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1974-03-06 第72回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月六日(水曜日)    午前十時十四分開会     —————————————    委員異動  二月二十七日     辞任        補欠選任      竹田 四郎君    茜ケ久保重光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小笠 公韶君     理 事                 佐藤 一郎君                 工藤 良平君                 田代富士男君                 中沢伊登子君     委 員                 志村 愛子君                 嶋崎  均君                茜ケ久保重光君                 小林  武君                 前川  旦君                 柏原 ヤス君                 沓脱タケ子君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    参考人        日本百貨店協会        常任理事     松下 省二君        日本チェーンス        トア協会会長  岡田 卓也君        灘神戸生活協同        組合専務理事   春木 秋広君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (最近の生活物資小売段階における取引動向  に関する件)
  2. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ただいまから物価等対策 特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月二十七日、竹田四郎君が委員辞任さ れ、その補欠として茜ケ久保重光君が選任されま した。     —————————————
  3. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査中、最近の生活物資小売段階における取引動向に関する件について、本日の委員会参考人として日本百貨店協会常任理事松下省二君、日本チェーンストア協会会長岡田卓也君及び灘神戸生活協同組合専務理事春木秋広君の三君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 次に、当面の物価対策樹立に関する調査を議題といたします。  本日は、最近の生活物資小売段階における取引動向について、各参考人から御意見を聴取した後、質疑を行ないます。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  皆さまには、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。本日は、最近の生活物資小売段階における取引動向について皆さまから忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本調査参考にいたしたいと存じます。  これより順次御意見をお述べ願うのでありますが、議事の進行上、お一人三十分以内で簡潔にお述べいただいた後に委員質疑にお答えいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  まず、松下参考人にお願いいたします。
  6. 松下省二

    参考人松下省二君) 御指名がございました松下でございます。ただいまから百貨店に関する最近の動向を申し上げたいと存じます。  最初に、百貨店考え方を申し上げたいと存じます。百貨店基本すなわち使命お客さまの文化生活完遂に奉仕するということで、この基本すなわち使命達成のための手段として商品を売っているのであります。商品を売っているのは使命達成手段でございます。商品使命達成手段対象物であり、しこうして百貨店利益に対する考え方使命達成の結果利益として還元されてくるというのであって、こういう考え方百貨店の経営をしているのが本筋であると思います。国民大衆文化生活完遂に奉仕するという基本すなわち使命は、百貨店はもとより、すべての産業、あるいはお医者さんとか、学者とか、その他も全くこの使命には変わりはないのでございます。金を貸したりあるいは預かったりする手段を用いると、これは銀行になる。汽車を動かして人を運んだり荷物を運んだりすれば、鉄道になる。要するに、業種というのは、あるいは職種というのは、手段が異なることであって、基本的な国民大衆文化生活を完遂するという基本すなわち使命は、これは全部一緒でございます。そういう意味で、この基本を堅持していくことが今次のような時局において特に重要であると信じます。  次に、われわれ百貨店は、以上の基本理念から、常々良品を適正な価格消費者皆さんに御提供申し上げることを信条としてきました。戦時中も公定価格を厳守してきましたのであります。今回も、日用雑貨、軽衣料、加工食料品等生活関連物資については、小売り価格の引き上げを当分自粛することを申し合わせたような次第でございます。  さて、百貨店の内部のことを少々申し上げます。私どもは、仕入れ基本といたしまして、きょうの商売をきょうお客さまにお売りしたその商売をいろいろな角度から詳細に分析、調査、検討して、お客さまからいただいたいろいろな御注意を十分そんたくいたしまして、きょうの商売で明年のきょうの商売計画を立てて、これを毎日積み重ねていって、最終的にたとえば冬のおしまいなら最終的に冬の来年の計画基本をつくってそして冬物生産体制に入る。冬物ですと五、六月ごろに生産体制に入りますが、その生産に反映させていくというのが仕入れ計画の概略でございます。  このようにして仕入れ計画生産に反映させると同時に、そのときの諸情勢を判断しまして業者と慎重に検討協議して十分第三者と競争に耐え得ることを前提として値段等を決定していくのであります。また、店へ商品を出す前には市場をいろいろと調査しまして、よそさんよりも高くないかどうかということをよく検討して店出しを期の初めにはしていくと、これが実態でございます。そういう意味で、小売り値というものは、いかなる場合といえども他のいずれの同業よりも絶対高く売ることは許されないのであります。これが小売り価格実態であります。かくのごとくにして、おのずと適正な価格を保ち得るのでございます。  百貨店仕入れにおいて最も大切なことは、企画性計画性であります。長年にわたりまして業者企画性をもって結合しているのでございます。そうして商品流通の円滑を期してきているのでございます。そういう意味で、先般のように価格激変があった場合でも、計画が相当前に緻密に立てられておりますから、多少の緩衝期間を持っております。この緩衝期間は値を上げないで耐えていってそうして激変を防ぐ努力をしているのでございます。ですから、計画生産計画販売をいたしておりますから、いわゆる先般のように急激な変動があってもその間に緩衝期間がある。その期間を有効に利用しまして激変を防ぐように努力しているのが実態でございます。ただし、極端な需給のアンバランスが生じたり、誇大な品不足情報が伝わったり、先行価格騰貴態勢が非常に強力になると、急激な需要を喚起いたしましてわれわれの持っている商品はたちまちなくなって物価高騰を来たしてくるというのが実態でございます。  とりわけ、昨今は、流通合理化によりまして流通ストックが非常に少なくなっております。流通合理化というとスムーズに流れることでありますから、スムーズに流れますから、流通ストックが非常に少なくなっている。どこかに急激な需要が発生しますと、流通ストックそのものが少ないのですから、流通に乱れを生じて品不足現象を来たすということがあることは、特に留意を要するところであると信じます。合理化を徹底するのには、やはり計画性、これが最も大切です。計画性は、過去においては大体金額的計画性を持っておればあまり蹉跌を来たさなかったのですが、昨今は金と物資計画を緻密に立てないと、いろいろな面でそごが来るようであります。そういう面で物資計画というものをこれは商売人も国家も徹底的に立てないと、激変には備え得ないのじゃないかと、こういうぐあいに思います。  そこで、いま私どもの一番警戒しているのは、昨今は御承知のように情報時代と言われます。情報時代ですから、いろいろな情報がたちまち各方面に拡大されます。こういう時期において、物価が上がるという情報品物不足するという情報ばかりが伝達されているのですね。物価が下がっているという情報なんぞ伝達されたことはない。物価が上がる、品物不足するというような情報、ほとんど情報というとそうだと思います。そういう関係で、こういう情報が流れますと、先行価格高騰態勢先行き物価高という感じを強く植えつけます。したがって、需要を喚起します。需要がふえるから値が上がる、同時に国民不安感を覚えるというのがいまの実態で、この点は私どもは非常に遺憾なことだ思っております。これに反して、物価の下がるという情報、あるいは商品は豊富だという情報、こればっかり伝えれば、先行価格騰貴態勢はなくなって、先行価格低落態勢を誘発します。先行き物は安くなるだろう、まあ急いで買わぬでもよいだろうという気風を植えつけます。こうなると、需要は安定、停滞します。したがって、国民安定感を得まして物価は安定します。そういう意味で、こんな時期こそは物価の上がることを報道しないで、また、品物不足ということを報道しないで、物価はむしろ下がった報道をせいぜいやって、商品は豊富だという報道をせいぜいやって、国民安心感を与えて先行価格低落態勢を誘発するということが、需要が安定して、また国民の感情も安定いたしまして、物価の安定を来たすのだと、こう思います。往々にして逆をやっている面が非常に多い。それで、上げぬでもいいものが上がっちゃう、たくさんある物が品不足になる。ある地方ではな紙買い占めをやっている、東京お客さんははな紙は足りないんですかねえなんて言ってきます。私ら、たくさんありますとお客に言えと、そう言っております。ですから、こういう不安感を与えると、みんないまふところはいいのだから、さっそく買いだめをします。ところが、先ほど申しましたように、流通合理化というのは流通経路ストックが少ないということは合理化一つの大きな特長なんです。だから、どこかで買いだめをしてしまうと、流通が不円滑になり乱れる。したがって、価格がそこに、まあいまは統制時代じゃないのだからやみ価格じゃありませんね、自由価格だから自由価格高騰を来たす。こういう追っかけっこをしておるのが現状なんです。そういう意味で、私どもは、物価安定対策としては、物の高くなった情報品不足情報は極力出さない。物価が安定している、下落している、物によっては下落しているものはたくさんあるんです、こういうものは下がったと言えば、国民は、将来物は安くなることはあるだろうという考えを持ちまして、そう買い急ぎしなくなります。そこで流通が円滑になりますから、異常物価高というものは絶対に起きない、私どもはこう考えております。  そこで、同じ需要ですが、需要はこれは二つに分けて考える必要があると思います。私どもは、この需要を、消費需要とそれから事業需要と名をつけておりますが、この名前がはたして適当かどうか、これは皆さんの御判断にまかせます。消費需要というのは、国民一人一人が毎日生活していくのに必要な物資需要のことを私ども消費需要と言っております。百貨店はこの消費需要を全面的に承っている業種でございます。  そこで、消費需要動向を見ていますと、先行価格騰貴態勢が強いと、お客さまは買いに来まして、需要数量がふえます。先行き物価高いぞという感じお客さんに抱かせると、買いに見えて、売れる物量はふえてきます。それから、値が上がってもうこの辺が頂上だろうというような感じを抱かせると、これはどうしても需要が減退しまして、まあこのごろいインフレしていますから売り上げ金額はそう変わりないが、実数は減ってきます。現在、ことしの一、二月は数は五分ぐらい減っております。金額は伸びていますが、数は五分ぐらい減っております。これが需給バランスによって価格を安定させていくといういわゆる経済原則なんですが、なかなか経済原則を働かせるのにほかのものが作用する。いわゆる高くなる、なくなるというような感じを与えると、お客さまは全部が先行物価騰貴感を抱きますから買いあさりますが、現状はそういう意味で私は需要は安定しているのだと思います。金額は伸びていますが、数量はやや減っております。  そこで、消費需要というものの量、これはそんなに激変はないものです。せいぜい違っても五分ぐらいが上下しているというところです。御承知のように、われわれは、御飯は一回に一ぱいしか食べないとか、パンは一切れしか食わないとか、まさか洋服三着一緒に着るわけにもいきません。そういう関係で、消費需要量というものはそう変化はないものです。これは長年の統計をとってみますと、需要量に大なる変化はございません。まあ金額変化があります。景気がよくなれば高いダイヤモンドを買ったりなんぞしますから、あるいは同じ家具でも一千万もするセットを買ったりしますから、金額はふえるが、消費需要の量というものはあまり変化がないということを基本に考えてよいのじゃないかと思います。そうなってくると、消費需要を安定させるということは、流通を円滑にするということ以外にないんです。そこで、流通を円滑にするということは、計画性が非常に大切で、同時にいまのように先行価格騰貴性を植えつけてはいけないのです。だから、消費者も従来の流れによって消費物資の買い上げをしていただくと、そういう態勢でおれば、流通は円滑にいって、異常物価高は出てこない、こう考えます。  ところが、事業需要というのは、これは消費需要とは非常に差がありまして、事業需要量というものは変化が非常に大きいです。卸売り物価を左右しているのは、主としてこの事業需要変化によって卸売り物価が上がったり下がったりしております。事業需要の非常な増大をすると、卸売り物価は非常に上がります。消費需要というものはそう変化ないから、消費需要卸売り物価を上げる力はまあないと言っても可なりですね。だから、去年あたりからの卸売り物価上昇というのは、主として事業需要の非常な増大によって上がっているものだと考えます。だから、事業需要というものはそのときによって増大のしかたが非常に大きいのです。一例を東京建築をもって見ましても、私は、過去において、新しい建築ができるといろいろな需要があるから、東京にどんな建築がどこにどうあるか調査させてみました。昭和三十七、八年ごろは東京に二十か二十五ぐらいにしか新しい建築はありませんでした。いまはおそらく東京には何百という建築があるはずです。先日も私は東京駅から新宿まで帰る道すがらハイウェーで建築を勘定していくと三十九ぐらい目につくのですが、東京都内にはもう何百という建築があるでしょう。そうすると、十年前といまとでは何倍という大きな需要になっている。したがって、まあ総需要の抑制と言われますが、ほんとうは事業需要のアジャストをすることが非常に大事だと、こう思います。  そういう面で、私ども消費需要を主として扱っているのですが、事業需要の激増によりまして事業需要面商品高騰すると、必ず消費需要面商品価格が及んでくるのです。一例を申しますと、今年あたりは、家賃が従来なら年に五分ぐらいしか上がっていなかったのが、今年あたりはおそらく一割五分から上げてくるんじゃないかと思います。一割五分家賃が上がったらこれは消費需要に影響がないということは言われません。そういうわけで、消費需要は、量においてあんまり変化はないが、事業需要のほうは量においてそのときそのときによって激変がある。そういうことで、事業需要生産バランスをとっていくことがインフレを防ぐ上において非常に重要である。私どもは、ですから、消費需要を扱っている者としては、事業需要バランスをうまくとっていただけば非常によいんだなと、こういうぐあいに思っています。  現在、物価は、戦前昭和十年、これは戦前で一番安定した年ですが、それを基準にすると、おおむね千倍だといわれております。ところが、ちょっと調べてみると、二百六倍から二千倍以上までの幅があります。戦前昭和十年を一〇〇として、二百六倍ぐらいから二千倍ぐらいの幅があります。まあ平均千倍近いというところが普通でございましょう。その中で、人件費は、大学出は、昨年が千五十倍、ことしはおそらく千三百五十倍ぐらいになるでしょう。それから高等学校出は、昨年が千二百七十倍、ことしはおそらく千六百七十倍ぐらいになるだろうと思っています。これは戦前日本人件費は非常に安かったということから言いましてほどほどだと思っています。それから工場生産品の倍数は比較的少ないんです。生活必需物資の中でも工場生産品しょうゆとか酒とかお砂糖とかというようなものの上昇率は千倍に達しておりません。それから一般消費物資でも私どもの着ているワイシャツなんぞもこれは千倍に達しておりません。洋服あたりも八百倍ぐらいです。それから一番お召しになっていらっしゃるのではくつ下が一番安いでしょうね。これは人手を要する商品じゃないんで、機械で生産する商品ですから割安なんです。戦前は八十五銭ぐらいが仲値だったのですが、いまは五百円が仲値でございましょうね。それぐらいに非常に伸び率は少のうございます。まあ二百六倍というのはこれは極端です。これは私鉄の運賃です。あんまり押えるからこんなでこぼこがあるんです。そんなことを言うと、おまえ小田急だから小田急電鉄の肩を持って言うんだろうといわれるけれども、これは事実なんです。なんにも私は電鉄とは関係ございません。  そういう面で私ども事業需要をしょっちゅう検討しながら商売をしているのですが、事業需要というものはなかなか簡単に統計は出ていないんです。私も先日建築申請を見ると、建築申請は構造と面積と斜線制限三つが合格すれば許可になるんです。何でこれは鉄の量が幾らセメントの量が幾ら、ガラスの量が幾ら、アルミニウムの量が幾ら、木材の量が幾らかかりますということを申請して許可しないんだろうかと思いました。私は長く商品仕入れをやっておりますから、建築申請なんぞは、許可前にそれに必要な資材を同時に申請させてこれをコンピューターにぶち込んでおいて、鉄の生産セメント生産等バランスを見て、えいこの建築はしばらく待ったとやれば事前に十分アジャストできると、こういうことを感じました。  われわれの商売仕入れのしかたは、そういうぐあいに、物資実態金額と両面で予算をつくり、それから仕入れ計画を立てているのが実態でございますので、昨今のように流通経路合理化されて退蔵品が非常に少ないときは、もっと緻密に物資計画を立てる必要があると、こういうぐあいに感じました。  御参考になったかどうか存じませんが、以上で私の申し上げたいことを終わります。どうも御清聴ありがとうございました。
  7. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ありがとうございました。  次に、岡田参考人にお願いいたします。
  8. 岡田卓也

