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1974-05-29 第72回国会 参議院 内閣委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十九日(水曜日)    午前十時三十三分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      中山 太郎君     林  ゆう君      郡  祐一君     黒住 忠行君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         寺本 広作君     理 事                 岩動 道行君                 岡本  悟君                 鈴木  力君     委 員                 楠  正俊君                 黒住 忠行君                 高橋 邦雄君                 中村 登美君                 長屋  茂君                 林  ゆう君                 神沢  浄君                 戸叶  武君                 中村 波男君                 宮崎 正義君                 中村 利次君                 星野  力君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        運 輸 大 臣  徳永 正利君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       小坂徳三郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       保利  茂君    政府委員        内閣総理大臣官        房審議室長    亘理  彰君        内閣総理大臣官        房総務審議官   佐々 成美君        総理府恩給局長  菅野 弘夫君        行政管理庁長官        官房審議官    木下  薫君        行政管理庁行政        管理局長     平井 廸郎君        行政管理庁行政        監察局長     大田 宗利君        環境政務次官   藤本 孝雄君        環境庁長官官房        長        信澤  清君        環境庁長官官房        審議官      橋本 道夫君        環境庁企画調整        局長       城戸 謙次君        環境庁大気保全        局長       春日  斉君        環境庁水質保全        局長       森  整治君        大蔵省主計局次        長        辻  敬一君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  住田 正二君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        厚生大臣官房企        画室長      中野 徹雄君        厚生省年金局年        金課長      坂本 龍彦君        厚生省援護局庶        務課長      河野 共之君        食糧庁総務部企        画課長      小野 重和君        食糧庁業務部長  志村 光雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における国家公務員共済組  合等からの年金の額の改定に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における公共企業体職員等  共済組合法に規定する共済組合支給する年金  の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等  共済組合法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日 中山太郎君、郡祐一君が委員を辞任され、その補欠として林道君、黒住忠行君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 恩給法等の一部を改正する法律案昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 鈴木力

    鈴木力君 法案に入る前に、厚生省の方においで願っておりますので、まず最初に、厚生省の方にお伺いすることをお伺いしてしまって、それから法案審議に入りたいと思いますが、何かこれは五月四日付の新聞で見たことなんですけれども厚生大臣が、社会保障制度審議会に、年金等の問題について、あるいは社会福祉社会保障関係についての諮問をするということをおっしゃったというふうな記事を見たんですけれども、いまもこの社会保障制度の点について審議会諮問する計画がおありですかどうですか。もしおありでしたら、一緒にお答えいただきたいんですが、その諮問事項の内容がどういうことですかもあわせてお伺いいたします。
  5. 坂本龍彦

    説明員坂本龍彦君) この新聞記事がどのような経緯で書かれたかについてはよく存じませんが、先般四月に衆議院社会労働委員会におきまして年金法関係審議が行なわれました際に、現在の年金制度につきまして厚生大臣からの答弁があったわけでございます。  昨年、年金制度につきまして、水準引き上げ物価スライド制の導入といった大幅な改善が行なわれたわけでございますけれども、まだ基本的な検討を要する問題というものが相当残っておるわけでございまして、今後一そう年金制度を充実するために、年金制度の基本的なあり方について社会保障制度審議会などに御審議お願いいたしまして、今後の制度改善方向というものを見出していくような趣旨答弁厚生大臣からされたわけでございます。このような背景でこの記事が出たと思うわけでございますけれども、現在のところでは、まだ諮問は行なわれておりません。どのような形でこういった基本的な年金制度の問題についての諮問をするかという点については、現在まだ具体的に決定をいたしておらない段階でございます。今後この問題を十分に詰めた上で検討お願いするというようなことになるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  6. 鈴木力

    鈴木力君 まだ具体的に御計画がないということでありますから、そうすると、具体的に何かということもお伺いはできないわけでございますが、ただ、この問題は、私は、いまこれから私ども審議をする恩給なりあるいは年金――共済年金なり厚生年金なり、そうしたものとのかかわりが非常に大きい問題だと思います。というよりも、むしろこういうものの基本的な一つの国の政策が樹立をされて、そうした中でそれぞれの制度をどうするのか、あるいはそれぞれの制度がそのままであるとすれば、その制度の欠陥をどうする、あるいは補強する、こういう議論になってこないとどうも本物にならぬと、こう思うものですから初めにお伺いをしたのですが、しかし、まだ具対的にということはでき上がっていらっしゃらないけれども、こう御答弁をされるということですと、問題意識というものはほぼ方向づけられていらっしゃると、こう思います。したがって、その御発言に至る問題意識といいますか、その把握といいますか、あるいは年金制度を、社会保障の中のさまざまなそういう福祉制度とか、そういうものをあわせた一つ厚生省としての御認識といいましょうか、御見解といいますか、現在のところこういう問題をかかえておるという、問題意識をこう持っているという点についての御答弁をいただければたいへんありがたいと思います。
  7. 中野徹雄

    説明員中野徹雄君) 省として十分詰めた結論というわけにはまいらないわけでございますが、おおむね、たとえば年金制度の総合的な見直しというようなことについて、関係者共通意識をいたしております点を何点か申し上げて、お答えにかえたいと思うわけでございます。  御承知のように、日本年金制度恩給共済等制度が先行いたしまして、そのあと、いわゆる厚生年金制度が戦争中に発足をいたしまして、さらにはるかにおくれて国民年金制度がいわば穴をふさいでいくというかっこうで創設をされまして、さらに福祉年金が御承知のような状況で支給されているという形で動いてきているわけでございます。したがいまして、もともと年金制度全体についての統一的な、いわばグランドデザインといったようなものの上に立っているのではなくて、むしろ年金制度に加入しておられない方々について、どのように年金制度をカバーしていくかということで動いてきたわけでございまして、その意味におきましては、現在時点ではすでに国民年金が皆年金ということで動いているわけでございますけれども年金制度全体を統一的な視点でながめ直す、福祉年金との、あるいは拠出制年金の関連をながめ直すとか、あるいは財政方式その他全般にわたりまして制度見直しをする必要がある。今後の年金制度の発展のためにも現状をながめ直しまして、その基本的な認識の上に立って将来のその進路を設定していく必要があることは関係者共通認識と申し上げていいかと思います。そのような問題をいわば非常に広い意味厚生大臣が御指摘になったものではないかというふうに理解をいたしているわけでございます。
  8. 鈴木力

    鈴木力君 まあ、いずれこれは、そうなってきますと大臣にお目にかからないとさらにお伺いできないわけでありますが、いずれにしてもこういう点、厚生省厚生大臣を中心にたいへん御熱意をもって取り組もうとしていらっしゃる、こういう点については、私どもも大きな期待をしているわけでありますから、ぜひひとつ有効なものをつくり上げていくような、あるいは推進力となるような方向にひとつ進めていただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思うわけです。  同時に、もう一つ変なことを伺いますけれども審議会厚生省諮問をする、そういう御熱意があられるということはわかりましたが、どうもその審議会のほうからも、政府に対しては、せっかく答申を出してもさっぱり政府はやらぬじゃないかというような批判があるようにも私どもは聞いておるわけです。たとえば、私これは聞いた話でありますけれども審議会のメンバーの方だと思いますが、中労委の会長の平田冨太郎さんが、社会政策問題とかという雑誌ですか本ですかに、相当手きびしい批判をされたというふうにも聞いておる。こういう諮問に対する政府責任といいますか、政府の実行に移すための障害が何なのか、政府責任がどうなのか、そういう点について、これは一般的で恐縮なんですけれども厚生省の御見解を承りたいと、こう思います。
  9. 中野徹雄

    説明員中野徹雄君) 先生指摘平田先生のお書きになったもの、実は私も調べさせていただいて、手元にその本を所持しておるわけでございます。  社会保障制度審議会は、もちろん昭和二十四年に発足いたしましてから、日本社会保障制度全般にわたりますところの最高権威のある審議機関として御活動をいただいてきているわけでございまして、その間、これを受けまして、政府といたしましても、御承知のように昭和三十年代半ばにおきますところの国民皆保険あるいは皆年金制度、あるいは四十年代に入りましての児童手当等の各種の制度発足を見たわけでございまして、政府といたしましては、できる限りのいわば制度審議会の御意見を尊重しつつ、手を打ってまいったと考えておるわけでございます。もちろん平田先生研究者としてのお立場審議会に御参加いただいておるわけでございまして、先生のお立場で、あるいは政府の従前やってまいりましたことについて、もの足りないと申しますか、歯がゆい面をお感じになるということはわからないことはないような気もするわけでございますが、政府としましては、従前も関係審議機関、特に制度審議会のような最高権威のある審議機関につきましては、できる限りの努力をいたしまして、その答申勧告等を尊重し、実現するべくやってきたわけでございまして、今後もさらにまた足りないところがあれば、それを十分実現のための努力を惜しむものでないことを申し上げまして、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  10. 鈴木力

    鈴木力君 私がこのことをお伺いしましたのは、これは厚生省のこの問題だけでなしに、この種の審議会だけでなしに、われわれ今度は国民の側からいいますと、こういう印象を常に受けるわけですよ。諮問をしたということが一つ新聞記事になりますね。これは少しよくなるぞという期待を持っておる。それで今度審議会から答申が出た。今度はいいぞという期待を持っておるわけです。が、しかし、あけてみるとその期待が裏切られる。こういうことを何べんか繰り返しておる経験を持っておるんじゃないかと思いますがね。まあその際に、いまも御答弁がありましたように、できる限りの努力をした、これはまあ大体そういうことになっておるわけです。ただ問題は、できる限りというのは一体どういうことなんだということがあまり議論をされていないわけですね。だから、これはもう包括的にお伺いすることですから、御答弁もそういう御答弁しか出ないということは私も承知しております。別の機会に時間をかけて一つ一つ具体的にお伺いしないと、これはもういまの御答弁以上には出ないわけでありますから、それを承知で私がお伺いしているわけなんで、恐縮ですけれども、いずれにしても今度諮問をなさるという場合、いま具体的な諮問案検討なさっていらっしゃるというふうにさっきお伺いいたしましたが、今度諮問なさる場合には、そうしたあと国民期待を裏切るというような結果が出ないように、諮問する以上は必ずやるんだという――あるいは審議会から、当初の厚生省の意向よりも、もっともっと財源からいっても非常に高いものが出るかもしれません。それにしても、しかし答申が出た以上はやるんだという決意を最初からひとつ持つようなそういう姿勢をこれは各省にも持ってもらいたい、こう思うんですけれども、特にきょうは厚生省お願いを申し上げておきたい、こう思うんです。  それからもう一つだけお伺いいたしますが、せんだって岡山県の宮公さんからの例の恩給老齢福祉年金併給問題で訴訟を起こされておって、この違憲訴訟が、違憲でないという判決が出たわけであります。しかし、たとえば宮公さんの気持ちなんか考えてみますと、あの方はたぶん、だいぶ古い教員出身であります。師範学校卒業生恩給を取っておる。あまり高い恩給でもないわけです。で、老齢福祉年金併給をするときの制限にあう。そういう点から、彼、いろいろなことを研究をされて裁判に持っていったけれども、これは憲法違反ではないという趣旨判決が出た。これは憲法違反であるかないかということは別といたしましても、恩給受給者老齢福祉年金併給についての併給制限については、いま厚生省はどういう御見解を持っていらっしゃるか。あるいは今後どういう改定をしようとなさっていらっしゃるのか。その辺についての考え方伺いたい、こう思います。
  11. 坂本龍彦

    説明員坂本龍彦君) 福祉年金恩給その他の公的年金との併給の問題につきましては、いろいろと私どもも御意見があることを承知いたしております。そもそも福祉年金ができましたときの考え方からいたしますと、すでに他の公的年金の適用を受けておりまして、そのそれぞれの公的年金制度から何らかの形で年金支給が受けられる人は、その年金支給によって所得保障をはかっていただく。そして福祉年金は、そういった他の公的年金から全く年金を受けることのできない人を対象にいたしまして年金支給するという制度で組み立てられて発足をしたわけでございます。したがいまして、福祉年金は、その性格からいたしますと、他の公的年金併給されるべきものではなくて、他の公的年金支給がどうしてもできない方を対象にしているというふうになるわけでございます。しかしながら、現実には他の公的年金におきまして非常に年金額が低いケースがあり得る。特に制度ができました当時、福祉年金の額よりももっと低いというようなことも、そういうケースもあったようでございまして、少なくともこういう方については、例外的に福祉年金併給するということによって、多少なりとも年金の効果を高めようということで、例外的に併給制度を設けておるわけでございます。  したがいまして、私どももいまの段階では、こういった福祉年金性格というものから現在の仕組みというものを本質的に変更するということは考えてはおらないわけでございますが、実際に年金というものに対するいろいろな国民感情等も考えまして、やはり併給を例外的には認める。そしてその限度額につきましては、事情の許す限りいろいろ理論的にも詰めまして、できるだけ適切な限度になるように努力をいたしたいと考えておるわけでございます。昭和四十九年度におきましては、これまで年に十万円ということになっておりますのを十六万円まで引き上げるということを予定しておるわけでございまして、今後ともこの低額の公的年金受給者福祉年金併給の問題についてはいろいろと検討を重ねてまいりたいと思っておるわけでございます。
  12. 鈴木力

    鈴木力君 十万円が十六万円になったという意味は、十六万円にこれは併給というか、他の所得が十六万円という意味ですね。そうすると、福祉年金を加えて最高額が――福祉年金はいま年額幾らでしたか。そうすると、年間の最高額幾らというところで押えたわけですか。
  13. 坂本龍彦

    説明員坂本龍彦君) いま申し上げましたのは、年額十六万円まで他の公的年金福祉年金併給になるようにという意味でございます。これはまだ実施されておりませんで、今年度予定でございますけれども、したがいまして、具体的に申しますと、恩給が十六万円以下の場合、十六万円とその恩給の額との差額を福祉年金で埋めるというような形になるわけでございます。
  14. 鈴木力

    鈴木力君 だから、もし十六万円になるとすれば、福祉年金と合わせて合計で幾らになるという計算ですかということを聞いているのです。
  15. 坂本龍彦

    説明員坂本龍彦君) 十六万円になるまで福祉年金とその他の年金併給いたしますので、結果としては十六万円になるかと思います。
  16. 鈴木力

    鈴木力君 それでその点はわかりました。そうすると、十六万円で頭を打つわけですね。そこで十六万円で頭を打つ、しかし、十六万円で生活できるとは厚生省も考えてはいないわけですね。そこで、さっきの課長さんの御答弁のうち、本来福祉年金性格からして、併給をすべきでないというのが本来の性格だと、そうおっしゃったわけでしょう。そうすると、厚生省考え方とすれば、なおかつそれではしかし生活ができないということはだれが見てもわかる、わかるわけですね。そうすると、そういう生活ができないというものは、福祉年金併給を認める認めないということではなしに、本来の別な公的年金でこれは食えるようにすべきだという主張なんでしょう。どうですか。
  17. 坂本龍彦

    説明員坂本龍彦君) 他の公的年金制度水準につきましては、私ども直接どうあるべきだということはなかなか申し上げにくいわけでございますけれども、他の公的年金制度において非常に低い年金の額がある点に着目しまして、その場合に福祉年金併給しようということでございますから、他の公的年金においてそういう非常に低い年金というものがもしなければ、福祉年金併給という問題は、現在の仕組みから申しますと出てこないという結果にはなると思うわけでございます。
  18. 鈴木力

    鈴木力君 具体的に聞いているんですよね。併給すべきでないという性格を持っておるというその考え方は、それだけで食えなければよそがいくはずだというそういう考え方でないと、十六万円で生活できないということはだれもわかるわけでしょう。十六万円で押えたというその併給制限のところをですね。そうすると、本来なら併給をすべきでなくて、しかも公的年金に入っておる人あるいは恩給の人は、そこで生活をすべきだという思想がこの考え方にはあるわけでしょう。そうでなければ、出せるだけ両方出すべきだということになってくるわけですが、その辺はっきりお答えいただきたい。
  19. 坂本龍彦

    説明員坂本龍彦君) 年金だけで生活するに足るだけのものが出ぜるかどうかという問題、基本的には実はあるわけでございます。したがいまして、この福祉年金を初めとする国民年金の場合にも当然そういう問題があるわけでございますけれども、いずれにしましても、この年金水準自体が上がっていくということは当然望ましいことでございまして、私どもとしましても、この併給問題というものがそういう形で解決できる面もあるかというように考えておるわけでございます。
  20. 鈴木力

    鈴木力君 どうもこういうことをやりとりしていると時間が長くて恐縮なんですけれども、私はこの制度をずっと考えてみますと、みんなそれぞれ申し分があって、そうすべきでない、こうすべきでないと、こう言われておるけれども、そういう中での国民は一人ですよ、対象になる人は。さっき言った宮公さんなら宮公さんという人が一人ですね。そのことを考えてみます場合に、考え方の相違の議論は別としても、御本人は生活できないところにいっちゃうわけですな。それをどうするという問題を、これは私はやっぱり厚生省が、国民生活という、最低生活がどこかというところの観点から、もう少し積極的な検討があってしかるべきだと、こういうふうにも思います。時間がありませんから、ここだけ議論しておってもしようがないわけですけれども、少なくとも併給すべきでないという現在の基本的な思想があるということだけははっきりしたわけでありますから、そうすると、私どもがいまこの法案審議する場合に、そういういまの御答弁が重要な意味を持ってまいると思います。その辺はわかりました。  ついでに、もう一つだけ伺っておきますが、生活保護基準のほうは、現在は一級地では一人月二万二千六百幾らですか、これまたスライドをする計画があるというふうに聞いておるのですけれども、この基準のほうはいまどういうお考えになっておりますか。
  21. 坂本龍彦

    説明員坂本龍彦君) 生活保護基準のことは私直接存じ上げませんが、先生のお尋ねは、福祉年金所得制限の……。
  22. 鈴木力

    鈴木力君 あまりよそのことを考えないで、おわかりにならなければならぬでもよろしいのです。
  23. 坂本龍彦

    説明員坂本龍彦君) 生活保護基準そのものにつきまして、私は直接担当しておりませんので具体的にはお答えいたしかねます。
  24. 中野徹雄

    説明員中野徹雄君) 生活保護基準につきましては、本年度の予算におきまして、昨年四月対比二〇%の引き上げを行なっているところでございます。しかるに最近の消費者物価が御承知のような動向を示しております関係もございまして、厚生省といたしましては、四月の全国の消費者物価が公表されました段階におきまして、すでに本年度二〇%の引き上げが行なわれているわけでございますが、それをさらにどのように必要があれば積み増しするかをその段階において判断をして適切な措置をとるというふうに事務的には予定をいたしておるわけでございます。これは近々の話になろうかと思います。
  25. 鈴木力

    鈴木力君 まず最初に――あと、直接法案についてお伺いいたしますが、今度の恩給法の改正の趣旨は、公務員の給与とそれから恩給受給者仮定俸給との差、それにあと昨年の公務員賃金のスライド額、その率、それで二三・八彩ですか、今度一律にスライドをする、こういう法案だというふうに理解をいたしておりますが、そこでお伺いしたいのは、仮定俸給との差の一四・七彩が出た。数字の適否はともかくとして、政府検討された数字でありますが、これを二年計画で積み上げるということになったのは、どういう事情から二年計画になったのですか。
  26. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) お答え申し上げます。  この従来との差額を二年間で埋めるということは、やや現在の情勢から見ると手ぬるいという御指摘だと思いますが、しかし、これは二年でやりましても、一年分が百三億になりまして、これを二年で一度にやれば、計算すると二百億になるわけでございます。現在の予算の編成方針等から見ましても、ももろんこの差をいつまでもほっといていいというわけではないんで、なるべく短期にこれを詰めようといういろいろな議論があった末に、一応二カ年でこれを埋めていくということで実施をするようになりましたので、特段に二年にしたという理由よりも、提案のほうは、一年で埋めたいというもちろんそういう考えでございますから、諸般の施策との均衡とかその他の問題を考慮いたしまして、結局は二年で分割してなしくずしにしようということになりました。
  27. 鈴木力

    鈴木力君 私もそうだろうと思ってお伺いしたのです。いろんなことを言っても、とにかく一ぺんには金がかかり過ぎるから、むずかしいから二年に分けた、そういういまの長官の御答弁のとおりだと私も理解をしておったのですが、平常の場合ですと、やむを得ないということが普通の場合だと思うのですけれども、どう見てもこれは長官にもう一回お伺いしたいのですがね。  おっしゃるとおりだと思いますけれども、しかし、ことしはもう大体公務員の給与は、この春闘の相場からしても、どれくらい上がるかわからないにしても、三〇彩内外ということは大体の相場だと思います。そう見てまいりますと、恩給受給者がいままでそうでなくても一年半おくれになっている。その一年半おくれに、さらにことしの公務員の給与のアップ率を見てみますと、恩給受給者のことしの生活というのは、公務員と比べたらとてもじゃないが非常に大きな開きがまたぐっと開いてくる年だと思うのですね。だから、本来なら私はやはりこういう年であるだけに、法案をつくる時期あたりは、見通して、思い切って一ぺんにということをするべきじゃなかったかということが申し上げたかった意図でありますけれども、しかし、いま申し上げても、それじゃいまからというわけにもいかぬですから、そこで総務長官に、そういう現状をお認めになるわけなのですから、ぜめてそういう恩給受給者に対する、だれが見ても大きく格差がふえてきたものに対しての救いの手――というと、ことばは少し適当じゃないかもしれませんけれども、それに対する対策ということは政府としてお考えになるべきではないか、こう思うのですけれども、いかがですか。
  28. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) 御承知のように、恩給は退職時の俸給に勤務年限をかけて機械的にはじき出す制度でございますから、したがいまして、時代の変遷とともに俸給がだんだん高くなってきているという現実と、前にやめた人との俸給の差額は、これはやはり私はやむを得ない制度上の問題だと考えております。それと同時に、やはり特に短期間であり、軍人クラスの方たちの恩給が低いということもわれわれもよく承知しておりまして、そうした問題を、今後の施策の中でなるべく大きな格差の生まれないような方向――よく御指摘いただきますが、上薄下厚ということばがございますが、これもやはりひとつの私は恩給制度に対する改善の一手法ではないかと考えておりまして、そうしたようなことが、恩給制度そのものの持つ意義がだんだんと社会の変遷の中で変わっていくということをわれわれは拒否するものじゃないのでございまして、それらいろいろ考えまして、なるべく恩給で食べていけるというような、そうしたような方向がとられるべきであるというふうに考えて検討を続けてまいりたいというふうに思っております。
  29. 鈴木力

