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1974-02-19 第72回国会 参議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十九日(火曜日)    午後零時五十分開会     —————————————    委員異動  一月七日     辞任         補欠選任      中沢伊登子君     萩原幽香子君  一月十九日     辞任         補欠選任      松永 忠二君     片岡 勝治君  二月五日     辞任         補欠選任      加藤  進君     小笠原貞子君  二月七日     辞任         補欠選任      中村 登美君     亀井 善彰君      矢追 秀彦君     三木 忠雄君      小笠原貞子君     加藤  進君  二月八日     辞任         補欠選任      亀井 善彰君     中村 登美君  二月十二日     辞任         補欠選任      三木 忠雄君     矢追 秀彦君  二月十四日     辞任         補欠選任      中村 登美君     小枝 一雄君      萩原幽香子君     松下 正寿君  二月十六日     辞任         補欠選任      小枝 一雄君     中村 登美君  二月十九日     辞任         補欠選任      大松 博文君     今泉 正二君      安永 英雄君     小谷  守君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         世耕 政隆君     理 事                 斎藤 十朗君                 内藤誉三郎君                 片岡 勝治君                 小林  武君     委 員                 今泉 正二君                 金井 元彦君                 志村 愛子君                 中村 登美君                 永野 鎮雄君                 濱田 幸雄君                 星野 重次君                 小谷  守君                 鈴木美枝子君                 宮之原貞光君                 矢追 秀彦君                 松下 正寿君                 加藤  進君    国務大臣        文 部 大 臣  奥野 誠亮君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        任用局長     大塚 順七君        人事院事務総局        給与局長     茨木  広君        文部政務次官   藤波 孝生君        文部大臣官房長  井内慶次郎君        文部省初等中等        教育局長     岩間英太郎君        自治大臣官房審        議官       森岡  敞君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○教育文化及び学術に関する調査  (文教行政基本施策に関する件)  (昭和四十九年度文部省関係予算に関する件) ○学校教育水準維持向上のための義務教育諸  学校教育職員人材確保に関する特別措置法  案(第七十一回国会内閣提出、第七十二回国会  衆議院送付)     —————————————
  2. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、安永英雄君及び大松博文君が委員辞任され、その補欠として小谷守君及び今泉正二君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 理事辞任及び補欠選任に関しまして、宮之原貞光君から文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事片岡勝治君を指名いたします。     —————————————
  6. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 教育文化及び学術に関する調査を議題といたします。  まず、文教行政基本施策について、文部大臣から所信を聴取いたします。奥野文部大臣
  7. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 第七十二回国会において、文教各般の問題を御審議いただくにあたり、所信一端を申し述べます。  学制百年の歴史を刻んだわが国教育は、新たな教育百年への飛躍を期して、多くの関係者により鋭意努力が重ねられております。  ところで本年は、きびしい試練の年であります。  資源に恵まれないわが国が、今日の試練を乗り越え、限りない未来にわたって発展を続け、真に健康にして文化的な生活を営めるような国家社会を築き、世界の繁栄と平和に貢献していくためには、心豊かで創造力に富み、かつ、国際人としてだれからも尊敬され、信頼されるたくましい日本人育成をはかることが何よりも大切であると確信いたします。自己の利益のみを追求することなく、将来の日本をになう気概を持つ人づくりの重大さをあらためて痛感し、新たな決意をもって、秩序ある教育環境を整え、教育学術文化の刷新、充実のために積極的な施策推進につとめてまいります。  以下、当面する文教行政の諸問題について申し述べます。  まず最初に、初等中等教育改善充実についてであります。  教育の成果は、究極のところ教師の力量にまつところ大であります。教職に人材を得、教師がその情熱を教育に傾注して国民の信頼と負託にこたえていただくことが何よりも重要な課題であり、そのような条件の整備に一段と努力を傾けていくことが必要であると存じます。  現在、国会において、御審議願っております義務教育学校教育職員人材確保のための給与特別措置については、これに関する法律案が成立いたしました暁には、人事院勧告を待って計画的な改善を行なうことができるよう、昭和四十九年度予算案には初年度措置の平年度化分のみならず、第二年度の措置としてさらに一〇%の改善をはかるための所要の財源を計上いたしました。  義務教育学校学級編制及び教職員定数充実については、義務教育水準の一そうの向上をはかるため、昭和四十九年度を初年度とする新たな五ヵ年計画を策定し、その改善をはかっていくことといたしました。また、高等学校教職員定数等についても義務教育学校との均衡を考慮し、所要改善をはかってまいる所存であります。  幼稚園教育普及充実については、国民の強い要請にかんがみ、昭和五十七年度当初までに、入園を希望するすべての四、五歳児を就園させることを目標とする幼稚園教育振興計画を目下推進しているところであり、昭和四十九年度においては、特に幼稚園就園奨励費について拡充をはかることといたしております。  高等学校は、青少年のほとんどすべての者を教育する国民教育機関としての性格を持つにいたっております。そこで、定時制高等学校生徒に新たに修学奨励費を支給するための国庫補助制度を設けるとともに、私立広域通信制高等学校教職員給与費に対する国庫補助制度創設するなどにより、勤労青少年教育機会均等確保を一そうはかることといたしました。  また、さきに養護学校義務制昭和五十四年四月一日から実施することといたしましたが、今後は計画的に実施の諸準備を進めるとともに、訪問指導員及び介助職員に対する国庫補助を行ない、また心身障害を持つ児童生徒に適応した教育方法等研究を進めるなど、これらの児童生徒に対する教育の一そうの振興のため、きめこまかな努力を傾けてまいる所存であります。  教育内容については、昨年新しい委員による教育課程審議会に、小・中・高等学校の一貫した教育課程改善について諮問し、その審議をお願いいたしましたが、児童生徒の知・徳・体の調和ある発達を目ざし、心身ともに健全な国民育成を期することを基本とし、今後の社会情勢に対応した一そう適切な教育課程実現をはかってまいる所存であります。  公立文教施設整備については、児童生徒急増市町村における小・中学校校舎屋内運動場整備重点として事業量拡大をはかるとともに、これら市町村における幼稚園整備事業国庫補助率引き上げを行ない、また、過疎地域における小・中学校危険改築事業国庫負担率引き上げを行なうなど、過密、過疎地域における教育施設整備充実をはかることどいたしました。このほか地方公共団体超過負担解消及び物価上昇を織り込んで単価大幅改定をはかるとともに、校地確保のための公立小・中学校施設特別整備事業については、交付率改善及び単価改定を行なうことといたしております。  児童生徒の健康の保持増進をはかる学校保健については、近年における社会環境変化等児童生徒教職員保健上新たな問題を惹起している実情にかんがみ、先般学校における健康診断について検査項目を追加するなど、その充実をはかることといたしました。また、大気汚染地域公立小・中学校対象として実施してきた移動教室を、さらに市街地域公立小・中学校対象拡大するとともに、学校環境緑化促進事業についてもなお、一そう拡充してまいる所存であります。  次に、学校給食は、栄養のバランスのとれた食事により児童生徒の身体の健全な発育をはかるとともに給食指導を通じて調和のとれた人間の育成を期する重要な教育活動として広く普及してきましたが、新たに学校栄養職員給与費国庫負担対象とするとともに、その増員をはかることとしたほか、学校給食施設設備改善整備、物資の需給体制整備と処理の適正化等について一そうの改善充実をはかってまいりたいと存じます。  次に、高等教育改善充実について申し述べます。  高等教育については、大学改革推進をはかることが当面の重要な課題であり、各大学の自主的な努力を助けながら、大学改革を着実に進めていきたいと存じます。このため、昭和四十九年度においては、昨年十月開学の運びにいたった筑波大学整備をはじめ、広島大学総合科学部設置北海道大学法学部改組等を行なうこととしたほか、新しい構想による教員大学大学院技術科学大学院創設について準備を行ない、また放送大学についても、その実施調査を進めることといたしております。  また、恵まれた自然環境の中に新学園を建設し、その環境を保全して、新しい教育の場を設定することについて引き続き検討してまいりたいと存じます。  さらに、高等教育機会拡大要請にこたえるため、引き続き、既設大学・学部の充実整備を進めるとともに、特に社会的要請の強い医師の養成については、昭和四十九年度さらに三医科大学新設を行ない、残る九県についてもその創設準備調査を進めて、無医大県解消をはかる所存であります。  また、大学院及び学位制度改善育英奨学充実等について所要施策を進めることとし、大学入試制度改善についても共通試験実施に関する調査研究等を行なうことといたしております。  大学国民の期待にこたえてその使命である教育研究を遂行するためには、真に学問の府にふさわしい静穏かつ自由な秩序ある学園環境を保持することが不可欠であり、このためには、なお格段努力を傾注する必要があると存じます。  次に、学術振興については、まず、日本学術振興会事業拡充等をはかることにより、学術国際交流を積極的に推進するとともに、科学研究費拡充によって基礎的研究充実及び情報科学環境科学核融合研究など重要基礎研究推進をはかり、また、宇宙科学地震予知南極地域観測などの大規模研究の一そうの推進をはかる考えであります。さらに学術研究に必要な体制を整えるため、国立大学共同利用民族学に関する博物館、富山大学和漢薬研究所及び北海道大学免疫科学研究所創設並びに分子科学研究所創設準備を行なうほか、既存研究所整備をはかってまいる所存であります。  次に、私立学校振興について申し述べます。  学校教育において私学の果たしている役割り重要性にかんがみ、昭和四十九年度は、私立大学等経常費補助については、専任教職員給与費対象率及び積算率引き上げ給与単価及び物件費単価改定により、昭和四十八年度に比し大幅増をはかるとともに、日本私学振興財団の貸し付け及び私立学校教職員共済組合補助金について拡大をはかることといたしました。また、学校当局教育に対する真摯な努力と先輩の母校愛とによって、私学建学の精神が継承され、健全な発展を見ることを期待し、私学振興のための寄付金について税制上の優遇措置をさらに改善するなど、私学振興格段配慮をいたしました。  なお、今後の私学振興基本的あり方については、現在、審議をお願いしている私立学校振興方策懇談会の御意見等もとにして抜本的な改善措置を講じたいと存じます。  次に、社会教育及び体育スポーツ振興について申し述べます。  心身ともにすこやかな日本人育成を期するには、学校教育社会教育家庭教育の調和ある振興と三者の体系的な結びつきが大切であります。特に今日のきびしい時代にあって、日本人が単に物の豊かさのみでなく、心の豊かさを持ち、国民として、社会人としての教養を深めていくようにすることが大切であると思います。このような努力を実りあるものとするためには、社会教育家庭教育格段振興が必要でありますが、まず、社会教育行政については、その中核となる社会教育主事都道府県において確保し、市町村の求めに応じて派遣し、人材面での充実に遺憾なきを期し得るよう、この給与費について新たに国庫補助を行なうことといたしました。  また、社会教育施設整備については、たくましい青少年育成という見地から、特に、国立少年自然の家の設置と公立少年自然の家の整備に力を注いでまいります。  なお、社会教育事業奨励援助については、生涯教育の観点からそれぞれの年齢に応じた事業奨励をはかっておりますが、特に家庭教育重要性にかんがみ、乳幼児教育事業家庭教育相談事業拡充、並びに健全な青少年育成に資するための指導者養成校庭開放事業拡充につとめております。また、社会教育における民間社会教育関係団体役割り重要性にかんがみ、これら団体に対する国庫補助を大幅に増額する所存であります。  近年、生活環境社会環境の急激な変化もと青少年をはじめ国民体力低下の傾向が見られ、健康上ゆゆしき問題となっております。国民体力向上と健康の増進をはかり、心身ともに健康で明るい国民生活を享受し得るようにするために、体育スポーツ普及振興をはかることは、余暇利用施策と相まって緊急の課題であります。  このため、特に総合国民体育館総合屋内水泳プールをはじめ、体育スポーツ施設整備充実をはかるとともに、指導者養成確保等の諸施策を積極的に推進してまいる所存であります。  また、体育スポーツ学校保健学校給食における栄養等に関する総合的な研究を行なうとともに、これらの分野における指導者養成を目的とする体育大学設置に関する調査を行なうこととしております。  次に、文化振興について申し述べます。  国民生活に精神的な潤いと豊かさをもたらすために、わが国世界に誇る幾多の貴重な文化的遺産を適切に保存し、広くその活用をはかるとともに、伝統を承継しつつ新しい時代にふさわしい芸術文化推進につとめる必要があります。  このため、昭和四十九年度においては、特に国立文化施設整備をはかることとし、現代芸能のための第二国立劇場設置について調査をさらに進めるほか、新たに大衆芸能資料保存公開等を行なうための演芸資料館設置についても調査を進めるとともに、国際的視野に立ち、教育的配慮もと青少年をはじめ広く一般内外美術を理解していただくための国立国際美術館設置について、準備を行なうことといたしております。また、文化会館に対する助成拡充地方における芸術文化施設整備をもあわせて促進し、すぐれた芸術文化享受機会拡大をはかり、また、芸術文化活動助成拡充等にも一そうつとめてまいりたいと存じます。  文化財保護については、史跡等の土地の買い上げ及び環境整備を促進するとともに、埋蔵文化財センター設置等埋蔵文化財保護、天然記念物の保護増殖、国宝・重要文化財の修理、防災及び買い上げ等対策拡充するほか、新たに伝統的建造物群及び文化財保存する技術保護対策並びに能楽の保護のための調査検討を行ない、文化財保存活用のために努力してまいる所存であります。  最後に、教育学術文化国際交流について申し述べます。  今日特に、真に国際社会において信頼される日本人育成が強く要請されているところであります。この要請にこたえるためには、日本人あり方について深い反省に立って改善していくことがたくさんあると思われますが、教育学術文化分野において、国際的な交流推進することこそ、国際人として開かれた日本人育成に通ずる道ではないかと存じます。先般の国連総会において、わが国の念願がかなえられ、国連大学本部日本設置が決定を見たことは、国際社会における日本役割りを果たす上で、その意義まことに深いものがあります。今後は、その受け入れについて万全の態勢を整えるとともに、国連大学研究教育施設設置実現につとめる所存であります。さらに、留学生の受け入れ及び派遣海外勤務者子女教育教育指導者、学者、芸術家等交流を積極的に推進し、あわせて国際的視野を持つ国民育成等についても基本的方策を樹立したいと考えております。  また、ユネスコその他国際的協力機関協力し、アジアその他の地域教育科学振興及び文化相互理解交流を促進する事業を積極的に取り上げ、これらの地域発展に尽くしたいと存じます。  以上、文教行政の当面する主要な問題について所信一端を申し述べましたが、その他の諸問題についても、文教委員各位の御協力と御支援を得て、その解決に努力する所存であります。何とぞよろしくお願いいたします。
  8. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 引き続いて、昭和四十九年度文部省関係予算について説明を聴取いたします。奥野文部大臣
  9. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 昭和四十九年度文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、文部省所管一般会計予算額は一兆七千七百四十一億八千五十一万円、国立学校特別会計予算額は五千七百四億四千四百七十五万円でありまして、その純計額は一兆八千九百六十五億七千三百八十九万円となっております。  この純計額を昭和四十八年度の当初予算額と比較いたしますと、三千九百五十億五千七百三十八万円の増額となり、その増加率は二六・三パーセントとなっております。  以下、昭和四十九年度予算において取り上げました主要な事項について御説明申し上げます。  第一は、教員資質向上教育環境整備に関する経費であります。  まず、教員資質向上優遇措置推進についてであります。  四十八年度においては、教育界にすぐれた人材確保するため、教員の処遇の抜本的改善をはかることとし、その初年度分として、さしあたり、その中心となる義務教育教員給与について、給与の一〇パーセントに相当する額の三ヵ月分を財源措置いたしましたが、四十九年度においては、その平年度化分のほかさらに一〇パーセント相当額の三ヵ月分を財源措置することとし、計八百十六億円を計上いたしました。なお、これらの措置を平年度化した場合の所要額は、地方負担分も含めますと約三千億円に達することとなるのであります。また、教職員海外派遣についても引き続き五千人を派遣するとともに、教員養成水準向上初等教育教員確保に資するため、新しい構想による教員大学大学院創設準備等を行なうことといたしました。  義務教育学校教職員定数につきましては、四十九年度を初年度とする第四次の教職員定数改善五カ年計画を策定して、小規模学校学級編制養護教諭事務職員等重点をおく定数改善をはかり、また、学校栄養職員県費負担職員とし、国庫負担対象とすることといたしました。四十九年度においては、この五カ年計画初年度分といわゆる自然増及び特殊学級増設に伴う増とを合わせて一万五千八百二十八人の増員に必要な経費を計上したほか、旅費単価引き上げ等を行なうことといたしました。  次に、教材につきましては、義務教育学校教材について引き続き年次計画による充実をはかることとし、また、義務教育教科書無償給与につきましては、四十九年度前期用教科書から購入価格を一二パーセント引き上げることとし、これに要する経費を計上いたしました。  次に、公立文教施設整備につきましては、過疎地域小・中学校危険建物改築事業及び児童急増地域幼稚園園舎の新増築事業についての国庫補助率引き上げ超過負担解消及び物価上昇を織りこんだ建築単価大幅改善を行なうとともに、事業量について、急増地域中心とする小・中学校校舎等の新増築事業養護学校の新増築事業等重点として配慮したほか、校地確保のための児童生徒急増市町村公立小・中学校施設特別整備事業について、単価改定のほか、交付率引き上げることとし、建物及び用地の総事業費としては、四十八年度に対し、四〇・二パーセント増の一千五百億円を計上いたしました。  次に、公害対策につきましては、大気汚染地区及び市街地区学校環境緑化拡充するとともに、小・中学校移動教室市街地域学校にまで拡大することといたしました。  次に、学校給食普及充実につきましては、学校栄養職員について、前に述べましたとおり、県費負担職員として国庫負担対象とし、五ヵ年計画定数増をはかることとしたほか、学校給食施設設備について、冷凍冷蔵設備補助新設単価改定等を行なうことといたしました。  第二は、勤労青少年教育特殊教育等充実に関する経費であります。  定時制及び通信制教育につきましては、新たに私立広域通信制高等学校に対し専任教職員給与費補助するとともに、勤労青少年に対し定時制高等学校における修学奨励をはかるため必要な経費を計上し、また、私立大学通信教育教材改善をはかるため、教材改定及び共通教材研究開発に必要な補助を行なうことといたしました。  次に、特殊教育振興につきましては、養護学校特殊学級増設等をはかることとし、特に養護学校については昭和五十四年度から義務制実施するための各般施策を講ずることといたしました。すなわち、適正な就学指導を行なうため、都道府県市町村就学指導委員会設置を促進するとともに、養護学校増設特殊教育設備整備拡充のための経費を計上し、また、重度・重複障害児に対する訪問指導及び介助に必要な補助新設就学奨励補助拡充国立大学附属学校における特殊教育拡充等を行なうことといたしました。  次に、幼稚園教育普及充実につきましては、四十八年度に引き続き、公私立幼稚園計画的増設を進めるため、児量急増地域幼稚園園舎の新増築事業について補助率引き上げを行なうなど施設設備助成拡充するとともに、父兄の経済的な負担の軽減をはかり、幼稚園教育の普及に資するため、幼稚園就園奨励費補助拡充いたしました。  次に、僻地教育につきましては、新たに、寄宿舎設備費について補助するとともに、教員宿舎建築、スクールバス・ボート等購入等について充実をはかるなどきめこまかく配慮いたしました。  以上のほか、引き続き教育内容改善、理科教育及び産業教育振興、就学援助の強化等各般にわたる施策拡充に必要な経費を計上いたしました。  第三は、高等教育整備充実に関する経費であります。  国立学校特別会計予算につきましては、四十八年度の当初予算額と比較して一千五十九億円の増額を行ない、五千七百四億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの受け入れ四千四百八十一億円、借り入れ金百六十一億円、その他自己収入一千六十二億円であり、歳出予定額は、国立学校運営費四千八百六十四億円、施設整備費等八百四十億円となっております。  まず、大学改革推進についてであります。放送大学につきましては、施設のモデル設計を行なうなど実施調査をさらに前進させ、また、技術科学大学院(仮称)二校、教員大学大学院一校の創設準備を進めるとともに、広島大学の改革移転、北海道大学法学部の再編成等を行なうことといたしました。筑波大学につきましては、四十九年度から第一学群、医学専門学群及び体育専門学群について学生の受け入れを開始するため、教職員組織、施設設備等について本格的に整備をはかることといたしました。  なお、高等教育改革の調査研究大学入学者選抜制度の改善、新学園建設等の調査等につきましてもさらに進めることといたしました。  次に、国立学校整備充実についてであります。  高等教育機会拡大要請に対処し、大学大学院等の高等教育機関における学生収容力の計画拡充を進めるため、大学につきましては、筑波大学整備医科大学創設広島大学総合科学部創設、学科の新設改組等既設学部の拡充、新潟大学及び信州大学の医療技術短期大学部の創設等により、二千六百三十七人の入学定員増を行ない、大学院については、研究科の新設、専攻課程の設置等により四百三十五人の入学定員増を行ない、また、高等専門学校につきましては、徳山及び八代に工業高等専門学校創設することといたしました。国立文教施設につきましては、これら新増設のほか、既設学部等についても引き続き整備をはかることといたしました。また、国立学校における学生、教官当たりの積算校費、教官研究旅費、設備費等の基準的経費につきましては、それぞれ改善充実をはかることといたしました。  次に、医学教育充実につきましては、前に述べましたように浜松、宮崎・滋賀の各医科大学三校を創設するとともに、医学部入学定員の改定を行ない、そのほか、新たに国立医科大学ないし医学部五校、徳島大学歯学部及び千葉大学看護学部について創設準備を進め、さらに、無医大県解消等のため医学及び歯学の大学、学部の設置に関する調査を行なうことといたしました。また、公立医科大学等については、その創設準備調査補助を行なうこととするとともに、経常費補助及び国立大学医学部等関連教育病院設備整備補助拡充することといたしました。  また、国立大学附属病院の整備につきましては、中央診療施設の整備をはかるほか、看護業務要員及び臨床検査技師等の医療技術関係職員の増員等に特に配慮いたしました。  次に、教員養成改善充実につきましては、前に述べましたとおり新構想教員大学大学院について創設準備を行なうほか、国立大学教員養成学部について小学校教員、幼稚園教員特殊教育教員養成増をはかり、附属養護学校等の新設等を行なうとともに、教員組織、設備等の充実をはかることといたしました。  次に、学生の厚生補導につきましては、引き続き多角的かつ総合的にこれを行なうこととし、これに要する施設設備整備充実をはかり、加えて保健管理センターの整備を進めることといたしました。  第四は、学術振興に関する経費であります。  学術振興につきましては、まず重要基礎研究推進をはかるため、国立大学共同利用の機関として国立民族学博物館(仮称)の創設分子科学研究所創設準備を進めるとともに、大学付置の研究所として富山大学に和漢薬研究所を創設するほか、北海道大学の結核研究所を免疫科学研究所に改組し、その他の既設の研究所についても所要整備をはかることといたしました。また、南極地域観測事業科学衛星及びロケット観測事業につきましても、引き続き拡充をはかることといたしました。  次に、科学研究費につきましては、百四十億円を計上し、特に生命科学地震予知を含む災害科学情報科学環境科学及び核融合等の重要基礎研究については、特定研究として重点的に推進することといたしました。  第五は、私学助成育英奨学事業拡充に関する経費であります。  私学振興につきましては、まず、私立大学等の人件費を含む経常的経費助成について、専任教員及び専任職員の給与費補助拡大をはじめ、教員経費及び学生経費についても充実をはかり、四十八年度に対し四七・五%増の六百四十億円を計上いたしました。  また、日本私学振興財団の貸し付け事業については、政府出資金十億円を計上するとともに財政投融資資金からの借り入れ金として二百七十三億円を計上いたしました。  このほか、私立学校教職員共済組合補助につきましては、既裁定年金の額の改定等の給付の改善をはかることとし、補助拡大を行なうことといたしました。  次に、育英奨学事業拡充につきましては、四十七年度の貸与月額改定の学年進行に伴う増額を行なうほか、私学特別奨学生のワクの拡大大学院生に対する貸与月額の改善等を行なうとともに、新たに大学設置する学校法人が当該大学の学生を対象として行なう奨学事業への援助についても道を開くことといたしました。  第六は、社会教育体育スポーツ振興に関する経費であります。  まず、社会教育振興についてであります。社会教育指導者層の充実をはかるため、都道府県教育委員会が市町村教育委員会の求めに応じて社会教育主事派遣することができるよう都道府県に対しその七百五十人分の給与費の二分の一を補助する経費を計上するとともに、引き続き社会教育指導員に対する補助等を行なうことといたしました。  社会教育施設につきましては、公民館、図書館、博物館、青年の家等について補助単価改善等を行なうほか、特に少年自然の家を重点として整備することとし、公立少年自然の家について大幅な増額を行なうとともに、国立少年自然の家については、現在建設中のものに加え、新たに合わせて三ヵ所について設置ないし設置調査に着手し、さらに今後の計画についても調査を行なうことといたしました。また、国立婦人教育会館(仮称)についても、その建設を進めることといたしました。  社会教育事業につきましては、青少年教育関係団体重点として社会教育関係団体補助を大幅に増額するとともに、校庭開放事業青少年団体指導者研修、幼児のための家庭教育に関する事業等の諸施策についても充実をはかることといたしました。  次に、体育スポーツ振興についてであります。体育スポーツ施設につきましては、広域生活圏域の体育施設及び学校体育施設の整備のほか、広く国民が日常生活の中で体育スポーツに親しむことができるよう、日常生活圏域における施設、特に総合国民体育館及び総合屋内水泳プール重点として拡充整備することといたしました。  体育スポーツの普及奨励につきましては、指導者養成等を行なうとともに、特に地域住民のための体育スポーツ振興施策実施推進に意欲的に取り組む市町村地域住民スポーツ活動振興指定市町村として指定し、援助する事業拡充することといたしました。  また、国民の健康の保持増進体力向上に資するため、体育スポーツ学校保健学校給食における栄養等に関する総合的な研究を行なうとともに、これらの分野における指導者養成充実を目的とする体育大学構想について調査を行なうことといたしました。  第七は、芸術文化振興文化財保護充実に関する経費であります。  まず、芸術文化振興についてであります。国立文化施設整備をはかるため、第二国立劇場設置のための調査をさらに進めるほか、新たに大衆芸能資料・技芸の保存公開等を行なうための演芸資料館設置についても調査を進めるとともに、日本万国博覧会記念協会の管理にかかる美術館を国立国際美術館(仮称)として設置することについての準備も行なうことといたしました。  また、地方における芸術文化振興につきましては、引き続き地方文化施設拡充整備地方芸術文化活動の促進、青少年芸術劇場及び移動芸術祭の拡充等を行なうとともに、新たに子供を対象に成長段階に応じた音楽、舞踊、演劇の巡回公演を行なうこども芸術劇場を実施することといたしました。また、芸術関係団体助成、芸術家の在外研修等につきましても拡充をはかることといたしました。  なお、昨年九月パリにおける田中総理大臣とポンピドー大統領との会談の結果、ルーブル美術館所蔵のレオナルド・ダ・ヴィンチ作「モナ・リザ」が日本に貸与され、今春東京において公開できることになりましたので、その展示に必要な経費を計上いたしました。  次に、文化財保護充実についてであります。  まず、国宝・重要文化財等の保護整備につきましては、国有文化財である建造物等の保存修理をはじめ、国宝・重要文化財等の保存修理、防災施設等の整備、天然記念物の保護増殖等についての補助拡充をはかるとともに、国宝・重要文化財等の国による買い上げを促進することとしております。無形文化財保護の強化につきましても、保持者に対する特別助成金を増額するほか、新たに能楽調査文化財保存技術保護のための補助及び記録作成を行なうなど所要措置を講ずることといたしました。  また、史跡等保存につきましては、藤原宮跡等の史跡地の国による買い上げを継続して行なうほか、地方公共団体による史跡等買い上げについては、補助金の増額と地方債等による先行取得によりその推進をはかるとともに、新たに史跡等の適切な保護をはかるため史跡等保存管理計画の策定に着手することといたしました。埋蔵文化財保護につきましても、地方埋蔵文化財調査センター設置補助、緊急調査拡充文化財パトロールの実施等によりその充実をはかるほか、新たに奈良国立文化財研究所に埋蔵文化財センターを置き、地方公共団体の行なう緊急発掘調査に対する専門的技術指導と発掘調査員の研修訓練等を行なうことといたしました。  なお、国立歴史民俗博物館につきましては、引き続き設置準備を進めることといたしました。  第八は、教育学術文化国際交流拡大に関する経費であります。  まず、国際連合大学につきましては、昨年十二月の第二十八回国際連合総会において国際連合大学本部がわが国首都圏に設置されることが正式に決定されたことに伴い、本部の開設、本部の建築その他その受け入れ準備に必要な経費を計上することといたしました。  次に、留学生教育につきましては、国費外国人留学生について採用数の増員、奨学金及び下宿料補助の増額等をはかり、私費外国人留学生についても実地見学旅費の新規計上、医療費補助充実等を行なうとともに、海外派遣留学生の増員を行なうことといたしました。  また、研究者の派遣及び招致についても、人員の増加、滞在費の改善等につとめるとともに、各種の国際的な共同研究事業への参加協力に意を用い、学術における国際交流推進につとめております。  海外勤務者子女教育につきましては、新たに海外における補習授業校に対する教材整備と巡回指導班の派遣を行なうこととし、また、帰国子女の教育につきましては、研究協力指定校を拡充するほか、東京学芸大学の附属高等学校に帰国子女教育のための学級を開設することといたしました。  このほか、アジア・アフリカ諸国への教育協力につきましては、まず、ユネスコを通ずる協力援助として専門家の派遣、国際研修コースの開催及び国際会議への参加等協力事業充実し、また、二国間の協力援助についてもその推進をはかることといたしました。また、外国人に対する日本教育振興をはかるため国立国語研究所に日本教育部を設けることといたしました。  以上、昭和四十九年度の文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
  10. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) おはかりいたします。  お手元に配付してあります昭和四十九年度文部省所管予算案概要補足説明につきましては、説明を省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  以上をもちまして、文教行政基本政策及び文部省関係予算についての説明聴取を終わります。  なお、本件に対する質疑は後日に行ないたいと思います。     —————————————
  12. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 学校教育水準維持向上のための義務教育学校教育職員人材確保に関する特別措置法案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。奥野文部大臣
  13. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) このたび政府から提出いたしました学校教育水準維持向上のための義務教育学校教育職員人材確保に関する特別措置法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  国づくりの基礎は人づくりにあると考えておりますが、なかんずく学校教育は、次代をになう青少年の人間形成の基本をなすものであり、国家社会発展にきわめて重要な役割を果たしているのであります。教育職員にすぐれた人材を得て、安んじてその情熱を教育に傾けていただくことができるようにすることは、学校教育に対する国民の切実な期待にこたえるとともに、その質的向上をはかるために取り組むべき教育行政の喫緊の課題であると存じます。  このたび、義務教育学校教育職員給与改善について、所要予算を計上し、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置を講ずることといたしましたのは、このような趣旨に基づくものであります。  次に、法律案の概要について申し上げます。  第一は、この法律は、学校教育が次代をになう青少年の人間形成の基本をなすものであることにかんがみ、義務教育学校教育職員給与について特別の措置を定めることにより、すぐれた人材確保し、もって学校教育水準維持向上に資することを目的といたしております。  第二は、義務教育学校教育職員給与については、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならないこととし、この趣旨にそって、人事院は、義務教育学校教育職員給与について、国会及び内閣に対し必要な勧告を行なわなければならないことといたしております。  第三は、国は、義務教育学校教育職員給与優遇措置について、計画的にその実現につとめるものといたしております。  第四は、人事院は、義務教育学校教育職員給与上の優遇措置計画実現のための給与改善が、おそくとも昭和四十九年一月一日から行なわれるよう、国会及び内閣に対し必要な勧告をしなければならないことといたしております。  以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  14. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次、御発言願います。
  15. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ただいま提案をされました学校教育水準維持向上のための義務教育学校教育職員人材確保に関する特別措置法案という、きわめて長い題名で、しかも条項はまたきわめて簡単なものでありますだけに、これらの問題について若干いろんな疑問に思っている点をただしたいと考えております。  まず、最初にお聞きいたしたいのは、なぜこの法案が必要なのか。教員給与の現況と改善の必要性について所見を承りたい。
  16. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 現在の教職員給与、初任給におきましては、一般行政事務についておられる方々に比べまして若干高く定められておるわけでございますけれども、上になってまいりますとその差が縮まってまいりまして、たしか十八年勤務ですか、ぐらいのところでは逆転してくるという姿になっておるわけでございます。教職員給与体系につきましては、一般の行政職の給与体系と若干違った姿であっていいと思うのでございますけれども、いまの程度の初任給の引き上げでいいのかどうか、あるいはまた逆転させることについては非常に問題があるのじゃないか、いろいろなことがございます。同時にまた、教育界の現状につきまして多くの方々がこのままでいいんだろうかという心配をたくさん抱いておられるわけでございます。私は、教育界というところは日本国家社会の命運を左右するところだ、こうも考えておるわけでございます。  そうしますと、いずれにいたしましても、教育界人材を導入できるようにいろんな配慮をする必要がある、その配慮の一つとしては処遇の問題があるんではないだろうか、現状についても問題がある、将来を考えてなお一そうの処遇の改善を行なうことによって人材教育界に招き入れたい、そういうようなところから今回の思い切った法案を国会に提出させていただくというような決意をするに至ったわけでございます。
  17. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 教育重要性あるいは教育職員の任務の特性にかんがみまして教育にふさわしい給与制度の確立と、大幅の改善を各方面から強く叫ばれておりますだけに、これが名実ともに教職員の待遇改善案であり、しかもまた、すべての教職員から歓迎されておるとするならば、私はまことにけっこうなものだと、こう思います。ただしかし、この法律案については、この法律案のできる前に中教審からもこの教員給与あり方教員の職階制とのつながりについても若干の答申が出ております。そういうような問題と関連をいたしまして、若干それとのつながりはどうなんだろうという疑点、疑問なんということも現実の問題として事実なんです。したがいまして、私は、この際これらの諸問題について、これから大臣なり人事院総裁に端的にお尋ねをいたしたい、このように思いますので、そういうものが、それは誤解なら誤解、こうだと、こう明確にひとつ御答弁を願いたい。  まず、お聞きいたしたいのは、この法律案の第三条の「優遇措置」の問題と関連するところの中身の問題でございます。  先ほどもちょっと申し上げましたけれども、中教審の答申の教員給与改善措置という中には、明らかに五段階給与の導入あるいは教頭以外の管理上、指導上の職務者には特別の手当をよこせ云々というようなことを、特別の手当を付せろというようなことが強調されておるのであります。また、これは昨年の四月の八日の「今週の日本」という新聞です。これは政府の広報紙ですね、これを見ますと、この問題について、教職員人材確保法案のねらいとして、諸澤正道文部省初等中等審議官がいろいろ答えておられる。一問一答がここに載っておるんです。そうして、なぜこの法案が出されたか、その背景は何かという質問に対しまして諸澤さんは、これは中教審答申がこの背景になっておるんだということと、一般世論として先生方の待遇改善をすべきだというようなことが書いてあるので、そのことを背景にしてこの法案を考えたんだという解説をされております。ところが、昭和四十八年の五月の二十三日の「文部広報」を見ますと、「文部広報」の中に「反対意見は……」という見出しのもとに、「問い六 この法案は、五段階給与制度を導入し、教員に対する国家支配をねらっているとの意見がありますが、どうですか。」と、こういう質問に対して、「答え」として、いろいろ言ったあとに、「この法案には、いわゆる五段階給与制度と関係のあることは何ら含まれておりません。それはそれで、そのための法案が国会に提出され、それが議決されない限りはできないのです。まして、この法案は教員に対する」云々と、こういうような答えをしておるわけなんです。したがいまして、私はこの中教審答申、「今週の日本」、あるいはいま私が紹介いたしましたところの「文部省広報」とからみ、一体どっちがほんとうであろうかと、したがって、ほんとうに五段階給与云々というようなことと関係ないのかあるのか、そこのところをまず文部大臣からはっきりしてもらいたい。
  18. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 教職員の処遇を抜本的に引き上げていきたいということは多年にわたる文部省関係者の熱望であったと思います。したがいまして、また中教審答申の中にもそういう考え方があらわれてきているんだろうと、こう考えるのでございまして、文部省に職を奉じている人がそういう経緯からいたしまして中教審答申に書いてあることをこれで実現するんだと言われましても、それは私は無理からぬことだと、かように考えるわけでございます。このような措置を具体化させました責任者は実は私でございまして、このような空気を受けながら予算措置、立法措置等整えさしていただいたわけでございまして、その段階におきましては、中教審答申と何の関係もございません。私なりにこれが最善の道だと努力をしてまいってきているわけでございます。同時に今日までの経過の中でいろんな等級をつくっていく、そして先生方を競争にかり立てる、それは教育界を毒するものだという意見が多くの方々から聞かされてまいりまして、なるほどそうだろうなという気持ちも私自身持っているわけでございまして、したがいまして、お尋ねにあたりましては事実考えていないことでもありますけれども、五段階給与などということは一切考えておりません。また、そうしようとする場合には新たに法案を予定して国会に提出し、そして御議決いただかなければできないことですよと、こうも申し上げてまいってきているわけでございます。いま申し上げておりますのは、現在の文部省のとっております態度でございます。
  19. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その点はわかりました。  さらに、関連をしてお聞きをいたしたいのですがね。やはり中教審の答申の特に第二章の初等・中等教育の改革に関する基本構想第二項の中の「学校内の管理組織と教育行政体制整備」と、「教員養成確保とその地位の向上のための施策」というところを見ますと、先ほど私が若干触れたような構想がやはり端的に出ておるわけなんです。ですから私といたしまして、特にその教頭以外に、「教務主任・学年主任・教科主任・生徒指導主任などの管理上、指導上の職制を確立しなければならない。」というこのくだりと、さらに、これと関連をして「管理指導上の責任に対応するじゅうぶんな給与が受けられるように給与体系を改めること。」云々という文章のくだりがあるんです。したがいまして、こういうくだりを読むと、これは職階制の導入と給与体系というものは一体的に考えられておるんじゃないだろうかと、この中教審のものの言い方は考えられるんです。しかし、先ほど私の質問に対しまして、いわゆる五段階給与はとらないんだという大臣からの御答弁がありました。それはそれでわかりますが、したがいまして、この問題はいま申し上げたところの中教審の答申にいろいろ書かれておろうけれども、この問題は、言うならば、直接中教審答申と関係なく、現行給与体系に基づいて教育職員給与改善をはかりたい、こういうのが文部省の真意なんだと、こう理解してもよろしゅうございましょうか、どうでしょう。
  20. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 現行給与体系以外に何らかの意図をもって予算案を要求し、あるいは法律案国会に提出しているということは全然ございません。
  21. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 なお、これらの問題と関連をして、もう少しお聞きしておきたいことがあります。それは四十七年の七月でしたか、自民党政調会の文教制度調査会と文教部会の合同でまとめまして、発表された「教育改革の第一次試案」と称するものがございますですね。大臣、御存じだと思う。表題は「教員養成、再教育並びに身分・待遇の根本的改革について(中間報告)」と、こう書いてあるのが発表されております。その中間報告の第三項に、「教員の身分の確立および待遇の改善」という見出しの中に、教員身分法の制定と給与体系の根本改善をはかる、こういう見出しのもとに、教員身分法——これは仮称でございましょうけれども、制定、任期制に伴う待遇改善、あるいは年功加俸制度云々等々と教員の抜本的な待遇改善と身分法というものの制定とが一体的に考えられていると判断される条項があるんです。今日、御承知のように政党政治の時勢で、自民党は与党でございますから、与党のやはり文教政策というのがやはり給与政策上にあらわれてくるのではないだろうかと、こう思うのは当然でございます。そこで、私がお聞きいたしたい点は、いわゆる一つの試案ではございますけれども、世の中にいわれているところの身分法と今度のこの法律改正とは関係づけられてお考えになられたのか、それとも全然関係ないのか、その点のところをお聞かせ願いたいと思います。
  22. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いまお述べになりました大綱ですか、私は直接参加しておりませんので、どういうお気持ちでその大綱がつくられたかは承知しておりません。今回御提案申し上げております法律案を作成する等の過程におきましてはいろんな考え方がございました。国会みずからが責任を負って教職員給与を定めたらいいじゃないかという意見もございました。教職員の地位を高めるために裁判官並みの仕組みを考えたらいいじゃないかという議論もあったりしたわけでございます。しかし、私たちはあくまでもいまの人事院の制度、これを尊重し、人事院によって教職員給与あり方を勧告していただく、それを立法していくということにしたい、こういう考え方に立ったわけでございます。そういう考え方のもとに御提案申し上げているということでございます。
  23. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならば、大体その意図というのはわかったんですけれども、もう一回くどいようですが、確かめておきたい点があるのであります。それは、去年の十二月四日でございましたですか、いわゆるわが党の文教部長と、それから与党の自民党の文教部長との間でこの法案関係に関しまして、いろいろ党サイドにおけるところの覚書があったようでございます。実は、その中で、先ほど大臣に質問申し上げた点とも関連をいたしますけれども、こういうくだりがあるんです。「この法律の施行にあたって文部省、人事院はいわゆる五段階給与制はとらない。現行給与体系にもとづき教育職員給与改善を図るものとする。」と、「なお、第三条にいうところの優遇措置とは身分法を意味するものではない。」と、こういうくだりがあるんですけれども、先ほどの私が具体的に質問いたしましたところに対する大臣の答弁からいたしますと、これと全く一致するものだというふうに私は理解をいたしたいんですが、そのように理解いたしてよろしゅうございますか。
  24. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いまお話になりましたように、五段階給与を考えておりません。同時にまた、計画的に進めるということは、身分法を考えているわけでもございません。いま私はそのように考えてまいってきているわけでございます。
  25. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そこで、人事院総裁にお聞きいたしたいんですが、いま私と文部大臣とのやりとりの中で、やはりこの問題については、いわゆるこれは五段階給与を意味するものではなくて、現行給与体系の中で考えるんだという文部大臣のほうから文部省としての一応の考えをお聞きしたんですが、これは給与問題の一応の最終的な責任を持たれるところの人事院としても、そういうお考えであるのかどうかを、総裁からじきにお聞きをいたしたいと思います。
  26. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 五段階制といわれております事柄は、教育行政上の学校の組織の問題でございますからして、これは、われわれ人事院の所管事項ではないわけです。これは、別途適当な立法措置その他によっておきめになることで、それができた場合においては、われわれはまた、独自の人事院の立場としてそれを評価して、給与法上必要な措置があれば、とるというたてまえでございますからして、われわれのほうから進んで五段階制を給与に取り入れるとかなんとかというような性格のものではありません。したがって、ただいま文部大臣のお答えになったとおりでございます。
  27. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 次に、法案の第四条でございますか、この人事院の勧告の問題の項目と関連をしてお聞きいたしたいのでありますが、本法案が成立をいたしますと、人事院は、ここにも書いてありますように、一般の公務員の給与水準に比較をして必要な優遇措置を講ずるという趣旨に立って勧告を行なうことになると思うんです。その勧告をまた踏まえて、給与改善の具体的な措置給与法の一部改正というものがいずれ国会に出てくると思うんですがね。さらにまた地方公務員の場合には、それを受けて都道府県で条例化をすることになるわけでございますが、そこで、私がまず文部大臣にお聞きしたいのは、こういうようなこの法律案が通ったあとに具体的な手だてをする場合、これらの給与改善の具体的な方法及び具体的措置を行なう場合等は、これはILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」にもありますけれども、文部大臣としては、教職員団体と協議をするという私はやはり態度が大事じゃないだろうかと思うのでございますけれども、この問題について大臣としてはどうお考えになるでしょうか。これは先ほど私がちょっと紹介いたしましたところの公の問題、あるいは新聞等で伝えられますところの大臣と日教組委員長との話し合いの中でも、これらの問題が合意を見たと新聞で私は承知しておるのです。その点、大臣の率直な御見解をお聞きしたい。
  28. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 教職員の組合の中には、政治的には不偏不党でいきたいというような日教連のような組織もございますし、また、いま御指摘になりましたような、大きな組合としては日教組のような組合もあるわけでございます。いずれにいたしましても、それらの方々と絶えずざっくばらんな話し合いができるような関係にありたいものだと念願をしているわけでございますけれども、文部省と日教組との間には考え方にかなりな隔たりのあることは御承知のとおりだと思います。したがいまして、すぐいろいろな問題について協議していくんだということには私はまいらないと、こう思うわけでございます。その協議の問題が出ましたときに、十二月四日の前日、三日、日教組の槇枝委員長たちと私と会っておりますので、そのときの話のやりとりをここで申し上げたほうが御理解を得やすいんじゃないだろうか、こう考えるわけでございます。先ほどお取り上げになりました関係者の合意文書がございます。その中に「協議」ということばが使われておるわけでございます。槇枝委員長が私に対しまして、協議の相手方は文部省でしょうかというお話がございました。私は当然、それは関係者の間の合意文書だけれども、私も文部省だと受け取りますよと、こう申し上げました。同時に、しかしながら「協議する」と言うても、その協議の内容は何であり、どんな方法で取り進めていくかというようなことを文部省と日教組の間で詰めようと思っても、二日かかっても三日かかっても詰められぬような今日の状態だろう、だからとにかくもっと意思の疎通がはかれるようにお互いに努力し合わなければいけないじゃありませんかと、こう申し上げました。そのことをその直後の新聞記者会見におきまして、槇枝委員長をおいて私から発表したことでもございました。やはりぜひいま申し上げますようなところからだんだんと改善をはかってまいりたい、そしてお互いに協力し合えるような態勢にもっていきたいなと、こう念願しているところでございます。
  29. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、文部大臣のいまの話は、今後協議し合うような態勢に努力をしていきたいと、言うならば、いわゆる政党間レベルで話し合ったところの問題に沿って大臣としてはやはり努力をするんだというふうなお気持ちだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  30. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) さしあたりは意思の疎通をもっと積極的にはかれるような努力をしていきたいということでございます。
  31. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 人事院総裁にお聞きをいたしますが、いわゆる勧告とかあるいは給与法の改正にあたっては、いわゆる関係者であるところの文部大臣なりあるいは職員団体といろいろ話し合われたところのことについては、できるだけ勧告なり給与法をつくられる場合には尊重していくというお気持ちがあられるのかどうか、そこらあたりをお聞かせ願いたい。
  32. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは私どもの過去の実績を宮之原委員十分御承知でございますから、よけいなことを申し上げる必要ありませんけれども、われわれとしては、ひんぱんに組合の職員団体の代表の方ともお会いします。各省の大臣もまたそれぞれ給与についての御意見をわれわれのところに持ってまいります。したがいまして、それらのあらゆる要望その他を十分われわれとしては体しました上で、そしてできるだけその御要望に沿うように、もっともこれには各省のいろいろな職種をわれわれカバーしておりますから、一職種だけについてという特別の計らいはできませんけれども、全体を勘案しながら、その中にいま申しましたような御要望は十分取り入れるつもりでございます。これは過去の実績によって御判断いただければけっこうだと思います。
  33. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この優遇措置のいわゆる改善策の中身について、もう少し具体的にお聞きしたいんですがね。  これは十一月の五日ですか、日教組から要求書として文部省に出され、十二月の四日に文部省から回答されたという文書を見てみますと、いま申し上げましたところの問題について具体的に今後の文部省の方向としては「行(一)との逆較差の解消、初任給の引上げ、昇給問差額の改善、最高号俸の引上げ」、こういう問題について、文部省としても待遇改善案の一つのポイントとして努力をしたいと、こういう中身が見えておるんですが、これらについて、これは大臣から直接お聞きするよりも、初中局長あたりから聞いたほうがなお具体的だと思うんですがね、どういう中身なのか、もう少しお話があれば承りたい。
  34. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 日教組からの給与改善につきましての御意見、私どものほうにいただいております。大臣からの御命令によりまして、私どももこれに対しては誠意をもって御回答申し上げるというふうなことで、特にこれは正式な文書ではございませんけれども、一応文章にいたしまして、その私どもの今後の改善努力と申しますか、そういう点につきまして、お答えを申し上げているような次第でございます。  特に今回の改善につきましては、従来からいろいろ申されておりますように、やはりこれから一〇%、二〇%引き上げてまいるとしますと、重点としましては、一つは、初任給の改善が望まれるわけでございます。それから、特にいままで国会等でもたびたび御指摘いただいておりますように、それもまた、大臣からも先ほどお述べいたしましたように、いわゆる逆転現象、これを何とか解消するような方向に持っていけないものかという点、これが第二点。さらに、いまの校長あるいは教員の最高号俸を見ますと、一般の国家公務員、特に上級職の乙あたりと比較をいたしますと、大体本省で申しますと、まあ校長で課長補佐、それから一般教員で課長補佐と係長の間というふうに、これは従来から見てまいりますと、少しずつ何か格が下がってきたような感じがする点がございます。そういう点を是正してほしいという大体三点。  それから最後に先生から申されました昇給間の間差でございますか、そういうものの引き上げ、大体問題は四点でございますけれども、具体的にはやはりこれは私どものほうの希望を受けられまして人事院のほうでいろいろお考えをいただくような問題であろうということで、私どもが具体的にこの辺は何千円上げたらいいのか、あるいはこの辺は何号引き上げたらいいのかというふうなことを申し上げるのは、これは人事院の御審議の上ではある程度政府が少し立ち入った意見の申し入れのしようではないかというふうな感じもいたします。一応方針につきまして、こういう考え方でいきたいんだということを日教組の方々に御回答を申し上げたというふうないきさつがございます。
  35. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、局長から答弁なされたところの諸点もきわめて大事なことだと思うんですが、まだもっとこう精力的にというよりも、重点的に考えていただきたい点があるんですよ。その一つは、一律アップの問題ですね。これは昭和四十七年、一昨年になりますね、九月の二十九日の本文教委員会で、これはちょうど四十八年度予算を文部省が要求したときの話です。まずその二五%を要求する、次にもう一年たって二五%要求する、そのときにいま答弁なされたところの局長のほうからは、まずことしは、その二五%というのは——この議事録を見ますれば、「そうしますと、四十八年度の第一年目は、一律に二五%であるけれども、次の二五%の引き上げはまだ具体的に考え方としてまとまっておらないと、このように理解してよろしゅうございますね。」と、こう質問したのに対して、あなたは「そのとおりでございます。」と、こう答えている。言うならば、その当時の二五%という要求は、結果的には一〇%になりましたけれども、これは一律アップということを文部省は考えておるんだと、こういう考え方をきちんと言われておるのです。そのことと、今度、いまさっきるる申し上げられたところの点とは、私は重点がだいぶずれておられるんじゃないだろうかという感がしてならぬのですがね。なるほど一〇%という中では、せめて一〇%のうちの五%ぐらいだけでも一律まずかぶせておいて、その上に逆格差のところを云々していくというなら、私は相当全体の教員水準アップということに大きな役割りを果たすことができると思うのですがね。その点どういうお考えなのかお聞きしたいということ。  いま一つは、これは三本立ての問題とも関連しますけれども、教(二)、教(三)のやはり格差が大きく開いているということは厳然たる事実ですね。たとえば小・中学校の校長は高等学校一般教職員よりも低いわけですから、三十五年つとめたってですね。ですからやっぱり格差を詰めていくと、教(二)と教(三)のですね。このことは、中教審の答申の方向性から見ても正しいことだと思うのですけれどもね。そういうところあたりに、私はやはり今度の場合は相当力点が置かれるべきだと、こう思うのですがね。その点いかがですか。
  36. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) この前二五%のときに一律で予算の要求をしておるということを申し上げましたが、これは予算の要求の態度としてそういう態度を文部省がとっているということでございまして、そのときには、最終は五〇%に引き上げるということを一応前提に考えまして、その二五%分はどういうふうにやるんだというお尋ねに対しまして、ただいま先生から御指摘がございましたようなお答えをしたわけでございます。  それから、第二番目の一律に五%ぐらい引き上げたらどうかというふうな御意見でありまして、貴重な御意見だと思いますが、私どもが初任給を引き上げるということは、初任給だけが上がってその次の段階が下がっていくということではもちろんございません。初任給を五%引き上げますと、全体的に順を追って五%こうずっと引き上げていくというふうなことにもなるわけでございまして、初任給の引き上げと申しましたのは、初任給を引き上げれば当然全体の水準もそれにならってある程度上がっていくであろうというふうなことを期待をいたしております。そういうことでございます。  それから最後の三本立ての問題でございますが、これは先生もよく御存じのとおり、議員立法として三本立ての法案が国会で議決をされまして、それが現行の体系の基礎になっておるわけでございます。しかしながら、その当時はいわゆる学歴差というものがございまして、小・中学校のほうは師範学校の卒業生がいわば大部分を占めておった。それから高等学校のほうはいわゆる高等師範の卒業生というものが多かったという事実。それからまた、校長の登用率というものが高等学校のほうは少ない。校長の登用率が少ないということは、一生涯の給与の全体から見ますと、これは高等学校のほうが、同一学歴同一賃金としますと高等学校のほうが損だというふうな結果にもなるわけでございます。また、退職金、それから年金、そういうものにも全部はね返ってくるわけでありまして、これはどういうふうな見方をするかということで、なお検討を要する問題であろうと思いますけれども、現在のところはその差が縮まってきておるという客観的な事実はあるわけでございます。
  37. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私、教(二)、教(三)を直ちに一本にしようと言っているんじゃないのです。とにかくやっぱり差がひど過ぎるという点は、これはだれしもが常識的に理解しているところですからね。それがやっぱり埋まるような方向で努力をすべきじゃないかということを申し上げている。  それで、総裁にお聞きしたいんですがね。もちろんまだ最終結論はいま出ておらぬことは承知いたしておりますけれども、いま初中局長といろいろやりとりをしましたところの教員給与改善の方向性の幾つかのポイントについて私申し上げたのですけれども、それらについて、何か総裁としてお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
  38. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私ども、かねがね教員給与改善努力を重ねてまいりましたけれども、その努力の方向をたどっていきますと、当面やはりひしめく四十代といいますか、中堅のところの先生方がたいへんなことになっているということ、それから、いまのいわゆる交差点といわれます行政職とのクロスの関係、これは教員団体の方々の御要望もあって毎年一号俸ずつですか、きわめてみみっちいことではありますけれども、無理して努力をしてきたということもありますけれども、まだこれ十分とは思えませんし、まあ校長先生の給与も本省の課長補佐ぐらいだというような人聞きの悪い話も出ておりますし、そういう点をひとつ何とかせないかぬという心組みできておりまして、これからの詰めのほうはもちろんいまお話しのようにこれからで、いまの宮之原委員のおことばなんかにもいろいろまた啓発されるところがあると思いますから、そういうことをたっぷり伺わせていただいた上で具体案に取りかかってまいりたいという気持ちでございます。
  39. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まだそこらあたりはもう少しやりたいんですが、時間がありませんから、いずれまた、直接総裁にも御意見申し上げたいと思います。  次の事項に入らしてもらいますが、この法律案義務教育学校ですから、当然、これは、小・中のほうが対象になっておると思いますが、私はやはりこの幼年教育重要性、あるいは今日高等学校教育を見ても進学率はもうすでに九〇%以上を過ぎている。いうならば、いまや普通教育として定着をし、義務制化に近づいておるというのが今日の高等学校教育の実情なんです。そういうような点から考えますれば、当然この法律は、法律はこれは義務教育学校ですけれども、この法律の執行と同時に、高等学校なり幼稚園あるいはこの養護関係の幼稚部とか高等学校ですね、高等部、こういうところにも拡大をしてこれは考えらるべきだと思うんですが、その点、大臣のお考えどうでしょうか。
  40. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) この法案は、義務教育教員給与引き上げるということを直接のねらいとしているわけでありますけれども、これをてこにいたしまして学校教育法第一条の学校教員給与を上げていきたい。そういう気持ちを込めまして、第一条の中には「学校教育水準維持向上」をはかると、こう書かせていただいているわけでございます。義務教育水準維持向上じゃございませんで、学校教育全体の水準維持向上をはかることを目的とすると、こう書かせていただいているわけでございます。それはいま申し上げましたような気持ちを込めているつもりでございます。幼稚園の場合には、小・中学校の先生の給与表を使っていただいておりますから、給与表が同じである以上は当然引き上げられるものだと、こう考えているわけでございます。同時にまた、高等学校につきましても、同じ学歴、勤続年数でありますと小・中学校よりも下回っていいはずのものじゃございませんから、当然に引き上げられていくというようなことで、均衡的に幼稚園も高等学校大学引き上げられるものだと、こういうように私は期待をいたしているわけでございます。そういうふうに人事院のほうでもお考えいただけるだろうなと、こういう考え方に立っているわけでございまして、財政当局に対しましても、私なりの期待をそれぞれに話を申し上げているわけでございまして、また、それに対応した措置をとっていただけるということにもなっているわけでございます。
  41. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その点、総裁はいかがでございますか。
  42. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは衆議院の御審議の際にも申し上げてまいりましたけれども、幼稚園はいま文部大臣の言われたとおりで、これは問題ありませんが、高等学校その他の面につきましても、やはり現行の俸給表を基盤として考えます以上は逆転があってはこれはおかしい。それからさらに必要最小限度の均衡は保持する必要があるだろうというたてまえで臨んでおるわけでございます。
  43. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この際、地方財政ともこれ関係のあることでございますので、自治省にもお尋ねをしたいんですが、自治省の示されておりますところの四十九年度の地方財政計画を見てみますと、この中にいわゆる幼稚園、高校関係の場合、財政調整資金として約一千三百億円が予算化されておりますですね。これは財政調整資金でございますから、普通、これは普通交付税になると思いますけれども、しかし、これを私は、こういろいろ説明を聞いた中では、約七百億が都道府県へ、市町村が約六百億ぐらい、したがって、都道府県の場合の高校あるいは市町村立の高校、幼稚園というのも、この中でやはりさっきお話ししたところの待遇改喜ということになっていくとすれば、財政面の裏づけとしてはこういうものがうしろだてとしてあるものだと理解をしておるのでございますが、その点いかがでしょう。
  44. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 教員給与改善につきましては、義務教育学校教員については、御承知のように、四十九年度の地方財政計画で国の予算に見合う給与改善所要経費を計上いたしております。しかし高等学校、幼稚園等につきましては計上いたしておりません。ただ、今回の法案に関連いたしまして、高等学校等の給与改善が行なわれるということに相なりますれば、それに必要な所要の財源措置を講じてまいらなければならぬという気持ちを持っております。しかし、まだ現段階できまっておるわけでございません。私どもといたしましては、いま御指摘の千三百億円の財政調整資金、これは非常に経済・財政状況は流動的でございますので、いろんな情勢に対応できるようにこれだけのものを年度内の新規財政需要に対処できるように留保してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。これなども活用いたしまして適切な財源措置ができるものと、かように考えております。
  45. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ひとつ総裁、いまお聞き及びのとおり、高校なり幼稚園の場合にもある程度の財政的な措置を講じておるような自治省の話ですから、思い切って、単に義務制だけじゃなくて、これはやっぱり教育全体の水準引き上げるというならば、そういう方向にひとつ総裁としても御努力願いたいし、また、文部省もひとつ確信を持ってそういう点を積極的に引き上げていただきたいと、こういうふうにこの点は要望を申し上げておきたいと思います。  さらに引き続きましてお尋ねをいたしますが、本法案の附則の二項でございますね。これには「教育職員給与優遇措置について、計画的にその実現に努めるものとする。」と、こうあるのです。この「計画的に」ということになりますと、いろいろこれはもう解釈の幅がこう出てくるんですがね。「計画的に」云々ということだけでは。私どもがこれを検討する場合に、なるほど一年や二年では国の財政規模からいって非常な困難性がある。したがって、やはり今後将来を見通した場合に、この教員給与改善というものは相当年数をかけてやっていかなければならない。そういうことになるとすれば、この計画的云々というのは、財政上の計画的云々というのが私は一番すなおなこの問題の解釈だろうと、こう思うのです。したがって、その問題については、各党間でもいろいろ意見の調整をしておるところの段階でございますけれども、そのようにここが改められたとしても、法案を提出されたところの文部省としては大きなこれに対するところのそごはないと思うのですけれども、その点いかがでしょう。
  46. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) この法案を提出いたしましたのは昨年の春でございまして、そのときに、四十八年度の予算の中に対応して一〇%引き上げる財源三月分を計上さしていただいたわけでございます。この一〇%だけで終わりじゃございませんよと、なお順次引き上げていくんですよという気持ちが「計画的に」と書かせていただいている趣旨でございます。
  47. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いまの大臣の御答弁からいたしますと、やはり大蔵省との折衝の過程の中でこのことを強調されておるとするならば、これはやっぱり財政上のものが一番のポイントだと、こういうように理解を私はいたしたいんです。  次に質問を続けますけれども、直接本法案の改正とは関係いたしませんけれども、同じ学校教育に携わって大きな役割りを果たしておりますところの学校事務職員の給与改善の問題と関連をしてお聞きをしておきたいと思います。  このことについてはもっと具体的にお聞きしたほうがいいと思います。私はやはり学校事務職員の給与改善という問題は、過去国会でも何回も、これ文部省自体も御存じのように、あるいはまた人事院も御存じのように、附帯決議が上がったり要望事項が何回かされたことがある。しかし、それぞれの前進は見ているといえども、まだまだ不十分なところがあるのでありますが、一番やはりこの職種の中で問題にされている点は、一つは渡りの問題、いわゆる昭和三十二年の初中局長の通達を改正をしてもらって、上級等級へ無条件に渡りができるような積極的な方策を講じてもらいたい、こういう点が一つの大きな意見として出てくる。いま一つは、事務職員の職務の実態等から給与法の第十条に言う俸給の調整額を支給すべきだという意見等が事務職員の中にあるんです。しかし、これは十条の問題になりますと、いろいろ解釈の問題ですっきりしないものがあるかもしれませんけれども、私はやはりこの二つの要求は事務職員の待遇改善をする場合には相当考慮されなければならない一つの問題点だと思うんでありますが、この点、文部省としてはどういうお考えでしょうか。まず、文部省のお考えを聞かせていただきたい。
  48. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 事務職員の処遇の改善、多年にわたって主張されてまいってきておりますし、また、文部省におきましても、県によりましては四等級に格付けしているところもございますけれども、まだ少数でございますので、ぜひ全体的に四等級の格付けまで持っていきたいということで努力をしてまいってきておるわけでございます。したがいまして、そういう配慮を通じて事務職員の処遇の改善には今後も努力をしていきたい、こう考えているところでございます。今回の立法の趣旨は、教員の処遇を抜本的に引き上げ人材教育界に導入していきたいということでございますので、教員と事務職員との違いはこれは当然あるんだということでございます。しかしながら、事務職員につきましては、多年にわたって文部省としても努力を続けてきているわけでございますので、この際、なお一そうその努力を強化していくべきだと、その必要はあろうと、かように考えております。
  49. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その点、人事院にもひとつ前向きな善処をお願いをしたいんですが、これはたしか三十年の七月ですか、第二十二回国会ですかね、衆議院の文教委員会で事務職員の身分、給与に関する附帯決議が上がったんですね。その中でやはり言われているのは、教職員との格差が非常に大きいので急速にやはり格差が解消さるべきだということと、教員と同様にあるべきよう切望するという決議案文が上がっていることは総裁も御存じだと思う。また、その線に沿っていろいろ御努力を願っていることも私承知をいたしておりますけれども、実はこの法案とも関連をいたしまして、事務職員の皆さんにはまたまた自分たちだけ取り残されるんじゃないかと、こういう危惧が非常に強いんです。したがって、やはりこの問題については、私は積極的にこの際、これらの問題については待遇改善策というものがなされるべきだと、こう思いますだけに、いま文部省は努力するというお答えがあったのですが、そういう方向で人事院としても御検討いただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
  50. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 直接私どもは国立の付属の学校だけを所管しておりますのでありますけれども、いまたまたま努力の実績が認めるというようなおことばがありましたとおり、たとえば定数の問題とか、それからもう一つは、非常に特別会計の幅が広いものですからその間の人事交流を適切にやることによって相当のところまで待遇の改善といいますか、それはやれるような大体の仕組みになっておりますので、私どもとしては、まあその方向で努力を続けてまいりましたけれども、しかしなお、いまのおことばもありますし、今後またさらに検討すべき点は十分検討してまいりたいと考えております。
  51. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、この場合一つのやはりネックになっているのは、財政上ですね、それならば事務職員に対するところの、たとえば地方財政計画等で裏づけがあるのかどうか、そこがやはり一つの問題点だと思いますが、この機会にまた審議官にお尋ねいたしたいと思いますが、財政計画を見てみますと、いわゆる地方公務員給与分としてこの財政計画では五兆二百六十六億が入っておりますが、その恩給分以外の一般職員分としてが二兆四千九百十八億が計上されておりますし、これを見ますと、前年度比に対して二〇・二%増になっておるんですね。こういうことから考えてみますれば、これだけの面があればいわゆる学校事務職員についても事務官の給与改善にもこの財源的な裏づけの面としてはそう窮屈なものでないような気がするのですが、その点がやはり相当考慮されておると理解してよろしゅうございますか、どうですか。
  52. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いま御指摘の地方財政計画に掲げております一般職員及び義務制以外の教員並びに特別職等という項目でございますが、この項目の給与単価につきましては、地方公共団体給与が御承知のようにかなり幅がございます。それを実績のままとることは地方財政措置としては適当ではないということで、国家公務員に準じた給与単価をつくりまして計上いたしております。それだけの財源措置をすることが最も適切であるということで計上いたしておるわけでございます。したがいまして、いまお話しのありましたような職員の給与改善を何か特別にやるというためのこの経費をここで、というふうなことは私どもは考えておりません。
  53. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私がお聞きしているのは、こういう財源があるということは、事務官、事務職員の給与改善を行なうとしても、いや財源がないんだ、財源がないということにはなりませんねと、こうお伺いしているわけです。何がしかやはりこれが適用対象になっているということは事実でございましょう。その点を聞いているんです。
  54. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) ここに掲げております金額は、いま申し上げましたように、現在の給与制度のもとにおいて計算いたしました各国家公務員に準ずる単価で計算をいたしておるということを申し上げたわけでございます。したがいまして、何か新たな措置を講ずる場合に、それに対応する財源をここで見ておるということではないということを申し上げたわけでございます。
  55. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だってあなた、事務職員とは、自分が県の職員あるいはその市町村の職員と同じなんですからね、一般の行政職とは別に事務職員が除外されておるという予算措置じゃないんでしょう。だから当然やはり対象の中に含まれてこれが二〇・二%増として見込まれておるということは事実なんでしょう。そうすれば、当然これは一つのワクの中で考慮されるという範疇に入るということは事実ですねということを私は聞いているのです。別個に、これと別に事務職員の給与費が組まれているかと、こうお聞きしているんじゃないですよ。
  56. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) どうも御説明が十分でないのかもしれませんが、一般の行政職の職員、それから学校の事務職員、そういうものを一般職の職員を含めまして同じような給与単価の計算をしてここで計上いたしておる。こういう意味でございます。
  57. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 関連してもう一つ聞きたいのは、やはり同じ学校関係ですね。実習助手、現業職員のやはり給与改善というのも一つの問題になっておる。これは文部大臣はおわかりだと思いますが、特に高等学校関係あるいは中学関係の、これは初任給の改善、昇給問差の是正というものも非常に大きな問題になります。特に高卒で学校の実習助手と行政職にいった場合をこう比較してみますれば、初任給では若干学校の実習助手のほうがいいかもしれませんけれども、二十年たてば二万から三万も違うというのが実態なんです。こうなりますと、やはり日の当たらない学校教育の面で非常に苦労して、縁の下の力持ちになっておりますところの実習助手なり現業職員の給与改善というものも私はやはり学校教育全体を発展させるためにはきわめて重要なことだと、こう考えておるのでありますが、その点、文部省としてはこれまた先ほど来いろいろこうほかの職種の問題についても私は触れてきたんですけれども、給与改善について、どのような考え方を持っておられるのか、前向きのやはり考え方なのかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。
  58. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 実習助手につきましては、ただいま先生からも御指摘ございましたように、初任給は一般の公務員よりよろしゅうございますけれども、大体十年ぐらいになりますと逆転現象が起こるというふうな状況でございます。しかしながら、実習助手はやはり教育に従事する職員でございますから、義務教育の諸学校教員給与改善されました場合には、人事院でも適当な御協力をいただけるんじゃないかというふうな感じがするわけでございます。ただ、実習助手につきましては、制度としてのやはり問題がございまして、抜本的にその待遇を改善いたします場合には、やはり制度上の問題を解決していく必要があろう。これは、今度の給与改善とは別個に私どもが真剣に取り組まなければならない問題であるというふうに考えているわけでございます。  その他の用務員、現業職員につきましては、これはほかの職種、ほかの現業職員の方々との均衡もございまして、学校の用務員等の現業職員だけにつきまして配慮をするということがなかなかむずかしいわけでございますけれども、こういう問題につきましても十分検討いたしまして、人事院にお願いしたいというふうな方向でまいりたいと思います。
  59. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 時間がありませんので、人事院におきましても、この問題をひとつ積極的に考えていただきたいという御要望を申し上げておきたいと思います。  なお最後に、私立学校給与改善の問題についてお伺いしたいと思います。私立学校はもちろん大学から高校、中学と、こうあるわけでございますけれども、やはりこの日本教育全体を見てみますと、大学の場合は七三%も私大におんぶをしておる。あるいはまた、高等学校の場合も比率が少なくない、こういうような状況から見れば、国民教育という立場に立てば当然この私立学校給与改善ということも私はきわめて教育全体を発展をさせるためには重要な一つのファクターだと思っております。したがって、この私立学校給与改善について、文部省としてはどのような具体的な行政指導をされようとお考えになっておるか、積極的なやはり、これは最後ですから、大臣の意欲と申しますか、意欲を込めたお話をお聞きしておきたい。  なお、これと関連をして自治省のほうにもお伺いいたしますが、先ほどの地方財政計画の中の国庫負担金を伴わないものという条項の中に、私はやはりこの私立学校に対するところの私学振興費あるいは給与改善に対するところのものが含まれておると理解しておる。たとえばこの中では、私立教職員の賃金改定分の四十九年度のベースアップの三%分あるいはその他の給与改善の五%分というのも当然やはりこの中で私は積算の基礎になっておるのではないだろうかと、こう見ておるわけでございますけれども、そういう面についての財政的な裏づけというものが全然ないとは言えないと思うのですが、その点について説明をしていただきたいと、こう思います。まず、自治省のほうからお聞かせ願いたい。
  60. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 私学助成につきましては、高等学校以下について県に対して所要の財政措置を講じて経常費の助成が行なわれるようにしておるわけであります。その際の計算の方法は、大学に対します国庫の助成と同じ方式に準拠いたしております。で、詳細御説明申し上げますのは避けますが、基本的な考え方は、一定の最近の実績をとりまして、それに昇給を見込んでそれを基礎にして算定しておる、こういう方式をとっておるわけであります。
  61. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 学校教育水準維持向上に資することが目的でございまして、学校教育は御指摘のように国公立の学校ばかりじゃございませんで、私立学校もあるわけでございます。したがいまして、当然私立学校教職員につきましても処遇が改善される、それに対応する財政援助措置をとっていくということでございます。これまでも私立大学につきましては、経常費につきまして国費助成を行なっておりますし、高等学校以下につきましては都道府県から助成が行なわれておるわけでございますけれども、これらの拡充につきましてはさらに一段の努力を続けていく決意でございます。
  62. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 ちょっと私は席を立っておりましたので、あるいは重複する点があるかもわかりませんが、まず、初めにお伺いしたいことは、この法案が通過をした場合に、その人材確保がどの程度ほんとうにできるようになるか、その点の見通しをまずお伺いしたいと思います。
  63. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 教職に人材を導入したい、その条件はいろいろあるだろうと思うのでございますけれども、処遇の改善もその一つじゃないかと、かように考えてこのような措置をとらせていただいたわけでございます。現在までの模様を見てまいりますと、大学教育学部を受験される方々がだんだん少なくなりはしないかという心配をされ、同時に、結果的に女子がぐんぐん比率を高めていっているということでございました。教育学部をねらう方々が減ってくるのじゃないかということが、こういう問題が出ましてからむしろ増加傾向に転じてきているのじゃないだろうかなと、こう思っているわけでございます。同時にまた、女子の比率がどんどん増してきているわけでございますけれども、男子のすぐれた方々も今後相当数教育世界を目ざしていただけるのじゃないだろうか、こういう期待をいだいておるところでございまして、これらの問題は、今後の試験の発表等を通じて見なければわからないわけでございます。しかし期待している方向は変わらないものだと、かように思っているところでございます。
  64. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 まだ法案が通っておりませんから、これがどういうふうに影響を及ぼすかは判断はむずかしいかと思いますが、この四、五年の間のいわゆる教員養成大学並びに各大学教育学部、それに対する志望はどのようになっておりますか。経過だけでけっこうです、もしこまかい数字ができなければ。
  65. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 応募者の状況でございますが、小学校教員養成課程につきましては、四十三年度が四万一千五百人、四十四年度が三万九千二百人、四十五年度が三万三千四百人、四十六年度が三万三千百人、四十七年度が三万八千五百人、四十八年度が四万二千百人とやや最近回復をしてまいっているという傾向がございます。  それから中学校教員養成課程では、四十三年が三万二千四百人、四十四年が二万九千三百人、四十五年が二万五千三百人、四十六年が二万四千三百人、四十七年が二万六千五百人、四十八年が二万七千七百人とやはり同じように少しずつ回復の傾向は見られております。
  66. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 今年度はまだ、一次のほうまだ出ておりませんですね。
  67. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 今年度の数字はまだ出ておりません。
  68. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 数の面ではいま言われたとおり少しふえてきておるということですが、この受験生の大学を受験する中での占める比率の点ではどうですか。
  69. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) ただいま手元に数字がちょっとないようでございますので傾向としてお答えいたしますが、最近は御案内のとおり大学への志望者が非常にふえておりますし、その中でただいま教員養成学部につきましてはまあ若干ふえてはきておりますけれども、そのふえ方がまだ十分じゃないという点で一般の学部に比べますとまだ低いというふうな状態です。
  70. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 もちろん給与の面というのも大きな一つの教員に対する志望が少なくなった面かと思いますけれども、やはりそれだけでは解決できない面が一ぱいあると思いますので、ただ単にこの法案が通ってかりに給与面が改善されたとしても、じゃはたしてどれだけ教員養成大学へ行く人がふえるのか私は非常に疑問に思います。ただお金を出せばそれでいいんだと、こういう考え方ではなくて、もっとそれ以外のいろんな教員に対する待遇といいますか、給与も含めたそのほかのいろんな面での待遇改善をやはりこの際もっとやっていかなきゃならぬと、こう思いますが、その点については、具体的に今年度はどうお考えですか。
  71. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 教育界人材を導入したい、同時に先生方に安んじて教育に情熱を傾けていただきたい、かように考えているわけでございます。そういう意味で処遇の改善、単に給与だけじゃございません、処遇の問題は具体の問題になりますと旅費の問題からいろんなことがございますが、全体的に処遇の改善をはかっていきたい、こう考えているわけでございます。同時にまた、資質向上をはかるためには海外に五千人の先生方に出てもらうことなどをしたわけでございますけれども、これも教養を高める一つの手だてだと思います。その他の講習会を行ないますいうような式のこともございますので、そのようなことを通じまして資質向上をはかっていきたい、かように考えておるわけでございます。さらにまた、その教員養成するあり方にも問題があろうかと考えるわけでございまして、今回新しい構想教員大学院、付属の大学、そういうものもつくりたい、大学院を出て初めてほんとうの教員ができ上がるんだと、こういうふうな考え方に立ちたいと、こう思っておるわけでございます。その他若干の問題がございますが、各般施策を講じながら、先ほど申し上げましたような目的を達成していく努力をしているところでございます。
  72. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 その次に、中教審との関係でありますが、いろいろこの法案自体が問題になったのは、中教審にいわれておるいわゆる五段階ということで問題になったわけでありますが、中教審の答申というものとこの法律というもの、それは持ち込まないと再三言われております、このことできょうこのような審議に入ったわけでありますけれども、中教審というものは、この法案との対比においてどうお考えになっておるか、その点をお伺いしたいと思います。
  73. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先ほどお答えしたとおりでございまして、中教審の答申に基づいているという言い方もできるだろう、基づいていないという言い方もできるだろう、こう考えているわけでございます。私は日教組の委員長などと会いましたときにこんなことを申し上げました。あなたたち中教審粉砕ということばはやめなさいよ、いいことたくさん書いてあるじゃないか、反対もたくさんあるでしょう、反対は反対、いいものはいいと、そういうふうにお互いに議論していこうじゃありませんか、私も日教組の批判どんどんやっていきますよ、しかし何もかも日教組は悪いという言い方はしませんよ、こう言っているわけでございまして、中教審の答申の中に処遇の改善がうたわれているとすれば、それは非常にいいことじゃないか、それは取り上げたい、しかし、全部あのとおりわれわれがやっていくんだというそんな節操のない考え方は持っておりません。自主的に努力を払ってまいるわけでございます。したがいまして、またあの中に先ほど宮之原さんから五段階給与のことがうたわれているという御指摘がございました。私、五段階給与といっていいのかどうかよくわかりませんが、そういう考え方は毛頭持っておりません。また、そういうことをしようとすれば、法律案国会へ提出して議決を経なければできないことですよ、こんなことも申し上げたところでございます。
  74. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 そうすると、いまの大臣のお話だと、中教審の中でもっと国会でも議論を尽くしていい点はそのまま伸ばしていく、悪い点についてはこれはどんどん変えていく、こういうふうに解していいわけですか。
  75. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) そのとおり考えております。
  76. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 次に、この教員の問題はもちろんそうでございますが、この事務職員ですね、これに対する考え方、待遇改善ですね、この点については、今回はこれには教育職員ということになっておりますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  77. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) その点は先ほどかなりな議論があったところでございまして、この法案は教員の処遇を引き上げていきたいわけでございまして、事務職員の処遇引き上げをうたっているわけではございません。ただ、事務職員につきましても、文部省が多年いまの処遇では不十分だということで、具体的に申し上げますと、四等級に格付けしたい、こういうことで各方面にお願いもしてまいったわけでございます。今日の事態を迎えますと一そうその努力を実らせなければならない、かように考えているわけでございまして、そういう意味で格段努力を私たちとしても払っていきたいと思っております、こう答えさせていただいたところでございます。
  78. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いろんな問題点がもうかなり出たようでございますので、簡単に質問は終らせていただきますが、もちろんこういった今回の法案で、特に義務教育教職員給与についてのこういう人材確保、まことにけっこうですし、これはこれでよろしいわけでございますけれども、要するに、教育職全般ですね、特に大学等も含めまして、これから教育者に対するあり方という点、非常にレベルが低いわけです。もちろん、義務教育の点が一番大事でございますけれども、高等教育という問題も非常にありますし、そういった点については、今後どのようにお考えになっていくか、これは人事院のほうからもお考えをお聞きしたい。
  79. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) これも先ほど申し上げましたように、義務教育の先生をてこにしまして、そうして学校教育水準の全体を上げたい、こう考えているわけでございます。したがいまして、幼稚園も高等学校大学も逐次均衡とれた範囲内において引き上げられるものだ、こう理解をしているわけでございます。また、そういうたてまえで大蔵省にも自治省にも連絡をとりながら財政措置にも抜かりのないようにしていただきたい、かように考えているところでございます。
  80. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 教職員の方々の待遇改善はつとにわれわれとしても努力をしてきたところでございますし、その努力は依然として今後とも続けてまいりたいと思っております。
  81. 松下正寿

