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1974-05-30 第72回国会 参議院 文教委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月三十日(木曜日)    午後二時二十九分開会     —————————————    委員の異動  五月二十三日     辞任         補欠選任      竹内 藤男君     田中 茂穂君  五月二十八日     辞任         補欠選任      金井 元彦君     永野 鎮雄君      中村 登美君     今  春聴君  五月二十九日     辞任         補欠選任      永野 鎮雄君     金井 元彦君      今  春聴君     中村 登美君      志村 愛子君     鬼丸 勝之君      安永 英雄君     宮之原貞光君  五月三十日     辞任         補欠選任      鬼丸 勝之君     志村 愛子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 政隆君     理 事                 斎藤 十朗君                 内藤誉三郎君                 片岡 勝治君                 小林  武君     委 員                 今泉 正二君                 梶木 又三君                 金井 元彦君                 志村 愛子君                 中村 禎二君                 中村 登美君                 二木 謙吾君                 鈴木美枝子君                 宮之原貞光君                 矢追 秀彦君                 加藤  進君     発  議  者     片岡 勝治君     発  議  者     加藤  進君     発  議  者     小林  武君     発  議  者     鈴木美枝子君    国務大臣     文 部 大 臣     奥野 誠亮君    政府委員     文部政務次官      藤波 孝生君     文部大臣官房長     井内慶次郎君     文部省初等中等     教育局長        岩間英太郎君     文部省大学学術     局長          木田  宏君     文部省体育局長     澁谷 敬三君     文部省管理局長     安嶋  彌君     文化庁長官       安達 健二君     厚生省医務局次     長           宮嶋  剛君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君     —————————————   本日の会議に付した案件国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○文化功労者年金法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○昭和四十四年度以後における私立学校教職員共  済組合からの年金の額の改定に関する法律等の  一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○学校教育法及び学校図書館法の一部を改正する  法律案(第七十一回国会小林武君外一名発議)  (継続案件) ○女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の  確保に関する法律の一部を改正する法律案(第  七十一回国会鈴木美枝子君外八名発議)(継続  案件) ○義務教育学校等女子教育職員育児休暇  に関する法律案(第七十一回国会安永英雄君外  三名発議)(継続案件) ○教頭職に関する制度の改革に関する請願(第一  号)(第一三号)(第一九号)(第二六号)  (第三九号)(第五四号)(第一〇九号)(第  一一九号)(第一五〇号)(第一八八号)(第  二三五号)(第二五一号)(第二七〇号)(第  二八四号)(第三二八号)(第三五四号)(第  三八〇号)(第三九二号)(第四一六号)(第  四三三号)(第四四八号)(第一二一五号)  (第一二二一号) ○私立幼稚園教育振興に関する請願(第一四号)  (第一七五号)(第一七六号)(第一七七号)  (第一七八号)(第一七九号)(第一八〇号)  (第一八一号)(第二〇六号)(第二〇七号)  (第二〇八号)(第二〇九号)(第二一〇号)  (第二一一号)(第二一二号)(第二一三号)  (第二一四号)(第二一五号)(第二一六号)  (第二一七号)(第二三一号)(第二四三号)  (第二四四号)(第二四五号)(第二五二号)  (第二六二号)(第二六九号)(第三一五号)  (第三一六号)(第三二五号)(第三二六号)  (第三七七号)(第三七八号)(第三七九号)  (第三八七号)(第三九〇号)(第四〇一号)  (第五二六号)(第五六三号)(第五八九号)  (第六二二号) ○「私立小・中・高等学校振興法制定に関する  請願(第二四号)(第四〇号)(第五〇号)  (第一〇二号)(第一四〇号)(第一四九号)  (第一七四号)(第三一七号)(第三二九号)  (第三三〇号)(第四七七号)(第四九七号)  (第四九八号)(第四九九号)(第五一八号)  (第五三六号)(第五三七号)(第五五七号)  (第五六一号)(第五六二号)(第五七九号)  (第五八五号)(第五八六号)(第五八七号)  (第五八八号)(第六〇四号)(第六一〇号)  (第六一一号)(第六一二号)(第六一三号)  (第六一四号)(第六二一号)(第六三〇号)  (第六三一号)(第六三二号)(第六三三号)  (第六五〇号)(第六五四号)(第六五五号)  (第六五六号)(第六五七号)(第六五八号)  (第六六二号)(第六六三号)(第六六四号)  (第六六五号)(第六六九号)(第六七〇号)  (第六七一号)(第六七二号)(第六七三号)  (第六七四号)(第六七五号)(第六七六号)  (第六七七号)(第六七八号)(第六七九号)  (第六八〇号)(第六八一号)(第六八二号)  (第六九八号)(第六九九号)(第七一〇号)  (第七一一号)(第七一二号)(第七一三号)  (第七一四号)(第七一五号)(第七一六号)  (第七一七号)(第七一八号)(第七一九号)  (第七二〇号)(第七二一号)(第七二二号)  (第七二八号)(第七二九号)(第七三〇号)  (第七三一号)(第七三三号)(第七三四号)  (第七三五号)(第七三六号)(第七三七号)  (第七三八号)(第七三九号)(第七四〇号)  (第七四一号)(第七四二号)(第七四三号)  (第七四四号)(第七四五号)(第七四六号)  (第七四七号)(第七四八号)(第七四九号)  (第七五〇号)(第七五一号)(第七七四号)  (第七七五号)(第七七六号)(第七七七号)  (第七八六号)(第七八七号)(第七八八号)  (第七八九号)(第七九〇号)(第七九一号)  (第七九二号)(第七九三号)(第七九四号)  (第七九八号)(第七九九号)(第八〇〇号)  (第八〇一号)(第八〇二号)(第八〇三号)  (第八五一号)(第八五二号)(第八五五号)  (第八五六号)(第八五七号)(第八五八号)  (第八六九号)(第八七〇号)(第八七一号)  (第  八七九号)(第八八〇号)(第八八一号)(第  八八六号)(第八八七号)(第八八八号)(第  八八九号)(第八九四号)(第八九五号)(第  八九六号)(第八九七号)(第九九八号)(第  九九九号)(第一〇〇〇号)(第一〇〇一号)  (第一〇〇二号)(第一〇〇三号)(第一〇一  九号)(第一一一二号)(第一一一三号)(第  一一一四号)(第一一一五号)(第一一一六  号)(第一一二四号)(第一一二五号)(第一  一二六号)(第一一二七号)(第一一二八号)  (第一一二九号)(第一一三〇号)(第一一三  三号)(第一一三四号)(第一一三五号)(第  一一三六号)(第一一三七号)(第一一三九  号)(第一一四〇号)(第一一四一号)(第一  一四四号)(第一一四五号)(第一一五〇号)  (第一一七五号)(第一一九五号)(第一二〇  三号)(第一二〇六号)(第一二〇七号)(第  一二〇八号)(第一二二〇号)(第一二二九  号)(第一二三〇号)(第一二八四号)(第一  二九三号)(第一三二二号)(第一四八二号)  (第一五三五号)(第一五七三号)(第一五八  八号)(第二三八六号)(第二九七八号)(第  三一一八号)(第四一八二号)(第四二六五  号)(第四三一七号) ○「教員の人材確保特別措置法案」に関する請願  (第二九号) ○病虚弱養護学校設置等に関する請願(第九三  号)(第三七一号) ○公立義務教育学校における教職員定数増に  関する請願(第一三六号) ○文部省昭和四十九年度予算に関する請願(第  一六一号) ○養護教諭学校事務職員全校配置に関する請  願(第一九三号) ○東京大学医学部附属病院精神神経科小児部の診  療制度確立に関する請願(第二四七号)(第二  四八号)(第二四九号)(第二五〇号)(第二  六五号)(第三二〇号)(第三二七号)(第三  五〇号)(第三七四号)(第四四五号)(第五  一一号)(第八六六号)(第八九三号)(第一  四六一号) ○「私立幼・小・中・高等学校振興法制定に関  する請願(第三二一号)(第三七三号)(第四  〇四号)(第四〇五号)(第四〇六号)(第四  〇七号)(第四〇八号)(第四〇九号)(第四  一〇号)(第四一一号)(第四一二号)(第四  一三号)(第四一四号)(第四一五号)(第四  二九号)(第四三〇号)(第四三一号)(第四  三二号)(第四四九号)(第四五〇号)(第四  五一号)(第四五二号)(第四九〇号)(第四  九一号)(第四九二号)(第四九三号)(第一  一七六号)(第一一七七号)(第一一七八号)  (第一一七九号)(第一一八〇号)(第一一八  一号)(第一一八二号)(第一一八三号)(第  一一八四号)(第一一九〇号)  (第一四〇〇号)(第五三六二号) ○私学に対する公費助成大幅増額等に関する請  願(第三四五号)(第三四六号)(第三四七  号)(第三五二号)(第三五三号)(第三九一  号)(第四二四号)(第四七八号)(第五七八  号)(第八六八号)(第一〇一八号)(第一二  六〇号)(第一二七三号)(第一二七四号)  (第一二七五号)(第一二九九号)(第一三〇  〇号)(第一三〇一号)(第一三一二号)(第  一三二〇号)(第一三二三号)(第一三四二  号)(第一三七五号)(第一四三三号)(第一  四三四号)(第一四四〇号)(第一四四一号)  (第一四四二号)(第一四四三号)(第一四四  四号)(第一四四七号)(第一四四八号)(第  一四四九号)(第一四五〇号)(第一四五一  号)(第一四五二号)(第一四五三号)(第一  四五四号)(第一四五五号)(第一四五六号)  (第一四六二号)(第一四六三号)(第一四六  五号)(第一四六八号)(第一四六九号)(第  一四七〇号)(第一四七一号)(第一四七二  号)(第一四七三号)(第一四七四号)(第一  四七五号)(第一四七六号)(第一四七七号)  (第一四七八号)(第一四七九号)(第一四八  〇号)(第一四八一号)(第一四八三号)(第  一四八四号)(第一四八九号)(第一四九〇  号)(第一四九一号)(第一四九二号)(第一  四九三号)(第一四九四号)(第一四九五号)  (第一四九六号)(第一四九七号)(第一四九  八号)(第一五〇七号)(第一五〇八号)(第  一五〇九号)(第一五一〇号)(第一五一一  号)(第一五二〇号)(第一五二一号)(第一  五二二号)(第一五二三号)(第一五二四号)  (第一五二五号)(第一五二六号)(第一五二  七号)(第一五二八号)(第一五二九号)(第  一五三〇号)(第一五三一号)(第一五三三  号)(第一五三四号)(第一五四四号)(第一  五四五号)(第一五四六号)(第一五四七号)  (第一五四八号)(第一五四九号)(第一五五  〇号)(第一五五一号)(第一五五二号)(第  一五五五号)(第一五五六号)(第一五五七  号)(第一五五八号)(第一五五九号)(第一  五六〇号)(第一五六一号)(第一五六八号)  (第一五八五号)(第一五八六号)(第一五九  六号)(第一六二三号)(第一六三九号)(第  一六四〇号)(第一六七二号)(第一六七三  号)(第一六七四号)(第一六七五号)(第一  六七六号)(第一六八五号)(第一六八六号)  (第一六八七号)(第一六八八号)(第一七八  〇号)(第一八二五号)(第一八二六号)(第  一八二七号)(第一八二八号)(第一八二九  号)(第一八三〇号)(第一九二〇号)(第一  九二一号)(第一九六九号)(第二一二三号)  (第二一二四号)(第二一二五号)(第二一二  六号)(第二一五三号)(第二二一一号)(第  二二一二号)(第二二八八号)(第二二八九  号)(第二二九〇号)(第二二九一号)(第二  二九二号)(第二二九三号)(第二二九四号)  (第二二九五号)(第二二九六号)(第二二九  七号)(第二三一三号)(第二三一四号)(第  二三一五号)(第二三一六号)(第二三二一  号)(第二三九一号)(第二三九二号)(第二  三九三号)(第二三九四号)(第二三九五号)  (第二三九六号)(第二四二九号)(第二四三  八号)(第二四四四号)(第二四四五号)(第  二四八七号)(第二四八八号)(第二四八九  号)(第二四九〇号)(第二四九一号)(第二  四九二号)(第二四九三号)(第二四九四号)  (第二四九五号)(第二四九六号)(第二四九  七号)(第二五二一号)(第二五二二号)(第  二五七一号)(第二五七二号)(第二五七三  号)(第二五七九号)(第二五八二号)(第二  六二三号)(第二六二四号)(第二六二五号)  (第二六二六号)(第二六二七号)(第二六三  五号)(第二六三六号)(第二六三七号)(第  二六八九号)(第二六九〇号)(第二六九一  号)(第二七〇一号)(第二七〇二号)(第二  七〇三号)(第二七一四号)(第二七二三号)  (第二七三一号)(第二七三二号)(第二七三  三号)(第二七五三号)(第二七五四号)(第  二七五五号)(第二七五六号)(第二七七六  号)(第二七八八号)(第二八五一号)(第二  八五二号)(第二八五三号)(第二八七九号)  (第二八九四号)(第二八九六号)(第二九三  四号)(第二九三五号)(第二九三六号)(第  二九三七号)(第二九三八号)(第二九三九  号)(第二九八四号)(第二九八五号)(第三  〇一〇号)(第三〇一一号)(第三〇一二号)  (第三〇三九号)(第三〇四〇号)(第三〇四  一号)(第三〇四六号)(第三〇四七号)(第  三〇六三号)(第三〇六四号)(第三〇六九  号)(第三〇七六号)(第三〇七七号)(第三  〇七八号)(第三〇七九号)(第三〇九四号)  (第三一二〇号)(第三一三三号)(第三一三  四号)(第三一三五号)(第三一六九号)(第  三一七〇号)(第三一七一号)(第三一九〇  号)(第三二〇七号)(第三二七六号)(第三  二七七号)(第三三二〇号)(第三三二一号)  (第三四六四号)(第三四六五号)(第三四八  八号)(第三五〇二号)(第三五〇三号)(第  三五〇四号)(第三五〇五号)(第三五八三  号)(第三五八四号)(第三五八五号)(第三  五八六号)(第三六〇七号)(第三六三四号)  (第三六四四号)(第三六六一号)(第三六六  二号)(第三六六三号)(第三七四七号)(第  三九二五号)(第三九四三号)(第四〇八九  号)(第四一四九号)(第四一五〇号)(第四  二五四号)(第四二五五号)(第四二八〇号)  (第四五三八号)(第五〇〇五号)(第五三七  八号) ○私立学校に対する国庫補助金大幅増額に関す  る請願(第四二二号) ○小・中学校学級編制及び教職員定数改正に関  する請願(第四五六号) ○茨城県に県立医科大学設置促進に関する請願  (第五二八号) ○公立高等学校新設に対する国庫補助制度の創設  に関する請願(第六九四号) ○国公私学学費凍結法制定等に関する請願  (第一三八〇号)(第一四一五号)(第一五〇  六号)(第一五六五号)(第一五六六号)(第  一五九七号)(第一六三八号)(第二五七五  号)(第四三一八号)(第五二三五号) ○私学に対する公費助成大幅増額民主的公費  助成法制定に関する請願(第一四四六号)(第  一四六四号)(第一四八八号)(第一五〇二  号)(第一五〇三号)(第一五一二号)(第一  五四三号)(第一五五三号)(第一五五四号)  (第一五六七号)(第一五八七号)(第一六四  一号)(第一六四二号)(第一六七〇号)(第  一六七一号)(第一六八九号)(第一八二四  号)(第二二八〇号)(第二二八一号)(第二  二八二号)(第二二八三号)(第二二八四号)  (第二二八五号)(第二二八六号)(第二二八  七号)(第二三一七号)(第二三一八号)(第  二三一九号)(第二三二〇号)(第二三八七  号)(第二三八八号)(第二三八九号)(第二  三九〇号)(第二四二八号)(第二四八〇号)  (第二四八一号)(第二四八二号)(第二四八  三号)(第二四八四号)(第二四八五号)(第  二四八六号)(第二五二〇号)(第二五二六  号)(第二五六九号)(第二五七〇号)(第二  五七八号)(第二六二八号)(第二六二九号)  (第二六三〇号)(第二六三一号)(第二六三  二号)(第二六三三号)(第二六三四号)(第  二六五三号)(第二六九九号)(第二七〇〇  号)(第二七一五号)(第二七二四号)(第二  七二五号)(第二七二六号)(第二七二七号)  (第二七二八号)(第二七二九号)(第二七三  〇号)(第二七四四号)(第二七五七号)(第  二七七七号)(第二七七八号)(第二七七九  号)(第二七八〇号)(第二七八一号)(第二  七八二号)(第二七八六号)(第二七八七号)  (第二八五四号)(第二八五五号)(第二八五  六号)(第二八五七号)(第二八八〇号)(第  二八九三号)(第二八九七号)(第二九四〇  号)(第二九四一号)(第二九四二号)(第二  九四三号)(第二九四四号)(第二九四五号)  (第二九四六号)(第二九七九号)(第二九八  〇号)(第二九八一号)(第二九八二号)(第  二九八三号)(第三〇一三号)(第三〇一四  号)(第三〇三五号)(第三〇三六号)(第三  〇三七号)(第三〇三八号)(第三〇四三号)  (第三〇四四号)(第三〇四五号)(第三〇六  五号)(第三〇六六号)(第三〇八〇号)(第  三一一九号)(第三一三七号)(第三一五九  号)(第三一七二号)(第三一七三号)(第三  一七四号)(第三一七五号)(第三一九一号)  (第三一九二号)(第三一九三号)(第三一九  四号)(第三一九五号)(第三一九六号)(第  三二〇八号)(第三二〇九号)(第三二四五  号)(第三二四六号)(第三二七三号)(第三  二七四号)(第三二七五号)(第三二九五号)  (第三三一五号)(第三三一六号)(第三三一  七号)(第三三一八号)(第三三一九号)(第  三三六〇号)(第三三六一号)(第三三九五  号)(第三四六六号)(第三四六七号)(第三  四六八号)(第三四六九号)(第三四七〇号)  (第三四七一号)(第三四七二号)(第三四八  〇号)(第三四八九号)(第三五〇六号)(第  三五八七号)(第三五八八号)(第三五八九  号)(第三五九〇号)(第三六〇八号)(第三  六〇九号)(第三六二八号)(第三六三三号)  (第三六五四号)(第三六五五号)(第三六五  六号)(第三六五七号)(第三六五八号)(第  三六五九号)(第三六六〇号)(第三七三五  号)(第三七四八号)(第三七四九号)(第三  七五〇号)(第三七五一号)(第三七八七号)  (第三八四二号)(第三九四四号)(第四〇九  〇号)(第四〇九一号)(第四〇九二号)(第  四一五一号)(第四一五二号)(第四二五二  号)(第四二五三号)(第四二八一号)(第五  三七九号) ○「港北」の文化遺産と自然の保存に関する請願  (第一五一九号)(第二二一〇号)(第三〇三  二号)(第五〇〇四号) ○私学振興対策確立に関する請願(第一六二七  号) ○学校法人山梨学院正常化に関する請願(第一六  六九号)(第二三〇八号)(第二九四七号) ○奈良市史跡大安寺境内地に関する請願(第一  八二二号)(第一八二三号)(第一九一四号)  (第一九六三号)(第一九九二号)(第二一二  二号)(第二一五四号)(第二一七七号)(第  二二〇九号)(第二二九八号)(第二三一〇  号)(第二三七四号)(第二四三〇号)(第二  六一一号)(第二九九四号) ○東京都青梅市に国連大学本部設置に関する請願  (第二七一一号)(第二七一二号)(第二七一  三号)(第二七二一号)(第二八〇一号)(第  二八一二号)(第二八四五号)(第二八四六  号)(第二八五八号)(第二九七六号)(第二  九七七号)(第三五九三号) ○物価高騰下における学校給食内容の改善及び父  母負担の軽減に関する請願(第二八八五号) ○世界恒久平和確立のための特別事業に対する国  庫補助に関する請願(第三三九六号)(第三八  二七号)(第三九一五号)(第四一六七号)  (第四三一六号) ○学校災害補償法制定に関する請願(第三五三  七号) ○国立養護教諭養成所(三年制)を国立大学の四  年課程に改正することに関する請願(第三五八  二号)(第四一二三号)(第四二六三号)(第  四二六四号)(第四三七〇号)(第四三八四  号)(第四三八八号)(第四四〇〇号)(第四  四一七号)(第四四三七号)(第四四六六号)  (第四四六七号)(第四四六八号)(第四四六  九号)(第四四九三号)(第四五一三号)(第  四五三六号)(第四五五七号)(第四五七三  号)(第四六一八号)(第四六三一号)(第四  六三二号)(第四六三三号)(第四六三四号)  (第四六三五号)(第四六八三号)(第四六八  四号)(第四七〇六号)(第四七八一号)(第  四八二五号)(第四八八〇号)(第五〇〇八  号)(第五三七一号)(第五三七二号)(第五  四五四号)(第五四七六号) ○義務教育費の完全無償化等に関する請願(第三  七九九号)(第三八五六号)(第三八五七号)  (第三八五八号)(第三八五九号)(第三八六  〇号)(第三八六一号)(第三八六二号)(第  三八六三号)(第三八六四号)(第三八六五  号)(第三八六六号)(第三八六七号)(第三  八六八号)(第三八六九号)(第三八七〇号)  (第三八七一号)(第三八七二号)(第三八七  三号)(第三八七四号)(第三八七五号)(第  三八七六号)(第三八七七号)(第三八七八  号)(第三八七九号)(第三八八〇号)(第三  八八一号)(第三八八二号)(第三八八三号)  (第三八八四号)(第三八八五号)(第三八八  六号)(第三八八七号)(第三八八八号)(第  三八八九号)(第三八九〇号)(第三八九一  号)(第三八九二号)(第三八九三号)(第三  八九四号)(第三八九五号)(第三八九六号)  (第三八九七号)(第三八九八号)(第三八九  九号)(第三九〇〇号)(第三九〇一号)(第  三九〇二号)(第三九〇三号)(第三九〇四  号)(第三九〇五号)(第三九〇六号)(第三  九〇七号)(第三九〇八号)(第三九〇九号)  (第三九一〇号)(第三九一一号)(第三九一  二号)(第三九一三号)(第四六八九号)(第  五四五六号)(第五四六二号) ○熊本県城南町所在塚原古墳群の保存に関する請  願(第四二七〇号) ○学校給食の改善に関する請願(第四三五五号) ○私立学校振興の抜本的対策に関する請願(第四  四三〇号) ○学校図書館の充実発展に関する請願(第四五二  〇号)(第四五二一号)(第四五二九号)(第  四五三〇号)(第四五三一号)(第四五三三  号)(第四五五八号)(第四五五九号)(第四  五六〇号)(第四五六一号)(第四五六二号)  (第四五六六号)(第四五六七号)(第四五六  八号)(第四五六九号)(第四五七〇号)(第  四五七一号)(第四五七二号)(第四六一二  号)(第四六一三号)(第四六一四号)(第四  六一五号)(第四六一六号)(第四六一七号)  (第四六二五号)(第四六二六号)(第四六二  七号)(第四六三六号)(第四六三七号)(第  四六三八号)(第四六三九号)(第四六四〇  号)(第四六四一号)(第四六五八号)(第四  六七七号)(第四六七八号)(第四六七九号)  (第四六八〇号)(第四六八一号)(第四六八  二号)(第四七〇五号)(第四七六〇号)(第  四七六一号)(第四七七九号)(第四七八〇  号)(第四八二四号)(第四八三一号)(第四  八五七号)(第四八八一号)(第四九〇一号)  (第四九〇二号)(第五〇〇六号)(第五〇〇  七号)(第五一五四号)(第五一五五号)(第  五二五一号)(第五二五二号)(第五四七八  号)(第五五一二号) ○女子教育職員育児休暇立法に関する請願(第  四五七五号)(第五四六三号)(第五五一三  号) ○福岡県稲築町立小中学校の統廃合反対に関する  請願(第四六八八号) ○学校給食費の公費負担に関する請願(第四八四  一号)(第四八四二号) ○学校栄養士の県費負担職員への切替えに伴う給  与の保障等に関する請願(第四八八二号) ○学校教育法の一部を改正する法律案(教頭法制  化法案)反対等に関する請願(第四九二六号)  (第四九二七号)(第四九二八号)(第四九二  九号)(第四九三〇号)(第四九三一号)(第  四九三二号)(第四九三三号)(第四九三四  号)(第四九三五号)(第四九三六号)(第四  九三七号)(第四九三八号)(第四九三九号)  (第四九四〇号)(第四九四一号)(第四九四  二号)(第四九四三号)(第四九四四号)(第  四九四五号)(第四九四六号)(第四九四七  号)(第四九四八号)(第四九四九号)(第四  九五〇号)(第四九五一号)(第四九五二号)  (第四九五三号)(第四九五四号)(第四九五  五号)(第四九五六号)(第四九五七号)(第  四九五八号)(第四九五九号)(第四九六〇  号)(第四九六一号)(第四九六二号)(第四  九六三号)(第四九六四号)(第四九六五号)  (第四九六六号)(第四九六七号)(第四九六  八号)(第四九六九号)(第四九七〇号)(第  四九七一号)(第四九七二号)(第四九七三  号)(第四九七四号)(第四九七五号)(第四  九七六号)(第四九七七号)(第四九七八号)  (第四九七九号)(第四九八〇号)(第四九八  一号)(第四九八二号)(第四九八三号)(第  四九八四号) ○学校給食パンに関する請願(第五二三四号) ○大学の運営に関する臨時措置法の期限延長反対  に関する請願(第五四八二号) ○ゆきとどいた教育をすすめるための請願(第五  四八四号) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  昨日、安永英雄君が委員辞任され、その補欠として宮之原貞光君が選任されました。     —————————————
  3. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 国立学校設置法の一部を改正する法律案公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案文化功労者年金法の一部を改正する法律案昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、以上四案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。  なお、衆議院における修正部分につきましても、便宜政府から説明を聴取することといたします。奥野文部大臣。
  4. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) このたび政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律は、昭和四十九年度における国立の大学の新設、学部及び大学院の設置、短期大学、大学附置研究所及び高等専門学校並びに国立民族学博物館の新設等について規定しているものであります。  まず第一は、浜松医科大学、滋賀医科大学及び宮崎医科大学の新設についてであります。  これは、近年における医療需要の増大と医師の地域的偏在に対処するため、無医大県の解消をはかる施策の一環としてこれらの医科大学を設置し、医師養成の拡充をはかるとともに医学研究の一そうの推進に資そうとするものであります。  第二に、広島大学の総合科学部の設置についてであります。  これは、同大学の改革整備の一つとしてこれまでの教養部を改組し、一般教育の改善をはかるとともに、地域文化、環境科学等の幅広い領域にわたる教育研究を総合的に推進しようとするものであります。  第三は、東京商船大学及び神戸商船大学の大学院の設置についてであります。  これは、これまで大学院を置かなかった両大学にそれぞれ商船学の修士課程の大学院を設置し、船舶の運航と管理に関する科学的研究を推進するとともに、高度の専門性を備えた船舶関係の技術者及び研究者の養成に資そうとするものであります。  第四は、新潟大学及び信州大学の医療技術短期大学部の新設についてであります。  これは、近年における医学の進歩と医療技術の高度の専門化に伴い、看護婦、臨床検査技師、診療放射線技師等の技術者の資質の向上に資そうとするものであります。  第五は、富山大学和漢薬研究所の設置及び北海道大学結核研究所の改組についてであります。  富山大学和漢薬研究所は、近年、和漢薬の治療効果が薬学的、医学的に再認識されつつあることにかんがみ、和漢薬の薬効解析を行なうとともに、その応用に関する研究を行なうため、設置しようとするものであります。  また、これまでの結核に関する研究を基礎に、免疫に関する研究を広く推進するため、北海道大学に附置されております結核研究所を免疫科学研究所に発展的に改組しようとするものであります。  第六は、徳山工業高等専門学校及び八代工業高等専門学校の新設についてであります。  これは、工業技術の高度化に対処し得る優秀な技術者の養成をはかるため、新しい学科構成を取り入れた工業高等専門学校を新たに設置しようとするものであります。  第七は、国立民族学博物館の新設についてであります。  これは、一九七〇年に行なわれた日本万国博覧会ゆかりの地に、世界の諸民族に関する資料を収集保管し、公衆の観覧に供するとともに、民族学に関する調査研究を総合的に行なう国立大学共同利用機関として、新たに国立民族学博物館を設置しようとするものであります。この種の博物館はわが国で初めてのものでありまして、これにより、民族学の研究の推進に資するとともに、世界の諸民族の社会と文化について一般の理解と認識を深め、国際間の友好親善にも寄与できるものと期待するものであります。  その他昭和四十六年度における仙台電波工業高等専門学校ほか二つの工業高等専門学校の設置に伴い、学生の募集を停止しておりました三つの国立電波高等学校を廃止する等所要の改正を行なおうとするものであります。  なお、衆議院において施行期日等に関する附則の規定の一部が修正されましたので、念のため申し添えます。  以上がこの法律案提出いたしました理由及びその内容の概要についてであります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。     —————————————  次に、今回政府から提出したしました公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  公立義務教育学校学級編制教職員定数の標準につきましては昭和三十四年度以降三回にわたり計画的に改善を行ない、公立高等学校等学級編制教職員定数の標準につきましても同様に昭和三十七年度以降二回にわたって改善を行なってまいったところであります。  これらの改善措置は、いずれも小中学校については児童生徒の減少の時期に、高等学校についてはいわゆる高校急増後の生徒数の減少の時期を見越して改善をはかってきたものでありますが、このたびは、学校教育の水準の一そうの向上をはかるため、いわゆる第二のベビーブームによる児童生徒の急増に伴い、自動的に教職員数を増加させる必要のある際であるにもかかわらず、学級編制及び教職員定数の改善に積極的に取り組み、さらに教職員数の増加をはかることとしたのであります。  また、学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどり、その適正な配置を推進する必要のある学校栄養職員について、新たにその配置基準を定めるとともに、給与費等を都道府県の負担とし、その二分の一を国庫負担とすることといたしたのであります。  次に、法律案の内容について御説明いたします。  まず第一は、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準を改善したことであります。  すなわち、公立の小学校及び中学校学級編制の標準については、教育指導の一そうの徹底をはかるため、小学校の三個学年複式学級を解消するとともに、小学校及び中学校の二個学年複式学級の学級編制の改善を行なうことといたしました。この場合、小学校第一学年の児童を含む学級については、教育の困難性にかんがみ特に配慮いたしました。  また、特殊学級の学級編制についてもあわせて改善をはかることといたしました。  次に、公立の小学校及び中学校教職員定数の標準に関しましては、小規模中学校等における免許外教科担当教員の解消を進めるほか、寄宿舎を置く小学校または中学校における教員の加算の基準を改善することといたしました。  また、養護教員及び事務職員の配置につきましては、既定の方針に従って改善をはかることとし、各都道府県において平均七五%の学校に配置できるようにしました。  さらに、前述のとおり、新たに学校栄養職員について必要な配置基準を定めることとしたのであります。  次に、公立の特殊教育諸学校の小学部及び中学部の教職員定数の標準に関しましては、中学部の免許外教科担当教員を解消するため、中学校の改善と同様の改善を行なうほか、特殊教育諸学校における養護訓練の重要性にかんがみ、必要な教員を加算するとともに、寄宿舎を置く学校の教員数を改善することといたしました。  また、寄宿舎の寮母の数につきましても、その最低保障数を引き上げることといたしております。なお、学校栄養職員の配置につきましても新たに基準を定めることといたしました。  第二は、公立高等学校等学級編制及び教職員定数の標準を改善したことであります。  すなわち、生徒の数が収容定員に満たない定時制の課程及び小規模の全日制の課程の教員の配置基準を改善するため、その算定の基礎となる生徒の数を補正することとするとともに、通信制の課程につきましても教員の配置基準を改善することといたしました。  また養護教員については、義務教育学校に準じてその配置基準を改善するとともに、通信制の課程の事務職員についても所要の改善を行なうことといたしました。  さらに、高等学校につきましても、小中学校等と同様に教職員の長期研修等を考慮して新たに教職員の加配措置が行なえるようにいたしております。  次に、公立の特殊教育諸学校の高等部の学級編制の標準に関しましては、新たに重複障害学級の学級編制の標準を定め、小学部及び中学部と同様五人といたしました。また、教職員定数の標準につきましては、小学部及び中学部に準じて養護訓練を担当する教員の数を充実するとともに、寄宿舎について新たに教員を配置することとしたほか、療母の数についてもその改善をはかることといたしました。  さらに、高等学校の場合と同様に新たに教職員の長期研修等を考慮した教員の加配措置を講ずることといたしております。  第三は、学校栄養職員の職務及び資格を明らかにしたことであります。  すなわち、学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員は、栄養士の免許を有する者で学校給食の実施に必要な知識または経験を有する者でなければならないことといたしました。  第四は、学校栄養職員の給与の負担区分を改めたことであります。  すなわち、市町村立の義務教育学校等に置かれる学校栄養職員の給与費等を都道府県の負担とするとともに、その二分の一を国庫負担とすることといたしました。  第五は、経過措置についてであります。  この法律案は、昭和四十九年度から施行することといたしておりますが、その実施について必要な経過措置を設けることといたしました。  すなわち、公立の義務教育学校及び特殊教育諸学校の高等部の学級編制につきましては、昭和五十三年度を目途として新しい標準を達成するため、今後における児童生徒数等を考慮しつつ、各都道府県等の実態に応じて都道府県の教育委員会等がその基準を定めることといたしました。  次に、公立の義務教育学校及び高等学校等教職員定数の標準につきましては、今後における児童生徒数及び教職員の総数の推移等を考慮しつつ、年次計画により、順次、新たな標準に到達することができるよう必要な経過措置を政令で定めることといたしました。  なお、公立の義務教育学校につきましては、児童生徒数の減少の傾向が特に著しい県について、教職員定数の急減を緩和するため、昭和五十五年三月三十一日まで政令で教職員定数の特例を定めることができることといたしました。  最後に、この法律により新たに県費負担教職員となる学校栄養職員につきましては、任命権者の変更に伴う必要な経過措置を講ずることといたしております。  なお、衆議院において施行期日等に関する附則の規定の一部が修正されましたので、念のため申し添えます。  以上がこの法律案提出いたしました理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。     —————————————  次に、このたび、政府から提出いたしました文化功労者年金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  文化功労者年金法は、文化の向上発達に関し特に功績顕著な者に年金を支給し、これを顕彰することを目的として昭和二十六年四月に制定された法律でありまして、以来今日までの間に文化功労者として決定された者は、二百五十八人にのぼり、わが国文化の振興に資するところ大なるものがあったと信ずるのであります。  文化功労者に支給される年金の額は、昭和四十六年の改正以来百五十万円とされてまいったのでありますが、その間における国民の生活水準の向上、経済事情の変遷には著しいものがあり、また、なお一そうわが国文化の向上発達を期する見地からも、この際、年金額を改定して、この法律の趣旨の達成をはかることが必要かつ適切と考えられるに至り、このたび、年金額を二百万円に引き上げることといたしました。  なお、衆議院において施行期日等に関し、附則の規定の一部が修正されましたので、念のため申し添えます。  以上が、この法律案の提案理由及び内容の概略であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。     —————————————  次に、このたび政府から提出いたしました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  御承知のように、私立学校教職員共済組合は、昭和二十九年一月に、私立学校教職員の福利厚生をはかる目的のもとに、私立学校教職員共済組合法により設立されたものでありますが、それ以後、本共済組合が行なう給付については、国公立学校教職員に対する給付の水準と均衡を保つことをたてまえとし、逐次改善が進められ、現在に至っております。  今回は、昭和四十八年度に引き続き、国公立学校教職員年金の額の改定等に準じて、私立学校教職員共済組合法の規定による既裁定年金の額の改定その他長期給付の改善等を行なうため、この法律案提出することといたしたのであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、私立学校教職員共済組合法の規定による退職年金、減額退職年金、廃疾年金及び遺族年金の額を、国公立学校教職員年金の額の改定に準じ、昭和四十九年十月分以後、昭和四十七年度以前の退職者について退職年度に応じ、二三・八%を限度として増額することといたしております。また、これに伴い、旧私学恩給財団の年金についても相応の引き上げを行なうことといたしております。さらに、私立学校教職員の通算退職年金の額を、国公立学校教職員の通算退職年金の額の改定に準じて、昭和四十九年十一月分以後、増額することといたしております。  第二に、既裁定の退職年金、廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を、国公立学校教職員の既裁定年金の最低保障額の引き上げに準じ、昭和四十九年十月分以後、引き上げることといたしております。  第三に、標準給与の月額の上限を国公立学校教職員の掛金等の算定の基礎となる限度額の引き上げに準じ現行の二十二万円から二十四万五千円に引き上げるとともに、下限についても現行の二万六千円から三万九千円に引き上げることといたしております。  第四に、長期給付の算定の基礎となる平均標準給与の算定方法を、国公立学校教職員制度の改善に準じ、現行の退職時前三年間の標準給与の平均から退職時前一年間の標準給与の平均とすることといたしております。  最後に、この法律の施行日につきましては、他の共済制度の例にならって、昭和四十九年十月一日といたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。  なお、私立学校教職員共済組合法は、給付関係の規定については、国家公務員共済組合法の関係規定を準用することといたしておりますので昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案が成立いたしますと、退職年金等について、現行の算定額が通算退職年金の額の算定方式に準じて算定した額より少ないときは当該金額によることとする改善、遺族年金についての扶養加給制度の創設及び退職後における短期給付等の任意継続制度を設けること等につきまして、私立学校教職員共済組合の給付についても同様に措置されることとなりますので申し添えます。  何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。     —————————————
  5. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 次に、学校教育法及び学校図書館法の一部を改正する法律案一第七十一回国会参第二〇号一を議題といたします。  本案はすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 片岡勝治