    参考人岡田卓也君) チェーンストア協会の副会長をいたしております岡田でございます。  チェーンストア協会は現在七十六社の会員店でございまして、その総店舗数は二千三百店でございます。チェーンストア協会といたしましては、その目的はわが国の流通近代化を志しておるわけでございまして、新しい形での流通問題に取り組んでおるわけであります。特にチェーンストア協会会員店はほとんどが生活必需物資を扱っておりまして、その他高額品はほとんど扱っておらないというのが現状でございます。したがいまして、今回の物価高騰時におきますチェーンストア協会会員店のそれぞれの現状とその対処のしかたをお話し申し上げたいというように思います。  その一つといたしまして、昨年十月から十二月までの間の現状と一月以降の現状とに二つに分けてお話を申し上げたいと思います。  昨年、急速な物資不足高騰に見舞われたわけでございますけれども、そのときにおきましては私ども非常に情報不足をいたしておりまして、一体どのようになるのであろうかというために非常な混乱がございました。そしてまた、急激な消費者買い占め、あるいはメーカー、卸問屋さんの値上げ攻勢、また年末という特殊事情等によりまして、私どもの業界もかなり混乱をいたしたことは事実でございます。  特に、その間におきまして、例を申し上げますと、十月に大阪におきましてトイレットペーパー買い占め事件がございました。これはこつ然として起こったのでございまして、当時私どもチェーンストアが売っておりましたトイレットペーパー値段は大体百円前後でございます、これは四ロールでございます。それがまたたく間に買い占めをされまして、当時、小売り店頭等では、もうすでにそのときにチェーンストアがなくなりますと、三百八十円、四百円という高価格が出現をいたしました。私ども計画的に生活必需物資販売をいたしておりますので、そのときの私どもストックという一週間分が一日にしてなくなるという状態でございました。トイレットペーパー等におきましても、その間私どもはやはり供給機能ということを第一に考えたわけでございまして、私どもバイヤー等は昼夜を分かたず各地を走り回って商品を買い集めて供給したわけでございますけれども、力及ばず店頭等におきましては生活必需物資が姿を消す、われわれのスーパーマーケットの店頭でたながあくという現状が起こったわけでございます。このことに対しまして私ども安定供給機能を完遂しなければならないわけでございますけれども、その点について非常な反省をいたしておるわけでございます。  チェーンストア協会といたしましては、その間に、十月の二日には安売り禁止令反対運動協会として行なったわけであります。また、農林省の豚肉の小売り価格引き下げ運動に対しまして協力をいたしました。また、通産省の放出トイレットペーパー販売協力をしたわけでございます。そのほか、洗剤、砂糖、小麦粉、しょうゆ等放出物資販売に対しまして協会の各会員店は必死の協力をしたわけでございます。この販売につきましても、私どもがやりました一例を申し上げますと、たとえば砂糖でございますと、何々店でこれを販売せよというお話がございます。それでトラックをもって取りに参りますと、それは大袋でございまして、私どもは徹夜でそれを小袋に詰めて、しかも原価で全部販売し、その手数料、小袋代等は全部それぞれの店持ちという形で行なったわけであります。そのように必死にいたしましたけれども、先ほど来申し上げましたように、私どもは力及ばず、ある程度の混乱をいたしたわけでございます。  一月に入りましてようやく私どもも落ちついてまいったわけでございます。そして、一体この混乱に対してわれわれとしてどう対処すべきかという問題でございます。私どもは十二月におきましてはとにかく物を集めることに必死になったわけでございます。しかし、一月に入りましてぼつぼつ物が出てまいりました。その間におきまして、私ども協会といたしましては一月の二十五日に臨時総会を開きまして声明を発表いたしました。その一といたしまして私ども混乱に乗じて価格をつくり上げようとする生産業者には協会の力を結集して対抗する、二といたしまして内外の供給源の開発と確保につとめ、生活物資安定供給体制を確立する、三といたしまして、より一そう流通コストの低減につとめ、あくまで低価格販売を推進するという三つの宣言をしたわけでございます。そしてそれに呼応しまして——一月の九日にはその前に西友さん、ダイエーさんのインスタントラーメンの旧商品についての旧価格販売ということを行なったわけでありますし、また、一月十日にはジャスコのカップヌードルの販売中止、それからこのチェーンストア協会宣言に呼応いたしまして一月の二十二日には西友さん、ダイエーさんの値下げ宣言が行なわれました。それに続きまして、イトーヨーカドー、いづみや、ジャスコ、ニチイ等が一月の二十三日には値下げ宣言をしたわけでございます。さらに中部地区でユニー、九州で淵上ユニード、東京で東光、忠実屋と、すべてのチェーンストアが続々と値下げ宣言をいたしたわけでございます。  この値下げ宣言につきましては、私どもはどの業界よりも先べんをつけて、値下げ宣言をしたわけでございまして、これが物価高騰に対する鎮静の一つのきっかけになったのではないかというように思っておるわけであります。特に、チェーンストアは、先ほど申し上げましたように、全国に二千三百店の協会の店がございまして、そうしてそれぞれの店がそれぞれの地域のしかも消費者に直結した形での店舗立地に存在するわけでございますので、この問題は消費者の方々にとっても一種の安心感を与えたのではないかというように思っておるわけでございます。  そのほか、私どもは、牛肉の小売り価格引き下げ運動、これは農林省からの御指示でございます、それに協力をいたしました。また、国民生活安定緊急措置法に基づく指定物資販売につきましても政府の標準価格とあるいは指導価格以下ですべてを販売いたしております。たとえば、トイレットペーパーでございますと、二百四十円のものを二百二十円でありますとか、あるいは洗剤、砂糖その他につきましてもすべてその価格以下で販売をいたしておるわけでございます。これは私ども自身の利益を縮めて販売をいたしておるわけでございます。また、一月の二十八日には私ども協会といたしましては、価格の改定に関連する要望をいたしました。この問題は、今回の価格上昇につきまして、各メーカーその他がすでに印刷してあります前の包装その他に商品を入れまして、私どもに上げた価格で配送してまいります。私ども店頭に並べますと、この点について非常に消費者からの誤解その他を受けるわけでございますので、その点について各関係方面に要望をしたわけでございます。さらに、学用品の値下げ運動その他を行なってきたのであります。  私どもチェーンストアとしてこのような一連の物価上昇に対しましてできる限りの努力をしたのでございますけれども、まだまだチェーンストアというもの自体が非常に新しい業界でございますし、私どもも急速成長をいたしておりますので、それぞれの企業の中でまだ行き届かない点が多々ございまして、消費者の方々にも非常に御迷惑をおかけしたことをおわびを申し上げておるわけでございます。  そして、チェーンストアとして今後の対策といたしましては、物価高騰を鎮静するために、先ほどから申し上げましたのはこれは異常事態の問題でございまして、長期的な観点から申しますと、日本流通合理化すること以外に今後の安定商品の供給、そして低価格での供給ということはあり得ないわけでございまして、それには第一にチェーンストアのシステムというものをわれわれが完成すること以外にないというように私は確信をいたしております。そのために現在政府が行なわれておりますいろいろな問題を考えてみますと、むしろそれに逆行するような形で私どもの店舗の拡大等につきましてはキャバレーとかその他のものと同一に扱われており、そして、いまだ士農工商と申しますか、商に対して、特にその中で流通近代化を志しております私どもに対して、全く御理解がないというように私ども感じておるわけでございます。  また、私どもといたしましては、今後流通コストの削減をいたしていかなければならないわけでございまして、まだまだその道は遠いわけでありますけれども、配送センターその他についての完成をいたしていくわけでございまして、また、そのほか、国際的な開発輸入等も今後行なっていかなければならないわけであります。その前提条件といたしましては、どれだけかの量がまとまりませんとこれはできないわけでありまして、そういう点での私どもはいま店舗網の拡大をしなければならないというように思っております。十二月あたりに私どもの店舗のたながあきましたのは、これは消費者の方々がチェーンストア、特にスーパーチェーンストアに対しまして生活必需物資はここよりたよるところがないんだという形で押し寄せた結果だろうというように思うわけであります。そういう期待にも私どもはこたえなければならないのでありまして、そういう意味での日本の商業施設というものはまだまだ足らないのではないかというように思っておるわけであります。  さらに、国際的な開発輸入をいたしますについて一つの隘路となっておりますのはIQ商品の開放でございまして、輸入生鮮食品、特に鮮魚その他におきましては私どもにワクはございません。私どもが開発輸入をしようと思いますと、これはすべて四%それぞれに手数料を払わなければならないという状態でございます。食肉等につきましてはチェーンストアについてもすでにその窓口を開放していただきましたので、われわれはすでに各地で開発輸入を現在行なっておるわけでございます。  また、防災関係につきましていろいろ問題等も起こっておりますので、この点についても低利融資等をぜひ近代化のためにお願いを申し上げたいというように思うわけであります。  特に、現在、私どもは電力節減に対しまして開店時間を三十分おくらしておるわけでございますけれども、この点につきましても、町を見ますと、いろいろ夜間営業をしておるところにはネオンがあかあかとついております。私ども、冬のときはいざ知らず、現在この三月、四月になってまいりますと、開店時間十時三十分というのは、主婦が生活必需物資をお買いになるのに、すでに開店前に店頭にたくさんの消費者の方々がお待ちでございます。この問題についても一日も早く開店時間を早めるようにお願いを申し上げたいというように思っておるわけでございます。  そして、私どもが開発いたしますのは、共同店舗を開発をいたしております。すでに私どもの会社でも、専門店その他の小売り店が、開発いたしましたショッピングセンターに入居をいたしております数は約千五百店にのぼっておるわけでございまして、チェーンストア協会全体を合わせますと膨大な数の小売り業者の方々がこのチェーンストアの開発したショッピングセンターに入居いたしておるわけでございます。私ども生活必需物資販売するということが主体でございますので、それに見合った形での相乗効果を期待いたしましてそういう前向きの小売り業の方々と力を合わせてやっていく方針でおるわけでございます。  また、現在やみ再販というようなものもかなりございます。この点につきましても行政指導を強力にお願いを申し上げたいと思いますし、また、価格の大幅に上昇しておりますメーカー等についてもその価格の引き下げ等について行政指導をよろしくお願いを申し上げたいというように思うわけであります。  いずれにいたしましても、私どもチェーンストアといたしましては、流通近代化を志しております。そして、大多数の消費者の方々の生活必需物資についてその安定低価格供給を考えておるわけでございますので、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  以上チェーンストアにつきましての御説明を申し上げた次第でございます。
  9. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ありがとうございました。  次に、春木参考人にお願いいたします。
  10. 春木秋広

