○国務大臣(奥野
誠亮君) このたび政府から
提出いたしました
国立学校設置法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この
法律は、
昭和四十九年度における国立の大学の新設、学部及び大学院の設置、短期大学、大学附置研究所及び高等専門
学校並びに国立民族学博物館の新設等について規定しているものであります。
まず第一は、浜松医科大学、滋賀医科大学及び宮崎医科大学の新設についてであります。
これは、近年における医療需要の増大と医師の地域的偏在に対処するため、無医大県の解消をはかる施策の一環としてこれらの医科大学を設置し、医師養成の拡充をはかるとともに医学研究の一そうの推進に資そうとするものであります。
第二に、広島大学の総合科学部の設置についてであります。
これは、同大学の改革整備の一つとしてこれまでの教養部を改組し、一般教育の改善をはかるとともに、地域文化、環境科学等の幅広い領域にわたる教育研究を総合的に推進しようとするものであります。
第三は、東京商船大学及び神戸商船大学の大学院の設置についてであります。
これは、これまで大学院を置かなかった両大学にそれぞれ商船学の修士課程の大学院を設置し、船舶の運航と管理に関する科学的研究を推進するとともに、高度の専門性を備えた船舶関係の技術者及び研究者の養成に資そうとするものであります。
第四は、新潟大学及び信州大学の医療技術短期大学部の新設についてであります。
これは、近年における医学の進歩と医療技術の高度の専門化に伴い、看護婦、臨床検査技師、診療放射線技師等の技術者の資質の向上に資そうとするものであります。
第五は、富山大学和漢薬研究所の設置及び北海道大学結核研究所の改組についてであります。
富山大学和漢薬研究所は、近年、和漢薬の治療効果が薬学的、医学的に再認識されつつあることにかんがみ、和漢薬の薬効解析を行なうとともに、その応用に関する研究を行なうため、設置しようとするものであります。
また、これまでの結核に関する研究を基礎に、免疫に関する研究を広く推進するため、北海道大学に附置されております結核研究所を免疫科学研究所に発展的に改組しようとするものであります。
第六は、徳山工業高等専門
学校及び八代工業高等専門
学校の新設についてであります。
これは、工業技術の高度化に対処し得る優秀な技術者の養成をはかるため、新しい学科構成を取り入れた工業高等専門
学校を新たに設置しようとするものであります。
第七は、国立民族学博物館の新設についてであります。
これは、一九七〇年に行なわれた日本万国博覧会ゆかりの地に、世界の諸民族に関する資料を収集保管し、公衆の観覧に供するとともに、民族学に関する調査研究を総合的に行なう
国立大学共同利用機関として、新たに国立民族学博物館を設置しようとするものであります。この種の博物館はわが国で初めてのものでありまして、これにより、民族学の研究の推進に資するとともに、世界の諸民族の社会と文化について一般の理解と認識を深め、国際間の友好親善にも寄与できるものと期待するものであります。
その他
昭和四十六年度における仙台電波工業高等専門
学校ほか二つの工業高等専門
学校の設置に伴い、学生の募集を停止しておりました三つの国立電波高等
学校を廃止する等所要の改正を行なおうとするものであります。
なお、衆議院において施行期日等に関する附則の規定の一部が修正されましたので、念のため申し添えます。
以上がこの
法律案を
提出いたしました理由及びその内容の概要についてであります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
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次に、今回政府から
提出したしました
公立義務教育諸
学校の
学級編制及び
教職員定数の標準に関する
法律等の一部を改正する
法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
公立義務教育諸
学校の
学級編制と
教職員定数の標準につきましては
昭和三十四年度以降三回にわたり計画的に改善を行ない、公立高等
学校等の
学級編制と
教職員定数の標準につきましても同様に
昭和三十七年度以降二回にわたって改善を行なってまいったところであります。
これらの改善措置は、いずれも小中
学校については児童生徒の減少の時期に、高等
学校についてはいわゆる高校急増後の生徒数の減少の時期を見越して改善をはかってきたものでありますが、このたびは、
学校教育の水準の一そうの向上をはかるため、いわゆる第二のベビーブームによる児童生徒の急増に伴い、自動的に
教職員数を増加させる必要のある際であるにもかかわらず、
学級編制及び
教職員定数の改善に積極的に取り組み、さらに
教職員数の増加をはかることとしたのであります。
また、
学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどり、その適正な配置を推進する必要のある
学校栄養職員について、新たにその配置基準を定めるとともに、給与費等を都道府県の負担とし、その二分の一を国庫負担とすることといたしたのであります。