    片岡勝治君 今回の国会におきましては、議員立法につきましても各位の深い御理解と御協力によりまして審議の爼上にのぼったということについて、私は率直に評価をしたいと思います。各位議員の皆さんの御理解に対して心から敬意と感謝を申し上げる次第であります。  ただ、残念なことに教頭法が強行採決をされた、こういうことについてはたいへん遺憾に存ずる次第でありますけれども、そのことは、本日はこの程度にいたします。しかし、いま冒頭申し上げましたように、今後も議員立法の取り扱いについては、せっかく築き上げた文教委員会のよき慣習でありますので、お互いに尊重して措置せられますよう心から期待をするわけであります。  さて、いま小林委員ほかの提出にかかる学校図書館法の改正案について、若干提案者のほうに質問をしてみたいと思うわけであります。  御承知のように、学校教育というのは、それぞれの領域というか、分野があるわけでありますけれども、学校図書館法として独立して学校の機能の中で学校図書館法という法律をわざわざ制定をされたところには、一つの大きなそれなりの意味があると思うわけでありまして、そうした意味というものを私どもが正しく理解をする。その上で図書館法の施行にかかるいろいろな問題が切り開かれていくだろうと思うわけでありまして、提案者が考えております学校図書館法についてまず冒頭お伺いをしたいと思うわけであります。
  7. 小林武

    小林武君 学校図書館法の第一条に、「学校図書館が、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であることにかんがみ」ということがあります。「欠くことのできない基礎的な設備である」と、この第一条に書かれておりますように、このことは、単に本を読ませる便宜を与えるというようなもの以上に、教育全体の仕組みの中で人類が築き上げた科学、芸術、思想のすぐれた成果を、図書館のこの役割りを通して子供たちに教育活動の一助とすることがこの法律の趣旨でございます。したがって、私ども現在学校図書館に行ってみますというと、その点ではまあすぐれた設備を持っているところは大体その方向に進みつつあるところもだんだん出てまいりまして、この点は、私どもとして一そう今後努力をしながら、その所期の目的がもっと速度を速めて前進することが必要だと、こう考えているわけであります。そういうことを考えますというと、当然学校図書館というものの重要性から教職員の定数をどうするかという問題あるいは図書、資料、施設、設備の充実というようなものに教育行政当局そのものが大きな責務を感じて努力をする必要があると、こう考える次第であります。
  8. 片岡勝治

    片岡勝治君 この法案が議員立法ということで出されたわけでありますが、法律制定されましてからすでに二十年余たっておるわけであります。私は、せっかく議員立法で出したということは、まあ国民の総意で図書館活動というものがきわめて重大であるということでつくられた法律だろうと思うんですが、肝心のこの施設あるいはそれに伴う司書ですか、そういうものが法律では置かなければならない。しかし、あとで当分置かなくてもいいというようなことになっておる。これは初中局長でいいのかどうか、ちょっとわかりませんけれども、この議員立法に対する、同じ法律に対するいわゆる政府側——文部省側の取り組む姿勢というものについて何か差別があるように私は見えるんですよ、特にこの法律については。今度は学校図書に、図書館等にかかる施設費についてはたしかことしから国庫負担の補助対象として計上されたような、たしかことしからだと思います、それまでは学校の教室は国が三分の一なり、二分の一なり見るんだけれども、図書館については一切考えていない、考えなかった。結局はせっかく議員立法でいい法律をつくりながら、文部省の対応の行政姿勢というものが非常に消極的であったということが私は言えるような感じがするわけです。それはいま言った施設の問題もそうだし、あるいは学校司書の必置というものをほんとうに義務づけるような法律改正というものを二十何年間もほっぽっておくというようなことは、そういう姿勢にとられてもいたし方がないような気がするんですが、文部省側のひとつ見解をこの際承っておきたいと思います。
  9. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 議員立法はたくさんあるわけでございますけれども、たとえば産業教育振興法、それから理科教育振興法、そういう一連の学校の教育の実際の内容に即応した施設設備の充実というふうな観点から、国会でもって法律制定される。それらにつきましては、特に戦後荒廃をいたしました学校教育というものを立て直す上に非常に役に立ってきたというふうに私ども考えております。また、毎年の予算の充実等につきましても私どもは進めてきたつもりでございます。ただ、理科教育とか、何か産業教育、これは戦前から長い伝統のあった教育でございますが、学校図書館というもの、これは戦後、アメリカにおきましてある程度成功しておるというふうなことで、戦後の新しい学校制度とともにわが国にも取り入れられてきたものであります。ところが、昭和三十一年から三十三年ぐらいをピークにいたしまして、学校図書館というものにつきましての教育というものがあまり具体的にいえばふるわなかったというふうな傾向がございます。たとえば、司書教諭の人数も千人ぐらい、実際に司書教諭の資格を持っております者は六万人以上もあるわけでございますけれども、そういうふうな状態、それから図書の内容も昭和四十四年現在で、大体基準に比べまして一五〇%から一六〇%以上というふうな充実を見せてきておりますけれども、実際に図書館教育がどの程度活用されておるかと申しますとまだ心もとないというふうな実態がございます。これが一つは戦後の新しい教育のやり方で、まだわが国に定着しておらなかったというふうな点が、言ってみれば、日本の教育の体質に必ずしも合っていなかったというふうな面があって今日に至っておるわけでございます。しかしながら、ただいま先生が御指摘になりましたように、たとえば図書館の施設の問題、こういうものにつきましても国庫補助の対象にするというふうな努力、それから教材費を通じましても設備の充実の努力、そういうものは私ども重ねてまいったわけでございます。今後の図書館教育というものは、わが国の教育の体質から考えましてどういうふうに伸ばしていったらいいのか、この問題につきましては、非常に私どもも重要な問題だというふうに考えておりますけれども、まだいろいろ問題がございましてさらに一そう努力をする必要があろうというふうに考えます。
  10. 片岡勝治

    片岡勝治君 いま文部省側の答弁がありましたけれども、これはわれわれのひがみかなんかわかりませんけれども、やっぱり議員立法たりといえども法律でありますので、二十何年かもこの改正が行なわれていないということに私はたいへん大きな不満を感ずるわけであります。そういう意味から提案者もいわば政府にかわってこういう法律案を出さざるを得なくなったと思うわけであります。  それで、次に、まあ図書館教育に欠かせない人的な配置としては司書教諭ということになるわけでありますけれども、すでに文部省等でも講習会などを開いて司書教諭の養成に当たっているといり事実は私も認めるわけでありますけれども、資格を持っている方が多数いるにもかかわらず、発令がされていない、司書教諭としての活動ができていないという実態がいまあるわけなんですけれども、こういう問題については、提案者のほうはどのようにお考えになっておりますかお伺いをしたいと思います。
  11. 小林武

    小林武君 いまの文部省の答弁の中に、ちょっと問題だと思うのは、図書館教育というものが日本の教育になじまないというものの考え方は、これは文部省の偏見だとぼくは思うんです。それは、一般の図書館に対する運営のしかたなどをわれわれがごく身近なところで見てまいりましても、図書館等は何といいますか、車に本を載せて移動して歩く図書館、そういう運営をやっている一般図書館がある。これに対する一般の市民あるいは子供というようなものがどれほどの何といいますか、たより方をしているといいますか、この利用というものは、ちょっと驚くべきものなんです。これは私どもはきわめて身近な問題として感じているわけでありますが、学校の場合にいたしましても、教育になじまないという考え方は、なじまないなんというような言い方をしたら幾らでもなじまないようにできるわけで、なじまないならばなじませるというそういう働きかけがなければならぬ。私は、先ほど来質問者の質問中にございましたが、二十年たった、しかし、その間にどういうことになったかといったら、私たちが少なくとも見て回ったところ、片岡委員もぼくと一緒に行ったところもあるわけですが、大体ぼくらの見たところというのは標準以上のところです、日本で言えば。標準以上のところ、そういうところの状態を見て、教育になじまないなんということは考えられないわけです。しかし、二十何年たって、これはある国立大学の教員養成大学の中の教授の論文がちょっと出ているんですけれども、この中に書いてある中に、二十何年たって顕著に目立ったのは何かといったら、その格差がものすごくできたということだと言っている。条件の恵まれたところはものすごく進歩してきた、条件の恵まれないところというのは、なかなか遅々として進まない、そういう状況で非常に格差が大きくなったということを言う。だから私は、この間われわれが見に行った場合には、標準以上のところを見ようじゃないか、標準以上のところを見て、その中で今度はどうしなければならぬかということを考えなければならぬということで見たわけでございますけれども、見たとおりなんです。私はそういう意味で、やっぱり格差が大きくなったということは、これは力の入れたところと入れないところ、入れるだけのいわゆる力のあるところ、いわゆる国が冷淡であるならば、その学校なりあるいは父兄の力によるというようなところでこれができるわけですね。だからこれではいかぬと思うのです。  これは何といいますか、議員提案だからというようなことを言えば、そういうものの見方で言えば、文化財の保存法なんかもあれは議員提案です。議員提案やっているから文化財なんていうのはあんまり保存しなくてもいいと考えたかどうかしらぬけれども、文化財の破損というのはこのごろものすごい。きょうもちゃんとあれに出ていますね、われわれのあれした請願にちゃんと出ている。日本の文化財の保存のしかたがひどいというようなことも、私はそうだとしたらたいへんだと思うんです。これはそんな問題じゃない。国会を通したものについては、全力をあげてやるということ。それから文部省は、なじまないなんというようなことを言ってもらいたくない。  もう一つ、やっぱり問題は、あなたの御指摘のように、専門の人がいなきゃだめなんです。行ってみるというと、いまのところは、司書教諭というものが置かれましても、ほんとうに司書教諭としてそのことに全力をあげてやれる立場にある人というのは、わりあいに少ないんです。だから、有資格者があっても、もう数はきわめて少ないと。あとはどうかというと、大体校務分掌のたてまえなんです。校務分掌ですから、一年間やったらあとかわるというやり方です。中には先生方率直なこと言って、私、当たりましたけれども、実はやっぱり専門のほうは教えるほうですから、なるべく、毎年やられるんじゃ困りますというようなことを、われわれに正直におっしゃった先生もいらっしゃった。しかし、いまの制度の中では、そういうことになると思うんですね。だから、私は、やはり司書教諭というものの有資格者が、ほんとうに全力をあげて、自分の学校の図書館教育をりっぱにやるような、そういうやり方をするとすれば、いまの置かなくてもよろしいなんという、置くべきものを置かないでいくというようなやり方は、もう日本の場合、学校図書館の場合、許されてはいかぬと、こう考えているわけであります。そういう意味で、文部省に対しましては、やはり、なじまないと言うのはどういうところなのかよくわかりませんけれども、私は十分なじんでいると思う。「学校図書館法はもだえている」という見出しで書いた、この北海道の教育大学の教授の方のあれを考えてみますというと、ほんとうにもだえているような現状だと、こう考える次第です。
  12. 片岡勝治

    片岡勝治君 学校図書館活動、あるいは図書館教育といいますか、非常に重要な意義を持ちながら、たいへん疎外されてきたと、条件が整理されていないという点がはっきりするわけでありますけれども、さらに、学校図書館活動をより充実させるために、司書教諭以外のつまり職員——学校図書館にかかる職員が必要だろうと思うわけでありまして、その現状あるいはその構想、図書館教育にかかる人的な配置というものは、どうあるべきかということについて提案者のほうから御意見を賜わりたいと思うわけであります。  さらに、それにあわせて、当然これは定数法と関係をしてくるわけでありまして、それとの関係もあわせてお答えをいただきたいと思うわけであります。
  13. 小林武

    小林武君 この「司書教諭は、教諭をもつて充てる。」というのが、法の第五条に書かれているわけです。これは先ほど来申し上げましたように、そうはなっておりますけれども、先ほど来初中局長も答弁されましたように、現在のところ約一千百名ぐらいであると、しかし、実際に全国一千百名ぐらいであると。そうして有資格者はどのぐらいいるかというと、約六万人おられるということになりますから、これは発令してやらせるということになると不可能なことではないわけですね。ところが、司書教諭を置くということに十分に力を出しておらないということだと思います。こういうことでございますから、図書館関係者が一番重点を置いて、図書館の前途のために、情けないのはここだということをだれもが言うわけですね。だから、私はやはり司書教諭の充当には、これはやはり文部省においても十分に力をそそいでもらわなけりゃならぬとこう思うんです。数は、全国で約一千百名、専任というのは、まあ百二十名だというのですからね。だから司書教諭にあっては、さっき私言った、その司書教諭とはなっておりますけれども、実際は校務分掌の都合でもって別に変わっていくという人が相当多数いるわけですね。だから、これはやっぱり専任の司書教諭を置くということが、図書館教育をほんとうに定着させるということでは最大の急務であると、それに対して全力をこれは国が出すべきであると、その意味で、この法律案が提案されたと、こう理解していただかなきゃならぬと思います。
  14. 片岡勝治

    片岡勝治君 これは文部省のほうにお伺いしますけれども、まあ定数法との関係で、司書教諭なり、要するに、図書館教育に専任する職員、あるいは半専任でもいいんですが、この定数法の中における人的配置の考えが、具体的に図書館教育にかかる文部省の姿勢をあらわしていると思うんですが、いま、どういうふうに考えておられるんですか、図書館関係の職員と定数との関係、将来はどういうふうに改善をしていくのか、文部省側の構想もひとつお示し願いたいと思います。
  15. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) いま、いわゆる司書教諭は、格別に定数上の措置はしておらないわけでございますから、一般の教諭の方が図書館の教諭を兼ねていただくと申しますか、そういうふうな図書館の司書教諭として発令をしていただくというふうな形になっているわけでございますが、司書につきましては、小学校では三十学級以上の学校に一人、中学校では二十四学級以上の学校に一人、高等学校では生徒八百十人以上の学校、大体十八学級ぐらいになるわけでございますが、それ以上に一人ということで、合計いたしまして四千六百七十人の定数の措置をいたしているわけでございます。  ただいま小林先生からお話がございましたように、専任の方が非常に少ないわけでございますが、専任でやってこられた方のお話も聞きますと、非常に脳んでおられる面もあるようでございます。つまり、児童生徒は学校の先生だと思ってくれないというふうなことも申しておりましたけれども、図書館におられる担当の職員というふうにも見られるというふうな脳みも言っておられました。  先ほどちょっと、いまの日本の学校教育になじまないというふうな言い方を申し上げましたが、その点につきましては、まだその図書館教育というものが、日本の学校教育にほんとうにとけ込んでいないというふうな意味で申し上げたわけでございまして、用語にやや不適当な点がございましたことは、おわびを申し上げたいと思います。  まあアメリカでは、たとえば国語の授業をやっているときも、図書館を利用して、図書館に行ってかってに本を読むというふうなことが、これはごく普通に行なわれているというふうな話も聞いております。日本の学校図書館が、そこまでまだとっても利用されていない。それからまた、そういうふうな利用のしかたというものが、いまの日本の国語教育なり、学校教育を行なう先生方に、ほんとうにとけ込んでやっていただいているかどうかという点は、私はまだ疑問だと思います。したがって、日本独自の図書館教育というもののあり方、そういう面について、もう一度いろいろ考えて見る、ほんとうに日本的な利用のしかたというものは必ずあるんじゃないか。まあ昔から日本人は非常に書物を大事にするということでございましたけれども、最近では子供はちょっと本を読まない、理由を聞いてみますと、いや、学校で読んでいるんだからいいんだというふうなことも言われているわけでございまして、そういう学校教育と、その家庭教育、それから社会生活の中における児童の読書の問題そういうものなんかとかね合せまして、この辺でもう一度考え直してみる必要があるのじゃないかというふうな気持ちでお答えしたわけでございまして、別に他意はないわけでございます。
  16. 小林武

    小林武君 そこらあたりが、文部省と提案者と議論をしてもしようがないのですけれども、これはやっぱり教育問題をとらえる場合に初中局長さんはやっぱり役所育ちの方、提案者は現場育ちのいわば教員です、だから学校の中に入っていってぼくらが接した場合の見方と、それから文部省の見た場合との違いというのはだいぶ出てきていると、こう思うのです。私は、なじまないとかなじむとかというようなことは、これは教育の場においては、かけるべき金はかけ、教師にそれだけのよい授業のできるような環境を与え、それに相応する環境ですから設備その他等も十分にやってやるということになりますれば、なじまないということはないわけです。アメリカの流儀とか日本の流儀とかいいますけれども、これは多少国の違いによってあれができましても、学校の中における図書館の問題についてそんなに妙な違いが、アメリカではよくて日本ではだめだということはぼくはないと思うのです。ぼくは一番問題なのは、先ほど言った日本の国の学校図書館の中に専任百二十名しかいないということが問題だと思うのです。専任百二十人というのが、これがいまほんとうの数どのくらい正確度があるかといったらぼくはよくわかりませんけれども、大体そこらだと、皆さんおっしゃる。それでは、これはもう図書館教育というものはうまくいかないと思う。しかし、専任のところをぼくらは見た。専任のところへ行ってみたら、いまの文部省のお考えになっているようなぐあいではなくて、逆に定着していると思う。  それからもう一つ、本を読む読まないという問題については、ぼくらもいまのような考え方一時持ったことがあって、見学に回ったりして、そういうことを聞いたことがある。漫画ばかり読んでさっぱり文字で書いた本のほうは読まないのじゃないかというようなことをいいましたけれども、これは図書館の中に示された——きょうはちょっと忘れてきたのですけれども、この数字をあげてみるというと、図書館における本の読み方、それからたとえば高等学校であれば一年の生徒が読む本、二年になると二年の場合の違い、三年になってくるとどういうように変わっていくのかというような詳細なやはりデータも出ている、こういうのを見ますというと、私は何というか、教育環境を整備しないでやって独断的な一つの結論を出すというようなことは、図書館の教育の問題については言うべきではない。私はその意味では、ひとつ文教委員会に所属していらっしゃる方ばかりではなく、広く議員も、近くに相当ありますから、いいところも悪いところも、悪いところなんというとちょっとあれですけれども、相当われわれが見学をして勉強になるところがありますからごらんになればよくわかるとこう思うのです。その点はどうもぼくは、いささか議論じみてまいりましたけれども、問題がある。  それからたとえば、いまの場合専任がその程度では、これはなかなか学校の先生も容易でないのです。中学なら二十四時間から二十七時間というのが大体受け持ち時間、小学校だというと週三十時間をこえるものさえあるという状況です。高校で二十時間ぐらいと、こういう。これだけのことをやって、そのほかにクラブ活動もあれば、いろいろなことをやって、そうして図書館のあれを持たされたら、この間われわれが聞いた先生の話でもなかなか容易じゃない、購入した図書の整理だけでもこれはえらいことだと、そういうことを聞いているわけでありますから、この点はひとつ、やはりまずなじまないとか何とかという考え方でなくて、私は条件を整えるということにまず重点を置かなければならぬ。人の条件、この図書館についてのさまざまな設備の条件というものに重点を置いて、私はやはり学校教育の中に法律の第一条に書いてありますように、欠くことのできないところの施設としての整備をやるべきである、こう考えています。
  17. 片岡勝治

