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1974-05-28 第72回国会 参議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十八日(火曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員の異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      今  春聴君     中村 登美君      源田  実君     高橋 邦雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺本 広作君     理 事                 岩動 道行君                 岡本  悟君                 鈴木  力君     委 員                 高橋 邦雄君                 長屋  茂君                 神沢  浄君                 戸叶  武君                 中村 波男君                 宮崎 正義君                 中村 利次君                 星野  力君    衆議院議員        内閣委員長代理 小宮山重四郎君        発  議  者 小宮山重四郎君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 二階堂 進君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       小坂徳三郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       保利  茂君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君    政府委員        内閣審議官    粟屋 敏信君        内閣審議官    小幡 琢也君        内閣法制局第二        部長       味村  治君        内閣総理大臣官        房総務審議官   佐々 成美君        総理府恩給局長  菅野 弘夫君        行政管理庁長官        官房審議官    木下  薫君        行政管理庁行政        管理局長     平井 廸郎君        行政管理庁行政        監察局長     大田 宗利君        防衛政務次官   木野 晴夫君        防衛庁参事官   大西誠一郎君        防衛庁参事官   長坂  強君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        丸山  昂君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       高瀬 忠雄君        防衛庁衛生局長  鈴木 一男君        防衛庁経理局長  小田村四郎君        防衛庁装備局長  山口 衛一君        防衛施設庁長官  田代 一正君        防衛施設庁次長  鶴崎  敏君        防衛施設庁総務        部長       安斉 正邦君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        防衛施設庁労務        部長       松崎鎮一郎君        運輸省航空局技        術部長      中曽  敬君        自治大臣官房審        議官       近藤 隆之君        自治大臣官房審        議官       山下  稔君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        環境庁大気保全        局特殊公害課長  鈴木 善晴君        外務省アメリカ        局外務参事官   深田  宏君        大蔵省主計局主        計官       矢澤富太郎君        通商産業省貿易        局輸入課長    山本 康二君        運輸省航空局監        理部監督課長   山本  長君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○内閣法の一部を改正する法律案衆議院提出) ○国土総合開発庁設置法案(第七十一回国会内閣  提出、第七十二回国会衆議院送付) ○防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 寺本廣作

    委員喪(寺本広作君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。三木環境庁長官
  3. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ただいま議題となりました環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  御承知のとおり、環境庁は、昭和四十六年七月に発足し、今日まで各種公害規制の強化、被害者救済制度整備自然環境保全施策充実等環境保全に関する行政を総合的に推進してまいったのでありますが、このような施策の拡充と相まって、行政運営体制をさらに強化することが必要となっております。  このため、環境行政の一そうの推進をはかるべく、今回この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案内容について御説明を申し上げます。  第一は、環境庁設置法改正し、企画調整局環境保健部設置することであります。  さきの特別国会において成立した公害健康被害補償法実施に万全を期するとともに、公害にかかる健康被害の原因の科学的究明等環境保健に関する事務を一元的に処理するため、新たに部を設けることとするものであります。  第二は、行政管理庁設置法改正し、行政管理庁地方支分部局に、環境庁所掌事務の一部を分掌させることであります。  全国各地に発生する環境問題を迅速かつ的確に把握し、環境行政の適切な運営に資するため、管区行政監察局及び沖繩行政監察事務所が、環境庁長官指揮監督を受け、環境庁所掌事務に関する調査、資料収集等事務を行なうこととするものであります。なお、これらの事務を含めた業務の執行体制整備をはかるため、関東管区行政監察局及び近畿管区行政監察局総務部を置くこととしております。  以上がこの法律案提出した理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 引き続いて、本案衆議院における修正部分について説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長代理小宮山重四郎君。
  5. 小宮山重四郎

    衆議院議員小宮山重四郎君) ただいま議題となりました環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案に対する衆議院修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  政府原案では、環境庁企画調整局環境保健部を置くこととしておりますが、国務大臣を長とする庁に置かれる局に部を設置するには国家行政組織法改正を必要といたしますので、本案の附則にこの改正規定を設けました。  以上が修正趣旨であります。     —————————————
  6. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 以上で説明は終わりました。本案審査は後日に譲りたいと存じます。
  7. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小坂総理府総務長官
  8. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案による措置の第一点は、恩給年額増額であります。これは、昭和四十八年度における国家公務員給与改善率による一五・三%の増額と、恩給公務員給与との水準差を二年計画で補てんするための七・三五%の増額をあわせて行ない、恩給年額を、原則として二三・八%増額しようとするものであります。  その第二点は、普通恩給等最低保障制度改善であります。これは、長期在職者普通恩給または扶助料最低保障額を二倍以上に引き上げるとともに、従来、最低保障制度がなかった旧軍人中心とする短期在職者普通恩給または扶助料で、六十五歳以上の老齢者または妻子支給するものについても最低保障制度を設けようとするものであります。  その第三点は、老齢者等恩給算出率の特例であります。これは、七十歳以上の老齢者妻子または傷病者支給する普通恩給または扶助料年額を計算する場合には、実在職年年数普通恩給最短年限をこえる一年ごとに、基礎俸給の三百分の一に相当する額を普通恩給年額に加えることによって、その年額改善しようとするものであります。  その第四点は、旧軍人に対する一時恩給等支給条件緩和であります。引き続く勤務年数が三年以上七年未満の下士官以上の旧軍人またはその遺族に対する一時恩給または一時扶助料支給については、下士官以上として一年以上在職することが支給条件となっておりますが、この条件緩和し、下士官以上としての在職期間が六ヵ月以上であれば、一時恩給または一時扶助料支給しようとするものであります。  その第五点は、普通恩給と併給される傷病年金等減額率緩和であります。普通恩給と併給される傷病年金年額については、その二割五分が減額されておりますが、これを一割五分の減額緩和し、あわせて第七項症の増加恩給年額につき所要調整をしようとするものであります。  その第六点は、扶着加給額の引き上げであります。これは、傷病恩給及び公務関係扶助料にかかる扶養加給額を、現職公務員扶養手当相当額に引き上げようとするものであります。  以上のほか、教育関係職員勤続加給支給条件並びに外国政府等職員期間及び恩給法施行前の異種公務員等としての在職期間通算条件緩和し、戦後の罪による軍法会議処刑者で恩赦を受けたものに対する恩給権を回復するとともに、元琉球大学教職員に対して恩給法を適用する等所要改善を行なうこととしております。  なお、以上述べました措置は、昭和四十九年十月一日から実施することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  9. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 以上で説明は終わりました。  本案審査は後日に譲りたいと存じます。
  10. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 次に、内閣法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、発議者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院議員小宮山重四郎君。
  11. 小宮山重四郎

    衆議院議員小宮山重四郎君) ただいま議題となりました内閣法の一部を改正する法律案につきまして、提案趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  最近の行政事務は、社会情勢を反映して、ますます複雑、多様化の傾向を強めております。これに適確に対処するには、内閣機能充実、強化する必要があると考えた次第であります。  つきましては、この際、国務大臣の定数を一人増加して二十人以内に改めようとするものであります。  以上が、本法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  12. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 以上で説明は終わりました。  本案審査は後日に譲りたいと存じます。     —————————————
  13. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 次に、国土総合開発庁設置法議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小坂総理府総務長官
  14. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) ただいま議題となりました国土総合開発庁設置法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  近年における経済の発展に伴う人口産業の急激な都市への集中の結果、過密・過疎問題が発生し、また、環境の悪化、交通難住宅難地価高騰等のひずみが深刻化いたしましたことはすでに指摘されているところであり、豊かで住みよい生活を確保するため、これらの諸問題を早急に解決しなければならないことは、いまさら申し上げるまでもないところであります。  これらの諸問題を解決し、国民がきれいな空気と水、緑に恵まれた生活環境を享受しようとするためには、人口産業大都市集中の流れを転換し、国土の全域にわたって均衡のとれた発展をはかるための諸施策を強力に展開することが必要であります。  政府は、今後、環境保全並びに土地対策及び水問題に万全の措置を講じつつ、過密と過疎を同時に解決することを主眼として、大都市の再開発生活環境施設中心とする社会資本投資の拡大、教育文化施設整備などの施策を総合的に進めることとしておりますが、特に、交通通信ネットワーク整備、工業の全国的な再配置、地方都市及び農山漁村整備等の諸施策を強力に推進してまいる所存であります。  現在、開発行政を所管し、開発行政関係する省庁は、きわめて多岐にわたっております。これは、開発行政内政全般に及ぶきわめて広範な政策分野であることを物語っているわけであります。しかしながら、国土改造を強力に推進していくためには十分なる企画調整能力を持った総合的な行政機構がぜひとも必要であると考え、このため、新たに国土総合開発に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする国土総合開発庁総理府の外局として設置することとしたのであります。  以上が本法案提案した理由であります。  次に、この法律案概要につきまして御説明いたします。  第一は、国土総合開発庁所掌事務及び権限についてであります。  国土総合開発庁は、その任務を遂行するため、まず、国土総合開発に関する計画をはじめ、大都市機能改善地方都市及び農山漁村整備、総合的な交通施設の体系の整備等国土総合開発に関する総合的かつ基本的な政策及び計画企画立案することとしております。  次に、国土総合開発に関する関係行政機関の基本的な政策及び計画、特定の地域の大規模な開発整備事業にかかる関係行政機関計画並びに経費の見積もりの方針及び配分の計画等関係行政機関事務調整を行なうこととしております。  さらに、国土総合開発の前提である土地問題及び長期的な水需給に関する政策を総合的に企画立案することとしております。  また、災害に関する施策につきましても、その企画立案及び関係行政機関事務調整を行なうこととしております。  以上のほか、首都圏近郊整備地帯及び都市開発区域整備に関する法律等、各法律施行に関する事務を行ない、また、国土総合開発法をはじめとする国土開発整備に関する諸法律に基づく内閣総理大臣権限の行使につき、内閣総理大臣を補佐する等の事務を行なうこととしております。  第二に、国土総合開発庁の長は、国土総合開発庁長官とし、国務大臣をもって充てることとしております。国土総合開発庁長官は、国土総合開発をはかるため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料提出及び説明を求め、さらに、重要事項について勧告を行なう権限を有するほか、特に内閣総理大臣に対し、内閣法第六条に基づく措置がとられるよう意見具申ができることとしております。  第三に、国土総合開発庁内部部局として、長官官房のほか、計画局調整局土地水資源局大都市圏整備局及び地方振興局の五局を置くこととし、土地水資源局には水資源部を置くこととしております。  また、付属機関として土地鑑定委員会を置き、地価公示不動産鑑定士試験等実施及び不動産鑑定評価に関する重要事項について調査審議することとしております。  第四に、国土総合開発庁設置に伴い、内閣法及び関係省庁設置法改正その他関係法律整備を行なうこととしておりますが、特に、環境保全の観点から、下水道整備緊急措置法等についても所要改正を行なうこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  15. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 引き続いて、本案衆議院における修正部分について説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長代理小宮山重四郎君。
  16. 小宮山重四郎

    衆議院議員小宮山重四郎君) ただいま議題となりました国土総合開発庁設置法案に対する衆議院修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  その内容は、国土利用計画法趣旨にかんがみ、以下申し上げますように、国土総合開発庁名称所掌事務及び権限等を改めたことであります。  その第一は、同庁の性格をより的確にあらわすため、庁の名称国土庁に改めたことであります。  第二は、同庁任務を「国土庁は、国土を適正に利用することにより健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図り、豊かで住みよい地域社会の形成に寄与するため、国土に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」ことに改めたことであります。  第三は、同庁任務を改めたことに伴いまして、その所掌事務及び権限について、その条項の第一号を「国土の適正な利用に関する総合的かつ基本的な政策及び計画を企画し、立案し、及び推進すること。」に改めるとともに、関連する各号について所要整理を行ない、また、国土庁長官権限についても所要整理を行なったことであります。  第四は、同庁内部部局のうち、計画局調整局を統合して計画調整局とし、土地水資源局土地局水資源局に改めるとともに、調整局及び地方振興局にそれぞれ一人置くこととしていた次長を、計画調整局及び土地局にそれぞれ置くことに改めたことであります。  また、これらの措置に伴いまして、土地水資源局水資源部を置くこととしていた規定を削除するとともに、同部を設置するための国家行政組織法改正規定も削除することといたしました。  第五は、同庁設置に伴い、国務大臣一人を増員することとしていた内閣法改正規定を削除したことであります。  第六は、この法律施行期日につきまして、「昭和四十八年七月一日」を「公布の日」に改めたことであります。  そのほか、所要規定整備等を行なった次第であります。  以上が修正趣旨であります。
  17. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 以上で説明は終わりました。本案審査は後日に譲りたいと存じます。     —————————————
  18. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 次に、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  19. 神沢浄

    神沢浄君 北富士演習場暫定使用協定を結ぶ際に山梨県知事二階堂内閣官房長官の間に覚書制定をされておりまして、この点についてはこの国会の三月二十七日の予算委員会でもって私もちょっとお尋ねをしまして、その際、長官からきわめてざっくばらんのお答えをいただいているわけでありまして、その意味においては私は長官のお人柄にたいへん好感を寄せているわけなんです。ですから、何か重ねてお尋ねするということもどうかと思うような気持ちもするんですが、どうも質問を続けてまいりますには、やはり覚書締結当時の事情というものをもう少しお聞きしておきませんとならぬものでありますから、お忙しい長官をわずらわしてたいへん恐縮に思います。  お忙しいでしょうから長官お尋ねすることから入ってまいりたいと、こう思うんですけれども、あの際長官は、ここに会議録のコピーなども持ってきておりますが、時間もかかるから朗読など私は差し控えますけれども、要約すれぱ、山梨県知事並びに県議会議長というような県を代表するごとき立場人たち申し入れであるからこれはもう信用することは一向差しつかえなかろうということでもって調印をされたというように、非常に率直な御説明があったわけでございます。ところが、ここに山梨県が発行している県の広報があるのですけれども、この中には、県で言っておりますのは、実は長官の御説明と逆のことを言っておりまして、内閣官房長官から申し入れがあったから県のほうではそれを検討して、そうして結論的には応諾することにしたと、こういうように言っておるわけであります。そうなりますと、あの長官からの率直な御説明も県の言い分とは全くこれは逆になってしまっておる、こういうことになるわけなんです。そこで、もう一度私はあの際の、どちらがほんとうなのかも含めて長官から締結当時の真相をまずお聞きをいたすことから入りたいと、こう思うわけです。
  20. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 私は、いまお尋ねの件につきまして、もうこれで三、四回、予算委員会内閣委員会等にお呼ばれしまして、お尋ねがございましたので私はざっくばらんに率直にそのときのことをお話し申し上げておいたわけでございます。いまお尋ねになりました「県政通信」というのですか、これは四十七年の十月一日の発行のものでございますが、これは「県政通信」といって、県の県民室が発行している通信だと思います。これはまだよく私は見ておりませんが、いまちょっとこれ、秘書から差し入れがございましたが、これがほんとうのことか官房長官の言うことがほんとうのことかということになりますと、私は官房長官という肩書きでもっていやしくも政府の窓口として署名捺印をいたしたものでございます。そのいきさつをいやしくも国会の場において国民の前に明らかにしていることでございますから、私の言うことがほんとうだと、これ信用していただかなければ、「県政通信」で出したものがほんとうだとお思いになって質問されてはこちらが迷惑でございますから、これはもう、いやしくも国会の場は国民に対する対話の場所でございますから、その場所で私が官房長官という肩書きをもってお答えしておることが正しい答えであると、かように私自身も信用していたし、またかように信頼していただきたいと思います。
  21. 神沢浄

    神沢浄君 わかりました。冒頭申し上げたように、私は長官ほんとうに率直なざっくばらんなこの前のお答えを聞き、申し上げたとおり、きわめて好感を寄せて受け取っているわけでありまして、ただしかし、山梨県というのも、これ、公の立場で、その県が発行している「県政通信」なる広報版に明らかに、これは県民全般に知らしめる内容でありますから、こう書いてありますと、私も今度は山梨県民の一人という立場でもありますだけに、そのことはやっぱり真相は確かめておかなければならないという立場もひとつ御了承をいただきたい。これはかりにも日本の内閣を代表する官房長官のいまの御説明でございますから、私はもうそのとおりに信用をいたすわけであります。  そこで、長官お忙しいから、時間も窮屈のようでありますので、かけ足で質問をさしていただきますが、私は、あの覚書内容というものについて、実はいろいろな疑問点を感じているわけでありまして、結論的に言うと、今度のこの法案提出の、その背景のもとをなしておる一つじゃないかというふうに考えているところであります。それは、たとえば、実は二十一日の質問の際に私もかなり詳しく触れた点でありますが、例の国有地の払い下げ問題というようなものもあるんですけれども、あの覚書締結のときに、もうすでに国有地の払い下げのその対象先恩賜林組合を当てるというような話まであったのかどうなのか、この点が一点。そこまで、あの覚書締結当時、もう話し合いがされておったのかどうなのかという点が一点であります。  それから、富士保全法制定をするということもあるわけであります。いま、この国会提出になっておりまして——私はこの種の法律制定されるのはちょっと無理じゃないかと、こう見ておりますが、この富士保全法制定につきまして、これは国会の中だけでなしに、その後、院の外におきましても、あの保全法の内容というものが、名前は富士保全ということになっておりますけれども、実はその自然環境、景観などの保護保全というようなことよりも、むしろ、いわゆる開発整備に重点が置かれておるような法案で、あの法律ができ上がった場合には、むしろこれはもう富士保全の逆になると、日本の象徴とも言うような富士山を、むしろこれはもう破壊していくような危険を包蔵しておると、こういうようなことを、実は院の外の国民の皆さん方のほうが心配をされて——私もここへ持ってきておりますけれども、富士山黒書、黒の書、これは静岡大学の教授の皆さん方などが大体軸になって、自然を守る運動の組織がありまして、その組織が、その団体が発行をしたものでありますが、いろいろだいへん核心をついて、詳しく記述をされておりますけれども、こういうような運動がいまほうはいとして国民の間には起こりつつあるわけであります。これはあとから参考のために御一読いただくことがいいじゃないかと思いますけれども、このような内容を持った、言うなれば保全という名前ではあるけれどもその実はむしろ開発整備のほうへ重点をかけたような法律をつくるんだというふうな、そういう話し合いが、内容にまで触れた話し合いというものが、この覚書のときに、もうすでになされていたのかどうなのか、この点が第二点であります。  それから第三点としましては、民生安定事業について県のために国側が財政措置を講ずる云々というようなくだりがございます。ところが、これはきょう私、これを質問の一番の内容にしているんですけれども、私どもが検討、判断をしたところでは、これはもうとうてい現行法では処理し切れない、現行法の定めておるところでは、百三十億などということのお約束がなされておりますけれども、とうてい百三十億の事業計画実施するなどということは無理だと、こういうことになると、いまここに新しい法案が出されておる、この法案提出ということをまで含めてその際にお約束になったのかどうなのか。これは法律を変えなきゃできないですよ。できないというような、その内容の検討については、きょうこの質問を通じて私やってまいろうと、こう思っておりますが、これはとうていできない。できないのであれば、むしろもう先取りをして、法律を変えてまでやろうという、こういう含みでもって、民生安定事業については、あの覚書の中でもってお約束をされたのかどうなのか。それから、予算委員会の際にかなり問題にいたしました林野雑産物補償の問題ですね、これもいまいろいろなトラブルを起こしているわけでありますが、県の演習場対策協議会なるものにすべてまかせるというような、そういうような内容をまで含めてあのお話し合いがあっての上でもって、暫定協定なるものは取りきめられたのか。  この四点を実はちょっと私明らかにしていただきたいと思うわけなんです。
  22. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 私も、いまお尋ねになりましたようなこまかい点について話し合ったのかどうかすら、はっきりしないようでございます。私は、こういうこまかいことまでいろいろ話があって、それで覚書に署名をせよというお話ではなかったと。恩賜林払い下げも含めて話があったのかと、あるいはこの富士保全法のこまかいことについてもいろいろ話があったのか、財政負担の問題まで詰めて話があって、そうしてこういうことに署名をしたのかというようなお尋ねだと思いますが、そういうことまでこまかく堀り下げて話をいたしておりません。  これは私が、この前も申し上げたとおり、官房長官などという肩書きをいただいて間もないことでありました。まあいまにして思えば間違いをおかしたと私は思いますよ。私が何も関係することじゃないことを、当時の県連会長である金丸信君が来まして、知事さんを一緒に連れて来て、それで小林さんも連れて来て、それで実はこういうかくかくの問題があるんだと、これについてひとつ君骨折ってくれぬかということでございましたから、私も間もないことでございますし、これはまあどういうことかなと思いながら話を聞いているうちに、まあその富士保全法の話も出ました。それからこの北富士演習場の期限も来ることだし、まあ県内にはいろいろ意見もあるけれども、知事も来て、これはやはり延長をしていくべきものだと思うし、それには県内でも、地元住民でもいろんな意見があるから、何とかこの地元対策といいますか、地元の福祉、道路、下水とか、あるいはレクリエーションセンターとか、そういうものの要望も多いから、そういうものも含めてひとつ政府のほうでもめんどう見てくれと、静岡県側の東富士と比べてみて、同じ演習をさしておっても静岡県側のほうは非常にいろんなものが進んでおる、その投ぜられた金額も、国の出しておる金も相当なものだと、それに比べて山梨県のほうは非常に少ないじゃないかと、金額までいろいろ述べて、まあひとつ善処をしろと、こういうことでございましたから、まあそういう話から入りまして、そうしてこの暫定使用に関する覚書というのについて、私も——金丸君も何か署名しておるんですな、これに。だからそのとき私は、金丸君、君は何でここにおるのか、出ていけと言ったら、出ていくわけにいかぬと、こう言うから、まあおって署名をしたことまで申し上げたとおりでございますが、いまお尋ねになりましたようなこまかい点まで含めて話を詰めて、そうして富士保全もつくるんだよと、国は財政負担をこのくらいするんだとか、あるいは恩賜林の払い下げもきめてかかるんだという話は、詰めていたしておりません。ただ、山梨県知事とか小林さんが来られて、地元民の要望はこうですよと、そうして私は県民を代表する立場で来ておりますと、地元対策も、まあ東富士、静岡県と比べておくれておりますと、こういろいろ言われるものですから、まあそれなら福祉行政とか地元対策というものも、それは比較してみればそのとおりであるとするならば、やっぱり国としても、私の立場でも援助いたしましょうというようなことで、まあ、そんなこまかい話まで話をした記憶はございませんですよ。  まあ、この前もざっくばらんに申し上げましたとおり、この覚書は、政府の窓口として私がこれ署名をしておりますから、行政上の効果は、まだずっと続いておると思いますよ。しかし、法律的な効果はない文書であると思いますけれども、行政上私が政府の窓口で判こを押しておるんですから、これを私がいまさら、そんなものはありませんとかなんとか言うわけにはまいりません。しかし、もともと考えてみますと、私はもう何でもざっくばらんに申し上げますが、これに署名したことが大体私は間違いであったと思うんですよ。何の関係もない者が、たまたま来られて陳情して、それで判こ押してしまったと。まあ、先ほどの山中長官からも、君判こ押すときは用心しろと言われた。手形法なんか、判こ押したら家も財産も吹っ飛んじまうことがあるじゃないかと言われたが、やっぱりこういうものに判こを押すときは慎重の上にも慎重を期さなきゃいかねと、いまおっしゃるようなことまで、裏の奥までよく検討して判こを押さなければこれもうたいへんなことになるなあと、しみじみ私も山中長官の忠告を受けて感じました。(笑声)ですから、まあ何べんも引き出されて、私はどうもこの答弁のしょうがないんですな。もう押してしまったことをいまさらどうもならぬが、しかし、いま御審議願っている法律とは全然関係は私はないと思いますよ。ただひたすらに、山梨県知事も県民のためだと、地元住民のためだと、小林さんもそうだと、東富士と比べてこうだと、北富士演習場の問題も長い間歴史的な問題もあろうが、やむを得ないという立場もあるというようなことなどをいろいろ話をされましたから、私はむしろそういうことに気をとられて、そうですがと言ってこれに押してしまったようなわけでございますから、そのいきさつはざっくばらんに申し上げますが、この辺でひとつ御理解を願って、御了承いただきたいと思います。
  23. 神沢浄

    神沢浄君 まあ、長官のざっくばらんのお話を聞きますと、私なんかもやっぱり同じように欠点だらけの人間ですから、またそれひとつ追いかけてというような気持ちにちょっとなりかねるんですけれども、しかし、事国の政治の問題でもって、なかなかそれでは済まない問題がたくさんあるわけですね。私の判断では、あの暫定使用協定締結の際の覚書、取りきめがあるからこそ一まああれは、いま長官のおっしゃられるように、あるいは内容をそれほどまでに検討をなされないままに、結果的にはいわば相手の人を信用して済まされたことでしょうけれども、しかし、それが今度はそのもとになりますから、四十八年の三月三十日の閣議了解事項ということになるわけですね。これはあの覚書内容をそのまま閣議の中へ取り上げて、そして了解事項ということでもってきめられておるわけであります。そうなれば、もう今度は判こを押した官房長官の責任の問題じゃなくて、内閣の責任ということになっているわけなんです。  ただ、その点についてこれまたどうしてもお尋ねしておかなきゃならぬと思うのは、暫定使用協定のときの覚書締結時点においては、これは相手を信用してというようなことで済んだかもしれませんが、今度は閣議でもってそれをそのまま取り上げて了解事項としてきめるということについては、これはやっぱりよほどの検討がされていなければならぬと私は思おんです。閣議というものはかなり権威のあるものですね。これは行政上は最高の権威のあるものだと確信をいたしますが、こうなりますと、閣議の中でもってそれが決定されたということにつきましては、これはあとへは引けない、知らぬ存ぜぬは通らない、こういうことになっているわけであります。問題はそこにある私はと思うんですよ。暫定使用協定の際の覚書については、それはいろいろな事情があったといたしましても、それがそのまま閣議に持ち込まれて、そのままきまったという点に——それまでには検討などなされなかったのかどうなのか。たとえば、いま審議をいたしておりますこの新しい法案提出の問題につきましても、私はあの際やっぱり閣議決定が行なわれておるから百三十億というものをどうしても実施していかなきゃならぬというには、現行の法律では事足りない、どうしても新しい法律をつくらなきゃならぬ、ここまで問題が——それか全部の理由じゃないかもしれませんが、少なくともそこまで問題が発展をしてきておることは間違いがないと、こう思うわけであります。  そこで、長官お忙しいでしょうから問題をしぼってお尋ねをしておきたいと思うんですが、閣議決定に至るについては、暫定使用協定当時の覚書から約半年間はあるわけです。半カ年以上あるわけですね。十分に検討するだけの時間約余裕というものはあるわけですから、その際やっぱり十分なる検討がなされたのかどうなのか、なされて、各大臣その報告を了承をして、そして閣議でもって了解をされたのか、それとも、暫定使用協定以来の経過をそのままうのみにのみ込んで、そしてきめられてしまったのか、その辺が私はたいへん問題の点だと、こう思うんですが、その点の事情を長官からお聞きしておきたい点が一つと、それからもう一点は、先ほど長官がたいへん率直なお話をなされておりますので、私はまあさらに追い打ちみたいなことは言いたくないんですけれども、かりに検討がなされなくて、いわば覚書以降の経緯の上に立ったままで、うのみにあの閣議がきめたということであるならば、これは私は日本のきょうの内閣行政というものの信不信に関する問題にもなりかねないと思うのでありまして、その辺についての長官の御見解を聞かしていただいて、長官お忙しいようですから、長官に対する質問は終わっておきたいと思います。
  24. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) いまお尋ねの件は、私もそれは神沢先生のおっしゃるとおりだと思いますよ。これは覚書を受けて閣議決定をいたしておると思います。この閣議決定をする場合には、たとえばまあ防衛庁の施設局ですか、それから農林省当局も山林の関係がありましたし、事務当局でも相当な時間をかけて、この覚書を踏まえて閣議決定をすることについて協議をしてもらったことは事実であります。特に防衛庁が中心になりまして、演習場の問題が関連しておりましたから、やっていただきまして、そして最終的には次官会議が開かれまして、報告を防衛庁と農林省のほうからされまして、次官会議で了承が得られて、そして次官会議で通ったものは閣議の案件としてかかるわけでございますから、ただできたものをうのみにして、そしてこういう閣議了解事項ですか、そういうものができたというものではありません。いやしくも閣議にかかる案件につきましては、事務当局、関係当局が十分打ち合わせをし、そして次官会議にかけて、次官会議でオーケーが出なければ閣議の案件として持ち出されないわけでございますから、したがって、そういう手続は十分なされておりました。これは私は詳細にはよく記憶をいたしておりませんが、その手続だけはちゃんと踏みなさいと、こう言っておきましたことは記憶いたしております。しこうして防衛庁が中心になりましていろいろそういう打ち合わせをやったことも事実でございますから、その詳細につきましては防衛庁にお聞きくださればわかると思いますが、私は、先ほど先生がおっしゃったとおり、閣議というものはいやしくも国の行政に関する基本、重大な問題をみなして協議してオーケーを与える重要な会議でございますから、ただ紙きれを持ってきてこれを読んで、よろしいというようなものではありません。また、それで済まされるべきものではないと思います。したがって、私はそういうことは心得ておるつもりでございますから、十分手続は間違えないようにしなさいと、十分関係各省と打ち合わせをしなさいと、こういうことは、私もこれに署名しておる一人として、先ほどから申し上げまするように、行政的な立場を離れるわけにはまいりませんから、そういうことには念には念を押して、こういう覚書を閣議了解のものをつくったといういきさつがあったことだけは明確に申し上げておきます。  ただ、先生が非常にこまかく勉強されておりますし、また地元の関係でもございますから、いろんな御意見をお持ちでございましょうが、それに私は詳細に答えるだけの記憶もありませんし、また勉強もその当時もいたしておりませんでした。いまにして思えば、先ほども申し上げましたとおり、もともとこれは防衛庁が中心になって検討し、そうして手続を経て事を運ぶべき問題であったということを、何べんも呼び出されてみまして、しみじみ感じておりまして、これからこういうものに判こを押す場合には慎重の上にも慎重にいたしたい決意でございます。
  25. 神沢浄