    参考人春木秋広君) 私はただいま御紹介いただきました灘神戸生活協同組合の専務をいたしております春木でございます。  申し述べる前に、灘神戸生協について若干御説明を申し上げたいと思います。私たち灘神戸生活協同組合は、大正十年に創立いたしまして、ことしでちょうど満五十三年になるわけでございます。われわれは消費生活協同組合法によって運営いたしておりまして、われわれの活動いたします区域は兵庫県知事の認可によるわけでございます。現在、大阪と境を接しております尼崎市、伊丹市、川西市から、西は加古川市までの兵庫県の中央部の九市がわれわれの活動区域であります。この区域の中に現在三十六万世帯の組合員がございます。このエリアの中の総人口が大体二百七十万ぐらいでございますが、三十六万世帯と申しますと、その家族数は百三、四十万ではなかろうか、大体エリア内の半数の消費者皆さん方が何らかの形で灘神戸生協と関係があるということでございます。御承知のように、生活協同組合でございまして、この三十六万の各家庭が零細な資金を持ち寄りまして運営をしておるわけでございますが、私たちの生活協同組合の運営につきましては、主として家庭の奥さま方がこれに参画していらっしゃるわけでございます。こちらにいらっしゃいます中沢伊登子先生も実は四十年来のわれわれのほうの組合員さんでございまして、この灘神戸生協育成のためには非常にお世話になっているわけでございますが、阪神間と申しますと、家庭の奥さま方も、かなり良識を持って、しかも決してそう極端なものに惑わされずに真剣に生活に取り組んでいらっしゃる家庭の奥さま方が多いのじゃなかろうかと思いますが、そういう奥さま方がそれぞれの中から代表を出してわれわれの生活協同組合の運営にじかにはだで参画していただいているわけでございます。  私たちの生活協同組合は、不急品であるとか、奢侈品であるとか、ぜいたく品というものは一切扱っておりません。すべて生活関連物資だけでございます。しかも、その中でも、特に毎日の生活に最も必要といわれる生鮮食料品、これについては、全体の事業分量の三分の一がこれに当たっているわけでございます。さらに、残りの三分の二の中の三分の一が保存食品でございます。さらに三分の一がいわゆる非食料品といわれます日用家庭用品、衣料品関係でございますが、これすべて毎日の生活に必要な商品だけを取り扱っている現状でございます。さらに、われわれのほうで、パンであるとかおとうふであるとかコンニャクであるとかうどんであるとか、こういう地域的な産物につきましては、直営の工場を持ちまして、それをつくりながら組合員に供給しております。そういうふうなものを大体年間三十億ほど生産をいたしております。本年度におきまして総供給高が大体八百億ぐらいになろうかと思いますが、これが全部各家庭に利用されているわけでございます。取り扱い件数といたしましては、時期によって若干違いますが、まあ一万二、三千点をわれわれのほうの生活関連物資の中でも緊要度の高いものを主として扱っております。  最近のいろいろな商品に対する不信感といいますか、昨年の魚のPCBの問題であるとか、またカドミウム、水銀の問題であるとか、有毒色素の問題、増量剤においても、とかく消費者は非常に神経過敏になっております。われわれのほうにおきましては、昭和四十二年に商品検査室をつくりまして、これらの商品の、特に食料品関係におきましての理化学的な分析、また細菌検査、これをもっぱらこの商品検査室で行ないまして、いわゆる厚生省が示していらっしゃる安全基準があるわけでございますが、最近はともすれば厚生省の安全基準ですら消費者の奥さま方は信用しないというふうな風潮もございまして、そういう奥さま方と相談して、灘神戸生協における取り扱い基準というものをつくりまして、そしてわれわれその検査室で検査したものだけを仕入れる、また、常備商品として置いております商品も絶えずこの品質検査をいたしまして、安心して召し上がっていただけるものだけを常時店頭に並べるというふうな手段をしながら毎日の業務運営をはかっているようなことでございます。  そういうふうな中で、昨年の非常な物価高騰、また品切れ問題、これはわれわれ五十三年の組合運営の歴史の中でもこういう経験は初めてでございました。昨年の初めから若干物価高騰のきざしがございまして次々と値は上がりましたが、その値上がり幅と申しますのはせいぜい五%ないし一〇%程度でありました。しかし、この値上げにつきましても、そのつど組合員を集めまして、また組合員の集まりに出かけてまいりまして、こういう実情で、こういうふうな結果の値上がりでございます、というふうなこともいろいろ逐一業界事情については説明したわけでございますが、消費者皆さま方はこの値上がりにつきましても非常な心配と抵抗をされたわけでございますが、しかし、そういうふうな中で、昨年の十月以降石油危機問題から起きましたあのパニック状態のときに、われわれ消費者皆さま方はふだんから、こういうことについて非常な勉強をしていらっしゃる方々ばかりでございましたが、あの急速なパニックのときには日ごろのそういう勉強も訓練もほとんど役に立ちにくかったというのが現状ではなかろうかと思います。先ほど来岡田参考人さんからも申されましたが、ああいうふうな状態でございまして、われわれの店頭の開店時には、毎朝二、三百人、多いところでは五百人のお客さまが詰めかけられるわけです。電力の削減からわれわれのほうも開店時間を十時半にいたしておりますが、そのときにすでに黒山のような消費者店頭にお待ちになる。そして、シャッターがあくと同時に洗剤の売り場へ走られる方、おしょうゆの売り場に走られる方、また砂糖の売り場にというふうな状態でございました。それで、われわれのほうも一応そういう生活関連物資の中でも特に重要商品につきましては計画を立てましてメーカーと年間契約をして、一月には幾ら、二月には幾ら、五月には幾らとびしっとした入荷計画を立ててやっているわけでございます。われわれのほうは、そういう商品のふだんの在庫は大体十日を基準にして在庫をしたわけでございますが、十日分の商品が二、三時間でなくなるというふうな実情でございました。  われわれとしましては、消費者のあの不安な顔、また焦燥感にかられたあの動作を見ておりますと、組合員の集会に行って、こういうものが突然こういう姿でなくなるということはないんだ、皆さんどうか生協を信用して私たちの言うととおりにしていただけないでしょうか、きっとわれわれは努力をしてそういう物資の入手については最大の努力を払いますから、そんなにお買い急ぎなさらなくとも御心配要りませんと、こういうふうなことを申しました。ところが、結果として、そういう私たちの呼びかけに対して生協を信用して買わなかった人たち、買い控えをなすった方々は、結果から見たら非常にあほうを見たと、こういうことから、ずいぶんあとになってわれわれはおしかりを受けたわけでございます。先ほども申しますように、阪神間の家庭の皆さま方は、そういう意味ではある程度の余裕とまた一面教養も持っていらっしゃって、そう顔色を変えて走り歩くということが少ない皆さん方でございますが、なぜこうなったかということをいろいろわれわれもあとで検討したわけでございますが、たまたま十二月というふうな賞与月でもありまして、お手持ちもかなりあったと思うのです。そういう中で、特にこれは東京と関西との違いじゃなかろうかと思いますが、関西の主婦の皆さん方は、経済的に非常に敏感でございます。したがって、値段が上がるということは、それに対する反応がきびしゅうございます。したがいまして、自分のそういうふうなはだで感じた危機感というものから値が上がることに対して早く安く買っておこうというふうなこの気持ちは、私はその後メーカーなり流通段階においての買い占めとか売り惜しみがあったことが新聞に出ておりますが、消費者買い占めをしたから値が上がったというのはこれは当たらないと思うのです。危機感を先取りしたのは消費者だけではございません。おそらくいろいろな企業がこの危機感を先取りしての値上がりが今回は非常に大きかったのではなかろうかと思います。参考までに申し上げますが、たとえばお砂糖一つとりますと、昨年の九月は百二十九円でございました。これはわれわれの仕入れ価格でございます。そして、ことしの二月は百八十五円になっております。また、おしょうゆにいたしますと、去年の九月が二百七十一円六十六銭でございました。それが三百十六円六十六銭でございます。砂糖は一四三・八%上がっております。しょうゆは一一六・六%です。ただし、しょうゆは昨年のうちに二度値上げをいたしております。そのほか、詳細な数字はここに持ち合わせておるわけでございますが、中には全然上がっていないものもございます。非常に大きく上がりましたのは一六〇%程度上がっておるものもありますし、われわれのほうで昨年の九月とことしの二月の食料品の平均値上げ率を出してみますと、大体二二六%ぐらいではなかろうかと思うわけでございます。実は、この品切れと値上がりの途中でございますが、あまりにも早い値上げ、しかも大幅な値上げ、これはわれわれとしてはどうしてもふに落ちませんでした。それで、これを突っ込みおるとなかなか品物がもらえない。ところが、消費者のほうは顔色を変えて売り場を走り歩かれる。われわれとしては何としてでも安心してもらうためには商品の獲得がまず第一であるということのために価格検討がいつもより非常にずさんであったことも事実でございます。これにつきましては、後ほど相当消費者からわれわれもおしかりを受けたわけでございますが、たまたまそういう中間にあるメーカーのセールスがお見えになりまして聞いたことばの中に、政府のほうで生活緊急安定措置法をおつくりになる、そしていわゆる標準価格をおつくりになる、標準価格をおつくりになるなれば、これはそれから以後の値上げということはとてもできないというふうなことから、会社の幹部が寄って幾らにするかということを検討しておる中の材料として、三五%、四〇%という原油のカット、それから来る製品の生産縮小、それから副資材の高騰、それから円の相場の下落、それから当然来るであろう来年の春闘の賃上げ、こういうもろもろのものを計算をして、値上げしないと困るぞというふうな検討が実はなされておりましたと、これはちょっと聞いたわけですが、そういうことの結果、短期間のうちにいろいろな危機感の先取りから、あの三割、四割、六割というふうな大幅な値上げがここに出てきたのではなかろうかと思うわけでございます。  私たちは、組合員の皆さん方に、とにかく生協としては、もうこうなったら、五十三年の歴史からそれぞれの仕入れ先につきましてはわれわれのほうは仕入れ先は絶対変えないという方針でやっております。幾らよそから安く言うてきても、そっちにすぐには変わらない。そのかわりにいつも取引いただいておる、また生協を理解して応援していただいておるところにはいろいろな条件から最低の条件をいつも要求する。そういうふうな長い取引のおかげで相当量あちらこちらの店が品切れになっておりましても、生協には商品が続きました。その結果、大阪とか京都のほうから集団でわれわれの店に買いものに来られる人がふえてきたわけです。われわれの商品の入手実績というものは、組合員がいままで組合を利用された実績のもとにその商品が入っておるわけでございます。したがいまして、われわれは、消費生活協同組合法でも員外販売は禁止をされておるわけでございますので、組合員にこれを公平に渡すのにはどうするか、また、組合員の方々も、日ごろ見ない人がたくさん買いに来ておる、これではわれわれ困る、こういうふうな組合員からの要請もございまして、いままで小型の組合員証を出しておりましたが、大型の組合員証を印刷いたしまして、そうしてたとえば洗剤なれば一回の洗たく量が大体三十グラムで洗たくができるわけでございます。そうすると、毎日洗たくされても九百グラムあれば一応毎日一回の洗たくはできる。それで、普通洗剤の箱は二・六五キロでございます。したがって、二・六五キロの洗剤一箱をお渡ししたらまあ二カ月はひとつごしんぼういただこう。砂糖は大体一カ月の消費量がどれくらい、しょうゆはどれくらい、メリケン粉はどれくらい、こういうものはわれわれのほうはこういった基準がきちっと研究でできておりますので、皆さんが何回も何回も並んで買われるというふうなことは非常なむだでもありますし、また、緊急物資の供給には片寄ってはならないというふうなことから、膨大な手数をかけて組合員証をつくりまして、そうして組合員の皆さん方に、たとえ病人があろうとも、幼児をかかえた奥さんでも、必ず品物が渡るというふうなことを実行いたしまして、組合員の皆さん方に非常に喜んでいただいたわけでございます。そういうふうにして、一時は二日とか三日砂糖も切らしたこともございますが、上白がなければグラニュー糖、またグラニュー糖がなければ上白糖というふうなことで、あのさなかでも砂糖が切れたのは二、三日しか切らさなかったのが現状でございますし、また、洗剤関係にいたしましても、前年対比二七〇%ぐらいの入荷を得まして組合員に提供したようなことでございます。  一月に入りまして漸次商品が出回ってまいりました。特にわれわれふしぎに思いますことは、国民生活安定緊急措置法から標準価格が出されましたトイレットペーパーあたりでは、参考に申しますと、ある一つトイレットペーパーを取り上げますと、八月の価格が九十円、これは四ロールで九十円でございました。これが九月になりますと百十八円になりました。十一月には百五十七円になりました。十二月には二百十六円になったわけです。ところが、標準価格が出ましたとたんに百九十二円五十銭に落ちました。それで、いま二百四十円が標準価格ということでございますが、われわれのほうはそれを二百十八円で現在も供給しております。こういうふうにして、政府のほうからの御指導がありましたもの、こういったものが一月に入りまして若干値が下がってはきておりますが、われわれはこの値下がりも一時的な現象ではなかろうかと思っております。いよいよ原油価格が数倍に上がったものが、製品化されて出てくる季節になりまして、いまも毎日の新聞にそれが出ているわけでございますが、実はこの値上げについてはよほど慎重にやっていただかないと、十二月のパニックはわれわれ非常におそろしいものだということをはだで感じました。あの奥さま方があんなに殺気立たれたことはわれわれも長い歴史の中で初めてでございますが、今度の石油価格高騰からの石油製品をどういう形で政府が指導されるか、われわれは毎日それを見守っているわけでございますが、いま深刻な不安が再び消費者の頭の上におおいかぶさっております。これはへたをすれば十二月以上の大きな混乱がまた起きるのではないかということを非常に心配しているわけでございますが、われわれといたしましては、先ほど岡田参考人も申されたごとく、ほんとうにここで政府の適切な処置、指導が一番必要な時期になっておるのではないかと思います。  われわれ末端におきましては、消費者の悩みはわれわれの悩みであり、消費者の喜びはわれわれの喜びでございます。そういう中で、最後になりますが、一言お願いを申し上げたいと思うわけです。と申しますのは、われわれは、消費者が集まってつくって消費者がみずから手を下して運営いたしておるのが生活協同組合でございます。いろいろ消費者運動もあるわけでございますが、われわれは毎日大根を扱い、コンニャクを扱い、また衣料品を扱って、生活の鼓動とわれわれ生協の事業は同じ心臓で同じ波長で動いているわけでございます。いろいろ物の流通には百貨店さんもございます。また、スーパーマーケットもチェーンストアもいらっしゃる。それぞれの分野において非常な貢献をしていらっしゃるわけではございますが、消費者自体がそういうふうな運動に取り組んでいるのもぜひひとつ政府としては取り上げていただきたいと思うのです。実は、神戸市が、今回、われわれのところに一億円の金を提供しようと。そうして、緊急物資をぜひ灘神戸生協の手で獲得してくれ、そして灘神戸生協の組合員だけでなしに一般の小売り屋にも灘神戸生協で入手した物資を流して神戸全市民に回してくれと、こういう要請を受けております。そういった点からいたしましても、われわれの生活協同組合の仕事がまだまだ全国的には小そうございます。しかし、ここでは消費者が納得した方法で分配をしているわけでございます。ヨーロッパの例を見ていただきますと、西ドイツなり、デンマークなり、スウェーデンなり、また、フランスにおきましても、イギリスにおいても、その国の小売り総額の多いところでは一七、八%から一〇%程度まであるわけでございますが、特にスウェーデンあたりの食料品については四〇%近くを生活協同組合がやっております。そのために、そういう国際的なインフレ下におきましても生活が非常に安定しておるというふうに聞くわけでございまして、現在の日本の生協にそれはとても求めるわけではございませんが、われわれ非常に矛盾と思いますことは、産業組合から分かれました農業協同組合、またわれわれ生活協同組合、片や生産者の協同組合、われわれは消費者の協同組合でございます。農産物の生産にはずいぶんばく大な助成が年々なされているわけです。その助成をなされるときに立案されたとおりにいっているものもいっていないものもあろうかと思いますが、消費者に対するそういう配慮はいまだあまりございません。われわれのほうには中央金融機関もございません。みな各家庭の奥さま方の持ち寄られた資金でこれを運営しているわけです。いま、食料品にいたしましても、最近の衛生基準が非常に高うございます。その適合する店舗をつくるためには、一つの店舗に数億の金が要るわけです。また、冷凍食品のケースにいたしましても、五百万、六百万というのが一台で要るわけです。家庭の主婦が千円ずつ一万の所帯が持ち寄ってもわずか一千万しか金がないわけです。われわれは、そういう零細な金で何とか国の御方針のような消費者を安定さすために一生懸命にやっているわけです。もちろん商業界の皆さん方の御使命もありますが、新しい生活関連物資のバイパスとしてぜひひとつ生協に目を向けていただきまして、これの育成——われわれは農林関係のようなばく大な助成金をくれとは申しませんが、何らかの方法でわれわれのほうもぜひひとつ育成強化をしていただくようにお骨折りをいただきたいものだと思うわけでございます。ことば足らずでございますが、これで終わらしていただきます。
  11. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ありがとうございました。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  12. 工藤良平

