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1973-12-21 第72回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月二十一日(金曜日)    午前十一時開会     —————————————    委員異動  十二月二十日     辞任         補欠選任      佐々木静子君     加瀬  完君  十二月二十一日     辞任         補欠選任      中村 登美君     河口 陽一君      亀井 善彰君     中西 一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小笠 公韶君     理 事                 佐藤 一郎君                 棚辺 四郎君                 竹田 四郎君                 田代富士男君                 中沢伊登子君     委 員                 上原 正吉君                 川野辺 静君                 河口 陽一君                 志村 愛子君                 嶋崎  均君                 中西 一郎君                 中村 禎二君                 山下 春江君                 加瀬  完君                 工藤 良平君                 小林  武君                 前川  旦君                 柏原 ヤス君                 沓脱タケ子君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        通商産業大臣   中曽根康弘君        自 治 大 臣  町村 金五君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君    政府委員        公正取引委員会        委員長      高橋 俊英君        公正取引委員会        事務局長     吉田 文剛君        経済企画政務次        官        竹内 黎一君        経済企画庁長官        官房長      吉瀬 維哉君        経済企画庁長官        官房参事官    有松  晃君        経済企画庁調整        局長       青木 慎三君        経済企画庁国民        生活局長     喜多村治雄君        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        戸田 嘉徳君        大蔵省主計局次        長        長岡  實君        農林省食品流通        局長       池田 正範君        食糧庁長官    中野 和仁君        水産庁長官    荒勝  巖君        通商産業省基礎        産業局長     飯塚 史郎君        通商産業省生活        産業局長     橋本 利一君        資源エネルギー        庁長官      山形 栄治君        資源エネルギー        庁石油部長    熊谷 善二君        運輸省港湾局長  竹内 良夫君        郵政省郵務局長  石井多加三君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        外務省情報文化        局文化事業部長  堀  新助君        農林省農蚕園芸        局審議官     須賀  博君        農林省食品流通        局審議官     齋藤  稔君        食糧庁業務部長  志村 光雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国民生活安定緊急措置法案内閣提出、衆議院  送付)     —————————————
  2. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十日、佐々木静子君が委員辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。  また、本日、中村登美君が委員辞任され、その補欠として河口陽一君が選任されました。     —————————————
  3. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 次に、国民生活安定緊急措置法案を議題とし、前回に引き続いてこれより質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 竹田四郎

    竹田四郎君 年末年始マイカーガソリン問題でありますけれども、きのう、通産省は、正月の一、二、三、これはガソリンスタンド休業させるという方針を出したようであります。いままでの方針も、日曜あるいは土曜、これを売らせないと、こういうことでありますが、特にこの年末は、二十九日が土曜日、三十日が日曜日という事態であります。三十一日は月曜日でありますが、多くの業者はおそらくこの三日間も休業をするという方針のようであります。そうしますと、年末年始にかけて六日間というものがマイカーに対するガソリン供給というのはストップされてしまうわけです。マイカーガソリン節約というものは、原則的には私もある程度しかたがないと、こう思いますけれども、年末年始にかけて六日間というものが売られないということになりますと、これは私はかなり混乱が出てくるだろうと思う。特に二十八日などは、これはおそらくかなり買い占めが出てくるでしょう。まあ、それで、ないということになりますれば、おそらくこの前のプロパンガスの例ではありませんけれどもそうした混乱が出てくるでしょうし、ある一部においては、六日間も売ってくれないということになりますと、これは買いだめが起きて缶であちらこちらへ並べておくということになりますと、特にことしは異常乾燥が続いている中で、まあ今後どうなるかわかりませんにしても、異常乾燥かなり続きそうだという中では、非常な火災発生危険性というものがさらに加わる、こういうことになるのではなかろうかと思うのですけれども、マイカー規制もある程度これは必要だろうとは思いますけれども、この六日間が全然売られないということになれば、現在の住居の状況、そうしたものから考えて、中には病人が出る人もあるでしょうしあるいはどうしても緊急やむを得ないという問題も出るでしょう。また、同時に、いままでの帰省客状況から見て、かなりマイカーで行っていても、既存の鉄道バス等によるところの帰省というのはそれほど順調な帰省ができなかったわけです。かなり程度は徹夜をして並んで切符を買わなくちゃならぬというような事態というものもあったわけであります。こういう時期にマイカー規制がされるということでありますから、そうした面で十分に鉄道あるいは長距離バスによるところの輸送というものが確保されるならばかなりいいと思いますけれども、その方面の対策というのは必ずしも十分でない、こういうことになりますと、かなり混乱がこの年末年始にかけて起きる可能性が私はあると思うのです。この点について、六日間というものを一切ガソリンスタンドを閉鎖してしまうということには、あまりにも混乱という犠牲を多くしてしまうのではなかろうかと思うのですが、いかがですか。
  5. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私も同感に思います。その点は御趣旨のようにしたいと思います。けさ一部の新聞に出ましたけれども、私がまだ目を通してやったことではないので、どこかに少し構想されたのが新聞に出たのではないかと思います。やはり一般国民皆さま方の利便や生活も考えなければなりませんから、六日間連続してやるというようなことは行き過ぎでありまして、まあいままでガソリンスタンドあたりでは正月の三カ日は休むというのはあったようであります。そういういままでのいきさつ等も調べまして、事業活動その他にも支障がないように、と同時に、また、レジャーその他はできるだけ自粛願うように、そういう精神に沿いまして、年末年始ガソリンスタンドについては私が目を通して適当に調整することにいたします。
  6. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはかなり新聞に出ているわけですね。目を通す通さないは別として、一般国民はゆうべからのラジオ、テレビ、けさ新聞ということでかなり広くこの面はもう知っちゃっているわけですね。そうしますと、これからそうした点をよく考慮して考えるというようなそういう態度がむしろ混乱を起こしていく大きな原因になるのじゃないか、あるいは不安を醸成していく大きな原因になるのじゃないか。そういう点は、やはり即急即決でないと、私は一そう不安をかき立てられる。もうそろそろおそらく帰省のキップの手当て等々も考えざるを得ないという時期に来ていると思います。ですから、この点は、あなたの六日間休業はさせないという具体的な方針を早く明確に出してもらわなくちゃならぬと思うのです。のんびりかまえられていてはこの点は困ると思うのですが、いつまでにそれは具体的に方針を出しますか。
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは石商連とも相談しないといけませんが、今明日中に結論を出して発表するようにいたします。
  8. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、今明日中というのではおそいと思うのですね、もう、一回こういうニュースが流れているのですから。このニュースが流れていない前ならば、なるほど少し時間を置いて石商連と話をするというのはけっこうでございますが、ニュースかなり流れているわけであります。このニュースというものを早急に打ち消す必要がまずあると思う。その辺はいかがですか。
  9. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 事務的には全然まだきめていないことなんです。それが新聞にああいうふうに出たので私はふしぎに思っておるのでありまして、何しろ私は昼夜法案に追われましてそういう具体的処理に目を通すひまもないし、また、いま聞いてみましたら、事務的には全然まだきめてないということなのであります。しかし、ああいうものがかりにも出ましたら、いろいろ買い急ぎや何かを起こすおそれもありますから、さっそく指示いたしまして、まあ今明日中と申しましたのは多少のアローアンスも考えて言ったことでありますが、早急に方針をきめます。
  10. 竹田四郎

    竹田四郎君 次の問題に移りたいと思うのですが、最近、イラン国営石油会社の直接販売DD原油あるいはリビアかなり高価なものに対する入札、そういうものが行なわれているわけであります。リビア石油に対する応札については、通産大臣もこれはオーケーを出したと、こういうように新聞は伝えております。十七ドルから場合によれば二十ドル、かなりの高い価格です。通産大臣は、一時高い価格があってもそれはやがておさまるところへおさまるだろうというような判断であろうと思いますけれども、過去にも、日本商社世界市場でいろいろなものを買いあさった、あるいは非常に高い価格で買いあさった、こういうことは国際的にかなり非難をされた。同時に、いまの国際的な価格の値上がりというものは、日本商社のそうした買いあさりの行動、札束さえ持っていけばかまわないから何でも買うんだ、こういうものがやはり批判の対象になっていると私は思う。たとえばオーストラリアの羊毛とか、あるいはカナダにおける豚肉とか、こうしたものは当時かなり大きく外国批判というものが、エコノミック・アニマル・ジャパンということで非難をされたわけです。今度の石油の場合も私は同じような問題であろうと思う。確かに、いま、日本石油事情も苦しいことは苦しいと思う。しかし、苦しいから札束でほっぺたをたたいて買い付ければいいんだということは、国際信義の上でもこれは問題があるんじゃないか。これはどうですか。
  11. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 石油の購入に関しましては、日本高値札束でひっぱたいて買っているということは最近はないのであります。ことしの春にジャパンライン入札しましたときに高値を入れたといわれておりましたが、あのときはたしか二ドル八十セント程度のものを、三ドル三十八セントでありましたか、それぐらいに上げたと。しかし、それも外国石油会社がみんなそれの値段をつけておって、そしてそれと同じ値段ジャパンラインも引き上げたということを聞いております。だから、石油に関して日本高値をつけて世界批判をされるようなことは、私は実質的にはないと思っております。最近のイランにおける入札につきましても、むしろ外国に引きずられて泣く泣く入札しているというのが日本情勢でございます。
  12. 竹田四郎

    竹田四郎君 泣く泣く入札しているかどうかわかりませんけれども、現実にはほかの他国のほうはほとんど落ちなかった。結局、落ちたのは、住友とか日商とか、あるいは日綿だとか、今度のリビアの点はどこに落ちるかわかりませんけれども、たとえば住友商事が入札したということはもう新聞で明らかであります。前にはそうだったかもしれませんけれども、現在になれば、そうした高い石油というもの、これにやっぱり飛びついているということは私は事実だろうと思う。こうしたものが同時に国内の石油価格を引き上げる要因を一方でつくると思う。しかも、それについて通産大臣が何か応諾をしたとかいう新聞記事があるわけですね。この点は、もう少し事態を明らかにしていただきたい。
  13. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 菅野議員リビアへ参りまして、リビア石油大臣といろいろ懇談をしておりましたときに、リビア石油大臣日本状況を聞いて、向こう側から積極的に、そんなに困っているんならリビア石油を分けてあげましょうと、そういう話がそのときあったようです。それで、その連絡がわれわれのほうに参りまして、その油を買おうかどうかと、そういう伺いみたいな話がありました。私は、三木先生はエジプトまで行っているけれども、リビアには手が伸びない。それで、リビアではハイジャックで二度もお世話になって政府に多大な迷惑をおかけしているし、かつまた、その後経済協力というものもそれほど行なわれていない。三木先生も隣まで行って行かれない。しかも、OAPECの外務大臣会議が近くあって、日本をどうするか、友好国にするかしないかというステータスをきめる重大な時期でもある。そういう情勢を見ますと、石油事情というものはことしの春とはまるきりがらっと変わってきている情勢でもあり、リビア政府向こうから積極的に日本に対してそういう——日本国民に対してと言ったそうでありますが、好意を示してくれたというものを断わるということ自体が外交的にこれはまずい結果を生む、そういうふうに思いまして——リビアについては一部の石油会社国有化の問題が起きて紛争中であるということはもちろん知っております。知っておりますけれども、そういう向こうから好意を分かち与えるということに対して、その油がホットオイルでありますかそうでないですかと聞くとか、あるいは断わるというようなこと自体は、たいへん失礼にもあたるし、将来の外相会議やその他の動向についても考慮せなければならぬところがあると思いましたから、通産省としては私の判断で、菅野議員を通じてそういう御好意を示されたことについては感謝をいたしますと、そうして日本は油を買うとか何とかということは民間ぺースでみんなやることでございますから、その点についてはあっせん処理菅野議員にお願いをいたすことにいたしますからよろしくと、そういうような返事を出すことがしかるべきであると、そういうふうに外務省とも相談をして電報を打った、そういうことでございます。
  14. 竹田四郎

    竹田四郎君 この点は議論はいたしませんが、やはりこれはアラブ外交じゃなくアブラ外交的要素というふうに私は思います。油さえ得られれば高くあろうがどうあろうがそれはいいんだという趣旨にしか私はとることができません。  時間がありませんから次へ進むわけでありますけれども、通産省灯油十八リッター三百八十円ということできめてきたわけでありますけれども、これは現在実際上守られていると思いますか、あるいは守られていないと思いますか、どうでしょうか。
  15. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 下部に周知徹底するにつれて逐次守られてきつつあり、その範囲は非常に拡大していると思います。
  16. 竹田四郎

    竹田四郎君 しかし、実際は運賃等々でかなり加算されているということが私は実態だろうと思う。なるほど石油十八リットルは三百八十円、しかし、運賃が非常に多くなっている。運賃というサービス石油というサービスの抱き合わせ販売だと私は思う。これは石油に限らない。きのうもある主婦から私のところに報告がありましたけれども、小麦粉の小袋がないということで小麦粉たくあんと抱き合わせ販売して、たくあんを二本買わなければ四百グラムの小麦粉を売らない、こういう事態が起きているわけです。このことは、石油においても現物と輸送というサービスの抱き合わせ販売ということであろうと私は思う。ですから、一つ標準価格をきめても、まあこの三百八十円というのは一種の標準価格と見てもよかろうかとも私は思いますけれども、それに運賃というサービスが抱き合わせ販売になって、全体としては高くなっている。実際、運賃というものをどういうふうに計算されているのか、その辺はわかりませんけれども、私は現実的にはこれは抱き合わせ販売であると思う。こういう抱き合わせ販売というものが今後ほかにも転移をしていく、この可能性も大いにあると思う。現実にそういう小売りがあちらこちらで行なわれている。小麦粉たくあんとの抱き合わせが行なわれている。それは通産省一つの模範を示したようなかっこうになっていると思う。こういう形で、灯油にいたしましても、そのほかにしても、抱き合わせ販売というものは今後非常に行なわれてくると思う。こういう問題についてどう考えますか。
  17. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 灯油店頭裸価格三百八十円ときめましたのは、あのような事態のもとで灯油が上がっている、思惑を防ぐ、そういう意味で思い切ってやったことであります。しかし、灯油のようなものは、運賃をきめろといいましても、非常にむずかしいわけです。隣の家へ持っていくのと二里も三里も離れた山の中の家へ持っていくのと、これは運賃が非常に違います。それからわりあい大きな規模で仕事をして自動車を何台も持っていて運べる家と、炭屋やお米屋をやっていて人手がなくて運ぶのがむずかしいという家もあります。そういうような面から見ましても、しかもそれを全国一律できめるということでないと価格をきめる意味がない。そういういろいろ条件がむずかしい中に苦心してとうとう考えついて、これ以外にやむを得ないと考えたのが店頭裸価格、こういうやり方で、じゃそれ以外にどういう方法があるかということを考えてみると、これは竹田さんでもそういういい知恵は出てこないだろうと私は思うのです。運送賃指導価格をきめるということ自体がなかなかむずかしい要素があります。でありまするから、ああいうやり方できめまして、そして運賃についてはやはり売っているほうがそれ相応の自粛した態度でやっていただく。もし非常に高い運賃を取るようなところがいたら、これは消費者からわれわれのほうへ知らしていただいて、そして石油系統流通過程を通じてそれを注意する、そういうような形でやっていきたいと思うのであります。あんまり暴利を取るようなところがありましたら、供給をストップするとか、そういうこともやっていきたいと思っておるのであります。
  18. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはある一定の地域をきめて大体そういうものの標準価格というものを示さないと、結局、弱い消費者というのは高いものをつかまされるか、しからずんば売ってくれない、こういうことだと思うのです。で、これは小売り商監督指導というのはあなたのほうの管轄だろうと思うのですが、たとえば小麦粉そのもの農林省にいたしましても、それとたくあんを抱き合わせて売るということはもう現に始まっているわけですね。そういう商行為が私は今後どんどん起きていくと思うんです。なるほど小麦粉はある程度統制ができる。たくあんについては統制はできない。統制できるものと統制できないものとを抱き合わせする、そういう商行為というのはどう思いますか。それに対して、どういうふうにあなたはしていこうと思うのか。これは今後どんどんふえてくると思いますよ。
  19. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 抱き合わせ販売をやるというようなことは、売り手市場の場合に売り手消費者の弱みにつけ込んでやるという行為で、絶対認めてはならぬことであります。そういう点はきびしく取り締まっていきたいと思います。
  20. 竹田四郎

    竹田四郎君 取り締まるというんですが、具体的にどう取り締まるのですか。もう現実に起きているんですよ、そういう問題が。
  21. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それぞれの流通過程の団体を通じて指示をし、かつまた、もしそういう悪質の違反をやるような店がわかりましたら、警告を発するとか、しかるべき措置をとります。
  22. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあことばの上ではそういうことを言えるわけですけれども、現実にはそうしたものを抱き合わせしなければ今後売ってくれない。そこで、じゃあんなもの買わなくてもっとほかへ行けばいいじゃないか。ほかへ行くということになれば、電車賃バス代がかかってそれだけもう金がかかっちゃう。そういうことを計算すれば、やっぱり全体を合わしてもそこで買うほうが安い。まあそのぐらいの値段にしか抱き合わせもしてこないと思うんです。ほかへ行って往復運賃を入れてもそれでも高いというようなそういう値段に私はしてこないと思うんです、商売上。そうすると、その往復運賃の限界のすれすれまで抱き合わせをやっていく可能性というのはあるわけですね。それを取り締まるといったって、それじゃ具体的に通産省でそういうものを取り締まる人間が何人いるかということになると、幾らもいないでしょう。各市町村に依頼するといったって、各市町村だってそれだけの人数がいま余分にあるわけじゃない。業界にそういうものの取り締まりを依頼するといったって、これは通達が流れるだけであって、これはちっともそういうことにならないわけです。プロパンガスの問題一つとってみたって、これを業界全体に徹底させるにはたいへん時間がかかるわけです。そういうふうに考えてみますと、そう簡単にあなたがおっしゃるようにことばの上でできるほど私はこの問題はできないと思う。  そこで、問題を多少変えますけれども、通産省の所管で今度この法案に基づいて一体品目ぐらいを指定品目としておやりになる準備がいま整っているのか、その進行状況一体どのぐらいなのか、標準価格設定準備作業、こうしたものはいまどの辺まで進んでいるのか、この辺の詳細を明確にしてほしいと思います。
  23. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 品目選定等作業をやらしておりますけれども、これはほかの省との整合性を必要とするものもありまして、いまここで具体的に申し上げることは慎みたいと思います。いろいろこれは思惑を呼んだり、買い占めやその他のものを引き起こしますので、やるときまではなるたけ言わぬほうがいいと思っております。
  24. 竹田四郎

    竹田四郎君 やるときまでは言わないほうがいいというんですけれども、あなたがいつやるのか、この点まだ明確でないわけですが、一体準備作業はどのくらい進んでいるんですか。品目が言えないとすれば、準備作業はどのくらいの程度にまで進んでいるわけですか。
  25. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 品物の選定をいまわれわれのほうの各原局ごとにやらしておるわけであります。それを官房でいま統括していると、そういうことで、私がまだ見る段階まで至っていませんが、用意はいろいろやっておるようであります。
  26. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは長官に伺ったほうがいいんですが、一体これをいつから実行するんですか。法案がいつ通るか知りませんけれども、きょう通るのかあした通るのか知りませんけれども、現実にはいつからやろうとしているんですか。それで、あなたのこの前の統一見解といまの通産大臣の話で聞いていますと、なるべく早くさっと手を打ちたいというのが現実だと思うんですよ。しかも、ここが年末年始の一番物の上がりどきですね。きのうの日銀の発表でも三・五%十日間に上がっているというんですね。たいへんな上がり方ですよね。おそらく、来年の一月、二月にいけば、卸売り物価は三〇%をオーバーするんじゃないかとさえいわれているんですね。あるいは今年じゅうにオーバーするかもしれない。こういう事態の中で、いまのように作業が進んでいない、まあ進んでいるかどうか通産大臣はそれすらわからないと、こういう状態で、一体、いつこの法律が実効性を持つようになるのか。きのうの山形長官の話ですと、いろいろな資料を詳細に集めてと、こういうんですね。詳細に集めるということになれば、これはまた、たいへん時間がかかるわけです。長官も通産大臣も拙速でやれと、当てずっぽうでもいいからやれと、まあこういうような趣旨のことまで述べられた。それにいま準備がどのくらいいっているかということについても全然話されない。大臣の耳にもまだそれが入っていない。こういうことですと、法律は通ったはいいけれども、実際にそれが品目価格が明示されて店頭にまでそうしたものが張られる、それは一体いつを考えているのですか。いまの大臣の話でも、半年——半年とは言いませんけれども、半月くらい先になっちゃうような感じですね。その辺は、長官としてこの法案の実際の所管の大臣として、責任を持つ大臣として、一体いつからやるのか。もし来年の一月一日からやるとしたら、もう相当準備が整っていなければ私はできないと思うんですよ。標準価格消費者の目に触れるまで必要だと思うんですよ、私は。それでなければ必ず混乱が起きるわけですよ。どうなんですか。
  27. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) ただいま御指摘がございましたように、十二月上旬の卸売り物価の推移を見ましても、まさに異常な状態にあるという認識のもとに、私は、この法律案を本院において御可決いただきましたならば、これはもう一日も早くこれを公布をいたすつもりで準備を進めます。この法律は、終わりのほうにも書いてございますように、公布と同時に施行されることになっております。私が承知いたしておりますところによりますと、法律というものは、国会で可決せられました後三十日以内に公布するというたてまえでございますが、そんなのんきなことは言っておられませんので、それは、できましたならば、私の気持ちは、あすにでもあさってにでも公布をいたしまして、その公布の日から施行いたします。  なお、また、内閣との打ち合わせ、内閣に対する私どもの要望といたしましては、この法律が通りましたならば、直ちに、まあかりにきょうでもお通しいただけますならば、明日にでも内閣におけるいままでの石油緊急対策本部というようなものを国民生活安定緊急本部に切りかえて、そこで総理大臣の談話を発表していただいて直ちに準備に取りかかる。その準備の中には、今回修正がございました、私どものほうで申しますと、審議会の設置がありますから、直ちに審議会設置の手続を進めまして、そこで品目の指定方針あるいは標準価格指定の範囲というものを実務的に進めまして、一日も早くこの法律の最初の段階に踏み出す覚悟でおります。
  28. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたの話を聞いていると、一体いつやるのかわけがわからないですよ。審議会をつくって各省とやって——緊急事態の宣言なんというのは、これは何もあしたに限らないで、きょうやったっていいんですよ、そんなものは。ただことばを並べるだけなんだ。ことばを並べた以上は、具体的にきょうからこれをこうします、あれをします、標準価格なら標準価格を店頭掲示しますと、そこまでいかなければ緊急事態ではないんですよ。ところが、通産大臣の話を聞けば、通産大臣にも、品目がどんなふうなのか、準備がどんなふうにいっているのか、全然わかってない。やっているのかやっていないのかもよくわかっていない。こんなことで、一体、いつこれはできますか。こういう品物はこういう価格で買えるんだということが消費者のところに具体的に目で耳で入るのは一体いつになるんですか。全然準備が整っていないんじゃないんですか。——いや、あなたにはもういいですよ、あとでまたゆっくり聞きます。
  29. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 緊急事態の告示は、これは法律が施行されたらすみやかにやりたいと思っております。一切に優先して早くやって、それから審議会の設置とか、あるいは政令の制定、省令の制定、そういういろいろなものは多少時間がかかりますが、ともかく、事態の認定告示はすみやかにこれを行なう。そして、いまお示しのいろいろな標準価格とか標準品目とか、そういうことはすでにいろいろやっております。やっておりまして、大体われわれのほうの官房では取りまとめておるんです。だけれども、そういうようなことを私らが名前まで出していつまでにどうするかというようなことがあると、店頭から商品が姿を消すという現象がなきにしもあらずです。そういうこともおそれましてその点は慎重に発言をしておるのであります。
  30. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、だから、品目はどういう品目をやるかということは聞いていませんよ、一言も。品物は何種類ぐらいだ、いま仕事の進みぐあいはどの辺までいっていると、こういうことを私は言っているんですよ。あなた方が全然話をしないというガソリンの一、二、三の問題だってすでに流れているんじゃないですか。だから、それはいずれわかることではありますけれども、また秘密を要することであるかもしれませんが、われわれはこの二十二日あるいは二十四日に通すというのをわざわざある程度繰り上げようとしてまで協力しているんですよ。われわれが具体的にこれだけ協力しても、そうした具体的な価格にならなければこれはだめですよ。緊急事態宣言ぐらい言ったって、これは何にもならないですよ、そんなものは。価格の決定にはあずからないですよ、そんなものは。具体的に消費者にこうだという点にまでいく、その期間を縮めたいから、私どもかなり協力しているわけです。ところが、法案は通したはいいけれども、それが実行に移されるまでに時間があるというんなら、何もそんなに急いで通す必要はないわけです。急いで通すなら急いで通すようなそういう体制が政府側になければ、私どもそんなに急いで通す必要はないですよ。ゆっくりやりましょう。どうですか。
  31. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政府のほうは、夜も徹夜のような情勢で事務当局はやっております。で、全力をふるっていま政令とか省令とかの案を省内においていろいろやっているわけであります。政令・省令がきまらないと、品目とかそういうものも表へは正式には出てまいりません。また、一方、品目等につきましても、各原局でいろいろ洗っておりまして、それを官房で総括していまその整理をしておると、そういう状態であります。
  32. 田代富士男

    田代富士男君 きょうは質問の時間が小刻みでございまして、質問するほうの立場としては非常にやりにくい質問でございます。個条的にお尋ねをしたいと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。  異常な物価高騰、インフレの原因は中東戦争をきっかけとする石油危機にその一端があることは、これはだんだんと明確にされてきております。そこで、私は、端的に、努力はされていることは一応認めますけれどもお尋ねしたいことがあります。  第一点は、いま、困った困った、打つ手がないと言いながら、三木特使がサウジ・アラビア、エジプト、リビア、クウェートを回っていらっしゃいます。新聞で一部伝えられておりますけれども、通産大臣に対しましてどのような報告が来ているのか、それが第一点でございます。  第二点は、マスコミを通じまして二月以降石油削減が解除の方向に向かうとの報道が一部にされております。政府は、来年二月以後にはどのような見通しを立てられているのか、これが第二点。  第三点は、現在輸入してない中南米の石油、あるいはアジア諸国、アフリカの油田等からの輸入について、政府はどのような措置をとられるのか。まず、この三点からお願いしたいと思います。
  33. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 三木特使は、連日、中東諸国を訪問されて、非常な御努力を願いまして、かなり成果をあげておられるのではないかと思います。現地へ参りまして元首その他にお会いして直接日本の真意を伝え、また、日本の今後の決意も申し上げておるようであります。その成果は著しいものがあったのではないかと私は思いますけれども、そのこと自体日本に対する石油の削減とどの程度結びつくかということは不明であります。新聞によりますと、やや明るみを増してきたような情報もありますけれども、私らのところには確実にそういうふうになるというような情報はまだございません。したがいまして、今後、外相会議等が行なわれてどういうふうになるか予断を許さないところがありまして、私たちは、事態は深刻になるものであると考えて政策を進めていかなければならぬと思っております。  第二に、来年二月以降いかんと。二月以降も同様であると思っております。  それからそのほかの国々の油を集めよという御趣旨は全く賛成でございまして、特に一番供給の多いイラン及びインドネシア、この二国だけで五一%の油が日本へ来ておるわけです。この二国の油によって日本は息をつないでおれる状態であります。そういう意味におきまして、けさも私おくれましたのは、ラデウスというインドネシアの商務大臣がこちらへ見えておりまして、いろいろインドネシアとの経済協力問題を御相談してきておったのでございます。インドネシア、イランが大宗でありまして、そのほかの国々につきましてもいろいろ努力はしておる状態でございます。リビアの原油の問題もその努力の一端であると御承知願いたいと思います。
  34. 田代富士男

    田代富士男君 きょう、いま、三十分われわれはこの委員会で待ちました。その理由は、ただいま、インドネシアの商務大臣と経済問題について話をしていらっしゃったといま大臣からの御答弁ですが、石油問題に対しまして大臣がどのように意見を述べられ、どういうような向こうの商務大臣のお考えであったのか、そのことをお聞きしたいことが第一点。  その次に、これはいますぐ役に立つというわけにはいきませんが、田中総理がソ連を訪問されたときにも問題になりましたシベリアの油田の開発の問題、あるいは日韓閣僚会議でも議題になるかともいわれております東シナ海の油田の開発等に対する問題に対してどのように対処されるのか、この二点についてお伺いします。
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) インドネシアの閣僚が見えられましていろいろ相談しましたのは、田中総理が来春行かれますので、その下話に関係したこともございますし、特にけさ会いたいときのうから言ってこられましたのは、日本からインドネシアに供給する肥料、あるいはパイプ類、その.ほか工業製品の輸出契約が減らされては困ると、これでは国家再建に非常に支障を来たすと、そういうことで、一々その問題を心配されて来られたのでもあります。これはインドネシアだけに限らないで、肥料なんか一番心配しているのはインドがそうでありますし、あるいはアフリカの諸国がそうでありますし、中国も非常に心配をして異常な関心を実は持っております。日本の電力が削減されますと、必然的に肥料の生産が落ちてまいります。そういう場合に、東南アジアや発展途上国は国家建設が挫折するわけであります。そういう点で、通産省には非常な危惧を訴えて来ておられまして、まあ私たちはできるだけそういう発展途上国については協力いたしますと、しかし、日本国民が削減を受ける程度までは海外につきましてもごかんべん願うことがあり得るかもしれぬと、何しろ日本自体がこういうふうに緊急で困っている状態でございますから、できるだけ努力はいたしますと、そういう線でいろいろ御回答申し上げておる、これが異常に近く多くなってきておるのでございます。  それから第三番目のシベリアの問題でございますが、この問題については、わがほうは、積極的に、こういう事態があろうとなかろうと、日本のエネルギー資源を多方面にわたって、また、その資源の内容も、原子力から水素の還元に至るまで多方面にわたってこれを獲得しようという努力をしておるのでありまして、その一環としてシベリア問題につきましても積極的に熱意をもって早く解決していきたいと思っております。
  36. 田代富士男

    田代富士男君 あとシナ大陸、東シナ海の……。
  37. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 東シナ海の問題につきましては、来年度はそれ以前に、日本列島の近海大陸だなにおける開発をできるだけ強力に推進したいと思っております。先般常磐沖で一日五千立米パーデーという程度のガスが噴出いたしまして、いままで、日本海沿岸には石油やガスはあるけれども、太平洋沿岸にはないという神話がありましたけれども、その神話が破れたわけです。したがいまして、北海道の南から沖繩にかけて、日本列島の東のほうも有望であるということがわかってまいりました。日本列島のそういう大陸だなについては、来年度からは非常に力を入れて推進してまいりたいと思っております。  東シナ海の問題については、まず韓国との間に共同開発の問題がございまして、これはいま外交的に樽爼折衝しておる段階でございますが、これもできるだけ早く妥結させて、ジョイントベンチャーで開発を開始したいと、そういう熱意を持っております。
  38. 田代富士男

    田代富士男君 いまいろいろ努力をして多方面にわたってエネルギーの資源獲得をやっていきたいと、そういう大臣のお考えでございますが、近々日中貿易協定がきめられようとしておりますけれども、通産大臣といたしまして、この日中貿易協定の中に石油問題を織り込む考えがあるのかないのか。——じゃ、もう一回申し上げますがいま、別の話を聞いていらっしゃった。近々、日中貿易協定が締結されようという、そういうことがいわれておりますけれども、いま申されるとおりに、多方面のエネルギー資源の確保というので努力していらっしゃいますから、この貿易協定の中に石油問題も織り込む考えが通産大臣としてあるのかないのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  39. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 取り扱い商品の中にはもちろん石油も含まれるものでございます。
  40. 田代富士男

    田代富士男君 それじゃ次に進みます。  一部に伝えられるところによれば、二十五日の閣議で石油あるいは電力の二〇%供給カットという第二次緊急石油対策がきめられまして、行政指導の形で規制を強化するようにという方向に行くんじゃないかと言われておりますが、これは国民にとりましてはたいへんな問題じゃないかと思うのです。だから、第二次規制については、いまさっきもお話が出ておりますが、省令、政令のいろいろ準備は進めてあると。その具体的な内容についていまも質問がされましたけれども、私も納得できないようなことでございますが、そういうどのような省令、政令の内容になるものか、この問題をまずお聞きしたい点が第一点。  それから電力制限でございますが、電力制限がされるということは、石油を不当に買い占めているそういう工場等も、そういう原油があっても、電力がなければこれは買いだめしても効果はないという、その効果もあるかわかりません。しかし、それに反しまして、電力制限等を受けた場合の国民の生活に与える影響というものは非常に大きいと思うのです。それで、いま、第一種、第二種、第三種と段階を分けて、第一種は現行どおり、第二種は五%の供給カット、第三種は二〇%の供給カットと、そのようなふうにいま検討されているそうでございますけれども、われわれの生活必需品に関係のあるそういう企業に対するこういう電力の制限ということは私はやるべきではないと思うのですが、そういう点につきまして通産大臣からお尋ねしたい。この二点です。
  41. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 二十五日にきめるというお話でございましたが、いまそういう方向に動きつつあるということで、まだきまったわけではございません。  まず、電力につきましては、日本石油消費状況を見ますと、大体、産業が七〇%、それから民生が三〇%、したがいまして、石油を有効的に節減しようと思ったら、産業を切らないと有効な節減にはなりません。外国は逆でありまして、民生のほうが多くて産業が少ないのです。でありまするから、外国はわりあいに民生のほうを切って、マイカーの節減とかそのほか電力に至るまでかなりきびしくやっておる。これは民生の消費量が多いからです。日本の場合は産業の消費量が多いわけでありますから、そこで、十一月の二十日から大口については一〇%カットを始めて、十二月もそれをやって、約三千キロ以上の二千八百の工場、約十一業種鉄鋼、電力、石油化学、セメントというようなものが大口消費者でありますが、それについて一〇%カットをやってきたところであります。それ以外、中小企業や農漁業については、御協力を願うということで、そういうような強い行政指導はやりません。ですが、最近の事態になりますと、やはり石油を食うのは電力が大口でございまして、その電力をある程度さらに節減しないと石油の消費量は足りなくなる、そういう情勢でもございますから、産業を中心にして、民生をできるだけ軽くしつつ、そういう方向に案を検討しているというのが現状でございます。それで、産業につきましては、電気事業法を発動いたしまして、また、民生につきましても電気事業法を発動してやろうと思っておりますが、一般の家庭の電力を切るということは、なかなか技術的にむずかしい要素がございます。それは、交通信号であるとか、病院の保育器であるとか、エレベーターであるとか、デパートの水を降らすスプリンクラーであるとか、あるいは銀行やその他のコンピューターが電気がとまった場合にどうなるかとカ スーパーマーケットのカウンティングマシンがどうなるとか、いろいろ大小むずかしい問題がありまして、そういう問題について技術的に解決するのに多少時間がかかる予定でございます。だから、民生のほうはおくれると思います、やるにしても。そういうような配慮を行ないながらいま検討を進めておるという状態でございます。
  42. 田代富士男

