきましては、何とか先生方の御理解を得て指定医療機関になっていただきたいというような考え方から、歯科医師会のほうにもお願いをし、また、各都道府県段階でも、各郡市の歯科医師会の先生方のほうにお願いをするように、さらにその指定につきまして、指定を受けていただくときにいろいろと事務が繁雑な面があるというような御指摘もございますので、できるだけ事務の簡素化にもつとめて、その御要望にも沿うというような態度で努力をしているところでございます。
  88. 矢山有作

    矢山有作君 これは、そういう生活保護世帯の診療、治療の辞退がどの程度状況にあるのか、あとでお知らせ願いたいと思いますが、生活保護世帯、そうでなくてもインフレで困っておるときに、その上、病気になって治療もしてやらぬというような、こんなばかな話はないと思うのですよ。この点は、ぜひ厚生省、また政府としても責任を持って解決してもらいたいと思います。いいですね。
  89. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) もうそれは、医療扶助という制度があることから考えましても、当然それは政府が協力して骨を折るべきことであろうと考えます。
  90. 矢山有作

    矢山有作君 それでは、次に質問を移します。  社会福祉施設の措置費の算定の根拠はどうですか。
  91. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) お答えいたします。  社会福祉施設の措置費は事務費と事業費に分かれておりまして、事務費は主として職員の人件費でございます。事業費はその中が二つに分かれまして、いわば生活費、それから給食費でございます。で、生活費につきましては、毎年若干ずつの改定を行ない、また日用品費である生活費についても改定を行なっているところでございます。
  92. 矢山有作

    矢山有作君 委員長、困るんだ。こっちが言いおることに答弁しないんだ。さっき最初、生活扶助基準の算定の根拠は何だというので、あれだけやりとりしたわけです。私の言っているのは……
  93. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  94. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。
  95. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 措置費の根拠につきましては、昭和三十八年までは各社会福祉施設それぞれについての積み上げ方式をとってまいりました。三十九年から四十六年までは消費物価物価指数に応じた改定を行なってまいりました。四十七年以降につきましては、主として生活保護基準の改定に準拠して改定をしている、そういうことでございます。
  96. 矢山有作

    矢山有作君 だから、消費者物価上昇に応じて改定しておると言うのだから、改定するのには底の数字がありましょうがなと言うんだ。
  97. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) その数字の根拠になりますのは、三十八年までの措置費でございます。
  98. 矢山有作

    矢山有作君 次に、四十九年度は各社会福祉施設とも、前年度比、生活扶助基準と同様、一律二〇%アップで予算化されております。ところが、四十八年度補正までを見ますと、生活扶助基準のアップ率よりも軒並みにこの措置費のアップ率のほうが低いんですわな、これは。これはどうしてですか。
  99. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 四十八年までのアップ率の低い点につきましては、いろいろな事情もあろうと思いますけれども、主として申し上げられますことは、社会福祉施設の態様が——これは、たとえば給食費について申し上げますと、いわば原材料費についての大量購入が可能であるということ、それから、それぞれの施設の中におきまして、日用品費なりあるいは給食費の使い方等について一般の世帯以上にある程度のくふうがなされるのではないかというようなことがそのおもな理由ではなかったろうかと推測しております。
  100. 矢山有作

    矢山有作君 生活保護世帯との比較は、それでまあまあ説明ついたつもりでしょうが、それでは各施設相互間でアップ率が全部違っているのは、これは何ですか。
  101. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) お答えいたします。  施設によりましては、たとえば特別養護老人ホーム、こういう施設につきましては、重症の御老人が入っていらっしゃる、それから養護施設につきましては育ち盛りの子供が入っている、それから乳児院につきましてはミルクあるいは保育を主とした子供が入っているというような、その施設の種類、目的に応じた区別というものがアップ率に反映しているものと推測しております。
  102. 矢山有作

    矢山有作君 そういうことが四十九年度予算編成までわからなかったの。四十八年度まではそういうふうに差をつけておいて、急にそれがわかったから四十九年度から一律二〇%アップにしたんですか。
  103. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 先ほど来、いろいろ御議論のありますように、四十八年末以来の異常な物価高というものを根底といたしまして、できるだけ施設全体について上げ幅を多くしたいという期待、それと財政当局とのお話し合いによってそれが実現したと、こういうように考えております。
  104. 矢山有作

    矢山有作君 大臣、いまの御説明のように、これもまた三十八、九年ごろのはじき出した基礎数字もとにして、消費者物価動向かなんかで、こう修正していっているわけですよね。しかも、生活扶助基準並みに各施設にも一率にアップをしたのは、四十九年度予算が初めて。それまでには扶助基準よりもずっと低い、しかも施設相互間でも高低がある、そういう扱いをやってきておるわけですよ。これは一口に言ってしまえば、まさにこういう施設に入っておる人たちの処遇というのは、政府はつまみ金で出しておると、こういうふうに言われてもしかたのないようなことをやっておられるということ、この点については、私はきびしい反省を求め、そして現在の実態に合ったように、その措置費の算出についても根本的に考え直すことを要求しておきます。  そこで、いま一つは、四十九年度予算で二〇%アップをしたというのでありますが、飲食物費なり日常生活費は、具体的な数字としてどのくらいになりますか。一人一日で言ってください。
  105. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) お答えいたします。  例示で申し上げます。特別養護老人ホームにつきましては、飲食物費が日額三百十四円、日常生活諸費が三百六十五円、合計六百七十九円。それから身体障害者更生援護施設では、飲食物費が三百二十五円、日常生活諸費が二百一円、合計五百二十六円。それから養護施設、これは子供でございますが、飲食物費が三百三十六円、日常生活諸費が百四十五円、合計四百八十一円。それから乳児院につきましては、飲食物費が三百四十円、日常生活諸費が二百十五円、合計五百五十五円。  大体例示で申し上げますと、以上でございます。
  106. 矢山有作

    矢山有作君 そこで、大臣にお伺いいたします。いま言ったような食費で一日やっていけますか。——いやいや、これは大臣が答えたほうがいい。あなたいいよ。それはあなた、大臣のすなおな感情で答えてもらったほうがいい。
  107. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 今回二〇%上げるということになって、お互いに愁眉を開いたような気持ちでございますが、従来なかなかやっていけなくてたいへんだという話が、私なども、この社会福祉の問題に関心を持つものでございますから、耳に入っておりましたことも事実でございます。まあ今回のアップを契機といたしまして、さらによく実態なども調べさせまして、無理のないように出すべきであると考えます。
  108. 矢山有作

    矢山有作君 私が言うたことについては的確に答えてください。やっていけますか、やっていけませんかと言ったのです。
  109. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) それは、まあ私など、もう少し年をとると、老人ホームか養護老人ホームかにやっかいになってみるとわかるんですが、いまのところ、そうお尋ねいただきましても、私はやっていけるともやっていけないとも言えませんが、厚生省としてはそういう計算を一応しまして、曲がりなりにもやっていけるものとして、二〇%アップということで相談がまとまったことと思いますが、先ほど御答弁申し上げましたように、これは実態をさらによく究明をさせる努力をいたしましょう。
  110. 矢山有作

    矢山有作君 まあ、いまの厚生大臣の話を聞いていると、これはやっていけそうにないなあと思いながら答えておられるでしょう。それは正直です。まさにそのとおりなんです。  そこで、先般全国社会福祉協議会が、これは四十九年二月実施した社会福祉施設の物価高騰の影響に関する実態調査を発表しております。それによりますと、日用品、調味料、食品の値上がりとその影響について詳細な調査が行なわれております。そのうちで、日用品、飲食物関係についてだけ見てみますというと、地域と品目によって多少の差はありますが、四十八年四月に対比し、日用品は四十九年二月の段階で一・三倍から二倍、調味料は大体丁二倍から一・九倍、食品は一・〇九倍から一・八倍と値上がりをしております。その結果、各福祉施設とも食事の質や量を落とさざるを得ない。それでもなおかつやっていけないので、大部分の施設が赤字を出しておる。早急に措置費の増額を要望する、こういうことが言われておりますが、これは厚生省御存じですか。これは事務当局から御答弁を求めます。
  111. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) そういう社会福祉協議会の話があることは承知しております。ただ、その時点において協議会が取り上げましたのは、全部値上がりの著しいものばかりでございます。それから私どもが試算しておりますのは、飲食物費につきましては、原材料費を三百六十円なり三百三十五円と計上しておるわけでございまして、私も責任上この一月、多くの施設を実際この目で見てまいりました。その際に、たとえて申しますと、正月ですと各方面からおもちをたくさんもらう。したがって、倉庫にそれが山積みになっているというような施設もございます。したがいまして、そういった点につきまして必ずしも値上がりしたものばかりによる問題ということだけではなく、特に最近の措置費の運用につきましては、御承知のとおり、飲食物費と日用品費をある程度彼此融通できるような指導もいたしておりますので、できるだけ施設に迷惑をかけないように、厚生省も格段の配慮をいたしてまいりますし、今後もそのつもりで進めてまいりたいと考えております。
  112. 矢山有作

    矢山有作君 もらったものまで計算の中に入れてものを考えるなんてばかな話がどこにありますか。政府の措置が問題になっておるんだ。人からもらったものまで考えるとは何ごとですか。それからあなたは、その調査はひどく上がったものだけ調べておるのだと言うけれども、逆に言うたら、ひどく上がっているものは生活必需品ですよ、みな。その実態を知らずに何を言っていますか。
  113. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 御指摘のように、国といたしましては、そういうことを全然除外してものごとを考えていくようにしてまいるのは当然でございますから、そのことについては、例示としてたまたま申し上げただけでございます。なお、値上がりしたものにつきましても、全部の値上がり物品の中で、特に値上がりしたものが強調されているということを申し上げただけでございます。
  114. 矢山有作

    矢山有作君 つまり、値上がりしたものが強調されているんじゃない。そういうものが施設に必要な生活必需品だということなんですよ。あなた、これを見てごらんなさい。(資料を示す)そんな、ことさら高いものばかりあげているかどうか、これは生活必需品ですよ。  大体大臣、その場その場の答弁をくぐり抜けていこうというような行政の姿勢というものが悪い。なるほど、上がったものを書いておるかもしれないが、その上がったものは生活必需品なんだ。食べもの、ちり紙、そういった生活必需品なんだ。それが大きく上がっていることはあなた方も御存じでしょう。だから高くなっているんじゃないか。そこを認識せずに何を言っていますか、一体。どうなんですか、大臣、そんないいかげんな答弁ないでしょう。言いわけだけするんじゃなくて、率直に認めるところは認めなければだめじゃないか。言い抜けだけしていりゃ通るような、そんなもんじゃないよ。
  115. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) お答えいたします。  この調査につきましては、全部の施設を調査したものではございませんようで、向こうから言ってきた中のものを取り上げたというように見受けられます。  なお、厚生省といたしましては、御承知のとおり、昨年十月並びに十二月、さらにこの年度末につきましても、生活保護世帯並びに施設について相当の財政的な措置を講じておりまして、こういった適宜な措置も従来講じておるわけでございますので、施設の運営について支障を来たさないような配慮はできるだけ尽くしているというように考えております。
  116. 矢山有作

    矢山有作君 またこの問題、突き詰めて委員会でやります。  四十八年六月一日に発表された、朝日新聞東京厚生文化事業団による福祉施設の食生活の実態調査というのが出ておりますが、これを承知しておりますか。
  117. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 承知しておりません。
  118. 矢山有作

    矢山有作君 そういうような姿勢だから、福祉福祉と言っても福祉のことなんかお念仏だと言うんだよ。福祉なんか一つも真剣に考えていない。その実態調査をした結果を私のほうから発表いたします。時間がありませんが、よろしいか。  調査結果  (1) 栄養所要量について   A、熱量(カロリー)    全般的に所要量に対して半数以上の施設が不足している。ことに発育盛りの児童福祉施設の熱量に至っては所要量の半量に近い一、三〇〇カロリーしか摂取していない施設もある。     発育期の児童の将来が思いやられる。   B、蛋白質    植物性蛋白質は、どの施設も平均的に基準量を越えているが、動物性蛋白質は殆んど全施設が不足している。     児童施設では基準量の七〇%が満たされていない状態である。     血液を初め筋肉をつくる栄養素の蛋白質が、このように不足している有様では健康な人間をつくることが不可能である。   C、ビタミン類    ビタミンのA、D、B1、B2などの成長発育に必要なビタミン類は全体的に低く、基準量の八〇%前後に集中している。     調理時のビタミン破かい、或は損失を計算に入れると相当の不足と思われる。   D、無機質類    (イ)カルシウムは骨や歯をつくる栄養素であるが、児童福祉施設では基準量の七〇%が不足している。     半量に満たない施設もある。    (ロ)鉄、全施設の八〇%が不足している。近年貧血症が多く、小・中学校などで朝礼の際にたおれる児童生徒の多いのもうなづけるようである。」 次に、  (3)給食費について   A、支給基準額では、とても完全な給食が出来ない事が判明した。     昭和四十六年六月から十一月に至る六ケ月間の当時の物価調査でも基準額をはるかにオーバーしている状態である。     寄附金その他の臨時収入がなかったなら給食不可能という状態である。     貰いものによって生命をやっと維持しているに過ぎない。まったく最低の食生活を、よぎなく維持している有様である。 こういう状態が報告をされております。  この報告を見て、お聞きになって、どう思いますか。これは大臣にも聞きたい。
  119. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) お答えいたします。  そういう報告があるということについては、われわれも十分これを念頭に置いて、今後の行政を進めなけりゃならないと思います。ただ、私どもといたしましては、栄養審議会の答申による日本人の必要栄養量というものを基準といたしまして、現在の措置費の中において、それぞれ施設別の必要カロリーというようなものを基礎にした献立表をつくって施設を指導しているというような状況でございまして、われわれとしては、この範囲内で、できるだけ、特に育ち盛りの児童の栄養に配慮してまいりたいということで指導している次第でございます。
  120. 矢山有作

    矢山有作君 ばかなことを言いなさんな。この調査はね、その基準栄養量というものを基礎にして調査した結果、こういう結果だと言ってるんですよ。何を言っとるんですか。
  121. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) お答えいたします。  最初に申し上げましたように、その調査、十分私当初承知しておりませんので……。
  122. 矢山有作

    矢山有作君 だから、知らぬのなら、つまらぬ言い抜けしなさんな。この調査をやる以上はね、そういうような厚生省できめた基準栄養量をもとにして調査をやっているわけだ。その結果がこうなんだ。
  123. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) なお十分検討してまいりたいと思います。
  124. 矢山有作

    矢山有作君 大臣、どう思いますか。答弁にならぬ。
  125. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) ある新聞がそういう分析をされた報告をされているのでありましょうから、間違いないと私は思います。しかしそれは、厚生省といたしましても、あるいは政府としても、そういう社会福祉施設、あるいはこれ、中学校、小学校等の給食費の給食量の内容のことについても触れているようでありますが、私どもは、これらの事柄を単にやむを得ずやっているんだと、つまみ金でやっているんだというような考え方であってはならないと思うわけでありまして、せっかくそういう施設を設けて、そうして不幸な子供たちの保育なり、あるいは養護なりをするわけでありますから、厚生省みずからがきめたカロリー基準や栄養基準に欠けるような内容の措置のあり方はあってはならないことであります。私もこの点については十分その当局に申しつけたいと考えます。
  126. 矢山有作

    矢山有作君 私は、四十八年十二月の十八日の社会労働委員会で、施設に入っている人々が十分な健康を維持し増進していくのにどの程度の食事が必要かを示した一週間分のメニューと、それをつくるに要する経費を計算して提出してもらいたいと要求しておきました。ところが、この資料が、再三請求をした結果、やっと私の手元に届いたのが三月の中ごろであります。かくのごとく厚生省というところは事務怠慢なところである。しかも、その結果、届いたその資料なるものが、これ、ちょっと見てください。(資料を示す)その資料は、私は実はしろうとですから、それを見たんでは私はわからない。そこで、二つの東京民間施設に持って行って、専門の栄養士の方に分析してもらいました。そのときに、その栄養士の方がその表を見て私に最初に言ったのはどういうことか。これは不親切きわまる、しろうとだましの資料ですねと、こう言った。なぜかというと、その献立の各品目の中に分量が書いてない、全然。それから、一見して言えることは、食糧難時代の献立ですねと、こう言いました。その次に言ったのは、人を人とも思わない、食わしておけばよい式の献立だ。厚生省がこんなものを標準的な献立として示すということは許されないことだ。そうして、分量も書いてないから、これは計算がむずかしいと。したがって、これでは見当がつきませんといって私は言われました。しかしながら、あなた方は十年もその上もやっておるんだから、その立場で一見むずかしかろうが検討してみてくれと、こう言って検討してもらった。その結果どういう報告が来たと思いますか、四、五日たって。その結果について私のところにまいった報告は、こうであります。栄養素のうち満たされているのはカロリーぐらいなものであり、たん白、脂肪もともに不足しておるし、特にビタミンなどの微量栄養素に至っては、はなはだしく不足している。栄養素の大半を米で補わざるを得ないような献立である。米の使用量は、私の施設と比べたなら五〇%多く使用しております。質が非常に悪く、老人向きでない。つまり、冷凍食品が非常に多いということであります。しかも、質の悪い冷凍食品が多い。老人の嗜好を全然考慮されていない献立であります。養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準で、みずから厚生省は、給食は栄養並びに収容者の身体的状況及び嗜好を考慮したものでなければならないと指示しておる。その厚生省が、こんな献立をモデルとして示すとは一体何事でしょうと、これが施設のことばであります。あなた、どう思いますか。
  127. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) そういう御意見があることについては十分これを承知し、また検討して、改善に努力をしていかなければならないと存じます。
  128. 矢山有作

    矢山有作君 冗談じゃないよ。そういう資料を私のところに出してきたことが問題だというんだ。
  129. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。  いまの問答、それから資料の経緯というのを聞いておりますと、責任をもって国会に答えるという態度とわれわれ認めるわけにいかない。そこで、どうこれを処理するかということは、委員長のほうで、委員長理事会に取りつけをしていただいて、厚生省の資料、それからこれの処理の問題というものを扱わせていただきたいと思います。お願いいたします。
  130. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 了承いたします。  それでは矢山君、時間が参りましたので、結論を。
  131. 矢山有作

    矢山有作君 私の質問時間が切れたわけでありますが、しかし、そういう状態ですから、ひとつ御容赦をいただいて、その厚生省の正式の回答を聞いて、私もう一度だけ言わしていただきたいと思います。
  132. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) この質疑をですか。続行するのですか。
  133. 矢山有作

    矢山有作君 だから、厚生省の責任ある回答を私は聞きたい。
  134. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) いまの加瀬委員の御発言につきましては、委員長において処理いたします。よろしゅうございますか。
  135. 矢山有作

    矢山有作君 はい、そうしてください。
  136. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) それでは午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩     —————————————    午後一時七分開会
  137. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行ないます。矢山君。
  138. 矢山有作

    矢山有作君 私は、人の生命と健康を維持するために基本になるのは食べることであります。したがって、現在の福祉充実の叫ばれておるときにいかに福祉が充実されてないかという問題を、各種の収容施設に入っておられる方々に対する政府飲食物費がどういう実態かということを究明することによって明らかにしていこうと思ったわけでありますけれども、それについて十分に究明のできないまま途中で質疑を打ち切らざるを得なくなったわけであります。またあらためてそれぞれの関係委員会の場、あるいは本委員会等におきまして今後この問題を追及してまいりたいと思いますので、これで私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
  139. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これにて矢山君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  140. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 上田君。
  141. 上田哲

    上田哲君 私は、世界に冠たるといわれる通産省の、MITI行政指導というものの実態について、今委員会ではそこに的をしぼっていろんな側面からただしていきたいと思っております。  私が問題にしたいのは、その産官密着性というものと行政指導の行なわれる日常性あるいはそれを特に意図しない両者の体質の問題ということがあると思います。こうした問題については諸側面からの指摘と明確化が必要であると思っておりますけれども、きょう私は自動車の問題を取り上げてみたいと思います。  外務大臣のお時間がないそうでありますから、先にひとつお伺いいたしますが、つい最近UAW——全米自動車労組のウッドコック委員長が、来年九月までは外国車の輸入制限措置をとるべきだということを議会で証言をしたと伝えられております。外務大臣はこうした問題について、対米関係としてどのように把握されていますか。
  142. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように全米自動車労組等がコングレス等に対しまして石油危機後の小型自動車の輸入等につきまして働きかけを行なっておるということは承知いたしておりまするし、また、わが国の労働団体との話し合いの場を持つべく計画されておるということも承っております。私ども、いまの段階におきましては、この問題は日米政府間の問題にもまだなっておりません。いまアメリカの事態の成り行きにつきまして注視しておる段階でございます。
  143. 上田哲

    上田哲君 日本の輸出産業としては非常に重要な自動車、その自動車が、こうした反応はアメリカ側からすでに受けているということについて、外務大臣の御答弁は非常に私はざっぱく過ぎると思うんです。外務大臣の対米外交ということの基調の中にこの問題は憂慮すべき問題として響いていないのですか。
  144. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 石油危機後アメリカの自動車が小型化、小型自動車に移行してまいると、そしてそれに対する、対応する生産体制が整備されないすき間で欧州車あるいは日本車が進出するというようなことを懸念されての動きだと思います。けれども、わが国の小型自動車の価格競争力というものは、言われているほど、そう隔絶した優越性を持っておるとは思いませんし、現在の輸出の状況も、石油危機のあと伸びておるという実績も見られないのであります。私どもはアメリカ、対米ばかりでなく、グローバリーにオーダリーなマーケティングを保証していくという方向で対外経済政策を考えておるわけでございます。したがって、この問題がどのように発展してまいるかについて関心を持ち、アメリカの成り行きを注視いたしておりまするけれども、いま政府としてどうするということは考えておりません。
  145. 上田哲

    上田哲君 輸出ドライブをかけるべきだと思いますか抑制すべきだと思いますか。
  146. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 現にわが国の自動車業界が輸出ドライブを精力的にかけておるとは承知いたしておりませんし、むやみに輸出ドライブをかけて先方の市場の撹乱を招くというようなことは決して賢明でないと思うわけでございまして、いま申しましたように、オーダリーなマーケティングが保証されるという状態を招来したいものと思います。
  147. 上田哲

    上田哲君 運輸大臣が来ていないですね。
  148. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  149. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。
  150. 上田哲

    上田哲君 外務大臣の輸出の実態についての御認識が違っておるんでありまして、数字はあとからまた議論しますから、それだけを指摘するにとどめますけれども、やっぱりいまのお話では輸出ドライブをかけることは好ましくないという御発言がありましたけれども、今回のウッドコック発言というものはそういう印象としては受け取るべきでありますね。
  151. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 印象と申しますと……
  152. 上田哲

    上田哲君 外務大臣の印象としては、全米自動車労組のこのような発言というのは、輸出ドライブをかけるべきではないというふうにお受け取りになったということでいいわけですね。
  153. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私が申し上げた趣旨は、あくまで輸出はオーダリーなものであって、長続きのするものであってほしいと思う趣旨を述べたものでございまして、先方がわが国の輸出規制を求めるというようなことになるとこれは話は別でございますが、そういうことに対してこちらが前向きに対応しなけりゃならぬという事態では私はないと考えておるわけでございます。
  154. 上田哲

    上田哲君 よくわかりませんけれども、みだりに輸出ドライブをかけるべきではないと考えるというふうにお答えになったことを承っておきます。  時間がないそうですから、ちょっと話は飛びますけれども、あとで出てまいります砂糖と関係があります。キューバヘの輸銀の使用の問題、これは長い懸案になっておりましたし、私と大臣との間にもかなり何回かのやり取りがあったわけですが、外務省当局としてはその方針を決定されたというふうに聞いております。国交のない国にもその種の措置が講ぜられているわけでありますし、入超となっている特殊な国でありますから、そのような判断を持たれたことは正しいと思うんですが、それについての具体的な内容についての御報告をいただきたいと思います。
  155. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) これは通産大臣からお答えするのが筋かと思いますが、外務省といたしましてどう考えるかのお尋ねでございますのでお答えいたしたいと思います。  外務省としては対キューバの輸出に対する輸銀信用の使用問題につきましては、申請がございますならば、その案件の内容、規模、延べ払いの条件、償還の可能性等を吟味いたしましてケース・バイ・ケースで処理すべきものであるという従来の立場を変えておりません。
  156. 上田哲

