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1974-05-16 第72回国会 参議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十六日(木曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員異動  五月十三日     辞任         補欠選任      沢田  実君     渋谷 邦彦君  五月十四日     辞任         補欠選任      佐藤  隆君     平井 卓志君      堀本 宜実君     塩見 俊二君      高橋雄之助君     今  春聴君      工藤 良平君     加藤シヅエ君  五月十五日     辞任         補欠選任      平井 卓志君     佐藤  隆君      塩見 俊二君     堀本 宜実君      今  春聴君     高橋雄之助君      加藤シヅエ君     工藤 良平君  五月十六日     辞任         補欠選任      平泉  渉君     重宗 雄三君      渋谷 邦彦君     沢田  実君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         初村滝一郎君     理 事                 高橋雄之助君                 足鹿  覺君                 鶴園 哲夫君     委 員                 河口 陽一君                 田口長治郎君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 堀本 宜実君                 神沢  浄君                 工藤 良平君                 沢田  実君                 塚田 大願君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        農林政務次官   山本茂一郎君        農林省農林経済        局長       岡安  誠君        農林省構造改善        局長       大山 一生君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        大蔵省主税局税        制第三課長    西野 襄一君        厚生省年金局企        画課長      持永 和見君        農林省農林経済        局審議官     堀川 春彦君    参考人        早稲田大学教授  安藤 哲吉君        農林年金受給者        全国連盟会長  一楽 照雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) それでは、ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  理事補欠選任についておはかりいたします。  委員異動によりまして理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議なしと認めます。  それでは、理事高橋雄之助君を指名いたします。
  4. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として、早稲田大学教授安藤哲吉君、農林年金受給者全国連盟会長楽照雄君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認めます。さよう決定をいたします。  速記をとめて。    〔速記中止
  6. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を起こして。  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、参考人意見を聴取いたします。  参考人として、早稲田大学教授安藤哲吉君及び農林年金受給者全国連盟会長楽照雄君の御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。参考人におかれましては忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  まず議事の進め方といたしましては、最初に参考人からお一人十五分間程度の御意見をお述べいただき、引き続いて委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、安藤参考人からお願いをいたします。
  7. 安藤哲吉

    参考人安藤哲吉君) 安藤でございます。きょうこちらで参考意見を述べるように仰せつかりましたのでございますが、私、農林年金財政研究会に、昭和四十四年の暮れから昭和四十六年の六月ごろまで関係いたしましたが、その後、あまり接触もなく、突然先週土曜日に御依頼を受けましてたいへんとまどいましたわけで、十分なお話ができないと思いますが、その点あしからずひとつ御了承いただきたいと存じます。  今回、この改正法案が出ているようでございますけれども、まあ基本的には、いろいろ問題があろうかと思いますが、ともかく昨年、厚生年金が大幅に——まあ大幅にといいましても、大体インフレーションでございますのでたいしたことはございませんけれども、ともかく従来の水準に比べて大きく引き上げられた。そういたしますと、従来の方式におきましては、農林年金あるいは共済組合関係厚生年金よりも給付がいいということで、有利さを誇っておったわけでございますけれども、逆転するというおそれが出てきまして、もし、この改正がなければ、現にそうしたおそれが現実のものとなるわけでございますので、そういう意味で、特に低所得の方につきまして、ともかく早急に不利を生じないようにするためには、こうした給付関係改正は緊急の課題であろうというわけで、私は、基本的には、そういう意味で賛成でございます。  ただ、そうなりますと、財政の問題をどうするかということは、別に今回の改正にかかわりませず、以前からこの農林年金におきましても相当大きな問題になっていることは、こちらの委員会先生方よく御承知のことでございますけれども、また、今回このような給付基本的構造におきまして、最終三年平均給与から最終一年間、しかも、それはベースアップがあった場合におきましては、それを再評価した上で、その最終一年間の平均給与を使用するというような、こういうことはかなり財政に大きい影響を及ぼすわけでございますので、やはり相当これを検討しまして、将来の見通し、財源の収入の確保の方法、そういうものをはかっていく必要があるのではないかというふうに考えております。と申しましても、この財政計算賦課方式でもなければ、相当膨大な計算資料が要るわけでございまして、時間もかかることでございます。農林年金は来年度この再計算期に当たっているようでございますので、そういう意味におきましても、もうすでに事務当局としてはおそらく準備をしていると思いますけれども、そうした検討を開始しながら、まあしかし、この検討を待って給付改善するというのでは、先ほどのような低所得者に対する不利を生じますので、それは給付改善はとりあえず応急的にそのように実施いたしまして、そして、できるだけ早急に、財政検討をはかるということが必要ではないであろうかというふうに思います。  ところで、その財政の問題でありますけれども、この年金制度財政方式の問題につきましては、いろいろ議論がございます。まあ皆さん方、私どもこういう社会保障関係に関心を持っておる者、研究者におきましても、相当、いろいろ議論があるところでございまして、各人各様でございます。したがいまして、私の意見一般的というよりは、むしろ少数意見かもしれませんけれども、私は、やはり年金制度というものは、現在だけではなしに、将来にわたって維持するものでなければならない。しかも、給付水準というものは、そのときどきの国民所得水準あるいは一般的な生活水準との関係におきまして給付水準を維持していくか、これを引き上げていく必要がある。そういう観点に立ちますと、現在時点において賦課方式ならばうんとその給付改善できるはずだ、ということで賦課方式で安易にやっていくということにつきましては、私は、日本の与えられた人口的あるいは経済的、資源的条件から考えまして、適切ではないというふうに考えております。  まあ長くなりますけれども、一例を申し上げますと、こういうことは、指標になるかどうかですが、まあ日本全体——農林年金ということではなしに、日本全体の指標として考えますと、六十五歳以上人口は大体いま七百五十万人。総人口は一億五百万人ですが、そのうち生産年齢人口、十五歳以上六十五歳未満人口のうち、労働市場に入ってくる人口、これは実際には六七%ぐらいのようでありますけれども、これを多目に見て七〇%。六十五歳以上の方でも現在三〇%ぐらいの方が就業しておられますが、こういう人々国民所得の形成に参加されまして、そこで、まあかりに老人問題、老人に対する所得保障という形で考えてみますと、百人働いている人間が大体十五人前後を養えばいいというのが現状であります。  しかしながら、五十年後におきましては、日本の総人口一億四千万。そういたしまして、老齢人口、六十五歳以上の人口が約二千四百万ぐらいになるわけであります。その間におきまして、生産年齢人口も若干縮小してまいりますので、その時点におきましては、いまと同じ仮定におきまして、つまり生産年齢は七〇%、それから老齢人口のうちは三〇%ぐらいが就業されるというふうに仮定いたしまして、それで百人で三十三人ないし三十四人を養わなければならない。しかし、二千四百万人の三〇%ということになりますと、大体現在の六十五歳以上人口全部が就業しなきゃならないという、そういう仮定に立つわけでありますから、とてもじゃありませんが、そういう高齢者雇用市場をつくり出すことが、はたして可能であるかどうか、非常に問題である。そういたしますと、まあ四十人くらい養わなければならないということも考えてみますと、そういうたいへんな状況にあるわけであります。したがいまして、それじゃ生産年齢人口をふやせばいいということにはなりませんで、狭小な国土の中で、資源もない国で、これを養っていかなければならないということになりますと、どうしても、そこでやはり長期的な観点に立って年金財政考える必要があるだろう。将来にいきまして、現在の若い人が年金受給者となりましたときに、自分たちには生存権があるんだから若いものが負担しろと言いましても、その時代における労働人口が、いまの年寄りは若いときに、われわれの負担分の三分の一しかしてこなかったではないか、そこであなた方と同じ比率で負担をするから、それでその生活を維持しろというようなことになりますと、給付水準が下がらざるを得ない。これは困ると思うわけであります。  したがいまして、やはり将来の世代が、そうした負担を進んでするという根拠づくりが必要であろうというふうに思うわけであります。それはどうしたら可能か。まあいろいろ議論はあろう思いますけれども、私は、やはり現在程度のその修正積み立て方式を維持しまして、その積み立て金——これだってまあすぐになくなる、大体昭和七十年ぐらいには、なくなるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、インフレがこう速いと、もっと早くなるかもしれません。ともかく、そうしました積み立て金というものを、現在の国民、将来の国民に役立つような方向に、実質資産を、国民所得の中に残していくという形で活用していくことが必要であろう。農林年金なんかの場合におきましても、やはり現在、積み立て金の約半分は団体貸し付けでありまして、農林漁業団体のそうしたいろいろの施設、あるいはその農林漁業振興のための必要な施設等に、これが投資されておるわけであります。こういうものが実質的に残っていきますならば、農林年金の経理上、それが減価いましましても、しかし実質的な資産というものは、この農林漁業団体関係する人、あるいは農業者に残るわけでありまして、そうした実質的な利益というものを、将来掛け金の形、あるいは税金の形で還元していくという意味におきまして意味があろうかと思います。また、その農林年金の目的の一つは、組合員のために福祉に資する事業を行なうということになっておりますけれども福祉をやるためには、やはり資金が必要であります。そういう資金、現在その積み立て金の約半分弱が、これが福祉貸し付け資金となっておりますけれども、やはり賦課方式でやりますと、こういうふうな資金がなくなってくるということでございまして、そういう意味におきましても、現在程度修正積み立て方式というのは、これは何としても維持していかなきゃならないんじゃないかというのが、私の財政方式に関する考え方でございます。  しかし、そういうふうな基本的な観点に立ちましても、そのほかに、農林漁業団体職員共済組合のその組合構成等考え、または、その給付条件というものを考えてみますと、どうしても厚生年金よりは財源率が高くならざるを得ない。高くなっている原因は、いろいろあろうかと思いますけれども、その支給開始年齢が五十五歳でございまして、厚生年金一般に男子は六十歳だと、そういうギャップがある。五歳の開きというのは単に数字の五歳だけではありませんので、人数の分布を考えますと、かなり大きいものがあります。こういう点であるとか、あるいは給付のほうにおきまして、厚生年金は一応再評価はいたしますけれども、全期間、平均給与を使う。これに対して最終給与を使う。こういうふうな点がございますので、一がいに、この財源率を比較しまして、そのままこの農林年金の分が高いんだ、全部高いんだ、というわけにはまいりませんけれども、かりに、その厚生年金と全く同じ条件で、その農林年金給付を行なうといたしましても、おそらくこれは、厚生年金よりもまあ高くなるということは十分にいままでの試算から考えられるわけでございまして、そうした点につきましては、国が、この農林年金存在というものを何とか維持しようというふうにお考えになるのであるならば、その点は別段のやはり考慮というものが与えられていいのではないかというふうに考えます。  農林年金存在そのものにつきましては、いろいろ議論があるところでございまして、本来はこうした公的年金制度は、一本の制度でやるべきだという議論もございますが、私、少し学者らしくないと言われるかもしれませんが、私は、現実論に立ちまして考えてみますと、やはり農林漁業団体職員の方が、この農林年金によって、現実に、厚生年金よりは有利な給付というものを期待している。そういう点についてのやはり期待権というものを侵害することなしに、これを維持するということが、この農林漁業団体に優秀な人材を確保するということであるならば、やはりその点についての考慮が与えられていいのではないかというふうに思うわけであります。したがいまして、厚生年金に対する国庫負担は二〇%、そうしまして、農林年金のほうにおきましては、これは一六%から一八%に上がったかと思いますが、こういう点では、やはりその二〇%程度国庫負担というものは与えられていいのではないであろうかというふうに思うわけであります。  それからもう一つ財政対策といたしまして、これ私個人の意見ではございませんで、年金財政研究会に参加した人々の一致した意見といいますか、まあまとまった意見といたしまして、私学共済等におきましては、この国庫負担のほかに、都道府県負担といいますものと、それからさらに都道府県補助でございますそれと、私学振興財団からの補助というものがございまして、同じ民間の賃金俸給労働者を対象にいたします制度としまして農林年金私学共済の二つがあるわけでございますが、農林年金はその点におきまして、その都道府県援助、また、そうした私学振興財団にかわるような団体援助がない。こういう点は、共済組合グループの中で一番掛け金の高いグループにとりまして、やはり相当な負担になっておるわけでございますので、そういう点についてのいろいろの配慮というものが、あるいはそうした団体にかわるものから補助を与えられるとかいうようなことが、やはり考えられてよろしいのではないかというふうに思うわけであります。  しかしながら、そのように、私、一応農林年金存在というものを認め、そしてそのいろいろの援助というもの、国庫負担都道府県援助、あるいは何らかの団体援助というものを考えるわけでございますけれども、しかしながら、農林年金それ自体においてもこの財源率の引き下げに努力されるべきではないだろうかというふうに思うわけであります。  まず給付面におきまして、いままでは、公務員にならった形で、まあどちらかといいますと、きわめて安易に共済として追随してこられた。しかし、公務員勤務実態というものと農林団体職員勤務実態というものにつきまして、必ずしも同じではないであろう。また、社会保障という側面を強調されるならば、社会保障的な側面において厚生年金は六十歳である。そうしますと、やはり支給開始年齢ということにおきまして、現在の五十五歳を六十歳に引き上げられるということが必要ではないか。また、これは組合員にとりましても、このごろのように平均寿命が延びている段階におきまして、五十五歳退職というのは非常にきついわけでございますから、やはり就業機会をできるだけ与えられるということは必要でございまして、そういう面の定年問題とのかね合いにおきまして、むしろ定年を延長し、そして掛け金増収をはかりながら、今度は、給付の節減という形での支給開始年齢の引き上げを考えられるべきではないかというふうに思うわけであります。  いろいろ問題があろうかと思いますけれども、また長くなりますし、もしまた疑問の点につきまして御質問いただきましたときに、思いつきましたときに、後ほど発言の機会が与えられましたら申し上げさしていただきたいと存じます。一応これで失礼させていただきたいと思います。(拍手)
  8. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ありがとうございました。  次に、一楽参考人にお願いいたします。
  9. 一楽照雄