    神沢浄君 それじゃ質問を次に移しますが、前回の質問の際に要求をいたしました「山梨県案の事業費一三〇億円を尊重することとした根拠」という資料をいただきました。確かにいただきました。しかし、実は私が期待をした資料とはたいへん相違をするわけでありまして、これは山梨県案を検討する際に、その検討のものさしの一つとして国が取り上げた事柄にはなるでしょうけれども、私が期待をして要求をいたしました資料というのは、この種のものだけでなくて、百三十億円というその金額が明示されているわけでありますから……。それは私も、覚書締結をされて、その後県と国との間でもって、この周辺整備事業計画について、かなり数回にわたっての折衝が行なわれていることはよく承知をいたしております。まあここへ、ときに必要であってはと思いまして、当時の新聞の報道のコピーなども用意してありますが、まあ地元紙はもとよりのこと、東京紙各社などが、県かどのような要求をした——たとえは最初は地元関係者側ではかなりの要求をいたしたようであります。県の手元でそれを集約をすると千二百億ぐらいになる。これは県も驚いたし、国もさすがに驚いたようでありますが、問題は、そんな要求をおくめんもなく出してくるような雰囲気をつくった国側にもこれはかなり大きな問題があろうかと私は思いますが、そのような点はあとに回しまして、結局、横浜の施設局などが実際的には地元側あたりをも指導をいたしまして、最終的に県ももちろん指導の立場をとりながら、たしか十月か十一月段階になりますと、まあこれ以上はどうも削りようのないという数字が三百六十二億くらいのものが出ていたように思うわけです。それがさらに検討を重ねた結果、最後は百三十億という数字に国側がやっと落ちつけたというのが私は真相ではないかというふうに見ているわけであります。したがって、地元要求をそこへ落ち着けるについての国側がものさしとして用いた資料として、いま手元に出していただきました東富士との対比というものは意味があったと思います。しかし、私が知りたいと思いますのは、その百三十億の中に、そのように検討されました結果、事業計画としては何と何と何が残ったか、そして金額的にはその各種事業計画というものについてどのような配分になっているか、こういうように点を知りたかったわけであります。これは、この質問を通じていま一々御説明をいただいておったんじゃ私も時間がなくなってしまうから(「何ぼ使ってもいいんだよ、まだ六月三日まで会期があるからだいじょうぶだよ」と呼ぶ者あり)ああ、そうですが、じゃ、こうしましょう。一応私、頭の中に予定をしておる質問の順に進めまして、あとから時間がいただけるものとするならば、こういうこまかい点にも入っていくようにいたしたいと、こう思うわけでありますが、そこで、とにかく念のため、いま私から申し上げたような内容を持った資料というものをもう一度つくっていただけませんか。これを要求したいと思うのですが……。この間の要求に基づいて手元にいただいた資料は、これはちょっと資料と言えないと思うのですよ。東富士が幾らだから、それに合わして北富士も幾ら幾らくらいにというだけのことなんですから、これは施設庁につくっていただかなくても、私どももそれは頭の中でもって幾らでもわかりやすいことであります。どうでしょうか。私がいま申し上げてまいりましたように、百三十億の中身というのは事業計画別では、種別ではどういうものなのか、そしてそれに対してのいわゆる金額の配分を合わせれば百三十億になるわけですが、それはどんなような内容になっておるのかという、こういう資料を出していただけますか。
  26. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) せんだっての当委員会においても、私答弁申し上げましたように、確かに北富士演習場の使用転換をめぐりまして一昨年来地元と話し合いをたびたび重ねました経過におきましては、たとえば山梨県案が三百五十六億であった時点もございます。また、その額が二百億台にいろいろ検討されて提示された時点もございました。しかし、われわれといたしましては、あくまで北富士演習場というものを使用転換して今後も演習場として使用していくにあたっては、今後の周辺整備事業に関しまして当該年度ごとの計画というものを具体的にきめて、それを予算化して実施に移していくということで、具体的事案一つの積み上げ積み上げで、これはよかろう、これはまずいじゃないかというふうな話し合いというのはやはり当時の立場としてはできなかったわけでございます。しかし、同じような形態を持ち、同じような風土、地形の中で、同じような演習を実施していく北富士演習場は、東富士演習場とのバランスにおきまして、今後後年度においてこのぐらいの障害防止あるいは道路整備、民生安定の事業が全体の規模として必要であろうというふうな観点に立って検討しました結果、一応県のほうでは、いろいろ経過を経まして百三十億とかいうふうな数字も県案としては持っていられました。具体的にその一つ一つの事案に関して、それじゃこれでよかろうということで政府もこれを尊重するという立場ではあくまでないのでありまして、全体の規模においての東富士とのバランスということで、今後の問題としてこれを尊重していこうという姿勢をとったわけでございます。たびたび同じ答弁を繰り返すようでございますが、具体的な事業の内容については私どものほうでは差し出す中身がないと申しますか、提出申し上げるわけ  にはいかぬわけでございます。
  27. 神沢浄

    神沢浄君 もうちょっと正直にやりましょうね。国の行政というものはそんなでたらめのものですか。百三十億という、とにかく大きな金額を約束するについて積算を全然していない。東富士に合わして大体このくらいが妥当であろうというくらい。だから、それも尺度の一つとしては私にはわかるというのですよ。しかし、そこへ尺度を置いて百三十億という金額をきめたからには、さあその入れものの中へどういうものを積み重ねて入れてそうなるかというくらいの検討をしなきゃ。官房長官はもうお帰りになっちゃったけれども、官房長官もしさいに検討するようにということを、その後は指示をしたと、こう言っておられるじゃないですか。そういうようなものがなくて百三十億などという金を出すことをあっさり閣議できめてしまうなどという、国の行政というものはそんないいかげんなものなんですかね。これは私はちょっと長官にやはりお尋ねしておきたいと思うのですが、これはそんなものであっちゃならないし、そんなものじゃなかろうと思いますよ。あるのだ、施設庁にはそういうものが。それじゃ私のほうが先に正直に申し上げますが、私がそれを検討したいというのは、おそらくその内容というのは、現行法ではこれはのみ切れない、この新しい法案を出さざるを得ないという、こういう内容がその中でもうでき上がっている、いわば先取りです。法律をつくらぬ先に先取りをした約束というものがなされているのではないかという点を私は調べたいから——質問の趣意を私先に正直に言いますがね。だから先にそれを要求するのですよ。出せませんか。  その前に、ひとつ行政に対する姿勢、態度を長官のほうからお聞かせいただきたいと思います。
  28. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは、事務当局の説明いたしましたとおり、覚書においても、実施にあたっては関係法令の運用等について積極的に検討するということでありますから、法律まで改正してやろうというようなことは全然触れていないと思いますし、閣議了解事項でも、正規の了解項目の付記としてあるようです。したがって、それは百三十億を国が承知しましたということではなくて、山梨県側の要望による百三十億を尊重するというふうに、表現も一そのとき閣僚じゃありませんでしたけれども、私から見れば、やはりそれ相当の配慮はなされている。ということは、事業費というものは積み上げていっていきませんとその計算は出ないわけでありますから、初めから当該年度の、あるいは来年度の周辺整備事業、現行法による事業費が幾らになるという見通しは立てられないわけです。現に、ことしもやはり総需要抑制の一環としてわれわれは自粛せざるを得ない予算を組まざるを得なかったわけです。ですから、そういう配慮はなされているので、結果的にそれが閣議了解の付記の尊重事項としての積み上げはなされていくであろう。しかし、初めから、予算がどう組まれようと、百三十億を年次計画に従って何が幾らという具体的なもので詰めていくには、それは大蔵事務当局は、財政当局は承知しないです。財政当局は、後年度以降の予算を拘束するというものについては、よほどのことがない限り、国家目標の設定された五ヶ年計画その他の総額等はきめますけれども、当該年度に幾らというごとまでは、たとえば来年度、五十年度には幾ら道路に組むとかいうような約束は絶対に大蔵当局はしません。そういうことを考えますと、私は閣僚でなかったにしても、前に経験もありますし、現在は閣僚ですし、そのような不注意なことを閣議まで持ち込むということは実際上事務機構のあり方からないだろう、そう思っておりますし、事務当局の説明どおりお受け取り願いたいものだと思っております。
  29. 神沢浄

    神沢浄君 まあ、いま長官の御説明のように、これはなるほど大蔵省という存在もあるわけですししますから、それを差しおいて、かってに財政措置まで含めての約束などができるものではもちろんなかろうと思います。それはわかるのですが、しかし、やはり大きな疑問がまだ残るわけですね。百三十億を尊重するというような、表現はたいへん配意をしておられる。いまの行政の機構の運営関係からまいりましても、決して越権にわたるようなことにはならないような十分な配慮はされているようでありますけれども、それじゃ立場を変えて、今度約束をされた県側からすると、どうなんでしょう。尊重するというようなことをただ一片の文書でもってきめてもらったけれども、しかし、実際にはそれはどの程度尊重されるのか、これはもうかいもく見当がつかないということになるわけですね。私は、そんなことでもって、とにかくもうぎりぎりの線でもって三百六十何億ですか、そういう数字まで出して、これは一歩も引けないというような交渉過程もあったようですが、相手の県といたしますと、そんな簡単なことでもって引き下がっていようはないですよ。だから、やはりもっと説得性のあるところの数字等を国側は用意をして示して、そして県を納得さしたものであろうことは間違いありません。また、そうでなければそれはできやしないですよね。だから別にそれが財政上の問題として、あるいは各省庁間の関係の上からして、大蔵省等に差しさわりのあるような意味でなくて、県を相手に交渉を積み重ねました、そして最終的には目標百三十億というものをお互いに了承し合ってきめましたその中身、県を納得させるために使ったところの資料、こういうものを出しちいただけないか。それを出していただきたいという私のその主張の理由は、さっき正直に言ったように、この法案審議とたいへんなかかわり合いがある。私は、その内容自体がとても現行法なんかではさばき切れないようなものになっているだろうと、こう思います。それは出せませんかね。出す前に、施設庁の長官に出していただく前に聞いておきたいのですが、その内容を検討した結果、現行のその法律ではとうていこれはさばき切れない、こういうようなものであったかどうなのかという点を、これもひとつお聞きしておきたいと思います。それから、その資料が出せるかどうか。
  30. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) この法律を新しくつくるか、その内容をどうするかについては、私が就任後作業を始めました。でありますから、私の気性もありまして、担当者まで含めて何回も何回も相当な人数でもってディスカッションをいたしましたが、その過程で一ぺんも、この山梨県側の百三十億の尊重という、その予算の内容とか事業とかいうものについて事務当局側からも意見も出なかった。私もそのことについては、この法律をつくるかどうかについての関連では、全然話をしていないという事実がございます。これは事務当局も加わって、ここにいる者以外もいっぱいおりますからお聞きになったらわかると思うのですけれども、そういう経過を踏まえてみましても、そういうことが原因で、約束してしまったから法律を変えなければいかぬ、そういうようなものではない。少なくとも私は自分が作業を開始した時点からはそう思っております。
  31. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 私も就任前のことでございますので、就任後いろいろ当時の事情等は調べてみましたけれども、当時、先ほど施設部長から話がありましたように、いろいろ御意見が山梨県側からあったということは承っておりますが、いろいろ議論の過程ですから曲折はあったと思いますが、最終的には、お手元にお出ししましたような、一種のマクロチェックと申しますか、そういう角度でもってこの議論を仕切ったというのが当時の事情ではないかと思います。したがいまして、議論の過程でそれはいろいろございましょうが、しかし、百三十億というものを許した根拠というものは、そういった東富士との対比におけるマクロチェックの計数である、こういうぐあいに私は理解しております。また、私も主計官を長い間やっておりまして、いろいろ経験してきたわけでございますけれども、こういった閣議了解とか閣議決定で数字を出すという段階になりますというと、最終的には一まあ私は当時財政当局だったわけですが、将来の問題もございますので、やはりマクロチェックというものでしながら、しかも、そこは予算の許す範囲内においてとかいう文句を必ずつけられるというのが慣例だったという記憶がございます。そういうわけで、先生おっしゃっておられましたような途中の議論はあったでありましょうけれども、やはり百三十億というものは最終的にはマクロチェックできめられたというぐあいに私は理解しております。
  32. 鈴木力

    鈴木力君 関連。  いままでの議論を聞いていますと、この法案審議にたいへん重要なものが一つある。それは、新しい法律をつくるとかいろいろなことをやって、民生安定とかいろんなりっぱな理由がありますね。だけれども、私は、防衛施設庁の基地に関する地方自治団体とのやりとりは、行政的に言うときわめて取引めいたことが多くて、ほんとうに厳とした行政の規律というものは軍事基地に関する限りは許されるんだというような態度が見えてならないわけです。そういうわけで、私はまず聞くんですけれども、たとえば、この前に神沢委員資料要求をした。東富士と北富士との演習場のバランスをとるということの説明があった。そのバランスの根拠の資料を出し渋ったけれども、とうとう出した。そこで私は伺うんですが、一体施設庁は国会のわれわれの質問に対してまじめに答えようとしているのか、ごまかそうとしているのか、その基本的な態度をまずひとつ伺いたい。先にそれを伺ってから、その次の質問をします。
  33. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) もちろん、国会でありますから、事実と違うことを答弁したり、ごまかそうとしたりすることは許されない立場事務当局もございます。  先ほどの、防衛施設行政全体が取引じみた行為が多いと、これは私もそう思います。しょせん、地元の方々の御要望というものとどうかみ合うかという問題でそういうことが多うございますから、たとえば、車力の問題等、御質問ありませんけれども、そういう問題等がありましたときに、その経過をずっと聞いてみました。しかし、県知事をはじめ県議会、地元の方々も全部反対しておられて、ミサイルの射撃場にできないという、そういう状態になったということがはっきりしている以上、そういう問題はもう国としてきちんと処理すべきである、地元の意向を尊重すべきだ、払い下げの御要望があればそれにこたえるということをはっきり私どものほうで明言いたしまして、まだ具体的に払い下げ要望らしきものというのは県も地元も出ておりませんが、要望はある、それには沿います、したがってわれわれは使いません、ということを言っておりますが、これは一例でございますけれども、もう少しやはり、いまおっしゃったように、取引で何とかその場を糊塗しょうという姿勢は、確かに指摘されるとおり、そう受け取られかねない環境が随所にございますので、そういうことのないように、やはりきちんとした行政処理をして、裏で話し合いをするとか、くだらない覚書が一ぱいできるとか、そういうことは厳に私からいつも戒めておるところであります。今後御注意の点は直せる限り直していきたい、そう思います。
  34. 鈴木力

    鈴木力君 そういう問題については、これはだんだん私の質問の番が来たときに、もう少し時間をちょうだいしてやりたいと思うのですが、私がいままじめに国会に答えているのかどうかと聞いたのは、この神沢委員に出したこの資料を見ますと、全く私はばかにしていると思うのですよ。これをばかにしていないと思うなら、これをつくった施設庁の皆さんがばかだと思いますよ、本気なら。なぜかといいますと、現行法からいっての演習場のこの種の助成というのは、演習なり軍事基地の使用との因果関係中心なのでしょう。ところが、この要素には因果関係は抜けておる。演習場の面積、市町村の人口関係農家戸数、これだけの比較です。しかも七〇%を掛けて数字を出しておりますけれども、人口の要素をここに入れるなら、人口は五四%。この要素をあげておいて、計算する図式からこの人口をはずしたというのは  一体どういう意味なのか、それが一つです。むしろ、演習の態様を比較して、もう一つ要素を入れて——まあこれは規模も確かに必要ですよ。ですから、この要素を三つあげたのを私はけしからぬと言っているのじゃない。もう一つ大事なことは、基地の使用の演習の態様の要素というものが、もう一つバランス論から言えば出てこなければいけないわけです。そうしてその因果関係を追及した上から何%なら何%、それをあえて除いたということが私はわからない。少なくともこの法律審議する立場からこの資料を見る限りは全くのごまかしだ。出せばいいのだろうといったような態度が見える。  それからもう一つ私が申し上げたいのは——関連ですから時間をとりたくないから一ぺんに言います。東富士のほうは昭和四十八年度までの累計をしておる。北富士のほうは昭和四十七年度までの累計で計算をしておる。そうして足し算をしたり引き算をしたりして残ったのが百三十億ですよ。正確に比較をするなら、同じ年度に比較をしなければバランスがとれないじゃないですか。そうすると、北富士昭和四十八年度実施分まで入れて引き算をするとこの百三十億というのは、うそなんです、出てこないんです。それから人口の五四%を正確に計算の要素に入れると百三十億にはならないのです。そうでしょう。これは小学校の三年生の算数程度であればすぐわかるはずです。だから私は、まじめに国会に答えているのかどうかということを先に聞いた。どうせ議員たちぼんくらだから気がつくまいからこの辺で出してやれという態度が見えてしょうがない。こういう態度で防衛施設行政がこれからも続くとするとたいへんだ。法律をつくるかつくらないかという以前の問題ですよ。なぜこういうごまかしの資料を出したのか、聞きたい。
  35. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) まず第一番のパーセンテージの問題でございますが、確かに周辺市町村の人口数は五四%でございます。これを単純に、七二%、五四%、七〇%単純平均いたしますと六五%になります。しかし、われわれは一応こういう数字を踏まえながら、障害防止あるいは民生安定という点で、要素としてどれだけのものを考えていったらいいかというときに、やはり周辺市町村の全体人口というものよりも、その中で演習場関係する農家戸数というもののウエートというものが大きいだろう、そういった点を考えて、六五%を全体のそういったバランスから考えて、〇・七という一つの指数をとったわけでございます。  それから御指摘の演習場の使用の態様につきましては、北富士演習場と東富士演習場におきまして演習を実施します部隊を、自衛隊におきましては、長官直轄富士学校、それから東部方面隊各部隊、それから中部方面隊の一部、そういったものがここに参加してまいって演習をするという点において、また用います火砲という点におきましても大体同様のものでございます。ただ、それが演習の態様としてどこに差が出てくるかということは、主として面積の要素の中に考えられるものであるというふうに考えたわけでございます。  それから四十八年度の問題について御指摘がございましたが、これは東富士も北富士も同じく四十七年度までの過去の実績の百三十一億と二十八億を比較しているわけでございます。四十八年度以降一応東富士で後年度として大体考えられております六十八億の事業、そういったものを加えて、これを現在価額に時点修正したものと、それから北富士演習場の四十七年度分までの二十八億というものを時点修正したものとで差し引きをやれば、北富士の四十八年度以降の事業計画というものの相当の数が出るというふうに計算したわけでございまして、東、北同じ時点で事業というものをとらえて計算してございます。
  36. 鈴木力

    鈴木力君 それから、そういう資料を出したらどうですか。皆さん、これあるでしょう。見てください。「東富士演習場昭和二九年度〜四七年度実施分約一三一億円、昭和四八年度以降約六八億円、計約一九九億円、上記の現在価額約二四五億円。」——どうして東富士から四十八年度以降を除いているんですか。除いているなら、ここに計というのはどういうことですか。国民の常識で計というのは、二つに並べて計というと、これとこれとの合計というのが国民の読み方でしょう。何か防衛庁では日本語でない読み方、別なことばを使ってやっておるんですか。それなら国会には通用しませんよ、日本の常識でないと。そうして北富士演習場には「昭和二八年度〜四七年度実施分約二八億円、上記の現在価額約四〇億円」、こうなっておる。いまの説明とこの資料とはそれでも違わないとおっしゃるですか。それなら、なぜこの計という文字を入れたのか。どうして東富士だけ「昭和四八年度以降約六八億円」と入れたのか。これは間違いじゃないんですか。
  37. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 私の御説明があるいは不十分だったのかもわかりませんが……。
  38. 鈴木力

    鈴木力君 不十分じゃなくて、この資料説明をしてください。
  39. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 東富士演習場におきましては、まず二十九年度から四十七年度までのこれは実績として百三十一億円が出ております。それから四十八年度以降を東富士演習場で考えられます——大体向こう五ヵ年間を考えたわけでございますが、考えられます事業が六十八億円というふうに当時推定したわけでございます。そうしますと、それを合計いたしますと百九十九億円でございます。その合計金額を、昭和二十九年度から四十七年度までの分につきましては、やはりこれはそれぞれの当該年度の価額でございますので、それぞれ当時の工事費から、その後のアップ率、あるいは資材費、労賃、そういったもののアップというものを考えながら時点修正していきまして、それを四十八年度の時点で考えますと、東富士の過去の分と今後の分とを合わせますと二百四十五億になるという計算でございます。これに対しまして北富士演習場では、昭和二十八年度から四十七年度までで二十八億円の工事費の事業を実施しております。しかし、北富士に関しましては、四十八年度以降どういう事業を行なうかというのが、まさにこの時点における話し合いの焦点になっていたわけでございます。そこで、四十八年度以降のものを考えるにあたっては、四十七年度までの分を時点修正して現在価額にしますと四十億になります。そこで、東富士の過去から今後の分を含めた二百四十五億というものと北富士の四十七年度までの四十億というものを対比する。ただ、ここで単純に差し引きをやりますと、北富士は二百五億というものが、いわゆる東富士の「上記の現在価額」というものに相当する数字として出てくるわけでございますが、ただ、その下にございますような、面積、人口関係農家戸数というふうな点でのバランスを考えますと〇・七の係数というものが出てくるので、それを乗じた上で四十億というものを差し引けば、北富士の後年度考えられる事業というものが約百三十億になるという計算になっているわけでございます。
  40. 鈴木力

    鈴木力君 これは関連ですからあまり長くはやりませんがね。そういうような説明でこれを貫こうとしているところに私は非常に不満があるんです。そういう理屈だって成り立つ。しかし、北富士だって四十八年度の予算はあるでしょう。ゼロじゃないでしょう。これをきめる時点でこれからどうということはあるにしてもだ。そうするなら、北富士にも現時点での予算があるというのはそこに入れておいて、それからやらなかったらバランスということにはならぬじゃないですか。だから、同じバランスをとるというなら、やっぱり現在の比較というのは、同じ条件で比較をしてみて将来これからどうなるというところが示されないと、このいろいろな説明は、どうせ百三十億というのを先に出しておいて、どんな式がいいんだろうということで持ってきたと、そう言えば一番わかりがいいんだろうけれども、そうも言うわけにいくまいから、そんな苦労をしていることはわかる。ただ法律の、現行法の基本になっているのは因果関係が基本ですよね。その因果関係を除いている。同じようなことをやっていますなんて言うんだけれども、それなら、同じことをやっている、回数から何からの、それも資料として出さなければ不完全ですよ。あえて不完全であって、あとからもし指摘をされれば、つべこべ何かごまかしたらよろしい、指摘をされなければもうけものといったような態度が、みなさんでずうっとある。この姿勢が直らなければ、どんな法律をつくったって日本のこの基地行政というものは民主的にはならぬ。そういう意味で私どもはいろいろのことを質問をしている。だから、本気で本物の基地行政につくり上げるというなら、もっとざっくばらんな答弁がなければいけないし、もっとざっくばらんな資料提出がなければいけませんよ。神沢委員のいまの要求した資料についても、適当にここでことばでごまかして、時間がたてば何とかというような考え方、態度が見えてならない。基本的にその態度を直しなさいと私は言いたいんです。  まあ、私はいま関連ですからね、いまの御答弁からも、前にもらった資料からも、いろいろな問題がたくさんありますんで、私の与えられた時間で質問をやります。それだけのことを言っておきます。
  41. 神沢浄

    神沢浄君 資料要求の押し問答をしておって時間をむだにしちゃっても、これは私のほうが手に乗ってしまうということにもなりますからね、私の質問の終わる一番最終時点でいいですから、要求しました資料を出せるか出せぬか、はっきりお答えをその際いただくことにいたしまして、質問を続けます。  いただきましたこの資料をながめてみましても、これはいろいろな問題が存在をいたすと思います。一つの問題は、いま鈴木委員のほうから触れられておりますが、東富士と北富士とを、ただ人口だとか面積だとか農家戸数だとかいうようなものだけでもって対比をするということは、これはもう、そもそも基地周辺の整備事業、現行法に規定するものからいたしますと、全くこれはむちゃだと思うですね。いま因果関係ということを鈴木委員のほうから触れられておりますが、これは法律でそうきめてあるんだから、したがって、その対比というのは、たとえば演習の頻度だとか規模だとか種類だとか、それが周辺民生にどういうふうな被害なり影響なりというものを及ぼすかという、これが対比されていかなければほんとうの対比にはならぬわけで、それをただ単に周辺の関係市町村の面積だとか人口だとか、あるいは農家戸数だとかということだけでは、これは私は無責任きわまる考え方だと、こう思います。かりにこんなもので百三十億というものがきめられたとすれば、だから私はその内容を知りたいということをくどくくどく言っておるわけでありまして、これをこのままで押し切ってやるということになりますと、根拠を持たないつかみ金ですね、これは。あるいは国が考えておる基地対策というものの本質がそういうところにあるかもしれませんけれども、もうまるっきり法律なんか無視しちまった、つかみ金でもってひとつやっていこうということにこれはなつちゃってるんですよ。これらの問題はあとからまた触れていきましょう。  そこで、この資料によりますと、昭和四十七年度までですね、二十八年から。東富士は二十九年度からということになっておるようですが、いずれにしましても、四十七年度までを見ますと、北富士が二十八億円、東富士が百三十一億円というんですね。格差が非常にあり過ぎるわけですね。これはなぜこんなことになっているんですか。七割という数字がはじき出されてあれば、もう四十七年度までだってやっぱりそれはそういう関係でもって事業が実施されていなきやおかしいじゃないですかね。これはどういう理由でしょう。
  42. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 北富士と東富士とにこういう格差というものができましたのは、やはり講和条約発効後の演習場の使用、特に米軍から自衛隊への使用転換という問題をめぐりましての経過がこういう差になってあらわれたんではなかろうかと思います。東富士演習場は、昭和三十三年に閣議了解され、三十四年の六月二十四日に東富士の使用協定というものが締結されて、それらを踏まえて地元との間に、周辺対策に対する、あるいは演習場使用と周辺の対策の問題、そういった点が絶えずいわばラウンドテーブルの中で話し合いが行なわれた形の中で、もろもろの障害の問題あるいは民生安定の問題というものがとらえられていったと思います。ところが、北富士におきましては、残念ながら使用転換の問題が、いろいろと地元関係市村、あるいは関係諸団体の間において、たびたびの紛争の積み重ねを経て今日に来たというのがこの結果であろうと思います。しかしながら、内容を見てみます場合に、やはり演習場使用に伴って障害が起こっているという面の障害防止の面というものは、北富士におきましては二十八億のうちの十八億を占めてはおりますが、民生安定事業とか道路整備とか、そういった面が大きくおくれておるというふうに理解されるのではなかろうかと思います。
  43. 神沢浄