    片岡勝治君 それじゃ最後に、いまの行政がたいへん学校図書館について私に言わしても積極的でないということが、そう感じておるわけです。しかし、なおかつその中で何とかしょうということで、これに対応するいろいろな措置を自主的にとっておるところがあるわけですよ。たとえばPTAで人を雇って、実際には司書教諭ないし図書館担当の事務をやっている、こういうようなところがあるわけでありまして、これはたいへん私は大きな問題だろうと思う。つまりPTAで雇っておる学校図書館職員については、健康保険もなければ賃金についてもきわめて低い、悪い、そういうような状態をなおかつ続けなければいけないというようなことになっているわけであります。これは私は、いまの文部省なり教育行政の図書館教育に対する非常に熱心でない証左であろうと思うわけでありますけれども、こういった問題について一体どういうふうに対処するおつもりか、これは提案者にも聞きたいと思いますし、文部省側にも聞きたい。  それから、最近はやや減少しましたけれども、図書費として地域によってはPTAから相当額の寄付金をとる、それによって施設あるいは図書の整備をしておるところが今日なおかつあるわけであります。当然公費としてまかなわねばならないこうした問題も、なおかつ父兄負担におんぶしているというようなことについてどう対処したらいいか、これは提案者なりそれから文部省なり、両方からお聞かせいただきたいと思います。
  18. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) この点は、私どものほうでもたいへん恐縮に存じているところでございまして、その解消につきましては、私ども今後とも全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。特に父兄負担の中で人件費、これは地方財政法にもはっきり書かれておりますように、人件費まで父兄に負担させるということはいけないのだというふうなことで、私どもも地方交付税等を通じまして財源措置をすると同時に、市町村の教育長さん方のお集まりにはもう重ねて何度も何度もお願いをしているわけでございます。ずいぶん減ってまいってはおりますけれども、四十八年の五月一日現在で図書館関係でなお千百五十人程度の私費負担の方がおられます。たいへん申しわけないと私どもも考えておりまして、その解消につきましては、今後とも私どもの全力をあげましてその改善につとめたいというふうに考えております。
  19. 小林武

    小林武君 学校図書館の中に先ほど来学校司書という、司書教諭という専門の者を置かなければならぬということと同時に、この司書教諭だけではこれはやっぱり学校図書館の運営というのはできないわけですから、したがって、この新たに提案された法律案では学校司書というのを置いてもらいたいと、こう言っているわけです。なぜそういうことを言いますかというと、現在のところ一万人ぐらいの人が全国にいて、それらの人たちの約小学校では五〇%、それから高校あたりでは二五%ぐらいがこれがまあどこから金を出しているかというと、正当のところから出していない。結局子供の親から集めているとか、そういういわば何といいますか身分のきわめて不安定な、どこから金もらっているのかわからぬような、そういうやり方でやられている。あるいは学校の中の校務分掌の上に出てくるんでしょうけれども、事務職員をそこに流用するというようなやり方をやりますというと、これは常時かわらなければならぬということになる。だからそういうことになりますというと、学校の図書館の業務というものは一つのやはり専門的な業務になりますから、そんなに毎年かわられたんじゃ能率もあがらなくなりますし、図書館の学校における重要さに沿うていくだけの力が出てこないということになりますから、そこで、学校司書という一つの資格を持ったところのものを置かなければならぬということ、それからその金はどこからか集めるというような、そういう父母の負担に訴えるとかというようなことは、これはもうやめるべきであって、正当な教職員としての待遇を与える採用のしかたをするべきだ、こういうのがこのわれわれの出している法律案の趣旨なんであります。でありますから、現在学校図書館というものが、あるいは学校図書館の学校教育の中において果たすべき機能というようなものは、まあ正直なところ言って、まずまず相当なところにいっているなんというのはきわめて少なくて、そうして名前は図書館であっても貸し本屋のちょっと毛のはえたなんていうと悪いですけれども、その程度のものに終わるおそれが十分にある。だからここで抜本的な対策を国がやっぱり講ずるべきだということは、これはもうだれが見てもあたりまえのことだと思うわけであります。でありますから、これは何といっても国の思い切ったこれに対する対策を待たなければならぬ。したがって、こういう法律案を十分御検討いただいて、どうぞひとつきょう皆さんの御賛成をいただいて、これが成立するようにお願いをしたいと思うわけです。
  20. 片岡勝治

    片岡勝治君 質問をこれで終わりたいと思います。  いま大臣が見えましたが、ずっと大臣、実は聞いていただきたかったのですが、特に強調したことは、この法律は、議員立法で二十年前につくられた、私から言わせれば、二十年間ほっぽっておいたんじゃないかというふうにとれるわけです。たとえば、司書教諭を置くということになっているのに、附則のほうで当分置かなくていい、それが二十年も何十年も置かなくていい状態がずっと続いてきたことは、この図書館教育、図書館活動に対する率直に言って文部省のかまえが消極的であったと、私はそう言いたいんです。そのために、提案者のほうにも答弁をしていただいたわけでありますけれども、PTAから金を出して事務職員にかわるようなものを雇っておるというようなことが現実にあるわけですね。これはいま局長さんが具体的に数字を出してその実態の発表があったわけでありますが、少なくともこういうりっぱな法律、それは議員立法であれ、政府提案であれ法律ができた以上、私はもっと積極的に取り組んでいただきたい。悪い点があれば、それはまた法律の悪い点は直したっていいと思うんですが、とにかくこの法律についての取り組みがきわめて弱いということは率直に言えると思うんです。それを補完する意味で今回の提案だろうと思うわけであります。したがって、今後はむしろ政府のほうが積極的にこういったものについてどんどん改善の法律案を出していくような、そういうぜひ教育行政というものをお願いをしたい。あまりむし返す気持ちはありませんけれども、教頭法を出すんならば、その前にこういった法律があるんじゃないかということを私は率直に感ずるわけなんです。  以上で私の質問を終わりたいと思います。
  21. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 異議ないと認めます。  片岡君から委員長の手元に学校教育法及び学校図書館法の一部を改正する法律案について修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。  この際、本修正案を議題といたします。  片岡君から修正案の趣旨説明を願います。
  23. 片岡勝治

    片岡勝治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております学校教育法及び学校図書館法の一部を改正する法律案に対する修正案について御説明申し上げます。  修正案の案文はお手元に配付いたしてありますので朗読は省略いたします。  修正案の趣旨は、本法律案の施行期日がすでに経過いたしておりますので、これを昭和五十年四月一日に施行することに改めるなどの所要の修正を行なおうとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。
  24. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 学校教育法及び学校図書館法の一部を改正する法律案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により内閣から本案に対する意見を聴取いたします。奥野文部大臣。
  25. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 意見を求められました学校教育法及び学校図書館法の一部を改正する法律案につきましては、学校図書館の現状におきましては、学校司書の職を新設することがほかの事務職員等との均衡上問題があり、また給与体系、定数の算定についても問題があることからいたしまして、政府としては賛成いたしかねます。
  26. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  27. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 速記を始めてください。  別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、片岡提出の修正案を問題に供します。  片岡提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  28. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、片岡提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  29. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  31. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 次に、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案(第七十一回国会参第三号)及び義務教育学校等女子教育職員育児休暇に関する法律案第(七十一回国会参第二五号)を便宜一括して議題といたします。  両案につきましては、すでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認めます。  女子教育職員の出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案は、予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により内閣から本案に対する意見を聴取いたします。奥野文部大臣。
  33. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 意見を求められました女子教育職員の出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、一般類似の事務職員との関連性から見まして、当面困難であると考えられますので、政府としては賛成いたしかねます。
  34. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) それでは、これより本案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  女子教育職員の出産に際しての補助教育職員確保に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  35. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、片岡君から委員長の手元に義務教育学校等女子教育職員育児休暇に関する法律案について修正案が提出されております。修正案の内容は、お手元に配付のとおりでございます。  この際、本修正案を議題といたします。片岡君から修正案の趣旨説明を願います。
  36. 片岡勝治

    片岡勝治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております義務教育学校等女子教育職員育児休暇に関する法律案に対する修正案について御説明申し上げます。  修正案の内容につきましては、お手元に文書で配付いたしておりますので、朗読を省略いたします。  修正案の趣旨は、本法律案の施行期日がすでに経過いたしておりますので、これを昭和四十九年九月一日に施行することに改めるなどの所要の修正を行なおうとするものであります。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  37. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、片岡提出の修正案を問題に供します。  片岡提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  38. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、片岡提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  39. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  41. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) これより国立学校設置法の一部を改正する法律案の質疑に入ります。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  42. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ただいま議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案について、若干質疑を行ないたいと思います。  この法律案の審議の際に、特に新しく設置をされるところの浜松医科大学、滋賀医科大学、宮崎医科大学の新設に関連をいたしまして、一部の新聞の伝えるところによりますと、これらの大学の運営について、いわゆる筑波と同じような参与会を何か政令で設けるところの用意があるのだというような発言を文部大臣が衆議院でなされたやに報道されておりますが、そのことが事実かどうかをまずお尋ねしたいと思います。
  43. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 医科大学が地域関係者等の意見を求めるための参与を設置することにつきましては、そのような考え方のもとに予算措置等も講じてまいってきているわけでございます。衆議院におきましてもそのように申し上げてまいってきているわけでございまして、いろいろな御意見がございますので、委員会での御審議を参考にいたしまして、法律案成立後に、そのようなことにつきまして検討してまいる所存でございます。
  44. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この法律案を見てみますと、参与制度の問題は何らないのですがね。予算はすでに取ってあるのでやるというのはどこを根拠にされておるのですか。
  45. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 筑波大学のほうは参与会でございますし、また、参与会の性格につきましても、諮問に応じて答申をするだけじゃなしに、勧告の権限も与えているわけでございます。いま御指摘の問題につきましては、別に特にその性格等につきまして法律で法定をするという考え方は持っていないわけでございます。各大学が地域の関係者等の意見を参考に徴してくることは望ましいことでございますので、その設置や運用につきましては全部大学にまかせたい。大学がそういう機構を利用して、できる限り関係者の意見を広く耳にするということを期待してまいりたい、かように考えているわけであります。筑波大学の場合には、先に申し上げましたようなことで、法律に規定をいたしたわけでございますけれども、国立学校設置法の十三条に「この法律又は他の法律に別段の定めのあるものを除くほか、国立学校の組織及び運営の細目については、文部省令で定める。」と、こういう規定がございますので、「組織及び運営の細目」というような見地で、大学当局に全面的にゆだねるような形で、そういうような意見を聞く仕組みを考えられるようにしたい、このようなことでございます。
  46. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、筑波に出ているところの参与会と、いまの大臣の言う参与とは、それは片一方は法律上に明記されている、片一方はないから違うのだというあなたの強弁だと思うのですがね。しかし、その実際の運営なりねらいなりは一緒じゃないですか、どうなんですか。
  47. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 広く社会の声にも耳を傾けてもらいたいという気持ちは筑波大学の場合と何ら異なるものはでございません。ただ、筑波大学の場合には、新しい大学の仕組みを考えたわけでございまして、学部組織をとらない、そして教育の組織と研究の組織とを分ける、そのようなところから人事委員会を設置する、さらにまた参与会を設ける、参与会については強い勧告の権限も与える、これは一連のものだと思うのでございまして、今度参与を考えておりますのは、社会の声も聞いたらいいのではないかという点については同じような性格を持っているわけでございますけれども、一連の方式を大学に強く求めるということじゃなしに、そういう参与の仕組みをひとつ活用されたらいかがなものだろうか、そういう運用については大学で適宜お考えなさいよというような配慮でございまして、そのことは公立学校設置法、いま私が読み上げました条文に照らしても可能なことでございますので、あえて法律規定を選ばずに筑波大学とは違った形で参与ということを省令で規定をいたしたいと、かように考えているわけであります。
  48. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 あなたは一連の方式。一連の方式と言いますが、その一連の方式の中の参与会という問題も非常に大きな問題になった問題ですよね。そのときに参与会ではないけれども、勧告権を持たないけれども、実質参与会と同じような仕組みだけはその医科大学にも今後認めるということになるとすれば、実質法律は別にしても、筑波のものを右へならえさせるという意味になりませんか、どうなんですか。
  49. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) いま申し上げましたように、筑波の場合には、全体、一連の組織として学部組織をとらない、学群学系組織をとる、したがって、人事委員会を設ける、同時にまた参与会を設置する、参与会については単に諮問に答えるだけじゃなしに勧告の権限まで与える、こういうことでございまして、そういうことを、それぞれの大学に求めていく考え方はしていないわけでございます。ただ、広くまあ世間の声にも耳を傾けたらいいじゃないかという事情はいろいろあるわけでございますので、やはり各大学が参与を置いて、そのような運用をされることのしやすいような配慮はしていく必要があるんじゃないだろうかと、こう考えておるわけでございます。現実にもいろんな問題もある際でございますので、そういう方向で省令で書かしてもらいたい。しかし、まあいろいろ御意見のある際でございますので、そういう御意見を十分聞かしていただいた上で最終的な決定をしようと、こう思っているところでございます。
  50. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうも、私はその言い方が実はこの間来教頭問題でも議論をしたね、法律が通りさえしてしまえばあとは行政府で幾らでも拡大してやれるところの余地があるんだと、これは私はもう地でいくみたいなものだと思うんですよ。なるほど省令というのはありますよ、それはね。しかし、あなたのいまの説明を聞いても、いわゆる筑波の参与会との違いは助言または勧告を行なうという助言権や勧告権がないという違いだけなんでしょう。筑波と違うというのは、あなたの説明によると、勧告権があるかないかの違いだけでしょう、新しく設けるところの参与を省令で考えたいというのは。そうじゃないですか。
  51. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 運用の方法も大学にゆだねたほうがいいんじゃないかなと、こう考えているわけでございまして、参与会という形式をとらないでも、参与を置くことにしておくわけでございますので、参与個別の意見を求めるというような運用もけっこうだろうし、あるいはまた、御指摘のように参与会というような形式で運用される場合があっても不適当だという考え方は持っていないわけでございます。また、員数の問題もあろうかと思いますし、どの程度に開くかという問題もございますし、どういう問題の尋ね方をするかという方法もあるだろうと思うんでございますけれども、国としては拘束をしないでできる限り大学にひとつ自由な形で意見を徴してもらおうと、こう考えているところでございます。
  52. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、大学の管理規程か何かに参与会なら参与会をつくって、それに一つの勧告権を持たせようという大学の内規できめれば、そういう役割りもこれは効力を発するんだと、こういうものの解釈ですか。
  53. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 特段の違ったことのない限りは、特定の大学、今度つくります大学に学校の学内規則の定めるところによって参与を置くものとすると、その運用もそういうところにゆだねたらいいと思うんでございますが、そういう式の省令を書いたらいかがなものだろうかなと、こういうふうに考えておるところでございます。
  54. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは、私はいよいよやっぱりおかしいと思うんですよ。それはあんた、名前を、形を変えて実質やっぱり筑波の方式をほかの大学、新しい大学にも及ぼすところの方向だと言われたって、それはしようがないじゃないですか、それだったら。たとえば一番まぎらわしいところの参与というものを使わないで、たとえば学校運営に当たっては、外部に意見を聞くようないろいろな方式を設けなさいというならまだわかりますよ。それをいま大臣の答弁だと、参与というものを設け、あるいは参与会でもよろしい、それはその学内規則できめたらそれが勧告権を持つんだと、こういうものの言い方でしたら、これはあんた筑波のその条文に盛られたところの内容と全く同じだと、こう理解されてもいいんじゃありませんか。そうなるといよいよあの筑波を議論したときのものを、いやこれは筑波だけです、筑波だけですと限りながら、通ってしまったからあとは文部省で権限を広めてやるんだと、こう言われたって反論の余地ないじゃありませんか、それなら。さっきから大学局長もそうだそうだとこう言われるが、私はこれはまことにおかしいと思うのですよ。したがって、もう一回その点ははっきりしてくださいよ。
  55. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) くどいようでございますが、筑波大学の場合には、一連の組織として法律で筑波大学なりの方式をきめさしていただいたわけでございます。その中で、やはり人事委員会組織とか参与会組織とは相関連するものだと、こう考えるわけでございますので、参与会につきましては特に諮問に応じて答えるだけじゃなしに、勧告をする権限も独自に与えるというような法律規定をおきめいただいたわけでございまして、今回はいまも申し上げましたように、国立学校設置法で特に細部の組織や運営につきましては省令にゆだねるという方式がとられておりますので、やはり大学としてもいろんな方の意見を参考に徴することは望ましいことでございますので、学校が学内規則でそういう参与を置くと、そういう組織とか運営とかいうようなものはまた学内規則によってきめていくというようなことで全面的に学校にゆだねるというような形で仕組みをつくらせてあげるということが、いろんな意見を聞く、地元の意見なんかも聞きやすいようにしてあげる、そういう意味においては必要なことじゃないだろうか、こう考えたわけでございます。筑波大学は、いまも申し上げますように一連の組織として法律できめているわけでございます。全く参与会だけ独自のものではございません。しかしまだ参与会の問題もございますので、参与会という形式もとらず、参与、したがってまた、助言の、諮問に答えないで、勧告する権限、これも持たせない、あとは全部学内規則にゆだねようということで考えているところでございます。したがいまして、筑波大学の参与会の本質というものと、今回私たちか描いております参与というものとは全く、——全く違うというとちょっとことば適当でございませんが、相当な性格的には隔りがあると、こう考えているところでございます。
  56. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうもわからぬのですね。なるほど法律の上にはないけれどもね、この筑波のも、勧告権、いろいろこうありますわね。しかし先ほどお尋ねすれば、大学で参与会という名前つけてもよろしい、学内規則で勧告権持たせてもよろしいという幅を与えるんだというならば、これは法律上は明記されようとされまいと、規則というものは非常に強いんだといういままでの解釈なんだから、これは実質筑波方式だと、こう言われてもしかたないじゃありませんか、その学校においては。法律上明文があるかないか別にしてですよ、おたくのほうで省令というふうにして出せば、これは法律的な拘束力を持たというのが従来の文部省の考え方でしょう。学内規則で参与会という名前をつけて、しかも、その学内組織の中でその参与会には勧告権も持たせるんだということを書いてもよろしいと、こういうような先ほどの答弁からすれば、実質筑波大学のものをそのまま、その大学では参与会というものの性格を持たせてやれるんだと、こういう解釈になりゃしませんか、それは。あなたいまごろになって、いやあれは参与会だけじゃないと、他の学部の問題やら、いわゆる人事委員会の問題があるんだからあれは一連のものだというあんたの説明だけれども、いま、あのときの議論の過程から見れば、それはなるほど一連のものにしても、これは他の大学には及ぼしませんと、何べんも答弁されておるじゃないですか。そうしますと、あなたのいまの話から総合して、いま私が尋ねたところで、ほんとうに学校で、学内規則でそういうものができるとするならば、実質筑波でやるところの参与会は新しいところの医科大学に適用されるんだと、こういうふうに理解せざるを得ないじゃないですか。どうなんです。
  57. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 繰り返すようにもなりますが、国が特定の方式をそれぞれの大学に強制すると、こういうことでないことは御理解いただけると思うのであります。参与会であり、かつ勧告の権限というようなもの、それは別に省令に書く意思はございません。参与を置くと、そしてまた、その運用は学内規則にゆだねるわけでございます。学内規則でどこまでゆだねられるか——学校自身が希望されてあるいは筑波方式をとるんだという場合にまでこれは否定すべきものではないんだろうと、こう考えてるわけでございます。文部省が各学校に筑波方式を強要する、そういう形において参与会を置けという意思は持っていないわけでございます。ただ地元の意見等広く耳を傾けることは適切、また、それを聞きやすいようにさせてあげる、そういう意味においては参与を置けるようにしておいてあげたらいいんじゃないだろうか、こう考えておるわけでございます。したがいまして、その運用のあり方でありますとか、あるいは権限でありますとか、そういうものについては筑波大学について法律で書いておりますものを文部省がかりに省令でありましても大学に強制するという考え方は持っていないということでございます。学校が運用の結果においては筑波とは全然違ったものにもなり得るだろうし、また、かなり似通った運用もそれは不可能ではないとは考えます。
  58. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それはあんたは、それはだいぶ逃げていますけどね、いまの文部省の行政指導のやり方、特に大学それぞれの当局に及ぼすところの影響力から判断して、実質筑波になっていくのはこれはもう避けられないじゃありませんか、事、参与会の問題については、しかも学校規則で、学則の中できめたら、運営規則の中できめたら、それが発効するというんだから、法律的な拘束力を持つというんだから同じじゃありませんか、それは。幾ら大臣がそう言われようとね。これは筑波を審議したときにもそのこと大きな問題になったでしょう。あなた自身これらの問題について答弁をされておるんですよね、一連の中で。たとえば、これは去年の七月十六日の本院におけるところの質問、中村登美さんの質問に大臣が答えられたのをぼくがもう一回言う。「筑波大学方式を全国の国立大学に及ぼそうというわけであるから絶対反対であるというような意見がありますが、筑波大学方式を全国の大学に押しつけるような下心があるのかどうか、大臣に承りたいと存じます。」と、こういう質問をされたのですね。そうしたところが、奥野誠亮国務大臣は、こう言っておるんですよ。その大学につきましてはいろいろこうやって、幾つかの新しい試みで取り入れられたわけでございますが、いずれも筑波大学について規定しているわけでございますと、こうやって、他の大学には当然その制度は設けられないわけでございますと、こう言っておるんですよ、他の大学には当然ね。しかもいろんな、たとえば学部やいろんなものについては、これは国立大学の場合は国立学校設置法を改めてこれはやらなければ組織はとれませんと、こう答弁をしておる。したがって、「いま何らそういう改正案を申し上げてるわけではございませんので、押しつけようとする意図があるなどということは、あまりにも私は独断に過ぎるものじゃないだろうかと、こう考えているわけでございます。」と、こうやって、また最後のところに御丁寧に、学長の問題、いろんな問題ずっと副学長の問題から学部の問題、参与の問題なり言ったあとに、「どうも今回の法律改正につきまして何か独断的なことあるいは幻想的なことで反対される向きも非常に多いように私としては感じておるわけでございます。」とね。私どもはあの当時、この筑波の問題ということがきまるとするならば、おそらくあなた方、行政指導やその他で他の大学にも及ぼしはしませんかと、これは一つの大きなやっぱり論争の焦点になったんですよ。そのところから中村登美先生から、下心はございませんかという質問があった。それに対してあなたいま言ったようなことで答弁をされておる。私、いまのあなたの答弁を聞いていて、なるほど法律改正はしてないけれども、省令で実質筑波の参与会と同じようなものが学則の中では設けようと思ったら設けられるんですと。それをまたそういうようなことの方向に省令の中で指導していきたいということになりゃ、これ下心がないと言えないでしょうが。もし下心がないとするならば、少なくとも省令の指導の中に、いわゆる参与会とかいうまぎわらしい名前をつけたり、学則でそれに勧告権を与えるなんどというようなことはすべきでないということを書くというんなら話はわかりますよ。けれども、学則がどう書こうとそれはまかしておるんですと、こういうような御答弁ですからね。そうすると、いままでの文部省のいわゆる強いところの行政力のあれから見て、右へならえされていくというのは私、はっきりしてると思うんですよ。それでも下心がないと言えましょうかね。どうでしょう。
  59. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) いまお話しになりましたことと今日も別段違った考え方を持っているつもりはございません。先ほども申し上げましたように、筑波大学の場合には、学部組織をやめる、研究、教育の組織を別にする、人事委員会をつくる、参与会をつくる、したがって、参与会についても諮問を待たなくても特に勧告の権限を与える、こういうまあ一連の組織であったと、かように考えてるわけでございます。そういうものをつくります場合には、あらためて法律の御審議を必要とするだろうと、こう考えております。各大学が地元の意見などを徴する、これは私は別段特別に御反対になることもないだろうと思うんでございますが、そういうことをしやすいために学内規則の定めるところによって参与を置くというようにしたい。その場合に、いまの宮之原さんのような意見が出てくるんじゃないかなあということを、正直言って内部では議論いたしました。そうしますと、参与じゃなくて違った名前にしたほうがいいかなあ、こういう議論も内部であったんです。あったんですけれども、どうも意見を聞くということになるとやっぱり参与ということばが普通だから、まあ国会であるいはそういう疑問を投げかけるかもしれないけれども、やっぱり参与ということばでいこうかなあというようなことを、正直言ってこんな議論も内部でしてるわけでございます。いずれにいたしましても、全面的に運用を学校にまかしていきたい、またそのことが学校の充実発展のためにも好ましいことだし、またそれによって学校の運営を拘束してしまうということじゃなしに、単に参考意見として徴していくわけのことだから、特段のそこに別な意図が押し込まれるというふうにいろいろ推測されるということもないんじゃないだろうかと、こういうような判断に立って今日まで先ほど申し上げているような考え方を持ってまいったわけでございます。
  60. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そういう疑念が国会でやられるかもしれぬというなら、まぎらわしいことばをおやめになったらどうですか、そんなら。参与とか参与会とか、あるいは学則でつくるなら勧告権持たせてもいいというさっきの答弁ですからね。そうすると、どうことばを言いつくろわれても、これはやっぱり筑波の方式を拡大したものだと言われたってしかたありませんじゃないですか。したがって、そういうものを学内で外からの意見を聞くとするならば、あくまでも参考にとどめて、たとえば規則の中で勧告権を持たすということはやめなさいとか、あるいは参与会という同一の名前をつくることは注意しなさいというならわかりますよ、話は、いま大臣がおっしゃったものをすなおに理解すればね。けれども、先ほどの私の質問に対するところの御答弁では、学則の中できめられればそれもよろしいでしょうと、こういうようなお話では、これはあなた、どう抗弁されようとも、これは法律が通ってしまったからあとはもうぼくらのかってだ、という形でこの筑波のものをずっと実質的にふえんするんだと、こう言われたってしかたないじゃありませんか。それならあんた方、そういうまぎらわしいようなことはしないように省令の中でもきちんと指導したいというなら、そう明確におっしゃってくださいよ。
  61. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) いま考えておりますのは、大学に、大学運営に関し学外の有識者の意見を求めるため、参与若干名を置く、前項のほか参与について必要な事項は当該大学の定めるところによる、こういうふうに考えてるわけであります。しかし、参与ということば以外にいま申し上げましたような規定の運用に適切なことばがあるんなら、私はそれでけっこうだと思います。いろいろ考えたんですけれども、正直言ってなかなかいいことばがないままに今日まできているわけでございます。今後もなお最終的に決定いたしますまでにはいろんな御議論を参考にして十分検討してまいりたいと思います。
  62. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 くどいようですけれども、その点はきちんとしといてもらいたいんです。別に私はことばもあると思いますし、しかも、参与会という名前をつけてもいいんだとか、あるいは学則の中で先ほど申し上げたようにある種の勧告権を持たせたってそれはかまわんのだという先ほどの御見解では、それはますます、真意がそうでないとおっしゃるなら、それは誤解を招きますよ。その点は私は、あれだけもめたところの問題ですから、法律を実際執行、運用する場合には私は慎重を期してもらいたいと思う。そのことはこの間問題になりました内申権と同じとは申しませんけれども、大体似たようなものの考え方が、これはやっぱり皆さんの頭から離れられぬなあと、こういうような気がしますからね。その点は、大臣、ほんとうに慎重にやられるというなら慎重にやられるということを明確におっしゃっていただきたい。
  63. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) まだ若干時間もあるわけでございますので、参与という表現につきましても、適切なことばがありましたら宮之原委員からもお教えを賜わりたいと思います。特段こだわっておるつもりはございません。ただいろいろ議論しまして、どうも適切でないなあということで、あえて参与と、こう申し上げてまいってきているわけでございます。
  64. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 とにかく参与とか参与会とか、勧告権、学内規則で持たせるということだけはやめていただきたいと思う。その点だけはひとつ強く御要望申し上げておきます。  次に、この法律案の条項の中でお尋ねをいたしますが、広島の総合科学部という設置ですね、これはどういう内容なんですかね。
  65. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 広島の総合科学部と申しますのは、広島大学がいま西条地区への移転と統合のことを考えておるわけでございますが、その際に大学全体の教育の仕組みを考え直してみたいというふうに論議を進めておりまして、その中で、既設の教養部を改組して全学の一般教育の充実をはかりますとともに、従来の学問の専門分野にとらわれない総合的な教育、研究領域の開拓をしたいという考え方から出てきたものでございます。この学部には従来のような固定的な学科制度はとりませんで、四つのコースで学生の志望に応じた教育の課程を設けたいというふうに考えております。四つのコースと申しますのは、地域文化、社会文化、情報行動科学、環境科学という四領域で、総合的な境界領域にまたがった教育体制を考えたいということでございまして、また、それを推進していきますための教官の構成も大講座制で考えていきたいということでございます。この総合科学部は他の学部の協力を得まして広島大学全体の学生の一般教育を担当するという責任は持つことになりますけれども、従来のように学部に入りましても一般教育は教養部ということで一年あるいは一年半まとめてやるというかまえでなくって、それぞれの学部学生としての学部の責任のもとに総合科学部が中心になって各学部の協力を得ながら一般教育もあわせて行ないたい。なお、学部としては先ほど申し上げました基本の境界領域にまたがる総合的なコースをもって学生の教育にあたりたい、こういう新しい方向を打ち出したいという大学当局の希望を受け入れたものでございます。
  66. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうなりますと、現在文学部とか教育学部とか、政経学部とか、こうありますね、ずうっと。これで学部が八つありますかね。これはどうなるんですか。これはみんななくなるんですか。それとも現在あるところのこの学部に入る場合の一般教養ですね、教養学部一年ないし二年ですね。それを名前を総合科学部というものに変えて、二年か一年半か終わったら今度いまの現在のところの文学部とか教育学部に入るということになるんですか、その仕組みはどうなるのですか。
  67. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 現在ございます既存の学部はいまこれを直ちに廃止してしまうということではございません。広島大学にそれぞれ文学部、理学部、政経学部等の学部はあるわけでございまして、学部から申しますと新たに総合科学部という学部ができる、加わるということになるわけでございます。その総合科学部は、先ほど申し上げましたように、従来の文学部とがあるいは政経学部等とは異なりまして、総合科学部としての独自の教育のコースを持ちます。そのコースが先ほど申し上げました地域文化、社会文化あるいは情報行動科学、環境科学といういま四つのコースを予定しておるわけでございまして、この学部の卒業生が出てくるわけでございます。ですから学部としては独自の学生を持って教育をするということになります。そういう新しい総合的な学部ができました場合に、おのずから今後文学部、理学部との関係をどのように調整していくかという問題は今後になお動いてくる課題ではございます。しかし、当初の段階におきましては、総合科学部は総合的な教育領域、境界領域を含めた幅の広い教育内容というものを打ち出した独自の学部として構成をしたい。こういう意味で既存の学部とは別に新たな学部ができるわけでございます。従来、この学部は、教養部という組織がございまして全学部に入ってまいります学生の一般教養、一般教育を担当しておりましたものを実質的にはかなり引き継ぐことになります。でございますから、教育学部の学生につきましても一般教育を担当いたします教育内容は、この総合科学部の教官が主体になって担当するということはございます。しかし、一般教育の担当につきましても既設の従来の学部がやはり自分の学生として総合科学部の推進いたします一般教育の教育体制に協力をする。全学的な体制のもとに一般教育を進めていくようにして、いままでのような教養部だけにまかせるという考え方でないようにしたい、こういう気持ちがあるわけでございます。しかし、一気に切りかえてしまうわけにもまいりません。教官の体制等もございまするから、総合科学部の教官が中心になりまして、他の学部の教官の協力を得ながら一般教育は推進する、こういう内容のものでございます。
  68. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうもようのみ込めないんですがね。そうしますと、将来の展望としてあれですが、この文学部とか既存の学部というものは、これはみんなあなたのおっしゃったところの総合学部に変えられていって、その総合学部の中にあるところの地域文化とか、社会文化とかあるいは環境科学というようなかっこうに新しい形態の学部組織か何かの分野をつくって研究領域、教育領域をつくっていくと、こういうお考えなんですか、将来は。なるほどそれはいまことしから始めるから文学部云々というのはこのまま残しておかなければならぬけれども、将来はそうするということですか。
  69. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 将来どうなるかは、これからの広島大学の改革構想の進展を待つほかはございません。総合科学部は、先ほど申し上げましたように、幅の広い境界領域ということを教育内容として持っておりますが、現在の理学部でかまえております数字であるとか物理であるとかいうような教育内容は、どうしても必要な教育内容として残るわけでございまするから、それを全部総合科学部の幅広い中に吸収してしまう、こういうことではございません。文学部にありましても哲学、史学それぞれの学問領域というものはあるわけでございまして、これが一気になくなってしまうということではないのでございます。ただ、いままでの文学部、理学部あるいは政経学部が、それぞれ専門領域を立てて学科構成をとっておりましたけれども、総合科学部は地域といったような領域、あるいは新たな環境科学といったような領域で総合的な教育の仕組みを組んでみたいということでございます。したがって、既存の専門学科との関係等は起こってまいりますけれども、これは総合科学部として幅の広い教育領域の学部をつくって、その上で広島大学自体が今後学部のあり方その他なお検討されることはあろうかと思います。今日、総合科学部ができたから文学部、理学部がなくなると、こういうようなことは考えておるわけではございません。
  70. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、端的に言いますと現在のところの教養部を変えて、これに変えるという意味ですか。改組してこれに変えるだけの意味だということですか、現在の考えは。それなら、一番わかりやすく言えば。
  71. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 形といたしましては、教養部という共通の組織のものが総合科学部に変わったんだというふうにお受け取りになる。そのことは、形態から見れば、そういうふうに言える面があろうと思います。しかし、一般教育というものを全部切り離してこっちへ持ってくるということではなくって、いままでの学部教育とそれから一般教育のあり方等を考え直しながら、しかも各いままでの学部の狭い専門領域ごとの教育のシステムということも考え直して、幅の広い境界領域にわたる教育領域というものを学生の教育の課程として新たに構想したい、こういう点はいままでの教養部の考えておったこととは全く違うわけでございます。環境科学、情報行動科学というのは、既存の学部には必ずしもない考え方でございますし、地域文化ということで幅広い教育のシステムを組むということも、従来の学部学科の中にはなかったことでございますから、その意味では教育内容、教育の仕組みとしては新たな中身のものを考えておる、新しいことであると、こう御理解をいただきたいと思うのでございます。  ただ、その新しい学部をつくるにつきまして、従来の教養部の教官が主体になっておるという点では、教養部を総合科学部と言いかえたのではないかという御指摘は当たっておるかと考えます。
  72. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうもそこらのあたりわからぬのですがね。そうしますと、新入生が入ってきますね。いままでは一般教養部にずっとやって、一年半ないし二年経て文学部なら文学部のこの専門コースにこう行っておるわけですね。今度からは、文学部志望の者はまっすぐ文学部に行くのですか。そして、それ以外のここに書かれているところの総合科学部に入りたいという者はそこへまっすぐやるという意味になるんですか。どっち。そこらはどうなるんですか。
  73. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 最初から総合科学部の学生がおるわけでございまして、文学部の学生は文学部の学生、総合科学部の学生は総合科学部の学生、こういう位置づけになってまいります。それらの全体の学部の学生の一般教育をなお総合科学部の教官たちが中心になって行なう、教養部的な機能を引き続き果たすという点は似たものがあるわけでございます。
  74. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 こういうことになるのかね。そうすると、結局教養部というのはなくなるということだね。たまたま教養部を担当しておったところの大学教授が、たとえばまっすぐ文学部なら文学部に入ってくるところの生徒に対しては、一般教養部でやられたところの皆さんもそこに行っても授業する。あるいはここに新しいところの総合科学部をめんどうを見る。言うならば、教員の配置をそこに変えていくということなんですね、そうすると。そうなりますと、この大学教育のあり方のやっぱり基本の問題として、今後はこのシステムになると、一般教養部というものはやっぱり廃止をしていくんだというのがやはり今後の文部行政の大学に対するところのものの考え方だと、こういうふうに理解していいですか。こうなると、非常に私は大きな問題だと思うんだが。
  75. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 一般教育を廃止するということではございません。今日でも、一般教育を担当するための特別の組織として教養部を置いておる大学と、必ずしも教養部を置いておらない大学とがございます。北海道大学のような大きな大学でありましても、教養部というものは置いておりません。これは大学が一般教育をどのように担当し運営していくかということを、それぞれの大学のこれまでの考え方にゆだねてきたからでございます。一般教育そのものは、これだけの中身のものはやらなければならぬということが大学設置基準できまっておるわけでございますから、このことがふえたり減ったりするということではございません。その一般教育の教育の仕組みを従来教養部という特別の教官組織を持って受け持ってきた大学がかなりあった。広島大学もそうであったわけでございますけれども、今回教養部という組織は改組をしたい。それは総合科学部という新たな教育内容を持った学部を構成したいという希望があり、また、その教官の構成は総合科学部の教官を中心にして一般教育を総合科学部の教官だけでではなくて、他の全学の教官たちの協力を得ながら一般教育を行なっていく中心の役割りは引き続き持つにいたしましても、学生に対する一般教育ということについていままで以上に各学部の関係者も責任を持つようにしてもらいたい、こういう大学の考え方に基づくものでございます。
  76. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いま東京大学は一般教養部がありますね。もうないんですか。昔、駒場にあったのはもうなくなったのですか。
  77. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 東大は駒場の教養学部で一般教育を担当しております。これは全体が教養学部でございますから、教養部とは申しておりません。
  78. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 実質は同じでしょう。
  79. 木田宏