    田代富士男君 いまも大臣のお話の中でちょっと出ておりましたが、マイカー規制の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  マイカーの定義についてまずお尋ねしたいんですが、マイカーの定義はどのようにきめられるのか、この点が第一点です。だから、自動車自身を何をもってマイカーであるときめるのか、一体それをだれがきめるのか、どのような形で区別されるのか、その定義、その点を明確に。マイカーを規制するとおっしゃるのはそれはけっこうでしょう。しかし、何をもってだれがどのような形で区別をするのか、また、それを判断する定義は何であるか、まずこれをお聞きしたい。  それからマイカー規制がだんだんときびしくなってくる。二月以降はだんだん深刻な状態を迎えなくちゃならぬと大臣もいま申されました。そうした場合に、政府は配給制を実施するのか。そうなりますと、戦後横行したやみ行為によって正直者がばかをみるようなことになりますが、そういう考えを持っているのかどうなのか、その点につきまして、二点ですね、お尋ねしたい。
  43. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) マイカーの定義は非常にむずかしいのでありまして、これは運輸省にきめていただかないと、自動車の種別というものは大体運輸省の系統の法令できめられておるようであります。まあ、私ら常識的なことしか考えられませんが、もちろんトラックとかそのほかの営業車は除く。それからバスのような営業車はもちろん除く。つまり、大衆交通手段というものは除かるべきである。それからいわゆる白ナンバーの自動車にいたしましても、これがいわゆる自家用車ということになりますが、その中でもたとえばお医者さんとか弁護士とかあるいはお産婆さんとか、それが業務用に使われているものはマイカーの概念からは離れるのではないかと、こう思います。じゃ一体何がそれに当たるかというと、大体、セカンドカーとか、あるいはそういう業務用に使われない場合でそれを規制する場合の対象になると、主としてレジャーとかお使いとかそういうようなことが当たるのではないか。その辺は、私、専門家ではありませんから、国民の常識的な判断をもとにしてきめたらいいのではないかというふうに思います。  ガソリンの配給制は、法律の第十一条、新法の十二条になりますが、これであるわけでありますけれども、なるたけやりたくないんです、正直に申し上げると。で、われわれのこの法律の構成が、第一段階は行政指導的措置をやっていて、そしてどうしても事態やむを得ざるという場合にその重要な第二段階、十一条における割り当て・配給に入る、そういう仕組みになっております。でありますから、かりに第一段階にいたしましても、これは国民の権利義務を拘束する重大な法案ですから、なるたけ国民の権利義務を政府が委任を受けて政令等でやることは慎みたい。そして、できるだけ平常状態を持続させる体系が民主的で好ましいと思っておるのです。だが、しかし、どうしてもやむを得ず国民が平等に公平な扱いを受けると、そういうような公平と正義を実現するためにはやむを得ないという場合にのみ限ってこの法律は発動さるべきである、そういうふうに考えております。したがって、割り当て・配給というような第二段階の措置はできるだけ避けたいと思うのでありますけれども、しかし、態様によってそこへいかなければ公平と正義が維持できないという場合には、その用意もしなければならぬと思っておりますが、いまガソリンを切符制にするという用意はまだしておりません。
  44. 田代富士男

    田代富士男君 いま、通産大臣が、運輸省の関係だからマイカーであるかどうか明確にはわからないと、お医者さんあるいは弁護士、お産婆さん等はこれは最優先すべきであると、そうおっしゃいますけれども、これは、見分けが、高速道路に入るときに、あなたはお医者さんですか、あなたは弁護士ですか、あなたは何で行くんですかと、これは一々言えるかというわけです。規制された場合、たとえば急病人が出た、あるいは危篤のような状態ができた、そういう場合は、いま申されたように、セカンドカーであろうと何であろうと、そういう場合はもうそんなことを言っておられないんですよ。これは規制された場合に生命にも及ぶようなことが起きてきた場合にはどうなるか。いまでさえも、日曜日だとかそういう場合に緊急病院へ患者さんを連れ込んでもみてもらえない、そのために死亡した人だってずいぶん出てきております。いま、抜ける道は国民に常識的に判断してもらう以外にないということですけれども、マイカーの規制をするならば、緊急事態にはこのようにやりますというそこまでの配慮をしてやらないことには、これは片手落ちのマイカー規制になるのじゃないかと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  45. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) もちろんそのとおりです。お産の場合とか、病人を運ぶ場合とか、親の死に目に会いにいくとか、いろいろなケースはあるんです。ですから、そういう場合にどうしたらいいかということは目下検討しているところです。
  46. 田代富士男

    田代富士男君 目下検討中で、これはまさに実施されようとしているわけなんです。だから、まだ時間があるならば目下検討中で準備に力を注いでもらいたい。しかし、実施をしようというときに、目下検討中、そういうあやふやであるならば、もっと慎重にこの法案は取り組んだほうがいいのじゃなかろうかと思うのです。この問答をやっていたら時間が来ますからできません。これだけでも結論を出さなければならない問題だと思うのです。マイカーの皆さんからいったら、これはおそらくもっと聞いてもらいたいでしょう。それと同時に、また、全国の皆さんが心配していることは、石油危機が深刻になっている事態に、今度の税改正で二〇%の揮発油税の引き上げがなされようとしておりますけれども、そういうことになりますと、ガソリン値上げの口実を与えるようなことになるのじゃないんでしょうか。こういうことから一般の石油製品に波及するおそれがあるわけなんですが、今回はこういう揮発油税というようなものは減額すべきじゃないかと思いますが、この点はどうでしょうか。経企庁長官ということですが、通産大臣、お願いしますよ。
  47. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) こちらの所管ですから……。
  48. 田代富士男

    田代富士男君 いやいや、経企庁長官にはあとで聞くようになっているから、通産大臣の考え方を伺いたい。
  49. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 税法の改正にあたりましては、できるだけ物価抑制ということが維持できるような税法の改正が好ましいと思っております。特に営業関係の問題につきましては、できるだけ慎重に扱うことが好ましいと思っております。この点は経企庁長官が主管でございますから、経企庁長官にお尋ねをお願いいたします。
  50. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、これは午後経企庁長官だそうですから、時間切れというようなことになりそうですけれども、いまの配給制にしましても、通産大臣ね、これをやるともやらぬとも、いまのところやりません、しかし、けれどもということばがひっかかるんです。このけれどもということばが、これが国民の不安をわかしている根本じゃないかと思うのです。現時点では結論が出ない、けれどもというこのけれどもにつきましてもほんとうはお聞きしたいんですけれども、時間がありません。次に進みます。  いま審議をされておりますこの生活安定法案のまず標準価格の算定の根拠についてお尋ねをしたいと思います。——いや、通産大臣、鉄鋼関係のこと聞きたいと思いますから、逃げずによく聞いてくださいよ。価格が著しく上昇するおそれのある物資を指定しまして標準価格を定めることにしておりますけれども、現実の問題として標準価格の決定の際に何が標準になるのか。だから、物資を指定しまして標準価格を決定する段階ですでにそれらの商品というものは高騰しております。ここで具体的な例を述べようと思いましたが、時間がありませんから省略しますが、御存じのとおりです。とするならば、標準価格自体はその時点の価格に左右されるものになるわけなんです。そうしますと、法案趣旨というものは満たされてない。だから、本法案の提出それ自体ですでに生活必需品のかけ込み値上げが現在行なわれていることが、実施された調査において明確にされているんです。だから、標準価格を設定する場合は、指定物資の生産業者のうち、最も生産性の低い企業のコストに基準を当てざるを得ないようになるのじゃないかと思うんです。そうなりますと、コストが大企業ほど利益幅が大きくなりますし、価格は表面上安定している状態になりますけれども、大企業に有利なそういうような経過をたどっていくのじゃなかろうかと思うのです。具体的な例をあげますと、鋼材の場合、新日鉄の生産量と他の大手企業のコストでは、大体一五%の差があるといわれているわけなんです。そうしますと、今度は大企業と中小零細企業との間のコストの差というものは想像にかたくないものがあるわけなんです。この場合、標準価格の設定というのはどのようにきめられるのか、この鉄鋼を例といたしまして、通産大臣、いかがでございましょうか。経企庁長官には午後ゆっくりお尋ねいたしますから、通産大臣のお考えをお願いしたいと思うのです。  そうなりますと、生活安定法案については、標準価格の設定が高値安定をもたらしまして企業安定法案になりかねないというそういう批判があるわけなんです。そうした場合、通産省としてはそういう企業相手のいろいろ所管を持っていらっしゃるんですから、大臣として物価問題に対してどのように取り組まれようとしているのか。  それから時間もありませんから続いてお尋ねいたしますが、標準価格の指定について第四条二項では標準価格を元売り価格小売り価格について定めることにしておりますが、これは今度プロパンガスを例にあげます、通産省に関係がありますから。プロパンの元売り価格が七十円上昇したのに対しまして小売り価格が五百円上昇している。そうすれば、十キログラムのボンベを例にとった場合、最終小売り業者の五百円値上げをどのように処理する考えで標準価格を決定するのか。それだけではだめだと思うのです。だから、おのおのの流通段階での標準価格の決定が行なわれなければ有名無実化するおそれがある。だから、プロパンガス、あるいは石油についての流通段階での価格をどのようにきめられるのか。この二つの問題につきまして通産大臣からお願いしたいと思います。
  51. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まず第一に、標準価格の決定でございますが、標準価格を決定しようとするときは、その当該品目の値が上昇を始めると、そういう危険性が出てきたときに、頭を打ってその上昇を食いとめよう、そして正常化に持っていこう、そういう意図でやる場合が多いと思います。そういう意味から、やはり過去の安定していた時代の値段というものを基準にして、そしてその後もし価格上昇が来たとすればその上昇し始めるというような場合に生産費とか原価関係がどういうふうに動くであろうか、そういう資料を求め、それから将来の見通しがどうであるか、需給関係がどうであるか、そういうような判断も加えて、そして、できるだけ物価を抑制し、上昇を押える、そういう意味標準価格は決定されるというのが普通であり、われわれはそういうものであると思っております。それで、これは物価統制令によるマル公と違いますし、指定標準価格ともまた違います。そういう意味において、マル公のような場合なれば、これは原価計算を厳密にして行なうという形になりましょう、物価統制の場合になってしまいますれば。これはそうじゃない、その以前の段階の措置でございますから、ある程度行政裁量、行政判断の余地がかなりあり得ると私は思うのです。  先般、灯油値段をきめるという際にも、灯油が上がってきてはいかぬと、そう思いましたから、九月における卸売り値平均キロリッター一万二千八百何円というものを基準にいたしまして、そして、その後の大体の利潤の適当な大きさ等々も勘案して、そしてあのときにはかなり業者は泣きまして最後まで反対しましたけれども、こういうときは小刀できれいにやるよりも、なたでぶった切るときである、政治的決断で上昇を食いとめなきゃならぬ、そう思って強行してやったわけです。でありまするから、いろいろ初めは混乱が起きましたけれども、現在の時点はわりあいに鎮静化して、そして三百八十円がすそ広がりに広がっているという状態になってきたわけであります。  プロパンの場合も大体同じでありまして、プロパンの数量は下期において需要と供給が合わない。需要が五百万トン以上ちょっとあるに対して、供給が四百六十七万トンでしたか、その程度であるわけです。そこで、工業用のプロパンを一部切って家庭用にいま回しているというのが現状で、家庭用だけは何とか合わせるようにしたいと思って努力しておる。そういう形勢を見て十キロ千五百円、千八百円というものが出てまいりましたから、そこで、先制攻撃的に、いままでの八百円とか九百円で売っておったものは三割上げはよろしい、しかし最高千三百円どまり、北海道は千五百円どまりということで、これも業界を説得して、これはかなりきつい線でありますけれども、それで強行したわけです。大体、プロパンの値段は非常にいま上がっておりまして、メジャーズからメーカーたちは二・八倍ぐらいの値段を要求されてきて一月から上げざるを得ぬという情勢にあったわけです。この間、家庭用のプロパンその他のLPガスのものは半分は輸入ですから、いま世界じゅうで売り出して買えるものをできるだけ買いあさろうと思ってやらせましたけれども、太平洋を走っている油送船の中で一万キロリッターないし二万キロリッター売っていいというのが入りました。幾らだと値段を聞いたら、いままでキロ二十五ドルであったものが二百ドル以上という高値を吹っかけてきておるのです。そういうように、いまや世界的に不足でありますから、足元を見られて高い値で来ようとしてきておる。そういう情勢を見て、来年三月までもたせなきゃいかぬ。そういう意味で、いままでの売った値段の三割増し、最高千三百円というものを三月までもたせるということは、実際は業者にとってみればかなりきつい線もあるわけです。しかし、平均的に考えてみてそうせざるを得ないから、なたでぶった切るというのはそういう意味で、政治的決断でやったわけであります。  標準価格というものもそういう性格のもので、過去に安定していたある時期の値段というものを基準にして、それ以上の便乗値上げは許さない、そういう関係に立ってある程度市場機能、流通機能も円滑に動かしながらやっていこう。そのかわり、政府の指導に対して業界に協力を求めて、それに違反したものは供給停止をやる。そういうようなことで協力を願って円滑に進めようとしておるわけであります。
  52. 前川旦

    ○前川旦君 私は十分ほどいただきましたので、簡潔に二つ三つ通産大臣にお尋ねいたします。  その第一は、品物の標準価格は指定されますが、質の低下をどうやって食いとめるのか、その方法をお考えなのか。たとえばトイレットペーパーをかりにするとしましたら、調べてみると五十メートルが四十メートルしかなかったとか、あるいは品質を落とす、あるいはプロパンガスなんかであると量目不足を来たす、そういうことも起こるだろうと思いますが、この点についてどういうふうに押え込むのか、これが一つ。  もう一つは、そういうような場合にも課徴金を取る対象になるかどうか、これがまず第一点であります。
  53. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 質の低下、質を落とすことは許しません。われわれがやっておる現在の指導価格、あるいは標準価格というものは、一定の規格について言っておるので、ある商品群の中であるメルクマール的なものを取り上げて、何メーター、質はどれ、それは幾ら、そういうふうに規定しておるのでありますから、質を落としたり、メーターをすぐ下げたりするということは許しません。  それから第二問は何でございましたか……。
  54. 前川旦

    ○前川旦君 事実そういうのがあった場合、課徴金の対象にしますかということです、質を落としたり量目を落としたりする場合ですね。
  55. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 指定標準価格にして、そしていまのような暴利をむさぼる、便乗的な行為を行なうという場合には、もちろん私はひっかかるだろうと思います。
  56. 前川旦

    ○前川旦君 課徴金の対象になさるということですね、そのように理解いたします。  それでは第二、トイレットペーパーのあのパニックのときに、緊急輸送をして緊急に対策をとられましたね。あれが非常に鎮静に役立ったと思います。私は高松市ですから夏にたいへんな水不足を経験しましたが、あれは水の流通がとまりました。一日三時間、それも満足にいかない。その場合、私どもも手伝いまして給水車でずっと配って歩いたということなんです。つまり、流通のバイパスを固定的につくる必要があるのではないか。大臣はどうお考えになっているか。よく言われておりますのは、おそらくいま流通過程における物の備蓄というのはたいへんなものであろうというふうに言われております。それから標準価格がきめられ、あるいは特定標準価格がきめられた場合に、品物が消えるという危険がありますね。ですから、そういう場合に、流通のバイパスをつくって、政府が物を出荷命令で出荷さす、それを緊急輸送する。で、窓口をつくる。その窓口は契約した店舗であってもいいし、地方自治体とタイアップして公的な窓口をつくってもいいし、そういう流通バイパスを固定化さすのが非常に私は有効だと思いますが、そういうお考えがあるかないか。
  57. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは事態によって一つの適切な措置になり得るだろうと思います。先般トイレットペーパーを緊急輸送いたしましたときも、普通の小売り店からかなり苦情が参りまして、特定のスーパーだけに出した、これはけしからぬ、なぜいままでの流通経路を尊重しないのかということでございましたが、あのときは一種のパニック状態で心理戦争の状態でありましたから、スーパーで起こった問題についてはスーパーでがっさり持っていって、そして心配をかけない、安心しなさいということを見せるために、いままでの流通経路を多少カットいたしましてスーパーにがさっと持っていったのであります。だから、これは一種の心理戦争をやっているわけでありますから、事態によってはそういうことも考えていいと思います。
  58. 前川旦

    ○前川旦君 私は、特定のスーパーあるいは特定の小売り店と契約するというのは、いろいろ問題もあろうと思いますがね。ですから、地方自治体などと話し合いをして公的な窓口をつくって、パニック状態になったある特定の時間を限って、そこへ緊急的にどんと品物を持っていく。そこへ行けば、ひとり砂糖であろうと何であろうと、ある程度の量は自由にもとの安いままの価格でいつでも買えるという形をとる、そういうようなことを固定化すべきであると思うのです。ですから、地方自治体とのタイアップということは考えていらっしゃいますかどうか。
  59. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 地方自治体には非常なお力をお願いしなければできないと思っております。ただ、全然扱いの知らないしろうとが公的団体として窓口になっても、なかなかうまくこれは扱えるものじゃありません。設備であるとか、取り扱いの慣習とか、いろいろございます。でありまするから、やはり既存の流通経路を活用するということが最も賢明なやり方で、コストもそのほうが安いと思いますが、事態によっては、直接学校の庭でやるとか、地方団体がやるとか、そういうことも考えていいと思います。
  60. 前川旦

    ○前川旦君 私は、全然流通がとまって給水活動をやった経験がありますから、やれると思っているんです。  では第三、標準価格あるいは特定標準価格がきめられて、それに違反して売っている店がある、その場合、それをどの機関が摘発していくのか、これはたいへんむずかしいことだと思います。あるいは国民の通報に期待しているのかもしれないけれども、へたに通報すると、今度は売ってくれなくなりますから、なかなかそういうことは一般の人はしません。もしするとしたら、一一〇番へでも電話してというようなことになろうと思う。そうすると警察が出てくる。警察がしょっちゅう取り締まりに出てくる、これは私はたいへん困ったことだと思うのですね、そういうことが定着しますと。ですから、この特定標準価格あるいは標準価格を守らせる、違反を摘発する、その中に警察権力を介入さしたくないと思いますが、その点のお考えはいかがですか。
  61. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) たてまえといたしまして特定標準価格及び標準価格に対するチェックの機能というものを都道府県に委任をいたそうということで現在進めております。したがいまして、小売り店の場合ですと、大体都道府県がチェックをいたしますし、それからより上の段階と申しますか、卸あるいはメーカー等の段階で各県にまたがるような企業になりますと、これはその物資の主管官庁の地方支分部局の職員が当たるということになると思います。
  62. 前川旦

    ○前川旦君 いまのは公式のいつもあなたが言っておられることなんですよ。警察が出てきて取り締まるというようなことは望ましくないので、そういうことは一切やらないとか、何かそういう方針があるのならはっきり言ってもらいたいということなんですよ。私は警察との関連を言っているんですから。
  63. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 特定標準価格をこえます場合には、これは課徴金の対象でございますから、いまのような行政的な対応で処理するわけでございます。ただ、法律の解釈といたしまして先日も申し上げましたけれども、特定標準価格を相当上回って売りましたような場合には、これは物統令の九条の二とかあるいは十条とかというものの適用があり得るわけでございまして、こういう場合には警察が入るということがあり得るというふうに思っております。しかしながら、なるべく、おっしゃるように、そういうケースはレアケースにいたしたいというふうに思っております。
  64. 工藤良平

    ○工藤良平君 私は物価の委員に臨時に出てまいりましたのであまり専門的なことはわかりませんけれども、たいへん緊急な重要な問題でありますから、私なりに勉強しながらぜひこれは所管の大臣にいろいろとお聞きしたいと思っているわけですが、先日からいろいろ調査をしてまいりまして、私もここ一週間かん詰めでこの法案の議論をやってまいりまして、物の流れ、それから価格の動きというものをいろいろと検討してまいったわけですけれども、どうも不可解でなりませんのは、各段階で、たとえばメーカーのところへ行ってみますと、けっこう品物はある。しかし、別にそれが買いだめや売り惜しみをしているという状況のものではありませんと。卸の段階に行きましてもそういう状態なんですが、ただ、残念なことに小売りの段階に行ってみると、それが品物がなくて二倍、三倍というようなたいへんな高騰という状態が起こっている。国民の多くの皆さんが一体これはどうしたことだろうかという疑問からたいへんな大きな問題が起こってきているわけですけれども、私は今回の物価の上昇の非常に特徴的なことが一つあると思っているのですが、それは卸価格が非常に暴騰しているということ、全く。この点について、通産大臣は、それは一体どこが原因なのか、まずそのことを私はお聞きしたいと思います。
  65. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 最近の卸売り価格の上昇は、国際的要因が非常に多いと思います。かつては四〇%程度であったといわれますけれども、私はもう五〇%、六〇%ぐらいが国際的要因ではないかと思います。つまり、原油価格の上昇、それに伴う電力関係のはね上がり、あるいは生産縮小に伴うコストアップ、そういうようなものが連鎖反応を起こしまして、そうして思惑等も多少入って卸売り物価が全面的に上がってきつつある、そういう状態ではないかと思います。
  66. 工藤良平

    ○工藤良平君 確かに、いまの特にこの十二月になりましてからの異常な上昇ですね、さっき竹田委員からもお話がありましたように、けさ新聞を見ましても、十二月の上旬だけでもこの十日間で三・五%も卸売り物価が暴騰しているということが報道されております。これは確かに石油の輸入の状態が非常に悪化してきているし、価格の問題でも悪化してきているということは私もわかります。しかし、現実に今日まで入ってきていず石油価格というものは、それだけ上がっているわけですか、その点はどうなんですか、お聞きをしたい。
  67. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大体、丸棒にしても、あるいはセメントにしても、十月から十一月の初めくらいまではわりあいに安定しておりました。で、われわれは、やれやれこれでと思って、それでそういう意味もありましてこの緊急対策措置をできるだけずらしておくらせようと、それによって卸売り物価の安定を定着させようと、そう思いまして、外国に比べてわれわれのほうが発動がおそいといわれましたけれども、日本のそういう特殊事情がありますから、国会開会の日の見当も見つつ措置を研究してきたわけであります。ところが、十一月に入りましてから電力制限等が入りました。そうすると、一番電力を食う鉄鋼、石油化学、セメント、そういうようなものが電気のカットを食いましたから、電気のカットを食いますと一番響くのは、たとえばセメントなんかです。セメントなんかは、たぶんコストの中における電気の占める量はかなり多い。石油化学も同様でありましょう。アルミなんかもそうでございますね。そういうものがやっぱり原価にびっと響いてきて、生産の量は減る、原価は上がる、したがって、出てくる商品の値が上がる、そういう現象がふき出してきつつある。それが今度の卸売り物価の値上げに出てきたのではないかと、そう思います。
  68. 工藤良平

    ○工藤良平君 石油現実に値上がりをして入ってきた量、それから時期というのはごく近々のことであります。その後、契約したものがまだ日本の港に着いているかどうかというのは私ははっきりさしておりませんけれども、これはいずれまだ着いているかいないかという状態ではないかと思うのですね。そうすると、今日までの石油の状態というのは、必ずしも高いものが不足しているという状態ではない。しかし、将来これが二割あるいは三割という削減が行なわれ、さらに価格が上がるという状況を予測しながら卸売り物価というものが急激にやはり上がっていくということではないだろうか、現実のいまの異常な値上がりというものは。それは、はっきり申し上げまして、思惑ということによって動いている。これは現在の日本の経済というものは自由経済ですから、どの程度押えるかというのは問題でありましょうけれども、しかし、そういうものが繰り返されていくのではないかと、こういうことが私は非常に心配されるのでありますが、したがって、この委員会にかかっております国民生活安定緊急措置法案の中にそれを何とかして押えたい、押えるためにどうするかということで議論を私ども進めてきているわけですけれども、私はあとでまた別の原因についてはお話をしますけれども、それじゃ、この思惑買い、あるいは便乗値上げ、買い占め、そういうようなもののおそれがある、そういうものを予測としてどんどん国が出していくということは、物価の上昇を押えることになるのか、逆にそれが火に油を注ぐという結果になるのではないかという、私はこの両面があると思うのですね。したがって、そういう非常に心配があるし、議論の中でも審議会で審議をする場合にそういうものを審議会にかけるということは問題があるのではないかという議論も出てきているわけですが、そうすると、そういうことでそれじゃ全然審議会が必要ないということになると、これはまた問題でありますから、きわめて思惑買いのしかも買い占めが行なわれるというもの以外は原則的にこの審議会に全部かけるというようなお考えを持っているのかどうか、そこら辺をちょっとこれは商工委員会との関連もありますけれども私は聞いておきたいと思うのですが。
  69. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 石油値段は、原価におきましてもすでに六月のOAPECの会議で上がっております。それからたぶん九月にまたOAPECの会議で上がったと思うのです。それが最近になってさらに入札その他の価格で暴騰してきておる。そういう現象ですから、いま入っているものはもちろん、上がった原油は、年度当初から見れば上がった原油が入ってきているわけで、それらがみんな原価に加算されておる状態であります。その上がりの激しさというものが最近非常に激しいと、そういうことであるといわれるので、それが来年の二、三月ぐらいになるとみんな入ってくるとすればかなりの上昇が見込まれると、そういうことを非常におそれているわけであります。  それから審議会にかけることでございますが、これだけ重大な法案でありますから、できるだけ事前に審議会にかけることは望ましいと思います。ただ、非常に緊急を要するもの、あるいはさらにそれを出すことによって商社や大企業の活動が始まって思惑買いとか何かで消費者が困るというようなもの、そういうものについては出さぬほうがいいと、そういうように思いまして、いまのような原則でできるだけこの審議会にかけるという方針で進めていきたいと思います。
  70. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) ちょっと工藤さんに私は資料だけ簡単に申し上げておきます。  日本銀行発表の卸売り物価、十二月の上旬十日間だけで工藤さんがおっしゃったように三・五%上がっておりまして、私どもも予期しないことはなかったんですが、非常に実はショックを受けております。その三・五%というのは総平均でございますが、そのうちで何が多く上がっているかということを数品目申し上げますと、まずパルプ、紙、同製品が一四・四%、非鉄金属が五・五%、それから化学製品が一〇・三%、石油、石炭、同製品が五%等々でございます。ところが、国内といいますか、輸入も国内製品も含めた国内の卸売り物価の総平均が十日間では三・五%上がったのですが、この日銀の資料そのままで輸入品はどのくらい上がっているかという輸入品だけのものを申しますと、輸入品は、なんとこの十日間で七.一%上がっております。ちょうど国内総平均の倍上がっております。そのうちで国内が全体で三・五%ですから、それより超過するものを見ますると、まず鉱物性燃料、これはまあ石油なんかがおもだろうと思いますが、これが一八・六%十日間で上がっております。それから金属が九.九%上がっております。木材、同製品が四・三%上がっておるというようなことでございまして、私どもは決して逃げ口上や責任のがれをいたすつもりは毛頭ございませんけれども、いまの段階では相変わらず輸入品の値上がりというものが国内の卸売り物価の総平均よりも非常に高い割合で上がっております。それを前年の同月同旬に比べますと、輸入品はなんと三二・六%上がっておるわけでございまして、ここに他の資料はございませんが、私の記憶に間違いなければ、卸売り物価の値上がりのうち輸入品の値上がりによって押し上げられておる部分が四十何%がまた今月の上旬もございました。しかし、これは世界じゅうが日本と同じように緊急物価対策あるいは総需要対策をとっておりますので——石油そのものは別です。これはどう問題が解決するか。ただ、問題が解決しても石油高値というものは残る部分があるのかもしれませんけれども、しかし、国際的にも私は物価鎮静の方向がやがて見られるのではないかということをも期待しながら、当面はこんなに輸入物価が上がっておることだけを資料を申し上げておきます。
  71. 工藤良平

    ○工藤良平君 特にこの秋以降の異常な卸売り物価の上昇については、私も、石油事情からいわゆる海外要因によることが非常に大きいということはわかります。しかし、それ以前の問題ですね。ここ一年間の物価の上昇の状態というものを見てみると、まず土地が上がり、大豆が上がり、木材が上がり、セメントが上がりと、こういうことで逐次上昇しながら日本の物価高というものをつくり出してきている。それが今度の石油問題がさらに加わってたいへんな異常な事態になった。そうすると、それじゃ石油以前に大幅に上がってきたその原因一体何なのか。総体的に品不足ということがいわれておりますけれども、それじゃいま上がった大豆やセメントや木材、こういうものが需要と供給の関係においてそれだけ極端な一七〇%も一八〇%も卸売り物価が上がるような状態というものはなぜ起こってきたのか、石油以前の問題を私はひとつお聞きしてみたいと思うのですが、その点については、通産大臣、どのようにお考えでしょうか。
  72. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは日本のことしの物価騰貴の現象を見ますと、初めは去年来の過剰流動性あるいは景気の高揚というものが響いて繊維その他の思惑買いが入りましたが、三、四月ごろからは食糧不足、特にソ連が二千万トン近くの食糧をアメリカから買い付けたと、そういうような食糧不足を導因として国際的な物価が一斉にはね上がってきて、大豆そのほかの現象があのとき起きました。そういうことで、そのころから国際性が非常に出てきたと思うのです。その次に、夏になりますと、石油化学の爆発であるとか、水の不足であるとか、そういうものが加重されてさらにその上昇は拍車をかけられた。そして、八月三十一日の公定歩合の第四次引き上げごろ、ようやくそれが鎮静しかけて、ある水準に落ちつこうとして、九月、十月は卸売り物価の上昇力が下がってきたわけです。そこへ石油危機が起こりまして、またぐっと上がってきたと、そういうことであると思います。
  73. 工藤良平

    ○工藤良平君 そういたしますと、前段の物価の高騰というものは、国際的な品不足から特に食糧を中心にして起こったと、木材やセメントがかなり上昇を続けておったわけですけれども、この点については、国内における極端な需要というものが起こってきたのではないか。その点についてはどうお考えですか。
  74. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 木材、セメントは、四、五月ごろからはやや安定に入ってきたと私は思います、九月、十月ごろまでは。それが、さっき申し上げた石油等の要因に基づいて、十一月ごろからごそごそ動き出したと、そういうように思います。セメントが上がる気配を示してきたのは、最近の十二月に入って石油カットが非常に響いてきたと私は思います。
  75. 工藤良平

    ○工藤良平君 それじゃ、そうおっしゃるならば、セメントをとってみましょう。昨年の十二月が一〇九・九、それから一一〇、一一一、一一三、一一七と、毎月じりじり上がってきているわけです、セメントの場合には。一ぺんも下がっていないのです。じりじりじりじりと上がって、実は石油問題が起こります七、八、九あたりをとってみましても、そう極端な上がり方ではなくて、やはりじりじりとした上がり方を示している。ここには一体どういう問題があるのだろうか。いわゆる外的な要因だけでものを考えていいのか。もちろんそれが相当な部分を占めているということは事実なんですけれども、もう少し踏み込んでその問題を考えてみると、これは私は通産の関係に非常に大きな影響が出てくると思いますけれども、いわゆる大きな企業の蓄積様式の中に非常に大きな問題があるのではないかという指摘がかなり強く指摘をされているわけでありますが、その点についての通産大臣の考え方をお聞きいたしたいと思います。
  76. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) セメントのようなものは蓄積しておくことができないものなんです。あれは、生コンでもつくったらすぐ運ぐで行って現場で使わなきゃならない。バラものの袋ものはこれは多少蓄積できますけれども、あまり置いておくとかたくなっちゃって使えなくなる、そういうものでありますから、一番ストックのしにくいものはセメントで、あれは自転車操業みたいにぐるぐる回って動いておるものであります。  それで、需給関係を見ますと、四、五月ごろ、私の記憶では、前年度の繰り越しで不足分が百五十万トン程度ありまして、それからそれを緊急増産させまして、六月末から七月ごろに大体需給が見合ってくる、そういう計算であったように思います。そして八月、九月ごろはわりあいに安定の時期に入ったのではないかと、そういう記憶がございます。それで、秋口になってこの石油問題が起きてからまたぐっと上がってきたと、そういう現象であるだろうと思います。セメントのような場合は、ストック問題という問題はあまりないのじゃないかと思います。
  77. 工藤良平

    ○工藤良平君 これは、私、例の引き方が時間がないものですからたいへん飛び過ぎて申しわけないのですけれども、セメントの場合には確かに私はそういう点が言えると思います。ですから、セメントの場合には、極端な列島改造論に見られるような需要を非常にあおっていった要因、私はむしろそっちのほうが大きいと思うんですね、需要から価格の上昇というものを追ってみると。ただ、セメントの場合にはそういうことが言えますけれども、全体的にいまの卸売り物価の長期的な傾向が消費者物価を追い越して上がってきているというのは、巨大な資本の蓄積様式に非常に大きな影響が全体的に見てある。これは、ある資料によりますと、特に企業の中で原材料貯蔵品、こういうもののたな卸し資産というものが傾向的にずうっと低下をしていっているわけですね。そうすると、いま言う国際的な問題とかいろいろな要素によって価格が変動が非常に激しく行なわれながらいく。しかも、原料の貯蔵とかあるいは貯蔵品そのものが年々低下をしておりますから、これは回転がよくなりますから、企業というのは確かにもうけは大きくなると思うのですけれども、そういう産業構造というものに極端につくりかえられてしまっている、そのものがやはり現在の物価上昇の非常に大きな一つの要因になっているのではないかという指摘がはっきりなされているわけです。この点について私は根本的な検討というものを加えていく必要があるのではないかという気がするのですけれども、セメントの問題はこれは別問題といたしまして、全体的な傾向として私はその点をお聞きをしたい。
  78. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大体、大企業というものは装置産業が多いわけですから、操業度が非常に影響する。操業度がフル・キャパシティで動いていけば、原価はかなり下がる。しかし、操業度が、水が足りないとか、鉄鋼なんかの場合、この夏そうでございました、あるいは一部の資材が不足するとか、あるいはプレートが上がってくる、ことしはプレートがかなり上がってきていましたが、そういうようなもので原価が高くなるという現象をことしは非常に受けたのではないか、そういうように私は思います。  もう一つは、やっぱり賃金の問題があるのじゃないか。春闘以来の大幅べースアップというものがやはりコストの中ではかなり大きく響いてきておるのではないか、そういうような気がいたします。
  79. 工藤良平

    ○工藤良平君 賃金の問題に触れてきたので、入る予定はありませんでしたけれども、それじゃ、ことし賃金は何%上がりましたか。それがそれじゃコストの中で何%影響して今日のような卸売り物価の非常な高騰を及ぼすという状態になりますか。賃金がもちろん私は一つ要素ではあるということには間違いないと思いますが、このような大幅な上昇の要因になりますか。その計数をそれじゃ言ってくださいよ。
  80. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私はいま手元にその数字を持っておりませんが、それがメインの理由であるとは思いません。しかし、賃金の問題も一つ要素として考えなければならぬ問題ではないかと、そういうふうに申し上げたのであります。
  81. 工藤良平