    参考人(一楽照雄君) 本日は、農林年金受給者の一人としてお呼びいただいたんだとお話承っておりますが、この問題について、受給者意見を聞いてやろうというようなことは、私存じませんけれども、おそらくいままであんまりなかったんじゃないかと思うのです。そういう意味におきまして、非常にありがたい御配慮だと思うわけでございます。  ただ、具体的な意見を申し上げるに当たりまして、一言前提としてのなにを申し上げますと、御承知のとおりに、年金制度は多種多様、たくさんに分かれておりまするのが日本の現在の状態でございます。農林漁業団体につとめておった者として、その従業員だけの年金制度が、——農民漁民林業者とは別の形において行なわれております。ここで、私ども意見主張を申し上げるに際して、この団体構成員である農民漁民林業者と同じ立場において、共通の問題として申し上げられないことを非常に残念に思います。若干内心じくじたるものを覚えざるを得ないんでございます。  そういうように、今日の年金制度が、社会保障なのか、企業における労務対策性格を持っているものか、というような点がはっきりとしていないような今日の実情に対して、福祉国家の建設といい、年金制度の拡充とか、金額を幾らにしようとか、金額の上で主張したり、こたえたりしております。けれども、そういうことの以前の問題として、年金制度は、社会保障性格年金制度であるかどうか、それは年金の中には、文化功労者に対する年金のように、功労者に対する年金もあっていいでしょう。しかし、一般にいわれている大衆の年金は、私は、社会保障としての年金の確立ということを早く確立しなきゃならぬじゃないかと思います。そうしますと、それは所得比例のものがどうとかというんじゃなくって、それは今日の新憲法下において、健康にして文化的な生活を守るための最底必要の金額を、職業のいかんにかかわらず、勤務年限いかんにかかわらず、大体において働けなくなった六十歳なら六十歳、五十五歳なら五十五歳、そういうものを基準にして定額のものを、国民平等に支給するという制度に、強制と国の補助を持っていくべきであって、勤務年限に比例してどうとか、やめるときの給与に対してどうとかというものは、国家がそんなに補助しなくっても、それ相応に自分にも負担能力があるし、また使っている側にも、それだけの負担能力があるわけですから、そういうやつは任意の制度にし、また、強制的な制度にしても、国の財政はそういうところへ投入していく必要はないじゃないかと。今日の場合は、そういうようなことができていなくって、所得比例部分だとか、定額部分とか、チャンポンになって、それに対して、国が補助をしている。そういうところには私は、財政の使い方としてむだがあるのじゃないか。また、制度がたくさん分かれておる結果、ある制度によって、二十年つとめて四十歳そこそこ、あるいは四十四、五歳で二十年間の年金もらって、そしてまた、別のところへ行って二十年やれば、また年金がもらえる。六十二、三歳、六十四、五歳でもらえるというような、重複した年金を与える必要はないじゃないか。そういうような、とかく何かといえば、財源がない、ないと言いますけれども、そういうようなむだな財源がずいぶん使われているじゃないか。  また、制度が分立している結果、農林年金のように全国一本になっているのはいいですけれども、他の公務員団体とか、いろいろなものには、たくさんの組織があって、団体があって、そこにどれだけの経費を使っているか。そういうものも節約されるのではないか。また、分立してそれぞれ別々に掛け金を徴収している、そのことのために、経費もずいぶんあるじゃないかというようなことがありますので——私は、ほんとうに専門的じゃなくって、もっと常識的な、庶民的な、大衆的なしろうととして考えますと、社会保障制度として確立するための財源も相当ある、稔出する財源もあるので、しかしおのずから財源には限度がありますが、ありますけれども社会保障分野に関する限りは、乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂える、という考えで貫くべきじゃないか。  いま自由主義あるいは資本主義とか言われるような世の中の体制でございますけれども、そういう体制になればこそ、そこで働けなくなった老後の者を保障する施設が必要になってくる。その保障する施設の、社会保障分野にまで、昔あった企業における労務対策的な制度をそのまま、国の施設に引き継いできている、というのが今日の姿じゃないか。そして、そこで当然、完全に実行もできない積み立て方式に固執しながら、現実においては、修正積み立て方式にならざるを得ないというのが現状ではないでしょうか。それを部分的な、都合のいいところだけ取り上げて、そしていかにも賦課方式は危険な、先のことを考えない乱暴な意見のことのように言いますけれども積み立て方式こそ危険きわまりない方式であって、現実がすでにくずれておるじゃありませんか。  そして人口が、老齢者の数がふえて、働く人の数が少なくなる、そういう年齢構成は、そうなる傾向は認めましょう。しかし、働く人が、いま五十五歳が定年だからといって五十五歳でやめて、何も働いていない人がそんなにありますか。定年自体を六十歳にしなきゃいかぬ、六十五歳にしなきゃいかぬということになる。老齢者の率がふえるということは事実だとしても、それと並行して老年者が働く、また、働かなければならないという、また働き得るという実態も出てきているわけですから、いずれを考えてみましても、この積み立て方式を固執して、そのことに伴っていろいろの制度が分立して、それに伴うむだな経費が使われておる。そういうことの結果、利益が——あえて利益だといえば、積み立て金の運用が財政投融資に使われるとか、あるいはいろいろその団体に、そしてそこで飯が食える職員ができるとか、そういうことを利益と言えば利益かもしれませんけれども。そういうことは、公然と言えることだろうかどうかということを考えますと、どうも私は、今日の年金制度というものは、ほんとうに、いまたくさんの学者の方々が言われており、また、諸外国の例等から見ましても、賦課方式にし、そして職業のいかん、勤続年数のいかんを問わず一本にする。そして経費を節約して重複して支払う必要なんかないようにする、という方向へいくということを、私は、ビジョンとして持って、できる限りの努力をすべきじゃないか。  私は、このことをいまこの席で申し上げたって、いますぐに、この委員会で通していただける、そんなこおはもちろんできないことですから、そんなことに時間を費やすべきではないと思いまするけれども、私は、ただ単に農林年金のことだけを考えて、それぞれよかったらいい、自分の立場だけよかったらいいという、エゴイズムの考えで、ものを申す気になりませんことを前提として、そういう気持ちがありながら、その線に沿った上でこの具体的な農林年金改正——私がいま前段として申し上げた思想の延長として、この具体的な年金制度について、農林年金についての御注文を申し上げたいと思うわけでございます。  こまかいことは、ふだんからも知りませんし、また、今回勉強するひまもありませなんだので、ただ、大筋の考え方についてだけ申し上げますと、とにかく何度も年金制度が、農林年金制度改正されたようでございます。そして、われわれ、私なんかも、何度も金額が引き上げられてきていることは事実でございます。その引き上げ方が足らないとかなんとかということの前に、そういうことじゃありませんで、一つの不均衡、すなわち、早くやめた、以前にやめた人ほど不利であって、新しくやめたほど得だというようなどうも感じがするんですね。そういう感じ方を持っております。どうもそれは釈然としないんですよ、私自身は。これは私だけじゃなくて、古い人はみなそうだろうと思います。  たとえば、ちょっと資料を見てみましたが、まあ、もうざっくばらんに申し上げたほうがいいと思いますが、私が昭和四十年にやめて、見ますと、ほとんど十九年十カ月が旧法時代、それから新法時代が五カ月とかになっているんですね。でまあほとんど全部が旧法の時代のものなんです。だから早いほうです、年金をもらったのは。そうして何度も引き上げられて、現在六十二万九十八円という数字にきているんですね。私は、昨日農林年金へ行って、二十年六カ月かで——つとめたのはそうじゃないんです。昭和五年からつとめていますから、十五年間は空白ですね。だけれども、そうじゃなくて、その私が二十年しか年金の対象になっていない。だから、そこの制度の変わったときのことまでは言いません。同じく二十年つとめて、いま二十年つとめてやめた人が、私と同じ俸給の、要するに、最高限度のところでは幾らになりますか、と言いましたら、八十九万三千三百三十四円になるというんですよ。それが十月になると、また上がって九十四万円になるそうですね。大体三分の一差があるんですね。ですから、それはいろいろ物価騰貴で修正してそうなっている。なぜそうなるのか、詳しいことはわかりません。何かちょっと私が想像しますと、旧法時代は六十分の一、新法時代は百分の二、こういうような違いがある。それだけじゃ、しかしそんな大きな差は出てこない。何か、仮定標準給与というのを直してきているわけです。そこにどうも問題があるような気がするんです。  私から言いますと、これは公務員給与でも、会社の給与でも、最高が幾ら、その次の人が幾らと、まあそれを号で一号、二号、三号とずっとあって一号が最高で、二十号が最低とします。ベースアップすれば、それぞれ三割なら三割、まあ均一にいく。それは多少修正するにしても、平均三割なら三割にして、一号は幾ら、二号は幾らと、ずっとその号々に対して金額を変えていく。これは公務員給与でも同じようなわけです。そうだとすると、前に一号で掛け金をかけておった人は、今日の一号を基準にすべきじゃないかと思うんです。それをそうしないで、何か掛け算かなんかして、そうなっていないらしい。そこの差が、いまのような三分の一の差になっているじゃないかと思うんです。そういうことをしなければならない根拠がどこにあるか、その法律を変えた。そしていついつからやめた人には何か有利になる。前の人は不利だ。みんな前の人が不利だ。それは話が逆じゃないか。古い人は早く死ぬんですから、あとで修正する機会が、チャンスが少ないわけです。若い人は、修正するチャンスがあるわけです。まずほんとういえば、古いほうの人を優遇しなければならないのを、それを若いほうの人を優遇するという関係になっている。  いま例をあげましたが、二十年つとめて——大学出て二十二歳でつとめて、そして四十四になってもらうんですね。それで若年停止で何割か引かれまするけれども、四十二、三から二十年つとめて、六十二、三でまたもらえる。これは二重にもらえるわけです。そういうことで、何かというと、財源がない、ないとおっしゃいまするけれども財源関係からいえば逆なんです。古い人は余命が少ししかないわけです。同じ二十年でも、いま私が例にとった、六十二万円の私の余命と、二十二歳で就職していまやめる人の余命は十何年違うわけです。その人たちの給付期間は長いわけです。ですから、財源関係からいいましても、それは逆にならなければならない。ですから、こういう点について全くいままでのやり方は、話が逆になっていると思います。そういう意味におきまして、ぜひとも、少なくとも、古い早くやめた人もあとでやめた人も、一号給もらっておった人は一号、これは、軍人でたとえて言えば、大将は、昔やめた大将もいまやめた大将も、それは同じ年金をもらえるようにするということに変えていただきたい。それも本年度は、この国会では私はどうかと思いますけれども、しかしそれは、少なくとも次の国会でそういうようにお願いしなければならぬことじゃないかと思うんです。これは、どうもそこの秘密というか問題点は、仮定標準給与というものを、もとのやつに何%かけるなんというやり方で操作しているようだが、そんなことをする必要はない。一号、二号、三号として、それに当てはめていけばいいので、初め三号の人はいま三号にする、やめたとき三号であった人はいまの三号にすると、そういう標準仮定給与にすればいいと思うんですよ。  それと同じ関係でございまするが、このスライドによって訂正していく、金額を増額していくということの実施期間です。これはいまのように、過去のものをあとからするなんというんじゃおかしいんであって、たとえばいまきめられるやつは、去年の古いベースアップを基準にして、そうしていまきめられて、この十月から実施されるということになる。それなんかも一年半おくれることになるんです、実際の物価騰貴と比べて。それはやはり、そういうことはむずかしいことじゃなくって、やろうと思えば簡単にできるわけです。  国家公務員給与は、ことしの春闘相場を見て、そうして人事院が勧告出して、そうしてことしの夏なり秋にきめて、四月にさかのぼってやるから、民間と比べて劣らないように、おくれないようにできているんです。それを年金が、去年の春闘相場を、いま御審議のところにきて、そうしてことしの十月からやるということは一年半おくれる。ですから、一年半はおくれても直すんだからいいよと言われますけれども、それは、給与に対してはおくれるということは、それだけ安いということなんです。一つの会社でも、大企業と小企業とは待遇は違うといっても、五年たてば、三年たてば、小企業でも、三年前の大企業並みの賃金を払っているんです。だから、いつも、一年であろうが二年であろうが、おくれているということが、事実は低いということになるわけです。ですから、年金制度におきましても、スライド制を実施する以上は、半年でも一年でもおくれてはこれは修正したことにならないんですよ。ですから、やっぱり、公務員と同じように、一年半取り返していまのやつはことしの四月、それでもまだ一年おくれですから、とにかくある期間に、二年分をきめて、そうして実行するというようにしませんと、この点はもうスライド制が、時期がおくれれば、そのスライド制の意味をなさないということ。だからそういうことは、財源があるとかないとかじゃなくって、スライド制をするという考えに対して、その時期がおくれるくらいはいいじゃないかというんじゃなくて、時期がおくれるということはスライド制が完全に行なわれないことだというふうに御理解を、そこの点をお願いせにゃならぬと思います。ですから、これは公務員に準ずべきじゃないかと思います。  それから最後に一つ農林年金につきましても、共済組合の組合員は退職をすれば、そして受給者になれば共済組合の組合員たる資格がなくなるんです。だけど、こういうこともなぜ必要であるかどうかというんです。話は逆じゃないかと、二十年間忠実に規定どおり掛け込んだ人こそ発言権を持つべきであって、まだ入ったばかりで、一月か二月か掛けない人が発言権を持つということは、矛盾もきわめてはなはだしいことじゃないかと思うんです。このことは、これこそ財源要らないのですから、これこそ私は参議院で御決議願って——それも衆議院で済んでおればめんどくさいから、いまから間に合わないから、せめて来年から。ことしは、附帯決議ぐらいにしておいていただいて、来年からに。これは、いかに大蔵省といえども、文句ないんじゃないかと思うんです。これは単に空理空論ではなくて、たとえば福祉施設で金を貸すといっても、組合員じゃなきゃ貸さない。組合員の場合は、大体各団体において、住宅資金の貸し出しはみんなあるんですよ。それから、いろいろな宿舎とかクラブ等をみんな各地に持っていますね、福祉施設を。あれなんかでも、規則からいきますと、受給者は利用する資格がないんですよ。便宜、組合員に準じてやってもらっている。それなんか逆である。現役の人は、みんなそれぞれ厚生施設を持っているんですよ。やめたらその厚生施設が利用できなくなる。この福祉施設なんということこそ受給者本位に考えなきゃならない、そういうことがある。  ですから、私、考えてみますると、さっき申し上げましたように、古い先輩を、意識的にじゃないが、結果から見れば、そういうような不つり合いなことができておるということは、やはり農林年金組合に受給者が発言権を持っておらないということとも関係があると思いますので、ぜひこの点は、金は要らないですから、運営からいっても非常にいいと思うんです。実際問題として私たちも現役につとめておりますときには、あまり大きなことは言えないのです。私どもが、現役時代にいま申し上げるようなことを申し上げたらりっぱなんですけれども、その時分は年金のことなんて眼中になかったわけですよ、実際は。ほんとうは、一部の人にまかせっきりであったわけですから、いまになって同僚のことを見ますと、非常にそういう点で私ども、現役時代の責任を感じているようなわけでございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  10. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ありがとうございました。  それでは、参考人に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 足鹿覺

    足鹿覺君 すわったままで失礼さしていただきたいと思います。先生方もすわったままでけっこうです。  最初に、安藤先生に若干お尋ねをいたしますが、このたびの改正案につきまして具体的に御意見を承ったわけでありますが、さらに一歩突っ込んでお願いしたいわけです。農林年金制度は、御承知のように、厚年から分離して今日に至っているわけなんです。したがって、恩給とは全く関係がないわけでありますが、にもかかわらず、今度の改正で旧法については恩給に準じて改正が行なわれておる。これを妥当とお考えでしょうか、その辺の御判断を最初に一つ——二つ三つ重ねて申しますから、時間の節約上。これが一点でございます。  第二の問題は、共済組合の各年金は、最低保障額が問題になっている。その計算の根拠は、厚生年金の計算上の最低額を適用しておるようですね。このために、退職年金では三十二万一千六百円、月額に直しますと、二万七千円足らずになるようですね。社会保障制度として、共済組合の最低保障としては、きょうび二万七千円じゃとても問題にならぬと思うんです。そういう意味から、公的年金の最低保障額はどのようにきめるのが妥当であるか、という問題、私ども時間がなくてあまり深く勉強ができませんので、これは基本問題というんじゃなくて、まず。これ二つ最初にお尋ねして、あと若干……。
  12. 安藤哲吉

    参考人安藤哲吉君) お答え申し上げます。  お答え申し上げる前に、私、先ほど申し上げたことに一楽先生のほうからだいぶ御批判があったように私、承ったわけなんですが、ちょっとそのことと関連いたしますので……。  私もいろいろ自分考え方とか、そういう自分の理想とするところは持っておりますけれども現実考えておるという、客観的に考えておるという、こういうことでございまして、まあどこの国でもフラット年金というものを——そういう国民的コンセンサスがあるところでは、全く加入期間とか、あるいは拠出、掛け金の多寡にかかわらず、フラットな年金を支給しているという国もあるわけでございまして、そういう国民的コンセンサスが成立するならば、わが国においてもそういう制度がとられてしかるべきであろう。ただ現実の問題といたしましては、どこの国でも、フラット年金では給付水準がどうしても低い。それで満足できなくて、その上に所得比例年金というのを設けておるわけでございますが、どこの国もやはりインフレーションという問題がございますし、個別の事業体の経済力というものは、経済変動によって影響を受けますので、したがいまして、やはり所得比例年金も公的な年金として運営されておる、こういう事実があるわけでございます。したがいまして、なかなかわが国におきましても、そういうものが一体となった制度厚生年金なり共済組合としてあるのではないかということで、私はそういう現実に立って考えておるということを一つ申し上げておきまして。そうして、ただいま御質問いただきました第二の点のほうからお答え申し上げたいと思うわけでございますけれども、一体、農林年金というものがどういう性格を持っておるのか、ということと関連するのではないか。つまりよくいわれておりますことは、つまり農林年金の研究会等に参加して事務当局、あるいはその関係団体の方から伺うところによりますと、やはり社会保障プラスアルファである、農林漁業団体の、その職員の福利厚生というものを総合的に、全国的にこれをはかっていくという立場に立っている、こういうお考えのようであります。そうするならば、基本的にはやはり社会保障の部分が最低的には確保される必要があるんではないか。そういたしますと、ただいまそうした場合、社会保障とは何ぞや、ということになってまいりますけれども社会保障年金ということでわが国で言うならば、やはりこれは、一般民間企業の賃金俸給生活者を対象にしております厚生年金ということになるのではないかというふうに思うわけであります。  そうしますと、厚生年金におきましては、御承知のように、定額部分プラス報酬比例部分、そのどちらもこれは期間比例になっておりまして、したがいまして、報酬は御承知のとおり、最低月額二万円というのが標準報酬の最低でございますが、これを基準にしまして計算いたしますと、二十年から三十年の間で変わるわけであります。しかし、その部分は、これは完全に保障されるわけでございますから、したがいまして、共済組合のこの最低保障額と申しますのは、厚生年金で申しますならば、加入期間二十年、そうして平均標準報酬、つまり加入していた期間の全体の平均、これは再評価したものということになりますが、これが二万円だと、こういう仮定で計算をいたしまして、さらに扶養家族が妻と、それから子供が半人ですね、つまり〇・五人の子供がいる。こういう仮定ではじき出したものが、この共済組合の最低保障額でございます。  したがいまして、もし、その加入者が、三十年ということになりますと、厚生年金社会保障年金としましては定額部分三万円、そして報酬比例部分六千円、そうしまして奥さんの分が二千四百円、子供半人分四百円加えますと大体四万円になるわけであります。それと、そうしますと、四万円の十二倍でございますから四十八万円というのが三十年加入者の最低保障ということになるわけでございまして、そういう点から考えてみますと、社会保障的な性格厚生年金と関連させて考えるという考え方からいたしますと、こういう一番最低のところをつかまえて設定してあるというところに、考え方としては問題が若干あるんじゃないかという気がいたします。  しかしながら、共済組合の場合には、今回の改正最終俸給に近い退職前一年間俸給を使用するということになっておりますので、具体的にはじき出しますと、どういうことになりますか、私ちょっと計算しておりませんのでわかりません。しかし、厚生年金の三十年加入者の場合を農林年金加入者の三十年加入者が下回る場合もあり得るのではないか。そういう場合にはやはり社会保障プラスアルファの年金制度としては、若干問題があるのではないかというふうに考えます。  それから、立ち戻りまして、第一点の旧法についての問題でございますけれども、この農林年金共済組合を——共済組合というのは、これは農林年金ができた時点におきましては、民間対象としましては私学共済があるだけだった。あとは公務員関係と公共企業体だ。公共企業体とかあるいは公務員共済組合は、やはりこれは恩給を引き継いでおりますから、どうしてもそうした恩給とそれから昭和二十四年から始まっております旧共済組合の長期給付、これを引き継いでおりますので、そうした規定というものを、やはり在職時代の掛け金の相違というものに準じて格差を取り入れているようであります。それは共済組合という制度を採用したために、これをならったのではないか、というふうに思うわけでありますが、だからといって、これが農林年金において現時点において妥当であるかどうかという問題とはこれは別個の問題であろうと思います。  ただ、しかしながら、その現実の問題といたしましては、この共済組合という名において公務員共済組合と同じように行動し、そして法律改正も全く各国会において同じように提出されている。こういう状況におきまして、この旧法を全く新法の取り扱いに直すということが、あとで農林年金にその不利を招かなければそれはよろしいかと思いますし、また、事実問題といたしまして、ちょっと数字を聞きましたところでも、この旧法の適用を受けている方を直すのに、たいした人数もいらっしゃらないと。二百人ぐらいとか伺いましたし、そういう意味では、これは農林年金が、共済組合という、共済組合一般という立場ではなしに、農林年金の独自性において、その組合員団体が、それこそ先ほど言われた先輩の労を謝するというような意味におきまして、これを改正されるということは、あるいは恩給との関係をなしに可能ではないであろうかというふうに思うわけであります。ただ、ほかの厚生年金と比べますと、厚生年金はどうしましてもそのずうたいが大きいものですから、そして費用もかかるものですから、なかなか定期改正という形で自動スライド制という形にはなっておりません。  先ほどいろいろ共済年金にも、いわゆる年金改定の時間的おくれがあるという点を指摘されまして、私も、何度かそういうことを、共済関係あるいは社会保障関係の雑誌に書いたことがあるんでありますけれども、しかし、厚生年金から比べますと、毎年これは改定がなされている。  厚生年金は、御承知のように、昭和二十九年にその新法ができて昭和四十年までほとんど改正がなかった。十一年間ほったらかしでありました。そして四十四年にもう一回改正があって、それからだんだん幅が狭まってきまして四十六年、四十八年となってまいりましたけれども、やはり共済組合に比べますと、既裁定年金者の改正というのはかなり立ちおくれております。そしてそのタイムラグのところの保障というのが全くなされていない。  公務員年金のほうは、昭和四十四年の改正のときにも積み残し分を積み残した。それから四十五年からあとの改正におきましては、御承知のように、物価上昇分はまるまる保障する。そしてそれといわゆる職務給に相当する分、つまり公務員給与のベースアップ率マイナス物価の上昇率、これの六掛けの分とそれから物価上昇分を保障する。たとえば一〇%のベースアップがあって、五%物価上昇だとしますと、五%はまるまる見ます。あとの一〇%マイナス五%、これの六掛け、つまり三%、先ほどの五%と合わせて八%。これは年金改定を行なうという形で進んできたわけでありますが、昨年の改正によりましてこの一〇%まるまるを今度は改正する。しかも、前に八%しか改正しなくて二%残っていた。これは例でございますけれども、これも今年と来年でこれを埋めていくという、こういう形でありますが、厚生年金はそういうふうな考慮は全く払われていない。過去の分は全く切り捨てる。  そういう点が、恩給、共済年金に準じまして全く同じ取り扱いで農林年金において行なわれておるわけでありますので、そういう比較の意味におきましては、現在もらっていらっしゃる方としては、非常に少なくて御不満かもしれませんが、厚生年金と比べれば有利な取り扱いである。だから、それでいいということではございませんが、それを新法に直すということが、今度、農林年金の改定が国会等に提案されましたときに、その財政当局がどういう反応を示してくるかというところが、懸念と言えば懸念ではないかというふうに考えます。  たいへん長くなりましたが……。
  13. 足鹿覺

    足鹿覺君 ありがとうございました。専門の先生ですから結論だけ言いますが、第三点に伺いたいのは、退職一時金制度をどのように位置づけたらよろしいか、ということについて御見解をひとつ承っておきたいと思うのです。というのは、通算退職年金制度が充実してまいりまして、退職一時金制度が何か置き去りにされたようなかっこうではないかと思うからであります。これが第三点。  それから、私はいままでもいつも考えておるのですが、年金制度は、組合員のだれにでも、すぐわかりやすいものでなければならぬと思うのです。自分が、何ぼかけて、何ぼもらうのかさっぱりわからぬ。こういうことでは、生活設計にも支障がきますし、よろしくないと思うのです。自分で計算ができる能力のある人はおそらくないと思うのです、専門家にかけなきゃ。これは私はおかしいと思う。いま先生も触れられましたが、先ほど来、厚生年金の場合には旧法と新法との区別がなく、全く新しい方式年金額が計算されるようになった。共済のほうでは、制度にも新法と旧法と区別して、別々に計算を行なうというそういう体系がこういうことを招来しておるのではないか。自分のことだから一生懸命調べたらいいだろうということになりますけど、なかなかそうはいかない。何か、もう少し、この組合員が、自分ではじき出せば、大体この程度だと。こういうような単純な仕組みにすることが、私は、いいんじゃないかと常々思っておるんですが、何かいいお知恵がないものでしょうか。そういうことを伺ってみたいと思います。理由は、先生も専門家ですからこれ以上申し上げません。
  14. 安藤哲吉

