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1974-05-14 第72回国会 参議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十四日(火曜日)    午前十時十四分開会     —————————————    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      西村 尚治君     楠  正俊君  四月二十六日     辞任         補欠選任      嶋崎  均君     塚田十一郎君      楠  正俊君     西村 尚治君      寺下 岩蔵君     白井  勇君      須藤 五郎君     小笠原貞子君  五月九日     辞任         補欠選任      西村 尚治君     安井  謙君      森  勝治君     鈴木  強君      横川 正市君     上田  哲君  五月十日     辞任         補欠選任      安井  謙君     西村 尚治君      上田  哲君     森  勝治君      鈴木  強君     横川 正市君  五月十四日     辞任        補欠選任      西村 尚治君     稲嶺 一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         川村 清一君     理 事                 今泉 正二君                 植竹 春彦君                 古池 信三君                 横川 正市君     委 員                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 松岡 克由君                 松本 賢一君                 森  勝治君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  原田  憲君    政府委員        外務省アメリカ        局長       大河原良雄君        郵政大臣官房長  神山 文男君        郵政省電波監理        局長       齋藤 義郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君    参考人        日本放送協会会        長        小野 吉郎君        日本放送協会副        会長       藤根井和夫君        日本放送協会専        務理事      藤島 克己君        日本放送協会専        務理事      野村 忠夫君        日本放送協会専        務理事      坂本 朝一君        日本放送協会専        務理事      斎藤  清君        日本放送協会理        事        山本  博君        日本放送協会理        事        川原 正人君        日本放送協会経        理局長      堀場 仁徳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○日本放送協会昭和四十六年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  (第七十一回国会提出)      —————・—————
  2. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十六日、須藤五郎君、嶋崎均君及び寺下岩蔵君が委員辞任され、その補欠として小笠原貞子君、塚田十一郎君及び白井勇君が選任されました。     —————————————
  3. 川村清一

    委員長川村清一君) この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  横川正市君の委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認めます。  それでは理事横川正市君を指名いたします。     —————————————
  5. 川村清一

    委員長川村清一君) 日本放送協会昭和四十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、本件に対し、郵政大臣から説明を聴取いたします。原田郵政大臣
  6. 原田憲

    国務大臣原田憲君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和四十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭年四十六年度の貸借対照表等によりますと、昭和四十七年三月三十一日現在における資産総額は一千三百四十億八千六百万円で、前年度に比し、百三十九億四千六百万円の増加となっております。これに対しまして、負債総額は、五百四十三億七千六百万円で、前年度に比し、百三十九億一千百万円の増加資本総額は、七百九十七億一千万円で、前年度に比し、三千五百万円の増加となっております。  資産内容を見ますと、流動資産百五十九億八千八百万円、固定資産一千百六十六億六千七百万円、特定資産十二億六千八百万円、繰延勘定一億六千三百万円であり、固定資産内容は、建物四百二十二億八千五百万円、土地百四十四億六千百万円、機械三百七十億四千八百万円、その他の固定資産二百二十八億七千三百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債百十九億四千三百万円、固定負債四百二十四億三千三百万円であり、固定負債内容は、放送債券百二十六億八千万円、長期借入金二百五十五億五千三百万円、退職手当引当金四十二億となっております。  資本内容につきましては、資本七百五十億円、積立金四十三億一千七百万円、当期資産充当金三億円、当期剰余金九千三百万円となっております。  次に損益について御説明申し上げます。  事業収入は一千九億八千六百万円で、前年度に比し八十九億二千四百万円の増加であり、事業支出は一千五億九千三百万円で、前年度に比し百億四千五百万円の増加となっております。したがいまして事業収支差金は三億九千三百万円で、前年度に比し十一億二千百万円の減少となっております。なお事業収支差金内容は、資本支出充当三億円、当期剰余金九千三百万円となっております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 川村清一