    ○工藤良平君 それは聞き捨てならない。それじゃ、あなた、数字をはっきり出してください。私はそれを出さなければ質問できませんよ。あなたがそう言ったのですから、それじゃ、このような異常な高騰が起こったその中に一体どれだけの要素があって上げなきゃならなかったのか、はっきり示してください、そういうことをおっしゃるなら。
  82. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほども申し上げましたように、操業度という問題が一番大きいと思いますと。それには水の問題とかその他が非常にあったと思いますと。それから海外要因としてプレートの問題とかあるいは海外から来る原材料の値段が非常に高くなった。特にこれはレアメタルの場合が非常に激しいのです、銅や、その他の問題が。そういうような問題がメインであるとは思いますけれども、賃金の問題も関係ないとは言えないと、そういうように最後に付加的にこれは申し上げたので、賃金がメインの原因であると申したわけではございません。
  83. 工藤良平

    ○工藤良平君 その点は、はっきり賃金はメインではないと。それじゃ、最初の考え方と若干違いますね。
  84. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いや、同じことを言っているのです。
  85. 工藤良平

    ○工藤良平君 それは違いますよ。ぼくはそういうふうにとれませんでしたよ。それは一部の要素であるということは間違いありません。それはだれも否定しませんよ。
  86. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一部の要素であると申し上げました。
  87. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) これはあるいは私のほうの仕事かもしれませんが、賃金要因はそんなに大きくはない。輸入物価の値上がりのような大幅な要因ではない。特に大企業においてはそうでございます。しかし、先ほど昨日発表の卸売り物価の値上がりの品目別の値上がりの激しいものを申し上げましたが、これを今度は企業別に大企業、中小企業について見ますると、大企業の値上がりのほうが、これはもう常識はずれではないと思いますが、大企業の値上がりの幅のほうが中小企業の値上がりの幅よりも小さいと、こういうこともあらわれておりますので、賃金要因も、企業別によっても違いましょうが、大企業、中小企業によっても違う面があると申し上げ得ると思います。
  88. 工藤良平

    ○工藤良平君 あとの日程の関係もありますからですが、私はもっともっと詰めたいのですけれども、あと大蔵大臣のときに詰めますが、最後に中曽根通産大臣にお聞きをいたしますが、さっきから議論をしていますけれども、やはり日本の場合には資源を外に求めていかなきゃならぬということから相当大きな要因が一つある。企業が非常に合理化されてまいりまして寡占体制になってまいりますと、さっき申し上げましたように、原材料あるいは貯蔵品というものをなるべく少なく置いて回転をよくしていくという方向が強く出てきております。そういう大きな要因が新たな問題として検討しなきゃならぬ状態にあると私は思うのです。しかし、それは議論が非常に少ないわけでありますけれども、そういうように日本が非常に資源が少ない。そこで、企業を興しもうけていこうと、こういうことになっているわけですが、この資源の少ない日本の国で、これからの産業のあり方として一体どういうことを考えていったらいいのか、それに対する基本的な政策というものをやはりここで考えてみる必要があるのではないかと思いますが、その点についての御見解を伺いたいと思います。
  89. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり、根本的には、省資源、省エネルギー型の産業構造及び企業構造に転換していくということが根本的な問題ではないかと思います。今度電気事業法を改正していままでの原価主義を再検討しておるというのもそういう趣旨でもありますし、いま民間設備投資を削減する、この一月以降は新規事業は全部認めないと、そういう原則をつくっておりますのも、その中でもエネルギーを多く使う産業については特にきびしくやると、そういうような民間設備投資の削減をやっているのもその一つであり、将来もそういう原則がある程度適用されていくだろうと思います。  それから日本の経済成長や資源の輸入量というようなものを考えてみますと、石油の輸入量というものによって大きく影響されているわけです。いままではもうふんだんにジャブジャブ石油が入ってくるという思想で経営がみんな設備投資を大きくしたりしておりましたが、これからは、お金の額をきめるよりも予算のときは石油と電気の量をきめてそれで産業の適正成長を考えるほうがもう適正であると、私はそういうことすら考えておりまして、今度来年度予算について最初にきめたのは石油の輸入量の見通し、適正量をまずきめて、それから成長率や予算の金額が出てきたわけです。今後はそういうような考え方に立って予算を編成して適正成長を維持していくべきであると思います。  それからもう一つは、資源の入手というものが、ナショナリズムの発達の結果、単に商業ベースだけではもう入らない。政府が出ていってガバメント・ツー・ガバメントのべースでやらないというと向こうが出さない。あるいは、資源を出す場合には見返りにこっちから鋼管を出すとかビニールパイプを出すとか、そういうバーターシステムの時代にだんだん入っていく気配があります。そういうことは国家が主導しないとできません。そういう意味において、国または公団というようなものが外国のそれに対応するものと話し合って、そして日本の資源を安定的に獲得するという方向に進まざるを得ないのではないか。そういう意味日本の貿易政策の転換、海外経済協力の転換について、最近私は産業構造審議会についてそういう趣旨に沿った諮問を出しまして、経済協力をどういう原則で転換しなければならないか、いま問うておるところでございます。
  90. 工藤良平

    ○工藤良平君 時間がないから大体こういうところでおさめたいと思うのですけれども、国内資源に対する大臣の考え方はどうでしょうか。
  91. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国内資源も見直すべきときでありまして、今度特に石炭につきましては第五次答申に対するさらに中間的な答申を十二月七日にいただきまして、石炭を見直せと、そうしてたとえば石炭火力については混焼率をふやせとか、あるいは石炭専焼火力をさらにふやせとか、あるいは石炭のガス化、液化を促進せよとか、あるいは五十一年における目標をいままで二千万トンを下らざるというのを二千二百五十万トンを下らないという目標を行政的には設定したと、そういうようにして、これは単に石炭のみならず、ほかの資源につきましても有効活用ということを考えてやらなければならぬと思います。
  92. 工藤良平

    ○工藤良平君 最後に、大臣の発言を聞いておりますと、田中総理のいわゆる列島改造といわれる高成長の資源多消費型の経済というものは当然大きく変えていかなきゃならぬという結論に結びつくと思いますけれども、私はそのように理解をいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  93. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 列島改造は一つのビジョンでありまして、雄大な構想力の所産であります。これを短時日にやろうとは書いておらないわけです。それから経済成長をこの程度にするときにはこの程度の条件が要る、この程度にするときにはこの程度の条件が要ると、ちゃんと仕分けがついて説明ができておるのであって、どの程度にするかということは政府と国民がきめると。しかし、終局的にはこういう構図でいかなければ過疎・過密は解消しませんし、東北や北海道は出かせぎという現象は解決しないということを政治的アピールで言っておるのでありまして、行政と政治のベースをやっぱり分けて考える必要があると思います。
  94. 工藤良平

    ○工藤良平君 もう時間がありませんからその点はまた日を改めて議論をいたしたいと思いますけれども、国内資源の問題については私は特に重大な関心を払っておる一人でありますけれども、部門が通産大臣とは全然違いますけれども、これは田中さんがこの前衆議院の予算委員会だったと思いますけれども、日本には資源がない、あるのは人間だけだということを極端におっしゃいましたけれども、私は、人間のほかにあるものがある。それは日本には国土は狭いけれども土地がある。これには太陽と水と空気があれば無限大にできる農業というものが育成されていくことによって日本というものはまだまだ無限大につくり出す資源というものはたくさんあるのではないかという考え方を持っておる一人でありますけれども、どうもいまの内閣の皆さんの頭の中にはそういうものがないような気がして残念でしょうがないわけです。石油危機の次は食糧危機だと、こういわれている。私はそのことをいまから心配するわけで、そういう点につきましてはぜひこれからの重要な課題として取り上げていただきたいということを申し上げて、午後の大蔵大臣の質問に持っていきたいと思います。
  95. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、たいへん限られた時間でございますので、問題点をずばりとお聞きをしていきたいと思いますので、御答弁もできるだけ簡潔明確にお願いをしたいと思います。  問題は灯油についてお聞きをしたいわけですけれども、国会の委員会で審議を伺っておりますと、対策をやって鎮静を取り戻しつつあるというふうにいまも通産大臣はおっしゃっておられたわけですけれども、いま大阪の状況はどうかといいますと、灯油はいま一かん消費者の手元に入るのは四百五十円から六百円というのが実情でございます。で、先日も業者の皆さん方あるいは消費者の代表者の皆さん方が通産局へ要請に行っておりましたけれども、そこではっきりしておりますのは、いま小売り業者の手元に入ります灯油の原価というのが十九円ないし二十一円だと。これを三百八十円で売れと言われると、二十一円で小売り店におろされると、一かんで三百七十八円でございますから、一かん売って二円のマージンにしかならない。それでは百かん売ってわずか二百円だという状態で、どうにもならないということが大問題になっているわけです。  そこで、私は、詳しくお伺いをしたいのですが、時間を節約する意味でちょっと資料をお渡ししましよう。これを大臣、見てください。   〔資料を手渡す〕  その資料を見ていただきますとわかりますように、これは丸善石油の特約店が小売り店に対してそういう「お願い」というかっこうでの文書を出している。十一月二十一日から一かん四百五十円で売れという指示が出ているわけです。そこの「お願い」のところの2の欄をごらんいただきますと、いろいろ書いてございますが、灯油の民生用ですね、一リッター当たり二十五円、一かん四百五十円で売れというふうに明記されている。それからその次の4の欄をごらんいただきますと、「手形販売の廃止」ということで、現金売りしかしないということで現に現在もそうやられております。それから5の欄には、シーズン後は引き取らないというふうな、たいへん横暴な「お願い」という内容の文書が小売り店に配付されております。丸善石油の特約店がこういうやり方をやっておる。まさに小売り店いじめだと思うのですが、こういうことが許されていいかどうかです。  時間がありませんから簡単に問題点まで行きますが、十二月の十九日、一昨日ですね、大阪の代表者が通産局あてに要請に参っておりますから、るる申し上げなくてもその事情はよくおわかりだし、その文書も知っておられると思いますけれども、こういう事態で、現状は、泣かされているのは国民と小売り業者です。国民は四百五十円ないし六百円でないと灯油が入らない。しかも、一カ月に一かん手に入るか入らないかだという状態です。また、小売り業者は四百円出しても仕入れができるかどうかわからぬ、こういう状態ではもう商売が成り立たないということで、大阪の通産局へはねじりはち巻きで業者あるいは消費者代表が押しかけていっているというふうな状況になっております。したがって、いま起こっておるのがこういう状況であり、また、産業界におきましても、一昨日も私が質疑の中で申し上げましたように、財界の中山構想が発表されておって、一年間は企業競争もやめて自粛しようというふうなことまで財界のほうでもあるいは生産業界のほうでも言われているという状況でございますから、こういったやり方通産省は直ちに卸売りの値段を下げさせて、決済方法も従来どおりに戻させる御意思があるかどうか、その点をはっきりさせていただきたい。
  96. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中間業者や末端業者がこの石油不足に便乗して積み増しの値段や便乗価格をやる、あるいはそういう複合的行為をやるということは、われわれは許しません。このいまの文書をもしやっておるとすれば、四百五十円店頭ということはわれわれの指示と違いますから、これは改めさせます。それから決済方法につきましては、これは両方の当事者が私契約でやることでございますから、その点まではわれわれは干渉いたしません。
  97. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 まあ改めさせるという大臣のおことばだからなさっていただけると思いますが、さらに私はこの「お願い」という特約店の文書というのは重要だと思っているわけです。といいますのは………
  98. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それはいつの文書ですか。
  99. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いつ出されたかはこれは日付は書いておりませんから、その以前です。——重要だと思いますことは、十一月十六日には閣議決定で「石油緊急対策要綱」が決定されたわけでございますね。その緊急対策要綱によりますと、「行政指導の実施」という点の第一は、「緊急に石油及び電力の使用節減を図るため、本年十一月二十日から強力な行政指導を実施する。」と、十一月二十日というふうに閣議決定では明記されておられる。しかも、その第三には、「以上の行政指導等に伴う便乗値上げを防止し、不当利得を排除するため強力な施策を講ずる」というふうに明記されているわけでございます。つまり、政府は、十六日に閣議決定をやって、十一月二十日からその指導を強化するというふうに決定された。ところが、業界では、二十一日から卸値を上げて一かん四百五十円で売るというふうに通達を出しておるということは、まさにこれは丸善石油の便乗値上げは明確です。政府が十六日に発表した、もう取り締まりが強化されるという寸前にやられているというふうなことなんです。したがって、閣議決定では「便乗値上げを防止し、不当利得を排除するため強力な施策を講ずる」というふうに第三項では明記されておるのですから、当然、丸善石油に対して、消費者やあるいは小売り業者に対して不当利得を全部はき出させるという強力な措置をおとりになるかどうか、その点を明確にしていただきたい。
  100. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この文書を見ますと、十一月二十一日より価格改定のお願いと、こう書いてありますが、灯油価格指導をやったのは十一月二十八日です。だから、その一週間前にこういうことをやったので、二十八日以降こういうことをやっておりましたら、これは是正させます。
  101. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 当然私は是正されるべきだと思います。しかし、現状も依然として、先ほど申し上げたように、小売り業者に対しては元売りが十三円で凍結されておる。したがって、小売り業者の手元に入るのは、先ほど申し上げたように十九円ないし二十一円で入る。二十一円で入ったという場合に、政府指導価格の三百八十円で売りますと、一かん売って二円だという状況が依然として続いているわけです。したがって、当然、消費者の手元に灯油が届くのは四百五十円ないし高いところでは六百円という実情が現に起こっているという点を、これはかっての話じゃないんですよ、現状の話です。だからこそ、一昨日も通産局に対して大ぜいの業者の代表あるいは消費者の代表がお願いに行っているわけですよ。この状況についてどうなさいますか。
  102. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ともかく、こちらの行政指導に対して違反した店がありましたら、教えていただけばびしびし取り締まるようにいたします。
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いま申し上げたのは、大臣の手元にも差し上げておりますけれども、丸善石油一社だけではないんです。で、裏につけてあるのは、ゼネラル石油も全く同じように二十一日から四百五十円で売れという指示が出ている。それから日本石油も全く同じく第一次特約店から第二次卸に対して、これはなかなか賢明で文書ではなくて電話で指示をおろした、また、業者を集めてそのように指示をした、そういうふうなことが明確になっておりまして、どの特約店からも四百五十円で売らせよという指示をしているわけでございます。これは明らかにカルテルです。で、私は、この事態についてもう異様な気がしますよ。石油業界の関係者というのは、いまの石油危機に対して、たとえば日本石油の瀧口社長は、国民の節約を徹底したい、あるいは三井の石油化学工業の鳥居社長は、まず消費面の抑制だなどと言って、片方ではちゃんと値上げをして荒かせぎをしているわけです。こういうあつかましいやり方をやって、しかも明確なカルテルをやっている。  そこで、公取委員会に、委員長はきょうはおいでじゃないんですね、お伺いをしたいんですが、十一月の二十七日に石油連盟に対してカルテル容疑で立ち入り調査を行なわれましたですね。その場合のおたくの資料によりますと、被疑事実の概要を見ますと、灯油については民生を除くというふうに明記されておるわけでございますが、大事なことは、民生用つまり一般の家庭用の灯油についても石油連盟のカルテル行為というのはもう被疑事実になっていることは明らかです。どうしてはずしたのか、これはまあ突っ込んで聞きたいのですが時間がありませんから公取にお願いをしたいのは、丸善石油とゼネラル石油の二つのこの指示文書、あるいは日本石油の電話による非常に賢明な指示、あるいは業者を集めて口頭による指示、そういうふうな家庭用灯油についてもカルテル行為があったというふうに歴然と認められると思うのですが、この民生用の灯油についての再調査を行なう意思ありやいなや、これをお伺いしたい。
  104. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 十一月二十七日に立ち入り検査を行ないましたのは、価格協定の疑い、いわゆる石油連盟のメンバーも含めてでございますが、それから販売数量制限の疑い、それから廉売した給油所に対しては供給停止をすると、そういう疑いで調査し、いまこれは立件して審査をしております。まだこれは審査は終了しておりませんので、先生のおっしゃったことを中に含めてこれは審査をいたしたいというふうに考えております。一応の疑いでございまして、民生用を除いているかどうかということはいま審査中でございます。
  105. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 もう時間がありませんから、そのいまの答弁が、先生のおっしゃることも含めて再調査をすると言うたのかどうか、その点だけ明確にしてください。
  106. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) そのとおりでございます。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、けっこうです。
  108. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五十分再開することとし、休憩いたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後一時五十五分開会
  109. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ただいまから物価等対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国民生活安定緊急措置法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  110. 工藤良平

    ○工藤良平君 予算の関係でたいへんお忙しいところを御無理申し上げましたわけですけれども、それ以上にいまの物価の問題が緊急な事項でありますので、ごく要点だけをお伺いいたしたいと思います。  先ほども中曽根通産大臣に伺ったわけですけれども、けさ新聞によりましても、日銀の十二月上旬の卸売り物価の動向が発表されておりますけれども、驚くべき数字が出ております、私が申し上げるまでもないと思いますけれども。したがって、昨年同期で比較をいたしましても三〇%をこすような卸売り物価の上昇が続いている。こういうような状態で、まさに異常な状態であろうと思います。私はここでインフレ論議をしようとは思っておりませんけれども、衆議院、参議院を通じましてそれらの問題が議論されてまいりましたが、大蔵大臣は速記録によりますと現在このインフレ状態というものにつきましてはいろいろ御見解もあるようでありますけれども、これをただ単に学者の議論にゆだねるということだけではなくて、私はこれらの問題について当然政策的に具体化しなければならない、私ども国会の段階で十分な議論をするということは非常に大切ではないかと、このように思っておるのでありますが、そういう意味を含めまして、現在のこのような卸売り物価の高騰というもののそもそもの原因一体どこにあるのか。私ども、末端におけるトイレットペーパーの上昇とか、あるいは砂糖だとか、粉だとか、あるいはおとうふだとか、最近に至っては特に石油の大幅な上昇というものが全体的な物価の上昇に影響しておるということを考えてみましても、非常に重大な問題でありますので、従来、消費者物価値上がりが主導的な役割りを果たす、そういうような現象というものがあったわけですけれども、特に今回卸売り物価主導型になってきたというその根本的な原因一体何なのか、それを突き詰めてそれに対するきちんとした対応策というものを講じなければ、その最前線の現象を小売りやそんなものをとらえて罰則をしてみたところで問題の解決にならないような気がいたしますので、その点をまず大蔵大臣からお聞きをいたしたいと思います。
  111. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、いまの物価情勢は、非常に異常であり、もう憂うべき状態だと、そういうふうに考えておりますが、まあ原因は三つある。一つは、これは海外物価に伴う輸入物価のコスト要因、それから賃金問題もあると思います。それからもう一つは、需要要因、これは財政、金融各般にわたりますが、それからもう一つは、やっぱり便乗値上げ、こういう要因がまああると思うんです。その二つについて考えなきゃならぬ。しかし、このコスト要因というのはなかなか手のつけにくい問題でありますので、とにかく需給の均衡をはからなけりゃならぬ。それには何としても政府がまず陣頭に立つと、こういうことで、予算の徹底的な引き締めを行なわなきゃならぬと、そういうふうに考えまして、いま非常に窮屈な予算を編成作業中であると、かように御理解願います。
  112. 工藤良平

    ○工藤良平君 いま、大臣は、三つの大きな要因のお話がありました。まあ今回のこの二つの法律が提案をされておるわけでありますけれども、これで一体どの部分の——いま大臣が申されましたけれども、たとえば三つの要素の中でいわゆるコストの特に海外から入ってまいります原材料の値上げあるいは財政金融という問題があるわけですけれども、その中で特にいま現象的に起こっておるのは便乗値上げというものがかなり大きな部分を持っておるのではないか。特にこの抜き出ている便乗値上げというものをまずここで押える、そのために今回の国民生活安定法案というものを出して取り締まると、こういうようなことにいまそういう議論からいたしますとなっていくのではないかという気がするのでありますが、その点についてはどうでしょうか。
  113. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、いま申し述べましたように、政府の財政を非常に切り詰めます。それによって需要はかなり減ってくると、こういうふうに思っております。  それから金融行政のほうでも、民間の設備投資の抑制にかなり思い切った施策を打ち出していきたい、かように考えておるわけなんです。そうしますと、とにかく、国民総需要といえば、国民の生活消費であり、財政需要であり、産業設備需要である、こういうことになるわけです。その三つの要因の中で、財政需要が減る、また民間の設備需要もこれも減る。そうなりますと、石油の制約によって多少の生産の伸び悩みもありまするけれども、その需要の減少というものがその制約を償って余りあると、こういうふうにまあ見ておるんです。私の率直な考え方を申し上げますと、私はもうそう遠くない機会に卸売り物価というものはかなり大きな変化を来たしてくるだろう、こういうふうに見ておるのです。私が大局的に心配しておるのは、生活関連物資のほうなんです。これは消費者物価につながるのです。この方面につきましては、所得政策をやるというようなことも考えておりませんし、抑制もなかなか困難な状態にありますが、しかし、さらばとてこの主要物資の値下りあるいは騰勢の鈍化、そういうことが消費者物価に影響しないでというようなことはあり得ない。かなり心理的にもあるいは実際的にも響いてくると、こういうふうに見ておりますけれども、卸売り物価が安定いたしましても、消費者物価が安定するまでにはタイムラグがある。そのタイムラグをどういうふうにつないでいくかということが非常に大きなこれからの経済運営の課題になってくると、こういうふうに見ておるんです。そういうさなかにおいて、この生活関連緊急対策法案は大きな働きをなすであろう。私はこういう法律が幅広く施行されるというようなことは望ましくないと、こういうふうには考えておりますが、それにいたしましても、これを背景といたしましてにらみというものもききます。まあそういう状態下におきましてこの法律案の持つ使命というものは非常に大きいと、こういうふうに私は考えておりまして、この法律案を一刻も早く成立さしていただき、非常に重要な役割りを演ずる特に消費者物価の動きに対しましては御期待を申し上げたいと、こういうふうに考えておるわけです。
  114. 工藤良平

    ○工藤良平君 本来、通常の状態で自由経済というものを考えてみますと、品不足が起こる、そうすると、物価が上がるというのが自然な状態だと思うのですが現在の異常な卸売り物価の上昇というものが、まあ一品目とか二品目とかということじゃなくて、それがだんだん広がっていって、全体的に卸売り物価の上昇というものに拡大されていっている。そうすると、ほんとうに品不足による物価高だろうかどうだろうか。さっき、通産大臣から、時間が非常に短かったものですから、一体輸入の状態はどうあるのか、原料の補給はどうあるのかということで詳しく聞こうと思ったんですけれども、なかなかそこまでいかなかったんですが、輸入をしてくればたくさん品物が大体潤沢に供給できるのだという認識に立ってものを考えれば、短期的に手を打ちさえすればそれは解決するかもわからないけれども、そういう目先的な短期的循環要因だけをとらえて私どもが対策を打つということだけで一体この状態というものが済むのかどうなのか。この点はこれからの政策をするためにおいて非常に大切なことではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  115. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まさにお話のとおりだと思うのです。私は、この物価の問題は、石油の問題以前から非常に心配すべき状態にあったと思うのです。で、これからの経済運営というものは、いままでのような高い成長、これじゃもうとうていやっていけないし、やることは適正でない。まあそういうことを考えながら、かなり控え目の経済運営をしていかなきゃならぬと、こういうふうに考えておりますが、ことに当面は石油という事情がある。ですから、これはとにかく激しすぎるなあと言われるくらいの抑制政策をとらなけりゃならぬ。この時局はいろいろ摩擦も起ころうし、また、引き締めもありましょうが、そんなことに顧慮するいとまもないと、こういう状態と、こういうふうに理解しております。
  116. 工藤良平

    ○工藤良平君 したがって、私は、今回のこの法案というものは、局部的にいま起こっておる事象をとらえてそれをまず鎮静をするという役割りを果たさせるために考えたのだろうと思うのですけれども、本来、物価問題というものは、いま大臣もおっしゃいましたけれども、この石油が起こる以前の問題をやはり十分に把握をして物価問題については独自の問題として取り上げてこなければならなかった。そこに、私は、今日このような状態をつくり出してきた政治的な非常に大きな失敗とまでは言ったらどうかと思いますけれども、やはりあやまちがあったのではないだろうかと、このような気がするわけでありまして、特にそれは日本が異常に経済の高度成長を遂げてきた過程の中で国際的にもこれが大きな問題になって円切りという状態が起こってきた。かつては日本も国際収支については赤字ぎりぎりでやってまいりましていろいろな対策を講じてきたわけですが、ここ数年国際収支が非常に黒字になった。そういうことから四十六年の八月の円切りということになってきたと思いますけれども、それでもなおかっその後貿易につきましても上昇していって収支の関係は依然として黒字傾向がずっと続いていった。したがって、円の再切り上げというような状態が起こってきた。そこで、変動相場制に移行する。そういう過程の中でその後の物価の上昇というものを見てみると、そこで鎮静をせずに、逆に日本の国内の物価がどんどん上がっていった。そういう長期的な要素というものが私はあったように思うし、それはそのことが現在の値上がりの元凶というのがむしろ現在のあがっている事象だけではなくて長期的な問題として国際関係の場における財政金融政策というものに非常に大きな問題があるのではないか。そのことをやはり指摘をすべきではないか。いわゆる調整インフレといわれるような状態というものが物価の元凶ではないかと、こういうことがいわれておるわけでありますけれども、その点について私は当然そのことを徹底的に政治的に追及しながら対策を打つということが必要ではないかと思っているのですけれども、その点はどうでしょうか。
  117. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ昨年の秋ごろからことしの初めにかけてやられました金融緩和政策、また財政拡大政策、これは私はそういう政策をとった理由はわかります。まあこういう見地に立ってああいう政策をとったんだという理由はわかりますけれども、結果から見ますと、それが今日の事態を誘因した大きな理由になっていると、こういうふうに見ておるんです。問題は、私といたしましては、過去のことをどう言うこう言う、そういうことよりは、これから先をどうするのか、こういうことだと思うのです。私は、これから先は、ああいう施策がこういう結果を招いたという深い反省の上に立ってこの次の考え方を進めなきゃならない、こういう心境でございます。
  118. 工藤良平

    ○工藤良平君 本来、国際収支の中で黒字国になった場合には、やはり十分なそれに対する対応策というものを国内で行なわなければ、それは本来的には外貨の増大というものは国内の通貨を増発し、それがインフレ局面を迎えていくというような結果になるわけです。その点はいま大臣が物価の長期的な値上がりの元凶というものはやはりそういうところにあるんだということを御指摘なさっているわけで、そういう反省の上に立って次の予算を組む際にも非常に対策が必要になってくる。その点が、今日、二三%と田中さんが言っておりましたのが、若干圧縮していくという方向に出ているのではないかと思いますが、そういうような過去の経験からいたしましてたいへん重大な問題がここに提起されている。それを踏まえて私はやっぱり次の対策というものが必要になってくるだろうと思っています。  それともう一つは、さっきも私は中曽根通産大臣にちょっと申し上げたんですけれども、いまの非常に高度に進んでまいりました大企業の寡占体制というものからいたしまして、日銀の主要企業の経営分析を見ますと、たな卸し資産の低減傾向というものが非常に顕著になってきている。これは原材料費あるいは在庫品というところがだんだん少なくなって固定資産がふえているというような傾向があらわれているわけですけれども、これは、現在のような非常に寡占体制が進む過程の中においては、できるだけ原料の貯留、製品の貯留を少なくして回転をよくしていけばもうけは進んでいくわけでありますから、そういうような長期的なことがいまの大きな産業の中で変わってきている事項ではないか。ですから、調整インフレと同時に、そういった長期的な企業の中におけるたな卸し資産の低減傾向というものを分析してみても、やはり大きな変化というものが起こってきている。そういうものを踏まえたこれからの長期の対策というものが必要ではないかと、これは非常に短い時間でありますから議論もむずかしいわけですけれども、私はそういうことも大きな要因になっているというような気がするのでありますけれども、その点について、簡単でよろしゅうございますが、御見解を聞きたいと思います。
  119. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 調整インフレということを言う人がありますが、これは私は間違った考えだと思うんです。やっぱり国内の経済を安定させるということがもういずれの施策よりも先立つ問題だ。国際的に何か調整しなけりゃならぬというような問題がある場合においても、まず国内の姿勢、これを整える。その姿勢に国際関係のほうを順応させると、そういう考え方でなければならぬと思うんです。それを、あやふやに、さあ海外のほうに対しましても顔を立てよう、国内にも顔を立てようというようなことでありますと、これはほんとうに事を誤ると思うんです。やっぱり国内の安定が先だ、それに海外の調整を合わせる、こういう考え方でやっていかなきゃならぬ。産業のほうも私も同じ考え方でやっていかなきゃならぬ、そういうふうに考えます。
  120. 工藤良平

    ○工藤良平君 私の持ち時間があと二、三分ですから非常に残念ですけれども、もう一つ大きなことでいま大臣は非常に貴重なことをおっしゃったわけですけれども、日本のいままでの経済の仕組みというものは、ややもいたしますと、外国から安いものを買ってきてやればいいんだという考え方が非常に強くありました。それが、今回のこのような事態を迎えてみて初めてその破綻というものがきわめてもろいものであるということがわかってまいりました。これはこれからの日本の経済政策にとりまして非常に貴重な教訓だと私は思っているわけでありますが、その中で特に日本の国内にある資源をどのように大事に有効に使うかということが非常に必要になってくるんじゃないかと、このように思います。ですから、さっき一緒にいていただくと二回そういうことを言わなくて済んだのですけれども、私は、この前田中さんの答弁を聞いておりまして、日本が資源がない、あるのは人間だけだという発言をいたしまして、そのとき非常に残念に思ったのですけれども、日本は確かに人間が唯一の資源だけれどもそれ以外に、日本の国土は狭いけれども土地がある。この土地には、太陽が降り注ぎ、空気があり、雨が降れば、資源を無限大につくり出していく農業というものがあるわけなんです。私はそれを非常に貴重に考えているわけですけれども、どうも田中さんの頭にはそういうものがないんだろうかということをこの前私は答弁を聞いておりまして非常に残念に思ったのでありますけれども、もちろん、そういうことは、新潟の出身でありますから、農業、日本の国土を忘れているはずはないと思っておりますが、従来のように安い原料を幾らでも豊富にいつでも買えるという状態はもうこれからはなくなるだろう、そういう原点に帰ってこれからの政策というものを考えていく必要があるのではないか。したがって、いままで米が余ったから減らした、もちろんそれもいいでしょう。しかし、そのかわりに一体何を日本でつくらせたらいいのか、貴重な土地という資源を有効にどのように使うかということが私は政策でなきゃならぬと思います。  そういう意味で、飼料もたいへん輸入しているような状態の中で農家は四苦八苦しておりますし、卵も上がった、それ牛乳も上がったということで本委員会でもずいぶん議論がされて、最終的には農家の皆さんがたたかれるというような状態が起こることを私は非常に残念に思います。原料が上がってくればこれはもうストレートに卵の値段にはね返ってくるというのが一次産業の宿命なんでありますから、それをどのようにして改善していくのかということは、これからの日本の産業政策にとって私は非常に大切だと思いますし、そういう面にやはりこれからは目を向けて政策を行なっていただく。もちろん、それと同時に、社会保障を充実するということは私が申し上げるまでもないわけでありますから、そういう点を踏まえてぜひひとつこの機会に来年度予算編成にあたっては大臣の英断をお願いをいたしたい、このように思っているわけでありますので、その点をお聞きいたしまして私は終わりたいと思います。
  121. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、いまの工藤さんのお話、全く同感でございます。とにかく、国のかじとりをする、そういう際には、国際社会の中で日本がどういう地位にあるのかということを考えなけりゃならぬと思うのです。世界情勢は、政治的側面から見ると緊張緩和緊張緩和と言いますが、経済的側面から見ると逆だと思うのです。国際間の競争、摩擦、これはだんだんまた多くなる。特に資源は地球上で有限であるという意識を世界じゅうが持ち出しておる、こういう現状、これがだんだんと深刻化すると思うのです。そういう際に処してわが日本がどういう国のあり方をとっていくかということですね。そういう基本に触れた御所見でございますが、全く同感と思いますので、そのようなつもりでやっていきたいと、かように考えます。
  122. 田代富士男

    田代富士男君 私の質問時間は十五分でございます。きょうは小刻みに三人のお方に交代交代の質問で時間の配分がうまくとれません。こま切れ的な質問になりますが、個条的に質問をしたいと思いますから、よろしくお願いいたします。  まず、今日の異常な物価高騰、インフレの原因には、種々論議をされてまいりましたが、一つは中東戦争をきっかけとした石油危機にその一端があると思うわけなんですが、これは近い原因であって、その前の原因を調べてみるならば、一つは一昨年来の政府の財政金融政策のかじのとり方の失敗、こういう点が指摘されるんじゃないか。また、土地対策準備のない日本列島改造論に帰するのじゃないかと、このように私は思うのですが、大蔵大臣の率直な御意見、これが第一。  第二番目は、四十九年の予算編成についてでありますが、四十八年度予算編成にあたりましては、第一番目に福祉の向上、第二番目に物価の安定、第三番目に国際収支の改善、この三つの目標を掲げて実施されてまいりましたが、この中で、いまもいろいろ話が出ております外的要因、すなわち石油の問題、輸入の拡大、輸入価格の高騰によりまして、国際収支の改善のみは、政府は何ら努力をされなくても、四十八年二月は百九十億ドルぐらいであったのが、いまでは百三十億ドル近くまで改善しつつある。ところが、これはこのままいくならば国際収支の危機を招かざるを得ない事態が生ずるのじゃないかと、こういうような事態を迎えている。これに反しまして、福祉の向上ということがありましたが、福祉の向上に至りましては、所得の格差が拡大しまして、国民は生活危機にさらされている。また、二番目の物価安定どころか不安定が続々激しくなってきている。まあおそらく戦後の混乱期を除きましていまのような事態は初めてじゃないか。こういうことを踏まえまして、四十九年度の予算編成の目標を大蔵大臣としてどこに置かれようとしていらっしゃるのか、まずこの二点についてお願いいたします。
  123. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 過去の財政金融政策が今日の事態を招いた原因である、どう思うかというお話でございますが、昨年、またことしの初めにかけましてとられました財政金融政策、これはああいう施策をとった理由というものがあるんです。あるんですが、結果から見ますと、まさに御指摘のように、私は今日の事態を招いた大きな導因になっていると、こういうふうに考えます。先ほど工藤さんにもお答え申し上げましたが、そういう反省の上に立って今後のことにつきましては事を誤らないようにしなけりゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。  また、列島改造はどういうふうに思うかと、こういう話ですが、この列島改造というのは田中首相の一つの著述でございまして、また、政府におきましてまだ一切取り上げたことはないわけです。しかし、あの本に盛られておる考え方、こまかいことはいろいろ問題があります。ありますけれども、これから日本がインフレといわれるこの異常な事態を克服する、それから石油の危機も乗り切る、その後においてわが国はわが国の国づくりというものを総合的に進めなけりゃならぬ、そういう際に、この著述の中に盛られたように、日本列島全部を見回しまして、そして幅広い視野で計画をつくらなけりゃならぬという考え方においては、私はそのとおりじゃないかと思います。いずれにせよ、これはまだ田中首相の個人的見解というか、まあ田中首相の政治思想というか、そういう段階の問題でありますので、御批判というか、これについて意見を申し上げるということはその程度にいたしたいと、かように考えます。  それから国際収支が非常に重大じゃないかというお話ですが、私もそのとおりに思うのです。過去二年間は、国際収支のことなんかあんまりわが国全体として考えるということはなく過ごし得たんです。たとえば、昨年中なんかは、わが国の海外旅行者が使った金は実に十二億ドルだと、こういうふうに概算されるわけです。十二億ドルの金を海外旅行のために使う、これは驚くべきことなんです。わが国に対して海外からどのくらいの旅行者が来るか、どのくらいの金を使うか、まあざっと二億ドルぐらい、こういうことです。十二億ドルの金を持っていって向こうで使ってくる、これは国際収支にそう心配ないと、こういうような背景があったからだと思いますが、これから石油価格がだんだん上がってくるというようなことも考えますと、わが国の国際収支の将来というものは、もうほんとうに楽観を許さない、厳粛な態度で臨まなきゃならぬ、こういうふうに思いますが、そのきめ手は、何といっても十何%という実質成長、こういうことを続けておったら国際収支はもっていきません。やっぱりかなり低目の成長率ということを考えなければならぬ。そういうふうに考えまして、とにかくいまは異常の物価高という火の手が上がっておるんですから、火の手を消しとめることに全力を尽くします。しかし、その消しとめたあとの姿を踏まえましてそこへそれからの行く手を探るわけですが、その行く手につきましてはもう堅実な道を歩んでいかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  124. 田代富士男