    鈴木力君 それで、将来のいま長官がおっしゃったようなそういう点の御検討をこれはぜひお願いしなければいけないと思います。私どもが考えますというと、少なくともまあ実施期日が十月になっているものを、公務員賃金が四月からスライドするのですから、ぜめて一年おくれになってもまず四月実施という形の、そこに近づけるくふうがないものかどうかということが一つであります。  それからもう一つは、事実上もうここまで来ますというと、出た数字はまあいろいろな数字が出てまいりますけれども思想は、今度の恩給法改定思想からいいましても、結局公務員の給与にスライドするという思想が基本的に私はもう入っていると思いますね。これは私は政府考え方の非常に大きな前進だというふうに、その考え方については前進だという評価をすべきだと、こう思うのですが、そこで私は、もうここまで来たら、その点は定着をしかげているところなのですから、思い切ってもうほんとうの、いろんなへ理屈をつけずに、思い切って公務員賃金にスライドするということにもう踏み切ってもいい時期になっているのじゃないか、こういうふうにも思うのです。この点につきましては、特に公的年金制度調整連絡会議でも検討をされていると伺っているのですけれども、そういう点の経過もあわせてお答えをいただければ幸いだと思います。
  30. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) ただいまの最初の御主張でございますが、われわれの今度の一五・三%の公務員給与引き上げスライドという、恩給にそうしたものを色濃く入れ、また従来との格差是正というところにも重点を置く。また、あるいは最低保障額というものも、ある程度今度の予算の中で明確に引き上げていくというような方向をとっておりますので、考え方としては、ただいま御理解いただきました方向、われわれもそのように考えておるわけでございます。  それから公的年金制度調整連絡会議でございますが、四十二年に審議会からの各種公的年金の給付額の調整等についてという申し出がございまして設立された政府内部の連絡会議でございますが、四十二年から四十六年までの間は、実は全体としての公的年金のどういうものにスライドさせていくのが一番いいかという全体論の討議が続きまして、その基準は何に求めるかということが、四年間たいへんに議論をされて、結局結論が出ないでおりまして、それから四十六年になりまして、これじゃとてもだめだというので、御承知のように民間グループ、公務員グループ、私学、農林グループ、労災グールプと四つのグループに分けて、その四つのグループそれぞれにおいて、何を基準になすべきかということが検討されたわけでございます。その結果、四十八年になりまして、厚生年金国民年金、船員保険につきましては、いわゆる物価スライド制をやろうということだけがきまったわけでございます。ところが、その他の公務員グループ、私学、農林グループ、労災グループ等、いろいろと何を基準になすべきか議論がされましたのですが、しかし、みんな制度がそれぞれ違った考え方からできている制度でございますので、なかなかこれの基本的な基準というものを一つできめていくということもまたできない等々のことがございまして、昨年の十二月に、これはとても会議では手に負えぬということで、再び社会保障制度審議会のほうにお願いをする、どうぞひとつうまい基準をきめていただきたいということでまたお願いを申し上げているというのが現状でございます。  それで、社会保障制度審議会のほうに対して政府のほうからこれを諮問する、そうするほうがはっきりするのじゃないかという御意見もあったようでございますが、もう実態は十分審議会のほうでも了承していただいておりまして、それではひとつ今後は積極的にこれらの各グループ内の基準をどうするかということを検討しようじゃないかというふうに言っていただいているようでございますので、あらためて政府のほうで諮問案をつくってお願いをするということでなしに、保障制度審議会のほうでこの問題を取り上げていただくということでいいのではないかと現在は思っておるわけでございます。  大体経過は以上でございます。
  31. 鈴木力

    鈴木力君 あとでまた申し上げるかもしれませんけれども、やっぱりいまのような経過で、これを直ちに簡単に一元化すべきだといっても、一元化にならない事情というものも、それぞれの共済制度の今日までの歩いてきた道からいってもむずかしいということは私もよくわかっておる。ですから、いま、そういう経過は、それでなおお進めいただければと思いますけれども、少なくとも恩給とこの公務員給与、それから公共企業体等の行き方が大体給与というところにもう来ているわけですから、そこまで踏み切っているわけです。そしてこれは二年計画でというのは、この差を薄めるということですけれども、それは仮定俸給のことなんで、あとはやや前の年の公務員スライドが大体もうスライド基準に、一つの要素に入ってきていることは、もう定着したと言ってもいいと思う。そうなってみますと、まずこの三つのところが踏み切って進んでいったら、相当他の牽引力になるのではないか。私はそういう意味で給与スライド制というところに踏み切るべき時期が来ていると、そういうふうにも思いますけれども、これはそういう方向でひとつ御検討いただきたいという御要望にとどめておきまして、次の問題に入りたいと、こう思うのです。  もう時間があまりありませんものですから、取り急ぎもう二、三伺いたいのですけれども、この最低保障制度のことについてなんです。これもまあ従来から比べますと、今度いろいろと改定をなさっていらっしゃる、御苦労なさっていらっしゃる点はよく私ども理解できます。特に一律のスライド制でありますから、さっき長官もおっしゃったように、だんだんにこの金額からいうと上下の格差がふえてくる。そういう点を救う一つの道としても、この最低保障制度というのが改定をされることによって大きな役割りを果たすのだろうとは思います。それで、私は、さっきの厚生省の方の御答弁をちょうだいしたことともあわせまして、時間がありませんから、この金額の根拠はどうこうだということはもう申し上げませんですが、少なくとも恩給受給者公的年金との併給制はとらないという方向一つある。そういう中で、恩給受給者でも、特に相当の年配の方が特に恩給額が非常に低いわけでありますから、そういう点から考えますと、この最低保障制度というものが、たとえば社会の経済情勢なり生活実態なりというものをあわせたこれは社会保障制度という形の中から見直していくべきではなかろうか、こんなふうにも思うのですが、そこでひとつ伺いますけれども、最低保障制度を今度改善をされたあと恩給の一番低いといいますか、恩給受給者の中で生活保護基準よりも下回る方が、たぶん何年か前に一万人ぐらいいるというふうに御答弁を伺ったのですけれども、今度これを改定なさったあとでは、見通しとしてはどういうことになりそうですが。
  32. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 恩給額で最低保障という比較になりますとなかなかむずかしいのでございますが、いま一万人というお話が出ましたのから推察をいたしまして、恩給受給者の中で生活保護を受けている者ということかと思いますが、その人数は、これはだいぶ前の資料の推定でございますので、きょう現在はっきりしたものはございませんけれども厚生省がお調べになりました三十八年なり四十三年なりの調査から推定をいたしますと、きょう現在で一万人ぐらいじゃないかというふうに思っております。で、この今度の最低保障を上げたことによってどうかという推定はまだちょっとできませんけれども、この額によって――今度の引き上げ先生御存じのとおりかなり大幅な増額でございますので、かなり減るのではないかというふうに思っております。
  33. 鈴木力

    鈴木力君 一万人というのは、昭和四十六年の五月二十四日のこの本院での恩給法審議のときにお伺いした数字なんですね。そうするというと、そのときに一万人だった、それから二年たって、恩給法はいままでに改定をされているけれども生活保護基準より下回る人の人数が減っていなかったとすると、私はこの恩給法改定というものの中身にひとつ問題があるのではないか。最低でも生活保護基準より上に行っていなければ恩給という考え方はどうも私は――特に、特別の事情のあるといいますか、特例の、短期勤務とか何かの特例のものは別としまして、少なくとも恩給をもらっている者が生活保護基準より低い、それが一万人という数字が何年たっても動かないということになると、もうちょっとメスを入れてみる必要が低いところにありはしまいかと、こう思うのです。そこで私は、今度いろいろの制度を手直しされまして、特に受給額の低いほうのところに相当手を入れられているという節が見えますものですから、これによってどれだけこの点が解消するだろうか、そういう点が実は私はある程度の、一つ期待を持ちたかったわけであります。これは御調査をなさってみて、この次の改定のときには、少なくともそういう方がほとんど解消されたというような方向に御検討いただきたいと、こう思うのです。いま御答弁は、その後御調査なさっていらっしゃらないような御答弁でありますから、これはよく調査なさってみて、そういう形のもので救い上げていくということがこの制度のこれは趣旨であろう、こういうふうに思いますので、これも御要望申し上げておきたいと、こう思います。  もう一つだけお伺いいたしますが、これは私はよくわからないのでお伺いするのですが、われわれの仲間にもたくさんおりますが、軍人恩給受給者ですね、軍人恩給受給者の中に、どうも仮定俸給が文官と比べると損だという意見がずいぶんあるのです。それで、ちょっと私ども伺いしたいのですけれども、どの程度になっているのか、たとえばこの仮定俸給年額比較表というのがございますけれども、その中のどこのでもいいのですけれども、かりに二十五号俸は、軍人恩給ですと、軍曹になっておりますですね。そうすると、この軍曹に該当する文官の二十五号俸になっている人がどういう方だったのか。あるいはもう少し別のことで言えば、四十七号俸が軍人恩給では大尉の方がそこに入っておる。文官の方の四十七号というのはどういう方だったのかですね。もしそういうことで、軍人恩給受給者の皆さんからわれわれにも強く訴えられておる、この格差をぜひ是正すべきだという御意見が相当強いんです。格差があるとすれば、やっぱりそういう点は直していくべきものだと思いますし、この辺の具体的な御説明をひとついただきたいと、こう思うんです。
  34. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 文官の思給の格差でございますけれども、御説明申し上げますと、旧軍人につきましては、これは戦前からでございますけれども、文官と違いまして、実際もらっている俸給ではなくて、その実俸給を通常大幅に上回りますところの仮定俸給というものを階級ごとに設けておりまして、その金額を仮定俸給として基礎としていたわけでございます。  一方の文官でございますけれども、よく最近問題になりますのは、文官の場合には、戦後格差是正等を十分やっていろいろなことでよくなったけれども、旧軍人がまだ追いついてはいないではないかというお話でございましたが、文官の格差是正というのは、二十三年の先生御存じのとおりの新給与実施の前後の比較ということで逆転現象が起きましたので、それを是正するということでなされたわけでございますので、本質的には旧軍人の恩給とはかかわりがないわけでございます。  そういう意味でございますけれども、もちろん戦前の旧軍人と文官というものの対比もございますので、そういう意味ではやはり軍人が損をしているではないかというお話等もございまして、その後旧軍人につきましても、主として下位号俸を中心にしてでございますけれども、改正を何回か重ねました結果、現在のところは旧軍人の仮定俸給というものを全般的に見ますれば文官の俸給とそれほどの格差はない、まあ大体見合ったところに来ているというふうに現在は考えております。きわめて厳密に申しますと、いわゆる長期の方でございますけれども、長期の方については若干不足がございましたり、あるいは長い方でなくて短期の方で、しかも若い方につきましては若干格差がございましたりしますけれども全般としてはほぼ見合ったところに来ているということに考えております。さらに、いま申しましたような点につきましては、今後も検討してまいりたいと思います。
  35. 鈴木力

    鈴木力君 格差がないという答えではわからぬですよ。  それで、私が具体的にお伺いするのは、大尉なら大尉  軍人恩給受給者のですね、大尉の方が、四十五号の方もある、四十六号、四十七号とあるでしょう。そのときの対応する四十五号の方の文官は、どういう地位のといいますか、どういう職務といいますかな――方であったのか。たとえば課長だったのか部長だったのか、あるいは課長補佐だったのか。どこと対応するか、それを比べてみないと、これがどっちが損か得かということはわからぬと思って伺っている。
  36. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 全部のその対比がなかなかむずかしいものですから、そこまでできておりませんけれども、一、二例を申し上げますが、たとえば中尉がちょうど四十号俸ということでございますので、中尉で申し上げますと、中尉の四十号俸というのは、戦前でございますと、これは判任官の五級というところでございまして、年額千二十円の方々でございます。この方々が、それじゃ現在は――その戦前の判任官五級千二十円の年額の方と通し号俸四十号俸であります中尉の方というのは、そのときにおいてバランスがとれていたと思いますけれども、現在、その方々は現在の等級号俸で申せばどういうところになっているかという御指摘だと思いますけれども、これはその後文官のほうの俸給表がいろいろ分かれましたものですから一がいには申せませんけれども、行政職で申しますと大体五等級四号俸ぐらいでございます。それからもう一つ、大佐が六十号でございますけれども、この大佐の方は、従来は、戦前は奏任官一の四、三千四百円の年額でございますが、現在の等級号俸で申しますれば三等級五号俸ぐらいであるということでございます。
  37. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、あれですか、四十号というのは、現在に引き延ばすと五等級四号俸の方と対応していると、中尉の方とですね、そういう意味ですか。どうもこっちもよくわからぬから聞くとさつき言いましたけれども、たとえば中尉なら中尉の人が判任官五等ですね。判任官五等だと。そうすると、判任官五等の千二十円という俸給は、今日の文官の――文官のといいますか、今日の公務員の給与体系に戻してまいりますと、仮定俸給の四十号が五等級四号俸の給与に当たると、こういうことになっているわけですか。これは国家公務員の五等級四号俸ですね。そうすると、五等級四号俸というのは、大体いまの公務員諸君ですとどの程度ですか。課長ですか。課長補佐ですか。
  38. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) ちょっとその前におわびを申し上げますけれども、先ほど六十号俸を現在に直しますと三の五と申しましたけれども、これは間違いでございまして、これはいわゆる二〇ベース、三十四年になったときが三の五でございますので、現在に直しますと、これは二の五でございます。訂正さしていただきます。  それから現在の五等級四号俸はどのくらいかという仰せでございますけれども、これはいろいろなケースがございますけれども、本省でまいりますれば係長の中堅というところだと思います。
  39. 鈴木力

    鈴木力君 私は、そういうところに軍人恩給の方の、やっぱりおれのほうが少し不服だというところが出てきはしまいかという感じがするんですね。だから、これはまあいまのところに移すかどうかということもさることながら、この仮定俸給をつくった時点での、そこでの公務員給与の根拠と軍人とをこう比べてみて、私はもう時間ですからあとやめますけれども、この辺は少し具体的にメスを入れてみて、きちっとこう比較をしてみていただきたいと思いますですね。やはり同じ恩給制度をとっている受給者の中で、どこかおれのほうが少し格差があり過ぎると思っているような点は、やっぱりメスを入れてみて、格差があったら大小にかかわらずやっぱりこれを是正するという作業はしていただいたらと、こう思います。これはまあこの法案に直接――いまこれを直せと言ってもそれは直るわけもありませんけれども、そういう点についての検討ということもぜひこれはひとつしていただきたいと、こう思います。  これでもう時間ですからやめますけれども、いろいろこの恩給について、私がまあよく詳しいことはわからないものですからあれですけれども、当初のこの恩給制度というものと、それから今日の恩給受給者生活実態から見てみますと、当初こういう性格であったからということだけでは、どうも言い切れないといいますか、それだけではどうにもならないような事情というものが、だんだんだんだんにこう多くなってきているような気がするんです。で、まあ社会保障制度がいろいろな形で、たとえば国民年金もある、老齢福祉年金もある、それは何もあるから全部でお互いに補完し合うんだという、制度仕組みはそうなっておっても、受給者にはさっぱり補完になっていなかったり、特に私がいま申し上げたほかに、まあさっきは、少なくともこの生活保護基準より下回るということでは、これはやはり長年の公務員として、軍人であれ文官であれ仕事をやってきた――そういう点についてはもう少し検討の要があると思いますが、そういう低い層なんかには、特にこの遺族扶助料なんかにつきましても、遺族扶助年金ですか、半分になっておるわけです。半分になってずっとこう続いておりますけれども、これは年金のとぎにも実は申し上げたんですけれども、今日のこの給与体系をずっと見てみますと、長官よくおわかりのとおり、特に民間あたりはもう第二基本給というような説さえいま出てきておるわけです。給与体系がそういう形で大きく変化するだろうと思うんです。  そういたしますと、いまの恩給受給者の中に、ボーナスたくさんもらっておったよという人もずいぶんありますけれども、私は地方公務員上がりですけれども、私どものころはボーナスなんてほとんどなかった。ほとんど本給だけだったわけです。そういう時代の恩給の、いまの計算を――少なくとも公務員でも五・三カ月ですか、本給外の手当がずっとつくようになってきている。そういう中で、本給を基準にして何分の一、何分の一ということになっていますと、公務員生活水準からいえば相当比率は下がっていることになる。どうもそういう傾向が年々強くなりはしないかと、こう思うんです。したがって、給与スライドにすべきだということを私がさっき申し上げましたが、同時に、そういう点の見直しということもひとつやってみる必要がありはしまいかと思うんですね。給与のあり方がだんだん変わってきておる。そうすると、変わってきていますと、本給にこだわっておる恩給受給者が、そういう形で積み残されていくという現象が起こってくるとも思います。そういう点からもひとつ見直していただいて、今後のこの種の改善策にさらに前進をさせるような御検討お願いしたいと、こう思います。これはお願いをして、質問は終わります。
  40. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 恩給法等の一部を改正する法律の案が出されましたんですが、私は特にこの重度戦傷病者に対する処遇の改善ということについて重点的にしぼって御質問をしたいと思いますので、その意味で御答弁を願いたいと思います。  申し上げるまでもなく、長官、国のために傷つきあるいは不具、疾病となって重複機能障害に苦しむ人、またそのとうとい人を、その倒れた人の看護をする夫人は、夫の目となったり、あるいは手となって、足となって青春を病床の夫のまくら元で過ごしてしまい、老齢化していくそのうちに夫がなくなっていった、看護のかいもなく夫を死亡させてしまった。そうすると、生活のかてを断たれていくようになり、生活の困窮をしていくのは火を見るよりも明らかであります。こういう転落していく夫人及び家族の人たちのことを私たちが真剣に見守ってやらなきゃならない。そういう意味において、この特に恩給制度というものを重視していかなきゃならないのは申し上げることもありません。われわれが五体満足して今日こうしておるのも、その人たちが第一線で活躍をし、第一線で戦って傷ついた人たちのことを考えてみますと、その人たちに何とかして人生の最大の喜びを、この傷ついた不幸な生活の中でどうして守ってあげ、安心さしてやるかということが、何よりも私たちがやらなきゃならない大事なことだと思うんです。これは私はあたりまえのことを言っているようでありますが、これはあたりまえじゃなくて、この人たちの切実な叫び声というものは、もっとわれわれの想像できない深刻なものがあると思うんです。こういう点について長官の受けとめ方がどんなふうに受けとめられておるのか、あらためてお考えを私は伺っておきたいと思います。
  41. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) 宮崎委員のただいまの傷痍軍人と申しますか、それらの方々に対するあたたかい御配慮の御発言は私も全く同感でございます。同時にまた、こうした傷ついてなお非常に苦しい生活をしておる大ぜいの方々に対して、恩給という制度を通じながら、御指摘のような改善あるいはまた安心をしていただくような方向、これはわれわれとして片時も忘れておるものではございませんが、何ぶん予算でこれを見るというところに、いろいろの他の政策とかあるいは金額とかにおいてのいろいろな調整を求められておるわけでございますが、今後はさらに一段とただいまの御指摘のような気持ちを強くいたしまして、もっと安心できる生活ができるようなそうした方向をつとめて確保してまいりたい、そのように考えております。
  42. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 申し上げるまでもなく、現在の消費者物価等と引き比べましても、さらには六月から電気料金の値上げ、七月から私鉄、またガス料金とか、国鉄料金とか、消費者米価も上げられてくるという、公共料金がだんだんだんだんだんメジロ押しに上がってくるということ、こういう時点から取り上げていきましても、先ほど鈴木委員のほうからも、このスライド制の問題、物価等に対する、経済状態等に対するスライド制という話もありましたけれども、こういう面から考えていきましても、今回の改正は確かに一歩前進という形には認めることはできますけれども、まだまだこまかくこれを分解していきますと、片手落ちのところがずいぶんまだあるわけです。これは長い時間かけて、当然この片手落ちのところを改正さしていくように論議もし、またその考え方を改めていくようでなければならないと思うんですが、残念ながら全体をしぼって論議するわけにいきませんので、先ほど申し上げましたように重度戦傷病者に対する処遇改善、そういう一点にしぼって私はこれから質問をいたしますけれども、そういうこと等を念頭に置かれて、答弁もしっかりしていただきたいと思うわけであります。  申し上げるまでもなく、これらの方々は四肢完全亡失とか、両眼完全盲だとか、あるいは両眼の完全になくなった方だとか、両腕または両大腿部の切断等と重複機能障害を持っている人が大半を占めているということも知っておりますし、残存機能能力は当然ゼロであるということもわかりますし、そういう人たちの不自由さというものは、私たちに比較してもう言語に絶する。精神的、肉体的苦痛はもうわれわれの想像以外だと思います。これらの方々の療養の実態、生活の実情についてどう把握しているか、私はまず厚生省の方にお伺いをしてみたいと思います。
  43. 河野共之