    神沢浄君 まあ比較的正直な答弁をされましたね。それで、私はそこに問題の核心があると思うんです。そうすると、要するに、まあいろんな問題点がこれから引き出されるわけですけれども、いまの御答弁を正直に受け取れば、東富士は自衛隊への使用転換を早くしたから、まあ相当の事業が実施されてきておると、ところが、北富士においては使用転換をなかなか拒んでおって実現がおくれたから——昨年ですからね、やっと、自衛隊の演習場になったのは。だからこういう格差が生じたと、こういう御説明であったと思いますけれども、よろしいですね。
  44. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 周辺対策事業というものは、あくまで補助金事業でございますので……
  45. 神沢浄

    神沢浄君 いまの質問にずばり答えていただけばいいですよ。
  46. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) あくまで市町村と事業主体との関連において出てくる事業の採択になるわけでございますので、そういった点において、先ほど申し上げましたような関係で、市町村との間に、その障害の防止とか緩和というものをめぐっての十分な話し合いがなされなかったということも、一つの原因であろうと思います。
  47. 神沢浄

    神沢浄君 話し合いを聞かなかったということでしょう、話を。アメリカの演習場であろうと、自衛隊の演習場であろうと、根拠になる法律は一本ですね。現行法のいわゆる防衛施設周辺整備事業にかかわる法律というわけでしょう。アメリカ軍が撃つ大砲であろうと、自衛隊が撃つ大砲であろうと、変わりはないですね。それが引き起こす被害、影響、まあ別にアメリカのほうが大きくて、自衛隊のほうが小さいというようなことはないわけですね。そうであるとするならば、これはやっぱりそのどちら、アメリカ軍の使用の基地であろうとも、自衛隊の基地であろうとも、受ける住民、国民立場からすると、全くその被害、影響は変わらないんだから、法律はそのためにあるんだから、なぜその法律をそんなふうに国側の恣意、いわゆるほしいままな態度でもって乱用をしてきておるわけですか。わしは許せないと思うな。自衛隊に使用転換をすれば金を出してやる、そういうことでしょう。だから今度、いままでのやつをそっくりまとめて百三十億円出してやる、これが真相じゃないですか。いま御答弁になって、正直にそう言われておると私は受けとめますよ心そう認識していいですね。
  48. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 新米でございますが、私からかわって、私の知っている範囲で申し上げたいと思います。  つまり、東富士につきましては、俗称私どもは使用転換と言っておりますけれども、そういうものが非常に早くて、演習場の使用問題についての論議があまり中心じゃなくなってきたと、早い時代から。北富士におきましては、演習場の使用問題ということに地元の皆さんの御関心もいかれたし、そういう議論が非常に多かったという時代が続いたと、つい最近まで。ということが一つバックにあると思います。それから、周辺対策の事業は、いずれにいたしましても、地元の公共団体が発意されて、こういうことをしてほしいということから始まるわけでございますけれども、演習場の使用問題についての論議がなければ当然そういった話がどんどん地元から出てくる。地元から出てまいりますというと、私どもではそれを審査をいたしまして、はたして三条、四条の規定からいって適法であるかどうかという問題になってくるでしょう。片一方では、そういった話がなかなか出にくいという雰囲気があった。したがって、出にくい話でございますというと、私どものほうから、こういうことをしちやどうかということもなかなか申し上げかねるという性格のものでございますので、やはりそこに仕事の関係北富士がおくれてきたということが結果的に招来したのじゃないか、こういうふうに私は推測いたします。
  49. 神沢浄

    神沢浄君 まあ事実は事実だから、正直に認める言い方というほうが、やっぱり時間もかからないし、いいじゃないですかね。要するに、自衛隊の使用転換がおくれたから、したがって法律の定める事業も北の場合は東並みにやってもらえなかったと、事実がそれを示しておるわけなんだからね。今度は使用転換がなされたから、いままでのやつをみんなまとめてめんどうをみよう、百三十億、そういうことなんだよ。それは、まあ大体長官部長の答弁の中から、表現の持って回ったようなところは別にしましても、私はまあそう受けとめます。反論があれば反論をしてください。なかったら黙っててください。  それでですね、だから、私はこの百三十億というやつが問題だと思うんですよ。いわば使用転換を国側は実現をするためにこの金を出すわけだ。ですから、そうでないならば、私の要求した資料なんか即座に出せるわけだ。ところが、国側の考えておることが、国民のためにあの法律を、現行のその法律を正しく施行をしていこうというのではなくて、あの法律を自衛隊の使用転換という特定の国側の目的のためにかってに乱用をしようとしてきておるような、そういう経過の中だから、これは資料も出せぬでしょう。出せばそれは資料が雄弁に物語りますよ。そうじやなかったら、そんなこと別にこだわる必要ないからこれは出すべきなんだ。さっき申し上げたように、私の質問の終わる時点でいいですから、そのことについてのお答えはしてください。  それから、じゃ次に進みますが、この資料の中でもって、関係農家戸数というのが、これはたいへん重要なデータとして出ておりますね。周辺市町村の人口関係市町村の面積、それと並んで関係農家戸数、七〇%を割り出すための欠くべからざる重要な資料として出ておるわけですね。私はこれをながめてみまして、農家こそほんとうに迷惑でもあるし、まことに、きわめて俗な言い方をすると、いいつらの皮だと思いますよ。あの周辺整備事業なるものの中でもって、農家のために何をやりましたか。これはあとから私は、いま国が計画中の民安事業などについて、時間が許すならばできるだけひとつ深い論議をしてみたいと思っておりますが、七〇%を割り出すための非常に大きな要素として農家戸数を使いながら、それじゃ農家のために何をやってくれたか。ことに北富士の場合は。東富士の場合は多少やはり農家対象の事業が実施されておるように私は承知をしております。北の場合はほとんどないじゃないですか、農家を対象の事業というのは。そうすると、これはただ農家はダシに使われておるだけ。私はそんな感じがしてならないです。説明をしていただけますか。
  50. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 東富士、北富士演習場の地形、風土等から考えまして、まさに演習場使用と、そのそういった運用によって及びます影響というのが農家に一番多いと。周辺の状況からすれば、農家というものの存在が一番影響を受けると申しますか、関係の深い形にあろうという判断に立っているわけでございます。ただ、東富士におきましては、過去昭和三十四年からいろいろ農業整備事業等あるいは開田事業等やってきております。ところが、北富士におきましては、残念ながら先ほどのような事情で十分にできてないわけでございます。たとえば農業用水だとか、そういったものの整備事業は過去においても実施してきておりますが、東富士とのバランスにおいては立ちおくれているということは、特に農家の関係においてはそういう実情であろうかと思います。それであるからこそ、今後の北富士演習場の使用転換後の事業採択にあたって農業関係整備事業というものを十分考えていかなきゃならないという点から、この尊重する根拠の中に関係農家戸数というものの対比を選んだわけでございます。
  51. 神沢浄

    神沢浄君 すると、これからやるというわけですか。これからの計画の中におきましては、むしろいままでほとんど農家は顧みられなかったから、より重点を置いてやりたい、そのために東富士との対比をきめるのに、特に農家戸数というものがここに取り上げられておる、こう受け取っていいですね。
  52. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 今後の尊重いたします懸案百三十億の事業の中身というものが逐年具体的な形となって出てき、それを国の立場として地元と御相談しながら事業の採択をしていくわけでありますが、おそらくその中身としては、農業関係のもろもろの障害防止事業あるいは民生安定事業というものが出てくるものとわれわれのほうでは推測いたしております。
  53. 神沢浄

    神沢浄君 それでは、四十八年度実施の事業計画の中で、いまお話しの農家のための事業というものはどんなものがありますか。
  54. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) まず、障害防止関係の砂防工事だとか、流路工事だとか、そういったものはもちろん洪水なり雪しろの防止という一つの災害防止対策ではあると同時に、やはり水の問題に関する一つの障害防止であると同時に、これがかんがい用水その他に対する影響という点も考えて一つの農業関係の事業ではなかろうかというように考えます。それから民生安定事業におきまして、たとえば山中湖村に四十八年度で考えました有線ラジオ放送施設、これも山中湖村の住民、特に関係農家の方々が演習場内に野草、そだ等を採取に入る、あるいは植林地の撫育管理に入るということと演習実施との関連におきまして、演習通報の徹底、危険防止、こういった点をはかる意味での施設であろうと思います。また、忍野村の農民研修施設も、忍野村の農家に、北富士演習場という、山野が演習場に使用されているということに伴いますところの農業改善その他のいろいろなくふうをされる意味での研修施設をつくるという意味においての一つの農業関係施策であろうかと思います。その他、たとえばコミュニティー施設にいたしましても、これは地域社会の近隣関係というものをよくし、いわゆる地域住民のコミュニケーションというものをはかっていくというための一つの集会の場であるという点におきましては、農業人口を多数に擁しているこの地域においては、やはり一つの農家に対する助成施設であると、こういうふうにも考えられるのではなかろうかと思います。  さしあたって昨年度の事業につきまして、いま申し上げたようなものが考えられると思います。
  55. 神沢浄

    神沢浄君 特に農家のためというものは、いまの御説明の中でも私には受け取れないのであって、忍野村の農民研修センターといってみたところで、忍野村なんかみんなほとんどこれは農家なんですから、住民と言いかえたってもちっとも差しつかえないわけです。特に農家ということにはなりません。障害防止工事なんというものは、これはもちろん農家も受益するでしょうけれども、地域全般が受益するものなんですからね。私が特に触れましたのは、どういうようなからくりがあるかはわかりませんけれども、七〇%のこの資料の中でもって割り出しに農家戸数というものを特に取り上げている以上は、やっぱりこれは特に農家に対する事業計画というものがかなりの比重を持って尊重されなければつじつまが合わない。ところが、これから、たまたまそれに触れてきましたから、本年もすでに決定をいたしました実施事業の計画について私はお尋ねをしていくっもりですけれども、ことしの計画をながめてみましても、いま御説明のあったような内容では……。これは特に演習場が存在するために、たとえば入り会い慣行が侵され、確かにまず直接的に第一に演習場が存在しさえしなければ相当の利益の享受できる農家の利益というものが侵されておることは間違いありません。だから、そこに演習場が存在をするということについては第一義的にやっぱり農家の利益に対する補償というものが考えられなきゃならないと思うんですけれども、そういう姿にはなっていないというところに問題がある。ただその説明資料などをつくるために、そういうときにだけ農家戸数などというものがダシに使われるというような、こういう姿が私はどうも納得できないのでして、これはこれから個々の事業計画を検討する中でもってひとつ論議を深めていくことにしたい、こう思うんです。  そこで、本年度のというか、四十八年度の事業計画は、これはこれまで資料を前の他の委員会の審議の中でいただいておりますから、私も承知をしております。ただ、私この際ひとつ、これもあとからでけっこうでございますが、あの事業計画全体をながめてみまして、かなり国では、施設庁としましては県側の要求というようなものも押えながらきめたのでありましょうけれども、これはもう率直に言って、本年度の事業計画そのものにつきましても現行法を相当に拡大解釈をして、かなり無理な、つじつまの合わないような理由でもってきめておるように思えるのであります。  そこで、時間の関係があるから、それを一々ことしの事業実施計画内容についてお尋ねをしていくなどということは、これはできませんから、これはあとからの検討の資料としていただきたいんですが、四十八年度の実施事業について、国の補助金が約九億くらいになりますか、八億か、あの分につきまして、第一に事業内容と金額、それから補助金の交付申請書——これはきめるについてはこういうものが出ているはずでしょう。それから交付決定の通知書、これにも、きっとその計画を決定するについての国側の理由説明内容にあるだろうと思いますから。それから、これは本年度だけのものですから来年のことはさまっていないといたしましても、一つの全体の計画というものがあっての本年度計画だろうと思いますから、全体計画というものもひとつ参考に加えて。もう一度申し上げますが、四十八年度の実施事業計画の全体にわたって、その一つ一つについて、事業内容と金額、それから補助金の交付申請書、それから交付決定通知書、それから、本年度計画だけで終わるものならいいですけれども、さらにこれが続くものにつきましてはその全体計画等をひとつ、これはあとからでいいですから資料として作成して出していただきたいと思うんですが。これはいいでしょう、もうきまっているものだから。これ、出していただけますか。
  56. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) ただいま御要望の四十八年度の各事業につきまして、御要求の事業内容と金額、それからこの事業を採択いたしました国としての交付決定通知書、それから年度にまたがりまして一応全体計画のわかっておりますような障害防止事業、そういったものの全体計画  これはあくまで計画でございます。それについては御提出さしていただきます。ただ、交付申請書というものは、あくまで国がこの事業を採択するという意思決定をする前の段階の市町村から出されております文書でございますので、これだけは国の立場としては提出さしていただくわけにはいかないと思います。
  57. 神沢浄

    神沢浄君 そんなことはないでしょう。交付申請書に基づいてきめているわけでしょう。こんなことは公のものですので、出せないなんということはないですよ。これは一緒に出してくださいよ。どうですかこれは。交付申請書が来たから、それに基づいて検討して決定して通知を出しているわけでしょう。国の、ただ単に決定しましたなんという通知書だけもらったんじゃ内容の検討なんかの十分な資料にはならぬ。やはり交付申請書というものをつけて出していただかなきゃ資料にならぬですよ。これは市町村という公の団体から国というきわめて公なところに出してきた書類だから、それを資料として出していただくなんということは一向差しつかえないと思いますがね。それも秘密主義ですか。さっき鈴木委員のほうでもって触れられておりましたが、大体防衛庁、防衛施設庁のやることというのは、そんなもう、これは国民の常識的な判断じゃまことに理解しかねるような面まで秘密主義をとるんですかね。問題にならぬですよ。ひとつそれも加えて出していただきたいと思いますが、どうですか。
  58. 田代一正

    政府委員(田代一正君) たいへん申し上げかねますけれども、実は衆議院でもそういう議論があったわけでございますけれども、交付申請書と申しますというと、やはり公共団体から国に対しての申請でございます。国は予算を使っているわけですから、予算を使ったという根拠が明確であればよろしいんじゃなかろうかということで、従来も交付申請書につきましてはお出しすることを遠慮していた経緯もございますので、衆議院の段階でもごかんべん願ったわけでございまして、ひとつよろしくお願いいたします。
  59. 神沢浄

    神沢浄君 そんなところにこだわらなければならないものでしょうかね。これは何か国民の目の前にさらしたくない、いわば折衝段階におけるところの、ある程度相手方のためにも秘密を保持しなければならぬというような、こういう性格のものならば、これは私もわかりますよ。しかし、事実を実施するために、市町村というきわめて公共団体というんですからね、公の団体から公の手続をとって、そうして出されてきておる申請書でしょう。その申請書に基づいて国は決定なり不決定なりの措置をとっているというわけでしょう。そんなものが出せぬということは私はないと思うけれども、いままで出していないからそういう慣例を破りたくないと、しいて言えばこういうことが理由なんでしょうけど、そんなものは大いに破るべき慣例じゃないですかね。そんなことをやっているから、防衛施設庁の、防衛庁の秘密主義というようなものが、非常にわれわれをはじめとして、国民の側に疑惑をつのらせるわけですよ。この際出せませんか。
  60. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 別に秘密主義というわけじゃございませんが、あくまでこれはその事業が採択されるまでの、決定されるまでの過程におきますところの市町村の立場としての申請内容でございます。これを判断して、事業がどういうふうにきまったのか、その採択の理由は何か、規模は何かということで、国の立場としては資料提出させていただく立場になるわけでございます。市町村の立場等もありますし、国のほうの立場で申請書を出すことは遠慮させていただきたいと思います。
  61. 神沢浄

    神沢浄君 それは理由にならないですね。私もこんなことでもって時間をむだにしちゃっちゃ困るんで、それもさっきと同じように、ひとつ私の質問が終わるまでに考えてください。そんなことが、もし慣例がそうなっておるからということがただ単なる理由なら、そんな慣例は思い切って破るべきですよ。理由にならない。市町村が実施する事業でしょう、国民の目の前で。その事業に対して補助金の交付を申請してきている書類でしょう。秘密にも何も、その理由なんか何もないじゃないですかね。それはまあとにかく考えておいていただいて、私の質問が終わる時点でお答えをいただきたいと思います。  そこで、とても一々の問題に触れる時間的な余裕はありませんので、若干の計画を取り上げてお尋ねをいたしますが、障害防止工事の中に神田堀上流の関係というのがありますね。あの水系に対していままで二、三カ所地点くらいの工事が行なわれていると思うんですね。私もこれを調べてまいりまして、ここに図面もあります。   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕  私の調べた図面もあります。工事の現況なども、特に代表的な個所については写真などもとって持ってきてあります。それで、まずお尋ねをいたしたいのは、この工事につきましては現行法上とどういうかかわり合いがありますか。それからまずお尋ねしてまいります。
  62. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 現行周辺整備法三条に基づきます障害防止工事ということで実施しております。
  63. 神沢浄

    神沢浄君 その三条ですけど、三条はこうなっているわけですよね。「国は、地方公共団体その他の者が自衛隊等の機甲車両その他重車両のひん繁な使用、射撃、爆撃その他火薬類の使用のひん繁な実施その他政令で定める行為により生ずる障害を防止し、又は軽減するため、次に掲げる施設について必要な工事を行なうときは、その者に対し、政令で定めるところにより、予算の節囲内において、その費用の全部又は一部を補助するものとする」と、こう一項でもってきめてあるわけですね。そうすると、あの神田堀という流れは演習場外ですね。たまが飛んでいくところではないですね。まあ大体演習場内だって着弾地というものはさまっておりますから、いま読み上げましたような「射撃、爆撃、その他」というようなことでもって障害の生ずるような個所じゃないですね。ましてや演習場の区域外ということになりますと、これはどう考えましてもこの条文はなじまないですね。私は、これは地元住民のためにああいう事業が役に立っていることは、それは認めるんですよ。それはいいんです。いいんですが、ただ私がここで論議をしたい点は、これらは当然、災害があった際には災害の復旧なりその他、これは建設省なら建設省のその所管のもとにやるべき工事だろうと思うんです。   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕  それが基地周辺整備事業として行なわれておるところに、国の行政というもののいわゆるあり方、根本の問題としてですね、そういう点が非常に私には懸念がされてならないわけなんです。何か、その演習場が存在をするために、必要以上にその周辺の市町村は国の行政の恩典を受けることができる、こういうことになりますわね。そこにはやっぱり国の行政のゆがんだ姿勢が生じておるということになると思うんですよ。国の行政の公平性とか、その斉合性とかいうものをこれは傷つけてしまっている。これは案外総理大臣にでも聞かなければだめなことかもしれないけれども、それでまあそういう観点のもとに私はお尋ねをしているわけなんですが、話をもとに戻しまして、さっき御説明のありました三条と具体的にこの工事がどうかかわるかという点は、これは納得のいくように説明をしていただきたいと思います。
  64. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) この神田堀と申しますのは、下流に流れまして富士吉田市街地におきましては神田堀川となっているわけでございますが、大体その源はいわゆる吉田大沢付近に発しまして、流域面積にいたしまして約十平方キロございます。御存じと思いますが、北富士演習場というのは、昭和二十五年、当時の占領米軍が本栖湖近辺までも含めました一億七、八千万平米に及ぶ地域演習場として保持してまいりました。富士吉田登山道から以西につきましては昭和三十三年に返還になったわけであります。その際に、この神田堀流域の一部は確かに返還になっております。しかしながら、あとの富士吉田登山道の東側部分につきましてはその後も演習場として残っておりまして、上流のほうにつきましては、昨年使用転換の際に滝沢林道以西が返還になったということで、その流域の相当部分は返還になっておりますが、まだ現在におきまして、中ノ茶屋近辺におきます部分に関しましては依然として流域が演習場の内に含まれております。したがって、過去の昭和三十三年以前の演習場としてあった時点の問題、それから昨年の使用転換時点における滝沢林道近辺の流域の問題、そういった点の障害と現在残っております流域の障害とを合わせまして、第三条におきまして「自衛隊等の機甲車両その他重車両のひん繁な使用、射撃、爆撃」、そういった訓練活動というものが、この地域においても過去においても行なわれているわけでございます。ただ、御指摘のように、着弾地でないことは事実でございます。しかし、自衛隊、米軍等の隠蔽行動訓練だとか、そういったことでこの流域に重車両等が立ち入っていること、それから演習場があるがためにそういった流域の管理というものが立ち入り制限されて十分行なわれてない点、そういった点を考えまして、それらの障害を防止するために、第三条の第二項にありますところの河川の改修工事としてこの事案を採択しているわけでございます。
  65. 神沢浄

    神沢浄君 部長さんね、説明に苦しいかもしれぬけれども、これはもうまるっきりあの周辺の地形、事情を知らない人への説明では済んじまうかもしれぬが、残念ながら私は知り過ぎているんですよ。さっきB地区当時は演習場だったというのは、それはそのとおり。アメリカ軍に占領されたときには富士山すっぽり演習場にされちゃったんだから、それはそのとおりですけどね。あれが返ってまいりましたのは三十二、三年じゃないですか。ところが、これが手がついたのは四十二年以降ですね。あれは理由にも何にもなりませんよ。三十三年に演習場はもう返っちゃったんだ。そのときもう関係はなくなっちゃったですよ。仕事が始まったのは四十二年です。十年も違うじゃないですか。昔から十年一昔ということばさえありますね。昔話みないなものです、これ。  それが一つと、それからさっき私が図面をと、こう言ったですが、この図面で見ますと、だから写真もこうやって用意してありますけど、施行個所についてはほとんどこれは市内の——市内って、要するに繁華部ですね、市内の。繁華部に近いものがありますね。これが何で「自衛隊等の機甲車両その他重車両のひん繁な使用、射撃、爆撃その他火薬類の使用のひん繁な実施」にかかわってくるのですかね。ぼくはさっきも断わったとおり、これはこの事業が地域に役に立っていないなんということは言いませんよ。役に立ってますよ。その意味においては、事業そのものは私は文句なんかちっとも言いません。ただ、これをなぜこの法律でやらなきゃならぬかというところに、私は国の行政の問題を指摘したいと思うんです。簡単な言い方をすれば、演習場に協力をすれば仕事がしてもらえる、演習場が存在することによってその関係の市町村は他の市町村に比べてみて非常に多分の利益が享受できる、こういうものをつくり上げているんですね。これもさっきも触れたんですが、いわば、法律の恣意な、ほしいままな乱用じゃないですかね。私はなぜこんな点をしつこいくらいに言うかというと、こういう傾向というものが強まっていけば、やっぱりこれは軍事優先ですよ。ほかの部面では、災害の復旧などにしても、あるいは演習場とかかわり合いを持たないところの市町村では、河川の改修にしても、道路の問題にしても、やってもらいたいようなものの要求というものはたくさん出ておるにもかかわらず、そういうものはほとんど認められていないじゃないですか。ところが、基地があるがために、この法律が全然かかわらないようなものにまで手をつけてやっているわけなんです。私は問題はそこにあるように思うんです。だから、この法律とどういうかかわり合いがあるかということを具体的にさらに説明をしてください。
  66. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 三十三年に富士吉田登山道路以西が返還になったということは、まさに先ほど私も御答弁申し上げたように事実でございます。やはり、その演習場使用の間の荒廃というものも一つの遠因にはなっております。しかしながら、神田堀はその東側に隣接します侭堀の流域と同じ流域をいわば共同しているというような面があります。その部分はまさに昨年度滝沢林道以西が返還になりましたけれども、その返還になる以前演習場であった時代に、まさにその流域が含まれていたという問題がございますので、そういった点が三条の事案として採択するに足る十分な理由であろうと思います。なお、河川改修というものは、やはり山の上のほうだけの砂防工事をやっているんではだめでありまして、洪水対策等を考えるならば、上流部におきまして砂防工事をやると同時に、下流部におきましては護岸その他いわゆる流路工事というものをやって、あわせて初めて洪水対策、富士におきましては雪しろ対策というものにもなろうかと思います。やはり、当然しかるべきところまでの下流の護岸等の改修というものは三条の障害防止の範疇に入るものと考えております。
  67. 神沢浄

    神沢浄君 そういう全然意味のないような説明を繰り返して時間をむだにしないでください。私が聞いておるのはですね、第三条の規定そのものとはどうかかわるかということを聞いているんです。いま侭堀の話が出ましたね。侭堀だって、厳密に言えば、射撃、爆撃その他が行なわれているわけじゃない、たまが落ちておるわけじゃないし、自衛隊の機甲車両その他重車両があんなところを通れる場所じゃなしですね、侭堀も演習場のきわめて境界に近いところですからね。しかし、侭堀はその区域内にありますから、私はそんなこまかいことまで言おうとは思いません。しかし、神田堀については全然これは区域の外なんだから。かつてB地区当時演習場だったといいましても、それは三十三年ごろまでであって、この事業が始まった四十二年とは十年ももうたっちゃっているんだから。この法律を正しく読もうじゃないですか。自衛隊の機甲車両その他重車両があんなところを通りますか。通るか通らぬか答えてください。それから射撃、爆撃、砲弾があんなところへ行って落ちますか。あそこでもって自衛隊が、あるいはかってアメリカ軍が、火薬類を使用して、そうして演習などをしておりますか。演習場の区域外に行って演習ができようはずがありませんからね。これは全然やっていないんです。そうなりますと、この三条で説明することは不可能なんだ。もっと正直な答弁にしたらいかがでしょう。これは不可能だと、この第三条には該当しないと、しないけれども、しかし地元の要望があったから取り上げたと。事実はそういうことだろうと思いますから。私は取り上げたことを何もここでもって裁判官みたいに追及しようなんということを思っておるわけじゃありません。  ただ、この際私は論議をしておきたいと思うのは、そういう基地行政のやり方が国の行政の全体像をゆがめてしまうじゃないか、そのことは軍事優先にやがてっながっていくじゃないかということです。そのことはあとから私は、自治省の方なども来ていただいておりますから、論議をしたいと思うんですけどね。他の自治体なんかにおいては、さきも言うとおりで、それは河川改修もしたり何もしたり、そういう要望があったって、そっちは十分に回らぬじゃないですか。さっき何か農業研修センターだかの話がされましたが、どこの市町村だってそういうものをほしいですよ。ほしいですけれども、この演習場のためにあるこの法律をきわめて拡大して解釈して、基地の関係ではできる。ほかの市町村ではできない。行政の不公平でしょう。みんな同じように税金を出している国民ですよ。その国民が住んでおる市町村ですよ。その市町村の間に、基地のあるとないでもってそんなに不平等な、不公平な行政というものがこれから進んでいってよくはないと思うから、私はこのことを特に取り上げるんです。やったことを追及しようとかなんとかということじゃありません。だが、これはやっぱり、この三条とはどうしてもかかわらないという点は、これはひとつ明らかにしておきましょう。
  68. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 昨年使用転換になりますまで、相当部分滝沢林道以西の部分が神田堀の流域部分として含まれていたという事実がございます。それから現在なお中ノ茶屋近辺におきまして神田堀流域の一部が含まれているということも事実でございます。それから、この流域が着弾地でないから、ここへたまを打ち込んでいるということではないということも、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。しかしながら、この沢等を横断しながら、ここで隠蔽行動訓練をやるとかというようなことで、車両訓練、車両の通行があったり、あるいは築城訓練等がこの流域で実施されているということも事実でございます。それから、演習場の区域に流域が含まれているということに伴って、立ち入り等十分に行なわれない、したがって管理保全が十分行なわれないということが、演習実施による障害と相乗効果となって神田堀の障害防止工事を行なう原因になっているということも考えられている……
  69. 神沢浄