    委員長川村清一君) 次に、日本放送協会会長から説明を聴取いたします。小野日本放送協会会長
  8. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) ただいま郵政大臣から日本放送協会昭和四十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の概要につきまして御説明がございましたが、委員長の御指名によりまして、補足説明を申し上げることといたします。  まず、当年度末現在の資産総額は一千三百四十億八千六百万円で、この内訳は、流動資産百五十九億八千八百万円、固定資産一千百六十六億六千七百万円、特定資産十二億六千八百万円、繰延勘定一億六千三百万円でございまして、固定資産内訳は、建物四百二十二億八千五百万円、土地百四十四億六千百万円、機械三百七十億四千八百万円、その他の固定資産二百二十八億七千三百万円でございます。  この資産総額を前年度末に比較いたしますと、百三十九億四千六百万円の増加となっており、これは主として、当年度建設計画に基づき神津島等二百二十地区のテレビジョン局新設、京都ほかの県域放送を実施するためのテレビジョン局新設千葉等五十一局の超短波放送局新設、前橋ほかの放送会館整備、その他放送設備整備等を行なったことによる固定資産百二十一億三千七百万円の増加によるものでございます。  一方、これに対します負債総額は五百四十三億七千六百万円で、この内訳は、流動負債百十九億四千三百万円、固定負債四百二十四億三千三百万円でございまして、固定負債内容は、放送債券百二十六億八千万円、長期借入金二百五十五億五千三百万円、退職手当引当金四十二億円でございます。  この負債総額を前年度末に比較いたしますと、百三十九億一千百万円の増加となっておりますが、これは主として、長期借入金増加により固定負債が百十八億六千三百万円増加したためでございます。  また、資本総額は七百九十七億一千万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金四十三億一千七百万円、当期資産充当金三億円及び当期剰余金九千三百万円でございます。この資本総額を前年度末に比較いたしますと三千五百万円の増加となっております。  次に、損益計算書により事業収支について見ますと、まず受信料等事業収入は一千九億八千六百万円で、前年度に比較しまして八十九億二千四百万円の増加となりました。  これは主として、総合・教育両テレビジョン放送網建設を推進いたしますとともに、放送番組内容充実刷新及び事業の周知、受信者維持・開発につとめました結果、有料受信契約者数が、カラー契約におきまして、当年度内に四百十三万の増加を示し、当年度末一千百七十九万となったためでございます。一方、普通契約は、カラー契約受信者増加に伴い、当年度内に三百四十四万の減少を示し、当年度末一千百五十万となりました。  次に、事業支出は一千五億九千三百万円で、この内訳は、給与三百十八億九千六百万円、国内放送費二百八十七億四千五百万円、国際放送費七億六千万円、業務費九十六億二千六百万円、管理費百十億九千万円、調査研究費十五億一千五百万円、減価償却費百三十九億八千百万円、関連経費二十九億八千万円となっております。  これを前年度に比較いたしますと、百億四千五百万円の増加となりましたが、これは主として、放送番組内容充実刷新カラーテレビジョン放送時間の拡充、受信者維持増加対策の推進及びこれらの事業規模拡大に伴う維持運用費等増加並びに建設工事の進展に伴う減価償却費増加によるものでございます。  また、資本支出充当として、三億円計上いたしました。これは貸借対照表に記載されている当期資産充当金に相当するものでございます。  以上の結果、当期剰余金は九千三百万円となりました。  これをもちまして、協会昭和四十六年度末における財政状態及び当年度事業成績につきましての補足説明を終了させていただきますが、今後の事業運営にあたりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一そう放送事業の発展に努力してまいりたい所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  9. 川村清一

    委員長川村清一君) 次に会計検査院当局から検査結果について説明を聴取いたします。柴崎会計検査院第二局長
  10. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 検査結果の御説明を申し上げます。  日本放送協会昭和四十六年度の財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、昭和四十七年十月三十日内閣から送付を受けましたが、その検査を了しまして、同年十一月二十四日内閣に回付いたしました。  同協会会計につきましては、書面及び実地につきまして検査をいたしましたが、検査の結果、特に不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  11. 川村清一