    政府委員(木田宏君) まあ、教養部を含んだ教養学部という学部があるということでございまして、教養部と完全に同じということではございません。
  80. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、この大学教育のあり方の中で、この教養部を実質なくしていく。いまのお話では、設置基準は変えないのだと、こういうのですけれども、行く行くはそれは変えていくという一つの方向性を持っておられるんじゃないですか、皆さんは。そして、その専門学科のほうを強くしようという、この一連の動きの中での私はこれは一こまじゃないだろうかと考えてならぬのですがね。そういう考えは絶対ありませんか、どうですか。
  81. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 一般教育の内容をどうするかという点につきましては、いままである程度の弾力化ということは進めてまいりました。これは専門教育との関係をもう少しフレキシブルに取り扱えるようにしたいという考え方が一つあったからでございます。しかし、広島大学は今回ここで総合科学部という新たな学部を設けようとしておりますのは、むしろ一般教育をかなり重視して、これを専門にずっと一般教育の姿でつなげていこうという考え方が逆にあるわけでございます。一年半で幅の広い一般教育が終わりということでなくって一学部全体の構想をもう少し総合的な教育内容にして取り扱えるような学部。むしろ、一般教育的な従来の一般教育を重視するという考え方をそのまま学部教育の中に取り込もうという考え方を私どもはこの中に感じ取っておるのでございます。でございますから、広島大学がこういう組織をとりますことは、一般教育をむしろ軽視するのではなくて、重視しておるからだというふうに理解をしておるところでございます。一般教育を担当いたしますために特別の組織をとるところ、あるいは特別の教養部という組織をとらないで一般教育をやっておるところ、いろいろございます。しかし、一般教育のあり方そのものがいろいろな意味で論議の大きな課題である、大学教育の中で何とかこの一般教育の中身をよくし、取り扱い方法を改善しなければならぬという関係者の大きな意識があることは事実でございまして、それを大学改革の中でできるだけ私どもは改善をしてもらいたいという気持ちを持っております。広島大学の今回のこの措置は、一般教育をより適切に行なうための全学的な体制をとる、そしてまた、一般教育を重視した教育のコースを総合科学部という形で打ち出していく、こういうことになっておるというふうに理解をしております。
  82. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 なるほどその総合科学部では、あなた、そういう言い方ができますけれども、今度は一般教養は、ほかのところの文学部とか、ここに出ておるところの教育学部ですか、こういうところはストレートに入っていくんだからこの設置基準は変えませんと言いながら、ここでは実質一般教養というものはやはり従的になっていかざるを得ないということになりはしませんか。あんた総合科学部のことを一生懸命強調しておるけれども、じゃそこに行かないところの、ほかの学部に行くところの学生はどういうことになるんですか。それは一般教養の設置基準は変えないという、そういうあなたの答弁だけれども、実質の中では、一般教養でいままで教えたところの教官が大部分総合科学部に行くとすればなお軽視されるということに結果的になっていきゃしませんか。
  83. 木田宏

    政府委員(木田宏君) これは、それぞれの運用を見なければどうほんとうに動くかというのはわからないことではございますけれども、私どもがいま広島大学の総合科学部に期待をしておりますことは、従来の学生の一般教育を入学した最初の……。
  84. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、総合科学部だけのことを言っているんじゃないですよ。広島大学の全体の中におけるところの一般教養に対するところのものの考え方を聞いておるんですよ。
  85. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 学生が入学したしました最初の一年あるいは一年半、ところによりましては二年でございますが、これを一般教育だけやっていくということが学生教育の指導のあり方としていいかどうかという点は、各大学で相当論議があり、むしろできるだけ一般教育は専門と一緒に四年間にわたって教えたほうがいいのではないかという意見がこれまで一般教育を教養部で独自に運営してきた反省としての意見なんでございます。で、そう申しましても、一般教育を四年間を通じて専門と合わせながらうまくやるというのはそう簡単なことではございません。ですから、それを実施いたしてまいりますためには、全学的な各学部の強い協力の体制というものがなければならないというふうに考えております。私どもは、一般教育を四年間を通じて各学部の責任と合わせながら処理をしていくという今回の広島大学の試みというものは、やはり一つの試みだというふうに期待しておるのでございまして、必ずしもそれで一般教育の中身が弱くなるというふうにも考えません。ことに一般教育というものが各個ばらばらではいけないのでございますして、できるだけ一般教育のあり方そのものが総合的な視野のもとにくみ上げられているということが必要でございますから、総合科学部という広い境界領域にわたって、幅広い教養内容というものを構成する学部ができますならば、全学に対する一般教育の中身もまた総合的なものが多くなり、質の高いものになり得るのではないか、こういう期待も持っておるところでございます。   〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
  86. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 あなたの答弁は、総合科学部の中のそのことはわかるというのですよ、先ほどから。ほかのところの学部では、実質教官の数の範囲からいっても、これはやっぱり結果的には第二次、副次的に軽視されていくというかっこうになりませんかということを聞いておる。あなたのいまの答弁をお聞きすると、それは、なるほど一般教養の、各個ばらばらではいけない、専門学科と一緒にしなければならない。関連を持たせなければ、一貫性を持たせなければならない。これは言うはやすくなかなかむずかしいのですよ、実際の場合には。それを地で行くような形になりませんかということを私は心配するから先ほどからしつこく尋ねておる。いまあなたがるる説明したように、総合科学部というものはそういうものでなくて、そういうものの中で一生懸命やりたいのだ——私はそれもどうかと思うけれども。そういうことになってくると、これはてのいい、やっぱり筑波と似たようなもんですね、この一つの総合科学部というものの設置の考え方は。違いますか。
  87. 木田宏

    政府委員(木田宏君) この総合科学部が文学部、理学部の学生の一般教育につきましても七、八割方その総合科学部の教官が中心になって担当する、あるいは総合科学部の講義を文学部、理学部、その他の一般の学部の学生が一般教育の講義として聞きに来ることになる。したがいまして、総合科学部ができたから文学部の学生は文学部の教官だけで一般教育をやるというわけではございません。むしろ、総合科学部の教官を中心にして各学部の教官との協力のもとに一般教育を進めていく、こういう趣意でございます。ですから、私ども、御心配のようなことがなくて、これは一つの期待できる試みではないかというふうに考えておるのでございます。  なお、教育内容があまりにも狭い領域の教育専門内容だけでは適切でない、むしろ、総合的な教育内容を大学の学部段階では取り入れていくという必要があろうという点では筑波の学群の考え方と近いものがございます。しかし、これは、従来のように、電気あるいは機械、精密器機といった狭い内容の領域だけで教育をするよりも、そういうもののほかに総合的な新たな教育の領域というものを考えていく必要があるという時代の要請、発展の方向に則しておる面があるというふうに考えておるわけでございまして、これで広島大学が従来の教育のしかたを全部やめてしまうということでもございませんから、専門別の教育内容とあわせて幅広い総合科学部のような教育内容ができるということはまた適切なことだというふうに思っております。
  88. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 関連。  一般教養から総合科学的なところへくみ上げていくということですが、文学部というのは、総合科学ということばだけじゃ処理できない問題を持っていると思うのですね。川端先生の自殺なんというのはその辺のところを見越して自殺したのだと思うのですけれども、やはり文学部というのは、科学科学ということばを使うけれども、どういう科学なんですか。文学という創造的な問題と——いまそれを伺いたいと思いますね、どういう科学なんですか。
  89. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 総合科学部と申しますのは、先ほど申し上げましたように、地域文化あるいは社会文化あるいは環境科学という従来の学部、学科とは異なった別の次元から専門を総合的に考えていこうとする教育内容をとっており、また、研究活動もやろうということでございます。  で、今日まで言われてまいりました文学部の文学は基本的にはヒューマニティーズでございますから、この文学を科学というふうに置きかえることは必ずしも適切なことではないかと思います。しかし、従来からやっております文学部におきましては、哲学、史学、それに文学それから心理学、社会学というふうな領域に入っております。心理学、社会学というような領域、あるいは哲学というのは科学というふうに言えるかと思いますが、純粋の文学はヒューマニティーズというふうに普通考え、これを科学と言うには私はふさわしい領域ではないかと思います。ただ、学問という意味ではヒューマニティーズも含めて広い意味での科学というふうに言えるかもしれません。文学部という呼称も、そういう意味では学問の専門を文学関係を中心に集めたものというふうに理解をしておるわけでございます。
  90. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 文学的な問題にしましたら、そういう説明、ただ単のヒューマニティーという問題だけじゃ解決できないと思うんですね。だからそういう文学的な、そういう一般教養から文学部をせばめていくというふうにしか受け取れないんですね。人間の内部を科学的に見ていくのも科学なんだけれども、そちらでおつくりになった科学性の中へ当てはめた科学じゃ、文学は日本の中では川端康成さんの自殺とか三島さんの切腹、そういうものが生まれてくる状態が生まれてくると思うんですね。あまりにも文学についてお知りになっていらっしゃらない。だからそういうことが簡単にできるんじゃないでしょうかね。
  91. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうも局長の話聞いても、なかなかすとんと落ちないんですよ。といって時間の制約もありますから次に移りますけれども、やはりどうもだんだん聞いておると、何だほかの学部の学生も行って講義聞くんだ云々という話になると、教養学部の名前を今度はよりこう範囲を広げて変えただけの値打ちしかないような気もするし、しかし先ほどの話を聞いてくると、一つの独立したところの学部として今後はずっと育てていくんだということにも言っておるんでね、どうもそこらあたりの展望が私にはやっぱり明確につかみ取れないんです、あなたの説明では。そしてまたあなた自体も今後はどうなるんだと言ったら、それは大学がやるんでしょうと言わぬばかりの話なんでね。しかし、私はやっぱり文部省は、その当該大学の意向を受けて出す以上は、将来はどういう方向にほかの学部との関連の中ではなっていくんだという展望なくしては出せるはずはないと思う。ただ、それを出さぬのは、また来年あたりもう一つの何かまた珍しい大学、学部をつくってきて、次々いま現在のものを廃止していこうという一つの展望を持って小出しにしているんじゃないかと勘ぐりたくさえなるんですよ。したがって、私はやはりこの問題については既存の学部とどういう関係になって、将来はこれがこういう学部方式のものがずっと広がっていくのかどうか、そこらあたりもやっぱり明確に示してもらわなければなかなか困ると思うんです、この問題は。そういうものは現在おありなのかないのか、あるいは今後検討の課題になるのかどうか、そこだけちょっとお聞かせ願いたい。
  92. 木田宏

    政府委員(木田宏君) これは広島大学が新しい大学へいろいろと充実発展をしようという努力の中から出てきておることでございまして、今後のあり方につきましては、なお、広島大学のほうでいろいろと検討が続けられるであろうというふうに思います。いままでの学問領域を縦割りにした学部のあり方に対しまして、やや境界領域を取り扱うような違った構想の学部ができておりますから、既存の学部との関係をどのように位置づけていくかというのはいままでの学部とは違った意味で新たな問題が起こってくるであろうということは予想できます。しかし、それをどこまで持っていくかというのはやはり大学当局の今後の検討と意見にまつほかはございません。私どもは、そうした努力がいろいろと続けられていくということを見守っていきたいし、大事に育てていきたい、こう考えておりますから、これでおしまいであるとか、いやこれはこの次にこれがあるべきだとか、そういうことをいま私どものほうからは考えておるわけではございません。
  93. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 あなた、そう言ってみな大学に責任をなすりつけておるけれども、少なくとも、私は、政府が出す以上は、今後の展望というものは何かということを大体承知の上で出されておると思うのですよ。非常に私はやっぱりこの問題を小出しに出されてきておるところに問題点を感ずるのです。と同時に、これはこの学部というものは他の大学の今後の学部のあり方とも関連しないはずはないのですよ。そうなった場合には、既存の学部とどう違うのか。そういうやっぱり関連性もあってしかるべきだと、こう思うのだけれどもね。それを学部だけ、広島大学から今後どう出てくるかわからないという答えではどうもますます私はふに落ちないと思う。しかしまあいいでしょう、時間がありませんから次に続きますがね。  この民族学博物館というのは、これは一体どういう構想になっていくのですか。  提案理由の説明には若干書いてありますけれども、どういう構想になるのです。
  94. 木田宏