    ○工藤良平君 私は、質問のきっかけをつくるために、ごく二、三点につきまして三人の参考人皆さんにお聞きをいたしまして、あと逐次皆さん方のほうからそれぞれ出していただきたいと思っているわけでございます。  まず第一番に、小売り段階におきます御苦労を伺いました。その中で私どもいろいろと疑問を持っておるのでありますが、先ほど岡田参考人からも触れられたようでありますけれども、一般に消費者が買いものをする場合に、非常に急激に物価が上がりましたために、たとえば二重ラベルの問題についてたいへん大きな問題が提起されております。もちろん、この問題は、それが旧製品であるのか、あるいは新しく卸価格仕入れ価格が上がったものなのか、その判断というのは消費者にはつきかねるのでありますけれども、しかし、この問題はやはり重要な問題でありまして、なぜそのような事態が起こったのか。それは、いまお話しのように、非常に早い大幅な値上げが相次いで仕入れ段階で起こってきた、そういうものが二重ラベルという問題を引き起こしてきたというように理解せざるを得ないと思いますけれども、その点についてお三方にそれぞれ実情をもう少し述べていただきたい。どこにその最も大きな原因があったのかということですね。  それからもう一つは、これは非常に重要なことでありますけれども、私どもが昨年の暮れに石油二法をこの国会で議論をいたしました。その過程の中で、実は標準価格が決定をされるということから、先取り値上げというものが相当大きく行なわれたという現実がいまも春木参考人のほうからもお話がございました。松下参考人からもお話がありましたように、今回の異常な物価狂乱といわれる状態というものが、値段高騰するというような宣伝が先ばしっていった、そういうことが消費者の買いあさりをさそい、たいへんな事態を起こしたのだという御発言があったのでありますけれども、それは小売り段階ではそういうことはないと思いますけれども、一体どこが出してきたのかというこの現実をやはり私たちは突き詰めてみる必要があるのではないか。そうしなければ、いまお話しのように、またやがて石油の価格引き上げという問題が出てくる。すでにそれを予測しながらどこからともなくそういうものが再び再現されるということでありますので、この問題はやはり徹底的に私どもも追及するし、皆さん方からも率直に御意見を言っていただくということが大切ではないかと思いますから、その点をひとつ問題提起をしてみたいと思います。  それからもう一つは、現在の流通過程を見ますと、特に今回の場合に、卸売り物価が三六%こえて上がった、消費者物価のほうが二二%だということで、卸売り物価主導型の物価騰貴になっている。これについては、従来メーカーの競争に乗じて小売りやスーパーが価格決定権を持っているといういわゆる買い手市場であったように私は思うのですけれども、それが完全に今回の場合には売り手市場に変わっているということ、これは公取からも指摘をされましたように、やはりカルテルの問題が非常に重要な問題だと思うのですが、指摘されておるのはごくわずかでありまして、調べるとほとんどもうがんじがらめに、すべての商品についてやみカルテルによって縛られている、こういうようなことがいわれているわけで、それがさっきお話がありましたようにたとえばメーカーに対して値上げ拒否をすれば入荷を逆に拒否されるということから出発して、やむを得ず値上げに踏み切らざるを得ないという小売りの苦しさというものも私も現実に若干そういう関係にあれしておりますのでわかるのでありますけれども、そういうようなことから特に業界におけるやみカルテルの実態ですね、こういうものをもしお話しいただければ、これはここで話したから卸をとめられるということになると困りますけれども、ぜひひとつ率直にその点の御見解をいただきたいと思いますし、さらに、チェーンストア協会会長の中内さんが発言をしておりますように、そのようなやみカルテルをやはり暗黙の了解の上に認めているというような体制というものが行政にある。むしろ業界のそういったカルテルによって混乱が起こらないことのほうが行政としては都合がいいと、こういうような実は意見も出ておるようでありますけれども、率直に言ってそういう点についての御見解を私はいただきたいと、このように思うのです。まあその点は、先ほど松下参考人お話しがありましたように、現在のインフレの原因というものが消費需要よりも事業需要にあるんだという御指摘がありました。これはもちろん私は現在の金融政策、全体的な経済政策というものは非常に行政的に手おくれであった、後手後手を追ってきたというところに最も大きな原因があると思っているわけで、その点の指摘であろうと私は理解をするわけでありますが、いまの行政とカルテルとの問題等との関連の中でひとつ御意見を聞かしていただきたい。  また後ほど御意見を交換する中で御質問いたしますけれども、まず最初にそういう問題を三つ出しまして、あと皆さん方のほうで交互にひとつ御質問を出していただきたいと、このように思います。
  13. 松下省二

    参考人松下省二君) 二重価格の問題を申し上げます。  これが比較的多かったのは歯みがきのようなものです。これは私どものほうも二重価格の表示をしたものが、たとえば二百五十円に三百円を貼ってきたというようなのがありました。これはもう拒否しました。二百五十円であったものを、三百円に売ったんだろうということで拒否したのですが、いろいろ実情を調査しますと、容器を早くからたくさんこしらえて、初めに容器に印刷してしまっている。それで、まあその容器を使わざるを得ぬので、破棄するとたいへんな金額になるので使ったというようなことを言っております。これは調査しますと事実のようです。ですが、私どもは、そういう二重価格百貨店はやらぬということになっているんだから、めくったら下から二百五十円が出てきたというようなものは売れないといって拒否しました。拒否すればほかの銘柄を売らざるを得ぬ、こういうことですね。それから多いのは、やはりノートなんぞも同じような理由で早くにたくさんの印刷をしていて、まあノートなんぞは印刷をしたときにはその値段だったんだからそんなことは言いわけにならぬじゃないかと、私どもはこう攻撃しているんですが、これはまあおりてしまっております。二重価格はそういう商品に多いのですね。要するに、従来とも定価的に販売されていたという商品に多うございます。  それからあとの御質問は何でしたか……。
  14. 工藤良平

    ○工藤良平君 危機感の先取りということですね。物価が上がる上がる、品物がない、そういう危機感が起こってきた、それが物価高騰一つの大きな原因だということを先ほどお話しになったのですけれどもね。
  15. 松下省二

    参考人松下省二君) やはり情報過多によって国民全体に先行き物価高ということを強く植えつけちゃうんですね。それで、お客さまのほうでわれわれのところへ来て、こんなものがなくなるんですか、あるいはこんなものが高くなるんですかと。実は売り場の売り子は値が上がるとかそういうことは全然知らないから、いや、そんなことはありませんよと。そうすると、係長だの部長にそんなことはあるのかとお客さまがけっこう聞く。われわれのほうはちっともそういう上げる意思はないんだけれども聞くが、これはこういうことが重なると次にまた上がってきますねと、こういうのが非常に多いんですね。従来こういう感じは少なかったんです。いまのように消費者が上がるんじゃないかという質問をし出したのは、昨年の十一月ころからですね。従来は、多少値が上がっても、また上がるんですかというようなことを質問するお客さまは非常に少のうございました。ところが、最近は、お客さまのほうが先高という印象を強く持っておりますね。これはやはり修正する必要があると思います。こういうことがあると、やはりお客さまのほうの買いだめ意識が多少出るとか、そうすると流通の円滑を阻害するという面から、流通の円滑を阻害すれば商人はつい上げるということになってくると思います。小売り商は上げませんでも、流通段階において実際は給料が上がったりなんぞしてつらい面が相当あるんですから、そういう流通の不円滑な状態が続くと、これがきっかけになって物価高騰につながる。そういうので、まあ上がるとか品物がなくなるとかずいぶん懇談会だのそんなものが最近盛んでありますが、あれは必ずしもいい効果はあがらぬと、こう思います。
  16. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 関連して。  いまおっしゃっているいわゆる危機感の問題ですが、去年の危機感というものは、石油危機ということからこれが発端になったと思うのです。石油は、実際言いますと、昨年は四十七年に対して約二〇%増の輸入ができておりますね、現実に。十月の十六日にOAPECが二五%の供給削減という発表をしている。あくる日の十月十七日に今度は価格を二・二倍に上げるという発表をした。そのことが関連して十一月三日に関西地方でトイレットペーパー買いだめが起きた。それが続いては砂糖とか洗剤とかに及ぶ。いわゆる石油危機ということは、石油がなくなってしまって関連産業のすべての製品が不足したりまた値上がりするという一つの大きな事態ですね。ところが、実際は、この間発表した通産省の資源エネルギー庁の資料でも、いま申しますように、四十七年から四十八年にわたって二〇%よけい入っている、値段も上がっていないんですね、四十八年度の時点においては。そのことと同時に、トイレットペーパー砂糖も洗剤も十一月の時点では生産とそれから製品はそれ以前と全然変わらなかったわけです。これはもうはっきりしておる。にもかかわらず、あのような一歩間違えば米騒動みたいな状態を誘発するような結果になった。これは、私は、松下さんがいまおっしゃった物不足の宣伝と行き先物価高情報が非常に大きな影響を及ぼしたと思うのですが、これがどこから出たかですね。昨年十一月におけるああいう状態がどこから出たのか、ここらさえ突きとめれば何とかなる。これは、こういういわゆる委員会でそういう点を突きとめなければ、それに対する対策はできません、ただ現実だけを認めさせるということでね。それで、これが一番問題になっている小売り段階でございますが、長い間流通過程についても勉強になってこられたと思いますので、つまり、いまの工藤委員の質問と関連して私はここが一番大切だと思うので、皆さんのお感じなり経験からして、いま指摘しましたように、石油危機ということばから発生したあの状態はどこから出たとお考えになるか、どの辺にその火元があるとお考えになるのか、それはどういうことでそのようになってきたかということをお答えいただければたいへんありがたいと、こう思います。工藤委員も言われたように、あんまりここではっきりおっしゃって何か商売に困るかもしれぬけれども、その辺はどうかひとつお考えの上、端的な御意見あるいは御見解を承りたいと、こう思います。
  17. 春木秋広

    参考人春木秋広君) ただいまのことでございますが、われわれは小売り段階というのは案外問屋との関連は深うございますが、いわゆる物をつくっているメーカーであるとか、メーカーに材料を供給しているそこまでのことがなかなかつかみにくいのが実際の現状ではなかろうかと思うわけです。ただ、昨年のあのパニックを経過いたしましてわれわれも価格についてはかなりいろいろ深い関心を持ちましたので、まあさかのぼってそういったことをだんだんに追及したわけでございますが、先ほどちょっと申しましたように、いま先生のおっしゃったように、十月の十六日にOAPECが二〇%の削減をする、そして十七日に二倍の価格に上げると。ところが、メジャーがこの二〇%の削減にまたプラスして三〇%、三五%日本には削減するというふうな報道がなされました。結果としては、いま先生がおっしゃったように、去年からもそう減っていない。ところが、あの時点では減るということがおそらく生産企業の皆さん方の頭には非常に大きく焼きついたのじゃなかろうかと思います。それから来るもちろん電気もガスもいろいろな副資材関係生産が相当削減されるだろうと。そのときには、かかえておる従業員を首を切ってなくするということはとてもいまの時代ですからできません。当然そういう人たちの給料も含めて、減った生産の中に価格を吸収しないとこれは解決しないと。一方、国民生活安定緊急措置法が出て、いわゆる標準価格的なものが出るというふうなことが連日報道されました。そうすると、おそらくメーカーの方なりは、それが出てしまうと値が上げられないから早く上げておかないといけないんじゃないかというふうな非常に大きな不安と焦燥から結局、大幅な値上がりというのがそこに必然的に出てきたのじゃなかろうか。もし、この一月ないし二月に通産省が発表されたように、油の値段は上がるが減らないんだというふうなことが十月なり十一月の時点に起こっておるとすれば、こういう急激な値上がりはなかったと思います。われわれ、洗剤もずいぶん切れました。洗剤のおもな材料でございますトリポリ燐酸塩にいたしましても、これは燐鉱石から硫酸によって処置しなければならない。ところが燐鉱石はかなり遠い海外から入れる。そのためのフレートは上がります。また、船に十分な油の配給がない。そういういろいろな危機感が幾つも相乗効果によって非常に危機感をあおったことがこういうふうな大幅な値上げになったのじゃなかろうかと思います。十月十六日ないし十月中に毎日業界並びに通産省なりそれぞれの担当の行政府のほうでもっと正確な情勢判断をしていただいて、皆が不安を持たないような情報を流していただいておったとしたら、あれは起きなかったのではなかろうか、また、起きたとしてももっと小幅なものであったのではなかろうかということをわれわれは痛切に感じるわけです。しかも、われわれは、そのものをつくるメーカーもそうでございますが、そのメーカーに原材料を供給する線も売り惜しみ買いだめがあったのではなかろうかと思います。もう実際に洗剤になったものがそんなに多く買いだめされるとか、売り惜しみをされるということよりも、洗剤になるまでの原材料においてそういったことがあったのではなかろうか、こういうふうなことを、調べた結果、われわれはそういうふうに感じとっておるわけです。
  18. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 岡田参考人、やみカルテルの問題で先ほどの工藤君の質問にちょっとお答え願えませんか。
  19. 岡田卓也

    参考人岡田卓也君) 先ほど来からの質問のでカルテルの問題でございますが、これはまあ非常にむずかしい問題だろうと思うのでございます。一つは、その商品がいろいろな規模の企業によってつくられておるとした場合に、もしも完全な自由競争になった場合にはかなり中小企業がつぶれるのじゃないかという問題もあるのではないかと思うのです。しかし、私どもが実際に扱っております商品の中で、そのような傾向のある商品、たとえばメーカーが定価をきめて、それよりも私どもが安く販売をすると出荷停止ないしは入荷が減ってくるというような商品は、日用雑貨等につきましてはかなりございます。たとえば自転車というようなものはそうです。これもももう生活必需品でございますと自転車というようなものはそうでございますし、家電にも一部ございます。それから学生机あるいはスポーツ用品等でもございます。それから玩具、それから消耗品ではこの十二月のパニック以来問題になりました洗剤その他がそういう傾向があるように思います。  それから二重ラベルの問題でございますけれども、最初にお話ししましたけれども、これは先ほど私が申し上げましたように、私どもの業界の小売りの段階でも、十二月の時点は、先ほど春木参考人さんが申し上げられたように、非常に情報がなく、混乱をしたわけでございます。それで、次次とメーカーからの値上げ攻勢等があったわけでございます。そういうときに、混乱をして一部末端では二重価格が実際問題として出たということでございます。それで消費者の方々に非常に御迷惑をかけたわけでございます。その結果、私どもといたしましては、それについて明確な答えを出さなければならないということから、チェーンストア協会としても、先ほど申し上げましたように、一月に入ってその要望をしたわけでございますけれども、私どもの企業としてもこのようなことを考えたわけでございます。一つは「原則として旧価格にて納入された商品は旧価格のままの売価で販売するのが本来である。だから、当社の値札及ぶシールが新売価につけかえられることはない。」それから「メーカーの定価が印刷されている商品が値上がりし、新定価の印刷された商品が入った場合、当社としては旧価格は旧価格のまま販売しているのだから、同一店内に一品目に二価格の現象が出ることが考えられる。その場合は、旧価格商品を適当な場所にまとめて別に売る。」ということでございます。これは安いのと高いのと二つ同じところにありますと、消費者が非常に混乱をされるということでございます。それから「メーカーの定価が印刷されている商品でその定価が値上げされたにもかかわらず、メーカーの都合で印刷定価は旧価格のまま、納入価格は新売価に値上げされて納入された商品は、メーカー定価と同等もしくはそれを上回る当社価格が使われることが考えられる。この場合は消費者の信頼を大きくそこねることが考えられるので、売り場にはメーカー名によるおわびのPOPまたは当社として遺憾の意を表したPOPを明示する。」というようなことを社内できめまして、そういうことを実行してできるだけ混乱を防いでおるわけです。ただ、パッケージの包装資材等が非常に値上がりをいたしておりますので、前にたくさんそれがつくってあるというようなメーカーさんでは、その包装資材に、メーカーのおわびといいますか、こういうように値上がりをしました、したがってそのように変わっておりますというシールを上に貼って出されておる商品が最近出てまいりました。しかし、中身は現在の商品で、その袋だけが前の袋である。たとえば、価格は——価格と量が印刷してございますので、たとえば百グラム百五十円といたしますと、百グラムの上にシールを貼って、八十グラムにしてございます。そこに、このように価格が上がりましたということを明示するというような方策をとっております。十二月には一時そういうことでかなり混乱をしたのは事実でございます。
  20. 田代富士男

