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1974-05-21 第72回国会 参議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十一日(火曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      片山 正英君     今  春聴君      藤田  進君     中村 波男君  五月二十日     辞任         補欠選任      上田  哲君     戸田 菊雄君      藤原 房雄君     浅井  亨君  五月二十一日     辞任         補欠選任      今  春聴君     西村 尚治君      鈴木  強君     神沢  浄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺本 広作君     理 事                 岩動 道行君                 岡本  悟君                 鈴木  力君     委 員                 上原 正吉君                 長屋  茂君                 西村 尚治君                 星野 重次君                 神沢  浄君                 戸叶  武君                 戸田 菊雄君                 中村 波男君                 宮崎 正義君    衆議院議員        内閣委員長代理  野呂 恭一君    国務大臣        運 輸 大 臣  徳永 正利君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君    政府委員        内閣官房長官  大村 襄治君        防衛庁参事官   大西誠一郎君        防衛庁参事官   長坂  強君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        丸山  昂君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       高瀬 忠雄君        防衛庁衛生局長  鈴木 一男君        防衛庁経理局長  小田村四郎君        防衛庁装備局長  山口 衛一君        防衛施設庁長官  田代 一正君        防衛施設庁次長  鶴崎  敏君        防衛施設庁総務        部長       安斉 正邦君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        防衛施設庁労務        部長       松崎鎮一郎君        大蔵省政務次官  柳田桃太郎君        大蔵省主計局次        長        辻  敬一君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  住田 正二君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        大蔵省理財局国        有財産第二課長  川崎 昭典君        自治省行政局振        興課長      田中 和夫君        日本国有鉄道共        済事務局長    清水  晋君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における国家公務員共済組  合等からの年金の額の改定に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における公共企業体職員等  共済組合法規定する共済組合支給する年金  の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等  共済組合法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十七日、片山正英君、藤田進君が委員辞任され、その補欠として今春聴君中村波男君が、昨二十日、上田哲君、藤原房雄君が委員辞任され、その補欠として戸田菊雄君、浅井亨君がそれぞれ選任されました。  また、本日、今春聴君委員辞任され、その補欠として西村尚治君が選任されました。     —————————————
  3. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山中防衛庁長官
  4. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ただいま議題となりました防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  従来、防衛施設周辺民生安定施策としては、昭和四十一年に制定された防衛施設周辺整備等に関する法律に基づき、障害防止工事及び民生安定施設整備助成、建物の移転補償等の諸措置が講じられてきたところであります。  しかしながら、最近における防衛施設周辺都市化の進展、住民生活環境保全に対する意識の高揚等に伴って、従来の施策では諸般の要請にこたえることが困難となってきており、そのために防衛施設周辺生活環境整備について、新たな観点からその施策を強化、拡大することが強く望まれ、特に、航空機騒音にかかる飛行場周辺環境改善については、諸施策の大幅な拡充をはかる必要が生じてきているところであります。  このような実情にかんがみ、今回、政府としては、防衛施設周辺における生活環境整備等施策を抜本的に強化する必要があると考え、新たにこの法律案を提案したものであります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一は、自衛隊等特定行為により生ずる障害防止等のため、特定公共施設等について必要な工事を行ない、または学校、病院等防音工事を行なう地方公共団体その他のものに対し、国が補助するものとしていることであります。  第二は、特定飛行場等周辺について、自衛隊等航空機の音響に起因する障害度合い等に基づいて、外側から第一種、第二種及び第三種の区域の指定を行ない、国は、第一種区域に所在する住宅について防音工事助成を行ない、第二種区域内から外に移転を希望する者に対する移転補償及び第二種区域内の土地の買い入れを行なうとともに、移転先地における公共施設整備について助成を行ない、さらに第三種区域に所在する土地については緑地帯その他の緩衝地帯として整備するよう所要措置をとるほか、国が買い入れた土地地方公共団体広場等の用に供するときは、これを無償で使用させることができるものとしていることであります。  第三は、防衛施設設置または運用により、その周辺住民生活または事業活動が阻害されると認められる場合において、その障害の緩和に資するため、生活環境施設または事業経営の安定に寄与する施設整備について必要な措置をとる地方公共団体に対し、国が補助することができるものとしていることであります。  第四は、防衛施設設置または運用周辺地域における生活環境または開発に及ぼす影響等を考慮して、内閣総理大臣特定防衛施設及び特定防衛施設関連市町村を指定することができるものとし、国は、特定防衛施設関連市町村に対して公共用施設整備に充てる費用として特定防衛施設周辺整備交付金を交付することができるものとしていることであります。  その他、防衛施設周辺整備等を行なう地方公共団体等に対する資金の融通、あっせん、普通財産譲渡等について所要規定を設け、また、自衛隊航空機離着陸等のひんぱんな実施その他の行為により農業、林業、漁業等を営む者に事業経営上の損失を与えた場合における補償について所要規定を設けることとしております。  以上の諸施策をとることにより、現行防衛施設周辺整備等に関する法律は廃止することとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容の概容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 引き続いて、本案衆議院における修正部分について説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長代理野呂恭一君。
  6. 野呂恭一

    衆議院議員野呂恭一君) ただいま議題となりました防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案に対する衆議院修正につき、その趣旨を御説明申し上げます。  政府原案では施行期日昭和四十九年四月一日といたしておりましたが、衆議院における議決の時期がすでにその日を経過いたしておりますので、これを「公布の日」に改めた次第であります。  以上が修正趣旨であります。
  7. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 以上で説明は終わりました。  本案の審査は後刻に譲りたいと存じます。     —————————————
  8. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 次に、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案、以上両案を一括議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 過日の五月十六日の当委員会においてでありますが、国家公務員共済組合等に対しては鈴木委員なり、あるいは宮崎委員等からいろいろと基本的な問題について質問があったようでありますから、私は、きょう三公社五現業を中心にいたしまして質問してまいりたいと思います。  まず、その前提といたしまして基本的問題について若干質問してまいりたいと思いますが、現在の恩給年金、これは一年前の公務員賃金のアップを基礎にして来年の十月から実施するというふうになっております。公務員賃金との間に一年半の開きが生じておるわけでありますが、厚生年金の場合は物価スライドをとって、これも一年前の物価上昇で、本年の場合は大体一六・一%。こういう物価上昇のものを基礎にして、さらに昨年の石油危機以来、一連生活関連物資が暴騰するという、三月現在で前年同期比でいきますと、卸売り物価は実に三七%近い、あるいは消費者物価は二六%をオーバーするという、こういうものすごいインフレの状況にあるかと存じます。そういう中で今回の国民春闘といわれる賃上げ、これはおおむね三〇%程度いっているわけですね。したがって、人事院勧告もややその辺の前後をおそらく勧告されるであろうということは予想されるわけでありますが、そういうときに年金の今回の改定、こういうものをあくまで一年半前のそういうものを土台にしているということに非常に私は矛盾を感じているわけですけれど、この辺は、いずれにしても、やはり最近の物価上昇なり経済動向に伴って年金額改定というものをやっていくべきじゃないだろうか、こういうふうに考えるんですけれど、その基本問題について今後どういう対応措置で臨まれていくのか、これは運輸大臣に率直に見解をお伺いしておきたいと思います。
  10. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 何かここに書いたものが、これに対する答弁資料があるそうですけれども、私はこれを読んでも、これはお役人の間で書かれたことでございましょうから、率直に言えということですから、私は率直にそういう資料なしでお答えしたいと思いますが、これは恩給の場合におきましても常にこれが問題になっていることは御指摘のとおりでございます。私どももこれを党にあって審議するにあたりましては、いかにもそういうことがあるじゃないか、一年半前、もう少し縮められぬか一これでも確かに縮めてきたはずなんです。たしか前は二年ぐらい前のやつをとっておったのですが、それをいろいろな努力をして縮めてきておるわけで、これは今後もそういうような努力をしていかなきゃならぬと思います。それから、実際計算の問題として、なかなか先取りするようなことが、年金なり恩給なりという場合にはむずかしい問題もあると思います。しかしながら、いまおっしゃったようなそういうことに少しでも近づけるような努力は今後もしていかなければならないと、私はかように考えております。
  11. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ今回、ことに経済弱者といいますかね、退職者であるとか重症身体障害者であるとか、生活保護対象者であるとか、こういった社会的弱者については、現下のところ、この国会でも、何らかのインフレ手当的なものを措置をしなさい、それに対して、少額であったけれども政府も百三十億見当なら出しましょうということで、一人当たり二千円見当の回答をしたことは事実なんですね。その後、一連制度上からくる経済弱者に向けての優遇措置をはかろうということで、私も明確に計算しておりませんけれども、おおむね六百億をこえているのではないかと、こう考えるのですけれども、そのくらい緊急事態として現下経済動向からいけば何としても政府処置をしなければいけないという、こういう事態にあると思うのですね。ですから、そういうさなかの改定ですから、当然やはり今後年金土台にして余生を送っていくような、そういう対象者について思い切った改善措置をやるべきが至当じゃなかったかと思うのですけれども、いまの運輸大臣の率直な御意見はそうだと肯定はしているけれども、具体的に当面どうするかということについては、法案審議過程でまあ一つでも二つでも私は注入できるものはやっていくのが当然ではないかと思うのですけれども、そういうきわめて現実の問題に対する取り組み方については、どうもやはり一貫して、従来の役人のやり方といいますか、そういう状況を踏襲しているにすぎないじゃないか。これは三〇%近くも物価が上がっているのですから、何としてもそれに見合う一つ応急措置をこの中に取り入れていってはどうかと思うのですが、これは修正とかなんとかでもってこちらがあとで詰めていろいろ作業をやるという、そういう準備はどうですか、大臣、お持ちですか。
  12. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 先ほどの御質問は、非常に原則的な高邁な御議論だと思って、私もそのつもりでお答えしたのですが、いまさしあたって、当面それじゃどういうふうな物価上昇等を背景にして考えているかというお話でございますが、これは恩給とか他の公的年金改定時期との関連もございますし、財政面影響もございますので、この年金改定時期をさらに繰り上げるかということについては、これまたなかなか困難な問題もあるようでござ、ますけれども、しかし今後の課題としていま慎重に検討をしておるわけでございまして、そういう状況でございます。
  13. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは大臣ね、数字的にもはっきりしていると思うのですよ、今回の改定のあれは、人事院勧告で一五・三%ですから、この値上げが一年半前の確定によって今回の改定が行なわれているわけですね。ところが、今度の人事院勧告はおおむね三〇%になるだろう、半分ですね。物価上昇はさっき指摘してきたとおり。そういう状態の中で、いわば経済弱者ということになるでしょう、年金対象者は全部対象者。だから、そういう対象者に向けて何らかの改善措置が今回行なわれてもよかったのではないかというふうに考えるのですけれども、その点を私は聞いている。これがもしいろいろな面で、審議過程でなるほどと納得のいくような事項があるなら、それは即座に決断するものはしますよ、大臣の範囲内で私はできることは一ぱいあると思いますから、そういう面を率直にお答えを願いたい。
  14. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 先ほど来申し上げているような現在の状況でございますけれども、おっしゃるように、ひとり公共企業体退職年金ばかりでなくて、これはもう連動しているわけでございまして、もちろん、提案理由の中の説明にも申し上げておりますように、恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じて年金額を引き上げると、これが中心になって動いているわけでございまして、この改正修正と申しますか、等につきましても、先ほど御説明申し上げましたように、ただいま慎重に検討をしているわけでございます。したがいまして、今後の問題としては、いろいろいまおっしゃったようなことがあろうと思いますけれども、当面の問題としては、中心になります恩給をどういうふうに考えていくか、支給時期等あるいはその他の問題についてどう考えていくかということをいまやっている最中ということでございます。  今後におきましては、いろんな御説のように予想せざる経済的な大きな変動が来るわけでございますが、これに年金をすぐ対応させるかどうかということになりますと、法律的にもなかなかむずかしい問題があるだろうと思います。この点につきましては、さらにこれから先どういうふうにそういう問題を改正修正の中に取り入れていくかということについては、政府といたしましても勉強してまいらなきゃならぬことだろうと思いますが、さしあたりは、先ほどお答え申し上げましたような措置をいま検討しておるということで御了承いただきたいと思います。
  15. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それでは、公共企業体等共済組合法の問題での今回の改正点について逐一質問してまいりたいと思うのですが、今回の改正で、当初政府原案に、最低保障額、この制度定額制のものについては挿入されておったんですけれども通算退職年金に準ずる方式のものについては、これは当初原案に入っておらなかったのですね。それが衆議院大蔵委員会において、退職年金あるいは廃疾年金遺族年金等々、これが大幅修正になったんでございますけれども、これは社保審答申内容を見ましても明らかなように、あらかじめ十分その旨を指摘をされておるわけですね。これはなぜ一体原案段階でそういう処置をまずとられなかったのか、この理由をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  16. 住田正二

    政府委員住田正二君) 公企体共済年金と他の公的年金制度の間には若干の点において差があるわけでございます。おもなものを申し上げますと、基礎俸給公企体の場合には最終俸給である。それに対しまして、国家公務員の場合には、現在は過去三年間の俸給平均。今回の改正で一年平均になる。したがって、最終俸給と一年平均という差があるわけでございます。また、支給率につきましては、公企体のほうは最高等の制限がないわけでございますが、国家公務員のほうは最高制限がある。また、支給率についても七〇%という制限があるわけでございます。その反面、公企体のほうには最低保障がない。国家公務員の場合には最低保障がある。また、直接年金の問題でございませんが、退職金につきまして、国家公務員のほうは一〇〇%出るのに対しまして、公企体のほうは九七%。三%減らしている。  以上申し上げましたような点が違っているわけでございます。これらの点を調整して、できれば統一的な制度に持っていきたいということで、これまでこの法律審議の際の附帯決議でもいろいろ指摘されておりますが、私どもといたしましても、できるだけ調整したいということで努力をいたしたわけでございます。しかしながら、残念ながら私ども努力が足りなかったこともあると思いますけれども、その調整ができなかったわけでございます。したがって、今後もその調整を続けるということで、今回はそういう差をそのままにして改正案を出したということで、そのために通算退職年金方式採用しなかったというのが、提案したときの私ども考え方でございます。
  17. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 当事者としての努力は若干不足をしておった、あるいは関係者調整がうまくいかなかった、こういうことですが、関係者調整というと、大蔵省ですか。
  18. 住田正二

    政府委員住田正二君) 調整の問題は、その対象になりますのは、三公社経営者側組合側ということでございます。
  19. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 労使主張点の相違があることは私わかりますが、その辺の調整が具体的にはうまくいかなかった、こういうことでしょうか。
  20. 住田正二

    政府委員住田正二君) そのとおりでございます。
  21. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ただ、社会保障制度審議会答申昭和四十九年二月二十八日、これはずっと検討しましたけれども、非常に重要なことを今回の答申はきびしく言っておるわけですね。  その一つとして、いまの問題と関連をしまして、「とくに他の共済組合法が、被用者年金の中核である厚生年金制度の大幅な改正に対応し通算退職年金算定方式に準ずる方式により低額年金を改善する措置を講じようとしているのに、本共済組合法のみがこれにならおうとせず、」、こういうふうになっておるのですね。これは明確に提起をしておる。これは四十九年の二月二十八日ですから、今回原案をつくって提案するまでに相当膨大な期間があったと私は思うのですね。ですから、いずれの場合にもそうですけれども答申に基づいてと、政府はいろいろと、答申があった場合には、それなりにその法案提案等についてその旨を付加して詳細に説明をしておる。忠実に実行しましょうというようなものは、いままで慣行としてやられたことがありますが、今回に限ってこういう問題について何かわれわれとしては理解に苦しむような、そういう原案対応が出てきたということについては、いまの説明でわかりますけれども、これはやっぱり忠実にそういう面での作業を私は進めていただきたいと思うのです。そうでないと、せっかく現行の各般の諮問者が鋭意努力をしてつくり上げた答申内容でございますから、そういうものを政府行政部門でカットするというようなことは、どうもわれわれとしては了解に苦しむ。こういう考えを持っておるわけでございますが、この辺の答申とのかね合いについては一体どうお考えでしょうか。将来に向けてもひとつ構想があればお話をしていただきたい。
  22. 住田正二

    政府委員住田正二君) 先ほど申し上げましたように、公企体共済年金には最高制限がないかわりに、最低制限もないわけです。それで、最高制限最低制限というのは対応する一つ制度ではないかと考えられるわけでございますが、やはり最高制限をそのままにして、最高制限を設けないままにして、最低制限だけを設けるということになりますと、バランスがとれないということになると思います。で、通算退職年金方式というのは一種の最低保障役割りを果たしているわけでございますので、先ほど申し上げました最高制限最低制限、両方を設けるという調整段階で、通算退職年金採用についても、関係方面——まあ三公社労使でございますが、調整をとったわけでございますけれども、その調整がとれなかったということで、この採用を見送ったわけでございます。しかし、私どもといたしまして、やはり社会保障基礎である最低保障制度がこのままで、何ら規定しないままでほうっておくということについては、やはり問題があろうかと思いますので、今後ともそういう面の是正について努力していきたいと考えております。
  23. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この遺族年金最低保障についてお伺いするわけですけれども、同じように、社保審答申では、「共済制度遺族年金受給資格が短縮されたのに、他の共済年金と同様な最低保障額の設定を今回も見送った点は了解しがたい。これらは、皆年金時代における公的年金のあり方として極めて問題」だ、こういう指摘がございますね。さらに公務員の場合については、一年以上で死亡すれば遺族年金支給されるように今回改正になった。それから公企体の場合も同様でございますね。いずれにしても支給されることになっておるわけですけれども、しかし、この公務員の場合は、通算退職年金に準ずる方式以外に最低保障が二十五万四千円、この定額を決定をされているわけですね。しかし、公企体の場合については、これは三公社の場合ですけれども、八万四百円。もちろん通常退職年金方式をとりますが、そのことによって若干差は縮まるでしょうけれども、しかし、この最低保障額については極端に開きがある、こういうことになっているんですけれども、これはどういうふうにお考えでしょうか。
  24. 住田正二

    政府委員住田正二君) 国家公務員につきましては、ただいま御指摘ございましたように、遺族の最低保障として二十五万四千四百円という制度があるわけでございます。これも先ほど来申し上げておりますように、最低保障の一しっとしてきめられている制度でございます。私どもといたしましては、こういう最低保障と同時に、まあそれに対応いたします最高制限の問題をあわせて解決したいということで努力をいたしたわけでございますけれども、その調整ができなかったということで最低保障を見送ったと、遺族年金もその最低保障一つとして見送らざるを得なかったという実情でございます。
  25. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは通常退職年金方式をした場合には大体どのくらい差が縮まりますか、具体的に。この二十五万何がしと、この通常退職年金方式、これでいった場合ですね、現行
  26. 住田正二

    政府委員住田正二君) 通算退職年金方式によりまして、国家公務員にございます遺族年金最低保障の二十五万四千四百円をオーバーする場合について申し上げたいと思います。  勤続一年以上十年以下の場合には、俸給月額が三十二万四千円あれば通算退職年金のほうが多い。実際には勤続年限が一年から十年でそういう高い俸給を取っている方はないかと思います。それから勤続年限十五年以上の場合には、十八万三千円以上の俸給の場合には二十五万四千四百円より多くなるということでございます。これも実際問題として勤続十五年で十八万三千円という給料は少ないかと思います。それから勤続二十年以上の場合には、俸給月額が十一万二千円以上の場合には遺族年金の二十五万四千四百円よりは高くなるということでございますので、通常の勤務、通常年金をもらう場合には二十年以上の勤務をいたしておりますし、今回のベースアップを考えますと十一万二千円以上の俸給が大半だろうと思いますので、通常の勤務をしてやめる、あるいは本人がなくなられた場合の遺族年金については、この最低保障制度の適用を受ける場合は少ないかと思います。したがって、もしあるとすれば、二十年以下の勤務の場合に通算退職年金方式による遺族年金の額が最低保障額に達しないという場合が生じるわけでございます。
  27. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いまお伺いしましたように、実質的には二十年以下が問題だと、こういうことになるわけですね。ところが、公務員の場合は一年であってもこの最低額が保障されるわけですね。だから、そういうところにこの一つの矛盾があるわけですから、これはやっぱり早期に改定をする性格のものではないかと思うんですけれども、これは前途に対してその考えはどうでしょうか。
  28. 住田正二

    政府委員住田正二君) 御指摘のように、この遺族年金の二十五万四千四百円というのは、公企体共済の場合にも相当の意味を持っているわけでございまして、私どもとしてはできるだけ早期にこれを採用したいという考え方をとっているわけでございます。今後もそういう方向で努力をいたしたいと考えております。
  29. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは、いま回答があったことで私はいいんですけれども大臣はいかがでしょうか。いまの回答で十分早期に検討すると、こういうお考えでしょうか。
  30. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いま政府委員からお答え申し上げたような方向で努力してまいりたいと、かように考えます。
  31. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからもう一つは、この三%削減問題ですけれども公社職員の退職手当ですね、この問題について、国家公務員の場合は従来三年平均が今回一年平均と変わりましたですね。それから三公社の場合は最終号俸、さっき御指摘になったとおりなんです。しかし、この退職手当の場合ですね、結局まあ、そういう最終号俸と一年平均と、こういう差があるからでしょう、結果的にこの三%削減、こういうことになっているんですが、この三%の根拠はどういうところにあるんでしょうか。まあ解説書もあるようですけれどもね、ちょっと抽象的であれですから、具体的にその内容について、三%の根拠についてまずお伺いしたい。
  32. 住田正二

    政府委員住田正二君) 国家公務員退職金公企体退職金との間に三%の差があるわけでございますが、まあこの三%の計算の根拠というのは非常にむずかしい点があるわけでございます。今回国家公務員が三年平均から一年平均に変わったという点からいえば、当然その三%が妥当であるかどうかについて検討する必要が生じてきたと言えるわけでございますが、まあ当時想定した三%の差と現在との比較になりますか、年金改定率が最近非常に大幅になっているわけでございます。また、年金を受ける期間、まあこれは平均寿命の問題になるかと思いますが、これも非常に延びてきておるわけでございまして、そういう点を計算して考えますと、かつての三%が妥当であるかどうかについて非常に問題があり、あるいは一〇%ぐらいの差であるという差も出てくるわけでございます。したがって、今回三年を一年にした場合に何%が妥当であるかということについての計算が非常にむずかしいということがございまして、まあ三%の点については手をつけないで見送ったというのが、法律案をお出ししましたときの実情でございます。  現在三年から一年に変わって、公企体最終俸給でございますが、一年と最終俸給の間でも若干の差があるわけでございます。といいますのは、公企体の場合、これは国鉄を例にとりますと、大体四月一日が昇給の時期でございます。したがって、最終俸給というのは大体四月一日の給料がそのままになる場合が多いわけでございます。それに対しまして、国家公務員の場合には年に四回昇給をいたしておりますので、まあ平均をいたしますと、最終俸給とその平均をいたしますと、昇給率が半分減ってくるわけでございます。また、最終年次には特別昇給とか、あるいは昇格というようなことが一般に行なわれております。それは長い勤続によって昇給をしたり昇格をしたりするわけでございますので、退職の年にはそういうものが認められる可能性が多いわけでございます。そういう点を考慮いたしまして計算すると、場合によっては一・五%ぐらいの差ということも出ますし、場合によっては四%ぐらいの差、これは昇給の回数を何回見るかということによっても変わってくるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、計算が非常にむずかしいということと、現在の俸給制度においても三%前後の差が出てまいるということで現状のままにしてあるわけでございますが、この点もこのままでいいと考えているわけでございませんで、私どもといたしましては、基礎俸給をできれば国家公務員公企体の間の基礎俸給調整していきたい、その過程でこの問題も解決したい、さように考えているわけでございます。
  33. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 今後の方向についてはよくわかったのですけれども、まあ常識的に考えますと、従来三年平均公務員関係について一年平均になったと、いまの説明によりますと、その間四回の昇給が考えられる、こういうことですけれども、いずれにしても年数が二年縮まったわけですから、その差は三%よりはるかに低くなったという考えをわれわれ持つんですけれども、いまの誤差は大体どのぐらいに考えられておりますか。
  34. 住田正二