    田代富士男君 今度は四十九年度の安定成長をどうとらえるかということでございますが、福田さんの持論でございますが、これがゼロ成長あるいはゼロ以下になると予想される、そういう話もいろいろ出ております、いまいろいろな説が。ところが、経済見通しにつきましては、現在のままで行きますと、来年の三月あるいは四月ごろは卸売り物価は対前年度比で四〇%、消費者物価は三〇%になる、「エコノミスト」なんかで心配されておるわけなんですが、物価の安定に対しまして、じゃ来年の三月、四月このような状態を迎えたらどうするのか。いまも来年度の予算のポイントの中でのお話を伺いましたけれども、これに対してどういうふうに対処されるのか、簡単にお願いいたします。
  125. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これからの数カ月というものが、わが国といたしますとまさに正念場というような時期になると思うのです。この異常物価の事態が解決できるかどうか。私は、それに対して、先ほど申し上げましたが、非常に峻厳な態度で臨む。少しの摩擦があっても、あるいはきしみがありましても、これを辞さないと、それくらいのことをしないとこの業病はなおらない、こういうふうな見方をしておるんです。これだけの業病でありまするが、ほんとうに政府が姿勢を変えまして取り組むということになれば、私はこの異常な事態はそう遠くない時期に克服し得ると、こういうふうに確信をいたしておるわけなんです。まあ精一ぱい努力をする。したがいまして、昭和四十九年度の予算は、そういう精神を具体化します。それから昭和四十九年度に至るその以前の一—三月の予算、金融政策につきましても、同様の精神でやっていく。とにかく、私は、今日のこの異常の事態を長続きさせるということは、これはもう国のためにたいへんなことになりはしないかということを心配しているのです。もう少し、ゴリ押しになるかもしらぬ、しらぬが、とにかくこの不安定な状態、これを一刻も早く解消する、そういう政策をとらなければならぬという考え方のもとに全力を傾倒したいと、かように考えております。
  126. 田代富士男

    田代富士男君 いま大蔵大臣として日本の将来に対して偉大な決意を披露していただきましたが、福田大蔵大臣がよくたとえていらっしゃいましたが、日本人は肥満体の日本人であると、それをスマートな日本人にするために総需要の抑制政策をやるのだと、こういうふうに表現をしていらっしゃったと思うのです。そういうわけで、総需要の抑制を早急に実施されている現在でございますが、いまも話が出ておりましたけれども、金融政策にも重点を置かれておりますが、まだ政府部内におきましても物価の安定にきき目がないというような共通の認識があるわけなんです。  それで、日本の正念場であると言われるごとく、いろいろ対策を講じられると思います。もちろん金融政策については当然のことでございましょうが、それと同時に、予算の規模、これなんなにつきましてもいろいろな意見があると思うのです。まあ二〇%増になっている、こういうことに対しまして一〇%増にすべきであるという提言をしている人等もあるわけなんです。こういうものに対する考え方、あるいは公共事業の規制、民間設備投資の規制、国民生活の消費抑制等どのようにおやりになるのか、時間もありませんから、八項目でございますが、簡単でけっこうでございます。
  127. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十九年度の予算につきましては、その財政規模を極力圧縮したいと、こういうふうに思っておるわけでございますが、大体前年度比二〇%以内にこれをおさめたい、こういう考えであります。同時に、物価高とたいへんな関係のある国債の発行額につきましては、前年つまり四十八年度の額よりも千八百億程度減額をするということにし、国家予算総予算の中における国債依存度というものはかなり減ってくる、こういうふうに見ております。  公共事業費につきましては、先ほど申し上げましたとおり、昭和四十八年度の金額以内、また量においては昭和四十七年度の予算の事業量以内と、これくらいきびしい措置をやってみるつもりです。  それから金融政策におきましては、これはおそらくきょうきめられるんじゃないかと思いますが、日本銀行のほうで公定歩合の大幅な引き上げを考えておるかに聞いておりますが、公定歩合のいかんにかかわらず、金融政策につきましては、量的規制の現在の政策を堅持する。なお、その質的規制の面につきましても、特段のくふうをこらすべくただいま鋭意検討中でありまして、まあ二、三日中にはこれを発表できると、そういう時期に相なろうかと、かように考えております。
  128. 田代富士男

    田代富士男君 もう時間がありませんから、最後に二問だけお尋ねいたします。  一つは、金利の問題ですが、ヨーロッパの各国では一〇%をこえる預金金利が生まれているそうでございますが、日本の国でも長期金利に対しましては物価上昇分を加えるような物価スライド金利を導入されたらどうだろうかということ、これはいろいろお考えもあるでしょうけれども、そのようにやっていきますと、いま日本の国民というのは世界で最高の貯蓄国家といわれるくらい貯金をしておりますけれども、さらにそういうような方向へ貯蓄をするんじゃないか。そうしますと、土地等を持っている人なんかも売って貯金に回してくる。そういたしますと、消費全体の五〇%の消費需要は一斉に落ちるんじゃないかと、そういう意味で物価スライド金利を導入したらどうかというのが一点です。  それから公共料金の問題、いまもお話が出ておりますが、田中内閣が発足いたしまして約五百日間でございますが、物価対策を最優先にといっておりますけれども、依然として今日のような状態でございます。特に公共料金につきましては、これは国鉄運賃消費者米価とが十月実施というふうに据え置きされましたけれども、ほかの郵便料金だとか電力あるいは私鉄運賃等、いろいろ出ておりますけれども、これもけさ新聞等にもいろいろいわれておりますけれども、撤回するお考えがあるのか、この二点についてお答えをお願いしまして、私の質問を終わります。
  129. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 公共料金につきましては、私はこれを抑制方針でいきたいと思うのです。それで、国鉄の運賃につきましては、とにかく二つの国会を経過しましてやっと運賃改定法案が成立したわけなんです。ことに先国会なんかは一国会だけでも二百八十日かかってやっと四十九年三月三十一日引き上げということになった。それから米価もたいへんないきさつを経まして四十九年四月一日にこれを引き上げる、こういうことになっておるのでありまして、その経過を考えますと、これを変更するということは非常にむずかしい問題では実はあるんですが、しかし、私が先ほどから申し上げておりますとおり、これから数ヵ月というものが日本経済がほんとうに大混乱になるのかあるいは安定するのかという正念場である。そういうちょうどさなかにおいて消費者米価の改定を行ないます、あるいは運賃の引き上げを行ないますということは、これは考え直さなきゃならぬ問題じゃないかと、かように考えまして、まあ財政としますと金はかかることでございまするけれども、あえてこれを半年延ばすと、こういうことにいたしたわけであります。こういう姿勢を政府がとりますれば、いま私鉄の運賃だとかいろいろな要請が民間側からもあるわけでありますが、そういう要請に対しましても政府はりっぱに答え得る立場になるであろう、こういうふうに考えますとにかく、この半年というものは非常に大事な時期でありますので、公共料金につきましては特に気をつけてまいりたい。ただ、ひとしく公共料金と申しましても、あるいは高速道路の料金を引き上げることがどうかこうかというような問題があります。そういう問題は私はそう大きな問題はないと思うのですが、とにかく経済の根幹をなすというような公共料金につきましては、これは厳に抑制方針で臨みたいと、かように考えております。
  130. 田代富士男

    田代富士男君 金利の問題……。
  131. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) スライド制につきましては、これはスライド制ということはまあ一応頭の中では私は考えられる問題だと思うのです。しかし、今度は貸し出し金利のほうもスライド制にしなきゃならぬわけなんです。そうしますと、いわゆるこれは物価押し上げの原価の高騰になると、こういうことになりまして、これは実際問題とすると採用まことに困難というか不可能な問題ではなかろうか、そういうふうに考えるわけなんです。この預貯金と物価の関係をどういうふうに調整するかという問題は、どうしたって物価の問題を解決する以外にこの調整の道はありません。少し小手先の対策、これはまあ考える余地はあるにいたしましても、根本的にはやっぱり物価を安定させるのだ、そっちのほうはほんとうに真剣にやりますから、それでひとつ御理解のほどをお願い申し上げます。
  132. 加瀬完

    加瀬完君 きのうに引き続いて恐縮でございますが、この法律が国民生活の安定ということをねらっておるわけでございますから、そういう観点で私も伺いますが、そうすると、来年度の消費者物価指数というものはどの程度に押えようということでございますか。
  133. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いま経済企画庁で策定を急いでおりますが、消費者物価につきましては前年度比一〇九でございます。ですから、九%アップ、それから卸売り物価につきましては一一・九アップでございます。これは非常にまぎらわしいのです。つまり、げた理論というのがありましてね。本年度の三月の時点で相当ことしの四月に比べますと上がりますね。初めのうちはわりあいに安定しておった。それが急激に下半期になって上がってきた。その上がってきた上がりというものがげたとして勘定されるものですから、四十八年度の年平均と四十九年度の年平均というものを比べますと、そういう高い数字が出てきます。しかしながら、私は、国民が問題にするのは、そうじゃなくて、その年間の上昇率である、そう思うんです。これはかなり低いものにいたしたいというふうに考えておりまして、消費者物価につきましては五・二%、それから卸につきましては四・八%、そのくらいのことを考えておるんです。いま私がこの政策をそのとおり実現するということについて不安に感じておりますのは、消費者物価のほうです。卸のほうは何とかかなり安定したと先について見通しがつけられるような状態が早く来るというふうに思っておるのですが、消費者物価になりますと、いまの生活安定法案、これなんかの働きがどうなるかと、こういう問題にかかってくる。これが非常に働きを示し、また、総需要抑制政策の影響というものをあわせ考えますと、私は、こっちのほうも大体所期の目的に到達し得るんじゃないかと、そういうふうに考えております。
  134. 加瀬完

    加瀬完君 現在の消費者物価指数というのは非常に高い。したがって、国民生活を安定するというなら、きのうの繰り返しになって恐縮ですが、消費者物価指数というのが下がるということでなければほんとうの安定の効果というのは出てこないと思う。ただ、これは抑制するということにならざるを得ないと思うんです。そこで、この法案の内容として、ここにたとえば一条に「国民生活の安定と国民経済の円滑な運営」というのがありますが、国民生活の安定というものにウエートを置いて予算を構成をしたり、財政計画を立てたり、あるいは本法を活用するのかということに若干疑問を持つわけです。ただし、修正された第二条には「日常生活に不可欠な物資を優先的に確保する」ということでありますので、そちらに優位が置かれるかと思いますと、対象選択というものはさっぱりはっきりしておりません。どういうものを優先的に確保する対象として選ぶかということは、きのうの経済企画庁長官の御説明でもはっきりしておりません。上がったらきめるという形になっています。上がったらきめるのではなくて、上がらせないように、むしろ大蔵大臣がおっしゃるように引き下げるようにするには、事前にこの対象というものの選択が明確になっていなければならないと思いますが、この点、財政担当者としての大蔵大臣は、これで確実に日常生活に不可欠な物資を優先的に確保するということが目的を達成されるとお考えですか。
  135. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 日常、私は先ほどから申し上げておるんですが、卸売り価格かなりきびしく規制されることになる。これは総需要抑制政策が的確に響いてくると、こういうふうにまあ見ておるのです。ところが、消費者物価、つまり生活必需品を中心とした物価ですね、こっちのほうはよほど努力をしなきゃならぬ。そこで、その努力の柱といたしまして、生活物資安定法案というような機構が必要になってくる、こういうふうに見ておるのです。生活物資と申しましてもいろいろあります。ありますが、そういう法的背景を必要としないで需給と価格の安定を確保し得るというものもあるわけです。それはこの法律の適用は必要はないわけなんです。しかし、生活物資の中でそういうものばかりじゃないものですから、こういう立法をする必要が出てくると、こういうことになる。ですから、そういう必要のある物資、つまり価格が高騰するとか需給が逼迫するとか、そういうおそれのある品目につきましては、これはこの生活安定法案の発動によって措置するということに相なるだろうと、こういうふうに見ております。
  136. 加瀬完

    加瀬完君 その内容はあとでまた経済企画庁のほうにお伺いできるわけですから、大蔵大臣には、物価全体を考えますと、前々から御説明がある予算構成なり、総需要の抑制なり、こういったようなことが問題になると思いますので伺いますが、需要膨張の原因を田中総理は国民消費の拡大だと、こういう御説明をしておりますが、大蔵大臣も同意見でございますか。
  137. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これはまあ一言では言えぬと思うんです。いろいろ要因がありまして、需要の拡大した要因は、国民消費の増大ということもある。しかし、非常に目につくのは産業設備投資の拡大であります。それから住宅投資、これはまあ額は小そうございますからそう需給要因に響くというものでありませんけれども、これは非常に拡大傾向を本年度はたどり、またはたどろうとしておるわけなんです。それから次いで、やはり財政、また財政投資、つまり予算と財政投融資、この両面における拡大と、こういうことだろうと思います。
  138. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、いわゆる民間投資産業投資がふくれ上がっておるということはお認めでございますね。  それと、もう一つ、さっき田代さんから御指摘がありましたけれども、物価抑制のためには最小限度地価の抑制というものをしなけりゃどうにもならないのじゃないか。地価の抑制ということは先ほどのお答えでははっきりいたしませんが、地価の抑制について、田中さんのおっしゃるように、現在の考えております法律をさらに修正か拡大かさせるということ以外に、地価抑制ずばりの法律を出そうというお考えはございませんか。
  139. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、地価の問題というのを全国的に規制するというのは非常にむずかしいと思うんです。つまり、憲法問題があるんです。一体、富士山のてっぺんを統制する必要があるのかと、こういうような議論にも発展してきまして、やっぱり、憲法の許す範囲内で考えられる地価問題というものは、公共の福祉ということだろうと、こういうふうに思うんです。公共の福祉の見地から土地収用法というような法制もありまして、土地についてのある種の制限が加えられておりますが、私は、いま日本全体を見回しまして一番緊切な問題は住宅問題じゃあるまいか、そういうふうに思うのです。住宅問題という問題は、まさにこれは日本社会として公共の福祉という問題に数えていいのじゃあるまいか、そういう具体的な公共の福祉の事例をあげての土地問題への接近でないと、いまの憲法ではなかなか許されない。そういうことで、全国一帯に地価をどうするとか、土地の利用をどうするとか、そういうのはむずかしいのです。そこで、私は、住宅問題特に緊切な必要に迫られている大都市の住宅問題という問題の角度からこの土地問題に接近をしたらどうだろうと、こういうふうに考えまして、それで、行政管理庁長官の時代に、行政監理委員会として行政管理庁長官福田赳夫に対し建議建言をいたしておるわけなんですが、それは大都市の地価の凍結だと、それは住宅対策のためにはやむを得ない、こういうのですが、いま、その答申を踏まえまして、そして、建設省でこれをいかに立法化するかの検討を進めておるんです。その検討の方向は、これを新しい立法にするのがいいのか、あるいは国土総合開発法の中に入れるのがいいのか、大体の傾向としては国土総合開発法の中にそういう条項を入れるということがまあいいのじゃないかというような方向でございまするけれども、いずれにいたしましても、まだ検討中であり、結論は出しておりません。
  140. 加瀬完

    加瀬完君 おことばを返すわけではありませんが、だれも地価問題で富士山のてっぺんを問題にしているわけじゃない。住宅用地というようなことがいま問題になっている。したがって、これに対して、総合開発法というようなことではなくて、物価対策としての大臣のおっしゃる問題の地価をどうするかということについては、これは相当考慮をしなけりゃならないのではないかと思うわけです。  そこで、これも公明党さんからの御質問にあったわけですけれども、総需要を抑制するということで公共事業なんかの縮小というのを考えました。それなら、繰り延べになっているものをなぜここで打ち切らないか、これについてはどうお考えになりますか。
  141. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 今年つまり昭和四十八年度予算のことをおっしゃっておられるかと思いますが、あれは三月までああいう状態に置きまして、もし三月の状態でそれまでに使用残額が出るということでありますれば、それを翌年度に繰り越すつもりでございます。同時に、四十九年度につきましても計画的にその実行をやっていくと、こういうふうに考えまして、景気の情勢等も見ますし、そして第一四半期にどれくらいの公共事業費を使うかということは厳にこれを抑制する、そして年度を通じての残が出るということになりますればこれはまた五十年度にこれを繰り越すと、こういう処置をしようと考えておるんです。  ただ、加瀬さんのお話は、なるべく今年度においても四十九年度にとった措置と同様な峻厳な措置をとったらどうだろうと、こういう御趣旨かと思いますが、それはそのとおりに考えておりまして、四十九年度予算の策定が終わりましたら、次は一−三月の公共事業の出費をどうするかという作業に移りたい。その作業に移る基本方針としては昭和四十九年度の予算編成に事ずると、こういうことでございます。
  142. 加瀬完

    加瀬完君 先ほど田代さんから御指摘がありましたように、昨年度の予算編成の方針なりそれから予算規模というものは、明らかにこれはいまの状態から考えると失敗の要因をたくさん持っていますよね。これはもう大蔵大臣はたびたび御指摘をなさっているとおりであります。それなら、国民の前に政府の失策として明らかにしてあらためて協力を求めるというからには、膨張された予算というものに対して削減するということをはっきり打ち出すべきではないかと私は思います。若干意見になりますので、さらに質問を続けますと、公共投資を中心に財政縮小をしてまいりましても、極端な例を申しますが、建築投資の抑制をいろいろ閣議でも御決定になりましたが、どんなに建築投資を抑制しましても、建築資財がさっぱり安定しませんでは財政バランスは相変わらずくずれたままということになろうかと思います。これはこの法案にも関係のあることでありますが、建築資材の安定ということでお見込みがありますか。
  143. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、これくらいきぎしい予算、またきびしい金融政策をとってまいりますれば、ただいまおあげになりましたような建設資材というようなものは、そう時間のかからない間に、様変わりというか、かなり大きな変化が出てくると、こういうふうに見ておるわけです。
  144. 加瀬完

    加瀬完君 最後にもう一つ伺いますが、投資抑制ということであれば、きのうも経済企画庁の長官に伺ったのでありますが、道路計画を検討修正しなければ、道路計画を野放しにしておいては公共投資の抑制にはならないと思うのです。道路計画については大臣としてはどうお考えになりますか。
  145. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 道路計画のお話ですが、道路計画に限らず、水道につきましても、住宅につきましても、あるいは新幹線につきましても、もうみんな長期計画があるんです。また、それらを総合して新全国総合開発、社会経済基本計画というような長期計画があるんですが、それをいま短時日の間に新しい計画に見直すなんということは、これはとうてい時間的余裕がありません。ですから、それはそれとしておいて、そうしてとにかくこの昭和四十九年度をどうするんだ、その上半期が正念場だと、そういうような角度から、そういう長期計画にはかかわらず、その長期計画の中の一部をこの予算で消化すると、こういうような方針で行くほかはないと思うのです。長期計画自身をどうするかと、こういう問題になりますと、この火事を消しとめて、その消しとめたあとの日本経済の姿がどうなるか、その姿を踏まえて日本経済全体としての行くえをどうするかという中において解決しなけりゃならぬ問題だと、こういうふうに思います。
  146. 加瀬完

    加瀬完君 すみません、もう一問。  それはお説は一応わかりますよ。しかし、現実にどれから手をつけていくとするなら、石油事情等も勘案するならば、あまりにも膨大に無制限に予算が投資されております道路を押えなけりゃこれは公共事業を押えることになりませんよ。したがって、計画が計画ではなく、計画をはっきりと修正させなけりゃ需要縮小ということにはならないと思うのです。意見がましくなりますが、どうですか。
  147. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 五年なら五年にわたる長期計画を修正するというのは、まあ事務の手続としてとても間に合いません。これは計画をつくるには一年も二年もかかるんですから、それをいまこの短期間の間にやり直せと、こう言われましても、それはできないんですよ。できないんですが、その道路五カ年計画なら五カ年計画の中で昭和四十九年度に大体どのくらい使うであろうか、それはまあ年次計画はないんですが、おおよそ年割りを見れば見当がつく。その見当にはかかわりなく、総需要抑制という旗頭で予算を編成するというほかないんですが、その先のことは先のことでまたひとつ考えよう、これは考えざるを得ないと思います。
  148. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は、きょうは時間がたいへん少のうございますので、一点だけお答えをいただきたいと思います。  それは、最近国民が一番困っているのは、どなたも言うように、インフレ、物価高、物不足、こういう中に国民生活はあえいでいるわけですけれども、先ほど公明党の田代先生へのお答えの中にありましたように、大蔵大臣としては公共料金を極力抑制する方針だ、こういうお話がございましたが、ぜひともいま問題になっております郵便料金の値上げ、これも公共料金でございますから、ぜひともこれを財政担当大臣としていま予算をお組みになっている最中でございますから、これの財政負担はするから、どうか郵便料金の値上げは抑制するから安心しろと、こういうふうに言明していただきたいと思って質問をさしていただくわけでございます。実は、一昨日、園芸をやっておられる植木屋さんのグループが私のところに参りました。もしもこの郵便料金の値上げになりまして第四種から種苗、農作物をはずされますと、たとえば三十円の種を送るにしても、小包となりますと百円になると、こういうようなことで、将来は植木屋さんもやめなくてはいけないというようなたいへん逼迫した陳情が参っておりまして、ぜひともこのことを大蔵大臣に質問をしていただきたい、こういうことでございましたので、よろしくお願いします。
  149. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 大蔵大臣というのはつらいので、郵便料金の値上げでありますとか国鉄の運賃の引き上げとか、そういうことが行なわれませんと、財政上それらの会計に穴があくんです。その穴を埋めなけりゃならぬ立場にあるものですから、まあ普通のときでありますればもう上げろ上げろ、上げて赤字をなくせと、収支のつじつまをとってもらいたいと、こういうところなんですが、いまは非常なときでございまするから、国鉄でも米価でも大蔵大臣としては異例の姿勢をとっておるわけなんでありますが、郵便料金につきましても、これは郵便審議会のほうでああいう答申もしておるいきさつもありますので、まあ郵政大臣が最終的にどういう態度をとりますか、まだ私は最終的な協議をいたしておらないのでありますが、私といたしましては、ぜひ国鉄やあるいは米価、そういうようなものと同じ精神でいきたい、こういうふうに考えております。
  150. 竹田四郎

    竹田四郎君 今日の石油危機の問題というのは非常に突然にあらわれているようでありますけれども、もともとは日本の油外交がなかった、まあこういうところに非常に突如としてあらわれてきたわけでありますけれども、外務省として、今後のアラブとの友好的な交流計画というようなものは具体的にお立てになっているのかどうなのか。
  151. 堀新助

    説明員(堀新助君) 私、文化事業部長でございますので、ただいまの先生の御質問のうち友好交流計画の中でも文化交流の点について申し上げたいと存じますけれども、従来も、アラブ諸国に対しまして文化交流を促進したいということは、決して最近の石油問題などが始まってから考えたことではなく検討をしておりました。そのための予算も組んでおります。しかしながら、実際上その予算はきわめて少額でございまして、と申しますのは、文化交流をいたしますにつきましても、従来地理的にも文化的にも関係が遠かったわけでございますので、先方におきましても日本からこういう文化交流をしてほしいという要望が十分にはございませんでした。そこで、ただいま各大使館に対しまして、もっと文化交流をするために先方でも日本からこういうことをしてほしい、あるいは日本に対してこういうことをしたい、そういう要望をどんどん出してもらいたいということで検討いたしております。そのためには、来年度予算も、まだまだ少ないとは言え、本年に比べては倍増になるような予算を要求いたしたいと思っております。
  152. 竹田四郎

    竹田四郎君 来年四月ですね、アジア卓球連合ですか、ATTU、これの主催の第二回アジア卓球選手権大会が横浜で開催されることになっております。その招請国四十三カ国と地域を対象としてアジアの単一競技大会ではいままでにない規模でやるという話でありますが、この中にはかなりアラブ諸国あるいは地域からの参加が予定されているというふうに聞いております。すでにエントリー等も来ている、こういうことでありますが、まあかつて名古屋でのピンポン大会というのが日中交流の一つのきっかけをつくったということは国民だれでもが知っていることなんですが、いまおっしゃられるように、アラブは非常に遠い国である、こういうふうな感じを持たしているし、外務省向こうが要望を出してこなかったんじゃなくてむしろ積極的にこちらからそういう要望を求めるという行動が少なかったんじゃないか、このように私は思うわけでありますけれども、しかし、こういう横浜で開かれるアジア卓球選手権大会というのはそういう文化交流の非常にいい機会であるし、三木特使が行ったということもそういうアラブ外交一つではありましょうけれども、民間ベースというものの交流というものがもっと盛んになっていかなければ、アラブ外交でなくてアブラ外交だと言われるゆえんというものは相当出てくるだろうと思う。そういう点で、来年の四月の卓球選手権大会について政府はどういう態度でいま臨もうとしているのか、その点を伺いたいと思うんですけれども、これについてはすでに政府のほうにいろいろの要望も出ていることであろうと思うんですけれども、政府のほうの態度もまだ必ずしも明確でありませんけれども、一つのこういう機会でありて、私はいい催しの一つにさせるべきであろうと思いますし、アラブ諸国からもかなりのクラスの政治家が一緒に来るという話もあるわけであります。非常にいい機会であろうと思うのですが、この点についてどう考えますか。
  153. 堀新助

    説明員(堀新助君) ただいまお話のございました来年四月行なわれます第二回アジア卓球競技大会のことは、私たちも関係者から説明を受けて承知をいたしております。また、先生のおっしゃいましたように、その参加国としましてかなりの数のアラブの国及び地域として招聘を受けておることも承知しております。ただ、どれだけの国がすでに招請を受諾したか、また、実際に選手を出場させるかということは、まだ私は存じておりません。  そこで、政府としての態度ということでございますが、実はこのような競技会は文部省の所管でございまして、文部省組織令には「国際的又は全国的な規模において行われるスポーツ事業に関し、連絡し、及び援助すること。」という一条がございます。しかしながら、国際大会でございますので、外務省といたしましても十分な関心を持っておることは、言うまでもございません。  そこで、アラブ諸国の参加のことでございますが、私たちといたしましては、先生のおっしゃいましたように、これはアラブ諸国との関係を深くする一つのよい機会でもあるということでございますので、多数のアラブ諸国から参加があって大会が成功されることは、非常にけっこうなことだと存じております。
  154. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃ、外務省はけっこうです。  長官に伺いたいんですが、今度の法案の中で一番はっきりしないことは、標準価格一体どういう形でどういうふうにしてどのぐらいの水準でどうきまるかということは、いままで長い論争でありますけれども、これはどうもあんまりはっきりしないんですよ。そして、その標準価格のきめ方の政府の統一見解というのも出されましたけれども、だれがどこでどうきめてどういう基準できめていくのか、こういうことはさっぱりわからぬですね。標準価格の標準とは一体いかなる意味なのか。各企業の中においても、生産性の高いところはコストが下がるでありましょうし、限界企業といわれる部面についてはこれはかなりコストが高いということになってくると、一体具体的にどの線で価格をきめるのか。上位できめるのか、中位できめるのか、下位できめるのか、これも各種企業の実態はいろいろだと思うんですが、具体的にどこできめるんですか。その点を明示してくれなければ、いわゆる標準価格というものが、国民が見て、適正な価格であるのか、あるいは高い価格なのか、あるいは非常に低い価格なのか、こういう判断というものはできないわけですね。どうなんですか。それはどこできめるつもりなんですか。
  155. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 一応私から考え方、私の姿勢をお答え申し上げ、細目については物価局長に補足させます。  まず第一に、この法律で私どもがねらいますところは、物価の上昇気運というものをとめてしまう。第三条にございますように、物価が著しく上昇し、上昇するおそれがあるときに物資を指定し標準価格をきめる段取りに入りますので、現実に引き下げるということもさることながら、とにかく増勢をとめます、それが第一。  それから第二は、標準価格をきめます際に現に市場に行なわれていることがありましても、便乗的な値上げ、先取り的な利益を含んだようなそういう価格は排除することにつとめる。これは現実にはそのときに市場に行なわれている価格を引き下げる場合があるということになります。  それから第三番目に、標準価格のつくり方でありますが、これは法律に書いてございますように、一つの商品の中から、標準品目ということばになっていますが、わかりやすく言うと標準銘柄、代表銘柄というものを選ぶことになります。その代表銘柄につきまして、これはいろいろなメーカーもございましょうし、またいろいろな販売業者もございましょうが、その場合の標準のコスト、標準の扱い経費、標準の利潤というものを常識的と申しますか総合的な見地からはじき出しますが、その場合の標準生産費というのは何かということになりますと、いろいろなメーカーがございますから、一番コストの高いメーカーをとるということではもちろんありません。標準的なものでございますから、必ずそういう方法をとるということにはならないかもしれませんが、いわばバルクラインのようなものをとる場合がその標準生産費にならうかと思います。また、標準利潤といいます以上は、ある非常に不況の場合に利潤を吐き出しで原価を割って売るような場合のゼロ利潤というようなもの、あるいはまた先高見込しの異常な利潤というようなもの、これはいずれも異常でございますから、そういう異常な分ではなしに、これも代表的といいますか標準的な利潤というものをつくるわけでありまして、これを総じて申しますと、いまのような考え方から標準価格につきましてはわりあいにソフトな価格、その前後左右に代表品目、代表銘柄のほか他の銘柄もございましょうが、代表的な銘柄を選び、それについて通常のコスト、通常の利潤をはじいたところによります値段をつけることによって、前後左右の品目値段が牽制されるということをねらいといたします。しかし、そういう算術計算ばかりでなしに、法律にいろいろ書いてございますように、需給の強含みとか弱含みとかいうようなことも勘案して総合的にきめてまいると、こういう考え方でございますが、なおこれについて専門家をして補足させたいと思います。
  156. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも、あなたの言っているのは、標準品目というのはわかるんです。砂糖なら、たとえば上白という一番利用されている、そういうものの標準品目を選ぶことは、これはわかります。当然わかります。その上下のいいもの、悪いもの、ザラメについてはどうするんだとか精製糖についてはどうするのだと、その辺の関係はわかります。ただ、上白という砂糖一つを——これは一つの仮説でありますが——とって、おそらく塩水港精糖とか日本精糖とか大日本製糖とか、この間でおそらくその会社自体の生産性によって高いのもあるだろし、安いのもあると思うのですよ、同じ標準的なものにしても。そうすると、あなたのおっしゃっている標準的というのはどうもそこがわからない。そういうものの標準的価格の五つなら五つの企業があって、そしてたとえば百十円、百円、八十円と、こう三つありますわ。その総合計したものの平均的なものをとるのか、その辺は全然わからないのです、あなたの言っているのは、標準的ということばが。具体的にその辺がわからないと、これは経済界なりあるいは物価そのものに対する影響というようなものも具体的にはわからぬわけですよ。たとえばいまの砂糖の三つの企業をとっても、このくらいの幅があるでしょう。その中のほぼまん中をとるとすれば、この線より下のやつはこれは損をしていくわけですよね。あるいは利潤が非常に少なくなってしまう。場合によれば、いまのような物価騰貴の事態の中では、おそらく標準価格はそう毎日毎日動かすようなものじゃないと思いますから、そうすれば、そのラインから下のやつは企業として成り立たなくなる、あるいはほかの企業へ転嫁する、こういう心配もあるわけですよ。そうすれば、それだけ生産量は落ちていきますよね。価格がある標準価格でとめられるわけですからね。そうなってくると、生活物資を国民に確保するという役割りが、いまそれでなくたっていろいろな形で物不足だというところに、つくればつくるほど赤字の出るような経営になってしまえば、その工場としてはつくらなくなる、ほかに逃げていく、こういうことになれば、国民に物資を確保していくという政府の責務、これはなくなってしまうと思うのですよ。だから、この標準価格のきめ方というのは、ただ単に価格水準の維持だけじゃなくて、生産量にもこれは影響してくる問題なわけですよ。だから、価格のきめ方いかんによってはこれはたいへん大きな問題になるわけですよ。ところが、あなたの言っていることはどうもわからない、ただ標準標準と言うだけで。具体的にどういうところできめるのか、その辺をもう少しはっきりしてもらわなければ、国民だって、そのきめられた価格一体標準価格として納得できるものになるのか、あるいはこれは高過ぎるというのか、あるいはこれは低過ぎるというのか、その辺というものは理解のつかないものになってしまうと思う。その辺を明確にしてくれなければ、標準価格を守れといっても守れなくなる、こういうようになるのじゃないかと思います。
  157. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) なお先ほど前提にいたしましたように専門家に補足させますが、なお、ただいまの竹田さんの御質問に対して、もう少し私から私の考え方を補足さしていただきますと、とにかく標準品目をとりますこと、これまあ一致したとおりでございますが、それについても三つのメーカーがあり、あるいはまた三つの取り扱い業者があって、それぞれのコストが違うという場合に、標準というのは、その三つを足して三で割ったものである必要はないので、全体の総生産量というようなもの、あるいは総需要量、これだけあれば国民には間に合うというような数量をにらみながら、その中のその数量を満たすためにはどこまでのバルクラインというか、どこまでの生産費まで持っていけばおおむねその所要量はまかなえるというようなものを選んでまいるよりしょうがない。そのほかに利潤もございますから、それ以上のコストがかかっていますものは、標準利潤のほうを当面は食われるか、さらに合理化努力をしてもらう必要がある。それからまたそれ以上の非常にその効率をあげている、合理化のメリットが大きい企業におきましては、利潤のほうも、標準利潤をとっておりますから、それだけ努力の効果が利潤のほうに反映するという場合も出てまいりましょうけれども、まず、生産費とか販売コストなどにおける標準価格というものは、そういう代表銘柄、特別選んだものについてのいま言うような数量的考慮をも勘案しながらきめてまいると、こういうことになろうかと思います。
  158. 竹田四郎