    神沢浄君 それは一人でやってください。そういうのはいいです。ここでもってあんな答弁を聞いてやりとりをしておったっても、これは全くむだなことで、私も被害者の一人だ。時間はどんどんたっし、迷惑千万ですよ。これはやっぱり現地を見ていただきましょう。私は今後の日本の、繰り返すようだけれども、行政のあり方を考えていく上に非常に重要な意味を含んでいると思うんです。ですから、あとから御相談いただければけっこうですけれども、ひとつ現地の調査をお願いをしておきます。
  70. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 理事会で相談をいたします。  午前からの審査はこの程度にとどめ、午後二時再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十三分休憩      —————・—————    午後二時七分開会
  71. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  72. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は質問をすわってやりますので、どうかすわったままで……。  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案、これを審議するにあたりまして、現在の米軍基地及び防衛庁等の基地周辺に対する対策について、防衛施設を安定的に維持しようとしながら周辺市町村との調和をはかっていく方針のもとに、特損法及び防衛施設周辺整備法等が今日まで施行されてきておりますが、現今の基地周辺が、経済の高度成長に伴いまして、都市化の現象というものが非常に変わってきているわけです。そういう中にあって、その地域開発のもちろん競合問題だとかあるいは住民の生活環境保全等がからんで、またさらには公害問題の発生の諸事情等が含まれて非常に地域住民が困窮の状態にいるということは私がいまさら申し上げるまでもないと思いますが、これらの問題と、また今後わが国の防衛整備計画によっても、このような事情もまた大きく変わってくるだろう、こう思うわけであります。したがいまして、きょう私は三つの点に大きくしぼって質問をいたしたいと思います。  一つは、青森県の三沢市の三沢基地の米海軍P3Bですか、対潜哨戒機移駐計画の問題等を含めまして、周辺整備に関する問題、市のまた財政的な窮迫等の問題もございますし、これらが地域市民に与えている諸問題これらが第一点。  それから第二番目には、わが国の防衛整備計画に関する問題についてお伺いしたいと思います。それは申し上げるまでもなく、悪性インフレ、狂乱物価の高騰による予算上の問題、それにからみまして、従来の計画どおりであるとしておる第四次防計画、第五次防計画とする長期計画をこのまま維持していくのかどうなのか、また、一年ごとに計画を立てておいて、一年分を継ぎながらそしてやっていこうという、ローリングシステムといわれておりますが、こういう方式でいこうとされているのか、これらの問題。それから装備品の発注問題等を含めて第二番目の問題としてお伺いいたしたいと思います。  第三番目の問題としましては、治安出動の、条文の八十三条に基づく災害派遣対策、これらにつきまして過日新聞等で報道されておりますが、地震の図上演習計画等を含めたこういう問題等について質問をいたしたいと思います。  まず最初に、いま申し上げましたように三沢基地のことにつきましてお伺いをいたしたいと思いますが、現在の三沢基地の、三沢市民、その周辺の人たちがこの基地のためにどれだけ悩まされてきたかということ、今日の時点における現状を御承知ならば説明をしていただきたいと思います。
  73. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 三沢飛行場は終戦直後からいわゆる占領米軍の飛行場となりまして、今日まで引き続き日米安保条約に基づく施設・区域として使用しているわけでございます。その間、米空軍があの飛行場を主として使っておりました時代に、航空機の騒音等で、あるいは広大な面積を三沢飛行場が占めているということに伴って、もろもろの地元からの御要望が出てきた経過というものはございます。それらの経過を踏まえながら、最近におきまして三沢市のほうから出ておりますところの御要望といたしましては、たとえば飛行場の地域の一部を市民の森とかそういういわゆる市民のいろいろな生活環境整備、あるいは市民活動の場として飛行場から開放してもらいたい、返還してもらいたいという御要望が一つ出ておるわけでございます。さらに、航空機の発着に伴いますところの騒音等に関しましては、特に昨年艦載機の飛来に伴います着艦訓練等の問題に関しましては、騒音の問題についてのいろいろな御要望を寄せられてまいりました。特に、夜間の飛行等については、できるだけ着艦訓練等の時間の制限をやってもらいたいというような御要望も出ております。もちろんそういう着艦訓練をやめてくれという一番端的な御要望も出ているわけでございます。それから周辺対策事業につきましても、  いろいろ従来から防音工事その他を実施してきたわけでありますが、今後とも周到な取り組みをもって周辺整備事業をやってもらいたいということで、昨年三沢市のほうからも今後のいろいろな周辺対策に関する御要望が出てきているわけでございます。大体御要望としてはそういう御要望が出ております。それから、わが庁の直接の担当ではございませんが、基地交付金の増額等も前々から御要望としては出ております。
  74. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) いまの答弁だけではお気に召さないだろうと私思いますので……。  まず一つには、これは賛否は別でありますが、事実問題として、むつ小川原湖開発という国の大きな計画がその三沢市を含む地方に進行しつつありますが、三沢市としては、その行政区画の大きな部分が提供空港の面積で占められておりますので、おそらく市長さんはじめ市議会、市民の要望されるような——賛否は別として、そういう方向に組み込んでいくためには非常に大きな障害が、その基地部門だけ白紙で青写真を描くことができないという問題点があるであろう。さらに、もし基地がなかったならばという、やはりそういう前提の考え方が出てくるだろうと思います。そういうことを私ども十分念頭に置いていかなければなりませんし、また青森県に空港がないわけじゃありませんが、地形、気候等からいって冬にクローズされてしまうというようなこともありまして、できれば三沢基地に民間機を乗り入れることを認めてもらえないかという、県民ぐるみでありましょうか、県の要請、地元の要請がございます。こういうことも、やはり真冬でも着陸できる空港が三沢空港にあればと、当然そういう御要請があることであろうと考えて、私ども真剣にこれを受けとめて対米折衝等もいたしておるわけであります。  また、同じ固定資産税に対して課税をしなかった分について交付金で一応自治省が措置いたしてもらっておるとしましても、トレーラー等をどう見るかという問題等は、もし三沢市が課税していたとするならば、過去においてこれだけの収入がすでに得られていたはずであるという数字も積算されて問題を提起しておられるというようなこと等も承知いたしております。したがって、われわれは、基地を提供していただいていることによって、三沢市、青森県、そういうところに、私どもの立場からすれば国家防衛のためでありましても、たいへん御迷惑をおかけしているということを絶えず念頭に置いておる次第でございます。
  75. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまの長官及び御答弁がございました問題については個々にだんだんと掘り下げていきたいと思います。  最初に、P3の三沢移駐の問題なんですが、これはもう申し上げるまでもなく米軍との話し合いで移駐が決定しているというふうに聞いております。で、長官としては、市のほうとの話し合いはできておりますか。会合を移駐問題等についておやりになったことがあるかどうか。
  76. 田代一正

    政府委員(田代一正君) お答えいたします。  御案内のとおり、昨年の一月二十三日でございましたか、十四回日米安保協議委員会におきまして、「岩国飛行場の米海軍P3部隊は三沢飛行場へ移転し、三沢飛行場における必要な施設は日本政府により提供されることとなる。」という日米間の正式な決定があったわけでございます。そういうことで、P3が岩国から三沢に移転するということは、方針としてはさまっておりますが、具体的にいっどうするかということにつきましては、ただいまのところ米軍から何ら連絡はないという状況でございます。  それから地元の皆さんとのお話でございますが、これは私が着任以前の問題ではございますけれども、昨年一月にP3が岩国から三沢に移るという決定があったときに、地元としてはたいへんいろいろなお話があったということは承っておりますけれども、昨今におきましても、P3というものが移転するについては、いろいろなことを考えてほしいというようなことを非公式に地元では申しているということは私も聞いております。私自身がたしか一月の下旬でございますか三沢に参りまして、飛行場を見学し、同時に市長その他の皆さんとお会いしましたときも、もっぱらそういう話を当時していたような記憶がございます。
  77. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 米軍のほうとすれば、北の拠点基地として相当重要視をしていることであります。いまお話がありましたように、岩国の基地からたしかあれは九機でございましたか、移駐するということですが、現在もうすでに一機ないし二機は離着陸をしているというふうにも私は伺っているんですがね、その点はどうですか。一月の末にお行きになったということなんですが、そういうふうな話は出ませんでしたか。
  78. 田代一正

    政府委員(田代一正君) これは岩国から現在P3部隊が行動しているわけでございますけれども、燃料の補給とか何かという不測のいろいろな事故もございまして、そういうつど、たとえば一機が飛来してそこで燃料補給するとか、若干の小修理をするとかということで、一日ぐらいそこにいるということはあるようでございますけれども、いわゆる常駐的は三沢にP3部隊がいるというぐあいには私は聞いておりません。
  79. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この今回の新法、今回の法律の上からいって、特定防衛施設の制度をフルに活用するということで、三沢基地をこれを特定施設基地として指定するかどうかということ、こういう問題もあとで生じてくると思いますが、これなんかも、新法の上から考えて指定をされるかどうかというような問題については、どんなふうにお考えになっていますか。
  80. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 第九条の規定をお読みいただきますというと幾つかの要件がございまして、その対象といたしまして、一号に「ターボジェット発動機を有する航空機の離陸又は着陸が実施される飛行場」ということが一つの、一種の候補ということであがっております。三沢もそうういうことになりますので、一応検討の俎上に上がるということは事実だと思いますけれども、これはいずれにいたしましても、この第九条の規定は相当機械的に、客観的なものさしでもって、新法が成立した暁において私ども策定いたさなければならぬと思いますが、三沢がはたして特定防衛施設に指定されるものやいなやという点につきましては、施設庁の内部でまだきめておるわけではございません。
  81. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは確かに新法によるところの施設の指定にするかどうかということは、いまおっしゃられないだろうと思いますが、いずれにしましてもこの移駐費は、昨年の隊舎建設費で予算をたしか三億四千万ぐらいですか、計上していたと思うのですが、これは今年度に繰り越しているように思うのですが、これらのことについてどんなふうな方針でこれから臨もうとしておられるのかですね。
  82. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 昨年、岩国、三沢ということで合計十億円のいわゆる代替施設の建設ということで予算を講じてございます。その中で、大体、おおむね当時は三沢につきましては小さな隊舎十棟をこわしまして、それにかわるものとしまして一棟の隊舎をつくるということでございます。これは現に二月の上旬でございましたか、日米合同委員会でも合意が成立いたしました。ただいまそういった合意をもとにいたしまして積算中でございます。近く関係各省と相談いたしましてこの工事を始めたい、こういうふうに考えております。
  83. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この新法以前に、先ほどもしょっぱなに申し上げましたように、非常に米軍基地によって生ずるあらゆるものの損失、市民感情に、非常に大きな物心ともに苦痛を与えているということ、こういう問題はもう新法以前の問題から静かに考え直していかなければならないと思うんです。  そこで、昨年の八月には米海軍の空母バンコック号からダグラスA4スカイホークが天ヶ森の射爆撃場で演習をやって、市民の人たちに相当な不安を与え、被害も与えているというふうになっております。それからさらに十月には空母のミッドウェー号の艦載機による昼夜を分かたぬ三沢飛行場の発着訓練等が行なわれている。これによっても相当な被害を与えている。これは人身的な被害あるいは物的被害等があるわけでありますが、こういうことが繰り返されているところへもってきて、今度は岩国から移駐されてくるというP3Bの基地としての機能を発揮するようになってくれば、ますますこの市民、周辺の人たちに与える精神的な問題非常にこれは大きな問題が生ずると思うんですが、こういうふうなことを踏んまえながら、先ほど御答弁がありましたような三沢市としての要望事項というものは、これはもう当然のこととして受けとめなければならないんじゃないか。また、御答弁にもありましたように、御答弁が一部分でありましたけれども、これはまだこまかく掘り下げていきますけれども、当然これは受け入れて、大きく今回の法改正に基づいて全面的に受け入れていくんだというようなお覚悟があるかどうか。この点について長官からまず伺っておきたいと思うんです。いかがでございましょうか。
  84. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 青森県及び三沢市というものが、日米安保協の構成者でもありませんから、自分たちの意見が反映して決定されたものではないという事実は厳然として一方にございます。ただ、私たちとしては、それをわが国の平和と安全、民族の生命、財産ということを守る立場において御了解をいただきたいということを、基地提供という形でお願いをしておるということでございますので、もちろん望むべくは全面返還でありましょうし、相なるべくんば、さらに対潜哨戒機といえども新たなる機種が飛んでくることについては御希望でないこともよくわかります。それらの点については、国家のためにそれらの苦痛を結局耐えていただくことになるわけでありますので、それに対して国がお報いできる道というものを最大限の努力をしていくべきであろう。個々の計画については、対米折衝を要する問題もございますが、それは別としても、事業対象としてなじむかなじまないか、あるいは後ほど御質問等があります場合の、九条のノニューの中にそれが入っているかどうかという問題等もございますから、大体地元の御要望に沿う、全面的に沿う姿勢をとっていきたい、そう思います。
  85. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いま御答弁がありましたように、わが国の平和、それから生命の安全保障等の上からというふうにお考えになって御答弁がございました。確かに米軍施設及び区域の状態がどんなふうになっているかと私がいまさら申し上げるまでもありませんけれども、昭和四十八年、昨年の十二月末に施設件数が百六十二件。うち沖繩県が七十七件。土地面積が五億二千二百平方メーター、沖繩県が二億七千九百五十平方メーター。自衛隊施設が二千二百七十四件で土地面積が十億一千三百平方メーター。この半分は米軍施設を、いま申し上げました自衛隊の分の半分は米軍から引き継いだものだというふうにもいわれておりますが、いずれにしましても、このうちにあって、三沢基地というのが二千三百七十五万六千平方メーターであって、三沢市の約五分の一をこの基地に占められているわけであります。  したがって、この三沢市の財政規模というのは、基地等の問題で非常に市そのものが低い財政規模しかないわけです。今年度の財政規模も、一般会計が三十四億二千四百九十万円ですか、特別会計が十二億五千五百二十九万一千円と、このような状態でございますし、また市の起債総額を言いましても、基地対策費のみを取り上げてみましても、四十五年は一億千七百十万、四十六年度が三億五百四十万、四十七年度が一億五千四十万、四十八年度が二億八百九十万と。また、交付金の面から考えていきましても、四十八年度が、地方交付金が七億四千四百六十六万八千円、特別交打金が一億四千七十八万一千円、基地交付金が九千二百十六万、調整交付金が八千百三十七万一千円、これを合計しますと一億七千三百五十三万一千円、この集計をしますと約十億五千八百九十八万ということになりますが、基地公害防止事業の執行のために市が直接負担した経費金額というものは、起債が六億二千八百四十万、市の一般会計から持ち出した分が三億三千二百八十九万円、合計しますと九億六千百二十九万。この点から見ていきましても、市が負担したこの経費というもの、基地公害防止事業に負担した経費全体を見ていっても、これだけの予算の中から、これだけ負担していかなきゃならないという問題点と、さらには防音建築化等に伴って支出した維持管理費の全額なんかを、小学校、中学校、合計しますと八千八百八十三万という額にもなっております。  先ほども申し上げましたように、市の総面積の五分の一が基地にとられているということで、これは長官が御答弁になりましたように、国に大きく貢献したということだけは、この市の財政規模がらいっても、それからつぎ込んだ金から考えてみましても、これはたいへんなことであります。安保の六条関係から今日までの金額を策定してみますと、市が、、当然この基地でなければ得られ費用の最低計算をしても、七十億という、これは損害をしているということも言えるわけでありますが、いずれにしましても、こういう実情の中からこの基地返還ということを当然市民が叫んでくるのはあたりまえのことだと思うんです。そういう点かち、先ほど御答弁がありましたこの市民の森、飛行場を開放して、返還してほしいという、答弁の中にありました、これらは一じゃ市民の森というのは、どこを対象にして市民の森として返還をしてくれと言われているのか、その実情なんかを御存じでしょうか。
  86. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 市民の森の構想につきましては、一昨年ないしは昨年あたりから、三沢市のほうからいろいろ要望の形で私どものほうにもお伝えいただいておりまして、場所といたしましては、三沢飛行場の滑走路から北側の部分、現在のゴルフ場、弾薬庫の一部、それから弾薬庫の保安地区になってモーターサーキット等々を隊員たちのやっておりますような部分、それらを含めました市民の森の構想ということで承知さしていただいております。
  87. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そこで、これは私が計算したんですがね、私の私案なんですが、ですから市が計算したわけじゃありません。私は、大体市のほうの人たちから、地価の値段等を、推定したもの等をあわせながら、どれぐらい、今日で、その基地が米軍から返されてきたらば、売り払うことは別と、しても、どれぐらいの価値があるのか、いまの言われた市民の森の点なんかもひっくるめて、参考のためにお聞き願いたいと思うんです。  先ほど御答弁の中にありましたように市が要望書を出しております。その要望書の中にあるものだけで取り上げてみましても、市の行政区域内にある遊休国有地ということ、岡三市が千八百五十入・〇六平方メーター、これを評価価格で坪当たりを六千円にすると三百三十七万八千三百円。また駐車場、それが二千二百十二・九五平方メーター、この金額が坪八万五千百四十円と計算して五千七百九万四千三十二円。市役所の裏の体育館の用地——三沢は、もうあの周辺では三沢だけが体育館がないわけです。したがって、その体育館も設置したい、それにはもうこの市役所の裏、これなんかもそのまま使えればいいということなんですが、三千九百一・七六平方メーター、坪に直すと千百八十二・三五坪、これを価格にすると、坪二千五百円にすると二百九十五万五千八百七十五円。それから駐車場のそばの福祉センター、これらを見ますと、二千九十三・四六平方メーター、六百三十四・三八坪、坪当たりで二万五千円として千五百八十五万九千五百円。この遊休国有地の点だけについても一万六十六・二三平方メーター、三千五十・三七坪、七千九百二十八万七千七百七円、これがこの市の行政区域内にある遊休国有地を換算した私案でございます。  それからさらに市の借用中の国有地を取り上げますと、市役所庁舎が三千九百二十三・四三平方メーター、千百八十八・九〇坪、これを坪当たり二千五百円にすると二百九十七万二千二百五十円。市営住宅が千三百七十八・八七平方メーター、四百十七・八三坪、坪二万円にしますと八百三十五万六千六百円。消防のとん所、六百五十二・三三平方メーター、百九十七・六六坪、坪当たり三万九千円にしますと七百七十万八千七百四十円。上久保小学校八千九百二十六・二三平方メーター、二千七百四・九二坪、坪当たりの価格を二、万四千円にしますと六千四百九十一万八千八十円。合計しますと八千三百九十五万五千六百七十円。  それで、さらにこの要望書の中にございます国有財産の無償譲渡の要求というので出ております。これをお調べになってもらえばすぐわかります。お手元にあると思います。この(ハ)のところです。ACD地区、第六基地従業員宿舎とその敷地というのがございます。これを同じように私の私案で計算をいたしてみますと、A地区が二万八千七百九十六平方メーター、八千七百二十六・〇六坪、坪当たり二万三千円にしますと二億六十九万九千三百八十円。C地区一万六千六十七平方メーター、四千八百六十七・七八坪、坪当たり二万円にしますと九千七百三十七万五千六百円。D地区二万一千九百三平方メーター、六千六百三十七・二七坪、坪当たり一万三千円にして八千六百二十八万四千五百十円。第六基地従業員宿舎一万四千百三十二平方メーター、四千二百八十二・四二坪、坪当たり九千円にして三千八百五十四万千七百八十円。旧水交舎三千四百六十三平方メーター、千四十九・・三九坪、坪当たり二万四千円にしますと二千五百十八万五千三百六十円。合計が八万四千三百六十一平方メーター・坪数が二万五千五百六十三・・九三坪、金額が四億四千八百八万六千六百三十円。総合計いたしますと六億一千百三十三万七円。これがこの要望書によりますところの用地を今日の坪単価で試算をいたしますと、こういうふうな金になります。  さらに、先ほどお話がありました市民の森というのとを含めた点でございますが、オートレース場、これが五十八万五千五百五十七平方メーター、十七万七千四百四十一坪、これが一億五千三十八万四千四百五十八円。水泳場が七十万平方メーター、これは原野価格として一平方メートル当たり百六十九・九八円で計算をしましてそうなっております。ゴルフ場五十二万四千九百四十四・五平方メーター、十五万九千七十四坪、六千百四十万八十七円、計百八十一万五百一・五平方メーター、五十四万八千六百三十六坪、合計が二億一千百七十九万二千四百六十五円、こういうふうな額になります。これはあくまでも私が計算したことでありますので、あるいはもっとこの数倍になっているかもわかりません。いずれにしろ、こういう実情というものをはっきり掌握をされなければ、三沢基地の問題は私は論議するにあたらないんじゃないかと思うのです。こういう実情の中から、三沢基地の今後の対策というものに対してどんなふうに考えられるのか。さらに調査をするなり、私がいま申し上げた点について、国は国としての調査をして、なるほどそうかといゑ観点の上にお立ちになるということからひとつ御答弁を願いたいと思います。これは長官にお願いいたします。
  88. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) たいへんこまかな地区ごとの坪数、坪単価、総金額等をお出しいただいて、たいへん参考になりましたが、ただ、その国有地も全部ひっくるめての計算でございますし、国有地はそう市の御要望があるからといって、やはりその御要望に沿う場合でも、金額は大蔵省の理財局で定めております国有財産の処分の方針というものがありますから、それをやはり破るわけにもいかないだろうということ等がございますので、それらの金額の問題等は、これはまた別といたしまして、ただいまおっしゃったような、もしそれが三沢市のものであったらというそういう計算をすれば、そういう潜在価値を持つものであるということについては私ども十分認識してかかりたいと考えます。     —————————————
  89. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、今春聴君、源田実君が委員を辞任され、その補欠として中村登美君、高橋邦雄君が選任されました。     —————————————
  90. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 もちろうそういうことです。それはいなめません。いなめませんけれども、民生の安定の上から、この長期間における課税問題にしても、また市民税の上から、当然駐留軍の中から納めなければならないもの等、先ほど申し上げましたその損害額というものを考えてみると、それらと相殺してみるとどうなのかということを私は申し上げるために申し上げたんであって、当然この歳入の欠陥分の総額というものは、この代償をちゃんととらえておかなきゃならないんじゃないか。その上でこの交付金の制度だとか、あるいはその損益額に対する補充だとか——自治省の人もおいでになっていますし、大蔵省の人も私呼んでおりますので、いま申し上げたことを全部同じように聞いておられると思うのです。そういうそれぞれの立場の上から、この三沢の問題はひとつ責任を持って解決していこうというような御決意がなくちゃならないと思うのですが、天ヶ森の射爆場の被害についても、これは山梨なんかの損害も大きな問題がありますし、また農漁業の被害額も相当なものがございます。それら等をずっと含めてみて申し上げていることなんですから、この点を十二分に検討の上で、この新法によるところの助成対策といいますか、補助対策といいますか、それらを勘案していかなければならないのじゃないかと思います。  さらに、長官が先ほどトレーラーハウスのことをおっしゃっておられました。この問題につきましても、一応の法の解決というものはできているようでありますけれども、実際上三沢にあるトレーラーハウスというのは、個人の所有するハウスも固定的にコンクリートで基礎を固めてあって、実際上の面からいって、はたしてあの取りかわした条文だけでいいのだろうかという、これはもうその住民の立場になって考えてみると、相当問題点が、疑義あると思うんです。こういう点につきましても、将来の問題、課題としてどう処置していこうとするのか、この点も参考に、先ほど長官からお話が出た点でもございますので、御質問をして、御答弁を願いたいと思うんです。
  91. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) トレーラーハウスの問題は自治省のほうが主管で答弁してもらえると思います。思いますが、その射爆場、天ヶ森等の問題等については、実損あるいは漁業補償等については十分配慮もいたしておりますが、精神的な問題としても、米軍のほうはナパーム弾も投下演習をやらしてくれという話がありました。しかし、これはやはり単にそれによって被害が生じたら損失をするというものではなくて、ナパーム弾は国際的にもいろいろ議論されておる兵器の一つでありますから、その使用を、わが国で一応安保条約を踏まえて提供する射爆撃場であっても、ナパーム弾使用ということはわが国においてはやってほしくないということで、これは私の一存でアメリカ側に回答いたしました。アメリカもその点は了解をして、国民感情、市民感情にしいてさからうという行為には出なかったことはたいへん幸いだったと思いますが、それらのことをやってはおりますものの、やはりしかし射爆撃場というものを米側も使用するということについて、あるいは基地そのものの、いままでるるお述べいただきました事柄等について、地元の関係市町村というも  のが非常な御迷惑を受けているということについては、幾ら国家のためであるといっても被害を受けているのは限られた地域の基地周辺の方々でありますので、十分それに対してお報いできる姿勢をとり、またその措置をとるべく努力をすべき私たちに反面の義務があると考えております。
  92. 山下稔

    政府委員(山下稔君) トレーラーハウスにかかる固定資産税の課税問題につきましては、私どもといたしましては、地位協定上の非課税には当たらない、課税すべきであるというふうに考えております。ただ、アメリカ側におきましては、トレーラーハウスの建設の経緯とか、でき上がりましたあとの所有権にいろいろの制約があるという観点から、これは固定資産税を課税することには地位協定上疑義があるという主張をしております。双方で意見の一致を見ておりませんためにまだ課税ができない状態でありますが、私どもといたしましては、実態をすみやかに把握するとともに、日米合同委員会にも提案をいたしまして、できるだけ早く問題が解決いたしますように一そう努力をいたしたいと考えております。
  93. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 外務省の考え方。
  94. 深田宏

    説明員(深田宏君) 外務省におきましても、ただいまお話がございましたように、本件鋭意検討を進めておりまして、遠からず結論を得たいと考えております。
  95. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 外務省の解釈というのは自治省の解釈と違うというふうに思えるんですが、そうじゃないでしょうね。あそこには御存じのように約二百二十棟あるわけですよ、トレーラーハウス。それらがアメリカの軍人軍属及びその家族が個人的なものを建てて、建築資金や維持管理等、これは電気だけとか水道、修繕費等すべて家族が負担していて、今度は帰国する場合には、転勤する場合等は売買していかれるということですが、いずれにしましても、いまの自治省の考え方のとおりに、外務省は外務省として折衝していくんだと、それで間違いありませんね。
  96. 深田宏

    説明員(深田宏君) 自治省御当局との間に意見の相違があるわけではございません。本件二百二六棟の施設の経緯、先生御指摘になりましたように、当時のいろいろな要員の異動にアメリカ側の予算等が追いつかないという特殊な事情がございまして、便宜個人の負担で建設したものでございますけれども、その後住守手当を与える等によりまして、自主的に建設費、維持費を米軍のほうで負担いたしております。かつ登録もやっておりまして、使用、処分等について厳重な制限を加えておる、こういう説明に接しておるわけでございます。私どもといたしましては、そのような事情も勘案いたしました上で、正しい結果を得たいということで御協議申し上げております。
  97. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大蔵省、どういう見解ですか。
  98. 矢澤富太郎