    説明員(河野共之君) 戦傷病者の特に重度の方の生活の実態の問題でございますが、現在戦傷病者手帳を交付されております者は約十四万四千二百名おるわけでございますが、その中で、二項症以上の重度の方が二千八百九十五名ございます。約三千名でございますが、いまお話のございました視覚障害の方、この方が千二百五十名、肢体不自由が九百六十六名と、これはいずれも二項症以上の重度の方でございますが、約三千名の方がおられるわけでございます。  で、私どもとしましては、これらの手帳の交付を受けておられる方に対しまして、戦傷病者特別援護法による援護の措置を講じておるわけでございますけれども先生御質問の、生活の実態の詳細につきましては、最近における調査はいたしておらないわけでございます。で、昭和四十一年におきまして、これは都道府県の援護課あるいは世話課を通じまして、恩給関係の軍人の増加恩給受給者につきましての調査をいたしたものがあるわけでございますが、これによりますと、第二項症以上  いまちょっと調査の詳細、手元に持ち合わぜておりませんけれども、四十一年の調査によりますと、第二項症以上につきましては、ほとんど半数以上の者が就業をしておらない。ことに第一項症ぐらいになりますと、八割近くが就業しておらない、こういうような状況になっておるわけでございます。私どもとしましては、特別な実態調査はいたしておらないわけでございますけれども、戦傷病者の相談員というものを設けまして、これは昭和四十年の十月に設置したものでございますけれども、戦傷病者相談員という制度を設けまして、戦傷病者の相談に応ずる、こういうたてまえをとっておるわけでございます。当時四百七十名でございましたのを、四十二年、それから四十五年と増員をいたしまして、現在全国で九百四十名おるわけでございますが、これらの相談員の方々あるいは都道府県の援護課を通じまして、戦傷病者の実態というものを把握しながら援護を進めてまいっておる次第でございます。
  44. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 驚きましたね。四十一年の調査だけであって、最近の実態調査はしていないという、まことにこれはゆゆしき問題だと思います。それからもう一つは、この点は私は厳重に申し上げておきたいと思います。厚生省厚生省としての調査事項というものは徹底してやらなきゃならないだろうと思うんです。まことに不届きだと思います。  それからもう一点は、この資料、私いただきました。いま御答弁にもありましたように、二項以上の特項症のことのまとめた話であります。この資料も非常に不親切です。と申し上げますのは、特項症の人は何人いる、一項症の人はこうだ、二項症の人はこうだというふうに内容がなぜ明確に報告をされないのか、これが一つです。特に申し上げたいことは、この特項症の人は、旧軍人の呼称で言いますと、第一線に立って戦った兵隊さんです。将官という方々は、こういう人はほとんどいないと言っていいぐらいだと思うんです。一線で働いた兵隊さん、その人たちが一番特項症の人の中に多いと思うんです。この人たちに救いの手を伸べてあげるということがまず何よりも先だと思うんです。そういう意味から考えましても、私はこの資料を見て、特項症の人が何人いるのかなと思って見たら、まとめてある、これはまことに不届きです。手帳の交付は、じゃどうしているんですか。二項症以上まとめて手帳の交付をしているんですか。何がために法というものがあるんです。この点聞いてみます。
  45. 河野共之

    説明員(河野共之君) ただいまの戦傷病者の状況の調査でございますが、私どもといたしましては、たとえば手帳の交付の数でございますとか、療養の給付の数、あるいは装具の交付というようなことにつきましては、それぞれの数字を把握はいたしておるわけでございます。で、身体障害者一般的な問題として申し上げますと、身体障害者につきましての全国的な調査というのは、これは五年に一ぺん社会局のほうで実施をいたしておるわけでございますが、私どもといたしましては、戦傷病者の援護に必要な範囲におきます調査というようなことで、現在これらの手帳交付者数あるいは医療の受給者の数とか、そういうものを把握をいたしておるわけでございます。で、ただいま二項症以上ということでまとめて申し上げました関係は、これは介護人を付する、たとえば国鉄の無賃乗車というような関係におきまして介護人を付するというような関係上、二項症以上ということでまとめて調査をいたしたわけでございまして、これらの実態の数というものは、これは当然把握をできるわけでございます。ただいまは二項症以上二千八百五十五名ということでまとめて申し上げたわけでございます。
  46. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 まことに不届きですよ。社会局で五年に一回やっているから、私たちの所管じゃないからというようなふうに私は聞こえたんです。だから、厚生大臣または責任ある人に来ていただいて、明確にこれははっきり言ってもらいたいという意味で私は質問をしているわけなんですが、厚生省という立場の上に立って、五年に一回しか社会局でやっていないからというんじゃなくて、今日の時点を考えて、そしてまたこの人たちの功績を考えていったならば、五年に一回しかやっていない――じゃ、五年の間にはどれだけの世相が変わっているか、社会現象というものが変わっているかということです。目まぐるしいほどすべてが変わってきております、五年というものは。そういう今日の変わってきている現実の社会現象というものをとらえながら、当然こういう調査をするにしても明らかにしなきゃならないんじゃないか、こう思うわけですよ。あなたに私こういうことを申し上げてもどうかと思いますけれども厚生省の方ということで、厚生省責任の人ということで申し上げていることであって、そういう意味において、こういうふうな調査事項というものを今後どうしていこうとされるのか、御答弁をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  47. 河野共之

    説明員(河野共之君) 御質問の趣旨、まことにごもっともでございますので、私どもといたしましても傷痍軍人の実態の把握というようなことにつきましては十分努力をいたしてまいりたいと考えます。ことに傷痍軍人の団体等もございますので、これらの意見等も聞きつつ十分検討いたしたいと思います。
  48. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それではこの特項、一項、二項という方々の明細を出していただきたい。これは委員長、よろしくお願いします。資料請求をいたします。これはもうあたりまえのことですよ。最初から出すのがあたりまえなんです。委員長に言ってわざわざ資料請求するほどのあれじゃございませんよ。あらたまったもの、やりません。ですが、委員会には委員長立場がございますから……。
  49. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 厚生省に申し上げます。  ただいま宮崎委員から請求のありました特項、一項の該当者に関する資料を委員長、理事間で相談した結果、委員会としてお願いすることにいたしました。御提出願います。
  50. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 七項まで各項全部ですよ。  それから恩給局のほうから出ております資料、これをいただいておりますけれども、これもやはり「四十一年十月に実施した青森、群馬、静岡、岡山、香川および福岡の各県に居住する旧軍人増加恩給受給者三〇〇〇名(一県あたり五〇〇名)を対象とし、調査したものを総理府恩給局でまとめたものである。なお、調査対象は、各調査県の主管課(援護課世話課)において戦傷病者カードにもとづき項症別割合を按分比例により無作為に抽出された。」、こういう資料をいただいておりますけれども、これまた四十一年の十月に実施したというこの資料をいただいているのですが、長官、御存じでございますか、この資料。長官のところまで資料は行っていないかもわかりませんけれども、私はこの資料をいただいておりますけれども、四十一年十月に実施したと。「戦傷病者(旧軍人増加恩給受給者)就業状況表」というのをいただいておりますけれども、これはどこから出ているのですか。――じゃ、恩給局じゃないというのだったら、恩給局から出してください。恩給局でこういうデータをやっているかやってないか。
  51. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) いま先生がお示しになりました資料は、恩給局が作成したものではないと思われますが、恩給局としてできます資料でございますれば、いつでも御指示に従いまして作成いたします。
  52. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 「註」にこう書いてありますよ。「上記の表は、昭和四十一年十月に実施した青森、群馬、静岡、岡山、香川および福岡の各県に居住する旧軍人増加恩給受給者三〇〇〇名(一県あたり五〇〇名)を対象とし、調査したものを総理府恩給局でまとめたものである。なお、調査対象は、各調査県の主管課において、戦傷病者カードにもとづき項症別割合を按分比例により無作為に抽出された。」、こういうふうに「註」が出ているのですがね。そうすると、「各県に居住する旧軍人増加恩給受給者三〇〇〇名」ということと、また、「総理府恩給局でまとめたものである。」と書いてある。「まとめたものである。」と書いてある、「註」に。
  53. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) ただいま宮崎委員の申されましたその資料については明らかでございませんので、あらためてただいまの傷痍軍人等の状態につきましては、私も非常に御指摘のとおりの気持ちを持っておりますので、恩給局をして直ちに調査をさせ、また厚生省とも十分連絡をとりまして正確な資料を準備いたしたいと思います。その上で委員会のほうに提出をいたします。
  54. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 全く煙に包まれたような思いをするわけですが、こんな状態で戦傷病者の方々のことを考えていこうなんという、私はほんとうに不都合だと思いますね。出た資料が、四十一年の十月、調べたものが四十一年社会局でやってますからというようなことで、現時点がどうなっているのかということ、そういうことからはっきりしなければ、公務員の給与は上げたから、共済法二法の問題等もいろいろ上げていくから、恩給もじゃ形だけですぐに上げていく形をとっていこうみたいな、そのいいかげんな考え方というものは私はやめていただきたいと思う。もっと真剣に、恩給局は恩給局としてのその機能を発揮して、そしてその功績のあった方々にどう対応策をしていくかということが何よりも大事な基本姿勢じゃなかろうかと思うのです。これなくして、内容は幾ら検討したところにしても、なっちょらんということなんです、はっきり私に言わしていただければ。まあこういう論議をやっているうちに短い時間が来ちゃいましたので、まことに情けない。質問の本質へひとつも入らないうちに来ちゃった。ほんとうに情けない。そう思えば思うほど、このとうとい戦傷病者の方々に思いをはぜると、申しわけないと思います。  そこで、今回の改正においてこれらの傷病恩給についても確かに改善をはかられたようでありますが、昭和四十四年の改正以降、特別項症の割り増し率を第一項症の年額の七割増しにし、また、この以内としたまま改善されないところに強い不満が出されていて、昭和四十七年に特別項症割り増し率が十段階となっていたのを、今日六段階に改められた。その結果、重症者に対する割り増し率が総体的に薄められてきたみたいな感じを受ける。こういう点についてどんなふうなお考えを持っておられるのか。これは附則第十三条ですか、等にありますけれども、この点についてどんなふうなお考えでございますか。
  55. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) いま先生指摘のように、従来の五割アップの限度を七割アップに四十四年の改正で行なわれまして、また四十七年から十段階をそれぞれ六段階にして、いずれも格上げをいたしておりますので、そういう意味におきましては、むしろ、御指摘がございましたけれども、重度障害の方々、特に特項症の方々につきましてはそういうふうな引き上げをやっているわけでございます。まあこれからもその七割増し等についてもいろいろ問題がございますので、重障害、特に特項症の方を含めまして、その改善については十分いろいろな角度から検討してまいりたいと思います。
  56. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 六段階のことについては、一項症から六項症にわたっての病状の煮詰め方というのはあとでまたやりますけど、時間があればやっていきますけど――そこで、いま御答弁がありましたけど、むしろこの十段階から六段階にしたからよくなってきたんだとおっしゃられたことに対して疑義がずいぶんあるわけです。それはまたあとにしますすれども、特別項症の割り増し率を現行の七割以内から十割以上に改善するようにということを、この重度戦傷病者の方々がこれはたしか請願をしていると思うのですがね。こういう点について、十割以上という要求に対して七割で頭打ちにしているということ、この頭打ちをどんなふうにお考えになっているかですね。
  57. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 先ほども御説明いたしましたように、四十四年の段階までは五割でございましたのを、四十四年から五割を七割アップということにして現在に至っているわけでございます。数字を申し上げますと、この結果、今度の改正を加えますれば、基本年金額最高で二百六十九万という額になりますので、それに併給の普通恩給でございますとかあるいは特別加給を加えますと、年額で二百九十一万、月額で二十四万円ぐらいになると思います。もちろんこれがこの額をもって理想とするわけではございませんけれども、最近かなりの大幅な改善がなされたということは言えるんではないかと思います。で、いまの七割の問題につきましては、そういうことでございますので、七割が理想であるかどうかということにつきましてはもちろんいろいろな意見がございまして、御要望も承っておるところでございます。今後ともそういう点はいろいろな角度から検討してまいりたいというふうに思っております。
  58. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 今回の改正で少なくともアップしていく、底上げしていくということが大事じゃないかと思うんですよね。やってないんですよ。四十七年にやったからもういいよという――何のためにそれじゃさっきから論じられているようにスライドスライド制ということを言っておるのか。物価に対する社会現象、社会状態、経済状態等を見て、何がためにこの法改正をしていくのかということ、やはりその点も特に考えてあげなければいけないんじゃないかと私は申し上げているわけです。したがって、七割で今回は頭打ちにしてあるから、それ以上のことを考えてはどうかということを言っているわけなんで、当然やるべきだと、こう思うわけですよね。だから質問をしたわけなんです。どういうふうにされるか、今後のお考えをはっきり伺っておきたいと思うんですがね。
  59. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 先ほども答弁したところでございますけれども、これは七割がいいのか、さらに上げるべきか。これはいろいろな角度、たとえばそれ以下の項症との関係でございますとか、それぞれの障害のランクづけでございますとか、そういうところのもろもろのものに関連をいたしますので、今後もさらにその額につきまして、その率につきまして十分検討したいと思います。
  60. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは具体的に取り上げていきますといろいろ問題があるわけです。視力障害者の人でも、明暗を弁じ得ないもの、特別項症の五段階目に格づけされている。明暗を弁じ得るが、眼前の手動程度を弁じ得るものについては第一項症に格づけされているということになる。これは間違いないことかどうかですね。この第一項症に格づけされているものは、前者と同様、全く単独歩行も作動もできない実情にあると思うんですよね。これらのものについて特別項症の六段階引き上げられたいという要望がこの請願にはされているわけなんですがね。この点なんかを考えていきましても、相当内容的に調査もし、また考え方も変えていかなければならないということも言えるんじゃないかと思うんですが、こういう点についてどういうふうにお考えになっていますか。
  61. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 全く見えない方、明暗をすら全く弁ずることができない方と、たとえ少しでもそれが可能な方ということになりますと、これはやはり日常生活の活動は確かに御両者とも非常に御不便だと思いますけれども、そこにはやはり差があるというふうに感ぜられますので、片方は一項症、片方は特別項症ということになっているわけでございますけれども、いまいろいろ御質問なり御要望なりを含めまして御指摘をいただいたわけでございますので、それらのランクづけ等につきましては、私たちの役所のほうには非常に専門的なお医者さんがたくさんおりますので、そういう方々の意見も十分聞きまして、ランクづけなり何なり総合して判断をしてまいりたいと思います。
  62. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この特別項症の年金受給者に六段階もの差をなぜつけなきゃならないのかという点もあると思いますが、この六段階の区分はどういう規定によって設けられているのか。また、どのような基準によってきめられているのか。この点をこの際ひとつ明確にお伺いしておきたいと思うんです。
  63. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 最高が割り増し率一項症に対しまして七割でございまして、特別項症の一番下は一項症に対する割り増し率は二割でございます。あと一割ずつ上げまして六段階ということになるわけでございますけれども、これは法律では七割以内でということでございますので、法律からは委任をされているという形になると思います。  そこで、先ほど申し上げましたように、私たちのほうに専門の先生方がたくさんおられますので、そういう先生方の意見を十分聞きまして、一番重い、両手両脚が完全にない方を先ほどの割り増し率の七割というふうにいたしまして、以下、一番下の例を申し上げますと、両耳が完全に聞こえないで、そうして片方の手の指がなくなっている方、そういう方が一番下の割り増し率二割というところに当たっています。以下、非常にこまかくなりますのであれでございますが、そういう基準を設けまして、それぞれランクづけをいたしております。
  64. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これはどこにあるんですか、その規定は。
  65. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) それは恩給局の内部基準として持っておるわけでございます。
  66. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 内部基準ですか。  すると、この第四十九条ノニに、「公務傷病二因ル不具癈疾ノ程度ハ別表第一号表ノ二ニ掲グル七項トス」という、その別表第一号の二というのを私見ておりますが、一、二、三、四、五、六とございます。この特別項症については条文化していない、その内部規程によってやっているんだということになるわけですね。そうしますと、この基準というものが非常に権限を持つようになってくると思うのですね、基準をしていくのに。ここに私は問題があるということを言いたいためにさっきから言っているわけです。この基準をどうきめていくのか。なぜ一番大事なこの特別項症の六段階に分けた――十段階を六段階にした、それをもっともっと縮小して底上げして、もっと底上げしてあげて、全幅やってあげるというところぐらいまで考えなきゃならないじゃないかと、こう思うわけですがね。しかもそれがいまの御答弁によりますと、恩給局の内部の基準によってきめられたものによってやっているんだと。それじゃ私それを示してもらいたいと思うんです。どんなふうなものなのか、公表してもらって、出してもらいたいと思うんですね。そうしませんと、この論議はなかなかできないんです。ただ、一つの私がいま例をとったのは、自分の目の前で手を振られただけは薄ぼんやりわかるけれども、手をささえ、からだをささえていかなきゃならないその両眼がめしいとなっている方々に対してでも、問題が、これはいろいろいまの基準によってきまってくると思うのです。そういう面で申し上げているわけですがね。どうなんですか、いま私の申し上げた内規の件については。
  67. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 法律的には先生指摘になりました一号表の二で、特別項症というものはどういうものだということが、その「不具廢疾ノ状態」が書いてございまして、そうして第二号表のほうで、特別項症というものの金額は、第一項症の金額にその十分の七以内の金額を加えた金額というふうになっているわけでございます。それ以上の定めがないわけでございますので、先ほどから申し上げているような、かつては十段階、現在は六段階基準を一応設けてやっているわけでございまして、これにつきましては十段階から六段階になるときも、あるいは五割を七割にするときももちろんでございますけれども、六段階にするときにおきましても、全部さらに改善をするという方向改定を加えております。あとの内部基準につきましては、これは先生のほうの御指摘がございましたので、先生のほうの御要求があれば提出をいたしたいと思います。
  68. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 要求したのよ。これも委員長から言ってもらわなければだめですかね。
  69. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 提出をいたします。先ほどちょっと具体的に一番上と一番下を申しましたけれども、その他の点につきましても御要求に応じて提出をいたします。
  70. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 問題は一ぱいあるんですよ。私のきめられた時間は過ぎちゃった。だから残念なんですよね、まことに。もう一つだけ伺って私やめたいと思います。  この六十五条の六項ですか、特別加給、この問題についてだけ質問をして私はやめますけれども、まことに残念なんです。一連のずっと質問をしながらこの段まで進めていきたいというふうな考え方をしていたんですが、残念ながらそれらができませんので、この次の機会等に譲りますけれども、一番最初に申し上げましたように、これは六十五条の六項というのは、俗にいう看護手当でございますね。どうなんですか。
  71. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) これは巷間介護手当等といわれておりますけれども、そう呼ばれるときもあるようでございますけれども、これは別にそういう趣旨のものではございませんで、その本質は結局非常に重度の障害の方々に対する優遇のためにとられた措置でございまして、かってはこういうあれがなかったんですけれども昭和三十三年に初めて新設をされまして、以後、四十二年、四十八年にその増額をしているところでございます。
  72. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 今回、これもまた現行と、改正は全部前と同じなんですね、七万二千円。かりに七万二千円、これは十二で割ってみれば一カ月六千円ですよ。そうすると看護手当というふうな面のことから考えてみて、一カ月付き添いする人がいま病院で幾らか御存じですか。どのくらいの日当であるか、月にもらっているかというのは御存じですかね。そういう俗な面から、世間の通常の面から推しはかって考えていってみても、なぜこの特別加給だけ今回改正をしないのか。確かにいまおっしゃられたように、すべてが、兵隊さんの場合についても  兵隊さんの場合ですよ、いま申し上げているのは。第一項症の基本額も確かに上がりました。それから併給普通恩給も十一万六千五百三十四円から十四万四千二百六十七円になりました。妻の加給も二万八千八百円から四万二千円になりました。確かになりました。ところが、特別加給については、現行額が七万二千、改正額も七万二千ということなんです。なぜこの点だけ据え置いたのか。そういうことなんですよ。
  73. 菅野弘夫

    政府委員(菅野弘夫君) 先ほどもちょっと御説明いたしましたように、この手当の性格からいって、毎年毎年改正するような性格のものではなかろうということで、三十三年にできまして以後、昭和四十二年に五割増し、そして昨年にその三万六千円を倍の七万二千円に改定をしたところでございます。そういうことでございますので、先生指摘の点につきましては、これからの他の恩給の問題も含めまして、そういうものの均衡も十分見ながら、今後の問題として十分検討してまいりたいと思います。
  74. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 一年後でしょう、実動が。そうすれば、当然これは同じように上昇をさせていくのがあたりまえだと思うんですよ、実施が一年半後だとすれぼ。そういう面から考えて私は申し上げているわけであって、その点なんかも十分に考慮の中に入れておかなきゃならないじゃないかと思うんです。この点強く私は申し上げておきます。  もう大蔵大臣も運輸大臣も全部おそろいでございますし、まだ私のあとにほかの方も質問があるようでございますので、私の時間もとっくに過ぎておりますので、これでやめますけれども、最後に長官にお伺いいたしたいのは、もっと私が申し上げたことを踏まえられて、重度戦傷病者等の方々の処遇改善というものを、今後長官のお立場で基本的にどう考えて改善していこうとされるのか。たった二つばかりの点で私はその問題点だけ言いましたけれども、問題点一ぱいあるわけです。二つの点にしぼって問題点を出したわけですけれども、そういうことを、論議のやりとりをお聞きになっておられた立場で、お考えをはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  75. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) 宮崎委員のただいまの御意見は非常によく理解できると思います。同時に、われわれといたしましては、こうした戦傷を受けられた方々に対する調査も不十分であるかのごとき状態で非常に私は遺憾だと思います。そうした問題をあらためて御指摘をいただきましたことは、むしろ非常に感謝を申し上げます。今後は、そのような考え方の中で、御指摘の諸点について具体的に十分検討して対処していきたいと、そのように思っております。
  76. 中村利次

    中村利次君 恩給法等あるいは公務員共済年金、公共企業体等の共済年金、これは逐年改善をされてきておりますけれども、そういう点については歓迎をすべきであり、評価をすべきであると思います。ただ、恩給にしても年金にしても問題点は一ぱいあるわけでありまして、特に恩給の場合には非常にむずかしい。どうしても改善をしなきゃならないから改善をすると、またそれに伴った矛盾というのが生じてくるという、これは確かに非常にたいへんなことだろうと思いますが、私は前々から指摘をして、当然のことが当然として改善をされない点で特に目立つもの、たとえば退職手当法の上ではよくいわれますあの日・満・日、満・日方式、いわゆる日本政府の職員が外国の政府職員あるいは特殊機関の職員になって、それがまた今度は日本の職員になると、こういうのは退職手当法の上では一部通算されているんですね。ところが恩給法は、どうもこれはいつまでたっても、どういう検討がされておるのか、まことにこれは適正を欠くといいますかね、比較してどうしても対象者は納得できないと思いますし、私どもがほんとうに政治的立場から考えても、一日も早くこういうのは改善をされてしかるべきだと思うんですけれども、どういう検討をおやりになっているのか、まずお伺いします。
  77. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 各種年金恩給、そういうものにつきましては、これはわが国の制度はそれぞれ発生のいきさつ、その後の経過等がありましてこれが一様にいっておらぬ、そういう問題があるわけです。そういうことを踏まえてなるべく権衡がとれるようにということで毎年毎年改善はしておるわけなんです。しかし、いかにぜん発生の沿革なりその後の歴史、そういうものにたいへんいろいろの複雑な事情の違いというものがあるものですから、この辺をきれいさっぱりというわけにはまいりませんけれども逐次改善はしつつある。なおこの上とも努力をしていきたい、かように考えておるわけなんです。
  78. 中村利次

