運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-05-07 第72回国会 参議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月七日(火曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員の異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      小川 半次君     亀井 善彰君      辻  一彦君     吉田忠三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         初村滝一郎君     理 事                 梶木 又三君                 高橋雄之助君                 足鹿  覺君                 鶴園 哲夫君     委 員                 佐藤  隆君                 田口長治郎君                 棚辺 四郎君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 堀本 宜実君                 神沢  浄君                 工藤 良平君                 塚田 大願君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        公正取引委員会        事務局取引部長  後藤 英輔君        水産庁長官    内村 良英君        建設政務次官   内海 英男君        建設省河川局長  松村 賢吉君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        科学技術庁計画        局資源課長    岡部富久志君        科学技術庁研究        調整局海洋開発        課長       松原 良夫君        外務大臣官房海        洋法準備室長   黒河内久美君        外務省国際連合        局外務参事官   野村  豊君        資源エネルギー        庁石油部開発課        長        豊島  格君        運輸省大臣官房        参事官      佐藤 久衛君        建設省河川局水        政課長      佐藤 毅三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○漁業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資保証法  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○沿岸漁場整備開発法案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  漁業災害補償法の一部を改正する法律案漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案沿岸漁場整備開発法案、以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き三法案質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 足鹿覺

    足鹿覺君 いわゆる水産三法、特に沿岸漁場整備開発法案につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、農林大臣並びに外務省当局お尋ねをいたしたいと思いますが、その第一点は、世界的に食糧危機が叫ばれておることは御承知のとおりであります。日本食糧自給率も低下の一途をたどっておりますし、それはGNPの上昇とはまさに逆比例をしておる憂うべき現象といわねばなりません。国内の情勢も、畜産物飼料輸入価格の暴騰、あるいは対日輸出削減、あるいは輸出禁止等が昨年行なわれまして、深刻な畜産危機を招いておることは大臣もよく御承知のとおりであります。  このような情勢の中で、ニューヨークにおきまして国連資源総会が開かれ、去る五月一日に七項目からなる宣言と、九項目からなる行動計画ですか、を採択して終了いたしておるのであります。これらはすべて世界的な食糧危機を意識した上で開かれておりますから、日本もそういう立場で参加されたと思います。特に、先進国発展途上国との格差を是正をするとか、あるいは国の主権の平等の問題だとか、相互依存精神で進むとか、共通利益協力して進むことによって、新しい国際秩序の確立を求めていくというのが会議精神であり、方向でもあったと思います。これらについて外務当局並びに——主としてこれは外務省の所管だということでありますが、外務省には、その会議の経過なり日本のとった態度、今後またどのように対処するかというようなことについて伺いたいし、農林大臣には、やはり魚をたん白資源として、米のめしに魚という、これは日本人の食生活には欠かすことのできない問題でありますから、漁を食料として重視していくという立場から、私は、外務省まかせにはできない性格の会議だとも思います。これらに対する大臣の御所見なり今後の講じようとしておられる方針等がありましたならば、この際承っておきたいと思います。
  4. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私どもの感じといたしましては、今度アルジェリアが主唱いたしまして、いまお話資源国際会議が開かれたわけでありますが、これまだ、私どもも詳細に実際の報告を受けてはおりませんけれども、大体の状況を聞きますというと、先進国開発途上国対決が避けられたと報道されております。宣言行動計画がいわばコンセンサス方式で採択された形になっておりますが、こういう点はけっこうなことだと思います。が、おそらく私は、この会議は一応こういうことで今回はきまりをつけたといたしましても、ずっと長く尾を引くべき重大な問題がたくさん包蔵されているんではないかというふうに観測をいたしております。  それからまた、宣言行動計画のうち、わが国農林水産業に悪影響のあるおそれのある部分につきましては、他の先進諸国と同様、留保条件をつけさせておるわけであります。  それからもう一つは、石油危機によりまして大きな被害を受けました開発途上国に対する特別措置は、今後、国連特別委員会でさらに詳細に検討されることになっておりますが、わが国もこれに必要な協力を行なってまいる方針でございます。  今回のこの会議が、アルジェリアの主唱によりまして持たれました経緯等を見ておりますと、ただいま足鹿さん御指摘のように、いまの国際社会においてはやはり南北の問題、これはわれわれとしても将来にわたってきわめて注意すべき問題であると思っております。その間に処して、私どもの所管いたしております関係、たとえば行動計画の中でも食糧等について言及をいたしておりますが最後のところでお話のございました水産につきましては、これは本年の六月開かれることになっております第三次海洋法会議等を含めまして、ただいま御指摘のように、これは一外務省当局にまかしておいてよいという問題ではありませんので、政府といたしましては、外務省を含めた日本国政府全体としての食糧政策水産政策、そういう立場に立って——最終的に一番食糧及び水産に対しての責任当局であります私どもの見解を基礎にして政府方針をきめ、国際会議にもその方針で対処してまいるということはもちろん一番重要なことであろうと思っております。  大体概略は、私どもの感触はいま申し上げましたような次第であります。  それから、いまお話の中にありましたように、食糧自給の問題の一環といたしましての動物性たん白、これは申すまでもなく、わが国の国民は、水産物からとる動物性たん白が非常に大きなウエートを占めておるわけでありますから、畜産たん白とともに水産たん白が大きな部分を占めておりますので、今後ともこの傾向が続いて、動物性たん白質供給における水産物役割りは依然大きいものでありますので、水産たん白確保のため、今後とも水産業振興に特段の努力を払ってまいらなければならない、このように考えておるわけであります。
  5. 足鹿覺

    足鹿覺君 いま大臣からのお話もありましたが、この国連資源総会宣言行動計画中身の問題なんですが、宣言の四のG項、多国籍企業の活動を現地国家経済利益にかなった措置によって規制、監視するとありますね。で、この行動計画のまた2項には、食糧問題として、「特にアフリカの途上国農業生産影響を与えている災害、病虫害を阻止するための具体的かつ敏速な措置を取るべく、また、汚染防止資源保全によって特に海の天然資源食糧資源の損傷を控えるべくあらゆる努力をすべきである。」というのがありますね。途上国としては、「外貨準備を不当に圧迫することなく必要な量の食糧を輸入出来るよう配慮し、途上国食糧生産備蓄設備増大のための措置を考える。」という項目もありますが、私は、この四のG項の多国籍企業の問題、これに対する、つまりこの総論には賛成するけれども内容には、各論についてどうも賛成をしておらないという日本態度がおかしいと思うのですね。  日本が一あとで触れますけれども日本が二百海里の領海幅員の問題であちこちから締め出されを受けつつあるということは御承知のとおり。これは多国籍企業のみにも限りませんが、日本の大企業が、現地国家沿岸において何をやったか、どういう悪どいことをやったか、ということの報いの一つでもあると思うんです。で、そういった問題についてやはり反省をすべき点は反省をすべきではないかと、かように考えるんです。そのこと自体は、企業でありますから、別にこれを規制を加えるということはいままでなかったと思うんですけれども、このように各国から締め出しを食うというような状態の中で、総論には賛成しておるが、どうも中身具体案には反対ないしは賛成できないということは、いまの大臣の御答弁では、農林省としては、食糧問題としてあるいはたん白資源の問題として真剣に取り組むという御答弁がありましたが、つまり先進国後進国との関係において、ものを見る、つまりいままでの考え方は私は、どうかと思う。北の先進国が、南の途上国から資源を安く豊富に手に入れて繁栄を築くということができなくなりつつあるという意味に理解すべきだと思うんです。いわゆる先進国としての一つの時代が終わってきておるのではないか、終わりを意味する。まあそういうふうに私は受けとめたいと思うんです。  したがって、このような考え方からいたしますと、世界の流れに対する対応策を一歩誤ると、日本世界孤児とならざるを得ない。世界各国から指弾を受ける、こういうことになりかねないと憂えておるわけである。特に、石油危機から大きくクローズアップしてきた、GNPは高いけれども資源小国としての日本立場というものを考えたときに、遠洋漁業面においても締め出しを食うというようなことは、これはきわめて遺憾千万なことであろうかと思います。そういう意味から、われわれは、日本食糧自給体制一環として今度の沿岸漁場法については、それなりに評価をし、これを十二分にフルに動かして、たん白資源確保をはかり、漁民の正しい漁業権の上に沿岸漁業振興を期していかなければならぬという考え方で大きく期待をしておるわけです。  そういう点におきまして、重ねて大臣なり——外務省おいでになってますか、——大臣のいまの答弁で私は、ある程度わかると思って、いまのは、外務省にも少し警告を申し上げたいと思っていたんですが、まだお見えになっていない。で、重ねて、先ほどの御所信である程度私もお気持ちはわかりますが、いま申し上げたような多国籍企業の問題やいろいろなこの第三次国連海洋法会議に関連をいたします、世界孤児にならないための、もう少し突っ込んだ大臣の御所信というものを承りたいと思うんです。私は、外務省は、経済外交という立場からいろいろおやりになっておると思いますが、こういう問題について——どもは、世界各国の、あちこちの大使館や領事館を歩いて、こういう問題について大使や公使に質問をしましても、活躍しておられる実績というようなものはあまり聞いておらない。そういう点で、やはり食糧についての中心官庁である農林省指導的イニシアチブのもとに、こういった問題に対処していくのが私はいいんじゃないか、そういう意味です。
  6. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 最近、ことに一般世界情勢というものには大きな変化があると思うんでありますが、いまお話のございました中にありますように、旧帝国主義的ないわゆる植民地政策といったようなものの考え方というものは、逐次だめになってまいりますし、また、改めていかなければならないことだと思っております。ことに、第二次世界大戦後は、非常に独立国の数が多くなりまして、しかも多くは開発途上国、これらがやはり国際会議等においても自己生存権自己利益を主張するのは当然なことでありますので、国連状況を見ておりましても、その他の国際会議を見ておりましても、そういう開発途上国意見というものが数の上でかなり有力になってきておるのは現実の姿でありますし、また、私ども世界全般の平和を考えましたときに、そういう国々独立繁栄というものを一緒に願ってやるということでなければ、世界平和を維持することは困難であるというふうに、たてまえとして考えております。  まあ、農業ももちろんそうでありますが、ことに外国との接触面を多分に広く持っております水産業におきましては、まず先ほど申し上げました六月のカラカスにおける海洋法会議等におきましてもそうでありますが、わが国はやはりいま私が前段に申し上げたような思想のもとに対処していくつもりでありますが、二百海里説を主張しておる開発途上国沿岸国がすべて他国を締め出すというふうな意思があるかどうかは別問題といたしまして、私どものような遠洋に非常に大きな力を持っております国家としては、この二百海里説というのは、そのまま実施されるということになれば、かなりの影響を受けなければなりません。したがって、私どものとるべき態度としては、そういう二百海里説を主張いたしておる国々でも、どういうところにその目的があるのかということを十分相談をし合いまして、これらの国の経済的開発等協力ができるならば、それもやはり協力をするということが必要ではないかと思っておりますし、個々の国々ともちろん平和裏に協議をいたしまして、そして両方とも立てるような方策を講じていくということが必要ではないかと思っております。  そういう意味で申しますというと、やはりわが国態度としては、外務省態度ももちろん大事でありますが、その外務省が行動してくれるのに対して、担当省であります私どものほうの立場、また、考え方がきわめて重要な立場でありますので、政府部内において十分そういうことにつきまして意見調整をいたした上で対処してまいるつもりであります。が、まあそれとは別に、先ほどお話のありましたように、従来、日本の大きな漁業会社等の、外国においての行動等についてもお話がございましたが、それは私どもつまびらかにいたしておりませんが、大体において各国との間には、きわめて平穏裏に協調してやっておるように見受けておるわけであります。しかし、先ほど申し上げましたように、各国の動きを見ておりますと、きわめてデリケートな面もありますので、国際社会に活動しておるわれわれのほうの民間の出先等におきましても、十分そういうことを念頭に置いて、わが国の威信を傷つけず、また、国際協力の実をあげられるような態度で進んでもらうようにはしていかなければならぬということは当然なことであります。まあいま資源総会をきっかけにいたしまして、これから対外的に対処してまいります政府の私ども考え方は、あらまし以上申し上げたような考えで進もうとしておるわけであります。
  7. 足鹿覺

    足鹿覺君 外務省は……。
  8. 野村豊

    説明員野村豊君) どうもおくれて申しわけございません。  御承知のとおり、四月の九日から始まりました国連資源問題に関する特別総会は二日に終わったわけでございますが、この資源総会におきましては、わが国水田代表一般演説において申し述べられましたとおり、資源開発の問題は、われわれ人類共通の重要問題でございまして、この問題の解決のためには、資源を持てる国も、持たざる国も世界的な立場から対話と協調の精神協力していくべきであるというふうな態度から臨んだわけでございます。で、そのためには、各国がともに共同の責任を果たすべきであるということを主張したわけでございます。で、この会合は非常に長くかかりましたわけでございますけれども、すでに大臣から御説明があったかと思いますけれども宣言行動計画。この行動計画の中には、特に最近の経済変動によりまして変動を受けました国に対しますところの特別措置というものが含まれておるわけでございます。  それで、いま申し上げたような態度で臨んだわけでございまして、わが国はできる限りこの会議が、いわゆる対決の場とならないで、人類共通の問題につきましてみんなが解決協力を進めるというふうな、建設的な態度で臨もうということでまいったわけでございまして、御承知のとおり、いま申し上げたいろんな文書コンセンサスということで採択されたわけでございます。で、いま御指摘の何か総論賛成各論反対というふうな御趣旨の御質問であったかと承知しておるわけでございますけれどもわが国といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、この基本原則を盛られておりますところの宣言案、それから行動計画、それからその行動計画に含まれております特別措置、すべてにつきまして相当前向きな態度で臨んだわけでございます。特に、ただその行動計画につきましては、非常に膨大な文書でございますのと、十分な審議を尽くす機会がありませんでございまして、もちろんそれぞれの字句については各国ともいろいろ問題があったわけでございます。で、いま総論賛成各論反対というふうな御指摘でございますけれども、もちろんわが国の一番問題としておりますところの、たとえば天然資源恒久主権の問題とかそういった問題につきましては、留保ということではなくて、それに対しましてわが国立場を十分述べるというふうなことをしてまいったわけでございます。  もちろん、それからさらに先ほど申し上げました行動計画の中には、特別措置というものが含まれておるわけでございまして、特に、最近の経済変動によりまして影響をこうむった国に対しましていろんな救済の手を差し伸べるというふうなことが盛られておるわけでございます。その中にはさらに特別基金をつくろうというふうな話もございますけれども、それにつきましても、わが国はかなり積極的な発言をいたしておるわけでございまして、特に最終段階におきまして、こういった構想が、現実的な国際的ワク組みのもとに効果的に運営される基金具体的成案ができるならば、他の能力ある国が寄与することを条件にいたしまして、わが国といたしましてもできる限りの寄与——コントリビューションでございますけれども、するというふうな、きわめて前向きな発言をいたしたわけでございます。もちろん先ほど申し上げましたとおり、その宣言行動計画、それぞれの中身につきましては、非常にこれは、ただ資源という問題ではなくて、新しい国際経済秩序ワク組みをつくろうという、きわめてむずかしい、かつまた、広範な問題を取り扱っておる関係上、今後ともいろいろ国連その他の場で詰めなければならないという問題があることは、われわれとしても十分承知しておる次第でございます。
  9. 足鹿覺