    松下正寿君 いままでの質疑応答で大体尽くされていると思いますので、ごく簡単に私の所見を述べつつ文部大臣の御所見をお伺いしたいと思います。  私、個人のことを申し上げて恐縮ですが、文教委員に就任後ごく新しいわけであります。そこで一番初めに、この法案を読んでみて、非常に長いので、学校教育水準維持向上のための義務教育学校教育職員人材確保に関する特別措置法案、ちょっと一息では読めないほど長い名前であります。私は、内容を読む前にこの題を読みまして、非常にりっぱなことである、ぜひともこれを実行していただきたいと、こう思って内容を読んでみましたら、結局のところ給与改善と、これも具体的にどう改善するということではなくて、人事院のほうにやってくれということもあり、いわばげたを預けたようなかっこうで、決して私は反対ではありません、むしろ大賛成でありますが、これは私の間違いかもわかりませんが、私は元来、日本という国は、明治以来非常に先生の地位が高かったと思います。低かった低かったというのは、これはちょっと間違いであって、諸外国と比べるというと相当私は、日本の先生の地位というものが格段に高かったんじゃないかと思います。しからば、給与の点においてはどうかというと非常に低かった。給与が非常に低かったにかかわらず、社会的地位というのは非常に高かったという、これは私は自分でそう考えておるわけで、また私のような考え方を持っている人は明治生まれの者には相当多いんじゃないかと思うわけであります。そこで、ただ実際現在のところ給与の問題だけでなくて、それと比べるというと、何となく先生の地位が、でもしか先生ですか何かいろんなそういう話もあるようですが、何となく地位が低下しているような感じがいたしまして、そういう点から私は水準維持向上、特に義務教育の先生方の人材確保するということは何とかした方法でやりたい、やっていただきたいと考えておったわけでありますが、中を読んでみますというと、やはり給与改善に尽きているような感じがいたします。給与改善だけではないと大臣しばしばここでおっしゃいましたが、何か具体的に、給与改善はけっこうでありますが、それ以外もっと大事な点で、教員の、学校の先生というものの社会的地位、尊敬に値するというような地位をほんとうに確保していただくような方法があるものかどうか、まず第一に、その点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  82. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先生方の社会的地位を国民がどう評価するかということにつきましては、国としての処遇のしかたにもございますし、反面また、教育界がどういう実態であるか、これも大きな影響を及ぼすことではないだろうかと、かように考えるわけでございます。今日国民の多くの方々が教育界の実態につきまして相当数かなりな不満を持っていらっしゃるんじゃないだろうかという感じを持ちます。それにもまたいろんな原因があろうかと思います。また、政治的な問題を離れましても、昭和二十三年でございましょうか、一挙に義務教育年限を三年に延長したわけでございまして、当時は若者はみんな戦地にかり出されておったわけでございますし、国内の教育というようなものも充実していなかった、その中で先生を求めるわけでございますから、私はかなり困難だったんじゃないだろうか。非常に悪い表現をいたしますと、人を連れてきて先生というレッテルを貼った人もいないとは言い切れない、こういうことも考えられるわけでございます。でありますので、義務教育年限を延長した、一挙に延長したやり方、これまたいい悪い議論はございましょうけれども、多数の人を採用する中にはやはり好ましくない人も若干入ってくることはやむを得なかったじゃないだろうかな、そういう人たちのあり方について社会が好ましく思わない、尊敬に値しないという感じを持たれても、これまたしかたがないのじゃないかという気がいたします。同時にまた、かなり政治的に偏向した姿も見られるわけでございまして、そういうことが社会の先生方を見る目をかなり左右しているのじゃないか、かように考えるわけでございます。  反面また、処遇の問題につきましても、戦前は年功加俸の制度でありますとか、あるいは兵役の義務を免除しますとか、いろいろなことが行なわれておったわけでございます。いま同じようなことを繰り返すわけにまいりませんで、今回のような給与を思い切って引き上げるというような措置をとらせていただいたわけでございます。  でございますので、これだけじゃなしに、先ほど申し上げましたようないろいろな措置措置もあわせてとらせていただいておるわけでございますが、教育界の実態もそれにこたえるようになっていただかなければならない。なっていただくことによって社会の見る目が変わってくるのじゃないだろうか、両々相まってのことじゃなかろうかと、こう思っておるところでございます。
  83. 松下正寿