    上田哲君 そのケース・バイ・ケースですけれども、キューバに対して輸銀の使用を認めるケースがあるという判断に立ち至ったというふうに理解しておりますが、それで違いますか。
  157. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) ケース・バイ・ケースに事案を吟味いたしまして、輸銀信用の使用を認めるということになりますケースもあり得ることと思います。
  158. 上田哲

    上田哲君 これは、これまでの考え方から一歩進んだものと了解してよろしいですね。
  159. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 従来もそういう方針でまいっておりましたが、申請案件がなかったにすぎないわけでございます。
  160. 上田哲

    上田哲君 具体的な申請案件について輸銀の使用を認めるということでよろしいわけですね。
  161. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 一、二申請案件があるということは承知いたしておりますが、それはいま申しましたような趣旨で吟味検討されておることと思います。
  162. 上田哲

    上田哲君 外務大臣の時間に合わせてお話をしたんで少し飛びましたけれども、キューバの例の輸銀使用の問題が非常に進んだということは、私は歓迎をして確認をしておきます。  そこで、話を戻しますけれども、アメリカの国会でウッドコック委員長の証言がある。これはかなり大きな問題を含んでおりますし、外務大臣の見解もその方向に沿ったものと思います。  そこで、日本の自動車産業界がどのような方針をいまとっておるか、またとるべきであるか、近況を含めて通産大臣からの御答弁をいただきたい。
  163. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本の自動車産業界は、昨年の石油危機以来非常な国内における需要減に遭遇いたしまして、生産がだいぶ落ちております。それから登録台数も十二月、一月、二月にかけて顕著に落ちてきております。だからといって輸出にドライブをかけるというようなことは、国際的な摩擦を起こすおそれもありますし、疑惑を受けるおそれもありますから、われわれはそういうことはいたしません。やはり従来どおりオーダリーマーケティソグという姿勢で国際的調和の中に順調な輸出をやるように望んでおります。また、そういう指導をしたいと思います。
  164. 上田哲

    上田哲君 抽象的に「従来の」ということを言われているわけですけれども、「従来の」というのは数字的にどういうことになるのか、これまでの生産台数、輸出輸入台数の数字をひとつ具体的にあげて、事務当局からでもけっこうですから御発表をいただき、いうところの、外務大臣も通産大臣も言われた従来のレベルというのはどの数字をさすのかを御明示いただきたい。
  165. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 自動車の輸出実績でございますが、四十八年度で大体二百万台というふうに推定をいたしております。内需が五百万台でございまして、輸出が二百万台というふうに推定いたしております。なお、アメリカ向けはそのうち大体四〇%でございます。
  166. 上田哲

    上田哲君 ちょっと、ずっと言ってくれませんか、三十八年ぐらいまで。あるでしょう。
  167. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 四十三年度の輸出台数が六十九万八千八百十一台、四十四年度が九十万四千百九十三台、四十五年度が百二十五万八千八百十六台、四十六年度が百九十一万九千七百二十七台、四十七年度が百九十六万四千八百八十六台でございます。
  168. 上田哲

    上田哲君 ですからね、さっき質問したのは、外務大臣や通産大臣が言われる「通常の」と言われるのはどの数字をさすのかというんです。
  169. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 明年度——四十九年度の輸出につきましては、現在輸出がどの程度になるかいろいろ作業をいたしておるところでございますけれども、今年度よりもある程度はふえると思いますけれども、まだどの程度見通しになるか、ただいまのところ作業中でございまして、見通し数字ができておりません。
  170. 上田哲

    上田哲君 どれぐらいの上限下限で、ある程度言えなければ、問題があると思うんですよ。
  171. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) おおよその推定では、国内が大体一割ぐらいの減産になるのではなかろうかと。五百万台に対しまして約四百五十万台。輸出につきましては、前年度の二百万台に対しまして、多目に見ますと、三割ぐらいふえまして約六十万台ぐらいの増ということで、総体の生産としまして四百五十万台と、三割で二百六十万台でございまして、——失礼いたしました、輸出では大体三割ぐらいの増加で二百万台が二百五、六十万台まではいけるんじゃなかろうかというふうに考えております。
  172. 上田哲

    上田哲君 お話承っておりますと、どうもさっぱり試算ができていない感じがする。たいへん私は不安な感じがするんですが、その中でも言えることは、内需を減らせる分を外需に向けるということはこの中でもはっきり出てきています。通常の生産あるいはマーケティングという話をされるわけですけれども、そういう数値というのが具体的にポリシーの中にはっきりしていないと思うんです。できていなけりゃできていないでもかまいませんけれども、この場での御判断でけっこうですが、通産大臣に伺いたいが、いまたとえばアメリカでこういう反応が出てきている。常識的に、これはもういい気になって輸出ドライブはかけられないということはすぐ直観するところでありますけれども、今日の自動車国内産業の生産傾向というものはいまおっしゃるような数値にはまるんですか。
  173. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) われわれのほうは計画経済やっておりませんし、輸出輸入について貿管令を適用して数量をチェックするということは現在はやってないです。かつてはやりました。そういうわけですから、自由経済もとに自主的調整という形ですべてものをやらしておるわけです。テープレコーダーの輸出にいたしましても、テレビの輸出にいたしましても、同じようにそろいう形でやっておりますが、これが著しく外国々刺激してそのために外国からクレームが出てくるというような状態になりますとわれわれは発動してそれを調整いたしますけれども、事前に業界に対して多過ぎるとか少な過ぎるとかというようなことはできるだけ干渉しないようにしておる。いままでの大体の情勢から見ると、国内の需要が減った場合には輸出のほうへ回っていくと、国内の需要がふえた場合には輸出が減っていくと、それは経済現象として当然のことであります。ことしの四十九年度を見ると、内需は例年よりは落ちているだろうと思います。その分だけが輸出の方向に各国にばらまかれると、そういう形になる傾向であるだろうと思います。その場合に、大体輸出が多い年が二割ないし三割ぐらいであったと私は思います。ですから、ことしは景気の模様その他を見まして、あるいは三割ぐらいまでいくのかもしれませんと、そう思っております。
  174. 上田哲

    上田哲君 それは話が違うんですよ。できるだけ規制をしたり介入をしないで自由な生産なり調整にゆだねるということはけっこうですよ。できるだけ介入をしなさいと言ってるんではない。しかし、通産省が内需あるいは外需を含めて全体の傾向値というものを正確につかんでいるべきかどうかという話はおのずから別な話であります。また、そのことが、あの繊維問題にしても、その他もろもろの問題にしても、対米関係を、総理のことばをかりるならば、太平洋戦争を終わって以来最大の危機状態に立ち至ったなどというような状況を日米間にもたらしたこともあったはずであります、こういうことばは私どもは好きではありませんが。そういう意味で、直ちに業界にどういうふうな処置をとるか介入をするかということを聞いているのではありません。現在の自動車産業というものがどういう生産方式、生産方向を持っているのか。これが内需、外需の問題としてはどういうふうにはね返ってくるかということの展望を承りたいんです。
  175. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は、いま申し上げましたように、例年——いままでの経済動向の傾向からいたしまして、ただいま申し上げたような方向にいくだろうと思います。それで日米間では事務レベルにおきまして定期協議をやっておりまして、その輸出輸入についてお互いが話し合いをして、出過ぎるものがうんとある場合にはこれは注意してくれと、それは注意しましょうと、そういうことで、多少のそういう相談ごとはやっておるわけであります。初めからあんまり業界に対してこちらのほうが圧力をかけて輸出や輸入について規制がましいことはできるだけやらないと、そういう方針をいままでとってきておるし、私はそれがいいと思っております。
  176. 上田哲

    上田哲君 私は、基本的には規制といいましょうか、行政指導というものの摩訶不思議なものの内容について触れたいのですが、いまここで議論しているのは、規制をせよということではありません。私が承っているのを縮めてもう一ぺんお伺いいたしますと、大臣の言われるのは、いうところの「通常の」と言われる意味合いは、数字に直すなら、前年度比二、三割増というのが対米輸出についてはいいところだということでありましょうか。
  177. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これはアメリカ側の景気の動向とか、それから需要者の非常な日本車に対する要望とか、そういうものがあるわけです。そういうような面をも考慮してきめないと一がいには申せませんが、まあ、大体二割前後のところがわりあいに安全なところではないかという気がいたしております。
  178. 上田哲

    上田哲君 そうしますと、二割前後内需が落ちて、それをどうカバーすることがいいか悪いかの話ではありません、物理的にそうあるものとしての外需二割前後とおっしゃるようなところに落ち着くために、現在の生産ですね、生産傾向というのは従来どおりのものになるんでしょうか、それとも落ちるんでしょうか、上がるんでしょうか。
  179. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 輸出の伸びを二割と見ますとやや微減でございまして、一五%と見ますと総体で五%ぐらいの生産のダウンになろうかと思います。
  180. 上田哲

    上田哲君 生産ダウンになるだろうということですね、全体として。
  181. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) さようでございます。
  182. 上田哲

    上田哲君 それは、それでいいんです。そこで、昨年の十月でありますけれども、中曽根通産大臣が自動車業界のあり方について、過度の需要抑制対策という観点から、自動車業界の首脳を集められて、不必要なモデルチェンジはしないようにという指示をされております。このことは、これで私はまた一つの見識だと思っているんですが、この真意を伺いたいと思います。
  183. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは資源節約という意味もございまして、モデルチェンジの中にもいいのと悪いのとあると思うんです。いいモデルチェンジというのは、公害対策を前進させるために必要が出てくるとか、あるいは新しい技術が開発されたと、そういう意味の新しい性能のいいモデルチェンジをやるとか、あるいはお客さんから、どうもこれがぐあいが悪いと、ハンドルが重いとかなんとか、そういうようないろんなクレームが出てきて、お客さんの強い要望にこたえてモデルチェンジをやると、そういうことはいい型のモデルチェンジだと思います。しかしまた一面において、購買欲をそそるために外装だけをかえるとか、色を変えるとか、あまり実質的な進歩なくしてかっこうだけよくしてうんと買わせようと、そういうようなモデルチェンジは歓迎すべからざるモデルチェンジであると、そう思います。
  184. 上田哲

    上田哲君 私もそこは賛成です。十二月に、この問題について通産大臣衆議院でも表明されている見解がありますけれども、要約すると二つありまして、第一は公害防除のため、第二は新しい発明が行なわれる場合、こういうような場合のモデルチェンジは、おっしゃるように、いい場合だと、それ以外は抑制するのがいいだろうというふうに述べられた。私はこの点は賛成なんです。この考えはいまも変わりませんか。
  185. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 変わっておりません。
  186. 上田哲

    上田哲君 農林大臣に伺いたいんですけれども、農林大臣というんではなくて、当時自民党の政調会長であられて、資源対策特別調査会の会長であられた。同じように自動車のモデルチェンジの行き過ぎ抑制を当時言われておるわけです。私は省資源対策として、資源を節約する対策としてこの方針を打ち出されたと理解しておりますが、そういうことでありましょうか、御説明いただきたい。
  187. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) そういういまお話のような御意見もうちの中にもありまして、これは通産当局と相談をして、そういう方向でやるべきではないかと、こういう考え方をいたしております。
  188. 上田哲

    上田哲君 私は、これは賛成なんですよ。けっこうだと思うんです。考え方としては賛成できるんですが、この通産省の方針に対して自動車業界の反応がどうだったのか、よくわからぬのであります。社長さんたちをお集めになって通産大臣は話をされたようでありますけれども、その反応はどうでありましたか。
  189. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 昨年の十一月の十五日に自動車工業会の会長以下を呼びまして、ただいま先生御指摘のモデルチェンジを自粛するようにと、それからそのほかにも、たとえば今後のPR等はなるべく経済的な車の走り方、つまりガソリンの消費の少ない走り方といったようなことに重点を置いてPRをするようにとか、幾つかの要望をいたしたわけでございますけれども、業界といたしましても、その通産省の指導の趣旨を了といたしまして、そういう方向で業界としても進んでまいりたいと、こういうふうな回答をいただいております。
  190. 上田哲

    上田哲君 もう一ぺん整理をしておきますけれども、望ましい方向の生産からいうならば、新年度は生産は五%ぐらいダウンせにゃなるまいということが言われております。また、公害防除のためであるとか、あるいは新しい発明というようなことがあるんでなければモデルチェンジはなるべくやめるべきだということになっているはずであります。私はそこは賛成です。しかし、実際問題としては、どうも業界が、いまのお話ですと、全面的に賛成をしたと言われるんだけれども、賛成でないように私には受け取られてならない。念のために伺いますけれども、運輸大臣、新しいモデルチェンジについての手続はどういうふうにして許可されるのでありますか。事務当局でけっこうです。
  191. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 型式承認という制度がございまして、それによって実施いたしております。
  192. 上田哲

    上田哲君 その型式承認というのはどういうふうにやるんですか。
  193. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 道路運送車両法七十五条の規定によって実施いたしておるわけであります。
  194. 上田哲

    上田哲君 法律聞いているんじゃありませんよ。メーカーがどういうふうにどういう書類を持ってきて、何を持ってきて、どういうふうにどこをやるのかということをわかりやすく説明してください。法律の準拠なんかどうでもいいです。型式認定許可願いというのを出すでしょう。しっかり勉強しなさいよ。
  195. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) ちょっと、それじゃ公害防止課長に御説明申し上げさせます。
  196. 上田哲

    上田哲君 わかる人が出てこなけりゃ困るよ。
  197. 北川清

    説明員(北川清君) お答え申し上げます。  新しい車が出ましたときに、それが自動車の構造基準、安全及び公害の基準に適合しておるかどうかにつきまして審査をいたしておりまして、その場合には道路運送車両法七十五条によりまして型式承認制度、こういう措置をやっております。その場合におきましては、当該車が車両の安全、公害の規制に適合しておる状況につきまして、関連書類をつけて新しい車を運輸省のほうへ提示いたしまして、私どもの研究所のほうにおきましてその状態のチェックをしておるわけでございます。
  198. 上田哲

    上田哲君 具体的に聞きますよ。わかりやすく具体性がいいだろうから、たとえば最大のメーカー・トヨタ、トヨタが新しいフル・モデルチェンジをやろうとしたら、役所のどこへ、何という書類を出す、いつごろ。それをどういうプロセスで、どう受けとめて、いつごろどういうのがきて、工試もあるでしょう、生試もあるでしょう。わからない?工試というのは部品でつくるやつですよ、生試というのはラインにのせるやつですよ。そういうのがくるでしょう。それを箱根の山へ持っていくでしょう。それをいろいろやるでしょう、それをいつごろどう出すのか。それはどういう基準で、どういう項目でやるのかということをわかりやすくずっと説明してくださいと言っているんです。
  199. 北川清

    説明員(北川清君) お答え申し上げます。自動車メーカーにおきまして新しい車を設計し製作いたしましてそれを販売しようという場合におきましては、まずその車につきましての詳細なる構造、装置についての概要を書類でもって提示いたしまして、これは運輸大臣に申請をするわけでございます。その場合に当該車の状況と同時に、その新しい車につきまして適合しておるかどうかのチェックを受けるということが必要になりまして、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、私どもの研究所におきまして安全基準、公害基準に適合しておるかどうかのチェックを総合的にいたしております。それで、合わせまして、その場合には新車と同時に、ある程度の耐久走行、所要の耐久試験をいたしました約三万キロ走行しております車も同時に提示いたしまして、新車時とそれからある程度走った場合においても安全基準、公害基準に適合しておる状況のあれをしておるわけでございます。合わせまして、それと同じような車が生産されるかどうかということにつきましても、同一の基準で出すという関連の完成検査の基準でございますとか、それに伴います関連の資料を提供いたしまして、運輸大臣の審査を受けるわけでございます。所要の安全基準、公害基準に適合しておるものに対しまして運輸大臣が許可をいたしますと、そのあとそれを大量生産をいたします場合には、自動車メーカーが完成しましたときに完成検査を実施いたします。これによりまして安全基準、公害基準に適合しておるかどうかこれをチェックいたしまして、完全に適合しておるものにはその旨の証明書を交付すると、一台ごと交付するというたてまえになっておりまして、その大量生産されました車を一般のユーザーが購入いたします場合には、私どもの検査登録を受けるわけでございますが、その際その証明書を提示いたしまして、確実に一台一台の車が安全基準、公害基準に適合しておるということの証明をするわけでございます。こういうことによりまして、自動車個々につきまして安全・公害基準に確実に適合しておるということを担保させておるわけでございます。で、なおそれにつきまして、常時自動車ユーザーが使用する場合におきまして、これが確実に安全基準、構造基準に適合しておるように定期点検の義務づけをいたしておりまして、これにつきましては、自動車ユーザーがその義務づけを履行するように指導をいたしておるわけでございます。
  200. 上田哲

    上田哲君 聞きたいことの一つは、その検査の基準というのは、安全、公害、それから耐久度と言いましたね、それだけですか。
  201. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 簡潔に。
  202. 北川清

    説明員(北川清君) お答えいたします。  安全基準、公害基準ということでございまして、これが新車時とともに、ある程度走行しましたときにおいても、その基準が確保されておることをチェックしておるということでございます。
  203. 上田哲

    上田哲君 耐久じゃないですね。安全と公害ですね。
  204. 北川清

    説明員(北川清君) はい、安全と公害の基準に適合しておる……。
  205. 上田哲

    上田哲君 その二つですね。
  206. 北川清

    説明員(北川清君) はい。——ということをチェックしておるわけでございます。
  207. 上田哲

    上田哲君 はい、わかりました。  もう一つ。それはマイナーチェンジとフルモデルチェンジの場合に区別がありますか。
  208. 北川清

    説明員(北川清君) お答えいたします。  マイナーチェンジ、フルモデルチェンジ両方について適合すべき基準に区別はございません。すべて安全基準、公害基準、道路運送車両の保安基準に適合しておるということの確認をするわけでございます。
  209. 上田哲

    上田哲君 もう一つ。それはフルチェンジの場合でけっこうですけれども、どれぐらい時間がかかるものでありましょうか。また、常識的にはそれが許可されてから生産開始というのはどれぐらいの日数があるものでしょうか。
  210. 北川清

    説明員(北川清君) お答え申し上げます。  申請がありましてから大臣指定を受けるまでに約一カ月から一カ月半ぐらいで許可になるようになっておりまして、そのあと大臣が許可になりまして官報に告示をされると、それからその車が売りに出されるという状態になっております。
  211. 上田哲

    上田哲君 それは何……。
  212. 北川清

    説明員(北川清君) その大臣指定を受けました車が販売されると、こういうことで……。
  213. 上田哲

    上田哲君 官報が出てから。
  214. 北川清

    説明員(北川清君) はい、官報に出ましてからそのユーザーが……。
  215. 上田哲

    上田哲君 許可を出してから官報に載せるまでは時間があるんですか。
  216. 北川清

    説明員(北川清君) 約二週間ぐらいのものでございます。
  217. 上田哲

    上田哲君 もう一ぺん繰り返しますけれども、輸出だけの問題ではありませんが、全般的な方向からいって、来年度は五%ダウンになるのが適当であろうということが先ほど来言われている。そういう中で、また、省資源の問題その他からいってモデルチェンジ、特にフルモデルチェンジは差し控えるべきであるという方向も出されている。ところが、いま重要な問題は、この四月から、あともう二週間足らずのところで、日本の大手の自動車メーカーで一斉に、いわば爆発的な新型車の発売競争が始まるということが具体化しつつあります。企業秘密で押え込んでいるんでありましょうけれども、たとえばトヨタのカローラ、これはまさに日本的な代表車でありますが、このカローラは、私の聞くところでは、すでに四月の十五日生産開始、そして発表発売は五月の十一、二日ごろと。私はもう少し具体的に申し上げてもよろしいけれども、先ほど来るる伺ってまいりました型式認定の時間のかかり方、また生産に向かっての段取りの常識からすると、この型式認定は運輸省ではすでに終わっていると言わざるを得ないのですが、その概要について御説明いただきたい。
  218. 北川清

    説明員(北川清君) お答え申し上げます。  いま御質問のカローラの件につきましては、私は存じておらないのでございますが、また、帰りましてよく実情をチェックいたしたいと思いますが、承知いたしておりません。
  219. 上田哲

    上田哲君 あのね、四月十五日発売といったら一ヵ月前は三月十五日ですよ。そうでなければ間に合わないんですよ。これが全然あなたのほうで型式認定の申請を受けているんだったら車も走らしている。さっきから申し上げたように工試過程でない生試過程の車が入っている。それをあなたのほうがおわかりにならぬということだったら、これはないということになる。あるというんだったら、こんなことがわからぬでは済まぬということになる。これは常識的じゃないじゃありませんか。
  220. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) いまの説明した順序から申しますと、御指摘のとおりだと思います。いま直ちに調べまして御返事申し上げます。
  221. 上田哲

    上田哲君 それは委員長、全然もう常識中の常識ですからね、これに答えてもらわないと、質問をほかに繰り回すというわけにいかない。ちょっと待ちましょう、一、二分でしょうから。
  222. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  223. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記起こして。
  224. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 調査に手間どりましてまことに申しわけございません。申請が出ているようでございます。ただいま、担当が車両課だもんで、御返事がおくれたことは申しわけございません。ただ、いろんな企業間の問題等もございまして、いつ、どういう形でどうということはお答えを遠慮さして、御了承いただければしあわせだと存じます。
  225. 上田哲

    上田哲君 どういうことが言えるのか、言えるところまで言ってみてください。
  226. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  現在審査中でございます。
  227. 上田哲

    上田哲君 そういう答弁では、私のほうから明らかにすればいいんですか。あるんだから。あなた方の立場もあるだろうから、企業秘密にある程度踏み入っちゃいけないというから——それはそうでしょう、そんなところに指突っ込むつもりは私はないんだ。そんな答弁がありますか。だめだ。国会を軽視しちゃいかぬ。国会より企業が上になるということはないぞ。
  228. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  申請を受理いたしまして、それを現在審査いたしておるということでございます。したがいまして、その審査の中身につきましては、現在審査中でございますので、その中身につきまして、こちらでその内容について申し上げることはひとつ御容赦いただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  229. 上田哲

    上田哲君 暴露的なことを言うつもりはありませんよ。しかし、うそをついちゃいけませんよ。具体的にひとつ外側から聞いておきますから。四月の十五日生産を開始ということは、あなたもしろうとじゃない以上は——私もこれは一月半ぐらい調べてありますからね、部品が搬入するのは一年前ですよ。大体普通のフルチェンジの場合は三年から五年というのが平均的にかかるのですよ。——いいですか。そして、四月の十五日生産開始ということは、簡単にはライン問題からいって変更はできませんよ。そうですね。  たとえば北陸のあるところでは、五月の十一、十二日ごろの発売のときの記念品までもうつくってありますよ。タレントの予約もありますよ。タレントをホテルへ泊めるとわかるから、自宅へ泊めるような用意もしてありますよ。ある工場では、ラインの見学をストップしていますよ。そういうのが今時点——さっきからだから私はこまかいことを聞いておいたんだが、今時点においてノーと言ってあって、まだイエスということが出てなければ、そのプロセスは全部パーになりますよ。企業はそんなマイナスは許容しませんよ。非常にあなたのおっしゃることは常識的ではないんだ。まだ審査中であるなんということを私は聞かなかったことにするが、まあ半分はお認めになったんだ。この時点では、あなたの言うことは非常に常識的でないということははっきりしているんだ。いままでのことを聞かなかったことにしてもいいから御答弁なさい。もっと核心に触れるなら触れてもいい。そんなことを議論しようと思っているわけじゃないんだ。工場の名前なら全部言ってもいいぞ。
  230. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  現在審査中でございまして、まだ、最終的に結論を出してそれを決定するというところまではまだいっていないという段階でございます。
  231. 上田哲

    上田哲君 四月の十五日生産開始ということは知っていますか。
  232. 中村大造

    政府委員中村大造君) 私どもは、その事実につきましてはいまだ承知いたしておりません。
  233. 上田哲

    上田哲君 通常、そういうことはあなたのほうでは知らないことですか。
  234. 中村大造

    政府委員中村大造君) 通常は、報告がなければ私どものほうでは知り得ないという、こういうことが……。
  235. 上田哲

    上田哲君 そんなことを、常識的じゃないことを言っちゃだめですよ。そんなふざけたことがあるか。カローラの、まあカローラ・スプリンターもです。開発番号は六八七Aから六九六Aまで——車種によっても変わります。現在の排気量を一四〇〇ccから一六〇〇ccにふやして、スタイルを改める。これがおもな眼目だと了解しておりますが、どうですか。——業界代表じゃないか、それじゃ。全部言えばいいんだったら言うだけだよ。
  236. 中村大造