    政府委員住田正二君) 先ほど申し上げましたように、国家公務員公企体との昇給の回数が違うという点の差と、もう一つ非常にむずかしいのは、昇格または特別昇給が年に一回あるか、あるいは二人に一人、〇・五回あるかということで違ってくるわけでございますが、かりに二人に一人は必ずやめる前に昇給あるいは昇格するという前提に立ちますと、三%程度の差ではないかと思います。
  35. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうすると、三年平均と一年平均になってもその誤差はやはり三%。これは実質的に低くなりませんか。一%とか二%とか、減少しておりませんでしょうか。
  36. 住田正二

    政府委員住田正二君) 三年平均から一年平均に変わりますから、当然その差は減ってくることになると思います。ただ、現状において三年平均と一年平均との差が三%であるかどうかについては問題があるわけでございまして、計算によっては八%、一〇%の差があるという認識もあるわけでございます。で、ここら辺は、先ほど申し上げましたように、給与改定率が毎年何%ぐらい行なわれるかとか、あるいは平均寿命がどれぐらいあるかということをどう想定するかによって違ってくるわけでございまして、まあ少なくとも三%の差ではない、それよりかなり大きな差があるというふうに考えて間違いではないと思います。したがって、三年から一年になったから当然三が二になるということではなくて、計算のしかたが非常にむずかしいわけでございますけれども、場合によっては一・五%ぐらいの差にもなりますし、場合によっては四%ぐらいの差になるということでございまして、まあ二人に一人ぐらい昇給あるいは昇格するというふうに見れば、大体三%程度に近い差があるのではないかというように見ております。
  37. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 内容はわかりますけれど、解説書ではこういうことになっているのです。「国家公務員並みの支給率から、長期給付(年金)の支給額の有利な部分のうち、国庫負担に相当する部分(有利部分の五五%)」こういうものを割り引いた残りの数値であると、こういうことになっておるのですが、この算定基礎、もしあとで資料があればひとつ御提示願いたいと思うんですが、それ、ひとつお願いしたいと思うんです。  まあ、いずれにしてもこういう一つの不公平が存在をするという現状の状態にあるわけですから、この点は、いまお答えになられたように早期にひとつ検討、改善、こういうことをしていただきたいと思うんですが、そのことはひとつ大臣にも御答弁をいただいておきたいと思います。
  38. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 先ほどお答えしましたように、早急にそういう問題についてはひとつ努力をしてまいりたいと思います。ただ、私はね、まあ国鉄部長がそのみんなのやつをやってるんで、あの三公社の中にも、この問題についていろんな異論があるわけなんです。これはもう先生のほうがよく御存じですが、その調整が、私も最初、いろいろこの中に入ってみて、こっちをとればこっちがいかぬと言うし、こういったらどうだと言ったら、いやそれはおれのほうが承服できぬというぐあいで、なかなか調整が困難で、それにましてや国家公務員等も、こんなものは一緒にしたらいいと思うんです、ものの考え方、積算の基礎なんというものは。ところが、またこれが調整がとれぬということで、いろいろ苦労をしてるわけでございますが、いかにも御指摘の点等については、それでもできるだけ有利な方向に縮めるように努力をしてまいりたいと、かように考える次第でございます。
  39. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ、ぜひいま大臣言われたように有利な方向で早期に改善、縮めることで、これはひとつ要望しておきたいと思うんです。それから、この点も実際これは回答でわかりましたけれども、やはり社保審の中では明確に本問題についても指摘をされている点なんですね。ですから、公正な審議会の意向でもありますから、いまの大臣の意向でひとつぜひ御検討願いたいと思います。  次に、この審議会のやっぱり答申内容で重要なことは国庫負担の問題ですけれど、これも「本審議会がこれまで再三にわたりその必要性を述べてきた本制度に対する国庫負担が未だ実現を見ないのは遺憾である。」、こういうことになっているわけですね。ことに、三公社に対しましては政府が一五%の国庫負担、こういうたてまえになってるわけです。現在はしかし、この三公社は五七・五%、組合員が四二・五%、こういうことになっているわけなんですが、これはかって、四十六年の五月二十四日ですか、六十五国会、この国会でも「公共企業体の共済組合に対する負担の軽減を図ることについて検討すること。」、こういう明確な附帯決議も実はあるわけなんですが、この国庫負担についていまだ実行を見てないということは、今後の三公社の共済財政等の前途を見まして私は非常に危惧をするものがあるんですが、この点はどうでしょう。何とかこの国庫負担のレールに乗せることはできないでしょうか。
  40. 住田正二

    政府委員住田正二君) まあ現在の考え方は、この公企体共済年金の事業主体である三公社が同時に公経済の主体であるというたてまえで国庫負担分を三公社が負担しているというのが現状でございます。で、これまでたびたび国庫負担について、国が持つべきじゃないかという御指摘を受けているわけでございますが、国鉄だけについて申し上げますと一まあ他の二公社年金財政はそれほど悪くないといいますか、毎年かなり改善されてきております。したがって、問題があるのは国鉄ではないかと思いますが、国鉄の年金財政は確かに毎年若干ずつ悪くなってきております。同時に、親元の国鉄財政も非常に悪いわけでございまして、昨年度で累積赤字が一兆円をこえる、単年度でも三千四百億の赤字を出すということで、国鉄財政は危機に瀕しているわけでございます。そのために現在国鉄の財政再建計画を実行いたしているわけでございますが、この国鉄の財政再建についての考え方は、総合助成主義ということばは必ずしも妥当ではないかと思いますけれども、出資であるとかあるいは工事助成金であるとか、あるいは再建債についての利子補給金、そういうものを総合いたしまして国鉄の赤字を十年先に解消して黒子に転換するという考え方で現在再建を進めているわけでございます。  もう一つ助成のやり方といたしては、そういう総合的な助成ではなくて、個々の問題を取り上げて助成すべきではないかという意見、考え方もあるわけでございます。たとえば、いわゆる地方閑散線、ローカル線の赤字を国が見るべきであると、あるいは共済年金の赤字といいますか、財政が悪くなっている点について国がめんどうを見るとか、あるいは学生割引、通学通勤割引の国鉄の負担分を国が肩がわりすべきだ、そういう個別的な助成を通じて国鉄財政再建をやるという考え方もあろうかと思いますけれども、現在のやり方は総合助成主義というようなやり方で見ているわけでございます。したがって、名目は違っておりますけれども、場合によっては人件費の一部を国が見ているという考え方もできるわけでございまして、国鉄が現在共済年金について負担しておりますのはすべて人件費の中に含まれているわけでございますので、現在の総合助成主義というやり方をとる以上、特別な問題を取り上げて助成するということは非常にむずかしいのではないかと思いますけれども、今後の国鉄財政再建の一環として、国鉄の共済年金が非常に悪くなった場合にどういうふうに対処するか、今後の問題として検討を進めたいと考えております。
  41. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは国鉄の考えもひとつ聞かしていただきたいと思います。それから大蔵省、政務次官おられますから。
  42. 清水晋

    説明員(清水晋君) 国庫負担の問題につきましては、私どもかねがね関係個所にお願いをいたしておるところでございまして、過去におきましても、昭和四十四年度の国鉄の監査報告書にもこの問題が指摘されておりますし、昭和四十五年度の私どもの総裁の諮問機関である収支計画策定審議会におきましても早急にこれを実現すべく国庫負担をすべきであるということを答申されておりまして、それに基づきまして私ども鋭意努力はいたしておるつもりでございますが、金額にいたしまして、大体収支策定会議で取り上げられております項目は、国の社会保険助成の代行部分——現在厚生年金等におきましては国庫負担約二〇%を持っておりますが、そのほか国の戦後処理政策の代行部分といたしまして、軍人とかあるいは満鉄からの引き揚げ者に対する長期給付の額と、こういったものは国庫負担でお願いいたしたいということをお願いいたしておるわけでありまして、四十九年度予算ベースで申し上げますと、大体この額が二百九十億というふうに私ども考えておりまして、今後ともお願いしてまいりたいと思っております。
  43. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大蔵省主計官来ておりますね。
  44. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 御質問の点につきましてお答えいたしますが、現時点におきましては二つの理由で、国庫負担をふやすことについては適当でないという判断をいたしておりますが、その理由を申し上げますと、一つは、こういう共済年金は公経済の主体が社会保険を推進するという立場から負担すべきであるという原則はいままだ立てておるわけでございます。したがいまして、国鉄財政が非常に困難におちいれば国鉄全体について再建計画について政府はいかにこれを救済するかということを考え、その中でやはり国鉄自体がこの共済制度についても考えていくという、そういう制度のもとにいま考えております。第二は、現在では年金支給金額はおのずから違っておりまして、その違った制度のもとにおいて直ちに負担率を引き上げていくということは均衡を失するということで、現在においては負担金を上げるということを考えておりませんが、全体を通じてこれをいかにするかということは将来の研究課題としてやはり積極的にこれは推進していくものだとわれわれも考えて進んでおります。
  45. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは、政務次官、非常に現状を無視した大蔵省考えじゃないかと思うんですけれどもね。これは国鉄財政十カ年計画のときにもぼくは指摘をした点なんですが、イギリス国有鉄道あたりでは、たとえば大投資、たとえば新幹線全国ネットワークをこれからやっていくというような部面については、これはもう採算制では成り立たぬですね、だれがやっても。ですからそういう問題投資部面についてはできるだけ政府が援助をしていく、こういう体制をとっています。それから具体的な項目ですね。たとえば安全対策でもって踏み切り整備、立体化をやるような場合も、これはもう政府が全部やりますよということで、それで至れり尽くせりの援護体制をとって、なおかつ運賃を値上げしなければいけないというような事態があれば、そのときは初めて国民の了解を求めて運賃値上げができる、こういう形を非常に綿密に検討されて計画されてやってます。ところが、いまの日本の大蔵当局としては、この国鉄に対してそういうなるほどというような、いわば財政上の問題について、あるいはいま言った年金の国庫負担部面についても、そういう点はやっておりませんね。だから、そういうことを遺憾なくやって、なおかついまのような答弁なら私も了承しますけれども、そうじゃないんですから、すべてもう自前方式で、あらゆるものがそうですよ。それは十兆円以上の大投資をやっていくわけですから、それを全部かせぎ出せというんでしょう。これはだれがやったって、全国的に二万数千キロの延長キロを持つ国鉄が、これは赤字路線も相当あるわけです、政治路線もあるわけですから。そういう経営実態から考えればこれは無理な話だと思うんですね。ですから、いま政務次官が言われるような負担率の公平あるいは財政再建等々考えるなら、こういう問題を含めて早期に私はもう一回やり直さなくちゃいけないと思うんですよ。そういうことはやっておらないですからね。だから、この点のいわば国鉄の経営実情等について、もう少し私は財政当局として前向きで検討してもらう必要があるんじゃないか、こう思うんですがね。それはどうですか。
  46. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) ただいま政務次官からお答え申し上げましたとおり、公的年金制度の費用負担につきましては国などの公経済の主体が社会保険を推進するという立場から一定の割合を負担いたしまして、残りを事業主と被用者が負担をするというたてまえになっているわけでございます。そこで国鉄、電電、専売等の公社、いわゆる公共企業体でございますけれども、私から御説明するまでもなく広い意味の国の活動の一翼をになう機関でございまして、いわば国に準ずる性格を持っているものでございますので、したがいまして、公経済の主体という立場から長期給付の費用についてこれを負担していただいてしかるべきではないか、かように考えておるところでございます。  それから国鉄全体の財政危機につきましては、私ども財政当局といたしましても十分認識しているつもりでございます。先ほど運輸省からもお答えしたとおりでございますが、助成のあり方につきましては、特定の負担に着目いたしまして助成措置を講ずるということではなくて、全体としての国鉄の公共性というものに着目をいたしまして助成措置を講じてまいる考え方でございます。御承知のように、四十八年度以降十カ年間に一般会計から約四兆円という巨額の助成を行なうことを予定しているわけでございますので、そういうことを通じまして、全体としての国鉄の体質改善なりあるいは財政基盤の健全化につきましてはさらに努力をしているつもりでございます。
  47. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 きょうは別に経営論を本質的にやろうとは思っていませんから、いずれ機会を見てやりますけれども。  そこで一つ教えていただきたいのは、長期経理の収支状況ですけれども、専売、国鉄、電電でけっこうでございますが、四十七年度、八年度、九年度、それぞれ三年度の当期利益金、どうなっているか、ちょっと教えていただきたい。
  48. 住田正二

    政府委員住田正二君) 三公社の長期経理の収支状況でございますが、まず専売について申し上げますと、四十七年度決算で五十五億円の利益を出しております。それから四十八年度は、推定でございますが六十億円ぐらいの利益になる見込みでございます。それから四十九年度、これも予定でございますが、六十四億円程度の利益になろうかと思います。それから次に国鉄でございますが、四十七年度決算では四百十八億円の利益を出しております。それから四十八年度は、推定でございますが四百九億円ということで、十億円程度利益が減る見込みでございます。さらに四十九年度におきましては二百八十七億円の見込みでございまして、百億円以上利益が減る見通しでございます。次に電電でございますが、電電については、四十七年度決算で四百三十四億円の利益を出しております。四十八年度の推定では五百十二億円、四十九年度の予定といたしまして五百三十五億円の利益が見込まれております。
  49. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま発表がありましたように、この三公社体制を見ますると、当期利益金ですね、専売の場合は五十五億、六十億、六十三億と、やはり上昇カーブをとっていますね。それから国鉄の場合は四百十八億、四百九億、二百八十七億ですから、下降線ですね。それから電電の場合は四百三十四億、五百十二億、五百三十五億ですから、これもやや上昇。この中で一番国鉄が、いま言うたように、その当期利益の状況も悪化の状況にいっているということが言えると思うんですが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  50. 住田正二

    政府委員住田正二君) そのとおりでございます。
  51. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そういうことだから、私は、この社保審答申の中で本問題について「本審議会がこれまで再三にわたり必要性を述べてきた本制度に対する国庫負担が未だ実現を見ないのは遺憾である。」ということをやはり強く指摘をしているんだろうと考えます。同時に、これはあとで触れますけれども、この「国鉄共済組合は成熟の度合い、職員の年齢構成からみて、将来の財源に確たる見通しをたてこれに応ずる計画を策定しない限り、その財政基盤には大きな危惧の念をもたざるを得ない。」、こういう指摘をずばりやっているんだろうと思うのです。ですから、こういう問題について、財政補てんといいますか、先ほど大蔵政務次官なり主計官からは、総合助成主義がたてまえであるから、それは不公平になちゃいかぬからと、こういうことなんですが、いま言っているように非常に国鉄の前途というものは憂えるような状況にございまするから、これに対しては何らかの対応措置をとっていかなければいけないだろうと、こういうふうに考えるんですけれども、これは運輸大臣大蔵省見解をひとつ。
  52. 住田正二

    政府委員住田正二君) 先ほど申し上げましたように、国鉄に対する財政再建の方式としては総合助成主義的な考え方でやっておるわけでございます。で、本年度でも四十九年度でも二千億をこえる助成金を国鉄に交付いたしているわけでございます。したがって、先ほど共済事務局長から答弁がございましたが、かりに国が肩がわりするといたしましても二百億程度の話でございまして、政府といたしましては国鉄に対して、それをはるかに上回る二千億以上の助成金を出しておるわけでございます。この助成金の中には出資もございますが、利子補給金的なものが大半でございまして、これが国鉄の損益の中に組み入れられているわけでございます。したがって、見方によっては人件費の補助もしているということも言えるわけでございまして、そういう助成を通じて国鉄の共済年金についての負担を減らしていく、あるいは緩和していくということでございます。ただ、今後の問題といたしまして、現在の総合助成主義的な考え方でやっていけるかどうかについては、今後問題も生じてくるのではないかと思いますが、その際に今後の財政再建のあり方として、国鉄共済財政をどういうふうに持っていったらいいか、そういう点をあわせて検討したいと、さように考えているわけでございます。
  53. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いまの共済の問題についてお答えしたわけでございますが、私は、この総合助成主義というのも一つ考え方かもしれませんけれども、やはり個々の問題を一ぺん洗い直してみる必要があると思うのです。たとえば、国鉄が社会保障をやっているわけなんです。それは国有鉄道なんだから当然社会保障をやるべきだと思いますけれども、それを国鉄が国鉄の裁量によってこれをやるということよりも、もう少し、ちゃんとした役所があるんですから、厚生省なら厚生省というものが責任を持って、そして財政の面においてもちゃんとした裏づけを持ってやるべきだと私は思うんです。で、まあいままで国鉄が割引やら何やらやっているのを全部集めると五百億近くあるわけなんです。それにこの共済なんかしたら七百億ぐらいになるわけなんですが、三千五百億ぐらい助成してもらっているからといって、役人は非常に遠慮しいしい、あまり大きなことを言うとこの主計局次長の辺から、またきゅっとやられるものだから、相当慎重にものを言っていると思います。私はこれは、たとえば社会保障的な面、身障者の割引にしましても、あるいはその他の割引にしましても、それから生鮮食料品の割引というようなのは、ちゃんとした費目にあげて、何か国鉄が国鉄の財政の中でちょこちょこいじるようなことをせぬで、ぴしっとしたものをつくるべきだと思うのです。そういう面で私は問題提起してみようと思うんです。で、この共済の問題にしましても、これがはたしていまのままがいいのか、あるいは私が考えているのが間違っているかもわかりませんが、それはそれとして、一ぺん大蔵省なりあるいは農林省なり、あるいは厚生省に、こういうようなものの考え方はどうなんだと、国鉄の裁量において判断するというよりも、より広範な知識を持ったところでものを整理していくというのがやはり私はいいんじゃないかというふうな気がするわけでございます。したがいまして、いま私は戸田委員の提案に対しましてはきわめて理解をしておるところでございまして、今後もひとつそういう問題を一ぺん政府の中においても私は近く提起してみたいと、かように考える次第であります。
  54. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) いま運輸大臣からきわめて政治的な御発言がございましたが、もちろん、大蔵省としても現在の制度が、これはもう非常にすぐれた制度とのみ考えておるわけではございませんので、国鉄の行き方なり、あるいは社会保障制度の行き方なりを十分考えた上で、そこで一つの合理的な線に乗せるということについては、戸田議員の御質問に対してはきわめてわれわれも前向きの姿勢で検討するということだけ申し上げておきます。
  55. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 意欲のあるところを大臣の答弁よくわかりましたから、ひとつ十分今後の前進を要望いたしまして、次に、国庫負担についてもう一つ問題あるのは追加費用の問題でありますけれども、いま三公社でこの追加費用総額がどのくらいありましょうか。
  56. 住田正二

    政府委員住田正二君) 四十七年の実績で申し上げますと、専売公社の場合には三十二億円ございます。これは率にいたしまして千分の八十三でございます。それから四十八年で、推定でございますが三十九億円、率にいたしまして千分の八十八、それから四十九年で額にいたしまして四十七億円、率にいたしまして千分の九十三でございます。それから国鉄の場合が四十七年度で四百二十五億円、率にいたしまして千分の九十一、四十八年度が五百二十五億円、率にいたしまして千分の九十六、四十九年度が五百八十億円で、率で千分の百一でございます。それから電電公社の場合が四十七年度で百四十九億円、率にいたしまして千分の五十六、四十八年度が百七十七億円、率は同じく千分の五十六、四十九年度が額で百九十三億円、率も前年度並みで千分の五十六でございます。
  57. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま発表いただいたような内容なんですけれども、これも恩給の場合ですと、旧満鉄とかこういうものは期間を全部共済で通算することになっておりますから、結局国が負担をすると、こういうことになっているわけですけれども、三公社の場合についてはこれは各企業がそれぞれ負担をしなければいけない。ですから、先ほどの説明で、別な面でいろいろ個々的な問題ですね、たとえば赤字線区に対する補てんの問題とかあるいは学割制の問題に対する補てん策とか、そういう問題も考えられるというような話があったんですけれども、こういう問題についても、これはかつてやはり国の統一した命令でもってそれぞれ行っているわけですからね、必要に応じて。だから、こういう問題はやっぱり恩給と同様の処置をとっていくのが私は正しいんじゃないかと思うんですが、この点は一体どういうお考えでしょうね。ことに大蔵省はこれどう考えていましょうか。
  58. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) ただいま御指摘のございました軍人でございますとか、あるいは満鉄などの外国特殊法人等の期間につきまして、共済年金制度恩給公務員期間として通算をいたしておるのは御指摘のとおりでございます。その期間の分の費用につきましては、国家公務員でございますれば国、公社の場合でございますれば公社がそれぞれ負担をいたしておるわけでございますが、これはまあいずれかと申しますと、使用主あるいは事業主としての国あるいは公社企業体の負担という考え方であろうと思うのでございます。御承知のように恩給制度上、恩給に要します費用の負担につきましては、それぞれの職員が所属しておりました最終の会計において負担することになっているわけでございますが、これは一般会計、特別会計の間でもそのようになっておるわけでございます。国鉄の職員として勤務されました恩給公務員にかかわる恩給の費用負担につきましても、そういうようなたてまえから国鉄が負担をしているわけでございまして、そういう期間にかかわる費用を、事業主であるし、またかつ公経済の主体でもあります公共企業体が負担をしているのは、そういうようなたてまえなり考え方に基づくものでございます。
  59. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いまのところは、これは飛躍していましょうかね、そういう要請を大蔵省に対して一挙にそういうことで恩給並みにやれというようなことは。さっき運輸大臣も言われましたように、全体の社会保障という考え方がやっぱり抜本的に見直されてしかるべきじゃないかと一いろいろ内容はありますけれども、そういう時期まで来ているという段階ですがね。
  60. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) この問題につきましてはいろいろな機会に御指摘をいただいたところでございまして、確かにいろいろな考え方ができると思っております。しかし、ただいま御説明を申し上げましたことを繰り返すようでございますけれども、新法になります以前の分、つまり恩給期間あるいは旧法期間の分につきましては、いわば事業主あるいは使用主としての国なり公社が負担するというたてまえをとっておりますので、軍人なり満鉄なりの期間につきましても同様な考え方で、事業主である国鉄なら国鉄が負担するという考え方をとっておるわけでございます。
  61. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 制度上、全然検討の余地はありませんか。
  62. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) この問題は先ほどお話が出ておりましたように国鉄の共済組合収支計画策定審議会の答申の中にも出ておるわけでございますけれども、国鉄共済組合の収支計画策定審議会は国鉄内部の機関でございまして政府の機関ではございませんし、その答申も国鉄総裁に出された答申でございまして政府にあてられた答申ではないわけでございます。しかしながら、そういう御指摘もございますし、また国会の場におきましても御指摘いただいたこともあるわけでございますので、私どもといたしましてもいろいろな角度から検討なり見直しをしてきたわけでございますが、現在のところ、先ほど申し上げましたような考え方に立ちまして、やはり事業主であるし、またかつその背景には、やはり先ほど来申し上げております公経済の主体としての国鉄の立場があると思うわけでございます。まあ公社は申すまでもなく公共的性格を持った機関で独占的に運営されておるわけでございますし、予算につきましても国会の御審議を受ける、決算につきましても国会に御提出申し上げる、料金におきましても国会の御審議を受ける等々、あらゆる面で国に準ずる性格を持った機関でございますので、そういう性格を考えましても、あるいはまた直接に事業主、使用主としての立場にあることを考えましても、いまのところそういう制度で適当なのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  63. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 先ほどの運輸省の発表でも、長期経理の収支状況の当期利益の国鉄の現状、これは大体四十九年度までですが、発表されたとおりですね。なおかつ政務次官のほうでは、そういう事態が発生をした場合、たとえば国鉄全体財政問題を検討してその上に立って何らかの補てん策をやりましょう、しかし、負担率の公平ということを守らなければいけないから、そういう面も見てと、この両面の策がある、そういう事態が来れば大蔵省としても十分検討にやぶさかではない、こういう理解でいいですかね。
  64. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 国鉄共済組合の収支の見通しにつきましては、いろいろと御議論なり御意見があるところであると思いますけれども、まあ再建期間が終了いたしますと人員の規模も適正化をいたしてまいりますし、その面から負担も徐々に正常化をしてくるのではないか、ある年度以降になりますと、収入と給付が見合ってくるような時期もあるように思っておりますし、掛け金も平常化してまいる、また給与上昇もございますから、負担増もそれほど大きくならないのではないかというふうに考えておるわけでございますが、まあ国鉄共済の将来の見通し等につきましては、なおまた運輸省当局とも十分相談をいたしてまいりたいと思います。
  65. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 国鉄職員の年齢構成はどういう状況になっておりましょうか。それから受給対象の動向はどうなっていましょう。
  66. 住田正二