    委員長川村清一君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 森勝治

    森勝治君 四十六年度の日本放送協会決算について若干質問をしてみたいと思います。  郵政大臣には所管事項全般にわたり、会計検査院につきましては四十六年度の会計検査に対しまして、外務省に対しましてはVOAの問題を主として、さらに協会に対しましては四十六年度決算全般にわたって質問をしてみたいと思います。  大臣に、第一点、所管事項としてお伺いしたいのでありますが、いま全国各地にいわゆる県域放送免許郵政大臣がされておりますけれども、現在まで免許許可したところは何県あるかお答えいただきたい。さらに現在申請中のもの、あるいはまた近く許可が想定されるもの等、あるいはまた競合する立場のものが数件ある模様でありますが、これらについてはどういう措置をとられるのか。競合するものが和解をして全部解消して、進んで許可のできるような状態になっているのか、まず、この点からお伺いをしてみたいと思います。
  13. 原田憲

    国務大臣原田憲君) たいへん具体的な問題も含まれておりますので、まず事務当局から御報告をさせます。
  14. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 一番最初の、局の数でございますけれども、いまここで調査いたしますからしばらく時間をかしていただきたいと思います。  それから、いま競願中の問題でございますけれども、これは去年の十一月一日のテレビ関係でございますけれどもチャンネルプランの変更によりまして、仙台静岡それから広島長野新潟、ここのところにテレビの波を一波増波したわけでございます。それで県域につきましては、地元の有力な方々、主として知事さんに取りまとめをお願いしているというのが現状でございまして、広島につきましては三十八社の申請があったわけでございますけれども、そのうち三十三社が一応一本化と申しますか統合に賛成であるというような状況に立ち至っております。それから仙台につきましては、まだそこまで具体化しておりませんけれども、これもまた知事さんが中心になりまして、できるだけ地元の多くの方々が打って一丸となったような経営基盤のしっかりした事業体をつくるというようなことで努力しておられるわけでございます。それから長野につきましても、申請者相当数になるわけでございますが、百七十五という申請があるわけでございますけれども、これも知事さんが中心になって、ひとつ経営基盤のしっかりしたものをつくっていただくということで御努力をお願いしておるわけでございます。  そういうような各地状況でございますので、郵政省としましては、せっかくチャンネルプランもつくられたわけでございますので、できるだけ早く経営基盤のしっかりしたものができるということを待望しておるというのが現状でございます。
  15. 森勝治

    森勝治君 お答えになってない点は調査中ですから、あとで御返事いただくことにいたしましていまお話がありました許可条件として経営基盤の確実なものといいましょうか、しっかりしたものという条件許可をされているというお話であります。  この県域放送は一県一放送というのが原則でありますね、そうですね、そうじゃないですか、許可方針として。
  16. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) チャンネルプラン基本的な方針といたしましては、基幹的な地域——これは札幌、仙台、東京、名古屋、京阪神広島それから北九州、ここのところについては少なくとも四つ以上の民放県域放送が可能になるように措置しましょうというのが一つ原則でございます。それから、それ以外に基幹的地域に準ずる地域といたしまして、先ほど申し上げましたように静岡それから新潟長野、この三県につきましては三つ放送が可能になるように措置したい。そのほかについては、少なくとも民放二つ並立するというぐあいに措置したいというのがチャンネルプラン基本でございます。
  17. 森勝治

    森勝治君 その他というのは、いま中心の県の名前を列挙されましたが、それらを除くたとえば埼玉とか千葉とか山梨とか、あるいは栃木とか群馬とかいうところを名ざしされるのですか、それらのところは民放二つということですか。その点ひとつ明確にお答えいただきたい。
  18. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) ことばが足りませんでしたけれども広域圏と称するところがあるわけでございまして、関東エリア中京エリアそれから京阪神、この三つ広域圏と呼んでおるわけでございますけれども、その中では各県ごと民放一つずつと、したがって千葉埼玉、茨城、群馬というようなところは民放一つずつ可能になるように措置したいというのがいまのチャンネルプランのたてまえでございます。そのほかが二局並立ということでございます。
  19. 森勝治