    政府委員中村大造君) ただいま先生御指摘の点につきましては、詳細に内容をちょっとチェックいたしませんといま御即答申し上げることができないことは非常に残念でございます。
  237. 上田哲

    上田哲君 そんな簡単なことを知らないという答弁じゃ、答弁になりませんよ。だめだ、そんなことわからないんじゃ。
  238. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと委員長、関連。  先ほどから伺っておりますと、おたくのほうの審査ですか、検査ですか、安全性と公害性を見て、それに合格しなければ、新しい製作の許可は与えないということですね。四月の十五日から新製品の製作を始めるという上田委員指摘ですからね。そうすると、おたくのほうはまだ審査中だ。もしもですよ、十五日以前に審査が完了するとするなら、いまの段階でいま質問されたようなことがわかっておらないというのはおかしい。十五日までにあなたのほうで許可を与えないで、しかしながら、製作がそのまま進むとすれば、その製作は安全性も無公害性もどこにも確認されない、そういう新車が出てくるという可能性も理論上は出てくる。そうすると、一体自動車製造に対する運輸省の指導性なり、あるいは行政の責任性なりというのはどこにありますか。全くこれは監督官庁の責任を果たさないということになりませんか。そこらの関係がただいままでの説明でははなはだ不明瞭ですので、あなた方の責任上公表できないものは公表できないでけっこう、わかって公表してもいいことは、これこれこうなっておりますと、逐一質問者の質問に誠意をもって答えるだけのことは、これはしていただかなければなりませんので、そのようにひとつ質問に対しお答えをいただきます。——お答えがないようですから続いて伺いますけれども、もしもあなた方のほうが許可を与えていないときに、事実上十五日から新車の製造工程に入るという場合は、どういう行政的な措置を講ずることになりますか。
  239. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  型式承認をいたしますまでは、これの販売は、これは絶対にできないと、こういうふうにわれわれは考えております。
  240. 加瀬完

    ○加瀬完君 製造はどうですか。
  241. 中村大造

    政府委員中村大造君) 生産につきましては、特にこれを禁止しているという条項はございませんけれども、しかし、いずれにいたしましても、本筋は型式承認を得て、それによって生産をする、こういうことが当然かと思います。
  242. 加瀬完

    ○加瀬完君 本筋としては許可が与えられてから生産に入ると、こういうことだとすれば、十五日前に許可が与えられる見込みがありますか。そして、その新車の内容には、さっき言った安全性から、公害性から、問題のないという決定がすでに出ておるんですか。もしそうでなくて、販売は当然あとになりますけれども、新車の製造が十五日以後始められるとすれば、本筋でないということはいまおっしゃるとおりだとする。本筋でないような安全性も公害性も確認できないものが製造されるということはどこでチェックすることになりますか。
  243. 田村健次

    説明員(田村健次君) お答えいたします。  自動車の販売に実際に入りますときに、個々の使用者がそれを使う直前に国の検査を受けることになっております、たてまえといたしましては。いま先生のお話のございました生産ということと型式指定を受けることとの関連でございますが、私どもの運輸省でやっております自動車の検査の基本法になっておる車両法は保安のほうだけ見ておりまして、生産とは直接関係はございません。したがいまして、メーカーが車をつくることと、つくった車のどの部分がどういう状態であるかを判定して、そして、その検査に合格をすることとは一応時点的には別でございます。  で、具体的に申し上げますと、たとえばトヨタがある車種をつくるといたします。それが大量に生産されてまいりますと、それを買った使用者がそのつど検査場へ行きまして、個々の車の検査を受けなければならないことになるわけですが、その際の事務を能率的にやろうということで、大量に生産される車についてはあらかじめ運輸大臣の型式の指定を受けておきますと、その検査の手間が楽になると、わかりやすく言いますと。そういうメリットがございますので、そのメリットを与えるか与えないかという申請がメーカーから出てまいりました場合には、その審査をしまして、そうしてなるほど均一に生産されている状態であると、内容は保安上の基準にも適合しているということがわかりました場合には、これはその型式としてあらかじめ大臣が指定をいたしますと、関係書類を全部地方の検査場に送っておきます。そうしますと、使用者がその車を持って出てまいりました場合には、検査が能率的にできるという恩典があるのでありまして、そういうメリットを与えることと生産とは別でございますから、そういうことに関係なしにメーカーがつくろうと思えば、それはどんどんつくっても差しつかえないわけです。ただ、実際上それはなるべく一緒にしたほうがお互いに事務が簡素化できますので、メーカーは生産をいたしますと、なるべく早い時期にその型式指定を受けたいということで当初に申し出てくるというのが順序でございます。
  244. 上田哲

    上田哲君 それがまさに問題じゃないですか。運輸省が生産とは直接関係がありません、だれが責任を負うのですか。これはあとからゆっくり聞きますよ。  話が飛んでしまわないためにもう少しこまかく聞いておきますけれども、さっきの御答弁では官報に出てから二週間たってから生産、販売だという話だった。そうですね。とすると、その計算から言うならば、三月三十一日とか四月一日でないと十五日にはスタートできないことになる。官報はそういうことになるのですか。答えてください。
  245. 田村健次

    説明員(田村健次君) 先ほど御説明いたしました型式指定をいたします事務を最終的に処理をした形は告示で官報に載せるわけでございます。で、この型式は、そういう先ほどお話しした事務処理のメリットを与えますよという意味の表示をいたすわけですが、それの手続に、審査を終わりまして二週間ぐらい告示までの間にかかる。で、そのことと、実際にそれがそういう形になりませんと効力を発効いたしませんから、その告示になった施行の時期から検査場での先ほどお話しした事務処理の簡素化の手続が行なわれる。しかし、それ以前に生産をすること自体についての先生の御質問がありました。安全上の問題はだれが見るのかというお話がございました。もちろんこれはメーカー自体が本質的には車両法の保安基準に適合させるようにつくらなければ最終的には実際の使用に耐えませんので、当然事前にその基準の適用を自分自身で順守しているといいますか、当然事例的に適合させるように製作をしているというふうに思いますし、また、かりに型式指定を受けないでそのまま生産したといたしますと、最終的には使用者が使う過程で、使う直前に自動車の検査場でチェックをいたしますので、そこで適合していなければアウトと、こういうことになるわけでございます。
  246. 上田哲

    上田哲君 官報はいつ出るのか。
  247. 田村健次

    説明員(田村健次君) 私のほうでまだちょっといま時点的には調べておりませんが、通常ですと、先ほどお話ししたような審査を終わりましてから二週間ぐらいたちまして出る予定でございます。
  248. 上田哲

    上田哲君 いつごろですか。
  249. 田村健次

    説明員(田村健次君) ちょっとお待ちください。——いまのところ申しわけございませんが、具体的な日にちについてはまだ予定できておりませんので、おおむね先ほどのような期間に処理できるというつもりでおるのが現状でございます。
  250. 上田哲

    上田哲君 きわめて近々という意味ですか。
  251. 田村健次

    説明員(田村健次君) はい、そうだと思います。
  252. 上田哲

    上田哲君 きわめて近々。そうですね。
  253. 田村健次

    説明員(田村健次君) ちょっといま私は日付まで聞いておりませんし、確かめておりませんので申しわけありませんが、先ほどお話ししたような予定作業は進んでいるものと思っております。
  254. 上田哲

    上田哲君 きわめて近々だということですから、それに合わせればますますおかしいんです。今後のモデルチェンジの眼目というのは排気量を一四〇〇ccから一六〇〇ccにふやすのだ、それからスタイルを改めることだけだと。公害対策という点では、低公害車の要素はないのです。対米輸出用の基準分にしか合わしてないのです。これでとにかくそんなに時間がかかるという説明もおかしいわけだし、この程度のことは、先ほど中曽根通産大臣が言った二つの点、新発明による場合か、あるいは公害上の改良の問題、この二つのどこにも合致してないじゃないですか。これでもオーケーになるんですか。
  255. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) われわれのほうのサイドからこれを推測してみますと、来年度からはマスキー法が施行されます。そのために、マスキー法に適合した車体の改造とか、エンジンルームの改造とかの準備が要るわけだろうと思います。トヨタのような場合は、車種が非常に多いものですから、それに適合するような新車種を出してきますと一ぺんに工程が込むものですから、まず第一段階にカローラをやって、その次にトヨペットをやるとか、そういう工場の管理の問題があるのではないかと、私らは、これは想像でありますが、想像いたします。  それで、これは日産でもどこでも、マスキー法という大命題が出てきておるために、やはりエンジンルームの改造からアタッチメント——公害を防除するためのいろいろな付加物をつけますね、排気のところへ。そういうような面から一気にこれ車体改造まで入る。そういうようなことで、カローラは四年以上一番大きなモデルチェンジをやっておらない。そういうところからカローラから始めたんではないか、あるいはそういうことではないかと私らは側面からいま話を聞いていて想像しておるところでございます。
  256. 上田哲

    上田哲君 マスキー法問題はあとで触れます。触れますがね、運輸省に聞いておきたいけれども、たとえば、工試車でなくて生試車が来ているわけでしょう。——工試、生試ですよ、ラインの生産車が来ているわけでしょう。——専門用語も知らなきゃしょうがないじゃないか。普通の常識用語ですよ。生産工程を通した車がもうそっちへ届いてテストをしているでしょうが。そんなことはイエスかノーの問題じゃないですか。それがわからなければ現場を見たことがないんでしょう、あなた方。そんな業界の手先みたいなことをやっていたらだめですよ。
  257. 田村健次

    説明員(田村健次君) 来ているというお話でございましたが、ちょっと勘違いをいたしましたが、生産ラインに乗せるべき車のサンプルをわれわれのほうで審査をしているということでございます。
  258. 上田哲

    上田哲君 最終段階ですね、つまり。
  259. 田村健次

    説明員(田村健次君) はい。
  260. 上田哲

    上田哲君 最終段階なんですよ。それで、事務上のことが企業秘密に引きずられてうまく言えないのだということがありますから、あんまり役人の立場をいじめてもいけないから言いませんよ。言いませんがね、通産大臣の認識を含めて、全然違っているんだ。これで重要なことは、このカローラ、スプリンター——カローラだけがとりあえずマスキー法の関係もあるから急いだんだろう——マスキー法の問題はあとで触れると申し上げたが、これは非常に重要な問題です。しかし、とにかくトヨタでは、このトップメーカーのトヨタでは、月産でカローラ、スプリンター——スプリンターもやるんですから、合わせて七万九千台ですよ、月産。この実現をはかろうというんです。何が五%減ですか。この月産の七万九千台をやりますと、まさにいま——フォルクスワーゲンの八十七万台というのが年産のトップですよ。このカローラ、スプリンターが年産九十五万台で世界一になるんです。通産大臣はカローラがフルチェンジをやってないからとおっしゃるが、フォルクスワーゲンは三十年やってませんよ。四年目にやるなんていうのは販売政策以外の何ものでもない。中身の改造は性能的に何もないんだ。パワーを上げて輸出用にうまくしただけなんだ。公害用は何も手を加えてない。売らんかなの、ちょっとぐらいのスタイルを変えただけなんだ。全然意味が違うんですよ。しかもこれが七万九千台月産、年間とにかく九十五万台、世界一の自動車をつくろうということなんですよ。こんな重要なことなんですよ。しかもこれだけじゃない。  そこで、この話を、さっきから申し上げているように、あなた方は、運輸省はそこまで関係がないとおっしゃるけれども、生産は関係ないんだ——そんなことを言ったら業者は何でもできるじゃありませんか。こういうのはしっかり見なければいかぬのですよ。ところがだ、部品は少なくとも一年前から搬入を開始する。ラインは動いている。工場見学もとめている。そんなとぼけた答弁が国会で通用すると思いますか。業者は笑っていますよ、役人はよくわれわれの立場を守ってくれる、こういう感覚しかありませんがね。業者同士はわかっています。大手の対抗者である日産はもう追いかけていますよ。私は知りません、うわさだという言い方で言っておきますけれども、たとえばサニー、サニーは開発番号は三八二、六月生産開始の予定です。チェリー、社内呼称はBC、四十九年七月。バイオレット、社内呼称は一四〇・〇。このほかクラウン、セリカ、セドリック、グロリア、さらにトラックのハイエース、四・五トントラック、こういうのが軒並みにどうっといま生産開始をするのですよ。たいへんな自動車産業の大革命がいま起ころうとしているのじゃないですか。そんなことを担当者が知らないなんということがありますか。しかも常識的に言って何カ月なんということにはいかないのです。どんなに切り詰めたって、たとえば生産開始から販売までは三ヵ月というのが常識なんだけれども、今回は一月でやろう、それだけたいへんな大がかりになっているのですよ。そんなことをあなた方が、指摘されなければ知りませんということが通りますか。私はカローラの話だけをしていたのです。カローラだけじゃないのです。いまこれだけのものがある。サニー、チェリー、バイオレット等々。この実情説明してください。私の言っていることが間違いであるのかどうか、間違いならば訂正していただければいい。そうでないならばはっきり説明をしていただきたい。
  261. 田村健次

    説明員(田村健次君) 先ほど私が御説明申し上げた中に、ことばが足りないために少し誤解をされたかに思います点がございますので御説明申し上げますが、生産と指定と別だと簡単に言ってしまいましたのがもとでございますが、私が申し上げようといたしました意図は、型式指定を受けて検査上の便宜を受けるということとそれからメーターが生産をするということが、片方ができなければ生産ができない、指定を受けなければ生産ができないというような意味での両者の間の拘束がないという意味で申し上げたわけでございまして、先ほど先生がおっしゃったような意味での生産に入ろうとしている過程では、私どもちょっとメーカーのほうから報告がない限りわかりませんが、型式指定を受けようとする段階になりますと、こういう車について型式指定を受けたいという要望が出てまいりますので、その時点において内容がわかるという仕組みでございます。先ほど御説明申し上げた点が少し足りなかったかと思いますので、型式指定を受けることは生産の条件であるというのではございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  262. 上田哲

    上田哲君 何を答弁している……。私の聞いたことに答えなさいよ。サニー、チェリー、バイオレットはどうしたのだ。申請が来ているのか来ていないのか。自分のことばかり答えに来たってしょうがないじゃないか。日本の自動車メーカーの大革命が起きるのだ、これは。大爆発じゃないか、こんなものは。かつてないのですよ、こんなことは。
  263. 田村健次

    説明員(田村健次君) 後ほど調べさしていただきますが、ただいまの時点ではそういう車種についての型式指定が現在出ているかどうかはちょっとつまびらかではございません。
  264. 上田哲

    上田哲君 だめだ、そんなことじゃ。理事さん、これ、はっきりさせてください。これは簡単なことだ。日本の産業界始まって以来のことじゃないですか、自動車工業界。そんなことは、少なくとも申請が出ているかどうかぐらい言えなければだめだよ。あなた方、この仕事の常識でしょう、こんなことは。
  265. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) まことに申しわけございませんが、車両課長が来ておりますけれども、その書類を受け付けているかどうかということをもう一度確認するためにいま電話で照会しておりますから、しばらくお待ちをいただきたいと思います。
  266. 上田哲

    上田哲君 徳永運輸大臣をいじめようという気は全くないのですからね、参議院の同僚としては。スピーディーにやってください。こんなことは常識ですよ。
  267. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  268. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。  上田君の質疑は暫時保留することとし、峯山君の質疑に入ります。     —————————————
  269. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 峯山君。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  270. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。
  271. 峯山昭範

    峯山昭範君 多少順番が狂いましたけれども、時間の都合があるそうでございますので、初めに農林大臣にお伺いしますが、財団法人野菜価格安定基金というのがございますが、この野菜価格安定基金の目的、それから役員、職員の数、それから設立の経緯等についてお伺いしたい。
  272. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) こまかいことは政府委員からお答えいたさせますが、野菜は、やはりある程度国民食糧の中で、一定量、それからまた大体安定した価格で供給する必要があるということで、全国に八百カ所余り指定をいたしまして、そうしていろいろな御承知のように予算でも助成をいたしておるわけであります。今度はその野菜をつくっております人たちと、それから政府も助成——基金を出しまして、安定基金を出しておると、こういうのでありますが、その基金の人員等はいま政府委員からお答えいたします。
  273. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 野菜価格安定基金につきましては、一昨年の九月に発足したわけでございますが、職員構成は定数六名でございまして、総務部と業務部とございます。そのほかに理事長、専務理事各一名というのが構成でございます。
  274. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう少しわかりやすく言ってもらいたいんですが、職員は何名いるのか、職員。——委員長、一回質問したことを二度言わせないように……。
  275. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 政府委員に御注意をいたします。発言者の要旨をよく把握して、簡明直截に答弁をしてください。
  276. 池田正範

    政府委員(池田正範君) ただいま申し上げましたように定員は六名でございます。そしてそのほかに理事長、専務理事が各一名、ずつ、二人というのが職員構成でございます。
  277. 峯山昭範

    峯山昭範君 国の補助金についてはどのくらいになっているか、その経過についてお伺いしたいと思います。
  278. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 国庫補助は、四十七年度におきまして、売買保管事業、それから緊急輸入事業、大規模低温貯蔵事業、情報提供事業、それから野菜の標準規格普及事業、それに特別基金、それに事務費を加えまして八億六百万。それから四十八年度におきましては、同じような事業につきまして九億五千九百万というのが予算の全貌でございます。
  279. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、この野菜価格安定基金の事業費は一〇〇%国の補助金でまかなっていると私聞いておりますが、間違いありませんか。
  280. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 御指摘のとおりでございます。
  281. 峯山昭範

    峯山昭範君 次に、大臣にお伺いしたいが、基金が行なう事業ですが、この事業については、農林省としては具体的にどういうぐあいにタッチしているのか、お伺いしたい。
  282. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、ある程度の価格を安定させる必要がありますので、そういう場合に必要な資金を国から援助をいたして、そうして価格の安定をはからせると、こういうのが目的であります。
  283. 峯山昭範

    峯山昭範君 資金を出すだけですか。
  284. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 基金におきましては、毎年の事業計画を策定いたしまして、これを農林省に出します。農林大臣は、それを審査いたしまして、毎年その審査の結果によって承認を与え、それによって仕事をさせる。したがいまして、新しい事業を始めます際には、あらかじめ農林省のほうに事業の承認等も求めてくるという手続を踏んでおるのでございます。
  285. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、野菜とかキャベツとか、そういうふうなものを輸入する場合でも、その計画書が一々出てきて、そしてその計画書を承認すると、そういうような形態になっているんですか。
  286. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 御指摘のとおりでございます。
  287. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、野菜価格安定基金がやっておりますところのこの事業、特に野菜とかキャベツの輸入でございますが、これは国のお金で結局全部事業をやっていると、こういうぐあいになりますね。  さらに、今回私が問題にしたいのは、この安定基金が商社丸紅との間にキャベツの売買に関する契約をことしの二月十六日に結んでおりますが、その経緯について伺いたいのと、契約の概要についてお伺いしたい。
  288. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 契約のことにつきましては、政府委員からお答えいたさせますが、先般キャベツが非常に不足をしておるということで、どういたしましょうかという相談を私も受けまして、そのときに、市場が非常に高騰いたしておりましたので、冷やすことができるなら、どっかから緊急に入れたらどうだという話をいたしまして、そういうことのために、量は覚えておりませんが、五、六百トンだと思いますが、輸入させたことがありますが、詳しくは政府委員からお答えいたします。
  289. 池田正範

    政府委員(池田正範君) ただいま大臣から申し上げましたような客観的な条件のもとで、緊急にひとつ市場の価格を冷やそうじゃないかということで、いろいろまわりを、隣国を見渡しまして、実は台湾しか現実に物がなかったわけでございます。で、台湾のほうは偉成貿易というのが非常に大きな集荷機能を持っておりますけれども、たまたま丸紅と偉成貿易との間に、従来からの貿易の取引があったということで、実際にその段階で輸入するキャベツを手に入れようといたしますとそのルート以外にはないということから、実は台湾産キャベツの売買につきまして丸紅を相手にしたということでございますが、その契約は、台湾産で品質の優良なもの、台湾省経済部商品検験局の検査に合格し、かつ日本の植物防疫法に基づく植物防疫官の行なう検査の合格品で、一個の重さが一キロから二・五キロまでのもの、一ケース当たり二十四キロ入れの木箱とする、数量は二万七千五百ケース、ただし多少の増減は可とする、受け渡し時期は四十九年の二月二十八日から三月の十日までとして、日時については別に両者の間で、基金と丸紅の間で協議をする、受け渡しの場所は横浜の保税倉庫または東京港の保税倉庫とする、これが大体の概要でございます。
  290. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、今回のキャベツの輸入につきましては、いま大体わかりましたけれども、その目的を達することはできたんですか。
  291. 池田正範

    政府委員(池田正範君) たまたま、御承知のように、昨年十一月以来の干ばつで国内のキャベツが非常に高かったということを背景に始めたものでございますけれども、ちょうど計画をいたしました輸入キャベツの時期が時期的に一部ずれてしまいまして、そのことが、だんだんその後温暖に向かった状況等から国内のキャベツの価格が引き下がってきたというふうなこととかち合ってまいりましたために、全般的に、一体この輸入キャベツによる値下げ分がどれだけあったのかということについては、必ずしも明確にはむろん申し上げられませんけれども、ただ、時期的に見て、あの物が足りない干ばつの時期において外から入るという心理的な効果というものは一応見てはいいんではないか。ただ、そうは申しましても、数量全体が需給関係から見てそうべらぼうに大きいものでもございませんので、したがってそこは、効果の見方はほどほどに考えておく必要があるだろうと考えております。
  292. 峯山昭範

    峯山昭範君 先ほど丸紅との契約で、台湾産の品質の優良なもの、しかも木箱入りで一ケース二十四キロとか詳細に契約条項を書いているわけでありますが、実際にこういうふうなものが現実に入ってきたのかどうか、これはどうですか。
  293. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 向こうを出ますときの状態自身は、私も確認をいたしておりませんのでわかりませんけれども、ただいま申し上げましたように、若干、特に第三船以降の長引いたものにつきましては、かなり品質の荷いたみが出ておりまして、特に上のほうの葉が一枚二枚黄色くしぼむ、これは御承知のように冷蔵船で持ってまいりますけれども、海の状態とかあるいは揚げてからの期間とかいったようなことで荷いたみの条件も変わってまいりますし、また、箱が乱箱であるかどうかといったようなことも加えまして、かなり荷いたみのひどいものもあったようでございます。したがって、私どもとしましては、品質優良というのは、国内で、いま近在地でとれましたものを入れるような形でのものが直ちに外国から入ってくるものに比較させるのは酷だと思いますけれども、それにいたしましても、やや品質の悪いものが入っておったことはいなめないというふうに考えております。
  294. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはちょっと聞いておきたいんですが、キャベツは大体何日ぐらいもつものですか。
  295. 池田正範

    政府委員(池田正範君) これは夏場とそれから冬場とだいぶ違ってまいりますけれども、私ども実は野菜価格安定基金に指示をいたしましてキャベツの貯蔵実験を昨年八月とそれから十一月、十二月、それぞれ夏秋キャベツ及び冬キャベツにつきまして実験いたしたわけでございます。それによりますというと、夏場はこれはやはり気温が高いために荷いたみが多いというふうなことでございましたけれども、冬場につきましては低気温というようなこともございまして、大体一週間日程度ではほとんど変化がございませんで、価格も大体普通同様に売れたという実験結果が出ております。ただ、二週間日はたとえば表面がしおれ、黄ばんでくるとか、あるいは三週間日に入りますというと、全体として表面全体が黄色になってしまう、しぼんでくるということ、したがって二、三枚の外葉をはずさなければどうも正常な形にならない、目方も減ってくるというふうなことで、どうもせりにかけますというと、そこらが非常に価格の差にはね返ってくるというふうな実験結果が出ておるわけでございます。
  296. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうすると、勝負は一週間と見るが、どうですか。
  297. 池田正範

    政府委員(池田正範君) これはただいま申し上げましたように、とりましてから直ちに適温の予冷をかけまして、そうして冷蔵過程にほうり込むわけでございますけれども、その時間の処理のしかたいかんによっては、いま先生御指摘のように一週間前後でもだめな場合もありますし、それからもう少し長引いて、先ほど申し上げましたように二週間前後は少なくとももつのではないかというふうな場合もございますが、何しろ外国から入れる場合には多少そこらは割り引いて考えなければならないというふうに考えております。
  298. 峯山昭範