    参考人安藤哲吉君) 最初二つの点をお尋ねいただいたと思うんでございますが、まあ、全体としましては、第三番目のほうの退職一時金の位置づけの問題ではないかというふうに考えるわけであります。この退職一時金は、本来、年金のつかない方に、掛け金の割り戻しという形で設定されたものだというふうに私、いろいろの文献で承知しておるんでございます。で、そういう時代におきましては、いわゆる通算年金制度ができる前におきましては、確かに年金のつく機会のない方に、全くそのまま放置するということは、これは問題でございますので、そういうふうな退職一時金という制度意味があったかと思うんでございますが、通算年金制度ができて、ともかくその労働年齢期間中就業していれば、年金はどこかでつく。こういうふうな形になった現在におきましては、その社会保障的な部分としての退職一時金というものは、私、不要ではないか。ただ、共済組合が社会保障プラスその福利厚生と——福利厚生の中身が問題でありますけれども、労務管理的な意味も持つということで考えるならば、各団体でやっておられる退職金制度というものを、これに吸収し、そして退職一時金というものの支給率を上げるか、あるいはそれは各団体にまかせまして、退職一時金というのはこれはないと。つまり、共済組合の農林年金のその福利厚生的な面というのは、年金給付の面において、その社会保障年金を上回るということに意義を見出すんだ、ということになりますならば、退職一時金というものが実質的に形骸化しておりましても、それはそれで一つ理由はあるんではないか。問題は、ですから、その退職一時金というものを、どのように農林漁業団体でお考えになり、農林年金に吸収するかいなか、そういう点ではないであろうかというふうに私なりに考えるんでございますが、この点ちょっと実情等は、よく承知いたしませんので、あまり確信を持ったお答えではございません。  それから四番目の点は、たいへんむずかしい点でございまして、これは経済が——掛け金給付関係が複雑ではないかということは、もう御指摘のとおりで、私なんかもおそらく共済組合に入ったら、何だかわからないというふうに思うんでございますけれども、問題は、やはり経済が非常に変動的であって年金改定が行なわれている。しかも制度が複雑で、旧法、新法に分かれていると、こういうふうなことによるわけで、もうそれは御指摘のとおり財源が許すならば、これは新法の扱いに一本にしまして、そしてともかくその規定の計算どおりやれば、給付額としては一応わかるという形になるのがこれは一番望ましいと。ただ、掛け金との関係と申しますと、これはその非常に何といいますか、経済が変動しておりますので、経済がいま静止しているという状態で考えてバランスがとれるように計算してあるのが、この農林年金の数理的、保険料というものでございますけれども。それでいけば、その追加費用といいますか、整理資源なんか必要ないわけでありますが、実際には、その掛け金、給料といいますのは、たとえばちょっとここにございませんが、こういう場合、グラフを書かしていただきますと、たとえば二十歳のところの給料を一にしまして、五十五歳のところの給料を三といたします。そうすると静態で考えますと、ずっと二十歳から、一から三にこう上がっていくような形で掛け金をかけていきまして、最後の三に上がった給料をもとにしまして、加入期間に相当する支給率をかけてこう出す。そうしてその方が平均的に生きる年数を考えまして、そして掛け金給付との関係が、バランスをとれるように計算してあるというのがこれが数理的保険料。  ですから、経済が全く静態的で予定どおりにいきますならば、それで十分なはずでありますが、ところがベースアップがありますから、二十歳のときは確かに一だったですが、五十五歳のときにいったときには、三ではなしに、それこそ二十も四十もいっているというのが、現在のインフレーション過程であります。そうなりますと、掛け金は、たとえば一番最後の給料が三十ということであれば、一番静態の計算過程では、初任給が十でなきゃならなかったはずであります。十から三十に上がるという形で掛け金をかけていれば、これは給付をまかなえるはずでありますけれども、ところが一から出発して三十に上がってきたわけですから、そのギャップの部分は、これは元利合計とも不足になってくる。こういう形でこれは収支の関係というのは、もう実際には個人的に計算します場合に、非常にむずかしい問題で、したがいまして、給付のほうだけ確定できるような単純な制度になることは一番望ましいというふうに、それは御指摘のとおりかと存じます。以上でございます。
  15. 足鹿覺

    足鹿覺君 最後に先生にもう一、二点伺っておきたいと思うのですが、先ほどの御所見、この私学関係のお話がありましたが、全く同感で、もう何年も何年も、このことは国会で私、主張してきておる。去年は特に、この委員会で、満場一致の附帯決議を冒頭につけまして、それで私学は、都道府県補助をもらった上に、さらにまた、財政調整のために、その私学振興財団からの受け入れもしておる、それは私学の一つの特殊な形態ですけれども。先生が先ほどおっしゃいましたように、国の補助とは別に、都道府県から千分の八相当のものが私学に出ておるのなら、当然、農林漁業団体職員に対しても私は、当然出すべきだと思う。で、この間も、農林省を呼んでその予算折衝の際の模様を聞いてみたんですけれども、全く熱が上がっておらぬのですね。大臣折衝にまでよう上げておらぬ。局長段階でもうおりてしまっておるんですね。これではもうとても問題になりません。やはり附帯決議は与野党満場一致の提案であり、われわれの間違った見解でなくして、先ほど先生から学者としてのお立場からも御主張になった点で、非常に意を強うしたわけです。  きょうは、政府が一人も——まあ、山本次官が席にいて、耳を傾けていただいて、私は、非常にごりっぱであり、ありがたいと思うんですが、大体一番問題は、大蔵省関係が、ここへ来ておらぬことです。これから参考人を呼ぶときは、委員長ね、お話を聞くときには、実務担当者を呼んで、そして聞かしておかぬと、きき目がぬるいと思うのです、せっかくのものが。今後はそういうふうにひとつ。おまえらだけ聞いておれ、議員だけ聞いておれ、といわぬばかりの態度はけしからぬと思うのです。こういう点について、参考人意見聴取の際の運営については、後日、理事会ではかっていただいて、そして、もう少し実務担当の中心に立つ連中に、よく耳の穴をほじくって聞いておかせるようにしたほうが私はいいと思う。これは余談ですけれども。まことに何か議員だけ聞いておれ、といわぬばかりのような態度では。これは山本さんには、先ほど申し上げたように感謝しておりますから。さように部下にも御督励を願いたいとこう思います。  それで、賦課方式の問題は、先ほどから出ておりますから省略いたしますが、農協労連やその他働いておる労働者のほうから、先生、掛け金負担割合で相当このごろ意見が出てきておるんです。それで、これをつくったころは、やっぱりまだ農林漁業団体といえども、なかなか基盤が弱かった。このごろは大きく合併もしておりますし、事業実績も相当伸びておりますので、組合側、いわゆる団体側で持つべきでないか、中には七—三ぐらいにせいというような意見も出ておるのですが、折半負担が妥当なのか。ある程度これはやっぱり社会保障的な方向の性格を強くしていくことが方向として正しいとするならば——やっぱり無拠出制度のものにも切りかえがなかなか容易でないとするならば、私は、ある程度これは折半負担は是正されなければならない段階にきておるのではないか、こういうふうにも思えるんですが、そういったことについてひとつ御所見を承って、先生に対する質問はこれで終わります。よろしくお願いします。
  16. 安藤哲吉

    参考人安藤哲吉君) 御質問といたしましては、いまの掛け金負担割合の問題ではないかと思うのでございますが、その前にお触れになりました都道府県補助の問題でございますけれども、これは、農林年金私学共済との均衡において、という意味で私申し上げたわけでございまして、しかし、国民一般という立場から見ますと、まあ、かなりいろいろ問題がありまして、したがいまして、農林水産関係の方々の間では、御意見の一致がありましたとしましても、一般国民感情というものもやはりよく御考慮いただいて、妥当な線でお考えいただくのが適切ではないだろうか。この点につきましては、全く研究者としての立場じゃなしに、一民間人といたしまして感じますところは、米価の引き上げあるいは鶏卵の生産制限というようなことになりますと、一体、われわれが納めた税金がそんなにそちらのほうに流れるということについてどうだろうかという、こういう国民感情もございますから、これは、農林省並びに農業団体が常に国民福祉のために、日常生活のために相当やはり犠牲を払っても貢献している。したがって、その面においてこういう補助が必要なんだと、こういう説得力がないと、やはり非常にこの関係のところでは満場一致を見ましても、なかなかそういう点でむずかしい問題があるのではないかというふうに、これは一民間人として考えますので、そういう点ちょっとつけ加えさしていただきました。  それから御質問の掛け金負担割合の問題でありますが、これは長期的な問題と短期的な問題というふうに考えることができるのではないか。つまりILOの労働費用分類等を見てみますと、いわゆる労働報酬といいますものは、かなり包括的なものでございまして、その賃金・俸給のほかに、いろいろのフリンジ・ベネフィットということばが最近使われておりますが、つまり賃金・俸給の周辺にある給与でございます。その中に有給休暇とか、あるいはいろいろの福利厚生費なんかが入っておりますが、その中に事業主負担社会保障掛け金あるいは事業主負担の任意的な社会保障掛け金、こういうふうなものがやはりその中に入っておるわけであります。したがいまして、それが全体が労働報酬なんだ。ですから、何といいますか、一回賃金という形で渡しまして、その中から出させるか、あるいはもうあらかじめ社会保障拠出金のうち、何割かをこの賃金から取りまして、そいつを国なりあるいは社会保障を運営している団体に納めさせるか、こういうふうな相違ではないか。したがいまして、労働組合それ自体が全体としての報酬に関心を持つようになるならば、どういう支出、拠出の形態がいいのか、こういうふうな問題になってくるのではないだろうか。  ただ、伝統的に、わが国におきましては、ドイツの社会保険を移入いたしまして、その折半負担ということが一応支配的な形態になっておりますけれども、国によりましては必ずしも折半負担ではない。しかしながら、それを、私、長期的な全体的な観点から見ますと、別に、国庫負担でありましても、その金は国民の税金から出ているわけなんでありますから、そういう意味で、どういう拠出形態が制度的な観点に立って望ましいかという、こういう考え方ではないだろうかと。そういたしますと、これは働く者の側に立てば——私なんか、これはちょっと労働団体と反対の主張なんですけれども一般に言っておられることと。労働団体が主張されておるところは、むしろ、事業主が全部負担する、あるいは事業主と国が負担する、こういうふうな御見解でございますけれども、私が考えますのに、国が負担するといったってわれわれの納めている税金である。事業主が負担するといったって賃金のうちから——それは利潤から負担するものじゃなしに労務費としてコストに落としているものじゃないか。それは賃金だ。それならば、われわれが、一回賃金でもらって全部出して、そして発言権を労働者は持ったほうがいいんだ、こういう主張もできるわけでございますね  それから、逆に考えれば、これはどうせ労務費なんだけれども、全部事業主が負担することによって、これは恩恵的な色彩をこれに付与することができるんだと言われるならば、事業主の方が、一般に折半だというふうに固執されないで、全部お持ちになったらいかがかというふうにも私は、ちょっとあまのじゃく的に思うわけでありますが、実際上は私は、これは賃金である、広い意味の賃金だというふうに理解しております。したがいまして、どういう負担形式がいいかということ、これは何と申しますか、労使関係の何と言いますか、安定、そして産業平和の維持ということで考えますと、そういう一方的な労働者全額負担、経営者全額負担ということではなしに、やはり、この中間的な負担割合ということに落ちつかざるを得ない。そこで、それが実際に農林年金の中におきましても、また厚生年金の適用事業においてもそうでございますが、団体交渉力の強い、あるいは事業主がその従業員の福利厚生に強い関心を持っている企業では、法律上は折半でありますけれども、事実上は半分以上を事業主が負担しております。  そういう形になりますと、団体の支払い能力の差異というのができてくるわけでございまして、その点、まあ、問題でございますけれども、これを七—三にしました場合に、確かに、短期的には負担というものは事業主に重くかかり、そうしまして被保険者側あるいは組合員側の負担は軽減いたしますけれども、いまのようにインフレーション過程で、ベースアップのところでその点が押えられてきますと、結果的にはそう変わらないものになってくるんじゃないか。そういう面で、私は、あまり、この割合を七—三にしましても、それが、一体、どれだけの実際的な効果を将来に持っていくんだろうかという点におきましてはちょっとわからないわけでございます。短期的な効果としては確かにあるということは考えられると思いますが、ただ、そのために自分たちは三割の発言権しかないというような、まあそんな考えはないでしょうけれども、しかし、そういうふうなことをちょっと——代議員会等におきましても、これが半数ずつの構成ということであれば、やはり、財源面においても大体半々というのが妥当じゃないかなあというふうな気が私はいたしております。  お答えが長くなりまして申しわけございません。以上でございます。
  17. 足鹿覺

    足鹿覺君 たいへん自由な立場から思い切った御発言を聞いて私どもも非常に得るところが多かったと思いますが、一楽さん、先ほどあなたが述べられたことで、大体私どもが聞きたいと思ったことは言われたように思うんですが、まだ言い足りないと、もうちょっと受給者代表として言いたいと——私は、あなたはまたあるんじゃないかという気がするんですが、あったら、この際、ひとつ、ぶちまけて、洗いざらい出してもらうことがいいと思うんですが、いかがですか。
  18. 一楽照雄

    参考人(一楽照雄君) 大体申し上げたつもりですけれども、おわかりいただいたかどうか——言い方が、ことばが非常にまずいものですから。いま申し上げたように思っております。  要は、繰り返しになりますが、社会保障的なものに徹するビジョンを持っていただいて、それに可及的すみやかに近ずくようにやっていただきたい。農林水産委員会としてじゃなくて、私は、むしろ国会議員として国政全体についての感度もあわせ持って——現実問題として、私がそう言ったって、いまの、この国会でどうこうなるものでもないので、せいぜい附帯決議にして置いて、来年でもやってくれ、こういう事務的なことしかできないわけです。ですけれども、やはりそうしませんと、何だかめんどうくさいなんというような——あえてめんどうくさいことにしているじゃないか。私が言いますように、国民の一定の最低生活といいますか、そういうものをひとしくみんなに均てんさすということに、国の財政なり強権は発動すべきであって、そしてそれ以上の、わしは月給が、どうの、こうのと、それだけじゃ生活できないから——いわゆる所得比例部分的なものなんかは、そんなに国の財政負担までしなくてもいろいろな方法でやればいいのじゃないか。そこの区別をはっきりしないで、それをチャンポンにしておることによって、いわばむだな国費も使っておるし、制度もいたずらにめんどうにしておるし、そして賦課方式だとか、積み立て方式だとかということになっている。いま私が申し上げました、国があまり関与しなくてもいいというほうは、これは積み立て方式になるのは当然です。  しかし、国が、老後の人の生活を保障するというものは、後代負担が当然のことなんです。それが常識なんです。それが将来負担をどうするか——われわれが二十年、三十年働いて死んだからといって、われわれが働いたものはみんな残していくのですから、あとの人はみんなそれで利益するじゃないですか。この国会議事堂だって、つくったのは、いま働いている人じゃなくて、ぼくらの代に、二十年前にそのときの税金でつくった国会、それをいまの人はみな御利用になっている。ですから、この後代の者が、先代の者を養う、負担をする、これは当然のことなんです。一軒のうちにおいてだって同じなんですよ。子供が親を扶養するというのは同じです。そして、子供の月給が上がったから、子供の月給が三割上がったから、おとうさんに対する小づかいは、これは三年後に上がるのだとか、一年半後だとか、こんなばかなことありますか。今月から月給が三割上がったから、おとうさんに対する小づかいを三割上げるというのが当然じゃないですか。もう少し皆さんが——私は、事務屋ペースだとか、学者ペース、それは必要ですよ。それを前提として、常識的な、公正妥当なものをどっしりと持った上で、学者的な、技術的なこととか、事務的な技術的なものを打ち立てていかなければならない。どうも専門学者のペース、お役所の事務当局のペースから、国会の機能がどうも不十分にしか発揮されていないということを私は痛切に感じ上げますので、ひとつ大いに国会議員の皆さんが、立法府たるの自覚はもちろんお持ちですけれども、その機能をもっと強く発揮していただきたいということを切にお願いします。  どうも抽象的なことで申しわけありませんけれども
  19. 塚田大願

    ○塚田大願君 私は一楽さんに一つだけお伺いしたいのですが、実はここに一冊の報告書があるのですが、これは昨年の八月、農林年金中央共闘会議、農林年金労働組合で出されました「農林年金受給者生活実態」という報告書がございますが、これを見ましてちょっとわからないところがあるので、知恵を聞かしていただきたいと思うのです。  実はこれを見ますと、年金受給者の就業状態というものがまず一つございます。この就業状態というものを見ますと、働いている、つまり受給者で働いているとおっしゃっている方が六一・三%あるのですね。たいへん私は高い比率だと思っております。年金を受けてなお六一%以上の方々が働かなければならない、これは、ここに一つ問題があるわけですが、ところがその就業率、年金額別の就業率というものが次にあります。それを見ますと、これがまた非常にふしぎなことに、年金額の低いほうが就職率が低いわけです。高いほうが高い、就職率が。たとえば十五万円以下の年金の方が四九・五%、七十二万円以上の方が九〇%、どうもこれを見ますと不可解だと思いました。というのは、年金額の低い方のほうがむしろ就職が必要なはずだ。また、それが保障されるようでなければいかぬ。ところが、七十二万以上の方が九〇%で十五万以下の方が四九%、どうもよくわからないのですが、なぜこういうふうになるのか、その辺の、私ども、私にはちょっと理解が、常識的には理解がつきがたいのですが、なぜこういう結果になるのかという点について御所見がありましたら、ひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
  20. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 時間の関係がありますので、簡明にひとつ。
  21. 一楽照雄

    参考人(一楽照雄君) 調査をしておりませんので全く想像でございまするけれども年金の少ない人は働く必要がないからでなくして、必要はその人たちが多いのです。しかし、働き口がそういう人は得られにくいということじゃないかと思います。そうして私の想像では、この傾向は農林年金受給者だけでなくて、厚生年金やそちらにもおそらくそういう現象があらわれているのじゃないかということを感じております。要するに、幹部になればまた転職の先があるけれども、下のほうの人は、そういう状況というのが一般的なんじゃないかと思います。
  22. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 他に発言もなければ、参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、長時間にわたり本委員会に御出席をいただき、貴重な御意見を開陳していただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  23. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を起こして。  それでは引き続いて農業者年金基金法の一部を改正する法律案農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案、以上二案を一括して議題とし質疑を行ないます。  両案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
  24. 工藤良平

    工藤良平君 それじゃ、私は最初に、農業者年金制度の問題についてまずお聞きをしてまいりたいと思います。  この農業者年金制度ができましてからもちろんまだ日が浅いわけでありますけれども、このたびこの改正案が出されたわけです。この改正案は、主として公的年金の額がそれぞれ引き上げられてきた、それに対する均衡をはかる、こういうようなことから、全体的に改正というものが出されたような印象を受けるのであります。けれども、もっともっと根本的にこの問題について検討する必要はなかったのかどうか、その点、過去の、農業者年金制度設立以来今日までの経緯を踏まえながら。この点、まず、政務次官にお伺いをいたしたいと思います。
  25. 山本茂一郎

    政府委員山本茂一郎君) 農業者年金制度は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金給付等を行なうことによって、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与するとともに、農業者の老後生活の安定及び福祉の向上に資することを目的として昭和四十六年一月に発足したものであります。これは御承知のとおりであります。農業者年金制度はこのような発足以来三年を経過いたしまして、昭和五十一年一月からは経営移譲年金給付が開始されようとしているところでありますが、昨年、厚生年金保険をはじめとして公的年金制度改善が行なわれたこともあり、本制度についても年金給付水準の引き上げ等が必要となっているほか、本制度の実施過程において改善を要すべき問題も出てきておりますので、これらを踏まえまして本制度改正を行なうことといたしたわけでございます。
  26. 工藤良平

    工藤良平君 この農業者年金制度の設立というものが——国民年金制を実現をしたいということから国民年金制度ができたわけですね。ところが、この国民年金制度でまいりますと、これは、きわめて低い年金制度のように私は感ずるわけであります。    〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕 したがって、本制度の設立というものが、少なくとも他の公的年金、いわゆる国家公務員、地方公務員をはじめといたしまして、他の公的年金制度にやはりできるだけ近づいていくという、本来の年金の任務を持つと同時に、さらに、いま政務次官からお話がありましたように、農業生産をになう優秀なにない手を確保する。こういうような一つの任務を新たに持たせるという意味から本制度が設立されたと私は理解をするわけです。本法案の設立の際に、私どもはこの論議に参加をいたしておりませんでしたが、いままでの経緯をずっとたどってみると、そのようなことが目的として出てきておるようでありますが、そのようなことであるとするならば、なおさらのこと、今回のこの改正案というものでその目的を達成することができるのかどうか。この点、私は非常に重要な問題だという気がいたしますので、その点についてはもう少しひとつ、これは局長のほうがいいかもわかりませんけれども、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  27. 大山一生