    中村利次君 大蔵大臣の御答弁は、私は確かにそういういろんな複雑な経過なりあるいは発生なりがあって理解できます。しかし、やはり比較してたいへん矛盾――矛盾が多い少ないよりも、矛盾そのものであるというものについては、やはりこれは今日以降も改善されて、矛盾のないように、矛盾が少ないようにしていくという方向については、いまの大臣答弁で私は確認してよろしゅうございますか。
  79. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) それはそのとおり御確認くださってけっこうでございます。
  80. 中村利次

    中村利次君 それではそういう御答弁をいただきましたから、これは可及的すみやかにやはりバランスのとれた改善に取り組んでいただきますように、これは要望をしたいと思います。  それからいろいろこれはあるんですけれども公務員共済の長期給付の場合、これは個人負担が四七・五ですか、それから国庫負担と称するものが五二・五。これは厚生年金なんかとの比較を考えますと一これは直ちにどうも比較することはできないと思いますけれども、加入者と事業主の負担があって、そして第三種被保険者を除いて、大体二〇%がこの国庫負担になっておる。ですから、そのあれからいきますと、組合員の掛け金と国の負担金のうち四二・五%、フィフティー・フィフティーとして、純粋の国庫負担金といいますか、いわゆる使用者と加入者、これがフィフティー・フィフティーとすると、それ以外の一五%がこれが国庫負担である、こういうぐあいに解釈してこれはよろしゅうございますか。
  81. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 共済年金の場合、いわゆる社会保険の主体としての公的負担の割合は御指摘のように一五%でございます。
  82. 中村利次

    中村利次君 これは一五%がどうなのかという議論はありますから、これは後ほどのあれにしまして、その場合、三公社五現業の場合に、これもやっぱり四二・五対五七・五で、五七・五をおのおのこれは事業主が負担していますね。そうしますと、運輸大臣いらっしゃいますから私は国鉄の例をとりますと、これは完全な独立採算制ですね――ですか。それからまず伺いましょう、独立採算制かどうか。
  83. 住田正二

    政府委員(住田正二君) ただいまお話がございました国庫負担分を国鉄が負担しているというのはそのとおりでございまして、一五%につきましては国鉄が負担いたしておるわけでございます。それから国鉄が完全な意味の独立採算制をとっているかどうかにつきましては、いろいろ議論のあるところであると思いますけれども、本年度国鉄に対しまして国から二千億をこえる補助をあるいは出資をいたしておるわけでございまして、そういう点を加味いたしますと、現在完全な意味の独立採算制が維持されているかどうか疑問の点もあろうかと思います。
  84. 中村利次

    中村利次君 それは大いに――遠慮しなさんなよ、それは。これは何も三公社五現業、国有だけではなくして、民間といえども政策的に必要があれば利子の補給をやったり助成策をやったり、国庫が負担をしているものがあるわけでありますから、やっぱり国鉄はこれは独立採算制をとっておる――いままでのいろんな法案、運賃法、再建法の審議過程でも、国鉄は独立採算なんだからやっぱり国の補助にもおのずから限界があるという、こういう議論政府側によって展開されてきたわけでありますから、そうなりますというと、赤字をかかえてきゅうきゅうとしておる国鉄の――これは赤字黒字は問題でありません。やっぱり当然国庫負担すべき一五%を、国鉄が事業主負担分と国庫負担分を全部負担していくというのは、筋目からいってどうも納得できないような気がするんですが、いかがでしょうか、こういう点は。
  85. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 年金の費用負担のあり方の問題でございますが、現在のたてまえで申しますと、国などの公経済の主体が社会保険を推進するという立場から一定の割合を負担いたしまして、残りを事業主と被用者が負担する、かようなことになっておるわけでございます。  そこで、公共企業体、国鉄等の公社の性格でございますけれども、これはいまさら御説明するまでもないところでございますが、広い意味の国の活動の一翼をになうものでございまして、あらゆる意味で国に準ずる性格を持っているものである、かように考えているわけでございます。したがいまして、その職員に対する関係におきましても、公経済の主体としての責めを負ってしかるべきものではなかろうか。そういう意味におきまして、国鉄の共済組合年金の費用につきましては、国鉄が負担をして、いわゆる国庫負担はない、かようなことになっているわけでございます。
  86. 中村利次

    中村利次君 それはなかなか説得力のある議論ではございませんよ、失礼ですけれども。そういうことになりますと、私は国鉄の赤字を、これは負担割合いろいろありましょうけれども国民、利用者に負担をさせるというのは国有鉄道という筋目からいってやはり大いにこれは議論がある。赤字だから黒字だからというわけではなくして、原則論として、いまの次長の御意見には私はどうも私自身も納得しがたいし、一般にそういう議論を展開しても説得力が乏しいんじゃないかと思いますよ。いかがです、大蔵大臣。こういう点、御検討になるおつもりはございましょうか。
  87. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御指摘の問題は、これは国鉄についてでございますが、これは国鉄は国の事業を直接担当する独立の公社の形態をとっておるわけなんです。そういう意味において、国に準じて公的負担に任ずるということは私は理論として御理解願えるのではないか、そう思いますが、国鉄につきましては、これは別途独立採算が非常にむずかしい状態でありまして、国鉄の企業会計の財政を国との間でどういうふうに調整するか、そういう問題があるんです。それに対しまして、政府はとにかく十年間で四兆円の財政援助をしましよう、こういうことにいたしておるわけでございます。そういう前提のもとに国鉄の財政再建計画というものができておる。これからの情勢の推移によりましては、まあある程度の手直しということはあるかもしれませんけれども、とにかく国としてそういうささえをする、ささえのもとに健全な企業会計としての独立が保てるということになりますれば、私は公的機関として公的負担に任ずるということは、これはぜひそうしていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  88. 中村利次

    中村利次君 これは私は筋目からいって問題があると思いますね。たとえばこの問題だけじゃなくて、恩給法による通算ですね、これは国鉄が、どれくらいの額になるか知りませんけれども、やっぱり負担をしているんですね。それは確かに公的機関であり、国有であり、それから財政的にも関連のあることはこれは認めます。当然であると思います。しかし、やはり一応公社として独立採算制をおとりになっておる、そしてそこの収支というのは、国民にとって、利用者にとって重大な影響がある、これが問題だと思うんですよ。だから、十年間に四兆の金をやっぱり国もつぎ込むんだと、そういうものもございましょうけれども、しかし同時に、これは国有鉄道として、国民合意のもとに、私は料金の値上げ、利用者の負担をできるだけ少なくして、国民合意のもとに国庫が補助をするというのは、これは非常にけっこうな話だと思うんですよ。しかし、と同時に、本来事業主負担といいますか、使用者負担以外の純然たる国庫負担分を、いまの長期給付に対してでも、あるいは古くからの、戦前からの恩給法による通算にいたしましても、非常に経営状態の悪い国鉄に負担さしておる。それはいま大蔵大臣おっしゃいましたように、公的機関であり、あるいは財政的にもたいへん関連が強いからということだけでは、どうも合理性に乏しいといいますか、やっぱり国庫負担と事業主負担というのは本来これは分けられるべきものであって、それが国有だから分けなくてもいいんだという理論というのは私はどうもやっぱり納得できま世ん。どうですかね、これはひとつ検討してみていただげませんか。
  89. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) せっかくのお話でありますので検討してみますが、私ども立場はそういうふうな立場で、いま三公社、これは一方において事業体である、事業主である、同時に国家の分身的性格を持っておると、こういう立場から、いま三公社負担と、こういう方式をとっておるんですが、お話もありますのでよく検討します。
  90. 中村利次

    中村利次君 もう一度念押しをしてこれは要望しておきます。確かに国と不可分のものであるということは、三公社五現業ともに私も大蔵大臣と同じように認めます。しかし同時に、電信電話にしろあるいは郵便にしろ、国鉄にしろ、必要をするものはやはり国民、利用者の負担にかかってくるものですから、したがって、その場合、やっぱり事業主と国庫負担というのをごっちゃにされて、そのしわ寄せば国民、利用者にかかるというのは、筋目からいってたいへんこれは問題があると思いますので、ひとつぜひこれは、おまえがそう言うから、やる気はないけれども一応何とか検討するという答弁だけはしておこうというのじゃなく、真剣にひとつ実のある御検討を要望をしたいと思います。  それから次に、これもやはりそうなんですけれども、組合管掌健保――これは短期給付ですね。組合管掌の健保と政管健保、いろいろありますけれども、これらには先ほどの法改正によって定率一〇彩の国庫負担になりました。これもまあ改善でありまして歓迎をいたしますけれども公務員及び公共企業体の共済組合の場合にはこれはないんですね。こういう点はどうお考えですか。
  91. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 政府管掌健康保険に対しましては、ただいま御指摘がございましたように、昨年度の改正におきまして一〇%の定率国庫負担を導入いたしたわけでございます。ただ、組合の健康保険に対しましては、現在一部財政基盤の脆弱な組合に対する補助はございますけれども、定率補助はございません。そこで、政府管掌健康保険に定率の補助を導入して、国家公務員共済組合の短期給付に対してなぜ導入しないかという問題でございますけれども共済組合の場合と政管健保の場合にはいろいろと事情が違うわけでございます。政府管掌健康保険は、御承知のように主として中小企業の比較的低所得の被用者を対象としているわけでございますが共済組合の場合には、さような事情もないわけでございます。また財政状況につきましても、政府管掌健康保険につきましては非常に財政状況が悪いという問題があるわけでございますが、国家公務員共済組合の場合には非常に順調に推移をいたしておりまして、たとえば四十八年度でございますと、当期利益金として五十二億円出ており、積み立て金も相当あるというような状況でございます。また、給付を比べてみましても、共済組合の場合のほうが政府管掌健康保険よりよぐなっておりますし、また一方、掛け金の負担の面を見ておりますと、逆に共済のほうが政府管掌健康保険より低くなっております。そういうことを総合的に考えまして、政府管掌健康保険に定率の国庫負担を導入したからと申しまして、直ちに共済組合について国庫補助を行なうべきものだというふうには考えていないのでございます。
  92. 中村利次

    中村利次君 これは組合管掌健保は私の間違いです。  まあ御答弁理解できるものもあります。しかし、これはよくたとえば組合管掌健保なんかに厚生省から強く言われるのは、社会保障制度なんていうものはおしなべてやられるもんであって、たとえば組合管掌なんかで非常に内容がいいのがあるんです。そういうものを低きに押えるような行政指導が非常に強く行なわれているんですね。ですから、いまの御答弁ですと、政管健保は赤字でたいへんであって、共済の短期給付の場合には黒字を計上するぐらい非常に健全経営なんだから、そういうものを含めてそのことは考えないということでありましたけれども、私はもっとこれは根本に返って  こんなことはよけいなことですけれども、政管健保がなぜ赤字か、これは私は大いに議論があるんですよ。これは健康保険法の改正のときには私はそういう立場から質問をしましたけれども、とにかくそれはむだをやって、赤字になる必然性のあるようなことをして赤字になっておる。それから組合管掌健保にしても、共済年金の短期給付にしても、私は黒字というのはそれなりのやっぱり経営努力があると思うんですね。  ですから、黒字になればこれは国庫負担は要らない、赤字はしょうがないからやるんだということじゃなくてもっと抜本的に、私は、これは特に政管健保なんかでは、所管ではないにしても、これは大蔵省も銭を出すところですから、さいふのひもはたいへんかたい性格を大蔵省はお持ちですから、むしろもっと抜本的な立場から赤字の原因は何だと。これは何というのか、濃厚診療ぐらいまでならいいですよ、実際に濃厚診療が行なわれておれば。しかし、それは処置に困って薬なんかぼんばん捨てている。これはもうどこへ行ったって見てごらんなさいよ。それからやはり被保険者が、患者がチェックできないような支払い制度のもとにある。自分が医者にかかって、幾らかかっているのだかさっぱりわからない中で診療給付が支払われておるというような、そういう中でのやはり赤字であり、また、好ましくない、何ですか、この弾力条項の発動をやらなきゃならないというような一ぱい問題があるわけですから、これはもうここの問題ではありませんから、私はそういうことを長々と言いませんけれども  ということと、やはりこの国庫負担の問題とは私は切り分けて、仕分けをして考えていただかないと困ると思いますね。  時間がないですから次に行きますけれども、この退職年金支給限度額は、これは国家公務員の場合は――地方公務員の場合もこれは同様のようでありますけれども、百分の七十、七〇%というぐあいになっておるのだが、三公社五現業の場合には限度がないのですね。それから、と同時に、何か三%の削減、これの理由についてお伺いしたいと思います。
  93. 住田正二

    政府委員(住田正二君) ただいま御指摘がございましたように、公企体の職員の退職手当につきましては、国家公務員の場合と比較いたしまして三%減額されておるようでございます。これはいまお話がございました最高制限があるとか、あるいは支給率の最高限度があるということとは無関係でございまして、国家公務員の場合と公企体の場合では基礎俸給額が異なっております。国家公務員の場合は、従来三年平均ということで、今回の改正で一年平均になるわけでございますが、公企体の場合には最終俸給ということになっております。最終俸給で支払うのと三年平均で支払うのとの間に実際には三%以上の差があろうかと思いますけれども、そういう点をしんしゃくいたしまして三%の減という制度がとられてきておるわけでございます。
  94. 中村利次

    中村利次君 そうなりますと、今度は過去三年の平均ではなくて一年の平均ということになりますと、この三%も変わってくるということですか。
  95. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 従来、三年平均のと弐に三%という差を設けたわけでございますけれども、従来の三年平均と最終俸給との差は、これは計算のしかたが非常にむずかしいわけでございます。といいますのは、年金をもらう期間、平均寿命が幾らぐらいであるかとか、あるいは毎年の年金改定額が何%になるかという点、非常にむぞかしい数字のとり方でございまして、何%の差が妥当であるか計算しにくいわけでございますけれども、従来の三年平均ですとまあ大体一〇%くらいの差があるのではないか。先ほど御指摘ございましたように三年平均が一年平均になったわけでございますから、三%の問題は当然検討しなければならないわけでございますけれども、いろいろ検討した結果、先ほど申し上げましたようなことでなかなか妥当な数字が出にくい。場合によってはなお四・五%ぐらいの差もありますし、あるいは二・五%くらいの差もある。いろんな数字が出てくるわけでございまして、今回の改正にあたりましては、その三%の問題に手をつける妥当な数字が得られなかったために一応見送ったわけでございますが、今後の問題として、できるだけ早急にこの問題は善処いたしたいと考えておるわけでございます。
  96. 中村利次

    中村利次君 そうしますとね、国家公務員の場合、共済の場合と三公社五現業の場合は、退職時の俸給と、それから過去三年間の平均、それが年金給付の三%削減ということになりますと、おっしゃるとおりですね、当然これはいろんなむずかしい算定があると思いますけれども、当然今日以降、一年の平均というぐあいに改善をされたわけでありますから、このこともあわせて検討をされる。いまのところはまだこういう改善をするという結論に達しておらない、こういう意味にとっていいんですね。結論に達しておらないから今度はやらなかったけれども、当然これはやりますよと、こういう意味に受け取っていいですね。
  97. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 公企体年金と国家公務員年金との間には幾つか重要な点で差があるわけでございます。たとえばいま申し上げました基礎俸給額が違うとか、あるいは最高制限があるとか、最高支給率があるとか、あるいは逆に最低保障制度が設けられていない、いろいろ異なっている点がございまして、その調整について私どもといたしましてもいろいろ努力をいたしたわけでございますけれども、今回残念ながらその調整ができなかったわけでございます。しかし、退職手当の三%減の問題はそのまま放置していいという問題ではございませんので、いま申し上げましたような問題と一緒にできるだけ早い機会に解決いたしたい、かように考えているわけでございます。
  98. 中村利次

    中村利次君 何だかわかったようなわからないような気がしますけれども、これはひとつぜひ私はやはり筋目の上で矛盾があるものは改善をしてほしいと思います。これは要望しておきます。  それからこの最終俸給と過去三年の平均というものが、今度は一年の平均に改善をされた、けっこうですよ。しかし、どうせとてものことなら、最終俸給に統一するわけにはいきませんか。
  99. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 国家公務員共済につきましては、従来退職時前三年平均の俸給を基礎としておりましたのを今回退職時前一年平均に改めることにいたしているわけでございます。ただいま御指摘の最終俸給にしたらどうだろうかという点でございますけれども、この点につきましては三点問題があるかと思っております。  第一は、社会保険でございますから、私保険と同じように考える必要はないと思いますけれども、やはりある程度拠出と給付との対応関係を保つ必要があるのではないかと思うのでございます。掛け金を、拠出のほうは、公務員になりましてからやめるまで全期間にわたって拠出をしてまいるわけでございますので、給付だけ一番最後の俸給を基礎にしていいだろうかどうかという点に一つ問題があろうかと思います。  それから第二は、社会保険の基本をなしております厚生年金保険、これにつきましては、御承知のように全期間の平均標準報酬、会社に入りましてからやめますまでの全期間の平均をとっているわけでございます。それとの均衡があるわけでございます。三番目は運用上の問題でございますが、退職時に特別な昇格とか昇級とかが行なわれるケースがかなり多くなってきておりますが、そういうことを考えますと、むしろ最終俸給をとりますことは不公平、不均衡になる場合が多いのではないか、かように考えているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては一年平均というのが妥当なところではないかと思っております。
  100. 中村利次

    中村利次君 これも私は大いに議論のあるところでありましてね。ところが、もう時間が来て、ここら辺でやめてくれということでありますから、これはもうそういうあれには順守をして従わなければなりませんので、最後にどうしてもお伺いをしなければならない点をもう一点質問をして、私の質問を終わります。  遺族給付ですね。これは遺族の要件なのですけれども、その者によって生計を維持したもの、そうなりますと、たとえば営々として共働きをやったとか、あるいは何ですか、これは死亡時において、何かの都合で本人の死亡時に奥さんが相当の、ある程度の収入があったと。私はこういうケースは現実にあると思う。ところが、当人がなくなったあと――同居をし生計を維持するという点については引っかかるんだが、けっこうな収入もあったんだが、それが無収入になった、生活保護を受けなきゃならないということになっても、こういう定めによって、どうもたいへんお気の毒な状態になるということは現実にあり得ますよ。ところが、恩給法恩給受給者あるいは戦没者なんかの場合には、「之ニ依リ生計ヲ維持シ又ハ之ト生計ヲ共ニシタルモノ」  生計をともにしたということになりますと、未亡人なんていうものはこれは全部入るわけでありますから、その者によって生計を維持したものというのと、生計を維持しまたは生計をともにしたものというこの定めの違いによって、たいへんお気の毒、不幸な立場にある人がどれくらいあるのか、まずそれが第一点ですね。  それから、こういうあれは、私はこれはもうやっぱり決定的矛盾だと思う。ですから、まだ時間があれば私はこれは相当こまかく質問もし、あるいは政府の御意向も承るだけではなくて、政府としてぜひやってもらわなきゃならない、改善をしてもらわなきゃならない点を指摘をしたいと思いますが、もう時間もなくなりましたから、もしこれはおやりにならなければ、私はいずれこの恩給年金なんというものは毎年これは出てくることでありますから、そこでまた十分の時間をとってやりますけれども、どうですか。そういう人がいるのかいないのか、どれくらいいるのか、あるいはそういう比較して、生計を維持したるものというのと、維持しまたは生計をともにしたものとの差というものをどういうぐあいにお考えになるのか。
  101. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 遺族の要件の問題でございますが、ただいまお尋ねの妻の場合につきまして御説明申し上げますと、組合員期間が十年以上の場合につきましては制限がございません。無制限で遺族になるわけでございます。十年未満の場合には確かに制限がございますが、ただいまのところ二百四十万、つまり妻の所得が二百四十万以下である場合には遺族に該当さ直るということにいたしております。したがいまして、きわめて例外的な場合を除いてはほとんど妻の場合には遺族になると考えております。正確な調査はございませんけれども、ごく特殊な場合を除きましては、妻の場合には全部遺族に該当するのではないかというふうに考えております。  なお、現在の年金制度の基本でございます厚生年金保険におきましてもやはり生計維持の要件がございますので、その均衡等から申しましても、共済年金の場合に全く生計維持条件をはずすというのは困難ではなかろうかと思っております。
  102. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより三案を一括して討論に入ります。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認め、これより三案の採決に入ります。  まず、恩給法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  103. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  104. 岡本悟

    ○岡本悟君 私は、ただいま可決されました恩給法等の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、公明、民社の四党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。  まず、附帯決議案を朗読いたします。    恩給法等の一部を改正する法律案に対する    附帯決議(案)   政府は、次の事項について速やかに検討の上  善処すべきである。  一 恩給法第二条ノニについて、その制定の趣   旨にかんがみ、国家公務員の給与にスライド   するようその制度化を図るとともに、一律ア   ップ方式について、最近における現職公務員   の給与改善の傾向を考慮して再検討するこ   と。  一 恩給改定時期については、年度当初から   の実施を目途とすること。  一 恩給の最低保障額については、最近の社会   経済事情を考慮して、その大幅な引上げを行   なうとともに、短期在職者についてさらにそ   の改善を図ること。  一 旧軍人と一般文官との間の仮定俸給年額の   格付是正を行なうとともに、加算年の金額計   算への算入および加算減算率について改善を   図ること。  一 旧軍人に対する一時恩給に関しては、引き   続く実在職年が三年以上七年未満の兵に対し   ても支給の途を講ずること。  右決議する。  附帯決議案の趣旨は、案文及び審議の過程で明らかでありますので、説明は省略させていただきます。  以上でございます。
  105. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいま岡本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  106. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 全会一致と認めます。よって、岡本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  次に、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案、以上両案全部を問題に供します。両案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  107. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 全会一致と認めます。よって、両案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  108. 鈴木力