    政府委員(木田宏君) この民族学の博物館は、文化人類学の範疇に属する博物館でございまして、世界諸民族の固有の文化及び民族資料を中心に収集展示をしてその研究をしていこうということでございます。その内容といたしまして、アジア北部、アジア南部、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、オセアニア地区といった地域ごとに研究部を設け、また総合的な研究部とこの資料を収集するための体制というものを取り入れておきたいと考えております。日本ではいままで残念なことにこの民族学の博物館というものがございませんでして、民族学の研究者が非常な不便をかこっておったわけでございます。どこの国でもこの民族学の博物館というのは博物館の非常に大事な種類であり、古くから設置されておるわけでございますが、日本では今回初めてできるものでございます。中身は先ほど申し上げましたように、世界諸民族の文化及び民族資料というものの研究を進め、その研究成果を展示するための中身のものでございます。
  95. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この法案の一番中心である医大の問題にまたあと返りますがね、この三つの大学を新設をするという理由は、「医療需要の増大と医師の地域的偏在に対処するため」と、こういうふうに出ていますが、普通常識的に考えれば、現在の大学に一つの医学部なら医学部を増設をしていくということが経済的に見ても、これは私は事足りるにいいのじゃないだろうかと思うのです、経済的に考えればね。しかも 目的からいえば、この目的も達し得る。しかしながら、最近の文部省の方針を見ていると、みんな単科大学にどんどん持っていっておるのですね。医学部ではなくて単科大学を主体にしていくというその理由は何ですか、最大の理由は。おそらくその単科大学に持っていくところの理由としては、「医療需要の増大」とか、「医師の地域的偏在に対処する」ということは理由にならないと思うのですね、経済的に見れば、それは医学部を増設していけばいいのだから。それをあえて医学部じゃなくて、金をたくさん使って医科大学に持っていくというその理由は何ですか。
  96. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 医学教育は、御案内のように、他の一般の学部と異なりまして、学生の修業年限が六年間でございます。また、医師の養成課程の必要性から非常に大きな病院というものを持っております。診療と教育と研究を一貫のものとして推進しておるのでございます。これまで東京医科歯科大学、あるいは昨年御審議をいただきました旭川医科大学のほかは、御案内のように既存の学部と一体のものとして運営されてまいりました。しかし、医学教育が六年間のものであり、二カ年の医学進学課程と四カ年の専門課程というような制度上の区分がございますために、この一般教育の扱いにつきましても、他の学部とはかなり異なった学生教育の形態がとられております。昨年の法律改正に伴いまして、六年間一貫の教育もとれるように、制度も改めさしていただき、いろんな弾力的な措置ができるようになったわけでございますが、今回いたします浜松、滋賀、宮崎等につきまして、やはり医学教育の、新たな、充実した教育のシステムというものを考えてまいります上からは、既存の大学の一学部として考えますよりは、医科大学それ自体としての教育。研究の体制をとっていくことのほうが、新たな姿勢をとりやすいであろうと、こう考えた次第でございます。  また、静岡につにましては、いろんな地域の関係から、浜松に、浜松医科大学として、これを御提案申し上げておるわけでございますが、地域に分散を、静岡大学との関連等をも考えましても、やはり独立の大学として構成していったほうが、教育、研究、診療の一体的な運営が適切にいく、こういう判断によっておるものでございます。
  97. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 あなたのおっしゃった六年間とか、いわゆる病院と、診療と、教育と、こうつながらなきゃならないと、こういう理由では、現在の医学部だってそうなっておるでしょうが。医学部をあらためて医科大学にし、単科大学にしなきゃならぬという理由にはなってこぬですよ、あなたの説明から聞くと。ほかに何かあるんじゃないですか。だって、今度の予算の内示があった前後、新聞は、宮崎大学に医学部を設置するという最初の予算内示に対して、いわゆる新しく大学の学長に、単科大学に予定されたところの人は、それならばいやだと、こう言ったという形で新聞をにぎわした。で、後に宮崎は単科大学にしたから自分は行くということになったということを報じておるんですよね。あなたの説明のその新しい学部云々と言ってみたって、その医学部でもやれるものを、わざわざ医科大学にしなきゃならぬというのは、まだもう一つの大きい理由があるんじゃないですか、ほかに。それならば、もし、あんたがおっしゃったようなのだったら、今後は医学部はみんな医科大学に変えていくんですか、方向としては。どうなんですか、そこらあたりは。
  98. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 既存のものの医学部を全部分離、独立するという考え方をとっておるわけではございません。医学教育につきましては、そのあり方につきまして、従来から、中で一緒にあるほうがいいか、そうでないほうがいいかという、いろんな論議がございます。それぞれにやはり一利一害があるというふうに私どもも見ておりまして、いまのところ、どっちでなければならぬというふうに、こうすべてをきめつけてしまうというふうには考えてないわけでございまして、ただ、これからつくってまいります医科大学の、まあ無医大県に対しての新たな医科大学の役割りということを考えてまいりました場合に、地域の診療と教育と研究、これを新たな観点からひとつ適切に行なうための試みをするためには、医科大学それ自体として構想をし、建設をしていく、位置づけを考えていくということのほうが、既存の大学との関係で、その基盤の中に位置づけるよりはいいのではないか、また、すでに過去の医学部は二十数県、総合大学の一学部として位置づけられておるわけでございますから、これからの国立大学が単科大学で七、八県できるということも、これも一つの行き方としていいことではなかろうかと、こう考えておるわけでございます。
  99. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 あなたの答弁を聞いておっても、医学部を、単科大学ということを医学部よりも重視しなきゃならぬ理由というものは、何ら出てこぬのですよ。しかし、文部省のいわゆる大学設置の今後の方向というのは、単科大学方式にどんどん切りかわってるんじゃないですか。言うならば、このほうが管理がしやすいということが一番頭にあるんでしょうが、あんた方。   〔理事内藤誉三郎退席、委員長着席〕 現に、それぞれの地域で言っていますよ、そのことを。あるいは皆さんのバックのいろんな与党の皆さんも、管理の面で困るから単科大学にするんだと、こう言っていますよ、これは。それは表面切って一貫教育云々だって言うが、それは教育課程のあり方を変えりゃできるんだから、現在の医学部でも。ほうとうはそこじゃないんですか、どうなんですか、それは理由じゃないんですか。
  100. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 先ほども申し上げましたように、医学部は教官の数にいたしましても、また、付置しております大きな病院があること等からいたしましても、他の学部と同じ一学部として扱うには非常に大きな組織でございます。そして、その教育、研究、運営の体制は、他の学部とはことのほか違った性格を持っておるものでございます。それだけに、これからの医学教育の改善、あるいは地域との関係、研究体制の推進、こういうことを考えてまいります場合に、医科大学それ自体のものとして建設を進めてまいりますことのほうが適切であろう、こういうふうに考えておるわけでございまして、医学の教育、研究、診療の全般にわたって、その適切を期したいというための、新たな試みでございます。
  101. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 よく、いまの説明でもわかりませんがね。新しく医科大学にするのは、現在の大学は非常にたくさんの学部があって、もうマンモス化して、大き過ぎるから、別に独立させるんだという言い方を表面やっておる向きもあるんですが、事実、やっぱりそれが大きな理由の一つですか、これはやっぱり大臣からお聞きしたい、政策の問題だからね、大臣からお聞きしたい、これはどうですか。
  102. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 戦後、アメリカの指導によりまして、一県一大学、いろんな学校を一つにしまして、大学をまとめたわけでございますけれども、中には成果のあがっているものもありますし、中にはかえって混乱を起こしておるようなところもあるようでございます。総合大学の学部として設けるほうがいいか、あるいは単科の大学にしたほうがいいか、これはやはりそれぞれ長短があろうと思います。これまでは大体において、国立の大学につきましては、医学部方式をとってきているわけであります。やはり大学はそれぞれもう少し専門性を発揮したほうがいいんじゃないだろうかという反省が今日生まれてまいってきておるわけでございます。同時に、いま、大学学術局長がるる申し上げましたように、医師養成という点につきましては、第一、他方は四年制であるにかかわらず、医学部の場合には六年制ということをはじめとしまして、かなり違った面をたくさん持っているわけでございます。そうしますと、やはりその専門的な面を強調する、特色を発揮していくというごとになりますと、それ専門の大学として充実していくほうが、それなりの効果をあげやすいんじゃないだろうかということを考えてまいってきているわけでございまして、おっしゃいますように、それを管理という面からとらえてとらえられないことはないと思います。ないと思いますけれども、現在の総合大学、はたしてこれで全部うまくいっているんだろうかということになりますと、必ずしも多くの学部、全部そろえているわけでもございません。三つでありましたり、四つありましたり、いろいろでございますけれども、そうなりますと、総合大学の特色を十分発揮できるんだろうかというような疑問もあったりするわけでございます。現在医学部をつくろうとしておりますのは、無医大県の解消という線に沿いまして、医師養成の機関のないところに設置しているわけでございます。そういうところでございますだけに、必ずしも総合大学として、学部組織をとることが好ましいという大学になっているわけでもないんじゃないだろうかと、こういうようなところから、今回、全部単科の大学ということにさしていただいたわけでございます。キャンパスも違ったりしているわけでございますし、また内容もかなり違った面がございますので、それなりに充実した医師養成施設をつくり上げていきたい。それにはあんまり足を引っぱられないで、それ専門に努力をしてもらえる体制をつくったほうがいいんじゃないだろうかと、こう考えているわけでございます。将来とも全部これでいくという意味ではございませんけれども、いままで総合大学中心できたところについての反省のあることは事実でございます。
  103. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、やれ医学部の修了年限が他の大学の学部より長いからとか、やれいわゆる診療と一体的にやらなきゃならぬから独立させるんだという話でしたら、これは戦前からそうでしょうが。戦前も医学部は長かったんでしょうが、普通の大学よりも。それぞれ病院を持ってやっておるんですよね。だからとってつけたみたいな理由にしか思えぬのです。あるいは大臣がおっしゃったように、総合大学というのは、たとえば六つも七つも大学の学部があって非常にマンモス化していると、これなら私はまたそういうものの考え方もあるかなあと思うんですけれども、あなた設置されるところのこれ見てごらんなさいよ。たとえば滋賀大学は幾つありますか、教育学部と経済学部しかないんですよ、現在の滋賀大学は。昔の師範とあすこの高専ですか、それをひっつけただけのものでしょう。それをさらに持っていって医科大学をつくるんだと、まことに不経済な非効率的な私は使い方だと思うんです。いわゆる総合大学と一体滋賀大学あたりが言えるんかどうかでさえも疑問を持つぐらいなんですよね。そういうようなものでさえも医科大学として独立させる。また、福井県のほうが大学設置一生懸命やっていますよ。あれは御承知のように、教育学部と高専ですか、昔の、二つの学部しかない。けれども、あすこもいわゆる自民党の方針としては単科大学をつくるんだと、おそらく来年あたり出てくると思いますがね、あれやこれや。そういうようなものの考え方というものの基本には、教育といういわゆるほかの学部とも交流をしながら、学生と交わりながらやるという、そういう総合大学のいい面よりも管理ということを非常に頭に置かれて皆さんが考えておるというところにこの単科大学の設置の問題というのは問題点の一つがあるんじゃないですか。これは世間一般みんな言ってますよ、そう。それで内々文部官僚の皆さんの話を聞けばずばり言ってそうだと、こう言うそうだ。新聞記者諸君だってそう言う。それを表面に出せないからいろいろ苦しい答弁されているけれども、そこらあたりが本音じゃないんですか、どうなんですか大臣。ほんとうに本音じゃないですか、どうですか。
  104. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど申し上げましたような戦後のアメリカの占領軍の指導によりまして一県一大学、したがいまして彦根高商と滋賀師範学校、これが滋賀大学になったわけであります。私はこれはよかったとはひとつも思っておりません。分離できるものなら分離したほうがいいと思います。
  105. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 単科大学をつくるのですか。
  106. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 単科大学二つにしたほうが私はいいと思います。しかし、これは意見がいろいろ分かれると思います。むしろ六つ、七つという御指摘がございましたが、六つ、七つある場合にさらに医学部を加えると、それなら私はある意味においては総合大学としての特色を持たすことができるんじゃないだろうかと、こう考えるわけでございます。ただ、学生数が一万だ、一万五千だというようなマンモス大学になりますとこれはまた問題があろうかと思います。宮之原さんは管理という面からとらえておられるわけでございます。私たちは教育の徹底、研究の充実という見地から考えているわけであります。やはり管理が十分できませんと教育も徹底を期しがたい、研究も十分を期しがたいということになるんじゃないかと思うんであります。ですから管理の面から考えているじゃないかとおっしゃること、私はひとつも否定しません。しかし、管理ということよりも管理そのものはやはり教育が効果を上げることをねらって管理を考えるわけでございます。管理強化、管理のための管理を考えておるわけではございませんで、教育が成果をあげる、研究が充実する、それにはどうしたらいいだろうかということで考えているわけでございますので、そういう意味で管理のことを考えているんじゃないかとおっしゃるなら、それは何ら私たちは異議を唱えません。まあいろいろ考えまして、今回それぞれ単科大学にさしていただいたわけでございます。当初、財政当局は学部組織、医学部設置——ずっと金は安上がりになりますので、強い主張がございました。私たちは金の問題じゃなしに教育の効果をあげたいんだと、研究の充実を期したいんだと、それにはやっぱり医学部設置よりも単科大学がいい、金がよけいかかるけれどもやむを得ない、こういうことで、結局、政府としては単科大学の道を選ばしていただいたわけでございます。将来ともこういう問題についてはいろんな議論があろうと思いますので、十分検討し続けながら最善の道を選んでいきたい、こう思っているわけでございます。
  107. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、管理のための管理ということを非常に文部省は考えておるから、こういうものの考え方の発想に立つんじゃないかということを指摘したいんですよ、それは。管理が全然要らないなんて言ってない。ただ教育や研究というよりも管理というものを先行させているところの要素というものが多分にあるからこうなっているんじゃないですかと私は先ほどから言っているんです。だから逆なんです、おたくの考えとはね。あなたはそうじゃないんだ、教育のためを考えておっしゃるけれども、たとえば滋賀大学が彦根と師範学校であれだったのが、キャンパスを同じゆうするように今後やりゃあいいだけの話であって、少なくともやはり総合制の大学のよさというのは、学部は違っても、それぞれ学部の違ったところの人がいろんな機会で交流をし、互いにやっぱり一つの学生として切磋琢磨し合っていくというところに一つの要素がある。教育的な要素がある。しかもまたいまの大臣の話聞くと、従来の医学部体制だったら、まるで研究や教育はできないようなものの考え方ですが、私はそうじゃないと思う。それならば、現在の医学部というのはみんな否定するという形につながるだけで、私はやはりものの考え方の発想というのが、管理のための管理ということをあまり強く意識し過ぎるから、無理されてこういうことをやっているんじゃないだろうかと、こう思うがゆえに先ほど来聞いておるんです。これはもうおそらく平行線かもしれませんけれどもね。したがって、そういう点で私はこの医科大学の単科大学の設置のあり方というのは、これはやっぱり今後はすべてそうするんだという考えだけでいいのかどうかというのは非常に疑問があると思うんです、率直に申し上げると。  それで続いて聞きますが、この提案理由の説明の中に「医師の地域的偏在に対処するため」と、こう出ておるわけでございますけれども、医師が偏在をしておるということは、私は事実じゃないかと思いますね。この現状はどうなっていましょうかね。これは厚生省にお聞きしたほうが適切かと思いますがね。
  108. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 医師数を地域的な分布で見ますのに、大まかなところ七大都市、それからその他の市、それからそれ以外、そういう別に調べたものがございますが、それによりますと、四十七年の調査で七大都市に三〇%がおると、それからその他の市に約六〇%、それからそれ以外のところに一〇%という状況でございますし、また、人口十万対の状況を見てみますと、七大都市におきましては、四十七年でございますが、十万対百六十六という医師がおります。またその他の市におきましては百二十一と、それ以外が六十四・九、六十五でございます。七大都市、いわゆる都市部門、一般の市あるいはそれ以外と比べまして、そこに地域的な配分に大きい格差があることがわかります。そういう状況でございます。
  109. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いま、無医地区は市町村数で幾らありますか。
  110. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) いわゆる無医地区と申しますのも定義がいろいろ問題がございまして……。
  111. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 市町村について。
  112. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 一応私どもの概念でいきます無医地区を持っております市町村は全国で約千でございます。
  113. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その千の地域の人口はどういう構成になっていますか。
  114. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 無医地区にかかります人口については、無医地区の人口がなべて約七十万人、ただ、関係の市町村の人口は私承知しておりません。
  115. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 四月三十日の毎日新聞は、無医地区の市町村数が九百七十四、全体の三〇・二%で七十四万人だと、こう報じておるんですがね。するとこれ、こういう無医地区というものが今後は解消されるところの方向にあるのかどうか、その無医地区解消に対してどういう指導を厚生省としてはやっておられるのか、その点をお伺いしたいんですが。
  116. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 無医地区の状況をいろいろ見てみますと、現在無医地区であるその理由の一番大きい問題は道路事情、要するに、交通関係におきまして道路関係の整備が十分でないというところが最も多うございまして、道路事情が相当よくなれば、結局その関係の医療機関とのコミュニケーションもよくなりまして、時間も短くて済む、すぐ行けると、そういう関係になってまいりまして相当解決ができるものと思っておりますが、たとえば今日その無医地区におきます自家用車の保有状況を見ましても、全世帯の約半分ぐらいが自家用車を持っているようなそういうところも多数ございます。そういう状況でございまして、まず一義的には、道路事情をよくすること、あるいはまた電話関係で他地区とのコミュニケーションをよくするというふうなことが一番大事であろうと思います。基礎的には、私どもの厚生省の手を離れまして、建設省とか、あるいはその他の面にお願することが大きいと思いますけれども、そこら付近で改善されることを期待しつつ、当面は無医地区につきましてはわりかた人口のまとまったほうにつきましては無医地区の診療所をつくる、あるいはまたその当該市町村の病院とか、あるいは当該市町村を包みます広域圏の病院から医師を派遣していろいろとめんどう見るというふうなことをやっていこうと考えておりますけれども、どうも過去十年ほどいろいろやってまいりました経験から申しますと、こういう無医地区に医師を確保することはなかなか困難でございます。今日のやり方といたしましては、診療所をつくることも大事でございますが、当該無医地区を持っている広域市町村圏におきましてどこか中核病院を持つ、そこに医師をプールしておきまして、そこから随時その僻地の診療所にあるいは交代で行ってもらう、あるいは期間をきめて行ってもらうというふうなことをやる、あるいはまた巡回診療という方法を講じてやっていただく、あるいはまた市町村に救急自動車とか、こういうものを準備しておきまして、いざというときには、その患者を中核病院まで運んでもらう、そういう方向に切りかえつつありますが、いずれにいたしましても、年々厚生省におきましてもそのための予算化もいたしまして、その整備を進めております。そういう状況におきまして、過去四、五年を見てみますと、一番最初に申しました交通事情の改善というふうなことが一番大きい原因となって無医地区は減ってまいりますし、また、こういう対策を講ずることによってこういう地域の困っておられる皆さん方も相当事情改善されつつあるという状況だと思っております。
  117. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それで文部省にお尋ねしますが、どうも教育は文部省、医療の実際は厚生省というふうに、二また省にまたがっているところに私はやっぱりこの問題の盲点があると思っておるのですがね。お尋ねしたいのは、文部省のこの提案理由を見ましても、いわゆる「医師の地域的偏在に対処するため」だと端的に言えば、こういう無医地区はやっぱり解消してもらうということの大きなぼくは要素があると思うのですよ。そこに昭和五十二年までに、大学のないあるいは医学部のない、医科大学のない県を解消するのだというのが一つの方針だと聞いておるのですがね。そういう方針から見れば、五十二年でそういうことになるとするならば、今後はいま指摘になったところのいわゆる医師の偏在とか、一つの県の中でも偏在とかあるいは一つの県の中でもこのような無医地区というものが相当解消されるという見通しなのかどうかですね、そこはどういうふうに見ておられますか。
  118. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 私どもは、医科大学のある県とない県ととってみますと、医科大学のない県におきまして、一般的に人口に対する医師数が少ないということを考えて、そういう点からやはり医科大学をそれぞれ県に一つずつ置いていくことによって、現在ありますない県をある県とによる医師数の差というものが少なくなっていくであろう、こういうふうに考えております。しかし、その県内におきまして無医地区がどのように解消されていくかというのは、これは医師のあり方、医療機関のあり方等、厚生省のほうでかじをとっていただかなければ、私どもでは無医地区の解消という行政課題を医科大学によって解決するということが直ちに結び付くとは考えておりません。一般的にしかし医科大学ができましたならば、その医科大学の周辺に医師の定着率が大きくなる、そして地域の医療機関との関係も緊密になる、そういう意味では医科大学の卒業生がその卒業した大学の所在県及び隣県に一番多く開業しておるといったようなことなども考え合わせて、無医大県の解消ということが行政課題として意味を持っておるというふうに考えております。しかし、そこから先のことにつきましては、これは医療制度の課題として処置を進めていかなければならないことだというふうに思っております。
  119. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それはあれでしょう、局長、医科大学だけじゃないんじゃないですか、医学部も入っておるんじゃないですか、あなたの答弁の中には。どうなんですか、それは。医科大学だけでそうだということですか。
  120. 木田宏

    政府委員(木田宏君) もちろん医学部も含めまして私立、国公私立全部を含めまして医科大学のある県とない県とのことについて申し上げたわけでございます。
  121. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だから医学部も入っているのでしょうと聞いておるのです。
  122. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 当然でございます。
  123. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 やっぱりあなた、先ほど来医科大学のことしか見えぬから医学部すぐ忘れちゃうのですよ。それで、しかし新聞の報道によりますと、そのあなた方が非常に金かけてつくるところの一県一医大の解消でも新しい医科大学にもあるいは医学部にも地元からの入学者は意外に少ないと報道されているのですよ。これは四月三十日の同じ毎日新聞ですが、今春の各国立医大、医学部への地元合格者は三〇%にとどまっておる、ことしの合格者数のトップも他県に譲っておるのは三十大学中八大学もほかの県のほうからどっと地元の大学に来る人が多いのだ、こういうふうに新聞は報じておるんですがね、だから文部省の目的はその医師の偏在をなくするのだ、地域的な偏在をなくするのだ、こういって、しかし、その行政のことはみんな厚生省にまかすんで、私どもとしては、大学を建てるだけです、教育をするだけです、ということになるとすれば、いま私が、提案理由として政府が提示しているところの医師の地域的偏在ということがはたして解消されるものでしょうか、どうでしょうか、そこは文部省としては、どうお考えですか。
  124. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 個々の大学ごとにその大学の卒業生がどの程度所在県に集中するか、あるいは散らばっておるか、これはまあ大学の事情によっていろいろと違いますが、一般的には公立大学が一番数多く、その大学の所在県に学生が定着をいたします。一番少ないのが、私立の大学でございます。国立大学につきましては、全体としてその卒業生の六割が出身県に定着をいたしております。でございますから、入学につきましてはいろいろなところから入ってくるということがございましょう。特に、昨年開校いたしました山形の医学部につきましては、試験の時期が非常に通常の時期と遅れたというようなことなどもありまして、全国的に志願者が殺到いたしました結果、地元からは一人しか入学できなかったという特異な状況が起こっております。しかしこれが各県にそれぞれ国公立の医科大学が整備されてまいりましたならば、そうした片寄りも逐次少なくなっていくであろうというふうに考えております。個々の大学によりまして、その志願者の集まりぐあい、あるいは定着率、かなり事情が違いますので、一律には申し上げられませんけれども、一般的に申しますならば、各県にそれぞれ医科大学ができれば、医科大学を中心にして医師の定着度が高まるということは十分期待できると考えております。
  125. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それなら現在、国公立を問わず医科大学がないところの県は何県ですか。医学部でもよろしいです。
  126. 木田宏