    田代富士男君 三人のお方からいろいろ説明を聞かしていただきました。国民生活に最も大事な生活必需品を直接扱っていらっしゃる三つの業界の代表の皆さんと思います。そして、今日の物価値上げの危機感をあおったのは一体どこにあるかということをいまるるお話しなされまして、まあメーカーのいろいろな説明もされまして、私たちには直接の原因はないというような、私自身がそういう受け取り方をするような三人の説明だったのですが、私は、はっきり申し上げまして、消費者皆さん方に安定した価格で提供しようと努力を三人ともされたと思います。努力をされたことは一応認めますけれども、反対に、私は、特に百貨店あるいはスーパー関係は、これは値上げをあおった、危機感をあおった、まあきびしいことばで言うならば、皆さん方も責任の一端はあると思うのです。  私はそれを具体的に申し上げます。ことしの——昨年も調べましたが、ことしの一月、大阪で百八十五人の御婦人にお願いいたしましていろいろな物価調査をいたしました。よかったら、私はこの資料をお差し上げいたします、ここにその全資料がありますから。これで私は申し上げます。スーパーや大企業の皆さんがいかに値上げの一つの動きの中に入っているかという実態がここに明確に出ています。たとえば商品一つにしましても、値上げが起こってくる順番はどこから起こってきているか。値上げが一番先に起こってくる順番は、まずスーパーが値上げをいたします。その時点では、大阪には公設市場という市場がありますが、市場ではまだ値を上げておりません。小売店も値段は上げておりません。スーパーが上げますと、スーパーが上がったから、市場もそして一番最後に小売店が値を上げる、こういうのが顕著に出ている。これは理由も明確でしょう。いまあなたが話しをされた中でそれが表明されている。——いや、岡田さんじゃなくして、春木さんが話された中に、たとえば、このようなスーパーや生協等の大きな組織は、流通合理化をしたことによってストック商品を少なくした、そういうことでもろにそういう新しい価格商品が入ってくると一週間も持ちませんということでございます。ところが、一般の小売店におきましては、一カ月、二カ月ぐらいの商品は持っておりまして、そういうところは売っておる。ところが、スーパーがそのように一番先に値上げした販売をやるから、あとは右へならえになっている。こういう一面から考えていくならば、私は、百八十五人の人の、スーパーの値上げが一番早いです、まあスーパー主導型の値上げとも言ってもいいんですよというような極端なことばも聞きました。  だから、いま洗剤の例がいろいろ出されましたが、私も一月に大阪で洗剤の総点検をやりました。その総点検の結果いろいろな問題が起きてきましたが、その中できょう皆さんの話しをされた中で関係のある問題を提起するならば、二点あります。今回の石油問題に端を発してパニック状態にしまして洗剤メーカーがねらおうとした点は二点あります。一つは、値段を上げたいというのが第一点。第二点は、流通経路をこの際改革してしまおうというのがねらいであったのです。なぜかというと、洗剤の流通経路というものは、小さな小売り屋さんから、あるいはたばこ屋さんから、大きいところはスーパーから、生協から、それはもうたいへんな小さな零細な小売り店まで、洗剤を売ってくださいと、このようにそれぞれ洗剤メーカーの営業部員がセールスに行っていた。この経費たるやたいへんなことです。千個買ってくれる店も五個買ってくれる店も営業部員が行って取引をしなくてはならない。ところが、このときに洗剤がなくなった、この際流通経路を改革しようということで、そういう日ごろ五個や三個、十個買うような小売り店は切り捨てごめん。そして、一度に大量に送り込みができるところのスーパーあるいは生協、こういうところに生産しました一〇〇%近くの洗剤が流れ込んでしまった。いま春木さんが申された、前年度に対して二二七入ったと。スーパーも同じです。スーパーのデータも私は持っております。前年度比二〇〇以上入っている。このようにスーパーあるいは生協の大企業に対して前年度比二〇〇ないし三〇〇前後の商品が入ってきた。そうすると、いままで十個あるいは五個——これはそうでしょう、いま説明がされたとおりに、一箱あれば二ヵ月間あるというんですから。小間物屋さんへ買いものに行ったついでに主婦が買ってきた。そういう身近に、自分の生活している生活圏の小売り店にあった。その小売り店にそれがなくなった。それがスーパーに出た。だから、開店前に三百人、五百人の人がおいでなりますと、会員以外の人にも売らなくてはならないのはこれはたいへんなことですと申された。この時点は、スーパーないし生協の大口がいままでの量よりも二倍、三倍の大量の量をやったために小売り店がなくなった。そこで、主婦はたいへんだということでそこに行ってしまった。その責任はどうするか。洗剤メーカーにするならば、いままでは営業部員が五個、十個販売していた。それが大手のスーパーヘトラックで送り込めば、あとは伝票で処理したらそれで終わりです。価格の値上げと流通経路をこの際変えてしまおうというねらいがあった。それを実行されたのがスーパーであるし、生協である。私はこれを言いたい。この点の責任をどう感ぜられるのか。危機感をあおり、このようなパニック状態が起きた。それも、最初であるならば、小売り店に至るまでも五個、十個配付しているならばこういうパニック状態は起きません。それをスーパーや生協やそういう特定なところで販売したためにさらにパニック状態が起きた。これ以外にありません。この責任は重大です。  それと、百貨店ですが、いま最初に松下さんからいろいろないい話を聞かしていただいた。最初に使命感に立った話を聞きましたけれども、そのような精神でやっていただいたならば、今日の状態は何事もありませんが、砂糖の問題一つにしましても、昨年の小売り価格は十月ぐらいは九十円や高くても百円前後していた砂糖が、突如として昨年の年末はなくなった。しかし、百貨店へ行けば砂糖はたくさん出ている。どういう砂糖か。年末のお歳暮用の進物用の砂糖は、いろいろ加工をされた——中身は同じです、中身は同じだけれども、いろいろ加工をされた砂糖が、一般で買うならば百円前後で買える砂糖が、きょうは三百円から三百五十円、あすは四百円と毎日のように値段が変わっていった。しかし、一般では砂糖がないから、進物用の砂糖を買いに行った人が自分が自分の家へその砂糖を進物用として送ってくださいと、このような買い方をしたのは去年の暮れのほんとうに大きな特徴ですよ。私がたとえば松下さんへお歳暮として送る、そのために進物用に百貨店へ買いに行く、これが正道です。それが、私が田代という人物が田代という自分の家へ進物用を送らなくちゃならないんです。それならば、あなたの使命感に立ったそういう精神でいくならば、そういう加工された砂糖があるならば砂糖はあるんですから、そういう砂糖百貨店で取り扱わないと、このような強い態度に出るべきじゃないですか。ところが、一般に九十円、百円で一袋買っていた砂糖はこれは品物をなくして、加工しただけでも三倍、四倍に売れる砂糖にした、それを販売をする。これが百貨店としていまあなたの使命感に立った正道ですか。  また、売り子の問題でお尋ねいたしますが、いま値上げなんかについてどうだということに対して売り子は知らなかったと言いますけれども、売り子の問題に対しましては、百貨店の派遣店員の問題が「百貨店業における特定の不公正な取引方法」の六にあります。これは御存じだと思います。これには「百貨店業者が、自己の販売業務のために、納入業者にその従業員等を派遣させて使用し、または自己が直接雇用する従業員等の人件費を納入業者に負担させること。ただし、納入業者の納入に係る商品について、通常百貨店業者の従業員のもっていない販売に関する特殊な技術または能力を有する従業員等を派遣させてその商品販売業務に従事させることが、当該納入業者の直接の利益となる場合を含まないものとする。」ということで再三にわたりましていろいろ不公正な取引を改善しなさいということが指導されてきたと思います。しかし、現在もなおかつ百貨店の店員でない、この品物を納入しているところの業者に店員を送り込ましている。そうして、そのような自分の店の商品を売らんがためにあおっている。これは私の店員ではありませんと言うけれども、それは百貨店側からするならばそうかわかりませんが、買いに来ましたお客さんからするならば百貨店の店員じゃありませんか。だから、店員はあおっておりませんといまさっき松下さんは申されたけれども、このように店から品物の納入と同時に派遣された店員がどのような売り方をしているのか、これを御存じですか。  このように、今回のこういう物価値上げの危機をつくった原因は大手のスーパーであり、百貨店、いま皆さんたちはさほどもその責任を感じていらっしゃるような姿が見受けられませんが、私はここに大きな原因があると思うのです。だから、この問題をどう感じていらっしゃるのか、これもお聞きしたい。  それからちょうどいま皆さん方も取り組んでいらっしゃると思いますけれども、三月の二日に通産省から百貨店、スーパーの小売り価格の凍結につきまして要請されました。で、この問題は、百貨店協会あるいは日本チェーンストア協会は今週中に価格凍結が可能な品目を選定しまして通産省に一応連絡をされるということになっておりますけれども、この作業がどのように進んでおるのか、この点もお聞きしたい。  それから春木さんにお尋ねしたいのですが、春木さんの場合は百貨店あるいはチェーンストアと違った形態です。いま標準価格の問題を申されました。昨年の年末、ここで標準価格の問題を論議したときに、ほんとうのことを言ったら、私たちは標準価格は検討する余地があると。価格自身が、たとえば大企業でつくった製品と零細企業でつくった製品とは生産コストが違います。どこに標準価格を置くか、こうした場合に問題点があります。だから、灯油の標準価格もありますが、いま高いけれどもだんだん気候がよくなれば下がってくるけれども、これは下がるのを防止するような標準価格になってしまう。トイレットペーパーかて下がる傾向がある。標準価格が二百二十円だが二百十八円で売っておりますようなことをおっしゃいますが、事実はもっと安く売ってもいいような状態になっている。こうした場合に、企業と違いまして生協の場合は消費者において組織されておるのですから、そういう標準価格に対してはどういう考えを持っていらっしゃるのか。  これらの点、岡田さん、松下さん、春木さんから関係のあるところをお答え願いたいと思います。
  21. 岡田卓也

    参考人岡田卓也君) ただいま十二月のパニックその後において、その元凶はスーパーであるというお話がございました。これに対して私は反発をいたしたいと思います。  先ほど来申し上げましたように、十二月の時点におきまして確かに業界に混乱はございました。これは最初ごあいさつのときにおわびを申し上げたはずでございます。しかし、その後私どもは懸命の努力をしておるわけでございます。そして、実例を申し上げますと、たとえばトイレットペーパーでございますけれども、私どもが十二月百八十円で販売をいたしておりますときに、すでに大阪におきまして小売り店は三百八十円の価格で売っておりました。これは私の家内が実際に経験したことでございますので、実例で申し上げます。私は、絶対に買いだめをすることはならないと家庭でも言っておるわけでございまして、私のところもトイレットペーパーがなくなりましたので、私は水で洗おうかと思っていたのですけれども、まあとにかくどこかで探してこいと。私どもの店では、毎日朝店頭お客さまが並ばれて、それはまず直ちになくなるわけでございます。で、いたし方がございませんので、私は豊中に住んでおるわけでございますけれども、豊中の私どもの店のすぐ近くの平生薬を買っております小売り店に私の家内は参りました。トイレットペーパーは平生店頭に出ておるのでございますけれども店頭にはございません。しかし、一度聞いてみようということで、トイレットペーパーはございませんかと申し上げますと、ございますと。平生薬を買っておりますので、店内から出してお見えになりました。お幾らですかと申し上げましたら、三百八十円であったということでございます。で、この三百八十円のトイレットペーパーを家内は買ってきたわけであります。私もそれを使ったわけでありますけれども、そのような事実がございます。  そして、また、ハム、ソーセージの問題については、私どもは二月の初めにチェーンストアの大手全部——小売り店はすでに一月に値を上げております。私どもは二月の初めに納入価格は上がったわけでございますけれども、二月の二十二日まで原価よりも安くその価格販売し続けて値上げ阻止に努力したわけであります。しかし、そこまでで私どもの限界がございまして、次の新価格に移ったわけでございます。その間、おそらく大手スーパーでの損害というのは非常に膨大な金額でございます。実例で申し上げますと、そのようなことがたくさんございます。  私は、十二月にあのような状態が起こって、もしも、いま田代先生から御指摘がございましたように、それが全部洗剤等についても小売り店その他に回っておりまして、チェーンストアに洗剤が平生どおりしか入らなかった場合、もっと大きな混乱が起こっておるのではないかというように思います。たとえば私ども店頭にいたしましても、毎朝三百人以上のお客さまがお待ちになって見えるわけでございます。そして、きょうは何が幾つという券を配ってお客さまに納得していただいておるわけでございます。ところが、もしも大体朝お見えになるお客さまとそれから私どもがその朝販売をするそのようなパニック商品とのアンバランスができたら、ここで暴動が起こるのではないかというように思っておりました。私は十二月に何度もそのような夢を見たわけであります。もしもそのようなことが起こりますと非常にたいへんなことでございますので、私どもは何とかして商品を集めることに努力をしたわけであります。その結果が、先ほど先生が申されたように、スーパーが洗剤につきましてもその他の必需物資につきましても前年対比二倍ないしは一・五倍の商品を集めて供給したわけであります。私どもはそれを供給する責務があるわけでございます、お客のほうの要望があるわけでございますから。それに懸命になることが悪いということでございますと、私どもは手の打ちようがなくなるのではないかというように思うわけであります。  そういう問題が一つと、それからもう一つの問題につきましては、価格凍結の問題でございますけれども、これはチェーンストア協会としていろいろいま審議を重ねております。しかし、生活必需物資と申しますのは、食料品、日常雑貨が主体でございます。現在まだ通産省と農林省とはこの問題について的確な話し合いができておらない状態でございまして、私どもがもしも価格を設定いたしましてあと納入価格がどれだけ押え得ることができるかどうか、それに対していま検討を重ねている最中でございまして、品目についてはすでに洗い出しを始めておるわけでございます。  以上でございます。
  22. 田代富士男