    足鹿覺君 いま参事官がおっしゃるような御答弁になるようなことは、私どもも知らぬことはないですよ。にもかかわらず、なお具体的事例を一あなたおいでにならなかったのですが、事例をあげて私が指摘しておりますことは、やはり外貨準備がない国でも、食糧に困っておる開発途上国に対しては、必要な量を必要なときに、その国が輸入できるようにするというような、きわめて人道的な対策というようなことは、これは総論であると同時に各論ですよ。これに反対するなどというようなことはもってのほかのことです。また、この海の天然資源を大事にする。そのためには汚染防止等についても十分配慮をする。こういう問題について、総論賛成しておって宣言の4の(G)項の場合、多国籍企業の問題についてもこれは一番大きな問題、当面しておる問題の一つだと思います。食糧問題としてわれわれはいまこの法案審議をしておる。このままいけば日本畜産もどうなるかわからないですよ。近き将来についても自信が持てないです。輸入飼料を切られたらそれでもうおしまいですからね。それにかわって魚のたん白資源というものを見直す。ところが、いままでのあこぎな、遠洋漁業等についても、あこぎなやり方が今日の世界各国から指弾を受けつつある現状なんですね。  具体的に申し上げましょうか。この二百海里の影響は、たとえば領海幅員の問題で、その水域における現在漁獲高金額隻数というものはばく大なものですね。もしこれを海洋法会議において、さらに検討が進んで、漸次追いつめられてくるとしますと、四十六年の総漁獲トン数は九百九十万九千トン。これに対して二百海里を想定いたしますと、捕鯨を除いてベーリング、北部太平洋ほか約十地域程度で、金額にしますと四千百十七億、隻数にして一万八千八百九十七隻、漁獲高にして四百七十八万四千五百トン、こういう膨大なものがあるわけです。  第三次国連海洋法会議の問題も外務省関係がありますからあわせて申し上げますが、経済水域二百海里問題が取り上げられた場合、大勢はそれを支持すると思うんです、私は。そういう空気にあると思う。日本遠洋漁業に対する世界各国非難規制がこの会議における大きな内容、そうとは言わないでしょうが、そういう内容を占めることは避けられないと思うんです。それによっていま申しましたように、遠洋漁業の八〇%は失われるであろうと、こういう状態にある。いまあなたの、外務省のおっしゃった総論賛成であるが各論反対だということ、農林大臣もあまり摩擦はないというような意味のことをさっきちらっとおっしゃいましたが、これは表立って何か事をかまえて拿捕するとかどうとかいうことではなしに、じりじりと合理的に世界共通立場にある国が、日本締め出しにかかっておるということは捕鯨業においても明らかではありませんか。一九七二年六月のストックホルムで開催をされました商業捕鯨の十年禁止を協定する勧告が圧倒的な多数で可決されたことが契機になりまして、日本捕鯨業に対する風当たりは強く、日本捕鯨禁止を求めて、アメリカカナダ捕鯨禁止家日本に来て反対運動をやっておる。やはりこういう形であらわれてきておるんです。ですから、私は、きれいごとを言っておる段階ではない、こういうふうに思うんです。現に二百海里を規定しているところはブラジル、チリー、ペルーですね。五十一から百五十海里がインド、スリランカ、バングラデシュ、十三ないし五十海里が南ベトナム、モーリタニア、十二海里がアメリカ、英国、オーストラリア、ソ連カナダ、中国。日本とオランダだけが三海里ということになっておりますが、これは、よその国に出て行くんだから、自分のところに広い領海幅員をつくったのでは理由が立たないから三海里ということになっておる。  沿岸資源沖合い漁業が衰微の一途をたどっておるときに、宮城県の金華山沖ソ連の船がやってくる、サンマをごっそりとっていく。銚子の、太平洋日本からまのあたりに見えるところで、外国船が操業する、こういう状態も逆に起きておる。われわれやっぱり日本人ですから、漁民が、それをまのあたり見せつけられたときに、一体どういう気持ちを受けるかといえば、ずいぶん不愉快な気持ちになるでしょう。それと同様ですよ。開発途上国の近くに行って、ほとんど魚族の絶滅に近いような状態までとってくれば、非難を受けるのは当然だ。二百海里説が生まれてくるのは私は当然だと思う。  それは一見摩擦なくしてその国の自主性においてやるんだということになりましても、事実は、日本遠洋漁業ないしはそれに関連する食料資源に大きな制約を受けてこざるを得ない。だから、われわれは、そういう情勢を踏まえて今後、政府がどう対処していくのか。そういうことを、衆議院でも議論があっただろうと思うんですけれども、五月一日の国連資源総会との関連において、もう一ぺん第三次国連海洋法会議、カラカスの六月開催のものに対しては、日本としても十分考えて、そしてこのきびしい情勢にどう対応するかということが、私は大事な問題だと思う。一企業の問題ではなくして、国民のたん白資源、食料の総合的な確保という意味からなおざりにはできないと私は思うんです。あまりこういう議論をしておってもいたし方がありませんが、外務省としては、海洋法会議等について、農林省とどういうふうに協議をされ、どういうふうに今後対処されていく御所存ですか。
  10. 黒河内久美

    説明員黒河内久美君) 先生確かに御指摘のとおり、現在経済水域二百海里に拡大しようという意見は、開発途上国多数の支持を得ておりまして、今度の第三次海洋法会議でも主要な問題の一つになることは確かに明らかでございます。しかしながら、経済水域の中にいかなる権利を沿岸国に認めるかということにつきましては、内陸国とか、それぞれ立場を異にしております国の間で、意見調整がついておりませんで、今度の第三次海洋法会議でいかなる方向に意見がまとまるかということについては、まだはっきりした見通しが持てない状況でございます。ただ、わが国といたしましては、やはり開発途上国の多数によって支持されているこういう提案が出されているということに対しましては、十分に検討していく必要があるということから、外務省といたしましても、関係各省、特に水産庁とは緊密な連絡をとりつつ、こういう提案に対していかに対処していくか、現在検討中という段階でございます。  また、先生御指摘の領海の幅員の問題でございますけれども、現在わが国は三海里ということでやってきておりますけれども、十二海里という説は現在最も多数の国の支持を得ておりますし、今度の第三次海洋法会議でも領海の幅員について何らかの結論が出るとすれば、十二海里ということでまとまる公算は大きいというふうに見ております。私どもといたしましては、国際的合意が十二海里ということでまとまることになりますならば、わが国も十二海里ということを支持するという方向で進んでおります。しかしながら、この領海の幅員の問題も、先ほど申しました経済水域を二百海里に広げるという開発途上国の主張と結びついておりますし、また、これに関連いたしまして、米ソ等の軍事大国が、国際海峡を自由に通行する権利を確保できなければ、領海の幅員を十二海里にすることは同意できないというような立場に立っておりますことから、そう簡単に今度の第三次海洋法会議で結論が出るという見通しも立たない、そういう状況でございます。私どもといたしましては、今度の会議で国際的な意見の趨勢がどのように向かうかということを見きわめつつ、慎重に検討しつつ対処していきたいと、このように考えております。
  11. 足鹿覺

    足鹿覺君 こういう問題について検討中一点ばり——もう六月ですよ。内村長官、いまの答弁を聞かれていいですか、それで。水産庁もそれでよろしいですか。
  12. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 六月の下旬からカラカスで第三次海洋法会議が始まるわけでございますが、それにつきましては、水産以外にもまあいろんな問題ございます。それで、政府の部内におきまして、現在訓令を作成中でございまして、まだ、こういう態度で臨むというような決定的な訓令はまだできておりません。したがいまして、政府部内において検討中でございます。ただ、領海十二海里の問題につきましては、ただいま外務省から御答弁がございましたように、世界の大勢がそれならば、日本も三海里から十二海里に移るというような態度は、ほぼ中で固まっている状況でございます。
  13. 足鹿覺

    足鹿覺君 なぜこういうことになったかということの反省の上に、今後のやっぱり問題は日本の自主性において正しい対策を立てるべきだと思う。ただ残念ながら、先ほども言いましたが、これまでのあなた方政府対応策を見ておりますと一もうこの情勢は相当前からあった。にもかかわらず、世界の世論の流れにさからって遠洋漁業における既得権を主張しておる。いたずらに、その結果として孤立を招いておる。これでは元も子もないじゃありませんか。そういう危険性がないとは言えない。これまでの遠洋漁業のあり方は、公海自由の原則という隠れみののもとで漁業先進国が、世界水産物の独占を目ざしての海洋の細分割をねらったものであろう、と言っても私は言い過ぎでないと思います。しかし、準備会議における発展途上国の主張の裏には、エコノミックアニマルの日本は、公害は自国の沿岸でたれ流し、そして漁場を失い、言うならば、自分の庭先を汚物でけがして魚が取れなくしておいて、遠くの他人の庭先へ来て荒らしまくる。これが私は、開発途上国の、あるいは世界指弾を受けないはずはないと思うんです。この点、どうでしょうか。既得権の主張といってもこれはいまさらそういうことが通らないですよね。まあ外務省も、水産庁も十二海里が大勢ならやむを得ぬ、従うんだと、こういう態度ですがね。しかし、大多数の支持は二百海里に傾く可能性だってなしとしない。やはり私ども、むやみに開発途上国の肩を持つとかなんとかということではなしに、いま言ったような沿岸漁業を、エコノミックアニマルと言われた日本が、この二十年間の高度成長のためにめちゃくちゃにしておいて、そうしてよそから取ってくる。それをふたされたら、締め出されたら一体日本はどうなるのか。沿岸漁業資源の保護をもっと徹底していかなければならぬ。そこにこの法案の重要性をわれわれは考えまして、あえていやなことでも申し上げて、少し本気でやってもらわなければならぬと思うのです。  これは大臣、いやなことを申し上げるようですが、日本の、庁とつくものは、あなたの所管にも食糧庁と林野庁がある、それからそこの水産庁、三つだ。この庁ということになると、大臣権限とはだいぶん違った、普通のあんたの指揮下にある局部課とは違ったものをわれわれはいつも感ずるんですね。治外法権——そんなことはちょっとおかしいけれども、何か専門の中へ立てこもって、そして国際的、政治的判断を、狭い視野から、ものを考えるくせがあるんじゃないか。セクショナリズム的な、一つ独立した庁的な感覚が強い。私はよく言うんですが、大臣ね、林野庁というのは、国有林をほとんど念頭に置いて、民有林の対策なんていうようなものはあまり念頭にない。これはもう長いこと私は、看板かえろと、あなたたちは「国有林管理庁」と看板かえたらどうだと、いつも憎まれ口をたたく。河野農林大臣の存命中に、これはまあ労働組合側の主張もあって、あの農政局所管の問題は、民有林の問題は、うやむやになって消えちまったんですけれども、やはり日本の八二%を占める山林そのものに対する考え方が、もう実に国有林優先の立場に立って、民有林対策などというものに対してはきわめて冷たい。そういう感じを、われわれは長いことこの農林行政を、政府機構を見詰めておって感じる。だから、いまの水産庁がそれと同じだという意味ではありませんよ。水産庁には水産庁の一つの何があるでしょうけれどもね。やはり大臣は、倉石さんのように三期もおつとめになる大臣もあれば、六カ月でパアになる大臣もある。あなたのような実力者がなられたときに、いままでの御答弁で御満足なさるでしょうか。  私は、この際、海洋法会議に向けられておる発展途上国の主張、特に日本農業に対する非難を含めた規制強化は、国連資源総会と同様に世界の歴史の私は流れだと思う。この流れに対抗することは、私は、無理に対抗することはできないから、十二海里説が外務省との間にある程度合意されておると思うんでありますが、漁業の先進国である日本としては、発展途上国の主張を認めた上で海洋法会議がまとまる方向でいかざるを得ないではないか。そのためには、新しい国際漁業の秩序、これを確立し、日本としてこれに対応するビジョンをもって、その考え方を提唱して、お互いが相協力していく姿勢を打ち出すべきではないか、私はそう思うんです。北太平洋の場合においては、沿岸国ソ連アメリカカナダ、いずれも国土が広大な先進国であり、発展途上国と同一に取り扱うことは困難があります。しかし、北洋漁場については、日ソ漁業条約、日米加漁業条約などを強化して、多国間で協力して資源調査を行ない、資源の管理を十分に行なった上で資源維持、国情に応ずる資源の配分を行なう努力を行なうことは、発展途上国の主張を認め、国際漁業に新しい秩序を求めていくことと私は、矛盾しないと思うんです。  ただ、いずれにしましても、日本の国際漁業が、これまでどおりにいかなくなってきておるということだけは、大臣、これはだれが見ても明白な事実だ。かなりの漁獲量を失うということも事実だ、これはもう避けられないと私は思う。これは日本の食料問題を考えるときに重要な問題だと私は考え、そういう立場からやはり大臣としての、あるいは政府自民党がいままでとってきた政策の転換期が私は来たと、かように思うんです。その点については、連休の関係がありまして、私の言わんとするところが、従来のような時間的なゆとりがなくて十分言えないので、私も不本意ですが、何か、いきなりやぶから棒を出されたようなことにもおとりになっておるかもしれませんが、この点はやむを得なかったんですが。ひとつまあ、むしろあまり役人にいろいろとメモをもらったりなんかなされないで行かれるほうが、私は、大臣としても権威もあるしまた、それは可能な人ですから——大臣ひとつ、ここでかみしもを脱いで、おれ個人の意見でもこうだと、こういう御見解があれば承りたいと思うんですけれども
  14. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 足鹿さんから、たいへん大事なことをきょうは御指摘いただいたと思っておるわけであります。で、今度の国連資源総会は、沿革につきましては、先ほど来いろいろお話し合いをいたしたわけでありますが、この海洋法会議につきましては、私ども農林省、ことに水産庁では、前々からこの問題につきましては、外務省当局と十分いろいろな問題について打ち合わせをいたしておりますし、三年ほど前だと思いますが、私がローマで開かれましたFAOの総会に出席をいたしましたときも、ほかの委員会でこの海洋の問題が出まして、それでアメリカ合衆国等は、それについて、なるべく、ここでそういうことをきめないようにというふうな態度をとられましたけれども委員会においては、それを決定してどうするという委員会ではありませんでしたけれども、二百海里を主張する開発途上国の数が多かったんであります。私などは、そのころからこの問題を念頭に置きまして水産庁、外務省とも話をいたしてまいったわけでありますが、足鹿さん、きょう、国連資源総会における討議の模様等を念頭に置かれましてやはり海洋法会議に論及されておるのは、ごりっぱな見識であると、ひそかに尊敬申し上げておるんであります。  私どもも、ただ、おっしゃいましたわが国経済を伸ばしていくために自分の近海をよごして云々という、そういうことにつきましては、事実はそういう問題もありますが、私ども必ずしもそういうことを平気で見のがしておったというわけではありませんで、もちろん人間の知識で発明されました化学工業、これを、人間の知識でそのたれ流しを抑制するということが不可能なはずはないと思うのでありまして、これはやはりたれ流しにいたしておったところに罪があるんだと思うのであります。したがって、政府もそういう点については全力をあげて、海をよごさないように、公害を防止するようにということで努力をいたしておることは御存じのとおりでございますが、いずれにいたしましても、最近の国際的傾向を見ますというと、やはり石油の問題の経過を見ておりましても、開発途上国の人たちやすべてが一致しているわけではありませんけれども一つの方向については、およそ一致した見解で進んでおるということを見のがしておってはいけないと思うんであります。  この海洋法会議につきまして憂えられております、伝えられておりますような方向でたとえばきまるといたしますれば、わが国遠洋漁業について甚大な影響を持ってくることは当然なことでありますが、そういうことを念頭に置きまして、われわれのほうといたしましては、外務省と十分連絡をとりまして、関係諸国との間に緊密な提携をいたしまして、それらの沿岸国利益を尊重する立場をとりながら、なおかつ、われわれの遠洋がどの程度にどういうふうになるかということについて最大の努力をいたすのは水産庁の任務でありますので、そういうことについて鋭意検討をいたしておるわけであります。  二百海里説をとっております国々の中にも、さまざまな傾向もありますし、それから、国際会議でありますので、これからなお私どもが、そういう、いま申し上げましたような趣旨に沿うて全力をあげて対処いたしてまいる。それは国際会議に対する態度でありますが、並行して、御審議を願っております漁業水産三法につきましては、政府もしばしば申し上げておりますように、重点を沿岸に置いて、やはり高級漁などは特に沿岸で有望でありますので、そういう点について力を入れるということで、−今回の水産三法もそういうことで御審議を願っておるわけでありますので、沿岸、沖合いに力を入れますと同時に、わが国が、先ほど御指摘のありましたように、公害のたれ流しのようなことにつきましては、厳にこれを慎んで、沿岸に支障を来たさないように最善の努力をいたしますと同時に、並行して、海洋法会議に対する態度について、できる限り、われわれの希望がかなえられるように、国際間の問題についても対処をいたしてまいりたいと、こういう方針をとっておりますのが、ただいまの政府態度でございます。
  15. 足鹿覺

