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国務大臣(
奥野誠亮君) 先ほどの農業問題、ちょっと一言、こういうふうに努力しておりますということだけつけ加えて申し上げさせていただきます。
農業で一番問題は、自営者が少なくなってくるということじゃないだろうかなという
感じがするのでございます。
文部省では、そういうこともございまして、自営者を育てていく農業高校にしたい。現在
高等学校の
生徒数の中で、農業
関係の
高等学校が
生徒数で五彩弱であります。机の上で学んで、農業高校を卒業したんだと、そういう方々がなかなか農業に従事しない、ほかの部門に行ってしまう。やっぱり農業というのは、植物の成長と合わせて自分も活動していく、そういう
姿勢が大切である。だから全寮制で農業高校、農業
教育をやっていくというようなことで、現在、公立で三十五校あるようでございます。四十九年度は、私立にもそういう高校があるものでございますので、初めて国から補助する道を開かせていただきました。やはり、こういう行き方で農業高校の
教育をやっていかなければ、ほんとうに農業に従事してくれる人を育てていくことは困難だと、こう
考えておるわけでございまして、公立につきまして、そういうことを奨励してきたわけでありますけれども、私立の
高等学校につきましても、別徐国からある程度の助成をするという道を開いたわけでございまして、やはり
教育といいましても、将来どういうところに従事するかということによってあり方が変わってくるはずだと、農業のような場合には、やはり植物の成長に合わせて生活をしていくという姿が望ましいんじゃないか、それで一そう愛情というものも生まれてくるだろうし、またほんとうの、農業の実習の話をしておられましたけれども、そういう心得も確立されるのじゃないかなと、こう思っておるところでございます。
先生方の
政治活動の御
指摘がございました。いまお話しのようなことは、
政治活動の制限される対象の中に入っているのであります。
先生方につきましては、国家公務員の
先生もございますし、地方公務員の
先生もございます。国立
学校の
先生方は国家公務員でございますので、
政治活動の制限は、日本の全地域にわたって制限されているわけであります。同時にまた、その制限に違反した場合には、刑事罰にも問われます。地方公務員は
政治活動の制限は所属の地方団体の区域内だけ制限される、したがって、刑事罰の適用はない。しかし、
学校の
先生について、国家公務員の
先生と地方公務員の
先生との間に違いがあることが混乱を招くと、だから、昭和二十九年でございましたでしょうか、
国会へ
改正法案が出されまして、地方公務員であっても、
教育公務員は国家公務員である
教育公務員の例によるんだとされたわけでございます。したがいまして、
先生方であります限り地方公務員でありましても、所属の団体の区域内だけが
政治活動を制限されるのではなくて、日本の全域にわたって
政治活動が制限される。制限される事項は、いろいろ書いてありますけれども、御
指摘の問題は、制限事項になっているわけであります。同時に、それに違反した場合には刑事罰だと、これが
政府原案でございまして、それが
参議院において刑事罰の適用だけはずしたわけであります。そうなりますと、私は、
先生方が
政治活動の制限違反行為をどの程度やっておられるか、
学校の中でありましても、なかなかこれを引き出して行政処分をするということはしにくいものだと思います。
学校の外で
政治活動やっておられましても、なかなか目につきません。いわんや、所属団体以外の地域で行なわれます場合には目の届きようがありません。だからまた、国家公務員の場合には、
政治活動の制限に違反する場合、刑事罰だと、刑事罰だから警察当局が取り締まる、こういうことになるわけであります。でありますから、
教育公務員につきましては、
政治活動の制限は
法律上行なわれているんだけれども、実際取り締まりが行なわれていないというのが現状でございます。でありますから選挙のたびに目に余る選挙運動、
政治活動というよりも選挙運動と申し上げたほうがいいと思います、激しさを加えてまいってきているわけであります。そうしますと、これをこのままにしておいていいんだろうかどうだろうかということが一つの大きな研究課題になってくるわけでございまして、そういうこともあって、先般、
参議院の予算
委員会で総理
大臣がこんな問題もあるんだというようなことを
指摘されたように
承知いたしているわけでございます。ぜひ私は、
先生方には社会から尊敬される
先生になってほしい、それには社会から何らの
指摘も受けないような
先生方であってほしいもんだなと、こう思っておるわけでございます。公務員は
政治活動を制限されるわけでありますけれども、その公務員の中でも、私は、
先生方は特に
政治活動については自己規制しなきゃならない職種だと思いますよと、こう申し上げてまいってきております。たとえば、裁判官が
政治活動に興味を持つ、だんだん熱が入ってくる、そうしますと、現行法に基づいて裁判しなきゃならないのを、自分なりの
考えに基づいていわゆる偏向裁判という弊におちいると思うんです。また、自衛官が
政治活動に興味を持つ、熱情を傾ける、武器を持っておりますから、これはたいへんなことになってしまいます。
先生方はまた、
教育基本法の中に、「
学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための
政治教育その他
政治的活動をしてはならない。」と書いてあるわけであります。
学校というのは
先生を含んだ
学校であります。そうしますと、やっぱり
先生方には、
政治活動については自己規制していただきたいなと、こう希望を申し上げたいのであります。やっぱり
政治活動に特別な興味を持たれて、それに熱情を傾けていかれますと、どうしても特定の
考え方を
子供さんに強制をする、洗脳しようとすることになりがちであります。やはり
児童生徒はもっとからだもでき、知識もでき、客観的な判断力も持つようになってから、自分はどういうような
政治的な
考え方を支持するかきめていくべきであって、小さいときから私は片寄った
教育をしてもらうと、
子供の将来のために適正でない、日本の将来のためにも危険だ、こういう
考え方をしているわけであります。しかし、不幸なことでございますけれども、
先生方の片寄った
政治活動がかなり強くなってきているというのが現実の姿でございます。それに対しまして、私は機会あるごとに自粛を求めているということでございます。それだけで足りるのかということが今後の大きな
政治課題ではなかろうかと、こう判断をいたしております。