    峯山昭範君 今回の輸入は四船に分かれていると聞いているが、現実の問題として、日本の港に到着してから八日間、九日間とほっておかれた分がありますが、このところはどうなっておりますか。
  299. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 今回の輸入につきましては、この二月二十日から三月三日まで四船に分かれて輸入いたしておりまして、第一船、第二船につきましては、特に第一船が十三日くらい、第二船は非常に早くて八日くらい、それから第三船、第四船が大体二週間くらいというふうなかかり方をいたしております。
  300. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、いまの特に第三船、第四船は港に到着してから通関まで非常に日にちがかかっております。すでに両方とも一週間くらいかかっておりますね、これは一体どういうわけですか。
  301. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 第三船、第四船はたまたま降雨にあいましたことと、それから荷揚げ埠頭のバースが非常に込んでおりまして使えなかったというふうなことのために予定以上に陸揚げに時間がかかったというのが実情でございます。
  302. 峯山昭範

    峯山昭範君 丸紅との仕切りはどこですか。
  303. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 先ほど契約の概況で申し上げましたように、受け渡し場所は保税倉庫でございまして、この場合には横浜港または東京港の保税倉庫渡しということになっております。
  304. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、先ほどもちょっと話がありましたが、すでに品物は船中においていたんだということが言われておりますが、これはどうですか。
  305. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 向こうから船に積み込みまして、船の底で二、三日おるわけでございますし、こちらも通関までに若干時間がかかるというふうなことで、早くて先ほどの第二船で八日くらいかかっておりますから、したがって、どうしても船の中で若干の荷いたみがあることは頭の中に置いておかなければいけないことだろうと思っております。
  306. 峯山昭範

    峯山昭範君 局長は一応船中でのいたみを認めましたので、それでは次にいきますけれども、いずれにしましても今回のキャベツが非常に悪い状態で入ってきたということは明らかであります。そこで、このキャベツが一体どういうぐあいにしてさばかれていったのかということを私はお伺いしたいんですが、その前に、国内のキャベツの相場というふうなものは一体どういうぐあいになっているのか、その点についてお伺いしたい。
  307. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 国内の卸売り価格は、二月初めに大体国内ですと十五キロのケースに入っておるわけでございますが、千五、六百円前後から、六日、七日と上がってまいりまして、八日から十五、六日ごろまでの間が一番高くて、高いときには二千五百円、安いときには二千円程度で推移をいたしました。この間に、これはとてもいかぬ、いまのまま推移すれば非常に大きな問題になるのではないか、若干問題はあるけれども、葉物で、いま先生御指摘のように問題があるかもしれぬけれども、この際ひとつ危険をおかしても市場を少し冷やすという意味でやってみようということで、調査を、検討を開始いたしました。十五、六日ごろの二千円前後の段階で、実は計画を出さしたものを承認したという形でございまして、それからあと二十日前後、ちょうど計画承認後二、三日いたしましてからかなり下がってまいりまして、二十七、八日に千二、三百円、さらに三月に入りまして、三月の初めには千円から千百円といった段階でございまして、ちょうど第一回の販売を始めます三月の五日の日が千二百円、それからその次が、七日の日が千円、十三日の販売日で千百円といったようなことで、大体売り切りました十九日前後から——実はもう少し早く春が来るはずであったものが、きょうのような形でどうもなかなか春が来ない、低温であるというふうなことから、また去年は前進出荷でありましたが、ことしはどうも春物の出がおくれておるということでまた上がってまいりまして、この二十五、六日ごろから急激にちょっと上昇気配を見せており、現在は、二十六日現在で二千円というのが現状でございます。
  308. 峯山昭範

    峯山昭範君 国内では十五キロ入りのキャベツがワンケース大体二千円する。現在の値段が二千円ということであります。それでは台湾から輸入したキャベツは一体どのぐらいで販売されたのか、お伺いしたい。大体せりが四回ぐらいに分かれて行なわれておりますので、まず五日の分、それから十三日、十九日とお願いしたいと思います。
  309. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 最初に五日にせりをかけましたものにつきましては、最高が八百円、最低は、これは江東市場でございますが、江東市場で九十ケース分だけ、これはどういう形かわかりませんが、百円という非常に悪い捨て値がついております。   〔委員長退席、理事西村尚治君着席〕 それから六日が六百円から百七十円、七日が六百円から百九十円、十三日が四百円から百七十円、十九日が四百円から二百円、二十日は三百六十円から百七十円ということで、平均いたしますというと、大体三百円ないし四百円程度のものが非常に大きかったわけでございますが、このいま申し上げました江東市場の百円だけがけたはずれに安いという状態が出ております。
  310. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはいま話を聞いておりますと、何となく正常に取引されたみたいな感じの答弁でございますけれども大臣、実際はいま平均で、局長最後に言いました三百円から四百円というのが大体最後のせりの値段です。大体平均で、平均ですよ、これは。しかし、これは二十四キロ入りです。ですから、実際に日本の国内の十五キロ入りに直しますと、これは百八十円から二百円という値段ですよね、現実に。大臣、こういうぐあいにして仕切られたキャベツが、持って帰らないで長い間市場へ積んである、こういう実情なんです。現実にたたき売りされたということはもういろんな人たちが言っておりますし、市場の人たちの話を聞いておりますと、とても人間が食えるしろものじゃない、こういうふうな話が現実に出ています。そういう点から考えましても、今回のこういうふうなキャベツの輸入については、私はやっぱり検討が足りなかったのじゃないか。たとえば国内ではボール箱に入っておる。ところが、外国の分は木箱になっている。木箱のために、キャベツのほうがやわらかいものですから、全部傷ついてしまっている。現実に、大臣見てくださいよ、図面を。これは写真がありますから一ぺんちょっと見てもらいたいのですが、木箱のために、木が、完全な四角な箱ならよろしい。ところが全部あいているものですから、そこで全部傷がついてしまった、こういう実情にあるわけですね。そういう点から考えてみましても、私は今回のキャベツの輸入については、これはたいへんなやっぱり検討の手落ちじゃないか、こう思うのです。  この点をまず一つお伺いしたいのと、さらに私の手元に仕切り伝票が全部入っております。この仕切り伝票を見ましても、八百円というのは一番初めの、一船のたった一種類だけです。あと最後のこれはたとえば十九日の分を見てみましても、大体三百円、四百円——いいのが四百円、日本の値段に直しますと二百五十円です。これは、こういう値段でこういうぐあいに仕切られているということ自体が、私はこういうふうな野菜価格の安定のためにほんとうに役に立っているのかどうか非常に大きな問題です。  そこで、大臣にお伺いしたいが、今回のこのキャベツの輸入にあたってどのくらいの国損になるのか、どのくらいの欠損になるのか、この点をお伺いしたいのが一つ。  それから時間がありませんから急いで言いますが、もう一点は、丸紅に対してこの問題について一体どういうふうにこの損害賠償なり、あるいは契約の中にも出てまいりますが、どういうふうな交渉をこれからしていかれるつもりなのか、この二点をお伺いしたいと思います。写真もあとでちょっと……。
  311. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 安定基金が、あの当時、つまり二月中旬ごろたいへんキャベツが高騰いたして、それを冷やそうということで急遽輸入を計画したという点については、私どもはそういう考え方というものはいいことだと思っておりままして、大体台湾からいままでタマネギなどは毎年入れておりますが、これからもまだ入れる時期が多いと思いますが、今回のキャベツにつきましては、いろいろあと聞いてみますというと、やはり船が四回に分かれ非常に遅延いたしたということ、鮮度をとうとぶ野菜がそういうふうなことになりました結果、先ほど政府委員からもお答えいたしましたように、江東青果などでは非常に投げ売りのようなことになった。これはスタートの気持ちはわかるのでありますが、結果においてはうまくなかったのじゃないかと、こういうことを私どももいろいろ考えさせられる点があるわけであります。これからそういう生鮮野菜等の取り扱いについては、安定基金でしっかりやってもらうようにいたしたいと思いますが、そういうことについての基金の受けました迷惑等につきましては、事情を十分調査さしてそれによって相当な処置をとることが必要ではないかと、こう思っておるのでありますが、その点調べておりますかどうですか、事務当局からお答えをいたさせます。
  312. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 木箱の問題につきましては、実はボール箱よりも木箱のほうが呼吸がしやすいというのでむしろよかろうということで木箱にしたわけでございますけれども、全体に品質が悪いことはもう御指摘のとおりでございます。特に一番最後に残ったものなどは、かなりひどいものも入っておるわけでございますので、私どもとしては、これらは当然契約に照らしまして、その契約のとおりに実行されてない部分につきましては、クレームとしてこれは相手方に対して賠償を請求するように行政指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  313. 峯山昭範

    峯山昭範君 国損は。
  314. 池田正範

    政府委員(池田正範君) いま私どもの計算では、約三千万円ぐらいになるのではないかというふうに考えております。
  315. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題につきましては、いま国損が三千万、さらに丸紅に対して損害賠償するということでございますからその点はもうこれでおきますが、いずれにしましても、大臣、さらに私は、江東青果市場だけというような認識なんですが、実際はそうじゃないのですよ。仕切り伝票が全部私のところにありますが、これを見てみますと、江東にしましてもこれは日本のワンケースに直しまして百八十七円です。それから、全部これは一つづつ見てください、全部。これは百円だから投げ売りで、百八十七円だから投げ売りでないとは限らない。現実に千円、千二百円もしているものが、現実に三百円、四百円で売られているというのは、投げ売りと一緒です。その点はこれは江東だけじゃなくて、全般にわたって投げ売りになっているということです。その点は認識を新たにしてもらいたいと思うのですが大臣、どうですか。
  316. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) よく調べて善処いたしたいと思います。
  317. 峯山昭範

    峯山昭範君 さらにもう一点、大臣、これで終わりますが、この問題につきましては先ほども局長のほうから答弁がございましたが、丸紅に対する姿勢というのは今後強硬にこの問題についても取り組んでもらいたいと思うのですが、どうですか。
  318. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 基金のほうを呼びましてなおよく調べまして——当然なことだと思っております。
  319. 峯山昭範

    峯山昭範君 建設大臣にお伺いしたいのですが、特に私は今回の物価の高騰に伴いまして、特に建設資材の高騰という問題につきましては、非常にこれは最近の新聞紙上にも相当いろんな問題が出てございますが、特に住宅あるいは学校、あるいは保育園等の建設が非常におくれが目立ちます。特に公共住宅の建設等についてもたいへんなおくれが来たしております。そういうふうな中で、建設大臣は、一体この建設資材の騰貴に対して——実は私が聞くところによりますと、大臣は全く傍観的な態度でいる、こういうぐあいに言う人が現実にいるわけです。そういう点から考えてみまして、私はこれは非常に、そんなんじゃ困ると、こう思っておるわけです。そこで、特にこの建設資材、セメントあるいは生コン、こういうふうな主要な建設資材の四十八年から今日までの価格の推移を掌握をしていらっしゃいましたらお伺いしたいと思うし、その問題についての答弁をお伺いしたい。
  320. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 建設資材の問題につきましては、無関心でいるどころか、きわめて心を痛めて積極的な指導をいたしておるつもりでございます。  御指摘のように、異常なる物価上昇の中にありまして、建設資材も高騰をいたしたのは事実でございます。したがいまして、できるだけ値上がりの度合いを少なくしていかなければならないというところから、通産省に、これは御承知のように生産とかそういう面についての所管事項は直接私どもの所管事項じゃございませんために、間接的に通産からの指導にお願いをするということを主といたしまして、私どもセメント協会あるいは鉄鋼関係、そういう業界に対しましても実は強く要請をいたしておるところでございます。特に昨年におきましては、この公共の施設、特に学校、保育所等の建設のために必要な棒鋼等につきましては、特別、業界に対しましてあっせんをするという処置もとっておるわけでございます。それで、私、就任早々実はそういう面の、特に資材対策、労務対策という面、建設省の行政組織の面においてもっと強化すべきであるというように感じまして、技監を長として対策委員会を省内に置きまして、そうして対処いたしますと同時に、各地建に実は命じまして、主要資材の週間ごとの資材の流れまた資材の価格、そういうものについて各地建ごとに本省に報告を出させまして、それによって資材の地域的なアンバランスを是正していくというようなことも強力にいま進めておるつもりでございます。  あと、具体的な値動きの状況、資材の昨年からの状況については事務当局から報告いたさせます。
  321. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 御承知のセメントに特にポイントを置いて御質問でございましたので、セメントの価格についても、これは高くなることで、大臣から御答弁申し上げましたように非常に関心を持っているわけでございますが、東京におきますところの価格について簡単にちょっと申し上げますと、セメントの価格、これは東京における各年初の価格の推移でございます。これは毎月ございますけれども、ちょっと時間がございますから簡単に申しますと——四十七年からずっと申し上げますか。
  322. 峯山昭範

    峯山昭範君 四十八年から毎月、毎月。生コンだけでいい。
  323. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 四十八年から生コンについて申し上げます。  四十八年一月が五千六百円、これは、ずっと二月もそうで、三月が五千七百円、四月が六千四百円、五月が六千六百円、六月六千八百円、七月、八月、六千八百円でございまして、九月に七千円、十月に七千三百円、十一月に七千八百円、十二月に八千二百円、それから四十九年一月八千二百円、それから二月も八千二百円というふうに、私ども東京についての月の初めのこれは価格で把握しております。
  324. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、特にきょうはこのコンクリート、セメント関係のやみカルテルの問題についてこれから問題にしたいと私は思っております。公取委員長も出席していただきましたので、特にこの生コンの問題につきましてはいろんな問題がございますが、いま発表がございましたが、一月、二月は五千六百円、それで三月から毎月上がりまして五千七百円、六千四百円、六千六百円、六千八百円と毎月上がっているわけです。そして今度は八月から六千八百円、七千円、七千三百円、七千八百円、八千二百円と連続上がっているわけですよ。毎月上がっているわけです。こういうふうな状況というのは一体どういうようになっているのか、非常にこれは重要な問題を含んでおります。  そこで、私は、きょうは初めに公取の委員長がお見えになりましたので、昨年公取が全部で五十一件勧告をいたしておりますが、その五十一件の勧告の中で応諾しなかったのがただ一件あります。これがすなわちセメント業界に対して昭和四十八年の六月、販売価格の引き上げ決定の破棄勧告を行なったわけでありますが、ただ一件だけ応諾がなかった。要するに、このただ一件の経過及び現在どういうようになっているのか、この問題について公取の委員長から説明を願います。
  325. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) ただいまおっしゃいましたように、確かに六月に勧告を行ないまして、六月の三十日に審判開始決定をしております。初めに申しますが、それは事実の審理はすでに終了しておりまして、ただいま審決案をつくっているところでございます。協定をいたしましたのはこれは昨年の一月でございまして、一月の十六日、それをこちらが立ち入り検査をいたしましたのが三月九日でございます。  その内容というのは二つありまして、普通ポルトランドセメント——バラものというのですが、これの特約店に対する販売価格、それを当時の相場でございますから三月中には六千二百円に持ち上げる、それから四月以降は六千四百円、まあ今日の相場からすればだいぶこれは低いのでございますけれども、そういう引き上げ協定を行なっております。  それから普通ポルトランドセメントの袋物につきましては、一袋をすみやかに三百円引き上げる、こういうことで三月以降、特約店向けの価格を引き上げておることでございます。いま審判にかかっているセメント業界、これは会社の数が全部で十四社でございますが、これだけが確かに不応諾——応諾しませんでそういう結果になっております。
  326. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは通産大臣ですね、片方では審判に持ち込みながら、その裏ではさらに四十八年の八月に、同じくセメント業界が石川県でやみカルテルを結びまして、そして公取から勧告を受けております。そういう事実があると思うんですが、この勧告の事実と並びにその後の経過について、これは公取委員長から初めに説明を願いたい。
  327. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 確かにそのとおりでございまして、これは結果においては応諾しておるのでございますが、住友セメントなどでございまして、これは八社でございます。これは石川県の生コン向けのセメントの価格を協定したと。この協定の内容を申し上げますと、団体交渉で申し入れをしたわけです。その石川県における生コンの製造業者のバラセメントの価格を、一トン当たり昨年の九月から六千六百円に引き上げる、十月からさらに六千八百円に引き上げると。で、この値上げに応じない生コン業者には出荷停止をきめておりまして、実際にそれを出荷停止をしたんです。ですから、まあ非常にその点で悪質であると思いますが、わずかの期間ではありましても、現実に出荷停止を行ないまして、その出荷停止をやったために生コン側が結局申し入れを受諾したと。で、これは、四十八年の九月六日に受諾して七日から供給を再開したと、かような非常に程度のよくないものでございますが、これにつきましては、私のほうで昨年の四十八年十一月三十日に勧告を行ないまして、結局応諾をしましたために、十二月の二十六日に正式にこれは勧告審決を行なっております。
  328. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは非常に、大臣ですね、片方でやみカルテルを摘発されて勧告を受け、審判に持ち込まれて、ほんとうは自粛をしなくちゃいけない立場にありながら、まだその審決が出ない前に、今度は片方で石川県では、いま公取委員長から非常に悪質という話がございましたけれども、こういうようなやみカルテルを結ぶ、これはもう本人が受諾しておるわけですから、当然こういうことをやったと認めておるわけです。こういうふうなセメント業界に対する指導というのは、私は非常に重要な問題だと思うんです。  特に私がきょうこれから問題にしようとしておりますのは、実は私がいま問題にしておるこのことだけじゃない。さらにこれから新しい事実をいろいろ申し上げますが、特に私がきょうこれから問題にしようとしておりますのは、最近特にこの公正取引委員会が活発に活動しておる、その活動をのがれるために、もっと簡単に言いますと、この独禁法を免れるためにだ、この大手のこういうふうなメーカーが、子会社をたくさんつくって、子会社を隠れみのにして、特にこの協同組合などをつくって価格を操作している、こういう事実が現実にあるわけですが、きょうは、これに関連をいたしまして、特にこの協同組合のあり方についてお伺いしたい。特に中小企業等協同組合法という法律がありますが、これについての認可の最近の傾向並びにこの組合法についての考え方、法の精神というものについて初めにお伺いしたい。
  329. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 生コンにつきまして協同組合を育成指導してはおりますが、最近に至って協同組合の、いま件数は持っておりませんが、設立の数がふえてきているという現象はございません。もともとやはり生コン業界というのは非常に零細企業が多うございまして、しかも能力的に見ますと、大体必要量の三倍ぐらいになっておるきわめて過当競争が行なわれやすい基盤に立っておりますので、そういった中小零細の生コンクリート業界の秩序を維持するという趣旨で、協同組合法の規定に基づいて従来も認可してきておるわけでございます。
  330. 峯山昭範

    峯山昭範君 認可の傾向とか法の精神とか、ちゃんと言ったでしょう。
  331. 西村尚治

    ○理事(西村尚治君) 局長。もう少し何か補足説明ありますか。——ちょっとはっきり言ってやってください。
  332. 峯山昭範

    峯山昭範君 ちゃんと聞いておいてもらいたい。とにかく協同組合法の問題について、きょうはこれからやると言ったわけですから、しかもその協同組合法の法の精神、基本的な考え方、協同組合をつくる場合の資格等があります。そういうような詳細についてお伺いしたい。
  333. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 私自身、協同組合法を直接に所管いたしておりませんですが、法の趣旨といたしましては、中小企業……
  334. 峯山昭範

    峯山昭範君 所管の局長答えろ。あたりまえだ、そんなことは。
  335. 西村尚治

    ○理事(西村尚治君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  336. 西村尚治

    ○理事(西村尚治君) 速記起こして。
  337. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 正確な条文に基づく性格その他、私まだよく手元にございませんので申し上げられませんが、要するに中小企業団体法等に基づいて、わりあいに零細な業者がお互いに協力し合いながら共存共栄の道を発見するために共助組織を行ないつつ事業を経営している一つの共同体と、そういう意味で協同組合がつくられていると思います。
  338. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣ですね、法律的なその詳細はいいです、大臣とやりましょう。大臣、協同組合法の基本的な考え方は、私は零細な企業を保護するためにあるんだと思うのですが、これはどうですか。
  339. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのように思います。その零細企業が集まって、おのおのが協力し合いながら、そのおのおのの仕事の目的を達するようなための協力組織として組合という形が認められていると思います。
  340. 西村尚治

    ○理事(西村尚治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  341. 西村尚治

    ○理事(西村尚治君) それじゃ速記起こして。
  342. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣ですね、この問題につきましては、あとで詳細に来るでしょうけれども、いずれにしましても、この中小企業等協同組合法というのは、いま大臣がおっしゃったとおりであります。現実にこれは中小零細企業を保護するためにできた法律であります。しかも資本金が幾ら、従業員が幾らというような規定も現実にあるわけです。  そこで私は大臣に、ここに入る組合員の企業に対する基本的な考え方について一つお伺いしたいか、要するに資本金が一〇〇%出資されている場合、これは零細な企業であっても、その一〇〇%出資した親会社のやっぱり系列に入る企業と私は見るべきだと思うのですが、この点については、公正取引委員長はどう考えますか。
  343. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 実際にそういう実例があるようでありますので、いま私どもはこれは十分検討しなければいかぬけれども、私個人の見解で申しますれば、一〇〇%を大企業が出資したものがいわゆる中小企業並みの保護を受ける必要があるだろうかという点について、はなはだしく疑問に思っております。
  344. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、どうですか。
  345. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういういま公取委員長が申されましたような疑い、あるいは、ある意味においては脱法行為をやろうとしてダミーみたいなものもつくってやっておるのかもしれぬという疑い、そういうのもあります。
  346. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは現実にアメリカ等におきましては、決算等も現実にそういうふうな場合は同一に扱う、こういうふうな形態があるということは私も聞いております。そういう点から考えてみましても、これはもうとてもじゃないけれども、いま公取委員長がおっしゃったように、私は同一企業と扱うべきだと、こう考えるわけです。  そこで、まず生コン業界につきましては、特に独禁法違反で私が調査いたしましただけでも、昨年一年間に岐阜、京都、富山、石川、福岡、この五県で勧告をしておりますが、これらの違反事件は、これはもうこれだけじゃありませんでして、もう日本全国にわたっております。こういうような事例というのは、決して私はこれだけの県ではない。これに対して、現実の問題として、公正取引委員会はこの生コン業界の独禁法違反事件について、現在どういうぐあいに取り組んでいらっしゃるか、この点についてお伺いしたい。
  347. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 生コン業者は御承知のとおり、大体県単位で組合がつくられていると申しますか、そういうのが多うございます。そこで、私どもが扱いました例を申しますと、この二年間ぐらいの間のおもなる例——全部かとも思いますが、富山県の生コンの協同組合ですね、これがなぜひっかかったかと申しますと、協同組合でありながら他の事業者、普通の、つまり中小企業でない事業者二名と共同して、そして価格の決定を行なったということで、協同組合でありましても、この場合は事業者として扱います。そういうことをやっております。それから岐阜県の生コンの協同組合については、やはりこれは販売先の制限、販売価格の決定について、これは勧告で破棄を命じております。それから京都の生コンの協同組合については、販売先の制限をやっているということで、これも是正せしめております。それから三菱鉱業セメント株式会社ほか七名というのが福岡地区で生コンの販売価格の決定を行なっておるということでありまして、これはいろいろ複雑な事情がございます。大企業者がその中に入っている中小企業団体法に基づく組合である場合に、そういうことが普通の協同組合とは違った制約を受ける場合があります。それからなお、現在審査中の事件として、これは比較的大きなものでありますが、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、つまり東京の周辺における生コン業者については、すでに臨検を行なっております。四十九年二月十四日、七社について、しかも七団体を含めまして、これは臨検を行なっております。ただいま、二月十四日の立ち入り検査でありますから、まだ結末には至っておりませんが、おそらく近く何らかの結果が出るものと思います。  なお、このような、いまおっしゃいましたように、生コンのそういう価格協定、しかもこれは組合がどこにでもあります。ほとんど全部あると言っていいでしょう。そういうことでありますので、独禁法違反に属することが非常に多いということは私どももよく知っておるんです。手があれば全部やるんですが、比較的最近大きな事件に取り組んでおりまして、とてもそこまで手が出ないというのが実態でありますが、たいへんこれは遺憾に存じておるわけでして、もっと幅広くこういう立ち入り検査等を行なって規制すべきものではないかと私ども考えております。
  348. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は、ここでいま公取委員長からも、手があれば全部やりたいと、こういうお話がありましたように、確かに全国的な規模で現実的に行なわれている事実があります。きょうはこれからさらに明らかにしてまいりますが、そこで私は、何といいますか、独禁法違反事件という、ただ単にそれだけの問題じゃなくて、きょうは、新たな問題としてさらに取り上げていきたいわけです。これは特に大企業と中小企業の関係という問題が一つ、さらに物価の関係というのがあります。こういうふうな基本問題について、きょうはこれから議論をしていきたいと思います。  初めに、先ほどから議論になっております、中小企業を守るための、組合法によって設立されたこの協同組合の場合ですね、こういうような協同組合の中に、大企業のいわゆる一〇〇%出資の全社が現実に入っていいのかどうか、これは通産大臣、どうですか。
  349. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 協同組合法に規定いたします組合員の資格といたしましては、資本金一億円以下または従業員三百人以下と、かようにたっておりますので、先生ただいま御指摘のように、一〇〇%大企業がその株を所有しておりましても、当該法人といたしましては一応組合法に規定する組合員資格を取得しておると、こういうことになるわけでございます。問題は、そういった大企業の一〇〇%出資会社が協同組合の中で実質的に大企業支配的な動きをするかどうか、それに対していかにチェックするかという問題かと思いますが、先生御承知のとおり、組合員につきましては加入、脱退の自由もございますし、あるいは議決権、選挙権も平等一票が原則になっておりますし、かたがた協同組合法に基づきまして、従業員百人以上の企業であって、実質的に中小企業でないという判断を公取委員長がなさった場合には、これに対して排除措置をかけ得る規定もございます。そういった点で、法的にも、実質的なダミーと申しますか、実質大企業的支配を確立しようとするものに対しての法的措置もございます。そういった法的措置のほかに、われわれも平素からさような行動がないように注意してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  350. 峯山昭範