    松下正寿君 なかなかお聞きするのは簡単ですが、お答えになるのがむずかしいと思いますからこれ以上どうもいじめてもあまりいい結果が出てこないのじゃないかと思いますが、ちょっといまおことばのうちにありましたが、戦前、徴兵猶予という制度があったわけです。現在は徴兵制度がありませんし、別に私は復活してもらいたいと思っておるわけではありませんが、何かあれに該当するような特権というものが、給与以外に、ほかの職業とやはりちょっと違う、違うといってもあまりいばられても困りますが、やはりちょっと違うという、そういうプライドを与えるようなそういう制度というものは考えられないものでしょうか。たとえば徴兵猶予に該当する、似たようなこと、たとえばですけれども。
  84. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 昨年五千人という多数の方々に海外に出かけていただくようにしたわけでございます。世界を見る目で教育に当たる。もっと大量の方々に海外に出かけていただくような仕組みをとることも、先生に対する評価が改まってくるという一つの力になるのじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。さらにはまた、新構想大学院にいたしましても、四年制の大学を出て教職につかれる、二、三年したらそのままで大学院でもう一ぺん勉強してもらう、そうしてほんとうの先生ができ上がるのだと、こう考えたい、またそういう仕組みにしていきたい、こう思っておるところでございます。なおまた、社会的処遇等の問題につきましてよい知恵がございましたら積極的に採用して、あくまでも社会から尊敬される先生、先生を尊敬する社会に持っていきたいものだと強く念願をしておるところでございます。
  85. 松下正寿