    足鹿覺君 これ以上申し上げてみてもあれですから、具体的にひとつ提案をしてみましょう、それでひとつどういう反応を大臣がおとりになるか。  そこでですね、私の見たところでは、いままでの日本の漁業のあり方というものは、沿岸から沖合い、沖合いから遠洋へと。で、いつの間にか遠洋漁業中心の増産政策がとられた。これは反省すべきだと思うのですね。そういう意味からも、私は先ほど政策の転換をやりなさいということを言っているのです。どうもいまの御答弁では、何か政策の転換という私の提唱には直接答えていただかなかったけれども、この法案を出した意図をよくくんでくれれば、おれの考えはわかるじゃないか、そういう意味の御答弁と私はとったのです。私は、あえて大臣が転換をするのだと、そういう考え方を清算して、新しい立場からこれをスタートにやるのだという、その見識はやはりお示しになってほしかったと思うのです。まあむずかしければあえてこれ以上申し上げませんが、そういう点から、FAOにしてみても、世界漁業株式会社構想というようなものが議論の対象になっておることは御承知のとおりです。国際間の競争を排除するため、FAOの世界漁業会社構想というようなものがあって、海洋水産資源を永久に持続するため、これを実現しなければならないという構想だと私どもは聞いております。事の正しいかどうか、また、そういうことが成り立つのかどうかということを私はここで断定はなかなかできない。が、ここで、FAOで問題にしておるのは、そういう具体的なものを出しておるというその意図は、私的企業を問題にしておると私は思うのですね。それの恣意性ということを問題にしておる。そこでもっと公共的なものが、国にこしたことはないけれども、国が管理するとか、あるいは公社だとか公団というようなものが、これを管理運営をするというような、そういう意味にも一とれぬことはないと思うのです。  何か、またもとへ戻りますけれども、こういうFAOにおける海洋水産資源を、永久にこれを持続するために新しい一つ考え方なり提案をすべきではないか。ただ、まあいま十二海里というものについては検討しておるということなんですけれども、それ以上何ら外務省も触れておりませんしね。水産庁長官も、それが合理的であるからという意味にもとれないし、二百海里には賛成できぬが、三海里でもどうもならぬ、十二海里がまあ大勢だ、これに順応するのだ、というふうにしか私には受けとめられないですね。何か転換期に来た日本の漁業のあり方、食糧の増産につながる、食糧危機につながることの問題に対しての発想の転換、沿岸漁業に対する新しい価値判断を示してもらいたかったのですが、これは御答弁がなけらねばいたし方ありませんが、ぼくのは少し理想に過ぎますか。  それでFAOの考え方が、世界ではなるべく競争やめよう、世界漁業会社でもつくったらどうか、というような考え方というようなものは、日本としてどう受けとめますか。何か御意見ないでしょうか。問題を具体的にしてみぬとどうも話がかみ合わないようなんで……。とっぴな提案で、そんなことは問題にならないと、そういうお考えでしょうか、どうでしょうか。
  16. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど政策の転換というおことばについて、そのままお答えいたさなかったのでありますが、従来も、御承知のように水産庁は沿岸については努力はいたしておりました。が、日本経済発展に伴って沿岸汚染されておる問題、こういう問題については、まず汚染を防止することに全力をあげることは当然なことでありますが、四十九年度予算でも、御存じのように、われわれは、特に今回は、沿岸について非常な努力をいたしておりまして、沿岸は御承知のようにまだ有望であります。したがって、漁場の整備あるいは開発事業などを積極的に実施いたしまして、増養殖の推進にたいへんな努力をいたしておることは御存じのとおりでございます。したがって、力の入れ方について、転換と申せばそういうことでありますが、私は、これが非常に大切なことだと思って、なおこれにうんと力を入れます。  同時にまた、遠洋でございますけれども、これも、やっぱりいままででも、御存じのように、新漁場を開発いたしてまいりました。われわれは、やっぱりいまのような国際情勢の中に対処いたしましても、鋭意、この新漁場の開発にはうんと力を入れてまいるつもりでございます。そういうようにいたしまして、先ほど来お話のございましたわが国のとります、国民のとります動物性たん白のうちの半分を占めておる魚介類につきましての確保には、全力をあげるつもりでありますが、それと並行して先ほど来お話しになっております海洋会議には対処いたしてまいりたい。これは国際関係のことでございますので、いろいろに状況は変化してまいると思いますが、私は、やはり沿岸国でも漁業をほとんどやってない国もありますし、したがって、それらの国の利益をどのように開発してあげるか。たとえばいま御審議を願っております外務省所管の海外協力事業団事業、あれなどは地上のものでありますけれども、これがやはり国際協力という立場で、相手国の立場を考慮しながら、先方でも必要なものを供給してあげ、さらに余力があるならば、わが国飼料穀物等についても一定量、一定価格で入手できるようにという、そういう立場をとっておりますので、漁業についても同じような考えで、沿岸国利益を尊重して、彼らにも均てんするようにしながら、わが国立場を保護してまいる。そういうことで最大の努力を続けてまいらなければいかぬと、このように考えておるわけであります。で、水産業といたしましては、沿岸に全力をあげてまいるということは、御審議を願っております水産三法でもわれわれの考え方を御理解いただきたいと思います。
  17. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 暫時休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      —————・—————    午後二時十分開会
  18. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  19. 足鹿覺

    足鹿覺君 先ほどの倉石農林大臣に伺いましたことにつきまして、水産庁長官に御見解をひとつ承っておきたいと思います。具体的な問題を提案して提唱したわけでありますから、これに対応する御所見が聞きたい。  つまり、FAOの世界漁業公社構想、これらに対する見解。その一環として業種別に私的企業を再編して、国が管理する公社化もしくは公団化といったような、具体的な意見を私も述べておるのでありますから、それに対する水産庁長官としての御所見を明らかにしていただきたい。
  20. 内村良英

    政府委員(内村良英君) ただいま足鹿先生から御指摘のございました事項につきまして、私どもといたしましても、水産業にとって一番大事なのはやはり資源保護だというふうに考えております。すなわち、戦後の漁業規制一つの原則的な考え方といたしまして、最大の利用をはかっていく。すなわち漁業資源につきまして、そこに資源があるわけでございますから、その資源のふえるまあ利子分をとっていく、もとは減らないようにとっていくという資源の最大利用の考え方がございます。そういったことに基づきまして漁業管理が行なわれていくのが理想でございまして、多くの国際的な漁業条約も、まあMSYと私どもは言っておるわけでございますけれども、MSYの維持ということを目標にして漁業条約ができておるわけでございます。そこで、先ほど先生から、日本遠洋漁業外国資源を荒らしておるのではないかという御指摘がございましたけれども、今日まで、わが国遠洋漁業が利用してまいりました資源は、当該沿岸国が利用していない資源で、つまり、そこに資源がございますから、それを利用しなければむだになってしまうという面がございまして、そういった資源を今日まで活用してきたわけでございます。もちろん地域によりましては、若干漁獲努力資源を上回りまして、乱獲的な傾向が全然なかったということではございませんけれども、大体において未利用資源の利用ということでやってきたわけでございます。  そこで、今後、資源管理を進めていくために、国際的な共同管理というような考え方でFAOの提案が出ているわけでございますけれども、私どもといたしましては、現在の態勢で資源の最大利用ということを考えながら、現行の漁獲態勢を前提にし、それを関係国の漁業条約といいますか、共同の漁業規制ということで対処していくのが現実的ではないかというように考えるわけでございます。
  21. 足鹿覺

    足鹿覺君 あんまり具体的でないですね。大臣答弁のほうが、具体的ではないけども、やっぱり答弁姿勢としては当然りっぱです。あんたの言ってることは何だかわからぬですよ、よくわからない。  具体的に、じゃあ聞きましょう。要するにですね、最近の買いだめを国民に余儀なくせしめた買い占め・売り惜しみ、つくられた石油危機、一連のこの日本における商社の、大手商社の行為というものは、反社会的であるのみならず、まあ世の指弾も受けてきたことは御承知のとおりです。漁業界といえども商社の介入については、十分これを批判検討して、排除すべきものは排除し、その長所を誘導して斯界に貢献せしめるという行政指導姿勢がありますか。長官いかがですか。
  22. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 水産業界といいますか、水産物の流通につきまして商社が介入してる面はもちろんございます。しかしながら、私ども承知してるところでは、主として水産物の輸出につきましてはまあ商社に依存しておりますけれども水産物の輸入といいますか、海外における水産活動自身は、大企業あるいは中小企業日本の漁業会社がそれを担当してるという形になっております。したがいまして、輸出面について商社の役割りということは大きいわけでございますが、輸入について大きなウエートを商社活動が占めてるというふうには私ども承知しておりません。ただ、先生が御指摘の問題は便宜置籍船等の問題ではないかと思うわけでございますが、最近わが国の商社が漁船の輸出を行ないまして、その輸出された中古の漁船によって外国人が漁獲した魚類、特にマグロでございますが、それが輸入される、その結果、わが国のマグロの流通秩序に相当な影響があるという問題が起きておりますが、私どもといたしましては、こういった商社の活動につきましては、正常なマグロの流通秩序に悪影響がないよう、過般も商社の担当者を呼びまして、そういった行為の自粛を要望しているような次第でございます。しかしながら、水産物の流通全体について商社活動がそれほど大きな影響わが国水産業界に与えてるというふうには私は考えておりません。
  23. 足鹿覺