    政府委員(大山一生君) この年金制度が発足いたしますときに、いろいろと研究会あるいは審議会等におきまして御意見を賜わって、この原案ができたわけでございます。この年金ができます際に、国民年金審議会におきまして、農業者年金制度の骨子というものができているわけでございますが、その骨子によりますと、給付水準というものは、年金財政との関連できめられることになろうけれども、この制度を効果あらしめるためには、厚生年金程度水準にする必要がある。具体的に言うならば、当然加入の対象となります農業経営主の農業所得を基礎といたしまして、厚生年金の例によって算定されたものが基礎となるであろう。こういうふうなことで、いわば厚生年金並みの水準ということが一つの基準としてあったような次第でございます。  そういうことを背景といたし、そしてまた、先ほど先生が言われ、また政務次官からも御答弁申し上げましたような、いわば農業経営の近代化、農地保有の合理化、こういう問題との関連におきまして、いわば経営移譲というものを支給条件とする年金制度という組み立ての中において農業の合理化をはかってまいる。その合理化問題ということは、いわば優秀な若い経営者を育成するとか、あるいは規模の拡大であるとかいう問題が老齢年金と、老後の生活と密接に関連するということから、不幸にして経営移譲ができなかった方に対しても持ち出しの出ることにならぬようにというような仕組みでこの制度ができているわけでございます。  そこで、この制度につきましては、その後三年経過いたしました。そして三年間の間におきまして、いま政務次官がお答えいたしましたように、他の公的年金制度改善があった、あるいは自動スライド制といいますか、スライド制の導入というようなこともあって、それで最近のような情勢の中におきましては、財政計算期間の間におきましても実質的な給付の価値というものを維持せねばならぬと、こういうようなことからスライド制を入れたわけでございます。  さらにまた、農業者の問題として大きな問題でございます出かせぎという問題がございます。出かせぎに出ますと、雇用者保険に入るというようなことから国民年金の対象でなくなる。そういうことが逆に、したがってまた農業者年金の資格がなくなる。こういうことになってまいりますと、出かせぎの実態というのが、いわば農閑期を利用して他に就業し、そしてまた農業をやってまいる。こういうふうなことからいたしますならば、やはりそういうかっこうで資格がなくなるのは気の毒ではないか。それならば、そういう出かせぎ者に対する体制というものもひとつ打ち立てなければならぬのではないだろうか、こういうようなこと。それからまた、農家の方々からの希望のございます前納割引制を入れてほしいというような希望。それぞれのそういったようないろいろの御要求に応じまして、この改正をいたした次第でございます。  何と申しましても、四十六年一月に発足してまだ三年ということでございますので、基本的な考え方は、当初の考え方を維持しつつ、いま申し上げましたような、いままで出てまいりました実施の過程で改善を要する問題についても対応してまいる。こういうかっこうでこの改正に及んでいるわけでございます。  ただ、今後、将来の問題といたしますならば、衆議院におきましてもいろいろと御提言もございました、そういったような問題につきまして、場合によっては階層制の導入問題をどうするのだとか、いろいろ問題はあると思います。これらの問題につきましては、今後さらに慎重にいろいろの専門家の御意見も聞く中で改善すべきものは改善してまいるという方向で、何ぶんにも長期にわたる、九十年、百年先のことでもあるわけでございますので、逐次改善すべきことは改善してまいるというような方向で今後、対処してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  28. 工藤良平

    工藤良平君 いま局長のお話しのように、確かに今回の改正の要点を見ましても、たとえばいまお話のように、スライド制とかあるいは出かせぎに出た場合の期間につきましても、ただし、これはあくまでも資格取得のための期間算入の条件として認めるというようなことで、まだこれを金額に認めるということにはなっていないようでありますけれども。これは、従来からいたしますと、部分的には確かに前進をした面があると私も評価をいたしたいと思うわけです。  ただ、問題は、なぜそれでは農業者年金制度としてつくったその農業者年金制度が、これは厚生省にお伺いをいたしますけれども国民年金制度というのは、いまの公的年金の中では最低だと私は思うんですけれども、その最低の線にどうにか水準を合わせるというようなことで——一体農業政策としての後継者対策、規模拡大と、こういうような大みえを切ったいわゆる年金制度としての趣旨としては、非常に私は不満な点があるんでありますけれども、この点についてまず厚生省にお伺いいたしますが、厚生省としては、他の公的年金に比較をいたしまして、国民年金が非常に低い。したがって、これは何年かの計画のもとに、いわゆる他の公的年金に匹敵するような充実をはかっていくのかどうか、その見通しがおありであるかどうか、まずその点からそれじゃお聞きをしてまいりましょう。
  29. 持永和見

    説明員持永和見君) 国民年金関係でございますけれども、実は昨年の国民年金制度改正は、厚生年金制度改正とあわせて御審議をお願いしたわけでございますが、この改正に関する国民年金考え方でございますけれども、いわゆる厚生年金が、標準的な賃金労働者の人たちの賃金の六割程度年金水準を確保する、こういう発想で厚生年金制度給付水準をきめたわけでございます。が、その場合に、現実に出てくる平均的な受給者の新しく出てきます年金額が、およそ五万円と、こういうような計算がなされたわけでございます。したがいまして、その五万円を踏まえまして、国民年金につきましても、——国民年金は御承知のとおり、自営業者の方とか、農家の方とか、そういう方が入るわけでございますが、この場合には、夫婦二人で加入されるというような実態もございますので、そういうものを踏まえまして、国民年金のいわゆる標準的な年金が、二十五年加入で大体年金額というのを標準的な年金にいたしまして、その二十五年加入の方につきましては、付加年金を含めて夫婦が月額五万円の水準というようなことで、国民年金水準をレベルアップいたしたわけでございます。現実には、従来はこれが二万円年金でございましたけれども、これを五万円というふうにレベルアップしたわけでございます。こういう意味で私どもといたしましては、いわゆる一般被用者の人たちの年金水準、これは厚生年金でございますけれども、その水準をにらみながら常に国民年金についても必要な改正をしていくというようなことを考えておるわけでございます。
  30. 工藤良平

    工藤良平君 これは後ほど農林年金との関連の中でもお聞きをしたいと思ったんですけれども、話が前に出てまいりましたから、また後ほどお伺いをいたしますが、いまお話がありましたこれは、他の年金の六割の確保ということでございますか。ちょっとその点もう少し……。
  31. 持永和見

    説明員持永和見君) 六割と申し上げましたのは、厚生年金の問題でございますけれども厚生年金につきましては、いわゆる現実の被用者と申しますか、厚生年金の加入員。これがサラリーマンでございますから、そういったサラリーマンの人たちの平均的な賃金。平均的な賃金と申しますと、これはボーナスなどを除いたいわゆる定期的な賃金、これを厚生年金では標準報酬という形でとらえております。その標準報酬という形でとらえました全体の厚生年金の加入者の平均標準報酬月額、これの、現役労働者のそういった平均標準報酬月額の六割程度を、新しく出てくる人の、これから老齢年金を受けられる人たちの年金水準にしよう、こういうことでございます。
  32. 工藤良平

    工藤良平君 私は、専門家じゃないから、どうもあんまり詳しくわからないんですけれども厚生年金の平均標準報酬の六割を年金として確保する、それに大体水準を合わせると、このようにいまお話のようでありますけれども、そのように理解してよろしいんですか。
  33. 持永和見

    説明員持永和見君) そういうことでございます。
  34. 工藤良平

    工藤良平君 そういたしますと、いわゆるこの厚生年金と、額におきましても大体同一水準になる。このように、それはまあ、言いかえれば、そういうことになると思うんですけれども、そのように理解してよろしゅうございますか。
  35. 持永和見

    説明員持永和見君) 私の説明がちょっと足りない点があったかと思いますが、一応厚生年金につきましては、いま申し上げましたような、そういう目標を設定いたしまして、それで現実に出てくる年金額を出すわけでございますが、その場合に、平均的な標準報酬というのが、昨年の改正時点でおよそ考えられましたのが大体八万円程度でございます。その六〇%ということで大体その四万八千円ないし五万円と、こういうことが出てくるわけです。したがいまして、その場合に、結果として出てまいりました今度は五万円を目標に置きまして、現実厚生年金年金額の算定方式で算定いたしました場合の年金額、それが五万円になるように厚生年金年金額につきましては定額部分というものと、それから報酬比例部分というのがございます。大体およそ半々ぐらいの割りで年金額を構成されておりますが、それぞれの部分について基礎となる数字を設定したと、こういうことでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、定額部分は従来は一年について四百六十円掛けておりましたものを、それを千円まで引き上げたということにいたしました。それから報酬比例部分につきましては、従来は過去の低い賃金の部分、低い標準報酬の部分は、なまの数字のまま計算の基礎といたしておりましたのを、過去の分につきましては再評価いたしまして、現実の経済実勢に合わせた再評価をいたしまして、それに合わせて報酬比例部分の引き上げをはかる。こういうことで両方、定額部分と報酬比例部分のかさ上げをいたしました結果、新しく老齢年金を受け始める人たちの平均加入期間が大体二十七年ということが全体として、マクロ的に予想されましたので、そういう人たちの平均標準報酬、その人たちで平均標準報酬を受けている人が八万四千六百円というような算定が出ました。その人たちの年金額が、奥さんに対する加給分を含めますと五万二千円になるわけです。そういうような計算をいたしました。こういうことでございます。
  36. 工藤良平

    工藤良平君 それで、厚生年金国民年金関係については大体わかりました。  そこで、私のさっきの質問もちょっとまずかったんですけれども、それじゃそれ以外のたとえば地方公務員共済組合がありますね、国家公務員共済組合、それからそれぞれ公共企業共済組合というものがあります。もちろんこれは掛け金その他も違いますが、これらと比較をいたしますと、やはり現在の厚生年金というのは、きわめて大きな格差があるように私は理解をしているわけでありますが、これは具体的に何円ということじゃなくてけっこうですから、おおよそどれぐらいの格差があるか、ということがおわかりになれば、ちょっとお示しをいただきたい。
  37. 持永和見

    説明員持永和見君) 具体的な数字はあとで申し上げますけれども考え方でございますけれども、各種共済、たとえば国家公務員共済組合を見てみますと、国家公務員共済組合は、過去最終報酬の三カ年平均でございますか、そういったもので年金額を計算いたしております。厚生年金のほうは先ほど申し上げましたように、全体の標準報酬を平均いたします。全加入期間の標準報酬を平均いたします。そういう関係で、従来はおっしゃるとおり、確かに相当格差がございましたけれども、実は先ほど申し上げたように、厚生年金におきましても過去の低い標準報酬をなまのまんま年金額の計算にするのではなくて、現実の経済実勢に合わした形で再評価をいたしております。再評価をする計算を今回、先般のあれで取り入れることになりましたので、そういう意味で申し上げますと、今後はかなり格差は縮まるというふうに考えております。  ただ、四十七年度の数字を、手元にございますのを申し上げますと、老齢年金でございますけれども厚生年金が年額で十九万九千七百円でございます。これに対しまして、国家公務員共済組合が四十五万九千円、それから地方公務員共済組合が五十一万八千円、公企体共済が四十八万円、大体こういう数字でございます。ただこの数字はいま申し上げましたように、四十七年度でございますので、現実にこれからは格差はかなり縮まっていくというふうに考えております。
  38. 工藤良平

    工藤良平君 いまお話がありまして、私もこの資料をどこからかいただいたのですけれども、それによると、いまお話しのように、厚生年金が四十七年度十九万九千円に対して、一番高い地方公務員共済組合が五十一万八千円ということで、たいへんな開きがあるわけですね。ですから、私、非常に問題として考えておりますのは、みんなにやっぱりこの年金を、ということは、私は、発想としては非常によかったし、それは正しいと思います。そういうことをやらなきゃいかぬ。百姓にも年金を、ということが実現をされてきた。しかし、現実に見ると、これだけの開きがある。三分の一ですね、以上の開きがあるということから、これをぜひひとつ縮めていこうと。これは、厚生省の考え方として厚生年金改正し、国民年金改正をしていくということで、逐次それは縮まっていく。私は、本来の考え方として、実際に働いているときに格差があり、おまけに年金をもらうようになってまた格差があるということでは、これは私はたいへん大きな問題である。もちろん年金というのは掛け金をかけておりますから、その格差というものは私は全く否定するわけじゃありませんけれども、できるだけやっぱりその格差を縮めて、少なくとも老後についてはある程度の格差の縮小というものが、本来あるべき姿ではないのかという私は疑問を持つものでありますから、そういう意味でのお尋ねを申し上げたわけです。したがって、いまのお話のように、逐次これからそのレベルというものがアップされてまいりまして、今回の改正になりました五万円年金というものの均衡を保っていくとするならば、国民年金というものも、逐次年金らしいものになっていくと、まあこのように私は一応理解をいたします。もちろんこれは不満がずいぶんありますけれども、一応そういう形で理解をしておきます。  そこで、これは今度は農林省のほうにお伺いをいたしますが、この中で特に移譲年金ですかね、六十歳から六十五歳までの分ですね。これは、国民年金厚生年金の差ですね。国民年金給付開始が六十五歳からで、厚生年金が六十歳でしたね、その間に五年ある。したがって、その五年をカバーするためにこの移譲年金をつけるんだと。それで大体厚生年金と、プラスして同じだと、このようにこの制度というものはできているというように私は理解をするわけでございますが。そうすると、それは計数的に計算をいたしますと、大体厚生年金と、六十歳から六十五歳までの間の部分についてはカバーできると、このように理解してよろしいわけでありますか。
  39. 大山一生

    政府委員(大山一生君) いま厚生省から御説明がありました五万円年金考え方、これがまあ、要するに平均いたしまして二十七年、こういうことで計算しているわけでございますが、農業者年金、これはまあ加入期間という問題がございます。農業者年金の場合に、二十七年加入したといたしまして、今度の改正で月額千七百六十円、こういうことに相なるわけでございますので、四万七千五百二十円と、こういう数字が出てまいるわけでございます、経営移譲年金の月額といたしまして。それで、先ほど申し上げました五万円年金といたしましての厚生年金、これは妻の分を除きますと四万九千円。こういうことでございますので、おおむね厚年並みの水準に達していると、こういうふうに考えるわけでございます。
  40. 工藤良平

    工藤良平君 まあ大体、ほぼ六十歳から六十五歳までの分につきましても厚生年金と大体等しくなると、まあそれでやっとこの最低の線の確保はできると、このように私は理解をいたします。最低の線の確保はできる。ところが、この農業者年金の設立当時の四十三年、農民年金問題研究会の提言にありますところの、さっき私が冒頭に政務次官にお尋ねをいたしました、優秀な経営担当者の確保、あるいは経営の拡大のための経営移譲の促進、あるいは農業者の老後の保障と、こういうようなことを密接に関連をさせながら政策的に進めることによって、農地の流動化あるいは離農対策等との政策とも相まって日本の農業の中核的な農家をつくろうと。まあこのような趣旨のようなことがうたわれて、これができたと思うんですけれども、結局、やっと最低のところに届いた、この制度をはめ込んでやっと最低のところに届いたと。こういうことで、それじゃあ、はたして所期の目的であった経営規模の拡大なりあるいは流動化ですね、中核農家の育成というものができるかどうか。私は、どうもいまの農林省の統計を見てみましても、その中核農家というのがだんだんだんだん減っていってるというような、統計をそういうように見てるんですけれども、この点については、間違いなくこの目的に応じて、この年金をつくることによって、確実にそれは定着し、増加していると、このように理解できますか。その点もひとつ数字で示していただきたい。
  41. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 先生の言われましたいわば中核的農家、こういうものの育成確保、これの手段といたしまして農業者年金というものもその一翼をになうものであるというふうにわれわれは理解しておるわけでございますけれども、やはり何と申しましても中核的農家のにない手の育成ということになりますならば、これは各般の施策を要する問題があるというふうに考えているわけでございます。たとえば現在行なっております総合施設資金等の農林金融の拡充でありますとか、あるいは経営技術の指導の強化、あるいはわれわれのほうでやっております農業団地の育成、二次構造改善事業、まあこういったようなこと。さらには生産基盤の整備でありますとか、各種農産物に対する価格安定対策、こういったような問題を総合的に実施して、にない手の育成をはからねばならぬだろうと、こういうふうに考えるわけでございます。  また、今度農振法の改正というものも出してるゆえんのものも、まあこういうことを一つねらいとしてるわけでございますが、そういう中におきまして、確かに先生の言われましたように、ま  自立経営農家といいますか、自立経営農家ということにかりにしぼって言うならば、これは最近その戸数が減っている、たまたま四十七年等の場合においては相当落ち込んでいるというようなことがあるわけでございますけれども、これの中身を見てまいりますと、確かに土地基盤型の農業において自立経営農家の率が落ちてる、施設型のものにおいてはふえてる。こういうふうな実態があるわけでございまして、われわれといたしましてはこういう事実にかんがみて、土地農業型における自立経営農家の育成あるいはこれを含みますいわゆる基幹的農業従事者といいますか、中核的にない手というものの育成のためには、土地基盤、土地条件の整備でありますとか、先ほど申し上げましたような施策をさらに充実する中でこれらの問題に対処してまいる。まあそういうふうなことであろうというふうに考えているわけでございますし、農業者年金につきましても、いままでの約二万円というのが五万円になるわけでございますし、そういうような中において、これも五十一年一月以降経営移譲年金というものの支給が開始される時期になってまいりますならば、こういう意味におけるにない手の育成の一つの手段、有力な手段として機能するであろうというふうに期待するわけでございます。  ただ、何と申しましても、現在ありますのは離農給付金の交付というような経過的なことしかやっておらない段階でございますので、農業者年金基金がいわば農業の向かうべき方向の問題について果たす役割りというものはいまの段階ではまだ微々たるものと言わざるを得ないと思います。われわれといたしましては、五十一年一月以降のこれの本格的実施の段階で、これが先ほど申し上げました諸般の施策の一環として、にない手の育成に強く寄与することを期待しているわけでございます。
  42. 工藤良平

    工藤良平君 私は、これからの日本農業、いわゆる中核的な農家をつくって、それを農村に定着をさせる。それがやはり食糧を確保していく最大の当面の道だと私なりに考えているんですけれども。そういう意味では、いわゆる定着をしていく農家のために、年金制度を充実してやる。それは、よりプラスされたものを——これは自然条件に左右されていく、もちろんそれは農業共済の立場から保障はされてまいりますけれども、しかし全体的な所得の保障なんていうものはあり得ないわけでありますから、これはやっぱり当然プラスアルファとしての何かをつけてやることによって、一方では農村に定着をさせる。こういう立場というものが基本的に必要ではないのかということですね、それが一つ。  それから、——これは一括して私聞きますから、あわせてお答えいただきたいと思います。一方、その規模を拡大をしていくためには、ある程度これは問題になるかもわからないけれども、やっぱり農村の分化というものはおのずからこれは避けて通るわけにはいかない。私はそう思うのです、率直に申し上げると。そのやり方にはもちろん問題があります。問題がありますけれども、しかし、農地を手放して都市労働者になろうという者に対しては、やはりそれなりのまた手だてをやらなければ農村の分解というのは起こってこない。その措置というものが、この「目的」にありましたように、いわゆる経営移譲あるいは離農というものに対する一つの手だてとしてこの離農年金というものを根本的に考えているのかどうか。六十歳から六十五歳までの厚生年金国民年金との差をこれで埋めようということで一応の均衡は保ったと。それだけではこれは話にならないわけでありますから、一体それにプラスどうするのかということ。土地を手放して都市労働者になる、これから厚生年金の対象になる。その厚生年金の対象になった方は、農村をあとにして、土地を手放して残った方に提供していったと。わしは都市労働者になる——いま五万円年金をもらうけれども、土地を手放したその年金というものがプラス幾ら来るから、おれは都市労働者になっていこう、そして、あと残った方に、経営を大きく拡大をしていただこうということになっていくと、日本農業の中核農家というのが私は、生まれてくると思うのですよ。そうじゃなければ、依然としてどんどん減っていって、出かせぎからさらに減少傾向へというのが、これは今後も絶えないのではないかと思うのです。  その二つの面ですね、二つの面からの対策というのはどうなっているのか、ちょっと私も勉強不足でありますけれども、そこら辺をお聞きをしたいと思います。
  43. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 先生の言われます、農村の分化というような問題に寄与するという角度における年金のあり方、こういう問題でございますが、年金をふやすということは、逆に言うと、全部であるかどうかは別といたしましても、掛け金の増加というような問題とうらはらの関係になってまいる問題でございます。  そこで、農業者年金の場合におきましては、これが先ほど来申し上げておりますような政策的目的を持った年金であるということにかんがみまして、他の年金に比べると著しくかなりの国庫負担率の増加ということをしているわけでございます。改正前におきまして国庫負担率が四二・二%でございますが、今度改正いたしましてこれで四二・九%、約四三%の国庫負担率になっているわけでございます。  ちなみに他の年金を見てまいりますと、厚年あたりが二〇%、あるいは国民年金定額分が三分の一ですか、それから付加分が二五%、あと公務員共済等は一五%、私学共済等が一八%、こういうものに対比いたしましてもかなりの高い負担になっているわけでございまして、したがいまして、掛け金に比すればかなり高額の国庫負担をする中におきまして年金額をふやしている、こういうふうなことでございます。  そこで、この年金ができた場合に、どの程度の経営移譲率が期待できるであろうか、こういうふうな問題でございますけれども、これは当初この年金をつくりましたときに、たしか六十歳から六十五歳まで——もしか数字が違っておりましたら訂正させていただきたいと思いますが、過去の調査ではたしか三割であったと思っております。それを三九・八%ですか、まで上げるであろう、また上がるであろうという期待をもってこれに当たって、この年金に対処しているようなわけでございます。そういうふうな、年金としましては現段階において可能な限りにおける高率負担というような中で政策目的の達成に寄与してまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。けれども、やはり何と申しましても、これだけでもって先ほど申されました農村の分化ということのすべてである、すべての契機になるというふうには考えておりませんで、先ほど来申し上げました諸般の施策の強化という中において対処してまいるということであろうというふうに考えるわけでございます。
  44. 工藤良平