    峯山昭範君 局長、いまの答弁は、先ほどから大臣答弁をしておる問題とは多少違う。法律の問題からいきますと、中小企業と、協同組合法の第七条でいまのような法律の解釈が現実にあるわけです。その問題を先ほど私が質問しておったわけです。いま私がこの問題について、さらに新たに全国的な規模でこういうふうなことが行なわれつつあるというのも、これは明らかであります。  それじゃ、大臣にお伺いしますが、現実にこういうふうな生コンクリート協同組合というのが全国にあります。そういうふうな中で、現実に親会社が一〇〇%出している会社というのがどのぐらいあるか、一ぺんそれを発表してもらいたい。
  351. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 全国トータルで申し上げますと……
  352. 峯山昭範

    峯山昭範君 明細に言ってもらいたい。
  353. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 一〇〇%出資をいたしておりますケースが六十五件、六十五社でございます。それから五〇%から一〇〇%未満七十六件、合計いたしまして百四十一件でございます。このうち協同組合に加盟いたしておりますのが百四件、加盟していないものが三十七件でございます。
  354. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃ、詳細に聞きます。三多摩生コンクリート協同組合の中で、大企業一〇〇%の出資の会社の名前を言ってもらいたい。
  355. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘になりました三多摩生コンクリート協同組合は十九社でございますが、その中で、一〇〇%セメント会社が出資しておりますのは四社。四社の名前は、アサノコンクリート、秩父生コン、関東菱光コンクリート、第一コンクリートの四社でございます。
  356. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはこの三多摩生コンだけじゃございません。これは札幌からいきまして札幌生コンクリート協同組合、この中には、札幌アサノコンクリート、札幌小野田レミコン、北海道宇部コンクリート工業、北海道菱光コンクリート工業、神奈川生コンクリート協同組合の中には、宇部厚木コンクリート工業、それから秩父生コン、こういうぐあいに全部入っているわけです。そして、たとえば、まだたくさんありますので全部言いにくいのですが、埼玉中央生コン協同組合の中には、秩父生コン、秩父コンクリート工業、埼玉小野田レミコン、関東小野田レミコン、こういうぐあいに、ずっとどの協同組合の中にもいわゆる親会社が一〇〇%出資をしてそうして現実にその組合の中で主導的立場にあるわけです。こういうふうな場合に、公取委員長、先ほど通産省のほうから百七条の問題についても出てまいりましたが、この問題についてはこれは百七条そのものの問題についても私はあとで検討しないといけないと私は思っているわけですけれども、あとであらためてこれは質問をしたいと思っているわけでございますが、さらに問題を詰めて質問したいと思っておりますが、公取委員長、こういうふうな一〇〇%出資の会社をこういうふうな協同組合法の中に入れていいと思われるか、あるいは、やっぱり不都合じゃないかと考えられるか、この点どうですか。
  357. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) まあ私の考えでは、独禁法上協同組合を適用除外にするという二十四条の規定でございます。二十四条の規定は、昭和二十二年の当初から入っております。これは小規模の企業のためにつくられたということがはっきりしておるわけでございまして、その後中小企業というふうな定義が出てまいりました。いずれにしても、いまのお話でありますと、そのもの自体は何かいかにも中小企業であるという資格は備えているけれども、実際には一〇〇%かあるいはその過半数まで大企業と完全につながっているわけでございまして、そういうのはこの制度をむしろ悪用しているのじゃないかと思います。実は、その点は、届け出は中小企業のワクを越えたものが協同組合に加入できます。そういう規定がございます、御承知かと思いますが。その場合には届け出があるのですけれども、そうでないものについてはそのつど届けてないわけです。ですから、いま通産省ではおわかりのようでございますので、これらについて、自主的に、まあうまくなければ百七条でこれを除外するということを考えなければならないと思いますが、いずれにしても、いまたまたま適用除外の問題全般につきまして独占禁止懇話会に全部網羅して再検討をお願いするということになっております。そういうことでもありますので、至急にそういう点については中小企業庁の御見解も承りながら措置したいと考えています。
  358. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、どうですか。
  359. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 協同組合がその本来の精神に立ち戻っておりまして、資材の共同購入であるとか、あるいは資金の共同受け入れとか、中小企業保護のために活用されておるならば、それは好ましいことであり、助長すべきことであり、法本来の精神に沿うと思いますが、かりにそれが独禁法を免れるための防護壁に使おうとか、あるいは商工中金から資金を借り受けるための便宜に使おうとか、そういうようなことで大企業に利用されているという状態では、これは好ましくないと、検討すべきであると思います。
  360. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは、大臣おっしゃるように、完全に利用されているんです。それは具体的にまいりますが、新潟生コンクリート協同組合というのがございますが、これを問題にしてみたいと思うのですが、この新潟生コンクリート協同組合の概要について、その組合員、役員、所在地、事業内容等についてお伺いしたい。
  361. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 新潟生コンクリート協同組合は、所在地は新潟市でございます。それから設立されたのは昭和四十六年七月の二日でございます。理事長は緒方澄夫氏。組合員の数は十一社、十六工場でございます。年間の出荷数量は約百万立米。事業目的といたしましては、共同販売事業、あるいは組合員のための各種指導教育、情報提供等をその内容といたしております。  それからただいま御指摘になっておりますセメント会社の関係会社といたしましては、一〇〇%出資会社が一社、五〇%以上一〇〇%未満が一社と、こういうことになっております。
  362. 峯山昭範

    峯山昭範君 まず第一点は、これはただ単に協同組合法の中のこまかい事業をやるっていうのじゃなくて、事業内容そのものがセメントの共同販売なんですね、生コンの共同販売。ですから、消費者は全部組合に申し込んで、組合が全部こうやるわけですね。そういうような体制になっている。しかも、生コン自体の隠れみのになっているという証拠は、もうそういうような中身からはっきりわかるわけですね。この点がまず第一点。  それからいま話がございました親会社の一〇〇%出資私はいまはことばの上では出資ということしか問題にしていない。出資だけじゃない。人事の交流ももうこれは親会社とべったりなんです。たとえばいまおっしゃいました一〇〇%出資の会社がございました。いま局長おっしゃいましたが、これは新潟宇部コンクリート工業という会社がございます。これは一〇〇%宇部興産の出資であります。ここの社長は、現在の宇部興産の副社長の水野一夫さんという方がここの社長になっているわけです。ということは、この会社自体がほんとうに中小企業なのか、零細な企業なのかどうか、疑わしい。資本金や人数は少ない。けれども、これは隠れみのであるということには間違いない。  さらに、いま五〇%以上の会社というのをもう一件いま局長おっしゃいました。これは新潟小野田レミコンという会社であります。この会社は、小野田セメントが六〇%出資です。そして、ここの社長というのは、小野田から派遣になった緒方澄夫さんという方です。もともとこれは通産省にいらっしゃった方です。そして、しかも、この方が現在理事長をしている。こういうふうな人事の面を見ましても、これはもうべったりなんです。これは独禁法違反と言われても、こういうふうな白昼平然とですよ。しかも、これだけじゃない、日本至るところにこういうようなのが行なわれている。この問題について、これはもうほんとうに独禁法をのがれるための方策としか見えない。この問題について、通産大臣、どうお考えですか。
  363. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 実態をさらによく当たってみないとわかりませんが、もし協同組合の中にあってそういう大企業が法の目をくぐって妥当でない目的のために協同組合を利用するということであるならば、これは適当でないことでありますから、検討しなければならぬと思います。ただ、地方の業者や実業家等が、資本力がない、あるいは資材の供給の系統を得たいと。そういうようなところで自分の足らざるところをそういう企業に求めて、資本を求めたりあるいはルートを求めたりして協同組合をつくる、それを両方が共存共栄という意味で協力し合うというならば、これはやはり地方の中小企業育成のよすがにもなっておるので、あながち否定すべきことではないと思います。しかし、いまのように一〇〇%出資で人事までが上のほうから全部来ている、べったりしているというようなことは、これは適当でない。それが協同組合でなくして別個に存在するならばまた別な話でありますけれども、協同組合の保護を受けているということには、やや法を利用しているという感を免れないと思います。
  364. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは、大臣現実にいま、先ほど話がございましたように、全部で百四件もあるわけですね、全国で。いま局長の発表によりますとね。しかも、これは私は一〇〇%出資の会社というのを先ほどから問題にしている。ですから、そういう点を考えてみますと、これは相当問題がある。ですから、そういう点から考えてみまして、ぜひとも、この問題については法の網の目をくぐってそしてこういうことをやっているというのはほんとうに許しておけないと私は思うんです。法の精神からいっても私はおかしいと思うんです。この点について善処を願いたいと思います。  さらに、公取委員長にお伺いしますが、先ほどから百七条の問題について公取委員長から少し話がございましたが、これは協同組合法の中にもうたっておりますように、これはもう完全に私は排除命令を出して、いままでにやったことではないと私は思うのですけれども、これは排除命令を当然やるべきだと思うんです。現実にこういうような会社で組合に入っていなくて商売をやっているところもあるわけですから、そういう点から考えてみますと、現実に組合の中に入ってこういうことをやって組合法の保護下に置かれているということはおかしいと私は思うんです。そういう点で、現実にそれを排除できるのは、公取委員会ができるわけですね。ですから、そういう点からいきますと、この排除命令を出すために検討をすべきだと私は思うのですが、どうですか。
  365. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) その点は十分私はその方向で検討したいと思います。また、公正取引委員会としてはそう考えておりますが、ただし、一つ制約がございまして、数が、常時従事する従業員の数が百名をこえていないといかぬと、そういう制約がございます。法律上こう書いてありますので、それに該当する限りにおいては、実質的に構成員たる資格がないのじゃないか、排除措置がとれることになっておりますから、私のほうではその方向で検討したい。ただし、通産省の御意向も聞かなければならぬし、実態を一応調べた上で措置したいと考えます。
  366. 峯山昭範

    峯山昭範君 最後に大蔵大臣にお伺いしたいのですが、これは確かに物価の問題として考えてみましても、独占を排して公正な競争によって物価の安定をはかる、これは私は当然のことだと思うので、田中内閣の基本的な姿勢だと私は思うんです。そういう点から考えてみましても、こういうふうな問題というのは相当真剣に取り組んでいかなけりゃいけないと思うんです。こういう点から内閣としてどういうようにしていくかという問題が一つ。  それからもう一点は、先ほど公取委員長からも話がありました。要するに、公正取引委員会としては、手が足りない。手があれば実質的に全国当たりたい。けれども手が足りないという話がございましたですね。ここら辺のところは、やっぱりそういう意味からも公正取引委員会はある程度強化しないといけないと思うのですが、これらの点も含めて大臣の所信をお伺いしたい。
  367. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず第一に、実体が大企業であると。しかるに、中小企業の仮面をかぶって、中小企業協同組合法の保護を受けると。これは私は妥当じゃないと思うのです。やっぱり、方法はいろいろありましょうが、そういう実質は大企業であるというものが中小企業協同組合に入るということを排除すべきであるというふうに考えます。それから同時に、独禁法の立場からも検討さるべき問題だと、こういうふうに考えます。  それからこういう時局になりましたので、やっぱり、公正なる競争、こういうことが非常に大事な問題になってくると思うのです。そういう立場からいいますると、公正取引委員会の活動、これをできるような体制を整備する必要はあると、こういうふうに考えます。でありまするから、人手が足りないとか、これはまあ私は兼務だとかそういう仕組みもあると思うのです。それから金が足りないというならば、金の問題も出てくるわけです。そういう問題につきましては、また公正取引委員会とも相談いたしまして十分善処すべきであると、かように考えます。
  368. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、ただいまの問題につきましてはこのくらいでおきまして、次に、さらに物価の問題でございますが、物価の問題の中でも、特に子供のお菓子の問題について私はきょうはちょっとお伺いしておきたいと思います。  初めに、文部大臣にちょっとお伺いしたいのですが、子供の一日の小づかいは一体どのくらいが適当なのか、ちょっとお伺いしたい。
  369. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) どうも、私、そのようなことはあまり詳しうございません。子供によりまして何十円というようなことをきめて渡しているという話も聞くわけでございますけれども、幾らが適当かと言われますと、ちょっと、私、いま正確にここにようお答えいたしませんので、まあいずれにしてもあまり多くないほうがいいことは言うまでもないことだと思います。
  370. 峯山昭範

    峯山昭範君 どのくらい……。
  371. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) どのくらいと言われますと、よく聞きますのは、一日何十円かというふうにきまって渡しているということを伺っているわけでございます。
  372. 峯山昭範

    峯山昭範君 ただいまの問題、文部大臣がはっきり言わないようでございますので、大蔵大臣、どうですか。
  373. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、私の子供のころの経験で言いますれば、小づかいなんちゅうのはあんまり持ったことはございません。
  374. 峯山昭範

    峯山昭範君 通産大臣、どうですか。
  375. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私の経験では、私の子供が十数年前、もう十年ぐらい前でありますが、中学生から高校生になるころ、一月たしか二千円前後与えておったと思います。近ごろは物価が高くなりましたから賃上げになったかもしれません。
  376. 峯山昭範

    峯山昭範君 経企庁長官、これはどうですか、実際問題。お孫さんにどのくらいやっていらっしゃいますか、現実問題で。
  377. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私は孫がないのですが、(笑声)教育のことにつきましては非常に熱心のほうでございまして、少なくともいまおっしゃる児童といわれるものについては、お菓子代ではなしに、お菓子そのものを与えるというようなことで私のところは子供を育ててまいりました。
  378. 峯山昭範

    峯山昭範君 経企庁長官にそれじゃお伺いしますが、経企庁長官は、お小づかいじゃなくてお菓子ということでございますが、最近のお子さんには特にお菓子の値上げというのが非常にたいへんなことになっています。そこで、きょうは、お菓子の値上げについて、まず農林大臣、最近のお菓子の値上げについてどうお考えですか。
  379. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) お菓子は私どもに関係のある物資でありますが、これは、御承知のように、好みが非常にいろいろ違いますので、同じようなもので一つが値段が高くなればそれは買わないという傾向があるようであります。一般の普通にあるものと違うようでありますので、比較的便乗値上げというのはできにくいものだと思いますが、しかし、実際のところを見ますというと、いろいろな名目で新しい製品が出てきて値段が上がっているというようなものはあるようでありますが、まあお菓子については大体そういうふうに考えております。
  380. 峯山昭範

    峯山昭範君 最近のお菓子の値上げというのが非常にひどいわけであります。しかも、きょうはここに実物を持ってきているわけです。それで、実は、最近皆さん方がお小づかいをどのくらいやっているかという話が出てまいりませんが、たとえばここに私が製品を全部順番に出していきます。非常に値段が毎月上がっているわけです。皆さん御存じの、大蔵大臣も御存じだと思いますが、キャラメルというのがあります。ここに森永のハイソフトというキャラメルですが、十月に五十円、十一月六十円、ことしの一月七十円、二月に八十円、現在八十円であります。要するに、お小づかいを二十円なり三十円やっている人は、こんなものはとても買えないわけですね。しかも、これだけじゃないんです。これが全部上がっておりまして、これはチョコフレークというやつです。これは、昨年の暮れに七十円、それが十二月に八十円、そしてことしの一月に百円、こういうぐあいに上がっているわけです。しかも、これはビスケットですが、昔からあるやつですね、これが昨年の十月まで百円でありました。それが十二月に百五十円、これが二百円、ことしの一月二百円、現在二百円であります。こういうぐあいに値上がりしていることについて、これは経企庁長官、どうですか。どうお考えですか。
  381. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 基礎物資ではございませんけれども、これは広い意味の生活関連物資として私どもはそのような値上げが行なわれないことが望まれることでございます。それにつきましては、私どもの耳にも入りまして、たとえばこれは砂糖、小麦粉、そういうものに対するいろいろな処理と、それからいまの便乗値上げというような点から検討をすべき余地があるように私は考えます。
  382. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは大臣、そういうふうに基礎物資が上がって便乗値上げという、そういう問題じゃないわけです。大臣、さらにこれはどういうことかといいますと、これ、わかりますか。これ、ラベルです。お菓子に張るラベルです、これね。これを十二月になったら——この製品、腐りませんよ、全部これね。これは農林大臣、腐らないんです、全部。野菜と違んです、さっきのね。ですから、十二月になったら品物が変わるんじゃないんです。このラベルを張ってくださいというんです。一月になったらこれを張ってくださいというんです。品物は変わらないんですよ、品物は。一月になったらこのラベルに張りかえてください、そしてまた二月になったらこれに張りかえてくださいって、こう順番に出てきよるわけです。品物が上がったというじゃないんです、これはね。ずっと前からできて置いてあるわけだ、お店に。こんなことが実際問題これは、子供の要するにおやつです、言うたら。こういうようなことが現実に許されていいのかどうか。これはほんとうに、ぼくはこういうふうな問題を調べるに従って、子供の童心を傷つけるものだと思うんですよ。去年の暮れは五十円だった、それが五十円持って買いに行ったら、もう六十円に上がってた、現実にそういうことがあるわけです。私は、その製造原価が上がった、あるいは何やかんやで上がった、これはやむを得ないところもあると思うんですね。しかし、そうじゃなくて、こういうラベルでぱんぱんぱんぱん上げていくと、こういうふうな商行為が行なわれていいのかどうか。これは私はほんとうに問題だと思うんですがね、通産大臣、農林大臣いかがですか、これ。これは経企庁長官もあとでお願いします。
  383. 池田正範

    政府委員(池田正範君) ただいま御指摘の数種類のものについては、先生御指摘のどおりでございます。私どももそれはつかんでおりますが、先ほど大臣から申し上げましたように、種類が非常に多いことと、それから非常にむずかしいことは、レッテルをかえ、このマークをかえ、まあ自由自在にその品種がつくり出せるというところに実は菓子に対するこの行政の非常にむずかしいところがございますが、全般的に実は全部追いかけるというのは、正直言って、それはやるべきだと思いますが、なかなか実はできかねておるのが現状でございます。で、全般からいいますというと、どうも高級なもの、たとえば和菓子とか洋菓子とかいったようなものが比較的値上がりが大きい。あるいはスナック類が非常に大きい。そしてそれに反して、逆にチョコレート類なんかが大体横ばいで、チューインガムのようなものが逆に値下がりしておるというふうな形で、全体としてそのお菓子を一括して必ずしもとらえられないところに現状の難物である点があるわけでございますが、まあ私どもとしては、これら全部を全部一括して追いかけるということよりは、むしろ、ただいま御指摘の子供のそのお菓子、ただいま先生から御指摘がございましたようなものの中でも、たとえば昔からあります一粒三百メートルのグリコといったような一番基本的な原点に立つお菓子、こういうふうなものは、これはやっぱりぜひ押えていきたいというんで、大体申し上げますというと、比較いたしますと、たとえばチョコレートで申しますというと、チョコレートは、これは名前はちょっと遠慮いたしますが、一番昔からある通常のミルクチョコレートでございますが、それでも一昨年の一月一枚五十円でございましたのが、目方が変わらずに、ことしの一月五十円、二月で五十二円というように上がっておりますけれども、大体五十円。あるいはキャラメルにいたしましても、昔からある一番有名なキャラメルで、一昨年の二月に三十円でございましたのが二十九円と、逆に下がっておる例もございます。しかし、逆に上がっておる例もたくさんございます。したがいまして、まあ私どもといたしましては、一番、申し上げておるような、子供に最も直結する代表的なものにつきましては、   〔理事西村尚治君退席、委員長着席〕 実はこの三月に値上げをしようとする数社をつかまえまして、大手でございますが、これは五社ほどございますが、これに対しまして値上げを抑制するようにということで直接指導をいたしまして、現に値上げを思いとどまっておるものもある現状でございます。
  384. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣から答弁がございませんけどね、いろいろおっしゃっていますけどね、こういうふうなことを許していいのかというのです、ほんとうに、これね。文部大臣どうですか、これ。こういうことを許していいのかどうか。品物は変わってないんですよ。これはどうですか。
  385. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 私も、お菓子の値段が非常に大きな変化を最近しておることにつきましてふしぎに思っておる一人でございます。やはり、こういうものを早く安定してくれなきゃ困る。先ほど便乗値上げということをおっしゃいましたけれども、かなりそういうような傾向もあるのじゃないだろうか。活発な競争が行なわれて早く安定することを心から期待いたしておるものでございます。
  386. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは、この問題について、経企庁長官ね、こういうふうなものの安定するために何かどうしても打つ手はないですか、これは、大臣
  387. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私はそれ聞いてほんとうに驚きました。その、もう予定の月別の値上がりラベルまで用意をして、そうして——それ、ぜひ私もいただいておきたいのですがね。(峯山昭範君資料を手渡す)そういうことですと、それはもう便乗値上げどころではなしに、全くスケジュール値上げ、先取り値上げということで、これひとつ、私のほうが直接所管するわけじゃございませんけれども、農林大臣にもよく申し入れまして、これはまあ安くなったものもあるそうでございますからけっこうでございますが、こういう同じものをスケジュール値上げするようなことは、これはもうきつくひとつ、よく、それこそ行政指導をしていただく対象であろうと私は思いますので、ひとつやらせていただきたいと考えます。これ、お預かりしておいてよろしゅうございますか。——返します。農林大臣ひとつ……。
  388. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題は非常に重要な問題を含んでおりますので、ぜひともこういうことがないようにやってもらいたいと思います。  さらに、安くなったという話がさっき局長からありましたけどね、何が安くなったのか、一ぺんちょっと聞かしてもらいたい。それで、中身もみんな同じで絶対安くなっているというのは私調べた中で一つもない。安くなったのは、ちょっと確かにあったけれども、中身が小そうなっておる。これはどうですか。
  389. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 先ほどちょっと申し上げました中の例を一つとりますと、たとえば、一つのケースの中に十四粒ほど入っておりますミルクキャラメル、これが四十七年の二月に三十円でございましたのが、大体時価で通っておりますのが二十九円でございます。  それから先ほど先生からいろいろラベルの問題が出まして、これは確かにけしからぬことでございまして、これは行政指導しなきゃいけませんと思いますが、現実に、実はお菓子というのは、書いたとおりの値段が通っていることは非常にまれでございまして、値段を上げましてもさっぱり通らないで、そのまま市場価格は逆によそを走るというようなことも間々あるわけでございますが、実は私どもの調べておりますのは、そういう意味で、総理府の小売り物価調査をとっておりますので、大体間違いのないものだろうと思います。で、そのほかにも、なお値段があまり上がらないようなものも幾つもございますが、もし必要とあれば、いろいろとございますので、また御説明申し上げます。
  390. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題もあんまり長くやっているわけにいきませんので、これで終わりますが、いまのミルクキャラメルも、私の調査によりますと、四十八年の十二月まで三十円、これは通常のミルクキャラメルです。それが、四十九年一月、ことしから四十円に上がっているわけです。局長の二十九円になったというやつ、ちょっと私わからないのですけどね。まあこの問題はあとにしまして、いずれにしましても、先ほど経企庁長官や皆さんからお話がございましたように、童心を傷つけないように、今後とも真剣に私はこの問題について取り組んでもらいたいと思うんですが、最後に農林大臣、どうですか。
  391. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 大事なことでございますし、それから原料は私ども取り扱っている物資が主でありますので、なおひとつ、そういうことについて指導を十分いたさなければならないと考えております。
  392. 峯山昭範

