運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-03-26 第72回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十六日(火曜日)    午前十時十六分開会     —————————————    委員の異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      藤田 正明君     木村 睦男君      菅野 儀作君     川野辺 静君      高橋雄之助君     古賀雷四郎君      後藤 義隆君     玉置 和郎君      和田 静夫君     須原 昭二君      上田  哲君     野々山一三君      沓脱タケ子君     加藤  進君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鹿島 俊雄君     理 事                 片山 正英君                 嶋崎  均君                 西村 尚治君                 細川 護熙君                 吉武 恵市君                 小野  明君                 加瀬  完君                 矢追 秀彦君                 高山 恒雄君     委 員                 今泉 正二君                 小笠 公韶君                 大竹平八郎君                 梶木 又三君                 川野辺 静君                 木村 睦男君                 熊谷太三郎君                 黒住 忠行君                 古賀雷四郎君                 高橋 邦夫君                 竹内 藤男君                 玉置 和郎君                 寺下 岩蔵君                 内藤誉三郎君                 中村 禎二君                 中村 登美君                 原 文兵衛君                 堀本 宜実君                 米田 正文君                茜ケ久保重光君                 神沢  浄君                 須原 昭二君                 辻  一彦君                 戸叶  武君                 野々山一三君                 羽生 三七君                 宮之原貞光君                 矢山 有作君                 内田 善利君                 小平 芳平君                 沢田  実君                 中沢伊登子君                 沓脱タケ子君                 須藤 五郎君                 野末 和彦君    国務大臣        国 務 大 臣  三木 武夫君        (環境庁長官)        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  奥野 誠亮君        厚生大臣臨時代        理        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        通商産業大臣   中曽根康弘君        郵 政 大 臣  原田  憲君        労 働 大 臣  長谷川 峻君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      町村 金五君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       小坂徳三郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       森山 欽司君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        職員局長     中村  博君        総理府人事局長  皆川 迪夫君        公正取引委員会        委員長      高橋 俊英君        公正取引委員会        事務局取引部長  後藤 英輔君        警察庁刑事局保        安部長      綾田 文義君        経済企画庁調整        局長       青木 慎三君        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        科学技術庁原子        力局長      牟田口道夫君        科学技術庁原子        力局次長     伊原 義徳君        環境庁長官官房        審議官      橋本 道夫君        環境庁水質保全        局長       森  整治君        大蔵大臣官房審        議官       大蔵 眞隆君        大蔵省主計局長  橋口  收君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省理財局長  竹内 道雄君        大蔵省銀行局長  吉田太郎一君        文部省初等中等        教育局長     岩間英太郎君        文部省大学学術        局長       木田  宏君        文部省体育局長  澁谷 敬三君        文部省管理局長  安嶋  彌君        厚生省環境衛生        局長       石丸 隆治君        厚生省医務局長  滝沢  正君        厚生省児童家庭        局長       翁 久次郎君        厚生省年金局長  横田 陽吉君        農林省食品流通        局長       池田 正範君        林野庁長官    三善 信二君        通商産業審議官  森口 八郎君        通商産業省立地        公害局長     林 信太郎君        通商産業省生活        産業局長     橋本 利一君        郵政大臣官房電        気通信監理官   浅見 喜作君        郵政大臣官房電        気通信監理官   佐野 芳男君        労働省労働基準        局安全衛生部長  中西 正雄君        自治省行政局公        務員部長     植弘 親民君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        日本電信電話公        社営業局長    玉野 義雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十九年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算  昭和四十九年度特別会計予算  昭和四十九年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、内田君の質疑を行ないます。内田君。
  3. 内田善利

    内田善利君 物価問題についてお伺いしたいと思いますが、インスタントラーメンですけれども、これは私も大好きだし、国民に非常に定着しておる食品一つでございますが、また前回公取委の勧告もあっておりますけれども、私は、まだまだこの業界に対して非常に問題が多いので、この点についてお伺いしたいと思います。  まず最初に、インスタントラーメン生産量、それから売り上げ高についてお伺いしたいと思います。
  4. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 担当者のほうから御説明申し上げます。
  5. 三善信二

    政府委員三善信二君) インスタントラーメン——即席ラーメンと言っておりますが、これの生産量でございますが、年間の生産量としまして、四十五年ごろからちょっと申し上げてみますと、四十五年ごろから、小麦粉換算で四十六年二十六万七千トン、四十七年二十七万五千トン、四十八年は、見込みでございますけれども、二十八万三千トンぐらいになろうかと思っております。以上が生産量でございます。
  6. 内田善利

  7. 三善信二

    政府委員三善信二君) 売り上げ高と申しますと、どういうことでございましょうか。ちょっと教えていただければ。売り上げ高と申しますと。会社売り上げ高、そういうものでございますか。
  8. 内田善利

    内田善利君 そうです。
  9. 三善信二

    政府委員三善信二君) それは個々会社のあれを全体的に私ども調べてはおりませんが、一つのサンプルとして申し上げてよろしゅうございますれば申し上げたいと思います。  たとえば、インスタントラーメン大手四社というのが一番大きな会社でございまして、日清食品——日清食品売り上げ高、これは四十七年の四月から四十八年の三月まででございますが、二百四十八億、あとは端数は省略さしていただきます。それから東洋水産というのもございます。これが同期間で三百十億。それから明星食品というのがございます。明星食品がこれは四十七年の十月から四十八年の九月までの期間でございまして、二百七十九億でございます。それからサンヨー食品でございますが、これは四十八年の一月から四十八年の十二月までの期間をとりまして、売り上げ高が三百七十九億と、まあ大体大手四社がほとんどシェアを占めておりますので、一応個々の例でございますが、申し上げておきます。
  10. 内田善利

    内田善利君 合計
  11. 三善信二

    政府委員三善信二君) 合計というのは、これは大手四社の個々のあれでございますので、合計というわけにはまいりませんので。
  12. 内田善利

    内田善利君 四社の合計
  13. 三善信二

    政府委員三善信二君) ちょっと計算さしていただきます。——ざっと計算いたしまして千二百億でございます。
  14. 内田善利

    内田善利君 昨年の十一月ですね、即席ラーメン販売価格指導について食糧通達が出されておるわけですが、その内容を教えていただきたいと思います。
  15. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 最近のインスタントラーメン価格につきましては、一時一袋六十円に値上げされましたが、去る二月七日にスーパーにおける販売価格を五十円以下にするように指導を行ないました後、スーパー価格は四十三円ないし四十八円の水準で推移しております。この二月七日の指導は口頭で大手メーカー等に対して個別に行なったものでありますが、さらに三月十六日の閣議決定に基づく生活関連物資等臨時価格抑制対策の一環として、三月十九日付をもって、さきに、すなわち二月七日に指導いたしました水準以下に価格を抑制すること、今後やむを得ない事情により値上げをしようとする場合にはあらかじめ食糧庁と協議してその了承を得ることを、あらためて文書によって個別に指示いたした次第であります。
  16. 内田善利

    内田善利君 その通達を出された以後の価格の動き、これはどのようになっていますか。
  17. 三善信二

    政府委員三善信二君) いま大臣から御答弁していただきましたように、二月七日に指導いたしまして、これは通達は出しておりません。現在の価格の動向としましては、指導いたしまして以降、私ども食糧事務所を通して調べて調査いたしておりますが、大体四十三円から四十八円、この程度スーパーで売っている場合には動いております。ラーメン業界というのは、非常に御承知のように過当競争のところでございまして、従来から、建て値がございましても建て値以下で、それぞれの各会社によって市販の価格というのは変わっておりまして、いま申し上げましたように、四十三円から四十八円、五十円以下で指導しまして、大体それがスーパーで守られているという状況でございます。
  18. 内田善利

    内田善利君 小売り店スーパーとのシェアはどういう割合になっていますか。
  19. 三善信二

    政府委員三善信二君) 都市によっていろいろ違いますけど、大体東京で申し上げますと、スーパーが四〇%から五〇%、小売り店がまあ大体五〇から六〇という程度になっております。これは地方に行きますと小売り店のほうが多少スーパーより多いというような状況になっているわけで、都市によって非常に違っております。
  20. 内田善利

    内田善利君 まあその後のメーカー売り渡し価格ですね、これは全然変わっておりませんね。
  21. 三善信二

    政府委員三善信二君) いま申し上げましたのは小売り価格でございます。で、いま先生が申されましたのはメーカー出し値価格と、そういうことでございます。メーカー出し値価格も、これは御承知のように、業界非常に競争が激しゅうございまして、会社ごとに非常に違いますけれど、大体四十円前後でメーカー出し値価格はなっているというふうに考えております。
  22. 内田善利

    内田善利君 指導以後変わったかどうか、変わっていないですねと聞いているんです。
  23. 三善信二

    政府委員三善信二君) 指導以後変わっております。と申しますのは、御承知のように、このラーメンの場合、一度一月の初めに六十円ということで大体六十円のスーパー価格ということを、業界のほうでは値上げをしたわけでございまして、それを私ども食糧庁としましては、六十円は高過ぎると、いろいろ査定をしましてやはり五十円以下でこれを売りなさいと、五十円ということでなく五十円以下で売りなさいということで指導いたしておりますし、そういう意味メーカー出し値も当然これは引き下がっているというふうに考えております。
  24. 内田善利

    内田善利君 いまは特売期間をやっているわけでしょう。
  25. 鹿島俊雄

  26. 三善信二

    政府委員三善信二君) スーパーによりまして目玉商品とかそういうことでやっているところもございますが、一般的に私ども五十円以下で売りなさいという指導をしておりますので、特に特売としてやっているというわけではございませんし、一般的な指導でそれはやっているわけでございます。
  27. 内田善利

    内田善利君 実際は四月から再び値上げするということで、これを前提にした特売期間特売制度がいま行なわれておるわけですね。
  28. 三善信二

    政府委員三善信二君) 食糧庁としましては、四月から値上げするとか、そういうことは全然聞いておりませんし、あくまでこの五十円以下で競争をしてやりなさいということを指導しておりますし、いま先生がおっしゃいましたようなことは−私ども聞いておりません。
  29. 内田善利

    内田善利君 それならけっこうですが、公取委員長にお聞きしたいですが、三月五日に業界勧告書を出されたわけですが、その内容を教えていただきたいと思います。
  30. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) この事件は、簡単に申しますと、四十九年の一月三十日に価格協定の疑いで日清食品など十社、三団体、一二十一個所を臨検しました。勧告は三月五日に行ないましたが、即席ラーメンスナックに分かれております。即席ラーメンがこれは六社でございます。スナックめんが十社でございます。この事実は昨年十二月十八日の会合で、いま出ましたように希望小売り価格ですね、小売り価格はこれは再販じゃありませんから希望小売り価格ということになっていますが、六十円に上げる。四十円から六十円に五〇%上げる。それで二十日の会合では、一月一日から、出荷分から上げるということでこれを実施したわけです。それで卸売り業者価格から申しますと、二十七円前後であったものを四十三円以上に引き上げる。これはたいへんな値上げ率で六〇%近い値上げです。それから量販店向け、つまりスーパー等に向けるのは二十七円五十銭前後であったものを四十七円以上と、大体十九円ぐらい上げまして これも七〇%以上の値上げになる これに対しましてスナックめんは、これはやはり七十円前後で出荷していたものを九十四円に引き上げていく。この値上げは二十四円でございますが、希望小売り価格としては百円であったものを百三十円に上げるということでございましたが、これを排除するようにして、取引先ベース、需要.者への周知徹底をはかる、それから決定をもちろん破棄する、三月以降は一年間生産数量取引先別販売数量販売価格の報告をするようにと、こういうことでございます。もちろん、これは違反の条項は独占禁止法三条後段、不当な取引制限に該当すると、こういうことでございます。  なお、私のほうで簡単に調べたところでは、大体三十億より——三十三億食ぐらいですか——ぐらいの分量になるはずです。したがいまして、いま出荷価格が平均してちょっと下がっていると見まして、一千億円はメーカー価格でこえるであろうという程度のもののようであります。  市価は、よけいなことですが、一般小売り店の場合とスーパーの場合と違うと思います。スーパーの場合には四十八円ぐらいじゃないか。それより安いのもあります。四十二円ぐらいからあります。一般小売り店でありますと、五十五円ぐらいまでというので、価格にかなりのばらつきがございます。
  31. 内田善利

    内田善利君 いま公取委員長からお話がありましたが、農林大臣が先にやられた指導価格ですね、五十円なんですけれども、それが小売り店では五十五円というふうになっているわけですが、私は実際これは調査してみて、やはり高値据え置きの感じがあるんですが、この点、いかがですか。
  32. 三善信二

    政府委員三善信二君) 食糧庁指導いたしましたのは、先ほど申し上げましたように、主としてスーパーで売る場合——ラーメンというのは大体スーパー商品として都会ではなじんでおりますし、スーパーで売る場合に五十円以下にしなさいという指導をいたして、現実に、公取委員長が申されましたように、四十二、三円から四十八円になっている。小売り店の場合には、私どもの調査では大体五十円ぐらいで売っているような状況でございますが、たまに、先生おっしゃいましたような五十五円ぐらいのところもあろうかと思います。やはり食糧庁として指導が徹底します場合には、スーパー主体にやるほうが一番行政的ば指導としてはやりやすいし、小売り店のほうは、やはりその小売り店マージン等も多少はこれはかかりますので、そういう意味では、スーパー主体に、スーパーにできるだけ小売り店も近つけるようにというようなことで考えて指導の方針といたしているわけでございます。
  33. 内田善利

    内田善利君 そういうことは、結局指導が適切であったということになると思うのですが、それでは原価表はどのようになっておりますか。
  34. 三善信二

    政府委員三善信二君) 即席めん原価構成でございますけれども、御承知のように、即席めんの場合には、大体大手四社、六社がシェアの五〇、六〇%を占めておりますし、それから企業内容によりまして、非常に一日の生産量がわずか百袋とか、そういう小さな工場もありますし、三百袋以上の工場もあります。そういうことで、企業の規模というのが非常にまちまちでございます。一律的に、一義的に、これを実態からして原価を調査してやるということはなかなかむずかしい問題でございますが、私どもが大体把握し、平均的に原価構成比率を考えておりますのは、原価構成比率で申し上げさしていただきますと、一袋五十円の即席ラーメンで、小麦粉が大体一三%程度、それから副原料——これはスープとか、そういった調味料的なものの副原料というのが非常にかかりますし、大体三一%程度、それから包装資材、これが御承知のように、全体の袋、それから袋の中に入っております銀紙みたいなのがございます、ああいった包装資材、これが八%程度、それから製造販売経費、これが二七%で、それから流通マージン二〇%程度で、原価構成比率というのはこのように一応考えております。
  35. 内田善利

    内田善利君 大手四社の原価表を示してもらいたいのです。
  36. 鹿島俊雄

  37. 三善信二

    政府委員三善信二君) 先ほど申し上げましたように、大手四社がもうシェアのほとんど半分持っておりますし、しかも原価構成といいます場合に、中小の非常に小さいのまでなかなか調べられませんし、大手四社、いま私の申し上げました比率が大体大手の四社の原価構成比率だというふうにお考えになってけっこうかと思います。
  38. 内田善利

    内田善利君 私は大手四社の原価表を出してくださいと要求しているわけです。平均を聞いているんじゃない。
  39. 三善信二

    政府委員三善信二君) 原価構成比率を申し上げましたけれども原価大手四社によって違うわけでございまして、しかもそれは何円何銭、どういう原料が何円何銭というようなことは、これはやはりその会社一つ秘密事項でもありますし、過当競争が非常に激しい会社でございますし、できるだけ企業努力で私どもまかなうように指導しておるわけでございますが、そういうことで、原価の非常に詳しい表というのは、これはやはり業界秘密でございますし、各社によってそれぞれ違うわけでございますし、それは先ほどの構成比率、平均的な構成比率でごかんべん願いたいと、こう思っております。
  40. 内田善利

    内田善利君 原価表が毎日毎日移動することはわかっているわけですが、その中の一つですね、一例をあげて教えていただきたいと、こういうわけです。
  41. 三善信二

    政府委員三善信二君) 一例をあげてと先生言われましても、やはり詳しい原価の表というのは、これは会社のそういう秘密にも属するようなことでもございますし、そういうことで、先ほど来、一応比率として大体平均的なのはこうでございますということを申し述べさしていただいているわけでございます。そういうことで御了承願えればと思っております。
  42. 内田善利

    内田善利君 私は、物価の問題を論ずるときには、どうしても、いままではこういうふうに原料何と何と何を使ってこうだったと、今度値上げした理由はこういう原価の違いによって値上げなつたんだと、そういうことをはっきりわからないと、コストの問題はなかなか判明できないんじゃないかと、こう思うのですが。
  43. 三善信二

    政府委員三善信二君) たとえて申しますと、先ほど申し上げましたように、四十円を六十円に値上げしたいと、一袋。それを五十円以下にしなさいというふうに指導したわけでございますね。その場合に、私ども指導しました具体的な考え方を多少申し上げさしていただきたいと思います。  それで、値上げ分は、四十円を五十円以下ですから、十円と仮定しますと、十円以下にしろということを申したわけでございますが、これにつきましては、小麦粉値上がり分、これが二〇%でございます。と申し上げますのは、小麦粉は昨年の暮れから、これは政府原麦売り渡し価格を三五%上げておりますし、そういうことで、十二月はそれを、消費者のことを考えて、できるだけ据え置くようにと、一月からはいたし方ないわけでございまして、原麦政府売り渡し価格を三五%上げたわけです。それに伴いまして、原料小麦粉は当然これは上がるわけでございまして、それの小麦粉値上がり分が約二〇%、十円を一〇〇としまして二〇%、それから副原料として、油脂とかスープとか、かやく——かやくと申しますと、ふりかけ類的なもので、ゴマとかネギを小さく切ったのとか、そういうのがございます。そういう副原料品値上がり分が約六〇%、それから包装資材、これもかなり上がってまいりまして、たとえばポリプロのものとか、あるいは段ボールの箱とか、そういう包装資材、それから製造販売経費、まあ人件費とか配送費とか燃料費とか、そういった製造販売経費値上がり分、これが約二〇%ということで全体一〇〇%、これを大体十円の根拠にいたしているわけでございます。したがいまして、あと十円以下で——決して私ども五十円にしなさいと言っているわけではありません。五十円以下で、あと企業努力によって、競争も激しいところでございますから、その販売をするようにという指導をしてきたわけでございます。
  44. 内田善利

    内田善利君 ラーメンの値段を十円上げた、あるいは二十円上、げた、この理由は、やはり私は原価表がわからなければ、その上げた理由がわからないわけですね。したがいまして、どういうわけで値段が上がったのかということが知りたいわけですけれども、いま十円のことについては、小麦粉が二〇%、副原料が六〇%、包装、販売その他の費用で二〇%ということで十円値上げということになったということですが、実際の原価は大体幾らなんですか。
  45. 三善信二

    政府委員三善信二君) 先ほど申し上げましたように、五十円ラーメン原価構成比率を申し上げました。それと、いま四十円から五十円に上げたその価格構成比率を申し上げたわけでございまして、もう少し詳しく申し上げますと、小麦粉については、先ほど申し上げましたように、当然これは上がらざるを得ない、政府売り渡し価格を上げたわけでございますから。そういうことで御了解願えると思います。それから副原料費、これにつきましても、先ほど申し上げましたように、やはり原料資材の面が上がってきておりますので、ある程度値上げはいたし方ないというふうな考え方をいたしております。包装資材等も、御承知のように、できるだけその値上がり分を切り詰めて一応私どもは査定をしている。そういうことで、流通マージン等も、また特に流通マージンについて特段に値上げを押したというわけでもございません。まあやむを得ない一つ原価構成の分について一応考えて指導していると、こういうふうに御理解願えれば、おのずから五十円以下で、企業努力によって各社違うわけでございますから、四十三円で売っているところもあるし、四十二円で売っているところもある、四十八円で売っている、そういうことで御了解していただきたいというふうに先ほど来申し上げているわけでございます。
  46. 内田善利

    内田善利君 もう言いますけれどもね。私が聞きたいのは、私が調査した段階で一例を言いますけれども、段ボール生二十個入りで、大体四十円で売られているラーメンですが、これは一個当たり段ボールが一円三十銭、袋が一円七十銭、スープが八円、めんが七円、油が三円、合計二十一円、これは人件費その他諸経費を含んで二十一円、このように私は調査しておりますが、こういう要領で教えていただきたい。どうも頭が悪いので、何%と言われるとわかりません。私の調査分は合計二十一円、これが四十円で売られておる、こういうふうに言われると非常によくわかるんですが、こういう要領で教えていただきたいと思います。——四十八年十二月現在の調査です。
  47. 三善信二

    政府委員三善信二君) 御承知のように、そういう事例調査を先生されたわけでございますが、私ども、これは全体的な指導でございますし、しかも、大手——先ほど四社申し上げましたけれども大手四社もそれぞれ企業内容が違うわけでございます。そういうのを平均して、大体、先ほど申し上げました原価比率を、五十円として一〇〇%であれば、小麦粉が一三%とか、あるいは副原料費が三一%、包装資材が八%、製造販売経費が二七・二%、流通マージンは二〇%、そういうことで申し上げているわけでございまして、何円の製造のを何円で売ったという具体的な数字は、先ほども先生申し上げられましたように、非常に極端なことを言えば、これは毎月違うかもしれませんし、日にちによって違うかもしれませんし、そういうものが、私、企業一つ原価構成だということじゃなかろうかと思います。そういう意味比率で申し上げましたんで、大体その辺でおわかり願えるかと思って、先ほど来比率を申し上げているわけでございます。
  48. 内田善利

    内田善利君 国民はそれではわからないんですよ。大体四十円から六十円になった、それが公取勧告で五十円になった、一体どういうことで上がったんだろうと、ここが疑問なんですね。それならば、五十円で売られる品物は一体どれぐらいかかっているのか。そして幾らぐらい利益があるのか。あなたのおっしゃることでは、一〇〇%になって、もうけは一つもないじゃないですか。
  49. 三善信二

    政府委員三善信二君) 先ほど来申し上げておりますように、業界として六十円に値上げしたいと、四十円を。それを私ども、六十円はこれは高過ぎるということで、いろいろ調査をしまして、十円以下にしなさい、その十円の根拠として、先ほど申し上げましたように、小麦粉はこれはその売り渡し価格に応じて上がるのは当然だけど、これはどの程度にしなさいというようなことできめたわけでございますので、それは私、先生おっしゃいますように、工場ごとに全く違う場合があると思うんですよ。どういう点を切り詰めて、どういう点に値上がり分をかけていこうかということもございますでしょうし、そういうことで幾らのが幾らという、ぴしゃっということを申し上げるということはなかなかこれはむずかしいし、また、特定の工場についてそれを特に言うこともいかがかという感じをしておりますので、先ほど来申し上げている、御説明しているような次第でございます。
  50. 内田善利

    内田善利君 それでは、大手四社の決算報告をしていただきたいと思うのです。四十七年度の決算報告。それと、大手四社は五〇%のシェアしかないと言われましたが、八〇%のシェアじゃないんですか。この点、もう一回確かめたいと思います。
  51. 三善信二

    政府委員三善信二君) 大手四社のシェアでございますけれども、ブランドなんかも貸したりなんかしておるようなことでございまして、そういうのを含めますと、大体七割ぐらいのシェアになろうかと思っております。  それから、決算の概要でございますけれども日清食品と東洋水産は、これは上場いたしておりますし、有価証券報告書がございますので、先生も御承知だと思います。明星食品サンヨー食品は上場いたしておりません。私ども聞きまして、いま申し上げるような状況でございますから、それをいま申し上げたいと思います。  日清食品でございます。売り上げ高につきましては、先ほど申し上げましたように、四十七年の四月から四十八年の三月まで二百四十八億で、純利益が二十一億、利益率が八・六%、配当率が二五%になっております。東洋水産でございますけれども、これも同期間でございまして、売り上げ高が三百十億と、それから純利益が十億と——端数は省かしていただきます。それから利益率は三・三%、配当率は、これは一八%、それから明星食品でございます。四十七年の十月から四十八年の九月で、期間が多少変わっておりますが、売り上げ高が二百七十九億。で、純利益が四億九千万、利益率が一・八%、配当率は二〇%。それからサンヨー食品でございます。これは四十八年一月から四十八年十二月まででございます。売り上げ高が三百七十九億、それから純利益が三十七億、利益率が九・九%、配当率は非常に高くなっております。六〇〇%です。これは資本金が非常に少ない、ほかに比べて二千四百万円の資本金で、まあ同族会社的なものでございまして、そういう関係で配当率も非常に、異例に高くなっているということではなかろうかと思っております。この明星食品サンヨー食品は、私ども聞き取りをいたした数字でございます。
  52. 内田善利

    内田善利君 サンヨーが六十割ですね。六十割の配当だということですけれども、これでまだ値段を四十円から六十円に上げようとしていた。あるいはまた十円を上げる、こういうことなんですが、こういうことでいいんでしょうか、農林大臣
  53. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 的確に、簡潔に、もっと。
  54. 三善信二

    政府委員三善信二君) はい。サンヨー食品の場合には、いま申し上げましたように、資本金が非常に少ない。借り入れ金というのがほとんどないというようなことで、企業内容は特にいいということを聞いております。それからちなみに、日清食品、東洋水産、こういうところは資本金が大体十一億五千万、あるいは十二億とか、そういうふうに多くなってきておりますし、そういう関係で、先ほど申し上げましたように、配当率等は特に高くなっているということではなかろうかというふうに考えております。
  55. 内田善利

    内田善利君 次に、私は価格統制についての問題について質問したいと思いますが、大臣はこういう会社を御存じですか、即席麺保全サービス株式会社という会社ですが。
  56. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 存じませんから、政府委員からお答えいたさせます。
  57. 三善信二

    政府委員三善信二君) 私どももその名前は存じておりません。
  58. 内田善利

    内田善利君 これを知らないということは私は大問題だと思うのですが、即席麺保全サービス株式会社、これはサンヨー食品とエースコックと明星食品日清食品、この各社の社長が集まった四社会というのがありまして、これで、四社共同の出資になっておって、各社均等の五千株出資で、結局決定価格を監視すると、こういう会社です。通称ラーメン業界のCIAと言われるような、問屋や小売り店が非常にこわがっておる会社なんですが、こういう会社を知らないというのは問題だと思います。
  59. 三善信二

    政府委員三善信二君) それは、会社がお互いにそういう出資をしてつくった一つ会社でございまして、特に食糧庁との関係はございませんし、まあ私ども、正直なところ、いま先生が言われるまで知らなかったということでございます。   〔委員長退席、理事西村尚治君着席〕
  60. 内田善利

    内田善利君 この会社は、先ほども言いましたように、株主はこの四社の会社の均等出資、そして社長は半年ごとに交代をしております。社員は各会社の課長が出向してこの監視に当たっている、そういう会社で、小売り店等で決定価格よりも安く販売した場合には、この保全サービス会社が買い取るわけです。値くずれを防ぐために買い取るわけですね。そして買い取った品物を、今度はメーカーに対して決定価格で買い取らぜる、そういうことで決定価格を維持していこうという、そういう監視機関であり、その差額は、値くずれしたその差額は、その会社の罰金として収入にしている、そういう会社です。こういう会社があるのですが、こういう会社で、こういうラーメン業界のCIAと言われるような会社があって、価格の維持システムが行なわれておったということについて、農林大臣、どのようにお考えですか。
  61. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 内容を全然知りませんので、せっかくお話がございましたことですから、よく調査してみたいと思います。
  62. 内田善利

    内田善利君 内容は知らないにしても、社長会できめた価格を破ったら、そこへ乗り込んでいって品物を押えて罰金を科しておる、こういうことが行なわれておる会社なんです。そういう会社があるということについてどのようにお考えか。   〔理事西村尚治君退席、委員長着席〕
  63. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 内容をよく調べてみないと何とも判断はいたしかねるわけでありますが、なるべく早く調査をいたしてみます。
  64. 内田善利

    内田善利君 そういう会社があるということについてはどのようにお考えかということをお聞きしたいのです。
  65. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いまお話しのようなことであるとすると、これはいろいろ是正してもらわなければならない点があると思いますが、よく内容を調べてみたいと思います。
  66. 内田善利