    足鹿覺君 午前中に大臣にも、日本漁業政策の転換について御所信を承ったわけでありますが、要するに、わが国の漁業政策の中心は沿岸漁業振興にあると、私はかように断定してよろしいと思います。特に最近の国際事情その他の点から見てそうであろうと思います。しかるに、この沿岸漁業を圧迫しておる事態が、いま長官がお答えになったように、それは水産物の輸入の急増という問題です。水産物の輸入は、消費者価格を安定させるという要素があり、私もそれを否定するものではありません。が、しかし、商社の活動が活発になった近年の魚価の動きを見ますと、産地ではべらぼうに安い、消費地の小売り価格は高値安定という残念千万な姿があらわれている。言うならば、石油ショックの際や、あるいは大豆の買い占めの際にあらわれたような、まだそこまでの実態ではありませんが、反社会的な傾向が著しくなっておることは非常に遺憾に思います。  これはですね、さる中央の銀行が出しておる資料です。食糧開発輸入の現状について次のように述べております。「世界食糧需給が従来より不安定になり易いと予想されるなかで、供給源の分散化と安定供給を進めるためには、開発輸入の推進が期待される。ただし現状では、開発輸入の食糧輸入に占める割合は水産品が一〇%内外を占める以外は、農産物、畜産物分野とも微々たる水準にとどまっている。」しかし「水産分野は近海資源の頭打ちで、早くから海外資源遠洋資源を求めて海外進出を行なってきたが、最近はえび・うなぎの養殖といった海洋開発型進出の増加が注目される。」、投資件数において四十四年十九件のものが二十三件というふうに具体的なデータを金融の立場から述べている。  私は、鳥取県境港まで車で約二十分のところに住んでおりますので、ずいぶん昔はサバ、アジ、ハマチ、イカなど、地元ではふんだんに食べた経験もあり、非常に安かった。ところが、スルメイカを例にとってみますと、これは最近のトータルがありますけれども、四十八年の十一月を例にとってみましょうか。これちょっと水揚げ総数量が少ないので、四十七年の十一月でもいいんですが、とにかく四十七年の十一月を例にとりますと、総水揚げ量が二万二千六百キロで、キロ当たりの産地価格が百五十円、消費地価格、東京ですね、生鮮が二百四十一円、冷凍百七十四円。大体こういう状態なんですね。ここのいま一つのデータによりますと、総水揚げ量が、スルメイカが二万二千六百二十六キロ、これは四十七年の十一月ですが、水産物の仕向け量が、生鮮向けが千六百八十六トン、冷凍向けが驚くなかれ九千三百二トン、加工向けが二千八百九トン、地元外出荷が八千八百十六トン、こういう動きを示しておるわけであります。まだいろいろなものがありますが、これを見ておりますと、産地安の消費地小売り高という姿がまともに出ておる。  私は近いからよく境へ行って見ますが、この間もサバの大漁が二日間続きました。業界は、三日目にはあまりにも安いので、投げて休業してしまいました。見ておりますと、船から、スルメイカも同様でありますが、水揚げされたものはトロ箱に載せてコンベヤーに積む、直ちに冷凍庫へ入ってしまう。そうして、それが一定期間を経て、非常に安い値段で買い上げられたものがトラックで、あるいは汽車で、冷凍車で大消費地へ送られる。地元には、なまのイカや、サバはきわめて配給が乏しい、しかも高い。こういう現状である。われわれの理解は、大漁のときに値段が下がって漁民が困ってもよくないし、また、品物が少なくなって消費者が高値で困るということを避けるためにいわゆる冷凍という形をとって安定供給をしていくという、そういう意味合いに私どもは、いままで理解しておりましたけれども、どうやら揚がったものを商社が一手に買い集めて、そして船には安く買いたたき、冷凍することによって大きな利益を占め、   〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕 地元にも安く供給せず、品がすれのような状態があらわれておるということは明らかである。まあひどい話を  どこまで信憑性があるか私は確かめたことはありません。が、大臣ですね、一日に三回ぐらい騰貴して価格が変わるんだそうです。まことに理解しがたい状態だと私は思います。  とても水産庁の長官室からこういう事態を見通されるということはおそらくできないし、私どもも、この冷凍の意義というものは、生鮮にして、しかも安く都会の人々にも供給できる、そういう役割りを果たしておると思っておったところが、あにはからんや、それは商社の不当利得の手段にかわりつつあるのではないか。こういう状態は正常とは言えないと思いますが、もう一ぺんこの魚価の安定と流通の安定供給のために、ルートを一ぺん水産庁としては点検し、実態を正確に把握する必要があるのではないか。公取もおいで願っておりますが、私は、独禁法にこれが触れるという断定は、私の知った限りでは出ません。出ませんが、明らかに商社が話し合いによって価格の協定を行ない、買い占めを行ない、船から消費者の台所まで一貫して介入が行なわれておるといわざるを得ない事態です。これはすでに前車のくつがえった例もあり、石油その他の事例もありまして、世の指弾を受けるようなことのないように、せめて大漁のときには地元にも安く、そして仕向け地にも安く豊富に提供をする。あまりにも下がるときには、これを政府が魚価安定の対策を講じてでも、これを国民のために正しい流通の姿を出すべきだと私は思います。資料が私はほかにありませんから、断定は、よういたしませんが、このままであってよろしいという気はいたしません。公取の御見解なり水産庁長官の御見解をひとつ承りたいと思います。
  24. 後藤英輔

    政府委員(後藤英輔君) 総合商社の機能につきましては、実態といたしまして公取としても十分まだ把握した点がございませんので、どういう点でもって総合商社の機能が独禁法に触れるかどうかという点については、はっきりとした違反について、というふうなことでは申し上げかねると思いますけれども、昨年来そういうことでもって調査をいたしまして——これは主として総合商社の機能というものを全体的に見るというふうな角度から調査をいたしまして、個々のたとえば繊維あるいは水産物あるいは農産物、そういうようなものの取引について総合商社がどのような機能を果たして、その間に独禁法上の問題があるかどうかというような点を中心とした調査ではございませんで、むしろ全体的な総合商社機能の調査という関係で調査いたしました。その段階では直ちに、現在の総合商社の活動それ自体、あるいはまたはその関連企業の支配の実態というものを独禁法で問題である、というふうにきめつけるわけにはまいらない。今後とも、総合商社が機能するためのいろいろなしかたについてなお調査を進めていきたいということで、現在も調査を進めるようにいたしておりまして、水産物につきまして商社が、したがいまして、何か業界あるいはまた、総合商社相互の間でもってカルテルを結んで、それによって水産物価格を引き上げたというようなことも、事情としても承っておりませんので、具体的なまだそれらの点につきましての調査はいたしておりません。
  25. 内村良英

    政府委員(内村良英君) ただいま足鹿先生から、水産物の流通について水産庁として全面的に洗い直してみてはどうかという御指摘があったわけでございます。確かに先生の御指摘のとおり、今日までのところ、大体過去四、五年魚価は一般物価の上昇並みに上がってまいりましたために、漁業の経営というものがそう大きな脅威にさらされるということはなかったわけでございますが、最近のようにA重油が上がり、さらに漁網綱が上がるというようなことになってまいりますと、魚価は需給できまてってくるために、そういった経費の上昇を織り込めないという問題がございますので、今後漁業経営の問題は非常にきびしい事態に直面してくるのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。そこで、そうなってまいりますと、資材の手当ももちろん重要でございますけれども、魚価の安定が非常に必要になってくる。そこで私どもといたしましては、今後魚価の安定につきましては従来よりも一そうそれを行政的な力を入れてやりたいというふうに考えております。  ただ、水産物の価格の安定につきましては、最近冷凍冷蔵の発達によりまして、かなり出荷調整的なことができるようになってまいりましたので、水産庁といたしましては、従来もそういった冷凍冷蔵施設について助成をしてまいったわけでございますが、そうした面を拡充すると同時に、場合によっては、いろいろな点を洗った結果、必要があれば、魚価安定基金制度、これは、従来あったわけでございまして、諸般の事情から取りやめたわけでございますが、あのままの形ではもちろん最近の流通実態に合いませんから、それを直ちに復活するということはできないわけでございますけれども、何らかの制度的な手当てが必要であれば、そういったことも検討しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  26. 足鹿覺

    足鹿覺君 私もよくわからないのですが、冷凍冷蔵ということについては、各家庭で相当冷蔵庫も普及しておりますしするのに、地元への豊漁の恩恵も及ぼさない、また、国民の相当な人口の大都市等に住まっておる人々にも恩恵を及ぼさない、そういう形になっておるのですよ、実際は。だから、大漁貧乏で漁船を不利に泣かせておきながら、漁民を、最新の冷凍冷蔵等の技術発展を利用して、巨大の利益を占めるような事実が明らかになれば、私はこれはたいへんな問題であり、また明らかにしなければならぬ。想像で、私は、これらの点について断定はいま下す材料もありませんが、輸入の場合に例をとりますと、商社の介入の形態として合弁会社がありますね。   〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕 公取さんもお調べになっておるでしょう。これは私の資料によりますと、三井物産が六件、丸紅八件、三菱商事五件、日商岩井三件、住友商事二件、トーメン、安宅産業、野村貿易各一件。漁業会社では大洋が十八件、日本水産が七件、極洋が六件、日魯が六件、日冷が三件となっております。  エビを例にとりますと、昭和四十三年に三千五百七十七トンの現地法人から日本向け輸出実績を持っております。四十四年はこれは四千三百十七トン、四十五年には、一躍五千七百三十二トン、こういうふうにエビはなっておりまして、底もの、カツオ・マグロ、鯨肉、その他の魚類、水産加工物等を合わせますと、昭和四十五年には二万七千二百十七トンというような輸入数字が出ておる。これは、この合弁会社という形で名前を使わしてもらって、こういう形で輸入をやっておる商社の利ざやかせぎなどが、すでにインドネシア方面からあがっておることは水産庁も御承知でしょう。会社における、このための現地合弁会社における日本出資者の受ける権利は、出資配当金、漁獲物の販売権、技術指導料等に限定をされつつあると聞いております。このような実態を把握しておられるかどうか。把握しておられるならば、これに対して行政的な遺憾な点は是正せしめるだけの措置をとる用意があるか、現にとっておるか、その辺を明らかにしてもらいたい。
  27. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 私どもといたしましても、最近の漁業白書に明らかなように、水産関係の大企業の営業活動におきまして、いわゆる商事活動的なもののウエートが非常に大きくなっておるということは漁業白書にも指摘しております。さらに合弁につきましては、開発途上国の技術援助、資本援助等々結びついてこれを実施しているケースもございますので、実態は全部とは申しませんけれども、大体合弁につきましては内容承知しております。そこで、ただいま御質問の、悪い点というのはどういうところにあらわれているのかということは、ちょっと明確でなかったのでお答えしにくいわけでございますけれども、私どもといたしましては、日本の合弁会社による海外における漁業活動が、現地の利益を非常に無視して一方的な収奪におちいることがないようなふうに指導しておりますし、さらに国内に持ってまいったものが特に売り惜しみ等の対象になっているとは考えていないわけでございます。
  28. 足鹿覺

    足鹿覺君 いや私は明らかに申し上げておりますよ。合弁事業は、インドネシアなどにおいて商社の利ざやかせぎなどが明らかになり、糾弾を受け指弾をされておるという事実をわれわれは知っておる。ですから、出資配当金、漁獲物販売権、技術指導料等にやはり限定されておるわけなんですね。こういう形はいいんですか、放任されて。私は、こういうこと自体が、商社が、なまの形でやると非常になまぐさくなるから、いわゆる合弁会社をつくって、介入の形態というものを変えておる。この裏には、現地の漁民や現地商社というものは相当泣かされておるであろうと、これは想像にかたくない。私も専門家でありませんから、現地調査したわけじゃありませんが、どうも納得のいかない姿ではないでしょうか、放任される御所存ですか。
  29. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 私は、そういった非難があるということをつまびらかにしておりません。私の承知しているところでは、最近インドネシアとの関係におきましては合弁をやってくれと、あるいは日本から最近も無償で船を出すというようなことをやっておりまして、さらに、ジャカルタの漁港を日本が整備するというようなことで、インドネシアとの漁業関係はわりとうまくいっているというふうに聞いております。
  30. 足鹿覺

    足鹿覺君 全く質問答弁が食い違っておるので、どっちかがうそをついておるということになるわけですね。まあ、これ以上水かけ論はやめますが、少なくとも私は、好ましからざる形態だと思う。よく御調査になってしかるべきだと思う。  これらを通じてみますと、明らかに商社側が一つの協定行為を前提にしておるということは明らかであり、また、協定行為を通じて不当の利益をとっておらないという保証はない。新しい漁業、魚類の流通は、食糧不足の現状においてきわめて大きな問題でありますから、公取においてももっと力を入れて、国民のたん白資源を安価に供給するためにも、適正な価格で商社が利益を上げられることについてはわれわれとやかく言う筋合いはない。が、その趣旨に反するようなことがあってはならない。未然防止の立場から、十分、今後も御対処を願いたいと思いますが、委員長にもお伝えくださいまして、この点について御善処を願いたいと思います。何か御所見があれば……。
  31. 後藤英輔

    政府委員(後藤英輔君) 商社活動につきましては、自由な競争を前提として実に機動的ないろいろな商売をやっておりまして、それがプラスに働いている面もあるというふうには聞いておりますけれども、それがあまり大きくなり過ぎていることのために、むしろ関連業界等を圧迫するというような形での問題は十分考えられるわけでございまして、むしろそういうような独占的と申しますか、かなりその企業が市場支配的な形になるような構造、たとえば株式を持って関連企業の活動を押えていくとか、そういうような、系列化とかというような形での商社機能というようなものについては、もう少し実態を調べていかなくてはいけないということで、再度これは全般的な調査ということで——個々の違反を前提とした調査ではございませんけれども、全般的な調査をなお進めていこうといたしております。  ただ、商社が、商社同士の間でカルテルを結びまして、価格の不当なつり上げ等というようなことは、商社の現在の機能で申しまして、非常に競争的な機能から申しまして、それらの点が水産物価格についてどういう影響があるかというような点はかなり問題としては取り上げにくいのじゃなかろうかというふうには考えております。この点につきましては、なお商社側の調査を今後続行いたしますので、それらの点につきましても対応しながら調査を進めてまいるようにいたしたいと思っております。
  32. 足鹿覺

    足鹿覺君 先ほど内村さんも一部答弁の中に含めておられましたが、便宜置籍船の問題、これは公取の人も事実は御存じだろうと思いますが、これはおもにカツオ・マグロ漁業に多いようですね。以西底びき漁業における資源の悪化等から操業隻数を減らす、いわゆる減船措置がとられておる。この減船の対象となった船は普通発展途上国に売られてきておるのがいままでの例である、つまり輸出ですね。船の、古船の。で、商社がこれに目をつけて、パナマや韓国などの国籍を便宜的に使用して、一応漁船を買い受けて、そして現地船籍で、現地の安い労働力を使用し、漁業操業を行ない、漁獲物を日本に輸入する行為なのですが、実態は大企業がやっているんです。これを一般的に便宜置籍船と言っておりますが、許可行政の盲点だと私は思うのです、これはね。いきなりこれを、どうこう、悪いときめつけるという、いわゆる許可行政の盲点を突いておるわけでありますが、こういうことが、やはり開発途上国などのいわゆる指弾を受ける一つの要因でもある。また、自分たちが余った船を輸出をする、その国の船籍で輸入をしている。これは、船を腐らしておくよりもそのほうが効率的にはいいかもしれませんが、そのやり方いかんによってはこれはきわめて国際的に問題になりやすい問題である。  そこで、外国向けの新造漁船の輸出隻数。これは通産省が所管のようですね。この新造漁船を売るときには通産省の所管なんですが、古船の、いま言ったようなところへ輸出をするときは、これはどこの所管になるのですか。通産省の所管なんですか。  最近の輸出隻数、新造漁船の輸出隻数や仕向け地等、データがあったら御説明願いたい。
  33. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 中古船の輸出につきましては、輸出貿易管理令に基づく通産大臣の承認が必要でございます。その場合に、通産省は水産庁に協議をしてまいります。  そこで、中古船の輸出実績でございますが、カツオ・マグロ漁船の輸出実績は、昭和四十三年が三十七隻、四十四年が同じく三十七隻、四十五年が六十八隻、四十六年が百三隻、四十七年が百五隻というふうになっております。
  34. 足鹿覺

