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国務大臣(
田中角榮君) 食糧の自給度を上げなければならないということを原則にいたしております。まあ
国内で充足できる食糧、特に主食や、また地形、地勢上、気候上の適地として、国産によれるものに対してはできるだけ自給自足をいたしたいということを原則といたしております。また、主食につきましては、
国内で安定的に供給をするだけではなく、開発途上国に対して援助をしなければならないということもございますので、
国内の余剰米をもって援助するというだけではなく、これから外地等において開発プロジェクト等を検討いたしておりまして、そういうところで生産するものを開発途上国に供給するということになれば、金額の点においては約倍額供給できるわけでございますから、そういうものも考えたい。で、また、それは非常なときにおける内地への主食に対する備蓄ともなるわけでございますので、そういう
国内、国外両面において考えておるわけでございます。大豆のように、どうしても
日本の、気候上の制約から考えますと、北海道を除いては国際価格としては合わないというものに対しては、開発輸入、長期安定輸入というようなことで、まあ
日本が場合によっては外地において大きな農地を持ちながらこれを生産するということもございますし、現地とのジョイントベンチャーで行なうというようなことをいま各国との間に詰めておるわけでございます。
私が三十万ヘクタールと言いましたのは、土地は、
需要と供給とのバランスの上に地価は起こるわけでございまして、宅地の
需要ということは、もうこれは当然のこととして
国民的な要望でございます。しかし、まあ限られた、大都市で土地つきの家を与えるということはなかなかむずかしいことでございます。これは世界じゅうどこでもそうでございます。それはどういうことでもって与えておるかというと、結局、市街地の再開発を行なう、立体化を行なうということによりまして、住居面積を与えるということになっておるわけでございます。
一つには職住の近接ということで、借家方式をとるということでございますし、もう
一つは、ある若い世代においてやはり所有欲というものもございますし、ものを大事にするということもございますし、勤勉の源泉にもなるわけでございますから、そういう意味で分譲住宅という制度がとられております。また、公営住宅のようなものは、やはり低所得者、それから身体障害者とか、
国民連帯の思想の中で解決をしなければならないものに順次転換をしていかなければならないということは、これは当然のことであります。
昭和二十七年だと思いますが、現行公営住宅法を私が中心になって議員立法を行なったときには時限法でございましたが、これが現行法のように恒久法に転化をしておるわけでございまして、これらの問題は量から質へ転化をすると同時に、やはり
国民的な
要請にこたえて住宅を与えるという面の一翼をになわなければならないと、こう思います。しかし、一生かかっても土地つきの家を持てないということでは
国民の意欲が満たされるはずはありません。そういう意味で、まあ十年たったらどう、十五年たったらどう、二十年たったらどう、三十年働いたらどうということで計算をしてみますと、少なくとも
昭和六十年、十二年後の展望に立つと、
日本は
主要工業国の中で
賃金水準はアメリカをこす可能性もありますし、まあ今度のようにうんと低い、
経済成長率が低い場合には、これは実質的にアメリカをこすということにはならないかもわかりませんが、いずれも百四十五カ国の中のアメリカと争う、一、二を争うというところまでいくことは事実であります。そういう展望に立っていま勤労者財産形成などをやっておるわけでありますが、これは、ただ利息を大きくするだけではなく、土地と住宅に関連を持たしたいと。そうすれば、二十年、二十五年たっているうちに、最終的には土地つきの家はその間においての積み立てで入ると、しかも、少額貯蓄非課税というもので相当部分、これはまあいまは
——三百万円に来年度するということでございますが、これも大きくなっていけば、当然いまの価格にして一千万円、二千万円というものの積み立てができるわけでございます。それで退職金はそのまま残るようにと、そういうことになれば、ある一定年齢に達したものがすべて老人ホームに入らなければならないという異常な
事態、北欧三国のような
状態を避けられるということで、いま長期的な計画を練っているわけでございます。そうすると、
昭和六十年度を展望しますと、
国民がいま要求しておる住宅の数は三千万戸余でございますが、これらのうち、これはまあ建てかえとかいろいろな問題がございまして、計画的に行なわなければならぬと大ざっぱに考えられるものが千百五十万戸でございます。その中で千万戸ぐらいのものは何とかしたいという考え方を持っているわけです。
政府は計画的にやりたい。