    松下正寿君 次に、先刻宮之原委員からも御質問がありました。ちょっと私と逆で一番最後に私立学校のことについての御質問があって、これに対して大臣の御答弁があったわけでありますが、私は実はほかのことを除いてもこの問題についてぜひとも大臣のお考えをお伺いするだけじゃなくて、文部省としてもっとはっきりした対策をとっていただきたいと思うわけであります。というのは、私自身が私立学校で長く苦労した立場をとっておるわけであります。これはちょっと言い過ぎで極端な言い方でありますが、人事院の勧告があるたびに私は実はびくびくしておったわけであります。というのは、万事おっしゃることはそのとおり、反対するべきところは一つもなし、ところで問題は、どうしたらいいかというと、理屈はそのとおりだが、金がない。これが一番私ども学校に関係しておったものの悩みの種であります。実際私は大学から小学校までずっとやっておりましたが、小中のほうを上げると大学を上げないわけにいきませんし、ところで収入のほうはどうするかというと、これは授業料、これを上げることはこれは学校をつぶすようなことでたいへんな問題になるわけです。そこで、学校に財産というものはほとんどありませんし、結局のところは、最後には国家からの補助なりあるいは助成金なりをちょうだいする以外に道がないわけでありますが、これは非常にむずかしい。しかも、きょうの大臣の所信表明のうちにも寄付のことがございましたが、これについての質問はきょうの段階ではやるべきでないと思いますが、こういう点をも全部考えて、今度のこの人材確保の法案を、これ大賛成でありますが、これで一番おっかなびっくりなのは、私立大学私立の各学校の当局者じゃないかと思うわけであります。そこに非常な大きな社会問題があると思います。これは、私立のことは私立で適当にやってくれというようなお考えで片づけば一番けっこうだと思いますが、実際上はそうはいきません。その点について、大臣はどういうお考えを持っていらっしゃるか、はっきりしたところを相当具体的にお答え願いたいと思います。
  86. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私学の財政責任は私学にある、そのたてまえはそのとおり考えていただかなきゃいけない、こう思っているわけでございます。同時にまた、処遇の改善は、国公立だけ考えておればいいんじゃなくて、私学についても考えることによって学校教育水準維持向上をはかることができるんだ。したがって、それがやれるように国としても配慮していかなきゃならない。当然のことだろう、こう思っているところでございます。今日までの経常費助成だけを取り上げて申し上げますと、四十五年から五ヵ年計画で、専任教授の給与の半分は助成するようにしようじゃないかということで進んでまいりました。四十九年度でそれが達成されるわけでございます。しかし、さらにそれ以上の助成が必要じゃなかろうか、こう私たちは考えているわけでございまして、そういう意味で、先ごろ、私立学校教育懇談会を持たせていただきまして、そこで、どのような助成策をとることがよろしいか、検討していただいているところでございます。私は、専任教員に限らず、給与費の半分ぐらいは持ちたいなと、こう思っているところでございます。同時に、そういう仕組みをとっておりますので、処遇の改善がはかられる、あるいは改善すべきだというたてまえをとる。そうしますと、それを基礎にして助成費を算定することになるんじゃないだろうか。したがって、それだけでも助成費をある程度増額していくことができるということにもなろうかと思います。いずれにいたしましても、国公立だけを考えるんじゃなくて、私立もあわせて当然考えていかなきゃならない。そういう方向で努力を続けていく決意でございます。
  87. 加藤進