    政府委員住田正二君) 国鉄職員の年齢階属別組合員数と受給者数について申し上げます。  まず、年齢階層でございますが、全体の組合員数が四十五万五千九百人ございまして、そのうち、十九歳までの人が二千二百六十三名、それから二十歳から二十四歳までの方が三万六千五百八十三人、二十五歳から二十九歳までの方が五万八千七百七十人、三十歳から三十四歳の方が四万一千八百七十人、それから三十五歳から三十九歳までの方が三万四千九百五十一人、それから四十歳から四十四歳までの方が九万六千九百四十一人、四十五歳から四十九歳までが十一万一千四百五十六人、五十歳から五十四歳までの方が五万七千四百九十六人、あと五十五から五十九までの方が五千五百九十八人おられるわけでございます。  それから退職年金の受給者数でございますが、全体で十四万五千七百四十九人ございます。年齢的に見ますと、四十五から四十九までの方が七百七人、それから五十歳から五十四歳までが二千九百二十三人、五十五から五十九までの方が三万九千四百八十六人、それから六十から六十四歳までが四万八百七十九人、六十五から六十九までが三万一千三十二名、七十から七十四までが一万八千五百十六人、そのほか七十五歳以上の方が一万二千人ほどおられます。このほかに減額退職年金をもらっておられる方が四千二百人ほどおられます。年齢別には三十五歳から六十九歳ぐらいまでの方で、それ以上の方はおられません。
  67. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま年齢構成で大体発表願ったんですけど、これを見ましても四十五歳をこえて五十歳、これまで十一万人、五十歳をこえる者について約五万人ですね。そうすると、四十五万の中で十六万人、おおむね四十五歳以上、こういう状況になっているわけですね。ですから、さっきのいろいろな当期利益その他を考えてみまして、今後退職者が相当大幅に増加——大幅といっていいかどうかわかりませんが、とにかく多い。こういう状況にあることだけは間違いないんですから、非常に前途、財政等の問題については、ことさら審議会の答申を待つまでもなく、現状がそういう状況で私は動いていると思います。ですから、いま辻主計局次長が話をされましたように、そういう事態はもうすでに私は来ていると思いますから、十分ひとつ運輸省等と財政の内容について検討して、前途支障のないような対応措置をぜひ検討していただきたい。そういうことでこれは要望しておきたいと思います。  それで次に、これも社会保障制度審議会答申で明確になっておるんでありますが、「国家公務員共済組合と地方公務員共済組合との間には、年金に関する完全な移行措置が講ぜられているにもかかわらず、これら共済組合公共企業体職員等共済組合との間に同様な取り扱いを欠いていることは理解に苦しむ。」、こういう指摘が実はあるわけなんですね。たとえば国家公務員の場合ですね、国家公務員から地方公務員、再度また国家公務員に帰る。三公社の場合は、国鉄から電電ないし国鉄、あるいは国鉄から専売ないし国鉄、これは全部通算は御破算になっているんですね。ですから、こういう問題についても不公平な状況になっているのじゃないだろうか、その経営企業の中でいろいろの事情のあることはわかりますが、私はどうもそう思うんですが、こういう問題については一体どういう御理解を運輸省は持っておりますか。
  68. 住田正二

    政府委員住田正二君) ただいま御指摘がございましたように三公社間の異動については通算の制度がないわけでございます。こういうふうになりました経緯は、おそらくは一つ年金の沿革あるいは年金制度、これは先ほど申し上げましたように制度内容が若干国家公務員公企体と違っておるというような問題、あるいはさらに、かりに通算を行なう場合には責任準備金の移転の問題を生ずるというようなことがありまして、そういう技術的な問題からおそらくは通算の問題が認められていなかったのではないかと思います。しかし、今後できるだけ公企体間の交流を進めるということも検討する必要があろうかと思いますので、この問題については今後検討いたしたい、かように考えております。
  69. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは先ほど運輸大臣がいみじくも抜本、洗い直すと回答されたように、現在、皆年金制度でそれは社会保障的に全体を進めようということですから、これをぜひ回答のあったような内容検討していただきたいと思うんです。  それから同じように答申の中身についてでありますけれども、「各種被用者年金における給付水準のバランス、国際比較等を考慮し、公的年金制度の中において公共企業体職員等共済組合自体のもっている問題の根本的な解決をすみやかに行なうよう強く要望する。」というようなことがあるわけなんですけれども、この「公共企業体職員等共済組合自体のもっている問題」、これはどういうものを一体具体的にさしていると思っているのか、それが第一点です。それから今後これらの解決のためにどのような対策を具体的にお持ちになっておるのか。この二点についてひとつ明快に答弁を  していただきたい。
  70. 住田正二

    政府委員住田正二君) この答申趣旨はおそらく二つあるのじゃないかと思いますが、一つは各種公的年金制度間のバランスを考えろ、その場合に国際的比較等も検討しろということではないかと思います。こういう趣旨の御答申公企体だけではなくて、国家公務員、地方公務員等につい  ても同様になされているわけでございますが、この問題については今後関係当局とも相談いたしまして、できるだけ調整をはかってバランスをとっていきたい、かように考えておるわけでございます。  それからもう一点、「公共企業体職員等共済組合自体のもっている問題」という点については具体的に明示されていないわけでございますが、先ほど来いろいろ御指摘をいただいている問題等を意味しているのではないかと、さように考えております。
  71. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 具体的に、フランス、イギリスの場合は年金支給俸給のとり方はどういう方向でいってましょうか。
  72. 住田正二

    政府委員住田正二君) 外国の制度についてはあまり詳しくはないわけでございますけれども一つの大きな問題として指摘されておりますのは、日本と外国とでは給料制度が違っているわけでございます。日本の場合には月給のほかにボーナスといいますか、そういうものが一これはもちろん企業によって異なるわけでございますけれども、四カ月とか、あるいは多いところでは六ヵ月、八カ月というものが出ております。日本の場合には基礎俸給基礎になっているわけでございますが、でございますので、そういうボーナス的なものは年金の計算に含まれないという問題があるわけです。これに対しまして外国の場合にはそういうボーナス制度というものはあまりございませんので、年収が同じであっても基礎俸給が高くなる、したがって、年金の額もその意味では多くなるのではないかと思いますが、実際に日本の年金の額と外国の年金の額とがどの程度差があるかについては、資料がございませんのでちょっと御答弁できないわけでございます。
  73. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これはそういう外国比較がはたして妥当かどうか私も疑問ですけれども、いずれにしても日本の俸給者というものは非常に低賃金ですね。最近ようやく二十台を突破して十台に入ったようですけれども、しかし、それでもアメリカの三分の一見当ですからまだまだ低い。それからいま言ったように基礎報酬というものは非常に低いですね。そういうところにきて向こうは総合収入、そういうものを土台にして組み立てていると思うんですね。だから、この面でも私は老後保障の社会保障といわれる年金支給、こういった内容というものは非常に低劣であるということが言えると思うんですね。そのほかにやっぱり社会保障全体の各般の問題が立ちおくれているわけですから、非常に生活そのものが苦しいというのはそういうところから私は出ていると思うんですけれども、こういう問題についても私は何らかのやっぱり抜本施策をとっていく必要があるかと思いますが、そういう意味合いで具体的にこの答申内容でも指摘をされている、もうそういう時期ではないかと思うんですね。単に賃金だけを欧米並みというんじゃなくて、そういう社会保障中心年金あるいは恩給、こういう問題についてももっともっとやっぱり向上さしていかなくちゃいけない、こういうことになると思うんですね。こういうものがどうしても隠れてあまり表舞台に出てこないというところに日本の政治の貧困があるんだろうと思うんですけれども、またそういうものに対して国民の不満というものはうっせきをする、こういう要素を持っていると思うんですけれども、こういう問題についてはどう一体お考えでしょうか。これは大蔵省でそういう内容をわかっておったらちょっと発表していただきたいですが、ありますか。
  74. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 諸外国の公務員制度についての資料につきましては私ども必ずしも十分に正確に承知をしておりませんが、承知をしている限りにおいて御説明申し上げますと、支給率につきましては、共済年金の場合には御承知のように二十年で四〇%、最高が七〇%ということになっておりますが、たとえばイギリスのようなところでは二十年で二五%、最高で五〇%でございますから、これはわが国より低くなっております。それからアメリカでございますと二十年で三六・二五、最高が八〇でございますので、これは二十年のところでは低く最高は高いというようなことになっております。フランスは二十年で四〇、最高で七五でございます。西ドイツが一番高くて二十年で五五、最高で七五ということになっております。それからなお掛け金のほうもこれはいろいろな制度があるわけでございまして、西ドイツのように掛け金がなくて、いわばかつてのわが国の恩給方式のようなところもございますが、その他の諸国では掛け金は相当高くなっております。わが国の場合、国家公務員共済の場合でございますと千分の四十四でございますけれども、フランスが千分の六十、アメリカが千分の七十、イタリアが千分の六十というようなことになっております。なお、基礎となります俸給につきましてもいろいろ差がございまして、西ドイツのように最終の給与をとっているところもございますが、アメリカのように三年平均をとっているところもございますし、イギリスのように三年平均であったのを最終一年に最近改めたところもございまして、制度は各国によってさまざまでございます。
  75. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 各国によって違うんですけれども、大体年金生活一本でアメリカにしても何にしても生活が充足できると、こういう実態になっていると思うのですがね、その点の理解はどうですか。
  76. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 各国の公務員退職者生活の実態まで私ども十分に承知をいたしてないんでございますけれども、しかし、共済年金の水準がどのくらいかということにつきましては、たとえば国内で比較をいたしますと厚生年金とのバランスがあるわけでございますが、先般の当委員会でも御説明を申し上げましたように、国家公務員の場合でございますけれども、今回改正をさしていただきますと約八万五百円という新規最低年金の水準になってまいります。厚生年金のほうが物価スライドをいたしましても約六万円程度であろうかと思います。そのほかに支給開始年齢が五歳若いという問題もございますので、国内的に見ますと現在の公的年金の基幹である厚生年金に対しまして相当高くなっておると考えております。また、国際的に見ますとILO百二号条約があるわけでございますけれども、ILO百二号条約の基準も満たしているというふうに考えているわけでございます。
  77. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 資料があったんですが、ちょっといま忘れてきましたものですから……。まあいまいろいろと御指摘になったように最低の部面では完全に保障され、生活充足についてもそう全部が満足ということじゃないけれども、ややレベルをいっている、こういうのが諸外国の状況だと私は理解しているんですが、そこからいきますと、日本の場合はまだまだ経済動向等とつり合いのとれないそういう状況になっていると思うんです。ですから、こういう問題については抜本的に検討して早期にやはり改善措置をとっていく必要があろうと、こういうふうに考えているわけでありますが、そういう点でひとつぜひ関係当局の御検討をこれはお願いをしておきたいと思うのです。要望しておきます。  それから国鉄共済のこれは内部の問題ですが、収支計画策定審議会、こういうものが持たれておるわけでありますが、そのメンバー、答申の概要及び答申に基づいてこれまでどういう状況で実行されているのか、その内容についてひとつ発表していただきたいと思います。
  78. 清水晋

    説明員(清水晋君) お答えいたします。  メンバーにつきましては、先ほど申し上げましたように私ども総裁の諮問機関でございまして、メンバーは、会長さんに東南アジア生命保険振興センターの理事長であります藤川博先生にお願いいたしております。委員は四名ございまして、共済組合連盟会長の今井一男先生、それから一橋大学の名誉教授の高橋長太郎先生、それから東京大学講師の関口啓太郎先生、千葉商科大学教授の松本浩太郎先生、五名の方にお願いいたしておりまして、過去におきまして昭和四十年度第一回、四十五年度第二回と、次の五年ことに長期収支計画をお立ていただくことに私どもお願いいたしておりまして、次回が昭和五十年度、来年度、収支計画策定審議会を開いていただくということで目下いろいろ私ども資料を集めながら調査も進めこの準備をいたしたいと、またさっそくいたすつもりでいま考えております。  四十五年度の答申につきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、大体の見通しといたしまして過去勤務債務が非常にふえてまいります。これは年金改定とか、あるいはベースアップとか、あるいは満鉄など外国特殊法人の引き揚げに伴う年金改定等がございまして、しかも拡大が行なわれまして、この傾向は年々増加していくというようなことから、答申としまして、先ほどしばしば触れられましたように、当分、過去勤務債務を千分の五ずつ上積みしていきまして、将来にわたって過去勤務債務を凍結したらどうかというような答申が出ておるわけであります。見通しとしましては、五十三年度ごろまでは大体積み立て金がふえていきますけれども、その後は先ほども申し上げましたような要員構成あるいはその他の事情から収支が逆転してまいりまして、昭和五十四年度から六十六年度まではむしろ給付のほうが多くなっていく、その間若干積み立て金の取りくずしを余儀なくされる、しかし、それを過ぎますと、六十七年度以降は収入と給付とが見合うというような長期見通しを立てておるわけです。こういうような状態の中で、これも先ほど申し上げましたが、財源の負担についても取り上げておりまして、特に、少なくとも先ほど申し上げましたような社会保険の国の代行部分あるいは戦後処理の負担部分については国庫負担を導入しなさいというような付言もされておるわけでありまして、私どもこれに沿いまして関係各省に追加費用の問題あるいは国庫負担の問題につきまして、先ほども触れましたように数年間ずっとこの答申に基づきましてお願いをいたしておるわけでありまして、昭和五十年度の第三次の答申では、だいぶ第二次とは事情が変わってまいりましたので、さらに資料を集めまして十分御審議を願い、また関係各省にお願いを続けてまいる、かように考えております。
  79. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この「国鉄共済組合収支計画策定審議答申 昭和四十五年八月六日 国鉄共済組合収支計画策定審議会」、この資料は全部誤りありませんね。
  80. 清水晋

    説明員(清水晋君) はい。
  81. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その八ページに、「財源の負担についての意見」と、こういうことで、「今回は特に次の点を強調したい。(1) 共済組合に対する国鉄の負担は、事業主としての負担に限るのが妥当であり、国が負担すべき部分まで代行する必要はないと思われる。(2) 少くとも現在国鉄が負担している次の部分については、国がすみやかに負担することが望ましい。a 国の社会保険助成の代行部分 厚生年金に対する国庫負担に相当する部分b 国の戦後処理政策の代行部分 軍人及び満鉄等外国特殊法人等の期間に対応する共済組合の長期給付額に相当する部分」、こういうことで明確にこの財源負担についての意見書を出されておるわけですがね。  こういう一つ考えを明確に打ち出されておるわけですが、さっきもその答弁はあったようですけれども、もう一度ひとつ整理をいたしまして、この財政負担に対して運輸省自体としてどういうふうにお考えになっているか、これをひとつ御見解を承りたい。
  82. 住田正二

    政府委員住田正二君) 国鉄が共済年金について負担いたしておりますのは、いわゆる公経済の主体としての負担部分と過去勤務債務についての追加費用等があるわけでございまして、これらの額が年々増加しておりますし、先ほど申し上げましたように国鉄の共済年金財政は年々悪化しているわけでございまして、将来の問題としては国鉄の年金財政が破綻を来たすような事態考えられないわけではないわけでございます。しかし、この問題につきましては、やはり先ほど来申し上げておりますように国鉄の財政再建計画の一環として考えざるを得ないんじゃないか。特に先ほど大臣からも御発言ございましたように、現在とっておりますような総合助成主義が妥当であるかどうかについても検討をしなければならないわけでございまして、将来個別助成主義を採用する一まあ現在の総合助成主義にさらに個別助成主義的なものを付加する場合もあろうかと思いますけれども、そういう問題の中でこの問題も取り上げていきたい、かように考えているわけでございまして、私どもといたしましても、現在の国鉄年金財政がこのままでやっていけるとは必ずしも考えているわけではないわけでございまして、将来の問題として国鉄財政再建の一環としてこの問題を処理したい、かように考えているわけでございます。
  83. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そこで、過去勤務債務の内訳をちょっと……。資料がおそかったものですから、私も時間がなくて委員会の席上で申しわけないんですが、その内訳わかっておったらひとつ教えていただきたいんです。項目ごとにいろいろあると思いますが、これは四十九年の見通しでいきますか、資料は。詳細はあとで出してもらってけっこうですけれども、できますか。
  84. 清水晋

    説明員(清水晋君) お答えいたします。  四十九年度はちょっといまのところまだつかんでございません。
  85. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 何年度が最近のものですか。
  86. 清水晋

    説明員(清水晋君) お答えいたします。  四十七年度の数字をつかんでおります。
  87. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それを発表してみてください。
  88. 清水晋

    説明員(清水晋君) 項目が約十ばかりございまして、まずトータルを申し上げますと二兆四千七百五十二億でございます。これを一〇〇にいたしまして、新法施行以前の過去勤務債務八百三十六億、約三・四%、恩給公務員期間吸収による増加額九百四十一億、三・八%、それから新法施行時の所要財源率改正による増加額二百五十三億、一%、それから年金改定による増加額三千二百七十七億、一三・二%、それからベースアップによる増加額一兆三千二百五十四億、五三・六%、それから軍人期間算入による増加額百五十億、〇・六%、それから満鉄等の外国特殊法人の勤務期間算入による増加額が九十六億、〇・四%、それから所要財源率改正によります増加額、これが千五百六十億、六・三%、増加恩給期間算入による増加額が二億七千万、ちょっと端数があって約三億、それから過去勤務債務の利息増加分といたしまして四千三百八十四億、一七・七%、トータルが先刻申し上げましだとおり二兆四千七百五十二億、四十七年度の実績でございます。
  89. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま資料が発表になったように、四十七年度末ですでに二兆四千七百五十二億見当あるわけですね。この問題については、いわゆる公務員の場合ですと実額方式、三公社の場合ですと追加費用負担率、こういう方式でやっているわけですが、それでまあ俸給総額の何千分の何%ということで、四十年代以降これは千分の五ずつふやしてきて大体五百八十億六千五百万円、これを追加費用として入れている状況にございますが、このいまの二兆四千七百五十二億等の現在の過去勤務債務が実は全部三公社で負担をしていることになるわけですね。だから非常に財源的にも、さっきまあいろいろと抽象的な意見で答弁いただいてきましたけれども、こういう具体的な問題については、やはり直ちに何らかの処置をしていく必要があるんではないかと思うんですがね。それは一ぺんに全部国が負担するということはなかなかむずかしいだろうと思いますが、このくらい膨大な金額をやっているわけですからね。だから、そういう問題については具体的にどういう一体今後の措置方向でいかれるのか、この点をひとつ聞かしていただきたいと思うんです。
  90. 住田正二

    政府委員住田正二君) 追加費用につきましては、いまお話がございましたように毎年千分の五ずつ上げているわけでございまして、その負担は今後ふえていくわけでございます。しかし、この問題の処理といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、こういう問題だけをとらえて助成するというやり方は現在とっておりませんので、将来国鉄年金財政が悪化することは明らかでございますので、その段階において国鉄財政再建の一環として救済していく、そういう考え方を現在持っているわけでございます。     —————————————
  91. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、鈴木強君が委員辞任され、その補欠として神沢浄君が選任されました。     —————————————
  92. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから千分の五の追加費用、これは今後も継続していくわけですか。
  93. 住田正二

    政府委員住田正二君) 千分の五は今後とも増加していくことになるわけでございます。
  94. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは大臣の答弁もひとつ聞いておきたいんですが……。
  95. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 二兆四千億のこれは利息相当分としての額だそうでございまして、これはやむなくふやさざるを得ない、こういうことでございます。
  96. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 最後に、ことしのベースアップが国鉄の場合ですと約二万九千五百円、当初要求の八五%、割合にして約三〇%に近いですけれども、これを来年度いずれにしても実行しなければいけないんですね。これは財源上どういう状況になりましょうか。その内容についてひとつお聞かせ願いたいです。これは実行するわけでしょう、来年は三〇%値上げで。もちろん掛け金その他もふえてきましょうけれども、どの程度の財源を要するか、その内容についてひとつ。
  97. 清水晋

    説明員(清水晋君) お答えいたします。  今回の改定によりまして、大体給付のほうが年金改定で平年度約二百五十二億給付額がふえてまいります。一方、四十九年度だけで見てまいりますと百五億給付額がふえる計算になっております。一方、先生御指摘の収入のほうで、ベースアップがございますので、掛け金あるいは負担金がふえてまいりますので、先ほど申し上げました収支残、これは若干ふえるんではなかろうか。まだこまかいベースアップの配分がきまってございませんので、こまかい計算はいたしておりませんけれども、収支残は四百億台に四十九年度はなるんではなかろうかと、大ざっぱにかように考えております。
  98. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いまの点は、これはもちろんベースアップの配分その他賃金の配分、これが確定しなければ明確なものが出てこないと思うんですが、それが出ましたらひとつ資料として出していただきたい。これはお願いしておきたいと思います。  それからもう一つ最後にお伺いしておきますが、これは四十九年の四月二十四日、衆議院大蔵委員会で全会一致、附帯決議十項目、確定をされておるわけです。これはあとで委員長のほうにもお願いをいたしまして、内容について若干私も疑義がある点もございますから、修正その他でお願いをしたいと思うんですけれども、取り扱いについてはそういうことで委員長にお願いをしておきますが、その十項目の中で、最後の「公共企業体職員等共済組合に関する制度について、学識経験者等により調査審議する機関の設置について検討すること。」、こうなっておるんですが、これは非常に抽象的だと思うんです。われわれの実際望んでおるのは、当該組合の代表の意見を聞くとか、あるいは経営者の代表の意見を聞くとか、そういうまさに審議機関にふさわしい陣容というものを具体的に整備をしていただきたいという考えを持っているんですけれども、この審議制度制度設定ないし内容等について、そういう考えについては一体運輸大臣どういうお考えを持っていらっしゃるか。
  99. 住田正二