    政府委員(木田宏君) いま御説明をいたしておりますものを除きまして、あと九県でございます。
  127. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私の資料によると、三十四都道府県あるみたいですけれどもね。それで、今後は定着をしていく見通しだ、こう言われても定着をさせるあるいはそれぞれの県の皆さんが、出身が入ってもらうようないろんな条件整備をしてやらなければ、なかなか来ないんじゃないですか、そういう点はみんな県まかせにやるわけですか。文部省のそういう面に対するところの方針というのはどういう方針をお持ちですか、これはもう医療行政だから厚生省にまかすというお考えですか。
  128. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 医科大学ができましたならば、その医科大学を中心にいたしまして、地域の診療機関とのいろんな協力関係もおのずから高まっていくということができると思います。また、現実に医療の世界はやはり技術も進みますし、新たな薬も進みますし、新たな病気も常に出てくるわけでございます。したがって、開業しておられます医師もやはり常に研究機関との連携を密にしていくということは非常に大事なことでございます。ですから、医科大学の卒業生が自分の出身大学の所在県あるいはその隣県に、隣県まで加えますると、ほぼ八割近くになるというふうに私ども承知をいたしておりますけれども——失礼いたしました。国立大学で申しますと所在県に五八%、隣県に一六%でございますから、四分の三までがその出身大学の近くに医師が定着をするということが期待できるわけでございます。それはやはり大学の研究体制、指導教官あるいは大学病院を中心にして、そうした医師のシステムができ上がるということを意味すると思うのであります。その意味で、医科大学のない県にいい中心的な役割りを持つ医科大学ができていくということは、地域の診療体制にも私はたいへん寄与するところが大きい。また、医師のためにも役立つところが大きいというふうに考えておる次第でございます。
  129. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 おたくで調べてあるところの出身県あるいはその大学のあるところの県云々というても、ほとんど大学は県庁所在地じゃありませんか、あるいはその県の大きな都市ではありませんか、——に集中しておるのじゃないですか。いわゆるその県でもできるだけ無医村を解消していく、これはもう厚生省の仕事かもしれぬけれども、そこらにもやはり波及効果のあるようなねらい方をせぬことにはあなた方が方針として出しておるところの地域の偏在云々の解消に私はならぬのじゃないかと思うのですがね。そういう点で申し上げれば、さっきあんた山形大学の例をあげた。確かに昨年は一名ですけれどもね、ことしだって十四名ですよ。山形県出身が、山形大学の医学部に入っているのは。しかも、これは県が医師養成確保の対策費として三百十万もお金を組んでやはり県から行け行けということを指導しておるから、十四名にふえておるのですよ。青森を見てごらんなさいよ。わざわざ県が弘前に、医学部に行く、医科大学に行くところの県進学学院というのをつくって、高校の生徒を一生懸命集めて行きなさい行きなさいと奨励をして県が金をかけている。それだから行っておるのでありますけれども、それでも生徒の入っておる数は一割強なんです。あるいは北海道、愛媛、兵庫では医学生奨励金というもので足どめをしている。だから何らかのかっこうをしてとまっておるというのです。それなら、やはりほんとうに文部省が提案しておるところの方針に沿ってこの医師の偏在を防ぎ、地域的な偏在を防いでいこうとするならば、こういう手だての面についても相当やはり学校教育の中で配慮をしてやらぬことには、卒業をしたらぽんと都会地に入っていくという、これは一種の一つの道義の問題もありましょうけれども、都会地へ都会地へと集まってしまうという形になって、一向あなた方がねらっているところの、言うならば、医師の偏在を防止するということにならないのじゃないだろうかということを心配するのですがね。したがって、あなたがいま御答弁になったように、いろんな医療機関との何とかかんとかということだけでは解決つかない問題が、私はあるのじゃないだろうかと思いますがね。こういう措置をとっているところの県に対して、皆さんとしてはどういうあれですか、これは好ましいと思いますか、好ましくないと思いますか。その御見解をひとつお聞かせ願いたい。
  130. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 具体的に医師を県内にどのように配置するかというのは、私は県の医療政策の課題だというふうに考えます。そういう観点から、この医師を確保するための諸措置がとられるということは当然あり得ることだろうというふうに考える次第でございます。文部省といたしましては、養成機関で養成数だけ数をつくればいいということではなくて、やはり地域単位に考えてみますと文部省が現在できますことは、やはり県単位に考えてみて、各県に医科大学があるということのほうが医師の定着度、いろんなことから考えて、その県自体のためになる。教育の立場からなし得ることは私はそういうことであろうかというふうに思います。
  131. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうするとおたくの提案理由の医療需要の増大と医師の地域的偏在に対処するためと、大上段にかまえているのは一つの精神的な規定であって、それは県の責任だ、厚生省のやはり責任だというかっこうになるのですか。少なくとも、名実ともにこの医大なり医学部のないところの県にはつくっていこうという積極的な意欲、ぼくはそれはいいと思うのですよ。悪いと言っているのじゃない。けっこうなんです。それならば、それが実効があがるように教育的な手だての面でもやっていくというのもひとつ考えなければならないと思うのですがね。それはつくりさえすればいいのですというかっこうでいいのでしょうか、どうでしょうかね。大臣、これはどうお考えになりますか。
  132. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 事務当局からお答えしておりますように、大学を設置されている県に卒業生が定着する割合が案外多いのですと、こう申し上げてまいってきているわけでございます。同時にまた、診療所からの希望を受けて大学教育としてはお医者さんをつくっているわけでございますから、適当なお世話をしやすい。そういう式で必要な医療需要にはこたえやすいのだろう、こう思います。  ただ私も、山形大学に医学部を置いたら、昨年山形県人は一人しか入学してないものですから、学長さんに率直に苦言を提しました。幾ら国立でやっても地域の医療センター、文化のセンターの役割りをしているのですよ。もう少し山形県人を入学させるように配慮すべきじゃありませんか。こんなことを率直に申し上げたのでございまして、そしてことしの水準を見まして、さてこれで配慮したことになるのかどうかなという疑問を私も実は抱いておったところであります。でありますから推薦入学の方法をある程度とるべきじゃないだろうかなあという気持ちも私なりにあるわけでございまして、今後そういう問題につきまして、国立大学の学長さんたちにもよく話し合ってみたいものだなあ、そんな考え方もしているところでございます。やはり地元の方が、もう少しそれぞれの地元の大学に入る準備をするべきじゃないのだろうかなあ、単に試験の結果だけで国立大学だから一律に上から採っていくのだというだけじゃなしに、もうちょっと地元の人についての配慮があってしかるべきじゃないかなあ、こんな感じを持っているところでございます。今後もそういう問題につきましては私たち深く研究をしていきたい、かように考えております。ただ、無医大県に設置しました場合に、相当数よそから来ましてもその無医大県に定着してくれることは事実のようでございます。それをさらに進めまして、辺地にも勤務してもらうというような配慮は厚生省なり府県なりが苦心していただかなきゃならないと思いますけれども、積極的な施策も加えて講じていかなきゃならない。また、そういうようなこともあって自治医大が設立されたりしてきたんだ、こう考えておるわけでございます。
  133. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 実際、教育の面で、いろいろ私は方法としては、相当慎重に検討しなきゃならない問題だと思いますけれどもね。大体、地域の状況を見ていると、誘致の運動だけ一生懸命にやるわけですよね。それで自前で金も出す。つくってしまったら、山形の問題と大同小異のものであったらほんとうに困ると思う。また、ほんとうに医師の偏在を防ぐという一つのやっぱり政治の課題としても、私はもう金だけを投じて効果があがらないというかっこうになりかねないのじゃないかと、こうも考えるだけに、先ほど来この問題も指摘をしてきておるわけです。十二分にもいろんな角度から検討しておいていただきたいと思うのです。  続いてお尋ねしますが、これは厚生省ですね。医大を出て、さてお医者さんになる。試験があります。この国家試験の漏洩問題これまた、私はやっぱり非常に重要な問題だと思う。われわれ文教委員会は、大学をつくることだけ認めて、この問題について不問に付すわけには私はいかないと思う。これをこう見てみますと、問題を取り扱っておるところの新聞、特に朝日新聞がずっと追及しておるみたいですが、四月十六日、四月二十日、四月二十五日、五月六日、五月十二日の日経新聞、さっきのほうは朝日新聞、これが漏洩問題をずうっと扱っておるのですよね。これは厚生省としてはどういうふうに見て、どう対処しようとしているのですかね。せっかく医学部をつくっても、医師の国家試験が非常に容易に取得をされるとか、あるいは試験問題が漏れておかしなかっこうになるというのだったら、事人命を扱うところの医学部なり医大という問題にとっても非常に大事な問題だから、私はそのことを尋ねるのですがね。この一連の報道に対して、厚生省としてはどういう処置をとって、今後どうしようとお考えになっているのか、まずお聞かせ願いたい。
  134. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 医師の国家試験につきまして、問題が漏洩している疑いがあると、こういう御指摘が一部のマスコミ、あるいはまた関係者の間からございまして、私どもきわめて遺憾に存じております。特に、いま先生御指摘のとおり、国民の命を預かる大事な医師の資格を取得する、こういう大事な段階での試験でございまして、いろいろ試験はございますが、最も大事な試験の一つであろうと思いますが、そういうものにつきましてこういう事態があったことはまことに残念であると思っております。私ども、これまで国家試験を長くやってまいりまして、いろんな反省も持っておったわけでございますけれども、このたびの試験問題漏洩の疑いという問題を契機に、私どもも、この国家試験に対する信を取り返すということで、この際、基本的に国家試験の内容について考えてみたいと、こう思っておるわけでございますが、先生御存じのとおり、医師国家試験は現在春、秋の二回やっておりますけれども、当面の緊急の措置といたしまして、この秋の国家試験につきましては、国家試験の手順なり、あるいはまた試験関係者の人事等につきまして大いに刷新をする、思い切った刷新をするということで一つの線を打ち出しております。  具体的には、これまで医師国家試験に関係します関係者の数、これは具体的には試験委員でございますが、それが百二十七名という多くを数えておりまして、その百二十七名という試験委員が数多くの問題を候補として出すというふうなことから始まりまして、試験問題の決定に至りますまで段階が多過ぎた、また、関係する人が多過ぎたという反省がございますので、最も基本的には、試験問題作成者の衝に当る関係者の数をしぼる、少なくするということを一義的に考え、また第二に、試験問題の決定に至ります手順につきまして、その段階を少なくする、少なくとも、これまでは四段階の段階がございました。百二十七名の試験委員が問題候補を一人十問程度出す、千数百問という問題を出す。その中から最終的には百九十問——現在試験問題は百九十問でございます。百九十問にしぼり上げるということであったわけでございますけれども、いま申しますようなことで、これを段階的にも、あるいは関係者の面でも極力詰めるということをまずやろうというふうにいたしております。同時にまた、試験の関係者の人事につきましても、従来は問題の選定にあたる、あるいはまた問題の最終的な取りまとめにあたる幹事委員とか、選定委員、こういう制度もございましたが、こういう人たちを任命する手順あるいはまた試験の委員長あるいは副委員長を任命する手順等につきましても、あるいは互選で行うというふうなことで一部世間の批判も受けておりますが、これらにつきましては権威を持って医療関係者審議会が試験委員長あるいはまた副委員長について——決定は厚生省でございますが、——推選をするというふうなかっこうで変えるとか、いろいろなことを当面考えております。それはそれといたしまして、基本的に大事な国家試験につきましていろいろな批判がこの段階においてこの問題を契機といたしまして出ておりますので、それらの意見も参考にしながら、医療関係者審議会の医師部会におきましてこれから基本的に国家試験のありよう、単に秘密漏洩防止の問題だけではなしに、国家試験のありようについてこれら基本的な検討を進めるということにいたしております。そういう状況でございまして、今回の事態は、まことに遺憾でございますけれども、災いを転じて今後医師国家試験が厳正に、しかも内容がりっぱなものができますように、この際改めたいという決意でおります。
  135. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私の理解するところでは、この試験問題作成の仕組みですね、これは何か五つの地区ごとに各大学から試験委員候補を推選する、医療関係者審議会で候補者の中からその推選の中から候補者をきめる、現在百二十七人で任期二年で毎年半数交替をする、さらにそこから試験委員の問題作成をして選定委員を出す、選定委員はこれをさらにしぼって幹事委員会にあげる、幹事委員会が最終的に試験問題をきめる仕組みになっておると、こういうように理解をしておるのですが、その仕組みはそれに違いございませんか、どうですか。
  136. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 先生の御指摘のようなこれまでの仕組みであったわけでございます。
  137. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それで、その仕組みの中で、たとえば、いまあなたが試験委員を互選制から任命制に変えるというのも一つの方法だということを言っておられたのですが、それ以外にいろいろ厚生省で具体的に検討されておるところの問題がありましたらお聞かせ願いたいと思うのです。第一、これは特に医師の試験の場合には、受験講習というのがごっつい激しいのですね。これはいまの子供の受験勉強どころじゃないんですよ。どこどこ教授のところで、しかも御丁寧に試験委員になっている人が受験講習の講師などをやっておられる、こういうようなやり方、あるいは幹事委員が公表されておらないために、何か不明朗な面がつきやすいという面も、私は現在の一つのシステムの中にあると思うのですがね。そういう問題等は、おたくの今後の改正の方向で検討されていませんかどうか。私はやっぱり少なくとも世の中に明らかにできるような面はぼんぼん公表しておかなきゃならぬ。しかも、受験講習会に試験委員の人がその先生となってやってくるというのは非常識もはなはだしいと思うのですけれども、そこらあたりがいままで大手を振って許されておるところにも問題があると思うのですが、そういう点、どうなんですか。
  138. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) ただいま先生御指摘のように、各大学一般に私立が多いわけでございますが、国家試験を前提として模疑試験をやったり、あるいはまた補習教育をやるというふうなことが行なわれているようでございます。実は国家試験につきまして、従来春の国家試験で申しますと、合格率が大体九六%ないし九四%というふうな推移でまいりましたけれども、去年の春の国家試験が合格率が八九%というふうなこともございまして、実は各大学において国家試験はむずかしくなった、これは勉強しなくちゃいかぬというふうなこと、あるいはまたこの合格率の状況というのは結果的に各大学の要するに評価につながるということ、あるいはまた各大学の教官から言いますと、自分の担当の生徒の成績が悪ければ自分自身の学内における評価も下がると、いろんなことがございまして、一般にこの補習関係が行なわれておる、盛んであるという状況にあるようでございます。また、この当該補習教育につきまして、試験委員といたしまして問題の一次的な出題に当たった人のみならず、問題をしぼっていく過程におきます選定委員あるいは幹事委員である人がこういう模疑試験に顔を出す、指導をするという事態が実は一部あるようでございまして、国家試験を厳正に行なうというたてまえから申しましてまことに遺憾であったと思うわけでございます。結論的に申し上げまして、私ども国家試験を長くやってまいりましたが、私どもも反省といたしまして、どうも国家試験の厳正実施に対して私たちが若干マンネリズムに流れて、そこら辺の注意が足らなかったんじゃないか、指導が足らなかったんじゃないかという反省も痛烈にいたしております。今後は先ほど申し上げますように、当面、秋の国家試験につきまして応急の措置といたしまして、手順を省略するとか、あるいはまた試験委員人事につきまして、これを公正に行なう、厳正に行なうという措置を講じますとともに、原則として今度はまた問題を作成する先生方はしぼられるわけでございますが、こういう先生方につきましては医師法の三十条に書いてございますように、医師試験の厳正の保持という責務をいま一度この先生方にも注意を喚起いたしますとともに、こういう補習教育あるいは模擬試験等におきまして、こういう関係の先生方がタッチをなさらないように、そのように強く注意をしたいと思っております。
  139. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、具体的に厚生省はやっぱり方策を明らかにすべきだと思うんですよ。注意をしたいと、厳重に注意をしたいと、こう言って、注意だけでこれ終わるような問題ではないでしょうが。少なくとも厚生省としてはいま刑事事件にまでなっておるところの問題ですがね。それだけにやはりいろんな問題点があるんだから。秋の試験からこうやると、こういう方向を私出してもらわなければ困ると思うんですよ、これは。厳重に受験講習会に出ないようにという注意をしますとかなんとかといって、注意だけではおさまらない問題ではないでしょうかね。その点、厚生省としては、大体何月ごろまでにそういう方向性を明らかにするところの用意があるのかどうか、あるいはどういう点を力点を置いてやりたいとお考えなのか、ひとつその見解をまずお聞かせ願いたいんです。
  140. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) ただいま私申し上げますように、今回の問題に関連いたしまして、私どもも当面秋の国家試験につきまして抜本的にこの秘密漏洩防止の観点から直すべき点は直そうということで、先ほど先生に申し上げましたように、試験の問題作成に当たる方の数をしぼってしまう、関係する方はせいぜい三十五人程度、従来は百二十七人が関与したけれども、そうしてしまう、あるいはまた試験の問題決定のためにいろいろ打ち合わせをする関係の方の会議の段階も二段階にしてしまうという方針を医療関係者審議会の医師部門の先生方ともお話をしまして、その方針を直ちに実は先般きめたわけでございます。同時に、また、その段階におきまして、いま申しますように、補習教育あるいは模擬試験等について、この出題に関係する先生方はタッチしないという原則もはっきり打ち出したわけでございます。今後は、この方針に従いましてこれから秋の国家試験の準備が始まってまいりますけれども、その方針にのっとりまして、それを厳正に実施するという段階でございまして、少なくとも、秋の国家試験に関する限り、こういう方針のもとにきつくやるということできまっておるわけでございます。実は来年春以降の国家試験の問題につきましては、ただいま応急の措置で秋の問題についてやりましたけれども、来年の春以降を考えまして、基本的に特に秘密漏洩防止の観点も含めて、なおこの医師国家試験のありようについて検討しようというので、すでに検討が始まっているという段階でございます。
  141. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もう一つお聞かせ願いたいんですが、これはいまの問題と関係がありますが、大学別の合格率はどうなっていますか、たとえば国立、公立、私立その他でもよろしゅうございますが。
  142. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 簡潔にお願いします。
  143. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 今度の春の結果でございますが、国立大学八六・二%、公立大学八三・〇%、私立大学七七・二%でございます。全体の合格率が八二・二%でございます。
  144. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 このパーテンテージの中で特にまた、新卒の合格率というのはばかに高いんですね。この新卒の合格率が高いという理由は何ですか。
  145. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 例年そういうことでございますが、新卒は、この春卒業して一番生きがいい、一番勉強をして油の乗っているところで試験を受けるわけでございまして、その他と申しますのは、前あるいはそのずっと前から落第をして何度も受け直している実は学生でございます。そういう意味合いにおきまして新卒が常に合格率が高うございます。
  146. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 逆に言えば、また試験があまりやさし過ぎるからということも成り立ちませんか。どうなんですか。たとえばイギリスあたりで非常に臨床というものが重んじられるようでございますけれども、そういうことにはあまり考えないでやるというあたりから見るとね。それともあんたの説明では、古い人は、頭の悪い人はいつまでたっても云々と。普通常識的に考えれば、わりに新卒よりは古い人はうんと勉強して、実際を経験しておるから、合格率がよくなりそうなものですが、それが新卒のほうが高いというのは、試験問題に何かあるんじゃないですか。そこはどうですか。
  147. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 一般に例年春秋試験をやりまして、秋は春の試験に落っこちた方が受けるというのが一般でございます。大学騒動の関係で、去年の秋等は東京大学あるいは北海道大学、この方が新卒が受けられましたけれども、一般には春秋の試験を比べますと、秋の試験のほうが合格率が相当悪いという例になっております。そういう状況でございます。  なお、国家試験の問題はやさしいのじゃないかというお話でございますけれども、実は国家試験の問題につきましては、大学教育の現状、あるいはまた臨床の現場における医師に対して求められる知識あるいは能力というものを勘案して、実は試験委員あるいはまた医療関係者審議会の医師部会で最も頭を使って、この問題の提出方針についてはお考えになるわけでございますが、毎年毎年そうレベルは変わっているとは思いません。いつも期待される医師の知識、能力を考えて、レベルは同じであろうかと思いますけれども、たまたま去年あるいはことしは合格率が悪かったということでございます。
  148. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それでは今度は文部大臣にお尋ねしますがね、いまの問答をお聞きになっておって、私は、これは単に医師試験の問題だけじゃなくて、今日のやはり医学部ないし医大のあり方にも非常にかかわるところの問題だと思っておるんですがね、大臣その点どうお感じになっておりますか。漏洩問題があれだけやっぱり連日新聞に報道されたところの問題でもございますし、いま厚生省から説明があったんですが、私は決して無関係でないような気がしてならぬのですが、その点どうお考えでしょうか。
  149. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 医学部で正規の学習を終了する、それによって自動的に、りっぱな大学であるはずでございますので、医師免許状が下付されるという姿が一番望ましいわけでありますけれども、必ずしもそういうわけにもいきませんので、今日国家試験が行なわれているんだと、こう考えるわけであります。しかし、それにつきまして先般来問題が起こっている、同時にまた医科大学、歯科大学につきまして入学時にあたって多額の寄付金が求められるということが世の批判を受けているわけでございます。同時にまた、私立の医科大学の学生の中からも、このような事態があると自分たちみんなが同じようなことで大学に入って行き、大学を卒業したと、そういうことで私立の医科大学を出たということが社会にあって肩身の狭い思いをせざるを得ない。だからぜひこういう問題の解決を早くはかれというような陳情も受けているわけでございまして、総合的に考えまして文部省の責任が非常に重いと、こう考えているところでございます。それなりにまたしたがって、今後は国立で医師の養成をはかっていこうということで国立大学をずいぶんつくらしていただいているわけでございますし、また同時に、財政的な援助をしますために、ことしからは従来医科大学を設置しまして七年目で初めて経常費助成を行なったわけでございますけれども、ことしからは一年目から経常費助成をしようということにさせていただいた。また、学校が奨学金制度をとる場合には、医大については一人当たり十万円であってもそれに必要な資金は供給しよう、事務員も補助しようというような道もあけたわけでございます。いろんな面から改革を考えていかなけりゃならないわけでありますけれども、御指摘がございましたように、文部省はそれとは無縁だというかっこうで過ごすわけにいかない。真剣にいろんな角度から問題の解決をはかるように努力していくべきものだと、かように考えております。
  150. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、やはりいまのこの医大、医学制度のあり方で三つほどやっぱり検討しなきゃならぬ問題点があると見ておるんです。  その一つは、いま大臣が答弁をされた、特に私立の医大のあり方の問題ですね。いわゆるもう率直に言って水増し入学があり、あるいは非常に甘い卒業試験ですよ。入りさえすれば何年かだったらぼんぼん卒業さしてやると、ここに私はやっぱりこの医学部の、医大の経営で問題点があると見ておる。ですからいま大臣が答弁されたように、この水増し入学が多額の寄付金、もう巷間伝えられておるのは、一年か二年ぐらい前の一千万が、ことしは三千万だとか五千万だとか、こうも言われておるんですね。また、事実それを裏づけるようなやはり話も私自身も耳にした。言うならば、やはり私学の、特に医学部の経営との、財政上の問題も関連するだけに、一体こういう水増し入学というものを今後も認められていいんだろうかどうだろうか。しかも、それだけの金が要るということになれば、私大の医学部に行くのは、まあそう言っちゃことば悪いですけれども、できの悪いお医者さんの子弟しか行かないという傾向もなきにしもあらずですよ、率直に申し上げてね、その問題。あるいはそうして無理して入れたものだから、今度は何年も置いておくと、非常に学校としても困るものだから早く卒業させてしまわなければならない。したがって、学校卒業するときの国家試験じゃないですよ、医学部の卒業試験も非常にやさしいという、私はやっぱり一つの弊害点があると見ておる。したがって、そういう中では、特にいまの私立の医大のあり方の問題、この問題は相当抜本的にどうするかということを考えなければ、ただ、私学に対するところの、こうせいああせいという厳重な罰則ばかりじゃなくて、問題の本質は、今度逆に特に私学の場合に医学部は金がかかるというところに大きな問題点があるわけですから、これに対するところの、私学に対するところの国の助成をどうしていくかと、そのことも並行して行なわわなければ、私は私学だけまたこれは責められないところの要素があると思う。そこで、私はまた私学に対するところの国の助成という問題が大きな課題になってくるところのゆえんもあると思うんですよ。いずれにしても、このあり方の問題というものは一つの大きな私は課課だと思っている。したがって、何回も申し上げますけれども、単に私学に対してこうやれ、けしからぬ、けしからぬということだけじゃなくて、なぜそういうことに追い込んでおるか、これはやっぱり財政上の問題ですから、その財政上のやはり国で相当こういう水増し入学とかそういうものがないような私学助成を思い切ってやっぱり国でやるという両面が相まった中で、この問題に対するところの私は手だてというのが必要じゃないだろうかと一つの点として思う。  いま一つは、私は、やっぱり問題点として考えるのは、この教育課程の編成の問題ですね、この医学部の。これがいま一体現行どおりでいいんだろうかどうだろうかと、このことについて思うんですがね。これは文部省の所管になるんでしょうね、やっぱり医師教育課程ですからね。たとえばいまこの教育課程を見ていると、日本の場合一回もう入ったらなかなかそのコースというものは変更不可能ですわね。一つの総合大学の中で医学部なら医学部に入ってもね。けれども、たとえばアメリカあたりのものは、教養課程から専門課程に移るときに、一回ほんとうにお医者さんとしてこの人は適格なのかどうかという試験をして、さらに専門課程の中でもう一回やって、その人の適性を見ながら、どうも自分でふえてだというならば、ほかのところに転科がきけるような仕組みがある。日本の場合は、たとえば国公立の場合、一回入ったらなかなか転科もきかないという私は一つのシステムも、この問題の阻害をしておるんじゃないかと思っておるところがある。  私自身がきわめて近い子弟の中で知っておるのは、たとえば高等学校で非常に成績がよかった、それで九大の医学部に入ったんです、ストレートで鹿児島の高等学校からね。そうしたら、一般教養まではその子供はやれたんですよ。専門課程に移ってその化学ですね、これをやるのがもういやだいやだということで、何年おっても本人もやる気がないし、親御さんは親御さんで、お医者さえになるんだからやれやれとしりをたたく。その子供はジレンマになってノイローゼになってしまっていま休学しておるところの例があるんですけれども、言うならば、入るときにはそれは総合点数で入るわけだから、一番不得意のものでも、ほかのところの学科がいい場合にはぼっと入れるところがある。けれども、それをやはり入った場合に、一つの教養課程から専門課程に移る場合に、もう一回ほんとうにここでその子供の適性によってほかのところに転科できるとか何とかいう教育課程のあり方というものがある程度幅があるとするならば、そういう子供も救われるというところの私は要素もあったんじゃないかと思いますが、そういうやはり一つのところにも私はやはり問題点があるんじゃないかと思う。  もう一つ、私が指摘しておきたいのは、このいまのシステムの中での、何と申しますか、現行の医師養成の仕組みの問題です。これは厚生省になるんですかね、いわゆるインターン制の問題ですよね。現在インターンはなくなりましたね、したがって、医大を卒業して国家試験へいく、国家試験が通ってから二年間の指定の病院でやって臨床研究をする、そうなってまあお医者さんになるという仕組みになっているようですね。昔のインターンがなくなったから。しかも、それは義務的じゃないわけですね、このいわゆる臨床というのがね。ここらあたりにもぼくは医師の資質の問題ともからんで、医師試験のあり方の問題として検討を要するところの問題がありはせぬかと思う。このようなことを今度のこの国家試験の漏洩問題と関連をしながら、いわゆるこの試験のあり方あるいはこの医師養成のあり方の問題と、いわゆる医学部なり医大におけるところの教育課程のあり方という問題について、どうしても問題点を感ずるんですがね、そこらあたりどういうふうにお考えになっていますかね。これはまあ文部省なり厚生省それぞれから、ちょっとその問題に対するところの御見解を承りたいと思うんですがね。
  151. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 医師が医師として大事な医療に関する知識、技能をみがくという意味におきまして、大学教育——いわゆる卒前教育と申しますが、あるいはまたただいま行なわれております臨床教育、卒後教育、それからまた医師となって実際に開業をする、あるいは病院で勤務する、そういう方に対する生涯教育、そういう三つが医師にとって大事な教育の段階であろうかと思います。医学教育については先ほど来先生からいろいろ御指摘ございますが、私どもは、コースにおきまして卒後におきますこの卒業研修、ただいま申されます臨床教育を特に卒後いま二年間医師法に基づきまして行なわせるようなたてまえになっておりますけれども、これは四十三年度以来、例のインターン制度が廃止になりまして、その後は先生御指摘のとおり、卒後、大学病院ないしはまた厚生大臣の指定する臨床研修の指定病院で「臨床研修を行なうように努めるものとする。」と、こういうことになっておりますが、そういうことで将来医師として開業したい人、あるいはまた病院に勤務したい人は、本人の自覚と責任において勉強するというたてまえになっておりますが、現在は二年間臨床教育の指定病院、あるいは大学病院で勉強を行なっております。私どもは、特にこの臨床教育の面におきまして、昨年来医師研修審議会等わずらわしましていろんな研究をやっております。特に私どもが問題と思いますのは、医学校の数もふえまして、あと五、六年もすれば今日四千人の卒業生であるものが七千人も卒業してくると、三千人もふえる。こういう事態が近くくるわけでございます。そうなれば、こういう大量の卒業生に対して今日のこの臨床研修の器だけではどうにもならない。また、その器自体につきましても、もっと質的に向上させる、内容をよくするということを考えなくちゃいかぬというので、昨年来いろんな検討をいたしまして、たとえば教育病院群構想というふうなものを一つの試案として関係の審議会からいただいておりまして、いまその研究等もやっておりますが、できますならば、この教育病院群構想というふうなものにのっとりまして、できるだけ地方に臨床教育の場を広げていくと、そして国民医療に密着した勉強をやっていくんだと、同時にまた、地方に広がった臨床のこの教育の病院群を通じて医師の生涯教育が十分できるようになればと、こういう期待を持っております。そういうことなどにつきましては、今後の研究課題でございますけれども、とにかく今後五、六年たって多くの卒業生が出てまいると、こういう事態が目の前でございますので、内容の充実、量的な確保、こういう面につきまして勉強したいと思っております。
  152. 木田宏

    政府委員(木田宏君) いま御指摘がございました第一の私立医大に対する助成の問題は、先ほど大臣もお答え申し上げましたとおり、四十九年度からは新たな体制もとって力を入れておるところでございまして、今後、私どももまた一段と推進をはからなければならぬと思っております。  第二の教育課程の問題につきまして、一たん入った学校、専門について転換がきかないということ、これは私どもも御指摘を受けまして、大学がもう少しフレキシブルに学生の教育指導ができるようになってほしいという希望も持っておりますし、大学設置基準におきましても、単位の互換制度とか、いろんな指導を、それに弾力化できるように措置をしておるつもりでございます。ただ、いままでの長いしきたりがございまして、他の学部を卒業しても医学部に入るためにはまた一年生からやらんならぬというようなことが新聞にも伝えられておるような状況でございまして、今後医学教育のあり方と学生の指導、転学等につきましては、御指摘の線に沿っていろいろと考えていかなきゃならぬ点があろうと思っております。  第三番目の卒後の問題でございますが、六年間卒業して医師の国家試験をとったからといって、多くの医師がすぐ全部開業してしまうということではございません。やはりどうしても指導を受けました大学に残りまして、かなり多数の者たちは二年といわず数年間大学で勉強するという実態が続いておるわけでございます。これが今後の医師の国家試験のあり方等とも当然からむわけでございますから、卒後の教育、研究のあり方をどうするかというのは、医学の大学院のあり方ともからみまして非常に大きい問題でございまして、いま検討を急いでおるところでございます。厚生省の次長からも説明がございましたように、これからの養成数がふえてまいりますだけに、卒後教育につきましての大学の指導体制というものも十分考えてまいりたいと思っております。
  153. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、たとえば現行の医師養成制度の仕組みの問題、なかなかむずかしい問題だと思いますけれどもね、ただ私らしろうとから見ても、たとえば現実に調査の中で、義務づけられた臨床研修というのがないために、四分の一ぐらいは臨床にいかぬ医師もおるらしいという話を聞いておるだけに、なかなか、いま木田局長の話はほとんど大部分大学病院に残っておると言うけれども、なかなかそうじゃないですよ、現実は。今後このことを、おそらく医科大学がどんどんふえていけばいくほど、ここのところをやっぱりきちんと何か義務づけるか何かして、ほんとうに数もつくると同時に質も高めるということをやらない限り、これはまた次のやっぱり医師のあり方の問題として私は問題を起こしてくるところの問題だと推測できるだけに、推定できるだけに、この問題については検討してもらいたいと思う。これでも質問終わりますけれども、この問題は、ただ、文部省は医科大学をつくりさえすればいいだけの仕事、片一方は医療行政だけが仕事ということでなくて、大学をつくってやるという以上は、そういう大学卒業したところの医師が、医師の卵がどうなっていくかと、そしてほんとうに社会の期待できるところの方向にいっているかどうかという点は、それぞれなわ張りありましょうけれども、私は文部省と厚生省とはやはり共同の責任を持って総合的にひとつこの問題については検討してもらいたいと、よりよい改善の方向にですね。そういうことを強く御要請を申し上げて質問を終わります。
  154. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 順次御発言を願います。
  155. 加藤進

    加藤進君 一問だけ質問します。  研究機関の拡充整備の問題でございますが、この国会におきましても再三論議を呼びましたアメリカの原子力艦船の放射能汚染の問題、その安全性をどう確認するかという問題、こういう問題が重要な課題になってきております。また、原子力発電が今後大規模に開発されるという展望が開けております。これは政府の見通しから言いましても、昭和六十年には送電力の二五%、昭和六十五年には三三%、こういう規模で進められていくわけでございますから、この点から言いましても放射能汚染が人体、あるいは環境にどのような影響を持ってくるかという研究は、社会的にもきわめて重大な問題になってきておると思います。そういう点で、文部省はこのような放射能汚染の人体、環境に与える影響等について、このための研究技術者の養成をどのように進めようという計画を持っておられるのか。とりわけこの養成につきましては、大学の任務は非常に大きいと思います。大学においてこのような研究技術者の養成の計画がどのように進められようとしておるのか、その計画をお聞きしたいと思います。
  156. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 原子力の問題につきましては、原子力工学、あるいは放射線の研究、その他それぞれ専門分野別の研究体制を学科、研究科あるいは講座の組織を通じてつくっておるわけでございます。そしていまお話がございましたように、放射線の影響という点から考えますと、関連する専門領域は非常にたくさんでございまして、生物学、動物学、医学といった領域、あるいは農業関係の専門領域にも放射線の問題は関連いたします。したがいまして、それぞれの専門領域を通じまして放射線の研究というものが進められておるわけでございます。現在学科といたしましては、国立の大学では大体原子力関係の学科は、十五ほど学科を持っております。原子工学あるいは原子核工学あるいは衛生工学、生物学等におきましても放射線関係を含めた講座、その他を持っておる次第でございます。一方また、このことの研究を推進する……
  157. 加藤進

    加藤進君 簡潔でけっこうでございます。
  158. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 体制もいろいろつくっておりますから、国立遺伝学研究所とかあるいは広島大学の原爆放射能医学研究所等、数多くの研究所が設けられておりまして、研究者の養成並びに研究自体を推進しておるという状況でございます。
  159. 加藤進

    加藤進君 文部省の計画は詳細にお聞きいたしましたけれども、そういう計画さえ進めていけば、現在の社会的要請あるいは学界からの要請に十分こたえられるとお考えになっておるのかどうか。その点で私は、日本学術会議が重要な提案をすでに行なっておるということも文部省も御承知のとおりだと思います。その一つは、金沢大学において附置研究所として環境放射能研究所を設置いたしたい、こういう要求がすでに相当前から出てきておるわけであります。しかも、金沢大学では、こういう要請に基づいてもう土地も買収と申しますか、寄付を受けてきている。研究所の土地はもう手に入っている。文部省もその土地の採納についてはこれを認めておられる、こういうことも聞いておりますし、石川県の県当局、県議会、また金沢大学当局においてもこの点を認めてほしいと、こういう要請が非常に強く出ておるわけでございますけれども、今日に至ってもなおかつこの点について文部省当局のこれに対する対応のしかたがきわめてあいまいではなかろうかと、私は心配するわけでございますけれども、事四十三年に学術会議の勧告が行なわれて、これに基づいて金沢大学は非常な努力を払って、地元の協力も得て、ここまで進行しておるという状態にもかかわらず、なおかつこれが停滞しておるという理由はどこにあるのか。あえて私から申し上げるならば、それは文部省が決断を下していないというところに私は原因があるであろうし、また、そのような研究所をつくっていくためには金が要る、予算を伴うと、こういうような問題で首をかしげておられるような事態が今日起こっておるんじゃないか、こういう危慎を持つわけでございますけれども、その点につきまして、文部省のもう少し積極的な社会の要請、社会の期待にこたえるような前向きの方向での御答弁をお願いしたいと思います。
  160. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 昨年十月に学術審議会から大学における原子力研究の将来計画についてという建議をちょうだいしております。この建議にあたりましては、いま御指摘がございました昭和四十三年の日本学術会議の勧告のことも念頭に置いて考慮されておるわけでございます。日本学術会議の勧告は、環境放射能研究所と放射線障害基礎研究所という二つの御勧告をちょうだいをしております。どこに置くというような御勧告にはなってございません。私どものほうとしては、学術会議からの勧告のありました研究課題等につきまして、学術審議会の意見等を参酌しながら逐次取り組んできておるつもりでございます。昨年十月の学術審議会の答申におきましては、主として生理学的、遺伝学的問題あるいは生物による放射能の濃縮の問題等について積極的な研究体制を推進すべきであるという御意見もちょうだいをしております。したがって、どちらから先に手をつけていったほうがいいかという選択の問題もございますし、また、これらの研究所をできるだけ共同利用の全国的な研究所として整備をいたしますについては、どこに、どういうところを核にして考えたらいいかという問題もいろいろと考えなければなりません。  金沢大学からは放射能の化学的な性質を調査するような研究体制の御要請が出ており、環境放射能研究所を金沢を中心にして考えたいという御要請のあることは承知をいたしておりますけれども、私どもとしてはもう少し選択の進め方について、どこでどういうふうにつくっていくことがいいかということを検討さしていただきたいと思っておる次第でございます。
  161. 加藤進

    加藤進君 すでに衆議院の決算委員会で文部大臣もこの点について答弁しておられますね。これはわが党の庄司委員に対する御答弁で、五十年度予算に際して何らかよい方法は生み出したい、こういうふうに答えられておりますから、きわめて具体的な御検討はすでにいただいておるのではないかと考えるわけでございますが、大体どれくらいをめどにして実施の方向に踏み切られるのか、また、その中で金沢大学がそれほどまでの条件を整えつつあるのに、なおかつ金沢大学では困るような事情が特にあるのかどうか、そういう点についてお尋ねしたいと思います。
  162. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 御指摘がございましたように、衆議院の決算委員会で御質問がございまして、大臣もこのことの重要性から積極的に予算とも関連して取り組んでみたいという御答弁がございました。私どもも学術審議会の答申もあることでございますので、いろいろと進めてみたいと思っておりますが、この研究所をつくってまいりましたときに、他の研究機関、たとえば科学技術庁の放射線医学総合研究所とかあるいは日本原子力研究所等がすでに置かれておるわけでございまして、そういうところとの連携だとかあるいは今後研究を進めてまいりますのに、金沢大学にも研究者がいらっしゃることは事実でございますけれども、たくさんの研究者の共同体制をつくるのにそこがいいかどうかということもなおいろんな研究所の大きさその他とも関連して考えなければなりません。さらに、先ほど申し上げましたように、微量放射線の生物体に対する基礎障害のほうを先に考えるべきではないかという意見等も学術審議会から出ておりますので、その選択の問題場所の問題等、なお今後の研究所のあり方とからめて急いで検討したい、こう考えておる次第でございます。
  163. 加藤進

    加藤進君 私は、衆議院決算委員会における大臣の明確な御答弁を信頼しまして、その方向でひとつ積極的にさらに十分の御検討を賜わりたい。とりわけぜひ金沢大学につくってほしいという要求につきましては、決してこれは個人的な見解とか、あるいは金沢大学にひいきするとかなどということではなしに、日本学術会議の今年度の勧告の第一にこの問題が取り上げられておるという点からいうなら、学術会議に結集した日本の科学技術者の代表的意見はまさにここにあるというふうに見ていいと考えておるわけでございますから、その点につきましても、政府機関である学術会議のそのような勧告に対しては十分これを尊重して、これに対するやっぱり前向きの姿勢で取り組んでいただきたいということを最後に要望いたします。  終わります。
  164. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  166. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 次に、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案の質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  167. 片岡勝治

    片岡勝治君 だいぶ時間も経過いたしましたので、できるだけ具体的な事務的な角度から若干質問をしていきたいと思います。  私ども社会党は、この教員定数に関しましては抜本的な改正案を衆議院のほうに議員立法として提案をいたしました。しかし、衆議院のほうでは政府提案がそのまま可決をされまして参議院のほうに送られてきたわけであります。まあ私どもの議員立法に比べると相当大きな差があるわけでありますが、しかし内容的に、これまでの定数関係について努力をされた点があるということも私は率直に認めたいと思うわけであります。政府案の中にも積極的にこの問題に取り組んでる要素も多分にあるということを率直に認めたいと思うわけであります。  そこで、まず第一に、一学級当たりの生徒児童数が少なければそれだけ行き届いた教育ができることは当然であります。しかし、これは教室の問題、教職員確保の問題、まあいろいろあるわけでありますけれども、文部省として現時点においてどのくらいの程度まで持っていきたいのか、一学級当たりの生徒児童数はどのくらいの程度が現実的に——といっても一つの理想としてね、理想というか、この線まではぜひ持っていきたいというような私は展望があると思います。それに基づいてこういう法律案を、そういう目標に向かって近づけるために、こういう法律案を出したと思うのです。そういう将来展望ですね、そんな夢みたいな話でなくてもいいのです、この程度はぜひやりたいものだというような展望があれば、お聞かせいただきたいと思います。
  168. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 子供の教育の観点から申しまして、個々の子供たちに手が届くという意味では、これはできるだけ少ないほうがいいと思います。ただ、集団的な生活をするということはまた子供に非常に社会性という点から意味のあることでございますので、そのちょうど両方のいい点があらわれる点がどこかということでございまして、これは非常にむずかしい問題ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。しかしながら、諸外国の例等を見ますと三十人から四十人というふうな一応の、これは標準でございますけれども、数字があるわけでございます。わが国の場合には、御安内のとおり最高を義務教育学校の場合には定めておりまして、そういう意味で、実質的には小学校のほうが三十二・八ぐらい、中学校のほうが三十六・七ぐらいというふうな平均になってるわけでございますが、義務教育につきまして望ましいところまでみんな持っていくということは、これは技術的に不可能な面がございますけれども、しかしながら、私どもがやはり考えます場合には、ヨーロッパその他の先進国並みの三十人から四十人というふうなところ、そこを一応目安に考えてはいかがかというふうに考えておるわけであります。   〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
  169. 片岡勝治

