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佐々木静子君 この
精神病者は非常にいろいろな点で事故があったり、あるいは十分な医療が受けられないというのは、むしろこれは経済的な
理由によることがたいへんに多いと思うんですよ、国の行政の貧しさから起こっている問題で。かりにいまのその外国のようなりっぱな施設をするとすれば、むしろ現行法のままで厚生省のほうへそれだけの予算を回して、厚生省でもっと——
精神病で入院したいけれ
ども、もう受け入れがないから入れないとか、それから
精神病で入院するというのは非常に費用が高くつくので、家族としても.しかたがないからうちの中で座敷牢のような状態に入れておくとかいうようなことが多いからいろいろな問題が起こっているので、これはむしろ厚生行政が貧困だからこういうことになってきているというふうに私
ども思うんですけれ
どもね。そういう点で、外国でこの
保安処分というのがあるから日本でもしなくちゃならないというふうにお考えか知らないけれ
ども、これはいまのスタッフとか、いまの状態で
保安処分という
制度を導入しても、これは頭の、机の上ではなるほどこれはいいかもしれないなと思うかもしれませんけれ
ども、これは私はもうほんとうに、絶対と言っていいくらい、うまくいくはずはないと思うんです。
これは私も、ついこの間も、私は民間人だから看守の人と出会うことがわりと仕事の
関係でありますけれ
ども、別に私悪いことをして刑務所なんかに入っていって看守と出会っているわけじゃなくっても、おい、こら、おまえとぼろくそですよ。この間も私、公務員の名刺で行っているのに、私はどづかれなかったけれ
ども、ほかの弁護士は看守になぐられた。これは別に表ざたにしようとは思いませんけれ
ども、
法務省のお役人にはそういう人に限って非常に丁寧にされるから、看守というのはまずまず信用できるというふうにおそらく
矯正局長は思っていられるんじゃないか。
矯正局長にはそれは礼儀を尽くされるでしょう。まさか、おい、こら、おまえとは言わないでしょう。ですけれ
ども、一般の民間人には、それはもうむちゃくちゃにひどい言動を吐いている人も大ぜいの中にはいるわけです。これは大ぜいいらっしゃるから、全部に教育が行き渡らないとおっしゃるし、また私もそうだと思うんです。資質のいい方もいらっしゃるけれ
ども、大ぜいの中にはやはりいろんな方がおられるというふうに理解しているから、その
事柄をどうこうと言おうとは思いませんけれ
ども、しかし
社会から隔離された中にあって、しかも収容されている身分で、しかもその人が
精神に異常があるとなれば、これはよほど高度な資質を持った、よほどの
人権意識の高い人間じゃなければ、これはとうてい安心できる状態には置けないんじゃないか。そして大ぜいの中には一人や二人むちゃなことをやるのができるとおっしゃるけれ
ども、これは、外部の者に対してはどなろうと多少暴力をふるうようなことがあっても、それはいいですよ。だけど内部にこれは国家権力で拘束しているんですから、その
人たちに対して
人権じゅうりんをするようなことが起こり得るという可能性がゼロ%ではないわけですからね、そこら辺のところを
矯正局長としてほんとうに自信があってこういうことを言っていらっしゃるのか、これはやっぱり無理なんじゃないかなと、私はほんとうは無理なんじゃないかと思っていらっしゃるんじゃないかと思うんですけれ
ども、その点矯正の行政について一〇〇%の御自信を持ってこういうふうな
保安処分というものを導入しようとお考えになっていらっしゃるのかどうか。まあ自信がないとはおっしゃらないでしょうけれ
ども、いかがですか。