    田代富士男君 一言申し上げます。  いま、小売り店の値が上がったと。その値上げする前にスーパーが上がっているんです。
  23. 岡田卓也

    参考人岡田卓也君) いや、上がっておりません。私のところは百八十円です。
  24. 田代富士男

    田代富士男君 いや、あなたの店はそうかもしらぬけれども、上がっている、調べて。  それと、あなたはあくまであおっていないと言うけれども、私は例を洗剤だけにあげた。しかし、スーパーの店で「御一人さま一個限り」というたれ幕を下げますと、その商品は全部なくなってしまう。これは洗剤とかそういうものに便乗したあおりじゃないですか。これは洗剤以外の品物ですよ。あなたのほうは消費者のためにやっていると言うけれども、結果はあおった形になっているんです。それも消費者のためにやったことでございますといえばそれまでですけれども、それが結果として現実にそうじゃないですか。しかし、値を上げた一番最初はスーパーですよ、上げていないと言うけれども。それと、あなたおっしゃるとおりにスーパーにも品物が来、小売り店にも品物が来たらいいけれども、小売り店にはストップです。いままで近くまで買いに行ってすぐ買えていた品物が、スーパーまで行かなくちゃならない。小売り店へ回すべきものもスーパーが取ってしまったじゃないですか。それはわれわれは責務であると。それは責務と言ってしまったら商売だ。そうすると、強い者が強くて、弱い者はどうでも弱い。だから、小売り店切り捨てごめんです。今回これを契機に流通経路を一挙に改革しようとしたその動きをやったのはスーパーだと私は言っているんです。流通経路は変わってしまったじゃないですか、洗剤の。こういうことはどうですか、ほかの品物ではない、私は洗剤を一例だけあげたんです。
  25. 岡田卓也

    参考人岡田卓也君) 商品につきまして、洗剤以外の商品に「御一人さま一個」という表示をしたということでのお話がございました。これは現実の例でございますけれども、私どもは三重県の上野市に店舗がございます。十二月になりますと、大阪では非常な混乱状態が起こっておりましたけれども、まだ上野市まではそれほどの混乱は起こっておりません。しかし、そのときに私どもは上野店でも「御一人さま一個」という表示をいたしました。これはなぜかと申しますと、大阪の商人が、上野店あたりまで全部、店頭に出ておるそういう商品について、スーパーはでき得る限り安く売っておりますので、そのときには卸価格よりも安い商品がたくさんございます、それについて買い占めをしに参りました。そういうことを防止する意味でのそういう表示をしたことは事実でございます。もしもそれをしなかったら、一挙になくなって、その地域の消費者の方々に非常に御迷惑をかけるという結果が生まれたのではないかというように思っております。  また、スーパーという一言でお話でございますけれども、われわれチェーンストア協会に加盟いたしておりますのは、申し上げましたように七十六社二千三百店でございます。スーパーというのはいろいろございます。スッとできてパッと消えるというのもスーパーでございます。スーパーについての明確な区別をしていただきたいというように私どもは思うわけであります。私どもは、先ほど来から申しておりますように、流通近代化合理化をしなければならないというように思っております。どうしても、いまの日本現状でございますと、物ができてから消費者に渡るまでの間にいろいろな段階を踏んで、非常に価格が上がらざるを得ないと思うのです。そうすれば、零細小売り業はどうなるのかということになれば、零細小売り業は小売り業としてボランタリーチェーンなりその他の組織をつくって流通の経路を短縮するという形をとらざるを得ないのではないかというように思うわけであります。そうして、はじめて日本物価が安定するのではないかというように私どもは思っておるわけでございます。
  26. 春木秋広

    参考人春木秋広君) ただいまの問題につきまして田代先生からお話がありましたので、私たちの見解をちょっと述べさしていただきたいと思います。  確かに、先生のほうの御調査もそのとおりだと思います。一面、たとえば神戸市におきましては消費者協会その他消費者団体が非常に盛んでございます。ところが、神戸市の消費対策課からわれわれのほうに見えましたのは、消費者協会に属していらっしゃる消費者団体なりからの報告によりますと、あのトイレットペーパーが切れましたさなかに、実は、小売り商店にはないが、しかし、かろうじて生協にある。ところが、市のほうに対して、いま使うのがない、今晩使うのがない、そういう緊急な電話が市に寄せられる。何とかそういう人たちの分を生協であるなれば配慮してやってくれないか、それで員外でも何でも売ってやってくれと。われわれのほうは、御承知のように、消費生活協同組合法というのでは、員外販売が認められないというふうなことから、一応課長さんとお話し合いをいたしまして、われわれの手持ちの中から数十こおり市のほうにお渡しをいたしまして、どうしても緊急やむを得ぬ家庭には市でお渡しいただけませんかというふうにしてそれを回したこともございます。確かに、小売り屋さんでも、おそらく力のある小売り屋さんは値上げをせずに持っておられた方もあろうかと思いますが、大半の小売り屋ではいち早く店頭から消えたのも事実でございます。これは私がここで言いわけに申し上げるのでなしに、そういう数多い消費者団体の皆さんがお調べになった結果そういったことが出ております。それで、日ごろから神戸にはダイエーさんなり、またジャスコさんなり、大きなスーパーさんもいらっしゃるわけでございますが、ふだん販売しております価格が小売り屋さんよりもスーパーのほうが若干安いということになれば、家庭の主婦としてはやっぱりそこへ出ていくということが習慣のようになっているのではなかろうかと思うのです。また、通産省がトイレットペーパー放出をなすった場合も、砂糖におきましても、東京でも百貨店とかスーパーで放出物資を扱わさした。そういう経路から見まして、私は小売り業者にも通産省としてお出しになるのが当然じゃないかと、こういうように思ったのが、やっぱり百貨店なりそれから一部東京においても生協が扱わしていただいたようなこともございますが、とにかく早くこの危機感を払拭するためには日ごろ人のよけい来るところにそういうものを出して、そういう危機感を早く払拭したいというのが通産省のお考えではなかったかと思うわけでございますが、そういう経路がありまして、われわれが洗剤メーカーなり、そういったところになるほど品物はくれということは言いましたが、われわれのほうにだけにしてくれということは要請は実はいたしておりません。結果として先生の目にそういうふうに映ったのかもわかりませんが、もしそういうことであれば、われわれも十分責任を感じたいと思います。  それから標準価格の問題でございますが、灯油も私たち扱っております。また、トイレットペーパーもやっているわけでございますが、実は灯油は私たち三百八十円と決定いたしましたときに、なるほど先生のおっしゃったように高い価格だなということを印象として受けました。と申しますのが、われわれのほうに灯油のメーカー出し価格については凍結されております。したがって、それから三百八十円までの距離という中にはいろいろな要素が実はあるわけなんです。それが一つは、ガソリンスタンドに消費者が買いに行ってその場で入れてもらって持って帰るとしたらそういう経費が要らないわけでございますが、かよわい主婦はその十八リットル入ったものを自分の家まで持って帰るということが非常な苦痛でございます。われわれ生協といたしましては、アパートの五階六階まででも全部お届けしているわけなんです。お届けするためにはそのあきかんを用意しなければならない。それを充てんする手間がかかります。また、そのあきかんにいたしましても、灯油が家庭で使われるのは半年間だけなんです。あとの半年は灯油が必要ないわけなんです。ところが、にわかに灯油を売るからといってもかんが集まりません。したがって、何十万がんというあきかんをあき地に半年間保管しなければなりません、倉庫に。そうすると、倉庫の保管賃なりそういったものが要ります。また、それを充てんしたところからわれわれのところへ持ってくる運賃、また、われわれのほうから組合員さまに持っていく運賃、また、われわれのそれに対する手数料、こういったものを含めまして、私たちはどんな六甲山の山の上までお届けしても四百二十円で実は励行いたしました。いま配達賃は少なくとも五十円はかかります。そうすると、三百八十円というその価格は決して安いものじゃないということをわれわれは感じておるわけです。しかし、われわれ元売り価格が凍結されておりますので、その間の距離の中で詰められるものは詰めて価格を下げるということの努力は一生懸命いたしました。したがいまして、われわれのほうだけでも少なくとも組合員は生協の価格については非常にまあ御信頼をいただいている結果ではなかろうかと思います。  また、トイレットペーパーにいたしましても、先ほども申しますように、十二月において一つ商品を取り上げますと仕入れ原価が二百十六円になりました。これが最高でございます。そして、一月になりますとそれが百九十二円五十銭に下がりました。この下がったのは、いわゆる標準価格が発表それてから下がったわけでございます。私たちは、それを、現在、先ほど申しましたように二百十八円で供給いたしております。さらに、集団的に箱単位でお買い求めいただくところにはさらにそれから五円引いております。そういたしますと、二百十八円に供給いたしましても、その差額が二十五円五十銭でございます。これはかなりかさばる商品でもございますし、いろいろいたしますので、私は組合員にも原価を全部公開いたしまして、これが生協としての手数料でございますということは消費者の方々に御納得いただいた価格設定をしているわけです。もちろん物によりましては原価販売もしなければならないというふうなこともあろうと思いますが、われわれとしても事業を継続するための組合員に納得いただいた適正利潤というものは残していただくように実はお願いしているわけです。  したがって、今後先生方にお願い申し上げたいと思いますことは、標準価格をおつくりになる場合は、いま先生がおっしゃったように、大メーカーもあり、中小メーカーもあり、小売り業者も大小売り業者があり小小売り業もあります。そこに一つ価格で貫くというためには、国民すべてが協力しなければならないのじゃないかと思うわけです。われわれ一業者また一生協にそこの責任をかぶせられてはわれわれは非常に困るわけなんです。そういう点で議員の皆さん方にほんとうに公平に国民が納得する政治をぜひひとつの願い申し上げたいと思います。  なお、価格凍結につきましては、私たちは三月二日をもって現在生協で扱っている全商品の生鮮食料品をのけたものを全部凍結いたしました。これは、私は営業の責任者でございますが、私の首がかかっておる問題でございます。おそらく相当な値上げが三月の後半、四月には出てくるのじゃないか。そのためには数千万円、また億の欠損金がわれわれのところに出ます。これをわれわれは覚悟の上ですでに取り扱い品の価格凍結をいたしました。それは消費者の切なる要望です。切なる要望でわれわれはしたわけです。ただ、これは自分のことを言うだけで、他企業まではそうしなさいということは私は申しませんが、われわれはそういうふうにして、いまほんとうにこの危機を突破するために消費者と一丸になって進んでいるのが現状でございます。
  27. 松下省二