    内田善利君 食糧庁長官、どうですか。
  67. 三善信二

    政府委員三善信二君) いま大臣から御答弁いただきましたように、私どももできるだけ早く実態を調べてみたいと思っております。
  68. 内田善利

    内田善利君 実態を調べるということじゃなくして、こういう会社があるということについて、どのようにお考えかと聞いているわけです。
  69. 三善信二

    政府委員三善信二君) あるということは伺いましたので、その具体的にどういうことをやっているかということを、先生からいま言われましたけれども、私どもは私どもなりに調べてみたいと思っております。もともと、先ほどからも私申し上げておりますように、ラーメンの場合、非常に過当競争の激しい業界でございまして、それぞれの大きな会社大手企業等は、それぞれその自己のブランドをできるだけ多く売るために、そういう価格の面で安売り等もしながらこれまでやってきているというような実態を承知いたしておりますし、そういう会社があるということは初めて聞きましたので、もう少しどういうことをやっているのか、先生が言われたことを私たちも信用しないということではございません。私どもは私どもなりに調査をさしていただきたい、こういうおうに思っております。
  70. 内田善利

    内田善利君 大体、こういう会社があったということがわからないということがまずおかしいじゃないですか。
  71. 三善信二

    政府委員三善信二君) それは大手企業、しかも一部のところがそういう何といいますか、機構をつくっているということで、ラーメン業界全体の問題ではこれはないというふうに考えられないこともないと思っておりますし……。
  72. 内田善利

    内田善利君 大手四社ですよ、八〇%のシェア
  73. 三善信二

    政府委員三善信二君) したがいまして、そういうことは先ほど申し上げましたようによく調べて、早急に調べさしていただきたい、こういうふうに思っております。
  74. 内田善利

    内田善利君 これを見てください。(資料を示す)
  75. 三善信二

    政府委員三善信二君) 十分内容を調べさしていただきます。
  76. 内田善利

    内田善利君 こういう大手四社ですからね、ラーメン業界の一部だとおっしゃるけれどもシェアは八二%です、四十八年十二月で。そういうラーメン業界大手四社がこういうことをやっているということについて何も知らなかったということは、農林大臣、責任だと思いますが、この点いかがですか。
  77. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 業界と私ども関係いたしますことは、農林物資、われわれの所管しておる小麦粉を買ってくれるという程度でございます。したがって、メーカーに対してはいろいろ行政的な指導をできるだけしたいと思っておりますが、いまのようなお話につきましては実は全然存じませんので、よくひとつ調査をいたしてみたいと思います。
  78. 内田善利

    内田善利君 私は、農林大臣がこういったラーメン業界、しかも日本の主食の非常に大きいシェアを含んでおるこういう業界のこういう実態がわからないでおったということはふしぎでならないのですが、どうですか。
  79. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 実際に存じませんでして、いま実は初めて承ることで、事務当局からもまだ何も聞いておりませんので至急に調査をいたしたいと思います。
  80. 内田善利

    内田善利君 厚生大臣に聞きますけれども、このラーメンの不良品、こういうものについてはどのように把握しておられますか。
  81. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 厚生大臣の臨時代理を仰せつけられておりますが、ラーメンについて御質問があるということで、きのう厚生省にも確かめましだところが、ラーメンの不良品については聞いたことはない、しかし、ある会社で製造月日の先日付の表示をした会社がありまして、それがある県の食品衛生監視員の発見するところとなり、その会社は一時営業停止の処分を受けた、こういう報告が厚生省に入っているそうでございます。それを一つの例にいたしまして、厚生省といたしましても食品衛生法の機構等を十分活用して監視につとめておる、こういうふうに聞いております。
  82. 内田善利

    内田善利君 私もそうでありたい、私も好きですからそういったラーメンに不良品がないことを望みたい。しかし、これはある大企業インスタントラーメンのクレーム一覧表なんですが、一年間に二千五百七十七件クレームが来ているわけですね。そのおもなのを申しますと、いまおっしゃった期限切れ、これが九十七件、それからカビがはえていたものが百三件、異物混入でいいますと、虫の混入が六百六十五件、金属の混入、針金とか、アルミとか、ピンとか、くぎ、ネジ、二十五件、それからネズミのふんということですが、これが三件、それから毛、これが二十二件、それから人体についてのクレーム、げりが十一件、じんましんが四件、こういうふうになっておりますが、合計二千五百七十七件。これはその会社に、各消費者から企業に対してクレームを言ってきたものを集計したものです。しかも一企業で東京都内だけです。こうなりますと、私は包装関係あるいはこういった取り扱いの関係、そういった面で非常に大きいと思うのですね。こういうことについて調査なさったことはあるんですか。
  83. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 内田さんはその方面のことにたいへんお詳しい方であることは私も承知しておりますが、先ほども私が触れました食品衛生監視員というものは、今日では全国で五千九百名以上になっておるはずでございます。これはもう私が厚生大臣を前にいたしておりましたときからたいへんやかましい課題で、食品衛生監視員をふやせふやせというような御要望が国会からもございまして、だん、だんふえてきておるのでありますけれども、その大部分といいますか、ほとんど全部は、これも御承知のように都道府県に置かれておるわけでございまして、厚生省本省所属の食品衛生監視員もございますが、これは主要の湾港に数十名おるわけでございまして、いま御指摘になりましたようなパッケージの中の不衛生な混入物の発見、監視というようなことになりますと、どうしても都道府県におる食品衛生監視員の活動に待たなければなりませんので、食品衛生のことは最近国民的に非常に関心が高まってやかましい問題にもなっておりますので、御指摘のような事実につきましては、さらに本省から都道府県の監視機構を通じまして通達等をいたしまして、十分そのような事態が今後ないようにいたすべきであると思いますので、さっそく私は御指摘のことを踏まえまして処理をいたしたいと思います。
  84. 内田善利

    内田善利君 農林大臣はどのようにお考えですか。
  85. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま厚生大臣のお答えいたしましたのをよく聞いておりまして、同感でございます。
  86. 内田善利

    内田善利君 そのような不良品といい、それから価格の問題といい、私はラーメン業界に非常に問題が多いと思うのです。この検査機関ですけれども、JASですけれども、このJASに農林省の天下りがおるわけですが、これは何人おりますか。
  87. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 日本即席食品工業協会がいまやっておるわけでございますが、その専務理事と事務局長の二人が元食糧庁の職員として入っております。
  88. 内田善利

    内田善利君 私の調査では十七名おりますがね。
  89. 池田正範

    政府委員(池田正範君) JAS機関全体のお話でございますか。
  90. 内田善利

    内田善利君 そうです。
  91. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 不規則発言しないように。  ちょっと委員長から政府側に注意をいたします。不分明の部分は調査をして後刻報告をするということでありませんと、審議が進行しませんから協力を願います。
  92. 池田正範

    政府委員(池田正範君) ただいま表を持っておりますが、集計をいたしましてすぐ御報告いたします。
  93. 内田善利

    内田善利君 環境庁長官が見えましたので、二問いたします。  その一つは、昨日の長官の答弁に対してどうしても私は納得できません。現実を踏まえてお聞きしたいと思うんですが、昨日は富山と生野の患者の状況は全く同じだと、このように報告があったわけですが、これについて、全く同じでありながらどうして認定ができないのか。それについて長官の答弁を通じまして感じましたことは、結局学者の論争が多い、学者にお願いしておるということなんですけれども、これだけはっきりしておるにもかかわらず、しかも長年イタイイタイ病を手がけてきた先生方が、はっきりとこの七名についてはイタイイタイ病患者であると、こう言われている。私も長年——まあ長年といいますか、イタイイタイ病についてはタッチしてまいりました。私が見てもこれはもう明らかにイタイイタイ病患者であると、このように思うんですけれども、それがなおこのように行政当局で認定が行なわれそうにないということは非常に悲しい事実だと、こう思うんですけれども、この点についてどのようにお考えか。
  94. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) この三月の十七日に金沢大学の石崎教授、それから富山県の萩野医師が、カドミウムの研究班の総会があって、そして三人の患者を指摘されたわけなんですね。それはついこの前の三月十七日なんです。ところが、兵庫県にある健康調査特別審査委員会では所見を異にしたわけですよね、それが。なくならない二人の方は、県の調査の審査委員会では、見て、それとは所見を異にしたわけですね。そこにやはりカドミウムの、これ、みな専門家の意見を聞かなければ、こういう特殊な疾患に対して専門家の所見を抜きにしてものをきめるわけにはいきませんから、兵庫県は兵庫県として専門家による特別審査委員会があって、それと意見を異にしたわけです。ところが、石崎教授にしても、萩野医者にしても、このイタイイタイ病では非常に経験の富んだ方ですから、そういう人たちが指摘をされて、兵庫県の審査委員会と所見を異にしても、その二人が指摘したことは、やはり骨あるいはじん臓に対しての症状というものがあるという明白な提示をされたわけですから、意見が学界で二つに分かれたといっても、それはやはりこんな有力な医者がそういうふうな症状があるという提起をした以上は、われわれとしてはこれは放置できない。  そういうことで、私は橋本審議官を近く兵庫県に派遣をいたしまして、そうして兵庫県の審査委員会の方々と話し合ってみたい。そうしてそれだけのイタイイタイ病の患者がおるということで専門の医者の提起があるわけです。そういうことで、もう一ぺん審査委員会においても十分な検討をしてもらいたい。こちらのほうは、そういうカドミウムの中毒症の患者の人がおって、それが非常にその症状のために苦しんでおられる人をそのまま放置するわけには環境庁としてはいきませんから、そういう手配でこの問題をもう一ぺんひとつ再検討をして、そうして中央のほうにも御承知のように特別の診断研究班というのがあるんですよ。いきなりそこへ持ってきては、県のそういうふうな審査班があるわけですからね、だから、まず県のそういう医者の専門家の人たちと橋本審議官がよく話し合って、もう一ぺん再検討してもらう。中央へ持ってくるのは、やはり地方のそういう県段階にあるところの特別審査委員会で再検討をして、その順序を経てやっぱり中央へ持ってきたほうがいいと思うんです。そういう手続をとりたいと考えておるのでありまして、われわれとしては、そういう学説、がいろいろ分かれておっても、学説が分かれて学者間の論争があることによって患者に対する対策がおくれるということはわれわれとしても本意でありませんから、至急にそういう手続をとってこの問題と取り組んでみたいというわけでございます。
  95. 内田善利

    内田善利君 私は、この学者論争で被害者の方方が救われないというのは非常によくないと思うんです。なぜ私が——こういうことを言いたくないのですけれども、土呂久の公害のときに、名前を言いますけれども、土屋教授と喜多村教授が行かれまして、土呂久には公害はないと言われたんです。ところが、環境庁のほうであそこは公害と認定をされたわけです。そういうことを知っているがゆえにどうしても私は、学者論争にのみたよるということでなくして、やはり諮問機関を通して、学者の先生方がきめられたことを通して、県知事なりがそこで判断をして認定すべき方向へ、そういうシステムにすべきじゃないかと、このように思うわけです。昨日、私たちの岡本代議士が県知事に申し入れをいたしましたところが、県知事は、環境庁のほうで、国のほうでそういう希望があるならば、国のおっしゃるとおりにいたしますと、そのように知事も言っておられるわけです。ですから、もう少し学者論争のみにたよることをしないで、ひとつ審議官が行かれましたならば、そういう見地から、いつも言われる疑わしきは救うという立場から救っていただきたい、そのように思うんです。その点はいかがでしょう。
  96. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) せっかく県にそういう審査の委員会ができておるわけですから、その専門家の人々に、その経験の深い二人の専門家がこういう問題を指摘しておるんだから、もう一ぺんそのデータに基づいて再検討をしてもらいたいということを兵庫県に要請をする考えでございます。そうしていろいろ学説が分かれることによって、非常に苦しんでおられる患者の人々を何か救済する方法を考えてみたいというような見地に立って橋本審議官も派遣をしようと考えておるわけでございます。
  97. 内田善利

    内田善利君 もう一言お願いしたいんですが、大石元環境庁長官が、隠れ水俣病のときに、もう少し診断基準をゆるめたらどうかと、疑わしい患者を総点検して救っていくべきであるという趣旨の長官通達を出されまして、非常にたくさんの患者が救われた事実があるわけですが、長官からそういう通達を出されたならば、私はこの五名の患者は救われると、このように思うんですが、そういう通達を出してでも救っていただきたい、そのように思うのですが、いかがでしょう。
  98. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) こういうふうな水俣の場合でも、イタイイタイ病でも、やはりこう専門家の診断でないと、ちょっと疑わしいからといってそういう病名をつけられることはこれは非常に本人にとっても、やはり医学上のある根拠を持っていないと、ちょっと疑わしいからといってそういう公害病患者に認定することは本人のためにも私はよくならない、いいことではないと思いますので、一つの根拠になるものはやっぱりあくまでも専門家の所見だと思うんです。ただ、しかし、この場合には、一方においてこれはカドミウムの中毒患者であるという、そういうことを根拠を示したんですからね、そういう専門家が。この場合は何とかやっぱり、そういう経験の豊かな人たちがそういう問題を提起したんですから、これに対しては十分に再検討をして、できる限り私どもの立場はそれをやはりカドミウム患者として救済できるようにできないかということで橋本審議官も派遣するわけであります。県はそういう審査委員会がありますからね、それを抜きにして中央でいろいろこう認定するということは、やはり手続を踏まないと混乱が起こりますからね、そういうことで派遣をするわけで、派遣は、なるべくそういう症状のために苦しんでおる人を広く救済をしたいという見地で派遣をするわけでございます。
  99. 三善信二

    政府委員三善信二君) 先ほど先生が即席麺保全サービス株式会社のことについてお触れになりましたが、いまサンヨー食品の東京支店に電話で調べてみましたところ、その御報告をちょっと簡単にさしていただきます。四十七年の十月解散の決議をいたしておりまして、四十七年の十一月六日解散の登記をして、四十八年九月清算を終了したという報告がございましたので、一応サンヨー食品東京支店に私ども電話で聞いた報告でございますが、ちょっとつけ加えて報告させていただきます。
  100. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 先ほど御指示のございました登録格づけ機関に農林省の退職者から何名出ておるかという点でございますが、全登録格づけ機関が品目別に二十三ございまして、それで総数は、これは理事以上でございますけれども、全体で五十四名出ておるのが実情でございます。
  101. 内田善利

    内田善利君 こういう検査機関にやはり農林省の天下り検査官がおるということはよくないと思うのですね、道義的にもですね。この点はどのようにお考えか。  それから先ほどの保全サービス会社ですけれども、解散の報告はありましたけれども、その実態の報告は何にもないのです。どういうことをやってきたのかということが問題なんです。
  102. 三善信二

    政府委員三善信二君) それは電話でございますから、まだはっきり調べておりませんので、よくそれを調べてまた御報告をさしていただきます。
  103. 内田善利

    内田善利君 そういう電話報告の受け方ってありますか。どういうことをやったんだと聞くのがほんとうでしょう。内容を言うのがほんとうでしょう。解散のことなんか聞いておりませんよ。どういうことをやってきたのか、こういう悪らつなことをやってるということを報告するのがほんとうじゃないですか。
  104. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いまはない会社のようでありますが、存在しておる間にどういうことをやっておったかということはやっぱり将来の行政にも参考になりますので、私自身よく聞いて調べてみたいと思っております。  それからもう一つのことでありますが、大体農林省、たくさん食管等にもおりますが、ごく何と申しますか、あんまり上の位置でない方々について関係業界から嘱望されまして行っておる者もあります。これはいわゆる密着して不当なことをやるようなことがあってはなりませんけれども、やはり役所につとめておった人々がそれぞれ年齢に達したときに適当な社会に活動してもらえることはけっこうだと思いますが、そういう意味におきまして、私どもはいまお話しのございましたように、密着というふうなことで、とかくのことを言われないように十分注意をしてやってあげたいと思っております。
  105. 内田善利

    内田善利君 このJASですが、JISとはどのように違うのですか。
  106. 池田正範

    政府委員(池田正範君) JASは御承知のように日本農林規格でございまして、対象になりますものは農林水産物とその加工品ということになるわけでございます。どこが違うかと、大体似ているところが多いわけでございますけれども、まあ一つの特徴は第三者格づけであること、自分で工場が自分の製品を格づけするということを許さないという立場を一応制度として貫いておるのが違いといえば違う。それはまあおそらく工業製品と、それから非常にばらつき、品質規格がむずかしいという農林水産物の特性から出た一つの違いであるというふうに解釈をいたしております。
  107. 内田善利

    内田善利君 私は、業界代表が八〇%いるということですね、これはもう第三者ではなくて業界べったりだと思うんですが、その点はいかがですか。
  108. 池田正範

    政府委員(池田正範君) かつて御指摘のようにそういうパーセンテージであったことは確かでございますが、まあ全体としてJASがいわゆる任意調査である、自分から申し出てやっていく、そのことがだんだん消費者の利益につながっていくんだという勧奨的な立場から、多少そういうことについて勧奨的にまあ許して認めてきたということはございますけれども、いま御指摘のとおり、確かにJAS登録機関がそういうたくさんの業界団体に占められることはいいことではございませんので、実は昨年ごろからどんどん登録格づけ機関をいわゆる業界にまかしておるのをやめさせまして、全部分離させる、そして新しく登録格づけ機関を別につくらせる、しかもその登録格づけ機関の過半数は消費者代表なりあるいはメーカー以外の学者その他の中立的な意見を持つ方々にお願いをするという形で、どんどん現在切りかえてきておりまして、現在の段階ではほぼ半分ぐらいが大体私どもの意図に沿っていわゆる独立した登録格づけ機関になっておりますけれども、なおおくれた団体で先生御指摘のような形のものもございます。しかし、これはだんだんにひとつ業界指導を強めて、早急に直していくという方向で指導を強めていきたいと思いますが、ただ、その場合でも格づけの実務をなるべく自分たちでやらせない、そして第三者の分析化学センターといったような化学的な検査技術を持ったところにまかせてやらせるということで、とりあえずは少なくとも御指摘のような疑いがかけられることだけは避けることで当面はやっていきたい、その二つでいま対処しておるわけでございます。
  109. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 時間ですから、一問だけ。
  110. 内田善利