    加藤進君 法案の審議に入る前に、一言申し上げたいことがあります。  これは、この本案が本委員会に付託されるまでの経過についてであります。御承知のように、この法案は、学校教育水準維持向上をはかるという、きわめて重要な内容を持った法案であります。ところが、この法案が衆議院においてどのような取り扱いを受けたか。御承知のように、単独審議、強行採決、議会制民主主義のじゅうりんを繰り返しつつ、今日、この法案がわが文教委員会に送られてきておるわけであります。私は、この経過から見ましても、このような事態を引き起こされた自民党の諸君の反省を、まず深く求めなくてはならぬと思います。同時に、この参議院においては、良識を発揮して、議会制民主主義のルールを厳守するということを明確にするということがこの委員会の審議の前提であると、私は考えるものでございます。したがって、この際、委員会の運営の中心に当たられる委員長におかせられても、この点を十分留意されて、今後、委員会の運営を公正に行なっていただきたいということをまず要請しておきます。  この法案は、教職員の待遇、とりわけ義務教職員の待遇改善ということをもってわが国学校教育水準向上させるということを目的としておるわけでございますが、私たちは従来、引き続いて、憲法や教育基本法の立場に立つなら、日本の未来を築く教育事業に携わっていく教職員の待遇というものは、これにふさわしいものではなくてはならないということを強調してまいりました。ところが、このような教職員の待遇について、冷然として、この十分な引き上げを行なってこなかったというのはだれかといえば、自民党内閣そのものではないでしょうか。私は、今日、この法案を急選出して教員給与を若干でも上げなくてはならぬと思われる文部省、とりわけ文部大臣に、こういう法案を提案されるにあたってどのようにその点を反省し、どのようにその責任を感じておられるのか、この点をまずお聞きしたいと思います。
  88. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 加藤先生、衆議院の模様のことに言及されましたが、お調べになってお話しになっているんでしょうか。単独審議じゃございません。共産党は委員会の採決の際にはお加わりになりませんでしたけれども、加わった政党もございます。衆議院の本会議には共産党も加わっておられます。私は、国会あり方についてとやかく言うことは差し控えておきたいと思いますけれども、政府が冷然として教員給与をやっておったというようなことをおっしゃいますと、いささか反発を感ぜざるを得ない。政府が一般の公務員よりも優遇しようという施策を打ち出しているわけでございまして、先ほども申し上げましたように、現在でも初任給は九%程度上級職乙の公務員よりも高くなっておるわけでございます、決して冷遇しておりません。もっと一般の公務員より優遇して人材教育界に入れたい、そのことが国家、社会の命運を託している教育界にそれだけの責任を果たしていただけるような教育界にしていきたいという私たちの念願でございまして、冷遇しておったというような言い方をされたり、衆議院で単独採決だと、事実と違うお話をされますことにつきましては、私は承服できない感じが強くいたしますので、たいへん失礼でございますけれども、この点だけははっきりさせていただきます。もう一ぺん衆議院の姿をお調べになって先ほどの御質問お考え直しいただきたい、お願いを申し上げておきます。
  89. 加藤進