    片岡勝治君 そういうことになりますと、確かに現実の一学級当たりの生徒児童数は相当上回っているところがあるわけですよね。今回の措置を契機としてぜひこれは計画的になるべく理想に近いような線に努力していただきたいと思うわけです。  第二番目として、さてもう一つの今度は教師の側に立って、というよりも、教育の効果をあげるためには、教職員の一週間の授業時間数というものも対象にしていかなければならぬと思います。かりに生徒数が一学級当たり三十人になったとしても、教師の側が一週間に三十時間も、あるいは中学で二十七、八時間もやっておるという現状では、これはとてもいい教育はできないと思うわけであります。これは戦前のように非常に画一的な、むちを持って画一的な教育をやって、できない子供はもうそれでもいいと、どんどん進んでいくというような教育ではなくて、非常に個性を尊重した教育ということが今日の教育のあり方でありますから、それだけ非常に事前の準備も必要でありますし、あるいはまた教材の多様化といいますか、そういう点からも一時間の授業をやるには相当の準備が必要だということから考えると、それらを考え合わせると教師の一週間の授業時間というものも当然これは考えていかなければならない。これは現在ですと、まあ小学校の場合には学級担任でありますから、五年生、六年生を担当した教師、特に専科制が取り入れられてない学校におきましては、三十時間以上の授業をしなきゃならぬということは容易ならざることなんです。それから中学においても二十七、八時間を持っておるのが相当多数あるということ。これもいまいったような考えで大体どのくらいが適当なのか。まあこれもできるだけ少ないにこしたことはありません。それだけ準備をして十分研究をしてもらっていい授業、行き届いた教育ということになりますが、現時点に立って文部省としてはどの程度まで持っていきたいと考えておりますか。これは小学校、中学校。——まあ高等学校の場合にはいろんな要素がありますけれども、小中校含めてお答えを願いたいと思います。
  170. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) まあ、先生お一人お一人の授業時間、これはまあ周到な準備をしていただくという意味から申しますと、その準備の期間を見まして授業時間を定めるということが望ましいわけでございます。ただまあ小学校の場合には人格的な触れ合いと申しますか、そういう点が特に重視をされるような段階でございますので、まあ学級担任の先生が御苦労ではございますけれども、全部の教科を一応担当していただくというたてまえはこれはくずしたくはないというふうな気持ちでございます。まあしかし高学年になりますといま御指摘ございましたように音楽でございますとか図工でございますとか、あるいは家庭科でございますとか、まあそういうような教科につきまして専門の方に御指導いただくということもこれは考えてよろしいことではないかと、そういうふうな観点から現在のところ小学校二十六時間、中学校二十四時間、高等学校十八時間という時間を一応授業の担当の時間として私ども予想してるわけでございます。しかしながら、実態としましては数次にのぼります改善によりましてこの時間をまあ平均しますと下回っておるというふうなことになってるわけでございます。   〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕 しかし、二十六時間あるいは二十四時間を下げるとしました場合に、どの程度下げたらよろしいのか、これまたいろいろ検討を要する、いわばきめ手がないという面もあるわけでございまして、私どもとしましては、その準備のお時間等を考えまして、それをまあ合理的な基準に基づいて減らしていくというふうな努力はしてまいりたいというふうに考えております。ただ、御案内のように、いまこれから十年に子供たちが二割もふえるというふうなことを目前に控えまして、ただいま御提案申し上げております段階におきましてはそこまで手が回っておらないということでございます。
  171. 片岡勝治

    片岡勝治君 中学、高校は……。
  172. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 中学につきましてもやはりその準備というふうな点から合理的に計算をすべきだろうということ、それから高等学校につきましても同じことでございます。ただ、中学校が二十四時間で高等学校は十八時間、これはどういう差かと申しますと、法案をつくります段階におきましての実績を基礎にしてやったわけでございます。どれぐらいが合理的かという点は、これも学級編制と同じようにちょっとむずかしい問題であろうと思います。私どもは、どれぐらい準備をしていただければ内容の充実した授業ができるのかという点、これを合理的にいろいろ検討をいたしまして、これから先の授業時間というものをきめていく。しかしやはり小学校、中学校、高等学校の先生方のその御苦労の程度、これはやはりある程度そのバランスを考えなければいけないというふうな現実の問題があるわけでございます。そういう点も御理解をいただきたいと思います。
  173. 片岡勝治

    片岡勝治君 どうも文部省のほうはバランスのほうを先に考えているような気がするんですけれども、第一の小学校の場合に、特に高学年を受け持った場合、授業時間が多いということ、それから私のささやかな経験ですけれども、人間関係ということが第一だという、小学校教育はもちろんそれが基本であります。しかし、昔の教育と違って相当——このこと自体問題でありますけれども、教育内容が相当かつての、特に戦前と違っておりまして、相当程度が高くなっておるということ。一人で何もかもこなすというような容易ならざることなんです。特に音楽から体育から理科から国語からということは、率直にいって神わざですよね。ですから、自分の得意とするところは熱が入るけれども、そうでないところはどうも手を抜くということは、これどうしても出てきちゃう。それをすべて満点にやるということはもう事実上不可能だということですから、これからの小学校の高学年については専科制度をもっと取り入れるべきだろうと、それを取り入れたことによって、私は小学校教育がゆがめられるとかなんとかということはなかろうと思うんです。むしろたとえば音楽はえてふえてがありますからね、音痴の先生も中にはおりますよ。そういう人もやっぱり音楽を教えなくちゃならぬということですから、これはもう容易ならざることです。そういう先生には音楽の専門の方に、あるいは音楽が非常に得意な先生にやってもらうということによって、むしろ教育効果があがると思うんです。ですから、そういう点をどんどん取り入れる。神奈川県あたりでも若干そういう点を取り入れたことをテスト的にいまやっておりますけれども、なかなか評判がよろしい。ですから、そういうことを取り入れることによって授業時間数を実質的に減らすということができると思うんでね。小学校の専科制度についてもっと大胆にやるべきだと。この点について文部省のほうの見解を承りたい。   〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕  それから、中高の場合にはちょっと性格を異にしますけれども、今日でも非常に担当授業時間数が多い。これでは私はいい教育はできないと思うんです。特にいま生徒指導とかなんとか、非常に大切にいわれておるわけであります。このほかにホームルームとかあるいはクラブ活動とか、いろんな活動が正規の授業以外、正規の授業以外といっちゃちょっと語弊がありますけれども、そうした活動があるわけですよね。これをまた全部引き受けなきゃならぬ。そういう点から考えると、中高の授業時間数はもっと減らさなければならぬだろうと思うわけであります。こういう点について再度ひとつお答えを願いたいと思います。
  174. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 小学校につきまして専科教員を取り入れるという方向、そういう方向につきましては私どもはたいへんいい御提案じゃないかというふうにも考えておるわけでございます。そういう方向で私どもも努力をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。  それから高等学校につきましていまお話ございましたが、まあ私の個人的な見方かもしれませんが、いまの高等学校は戦前のエリート教育とは違いまして、非常に国民教育化したわけでございます。そこで、やはり生徒につきましても昔の選ばれた生徒とは違いまして、人格的にもう少しその触れ合いを持たせるというふうなことが必要じゃないかというふうなことを痛感をいたしている次第でございます。ただいま先生御指摘になりました生徒指導、ホームルームそういうふうな面の強化、これはまあ特に必要なことでございまして、できれば全部の先生方がそういうことに御関心をお持ちいただきまして高等学校教育というものをもう少し現実に即したものになるように努力をしていただきたいというふうに私ども考えておるわけでございます。そういう意味から現在の時間数あるいは職務の内容等につきましてもなお検討を要する問題があることは御指摘のとおりでございまして、そういう点につきましても十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  175. 片岡勝治

    片岡勝治君 教師の授業時間につきましては、まあわれわれのほうとしてもいろいろ考えがありますので、これは後ほど各党と相談をしてひとつ模範的な基準をつくりたいと思いますので、ぜひこの線に向かって御努力願いたいと思うのです。  次に、教頭法が遺憾ながら成立をいたしまして——遺憾ながらというのはわれわれの立場ですけれども、まあこれを、この問題をいまここで論議するわけじゃないのですが、これと定数法との関係です。まあ当初政府案ではさほど、さほどといってもまあいろいろ関係がありますけれども、特に衆議院で修正されたという修正内容からすると、私は当然定数法の手直しというか、そういうものが出てきてしかるべき、これは教頭法賛成反対を別にしてですよ、事務的にいってそうだろうと思う。ですから私は本会議でも大臣のほうに質問をして大臣からも答弁があって、それに見合うものは至急にやるべきだと、こういうやりますというお答えがあったんですけれども、具体的にどういうふうに措置をするのか、この点をひとつしかとこの際お聞かせいただきたいと思います。これは本会議で私も質問したのですけれども、衆議院の質疑の中で、まあ今度は教頭さんは補欠授業程度なんだというようなことを質問した。局長もまあ大体それを了解したような返事をしていますよね。これはしかしたいへんなことですよ。これは補欠授業ということはたいへんですよ。大きな学校というのは、もう毎日三、四人は出張や、この前言ったように年休や何かで休んでいますからね。これはもうとてもじゃないけどそんなことを言って、まあどういうおつもりでね、質問したほうも質問したほうだけれども、それをあたかもそのとおりだというようなこときお答えがあったけれども、これはたいへんなことですよ。一体どういうお気持ちでそういうお答えをしたのか。この二点伺います。
  176. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) いまでも学校当たりにいたしますと、余裕の教員を私どもは定数の算定上見込んでおるわけでございます。それを余裕の教員を見込んだ上で、学校ではまあいま御指摘ございました補充の授業その他を計画をしておられるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。しかしながら、その上にさらにまあ予期しないような補欠授業というふうなものがございました場合には、私は教頭先生が授業を担当していただくということもあり得るのじゃないかというふうに考えるわけでございます。いずれにいたしましても、私どもとしましては、当然予想される教員のまあ穴と申しますか、そういうものを埋めるようなことは定数上配慮してまいらなければならない。しかし、病気になられる方も一ぺんに固まって病気になられるというふうな場合、そういう場合にはまあ教頭先生あるいは校長先生だって手伝っていただかなければならないような事態もこれは学校全体としてはあり得るのじゃないかというふうな意味で申し上げたわけでございます。現在教頭先生につきましては、これは実態に即しまして一般の先生方の約半数しかまあ授業は持てないのだということで定数を算定し、予算の要求もそれに基づいていたしまして、すでに予算は御可決をいただいておるわけでございます。このたびの改正によりまして当然それに見合ういろんな措置というものはこれから検討してまいらなければならないわけでございますが、これは来年度以降私どものほうで十分検討いたしまして必要な措置を講ずるということにいたしたい、かように考えている次第でございます。
  177. 片岡勝治

    片岡勝治君 これは、教頭法はそうすると来年から施行するんですか、見合う定数については検討して来年からということに。それならそれでいいんですけれども。そういうことになってないんじゃないですか。
  178. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 現在教頭先生が教育を行なっておられる実態につきまして、私どもは基準を定め、それに件う必要な財源措置をするというふうな形でまいっているわけでございます。法律が現実に施行されまして九月から教頭さんに任命をされたという場合にも、一応現実の基礎に立って、各学校におきまして適宜その職務を行なっていただくということになるのでございます。ただ、定数法あるいは私どもの財源としての一つの基準でございますから、これから先、実態に即しましてそういう基準も変えていくというふうなことで手当てができるんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  179. 片岡勝治

    片岡勝治君 そういうお答えはおかしいですよ。だから、かりに衆議院で修正案があったときに当然それに見合う定数なり予算なりを考えていかなければ、これはもう相当長時間かけてここでも質疑をやったわけですが、特に衆議院の修正によって、教育をつかさどるということは全く従の仕事になったわけでしょう。原則としてそういう教育はやらないんだということなんです。だから、もしそういう修正案が出てきたときに政府は衆議院でどういう態度をおとりになったのか。それは予算が必要なんだからだめだと言ったんですか。さっき、ぼくらが議員立法やったときには政府が大胆にそれは反対だと文部大臣がおっしゃったけれども、その点非常に矛盾を感ずるんですよぼくは。あのときに政府が、それは困る、予算がいまついてないし、定数法の改正もしなきゃならぬから政府は了承できないという発言があって、しかし、なおかつ決定することはいいんですよ。ぼくはそのことは、国会が最高の議決機関ですから、これはそういうことあっていい。あっていいけれども、政府の態度がぼくは理解できないんですよ。そのときに政府は困るとか、原則的に賛成できないとぼくは言うべきだったと思うんです。言わなかったんなら、追っかけ法律案を出すなり、そういうことをしなければ、ぼくは本会議で言ったように、このしわ寄せはどこにいくかといったら、それは一般教員でしょうが。しかも、九月に追加予算なり、あるいは定数法の改正をまた出すんならいいですよ、そういう答弁があるんならば。それをしないで、いや来年だということじゃ、これはちょっと理解できませんね。これはもう残酷物語ですよ、現場に対しては。文部大臣、どうですか、それは。ちょっと答えができませんでしょう。どうします、これは。答えられますか。
  180. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど来事務当局から申し上げておりますように、現在でも、教頭さんの関係もございますし、教頭さんが一般の先生方の半分の時間を担当するというような計算になって、ほかにある程度の余裕の数字を見込んではじいているわけでございます。将来は、たとえば六学級以上の学校数かける一、そして校長さんをはじいているわけでございますので、そういう形式で、一じゃなくてかける二というようなことで教頭さんも見込まなきゃならないんじゃないだろうか。校長さんについては全校一人、教頭さんについてもそれに準じた計算のしかたを用いなきゃならないじゃないだろうかな、こう思っているところでございます。  そういう意味合いで、今回の衆議院における修正に応じまして私たちが従来考えておったよりも先生の員数をふやしていく、かように考えているわけでございます。ただ、四十九年度直ちにいままでの定数以上にふやさなければ支障が生ずるほどの厳格な法律改正でもございませんので、したがいまして、事務当局から答えましたように、五十年度からぜひ衆議院の修正を受けて一そうの定数の増加をはかっていきたい、こういう考え方でおるわけでございます。
  181. 片岡勝治

    片岡勝治君 来年度そういう考えを私は否定するわけじゃないんですけれども、その経過措置としてたいへん理解に苦しむんです。来年四月一日施行ならいいですよ。これは非常に筋が通った話ですからね。  すでに、何万人ふやしますとラッパ吹いている人もいるんですよ、教頭法が通ったから。現場では当然そういうふうに受けとめるでしょう。だからぼくは、衆議院で政府の態度をはっきり表明しているんならいいですよ。なおかつ衆議院がきめちゃったというならこれはまだわかるんですけれども、衆議院のときは黙っていて、しかも、九月から実施ということですから、そういう矛盾をした政府の態度は理解できない。そして現実に九月から発足すれば現場の先生にしわ寄せがくる。そしてそれがまた紛争の種になるわけです。だから、できるだけ現場に紛争を起こしたくないと大臣は口をすっぱくして言っているわけですから、そういう点については深い配慮があっていいだろう。しかも、こういう対立法案についてはもうほんとうに行き届いたところまで考えていかなければ、それはいままで批判があったように、そんなものはほうっておいて教頭法だけ出す、職場管理だけという頭ではないか、そういう批判をされるのは当然だろうと思うんです。私は、まだ臨時国会があることだし、ひとつその点は検討していただきたいと思う。しかし、このことを言ったからといって私が教頭法に大いに賛成するということじゃない。できちゃった以上、それを施行されるんならば、それに見合うことは十分やってあげなさい、こういうことです。
  182. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 関連して聞きますけれども、いま片岡君から話があったと思うんですが、修正を出した民社党のある代議士が、私がけさある会合に行ったらそれをぶっておるんですよ。どっから三万九千という数字が出たかわかりませんけれども、皆さんこのぐらいで直ちに三万九千の人間がふえますと、教頭のあれもね、こういう修正案でございますと堂々とぶっておるんですよ。皆さん衆議院でまとめたときにそういう密約でもあったんじゃないですか。当局それ知っているのかね。また、それをほんとうにやってくれるのかね。要するに、いまこっちが言ったようにやっぱり五十年度以降ですか。そういうように無責任な——それが事実と違うと無責任もはなはだしいと思うんですよ。ある学校の先生方の集団の会合で言っておるんですね。ぼくはどっから三万九千という数字が出てきたかと、聞きながらね。はったりにしてもおかしいと思ったけれども、やっぱり当事者だからね。何かそういう話でもできておるんじゃないかと思ってお聞きしたんだけれども、そこらあたりどうなんですか。ほんとうにそういうこともなしに、今後の努力目標になっているんですか。
  183. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど片岡さんから、衆議院の修正の段階における政府の意見はどうであったかという御疑問がございました。衆議院の修正段階では、直ちにこれによって本年度すぐ増員をしなければならないという考え方であったんだろうと思います。財政上の支出を伴うというわけのものでないということでございましょう、特に政府の意見は求められませんでした。したがいまして、あの修正段階で政府の意見は申していないわけでございます。  しかし、先ほど来申し上げますように、現在教頭さんについては授業時間の担当は半分に見ているわけでございますが、それ以外に余裕の先生も見込んで総定数を算定しておりますので、いま直ちに混乱を来たすという性格のものではない。しかしながら、あの修正を受けまして五十年度以降は当然定数の増加をはかるべきものだと、かようにわれわれは考えているわけでございます。  宮之原さんのいまおっしゃいました数字は、私の推測でございますけれども、あるいは小中高の学校数ではなかろうかという感じがいたします。あるいは、修正されたときに、それぐらいの増員を希望して、ああいう案をお出しになったのかもしれませんけれども、事前に何ら私としては相談は受けておりません。
  184. 片岡勝治

    片岡勝治君 たいへん矛盾した話で、少なくとも修正案を出した人がそういうことを言っているんなら、私は何か根拠があるような気がするんですけれどもね。時間がありませんから次へ進みましょう。  学校における週休二日制については、これはいままでも出た話で、文部大臣も答弁をしておるわけでありますけれども、これは早晩週休二日制というものは好むと好まざるとにかかわらず出てくると思います、公務員の場合も。それでこれをどうするかということは、まあ一般役所の場合には比較的、それでも問題はなきにしもあらずですけれども、比較的スムースに週休二日制に移行できると思いますよね。しかし教育現場をどうするかというのは確かにこれはいろいろ問題があるので、ある程度準備期間というものが必要である。かりに来年あるいは再来年からやるにしても、もしやるということになれば、ことしからその移行過程というか、そういうものに、ある程度実施条件に合わせた措置というものを考えていかなければならないのではないかと私は思うのです。つまり、授業を六日にするのか五日にするかということ、とりあえずはそういうことが出てくるから、これは、公務員が五日制になった、しかし教育現場はそれから準備をしたんじゃ二、三年おくれちゃうという結果も出ることも考えられるわけです。そういう点、この五日制に対する取り組みというのは、私は他の公務員よりももっと先に検討をし準備をし、いろんな過程を想定しながら、それに見合った対策をずうっと現実にやっていく必要があると思う。公務員がやったからそれっというわけにはいかない。そういうひとつ準備体制があろうと思うんで、これらの見解を承りたいということ。  それからもう一つ、まあ現在でもごく少数の人は長期研修というようなものが行なわれていますよね。内地留学というようなことで大学へ行く人がある。私は、教職員に対する一つの措置として、一定の年数、たとえばの話ですが、十年なり十五年ぐらい勤務したら一年ぐらいの特別休暇を与える、研修休暇を与える。そしてみずからを振り返っていろいろ反省することもあるだろうし、そしてこれからさてどうしようかということで勉強もしてもらう。そしてさらには、この期間を利用して外国の視察旅行も一カ月ぐらいやってもらうと。こういうことは、教師に魅力を与えるというそれだけではなくて、私は非常に大切であろうと思うんです。これはもちろん定数の問題がありますから、これは停年をいまより、実質停年ですか、勧奨停年年数というのがありますから、それを二年なり三年なり延ばすことによってある程度の充足をやる、まあこういうようなことを私はぜひやってもらいたいと思うんですがね、こういう構想についてひとつ大臣の見解を承りたいと思うんです。
  185. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 昨年の十一月に小中高一貫の教育課程審議会を発足さしたわけでございます。その中で、学校では基本的なものをしっかり身につける、そういう意味において思い切って教育内容を精選したいんだと、こんなことも申し上げました。どういう結論が出てくるかわかりませんけれども、たとえば教育内容がきまった暁には五日で完了できるじゃないかと、そうしますと、一日は復習の時間と、こういうことになるかもしれません。教育課程審議会でそういう結論をいただいておりますし、それにまた私は、六日教育、これを五日教育にしなきゃならないとは思わない。かりに六日教育を学校で五日やる、社会教育、社会体育を一日やる、そういう意見が出てきた場合に、社会体育、社会教育でやれるかどうか、施設の整備もしなけりゃなりませんし、また、社会教育、社会体育の指導者の数をふやし、資質を高める、こういう努力もしなけりゃなりません。そういう配慮のもとに、それらの施設の整備や指導者の充実もはかっておるわけであります。一つの結論を持ってやっているわけじゃございませんけれども、そういうことを通じて柔軟に対応できるようなくふう、努力は尽くしていかなきゃならない、こういう考え方でおるわけでございます。  なお、研修のお話がございましたが、先生でございますから常に研修に努力していただかなきゃなりませんし、また、そういう趣旨の法律も示されているわけでございます。でありますから、単に一年ということじゃなしに、全部ひとつ海外に行ってもらいものだなあと、世界を見た目で自信を持って教育に当たってもらいたい、これは一つの私たちの希望でございます。また、積極的に春休み、夏休みも研修に利用できる限りは研修にひとつ先生方には利用してもらいたいものだなあと、かように考えているわけでございます。あらゆる方法を通じまして、研修の機会を与える努力をするということでやっていきたい。ことに四年制の大学を出て、それで一人前の教師と言えるかどうか、二、三年現職についてもらった後にも一ぺん大学院修士課程ぐらいのところで御勉強をいただいて、本物の先生になるというようなことも考えられるじゃないだろうかと、これ一つの研修と考えられてもよろしゅうございますし、また、ほんとうの教員をそういう形でつくり上げるのだというふうにお考えいただいてもいいと思うんでありますけれども、あらゆる機会を通じていま御指摘のような方法が実を結んでまいりますように、私たちとしては努力をしてまいるつもりでございます。
  186. 片岡勝治

    片岡勝治君 十年勤続したら一年の研修休暇があるということになりますと、これはまた一つの励みになるだろうし、それよりもその期間十分勉強して、ゆっくり勉強して、外国旅行も行けるというようなことをぜひひとつ実現できるようにしていただきたいと思います。  次に、事務職員、養護職員等の配置について、今回も定数法の改正に見られますけれども、いまなお配置されていないということについて私はたいへん残念に思うわけです。これは強く要望いたします。完全に配置をしろということ、そうして大きな学校については複数配置をしなさい、これは教頭法のときにもいろいろ論議が出ましたけれども、校長さんやいまの教頭さんの仕事もいわば事務職員の仕事をやっている部分がずいぶんあるわけですよね。非常に雑務に追われておる。せっかくの校長さんが指導、助言というか、先生のよき相談相手としての活動というものが私は非常に少ないんじゃないかと思うんですよね。だからそういう意味で、この事務職員、あるいは別の意味で養護職員等の完全配置というものは、これはもうとっくにやられなければならぬ、あるいは複数配置も当然考えられていくべきだろうと思う。この点はひとつ一段の努力を特に要望いたします。  そのことだけで終わります。   〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕  次に、今度の新しくできました栄養職員の問題でありますが、これにはいろいろ問題がありますけれども、特に今度は県費負担職員になるということであります。そのことによって待遇なり職務なりあるいは身分というものがさらに確立をするというところではさして問題がないわけであります。特に端的に申し上げれば、給与が、待遇がこれによってむしろよくなるというところがあるわけであります。しかし問題は、政令都市等によって、この措置をとることによって給与が、給料表が政令都市のほうがいいということがありますから、そのまま適用していけば下がるという、非常に大きな問題があるわけであります。これはかつて警察が、市の警察が都道府県警察になったときに同じような問題が出てきた。これに附帯決議でも、この点については万全の措置をしろという衆議院の附帯決議がついておりますけれども、具体的に一体どういう措置によってこの問題を解決をしていくのか、お答え願いたいと思います。
  187. 澁谷敬三

    政府委員(澁谷敬三君) いま先生御指摘のように、学校栄養職員を県費負担の対象教職員にしていただきたいという理由の一つにも、多くの場合栄養士さんの方々に本来支払われるべき給与より低くなっておるということもあったわけでございますが、また、ただいま御指摘のように、一部の市町村におきましては、市町村の職員の給与自体がかなり高くなっておるところがございまして、現実に県費負担教職員に切りかえます場合に、単純なる給与の再計算方式でいきますと、給与が下がる方々が一部出てまいります。多くの場合は上がりますが、一部にそういう方々が出てまいります。そこで、単純な給与の再計算方式でなく、国の新しい法律制度によりまして切りかわるわけでございますので、この国の新しい法律制度の趣旨、目的に即しまして、そういうことのないように、いわゆる現給保障的な考え方を原則的に取りまして、現行給与制度の許される範囲のいろいろな考え方、適用方法を使いまして、原則として、現給保障をするということで強く行政指導をいたすことにいたしております。
  188. 片岡勝治

    片岡勝治君 現実に、この給与がそのまま横すべりという、これは当然考えなきゃならぬと思うのです。これは非常にむつかしい問題ですけれども、個々の職員にしてみると期待権もあるわけです。つまり、いま身分が市の職員である。今度は栄養職員ということで教育職員になるという場合に いまことしはそのまま横すべりになる。市にいれば大体こういうことでずうっと昇給がある。何十年つとめれば幾らになるという期待権が、そこまで保障するということは、これはないわけでしょう。現実的には非常にむつかしい問題ですけれども、そういった期待権に対して何がしかの考えがあるのかどうか。
  189. 澁谷敬三

    政府委員(澁谷敬三君) 先ほど申し上げましたようなこの一部下がる——単純な再計算ですと下がる方々に対しまして給与の現給保障をするという考え方でやりますと、一般的には次の場合の昇給延伸という問題が起きてまいります。ただ、長期にわたりましてその昇給延伸が行なわれるということは、勤労意欲その他の点から非常に問題でございますので、長期にわたる昇給延伸はしないということも含めまして、先ほど申し上げたような考え方で強い行政指導をいたしたいというふうに考えております。
  190. 片岡勝治

    片岡勝治君 これは都道府県の条例できめることになりますから。こういう経過で栄養職員が県費負担教育職員になるということですから、これはひとつ文部省としてほんとうに強い行政指導をもって、現場職員に不安のないような措置をとってもらうように、ぜひこれはお願いをいたしたいと思います。  それからもう一つ、要するに、身分の問題で、いわゆる栄養職員の学校職員の中における位置づけ、学校教育法等における位置づけというものが必ずしも明確でないんですけれども、二十八条ですか、これの関係についてはどういうふうな解釈ですか。
  191. 澁谷敬三

    政府委員(澁谷敬三君) 実は、今度の法案で学校栄養職員を定数標準法に入れていただき、県費負担、国庫負担の対象教職員にしていただくにつきまして、学校教育法上、この学校栄養士を明確に位置づけたいというふうに考えたわけでございます。片や、御承知のように、学校給食は単独で実施しているところと共同調理場で実施しているところがございまして、その共同調理場に置かれます学校栄養職員につきましても同じように標準定数法あるいは県費負担、国庫負担の対象にいたしたいというようなことがございまして、この共同調理場のほうは学校教育法の体系でなく、地方教育行政の組織運営に関する法律の三十条の教育機関とそこに置かれる職員ということでございますので、学校教育法に位置づけるだけでは、そちらのほうが落ちてしまいますので、今回の改正では学校給食法のほうに、学校の中に、学校栄養職員のことを規定していただくということになったわけでございますが、ただ将来は、先生御指摘のようなことにつきましても、さらに十分検討をいたす必要がある、そういうふうに思っております。
  192. 片岡勝治