    足鹿覺君 いま御発表になったような実態ですね。驚くべきことですな。私の手元の資料よりもだいぶ上回っておりますね。これはほとんどが商社の便宜置籍船と見てよいと私は思うのですね。パナマ向けの中古マグロ船は百隻ぐらい操業しておるといわれております。これらが事故を起こしましても、パナマ国籍であるということはわかっても、その責任ある商社名あるいは事業実績等があまり明確でないから、ほとんど泣き寝入りをしなければならぬ。どこかで油を流してたいへんな騒ぎがあったときも、これに類する例が出ていますね。  で、この便宜置籍船を操業してマグロを日本に輸入をする。また北洋のベーリング海においても、日米加漁業条約非締結国が増加して問題となっておりますが、そのほとんどが日本の北転船の古船で韓国籍が八十隻も稼働しておるんですね。これが商社の、不法とはいいませんが、妥当な漁業介入だとは私はいえないと思うのですね、これは。通産省は何を基準に承認をなさるんでありますか。こういうことで、どんどんこういう形態がふえていけば、漁業秩序と漁業資源は破壊されるではありませんか。そのあとであやつっておるのが日本企業だということになれば、エコノミックアニマルの汚名を着た日本の現状はさらに海外にまで喧伝をされるということになりますよ。これらのものを総括してみますと、カルテル行為とは言いがたいが、何か大きな一つの意思決定がどこかでなされ、そうしてそれぞれの分野において事が進んでおるという推定も必ずしも荒唐無稽なものだとは私はいえないと思うのです。こういう事態があるのです。通産省いかがですか。こういう行政をあなた方は今後も続けて、申請があれば御承認なさいますか、通産省。
  35. 豊島格

    説明員(豊島格君) 通産省の石油開発課長の豊島でございますが、実は本件担当でございませんので、ちょっとお答え申し上げかねます。恐縮でございますが……。
  36. 足鹿覺

    足鹿覺君 長官どうですか。
  37. 内村良英

    政府委員(内村良英君) この中古漁船の輸出の問題につきましては、私どもといたしましても非常に頭を痛めているところでございます。そこで、どういう形態があるかと申しますと、まず第一に、日本の商社等が、日本の漁船を外国人、外国の法人に輸出しまして、さらにその船を第三国に延べ払い輸出して第三国人を乗せて操業するという形態でございます。第二は、日本の商社等が日本の漁船を外国の法人に輸出し、同漁船を第三国人に貸しまして第三国人を乗せて操業するというような二つの形態があるようでございます。  そこで、それでは中古船を輸出しなければいいじゃないかということでございまして、私どもといたしましては、カツオ・マグロ船の中古船につきましては、輸出規制措置をとっております。そこで、水産関係の業界に対しまして、船は売らぬでくれということを言いますと、こういうことがあるわけでございます。と申しますのは、最近、開発途上国も、特に韓国、台湾等は非常に漁業活動を活発にやっておりまして、遠洋漁業をやっておるわけでございます。そこで、そういった開発途上国の漁業ということに対抗して日本の漁業をやるためには、新しい船をつくって新しい施設、機械設備等をやらにゃならぬ。そうしますと、古い船が余ってくるわけでございます。これを輸出できないということになりますと、経費の面、輸出できて何がしかの輸出代金が入ってくれば、それだけ新船建造の経費負担が軽くなるわけでございますから、出したいというようなこともあるわけでございます。  そこで、水産庁といたしましては、四十八年の十月一日から四十九年の三月三十一日まで、すなわち四十八年度の上半期につきましては、輸出のマグロ船の中古船の総ワクと申しますか、輸出隻数は百隻以内、それで一国について二十五隻以内ということで通産から合い議がございましたときに、その線で承認するというやり方をしているわけでございますが、四十九年度の上期につきましては、この百隻を七十五隻に減らすということで、私どもといたしましては、極力しぼりをかけているわけでございますけれどもわが国水産業界自体から、やはり新造船をつくる場合の経費の負担を、それだけ軽くしたいということがございまして、何とか売りたいという要望があるわけでございます。その場合、国内で売ることはなかなかむずかしいもので、こういった問題が出てきているという面がないわけではございません。そこで、さらにこういった商社の活動が非常に盛んに行なわれますと、わが国の漁業秩序をいろいろ撹乱するというような点もございますので、先ほども申し上げましたけれども、ごく最近商社のそういった担当の部長を水産庁に呼びまして、こういったことは、わが国の漁業秩序の撹乱になるから自粛してほしい、というようなことは指導はしております。
  38. 足鹿覺

    足鹿覺君 農林大臣お聞きのとおりでございますが、政府の許可行政の盲点を巧みについて、漁業秩序と漁業資源を破壊し、現地労働者の権利を侵すこの種のものにつきましては、さなきだに、日本立場は、世界において指弾を受けつつあるときでありますだけに、さらにこれに拍車をかけるようなことは、農相の立場において断固たる態度をとって姿勢を正しめるべきではないかと私は思います。長官もそれなりに御努力になっておるようでありますが、きわめて重要な海洋法会議等も前に控えておりますので、この点の大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  39. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 貿易のことにつきましては、なかなかいろいろな問題、むずかしい問題があるようでございますが、いま私は、質疑応答を承っておりまして、これはやはり関係省と十分に打ち合わせまして、世の指弾を受けるようなことのないようにいたしたいと、そのように思っております。
  40. 足鹿覺

    足鹿覺君 ぜひひとつ関係省と慎重に御連絡になりまして、日本の漁業界が世界孤児にならないように万全の措置を講じていただきたい。  まあ、あんまりかんばしくないことばかり申し上げるようでありますが、国際関係等もありますので、また、食料の安定的供給というたん白資源の問題でありますので、いま一つ例を申し上げますと、マグロなどの一船買いというやつがある。船込めにその一船買ったと、こういうことです。マグロ類の市場取引の形態は、御承知のように、漁獲した時期、漁場などによりその品質に著しい差があり、従来までは普通解凍し、つまり冷凍を解いた、解凍して精製品の形態にして上場されており、一尾ずつのせりによって売られていましたが、四十七年以降、大手商社や大手水産会社、大手仲買い人が、市場を経由せずに、場外取引として一船ごとの買い占めを行ない始めておることは水産庁も御存じでしょう。しかもマグロは、低温で凍結されるという長期保管が可能でありますから、商品投機の対象となされつつあることは否定できますまい。このような状態は把握しておられるかどうか。悪どいこのようなやり方に対しては適切にして果敢な対策を講ずべきだと思いますが、いかがですか。
  41. 内村良英

    政府委員(内村良英君) マグロの一船買いにつきましては、私どもも十分承知いたしております。これは冷凍技術の発達に伴いまして、昭和四十四年ごろからいわゆる大型仲買い人あるいは輸出用原材料を扱う商社等によりまして行なわれているものでございまして、現在ではマグロのおもな水揚げ港である焼津、清水等において、水揚げ量の約二〇%、まあ焼津が二〇%でございますが、清水におきましては時期によっては九割ぐらいこういった一船買いが行なわれているということは承知しております。  そこで、この取引形態は、マグロの船主から見ると、必ずしも不利でない面もあるわけでございます。と申しますのは、先生御案内のように、最近マグロの航海は非常に延びております。大体十カ月から十一カ月海外で操業して帰ってくるわけでございます。その場合に、帰ってきたときの市場の価格が非常に安いということでございますと、まあ経営上非常に問題が起こってくるということもございまして、洋上から相場と申しますか、価格をつかんでおきまして、その時点で売っておけば経費が大体カバーできると申しますか、赤字を出さないで済むというような利点がございます。それから港へ帰ってまいりまして、少しずつ市場に出していきますと、水揚げ期間が二週問ぐらいかかるわけでございます。そうなりますと長い遠洋航海から帰ってきた作業員あるいはその他の人が非常に不満を言うと。ところが一船買いと申しますか、一括して売りますと、二、三日でそれが冷蔵庫へ入れることができるということで、取引面から見て合理的な面もないわけではございません。そこで、こういったようなことがございますので、荷主とか漁船の乗り組み員からは歓迎されているということを私どもは聞いております。  そこで、こういったことがしかし投機の対象になりますと、それは非常に重大な問題でございますので、水産庁といたしましても、いろいろ調査をしてみたわけでございます。その結果によりますと、マグロ類は水揚げ後、同品質で保持することが非常に困難だと、味が落ちるわけでございます。そこで、一カ月か二カ月で売られてしまいますので、なかなか長い間保管して売るというようなことはできないような状況になっていることが明らかになっております。それから一船買いは巨額の資金が必要でございまして、売り上げ利益率は必ずしも高くない。それから取り扱い量の八割が消費地市場を通じて取引されますので、売り手が一方的に価格を形成することがなかなかむずかしいんじゃないかというようなことが明らかになっております。したがいまして私どもといたしましてこの一船買いが一がいに悪いということは言えないのではないかと思っておりますけれども、これが一部の商社等に利用されて投機の対象になるというようなことでございますと、国民生活にも重要な影響を与えるわけでございますから、そういったことのないように、事態を注視しながら指導するという体制をとっているわけでございます。したがいまして、一がいにこれはもう買い占めの手段だというふうにきめつけられない面もあるということをこの際申し上げておきますけれども、私どもといたしましては、弊害が起こらないようにはしなきゃならぬということで、十分行政指導をしたいと思っております。
  42. 足鹿覺

    足鹿覺君 どうも私も一がいにこれを悪だと言ってきめつけることは、そこまでは私もまだ踏み切っておりません。しかし、船主から見ればあまり不利でもない場合もあると長官はおっしゃいますが、あるいはそうかもしらぬ。しかしこういう形態が、次々と拡大するということは、市場を通じての価格が形成されることとは別に、有利なるがゆえにそういうところで有利に売る。また市場ではそのために品薄にもなる。こういう反作用が出てくる。いずれにせよ、これはまあもろ刃の剣みたいなもので、どうも私はこういう事態はできるだけ避けるべきではないか。これをやるにしてみても、何らかの配慮がもっとあってしかるべきではないかという気がいたしますが。まあそれについては実績などここへ資料をたくさん持っておりますし、時間もありますが……。  要するに、以上幾多の事例を申し上げましたが、商社による輸入水産物の増大は、発展途上国に対する漁業介入とともに、国内における流通経路の独占を目ざすことに通ずると言わざるを得ません。いまわれわれは沿岸漁場開発法を審議しておる立場から申しましても、沿岸漁民の生産活動を圧迫し、さらに消費者価格のつり上げ操作を可能にするがごとき疑いのある状況については、きびしくその芽をつみ取り、拡大を防止し、食料品の取り扱いとして遺憾なきを期すべきである、かように思います。海洋法会議も近いわけですから、日本漁船の締め出しや、公害の激化による沿岸漁業の伸び悩みという状況を見通して行なわれておる行為だとも一面受け取られるわけですね。ですから、十分これらに対処して、指弾を受けるがごときことのないように、他の農畜産物に見るがごとき事態を未然に防止されたいと思います。御所見があれば承っておきたいと思います。流通問題はこの程度で——意見はありませんか。
  43. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 商社活動が投機にわたり、さらに買い占めに及ぶというようなことのないように十分行政指導したいと思っております。
  44. 足鹿覺

    足鹿覺君 これはまだいろいろとお尋ねしたいことがありますが、通産省お出でになっていますか、——海洋開発沿岸漁場の開発問題について伺いたいと思います。  日本において、海洋開発が言われるようになりましたのは昭和四十三年ごろ、佐藤さんが首相時代であったかと思いますね、首相になられた初期かな。当時アメリカ大統領のジョンソンが巨大開発としてのNASA、宇宙開発計画が一応成功し、宇宙開発に莫大な予算を投下したことに対してアメリカの国民の批判が集中したために、NASAの技術陣と予算を海洋開発に向けることを決定したと私どもは仄聞しております。昭和四十四年、海洋開発に関する佐藤・ジョンソン会談が行なわれたことにその端を発しておるとわれわれは見ておる。しかし、アメリカの海洋開発は鯨やイルカ等を軍事目的に使うというような面もあると専門家は言っておりますが、私どもちょっとよくわからないのですけれども。鯨でも、イルカでもたいへん頭がよくて、電波その他のキャッチできないような不思議な頭脳構成を持っておって、これを軍事目的に使い得るのだという話だ。私も知らないんですけれどもね、受け売りみたいなものですが、そういう話を聞いておるのです。確かに軍事目的に海洋開発が使われておる。佐藤・ジョンソン会談の取りきめはこの線が濃厚であったと有識者は指摘しておるわけであります。  日本が当初計画した海洋開発は、日本列島の大陸だなにおける海底地下資源開発であったが、地理地質学会において、日本周辺の大陸だなにおける地下資源開発は、資源が少なく企業採算に合わないため、東南アジアにおける海底地下資源開発のための技術開発を中心として、その他原子力発電所の設置計画に伴う原子力発電所から生ずる放射性廃棄物の投棄の対策としての海洋開発が計画され、進行しておるのであります。日本の場合の海洋開発は、水産資源開発であるべきだと私は確信をしております。日本の置かれた立地条件、自然環境、食糧の自給の必要性という観点からしても、あくまでも自然関係を保護する水産資源開発が中心でなければならぬと私は思います。  こういう見地からお尋ねをしてみたいのでありますが、いままでの日本政府のとってこられたことについて、いままで若干批判もいたしましたが、必ずしもこのことに合致しておったと、十二分に即応されておったということも言えない面もある。ただ、これまでの重化学工業を中心とした全国総合開発計画、旧全総ですね、新産業都市開発計画、さらに新全国総合開発計画、日本列島改造計画、さらに原子力発電所、火力発電所の立地計画など、いずれを取ってみましても沿岸、沖合い漁場は、政府の工業開発の犠牲となりつつあるのが現状であると思います。  そこで建設省に伺いますが、聞くところによると、沿岸海域の公共的管理に関する法律案というものが検討されておると言われておりますが、現状はどういう段階ですか。伺っておきたい。
  45. 佐藤毅三