    竹田四郎君 抽象的にはわかりますよ。抽象的にはそのお話はわかります。じゃ具体的に、いまのように国民の需要というのは非常に多面的になっている、こういう時期で、しかも物価がこれだけ高騰している。しかも、先行きいって物価が安定するということを信じている人はちょっとないわけです、ここ数ヵ月先のことを考えて。あなたは少なくとも一月から物価が安定するということはいますぐ信じていないと思うんですよ。ことばの上では信じているけれども、腹の上では信じていない。そうなってくると、そういうものから出てくるところのいわゆる仮需要というようなものも出てくるわけですよ。そういう仮需要というものが、ある意味では小麦粉をなくしたり、塩をなくしたりしているわけですよ。ことばの上ではわかるんですけれども、あなたのほうでそう言う総需要量あるいはそれに対する総供給量には、いろいろな複雑な要素が、心理的な要素も一切入ってきます。こういうものをあなたは計算できていますか。できているなら、あなたのおっしゃっていることが来年の一月一日でも直ちに標準価格がきまってそしてそれによってできていく、そして価格も安定するということはあり得ると思うんです。そういう資料というものを経企庁は全部持っていますか。
  159. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 法文にございますように、標準価格は各物資の主務大臣がつくることになるわけであります。したがって、砂糖の例を考えてみましても、あるいは鉄鋼の素材、あるいは第二次製品などの状況を考えてみましても、両者の間で標準価格をつくるにいたしましても、かなりの違い方があると思います。しかし、最大公約数的なものと申しますか、そういうものはつくっていかなければならないんで、通産省通産省所管の物資について勝手な標準価格をつくる、あるいは農林省農林省でまた勝手なものをつくるということであってはならないわけでありますが、一応は各省がつくりますから、各省がそれぞれについて相当の資料もあり、また検討もいたしておることと思いますので、私どものほうは、いま、各省に、当面指定すべき指定物資、それについての標準価格についての素案というようなものを至急につくって経済企画庁に相談を持ってこいということで督励いたしておるわけでございますので、各省のそういうもののつくり方も私どもは十分見てまいった上できめてまいりたい、またそれよりはかなかろうかと思います。
  160. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなた、それはたいへん責任のがれのことだと私は思うんですよね。標準価格が各省おそらく出てくるものは別々でしょう、あなたのおっしゃるように。あなたのほうは資料を持っていないんだから、別々でしょう。しかし、それがあんまり各省で離れ過ぎていても、これは産業間のバランスをくずすわけですから、その辺のバランスを守るのが私は経企庁だろうと思う。けさ午前中の通産大臣と私のやりとりをあなたは聞いていたと思うんです。じゃ具体的に通産省がいつまでにそういうものができるかということは、言明できなかったでしょう。早くやるということだけしか言っていなかったでしょう。あなたは、この法律が施行されてそして消費者の目の届くところまでいくというのならあしたにでもやりたいとおっしゃっていたでしょう。通産大臣はそういうことを言っていないじゃないですか。通産省のものあるいは農林省のものが標準品目に選ばれるのはかなり多いだろうと思うんですよ、現実には。それを二つの省が、じゃ具体的にどのくらいの資料を持って具体的にどのくらい詰めているかということは、あなたのほうはわからないでしょう。わかっていますか。わかっていれば私はあなたのことばを信じますよ。先ほどの話だと、全然わかっていないじゃないですか、両方の話は。
  161. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 私は個々の物資を所管する官庁ではございませんが、しかし、物価については総合的企画立案をする責任を持っておると思いますので、通産省なりあるいは農林省なりがどのような固有の立場をとろうとも、私は内閣の中枢におるつもりで、通産省に対しても、農林省に対しましても、この法律ができました以上は、いまおことばがございましたように、一日も早く物資の指定なりあるいは標準価格の決定なりというものをやらせるように、これは私だけの一人の力ではできませんけれども、そのために内閣に国民生活安定緊急対策本部というものをつくることになりましたので、そういうところに私どもの考え方、進め方というものを持ち出しまして、そして各省をして物価に対するそれぞれの役割を果たしてもらいたいと、こういうかたい決心、立場でおるわけでございます。
  162. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたの答弁は、私の質問にちっとも答えていないじゃないですか。産業間のバランスを持つ、あるいは企業間のお互いのコストの状況がわかっている、そういうような事態を把握していなければ、全体のバランスを見て、農産物の価格、工業品の価格、こういうものがバランスがはたしてとれているかとれていないか、こういうことだってわからないのじゃないですか。幾らあなたがそういうふうに勢い込んだって物はそのように動かぬですわ。価格があなたの希望しているように動いているならば、こんな法律は要らぬはずなんですよ。そういう点をちっともつかんでいないじゃないですか。それで標準価格をきめてうまく資源配分ができるなどということは、これは考えられないですよ。政治論ならいいですよ。しかし、経済は政治論じゃないですよ。価格によって物の生産も物の動きも違っていくわけですよ。政府の命令だけで物が動けば、やみ取引もありません、買い占めもありません。現実にはそれがそうなっていないじゃないですか。それで標準価格をどうきめるかといっても、それが納得できるきめ方ではないわけですね。その辺は、通産大臣の発言のほうがずいぶん的を射ていると思うのですよ。精密な原価計算をやっている余裕がないので、上がる前の値段を基準にするような小刀で細工をするより、なたで切ったほうがいい、こういうことを言っているわけですね、通産大臣は。私はこのくらいしかできないと思うのですが、どうですか。
  163. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 前に統一見解でもお出しいたしましたように、おっしゃるように初めから標準価格をこまかい原価計算に基づいてやることは不可能であると思います。したがいまして、その物の価格が比較的安定していた時期をべースにして、その後の賃金水準の上昇とかあるいは輸入原料を使っています場合には海外価格の高騰とかというコストの事情を参酌して新しい現時点の標準価格をきめていくというケースがおそらく多くなると思います。
  164. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がないものですから、この議論はもう少ししなければ、ほんとうに標準価格なんというのは出てこないですよ、率直に言って。きのう、物価局長は、連合審査で、少なくとも標準価格をきめたら一、二ヵ月で動かすようなものであっちゃならぬということを言ったですわな。いまの形でいったらすぐ直さなければならぬような事情が出てきますよ。さっき通産大臣が言ったように、レアメタルですね、これは非常に価格の変動が激しいものだということです。そうなれば、すぐ標準価格を直していかなければ資源配分はできないじゃないですか。そうなってくると、標準価格というのは当てずっぽうな価格だと、そういうふうに率直にお言いになったほうがいいんじゃないですか。いまも、小島局長は、原価計算なんてそんなものはできるものじゃないと、こうおっしゃっている。まさにそのとおりだと思うのです。だから、私は、こんな標準価格を決めても当てずっぽうで常に動かさなくちゃならぬものだ、ただ標準価格だというレッテルのついた価格にすぎない、こういうふうに思いますよ。それじゃ、そういう当てずっぽうの価格でもいいから各主務官庁がそういうものをはじき出せるほど情報を集めていますか。集めていないじゃないですか。  私は、食糧庁に聞きたいのですけれども、私はこの間昭和産業を委員会として見学に行きました。昭和産業は食糧庁からどれだけ原麦を買って、それを挽砕して各特約店に幾らで売って、その特約店が実需者に幾らで売って、毎月どのくらいの量が出ているかというようなことを正確にここで報告できますか。これは四大製粉があるから、全部のコストを知るということになれば、四大製粉全体を見ていなくちゃならぬはずですよね。これは、しかも、食糧庁が原麦を一番握っているわけです、原麦価格も握っているわけです。しかも、ある程度安定しているわけです。一番やりやすいですよね。こういうことを全部詳細に各月別ごとにそうしたルートを全部追って価格と量というものを全部追っておりますか、どうですか。
  165. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 現在の場合でございますが、食糧庁としてはすでに工場のあります主要十六県に対しまして食管法に基づく調査を実施しております。それをいま取りまとめておりますけれども、食糧庁としてはやろうと思えばいつでもやれるという体制で、特に今回の原麦の値上げとの関連で思惑等があってはいけないということで流通調査を実施しております。  先般、先生に御視察いただきまして資料要求がありました具体的な件につきましても、数日中には御提出できるかと思っております。
  166. 竹田四郎

    竹田四郎君 これだって現実に握っていないんでしょう。私に言われて初めてこれから具体的な数字をはじこうということでしょう。やればいつでもできるかもしれません、食糧庁の体制ではね。しかし、現実にいま握っているという状態じゃないわけでしょう。麦だってこういう事態でしょう。  私は大蔵省に聞きたいんですが、塩の専売、塩は専売法によってきわめてきびしい取り締まりの対象になっております。きめられた価格以上で売れば、当然処罰を受けるわけでしょう。この間も本会議で福田大蔵大臣は塩の価格については違反の事実があったということを明確に言いましたよ。しかも、専売局がちゃんと監視部まで持っておるわけです。きわめて価格統制もでき、また同時にコストもはっきりわかるものです。こういうものだって末端においては塩は現在不足しておりますよ。この間私どもが見に行った時点でも不足した品種というものがあるわけです。これは政務次官に聞きますけれども、ここで堂々と、違反した店と、どのくらい違反したのか違反した数量というものを公表してもらいたいんです、全部。
  167. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) ただいま御質問のありました点でございますが、専売公社の報告によりますと、先般塩専売法違反の事実があったという通報がございました。これが大体五十数件でございました。それらについて直ちに調査に入ったわけでございます。ところが、かなりの部分はお名前をおっしゃっていただけないものですから、その店に行きましても証拠がなかなかつかみにくいという点もございました。とにかく調査をいたしましてほぼ違反事実が明確になったというものがただいま七件ございます。その内訳は、二件は、塩専売法によりまして販売の指定を受けておる店、それが専売価格をこえて販売をいたしておったという事実が判明いたしております。残りの五件は、いわゆる無指定販売、資格のない店が塩の販売準備をいたし、あるいは一部販売をしておった。このような事実が明確になってきております。  具体的に二、三、例を申し上げてみますと、ある店では、並み塩の三十キロ入りの袋があるわけですが、この三十キロ入りの袋をこまかくばらしまして五百グラム入りの袋にいたしまして、本来その一袋は制限価格でいきますと十円のものでございます。それを十五円に売っておった、そういう店がございます。また、ある店は、並み塩のいまの三十キロのものでございますが、これを一キロの袋に詰めかえまして、これは一袋は二十円の制限価格でございます。これを一袋四十円ないし五十円という値段で売っておった、こういう例もわかっております。  このようなことで、ただいま、このような違反に対してどのような処分をいたすかという点につきまして処分内容について専売公社で審議いたしております。その内容は、いま申し上げましたように塩というのは本来非常に安いものでございますので、たとえば六百二十グラムの食塩一袋二十円のものを三十円にかりに売りまして、あるいは四十円に売って十円ないし二十円の差を取りましても、これを百袋売っても千円とか二千円でございます。しかしながら、このような専売物資、しかも生活の必需品でございます。こういうものについてああいうどさくさまぎれにそういう不当な利益を得るということは、これは非常にけしからぬことじゃないかと、かように思いまして、私どもとしましてはひとつ厳重な処分をやってほしいということを公社のほうに指示いたしております。公社のほうとしましても、いまその線に沿って鋭意検討中でございます。  それからただいま先生の御指摘になりました個々の店名をここで公表しろというお話でございますが、私どもとしては、なお検討しまして悪質と認められるものにつきましてはその処分をいたした段階で公表するということを考えております。  以上でございます。
  168. 竹田四郎

    竹田四郎君 専売法というきつい法律があったって、あなたがここでいまそういう違反者を公表することさえ拒んでいる。いつになって公表するか、みんなの記憶が薄れたころに公表するだろうと思うんです。そういうような状態ですよ、塩専売法ですら。それがぴしっと塩専売法がここで——こういう時期であるから一罰百戒というそしりもあると思いますけれども、これがぴしっと政府がそれをすぐ出せるようなそういう措置が行なわれているということであれば、標準価格が守れる可能性はあると思う。一番初め私が問い合わせたときに専売公社が何と言ったですか。主婦の人が感違いをしているんでしょうと言ったでしょう。まるで主婦が悪いと言っていた。現実にある。私はこんなものなんてほんとうに大海の中の一しずくにすぎないと思う。もっとあると思う。真剣になって調べていないからです。どうせ消費者が買いだめしているんだろうからというような調子で真剣に調べていないからですよ。あなた方にしてみれば、言わないほうが悪いんだ、どんどん言ってくればいいじゃないか、こう言うかもしれません。しかし、塩を売る店はおたくのほうの制限でそんなにたくさんあっちにもこっちにも無数にあるというものじゃないんですよ。その店ともしそういうことでけんかをしてしまえば、あとでいろいろなものを売ってくれない、あるいは小麦粉を売ってくれないということになるかもしれない、あるいは灯油を売ってくれないということになるかもしれない。言えないじゃないですか、店の名前を。だから、あなたのほうは、ちゃんと監視部をつくっているわけじゃないですか。それだって、見つかったのはかなり悪質ですね、これは。しかも、名前は公表しないと、こういう事態じゃないですか。そういうことで、標準価格より引き上げ、さらに特定標準価格までいって、その特定標準価格を破ったときに課徴金を取るなどと、あるいは著しく悪質なものは標準価格を破ったときにそれを公表するなどできますか。価格するはっきりしていないそういう標準価格で、はたしてそんなことができますか。私はできないと思うのです。私が食糧庁の小麦粉を選んだというのは、食糧庁が行政指導がかなり下まで手を及ぼすことができるということであえて私は小麦粉を選んだんだ。昭和産業はどうですか。買い占め小麦粉が、私の勘定で計算して約百五、六十袋から二百袋でしょう、そういうものがあるんじゃないですか。その調査結果を発表してください。
  169. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 先般、先生が御視察になりました際に、十月十一日付の何も書いてない票箋が十一月に出しました分の上に乗っかっておったそうでございます。その分について調べてみましたところ、これは日付の書き違いなものですから白紙のまま置き忘れておったということでございます。といいますのは、その点についてそれじゃ十一日に第一屋製パンにどの程度どういうふうに出荷しているか、両方のほうをいま調べておりますけれども、たまたま私のほうの職員が十三日と勘違いしまして、十三日の分については、きちっと調べてみますと、入庫が幾らあっていつ幾ら出ているか、全部票筆がついておりますから、おそらく私のいままでの報告を受けたところによりますれば、これは書き損じではないかというふうに思っておるわけでございますが、なお、十一日付のものがどういうふうに出て、第一屋製パンにどういうふうに行ったかということは、なお詳細に調べてみたいと思っております。
  170. 竹田四郎

    竹田四郎君 昭和産業の横浜工場に食糧庁もおそらくそういう監視機構を持っておってときどき検査に行くだろうと思うのです。一体、いつ行っているのですか。私どもが行ったのは十二月十八日ですよ。あそこは一番トラックも入ってきて、荷物の出し入れが激しいところですよ、きわめて。工場側が案内したのは反対側ですよ。日付は、十二月の八日あるいは六日程度の日付がちゃんと上のほうに赤い字でこうゴム印でしるしがしてありました。下のほうには何にもしるしなかったです。私は一番最後に残りましたけれども、その反対側のほうの——同じ通路のすぐ反対ですよ、そこにさっき言った百五十袋近く乗っている上に、ほかには見られない下に第一屋と赤くゴム印で押したのがちゃんとそこにあるのです。もしそれが十一月一日に運び出されたものの残ったものだとしても、一カ月半そこにあるのですよ、一カ月半。あれだけ出入りをしているところで一カ月半そのものがころがっているなどということをだれが信じますか。その札は第一屋と赤くちゃんと書いてあるのです。あの判は、一体、昭和産業で押したものですか、第一屋で押したものですか、どっちですか。どっちですか、それは。ごまかしちゃいけませんよ。
  171. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 私の報告を受けているところによりますれば、書き損じたものが乗っかっておった。小麦粉の袋自体には正規の日付のものが入った票箋がついておるわけでございます。そういうようなことでございますので、ただいまでの食糧庁の調査では、どうも書き損じではないかというふうに思えるわけでございます。
  172. 竹田四郎

    竹田四郎君 書き損じだというなら、普通の字を書き損じたことですよ。一日にそれだけをつくっているわけじゃないんですよ。毎日つくったのがゴム印で日付がちゃんと入ってきているわけです。そのカードにはちゃんとさっき言ったように第一屋という大きく見える赤い字で判こが押してあるわけですよ。調査に行ったのは翌日十九日でしょう。私どもが行ったときにはそういうのはかかっていなかった。ちょうど運び出した途中だという感じです。全然かかっていなかったんです、さがしても。だから、私は、あそこで若干指摘をし、あと食糧庁の人にもどうもあれはおかしいぞと言った。だから会社側はあわててかけたんだろうと思いますし、私がそれを見つけたときにそこの従業員が急いでそれを持っていきました。そこに置き忘れたなら、急いで持っていく必要はないでしょう。そういうことを完全に調査をしないでいるそういう体制が私は食糧庁の体制だと思うのです。どういう調べ方をしたか、その調べ方の詳細をあとで知らせてもらいたいということです。おそらくもう証拠を消されたあとで、向こうがつくったので説明を受けてそれで満足して調査を終わりましたということで帰っていると思う。金融筋から何から全部洗ってみましたか。洗ってないでしょう。第一屋と昭和産業、その二つだけしか洗ってないでしょう。いつ金がどういうふうに支払われていつ運び出されたという証憑までちゃんと調べてあるということがあったら見せてください。あるいはそれは消しているかもしれない。私どもは前日連絡をして行っているんです。その日に抜き打ちで行ったわけじゃありませんから、おそらく急いでその品物をどこへ運んだか知りませんけれども運び出そうとしたに違いないと思う。そのカードは偶然に忘れてしまった。本来なら、それも片づけておけば国会議員に隠すことができたのだけれども、あのカードが一枚あそこにあったために国会議員の目をごまかすことができなかった。どうですか。
  173. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 私どものほうの業務部長が先生のお供をしておりますので、詳しくはあるいは業務部長から当日の様子をお話し申し上げたほうがよろしいかと思いますが、業務部長にいま私が聞きましても、十一月二十七、二十八日製造された証憑が下の袋にはついておったそうでございます。したがって、書き損じということばはあるいはことばの表現が悪かったわけでございますが、十月十一日付の日付だけが入ってそれから第一屋指定というのがあった票箋だけが忘れられておったということでございます。そのもの自体は古いものでありませんで、十一月二十七、八日製造された証憑がついておった。ただ、御指摘のようなことがございますのでなお詳細には調べておりますけれども、ただいま私の承知しておる範囲では以上のようなことでございます。
  174. 竹田四郎

    竹田四郎君 そのカードを見たときは、いたのは私と沓脱さん二人だけですよ。もうほかの人は、業務部長なんか、そんなの見ていないんですよ。あとは一緒にバスへ乗って横浜方面へ向かったわけなんです。見ていたのは、私と沓脱さん二人だけです。いまになってそんなことを言ったってそれは通らぬですよ。
  175. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 当日参りました業務部長から報告させていただいたほうがよろしいかと思いますので……。
  176. 志村光雄

    説明員志村光雄君) 竹田先生おっしゃいますように、私もあそこで工員さんの話を竹田先生がお聞きになっておられるので急遽その場に行って話の概要を聞き、現在ある範囲の票箋はどれかといって、工員さんがここにありますということもちゃんとさしたことを確認いたしております。
  177. 竹田四郎

    竹田四郎君 それはいまここに証拠がないから、そのときの写真もここの報道記録も出ておりませんから、とにかくあなたは私よりも先に行ったことは間違いない。私が一番最後に出ていったんですから。あなたは戻ってこなかった。そんなことをここで言ったって、ほかの人はそのときの事情を知らないから、どっちがほんとうのことを言っているかわからぬと思うでしょうけれども、私よりあとに出ていった者はないんだ。私が一番最後に出ていったんです。そんなうそを言ったってだめですよ。——答えがないわけだ。食糧庁長官現実はそういうことですよ。幾ら小麦を一二三%原麦を売ったって、メーカーの中には積んであるんです。そういうのを調べてないでしょう。一番手の届くところでさえそういう調べができていないんですよ。それで何で標準価格がきめられますか。これは食糧庁の一番いい例だと思う。  いまは正月用品が港にはいっぱいです。運輸省の人いますか。——いま日本の全国に滞船はしけ、あるいは倉はしけというのは一体何隻ありますか、十一月末の数字で言ってください。それと同時に、倉庫の中にどういう品物が何トン積まっているのか、言ってください。十一月末ですよ。
  178. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) 主要港におけるはしけの滞船状況でございますが、現在、十一月三十日までの資料を申し上げますと、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、この五港でございますけれども、滞船が二十一万四千四百トンという数字になっております。これは、八月に比べますと、八月は五十二万六千三百トンでございましたので、半分以下になっているという状態でございます。  また、私のほうの所管は営業倉庫でございますが、全国の営業倉庫の保管残高は……
  179. 竹田四郎

    竹田四郎君 品目別に言わなければだめですよ。ただ保管残高幾らあるなんてことを言ったってだめですよ。品目別に言ってください。
  180. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) 七月末までが正確のところでございますが、全国で合計千六百七十六万五千トン、品目別に申し上げますと……
  181. 竹田四郎

    竹田四郎君 七月より新しい数字はないわけですね。私は十一月末の数字を要求したんですけれども、ないんですね。あるかないか言ってください。
  182. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) 十一月末のものはございません。
  183. 竹田四郎

    竹田四郎君 さっき言った二十一万四千四百トンのはしけですね、これにいかなる品物がどのように積まれていったか、それを報告してください、品目別に。そして、どこの港にはどれだけあり、どこの港にはどれだけあり、どこの港にはどれだけあると、十一月末の数字を言ってください。
  184. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) 五大港につきまして申し上げます。  十一月三十日調査の結果は、東京港におきまして合計一万八千七百トン、内訳は、穀物一万二百トン、原木二千六百トン、その他五千九百トン、合計一万八千七百トンであります。  横浜は、穀物五万六千百トン、その他の農水産品一万四千二百トン、雑貨一万二百トン、飼・肥料二万二千九百トン、その他五千三百トン、合計十万八千七百トン。  名古屋は……
  185. 竹田四郎

    竹田四郎君 もういいです、わかったからいいです。  いま東京港の話を聞いてみても、穀物、原木、その他です。詳細なことがわかってないんです。経企庁長官、こういう実態ですよ、政府のつかんでいる数字は。何にもわからないということです。何にもわからないところでどうして標準価格がきめられますか。標準価格をもし破っていても、塩専売法という強い法律があったって見つからないんです。塩専売法に比べればこの法律のほうがずっとやわらかいですよ。一体、どうして国民の価格に対する公平感、あるいはまさにこの横浜港におけるはしけなどを見ますれば、ひどいのになると三ヵ月に一航海もしてないんですよ。いま、はしけの船頭さんは、太って困ると言っている、仕事をしないから。二ヵ月、一ヵ月はざらですよ。おそらく具体的なそういうはしけに何が積まれているかということをつかんでないでしょう。そんなことで適正な価格標準価格などというものが一体出せますか。出せないと思う。それがみごとにこの一月の初めのこの法律ができるときに一般消費者標準価格がわかるというまでの数字が出たら、これはやっぱり当てずっぽうの数字ですよ。大きな大きな立場からの原価計算をやったそういう数字ぐらいしか出ないですよ。詳細な原価計算なんてのは出っこないですよ。だから、私どもは、そういうむずかしいことを言って、生産費だ、費用だ、利潤だという形でのそういうものを計算したまさに原価計算の上で出たような価格消費者に示してこれがあたかも適正であるがごとく——ごまかしですよ。できっこないじゃないですか、正確な価格は。ごまかしのための法律にしかすぎないですよ、これは。だから、あんまり正確な価格なんということを言わないほうがいいと思う。むしろ、この価格でやってくれ、そのかわり犠牲もあるかもしれぬ、犠牲者に対してはある程度それは国がめんどうを見よう、こういうことで価格を押えるべきであると私は思う。できっこないじゃないですか。どうですか。
  186. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 先生おっしゃいますように、この標準価格を厳密な計算で積み上げた上で出すということがたいへんむずかしいことは、おっしゃるとおりだと思います。したがいまして、先ほどのような方法で、まあある意味で便宜的な方法でございますけれどもやらざるを得ないと思います。ただ、そういうやり方であっても、先ほど来通産大臣も言っておられますように、どんどんほうっておけば上がっていく場合に、一つの水準を出してそれに対して監視をしてまいると、さらにそれがもとになってその上の——上と申しますか、一そうシビアーな特定標準価格とかいうものに進んでいく上の一つ準備段階にもなるわけでございますので、やはりこういうラフといえばラフでございますけれども一つの水準を出して、なるべく一、二カ月ですぐ改定するようなことがないように、ある期間はそれで保っていくということがやはり消費者のためにプラスになると信じているわけでございます。
  187. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあそういうことで、実に標準価格というようなものは言うなればラフな当てずっぽうなものだということがここではっきりいたしました。そういう意味で、標準価格を守らしていくということになると、その標準価格では適正利潤が出ない、あるいは赤字になるというような場合もあるわけですね、現実には。灯油にしてもそうですよ。プロパンにしてもそうです。十リットル千三百円、これじゃとても赤字になるという業者が現実にあるわけです。三百八十円店売りでは、これはとても赤字になるという会社があるわけです。そういう標準価格を守らせる、それによって赤字が出たり、それによってぐあいが悪くなったような企業には、これは当然政府として責任を負うんでしょうね。ほったらかしておくということじゃないでしょうね。
  188. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 非常に多くの小売り店を対象に、コストが高い場合に標準価格を守らせるために価格差補給金を出すというようなことになりますと、これはまたたいへんな数字にもなるわけでございます。したがいまして、標準価格以上で売っている場合に、その事情を聞いて合理的でやむを得ないと思う場合は、これは引き下げの指示とか公表とかという手段はとらない、そういうことによって調整していかざるを得ないと思います。
  189. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうのは、一体、だれがやるんですか。
  190. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 権限上はそのものを所掌する大臣でございますけれども、したがいまして、卸段階とかメーカー段階とかこの辺はそういう縦割り省庁及びその地方支分部局が担当するわけでございますけれども、末端の段階におきましては都道府県知事に委任をいたす予定でございますので、地方の職員がやるということになるかと思います。
  191. 竹田四郎

    竹田四郎君 地方の職員にそれだけの権限をお与えになるのかどうかわかりませんが、なるほど不合理だということはわかっても、それを上げるということになりますと、またいろいろそこに問題が出てくる、政治の腐敗もそこに出てくる、こういうことが目に見えているように思うわけでありますけれども、そういうことを避けるには、結局、当てずっぽうの価格もなるべく高いところへきめておけばそういう複雑な問題が出てこない、こういうことになりますわな、必然的に。あんまり価格を安いところできめれば、そういう例外の、ある地域に限ってとかその企業に限っては価格を個別に認めていくというような形にならざるを得ないですね。灯油一つをとってみてもそうですよね。遠いところへ配達する場合にはやっぱり運賃をたくさんもらわなければいかぬ、近いところならそうでなくていい、まあこういうことになりますよね。まあ灯油などは比較的明らかでありますけれども、ほかの品物については、これはどうなるかわからぬわけですよね。  そこで、時間がありませんから次へ進みますが、経済企画庁の長官として大体何品目ぐらい選んだら国民の日常生活に関連ある物資を押えることができますか。
  192. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 先般来政府の部内でも打ち合わせをいたしておりますが、私のぜひやりたいと思いますことは、国民が毎日の生活をしていくのにこれだけは政府が責任をもって価格なり需給なり守るべきだという最小限度のものをぜひきめたい、それが何品目であるかということは、いまここで直ちに申し上げられませんが、そういう形で国民の生活をささえるための物資を各省とも指定物資の候補者として選んでくれと、こういうことを私は申し入れをいたしておるわけでございまして、内閣に国民生活安定緊急対策本部、これはまあ閣僚ベースでいきますが、そのもとに各省の局長クラスをもってつくる幹事会ができますので、そういうところで詰めてまいりたいと思っております。
  193. 竹田四郎

    竹田四郎君 国民の最低限の消費生活に必要な品目というのは、どのぐらいあると思いますか。
  194. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 毎月消費者物価指数というのを御承知のとおりつくって発表いたしておるわけでありますが、これは家計の支出項目を単位にいたしておるものでございまして、必ずしも物資ばかりではございません。手間賃のようなものも入っておりますけれども、それは四、五百項目あるはずでございますから、その中から、消費者物価指数に占める各品目の重さ、ウェートとか、あるいはまた、まあ私どもでも暮らしもしており、女房も子供もあるわけで、こういう点があるわけでありますから、一家の生計を維持していくのにこれとこれをきめることがいいというようなものを選び出すべきだというので、私は消費者物価指数の構成項目というようなことまで例に出して督励をいたしております。
  195. 竹田四郎

    竹田四郎君 通産省の塩ビ関係の方に聞きたいと思うんですが、いま卵の値上がりの一つの大きなことも、卵のパックが非常に足りないということで、卵はあるけれども輸送ができない、油も含めてですね、こういうようなことでありますけれども、あのパックの値段というものも、あまり上がり過ぎればやっぱり卵の値段に影響してくる、こういうことになると思うんですね。影響するどころじゃなくて、物がなくなってくるということですね。通産省で、塩ビの問題はたいへんいままでやかましくいわれてきたものでありますから、これはひとつ各メーカーが塩ビのレジンがどういうふうに流れていったか、その資料を十一月末の資料を出してくださいよ。どこでどういうふうに買い占めされているか、わからぬわけですね。この間あるところへ行きましたら、塩ビの袋のメーカーのところだけこう破いて品物を持ってくる、値段は高いというんですよ。そういうことを御存じですか。これだけ塩ビがやかましく言われているので商社の製造のネームがついているのを破いて持ってくるというんです、そういうことを知っていますか。
  196. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) お答え申し上げます。  塩ビ製品は、七月半ば以降、工場の爆発事故並びに夏の間の光化学スモッグ等を理由といたしましていろいろ物の需給の面にそごを来たしたわけでございます。つい最近に至りまして、御指摘のように、石油危機の問題を契機といたしましてさらに逼迫の度合いを告げておるわけでございます。御指摘のように、塩ビ樹脂が大口ユーザー並びに中小ユーザー、いろいろ分かれておるわけでございますが、ともしますと、乏しいながらも大口ユーザーのほうに行きやすいだろう、中小のユーザーのほうに円滑に行かないという心配もございますので、これにつきまして、メーカーのほうに対しまして、メーカーから商社並びに一次問屋、二次問屋等の流通経路を通じましてどういうふうに流れているかということを私ども調べているわけでございます。
  197. 竹田四郎

    竹田四郎君 あとで資料を出してください、時間がないですから。
  198. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 御指摘の資料につきましては、後ほどお届けするつもりでございます。  ただ、最後に御質問になりました点につきましては、私どもそういう事実はまだ聞いておらないところでございます。
  199. 竹田四郎

    竹田四郎君 これだけ問題になっている塩ビでも、長官、そういうような名前のところを消して荷物が動いているということを一番主管省である通産省が知らないんですよ。聞いておりませんといま言ったでしょう、そういう事実を。現実かなり大きいところであるんですよ。一体どこを調べているかと私は思いますね。町を歩けばそういう話はざらにあるんですよ。私なんか一番サボっていて歩かないほうなんですが、それだって耳にどんどん入ってくるんですよ。役所の耳というのはたいへん鼓膜がかたいみたいですな。  そこで、時間がありませんから次に進みますが、今度の法案で特定標準価格というものをつくる、これは標準価格が著しく上がった場合、こういうふうに書いてありますね。あるいは著しく上がるおそれのある場合、この場合には特定標準価格をきめるんだ、こういうことですね。著しく上がるというのは、どのくらい上がることを著しく上がるというんですか、その辺も明確にしておいてください。
  200. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 特定標準価格の決定は、原案で恐縮でございますが、第七条に「第三条から前条までに規定する措置を講じてもなお指定物資の価格の安定を図ることが困難であると認められる場合において、その指定物資の価格の安定を確保することが特に必要であるときは、」云々とございますので、三条から前条までのいわゆる標準価格に関する措置をいたしましてもなお指定物資の価格の安定をはかることが困難であると認める場合には、このマル特と申しますか、特定標準価格を決定いたします、そういう趣旨でございます。
  201. 竹田四郎