    工藤良平君 局長のおっしゃる御答弁、そのとおりです。非常に聞こえはいいわけなんです、正直に言ってですね。諸般の政策と。それはもちろんそのとおりなんです。これ一つだけじゃいけない、諸般の政策と結合しなけりゃできぬということはよくわかるんです。わかりますけれども、しかし、だれだってやっぱり老後の保障というものが一番心配になるわけです。ですから、全体的な年金も、五万円年金を最低として上げようということに出てきているわけです。お互いに公務員であり、私どもは政治家なんですけれども、やっぱり、何とか年金がつくまではなんということを一応考えるわけなんですね。年金がついたら思い切ってやれるぞなんということをだれだって考えるわけです。農業だってそうですね。だから、そこに何らかのプラスというものが、ああおれたちはやっぱり優位なんだということになると、それに対する責任というものを持つ。もちろん中には、おれはもらったからもうやらないでいいんだというような消極的な人もあるかもわからないけれども。しかし、お互いに、身分の安定というのがきちんとなると、それじゃ思い切ってひとつやろうかということで、経営の拡大等も、あるいは危険性があったとしてもやっぱり大きく踏み出してくるわけなんです。したがって、そういうことが私は、全体的な政策の中で必要ではないのかということを実は常々考えているわけなんです。そういう姿勢を出さないと、せっかくこの制度をつくったとしても、対象になっている農家の皆さんが非常に心配で、これに入るかどうかということで問題になるわけでしょう。  当初の計画したこの農業者年金に一体どれくらいの加入率があるのか。目的ほど達していないとするならば、これはどこかに欠陥があるわけでありますから、その点はそれじゃ結果的にはどうなっていますか。
  45. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 加入見込みの御質問でございますけれども、われわれ年金被保険者調査を実施いたしたわけでございます。それで、これは四十七年に実施したわけでございますが、農家戸数が五百三十万、正確に言うと五百三十四万でございますが、その中で、いわば面積要件、任意加入ということも入れますと、内地で言うと三反以上なければいかぬと、まあこういう問題ございます。そういうふうな面積要件、それから五十五歳未満というような年齢要件、それから国民年金に加入しているかどうかというような国民年金加入要件、こういうような問題からとらえてまいりますと、加入資格者といたしましては、二百二十万という数字が出てきたわけでございます。その中で、いわば当然加入というのが百三十二万、残が任意加入、まあこういうふうなことに相なるわけでございます。で、現在のところ、四十八年十一月で百五万五千人の加入ということでございまして、当然加入だけで見るならば六六%の加入と、こういうことに相なっているわけでございます。  この年金のできましたときに、これの末端業務、これは強制徴収というようなことは別といたしまして、一般的な年金者の資格の認定でありますとか、あるいは年金給付事務でありますとか、こういったような問題につきまして、農協なりあるいは農業委員会にこの事務を委託するわけでございます。これらの事務の委託ということに多少時間を食ったことは事実でございます。そういう中におきまして、加入率がまだ先ほど来申し上げたような段階になっているわけでございます。しかし、現在におきましては、その種の末端事務組織というものも整備されておりますので、現在のところ、当然加入者を中心といたしましてまず加入してもらう、そして次いで任意加入者に及ぶ。こういうふうな方向で現在加入の促進をはかっているわけでございます。当然加入でございますから、強制的に入れてしまえばそれまででございますけれども、この種のものといたしまして、かかる強制をもってすべきではなくて、勧誘の中において当然加入すべきものは入ってもらう。こういうふうな方向でいっております結果、まだいま申し上げたような加入率にとどまっているわけでございます。今後さらにこの加入の促進をはかってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  46. 工藤良平

    工藤良平君 さっき掛け金の問題とかいろいろ話が飛び飛びに出ておるわけでありますけれども、当初計画をした当然加入の百三十万というものももちろん達成をされていないですね。任意加入を含めて二百万という目標を立てたけれども、全体で、現在百五万ということでありますけれども、これはやはり当初の目的、たとえば最小限見ても当然加入の百三十万というものを大体いつごろまでに達成をしようとしているのか。あと二年で五年間、当初から大体五年間。あと二年ありますから、五年の間に全部これだけはやろうとか、任意加入を含めて何年間にやるとか、そういうような一つの目標設定というものがあるわけでありますか。
  47. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 当然加入につきましては、五十年までには当然加入者全員に入っていただく。こういうふうなことでございまして、四十九年の予算といたしましては百六十五万という見方をしているわけでございます、任意加入を入れまして。
  48. 工藤良平

    工藤良平君 いずれもこれは当然加入の者さえも全体に入っていないということは、この制度というものの理解が、ほんとうにのみ込んでいないのか、胸に落ちていないのか。あるいは、何だ、これはたいしたことないじゃないかというように理解されているのか。これがきわめて有利なものであれば、おそらく農家の皆さんは、これからの経営上、安定的な経営を進めていくためにも加入しようということに私は、なるだろうと思うんですけれども、一体それはどこに問題があるのか、その点はどのように分析しておりますか。
  49. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 先ほど農業者年金被保険者調査のことをちょっと申し上げました。四十七年時点におきまして当然加入資格者がなぜ加入していないかという調査をいたしております。その中で、四五%が制度及び制度の内容を知らないという実態があったわけでございまして、四十七年でございますので、末端組織もまだ十分できてなかったという問題はあるわけでございます。しかし、こういう事態を踏まえまして、その後、精力的にこの問題のPRというようなことを続けているわけでございます。で、こういう制度を知らなかった方々に対しましても、いわば掛け金の納付余裕期間というのが二年間ございますので、こういうことで知られた方々もさかのぼって加入されるというかっこうにはなっておりますので、加入資格者というかっこうで見ますと、かなり最初からたくさん入っているようなかっこうになっておりますけれども、調査自体として見た場合、四十七年段階では、まだ制度の内容が十分に知られてなかったという点は非常に大きい問題だったと思っております。それで、現在あらゆる手段を尽くしまして趣旨の徹底をはかっているようなわけでございまして、今度年金額の引き上げというようなこと、あるいは出かせぎ者に対する対策ができるというようなことになってまいることを背景といたしまして、この加入率の強化につとめてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  50. 工藤良平

    工藤良平君 先ほど私、二つの問題を一緒に出したものですから、私が答弁をついうっかり聞き落としたのか、局長から答弁がなかったのか、やはりこの離農していく場合の制度の問題ですね。これは一時金としてやる、それについては今度額もまた二・二倍引き上げるということになっていますね。三十何万円が七十万円くらいになりますね。ですから、離農していく人に対して一時金を面積に応じてやる。そういう制度があるんですけれども、私は、これについていまのこの物価上昇のときに、たとえばわずか三十万もらったからといって、これは一時的にちょっと何かもらったような気になりますけれども、私は非常にこれは不安があると思う。ですから、それは一時金で渡すのがいいのか、あるいは年金の中に組み入れて離農していく者については、生涯にわたってプラスアルファとして厚生年金プラス幾ら、あるいは他の年金プラス幾らということでそれはもらえるということに当然すべきではないかと思うのでありますが、それはそういうことになっておればけっこうでありますけれども、そういうことでないといけないのではないか。それはもちろんスライド制が入り、そういうものが入ってまいりますから、ときどきに応じて物価の上昇率で上がっていくということになれば、私は非常に有意義ではないか。もちろん、それは一時金でもらう、あるいは生涯にわたって年金としてもらうという、その選択の自由というものはどちらでもよろしいということになっていけば、かなり私は進んだ意味の、何と言いますか、経営規模の拡大というようなことがはかられていくのではないかと思うのですが、そこら辺がどうなっているのか。私も、この前から資料を一生懸命読んでいるのですが、どうもすっきり腑に落ちないものですから、そこをひとつお聞きしたいと思います。
  51. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 六十歳から六十四歳までの間の経営移譲年金でございますが、これは保険料納付済み期間五年という方で申し上げますならば、現行月額八千円が一万七千六百円になるわけでございます。  そこで、先生がもう一つ言われました離農給付金でございますが、これは、いわばこの制度ができましたときに、五十五歳以上の方、こういう方については、もう加入する資格がない。こういうふうな方々が、第三者に農地を、所有権の移転をする、あるいは使用収益権を設定するというような方で、離農される場合に対しましては、これは一時金というかっこうでお出しいたしましょう。で、そのお出しいたしましょうというのは、かりに五年加入しておれば、得たであろう金額から五年間に掛けたであろう額との差額分に応ずるような額を一時金として支給いたしましょう。それが、前の三十五万円が七十七万円になる。こういうことでございまして、あくまでも、この離農給付金というものは、そういう意味の暫定的な措置というかっこうでございますので、これはまあ一時金というかっこうで出さざるを得ない問題であろう、こういうふうに思っております。それで、経営移譲年金につきましては二・二倍に引き上げまして、五年の場合に月額で一万七千六百円ずつ出てまいる、こういうことでございます。
  52. 工藤良平

    工藤良平君 六十歳から六十五歳までの経営移譲年金というのは、いわゆる国民年金厚生年金との差が、いわゆる支給年限が一方は六十歳、一方は六十五歳ですね。この五年間の差があるから、その差額の分をこの経営移譲年金で差し上げましょうということじゃないわけですか。たとえば、それは私がいま国民年金制度に入っている。厚生年金に移ったという場合に、経営しておりまして移譲年金にも入っておった。そうすると、それはあくまでもプラスアルファとして、生涯にわたってもらえるのかどうかということなんです、私が聞きたいというのは。だから、さっきからの説明によると、六十歳から六十五歳までの間の差があるから、その分をこちらで埋めましょうというように聞こえるのですけれども。そうじゃなくて、移譲年金というのは、その間に六十歳から六十五歳までの間に移譲した人については、これは生涯にわたっても年金をあげますよ。それは国民年金であろうと、厚生年金であろうと、何年金であろうと、そちらに移った場合には、全部生涯を通じて年金をあげましょうということなのか、どうなのかということを聞いておるわけです。時限的なものなのかどうなのか。
  53. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 経営移譲年金の額の考え方は、厚生年金の平均水準国民年金水準との差額ということではございませんで、とにもかくにも六十五歳以降になって経営を移譲するということではなくて、その経営移譲を早める中で、優秀な若いにない手、あるいは経営移譲の促進をはかりたい、こういう政策目的からこれができているわけでございます。したがいまして、先ほど言われました厚生年金国民年金の差という理解が私によく理解できないわけでございますが、それとは無関係の問題でございます。
  54. 工藤良平

    工藤良平君 そうすると——もう少し明確に言ってください、いろいろ言わなくていいですから。私が厚生年金にいった、国民年金よりも高い年金にいったと。いいですか、そういうことはあり得ますね。私がある企業に就職をした。それで厚生年金に入っておったと。そうすると、その受給資格ができてきたらそれは受けられるわけですね。そのときに、私は農家を離れていくわけでありますから、移譲年金の資格がもちろんあると。こうなったときに、厚生年金プラスいま言った移譲年金を、生涯にわたってもらえるかどうかということを言っているわけです。それに明確に答えていただきたい、そういうことを言っているのです。
  55. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 厚生年金に加入いたしますと国民年金の資格がなくなるわけでございます。
  56. 工藤良平

    工藤良平君 はい、そうです。
  57. 大山一生

    政府委員(大山一生君) したがいまして、両方から出るということはないわけでございますが、一つ考えられますことは、要するに、年金通則法の関係で被用者年金に加入している期間が一定の資格に達すれば、それはその年金が出ます。とともに、こちらのほうの経営移譲が一定の年限に達しておれば、それもあわせて出るということであると思っております。
  58. 工藤良平

    工藤良平君 どうもまだ私、はっきりわからないんですがね。国民年金厚生年金と両方入れないわけですね。結局は、国民年金厚生年金かと、こうなるわけでしょう。    〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕 ですから、いま国民年金に入っておって移譲年金も掛けていると。その私が農業をあとにして出ていったと。その場合に、今度出ていったら厚生年金に入ったと。そのうちに厚生年金の資格要件もできたというようなことになったときに、こっちの厚生年金年金をもらいながら、いま言う移譲年金についてももらえるかどうかということを私は言っているのです。そうすると、厚生年金よりも、移譲した分だけは厚生年金受給者よりもプラスして私はもらえるということでありますから、それができますかと、こう聞いている。これは非常に重要な問題ですから……。
  59. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 国民年金に入っていた方が厚生年金に入りますと、国民年金の資格を失うわけです。
  60. 工藤良平

    工藤良平君 はい、そうです。
  61. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 国民年金の資格を失いますと農業者年金の加入資格を失うわけでございます。したがって、農業者年金、まあ先生の言われる経営移譲年金——農業者年金掛け金ということはあり得ないわけでございます。したがって、その被用者年金のほうの問題として出てまいるし、それから農業者年金のほうについては、その国民年金の資格を失ったときに一時金が出るということに、脱退一時金といいますか、脱退一時金が出るというかっこうになるわけであります。したがいまして、両方が併用して支給されるということはあり得ません。
  62. 工藤良平

    工藤良平君 さっき参考人がお話しておりましたように、私も具体的に言うと、四十歳で農林省をやめたわけですね。軍隊の二年間がありましたから年金がついたわけです。いま、わずかですけれども年間二十万になるかならないかです。そして、その後、私は厚生年金に入ってみたり、いろいろやっているわけですけれども。途中で議員に出たりするものですから、入ったり、とぎれたりということになっているんですね。だから、そういうことでいま言う四十までいて、あと二十年私は、厚生年金でそのままずっといっていたとするならば——今後、将来そういうことはあまり得るわけですね。ところが、国民年金に入っておった間にいわゆる移譲年金にも入っておったと。いずれも資格があったわけです。ところが、その後、私は厚生年金に、年をとってかわったと。その後、厚生年金の資格もできたという場合に、移譲年金もくれるのかどうか、ということなんです。それは、いま言う脱退一時金だけになるのか、どういうことになるのか。その点、ちょっとどうも私、わからないものですからお聞きしたいと思うのです。こっちもわからなくなった、聞きながら。
  63. 持永和見

    説明員持永和見君) ちょっと私のほうから便宜お答え申し上げますが、厚生年金の場合は厚生年金独自でそれぞれ支給要件がございます。それから経営移譲年金も経営移譲年金独自の支給要件がございます。したがいまして、先生の御例示のモデルがはたしてこれに該当するかどうかは別にいたしまして、かりに農業を先におやりになっておりまして、それで経営移譲年金を受けられる最低の期間農業者年金に加入しておって、経営移譲という支給要件を満たして経営移譲をされた。その後、今後は厚生年金に入られて、厚生年金でもそれなりの支給要件を満たしているという場合には、これはそれぞれ別に、要するに併給を制限する規定はございません。その場合には両方受けられるということはあり得るかと思います。
  64. 工藤良平

    工藤良平君 それでやっとわかりました。それじゃ、このように理解をいたします。  したがってこれは局長ね、私とあなたがいまやりとりをしている間でも、非常にややこしくってわからなくなるのですね。わからなくなるのですよ。ですから、農家の皆さんにしてみても——まあ、ぼくもあんまり専門家じゃないからわからないんだろうと思うけれども、いま厚生省の専門の人が話をしたら私の胸に落ちたわけだ。なるほどそうかと、こうなるわけね。ですから、あなた自身だってなかなかわからないのに、さあ、農家の皆さんに、そう言ってみてもこれはわからない、一体どこが有利なのかどうなのかということも。これはやっぱり懇切丁寧に、まああまり懇切丁寧にやるとかえってわからなくなるから、単純にわかりやすく、これはこういうところがプラスなんだということをぱっと出して、そしてやらなきゃ、せっかくある制度が生かされないし、農業のためにも私はプラスにならないという気がするわけですね。ですから、そういう意味合いから、今度の改正にあたっても、私はぜひひとつ、有利になっていくわけでありますから、それはひとつ皆さんによく徹底をしていただいて、この目的が五十年という目標ですから、五年間はかかると思いますからね。で、今度は時効になったものまでも時効の措置を講じて、前にさかのぼってということもできるようでありますから、そういう便宜的なこともやるわけでありますから、ぜひひとつその点については万全を期していただきたいと、このように思います。  もっとたくさんやる予定だったんですが、私も実は帰る時間がだんだん迫ってきたものですから、これはもう私的なことで申しわけないんですけれども。どうもこれはたくさん問題があり過ぎてしようがないのですが、一応このくらいで、この問題についてはある程度問題を後日に残しながら、一応きょうはこの程度にしたいと思うんですが、ただ、もう一つ聞きたいのは、この農業者年金基金法の中に貸し付けの制度がありますね、貸し付けの制度。これは非常にこの三十年間、年利三分ということで農家にとりましては、これから非常に有利に生かしていくならば、経営規模拡大その他について私は、たいへんいい制度だと思っておるんです。これはあと農林公庫との関係も出てきますけれども、これは財源がどんどんふえていけば、やはり可能な限りこの制度を生かすということが必要ではないかと思いますが、そういう点から、現在どれくらいこの資金があって、そのうちどれくらい貸し出しが行なわれているか。その需要はどうなっているか、その点をちょっとお聞きしてみたいと思います。
  65. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 現在、農業者年金基金におきます積み立て金でございますけれども、これは四十八年三月現在で約三百億でございます。それで、それの中におきまして、農業の近代化のために十分還元しろという衆参両院の附帯決議もございました。それからまた、財務会計省令のほうからいたしまして、農地の買い入れ売り渡し、あるいは取得資金の融通、融資、こういうものに対します貸し付け金は年金勘定の二割以内におさめねばならぬ。それから余裕金の運用というものは五分五厘を下回らないようにしなきゃいかぬ、こういうふうな中で、安全かつ効率的に運用しなきゃならぬというふうなことでございます。そこで、現在のところ運用しております農地の取得資金でございますが、たしか農地の売買勘定といたしまして四億、それから融資勘定として十三億、こういうふうな金が、いわば農地の一括取得あるいは売買の際の融資というかっこうで出ているわけでございます。  この金の、いわば融資業務の運用のしかたでございますが、確かに有利でございます。ところが、一方、農地保有合理化法人というのもございます。この基金におきます資金の優遇という問題につきましては、この年金に加入者同士の間ということでございますし、そして挙家離村という、原則といたしまして挙家離村というような一括売買の場合、こういうふうなことになっているわけでございまして、そういう関係からいたしまして、この種のことの多い北海道でありますとか九州、こういうところに、現在のところ、比較的集中して出ているというような事態でございます。けれども、最近の傾向を見ますと、かなりこれの伸びは順調といいますか、よけい出るような傾向になってきておりますので、先ほど申しました二割の範囲という制限はございますけれども、一方、安全かつ効率的な運用ということを踏まえながら、今後これに対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  66. 工藤良平