    鈴木力君 私は、ただいま可決されました共済関係法案に対し、自民、社会、公明、民社、共産の五党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。  まず、附帯決議案を朗読いたします。    「昭和四十二年度以後における国家公務員    共済組合等からの年金の額の改定に関する    法律等の一部を改正する法律案」及び「昭    和四十二年度以後における公共企業体職員    等共済組合法に規定する共済組合支給す    る年金の額の改定に関する法律及び公共企    業体職員等共済組合法の一部を改正する法    律案」に対する附帯決議(案)   政府は、共済組合制度の充実を図るため、次  の諸点につき速やかに検討の上善処すべきであ  る。   一 国家公務員共済組合等及び公共企業体職員    等共済組合からの年金については、国家公務    員及び公共企業体職員の給与にスライドする    ようその制度化を図ること。   二 共済組合の給付に要する費用の負担及びそ    の給付内容の改善については、他の公的年金    制度との均衡等を考慮しつつ、適切な措置を    講ずること。   三 長期給付の財政方式については、賦課方式    の問題も含めて検討すること。   四 旧令及び旧法による年金額改善に努める    とともに、遺族年金の扶養加給制度を創設す    ること。   五 国家公務員共済組合及び公共企業体職員等    共済組合制度間の差異について、早急に是    正するとともに、二十年以上勤続して退職し    た公共企業体職員の退職手当についてすみや    かに改善措置を講ずること。   六 家族療養費の給付については、他の医療保    険制度との均衡を考慮しつつ、その改善に努    めること。   七 長期に勤続した組合員が退職した場合にお    ける短期給付の任意継続期間につき、さらに    配慮すること。   八 労働組合の非在籍専従役員が、共済組合員    としての資格を継続することについて検討す    ること。   九 共済組合の運営が一層自主的、民主的に行    われるため、運営審議会において組合員の意    向がさらに反映されるよう努めること。   十 公共企業体職員等共済組合に関する制度に    ついて、学識経験者、公共企業体の当該役職    員及び組合員等により調査審議する機関の設    置について検討すること。    右決議する。  附帯決議案の趣旨は、案文及び審議の過程で明らかでありますので、説明は省略させていただきます。  以上でございます。
  109. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいま鈴木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  110. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 全会一致と認めます。よって、鈴木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  この際、ただいまの決議に対し、政府から発言を求められておりますので、順次これを許します。小坂総理府総務長官。
  111. 小坂徳三郎

    ○国務大臣小坂徳三郎君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、政府としては、問題もございますが、御趣旨理解検討してまいりたいと存じます。
  112. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 福田大蔵大臣
  113. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御決議のありました諸事項につきましては、政府といたしましては、困難な問題もございますが、御趣旨を体しまして十分検討いたしたいと存じます。
  114. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 徳永運輸大臣
  115. 徳永正利

    ○国務大臣(徳永正利君) ただいま附帯決議のありました事項につきましては、政府といたしましては、困難な問題もございますが、御趣旨を体しまして十分検討いたしてまいりたいと存じます。
  116. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) なお、ただいま可決されました三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午前からの審査はこの程度にとどめ、午後二時再開することとし、休憩いたします。    午後一時二分休憩      ―――――・―――――    午後二時四分開会
  118. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  119. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私、すわったままでやりますので、どうかおすわりになったままで……。  いま委員長のほうからお話しのありました環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案の提案理由の説明にもございますように、「行政管理庁設置法を改正し、行政管理庁の地方支分部局に、環境庁の所掌事務の一部を分掌させることであります。全国各地に発生する環境問題を迅速かつ的確に把握し、環境行政の適切な運営に資するため、管区行政監察局及び沖縄」云々とありますが、ここにございますように、「全国各地に発生する環境問題を迅速かつ的確に」ということで、今回の行政管理庁の設置法のお考えをお持ちになりまして、法案の内容等を見てみますと、三十名の新増をなさるということでありますが、この体制でどういうふうな事務分割等をなさって、表面うたわれております「環境問題を迅速かつ的確に把握」して「環境行政の適切な運営に資する」という点に実際上資することができるのかどうなのか、基本的なまず長官のお考えをお伺いをいたしたいと思います。
  120. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) それでは、おことばに従って、すわりましたままでお答え申し上げたいと思います。  宮崎さんの御質問、たいへんごもっともに存ずるわけでございます。環境行政が国民生活のためにきわめて重要な任務を持っておりますことは、いまさら申し上げるまでもございません。環境行政事務は、御承知のように大幅に府県に委譲されて、実際の権限行使が行なわれておるわけで、本来でありますればそれで十分かという感じもいたしますけれども、だんだんこの環境庁設置以来三年の経過から見まして、なるほど県単位、その地域内においては不十分ながらまあ十分その事務がとられておりますけれども、県を越えて、あるいは大気の汚染にしましても、あるいは水質汚染にしましても、そういう県を越えての公害、そういうものについて環境庁として広域的な調査ないしはその情報を収集され、そして環境行政を推進していかれなきゃならないという強い要請がございます。ごもっともだと思います。さらぼとて、それじゃ、まだいままで全然未開拓のところでございますから、相当の人が要るかと思いますけれども、ともあれ、とにかくそういう広域公害の調査、情報収集等、とにかく今年度から試験的に試行的に実施してみようじゃないかということでございますので、もちろん人は多いほどよろしいかと思いますけれども、最小限のところでスタートをしていただいて、そしてしばらくその実績を見ていくというようにやらしていただきたいというのがこの趣意でございます。御了承いただきたいと思います。
  121. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、この配置等についてはどんなふうにお考えになっておられるのか。
  122. 木下薫

    政府委員(木下薫君) 一応この法案が成立いたしますれば、三十名の増員ということが認められることになりまするが、その配置につきましては、行政管理庁の管区行政監察局、これは全国に八ブロックに分かれておりますが、ここに合計二十四名。それから沖縄行政監察事務所に一名。それから公害の多発が懸念されており、問題が生じておるような地方局五局に一名ずつ、計五名。五局と申しますのは、千葉、神奈川、静岡、兵庫、岡山を一応想定しておりますが、そこに各一名ずつ、合計五名、計三十名を配置する予定にしております。
  123. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その内容はどうなんですか。その一般職員及び調査官等の内容ですね。どんなふうな配置をしていくのか、それもあわせて。
  124. 木下薫

    政府委員(木下薫君) 各管区に、関東管区と近畿管区につきましては、今回の設置法の改正で総務部の設置をお願いいたしておりますが、監察部門を実施しております第一部、第二部とは別な組織として、総務系統に首席調査官を置きまして、そのもとへほかの調査官なり職員を配置して、監察業務とは別個の組織で実施いたしたいと、このように考えております。
  125. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 三十名の……、私の聞いているのは、それもそうなんですけれども、三十名の調査官が全部が調査官であるのか、事務職員が何名いるのか、その内容をあわせて伺っているはずなんですがね。
  126. 木下薫

    政府委員(木下薫君) 一応現在の段階で想定しておりますのは、各管区に首席調査官一名、それから一般の調査官を一名でございます。  それからそのほか一般職員を一人あるいは二人ということで、管区別に申し上げますと、北海道、東北が二名、関東五名、中部が玉名、近畿四名、中国玉名、四国二名、九州玉名、沖縄一名、一応そういうことを予定しております。
  127. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 二十五名ですね。それと五人で三十名ですか。その地方行政監察局の地方の五名入れて三十名ですね。その内訳をさっきから聞かしてもらいたいと、こう言っているのですがね。調査官と一般職員の内訳。さっきから同じことを聞いているのですよ。
  128. 木下薫

    政府委員(木下薫君) 首席調査官八名、それから一般の調査官が十六名、それから一般職員が八名、このようになっております。
  129. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間がありませんので、私のほうからお聞きしてもなかなか内容をおっしゃらないものですから、私の見ているものから聞きますと、北海道管区の行政監察局、東北のほうに一般職員が配置をされていないんですがね。そのほかにも四国が配置されてない。沖縄も配置されてないというふうになっておりますが、そうですが、そういう計画ですか。
  130. 木下薫

    政府委員(木下薫君) さようでございます。
  131. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その理由をひとつお聞かせ願いたいのです。
  132. 木下薫

    政府委員(木下薫君) 一応環境庁の仕事をお受けいたします場合に、やはりその地域の広域的な問題を主として対象として考えます場合に、地域の広狭、あるいは現在までの環境問題の様相等を判断いたしまして、いま申し上げましたような管区別の人数を一応想定したわけでございます。したがいまして、調査をいたします主力は、まあキャップになります首席調査官と調査官、それから一般職員の場合には事務的な補助ということで、地域によります人数別によりまして、北海道、東北、四国等は一応二名でスタートいたしますという関係上、一般の補助職員は配置をしないということを考えておるわけでございます。
  133. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この法律趣旨からいいまして、また先ほど長官から、初めてのことだから最初小範囲でもって仕事に当たっていくというふうな御答弁がありましたけれども、この環境問題については、北海道にしましても、東北にしましても、この地域の面積からいきましても、今日までの公害問題等においても相当のやはり件数が発生しているはずです。これは時間があればこの八ブロックに分けたそれぞれの発生件数、またそれを処理した件数等をお伺いしてゆっくりやりたいところなんですけどね、時間がありませんからそれは省きますけれども、そういう各行政監察局別ぐらいの公害件数、長官の御答弁がありました大気汚染とか水質汚染とか、それぞれいろいろあります。そういうものに分けた発生件数というものを主体にして考えていかなきゃならないんじゃないかとも思うのです。したがって、そういう資料があればひとつお示しを願いたいと思うのですけどね。
  134. 信澤清

    政府委員信澤清君) ただいま先生お尋ねの公害関係の事案の発生の状況でございますが、なかなか正確な数はつかめておりませんが、幸い総理府に公害等調整委員会というのがございますが、ここで都道府県別の公害の苦情処理の受付件数等をお調べになっております。これによりますと、四十七年度の総体の件数が約八万七千件でございます。で、府県別に出ていますが、いまのお話のブロック別、至急集計いたしまして、あとで御説明いたしたいと思いますが、そういうような状況でございますので、一応資料がございますので、あとでお届けさしていただきたいと思います。
  135. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大ざっぱでけっこうです。たとえば東北で全体の何%、それはわかりませんか。
  136. 信澤清

    政府委員信澤清君) 至急数字を出しまして申し上げたいと思いますが、大ざっぱに申し上げますと、先ほど行政管理庁長官からお話しございましたように、まあ首都圏、それから阪神地区、さらに瀬戸内海沿岸というようなところが数から申せば多くなっておるわけでございます。
  137. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 じゃ、そのデータ、あとでもけっこうですから、お示し願いたいと思います。  そこで、環境庁では中央機構として長官官房に環境調査官を、これは仮称だということだと思いますが、設置して、両者の一体的な運営をはかっていこうというようなお考えのようですが、これはどういうふうな考え方で行管との、調査官との折り合いをしようとしているのか、その間の事情を説明願いたい。
  138. 信澤清

    政府委員信澤清君) お話しのとおり、今回行政管理庁に仕事をお願いするにつきまして、長官官房にこの関係で五名の増員を認めていただいております。うち一名が事務職員でございまして、四名を、仮称でございますが、環境調査官ということにいたしたいと思っております。この仕事といたしましては、まず行政管理庁のほうが管区ごとに仕事をやっていただくわけでございますので、一応それに見合うような地域分担をさせながら、管区行政監察局との御連絡に当たらせたいということを一つ考えております。もう一つは、突発的にいろいろな問題が起きてまいりますことは先生承知のとおりでございます。たとえば熊本県で先般第三水俣病というようなものが出てまいりましたが、そういうような大きな事案が出てまいりました場合に、やはり管区の行政監察局だけでは処理しきれない、しかし、なお緊急に処理しなければならないと、こういう問題も起きようと思いますので、その場合には、いま申し上げました環境調査官がその分担に応じて関係部局と連絡をとって、機動的に現地に出向いて仕事の処理に当たると、こういうふうなことをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  139. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いま調査官は四名とおっしゃったんですか。その四名で入ブロックなら入ブロックの関係性を見ていこうというふうにとっていいんですか。
  140. 信澤清

    政府委員信澤清君) 一応そういう日常業務といたしましては管区ごとに分担をさせるということを考えております。
  141. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうすると、四名が八ブロックを担当してそしてやっていこうということですね。そう解釈していいんですね。
  142. 信澤清

    政府委員信澤清君) そのとおりでございます。
  143. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 御答弁にありましたけどね、その担当区域に環境問題が発生した場合に、必要に応じて機動性をもって処理していこうということなんですが、これはまあやってみなきやわかりませんけれども、これは両方の立場でもやってみなきやわかりませんけれども、ちょっとこの点が、私は実際問題として、はたしてこれで適正であるかどうか、適切であるかどうかというところに疑いを持つわけなんです。  たとえば先日富山県の昭和四十八年度の産米のカドミウムの汚染調査に関して、これは環境庁長官きょうおいでになりません、あとでおいでになるそうですが、五月のあれは二十六日でしたか富山に行かれまして、そして魚津市の市民会館で記者会見をされたときに、カドミウム米の安全問題に触れられたということが報道されているわけです。私は直接そこにおりませんでしたから、報道されたものによって申し上げる以外にないと思うんですが、こんなふうにおっしゃっておられます。「現在、玄米中のカドミウム含有濃度が〇・四PPM以上のものは配給を禁じているが、どこまで安全なのか、近く食糧庁に対して安全値の幅を新たに調査するよう指示する考えだ」というふうにもお話しになったということを聞いているわけです。たまたまこういうふうに環境庁長官がお行きになられて、この問題にタッチされたり、また察知されたと言ってもいいと思うんですが、そういうふうな問題、これはまあずっとさかのぼっていきますと、日本分析化学研究所が分析してきた分析の中に、分析件数が幾らだったですかね、四十八年度の産米の千四百二十二検体の分析をやって、五月の十五日ごろに十数体の検体を再分析したと、その日本分析化学研究所というのは問題のところを私がいまさらここで申し上げることもない。しばしば今国会でも相当な問題になったところでありますから、このことについては申し上げませんけれども、これの調査した値が違っているために再分析をしたということなんですが、それが大きな問題になっておりまして、県はまた県でクロスチェックするのをしなかったんじゃないかというような県自体の問題等があって、もめている最中にお行きになったというふうに私は解釈しているんです。  こうしたものも今後は検討をされていくようになってくると思うんですが、これは突発的なものでもないわけです。これは早く調査すればする段階において早く解決がされていいわけなんですが、それがたまたま時期がだいぶずれてからわかっているということなんですがね。こういうふうな問題点等を考えてみまして、これはもうカドミウムの問題というのは、秋田にもこれはございますし、きょうの朝日新聞にも秋田の小坂鉱山周辺でカドミウムの患者が七人いた、別に三十二人の疑いもあるというようにきょうの朝日新聞で報道されております。こういった問題が時を同じくするとか、また別々にあるとかいう、時を同じくするような場合にはこれはとうていこの範囲内じゃ、私は幾ら機動班を編成してどうだこうだとおっしゃってもなかなかむずかしい問題だと思うんですが、こういう点について非常に私は心配するから申し上げていることなんでね、この点についてはどんなふうに処理されようとされているのか、またお考えになろうとするのか。
  144. 信澤清

    政府委員信澤清君) 具体的な問題のことにつきましては、所管局長が参っておりますから、そのほうから申し上げたいと思いますが、いま先生がおっしゃっていただきましたようなことが実はありますために、今回こういう法律改正の御提案をお願いしている事情もあるわけでございます。冒頭行政管理庁長官からお話がありましたように、四十四年の公害国会以来、公害の規制の権限というのは地方公共団体にまかせるんだ、こういうことで、そういう方向で私ども進んでまいっているわけでございます。そのこと自体は決して間違いでありません。そういうことで、いままで県を通じていろいろ資料をいただいておりましたわけでございますが、たまたまいま先生指摘になりましたような富山の問題というのは、実は私ども新聞を見て初めて知ったような状態でございます。こういうふうなことを、ひとつ今度こういう体制をとることによって、まず情報として的確に早く私ども知りたい、こういうねらいもひとつありますことをこの機会に申し上げさせていただきたいと思います。なお、内容につきましては水質保全局長のほうから御説明申し上げます。
  145. 森整治

    政府委員(森整治君) 私ども大臣からお伺いしておりますところでは一その前に現在どういうふうになっておりますかということをちょっと御説明いたしますと、カドミウムが一・〇PPM未満の米については、厚生省のほうでは食品衛生上の観点からは安全である、こういうふうに解釈並びに規格基準がきめられておりまして、これは四十五年の十月に規格基準を設定いたしております。そういうことになっております。ところが、食糧庁のほうは、従来これ以前にカドミが出まして、いろいろ厚生省のほうでカドミの環境汚染暫定対策要領ということで、いろいろ要観察地域の指定をします条件としまして、カドミウムが〇・四PPM以上あるところ、それから水質が〇・〇一PPM以上のようなところ、そういうようなところについていろいろ調査をしまして、それでそういうところにつきましては、さらに細密調査をしまして、健康上〇・三ミリグラム以上の米といいますか、一日の摂取量がカドミをそれだけとつて、〇・三ミリグラム以上とりておるようなところにつきましては、観察地域として指定をしまして住民の健康調査をやりましょう、こういうことを当時やっておったわけでございます。ところが、最近になりますと、土壌汚染防止法等その他の対策がきめられまして、それに基づいていろいろ対策が講ぜられております。そこで、私申し上げますのは、食糧庁のほうは――その後厚生省で一・〇PPM以上のお米についてはアウト、こういう規定ができましたが、その当時のいろいろ事情から、食糧庁としましては、国民感情といいますか消費者の感情、そういう心理というものを考えて、配給はしない、政府は買うけれども配給はしないという措置をとって現在に至っておるわけでございます。  この点につきまして、たまたま長官が富山に行かれました際に、質問が出まして、要するに厚生省が安全だと言っているお米について、配給をしないで凍結をするということは、どうも政府としておかしいのではないか、こういう御質問が出たそうでございます。それに対しまして、長官といたしましては、確かにそういう点については政府として答える責任があるから、これはやはり食糧庁におきまして、この措置について、この問題につきまして研究をしてほしい。特にその場合に、やはりいまのような事情からいいまして、特に慎重に検討してほしいということを、お帰りになりました翌日の月曜日、私を通じまして食糧庁長官に申し上げたということでございます。これによりまして、環境庁長官が配給をせよとか、そういうことを何も言ったことではございません。要するに、そういう問題があるから、至急食糧庁で研究をしてほしいということでございます。
  146. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 食糧庁のどなたですか、お見えになっていますか。
  147. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) 業務部長です。
  148. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 志村さんですね。いまのことについて、食糧庁としての安全値の問題、それから〇・四PPMから配給をしないというふうな点、それらについて食糧庁の考え方、お聞かせ願いたいと思います。
  149. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) お答えいたします。  いま環境庁の森局長からのお話のありましたとおりでございまして、二十七日に環境庁から御連絡がありまして、それに対して食糧庁としてどう対処するかということでございますが、〇・四から一PPM未満の米につきましては、厚生省基準もあり、健康上有害ではないということでございますので、これまでの経過の中で、食糧庁が配給に回さないということにいたしたのは消費者感情を考慮したということもありますけれども、米の円滑な配給を確保するということもございまして、配給をいたさないということにしておるわけでございまして、しかしながら、この配給をいたさないという措置を続けることにつきましては、消費者にいろいろ誤解を与えるという指摘もありますので、この措置に対するいろいろの御意見もだんだん多くなってまいってきておりますので、〇・四から一PPM未満の米を配給ルートにのせ得るかどうかという問題につきましては、早急に食糧庁といたしましても研究をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  150. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ついでに伺いますが、その汚染されている米はどういうふうな状態で現在保有されておるのか、あるいはどんなふうにして分析調査をしているのかお答え願いたいと思います。
  151. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) 御質問の数量でございますが、四十七年産米までの中で、〇・四から一未満の数量は四万トンでございます。それから一以上が三千万トンでございます。これは各農協倉庫なり営業倉庫にきちっと別排にして保管をしております。  それから四十八年産でございますが、四十八年産はまだ最終的には確定はいたしておりませんけれども、約一万二千トン程度政府の所有になるのではなかろうかというふうに推定をいたしております。
  152. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 俗にいう準汚染米というのが〇・四から一PPMのことをさしていると思いますが、これだけでいきますと、さっきおっしゃられた四万トン、それから四十八年度は一万二千トンとおっしゃったけれども、これは準汚染米ですか、それとも四十八年度の分はまだ分析のことをおっしゃっていただかなかったけれども、どうなんですか。
  153. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) 四十八年度の一万二千トンは、ほとんどが準汚染米になると思います。  それから食糧庁といたしましては、分析は衛研がやった結果を基礎にいたして仕分げをいたしておりますということでございます。
  154. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうすると、富山の問題も、いまの御答弁によりますと衛生研究所等で当然やっていたわけですね。
  155. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) 富山の問題も、一以上の米が出る地帯のものにつきましては、当然政府といたしましても買い入れをいたしておりませんし、先般の発表のあった地帯の中で、二地域につきましては、すでに公表されている地域でございますので、一以上のものについては買い入れをいたしておらない。その他九検体、九地域のものにつきましては、一応現状で〇・四以上、一未満のものにつきましては、出庫を保留し、仕分けをしております。
  156. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうすると、千四百二十二検体のときに、もう完全なる分析がなされていたというふうに、いまの答弁からとれないんですがね、これはどうなんですか、富山の件については。全部最初から千四百二十二検体についておやりになったんですか。
  157. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) 食糧庁は、その結果で買いあるいは買わないということに判断いたしておりまして、県のほうの衛生研究所なりあるいは農業試験場なりの結果をもって出た数字で、県の結果を私たちは基準にしておるわけでございます。
  158. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 了解しました。この政府が保存している先ほどの米ですね、これはどういう倉庫ですか。先ほどの御答弁だと農協の倉庫、またそのほかにもあるような御答弁だったんですけれども
  159. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) 大体産地でございますので農業倉庫、中でも政府が指定をいたしております農業倉庫に保管をいたしております。ただ、一部配給操作の関係で都市に持ってまいって、その後結果の判明したものにつきましては都市における営業倉庫に一部入っております。
  160. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 四十七年度から考えると、倉敷料なんか相当なもんだろうと思うんですがね、こまかい質問になって相すまんですがね。
  161. 志村光雄