    説明員矢澤富太郎君) 大蔵省といたしましては、先生御指摘の、御質問の点に関しましては、非課税措置を講じられております米軍資産、あるいは米軍人に対する地方税の非課税による地方財政への影響がどう緩和するかという意味で、例の施設等所在市町村調整交付金があるわけでございますが、これにつきましては、四十九年度二十七億の予算を計上いたしまして、四十八年度の二十億一千万円に対しまして約七億円、三割余りの大幅な増額計上を行なっておるところでございます。今後その配分にあたりまして、それぞれの米軍基地の実情等を勘案いたしまして、自治省において適切な配分が行なわれるものと期待しております。
  99. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 自治省の考え方はどうですか、いまの大蔵省の答弁について。
  100. 山下稔

    政府委員(山下稔君) ただいま大蔵省から御答弁がありましたのは調整交付金の問題であろうと考えます。調整交付金につきましては、国有財産との均衡を考え、あるいは住民税その他の非課税措置によって市町村が財政上いろいろ大きな影響を受けるという点を考慮して設けられておる制度でございますので、この総額につきましては、かねてからその充実をはかるように大蔵省にもお願いをいたしてまいりましたし、ただいまお話がございましたように、本年度かなり大幅な増額も見たわけでございますが、今後一そうこの調整交付金の充実については努力してまいりたいというふうに考えております。
  101. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 防衛庁のほうは、本法案の第九条の交付金制度というもの、これの俗にいう自治省の交付金制度というものに対する考え方について、防衛庁の考え方をひとつ。
  102. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 第九条に基づきます調整交付金と申しますのは、法文でお読みいただくとおわかりと思いますが、この法律自身のたてまえといたしまして、一つは、障害が起こりますと、障害に対して防止または軽減ということを考えるわけであります。これがつまり障害防止、あるいはまた学校、病院等の防音という問題が中心になるわけでございます。ただ、なかなかそうはいかない、防止、軽減はできない、障害は残るという問題になりますと、しかし、何らかの障害緩和のためにいろいろのことをしなければならないということでできましたのが第八条の民生安定施設の助成という問題でございます。しかし、この民生安定施設の助成につきましても、これは個々の障害に対応した対策ということになります。そうなりますというとやはり非常に限界がございます。非常に面積の広大な地域を占めている基地等々につきましては非常に問題が残るわけでございます。そういうことで今般第九条という規定を設けまして特定防衛施設という問題を考えるに至ったわけでございます。この内容につきましては、ここにございますように、設置、運用というものが周辺地域生活環境とか周辺地域開発に及ぼす影響というものが非常に大きい、そのために地元の市町村では十分な公共施設の整備ができないでいるということについて何らかの対策を考えるということが今回の調整交付金の考え方であります。  そこで、今回考えました調整交付金の考え方はそういうことでございますが、普通の補助金と違いまして、これは調整交付金を現実に執行するに際しましては、特定防衛施設というものが指定になると同時に、特定防衛施設関連市町村というものが指定になるといたしますというと、客観的な指標、たとえば人口とかあるいは面積とか障害の度合いとかいろいろな各般の諸条件を勘案いたしまして、客観的なものさしをつくりまして、そのものさしに従いまして、ある市にはいかほど、ある町にはいかほどという金額が出てまいります。その金額が出てまいりますと、その市なり町なりがまた別なメニューを用意してございまして、私はこのメニューをとって事業をいたしますからといって、私のほうにまた話があるということで、私のほうはそういった事業をやるということでもってその金額をお渡しするというかっこうになるわけでございます。したがいまして、性格的に申しますというと、どちらかというと補助金に近い性格を持っております。ところが、自治省で現在所管しておられます調整交付金のほうは、一般財源の補てんというものを考えましたいわば財政交付金という形になると思います。そこは非常に性格的に違いがあるというふうに考えております。
  103. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それの配分の率とかそういうようなものは今後の課題ですか。
  104. 田代一正

    政府委員(田代一正君) そのとおりでございます。
  105. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そこで、いま大蔵省あるいは自治省等で御答弁がありました点を、先ほど来私が申し上げた、いろんな角度で数字的に申し上げました点をよくもう一回考えられて、さらに助成の方法、交付金のあり方等のこと等を十分にお考え願いたいということを要望しておきます。  ところで、射撃の、射爆の訓練なんかもさることながら、話はちょっと飛びますけれども、朝霞の駐とん地で、あれは三月二十二日でしたか、手りゅう弾の事故がありましたね。この点御存じでございますか。
  106. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 承知いたしております。
  107. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 こうした事故は一カ月に一回ぐらいはどっかのところで起きているというふうにも聞いているんですがね、どうですか、実情はどんなんですか。
  108. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) ただいま御指摘の点は、本年の三月の二十二日朝霞の射場で起こった事件でありますが、そのほか昭和四十年以降で見ますると、一度は習志野の射場で、これは昭和四十四年の三月であります。小銃訓練中の跳弾が飛んだケースでありますが、もう一件は四十七年、一昨年の九月、やはり同じ朝霞射場で拳銃訓練中に跳弾が飛んだというケース、二件報告されております。
  109. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 朝霞駐とんのをもう少し詳しく説明してください。
  110. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 演習をやりました部隊は第三十一普通科連隊、これは朝霞の部隊でありますが、四十五口経の拳銃で射撃訓練をいたしました。ところが、その際にたまが一発跳弾となりまして射場外に飛び出して、北西約六百メートル離れた民家の応接室の窓ガラスを一枚こわしたという件であります。この件につきましては、ガラスの破損によりまする損害について賠償しましたのと同時に、部隊のほうからも副連隊長が参りましておわびを申し上げております。  なお、この射場そのものは、私ども事前の検討からしますると、通常の土手を横及び的のうしろのほうに設置しているのはもちろんとしまして、射的は十二ございますけれども、それを二つずつ  コンビにしまして、その二つずつの両側にコンクリートをまん中に入れ、さらに板で囲った、いわばかきねのようなものをつくって、その中でやらしている。で、両側でそういうふうに斜めに行かないという措置を講じているのと同時に、まっすぐの方向に対しましては、いわば鳥居のようなかっこうで両側に柱を建てて、その上に鉄板を置きまして、拳銃発射したたまが上のほうに向かないようにということを講じております。それが二段ございます。それからさらに射場——撃つ場所のところにも軒にひさしをつくっております。そういうようなことで万々間違いがないと思っておったのでありますが、どうもこのケースにつきましては、うしろのほうの土手の勾配といいますか、こういうふうに斜めに勾配になるわけでありますから、それが、たまが行って的に当たらないで、おそらく跳弾か何か、つまり石か金片か何かに当たりまして、それが跳弾となって飛び越したんではなかろうかというふうにも見られております。そこで、こういった斜めのうしろの土手のところにひさしをつくりまして、現在は、全部ではありませんが、三分の一ばかりのところにひさしをつくって、いま体育学校の生徒が世界射撃選手権あるいはアジア選手権のための練習をやっているそうでありますので、四十五口径よりも小さな二十二口径の小銃で、その場所だけで訓練をさして、他の場所では訓練をまだ中止をしている。したがって、抜本的にこの射場についてどういうふうな措置を講ずれば絶対にそういうことがあり得ないと一いまのひさしをつくったところは、口径を小さい拳銃にしていることと、それから体育学校の候補選手でありますからこれは練度が高い、しかし、一般の射場、射的の場所のほうでは一般の隊員が射撃をいたしまするから、うっかり間違って跳弾が飛ばないとも限らない、そういう場合でも、なおおかつ飛び得ないような構造というものはどういうものであるか、それを検討さしておりまして、まだ結論を得ないまま射撃は中止をさせている段階であります。
  111. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 昨年、いまから一年ぐらい前にも工場の屋根をぶち抜いたという事故があったということでありますし、いまはあまり聞かないというんですが、二階にいると、ひゆうひゆうというたまの飛んでいく音がよく聞こえるということで、不安を感じているということも私は聞いているわけですがね。今回の分でも、ちょうど御夫婦がすわっていた、もとの場所にいたらそのたまに当たっていた、三十センチぐらい離れたところに位置を移したためにそのたまが当たらなかったんだということを述懐しておったように聞いているんですがね。こういう一つのことを取り上げてみましても、問題点がずいぶん射撃場というものと、それからもっと規模の大きい射爆場ということになってくると、先ほど申し上げましたように天ケ森のところなんか衝撃のために鶏が卵を産むのが少なくなったとか、また子供がひきつけたとかというようなことも問題点がずいぶん出ているわけです。こういう点から考え合わせまして、非常に将来も日本全体の射撃場に対しての整備といいますか、施設の状態というものをもう一回調べ直す必要があるんじゃないかと、こう私は思うわけですがね。いまもまだ、いまの朝霞の問題でもこうしなきゃならないんだという結論が出ていないというようなお話でしたんですがね。ですから、もう一回、日本全体の自衛隊の駐とん基地の射撃場というところの問題を当たってみるという必要があるんじゃなかろうかと、こう思うんですがね。この点どうなんですか。
  112. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) わが狭い国土の中で人間の住める範囲というのは三割ぐらいしかない、そういう中で自衛隊の基地も、あるいはまた米軍の、あまり数は多くないにしてもそういう射撃場等があります。これはよほど注意しなければならないことでありますし、万々が一ということもおもんぱかって設計その他をやらなければならないわけであります。朝霞の問題は私も、ガラスが一枚割れた程度であったにしても、その跳弾がなぜ起こったかという事態を重視して、私の手元でその構造等について、ただいま局長説明いたしましたような、私自身も経験がありますが、拳銃射撃において、そのような構造にしておいてなぜそれが飛び出し得たかという問題は私も不可能に近いような感じでおります。しかしながら、現実に跳弾が数百メーター飛んで窓ガラスをこわしたということは厳然たる事実でありますから、そうすると、われわれが弾道学その他から計算をして、幾ら考えても跳弾が出るはずのない構造にしておっても、なおかっそういうことが起こるということになりますと、理想はやっぱり地下射場ということになると思います。しかしながら、やはりそういう条件ばかり整えるには巨大な施設も要しますので、現在ある射場については絶対に跳弾の起こらない高さか、あるいはまた構造そのものか、あるいは跳弾の起こり得ない設計、そういうようなもの等について慎重を期する必要があります。件数としては、わりにそうひんぱんに起こっているようなことじゃありません。ひんぱんに起こるようなことがあったら、これは射撃を全部中止して、設計その他から始めての点検をしなければなりませんが、しかし、一件といえども起こり得ないような状態で起こったという事実がありますので、いまのところ私の手元で、そういうような心配のあるところは、当然各担当の部署において、ここはだいじょうぶかという点検をいたしておるはずでございます。なお、御注意もありますから、不測の事態等が絶対に起こらないということを前提に努力をいたします。
  113. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 横道にそれましたけれども、先ほど長官の御答弁の中に、これは三沢の基地の要望もそうでありますが、民間空港を基地としてクローズされる問題点から、一刻も早く民間の乗り入れというものを考えてもらいたいという点につきまして、私、長官の御答弁にあわせてこの際運輸省の考え方も伺ってみたいと思うのですが、どうでしょう、運輸省の方。
  114. 山本長

    説明員山本長君) 先生御存じと存じますが、青森県に所在いたします民間空港として使っておりますものは青森空港と八戸空港がございます。これに関連いたします航空路は非常に利用度が高く、非常に混雑をしておるのが実態でございます。青森県といたしましては、青森県と東京なりあるいは札幌なり、こういうところとの交通の便をもっと便利にしたい、輸送力を増強したい、こういうふうな地元の御要望が強いわけでございますから、青森空港につきましては冬季が使えない、こういう事情がございますし、それから八戸空港につきましては、これは自衛隊の空港でございますけれどもジェット機が入るについては適当でない、こういう事情があります。また、在来機をふやすということにいたしますとYS11がございますけれども、在来機をふやすということにいたしますと、今度は東京の羽田の空港はいまはもう一ぱいでございまして便数がふやせないというふうな事情がございます。地元のそういった御要望に沿うためには、やはり地理的な関係からいたしましても、空港の施設の面からいたしましても、三沢空港が民間航空が発着できる空港として利用できるならば、これは輸送力の増強にもなりますし、それからスピードも増し、便数が確保されるということができ得るわけでございます。こういう観点から、地元の強い御要望も受け、運輸省といたしましても、そういう三沢空港が民間航空も共同で利用できるということは非常に望ましい形であるというふうに考えておりまして、現在関係方面と話をして、そういうことができますように話し合いを続けておる段階でございます。
  115. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 外務省ではどうですか。折衝の余地ありますか、米軍との。
  116. 深田宏

    説明員(深田宏君) 本件につきましても鋭意関係方面と協議中でございまして、ただいま御指摘のございましたような諸般の御意向をくんで最大限の努力をいたしたい、かように存じております。
  117. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 長官、ぜひこれはひとつお考え願いたいと思うのですが、いかがでございますか。
  118. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 私のほうはもちろん異存はないわけであります。しかし、これは米側の了解をとりませんと実現いたさないものでありますから、外務省は当然窓口でありますが、私自身がいま乗り出しておるところでありまして、具体的に御説明申し上げる段階までまだ行っておりませんが、防衛庁のほうは異存ないし、わが国の青森県民の要請にこたえるという意味から、また基地を提供しておる管理者の立場から、ぜひ民航共有というもののアメリカ側の了解というものを取りつけるために目下私自身も乗り出しているということで御了解を賜わりたいと思います。
  119. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 騒音の問題からいくと、いろいろまたあとで問題が生じてきますでありましょうけれども、青森県、あちらのほうの人に言わしてみれば、先ほど御答弁がありましたように、真冬のときにはもうどうにもならない問題がありますし、運輸省の説明にありましたようなとおりだと思うのです。  いずれにしましても、そういう要望があるということをお聞き届けがあるということを伺って私もやれやれという気持ちでございますが、いずれにしましても、今度はついでに運輸省もおいでになることでございますので、ちょっとお伺いしたいのは、これは横道にそれますけれども、せんだって長官は、自衛隊の航空士をやめた場合に、自衛隊を退職した場合に、民間飛行士として即使えていけるような考え方をお持ちだというふうに報じられたということを聞いているわけなんですが、報じられたことを私は見たわけですが、この点どんなふうなお考えなのか。運輸省とのお話し合いがもうすでにできた上で、自衛隊の一つの隊則、規則なりを変更して、旅客機を運転できるような、たとえば隊員の、隊員輸送の面を旅客機と仮定していくのかどうなのか。訓練事項の中にそういうものを含めて、すぐに自衛隊を退任した場合に民間航空で使えるかどうかという、使っていけるような方向がいいのじゃないかというようなことをちょっと聞いたわけですが、この点どんなふうなお考えになっていますか。
  120. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これはだいぶ淵源が古い問題でございまして、当初わが国の国内の航空というものが、民間航空が発達していくに従いまして、アメリカの操縦士なんかを雇ったり、高給を払って、あまり高給を払い過ぎて、アメリカとしては常識なんでしょうけれども、日本の同じ資格を持って任務についている操縦士と比べてトラブルがあったりしたような時代がありまして、そのころは、私どものほうは何といっても国費で養成するパイロットでありますから、それがどうも民間に引き抜かれるという事態のある意味では防止ということを、われわれとしては考えた時代があったようであります。しかし、その後やはり、じゃ自衛隊にいつまでもくくりっけておくのかといえば、本人たちも適当な肉体的、精神的な年齢に達しますと、そういう非常な猛訓練の戦闘機に乗るとかなんとかということから、同じ緊張感はありましても、特殊な任務を持たない、ただ飛ぶことに専念すればいいというほうに人生の航路を変えたいという者もだんだん出てくるようになるでありましょうし、そういうことで、引き抜きもしないし、こちらも拒否しないということで、相互に申し合わせみたいなものを運輸省とつくって、その点はお互いに助け合っていこうというふうにしているようであります。  いま一つの点は、これは総理もたいへん御熱心でありますけれども、自衛隊に入って使命感に徹して任務を遂行するために不断に精進するのはけっこうである、けっこうであるが、自衛隊に入ったならば、やはりそれぞれの職種、あるいはまたそのポストにおいて取得した、習い覚えた技術なり資格なり体験なりというものは、やっぱり一般の民間において勉強して資格を取っていくようなものを付与できるような、まあわかりやすく言えば自動車の運転免許等はなるべく早く取らしてやれというようなことでありますけれども、なるべくたくさんの免許証も取得できるようにして、やめて民間に行きたい者はそういうふうな道をあけてやれという御意見もあります。私もそういうことはやはり考えておかなければならない、またそのことにかえって期待をして、志願制度のもとで入ってくる隊員も相当おるわけでありますから、その要望等にもこたえなければならないというその観点から考えましても、やはり自衛隊のパイロットがやめて、これは運輸省があくまでも定める基準、運輸省が認める適性というものを備えていなければだめでありますけれども、それは運輸省のものさしに従いまして、その基準に合うような在隊中の養成と申しますか、予後に備えての訓練のあり方等についても、若干の運輸省との話し合いがつきますれば、その基準に合うような仕上げをして、そして本人が第二の人生を民間パイロットに求めたいという場合に、運輸省から資格をいただいて、そしてまあ正常な姿で第二の人生を歩けるようにしたいということで、いま内々相談をいたしておりまして、あくまで運輸省さんの民航パイロットの当然備えるべき条件、基準というもののもとに私どもが合わせるようにしたい、そういう努力をいまいたしているところであります。
  121. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 運輸省のほう、どうですか。
  122. 中曽敬

    政府委員(中曽敬君) ただいま防衛庁の長官からお話がございましたが、現在私どもの航空法という法律がございまして、その法律の中で申しますと、たとえば防衛庁で、何といいますか、操縦士の訓練をなさいます。その際に指定養成施設という一つの制度を利用していただきますれば、防衛庁で訓練されまして仕上がりました操縦士が、民間でも、試験を受けることなく民間の操縦士として通用するという制度があるのでございます。これは、ただし一定の、ただいま長官からお話がございましたように一定の条件がございます。一定の基準を満足いたしませんとそういう指定養成施設に指定をすることはできないわけでございますが、そういった条件、基準が満足されれば、防衛庁の操縦士の方も、その防衛庁の中におきますところの指定養成施設の中で訓練なさいまして、その課程を終了されますと、私どものほうの試験を、国家試験を受けないで操縦士になることができる道が現在でも開かれているわけであります。具体的にはなお防衛庁とも相談していただかなければならないと思いますけれども、そういうことでございます。
  123. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 長官の御答弁ありましたように、私、いまこの自衛隊の、防衛庁の案内があります。これは自衛隊で職域による次の免許を取る機会がありますといって出ております。こういう面から考えていきましても、いまの構想というものは、過去の歴史的なことはさることながら、いま運輸省の答弁がありましたように、指定養成施設ですか、それらの条件にかなっていける内容というものをお考えになって、いつごろの時点でそういうようなこともお考えになっていくのか、時期等がまだ尚早であるというのかどうなのか、その点について。
  124. 大西誠一郎

    政府委員大西誠一郎君) 自衛隊の操縦教育の機関、学校、あるいは部隊を運輸省の航空法の第二十九条の養成施設として指定を受けるために、学校で行なっておりますところの教育の科目とかあるいは教育時間、または教官の能力、それから技能診査員等の新設というような条件がございますので、昨年来そういう条件整備をしてまいりまして、ほぼ現段階において整いましたので、これからその内容につきまして運輸省の認定を受けるという段階でございます。それからどのくらいかかるか、これは運輸省の御判断でございますので、私からいま申し上げることはできません。
  125. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 運輸省の方も連絡をとり合っておやりになっているのですか、いまの点、初めてお聞きになったのですか。
  126. 中曽敬