    工藤良平君 この運用については、やはり私は、非常に有効な資金だと思いますから、ぜひひとつ活用につきましても、さっきの加入と同時に、こういう有利な、加入すれば有利なものもあるのだということをあわせて出していけば、かなり有効な手段として使えるのではないかと思いますから、その点申し上げておきたいと思うのです。  そこで、最後に、一応、農林漁業団体職員共済組合法のほうも、つばをつけておく必要があると思いますから、審議に入ったということで、今度の改正の要点を簡単に説明をしていただきまして、特に私は標準給与の下限及び上限の引き上げのところで——上限というのは、あまりどちらかといいますと、年金の場合には、私は、大きな問題じゃないと思いますがむしろ下限の問題、特に農林漁業団体職員共済組合の場合には、標準給与の下限が非常に低い。もちろんこれは給与が低いからということになるわけですけれども、この点は、さっき私が、国民年金厚生年金その他の関係で厚生省にお聞きしましたけれども、やはり全体的に現職で働いているときも給与が低い、終わって年金をもらうときも給与関係年金の査定がいきますからやっぱり低い。一生涯低いというようなことじゃ、これはちょっとどうも私は不公平なような気がしてしようがないし、したがってこの下限の引き上げと同時に、これについて何らかのやはり助成の措置を講じて、下限を、できるだけ年金の下限というものを引き上げてやるというような措置というものも、やはり今後検討すべきではないか、という気がいつもするのでありますけれども。その点についてひとつ審議官のほうから御説明をいただきまして私は質問を終わりたいと思います。
  67. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 今回の改正におきまして、先生御指摘のとおり、標準給与の下限を引き上げておるわけでございます。かなり大幅な引き上げがありまして、五割の引き上げということに相なっております。  先生のおっしゃいますのは——こういうものを引き上げるということは給与の実態と多少離れてくるという面がございまして、低い給与の人がもっとそこまで上がってくる。こういうことで気の毒な面もあるから、その点についても特別の何らかの施策が必要ではないか、というふうなお尋ねかと思いますが、農林年金制度は、御承知のように、拠出とその給付が相対応するという関係になっておりますし、こういう保険のシステムを使った一つの仕組みでございまするから、全体につきまして事業主の負担、それから組合員負担、それから国庫の助成、今後それ以外の何らかの助成の方途ということも考えられるかと思いますが、そういうものにつきまして一律的な考え方で処理をせざるを得ないという実態があるわけでございます。  基本的には、給与の非常に下限以下の、標準給与の下限以下の方の給与が引き上がるようにということで、農協の体質を改善、強化し、そうしてその経営基盤の強化によって得られた余剰によりまして、そういう人たちの給与改善がはかられるということが望ましい、という立場に立ちまして指導を続けてまいりたいというふうに考えております。
  68. 工藤良平

    工藤良平君 大体、終わりますけれども、厚生省に特に、私がさっき申し上げました、議論をいたしました内容について、ぜひひとつ御検討いただきまして、できるだけこの最低限を引き上げていくような努力を、今後もひとつ大臣にお伝えいただきまして検討を進めていただきたいということを申し上げて終わります。
  69. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後二時十一分開会
  70. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 神沢浄

    ○神沢浄君 私は、この委員会の初年兵ですし、それに年金などということにつきましては、もう全く初めての勉強でありまして、したがって、ほんとうにイロハからお尋ねをしなければならぬのですが、まず、農業者年金基金法の問題ですけれども、この法律の「目的」というのを読んでみますと、「農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資する」と、それから、「農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与する」、この二つ同じように並べてあるように思うのですけれども、これはどちらに重点を置いて、法制定のときには考えられていたのか、という点からお尋ねをしたいと思うのです。
  72. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 農業経営の近代化と申しますか、農地保有の合理化といいますか、要するに、構造改善を行なわなければならない。そのためには、優秀な経営担当者を確保しなければならぬし、経営移譲の促進もしなければならない。それから、経営規模の拡大等の施策も強力に進めなければいかぬ。そういうふうなことを推進する必要があるわけでございますけれども、その問題を詰めてまいりますと、やはり農業者の老後生活の安定ということに密接に関連してくる。こういうような観点からいたしまして、後継者への移譲を含めました経営移譲ということを年金の支給要件といたします年金制度というのを組み立てまして、そして、老後生活の安定ということと、それから農業経営の近代化、農地保有の合理化といった農政上の要請等にこたえようとするものでございます。
  73. 神沢浄

    ○神沢浄君 そうすると、二様の目的につきましては、別に主従の関係はないというふうに解釈をしてもいいわけですか。どちらが主で、どちらが従でという関係はないと。
  74. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 主従といわれますと、非常に微妙な問題がございますけれども、要するに、この年金というのが、経営移譲を年金の支給要件とする年金制度ということでございますので、その意味から言いますと、経営移譲を促進し、そして経営移譲をされた方については六十歳から六十四歳まで経営移譲年金を出しましょう、こういうふうなこと。そして、六十五歳以上につきましては、国民年金に上乗せいたします、こういうことでございます。で、たまたま何らかのことで経営移譲ができなかった、というような方についても、また、それが要するに、持ち出しにならぬように仕組んでまいる、こういうふうなかっこうになっております。したがって、ずばり申し上げますと、経営移譲といいますか、農業の近代化ということを重点に置いた政策年金ということでございます。
  75. 神沢浄

    ○神沢浄君 そういうずばりのお答えがおりましたから私は、論議が非常に楽にできると思うのです、これはあとから掘り下げたいところなんですが。  私は実は、この農業者年金基金法というものを、よく読んでみたのは今度初めてでございまして、それで読んでの印象というようなものを、率直に、私なりに申し上げてみますと、一つには、この目的を目ざしておりましても、制度の組み立てについては、やっぱり年金理論とでも申しますか、一方に国民年金法というものがあるわけですから、それにやっぱり相当の制約を受けなければならない、という点が一つと、それから農業基本法制定以来、日本のきょうまでの農政というのは、いうなれば農基法農政とでも申しますか、こういう方向でもって進められてきておることは、間違いないわけです。したがって、この制度の意義づけとしては、農基法農政の路線の上に乗せて、いまおっしゃられましたいわゆる構造改善の目的というものを目ざしていかなければならぬ。こういうことと、それから当時、農民の側から、相当これは強い農民年金といいますか、老後の安定や福祉考えての要望というようなものがあったわけでありまして、したがって、そのような農民サイドの要望をも、これはくみ上げていかなければならぬ。こういうような立場がそれぞれこの制度の中に組み合わされて、少し端的な言い方をいたしますけれども、何か寄せ木細工的な仕組みになってしまっていやしないだろうか。だからいずれを取り上げてみても、これが私などのように、ほんとうに浅い認識でもって当たっていなければなおけっこうですけれども、何かそういう寄せ木細工的なところがあるために、いわばそれぞれ中途半端になってしまうのじゃないか。こういうような点が非常に危惧として感じられたわけなんですけれども、そんな点への御見解はいかがでしょう。
  76. 大山一生

    政府委員(大山一生君) この年金基金が四十六年にできましてちょうど三年たったわけでございます。現在やっております業務といたしましては、支給業務といたしましては離農給付金の支給ということがございます。それから農地の買い入れ、売り渡し、あるいは融資業務というのがあるわけでございますけれども、本来的な農業者年金業務、これにつきましては、掛け金はいただいておりますけれども、まだこれを支給するというのは五十一年一月である、こういうふうなことになっております。そういうことから見ますと、やはりこの問題が非常に大きな効果といいますか、われわれが当初期待いたしましたような経営移譲、もちろん農業の構造改善のためには、この年金だけでいいということではございませんで、午前中も御説明いたしましたような各種施策というものを総合的に合わせる中の一つということになるわけでございますけれども。これがやはり具体的な問題として成果をあげてくるというのは、やはり五十一年一月からの支給開始という時点になってまいりませんと、大きな目に見えたかっこうにはなかなかなってこないのではないだろうかと思われる節もあるわけでございます。そういう意味から言いますと、基本法農政の中の位置づけられておる年金というものが、まだ十分ではないではないかという御指摘もあろうかと思いますけれども、この点につきましては、やはり支給が開始される時点を契機といたしまして、これなりに相当の効果を持ち得るのではないだろうか、こういうふうに実は考えているような次第でございます。
  77. 神沢浄

    ○神沢浄君 午前中の工藤委員の質疑の中で、四十五年発足以来の加入実績などの点も触れられておりましたから、私も承ったところでありますけれども、まあ当然加入の資格者の点につきましても、二百二十万のうち、現状で百五万ということになりますと、加入率は四〇%ぐらいのものでしょうか。四十何%ぐらいのものでしょうね。それから、いま御説明のように、まだ給付の開始もされていないんですから、確かにこれは出発早々でありまして、いま目の前でもってその数字のみあげて検討するということもいささか早計なのかもしれません。けれども、しかし、午前中の論議の中からもわかりますように、たとえば買い取り、売り渡しなどの点にいたしましても、まださほどの実績というものがあがっているようにもこれは思えないわけでありまして、したがって、そのことについて、午前の論議の中では、何といっても制度が若いから、制度を知らぬという農民が四五%を占めておるんだと、こういうような御説明がありました。それもそうだろうと思うのですよ。しかし、私は、それだけの説明で済むのかどうなのか、ちょっと疑問に感じてならないのです。この制度が知悉されていって、要するに宣伝と普及というものが徹底をしていけば、加入率の問題というようなものは、スムーズに解消していくんだろうか、という点に私は、まだかなりの疑義を感じてならないわけなんです。  私が、この法律を読んでみまして感じた点から申し上げるのですけれども、大体農民の立場からいって、この制度というものに魅力を感じるのかどうか、というような点があるんじゃないかと私は思うのです。これは魅力があろうと、なかろうと、国の政策上、強制でやっていくんだということならこれは別ですけれども、しかし、農民の側から、当時いわゆる農民年金という言い方でもって政府に求め、期待をしておりましたのは、むしろいわゆる老後の安定とか、福祉の問題とか——ことに、これはだれが考えてみましても、戦後の、工業を中心にした経済の成長が推し進められてくる中でもって、やはり農業の部門というようなものはどうしても置き去りにされる立場であったことは間違いはないと思いますし、そういう情勢の中でもってやっぱり農民の切なる要望として、この安定や福祉の問題を取り上げてこれはあたりまえのことだったと思うのです。そういうようなところに、農民年金に対する農民の願望というものがあったのに対して、出てきておる制度は、さっき御説明ありましたように、しいて主従の関係を言うならば、やはり農基法の基本農政の線上でもって農業改善という、いわば若い優秀な後継者を求めるために、農地の保有の合理化というようなものを求めるために、そちらのほうにより重点が置かれたような制度になっておるところに、私は、農民の素朴な感情からすると、何か、自分たちが求めていたものとは多少なり違うんじゃないかというような、いわゆる魅力を持ち得ないような点があるんじゃないか。こういうような感じが非常にするんですけれども、そんな点はどうお考えなんでしょうか。
  78. 大山一生

    政府委員(大山一生君) まず農業者年金の加入資格者二百二十万でございますが、その中で、当然加入資格者は百三十二万でございます。加入しております百五万という中で、当然加入資格者で加入しておりますのが八十七万でございます。ですから当然加入で申し上げますと六六・二%、任意加入のほうが同様にいきますと二〇・六%、四十八年十一月末現在でございますけれども。そういうことで、当然加入について七割程度の加入に、いまなっているわけでございます。  そこで、加入の状況を県別に見てまいりますと、特に当然加入の問題で見てまいりますと、北海道でありますとか、東北でありますとか、あるいは九州でありますとか、いわば農業地帯と申しますか、こういう地帯においては加入率が相対的に——もちろん県の中におきまして必ずしも一律とは申せませんけれども、ブロック単位にものを見た場合においては、遠隔農業地帯といいますか、将来とも当分の間農業地帯が続くであろうというところにおいては加入率がいい。こういうふうな事実があるわけでございまして、さればといって、そうでない地帯をほうっておくというわけではございませんけれども、過去の傾向値を見ますとそういう傾向がある。その中でも、たとえば青森等が加入の低いのは出かせぎの問題であろう。まあこういう点は、今度出かせぎの法律といいますか、出かせぎに関する部分の加入資格の特例をつくることによって、上がってくるのであろう。こういうふうな反省もいたしているような次第でございます。  先生の言われました老後中心という問題との関係でございますけれども、やはりこれはこの法律の制度発足の当時におきましても、御指摘を受けたことでございますけれども、やはりわれわれの考えといたしましては、老後の生活の安定ということであるならば、これは国民ひとしく国民年金でやるべきことであろう。こういうふうなことでございまして、それを前提としながら、農業者については、先ほど申し上げました政策的な目標をあわせて、この年金においてやってまいる。こういうふうな思想で当初発足しておるわけでございます。で、制度発足後三年というような事態でございますので、われわれといたしましては、当初の考え方を踏襲し、若干実施上の問題点を矯正するというかっこうで今度の法律改正になった次第でございます。
  79. 神沢浄

    ○神沢浄君 御説明はわかるのです。わかるのですけれども、私がちょっとくどいめに申し上げておりますのは、午前中の論議の中でもって、局長が、くしくも言われたけれども、この制度というものを生かしていく道というか、この制度の意義というのは、やっぱり今後の日本の農業の向かうべき方向へどういう役割を果たさせるか。それが何かはずれておりますと、私は、その制度の意義というものはあまりなくなってしまうのではないか。私は、午前中の局長の言い方というものは非常にすなおに受け取りました。この制度考える場合に、いわゆる日本農業のこれから向こうべき方向への役割りというものについて、この制度がどういう役割りを果たしていくのか、むしろ果たさせていくのか。こういう点について、この際やっぱり真剣に論議をすべき問題じゃないかと、こう思うわけなんです。  それで、ちょっとくどいめにどちらが主で、どちらが従かというようなことをお聞きすることから始まったわけなんですがね。私のまあ一つの見解ですが、大臣がおいでになれば私は、大臣と少しそういう意見の交換をしてみたいと思っていたところでして、私は率直に言って、戦後の農基法の農政というのは成功したとはこれは言えないじゃないかと思うんですよ。まあ百万農家をつくるとか、適地適作だとか、あるいは成長部門への転換だとか、まあそれらをおしなべて構造改善だとか、いろいろにそれは言われてきておるところでありますけれども、今日の日本の農業の現状というようなものを取り上げてみまするときに、当初、農基法がうたったような、ほんとうに農政というものがりっぱに成果をあげてきておるのかどうかということについては、私は野党の立場であるしいたしますから、多少手きびしいか、より手きびしいかもしれませんけれども、まあそういうふうなことを抜きにいたしましても、日本の農業の現状というものがどうなんだろうというようなことを取り上げてみますと、私はきょうまでの農政というものが、決して成功してきておる、などということは、これは農業を知る者である限り、それは成功しているなあ、ということを言われる人は、一人もいないんじゃないかというふうに思うんです。  そういたしますと、この制度が、当時の農基法の農政を推進するその線上に置かれて、そしてそのときは、それなりに、局長が言われたように、日本の農業の方向に対して役割りを果たさせるために、この制度が生み出されておる。しかし、いまやその方向というのは、何かやっぱり切りかえを要するところへ到達をしてきておる。こういうようなことを考えるならば、これは今度の改正案について別に文句をつけようというつもりはあるわけではございませんが、しかし、この制度をやっぱり今後考えていく上には、日本の農業の方向というか、農政のあり方というものは、やっぱり一つの転換を考えていくのとあわせて、この制度局長が言われるように、次の方向へ役立たせるようなものに充実をしていかなきゃならぬという、こういうことがあると思うんですけれども、そんな点はいかがでしょうか。これはほんとうは大臣でもいらっしゃるといいと思うんですが、大臣来るんですか。——なおちょっと局長の御意見でも聞いておいて、また大臣来られてからにしたいと思うんです。
  80. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 農基法農政といいますか、農基法で差し示しております生産の選択的拡大、あるいは生産性の向上、総生産の増大、こういったようなことが、農基法農政のもとにおきまして食糧自給が高度化、多様化しているというようなことに対応いたしまして進められてきたということについては、これなりの評価をしてしかるべきではないだろうか、というふうに実は考えるわけでございます。ただ、経済の成長が当時考えました以上に高かったということのために、場合によっては、対応しきれないような問題が出てきたことも事実だと思っております。ただ、基本法でいっております目標といいますか、農政の基本的な目標といいますか、あるいはその目標を達成するための施策のあり方というようなことについては、それが現在の情勢に適合しなくなったというふうには考えないわけでございまして、したがいまして、われわれといたしましても、現段階において農業基本法の差し示します基本的な方向に即しながら内外の情勢というものに対応して、自給度の向上、あるいは農業所得者の、農業従事者の所得の向上というための農政を展開してまいらねばならぬだろうと、こういうふうに考えるわけでございます。
  81. 神沢浄

    ○神沢浄君 それではひとつ、そういう基本論議は大臣がおいでになってからいたしまして。  それで、いま御説明があったようなことだといたしますと、この制度の中のいわゆる経営移譲年金というものは、まあそれはわかりますよ。農地保有の合理化も目ざしたり、午前中から幾たびか言われるように、若い優秀な経営者の確保を目ざしたりということに、もちろんこの制度はなっているでしょう。いるでしょうけれども、これでできますかね、問題は。ただ、できますかと、一ぺんに聞いても無理かもしれませんがね。たとえば、これは中身を見てみますと、いろいろ問題があるわけなんです。経営移譲ということは、これはその農地を譲り渡すということですから、自分はやめるということですわね。農地も放してしまって。しかし、いま日本の土地問題、大きく言えば、農地だって、いまかなり土地的なものに変わってきちゃっている状況の中におきまして、この程度のものでもって経営移譲させようなんたってできるでしょうかね。
  82. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 最近の地価の高騰といいますか、土地の資産保有的な傾向、こういうふうな中におきまして、いわば農地の流動化がなかなか進まない、これはまた事実だと思っております。したがいまして、かりに自立経営農家というものをとってみましても、施設農業的な面においては相当の発展を見ているにもかかわらず、土地農業といいますか、については、なかなか自立経営農家の育成が進まない、農地の流動化が進まないというのも、これたしか事実だと思っております。そういうふうな中におきまして、この経営移譲年金が対応し得られるかと、こういうお話であるわけでございますけれども、やはりわれわれといたしましては、土地の所有的傾向というものがそれなりに農民の中にあるという事実を踏まえまして、また、それじゃ耕作権のほうはどうかということになりますと耕作権は耕作権なりに非常に強いと。そういうような事態の中において、いかにして経営規模を拡大すべきかと、こういうふうな問題になるわけでございまして、その一つとしては年金という問題もございますが、年金だけで経営移譲という問題が完結するものとは思っておりません。むしろやはり今度、国会において御審議をいただくべく提出しております農振法の改正といったようなことも、そういうふうな現段階におきます事態の中における経営規模のあり方の問題について、ああした法律を提出しているわけでございまして、そういったふうな土地政策という問題とからませながら、これもまたそういうものとからみながら、ここで年金というものも、ひとつ経営移譲して、そして優秀な若い経営者を育成する、あるいは経営規模の拡大に資するということへの一つの契機といいますか、一つの機能を果たす、こういうふうなことになるんであろうと。こういうふうに考えているわけでございまして、年金だけでいまの事態が解決し得るかと、こう言われれば、これはこれだけで解決できるとは思っておりませんで、他の総合施策とかみ合わせながらやってまいりたいと、こういうふうに考えるわけです。
  83. 神沢浄

    ○神沢浄君 それはそうですよ。それは年金だけでもってとても経営移譲などを促進をしようなんたって、そんなことは、もう全く夢物語みたいのことだろうと思うのですけれどもね。私は、やっぱりこの制度を一べつしてみまして、どこか、そこら辺でもって、ちょっとさか立ちの現象があるじゃないか。経営移譲を、要するに、その経営の規模拡大、それから農地保有の合理化、こういうことを目的にうたっているわけですけれども、とてもそれが生かしていけるような規模と内容のものではない。私は、むしろこの制度をほんとうに生きたものにしていくためには、農民の素朴に求めておる老齢福祉に、その年金のサイドに重点を置いて、しかし、その前に、やっぱり農業をやめてしまわなきゃならぬというような人たちのための、救済すべき措置としては、経営移譲年金というものを、——だから、主と従の関係が、これはいわば逆になる。そういう年金制度になってこそ初めて、この制度というものが、局長が言われるように、日本の農業の今後への方向にマッチしていく、生かしていく道があろうかとも思うんです。この制度制定当時のように、重点をいわば規模拡大や、保有合理化のほうに置いてなおこの制度をやっていこうとすれば、私は、農民に魅力を求めさせるなんというようなことはますますむずかしくなってしまうんじゃないか、こういうような感じがしてならないわけであります。そのことを論争し合ってみておっても、時間が、むだになるだけかもしれませんから、自分意見だけ申し上げて次に進んでまいりますが。ただ、いま申し上げたような点を一つ考え方として、これは全然そのようなことは聞き入れる耳はないということではなくて、これからの制度をほんとうに生かす道として、これは検討をしていくくらいの、私は、考え方というものは持ってもいいんじゃないかと、こう思うんですがね。その点だけをお聞きしておきたいと思います。
  84. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 経営移譲というものを支給要件として組み立てられた年金制度、そして老齢年金、いわば経営移譲しないままでいる老齢年金の取り扱いということについては、それが持ち出しにならぬようなかっこうというかっこうで、当初できました考え方を踏襲しているわけでございまして、衆議院におきましても、老齢年金のあり方の問題についてはいろいろ御批判をいただきました。この年金というものが、今後、相当長期にわたって実行されるわけでございます。で、その中におきまして、この制度というものが他の年金と異なりまして、いわゆる老齢化といいますか、構成要素が非常に異なっております。したがって、受給者とそれから資格者との比率等においてもそれが、他と異なって非常に高いと、こういうふうな事態もあるわけでございまして、そういうふうな農民構成といいますか、農業者年金の構成ということとの関連もあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、老齢年金の問題も含め、いろいろ御指摘を受けております。先ほどは階層制の問題も出てまいりましたけれども、そういったいろいろの問題につきましては、これから長期にわたって実施される年金でございますので、その中においてまた今後ともいろいろと検討はしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  85. 神沢浄