    説明員佐藤毅三君) お答え申し上げます。  いま御指摘ございましたように、沿岸海域の公共的管理に関する法律案——仮称でございますが、こういう法案につきまして現在建設省におきまして検討をいたしております。現在のところ、まだ河川局内部における試案といったような形の段階でございまして、この法案を作成するにあたりましては、関係する各省も多いわけでございますが、関係各省との具体的な調整にはまだ入っていない段階でございます。
  46. 足鹿覺

    足鹿覺君 この検討をされておる、立案されんとしておる法律は、私の資料によりますと、「沿岸海域について、管理者、管理の方法等必要な事項を定めることにより、その適正な利用と保全を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とするものとすること。第二 沿岸海域1 「沿岸海域」とは、次に掲げる海面及び陸地をいうものとすること。  一 領海内の海面で、港湾区域内、広告水域内及び漁港区域内の海面以外のもの」となっておりますが、この沿岸海域とは何を意味するものでありますか。あなた方の考えておる内容を御説明願いたい。
  47. 佐藤毅三

    説明員佐藤毅三君) この法案で考えております沿岸海域と申しますのは、ただいま先生が読み上げられましたように、領海内の海面一般を考えておるわけでございます。ただし、港湾区域、漁港区域につきましては、それぞれ特別の法律がございまして、現在管理が行なわれておりますので、その区域は除きますということでございます。なお、この海域と一体として管理をする必要のある一部の陸地というものも管理の対象にいたしたいというふうに考えております。  この際つけ加えて申し上げますが、このような法案を考えましたのは、そのような海域というものは、本質的には河川と同じように、一般公共の用に供されるべきものであるという考え方に立っておりまして、そういうような一般公共の用に供されるように適正に管理し、保全をする必要があるということで、法制化をはかりたいということでございます。
  48. 足鹿覺

    足鹿覺君 沿岸海域——領海内の海面、陸地からどの程度の距離を沿岸海域といいますか。
  49. 佐藤毅三

    説明員佐藤毅三君) 領海ということでございますので、現在のわが国考え方によりますれば、三海里までの海域ということになるわけかと思います。
  50. 足鹿覺

    足鹿覺君 これはたいへんなことをあなた方は考えていますね。いま食料資源の重要性にかんがみて、われわれはこの法案審議しておる。不十分であっても当局を激励して、十分国民の期待に沿うような運営になるように期待をし、真剣な討議を続けておる。しかるに、その沿岸の、あるいは領海内のというものは、まさにわれわれが沿岸漁場として開発整備をはかろうとしているものとダブルじゃありませんか。こんなことを農林大臣や、水産庁長官は相談を受けたのですか。こんなばかなことはないでしょう、何ですか、これは一体。
  51. 佐藤毅三

    説明員佐藤毅三君) あとのほうから申し上げますと、まだ具体的には、先ほど申し上げましたように関係各省との折衝に入っておりません。私どもが立案しようといたしております法案は、海域というものが、本来一般公共の用に供される性格のものであるということでございまして、それは水産のためにも利用されております、あるいは海運のためにも利用されておるわけでございますが、そういう特別の利用とは違いまして、本来一般公共の用に供される性格のものであるという性格に着目しておるものでございます。その中で、水産資源のための利用であるとか、あるいは整備であるとかあるいは海上交通のための利用であるとか、整備であるとかというふうなものが、特別の使用形態として出てくるというふうに考えておるわけでございます。で、具体的には、たとえば海砂利の採取とか、海砂の採取というふうなものが行なわれておりまして、そのために、いろいろの障害を生じておる事例もございますし、また、海域にドラムかん、産業廃棄物を投棄をいたしたりしておる、そういうものを取り締まる法律が現在のところないわけでございます。あるいは、今後海洋開発が進んでまいりますと、海域の中におきましていろいろな工作物を設置するというふうな事例も出てくるわけでございますが、そういうものについてこれを許可制にかからしめまして、この公共用の海域の適正な利用と保全という見地から、それらを規制する必要があるということでございます。
  52. 足鹿覺

    足鹿覺君 建設省が、そういう沿岸海域とは、公共の用に供するものだという規定を、何に基づいてあなた方はそういうことを規定するのですか。それはおそらく予算措置が、四十八年度から沿岸海域基礎調査、これだろうと思うが、五千五百万、本年は倍価に近く九千一百万。農林大臣、そういう予算がくっついているんですね。領海といっても、沿岸といってもどちらでも同じでありますが、これを知事の権限に基づく公有水面埋立法でやるということになりますと、沿岸漁民の既定の権益というものはどうなるのですか。
  53. 佐藤毅三

    説明員佐藤毅三君) これは河川区域の場合も同じでございますが、一般的には漁業というものは、河川なり海域の自由な使用というふうに観念しておるわけでございます。何らの許可を要せずしてその公共用物を利用できるわけでございます。これは漁業者のみならず一般の船でございましても、あるいは海水浴をする一般の国民においても同じでございます。そういうものをわれわれは一応自由使用というふうに呼んでおります。で、公物の使用形態としては自由使用であるということでございまして、水産資源の保護をはかったり、あるいは漁業を行なうという行為は、これはまあ農林省の御所管でございますが、そちらの産業活動としてとらえられるわけでございまして、それについてのいろいろな調整なり規制なりというふうなことは、もちろんそちらのほうの漁業法なり水産資源保護法なりといったような法律で行なわれるというふうに理解しておるわけでございます。
  54. 足鹿覺

    足鹿覺君 農林大臣水産長官も、そういう、いま課長がそういうことを言っておられるですがね。それでなくても、とる漁業からつくる漁業というふうに、方向が変わっておることを知ってないですか、同じ政府の中で。君は何を担当しておるか知りませんが、水政課長が、こういう海で生活をし、沿岸漁業で裁培漁業へまで今後進んでいとうとしておるこのやさきに、横やりを入れて、海は公のものだ、そういう定義を下して、一つの法律を策定し、これを来年度の国会に出すであろうと言われておりますが、すでに予算を二カ年間計上しておりますが、このような事態があるにもかかわらず、水産長官は、大臣にも、金額は少ないからわからないでしょうがね、わからなかったんですか。  われわれは何のためにこの一体法案審議してるんだ。まだほかにいっぱいあるよ。そんな君ね、考え方ならね、委員長、建設大臣を呼んでください。いまの課長答弁では私は満足できません。そんなばかな、一課長がそういう沿岸に対する定義をこの権威ある農林水産委員会において、農林大臣水産庁長官を前に置いて公然と答弁するということについては、われわれは納得できません。建設大臣をお呼びください。
  55. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 現在、建設省が検討中であるといわれております沿岸海域管理法案、それからまた運輸省が検討中であると伝えられております海洋管理法案、これらの内容につきましては、農林省に何らの協議があったわけではございませんし、その内容につきましては私ども必ずしも十分承知しておるわけではないのでありますが、まず、沿岸海域の一般的な管理法制のあり方につきましては、その利用の実態、将来の利用方向等についての関係各省庁間の十分の協議、検討をする必要があると考えております。また、その際は漁業関係法制との制度上の調整を十分にはかる必要があると考えておりますので、いまここでお話のございました点は、今後、慎重に検討して沿岸漁業振興に遺憾のないようにいたしてまいるというのが私どものたてまえでございます。
  56. 足鹿覺

    足鹿覺君 農林大臣は当然そういうお立場であろうと思うんですがね。しかし片っぽうのほうではね、四十八年の九月一日ごろに出たものらしいが、ちゃんともう法律の要綱まできまってますよ、大臣。それをね、−もう君はよろしい、建設大臣呼んでこい。建設大臣の出席を要求します。断じて了承できない、意味ない。こういう不邊なことを一省が独断でやるのを、この公開の場で言われて、これ以上審議を進めるわけならぬ。建設大臣の権威ある反省責任ある言明を受けない限り審議を進めるわけならぬ。
  57. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  58. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を起こして。
  59. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまのこの問題はあとへ譲りますが、時間の関係もありますから。運輸省と通産省お目見えになっておりますか、——先ほど速記をとめられる前に触れました問題は、委員長から、建設大臣の出席を求めてとなっておりますので、その出席をみた上の審議の経過を見ない限り、この法案審議そのものは進められませんが、関連して聞いておきたいことが二、三ありますから、伺います。  これは、運輸省は、海洋管理法案というものを考えておると聞いておりますが、通産省も、大陸だな鉱物資源開発促進法を提出しようとした経過があるんですね。いまはどんな心境ですか。
  60. 豊島格

    説明員(豊島格君) お答えいたします。  五年ぐらい前にそういう法律を出そうということでございまして、ある程度の具体的案も検討したわけでございますが、事実上、ものにならなくて今日に至っております。そういうことがございましたが、その案自身はその後取りやめといいますか、やめております。
  61. 足鹿覺

    足鹿覺君 全然やめた、全くそういう構想は打ち切った。打ち切った理由はなんですか。
  62. 豊島格

    説明員(豊島格君) そのときは、私の聞いておりますところでは、漁業との調整問題その他、いろいろ関係各省との間の調整問題について話し合いがつかなかった、こういうふうに聞いております。
  63. 足鹿覺

    足鹿覺君 課長で悪いということはありませんけれども、いまの建設省も課長、あなたも課長で、課長で悪いことはないが、どうもこういう問題は政府委員に出てもらわにゃ困りますね。いまたいして忙しくもないでしょう。いずれにせよ、それは上司にも——さっきのように、休憩中に建設省の何とか課長は私の段階ですと、大臣にはそんなことは申し上げておりませんなんと言って、課長大臣なのか、大臣課長なのかわからぬようなことを言ったが、これは官庁というところは都合の悪くなると大臣の決裁が要るといって逃げるし、場合によっては、大臣なんか、へとも思わず、自分のほうで公開の自由の原則をつくって法律をつくる。私は、このような委員会の審議を、二十五年間国会議員をやっておりますが、このような場面には初めて大臣、出会いました、先ほど来。全く理解しがたいですね。問題ですね。ひとつ農林省としても十分御配慮が必要であろうと思いますが、運輸省は海上交通安全法という法律を四十七年に制定した上に、さらにまた海洋管理法案とかというものを構想しておるというが、どうですか。
  64. 佐藤久衛

    説明員佐藤久衛君) お答え申し上げます。  実は先生の御質問の前に多少経緯をちょっと説明させていただきたいと思います。  先生御承知のように、海洋というのは、もちろん水産業の場であるだけでなく、海運の場として古くから使われてきているわけでございます。で、運輸省でも従来からこの関係の法律といたしまして、港湾法とか海上運送法、それから海上衝突予防法、それから先生いま御指摘の海上交通安全法というような海洋の利用規制と、それから海上における安全の確保をはかってきておるわけでございます。また、海洋汚染防止法とか、あるいはまた、この前の国会でございますけれども、港湾法等の一部改正が行なわれまして、海洋の環境保全にもつとめてきております。また、そのほかにも水路業務法、それから気象業務法等によりまして、海域における水路測量、それから海象、気象等の海洋調査も実施してまいりました。  ところが最近、御承知のように社会経済が進展いたしまして、新たな観点に立っての海洋を高度化する、多面的に利用しようという社会的な要請が出てまいったのでございます。そこで運輸省としましては、四十六年の五月でございますけれども、運輸大臣の諮問機関でございます運輸技術審議会というのがございます。そこに海洋技術開発と海洋調査の目標及びその実施方法というふうなものについて諮問をいたしまして、具体的な方策につきまして、翌年の五月、四十七年の五月に海洋開発技術及び海洋調査の目標、その実施方策に関する答申というものをいただいたわけでございます。先ほどからの御説明にもございますように、その後海域の高度利用というようなことで海洋開発の問題が提起されたわけでございますけれども、そのあり方等につきましていろいろ問題が提起されてまいりました。  そこで、これは総理府の中に海洋開発審議会というのが設置されてございます。これが、昨年の十月の十七日でございますけれどもわが国海洋開発推進の基本的構想及び基本的方策についてというのを総理大臣に対して答申をいたしてございます。そこで、現在までの海域に関する法制というのは、先ほど私が引用いたしましたような形の安全に関する問題あるいはまた海運に関する利用の問題、あるいは水産関係、それから海洋汚染の問題というふうに、いろいろ整備はされてきておりますけれども、全般的にはなお不備な点があると、そのためにいろいろ問題も出てきておりますので、この答申を引用いたしますと、「わが国海洋の開発利用と保全の相互間の調整を図り、全体として調和のとれた海洋開発を推進するための法制の整備を検討する必要がある。」、こういう答申をいただいておるわけでございます。  したがいまして、私どもも、先ほど申し上げたような海運等の面におきましていろいろなかかわり合いを持つものでございますし、また、こういった海洋開発審議会の答申を踏まえまして、そこで指摘されておりますような事項をいかにあるべきかということを部内的に作業をいたしておるという段階でございます。部内的な作業でございますので、まだ成案を得ておりません。したがいまして、先ほど先生御指摘にございましたけれども関係の省は水産庁をはじめとしまして、建設、通産といったように多方面にわたるわけでございますけれども、まだその案は提示いたしておらない、こういうような状況でございます。
  65. 足鹿覺

    足鹿覺君 佐藤参事官さん、海洋と沿岸、海洋の一部が沿岸ですか。海洋の中には沿岸は含まれておりますか、いませんか、どっちですか。
  66. 佐藤久衛

    説明員佐藤久衛君) これは法律制度でございますれば、その制度の趣旨に従って解釈すべきものと思われますけれども、常識的にいいますならば、海洋の中には当然沿岸海域も含まれている、こういうふうに解釈すべきだろうと思います。
  67. 足鹿覺