    竹田四郎君 その辺が具体的にどのくらいにしたら一体特定標準価格になるかということが、これも抽象的でわからぬですわな。まあ極端なことをいえば、あの企業はつぶしてやろう、あの小売り店はつぶしてやろうというようなときには、そういうふうにすればいいんですよ。ただ、そういうふうな抽象的なものでは、私は売るほうも買うほうもこれは納得しないと思うんです。そういうものは政令か何かできめるんですか、どうなんですか。皆さんの判断でそれはやるんですか、どうですか。
  202. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) この第七条の政令は品目を指定する政令でございますので、どの程度になったら特定標準価格に移るかということは、行政判断と考えます。
  203. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうようなものをただ行政判断でやるということは、私はそれこそ公正を欠くと思うんです。やっぱり何らかの形で一つの基準を示さなければ、いや、おれのところは拝伏コストがこんなに上がっていてこうなっているんだからこれは標準価格を直してもらいたいんだと、私はこういう要請になると思うんですよ。標準価格を直してもらいたいと。ところが、あなた方が全国的に調べて——まああまり調べはできないだろうが、行政判断で、なるほどおまえのところはじゃ標準価格を上げてやろう、おまえのところはだめだ、こういう問題が出てきませんか、長官。——長官に聞きたいんだ。
  204. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) なかなかむずかしいところであろうと思いますが、たびたび申し上げますように、この法律のたてまえが、いろいろ御批判をいただいてはおりますけれども、まず第一段階としては標準価格のような代表銘柄についてソフトの価格をつくっていって、そしてその周辺の同じような種類の物資の価格がこれより値上がりしないようなそういう指導的な役割りをさせるわけでありますけれども、しかし、それよりさらに一歩進みまして、物統令の公定価格まではいかないけれども、その指定物資の中から特に特定品目を選んで、またこれは選び得る可能性がないといけませんけれども選んで、そのものについてきっちりした価格をつくらないと標準価格だけでは適当でないようなそういう場合も生じ、あるいは初めからそういうものもあるかもしれませんが、そういうことに対処いたしまして、標準価格よりももう一歩突っ込んだ、利潤にいたしましても、標準利潤というようなことではなしに、適正利潤、また特定標準価格をつくるにいたしましても、全国一本というようなことでなしに、各地域的にもつくってまいるというようなことをしながら、それに対する違反には課徴金を取り得るようなそういう事態をつかまえてまいりたい、またまいるほかないと、こういうたてまえでおります。
  205. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも、長官、私への答弁をはぐらかしているように思うんですよ。標準価格をこえて売らざるを得ないから売る。これはいろいろな指示や勧告を受けるでしょう。それでも生きていくためには売らざるを得ない。あるところではもうじきへたをすると特定標準価格に近づきそうだ、これじゃ困るからひとつ標準価格をもっと上げてくれ、コストはもっと高いんだぞと役所のほうへ説明する。それじゃおまえのところは上げてやろう。片方は、そういう説明を聞いてもそんなものは聞きませんということで押えちゃう。標準価格あるいは特定標準価格をオーバーして課徴金を取られる。こういうような事態になるでしょう。そういうところを役人の行政判断だけでやるということは大きな不公平を招くんじゃないかと私はこういうことをあなたに聞いているんです。お役人に聞けば、それはもう私ども公正にやりますと言うにきまっているんですから、それは役人でない大臣がどういうふうに——私は、そういう行政判断だけにまかせておくのは適切じゃない、ある一定の基準というものをつくらなければいかぬじゃないか、こう言っているんですよ。あなたはどうもそれに対して少しも答えてくれない。
  206. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 特定標準価格の制度をせっかくこの法律の中に設けてあるわけでありますから、どういう事態、どういう態様のもとにおいて特定標準価格をつくるかということは、これはただ役人の個人的判断ではなしに、この場合の態様というものをきめてかかっておく必要があると思います。
  207. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういう態様は、一体、どこでだれがきめるのですか。
  208. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) これは主務大臣と私どもが相談をするんですが、それも、単なる主観的なきめ方、認定だけではなしに、標準価格の守られる状態あるいは守られない状態などについて、当該中央の官庁の職員のみならず、地方公共団体の権限を委任する職員とか、あるいは地方公共団体の意見も聞きながらきめていくのがよろしいと思います。
  209. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ役人には天下り制度というのがありますわな。いまの大きな企業の幹部というのは大体役人の天下りというのが相当入っています。やがてあの会社へ天下りしようというところにはあまり無理なことは言いませんよ。そうなってみると、大臣がきめると言うけれども、大臣が資料を握っているわけじゃない。結局は、お役人の集まりがきめる。こんなことをしたって公正なものできっこないですよ。だから、少なくともそういうものは審議会にはかってきめるというぐらいのことをしなかったら、非常に公正を欠く結果に私はなると思うんです。どうなんですか。
  210. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 審議会のことについて申しますと、御承知のように、衆議院段階で修正の条項が入ることになったわけでございます。その修正の条項につきましては、もうすでに御承知のように、「この法律の運用に関する重要事項を調査審議する。」と、こういうことがございますので、その重要事項と判断されるものにつきましては、私はこの審議会にはかってやるのがいいとまず考えます。
  211. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうふうに、一つの民主的な公正的なルールというものを、長官、もっと広げるべきですよ、標準価格をきめる点についても。私は、そういう審議会にかけてやることによっていろいろな意見がそこへ反映されると思うんです。あなた方のやった点だと、これは業界の再編成ですよ。大きなやつだけが得をして正直者がばかをみるというそういう経済になるんですよ、これでは。必ずそうなりますよ。いまだってそうじゃないですか。大急ぎで灯油を買った連中は得をしていますよ。正直者で買わないで待っていた連中は高い灯油を買っているんですよ、現実に。トイレットペーパーだってそうでしょう。上がったものが下がるということはないんですよ、いまの時期は。物がないから買うんじゃないんですよ。長官、いいですか、物がないから買うんじゃないんですよ。上がるからいま物を買うんですよ。そうすりゃ三分の二ぐらいの値段で買えるんですよ、いまのうちに買っておけば。最近になれば二倍も三倍も上がるんですから。そういうことなんですよ。何か物がなくなるからみんな買うんだと、あなたそう思っているだろうと思う。わずかな金を有効に使うには、なるべく安いうちに買っておくよりほかないじゃないですか。そのほうばっかり責めているんです、いまね。この間の話を聞いても、小麦粉と油を四年分買っていった人があるというようなことで消費者に責任を転嫁していく。私はそういうことがあっちゃならぬと思うんですね。だから、そういうものは民主的な手続によって納得できるような方法でやっぱりきめていくべきだと思うんです。官僚独善できめるということになっちゃ私はならぬと思う。その点、私は厳に戒めなくちゃいかぬ問題だと思います。  その次に公取委員長に聞きますけれども、いや、公取委員長に聞く前に、通産省石油エネルギー関係の人おりますか。——この間、石油化学の手入れが公取でありましたね。十一月の二十日ごろに塩ビの価格について十一月一日にさかのぼって値上げをするということを石油化学何とか協議会ですか、連盟というのがやっておりますね。あなたのほうはそれをいつ知りましたか。そういう決定をしてそれぞれのところへ通達をしたというカルテル行為、それをお知りになったのはいつですか。
  212. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 石油化学製品は私のほうの所管でございますので、私のほうからお答え申し上げます。  実は、ああいうことをやっておったというのは、新聞に出ましてそのときに初めて知ったわけでございます。
  213. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたのほうが、いま塩ビの問題でこれだけ騒いでみんながかけ回っているときに、そういうカルテル行為をやったのを新聞で知っているなんというのは、私は全くあなたたちの目は節穴だと思うんです。具体的に、あなた方が、四半期ごとに、今度はこのくらいの生産をしろ、今度はこのくらいの生産をしろと指導していたわけでしょう。そのくらい業界と話し合っているのに、だれかによってそうしたものが言われなければわからない。一体、どういう目で業界を見ているのか、私はわからぬと思う。長官、そういう状態ですよ。それより先に知っていると言ったら、カルテル行為を知っていながら認めたということになるだろうし、だから、知らないということになっているだろうと思うんですよ。だから、わざと、新聞で初めて知ったということだろうと思うんです。実際は知っているんです。あれだけ接触していてわからぬはずがないですよ。  公取委員長に聞くんですが、いま、砂糖の小売り商が、これはある地域だろうと思うんです、カルテル行為をやっているのを御存じですか。
  214. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 私自身は、まだそういう詳しい事情を承知しておりません。
  215. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは横浜の一部でありますが、普通の砂糖ですね、上白と言うんですか、買いに行くと一キロ二百四十円、組合でこれ以下で売ってはいけませんと言われましたから二百四十円で売りますと、こういう状態ですよ。小麦粉なんかを見ましても、だんだん袋を大きくしちゃうんですね。いままでは、百グラムあるいは三百グラム、四百グラムという小単位の袋があった。最近は、小さな袋を買おうとすると、たくあん二本つけなけりゃ売らないというんですね。こういう状況は、公取委員長、どういうように見ますか。私は抱き合わせ販売の不当販売だと思うんです。現に行なわれているんですよ。たくあん二本つけなけりゃ小麦粉は買えないんです。これは、長官、これからも標準価格でそういうことが起こりますよ。油の問題だって運賃だってごまかしているわけですからね。運賃というサービス灯油との抱き合わせ販売ですね、あれは。で、抱き合わせのほうを高く売って、灯油は三百八十円です。抱き合わせの品物を高く売って、結局は四百円だ、五百円だということになる、こういうことはどうしますか。
  216. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 抱き合わせ販売は、すでに幾つか私のほうにも情報提供がありました。いままでのところでは、まだ厳重な法的な処断は行なっておりませんが、そのつどその業者を呼び出しまして絶対に今後行なわれないという誓約書を書かせまして行政指導で禁止しておるわけでございます。ごく最近までの数字は、すでに十一月の下旬からだけでも、二十一日からの計算で十数件はそういう指導を行なっております。今後そういうことが標準価格を守るかわりに抱き合わせ販売をするという事例はふえてくることも予想されますが、これは対してどういう対策を講ずべきか、個々のものを一つ一つ取り上げているのでは私どももたいへん手が回りかねる点がありますが、やはり、やり得ることとすれば、われわれの限られた人員の中でも、代表的なケースというものは容赦なく行政処分を行なうと、単なる行政指導でないというふうに切りかえていかなければ、この悪習はなかなか直らないのじゃないかと考えております。
  217. 竹田四郎

    竹田四郎君 もう私の時間が過ぎていますから、これでやめますけれども、まだまだこうたくさん疑問点があるわけですよね。長官、標準価格でもこういう抱き合わせ販売というのは必ず起こりますよ。それを防ぐ手段というのはここにちっとも書いてないんですよ。それで、それをすぐ公取委員会に告発できるかというと、なかなか告発できないんですよ。消費者はそのぐらい弱いんです。また、公取委員会へ持っていったって、公取委員会は人が足りないですから、どうにもできません。いつまでもいつまでもそのあれが延びるだけですよ。こういう事態では、この法律ができたって、こんなのはどうにもならないですよ。テレビのコマーシャルにも「もとから断たなきゃだめ、シャット、シャット」と、こう言われているんですが、(笑声)これは、長官、ほんとうにあなたはしりふきをさせられているんです、しりふきを。もっと根本の財政金融政策というものをぴちんと建て直さなければ、こんなしりふきで問題を解決しようなんという考え方じゃしょうがない。しかし、まあ出てくるおできには膏薬を張らにゃならぬ。膏薬を張るにすぎないんですよ。性病の四期みたいなもんだ。ここで膏薬を張りゃ今度こっちへおできができる。こっちへ張りゃ今度はこっちへ出る。そういうことになるのにきまっているんですよ。だから、初めはあなたは何品目か知りませんけれどもまあ百品目なら百品目きめても、これはどんどん広がっていきますよ。それで指定品目を解除するなんというのは、どうしたっておくれますよ、行政ですから。二千、三千、四千、一万と、こういうふうに必ず広がっていきますよ。そうして、その末は大きくなってどうにもしようがない、手のつけようがなしと、あとはデフレが来るのを待つのみ、そういうふうにしか私はならぬと思うんです。  これからまたもっと聞きますが、時間が来ましたからこれで終わりますけれども、もっとほんとに真剣に考えてくれなけりゃ、へたをすれば暴動が起きますよ。暴動になりますよ。そうした暴動を起こしちゃいかぬと私は思いますけれども、そういう意味で最後に長官の決意を聞きたいんですが。
  218. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 竹田さんがおっしゃられますように、私は、やはり根本は総需要の抑制である。それは、すなわち国の財政の態度とか、あるいは地方公共団体にも同じような問題がございましょうし、あるいは企業の設備投資、そういうものの抑制、建築物の規制、あるいはまた金融の一そうの引き締めというようなことを需要の側から思い切ってやることが絶対必要であると考えまして、微力でありますが、先ほどいろいろ問答がございまして大蔵大臣にも同じような打ち合わせを私からもいたしておるわけでございます。近く決定をいたします明年度の国の予算のベースというものも、先ほど大蔵大臣からも若干はお触れになりましたが、私がいまここで述べますようなそういうタイトなものにぜひいたしたいと考えます。しかし、それだけではどうにもその効果があげ得られない面もございますから、やむにやまれずこうした個別物資対策としてのたいへん御批判をいただきますようなむずかしい法律案をも出しまして御審議をいただいておるわけでございますが、御可決の上は、これらの法律につきましてもできるだけ納得のいくような運用をいたしまして、総需要の抑制、あるいはまたその供給面の調整、増大というようなことも考えまして、国民の生活が安定をするように善処をしてまいりたいということが私の真剣な気持ちでございます。
  219. 田代富士男

    田代富士男君 けさから通産大臣、大蔵大臣と順番を追って質問してまいりまして、最後に経企庁長官に対する質問でございますが、時間の関係もありますから簡潔に質問をしていきたいと思います。  十月度の卸売り物価が二〇・三%、対前年度比です。十一月度が二二・三、それから消費者物価が十月が一四・三、十一月一四・八、このような数字があらわれているわけなんです。口を開けば物価対策を再優先にすると、このように長官も言っていらっしゃるし、いまさっき私は大蔵大臣に四十九年度の経済見通し、物価政策に対しても説明を求めましたが、長官としてどういう考えで取り組まれようとされるのか。特に四十八年度の例を出しまして福祉の向上という点については何ら四十八年度はなされなかった、この点に対して四十九年度は特にどのように取り組まれようとされるのか、そこらあたりを最初に簡単でけっこうですからお述べください。
  220. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 四十八年度の財政におきましても、国は、社会保障、社会福祉の前進ということにつきましてはでき得る限りの配慮をいたしてきたわけでございますが、しかし、何よりも物価の上昇のほうがそれを追っかけて大きいということも私は感ぜざるを得ません。今回の四十八年度の補正予算におきましても、御承知のように、生活保護基準五%を上乗せしたり、また、それに準ずるような若干の行政的用意も関係の省におきましてはあるやにも聞いております。しかし、来年度の予算の編成につきましては、いまも述べましたように、全体といたしましては総需要の抑制の見地、物価の安定の見地からその漫然たる増加を極力押えるような考え方で予算を組みますけれども、しかし、その中におきましても、お尋ねの社会福祉につきましては、できる限り、それの後退どころではなしに、前進を進めるような考え方に立って来年の予算をきめてまいりたいと思います。
  221. 田代富士男

    田代富士男君 長官、具体的な問題を一つお話をいたします。そしてそのあとに長官の話を伺いたいと思います。これは所管が違うからということをおっしゃらないように、前もって申し上げておきます。  これは、老人ホーム、精神薄弱児の生活の実態についてお伺いしたいんですが、いまも申しましたとおりに、四十八年度の予算編成の一本の柱でありました福祉向上ということについていま長官なりに述べられましたが、実態はどうであるかといいますと、埼玉県の浦和市に老人ホームがあります。年輪荘という老人ホームでありますが、ここの一日三食の食事代が二百七十六円です。老人の楽しみでありますおふろも、一週間に二回であったけれども、石油危機のために週一回になった。わびしい生活を送っているんです。今度、浦和の精神薄弱児の施設がありますが、ここでは一日三食の食事が二百七十三円です。まことにお気の毒な生活をしている。これが実情であります。これに対しまして、失礼かわかりませんけれども、端的にそれが理解できるために、上野動物園の動物を対象にあげてみたいと思うんです。まあ人間も動物と言ってしまえばそうですけど、人間と動物とはずいぶんの違いがあることは万々御承知の上だと思いますが、チンパンジーの一日の食費、これは材料のみで、人件費等は含まれておりませんが、チンパンジーが一日六百円、ゴリラが一日に九百八十円、中国から参りましたパンダは一日三千円です。これがチンパンジー、ゴリラ、パンダの食事です。そうしますと、万物の霊長といわれ、お年寄りといえば国の功労者です。そういう人々がチンパンジーの半分にも満たない生活をしている。福祉向上ということをうたっていらっしゃるけれども、これは一番端的な例じゃないかと思うのです。動物の半分もいっていない。この点について大臣はどうお考えでしょうか。
  222. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 私は、財政の目的も、政治の目的も、結局は人間を対象とすべきものであって、企業が対象であるべきではない。ことに人間の中でも長い人生の功労を積まれました老人が冷遇されているというようなそういうあり方は政治の目的を達成するものとは決して考えないものでございますので、いまお話を承りましても、まことにどうもそれでいいというようなことを決して言えるものではございません。明年度の予算あるいはその執行の面におきましても、田代さんのいまのお話を肝に銘じまして、これらの老人ホームに収容されている老人、あるいは精薄施設の精薄者等の処遇が納得せられるものになるように微力を尽くしてまいりたいと考えます。
  223. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、内田長官になってからは初めての質問ですから最初のことでございますから、信用してもよろしいですね。大臣がおやりになるとおっしゃるんですから、後ほど証拠をもって示していただきたいことを、これは私の希望でございます。  それから生活安定法案に対する質問ですが、まとめて御質問申し上げます。  今後、石油危機が一段と深刻化した場合、けさも中曽根通産大臣にお尋ねしたときにも、二月以降のことには深刻であると、こういうことを述べていらっしゃったことは御承知だと思いますが、そうした場合、端的に言いましてあらゆる物資の価格の安定と供給の確保を国民に保証できるかどうか、これが第一点です。  それから第二点、行政介入の必要民場合に限って業界の実質的な共同行為を認めるとすれば、それはカルテル復活の導火線になりまして、さっき午前中にも質問したかと思いますが、産業界の利益が国民の暮らしの安定よりも優先する危険性があると思う。まずこの二点に対するお答えをお願いします。
  224. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 二点のうちのあとのほうからお答えを申し上げますと、私は、ほんとうに心から、業界の共同行為などでそこに価格のつり上げや管理価格が行なわれるということは、よろしくないと思います。そのために、これは政府からわざわざ国家行政組織法から別の形において公取委員会というものもあって、そうして独占禁止法でカルテル禁止が行なわれておるわけでありますから、こういう時代にこそ公取がしっかりその機能を果たしていただけるように私どもも大いに協力をいたすべきであると考えます。  ついででございますが、したがいまして、公取との間の先般御批判がございます覚え書きなどにつきましても、これを逸脱しないように、あの覚え書きによって独禁法の適用除外をつくったり、公取の独禁法に基づく監視行為を曲げるようなそういう理解のもとでは私どもは行動しないと、こういうふうにつとめてまいります。  第一番の、物価の安定、生活安定をおまえは保証するかと、こういうことでございますが、これは私は全く正直に申しますと、いついつまでに物価の値上がり防止を保証する、さらに進んでは値下げを言明するということにはまいりませんが、あまりにも最近の卸売り物価の上昇、これは外国からの輸入物価の上昇も非常に影響はございますが、それにしても国内要因もございましょうし、それがさらに今後消費者物価に反映することも明らかでございますので、あらゆる方途を尽くしてこの物価上昇を一日も早く押えてまいりたいとい.う熱意を持つもの、また、その努力をお誓いをいたすものでございます。
  225. 田代富士男

    田代富士男君 この国民生活安定緊急措置法案が具体的にどのようなときに行なわれるかということにつきましてお尋ねしたいんですが、第一条にこの目的がうたわれております。ところが、いまさっきもちょっと数字を申し上げましたけれども、十一月度の卸売り物価指数は対前月比三・二%、それから対前年同月比が二二・三%、消費者物価は一四・八%、まあ卸売り物価の上昇は年率で見て四〇%ぐらいの上昇だと、異常なこういう数字が出ているわけなんです。ところが、国民はどうであるか。このような事態にありましてこの法案が成立した場合にはいろいろなものに適用されるんじゃないかと、こういうような期待を持っているわけなんです、国民の皆さんは、詳しいことを知らない人は。しかし、いまもいろいろ論議がかわされましたが、本法案がいま成立しているとするならば——いまからしようとしておりますから、これがもう現在形で成立しているとするならば、どういう品目標準価格ないし特定標準価格を定められるつもりなのか。未来形じゃないですよ。いまさっきからもいろいろ論議がかわされたところなんですけれども、それがまず第一点。  それからさっきの質問の中で標準価格をきめる場合にどうするかということに対しまして、小島局長は、そういう価格の決定ということが第七条に載っているから、七条に沿ってきめていきます、その場合には行政判断できめていかざるを得ないと、こういうお話をされました。ところが、内田長官は、今度は個人的な判断だけではだめだと、こういう意味のことを申された。そうすると、一方では、局長は行政判断でいくと、今度個人的な判断だけではだめだとおっしゃった場合に、同じ質問を聞いていて私は理解に苦しむんです。そうした場合に、個人的な判断と、そういうことになりますから、そういうために第七条があるんじゃないですかと言われるけれども、その中が解明しないから聞いたのに、行政指導ですと、片方は個人的判断ではだめだという、理解しにくいそういういまの答弁だったのですが、そこらあたりを私は明確にしてもらいたい。それと同時に、そういう疑いがあるから、端的に言うならば物価指数が何%をこえたならばこれを発動するのかという、そのぐらいくらいは誠意をもって示してもいいんじゃなかろうかと私は思いますが、そこらあたりをまとめてお答え願えませんでしょうか。
  226. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) まず、田代さんのお尋ねの第一点でございますが、この法律が発動いたしますのには、第一条の目的と第二条の要件が生じたときだと思いますけれども、私は、結論から申しますと、この法律が直ちに発動する条件が満たされていると思います。というのは、第一条に物価の上昇その他異常な事態がある場合においてこの法律が動くことになっておりますが、私はいまの物価の状態が異常な事態にあると考えますので、一日も早くこの法律の発動の準備を進めるつもりでおります。私が進めるばかりじゃなしに、各省にお願いをして主務大臣にそれをやりましょうと、こういうことでやってまいるつもりでございます。  そこで、第二点の、それはそれとして、いま発動されておったならばどういう物資をきめるかということでございますが、ここには物資の範疇が二つ書いてございます。その一つは、国民生活に関連度の高い物資ということと、もう一つは、国民経済に重要な基礎となるいわば基礎物資と、こういうようなきめ方で両方をひっくるめて「生活関連物資等」と、こういうきめかたでございますが、私の気持を申しますならば、国民経済の基礎になる物資もとより大切でありますけれども、しかし、私はやはり国民生活に直接関連の深い生活用品というものをまず取り上げるのがしかるべきではないかと考えますので、先ほども申し述べましたように、消費者物価を形成する品目の中から、いま値段が上がっているもの、また、さらに上がりそうなもの、また、家庭生活における支出のウェートの大きいものをそれぞれ各省の所管の中から選び出して、そうして国民生活安定緊急対策本部の幹事会に持ってこいと、こういうことをお願いをいたして、いまここでそれが砂糖であるかあるいはティシュペーパーであるか灯油であるかということは申しませんけれども、いまの精神で品目を選んでまいります。  それから第三点の、特定標準価格をきめる場合に一般の標準価格だけでは防ぎがつかないという場合、それを認定した場合に特定標準価格をきめる、だれが認定するんだということにつきまして、私と政府委員との間に食い違いがあるという御批判でございましたが、政府委員の言うのも、行政的にきめるということは、一個のその物資を担当する何々課長というものがきめるのではなしに、広い行政的判断できめるということで、私が個人的判断できめるべきではない。私も実は国民から乏しきながら選ばれた国民政治家の一人であるつもりでおりますし、多少は広く国民生活とも関連があるもので、幸い議院内閣でこういう地位も占めさせておいていただきますので、関係各省の主務大臣あるいはその物資の主務担当官という方々の意見を聞くばかりでなしに、まあ個々の企業にはことばがいいか悪いか知りませんけれども密着していない経済企画庁の広い判断——個人的な判断でない広い判断というものを交えてそして行政的措置できめていくと、こういうことを申しておるので、考え方は同じでございます。審議会のお話もそれに関連しておったと思いますが、せっかく設けられた審議会でございますから、私は審議会の機能というようなものもできるだけ私どもの行政活動に反映するようなそういう心がまえをもって対処したいと考えます。
  227. 田代富士男

    田代富士男君 いまの大臣の、私が行政判断をするという立場と個人的判断だけではなくというここらあたりですね、いま大臣の説明でもわからないわけはないんですけれども、ちょっとまだ私はすっきりしませんけれども、小島局長はどうでございますか、今度は小島局長の考えを聞かしてください。
  228. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 標準価格が守られません場合に、二つのケースが考えられるわけでございまして、一つは、標準価格をきめたときの原価事情にかなりの変化があった場合、これはこの法案の原案のほうで恐縮でございますが、第四条に、要するに生産費その他コストに著しい変動が生じた場合には標準価格を改定するものとするということになっておりますので、これはまあ標準価格が守られないといっても十分合理的な理由があるわけでございます。したがって、その場合はもう当然標準価格自体を改定するということになると思います。それからそういうコスト事情等にあまり大きな変化がないのに標準価格を著しく上回って売られてちっとも守られないという場合には、これは大臣もおっしゃいますように役所の間で一応の基準的なものをきめまして特定標準価格の段階に移していくと、そういうことになると思います。
  229. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、経企庁長官ですね、朝、通産大臣にお尋ねしたら、長官に答えろとおっしゃったけれども、中曽根通産大臣はお答えにならなかったことが一つありますから、それをもう一回申し上げますと、標準価格を設定する場合、指定物資の生産者のうち最も生産性の低い企業のコストを基準にせざるを得ないでしょう、いろいろ検討されますでしょうけれども。そうしますと、コストが大企業ほど利益幅が多くなりまして、価格は表面上安定しても実際は大企業に有利なそういう事態というものができ上ってくる。たとえば鋼材を例にとりまして、新日鉄のコストと他の大手企業のコストでは一五%の差があると言われている。今度は大手企業と中小の企業との差ではまた開きがある。その場合、標準価格の設定はどのように行なわれるのか。一応例をあげましたからお答え願いたいと私が提示したわけなんです。これにはお答えがなされておりませんし、じゃ後ほど長官にお尋ねしますということになっておりますから、お答え願いたいと思います。
  230. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 一番生産性の低い、つまり合理化されてない企業というものを対象にして、そのものの生産費で標準価格をつくることは、私はよくないと思います。いろいろ企業の数がございますから、まあたとえば一番生産性の上がっているコストの低いものから先に取り上げまして、そしてそれでいま国民が必要とする需要量がどの辺までコストの高いところまでいったら間に合うか、言いかえますとバルクラインということになりますが、そういう数量対比のバルクライン方式というようなものも私は標準価格の際には有力な標準的な生産費としてとられるべきものだろうと思います。これは他のある種の公の価格のきめ方などにつきましても同様の方法がとられている例もございますので、そんなものも参考にはなるかと思いますが、私はそれがよかろうかと思います。
  231. 田代富士男

    田代富士男君 この問題は、ここで論議をしてもおそらく結論は出ないと思います。  次に移りますが、今度はこの法案の対象というのが工業製品あるいは加工製品に限定されているような感じを受けるわけなんです。だから、この法案は、価格のみでなくして、生産、あるいは輸入、保管、売り渡し、輸送についても指示を与えることになっておりますけれども、この中の十四条でございますか、この十四条の性格から申しますと、生産に関連いたしまして生産計画の作成等が義務づけられておりまして、その対象というのがいま申します工業製品または加工製品であるというふうに読み取られるわけなんです。そういたしますと、第一次産業部門の農産品目あるいは水産品目についてはどのような措置を講じようとされるのか、ここらあたりを私は御説明願いたいと思うのです。というのは、国民生活に必要なものはいろいろ必要なものがありますけれども、こういう農業品目あるいは水産品目、野菜とか魚類というものは国民の一番関係の深いものでありますが、生活法案というこれが適用されないとなりましたならば国民の期待を裏切るようなことになりますし、工業製品あるいは加工製品に限定されるということになりましたら、これは期待を裏切ることになると思います。そこらあたりいかがでございますか。
  232. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 法律のたてまえから申しますと、十三条以下の物資を動かすほうの条項も、鉱工業製品だけに限られるものだけでなしに、第一次産品にも適用されてしかるべきであると思います。そればかりでなしに、標準価格などについても理論的には第一次産品にも適用されることを妨げるものではございませんが、しかし、まず価格について申しますと、第一次産品は季節的な物資が多うございます、野菜とか。でありますから、必ずしも標準価格などにはなじまないものも多いということは言い得ます。しかし、いまの生産、出荷、ことに保管などの指示につきましては、今回の国民生活安定法は、ある場合には十分活用し得ると思います。ただ、一般的に申しますと、第一次産品の価格の安定をはかるためには、この法律によって緊急応急の措置として出荷とか生産とかいうことを指示することよりも、平素から基本的な安定した供給を確保する、そういう制度をつくっておることが重要であると思います。野菜、食肉、水産物等などがその対象になると思いますが、たとえば野菜については野菜の指定産地制度というのを農林省が一生懸命でやっておりまするし、また、食肉につきましては肉用牛の生産団地の育成とか、あるいは水産については新漁場の開拓とか、そういうこの法律以前の基本的な施策をやっておりますので、こういう法律までつくって物の価格を安定さしたり需給を安定さすわけでありますから、いま申し述べたような基本的な施策をさらに一そう力を入れてもらうことが必要だと経済企画庁では判断をいたします。そればかりではありません。流通経費などの問題につきましてもいろいろございます。卸売り市場の整備、あるいは集配センターの設置の問題とか、あるいは総合小売りセンターの増設の問題等々もございますので、第一次的には、そういう面を、一方における総需要の抑制、この法律による個別的な物資対策のほかに、いま申しましたような諸施策を充実をしてもらうように私どもその音頭とりをいたさねばならぬと思います。
  233. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、もう一つ法案の中でお尋ねしたいことは、第二条、第七条、二十二条、二十五条等を見てみますと、委任政令が多すぎる。そういたしますと、いまさっきもいろいろ行政指導云々というお話が出てきておりますけれども、そうなりますと、政府の独走を許すようなことにならないか。だから、個人的判断云々ということもありましたけれども、広い人の意見もというような、いろいろいま私としてはまだ満足に理解するところまでいっておりませんけれども、そういうことを考えますと、これは国会軽視であるし、政府独走ということを許すようなことになるのじゃなかろうか、こう思うのですけれども、長官、どうですか。
  234. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 決してこれは田代さんにおことばを返すという意味ではございません。おっしゃるとおり、政令をもってきめるという事項がたくさんございますが、私自身がそういう御批判に対応するために、この政令の型を分類してみましたところが、おおむね一つの型があるようでございます。  一つは、物資を指定するので、これは主務大臣が勝手におきめになるよりも、やはり中央にできます国民生活安定緊急対策本部の幹事会といったようなところに私どもも参加しましてそして政令できめるのがいいということだけで、これは政令できめるよりも各省の告示でそのままいきなりきめていいということのほうがいいとも一思われません。そういうものが幾つかございます。  その次には、いろいろの法律にございますように、様式とか手続とかいうものを政令できめさせるものが幾つかございます。これは関係各省が多うございますから、各省ばらばらの手続規定なんかをつくられても私どもは調整に困るという点も顧慮いたしまして政令で手続をきめるものも多いと、こういうことでございます。  三番目が一番問題でございまして、その最たるものは、第二十五条の配給、割り当て、あるいは消費規制、消費制限等々のことは政令できめることになっておりますが、これはもうまさに田代さんのおっしゃるとおりでございまして、全く全権委任をこのままの形ですと政令がいただいているような形になる最も典型的なものでございまして、これは二十五条ばかりではございません。事の軽重はございますが、他の条文にもそれに似たようなものがございますが、問題はその第三グループにあると存じます。しかし、私ども、当初の意に反したと言うと恐縮でございますけれども、これについては国民生活安定審議会というものを設けて、そうして二十五条の運用とか本法の運用の全体にわたる重要事項はこの審議会にあらかじめ諮問をしたり、あるいはまた、諮問に関係なしにこの審議会か独自の建議、意見具申をするというような規定が入りましたので、いま御批判がありました政令の一番大切なものはそこでかなり対応ができるようにも思っておる次第でございます。
  235. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、次に標準価格のことでちょっとお尋ねしたいと思いますが、大臣も御承知のとおりに、七月に買い占め売り惜しみ法案が通りました。七月に成立したばかりですが、このときの品物が二十一品目であったと思います。ところが、その二十一品目が、現時点におきましては異常な値上がりをしております。ところが、この買い占め売り惜しみ法案の中におきましても、いろいろ指示をすることもできるし、公表することにもなっておりますけれども、異常なこういう高騰をしているにもかかわらず、七月に通ったのみで、何ら指示も公表もされていない。そういうことから考えますと、いま標準価格のことでいろいろな角度から論議されておりますけれども、価格の値下げの効果はこの法案で望めないじゃなかろうかと。七月のこの法律でさえもまだ何ら効果は出てきていない 現実にそうじゃないですか。  いま、私たち、小麦粉をずっと追いまして、パン屋さんからずっと回ってきました。そうすると、小売り店へずっと回ってきましたらば出荷されていない。それから値段は上がっている。こういうようなことからするならば、値下げはこれは望めないじゃないか。こういう法案は通っても何ら指示も公表もされないというところが、国民と政治とが遊離した、ここに政治不信、国民不在といわれるそういう国民の大きな声が渦巻いている根本原因にもなるのじゃないかと思うんです。だから、長官はこれさえあるならばといまさっきも言っていらっしゃったけれども、しかし、私は買い占め売り惜しみ法とあわせてそういう危具の念を持つのですけれども、どうでしょう。
  236. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) これはいつも御批判やおしかりを受ける事柄で、私もたいへん恐縮いたしております。七月に買い占め規制法を御制定いただきましたときは今日の二十一品目ではございませんで、十何品目かに対しまして、最近の物の値上がり状況などに応じまして、石油製品とか、あるいは紙などを含む繊維製品を追加いたしております。小麦粉等につきましては、これは食糧管理法の対象になる物資でございまして、農林省がその気になれば、こんな買い占め規制法でなくてもいろいろその法律に基づく行政指導はきっちりできる事柄が向こうにございますので、小麦については買い占め防止法のほうには指定してございません。しかし、買い占め防止法が全く効能がなかったかということではございませんで、その法律に基づいて立ち入り調査をしたのはわずか一件だということを聞かされておる程度ですが、御承知かと思いますが、この法律の機能は、買い占めや売り惜しみの現実があったときに、かかえ込んでおった買い占め商品を売り渡させることを勧告する機能がもちろん中心でございましょうが、しかし、それ以前に、そういうここに指定された物資の値動きとかあるいはその物資の貯蔵とか荷動きの状況などを常に監視して報告をとっているというところにこの法律の静的なにらみもあるようでございまして、そういう意味においては効果は果たしているようでございます。  もう一つ、田代さんお聞き及びと思いますが、この法律が現実に効果を発揮した大豆の事件がありますから、この法律の制定当時からこの件に深くタッチしてまいりました小島君にひとつその大豆事件を報告させます。
  237. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 大豆が、実はことしの一月に一種の買い急ぎ、仮需要の発生ということで御存じのような暴騰をしたわけでございます。その後買い占め法ができまして、法律ができましてからあとは、また大豆の問題が七月ごろだったと思いますがアメリカの輸出規制という問題が起きまして、農林省の話によりますと、実は実態的な需要の動向から見ますと、一月の事態のほうがはるかに問題は深刻でなかったというんですね。それに比べると、七月ごろアメリカが輸出規制に入ったときの事態というのは非常に深刻であったということを言っておりますが、それにもかかわらず、やはり法律があるということが、現実に立ち入り検査なんかをいたしませんでも、すでに指定されているということがおもしになって、七月の場合には実態が悪かったにもかかわらず大豆の暴騰が一月におけるような暴騰が見られなかったという事態があるわけでございまして、まさに無言の力を発揮していたというふうに思っております。  確かに、先生おっしゃいますように、なかなか監視関係の能力が不足で、思うような活躍もできなかりた面もございますけれども、こういう点は政府といたしましても反省いたしておるわけでございまして、それに関連して今回のこの法律の附則で買い占め法の改正を行なって、地方に権限を委任するということを考えているわけでございます。
  238. 田代富士男