    政府委員住田正二君) 事務的な話でございますので私がお答えいたしますが、三公社につきまして審議会を設けよという御意見があるわけでございまして、私どもといたしましても、これまでその問題を検討いたしておりますし、今後も検討を進めたいと思っているわけでございますが、しかし、非常にむずかしい問題もあるということも御認識いただきたいわけでございます。といいますのは、法律は、公企体共済年金法律は一本でございまして、公社は三つある。もし審議会を設けますと、それぞれ監督をいたしております運輸省、大蔵省、郵政省に審議会を設けなければならない。三つの審議会を設けましてそれぞれ意見が違ってまいりますと、その調整をまたはからなければいけないということで、三つ審議会を設けるわけにはなかなかいかないのじゃないか。そういたしますと、総理府に審議会を設けて、そこで全部やっていただくということになろうかと思いますが、そういたしますと、現在、便宜上公企体年金につきましては運輸省が担当いたしているわけでございますが、そういう所管をいまのままでいいのかどうか。場合によっては総理府まで全部移さなければいけないのじゃないだろうかというような問題もからんでまいりますので、そういう点の調整が非常にむずかしいので簡単にいけるかどうかわれわれとしても自信がないわけでございます。しかし、今後各関係省と話しまして検討をいたしたいと思っております。もし、どういう形になりますかわかりませんが、審議会を設けた場合には、現在国家公務員審議会でも同様だと思いますけれども、構成についてはいま先生の御指摘のあった方向で処理されることになると、さように考えております。
  100. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ぜひそういうことで御検討願いたいと思うんですね。  主として質問の態様が一般国家公務員の関係と比較対照できましたけれども、一般公務員も決していいわけじゃないですからね、私は現行制度上欠陥として指摘をしたんですから、その点は誤りのないように御理解をいただきたいと思うんです。  きょうはこれで私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  101. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 午前からの審査はこの程度にとどめ、午後一時四十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後一時四十四分開会
  102. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案議題といたします。   これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  103. 神沢浄

    神沢浄君 私は、まず的確な答弁をいただくために私の質問の主意を先に申し述べておきたいと思うんですが、もちろん法案内容についても順次お聞きをしていくつもりですけれども、それより先に私は実はこの法案が提案されるに至りました背景の中に非常に重大な問題があるように考えておるわけなんです。すなわち、そこには、わが国の民主政治が軍事優先政策のために、しかもそれが政府みずからの手によって空洞化され、破壊されつつあるような危険な状況を私は感ずるからであります。したがって、まずその背景論議から質問に入りたいと、こう思うんです。  そこで、まず田代防衛施設庁長官にお聞きをいたしたいんですが、ここに新聞記事のコピーがありまして、ちょっと先のほうだけ読んでみますと、これは二月八日に長官が山梨県の県庁を訪問されて、知事にお会いになったときの記事であります。  「政府は八日の閣議で「防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案」を決定し、今国会に提出することになった。八日県庁を訪れた田代一正防衛施設庁長官は、記者会見で「新法案は、背景に横田基地と北富士演習場問題があったからだ」と説明、新法の目玉である特定防衛施設調整交付金制度の恩典が北富士演習場にも適用されることを示唆した。」「田代長官は同庁の藤井謙二調査官、水谷平一郎横浜防衛施設局長らと入甲、知事公舎で四十九年度予算を査定中の田辺知事にあいさつ。続いて県議会内で小林昌治北富士演習場対策協議会会長と会談のあと、記者会見し、新法案などについて説明した。田代長官法案の特徴として 1民生安定事業を弾力化する 2特定防衛施設調整交付金制度の制定 3飛行場の騒音防止関係事業の援助——を挙げ、全文は十九条からなると説明した。」云々ということになっているわけであります。  そこで、私はちょっとわかりかねるんですが、何のために、この閣議決定と同日ですね、二月八日、同じ日に山梨県に発表しに行ったのか。これはそうしなければならないような理由があったのかどうかはわかりませんが、どうもその辺がちょっと私などには納得のいかないところでありまして、長官の見解を率直にまずお聞きしたいと思います。
  104. 田代一正

    政府委員(田代一正君) ただいま御質問ございましたけど、私が去る二月の八日の日に甲府に参りまして、たしか十二時前後だったと思いますが、田辺知事に表敬訪問をいたしました。大体十分程度だったと思いますが、そのあと県庁に帰ってまいりまして新聞記者の皆さんにつかまりまして、何か新聞会見やってくれという話がございました。その節に私は、実は、昨日、と申しますのは二月の七日でございますけれども、七日の日に次官会議で法案が決定になり、おそらく本日は閣議で決定になるでしょうということを言い出しといたしまして新法案の概要を申し上げたことは事実でございます。で、その節御質問がございましたので、まあ当地に何か関係ありますかという御質問がたしかあったと思いますけれども、その節に、新法案につきましては、いろいろな各般の御要望というものを満たすということを念頭に置いてやったわけでありますけれど、まあいわばバックミュージックということばを使ったと思いますが、横田の問題でございますとか富士の問題というものもあったように記憶いたしております、という程度の記者会見で説明をいたした二とは事実であります。  で、なぜ私がこの時期に山梨県にわざわざ行ったかという御質問でございますけれども、これは私昨年の十一月に着任いたしまして、すぐ予算編成でたいへんでございましたし、また予算編成が終わりましてからは日米安保事務レベル会議でワシントンに飛んだり、あるいは帰りましてからは法案の作成に追われまして、ついつい各方面に、防衛施設関連いたしました各自治体の方々に不義理をいたしておるということで、その手始めといたしまして甲府に参りまして知事に表敬いたしたわけであります。私は、あとの日程を申し上げますというと、翌々日の十日には静岡に参りまして静岡県の知事に表敬いたしました。そういう過程で私がたまたまそういうふうに参ったということでございます。
  105. 神沢浄

    神沢浄君 まあ、李下に冠を正す話も昔はあるわけなんですが、私ども多少北富士問題というものの事情を知る者からすれば、まああとからその点にはおいおい触れていく予定でおりますが、国と県との間で約束がされました主要なる事項、たとえば富士保全法制定の問題にいたしましても、この法案に最もかかわりのある基地周辺整備事業実施の問題にいたしましても、あるいは国有地の二百十ヘクタールの払い下げにかかわる問題にいたしましても、現在まだ率直に言って目鼻がついているとは言えないと思うわけでありまして、そういう情勢の中でもって山梨県は県なりにその国との約束の上においての不満というものは持っているやに見受けられます。まあ私どもの見解はまた別ですが、そういうふうな情勢があるだけに、それらの未解決の事項を解決するために非常に有力な条件になるこの新しい法案の提出が閣議においてきまるというような時点で、まず問題のある山梨県にそのことを知らしめることが施設庁としても非常に急務であったがために、まあ表敬訪問等のその日程の中に繰り入れられていただろうことはわかるんですけれども、申し上げたような理由によっていち早く山梨を訪問されたということとは違うでしょうか。
  106. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 私が昨年の十一月に着任して以来、やはり重要な基地あるいは基地の所在する公共団体の町の方になるべく早く表敬したいというのが念願でございまして、そう思ってはいたんでございますけど、先ほど申しましたようなことで私も非常に多忙でございまして、やっとその時期になってそういう表敬訪問ができるという段階になりましたので、その第一着手といたしまして山梨県を訪問したという次第であります。別に他意はございません。
  107. 鈴木力

    鈴木力君 関連。  いまのことは、あとで重要な問題ですからね。長官が重要な基地を持っている県に表敬訪問をされる、あいさつをされる、この気持ちは非常に大事な気持ちですよね。ただ、多忙な身でありながらあいさつをしたということもいいことをしたと思うんですが、一番先に山梨県を訪問したという理由はどういう理由からですか。  それから山梨県と静岡県は訪問されたが、そのあとどういう順序、にどの県を訪問されたかも言ってほしい。普通の常識ですと、あなた忙しいから、横田の基地でありますとか非常に基地の程度からいうと大きなところの東京都知事の訪問を一番先にやるべきだと私は思う。忙しいから、近いんだし行けるわけだ。それを、そこをやめて山梨県に一番先に行った、それはなぜかということが一つ。そのあと、山梨県、静岡県のあとにどの県をどれだけいつに回ったのか、その二つをいまのうちに答弁しておいてください。これはあとで私の質問のときにだいぶ使える材料ですから……。
  108. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 私が先ほど申しましたのは、最初にと申しましたのは、知事といたしましては最初にという意味でございまして、まあ非常に近距離の地点でございます……(「東京はもっと近いんだよ」と呼ぶ者あり)いや、近距離の地点でございますたとえば横田でございますとか、あるいはまた厚木でございますとか、それからちょっと遠くて三沢でございますとか、岩国でございますとかいうところは回りました。これは知事にはごあいさついたしませんで、市長さんにごあいさつをいたしたという記憶はございます。
  109. 鈴木力

    鈴木力君 ですから、それはどういう順序で、いっ、どの県に行ったかということを言ってください。
  110. 田代一正

    政府委員(田代一正君) ちょっと日付順で正確な記憶はないんでございますが、たしか一月中に横田に参りまして、それから一月の——アメリカから帰ってきた直後でございますから、下旬でございますか、岩国に行きまして、それから一日おきまして三沢に飛んで、それからたしか山梨県に参り、それから静岡県に参り、それから厚木に参りという順番ではなかったかと思います。
  111. 神沢浄

    神沢浄君 いま御答弁の中でもって、大体表敬訪問の日程等がお話に出ましたが、どの県へ行ってもやっぱり山梨県の場合と同じように法案説明などを行ない、記者会見などをやっておるわけですか。
  112. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 私は大体参りますときには記者会見がなるべく行なわれないようにということで、そういう希望のもとで出ておりますので、山梨県はたまたま記者の皆さんに見つかっちまったということで、記者会見を先方から求められたという事情がございます。それから静岡県はそういう御要求はございませんでした。それからあとは三沢で私が参りましたことがわかったということで記者会見を求められまして、たしか二十分か地元の記者の皆さんと懇談した記憶はございます。
  113. 神沢浄

    神沢浄君 まあ、私などは非常に何というか、違和感を感じますわね、その問題について。法律をきめるところは国会であるということは長官も御存じですね。
  114. 田代一正

    政府委員(田代一正君) よく存じております。
  115. 神沢浄

    神沢浄君 であれば、なるほど提案権が政府にあることは私も承知をしております。しかし提案前に、まだ法律審議決定されない前に——実はその時点では法案内容などはおそらく国会議員は知らされる機会というものはないわけなんです。そういう際に、これはどう考えても法律をきめる場所の国会をそっちのけにして、出かけていって記者会見などまでして見解を公表するというのは、これは私はどうもやっぱり行き過ぎだというそしりを免れ得ないのではないかと思うんですがね、国会軽視だとかなんだとか、そういうかた苦しい言い方は別にしましても。ただ、私がなせこんな問題を一まあ個人的な問題などを取り上げるのは私などもあまり好むところではありませんが、まあ長官だってそういうことを別にお気づきになっていてのことではなかろうと思うんですが、私どもがながめた感じとしましては、かって旧軍はこれはもう独裁専横でございました。ですから、きょうの防衛の分野に旧軍的な体質が台頭したり復活をするようなことはこれは私あっちゃならないと、こう思うわけです。そういうふうな点について長官は、国会への関係とか、後段申し上げた特に旧軍的な体質の台頭などというふうな点に注意を払わなければならないというようなことをお考えにはならなかったでしょうかね。
  116. 田代一正

    政府委員(田代一正君) お答えいたします。  私も新憲法下における国家公務員の一員でございまして、そういう意識は持っているつもりでございます。  それから先ほど来、わざわざ新聞記者会見をしたと申されましたけれども、これはさっき申しましたように、現地でぜひとも会見をしてほしいという御要望があって私したわけでございます。そこで、たまたまその日は閣議の決定でございまして、これは行政庁の慣例といたしまして、閣議決定になった法案につきましてはこれは防衛庁でもって新聞発表いたしまして詳細な説明をするという慣例になっております。たまたまそれと同じ日でございまして、また時間から考えましても、防衛本庁においてすでに記者会見が行なわれて説明が行なわれているというような状態でございましたので、私も記者の皆さんの御要望に応じて概要を御説明したと、こういう次第でございます。
  117. 神沢浄

    神沢浄君 ちょっとくどいかもしれませんが、それは本庁における慣例というものは、その当否は別にしても、あるわけでしょう。しかし、わざわざ出かけてやっておるというところに私は非常に不自然なものを感ずるのでありまして、これは大臣どうでしょうかね、防衛庁のあり方というような点で御所見がありましたらばお聞かせいただきたいと思います。
  118. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 別段所見もありませんが、役所の、国家公務員の責任ある者が公用で出向きました際に記者会見を求められれば、それを逃げ隠れするのもどうかと思いますし、あった場合においては、おのずからみずからの分をわきまえた発言をする能力、そういうものを備えた者がそれぞれのポストの責任者に備えてあるつもりでございます。でありますから、いまやりとりを伺っておりましたが、本人が求められて記者会見に応じて、その日の閣議ですでに閣議決定案件としては記者団に発表いたします内容について質問に応じて御説明申し上げたということについては、私は行き過ぎだとは認めません。なおかつ、抽象的でお答えしにくいんですが、旧軍というものは今日の自衛隊と関係ありませんし、統帥権から始まって一切そのようなもの、よくもあしくも旧軍と関係のある自衛隊というものを何か育てようという気持ちは、これはもうもともと存在しない、あくまでも新憲法下の存在でなければならぬ、そのように考えております。
  119. 神沢浄

    神沢浄君 その辺でおきましょう。  次へ進みますが、ところで、その際、新法は横田と北富士演習場のためのものだととられるような、新聞では、ためのものであると、こう言われたと書いてありますが、先ほどの長官の御説明では、そうとられるような発言があったらしく思います。これはどんなような気持ちでもっておっしゃっているんでしょうかね。
  120. 田代一正

    政府委員(田代一正君) これは記者の皆さんの御質問に対する答えというかっこうで申し上げたわけでございますけれども、富士に何か関係があるんじゃありませんかというたしか御質問だったと思いますけれども、新法はそもそもこれは二、三年来各方面からの御要望というものに応じて、それで防衛施設庁が鋭意検討いたしましてまいったわけでありますけれども、その過程におきましてやはり富士の問題がございましたし、またリロケ−ションの問題で横田の問題もございましたということで、そういった大きな問題がやはり一つの——私はバックミュージックということばを使ったんですけれども、なしていたということはあるでしょうねということは申し上げた記憶があります。しかし、富士のため、横田のためにのみこの法案をつくったというような言い方は全然してないということでございます。
  121. 神沢浄

    神沢浄君 さて次に、私はこの基地と開発の両立論という問題を取り上げてみたいと思うのですよ。いままで何回か聞かされて、頭の悪いせいかうまくわからないんですがね、この基地と地域開発の両立論ということが。これは西村防衛庁長官のころから言い出されたことばでありまして、そしてその後歴代の長官がおりに触れておっしゃってきておられるようであります。  ここに私が持っておりますのは、四十七年の七月十五日に防衛施設庁長官——松長官ですね、当時。高松長官名義で、山梨県に対して「北富士演習場の使用について」といういわゆる使用転換への要請の公文書なんですが、その中にこういうくだりがあるわけです。「演習場使用の基本方針」というところです。「国は、演習場の効率的使用と民生安定及び地域開発とが両立しうるよう今後とも最善の努力を払う。」——ですから、防衛施設庁の基本の方針として、この基地と地域開発の両立論というものが存在するというふうに私は認識をするわけでありますが、これは私などにはわからないというのは、私の県に所在する北富士演習場、この北富士演習場に関する県、国の間の交渉においても、いま指摘をしましたように、こういうことが国の基本の考え方として示されているわけであります。基地とそれから平和的な建設的な地域の開発というのは私はこれはもうしょせんなじむものじゃない、水と油みたような関係だというふうに思っております。幾ら強弁をいたしましても、基地のあることがその地域の開発の理由になるなどということはこれはあり得ぬだろうというふうに考えているのでありますが、やはり歴代の長官と同様に山中長官もそういうふうにお考えになっているでしょうか。
  122. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) この両立というのは、たまたまいまおっしゃいました北富士演習場の使用に関する覚書の内容のおことばでありましょうが、その両立論というようなものの可否は別にして、私は沖繩担当の大臣を長くやりましたから、沖繩における、ことに象徴的な嘉手納基地周辺等の町村行政区画のほとんど八割、七割、六割というものが基地になっておるところでは都市計画もその他の市町村の将来へ向かっての青写真もかけない、そういう状態等よくわかっておりますし、振興開発計画をつくってみても、県がこれを原案をつくる場合に、やはり基地はそこを白紙にせざるを得ない。構想は描けるけれども現実には白紙になってしまうというようなつらい立場のことをよく知っておりましたので、私としてはそういう観点から、今回の法律をつくるにあたっても、国のたとえばむつ小川原湖開発というような計画等のような場合に、三沢市というものはやはり相当広大な面積を提供させられておる。そうすると、やはり周辺のほかの関係のない、基地に関係のない市町村でありますならば、できるできないは別として相当な青写真を描き得るわけでありますけれども、三沢市の場合には、どうしてもそこに基地の部門が国の計画の中に組み込むという現実にやっぱり遠いものがある、そういうようなこともやはり同じような現象だと思います。ですから、ほかに、よそは基地が集約されたと喜んでおる地域があって、一方集約を受ける横田等においては、ちょうどハイヒールの細いかかとが細くなればなるほど体重が一点に集中して負担がかかってくるように、やはりそういう意味の1必要であるということはわかっていても、なぜ自分たちのところが集中を受けなければならないのかという反面の周辺住民の方々の御心境というものは私は十、分わかります。  そういうような意味で、昭和四十一年に現在の法律ができましたおりの衆参両院の内閣委員会における附帯決議がございまして、それはいずれも現在の法律運用等にあたって十分関係市町村の意向を尊重し、それにこたえられるようにせいというような趣旨のものでございましたし、それを踏まえてここ数年行政上現在の法律でやってまいりましたが、やはり多様化する意識と申しますか、あるいはそういう基地を認めるということは自分たちはいやであるという人たちでありましても、基地が存在することは現実なんだから、その周辺に対する施策としてもっと幅広く、あるいは因果関係等もそうむずかしいことを言わないで認めてもらいたいという御要望が非常にたくさんあって、現在の法律では対処しかねる部分がだいぶ出てまいっておりますし、あれやこれや考えて、やはりこれはかりに基地がないほうが理想であるという主張もありましょうが、これは米軍基地等においては漸次沖繩を中心に縮小の方向に努力を国としてもいたしておりますし、将来もそうでありますが、自衛隊の基地はそう縮小一方の方向に向かうわけにもいかない、私たちはそういう立場にないということも考えますと、やはり欲すると欲せざるとにかかわらず、基地があるということが、存在そのものが地域の人にとってはいろんな角度からの問題になるであろう。したがって、ある意味で開発阻害要因ということもそこに出てくるであろうというようなことを考えまして、今回新しい法律をつくったということであります。特別にこの法律全体を通じて基地と開発との両立論というものを前提にして考えたつもりはございません。
  123. 神沢浄

    神沢浄君 私も少し意見を述べたいと思うんですがね、北富士の演習場の場合などは、県民の大多数の意向として、とにかく霊峰富士といわれておるところですから、演習場などがなくなって平和的なこの地域の振興というか、これが念願とされてきました。これはもうだれしもが願って当然のことだったと思うんです。従前は御承知のように地位協定に基づくこれはアメリカ軍使用の演習場だったわけです。自衛隊はときどきアメリカ軍から借りて使っておったという関係です。県民の大多数は、世界の歴史というものは別に固定しておるわけではないから、地位協定のもとになっておる安保条約といえどもいつかはこれは変わりもするであろう、それがいつの時期かは別にしても、いうかは返ってくるという期待があったわけなんですよ。  ところが、今度自衛隊の演習場に使用転換が実現をしたわけでありまして、これらの問題についてはあとから触れざるを得ないわけなんですが、こうなりますと、これはもう安保条約の関係はなくなってしまっておる。いつ返ってくるのやら、もうめどはつかないことになっているわけなんですが、そのための交渉というものが県と国との間でもって行なわれてまいりました。その行なわれてくる途上において、さっき申し上げたように、西村長官の際も、国としてもいま急にここでアメリカの演習場をなくすというわけにはまいらない、安保条約が存する限り、あるいはまた国際信義の上からいってもまいらない、したがって、そうである以上は、現実的にはこの基地の存在と地域の振興というものが両立するような方針というものを国は責任を持ってとっていくつもりだというようなことを県に働きかけまして、それがいわゆるこの基地と地域振興、地域開発の両立論ということのスタートになっておると私は経過を知る立場でもって承知をいたしているわけでありますが、さっきも申し上げましたように、その後増原長官も同様のことを言われた記録があるはずであります。  実は、私は考えてみまして、昨年の石油ショック以来、日本にはいろいろなはやりことばが続きました。石油ショックであるとか、狂乱物価であるとか、諸悪の根源であるとかいろいろな造語がありましたが、私はいろいろこの基地問題というものを検討してみまして、基地問題の中でもって生じてくるいろいろな諸悪の根源は、やっぱりこの基地と開発の両立論というものにもとがあるのではないかというふうに実は気がついているわけであります。先ほども申し上げましたが、だれが考えましても、常識的に、演習場のほうはこれは破壊を本質としたものですから、それが平和的な振興開発の要因になれるなんということはこれはもうあり得ないことだ、水と油がしょせんなじまないと同じようなものだと思うのです。それをしいて基地の存在とその地域の振興開発が両立をするというような幻想を植えつけるには、これはやはり金力でやるよりほかには方法がないのではないか、こういうことになると思うのであります。あにはからんや、その後のわが国の基地対策というのは、まさにすべてを札束でもって解決をするという方向へ進んできているわけであります。  これは政府だけの問題ではないようでありまして、四十八年、昨年の三月九日に自由民主党の政調会の基地対策特別委員会が「基地対策について」という諸条項をまとめられておるわけなんですが、この文章の条項別に内容を見ますと、ちょうどこの今回出ておる法案の骨子のようになっているように思います。すでに調整交付金的な構想もこの中に盛られているわけでありますし、それから基地交付金の弾力的配分を進めるとか、補助対象事業を拡大するとか、あるいは補助の割合を引き上げるとかというようなことがみんなここに出ているわけであります。私から言わしていただくと、はたせるかなというようなことにもなるわけでありまして、これはやっぱり金の力でもって問題を進めていく以外にはいわゆる基地と開発の両立論というものはこれは全くの空論になってしまう、だから基地と開発の両立論を方針としておく以上は、これはもう金で解決をしていくという方針以外にはとれないのではないか、こんなように私は解釈もしてみたわけであります。  そのごとく今度のこの法案というのは、あとからまたいろいろ具体的に検討してみたいと思いますが、私などが考えていたような方法でもって出てきておるように思えるのであります。北富士にかかわる問題などにしてもそうでありますが、いままでの法律では、いわゆる現行法ではもう基地と地域振興の両立論などというものをとうてい証明してはいけない。だから、現行法が持っている制限ども撤廃をしてしまって、そして金の力でもって、その生ずる問題あるいは地域の要求などというものを金で片がつくことなら糸目もつけずにひとつやろうというような、こういう考え方に立ってきておるのが私はいま提案されておる新しい法案の本旨になっておるように思うのでありますが、こういうような点について私の分析のしかたというものが違っておるのかどうなのか、これまたひとつ大臣の所見をも聞かしていただきたいと、こう思います。
  124. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 特段そういう基地を確保するために金でもって片づけるという、そういう気持ちで法律をつくっているわけじゃありませんで、参議院の内閣委員会昭和四十一年六月二十五日に附帯決議がついておりますが、これは「防衛施設周辺整備等に関する法律案に対する附帯決議」であります。  右決議する。 というこの決議の案文を最大限に尊重していままでやってきたんですが、やっぱり附帯決議で念を押された、心配されたと申しますか、現時点では先生は違うとおっしゃるのかもしれませんが、院の意思として内閣委員会指摘された点がやはり現行周辺整備法の運用にあたっては、実際上行政をやってみてこれらの御趣旨になかなか沿いにくい。一方、周辺関係の地域市町村の方々は、やはりこういう附帯決議のような内容運用をしてもらいたいという御要望が非常に強い。そういうことから、もう繰り返しませんが、先ほどのような考え方に立って新しい法律というもので対処できるようにしたいと考えたわけであります。何も前に決議したことをもういまになって何だなんて、そんなことを私言っているわけじゃありませんで、そういう御趣旨を踏まえてやろうとするとなかなか現行法ではむずかしゅうございました、限界を感じましたということで、すなおに私としてはやったつもりでございます。
  125. 神沢浄