    加藤進君 文部大臣は、そのように強硬な発言をされるわけでございますけれども、事態そのものが示しておるように、きわめて異常な事態で衆議院段階を通ったということは、これはもうだれしも認めるところであります。私はその点をあえて申し上げたわけであります。同時に、教職員の待遇について、いまおっしゃられると、いかにも優遇してきたように聞こえますけれども、本来、このような法案を提起するという根底には何があったかといえば、教職員の地位を向上させるためには、とりあえず何をおいても教員の待遇の改善をはからなくてはならぬ、こう言われるその根底にはいうまでもなく今日の教職員の当面しておられるようなきわめて教育生活水準の困難な状態が裏にあること、根底にあることは私は明らかだと思う。  たとえば、それではヨーロッパの諸国の教職員の待遇と日本教職員の待遇とどれだけの相違があるのか、これは文部省の提出された資料の中でもきわめて明確になっておるわけでございます。先進国といわれる日本の、しかも教育を担当し、未来の子供たちを育てていかなくてはならぬという専門職である教職員に対してとられておる今日までの措置がはたして優遇であったかどうかということは、これはもう一般にはっきりとした断定を下し得るものではないか、私はその点だけあえて申し上げまして、続いて質問に入りたいと思います。  政府は、たびたび教職員給与改善について、中教審答申の立場に立って改善をはかっていくということをおうしゃっておる。  そこで聞きますけれども、これは前の委員もこれに触れられておりますが、中教審答申によりますと、「校長を助けて校務を分担する教頭・教務主任・学年主任・教科主任・生徒指導主任などの管理上、指導上の職制を確立しなければならない。」こういっています。「教頭および『大学院』で再教育を受け、またはその他の方法によって、高度の資質を身につけたと認定された教諭に対しては、別種の等級を適用」する、こう言い切っておるわけであります。先ほども大臣は中教審答申と特別関係はないなどというようなふうの発言をされておりますけれども、それならば、この中教審答申にうたっておるような、このような五段階の差別賃金は導入する意図は全くないと、これはこの法案においてもないし、今後ともそのような差別賃金は文部省としてはとらない、こういうことをこの委員会を通じて明確にお答えいただけるでしょうかどうでしょうか。
  90. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先ほど来お答えをしたとおりでございます。重ねて申し上げますと、教職員の処遇の改善をはかっていることでございまして、あわせて五段階給与を頭に描いているものでは全然ございません。私が文部省を担当するようになりましてから、五段階給与というような競争心をあふるようなやり方をとってもらうことは教育現場にふさわしくないんだというお話を多くの方々から伺いました。私も、そうだろうなという気持ちを持たせていただいているところでございます。教育の現場の皆さん方が教育に熱情を傾けやすいような仕組み、これをいろんな形においてくふうをしていきたい、それにさからうような施策は当然とるべきじゃない、こういう気持ちでおるところでございます。
  91. 加藤進