    説明員(志村光雄君) 御質問の金利、倉敷料等相当かかるわけですが、トン当たり大体一年に一万円程度かかることになっております。
  162. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは膨大なもんですけれども、これがきょうの本題ではございませんので、この程度で、あといろいろな問題がありますけれどね、次に進めていきます。  ついでに――ついでにと言っちゃ失礼ですけれども、これは総理に聞かなきゃわかりませんし、また宮脇全国農協中央会会長に聞かなければわかりませんけれども、昨日総理が会見をなさって、お会いになってから、生産者米価の問題、米価の早期決定について総理に要請に行ったようですが、これも報道だけで私は申し上げるんですから内容はわかりませんけれども、報じられているところによりますと、今年度は米価算定のデータが七月にならないととれないと。したがって、七月のできるだけ早い時期にならざるを得ないと、こういうふうに答弁をなさっているようなんですけれども、この米価の算定のデータがとれないということは、これは食糧庁の責任だと私は思うんですがね。これはデータ、とれないんですか。データ、つくれないんですか。
  163. 小野重和

    説明員(小野重和君) データの点でございますが、米の買い入れ価格をきめます場合にいろいろなデータが必要なんでございます。一つは生産費調査の結果でございますが、四十八年産米の生産費調査の結果は、大体まあ例年同じでございますが、六月の上旬ごろたいていのことがわかります。それから労賃でございますが、これは例年四月までの労賃をとっておるんでございますが、四月労賃が、これは労働省の毎勤統計でございますけれども大体二カ月ぐらいおくれる。したがって、六月下旬というようなことでございます。それからもう一つは農業。ハリティ指数、これを使うわけでございますが、特にこれは五月パリティ、五月までの分を使うんでございますが、こ一れが特に急がされておるんでございますが、六月二十日ごろ。こういう三つデータの出そろい状況というものがこういう状態でございますので、例年ですと大体七月ときめているということでございまして、そういう趣旨のことを総理がお答えになったんではなかろうかというふうに私ども考えております。
  164. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これはやろうと思えばできますね。この生産費の問題についても、それから労賃の問題にしても、大体春闘等でわかっておりますし、それから今日までの労働情勢、賃金問題等を考えていっても、早くはできると思うのです。五月の農業パリティの問題を、指数をやるにしても、これはもう長い間、何年、何十年となく続けてきている今日までのことから考え合わせて、このデータは私としてはそろえられないということはないと思うんですがね。ただ、例年こういうふうに大体見込んで、こういうふうにやっているから、どうしても七月以降じゃなければわからないんだという一つのきめた上の話でなく、考え方を変えていくような態勢でなければ、農家の言う田植え前にということが、発表してもらいたいということが、いつまでたったって実行できないんじゃないかと思うんですがね。こういう点についても、これは参考の意見だけ私述べておきますけれどもね、そういう面からお考えになることが私は適切じゃないかと思うんですが、どうでしょう。
  165. 小野重和

    説明員(小野重和君) やはりいろいろなデータでございますが、むしろ最近のデータを使うということのほうが、より適正なデータの使い方じゃないかという考え方を私どもは持っております。かりに田植え前ということでございますと、そのとるデータが相当前のデータをとらざるを得ないというようなことにもなるわけでございまして、それからもう一つ、米価の算定というものは毎年一定のルールでやっておりますので、やはりそのルールをくずすというのもいかがなものであろうかというようなことでございまして、先ほど申し上げたような手間労賃は四月まで、農業パリティは五月までというのが去年の方式でございますが、そういうルールに従ってことしも米価を算定するということでございますと、先ほど申し上げたような時期になるということでございます。
  166. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ルールを、型にはまったルールというのを御一考願いたいということを言っているわけです。そうしませんと、生産者、農家の方々の気持ちというものがいつまでたったって氷解できないと思うんですよね。米一俵が一万ちょっとばかりで、大工さん、左官屋さんの手間が東京付近ですと八千円から一万円ですね、日当が。そういうふうな大工さん、左官屋さんの手間が高過ぎるとかなんとか言うのじゃありませんけれども、米一俵の値段がそういう方々の工賃に匹敵するというぐらいな関係を考えてみましても、相当早く私たちの食糧を守ってくれている農家の方々に少しでもより有利な方向を考えてあげなければいけないという気持ちの上から申し上げているわけですから、これはまたきょうの課題の中に入っていませんので、一言私の考えていたことだけを申し上げておきます。  時間がもうすでに過ぎ去ってしまったので、まだこれから本題に入っていろいろ長官にもお伺いしたいわけなんですが、最後に一つだけお伺いをして、長官のお考えを聞いた上で、私の質問を終わりたいと思います。  この趣旨説明にもありましたように、今後の環境行政を適切に運営をしていくために今度は新規にやったことだから、これで一応やってみるというふうに先ほど御答弁がありましたけれども、この具体的な例を、随所に同時に起きてくる事件が一ぱいあると思うんでございます。そうしたときに、今日の配置でいいかどうかというと、私としては見通しが少し甘いんじゃないか。まあ人をふやすということはある面においてはいけない面も出てまいりますけれども、事が事だけの問題を処理するだけに、私は熟考が必要じゃなかったんだろうかということを申し上げたいんでございます。長官のお考えを重ねてお伺いして、質問を終わりたいと思います。国務大臣(保利茂君) 冒頭にも申し上げましたように、環境行政がわれわれ国民生活を守っていく上にきわめて大事な任務を持っている。したがって、環境行政というものはますます充実されていかなければならないという考えを強く持っておるわけです。で、今回、まあ試行的にとにかく実施さしていただいてみたいということで御審議を願っておりますが、環境庁長官がこの新しい機構をどう生かしていただくか、また、どういう事業量が実際持たれるようになるか、そういうことをごく慎重に見きわめて、今後のあり方についてはさらに検討をしていかなければなるまいと、こううふうに考えておるわけでございます。
  167. 中村波男

    中村波男君 まず、行管関係から質問に入りたいと思うんです。  さきの国会におきましては、行政管理庁長官の所信表明演説の中で、当委員会における所信表明でありますが、行政組織及び行政運営の改善に関する諸問題について基本的な考え方が説明されておりましたけれども、今国会では行政改革計画については全く言及されておらない。また、田中内閣の発足以来、行政改革に対する具体的な動きも見られない。そこで、まず、基本的な行政改革についての政府の態度についてお聞きをしておきたいと思うんでありますが、田中内閣の行政改革に対する姿勢、方針はどのようなものがあるのか、長官から御説明をいただきたいと思います。
  168. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 御承知のように、総理大臣の施政演説にも行政改革に関する事項は触れておられないんじゃないか、したがって行政改革に対する内閣の熱意がないんじゃないかというような、あるいはそういうふうな誤解を持たれるかもしれませんけれども、私はあまりはでなことはきらいなほうでございますけれども、ますます行政需要が多様化し、複雑化してくるこの中において、国民のためにいかに簡素な、しかも親切な行政が全うされるようにするかということは、これはたいへんな努力が要ることだと私痛感いたしておるようなことでございます。したがって、ますます多様化する行政需要に応じて、どうしても要るところはふやさなければならない。それだけに、やっぱり幾らか緩慢になってきているところは節約を願って、そして再配分によって行政の能率、簡素化というものを、そして国民に対する行政コストというものをできるだけ押えてまいるということに尽きると思うんでございます。そのことにつきましては、行政管理庁としましても、内閣としても、強く熱心にこの四十八年度予算編成時でも見ていただきますように、貫いているつもりでございます。この方針は今後とも貫かねばならない基本的な態度だと、こういうふうに私考えておるわけでございます。
  169. 中村波男

    中村波男君 長官の御答弁によりますと、決して熱意がなくなったわけではないんだと。したがって、新しい需要にこたえるためには、私も新設をする、局や課ができるということをまつこらから否定するものではないわけであります。しかし、どうも田中総理のいろいろな新聞発表等に上りますと、行政改革というものの考え方は、結局膨張する方向方向へと出ておるような感じがするわけであります。ムードとしてあるわけであります。これ、よい機会でありますから確認をしでおきたいし、特に私がこの場でこのような質問かするのも、保利長官は自他ともに大もの長官でふり、実力長官でありますからお聞きをするわけでありますが、田中総理が四月三十日の中小企業者大会でいろいろなことをお述べになっておるわけでありますが、中小企業庁の省への昇格、住宅省の新設構想を述べられまして、それを受けて官房長官は、「従来から懸案とされている中小企業行政の一元化と同時に、新たな経済環境の中で、業界の合理化などを一層促進することなどが中心の課題」であり、「住宅省については、厚生、通産両省や環境庁などの発想も入れ、従来と違った次元で住宅問題を取り上げる時期にきている。」とおっしゃっておるわけであります。そういうことをいろいろ新聞その他で述べられておるわけでありますが、中小企業省あるいは住宅省を新設されるということは、閣議等で相当協議をされて政府の方針としてきまっておるのかどうか、その点ひとつ長官からお聞きしておきたい、こう思うわけです。
  170. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) そのような総理発言があったということは、新聞で私も承知をいたしておったわけでございますから、あるいはそういうことが内閣施策の中で具体的に考えなければならないようなことになるのかなというような感じもしておりましたけれども、それはそのままでございまして、のみならず、中小企業の行政充実につきましては、この国会でも通産省設置法の改正を御審議いただいており、そうして中小企業、小規模企業部を新たに設ける。問題は、要するに小規模企業の振興をどうしてまいるかということに中心があろうと思う。したがって、中小企業――通産省設置法を改正したぽかりでございまして、ごたごた言うことはございませんけれども、中小企業省の設置問題あるいは住宅省の設置問題が正規の内閣の課題として取り上げられているという事実は今日ではございません。官房長官もそういう発言があったようですから、そういうことであれば行政管理庁としては格段の勉強をしなければならないわけでございますけれども、私のほうではまだ具体的に何らの検討もいたしていないということで御了承願います。
  171. 中村波男

    中村波男君 いま長官から今日までの経過について、長官として御承知になっておる点をお聞きしたわげでありますが、少なくとも官房長官が総理の発言を受けて、「とりあえず、中小企業庁の昇格問題を中心に、来年度予算編成の大きな柱になるだろう」と、こういう発言をなさると、もう来年度は中小企業庁が省として昇格するんだ、こういう印象と、もともと中小企業者の中には省への昇格という強い要望、要請があるわけでありますから、たいへんな期待を寄せておりますが、必ずしも実態というのはそういう来年度、庁から省に昇格するような準備、あるいは予算編成の中心になるなどというような状況にないように思うわけであります。だとすると、これは七月の参議院選挙目当てで全く政治的発言である。極端な言い方をすれぼ利益誘導的な発言につながるとも言えるのではないかとさえ思うわけであります。したがって、こういうことはよほど慎重に発言をしていただきませんと、政府として私たちは適切な発言ではない、こういうふうに思いましてお尋ねをしたわけでありますが、できるだけこの問題についてははっきりとしていただくように、保利長官からも閣議等でぜひひとつ発言を願って明らかにしていただけたらと思うんですが、いかがですか。
  172. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これはお互いに政治と取り組んでおりますと、たとえば中小企業省――一部と思いますけれども、きわめてあなたのおっしゃるように熱心に中小企業省を設置すべきであるという強い意見も一部にあるわけでございます。また、住宅問題が大きなわれわれの課題になっておる。これがどうも遅々として進まない。それにはやっぱり思い切って住宅省をつくったらどうかという意見もないわけではもちろんないわけであります。したがって、そういう問題を、今度は政治家としていろいろなテーマを国民に――特に総理は、私はそうだと思うんですけれども、そういうテーマを国民に投げかけて、そして世論の動向を見てこれを施策に取り上げていくというような意図からではないかというように私は理解しておるわけです。しかし、お説のようなきわめて重要な誤解を生むようなことになりますとたいへんでございますから、やっぱりこの種の問題については十分根回しをして、検討をして、そして結論を見出していくようにしなければならない。中小企業省の問題にしましても、あるいは住宅省の問題にしましても、省さえつくれば中小企業問題が片づくというわけの問題でもない。住宅省をつくったから住宅問題がすぐ片づくわけのものではないわけです。問題は、要するに中小企業行政をいかに充実していくか、住宅問題をいかに解決していくかということに重点を置いていくべきだと私は考えております。お説のことはきわめて有力な御意見でございますから十分考えさせていただきます。
  173. 中村波男

    中村波男君 まあ、本題の質問ではないわけでありますが、自民党の幹事長が発言をされたのとは違いまして、少なくとも総理の発言でありますから、総理が発言をされるということは、政策的にも、また予算的にも裏づけられた発言でなければならぬと私は思うわけであります。そういう意味検討するというような表現ではないわけでありますから、そういう点については、本来なら総理にただしたいところでありますが、この機会でありますから長官にお尋ねをしたわけであります。  次は、政府は、四十三年の「行政改革計画(第一次)について」、同じく四十四年の「行政改革計画(第二次)について」、さらに四十五年の「行政機構の簡素合理化の推進について」をそれぞれ閣議決定をされまして、その後、この閣議決定に基づいていろいろな関係法案が提出され、国会で成立をいたしまして今日を迎えておるわけでありまして、いずれも実質的な改革に私は結びついていないのではないかという疑問を持つのであります。実質的な改革に結びついていないどころか、田中総理は、いま私が指摘いたしましたように、住宅省とか中小企業省構想と、次々と新機構を打ち出しておられる中で、もう一度長官にお尋ねいたしますが、行政改革の実施についていろいろむずかしいことはよくわかりますが、しかし、行政管理庁としては今後の行政改革の推進についてどのような構想と計画をもって対処されようとしておるのか、もう一度明らかにしていただきたいと思います。
  174. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 冒頭に申し上げましたように、いかにして多様化し、複雑化する行政需要に対して、国民の利益のために、行政コストを押えて、しかも行政需要を消化していく、他面、機構、定員等をできるだけ押えて、そしてこれにこたえていくということが、私は平たく申して行政機構改革に臨む基本的な態度でなければならぬということをいま強く感じておるわけでございます。  ただいま、四十三、四年当時からの、さまざまの、いろいろのことが行なわれたけれども、たいして実績があがっておらぬじゃないかというお疑いのようでございますから、この点につきましては、決して自画自賛するわけじゃございませんけれども、私はたいへんな実績をあげてきておると、実は私はそう評価しておるわけでございます。一ぺん、管理局長が参っておりますから、管理局長から具体的に説明を申し上げたいと思います。
  175. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 第一次、第二次の行政改革計画の結果につきましては、一応昭和四十六年度でもって計画年度が終わったということによりまして、四十七年の六月の二十七日に閣議に報告をいたしてございます。これによりますと、たとえば先生指摘の許認可等の整理の問題につきましては、九〇%以上の整理の実をあげておりますほか、事務の委任、移譲の点につきましても、五百十五件中四百四十七件、八七%。補助金等の整理につきましても、四十四――四十七年度で合理化件数千四百十一件、金額にいたしまして六百六十七億円の合理化を行なっております。また、審議会等の整理につきましても、二十六件中二十五件の整理統合を行ないましたし、地方支分部局の簡素合理化の計画、たとえば農林省統計調査事務所の地方農政局への統合とか、あるいは各出張所の統合等、各省庁にまたがっておりますものにつきましても、今日までじみちな努力をいたしておりまして、相当の成果をあげているのではないかと考えております。ただ、当時の閣議報告においても出してございますように、それらの事項はおおむね実施されたわけでございますが、なお検討事項として残されたものもあることは先生指摘のとおりでございまして、それらの中には、たとえば昨年度まで国会に提案され、まあ今年度は一応国会等の御意思を踏まえまして、あらためて検討するという意味において提案を差し控えております国家行政組織法の改正による簡素化の問題等、なお検討すべき重要問題が残っていることも事実でございますが、いずれにいたしましても、そういうものを継続検討いたしながら行政改革を進めている点については変わりはないという状況でございます。
  176. 中村波男

    中村波男君 許認可業務等の整理には相当な成果があがっておるということは私は認めるものでありますが、概括的に大きな成果をあげておらぬのじゃないかということを申し上げたのを裏づげるものとしては、四十四年七月十一日の閣議決定の際に、検討事項とされた諸点が幾つかあったわけでありますが、それをでき得ますならば、各項目ごとに、その後の実施状況並びに検討進捗状況をこの機会にお聞きをしてみたいと思うわけであります。
  177. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 検討事項の処理状況はかなり広範にわたりますので、詳しく御説明申し上げると時間がかかると思いますが、まず許認可及び報告等の整理につきましては、先ほど申し上げたようなことで、先生も御指摘のように、かなりの成果をあげている状況でございます。また、事務の民間委託の問題につきましては、各省庁の単純労働事務、技術的事務については逐次実施をいたしております。また、定員審査等にあたりましても、その促進に留意をいたしておる状況でございます。なお、この際、給与支払い事務の合理化及び民間自動車の活用の問題等が指摘されておりますが、これはいろいろの問題点がございまして、なお実施されておりません。  電子計算機の利用の促進につきましては、省庁間のデータの有機的、多角的利用の推進等も進めておりまして、たとえば統計データバンクシステムにつきましては、総理府統計局が中心となって進んでやっておりますし、その他総合経済情報データバンクシステムについては経済企画庁、国土開発情報データバンクシステムについては建設省が鋭意これに取り組んでいるという状況でございます。また、各省庁共通業務についてのシステム開発につきましては、大蔵省が会計事務機械化システム、さらに工業技術院を中心といたしまして人事管理システム、物品管理システム等の調査研究がいま進められている状況でございます。  第三に、電子計算機及びファイルの共同利用並びに各省庁間ネットワークに関する研究開発につきましては、まず当面省庁単位の電子計算機の共同利用計画を大蔵省、通産省、農林省等で進めておられるわけでございまして、それから各省庁間のネットワークの問題につきましては、行政管理庁と郵政省で共同研究をただいま実施いたしております。  四番目に、各省庁におけるデータ記録媒体、ソフトウェア、データコード、各種事務処理方式等に関する標準化の問題につきましては、工業技術院におきまして、全体的な標準化の一環として府県コードのJIS化等を行なっておりますほか、各種データコードの標準化の問題を行政管理庁が中心となり、さらに住所コードにつきましては自治省が中心となって調査研究をいたしております。なお、そのほか電子計算機要員の確保と養成、さらに電子計算機利用の高度化の推進体制の確立等につきましてもそれぞれ研究会等を設けて推進をいたしております。  第五点でございますが、先ほど申し上げました国家行政組織法の改正問題については、ただいまあらためて検討をいたしておる状況でございます。それから法務省の法務局及び地方法務局の出張所の整理統合の問題につきましては、現在まで相当数の整理統合が行なわれている状況でございます。  次に、厚生省の国立病院及び国立療養所の再編整備の問題でございますが、これにつきましては、一応厚生省の現在の考え方といたしまして、国立病院は主として地域医療の基幹的存在として、また国立療養所は胸部疾患を中心に、精神疾患、脊髄損傷、脳卒中後遺症、重症心身、筋ジストロフィー等慢性疾患を担当する医療機関として再編整備を行なうというたてまえのもとに現在これを推進いたしている状況でございます。  七番目に、法令の整理という項目がございまして、目的達成、使命終了と目される法律の廃止、統合という問題が掲げられておりますが、一応最初から限時立法的な扱いとしているもの以外に、許認可整理法によって四件の廃止が行なわれております。それから法律事項でないものの整理と行政事務簡素化等のための整理につきましては、一応各省の法律原案の作成ないし内閣法制局の審査にあたりまして、この方針を厳に順守するようにいたしている次第でございます。  八番目が、中央、地方を通じての行政改革の推進に資するための行政事務の委譲、行政運営の改善検討でございますが、この問題につきましては、自治省から地方行政の合理化に関する行政改革意見というのが出されまして、これによって提起されましたもののうち、行政改革本部に報告された事項につきましては、その実施につとめているところでございまして、報告事項三十事項のうち、実施済みあるいは実施中のもの二十二事項、検討中のもの、その他八事項となっております。  次に、運輸省の陸運行政機構の改革の問題でございますが、これも大綱についてはおおむね検討を終えっっございますが、今後残された問題点について協議を行ない、結論を待って関係法律の改正問題に取り組みたいというふうに考えております。同じく労働省の地方労働行政機構の問題につきましては、地方労働行政機構の基本的な変更を内容とするものでございますので、なかなか早急に結論を出すごとが容易でない状況にございまして、地方事務官問題等と関連いたしまして、今後問題点の打開につとめる必要があるというふうに考えております。  なおそのほか、方針及び措置について検討を要する事項といたしましては、船舶登記事務と船舶登録事務の一元化等の問題がございますが、これらにつきましては、今後の検討にまちたいというふうに考えている次第でございます。一応そのほかに厚生省及び労働省の保険料徴収事務の一元化の問題がございますが、まず労働保険の徴収一元化の問題を達成いたしまして、全体の一元化に向かっての努力を続けていく次第でございます。さらに、内閣及び総理府の総合調整機能及び企画立案機能の問題につきましては、御承知のように現在国会に内閣参与の制度を御提案申し上げまして、この総合調整機能及び企画立案機能の強化をはかる一助といたしております。なお、さらに農林省の国有林野事業の経営の効率化の問題がございますが、現在全体としての国有林野事業の見直しが行なわれておりますので、その一環として検討を続けるということになっております。  それから郵政事業の経営の効率化の問題及び地方支分部局の整理再編成の問題につきましては、まず経営の効率化につきましては、一応法律改正を待たずして、当時予定されておりました合理化事項が達成されている状況でございます。さらに、その地方支分部局の整理再編成の問題につきましても、やはり地方支分部局の整理再編成についての閣議報告に基づきまして、地方郵政監察支局を監察事務所に改める体制をとっておりますが、これは全体とのかね合いがございまして、現在までのところ行なわれておりません。  なお、最後に戸籍訂正許可事務の一元化の問題がございますが、この問題につきましては、なお法務省と最高裁側の意見調整が行なわれておりませんので、近い将来進展を見る見込みはございません。  以上たいへん乱雑に申し上げましたが、御報告を申し上げました。
  178. 中村波男