    片岡勝治君 この点については早急に検討して必要な措置をとっていただきたいと思います。  最後に、今度の法律の中に停年ということばではありませんけれども、勧奨退職ですか、そういう措置を延長したところについては特別の定数の配慮をするというような意味の改正点があるわけです。この趣旨は、こういうふうに理解していいですか。たとえば五十五でいま勧奨しているような、仮定でありますけれども、できるだけそういうところは五十八なり六十なり停年を少し引き上げるといいますか、延ばすといいますか、そういう一つの指導的な意味があるのではないかというふうに理解してよろしいですか。それから実際はいまどのくらいで、何歳くらいで勧奨退職をしているか、退職の勧奨をしているか、もしそういう資料がありますればお知らせいただきたいと思います。
  193. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) いま先生御指摘になりましたような考え方で、私ども定数法上のそういう措置をとるということにいたしたわけでございます。これに該当する県がいまのところ十二県ばかりあるというふうに私ども考えているわけでございますが、私どもが考えておりますような趣旨が実現いたしますことを期待いたしているわけでございます。  現在勧奨退職の年齢でございますが、もう大体平均いたしました場合には、五十八歳をもうこえておると申してよろしいんじゃないかと思います。しかしながら、まだ低いところでは五十五歳、特に女子につきまして五十五歳というふうなところもあるわけでございます。そういうところにつきましても、やはり同じように六十歳までこれを延長すると、さしあたり六十歳まで延長するというふうな方向でそれを指導してまいりたいというのが実情でございます。
  194. 片岡勝治

    片岡勝治君 それでは、いまの質問で最後ですけれども、二、三要望して終わりたいと思いますが、いまの停年の問題につきましてはそういう趣旨について私はけっこうだと思うのです。ただそれをまた逆に使われて、六十歳が停年だということでそれを一つの停年の手段、いま現在停年制はとっておらぬわけでございますから、それを手段として一率に停年制をしくということについては、これは私どもとして賛成できない。そういう点の指導をしていただきたい。  なおあと複式学級の定数、あるいは障害児教育、特に障害児教育についてはさきに対案を出して私ども審議を願ったわけでありますが、それらに比べればまだ若干私ども不満な点があります。しかしこれを契機に複式学級、あるいは僻地の学校、あるいは障害児教育、そういうものにつきましては何といっても先生の問題であります。人的な配置を充足していくということが、これらの教育を発展させる大きな要因でありますので、定数改善につきましてはさらに一段と努力をぜひお願いしたい。  以上、要望して私の質問を終わります。
  195. 加藤進

    加藤進君 一人一人の子供たちに行き届いた教育を実施する、落ちこぼれをつくらない。これは義務教育の当然の私は任務だと思う。そういう点から見て、いま四十五名をこえるような学級がいまだに全国に相当数のぼっておりますけれども、第一に、このような四十五名をこえる学級の定員に対して、少なくともこれを四十五名に戻すということのためにどのような御計画を持っておられるのか、解消のためにどのような御決意で臨んでおられるのかということが第一。  第二には、四十五名でもまだ多過ぎるということは、これは今日の常識になっています。それは先生たちの声でもありますし、また父兄の声でもあります。また先進諸国の例から見ても四十五名定員というのは多過ぎる。これはもうはっきりしていると思う。少なくとも四十名にこれを削減する、四十名に減らすということのためにどのような決意とさらに計画を持っておられるのか。何年くらいでそれを実現しようというふうに考えられるのか。あるいはそういう考えはないのか、その点をまず正確にお答えをしていただきたいと思います。
  196. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 現在、四十五名以上収容しております学校と申しますと、これは過密地域等の校舎の建設が間に合わないようなところに集中をしているわけでございます。これは何よりもまず過密の校舎の対策というものに力を注ぐことによりまして、そういうものを改善する方向でまいりたいと考えております。それから四十五人というのは、先生も御案内のとおりこれは最高でございまして、ヨーロッパ等におきます四十人あるいは三十五人というふうな標準とはきめ方が違うわけでございます。したがいまして、実質的には先ほど申し上げましたように小学校では三十二、三名、それから中学校では三十六、七名というふうなところになっているわけでございます。義務教育でございますから、子供さんがおればこれはどうしても収容しなければいけないというふうなことで、最高というふうな表現の定め方をしているわけでございまして、これは技術上どうしてもそういうふうな措置をとらざるを得ないということでございます。これから十年間に子供が二〇%ふえるというふうな現状でございますと、特に過密地帯におきます校舎とか校地の問題などを考えますと、まあ事務的に考えまして私どもその生徒の急増が続いております間におきまして学級編制の改善を行なうということはかえって混乱を深めるというふうに考えているわけでございます。しかしながら、学級編制の改善をはかることによりまして行き届いた教育を行なうというふうなこと、それから集団生活を行なうことによりまして社会性を身につけるという二つの要素、これをどういうふうなかね合いで進めてまいるかというふうな点につきましては、さらに先生方の御意見を承りながら改善につとめてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  197. 加藤進

    加藤進君 いまそういう答弁でございますけれども、現に小中学校含めて四十名以上の定員で授業をやっているという学級数というのは四〇%ですね、これは、もう現実の数字ですよ。四〇%です。こういう状況から見るなら四十五名をいわば上限とするような定員数を四十名にまで下げる、こういうことは私は行き届いた教育を実施するというたてまえから言うなら、これは今後当然やらなくてはやらぬ重要な課題だと考えておりますけれども、その点でいま御答弁いただいた限りにおきましては文部省はそれほどこれを重要視しておられないというふうに理解していいんでしょうか。
  198. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 現在のところ四十一名以上の学級の数は小中平均いたしますと二九・六%でございます。ただいま先生がおっしゃいましたように学級編制を下げますことによりましてそれだけの効果が出てくるということでございますが、しかしながら、下げることによりまして現実問題として出てまいりますマイナス、これは当然行政を担当しておる者といたしましては考えざるを得ない、どちらのプラスが多くてどちらのマイナスがまた少ないかというふうなことはこれは常に考えなければならないことでございまして、そういう意味から考えまして、学級編制を下げるということにむしろマイナスの大きな面が出てくる、それを心配しているわけでございます。そういうふうな点を十分考えまして総合的に判断をしながら行政を進めていくという必要があるんじゃないかというのが私の考えでございます。
  199. 加藤進

    加藤進君 この点は、相当長時間を要する議論になると思いますし、今後長期にわたってひとつ私も問題を提起していきたいと考えております。しかし、言えることは、学校の先生はこれでは多過ぎると言っている、これでは十分に手が届きませんと言っている。しかも現実には、とにかく半数の子供たちが確実についていけぬ、こういう現実があるわけでございますから、そのための有効適切な措置をとらなければ、教育は荒廃の方向にさらに進んでいかざるを得ない、私は、その点は少なくとも警告しておきたいと思います。  そこで、第二の問題でございますけれども、先ほども片岡委員が触れられました養護教諭、事務職員、司書教諭をいつまでに必置される予定なのか、いつまでに必置が可能なのか、その点を明確にお尋ねしたい。
  200. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 御案内のとおり、このたびの改正では約五〇%の学校に配置をされております養護教諭、事務職員を七五%まで引き上げてまいりたいというのが大体の骨子でございます。そういうふうな進め方から申しますと、この次の機会に養護教諭につきましては全校に必置できますように、それから事務職員につきましては、まあ必要のある小規模学校につきましては、まあむしろ教員の配置というふうなことが望ましいのではないかと考えておりまして、そういうふうな例外を除きまして一定規模以上の学校には事務職員を置く、そういうふうな方向で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  201. 加藤進

    加藤進君 それは事務職員ばかりでなしに、養護教諭あるいは司書教諭についてもそういう同様の考えでいかれるわけですか。
  202. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 養護教諭につきましては、いま申し上げますように全校必置の方向で努力をしてまいりたい。  それから司書教諭につきましては、これは先ほども御討議をいただいたわけでございますが、学校図書館のあり方、これにつきましてなお検討すべき問題もございますので、そういうものとの関連で考えていきたいというふうに思っております。
  203. 加藤進

    加藤進君 答弁は決して満足のいくものではありませんけれども、本日はこれくらいにしておきます。  それで最後に、先ほどこれも触れられましたけれども、栄養職員の県費負担の問題ですが、今回の措置によりまして定員を上回る県が十八県出てきますね。十八県出てくるというふうに私考えておりますが、その人数としては九百二十六人、こういう方が出られるわけでございますけれども、この定員オーバーの方たちの取り扱いについてどうされるのか、オーバーになった方たちについても県費職員としての保障をされるのかどうか、この点ひとつお聞きしたいと思います。
  204. 澁谷敬三

    政府委員(澁谷敬三君) この点も今回法律でお願いいたしております大きな理由でございますが、非常にアンバランスになっておりまして、熱心なところは非常に置いていただいておるのでございますが、かなり下回っている市町村、県が多いということで、適正な配置ということでそれが大きな提案理由になっているわけでございます。  いま先生、御指摘の上回る県でございますが、これにつきましては国庫補助の対象に従来いたしてきております。その国庫補助の対象人員が今度の標準より上回る県がいま先生御指摘の県になるわけでございます。これは大蔵省とこの県はだいぶやりまして、国庫補助対象人員がこの定数を上回りましてもそれは保障をするという考え方で政令をつくることになっております。
  205. 加藤進

    加藤進君 なお、聞きたい点が山々ありますけれども、ピリオドをここで打ちまして、また次回に譲りたいと思います。
  206. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) ほかに御発言がなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  208. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 次に、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の質疑に入ります。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  209. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 時間がだいぶ経過をしておりますので、はしょってまとめて質問をしますから的確にお答え願いたいと思います。大体いいお答えならすぐやめたいと思いますけれどもね。  一つは、適用の問題ですが、この本法の私学共済全体の運営とも関連してお聞きをしますが、この私学共済の適用の関係の問題で、まだ私立大学、私立学校関係でこれに加入をしておらないのが残っておるならば、それは全体の何%ぐらいなのか、あるいは入らないところの理由はどこにあるのか。これは、この関係法案が審議されるたびにいろいろ質問している事項ですが、その点いかがですか。
  210. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 私立学校教職員共済組合法の未適用校、適用除外校の問題でございますが、昨年国会におきまして議員修正によりまして再度選択の機会が与えられたわけでございます。その際、適用除外校としての数は百七十一校、教職員の数にいたしまして約三万六千名があるというふうにお答えをいたしたわけでございますが、本年四月一日から新たに私学済組合に加入をいたしましたものは百七十一校のうち百十二校、それから教職員の数約三万六千のうち二万二千九百人が加入をいたしました。したがいまして、学校数で約六十校程度、教職員の数にいたしまして約一万三千程度のものが依然として未加入校ということになっておるわけでございますが、そのおもなるものは、比較的規模の大きな大学でございまして、早稲田でございますとか、慶応でございますとか、そういった大学が非常に多いわけでございます。これらの学校がなぜ私学済組合に加入しなかったかという点でございますが、こうした学校におきましては、御承知のとおり健康保険組合が結成されておりまして、比較的こうした学校における給与の水準が高いものでございますから、比較的安い掛け金をもって比較的十分な短期給付が行なわれておるというような事情がございました。また、健康保険組合自体も長い伝統と申しますか、経過がございまして、資産も相当に持っておるというようなことがございまして、それをやめて新たに私学共済に加入するということに若干の困難がある、さらにこうした大学におきましては全部というわけではございませんけれども、法人側の負担による学内年金というような制度がございます。そうしたようないろいろな事情がございまして、先ほど申し上げましたように、なお若干のものが未加入校という形で残ったのでございます。
  211. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは一昨年の六月の十二日のこの委員会であなた百五十一校と言っておるんです、あなたの答弁は。またいまの説明だと、去年はふえたみたいだけれども、それはいいでしょう。その中で、政府管掌の健康保険関係と、組合管掌のものとまた二つに分けられるでしょう。それで、やっぱりこの問題の一つのネックは、私は文部省と厚生省との調整のつかないところの要素もあると見ているんです。厚生省側に言わせれば、これはもうすでに決着済みだと、こう言うし、長期給付の面でも、いわゆるいまあなたが指摘されたところの早稲田、慶応などが希望しないのは、自分のところがいいからじゃないか、自分のところが給付の率がいいんだ、こういうことの理由等をあげられているようです。そうしますと、これはやはり私学共済全体から見ると、掛け金の問題、給付の率の面、給付面でまだそういう入ってこないところの学校より悪いということになっちゃうんですね。その点は、現実にやはり相当不利なんですか、どうなんですか。
  212. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 最初にちょっと数字の問題でございますが、昨年でございましたか、未加入校が百五十校というふうに申し上げたということでございますが。
  213. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 一昨年の六月十二日の議事録見てごらんなさい、百五十一校と管理局長答えているんですよ。
  214. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) ただいま申し上げました百七十一校の中にも、これはいろいろ種類がございまして、短期給付、長期給付とも適用除外になっておるものが百十五校、それから短期給付は適用除外だけれども長期給付は加入しているというものが三十六校、それから短期給付は入っているけれども長期給付は適用除外だというものが二十校、そういう内訳があるわけでございますが、あるいは、その中で、短期、長期とも適用除外になった学校数をあるいは私がちょっと数字を読み違えてそういうふうに申し上げたかと思いますが、数字といたしましては、あの百七十一校という数字を、私どもは全体としては百七十一校という数字を把握しておるわけでございます。  それから給付の内容でございますが、私学済組合は、法定給付はもちろん法律の定めのとおりやっておるわけでございますが、実はその付加給付の面におきまして、文部共済組合あるいは公立学校済組合に比べましても、やや立ちおくれている点かございます。しかしながら、この点は、逐年改善をいたしておるわけでございまして、すでに家族療養費の付加金、あるいは育児手当の付加金、埋葬料の付加金の三種類の付加給付を行なってまいっておりましたが、四十九年度からは、新たに家族埋葬料の付加金、それから弔慰金の付加金、家族弔慰金の付加金、この三種類を新設をいたしまして、給付内容につきましても、他の共済等に劣らないような水準に持っていきたいということで、せっかく前向きに努力をいたしておるわけでございますが、しかし、これでもまだ他に比べますと、同等というところにはまいりません。今後ともこうした面の充実には努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  215. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それで、その給付面で、短期給付の面では、公立共済の場合と違って、これの補助金があるんですか、補助システムが。それといまの短期経理の私立共済の経理状態見ると、非常に赤字ですわね、率直に申し上げて。これは黒字にでも転化しておるんですか。そこらあたりどうなっているんですか。
  216. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 短期給付につきましては、国の補助金はございません。  それから経理の状況でございますが、お手元に資料として差し上げてあるわけでございますが、その四ページをごらんいただきますと、短期経理の収支の状況がございます。四十五年末におきましては、累積で約十四億の赤字がございましたが、四十六年、七年、八年はこれは推計でございますが、いずれも単年度黒字という結果になりまして、四十八年度末におきましては、累計におきましても約九億の黒字が出るという見込みでございます。  四十九年度におきましては、これは医療費の改定等の動向もございますが、私どもの見込みといたしましては、一応単年度収支は均衡するであろうというふうに考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、近年付加給付につきまして、いろんな改善を行なってきたわけでございますが、こういうことが可能になったということも、やはり短期給付の経理の状況が四十六年度以来好転をしてきたということが、その背景にあるわけでございます。もちろんその理由といたしましては、掛け金のアップということもございますが、同時に給与水準が徐々に高まってきておるというようなことも、黒字の一つの原因であろうかというふうに考えております。
  217. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それで、私が聞きたいのは、国庫補助という面で、短期給付の面にも考えていく段階じゃないかと、こう思うんですよ。いわゆる短期給付はもうおまかせということじゃなくてね、だからたとえば慶応とか早稲田みたいに一人歩きできるやつのは、一向いつまでたっても入らないと、こういうかっこうにもなってくるんですね。いわゆる私立学校というなら、やっぱり共済制度あたりもやっぱり一つのシステムの中でやってもらいたいという気持ちが非常に強い。また、あなた方自体もそういう方向で指導してきておるんだからね。しかしながら、やはりその短期給付に対するところの費用についての国庫補助のないという点も、私は一つのやっぱりその問題点じゃないだろうかと思う。したがって、今後この問題について前向きの検討をされる用意がありますかどうか、そこのところを聞きたいんです。
  218. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 前向きの検討をいたしたいというふうに考えておりますが、実は四十八年度、四十九年度の概算要求におきましても、療養の給付、家族療養費、傷病手当金、出産手当金等につきましては国の補助を要求したわけでございますが、御承知のとおり共済制度におきましては、短期給付についての国庫補助というのは前例が全くないというようなこともございまして、これがなかなか認められなかったということでございますが、私どもといたしましては、私学教育の振興という観点から今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  219. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは、大臣のお考えも聞いておきたいんですが、いまの短期給付に対する補助の問題は、これは私学全体の助成の補助ということも非常に立ちおくれておる、そういう点からとも関連してみても、私学共済のこの面については非常にやっぱり立ちおくれがあることはこれは事実なんです。したがって、こういうことがあるから私はやっぱり衆議院の文教委員会でもこの問題についての決議が上げられておるんじゃないかと思うんです。したがって、これは事務当局は努力をするという話でけっこうですが、これはやっぱり責任者の大臣としても、この問題については努力をしてもらわなきゃならないところの問題だと思っておるんです。したがって、これに対するところの積極的なやっぱり御意向があられるのかどうかということをお伺いをいたします。  なお、時間の関係ではしょって申しますが、いま一つは長期給付の問題、いまの点は後ほど一緒に大臣のほうから答えてもらいますが、もう一つ、時間の関係上申し上げたいのは、この長期給付の問題は、百分の十八ではぐあいが悪いということはもうずっと前から言われておったのです。これもやっぱり依然として百分の十八でしょう。少なくとも百分の二十はなければぐあいが悪いと、これはあなた自身四十七年の六月十二日に言っているのですよ。いわゆる責任準備金とか引き当て金のことを考えてみると、いわゆる長期給付については黒字であるけれども、とてもやっぱり百分の十八では不安なんだ、だから百分の二十になるように努力しますと、その現実性も、非常に可能性もあると、こういう答弁をされていますし、時の文部大臣の高見さんですかね、あの人も、このことについては努力しますと言ったが、二年間かかってもいまだ実現されていないのです。このことは、私は答弁はいいけれども、二年たっても一向実らないのでどうお考えになっておられるのか、今後どうされるつもりか、ちょっとその点をお聞かせ願いたいと思います。
  220. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 共済組合の長期給付に対する補助でございますが、御承知のとおり、制度が発足をいたしました昭和二十九年におきましては、補助率が百分の十であったわけでございます。
  221. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その経緯はわかっているのだ、それはいままで何回も言われているから、資料にもあるのだから。十八からどう上げてくれるかということなんだよ。
  222. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) それで、百分の十が十八になりまして、その前が四十一年に百分の十六、百分の十六から百分の十八になりますのに約七年かかっておるわけでございまして、課題といたしましてはなかなか困難な課題なのでございます。これは農林共済その他のバランス等がございまして、なかなか容易に実現ができないわけでございますが、しかし、方向といたしましては宮之原先生おっしゃいますように、私どももぜひ百分の二十にしたいということで引き続き努力をいたしておるわけでございます。ただ、前回も申し上げたかと思いますが、長期給付につきましては財源調整費というのがついておりまして、四十九年度予算におきましても一億一千二百万円がついておるわけでございます。これは比率にいたしますと百分の一・七七でございますから、百分の十八と合わせますと百分の十九・七七ということになるわけでございまして、実質的には百分の二十にほぼ近い補助が出ておるということでございますが、しかし、私どもの要求といたしましては財源調整費といったこういう形ではなくて、ぜひ補助率の定率という形で国庫の補助をもらいたいということで年来努力をいたしておるわけでございますけれども、いまだにその成果があがらないということでございます。今後とも努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  223. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 先ほどの問題と一緒に大臣のほうから短期給付と長期給付のいまののをやっぱりお聞きしたいんです。
  224. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 多年の問題でございます。同時に多年の問題であるということは、それなりにむずかしい問題があるということであろうかと思うんでございます。  長期の問題につきましては十八が二十にならないかわりに財源調整の補助を計上している。大体、実質的にはそれ前後の額が確保されているということできているわけでございます。  短期の問題につきましては、医療制度全体の問題も私はからんでくるんじゃないだろうかと、かように考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、共済制度の内容の充実ということについては今後とも努力を続けていくべきだと考えております。
  225. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これはもう二年前のよりもだいぶ後退した話なんですよ、いまの答弁をお聞きしていると。前の大臣はとても威勢よかったんですよ。こんなに大臣がかわれば威勢が違うのかと思ってね。これはしかし、あなた、その後の情勢はいま大臣が御答弁いただいたように、福祉行政というものを強化しなければならぬ、重視しなければならないという一つの政治情勢も出ていますし、あるいは私は学校教育ということから考えれば、私学の振興という側面を、こういう面の手立てということも非常に私は大事だと思うんですよ。したがって、やはりこの点に積極的な意欲をひとつ燃やしていただいて、まあ教頭法案に示されるところの半分ぐらいの情熱でもいいですからね、それぐらいまなじりを決してやられたら、来年の今度はまたこの法案改正のときにはきちんとした答えが出るから、少しやっぱり馬力をかけてもらいたいですね。これは安嶋局長にもやはり同じように私は要望しておきたいと思いますけれども、来年はまた、いまさっきの答弁じゃないけれども、七年もかかりましたからまたこれは五、六年かかるでしょうと、まるで建設省の国道昇格の審議みたいなことを言われたら困りますよ。あれは話を聞いてみると、七年に一回だそうだけれども。実は、この問題はほんとうに切実な問題ですからね。それは農林省の関係もいろいろ関係しましょうけれども、一緒でもいいですし、とにかく、この問題についてはやってもらいたいと、こういうことだけは強く申し上げておきます。  さらにもう一つの問題は、年金額のスライド制の問題です。これは今度、恩給や年金全体が物価と関連をしてスライドということをとるという方向は私は一歩前進だと思いますが、私は、給与にスライドするところの方式というものを恩給生活者には相当考えてもらわなきゃ困ると思うんです。したがって、この問題についての給与スライド制を導入するという、この考えについてどういうお考えですかね。
  226. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 私学共済の年金改定は、御承知のとおり国共済の改定に準じておるわけでございますが、国共済の改定はまた恩給の改善に準じておるというのが現行の方式でございますが、昭和三十四年度以前につきましては、いわゆる物価と給与ベース両方を勘案をいたしまして、必ずしも給与ベースそのものにスライドするという方式をとっていなかったわけでございますが、今回は、すべて給与ベースの改定に準じた既裁定年金の改定をやりたいということで改定を御提案申し上げておるわけでございます。ただ、その年金の改定を、何と申しますか、いわゆる自動改定の措置、いわゆるスライド制を導入するということになりますと、これはいろいろ議論があるわけでございまして、御承知のとおり、厚生年金の改定が先年行なわれました際におきましても、社会保障制度審議会等におきましては、物価スライドの考え方と賃金スライドの二つの考え方が並記されたというような経過もあるわけでございます。厚生年金の改正は、この中で物価スライドの方式を導入しておるわけでございますが、共済制度につきましてどういう改定措置を制度としてとるかということにつきましては、ただいま申し上げましたように考え方がいろいろあるわけでございまして、そのいずれの考え方をとるかということにつきまして関係者の間におきましてさらに議論を詰めたいというふうに考えておるわけでございます。  問題といたしましては、やはり自動スライドということになりますと、財源的にかなり大きなものが必要になってくるわけでございまして、この財源をどういう形で将来とも分担をするかというようなやはりめどを立てるというようなことも大きな問題になってくるわけでございます。  ただいま申し上げましたように、実質的には給与スライドという考え方で今回の改定が行なわれておるわけでございますが、これを自動スライド的なものに切りかえていくことにつきましては、ただいま申し上げましたような観点からさらに論議を尽くしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  227. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この問題はなかなか、他の関連もあるし、むずかしい問題だろうとは思いますけれども、したがって、前向きにこの問題についてはやっぱり積極的な検討をやっていただきたいし、特に文部省あたりはこういう問題は、声を出したって決して損はしない問題だと思うんですよ。  時間の制約もありますし、協力する意味でももうあと一点だけ申し上げますが、いま一つは、実施時期の問題で、議会内では恩給や年金をこの問題に関連をして二カ月繰り上げるんだ一ヵ月繰り上げるんだという話がだいぶ伝わっておるんですが、それぞれ衆議院で話がだいぶ煮詰められつつあるみたいですが、それがきまったらこれも適用されるものだと、こういうように理解してよろしゅうございますか。
  228. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) これは国会におきましていろいろお考えのようでございますが、恩給、国共済、地共済について繰り上げの措置が講ぜられるならば、当然私立学校の共済組合についても同じ措置をとるべきだと考えますし、また、そのことを期待をいたしております。
  229. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 とるべきだということは、とりたいということなんですか。そういうことになったら、みんな同じようにやるということでしょう。なったらという仮定があるんだから、期待するなんて、何かよその人が言うみたいに、期待すると言うからちょっとと私は引っかかるんでね、これはやりますということなんでしょう。
  230. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 私がそういう言い方をいたしましたのは、これは国会におきましての論議でございますから……。
  231. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だから、そういうふうにきまった場合にはそうなる、右へならえするんでしょうと聞いている。
  232. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 私は、そのことは当然だと考えております。
  233. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そう早く言えばいいんです。  終わります。
  234. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  235. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  236. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) それでは、これより三案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  237. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  238. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  239. 片岡勝治

    片岡勝治君 私は、ただいま可決されました公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、以上五党共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   学校教育における教育内容の理解と教育水準の向上が一層期待されていること等にかえりみ、政府は左記の事項について検討し、すみやかにその実現に努力すべきである。  一、一学級定数四十五人の学級編制の標準を、例えば、四十人以下に引き下げるとともに、複式学級を解消すること。  二、現在、四十五人を超える学級を解消すること。とくに児童・生徒急増市町村については早急に解消する措置をとること。  三、教諭の週担当授業時間数を、小学校二十時間、中学校十八時間、全日制高校十五時間、定時制高校十時間とするよう定数増に努めること。  四、へき地、同和地域等教育困難地域の学級編制及び、教諭、養護教諭、事務職員の配置については、特段の配慮をすること。  五、養護教諭及び事務職員の全校配置と二人以上配置のための学校教育法の改正を図るとともに、現行法の下においても学校数の四分の三という機械的な数字にかえて、例えば、きわめて小規模な学校だけを例外とするような措置に改めること。  六、勧奨退職年限の延長措置を講ずる都道府県については、過疎県に限らず教職員定数を特別に増加する法的措置を新設すること。  七、過疎県の教職員定数の急減防止の特例についてもその内容を法的に明確化すること。  八、高等学校設置基準甲号実施のために必要な法改正を行うこと。  九、高校教諭については、実験実習の要素をも加味した定数補正増を行うよう措置すること。  十、特殊学級及び特殊教育諸学校教職員配置については、さらに増加のための法改正を行うこと。  十一、小規模学校のみならず中学校、高等学校及び特殊教育諸学校中学部、高等部の免許外教科担当教員の解消のため、待遇改善を含めて抜本的改正を図ること。  十二、学校栄養士については、学校教育法と明確な位置づけをし、各校一名以上配置するよう努めるとともに、県費負担職員への移行に当たっては、給与及び労働条件の既得権を保障し、職員の間に混乱を生じないように市町村教育委員会の意見を尊重する等慎重に配慮すること。  十三、学校給食調理従事員の労働条件の改善を図るための措置を講ずること。    なお、共同調理場方式の拡大については、慎重に取り扱うこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  240. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) ただいま片岡君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  241. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、片岡提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、奥野文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。奥野文部大臣。
  242. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) ただいまの御決議につきましては、御趣旨につきまして十分検討をいたしてまいります。  次に、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  243. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  244. 片岡勝治

    片岡勝治君 私は、ただいま可決されました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、以上五党共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。   昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  私立学校教育の重要性と私立学校教職員共済組合の実情にかんがみ、政府は、左記の事項について検討し、すみやかにその実現を図るべきである。 一、長期給付に要する費用に対する国の補助率を百分の二十以上に引き上げるよう努めること。 二、年金額改定のいわゆる自動スライド制については、給与スライドの導入を検討すること。 三、短期給付に要する費用について国庫補助の措置を講ずること。 四、組合員に対する福利厚生事業の充実強化について配意すること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  245. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) ただいま片岡君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  246. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、片岡提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対して奥野文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。奥野文部大臣。
  247. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨につきまして十分検討してまいる所存であります。
  248. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) なお、三法案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  250. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) これより、請願の審査を行ないます。  第一号教頭職に関する制度の改革に関する請願外千四十八件の請願を便宜一括して議題といたします。  速記を中止願います。   〔速記中止〕
  251. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 速記を起こしてください。  第一四号私立幼稚園教育振興に関する請願外八百四十六件の請願は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものとし、第一号教頭職に関する制度の改革に関する請願外二百一件の請願は、保留と決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  252. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  253. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  254. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 継続調査要求に関する件についておはかりいたします。  教育、文化及び学術に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時五十分散会      —————・—————