    田代富士男君 もう一つ標準価格についてお尋ねしたいと思いますが、アメリカでは、薬品の価格が不当に高くなったような場合には、その薬品の業界の代表を呼びましていろいろ質問もし、値下げするように指導しているわけです。だから、目に余るようなそういう高騰するような品物は許さぬぞというきびしい態度で臨んでいるわけなんですね。そういう意味から、わが国では企業に原価の公表義務を果たすということを明確にすべきじゃないかと思う。特に標準価格をきめるという段階でいろいろな試算もすることでありますから、それを出してもやぶさかでないのじゃないかと思うのですが、このことに対してどういうお考えであるか。だから、企業に対しまして原価の公開義務を課することは当然じゃないかと思いますが、これがまず第一点でございます。  それから第二点は、このように標準価格でワクをはめられますと、企業としてはやはり利潤を追及していかなくちゃならぬ。ところが、Aという品物が標準価格を指定されますと、これは利潤を追及するわけにはいきませんですから、何とかそれをのがれる方法はなかろうかと、そういうわけで、標準価格にきめられたならば価格の積み上げができないというならば、別に新しい製品をつくりまして、これは標準価格のワクではない、内容の品物は同じであると、そういうことが十二分に考えられる。そうした場合に、こういう標準価格をこのようにしましても、何の効果もないじゃないかと思うのです。この点について長官いかがでございますか。
  239. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) お尋ねの第一の点、アメリカの事情が物価局長は少しわかっておるようですからあとからお答えさせます。  いまあとのほうの田代さんがおっしゃった点は、たとえばある標準品目について標準価格をつくられると、ちょっと変えてモデルチェンジかなんかしたり新商品みたいなかっこうをつける、そうすると標準価格がかからないじゃないかと、こういうことに関連してのお尋ねだと思いますが、それをそういうことでは逃げられないことにいたしてあるはずでございまして、この法律の第六条に、標準品目そのものについては、もうそれは標準価格をこえたらばすぐに引き下げの指示をいたしますが、標準品目以外の品目でもその標準品目に似たような品目については、だれも納得できるような価格以上の御心配になるような価格をつけた場合には、それは標準価格ではないけれども引き下げろと、こういう引き下げ指示が当面できる仕舞みになっております。しかし、そのモデルチェンジの新しい型のほうが世の中でプリベールするようになりましたならば、それは新しい型についてのそのものを標準品目にして標準価格をつくると、こういうことにいかざるを得ないと思いますが、当面いまのようなことでございます。  薬については小島局長から答えます。
  240. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 薬の例ということでございませんで、一般的な話でございますけれども、アメリカにおきましても原価の公開ということはいたしていないわけでございます。やはり、国際競争力等の関係もございまして、個別の原価を公表することは非常に国益に反するという考え方でございます。私どもも、したがって、個別の原価につきましては公表いたしませんけれども、特定標準品目等がきまりました場合に、その価格のきめ方がこういう計算できめましたということは、これは事後的になるかと思いますけれども、審議会等に御報告いたしまして御意見を伺うということはぜひいたしたいと思っております。
  241. 田代富士男

    田代富士男君 第十二条の二項に、「国税庁長官又は」云々と、このようになっております。これは特定標準価格に関しましては税関係機関の調査機能を活用することができるということじゃないかと思いますが、いま長官が価格をいろいろ監視していく場合にもそういう人手が足りないから守っていくことはたいへんだということを述べていらっしゃいます。私もそのことをここで言いたいわけなんです。だから、標準価格を設定してそれを守っていくといいましても、長官自身が言っていらっしゃるとおりにいまの体制ではおそらくこれは不可能じゃないかと思うのです。これはおそらくざるみたいな形になると思いますけれども、どういうふうに対処されていきますか。各地方自治体の協力を得るとおっしゃいますけれども、おそらくしり抜けのざるになるのじゃないかと思いますけれども、その点はどうでございますか。
  242. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 十二条の規定でございますが、これは税務官庁とそれからまたこの法律に基づく特定標準価格等の監視をいたす職員との相互通報の規定でございますが、まず一項のほうでは、特定標準価格に違反して課徴金を取られるようなものについては、税金をかけるための調査のほうもしっかりやって、そして特定標準価格現実販売価格との差額はみんな税金で取ってしまわせるというようなことのために設けておりますが、その場合、税務省へ通報する当該職員というのは、国の機関ばかりではございませんで、たびたび申し上げますように、価格監視の仕事は地方公共団体にも委任をいたすことになりますので、地方公共団体の職員から国税庁長官の一連の系統であります税務署に通報するというようなことに現実には相なると思います。  二番目のほうの場合はその逆で、税務署が税務調査の過程におきまして標準価格ある心は特定標準価格以上に売っているような事態を発見した場合には、国または地方公共団体の取締職員のほうに、税金のほうはしっかりやるけれども、そっちの取り締まりのほうも引き下げ指示なり課徴金の徴収なりしっかりやってくれと、こういう意味でございます。
  243. 田代富士男

    田代富士男君 質疑の時間が経過しましたからというメモ用紙が回ってまいりましたから、私はここで次に移ります。  まず、最初に、水産庁長官にお尋ねいたしますが、私がことしの四月以後、庶民の味でありますコンブの問題を予算の分科会はじめ当委員会で四回にわたって質疑をしてまいりました。漁民の方々は詳細に質疑の内容等はコンブ関係の新聞で知っております。水産庁は行政指導もすると、こういうような確約をされておりますけれども、漁民の方から聞きますと、何らそういう指導はされていない。ある漁協でも、水産庁の責任ある行政指導がないために非常に困っているというそういう声が私のほうへずいぶん来ております。今年度のコンブの状況は、もう御承知のとおりに、一等から四等までの価格が縮められまして、実際には倍の値段になっている。そのために、根室・釧路地区におきましては二十三石のコンブが滞貨しているという実情は御承知のとおりじゃないかと思うのです。この滞貨している理由というのは何かといえば、強制集荷しないで高い値段につり上げたために漁民が出荷したためじゃないかと、こういうようにいわれております。ところが、日高コンブなどは、高値であったがために修正して値下げをしたそうです。あるところでは、金利を生産者に負担さして漁民が犠牲になっている、こういうような実情も訴えられてきております。また、四十九年度のコンブの生産というのは平年度の大幅な減産が予想されておりますけれども、四回にわたりまして私は長官にも言いました。ところが、行政指導をすると言っているけれども何らされていない。研究所などではコンブの乱獲期に入っていると指摘しているわけなんです。ここで長官が約束されて、それが実行されていない。おそらく、長官にいま聞けば、それは実行しておりますとおっしゃるでしょうけれども、私はなまの声を聞いております。なまの問題もこの委員会でぶちあけております。それで、ここで言っていることと現実と違う。責任はどこへ持っていったらいいんですか、長官。やるならばやる。どれだけの本腰を入れてやったのか。四回にわたって私はやっております。私は、長官、やられるところまでやりますよ。十回でも二十回でもやりますよ、庶民の立場として。やる気があるのかないのか。ただ単に委員会でやりますと言っておけばその場限りでいいのか、そこらあたりどうですか、もうたびたび四回も五回も言ってきておりますけれども、どうですか、最初に。
  244. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 当委員会でしばしば御指摘を受けましたので、それにつきまして水産庁といたしましても北海道庁あるいは北海道漁連とも十分にそのときにおきます質問の趣旨を説明いたしまして、その際、御指摘の一点といたしまして、道漁連が不当に漁民を締めつけておると、それで道漁連にコンブを売らない場合には別途経済的な何らかの措置が行なわれているんじゃないかという御指摘がございましたので、それらにつきましては、私のほうといたしまして、浜買いといういわゆる道漁連に売らないコンブでございますが、零細な漁民が浜売りをいたしましても、それについて違約金というようなことは行なわないというようなこと、あるいはまた、そういうコンブを買った浜買い者に対して共販コンブの売り渡しは道漁連が停止するといったような措置が過去においてままありましたので、それらにつきましては、今後そういうことのないようにという指導をいたしたわけでございますが、その結果、北海道の問題になっています道漁連との関係のありました北海道コンブ共販協会というのがありまして、これを改組いたさせまして、新たにニューカマーといいますか、新しい希望者を三十二社これに加入させるとともに、道漁連はこの協会から脱退させまして、あくまでいわゆる買い取り者だけの共販協会にいたしまして、こういったコンブの取引が円滑にいくように私たちといたしましては指導した次第でございます。  なお、北海道のコンブはやはり北海道の零細な漁民の取り扱うものでございますので、私たちといたしましては、北海道漁連によります一元集荷というものは協同組合法に基づきまして不当な行為にならないような形で十分に指導してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  245. 田代富士男

    田代富士男君 いまいろいろお述べになりましたが、コンブの生産者あるいは業者の皆さん方がいろいろ困っております。時間もありませんから、これで私は前時代的なコンブ業界のことは申し述べませんけれども、長官が行政指導をすると言われたために私は信頼を申し上げておりました。しかし、まだその効果はあらわれておりません。だから、いま長官は言われましたけれども、今後とも、生産者あるいはコンブ業者が納得のいく、だれがその実態を見てもそのとおりだと言われるような前時代的な共販制度とかそのような問題を解決するところまで行政指導を続けていただきたいと思うのです。  それと同時に、もう一つ申し上げたいことは、いま苫小牧にコンビナート建設が進められております。このために、コンブの生産地というものは、日本の国内におきましてもごく限られたところでしかコンブはとれません。コンビナート建設を進められてきますと、コンブ生産漁民というものはもう全滅してしまうと全員が心配しております。だから、こういう面から、水産庁長官は、このような零細なコンブの生産者のためにも、こういうコンビナート建設に対しましては反対すべきではないかと思いますが、おそらく長官一人としては結論は出せないかと思いますけれども、現地のコンビの生産者の声を私はかわりに長官に申し上げたいと思いますが、長官、いかがでございましょうか。
  246. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) やはり、最近の新しい産業活動の中におきましてともすれば水質を結果的にはけがして海産等あるいは魚類に非常な悪影響を及ぼす場合もございまして、これらにつきましてはある程度工事の行ない方等によりまして解決できるものもありますので、私たち水産庁としましては、技術陣を動員いたしまして、悪影響の出ないような形で工法が行なわれることあるいは設計が行なわれること等につきまして十分な希望を申し入れて相当修正もしてもらっておりまして、今後ともこういったこと、少なくとも沿岸漁業に悪影響のないような形で日本の経済が運営されるようにつとめてまいりたいと、こう思っております。
  247. 田代富士男

    田代富士男君 時間もありませんから、公取委員長にお尋ねいたします。  いま水産庁長官にも申し上げましたとおりに、私は四回の委員会におきまして再三にわたりましていろいろな事件を通じまして実情を訴え、また、その時点ではその問題に対して調査をしてないから調査をしてからお答えをいたしますということをたびたび聞かされて今日までまいりまして、特に十月くらいに公取としても一応の結論は出したいと、そういう姿勢でありました。特に北海道の堀田さん等は二月に北海道の公取へ提訴しておりますが、その後も札幌、東京と何回も足を運びまして、その事件につきまして公取としても取り組んでいただいた。しかし、いままでに何ら結論が出ておりません。だから、公取は国民から何をしているかという批判が出ております。いま私は水産庁長官にも言いましたが、行政指導という面はそういう簡単には効果は出ないかわかりませんけれども、現実のなまの声は何らされていないと言いました。公取の現在も同じようなことに結論を出すといいながら出されていない。だから、はたして責任はだれにあるのか。いま経企庁長官は、今後は公取が機能を発揮するよう協力してやっていきますと。いま機能が発揮されておりませんよ。私は途中で連絡がないから連絡をした、どうなっているんだと。石油問題でそれどころではありませんと。石油問題が起こったら前の事件はほったらかしにされるのか。それどころのことじゃありませんと。そういうようなことでは、いま国民が一番たよりにしているのは公取ですよ。それが何も結論を出すことができないとなるならば、おそらくこの安定法案かて問題が提訴されましてもこれは何にもならないということになってくるんです。そういう点から、委員長、いかがでございますか。この問題も堀田さんの問題いろいろ具体的な問題をここでは申しませんけれども、具体例をこちらから提供しております。これは何らかの形でひとつ取り組んでいただきたいと思いますけれども、現況と、いままでの経過と、今後どうされるのか、そこらあたりを聞かしていただきたいと思います。
  248. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) この問題当初からのことは私も存じております。しかし、いますでにこれは具体的な事件として私どもで言う事件として調査中ではございます。したがいまして、内容において私は知っておることもいま申し上げる立場にはございません。その点は御了解いただきたい。  それからいま石油が始まったからどうこうとおっしゃいましたけれども、そういうことはないので、四月から十月までの間で一つの例を申し上げれば、北海道の関係でこれはどうしても遠隔地でございますから、北海道の事務所が中心になってやっております。この事務所に配賦されている審査関係——これは事件でございますから、審査関係の旅費の年額をはるかにオーバーするだけこの問題のためにだけ使ってしまったくらいです。ですから、決してないがしろにしているものじゃないということは、その一事をもっても、はるかにオーバーしているのですから、ほかの案件でなくてとの案件だけでですね、割り当て年額旅費を十月までに費消してしまったということがはっきりしておりまして、これは追加しております、もちろんこれでは動きませんから。そのようにこの問題に相当鋭意努力した。しかし、根本は、これがもともと漁業協同組合、漁連を含めまして独占禁止法の適用除外になっておるということです。適用除外になっておる中での不公正な行為という点を突きとめるわけでございますので、この事実関係を調べるのに非常に手間がかかっておるということです。つまり、それぞれ聞いてみると、みんな言うことがいろいろ違っている。漁連の言うことと被害者といわれる人の言い分とが食い違っているところがある。それから大阪の方面も調査をしたわけでございまして、これにも相当手間を食っております。したがいまして、決して私どもはこの事件を当初から軽く扱ったわけではありません。  結論だけはっきり申しますと、おそらく近いうちに締めくくりを出します。もうそういう段階に事務当局ではすでに案をまとめ上げたようでありますから、おそらく実際上としては来春早々ということになるでしょうが、締めくくりをいたしますから、そういうふうに御了解いただきたいと思います。
  249. 田代富士男

    田代富士男君 もう時間も超過しておりますから、最後に水産庁長官に。いままで努力をしていただいていることは理解できないわけはありませんけれども、まだまだ現地の声を聞きますと、いろいろな声が出てきておりますから、今後とも行政指導をやっていただきたいと思いますが、おもにどういうところにポイントを置いてやっていただくのか、その点を最後にお聞かせ願いたいと思うのです。いま公取の委員長から御返事をいただきましたが、公取におきましてそこまで努力していただいて近々にということでございますから、これは私ごとではありません、零細なコンブの生産者あるいは業者のための声でございますから、そこらあたりも含んで、水産庁長官いかがでございましょうか。
  250. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 北海道漁連が北海道の零細な漁民のコンブの集荷を行なってきておりますが、私たちといたしましては、水産業協同組合法の精神にのっとりましてこういった理念に基づいて共同行為を行なうよう、適切に行なわれるよう、指導してまいりたいと、こういうふうに思っています。その間におきまして、まま先ほど来御指摘がありますように行き過ぎの点があります点につきましては、われわれといたしましては十分に改善方を指示いたしまして、また、公取のほうで結論でも出ますれば、この結論につきまして十分に公取と協議いたしまして、コンブの取り扱いについて円滑な運用ができるように指導してまいりたいと思っておりますし、また、大阪におきましても大市を中心とする共同販売体制の性格につきましても、大阪に本店を置くことの可否、あるいは大阪で零細なコンブの加工業者の方々がコンブが手に入りにくいというふうなこと等もありまして、これにつきましては今後やはり何らかの形で共同購入ができるような形でなお私たちとしましては大阪府とも相談いたしまして指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  251. 加瀬完

    加瀬完君 先ほど、経済企画庁の長官から、大豆については法律ができたのでたいへん効果をあげたという御見解が発表されましたけれども、私は、それなら、買い占め売り惜しみの防止法というのがすでにできておるのに、一カ月に二割、三割という高騰をしたのは一体どうだと聞き直したいのであります。これをいま問題にしようとは思いませんが、法律ができたからどうではなくて、もう少し経済企画庁のそれぞれ監督の立場というものがこの法律を遂行するに積極的な熱意というものを持っていただかなければならないと注文を申し上げます。  そこで、標準価格等の決定をする場合には、国民生活への影響だけではありませんで、国民経済に及ぼす影響というものを考えるということになっております。そうすると、企業寄りになるのではないかという心配がありますが、そういうことは絶対にないという保証がこの条文の中どこかにございますか。
  252. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 私は謙虚に申しまして、条文の中にはおっしゃられるような事柄は明らかにはされていないと思います。しかし、あるいはそれはもうこの法律のたてまえが国民生活安定ということで各条ができておりますから、そういう御批判を事前にあるいは事後においてもいただかないように、この法律の運営を羊頭狗肉にならないように運営しなければならないと思います。
  253. 加瀬完

    加瀬完君 国民生活の安定が基本になっておるとおっしゃるなら、それならば、この第二条にあります国民生活に不可欠な物資というものは何だという選定がもう公示されてもいい、あるいは内示されてもいいと、こう思いますが、そういう国民生活に必要欠くべからざる物資はかくかくのものであるということは、もう明らかになっておりますか。
  254. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 先ほど来、たびたび申し上げますように、国民生活との関連性が高い物資と、それからまた国民経済上重要な物資と、二つの範疇について物資を指定するわけでございますが、これは二条によりまして政令できめることになっておりますので、現在のところははっきりまだいたしておりません。おりませんが、長官である私の気持ちといたしましては、これは各省に要望し、またその要望と同じことを内閣に設けられまする国民生活安定緊急対策本部あるいはその幹事会に持ち込ませまして、この二つの範疇のうち、一日の家計の暮らしの不安を除く物資の範囲からまず選びたいという気持ちでございます。その選び方につきましては、きょうのただいまのこの段階で品目を申し上げられない点がございます、各省ときっちり打ち合わしておりませんから。しかし、たびたび申しますように、私の気持ちは、消費者物価を構成する幾つかの品目の中でウェートの高いもの、その中で価格の高騰が心配されるもの、また、それだけの品目について政府ができるだけ責任ある態度を示すことによって国民の安心が得られるようなものを選びたいと思います。
  255. 加瀬完

    加瀬完君 それは逆じゃございませんか。経済企画庁で国民生活に必要欠くべからざる物資というのはかくかくのものだという指定があって、そして各省にそれが示達をされて協力をさせるということでなければおかしいですよ。きのう私が提示いたしましたが、仕入れ値段が一カ月に三割も五割も上がっておる、こういうものも野放しにされているわけですね。しかも、きのうの御説明でも、そう三割、五割上がったものをもとの値段に引きおろすという作用はこの法律は何にも及ぼしておらない。こういうことであれば、経済企画庁が必要物資というものをはっきりと認定するという作業が私はなければならないと思う。それが、これから各省と相談してなさるということは、この各段階の値段をきめる場合、高騰または高騰のおそれとか、標準価格ではどうにもならないものとか、あるいはいかなる手段をしても物統令を出さなければどうにもならないものという区別をこれからしょうというのであります。国民の要望しているのは、たび重ねて恐縮ですが、いまの物価をどうしてくれるかということですよね。いまの物価は、現状は著しい高騰とは御認定はなさらないのですか。なさっておれば、こういうなまぬるいことは応答はできないと思う。この点、どうですか。
  256. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 私は、個々の商品の価格ばかりでなしに、その個々の商品の価格を総括した物価水準というものが異常な状態にある。したがって、たびたび申しますように、この法律は、国会の御可決をいただきましたならば一日も早く公布施行の準備を進めたいという気持ちをまず持つものでございます。そうして、物資を指定をいたしますと、そのものにつきましてはこの第三条によりまして遅溝なく標準価格をつくるわけでありますが、それはだれがつくるかというと、主務大臣がつくるわけでございます。私が総理大臣でオールマイティーなら、私の性格からも、それは各省に命じてそうしてやらせますが、経済企画庁の職責たるや、設置法を見ましても、みずから個々の物資の価格をいろいろ動かすことではございませんで、それらの物価政策についての基本的施策あるいは各省の行なう物価政策の調整をいたすことになっておりますために、おそらく、標準価格をつくるのは経済企画庁長官標準価格をつくると書かないで、主務大臣がつくると書いたと思いますので、それは、私とあなたとそんなに考え方は違わぬのですがね。おれがつくるからと言っても各省がついてこない——これはまあ妙な表現で恐縮でございますけれども、おれがつくるからと言っても各省がついてこないので、各省をおだてたり、しかったりおこったりしながら引っぱっていこうと、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  257. 加瀬完

    加瀬完君 おかしいですよ。この法案は現在の政府が提案しているのでしょう。しかも、自由民主党という政党の了解のもとに提出しているわけですね。政府が提出しておるなら、政府がほんとうに国民生活の安定をしようと思うならば、企画庁に価格をきめさしたほうが国民生活の必需品に対する安定になるか、各省にきめさしたほうが安定になるかということは、おのずとわかるわけです。各省と相談してきめなければならないということは、ほんとうの意味で現在のこの異常な物価上昇というものを引きおろそうというそういう態度ではないと判断をしないわけにはいきませんよ。だから、現状は著しい高騰であるとすれば、経済企画庁としては、当然、この著しい現状というものをどうして下げるか、あるいは進ませないように百歩譲ってもするかという、そういう対案というものが国民には示されなければおかしいと思うのです。  そこで、さらに伺いますが、需給調整は円滑な供給の阻害される場合に出されるわけですよね。円滑な供給が阻害される前にどういうバランスになっているかという需給関係が把握されなければ、これは後手になりますね、きのう申しましたが。これはどうなりますか。
  258. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 私は、それはおっしゃるとおりでよろしいと思います。すでに物が足りなくなってしまったのでは手おくれでありますので、足りなくなる徴候が看取され、またはそれによって物価が上がったり、また、物価は上がらないけれども地域的に物がないというような場合——これは条文が物価のことば特に触れないで条文ができておるはずでございますが、二十一条のごときは、ある地域で物がないということ、そういう徴候が見られます場合には、それは物価に影響なしに売り渡し、輸送等の手配をして指示すべきであると、また、そうさしたいと考えております。
  259. 加瀬完

    加瀬完君 この「国民生活との関連性が高い物資」というものを具体的に示してもらいたいというのは、私の意見ではなくて一般の世論としてもございます。これは具体的にはいつ——各省と協議をなさっても何でもよろしい、経済企画庁長官としては非常に御責任を感じ、遂行の御熱意に燃えているわけですから、いつこれを具体的にお示しになりますか。
  260. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 国会がこの法律案を御可決いただきまして公布になりましたらば、一日も早く私はその手続を推進いたします。
  261. 加瀬完

    加瀬完君 それでは、また一般の世論として、そういったものを必要な情報として国民に提示してもらいたいと、こういう要望がございます。この要望についてはどうお考えですか。
  262. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) それはぜひそういたしたいと思います。それは、物資を指定し、標準価格を設けますと、この条文の各条にございますように、その物を販売する店がそれぞれの店舗に各省令か何かできめる様式に従って公示をいたすわけでありますが、それはそれとして、そういう義務をその販売業者に課することは当然でございましょうが、私どもといたしましても、どういう物資を指定したか、その標準価格は幾らであるか、それはまた地域によって異なる場合もございましょう、標準価格のつくり方によっては。そういうことを国民に伝達する方法をできる限り講ずべきだと思います。具体的には、それは、文書による指定物資標準価格決定速報というようなものも出すとか、あるいはまた、経済企画庁の外局の御承知のあの国民生活センター、それにテレホンサービスみたいなもので〇三−四四六の〇九九九というのに電話を入れていただく。あまりほめられなかったようでありますが、何がしかの物資情報を流しておりますので、ああいうもので、本日こういう物資が指定された、標準価格はどこどこである、こういうようなことを流す。その他のことをできるだけはからなければなるまいと思います。
  263. 加瀬完

    加瀬完君 それを具体的に指定物資という形にして、指定物資として指定されたものはおのずと指定の価格というものをきちんときめると、こういうことを政府がしてくれればよろしいのではないかという意見がありますが、これについてはどうですか。
  264. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) 指定いたしますと、その物資につきましては遅滞なく標準価格を定めるということでございます。
  265. 加瀬完

    加瀬完君 それは、標準価格とかそれから特定な価格ということでないで、その前に必要物資を指定物資としてまず指定をしてそれでそれに伴って指定価格をきめる。この法律による標準価格というものは非常に限定されますわね。そうではなくて、もっと大きな網を最初にかぶせてはどうだと、こういう意見に対してはどうですか。
  266. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) これは私はこう思うわけでありますが、標準価格をこの法律によってつくります前に各省の行政指導価格というものだってあり得るのではなかろうかと。それはもうそういうものはなくなるんだと、すべてこの法律が出た以上はこれの標準価格に乗せるかあるいはオール・オア・ナッシングだということではなしに、標準価格的なものをきめるものもあってもいいじゃないかと。そういうものにつきましては、それなりにやはり資料を国民に流すようにいたすべきだと思います。
  267. 加瀬完

    加瀬完君 これは立案の大臣にはなはだ失礼なことばですが、この法律案ではどこか大きな欠陥がある。ことばをかえて言うならば、いわゆるインフレをとめるにはまだ欠陥があると、このような御反省、あるいは御感想はありませんか。これだけで完全だというお考えですか。
  268. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 私は十一月二十五日の夜に経済企画庁長官に就任いたしましたが、そのときはすでにこの法律案の起草が始められておりました。自後、私はそれに加わりましていろいろ努力をいたしてまいっておりますが、何しろ、各省また物資の範疇も非常に広範になりましょうし、手段もごらんのように非常に段階的でありいろいろな手段がございますので、一人でものを考え一人で起草するようなわけになかなかこれいかない面がありますこともお察しをいただきとうございます。
  269. 加瀬完

    加瀬完君 意見になって恐縮ですが、私は大きな二つの欠点があると思う。一つは、現在のインフレというものを引きおろす効果というのは非常に薄い。もう一つは、国民生活を安定するというなら、先ほどの御質問にも出ましたけれども、国民の食糧対策をどう立てるか、食糧の安全対策をどう立てるかということが前提になければならぬ。しかし、先ほどの御説明の中にもございましたが、生鮮食料品の流通をどうするかとかそういうことをおっしゃっているけれども、生鮮食料品そのものをどう確保するかという具体策というものはまだ政府から出ておらない。こういう点が私は欠点ではないかと思う。  そこで、さっきも出ましたが、第一次産品の需給関係というものをはっきり立てられておりますか。
  270. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 私は、先ほど、生鮮食料品等、あるいは米麦等、第一次産品については単に流通過程のことだけを申したのではございません。それはこの法律でやることもいろいろ有益な面もあるだろうけれども、たとえば野菜については野菜の指定産地制度の充実とか、あるいは食肉については肉用牛の生産団地の育成とか、あるいは漁業についてはこれこれという、そういう生産そのものに即した政府の施策というものの充実をこれは経済企画庁長官としても当然政府に一方において要望するんだと。つまり、第一次産品については、この法律も役に立つ、総需要の抑制もけっこうなんだが、それよりもいま御指摘になりましたような個々の物資に即しての従来からやってきたような、また、やろうとしてやれなかったような施策をやはり前進させませんと、こんなものをつくってみてもこれだけではとうてい仰せのように防ぎ切れないと私は思います。
  271. 加瀬完

    加瀬完君 おっしゃるとおりだと思います。したがって、こういう特定な物資の需給関係をどうするかということの前に、問題の食糧安定対策というものをどうするかということを政府としてはこの法律以上に重要視して出すべきだと思う。そういう点で御努力をお願いいたします。  それからこの法律は非常に罰則が軽い、もっと違反をする者に対して重い罰則を与えるべきだという意見がありますが、これについてはどうですか。
  272. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 一番重いほうから申しますと、これはまあ最後の手段になるわけでございましょうけれども、物統令を援用することになります。援用どころではなしい物統令への橋をこの法律で渡ってまいるわけでありますが、そのときの罰則は、御承知のように、たしか体刑では十年以下の懲役、従来は罰金のほうはたしか十万円以下というような今日の貨幣価値とまるでかけ離れているものを五百万円以下とこの法律の三十三条か四条かで直しておるわけでありますが、それからずうっと前のほうへ持ってまいりまして二十五条の割り当て配給制ができた場合の違反でありますとか、その他事の軽重に従いまして体刑をも含めた決して軽くない罰則をきめていただいたはずでございます。
  273. 加瀬完

    加瀬完君 しかし、それは特定の対象に限ってそういうことになりますが、全般的に商行為なりあるいは不正行為なりに対しての罰則というのは、そう衆議院で議論があったような形にはなっておらないという点を指摘したいと思います。  それから国民生活安定審議会ですか、この審議会のことはあとで同僚の工藤君から質問がありますからやめまして、これは自治大臣にも関係があるわけでございますが、取り締まりはどうしてもこれは地方自治体にまかせなければならない、あるいは委託しなければならない面が出てくる。それで、地方に都道府県に住民生活安定審議会といったようなものを設けて、さらに生活物資調査員というようなものを設けて、大きな大ワクで政令はきめて、こまかいことはある程度自由に地方団体がこの法律の運用に参画できると、このようにしたほうが実効があるのではないかという意見がありますが、これは、両大臣、どうですか。
  274. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 私は虚心に考えまして、こういう法律をほんとうに動かしてその効果を上げますためには、とうてい中央官庁の役人、あるいはまたその出先機関の役人だけではやれるものではない、消費者あるいは小売り業者、販売業者等に近接する地方公共団体の職員の有効な協力がなければならないと思いますので、これはまあこれからの権限委任の政令やまたはそれに対する通牒などのつくり方によると思いますけれども、効果を上げ得るようにすることがようと思いますので、その点は自治大臣とも十分相談をしてまいりたい、こだわることはないというように私は思います。
  275. 加瀬完

    加瀬完君 自治大臣は先ほどあげましたように、県なりあるいは市町村なりに、規模にもよりましょうが、住民生活の安定審議会とかあるいは実際に住民的な役割をする生活物資調査員と、こういうものを設けてこの法律の趣旨を地方が分担すると、こういう考え方に御賛成いただけますか。
  276. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 昨日もお答えを申し上げましたが、国のほうで一体どういう事務をどの程度にまで地方団体に委任をするかということがまだ御決定になっていないのでございます。そこで、私ども、こういった仕事に全く初めて関与するというような地方団体でございますので、本来ならばきわめて機械的な、裁量の余地のないような仕事でございませんと、きわめて不公平な扱いが起こってしまうということを非常に一面においては心配をいたしております。しかし、同時にまた、この法案の所期するところは、できるだけ生活物資の安定をはかりたい、あるいは物資の確保をしたいというところにあるわけでございますから、そういった点で地方公共団体がこれをお引き受けする場合におきましては、できるだけ有効な成果のあがるようなぐあいにしていかなければならぬということは、申し上げるまでもございません。  そこでいま加瀬委員からは、地方においても何か一種の委員会のようなものをつくって調査させたらどうかということでございますが、私、いままで関係省の方のお話を聞くところによりますれば、先ほども申し上げましたように、比較的機械的な、裁量の余地のないような仕事を地方団体にまかせていこうという大体の方針のように承っておりますので、それならば特に委員会というようなものまでつくる必要がないのではないかというのが現在の私どもの感じでございます。
  277. 加瀬完

    加瀬完君 生活必需物資ということになりますと、地方で違うわけですね。漁業地帯であれば魚はそう指定してもらわなくてもこと足りる。しかし、山間地帯に参れば、生鮮食料品のうちでも魚が一番重要だということにもなるわけです。そこで、その地域地域で生活上必要として指定してもらわなければならない物資というものは違ってくると思う。むしろこれは地方分権にまかせて大幅な条例でも何でもつくれるような政令を政府としてはつくってもらわなければならないと思うのです。で、企画庁長官にもう一度念を押しますが、政令ではなるべくこの法律の目的を推進するために地方への委任事項を大ワクにして地方のそれぞれの協力に待つと、こういう形になさっていただけるというふうにさっき受け取ったのですが、自治大臣の言うように、こまかくきめて動きのとれないようなものを地方におろすのじゃないと了解してよろしゅうございますね。
  278. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 私はあなたの御了解のとおりで進みたいと思います。ただし、これは全国一本できめなければならないようなことを各地方地方でばらばらにおきめになるようなことは適当でないと思いますが、こういうことを除きましては私とすれば自治大臣と十分相談してまいりたいと思います。
  279. 加瀬完

    加瀬完君 自治大臣がいらっしゃいますので、直接この法案の内容にはなりませんけれども、こういう形で国民生活の安定を進めてまいるとなると、このいわゆるインフレ下において一番問題は、低所得層なりあるいは社会的な保護を受けている家庭をどうするかということになろうかと思います。で、こういう方々に対しては、地方でそれぞれ予算を盛らなければならない。しかも、事業そのものは圧縮されるような形で地方財政の方針も出さざるを得ないということになろうと思います。そうすると、生活保護を省くわけにはまいりませんから、バランスをとるためには事業縮小というのをせざるを得ない。その中で、文教施設とか保育所みたいな社会福祉施設とかこういうものは、いま請負契約を断わられているような状態ですね。この解決をどうお考えになっておりますか。
  280. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) ただいま御指摘になりましたように、最近、諸物価の高騰によりまして、当初事業計画を立てておりましたものがなかなか思うように遂行ができないというお話を私もしばしば承っておるわけでございます。そこで、明年度の予算につきましては、だんだんすでに明らかになってきておりまするように、物価高騰をどうしても抑制しなければならない、そういう角度から、いわゆる総需要抑制という立場に立ちまして明年度の予算が、編成されることになると考えます。しかし、いま御指摘になりましたような、あるいは公立文教の施設でございますとか、あるいは保育所でございますとか、あるいはその他いわゆる保護世帯に対しまする諸般の給付金の問題でございますとか、そういうものは、今日の場合においてもぜひ実行しなければならないもの、あるいは今日の物価が高くなればなっただけに十分そういう方に心配のないような配慮をするということは、当然でございます。したがって、総体の予算規模が小さくなる、しかもそういうものは今日の高騰した物価の中にあってそれを十分に見てまいるということになりますれば、おのずから従来のような予算の立て方と申しましょうか、執行のしかたでは、思うようにまいりません。結局、あるものは相当に圧縮を加える、しかし必要なものについてはできるだけの配慮をするという大体の考え方で行くことに相なると、こう存じております。
  281. 加瀬完

    加瀬完君 国も、国鉄運賃なり、まあこれは法律ですからまだ決定はいたしておりませんが、その他の公共料金を若干延ばそうと、こうなりますと、地方でもこれに順じてそれぞれの公共料金的な性格のものはストップをせざるを得ないと思う。これはどういう方針ですか、それが一点。  あと、もう一点は、先ほどの御説明でありますと、たとえば建設資材、労賃、こういう値上がりの場合ですね、公共団体がその価格を認めたときは請負金額の改定というものを認めるか。現状では、請負金額の改定というものを認められないために業者がなかなか請負契約をしない、請け負っても進行しない、こういう状態がありますのでこれをどうするか。したがって、請負金額の改定をした場合は、最初の財政計画とは違ってきますね。こういうものの補てんも当然考えられなければなりませんが、これは大蔵省という相手のあることで、自治大臣だけでどうこういうわけにはまいりませんが、こういう実情というものを何とか解決するという方向でお進めいただけると了解してよろしいか。
  282. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 国鉄運賃並びに米価については、六カ月これを凍結するという方針を明日明らかにされることと思います。そういった立場から地方における公共料金的なものを同様に抑制するのかどうかということでございますが、これは私が申し上げるまでもなく、地方の公共料金につきましては私どもが指示をしてさせるというわけにはまいりません。それぞれの地方公共団体が独自の判断においてこういうものを決定してまいるということに相なっておるわけでございますが、要は地方公共団体の財政上の理由と申しますか、公営企業の財政の健全化のためにどうしても公共企体としてはやらざるを得ないというような立場にもあるわけでございますので、まあこういった点は、私としましては、今後地方公共団体としてはできるだけ公共料金はこの際上げるのを見合わせると申しましょうか、上げるにいたしましてもできるだけ小幅にするということを期待をいたしたいと考えております。  さらに、資材の問題に関連して資料の高騰であるいは請負の問題を改定することができない、こういうお話でございましたが、あるいは私も十分的確なお答えにあるいはならないかもしれません、よく事情がまだわかっておりませんが、しかし、要は契約をいたしておりましても、その後予期せざる資料の高騰によって事実事業が執行できないという場合には、私は改定をしていくということはこれは当然じゃないかと、こう考えておりますが、ただ、その場合に、そういった必要資金が県や地方自治体においては十分にないという場合が地方自治体としては困るわけでございますから、先ほども申し上げましたが、公共文教施設その他必要な施設につきましては、どうしても足りないというような場合には、申し上げるまでもなく、あるいは補助単価を改定するなり、あるいはさらに必要なものにつきましては起債等の措置も講じ得るということによりまして何とかこれらの問題の処理に当たってまいりたいと、こう考えておるわけであります。
  283. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私の質問の持ち時間は十二、三分しかありませんが、最後にこの二点だけについてお尋ねをしておきたいと思います。  今回の石油不足、資材不足の中で農家のハウス栽培が危機に瀕しているとたいへん案じられておりますが、最近はハウスものがあたりまえになっているので、これができませんと、農家の収入に大きな影響を与えますが、これに対して農林省あるいは通産省はどのような対策を持っておるか、また、救済措置を考えているか、お伺いします。
  284. 齋藤稔