    政府委員(中曽敬君) かなり以前から内々の相談をしていただいております。具体的な話し合いは、まあただいまからやらなければならぬことかと思います。
  127. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私もこの資料をいただいておりますので、これはきょうは時間があまりありませんので、後日またいろいろな角度からお伺いしたいと思いますので、このことについてはこの程度でおしまいにいたしますけれども、ついでにもう一つだけお伺いをしたいのであります。  これは自衛隊が、首都圏で地震が起きた場合に、図上演習をやるというふうなことが計画されているというふうに報道機関で私は拝見したわけですが、これらの点についてどんなふうにお考えになっているのか、この治安出動の災害派遣のことにつきましては、災害派遣についてはまことに自衛隊員がよくやっているということはこれは国民ひとしく認めておられるのじゃないかと思います。そういった意味の、これはたしか八十三条でしたか、八十三条で、どこまでも災害派遣という立場の上からこの地震図上演習というものをお考えになったのかどうなのか、その点を確認をしておきたいと思いますがね。
  128. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) もちろん八十三条第一項がその要請の条件でありますし、第二項が、長官がそれに対して下す判断、そういうものであり、第三項は自衛隊の施設そのもの等に、ほうって置いたら燃え移るような火災等の場合を例示しながらあげてある例外規定でございます。いわゆる長官が命じなくとも、判断をする者がここに定めてございますが、いま私どもが、一応図上だけの計画でございますけれども、演習としてとらえておりますのは、首都圏中心にかつての関東大震災規模の災害が発生した場合、そのときにはこの関東を中心とした陸上それから空、艦船、こういうもの等をどのように行動させるかについての想定をやっております。しかしながら、それだけではどうもただ発生した場合の想定だけでございますので、本来ならば警察、消防、その他の地方の防災関係人たちも一体となって一ぺん、自衛隊もわが国の国家組織でありますから、合同の実地演習みたいなものをしてみたほうがいいのではないかと思っておりますが、なかなか地方自治体まで御相談申し上げますといろいろむずかしいことも起こってまいりまして、自衛隊だけでことしは、関東大震災が、もしそのクラスの地震が起こった場合、震災が起こった場合には、自衛隊はどう対応できるかという実動的な演習をやろうという計画を持っております。  ところが、昨年の秋に石油事情が急変いたしまして、なるべく本来の任務に支障のないように油を使っておりますので、はたしてことし実際上に空も海も動かしながら、地上も動かしながら、当然油を使うという形でやっていいかどうかについては、まだ判断いたしかねておる状態でございますけれども、しかし、たとえばいま防災会議等において、あるいは東京都等において避難場所がきまっておる、避難道路がきまっておる、しかし、おそらくその道路は自動車がいつも走っているわけですから、問題は道路が火の海になってしまうであろう、そういうときに自衛隊がどのように避難道路の啓開ができるのか、あるいは火災に対してヘリその他の手段をもって化学消火剤をそういう避難道路について処理できるのか、このような問題はなかなか実際上にはできないことでありますけれども、そういう想定の演習の実動を少しやってみたらという考えを持っておりますが、何せ油の単価も上がりましたし、ことしの予算の単価、数量等もなかなか一ぱい一ぱいやっていくのがたいへんだという環境にありますので、先般観艦式は取りやめましたが、こういう実動演習をやるかどうかについては、もう少し石油事情その他を考えながら、予算その他み踏まえて慎重にやってまいりたいと思います。最悪の場合でもやはり図上演習ぐらいのところは毎年やっておく必要があるだろう、そう考えております。
  129. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そういたしますと、消防庁や警視庁等々との話、そういうふうなことはまだおやりになっていないわけですね。
  130. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) いまのところは自衛隊限りで想定をやっているわけですけれども、やはり実際動く場合は、警察、消防、警防、そういう方々、ことに地方公務員の方々も御一緒になって行動することになるだろうと思います。そのような大規模なものになると、どこがイニシアチブをとるのかという、あるいは総理府の防災対策本部でありましょうか、そういうところの指揮下に入ってやるか、総理府総理府で自衛隊を除く演習をやっておられるようであります。これも一種の図上演習に近いものでありますが、その際に自衛隊が一緒に行動したらどういうことになっていくかというふうに組み込んでいただいてもけりこうであると考えておりますけれども、実動演習というものをやるつもりでことしはおったのでありますが、そこらの点で、実動演習とまでまいりますと、地方自治体の職員の皆さんも一緒にやっていただけるかどうかについて、これはもうこれ以上申し上げませんが、なかなか微妙な問題が自衛隊の場合にはございますので、そこらのところまではちょっとむずかしいんじゃなかろうか。ならば、自衛隊だけでやってみるかという考えでおったわけであります。
  131. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 わかりました。ですから、私は第八十三条の災害派遣、この面で終始お考えになるのかどうなのか、むずかしい問題等が残されるかもわかりませんので念を押したわけです。
  132. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) それは答弁の冒頭に申しました八十三条で、それを法律の根拠として私たちのやらなければならない事態というもの、義務が発生したときにはどうするかという問題をやっておりますということであります。
  133. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いま観艦式のお話も出ましたのですが、きょうの報じられたところによりますと、いま新聞の報道を見ているのですが、広島で市中パレードをやるということが、毎年やっているみたいなんですが、ことしは中止の申し入れがあったという、このことをお聞き及びでございますか。
  134. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 中止の申し出というのがどういうところからということでありますれば御答弁のしかたがあるのですが、これまでも中止要請、抗議という形で労働団体とかあるいは党派の立場の違う方々の抗議が、ことに原爆の地広島であるということが大義名分でもございますが、そういう抗議その他は行なわれておりますから、これはそういうことだと思いますが、別途中止要請が客観的な立場からの代表の方、あるいは知事さんとかというものが要請されたかどうかについてはまだ知っておりません。
  135. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これを見ますと、「広島県春闘共闘委員会の代表は二十五日、県庁を訪れて宮澤知事に「市中パレードの中止を師団に申し入れ実施された場合も観閲は辞退してほしい」と要請した。知事は「これまでのようなパレードには疑問を感じ、私なりに批判もある」との見解を明らかにした。」というふうな報道なんですが、いずれにしましても、この種の問題はあまりないように思うんですが、いいか悪いかこれは別として、長官長官としてのお考えがやはりあるのじゃないかと思うのですが、いかがでございますが。
  136. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 宮澤知事とはまだその問題で話したことはございませんが、私どもはやっぱり国民のための自衛隊であり、よき隣人、市民でなければなりません。したがって、一般国民の理解を深める機会が確かに創隊記念日等の観閲行事であろうと思います。しかし、ことしは先ほど申しました石油の問題がございますので、徒歩部隊ぐらいならばこれは何も県庁前でなくてもよろしゅうございますし、徒歩部隊等の場合どこにするかという問題はこれは別途の問題になりますが、重車両その他の運搬その他はやっぱり油を食います。そういうことで、中央の朝霞で昨年から始めました観閲式も含めて、ことしはどうするかという問題はいま検討をしておる段階でありまして、ことしは特に油の問題で検討しておるということで、やらなければならないものはやはり一応やるつもりではおりますけれども、ことしに限っては、将来どうなるかわかりませんけれども、油の問題が無視し得ない要素であるということで目下検討中である。  ただ、事前に必要がありますからきめなければならなかったものが遠洋航海であります。したがって、遠洋航海と観艦式とは同じ海でありますので、観艦式はそのかわり遠慮をせいということでやめさせまして、遠洋航海は、その年の課程としての乗り組み員の学生が、生徒がおりますから、その年をはずしますと、来年に回せというわけにまいらない、たった一回の機会としての、これは各国やっておる遠洋航海でございますので、油の量は、これは日本を出て第一の寄港地に参るまでの間のことであります、日本の油を持ち出すのは。しかし、やはり外国で、寄港地で買うわけでありますので予算に関係がありますけれども、慎重に検討しまして、結論としては、やはり学生の訓練の仕上げの課程における遠洋航海を一年抜かすというわけにはいくまいということで遠洋航海は認めよう、そのかわり観艦式はその分だけ油を節約せいということで取りやめておりますが、陸上等の問題についてはこれから検討に入る段階でございます。
  137. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 問題が横に入りましたのでまたもとへ戻してまいりたいと思いますが、第二番目の問題として、最初に御提案しまして、質問内容を申し上げたのですが、これを具体的にひとつ進めていきたいと思います。  第四次防整備計画のこの防衛費の整備の進め方として、従来は五次防という計画のもとに長期計画をやってきたわけですが、これを避けて、艦船、航空機などの主力兵器だけについては長期調達の計画をして、そうして残る装備の維持とか運用、基地の経営とか人件費などが軍事予算に盛り込むということになってくると、非常な膨大な金になってくるということで、五次防ということになりますとまた相当な批判も出てくるという考えの上から、またやりましても、この悪性インフレ、狂乱物価といわれたその物価の上昇によって計画されているものが変えていかなければならない、計画変更を余儀なくされてしまうということがあるわけでございますね。  こういうことで、一年ごとに計画を立てておいて、一年度分を継ぎ足していくというローリングシステムといいますか、こういったような形に変えていかざるを得ないんじゃないのかというようなことが、早く言えば単年式といいますか、単年度式といいますか、確かに過日の衆議院内閣委員会でも、総理の答弁の中にそのような答弁もあったように思えるわけですが、実は昨年の、四十八年六月の二十六日に私ども公明党の衆議院の鈴切君が総理大臣に質問をしているときに、大臣がこんなふうな答弁をしているわけですが、その一部分だけを、御存じだと思いますので、前のほうは抜きまして読んでみますと、「四次防が完成したら五次防は一体どうなるのか。いま、五次防とか六次防とかということ、もうそういうようなものをつくらないようにしようというような気持ちで勉強しているわけです。」と、このように昨年の六月二十六日の衆議院内閣委員会で御答弁がありまして、先日もこれに近いようなお話があったというふうに私は思うわけですが、この点について、長官としてはどういう方向づけをしていこうとされているのか、まず、しょっぱなにお伺いしておきたいと思います。
  138. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これはまだ全然きまったわけではありませんで、要するにゼロから出発して一次防、二次阪、三次防、次は四次防という形でいままで来ております。しかしながら、はたして四次防の次は自動的に五次防とすべきやいなやという判断をそろそろしなければならない時期に来ておる、これは物価その他の問題は別にしてそういうふうに私としては考えていたわけであります。ということは、反面、実人員に対する人件費、あるいはまたベースアップは四次防の場合にも見込んでいない総額でございますし、実際上はそれが結果的に入ってくるわけですから、そういう問題等もあるし、それに被服、糧秣等の問題、これもやはり単年度の問題として提起されても、結果はそれを防衛費と別だと申し上げるつもりはないんです。防衛費のもちろん大半を占める部分であります。でありますけれども、これは単年度のそのときの、たとえばことしなら総需要抑制下の予算編成というようなものの制約を受けつつ、あるいは許容される範囲でやるべきものではなかろうか。かといって、それでやってまいりますと、単年度調達不可能なもの、あるいは長期にわたってそれを注文した後、就役をさせざるを得ない、長期間にわたり、あるいは新規のものであり、あるいは膨大な経費を要するものであるというような、主として正面装備になりましょうか、そういうものは、これはやはり最終的に自衛隊のシビリアンコントロールは国会でございますから、どうしても国会に、あるものは五年、あるものは三年の長期の数量あるいは価格等をお示しをして、それでお許しをいただいておかなければならぬことだと思います。  私が言っておりますことで誤解されているように見える一つは、単年度ごとに洗い変えることによって、業界等からいわれておると伝えられておりますが、スライド制というようなことを考えているのではないか、実はそれは考えておりません。基本的に四次防の次は五次防という硬直した姿勢でいくよりも、人件費、糧秣、被服等を中心とする生活費みたいなもの、これは単年度で結果を御報告しても特別おしかりを受けることにはならないだろう。もちろん防衛費の中にはそれが入っておるし、大宗を占めるわけでありますが、その他長期のもの等については、その必要な年次にわたる取得目標数量、価格等を国会にあらかじめ御承認いただいておくという二通りの手段を同時に併用したらどうであろうかというようなことを考えておるわけです。これは実はまだきめる段階にございませんで、最終的にきめなければならないタイムリミットをもし考えるとすれば、それは昭和五十一年度の四次防最終年度の予算をつくるにあたって、四次防以後はどうするかということを議論することになりましょうから、昭和五十年の八月末ということになるだろうと思います。  しかしながら、来年度の昭和五十年度予算編成にあたっては、残された予定の年度は五十年度、五十一年度だけでありますから、御承知のようにことしの調達予定のものも陸海空それぞれうしろに送っておりますし、それを機械的に二分の一ずつ計上するというようなことは客観情勢が許すか許さないか、これはその時点における予算編成の、全体の国民総生産、成長率、予算規模あるいはまたその中の防衛費の占める比率、そういうものによっておのずから天井がきまってくる問題でありますので、五十年度予算の編成作業を始めるにあたって、いままでのように単年度だけの考え方で作業をしないで、最終年度である五十一年度を踏まえて、両年度を踏まえた上で五十年度予算要求作業をしろという命令を先般私が出したということであります。したがって、四次防後という問題は、昭和五十一年度——最終年度の予算要求の際において明らかにせざるを得ない、あるいはすべき問題である。いままでのままでいくという、五次防という構想もなお残っているでありましょうし、それらの点については今後の検討として、いま研究段階であるというふうにお受け取りを願いたいと存じます。
  139. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 発注する予定のものも中止をせざるを得なくなってきたという、ヘリコプター積載護衛艦DDH、これなんかも取得がたいへんだということと、FST2改——対地潜哨戦闘機二十二機とか、あるいは百五ミリの自走りゅう弾砲二十六門だとか、新型戦車百六十のうち発注計画を四十両にするとか自主削減をせざるを得なくなったとかというそういうふうな問題点も、これは上昇物価によるもの、また長期にわたっての年次を越えなければなっていかないもの、すでに四十七年から今日まで繰り越されてやっているものが、いまだにできないものもあるというような観点の上に立って、いまお話がありましたけれども、五十年度の予算を一兆九百三十億見込んでおられますけれども、これではとうていできないんじゃないかというふうにも思うわけですが、四次防の四兆六千三百億、五十年度分が一兆九百三十億を見込んでいるということ、これ自体がおさまっていかなければならない。御答弁がありましたように、人件費だとか食糧費だとか、そういうものが五割を占めているというふうな観点から考えていきまして、どうしてもこの際考え方の変革をしていかなければならないんじゃないかという時点に当然来ていると思うんです。それで、いま御答弁がありましたように、両面の線をとろうかというよヶな御答弁がありましたけれども、全体のプログラムを新しくしなければならないんじゃないか、こういうふうに思うんですが、その点どうなんでしょうか。
  140. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 本年度予算の編成にあたって余儀なくされたのではなくて、閣議で来年度予算は公共事業費を中心に総需要抑制ということでいきたい、公共事業費について言うならば、四十八年度予算の金額で単価その他の値上がりを考えれば、事業量は四十七年度予算の程度の規模になるであろうということを満場一致了解が閣議で行なわれたということを踏まえて、これは防衛庁自身国そのものであり、自衛権という名の目に見えるものが防衛庁である、そういうふうに私が考えまして、したがって、大蔵省の査定を待つまでもなく、基本方針が決定をしたならば、これは防衛庁自体がそれを踏まえて、どう国家機関として出なければならないかということを自問自答したわけであります。ほかに道路とか港湾とか漁港とかいろいろ五ヵ年計画がございます。そういうものはこれは地方自治体とかあるいは受益者とか一般のものを踏まえての予算でありますから、これは別途予算編成のときの議論でよかろう。  しかし、防衛庁は国そのもの、目にみえない自衛権の目に見える存在ということであるならば、われわれは国の姿勢として示すべき必要があるのではないかと考えまして、お願いをして国防会議を開いてもらいました。そして国防会議議員懇談会も開いてもらいました。私自身が八月に要求をいたしましたものを、ただいまお話しのように、新型戦車百六十両を、四十両をはじめとする——自走りゅう弾砲、あるいはDDH、FST2改、これらの予算要求を返納いたしまして——じゃ戦車だけ未練たらしく四十両なぜ残したんだという御疑問があるかもしれませんが、これは実は積載火砲がイギリスの会社に頼んでございますので、向こうの会社はもう日本の発注を最後に生産を打ち切るんだそうであります。したがって、四十九年度予算で頭出しで注文をしてもらわないと生産を止めると、こういうどうにもならない外的な条件がございまして、最初は百五十門、残り十門はそちらのほうでライセンス生産せいということであったんですが、こちらの国内の事情を説明しましたところ、それならば四十門ということで、将来の百五十門ということならばけっこうであろうということでイギリスの会社の了解が幸いにしてとれましたので四十両にとどめることができたということでございます。でありますので、これは私どもが自発的にやったことであります。  一方、反面の現象として、深刻な原料、人件費その他の諸掛かりの高騰は、本年度中に国庫債務負担行為で調達を終わらなければならない、取得しなければならない制約下にありましたものの中で、結果的には小型輸送艦あるいは自走浮橋、そういうようなもの等も含めまして、その他も大幅なスペックダウン等をいたしながら、ようやくまあ大蔵省に一部は返上ということで予算上の返上措置もとりました。そしてこれが取得できなかったということでありますが、年度を越えてもなお契約ができる範囲のものは私どもとして年度を越して契約の作業ができるわけであります。ことに造船産業の中には、造船労働組合の関係に入っております人件費の行くえもやっぱり非常に大きく左右いたしますので、春闘相場等を見きわめたあとて  もういま取りかかろうとしておりますが、それらの関係産業との間に繰り越した護衛艦二隻、潜水艦一隻について契約交渉に入ろうということでありますが、なかなかどうも最近は向こうのほうから手をあげてくれないということで主客転倒いたしておるような状況でありますけれども、この現実は何を意味するかといえば、四次防、すなわち現在予定しておるものは五十一年度までに内容を完全に達成できるのかという問題になると思うのです。先ほどの五次防の見通しとはまた別途の観点が一つ出てこようかと思います。現在の見通しではなかなかむずかしいなあという感じでございます。そうすると、完成年度を五十二年度に延ばすとか、あるいはもう五十一年度がやはり予定の年度だから、どうしても積み残しが——国家財政の配慮の中で実現できないということであればもう切って捨てるか、四次防としてはいわゆる積み残しをして次の計画の中に持っていくか、これらの問題の判断もやはり四次防後のからみの問題として残っていく問題であろうとは考えてはおりますが、これも今日の時点、昭和五十年度予算を要求する時点において最終的にきめなければならぬというところまでの問題にはまだまいっていないと考えております。
  141. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 たいへん問題点がいろいろな方面からつついてみるとあるのですね。いま御答弁ありましたけれども、たとえば装備の契約状態の一部分の面だけ取り上げてみましても、私の調べたもので一部分の面だけ取り上げてみましても、六十一式戦車六十両が、総額予算が四十六億七千三百万だった、契約金額は四十九億一千万であって、オーバーした金が二億三千七百万。七三式装甲車が三十四両で十六億九千七百万の総額予算、それが総額金額では二十一億四千万になった、これですでに四億四千三百万もオーバーしている。あるいは中型掃海艇あたりも二隻で三十一億三千九百万の予算を立てたが四十億二千万、これですでに八億八千百万と、これだけオーバーしてしまっている。小型掃海艇にしましても二隻で七億一千百万が八億二千万に、一億九百万もオーバーしている。魚雷艇一隻にしても十二億七千二百万が十三億五千万になって七千八百万のオーバー。輸送艦一隻にしても三十三億を予定されたものが三十九億三千万、六億三千万のオーバー。これだけちょっと合計しただけでも大体三十二億八百万ぐらいの、予算を立てたものと契約した時点とは、たったこれだけ取り上げただけでも三十二億以上もオーバーしてきているという現況。これらを考え合わせていきながら、またもう一つは為替リスクの肩がわりの問題についてもとかく云々されているわけであります。  一つは、輸入装備品で発生する為替リスクについて、従来の業者負担から防衛庁負担に切りかえていくようにするというように聞いているわけですが、この点なんかもどんなふうになっているのかお伺いをしたいわけなんです。いまの装備の契約状態のオーバー金以外に、また為替リスクの問題等も生じてきているわけです。この点についてのお考えはどんなふうになっていますか。
  142. 山口衛一

    政府委員(山口衛一君) 最初の問題でございますが、四十八年度の予算に基づきまして契約を実行していく場合に、ただいま先生のおっしゃったような、それぞれの個々の装備品に予定しました予算額と実際の契約額との相違が出てまいったわけでありますが、この点につきましては、予算のたてまえが当然ございまして、つまりまとめて計上されておりまして、その中でかなり彼此融通できるものと、あるいは単艦、一つの費目というようなことで融通できないものと、それぞれの費目によりまして性格が違っております。私どもは当然流用できないものはそのままでございますからこれはできません。したがいまして、その場合にはどうしても契約ととのわなければ打ち切らざるを得ないということになりますが、ただいま御指摘の戦車、装甲車等につきまして、これは甲類装備品として予算が計上されておりますが、その中で、先ほど大臣から申し上げましたように、一部自走浮橋でありますとか、このようなものを費目を落としまして、そのようなものからの金額の充当を行なったというような実情がございます。本来からいいますと、なるべく数をそのまま採用しまして、一部スペックダウン等というのが従来の経験でございましたが、四十八年度におきましては、幾らスペックダウンしましても、まさか砲を落としてまで船を調達するというわけにもなかなかまいりません。やはりこれは必要なものは最低限度のスペックはそろえながらということでやりまして、いまのように非常に苦しい調達状況になってきた次第でございます。  それから第二番目の点でございますが、ただいま先生から為替の差損につきましての、防衛庁が為替リスクの負担、肩がわりというようなお話がございましたが、私どもは予算を編成されますときに、輸入品につきましての予算の算出根拠といいますか、これは一ドルにつきまして三百八円というような換算率で計上予算がされております。したがいまして、予算の範囲ということになりますと一応三百八円までの予算額での調達が可能であるわけであります。御承知のとおり、昨年の十月末以降、一ドル当たりの円相場が非常に安くなりまして、一時は三百十円をこえるような事態もございました。したがいまして、三百十円となりますと、これはやはり三百八円という計算をオーバーしますので、これは認めるわけにはまいりません。これは予算がオーバーしてしまいますので、私どもはその三百八円の範囲内でやるということは、これは予算で認められた範囲というふうに考えておりますし、また私どもがFMSと言いましてアメリカの国防省から購入をする場合に、これは一ドル三百八円で日本銀行に私どもから円を振り込みまして、外貨を、ドルを買いましてアメリカに送金するわけでございますが、この法律根拠は支出官事務規程の二十一条というところで大蔵大臣の告示が出ておりまして、これは現在の換算率が一ドル三百八円というふうにされております。これも一つの根拠ではありますが、三百八円までの範囲で、その間に変動があった場合には、為替銀行が発行いたします決済書類というものを私どもに提示してもらいまして、実際に商社が払った証拠書類を出してもらいまして実費精算を必ずやっていくということでございますので、これは私どもは差損も差益もできるだけといいますか、差損、差益をとにかく生じないというふうに運営してまいりたい。つまり非常にいま不確定要素が為替相場の場合に多うございまして、私どもは先の見通しがほとんど不可能でございますので、そういう意味で差損の肩がわり、リスクの肩がわりというよりも、むしろ不確定要素を確定する手段を現在とっておるというふうに考えて運営をしております。
  143. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 確かに昭和四十六年の円高のときに発生した差益というものはあったと思うんです。そのときの価格はだいぶ変動されてきているわけですね。変わってきているわけですね。それについての、当時の安く納入された製品というのは、おもなるものはどんなようなものがあったんですか。
  144. 山口衛一

    政府委員(山口衛一君) ただいま御指摘のとおり、四十六年の八月の二十六日にたしか一ドル三百六十円の基準相場制度が第一次の変動相場制に移ったわけでありますが、それによりまして、当時円が非常に高かったものですから、御承知のとおり二百数十円に円の対ドル換算率が変わってまいりました。そのときにはほとんど全部のものにつきまして私どもは適用いたしました。どれということなしに、もう航空機部品、あるいは通信機械部品、あるいは整備用器材、あるいはバッジとか射撃指揮装置でありますとか、こういうもの、およそ全部のいわゆる輸入品につきまして、実際に幾らで為替銀行からドルを買ったのかという証拠書類を全部集めまして、それに基づきまして計算をし直して、それで契約額を減額いたしました。約五億をこえる金額をその際減額さしたわけでありますが、件数にしまして約四百二十件程度当時あったかと思っております。
  145. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この資料は出してもらいたいという要請をしておったわけですが、間に合わないということでいただいていないんで、いまのお話だと四百二十件で約五億というお話ですが、このリストをひとつ提出願いたいと思います。いかがですか。
  146. 山口衛一

    政府委員(山口衛一君) 四百二十件の数が非常に多うございましたものですから、先生のお手元に行く時間が十分でございませんで、主要なものにつきましてできるだけ拾い上げまして資料をいままとめたのがございますが、四百二十件全部とおっしゃることになりますと、もうちょっと時間をかしていただければと思います。主要なものは現在私手元にすでに持っております。
  147. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 まだこれ、これからずっと長い将来と言ったら大げさですけれども、先の問題等がありますのでどうしても必要なんです。ですからこの点、日にちがずれてもけっこうですから資料請求を私はしたいと思います。これは委員長のほうからもひとつよろしくお願いします。  それからさらに質問を続けていきますと、四十七年度の一これはリストかありますと四十七年度の分もおよそ見当がついていくんですが、リストがないもんですから私質問するのに非常にやりづらいんです。こちらの調べたものと照合もしたいわけなんですけれども、これもできないわけで、まことに残念なんですが、四十七年度の契約分については、一ドル二百七十円の契約したものが引き渡しの決済時期には一ドル二百九十円から三百円になったというふうにも聞いているわけなんですが、これに対する具体的な説明もひとつお願いしたいんです。
  148. 山口衛一

    政府委員(山口衛一君) ただいま御指摘ありましたとおり、四十七年度にいわゆる国庫債務の契約をいたしました分、すなわち四十七年度から支出が始まりまして四十八年度以降後年度負担を伴う分でございますが、これと四十八年度の、昨年度の当該年度の歳出分の契約が一番問題になったわけであります。といいますのは、昨年の十月ぐらいまでは幾分上がり傾向はございましたけれども、かなり大幅の円安相場にはならなかったんでありますが、先ほども申し上げましたとおり、十月末以降急速に円安が顕著になってまいりまして、これではその当時確定契約で結んでおった契約額では非常にその差額が大きくなり過ぎるというような問題が輸入商社間でいろいろと問題とされました。たとえば輸入懇話会というような団体が、集まりがありまして、そこから私どもの契約を担当しております調達実施本部のほうへ、そのような際に実績相場で換算をしてくれないかと、つまり当時二百七十七円を上限としまして契約を結ばせておったわけでありますが、大体平均しまして二百六十円台というのが当時の実勢相場でございます。実勢相場と申しますのは、契約を私どもが締結します約一週間前ぐらいの平均相場でございますが、その実勢相場を常にとりながら契約を進めているわけでございます。それの上限が大体二百七十七円程度と見て契約をしておりましたが、当時は二百八十円から三百円というような事態がありました。これにつきまして、そういう話がありましたが、私どもはやはりこれは変動相場制度のもとで契約した事態でありますし、特にこれが著しい経済変動というようなことでこの際契約を更改してしまうというところまでの事態ではないという判断のもとに、四十七年度国庫債務分、四十八年度の一部当年度歳出分につきまして、契約を更改しないという返事を当時出した覚えがございます。
  149. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 問題は、先ほど御答弁がありました為替銀行の決済証書、証拠書類を整えたものに対しては受け入れるということなんですが、それによってこのリスクの面は防衛庁が持ってもいいんだというようなことに突き詰めてみればなると思うんですがね。企業側の損失を政府が負わなければならないということは、これは非常にいろんな問題があると思うんですがね。こういう点から防衛庁の考え方をお伺いをしているわけですが、その点どうなんですか。
  150. 山口衛一

    政府委員(山口衛一君) 先ほどの先生の御質問に対しまして実はお答えいたしましたのは、その三百八円という予算で積算、換算率がきめられた限界内というふうに申し上げておりまして、これは三百十円でも二十円でもいいということでは決してございません。三百八円というのは、私どもが予算におきまして認められました換算率の予算額がそれで計上されている範囲でございます。三百八円をこえても、その実績計算でやるんだということでは決してございません。その三百八円というのは、先ほど触れましたように、繰り返すようでありますが、大蔵省告示の換算率というふうに考えております。
  151. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ですからね、変動相場制で生じた企業側の損失を政府が負うのは当然だという、業界はそんなような言い方をしているというふうに私は思うんですかね。その言い分をそのまま——防衛庁としてはどういう見解を持ってそれを受けとめようとしているのかということですね、それをいまあわせてお伺いしたわけなんですがね。
  152. 山口衛一

    政府委員(山口衛一君) 輸入金額の決済につきましては、私どもはそもそも契約のときの価格計算を行ないますときも実勢相場というのをたてまえとしてやっております。したがいまして、その趣旨からいいますと、実際に支払った支払い時期におきます実勢相場というものもこれはやはり無視できない事実ではないかと思っております。  それからもう一つは、その実勢相場をこえて契約を行なった場合には、先ほど触れましたように差益の返納をこれまでさしてきております。したがいまして、その予算の範囲内におきます限りにおいては、その支払ったときの決済書類が明確であれば、これはやはり不確定要素が確定化されたというふうに解釈いたしまして、私どもはそれが適正な支払いの内容であろうかというふうに考えております。ただそれが、繰り返すようでありますが、予算をこえることは考えておらないと、つまり三百八円の換算率はこえないというふうに考えております。  以上が基本的な考え方でございます。
  153. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 防衛庁に申し上げます。  先ほど宮崎委員から要請のありました為替変動に伴う器材輸入の契約会計資料委員長、理事間で相談いたしました結果、委員会から要請することにいたしますので御提出願います。
  154. 山口衛一

    政府委員(山口衛一君) ただいま委員長から御指摘されました資料提出するようにいたします。
  155. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 確かにこの輸入品売買契約条項というこの問題の中に、第七条ですか、第七条に、「甲及び乙は、この契約の締結後、この契約の契約金額を構成する費目の価格等が法令等により設定、改訂若しくは廃止されたとき又は著しい経済情勢の変動があったときは、協議のうえ、契約金額、納期その他この契約に定める条件を変更することができる。」と、こういう条項があり、第八条のところには、「前2条の規定により、契約金額の変更が行なわれる場合は、乙は、当該変更に関する見積書を作成し、すみやかに、甲に提出しなければならない。」という義務づけ等もされている。この輸入品売買条項の中にあるわけでありますが、じゃあ、はたして防衛庁だけにこういうことが許されているのかどうなのか。通産省の人も来ていると思いますし、大蔵省の人も来ていると思いますし——たとえはAという人かBという商社に千円で注文をしたとしますね。それがBという商社がなくて、Bという商社はCという商社から千五百円で品物を取り入れた。取り入れたそのBは千五百円を請求した。契約上では千円で契約しているわけです、AとBと。契約という面からいけば、当然いろんな事態はあるでありましょうけれども、それらをそのように許されておったんでは、こういう条項があると、あるからそうしているんだということになると思うんですがね。そういう考え方は防衛庁だけでいいのかどうなのかということを通産省、大蔵省に私は聞くわけなんです。まず通産省、大蔵省のほうの考え方をひとつ聞かしてもらいたい。
  156. 山口衛一

    政府委旦(山口衛一君) ちょっと委員長。ただいま先生御指摘ありました輸入品売買契約条項の第七条でございますが、ここには、お持ちと思いますけれども、契約金額を構成する費目の価格の中で、この法令等により設定、変更が行なわれる場合、これはたとえば為替平価、先ほど触れました大蔵省告示によります三百八円が変わるとか、あるいは三百六十円が変わってしまうとかいうような、あるいは関税が法令によりまして変わるとかいうような、事実がどうしても変わってしまう場合には、これは契約内容を変えざるを得ないというふうに考えております。  それからもう一つ、「著しい経済情勢の変動があったとき」という規定がございますが、この「著しい経済情勢の変動」の幅とさ何かということでございまして、これはやはり私どもは、たとえば四十六年に固定相場制から変動相場制に国の為替制度が変わってしまったというような、こういう大きい変動がいわゆる該当するというふうに考えておりまして、このような大きい変動があったときには、この契約を構成する条件というものがやはり変更したと考えざるを得ないという立場をここにうたった次第でございます。それだけをちょっと私どもの解釈としまして御報告いたします。
  157. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 はい、わかりました。
  158. 山本康二

    説明員山本康二君) お答えいたします。  一般的に申し上げますれば、国が直接輸入をしております貿易品目は、その物資の特殊性にかんがみまして、輸入の安定確保をはかるために、国が場合によってはリスクを負っても輸入が必要であることが多いと考えられます。したがいまして、もし万一差損が生じた場合に、民間輸入業者にその負担をすべて負わすようなこととしておりますと、物資の安定輸入確保に支障が生ずるおそれがあると思うわけでございます。それで、防衛庁のように差益が出た場合には取り上げると、損が出た場合には損をしないようにすると、つまり為替の上下は全然無関係にするというやり方であれば、それは一つのやり方でございまして、これは本来物資所管の各省からお答えすべきことだと思いますが、たまたま私どもが承知しております例・で申し上げますと、食管特別会計の麦でございますとか、専売物資のたばこ、塩等も、いずれも同様に実費精算主義でやっていると承知しております。すべて実費精算でございますから、為替が上がった場合、下がった場合、いずれもその業者には関係ないというたてまえをとっておるように了解しております。
  159. 矢澤富太郎