    神沢浄君 まあ、そのような一面も私は全然否定はいたしません。しかし、まあ私が申し述べたいと思っておりますのは、もっとずっと基地問題の基本的な点として、それはやっぱり具体事例として例の北富士の演習場の使用を取りきめた覚書、これは一昨年の八月二十八日ですね。山梨県知事とそれから内閣官房長官の二階堂さんとの間に暫定使用に関する覚書というものが交換されているわけであります。実は長官、いまのあの北富士問題というもののいろいろな矛盾点や不自然、不合理な点は、私に率直に言わせると、このときの覚書にすべてが始まっているように思えてならないんです。  ちょっと重要なことですから読んでみますと、目的は、「この覚書は、北富士演習場の当面する諸問題の解決を前提とし山梨県県有地を「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域ならびに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」を実施するために日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の用に供することを目的とする。」と、まあこのときは自衛隊への使用の転換などという問題はまだまだ出ていなかったわけでありまして、むしろ国が、民法六百四条を国が認めるあの統一見解が出て、法律的には、山梨県の県有地が一応県に戻った、その県有地を再提供を求めるために——ちょうど田中内閣が成立をした直後でありまして、まあ失礼な言い方でありますが、よくあれは新聞の資料などには参勤交代ということばがまあ使われるですけれども、九月の上旬に田中総理大臣はアメリカのニクソン大統領を訪問する直前だったわけですが、そういう時期でありますだけに非常に国側も急がれていたようにも見受けられたのでありますが、その際に、県に働きかけをされて、そしてこの覚書締結までこぎつけられたわけであります。その結果の覚書がまあこれなんですが、いまのような目的を果たすために、区域についてはこれはいままで使っておった県有地というようなことが書いてありますけれども、それに引き続いて、こういうことになるわけであります。これはまあほとんどその県有地再提供のための条件というような、いわゆる代償というような意味になるわけなんですが「北富士演習場周辺整備事業の実施については北富士演習場周辺の立地条件等を勘案し、地域に的合する事業を実施するに必要な財源を確保する。」——これは国が確保するということなんです。「この場合においては極力地元の負担が伴わないよう措置する。」、こういうふうに覚書を取りかわしたわけであります。そのほか林野雑産物、これもまあいろいろと問題が出ておるところなんですけれども、「林野雑産物補償及びその他の懸案事項については早期に解決する。」、さらに行を改めて、「乙は、」——国のことです。国というか、まあこれは二階堂官房長官ですね。「富士山及びその周辺の自然環境を保全する等のため富士保全法(仮称)を制定し、適切な措置を講ずる。」と、こういう取りきめを行なっているわけであります。  私はこの誉書自体に幾つかの問題があると思うんですけれども、きょう実は二階堂長官にぜひ御出席をいただいて、その当時のことを詳しくお聞きをいたしたいと思ったわけなんですが、何か外務大臣の代理をなされておる関係で、ほかの委員会抜けられぬということでもって、たいへん御迷惑ですが副長官においでをいただいているわけでありますが、かつていずれの委員会だかの機会に、私は二階堂長官に、失礼だったですが、きわめて率直にお尋ねをしたことがあります。大体この取りきめ事項というのは、これは公文書ですか私文書ですかと。そしたら二階堂長官も、何かしばらく首をかしげておったけれども、山梨県知事という肩書きがあるし、内閣官房長官という肩書きでもってやったんだからこれは公文書でしょうと、こうまあ言われておりました。まあ公文書であろうと思います。ということになりますと、私はこれだけの覚書、このような内容の覚書を取りかわすにつきましては、国会の了承を得よとまでは言いませんが、少なくとも閣内におきましてはこの条項というものを履行していけるような諸手続、措置というようなものは、これは済んでいなければならない、私は政府の場合に当然そうでなければならないと、こう思っておるのです。  そこで、副長官御存じならばひとつ御説明を受けたいんですが、この時点で富士保全法をつくるとか、あるいは、こういう言い回しはしておりますが、要するに必要な財源を確保する、極力地元の負担か伴わないように措置をする一これはたいへん重大なことだと思います、国の財政の方針にもかかわる。こういうようなことについて閣内の意思というようなものはさまっていた上でもってこういう覚書の取りきめが行なわれたのかどうなのか、この点を伺いたいと思うんですが、もし御存じないことならば、率直におっしゃっていただけば、いずれ私は二十三日には長官にはぜひ出ていただいて論議したいと、こう思っております。
  126. 大村襄治

    政府委員(大村襄治君) ただいまお尋ねのありました、「北富士演習場の暫定使用に関する覚書」に盛られている事項についてのお尋ねでございますが、この覚書ができましたときは私まだ就任しておりませんでしたもので、その辺のあれがいかがであったかよく承知しておらないような次第でございます。
  127. 神沢浄

    神沢浄君 まあ、山中長官もそのとき閣内にはおられなかったわけですね。ですから私は、長官にお尋ねすることも省きまして、これはどうしても官房長官においでをいだだかなければならない問題だと思うのです。  そこで、実はわたしのほうから説明をさせていただきますと、この覚書なるものがもとになりまして閣議了解事項になってくるわけですね。閣議了解事項というのか——これは四十八の三月三十日、「北富士演習場の使用に関する措置について」ということでもって閣議了解が行なわれているわけでありますが、この中に、「周辺整備事業の実施については、この地域の特殊性に立脚した地元の要望を勘案し積極的に推進するものとし、これに必要な助成措置を行なう。「と、ここで初めて八月の覚書が閣議の上でもって認知されているわけですが、それはそうでしょう、とにかく天下の官房長官か約束をしたことでありますから、それはどうも履行不能だなどということは、これはとても言うわけにはまいりませんでしょうから、ついに閣議の上でもって認知をされまして、そこで、「前記事業に対する地元負担の軽減をはかる等のため、関係法令の運用の改善等について積極的に検討する。」——これはあとからお尋ねしますけれども、こういう文章がわかりますか。日本語であることは間違いありませんがね。「関係法令の運用の改善等について積極的に検討する。」と、こういうんですから、どういうものだか、ちっともこれだけのことじゃわかりません。まあ平たく言えば、法律はあるけれども、その法律運用には都合のいいように解釈をして、その地元の意向に沿ってあげましょうという意味のことをこれはいっているんだろうと私は思います、あとからひとつ政府側の見解は聞かしていただきたいと思うんですが。  まあこういうふうに、この八月段階における県有地再提供を求めるための国の、県を相手に取りきめましたその覚書なるものがついに閣議了解にまで発展をして、そしていま申し上げたような閣議の決定ということになっているわけなんですが、まあここでちょっと副長官もお忙しいようですからお尋ねをしておくんですけれども、いま私が取り上げました「関係法令の運用の改善等について積極的に検討する。」というこの意味はどういうことなんでしょうか。
  128. 大村襄治

    政府委員(大村襄治君) ただいま御指摘の四十八年三月未の閣議了解におきまして、関係法令の運用等について積極的に検討することとしておりますのは、従来北富士演習場周辺整備事業の実施については、現行周辺整備法の趣旨が地元に必ずしも周知徹底されていなかったうらみがございまして、その点も原因となりまして、たとえば東富士演習場の周辺整備事業に比べますと著しく立ちおくれていることが認められておりましたので、この現行整備法の趣旨につきまして地元によく御説明して、周辺整備事業を国としても積極的に推進する趣旨を明らかにしたものでありまして、法の拡張解釈により事業を推進するようなことを意図したものではございません。そういう趣旨だったように私どもは理解いたしておるのでございます。
  129. 神沢浄

    神沢浄君 まあ、私は副長官をいろいろと追及申し上げようというようなことは毛頭考えていないところでまりまして、ただまあ私から言わせますと、今度こうやって新しい法案も出てきておるわけですから関係法令の改善というようなことはこれは言い得るところだろうと思いますけれども、「関係法令の運用の改善」−何でこんなわざわざむずかしい言い方をしておるのかというところに問題のみそがあることは事実なんですよ。これはまた県側からすれば、これが必死のところのようであります。覚書の中でもってさっき条件をつけているわけです。その条件が今度はもうしたがって国のほうでもそのことを約束をたがえないあかしを立てるために、閣議の中でもって「関係法令の運用の改善等について積極的に検討する。」と、こういうようなたいへんどうも日本語としても難解な文章をきめなければならなかったのが私は真相だというふうに心得ております。  これが今度はこの閣議の了解事項が決定されたことに基づいて暫定使用協定が本協定にかわるわけであります。県側はこれを一応了として、そして閣議で決定をされたからということでもって、これが三月三十日だったんですが、それから二、三日後のたしか四月の三日だったと思いますけれども、いわゆる本協定の締結が行なわれるのでありますが、その本協定締結に関して「北富士演習場の使用に関する覚書」というのが、今度は暫定でなくして取りかわされておるわけであります。その中にも、「乙は、周辺整備事業については、山梨県が地元市村等と協議して策定する概ね五ヵ年間の計画により実施することを要望していることにも留意しつつ、」——この文章むずかしいですよね。「各年度の予算の範囲内で実施するよう措置するものとする。」——それにまたつけたりかちゃんとありまして、「なお、実施にあたっては、関係法令の運用等について積極的に検討するものとする。」、ここで三度出てきましたね、同じようなことばが。  だから、私の解釈からいたしますと、四十七年の八月二十八日に二階堂官房長官と山梨県知事との間に取りかわされましたところの覚書、これがスタートでございまして、私はこのときちょうど、たとえ話にすれば、服のボタンの穴を一つ間違ったようなことをやっちゃったんじゃないかと思います。それを直せばいいのに直さぬでいるものだから、いつまでたったってボタンの穴が一つずつ違っておるというようなことになっておるような感じでございますが、だから、それがとうとう閣議の了解にまで及び、閣議の了解に基づいてこの本協定の協定文書の中にまでこれは及びですね、そこまで及んではきましたが、しかしやっぱり法律現行法が現存をする以上は、これは現行周辺整備事業というものを幾らここに書いてありますように運用の改善等について積極的に検討をいたしましても、これは限界が当然あるわけでありまして、現行法ではこれはどうにもならないということでもって、順を追って、これが三たび目ですけれども、四たび目はいわゆる法案改正以外にはないという、こういういわば背景というものを持ちなから一それだけか理由ではもちろんないと思いますが、そういう背景を持ちながら、順序を追いながらいま私どもの前にこの法案の提出が行なわれておるというように私は解釈をするわけであります。副長官及び防衛庁長官の御所見を承りたいと思います。
  130. 大村襄治

    政府委員(大村襄治君) 閣議了解に引き続いてできましたこの覚書におきましても同じような文言があげられている点がどういう理由かという点につきましては、先ほど閣議了解について申し上げたと同じように私ども理解いたしているのでございます。今回の法案がこの現行法の関係でどうなっておるか、これは北富士演習場だけではなく全国のいろいろ演習場の問題について検討の結果、今回の新しい法案が提案されたものと受け取っておりますので、必ずしもこの問題と新しい法案とがぴったり一致すると申しますか、これだけが理由で新しい法案ができたものというふうには受け取っておらない次第でございます。
  131. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもう先生が何べんも読まれましたように、「関係法令の運用等について積極的に検討」ですから、既存の、すなわち現行防衛施設周辺整備法といわれておる法律運用というものをやれという、検討するということでありましょうから、これは運用を無制限に拡大していくというようなことは補助金適正化法等を踏まえている大蔵省という役所がありますから限度のあることであります。この問題はこの問題、しかし、新しい法律は先ほど私が申しましたことに尽きるわけでありまして、そういう考え方で新しい法律をつくる。これは現行制度運用について積極的に検討するということでありますから、したがって現行制度運用検討と新法というものは直接の因果関係はない、そういうふうに考えております。
  132. 神沢浄

    神沢浄君 副長官がお忙しいようでございますから、もう一問だけお尋ねをして済ませたいと思います。  それは、二階堂官房方官がおいでにならなければあるいはおわかりにならないかとも思いますが、この覚書の問題に返りますけれども、いまだにはっきりしないことが一つあるんです。それは何かというと、国会の論議の中でもって二階堂長官は私にもそういうお答えをしてくださったときがありますが、私が、あの覚書というのがいわゆる諸悪の根源になっちゃった、だからその覚書にまたもう一回返って、そうしていわゆる先ほど申し上げたようにボタンの穴一つかけ違っておるんだから、それをもとに戻して直さなければだめじゃないですかと、そういうような覚書をどういう理由長官は取りきめをされたのですかと言ったところが、二階堂長官はたいへん正直ですよね、山梨県知事とそれから県会の議長というのが来て、そうしてわれわれとしてはこうしてほしいというお話だったから、かりにも県を代表する知事、議長だから私は別に問題はなかろうと思って、しようがない、調印をしたというように言われているわけなんです。これは会議録にも残っておるわけなんです。  ところが、これは山梨県の県民室で発行しているところの県の広報文書なんですが、これには「内閣官房長官の申し入れ」と、こうありまして、そして「八月一日、知事は二階堂官房長官の招きを受けて首相官邸におもむきましたが、そこで官房長官から、総理大臣、外務大臣、大蔵大臣、建設大臣防衛庁長官が協議の結果政府考え方としては、北富士演習場を従来どおり使用したい。富士保全法を立法するとともに地元の民生安定のため諸施策を講ずる。」、以下云々と、こういうようにこれは県民にひとしくみんな配られている。これはりっぱな広報文書ですね。そうすると、あの覚書の内容というものは、これは国側の言い分を聞きますと、県が持ち込んできたから県の言い分を信用してやったんだということになっておりますし、県知事の側では、これは二階堂官房長官から申し出があったから聞いたんだということになっておるし、これは全く逆ですね。これはどっちが事実だったかということを副長官御存じでございましたらばお答えをいただきたいと思いますし、御存じないことでしたら率直にそうおっしゃっていただけばけっこうでございます。
  133. 大村襄治

    政府委員(大村襄治君) ただいまのお尋ねの点につきましては、私が二階堂長官から承っておりますのは、県知事さんが何度もお見えになって熱心に言われるので、お話を聞き調印をしたということでございまして、また、そのようなことを先生のお尋ねに対する答弁の中で述べられておる点も私承知しておる次第でございます。
  134. 神沢浄

    神沢浄君 これは先に委員長にお願いをしておきたいのですが、これは二十三日に官房長官にぜひ出てきていただいて詰める問題なんですが、そこでもってやっぱりそれは県の言い分と国の言い分が食い違ったままということじゃ困るわけですから、その際にはひとつ県知事を呼んでいただきたいと思います。
  135. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 理事会で相談をします。
  136. 神沢浄

    神沢浄君 それでは質問を進めさしていただきます。  先ほど来私が幾たびか指摘を重ねましたように、やっぱり無理な覚書というようなものを結んでしまったがために、その無理を合法化しなきゃならぬというようなところから、この北富士の問題というやつはいろいろな形でもっていま展開をされてきておる、こういうことが私は実態だと思うんですよ。たとえば、国会の中でもって私も幾度も取り上げたわけでありますが、林雑補償支払いの問題にいたしましても、あれはあの覚書の中でもって、林雑補償の扱いについては、これは山梨県の演習場対策協議会と協議をした上で、基づいてやるというようなことをきめちゃってありますから政府は逃げようがない、こういうことだと私は受け取っております。それから、あとから少し詳しく触れたいと思いますけど、二百十ヘクタールの国有地をこれを払い下げるなどという約束をしちゃっておるから、いま国の方針とすればむしろ国有地はふやさなきゃならぬような情勢の中でも、あえて何か払い下げの方針を進めなきゃならぬなどというまことにきわめて不自然、無理な状態が起こってきておる。同時に民生安定事業の実施につきましとも、先ほど来幾度もくどいくらいに触れましたように、法令の運用の改善を積極的に検討などしなきゃならぬようなそういう事態が起こってきていると思うわけであります。私はこの法案が提出されてきておる背景の中にこそ重大な問題があると、こう冒頭申し上げたのはそういうような見解を持つからでありまして、そこで、多少具体的に問題の討議をしてみたいと思うんですが、覚書に書いてある順からいたしますと、第一に国有地の払い下げ問題がありますので、国有地の払い下げの問題からひとつ質問を進めてみたいと思います。  まず、この国有地払い下げ問題というのでもって何としても私などがわからないのは、これは何のために払い下げをしなきゃならぬのか、こういう点であります。私が申し上げるまでもありませんけれども、いま公有地の確保の推進をはかる、そのための法律をつくるということが現在の日本の実情であろうかと思います。そうしなければ、それはもう土地問題などにいたしましてもほんとうに政府の政策というのは半身不随みたいな状態に立ち至らざるを得ない。それは政府が十分な土地政策をとっていくには、何といってもこれは国有地、公有地というものの拡大は当然でありましょう。大体今度私はこの法案をながめて見まして、この辺たいへんけっこうだと感じたところもあるわけなんですが、飛行場の周辺などこれはもう騒音のはなはだしいような場所はきわめて迷惑だから、そういうところはひとつ国で持とう、そしてそういうところに住んでおられる人たちには、もっと静ひつで安全な土地に新しい生活を求めていったらこれはけっこうじゃないですか、しかし、そのためにはその土地の買い取りは国がしょうというふうにこの法案の中にあるように見受けます。それが今日の情勢なんですよ、日本の。国の政治のそれはまた姿勢でなければならぬわけですよ。ところが、演習場が存在をする、その演習場に直接続いておるところの近傍の相当の土地を何で国では払い下げをしなきゃならないんですか。私はここの点が何としてもわからないんです。ある程度それは見当をつけておるようなこともありますが、私はこの論議を通じて少しひとつ明らかにしていきたいと思うわけです。一体これは何のために払い下げをするのか、しなきゃならないのか。この点からひとつお答えをいただきたいと思います。
  137. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 閣議了解の一項といた、しまして、「林業整備事業を実施するため、国有地約二一〇ヘクタールの払い下げを行なう。」、その対象といたしまして、山梨県及び演習場周辺地方公共団体、富士吉田市、山中湖村、忍野村及び恩賜林組合という条項がございますが、これはかねがね地元といたしまして国有地の払い下げをしていただきたいという話もあり、しかもその目的たるや林業整備事業であるということでもあるということで、この北富士演習場を使用転換するに際しまして林業整備、しかも地元に払い下げるならばということでもってこういう決断が行なわれたというぐあいに私は承っております。
  138. 神沢浄

    神沢浄君 それだけで納得しろと言われてもこれは無理ではないですかね。私が何か重ねて申し上げるとまあ非常にくどいように聞こえるかもしれませんが、私に納得できないのは、いま国有地などはふやさなきゃならぬという、こういうわが国の状況はあるわけです。それからこの法律関連して考えてみても、演習場、いわゆる基地の周辺などというものは、むしろそれは国が買い取って、そうしてそんなところでもって住民に迷惑なんか及ばないような地帯をつくろうと、そうでしょう、この法案の中の一つの思想というか、方針というものは。そういう情勢であるにもかかわらず、北富士につきましては、わざわざ国有地があるものを、それを地元団体に払い下げをするというそのことがわからないというわけなんですよ。私は何ともこれ納得できぬから、いままで国会の中でもって幾度も取り上げてみたことがあります。なくなられました愛知大蔵大臣は、これはまあ国有地、いわゆる国有財産の処分の問題ですから大蔵大臣にもお尋ねをしてみたところが、愛知大蔵大臣は、これは政策上の見地からというようなことを言われました、たしか。それからつい先ごろ、今度福田大蔵大臣にお尋ねをしたところが、これは特例中の特例だと、こう言われているわけであります。しかし、これだけの表現では私にはとてもこれは納得はし得ないですよ。政策上の見地と言われるならばどういう政策によってのことか、特例中の特例と言うならば、何のためにその特例中の特例などをやらなきゃならぬのか、そこがわからないんです。これはひとつ私は長官にも御意見を聞きたいと思いますし、少し懇切な御説明を伺いたいと思います。
  139. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 重ねて御答弁いたしますが、これを払い下げを行なうという決意をいたしましたのは、先ほど申しましたように北富士演習場の使用転換、転換後の演習場の円満なる使用ということを目してこういう決定をされたように承っております。先ほど先生から、新法で、今度飛行場等周辺で一種、二種、三種という区割りをいたしまして、その中心部になるところにつきましては建物とか土地を買収するとかあるいは緑地帯整備するとかということと精神が相反するんじゃないかという御指摘がございましたけれども、これは飛行場の場合にそういった措置をいたしますのは、やはり世間でいわれている騒音公害と申しますか、そういうものに対処しまして、なるべく飛行場に近いところは緑地帯とかなんかにしていく、それから人家のないような形にしておいたほうがよかろうという、これは運輸省の法案と全く同じ考え方に立つわけであります。じゃ、演習場のほうは一体どうだ、せっかくの国有地を売り払って全くおかしいじゃないかという御指摘でございますけれども、売り払うという趣旨はさっき申しましたようなことでございますし、さらにはまた今回の二百十ヘクタールというものは林業整備事業、つまり森林でずっと保存されるということでございます。したがいまして、国有地から離れましても使用形態から申しまして、やはり演習場の発するいろんな騒音とかそういう点から考えますというと、利用形態としてはやはり理にかなった方法じゃなかろうかというぐあいに考えます。
  140. 神沢浄