    峯山昭範君 たいへん時間がなくなってまいりましたので、タクシーの暫定料金の問題についてお伺いしたいと思います。  ことしの一月二十九日から六大都市で暫定料金が実施されたわけでございますが、今回の暫定料金を実施した理由等について、運輸大臣からお伺いしたい。
  393. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 昨年の石油問題に端を発しまして、量のカットのやむを得ないということになったわけでございます。そこで、量ばかりではなくて、値段も上がりますし、昨年の暮れの当委員会におきましては、個人タクシーの自殺者も出るという痛ましい事件まで発生して、これにどういうふうに対処しなければならぬかというので実は非常に苦慮したわけでございます。当時私が申し上げましたのは、何とか融資等において、料金に手をつけなくてこの問題の解決をはかりたいということを繰り返し申し上げておりましたけれども、緊急融資等について金融公庫等とも相談をし、またいろいろな手配をやってみましたけれども、個人タクシー等が約半数でございますから、半数に近い個人タクシー、いわば零細業者でございますから、なかなかそれに対応できないということで、昨年暮れから油の、LPGの落ちつき先、行くえをにらんでおりましたけれども、どうしてもこれが安定、また値下がり——あるいは量の面におきましてもますます混乱を起こすということで、たいへん時期的にも、いろんな面で、公共料金の抑制という政府の大方針からも問題がございましたけれども、やむなく暫定料金に踏み切った次第でございます。
  394. 峯山昭範

    峯山昭範君 事務当局から基本的な——大綱的なことはわかりましたけれども、もう少し基本的な問題についてお願いしたい。
  395. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  ただいま大臣から御説明申し上げましたように、昨年LPGの供給カットと、それから価格の高騰ということで、タクシー事業が非常に危殆に瀕したという事態が起こったわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、先ほど大臣が申し上げましたいろいろな対策を検討いたしました結果、暫定運賃を認めざるを得ないという結論に達したわけでございます。それで、たとえば六大都市につきましては二九%という暫定運賃を認めたわけでございますけれども、実はそれ以前、昨年の十二月でございますけれども、タクシー事業者は約七〇%以上の基本運賃の改定申請を出しておったわけでございます。と申しますのは、四十七年の二月に前回の運賃改定をいたしまして、ちょうど二年近くたっておりまして運賃改定時期に近づいておるということと、もう一つは、先ほど申し上げましたようなエネルギー問題が起こってまいりまして、若干早めて十二月早々に基本運賃の改正申請を出したわけでございます。しかしながら、諸般の情勢はとうてい基本運賃の改正をこの際やるという客観情勢ではございません。そうかといって、これを融資というふうな手段のみによって切り抜けるということはとうてい不可能であるという判断をいたしまして、少なくともLPガスの供給量と、それから価格と、この二点だけについてこれを原価計算いたしまして、六大都市について二九%という運賃を暫定的に認めたというのがいきさつでございます。
  396. 峯山昭範

    峯山昭範君 その詳細について、二九%値上げの分のうち、燃料カットの分が幾らと、さらに価格の分は幾らと、大体そういう点はもう、もともと何回も計算していらっしゃると思うのですが、そこら辺のところはどうですか。
  397. 中村大造

    政府委員中村大造君) 御説明申し上げます。  まず、供給量のカットでございますけれども、昨年の十二月、われわれは通産省と協議をいたしまして、非常に不足しておるLPガスの中から最大限度どれだけタクシー用に回せるかということで、いろいろ協議した結果、十一万五千トンという量の確保の決定を見たわけでございます。で、これは年間を通じて、年間のいわゆる必要量、こういうものから逆算いたしますと約一五%減と、こういう数量になるわけでございます。それから一月に至りましてもやはり十一万五千トンと、こういう供給量ということになったわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、当時の段階として、まず供給量については必要量に対して一五%カットということを想定して計算をいたしました。  それからもう一つは価格でございますけれども、これは前回運賃改定をいたしましたときの価格は大体二十一円ないし二十二円という価格でございます。それから今回暫定運賃の計算をいたしましたときは、たとえば東京について例をとりますと、私ども運賃改定をいたしますときに原価計算をするわけでございますけれども、その原価計算をする対象事業者として選びます標準的な全社、これについて実態を調べたわけでございます。そういたしますと、大体四十円から四十五円という実績をわれわれは把握いたしました。したがいまして、その中間といいますか、四十三円、実勢価格として四十三円というものを想定いたしたわけでございます。当時の段階といたしましては、量につきましても、あるいは価格につきましても、きわめて不安定、かつ見通しはきわめて暗いというふうな段階でございましたので、そういう計算をいたしまして、それによって値上げ率を算定したわけでございます。そういう量の一五%カット、それから価格の、これ、約八七%アップになりますけれども、そういうもので計算いたしますと、約二四%程度のアップ率に相なります。それにプラスいたしまして、先ほども申し上げましたように、運賃改定時期が来ておるといいますか、前回運賃改定時期から二年を経過しておる、しかしながら、基本運賃の改定ということは当分これは手をつけるべきではないという判断をいたしまして、その間のいろいろな価格の上昇というものを加味いたしまして、これに約五%のプラスをいたしまして二九%と、こういう率を算定したわけでございます。
  398. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、ただいまの局長の話から、暫定料金二九%の値上げの理由としましては、いわゆる供給カットの分で一五%、それからLPGの二十三円から四十三円に上がった分、これが大体先ほどの二四%ということでございますから九%になりますね。そうすると、その他の分が五%、こういうことになるわけでございますが、とりあえず通産省にお伺いしたいんですが、通産省は元売り協会に対して供給目標として要請した数量については、先ほど十一万五千トンという話がございましたが、現実に協会から出てきた量というのはどの程度でございましたでしょうか。
  399. 熊谷善二

    政府委員熊谷善二君) お答えいたします。  昨年の十二月の数量につきまして、運輸省と御相談いたしまして、十一万五千トンということで、この数量を確保しようということで元売りを指導いたしました。その後届きました報告によりますと、十一万八千トンが十二月の実績になっております。それから四十九年、今年の一月につきましては同じく十一万五千トンということで運輸省と御相談いたしまして、元売りを指導いたしたわけでございます。これにつきましては、十一万五千トンの報告が集計されておるわけでございます。二月につきましては推定を含みますので、まだ正確なものはやっておりませんが、十万トン強という数字になろうかと思います。
  400. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、結局、時間がございませんので端的に申し上げますが、とにかくこの二月、三月、特に二月、三月につきましては燃料カット一五%というのは、これはもう十分出回ってきているのじゃないかと私は感じるんですが、この辺のところはどうですか。
  401. 中村大造

    政府委員中村大造君) 一二月につきましては、供給量につきましても十一万五千トンよりも多く約十二万九千トン、こういう供給量を見込んでおります。したがいまして、そういう点につきましては、供給量については相当緩和されてきておるという実態でございます。ただ四月以降につきましては、まだきわめて流動的であるというふうに私どもは承知いたしておるわけでございます。
  402. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、まず燃料分の一五%については一応十分出回ってきたと、こういうことになります。  さらにもう一点の四十三円の値上げの分ですがね、値上げと言いますよりも、運輸省が二十三円であったのが四十三円と算定した根拠についても先ほどお伺いしましたが、この問題についても種種問題があります。ありますが、きょうは時間がございませんのでちょっとこれを省きまして、現実の問題として、いわゆる零細なタクシー会社が入れる燃料というものと、それから大手の業者が入れるものとの差というのは、私の調査によりましても相当あります。ここら辺のところはどうですか。
  403. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 当初から個人業者、個人タクシーは、LPGの燃料タンクのまわりを整列しておったという非常な詰まった状態でございましたが、大手はそれほどでもなかったという実情がございます。いろんな点で、自分でガソリンスタンドを持っておるとかいろんなことがあったろうと思いますけれども、それにしても、そういうような差のあったことは事実だと思いますし、現状においてもそういう傾向のあることは事実であろうと思います。
  404. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、現実に私の手元に運輸省で四十三円を算定した根拠になる表が出ておりますのですけれども、この表を見てみましても、四十三円という金額自体についても多少疑問を抱かざるを得ない、そういう点が出てまいります。出てまいりますが、きょうは時間の関係がございますので端的に申し上げますが、特に大手のタクシー会社は、いま大臣からもちょっとお話ございましたが、仕入れ価格というのが非常に安い、全部二十九円前後で入れているわけですね。そうしますと、特に大手のタクシー会社と、零細なところとの格差というのは確かに出てまいります。特に大手のタクシー会社というのは、小さいところと違ってたくさんの、いわゆる最近のあれで言いますと、超過利得税なんという法律がいま出ておりますけれども、これは暴利をむさぼっている、あるいは便乗値上げしておる、便乗して利得を得ていると、こう言っても過言ではないと私は思うんです。  そういう点から考えてみまして、ここら辺の問題点というのは、まず第一点として端的に申し上げますが、大臣、この一五%のカットというのは、これは一五%値上げしなくてもよかったという実情に現状としてはあるわけですね、二月、三月、少なくとも。これから先はどうなるかわかりませんが、少なくともそうあるわけです。そういう点から考えてみますと、私はこういうふうな便乗して、あるいは便乗と言ってはおかしいかもしれませんが、いわゆる暫定料金で上げた分については、もう本来ならば運賃をもとの料金に返さないといけない。しかしながら、返したあとですぐまた上げなくちゃいけないという事態があっちゃいけない、そういうぐあいに先ほどいろいろな話が、私がお伺いしたときもそういうのが出ておりました。したがって、これから、現在までもですが、特に大手も含めましてそういうところの得た利得というものにつきましては、私は国民に返すというのが原則であろうと思うんです。そういうような点について、その業界に対して、あるいは大手の業者に対して何らかの形で私は指導すべきだと思うんですが、ここら辺のところはどうですか。
  405. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 御指摘のように、大手の連中のほうがよう収益をあげたということは、これは想像にやぶさかでございません。ただ、料金の算定が、個人は高くて大手を安くするという押える方法がないものでございますから、いろいろなその間に私ども苦労したわけでございますけれども、一律の料金を設定せなければならないという事情で、個人タクシーの約半数近いものも十分この考えの中に入れてやったことでございまして、そういう一律の料金を設定したわけでございますが、ただいま御指摘のように、これは公共料金でございますから、これがいろいろ御批判はあろうと思いますが、確かに大手の業者がより多く収入を得たであろうということは、私はお説のとおりだと思います。したがいまして、それを利用者に還元しろということも、そのとおりだと思います。税金が三月で締めますから、税金で取ればそれでいいじゃないかというだけでは逃げられぬと思います。したがいまして、私どもとしましては、近代化センターというものをつくらせまして、それぞれ業者あるいは個人等からも拠出しておりますけれども、そういう面においてよりサービスの向上でございますとか、あるいはまた指導でございますとか、あるいは指導車を走らすとか、いろいろな面において利用者の皆さん方に還元をするように指導してまいりたいと思います。ただ、この暫定料金をどういうところで固定するかという問題につきましては、まだ値段等におきまして非常に大きな値動きのする要素を持っておりまして、それをにらみつつ適当な時期に固定したいと、かように考えておる次第でございます。
  406. 峯山昭範

    峯山昭範君 運輸大臣、もう一点だけ。これは特に大手だけじゃなくて、タクシー業界全般の問題として考えてもらいたいと思うんですが、どうですか。
  407. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) もちろんそういうことでございます。そういう点から、全般の問題として利用者にいかにして還元するかということを指導してまいりたいと思います。
  408. 峯山昭範

    峯山昭範君 建設大臣にお伺いしたいと思うんですが、特に日本の水資源の問題ですが、この問題について特に水不足というのが非常にたいへんな状況にありますが、その対策等についてお伺いしたい。
  409. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 御指摘のとおり、南関東及び京阪神地域が特に水について心配な地域であるわけでございます。昭和六十年における水の需給について見通しておるわけでありますけれども、水不足があり得るということを予想いたしておりまして、このため、ダム等の積極的な開発をいたしまして、水資源の確保をしていかなければならないという基本姿勢で取り組んでおるわけでございます。  特に昨年は夏の間、両地域とも長期の渇水ということでございまして、秋にも記録的に降雨がなかったということで、貯水池の水位が非常に低下をして、たいへん心配、憂慮をしておったわけでありますが、その後、幸い水源地域に多量の雪が降りまして、また春になりましてから利根川の上流地方にも雨等もありまして、関東地区利根川水系、それから淀川水系の貯水地及び琵琶湖の貯水量は十分満足のいく程度に保たれておるというふうになっておるわけでございます。ただ、今後の四月、五月の降雨状況に応じまして渇水がどのようなぐあいになってくるかということもやはり心配な点もございますので、前橋にあります利根川の統合水管理事務所等を督励いたしまして、また淀川につきましては枚方の統合管理事務所を督励をいたしまして、水の節約、また利水者間の水利調整等もいまからいろいろと打ち合わせをさせている次第でございます。
  410. 峯山昭範

    峯山昭範君 特に、京阪神地区の水需給の問題についてお伺いしたいのですが、昭和六十年には年間で十二億トンの不足が生ずる、こういうふうに聞いておりますが、特に京阪神地区の水需給の問題についてお伺いしたい。
  411. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 具体的な問題でございますので、事務当局から詳しく御説明申し上げます。
  412. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) 京阪神地区の水の対策について申し上げます。  京阪神地区の水の不足というのは、先ほど先生おっしゃいましたように、昭和六十年には約十二億トンというようなおそれがあるわけでございます。それに対する対策といたしまして、従来まで淀川水系に高山ダム、それから青蓮寺ダム、それらを建設をいたしまして、またさらに室生ダム、これは現在すぐ完成の予定でございますが、それから一庫ダム、それから琵琶湖の開発、それから将来の問題として日吉ダム、比奈知ダム、これらの事業を促進をはかっております。しかし、これだけで十分というわけではなく、さらに新規地点の開発、これを積極的に進める。それから先ほども申し上げました水利用の合理化、それから有効利用、こういうものを続いて検討していきたいと思っております。
  413. 峯山昭範

    峯山昭範君 さらに大阪府下の水不足に対処して、特に紀ノ川の水資源の開発に対して建設省はどういう構想を持っておられるか、お伺いしたい。
  414. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) 紀ノ川関係の水資源の開発につきましては、現在大滝ダム、これの工事を進めております。また、将来さらにその上流に対してダムの計画等もございますので、これらをあわせまして水の開発をはかっていきたいというふうに考えております。
  415. 峯山昭範

    峯山昭範君 特に、いま局長から答弁ございました大滝ダムの建設の問題ですが、これは建設省主管で進めているわけですけれども大臣、これは非常に問題が多いわけであります。特にこのダムでは、奈良県の川上村というところが問題になっておりますのですが、すでにもう一カ所ダムができておりまして、そのダムができましたときに百世帯が水没をいたしました。今回新しく大滝ダムができる。そのことによりまして村の中心が四百世帯水没するわけです。しかもその中で、村の世帯は千六百世帯でありますから、四分の一が水没するわけです。しかもそれが全部、役場から始まりまして、森林組合から、そのほか農協から、診療所から、法務局から全部沈んでしまうわけです。こういうふうな村に対しては何らかの基本的な措置をしないといけないと思うのですが、詳細は時間がございませんので言えませんが、いずれにしても土地も何にもないわけですね。そういうところに対する対策についてお伺いしたい。
  416. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) 大滝ダムにつきましては、先生御指摘のとおり水没戸数が約四百戸しかも川上村の人口が六千人ほどでございますから、約四分の一ほど水没するということで、これの対策は非常にむずかしいわけでございます。それで建設省といたしましても、その水没後における住民の生活再建、それから村の再建、これについては特に意を用いておりますけれども、今後一そう力を入れてこれに取り組む所存でおります。  これは具体的に申しますと、宅地の造成、それからあるいは宅地、住宅の取得のあっせん、これ等をはかって、また再就職のあっせん等、これらにつきましても県当局等とも協力方を依頼し、この水没住民の生活の再建、これが円滑に行なわれるようにつとめたいと存じております。また、地元川上村の再建、このためには適切な公共補償、これが必要であります。これはもちろん十分やるつもりでございますが、そのほか、このたび発足いたしました水源地域対策特別措置法、これに基づきまして、これを適用して必要な整備が実施されるように努力する所存でございます。
  417. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、最後に。いま局長からもずいぶん話がございましたが、私も何回か行っているわけですが、現実の問題として、公共補償する場合でも非常に、役場の土地がない、さがそうにも山が絶壁になっている非常にいろいろな問題があるわけです。それで普通の状態とはだいぶ違うわけですね。そういうような観点から、ぜひともこの問題については、先般通りました法律の適用等もございますが、そういう点も含めまして、ぜひともこういうふうな問題に真剣に取り組んでいただきたいと思うのです。この点を大臣から御答弁をいただきまして、私の質問は終わります。
  418. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 仰せのとおりでございまして、特にこれから開発しようというダム地点は、どちらかといいますと条件の悪い、ということは水没家屋数なんかの多いところが残されておるわけでございます。したがいまして、先ほど局長から答弁申し上げましたように、やはりその水没住民の諸君の生業をどうして確保してやるか、生計をどこまで見てやるかというような点については、いままではそういう点では、もう補償さえすればいいというような点なきにしもあらずであったと感ずるわけでございますので、これからは住宅はじめ、農業者であれば代替地といったようなものまで、関係道府県あるいは市町村とよく連絡をとりまして、特に公共用地等がなくて、そういうところは貧困自治体が多いわけでございますので、そういう点に心配のないようなところまで配慮してやらなければならないのではないかというような感じを持って指導してまいりたいと思っておるわけであります。
  419. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣も一ぺん現地に行って見てください。
  420. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これにて峯山君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  421. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これより先刻の上田君の残余の質疑を行ないます。上田君。
  422. 上田哲

    上田哲君 政府側の見解は非常に不統一でありましたので、休憩中に作業されたようでありますから、御報告をいただきます。
  423. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 先ほどは私どもの資料その他不手ぎわでございまして、たいへん御迷惑をかけたことをまずおわび申し上げます。  型式指定に生産指定と生産開始の条件というものが、現行制度では実は生産の開始条件にはなっておりませんけれども、大量生産される自動車が国の行なう車検等で不合格になるということは、これはもう国家的にも大きな問題でございますし、ロスでもございますし、また購入された人々に対してもたいへんな御迷惑なことでございますから、こういう点につきましては、今後制度の問題は制度の問題といたしまして、十分行政的にそういうことのないようにひとつ配慮をしてまいりたいと、かように考える次第でございます。
  424. 上田哲

    上田哲君 休憩中にいろいろ話を聞きまして、いまの御答弁で非常によくわかったんです。何がわかったかというと、メーカーはかってだということなんですね。この型式指定というのがあろうとなかろうとメーカーは、ここで言うならばトヨタという大メーカーは世界で第一の自動車メーカーになることの生産開始もかってにどんどんすることができると、国家的なロスなどとおっしゃるけれども、メーカーのほうからすればそんなものをロスするなんということはとうてい考えられない。こういう状況が非常にはっきりしたと。つまり運輸省は何にも歯どめにはならぬという立場であることが、非常に運輸大臣としては残念でありましょうけれども、出てきたと思うんです。念のために伺うけれども、そういうことでいいですか、事務当局
  425. 中村大造

    政府委員中村大造君) ただいま大臣から御説明申し上げましたように、現在の制度からまいりますと、型式指定というものが法律的に生産を拘束するというものではございませんけれども、しかし、あとで大量な不合格品が出るということは国家的にロスでございますし、また、私ども保安行政というものをあずかる面からまいりましても、やはり型式指定を受けてから生産を開始するというふうなことが望ましいんではないか。これはわれわれの保安行政を強化するといった面からそれが望ましいと、’こういうふうに私どもは感ずるわけでございます。
  426. 上田哲

    上田哲君 全くメーカーの言うとおりに、つんぼさじきだということなんですよ。  具体的に一つ伺うが、先ほど来私は何べんも言っていた、このフルモデルチェンジのカローラ、これが四月十五日生産開始だ、調べた結果どうでした。
  427. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  そういうスケジュールになっておるということを私どもは聞いて承知いたしております。
  428. 上田哲

    上田哲君 そういうことなんですよ。メーカーじゃこう言っておるんですよ。言わざるを得ないんだ、こういうふうに進んでいるんです。ラインは動いているんだ。一年前から部品は入っているんです。これはアメリカの自動車工業界のほうがびっくりするでしょう。しかし、まあ問題は輸出問題じゃありませんよ、これは。内需問題が私は中心なんですが、きっかけはたまたま輸出問題から話をいたしましたけれども、つまり問題は、トヨタと日産のシェアは七割ですよ、日本の自動車工業の。この二つがわっとこういう形で出てきたらえらいことになるんだが、四月十五日生産開始、このことを前にして型式認定がこういう形でたいへんうろうろしながらどうしようもない。法的にもしようがないなんということにもなってしまう。非常に困ったことです。私がさっきあげた車種についてどういう受け付け状況になっているか、ほとんどこれは運輸省じゃわかってないだろうと思うんですよ。運輸省には、私がさっきずっとあげたあの車種について、一斉にこれは爆発的に生産開始が行なわれるということになっている状況がわかっていないだろうと思うんだが、わかっている部分だけでいいから答えていただきたい。
  429. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  先ほど先生が御指摘になりました九つの車種でございますが、そのうちカローラ、これにつきましては現在審査中ということでございます。それから、それ以外につきましては二つの機種につきまして、これはもうすでに指定済みでございます。それから、一つの機種について三月の六日に受理をいたしまして、現在審査中ということでございます。したがいまして、それ以外のいわゆる五つの機種については、まだ私ども申請を受理いたしていないと、こういう状況でございます。
  430. 上田哲

    上田哲君 受け付けたのはクラウン、グロリア、カローラですよ。グロリアは決定済みでもあります。これぐらいしかわからない。ほんとうにやっぱりこれは担当者として残念じゃありませんか。責任が果たし切れないという気持ちが起きませんか。
  431. 中村大造

    政府委員中村大造君) 私ども、いわゆる保安行政を担当いたしておりますものといたしまして、現在の型式指定制度というものが、いわゆる申請主義をとっております。したがいまして、生産にかかわる事項については、メーカーのほうから意思表示がないとなかなかわからないという実情であることは、私ども保安行政をあずかるものとして非常に残念であるというふうに思っております。問題は、制度としてこれをどうこうするということではなく、われわれが積極的に保安行政を今後とも充実強化していくためには、私どもといたしましても、努力をして、そういう情報をキャッチする。また、メーカーといたしましても前広にわれわれのところへそういう情報を提供すると、こういうことをやっていく必要があるというふうに思っておる次第でございます。
  432. 上田哲

    上田哲君 これはもっともな話ですよ。車公害というのはたくさん言われているところですから、社会問題ですから。安全の問題と公害の問題について監督官庁はしっかりやってもらいたい。これは市民の願いなわけです。ところがメーカーはかって気まま、基準から言えば型式認定があろうとなかろうと、かってにどれだけつくられたってしょうがないんだと、歯どめのしようがない。しかも、いま私が申し上げたら、たとえばサニーは、生産開始を言います、四十九年の六月、バイオレットは一ぺん四十九年七月だったやつを五十年七月に延ばしたのを、もし一ぺん四十九年七月繰り上げ、チェリーは四十九年の七月、セドリック、グロリアは五十年二月、クラウンが四十九年九月、マークIIが四十九年八月、カリーナ、セリカが五十年八月、ハイエースが五十年七月。私はかたい企業機密の中を完全に把握したとは言い切れませんから、これがどれだけ正確であるかどうかについては責任は負い切れませんけれども、少なくともこういうことがこれだけざあっとなっていることが、本来公害と安全の、きちっとそこで押えるしかないところが押え切れようがない、申請が出ないからしようがない、またその型式認定がなくても生産はかってである、こういう状況ではどうしようもないと思うんですね。運輸大臣、この点いかがでしょうか。
  433. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 先ほどもお答えしましたように、制度の問題としてはいろいろ問題があるのは御指摘のとおりでございますが、私どもとしましては、まず公害、それから安全、この問題につきましては、十分なこれの責任があるわけでございますから、それが、ただ業者が思うままに、そういう問題——どもの点検等をわがもの顔に通過されるということについては許しがたい問題もございますし、今後は十分そういう面にも着目いたしまして指導してまいりたいと、かように考える次第でございます。
  434. 上田哲

