○神沢浄君 もう時間がなくなっているようでございますから、最後の質問に移りたいと思うんですけれども、いまの土地の問題あるいは労働力の問題というのは、もう少し私は論議を深めたいところなんです。いずれまた機会を得たいとこう思っておるんです。
いま
農村へいって青年に何が一番困るんだ、何が一番皆さまは求めたいんだというようなことを聞いてごらんになりますと、おそらく全国いずれの
農村へまいりましても、若い人たちが口をそろえて言うのは、とにかく嫁さんが喜んできてくれるような
農村にしてもらいたいと、こういうことです。現状でもって青年を
農村にとどめようと思っても、このままでは全く無理です。私は何かスローガンめいた言い方になりますが、少なくとも若い娘さんたちが喜んでとついでいくようなやっぱり
農村をつくらないと、
日本農業再建なんと言ったって、こんなものは全くそれこそ文字どおり画餅そのものだと思うんです。そういうような点で土地の問題それから労働力の問題、まあ青年を
農村にとどめるためには社会環境の問題、それはいろいろあると思うんですけれども、それらのほんとうに
基本になっておるものは、午前中も出た意見のとおり、やっぱりこれは
価格政策だと思います。いま、それ何価安定法というような幾つかの制度があることは、私も
承知をいたしているわけでありますがしかし、米を除いて現在のそのいずれの安定法にいたしましても、それは、まあいわば自由主義的な経済の論理の上に立って、経済至上制とでも言いますか、そういうものの上に立脚して行き過ぎたときの歯どめをする。私はよく言うんですけれども、あれはちょうど電気のヒューズみたいな制度であって、ある限度へいくとヒューズが飛んでしまう。しかしやっぱり飛んだ
あとは、これは停電ですから、暗い間に冷えてしまうですよ、
農村は。
現に、いまたとえば飼料の問題が非常に重大化してきております。べらぼうに上がったというわけです。一年間に一万円の上も上がって、また三月には値上げをするんだというような
状況です。私の知る限りにおいても、とても先き行きも不安でしょうがないからといって、かなり大きくやっておった養豚をやめちゃった知り合いもおります。あるいは養鶏などにおいても同様であります。ここに資料を届けてもらって持っておりますけれども、時間がないから御披露しておれませんが、五千羽までくらいの規模ならば、今度あがったこの現状におけるところの飼料をもとにすると、まあ鶏卵であれば、一キロ当たりどうしても九十銭くらいが吹っ飛んでしまう、あるいは豚の場合は五十四円くらいはどうしても吹っ飛んでしまう。これははっきりそういう数字が出てきております。これでは全く
自給度の
維持向上といったってまことに何といいますか、当てにならない話になってくるわけであります。私はやっぱり
価格の点でもって
農家が腰を据えて営農の計画が安心して立てられるようなやっぱり
価格の補償というものをしてやらなきゃ、事が始まらぬのじゃないかと
考えているところであります。
時間がありませんから端的に自分の意見を申し上げて御所見を承りたいと思うのですが、やはり
生産費を補償してそして生活がしていける所得を補償する、これは当然のことだと思うんですよ。みんな苦労して仕事をするのに、生活のもとになる所得がないなどということで、苦労して仕事をする者はおそらく
国民のうちには、どこを尋ねたってありっこないですから。
農業といえどもやっぱりかかった金と暮らしていけるだけの所得というものは補償されるのは、こんなことは私は常識的なことだと思うんですが、またきわめて簡単なことというか、単純な理屈だと思うんですけれども、そのことがいま実現をしていないのが農産物の
価格の現状じゃないでしょうか。私は、午前中の質問でもって
鶴園委員からも、特にその点が強調されておったようですけれども全く同感であります。私はこの際、ほんとうに
自給度の
維持向上をうたわれるならば、
農家が安心して
農業に携われるような、やっぱり
価格政策というものを打ち出すところから始まらなければならぬのじゃないかと。そうでなければ、まあどんな
——大臣は何か
農業基本法を実にきれいな文章だと、文章まで感心をさせられておりましたが、
大臣の
所信表明もその意味においてはたいへん整った文章であります。作文としては、私はたいへん点数高いんじゃないかと、こう思うんですけれども、しかし、どんなりっぱな作文であろうとも、
農家はとてもあれでもって安心をしようとは思われません。というのは一いま申し上げましたようなまず
価格政策の問題から始まりまして、それはもう社会環境の問題から、あるいは申し上げてまいりましたように、
農村がだんだん落ち込んでいった。今度はその逆の道をほんとうに国としては推し進めるという、こういう姿勢をはっきりとここでもって示されなければ、全くこれは画餅に帰してしまうのじゃないかということを非常に懸念をいたすのあまりまあ申し上げたのでありますけれども、最後ひとつ
大臣の所見をお
伺いをしましてやめたいと思います。