    内田善利君 最後に。  このような検査機関の実態といい、それから不良品の実態といい、それから価格の問題、あるいはこういったCIAといわれるようなふしぎな会社のあり方といい、私はまだラーメン業界に問題があると思いますが、最後に農林大臣の所見を聞いて終わりたいと思います。
  111. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) いろいろ参考になります御意見を承りました。私どもも広範囲でございますので、とかく手が回りかねておる面もあるかもわかりませんが、お話のような趣旨を十分に行政の上に生かしてまいりたいと、こう思っております。
  112. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これにて内田君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  113. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 中沢君。(拍手)
  114. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 初めに一言お伺いをいたします。  きょうは第二波の三・二六ストライキでございますけれども、このストライキに対して、政府は、当事者能力がないのに政治ストのおつき合いをしているのではないかと、このように見られておりますが、まじめに収拾されるお気持ちがあるのかないのか、お伺いしたい。
  115. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) きょうは三月二十六日で、おっしゃるとおり、第二波のストライキが行なわれているのであります。先生お尋ねの、当事者能力がないのに会っているのはおかしいじゃないかという御質問でございますけれども、労働大臣といたしますというと、何といいましても勤労者の皆さん方のいろいろなお話を聞きもし、また、その気持ちを理解していくことが日本将来のためにも大事だと、こう考えておりまして、時に労働四団体の方々と総理大臣とお会いいただき、あるいはまた、閣僚皆さん方にもお会いいただいておるのですが、御要求の中には、国会の場で解決される制度問題がたくさんあるのでありまして、だんだんお話しの中にそういうけじめをつけながら、ひとつ話をしていこうということでやっております。ただ残念なことには、ずっとスケジュールでございまして、三月一日から本日というふうなところ、ことに公務員関係などが、公労協や公務員の共闘が、これは違法であるというところが行なわれておることが非常に残念だと思っておりますが、いまから先もいろいろな話については隔意なく私はお話をお伺いしていきたいと、こういうふうに考えておる次第であります。
  116. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 十分労働団体の話も聞いて、一日も早くこういうことを解決していただきませんと、年寄りや子供たちはたいへん迷惑をしておりますので、今後も努力を続けていっていただきたいと思います。  それでは本論に入りますが、大臣方の御都合によりまして、いろいろ私順序を変えることはだいぶ不本意なんですけれども、やむを得ないと思います。  初めに財形の問題について質問をいたしたいと思います。  政府は勤労者の財産形成貯蓄に対する優遇措置を予算の目玉と言っておりますけれども昭和四十七年にこれが発足いたしましてから、建築費や土地の値上がりや労賃の激しい値上がりがございました。財形貯蓄よりもむしろ、その当時借金をしたほうが財産形成になったというのが実情ではないでしょうか、その点をお伺いをします。
  117. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 労働者の財産形成制度が始まって、まだ二年でございますけれども、二百四、五十万の方々が労使協約によりましてこれに入っていただきまして、そういう方々が将来ともに夢を持ち、貯蓄をしていくというところを推進していきたいというのが私たちの仕事だと思ってやっている次第であります。
  118. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 今度の改正によって、十年間二十万円ずつ積み立てると九百六十六万円のマイホーム資金ができると試算をして発表をしておりますね。しかし、これはどんな具体的なものを描いておられるのですか。
  119. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) ただいま国会にまた提案してお願いしているわけでございますけれども、マイホーム一つに限定いたしますというと、今度は、まず第一、利子のかからぬのを、いままで百万円のものを五百万円にも上げ、あるいは税額控除を三万円だったものを四万円までも上げもし、そして七年間貯蓄して、そのあとでは、いままでもやっておりますけれども、さらに特別に二倍以上の融資をしてもらって、そういうふうなところにずっと将来マイホームをほんとうにおやりいただく方々にはできるような手当てをしようということで、この国会にお願いしているような次第であります。
  120. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それが、年間二十万円ずつ貯蓄をしても、二倍貸してもらって九百六十六万円にしかならない。もしも三十万円十年間積み立てても千五百万円にしかならない。同じ政府の部内の試算で昭和五十五年に東京の通勤圏内で土地が五十坪、家屋が二十四坪、これを取得するのに五千五百万円と発表されておりますね。一千万円でも建物だけの取得にもなり得ないというのに、この金額ではとうてい財産形成などとはできないわけでございます。政府の財産形成方法は間違っているのではないかと、このように疑わざるを得ないのですが、労働省は無責任過ぎるのではないですか。
  121. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 建設省のどなたかがそういうふうな試算を出したということはございますけれども、いまから七年も八年も、その試算のように物価が高騰していくというふうなことを防ぐためにいま徹底的にやっているわけでありまして、私は、七年間もいまのような物価が高騰していくようなことであったならば日本はたいへんなことになる。でありますから、七年間たったあとでは住宅金融公庫が特別に二倍以上の金も低利で貸してやる、そして一方では、いま建設省とも話をしておりますが、御審議をお願いしているところの、三大都市のような、そういうところの宅地造成の場合には、こういう財産形成の方々が特に早く契約といいますか、申し込みができるような設営などもいたしておりまして、その七年間にそんなふうな案にならないようにお互いにいま努力しているところでございます。
  122. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 ならないようにといっても、卸売り物価が三〇%余りも上がるということは、これはまだ容易では物価は鎮静しないと思いますし、海外要因もあることですから、そう簡単には物価は下がらないと思います。そこで、取得に一千万円をこえるような持ち家政策を簡単に口にする前に、いまおっしゃったように、地価の安定とか公営住宅の確保とか、そういったものの充実が先決だと思います。で、見通しが違うのに、一方は労働省がこのようにPRをしているわけですね。それで一方では建設省のある役人がこういうふうなものを書いてPRをする。こうなりますと、全く勤労者はだまされているような感じがするわけです。で、政府はこの政府部内の詰めをもりともっと行なっておく必要があるのではないか、このように苦言を呈したいわけです。これではまじめな労働者がほんとうにばかをみる結果になるのですから、十分その辺は配慮していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  123. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) いまからの賃金あるいは物価高騰の場合には、いまのように二十万円とかいうふうなものをまた時によけい貯蓄されるという事態もあるでしょうけれども、問題は、やはり物価高騰を押えていき、そうしていま計画されているのを推進していくような方策をとることがほんとうに大事なことと思っております。いまいろいろな方々がいろいろな案を出しておりまして、時には、財形貯蓄などは何にもならぬから、もう貯金はやめろというような話もありますけれども、私は、やはり日本人の勤勉、将来に夢を持つ、それが一番大事なことでありますから、いろいろな案などもありますけれども、ここで御審議をいただいており、皆さん方から御真剣に推進していただく、そのものを実現するようにこん身の努力をし、また統一的にそういういろいろな案を、誤ったと申しますか、そういう試算というものについても、なお私のほうでも説得、啓蒙していくつもりでございますので、御理解いただきたいと思います。
  124. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いま労働大臣はああいうふうにおっしゃいましたけれども、しかし、もう世間では勤労者は家なんて持てないんだと、こういうのがいま社会通念みたいなことになっているわけです。それで、いまのように、大蔵大臣お聞きのとおりでございますけれども、こういったようなことで、現在の一千万円と十年後の一千万円とはもう価値がずいぶん違ってくると思います。で、こういう宣伝は私はだましたようなことになるんではないかと、たいへんそれを案ずるわけですね。で、貯金の利減りが問題になっているときに、全く思いつきの割増金付貯蓄は、当たる人はたいへん少ないです。むしろ、はずれる人のほうが多いんですけれども、はずれる人にとってはさらに利回りが悪くなって、目減りに輪をかけることになると思います。で、少額非課税ともどもに、貯蓄の誘導手段としてはいいかもしれませんけれども、国民の射幸心を利用した、いやな制度だと私どもは思いますが、いかがですか。
  125. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいま労働大臣と中沢さんのお話を聞いておりますと、やっぱり私も、大蔵大臣という立場で、預金者の立場ということを非常に深刻に考えるわけなんです。  それで、財形貯蓄につきましては、私はこれは非常なメリットがあるんだと思いますのは、今度初めて融資制度というものを始めたわけです。つまり、財形貯蓄で積み上げた金、それは七年後には引き出せる。そのときには倍額の住宅融資が受けられる、低利長期。それから在来の融資制度があるんです。それを使うことがまたできる。同時に、貯蓄したんですから、それの引き出しもできる。そこで、五百万円財形貯蓄をしたという人につきましては、これは千五百万円の融資を受けられると、こういうことになりますが、問題は、その貨幣価値ですね。その問題は非常に大きな問題だと、こういうふうに思うんです。今日の状態だと、私は、まあとにかくそれだけの金があり、なお自己資金もあるわけでありますし、その上さらに退職時にでもあたりますれば、退職資金という問題もありまするから、まず持ち家というか、アパートにいたしましても、あるいは少し遠いところへ行けば一戸建ての家にいたしましても、これは持ち得るような状態だと思うんですが、問題は、貨幣価値がそのときどうなるか。これは、こういう貨幣価値の状態でありますれば、どうしたってそういう金額に対しての何らかの調整はしなければならぬと思います。思いますが、今日のこのインフレ物価高というものは、いま御指摘のように、住宅の夢を失わせる、あるいは子供を育てる、そういう手段も非常にむずかしくなる。自分自身の老後の問題というものも、これは非常に困難になると、そういうようないろんな問題があるわけでありますので、小手先のことを幾らやりましても、これはもうほんとうの解決にはならないんです。これはどうしてもインフレを早期に解決するほかはないと、こういうふうに考えまして、少し窮屈な、あるいはきびしい政策でございまするけれども、総需要抑制政策をとりまして、まあ短期決戦というか、もう早急に物価の不安状態を取り除こうという手法をいま進めておるわけでありまして、二月あたりはかなりのそういう政策の浸透が見られるようになった。今日この時点になりますと、大かた卸売り物価というか、そういう面におきましては横ばいの状態まで来ておる。   〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕 これからだんだんだんだんと、そういう傾向が固まっていくであろうと、こういうふうに見ておるわけですが、そういうさなかにおきまして、ただいま御指摘の割増金付定期預金をなぜ行なうかということでございますが、これは別に強制するわけではございませんけれども、やはり物価を早く安定させるということを考えますと、まず国が率先して財政需要を押えなければならない。地方公共団体にも、これに見習ってもらわなければならない。同時に、産業界におきましても、設備投資を控え目にしてもらうというので、金融抑制政策をとっておるわけですね。ところが、その総需要の中で半分を占める国民消費、これには、まあ所得政策とかいろいろ議論がありまするけれども、私はそういう法的手法を使いたくない。そこで国民の御協力に待つと、こういうことになる。その御協力の道というのはいろいろありましょうが、一番大事な問題は、これは貯蓄であると。まあ貯蓄をする人は、目減りがあるという問題はあるけれども、また貯蓄をしていただきませんと、これ、当面のインフレ問題が解決しないと、こういう問題もありまして、どれが大事かということを考えると、私は、国家的に見ましても、事業から見ましても、あるいは御家庭から見ましても、インフレを解決すること、これが大事だと。そこで、一方においては目減りという問題はありながらも、貯蓄をひとつ多様化、貯蓄手段というものを多様化いたしまして、でき得る限り、まあ貯蓄というか、国民の自発的御協力を願いたいと、こういうふうに考えて、割増金付定期預金という本のを始めたわけなんです。  私は、この定期預金というものは、見通しといたしまして、かなり大きな貯蓄実績をあげるだろう、少なくも一兆円、多けりゃ一兆五千億円、そのくらいの額になるんじゃないか、そんなふうに見ておりまするが、御指摘のように、これは多少射幸心をあふるというような問題もありますので、このやり方につきましては、そういうことを考えながら非常に規制をいたしておるんです。つまり、元金はこれはもとより残るわけです。同時に、普通預金利子、これも残る。その得べかりし一般の預金利子と普通預金利子とのその差額をひとつ割り増し金として使おうと、こういうふうにする。それからまあ二年間の時限立法、こういうふうにいま考えて、そういう法律案の御審議をお願いしておるんですが、これも、もしインフレ物価高がとまるというような傾向になりますれば、二年を待たずしてこれを切り上げる、こういうことも考えておるわけです。  その他、この割増定期貯金をやる手法、仕組みにつきましては、まあ射幸心問題と差しさわりのないようにということに、ずいぶん気をつかっておるんです。まあしかし、臨時緊急の措置だと、物価を抑制することがいま最大の問題だということで、ひとつ御理解を願いたいと、かように考えます。
  126. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 貯蓄の目減りで全繊同盟の人が大阪の地方裁判所へ提訴していることも御存じでございますね。もう貯金が減って減って、お嫁にいくのに鏡台も買えない、子供の学資にも満たない、こういうようなことで、だんだん貯蓄にそっぽを向かれる方もあるわけですね。そういう中で緊急避難措置としてこういうのをお使いになられたかもしれませんが、とにもかくにも、田中内閣になってからインフレ物価高というのは非常に激しいテンポで高進をしているわけですね。  それで、そのインフレに強い人、つまり企業はますます太ってまいります。今度、インフレに弱い人、それは年金生活者や身障者や母子家庭、こういうところはますますやせていって、格差がさらに広がっております。貧しきを憂えず、ひとしからざるを憂うと申しますけれども、これは総理大臣が性根として持っているべきものでございますね。ところが、なかなかそうはいっていないように私どもは推察をしているわけです。次期の総理大臣といわれ、また、いま御自分でもおっしゃいましたように、大切な大蔵大臣でございますから、この点をもう一ぺん大蔵大臣にお伺いをしたいわけでございます。こういったような現状で、現在は全く国民の連帯感がなくなってしまって、心が荒廃をしております。考えてみれば、末おそろしいような感じがしますが、いかがでございますか。
  127. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ、世の中といいますか、わが日本にも一億の国民がおるわけです。この一億の国民というものは、生まれながらにして素質がみな違うわけでありまして、その人たちが、またおのおの違った環境の中で生まれ育っていくわけですが、これをほうっておきますと、これはどうしたって優勝劣敗、弱肉強食、そういう社会になっちゃう。私は、政治というものの任務というものは、やっぱりその弱肉強食、優勝劣敗、そういうことがあってはならない、そこでそういう問題に介入いたしまして、やっぱり強きをひしぎ弱きを助ける、こういうことでなければならぬ、これがもう政治の本質だろう、こういうふうに思うんですが、インフレ物価高というものは、その性格上、いま中沢さんが御指摘のように、これはもう政治の目的とする社会的公正というか、強きを押え弱きを助けるというのと全く逆でありまして、これはもう弱きをひしぎ強きを助けると、こういう性格を持っておるんです。ですから、これが私は長引きますと社会的に非常な不公正が起こる。そういう不公正な社会が一体安定するか、長続きするかというと、これは非常な問題だと、こういうふうに思いまして、そこでとにかく少し国民にもしんぼうしてもらわなければならぬ。あの橋もあの道もおくれるかもしらぬ。鉄道もまた期待はしたがおくれるかもしらぬ。いろんな国家的緒施設、多少のおくれは見るでありましょうが、さあ、そういうことよりは、国民のほうは、おそらくそんなことは多少のおくれがあっても物価を安定さしてもらったほうが何ぼいいかというふうに考えられておるのじゃないかと、こういうふうに思います。そういうようなことを考えながら予算もうんと縮減をする。また、産業界では進め進めというような気分でございましょうが、しかし、日本社会滅びて企業工場が残ると、こういうのでも困りますから、そこでがまんをしてもらうという政策をとっておるわけですが、とにかくいま総需要抑制政策、これでひとつまっしぐらにその道を進んでいきたい。そうして、なるべく短期にインフレ物価高、この傾向にとどめを刺したい、また刺せると。こういうふうに確信して、いま一生懸命邁進している、こういうことでございます。
  128. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 ここに、厚生年金で生活をしている一人の老人から私のところに手紙が参りました。これは新潟県に住んでおられるお年寄りですけれども、ちょっと読んでみます。  「六十五歳になったら在職中であっても年金を支給されることになっているが、それならどうして二〇%も減額されるのか。現在十八歳位の高卒位のものにも六万円位の初任給相場になっているのにやっと六十五歳満額支給の厚生年金、しかもこの物価上昇に六十五歳にも働かざるを得ない者から何故二〇%も減額しなければならないのか。現在の厚生年金は三十カ年と限定され、それ以上加入していても年金計算に加算されないとか。しからば、現在六十五歳以上にして職場にあり、満三十カ年加入しているのにどうして月給から厚生年金の掛金が控除されるのか。」  こういう手紙が参いりましたが、これはどうぞ厚生大臣から答弁をしてあげてください。
  129. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) ごもっともなお尋ねであると私は思います。  しかし、中沢さんも御承知のように、そもそも厚生年金支給というものは、加入者が六十歳以上の年齢に達し、その上、その職場を退職したときに年金が支給されると、こういうたてまえになっておりますのを、先年改正をいたしまして、本人が同じ職場におられる場合でも、六十五歳以上になった場合には、それはそのつとめ先からの俸給は俸給として受け取りながら、御自身が掛けてまいった厚生年金の金額については、それをあわせて支給することに実はいたしたわけでございます。  それで、その場合に、御指摘のように、本来その職場をおやめになっておれば満額支給されるのを八〇%しか在職中においては支給しないということ、そこに問題があるようでありますが、それは多々ますます弁ずでございますから、俸給は俸給でお受け取りになり、年金は年金で満額をお受け取りになれば一番いいのですが、これは大蔵大臣との相談事にもなるわけでございますけれども、これも中沢さん御承知のとおり、厚生年金支給時には国庫の負担分というか、国庫の補給分が二〇%上乗せになるわけでございます。その分だけは——こういうことを私はここでそのことを言わないほうがよかったのかもしれませんが、正直に申しますと、その国庫の負担分の二〇%分は本人は職場におるのだから御遠慮願っておくと、こういう意味で八〇%になっているはずでございます。しかし、これはわが国の給料制度のたてまえなんかで、年をとればとるだけ俸給が安くなるというたてまえのようなことにかりになってまいりました場合には、私は在職中二割削減分についても考えなければならぬ問題が、将来の問題としてはあるのかもしれませんが、いまのところは、年功加算給みたいな形の場合が多いことも考えますと、それは全体の計算の中でございますから、二〇%の御遠慮を願うということも考えられてきたこともわからぬではないと思います。  もう一つのほうは、三十年以上つとめられた場合には三十年分の年金の増加額で打ち切りになって、掛け金だけは取られるけれども、もらうものは三十年分までで打ちどめになっているのはおかしい——これは、正直に申しますと、私はあなたに迎合するわけではないのですが、私もそれはちょっとおかしいようにも実は思います。これは一般の方もおわかりだと思いますが、厚生年金の中には定額分というのがございます。それから俸給比例分と、両方あるわけでありますが、いまお尋ねの、三十年以上つとめておって掛け金してみても三十年で打ち切るというのは定額分でございますから、定額分は安い俸給の人も高い俸給の人も、あるいはまた十六年、十七年しかつとめない人も、あるいは三十年以上つとめた人も、それをなるべく一本の形にしぼって、そして同じ額を差し上げようという趣旨で、三十年以上つとめられておっても三十年打ち切りの計算をするし、そのかわり、いまもちょっと触れましたように、十六、七年しかつとめなくてもそれは二十年分の計算に切り上げて定額分は差し上げると、こういう仕組みのところから、そういうことが出ていると思います。しかし、まあ十六、七年つとめた方を二十年分に切り上げて差し上げるほうがもらう人は喜ぶわけでありますが、今度は三十年以上毎月掛けているのに、三十三年おっても三十五年おっても掛け金だけはするけれども、定額分に関するり同じその三十年までの分で打ち切りだということについては、これは私は臨時の厚生大臣でありますから、あまり大きなことは言えませんけれども、私がもう一ぺん厚生大臣大蔵大臣になることがありましたら、これは考えなければならぬことのようにも思いますことを、私はその点を考えまして、これは大蔵大臣にもよくその点を聞いておいていただくつもりで、そういうことを特に申し上げておきます。
  130. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 大蔵大臣にも質問いたします。
  131. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 六十五歳以上の在職者につきまして二割カットをしておると、そのいきさつ等につきましては、いま厚生大臣からお話し申し上げたような趣旨なんです。つまり、在職者は退職してもとの職場からも給与が来ないという状態の人とかなり立場が違うのじゃないか。この老齢年金の設けられた趣旨は、老後を安泰にしよう、こういう基本的な趣旨があるわけです。そういう趣旨から見ますと、職場につとめておると、おりながら年金が支給される、こういうことは、これはまあどうかなと、こういうので、六十四歳以降につきましては所得額に応じましてカット率を高くしており、非常に給与の高い人につきましてはこれはゼロまで行くわけなんでございますが、六十五歳以上の人につきましても二割ぐらいカットして、退職した人とのバランスが大体その辺にいくのじゃないか、そんなふうに考えておりましてこういう制度になっております。  厚生大臣もいろいろ考えられておるようでございますが、まあいろいろ御批判もありましょうが、    〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕 大体在職者につきましては、退職された方とのバランスからいって妥当なところを政府は考えておるのじゃないか、そんな感じがいたします。
  132. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 関連。  厚生大臣大蔵大臣も、いまの答弁聞いておりますと十分なる御認識がないと思うのですよ。と申しますことは、日本の定年制という問題を一ぺん考え直してもらわなくちゃいかぬ。いま五十五歳の定年と五十八歳の定年と六十歳定年と、大体三つに分かれておると思います。したがって、五十五歳を過ぎまして後の収入というものは、二割ないし三割の減なんです。そういう人に対して二割減の厚生年金を支払うということはおかしいではないかということを認識してもらわなくちゃいけません。この点が、私は質問者と、われわれの考え方と、政府の考え方の大きな違いだと思うんです。収入を、まるごと五十五歳までの定年前の賃金をもらっておれば、それはおっしゃるとおりの意見にも賛同ができないではありません。ところが、急激に落とさなくちゃならぬ、定年を過ぎると、その生活を急激に落とすということは、これはたいへんなんですよ。そういう面に対して、  一〇〇を八〇しかやらぬということは、矛盾があるではないかということをわれわれは主張しておるわけです。この点を、やっぱり定年制度というものから考える給料を十分認識してもらわないと、私たちは納得がいかないんです。これは両大臣にお答え願いたいと思いますが、特に厚生大臣は、まあ代理であっても前からの経験者であるし、遠慮なしにひとつ閣僚の中でそういう点の改正には、思う存分の活動をしてもらいたい。それでなければ、この代理答弁で、自分は現役でないからきょうは代理だと、こう言われると、質問そのものが死んでしまうわけですね。この点は十分考えて、ひとつ責任ある御答弁を願いたいと思います。
  133. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 中沢さんのお尋ねに対しましては、私は実は理解を持って御答弁を申し上げたつもりでありますが、しかし臨時であっても、代理であっても、厚生大臣は厚生大臣でございますから、私がきょう、いま現在高山さんのお尋ねに対しては、そのとおり二〇%を減額しないことにいたしますということは、これは私はきょうの厚生大臣としては申し上げられません。しかし、幸い福田さんという人は、これは少しはあたたかい気持ち——少しはじゃなしに、大いにあたたかいところもある方だろうと思いますので、私がここでこういう発言をいたしておくことは、これは大いに意義があることだと思いますし、またほんとうの厚生大臣が帰ってきました場合には、私はおまえのかわりにそういう答弁をしたということも伝えますし、十分その中沢さんとの問題が、そのまま死んでしまわないように、これはいつ実現するかということは申し上げられませんけれども、私は考えて実は御答弁をいたしております。ただ、お尋ねの点について少し誤解があるかもしれませんが、その定年時に達しまして、かりにその方のその企業から受け取る給料が落ちたといたしましても、その方の受け取る厚生年金そのものは、その落ちた給料を基準としたものではございませんで、ずうっと高い給料を受け取られた時代の、その時代の計算もいたして厚生年金の額をきめますので、その安い給料になったから、厚生年金がその分まで損するということはございませんということでございまして、おしかりや御批判がございましたけれども、それも十分私は胸の中に入れて、いろいろとまた考えさしたり進めさしていただく方向で活動をいたしたいと思うのみでございます。
  134. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 高山さんの御指摘は、厚生年金の老齢年金、それと退職制度との関連に  ついてであります。これは、まあ御指摘もありますので、退職期限が来た場合の在職者の賃金が一体どういうふうになるのであろうかという問題があるだろうと思うのです。少し厚生省にお願いして実態調査をしてみたい、その上でお答えをする、こういうことにいたします。
  135. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私も、もう一ぺん続けて御質問しようかと思っておったところですが、この人の例をとりますと、昨年の十一月から厚年が大幅アップになりましてね、それで四万三千円をいただいているんです。ところがね、高卒者で平均六万円ぐらいの初任給ですね。そうすると、もうこの人は六十六歳ですけれども、六十六歳になって四万三千円では奥さんと暮らせないわけですね。それですから、いま現在、再々就職すべく知人や安定所、友人、そういうところに就職のあっせんを依頼をして奔走中でございますが、なかなか六十六歳にもなると、就職がなくて難渋をいたしておりますと、こういうことなんです。ですから、四万三千円ではとても暮らせない、だから再々就職をしたい。そういう人が就職をすれば、二〇%減額されて、しかもなお厚生年金を掛けなければいけない、こんな矛盾があるだろうかというたいへんお怒りなんです。その辺について、もう一ぺんはっきりした答弁をしていただきたいと思います。多少何かズレがあるような感じがします。
  136. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) でございますから、私はもう冒頭から、あなたのお話は私にもよくわかりますと。しかし、これは退職した後に企業から受ける報酬がなくなったときに、本来からいうと厚生年金というのは支払われることになっている。その本来の趣旨を、先年の改正で、在職しておって、給料を、まあ多い少ないはございましょうが、受けておっても、六十五歳以上になっておる場合には支給をしようと。もっともこれは六十五歳以上にならなくても、六十歳以上から六十五歳の間でも出すわけでございますが、その辺の中沢さんのお話は私にもよくわかりますと。よくわかりました上で、いろいろひとつまた大蔵大臣の言われるように、厚生省からも実態的な資料をお出しをしまして、今後のいろいろ研究の課題にさしていただきたい。それは、長いこと、今度は六十五歳以上までどこかへつとめまして、そして給料をもらっておると、その人が寿命がそれだけ延びない限り、ほんとうの満額の厚生年金をもらう期間というのはそれだけ縮まるわけだから、そのことも考えてみると、厚生年金会計だって私はやれないことはないようにも思う点もあるものでございますから、必ずしも厚生年金会計は、中沢さんがおっしゃることをいろいろ考えてみても、マイナスばかりになるという要素ばかりではないというようなことも私は感じますので、研究をさせていただきます。
  137. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 早くお昼にしろしろという催促があるんですけれども、もう一問だけ伺っておきます。  それは、いま内田臨時の厚生大臣が、福田さんは多少あたたかい気持ちを持っていらっしゃるからと、こういうことで、いま厚生大臣が福田さんにいろいろ聞いておいていただくということで何か答弁をしておられますけれども、再々就職なんかすると、いままでの給料の大体七掛けぐらいです。ですから、苦しいから、厚生年金だけでは困るからもう一ぺん就職をするのだと、こういうことを言っておられますから、ほんとうに実態調査をして、ぜひともこれは改正をしていただきたい、このように思いますが、いかがでしょう。
  138. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) とにかく実態の調査をお願いします。そして、それを見て結論を出すと、こういうふうに御理解を願います。
  139. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 午後一時まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  140. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  この際、おはかりいたします。  昭和四十九年度総予算審査のため、来たる四月二日及び三日の二日間、物価問題について関係者の出席を求め、集中的に審議を行なうことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  142. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 出席を求める関係者の資格を参考人とするか、証人とするかの問題につきましては、理事会におきまして協議をいたし、てまいりましたが、いまだ意見の一致を見るに至っておりません。したがいまして、本件につきましては委員会におきまして決定いたしたいと存じます。  委員長といたしましては、参考人として出席を求めることにいたしたいと存じます。  御意見のある方は御発言を願います。
  143. 小野明

    ○小野明君 私は、社会党、公明党、民社党を代表し、ただいまの委員長提案に対し反対の討論を行なうものであります。  国民がいま国会に望んでおりますものは、悪性インフレをすみやかに防止し、物価鎮静の具体策を打ち立てることであることは申すまでもないところであります。そのためには、物価高騰の原因を究明することこそ何より大切であると存じます。現在の狂乱した物価高騰が田中内閣の政策の失敗によるものであることは、本委員会でも同僚委員から明らかにされてまいりましたが、加えて一部大企業等が昨年末の石油危機に便乗し、売り惜しみなどの供給制限、あるいはカルテルによる価格つり上げなどの意図的な操作による人為的価格の引き上げであったとする証拠が続出をいたしておるのであります。したがいまして、本委員会が政府の政策だけではなく、かかる企業行動にもメスを入れることなくして真の物価対策を樹立することが困難となっておるのであります。私どもは、理事会の席上しばしばこのことを強調し、真実追求のため本委員会に企業代表者を証人として喚問すべきことを主張してまいりました。しかるに、自由民主党はなぜか証人喚問に反対し、参考人としての出席に拘泥をしておることはきわめて不可解であり、真実の追求を妨害するものと言わなければなりません。参考人として企業出席者がいかなる虚偽の発言をなし、国会を侮辱したかは、すでに衆院における集中審議の際の石油連盟会長の発言の例によっても明らかであります。インフレの波にのまれ、おぼれている国民大衆を一刻も早く救出するためには、真実をきわめることのできる企業代表の証人喚問こそが唯一の道であり、参考人としての企業代表者の出席では、本委員会の目的を一〇〇%達成することは不可能であることを断言してはばかりません。アメリカ議会においてさえ、石油危機は虚構であることを知るや直ちにメジャーズの代表を委員会に証人として喚問し、その結果企業が石油危機をいたずらにあおり、増幅させ、石油危機の流言に乗じばく大な利益をあげたことを明瞭化させ、さらに、利益の大部分を国内の投資あるいはエネルギー再開発投資に振り向けさせることを約束させるなど、国民の期待に沿う国民の議会としての使命と機能を果たしておるところであります。  良識の府としての本院が、衆院での物価集中審議の内容を補い、そして国民の期待に沿い得る物価安定策を論議するには、集中審議の際、ぜひ企業代表者を証人とし喚問する以外に実りある質疑は絶対に不可能であります。今日こそ、参院の機能と独自性を発揮すべきときであります。私どもは、本委員会メンバーの良識が企業代表を証人喚問とすることを強く支持することを期待し、私の討論を終わります。(拍手)
  144. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 細川君。(拍手)
  145. 細川護煕

    ○細川護熙君 自由民主党を代表して、本件について委員長の提案に賛成の立場から討論をいたします。  今日、物価問題の解決が国民の緊急課題であることにかんがみ、本委員会が国政調査権に基づいてこの問題に対する集中的な調査、究明を行なうことは国会として当然な責務であります。本委員会は来月二、三の両日、物価集中審議の開催を予定しておりますが、これに出席する企業等の代表者の資格は当然参考人とすべきであると考えます。  その理由は、まず第一に、国政調査権の本質は、あくまで国会の有する立法権等、国会本来の諸権能の補完的なものであり、国政調査権の及ぶ範囲にはおのずから一定の限界があるべきものと考えます。また、その発動にあたっては、国政調査が国民の自由を侵すことのないよう、その行使は慎重でなければならず、あたかも刑事上の容疑者に対する尋問のごときものになってはならないことは当然のことであります。  証人喚問については、戦後の混乱期の隠退蔵物資についてはその例がありましたが、その後は、証人に対する証言要求の行き過ぎが目立ち、また、きびしい罰則を伴う証人喚問は立法府としてのたてまえから好ましくないとの反省のもとに、この十年間は、一件の証人喚問も行なわれていないことは御承知のとおりであります。  このような人権の問題があるほか、証言法で提出する書類には企業機密の歯どめが必要であること、さらに国政調査のための委員、職員の立ち入り検査権の付与に問題があるとの観点から、わが党は、三権分立の憲法の精神に従い、立法府としての国会の良識と機能を十分にわきまえて、みだりに証人喚問を行なうべきではないとの立場に立つものであります。  以上、企業、商社等に対する社会的責任が問われている今日、国会が国政調査権に基づき、その真相究明を行なうことは時宜を得たものと考えますが、その調査の方法としては、あくまでもまず参考人として招致し、しかもなお不十分なことが明らかになった際にあらためて証人として喚問することが筋の通ったやり方だと考えるということを申し述べて、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  146. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) おはかりいたします。  出席を求める関係者の資格を参考人とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  147. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 多数と認めます。よって、参考人とすることに決定いたしました。  出席を求める参考人につきましては、お手元に配付いたしました参考人名簿のとおりとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  149. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) それでは、午前に引き続き、総予算三案に対し質疑を行ないます。沓脱君。(拍手)
  150. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、四十九年度の一般会計予算案に関連をいたしまして、短い時間でございますから端的にお伺いをしていきたいと思っております。  まず第一に、原子力開発の長期利用計画によりますと、原子力発電の発電量は、昭和六十年、昭和六十五年になりますとどのくらいの規模になるか。それが現在の規模と比較いたしまして何倍ぐらいになるか。そのことについてお伺いをしたい。
  151. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 現在の原子力委員会でつくりました原子力長期計画によりますれば、昭和五十五年、三千二百万キロワット、昭和六十年、六千万キロワットということになっております。しかしながら、現在まですでに着工いたしました原子力発電所は千六百万キロワット程度でございますので、昭和五十五年、三千二百万キロワットという原子力発電所建設の予定は、予定どおり推進することはむずかしかろう、そういうふうに考えております。
  152. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 で、最近では、この現在御報告のありました御計画が今度の石油危機の中でエネルギー資源との関連で二倍の規模ぐらいに改定をされる話もあるやに伺っておるわけでございますが、最近これについての改定の動きはあるのでございましょうか。あれば、具体的に御報告をいただきたい。
  153. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 昨年の中東紛争に端を発します石油危機の問題で、わが国のエネルギー計画も再検討を要する時期に達しておることは御案内のとおりでございます。現在、通産省のエネルギー総合調査会におきましてもこの検討を開始するやに聞いておりますが、原子力につきましてはその総合エネルギー計画の一環として考慮するということになろうかと思っております。しかしながら、科学技術庁あるいは原子力委員会といたしましては、現在の情勢にかんがみまして、従来の計画をこの段階においてどういうふうに考えていったらいいかということについていわば腰だめ的に再検討をしていこうということで、現在、稲葉秀三氏に委託をいたしまして、稲葉私案として当面の見通しを立ててもらうように目下検討を依頼して稲葉氏の手元において研究中でございます。
  154. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いまのお話でございますと、改定についての審議がなされるやに受け取ってよろしゅうございますね。  で、先ほどおっしゃいました昭和五十五年が三千二百万キロワット・アワー、それから六十年が六千万キロワット・アワー。昭和六十五年は幾らでございますか。
  155. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 一億キロワットだと思います。——キロワットでございます。キロワット・アワーじゃありません。
  156. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、昭和六十五年になりますと、現状からいいまして十倍近いものになってくるというふうに考えて間違いはなかろうと思うわけでございますが、核物質の取り扱い、つまり原発あるいは核燃料の加工業、それらの安全対策というのは法令等によって規則が定められておりますけれども、これらの安全対策の現状はどうであろうか、まず、科学技術庁の御見解をひとつお伺いをしたいわけです。同時に、同じ事業所の事業場で働く労働者の安全管理の状態はどうなっているかという点については、これは労働大臣から御見解をお伺いしたい。
  157. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 昭和五十五年、昭和六十年、昭和六十五年、原子力委員会の持っております長期計画について先ほどお話を申し上げました。昨年の中東紛争以降における石油危機について、この際、何らかの再検討を要する時期であるということについて大かたの異存はないかと思います。いずれにいたしましても、このままでまいりますと、両三年中には、原子力の需要に対して供給が追いつかないという事態、あるいは需要に対して供給にゆとりがないという事態がまいりまして、はからざる終戦直後のような停電というようなことがございますから、そういう事態が起きないように原子力発電のほうもやっていかなければならぬというふうに考えております。しかしその際、原子力の平和利用の観点からいたしましても、安全性の問題に特に留意をしていかなきゃならないことはもとよりでございますし、また、こういう原子炉関係に従事している方たちの安全対策に特に力を入れていかなきゃならぬことはもとよりでございます。  で、原子力施設の放射線安全管理対策といたしましては、原子炉等規制法に基づき設置者に対しきびしく監督、指導を行なっているところであります。すなわち、管理区域及び汚染管理区域の設定をいたします。並びにこれらの地区への立ち入り制限、作業者の被曝線量の監視、作業環境の監視、作業者に対する保安教育等に関する保安規定の制定を設置者に義務づけ、これを守らせております。また、放射線作業従事者の被曝線量、管理区域における外部放射線量率並びに空気中及び水中の放射性物質の濃度等の放射線管理にかかる事項について、設置者に対して記録を義務づけており、特に、従事者の被曝線量につきましては、定期的に科学技術庁長官に報告をさせております。また、放射線に対するのみならず、作業従事者の作業場における安全管理につきましては、後ほど労働大臣からお話がございますように、労働安全衛生法においても十分な規制がなされているところでございます。
  158. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。  原子力発電、核燃料加工関係の労働者の健康管理についての御質問でございますが、非常に大事なことでございます。労働省はこういう諸君のために、労働安全衛生法、それから省令に基づく電離放射線障害防止規則、こういうものによりまして、その事業者に対して健康診断の実施と事後措置、被曝量の管理、管理区域の明示、放射性物質にかかわる施設の構造、規則、退去者等の汚染検査等の措置を講ずべきことを義務づけておりまして、これらの事業場の監督、指導を実施することによって労働者の安全の確保を期している次第であります。
  159. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 法に基づいてそのような規制をし、監督を行政上義務づけられているという点についてはよくわかりましたし、承知をいたしております。その行政上の水準、そういった法令に基づく安全性確保の実態は現状はどうであろうか、その点はだいじょうぶなのか、あるいは若干不備があるのかという点ですね、だいじょうぶだと思いますけれども、その点について、現状はどうなのかという点の認識をひとつお伺いをしたい。
  160. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 専門的事項でございますから、政府委員をして答えさせます。
  161. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) ただいま先生御質問の趣旨は、特に原子力施設の従業者の安全、特に放射線被曝の事故があったかどうかと、こういう御趣旨かと思いますが、その点につきましては、先生御指摘のように、各種法令によりまして許容被曝線量が規定されております。で、いままでの例によりますと、許容被曝線量を越えた例が——これは被曝線量にもいろいろ分類がございますけれども、たとえば三カ月間に三レムという一つの基準がございますが、その例を越えたものが多少ございますが、いままでのところ、全般的に管理の状況はきわめてすぐれておると申しますか、十分行なわれておりまして、そのための身体障害が出たという例は聞いておらないわけでございます。ただし、先日この予算委員会で問題になりました敦賀発電所の例がございますので、私どもといたしましては、先日の問題として取り上げられました例は、非常に通常起こりにくいと考えておりますが、まあ全体的に申しまして十分安全管理は行なわれておると考えておる次第でございます。
  162. 中西正雄