    神沢浄君 少しここへ時間をかけなきゃならぬようでございましてたいへん恐縮ですが、いま法案説明にちょっと触れられたようですが、これはなるほど法律の上ではいまの規定は飛行場の周辺ということになっております。しかし、私は規定のみを言っておるわけではなくて、飛行場の周辺はすごい騒音ですから、これはことさらそうでしょう。しかし、やっぱり演習場の周辺といえども演習のあるときには相当騒音もあるでしょうし、ただ騒音のみに限らず、演習行為によってかなり周辺にはいわゆる迷惑の及ぶようなことは多いわけなんですから、法の上の規定は飛行場のみだと言っても、さっき申し上げたようにいわゆる思想、方針という点からいけば、私はこれは演習場といえどもやっぱりそれに準ずるような考え方というものは当然とられていかなきゃならぬことだろうと思うんです。演習場のほうは逆に、ある国有地は外に売り出すなんということにはこれはなってはいけないことだろうとこう思う。そういう見地からお尋ねをしているのでありますが、どうも明快なお答えになりませんから私のほうから申し上げます。  これは何といってもこの国有地二百十ヘクタールー二百十ヘクタールといえはたいしたものです。しかも、もとより御存じでしょうけれども山中湖から河口湖の間に所在をする国道百三十八号線の直接沿道であって、いまあの付近はもう大体時価では坪五万円を下りません。こういう場所なんです。私はその林業整備事業という払い下げの目的につきましてもあとからお尋ねをする予定にいたしておりますが、そのようなところを、しかもいま、ときに公害列島などとまことに不名誉なことがいわれるような日本の現状において、あの演習場に年間に東京の都民の方たちなどを中、心にしてどのくらい休養を求めておいでになる数があるか、長官御存じかどうか知りませんが、これは相当の数に及ぶんです。おそらく年間を通じましたら百万をこすんじゃないでしょうかね、私もそこまで詳しく調べてはおりませんが。ときによれば不発弾の事故なんかも起こります。不発弾の事故などが起こってもなおかっ百万をこすような人たちか——それは無理からぬことですよ、日本の象徴ともいう、まあ外国人は大体日本といえば富土山、桜と、こういうことになるじゃありませんか。霊峰富土のふもとの高原ですもの、これは東京の都民の皆さん方あたりが毎日よごれた空気の中でうめくような生活をしておられる方たちが、車で一時間かあるいは二時間以内ぐらいの間に行くことができる場所ですもの、そういう状況になってあたりまえのことなんです。  そのような地帯のしかも目抜きの場所なんですね、この二百十ヘクタールは。私はこれは国家としての政策の見地の上からいっても、はたして林業整備事業などということは何をするのか知りませんけれども、これにやらせるよりか、やっぱり演習場の周辺であるから、この新しい法案の持っておるところのそういう精神や考え方の上に立ってみてもしかり、もっと大きく国民のための環境政策というふうに見地の上に立ってみれば、なおさらのこと私は国有地として残して、そうしていま国民運動としてもかなりそういうものが強まってきておりますが、富土の高原をあの演習場をなくしてひとつ国民の休養センターにしてほしいというこういう運動がいまかなりほうはいたるものがあります。演習場のその問題はきょうの質問の主眼じゃありませんからこれはさておきましても、その周辺の国有地をこれを売り渡して払い下げてしまうというようなことは、これは私は何としても不自然千万だと思う。不自然どころじゃなくて、これはちょっと言い方が失礼かもしれませんが、私はふらち千万のことだというくらいに考えまずよ。私が調べてみたところでは、これは防衛施設庁はその団体にそれを払い下げなきゃならぬような原因をつくっているんですね。  この前、時間がないから非常に質問が中途はんぱになってしまったんですけれども、予算委員会の一般質問の際にたしか施設長官に資科として読んでいただきました。これまた覚書ですね。とにかく防衛施設庁はこの覚書にずいぶんと拘束をされちゃっている現状のようでありますが一昭和四十五年の七月四日に、今度——まだ本ぎまりにはなっていないんでしょうけれども、表面にそういう文字はあらわしてはありませんが、国が払い下げをしようと考えておるところの団体は富士吉田市外二ヶ村思賜県有財産保護組合ですね、まあ手続上そうなってはいないでしょう、まだ測量の最中だそうですから。この保護組合とそれから当時の防衛施設庁の長官の山上信重さんとの間にこれまた覚書が取りかわされておりまして、甲というのは組合のほうで、乙というのが防衛施設庁のほうですが、いいですか、第二項に、「甲が上記1の林業経営の再建整備事業」——もうここへあらわれてくるわけですね、四十五年に。——「を実施するための用地として払下げを希望している国有地(宇梨ケ原——檜丸尾——土丸尾等軍用道路北側)」——いまの場所です。二百十ヘクタールという問題の場所です。——「については、乙は、本演習場の使用転換の際に約百五十ヘクタール以上の」——このときはまだ二百十ヘクタールが演習場から除外をするという以前の問題、とにかく四十五年てすから。——「区域の返還の実現に努めるとともに、甲が関係機関に払下げを申請した場合は、乙はこれに協力する。」こういう条項がありますね。それから六には、「甲は、東京地方裁判所に提訴中の自衛隊違法使用排除の訴訟の進行を停止するよう努めるものとする。また、甲は、上記2の国有地の甲に対する払下げの方針が決定した場合には、本訴訟を取下げ、自衛隊への使用転換賛成の意思表示を行なうものとする。」、これはやみ取引じゃないですか。  要するに、平たく言えば、この恩賜林組合は自衛隊に対して訴訟を起こしていたんですね。不法使用の訴訟を。私が聞くところによると、これは裁判所の例の見通しというのは、どうも国のほうが負けそうだというんです、八分どおり。そこでたいへんあわてまして、国有地百五十ヘクタール以上——今日においては二百十ヘクタールというところのきわめて大きく貴重な財産をあえて代償として提供をしてその訴訟の取り下げをしてもらった、こういうことですね。してもらうという約束をしたその覚書を四十五年に諦結をしたわけですね。それが今度四十八年に及んで、いよいよ自衛隊への使用転換という方向が実現化してまいりましたから、この覚書があるがためにその団体からねじ込まれて、これは国はそれを聞かざるを得なかった。私はそれが真相だと思うわけであります。したがって、これもついに三月三十日の閣議の了解の中でもって認知をされているわけであります。私は、何といいますか、国会議員という立場からはもとよりですけれども、国民という立場からいたしましても、何か国のそういう政治のあり方というものに不可解といいますか、非常にわからない気持ちを避け得ないんです。  それは繰り返すようで恐縮ですが、言うなれば日本の目抜きの場所ですよ。日本全体の目抜きの場所をあの団体に払い下げをしてしまわなきゃならぬでしょう。しまわなきゃならぬ原因は、防衛施設庁がこんな覚書なんというものを取りかわしちゃってあるからですね。これはしようがないですね。だからいま私は、それはいろいろ説明をされても、それをそのまますなおに理解するというふうな気持ちになれといったって無理ですよ、こういうことを知っておる以上は。ですから、それに対するひとつ国側の見解をも聞かしていただきたいということと同時に、まだ払い下げがきまっちゃっているわけじゃないんだから、私は国家的立場から、国の政治というものにほんとうに真剣に取り組む立場から、これは何とか考え直すぐらいの決断というものは持てないですか。特に私は山中長官などには人間的に期待をするだけに、ほんとうに真剣にそういうことを訴えたいと思うんです。ただ単なる二百ヘクタールくらいの土地の左右くらいじゃ私はこんなことをくどくど申し上げませんよ。日本の目抜きの場所なんです。これは委員会でも、委員長、もし何だったら一度御調査をお願いいたします。こういう目抜きの場所を、裁判を取り下げるための約束をしちゃったそういう代償として一団体に渡してしまうというようなことできるんでしょうか。ほんとうに国の政治をあずかるというこういう立場からして、私は何としてもそこら辺がふに落ちないんです。前段の経過は施設庁の長官からでけっこうでございますし、また、あとから申し上げましたいわゆる国の政治をあずかる立場からの御所見というようなものは大臣からお聞かせをいただきたい。
  141. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 四十五年の七月に、ただいま御指摘のように私の三代前の施設長官の山上さんと恩賜林組合の組合長さんとが一種の覚書というもの結んでおりまして、先ほど先生がお読みになりましたようなことで、「甲が関係機関に払下げを申請した場合は、乙はこれに協力する。」つまり、恩賜林組合が申請したときには防衛施設庁長官としてこれに協力するという文書は確かにございます。で、当時は、これも先生御指摘のとおり、第六項にございますように裁判訴訟の問題とかあるいはまた将来の使用転換というものを目してこういう文書をかわしたということを私は事務引き継ぎとして承っておるわけでございます。ただ、この文書を読んでいただきますというと、「乙はこれに協力する。」ということでございまして、あくまでも施設長官は基地施設区域あるいは防衛施設という問題につきましては管理について責任はございません。国有地の払い下げにつきましては、これは御案内のとおり国家行政の権限配分をもちまして大蔵大臣にあるわけでございます。したがいまして、こういった文書を書きましたからといって、そこで完全な約束をしたということに私はならないのじゃないかと思います。  それから第二点の先ほど御指摘のございました三月三十日の閣議了解でございますが、この文書には、面積が変わっておりまして二百十ヘクタール、それから林業整備事業ということが入ってございまして、その対象者にはこの三項にございますように恩賜林組合のみならず山梨県とかその他地元のいろいろな市町村が入っておるわけでございまして、恵賜林組合に必ず払い下げをするという文書にはなっていないということを申し上げておきたいと思います。
  142. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私も閣議了解がなされました後の就任でございますので、私自身に意見がないかと言われればないわけでもありませんが、かといって閣議了解の変更をするという決定的な、あるいはまた慣習としてもそのようなことは、一ぺんきめたことを変えるということはよほどのことがない限り前例がありません。したがって、私はそれを踏襲すべきものと考え措置いたしてまいりました。いまからでもおそぐないとおっしゃったんですが、実はちょっとおそかったんです。五月十七日付のこれは閣議了解事項でございますので、通常ならば国有地払い下げについて関係官庁が事務当局同士で話を詰めて大蔵大臣に上げるのが普通でございますが、一応閣議了解事項でありますから、私の決裁すなわち大臣決裁をもって大蔵大臣あての文書をすでに発送をいたしました。作業としては、いま私どもの測量が終わったことに伴って、大蔵省側が受け取るべき事務のすり合わせその他をやっておると思います。したがって、私から大蔵大臣福田赳夫あてに、件名を   昭和四十八年三月三十日付閣議了解「北富士  演習場の使用に関する措置について」第三項第  三号により払下げを行うこととなっている国有  地の測量の完了に伴い、標記国有地を防衛施設  庁から引渡しをさせることとしたので、通知す  る。  添付書類   一 北富士演習場返還地の測量結果表 一部   二 測量実測図一部  そういうことで、私どものほうとしてはもう大蔵省のほうへお渡しをする手続を終えております。その点御意見の違いがありますることをたいへん私も恐縮に存じます。
  143. 神沢浄

    神沢浄君 わかりました。もう所管は大蔵省へ移ったと、こういうことでございますね。山中長官もきっと肩書きを抜きにすればもっとずっと違った意見が聞かれるものというふうに私は私なりにほんとうにそんな期待もするわけなんですが、閣議できめられておるからには、その閣僚であるからにはやむを得ないということだろうと思われますが、そうなれば今度は大蔵省が、これはもう払い下げについてはやっぱり法律上の所定の手続というものがあるわけでございましょうから、そういうものにこれから取り組まれていくことになるのでありましょうが、おそらくこの問題の最終的な処理に関しては政治家山中長官としての意見などが出せるような期待もあるかもしれないと思いますので、そういう際には、私はいまここでもって表立っての御意見を求めたりなどいたしませんが、私が心中というか腹中でもって期待をしておるところの長官の平素の政治観、信念、そういうふうなものからおそらく出るであろう意見を期待をいたしておきます。  そこで、それではついでですから、大蔵省お見えになっておりますね。大蔵省へ今度はその所管が移ったと、こう言われますから、これから国有地の払い下げにつきましては、大蔵省段階ではどういうような事務手順が進められていくのか、それをちょっとお聞きしておきたいと思います。
  144. 川崎昭典

    説明員(川崎昭典君) この問題につきましては、さきに御答弁申し上げたことがあるかと思いますが、四十年の四月に国有財産中央審議会に御審議をお願いしてございます。したがいまして、国有財産中央審議会の議を経まして、具体的には国有財産関東地方審議会というのがございますが、それにおはかりをして払い下げを行なうという手順に、なっております。
  145. 神沢浄

    神沢浄君 ついでですから、この際いま提出になっておる法案との関係についてお聞きをしておきたいと思うんですが、現行法の第七条でやっぱり普通財産の譲渡や貸し付けの規定というようなものがありますね。これはこの事業の目的のために必要なというこの条件の上に立って七条で普通財産の譲渡、貸し付けについての規定があるのですけれども、これが現行法の上でもって適用された前例がありますか。
  146. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 現行周辺整備法でこの七条の規定が適用された例はございません。
  147. 神沢浄

    神沢浄君 ない……。  そこで、今度の新しい法案によりますと、大体現行法の七条規定を受け継いでいるわけだけれども、何か九条の二項というようなものが新たにその適用の範囲に加えられておるわけですね。従来は要するに現行法の三条でもって規定されておるところの事業目的、あるいは四条で規定されておるところの事業目的に必要なという際には国有財産の払い下げもできると、こういうふうに私は読んだんですが、今度新しい法案では、それにさらに第九条の二項にかかわる事業のために必要なという、いわば対象の範囲が拡大されておるように受け取れるのですが、それでよろしいですか。
  148. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 新しくただいま御審議いただいている法案におきまして、第九条というものが現行周辺整備法以外の一つ考え方として加わってまいりましたが、この場合にも、特定防衛施設周辺におきまして、その特定防衛施設があるためにいろいろとその生活環境または周辺地域の開発に影響を受けているところの当該市町村が、そういう影響を受けながら公共用施設整備等を行なうという場合に、そういう公共用施設整備に必要な特定防衛施設周辺整備調整交付金というものを交付するわけでございます。この調整交付金の交付を受けられた市町村がこの交付金でもって行なわれますものも、やはりそういった特定防衛施設周辺整備のための公共用施設ということでございますので、従来の三条、四条、新法案におきます三条、八条の施設と同種の施設考え、今回の十一条におきます国の普通財産の譲渡の対象にもこれを加えたわけでございます。
  149. 神沢浄

    神沢浄君 要するに、対象範囲が非常に広げられた、こういうふうに私は受け取っておるわけですね。いままでは三条と四条でもってかなりはっきりきまっていたわけです。この九条の二項なんということになると、いわばレクセンターであろうとスポーツ広場であろうと、その地域の福祉にかかわるものということになると、これはかなり広いものになって、国有財産をその必要に応じて払い下げをし得るということになっていくと、先ほど来例の二百十ヘクタールの払い下げの問題でもってお尋ねをしておるように、何かそれらしい目的の理屈をきめれば……、こういう聞き方をしましょうか、今度の新しい法律が成立をしました際には、あの二百十ヘクタールなどはこの法律に基づいて今度は払い下げができるというようなことになりますか。
  150. 田代一正

    政府委員(田代一正君) この新法の十一条の規定は、具体的に申しますというと、三条の障害防止とかそれから八条の民生安定施設ということですが、たとえば第八条の民生安定施設で申しますと、どこかコミュニティーセンターを市町村でつくりたいといたします。ところが、なかなか土地がない、たまたま国有地があいていたというときに、その国有地の上に建てさしてくださいとか、これは一種の貸し付けるという問題ですが、場合によっては譲渡という問題もございましょう。そういう場合に利便をはかるというのがこの条文の趣旨でございます。この条文から出てくる恩典といたしましては、普通ならば国有財産を持っておりますというと、やはりなるべく高いところに売却する、あるいは貸すということがございますけれども、そういうような目的で貸してほしいとか売ってほしいという話があったときには、一種の随意契約はできるというのがこの条項の恩典になるわけであります。したがいまして、先ほど来質問がございました二百十ヘクタールというような場合と本件の場合は違うということは御理解願えたかと思います。
  151. 神沢浄

    神沢浄君 さっきの続きでもって大蔵省にちょっとお尋ねしておきたいと思うのですが、今度払い下げの問題の所管が大蔵省へ移ったと、こういうのです。いま払い下げを受けたいという、いわば申し入れといいますか、そういうものについてはどんなようになっておりますか。
  152. 川崎昭典

    説明員(川崎昭典君) 恩賜林保護組合が申請をいたしております。そのほかいろいろございますが、忍草入会組合が放牧用の土地として払い下げてほしいということを申し入れております。また、旧地主が返してくれという申請も出ております。そのほか現状のまま払い下げてくれるなという申請もございました。
  153. 神沢浄

    神沢浄君 その払い下げてくれるなという申請を大いに尊重してほしいと思いますが、それはさておきまして、そこで、たしかもう十数年以前にさかのぼるでありましょう。何年であったかは私もちょっとここでもって記憶を引っぱり出すに容易じゃありませんから、必要によってはあとから調べたいと思いますが、こういうことですね。アメリカ演習場等に、何といいますか、地位協定に関連するところの法律に基づいて、演習場内の地域の一時使用許可という制度がありまして、そしてそれがちょうどいまの問題になっている二百十ヘクタールの一部分をその一時使用許可を取得をして、忍草入会組合が植林のためにこれを使用をして、もう木はこんなに十数年前から大きく育っておる現状がありますね。それからさらに他の部面には新屋入会組合というのが、これは農耕が目的でもって今日まで農耕のために利用してきたと、こういう実績がありますね。今度アメリカ演習場ではなくなったから、形式上はおそらく一時使用許可はもう解消されてしまっているということになるのでありましょうが、しかし、植えた木はそのままそれはもう生長して現在存在をするわけでありますね。  そのときに、私の調べた範囲では、今度国がいわば払い下げの対象者として要求をされておる例の恩賜林保護組合ですね、この恩賜林保護組合も同様に一時使用許可の申請をして、いわば忍草入会組合などと競争になったわけでありますね。競争になったのですが、その際には忍草入会組合のほうへ縁故関係等に基づいてだと記憶をいたしておりますが許可は与えているわけでありますね。こういう実績があるわけなんです。そうなりますと、私はもし国がこの二百十ヘクタールをどうしても払い下げをするという方針を変えないならば、この恩賜林組合とそれから忍草入会組合が、いまの御説明を聞きますと、また共願になっているようでありますね。そうすると、前回十数年前に忍草入会組合が認可を受けた理由というのは、これはやはり今日におきましても別段の変化がなければそのままやはり生きているのだろうと思うのですが、そうなりますと、これは結果とすれば、国がどうしてもあの土地の払い下げをするという方針をとる以上は、これは忍草入会組合のほうへむしろ払い下げをしなければならないような理由が出てきやしませんか。  私が調べたところでは、たしか十数年前の忍草入会組合と富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合がその一時使用許可の共願になったときに、この恩賜県有財産保護組合のほうがいわば認められなかったという理由といたしまして、これは山梨県民室が作成をしております「北富士演習場問題の概要」という中にあるのですから、これは明確な根拠を持つ女資料でありますが、この概要の中にこう書いてあります。「保護組合に許可しない理由は、同組合規約第二条により恩賜県有財産の保護の目的に必要以外の事務について行為能力がないと判断されたからだと」なっているわけなんです。そうすると、これはそのときそうで、今度変わっているということにはならないのじゃないですかね、どうなんですか。あれはやはり施設庁の関係ですかね、その当時の許可をしたのはアメリカ軍なんですけれどもね。しかし、アメリカがそのようなことはわかりっこないですからね、おそらく施設庁がアメリカ軍にかわってやっているのじゃないですかね。こういったはつきりした理由をあげて恩賜県有財産の保護組合のほうは認められていないんですよ。忍草入会組合のほうが認められているんですよ。そうなりますと、今度どうしても二百十ヘクタールを払い下げをするんだということになって、さっき大蔵省から言われているように、両者から願書が出ているということになりますと、これは何といいますか、忍草入会組合のほうに払い下げをせざるを得ないようなごとになりはしませんか。それもいままでの政府のやり口のように政策上の見地とか特例中の特例ということで片づけられていけば別でしょうけれども、どうなんです。その辺少し論議をしていきたいと思います。
  154. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 問題の忍草が植林をしておられます部分は梨ヶ原地区の一角にありまして、昭和三十年に日米間で演習場使用に支障のない範囲においてということで、忍草に対しては植林、新屋に対しては農耕というものをいわば使用条件の一つとして認めたという経緯はございます。これに基づきまして、昭和三十一年に、その日米間の取りきめに基づきまして関東財務局長が忍草入会組合長に対して国有財産の一時使用の許可を与え、さらに昭和三十四年にその一部を範囲等を改正した形で今日まで植林の状態が続いているということは事実でございます。ただし、御指摘のように、これはあくまで米軍に二条一項の施設として提供している期間を前提とした一時使用許可でございますので、昨年四月十一日に自衛隊に管理が移りました時点におきまして、この一時使用許可の前提というものはなくなっているわけでございます。したがって、忍草入会組合に対する許可の条件等の中にも、そういうふうな使用の終期が来た場合には補償請求については放棄するとか、そういった問題が一応許可の内容としては掲げられております。ただ、先ほど御指摘の当時恩賜県有財産保護組合との間に競願となって、恩賜県有財産保護組合のほうがそういう当事者的な能力がないというような理由で忍草が選ばれたという経緯につきましては私どうも記憶はいたしておりません。なお、この現在植林されております土地、おそらく木も十五年生ぐらいにはなっておろうかと思います。この部分につきましてどう扱うかの問題は、これはほとんどが二百十ヘクタールに入っております。今後の二百十ヘクタールの処分との関連において取り扱われるものと承知しております。
  155. 神沢浄

    神沢浄君 今度は所管がかわったから長官部長から御意見を聞くことはちょっと妥当ではないのかもしれませんが、私が特にお聞きしたいと思う点は、今度の払い下げの目的は林業整備事業ということでしょう。前回もやっぱり、まあしいて言うならば林業整備にも当たるわけでありましてね、この植林のために一時使用を許可をする一こういう中で競願になったら、何か先ほど読みましたような理由によって恩賜林の組合のほうが敗れているわけですね。そうすると、今度やっぱり林業整備事業を払い下げの目的としてやるについては、同様に競願になった場合には、これは十五年前ですか六年前ですか、このときの理由と事情というものが変化がないんだから、これはやっぱりこの理由に基づいて、いわゆる当事者能力の問題でもって忍草入会組合のほうが払い下げの条件というものは、よりそろっているということになりはしないでしょうかね、どうなんでしょうね、その辺の見解は。「北富士演習場問題の概要」という県が出している何の中にありますから。
  156. 川崎昭典

    説明員(川崎昭典君) 御指摘の忍草入会組合は確かに競願者として出ておりますけれども、全面積ということじゃございませんで、最初は恩賜林組合に払い下げてくれるなという願書が出てまいりまして、その次には一部分を払い下げてくれという願書が出ておるわけでございますが、実際の経緯から見ましても、返還と同時に失効するという一時使用でございますから、貸し付けでも何でもございませんので払い下げの対象として適格があるというふうには考えていないわけでございます。従来からの経緯がございまして、二百十ヘクタールというまあ全地域の植林事業をやる、こういう目的で払い下げる場合には恩賜林組合が適当ではないかと大蔵省では考えておるわけでございます。
  157. 神沢浄