    中村波男君 いまの御報告の中にもありましたように、地方事務官の廃止問題は片づいておらないということでありますから、この問題についてこの機会にさらに確認をしておきたいと思うわけでありますが、五月二十七日の新聞で報じられております事柄でありますが、去る五月の十七日に衆議院地方行政委員会で、地方自治法の一部改正法案の可決の際に、「地方自治法附則第八条の職員」、すなわち地方事務官については、「昨年十月、行管・運輸・厚生・労働・自治の五大臣間において合意に達した「速やかに結着をつける」との内容に基づき、昭和五十一年三月三十一日を目途として地方公務員とするよう努めること。」と、私が言うのも何でありますが、かかる国会の決議としては、従来にない明快な文言をもって決議されているのであります。これに対しまして、運輸、厚生、労働の三省が自民党政調の各部会を動かしまして猛烈な巻き返しを行なっているという旨の興味しんしんたる新聞報道がなされておるのであります。  かかる事態を生ぜしめるのも、私に言わしめますならば、この長年の問題でありました地方事務官問題に対して、行管庁が責任ある解決に乗り出さずに今日に至らしめたのではないかとさえ思うのであります。御承知のごとく、地方事務官制度は、昭和二十二年地方自治法附則第八条で官吏の身分に関する経過措置として、「政令で定める」、すなわち、健保、厚生年金、職安、失業保険、陸運関係事務等――「事務に従事する都道府県の職員は、当分の間、なお、これを官吏とする。」と規定され、この「当分の間」が三十年近く続いておるという実態であるわけであります。  そこで、まず最初にお尋ねしたいのは、この地方事務官の数は現在どれだけあるのか、できれば業種別にこの機会に御報告を求めるものであります。
  179. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) お答え申し上げます。  まず、厚生省関係でございますが、県の課と並びに社会保険事務所を合わせまして、昭和四十八年度末で一万四千六百九十三名、これが昭和四十九年度における増減がございますが、予定されているところでは、一万四千八百十六名になる予定でございます。次が、運輸省の陸運事務所の関係でございますが、この関係昭和四十八年度末に二千五百二十二名、昭和四十九年度末には二千六百三十八名になる見込みでございます。第三番目が労働省の関係でございますが、これは県の課の関係でございますが、二千二百五十七名が四十八年度末の定員でございまして、四十九年度末の見込みが同じく二千二百五十七名ということを予定されております。したがいまして、これを合計いたしますと、約一万九千四百名程度の者が現在四十八年度末でおるという状況でございます。
  180. 中村波男

    中村波男君 私も個々の地方事務官について全部廃止するのがよろしいなどと考えておるものではないわけでありますが、しかし、政府立場からいうならば、いわゆる臨時行政調査会が昭和三十九年九月の答申において、地方事務官制度の廃止を答申したのを受けて、当参議院の内閣委員会におきましても昭和四十三年十月、第五十九国会でありますが、本問題を取り上げ、時の木村武雄行管庁長官に質問をいたしておるのであります。その議事録によりますと、木村行管長官は、「地方事務官制度は、廃止するということはさまったのです。どういうようにその廃止後を片づけるかという問題についてはまだ意見の調整ができていないのでありますが、ともかく廃止するという根本方針だけは片づけた。」「運輸事務官の問題は、それから厚生、労働省の事務官の問題は、同時に片づけたいと私は思っております。」と、答弁をしておられるのであります。そして当時、すなわち昭和四十三年、木村行管長官と運輸大臣、労働大臣、自治大臣の間で、陸運行政について並びに労働行政機構の改革についての覚え書きがかわされたいきさつがあるのであります。したがって、木村長官時代も解決を見ることができずに、当委員会での答弁というのは今日ほごになっておるわけであります。  また、昨年十月、福田行管庁長官時代にも、齋藤厚生、加藤労働、新谷運輸、江崎自治各大臣間に、すみやかに決着をつけるとの申し合わせができたのでありますが、やはり今日まで解決を見ずに至っておる。こういう経過の上に立ちまして、保利長官に決断を促したいと思うわけであります。いま私が指摘した経過等からして、自治省は別としまして、労働、厚生、運輸三省の意見を聞いておられたのでは、廃止という結論は出ないんじゃないかというふうに思うわけであります。問題は、行管庁がリーダーシップをとりまして、行司役となって片づけてもらう以外には解決の方法はないんじゃないか、さいぜん指摘いたしましたように、衆議院の地方行政委員会で全会一致で決議がされておるのでありますが、この決議をどういうふうに行管長官として受けて、この決議にこたえようとされておるのか。先刻も申し上げたように、何といっても保利行管庁長官は自他ともに許す大もの大臣、実力大臣なのですから、今度こそはという期待にこたえていただけないだろうか、保利長官の御所信をこの機会にお伺いをいたしておきたいと思います。
  181. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) この問題について、木村長官時代のことも、また前長官の時代、特に昨年十月に関係各省の各大臣との協議を持たれて、そしてできるだけ早く解決をしたいという姿勢を示され、自来、関係各省の官房長連絡会議等しばしば開催して今日に至っておるわけです。私の承知しておりますところでは、とにかく自治大臣が、運輸、労働、厚生の各大臣と詰めてみようという努力をたいへん払われておるようでございますが、いま中村さんからお話しのように、なかなかこれは「当分の周」が今日に至っておるようなことで、私として非常に感じますことは、なるほど機構の姿をどうするかという問題もさることであるけれども、こういうことのために対象となる国民が迷惑をしておるということであれば、これは私は勇断をふるうわけにはいきませんけれども、それは総理大臣に勇断をふるってもらわなければならぬと思うのです。いままでは、これは見方見方によろうかと思いますけれども、どうも権限、なわ張りのほうに少し頭が行き過ぎておるんじゃないか、実際受けておる行政の対象となる国民のほうは、一体どうなんだということが、私は「当分の間」が「当分の間」として今日に至ってきておるもとじゃないかというように感じております。しかし、この問題は、すでに今国会の両院の地方行政委員会でああいう決議もされておりますから、ひとついまお話しの趣意に沿って、とても私が勇断をふるうような問題じゃございませんけれども政府内部において解決に努力するようにいたしたいと考えております。しかし、基本的には、私にはそういうふうな頭が一つあるので、そのこともあわぜて率直に申し上げておきます。
  182. 中村波男

    中村波男君 長年の懸案が未解決のまま来たのは、一口で言えば、なわ張りが災いしておるというふうに見るべきだと思うわけです。したがって、保利長官としての御見解を承りまして、どうかひとつ、長官ならできることだと私は確信をいたしますので、勇断をひとつふるっていただくように、重ねて要望を申し上げておきたいと思います。  ただいま昭和四十四年七月十一日の閣議決定の際の検討事項の実施状況等についてお尋ねをいたしましたのも、ただ行政改革を題目として終わらせないためにも、閣議決定というものがどうなったのか追跡調査をした上で、さらに新しい行政改革へ進んでもらわなければ成果はあがらないのではないかという私の認識からお尋ねをいたしたわけであります。  この機会にもう一つお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、昭和四十五年十二月の閣議報告、「地方支分部局の整理再編成について」は、その後どのような進捗状況になっておるかお伺いいたします。
  183. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 昭和四十五年十二月の「地方支分部局の整理再編成について」の閣議報告の実施状況でございますが、まず全体として申し上げますと、七十回国会におきまして、整理のための設置法改正案が廃案となりました三省庁の府県単位機関、すなわち行政管理庁の地方行政監察局、法務省の地方公安調査局、大蔵省財務部の廃止問題を除きましては、逐次整理統合が進められている状況でございます。省庁別に申し上げますと、まず大きなところといたしまして、農林省の統計調査事務所の出張所につきましては、昭和四十六年度以降五年間以内に六百八カ所を四百五十所に整理することとされておりますが、四十六年度から四十八年度末までに計百三十三カ所の整理がすでに行なわれております。次に、同省の食糧事務所の出張所につきましては、将来全廃する方針のもとに、さきの期間内に二千七百九十五所の約八割、ざっと二千二百四十所になるわけでございますが、これを整理することとされておりますが、四十六年度以降四十八年までに計千四百四十所を整理いたしました。また、運輸省の海運局関係の出張所につきましては、同期間内に三十四所を全廃することとされておりますが、現在までに計二十六所を整理いたしております。そのほか、こまかなところは省庁別にございますが、これについては説明を省略させていただきます。
  184. 中村波男

    中村波男君 第二次の定員削減計画は今年度をもって終了するわけでありますが、それに続く第三次定員削減計画を行管庁は計画しておられるのかどうか、第三次定員削減計画というのはどのようになるのか、明らかにしていただけないものだろうかと思うのであります。
  185. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 非常に困難な中に各省庁とも積極的な御協力をいただいて、第一次、第二次の定員削減計画はおおむね所期のとおりに進められてきております。一方、状態はどうかといいますというと、国立大学の新設等相次いできているというようなこともありまして、定員の需要というものは一方においてはますます旺盛になってきている。かなり今日まで再配分で窮屈になってきておるこの現状を認めないわけにはいかない。したがって、この現状の上に立ちまして、できるだけひとつ国民の要請である行政の簡素化、行政コストの抑制ということに向かってやっていかなければならぬと思いますけれども、まだ具体的な検討を始めておらないわけでございますから、そういう考えではやらなければならないという基本的な態度だけ申し上げておきたいと思います。
  186. 中村波男

    中村波男君 定員削減を実施する、第三次を来年度から発足させるにあたって、私しろうとでありますが、二つの問題があるのじゃないかと思うわけであります。一つは、いま長官が指摘されましたように国立諸学校、特に国立大学増置計画に伴う教職員の増加、また航空輸送の増大に伴う航空保安関係の要員増、社会福祉関係の看護婦、あるいは福祉施設関係の要員増、物価対策のための価格調査官等の新設に伴う増員、登記事務、特許関係事務等々、何としても要員を確保していただかなければならぬ、新しい人員を要求しておるのにどうこたえるかという問題があるわけであります。したがって、従来からわれわれが申し上げてきましたように、なま首を切らない形で人員を整理するということについてむずかしさがあるというふうにも思うわけであります。  次は、人事院が昨年の勧告の中におきまして、昭和五十年度実施を目途として週休二日制の具体的検討を進めるとしております。また、人事院が昭和四十八年十月における民間企業の週休二日制の実態状況を調査しました結果、約半数が実施しているとのことであって、ことしの勧告は前向きのものが期待されるのであります。そこで、この公務員の週休二日制は定員削減計画にどのような影響を及ぼすのか、すでに行管庁で検討されていると思うのでありますが、その検討結果をきょうここで御説明いただくわけにはまいらないものでしょうか。
  187. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 一般的に申しまして、週休二日という問題がいっかは公務員の問題として取り上げなければならないということは私どもも感じておりまして、勉強は進めておりますが、率直に申しまして、第一には、いわば週休二日制の採用に伴って、基本的に公務員が増加するということに対する国民的な感覚がどうであるかという問題もございますし、また、かりにそういう問題を乗り越えまして、どうしてもやむを得ない、たとえば交替制勤務で勤務いたしております職員等の増員について、ある程度の措置をとるといたしましても、その場合に、いわばどのような時点で、どのような態様で導入されていくかというような問題、ことに具体的な問題を考えますと、たとえば航空管制官のように二年間の養成計画が必要であるというような問題、そういうような問題、いろいろ考えませんと、具体的にどういう形で、どういう増員問題が出てくるかという点について、なかなか具体的な結論ということは出しにくいのじゃないかと、現在私どもといたしましては、週休二日制に伴って生じます定員管理上の問題点をぼつぼつ洗っているという状況でございます。したがいまして、その結果について御報告を申し上げるというところまでは残念ながら至っておらないという状況でございます。
  188. 中村波男

    中村波男君 第三次の削減計画についての御答弁がまだなかったと思うのでありますが、従来第一次、第二次定員削減計画とも、人事院給与勧告の実施をきめる閣議決定の際に同時決定をされてきたいきさつがあったと思うわけです。今度も近く出されるであろう人事院勧告に対する政府の態度決定までに、この定員削減問題を決着つけなければならないのではないかというふうに思うのでありますが、この関係はどうですか。
  189. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 第一次のいわゆる三年、五%を決定いたしました時期は、人事院勧告とは関係なく、たしか昭和四十二年十二月であったと思います。それで第二次の定員削減計画を決定いたしましたのは、たまたま第一次定員削減計画実施の第二年度でございます昭和四十五年度においてすでに決定いたしておりまして、そういう意味におきましては、人事院勧告の受諾とこの問題とは必ずしも時期的に同じものでなければならないというふうには私どもは考えておりません。基本的に申しますれば、五十年度以降の問題でございますので、その予算の編成がうまく行なわれますような形でこういう問題についての結論を出す必要があるであろうというふうには考えております。
  190. 中村波男

    中村波男君 人員削減計画の第一次、第二次を振り返ってみて感じますことは、五%削減ということになると一律的に五%削減が行なわれる、そこに無理が出てきておるのではないかというふうに思うわけであります。そこで、行政管理庁として、行政需要の計量化等について十分調査をした上で、そうして新しく必要とするところは定員法をやはり修正いたしましてふやす、また不要不急とまで言わなくとも、やはり計量化調査等によって、俗なことばで言うひまなところは減らす、こういうふうにやらないと、末端では特にそのしわがまいりまして、人員不足による行政能率の低下、あるいは業務、事務の渋滞化というのが出ておるのであります。そういうことについてのお考えはいかがですか。
  191. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) まず、第一点でございますが、定員削減が一律に行なわれているのではないかという点でございますが、これはすでに先生承知のように、職種別に検討をいたしまして、どうしても現在緊急度が高く、かつ削減の困難であるものについては削減率を低く、一般的な職種については削減率を高くするというような配意をいたしておるところではございます。ただ、確かに先生指摘のように、それじゃそういう同一職種の中でさらに行政需要の消長に応じて、いわば人員の再配置が行なわれるような計量化というものが望ましいということは、私どもも同感でございますが、現業的な職種につきましては、確かにそういう問題については計量化になじみやすく、かつ、いわば査定しやすいという問題はございますが、なかなかデスクワークの面等につきましては、そういう点、非常にむずかしい点がございます。ことに、各省庁間にまたがりましてそういう面の検討をいたしますということは非常にむずかしい面もございますので、私ども非常に苦慮いたしながら、そういう面については鋭意努力は続けているつもりではございます。
  192. 中村波男

    中村波男君 いま御答弁がありましたように、私しろうとなりに考えましても、定型的な業務のところについては計量化調査等はやりやすいわけでありますが、その他はなかなかできないというそういう点はありまするけれども、できるだけやはり人員削減等にも科学的な根拠を取り入れてやらないといけないんじゃないか、こういうふうに考えて意見を申し上げたわけであります。  次に、国家行政組織法に対する基本的な考え方について、今回の附則で措置をされたことについて大いに私は疑問を持っておりますので、ただしておきたいと考えるのであります。私が言うまでもなく、国家行政組織法は、第一条に規定しておりますごとく、「この法律は、内閣の統轄の下における行政機関の組織の基準を定め、」云々と、その目的が宣言されておるのでありますが、行政組織の基準法であり、これは基づいて各省設置法ができ上がっているのでありますから、設置法の憲法ともいうべき私は法律だというふうに認識するのであります。そうしてこの設置法の憲法たるべき国家行政組織法の管理を行政管理庁が所掌しておられることも間違いないわけであります。そこで、本法案のごとくに、現行法では認められていない国務大臣を長とする外局の局のうち、部の設置を行なう、附則でそのための国家行政組織法の改正を行なうというのは、まさに私は本末転倒であろうと思うんであります。行政管理庁長官に対して、この際ぜひともこのような本末転倒ともいうべき国家行政組織法の取り扱い方に対しまして所信を伺っておきたいし、今後こういう例を当然として措置されるようなことがあるのかどうか、あわせてお伺いをいたします。
  193. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 若干法制技術的な面にわたりますので私から御答弁さしていただきますが、今回は環境庁設置法及び行政管理庁設置法の改正案の附則に国家行政組織法の改正規定が入っておりますが、これは衆議院の御修正によりましてここに入れられましたので、それ以前に私どもは国土開発庁、いわゆる改正されました国土庁の設置法の附則で入れたことについての御説明を申し上げたいと思います。  確かに、先生指摘のように、国家行政組織法は国の行政組織に関するいわば憲法的なものでございまして、その意味におきましては、附則で改正することはいかがかという御趣旨もよくわかります。ただ、現実の問題といたしまして、たとえばそういう大臣庁に新しく従来認められなかった局中の部につくるというような問題を考えましたときに、なかなか現実の問題として、一般論で御提案申し上げてもなかなかむずかしい問題がございます。と申しますことは、現実の需要ができてまいりまして、この庁の局にこういう部をつくらなければならないというような実態的な情勢ができまして、そういうものを踏まえて御提案申し上げないとなかなか御賛同を得にくいというような事情もあろうかと思います。では、逆に、それじゃ個別の法律でそういうものを、かつて防衛施設庁に局ができたりしたときに行なわれておりますが、まず個別法が優先いたしまして、そのあとで一般的な憲法的なものである国家行政組織法の改正を行なうというような議論をいたしますと、これまたなかなか御議論がございます。  したがいまして、いわばこういった改正というのは、やはり現実論としては同時的に行なわれないとなかなか御賛同を得にくい問題があると、そういう点がございまして、法制技術的にいろいろ苦慮いたしまして、内閣法制局とも御相談申し上げまして、たまたまいわゆる国土庁の設置といまの国家行政組織法の改正がいわば緊密な関係がございますし、また国土庁自体が単独法として提案されたという状況がございますので、新規の単独法として提案されたという事情がございますので、附則で整理するという形をとらせていただいたということでございまして、いわば立法技術的なやむを得ない方法として私ども考えた次第でございます。こういう形がいいかどうかにつきましては、確かに国会でも、前から衆議院段階でも御議論ございましたので、今後の問題としてはさらに慎重に検討をいたしたいと考えておる次第でございます。
  194. 中村波男

    中村波男君 私は、どこまでもその発想というのは便宜主義で、今度の措置というのは本末転倒だと思うんです。ましてや憲法だという認識をお持ちになるのであるならば、行管庁としては、こういう措置というのはできるだけ抵抗するというか、認めないというか、そういう方向をおやりにならぬと、行政組織法というのは全く空文化されてしまう。ある面においてですね。そういうことを私はおそれて指摘をいたしたわけであります。したがって、こういう例は今後もどんどん開いていくんだというような考え方であるならば、これはやはりそういう考え方というのは改められるべきであるというふうに思うわけであります。その点長官からひとつ、…。
  195. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 中村さんの御所見、傾聴しなければならないと思っております。したがいまして、政府委員も十分自後慎重に検討いたしてまいるということを申しておりますから、いずれにいたしましても、まあこの種の各省設置法ないし行政組織法、両院の内閣委員会で御審議になるわけで、権限はそこにあるわけでございますから、したがって、まあ何か附則で扱っているというので、行政組織法をえらい軽く見ておるんじゃないかというような御疑問をいただくどいうことははなはだ本意でないところでございますから、ただいまの御注意等十分体しまして、慎重にやっていくようにいたしたいと考えてます。
  196. 中村波男

    中村波男君 次に、主として環境庁関係に質問を移してまいりたいと思います。  環境庁設置法の改正案を提案されるにあたりまして、環境庁としては環境保健部でなくて環境保健局を要求しておられたといういきさつがあるように聞くわけであります。しかし、まあ認められなかったのでありますが、業務量は現在の環境保健行政の事務量に比較いたしますとかなり多くなるし、またこのような環境保健部が新設された以上は、人員的にも増員をしないと、全く中途はんぱな機構に終わるんじゃないかということを私は考えておるのであります。したがって、将来、部から局への昇格ということは考えておられるのかどうか。また、そういう要求をしていくという考えがあるのかどうか。いかがですか。
  197. 信澤清

    政府委員信澤清君) ただいま先生からお話しございましたように、昨年の八月末のいわゆる予算の概算要求の段階におきましては、私ども局の要求をいたしたことは御指摘のとおりでございます。その後いろいろ御相談をいたしました結果、今回のような部ということに政府部内としては意見の一致を見たわけでございますが、お話しのように、この部では昨年の国会で成立を見ました公害健康被害補償法という新しい法律を施行いたすわけでございます。従来のような医療救済だげじゃございませんで、生活保障の面にわたった幅広い保障を行なうわけでございますので、当然それに伴う事務量等もふえてまいります。また、これまた昨年の特別国会で成立いたしました化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、これは通産省、厚生省と共管の法律でございますが、これも公害病の原因の科学的究明とからんでたいへん大切な仕事だというふうに考えているわけでございます。まあさような点で私ども先行きの問題といたしましては、先生おっしゃるように、いずれ局というふうな形のことをお願いをするという時期もあろうかと思いますが、当面はこの部の形で事の処理に当たってまいりたいと、このように考えているわけでございます。  なお、お尋ねがございました定員等の問題につきましては、現在、いま申し上げたような仕事をやっております人員が二十六名でございますが、さらに十四名本年度予算で認めていただいておりますので、まずこれでやっていきたいというのが当面の私ども考え方でございます。
  198. 中村波男

    中村波男君 次は、環境庁といたしまして、従来地方の環境問題に関する情報の収集あるいは所管事務に関する調査等は具体的にどのような方法で実施してこられたのか。また、この調査等が公害防止、環境保全にどのような効果をもたらしてきたのか。この機会に勉強さぜてもらいたいと思うわけでありますが、いかがですか。
  199. 信澤清