    説明員矢澤富太郎君) 先生の質問をいただきまして、十分調査する時間がございませんでしたため、十分のお答えができないかもわかりませんが、私が聞きました範囲では、政府関係では、支払いが長期にわたる輸入契約を結んでいるところは例がきわめて少ないようでございまして、適当な例はございませんでした。なお、一、二の事業団、公団等は、こういった支払いが長期にわたる輸入契約を結んでおるようでございますが、そうした例では、いま通産省の方から御説明がありましたように、為替の差損益は業者には生じさせないというかっこうで契約をしていると聞いてまいりました。
  160. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これはリストがないと、私のほうの調べたものと照合しながらやらなければならないので、この点まことに残念なんですが、いずれにしましても、リストをもらったあとのことに、この問題はまた保留をして、先へいって機会があった場合にこの点もっと論議をかわしたいと思うんです。まことに残念なんですが。  まあ、どちらにしましても、防衛産業だけが最優遇をされるというようなことがあってはならないというのが私の言いたいところでありますし、為替リスク問題についてはもっともっと深く討議をしなければならぬということだけ言って次の問題に入りたいと思いますが、まあこういうふうないま私の申し上げた総額予算から契約金額が著しく変わっていった、それは計画立てておったものを一時やめたもののほうから流用を、ある面においては流用ができるから流用していくというようなことだけで、何がために四次防計画をやったのか、そういう計画がよくないと私ども言ってるんであるのも、そういう面からでも、計画というものがいかにずさんであるかというふうなことを証明される一つじゃなかろうかと私は思うわけです。そうかといって、ローリングシステム等になってきますと、今度は防衛費というもの、防衛計画というものが、将来の見通しというものが国民にわからないままに、一年ごとに大きく塗りかえられていくんじゃないかというような心配もあるわけです。そういうことで、単年度なのか、あるいは長期計画でやっていくのかということをいまの時点において十分に考えなきゃならないんじゃないかという面から私は質問を申し上げたわけでありますが、この点について総合的に長官から、いまの私の質問等を通して御答弁を願いたいと思います。
  161. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) あくまでもこれは輸入契約時の客観的な変動相場制下の時点における、その当該時点における価格をもって契約単価と見なすわけでありますから、したがって、上限は予算単価の三百八円という、これは大蔵省の編成方針できまっておりますし、大蔵省がそのたてまえできめておるものでありますので、それをこえて防衛庁が恣意に特殊な変動様相があったからといって、それ以上の金を払うということはできないわけであります。また、差益が生じたという場合ですね。三百六十円の契約だったものが三百八円になった場合においては、当然その差益というものは返納させておるわけでありますし、日銀を通ずるものは、日銀で精算して、業者には実際の手取りとしての実レート換算によるものしかまいりませんので、私どもとしては特別に業者を利するような契約を認めておるとか、あるいはそういう支出のしかたをしておるということはございません。
  162. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この私の質問したことにちょっと触れていない点があるんですが、四次防、五次防としての計画をこのまま進めていっても、進めていくことができないんじゃないのか。いろんな装備品の購入問題にしましても単価の問題にしましても考え直していかなきゃならない。せっかく四次防としての計画立てたものが、初めから計画変更して、その翌年に回していかなきゃならないような計画では何にもならないじゃないかということを聞いておるわけなんですがね。
  163. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) その御質問については、先ほどお答えを私はしておると思うんですけれども。それは、ことしは国の予算編成の方針がきまって、防衛庁はみずからそれに合う姿勢をとったと、しゃにむに大蔵省からむしり取ろうとしたけれども取れなかったというものでもありませんし、私は大臣折衝も、異例のことだからしておりません。でありますから、来年はじゃあどういう予算の環境になるんだというと、先ほど申しましたとおり、経済諸元、諸指標、価格体系というものは、もう少し先になりませんとわかりません、石油は一応見通しがついたようでありますが、電力、鉄鋼、セメント等の基礎資材、それに関連して周辺に波及いたします各物資がそれぞれ国内で価格体系として定着をし、その価格体系のもとで、国際経済の中で、日本が貿易、外貨、そういう問題、国際収支を踏まえながら、どういう前進を、再出発を開始するかと、その姿勢が来年度予算におそらく出ることになるだろうと思います。それに従ってわれわれがどこまで許容され得るかということは、来年度に関しては見えるわけでありますけれども、しかし、残り二年しかありませんから、しゃにむに残ったものを、どんな客観情勢が予算編成において生じようとも、その二分の一は五十年度予算でとにかく獲得するんだというような硬直した考え方で作業をするなということを、指令をいたしておるわけでありまして、したがって、先ほども申しましたが、繰り返して申し上げますと、四次防の最後の締めくくりをどのような形にするかという問題も来年度予算編成の問題と最終的に関連をしてくるおそれがありますから、両年度を踏まえて考えよう、そうして五十一年度の最終年度予算についてはそれをはっきりさせよう、その方法はいろいろあるということを先ほど申しました。そして五次防については、これは四次防の次は五次防だという、自動的に、前方直視、猪突猛進型ではいかぬと、新しい時代に対応できるようなふさわしい、しかも国会のシビリアンコントロール機能を——結果的において積み上げて膨大なものにしてしまうようなことのないように、そういう配慮はしていかなくてはならないというようなことをいま作業しているということでございます。
  164. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 要するに、その四海防、五次防というのは、あと二年あるその間で長期計画にするか、単年度策定にして移っていこうかというのを、両方を加味しながら今後の問題としては考えていきたい、ういう結論でございますね。
  165. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) そういうことでございます。
  166. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その点についてはいろいろまだ問題点もありますけれども、これはまたあとで機会があって申し上げたいことがまだありますんですが、ほかへ移っていきたいと思います。  今回の法案で、第四条の住宅の防音工事の助成という点で、自衛隊等の航空機の離陸、着陸等のひんぱんな実施により生ずる音響が起因して障害が著しいと認める防衛施設周辺地域を施設庁長官が第一種に指定し、その指定の際、現に所在する住宅について、その所有者または当該住宅に関する所有権以外の権利を有する者がその障害を防止し、または軽減するため必要な工事を行なうときは、国はその工事に関し助成の措置をとると、こうありますが、そこで、第一種区域の指定基準をWECPNL八十五と想定されていますが、実際にこの単価の騒音はどの程度のものなのか、しろうとなのですからわかりませんけれども、この問題が一つと、それから住宅の防音工事により障害を防止しようとするのはわかりますが、室内における騒音をどの程度に防ぐ工事をするようにするのか。また、この工事に対する国の助成率はどんなふうに考えているのか。また、もう一つは、住民に対して防音工事を行なっているからすべて解決する問題でなく、それらの障害による被害者が出てくる場合の対策なんかも考えるべきだと思いますが。また、第一種区域に住んでいる人、第二種区域に住んでいる人に対しては、第二種区域以外の区域に移転し、または除却するときには、国はそれに通常生ずべき損失補償をし、及び第二種区域に所在する土地所有者の申し出によりその土地を買い入れる、これは第五条の移転の補償等にもこうありますが、この第一種に住んでいる人がいると思うんです。そういう人はなぜこれに適用されないのか。この五つの問題について御説明が願いたい。
  167. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) まず、今回の法案第四条及び第五条、六条等にずっと一連としてかかります自衛隊の航空機の離着陸等の実施による音響の度合いというもの、防衛施設の周辺におきまして第一種、第二種、第三種というふうに区域を分けておりますのは、先般通過いたしました公共用飛行場の騒音防止の改正法と同様の考え方に立っているわけでございまして、従来は音の単位を間欠音でありますホンとかあるいはデシベルというような形で表現をされていたわけでございますが、最近国際的な騒音の基準といたしましたWECPNLという基準が設けられました。これは航空機の騒音の一日の総騒音量というものを評価している単位というふうに御理解いただければ一番簡単ではなかろうかと思います。したがって、たとえば当該飛行場におきまして航空機が離着陸する場合、百ホンの音を出すにいたしましても、日中一回飛んで百ホンを出します場合と、夜の十時ごろあるいは八時ごろに出します百ホンの騒音というものとは、その周辺におきまして住んでいられる住民の方たちが受けられます騒音の度合いというものに、おのずから受ける立場として、物理的な騒音ということじゃなくて、受けますところの騒音の何と申しますか感覚的な面を考えますと、その騒音の量というものはおのずから違ってくる、そういった点を加味いたしましたWECPNLの第一種区域におきましては一応八十五、第二種が九十、第三種が九十五といたしまして、これは公共飛行場と同じような基準を設けて、この方法で新法案成立後出発していきたいというふうに考えております。したがって、八十五WECPNLという基準でもって線を引きました区域の音というものがどんなものであるかということは、先ほど御答弁申し上げましたように一日の当該飛行場を離着陸します航空機の騒音の総量というようなことで出てくるものでございますから、間欠的に出ますところのホンとはどうしても比較するのがむずかしいわけでございます。  しかしながら、たとえばの形で申し上げますと、WECPNLの八十五というのは、たとえば九十デシベルの音が一日に百回飛んだとします。その場合にはちょうど八十五WECPNLになるわけでございます。ところが百デシベルaの音が一日に十回あったといたしますと、これも八十五WECPNLというふうになるわけでございますので、その線を引きました八十五の線上におきまして、従来のようにホンでもって比較する、測定するという感じとはだいぶん違ってまいりますので、多少瞬間的に音の感じを表現するとこういうふうな感じだというふうに申し上げにくいこれは騒音基準になるわけでございます。それからそういうWECPNL八十五の第一種区域の範囲の中で、一応個人住宅防音の工事を行ないます場合に、実は昭和四十七年度におきまして、航空自衛隊の入間基地の滑走路から五百メートルほど離れた地点におきまして六つの種類のいわゆるモデル住宅というものを建てまして、騒音防止のいわゆる防音の効果というものを各種の工事を行なった上でテストしてみたわけでございます。それらのテストの結果に基づきまして、今後個人住宅防音工事というものを実施していくわけでございます。何ぶんにも飛行場周辺のそれぞれの住宅の構造というものがまちまちでございますので、なかなか標準的な工事というものは施しにくいんじゃなかろうかと思います。しかし、われわれとしては、一応基準といたしましては、一室の防音をとりあえず実施していくことにしたいということで、個人住宅の一室を防音工事で静穏な状態にしていくために、工事の基準としましては大体三十デシベル前後ぐらい下げるような工事を考えております。  それから第三番目には……
  168. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 幾らかかるのですか、大体。国の助成率。
  169. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 現在のところ成立しております予算では、一戸の住宅につきまして一応一室防音で百万円を計上させていただいておりますが、補助のたてまえといたしましては、十分の十というのを原則で考えたいと思っております。ただ、いろいろその工事によりまして、従来の法律の三条等におきましても障害防止工事でいろいろ律する限度というものがございます。そういった点も具体的に工事を行なう場合にどの限度まで実際の工事費の中から個人負担を考えていただくのか、そこらのところは実際上の扱いになりますが、考え方としては十分の十のたてまえでいきたいと思っております。  それから第一種区域において、第五条にいわゆる第二種区域の扱いと同様の移転措置というものを講じない理由というふうに承ったわけでございます。これはやはり一応従来現行法律におきましても、ある飛行場周辺の一定の範囲というふうに考えておりますものの考え方と同様な考え方で、第一種区域の、いわゆる二種区域の外側に広がります一種区域の範囲におきましては、個人住宅についても防音工事を施すということで一応お住まいいただける環境になるんではなかろうか。しかし、二種区域におきましては、やはり移転を希望される場合には、その区域については、やはり人の住居としてはふさわしくないと申しますか、なじまない区域であるという考え方から移転の補償のできる区域と考えたわけでございまして、やはり飛行場からの距離、音の程度によりましてそういう判断に立ったわけでございます。これも運輸省の公共用飛行場周辺の対策と同様でございます。
  170. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 端的に言うと、一種区域の人も当然いいんだということですか、結論的には。よくわからなかったんですけれど。
  171. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 第一種区域のうちで——第二種、第三種区域を除いたと申しますと、ちょうどドーナツ型になりまして、一番外側の部分になるわけでございますが、その一種区域のうちで、二種、三種に該当しない区域につきましては、個人住宅について防音工事を施すことによって一応個人の生活環境としては静穏を保持していただける状態であるので、個人住宅防音を実施していくということで移転補償の対象区域としては考えてないわけでございます。
  172. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 考えてないということですね。だから、線を引いている分かれ目にいる人たちというのは、これはいつも何の法律でも問題になってくるわけです。そういう点なんかも実情に合わせた上の考え方をしなければいけないんじゃないかと思うんですが、防音装置、防音工事だけですべてが解決するということじゃないと思うんですね。その点なんかも十分なお考えがあるんじゃないかと思うんですが、どうなんですか。
  173. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 確かに御指摘のとおり、従来現行法におきましてもボーダーラインというところは、実際は運用上、その現地に即した判断に立つ姿勢というものは必要であるわけでございますが、今度の第一種区域、二種区域、三種区域につきましても、新法が発足しまして後は一応八十五、九十、九十五ということで、公共飛行場と同様の形で出発するわけでございます。御承知のように昨年十二月二十七日に航空機の騒音に関する環境基準というものが告示されております。これには一応望ましい状態としてのWECPNLの基準として七十とか七十五とかというものが示されておりますので、そういった告示の趣旨も踏まえながら、ただいま御指摘のような問題につきましても今後対処していく必要はあろうかと思います。
  174. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 第五条の移転の補償の問題、ちょっと先ほど触れたのですが、第一種区、第二種区域、先ほどの面はわかりました。わかりましたから、これのボーダーライン、要するに線のすれすれにいるところの人たちというのは十分に考えていくべきであるということ、それは考慮するということですね。  それからもう一つは特定飛行場を定めた基準は何によってやるのか。また、移転先地における地方公共団体等が道路、水道、排水施設等、公共施設を整備するときの国の補助というものをどのように考えているのか。また、住民に対する移転補償というものはどんなふうに考えているのか、この三つの点について。
  175. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 従来の現行周辺整備法におきましては、第五条におきまして、特定飛行場ということばを使いまして、指定をすることにいたしておりました。ところが、今回の法案におきましては、従来の第五条のように、特定の飛行場として、ターボジェット発動機を有するものの離着陸がひんぱんに実施される飛行場という条件じゃなくて、航空機が離着陸する防衛施設、離着陸等のひんぱんな実施により生ずるところの音響の状態というものをその防衛施設の周辺におきましてはかわるわけでございます。したがって、実際に具体的にどうなるかわかりませんが、たとえば従来の現行法のようにターボジェットエンジンを有しないいわゆるレシプロの航空機でありましても、WECPNLが八十五という数字になったときには第一種区域という範囲に入るということでございますので、機種からとらえた従来の考え方と、今回の場合は航空機の離着陸その他の騒音の音響の度合いからとらえて区域を指定するということになるわけでございます。  それから第五条の移転先地の土地にかかりますところの道路、水道、排水施設等の公共施設の整備という点につきましては、これは従来長く住んでいられました方たちが、できるだけそういう騒音の多い飛行場周辺から移転されるについて、移転を容易にするために、まとまった形で地方公共団体等が移転先地をあっせんされる場合に、その移転先地への移転を容易にし経済的負担もできるだけ軽減しようという考え方から、そういう公共施設の整備について予算の範囲内で助成をするという措置を考えているのがこの条項の趣旨でございますので、そういうたてまえから、実際の運用については今後財政当局といろいろ実施面についての協議をしてまいりますが、十分の十という、そういう趣旨の点から十分の十という方向で進みたいと考えております。  なお、移転に対します補償に関しましては、従来から現行周辺整備法におきましても使用しておりました、国有地等の取得等に関する国の一般的な基準に従いましたところの飛行場周辺の移転補償の基準というものを防衛施設庁におきましても設けておりまして、これに基づきまして適正な移転の補償、土地の買収といいますか購入、そういった点でこの新法におきましても進めさせていただきたいというふうに考えております。
  176. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 前法よりもだいぶきびしくなったことだけはわかるようですが、まだ個々の条文によっていろいろ問題があるのですが、やり出すと際限がありませんので、時間等もだいぶ経過しておりますので、この程度で終わりたいと思いますが、実際問題とすれば、時間をかけて、もっとこまかくやりたいわけなんです。今日までの行なってきた、三沢ばかりではありません、他の基地におきましてもいろいろ問題点一ぱいあるわけです。一例を三沢に取り上げただけでありまして、それからまた最後に一つ伺っておきたいことがあるわけです。  大体、四次防の後半から新しい戦車による戦軍団を編成して、北海道に沼田演習場を新設するという方針をきめて、調査費をつけてやるようになったということでありますが、この沼田演習場の問題なんかは相当大きな、富士演習場の二倍以上に当たるというぐらいにいわれているのですが、ここで大がかりな、一万メーター級の長距離射程の砲撃訓練ができること、あるいはヘリボーン作戦による戦車戦闘訓練等を大規模にやっていこうというような計画等もあるようでありますが、これらについて最後に伺って私の質問を終わりたいわけなんですが、北海道雨竜郡の沼田町の陸上自衛隊の大演習場を新設する方針というものがどういうようになっているのか伺いたいわけです。
  177. 長坂強

    政府委員(長坂強君) 沼田の演習場につきましては、ことし実地の調査をいたす予定にしております。それで、これは沼田町のほうから、実はここへ演習場その他の部隊も入れたらどうだろうかという、いわば誘致運動のような動きもございまして、これはかねて数年前からでございますけれども。そこで、昨年予算要求以前に、では、これを慎重にひとつ実地の調査をしようじゃないかということで、本年度その調査をするというふうな段取りでいるわけでございます。ただいまお話しございましたヘリボーンというようなことは考えてはおらないつもりでございます。  それから使用の面積につきましては、実は昨年の衆議院内閣委員会でもお答えいたしましたけれども、一億平米よりは少ないというふうに感じております。これは実地に調査をいたしまして、それからいろいろその周辺の状況、それから森林の状況、そういうようなものをよく見てみなければならないと思いますし、耕作地等の関係もございますでしょうし、実際にはどの程度になりますか、そこら辺は実地の調査に待たなければならないと思います。しかし、大体八千メートルぐらいのりゅう弾砲の射程距離というものは一応確保したいと。しかし、それが実際にまた七千メートルになるのか、地形、地物の関係からいって多少の伸縮といいますか、柔軟性は持って考えていかねばならないんではないかというふうに感じております。いずれにいたしましても、調査の結果をもちましてまた大臣とも御相談すると、こういうような考えでおります。  以上でございます。
  178. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 御存じのように島松とか恵庭なんていうのはもう手狭になってきた。それを代賛するために今度沼田のほうに持っていくんだというようなことも取りざたされておりますけれども、、ずれにしましても、こういう大がかりな長距離射程の砲撃訓練というようなもの等が行なわれるとまたいろんな諸問題が起きてくると思いますが、ともあれ、こうした行き方について、将来考えられなきゃならない諸問題がずいぶん残されているわけです。きょうは私はこの問題を提起しただけで質問を終わりたいと思いますが、この沼田地域に対する進出についても、また次の機会にお伺いすることにして、きょうは時間等も参りましたので質問を終わりたいと思います。
  179. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) ここの場所はまだ調査費をつけたばかりで未定でありますが、自衛隊の今日の環境はなかなか、誘地運動みたいなものがあるのはもうきわめて例外でございまして、ここはしかし例外といっても、産炭地域のごたぶんに漏れない市当局の苦悩というものが誘致ということになったのでありましょうから、そこらのところもよく住民感情等も踏まえて慎重にやります。ただ、長坂参事官が、これは沼田のことだけではございませんで、ヘリボーン演習はやらないと言いましたけれども、これは彼はそういう戦術のほうはやっておりませんので、兵員を運ぶのに、演習場があって、そこでヘリボーン演習だけはしないという、それはおかしいんであって、やはり私たちは輸送手段にはヘリボーンというのも一つ考えておりますりで、そこのところだけ沼田に関係なく訂正しておきます。
  180. 神沢浄

    神沢浄君 午前に引き続いて質問を続けさせていただきますが、時間は厳正に協力いたします。  神田堀の流れにかかわる工事につきましては、これは御説明は何とも納得のできる内容ではありませんから、慎重に調査の点を御配慮いただくように御要望を申し上げておいたわけでありますが、したがって、その問題はそこでおきます。  私は神田堀の工事計画に限らず現在の実施計画のほとんど全部が現行法の上でもってきわめて疑義を大きく包蔵しておるように思うわけなんです。たとえば四十八年度実施になっておるところの富士吉田市の保育園などの場合は、私が調べたところによりますと、その採択理由というのが、演習場にならない先には付近の農民たちが小さな小供などを帯同して草刈りその他に入ったと、演習場になりましたために、それができないから子供に保育園をつくらなきゃならない、こういうことだそうであります。もし違っておりましたらあとから御説明をください。しかし、これは実態を知るものからすれば、ちょっと極端な言い方をいたしますが、これは噴飯ものでございまして、マムシが出るようなところに小さな子供を連れて草刈りに入るなんということは由来全然ないことなんですよ。したがって、採択理由をつけるのにたいへん苦労されているようでありますが、あるいは、たしか山中湖村の場合だったと思うんですが、青少年センターですか、これらにつきましては、演習場でなかった際にはそこに出入りをいたしまして相当運動などに使うことができたけれども、演習場になってからはそれができないから、そのためにその運動等に使用できるような施設を講じてやる、こういうようなことだそうであります。しかし、これもおかしなことでありまして、山中湖の周辺などというのは、よその人が毎年何万人とレクのために入り込んでおるようなところでありますから、演習場の有無が別にその因果関係をなしておるなどということにはならないということにはならないと思います。そんなような一、二の例をあげましても、実際どうも現行法の四条の関係の上に立って考えてみますと、まことに事業計画理由をきめるのにたいへん無理をなさっておられるように思うわけなんですけれども、時間の関係がありますから、それらについてはもし違っておる点があったら御説明をいただくことにして、答弁を求めるわけではありませんが、これは代表的なものは、もうすでにたしか本院の予算委員会でもって足鹿畳議員が取り上げておられたと思いますが、富士吉田市の整経、サイジング施設というのがございますね。これは私が調べたところによりますと、防衛施設庁長官の指定するところの施設として指定されたのは四十三年の六月の二十七日だと、こういうふうになっておるんですが、それには相違はございませんか。
  181. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 整経、サイジングの指定は、昭和四十三年六月二十七日防衛施設庁告示第十一号で行なっております。
  182. 神沢浄

    神沢浄君 そういたしますと、ちょっと私どもにはわからないことになってしまうのですが、補助金の支出が行なわれましたのは四十二年度からですね。四十二、四十三、四十四、四十五と四年間にわたりまして、これは補助率は三分の二ということになっておりますけれども、四年間を通じて締めて総計補助額が一億九千万余ですね、ということになっているわけです。指定をして告示が行なわれましたのが四十三年の六月二十七日であるにもかかわらず、すでに四十二年からこの補助金が支払いが開始をされておる、補助金が支払われておる。これはどういう関係になりますか。
  183. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 昭和四十二年度から、まず全体の計画の設計、調査等を行ないました時点におきましては、御指摘のように政令に基づきますところの防衛施設庁の告示は行なわれてなかったわけでございます。ただ、この事案につきましては、北富士演習場におきます富士吉田市の演習場関係の農民の方たちが、従来から兼業農家としての織布の副業をやってこられました点、この点は先生地元でございますのでよく御存じのところでございます。そういった方たちのいわゆる演習場の障害問題の緩和軽減に資する事業として、ぜひ従来の織布の準備のための原糸からの加工施設の近代化をはかるための施設を周辺整備の助成事業として取り組みたいということで、富士吉田市のほうから御要望があったわけでございます。事の性質といたしましても、また事業といたしましても、そういう地域産業の特性と結びついた、地域事業の特性と結びついた事業でございますので、ぜひこの問題を検討したいということだったんでございます。何ぶんにもいままで手がけたことのない特殊の例でございます、特殊の施設でございますので、初年度におきましては調査、設計の費用を補助金として支出いたしまして、その調査、設計の結果、全体計画としてこの事業が周辺整備法の民主安定助成事業にふさわしいという判断がその調査の設計の結果でき上ったものでございますので、昭和四十三年度から、先ほど御答弁申し上げましたように、六月に告示を行なった上で本工事にかかり、昭和四十五年をもって工事完了して、補助金総額として一億九千三百万を支出したわけでございます。そういう点で調査、設計工事を初年度に行なって、全体計画を見きわめるための補助金として支出したということで、当庁としては補助金執行のたてまえとしては妥当を欠くものではないというふうに判断しております。
  184. 神沢浄

    神沢浄君 妥当を欠くものではないですかね。告示が四十三年で、その前年の四十二年に補助金を支払うというようなことが、これが妥当を欠くものでないということになりますかね。これはたしか、さきも申し上げたように、もうすでに予算委員会において足鹿議員のほうから問題提起がされておったはずでありますから、会計検査院おいでになっていますか、会計検査院の御所見を承りましょう。私はこれが妥当、適法だなどということはこれはあり得ないと思うのです。そんなことじゃルールがくずれてしまいますよ、行政の。指定し、告示をしたのが四十三年でもって、そうしてその一年も前にもう補助金が支払われているなんということが、そんなことが妥当だということになったら何でもできるじゃないですか。私はそう思うのですが、検査院のほうの、御調査になっておられるだろうと思いますけれども、ひとつ御所見をお聞きしたいです。
  185. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) この件につきましては確かに足鹿議員からも御指摘がありまして、私どものほうでも検討をいたしたわけでございますが、ただいま当局から御説明がありましたように、四十三年度指定し、告示があった後が本工事ということになっておりまして、これは周辺整備法によるところの法律補助という取り扱いで処理をされておるわけでございます。で、先生ただいま御指摘の四十二年度の分でございますが、これは全体の計画設計ということで、その実施設計費、これを補助しておるわけでございますが、これについては別途予算補助という形式をとっておられまして、周辺整備法によるところの法律補助ではない、別途の予算上の補助である、こういう形式をとって処理をされておる。まあこういうところから、形式的に申しまして法律違反というような線は直ちに別に出てこない、このように私どものほうでは判断をいたしたわけでございます。
  186. 神沢浄

    神沢浄君 それでは、四十二年の補助金につきましては、まあ現行整備法の関係ではない………、いま何か予算補助というようなことを言われたですが、そうするとそれは、その法的根拠はどんなようなことになるんですか。
  187. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) 四十三年度以降のが周辺整備法に基づくところの法律補助である。で、こういうたぐいの補助につきまして、施設庁と申しますか防衛庁でまあ予算を組む場合に、法律上の根拠ではなくて、予算上の措置としてこの補助金を設定すると、こういう措置をとっておられるわけでございます。で、この実施計画設計費に関しましては、四十二年度分ですが、これについては直接的な言ってみますと工事、つまり施設をつくると、こういう内容のものではなくて、計画を立て、それのための設計を行なうと、こういう事業の内容になっておりますので、そのためにこれを周辺整備法のものとは全然別個に予算補助——こういうのはまあ補助金の中には法律を根拠にする補助金と、それから予算補助と申しまして、予算に定められたそれを根拠にする補助と、二通りあるわけでございますけれども、この前者、つまり四十二年度分については予算補助ということで法律上の根拠に基づくものではございませんという形式をとっておられるわけでございます。したがいまして、さいぜん申し上げましたとおり直ちに法律違反という線は出てこない、このように判断いたしたわけでございます。
  188. 神沢浄

    神沢浄君 まあ、たいへん勉強さしていただいてありがたいですが、大蔵省おいでになってますね。大蔵省の見解もお聞きしておきたいんですが、私はまだ何ともその辺がわかりかねるんですよ。じゃ法律は要りませんね、法律に基づかない支出がどんどんできるなんということになると、まあ国会も要らぬくらいのものになってしまうじゃないですかね、極端な言い方をすれば。(「予算審議があるんです」と呼ぶ者あり)それはそうでしょうけれども……。
  189. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 不規則発言は禁じます。
  190. 神沢浄

    神沢浄君 しかし、四十二年から四年間の計画でもって、この補助金は同じ補助率でもって出ているんですね。追認したようなものですね、実態的には、四十二年分の支出を。これはひとつ大蔵省、金の問題じゃ監督者の立場だと思いますから、大蔵省の御見解はどうなんですか。
  191. 矢澤富太郎

    説明員矢澤富太郎君) ただいまの会計検査院の局長さんから御説明がございましたように、制度的には法律補助があり、なおかつ予算補助というものが併存すると思います。したがいまして、本件の場合の四十二年度の補助の措置も決して違法な措置だとは思っておりませんが、ただ制度論としてということよりは、まあ法律があれば、できればその法律の体系にのせた補助をするのが好ましいことであろうとは思います。ただ本件のように、当初の実施設計の段階で、全体の規模あるいは将来どんなものになるかというのがまだわからない段階におきましては、このような予算補助で行なったことも、当時としてはそれなりの理由があったんではなかろうかと思っております。
  192. 神沢浄