    政府委員(中西正雄君) 原子力関係による状況は、いま科学技術庁のほうから説明がございましたが、それ以外の放射線、電離放射線関係による問題点につきまして監督実施状況その他を申し上げます。  昭和四十七年一年間に定期監督を実施した事業場が二十万七千件ございますが、その中で、電離放射線関係防止規則の違反のあった事業場は二百七十四事業場でございます。それから昨年は、三月から四月にかけまして約一ヵ月期間、非破壊検査を行なう事業場における一斉監督を実施いたしましたが、その結果を見ますと、一番問題の放射線被曝限度の違反につきましては一・九%でございます、違反率が。それから管理区域の明示等についての違反が五・五。また、被曝線量の測定につきまして実施していなかった事業場が五・六という程度の違反でございます。  以上が最近の監督実施状況とその結果でございます。
  163. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 科学技術庁は、管理はきわめてすぐれているというふうに言われておりますが、いま労働省のお話では若干の違反件数をパーセントでお示しなさいましたけれども、その程度でございますというふうなお答えがございましたけれども、それは管理上良好だと判定をできる水準でございますか。
  164. 中西正雄

    政府委員(中西正雄君) 決していい数字だとは思いませんけれども、その程度の数字になっておりますということを申し上げたわけでございます。
  165. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、科学技術庁と労働省とが若干御見解が食い違っておりますけれども、どうです。
  166. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 原子力関係の従業員に関しての御質問でございますが、先ほど先生冒頭に御質問のございました原子力発電につきましては、私どもとしては、きわめて良好な成績と考えております。なお、このほかに放射性同位元素等の使用、それの規制あるいは放射線被曝以外のいろいろの労働省関係の規制と、こういったものもあるということだと存じますので、全体として労働省がおっかみになっておるわけでございますが、特に原子力発電につきましてはきわめて良好であると考えております。
  167. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、私冒頭に申し上げましたのは原子力発電だけを申し上げたんじゃなくて、核物質の取り扱い、つまり、原子力発電所も、それから核燃料の加工業等の安全対策、これが法令によって取りきめられておるということを最初に申し上げて、これらの安全対策の現状はいかがでございますかというふうにお尋ねを申し上げましたので、これは勘違いをなさっておられたのでございましたら、両方お示しをいただきたい。
  168. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 先生御指摘のとおり、核燃料の使用施設あるいは加工施設、これも原子炉等規制法に基づきまして規制をされております。ただいままでのところ、その従業員に対する放射線管理の状況は、特に問題の点はないと考えております。
  169. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 どうも、これは科学技術庁と労働省の御見解が違うようなんですが、科学技術庁は問題はないと、管理はきわめて良好であるというふうにおっしゃるわけですが、数値として欠陥が出てきているわけです。これは科学技術庁長官、ちょっと御見解を聞いておきたいんですけれども、管理は良好だというふうに政府委員がお答えになっておられるのですけれども、そういうふうに理解をしておいてよろしゅうございますか。
  170. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 先ほどの労働省の話は、広く放射性物質全体でございますから、レントゲンも入れば、アイソトープも入ると、そういう広い範囲だと思います。しかし、沓脱委員の最初のお話は、わが国の原子力発電の長期計画からお入りになりましたから、原子力発電所をめぐる問題だというふうに私は考えましたし、話の筋はそうであろうかと思っております。そこで、そういう観点からお答えいたしました科学技術庁の返事と、それから労働省の返事とは若干の差があることは御理解願えると思っております。原子炉につきましては、先ほどお話しいたしましたように、原子炉規制法等に基づいてその規制を行ない、かつ、おおむね順調にいっているというふうに私は承知をいたしておるわけでございますし、その具体的内容につきましては、先ほど原子力局次長のお答えしたとおりだと考えております。
  171. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで時間をとるのはちょっともったいないものですから、御見解の中身が違うということでございますから、これはひとつ本委員会に資料の御提出をいただくということで本問題を一応おきますから、そういうふうに委員長お計らいをいただきたいと思います。
  172. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 取り計らいます。
  173. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 じゃ、続きまして、それでは、現在放射性同位原素の取り扱いの事業場の許可件数ですね、これは使用も販売も廃棄等もみな含めて現在幾らになっているか、その中で病院関係などはどのくらいあるか、それを簡単にひとつお答えをいただきたい。
  174. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 放射性同位原素の使用許可を受けております事業場数は二千八百七十二でございます。そのほかに販売業の許可を受けておりますのが百九でございます。合計いたしまして二千九百八十一となっております。
  175. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 この二千九百八十一、その事業場におきます労働者の被曝放射線量というのはどのくらいになりますか。
  176. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 先生の御質問の御趣旨は、被曝線量は全従業員の平均としてどれくらいかという御質問でございますといたしますと、私どもといたしましては、正確にその数字を現在ちょっと持ち合わせておりませんので、たいへん申しわけございませんが、ただ、御承知のように、放射線被曝の管理をいたしますときは、許容被曝線量という考え方がございまして、それより以上であるか以下であるか、こういう分類を第一にいたすことになっております。そういう観点におきまして許容被曝線量を越えた被曝というのは非常に例が少ないと、こういうことを一般的に申し上げられると思います。
  177. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私がお伺いをしておりますのは、平均値ではなくて、全事業場における労働者の被曝線量の集積値ですね、これはおわかりになるでしょう。
  178. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) ただいま先生の御質問でございますが、私どもといたしましては、そういう観点からの報告聴取なり調査を実はいたしておりませんので、そういう観点からの数字は残念ながら目下つかんでおりません。
  179. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは記録の報告義務があるわけだから、当然それには個々の労働者の被曝線量というのが記載をされているわけだから、単純に言うたら足し算をすりゃわかるという内容じゃないですか。
  180. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 先ほどの約三千に近い事業所におきまして、従業者の被曝を記録する義務はございますが、許容被曝線量をこえない限り報告の義務はないというのが現在の制度でございます。したがいまして、三千に近い事業所の全従業員についての合計と申しますか、その全体を足した線量については把握されておらないというのが現状でございます。
  181. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、科学技術庁は、現在の関係事業所における労働者の被曝線量の集積数というのは握っていないということでございますね。
  182. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 現行の規制の考え方が特にその点を把握するということではございませんで、むしろ許容被曝線量をこえた場合にこれを報告をさせると、こういう考え方になっておる次第でございます。
  183. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは時間の都合もありますから、具体的にお伺いをしていきたいと思いますけれども、まず最初にお伺いをしたいのは、日立製作所株式会社が、原子力の発電機を納入している発電所はどこどこですか。
  184. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 日立製作所の場合は、先生御高承のとおり、主契約者として工事をいたします場合と、それからほかの会社と共同契約者として工事をいたします場合、あるいは部分的に構成部品を納入する場合といろいろございますので、一口に何カ所と申し上げるのは、分類のしかたによってなかなかむずかしいわけでございますが、ざっとの話でたいへん申しわけございませんけれども、東京電力の福島発電所のうち数基、それから中国電力の島根発電所、この辺が、日立製作所が主契約者になって、あるいは共同契約者になって仕事をしておると存じております。
  185. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 で、日立製作所の発電機の安全確保のためには、当然原子力発電所に納入をしたら、定期検査というんですか、定期点検というんですかね、それを行なうと思うんですけれども、それはどういうやり方で——作業の内容というのはどういうふうになっておるかということについてお伺いをしたいんです。おわかりの方がおられたら教えてください。
  186. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 現在の法律の体系では、原子力発電所の定期検査は、通産省の電気事業法によって実施されることになっております。したがいまして、科学技術庁といたしましては、いろいろその関係の御連絡がございますので、承知しておる範囲で御説明さしていただきますと、これは一年に一回行なわれるのが原則でございまして、各種の構成部分につきまして保守、点検、さらに必要に応じて修理を行なう。いわゆるオーバーホールと言っております、そういう保守、点検、修理を数ヵ月をかけて行なうというのが通常のように承知をいたしております。
  187. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 まあ私がちょっとお伺いをしている内容と違うので、もう具体的に私が申し上げたいと思いますけれども、これは年に一回定期検査をおやりになるわけですが、その労働者が——日立製作所がおやりになるんだけれども、労働者の構成がどういうふうなやり方をやっており、あるいはその作業の中身はどういうことかという点がこれは非常にまあ問題なので、実はお聞きしたわけなんです。  これは実情を私伺って存じておりますので、申し上げますと、どういうやり方をするかというと、日立製作所が納めた発電機の定期検査のときには、日立の関係者が行くわけです。その場合に、日立のいわゆる本社員、これはもうほんのわずかで、ほとんどが下請の労働者が行くという形のこれは職員の構成になっているわけです。で、それがときには三十名が一組になったり、四十名が一組になったりというふうなやり方でやられているわけです。しかも、これは定期検査のときには必ずやらなければならないわけですけれども、最も汚染度の激しいといわれているタービンをばらして、そして点検を行なうというふうなことで、たいへん危険度が高い作業だというふうにいわれているわけですけれども、これは労働省は御承知ですか。
  188. 中西正雄

    政府委員(中西正雄君) 具体的な作業の内容はわかっておりません。ただ、その管理の状況は調査しております。日立製作所の場合についてみますと、東京電力の福島発電所の原子力発電機器の関係の定期検査は、これは年一回でございますが、その元請として日立が請け負って、その下に幾つかの下請事業所が入って作業を進めているわけでございますが、日立製作所は、元請の立場で、関係下請企業に対しまして放射線管理の面でも所要の指導を実施しているところでございます。特に健康診断につきましては、下請の労働者を含めまして、元請の日立製作所で一括して関係者全員について、その作業につく前並びに三カ月以内ごとと、それから作業終了後に実施しております。現在までこの放射線によると見られるような異常者は出ていないようでございます。  なお、日立製作所関係の労働者の被曝線量を記録によって見てみますと、最高で五年間に約三レムでございまして、許容線量が年五レムでございますので、相当下回っている実情でございます。  以上でございます。
  189. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは、いまお述べになられたのは、日立の労働基準監督署へ提出をされた報告による内容でございますか。
  190. 中西正雄

    政府委員(中西正雄君) 記録の義務がございまして、これは五カ年間保存されておりますので、その記録に基づいて監督署に報告されたのがいま申し上げた数字でございます。
  191. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 特別な変化がないということのお話でございますが、実は、私の手元に、日立製作所の、日立工場の現場の労働者から手紙が来ているのですが、どういうふうな内容かと言いますと、ちょっと読んでみますが、「凧は、原子力発電所などのタービンの定期点検の業務に従事している者です。私の職場では、原子力発電所の放射能の危険性がだれにも深刻にうけとめられ、放射能防ぎょに関する知識や被曝時の応急措置が良くわからない等不安な要素が多々あるため、進んで定期検査に出る人は皆無であります。誰もが自分の身の安全のために出張を極力さけている状態です。」で、省略しますが、「私たちが作業をするタービンのある所は、C区域という一番放射能汚染度の高い場所といわれています。」——これは、汚染度によってA区域、B区域、C区域と分けているんだそうですが、この一番ひどいC区域という、一番ひどいところだと。「私が原子力発電所へ出張した人達からいろいろと聞いたお話を申し上げます。」、で、名前をちょっと秘しますが、A氏、三十五歳の男子ですが、「福島原発のタービン定期検査時に溶接作業を行ないました。現地到着後一週間程の間に吐き気が連日のようにあり、下痢や頭痛が続いた。帰社後、日立製作所病院で白血球検診の結果、出張前にくらべ半分以下に減っていたので、休養を申し出たが、特別な治療はされなかった。しばらくしてまた出張に出された。」、三十四歳のB氏、この方は「福島原発一号機第一回定期検査以来、毎年定期検査に出張している。四十六年から四十七年の定期検査のときには、放射線被曝をうけ、帰社後、日立製作所病院で検診の結果、白血球が出張前に比べて半減していたことで非常に心配した。ちょうど出張期間前後に夫人が妊娠したため、子供への影響を考えて非常に心配し、不安であった。症状は現地到着後一週間から十日の間に起こり、吐き気や頭痛、だるさがあり、下痢が続いた。」など、このような体験をした人があと数人あります。」手紙はさらにこう続いています。「グリーン手帳が渡されない場合がある。また、出張前後の健診がきちんとやられていないことがあります。さらに重大なことは、工具類はノーチェックで持ち込み、持ち出すことができます。被曝歴が本人に知らされていないなど、おそるべき実態になっています。たいへん不安にかられています。」というふうな手紙が届いたわけです。  そこで、こういうふうな訴えに基づきまして私が調査をした結果、調べてみますと、これは同時に出張し、定期健診を受けた十人のうち六人が白血球が半減をしておる。下痢、腹痛、吐きけ、目まい、頭痛などのほぼ似た症状が訴えられている、これは人名もわかっておりますが。私はこういうことを聞いて、私は医者ですから、びっくりしたわけですけれども、こういう状態がある。さらにその後の追跡あるいは調査を広げてみますと、明らかになったのは、一番不安になっているということです。労働者がたいへん不安にかられているということです。  これは労働者がどういう状態のもとで不安にさらされているかといいますと、こういうことなんですね。進んで定期検査に出る人は皆無であって、順番制で一人一人全員に回して送ろうか、あるいは原子力関係の専任者に毎年出てもらうように人をきめようかということで、職制がたいへん困っている。で、だれもが自分の身の安全のために出張を極力避けているという中で、もう子供——子孫を残す役目の済んだ年配者に出てもらったらどうかというような、笑えない現実のきびしさに直面しているというふうなことです。それから原子力発電所へ定期検査の従事者として二カ月あるいは三カ月出張した経験者は、一様に、もう二度と行きたくないと口をそろえて言っているし、戦々恐々としているというふうなことが——これは労働者の直接の御意見ですが、こういうふうなことになっているわけです。こういうふうな実態というのはたいへん重大な実態だと思うんですが、こういう実態があるということを御承知でしょうか。
  192. 中西正雄

    政府委員(中西正雄君) 御指摘のような事実については何ら把握いたしておりませんが、いまのお話のようなことがございましたら、これはたいへんな問題でございますので、さっそく調査をいたしたいと思います。
  193. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 私もいまのお話、前に部長が申し上げたように、いままでそういう報告はなかったというふうに私自身も聞いておりますが、先生からただいまの具体的なお話がありましたので、さっそく調査さしてみたいと思っております。  私のほうからいたしますと、定期健康診断については、法定項目のほかに、尿中の放射性物資の測定も実施いたしており、健康診断の総合判断において、異状のある者はいないという、いままで実は報告をいただいておりますので、さっそくこういうお話のあったことに基づいて調査をしてみたいと、こう思っております。
  194. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは、いま申し上げました私の調査でわかった点で、これはたいへんだと思いましたのは、日立製作所の労働者の方にもそういう方がいる。したがって、下請の方々の中にはざらにそういう方々がいる。で、一番問題だと思いますのは、自分が被曝線量をどのくらい浴びたか、放射能をどれくらい浴びたかということを全然知らないわけです。わからなくて不安になっている。だから、どういう状態に労働者が置かれているかと言いますと、たとえば三週間なら三週間の期限で出張を命ぜられる。十日ほどしたら、理由は全然わからなくて呼び戻される。何で呼び戻されたのかわからないと思っていたら、別の人がかわりにちゃんと来ている。で、おまえはちょっと病院へ行ってこいというふうに言われるというふうな状況です。これは白血球でも減ったのかなあと、ちょっと体もだるいし、というふうなことで不安がっている。あるいは定期健診で、一カ月なり一ヵ月半おって帰ってまいりまして、吐きけがどんどん続いている。そういう状態が続いておって帰ってきた。そして病院へ行って検査を受けたら、白血球が減って、たいへんだと。確かに体もだるいから病気欠席をさしてほしいと、病欠を会社側に申し出たら、これは病欠をやらなくてもよろしいと。休暇をとらなくてもよろしい、通院加療をしなさいということで、一カ月ないし一カ月半通院加療して、やっと白血球が五千以上に回復する程度になったら、また出張に行かされるというふうな状態になって、自分が受けている放射線によって自分のからだがどういう影響を受けているかということが全然知らされていないわけです。これは、労働者にこういったことを知らせる義務はないのでしょうか、法的には。
  195. 中西正雄

    政府委員(中西正雄君) 結果につきましては、労働者に知らせる義務が事業者には課せられております。
  196. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 何にですか。
  197. 中西正雄

    政府委員(中西正雄君) 被曝線量でございます。それから健康診断の結果につきましても、当然のことでございます。
  198. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは知らせる義務があると思うのですけれども、全然知らせていない。先ほど私が労働者のことばで読みましたグリーン手帳というのは、日立の製作所では、被曝線量だとか、健康診断の推移だとかいうふうなものが記載をされているのだそうですけれども、それは労働者は持っていないわけです。だから、検査を受けても、何ぼになっているかということはわからない。何ぼになったら自分が危険なのか、危険でないかという判断もつかない。そういう状態になっておるわけで、これは労働者に知らせなきゃならないというのは法律で規制されていますね。きめられているでしょう。
  199. 中西正雄

    政府委員(中西正雄君) 労働安全衛生法に基づく放射線障害防止規則によってきめられております。
  200. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 きめられておるのがやられていないという実態なんです。これが続けられていくとどういう事態が起こるかという問題はもう想像にかたくないわけです。時間がありませんので……。  もう一つ重要なのは、教育問題だと思うのです。この放射能についての教育、これも法律で定められておると思いますが、いかがですか。
  201. 中西正雄

    政府委員(中西正雄君) 安全衛生教育につきましては、労働安全衛生法によりまして、雇い入れ時あるいは作業変更時にその作業を安全に行なうに必要な教育を実施することが事業者に義務づけられております。
  202. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで教育の問題ですけれども、これは当然安全教育をやらなければならないというふうなことは、これは放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の二十二条に規定されているわけです。どういう教育をやっているかということを捕捉しておられますか。
  203. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 放射線業務に従事する人間の教育問題は非常に重要な問題でありますことは、先生御指摘のとおりでございまして、ただいま御指摘の障害防止法におきましても、教育につきまして重点的にやっておるわけでございますが、また、先ほど御質問のございました原子力発電所につきましても、原子炉等規制法の三十七条に基づきます保安規定の中におきまして、教育につきまして、特に放射線の安全管理の問題につきまして教育指導を行なうように原子炉設置者に義務づけておるわけでございます。これは、その会社の従業者のみでなくて、下請の従業者にも当然かかる問題でございまして、その関係いたします全体の放射線作業を行なう人間につきまして十分な教育指導が行なわれるよう、万全を期しているところでございます。  なお、先ほど先生の御指摘のございました発電所での下請作業の問題でございますが、途中で交代をさせるという御指摘がございましたが、これは先ほど御説明申し上げましたように、従業者の許容被曝線量に達するまで当然被曝していいという考え方を持っておりませんで、被曝線量に達する前におきましても十分人を交代させまして、なるたけ被曝量を少なくする、こういう配慮のもとに人の交代が行なわれるものであると承知いたしております。たとえば東京電力の発電所の場合は、最高でも一日百ミリレム以上は浴びさせない。それ以上であれば交代をする、さらに三カ月に三レムという制限がございますが、なるたけその最高限度までも浴びないようにと、こういう配慮が行なわれておると承知いたしております。
  204. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いま、交代の問題につきましては、これはそういうことで交代をさせたのはいいわけです。本人に知らしていないということを問題にしているわけです。いま御説明の教育の問題は重要だとおっしゃるのだけれども、教育は、内容、あるいは期間、何時間、あるいは何日というふうなことの規定がありますか。
  205. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 従業者に対する教育がたいへん重要であるということでございまして、原子炉等規制法及び放射線障害防止法それぞれにおきまして教育の問題が定められておるわけでございますが、この教育の問題は、個々の設置者あるいは事業者にまかされておりますので、何時間教育をするというこまかい規定につきましては、法律そのものには規定されておりませんで、各従業者が重点を置いて教育をすると、こういうことになっております。
  206. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ですから、私がお聞きしているのは、せっかく法律があるのに施行規則等で具体的に詳しくきめないから、だから、ある人は出張するとき紙きれ一枚もらって行ったり、就職してからやめるまで一ぺんも教育を受けなかったり、これは下請業者の中に非常に多いのですが、そういう事態が起こっているわけです。いまの事態を解決していく上で、労働者の健康を守っていこうと思えば、教育問題はきわめて重要なんです。したがって、当然この教育内容について、少なくとも教育の内容、時間、あるいは有給でと、それから下請業者に対しては元請の事業所でというふうなことを、これは施行令あるいは施行規則などできめていくという必要があるのではないか、そういった点についてお考えはないでしょうか。
  207. 中西正雄

    政府委員(中西正雄君) 雇い入れ時なり、あるいは作業転換時における安全衛生教育の内容につきましては、安全衛生規則の三十五条に具体的に七項目きめてございます。たとえば機械原材料等の危険性または有害性及びこれらの取り扱い方法に関すること、あるいは安全装置、有害物抑制装置または保護具の性能、これらの取り扱い方法に関すること、それから作業手順に関すること等々きめてございます。  なお下請の教育を親企業にやらせるというようなことはできないかという点につきましては、これも安全衛生法に元方事業者の義務としまして、これは建設業の場合でございますけれども、建設業に該当するような機械の据えつけ等につきましては、元方が下請の安全衛生教育につきまして必要な援助をすべきことが規定されております。
  208. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは御検討を……。もっと具体的に追及いたしますと、はっきりするんですけれども、時間が十分ありませんので、これは引き続き追及をしていきたいと思いますが、もう一つ、核燃料の製造加工工場におけるいわゆる下請業者の実態というのを、これは横須賀におけるニュークリア・フュエルの内部で下請業者として働いていたある部幹のおっしゃることを若干申し上げておきたいと思うんです。  これは、仕事は三十七人の労働者が下請で入っておる。で、その仕事というのは、主として排水口あるいは床のふき掃除、洗たく、廃棄物の処理、焼却というふうなこと、それから当然放射線に暴露される部屋でそういった作業をやるというふうなことになっています。仕事の内容はそういうことで、どういう問題が起こっているかというと、その三十七人の労働者は一ぺんも安全教育は受けたことがない。それから、四十七年の九月には酸化ウランを、かんからこぼした。で、ぱあっと、こう天井まで散ったので、本工の人はあわてて部屋の外へ出た。下請の人はやっぱりあぶないのだと思って一緒に出た。そして、沈んだあと、ぞうきんやモップでふいて流しておるというふうなことが平気でやられているんだいうふうなことです。そして、帰りのときに、いわゆる安全を確かめて帰らせなきゃならぬわけですが、その汚染検査器、これへ手を入れて、ピーピー鳴らないようになったら帰ったらいいというふうになっているわけですけれども、何ぼでも鳴るから、うるさいからということで、装置をかえて音をしなくして出ていくというふうなことが平然としてやられてきたということを、中で働いていた人、しかも幹部ですが、その人が言っておるわけです。そういう結果が、ここの会社の下請の人たちの中には何人か病人が出て、すでに三カ月あるいは七カ月入院をし、あるいはガンになって手術をした人もいますし、いまだに病気で治療を続けている人たちが、私の調査だけでも四人います。こういう状態に、なっておるということをひとつ、これはもう長官大臣に、こういう状態を御承知かどうかという点についてお伺いをしたい。
  209. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 先般、当委員会で問題になりました日本ニュークリア・フュエルの問題につきましては、即日現地立ち入り調査を行なったわけであります。それで、その従業員の安全対策等につきまして、私の受けておる報告を申し上げたいと思います。  原子炉等規制法に基づき次のような安全対策がとられておる。すなわち、核燃料物質の取り扱い施設について、管理区域を設定し、その区域内での空中、水中の放射性物質の濃度を常時監視して、科学技術庁長官の定める許容値以下に押えるとともに、その測定結果は記録して保存されている。  特に非密封状態のウランを取り扱う区域については、建物を気密構造とし、部屋全体を排気管で換気するとともに、特に粉じんが立つ可能性のある部分についてはフードにより排気し、周辺への影響を最小に押えていく。  また、管理区域に立ち入る各作業員は作業服を着用するとともに、必要な場合には、マスク、手袋等の着用を行ない、被曝を最小限度に押えるようにされている。  従業員の被曝線量は常にフィルム・バッジ等により測定され、科学技術庁長官の定める許容被曝線量以下となるよう管理されている。  また、保安規定に基づく社員安全教育も、新入社員に対しては入社時二日間、約八時間、専用教材により集合教育が行なわれ、その後約一カ月にわたって各現場に配属後現場教育が行なわれており、また、再教育としては、三ないし六カ月に一度外部講師による集合教育が行なわれ、そのほかにも各部での勉強会、輪講等が随時行なわれ、常に安全確保の知識の周知徹底がはかられている、とのことでございました。  いま、お話を伺いますると、私の受けた報告と若干趣を異にする点があると思いますから、さらに調査を進めてお答えをいたしたいと思っております。
  210. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは引き続き追及をしていきたいと思いますので、御当局も調査をなさるという御意見でございますから、特に調査項目についてお願いをしておきたいと思うんですが、関連企業の事故の届け出の内容とか、あるいはこれらの関連企業の作業工程、作業日誌の報告、そういった点を含めて御調査をいただきたい。  それからもう一つは、定期検査の作業における労働者の作業実態及び安全状態、これは私のほうが指摘をいたしました日立の製作所並びに下請業者、それから横須賀のニュークリア・フュエル、これについての御調査を直ちにやっていただいて、資料を本委員会に御提出をいただきたいと思いますが、委員長によろしくお取り計らいをいただきたい。
  211. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 取り計らいます。
  212. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、そういう資料を提出を願いまして、私はあらためてこれを追及していきたいと思いますが、こういった非常に重要な課題が、すでに私が申し上げただけでも提起をされているという実態、これはもう、核被曝の人体に及ぼす影響のきわめて重大なことというのは、もう御承知のとおりでございますが、これは私たち一人一人の労働者の立場ではなくて、日本民族全体の将来について、ガンの問題、遺伝の問題等できわめて重大な課題を含んでいると思いますし、そういった点で科学技術の行政上の姿勢がきわめて重大だというふうに思いますが、最後に、その点についての長官の御見解をお伺いしておきたい。
  213. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 冒頭に申し上げましたとおり、わが国の今日のエネルギー事情からいたしましても、特に原子力発電の重要なることはいまさら言をまたないところであります。毎回この席でも申し上げることでございますが、原子力の平和利用というものは、そもそもは軍事的開発から出発したものであり、平和利用に移行して実用段階に入って、まだ二十年足らずでございます。歴史の新しい技術であり産業でございますし、かつはまた、技術の発展段階として、テクノロジーアセスメントということを常に考えていかなければならない、安全性をそういう立場から考えていかなければならない産業であるわけでございまして、念には念を入れていかなければならないことは当然でございます。どうしてもやらなきやならないことであるが、同時に、安全性の問題について念には念を入れていくという意味におきまして、先ほど来の御質疑につきましては慎重にこれらの問題を検討して進めてまいりたいと、そういうつもりでございます。
  214. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは次に、郵政省に電話のことについてお伺いをしたいんですが、共同専用電話についてお伺いをしたい。
  215. 原田憲