    加藤進君 重ねてお尋ねしますが、今後ともそのような態度を堅持されるかどうか、その点一言お伺いしたい。
  92. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私は、そういう考え方全然持っておりません。どういうような給与体系がいいのか教育現場の方々もいろんなお考え方をお持ちになるだろうと思います。できる限り教育現場の方々が希望されるような体系をくふうして  いくべきだろう、かように考えておるところでございます。
  93. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、教職員の要望しておられるような給与改善のために努力するのであって、中教審が言っておろうが言っていまいが、五段階の差別給与制度などというものを文部省は新たに設けるつもりはない、こういうふうに理解していいですね。
  94. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 五段階給与というものを私の頭の中のどこにもございません。
  95. 加藤進

    加藤進君 そこで、もう一つお尋ねしますけれども、一昨年の七月に自民党から「教育改革第一次試案」というものが出されました。これには「教員の待遇改善」にあわせて「教員の採用、任期、研修、争議行為の制限、身分保障等専門職としての教員の身分を確立するため教員身分法を制定する。」、こういうことを自民党の方針とされているようであります。政府は、この法案によって教員に対しては若干の待遇の改善はするけれども、教職員の労働基本権を剥奪して、今後教員身分法を制定する布石にするのではなかろうか、こういう疑惑がきわめて強かったことは御承知のとおりであります。このために、教職員団体の諸君がこの法案の意図に対して反対をしてきたわけでございますけれども、大臣は、この法案は教員の身分法などというものを全く考えていない、教員身分法などというものを将来制定するつもりはない、こういうことをはっきりしていただくことができるんでしょうか。
  96. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先ほどもその話が出ておりまして、いろんな人がいろんなことを言われること、これはもう自由じゃなかろうかと、こう考えておるわけでございます。教員の労働基本権に関しまする問題につきましては、御承知のように団結権が認められている。交渉することはできる。しかし、協約締結権でありますとか同盟罷業権とかいうものは認められていない。私は現行の制度、それが正しいんじゃないかと、こう考えておるわけでございます。これ以上に制限すべきだという考え方は持ち合わせておりません。
  97. 加藤進

    加藤進君 この法案によって特別に義務教育学校教職員ということに法案の文面は限定されておりますけれども、先ほど来の質疑を通じてそれをさらに幼稚園の教職員から大学教職員までに拡大して、それらに適切な措置をとるつもりだと、こういう御答弁がありましたけれども、その点で私は一言聞きたいのは、大学教職員に対してでは具体的にどのような優遇措置をとられる考えなのか、もしはっきりとした案がありましたらお答え願いたいと思います。
  98. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 義務教育教員給与引き上げ、これをてこにして、学校教育に従事しておられる方々全体の給与改善をはかっていきたいんだ、こう申し上げてまいったわけでございます。しかしもっぱら人事院の勧告権にゆだねられているわけでございまして、私としては、人事院の勧告の中にそういうものが包含されてまいることを期待しているわけでございまして、また、包含されてまいった場合には財政当局はそれに応じて財政措置をしてくれる、こういう連絡もしてまいってきているわけでございます。大学がきわめて重要でございますだけに、その処遇はいま申し上げたことばかりじゃなしに、研究費その他の面につきましても全体的に一そうの努力を払ってまいりたい強い決意をいだいているところでございます。
  99. 加藤進

    加藤進君 その点に関して人事院のほうから一言お伺いしたい。
  100. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これも先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、幼稚園は当然もう教育三表に入っておりますから、これは問題ありませんが、その他の点についてもやはり逆転その他の均衡上、連鎖反応的に他の俸給表にも及ばざるを得ないというふうに考えております。
  101. 加藤進

    加藤進君 学校教育をささえていくのは、言うまでもなく教職員中心でございますけれども、学校で事務を取り扱っておられる事務職員の皆さん、また労務職員、用務員、給食や農場管理あるいは等々の現場の事務員の方たちがたくさんいらっしゃる。この方たちのささえがなくしては学校教育は成り立っていきません。その点から言うならば、私はこの法案の趣旨をさらに広げて、このような現場の事務職員に対してまで優遇措置をとっていくということが当然必要だろうと思いますけれども、その点の御所見はいかがでしょうか。
  102. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) この問題も先ほどお答えをしたとおりでございます。今回の立法の趣旨は教員の処遇を一般の公務員に比較して優遇しようということでございます。ただ、従来から事務職員等につきまして、現状では適当でない、一段の処遇の引き上げをやっていきたいということで文部当局が努力してきているところでございまして、その努力は続けたいし、こういう事態になりますと、一そうその努力を強めていかなきゃならないと、かように考えております、こう申し上げましたが、そのとおりでございます。
  103. 加藤進

    加藤進君 続いて、私立学校教職員給与改善について具体的にはどんな措置を考えておられるでしょうか。
  104. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先ほどこれも申し上げましたが、五ヵ年計画で専任教員給与の半額を助成していこうということで努力をされてきた、一応その結果が四十九年度で完成したわけであります。しかし、それ以上に私としては給与費全体をつかまえて半分は助成をしていきたいな、かように考えているところでございます。同時に、その給与水準につきましても国公立の先生方の給与水準引き上げます場合には、当然私学につきましても引き上げられることを前提にして助成を考えていくべきではなかろうかと、かように存じておるところでございます。
  105. 加藤進