    森勝治君 ですから、いわゆる中心県と目されるもの、先ほど列挙された、こういうところは最低二つないし三つですね、長野三つというお話ですから。けれども、その他の県はいわゆる県域放送と名づけて一県一テレビ放送会社許可をするように、これを基準というか原則としておやりになっているわけですね、指導は。そういうことですね。あなたのことばをオウム返しして申し上げると、いま私がお話し申し上げたようなことになるのですが、それでよろしいですか、違いますか。
  20. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 基幹的な地域については四つ以上、それからこれに準ずる地域三つ、それからその他は二つでございますけれども広域圏の中の各県については一つずつ、こういう考え方でございます。
  21. 森勝治

    森勝治君 その算定基礎となるべきものは、人口ですか、そこのいわゆる地域ですか、それとも政府的経済的なことを背景としておきめになったのですか。  どうもいまのお話だと、四だ二だ一だの、経営基盤のしっかりしたのとおっしゃるけれども、あなた方の算出する根拠というものがあまり明確でなさそうな気がします。これがこの免許をめぐる各県における紛争のゆえんではないかと思う。すべての原因じゃありませんけれど、それが紛争を引き起こす原因、すなわち郵政省が明確に基準というものを示さない、そこから起こってくるのが相当多いのではないかと思うのですが、これは私が少しうがち過ぎた勘ぐりになりますか。
  22. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 基幹的地域あるいはこれに準ずる地域をどういうぐあいに選定したかというお話でございますけれども、これは簡単に申しますと民力度、これが各県の経済力なりあるいは実勢力なりを示す指標として、一応、いろいろな点で取り上げられている。人口とか経済力とかあるいは預貯金その他いろいろな要素があるわけでございますけれども、そういうような事柄を織りまぜて民力度というようなものが示されておるわけでございますが、そういうような問題を一応参考にするということ。それから聴視者要望とかいうような問題、それから既設の民放経営状況というような問題、いろいろそういうようなものを勘案いたしまして、ここは四つなら四つ局を置いてもだいじょうぶだというような、あるいはここは三つまではだいじょうぶだろうというような想定をいたしまして、チャンネルプランを作成するということでございます。
  23. 森勝治

    森勝治君 どうも抽象的なお答えで、私は満足いたしません。  そこで申し上げたいのでありますが、県域放送許認可基準というものを出してもらいたい。大臣、よろしいですね、出してもらいたい。いいですか、もう一ぺん言いますよ、県域放送許認可基準というものを出してもらいたい、当委員会に勘でやられては困る。前に何とか林という大臣がやりまして、これは非常にひんしゅくを買ったことですから、そういうことのないように、かりに許可にならない皆さんでもやむを得ないと不承不承納得できるくらいの説得力を持った許可基準が出されなければ、不満は依然としてつのるわけですから、その点ひとつ出してもらいたい——大臣だ、そういう基本的なものは。
  24. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 事務当局から経緯を申し述べたところでございますが、この免許の問題につきましては従来から懸案になってきて、いまの森さんのような御意見も出ておると私は承知をいたしております。これらの問題を含めて、放送というものが非常に重要なものであるから、放送法あるいは電波法という基本的な問題まで含んで解決をする必要があるのではないか、こういうことで一方におきましてそれらに対するところの検討を進めておるところでございます。したがいまして、現在、昨年の十一月ですかに、新しいチャンネルプランを与えるということで作業を進めております関係もございますので、いまの御要望に対しましては、私どもといたしましては、できるだけ御要望に沿うような姿勢でもって今後つとめてまいりたい、このように考える次第でございます。
  25. 森勝治