    神沢浄君 わかったような、わからないような説明のようですが、そこで、どうですか、それじゃ林業整備事業というものをひとつお尋ねをしたいと思うんです。林業整備事業というのは具体的にはどういうことですか、その植林をするということですか、どういうことなんでしょう。
  158. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 非常に月並みな御答弁になるかもわかりませんが、林業整備事業は、植林をし、それを保育し、管理し、収益をはかるということであろうかと思います。
  159. 神沢浄

    神沢浄君 そうすると、その植林をし収益をはかるために、まあある団体に、これは表面的には閣議の了解事項の中では複数の表現になっていますがね。何も恩賜林組合に限らない、市町村、市村でもいいような書き方になっておったと思うんですが、そういたしますと、しかしあれだけの国有地を払い下げようということであるからには、まあさっきの、私はあれは間違いなしに全くこれは裁判を取り下げてもらうための取引であったというふうに認識をいたすんですが、それがあるから、これは約束したからには、どんな無理があっても恩賜林組合へ払い下げなければならないという、こういう方針を国が持っているとここでおっしゃるならまた別ですよ。それならこれはまた別な問題として検討しなきゃならない点だと思いますが、しかし、林業整備事業という目的のために、その二百十ヘクタールの土地を、国有地を払い下げるんだと、こういうことであるとするならば、これは何かやっぱりそれにはその団体に林業の整備事業をさせなきゃならないような理由というものが在在しなければ、ちょっと私はこれだけ膨大な国有財産の処分をするには理由薄弱だと、こう考えざるを得ないと思うんです。だから国民にとつちゃたいへんなもんですよ。二百十ヘクタール、あの辺なら、いまさっき触れましたが時価にして大体坪五万円を下らないです。五万円を下らないと、うことになると、二百十セクタールというと、計算するとどのくらいになりますか。これはおそらくあれじゃないですかね、数百億になるんじゃないですかね。数百億の国の財産を林業整備事業——何か何やらわからない、いまこうやってお尋ねをしたって、植林をして収益をあげるなんという程度のそんなことでもってこれは簡単に手離しちゃっていいものですか。
  160. 川崎昭典

    説明員(川崎昭典君) 恩賜林組合では林業再建整備事業といっておりますが、趣旨は、恩賜林組合と申しますのは、明治十五年、たしか十五年でございましたか、以来の一部事務組合で、地方公共団体でございますが、非常にたくさんの土地を持っておったわけでございます、恩賜林というのも。それが情勢の変化によりまして大正の末ごろにかなり手離したと、で、再び現在情勢の変化で、演習場を縮小して返還する、こういった場合に、土地を回復して林業を整備したい、特に現在の二百十ヘクタールの場所はかつて林のあったところであると、再びそこに林を取り戻す、そういう意味で再建整備事業といっておるわけでございまして、かりに二百十ヘクタールが払い下げになりましても、発足当時の所有土地面積に比べましたらなお不足する程度でございます。決して相手方として国有地が大き過ぎるというようなものではないと考えております。
  161. 神沢浄

    神沢浄君 まあ、国有地は大き過ぎるというものではないのかもしれません。しかし、恩賜林組合というものは、いまいみじくも言われたように、相当に土地を、林地を所有しているわけなんです。それにさらに財産をふやさして、そして収益をあげなきゃならないなんという、そういうまた事情も成り立たないんですよ。まあ急なことですからこれは無理かもしれませんが、いま恩賜林組合がどのくらいの土地財産を持っておるかというのはおわかりになっておりますか。
  162. 川崎昭典

    説明員(川崎昭典君) ちょっと手元に正確な資料がございませんのでわかっておりません。
  163. 神沢浄

    神沢浄君 じゃ、私のほうから申し上げましょう。いま恩賜林組合は部分林を千六百五十ヘクタール持っている、それで組合所有林が二百四十ヘクタール、県有地の借地が七十ヘクタール、山梨県一の山持ちですよ。それでしかもこれはちょうど閣議決定が昨年の三月三十日になされまして、表面的には恩賜林組合という名前はあらわれてはおりませんが、しかし、裏面におけるところの話し合いでもって、閣議決定がなされた以上は当然自分の組合に払い下げが受けられるものと組合は考えているようでありますし、したがってそういうような事情の上に立って、同じ日にこの恩賜林組合は何をきめておるかというと、六十ヘクタールを富士急行株式会社に貸し付けをするということをきめておるのですよ。あの富士急ハイランドというこれは非常に大きなレクセンターがありますが、いま収容人員では全国一だそうでありますけれども、あれもかってはこの恩賜林組合が所有をしておった土地であったんですよ。そうすると、六十ヘクタールを人に貸し出しをするようなところへまたわざわざ土地を払い下げをして収益をあげさせなきゃならぬというそんな理由は成り立たぬじゃないですかね。それじゃまるで国もぐるになっているようなことに考えられてもやむを得ないようなものでありますですね。私はそういうふうな点で、これからは大蔵省のほうへ所管が移ったそうでありますから、これは大蔵省としてもほんとうにやはり貴重な国民の財産——繰り返して述べるわけですけれども、ほかのところと違いますよ、それは。ほんとうにもうそれこそ日本の目抜きの場所ですからね、この処分ですからね、これはひとつほんとうに慎重に——私もいろいろいま意見なども申し述べてまいりましたが、またいろいろな問題点などについても提起をいたしてまいりましたが、この論議などもひとつ十分に腹におさめて慎重な対応というものを私はきびしく求めておきます。  いまの点について、富士急行株式会社に六十ヘクタールというような土地貸し付けを同時にきめておるというような事実を大蔵省のほうは御存じなのかどうですか。
  164. 川崎昭典

    説明員(川崎昭典君) ただいま御指摘の事実は、その後——その後と申しますか、前回御質問がありまして、調査をいたしまして、議決はしたけれども実行しないと、それで取りやめるというふうに聞いております。
  165. 鈴木力

    鈴木力君 ちょっと関連。  いまのことね、これは大事なことですからね。議決はしたけれども取りやめると聞いているという程度では、これは行政の責任者の答弁として私は不適格だと思いますよ。それならば、その富士急に転貸をするということを取りやめるという議決をした議事録なり何なりを政府がとっておるのかどうか、その手続はどうなっているんですか。
  166. 川崎昭典

    説明員(川崎昭典君) 先ほど防衛庁の大臣から御答弁ございましたように、大蔵省へ引き継いだばかりと申しますか、書類は防衛庁から発送されておりますけれども、現実に私どもまだ見ておりませんが、これから大蔵省の管理に入るわけでございます。ただいま御指摘の点につきまして非常に慎重に吟味を進めたいと思いますが、そういった点含めまして慎重な調査をし、十分な措置をとった上で事務を進めたいと考えております。
  167. 鈴木力

    鈴木力君 もう一つだけ。それじゃ防衛施設庁に伺いますけどね、いま大蔵省に引き継ぐ前に、この富士急との関係は防衛施設庁はどういう把握をして引き継いだんですかね。そのきちっとした手続なりどういう処置をしたのかを聞いておきます。
  168. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 私どものほうといたしましては、昨年五月十九日米軍から返還を受けました二百十ヘクタールの国有地を提供のために管理しておりました立場から、どのような形で大蔵省のほうに引き継ぐかという事務を担当している立場でございます。それが引き継がれたあとに二百十ヘクタールの問題がどうなるかということは、あくまで大蔵省の立場で閣議了解の線に沿って判断される問題であるというふうに承知しております。したがって、特に富士急の問題等についてそういう一部のうわさは聞きましたけれども、具体的に二百十ヘクタールに関係ある問題かどうか、そういった点について特に当庁としての立場ははっきりしておりません。
  169. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いまのことに関連して、ひとつ資料を提示をしておいていただきたいと思うんですがね。  それは昨年国有地払い下げ促進の法案審議をした際、自衛隊関係、これの払い下げ予定地、そういった問題についていろいろと審議をした段階があるわけですね。ですから、当時の愛知大蔵大臣説明では生活環境整備、こういうものを主体に国有地の払い下げを促進をしていくんだと、こういうことだったんですね。そういう一部にいまの問題が入っているのかどうかわかりませんけれども、約一年たったわけで、どの程度一体払い下げられているのかね、そういう実績について資料をひとつ出してみてくれませんか。これは今次国会中ぐらいにできると思いますけどね、その点はどうですか。
  170. 川崎昭典

    説明員(川崎昭典君) ただいま御質問の点でございますけれども、国有地の払い下げは防衛施設庁でございませんで私どものほうで扱っておりますけれども、北富士に関しまして払い下げというのはまだ行なわれておりません。
  171. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ぼくが言っているのは、防衛庁がいままで管轄しておったやつが大蔵省所管に移って大蔵大臣がやることになったんだけれども、その領域のもので全然ないということですか。
  172. 川崎昭典

    説明員(川崎昭典君) いわゆる返還財産というものは、米軍に提供しておりました間は防衛施設庁において管理しておる、返還になりましたときに大蔵省へ引き継がれまして、大蔵省が管理をしまして払い下げを行なうわけでございますが、これはもうずいぶん各所で学校とか公園とかいろいろございまして、これは相当膨大な量になるわけでございますが……。
  173. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ですから、当時の審議状況から、さらに今日まで一年——昨年ですね。
  174. 川崎昭典

    説明員(川崎昭典君) じゃ、この一年間の返還財産払い下げ状況ということで承っておきます。
  175. 神沢浄

    神沢浄君 大蔵省になお続けて聞くんですが、この恩賜林組合から払い下げ申請の手続がされてきているわけですね。その払い下げの申請の理由。これは私か仄聞するところによれば、まあ演習場があそこに存在することになったために恩賜林組合のその林業の経営が非常に大きな支障を受けたと、したがって、その受けた支障をカバーするために二百十ヘクタールについては払い下げを求める、こういうような内容だというふうに仄聞しておるんですけれども、そうなんでしょうかね。ちょっと資料に基づいて御説明をいただきたい。
  176. 川崎昭典

    説明員(川崎昭典君) ただいま恩賜林組合から出されております払い下げの理由と申しますのは、あくまでも林業再建整備事業ということで、植林事業の内容を記載したものでございます。
  177. 神沢浄

    神沢浄君 ですから、その林業再建ということはあれでしょう、何かあったものがこわされた、くずれたから再建ということになるわけでありましてね、何もそういう理由がない再建なんというのは、ことばとしてもこれは成り立たないわけなんです。演習場が所在するために恩賜林組合のその林業経営というものが多大なる支障を受けておる、したがって、その支障を受けた状態から再建するためにあの二百十ヘクタールという土地の払い下げを受けてやりたいと、こういうことなんでしょう。そうでなきゃ再建なんということばは意味ないんじゃないですか。
  178. 川崎昭典

    説明員(川崎昭典君) 先ほども申し上げましたように、二百十ヘクタールの地点に昭和の初期には樹木が茂っておった、その地点に再び林業を行ないたいということで、恩賜林組合は再建整備事業と呼んでおりますが、これは法律用語でも何でもございませんで林業整備事業ということでございます。
  179. 神沢浄

    神沢浄君 どうもわからぬな。何を再建するんだかちっともわからぬな。水かけ論みたいなことをやっておってあまり意味もないわけですから、私の質問は次に移りますがね。しかし、率直な印象を言わしていただきますと、何か言っておればそれで済む、こういうことじゃ私は国会の審議なんというものは意味ないものだと思うんですよ。繰り返すようですが、とにかくあれだけ大きな財産というものを処分をするんですからね、それには理由だってはっきりしたものでなければならぬでしょう。国民の立場からすれば当然そうですよ。それが林業再建整備、それは何の再建だと言ったら、何の再建だかもわからない。いわば、もと、木がはえていたところだけれども、今度またもとどおりに木をはえるよすにする、そういう意味で再建だ。  あの現場を御存じでしょうかね。あの場所などはなるほど演習場の一部にはなっておったんでしょうけれども、あんなところで演習したら、それこそあれですよ、危険千万の場所でありまして、百三十八号線という国道の沿道ですから、ただ単にそれは演習場の地域の一部だったということであって、演習のために、そのために林業が支障を受けたという個所じゃないですよ。数十年前も今日もちっとも形状としては変わっていない場所なんですが、それが何が再建ですか。私は端的な言い方をさしていただくならば、恩賜林組合ともうそういう取引をしてしまったから、その取引に基づいてどうしても恩賜林組合に払い下げをしなきゃならないから一ちょうど逆算の方式じゃないですけれども、あとから理由をつけたりしておるような感じはどうしてもいなめません。大体目的自体から、これだけの大きなかくも貴重な財産の処理の目的からして、私どもが聞いてもわからないような林業の再建整備などというこういうようなことで押し通されようとしておる。さっきから幾度もお答えを聞いても全然前進がないですからね。ぼくはそういう点を憂慮をいたします。どうかひとつ国の立場で変にゆがんだ姿勢の行政はやっていただいちゃ困るんですよ。  それから施設庁のほうへお尋ねをするんですが、いまも被弾立木補償とかそれから経営阻害補償とか、こういうものは出ておるんですか。
  180. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 被弾立木補償につきましては、その年その年の演習状況、立木の被弾の状況等によりまして補償の程度は違いますが逐次実施しております。林業経営阻害につきましては、これはたまたまその伐期がまいりました立木に関しまするところの林業の経営上の阻害ということで扱っておりますので必ずしも逐年ということではございません。ここ数年間は林業経営阻害の補償は実施しておりません。
  181. 神沢浄

    神沢浄君 私の知る限りでは被弾立木補償もされてきたし、経営阻害補償もされてまいっておりますしするのでありまして、その意味においては、そういう被害というものはやっぱり金でもって解決をされているわけですね。だから、覚書の中でもって、林業再建整備のために云々などというあの取りかわされた文書自体が私は問題だと思うんです。ほんとうにこじつけた理由だと思うんですよ。そのことだけに私も実はかかわっているわけにもまいらないものですから次へ進んでいくことにいたしますが、自治省の方、お見えですか。——自治省の方に一言聞いて国有地払い下げの問題を一区切りっけたいと思うんですがね。  これは前にも私はたしか予算委員会でもって実はもう論議をしたことですがね。時間の関係もあったりして——何としても私ふに落ちていないんです。というのは、これはさっきも大蔵省のほうの御説明にもありましたが、一部事務組合ですよね、恩賜林組合というのは。一部事務組合というのはやっぱりその目的を持って、その目的のための事務の組合をつくっておる特別公共団体、平たく言えばこういうことだろうと思うんですがね。したがって、通称恩賜林組合とこう言っているわけですけれども、性格的には自治法上の一部事務組合、その一部事務組合の目的というのは何かというと、これは国有林等の経営を内容とするところのいわゆる恩賜県有財産の保護ということですね。それが目的なんですよ。そうすると、それが今度は国の普通財産を払い下げによって取得をするという、かりにあの組合へ払い下げをするとすれば、これはひとつ自治法上の解釈からいっても妥当を欠くんじゃないですか、妥当性を、この点はどうですか。
  182. 田中和夫

    説明員(田中和夫君) いま先生の御指摘のように、一部事務組合は規約でその共同処理する事務を書くことになっておりますが、構成市町村の合意によりまして規約をつくるわけでございますので、この組合の富士吉田市外二ヶ村の一部事務組合の規約によりますと、恩賜県有財産の保護等の事務のほかに、当該組合の財産に関する事務を共同処理するということが書かれておりまして、実際にも、これは明治三十三年の設立でございますけれども、先ほどもお話がありましたように、この組合の財産に関する事務を共同処理するということで山林の払い下げ等をずっと行なってきておりますので、まあ解釈の問題ということでありましょうが、これは組合がその解釈をする、しかもその組合を構成しております市町村の議員の中から組合の議会の議員も選ばれておりますので、そういったようなことで問題はないのではないかと、こう考えております。
  183. 神沢浄

    神沢浄君 実は問題が大ありだと思うのですよ、もう。財産を持っておるからその財産をふやしてもかまわぬと、こういう意味合いになりますわぬ。しかし、この組合の目的は恩賜県有財産の保護を目的としておる。持っておる財産というものは、当初この一部組合が出発当時これはそれぞれの市村が持っておるものをそこに集めたから、それが組合の財産になっているわけだ。そういう特別な沿革を持っている財産なんですよ。私が専門家の意見等を徴してみたところによると、その種の団体、いわゆる一部事務組合が財産を取得することはできるようです。たとえば事務所を持っている、その事務所の自動車を置くための庭を取得をするとか、あるいは物置きをつくるとかこういうようなことはできる。法文の解釈をそういうふうにしておるようであります。しかし、これだけの膨大な財産を、これは恩賜県有財産じゃないんだから、恩賜県有財産の保護という目的とはこれは別なものなんだから、それが取得できるというような解釈、財産を持っておるから財産を一それはさっき言うとおり、最初からこの組合の沿革上市村が持っておった林地を一部事務組合の経営にまかせようということでもってこれは財産になっているわけなんです。不動産業者じゃないんだから、この組合はね。目下のところやっていることはまるで不動産業者のようなことになるじゃありませんか。六十町歩富士急行に貸して一それは議決だけはして、あとは実行はしていないだろうという大蔵省お話でございましたが、そのまま実行になれば不動産業者と変わりませんね。一方では二百十ヘクタール払い下げを受けて財産をふやす。これは一部事務組合としてはもうすでにそのことだけでも逸脱じゃないですかね。自治省はやっぱり適切な指導をしなければならない範疇に入りませんか。  そういうようなことでもって、いまの説明のようなことになると、財産が持てるという解釈をするなら、それじゃ一部事務組合、富士吉田市恩賜林組合は東京のまん中に土地を買ってもいいですか。大阪まで行って土地を買ってもいいわけですか。そういうことになっちゃうじゃありませんか、財産があるから財産を持てるということだけじゃ。その辺の解釈はどうなんでしょうね。財産があるんだから財産が持てるというだけじゃそうなりますよ。これは不動産業者と同じになっちまいますよ。
  184. 田中和夫

    説明員(田中和夫君) 先ほども申し上げましたように、一部事務組合というのは市町村の事務の共同処理機構でありまして、市町村が根っこにありまして、その市町村がまかした仕事をやると。そのまかす、何をまかすかということは規約で書くということでございますから、いまお話しのような東京のまん中に土地を買うとか大阪のまん中に土地を買うとかいうようなことはこれはまあ問題でありましょうが、この規約で規定してある範囲内であるというふうに組合も判断し、構成市町村も従来からそういうことを了解して今日に至っておる。これは明治三十三年以来そういうことで恩賜県有財産の保護という山林経営に関する仕事をやっておる。それと関連のあると申しますか、その同じような山林経営を、従来から組合が所有しておりました山林を中心として、あるときはそれをふやしながら、あるときは減らしながら、払い下げをしたりしながら今日に至っておるというそういう経緯にかんがみまして、これは規約で規定した範囲内のものではあるまいかと、こう解釈いたしておるわけでございます。
  185. 神沢浄

    神沢浄君 それじゃ、ちょっとわかりやすく聞きますがね、まさか東京のまん中に土地を買うというようなことはこれは常識はずれだとこう思いますが、これは買ってもしかたがありませんか。まあかりにこの組合が東京のどまん中に土地を取得するというような際には、これは自治省でどうしますか。
  186. 田中和夫

    説明員(田中和夫君) まあ、かりにもそのようなことをすることはまずあるまいと思いますけれども、それは組合に各構成市町村から出ております議員——これは選挙で各市町村の議会の議員の中から選ぶということになっておりますから、その議員さん方はその組合の規約なり組合がどの程度の仕事ができるかということを十分承知しておるわけでありますから、そこで問題にされて、そういうことがおそらく行なわれないだろうと。一部事務組合というのはあくまでもこの市町村の事務の共同処理機構であるという大前提がございます、そのまかされた事務だけをやるのだという大前提があります。そして構成市町村から議員も組合の議会も構成されている、こういうようなことでございます。
  187. 神沢浄

    神沢浄君 これは特殊の団体でしてね、これはただ消防のためのあるいは清掃のための一部事務組合というようなものとは沿革からして違うんです。それぞれの市町村の一部の事務を共同に処理するための一部事務組合、これが自治法上の概念上の一部事務組合でしょう。ところが、富士吉田市外二ヶ村恩賜県有財産保護組合というのは、この各市村がまあ財産部分権等を、林地部分権等を所有しておったわけですね。当時はいまのように一市二村などというようなことではなくて、明穂ほか七カ村くらい、相当の村の数があったわけです。で、これが集まって組合をつくっていたんです。自治法にいう一部事務組合という制度以前に。したがって、これはいまでも通称恩賜林組合とこう言うのです。恩賜林組合をつくっていたんです。その後制度のほうがあとからできた。その後恩賜林組合というものをどうするかということでいろいろ検討がなされた結果、いわゆる恩賜県有財産の保護を目的とした自治法上いうところの一部事務組合にすればいいかということで、どこが指導されたか知りませんが、県あたりのおそらく指導に基づいていまの恩賜林組合というものの性格がきまってきたわけなんです。だから、自治省の立場で考えるそういう概念と違うんですよ。  実態というものは、まあおかしな話だけれども、いまは富士吉田市などというのは幾つも合併して大きな市になりましたが、以前は七つも八つも分かれておった。そういう当時においては、たとえば会合がある、その会合の座席の一番上は恩賜林組合だった、そのあとで、以下家来のごとく村長がすわるという、これはもう実力関係ですよ。大きな林地というものを持っておるのですからね。そういう一部事務組合ですから、何をするかわかりませんよ、これは。いままでだってほとんど不動産業者と変わらぬようなことをやってきておるわけなんです。そうすると、いまの自治省の解釈のように、財産があるから財産を持ってもいいというような解釈をしておると、東京のどまん中の土地を買いたいといっても、これはやめさせるわけにいかぬじゃないですか。これは各市町村から議員が出ておって、方針がきまらなければできないから——それはたてまえ上はそうですけれども、しかし、その議員さんたちがそうきめてかかったという場合には、この自治省の指導の立場というものはこれは手はつきませんか。そうすると、一部事務組合というものはどんなものになってしまうのかわけがわからぬというふうなことになると、自治省の指導の立場なんというものはなくなってしまいますね。その辺の見解というのはどうなんでしょうかね。大体東京のどまん中を例にとったのも少し極端かもしれませんがね。しかし、私はその極端とそんなに変わらぬくらいのケースだと思いますよ。  さっきも触れておりましたように二百十ヘクタール、坪五万円といったらどうなります。ちょっと計算しておれないから、おそらく数百億になるでしょう。数百億などというものはその支払いができるんですかね。これはまあ国がうんと安く払い下げてやるというなら別ですよ。坪、それは数百円、せいぜい数千円ぐらいでもって払い下げてやるというような陰の約束でもできていれば別ですよ。別どころか、私はそういう勘ぐりさえ実はしたくなります。数百億なんという膨大な財産を自治法にいうところの一部事務組合が持とうというんだ、それを国が払い下げようというんだ。かなりおかしなことじゃないですかね。だから、そういうふうなことを考えていくと、これはどうも何か陰では相当の密約のさらに密約が行なわれておって、そうして林業再建整備なんて——とうもそこら辺がくさいんだけれども、ちょっと払い下げたけれども、林地に使うんだったら、それは土地の利用計画が何ぼあろうとも、それは林地以外の利用が不可能だという土地であれば、この程度の価格が妥当だということになるじゃないですか。そういうようなことであって払い下げが結局は行なわれるんじゃないですか。そうしてそれが今度一たび組合の手に移ったというようなことになりますと、なるほどいまでこそそれは使用条件があるだけで、林業の整備再建なんだと言っておりますけれども、政治などというものは、あるいは社会の情勢などというものは絶えず動いていくものでありますから、私は常に私の住んでいる周辺を見ていつも感じさせられてならないんですが、私のところなどはりっぱな農村でした。  したがって、まあ話がちょっと横にそれてたいへんすみませんが、かなり農業予算がつぎ込まれた場所であります。その農業予算がつぎ込まれて、これは農地以外に使ってはいけないなんというふうになっておる場所が今日どうかというと、新都市計画法の指定を受けて、そして市街化区域に編入をされてきておるわけであります。農地以外に使ってはいけないという場所を、今度は政府は農地に使ってはいけない——そこまでは言っていないにしても。そして農林予算というものはどうなっているかというと、工場の敷地のための農地だったということになる、ただ単なる住宅の敷地のための農地だった。農林予算がそういうふうに変わってきているわけですから、私はそれらを毎日自分の住居の周囲にながめているだけに、いまこそ林業整備事業などといって、そしてまあ林地の待望価格などということを何かに書いてありましたから、どうもそういう方向に進むでしょう。また、林地の待望価格だというふうなことでもって、それこそまあ適宜の値段をきめて払い下げが行なわれる。やがていつの日か、そんなに遠くない将来において、これは自由に処分できるというふうに変わらぬとはだれが保証できますか。そういうふうになりましたならば、これは全く一部の団体の不当といってもいいような収益のために国がその一役を買ったんだ、国が協力をしたんだ、こういうような結果以外には何も残らぬような結果になってしまうと思うのです。そういう危険な方向に私はいま目の前に動き出しているような気がしてならないから、よけいにくどい主張をしてみているわけなんです。  そこで、ちょっと余談が入り過ぎましたが、自治省にお尋ねをいたすんですが、東京のどまん中の若干極端な例であったかもしれませんが、数百億の財産を取得させるということは、一部事務組合に対してという場合には、そんなに変わらない、極端なことじゃないでしょうかね。その辺の御見解はどうですか。
  188. 田中和夫