    ○神沢浄君 たとえば、これはもういま市街化区域になると言われるような都市周辺などにおいて、経営移譲なんだって、これはもう全然問題にならない話で、それからもう一つ、この農家の実態というふうなものも、よく考えなければならない問題点だと思うんです。農家などでは、正式に経営移譲なんということを言わなくたって、実際は経営移譲されていくわけなんですよね。もう親が年をとれば、子供が主になってやるわけですよ。そうなりますと、この制度の上からいけば、言うならば、その第三者に渡していかなければ、所有権の移譲であろうとも、あるいは使用収益権であろうとも、これは該当はしないわけですね、そういう制度にはなってはいないわけだから。ところが、農家自体からいけば、年をとれば、いやおうなしに、若いものがかわってやっているんだから、これは実際経営移譲しているわけだ。経営移譲しているわけですけれども、そのことは、これはこの制度では何といいますか、優遇条件を受けるわけにはいかぬわけですね。ですから、これは私は、農家のサイドから見ると、あまり魅力を感じないんじゃないかと思うんですよ。むしろこの際、農家自体の中においても、若いそういう優秀な経営者を求めていこうというふうなところに一つ考え方も置くとするなら、何かこの制度の中でもって、経営移譲の優遇措置というものを、同じ家族の中でもって経営を交代していくというふうなものにも生かしていけるような道を考える必要はないでしょうかね。これは農業団体なんかの意向の中には、たとえば例の同家族内でも一応きめてあることを生かすために、耕作権の設定というようなものも認めたらどうか、というような意見どもかなりあるようです。そういうような点はどうでしょう。
  86. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 第三者に対します農地の移譲のあり方といたしては、所有権の移転処分だけではなくて、使用収益権の処分といいますか、使用収益権の設定ということもこれは対象にしているわけでございます。ただ、先生の御指摘の農業の実態、家というかっこうでの経営が行なわれているという事態を踏まえて、若い青年が、後継者が律する、こういうような問題について、いわば、おやじとむすことの間に使用収益権を設定するというようなことは考えられないかと。こういうお話に、端的に言えばなるだろうと、こういうふうに思うわけでございますけれども、通常の場合、経営移譲者というものとおやじというのは、大体同一の世帯に属している。こういうことでございまして、その限りにおいては、その農地の資産的な価値といいますか、だけをそのおやじのほうにのけておく必要はそれほどないんじゃないか。こういうふうに考えまして、後継者へ経営移譲する場合につきましては、従来の取り扱いを変更をする必要はないんだろうと、実はそういうふうに考えているわけでございます。
  87. 神沢浄

    ○神沢浄君 だから、そういうように考えている以上は、この経営移譲の有利な部面というものを、同一家族の中の移譲については、これはこの制度上は生かせないわけですわね。何か生かすための道が開けぬかということを私は聞いているわけなんでね。いま同じ家族の中でもって、そういうたとえば所有権の移転というようなことを、別に引き延ばしておく必要はないではないか、という点に関しては、これまた、農業団体なんかにも相当の意見がありますよ。これはまず、そうすれば税金の問題というものも出てくるわけですね。そこで、農業団体なんかのある意見一つとしては、これは税金の問題がからむから、農林省だけのことじゃなくなるですけれども。例の租税の特別措置の一つとして生前一括贈与の措置というやつがありますね。何かいわば税金を延期をしていてやると、そしてやがて死亡して、いやでも相続をしなければならないときに、相続税に切りかえてですか、あるいは含めてですか、その際支払えばいいと。こういうような何かいわゆる特別の措置というものがあると聞くわけなんですがね。ところが、これがその特別措置の対象になるには、そっくり渡してしまわなきゃ、そっくり譲渡してしまわなきゃ、だめだというふうなことになっているんだそうでして、そうすると、やはり農家というものの実態というのが、さっきも申し上げるように、問題の点になりますけれども。年をとって隠居をしても、ほかの兄弟のことなんかもあったりして、そしてまあ隠居分なんていうようなものを残しておくんです、これは。そうしなきゃ農家というものの実態というものは成り立ちません。そっくりむすこに渡しちゃってさびしい思いをしなきゃならぬなんというようなことにはいかないんですよ。それは、畑の一枚や二枚くらいは、嫁にやった娘がたずねてきたときに、自分の手でつくった野菜を分けてやるぐらいの、そのぐらいのものは、それはもういままでずうっと、農村あるいは農家というものの一つのでき上がってきた実態としてあるんですね。そうである以上は、法律上はいいじゃないか、それは、この対象になるにはそっくり渡しちまえばそれで済むじゃないか、対象になり得るじゃないかと、こうなるかもしれませんけれども。しかし、農村、農家の実態というものからいくと、それはとても容易なことじゃない。こういう点を考えてみますと、この際ひとつ、一つの問題としては、多少、全部贈与してしまわなくても、若干のものは残しておいても、この生前一括贈与の対象にしていくというような道が開けぬかどうか。これは農林省のほうの御意見を聞いたり、それから大蔵省の方も来ておられると思いますから、あわせて御意見を聞かしておいていただきたいと思うんです。  それからもう一つは、この一括贈与の措置というのは、何か五十年で終わるんだそうですね、時限法で。これはもっとやっぱり延期をして、むしろそういう措置が非常に農家から歓迎をされているということである以上は、半恒久的にこういう制度考えていくことも必要じゃないか。こういうような意見が農業団体の中なんかにはかなりあります。ぼくらも全く妥当の意見のように思うんですけれども、そういうふうな点についてはどうでしょうか、ひとつ農林省や大蔵省の御見解なども聞いておきたいと思うんです。
  88. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 相続の実態でございますけれども、これは私のほうで三十七年、四十三年と調べておりまして、また五、六年たっておりますので、いま調査しているわけでございますけれども、その相続の実態を見てまいりますと、死後相続の場合におきましては、単独相続の傾向を強めております。それよりも非常にふえておりますのは、生前相続のかっこうでございまして、これは非常に増加している。その増加している中におきましても、生前相続の場合には農地の分与をするというかっこうは非常に減っていると、こういうふうな実態があるわけでございます。最近の地価という問題を前提にして、最近の農民の意向はどうであるかというのは、これから調査してみないとわからないわけでございますけれども、そういうふうなことを前提といたしまして、現在、税法上の取り扱いといたしましては、いわば生前贈与の場合においても、その贈与はいわば死亡したときまで延期する、そして相続税並みの課税をする。こういうふうな優遇措置がとられているわけでございます。  先生御指摘の、税法上の措置でございますけれども、これは確かに臨時措置法といいますか、暫定法であることは確かでございます。これを恒久法にできるかどうかという問題は別といたしまして、これの継続をするということについては今後とも少なくともつとめてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから、農業者年金の場合には、経営移譲者というものに着目しております。それに対して、生前一括贈与ということのほうは、いわば後継者に着目している。こういうふうな問題から、若干その間の取り扱いにもあれがあったわけでございますけれども、これは大蔵省のほうから御答弁いただいたほうがいいと思っておりますが、われわれのほうといたしましても、いろいろと協議いたしておりまして、ある程度いわば後継者の農業専従義務を緩和するというような方向で、この問題についても対処を実現し得るのではないだろうかというふうに期待しておるわけでございます。なお、その点につきましては大蔵省のほうから答弁してもらいます。
  89. 西野襄一

    説明員(西野襄一君) ただいまの御質問につきまして御説明さしていただきます。  この租税特別措置で認められております生前一括贈与に関する特別措置でございますけれども、この特例制度が設けられました背景と申しますのは、先ほど来、先生のいろいろお話にございましたような農業の実情等を踏まえまして、農業後継者の育成確保をはかるということ、それと同時に、農地の細分化防止をはかるというような見地から認められておる制度でございます。農地につきまして、この制度が認められる条件としておりますのに、農地の全部が譲られること、それから採草放牧地につきましては三分の二以上が譲られることということが入っておるわけでございますが、これは、農地の細分化を防止しながら、後継者に譲っていこうという制度の趣旨から出ているものであるというふうに考えております。  それから、局長からお話のありました、農業経営者が専業でなければならないのかどうかという点につきましての御議論でございますが、先ほど申し上げましたような理由からいたしますと、この制度の適用者というものが農業経営者であるということは、これ必須の要件であろうと考えております。ただ、この経営者という点でございますが、この経営者という内容につきまして、どういう態様において農業を営んでいるかという、それが認められる必要があるかという点でございます。で、他に職業または主たる事業を有している場合には、現在のところ、この制度の趣旨にかんがみまして該当しないという取り扱いになっているところでございますけれども、しかし最近、農業経営の実態も変わってまいっておるようでございまして、機械化等によりまして、省力化が進められているというような傾向、それがまた、さらに強まっていくということを考えてまいりますと、他に職業を持っている場合におきましても、農業経営を行なっている限りにおきましては、この制度を適用する方向で検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、この制度が特別措置になっているという点でございますが、これはやはり先ほど申しましたような、特別な目的のもとに設けられているという点からいたしますと、やはり相続税の本法の中に取り入れる内容のものではなくて、やはり特別措置の中で規定すべき事項かと思います。で、この特別措置につきましては、政府の税制調査会におきましても、考え方を示しておりまして、やはりこういう制度というものは、とかく硬直化して、そのままの姿で存続される傾向がございますけれども、これからのものにつきましては、やはりそれなりの政策目的を持って設けられているものでございますので、その目的に即した効果が出ているのかどうかというものを見直していくべきではないかという指摘がございます。で、この生前一括贈与税の特例措置につきましても、三十九年度に設けられまして、その後、見直しが二回行なわれているということでございます。五十年末まで適用されるというのが現行の制度でございますので、五十年度の税制改正にあたりまして、農業の実態、農業を取り巻く環境の変化、この制度の効果その他は、またさらにこの制度の基本になっています相続税そのものの内容等を関連させながら検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  90. 神沢浄

    ○神沢浄君 わかりました。  ただちょっとだめ押しみたようになるかもしれぬですけれども。そういたしますと、ちょっと私も聞き漏らした点もあるんですが、全部の譲渡あるいは贈与でなくても、三分の二以上のものであれば、これらの対象となると。それから五十年でもって切れるものはいまの考え方としては、これは継続する方向でもって考えておる。それからもう一点につきましては、この特別措置がいわば何といいますか、後継者のために考えられているものであると、こういうふうなことの解釈でよろしいですか。
  91. 西野襄一

    説明員(西野襄一君) まず第一点でございますが、適用要件の一つとなっております農地の範囲でございますけれども、農地につきましては全部でなければならないということでございます。ただ、採草放牧地につきましては三分の二以上の面積と、こういうことになっておるということでございます。  それから、第二点の、この制度が継続されるかどうかということでございますが、現行の制度が五十年末ということでございまして、この制度検討するのは来年度の税制改正ということになりますので、本委員会でも御議論のありますような内容につきましても、私ども十分に勉強さしていただきますとともに、相続税の本法のほうの制度のあり方というもの、また、その改正というようなことが検討される場合には、その改正の内容も踏まえながら検討してまいりたいということでございます。
  92. 神沢浄

    ○神沢浄君 その第一点の農地については全部ということなんですが、さっき私、ちょっとよけいなことまで、農家の実態についてお話をしたんですけれども、その点についても、たとえば三分の二以上とか、あるいは八分の三以上とか、こういうような方向へ持っていかれるように検討をされることはあり得ないでしょうか。というのは、さっきお話したように、農家というものの実情からして、全部渡すというようなことがなかなかむずかしい部面があることは事実なんです。そういうふうな、全部というふうなところに、どうしてもこだわってしまうと、この特別措置というのを、たとえば年金制度の経営移譲の部面に生かそうと思いましても、引っかかっちゃって、なかなか生かせない。こういう点が出てきてしまうのでありまして、だからその辺のところもちょっとお聞きしたいところなんですよ。これからの方向として、そういうことを検討されるようなことにならぬだろうか、この点はもう一度ひとつお尋ねしたいと思います。
  93. 西野襄一

    説明員(西野襄一君) 私ども理解しておりますところでは、農業の今後の高度化という点の一つとしましては、やはり農地の規模の拡大ということが望ましいやに聞いておりますが、少なくとも農地の細分化というのは防止する必要があるのではないかと。この制度検討し、つくられた段階ではそういう見地からできているものでございますので、やはりそれが維持されるべきではないだろうかというふうに考えております。
  94. 神沢浄

    ○神沢浄君 時間もだんだんなくなってまいりますから、ちょっと老齢年金の問題についてお尋ねしてみたいのです。ここに実態例として現行法で考えてみて掛け金——何かいただいた資料に基づいてみますと、掛け金が年額九千円、月額七百五十円と、こういうことであります。そうすると、それを二十年掛けるわけですね、そうしなければ受給の資格が生じないから。二十年掛けたといたしますと、十八万ということになるわけですね。それから今度は、それでは受け取る場合に二十年掛けでは年額四万八千だと、こういうふうに資料の上では出ておるわけであります。これは六十歳まで掛けても、五年間据え置いて六十五歳から支給をする、こういうことになっているわけなんです。  そこで、平均寿命というのが、どのくらいになっているのか、男の場合でいいと思うのですがね。そうすると、平均寿命を一応基準にしまして計算をしてみると、私もまだそれは計算してありませんが、大体受給できるのはどのくらいの金額になるのか。それは利回りとしてはどのくらいになるのか。そういう計算がありますか。
  95. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 六十五歳時点の平均余命というものにつきましては、この年金を組み立てた当時におきまして十一・八八年ということになっております。そこで、その十一・八八年というものをベースにいたしまして、年利五分五厘ということで計算いたしました六十五歳時点の老齢年金の現価、これが九十万ちょっとになるわけでございます。で、まあそれと今度は、保険料として納める額、総額の六十五歳時点のいわゆる終価と申しますか、これを比較してみますと、五分五厘強になるというふうに理解しております。で、ただ現実にはこの十一・八八年というのは最近はむしろ延びて十三年ぐらいになっているのじゃないかというふうに思いますので、そういうことを考えると、この五分五厘がさらに有利に回っているのだろうというふうに考えられます。しかし、この計算は、この種のものはやはりはっきりした平均値でいくべきでございますので、十一・八八年をとってみますと五分五厘に回っているということでございます。
  96. 神沢浄

    ○神沢浄君 これは、私どもなどには、とても手がつかないようなむずかしい何か保険の計算みたいなものになるわけなんでしょうが、ただ、端的に考えてみますと、利回りが五分五厘——最近は狂乱物価なんと言って、それはものすごい状況でありますが、しかし少なくとも今日までの物価の上昇というか、裏から言えば、貨幣価値の低落ということ。これは引き続いてきているわけでありまして、したがって、まあ、きわめて端的な言い方をすると、非常に価値のある当時からの掛け金をして、価値のないものを受け取っているのであります。まあ、五分五厘という利回りだといたしますと、これは先の魅力の問題に私は、かなりかかわると思うんですけれども、この年金に加入をしなくても、まあ極端な言い方をすれば、その掛け金だけ自分がだんだんと積み立ててくれば、それのほうがむしろ——いま銀行あたりでは、今度利息がかなり上がっておりますからね、ほとんど一割近くなっているんじゃないですかね。そういうようなところに比較をしてみますと、何かこの年金に入るよりか自分でもって積み立てておいたほうが有利だというような計算にならないでしょうかね。
  97. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 年金制度というのは、御存じのように、相当長期にわたる問題でございます。したがいまして、短期の事象ということだけで、ものは見るべき筋のものではないんだろうとこういうふうに実は考えるわけでございます。そこで、各種の年金というものもそういうこともございまして、五分五厘というようなことを一つの基準としてものを考えておる。こういうふうなこともございますし、そしてまた、私のほうの年金の運用のしかたについても、五分五厘というものを基準にするようになっているような次第でございまして、まあ年金としては五分五厘ということを一つのベースにして考えているわけでございます。  そこで、この考え方というのが、先ほども申し上げましたように、経営移譲を支給要件として組み立てられた年金である。こういうことからいたしまして、経営移譲年金というものについては相当有利な——老齢者年金との対比によれば有利な年金ということになろうかと思いますけれども、不幸にして経営移譲ができないというようなことがあって、老齢年金だけ支給を受けるというような方につきましても持ち出しにならない——その持ち出しにならない基準というものは、こういうものは非常に長期の制度でございますので、五分五厘ということを一つの基準にいたし、また五分五厘になるようにこの前の法律のときにも修正が行なわれたというふうに理解しているわけでございます。その意味から言って五分五厘という金利そのものが現状の金利との関係においては、確かに御指摘のような問題もあると思いますけれども、きわめて長期にわたる問題でもあり、数年前には、もっと下がったときもあったわけでございますので、そういう意味から言うならば、やはり各種年金と横並び、五分五厘ということでものを判断せざるを得ないんではないだろうかと、こういうふうに考えるわけでございます。
  98. 神沢浄

    ○神沢浄君 むしろ局長、長期にわたればわたるほど矛盾が拡大するような状況も、これは経済状況のいかんによってはあるわけでして、まあ最近などはむしろそういうことになるんじゃないかと思うんです。しかし、まあ、年金という制度そのものは、ただ利害、損得だけの問題ではないと思いますがね。まあそのことは別に置きましても、それだけに、私は、やっぱしいまの完全積み立て方式というのは、この制度への魅力を持たせ得るかどうかという問題にかなりかかわると思うんですよ。これは完全積み立て方式じゃ、それはいまのように、どんどん貨幣価値が変動していっているような際においては、これは損の勘定にきまっておるんですね。  ですから、もう時間がありませんから、ほんとうに率直にお尋ねをしますけれども、この財政方式というのは、もっとやっぱり、たとえば修正積み立てか、賦課方式か、そういう方式に切りかえていかなきゃならぬのは私は、必至だと思うんですが、そういう点について何か考えられておられるような点があるでしょうか。
  99. 大山一生

    政府委員(大山一生君) この農業者年金の現在の年齢分布構成を見てまいりますと、四十三歳以上というのが、農業者年金に加盟している被保険者の六六・五%を占めております。これは厚生年金で見た場合に、同じ年齢が二七・四%、そして国民年金が四三・九%と、こういうふうなことになっているわけでございます。  それから被保険者と受給権者との比率というのを見てまいりますと、現在の将来推計に当たることでございますけれども昭和六十五年ベースでもって農業者年金の場合、受給権者が四二・七%を占める、そして七十年以降は五五%前後になってまいると、まあこういうふうな実態になります。この辺は厚生年金なんかで見ますと、大体七十五年度までが二〇%以下と、それで八十五年ぐらいになって二七%になる。それから国民年金の場合は六十年以降ずっと八十五年まで見ましても一九%以下と、こういうふうな非常に構成が農業者年金の場合は他の年金と異なっておるわけでございます。  そういうふうなことから見ますと、やはり世代間の負担の不公平を来たさないような方向ということを考えざるを得ないと。こういう点から見ますならば、極力完全積み立て方式を維持しなければならぬのではないだろうか、実はそういうふうに考えているような次第でございます。じゃあ、当初から完全積み立てであったかという話になりますと、衆議院の国会の修正で二十円ですか、修正された部分というのは、しばらくの間は完全積み立てではなかったということになるわけでございますけれども、やはり考え方としては、完全積み立て方式というものは継続しないと、後代負担が非常におかしくなる。こういうふうな点が、農業者年金の場合には、特にこういった他の年金と異なった年齢分布になっているというようなことも含めまして、より要請されるのではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  100. 神沢浄