    森勝治君 これは異なことを承る、大臣。すでにもう許可したところがあるのでしょう、これから許可しようとなさるところがあるのでしょう、紛争あまり紛争の静まるのを、いわゆる競合の静まるのを待って対策を講じられようとするところはもちろんあるでしょうが、すでにもう郵政省許認可基準というものは厳たるものがなければならぬものですよ。なぜここへ明確に出せないんですか、出さないから世の疑惑テレビ民放免許をめぐってあれこれ取りざたされるのですよ。明確にあるんでしょう、御希望に沿ってなんて言わなくても。ないんですか、基準が、一体それでは。いまの大臣の話だと、森発言は出しなさい、基準を出しなさいということですから、私が申し上げたのは。その森発言の期待にこたえるようにまとめる、こういう返事だと私は推察するんですよ。まとめるものじゃないんでしょう、まとまっているものがなければならない、確たるものがなければならぬ、ものさしがなければならぬ。われわれがこうやって公式の場で説明をお願いしても、大臣の口からそういうこれからまとめるかのごときことばを漏らされるから、ますます疑惑に包まれてくるんではないでしょうか。  たとえば私なら私が申請した場合に、私の会社郵政省許可基準に該当するやいなやということがそれではわからぬじゃないですか。なるほど御指導はりっぱですね、たくさん書類を出さしてまた出しなさい、これはだめだとおやりになります。おやりになるのはよいけれども、さて基準というものが——おありなんですよ、かつては一県一放送、これを称して県域放送なり、こういうふうに私ども説明くださったように私は記憶する。電波監理局長民力度と舌かむようなことばでありますね。民力度を推しはかるものは何だ、これは許可基準ではないか、これを明確に示しなさいと言うのですよ。示さないで、どうしてそれじゃ小林大臣以下民放を次から次へ許可していったんですか。ものさしがなければはかることができないでしょう、ものをはかるということは許認可是非を定めることでしょう、許認可是非を定める基本がなくしてどうしていままでかってに民放許可してきたのですか、これからもどうされようとするのですか、お答えをいただきたい、許可基準があるかないか。
  26. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 先ほどの御説明がちょっと不足だったかと思いますけれどもチャンネルプランをつくる際の基本的な考え方はどうかという御質問に対しましては、民力度その他を参酌……
  27. 森勝治

    森勝治君 それは聞いていない、そのあとだ。
  28. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) そういうことで、ある県に幾つ放送が適当であるかという事柄をきめるわけでございます。  それから、ある県に幾つの、たとえば二つなら二つ放送局を置くことが適当だという場合にはあとは今度は免許の、免許基準と申しますか、われわれが申します根本基準に従って具体的な申請を審査いたしまして、優劣をきめて判定して許可を与える。  したがいまして免許基準と申しますか、ことばをかえて言いますと根本基準ということ、省令があるわけでございまして、それを適用して免許の許否、許可するか、否定するかということを決定するということになっておりまして、したがってチャンネルプランをつくる原理原則と選択の基準というものは一応分けて考えておるわけでございます。
  29. 森勝治

    森勝治君 基準はあるんですね、いまあるかないか、出せと言ったらうやむやだ、大臣の答えは。だから今度は私が一歩後退をして基準というものがおありなのかと聞いた。あなたいま省令で定めると言っただけで、基準はありますと明確におっしゃっていない。基準というものがあるかないか、このことです。  申請があれば省令に定めるところによって許可するかいなかをきめるとはありますよ。ありますけれども、今日のように競合が激化した場合には、いいですか、たくさんの問題がいま持ち込まれておるでしょう、だからものさしがなければ出たとこ勝負であってはならぬでしょう、だからそのものさしがあるかどうか。ものさしとはすなわち許認可基準というものがあるかどうか、これを聞いているのです。あるならある、ないならない、物価高のおりからだから、むだなことばを使わせないでください。
  30. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 基準はございます。それは……
  31. 森勝治

    森勝治君 いいです、それならそれを出してください。大臣、あるなら出しなさい。そうでしょう、あるなら出しなさい。
  32. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 先ほどから申し上げておりますように、省令で定められておりまして、これが根本基準でございます。これは電波法の第七条の規定に基づきまして省令をきめることになっております。それが根本基準で、それでもって免許申請の優劣をきめるという仕組みになっているわけでございます。
  33. 森勝治

    森勝治君 あなたは頭がいいからべらべらしゃべるが、私は頭が悪いから許可基準があるなら出してくださいと言うのです、出すか出さぬかお答えくださればいいんですよ。頭のいいところをここで別に宣伝されたっていま直ちに次官になるわけじゃないんだから、出すか出さぬかきめてください。
  34. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 法令集に載っておるわけでございますが。
  35. 森勝治

    森勝治君 出すか、出さぬか。
  36. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 出します。
  37. 森勝治