    加藤進君 この法案の第三条には「一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置」をとる、こうしてことさら一般公務員の給与水準に比較して優遇措置をとるという規定をしておられるわけでございますけれども、私は、この点はちょっと理解に苦しむわけであります。給与改善することは言うまでもありませんけれども、公務員の給与に比較してというようなことばを法案の文面に入れるということはいささか穏当を欠くのではないかと私は感ずるわけでございますけれども、これについて文部大臣並びに人事院のほうから御答弁をいただきたい。
  106. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 公務員の給与は職務の責任の重さ、複雑さ等の度合いに応じてきめられるものだ、かように理解をしているわけでございます。教育界というところは、国家社会の命運を託されたところだ、そこに先生方が御勤務いただきまして努力していただくわけでございますので、先生方の責任の度合いというものは非常に私は高いものじゃないだろうか、かように考えるわけでございまして、そういう意味で、先生方の給与一般の公務員に比較して優遇してもらう、そのことを通じて、その責任を果たせるような人材教育界に入ってくださるように持っていきたいという考え方でございます。
  107. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 法文としては実は明確ではないんで、われわれとしては、その気持ちを察して勧告を申し上げるべきだということでおりますが、その気持ちというのは、やはり教職員に対しては特段の改善を考えると、それに尽きると思っております。
  108. 加藤進

    加藤進君 それでは、人事院の御意見としましては、何もことさらに公務員の給与と比較してということを入れる必要はなさそうだという御見解でしょうか。
  109. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これがぎくしゃくした法律的の意味は持っていないというふうにまず直観いたしまして、あとわれわれはまたこれに基づいて勧告をどうせ申し上げますから、その勧告を今度は御審議になってこの条文と違うじゃないかという御批判があるかどうか、おそらくそれはないと思っております。
  110. 加藤進

    加藤進君 この法案を実施するにあたって、待遇の改善については職員団体と協議するということを文部大臣も確約されているようでありますけれども、この職員団体というのは、これは今日直ちに浮かぶのは日教組でありますけれども、高等学校教職員組合——日高教というのもございますし、いろいろ教員の諸団体があるわけでございます。こういう教員の諸団体とは胸襟を開いて今後給与改善について協議をするような努力を払う、こういう御用意があるかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  111. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 何の誤解か知りませんが、私は協議するというような確約をした覚えは一切ございません。文部省の事務当局がいろんな組合から意見が寄せられてくる、それはすなおに受け取っているようでございますし、文部省なりの意見も言うているようでございます。いろんな組合と意思の疎通をはかる、それは私は必要なことだと思いますし、また、そういう意味の努力は私としても払っていかなきゃならないことだと、かように考えているところでございます。
  112. 加藤進

    加藤進君 その点では先ほども私は他の委員の質問を通じまして聞きましたけれども、話し合いの努力をする、協議のための条件をつくるように努力するということまでは大臣もおっしゃったように私は思うわけでございますけれども、その点もまたいまの御答弁では取り消されるのでしょうか。
  113. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私がそういう相手方でもないように思うのです。人事院勧告を受けまして、そしてそれに基づいて政府が立法して国会の議決を経るわけでございます。しかし、何も処遇の問題に限らず、いろんな問題を通じましてお互いがどういうことを考えているかということが絶えず疎通し合うというあり方でなきゃいけないんじゃないだろうか、こう考えているわけでございまして、あらゆる問題についてそうなるように私としても配慮していきたいものだと、こう思っているところでございます。
  114. 加藤進

    加藤進君 私は、そういう文部大臣の御答弁が出まするからあらためて申し上げなくてはならぬのは、あのILO・ユネスコの「教師の地位に関する勧告」であります。これについては、拘束力は持っていないというのが文部省の従来の答弁のようでありますけれども、このILO・ユネスコの「教師の地位に関する勧告」についてどのように受けとめられるのか。これを尊重し、この趣旨に基づいて文部省も教員団体との協議を進めるということが当然私は出てこなくてはならぬと思いますけれども、その点についての文部大臣の現在の御所見を承りたいと思います。
  115. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 協議ということばの意味から、お互いによく話し合いをしてみないとなかなか加藤さんと私との間ですぐここで合意に達するような結論には達しないんじゃないか、こう思っているわけでございます。私が申し上げますように、意思の疎通を積極的にはかっていこうという意味で話し合いをどんどんしていく、協議していくということでありまする限りは何の異存もございません。同時に御指摘になりました勧告の中には、教員の組合も文教当局もお互いに協力し合うのだ、こうも書かれておるわけでございまして、ぜひお互いにざっくばらんに話し合いをする、お互いに手を取り合い、力をかし合う、そういう日本教育界に早く持っていきたいものだと1文部省の政策なら大体みな反対していく、中教審に書いてあることなら大体反対していくというような姿にはならないように早く改善をしたいものだ。全体的にああいう勧告の精神が日本において生かされる時代を迎えたいものだな、かように思っておるところでございます。
  116. 加藤進

    加藤進君 私のあえて申し上げたいのは、こういうILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」が出されて、しかもこれには日本の政府もサインをしておるわけですね、そうでしょう。これは教科書裁判の過程でも明らかになりましたけれども、当時の今村さんは、あれは初中関係でございましたか、証言の中にも、ILOの勧告における教員団体というのは教員組合を含むということを明確に証言されておるわけでございますから、この点から言うなら、私はまず第一に文部大臣とし、文部省としてなさるべきことは、ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」そのものを誠心誠意尊重する、この立場に立って教職員の待遇改善をはかる、これが私は前提でなくてはならぬと思いますが、その点、重ねて文部大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  117. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、教員の組合と積極的に話し合っていきたいものだ、かように私は考えているわけでございます。いま加藤さんがおっしゃいましたような姿勢で、勧告に盛られているように、私も、文部省にも意見をおっしゃっていただき、また組合にも意見をおっしゃっていただきたいな、かように考えるわけでございます。  日教組は不幸なことに法律で禁止されているストを指令しておられるわけでございます。私はやはり法律を守るように、法治国の国民を育てるように、ひとつ教員組合にもお話しかけをいただきたい。文部省にもお話しかけをいただき、また教員組合にもお話しかけをいただきまして、勧告の精神がそのとおり生かされてくるように私も努力しますし、御協力いただくようにお願い申し上げます。
  118. 加藤進

    加藤進君 大臣の答弁の中には若干蛇足と思われる部分がありましたが、きょうは質問の時間も十分ありませんから、この点は、私は今後の議論に譲りたいと思います。  そこで最後にお尋ねしたいのは、この法案によって教員給与の若干の引き上げを行なう。これによって人材確保を保障し、もって学校教育水準維持向上をはかる。私はこういう趣旨はきわめてけっこうである、その趣旨としてけっこうである。私たちもその点については、特にそのような方法で努力しなくてはならぬと考えております。しかし同時に、学校教育水準維持向上をはかるために、じゃ教員の地位あるいは教員の待遇の改善だけをもって足れりとし得るかといえば、私はそこにさまざまな重大な課題が、今日文教行政にいわば押し寄せているような感じがせざるを得ないわけでありますが、そのような点において学校教育水準維持向上をはかるために、今日教職員の待遇改善にあわせて何をなすべきかという問題は、もう文部大臣あるいは文部省において十分に考えを練り上げておると思いますけれども、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  119. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御指摘のように、教育水準維持向上をはかっていきますためには多方面の施策が必要だと、かように考えておるわけでございます。また、多方面にわたりまして、教育条件を整備していくことが私たちの責任だ、こう考えておるところでございます。いろいろと御意見がおありのようでございますので、遠慮なしにお教えいただきながら努力を傾けていきたいと思います。
  120. 加藤進

    加藤進君 私は、あえて提案だけをしておきますけれども、第一に、学級定員数を適切な規模に縮小するという努力を払っていただかなければ、今日一人一人の子供に行き届いた教育などというようなことは全くから文句に終わるような現状にある、これが第一の点。したがって、そのために教職員の大幅な増員をはからなくてはならぬという問題が直接出てくると思う。この点につきましても、私たちは今日の状況のもとで言うなら、十六万をこえるような大幅な増員をこの五カ年程度の計画において実施しなくてはならぬという案も持っておるわけでございますし、日教組の方たちは、その数、二十万を必要とするというような試案も出しておられるわけでございまして、こういう私たちの所見に対して、今度とられた文部省の措置がきわめてこのような状況に合わない低い水準のものであるというような点についても私はあえて十分な御検討をいただきたいというふうに考えます。まあ、同時に教職員資質向上させるために、今日教職員が自主的な研修活動を行なう、その十分な時間が保障される、雑役から解放される等々の措置が当然とられなくてはならぬし、こんなことはやる気があればすぐにでもできる、まあ、こういうふうに私は考えるわけでございますけれども、その点についてもきわめて不十分な措置しかとられておらないのが私は現状ではないかと思います。しかもとりわけ、いまいよいよ建設資材等々の非常な困難な状況が生まれています。学校用地の確保もまた重大な事態です。こうして見ると、今日の学校施設の拡充整備ということが緊急な問題になってきている、とりわけ重要な問題になってきている。もうこのままほっておくならば、プレハブ校舎解消どころか、プレハブ校舎が今日さらにふえつつあるというのが、これは私は、私の視察した限りにおいての現状だと思います。こういう問題について抜本的な対策を講じ、措置を講ずるということが今日文部省に課せられた大きな任務ではないかと私は考えます。この点から言うならば、すでに教育基本法第十条には、日本の、また文部省を中心として行なわれる教育行政がどのようなものでなくてはならぬかということが明確に条文において明記してあるわけでございます。  まあ、最後に私は特に文部大臣にお願いしたいのは、この学校教育基本法の趣旨、精神を十分に服膺しつつ、このような状態をできるだけ早い時期に解決する、こうして学校教育のまさに文字どおり水準維持向上をはかっていただきたいということを最後に申し上げまして、この点、文部大臣の所見を聞いて質問を終わりたいと思います。
  121. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 教職員定数改善にうきましては、五ヵ年計画を立てて進めてまいってきていることは御承知いただいているとおりでございます。義務教育教職員につきましては、四十九年度から五ヵ年間にわたって定数改善計画をきめたわけでございます。第一次から第三次までの間は児童生徒数が減っていくものですから、教職員の総数が減っていくのであります。したがいまして、比較的定数改善はやりやすかった。四次の場合には、第二次ベビーブームが始まりまして、教職員自然増になっていくのであります。これまでの三回の計画とは全く違った状態でございます。しかし、その中でも自然増のほかに定数改善によって先生をふやしていこうということになっておりまして、この五年間で六万六千六百人余りふやす計画を立てさしていただいております。また、そういうときでございますので、御指摘になりましたのは、おそらく四十五人一学級を減らしてみたらどうかと、こういう御提案もあったんじゃないかと思いますけれども、それはできない。しかし三個学年複式を廃止するとか二個学年複式の定数を下げていくとかいろんな式の改善は試みているつもりでございます。いずれ御審議をいただくことになろうかと思います。  第二番目に、事務から先生方を解放しろという御提案がございました。この定数改善の中で、大体いままでも五〇%の学校には事務職員が配置されているのでございますが、この五年間の間に七五%の学校には事務職員を配置するように持っていきたい、こういう内容を含んでいるわけでございまして、努力をしていきたいと思います。いずれにいたしましても、教職員をふやす場合には一挙に増員を行ないますと、それなりに資質を整えた方々を確保するということは困難でありますので、やはりある程度計画的に進めていかなくてはならないということについては御理解を賜わっておきたいと思います。  第三に、人口急増地帯のプレハブ校舎の問題がございました。四十九年度は用地の補助に対しましても、その補助の程度を高める改善を行なわせていただきました。また、総需要抑制のさなかでございますのに、事業分量として四十八年で実行いたしましたよりも一割ぐらいふやしたい、しかもそれを老朽校舎の改築よりも人口急増のようなところの新増築に多くを向けていきたい、そして御指摘のプレハブ解消に効果を出せるようにしていきたい、かように考えておるところでございます。  全体的に教育諸条件の整備につきましては、さらに努力を傾けていく決意でございます。
  122. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないものと認めます。  内藤誉三郎君から委員長の手元に、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、以上五党共同提案による修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。  この際、本修正案を議題といたします。  内藤誉三郎君から修正案の趣旨説明を願います。
  124. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私は、本法律案に対し、各党共同提案にかかる修正案を提出したいと存じます。  まず、修正案文を朗読いたします。   学校教育水準維持向上のための義務教育  諸学校教育職員人材確保に関する特別措置  法案の一部を次のように修正する。   附則第二項中「計画的に」を「財政上、計画的  に」に改める。  以上であります。  この修正案を簡単に御説明申し上げます。「財政上、計画的に」というように特に「財政上」を加えましたのは、この法律案における計画実現給与上に関するものであることを明らかにするものであり、将来財政計画を立てることを意味するものでないことを申し添えたいと存じます。  何とぞ御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  125. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、内藤君提出の修正案を問題に供します。内藤君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  127. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、内藤誉三郎君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  128. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
  129. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私は、ただいま可決されました学校教育水準維持向上のための義務教育学校教育職員人材確保に関する特別措置法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、以上五党共同提案による附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     学校教育水準維持向上のための義務教育学校教育職員人材確保に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)   政府及び人事院は、本法の施行に際し、次の点について留意すべきである。  一、高等学校、幼稚園並びに盲学校、聾学校及び養護学校の高等部及び幼稚部の教育職員給与についても、義務教育学校教育職員給与改善との均衡を考慮して同時に必要な措置を講ずること。  一、この法律における教育職員給与改善は、現行給与体系に基づいて行なうこととし、いわゆる5段階給与制度はとらないこととすること。  一、学校事務職員の給与改善についても配慮すること。  一、私立学校教職員給与改善について、国は財政上の措置を講ずること。   右決議する。  申し上げるまでもなく、本法律案わが国教育振興上重要な意味を持つものであり、これが影響する範囲も大きいのであります。そこで本法律案の成立にあたり、本委員会の意のあるところをこの附帯決議で明らかにした次第であります。何とぞ御賛成を賜わりたいと存じます。
  130. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) ただいま内藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  131. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 全会一致と認めます。よって、内藤君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し奥野文部大臣及び佐藤人事院総裁から発言を求められておりますので、これを許します。奥野文部大臣
  132. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) ただいまの附帯決議につきましては、政府としては十分検討し、努力してまいる所存であります。
  133. 世耕政隆

  134. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 人事院の所管事項に関しましては、十分御趣旨を体しまして善処してまいるつもりでございます。
  135. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 世耕政隆

    委員長世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十一分散会      —————・—————