    国務大臣(原田憲君) 共同専用電話につきましては、沓脱委員承知と思いますが、公衆電気通信法で、電電公社は、電報、電話などの公衆電気通信役務の提供に支障がないとき、または公衆電気通信役務の提供に著しい支障がなく、かつ公共の利益のため特に必要があるときは専用契約の申し込みを承諾しなければならないという法文がございますが、詳細にわたっては、ひとつ政府委員から答弁させます。
  216. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) お尋ねの共同専用でございますが、この専用契約は、原則として一契約につき公社に対する相手方が一人ということに相なっておるわけでありますけれども、その例外といたしまして、いま先生から申されました共同専用という契約があるわけでございまして、この場合には二人以上が連名で日本電信電話公社と契約を締結いたしますので、その複数の相手方全員が直接の契約の相手方と、こういうことに相なります。
  217. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 この共同専用電話というのは、いわゆる法令に基づくと、どういうところができるようになっておりますか。
  218. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 公衆電気通信法の第四章に「公衆電気通信設備の専用」という章がございまして、共同専用につきましては、回章の六十六条に「共同専用契約」という見出しで条文があるわけでございますが、ここに「公社又は会社は」——会社と申しますのは国際電信電話株式会社でございます。「は、業務の遂行上支障がないときは、第五十七条」——これは専用契約者の数でございます。「の規定にかかわらず、国の機関及び地方公共団体又は共同して同一の業務を行なう二人以上の者若しくは相互に業務上緊密な関係を有するためその間の通信を必要とする二人以上の者が同一の公衆電気通信設備を専用するための専用契約の申込みを承諾することができる。」、こうなっておるわけでございます。
  219. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、念のために、私が申し上げるような関係はできるのかできないのかというお答えを願いたい。個人と個人、あるいは個人と法人の場合は契約できますか。
  220. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 「二人以上の者」と申しますのは、個人も法人も含みますので、お示しの場合、いずれも可能でございます。
  221. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いずれも可能なんですか、共同専用契約は可能なんですか。
  222. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) ことばを省略いたしまして恐縮でございました。共同専用契約の相手方といたしまして、個人と個人、個人と法人、法人と法人がそれぞれ連名で日本電信電話公社と契約を締結することが可能でございます。
  223. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、ちょっとよくわからぬのですけれどもね。先ほどあなたがおっしゃった公衆法六十六条によると、二名以上の者が同一の公衆電気通信設備を専用するための共同専用契約のところでは、これは非常にむずかしく規定をしておるんじゃないですか、これ。「国の機関及び地方公共団体又は共同して同一の業務を行なう二人以上の者若しくは相互に業務上緊密な関係を有するためその間の通信を必要とする二人以上の者が同一の公衆電気通信設備を専用するための専用契約の申込みを承諾することができる。」ということで、先ほど御説明になった以外に、それじゃ、私が申し上げますから、こういうものは全部できるのかということのお答えをくださいますか。商社と証券会社、それから商社と銀行、それから法人と警察、個人と警察、こういう関係は、申し込みをしたら、共同専用契約というのはできるようになっておりますか。
  224. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 先ほど抽象的にお答え申し上げましたが、個人、法人の関係、いま具体的に先生からお示しがございました。そこで、先ほどの六十六条でございますが、「国の機関及び地方公共団体」とございまして、これはもう疑いのないところであろうと思いますが、その次に「同一の業務を行なう二人以上の者」とございます。この点で「同一の業務」につきましては、これまた疑いのない範囲であろうと思いますが、その次の「相互に業務上緊密な関係を有するためその間の通信を必要とする二人以上の者」と、これが先生の提起されました御疑問であろうと思うわけでございますが、それにつきましては、公社のほうにおきましてこれを規制します規程を持っておるわけでございます。これは専用電話の利用規程でありまして、公社の公示するところになっておりますので、いまの具体例に基づきます実際の扱いにつきまして、公社当局から答弁せしめたいと存じます。
  225. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) お答え申し上げます。  先ほど監理官から御説明いたしましたように、共同専用となる場合に、いわゆる相互に業務上緊密な関係が要るわけでございますが、それの基準につきましては、私どもといたしましては、一つは出資関係があると、百分の十をこえる株式または出資の所有関係がございまして、しかも業務上継続的な取引関係があることというのが一つでございますが、それからもう一つは、専用設備を共同して専用しようとする者相互間におきまして、業務上継続的な取引関係があると同時に、かついずれか一方にとって相手方との取引額が自己の取引総額の二〇%以上を占める場合と、それから三番目としまして、業務の一部について業務の委託を行なう等密接な共同関係等の継続的な契約関係があることと、こういう場合に認めるというふうにいたしております。
  226. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 先ほど私が申し上げた具体例ではどうなのか、その関係では。
  227. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 商社と証券会社、それから商社と銀行というような場合につきましても、このように出資とか、それから株式の所有関係とか、こういうのがありますとか、あるいは継続的な取引があって取引額が二〇%以上あるとか、そういう先ほど申し上げましたような条件がございませんと、これは共同専用はできないことになっております。それから法人、個人と警察との関係でございますが、これは一般的にこういう関係がございませんので、これはできないと思います。ただし、非常通報をする場合があるわけでございますが、このときには警察との間に線をつくりまして、火事とかいろいろございますが、そういうときにはできるようになっております。
  228. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 法人も個人も警察との間では共同専用契約はできないということがはっきりしたわけですけれども、そうしますと、私の調査では、これは具体的に申し上げますと、四十八年の五月二十四日付で、三井物産の元社長で現在日本貿易会会長の水上達三氏の名義で、日本電信電話公社の丸の内営業所長あてに専用契約の申し入れが提出をされているはずです。この申し込みは、すぐそのあとの五月二十八日に許可をされています。承諾番号は千地営第四四二号ということになっているはずです。その電話の内容は磁石式の電話機だ——磁石式の電話機というのは、知らぬから聞いてみたら、こう回したらじりじりと鳴る電話ですね、そういう電話だ。これはつまり一方通行でなしに両方から話すことのできる電話で、いわゆるこの公衆電気通信法の施行規則の第四条の十九でいう銀行や警察が急報……
  229. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 沓脱君に御注意をいたします。時間が参りましたので締めくくりをお願いします。
  230. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 急報する一方通行の電話ではないということがはっきりしておるわけでございますが、その設置場所は、東京都港区の西新橋一の二の九、三井物産本館の一階と、東京都港区新橋六の一八の一二、愛宕警察署の一階にあるわけです。しかも御丁寧に申し込み書には愛宕警察署からの次のような文書さえ載っている。両者間に専用電話機を設置方申し入れありましたので、当署一階事務室内に同電話機の取りつけをすることにいたしましたから御了承いただきたいと、こういうことでございますが、こういう状況について、郵政大臣及び電電公社の皆さん、関係者の御見解を伺いたい。
  231. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これでこの結論に願います。
  232. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 私どもは、具体的にちょっと聞いておりませんので、調べさせていただきたいと思います。
  233. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私が申し上げた具体的な内容でございますから、それでは委員長にお願いを申し上げますが、この私が申し上げた件の申し込み書、承諾書ですね、これを本委員会に御提出を願いたい。  で、現に電話があるわけですから、この点については、国家公安委員長に最後に御見解を伺っておきたいと思いますが、いかがでございますか。
  234. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 簡潔に願います。  理事会にはかります。もうこれで……。
  235. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 私、ただいまのお話は初めて伺いましたので、ことにまた電気通信法の関係はよくわきまえておりませんが、いずれにいたしましても、警察としては個人の生命財産を守らなきゃならぬ、そういうような角度から、電話等について緊急電話というようなものが取りつけられるという場合もあるいはあるのではないか。しかし、事情はよくつまびらかにいたしておりませんので、一応私の感じたところだけをお答え申し上げておきます。
  236. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これにて沓脱君の質疑は終わりました。(拍手)     —————————————
  237. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 引き続き、残余の中沢君の質疑を行ないます。中沢君。(拍手)
  238. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 大臣の都合でまた予定を変更するわけですが……。神戸の私の一人の友人が十年間の家計簿をつけ通してきたものを貸してくれました。この中で、この家庭では食費がふえ出した昭和四十五年から一人当たりの医療費がぐんと減っていることがわかったと言っています。幾ら物価が上がっても食費だけは切り詰めてはいけないことが数字によって立証されたと申しておりますが、いま生鮮食料品が一番高くて閉口しています。国家的見地から考えても食料品の対策を真剣にやるべきですが、経企庁長官、いかがでございますか。
  239. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) おっしゃるとおりでございます。私ども物価の上昇を実は毎月、毎旬非常に気にいたしておりますけれども、最近、物価の上昇がおさまりつつある中におきましても、いまおっしゃる生鮮食料品、その季節関係物資の値上がりが季節関係にかかわらない物資の値上がりよりも非常に大きい状況でございますので、おっしゃる点につきましては、それが国民生活に非常に大きな関連があるということからも、また、私ども物価政策を担当いたします者からいたしましても、その面にいろいろの配慮をいたさなければならないと考えております。
  240. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この十年間の家計簿の中で、グラフになっているわけですが、これを見ますと、最高の値上がりは国民年金の掛け金の九倍でございます。今度改正が行なわれまして、この十月から、もしこの改正案が通れば、千百円になりますから、実に国民年金の掛け金はこの十年間で十一倍になるということです。保険財政はその七〇%までを財政投融資に回し、大企業に安い金利で貸し付けている。私たちが物価高の中から捻出している貴重なお金を、そんな使い方ではなくて、いま困っているすべてのお年寄り救済のために向けてほしい、この主婦はそういうふうに私どもに訴えてきておるわけです。  そこで、老齢福祉年金を考えてみますと、これは厚生大臣の答弁はもうきまりきっていますからわかっているようなものですけれども、一、二の例をあげてみますと、あんま賃——あんま賃がいま千五百円でございます。一週間に一ぺんずつやっても、あんま賃だけで六千円かかるわけです。散髪代です。これはいま徳島のほうで大騒ぎをやっている問題でございますけれども、月に一ぺん散髪をしても、この散髪代もだいぶ上がってまいりまして、いま千百円でございます。厚生大臣の散髪代はお幾らか私知りませんけれども、これだけで合計七千百円になる。この七千百円、これは飲まず食わずでもこれだけは必要なんですね。あんまさんは自分がやりたいときにやればいいわけですけれども、こういう状態を考えてみて、老齢福祉年金はどうしても引き上げてもらわなければならないと思います。お年寄りは散髪代のせめて半額ぐらいにしてほしいと、こういうふうに切実な希望として出ております。それはなぜかといいますと、お年寄りは毛が少ないからだとお年寄りは言うんですけれども、あるいはひょっとしてお年寄りなるがゆえに、毛が少なければかえって技術が高いのかもしれませんけれども、こういったようなことでほんとうに切実な願いとなっておるわけです。いずれにしても、年金が安過ぎます。本日ストライキが行なわてておりますが、これは政治ストだとさえ銘打たれているわけです。中には、これは人質ストだと、こう言っている連中もありますが、これは政治をやるべき政府があんまりしっかりしていないから結局はこういうことになっていると思います。その辺についてお答えをいただきたいと思います。
  241. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 先ほどの厚生年金についての御意見に続いての国民年金あるいは老齢福祉年金についての御意見でございますが、なるほど国民年金の掛け金はこの十年間どんどん上がってまいっておりますけれども、しかし、受け取るべき国民年金というものも、これも掛け金の上昇率以上の率をもって上がるわけでございまして、そのお知り合いの方が、拠出制の場合に、拠出制の国民年金を受け取られる場合には、これはいわゆる五万円年金、一人が二万円か二万五千円か、そういう年金を受け取られるわけでございますので、掛け金も上がっておりますが、受け取る金額も上がっておると、こういうことを受け取られるときには御理解いただけると思います。それから拠出制でございません老齢福祉年金につきましては、これは拠出をする機会がなかった、国民年金制度が実施されたときにはすでにお年をとっておられた方々でございますから、掛け金をしたいにもすることができなかったと、こういう事情もあることと思いますので、あなたは掛け金をなさっておらぬのですから年金は差し上げられませんと、あるいは差し上げても安いのは当然ですと言えば済むこととは私は思いません。すでにこの制度が始まりましたときには、お年をとっておる方方は、その当時から人生として働く稼働力を失っておる方でありますから、今日におきまして一そう年をとられておるわけでありますから、これはおっしゃられるとおり、できる限り掛け金なしでもその方の老後をささえるに足るとは申しませんけれども、ささえるのにお役に立つ程度のものを出すほうが望ましいと思います。そういうことで、政府のほうにおきましても、これもだんだんふやしてまいりまして、今日では月額五千円でございますけれども、今度の予算からは、この秋からはそれが五割、五〇%増しの七千五百円になる。さらにその後、七千五百円で打ちどめるわけではございませんで、来年はそれが一万円とかいうようなことにもなる計画もされておりますことも御理解をいただきたい。しかし、多々ますます弁ずでございますから、その状況いかんによりましては、決して一万円で打ちどめということではなしに、先ほど当初に申しましたような、老後をささえるのにお役に立つような金額にふやす努力を政治の面においてお互いに進めるべきではないかと思います。
  242. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 戦後、今日までの日本の繁栄を築いてきた人がいまのお年寄りなんですね。その点もひとつ考慮に入れていただいて、そしてこの主婦が腹立たしいと思っているのは、保険財政はその七〇%をも財政投融資に回して大企業に安い金利で貸し付けている、こういうところにもこの主婦の言わんとするところがあるんですから、そういう点もくみ取っていただきたい、このように考えます。  そこで、療術の制度化をはかるようにと何年も前から請願が出ておりますね。今度の公報を見ても、再三この療術の制度化という請願が出ているわけです。そこで、お年寄りには、はり、きゅう、あんま、ついでに漢法薬、こういったようなものを健康保険の適用にするわけにはいかないんですか。その点をお答えいただきたいと思います。
  243. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) いまおあげになりましたような治療方法の全部ではございませんけれども、たとえばあんま等は健康保険の療養給付の対象に現在すでになっておる。ただ、それは無条件ではなしに、医師がそれが必要だと、こういうような同意といいますか、勧告があった場合には療養給付の対象になると、こう私は理解をいたしております。
  244. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 次に、この主婦の家計簿の中にも出てくるわけですけれども、新学期がもう目前に迫っておりまして、文房具や子供の勉強机についてひとつお伺いをしたいと思います。  先日、お彼岸の日に私はデパートに行ってみました。ちょうど新学期前で、親子連れや子供同士が文房具の売り場にたくさんだかっておりました。そこで、筆箱の品定めがありましたので、私もその筆箱を買ってみたわけです。筆箱にもずいぶんいろんな種類がございました。それが象が踏んでもこわれないという筆箱です。これが大体二百五十円ですが、この倍の使いやすいそうですが、これが大体五百円ですね。筆箱というものに象が踏んでもこわれないほどの耐久力が要るのかどうか、聞いただけでぞうっとするような話です。(笑声)それから、これが本皮でできているわけです。これが千二百円でございます。これのもう一回り大きいの、つまりこの外側ですね、これを取った中に入ったのが二千五百円です。子供の筆箱にこんな大きな、こんな高価な本皮製が要るのかどうかですね。その点を私は文部大臣にきょうはぜひともお伺いをしたいと思ってきたわけですが、いかがですか。
  245. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) お話を伺ってますと、児童生徒の使用します学用品が不必要に華美になっていくことは、これは好ましいことではないと、こう考えるわけでございます。また、そういう意味で、教育にあたりましては、道徳の時間などにおきまして、物を大事にしていく等々の指導が行なわれているわけでございます。中沢先生からそういう話があるということで、きのう事務当局のほうで各学校に実情を聞いてみたようでございました。そうしますと、学校自体では、新学期を控えまして、子供さんたちが華美にわたらないように、実用品を使っていくように、PTA等と協力をいたしましてそういう指導もいたしているようでございます。したがいまして、学校の中でいま華美なものが持ち込まれているというようなことにはなっていないと、こう聞かされまして、一安心しているところでございます。  文部省から業界に対しましてとやかく言う段階にはないように思うんでございまして、やはり児童生徒の教育のあり方なり、あるいはまた学校当局の指導のあり方などにつきまして関心を払っていきたい。いまの段階におきましてはこういうことでやりたいと、こう願っておるところでございます。
  246. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それは去年まではそうだったかもしれません。ことし急にこの本皮のが一ぱい出てきたんです。それで子供たちがささやくのを聞いておりますと、クラリーノというのがありますね、あれを取りますと、これはクラリーノや、こんなもんあかぬと、こう言うんです。それでどうしてもこの皮のがほしい、こういうようなことで、実に親御さんは当惑をしておったわけです。  それからもう一つ伺いたいのは勉強机です。勉強机も、こうした机にこう何か台がついていて、その下にはまず温度計、ラジオ、時計、電気鉛筆削り、七曜表、そしてまたおまけにコソセントまで丁重についております。これが大体四万五千円です。そうして、聞いてみますと、これらの持久力は約二年間だ。このテーブルは残りますよ、だけれども、そこにおまけについている電気時計だのいろんなものは大体二年しかもたない、こういうようなことが言われておりました。それで普通の机は、これもいまの何とかいう新しい材料ですけれども、これなら一万六千八百円。こういうものが次々並んでおりますと、子供がみなやっぱりいいほうに——いいほうって、デコレーションが一ぱいついたほうに飛びついていく、親はほんとうに困っているわけですね。ですから、何とかして、これは通産大臣にもお願いして、こういうものはあんまりつくらせない、こういうふうにしていきたいと思うんですけれども、その点はいかがですか。
  247. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) これまで、とにかく新しいもの新しいものへと、国民全体がそれを追っておったような姿だったと思います。昨年の石油問題以来、有限の資源をいかに人類が適切に活用していくかという問題を考え直すようになってまいったわけでございますので、教育の面におきましてもそういう点が今後強調されていかなければならない、かように考えるわけでございます。  私も、いまおっしゃいました机の模様をきのう聞きまして、なるほど次々に新しいアイデアを加えていくものだなと、こう思っておったところでございます。そのアイデアをそのとおりに前のとおりに消費者が受けていくかということになってまいりますと、若干変わっていくんじゃないだろうかなと、こうも考えるわけでございます。いずれにいたしましても、いま申し上げましたような変化に留意しながら適正な教育そして指導が行なわれますように配慮していきたいと、かように思います。
  248. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 だんだん減っていけばいいんですけれど、だんだん目新しいものが出てくるのです。  今度、鉛筆の売り場へ行きましたらね、野菜鉛筆と書いてあるから何だと思ったら、こういうものをおまけにつけるんですね。これは非売品だと書いてある。これも鉛筆の過当競争で、こういうことで子供の心理を当て込んでの豪華な風潮や、やめさせるべきいろんなものがだんだん出てきているわけですね。私、石油資源がないというときに、ずいぶんこれはひどい商法だと思うわけですね。  それで、この間、明石の生活学校で不要な商品というものを調べておりました。それを見ますと、このごろ香水入りのゴム消しもあるんだそうです。そうしてこのデコレーションのついた机ですね、これは最高に皆さんがやめさせたいと、こういったところにマルがたくさんついておりました。それからその不要な商品の中で自動食器洗いあるいは食器乾燥機、こういうようなものもぜひともやめさせたい、こういう一つの表が出ましたので、これをまた通産大臣と、それから文部大臣にはあとでコピーをして差し上げたいと思います。  こういうことで、まだもう二、三言いますと、運動ぐつです。きのう私大丸へ買わせにやったんですが、これは小学校三年生の子供の運動ぐつなんですね。この運動ぐつが何と——幾らだとお黒いになりますか。
  249. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 先ほどおっしゃいました消しゴムあるいは鉛筆、ノートその他につきましてJIS規格が設けられるようになってきておりますので、できるだけJIS規格のものにつきしてJIS規格が設けられるようになってきておりますので、できるだけJIS規格のものにつきましては、それを使用していくように指導することができるんじゃないかと、かように考えるわけでございます。——ちょっと知りませんが、あるいは千円ということになるんでしょうか、ちょっと私にはわかりませんが。
  250. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 よくおわかりです。私は三、四百円のものかと思っておりましたら、これが八百二十円です。そして、運動ぐつにもいろいろ名前がついておりまして、これがマイラーダッグというんです。それから、クーガージュニアとか、クーガーバスケットとか、ビバジュニアとか、レーサーとか、サイクルメイトとか、こういういろいろ名前がついているんですね。それで、同じものでこれが少し上等だというのは、これは一番高かったんですが千六百三十円、これがやっぱり小学校三年の子供がはく運動ぐつですね。去年はこの運動ぐつが一足買えたんです。ことしはこれだけしか買えない、片っぽうと、ひもは一足分、これだけしかことしは買えない。これくらい物が上がっているときに、だんだんこの運動ぐつにも名前をつけたり豪華になってきている。  それから、これ、いまここに入っていたから言いますが、選挙のときに使う手袋ですね。私が使ったのです、これは。私が使った三年前は、これ、八十円だった。ことしは四百円でございます。  こういうふうにいろいろ物価が上がってしまった、こういうことで、この奥さんの十年間の家計簿というのはずいぶん評価されるべきものだと私は考えますけれども、こんなにいろんなものが、豪華になったり、子供心理を当て込んでの景品だの、こういうものは私、やっぱり先が案じられる感じがいたします。特に机は勉強するものですから、子供に創造性と思考力を与えなければならないのに、あんなにいろんなものがついていると勉強どころではなくて、むしろ机のそばにいて遊ぶほうが多いんじゃないかと、こういうようなことを考えてみますと、子供が怠惰になったり飽きっぽくなることが案じられますから、これからは資源も非常に大切なことですから、こういう点コントロールをしていただきたい、このように考えますがいかがでございますか。
  251. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) いまおっしゃいましたズックぐつなどにつきまして、学用品を学校が一括購入するというようなやり方をしているどころもあるようでございます。できる限り児童が華美を競わないように、教育の面におきましても適切な指導がなされるように今後も留意をしてまいりたい、かように考えるわけでございます。  もう一つ何かおっしゃいましたですね。
  252. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 コントロールできないかということですね。
  253. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) いま申し上げましたようなことで、いろんなくふうをこらさせていただきたい、かように思います。
  254. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほど言いましたこの筆箱ですね、こういうものがあって、こういうものがあって、ふたがあるわけです。それから、これをまたこれでくるんであって、その上に、買えばこれがしてくれるんですね。こういうような、これは確かに過大包装なんですけれども、最近は暴露的なことばかり国会でもやっておりましたけれども、少し冷静になって先を見通して、国民生活審議会等で、あらゆる面で生活を洗い直してみる必要があると思うんですが、その点いかがですか。
  255. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 全く賛成でございます。ただ、私どものほうから申しますと、いまは私の知る限りにおきましては、ああいうものをつくってはならない、こういうものをつくってはならないという法律等の仕組みはないようでございますので、国民生活審議会等の意見を通じて、買わない運動をぜひ中沢さんにもその先頭に立っていただいて、要らないもの排斥運動というものをひとつやっていただきたいと思います。   〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕
  256. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまや消費構造を変えていくべきときが来ておると思います。それには、国民なり消費者の意識の変化を必要としますのと、同時に、政府の行政指導によるものとの二面があると思います。政府が十分行政指導をすべきだと私は思うんですが、これはどこが係ですか。
  257. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) いま、政府のたてまえですと、その当該物資を生産する企業を所管する役所と、こういうことでございまして、通産省の所管が多かろうと思いますけれども、しかし、同時に、私がいま申しましたように、使用する面からそういうものを買わない運動を展開するということになりますと、その需要者のほうの行政を担当いたします文部省、文部大臣などにも通産省と相一体となって、そうして買わない運動の旗振りをしていただかなければならないと私は思います。
  258. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほどもこの筆箱で包装の問題を言いましたけれども、たとえばこの包装紙の問題にしても、原木は輸入でございますね。アメリカから輸入をしたりなんかしているわけですけれども、これからはさらに高くなってくると思います。そこで、デパートなんかにわれわれが買いものに行ったとき、贈答用のものなんかは、ぜひとも、消費者が依頼をすれば、その依頼について包装をして、これからは包装代を取る、こういうふうなシステムに指導をしていっていただきたいと思うんですが、そういうことはできますか。
  259. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) お答え申し上げます。  過剰包装の問題につきましては、特に数年来、先生御指摘のとおり、非常に問題になっております。通産省といたしましても、過剰包装の、商業包装の適正化推進委員会をつくりまして、過剰包装の問題について取り組んでおるわけでございます。現在すでに、どういうものが過剰包装であるかということにつきまして、一応の基準はできております。たとえば、包装コストは商品売価の一五%以下とか、空洞容積は二〇%以下とか、そういうような基準ができておりますけれども、包装の問題は、あるいは各品種によって相当違うわけでございますので、業種によってこれを推進しなければいけないというように思っておるわけでございます。  さしあたり、御指摘のありました百貨店、スーパー等につきまして、過剰包装の問題についての基準を現在検討中でございまして、いずれそのうちにできるというように考えておるわけでございますが、デパート業界あるいはスーパー業界にも、過剰包装の問題につきましてはかねがね指導をいたしておりまして、各デパートともおのおのの趣旨にのっとって過剰包装を排するようにいたしておるわけでございます。すでに、御指摘のように、一部のデパートにおきましては、たとえばバッグ等を有料制にするとか、そういうことによりまして過剰包装の問題に対処しておるというのが現状でございますが、やはり基本は、早くデパート、スーパー等に過剰包装の基準をつくって、これを徹底さしていくということでございますので、この基準づくりを一日も早く急ぎたいというように考えております。
  260. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この過大包装が言われてからずいぶん久しくなっているわけです。それで、私がきょうこういうことを申し上げますのは、自画自賛で申しわけないんですけれども、ほんとうにみんなやろうという意思があるんですね。ちっとも前へ進んでいないんです。  そこで、公取委員長にお尋ねをしますけれども、こういった過大包装を、公取としてはこの合理化に対してどのように進めていらっしゃるか、委員長からお答えいただきたい。
  261. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 公正取引委員会といたしましては、業界が百貨店の場合なんかに、自粛していることは認めるんですけれども、なおかつ、いろいろな非難を浴びることがある。そういうことで、目下、相当強く、百貨店協会が中心でございますが、これに対して包装に関する自主規制ですね、競争規約を定めるように厳重に要請しておりまして、おそらくそう遠からずまとまるものと思います。そうすれば、御非難のような点ははるかに減ってくるだろうと思います。ことに、贈答品につきましては、いまでも空間容積を押えるようなあれがあるんですけれども、どうもその辺がまだあいまいで、実行上は過大包装になっておるという例がちょいちょいあるようでございます。これはぜひとも、公正競争規約でございます、によって規制するということを考えております。
  262. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この筆箱なんて、実際もうこれだけでいいんですよ、これだけで。こういうものがまだついてきたって、こんなもの、ほうってしまうんですね。ですから、もう日本の政治はのろのろ行政だといわれますけれども、ほんとうにもう少し早く前進をしてほしいとつくづく私ども思います。  それでは次に進んでいきますが、日本国語辞典の件でございます。私の友人で、六十七歳のお年寄りがございますが、かつてサラリーマンであったこの人は、定年退職後、現在は収入がございません。むすこや孫のために何かを残してやりたいと、全集ものの本を少しずつ集めておりました。このたび、小学館刊行の日本国語辞典全二十巻の広告を見て、これを求めることにしたわけです。各巻は、定価四千八百円、全巻一時払いならば八万九千円、七千円の割り引きになりますので、ことしの一月九日に近くの本屋さんにこれを頼みました。ことし二月に、八巻目の配本を手にしたときに、紙片が入っていて、四月中旬予定の第九回配本から、一千円アップの五千八百円に改定したいということでございました。びっくりして、さっそく本屋さんに飛んでいきましたが、うちは取り次ぎだけですからと断わられたそうです。そこで、県の生活センターの窓口へこれを相談をしましたところが、よくわかりませんと、そこで、県の生活課へお尋ねしたらいいでしょうということで、県の生活課へお尋ねをしたんですが、要領を得ませんでした。  そこでお尋ねをいたしますけれども、この問題を取り扱う役所はどこでございますか。
  263. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 書籍につきましては、通商産業省で所管をいたしております。
  264. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 これは、明らかに原契約の違反にはなりませんか。
  265. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) お話の趣旨でございますと、若干問題があろうかと存じます。ただ、こういう全集ものの場合に、一括して予約をするというような場合に、途中で価格の改定があるということがありましても、それは一括した価格で最後まで売るというのが至当ではないかというように思いますが、ただ、先生御指摘の件の、書籍商との関係が一体どうなっておるのか、ほんとうに全巻予約でお買い願ったのか、バラ売りでお買い願ったのか。バラ売りでございますと、やはり最近印刷代、用紙等が上がっておりますので、個々の、各巻ごとの価格によって売られるというようなことで、途中から価格改定があるというのはやむを得ない現象かと思われますが、御質問の件については、なお実情をよく教えていただきまして、当省のほうで、もし問題がありますれば、当該出版元に対して指導をいたしたいというように考えます。
  266. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 これ、あげます。これは一時払いで、ちゃんと領収書も。で、その入ってきた紙も、広告も、みなそろえてあります。見せてあげます。(資料を示す)
  267. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) はい、わかりました。
  268. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そこで、いまお渡ししたとおりでございまして、一時払いをしているんです。全巻一時払いのときは八万九千円ですから、一巻が四千四百五十円になりますが、これに対して千円アップというのは二二・五%弱になります。大幅な値上げです。紙の値上げが云々される昨今ですから、この千円上げるということが適正な値上げなのか、あるいは便乗値上げなのか、どちらに該当しますか。
  269. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 本件の具体的な場合について、よく調査をいたしたいと思います。
  270. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 何……
  271. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 当全集の現物について、私どもは現在知りませんので、当全集の内容その他を判断して、ほんとうに先生がおっしゃるような便乗であるのか、適正な値上げであるのか、その辺は出版元を呼びまして、よく事情を取り調べたいと思います。
  272. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 出版社がかってに通告してきたというのは、契約不履行になるわけですから、原契約は、これは破棄したということになりますね。
  273. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) その場合に、出版元がそういうふうに言ってきたのか、中に立つ書籍の小売り商がそういうふうに言ってきたのか、その辺について、事情をよく調べませんと、何ともお答えいたしかねると思います。
  274. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまあげましたね、入ってきた紙を。あれはちゃんと小学館の社長何々と書いてありましてね、これは出版元が入れてきたんです。
  275. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 出版元の意思を受けて、小売り商がそういうふうに言ったのか、あるいは小売り商独断で言ったのか、その辺は、個別ケースに即して取り調べてみたいと思います。
  276. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それなら、もう少し申し上げなくてはいけないかもしれません。  実は、その出版元に電話をかけて聞いてくだすった方があるんです。そうしたところ、現在約五万の人が契約をして、そのうちの一〇%が一時払いだと、こういう返事と、それから、一時払いの人には値段を上げないのですと、一冊ずつ買う人にだけ千円上げるんですと、こういうことですけれども、そのチラシを入れるのに、その本が一時払いの人に渡るか、店で一冊ずつ買う人に渡るかわからないから、全部にこれを入れましたと、こういうふうに出版元は言ってるんですが、どうですか。
  277. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) お答え申し上げます。  おっしゃいましたとおり、チラシには五千八百円に価格の改定をお願い申し上げ云々というように書いてございますが、既契約の部分については、値上げをしないというように出版元は申しておるようでございます。
  278. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうすると、よけいおかしいんじゃないの。九万六千円のを八万九千円で契約をして、全部で一千円ずつ上げるとすると——まだ残りは十二巻あるわけですね、そうすると一万二千円、それでその上に、七千円割り引きしてるんですからね、一万九千円も割り引きができるんでしょうか。そうしたら、その千円なんか、紙代だの何だのということで値上げをする必要ないと思います。その辺どうですか。
  279. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 印刷並びに用紙の事情から考えますと、出版元のほうは、実際のコストは赤になるわけでございますが、一括で契約をした件については、赤になっても値上げをしないという趣旨で、既契約の部分には値上げは適用しないはずであるというように申し上げたわけでございます。
  280. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 何かそういう経営というのは、私らちょっとわかりませんがね、これは実際の例ですから、ひとつ十分調査をしていただきたいと思います。  で、この人は、せめてもの子供や孫への遺産として残すべく、こういう辞典を買っているわけですね、たいへん私はこれは最近、いい話だと思います。それで二十巻のうち、八巻や九巻では意味をなさないのですよ、国語辞典ですから。したがって、代金を返してもらうよりは、全巻そろえたいと思っているようですが、出版社からの一方通行の値上げをのむには、あまりにも便乗値上げが多過ぎる最近の世相の中で、黙っているわけにはいかない、きっと多くの人が困っているに違いないから、自分は立ち上がったのだと申しておられます。もし見過ごしていれば、あと十一巻も配本される中で、また再値上げがかってに行なわれるんではないかと、こういうふうに訴えてきておられるんですが、さて、これを取り扱う窓口がないということで、やっと探り当てたのが、民法上の問題として契約不履行で訴えることができるかどうかということを、また問い合わせてきているわけです。この点いかがですか。
  281. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) お答え申し上げます。  民法上の問題として、契約不履行で訴えられるかどうかという点でございますが、一括で、まあ八万九千円というように契約されて、途中で値上げをするというような点は、契約不履行という条項に該当するかどうかは別にして、やはり法律上問題のあることではないかというように考えます。
  282. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私はもう一件、陶器の頒布会のことについてお尋ねをしようかと思いましたけれども、もう時間が少なくなってきましたから、これは割愛をいたしますけれども、とにもかくにも、割賦販売法の運用をもっときびしくすべきだと思いますが、どうですか。
  283. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 割賦販売法でございますが、割賦販売は、商品を全部先に前渡ししまして、その商品の代金を割賦で支払うという方法でございますので、いま例示がございました全集の場合は、割賦販売法には該当はいたさないというように私どもは考えております。  ただ、割賦販売法につきましては、法律が制定されまして、累次、法の改正をしてその強化をはかっておりますが、まだ十分その施行がはかられておらない面もございますので、私のほうも割賦販売法の施行については今後十分意を用いて、その精神が全体的に行き渡るように、行政上努力をいたしてみたいと思います。
  284. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それじゃ、これは何に当たるんですか、どういう法律ですか。
  285. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 本件については、特に法律で規制するものは行政法としてはございません。
  286. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 では、公正取引委員長にお尋ねをしますが、いまのお話を聞いていてくだすって、不当表示防止法上問題はありませんか。
  287. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 割賦販売の場合でも、こちらのほうにも、やはり不当表示に該当するような割賦販売について、運用基準が非常にこまかいのがございます。まあ、そのこまかいことは抜きにしまして、一般に買い手の側にこれを非常に安いと誤認させる、あるいは非常に優秀である、他のものより優秀であると誤認させるようなことをして、実際にやってみたらそうでない。頭金の問題とか、支払いの方法等につきまして、初めに言ったのと、実際中身をあけてみたら違っているというものは、やっぱり不当表示に該当するというふうに私のほうでは解釈しております。ただいまの次元だけですと、やはり私は、何か民法上の問題になるんじゃないかという、債務不履行といいますかね、債務を一方的に変えることはできるのかどうか。どうも法律的にはそっちのほうにいくんじゃないかという感じがしますが、不当表示はそういう意味じゃなくて、初めから違っている場合ですね。最初から表示してある、宣伝したことと、実際に行なうこととが違っているという場合、これに途中で気がついたというような例はございます。これは不当表示でございます。
  288. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私のことばが足りなかったかもしれません。いまのチラシが入っていたその中に、一括払いの人には値上げをしませんということは全然書いてないんですよ。それで、契約した本屋さんに行ってみたら、本屋さんは、私のほうは取り次ぎだけですから全然わかりませんということですね。もしも一括払いの人には値上げをしないんなら、そう書くべきではなかろうか。もしもそう書いてあれば、こんな問題は起こらなかったと思います。その点をお尋ねしたわけです。
  289. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) その点は、私は、不当表示になるかどうかという問題よりも、やはり初めは不当表示のつもりはなかった、ところが、紙代が非常に高くなったというので上げられるかという問題なんですが、やはり、当初の契約が一括払いであるものについては上げないというのは、私は、当然の解釈じゃないかと思うんです。ですから、分割で買っている者に対しては、途中から値上げしてもそれはいいでしょうけれども、そうでなければ、相手と十分相談した上でなければできないように私は思います。ですから、実質的な、何といいますか、債務不履行みたいな形になるんじゃないか。本を値上げした額を払い込まなければ、新しく千円追加しなければ売りませんよとなりますと、その点は債務不履行の問題になってくるように思うんですが、不当表示とはちょっと違った話だと思います。
  290. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 おそらくこういう問題は、いろんなところにたくさんあると思いますから、今後ともの取り締まりをひとつお願いを申し上げて、この問題に対する質問は終わらしていただきます。  通産大臣がさっきからおいでをいただいておりますが、凍結品目についてお伺いをいたします。  通産省は、凍結品目について当分の間と指導しましたが、どのような指導をされたのですか。
  291. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 五十三品目の生活必需物資並びに石油製品の基礎物資等、それから百四十八品目のスーパーやあるいはデパート関係の家庭用品等を二つに分けてやっております。  当分の間という意味は、狂乱物価が鎮静する間という意味で、まあ、できるだけ長くやりたいと、そう思っております。
  292. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 スーパーやデパートですね、こういうところは、なるほど六月の末までとしておるようですが、末端の小売り屋さんでは、三月三十一日までだと考えているように思います。それまでは特売だの特別奉仕だのといって売っておりますが、この点はどうですか。
  293. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 私のほうで生活用品ということで値下げ指導をいたしておりますのは、百貨店法による百貨店と、チェーンストアといわれますスーパーマーケットと、二者のみでございまして、一般小売り商につきましては、便乗値上げをするなというような指導をいたしておるのみであります。一般小売り商のほうもこれを受けまして、便乗値上げはしないという決議はいたしておりますが、デパート、チェーンストアのように、値上げを抑止する品目というものを一般には明らかにしておらないというのが現状でありまして、先生おっしゃる件は、小売り商が全く独自に政府の対策に協力をするという意味でやっておるケースではないかというように思います。
  294. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 スーパーやデパートが、六月以降は大幅の値上げになるおそれはありませんか。凍結期間が経たあとの、何といいますか、保障はどうなっていますか。
  295. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) まず期間の点でございますが、私どもデパート、スーパー指導いたしておりますのは、当分の間値上げを抑制する品目を各店の実情によって掲示をして、当分の間値下げをしていただきたいということでございますので、決して六月末というような期限を切って指導をいたしておるわけではございません。デパート側ないしはチェーンストア側におきましても、おのおの各店の事情はあると思いますが、まあ、長いものはやはり半月、チェーンストアの一部では、今後一年というような品目を出しておるところもございますし、決して一定の期日までというような考え方でやっておるわけではございませんので、この措置がなくなれば一斉に値上げをするというようなことはないというように考えております。  期日については、調整をいたしておらないということでございます。
  296. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 おっしゃるとおりになればまことにけっこうでございますが、デパートは大体二十万点ぐらいの商品を売っていますね。そのうちの百五十八品目だとか、いや、デパートの発表では六百点だの八百点だのと、こう言っておりますけれども、そういうものを凍結しても、凍結の裏返しとしてその他の品目に値段が転嫁されるおそれはありませんか。その監視体制がおありになるのか、また、監視力というものがあるのか、お答えいただきたいと思います。
  297. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 先生おっしゃいますとおり、デパートは文字どおり、よろず百貨のものを売っておるわけでございます。ただ、私どもが今回、デパート並びにチェーンストアに指導いたしておりますのは、やはり、消費者が日常使うものに限って価格抑制をしていただきたいということで協力依頼をしておるわけでございます。ただ、私どもは、百四十八品目というものを一応例示として掲げておるわけではございますけれども、各デパートの実情によって、百四十八品目はあるいは二百品目、あるいは三百品目というようにふやしていただきたいという要請もいたしておるところでございますし、それから、一般的にデパート、スーパーには、こういう時期でありますから便乗値上げはするなと、政府物価対策に協力をしてくれという依頼をして、デパート側、チェーンストア側はこの方針を了承いたしておりますので、百五十の品目を抑制したからといって、ほかの品目を上げるというようなことはいたさないというように私のほうは考えております。
  298. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 おっしゃることを私もすなおに受け取っておきたいんですが、消費者は、物価凍結協力品とか価格据え置き品とかという大きなビラがかけてありましても、これは三月十五日までにもう高値に上がってしまった商品なのではないか、こういうふうに思うわけですね。それで、いままでが大体幾らであったか、一つ一つ商品については消費者はわからないんです。それに対してはどんな措置を講じられますか。
  299. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 確かに、現在までにどういう過程でその値段が上がってきたかということは、なかなか私どもの側でも知りがたいような事情があるわけでございます。ただ、私どもが今回デパート、スーパー等に依頼をしておりますのは、石油が今回上がると、それに伴って現在ある物価水準がこれ以上に上がるということを抑止する措置として打ち出したわけでございます。それで、そういうふうに品目をかりに打ち出した場合に、消費者はわからないじゃないかという御疑問があろうかと思います。  こういう疑問に対しましては、百貨店あるいはチェーンストアは消費者が日常出入りをするところでございますから、どういう品目について百貨店あるいはチェーンストアが価格抑制品目ということにしておるのかということが一般消費者にわかるようなかっこうで表示をしていただきたいということを、デパート、スーパーにまず依頼をしておるわけでございます。それから第二に、私どものほうに価格抑制品目としたものの品目表と価格表を同時に提出をしてもらうという措置をいたしておるわけでございます。  後者の措置によりまして、私ども、あるいは通産局、場合によってはほかの官庁の協力も得まして、デパート側がそういう価格抑制品目として掲げた品目の値段をかってに変えないというようなことを監視していくつもりでございまして、今週からでも、全部のデパートへすぐというわけにはまいりませんけれども、デパートのうち、あるいはチェーンストアのうち相当数のものについて、その価格が現実に守られておるかどうかということを厳重に監視をしていきたいというように考えております。今後とも、少なくとも一月に一回ぐらいは、そういうようなデパート、スーパーが届け出た価格を守っておるかどうかということについて、私どもの機構をあげて監視をしてまいるつもりであります。
  300. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 今度の凍結品目の中で繊維製品がずいぶんたくさんあります。繊維製品は流行が激しいですから、いつでもバーゲンセールの対象になっているわけです。ほうっておいても値段の下がるものではないかと思いますが、それが凍結されると、かえって値段が下がるのを妨げるのではないかと案じますが、その点はどうですか。
  301. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 確かに、繊維製品の最近の市況は弱含みでありまして、むしろ値下がりが続出しておる品目であろうかというように思います。  ただ、私ども今回品目を選びますときに、繊維品、特に外衣類はいろいろ流行の問題等がございまして、なかなか価格抑制品目としてあげにくいということで、はだ着類とか、あるいはくつ下類とか、そういうものを主力にしてあげておるわけでございます。  それからもう一つ、これは価格を凍結したのではございませんので、抑制をしたということでございますので、私のほうは、デパート、スーパー等に依頼しました文書の中でも、値下げのできるものは当然値下げをするということで、デパート側もつとめてもらいたいということをいっておりますので、おっしゃるような事態がありましたならば、価格抑制品目でありましても当然値段を下げるというような方向で強く指導してまいりたいというように考えております。
  302. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 五十三品目の値上げの事前了承制をとるというようですけれども、一体、どういう基準で了承するのですか。
  303. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 五十三品目につきましては、個別企業ごとに役所のほうに、現在の価格水準を上げたいというときには、価格水準を上げたいという希望と、それから値上げの額と、それからなぜ上げたいかというような理由書を個別に通産省の各所管原局のほうに申し出ていただいて、厳正に審査をした上で、もしどうしてもコスト上やむを得ないという点があれば値上げを認めるというようなことにいたしたいというように考えております。
  304. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その審査期間中に、問屋や小売り段階で、またこの前のように買い占めが行なわれることにはなりませんか。
  305. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 審査期間が長引きますればそういう可能性はあろうかと存じますが、前回にも値上げをするときに事前に末端の小売り店にあらかじめ値上げをするからというような通報をいたして、それがいろいろ国会でも問題になっておりますが、今回の場合には、私のほうで審査が終了するまではそういうようなことをいたさせないようにいたすつもりでありますし、確かに先生御指摘のように、そういう場合も考えられますので、そういう場合に備えまして、私のほうでは価格調査官がおりますので、そういう危険性がありますれば、そういう価格調査官を動員して、そういうおそれがないように取り締まっていきたいというように考えております。
  306. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は、その五十三品目については投機防止法の対象にすべきではないかと思うんですが、それはどうでしょう。
  307. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) ただいま森口審議官からもお答え申し上げましたように、事前審査の過程においてそういうような必要性が認められました場合には、機を失せず追加指定をするということにいたしたいと思います。
  308. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 政府価格介入は法律をもとにガラス張りにするのが好ましいと思いますが、事前了承制を新立法で行なうという考え方はございませんか。
  309. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 実は、年末に御審議いただきました生活緊急措置法の立案の過程で、こういう制度を含めたらどうかという案があったわけでございます。あの段階では一応その案が消えしておらないわけでございます。  ただ個別物資ごとに非常にその影響の程度が違うわけでございまして、たとえばエチレン、ポリエチレンということになりますと、これは石油製品でございますナフサを主原料として用いる関係上、非常に大きなコストアップの要因になりますし、一方機械等の品物になりますと、これは単に動力として一部使っておるというようなことでございますので、全体のコスト上の額は問題とするに足りないということでございまして、個別物資ごとに千差万別でございます。  そういうような点がございまして、私どものほうでも、先ほど先生の御指摘のありました四十五品目、わが国全体では五十三品目でございますが、あまり石油製品の値上がりを理由にして便乗値上げをしないようにということで事前了承を取りつけるというような制度を緊急避難的に設けたわけでございまして、便乗値上げをこういう制度によってぜひとも阻止をいたしたいというのが私どもの強い気持ちであります。
  310. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最後にお尋ねをいたします。  原油価格値上げに伴う石油製品の値上げ後の新しい価格体系についての確たる見きわめが必要でございますが、それへの移行をいかにスムーズに進めるかが今後の課題であると思います。企業に対する国民の信頼感がなくなっている現在、移行に際しては、先取り利潤の還元はもちろん、適正な原価計算に基づく価格形成となるように適切な指導がなさるべきであります。そのために国民生活安定緊急措置法による標準価格を積極的に適用し、価格を低位安定にリードしていくお考えはございませんか、どうですか。ずいぶんお待ちしておりました中曽根通産大臣にお答えをいただきたいと思います。
  311. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 石油価格につきましては不安定要素がございまして、一つは為替相場の問題です。大体三カ月過去平均して二百九十円という線でやりましたが、直物相場は二百八十円前後に円が強くなってきておる。しかし三カ月後の先物は三百円前後に円が弱くなってきておる。そういうわけでまだ非常に不安定であります。  それからもう一つは、たとえばミナス原油のようなサルファの少ないものはバーレルで計算して十ドル八十セント、それでやっておりましたら十四ドルぐらいの値段に上がってきておる。これで公害問題に差しつかえてくるわけです。  そういう不安定要因もありますので、やはりしばらくいままでの行政指導価格でやらざるを得ぬだろうと思います。しかし、できるだけ安定度を早めまして、可及的すみやかに標準価格のほうに移行していきたいという念願を持っております。また、そのほかの品物につきましても、そういう安定度に応じまして標準価格を広げていきたい、そういう努力をしていきたいと思います。
  312. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 終わります。ありがとうございました。
  313. 吉武恵市