    森勝治君 いま省令に載っかっているからきめますと言っているけれども、それではあなた方は競合して紛争を起こした会社は全部省令にのっとって指導しているのですか。そうじゃないでしょう、よきに計らえ式じゃないですか、よきに計らえ。全部申請一つ一つ会社に対しておやりですか、やってないでしょう、なぜやってないか。先ほどあなたはおっしゃったでしょう、その地域の県知事さんにお願いしてという用語を使って、そうでしょう。省令に照らしてやってないじゃないですか、それでは。県知事にまかせっきりでしょう。  たとえば長野なんか百七十五社が競合している。省令に照らして民力度を推しはかれば、そうしてまたおっしゃる経営基盤というものに尺度を当てれば当該県知事の労をわずらわさなくてもどんぴしゃり出てくるんじゃないですか。この競合する紛争の中に巻き込まれたくないという配慮のあまり県知事に頼んでやってくださいやってくださいでしょう。ごらんなさい、省令があるならぴたっときまるけれども、あなた方は明確な指導がないからいずこの県域放送をめぐってもトラブルが絶えないじゃないですか、今後も続くでしょう、へたをすれば裁判ざたになりかねないでしょう。  私はきょうは、この問題は必ずしも、NHKの四十六年度の決算の場でございますから、因果関係はありますが、直接決算とは関係がありませんだから出そうか出すまいか迷ったのでありますが、これ以上全国において民放の諸君が、いたずらに競合が助長されるような傾きがありますから、それではならじと考えて、あえて私はこの冒頭に郵政当局のこの問題の的確なる措置、指導、果断なる決断を期待するためにこの質問を設定したのです。大臣、私が設問をした趣旨はおくみ取り願えると思うのです。どうかひとつこの問題について大臣の的確なお答えをいただきたい。的確なお答えが得られれば私は次の問題に移ります。
  38. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 先ほど局長から申しましように、この免許の割り当てにつきましては省令をもって、これを基準としてやっておる、こういうことでありまして、それに対しましてもっと的確な指導をしないからいろいろの問題が生じてくるではないか、こういう御指摘があったわけでございます。  そういう御指摘に対しましては、十分考慮の上そのようなことがないように指導をし、対処してまいりたいと存じます。
  39. 森勝治