    説明員(齋藤稔君) ハウス等の施設において栽培しております野菜等の作物は、現在これは成育中でございますので、石油が不足いたしますとこれが枯死することになります。したがいまして、これは関係農家の経営に重大な影響を及ぼすだけではござい喜んで、また、消費者の食生活に至大の影響を及ぼすわけでございますので、その確保につきましては、通産省と相談いたしまして、これまで各県の段階あるいは地方局の段階、本省の段階におきまして苦情処理の方法を講じますとともに、また、今回、通産省のほうにおきまして各県ごとにあっせん相談所を設けておりますので、それを通じて石油の確保をはかりたいというふうにやっておるわけでございます。  なお、両省の政務次官の取りきめされました方式によりまして、さらに中央段階におきまして需要者団体でございます全国農協中央会等と石油関係の業界と相談をいたしまして、これを両省におきまして十分行政指導をするということによりまして、当面の石油の確保、さらに一月以降の確保につきまして万全を期するように考えております。  なお、これによりまして、農家の作物に被害を生じた場合のことがあるわけでございますけれども現時点におきましてはとにかく石油を確保しまして作物の成育に阻害のないように万全を期するということが第一でございますので、この被害対策につきましては、現時点におきましては検討の段階にございません。
  285. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) ただいまお話がございましたように、農業ビニールハウス用の燃料につきましては、まあA重油、B重油が中心でございますが、これらにつきまして農林省のほうから強い要請がございまして、私どもといたしましては、事柄の性質上、この油につきましては緊急に手配をする必要があるということで、メーカー団体でございます石油連盟に需給対策本部を実は設けて供給の円滑化をはかっておるわけでございますが、そこに農林部会というのを設置させまして現実に必要な玉が流れるように具体的な数字をあげていま打ち合わせ、調整中でございます。
  286. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いま審議官の言われた最後のことばですね、ちょっと了解に苦しむのですけれども、検討の段階にはございませんというのはどういうことですか。
  287. 齋藤稔

    説明員(齋藤稔君) 現時点におきましては、先ほども申し上げましたように、石油の確保が第一でございまして、これに全力を尽くしておるわけでございます。そういうことで、万一にも、先ほど申し上げましたようにこれは国民の食生活にも関する問題でございまするし、そういう作物に被害を生ずるような事態に至らしめないという決意でやっておりますので、なお、この確保も、先ほど申し上げておりますように、関係団体あるいは関係省の協力によりまして何としても確保すると、こういうことでございますので、現在被害を生ずるような事態には立ち至らないというふうに思っているわけでございます。
  288. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 わかりました。  経済企画庁の長官にお尋ねをしますけれども、いま申し上げておりましたように石油不足、資材不足でこれからは農産物がさらに値上がりをすると考えられませんか。もしも値上がりをするとすると、ただでさえ物価高騰の折から国民生活に大きな影響を与えることになると思いますが、その点はどうお考えでございますか。
  289. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) それは、ひとつ農産物等第一次産業のみならず、鉱工業製品等第二次産業以下の物資にも影響があることを私どもは心配をいたすものでございますので、今回この二つの法律案を提案をいたしておるわけでございます。しかし、農畜産物等の第一次産業の製品は、これは国民が生きていく上の一番大切な第一次的な物資でもあると私は思いますので、石油の不足等によりましてそうした第一次産品の生産が阻害をされたり、あるいはまた、その値段が著しい影響を受けて国民が生活に困難をすることがないように、この石油需給適正化法の運用につきましても、また国民生活安定緊急措置法の運用につきましても、最も力を入れとやってまいるように関係各省と協力をいたしてまいりたいと思います。
  290. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほど、工藤委員が、いつも農作物が値上がりをすると農家の人たちに責任がかぶせられると、こういう御発言が実はあったわけです。消費者は、いまの第一次産品というのは毎日毎日お金を出して買わなくちゃいけないものですから、ついそういうような感じを持ちやすいものでございます。しかし、最近は、そのように農家の人が悪いとは国民は思っておりません。ですから、私、先ほど第一番目に御質問申し上げましたのは、こういったような弱い立場に置かれて、しかも物が上がりますと、ややもすれば農家が悪いんだというふうなことをいままで言われがちであった農家の人たちに、石油がなくなったり資材がなくなったためにさらに農業経営が非常にむずかしくなってくると、われわれは食べるものがなくなるわけですから、この点は十分に配慮をしてほしい、こういう立場からいま御質問を申し上げたわけでございます。  そこで第二番目の問題として、これは同じように園芸家ですね、花卉園芸の植木屋さん、この植木屋さんについても同じようなことが言われます。それは、植木屋さんは最近温室ものを盛んにつくっておりますが、この温室の資材不足、温室の暖房用石油が不足でまたお手あげだと言っているわけです。最近は、公害から人間を守ったり、あるいは環境整備のために、あるいはまた緑を守る会が盛んになっておりますような関係で、この植木屋さんというのも社会的にたいへん貢献していることになっていると思います。その上に、最近はアパートやマンション住まいがたいへん多くなっておりますので、室内に鉢ものを求める家庭が相当にふえております。植木屋さんに対しても農家の人と同じように手配をしたり対策を考えてもらわなくてはならないと思いますが、この点はどのように考えておられますか。
  291. 須賀博

    説明員(須賀博君) ただいまお話しございましたように、花や花木、そういうものの施設園芸が最近非常にふえてまいっております。中身といたしましては、キクとかカーネーション、あるいはツツジ、バラ、そういうものがあるわけでございますが、私どもの推定では本年度の千二百七十ヘクタールぐらいやられているのじゃないかというふうに考えております。こういう栽培がすでに行なわれておりまして、途中石油不足によりまして加温ができないというようなことになりますと、生育がとまり、花が咲かないというような事態にもなろうかと思います。こういうことが起きますとたいへんなことになるわけでございまして、ただいま通産省石油部長もお話しございましたように、私ども通産省に強く要請しておりまして、末端の石油が確保できて加温が十分できるように、石油が確保できるようなことを現在両者で協議し、手配をいろいろ考えておる次第でございます。
  292. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 石油部長、たいへんお疲れのところを恐縮でした。お帰りいただいてけっこうです。  いまお伺いしましたように、植木屋さんのことでございますけれども、最近は花の愛好家がたいへんふえておりますし、花の種や球根の依頼がたいへんふえているそうでございます。先ほど大蔵大臣に、実は米価や国鉄運賃の値上げを半年凍結したこういう中でいま郵便料金の値上げも凍結したらどうかというような話も出ておりますので、大蔵大臣に一言そのことをお伺いをいたしましたが、大蔵大臣としては、郵政審議会のほうで答申も出ているので、自分としては半年間ぐらい凍結をしたいと思っていると、こういうことでございましたが、これは明快な御答弁がいただけなかったわけです。  そこで、いま園芸ものをやっていらっしゃる人々は、たとえば花の苗一袋三十円ぐらいだそうですが、そういうものでも遠くから送ってくれといわれれば、もしも第四種からこの農作物種苗がはずされますと、花の種一袋送るのでも小包扱いとなって百円ぐらい取られるそうです。あるいはチューリップの球根だの、それからクロッカスの球根だのというものも相当に注文が多い。そういうものも、たとえ百円の球根でも、これを送ろうとすると今度もしも郵便料金が値上がりをしますと、これが全部小包扱いになってたいへん不利になる。バラの苗木一本三百円ぐらいのものを小包で送りますと、やっぱりこれが六百円ぐらいになるんだそうです。ですから、何とかしてこの郵便料金の値上げを思いとどまってほしい、あるいは、それができなければ、いままでどおり農作物とか種苗というものは第四種を適用してほしいと、こういうふうにたいへん依頼を受けたわけですが、この点をどのように考えられますか。おそらく、郵政省としては、赤字でお困りでございますから、何とかして郵便料金を早く上げたいと、こう考えていらっしゃるとは思いますけれども、こういう問題も出ておりますし、いまこの物価高、物不足の中で郵便料金を上げることは私はやっぱり差し控えてほしいと思いますので、その点についてお答えをいただきたい。
  293. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) お答えいたします。  まず、郵便料金の全体の問題でございますが、郵政審議会から、郵便事業の収支の改善をはかるために、来年の七月以降これを引き上げるということが適当であるという答申をいただいておるわけでございまして、郵政省といたしましては、この答申の趣旨を十分理解しておるわけでございますけれども、現下の経済情勢、物価情勢等のこともございまして、公共料金をできるだけ抑制するという政府の大方針もありますことで、その方針にのっとりましてこの料金の問題の実施時期等につきましてできるだけ先に延ばすということで、いま関係方面と慎重に協議をいたしておるところでございます。  なお、その中での農産種苗の料金につきましてのただいまのお話は、農産種苗の低料金扱い制度はずいぶん明治以来の古い制度ではございますけれども、私たち最近の扱い数を見ておりますと、十年以前に比べまして半分以下に減っておるような状況でございます。ただいまお話がありましたように、農家といいますか、むしろ園芸用とかあるいは家庭菜園用の種子の輸送ということが郵便によって行なわれておるというふうなことでございまして、この制度を創立いたしました当時の趣旨よりもうだいぶ変ってきておるということは言えるように思うわけでございます。いま御指摘にありましたように、郵便事業の独立採算というようなことからいいますと、ただいまの農産物種苗の料金につきましては非常にコスト割れになっておりまして、そういったようなことからも郵政審議会の答申の中では、いまお話のありましたように、この制度は廃止してつまり普通の郵便として扱ったらどうかというふうな答申をいただいておるわけでございます。この問題につきましては、私たちはまだ結論を出しておりませんが、農林省等ともよく相談いたしまして慎重に処理してまいりたいと思っております。
  294. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最後でございますけれども、最近はたいへん国民の心が荒廃しておりますので、せっかく国民が花を咲かせようとか緑で飾ろうとかそういったような夢を求めてくる中で、こういう遠くからもわざわざ注文してくる、あるいは花を植えるところがない人はせめてカタログだけでも送ってほしいと、こういうふうに言われる人がたいへん最近ふえてきている。こういう中で、ぜひとも先ほどから申し上げましたようなことをもう一ぺん前向に検討していただきたいと心からそのことを要望いたしておきます。  それから最後に経済企画庁長官にお尋ねをして終わりたいと思いますが、実はこれは私の個人的な感情かもしれませんけれども、昨日の連合審査の質問を聞いていましても、今度のこの法律案に対する野党の不信感というものは相当なものだと思います。これはざる法だと、こんなものをやってもできないというような不信感をこの法律案のやりとりの中で私は感じたわけです。それですから、標準価格をきめる上においても、立ち入り検査をする上においても、あるいはまた監視をきびしくするにおいても、必ずこの法律が生きて働くように命をかけて運営のよろしきを得なければならないと思います。もしもこれで失敗しますと、いま国民はわらをもつかむような気持でこの法律案を見守っていると思います。ですから、もしも政府がこれを失敗いたしますと、私はいまの日本の自民党の政治が瓦解するかもしれないと思うし、それはまあしかたがないことといたしましても、先ほど竹田先生のほうからもお話がありましたように、それこそ暴動が起こりかねない状態だと私どもも思っております。ですから、そうなったときに、一体、国民生活はどうなるんだろうか考えますと、まことにはだにアワを生じるような感じがいたします。まあこういったような点でこの法律案の運用に対する企画庁長官の決意を伺って、私の質問を終わらしていただきます。
  295. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 最後のおことばは、私の身にしみたところでございます。せっかくこうした法律案をいろいろな御批判をいただきながらも御可決いただきます以上は、この法案制定の趣旨が生かされて広く国民に安心が得られるようなそういう真摯な真剣な措置を講じてまいる所存でございます。  なおまた、この法律案が可決せられましたならば、遅滞なくこの法律案によっていまの異常な事態に対処する政府としての決意のほどを総理大臣談話等の形をもって発表していただく。政府一体となって当たる、そういうことをしていただけますように現在準備等も進めておることもあわせてこれまあ私の決意のほどでございますが申し上げておきます。
  296. 工藤良平

    ○工藤良平君 私は、一点だけ確認をしておきたいと思いますので御質問をいたしますが、国民生活安定緊急措置法すなわち本法案でございますが、その第二十七条、すなわち衆議院修正部分の国民生活安定審議会の運営についてでありますが、思惑買い、あるいは便上値上げ、買い占めの起こる心配のあるもの以外ば原則として全部この審議会にかける運用をなさるというようなお考えを持っていらっしゃるかどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  297. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) ただいま工藤委員からお尋ねがございました国民生活安定緊急措置法に対する衆議院修正によって設けられました国民生活安定審議会の運営につきましては、私どもの心がまえといたしましては、買い占め、売り惜しみや便上値上げを誘発するなど、国民の利益をそこなうおそれのある場合を除き、本法の運用に関する重要事項はすべて事前に本審議会にはかることといたします。また、経過措置として、審議会設立までに政府が行なった諸措置につきましては、審議会設立後直ちに審議会に報告し、その了承をとることといたしたいと存じます。
  298. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  299. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  300. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま、亀井善彰君が委員辞任され、その補欠として中西一郎君が選任されました。     —————————————
  301. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 前川旦君外七名から、委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容は、お手元に配付のとおりでございます。  この際、本修正案を議題といたします。  前川君から趣旨説明を願います。
  302. 前川旦

    ○前川旦君 私は、日本社会党、公明党、日本共産党を代表するとともに、実質的には第二院クラブをも代表いたしまして、ただいま議題となりました国民生活安定緊急措置法案修正案の提案理由及びその内容の要旨を御説明申し上げます。  なお、第二院クラブは本委員会に委員の割り当てはございませんが、本修正案は第二院クラブとも協議の上作成されたものでありますから、実質的には四派共同提案にかかるものであり、ただいま第二院クラブを代表して青島幸男君が見えております。  最近の物価の値上りはきわめて異常であり、石油不足と相まって国民生活は深刻な不安と苦しみに包まれ、物価の問題は緊急に解決しなければならない最も重要な問題であります。  政府自民党は、これまでわれわれが再三にわたって高度経済成長政策を改め、国民生活優先の政策を実施し、大企業の管理価格、商品の買い占め、売り惜しみのきびしい規制等の物価抑制策を要求してきたにもかかわらず、真剣にこれを聞き入れようとはせず、それらの実行を怠ったことにより、現在このような異常な物価の暴騰を招いたことは、きわめて重大な責任があり、われわれはこれまで一貫して続けてきた政府自民党の大企業本位、国民軽視の行政に対してきびしく抗議するものであります。  政府自民党は、このような緊迫した情勢になって、国民の抗議が大きくなったことにより、十分な検討のないままきわめて短時間のうちに作成した法案を国会に提出し、これにより物価を抑制しようという姿勢を見せておりますがあわれわれから見た提出法案は、不十分なものであるだけでなく、大企業本位の高値安定のおそれがきわめて強いものであり、これでは物価が安定することは困難であると言わなければなりません。われわれは、共同して修正案を作成することにより、真に物価を抑制し、国民生活の安定をはからんとするものであります。  以上がこの修正案を提出する理由でありますが、次に、この修正案の要旨を御説明いたします。  第一は、国民生活を安定させるため、国民生活との関連性が高い物資または国民経済上重要な物資の安定的な供給の確保とその価格の安定を政府の責務とし、これを法律的に定めたことであります。政府は、このような事態に至った政治責任をいまだ明らかにすることなく、反対にその責任の一部を勤労国民に押しつけるという態度をとっておりますこのようなインフレを招いたのは明らかに政府の責任であり、その責任を感ぜずして政治を行なっている政府に真の物価安定がはかれるものではありません。われわれは、政府が物資の安定的な供給の確保とその価格の安定に対する強い責務を持つことにより、真に国民生活の安定をはかる積極的な真剣な政治の実行を求めて本規定を設けるよう、要求するものであります。  第二は、情報の提供に関する規定の新たな設置であります。本規定は、政府生活関連物資等の生産、輸入、流通または在庫の状況に関し、国民生活を安定させるため必要な情報を国民に提供すべきことを義務づけたものであります。情報の提供に関する規定は衆議院の委員会修正案にもありますが、これは単に情報を国民に提供するよう努めなければならぬとしただけで、常に国民に対して物資の状況に関する情報を確実に提供し、事実を明らかにするという積極的な姿勢を欠いており、きわめて不十分と言わなければなりません。  第三に、指示価格に関する規定であります。政府原案は、標準価格、特定標準価格という二種類の価格を設け、価格の安定を図るべき物資の価格、特に価格の安定を確保すべき物資の価格というふうに、きわめてまぎらわしい価格の設定をしておりますが、修正案は、指示価格として価格を一本化し、すべての指示価格に対して、その決定の基礎となった生産費、輸入価格または仕入れ価格販売費用及び利潤の各項目ごとにその算定の基礎及び算定方法並びに当該指定品目にかかわる指定物資の需給の見通しその他指示価格の決定の経過を公表し、国民の前に明らかにするとともに、指示価格を国民に周知させるための新聞、テレビ、ラジオ等による報道措置を新たに規定しております。  第四に、物資の売り渡し、輸送または保管に関しては主務大臣による命令規定を設け、買い占め、売り惜しみ等を行なっている事業者に対して物資の放出を命令できるようにし、国民に対する安定的供給の確保をはかっております。さらに、指定された物資に関し、特に供給を優先すべき国民、事業を指定し、一般消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに公共交通事業、通信事業、教育事業、医療事業、社会福祉事業、言論、出版に関連する事業その他の国民生活の円滑な運営に重大な影響を及ぼす事業及び活動に対し物資の優先的な供給を保証しております。  第五は、指定物資の割り当て及び配給に関して当該措置の大綱につき国会の議決を経ることを新たに規定してあります。これはこれまでの大企業優先の政府の政策がこれらの物資の割り当て、配給に関しても行なわれることを厳しく規制し、公正な供給をはかるようにするための措置であります。  第六は国会への報告に関する修正であります。法案は国会への報告として六ヵ月に一回国会にこの法律の施行の状況を報告するものとするとなっておりますが、これでは政府当局が具体的にどのように物価抑制の行政を行ない、どの業者が悪質な物価値上げをやっているかということが国民に知らされる機会がきわめて少なく、われわれは国民に知る機会をふやすため、国会への報告は三月に一回行なうよう修正するものであります。  第七として、われわれは新たに公正取引委員会の権限として、この法律のいかなる条項も独占禁止法の適用または公正取引委員会の権限を排除、変更または影響を及ぼすものと解釈してはならないと規定し、実質的に価格カルテルになるおそれのある政府原案に対してきびしい規制措置を規定してあります。  第八は、資料の提出命令を新たに設け、価格の構成内容、商品の生産、販売等の取扱状況に関する資料の提出を命令できるようにしております。  さらに、第九番目には、自由民主党がわれわれの要求により衆議院で修正して設けた「国民生活安定審議会」に関して、内閣総理大臣または主務大臣が物資の指定、指示価格の決定、物資の割り当て、配給等に関して必ず当審議会に諮問しなければならないとして、審議会の意思を必ず行政に反映させるよう措置するとともに、その委員数は二十名とし、五名増員し、多数の委員によって物資に関する審議が行なえるよう措置してあります。  第十には、都道府県には「住民生活安定審議会」を設置し、地域の実情に応じた物資の価格、需給等を調査審議が行なえるようにするとともに、都道府県において住民に生活物資調査員を委嘱できるようにし、各地域における物資の価格及び需給の実態を把握できるように措置してあります。  以上が本修正案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかなる御賛同をお願いするとともに、あわせて日本社会党、公明党、日本共産党、第二院クラブの意思を明らかにいたすところであります。(拍手)
  303. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) それでは、ただいまの修正案に対し質疑のある方は、順次御発言願います。——別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。
  304. 工藤良平

    ○工藤良平君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっております本法案につきまして、政府案に反対、修正案に賛成の意見を申し上げたいと思います。  私はいつも引き合いに出すのでありますけれども、「渡良瀬川沿岸に被害あるは事実なれども、その原因明らかならず」と、こういうことをかつて田中正造代議士が鉱害の解決の際に申しました。私は、いまのこの物価問題を考えてみても、物価の値上がりという事実はあるけれども、その原因が明らかでないというのがいまの現状ではないかと思います。この前からいろいろと議論をし、さらに現実を見てまいりましても、物不足物不足と言われながらも、その段階的検討の結果は、複雑な市場メカニズムの中でなかなかその元凶をつかむことができないというのがいまの実情であります。しかし、私は、さらにそれを突き詰めてその元凶を捕えるということがやはり大切ではないのか、そのように思っているわけでありますが 私どもがいろいろと追及し、その元凶を捕える中で、どうにかその元凶がわかってきた。その元凶とは何か。それは、異常な卸売り物価の上昇傾向をたどっていく、明らかに政府の政策的な欠陥というものがその元凶であるということが明確になってきたように私は思うわけであります。本来、物価問題につきましては、その対策を事前に講じなければならないということが私は政策としての生きた政策であると思っておるのでありますけれども、しかし、今回のこの法案石油問題に関連をして急遽非常に短期間の間に出されてきた、いわゆる石油問題と十ば一からげのような形でこの問題を出してごまかそうとしておるところに私はもっとも大きな政治的な罪があるような気がするのでありまして、その問題につきましては特に円の切り上げ、さらに変動相場制に移行してからの物価上昇に対していち早くその対策を講じ、金融引き締め等の措置を講じなければならなかったと思うのでありますが、まあそれはおそきに失したかもわかりませんが、八月段階でそれを行なってきたその結果、繊維あるいは鉄鋼のように若干鎮静の傾向を示したのでありますけれども、それ以降、中曽根通産大臣のデノミの発言やあるいは四十九年度予算に示される田中総理の非常に大幅な景気刺激の予算構想というものがさらにインフレに油を注いだというような気がするのであります。この政治的な責任というものを私たちは国民の前に徹底的に明らかにしていかなければならない。そうしなければ、私どもが真剣になって論議をしてまいりました本法案というものは全くに有名無実の法案に終わってしまうというふうに私は思うわけでありまして、非本質的な技術論にすぎないこの法案をあやつるよりも、もっともっと物価高に対する本質的な問題を掘り下げて検討すべきではないか、このように思うのでありまして、そういう観点に立つならば、私は、この法案に対して反対の態度を表明せざるを得ないわけであります。  内容につきましては、いろいろ今日まで議論されてまいりましたが、特に第二条に示されておりますように、標準価格の決定におきましてもきわめてあいまいな明確さを欠く状態でございまして、以下各条文を見ましても、これが決定的な物価を抑制し鎮静していくという要素にはならないという気がするわけでありまして、むしろ従来あります物価統制令あるいは買い占め売り惜しみの法にさらにこの法案が重なっていって屋上屋を重ねて実効を上げ得ないというようなきらいもするのでありまして、その点につきましても今後の運営等につきましては不十分ではありますけれども万全の対策を講ずる必要があるのではないかと思います。  いま提案されました修正案につきましては、特に本法案趣旨というものが重要な物資につきまして安定的に供給の確保をはかって価格安定を政府の責務として位置づける、こういう重大な実は観点があるのでありまして、さらに、情報の提供、あるいは物資の売り渡し、輸送、保管に対する命令規定を設けるとか、あるいは指定物資の割り当てあるいは配給に対しましても当該措置の大綱につきましては国会の議決を経る、さらに公正な供給をはかりながらその経緯につきましても国会に報告をしなければならないという義務づけをつける、このようにやはり政治的な大きな責任の中において問題の解決をはかる、このような重要な修正というものを私どもは提案しているわけでありまして、これこそまさに国民が要求している物価の安定をはかる最大の道ではないかと、このように考えるのでありまして、したがって、私は、修正案に賛成し、原案に反対をすると、このような意見を申し上げたわけでありまして、以上、非常に簡単でございますけれども、社会党を代表しての討論を終わります。
  305. 棚辺四郎

    ○棚辺四郎君 私は、自由民主党を代表して、原案に賛成、修正案に反対の意を表するものであります。  以下その理由を申し上げます。  わが国経済は、中東戦争を契機とする石油生産と供給の制限により、甚大な影響を受け、国民生活の安定のため、経済の混乱を未然に防止し、必需物資の安定的供給確保をはかることは、喫緊の問題となっております。政府においても、十一月十六日閣議決定をみた緊急対策要綱のもとに強力な行政指導が行なわれているところであります。しかし、現在の物価問題は、市場機構を通じての配分にまかせておくだけでは解決できない面が見られるのであります。このような観点から、最小限の法的措置準備することは、国の責任でもあり、本案は時宜にかなった措置であると思うのであります。  本案は、物価の高騰に対処して各般の措置がとられることになっておりまして、標準価格の決定にあたっては、経済企画庁長官の答弁にもありますように、先取り的、かけ込み的な値上げが利することのないよう措置されるものと思われますし、野党の皆さんが心配されるような高値安定にはならないものと信じております。  また、課徴金については、軽過ぎるとの意見もありますが、特に悪質の違反者に対しては物価統制令の発動もありますので、原案のままでよろしいのではないかと思います。  なお、本案は、衆議院において修正が行なわれ、より一そう整備されたものと確信いたしておりますので、その効果を期待して、一日も早く成立、執行されることを希望いたします。  最後に、野党の修正案に対しましては、わが党の立場からは、遺憾ながら賛成いたしかねることを申し上げまして、討論を終わります。
  306. 田代富士男

    田代富士男君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております国民生活安定緊急措置法案及び社会、公明、共産、二院クラブ共同の修正案に対し賛成、政府原案並びにその修正案には反対の立場から意見を述べようとするものであります。  今日の異常な物価高騰、インフレの原因は、中東戦争をきっかけとする石油危機にその一端があることは否定いたしません。しかし、その原因をたどれば、一昨年来の政府の財政金融政策のかじとりの失敗と、土地対策準備のない日本列島改造論に帰することは、いまさら言うまでもありません。  しかし、ここで責任の追及をしただけでは国民の不安は解決するものではありません。私は、この事態において、生活関連物資及び国民経済上重要な物資の価格安定並びに需給の調整のため何らかの法的措置準備することに反対するものではありません。むしろ、与野党一致して、よりよき方策を考えることこそ国民の信託にこたえるものであります。わが党も、衆参における審議を通じ、本案に対し問題点を明らかにしつつその修正を要求してきているところであります。  以下、数点にわたってその理由を申し述べます。  まず第一には、標準価格の決定についてであります。原案に見られる標準価格の設定の方法ではも物価上昇を追認するものであって、高値安定の懸念が大きいのであります。高値安定の弊害を取り除くためにも、私どもの共同修正に見られるように、消費者の参加ができる調査権を有する第三者機関を設けることが必要であります。値上げ以前の水準に固定するものでなければ意味がありません。  第二に、特定標準価格の決定方法であります。その決定は、適正利潤を計算し、それらを基準とすることになっておりますが、物価をほんとうに引き下げさせるためには、原価及び利潤等に関する資料を公開し、国民の納得を得る必要があります。原案ではそのような措置がとり得ません。  第三に、本法によってほんとうに生活必需品の供給量が確保できるのでありましょうか。これらの物資を取り扱う業者の生産状況や在庫状況が国民に対して明らかになるような措置がなされるべきであると思います。統制による暗い面のみが押しつけられ、その必要性を国民に認識させるための方法が用意されていないのであります。  第四に、供給不足、需給の回復のため、生産、売り渡し等について単に指示、公表にとどまった措置しか準備されておりません。制裁としての公表が不十分であることは、投機防止法でテスト済みであります。せめて配給割当制を実施する場合には原材料の確保措置を講ずることは当然とし、その上で生産命令権、売り渡し命令権の裏づけが必要であると思うのです。いずれにしても、統制は、一たん始めれば容易にそこから抜け出せないし、また、一つの物資に行なえば、必然的に他の物資に連鎖反応的に広がる性格を有しているのであります。インフレによって資源の適正配分が阻害され、社会的不公正が拡大されるのであります。国民は、一日も早く物価高騰の不安から抜け出したいと考えているのであります。かかる国民の期待を考えるとき、以上申し述べてきた理由から、政府原案及び政府の修正で不十分な措置であると言わざるを得ません。  以上でございます。
  307. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は、民社党を代表しまして、政府原案に賛成をし、ただいま提案になりました野党三党及び第二院クラブ共同提案の修正案には反対いたします。  それは、いま国民が塗炭の苦しみの中におりますのは、インフレ、物価高、そして物不足でございます。これは国民を置き去りにしてひたすら高度経済成長に走ってまいりました自民党田中内閣の責任でございます。その上に、田中総理は列島改造にうつつを抜かしてまいったのでございます。そこで、私どもは、鋭く政府の政治責任を追及しておく次第でございます。  しかし、現下の情勢政府を追及しただけで解決するものではございません。この事態に対処して、政府は、緊急に二法案を提出してまいりました。そして、この緊急に提出してまいりました二法案の内容は、必ずしも私どもの満足するものではございません。きわめて不十分だと言っても過言ではございません。しかし、衆議院段階におきましてその修正作業が行なわれましたことは、きわめて当然なことだと考えております。この結果、国民生活安定緊急措置法案においては、国民各階層の声を代弁し政府の法運用を監視する審議会が設置されるようになったことは、民社党をはじめといたしまして野党の大きな成果でございます。また、この法の施行にあたって、政府原案には全くなかった家庭用、中小企業、農業など民生用物資の優先確保の原則を明確に法文化させ得たことは、明らかに一歩前進したものと評価せざるを得ないのでございます。このほか、国会への報告義務並びに一年以内に見直し条項の設定や、標準価格に中間卸売り価格を入れたこと、特定標準価格への直接指定の明確化などが盛り込まれたことは評価しておきたいのでございます。  先ほども申し上げましたように、国民はわらをもつかむ願いでいまこの物価高、インフレの鎮静を待ちこがれております。願わくは、この法律がほんとうにうまく運用されてこのインフレ、物価高が鎮静することをひたすらこいねがいながら、私はこの原案に賛成するものでございます。  共同提案になりました修正案については、野党の御苦労を多といたしますけれども、私ども民社党は原案に賛成する立場から修正案に賛成いたしかねることを申し上げて、討論を終わります。
  308. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、国民生活安定緊急措置法案につきまして、四会派提案の修正案に賛成し、原案に反対の討論を行ないます。  私が原案に反対する第一の理由は、異常につり上げられた物価を値上げ前に引き下げてほしいという国民の切実な声にこたえずに、政府高値追認することが明白だからです。標準価格、特定標準価格は大企業の利益をまず保障した市場価格をもとにしてきめられるということは、砂糖あるいは灯油プロパンガスなどの価格ですでにテスト済みであります。物価つり上げの犯人が大企業そのものであるということは、本委員会の審議を通じましても明らかになり、いまや多くの国民の知るところとなっております。物価を引き下げ、安定させるためには、大企業の膨大な利潤にメスを入れ、実際の原価に基づいて指示価格をきめることがまず必要であります。そのために必要な資料を提出させる資料提出命令権を規定し、原価を広く国民に公表することが必要であります。原案にはこれらの諸条件が欠落しており、とうてい国民の期待にこたえ得ないものであります。  反対の第二の理由は、国民の生活必需物資の優先的な安定供給が確保される保障がないことであります。四会派は、一般消費者、中小企業、農漁業者、公共交通事業、医療社会福祉事業、言論出版に関する事業などについては、特に、必要な物資の優先確保を政府に義務づけることを主張してきたのであります。原案にはその保障がございません。  反対の第三の理由は、原案が、配給、割り当てなど、憲法第二十二条の営業の自由、第二十九条の財産権の保障など基本的人権にかかわる重大な決定を行なうに際し、国会の議決を行なわず、政令にまかせようとしていることであります。国民生活防衛のために配給、割り当て制を導入することはやむを得ない場合もありますが、この重大な決定は、国権の最高機関である国会の議決によるべきことは当然であります。この当然の措置の要求すら受け入れない態度は、まさに田中内閣のファッショ的態度を明白に示すものであります。  第四の反対の理由は、政府がわが党をはじめ野党各党が強く反対をしてまいりました経済企画庁と公正取引委員会の覚え書きを破棄せず、事実上のやみカルテルを容認したことであります。このことは、独禁法を骨抜きにし、大企業が卸や小売り店まで自由に支配しようとすることを許すことになることは明らかであります。  いま国民が切実に願っておりますのは、直ちに物価を引き下げ、安定させることであり、物不足の不安からの解放であります。その深刻な要望と政治に対する期待の大きさから見まして、原案ではとうてい国民の期待にこたえ得ないことは明白であります。  以上の理由によりまして、修正案に賛成し、原案に反対の態度を表明いたしまして、討論を終わります。
  309. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  310. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより国民生活安定緊急措置法案について採決に入ります。  まず、前川旦君外七名提出の修正案を問題に供します。前川君外七名提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  311. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 少数と認めます。よって、前川君外七名提出の修正案は否決されました。  それでは、次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  312. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  313. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、ただいま可決されました国民生活安定緊急措置法案に関し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の四党共同提案にかかる附帯決議案を便宜私から提出いたします。  案文を朗読いたします。     国民生活安定緊急措置法案に対する附帯決議(案)  一、政府標準価格及び特定標準価格の決定にあたつて、先取り的値上げの利益、高値安定を排除し、物価高騰以前の水準に定めるよう努めること。  一、政府は特定標準価格について、各項目ごとに算定の基礎と決定の経過を公表すること。  一、政府は現在の物価高騰に対処し、独占禁止法の厳正な運用に一層努めるとともに、公正取引委員会に寡占企業に対する分割命令及び価格カルテル排除にあたつての価格引下げ命令等の権限をもたせ得るような方向で独占禁止法の改正問題に早急に着手すること。  一、政府生活必需物資の確保、価格の安定等当面する物価対策を強力かつ機能的に推進するため、機構、人員、予算等各般にわたり充分措置すること。   右決議する。  以上でございます。
  314. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ただいま竹田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採定を行ないます。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  315. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 全会一致と認めます。よって、竹田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、内田経済企画庁長官から発言を求められておりますので、この際これを許します。内田長官。
  316. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) ただいまの御決議につきましては、政府といたしましてもその御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
  317. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) なお、審査報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  318. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十七分散会      —————・—————