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国務大臣(亀岡高夫君)
戸叶先輩御
承知のとおり、戦後廃墟と化した
日本が今日まで大体二千七百万戸の
住宅をつくってきておるわけでございます。そして昨年の暮れの時点における
総理府の統計によりましても明らかなごとく、あき家率が五・五%という
現実のデータが出ておるわけでございます。百三十万戸近くのあき家がある。また、別の統計によりますと、世帯数よりも
住宅戸数のほうが百三十万戸ほど上回ってきておるという実はデータも出ておるわけでございます。そういう中にあって、
住宅に対する
国民の不満、
国民の要望、
国民の
住宅に対するきびしい要請というものが、一億一千万近い
国民のうちに三五%も実はその不満を持っておる次第でございます。特に東京、大阪、名古屋等、三
大都市圏における
住宅難という問題はもう非常にきびしい情勢に置かれておるわけでございます。まあ
政府のやり方が悪いから家が建たないんだという御叱正でございますけれども、確かにいままでは数さえふやせばいいという立場でやってきた傾向もございます。
住宅に関する不満というものをいろいろ分析してきますと、やはり狭い、もう設備が非常に古い、それから日照がよくないというような問題についての不満が非常に多いわけでございます。したがいまして、そういう
現実を正確に把握をいたしまして、東京、大阪等においてなぜ
住宅が建たないかという——これは結局
土地の高騰、それから公共施設に対する各自治体の異常なる超過負担、そういう問題と、
人口はもうこれ以上入ってきてもらいたくないと、
人口抑制に対する各自治体の気持ち等がございまして、公営
住宅等、都や府県にお願いしても、なかなか予算どおり消化されないという
現実が昭和四十七年、四十八年と
現実に出たわけでございます。
そこで、何と申しましても
地価対策を確立していかなければならないということで、昨年の
地価問題
閣僚協議会におきまして方向を打ち出して、私権制限をして
土地の
取引の規制をしていこうという方向を
政府としては打ち出した次第でございますが、立法化されるに至らず、今
国会において
ほんとうに私ども待望してやまなかった
国土利用計画法が制定されたわけでございます。この法律を前提といたしまして、実は
建設省におきましては、市街地の再開発についての法律、それから大都市地域における
住宅及び
住宅地の促進をはかるための関係法律、それから建築基準法、宅地開発公団法というような方式でこの
住宅難の解消をはかっていこうということで御提案を申し上げ、予算等も裏づけをいたしてきておるわけでございます。何と申しましても、やはり地方自治体の超過負担をたくすようなことを講じませんと、もう地方自治体の協力を受けられないということは、これははっきり実はいたしておる次第でございます。したがいまして、宅地開発公団等において宅地を造成をし、市街地を造成をするという際にあたりましては、宅地開発公団で公共施設——学校、病院あるいは幼稚園、保育所、集会所、そういうものを公団がみずから
建設等いたしまして、地方自治体に長期の年賦償還で、十年据え置きで貸していこう、こういうことまで実は
考えて
国会に
法案を提案をいたしておる次第でございます。と同時に、この公団につきましては、市街地から通勤できる交通機関も公団みずからの力で敷設、
建設、経営できるような立法措置もお願いをしておると、こういうことでありますと同時に、やはり東京とか大阪とかの非常に
過密になっておる都市内における市街地再開発ということをいま
住宅公団等において進めておるわけでございます。江東地区等においては、工場の地方分散に伴いまして、そのあいた分の一部を
住宅建設に使わせていただいておる。また、今度筑波学園都市が進んでおるわけでありますが、都内で約十七カ所の
政府の研究機関が移転をしてまいるわけでございます。そういうところも全部が全部、
住宅というわけにはまいりません。先ほど
環境庁長官からお話がありましたとおり、東京は緑が非常に少ないわけでございますので、それらのところはほとんど緑化をしよう、公園緑地という方向に持っていこう、そういう中でも、その一部を都民のための
住宅難にあえぐ方々の
住宅建設に供用をしていこう、こういうような
考え方で進めておる次第でございます。