    説明員(田中和夫君) 私のほうでは払い下げがどういうふうにして行なわれるのか、あるいはそれがどういうふうになるのか、これは知らないわけでございますけれども、従来、先ほど先生がお話になりましたような数百ヘクタールでありますか、あるいは千数百ヘクタールでありますか、林業経営も恩賜林以外にも行なわれておった、こういうような経緯もあるわけでありますから、先ほど例として申されましたいろいろな仕事をやる場合に、事務所をつくるとか、あるいはさくをつくるというものとは違うかもしれませんけれども、従来から組合としてやっておったその事務という面をとらえれば、いまお話しのようなそれが数百億にのぼるものを取得するのはおかしいではないかというふうな角度からの御指摘でありますと、いろいろな問題がそのほかにもあるかもしれませんけれども、山林経営、林業整備というような観点から考えますと、従来からそういうことをこの規約に基づいて、一部事務組合の規約に基づいて構成市町村もそれを承知の上で従来からやってきておる。したがって、そういうことであれば規約の解釈上はできるのではないか、こういうふうな見解でございます。
  189. 神沢浄

    神沢浄君 けっこうです。私は主張すべきものは主張しておきましたから気をつけてやってください。  それから次は、第三の問題は一応これで区切りをっけまして、覚書の第二にあがっているのは、いわゆるこれは法案と今度は直接のかかわり合いを有するわけでありますけれども周辺整備事業の問題になっているわけであります。この周辺整備事業については、先ほども触れましたように一昨年の八月の覚書がスタートになって、そして閣議了解事項になって、閣議了解事項の中にどう書いてあるかというと、五年間百三十億ですか、五年間百三十億、こう書いてあります。さっきちょっと読んだ個所に今度は、「附記 前記周辺整備事業に対する山梨県案は障害防止対策事業、道路改修事業及び民生安定事業等総額一三〇億円であるが、政府はこれを尊重し、昭和四八年度から山梨県と協議のうえ、具体的計画を樹立し、予算の範囲内において実行に移すものとする。」、こう書いてあるわけですね。それで今年——今年というか四十八年度の実施済み工事はまだ中途のものもあるかもしれませんけれども、実施計画というものはどうなっておりますか。資料をいただいておったような気がしておりますけれども、ちょっと手元でいまなかなかさがすのにやっかいでありますから、ちょっと御説明を願いたいと思います。
  190. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 昭和四十八年度の事業といたしましては、障害防止事業補助額として三億八千万円、道路改修事業補助額一億六千万円、民生安定事業補助額二億七千万円、合計いたしまして補助額約八億——千九百万でございます。端数はちょっと省略いたします。
  191. 神沢浄

    神沢浄君 八億——約九億としましても、補助率などの相違も事業別にはあるわけなんでしょうけれども、五年間だと算術計算をしてみて、五、九、四十五、八億とすれば、五、八、四十億、これでやっぱり百三十億は消化できるわけですか。
  192. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 百三十億、五年間というのは、あくまで地元市村と県が協議されましたところの県案でございます。そしてこの県案を国としては尊重しながら、昭和四十八年度から山梨県と協議しながら、当該年度のそれぞれ予算の範囲内において具体的な計画を検討して実施を進めていくということになっておりますので、一応いまのペースで五年間できるかどうかという問題についてはあくまで今後の問題であろうかと思います。
  193. 神沢浄

    神沢浄君 それで、私もこの際資料を要求しておきますが、百三十億は県案と、こうは言ってはおりますものの、私などの知るところでは、国と県との間でもって検討を重ねて、その結果出てきた数字であることは間違いありませんね。ただ県が持っていた百三十億をうのみにそのままのみ込んだというものでないことは事実です。たとえば私が知る範囲では、とにかく関係市村の要求を出せと言ったら千二百億と出てきた。いかにもこれは国が驚いたようでありますし、加えて県もかなり驚いたようでありまして、それで、これでは何といっても話が遠過ぎてどうにもだめではないかということで、横浜の施設局が指導に当たってそしていろいろと検討しましたけれども、なかなかこれは地元の要求も強くてその検討が相進まず、そのために最初の暫定期間と定めた三カ月に及びましても妥結せず、とうとうそのため三カ月間の暫定期間をさらに延長をしなきゃならないようなこれは経過もあったように聞き及んでおります。大体三カ月の暫定期間が満了する年に千二百億をやっと三百億台に縮めて、そして伸縮を重ねながら閣議了解の四十八年三月三十日段階において百三十億になったというのが真相でありましょう。だから、百三十億円は県のほうから持ってきたものを国は尊重するという方針を定めたというだけの単純なことではなくて、やっぱり検討が積み重ねられた結果まとめ上げられれ数字が百三十億だというふうに私は解釈をいたします。また、行政というものはそのくらいのことはあたりまえのことだろうと思います。百三十億と言ってきたから、はい、尊重しますなんというでたらめなことじゃ困るのでありまして、そこで、その百三十億とまとめました数字の内容、これは毎年の予算に書いてありますとおり、予算の範囲内でもって実施をしているんでありますから、それはその年度によってもちろん相違も生ずるでありましょうが、私は資料としてほしいのは、百三十億の内容を明細にしたものがほしいと思うんですが、これはいただけますか。
  194. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 御指摘のようないろんな経緯が使用転換をめぐりますところの覚書あるいは閣議了解、協定等に至るまでの間にあったことは事実でございます。しかし、最終的にこの県案百三十億ということで、これを尊重する国の姿勢を示した背景といたしましては、まず北富士演習場と全く類似の状態にありますところの、立地条件におきましても、周辺の産業構造におきましても、演習の態様におきましても、また非常に近接し、隣接しておりますという点におきましても非常に類似しております東富士演習場との対比におきまして、東富士演習場はすでに講和条約発効以来昭和四十七年度までに補助事業、総事業費にして百三十一億の事業を実施しておる状況でございました。それに比しまして北富士演習場におきましては、長い間の紛争の歴史の中にあって、同じような演習場の態様をなし、運用されていながら、障害防止事業あるいは周辺対策事業等立ちおくれていた事情にあります。そういった事情を踏まえまして、北富士演習場が使用転換され、今後自衛隊の演習場として管理され、米軍も二条四項(b)で使用していくという前提のもとにこの演習場における周辺対策というものをどう考えるべきかというときに、隣接する東富士演習場との関係において立ちおくれている障害防止ないしは民生安定事業というものを今後推進していくことによって周辺民生の安定なり福祉に寄与していくべきである、そういう点で地元と政府側との考え方の一致を見たわけでございます。  その規模につきましても、過去百三十一億の総事業を実施している東富士に比べて、講和条約発効後四十七年度までに二十八億の実施しか行なっていない北富士が、今後障害防止の面において、あるいは民生安定事業の面において、また道路整備等において予期できるであろう事業というものが大体どのくらいの規模であるかというところをバランスをとりながら考え、あわせて県のほうから提出されております事業計画案の中から障害防止、道路整備、民生安定事業、それぞれの部門に関しまして大体の全体の規模としての妥当な線を考えて百三十億という一つ考え方に政府としては配慮していこう、尊重していこうということをきめたわけでございます。したがって、具体的な東富士とのバランスにおいてそういった点が妥当であろうと判断したわけでございます。したがって、具体的な百三十億の積み上げの事業、個々の事業につきましては、今後の年度年度の具体的な計画でこれを実施していき、あるいは指導していくということで運びたいと考えておりますので、具体的に百三十億の中身がどうのこうのということについては一あくまでこれは県案であり、国として一つ一つをまとめたわけではございませんので御披露できるような段階のものではないと思います。
  195. 神沢浄

    神沢浄君 昨年私がたしか資料の要求を、これは別に委員会等を通してというような正式なあれではありませんでしたが、求めましたけれども、やっぱり何か同様の御返事でもっていただけませんでした。そんなにこだわる必要ないじゃないですか。もっと極端なことを言えば、これは県に行って聞けばわかるかもしれませんよ、県と国でもってやり合ってきめたんだから。しかし、なぜそれが出せないかというところに私はむしろ問題を取り上げざるを得ないんです。大体ここに私がわかっているだけでも、当初さっき言うように地元は千二百億円を要求した。ところが、横浜の施設局あたりからのいろいろな話を受けたとき、これを二百八十七億に直した。八月の末ぐらいに。それからまた十一月ごろになって、これはどういう指導が行なわれたか知らぬが、これは新聞に書いてあった数字を私は拾い上げているわけですよ、三百八十七億ぐらいにまたそれがふえまして、そしてその後政府側のほうは、ちょうどこれは商売の取引と同じようなもので、八十五億ぐらいから始まって百億に広げて、それから最後に落ちついたところが百三十億というようなことで、これはただあれですか、数字の何か、ちょうど物の取引のときに値段でもきめるような簡単なことでやったんですか。そうじゃないでしょう。  それは国がそれを受け入れるためにきめようというならば、やはりこの法律の第三条、第四条別に、周辺のかかわり合い、要求しておる事業別に検討をされて、そしてこれは法律の範疇の中でもってここまでは可能であると、場合によると、それはまたぎりぎり越すような最大限な、冒頭私が申し上げたように、法律運用の改善に積極的な検討を加えて、ぎりぎりのところこの辺までは可能であるというようなことでいろいろ積み重ねられた検討の結果が百三十億になっていると思わなきゃならぬと思いますし、そうでなければ、まるっきりつかみ金みたいな話でもって県のほうでは三百億要求した、国のほうでは百億と言った。じゃひとつ、まあ両読みというのか、まん中をとって百三十億というようなまさかきめ方をしたわけじゃないでしょう。できるだろうところの事業の計画というものを検討して積み上げた結果が、百三十億ぐらいまではやれるんではないかというこういう数字が出てきたということじゃないですか。私の知るところでは横浜の施設局がかなり突っ込んだ指導や検討をしておるようでありまして、だからそれは当然部長の手元にあるはずですよ。施設庁に当然あるはずなんですからね。これは出していただいて一向差しつかえないと思うし、またそんなものを出し渋る必要もないんじゃないですか。もし、ただ私の要求だけでは何なら、これは委員会のほうでもって手続をとっていただきたいと思うんですが、これはやっぱり今後の法案審議のためにもうんと必要だと思うんです。どうでしょうね。
  196. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 昨年の覚書あるいは使用協定締結の段階における県案が、いろいろな変遷を経て百三十億の規模を強く要望されたという経緯はございます。ただ、その段階におきまして、その事業を採択します——民生安定事業ないしは障害防止事業として、国の補助事業として採択すべき国の立場といたしましては、一つ一つの事案について、これはよかろう、これはむずかしかろうということを、その段階において一つ一つについて答えを出すべきまだ段階ではないと思います。これはあくまで今後の当該年度ごとの予算というものの背景の中においてはっきりきめていくべきものだろうと思います。したがって、県案は、いろいろ出た段階で最終的にまとまった百三十億の規模というものは、先ほど御答弁申し上げましたように、あくまで隣接する東富士演習場とのバランスにおいて、東富士演習場が従来講和条約発効以来障害防止事業あるいは民生安定事業、道路整備事業にどれだけ事業をやってきたか、それから北富士はそれぞれの該当につきましてどれだけの事業をやってきたか、そういった点を全体の規模からながめて、百三十億という最後にしぼられた県の案というものを尊重していこうということで昨年お互いに話し合ったわけでございます。したがって、残念ではございますけれども、その積み上げ、県が県なりに積み上げております中身について、事業ごとのものを国の立場としてお差し上げするという、提出さしていただくというわけにはまいらないかと思います。
  197. 鈴木力

    鈴木力君 関連。  こんな答弁でこの周辺整備法案審議させようとする防衛庁の態度に私は納得できないです。北富士と東富士とのバランスと、こういうことを言う。そのバランスで百三十億という差が出てきたと言うなら、その百三十億という答えの出る数式を全部まず出しなさい。東富士はこれこれこれ、それから北はこれこれこれ、そのトータルが百三十億だと。そうすれば百三十億の根拠が出てくるでしょう。ただ何となしにそういうような説明をして、百三十億はきめたが、あと何年にどれだけ使うのか、何にどれだけ使うのか、それは説明できない、そういう形で、つかみ金と言えばつかみ金と言えるような印象で基地というものを国が一扱ってくるところに、防衛庁なり施設庁なりが国民からの信頼を失っている態度がある。  したがって、私は委員長に提案しますけれども、この資料が出ないでこのまま審議を続けることは一これは非常に重要な問題だと思いますから、こんなことじゃだめです。資料作成をしてもらって、それに基づいていまの問題から審議を続行しないとこれは審議にならぬと思います。そういう運びにぜひしてもらいたいと思いますし、資料を出すかどうかもう一度討議をしてもらいたいと思います。根拠のないところからトータルが出るなんというばかなことはない。
  198. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 昨年の閣議了解の「附記」に書いてございますように県案は総額約百三十億円であるが、政府はこれを尊重し、そして具体的には当該年度ごとに県と協議の上計画を樹立して予算の範囲内で実行に移していく、こういう姿勢でございますので、百三十億の中身というものは、あくまで全体規模として、当時一応尊重するに足る計画であろうということで考えたわけでございまして、この百三十億は、先ほども申し上げましたように過去における東富士の百三十一億の補助金事業、北富士の二十八億の事業、その中の障害防止なり民生安定事業のバランス、それが今後東富士におきまして百三十一億にさらにどれだけの事業が行なわれるであろう、そういった点も考えながら、北富士において行なわれるべきであろう事業というものを、演習場の規模、面積だとか立地条件、周辺の村落の構成状況、人口、あるいは演習場内に依存する農家の数、そういったもののバランスの中から、後年度の事業として、全体規模として百三十億というのが妥当であろうと考えたわけでありますから、具体的にその中身というものを、これ、一つ一つを尊重したんだということになりますと、これはやはり今後の予算執行の問題との関連がございますので、当時におきましても、昨年におきましても、具体的に一つ一つの事案について、これはどうこう言うことは政府はとるべき立場ではなかろうかと思います。
  199. 鈴木力

    鈴木力君 そんな話でごまかそうとするならだめです。東富士とのバランスで人口とか面積とかいろいろあげたでしょう。それならその項目別にどれだけ違うというのが出てくるはずです。百三十億が妥当だと思ったと言うなら、何が根拠で妥当だと思ったのかということが出なきゃいけないはずです。防衛庁が妥当だと思ったから、中身はつべこべ聞くな、こういう態度で法案審議しろと言ったって審議ができないじゃないですか。なめてもらっちゃ困りますよ。百三十億が妥当だと言うなら、これこれこれによって妥当だというものを出しなさい。予算執行の都合によりなんて、よけいなことを言いなさんな。予算執行はこれ百三十億どうこうと、こういうことでしょう。わかりましたか。東と北とのバランスの問題でいまあなたが一々項目あげたでしょう。その項目別にどうバランスがくずれているのかどうかということが言えないはずがないじゃないですか。ただ適当なことばを並べておって、そうして百三十億とトータルができて、トータルの内訳が出てこないというばかな話がどこにありますか。子供だましみたいなことを言ってはとてもじゃないが法案審議にならぬ。これは防衛庁の長官にどうするかを答えてもらいます。これが出ないことには、とてもこの法案審議をしたところで、法案に基づいてまた何百億どこかにやります、その根拠は言えませんというような形で今後の基地運営をされたらたまったものじゃない。
  200. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) さしあたり来年度の予算でも、その規模というものはやはり国民総生産、経済成長率、自然増収、そういうものを踏まえながら政策的な減税その他で最終的にきまっていくものでありますし、国全体としては後年度にわ・たって国の予算の支出に対して拘束を加えるようなものは原則としてそういうものをやらない。しかしながら、今回の場合は、主として政府の責任において、使用転換に伴って官房長官の話し合いの結果、責任を持てる数字として尊重しようという県案というものを示したということにとどまるわけであります。したがって、今後予算を逐年組んでいきますときに、全体の予算の中でこの分に当てられるものが当該年度幾らになったかという結果において、それが百三十億に達するか、あるいは百三十億をこすか、それは結果的な議論になるであろう、そういうふうに思うのです。
  201. 鈴木力

    鈴木力君 これはいま長官のおっしゃるように結果がどうなるかということは、これは予算があるし、具体的に執行してまいりますね、百三十億ということがふえることもあれば減ることもある。そのことをいま言っているわけじゃないのですよ。結果がどうなるかということに責任を持つか持たぬかということじゃないです。そういうことを神沢氏も聞いているわけじゃない、私も言っているわけじゃないのです。そうじゃなくて、百  三十億という数字が出て、これが妥当だと思って尊重すると答えた。それでさらに質問をすると、部長は東富士とのバランスの上でと答える。バランスとは何ぞと言うと、人口とか面積とかいろいろな項目をあげておるのです、そうでしょう。そういう項目をあげておって、百三十億がなぜ妥当だと思ったのか思わぬのか。つまり約束をする時点で妥当だと思ったのはこうだ、それはしかし、その後の執行する上にいきますと経済情勢が違ってみたり、あるいはまた執行をしていきますというと、もっと必要なものが出てみたり、あるいは足りないものが出てきたり、そういう変化は私はあり得るだろうと思う。そういうことを言っているのじゃなくて、百三十億が妥当だということで約束をした、その根拠は何か、それを出せとこう言っている。それも出せないということではとてもだめだ。しかもさっきの部長説明のような、全くもう子供だましみたいな説明で切り抜けようとするようなそんな態度で、この大事な法案審議するという態度はどうしても私は納得できない。何べんも言うように、どこまで出せるかは別としても、さっきの項目や何かは言うんだから、言わせれば。それに数字をはめ込んで百三十億というふうに式が出てこないはずはない。それを出した上でさらに神沢氏の質問を続けてもらう、こういうことにしなければいけないと思う。これは何と答えたって私は納得しませんから、それが出ないうちは審議は絶対進めない。しかもいま成立していないから、がまんしてやっているだけで、成立しなくてもいいならこれでいいのだけれども、それじゃかっこう悪いから、資料出しますとあなた答えなさい。そうしてこの次に続行……、その資料に基づいて審議を始めてはいかがですか。何かぼろがあるから出せないんだろう。
  202. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) あくまで百三十億というのは先ほども御答弁申し上げましたように東富士とのバランスにおいての全体規模として考えているわけでございますが、その一つの試算としてわれわれがとりましたのは、たとえば東富士演習場で過去実施分百三十一億円、それから今後四十八年度以降東富士におきまして実施されるであろう一つのこれは推定規模でございますが…・一・
  203. 鈴木力

    鈴木力君 だから、推定した規模ということは何かということを資料に出せばいいのだ、つべこべ言わぬで。これはもう出さないうちは絶対だめですからね。
  204. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) いま答弁でその数字を申し上げようと思っているのですが……
  205. 鈴木力

    鈴木力君 いや、だめだ、書いたものを出さなければ。それじゃいまなぜ出せないと言ったのか。なぜ出せないと言ったんですか。
  206. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) これはあくまで事業一つ一つの積み上げとしての百三十億という形ではございませんということで御答弁していたのでありますが、それじゃ何らかの数字——バランスを東富士ととった何かの一つの算定基礎があるだろうという御指摘でございましたので、ただいまそういう試算をした一つ考え方をこれから御答弁申し上げようと思ったわけでございます。  それで、東富士に関しましては、過去におきまして百三十一億実施したものと、今後予測されますところの事業費が約六十八億、百三十一億はあくまで昭和二十八年度からの過去の事業でございますので、さらにこれを自転修正いたしまして、昭和四十八年度における事業規模として、当時の、現在価格で考えた場合には、東富士におきましては今後予測される事業とあわせて二百四十五億ほどの周辺整備事業となると考えられるわけでございます。ところが、北富士におきましては、過去講和条約発効後実施されました二十八億を、当時のそれぞれの障害防止なり民生安定の事業の内容から現在価格に換算いたしますと約四十億になります。そこで、その二百四十五億と四十億との差、ただそこには、面積といたしましては東富士演習場が八千九百万平米でございます。北富士演習場が六千万平米。人口におきましては、東富士が人口十一万に対して北富士が六万、あるいは関係農家戸数も四千と二千八百、こういった要素から考えまして、一つの北富士と東富士とのバランスをとりました。パーセントテージをこの二百四十五億と四十億との差にかけますと、大体百三十億の事業と考えられる。それが障害防止においては約五十億と、あるいは道路事業においては約三十億といった形で積み上げが出てくるので全体規模として妥当であろう、そういうふうに判断したわけでございます。
  207. 神沢浄

    神沢浄君 委員長にお願いをいたしますけれども、いま一応口頭説明は承りましたが、そのままそっくり——頭があまりいいほうじゃないししますから、どうもべらべらと言われたのがそのまま記憶に全部とどまるわけではございませんので、今後の審議の上に非常に重要だと思いますから、ひとつ委員長にお計らいをいただいて、この資料の提出をお願いをいたします。それに基づいてひとつ次回さらに続けさしていただきたいと、こう思います。
  208. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 防衛施設庁に申し上げます。  ただいま神沢委員から要求のありました積算の根拠、口頭で御説明のありましたのを整理した上で資料として御提出願います。よろしゅうございますか。
  209. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 先ほど御答弁しましたような趣旨資料といたしまして提出さしていただきます。
  210. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 本日の審査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会      —————・—————