    上田哲君 運輸省しっかりやってもらいたいと思うのです。  もう一つ伺いたいんですがね。さて、じゃ形式認定は型式認定なりにどういうふうにやっているかというと、型式認定は運輸省ではとにかくどうなっているか。三月十五日には通産省に向かってオーケーを出してくれという連絡がいっているはずだ。この事実は間違いありませんか。
  435. 中村大造

    政府委員中村大造君) この点につきましては、三月十五日付で私の自動車局長の名前で通話省に協議をする手はずにいたしたわけでございます。いずれにいたしましても、できるだけ早くこの協議を済ませまして、そうして審査を早めて処分をすると、こういうふうにいたしたいというふうに思っておる次第でございます。
  436. 上田哲

    上田哲君 通産省に何で言わなきゃいけないんですか。
  437. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは型式指定というのは、要するに、一両一両の検査を省略するためにこういう制度ができておるわけでございます。したがいまして、生産過程におきまして、これが大量に、かつ、いわゆる均一的に生産が可能であるかどうかという点について、やはり生産行政をあずかる通産省として十分関心を持ち、また、監督をしていただくということでございますので、通産省に協議をするということにいたしておるというふうに存じます。
  438. 上田哲

    上田哲君 話が重要になってきたんです。さっきから私が申し上げているように、ぎりぎりしぼって四月十五日生産開始、これは間違いないことになった。となれば、一月前の三月十五日にはオーケーが出なきゃできないのですよ。だから、運輸省は三月十五日という数字が出ている。そして三月十五日から通産省に向かって早くオーケーを出してくれと言っている。私の了知しているところでは、二十二日までにオーケーを出してくれということがいっておるはずですけれども、間違いありませんか。
  439. 中村大造

    政府委員中村大造君) この点につきましては、私、先ほど申し上げましたように、三月十五日付で自動車局長名をもちまして発送する手順をいたしておるわけでございますけれども、いつ通産省にその書類がいって、そして通産省で審査の段階に入るかということにつきましては、若干まだつまびらかではございません。十五日付の書面ではございますけれども、若干私どものほうのいわゆる事務処理の遅延等もございまして、若干通産省の手元に届くのがおくれたという事実はございます。
  440. 上田哲

    上田哲君 二十二日までという数字が出ているでしょう。出ていますね。
  441. 中村大造

    政府委員中村大造君) はい。二十二日ということでございますけれども、したがいまして、その日付はこちらから通産省に手渡した日付が若干おくれましたので、若干その辺の余裕はもちまして、できるだけ早く回答をいただくようにと、こういうことにいたしております。いずれにいたしましても、近日中にその回答を得て処理したいと、こういうふうに思っております。
  442. 上田哲

    上田哲君 どうですか、通産大臣、非常に重要なことですよ。結局は、もとは通産省が握っているのです。そして通産省に二十二日までに返事してくれと言っているわけです、正式に。ところが、通産省が何でこれを押えるか。運輸省は結果的には安全と公害しかないんですよ。安全と公害を問題に、あとどこでするのかというと、大量生産するかしないかというところの問題というのは通産省だということになる。通産省がいまこれを握っているというのは——私は早く許可を出せなんということを言っているのじゃありませんよ。ありませんが、いずれにしたって四月十五日は変えられない。トヨタはどんどん走るんです。日産、追いかけるんです。七〇%のシェアを持っている二つのメーカーがだっと走る。かってない形でもってたいへんな自動車メーカーの爆発的条件が起きるのです。たいへんよくわからない。これはどういうことになっているのですか、通産省では。
  443. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 道路運送車両法に基づきます新しい車種等の型式指定につきましては、運輸省から通産省に協議がくることになっておりますが、文書が遅延をいたしまして昨日到着をいたしましたので、ただいま審査をいたしておるところでございます。
  444. 上田哲

    上田哲君 文書遅延と言ったって、通産省と運輸省の間は——冗談じゃない、きょうは二十七日ですよ、あなた。質問のしょうがないじゃないですか、これは。全くおとぎ話だな、これは。
  445. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 的確に答えをしてください。
  446. 中村大造

    政府委員中村大造君) ただいま、私御答弁申し上げましたように、三月十五日付と、こういうことで書面を出す準備をいたしたわけでございますけれども、具体的に通産省のお手元に届くのがおそくなったということ、したがいまして、二十二日という期限が物理的にそれまでに回答をいただくということは不可能になりましたけれども、しかしながら、近日——できるだけ早く回答をいただくと、こういうことで進めることにいたした。これは私どもの内部の事務の遅延ということでございまして、これはまことに申しわけないことであったというふうに思っております。
  447. 上田哲

    上田哲君 運輸省と通産省の間に郵便物がおくれて二週間かかったという話は国会の答弁にはならぬですよ。全くもうあきれ返って話ができないけれども、通産省でどういう基準でいま考えているのかということを聞いているのです。メーカーに力を貸すだけじゃないですか、手を貸すだけじゃないですか。
  448. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 通産省としましては、こういうモデルチェンジ等につきます型式指定につきましての運輸省からの協議がございました場合には、そのモデルチェンジが技術革新とか、あるいは技術改善の成果を織り込んで自動車の機能なり、耐久性を向上するなど、ユーザーのメリットの増加につながるものであるかどうかといったような点を主要な観点として審査をいたしまして、そういうユーザーメリットの増加につながるものであれば異存ないという回答を従来いたしております。ただ、単に外観だけを変更するようなモデルチェンジをひんぱんに行なうというようなことは避けるべきであろうというふうに考えております。
  449. 上田哲

    上田哲君 値段はどうなる見通しですか。
  450. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 運輸省からの協議に関しましては価格についての協議はございません。
  451. 上田哲

    上田哲君 協議を聞いているんじゃないんです。あなたの情報はどうなんですか。
  452. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 今回のモデルチェンジにつきましては、会社のほうからは私どもに事前に何の説明も参っておりません。
  453. 上田哲

    上田哲君 運輸省の話では大量生産の問題が基準になると言っているわけですけれども、このままいきますと今回の問題で年産九十五万台、フォルクスワーゲンの八十七万台を抜いて世界の第一位になる、こういう数字をちゃんと了知しておられますか。
  454. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 今回のカローラのモデルチェンジにつきましては、運輸省からの協議文が昨日届きましたので、それで初めて知りました次第で、内容については事前に何も承知いたしておりません。
  455. 上田哲

    上田哲君 私が言ったような数字だったらどう判断されるでしょう。事務当局が悪かったら大臣でけっこうですが、こういう生産、こういうフルチェンジ……。  ついでに聞きましょう。大臣の言われる去年の十月の線は私は正しいと言っているのです。発明と公害防除と、こういう立場には当てはまらないのです。そうしてこういうとてつもない大増産形態に入るということをどうなさるつもりなのか。
  456. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは、やはりトヨタの責任者を呼んで、計画やら意図をよく調べてみないと確定的な答弁はできませんが、やはり何といっても公害あるいは技術の進歩、ユーザーのためになるモデルチェンジであるかどうか。先般、去年十一月に関係業界を集めて、モデルチェンジを自粛するようにと、抑制するようにということを、私のほうからも要請し、かつ、それに協力いたしましょうという返事もあるという次第でもあります。それからもう一つは、やはり省資源、省エネルギーという国策を、通産省としては進めているおりでもありますし、また総需要カットという需要抑制ということを、昨年も秋から、またことしにかけまして、特にエネルギーを多量に使う産業について、通産省は特に強く要望して行政指導もしてきたところであります。そういうような諸般の情勢を勘案しまして、通産省は通産省独自の産業政策をもちまして、審査していきたいと思います。
  457. 上田哲

    上田哲君 前に確認いたしましたのは、去年の十月、通産大臣が明らかにされた二つの条件、公害と発明というような以外はフルモデルチェンジはやるべきじゃない。今回、これだけ膨大な、革命的ともいえるような生産開始というものに対して、そのいずれにも当てはまらない。ならば、当然、総需要抑制その他の立場からいって、ユーザーの立場ということもあとで述べたいと思うけれども、私はこれは許可をすべきものではないと判断するのですが、いかがですか。
  458. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは中身を調べてみないとわかりませんので、来年から、いわゆる日本版マスキー法を適用いたしまして、公害規制を厳重にやるわけであります。そういう意味で、トヨタのように、非常に多種類の車を製造している会社にあっては、おのおのの型について、公害の、いわゆる日本版マスキー法に合うような模様がえが行なわれる可能性はあるとみなければなりません。しかし、生産工程の関係もありますから、一ぺんに全部のことをやるわけにいきませんから、どの順序で、そういう順序をつけていくかということも考えられることであります。そういう点から言えば、もしマスキー法というものを頭に置いてそういうモデルチェンジが行なわれるならば、これは公害のためという条項にも適応いたします。台数がふえるというのは、これはおそらく向こう側、会社側が会社側独自の計算でやっているのでしょうけれども、公害規制の点で、すぐれた性能があって、それで安ければ、あるいはそれは売れ行きはよくなるかわかりません。その辺は、まだわれわれは全く未知のところでございます。したがいまして、その申請の内容等よく調べてみて、その上でさっき申し上げた通産省独自の産業政策をもちまして考えてみたいと思っております。
  459. 上田哲

    上田哲君 日本版マスキー法の五十年規制の問題は私は賛成なんです、大綱において。ところが、違うんですよ、これは。一二〇〇cc、一四〇〇ccをそれぞれ二〇〇cc上げる。それならば、そういう公害規制を盛り込んだエンジンをそのまま現在のカローラに積めばいいんです。何でスタイルを変えなきゃいけないのか、何でフルモデルチェンジをしなきゃいけないのか。それだったら単に構造変更届けで済むんです。それをしないで、このままじゃ売れないから、だから、おっしゃるように全然公害上のメリットはちっとも出てこないにもかかわらず、スタイルまで変えて新しい売り出しに入った。これは去年以来のシェアが落ちていることに対するトヨタ、日産の巻き返し以外の何ものでもないのですよ。まだわれわれにとっては未知の部分だからとおっしゃるけれども、四月十五日に生産開始がこれだけはっきりしていることを、その監督官庁の一つである通産省が、未知の状態でと言っていてよろしいですか、この二つの点。
  460. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 事務当局から聞いてみましても、きのう申請書が着いたというわけですから、未知な状態だということはこれはもうやむを得ない。
  461. 上田哲

    上田哲君 未知の状態がいかぬと思いませんか。
  462. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 不可抗力の状態であると思うのです。で、やっぱり向こうから……。
  463. 上田哲

    上田哲君 それはいかぬと思いませんか。
  464. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いや、来るのがおそかったんですから、知るのがおくれたのはやむを得ない。
  465. 上田哲

    上田哲君 それじゃメーカーの思いのままじゃないですか。
  466. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それからいよいよ審査を開始して、そうして、どういうことでやるかということをこちらとしてはよく検査する、検討する、そういうことでございます。もし四月十五日に量産を開始するというラインがあるとするなら、もし、かりにあるとしましても、われわれのほうの審査の状況によっては、それはどうかなと、われわれのほうで行政指導する余地もあるだろうと思います。
  467. 上田哲

    上田哲君 ストップすることもありますか。
  468. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは審査の結果、その過程において、われわれのほうがどういう所見を持つかということによってきまるのではないかと思います。
  469. 上田哲

    上田哲君 情報が着くのがおそかったなんていうことをいばってもらっちゃ困るんです。とんでもないことじゃないですか。そんなことは不可抗力でも何でもない。それは行政当局として申しわけのないことの一つじゃありませんか。しからばそのマイナスというのはどうやって挽回するかというのが為政者の責任じゃありませんか。何がユーザーの利益のためですか。そういう状態を全部背中にしょった上で、まずかったらストップをするということを言うのでなければ、通産省の指導というのは全く二律背反であり、業者向けの癒着体制でしかないということになってしまいますが、いかがですか。
  470. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 必ずしも、そう御即断なさるのは早いと思います。何でも通産省が業界に癒着しているということはあり得ないのでありまして……
  471. 上田哲

    上田哲君 ストップはあり得るかと言うのです。
  472. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 要するに、審査をしてみて、マスキー法との関係はどうであるか、公害関係の改良がどういうふうに進められているか、技術の進歩がどうなっているか、二百ccキャパシティを上げるというにはどういうメリットが出てくるか、そういういろいろな面をよく調べてみなければ結論は出ません。やはり、そういうことは綿密に調べた上でやらなければ責任ある審査とは言えないと思います。
  473. 上田哲

    上田哲君 非常におくれていることが遺憾であるとは言えませんか。
  474. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは通産省の責任というよりも、郵政省の責任じゃないですかね。郵便がおくれて来て、こっちへ来たというわけですからね。まあ政府全体としては郵便遅延ということは申しわけないと思っております。
  475. 上田哲

    上田哲君 委員長、これはふまじめだな。
  476. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ちょっとまあまあ。
  477. 上田哲

    上田哲君 これはふまじめだ。
  478. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) まあまあ。
  479. 上田哲

    上田哲君 こういう答弁はないですよ。私はこれだけまじめにやっているし、重大な事件だと思っている。これはふまじめだ、非常に。郵政省が悪いので、郵便が悪いのだなんていう言い方では私は納得しませんよ。
  480. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ともかく、政府全体としましては、行政事務がこういうふうに渋滞していることは申しわけないことであると思います。
  481. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) その程度で。
  482. 上田哲

    上田哲君 まじめにお答えをいただきたいが、時間がないのは残念です。残念ですが、五十年規制というのはいいんですが、その五十年規制が、五十年四月までに型式認定が終わっていると五十年十二月まで継続になると、時間がないから私はこまかいこと申し上げられないが、事務当局から、五十年四月を基準にして型式が終わっていろか終わっていないかということによって、五十年規制がどう入るのか、入らないのかということをわかるように説明してください。
  483. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先生御指摘の、いわゆる五十年規制は、いわゆる新型車につきまして五十年の四月から、それから、いわゆる継続生産車でございますけれども、これは五十年の十二月から適用されるということでございます。したがいまして、もっとも、この五十年規制に適合するような技術開発、これをするためには、まあ相当な期間が必要でございますので、いま申し上げました期間を設定しておるわけでございますけれども、現在予想されます型式指定の申請というものが、そういうふうな、いわゆる継続生産車ということで適用時期を延ばされると、そういう効果を享受するために駆け込みで申請をすると、こういうことでは、私どもは、まあおそらくないというふうに信じておるわけでございますけれども、ともかく、その点につきましては、行政指導の段階で、これをできる限りチェックしてまいりたいというふうに思っております。
  484. 上田哲

    上田哲君 五十年規制の内容をちょっと説明してください。
  485. 中村大造

    政府委員中村大造君) この点につきましては、技術的でございますので、整備部長ないしは課長からお答えさせます。  概要私から御説明申し上げます。さらに詳細につきましては、担当者から補足説明いたさせますけれども、五十年排出規制は、まず四十七年の十月五日に、環境庁の告示でもって許容限度の設定方針というものが示されたわけでございます。それから、具体的な排出ガス量の許容限度につきましては、ことしの一月二十一日付をもちまして環境庁の告示が出されました。この告示を受けまして、具体的な規制事項をきめますために、道路運送車両法に基づく保安基準を改正いたしました。これを、この一月二十五日に改正したわけでございます。それで規制の内容でございますけれども、これは対象の自動車は、いわゆる乗車定員十人以下の乗用車、それから車両総重量が二トン半以下のトラック等につきまして、これはガソリンとLPGを燃料として使用するものでございますけれども、それに対しまして、いわゆる排出の重量規制という規制方式をとっておるわけでございます。それで、その規制による低減率でございますけれども、これは乗用車に例をとりますと、CO——一酸化炭素につきましては、この前の四十八年規制と比較いたしますと、八九%の低減率ということでございます。それからHC——炭化水素につきましては九一%の低減率、それからNOx——窒素酸化物につきましては四五%の低減率、こういう内容でございます。定施時期につきましては、先ほど申し上げましたように五十年の四月から新型車に、それから十二月から継続生産車、それから五十一年の四月から輸入車及び二サイクルの軽乗用車に適用する。こういう内容でございます。
  486. 上田哲

    上田哲君 この基準はかなりきびしくなるわけです。このために、いまこの型式指定をとって生産を始めると、来年の十二月まで五十年規制を受けずに済む。この中から、今日こういう爆発的なことが起きた一つの理由であると考えざるを得ないんです。特に対米輸出用、対米だけではありませんが、輸出用の問題と国内向けとは若干差がある。公害対策上問題があるということです。
  487. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  対米輸出用につきまして、特に差をつけているということではございませんで、輸入車については、若干適用時期をおくらせて五十一年の四月にしておると、こういうことでございます。
  488. 上田哲

    上田哲君 時間がありませんから、私は結論を言うよりしかたがありませんが、こういう状態の中で、ユーザーのメリットなんておっしゃるけれども、実際には、簡単に言うなら、このカローラにしぼって言えば、フルモデルチェンジをする必要は全くないのであって、もし二〇〇cc上積みをしたエンジンが公害規制にちゃんと合致しているなら、これをそのまま載せればいい、これはさっき申し上げたとおり。わざわざフルモデルチェンジをするというのは値上げ以外の何ものでもない。こういう形の中で、しかも、現在の現行法規制の中でどうにも手の打ちようがない、こういう状況を、しかも四月十五日は動かないという形で進んでいるということを認めることは、私はたいへんユーザー無視であること以外の何ものでもないだろうと思うのです。少なくとも、公害面で五十年規制値に近いとか、安全面で抜本的な前進でもない限り、政府——通産はと私は申し上げておくが、来年四月までは新型車の型式指定はしない、こういう方針を出すのが国民に対する当然理解を求めることであり、去年の十月の通産大臣見解と一致するだろうと私は思う。この問題はひとつしっかりしていただきたい。あるいはアメリカのように、三カ月前にこうした問題についてはタイプのオープン一をするということは当然ではないか。こうした問題を全部しないで、いま、この短い経過でありましたけれども、少しながらでも明らかになったのは、これだけ爆発的な新車の開発、売り出しというものが行なわれようとするときに、全くメーカーのかって、メーカーのかけたベールの中でものごとが進んでいるというような状況が、全くわれわれの前に現出をしている。こんな状況の中で、かけ込みの、じゃ来年の四月、いいんじゃないかとおっしゃるかもしれないが、ライン部門からいってそうはいかないのです。こういう状況をそのまま認めるということは、どう考えてもこれは二転三転しながら政府の行政指導というものが、全く業者のほうしか向いていない。まさに外剛内柔という形になりましょうか、国民はこの中で非常にまた高い新車を大わらわになって買わされるということにしかならないだろうと思う。こういう問題について、しっかりした御見解を伺っておきたいと思います。
  489. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昨年、モデルチェンジの自粛を要請したという考え方はいまだ微動だに変わっておりません。そういう考え方をもって審査もいたしますし、また審査の内容につきましても、公害問題及び技術の進歩というようなポイシトを重点に置いて、これは厳重に審査するつもりです。このような総需要カットで国民が真剣に日本経済を再建して、省資源、省エネルギーというような方向にみんなで手を組んで進もうというときに、やはり会社が自分の利益を目的にして、そういう国民的歩調と逆行するような方向へ進めるということは、トヨタであろうが、日産であろうが、どこであろうが、好ましい現象とは思いません。そういう基本的観念に立って行政指導もしていきたいと思います。
  490. 上田哲

    上田哲君 大蔵大臣、何かありますか。……  では。
  491. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 御指摘の点をいま一々私聞いておったんでございますが、確かにいろいろな問題を含んでいると思います。で、今後そういうような問題につきましては、通産省とよくもう一ぺん根掘り葉掘り検討してみなければならぬと思います。その上で、いまアメリカの方式というようなことも出ましたけれども、公害のあの排気ガスを減少させる機械等にしましても、いままでの、私はこの間ちょっと担当者を呼んで聞いたのですけれども、そういうようなやり方よりも、いろいろな、やはり世の中に出して多くの人の意見を聞くという方向を、いわゆるアメリカ式の方向がそういう問題でもいいんじゃないかというような気がするわけなんです。これは、私専門家でございませんから、いろいろまた、今後通産省とも十分検討いたしまして、そういうような問題について手抜かりのないようにやってまいりたいと思う次第でございます。
  492. 上田哲

    上田哲君 農林大臣と建設大臣、ほかのテーマに入る予定だったんですが入れなかったんで、たいへん失礼いたしました。  終わります。
  493. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これにて上田君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  494. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 神沢君。(拍手)
  495. 神沢浄

    ○神沢浄君 私は、この際、質問を通じて、政府が軍事政策優先するあまりに国民の権利をじゅうりんしたり、かつは法律制度を無視して著しく行政の秩序をねじ曲げている一、二の事実問題を提起をいたしまして、政府の反省と修正を求めたいと思います。  そこで、私がまず第一にお聞きをいたしたいと思いますのは、北富士演習場にかかわる林野雑産物補償の問題ですが、この問題の根というのは、北富士演習場使用協定締結の際に、山梨県知事と二階堂官房長官との間に取りきめられました覚え書きなるものが、これが根になっていると私は考えております。したがって、その問題についてお尋ねすることから入りたいと、こう思うんですが、その問題をどなたかここで読ましていただけませんか、覚え書きを。
  496. 田代一正

    政府委員(田代一正君) ただいま御質問の点は、昨年の四月三日の「北富士演習場の使用に関する覚書」、これの中の第三項だと思いますので、それを朗読いたします。  「第3 林野雑産物損失補償については、国(防衛施設庁)と北富士演習場対策協議会との間において協議されたところにより、措置されるものとする。」
  497. 神沢浄

    ○神沢浄君 そこで、長官もお忙しいようですから端的にお伺いをいたしますが、これによると、林野雑産物の損失補償を、国とそれから北富士演習場対策協議会との間でもって相談をしてきめると、こういうことになっているわけであります。ところが、林野雑産物の補償については一受給資格者というものがあるわけなんです。実際にそのために損失を受けている農民、あるいはその農民の団体、これが受給資格者でありまして、北富士演習場対策協議会というものは、これは受給資格者じゃないんです。これが各入り会いの組合のすべてを代表するいわゆる団体にでもなっておれば話は別ですが、ところが、この中には一番大きな入り会い団体である忍草入り会い組合というのは入っておりません、この北富士演習場対策協議会なるものの中に。そうすると、この覚え書きというのは、受給資格者を全然抜きにいたしまして、人の財産の処分を相談するどろぼうの何か話し合いみたいなことになっちゃっている点に問題があると思うわけであります。だから、そこでボタンの穴を一つかけ違っちゃったから、したがって、かりにも官房長官と知事の間でもって手交された覚え書きと、こういうことですから、これに拘束をされて、その後のいろいろな問題というのが非常に不明朗に発展をしてきておる、こういうことが実情であります。ですから、長官はそういうことを御存じでもってこの覚え書きを取りかわされたかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  498. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) いまお尋ねの件でございますが、この北富士演習場の問題につきましては、長い間歴史的にも地元と県と防衛庁との間に問題があったことは承知をいたしておりますし、私が官房長官に就任早々この問題が持ち込まれてきまして、持ち込まれてきたときは私は私の所管外だと言ったんですよ。これは防衛庁が話をすべき問題じゃないかと言ったが、ざっくばらんに申し上げますと、当時の自民党の県連会長でございました金丸、前の建設大臣、知事と、それから小林さんですか、三人来て、君が一番適役だからとにかく君と話をすることが早さばきがするから君ということで、とうとう巻き込まれて——巻き込まれたという表現はどうかわかりませんが、とにかく毎日のように何べんも来られたものですから、それでいろいろ聞いているうちに、この演習場の問題は非常に複雑な問題だが、これはどうせ防衛庁の間において処理されなきゃならぬのだということで、それで覚え書きの問題が出まして、それで山梨県知事と、それから北富士演習場対策協議会会長の小林昌治さんという方が見えまして、それで、こういう覚え書きにしてくれなければなかなか地元と話が進まないのだと。この三項を見ますと、この三項目には「北富士演習場対策協議会との間において協議されたところにより、措置されるもの」と書いてあります。私は、それは県を代表して知事さんが、地元の意向だと、これでよろしいと、こういうことでございましたから、まあ県を代表するといえば知事が一番代表者ですから、ですから私はそんな詳しいことはよく承知しなかったですけどね、これは覚え書きに調印したわけですよ。で、あとはまあ新防衛庁長官が就任されましたから、もうこんなめんどうくさい仕事は私はわからぬからやりませんからと言ったら、山中防衛庁長官が、おれのほうで処理すべき問題だからおれにまかしておけと、おまえは以後口をはさんではならぬということまで仰せつかりましておるわけでございまして、当時の判こを押したことはこれは事実でございますから、まあそういうことで、地元の意向を代表して知事が参っておりますということでございましたから、これはもう疑う余地もない地元県民の代表者でございますから、そうすることが地元民の方々、あるいは関係者の方々の長年の問題を処理するために一番いい方法だと、かように私は考えまして署名をいたしたものでございます。
  499. 神沢浄