    ○理事(吉武恵市君) これにて中沢君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  314. 吉武恵市

    ○理事(吉武恵市君) 小野君。
  315. 小野明

    ○小野明君 まず、大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  この予算委員会でもこの問題はたびたび議論になったと思いますが、いわゆるインフレ弱者をどう救済するのか、中でも小零細預金者という問題がかなり大きなウエートを占めてまいります。インフレが進行すればするほど元本が目減りをしてしまうという非常に大きな問題がございます。弱者救済策の一つといたしまして、やはり預貯金の元本促証というものがはかられなければならぬ。  そこでブラジルあたりでは物価スライドの導入によってインフレを克服したという例も聞いておるわけでありまして、この物価スライド制の導入が必要だと私も思うのでありますが、元本の目減りについていかなる対策をお考えであるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  316. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 結論として申し上げると、一刻も早く物価を安定させる、つまり貨幣価値を安定させる、これを考えるほかはない、こういうことだと思うんです。ただ、しかしさりとてそれがそう簡単にいくわけでもない。そこでお話しのようなインフレ弱者という方々への配慮、これは非常に重要だと思うんです。ですから、昭和四十九年度の予算を見ましても、一方において公共事業費は極端に押えます。だが他方におきまして社会保障費、そういうものは思い切ってこれを拡大する、そういう両刀使いというか、そういう姿勢をとらざるを得ない、こういうふうに思うんです。  その中で、特に小野さん御指摘の預金の目減り問題ですね、これをどういうふうに考えるかという問題、これはずいぶん各方面で議論のある問題でございます。そこでスライド制をとったらどうだ、こういうような説を展開される方もある。スライド制に限らず、それに似た預貯金の金利を大幅に引き上げる、こういうような施策をとりますと、これはまたそれなりに非常に大きな問題があるわけなんです。つまり預貯金の金利を引き上げるということになりますると、これは預貯金の金利だけにはとどまりませんで、あるいは社債の金利も変えなければならぬ、あるいは国債の条件も変えなければならぬ、こういうようなことにもなってき、金利水準を総底上げする、こういうことになる。これはまたわが国、つまり資源小国として資源を海外から買ってくる、それに加工して海外に売る、そういう立場にあるわが日本とすると、これは相当大きな問題になってくるんです。  いま、わが国の国際収支は物価よりもまた重みと深さを持った深刻な問題になってきておるんですが、国際収支を改善するためにはどうしたって輸出を伸ばさなければならぬ。輸出に国家が助成をするということになれば世界じゅうで総袋だたきになる、そういうようなことにもなる。まあとにかく自然な形で国際社会で容認された方法で輸出を増進するということを考えるときに、物価を安定させる、また特に金利をそう引き上げない、こういうような姿勢をとらなければならぬ。そういうときに金利水準を引き上げるということになると、これは大問題になる。  それからもう一つは、預貯金の金利を上げるというためにはそれなりの財源が要るんですが、その財源をどこに求めるか、これをほうっておきますれば金融機関はどうしても貸し出し金利にこれを持っていくわけであります。そういうことになりますると、産業政策上、特に中小企業対策上、これも深刻な問題が起きてくる。また、それじゃ政府が負担したらどうだ、こういうことになりますると、これまたいろいろ問題がありますのは、政府が負担するということはつまり国民の税を使う、こういうことになる。税を使うときに、いわゆる生活保障対象の弱い立場の方々、そういう人こそ先にしなければならぬだろう、こういう議論も起こってくるし、また、そういう議論を乗り越えてやるにいたしましても、これはそれだけの膨大な財政負担を一体どういうふうにまかなうかということになると、回り回って公債の発行をふやすということになってくる。そういうことになったときに、インフレ、物価高等の問題と、これはもう相背馳する問題になってくるわけですから、それに対してどういう考え方をとるか、いろいろ考えましても、大幅に金利を引き上げるという方式はなかなか採用できないんです。もうインフレが進みに進んで、もう希望も持てないというような国におきましてはいざ知らず、わが日本は、私は物価は正当的な方法で解決し得ると思う。そういう国柄といたしまして、スライド制あるいは二けたの金利というようなことを考えることはむしろ自殺的行為につながってくる、こういうふうに思います。  ただ、そうは申しましても、預金者の立場というものは、これは考えなければならぬ、そういう問題だと思います。そこで何とかくふうはないものかというふうに日夜頭を使っておるんですが、そういう前提で何か御名案でもありましたら、ひとつ御教示願いたいと思うくらいの気持ちでおるわけでございます。いろいろ考えております。
  317. 小野明

    ○小野明君 いまおっしゃるような問題があると思います。しかし、金利体系全般を見直さなければならぬということもわかるわけですが、私は特にその中でスポットを当てて、小零細預金者、インフレ弱者の保護、こういう点にウエートをかけた措置というものはこの際考えられ、ないのかと、たとえば財源の問題からのみ言うならば、金利の自由化という問題もあると思います。これらについてどういう御見解であるのか、再度ひとつお答えいただきたいと思います。
  318. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 零細の預金者の立場というものは、ただいま申し上げましたような考え方の上に立ちましていろいろ考えておるわけなんです。預金をする人が一番関心を持つのは税なんです。さあ預金をしておりました、税務当局が行きまして預金帳を調べましたということになるというようなことから、税のことを一番心配する。そこで零細な貯蓄につきましては、これを免税にするいわゆるマル優制度という仕組みをとっておるわけでございます。  それから、なお暮れには六カ月定期というのをやってみた。これはかなりの成績をおさめたわけでございます。その期限がこの六月にはやってくる。六月はボーナス期だ、こういうことになる。その際にどうするかという問題もあるのです。私は当面のこともいろいろ考えてはおるのですが、特に六月の、いまの六ヵ月定期の期限切れのおり、これは何か皆さんの御意見もいろいろお聞きしながら考えなければならぬかなあと、こういうふうに考えておるわけですが、その問題も含め、いまの少額貯蓄者に対する措置をどうするかということにつきましては、熱意を持って、なおひとつ考えていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。  それから金利の自由化のお話でございますが、これは終局の金融政策の理想型とすると、金利は自由化であったほうがいい、ぜひそういう方向に持っていきたいと思うのです。思うけれども、いまのわが国の金融機構というものはまだ非常に未成熟でアンバラソスです。巨大な都市銀行もあるかと思うと、信用金庫あり信用組合あり相互銀行あり、そういう状態でございます。人によると雑金融機関だというような呼び方をする人があるくらいまでの小さい金融機関が多数存在しておる。そういう中で金利を自由化いたしますれば、これは弱い機構というものはいたたまれない。やはり何らかの別の面の国家介入というものが必要になってくる。金利を自由化したけれども、今度は別の国家介入だというようなことになり、結局意味のないことになるし、またさらには、逆に混乱というようなことにもなってくるわけです。ですから、まず日本の問題とすると、やはり金融機関の近代化、合理化というものを進めなければならぬ、そうして公正な競争基盤というものができるような状態に置かなければならぬ、そういうことができて初めて金利の自由化というものが意義を持ってくる、こういうふうに思います。先々の問題としては、金利の自由化問題は、それを展望しながらやっていかなければなりませんけれども、当面これを採用することは非常に問題がある、こういうふうに考えております。
  319. 小野明

    ○小野明君 いままで政府がとってこられておる対策といたしましては、割増金付預金なんというのは、ちょっとこれは私としてはお話にならぬものであると思うのですね。昨年末に、いわゆるいま大臣が説明をされました六カ月もの、七・二五%のものがございます。この特別措置により個人の資金というものがどの程度吸収できたのか、需要抑制の効果というのが十分出たと判断をしてよろしいかどうか、お尋ねいたします。
  320. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 暮れの六カ月定期は、私の見るところでは、わりあいに世間から冷たく見られる、そういう形でスタートしたと思うのです。ところが、実際やってみると、なかなかこれは好評というか、でありまして、集まった金は法人を含めますと二兆四千億円ぐらいであります。そのうちで個人だけでいいますと一兆七千億ぐらいになるわけであります。ただその中には、これが幾らか他の預金よりは条件がいいものですから、乗り移り、振りかわり、そういうようなものがあったことは否定できないと思うのです。それが幾らであったろうか、これは測定するによしなしということでございますが、しかし、とにかく資金、購買力の吸収上、かなりの効果があったということは、私はそう申し上げて差しつかえないんじゃないか、そういうふうに見ております。
  321. 小野明

    ○小野明君 御答弁によりますと、元本保証としての物価スライドというものもとれない、かといって、いまのところ、現在ある預貯金についての金利の引き上げも総底上げというような体系全体から見まして不可能だ、こういうことになる。  で、ここで何らかの便法を講ずることが考えられないか。先ほど大臣が御説明になりました六カ月ものが六月のボーナス時期に期限が切れる、たとえばその時期に年末の特別預金に類したもの、たとえば金利一〇%の定期預金を設ける、こういうふうな点などを検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  322. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) どうも、いま日本の国際社会に置かれておる立場を考えますと、二けたの金利というのはなかなかむずかしいんじゃないかと思うんです。やっぱり、一部の預金につきまして二けたをとりますれば、他のほうへどうしたって波及せざるを得ないんです。そういうことになれば、日本経済における二けたの金利水準ということになって、なかなかこれは、国際収支、そういう方面から見て重大な問題になってくるだろう、こういうふうに思われるわけです。しかし、小野さんが力説される預金の目減り問題これは大蔵大臣としても最も重大関心事でありまして、これをどういうふうに措置するかということにつきましては、私も日夜頭を悩ましてまるわけでありまして、いろいろ考えておりますが、特にいま御指摘の、ことし六月に期限の到来する六カ月定期、その振りかわりの問題としてどういう措置をとるかということにつきましては、これはほんとうに熱意を持って考えてみたい、こういうふうな気持ちでございます。
  323. 小野明