    足鹿覺君 委員長水産通ですが、いまのような答弁はさっきの建設省と同じ趣旨の答弁ですよ。海はもうみんな取られてしまうじゃないですか、これは。内村長官は協議があってからでよろしいって、のんきにかまえておるしね。これはわれわれは、あほうにされたような気がします、この法案審議をするのは。そうじゃないですか。  どうも、先ほども述べましたように、旧全総から新産業都市、さらに新全総に移り、列島改造構想に移り、原子力発電、火力発電、今度は国土利用計画法と名を変えて、日本列島改造構想が姿を変えて出てきょうとしておりますが、いま衆議院でいろいろもめておりますが、陸は陸で農民を締め出し農地をつぶす。海は海で各省がかってに水域を設け、いろんな考え方のもとに独自の判断でかってに線を引く。これは漁業権というものが現実にあるんです。その軽視というよりもむしろ無視しておりますが、沿岸漁業は特にそれによって生計を維持しておる漁民のものである、そういう視点からわれわれはこの法案審議している。これに矛盾をするような運用が許されるというならば、われわれはあえてこういう法律の審議をする必要はない。言うなら、政府内の各省庁が海をめぐって海盗りを策しておる、海盗りを。全くゆゆしい、これは許しがたいと思いますね、大臣。海を何と心得ておるんでしょうね、通産省は。  いま、日本海の浜田沖で、西日本石油開発株式会社とかというのが、一生懸命石油をさがして掘っております。新潟沖、秋田沖、どこでもやっていますね。だけれども出ない。話を聞いてみますと、海水を隔てて海底まで鉱山法で規定しておるから発掘はいいんだという解釈だそうですね、あなた方通産省の解釈は。鉱山法というのは陸地にある山を対象にしたものじゃないですか。海の底にあるものにまで及ぶという解釈は私は初めて知りましたね。そうしてかってに水域を設けて設備をして海水を汚濁して、漁業権を奪って……。さっきの法律は断念したというが、科学技術庁もおいでになっていると思いますが、おいでになっておりますか。——  日本分析化学研究所というものに、あなた方は、原子力発電の冷却水の分析を依頼をする等、数々の依頼をし、現に検察当局が捜査をしておるような段階だと聞いておりますが、海の水を汚染するということは、沿岸漁業と密接不離な関係にあるんですよ。ひいて、その魚肉を食べた者は人体の障害を起こし、場合によっては水俣病のごとく死ぬるんですよ。そういうことの安全であるかいなかを調べる権威あるデータをつくっておると思っておったら、日本分析化学研究所というのは全部でたらめだというんです。海底資源開発に名をかって日本でいろんなものをいまやっていますが、どこどこをやっておりますか。その地名、目的、所在地別に、日本分析化学研究所に委任をしたものの資料の提出を求めます。  とりあえずあなた方は——われわれの同僚のきょうは辻君は来ておりませんが、彼は若狭湾の原子力発電所の問題で苦労をし、そのたびごとにあちこちで発言をして走り回っている。ああいうものの冷却水の海水汚染度の調査等も日本分析化学研究所がやったんですか。島根県でもいま故障だらけの原発がこの間から動き出しましたね。しょっちゅう故障を起こしている。やっと一年がかりで動きだした。鳥取県と兵庫県の県境にいま一つ大きいのができかけておりますね。とにかく、日本分析化学研究所が折り紙をつけても三文の値打ちもないようなものを、あなた方は安全だ、安全だと言って今日まできた責任は、きわめて重大だと思う。  あんたは——肩書きみな課長だわこれは。科学技術庁岡部さんですか。
  68. 岡部富久志

    説明員岡部富久志君) はい私でございます。
  69. 足鹿覺

    足鹿覺君 あんたが……。
  70. 岡部富久志

    説明員岡部富久志君) 計画局資源課長でございます。
  71. 足鹿覺

    足鹿覺君 あなたがこれ答弁するほうか、どっちだ。
  72. 岡部富久志

    説明員岡部富久志君) 違います。私の事務分掌ではございません。
  73. 足鹿覺

    足鹿覺君 ではこっちか、松原さん。いま私が指摘した……。
  74. 松原良夫

    説明員(松原良夫君) 分析研の問題は当庁原子力局でございまして、私は研究調整局の海洋開発課長でございますので……。
  75. 足鹿覺

    足鹿覺君 おれは内閣に長いことおったがな、大臣が来なければ法案審議はせぬしな、万々譲ったって政府委員以外の者で審議したことはないけれども。わが農林水産委員会の従来の慣例もあるようだから、おれも黙っておったけれどもな、これはいけぬわ。これもうこれから先は審議できぬわ。まあとにかく政府委員がみなそろうまで待つべえ……。  まあせっかく見えておるからね、あなた方科学技術庁に、海洋開発基本政策というものがありますか。大陸だなの調査をした事実や、いろんなそういうもののデータがありますか。
  76. 松原良夫

    説明員(松原良夫君) 科学技術庁におきましては、四十六年、海洋開発審議会におきまして、わが国の海洋開発の基本的構想及び基本的施策という諮問をしております。その諮問に答えまして昨年の十月に答申がなされておりますが、その中におきまして、海洋開発におきます進め方といたしましては、環境の保全と一体化した開発を推進すべきである、二番目が、開発というものは総合的計画的に推進すべきである、三番目が、海洋科学技術の推進を先行的にやることである、四番目に、国際環境に調和した海洋開発を進めるべきである、というふうな基本的考え方の進め方の答申をいただいております。当庁におきましては、その線に沿いまして、海洋科学技術に関します実行計画とか、その他の施策を講じまして、海洋開発の推進に努力しておる次第でございます。
  77. 足鹿覺

    足鹿覺君 それは重要な資料ですから、当委員会に御提出いただけますか。
  78. 松原良夫

    説明員(松原良夫君) はい、さっそく御提出いたします。
  79. 足鹿覺

    足鹿覺君 それからいまの日本分析化学研究所の件は——本庁と連絡中か、原子力局長呼んでください。  運輸省ね、参事官、あんたのところは参事官だから政府委員だろうからね、あんたに聞くわ。(「政府委員じゃない」と呼ぶ者あり)え、政府委員じゃない——。だめだなあわが委員会は、委員長。だめだねこれはもう、ほんとうに。あんまりこういうくせつけちゃいかぬ。別にわれわれが特別にいばっているんじゃない。ここの委員会がそういうくせつくった。審議官だ、参事官だ、何だかわけくそわからぬね、全くね。でも、審議官になるといいか、政府委員か。——これもだめか。局長にならなければだめか。官庁によってみんな位が違うしな。防衛庁へ行くと参事官はいばっているよ、一番上だよ、役人のあの。局長なんかの上ですよ。さてな、これね、どうしようかな……。  海洋の一部に沿岸が含まれると言いましたね。海洋の利用基本計画というものを、都道府県海洋利用計画と他の海洋利用に関する計画との調整というようなことをあなたたちは検討しておるようですね。海洋の利用区分、これも検討して、——これは大体法律案の要綱のようですね。建設省と一緒だ。海洋の管理、海洋利用の調整、海洋施設設置にあたっては、一々運輸省の許認可、届け出が必要となってくる。このほか海洋利用料金の徴収、海洋レジャーの規制など、総合的な海の管理法案としたいということを考えておるそうですね。ほんとうですか。ほんとうなら、ほんとうだと言って、その中身を示してください、私の資料が間違っておれば。
  80. 佐藤久衛

    説明員佐藤久衛君) 先ほど御説明申し上げましたように、海洋開発審議会におきまして、現在のような、ばらばらな利用計画というふうなものについては、やはり総合的な形で計画性を持った開発をすべきだと。こういう海洋開発審議会答申ということでございますので、私どもも、そのような趣旨でいろんな部内作業を進めておる、こういう状況でございます。先生も、つとに御承知のように、海運というものとそれから水産業というふうなものは、これは有史以来古くから共存でやってまいったものでございます。したがいまして、私どもは、そういった具体的な案というふうなものにつきまして、当然水産関係の部門と相携えて、いわゆる共存共栄でいけるものと私どもは確信しております。今後とも、そういうふうなことで検討を進めていきたいという状況でございまして、先生がいま御指摘になりましたのは一つの構想でございます。したがいまして、まだ、省内におきましても省議その他の決定を見ておらないという状況でございますので、この場に資料を提出することは差し控えさしてもらいたいと、かように存ずる次第でございます。
  81. 足鹿覺

    足鹿覺君 どういう理由で出せないと言うの。
  82. 佐藤久衛

    説明員佐藤久衛君) ただいま申し上げましたように、まだこれは官房の計画課の段階での作業でございます。したがいまして、運輸省としての方針というよりはむしろ事務方のほうの作業の過程にあるものでございます。したがいまして、国会の場に御提出申し上げるというようなことは、そこまでの御審議にたえるようなものではないというふうに考えますので差し控えさしていただきたいと、かように申し上げておる次第でございます。
  83. 足鹿覺

    足鹿覺君 そういうものを考えておる調査費とか、その他経費予算は年度別に幾ら、どういう名目で計上してありますか。
  84. 佐藤久衛

    説明員佐藤久衛君) お答え申し上げます。  いま申し上げましたとおり、まだ計画部門での作業中の段階でございますから、このための特別な予算というふうなものはございません。しかしながら、冒頭に御説明申し上げましたように、私どもとしましては、海上の安全の問題海上環境保全の問題等々につきまして、それぞれの部局を持っております。海上保安庁、気象庁等々の調査実施の部門もございます。したがいまして、私どもとしましては、そういった調査計画を進めていく段階におきましては、それらの力を総合結集したい、かように存じておる次第でございます。
  85. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまほかのことを聞いておってわからぬ。もう一ぺん……。
  86. 佐藤久衛

    説明員佐藤久衛君) 先ほど申し上げましたように、私どもは、この海洋管理法というふうなもののための調査費等につきましては、特別計上いたしてございません。これはあくまでも現在まだ作業中の段階であるからでございます。しかし海上保安庁、気象庁といったような私どもは、調査実施の部門を持っております。したがいまして、これらの勢力といいますか、知識、技術等を活用いたしまして、今後調査を進めていきたい、かように存じております。
  87. 足鹿覺

    足鹿覺君 科学技術庁に要求をいたしますが、調査資料を。資源調査会海洋資源部会の中間報告というものがありますね。
  88. 岡部富久志

    説明員岡部富久志君) はい、ございます。
  89. 足鹿覺

    足鹿覺君 これは、資源調査会の海洋資源部会が、昨年九月に、わが国の増養殖業の将来の方向について中間報告をしたものだと聞いておりますが、そうですか。
  90. 岡部富久志

    説明員岡部富久志君) お答え申し上げます。  いま先生が中間報告とおっしゃいましたのは、中間報告なるものは、資源調査会に対する中間報告というふうにおとりになっていただきたいと思います。  それで、どういう段階の資料かということでございますが、資源調査会の海洋資源部会の中に水産委員会というものを設けまして、それでわが国における水産増養殖及び将来の方向に関する調査というのをかねてから調査をいたしておったわけでございます。それで昨年の八月の資源調査会におきまして中間報告いたしまして、それで委員の先生方の御意見を賜わりまして、それでいま、それをもとに調査を続行しておりまして、まだ公表はいたしておりません。そういう性格のものでございます。
  91. 足鹿覺

    足鹿覺君 印刷物に、報道機関の一部に載っているんですよ。日本社会党としては、農漁民局が主管しておりまして、この法案審議の必要があるために、あるいはそれ以前から資料要求を、公党として要求しておるのに、それを退け、しかるに一部の報道機関には載っておるじゃありませんか。わわれわれは国会議員であると同時に、一つの政党に所属してその政党の基本政策に基づいていろんな法案審議し、是は是、非は非として審議を進めているんですよ。よほど前に出たものが、公党の要求に沿えないとは、一体どういうわけですか。あらためて当委員会にその提出を求めます。出さなければ出すまで私は待っております。
  92. 岡部富久志

    説明員岡部富久志君) 先ほども申し上げましたように、いま資源調査会におきましては十七ほど部会がございまして、いろんな調査テーマを設定いたしまして、まあ二、三年、あるいは長いのになりますと、五カ年ぐらいかけまして調査を続行しておりますが、その中間の過程におきまして、いろいろな検討資料というものを印刷して、部内検討としてこれは印刷するわけです。あくまでも部内検討でございまして、公表の段階にくるまでは、と申しますのは、資源調査会の会長から科学技術庁長官に提出を正式になされた段階で、科学技術庁長官がその勧告並びに報告というものを、関係行政機関の長に対して、施策反映方御要望を申し上げると、その段階で公表ということでございます。その以前の段階におきましては公表はいたしておりません。あくまでも部内検討資料でございます。以上でございます。
  93. 足鹿覺

    足鹿覺君 じゃ、私からそのおよその筋を申しましょう。まず一点は、「企業化である漁種、種苗を増産化をする一方、沿岸域の環境保全のため水域別総量規制だけでなく、必要な場合は生産システムの変換といった厳しい規制を行なうことが条件で、さらに養殖水産物の流通機構の再編、養殖事業を発展させるための漁業制度や漁業者組織の」——これは重要ですよ。「漁業者組織の再検討と行政対応が必要である」と明記しておるじゃありませんか。なぜこういう基本的な沿岸漁場開発振興法というがごとき建設的な、しかも最近の農林省食糧事情等も踏まえ海外の漁業情勢等も勘案して出した法案に対して、われわれは建設的な審議をしておる。その根幹にも触れるようなものの審議に対して提出が必要であります。提出を要求いたします。  委員長委員長に要求いたしますが、国会法第十二章百四条には「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」と規定されておる。したがって一委員長は当委員会としてこの必要を認め、科学技術庁をして直ちにこの調査会の中間報告書を提出せしめるよう、委員長より御要求願いたいと思います。
  94. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 岡部資源課長、あなたの答弁のできる範囲内で、いまの要求どおりの資料ができるかできぬか、提出されるかどうか。それを答弁をして、委員長としては、国会法に基づいて提出されることを希望するわけなんですが、あなたの答弁によってはまた、理事会を開いて検討するから……。
  95. 岡部富久志

    説明員岡部富久志君) 私は、これは初めての経験でございますが、まあそういう関係の具体的な、当方といたしましても、どういうふうにしたらいいかということは、私個人ではちょっと判断しかねますので、お話を伺いましたので、お話を持ち帰りまして、それで検討さしていただいて、早急に結論を申し上げるというふうにさしていただきたいと思いますが、どうぞよろしくお願いします。
  96. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) それでは理事会で、ただいま足鹿君の発言については理事会で協議をして善処することにいたします。
  97. 足鹿覺

    足鹿覺君 では、そこでちょっと休憩して理事会を開いてください。
  98. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  99. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を起こして。  ただいまの足鹿君より要求の資料については、これを提出するように委員長からも要求いたしますから、そのように手はずをしてください。いいですね。
  100. 岡部富久志