    参考人松下省二君) 先ほど百貨店の十二月の砂糖が化粧品ばっかりだというお話がございました。ごらんになるとそうだと思います。それというのは、百貨店は大体十一月に十二月の進物品を蔵入れいたします。ところが、十一月にばら砂糖お客さまからの御要望が非常に多いので、しょうがなしに砂糖のようなものは進物せぬでもいいじゃないか、いまお客さんがこれだけ御要望になっているんなら、ばらにしてせいぜい売ったらいいだろうというので、一般砂糖はもうほとんどばらで十一月に売ったんです。それから十二月に売る砂糖というのは、どちらかというと、進物専用の砂糖ですから、お化粧があるとおっしゃったですが、確かにお化粧があるんです。角砂糖とか、あるいはかんに入った砂糖とか、そういうことで毎年十二月の砂糖はそういう形態のものが御進物に出るわけでございますから、この点ひとつ御了承いただきたいと思います。ことしは、いわゆるかんに入ったのでも、一般砂糖お客さまから非常に要望が多いんだから、こういうときにはせいぜい差し上げておいたほうが全般に及ぼす影響が少ないから、かん入りのものなんぞはばらにしてみんなお客さまにお売りしました。ですから、十二月は砂糖は早くに切れてしまって、残るのは角砂糖とかそんなものだけでございますね。ですから、外見的にはいまおっしゃったような感じがあったかもしりませんが、毎年進物時の砂糖というのは大体そういうことになるのでございますが、ことしは特に十一月にばらにして売ったということが大きな原因でございます。  次に、手伝い店員のお話が出ました。実は、私は、百貨店の取引改善委員長をつとめております。この問題に両三年取り組んで納入業者と懇談をいたしまして、それからこれからの手伝い店員の減少体制、こういうものは確立いたしまして、各店に対して各店の社長の責任において全廃体制を至急とるようにということで、私の手から離れて各店の社長の責任にやりました。手伝い店員は、外見からごらんになりますと、百貨店として非常に横暴にやっているようにとられますが、これは複雑多岐なんです。戦前はこういうものはございませんでした。戦前は宣伝婦だけでございます。マネキンガールといったものが初めて出たのは昭和三年です。昭和三年から戦争の中期まで、百貨店の社員でない外部からの派遣員がいたというのは、マネキンガールぐらいだったんです。一般にはおりませんでした。ただし、生鮮食料品とか肉とか魚とか、ああいう特殊のものは、百貨店では、取引形態が売り上げ・仕入れ・取引形態に契約でなっておりますから、これは戦前からもう手伝いは入っております。そのかわり、マージンは幾らで手伝いは何名入ってということでなっておりますが、その他の商品には戦前はこういうのはなかったんです。ところが、どうして起きたかというと、まああんまり長くなっちゃいけませんから簡単に申し上げますが、戦後、御承知のように、昭和二十七、八年から統制経済から自由経済になりました。統制経済中は問屋はなかったんです。これは全部統制会社からわれわれは商品の供給をいただいておった。ところが、昭和二十七、八年ころから自由になるに従って、新興問屋と古い問屋が発生したわけです。古い問屋は百貨店とは簡単に取引ができました。ですから、シェアは従来どおりのシェアを確保できた。ところが、新興問屋は手がかりがない。そこで、百貨店に何とかシェアを拡張したいということから、手伝いも出します、返品もけっこうです、什器も持っていきます、装飾もいたしますと、こういう甘いことばを百貨店にぶっつけて、そして何とか取引してくれということで来たわけです。そういうのを百貨店も唯々諾々と受けたわけなんですな。そうすると、従来手伝いを出さないで商売をしていた古い問屋も、これはぼんやりしておると自分のシェアをみんな取られる、うちもそれじゃ手伝いを出しましょう、返品もけっこうでございますと、こういうことになったわけです。ですから、一方的に百貨店が要求して手伝い店員がふえたのじゃなくして、そういうことからシェア獲得の手段としてそういう問題が起こってきて、そこで二十九年に先ほど先生がおっしゃった法令が出たようなわけでございます。ところが、あの法令には除外例がある。調査すると除外例に該当するものが多いのですが、除外例に該当するかどうかということはこれは審判しなきゃわからぬことですから、そこで、私は、まあ取引改善委員長を命ぜられたから、取引改善委員長としては除外は一切認めない、もう一切やめるんだという前提で早急にやって、そうして最終的に除外例に確実に該当するものだけになったときにはじめて公取とこういうわけでこれとこれとこれは除外例になりますということでいきましょう、とりあえずはもう全廃に向かって前進しよう、こういうことにきまっております。さっそくみんなやっております。私のところは、私が小田急へ行きましてからずっとこの問題は手がけておりますから、相当改善されております。  以上のようなわけでございます。
  28. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 参考人にお願いいたしますが、時間の都合もございますので、答弁はできるだけ簡潔にお願いいたします。
  29. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 まだ二、三お伺いをしたい方がありますので、簡潔に御答弁いただいたらけっこうでございます。  その一つは、百貨店松下さんにちょっとお伺いをしますが、実は、昨年の年末に、私のおいが今度新しく小学校に入ると、こういうことで机を買いに行ったのが十一月の終わりでございます。その机が四万円でございました。お正月が過ぎてデパートに遊びに行ったところが、その同じ机が一カ月半ぐらいの間にもう五万円に値上がりをしておったわけです。まあデパートに机を買いに行ってもだれもその机を持って帰る人はございません。ですから、向こうには紙が残っているわけですね、どなたがいつ買ったという。そのために、この一万円の差額をそのシートによってお返しをいたしますということが新聞に出ておりました。こうなりますと、ほんとうに百貨店までが便乗値上げをしてしまった、こういうことでたいへん私ども残念な感じがしているわけです。その後その一万円をほんとうにだれかが返してもらったかということは私まだ確かめてはおりませんけれども、そういうことがございました。ゆえなくして便乗値上げをしていたことはたいへん私ども腹が立ってならないわけでございますね。  それからそれと同じような話で、これはスーパーの方にお伺いするのですが、私も、ことしの二月の早々でございました、洗剤が切れましたので、近くのスーパーにこれを買いに参りました。そういたしましたら、そのスーパーに洗剤が出ておりました。二月の初めに予約をしてくださいということなものですから、秘書に予約をさしに参りましたら、予約をしていただいても夕方にもう品切れになってしまいますからなかなか予約は受け付けられませんと、こういうことでございましたが、それから二週間ほどたって私がスーパーに参りましたら、洗剤が並んでおりました。そしてそこに書いてあることばが、「洗剤が値下がりをいたしました。この間まで七百七十円で買われた方はその振り出し口のシートを持ってきてくだすったら七十円お返しをいたします。」と、こう書かれてあったわけでございます。そうしますと、洗剤が値下がりをいたしましたといわれても、洗剤はいままでそんな七百円も七百七十円もしたものではなかったわけですね。それがさもさも大幅に値下がりをしたみたいに値下がりをしましたということでまあ七十円引きますと、こういうことが書かれてあったわけですね。そして、この間また私の友だちが言うのに、これはガムなんかを売っている小さな店を持っている人ですけれども、三十円で仕入れたガムを仕入れ先の者があのガムを今日以来五十円に売ってください、こういうふうに通達を持ってきたという話がございました。先ほど岡田さんからいろいろ昼夜を分かたずに仕入れに走り回ったというお話がございましたけれども、まあこういうふうに仕入れ先のほうからもうそのガムは三十円のを五十円に売りなさいと、そういうことで、五十円に売らなければあとのものが入らないのかどうか、その辺をひとつお伺いをしておきたいと思います。  それから春木さんのほうに、いま私が洗剤の話をちょっといたしましたが、不幸にして私は生協が昨年の五月の末ごろに洗剤を届けてくだすったものですから、それ以来洗剤を買わずに済んできてしまったわけですね。それですから、十月とか十一月とか十二月に洗剤が急激に品不足だということでどれだけどんどん上がったかということを実は私はまだ知らないわけです。もしもお手元に資料がございましたら、その辺を二、三お聞かせいただいて、との二月の十四日ごろに七百七十円で売っていた、それがどのようなかっこうになるのか、私も知りたいと思っておるわけです。  それからこの間——その洗剤をつくるのに燐鉱石が必要ですね、いまもお話がございました。その燐鉱石が海外でたいへん値上がりをしていると、こういうことを聞きましたけれども、その燐鉱石からLASをつくるのにほんとうに値上がったのはまだ一月の早々だったと思います。それが、もうすでに十一月、十二月ごろから洗剤が上がっているわけですね。ですから、その辺の材料を供給するところに問題があるのではなかろうかという先ほどのお話でございましたが、その辺をひとつお伺いをさせていただきたいのと、それから生協がコープセフターを売っておりますね。私もこれを一生懸命で使っているわけですけれども、その中でもう一つの洗剤の原料である芒硝ですね、この無水芒硝が生協のほうではずいぶん手に入りにくかった、あるいはこの無水芒硝をつくる機械が故障していたというような話もございますけれども、かつて芒硝は化学製品をつくるときにたくさん出てきてこれの処置に困って、むしろ公害の一端を背負ったのはこの芒硝であったと、こういうふうな話を聞いているわけですけれども、この芒硝について多少私も知りたいと思いますので、お聞かせをいただきたい。  それからもう一つ、標準価格の問題が先ほどからここでいろいろ論議をされているわけですけれども、この間も私はここで大臣に御質問したわけですけれども国民生活安定緊急措置法という法律ができて標準価格をつくるということになりましたね。それで、それをきっかけに値段を上げたという話もございますけれども、私は、この法律の運用を政府のほうがもっと的確に運用すれば、たとえばどのように運用するかといえば、値段がどんどん昨年十月、十一月ごろのように上がっていきますときにこの標準価格を先取りして値段が上がらないようにきめてしまう、そしていまのようにトイレットペーパーみたいに品物が出てきて、どうも通産省のほうで増産をしているからということになってきたときには、この標準価格を取っ払ってしまう、そして自由な競争をさせたらどうか、こういうふうに質問をしたわけですけれども皆さんのように流通に携わっていらっしゃる方々から見れば、その点は私の考えが間違っているのか、そうしたほうがいいとお考えになるのか、その辺をお伺いをさせていただきたいと思います。
  30. 松下省二

    参考人松下省二君) 机が十月に四万円で一月に五万円、それは便乗値上げじゃないかという御質問でございますが、学童机の新しい期は一月からが新規になるんです。ですから、十月に四万円に売っていたのは先年のものでございます。したがって、便乗値上げを百貨店がしていないというこれは証拠でございます。それから机は一月から新しい新学期になって新価格販売いたしております。ところが、二月の十五日に通産省から学童用品これこれこれだけのものは値段を安くして売れというお話があって、われわれもそれに協力して安くして売りました。それで、机の値段が先のとあとのとの間に差があるのは差額は返すということが新聞に出ましたけれども、あれは新聞の間違いです。通産省さんから、二月十五日からの分は安くして、その先に売ったものはまあこれはいたし方ないだろうということなんです。ですから、お客さんに御了解を得てお返しせずにおります。  それだけ御返事申し上げます。
  31. 岡田卓也

    参考人岡田卓也君) ただいまの御質問にお答え申し上げたいと思います。  洗剤の問題でございますけれども、この二週間で洗剤が下がった、あるいは予約をして品切れだったという経過についてはちょっとわかりにくいのでございますけれども、いま私の手元に持っておりますライオン油脂の洗剤で二・六五キログラムのものでございますと、大体私どもでは五百五十円の売価でございます。  それから値上げをしろとメーカーから迫られるということは、そうしないとそこの商品が入らないということはかなりございます。しかし、私どもチェーンストアでは、これに対してできるだけの対抗力といいますかということで抵抗をしておるわけでございます。しかし、これが物不足のときでございますと、たとえば十二月のときでございますと、これは商品が全くなくなってしまう、だから上げざるを得ないということになるわけでございます。しかし、現在の時点ではそういうことはなくなっております。商品が出回ってまいりましたので、たとえば先ほど申し上げましたように、私どもが安く売って——納入価格は上がってまいります。先ほど例に申し上げましたハム、ソーセージ等は二十日間それで歯を食い縛ってみんながんばったわけでございます。そういうような例はございますけれども、最近ではだんだんと物が出回れば完全な売り手市場ではなくなるわけでございますので、私どもの力を結集してそれに対抗しておるというのが現状でございます。  以上でございます。
  32. 春木秋広

    参考人春木秋広君) いま中沢先生からお話がございました点について申し上げたいと思います。  二月十四日現在の洗剤の価格でございますが、いま先生からお話が出ましたように、七百七十円という価格も一部メーカーにはございました。ところが、われわれといたしまして、現在、洗剤の原料でございますいろいろ先ほどお話が出ましたトリポリ燐酸ソーダにいたしましても、芒硝にても、最近になって若干値下がりいたしております。それで、われわれがつくっておりますコープセフターについても、最近大体七、八十円の値下げを今月中に実施したいというふうなことでいま鋭意メーカーと詰めておる最中でございます。それで、先ほどおっしゃいましたトリポリ燐酸の原料であります燐鉱石にいたしましても、国際価格が実は非常に上がっているのも事実でございます。さらに、それに加えましてフレートも上がっておるのも事実でございます。ところが一番問題になりました芒硝にいたしましても、一時はでき過ぎておった。ところが、これが洗剤だけでなしに、肥料とかいろいろほかのものにも使われておるわけなんです。それで、肥料のほうへ出すほうがいいのか、それとも、洗剤に出すほうがいいかということは、そのあたりのメーカーの判断によって流れが変わる。私は、先ほど申しましたように、洗剤になってしまってからよりも、その原料段階のいわゆる第一次、第二次メーカーあたり考え方によって最終製品価格まで非常に大きく響いてくるということは、この点は小売り段階のわれわれではちょっと調査がむずかしゅうございますので、ぜひ先生方のほうで突っ込んだ調査をお願い申し上げたいと、こういうふうに思うわけです。それから苛性ソーダにいたしましても、御承知のように、水銀をたれ流すという問題から隔膜法に製造が移っております。ところが、これがちょうどたまたま悪い時期になりまして、建築資材その他が非常に減ってまいりましたために、これが予定どおりに伸びておりません。したがって、苛性ソーダもやはりそういったことが言えるのじゃなかろうか。それでそういう幾つかの材料によって洗剤がつくられるわけですが、それとまた、段ボールの箱であるとか、輸送運賃であるとか、こういったものが上がって洗剤が値が上がってきたということなんです。われわれのほうも、セフターをつくっております関係上、全部そういったものを原価的なチェックをいたしておりますが、一時上がったものが最近だいぶ落ちついてきた。しかし、今度の石油価格の再値上げによってこれがどう変化するかということを非常におそれているのが現状でございます。  それから標準価格につきまして、下がってきたら取ったほうがいいかという問題、これはたいへんわれわれとしてむずかしい問題でございますが、先ほど言いましたように、灯油にいたしましても、またトイレットペーパーにしても、一応標準価格をお出しいただきましたが、われわれはそれより下回った値段で売っております。勇敢にわれわれはそういった問題を全体の熱を引き下げるような意味で生協としては取り組んで、できるだけ安い価格で出していきたいと、こういうふうに考えておりますが、いわゆる標準価格を取ってしまいますと、あと石油製品価格が値上げということが目の前に迫っておりますので、いまあわててとりますと、これはまた非常に混乱が起きるのじゃないかと思いまして、もう少し情勢を見ていただいて御判断いただければと思うわけでございます。
  33. 小林武

    ○小林武君 簡単にやります。  松下さんのお話の中で、情報過多のために非常に買い占めといいますかそういうものが起こって物価のあれに大きな影響を与えたという御発言がありましたが、私はこれは情報過多のためにというような受け取りをされるということはやっぱり問題じゃないかと思うのです。これは衆議院で物価の問題について集中的に三日間ぐらいやったんですが、その間に、一体物価のからくりというものはどういうことかということが明らかにされて、各企業のトップクラスの人たちも相当あぶら汗をかいたというようなこともあるわけなんです。そこで明らかにされているんですから、むしろ情報過多というよりかも、春木さんがおっしゃるような正直者がばかをみたということのあれですけれども、それじゃ買い占めをやった人が正直者の反対で意地悪者かというと、それはそうはいかぬと思うのです。これはやはり生きるということのために必死になってやったわけですから、金もうけのためにやったならともかくも、一年分ぐらいのトイレットペーパーを買ったなんというのはちょっとユーモアがあってこっけいなところもありますけれども、しかし、これは戦争の経験とかいろいろな経験を経た人たちならば一つの生きることの知恵みたいなものだと思うのです。これを私どもがいいとか悪いとかというようなことで議論すべきじゃないと思うのです。  私は、その点では、松下さんの御意見は、むしろデパートというのは資本構成からいいましても何から見ましても、いわばこの間出てきたようなトップクラスの人たちに代表される資本とのつながり、仕事はデパートであっても商社とのつながり、いろいろなもののつながりがあるわけですから、もう説明を要する必要ないと思うのですが、私はそういう角度からもっとやはり別な考えに立ってもらいたい。こう申し上げるのは、私はこの物価特別委員会なんというものが、まあものがなんというようなことを言うと悪いですけれども、こういうものができて非常に重要視されて、予算委員会をやっているとたいていの委員会は大臣の取り合いなんかになると困るから休むというのに、物価だけは特別だということであってわれわれもきょうここへ出てきているわけですけれども、そういう事態を招いているということは、少なくともこれはどんな業者であろうが、どんな資本であろうが、また、われわれも含めて、われわれというのは消費者も含めて、この物価を一体どこで押えるのかということなんです。先ほど来春木さんがおっしゃった中に、三月にもなったら、石油の価格の引き上げ、電力の問題もあるでしょうし、化学の問題もあるでしょうし、いろいろなもろもろのものが出てきますと、これはどうなるかといったら、価格が上がるというようなことは予想せざるを得ないということで危機感をお述べになった。物価を押えるどころか、とにかく高く上がるということは必至なんだと。そこで、安定させるなんというようなことは、高くても品物はあるぞというような安定ならば、私はこれは重大なことだと思うのです。この先日本経済というのは一体どういうことになるか、そういう観点からとにかくいま国会の中では非常な議論を巻き起こしておると思う。われわれも真剣にやらなければ申しわけが立たぬと思うのです。  こういう場合に、皆さんもそれぞれの御立場というものがある。皆さんをつるし上げるなんという気持ちは毛頭ないのでありまして、これはお互いにどう一体この事態を把握して、そうして一体どういうふうにやってもらうか。一番もうけた人がある程度とにかくはき出してもらうということが一番いいんですわ。これは財界の中山さんですかがおっしゃっている。いままでの蓄積をはき出すというようなことをやらなければ、とにかくだめだというようなことをおっしゃった。私はあの人はまことにりっぱな人だと、こう思っているんです。そのあれがなくて、もうけたやつはもうけておくんだと、この先もやっぱり企業という立場からどんどん値上げをさしてもらいましょうというような大手のほうのそれがどんどん出てきたら、日本経済はもたぬですよ、これは。それはさっきだれかのおっしゃった中に暴動ということばが出たけれども、これは大反省をやらなければ、われわれが若いころのドル買い事件の問題から人を殺すことまで始まったんですから。あるいは米騒動、これをやった者が暴動だというような悪い言い方をしている。まあ歴史的にはそうなっていますけれども、そうじゃないと私は思う。いまの次元ではそんなものの考え方ではなっとらぬと思うのです。そういう事態をつくらないということ、当面の責任の任に当たっている者が、それをどう処理するかという問題だと私は思う。  そういうことから言えば、これは決して松下さんのあげ足を取るわけじゃありませんけれども、いわゆるデパートというと、大資本が集まった方方ですから、消費者買い占め買いだめをやったからこうなったというようなそういう御発言であれば、これはひとつ改めてもらいたいと思う。そのほかのことにつきましては、いずれやることもあるでしょうし、やめますけれども、答弁は松下さんだけでけっこうです。
  34. 松下省二