    ○神沢浄君 まあ、その辺は、むしろぼくらとは考え方がまるきり逆になってまいるわけなんでね。まあ農業者年金の、もちろんこれは漸減をしていくでしょう。したがって後代負担が増高するということに計算上はなるでしょう。しかし、そうであるからこそ——私はやっぱり積み立て方式というのは、今度は逆にそういうような後代負担の増高を避けるために、先代の負担に、それだけしょわしていくということにもこれはなっていくわけでありますから、これはやっぱりかなり大きな矛盾というものを包蔵していると思うんですよ。それから、それより何よりただ財政というだけの面から考えれば、いまの御説明のような計算の理屈というものが出てくると思うんです。ですから、この制度そのものに、やっぱり農業者に対する社会保障的なものをもっと取り入れていかなければ、この制度というものは、私は、あまり意味のない、農民からは何ほどの魅力を持たれないままになってしまうんじゃないかということを感じます。それで二、三の点を御質問申し上げてみたんですが、それは、この改正案の中でということよりか、やっぱり今後の私は検討課題だと考えなきゃいけないと思いますね。  それから、もう時間がなくなっておりますから次の問題にまいりますが、この法律を見まして私が感じました一つは、これは基本的な点だと思うんですが、国民年金が土台になっておる。これはまあわかりますが、本来それは何もこの制度をつくらなくたって国民年金という制度があるわけなのです。別に、農民は入れてくれないということにはなっていないのですから、それが土台になってあたりまえのことだと思いますが、付加年金というものもやはり条件になるわけですね。ところが、この付加年金というのは国民年金法からいえば全く任意性のものであって、入らなくてもいいものですね。それが、この制度に関してはいわゆる土台の、国民年金の本法の中では任意制のものが、この制度になると今度はそれが強制というか、いわゆる義務制のものに変わるということは、これはちょっと法理論上もおかしな点がありそうに思えるし、そんなことをしなくたってもいいんじゃないかと私思いますがね、これはどういう理由でこうなっておるのでしょうか。
  101. 大山一生

    政府委員(大山一生君) この制度発足のときにも、この問題については、国会でも御議論があったわけでございますけれども国民年金制度自体で、先生の御指摘のように、付加年金部分というのは、任意加入になっているわけでございます。で、この農業者年金制度を組み立てる場合に、農業者について、こういったようなものを利用できるものは全部利用するという上で、さらに厚生年金並みの給付になるために、必要な部分を農業者年金制度で設ける、よって給付する、こういうふうなことに組み立てられたわけでございまして、そういうために、農業者年金の加入者についても付加年金に当然加入させる、ということでこういうふうな制度になっているようなわけでございます。
  102. 神沢浄

    ○神沢浄君 そこら辺がちょっとわかりかねる。というのは、冒頭お尋ねしたように、いわば経営移譲年金というその制度の目ざすものは、これは規模の拡大なり、農地保有の合理化なり、そういう一つの政策的目的というものがあったわけですね。ですから、そうであるならば、別に付加年金をその中に持ち込まなくたってもいいわけであって、むしろ付加年金というものを持ち込んだ思想というのは、これはあれじゃないですか。いま御説明の中でもちょっと触れられていたように思いますけれども国民年金という制度があるのだから、農民といえどもその国民年金でもって、端的な言い方をすると、事足りるのであって、しかし農業者のために、局長の言い方を借りると、日本農業の今後への方向に機能させるためにこの制度考えたと。こういうことになりますと、これはどうしたって老齢福祉、老後の安定的なものを農民のために考えてやるという、こういう考え方というものに立っているからだと思います。そうであれば、国民年金法の中においては任意制になっておるものを、この年金の中へだけ持ってきて、それをわざわざ義務制にして、それをしなければだめだという、この理由というものが私は、どうも、そこら辺の説明がうまく納得できないのですけれども。その義務制にしなきゃこの制度は成り立たないのでしょうか。
  103. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 付加年金部分については保険料も月四百円、一月について年金額は二百円に対して納付済み期間の年数、こういうことで付加年金になっているわけでございますけれども農業者についていわばこの農業者年金制度といいますか、水準をきめる場合に、こういう制度も要するに、農業者の場合においてはそれなりに所得はあるわけでございますが、そういうことから所得のある人は、加入する資格を持っているようなものはすべて利用して、それを利用した上において、なお必要とする部分というものを農業者年金給付する。こういうふうな趣旨から、農業者年金に限りましては、付加年金も当然加入制度とする、こういうふうな措置になったというふうに理解しております。
  104. 神沢浄

    ○神沢浄君 まあよろしいです。冒頭にも申し上げたのですけれども、どうもこの制度というのは、一方にある国民年金というような、言うなれば、既存の年金理論上の問題に非常に遠慮もしながら組み立ったものだという、こういう印象がどうしてもぬぐえないのですけれども、次にまいります。  小さな問題ですが、私は、山梨の甲府という市の、ごく周辺に居住しているのですがね。私などの住んでいる地域は、最近は、施設園芸がうんと盛んでして、ああいう地帯に行きますと、五十アールというような、いわば面積条件というものが、ほとんど何といいますか、非現実的なものになってきてしまっているわけなんですよ。ですから、施設園芸などの農業の場合は、これをもっと面積条件を下げて、三十アールなら三十アールというようなところへ下げて、対象にしていくというような考え方はないでしょうかね。
  105. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 先生御指摘のように、園芸経営でありますとか、あるいは畜産経営、こういったもので、その三十アール末満であっても、相当の収入をあげておられる方があることは確かだと思っております。ただ、まあこの制度が、いわば農政上の要請から、特に土地というものを生産の基盤とする農業者といったものを対象にしている、こういうようなことで構成されているというようなこともございます。それから、一般論として見た場合に、三十アール末満の農家、これはこの前の七〇年センサスの結果で申し上げますと、販買金額五万円末満というのが八割以上を占めているという地帯がございます。それから二十万円以下ということにしますと九六・四%が二十万円以下の販売金額にすぎない、こういうふうな実態があるわけでございます。こういうふうな実態ということがやはり三反という下限をさらに下げることについての一つの問題点じゃないだろうか、こういうふうにも考えるわけでございます。現実に普通の園芸経営なりあるいは畜産経営をやっておられる方も大体三反以上持っておられるのが普通である、こういうようなこともございますので、いまのところ、三十アールというものを任意加入の下限というふうに考えているわけでございます。  ただ、まあこの前、衆議院のほうにおきましても、附帯決議の中にも——北海道でまず下限が二町であるというような問題も含めてやはり検討すべきではないか、こういうふうな御意見もありました。そしてまた、われわれのほうの研究会におきましても、園芸農家等を何か取り扱う方法はないか、というようなことも議論になったことは確かでございまして、そういう意味におきまして、今後、園芸経営とか、こういったようないわゆる施設園芸農家についての取り扱いの問題は、長期的に検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  106. 神沢浄

    ○神沢浄君 大臣がお見えになっておりますから、大臣に私は一、二点だけお尋ねをしてみたいのですが、実は、大臣がまだお見えになられない先に、局長と若干まあ論議をしたところなんですが、私の意見を先に申し上げますと、戦後の日本の農政というものが、まあ私どもから言いますと、いわゆる農業基本法をその基本に置きまして、まあ一応それじゃあ基本法農政という言い方をするとすれば、そういうことでもって今日まで推移してきておると思うんです。しかし、この基本法農政というのは、たとえば百万自立経営農家の実現をはかろうと、あるいは米麦を、もっと成長部門への農業に切りかえをはかっていこうと、いろいろな目標を持ってやってこられたわけです。が、これは率直に言って、私は、農業基本法の農政というものが成功しておるとは言えないと思うんですよ。これは、その後の国の内外、あるいはその他の農政推進を円滑ならしめざるような行政というようなもののあったことも、これは避けられぬと思うんですが、そういう結果、ことしの大臣の所信の表明の中などにも、別に基本法農政の評価に触れられてはおりませんけれども、しかし、現実の問題、今後の日本農業の進む方向としては、やっぱり農業の再建をはからなければ——国民の食糧の自給の達成というような、重大な課題を実現をしていくためにも、この際、農業の再建が必要である、というようなことを強調されていると思うんです。  確かに、いま日本が直面をしておる農業問題というのは、かつての国際分業論などというような考え方であってはならない。やっぱり日本の農業それ自体をこの際、たとえば食糧の自給度なんかにしたっても、相当低下をしてきておることは、これは事実でありますし、そういう現状の上に立って、日本の農業というものをそこでもって見直し、その再建に向かわなければならないという重大な局面にあるということは、これは論を待たないところだと思うわけです。そうなってまいりますと、そういう考え方の中でもって、この制度だってやっぱりその一環として考えていかなければならないのじゃないかというふうに私は思うんです。  ですから、経営移譲の優遇措置というふうなものなどに重点が置かれてきておるような現行の制度でなくて——実は局長に主従の関係をお尋ねをしたところが、この制度の発想のときから経営の移譲というふうなところに、それはもとより経営の規模の拡大だとか、あるいは農地の保有の合理化だとかいうふうなところを目ざしての制度である。ですから、しいて主従の関係を言うならば、やっぱり経営移譲年金のほうに主点が置かれて、農民のいわゆる老齢福祉的な年金のほうが従に考えられてきておる。私は、しかし、いまはそれを切りかえなきゃならないときになっておるんではないかというふうに考えるんです。農民自体に、もっと農業への魅力を復活をさせ、そしてほんとうに食糧の自給の目標にいたしましても、ほんとうに日本の農業というものが再建していけるような、それは何かと言うと、やっぱり農民自体がもっと農業に魅力を復活をさせなければ、私はそれはできない相談であって、幾ら若い優秀な後継者を求めようなどといったって、魅力がないままだったらばそんなことはとてもできない相談です。  そうすると、やっぱり農業というものが安定した仕事なんだと、一生を託して十分なんだと。それには制度上からも、たとえば農業者年金にしたところで、生涯を農業のために働き、老後の安定を約すということも、制度上こういうふうに保障されていくんだという、こういう私は年金に変えていかなければ、新たなる日本農業の行く手というものに対してはこの制度は生きないんじゃないか、というふうに考えざるを得ないわけなんです。局長はなかなかうまいことを言われたんですけれども、やっぱりこの制度は、農業の向かうべき方向への役割りを果たしていくというところに、この制度の意義がなければならぬと、全くそのとおりだと思うんです。農業の今後向こうべき方向への役割りを果たさせるという中身にするには、私がいま申し上げたような意見が妥当であろうと、こう私なりに考えているわけなんですが、そういう点について私は大臣の御所見を伺いたいんです。
  107. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 日本の農政につきまして、いまお話しのように、われわれは食糧の自給度を維持、向上するという必要性、このたてまえは第一の基本方針であると思っておりますが、お話のございましたように、そういう目的を貫いていくために、われわれは今回発表いたしております農業白書などでも、三つの重要項目をあげておりますが、その中で後継者の確保、育成ということをうたっておるわけであります。いまお話のございましたように、幾ら国民全体が自給度を高め、また農業のにない手を確保すると言ってみましても、やはり経済的にもまた、環境的にもそういうふうな希望を持っていただくように、農民にしむけていかなければ、から念仏になってしまうんではないか、御指摘のとおりだと思います。私どもは、そういう意味で、この農業年金制度等も当初そういう考え方に基づいて、将来とも安心してやっていただけるような方法をとるべき一つの方法として年金制度等も考えたわけでありますが、これとてもやはり社会経済情勢の変化に伴いまして、制定当時は経済的にも、かなり考えられることをやったつもりでありますけれども、今日のような状況になってまいりまして、貨幣価値が低落してくるというふうな傾向になりますと、ほかの公的年金でもそうでありますが、これは政治全般としてきわめて大事な問題であると思っております。したがって、財政の基本としては、やっぱり総需要を抑制して物価を安定するという、そういうことになるわけでありますが、それと並行して、私どもはやはりこの制度そのものの改善をはかっていくことは、他の公的年金でも同じことだと思っております。ただ、それが十分に実施できないというには、それなりのやっぱり財政的な事情もございます。その辺の調整がむずかしいところであるというふうに私どもは率直に考えております。  しかし、いまお話ございましたように、やっぱり自給度を維持して、農業が他産業に比べてひけをとらないような所得を確保できるようにという目標はやっぱり動かすことができません。そういうことのために、基本法などもそういう考えで出てきていると。あの法律制定の時代、いまから十四、五年前になりますか、あれはやはり日本の経済が逐次近代的に非常に伸びていこうとしておるときに制定されたものでありまして、やはりその中では、将来の見通しをつけて、御存じのように、選択的拡大をまず掲げておりますし、それから基本法二条二項でありますか、やはり生産性を上げて農産物の生産の総量の拡大ということについてうたっております。そういうことから申しますというと、私はあのねらっております目標は間違いではないと。やはりこれはわれわれの精神を尊重してやってきておると思いますし、また将来もそういうつもりでなければならないんじゃないかと、こう思っております。が、しかし、法律はすでに固定しているものでありますが、社会のあらゆる事象は日に日に変化していくわけでございますので、決してとらわれた感じを持っているわけではありませんが、随時この基本法等についても検討は続けてまいりますけれども、ただいまのところ、いま申し上げたような状況でありますので、これをにわかに改変するということを考えるかと言われれば、いまはその時期ではないと、このように考えておる次第であります。
  108. 神沢浄

    ○神沢浄君 この改正案審議の中でもって、いま目の前で私は求めているということではございません。ただ、とにかく日本の農業の路線というものがかなり重大な曲がり角にきておるということは、これはもう私は、いなめない事実だろうと思います。したがって、これをどう切りかえていくか、日本国家的な立場からは非常に重大な問題としてやはり農業の問題がとらえられて、そして真剣に、いま新しい方向への模索というものがやられなきゃならない時期だと。こう考えるだけに、そういう考え方の中でもって、単なる農業者年金基金という制度といえども、これはやはり局長が言われるのじゃないけれども、これからの方向に沿った立場でもって検討されていかなきゃならぬのじゃないかと、こういうことを申し上げたかったわけでありまして、別に御答弁を求めるわけではございません。  時間がありませんから、最後に、農林年金の問題を二、三お尋ねをして終わりたいと、こう思うんです。  一点は、これは関係団体などから非常に注文があるのですが、私も長い間農業共済の県の連合会の役員などをずっと続けてやってきておる立場ですけれども。特に私の関係を持つ農業共済職員団体などから、いつも注文を受けるんですけれども、民間共済の場合、私学共済については都道府県財政援助を受けられるような法律上の規定がある。ところが、同じ民間共済だけれども農林年金の場合はそれがない、不公平だと。これを何とかひとつ同じにしてもらえぬだろうかという、こういう意見が非常に根強くあるんです。そういう点でもって当局とすればどんなふうにお考えになっておられるかという点が一つ。  それからもう一つは、農林年金の側から、さっきも申し上げた私の関係ある職員団体などからいわせますと、厚生年金公務員共済などに比べて、やはり農林年金のほうが、比較をしてみると、何と言うのですか、非常に不利な格差がある、こういうことをいうのです。私もまるでしろうとですからうまくわからないんですよ。ですから、そういう格差の有無というような点については、実際どうなんかというふうな点をお尋ねをしておきたいんです。  それからもう一点、これは午前中の参考人意見を聞きながら、その中から感じたことですが、組合員資格の問題でもってこういう意見でした。まあ長い間掛け金をしてまいりまして、いよいよ受給の段階になると、受給者になれば組合員でなくなってしまうという、これもかなり理屈が合わないことじゃないかという御意見で、私など聞いておって、全くそのとおりに思ったわけなんですが、いよいよ受給という段階になると今度は発言権もなくなっちまうというような、これもおかしなもんじゃないか。むしろ平たいたとえをすると、もう掛け金を掛け通してきたのだから、その組合事業の中においてはむしろ大株主なんで、敬意を表されてもいい立場なんで、それが何か全く組合というものとは、発言権などなくなった単なる受給者という立場だけになってしまう、おかしいじゃないかというような意見がありました。そんなように私も感じながら聞いたのですが、時間の関係上、いま申し上げた三点をひとつお答えをいただければありがたいと思います。
  109. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 最初にお話のございましたのは、しばしば起きる問題でありまして、農林年金につきましては、組合員掛け金負担の軽減をはかるために私学共済と同様の都道府県補助を導入することにつきまして、これは農林省といたしましても、関係省と十分協議を行なったわけでありますが、私学共済につきましては、都道府県補助が行なわれているという理由は、公共団体が行なう教育を私学が肩がわりしているんだと、こういうことに着目をいたしまして、施設費や人件費等の補助が、ともに行なわれているものであると、こういうことになっておるわけであります。  そこで、農林漁業団体につきまして都道府県補助を導入することにつきましてどういう理由づけをするか、また、補助に伴う都道府県財源措置をどうするかといったような問題につきましていろいろ相談をいたしてみましたけれども、残念ながら今回その協議がまとまるに至りませんでした。今後とも、この問題につきましては、関係省と十分協議をいたして検討してまいりたいと思っております。  それから受給者の組合のことは政府委員から……。
  110. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) では二番目と三番目の御質問にお答えいたしますが、まず農林年金と他の年金との比較でございます。  まず国家公務員共済なり地方公務員共済との比較でございますけれども、これは確かに差があると思います。その原因の一つは、やはりはなはだ残念ではございますけれども、対象組合員給与ベースがまず違うということが一つございますし、それから在職期間が平均的にやはり公務員のほうが長いということもありまして、現に受けている年金の額に差があるようでございます。  ただ、もう一つのお話で厚生年金とはどうかというお話でございますが、私ども農林年金が、厚生年金から分離、独立をいたしたと、その目的がやはり厚生年金に劣らないような給付内容を持つ年金にしたいということから発足いたしたものですから、私どもはこの格差につきましては非常に注意を払っております。今回の改正が成立いたしましたならば、私どもは、少なくとも厚生年金に比較いたしましてそう劣らないような内容になるというふうに思っております。  まず給付額について申し上げますと、今回の改正の中に定額年金者につきましては新たに通算年金方式に準ずる方式を導入いたしまして、それと比べていずれか高いほうを支給するというような制度も導入いたしたことでもございますし、また、最低保障額等につきましても引き上げております。  そこで、現在の改正後の場合におきまして、年金水準によって厚生年金と比較した場合、それよりもなお下がるという者の数は大体九%余りというふうに考えております。ただ、九%余りの方々につきましても、農林年金給付開始時期が五十五歳からでございますし、厚生年金は六十歳からということで、その後の余命等を考えまして、さらにその期間におきます給付総額プラス金利等を考えますと、これはやはり私どもは、厚生年金に劣っていない制度になっているというふうに実は考えているわけでございます。  それから、掛け金率につきましては、確かに厚生年金よりも高いわけでございまして、これは私ども、はなはだ残念に思っておりますが、これにつきましても今後の財源率の再計算期等を機会にいたしまして、いろいろ総合的に検討はいたしていく所存でございます。  それから、国庫補助等につきましても、確かに厚生年金は二〇%の補助農林年金は一八%でございますが、それ以外に財源調整費補助というのが一・七七%相当額というのがつけ加わるわけでございますので、合わせれば大体同じ額になりますし、また、具体的な個人個人の受ける給付額中に占めます国庫補助の額を比べますと、むしろ厚生年金受給者よりもよけい国庫補助を額としてはもらっておるというような計算になると思っておりますので、ほぼ厚生年金を下らない水準になっている、むしろそれを上回っているというふうに言えると思っております。  それから三番目の、年金受給者とそれから農林漁業団体職員共済組合の運営との関係でございまして、確かに農林年金を受給するようなことになりますと、これは組合員資格を失うわけでございます。ただ、現在の共済組合制度といいますものが、基本的には積み立て方式でやっておりまして、現在積み立てている方たちが、将来もらえる年金について、いろいろ研究をし、発言をし、それを運営にしていく。ほかの年金につきましては、運営審議会等の制度もございますし、私ども年金では、組合会という制度がございまして、組合員中心に運営がなされているわけでございます。しかし、今回の改正でも、既裁定年金改善等の措置をやっておりますので、既裁定年金に対する制度改正考える場合には、やはり年金受給者の声というものもこれはやはり検討せざるを得ないというふうに思っております。かつて年金基金等におきましては、アンケート等によりまして意見も聞いたこともございますし、また、年金受給者につきましては、ほぼ大部分の県におきまして連盟のようなものをつくりまして、いろいろ連絡調整をやっているということも聞いております。私どもも、今後やはり制度改正等にあたりましては、なるべくそういう方々の意見を聞きまして、制度改善を反映するように努力はいたしたいと思っているわけでございます。
  111. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十四分散会