    ○小野明君 いまの問題は、十分預貯金保護に値する制度をお考えいただきたいと思うんです。  次に、年度内減税の問題でありますが、総理府統計局の家計調査報告、これは速報でありますが、これによりますと、四十八年の勤労者世帯の一カ月平均の実収入が十六万五千八百六十円、前年比一九・七%の増加であります。これに対しまして、勤労所得税が五千四百三十七円で、前年比三七・七%の負担増加となっております。所得税負担がしたがって収入の伸び以上に大きくなっておることを統計は示しております。いま試算をいたしますと、所得税負担を一九・七%に押えようとするならば、二千八百四十一円でなけりゃならぬ。言いかえますと、二千五百九十六円取り過ぎている、こういうふうに指摘ができると思います。年間にすれば三万一千百五十二円。これは政府統計の結果でございますが、野党が要求しております戻し税三万円という根拠もここらにあるわけであります。そこで四十八年度内の減税というものが、これから見て必要になると考えられるわけでありますが、この点はいかがでしょうか。
  324. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いまの御指摘の傾向というものは、確かにそういう傾向があると思う。つまり、勤労収入がふえる、ところが税のほうはより大幅に負担が増加する、こういうことになる。それはなぜかと申しますと、いまの所得税の累進構造ですね、この刻みが非常に急カーブである、しかも刻みがこまかいんです。そういう税制になっておる反面におきまして、賃金が大幅に伸びていく、こういうことでありますから、どうしてもその伸びた賃金、そういうものは、次に高い、あるいは次の次の高い刻みの税率の適用を受ける、こういうことになる結果、そういうふうになると思います。これは、物価が非常な異常状態である、そこで賃金上昇なんかもそれに連動いたしまして二〇%をこえるというような大幅な数字になってきちゃった、そういう背景のもとに現行の刻みがこまかくかつ急カーブに累進していく所得税率構造でありますと、そういうふうになるわけでございますから、それを是正する必要があるというふうに考えるんです。  そこで、四十九年度におきましては、史上画期的ないわゆる二兆円減税ということを行なう。その一つの中心は勤労者の税負担を軽減するというので、大幅な必要経費の軽減をはかる。と同時に、ただいま問題になりました税率調整、これを行なう、こういうことになり、したがって四十九年度予算が成立する、そういうことになりますると、ただいまのような問題の一部は解決されるということになるんです。残る問題はインフレと賃金、その問題がまだ残るわけでございますが、大幅に前者の問題は解決される、こういうことになる。  当面、いま四十八年度について、そういう考え方を実行すべきじゃないか、また実行しなかった今日になると年度内減税ということを行なうべきじゃないか、こういう御議論になってくる。私はお気持ちはよくわかります。わかりますが、とにかく四十九年度はもう四月一日は目の前に迫っておる、四月一日からは課税最低限百五十万円になるという大幅減税を内容とした税制が施行される、こういうことになるんで、それまでのつなぎという余裕も、もうなくなってきておるという段階じゃないかと思うんです。しかも、いまは非常に大事なときで、年度内減税というものは前々から皆さんにも言われておりましたけれども、これはまた総需要抑制政策という見地から見ていろいろ問題もある。とにかく、四十八年度中は御指摘のような取り過ぎ問題という問題がありますが、しかし、四十九年度に、ためてひとつ大減税をやる、そういうことで四十八年度年度内減税というものはやらないようにしようじゃないかというのが政府の基本的な考え方なんです。まあしかし、四十九年度ももう差し迫ってまいりました。四月一日からは、御協力によってぜひ新税法を成立さしてもらいまして、御指摘のような状態を大きく改善さしていきたい、かように考えております。
  325. 小野明

    ○小野明君 四十九年度も高物価、賃金引き上げという条件がございます。お話のような課税最低限の引き上げという問題もございますが、これによって従来の税体系が、それではこういう取り過ぎがないように是正をされておるかといいますと、なかなかそうは私は言えないと思うんです。現行の超過累進税制、こういうことから言いますと、これから一年後には同様な結果が生まれるのではないかと私は思うんです。そういう場合は年度内追加減税あるいは調整減税というものを行なわれるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  326. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 四十九年度の税収の見通しにつきましては、これはことしの、特に春闘の賃上げですね、その結果がどうなるか、これが大きく響いていくだろうと、こういうふうに思います。思いますが、とにかく新税制が施行されるということになりますので、四十八年度に見られたような非常な予算と実績との乖離、そういう問題はかなり解消されるのじゃないか、そういうふうに見ております。しかし、いまのお話は、年度内減税を物価調整だと、こういうような意味合いにおきまして四十九年度内に行なうことを考えておるか、こういうことでございますが、いま私どもは年度内減税を考えておりますというお答えをするわけにいかないし、いま私どもは御提案をした予算案こそ、これはもうどこから御批判をいただいてもこれが最善の予算案であり、特にいま問題になっておる歳入の見通し、これなんかも経済見通し、それに準拠してつくっておるわけでありまして、それと違った状態ということは想定しておらないわけで、いまこの場におきまして、年度内減税を四十九年度においても行ないますということは、なかなか私としては言い切れません。   〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
  327. 小野明

    ○小野明君 四十八年度のこのただいま申し上げたトータルから言いますならば、必ず私はそういう状態になってくると思うんです。そこでお尋ねをしておるわけですが、お話のような答弁でありますから、そういう事態が予想された際に、はっきりと予測される際に再度御見解をただすということで、次の質問に移ります。  中小企業金融の充実についてお尋ねをいたしますが、非常に中小企業の倒産が続発をいたしております。銀行の取引停止処分であります。特に中堅中小企業での増加というのが著しいと見ておるわけであります。これが今後の引き締め政策の継続とのかね合いで、一体どう対処をされていかれるおつもりであるか、お尋ねをいたします。
  328. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 中小企業は、このような金融引き締め体制下におきまして困窮するであろうということが想像されますので、そこで予算の編成に当たりましても、いわゆる中小企業金融三機関に対する資金を充実する。それから中小企業信用保険法を改正して金融の便益をはかる、また、いわゆる無担保無保証融資の限度額を大幅に引き上げるというような各般の措置をとっておるわけであります。なお、私は民間の金融機関とも相談いたしまして、民間金融機関が自発的に中小企業対策のために三千二百億円の金を積み立てる。そして連鎖倒産というような非常な事態があったならば、それを発動させるというような措置もとってあるわけであります。私は金融対策といたしますと、これは私どもから見ますれば万全の対策はとっておると、こういうふうに思いまするし、また事態の推移に応じまして、必要とあれば臨機の措置もとり得るようにしてあるわけです。  今日の段階で私見ておりますと、いわゆる中小企業の倒産件数、これが八百件台とか九百件台とか、その辺を上下しておる、そういうような状態と見ております。私は実は予算を編成する時点の展望としては、この三月なんか、なかなかきびしいんじゃないかと、こういうふうに見ておったんです。それがわりあいに静かに推移しておるということを私は喜んでおるわけでありますが、これからの経済界を展望してみますると、四月、五月、六月なんていうところはかなりきびしい形勢になってくるんじゃないか、そういうふうに思います。そういう際に、どうしてもそういう経済不況のしわというものが中小企業にいきがちである。そういうことを考えますときに、いろいろ仕組みはしてありまするけれども、中小企業対策につきましては万全の対策をとっていかなければならないだろうと、こういうふうにいま考えておるわけであります。万遺漏なくやりたいと存じます。
  329. 小野明

    ○小野明君 大臣、お話でありますが、二月、三月、静かに推移をしておるというのは、たいへんこれは問題だと思うのです。これは十二月、九百三十一件あります。一月は八百二十一件、御指摘のように二月八百五十七件、負債金額九百九十八億五千二百万円。これは四十八年当初に比べましても相当深刻な状態ではないかと思うのですね。だから、これを深刻にやっぱり受けとめてもらって、中小企業対策というのは、静かに推移しておるなんというような認識ではなくて、きびしくひとつ認識をしてもらうように要求をしたいと思いますが、いかがですか。
  330. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私が静かと申し上げましたのは、思ったより静かだと、こういうことなんです。私は三月危機ということがあるかと思った。しかし、危機的様相でなくて、まあ非常に低迷したそういう様相でありまするけれども、世間でいわゆる三月危機というものは少し延びているんじゃないか。それだけに、四月、五月、六月、この段階というものがむずかしくなってくるんじゃないか。ことばをかえて言いますれば、いまもこれはきびしいです。きびしいですが、よりきびしい事態が想像される。そういうことに備えまして、より万全の体制をしがなければならぬと、こういうことを申し上げているんです。
  331. 小野明

    ○小野明君 資金手当てでありますが、いま大臣は万全であると、こういうふうなお話でございました。しかしながら、民間から云々というお話でもありますが、肝心の政府系金融機関の資金が十分とは言えないのではないか。四十八年度、九月と十月、十二月で三次にわたって追加いたしておる。その総トータルよりも、四十九年度当初がかなりトータルで落ちておりますね。落としておりまして、万全であるというのは、いささかこれはおかしいことばではないか。実体をむしろ曲げておっしゃっておるんじゃないかという気がいたします。
  332. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 四十九年度の予算では、かなり金融対策としては中小企業に配慮をしているつもりです。三機関の予算の伸び率から言いましても二二%増と、こういうふうになっておる。それから無担保無保証、あのワクも千二百億円となっておる。その他いろんな措置を講じておるわけですがね。いかなる事態が起きましても、しかしそれに即応し得るように、予算でも弾力条項というものも整えてありまするし、また資金運用部の資金も全然ないというわけじゃありませんですから、そういうようなことで臨機応変の措置はできる、そういう体制にある、それを申し上げておるわけであります。
  333. 小野明

    ○小野明君 経済企画庁長官にお尋ねをいたします。  経済社会基本計画というのは、毎年フォローアップ、その報告をするようになっておるようであります。このフォローアップの現況、そして当然いまのような経済情勢であれば見直されてしかるべきであると、こう考えますが、いかがですか。
  334. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私はその全部についてこれを改定する必要はないと思いますけれども、しかし、これがつくられました昭和四十七年から四十八年にかけて想定をいたしておりました内外の諸要素が、当時とたいへん変わってきておる事柄がございます。たとえば石油の問題、あるいは物価の当時想定しなかったような状態、それに対応する総需要抑制というような事柄、あるいはまた国際収支の急激な状況の変化というようなことは、必ずしも当時予測せられておらなかった。しかし、その一面で、この経済社会基本計画というものは従来の生産至上主義の考え方というものを改めまして、その副題にもありますように、活力ある福祉社会の建設とか、あるいは国際協調というような、新しい今日の国民の意識やまた一面における国内経済の当然おもむくべき理念というものを取り上げておりますので、そういう理念については私はそのままこれを尊重いたしながら、状況の変化を幾つかの面からとらえて、そしてこの基本計画の初めからの約束にございますように、年々再検討と申しますか、フォローアップと申しますか、そういうことを約束どおりにやってもおりますし、また、直さなければならない面については直すべきだと考えます。  そのために十か十一の項目を立てまして、それらにつきましては、私ども政府の者ばかりでなしに、学界の方々や、またこういう方面に特別の知識のあるエコノミストの方々にお集まりをいただきまして、現に検討を続けておるわけでございます。しかし、これをいま直ちに直すというところまではいっておりませんので、いま申しますようなフォローアップの作業をまとめましたその成り行きによりまして、先ほど来申しますような必要なる是正を加えてまいる、こういうことでやっております。
  335. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、当然これは修正をする、こういう立場でございますね。
  336. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 全部を修正するということではありません。その必要なる政策手段あるいは環境の変化に応ずる部分は、当然修正をする方向で検討を続けております。
  337. 小野明

    ○小野明君 当予算委員会でも大蔵大臣も言明をされております。それは九・四%、九%台の成長なんていうものは考えられない、こういう御答弁がございました。当然これはこの経済計画の修正という問題に相なるわけであります。その点はいかがですか。
  338. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ、こういう計画を修正か修正でないかという議論は非常にまぎらわしいんですね。やりかえるというのも、これは一つの修正ですわね。非常に根本的な修正をするということになれば、ほんとうにこれはやりかえである。私はそういうくらいな情勢に日本のいまの立場は置かれている、こういうふうに思うのです。つまり長期諸計画、そういうものがいままでのこの形で一体やっていけるかというと、私はこれはやっていけない。根本的に洗い直しをしなければならぬ。その洗い直しという意味を修正だ、こういうことばで表現するならば、それは修正でありますが、とにかく根本的に白紙で再検討する必要がある、そういうふうに思っております。
  339. 小野明

    ○小野明君 しごく明快な御答弁、そうすべきだと私も思うんです。  そこで、この前からの予算委員会で総理の御答弁と大蔵大臣の御答弁、経済企画庁長官の御答弁、非常に食い違いが目立つわけです。それは総理のおられぬところでやろうと思いませんが、今年度中期の見通し、一体どうなんだ、これがはっきり私どもにわからないわけですね。そこで、今年度中期の経済展望について、やはりこれも当然見直しをすべきであると思うんです。これはこの誘導政策をお立てになる経済企画庁長官がどういう御見解を持っておられるか、一番重要ではないかと思うんですが、まず長官のお答えをいただきたい。
  340. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 小野さんがいま大蔵大臣との間に問答がございました、今後の経済成長率についてまず申し述べますと、この経済社会基本計画におきましては、従来のような成長一本やりの経済政策はとらないんだということを申し述べながらも、しかし今後の経済は、しばらくの間は九%台の成長ということを考えられるが、しかしその先は六%ないし七%の成長を考えて進むのがよいということが実は書いてあるわけでございます。したがって、今日の客観情勢の変動から見ますると、九%台の成長率というような時代を通り越して、この基本計画が想定をしておりましたもう少し先の六%とか七%台の成長率、そういうものでいくべきだという時を私は当てはめていいのではないかと思います。それはエネルギーの制約とか、あるいは国際収支の関係でありますとかというような点から見ましても、そのように考えられますので、昨年つくりましたこの基本計画が根本から間違いであったというようなふうには、私は何べん読み直して見ましても思いませんので、この計画はなかなかいいことを見抜いておる点がございますので、そういうものは生かしていく。しかし、おそらく小野さんがお考えになりますのは、たとえば交通通信のネットワーク、なかんずく新幹線、高速道路の拡張計画などにも触れた点がございますので、そういうことも、いまの経済成長率の私が申しました先取りの六、七%というものとあわせて考えますときには、そういうものの一時的な私は先への引き延ばしというようなことも考えざるを得ないものがあろうかと考えます。ただし、公共事業などにつきましては、初めから、この計画では生活関連の社会投資を優先する、こういうことをうたっておりますので、そういう考え方については、まだ私はやはり、そのまま進めていけばよろしい、教育などについての施設、社会福祉などについての施設につきましてもまた同じで、あまり変更する必要はないだろう、このように考えます。
  341. 小野明

    ○小野明君 この五年計画の分はいままでの御答弁ではっきりしておるわけですね、これはいいと思うんです。ただ、今年度主要経済指標が企画庁から出されております。本年度は、第一、油の量、それから価格、こういうもので本年度見通しも大幅に手直しをする必要があるのではないか、こういうことをお尋ねしておるんです。
  342. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 本年度、きょう現在は昭和四十八年度でございまして、四十八年度は非常な諸要件の変更がありましたので、それで、御存じのとおり、四十八年度は思い切って私の就任後に変えました。そして四十九年度、来月から始まるものにつきましては、昨年の暮れに一ぺん閣議了解までとりましたものを、本年に入りましてからさらに油の状況等の見直しをいたしたり、あるいはまた、それらの値上げによる国際収支の関係などもこの一月に手直しをいたしておりまするし、物価につきましては、これはしばしば御批判をいただくわけでございますが、消費者物価につきましては、当初といいますか、昨年十二月の段階における閣議了解の上昇趨勢、上昇率を変えておりませんけれども、卸売り物価につきましては、これの引き上げ幅をかなり大きく見るのがよかろうということで変えてございますし、今日ただいまに関する限りは、そういうような考え方のもとに再調整をいたしたのが明年度の経済見通しでございますので、いまここで変える必要もないし、そのつもりはさしあたってございません。
  343. 小野明

    ○小野明君 この問題は、またこの委員会で後ほど議論するときがありますから、そのときに譲りたいと思います。  そこで、公務員の厚生制度について、福利厚生についてお尋ねをいたしたいと思います。  大蔵大臣、経企庁長官けっこうです。  まず、総理府並びに人事院総裁にお尋ねをいたします。国家公務員の福利厚生費についてでありますが、これは法定福利費と法定外福利費と、このように分けられておりますことは御承知のとおりであります。そこで、月額一人当たり幾らになるか。また、民間企業との比較トータルはどういうものか、お示しをいただきたいと思います。
  344. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) お答え申し上げます。  法定外福利費は月額国家公務員で千五百九十円、法定福利費が一人当たり月額七千百十六円、これを合計いたしますと一人当たり八千七百六円でございまして、ちょっと民間との比較がむずかしいのでございますが、一応いたしました結果は、民間の場合一人当たりが九千二百円でございますので、国家公務員のほうが少ないと……。
  345. 小野明

    ○小野明君 ちょっともう一回いまのトータルをおっしゃってください、法定内。
  346. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 法定内が七千百十六円です。
  347. 小野明

    ○小野明君 外で……。
  348. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 外が千五百九十円になります。
  349. 小野明

    ○小野明君 人事院総裁、トータルは同じですか。
  350. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私のほうでは総理府でお調べになったものを拝見しておるわけでございまして、したがって、総務長官のお答えのとおりに相なろうかと思います。
  351. 小野明

    ○小野明君 総務長官にお尋ねしますが、いまの民間企業との比較、この点で再度御説明をいただきたいと思います。
  352. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) ただいま申し上げました数字で、民間のほうは法定外で一人当たり月額三千五百九十六円、法定福利費で五千六百四円、これは民間でございます。一合計九千二百円でございます。
  353. 小野明

    ○小野明君 わかりました。  地方公務員について同様お尋ねをいたしたいと存じます。  いま御説明がありましたように、法定福利費と法定外福利費とに分けて、月額幾らであるか。また、民間企業との比較についてのトータルをお示しいただきたい。
  354. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) いま私の手元にございます、昭和四十六年度に実施いたしました地方公務員福利厚生事業実態調査というものによりますと、少し詳しくなっておりますが、よろしゅうございますか。——まず法定福利費につきましては、都道府県の場合、一般職員が七千六百八十六円、教育職員が八千二百六円、警察職員が七千六百八十三円。それから指定都市におきましては、一般職員が九千八百四十一円、交通職員が九千二百四十一円、水道職員は一万十五円。それから県庁所在市及び人口二十万以上の市におきましては、一般職員が八千七十四円、交通職員が八千二百五十八円、水道職員は八千五百三十七円。それから人旦一十万未満の市及び町村の一般職員につきましては、これが二十万未満の市は七千百八十三円、五万ないし十万の都市が六千九百七十二円、五万未満の市が六千七百九十三円、二万以上の町村が六千二百六十円、二万未満一万以上の町村が六千百八十九円、一万未満の都市は五千七百八十七円ということに相なっております。
  355. 小野明

    ○小野明君 いまのは法定ですね。
  356. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) それは法定でございます。
  357. 小野明

    ○小野明君 法定外を簡単に御説明願います。
  358. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 法定外も、いま申し上げたようにたいへん詳しい数字になっておって恐縮でありますが、都道府県におきましては……。
  359. 小野明

    ○小野明君 項目は一般、教育、警察、民間でいいんですがね。
  360. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 都道府県は、一般職員が二千八百五十四円、教育職員が千二十一円、警察職員が三千九百八十四円、県庁所在市及び人口二十万以上の市では一般職員が千八百七十七円、交通職員が二千六百四十一円、水道職員が千九百七円、それから人口二十万未満の市町村におきましては、一番高いのが人口十万ないし二十万未満の都市で千四百九円、最低が人口二万以上の町村で六百七十二円ということになっております。
  361. 小野明

    ○小野明君 民間との比較はいかがですか。
  362. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 先ほど総務長官からあるいはお答えになったんじゃないかと思いますが、民間企業における法定福利費は、日本経営者団体連盟の調査によりますと、全産業平均で六千四百七十三円、それからやはり同様の調査を、法定外福利費におきましては全産業平均七千七百八円ということになっておるようであります。
  363. 小野明

    ○小野明君 いま御説明のありましたトータルでは、総務長官は、民間の場合は法定外三千五百九十六円、法定内で五千六百四十円と、こういうふうに御説明があったと思います。それで、自治大臣は、いま御説明になりましたのは、民間の場合法定で六千四百七十三円、法定外で七千七百八円と、非常に大きな違いがあるようでございます。この点はいかがですか。
  364. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 総理府のほうの数字は四十五年度の調査でございます。その時点が自治省は四十六年の調査になっておる。その差が大きいように考えます。
  365. 小野明

    ○小野明君 いま御説明がありましたが、総理府でお調べになったのは四十五年、自治省でお調べになったのは四十六年、こういうことでございますが、間違いございませんか。
  366. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 先ほどお答えを申し上げましたように、自治省で調べましたものは四十六年のものでございまして、その調査はいずれも日本経営者団体連盟の調査であります。
  367. 小野明

    ○小野明君 一年の違いで約七千円の開きがあるというのが、事が法定内、法定外福利費であるだけに非常に私は問題だと思うんです。  それで、いま日本経営者団体連盟の報告でありますと、自治大臣このように御説明になりましたが、これによりますと、私もこのトータル持っておりますが、大体自治大臣のおっしゃるとおり。ところが、総理府の分は、四十五年の調査でこれだけの開きがあるというのは私はどうもどうしても納得がいかない。これはいかなる理由によるものですか、再度説明をいただきたい。
  368. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) ちょっと補足して御説明申し上げます。  総理府で申し上げました法定外の調査は、四十五年度の調査をいたしましたのでございますが、その際に、民間につきまして特別に調査をいたしたわけであります。その結果、先ほど大臣から申し上げました数字になっておるわけでございますが、その際、その時点における日経連の調査ともかなり食い違ってございます。それは、日経連の調査は、主として大きな規模の法人、事業所が対象になっておりますが、総理府で調査した場合には、人事院の給与勧告調査と同じような角度で、いろいろな企業を入れておりますために数字が低くなっておると、こういうことでございます。
  369. 小野明

    ○小野明君 官民格差の比較というのは非常に重要な仕事であります。特に、総理府が、自治省が調査したよりも一年前の調査を出すなんというのは、これは不見識きわまる話ではないかと思うんです。御見解をいただきたい。
  370. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) お答え申し上げます。  御指摘のとおりだと思います。これから、なるべく早期な調査をして、民間との格差是正につとめるのがわれわれのまた役目でもあると考えておりますので、今後はそのようにいたしたいと思います。
  371. 小野明

    ○小野明君 これは、総務長官、あなたの耳の痛いことを再度申し上げなきゃならぬですが、いまの調査のこともさることながら、私が総理府にその調査を要求いたしました。十日ほどたって参りましたが、「四十五年度国家公務員の福利厚生費調査結果表」一カ月一人当たりと、お持ちのような調査がまいりました。ところが、出したところが書いてないんですよ。総理府とも何とも書いてない。これは怪文書になっておる。私が予算委員として要求したんです。そのよこした資料がこういう怪文書的な資料というのは私はけしからぬと。それは、私の机の上には、予算委員会資料ですから、一尺か二尺ぐらいありますよ。その中で、責任の所在が書いてないのはおたくだけです。この点について釈明を求めます。
  372. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) まことに御指摘痛み入りました。今後はよく注意いたしますので、よろしくお願いします。
  373. 小野明

    ○小野明君 そこで、総理府、自治省、労働省等で、福利厚生費についてそれぞれ調査結果の報告が行なわれておるわけでありますが、調査方法とか、その基準がまちまちで非常に比較がしにくい。この点私は認める。そこで、政府で統一した基準や要綱を作成をする、官民格差が明確にわかるように配慮をしてもらいたい。これは人事院勧告の基礎にもなる問題であります。それで、毎年、一年一回はこういう調査を行なうべきであると思うのです。この点で長官並びに自治省の御見解をいただきたい。
  374. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) やはり、統計資料の内容がばらばらであっては比較になりませんので、それは、私も最近就任したばっかりでございますが、もらって実は驚いたわけでございまして、御指摘のように、各省とよく連絡いたしまして、同じような基準で同じようにつくるという、これは当然のことだと思って努力をいたしたいと思っておるわけであります。
  375. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 自治省といたしましては、地方公務員の福利厚生事業の実態調査は、最近では四十一年度と四十四年度、それから四十六年度の三回にわたって実施をいたしておりまして、その中間の年度においては、都道府県の一般職員についてのみ抽出によって実施をするということをいたしておるのであります。ただいま御指摘のございました問題については、やはり、もしそういった調査方法等を改善をするということになりますれば、総理府が中心になられまして、われわれも御相談を申し上げて、そういった点の検討をしてみたいと、こう存じております。
  376. 小野明

    ○小野明君 私の資料要求で自治省は非常に精度の高い報告をいただいております。  それから次にいきますが、国家公務員の法定外福利に対する制度上の問題。国家公務員の福利厚生については、地方公務員と同様に、社会保険である共済制度と、労災補償である公務災害制度がそれぞれの単独法として制定されております。——お示ししておると思いますが、資料の「別表二」に示しますように、民間企業従業員の健保、厚年、労災補償等の諸制度と対応する仕組みになっておる。給与、その他福祉についても、一応均衡のとれた措置が講ぜられております。しかるに、国公法第七十三条に定める能率増進計画については、国家公務員宿舎法に定める宿舎、その他レクリエーション等の人事院規則に部分的規定があるにとどめられ、民間企業企業内福祉に対応する厚生制度として確立をされておりません。早急にこの問題に取り組み、制度の確立をはかるべきだと思いますが、人事院並びに総理府の御見解をいただきたいと思います。
  377. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) お答え申し上げます。  私どもの立場といたしましては、ただいまの問題は、おもに総理府の所管ではございますけれども、しかし、われわれとしては、給与と並んでこの職員の福利厚生というものは重要な人材誘致の条件にもなりますし、また、人材確保の条件にもなるという意味で、非常に大きな関心をもって臨んできておるわけでございます。したがいまして、ただいまのお話のような趣旨において、今後も大きな関心をもって検討を進めていくべきだと思いますけれども、ただ、私どもの従来の経験から申しますというと、たとえば、いまたまたまお話の出ました退職手当とか、それから災害補償のほうは、これは大体つかみやすい素材を、素質を持っておりますものですから、これはかねて民間調査をやりました。これははっきり出てまいります。したがいまして、それに基づいて先年は退職手当の改正もお願いいたしましたんです。ただいまのこの一般福利厚生になりますと、これは実に基礎が入り組んでおりまして、向こうでは法定外になっておりましても、公務員側では、実は共済組合法があったり、何々法があったりという、これは法定内になっておるというようなこともございますので、きわめて精密なる調査ということは、これは困難かとは思いますけれども、それにしても、われわれとしては、やつぱり民間に劣らない補償をしたいという気持ちを持っておりますので、総理府とも協力いたしまして、その方向になお努力をいたしたいと思っております。
  378. 小野明

    ○小野明君 次に、地方公務員の法定外福利に対します制度上の問題点がございます。  国家公務員同様、地公法四十二条で厚生制度、四十三条で共済制度、四十五条で公務災害補償制度と三本柱になっております。機構はお示しいたしております。しかるに、共済と公務災害については地公法四十三条、四十五条を根拠として、公務員共済組合法、地方公務員災害補償法、単独立法が講ぜられております。ところが、国家公務員とか、あるいは民間企業従業員に対応する制度が確立され、給付その他の福祉についても均衡のとれた措置がとられておる。であるにもかかわらず、四十二条の厚生制度におきましても、「地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならない。」と、明確に規定をされておりますが、国家公務員と同様に、厚生制度については具体的に制度を確立されておりません。また法定外福利についても、官民格差があることは認められたとおりでありますが、自治省としてはどのような方法で地方公務員の厚生制度の確立に取り組みになられるのか、その見解をお示しいただきたい。
  379. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 御指摘がございましたように、地方公務員の福利厚生の事業につきましては、公務員法の規定もございまするし、地方公共団体、それぞれ実施をいたしておるということは申し上げるまでもございません。ただ、御承知のように、この福利厚生事業というものは、それぞれの地方公共団体が自主的にいろいろ実施をいたしておるわけでございます。その結果、内容もきわめて複雑多岐にわたっておるというのが実情でございまして、これを一つの制度にまとめ上げていくということは私は非常に困難があるのではないか。むしろ、現在のような制度で、それぞれの団体が最もその団体に適するような事業を実施をされていく。ただその場合の、やはり財政問題というものがもとよりございます。そういった点は、自治省としては御承知のように常に配慮いたしておるところでございまして、私どもといたしましては、いまこれを何らかの形で制度的に一つの基準を設けるということがなかなか私は至難ではないかというように感じておるところでございます。
  380. 小野明

    ○小野明君 しかし大臣、四十二条に厚生制度ということで明定されておりますね。むずかしいからこれはもうこの条文は死にだ、こういうことではなくて、やっぱり展望、具体的な計画を立てるべきだと思いますが、いかがですか。
  381. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) いまも御指摘もあり、私どももまた先ほども申し上げましたとおり、こういった福利厚生事業というものは地方公共団体はそれぞれ実施をしなければならぬというたてまえであることは申し上げるまでもございません。したがって、このことを私どもは否定をいたしておるつもりは毛頭ございませんが、ただ、現実に行なわれておる法定外の福利厚生事業というものは、かなり内容が種々雑多であり、多岐多端にわたっておるわけでございます。したがって、私どもはそういったそれぞれの地方公共団体が一番必要だ、重要だ、こう考えて実施しておりますることが、今後もさらに充実をされていくということはきわめて肝要だ、こう考えておるのでございまして、決して私がいま申し上げたことは、だからと申しまして、こういうことを軽視をしていこうというような考えではないのでありまして、むしろ当面は、私はいまのようなやり方でその内容の充実をはかっていくことが一番適当ではないかというふうには考えておりますけれども、いま御指摘の点は、さらにわれわれとしてもなお検討をひとついたしてみたいと思います。
  382. 小野明