次に、
法律案の内容について御説明いたします。
まず第一は、
公立義務教育諸
学校の
学級編制及び
教職員定数の標準を改善したことであります。
すなわち、公立の小
学校及び中
学校の
学級編制の標準については、教育指導の一そうの徹底をはかるため、小
学校の三個学年複式学級を解消するとともに、小
学校及び中
学校の二個学年複式学級の
学級編制の改善を行なうことといたしました。この場合、小
学校第一学年の児童を含む学級については、教育の困難性にかんがみ特に配慮いたしました。
また、特殊学級の
学級編制についてもあわせて改善をはかることといたしました。
次に、公立の小
学校及び中
学校の
教職員定数の標準に関しましては、小規模中
学校等における免許外教科担当教員の解消を進めるほか、寄宿舎を置く小
学校または中
学校における教員の加算の基準を改善することといたしました。
また、養護教員及び事務職員の配置につきましては、既定の方針に従って改善をはかることとし、各都道府県において平均七五%の
学校に配置できるようにしました。
さらに、前述のとおり、新たに
学校栄養職員について必要な配置基準を定めることとしたのであります。
次に、公立の特殊教育諸
学校の小学部及び中学部の
教職員定数の標準に関しましては、中学部の免許外教科担当教員を解消するため、中
学校の改善と同様の改善を行なうほか、特殊教育諸
学校における養護訓練の重要性にかんがみ、必要な教員を加算するとともに、寄宿舎を置く
学校の教員数を改善することといたしました。
また、寄宿舎の寮母の数につきましても、その最低保障数を引き上げることといたしております。なお、
学校栄養職員の配置につきましても新たに基準を定めることといたしました。
第二は、公立高等
学校等の
学級編制及び
教職員定数の標準を改善したことであります。
すなわち、生徒の数が収容定員に満たない定時制の課程及び小規模の全日制の課程の教員の配置基準を改善するため、その算定の基礎となる生徒の数を補正することとするとともに、通信制の課程につきましても教員の配置基準を改善することといたしました。
また養護教員については、
義務教育諸
学校に準じてその配置基準を改善するとともに、通信制の課程の事務職員についても所要の改善を行なうことといたしました。
さらに、高等
学校につきましても、小中
学校等と同様に
教職員の長期研修等を考慮して新たに
教職員の加配措置が行なえるようにいたしております。
次に、公立の特殊教育諸
学校の高等部の
学級編制の標準に関しましては、新たに重複障害学級の
学級編制の標準を定め、小学部及び中学部と同様五人といたしました。また、
教職員定数の標準につきましては、小学部及び中学部に準じて養護訓練を担当する教員の数を充実するとともに、寄宿舎について新たに教員を配置することとしたほか、療母の数についてもその改善をはかることといたしました。
さらに、高等
学校の場合と同様に新たに
教職員の長期研修等を考慮した教員の加配措置を講ずることといたしております。
第三は、
学校栄養職員の職務及び資格を明らかにしたことであります。
すなわち、
学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員は、栄養士の免許を有する者で
学校給食の実施に必要な知識または経験を有する者でなければならないことといたしました。
第四は、
学校栄養職員の給与の負担区分を改めたことであります。
すなわち、市町村立の
義務教育諸
学校等に置かれる
学校栄養職員の給与費等を都道府県の負担とするとともに、その二分の一を国庫負担とすることといたしました。
第五は、経過措置についてであります。
この
法律案は、
昭和四十九年度から施行することといたしておりますが、その実施について必要な経過措置を設けることといたしました。
すなわち、公立の
義務教育諸
学校及び特殊教育諸
学校の高等部の
学級編制につきましては、
昭和五十三年度を目途として新しい標準を達成するため、今後における児童生徒数等を考慮しつつ、各都道府県等の実態に応じて都道府県の教育
委員会等がその基準を定めることといたしました。
次に、公立の
義務教育諸
学校及び高等
学校等の
教職員定数の標準につきましては、今後における児童生徒数及び
教職員の総数の推移等を考慮しつつ、年次計画により、順次、新たな標準に到達することができるよう必要な経過措置を政令で定めることといたしました。
なお、公立の
義務教育諸
学校につきましては、児童生徒数の減少の傾向が特に著しい県について、
教職員定数の急減を緩和するため、
昭和五十五年三月三十一日まで政令で
教職員定数の特例を定めることができることといたしました。
最後に、この
法律により新たに県費負担
教職員となる
学校栄養職員につきましては、任命権者の変更に伴う必要な経過措置を講ずることといたしております。
なお、衆議院において施行期日等に関する附則の規定の一部が修正されましたので、念のため申し添えます。
以上がこの
法律案を
提出いたしました理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