    森勝治君 電波局長、この辺でもうこれ以上それぞれの地域での紛争を惹起させる、助長するような郵政省の、何といいましょうか、自然と争いが疲れてやむのを待つようなことをしないで、確たる強い指導、いわゆる善導といいましょうか、そういうことをしてもらってひとつ解決をしてもらいたい。  それでないと、次から次へとふえて、いわゆるかけ込み等も一部見られる模様ですから、かけ込みが一番あなた方もお困りでしょう、受付停止はできないですから、許認可が出るまでは。ある程度の新設はとめておるんでしょう、行政指導としてとめておっても、なおかつそこへ飛び込んでこられてすったもんだやっているところがあるでしょう。もとの発起人の数会社と新しく申請された会社との対立もありますね。このままほっておくとどんどん出てまいりますから、ひとつ大臣が積極的におやりになるということばを受け継いで、所管の長としてあなたもひとつ積極的に取り組んでこの問題の解決をはかってもらいたい。  そこで会計検査院質問をしたいんでありますが、失敬でありますが、会計検査院に私は毎回のように御質問をするわけでありますが、今度の決算につきましても御努力を多とするものでありますけれども、やはり決算書の書類は財務諸表の羅列をされているような気がしてならぬわけです。したがって国会で承認を得ました事業計画や収支予算というものが適正かつ効率的に執行されたかどうかということを判断するにはどうしても十分というわけにはまいらぬわけです。  そこで、私は、実際にこの執行状況について検査をされました検査院の皆さん方の検査のあり方について聞いてみたいんでありますが、毎年のように同じ方式をもって一定の検査に臨む方式があるわけですから方式をもって臨まれるのは当然でありましょうけれども、その結果がどうであったのか、いわばこの文書では明確にわれわれいま申し上げたように把握をできないわけです。それから、この決算審議というものも、四十六年のを四十九年のいまごろ審議をするわけでありますから、四十六年のものを四十七年度程度に審議するならいざ知らず、三年の時間的空間がそこにあるわけですから、今日のように物価高になりますと価値観というのが非常に変わってきますから、私どもしろうとがあなた方の検査された報告をおおむね妥当なりとお書きになっておりますが、それらを見ても、NHKの決算書を見ても、はたしてどうかということは、いわばしろうとの私どもとしては首をかしげざるを得ないわけです。  もちろん現在の会計検査院の陣容をもってしてはNHKはじめ各省をつぶさに、私どもが見てなるほどと満足するような、だれが見てもわかるような、いわゆるかゆいところに手の届くような会計検査は無理でありましょう。それはいまの段階では基本的な問題、項目別的な検査にとどまらざるを得ないでありましょけれども、それでもやはりそれにはそれなりのNHKならNHKを検査する場合の態度と申しましょうか、特徴的なものがあるわけですね。もしNHKの四十六年度の会計検査をする場合に、じゃ四十六年度はどういう立場で、毎年毎年同じように光を当ててきて同じ面だけ検査するというよりも、ことしは違った面でやろう、こういう特徴的な目玉と申しましょうか、これを重点に置いてやろうこう毎年会計検査院はお立てになっておる模様ですが、さて四十六年度にはどういう眼目でどこを中心として検査されたのか、このことです。  したがって、これは四十五年度のときもお伺いしたんでありますが、NHKの会計検査にあたりまして、一体、四十六年度は対象局所をどのくらいにされたのか、ここに投入された員数、検査官の数ですね、さらに延べ日数、それからもう一つおおむね良好とありますけれども若干御注意がございます、いわば改善すべき問題としてのことが若干おありですから、こういう問題を踏まえて、四十六年度の会計検査状況をおおむね良好なりではわかりませんから、もう少し詳しく私どもしろうとでも、ああそうか、ことしはここが目玉だったのか、ここは改善すべきだと。それから四十五年度、四十四年度、四十三年度、四十二年度、四十一年度というように毎年毎年御指摘の点がありますが、そういう向きについては解消済みなのかどうか。  しかし、たとえば私どもが毎年のように難視聴解消に励め、こう言いますけれども、なかなか国民の不満が満足の域に到達しません。したがって去年も難視聴解消に努力しなさいよ、ことしもやりなさい、四十九年度の目玉もやっぱり難視聴解消の予算がNHKから出されているように、同じことを例年繰り返して、若干、難視聴解消のやりとりもややマンネリ的な傾きがありますけれども、それでもなおかつそれの積み重ねの努力が要請されているわけですから、会計検査院のそういう改善の要求についても、それとはおそらく観点が違いますけれども、そういうように改善が勧告されて、NHKが期待にこたえて改善しようと思っても、なおまだあきたらない部分がおありでしょうが、もしそういう面があったらお答えをいただきたい。