    参考人松下省二君) 私の申し上げたことが多少誤解されているようですから訂正いたします。  私の申し上げたのは、値が上がるとか品不足という情報があまり多く出ると、先行価格投機性が発生して物価が上がるということを申し上げたので、消費者買いだめしたとかそういうことを申し上げたのじゃございませんから。  そこで、その対策として、値の安くなるものもあるんだから、値の安くなったものとか安定しているもの、供給の多いもの、こういうものがあるということを積極的に宣伝すれば、人心の安定を得て物価上昇を防げるのじゃないかと、こう思うということを申し上げた。そういう観点から、通産省でわれわれに値段を凍結しろとか価格を安くしろとおっしゃるのに、これは非常にいいことだから、先般も百貨店協会で話が出たんです。こういうふうに物が安定しているんだと……。
  35. 小林武

    ○小林武君 ちょっとそれについてはぼくはやっぱり納得いかぬのだね。あなたのおっしゃることは、そういう情報が出ることが悪いと言うが、情報が出ないで、これが全くわれわれに知らされない、だれにも知らされないとしたら、これはどうなるかなということを考えなければいかぬのですよ。それこそおかしいんだ。むしろいろいろな情報があってみんながわかるほうがいいんですよ。しかし、大体においてどこから情報が出たか知らぬけれども、まことに申しわけないけれども、ぼくもしばらくわからなかった。知っている者はわりあいに少なかったですね。しかし、これも、私がさっき言っているように、情報を早くつかんだ者が悪いなんという考え方をとるべきでないというのはそこなんです。少数であってもそういう人があった、うまく立ち回ったというようなことで、その人を非難すべきものでは決してないということを言っているんで、あなたの言うように、そういう情報の問題よりかも、あなたの場合なら、私は率直に言って、一体どういう石油の問題のきっかけといいますか、しかし、そればかりじゃないんだ。その前からとにかく政府はインフレでない、インフレでないと言い張ってきたわけです、われわれに予算委員会で。インフレでしょうと言ったら、インフレでないと言い張ってきた。それがだんだん積み上げられて一つのきっかけで非常に大きな暴発的なあれになったと思うんだ。その間にいかにもうけるかというようなやり方をやっていたことは、あなたはどう見ているかしらぬけれども、毎日の新聞に出たんですからね。毎日の新聞に出たでしょう、たくさん。そうして企業あるいは財界の大ものたちが出てきて相当苦しい立場に立たされていることは御存じでしょう。中には、これは通産省の指導を得てやったという話も出ているんですから。委員長、とにかくあまり言わないでくださいよ、あなた。本会議があることはわかっている。まだ二人いるんですからね。——そういうことですから、あなたのほうに、まああなたと論争する気持ちはないですけれども、ぼくの言いたいところはそういうことです。これは答弁は要りません。
  36. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ時間がたいへん切迫しておりますから端的にお伺いをしたいのですが、先ほど春木参考人の御意見にありましたように、昨年のあのパニック状態のときに、買い急がないでくれというふうにいろいろ消費者に御指導なさったけれども、結果としてはばかをみたという結果になっておるというのが、昨年末来の物価騰貴、まあ物価騰貴というか狂乱的なあの状態の中で消費者が身をもって感得した実情であったと思います。それについていろいろ御意見がありますので聞きたいと思いますが、実情としてはそういうこと。それから国民の要求というのは、先ほど来のお話の中にありましたように、九月の物価の時点をおあげになっておられますように、大体九月の時点に物価を引き戻してもらいたいというのが、端的に言って国民の要求であるわけです。そういう上に立って三人の方々に端的にお伺いをしていきたいというふうに思っております。  まず、スーパーの岡田参考人にお伺いをしたいのですが、いろいろ聞きたいと思いますけれども、しぼって聞きたいと思います。というのは、一つは、トイレットペーパーが関西から品不足、値上がりというのが出てきたわけです。そういう中では、特に関西のチェーンストア生産メーカーから値上げを要請された、それを拒否したということで出荷停止が起こったということがきっかけであるというふうにいわれています。その間のいきさつについて、どうであったのかというそのいきさつをひとつはっきりしていただきたい。  それからもう一つは、先ほどのお話の中にありましたように、今度はチェーンストア協会として値下げ宣言をやったというふうに言われておるわけですが、安くよい品をということになりますと、できるだけ安く仕入れをするということが至上命令になる。こういう事態の中でどういうふうにやるとそれができるのか。といいますのは、すでに国会で論議がされておりますように、石油業界あるいは生産メーカー、ここでは、物価のつり上げというのがやられてきた手口、あるいは物不足というのもまさにつくられた物不足だという手口、あるいはぼろもうけの実態というのは、すでに国会の中で明らかになっています。そういう関係の中でどういうふうにすれば安く仕入れられるというふうにお考えになっているのかという点です。  それから生協の春木さんにお伺いをしたいと思いますのは、これはいろいろお聞きしたいと思っていましたけれども、時間がありませんので、これは端的にお伺いをしたいと思いますが、先ほど例をおあげになりましたトイレットペーパーが、八月が九十円で九月が百十八円、十一月が百五十七円、十二月が二百十六円、それから一月が百九十二円五十銭というふうに仕入れ価格がどんどん上がったというふうなお話でございましたが、その間の毎月々の値上がりについて、仕入れる場合に全く無抵抗でしかないのか、あるいは、抵抗したら出荷をとめられるというふうな事態もあるのでというお話もございましたが、そういった具体的な指示とか命令まあ命令というのはないでしょうけれども、指示とかあるいは指示文書だとかそういうふうなものが具体的にありましたらお示しをいただきたい。  それから三点目は百貨店松下さんにお伺いをしたいと思います。これは端的にお伺いをしたいのでございますが、通産省の方針によって二月の水準で生活必需物資の値上げを凍結をするということを百貨店協会並びにチェーンストア協会は了承されたということでございます。で、参考にお伺いをしておきたいと思いますのは、二月の百貨店利益率というのはどの程度になっておるかという点をひとつ表明していただきたい。  さらに、あわせて、これは最後にお聞きしたいと思ったのですが、時間がありませんのでお伺いをしておきたいと思いますのは、百貨店協会というのは、これは自民党さんの政治資金の窓口である国民協会のほうへの割り当てが公表されております。現在では、月々百六十二万円、年間千九百三十八万円、それからさらに割り当て額が本年度は引き上げられたそうでございますが、それによると、百貨店は二倍になって、月三百二十三万円、年間三千八百七十六万円というふうなことを私ども報道によって承知いたしておりますが、そういう実態はどうなっているか。  それらの点について三人さんから簡単にお伺いをしたいと思います。
  37. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 答弁は柏原君のあとで一括してお願いいたしたいと思います。
  38. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 じゃ、簡単にお伺いいたします。  チェーンストア協会にお聞きしたいのですが、プライベートブランド商品というものが非常にこれから開発されなきゃならないと思うのです。そういうプライベートブランド商品が今後どういうふうに開発されていくのか、また、それに対しての方策をお持ちであるかどうか。  それから先ほどチェーンストア協会の値下げ統一行動宣言にいろいろな項目があげられておりましたが、これは実際に不買運動を繰り広げたとか、またそうした資料を持ち寄って反対したというような事実があってそれでこういうような宣言をやるようになったのか、それとも、まだやってないのか、その点をお聞きしたいと思います。  それから三つ目に、先ほどからたびたび出ておりますが、通産省等が生活必需品の価格凍結を両協会に要請しました。これは新聞によって私たち承知をしたのですけれども、実際にどうなっているのか、はっきりしたことはわからないわけです。それでお聞きするわけですが、チェーンストアの中などは特にこの価格凍結は行なっている。こういうことから見ますと、あと追い行政の感もあるわけです。そういう点から、この通産省の要請というものはどういうふうに受けとめていらっしゃるのか。これは通産省がこの対象品目の選定や価格水準を選定するのか、それとも、両協会のほうでやるのか、その辺どうなっているのでしょうか。  以上、お願いいたします。
  39. 松下省二

    参考人松下省二君) 最後の通産省の凍結要請商品でございますが、日用雑貨と軽衣料と加工食料品ということになっております。ところが、日用雑貨と軽衣料は、これはわれわれでいま品種の選定をしております、これだけの品種については凍結をすると。もうでき上がるはずでございます。それから食料品も品種の選定はしておりますけれども、先ほどもお話しのあったように、農林省との関係がありますから、食料品のほうがちょっとおくれるかもしれません。でも、内容はきのうあたり大体選定して協議しておるはずでございます。以上であります。
  40. 岡田卓也

    参考人岡田卓也君) 簡単に申し上げます。  トイレットペーパーが関西から品物がなくなっている、それは製造メーカーからの拒否をされたのではないかというお話でございますけれども、その事実は私は聞いておりません。これは十二月でございますので、私どもといたしましては、そのときは、とにかく商品がなくなりますので、それを集めることに集中したというのが現状でございます。したがって、価格トイレットペーパーについてはかなり高騰いたしました。例で申し上げますと、九月が九十七円、十月が百十九円、十一月が百七十円、それから十二月の末二百五十円というように価格高騰した。現在はそれが下がっております。  それから値下げ宣言について、どのようにして安く仕入れることできるかということにつきましては、一つは、価格につきましては、従来売っております商品について値下げをいたします場合は私どもの利幅を縮める以外に方法はございません。それからもう一つは、PB商品でございます。これはチェーンストアみずからが開発する商品でございまして、計画的な販売をしてそしてメーカーに計画的に前もって発注をして商品づくりをしていく。その方法はたとえばメーカーから宣伝費その他を抜いていただくという形で価格を引き下げる。そういう商品を、チェーンストアではいまかなりまだ開発をしておるわけでございますけれども、今後もこういう商品がたくさん出てまいります。たとえば、先ほど来から申しておりますように、ハムその他につきましても私どもでやっておりますのも、今度価格が上がりましてもPB商品については価格を凍結いたしております。これは前もって材料その他も私どもが選定いたしております。メーカーのほうは宣伝費は一つも要らない、その商品については。包装も簡潔にするというような形で、実質はそのままでも周辺のコストを落としていくという考え方でございます。  あとは、値下げ統一宣言につきましてスーパーですでに販売拒否をいたしておりますのは、私どものカップラーメン等もございます。それからダイエーさんもすでに前々から花王製品というものをやっておるようでございます。  以上でございます。
  41. 春木秋広

    参考人春木秋広君) ただいま沓脱先生からのお問い合わせのトイレットペーパー仕入れ価格高騰は、先ほど申しましたとおりでございます。ふだんは、価格が上がります場合には、かなり丁重な理由書がメーカーからわれわれのほうへ寄せられるわけです。それに基づいてわれわれのほうとしては十分検討して、これは受けられるとか受けられないとかいうふうな判断をしておるわけでございます。ところが、昨年の十月、十一月、十二月における値上げにつきましては、そういう文書は一切参っておりません。ほとんどが口頭で来ました。それで、われわれは、そういう態度に対してけしからんじゃないかという抵抗もいたしました。ところが、そうだからといってにわかに商品が来なくなるとかそういうようなことではないと思いますが、われわれ、店頭にお見えになる赤ちゃんを抱き子供の手を引いたおかあさん方の顔を見たときに、これは何としてでもこの商品はわれわれ店頭に並べるのがわれわれの責務であるというふうなことから、とにかくすぐにトラック一車持ってきてくれとか、貨車で送ってくれとか、そういう要請のほうが実は先ばしってしまって、詳細な検討なしに過ごしたことをあとから消費者皆さんから突かれましてわれわれも大いに反省をしたわけでございますが、ああいういまだかつてない立場でございましたためにこの点はわれわれも十分今後の反省の材料にしておるわけでございます。  ただ、こういう経過をあとから振り返ってみますときに、実はわれわれのほうの仕入れ担当者が静岡県のトイレットペーパーのメーカーまで出向きましてそうしてメーカーの実情を見てみますと、メーカーのほうとしてもあの混乱の中に全く無計画であった、出荷についても何にしても無計画であったという実情を見て帰りまして、パニックというのはこれはほんとうにおそろしいものだということをまざまざとわれわれははだで感じたわけです。二度とこういうことを起こさないために、もちろんわれわれは消費者サイドでそういうことのための努力をしたいと思ってはおりますが、結局それらのトイレットペーパーをつくる古紙であるとかパルプであるとか苛性ソーダであるとか、いろいろなそういう原材料について通産御当局として実情をほんとうに把握していただいておかないと、いつこういう問題が起きるかわからない。したがって、いわゆる業界からの一方的な報告だけで通産御当局が満足なさるのでなしに、もう一歩踏み込んだ指導行政をぜひお願いしたいと、こういうふうに思うわけでございます。
  42. 松下省二

    参考人松下省二君) 先ほど御報告申し上げるのが落ちましたので、申し上げます。  二月の売益率はまだ出ておりません。ですけれども百貨店の売益率というのは二割三分ぐらいです。欧米の百貨店は三割五分ぐらい、アメリカは三割八分ぐらいです。日本百貨店の売益率は非常に低うございます。  それから自民党への献金の件は、私、事務局じゃないものですからちょっといま存じ上げませんので、御返答はいたしかねます。事務局のほうでわかると思います。どうぞよろしく……。
  43. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、事務局であとでおわかりになったら、ひとつ文書でけっこうですから御返事をいただきたいと思います。  それから岡田参考人がいわゆるトイレットペーパーの関西でのいきさつを御存じないというふうにおっしゃるのですけれども、これは時間がかかるから私もいまは申し上げませんが、これはあなたが御承知ないというのはたいへんな問題なんで、ひとつ一ぺん御調査を願いたい。私どものほうはそれなりの資料を持っておるわけなんでございますので、御調査をいただいて後ほど文書でもけっこうですから御回答いただきたいと思います。
  44. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) まだ質疑もおありのようですが、この程度で参考人に対する質疑を終了いたしたいと存じます。  参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。  本日の調査はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会      —————・—————