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次に、このたび、政府から
提出いたしました
文化功労者年金法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
文化功労者年金法は、文化の向上発達に関し特に功績顕著な者に
年金を支給し、これを顕彰することを目的として
昭和二十六年四月に
制定された
法律でありまして、以来今日までの間に文化功労者として決定された者は、二百五十八人にのぼり、わが国文化の振興に資するところ大なるものがあったと信ずるのであります。
文化功労者に支給される
年金の額は、
昭和四十六年の改正以来百五十万円とされてまいったのでありますが、その間における国民の生活水準の向上、経済事情の変遷には著しいものがあり、また、なお一そうわが国文化の向上発達を期する見地からも、この際、
年金額を改定して、この
法律の趣旨の達成をはかることが必要かつ適切と考えられるに至り、このたび、
年金額を二百万円に引き上げることといたしました。
なお、衆議院において施行期日等に関し、附則の規定の一部が修正されましたので、念のため申し添えます。
以上が、この
法律案の提案理由及び内容の概略であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
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次に、このたび政府から
提出いたしました
昭和四十四年度以後における
私立学校教職員共済組合からの
年金の額の改定に関する
法律等の一部を改正する
法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
御承知のように、
私立学校教職員共済組合は、
昭和二十九年一月に、
私立学校の
教職員の福利厚生をはかる目的のもとに、
私立学校教職員共済組合法により設立されたものでありますが、それ以後、本共
済組合が行なう給付については、国公立
学校の
教職員に対する給付の水準と均衡を保つことをたてまえとし、逐次改善が進められ、現在に至っております。
今回は、
昭和四十八年度に引き続き、国公立
学校の
教職員の
年金の額の改定等に準じて、
私立学校教職員共済組合法の規定による既裁定
年金の額の改定その他長期給付の改善等を行なうため、この
法律案を
提出することといたしたのであります。
次に、この
法律案の概要について申し上げます。
第一に、
私立学校教職員共済組合法の規定による退職
年金、減額退職
年金、廃疾
年金及び遺族
年金の額を、国公立
学校の
教職員の
年金の額の改定に準じ、
昭和四十九年十月分以後、
昭和四十七年度以前の退職者について退職年度に応じ、二三・八%を限度として増額することといたしております。また、これに伴い、旧
私学恩給財団の
年金についても相応の引き上げを行なうことといたしております。さらに、
私立学校教職員の通算退職
年金の額を、国公立
学校の
教職員の通算退職
年金の額の改定に準じて、
昭和四十九年十一月分以後、増額することといたしております。
第二に、既裁定の退職
年金、廃疾
年金及び遺族
年金の最低保障額を、国公立
学校の
教職員の既裁定
年金の最低保障額の引き上げに準じ、
昭和四十九年十月分以後、引き上げることといたしております。
第三に、標準給与の月額の上限を国公立
学校の
教職員の掛金等の算定の基礎となる限度額の引き上げに準じ現行の二十二万円から二十四万五千円に引き上げるとともに、下限についても現行の二万六千円から三万九千円に引き上げることといたしております。
第四に、長期給付の算定の基礎となる平均標準給与の算定方法を、国公立
学校の
教職員の
制度の改善に準じ、現行の退職時前三年間の標準給与の平均から退職時前一年間の標準給与の平均とすることといたしております。
最後に、この
法律の施行日につきましては、他の共済
制度の例にならって、
昭和四十九年十月一日といたしております。
以上が、この
法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
なお、
私立学校教職員共済組合法は、給付関係の規定については、国家公務員共
済組合法の関係規定を準用することといたしておりますので
昭和四十二年度以後における国家公務員共
済組合等からの
年金の額の改定に関する
法律等の一部を改正する
法律案が成立いたしますと、退職
年金等について、現行の算定額が通算退職
年金の額の算定方式に準じて算定した額より少ないときは当該金額によることとする改善、遺族
年金についての扶養加給
制度の創設及び退職後における短期給付等の任意
継続制度を設けること等につきまして、
私立学校教職員共済組合の給付についても同様に措置されることとなりますので申し添えます。
何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
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