政府、地方公共団体、農協等は。そうすると、大ざっぱに勘定しますと、土地を与えるものが約五百万一尺それから都市にどうしても集中いたしますので、土地つきではなくとも
——土地つきでもいいんです、これは六十分の何戸というふうな住宅の面積で土地を割ればいいわけでありますから。そういうふうな、いまのマンションの分譲のような土地つきということもありますが、不燃建築物がつくられる場合、土地というものはもう固定して考えていい、そうすれば住居面積というものはちゃんと手に入る。そういうものが約五百万戸分と、こう考えますと、六十年までに必要なものが二十八万ヘクタールであります、住宅用地として必要なものが。そうしますと、二十八万ヘクタールというものは市街地区域内における農地が二十八万八千ヘクタールございますから、これが全部直ちに住宅に転換すれば、もう六十年までの宅地は求められるわけでございます、算術的にはそうなるんです。
しかしこれはなかなかうまくいかない。この上に過密をしたら、これはもう動けなくなってしまうし、水はない、電力はない、どうにもならなくなる、公害問題があります。そういう意味で、第二の問題として考えましたのは、全国的な工業再配置とか、いろいろな問題がございますし、それから一次産業比率が下がってくるというその
人たちを都会に集めないためにも国土の総合開発計画というものを考えざるを得ません。そうしますと、全国的に見て二十八万ヘクタール、大ざっぱに言って三十万ヘクタール、三十万ヘクタールという宅地を全国的に求めるということはそんなにむずかしいことではないんです。ありません。これはまあ農地として三十万ヘクタールずつを勘定しますと
——大体三倍をいま目標にしたわけです。農地からの転用が三十万ヘクタール、それから都市の中におけるものが二十八万八千ヘクタールで約三十万ヘクタール、それから雑地とか、それから調整区域内におけるものを約三十万ヘクタールとすれば、三倍の供給力を
政府は
国民の前に明らかにする。こういうことになれば地価は下がるにきまっておる。こういうことで検討しておったわけでございますが、御承知のとおり、現在まで、四十六年度から四十八年度にわたって、いま生産調整をやっておるものが毎年五十四万ないし五十六万ヘクタールあるわけでございます。しかも休耕面積というものが、この中で二十九万四千ヘクタールが、四十八年度には二十七万三千ヘクタール、こういうふうになっておりまして、本年九月の概算要求でもって来年度を見ましても、作付転換目標としては三十三万九千ヘクタール、通年施行分を四千五百万ヘクタール見ているわけでございますが、これは通年施行が終わればみんな生産地になるわけです。ですから、こういう
現実の上に立って調整ができないかということを考えますと、現在でも農地で転換をしておるものが年に約七万ヘクタールずつございます。そうすれば四年間というと二十八万ヘクタールでございますから、無計画に転換をされるよりも、三十万ヘクタールというものを目標にして全国で町村、農協、その他、換地処分を行なったり、いろいろなことをしながら宅地を中心にした土地の再編計画というものができないか。そういうことを言いますと、九州や四国などは軒ばたまで国有地になっておるわけです、明治初年の問題として。非常に困っておるわけです。ですから、そういう国有地を国有林活用法ができておりますから、このようなものを無税地として農民や住民に与えてくれるならば三十万ヘクタールや四十万ヘクタールの転換というものは地域的にはむずかしい問題ではないという
現実問題が各地にございます。ですから、知事、市町村長、農協、農民、それから国が一体になって四年間に自動的に転換されるようなものをもう少し具体的に計画を立ててみないかということで農林省に調査を命じましたのが俗に言われる三十万ヘクタールと、こういうことになっておるわけでございますが、これはばらばらになっておるものとか、それから自分のたんぼを、こさになっておってどうにもならないからこれを埋め立てて分家に出したいと言ってもなかなかうまくいかないとか、
現実的に現行法による農振法の適用を受けておるのでなかなかうまくいかないとか、それからもう国道沿いは全部
現実的には
取引が行なわれているにもかかわらず、農振地域であり、優良農地
——営農地であるためにこの問題に対しては転用はできないというような問題がございます。そういう問題を全部ひとつ明るみに出して土地の再編成という問題で勉強してもらえないかと、こう言ったわけでございまして、農産物に対する基本的な考えは前段申し上げたとおり、三十万ヘクタールという
一般に伝わっておるものに対してはいま申し上げたとおりでございまして、二、三年間かかって国有地との問題、それからいろいろな雑地との交換分合等を考えれば土地問題に対して大きく寄与できると、こういう事実のもとに俗に三十万ヘクタールと、こういう調査をいましておるわけでございます。