    神沢浄君 調査をしてみて、その調査の結果に基づいて決定をするというところまではわかりますが、しかし、これはもう明らかに基地周辺整備法に基づく事業をやるというこれ方針でやっておるんですよね。そうであれば、私はこの扱いというものは適法とはちょっと考えられぬと思うですよ。しかも、あわして、これまた私の調べてみたところでは、この事業計画の採択理由というのが、施設庁にお尋ねをするんですが、旧陸軍演習場になったために、周辺のその地域、これは富士吉田市ですが、地域の住民が千四十何名ですか、離職を余儀なくされた、したがって、その救済のためにと、こういうことになっておるように思うんですが、違っておったらあとから説明をしてください。しかし、そうだとしますと、これはおかしなことでして、まあ法律上からいきましても、これは自衛隊等と——等というのはアメリカ軍のことでしょう。もう旧陸軍などという関係はこの法律にはないんでしょうからね。旧陸軍の演習場になったのは昭和十二年、昭和十三年ですかね。これはもうさきの質問の中で、十年たてば一昔だというようなことも申し上げたんだけれども、これ、幾昔になるかわからないですよね。その当時離職をしていたからといったところでもって、もうきょうはそっくり変化し終わっているわけなんですから、いまさらそのことを計画採択のその理由にあげるというのは、これはまあ無理というよりか、これはむしろ通らぬじゃないかと、こう思うんですが、その点は私の聞いておるところに食い違いがありましたら御説明をください。
  193. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 採択理由といたしましては旧陸軍の演習場時代の問題はとらえておりません。あくまで米軍の演習場になってからの阻害の実態をとらえたわけでございます。旧陸軍演習場昭和十一年から昭和十三年にかけまして、あの付近にありました恩賜県有財産あるいは恩賜林組合有地、また富士吉田市有地等を買収して旧陸軍の演習場にしたわけけでございます。また、その近辺にはちょうどあそこに小倉山というのがございますが、その南側に当たる部分等に民公有地等もございましたが、旧陸軍時代には、買収になりました後も、旧陸軍の演習管理の経過に応じまして、桑とかソバとかそういったものの植栽につきまして地元の農民の方たちに認めていたという事実が終戦まで続いたわけでございます。その後、戦後米軍がこれを接収いたしまして、さらに民公有地の農耕地部分等も接収いたしまして、その後こういった耕作が行なわれなくなったということに伴いますところの阻害というものをとらえて採択の理由としたということでございまして、旧陸軍の原因ではございません。
  194. 神沢浄

    神沢浄君 これはまあおそらくいまの御説明がちょうどのところでしょう。しかし、それにしましてもね、米軍演習場になったのは占領と同時ですからね、昭和二十年。その仕事は四十二年ですからね。十年一昔論でいけば二昔以上もたっているわけです。その間には相当のまあ離職した人たちがですね、まさか路頭に迷って二十年もおったということにはこれはちょっとならぬでしょうしね。まあいまさらという感のすることは事実ですね。かなり無理をして採択の理由をつくり上げておるといいましょうか、こういうことにはなると思います。そんなことをしかし論争してもしかたがないことでありますから、その事例の示すように、現行法の運用につきましてもかなり無理をなさっておることはいなめないと思うのですよ。  で、私がなぜそんなことに触れておるかということは、まあ現行法の運用につきましても右のとおり、今度の新しい法案の中を見ますと、たとえば現行法の三条及び四条に当たるような点については、かなりこれは骨を折るというか、この解釈め範囲が拡大可能のような内容になってきておるわけですね。そうすると、いままでの方式でもって、今度の新しいこの法律が成立した場合には、これを運用するというときになれば、これはまあ法律などあってもなくてももう同じようなもので、施設庁の思うとおりに何でもできるというようなことになりかねないような感じがいたすのでありまして、そういうふうな点から私は意見を申し上げているわけであります。  そこで、そういう話になってまいりましたから、今度の法案内容に入ってお尋ねをしていきたいと、こう思いますが、この法案を一べっしてみましてまず感じましたのは、政令事項が実に多いということですね。これだけの法案の中に、あるいは落ちておるかもしれぬけれども、私が数えてみたところでもって政令というものは十七カ所くらいありますよ。十七カ所くらいですね。たとえば、これは一つの例として申し上げれば、第三条などを読んでみます場合に、ほかの文字を取りのけて読むと、「政令で定める行為」について、「政令で定めるところにより、予算の範囲内」で補助するというようなことにもこれはなるわけでしてね。ですから、私はこの法案審議するにはやっぱり政令の内容というようなものをこれははっきり示していただかぬと、ほんとうにこれは審議できないじゃないかと思います。
  195. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) まだ配ってないでしょうか。
  196. 神沢浄

    神沢浄君 ああ、ありません。
  197. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 委員長、ちょっと速記をとめてください。
  198. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をやめてください。   〔速記中止〕
  199. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起こしてください。
  200. 神沢浄

    神沢浄君 いただきましても、いまここでもってこれを勉強していたんじゃ時間がかかって質問になりませんから、これはあとからの勉強にさしていただきます。  そこで私は、次に感じましたのは、特定防衛施設周辺整備調整交付金という、これは題目もなかなか長いようですけれども、この点なんですが、これは性格としてはどういうものになるんでしょうか。じゃ、ひとつ具体的な問題としてお聞きするんですが、これはつかみ金みたいに特定何とか市町村というのに出すものなのか、それともいわゆる補助金として対象の事業の計画に出していくものなのか、その辺がこれ読んだだけではちょっとわからないので、その点をひとつ御説明を願いたいと思います。
  201. 田代一正

    政府委員(田代一正君) お答えいたしますが、先ほど政令事項が多いというお話でございましたので、あわせて答弁いたしたいと思います。  先ほど新法で政令事項が十七本とおっしゃいましたけれども、正確には二十本でございます。二十ヵ所ございます。それから現行法では十五ヵ所出てまいります。これはやはり本法が障害の態様とか障害の防止とか軽減とかいうための措置が多種多様にわたるということで、それを漏れなく法律に盛り込むということはきわめて困難であるというような判断から、政令に落としたという事項が多いということに相なっているわけでございます。  それから第二の、第九条の規定趣旨でございますが、規定趣旨につきましては御存じと思いますが、具体的にどういうぐあいにするんだという御質問でございますので申し上げますが、九条の第一項の条文は、特定防衛施設というもの並びに、ここにございますように特定防衛施設関連市町村というものをまず指定するということであります。これはここにございますように、たとえばその基地の面積でございますとか、人口でございますとか、あるいはまた障害の程度でございますとかというものを彼此勘案いたしまして一定の客観的な基準をつくりまして、そのものさしでもって指定をする。指定する際には、ここにございますように、一号、二号、三号、四号とございますように、たとえばターボジェット発動機を有する飛行場とか、あるいは砲撃とか航空機による射撃もしくは爆撃が実施される演習場でございますとか、あるいはまた港湾でございますとか、その他また政令で定めるいろんな施設がございますけれども、そういう施設の中からそういったものさしをつくりまして、それでもって、これは特定防衛施設でございます、あるいはこれは特定防衛施設に関連した市町村でございますという指定をするわけでございます。  そこで、その指定が行なわれますというと、当然いかほどの金額を交付金として配分するかということが問題になりますけれども、これも第二項をお読みいただきますとおわかりと思いますが、やはりいろんな先ほど申しましたと同じような客観的な基準をつくりまして、その基準に従いまして、Aという町は幾ら、Bという市は幾らというぐあいに金額が先に出るわけでございます。そこで、金額が生に出てまいりまして、それで同時にあわせて政令でいろんなメニューを用意いたします。これはお手元にお配りしました表にございますけれども、そのメニューの中から、その市町村にその金額の範囲内で選んでいただく、選んでいただきますというと、私はこれにいたしますということになりますというと、私のほうで交付金はいかほど差し上げます、しかも事業はこういうことですねということで、そこで初めて資金の交付が行なわれる、こういう順番になろうかと思います。したがいまして、御質問のようないわゆるつかみ金ということじゃございません。やはり用途が指定されておるということ、それから金額も客観的にはじかれるということで、つかみ金ということにはならぬと思います。そういう点をちょっと申し上げます。
  202. 神沢浄

    神沢浄君 一応用途の指定はされておるにいたしましても、どこへどう使わなければならぬという一つの基準を定めた規則というものもないわけなんでしょうね。いまもらったばかりだから、勉強できぬから全くだめですがね。ですから、性格的にこれは補助金的なものなのか、それともいわゆる用途は指定しておっても、ある程度それを受ける自治体がその裁量をもって使用できるような、まあ交付金とこれに書いてありますけれども、言うなれば地方交付金的な性格なものなのか、どちらになるのかという点をひとつ私知りたいわけなんです。
  203. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 金額の決定のしかた等におきましては、補助金の場合と違いまして、補助金ですというと、まず補助申請が地元から出まして、それを査定するとかいうことでもって初めて補助金というものが交付になるというかっこうになっておりますが、今回の調整交付金の場合には、先に金額がきまる、それで事業の目的が随伴するというかっこうになります。したがいまして、形としましては一般の補助金とはちょっと性格を異にいたしますけれども、実態的に申しますというと補助金の延長というぐあいにお考え願っていいと思います。現に私どもは、この法律が通りました暁におきましては、補助金適正化法第二条第一項第四号に基づく政令によりまして、この交付金を補助金として指定したいというぐあいに考えております。
  204. 神沢浄

    神沢浄君 法制局の人来ていますか。——日本の法制の中に、いままでこの種のものありますか。
  205. 味村治

    政府委員(味村治君) 私は、このような特定防衛施設周辺整備調整交付金といったものが、ただいま施設庁長官の言われましたように、補助金的な、補助金の延長といったような性格を持つものだということを言われたわけでございますが、補助金というのは非常にたくさんあるわけでございます。交付金と申しますのも、たとえば基地のございますところに調整交付金を出すといったような制度もございますので、この交付金と性格において必ずしも同一ではございませんけれども、似たような例はあろうかと存じます。
  206. 神沢浄

    神沢浄君 防衛施設庁新案特許の制度とも言えるかもしれないですね。しかし、これは直観的に感ずるのは、何か補助金とそれから交付金とごっちゃにかきまぜたようなものに見えるのでありまして、それだけに、言うなれば、これはある説をなす者からすると、迷惑料だとか、つかみ金だとかいうようなことがいわれているようでありますけれども、まさにそうだと思うんですよ。補助金なら補助金でもって、新しい法案で言えば何条になりますか、現行法で言えば三条、四条に当たりますね。新しい何だと五条、八条くらいになるんですか。それらをもっと抜大をすることによってもこれはできるわけであって、そんなむずかしいものを、えたいの知れないようなものをわざわざつくらなければならない理由というのは何かという点がちょっと問題のところだと思うんですよね。まあしいて言えば、これはっかみ金ではないかもしれぬけれども、これを受ける市町村のほうは、補助金ではないわけですから、かなり自由裁量の部分というものもあるんじゃないですか。あるいは出すほうにもかなりそういう部分というものがあるんじゃないでしょうかね。そういうふうな点が一つ。  それからついでに、これはどなたに御説明をいただきゃいいのかな。要するに、基地には現在基地交付金というものがありますよね。これは目的は別のものだとは思いますが、この基地交付金との関係というものはどうなるんでしょうか、これはダブるわけでしょうかね。
  207. 田代一正

    政府委員(田代一正君) お答えします。  基地交付金と申しますのは、先ほどちょっと答弁いたしたかと思いますけれども、これは言ってみれば固定資産税見合い的な性格を持つものでございまして、しかもその性格は財政補給金、一般的な財政補給金でございますから使途は制限がないわけです。ですから、事務費に使ったって何だっていいと、こういうことになるわけです、極端に言いますと。今回私どもが考えておりますのは、これはやはり一定のメニューがございまして、まあ金額は先にきまるわけですけれども、メニューがきまって、そのメニューを選択することによって自動的にその後に使途は特定されるということになります。したがいまして、かってにその金をもって人件費、事務費にお使いになるということはできないという性格のものだと思います。
  208. 神沢浄

    神沢浄君 それはそうでしょうけどね。もうほんとうにかってに使ってもよろしいなどということを、これは国の場合だってできっこないですけれど、しかし、補助金でもなし、交付金でもなし、いわゆる他のたとえば地方交付金のごときそういう性格のものでもなし、言いようによってはまことに都合のいいものというようなことで、これはあれですか、さっき法制局にもお尋ねをしたんだけれども、ほかの何か法律の中にやっぱりこの種のものがあるかないかということを私はお聞きしたがったんですけど、おそらくないんだろうと思いますがね。防衛施設庁のこれは新案特許にかかわるものだろうと思うんですがね。だから、さっき申し上げたように、こういう新案特許のものを出さなきゃならない理由。これはもっとわかりやすく、補助金なら補助金、交付金なら交付金、びしつとやったほうがいいと思うんですけれども、ぬえのごときものだ。中国にスーブシャンズという動物がありましてね、シカでもなければ馬でもない、キツネでもなければトラでもない、とにかく何だかわからないものが物語の中に出てきますけれども、似たようなものじゃないですかね。この法律制度上、補助金でもなければ交付金でもなければというようなものを一だから、こういう新案特許みたいなものをなぜつくらなければならぬかという点がちょっと納得がいかないんですよ。どっちかにきちっとしたっていいんじゃないかと、こう思うのですがね。
  209. 味村治

    政府委員(味村治君) 先ほどこれと類似の交付金の制度がないかというお尋ねで、突然のことでございましたので、ちょっと思い出さなかったのでございますが、現在道路交通法違反の反則金がございます。その反則金を地方公共団体に、これは交通安全対策特別交付金といたしまして、交通事故の発生件数とか人口集中等を考慮いたしまして交付するという制度がございますので、この本案の制度に似たようなものであるかと思います。
  210. 神沢浄

    神沢浄君 なぜこんなものをつくらなければならぬかという点を説明をしてください。
  211. 田代一正

    政府委員(田代一正君) こういう制度をなぜ考えつくに至ったかという問題でございますけれども、これは先生御案内のとおり、また、提案理由の際に大臣からも申し上げたと思いますけれども、今回こういう新法を制定するに至った経緯といたしまして、一つは、かつての四十一年法を国会で御審議願ったときに、衆議院、参議院、それぞれ附帯決議をおつけいただきまして、そのとき、もう少し、たとえば運用ということばを使うにいたしましても、これは維持管理まで含めて読めよとか、あるいは従来の四条の補助金でございますというと、市町村だけじゃなくて公共団体まで広げるとか、いろんな御注文をいただいたわけでございます。そういったことを一応念頭に置きながら、同時にこれはその後の日本経済の変化と申しますか、経済成長に伴って都市化現象がひどくなってきたということですね。それから同時にまた住民の皆さん方の環境意識ということばがいいか悪いかわかりませんけれども、そういうものも非常に公害問題に関連いたしまして盛んになってまいりました。そういうことにかてて加えまして、地元の公共団体、その他の皆さん方の、昭和四十六年から、私どもに当時から要望書がございます。そういったことを踏まえましてこの法律制定するに至ったわけでございますけれども、そこで、昨今のいろんな諸情勢というものを考えてみますというと、この法律の立て方は、三条、四条、五条、六条、七条、この条項のささえているものの考え方は、まず基地がある、基地があることによって運用または設置という現象に伴いましてそこに障害が起こる。その障害を軽減、防止する、まずやってみるわけですね。それでどうしても軽減、防止という近代的な技巧、技術の問題もありましょう、あるいはまた技術が発達しましても、非常に高い防止策でも十分じゃございません。そこで、その次にどうしても軽減、防止ということだけじゃ救われないという家がやっぱり残るという問題、これが従来の四条のいわゆる障害の緩和に資するという考え方であります。  そこで、今回諸般の情勢をいろいろ吟味し、かっ研究してみたわけでございますけれども、やはり八条という従来の規定だけですと、ある障害があって、この障害に対応するというような形の対策はできますけれども、何せ非常に大きな面積を占めている飛行場でございますとか、演習場でございますとか、あるいは港でございますとか、あるいは大規模な一これは政令で考えているわけでございますけれども、大規模な弾薬庫ということになりますというと、そういった個別対応的な障害に対する緩和策だけでは十分ではないということを皆さん方御意見を発表する。そこで、それを補完する制度を考える必要があるんじゃないかという問題意識に始まったわけでございます。そこで、そういった問題意識のもとで、新法の八条、旧法の四条を補完する方法として、一体どういうことが一番望ましいか、また適切であるかということを考えたあげくに考えつかれたのがこの九条の考え方であります。  そこで、九条の考え方といたしましては、これは単に障害の個別対応というものの考え方から出まして、周辺地域生活環境とか周辺の開発に及ぼしているいろいろな影響というものを勘案いたしまして、そこで特定の防衛施設というものを考えてみる。防衛施設が指定になりますというと、当然そこで地元という問題で関連市町村という問題が出てくる。そこで、それに対してどういつだ援助のしかたがいいかということになるわけでございますけれども、それにつきましては、最も望ましい方法としましては、やはりその障害の度合いというものに応じた資金配分、その資金配分に応じた事業をやっていただくということが最もよろしいのじゃないかということで、九条の第二項による一種の交付金、つまり先に金額がきまって、その金額の範囲内でもって、ある事業をやりたいとおっしゃったら、その中でおやんなさいということですね。ですから、場合によっては一〇〇%補助率になるという事業もございましょう。場合によっては金が足らないので、結果的には四〇%ぐらいの補助率になるという事業もありましょう。それは市町村であんばいしていただきます。しかし、その公共団体につきましては、そういう比率で資金を配分し、しかし資金を配分しただけでは十分じゃございません。一般の財政補給金とまぎらわしいという問題もございますので、そこでメニューというものと結び付けて一種の補助金という性格的なものに考えてみたと、こういうことでございます。
  212. 神沢浄

    神沢浄君 考え方はうまいですよ。石垣を積んでも、積んだだけじゃまずいからやはり目地を詰めなきゃならぬと、そういうそのことだけについては確かに前進した考え方だとぼくは思うのですが、問題は、さっきも運輸関係に何かあるというようなことを言われたけれども、それも私の勉強不足でもってよくわかりませんが、おそらくかなりこれは新案のもんでしょうね。そうなりますと、いまの御説明によると、やはりこれは環境問題ですよね。社会が高度に変化をしてきておるから、いままでのような、ただ単純な補助金的発想だけではそういう複雑な微妙な点にまで及ばないと。したがって、やはりこの種の手厚い政策をとる必要があると。確かに私は考え方としてはでき過ぎたものだと思うんですが、ただこれが基地の関係だけというようなことになると、これは問題ですよ。新幹線の問題もあるでしょうし、同じそれは航空施設といったっても、他の公共用のもの、あるいは民間のもの、まあ航空機騒音などによるところの被害というようなものはこれは変わりはしないんだから、自衛隊の航空機であろうとも、民間の飛行機であろうとも変わりはしないんでしょうし、住民として受けるところの被害、影響、これまた変わらぬでしょうから、これはやはりここでこういうふうな制度がとられるとすれば、これは総理大臣にでも聞かなきゃだめかもしれぬが、これはやはり他の、いま申し上げたように、新幹線であろうと、すべて同様なケースについては当然同じようにこれは考え方が採用されていかなければおかしいと思うんですがね。  そこで、環境庁にお聞きしたいのは、いま基地を除くその他の場合はどんなようになっておるか。それから今後は、やはり周辺整備法でもってこういう道が開ければ、この対公害の考え方として、やっぱりこれと同様な考え方を推し進めなければならないじゃないかというような点について、ちょっと見解を聞かしておいていただきたいと思うんです。
  213. 鈴木善晴

    説明員鈴木善晴君) 私、ただいまの先生の御質問に対しまして私から答えられる範囲、答えられない範囲とあるようでございますが、答えられる範囲についてだけお答えさしていただきたいと思います。  民間空港につきましては、昨年の十二月に航空機騒音に関する環境基準というものを環境庁といたしましては設置いたしまして、それを実施するということで、運輸省に一生懸命努力していただいておるわけでございます。現在御審議いただいておりますこの基地関係法律と同様の法律が、今国会で運輸省の関係の航空機騒音防止法、いわゆる航空機騒音防止法と略しておりますが、それの一部改正ということで成立さしていただいておりまして、民家の防音工事とか、移転補償とか、そういったことにつきましては基地周辺の航空機騒音対策と同様な形で進められております。  それから新幹線騒音につきましては、四十七年の十二月に東京から岡山までの既設の新幹線騒音の影響がたいへん周辺の住民の方に被害を与えておるという実情から考えまして、環境庁長官から運輸大臣に対して緊急対策指針というものを出しております。通称暫定基準といわれておるものでございますけれども、新幹線から出る音自体を八十ホン以下に下げろとか、どうやっても新幹線自体の音を八十五ホン以下に下げられない場合には、そういう地域にある住宅に対して移転補償と  か、防音工事をしろとか、あるいは学校、病院などの周辺については特設の配慮をしろとか、そういった勧告をしておりまして、これに基づきましで国鉄は新幹線自体の音を下げるための処置であるとか、線路構造の改善などを一生懸念やっておりますし、最近は八十五ホン以上の地域に存する民家の移転とか防音工事につきましても具体的に対策を進めるということで要綱がきめられたわけでございます。新幹線騒音につきましては、いま申しましたのは東京と岡山の間の既設のものだけでございますので、新設される新幹線も含めて、すべての新幹線に適用になる新幹線騒音環境基準というものを来年までにつくろうということで、現在中央公害対策審議会で審議していただいているわけでございます。  御質問の中にありました特定防衛施設周辺整備調整交付金のようなものが、民間空港の周辺とか、あるいは新幹線の被害を受ける住民の方たちの関連で周辺の市町村に交付する必要があるかどうかという問題につきましては、何ぶんにもこの交付金の性格が必ずしも環境保全という問題だけではなくて、開発に及ぼす影響なども考慮してつくられたというふうに私ども理解しておりますので、必ずしも同列には扱える問題ではないと思いますが、この辺につきましては私の守備範囲を越えておりますので、たいへん恐縮でございますが、お答えいたしかねるわけでございます。
  214. 神沢浄

    神沢浄君 まあいいです、けっこうですよ、御説明としては。問題は残りますが、それはまた別の機会にいたしましょう。時間がもうなくなっちゃったから、厳正に協力する宣誓をして始めましたから、最後の質問を自治省に——どうも近藤審議官じゃ聞きにくいんだ、、これはかって一緒に……。ですけれども、お聞きしたい点はこういう点です。  まあ、いろいろ長時間論議をいたしてまいりましたが、率直に言ってこれはいまの行政の中でもって基地周辺に対してはきわめて手厚い、過保護ですね、これは。——いや、過保護ですよ。いまの調整交付金などというものだっても、えらいものを、全く新案特許を持ち出したものですね。まあそうなりますと、これは私は行政の確かに公平性というものは失われる危険が多分にある。多分にあるどころじゃなくて、失われていると思います。いや、ほかのところではもう保育所ほしさにそれこそ国に対して懸命の陳情を続けてもなかなかやってもらえぬ。ところが、この基地周辺では、わざわざ、さっきもちょっと私も触れてみたんですけれども、無理な理屈までつけてやってやるわけです。これはもう行政の公平性が破られておることは事実ですね、一つのそれは事例にすぎないわけですが、この調整交付金にしたっても、ほかのところには、ほかの場合にはこんな実に手厚い制度というものはないわけですよ。そうなりますと、まあたとえばこの法案の中にも起債の問題などについても——起債といいますか、いわゆるあれですね、事業を行なうについてのこの資金の問題について、国はそれに対して極力そのあっせんをしなきゃならぬというような規定になっているようでありますが、そうなりますと当然起債ということになるわけでしょう。そういたしますと、まあ私などの常識でいきますと、なかなかまあ起債も申し込めばすぐ貸してもらえるものじゃなし、ワクがありまして、ワクの中で、場合によりますとそれは激しい取り合いみたいなことが行なわれているようであります。  たとえば、まあそういうこと一つをとってみましても、この防衛施設周辺のその事業のために、実はその他の市町村においては、ほしくてやりたいと思いましても、なかなかそれもかなわない。やっとやれる場合におきましても、そのわずかの起債の取り合いの中でもって、優先的にこの防衛施設の周辺のほうの過保護ともいうような、その事業計画のために取られてしまわなきゃならぬ。それは現実に行政の私は公平性というものは失われているじゃないかという、こういう心配が強くされるわけです。と同時に、その行政の秩序といいますか、私はこれは平等、公平でなけりゃならぬと思うんですけれども、防衛施設の周辺だけが特別にそういう待遇を受けるというようなことについて、これは自治体の指導をあずかる自治省としては、私は問題のやっぱりあるところじゃないかというようなことを感じてならないわけなんです。まあそういうふうな点について忌憚のないやっぱり見解を聞かしておいていただきたいと思います。これは今後の問題として、まあこの法律がかりに成立していよいよ運用がなされるなどという場面になりますと、これはいろんな問題が出てくることは間違いないと、こう思うわけなんですよ。そういう点で、今後への私どもの検討の素材としてもひとつ自治省の率直な意見を聞かしておいていただきたい。まあその質問をひとつ最後にして、終わりたいと思います。
  215. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 生活関連社会資本の整備が急務であるということは、基地の所在の市町村のみならず全地方公共団体共通の要望であるわけでございまして、ここ数年来基地関係の市町村で強い要望がございまして、それが今回のこの法案の形になったわけでございます。そうして、まあ国庫補助金それから調整交付金、いろいろ手厚い考え方がなされるわけでございまして、自治省といたしましても、当然その裏負担等は十分地方財政計画等に現在も計上しておりますし、今後とも計上して財源措置をやっていくわけでございます。しかし、基地の所在の市町村だけがよければいいという考え、われわれ持っておるわけではございませんで、御案内のように、どうしても総需要抑制の非常に苦しいときでございますけれども、生活関連社会資本だけはおくれさしちゃいけないということで相当額を計上しておることは先生御指摘のとおりでございまして、今後とも自治省といたしましては、全地方団体のこういった生活関連社会資本の充実については努力してまいりたい、そのようなつもりでございます。
  216. 神沢浄

    神沢浄君 質問ではなくて、締めくくりをさしていただきます。時間がまだ二、三分ありますからね。  いろいろ長時間お聞きしてまいりましたが、まあ結論的に申し上げて、私はほんとうにずしんと胸に落ちるような納得はいたしておりません。それはこの法案の持つ矛盾性というものがやっぱりこれでは解明されていないと思うのです。この法案がそれじゃでき上がって、それによってこの防衛施設の周辺だけがまあたいへん恵まれた行政の恩典を受けるというようなことになる場合には、私は今後の国の行政の、さっきもちょっと触れさしていただきましたように、やっぱり秩序を破壊する原因になると思います。同時にこれは平等で公平でなきゃならない行政の中に、それをじゅうりんするようなやっぱりその一端の原因をつくっていくじゃないかという、こういう点が何としてもこれは氷解できない点であります。今後とも私なども私なりのさらにこれは勉強をしていきたいと、こう思っているところなんですが、その点はひとつ質問の主意がどこにあったかという、冒頭でも申し上げたけれども、軍事優先、軍事優先のために他の行政が圧迫を受けて、そしてその不平等性というようなものが避けられないなどという事態があったらこれはたいへんなことだと、こう思うからであります。  そこでひとつ私も忘れてしまったわけじゃありませんから、さっき要求をいたしました例の資料の二点についてどうなんでしょうか。これは補助金の交付申請書の問題と、それから百三十億のいわゆる内訳的な事業計画の検討書の問題と、この点について出していただけるかどうなのかということを、これはっきりお答えを聞いて終わりたいと思います。忘れていたわけじゃありませんからね。
  217. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 先ほどの積算の根拠の問題ですけれども、これはちょっとやっぱり、ずいぶん長時間議論をしたんですが、そういうもので積み上げて、今後、先行き周辺対策、現行法でいえば、事業のうち道路に幾ら、何に幾ら、それは昭和五十年度予算で幾ら、五十一年度予算で幾らというふうに、そういうふうに実際はこれできないわけでして、そのことは私から申し上げたとおりですが、そういうものがない。したがって、客観的なものさしを当てはめて、これから得べかりし周辺対策事業であったものを追っかけていこうとすれば幾ら要るかという、そういうことを客観的に御説明する資料だけは出した。ばかにしているとおっしゃったんですが、そういうことしかやっぱり、最終的にその時点で私は折衝しておりませんが、落ちつける手段がなかった、こういうことだろうと思っています。  それから主として林雑補償の問題に関連をしての——林雑補償ばかりではありませんが、周辺整備法の申請理由書ですね、これは実は受け付けなかったものもあるし、受け付けたもので、その理由と違った意味で、交付理由として、それならばこういう事業として認めようとかいろいろ変化があります。それで衆議院の場合には一応お許し願ったわけなんです。そこで、衆議院でお許しになって参議院で出すというと、また私は衆議院内閣委員会でちょっと来いという、そういうこともあり得ますし、理事会でひとつ御相談願えませんでしょうか、その点は。理事会の御相談をお願いします。
  218. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 本日の審査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十八分散会