    説明員岡部富久志君) 一言だけちょっと申し上げますが、資源調査会の調査活動は、資源の総合的利用方策に関する重要事項を審議しているわけでございまして、当委員会におかせられましても、水産増養殖関係を、わが国の食料資源、特にたん白資源日本人の食生活に密着しましたたん白資源のソースを培養していくということで、安定供給の面から非常に重要なテーマでございます。したがいまして、関係専門委員におかせられまして、まあ水産庁の方もお入りになっておられますが、非常に前向きに御審議になっておるわけでございます。したがいまして、調査の成果を大いに前向きに行政に反映さしていただきたいと、こういうように存じておるわけでございます。しかしながら、調査の途中におきます資料はまだ検討中のものでございますので、資源調査会の調査活動といたしましては、最終的な成果と申しますのは、時点で言いますと、資源調査会の審議におきまして可決されると、承認されると、で、科学技術庁長官に提出されると、その段階におきまして公表と、こういうことをたてまえにしております。そのことだけを一言申し上げておきます。
  101. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまの岡部さんの御説明は御説明として委員長においても承りおいてよろしかろうと思いますが、一番私は、本法案審議しておる場合に、「漁業者組織の再検討と行政対応の必要である、」云々、これは現在の日本の漁業政策、関連する漁業組織、行政対応——まさに先刻来私が問題にしておる海盗り合戦の行政対応ということを一つとって考えたときに、私は非常な危惧を覚えます。資源調査会がどういうメンバーで運営されておるか、私は存じません。ですから、虚心たんかいに申しますと、こういう重大な問題を九月に答申をする、そういうことまでわれわれは知っております。しかし、いまわれわれが必要としておるのは、この審議に必要なんです。沿岸漁業振興ということが、今後の日本たん白資源漁民の生活安定と漁業、魚価の安定と、安定供給という大きな使命を持っており、この運用によっては私どもとしては、期待をしておるからこそ聞いておる。あまりこれを秘密にすべき何ものもないが、私が類推していけば、いろいろなことが心配される。ですから、森山長官によく御報告になって——よく知っているから私は、衆議院時代。このものをわれわれ国会がどうしようの、こうしようのという、それで責任追及しようのどうのというのではない。本案審議のために必要なんだから、快くお出しなさい、すみやかに。いまで、もうこれであんたよろしいから、帰って早く提出をするような手続をとりなさい。そのほうが賢明ですよ。  それで、運輸省の海洋管理法というものも、先ほどの私の質問で明らかになったんですが、これまた、まだ省議決定以前のもので発表ができないと、こういうことです。発表ができないと言いながら、ちゃんとこれも新聞に載っておる。だから、われわれ国会を侮辱しているんだ。そのことそれ自身は、主管省である農林省の権威にもかかわることだ。水産庁長官ね、こういうことをあんたは、こういうことが進んでおるということを情報を得、あるいは情報に基づいて何か考えられたことがありますか。
  102. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 私も、たしか水産経済新聞であったかと思いますけれども、新聞報道で、そのような動きがあるということは承知しております。しかしながら、水産庁として、いろいろな意見を述べるのには、やはり運輸省なり、建設省の省議決定を経て、閣議決定前に出されたものについて意見を述べるわけでございまして、私どもは、それについては、新聞報道で承知しておる範囲、程度でございます。われわれといたしましては、先ほど先生から御指摘がございましたように、今後、沿岸漁業振興には大いに力をいたさなきゃならぬわけでございますから、したがいまして、沿岸漁場開発整備法を出しておるわけでございますけれども、そういった法の運用に遺憾のないように、いろいろな制度については遺憾ないようにしなきゃならぬというふうに常々考えておるわけでございます。
  103. 足鹿覺

    足鹿覺君 内村さんね、いまあなたは新聞で知ったと言ったね。あとでその新聞をリコピーして皆さんに届けてください、資料として。運輸省が出さぬというならね、——出しませんか。何も秘密にすることないじゃないですか、ここまで明らかに、新聞に載ったことを。
  104. 佐藤久衛

    説明員佐藤久衛君) 私のところは、実は秘密にしているわけではございませんが、ただ、先ほど申し上げましたように、官房の中の計画部門で、計画課の段階等におきまして一応検討しておるという状況でございます。で、先ほども理由を申し上げましたように、海洋開発審議会におきまして、総合的な海域の利用というものが必要だ、そのための法制も検討するんだというようなことが総理大臣提出されておるわけでございます。したがいまして、そういうふうな問題点の指摘に対しまして、私どもとしても、当然事務的に調査の作業をする、これは当然であろうかとは存じますけれども、ただ、いわゆる運輸省の方針として、というふうな段階ではございませんので、先生方の御批判に耐えるような状況ではない。こういうことで実は差し控えさしていただきたいと、こういうふうにいま申し上げた次第でございます。
  105. 足鹿覺

    足鹿覺君 まあ別にあなた方からもらわなくても、ちゃんとどこからでも手に入れますよ。要するに、当農林水産委員会を軽視しているんだ。いままでの数々を私は知っているんだ。第三港湾建設局長竹内何がしが、数カ月前に鳥取県に来て、アメリカの工法を入れた最新型の人工島構想というものをぶち上げて、あれは私見であったと。県会で反対決議が出、地方自治体はてんやわんやの大騒ぎになった、そういう事態もある。それがいまあなた方のところの港湾局長に昇格しておる。かってに——地方自治体がびっくりぎょうてんするような、三十ヘクタール以上であったと思いますが、新しい工法によってアメリカのコンサルタントを利用してやるのだ、そういうことを、かってに私見として発表し、地方を混乱の極におとしいれた、ごくきわめて最近の事例もありますよ。そういうことで地方に迷惑と心配をかけておる事実もある。それが昇格をしておる事実もある。一体あなた方が、大臣に進言するまでの過渡的なものであっても——ほかの省ではない。これから、建設政務次官おいでになっておるようでありますから伺いますが——少なくとも、われわれは沿岸漁業振興のための漁場整備開発法を審議し、検討しておる。いまや最終結論に審議は向かおうとしておるのです。その段階農林省からもこういうことが報告もされない。主管省もいよいよきまってから交渉すればいいというような態度。そこに私は官僚の独善があると思う。審議さえしておればいいんだと、おまえらは。おれの出せぬものは出せねえんだと。といって新聞に筒抜けになる、その責任はどうしますか。水産庁長官から答弁をもらいますが、そういう態度は私はよろしくない。参議院出身の徳永運輸大臣によくお伝えおきください、そういう態度はよろしくなかったと。反省をして考え直して持ってきなさい。徳永運輸大臣は、参議院出身で、いろんなことで必要がありましたならば、連絡をとってこられてと、よくお会えそうであるかもしらぬけれども。誠心誠意やりますからと。途中で出会ったときなどよく言います。だから、私も徳永さんに電話をして、こういうことがありますよ、と言っておきますから、あなたも、まあここは公開の場で、ちょっと前言がひるがえしにくかろうとも思う。だから、まあこの程度にしておきますわ。わりあい正直にものを言うから、まあその程度にします。  そこで、建設政務次官、わざわざおこしをいただきましたんですが、いまわれわれは壊滅に瀕せんとしておる日本沿岸漁業振興開発法案を熱心に審議を続けて、あまり遠からず、今日の食糧事情等の経緯も踏まえてこれを成立せしめ、運用を通じて、たん白資源畜産に求めることができないような情勢がありますので、これを沿岸漁業に求めていく。こういう立場において建設的な議論をしておる中で、あなたのところでは、沿岸海域の公共的管理に関する法律案というものを御検討になっておられる。伝え聞くところによれば、大体来年度はこれが法律案として出てくるであろうと、こういう情勢のようです。その目的は、次官は御承知かどうか存じませんが、「沿岸海域について、管理者、管理の方法等必要な事項を定めることにより、その適正な利用と保全を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とするものとすること。」、こういうことです。  「第二 沿岸海域 1 「沿岸海域」とは、次に掲げる海面及び陸地をいうものとすること。一領海内の海面」と、以下ずっと続いておるわけです。  そこで、私がさっき担当課長に、こういうものを考えておるそうだが、どうだと言ったら、考えておりますと。沿岸海域とは陸地から何海里ぐらい離れたところであるかと言ったら、現行の領海程度であろうと。いま十二海里説もぽつぽつ実現に向かいつつあるような状況でありますが、実現すればさらにですね……。これは、私どもの見解によれば、この法律は、「沿岸漁場整備開発事業を総合的かつ計画的に推進するための措置を講ずるとともに、水産動物の育成を図り沿岸漁場としての生産力を増進するための事業を推進することにより、沿岸漁業の基盤たる沿岸漁場の整備及び開発を図り、もって沿岸漁業の安定的な発展と水産物の供給の増大に寄与することを目的とする。」ものである。そして、久しく漁業問題が海洋汚染その他ショックから立ち直り、本格的な沿岸漁業振興法案と取り組んでおるときに、沿岸とは何かと言ったら、われわれが対象として審議しておることが全部沿岸だと言うのです、あなたのところの課長が。公海は自由の原則に基づくものであると言うのですよ。ということになりますと、御承知のように、漁業法に基づいて漁業の組織がある。漁業権者は、海域に漁業権を設定をし、大臣の認可を受ければ物権としてのこれは価値を有する。それを取りつぶし、あるいは権利を消滅させるためには今日までばく大な補償が支払われておることによっても、合法的であることは御存じでしょう。それをこのような公海に、同じ海域に、沿岸海域の管理の原則だとか、沿岸海域管理者だとか、沿岸海域の整備、沿岸海域の占用、土石の採取、工作物の新築等、沿岸海域の管理上支障を及ぼすおそれのある行為の禁止等、許可の特例、占用料等、使用関係調整沿岸海域の管理に要する費用の負担等と。それでなくても、公有水面埋立法によってどれぐらい今日まで優良漁場がつぶれたか。公害のたれ流しによって漁場の荒廃はもちろんのこと、生まれもつかぬうちから身体不自由者になり、母の胎内から毒を受けてこの世に生を受ける悲惨な現状がある。親は死に、生まれた子は見るもむざんな姿で出るというような状態が続く中で、ようやく海洋の汚染についてお互いが世論にこたえるとともに、国民のたん白資源としても重要な食料を沿岸漁場の振興によってつくり出そうというやさきに、予算は沿岸海域基礎調査の経費として昭和四十八年五千五百万、昭和四十九年事業費として九千一百万円が計上された。  農林省は全然この事実を知らない、こういうことが明らかになった。一課長があたかも当然のごとく、本人はそう信じていらっしゃるわけでありますから、自分の担当課長としての所信を述べられたことの、あまりにも重大な内容でありますので一われわれが、この審議を進めている一方では、いま私が述べたようなあなた方の構想が進んで、来年にでも、これが実現したならば、ダブっていろいろな何といいますか、収拾のつかないような面も出てくるだろう。全然被害がないとは何ぴとといえども言えない。第一、沿岸漁業は、私は、まず何はさて置いても沿岸漁民のものでなければならぬと思う。これが今日までの社会通念であり、われわれの立法の、歴史的立法の根拠になっておるのだ。それを、事もなげに一課長が御説明をなさったために、委員長の了解を求め、大臣の御出席を求めて、このようなことについて十分報告を受けておいでになるかどうかを確かめた上で——農林大臣も、関係省庁とは連絡を密にしていきたいということをおっしゃっておりますし、私は、これがすでに生まれるような、生まれてからでは調整はおそいと思う。ちょうど、たまたまこの審議をしておりますので、事はきわめて重大でありますので、わざわざ御出席を求め、これに対応をする事実ありやいなや、首脳部としてどのようにこれを考えられておられるか。私は、屋上屋をかまえ、建設省はこのような法律案、運輸省は運輸省で別な案を、通産省も別な角度から何かもたもたとしながら、何かをやろうとしておる。こういうことでは、せっかくわれわれが、この法案を成立せしめましても、数年ならずして、混乱が起きることは明らかだと心配をいたします。そういう点から、政治家としての御見識において、この問題に対する対応をどうなさるか御所信を承りたい、かようなことでよろしく。
  106. 内海英男

    政府委員(内海英男君) 足鹿先生のいまおっしゃられました、沿岸漁業振興開発問題につきましては、私ごとでたいへん恐縮でございますが、私のところも、三陸沿岸の石巻中心の地域の出身でございまして、先生と同様に重大な関心を持っております。したがいまして、いま建設省の課長発言をした内容等につきましては、いまだ部内の調整、あるいは私どもにも、まだ耳にしておらなかったという点もございますので、課内におけるまだ検討調整中というふうに私は解釈をいたしておりまして、いまだ私どものほうにも上がってきておりませんし、また、関係省庁との調整あるいは連絡、折衝等もやったことは聞いておりませんので、いまのところ、まだ課の内部で検討、研究をしているという程度に私はとっているものでございます。  沿岸漁業振興につきましては、私といたしましても、年々衰微していく沿岸漁業につきましては、ただいま御審議をいただいている法律案等の成立によって沿岸漁民が、安定した漁業にいそしめるということは全く同感でございまするし、その趣旨に沿ってわれわれも努力をしなければならない。また、関係の局内におきまして、さらに御指摘の問題について検討が進む段階におきましては、十分私どもも気を使いまして、十分な調整あるいは関係省庁との連絡を十分はかった上で取り扱ってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  107. 足鹿覺

    足鹿覺君 これ以上申し上げましても御見解を承ることも無理であろうと思います。しかし、一言ほしかったのは、課長段階の作業であるとはいうものの、かかる沿岸漁業そのものの核心に触れる問題が、事もなげに立案検討されるという、いまの建設省のものの考え方に対して、私は、少なくともこの法案最終段階においては、委員長にもお願いをし、建設大臣の出席を求めまして、これに対する——どもは、そういう必要を認めません。その前提に立たなければ、今後の沿岸振興なんかできません。まるで通産、建設、運輸、科学技術庁等が三つどもえ、四つどもえになって海盗り合戦をやらんとしている。こういう憂うべき事態でございますので、ひとつ沿岸漁業問題に理解と深い関心を持たれる政務次官も、十分、亀岡大臣にこの旨をお伝えおきくださいまして、審議の最後の段階において、政治的な判断に基づいた態度を打ち出していただきますように御連絡方を要請いたしておきます。よろしく……。  まだいろいろありますが、直ちに中間の、先ほど要求いたしました資料、その他要求したものが相当ありますので、これを十分に整理して、委員部を通じて、遅滞なく提出せしめるように特にお願いを申し上げておきます。
  108. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 三案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会      —————・—————