    ○小野明君 国公法七十一条では「職員の能率の発揮及び増進について、調査研究を行い、これが確保のため適切な方策を講じなければならない」、また地公法四十一条では、「職員の福祉及び利益の保護は、適切であり、且つ、公正でなければならない」、こう規定してあります。  そこで、人事院に伺いたいんですが、ここに掲げられております適切または適切な措置とは、公務員の福利厚生についても、給与あるいは勤務条件と同様に、社会的な水準が確保されなければならない適切の原則をうたっておるものと思います。これは国公法第二十八条、地公法十四条の情勢適応の原則の趣旨からいたしましても当然なことと思われます。人事院の御見解をいただきます。
  383. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 基本的には私どもそのように考えております。先ほど触れましたように、給与その他の待遇の問題、一環の問題としてわれわれとしても大きな責任を持っておる事柄だと思います。これが民間におくれをとってもいかず、また民間よりよ過ぎても、またこれ納税者の皆さんに申しわけないことでありますから、そういう点は十分勘案しながら、やはり努力を続けていくべきだろうというふうに考えております。
  384. 小野明

    ○小野明君 総理府にお尋ねいたしますが、これらの根本基準を前提として、国公法七十三条の能率増進計画についてどのような調査研究を行なっておられるのか、また「適切な方策」とは一体何か、具体的な実施計画の内容を承りたいと思います。
  385. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) お答えいたします。  総理府といたしましては、毎年定期的に、あるいは必要あるつど臨時に、各省の厚生担当課長の方々に集まっていただきまして、前年度における実施状況の検討、あるいは新しくまた重点を置くべき事柄等につきましていろいろと研究討議をいたしております。また最近では、特に地域ブロックでレクリエーション、こういう計画を行なうとか、あるいは総合的な体育施設がほしいというような要望がありまして、これは御案内のように、現在千葉県の船橋市に総合体育センターをつくるというふうなことをいたしておるわけでございますが、まだまだこういった点について私どもも十分な対策が立てられるとは考えておりませんので、何といいましても法定外の福利の問題でございますので、その実情に合わせていろいろと民間のいろんなやり方等も参酌をさしていただいて、公務員のほうが特別におくれるというようなことのないように注意をしてまいりたいと考えております。
  386. 小野明

    ○小野明君 自治大臣にお伺いをいたします。  地公法第八条第一項二号には、「給与、勤務時間その他の勤務条件、厚生福利制度」公務災害補償「その他職員に関する制度について絶えず研究を行い、その成果を地方公共団体の議会若しくは長又は任命権者に提出すること。」と、報告義務が明定をされております。このうち、特に厚生福利制度について、この条項がどのように運用をされてきたのか、また報告義務の具体例があったら示してもらいたい。さらに、今後地方公共団体、あるいは人事委員会等に対して、これら福利厚生に関する報告義務の完全実施や勧告について、どのように指導をされていくのか、お尋ねをいたします。
  387. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 御指摘のように、人事委員会にも国の人事委員会と同じような機能が与えられておるわけでございまして、地方団体におきましては、他の地方団体なりあるいは民間との関係、こういったものの実態調査を行ないまして、必要に応じてその結果を知事や市長等に対して要望するといったようなことをやっております。たとえば最近の例で申し上げますと、四十七年度におきましては、福利厚生制度ないしは住宅の実態調査等を人事委員会で行ないまして、これを知事に対して申し入れる、こういったような例が、四十七年度でも県で十数県ございます。
  388. 小野明

    ○小野明君 答弁はまことに不満ですが、時間がありませんので先に進みます。しかし、自治大臣総理府総務長官、いままでサボっておることですから、ぴしゃっとやっぱりやってもらいたいと思うんですね。  それから厚生制度に関する人事院並びに人事委員会の勧告の制度についてお尋ねをします。  国会法七十三条、地公法四十二条に示すように、法律の条文はあるが制度が完備されておらぬ、これはお認めになったとおり。根本基準があるが、それらが守られていない。私は、これらの適切な措置を確保するために、現行法がややあいまいな点がございます。そこで、国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正、人事院勧告並びに人事委員勧告を明定をして、これを確実に実施すべき段階にきていると思います。これについて、人事院、総理府、自治省の見解を承ります。それで改正案文はすでにお示しをいたしておると思います。
  389. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) うれしいお話でございますけれども、私どもといたしましては、現在の法律でも、勧告を申し上げる、あるいは意見の申し入れという制度がございまして、そういう権限はお与えいただいておりますから、可能であると思います。現行制度でも。たとえば、先ほど申しました退職手当の関係も、これは実は総理府の所管でありますけれども、われわれ総理府と一心同体で研究いたしまして、そうしてその結果は、別に意見の申し入れとか何とかいうようなかた苦しい措置をとらないで、これをひとつ実現しようじゃないかということで、非常に穏やかな形で実現しておりますので、そういう方法もありますことをひとつ御了承願いたいと思います。
  390. 小野明

    ○小野明君 総務長官
  391. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) ただいま人事院総裁がお答えを申し上げた線でわれわれもいいと思っております。  ただ一つ申し上げたいことは、先ほどから御指摘いただきました七十三条、ああした問題をやはりもっと積極的に取り上げようじゃないかというふうに考えておりまして、そうしたものを具体的に取り上げることの中で、ただいま委員の御指摘の問題もおのずから解決してくるのではないかというふうに考えます。
  392. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 地方公共団体の首長に対しまして、人事委員会が御承知のような給与等について勧告をするという制度ができております。まだこれは必ずしも、御承知のとおり全部に行き渡っておるというようなわけでもないというところにも問題があるようでございますが、いずれにいたしましても、私どもが地方公務員の福祉の増進ということはきわめて重要なことだというふうに認識をいたしておりますので、今後人事委員会制度の内容に充実なり、またその機能の発揮、それを受けて立つ地方公共団体もそれに対応する措置を積極的に行なうべきものだ、かように私、考えております。
  393. 小野明

    ○小野明君 せっかく大蔵大臣がおられますから、最後にお尋ねいたしますが、私、法定外福利等について、国家公務員、各省について若干調べてみたのです。ところが、大蔵省がやっぱり一番いいんですね、中身が。だから、同じ国家公務員、各省の中でも段階があるのです。で、いま私が指摘しましたような問題がございます。官民格差が正確に比較をされないという問題がありますが、確かに日経連報告から見ますと、公務員が低いわけですね。こういう点がございますので、格段のひとつ御配慮を賜わりたいと思いますが、いかがですか。
  394. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ、公務員の福利施設で一番大事なものはやっぱり住宅問題だろうと、こういうふうに私は思うのです。住宅はずいぶん努力してまいりまして、充足率もかない進んできておるわけですが、まだまだという段階です。まあ公務員は転勤等が多うございまするからどうしてもこれは、集団であるか個々のかまえであるか別といたしまして、やはり国がそういう施設を整える必要がある。大蔵省でもそういう見地に立ちまして計画的にその整備を進めておるわけなんです。  で、大蔵省がばかにいいというお話でございますが、別に大蔵省が住宅なんか——総合して見ておりますが、我田引水というようなことをしておるわけではなかろうと、こういうふうに思いますが、とにかく全体にそういう施策が行き渡るようにこの上とも努力をいたしていきたいと、かように考えます。  なお、その他の福利問題につきましても、大蔵省がかなりこれは重要な役割りを演ずるわけでありますから、公平に行き渡るようにせっかく注意し、かつ努力いたしてまいりたいと、かように思います。
  395. 小野明

    ○小野明君 文部大臣、たいへんお待たせをいたしておりますが、いままでお聞きのように、教職員の法定外福利——法定福利はほぼ変わりませんが、これらを見ますと、法定外福利を見ますと、一般県職員の方が二千八百五十四円、教職員が千二十円、それから警察が三千九百八十四円。民間で、自治大臣の御報告によりますと七千七百八円、教育職員が千二十円と、まことにささやかなものです。まあこれらについてどう取り組んでこられておるのか、あるいは地方教育委員会に対して御指導になっておるのか、承りたい。
  396. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 教職員の法定外の福利につきましても積極的な努力を払わなきゃならないことは当然のことだと思います。ただ、自治大臣からお話になりましたことを伺っておりますと都道府県の支出のようでございまして、その教職員の中には小中学校の先生方がたくさん入っておられると思います。小中学校の先生方の身分は市町村の公務員ということになっておりまして、市町村におきましてある程度住宅を建てたり、また健康診断なども行なっておるわけでございますので、そういう経費は入っていないんじゃないだろうかと、こう考えるわけでございます。同時にまた教職員は人数が非常に多いわけでございますけれども、各地に分散している。したがいまして、診療所を建てるとか、食堂を建てるとかいったことが比較的しにくいというようなことがあるんじゃなかろうかと、こう思います。しかし、いずれにいたしましても、いま大蔵大臣も住宅のことをお取り上げになりました。私もそのことを特に必要だと考えているわけでございまして、今後とも法定外の福利につきましても一そう充実しますように文部省みずからいろいろ努力もしていかなきゃなりませんし、また都道府県の教育長につきましてもその関心を一そう強めてもらうように指導してまいりたいと、かように考えます。
  397. 小野明

    ○小野明君 大臣承知のように、給与は半額県費であり、半額は国ですね。で、市町村だからそういう状態になっておるんじゃないかと、こういうお話でございますが、これは間違っております。法定外福利で、いま一般、警察、教育、それぞれ全部住宅、医療、保険、これらの項目にわたってのトータルが千二十円しかないんです。ですから、文部省はこういう点についてさらに御努力をいただかなければならぬ、これが事実であります。
  398. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) さらに努力する必要は大いにあると思います。ただ、私が申し上げましたのは、市町村が支出している法定外の福利の費用、それが都道府県の分でございますので算入されていない、したがって、少ない額が一そう少なくあらわれているんじゃございませんでしょうかと、こう申し上げたわけです。高等学校の先生方につきましては、当然都道府県の公務員が大部分だと思います。また、市町村とまたがっているというようなことも基本的にはございません。したがいまして、その数字はそのままあらわれていると思いますけれども、小中学校の先生でございますと、いま申し上げましたように両方で支出する部分があるわけでございます。健康診断は市町村がやっておるわけでございますし、また僻地の住宅なども、国が補助をいたしますけれども、市町村が建ててもらっているわけでございます。そういうものが算入されていないでしょうと、こう申し上げたわけでございます。しかし、今後も積極的な努力は払っていきたいと思います。
  399. 小野明

    ○小野明君 これは自治省の全県の調査なんですよ。ですから、市町村がどうやっているということも全部教育職ではじかれておるのですね。そこでどうも認識が誤っておられるんじゃないかと思うのです。  それでこの問題ばっかり言っておっても困りますから、本来の問題、例の育児休暇でありますが、先般の御答弁ですと、政府提案で取り組んでまいりたいと、こういうことであります。その内容、時期につきまして御見解をいただきたい。
  400. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 先日も申し上げましたように、国会でいろいろ御努力をいただいておるわけでございまして、紆余曲折を経ているわけでございます。しかし、この問題は早く解決をはかったほうがいいのじゃないだろうか、そうしますと、やはり政府案を提出することじゃないだろうか、こう考えておるわけでございます。御承知のように、退職調整をどうするとか、あるいはまた年金の期間計算をどうするとかいうようなことにつきましては、私はそれほど大きな意見の違いはないと思います。問題はノーワーク・ノーペイの原則と一先生方の実態を考えて有給にすべきだという議論と、これをどう解決していくか、これが一番むずかしい問題であろうと思います。そういう問題を詰めましてなるべく早い機会に私としては政府提案に持っていきたいなと、こう考えておるわけでございまして、その気持ちを率直に答えさしていただいたわけでございます。
  401. 小野明

    ○小野明君 昭和四十七年の六月に委員長提案で参議院で可決された内容がございます。これらの内容を十分御勘案の上御検討いつごろになりますか。
  402. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) なるたけ早い機会と申し上げるより、ちょっといまの段階でお答えをしにくいのじゃないかと、こう考えておるわけでございます。
  403. 小野明

    ○小野明君 内容はいかがですか。
  404. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 内容につきましても、いま申し上げましたように、いまお話しになりましたこともよく承知しておるわけでございます。いろいろな案があるようでございますけれども、一番いままで問題になりましたのは、範囲の問題と、それからいまの有給、無給の問題であったわけでございます。積極的に私として御理解いただけるような方向で詰めてみたいものだなと、こういう希望を持っているわけでございます。それぞれ役所の立場立場がございますので、政府案で詰めます場合にも相当難航を重ねるのじゃないかという心配はいたしております。
  405. 小野明

    ○小野明君 もう一問。  文部大臣、先般の総括質問の際に学歴差社会の是正と、こういうことで総理も御答弁になっておるのです。まあ今日の受験地獄というのもこの辺に大きい原因があることはお認めになると思うのです。そこで、この是正を求めるということを展望しながら、当面の入試制度の改善、特に頂点は大学でありますから、この問題をどう御検討になっておるのか、その見通し等について御説明をいただきたいと思います。
  406. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 高等学校の学習指導要領が四十八年に改定されまして、四十八年、四十九年、五十年度で三カ年にわたって全部完成をする。そこで、五十一年度からできれば国立大学につきましては統一学力テストをやりたい。こういうことで国立大学協会でも御検討いただいておりますし、また入試改善会議におきましても御研究いただいておるわけでございます。文部省としてはぜひ五十一年度にはそういう方向に行きたいという希望も申しておるわけでございます。そうしますと、高等学校の学習指導要領に基づく学力さえつけていれば無理な勉強、暗記ということをしなくても書ける出題が期待できる。それをもとにして各大学が簡単なテストを実施してもらう。やはり各大学の選抜権を奪うわけにはいかないと思うわけでございます。したがいまして、できる限り各大学の専門専門に即した適性を持っているかどうかを見てもらう簡単なテストで済ませられるようにできないものだろうかと、こういうことでいま各方面で御検討いただいているところでございます。
  407. 小野明

    ○小野明君 まあ、この問題は非常に重要であり、もう時間がありませんから、あとの機会を求めたいと思うんですが、最後に申し上げたいのは、国大協の答申を待つ、検討を待つということではなくて、大臣は非常に強引なやり方がお好きなようでありますから、この問題も積極的なひとつ提案、たたき台を提示するというようなお考えで臨んでいただきたいと思うんです。最後に御答弁いただきたい。
  408. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 国立大学協会に対しましては、文部省としては五十一年度から統一学力テストを実施してもらいたいと、こういう希望を伝えて御検討をいただいているところでございます。
  409. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これにて小野君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  410. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 矢山君。(拍手)
  411. 矢山有作

    ○矢山有作君 きょうは障害児の教育問題についてだけ伺っておきます。  障害児の教育については、その方法、内容について論議すべき多くの問題がありますけれども、当予算委員会においては時間の関係からそれは別の機会に議論することといたしまして、当面する問題について聞いておきたいと思います。  まず第一は、文部大臣にお伺いしますが、憲法は二十六条で、すべての国民の教育を受ける権利を保障しておるのに、学校教育法の二十三条及び三十九条では就学義務猶予・免除の規定を定めてこの教育の権利を奪っているわけでありますが、その理由は何でありますか。
  412. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 就学猶予を受けなければならないような病症で、どうにもそれに耐えられないというような方もあるわけでございまして、そういう方につきましてはそれなりに就学猶予・免除が必要だと、こう考えます。ただ問題は、心身に障害を持っているけれども学校へ入って教育を受けたいんだと、受けたいんだけれどもそういう施設がないために受けさしてもらえない、そのためにやむを得ず就学猶予・免除の制度でそれをはばんでいる、これは避けていかなきゃならないと思います。したがいまして、就学猶予  免除には二つの種類があると思うんでございまして、そういう制度がいけないんじゃなくて、教育を受けたいにかかわらずそういう施設がない、それを就学猶予・免除で片づけていると、これはもうすみやかに排除しませんと、いまおっしゃいました憲法の精神に反することが行なわれているということになるのではなかろうかと、こう思っております。
  413. 矢山有作

    ○矢山有作君 私は、この障害児の問題につきましては、先般来各施設を実地に調査していろいろ調べてみましたが、この障害児といわれる人で、やはり教育を希望しておるという人が非常に多い、ほとんどだと思います。それをやはり学校教育法で奪っておる、それは私は国のほうに責任があると思います。したがって、このことについては早急にそういう態度を改めていただきたい。  このことを前提にしながら、最近、聞くところによりますと、文部省は障害児教育に踏み切るということでありますが、その具体的な内容はいかがですか。
  414. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 障害児につきましては、養護学校を設けてここで教育を行なっていかなきゃならないわけでございます。義務教育制度がとられているわけでございますけれども、そういう方々について養護学校を設けてこれを収容していかなきゃならないけれども、その義務が当分の間施行されないということになっておったわけでございます。それを昨年改正をいたしまして、義務制を施行すると、しかし、まだ学校が全部整っておりませんので、五十四年四月一日から全面的に義務制にすると、こうしたわけでございます。したがいまして、障害児が学校に入りたいと、まだ施設が十分でないからそれは待ってほしいと、こういうことは公共団体としては言えなくなったと、言えなくなるということでございます。五十四年に間に合いますように、各都道府県に対しまして計画を立てて養護学校を設置してもらいたいということで計画の提示も求めておるわけでございます。やはり相当な施設を要しますので、義務制の施行をする、その際には完全に受け入れられる施設が整っているということにしなければなりませんので、五十四年四月一日ということで先般政令を出させていただいたところでございます。
  415. 矢山有作

    ○矢山有作君 ところで、障害児の中でも重症児の教育というのはなかなかこれはむずかしいと思うんです。ところが、重症児だからといって教育をしないでほっておいていいということはない。その場合の教育の概念というのは、単なる学校の教科書でものを教えるというのではなしに、もう少し広い意味で私は言っておるわけでありますが、そういう重症児の子供に対する教育の問題についてはどうお考えですか。
  416. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 重症児の子供さんのつもりでお答えをしておったわけでございまして、心身に障害を持っておられる方々につきまして、今日でも養護学校がございますけれども、その数が十分でない、それなりに重症児につきましては施設に相当な経費も要したりしますし、人手も用意しなけりゃなりませんので、やはり若干時間をおいて義務制に移行するということにしているわけでございます。  なお、今日でも家庭で療養を受けておられる、あるいはまた病院で療養しておられる、そういう方々につきまして訪問指導するという仕組みも相当な県でとられてきているわけでございまして、文部省におきましてもこういう訪問指導に当たる人たちに対する国庫補助制度をことしから、四十九年度からとらせていただくことにしたわけでございます。もちろんそれほど重い方でございませんと多くの学校が特別な学級をつくりまして、そういう方々の特別な指導もやっておるわけでございますけれども、重症の方々につきますと、学校に入れる場合にも病院施設その他相当なものを持たなきゃなりませんし、それだけで済まない方々につきまして、いま申し上げますような訪問指導をしていくというような仕組みもあわせて講じさせていただいているわけでございます。
  417. 矢山有作

    ○矢山有作君 これは厚生大臣にお聞きしたほうがいいと思うんですが、現在、児童施設の中で教室をつくって教育をやっておる、学校の先生を派遣してもらって——そういう施設がかなりあると承知しております。それらの施設に対する、その教室をつくるとか、あるいは教育関係の設備や備品、それらを整えさせるための国の対応策というのはどうなっていますか。
  418. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私も以前に厚生大臣をいたしておりましたときに関心を持ちまして、これらの心身障害児収容施設に参ったり、またその施設に設けられておる特殊学級などを見学したことがございます。しかし、今日私が急に代理を仰せつかりましたので、この問題につきましては専門の政府委員からお答えさせます。
  419. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 重症の心身障害児施設の中における教育につきましては、筋ジストロフィーあるいは重症等、国立の療養所の中で収容しているものと、それから公立あるいは私立の重症心身障害児施設あるいは重度の肢体不自由児施設等があるわけでございます。その中で学級をつくっておりますものについては、これは教育委員会等の負担——国費によって、その地方の教育委員会と連絡をとりまして、そして文部省所管の教育委員会のほうでその施設あるいは教員の給与等を負担しておられるわけでございます。で、厚生省関係でございますと、特別教材費というのがございまして、これは重症心身障害児あるいは筋ジストロフィーの収容児を持っております施設における学用品費、こういったものを措置費という中で特別承認で厚生省のほうから出ていると、こういう仕組みになっているわけでございます。
  420. 矢山有作

    ○矢山有作君 局長ね、重症心身障害児だけに限ってものを言っているわけじゃないんで、誤解のないように。  ところが、私は実際に、ある施設に行ってみて、そこでは教室を、小学校の教育をするのと、中学校の教育をするのと、二つ持っている。ところが、この教室はどうして建てたと言ったら、これは補助がもらえぬので自分のところで建てたんだ、こんな不合理な話はないと、義務教育を受けさせるのに、教室を金のない施設がみずからがつくらにやならぬというのは全く心外だという話を現実に聞いてきたわけですよ。そこでこの問題を提起したわけです。
  421. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) お答えいたします。  御指摘の点がございましたら、これは施設あるいは都道府県における教育委員会との連絡が不十分であったのではなかろうかと存じます。その点は、御指摘のあった施設につきまして当方においてさっそく調査をいたしまして、なお処置をとりたいと存じます。
  422. 矢山有作

    ○矢山有作君 ただ単に施設の側と教育委員会との連絡が不十分であったということでは済まされぬ問題なんです。そういう指導を積極的に厚生省がやっておるならば、施設はそれを承知しておるはずだ。その指導がないから知らぬと言っておる。
  423. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) あるいは御指摘のとおりの点があったかとも存じます。その辺につきましては、おっしゃるとおり、そもそもそういった施設における教育問題というものは、やはり厚生省としても十分関心を持つべきものでございますから、教育委員会等に十分こちらからも連絡のとれるような、文部省との協力という点についてはさらに今後進めてまいらなけりゃならぬと、こういうふうに考えます。
  424. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。  局長ね、教育委員会、教育委員会とおっしゃいますがね、病院なら病院に収容されている、そういう特殊な子供はその病院のある地域の教育委員会が教育しなけりゃならない義務の中に入るもんじゃないんですよ。教員もね。したがって、話し合いで派遣はしていますけどね。病院という特殊な施設に入院をしている患者に対して、その教育委員会が小中学校の先生を派遣しなけりゃならない義務もないわけです。しかし、特殊な関係にありますから、便宜的に話し合いでやっているにすぎないんですよ。で、矢山委員の指摘するように、したがって、施設は、これはそういう特殊な身体条件の子供ですから、国が、文部省と厚生省で話し合って、そういう子供を治療兼教育するという意味で、国立の病院等には特別な教室を付設するというようなことを考えてくれなけりゃ、その教室を市町村で持つことはできませんしね、また、やるべき筋合いのものでも、形式的にいえば、ないわけですよ。そこいらが御認識がないので、いまのような御議論になるんじゃないかと思うんです。私どもも非常にそういう問題に遭遇しまして、その子供たちの救済に困っているたびたびの体験があるわけです。これは文部省と厚生省で財源的にどうするかと、ほんとうの意味の救済をするなら財源的にどうするかということを話し合っていただかなけりゃ解決つかないと思いますので、両大臣に、その点お話し合いをいただけるかどうか、御返事を賜わりたいと思います。
  425. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) その前に。  ただいま御指摘の点につきまして、確かに重度の障害あるいはその他重度の肢体不自由児、こういう子供さんたちの教育というのは、われわれが普通考えております教育とは別途の概念で処理しなきゃならぬ。また、先ほど矢山委員の御指摘になりましたように、施設につきましてもやはり特別の配慮が必要である。したがいまして、そもそもそういう施設をつくるときからそういう配慮が必要であろうと、こういうように存じます。それにもかかわらず、現在の収容施設あるいは病院等を含めまして、収容ということに重点が置かれておりましたために、広い意味における教育というものがおくれてきておったということも確かに御指摘のとおりだと思います。そういった点につきまして、この問題が、文部省であるとかあるいは厚生省ということでなくて、そもそも教育、広い意味の教育という問題をとらえて、やはり私ども、御指摘のように、文部省とも十分こういったことを前向きでお話し合いをして進めていかなければならない、こういった趣旨でお答えしたわけでございます。
  426. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 児童福祉施設その他に収容されている障害児につきまして、そこで、いま御指摘になりましたように学級を編成して、あわせて教育を行なっていくということは大切なことだと、かように考えているわけでございます。そういうふうにやっていただきます場合には、一般の場合と同じように、一学級百六十八平方メートルの施設ということにしているようでございますけれども、それに対応する補助金を支出する、同時にまた設備の費用、それから教材の費用も補助するということにしているわけでございます。文部省と厚生省との間でさらに一そう連絡を緊密にしながら、そういう方針が周知徹底されるように努力をしていくべきだと、かように考えます。
  427. 矢山有作

    ○矢山有作君 要するに、就学義務猶予、免除といういうことで、教育権を奪って、施設に入れておる。それに籍口して、積極的にその子供を教育しようという姿勢がないから、したがって、施設では、いま加瀬委員が指摘されたように、話し合いで教育をやっている。それに対して、教室もつくってやらない、教具も手当てをしてやらないというばかな話はない。これは局長ね、厚生省のほうで所管しておる施設だから、全国的に実態を調べて、一体どういうふうになっておるのか、こちらへ報告をしてほしい。どうですか。
  428. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) お答えいたします。  さっそく調査をいたした上で御報告いたしたいと思います。
  429. 矢山有作

    ○矢山有作君 次に、障害児に対する社会の偏見、差別が依然として残存しております。特に、学校の教科書の中にまでこれを助長するような記状があるということが、昨年の四月の二十四日、参議院の社労委員会の参考人の陳述の中で指摘されまして、この是正方について強く要望されたところであります。したがって、私どもといたしましては、同年六月二十一日の社会労働委員会の決議といたしまして、「心身障害児・者対策の推進に関する決議」、この中にこの参考人の述べられたことを取り入れて、こうした偏見、差別を助長するような教科書を全面的に是正すべきだということを要求したわけでありますが、その後の経過をお話し願いたいと思います。
  430. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 事務当局のほうからお答えさしていただきます。
  431. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) ただいまのような御指摘をいただきまして、私どものほうでは、会社と連絡をいたしまして措置をいたしております。
  432. 矢山有作

    ○矢山有作君 早急に措置をして是正されておるのかどうか。
  433. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 是正をいたしております。
  434. 矢山有作

    ○矢山有作君 是正しおる——じゃ、教科書にはないね、もうそんな記述は。
  435. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) そういう記述はないはずでございます。
  436. 矢山有作

    ○矢山有作君 はずじゃ困る。
  437. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 御指摘のあった点につきましては、是正をしております。また、そういう記述がございましたら、是正をさせます。
  438. 矢山有作

    ○矢山有作君 次に、偏見、差別をなくするための私は積極的な教育が要ると思うんです。ただ、教科書にいままで偏見、差別を助長するような記述があったからそれを取り除くというだけでは、現存しておる偏見、差別というものはなくならない。そこで、それに対してどういうふうなことを考えておられるのか、何も考えていないのか。これは文部大臣、あなた文部大臣が長いんだから、その見識においても答えなさいよ。
  439. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) いずれも学習指導要領におきましてそういう重要な問題について必要な考え方の指導をしていかなきゃならない、かように考えるわけでございます。具体的には、それぞれの学習指導要領の記述、そしてそれに基づく指導の徹底ということではなかろうかと思います。今後ともそういうことで十分な配慮を加えていきたいと思います。
  440. 矢山有作

    ○矢山有作君 これは文部大臣、実は最近兵庫県で福祉教育を正課に入れるということで、この問題に積極的に取り組もうとしておるわけです。これを御存じですか。御存じであったら、これに対する御所見を伺いたい。
  441. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) そういう事実は私どもまだ存じておりません。もしやるといたしましたら、これは課外で教育をするか、あるいは社会科等の中で教育をするということであると思いますけれども、私どものほうでは、まだそういう事実は承知をいたしておりません。
  442. 矢山有作

    ○矢山有作君 そういうふうに言われておるから、したがって兵庫県とすぐ連絡をして、どういう形で福祉教育というものに本格的に取り組もうとしておるのか、特に正課に入れて取り組もうというのですから、これは文部省としても積極的にそのやり方等を参考にして、文部省自体が福祉教育を正課に取り入れて積極的にやるという、そういう気持ちを持ってもらわぬと困る。どうですか。
  443. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) たいへんよい例をお話しいただいたわけでございますが、私どもでもそれを検討さしていただきまして、全国的にそれを指導に利用できるものにつきましては利用もさしていただきたい。いずれにいたしましても、障害児が明るく生活していけますように、教育の面におきましても積極的な努力を払っていかなければならないと考えております。
  444. 矢山有作

    ○矢山有作君 きょうはこれで、あすに譲ります。
  445. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 矢山君の残余の質疑は明日これを行なうことといたします。  明日は午前十時二十分開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十四分散会      —————・—————