    ○神沢浄君 たいへん正直の御答弁をいただきまして、その点はけっこうでありますがですね。しかし、この覚え書きが取りきめられておるからこそ、実はこの演対協という組織の中にいない忍草の受給者たちは、いま金がもらえないのですよ。何を取りきめたかというと、演対協の窓口を通じて手続をしなければ金を払わないというようなことを取りきめちゃったから、もらえない。その根になっておるのはこの覚え書きだから、これはどうも覚え書きをここでもってまたやめてもらいたいということも無理かもしれませんが、しかし、やっぱり行政上の救済の措置というものは政府として当然考えなきゃならぬ点だと思いますし、覚え書きに、知らないままであろうとも署名捺印をしてしまった長官には、これは政治家としてのやっぱり責任も当然、なお内閣という立場での責任も当然おありのことだろうと思うのですが、その点の御見解はどうですか。
  500. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) これはまあ、政府の窓口であるという意味においてですね、私がとにかく知事さんと何回も話をした結果でございますから、その上で調印して、またこの覚え書きがもとになって、その組合の方々も金をもらえないということがあるということでございますが、その後の行政的な拘束力は、政府が窓口になって結んだ覚え書きでありますから、これは法律的には別としまして、行政的には私は拘束力はあると思いますから、それをいまさら、おまえは知らずにやったんだから破っちまえと言われても、なかなかそういうわけにまいりませんですよ。で、あとのいま御指摘になりましたような問題の処置については、これは防衛庁の当局が地元の方々と話し合いをして円満に処理すべきものだと、私はかように考えておりまして、まあ責任云々のことを言われますれば、全くそれは私も十分いろいろなことを承知の上、もう少し念を入れて考えればよかったですけれども、まあ何べんも来られて、知事も来られるし、金丸君も来るし、これは地元の意向だとおっしゃったもんですから、私は根が正直なもんですから、それはたいへんだと思ってやったことでございまして、御指摘があれば全く遺憾なことだと思っております。
  501. 神沢浄

    ○神沢浄君 時間の関係もおありでしょうから、もう一問だけ、それではお聞きをして、どうぞお出かけをいただきたいと思いますが、いわゆるその覚え書きから派生をしておる国民の損失というか、入り会い組合のいま受けておるところの迷惑というものを救済をするためには、これは長官もやっぱり責任上当然内閣の立場でもってお考えになる、こういうように解釈をしてよろしいでしょうか。
  502. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 防衛庁長官と十分協議をして善処いたしたいと思います。
  503. 神沢浄

    ○神沢浄君 どうぞ。  それでは、防衛庁長官。問題の、そのいま北富士の演習場にかかわる林野雑産物の支払いの状況がどうなっているか、この点をひとつ御説明をいただきたいと思います。
  504. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 支払い状況について申しますと、全体の支払い予定額が約八千百万でございますが、そのうちの五六%、四千五百万ばかり現時点で払っております。
  505. 神沢浄

    ○神沢浄君 もう少し親切にお答えをいただきかいと思うんですが、どのぐらい未支払いが残っておるか。予算はこの三十一日でもって切れるはずですね。
  506. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 昭和四十二年度から四十四年度までの林野雑産物補償に関する支払い予定額は八千百一万円昭和四十七年度の予算として組んで、四十八年度に繰り越しておりますが、そのうちで関係入り会い組合が北富士に関しましては十ございます。そのうち八つの入り会い組合に関しましては昨年の五月一日に支払っております。あと北富士入り会い組合という富士吉田関係の入り会い組合に関しましては、去る二月二十八日に支払いを終わっております。さらに、忍草の入り会い組合の中で、個人として演対協を通じて申請のありました方に対しまして、今日までに五十八名分、三月に入りまして支払っております。合わせまして八千百一万のうちで四千五百十万今日までに支払っております。  なお、残り約四十名ほどの申請を横浜防衛施設局で演対協を通じて受理しておりますので、この分に関しましても年度末までに約八百七十万ほど支払う予定になっております。
  507. 神沢浄

    ○神沢浄君 もっとずばりの話でいこうじゃないですか。演対協を通じない者にも払いますか。これは長官にお伺いしたほうがいいですね。
  508. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは、先ほどの官房長官のお話にございましたとおり、政府を代表して官房長官が山梨県知事と演対協の代表との間に協定を、覚え書きをきめておるわけでありますから、その覚え書きに基づいて演対協の窓口を通じて支払うという手段で支払いをしてまいります。
  509. 神沢浄

    ○神沢浄君 問題はそこなんですよ。忍草入り会い組合は演対協に入っていないんだから。覚え書きが取りきめられたのは四十八年の四月でしょう。忍草が演対協から脱退をしておるのは四十七年、一年余も前のことなんです。ですから、もう全然、忍草の場合は演対協とはかかわり合いがない。かかわりのないもののことまでそんな相談を……。ですから、さっき申し上げたように、覚え書きそれ自体に問題があるわけなんですが、それをたてにとって忍草へは払わない、演対協を通じなければどうしても払わないという、この理由と根拠はどういうことですか。
  510. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 別段払わないとは言っておりませんで、お支払いはいたします。演対協の窓口を通じていただきたいということを申し上げているだけであります。
  511. 神沢浄

    ○神沢浄君 そこがまことにわからないところです。演対協と忍草の組合は関係がない。関係のないものまで演対協の窓口を通じなければ払わないと、こういうことは、この論議は、私は衆議院の論議を聞いておって実に適切な引例をされておると思いましたが、自衛隊機が事故を起こした、そのために数人の人が死傷をした、いわゆる被害者、国は賠償をしなくちゃならぬ、その遺族会ができ上がった、しかし、その遺族会に入らないという人もあった、しかし、どうしても遺族会を通じなければいわゆる賠償を払わない、こういう理屈とちっとも変わりないですな。そういうこと、できますか。
  512. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは、山梨県、それから関係市、市、そして忍草も当然その当時は入っておられました恩賜林組合という形からいえば、いまでも現在は恩賜林組合の中に入っておられると思いますから、そういうものが全部そろって、そしてこれは官房長官のときの調印、覚え書き時の話でありますから、そういうことでなされたわけであって、私どもは、それが閣議において了解された政府の基本的な方針でありますから、それを踏襲してやっておるわけでありまして、繰り返しますが、お払いしないと言っておりません。したがって、お払いをいたしますと、お約束どおり演対協の窓口を通じて申請書を出してくださいと、こういうことを申し上げておるだけのことであります。
  513. 神沢浄

    ○神沢浄君 長官、しかし、そんな理屈が通ると思いますか。お支払いはする、ただし演対協の窓口を通じなければ払わない——じゃ、演対協の窓口を通じないということであれば、結局は支払わぬということと同じじゃないですか。脱退した者にその団体を窓口としてどうしても通じろというようなことが、どういう理由でもって国は言えるんですか。これは何としてもわからぬことです。もう一度わかるようにひとつ御説明をいただきたいと思う。
  514. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 官房長官も言っておられましたとおり、そういう取りきめがされておるのが政府の方針でありますし、また地元も、県、市、村を含めて、恩賜林組合も含めての窓口を演対協とするということで基本線がきまっておりますから、それに従ってお支払いをすると申し上げているので、支払わないと言っているのとは違うんであります。したがって、御希望であれば復代理人として窓口を通じていただければお支払いしますし、現にまた、先ほどうちの部長から説明させましたとおり、支払いも受けておられる方がおられるわけであります。相当数おられるわけでありますから、支払わないということは私たちは一ぺんも言ったことはありません。
  515. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。  窓口を通さなければ支払いをしないという根拠はどこにもないと思うんですよ。これは組合なり団体なりに補償しているんじゃなくて、個人の権利に対して補償しているわけでしょう。それならば、忍草関係の者の個々に対して、あるいは入り会い権というものに対して補償しているわけですから、補償の権利者が請求をすれば、団体に入っていようが入っておるまいが、当然これは法律的には支給をしなければならない筋のものでしょう。  じゃ、あらためて聞きますが、忍草なら忍草で、いまその団体に入っていない者があらためて請求をした場合はどうなりますか。それでもその初めの約束した知事、その他の仲介による団体を通さなければ支払いをしないということですか。そうしなければならない法律的根拠はどこですか。
  516. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは、先生のおっしゃいましたように、法律的な根拠という、いわゆる入り会い権というものではないということは、もう閣議でさらに了解もしておりますし、これは私どもは入り会い権によって権利が生じておるものではないと、しかし、長年の慣習としての当該地域にかかる方々が、その地域から得ておられました林野雑産物というものが、演習場になったことによって実際上の収入がそれによって減ずるというような点についての収入の補償をするということでありますから、それはお互いの契約事項というようなことでありまして、法律上の権限のある者に払わないということではなくて、それは話し合いの上でその金額をお支払いをいたしていくという行政措置であるというふうに考えているわけであります。
  517. 加瀬完

    ○加瀬完君 入り会い権というのは何も法律で規定していなくたって、入り会い権というのは慣習で成立するわけですね。入り会い権並びに入り会い権に準ずる、そこに生活の権利というのがあれば、これは慣習上、法律的にはそれに損害を与える場合は補償しなければならない。当然その侵害者は義務を生ずるわけですね。で、現状は、長官御存じのように、忍草というのはああいう形で、長い間、ことばがきついかもしれませんが、戦いを続けてきておる有力な一つの団体ですよね。ですから、その団体が好ましいか好ましくないかという政府の見解は別としても、現に存在をする団体なんでありますから、その団体を対象にしていまのような問題を解決するということでなければ解決の方法つかないじゃないですか。それを、官房長官のおことばに従えば、内容の理解に乏しいまま判こを押してしまったということですから、なおさらそれならば、防衛庁長官あたりが、その関係の修正なり、あるいは問題の解決のあっせんなりというものを、別の形でするということは当然じゃないですか。
  518. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは官房長官も言っておられたとおり、変える意思はないとおっしゃっているわけでありますから、そのとき、どこまでその複雑な入り会い慣行の問題を御存じであったかどうかの問題は、私は別だと思うんです。したがって、政府の方針、かすでにきめられておって、それを踏まえて私は現在の地位についておるわけでありますから、その方針に従ってお支払いをいたしますと、ですから入り会い権とおっしゃらないで、いま入り会い慣行とおっしゃいましたけれども、それなら私どもは入り会い慣行というものに基づいて、それらの方々の林野雑産物の得べかりし収益に対して補償を申し上げるということにおいては意見が一致していると思います。
  519. 加瀬完

    ○加瀬完君 申しわけありませんが、もう一問……。  ですから、それはどうでもいいですよ、入り会い慣行なら入り会い慣行でもいい。入り会い慣行の権利を持っている者が補償を要求するならば、その補償に値する内容があれば、これはその官房長官のおっしゃる団体に入っていようが入っておるまいが、これは当然支払わなきゃならない義務が生ずるわけでありますから、団体に入っているならば払うと、団体を通じるなら払うと、団体を通じなけりゃ払わないという性格のものじゃないでしょう、法律的には。請求する権利者があるなら、その権利者に対して払うというのは当然でしょう。
  520. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) だから、請求する権利のあることを認めますから、請求してこられた方にはお支払いをいたしておりまして、そのお支払いをする手段は演対協を通じますという約束どおりやっているというだけのことであります。
  521. 神沢浄

    ○神沢浄君 法制局の長官、代理人でなければ払わない、本人には払わないという、こういう法律上の解釈、成り立ちますか。
  522. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) ただいままで防衛庁長官がるる御答弁申し上げましたように、これはこの北富士演習場にかかわる林野雑産物補償をどういう方法で行政的にやるかという、いわば行政を執行する上の裁量の問題であろうと思います。その場合に、防衛施設庁なり、あるいはもっと広く言えば、防衛庁が行政上の判断をいたしまして、この演対協というものを通じて支払いをすることが、一番行政上の目的を達成するために妥当であるという判断をしたんだろうと思います。それをどういう方法でやるかということは、まさに行政の執行の問題でございまして、法律上どうこういう問題ではございません。  それからもう一つの問題として、請求をいたす場合に、請求する権利があるとかというようなお話でございますが、これは先ほど防衛庁長官からも答弁がございましたように、入り会い慣行を続けていた人々に対して、その入り会い慣行を継続することができなくなったと、それは非常に全体の見地からいって気の毒であるという状況から、これに対して防衛施設庁が一定の金員を払うということをきめたわけでございます。それで、具体的に権利が発生するのは、入り会い慣行を持っていた人々が国に対して、もらいたいという意思表示をされまして、それに対して、国を代表して防衛施設庁が林野雑産物補償をいたしましょうという意思表示をして、そこで初めて契約が成立して、その契約に基づいて林野雑産物補償を受ける権利が確定するということでございまして、まあそれまでは、いわばそういう林野雑産物補償について、当然法律上請求し得るという地位ではなしに、申し込みをすることができるという地位を持っておられるにすぎないというふうに解釈すべきものであろうと思います。
  523. 神沢浄

    ○神沢浄君 あのね、もう少し正しく法律を守る法制局であってほしいと思いますね。法律以前の常識であっても、そうじゃないですか。代理人でなければ払わない、本人には払わないと、こんなことが大体国民の常識の中に通じますか。二十七年から四十一年までの間は直接払っていたんだから。それが四十二年以降のその過年度分の三年間の支払いについてだけそういうねじ曲げた方針をいまとろうとしている。だから、冒頭申し上げたように、軍事政策優先でもっていま非常に行政の姿勢がねじ曲げられているという私は事実をあげて追及をしておるわけなんです。  そこで資料をひとつ出して読んでください。昭和四十二年の十二月四日、北富士演習場林野関係権利者協議会の会長の天野総一郎から、知事を経由で出した政府に対する質問書と、それに対する当時の山上防衛施設庁長官の回答書、これを読んでもらいたいと思います。
  524. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 御指摘のように、北富士演習場林野関係権利者協議会会長天野総一郎という方から、昭和四十二年十二月四日山梨県知事田辺国男殿あてということで質問書の提出がございました。   貴庁の御斡旋を得て、北富士演習場問題について政府との紛争解決のため会談をすすめました問題点のうち、林野雑産物補償の受給資格およびその適正化に関し下記のとおり政府の見解を承知したいので、早急に回答されるよう貴庁の御仲介をおねがいします。     記  1 林野雑産物補償の受給資格について  (イ) 政府は、参議院議員山本伊三郎提出の林野雑産物補償の受給資格に関する質問に対し、昭和三十六年十月二十七日内閣総理大臣池田勇人から参議院議長松野鶴平あて答弁書を示されたが、その見解は、現在においても変更なきものと思うがどうか。  (ロ) 政府は、昭和三十六年八月二十二日基地問題等閣僚懇談会了解をもって、林野雑産物補償については、各入会組合相互の関連もあるので、それらの代表者からなる協議機関を設置して交渉するよう勧奨されているが、これは使用転換に際しての政府の適宜の措置であって、もとより入会地使用の場合における補償交渉の本来の当事者は、当該入会組合であると思うがどうか。  2 林野雑産物補償の適正化等について  (イ) 政府は、昭和三十六年九月十七日防衛庁長官藤枝泉介の覚書をもって林野雑産物補償の適正化および未払補償の完済について公約されたが、未だにこれが実現を見ていない。    本件公約の実現に関し、どのように考えているか。  この質問書の提出を受けた山梨県知事から防衛施設庁長官にこの質問についての回答の御依頼がございました。その当時の山上長官からの回答文を読み上げさしていただきます。別紙だけでよろしゅうございますか。
  525. 神沢浄

    ○神沢浄君 別紙だけでけっこうです。
  526. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) はい。  別紙      回  答  1 (イ)について  政府の見解は現在においても当時と同様である。  1 (ロ)について  貴見のとおりである。  2について   ア 昭和三十九年度より昭和四十二年度までの補償金は「林野雑産物損失補償基準」に基づき算定することとし、今年度末までに解決することを目途に協議のうえ、速やかに関係組合に支払うよう最大の努力を払う。   イ 昭和四十三年度以降の補償については、紛争を避けるため、藤枝覚書の主旨に従い現行の補償金算定方式を再検討する。  以上でございます。
  527. 神沢浄

    ○神沢浄君 防衛庁長官、いまの資料で明らかなように、それは「代表者からなる協議機関を設置して交渉するよう勧奨されているが、」——以前もこういう事例があったわけです。これは「使用転換に際しての政府の適宜の措置であって、もとより入会地使用の場合における補償交渉の本来の当事者は、当該入会組合であると思うがどうか。」と、そうしたら政府は「貴見のとおりである。」と、こう答えておるわけですよ。そうすると、二枚舌ですか、いま長官の言われていることは。全く同じケースじゃないですか。政府の言うことは変わるわけですか。どうなんでしょう。
  528. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 私は、官房長官と知事と演対協の会長、三者の署名捺印されたもの、その趣旨に従って事務を執行しておるということであります。
  529. 神沢浄

    ○神沢浄君 長官の御答弁を要約をすれば、理非曲直のいかんにかかわらず、覚え書きが存在をする以上はそれにやはり従わなきゃならないと、こういうことですか。
  530. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは、北富士演習場関係は、入り組んだ過去のたくさんの経過を踏まえて、そして最終的に、事柄がそのような背景を持っておるからこそ初めて、私も異例だと思いますが、政府を代表する官房長官というものが署名捺印する覚え書きの交換に至ったものであろう、したがって、それ以降は、その覚え書きの趣旨に従って行政措置をとっていくということにした、ということであります。
  531. 神沢浄

    ○神沢浄君 さっき官房長官は、何も知らないで署名捺印をしたんだということをはっきりここでもって答弁されているじゃないですか。そのために国民の一部には、その覚え書きから出発をして被害と迷惑を受けておるものがあるわけだ。権利がありながら金が払ってもらえない。このことが事実である以上は、当然これは今度は内閣の責任としては行政上の措置をもって救済をするのはあたりまえじゃないですか。そんなことが通らないんでしょうか、御所見を承りたいと思います。
  532. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 所見はあります。それは何で官房長官がこういうものに署名をしたんだろう——私は初めから疑問に思います。防衛庁長官が責任をもって署名すればよろしいことであります。しかし、それは過ぎたことでありますから、私としては、したがって、救済の措置とおっしゃいますが、払わないと言っているんならこれは問題だと思うんですが、お払いをしますと、予算も準備しておりますということで、したがって、所定の窓口を、申し合わせの窓口を経て申請された方には受け付けもし、支給も、交付もいたしておりますと、今後もその姿勢は変わりませんと、お支払いはいたしますと、こう申し上げているわけであります。
  533. 神沢浄

    ○神沢浄君 そんなしかし、悪らつなことをやっていいですか。支払いはする、しかし、この窓口を通じろ、その者を代理人にしなければ金を支払わない——それでは窓口を通じなくて、代理人を依頼しなければ結局は払わないということになるでしょう。そんな理由がどこにありますか。受給資格者というものはここに存在をして、本人が当然受ける権利を持っておるわけでしょう。ところが、この窓口を通じなければ——その窓口は脱退をした団体なんですよ、そこを通じろということは無理なことじゃないですか。そんな無理なことをあえて政府としてはどうしてしなければならないんです。その辺が私にも少しも納得がいかないところです。そんなにまで、長官が幾たびの答弁を通じても同じことを繰り返しておる。私は立場は違うけれども、山中長官には敬意を表しておる一人です。良識あるシビリアンとして敬意を表してきておる一人です。その長官が、なぜこんな、だれが聞いたって、良識ある者が聞いておったならばこれはだれだって不自然でおかしいと思いますよ。そんな答弁をぶざまに繰り返さなければならない理由というのはどこにあるんですか、それを私は明らかにしなければならないと、こう考えて私もくどく質問を申し上げておるわけです。納得のいくようにひとつぜひ説明をしていただきたいと思います。
  534. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは政府を代表して官房長官が署名捺印したものでありますから、その方針を踏む以外には手段はございません。  私自身に対する御意見もございまして、たいへん感謝いたしますが、私も努力はいたしますし、さらにお支払いはいたすわけでありますから、年次を今回は繰り越すことができませんし、したがって、昭和五十年には——このような事態を予想しておりませんで四十九年度予算には予定が組んでありませんから、その権利は、お支払いを申し上げる意思がある限り昭和五十年度予算にでも処理をして、あくまでもお支払いはする姿勢を、またお支払いはする態度をはっきりとって予算上もしてまいります。ただ、いろいろ入り組んだ背後の関係があることは私もわかっております。まあ本音を言わしていただければ、まあそこまで意固地になられなくても、金のただのお支払いですから、演対協の窓口を通じて金を受け取られたらいかがですかという気持ちもするんですが、これは私の僭越なことであって、みんな個人のきめられることでございますから、あくまでも私どもはお支払いする意思があり、準備があり、そしてことし繰り越せなかったものは昭和五十年度にあらためて予算を組んででも措置をいたしますと、誠意は必ず示しますと、こういうことは申し上げられると思います。
  535. 神沢浄

    ○神沢浄君 誠意は示すと言われても、演対協を通じなきゃ払わないというこの態度が変わらない限りは、実際には払わないということと同じなんですね。別れた亭主のところへものを頼みに行けば聞いてやるというような(笑声)そんなことが通りますか。そんな政治をやるんですか、いまの田中内閣は。そんな行政をこれからも押し通そうとされるんですか。私はもう少しあたたかい言い方というものを実は期待をしていたわけであります。問題はここまでこじれておるけれども、何とかこの解決は試みるというようなお答えがあるだろうと思って私は実は期待をしていたわけです。山中長官であるからこそですよ。ところが、何かオウムが繰り返すように、演対協の窓口を通じなければ払わないと言うだけのこの繰り返しでは、これはもう全然問題の進展はありません。同時に、これは支払わないということを言っているのと同じことであります。どうなんでしょう、何かやはり救済の措置を考えられるような気持ちのゆとりをお持ちでしょうか。
  536. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと委員長、関連で、あわせて答えてもらいたいと思いますから。  さっき官房長官は、自分のやったことには若干の過失というものをお認めになるようなお含みの御発言であった。自後の処理は防衛庁長官におまかせしたいと、こうおっしゃっている。したがって、この処理の権限というものは官房長官があなたにおまかせしたということに私ども受け取った。そうであるならば、そして、あなたがさつきおっしゃっているように、渡さないと言っていないと、支払いをするんだとおっしゃっている。それなら、受け取りやすい方法というものが、あなたの権限で、あなたのお考えで、まだ研究する余地があると思う。しかし、いまの御答弁を承っておりますと、官房長官がワクをはめたから、そのワクから出られないとおっしゃっておりますけれども、官房長官さっきそうおっしゃっておらなかったんだから、いま御答弁をする前に、もう一度官房長官その他関係の方とよくお打ち合わせをして、明日の早朝神沢さんに正確にお答えをいただきたいと思いますが、どうですか。これをもう問答を繰り返しておったってだめですから、もう一回官房長官と十分御相談の上で決定的な御発言を賜わりたいと思います。そのように委員長取り計らっていただきたいと思います。きょうはこれで散会を願います。
  537. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) おはかりいたします。  ただいまの加瀬委員の御発言、防衛庁長官はそれでよろしゅうございますか。御了承いたしますか。
  538. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) いや、御要望ですから……。
  539. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) それでは、ただいまの御発言を十分に体して御処置を願います。  神沢君の残余の質疑は明日これを行なうことといたします。  明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時散会