    政府委員信澤清君) 先生御案内のように、昭和四十五年に公害国会が開かれまして、その際の御議論は、いわゆる公害問題、環境問題の権限行使は地方公共団体が行なうことが適当であると、こういうような方向のもとにいろいろな法律改正等が行なわれたわけでございます。したがって、基本的には私どもも現在はそういう形で、主として都道府県、市町村、こういった地方公共団体を通じていろんな調査、情報の収集等をお願いをいたしておるわけでございます。で、今回このような形でお願いをいたしておりますのは、やはり県の境を越えたいわば広域的な問題が各地に起きつつある。こういう問題に対応するためには、どうもやはり都道府県だけからの情報では不十分であると、こういう実態になりましたので行政管理庁の出先機関を使わしていただくと、こういう形の法律改正をお願いいたしているわけでございます。  なお、従来から都道府県のいろいろ情報等をいただき、また御意見をいただきまして、環境庁発足以来につきましても、いろいろ立法上その他行政施策の面で改善はやってまいっております。たとえば従来から御議論のございました無過失損害賠償責任制度の導入というようなことを、これは大気汚染防止法並びに水質汚濁防止法を改正いたしまして四十七年の六月から施行になっておりますが、こういったこともいたしております。  それから自然環境の問題につきましては、いわゆる自然公園法のほかに、新しく自然環境保全法というものを御制定いただきまして、これまた四十七年六月から施行されておるわけでございます。また、さきの国会におきましては公害健康被害補償法、先ほど来申し上げておりますが、現在の特別措置法を大幅に改善する、そういった立法措置もいたしておりまするし、同時に、まあいわゆる議員立法ではございますが、瀬戸内海の環境保全のための特別措置法についても御審議をわずらわしたところでございます。  なお、今国会におきましても、大気汚染防止法を改正いたしまして、主として環境汚染の著しい都道府県、市町村の経験を生かしました総量規制制度というものの導入もいたしておるわけでございます。そのほかこまかい基準等につきましてはいろいろ努力をいたしているところでございます。
  200. 中村波男

    中村波男君 環境保健部設置の目的について、環境庁の資料を読みますと、全国各地で起こっている具体的な環境問題の情報を的確に把握し、これを機動的に処理していくことが重要な任務であると言っておるのであります。現在行なっておられます情報収集等の方法では、この重要な任務遂行にどのような欠陥と申しまするか、支障があるのか。そういう点を具体的に御説明願いたいと思います。
  201. 信澤清

    政府委員信澤清君) 先ほども申し上げておりますように、現在は都道府県、市町村から情報その他をいただいているわけでございます。ただし、最近、県の境を越えますような広域な問題が起きております。具体的な例を申せということでございますので、幾つか例をあげたいと思いますが、たとえば東京都の大田区で大気汚染がはなはだしいという場合、その多くの原因は、これは川崎市の工場から出ているわけでございます。いわゆる私ども、もらい公害と言っておりますが、こういうような問題が実はございます。それからまた先ほど来お話がございましたカドミウム汚染の問題につきましても、富山県の神通川の問題と申しますのは、実はそのもとの山は岐阜県にあるわけでございまして、岐阜県の山から出た問題が富山県で起きている、こういうような広域的な問題が現に起きているわけでございますので、このような問題に対応するためには、もちろん都道府県からの情報等もいただきますが、いまお願いいたしますような体制をぜひとりたいというのが、   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕 私どもの気持ちでございます。
  202. 中村波男

    中村波男君 その点については私もある程度の認識を持っておるつもりでありますが、しかしながら、いま御説明があったように、広域的な環境問題の把握とその機動的な処理がきわめて重要であると言いながら、なぜ環境庁独自の機関を置いて実施しようとしないのか。これはいろいろ理由はあると思いまするけれども、本来はこれほど公害が各地にいろいろな形でふえてきておりますことを考えますならばやはり環境庁独自の機関というのを私は持つと、そういう方向へ一度に行かないにしても、指向していくという環境庁としての行政態度というものが必要ではないかというふうに思うわけであります。したがって、今回まあ行政管理庁を利用する――言い方は悪いのでありますが、こういうこそくな方法で十分な任務ができるのかどうか。それからもう一つは、先刻指摘いたしました地方事務官と同じような性格の職員が行政管理庁の出先に配属されるといいますか、配置されておると、こういう点における行政上のロスといいますか、また摩擦と申しまするか、あえて言えば見えない摩擦とも言えるかもわかりませんが、そういう点はどう判断をし、そういう点についての配慮というのはあったのかないのか、いかがですか。
  203. 信澤清

    政府委員信澤清君) ただいま先生から仰せになりましたことにつきましては私どもも全く同じように考えておるわけでございまして、やはり私どもとしては独自の出先機関が必要であると、こういう基本的な認識がございます。ただし、実際問題といたしまして、私どもの役所というのは御承知のように昭和四十六年にできまして、やっと三年たっただけでございます。全体の人員も六百名前後というようなことで、まことに小さな役所でございまして、そういうところがかりに出先機関を持ちます場合に、まあ他の省庁のことを引き合いに出しては恐縮でございますが、わりとそういう形で持ちました場合に、やはり一通りの庶務会計等の仕事はあるわけでございます。したがって、いろいろ人員の面におきましても有効に使うということになりますれば、そういった庶務会計等の仕事に従事する職員を必要としないような形ということを考えることもやはり行政の簡素化というような見地から必要でもあろうと、こういうことも考えまして、無理に行政管理庁にお願いいたしまして今回御審議を願っているような形を考えさしていただいたわけでございます。なお、行政管理庁にお願いいたしましたのは、若干蛇足でございますが、同じ総理府の外局でございます。それからいろいろ出先機関を持った省庁はございますが、行政管理庁は経済官庁でもございません。さらにまた従来から行政相談等のお仕事をされておりますし、さような意味で私どもお願いする仕事に比較的なじみやすいと、こういうようなことも考えまして今回のような御提案をいたしたわけでございます。
  204. 中村波男

    中村波男君 いま尋ねようと思っておったわけでありますが、行政管理庁を宿借りにしたという、まあ言い方悪いんでありますが、その理由はいま御説明がございましたけれども、環境行政事務と行政管理庁の出先機関の固有の業務といいまずか、本来の任務と申しますか、そういうのと環境問題の業務というのはなじまぬのではないかという感じも強く持つのでありますが、そういう点はどうなんですか。
  205. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 衆議院のほうでもそういう御懸念がたくさん持たれたわけでございます。とにかく広域公害といいますか、そういうものについての環境庁が情報収集ないし調査の必要を強く持っておられる。じゃあ、その一つの環境庁が独立出先機関を持たれるほどあらかじめ事業量が想定されるかというと、そうもいかない。したがって、行政管理庁としては、本来、行政内部の官制、行政改善への推進ということが本来の任務でございますから、その任務とごっちゃになるようなことで誤解を受けてはならない。しかし、幸いにしまして、調査、情報収集という限りにおきましては、従来行政管理庁地方監察局がやってこられている仕事とかなり、同じじゃございませんけれども、なじみやすいところもあるわけです。したがって、行政管理庁本来の任務が妨げられることなく、しかも環境庁のある部分の要請にはこたえ得るんじゃないかということであれば、当分とにかくこれでスタートしてみよう、それで今後の事業量の推移ないしは機能の推移等を見まして、そして考えていくようにしたらどうだろうかということで、こういう合意ができているわけでございます。お話しのように、すかっとしていないもんですから、どうもいろいろ地方事務官先ほどの問題のような二の舞いを踏んでくるんじゃないか。私は、行政管理庁というものは常にその任務にかんがみて姿勢はしっかりした姿勢をとっていないというと間違いを起こすから、その点については深く考えていかなければならぬ。したがいまして、行政管理庁の行政監察の対象は、よしんば、宿借りとおっしゃいましたけれども、宿借りしているそのことにつきましても、必要あらば厳密な行政監察は行なっていくという姿勢をとっていかなければいけない、こういうふうに考えておるわけです。
  206. 中村波男

    中村波男君 環境問題担当調査官が五つの地方局に配置されるわけでありますが、この五つ以外の地方局には近い将来調査官を配置するという構想があるのかどうかというのが一つ。それからもう一つは、定員等のワクの関係で、とりあえず公害の激発地帯である五つの地方局に配置をするのであって、将来はどの地方局にも配置したいんだという考えなのかどうか、その点いかがですか。
  207. 木下薫

    政府委員(木下薫君) ただいまお願いいたしております管区地方局に配置いたします調査官につきましては、その配置の考え方は長官からお話し申し上げましたような考え方に基づくものでございます。ただ、いま申し上げましたように、将来の業務量の推移、あるいは現地における環境問題についての情報、調査等の機能の推移等にかんがみまして、将来の問題といたしましては、五つの地方局のみならず、必要があればやはり拡充する方向検討しなければならないと、このように考えておるわけであります。
  208. 中村波男

    中村波男君 次は、行政管理庁の出先機関の定員におきましても五彩削減計画によって毎年削減されてきておる。このため行管の監察業務自体の遂行にも支障を来たすおそれが出てきているんじゃないかと、いわゆる行政監察に対する需要というのは毎年ふえてきておりまするけれども人員は減ってきておる。そういう現実があります中に、環境庁のこれら重要な業務まで今度背負い込んだという結果になるわけでありますが、したがって、私は大きな今度のこういう便宜的な宿借り的な機構というものについて成果に大きな疑問を持ちますと同時に、このようなやり方は、行政管理庁本来の業務に大きな支障と申しまするか、能率低下を来たすのではないかと、こういうふうに疑問を持つのでありますが、この点はだいじょうぶですか。
  209. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) ちょっとよけいなことかもしれませんけれども、昨年の異常な物価情勢にかんがみて国会で石油三法を成立さしていただいて、そしてこの異常な経済、物価の鎮圧に対して内閣は総力をあげて取り組んだということをいたしましたその段階におきまして、本来いえば行政管理庁はそういうところに直接にも間接にもさわるべきではなかろうと思いましたですけれども、しかし、物価の動向、物資の流れ、そういうものを的確に内閣はつかんで、各省庁がこの実施に当たられなければ、とうていその任務の目的を達することはできないであろうと、そういう考え方から、この行政管理庁といたしましても、幸いに全国の地方支分部局あるので、少数の方でたいへん迷惑だったと思いますけれども、そういうものについて数次にわたって調査をし、そしてこれを緊急対策本部並びに各実施省庁にその資料を提供しましてやってきましたこと、そこで、それで私はおしかりをいただくと、本来の行政管理庁の任務が幾らか停滞したんじゃないかと、これはもう私は責任をとらなきゃならぬと強く感じておるわけで、少数の職員に対して過重なお願いをしましたけれども、おおよそこのことは目的を達してきたと思っております。  そこで、本来の任務に全力をあげなければならぬところへ来ておりますが、お願いしておりますこの業務を分担いたしまするにつきましては、分担者は、調査官等三十名に専管していただくわけでございます。本来の行政管理庁の任務遂行には何らの支障はないという確信のもとにこれはお引き受けをいたしておりますから、その点はひとつ御信頼をいただきたいと思います。
  210. 中村波男

    中村波男君 行管庁本来の業務には同く支障がないという大臣の言明でありますから、それを信頼することにいたしたいわけでありますが、実際問題としては、環境庁の所掌事務を分掌するために新たに三十人が増員されると思うんでありますが、その反面、四十九年度の行管庁の定員は計画削減措置で三十二人減るんだということがあるわけでしょう。そういうことからいいましても、三十人がまるきりふえるんではないのであって、結局差し引き二人減るということにもなるわけでありますから、今後ますます需要が増大すると思われる公害調査等々を考えますと、今回の三十人の増員措置は、全くこれは不足するのではないかというふうに考えて、最大限機能を発揮するためには、来年度にもやはり人員をふやしていくということが必要ではないかというふうに私は考えるのでありますが、その点いかがですか。
  211. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) これはこの業務をとられる環境庁長官がこの新しい機構に対して、機能に対して、どういう事業要請をされるかということにも関連してまいろうかと思うわけでございます。したがいまして、三十人じゃとてもそれはだめじゃないかということをいまから即断もできないのじゃなかろうか、そことのにらみ合いになってくるのじゃないか。したがって、とにかくこれで出発さしていただいて、様子を見さしていただいたらいかがであろうか、こう考えるのであります。
  212. 中村波男

    中村波男君 現在、公害紛争処理法四十九条におきまして、「地方公共団体は、関係行政機関と協力して公害に関する苦情の適切な処理に努めるもの」とし、公害苦情相談員を置くことになっておるわけでありますが、いま全国に何人配置されておりますか。
  213. 信澤清

    政府委員信澤清君) これはお話しのように公害紛争処理法に基づきまして都道府県及び政令市には必ず置くと、その他の市町村は必要に応じて置くということになっておりまして、直接環境庁が所掌いたしているわけじゃございません。しかし、手元にございます数字によりますと全体で三千二百二十一人、たしかこれ、四十七年の数字だと思いますが、そういう数字に相なっております。
  214. 中村波男

    中村波男君 公害苦情相談員は、私が申し上げますまでもなく、公害等調整委員会に関連しているのでありまして、その任務としては、公害苦情相談の窓口となること。二つ目は、相談員みずからが、相談人、関係人に対して助言、あっぜん指導を行なうこと。三つ目は、公害苦情の情報を迅速に、しかも的確に関係部局に連絡し、問題解決の推進力になること等があげられているわけであります。これは少なからず今回の環境問題担当調査一官の任務と重複するところも出てくると思うのであります。この両者の間の調整はどうなのか、また、公害苦情相談員の苦情受付の実態、問題解決の処理実績等があればこの機会に御報告を求めたいと思います。
  215. 信澤清

    政府委員信澤清君) お話しのような問題があるわけでございますが、先生御案内のように、公害苦情相談員と申しますのは、これは国家公務員ではございません。つまり民間の有志の方にいろいろお願いをして、いま先生おあげになりましたような仕事をやっていただくわけでございます。私ども今回行政管理庁にお願いいたしますのは、やはり公務員である職員がいろいろな調査をし、苦情の処理に当たるという点でまず基本的に違っておるわけでございます。同時に、先ほど来申し上げましたように、基本的には都道府県、市町村を通じて私どもこの種の仕事を現在もいたしておるわけでございまするし、将来もいたすわけでございますが、広域的な問題を中心に行政管理庁のほうにお願いをいたそうと、こういう考えでございますので、理屈の上から申しますると、まず抵触しないであろうということでございます。ただし、実際問題といたしましてはやはりいろいろ重なることがあるかと思いますので、これらのことにつきましてはいろいろな調整措置を講ずる必要があろうかと思います。いずれにいたしましても、やはりこの種の問題について苦情の窓口が多いりとは、これは住民にとってベターであるというふうに考えますので、運用上十分気をつけてまいりたいと思います。   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕
  216. 中村波男

    中村波男君 情報収集、苦情受付というのはたいへん大切な業務であることは論をまちませんが、それと同時に、公害関係の分析業務を持つ機構というのは環境庁にはどういうものがあるのか明らかにしていただきたいと思います。
  217. 信澤清

    政府委員信澤清君) その前に、先ほどの御答弁の中で苦情相談員を民間の方と申し上げましたが、これは都道府県の職員でございますので、訂正さしていただきます。  いまのお話の分析機関でございますが、御承知かと思いますが、この三月に国立公害研究所というものを私どもの付属機関として発足さしております。ここでは日常的な分析業務はいたす予定はございません。どちらかと申しますれば、そういった分析方法の研究とかいうものを主体といたしまして、実際の日常的な分析は、実は都道府県等がお持ちの各種の分析機関がございますが、そういうところを中心にやっていただくと、こういうことを考えているわけでございます。
  218. 中村波男

    中村波男君 みずからが分析する機関というのを国が持っておらない。いまさら私が指摘するまでもなく、先般の日本分析化学研究所のデータ捏造事件は、いわゆる化学的数値の上に築かれてきた公害行政の基礎とも言える分野でのことでありますだけに、いままでの分析機関とか公害問題を処理する出先機関、これは研究所等を含めてでありますが、体制が全くなっていなかったということを如実に示しておると思うんであります。で、国民に与えた不安、不信の念はたいへん大きなものがある。環境庁はどのように反省をしておられるのか。また、対策はどのようなものをお考えになっておるのか。もちろん日本分析化学研究所はいわば科学技術庁の関係でありまして、一般の公害の化学分析をやるところではありませんけれども、先刻お尋ねいたしましたように、環境庁の所管としては、公害関係の分析をするような機関というのは皆無にひとしいんじゃないかと思いますだけに、ちょうど三木長官が御出席いただきましたので、長官から御答弁を求めたいと思います。
  219. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 中村委員の御指摘のように、われわれ環境行政を進めていくときの基礎になるものは、やっぱりデータですからね。そういうので、このごろ分析化学研究所でああいう醜態を演じて、国民のいろいろな環境問題に対するこの分析の結果に対して、何かこう不安を持ってきたことは非常に残念だと思います。で、われわれとしましても、いま御説明申し上げましたように、この三月から国立公害研究所ができました。そこでやはり計量技術部という、ここで地方の公共団体あるいはまた民間団体を――指導的な役割りを果たそうと、そうしてまあできる限りその測定は公共団体自身がやれるように将来持っていくためには、そういう技術者の訓練あるいはまた技術の開発も必要ですが、そういう訓練が必要なので、そういう役割りを国立公害研究所が果たすことによって、この測定技術というものの進歩あるいは信頼性というものを回復したいと考えております。
  220. 中村波男

    中村波男君 まあ、環境庁はだんだんといろいろな公害の規制の基準をきびしくしてきておられる。私はこの規制基準というのはきびし過ぎるということはないというふうにも極端なことを言えば言えると思うのであります。これは日本の公害の事情から考えると、環境庁のとらえておる一連の規制基準の強化というのは当然でありますし、さらにゆるいものといいますか、低いものについてはきびしくしていただきたいと思うのでありますが、そこで、規制だけはどんどんきびしくされるけれども、それに伴ういわゆる手足となる分析業務が民間委託であるという、民間に委託しなければ分析ができないというこのところに問題があると思うのであります。これは何といいましても、規制だけ強めましても、その実態というのを分析し把握する研究機関、試験機関がないと、実際の裏づけ的な取り締まりを行なうこともできないというふうに思うわけであります。なるほどことしの三月十五日に発足しました国立公害研究所も純粋な分析機能を持つものではないようでありまして、その中にある環境情報部も分析データを自治体にたよっているありさまであります。これはまあ直接環境庁からお聞きしたのではなくて、新聞その他から得た私の知識でありますが。その自治体も大部分は民間委託でやっておるというのが実態でないかと思うわけであります。そこで、政府責任を明確にしていただくという意味におきましても、これから需要が多くなるであろう環境庁独自の公害分析機関を設置する考えはないのかどうか、この機会に大臣からお伺いをしておきたいと思います。
  221. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) まあ、御指摘のように環境庁自身がそういうこの分析機能というものを持つことになることが理想的だと思うのですよ。しかし、このいろいろな分析にはやっぱり専門的な知識も要りますし、技術者の訓練も要るし、そういうことで、いまのこともひっくるめて、中村委員の御指摘のようなことをひっくるめて国立公害研究所でこれは十分に検討をさしてみたいと思います。独自のやっぱりこの分析機能を持てば、そのほうが一番いいと思いますから、これは国立公害研究所の一つ検討の課題にさしていただきたいと思います。
  222. 中村波男

    中村波男君 もう一点この機会にお聞きしておきたいと思うのでありますが、公害分析機関というのは、東京にまあ集中的にたくさんあると思うのであります。したがいまして、東京で私たちが調査したのによりますと、五十をこえる公害分析機関があるように承知をしておるのでありますが、もちろん民間分析機関の監督、認可、規制等はどのようになされておるのか明らかにしていただきたいと思います。
  223. 信澤清

    政府委員信澤清君) お話しのように、まあ民間の分析機関というものが全国で約三百ほどございます。で、従来はこれに対する直接的な監督というのは実はございませんでした。で、先般国会で御審議いただきました計量法の一部改正がございまして、従来計量士という形で一括しておりましたものにつきまして、その中を区分いたしまして、たとえば公害関係のいわゆるPPBで表示されるような濃度の分析をやるというようなものにつきましては別の国家試験を実施すると、こういうふうに改正をさしていただきましたし、同時に計量証明事業、分析結果を証明する事業でございますが、これにつきましても、従来はいまお話しのような分析結果につきましては都道府県の登録の対象になっておりませんでしたが、今度は登録業務ということでチェックをいたす体制ができたわけでございます。そこで、まあこの法律の直接の所管は通産省でございますが、私どもも一緒になりまして、いわゆる民間業者の技術のレベルアップの問題、あるいはそれに対する指導の問題というようなことを今後逐次考えていきたいという段階にあるわけでございます。
  224. 中村波男

    中村波男君 まあ、日本分析化学研究所の不祥事件等の経験にかんがみまして、やはりもう少しこの監督、認可、規制ということを洗い直して、厳正な監督を行ない、認可についても基準を設けて、また認可したものの規制等についても十分行政的な手が届くような方法をぜひ具体的に検討を願いたいと思います。  最後に、ちょうど環境庁長官が御出席をいただいておりますのでお尋ねをしておきたいと考えますのは、国立公園の管理の問題であります。国立公園管理員というのは七十人名配置されておるようでありますが、この七十人名というのは二十六ヵ所に七十人名が配置されておりまして、面積合計というのは百九十九万ヘクタールでありますから、単純計算によりますれば、一人当たり二万五千ヘクタールであるわけであります。しかし、この管理員というのは、実際には公園内の規制に対する許可申請等にほとんど費やされておりまして、実際の規制とかなんとかというところには手が伸びない。したがって、私の知っておる国立公園におきましても、自然公園指導員というのが嘱託をされて、片手間にやっておるというような状況であります。したがって、これほど観光ブームで、自然公園、国立公園等が荒らされておる実態からいいましても、自然公園指導員というものを多く配置すると同時に、手当等を十分出して、そしてそれに専念できるような体制をつくらないと、これはとうてい広大な面積を監視しきれるものではない。民間の自然保護を特に心配する人たちが自発的にやっておるというような状況が各地にあるのではないかというふうに思うのでありますが、こういう点について、もう少し深く内容的に御検討をいただきまして、自然公園指導員の増員、あるいは国立公園の管理の問題について積極的に取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  225. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案を問題に供しします。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  226. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  227. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日の審査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会