  40. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 私ども検査報告は、違法または不当その他特に意見を申し述べましたことだけを提示いたす、これが従来からのていさいになっておりますので、検査の概要を特に記載するという手だてをとっておりません関係上、ただいま先生からお話のありましたような検査内容が明らかでない、こういう御不満はごもっともであろうかと思います。  そこで四十六年度のNHKの検査の概要について若干御説明申し上げたいと思いますが、この年度につきまして、私どものほうでは、従来の検査の経験に徴しまして、NHKの問題点と申しますか、ぜひ私どものほうで年次計画として特に重点的に検査をいたしてまいりたい、こういう事項検査に臨みます年度当初に、当然のことでございますが、検査計画として設けてございます。これはすでに検査も終わりました後のことでございますので御披露申し上げて差しつかえないと思いますので、以下御説明申し上げます。  NHKの会計を大別いたしまして収入と支出とあるわけでございますが、その収入面につきましては申し上げるまでもなく受信料収入、これの会計が最も基本的な検査上の眼目になります。これにつきましては従来から私ども検査の重点として取り上げてまいりましたが、内容を見てまいりますと、その当時といたしまして受信料の収入をまたさらに類別いたしますと世帯のものと非世帯のものと二つに分かれるわけでございます。  世帯に関する受信料につきましては、多年NHKでも御努力をされておりまして、その捕捉率、徴収上のパーセンテージ、これは九〇何%ということでたいへんいい成積になっております。ただ非世帯の分につきまして——非世帯と申しますのは、私から御説明するまでもなく学校とかホテルとか会社とか船舶とかそういうものでございますが、これについての把握率、これが非常に低いということはかねてから私ども心配をいたしておったわけでございますが、四十六年度においては特にその点をひとつ検査上確認し、検査の結果申し上げる改善策があれば申し上げようということでその点の検査をいたしました。  手始めといたしまして四国の地方本部につきまして検査をいたしたわけでございますが、私どもが四国本部で船舶についてテレビの設置状況、これを調査いたしましたところ、当時、四国本部で契約いたしておりました件数が十六件。ところが私どもが実態調査をいたしました船舶の数が百四十六、その百四十六のうち実際にテレビを設置いたしておった台数が百三十四ということで、たいへん船舶関係テレビについての契約の捕捉漏れが多い、こういう実態が明らかになりました。  こういうようなところから、私どものほうといたしましては会社とかホテルとかそういうところにつきましてもさらに調査の手を伸べようといたしたわけでございますが、この非世帯の受信の契約の問題につきましてはNHKでもかねがね非常に心配をされておられまして、私ども検査と相まってその改善策を当時並行的にお立てになったということで、私ども検査の結果をお示しいたしまして御努力を願いましたところが、NHKでは船舶に限らずホテル、会社、学校等につきましてもあわせて独自の調査を進められ、その改善策として、これもたいへん具体的な手順についての通達をお流しになった、こういうことで、これはNHKの御努力でもありますが、私どものいたしました検査は船舶の一部だけでございますけれども、その効果があがったものではなかろうか、このように考えておるわけでございます。これが重点といたしました収入面、非世帯受信契約の問題でございます。  次に支出の面。これにつきましては例年国内放送費関係を重点のテーマといたしております。  これも申し上げるまでもなく国内放送費はNHKにおきます基本的な費目でございますので、これが重点となるわけでございますが、この四十六年度の検査におきましては私ども多少目先を変えまして、国内放送費の中での番組制作費、その内容といたしましては最も具体的な大道具、小道具といったような美術関係、そういったものまでひっくるめましてひとつ番組制作の関係、これを見ていこうということで、これを重点にいたしまして検査をいたしました。  話が前後いたしましたが、その具体的な検査のために私どもが投入いたしました実地検査の施行の態様でございますが、私の局には八つの課がございまして、そのうちの一つの課でNHKの検査を担当いたしております。この課は小さな課でございまして八名の調査官でやっておるわけですが、実は、さらにまことに残念なことには、この八名の調査官で現在九つの団体の検査を実施しております。というようなことで、先ほども先生からのお話がございましたが、なかなか悉皆的に検査をするということ、特にNHKはこの課の重要な検査対象機関と考えておりますけれども、なかなか精力をすべてNHKばかりに投入するわけにはいかないというような事情もございまして、四十六年度では本部のほか六地方本部、それから一放送局。  で本部には、特に重要ということで二回実地検査を施行いたしております。それから地方本部でございますが、これは御案内のとおり七地方本部ございまして、そのうち中国を除く他の六地方本部の検査を実施いたしました。施行率は八五%ということでございます。それから放送局は六十放送局当時ございましたが、そのうちの一つ、これは福岡放送局ということで、これがただいま申し上げました番組制作関係を重点としたということと関連いたすわけでございますが、福岡放送局におきましては自主的に番組制作をいたしておる、こういうような関係でこの放送局を特に選びました。  計八カ所でございまして、投入したしました人員は百九十八人日。百九十八人日という人日は、これも御説明を要しないと思いますけれども、一人の調査官が二日参り検査いたしますと二人日、あるいは二人の調査官が一日検査いたしましても二人日、こういう計算でございますが、百九十八人日の実地検査をいたしたわけでございます。ということで番組制作の関係、これを本部並びに地方の機関の若干ということで検査をさしていただいたわけでございます。  そのほかに、当時としては、これも御案内のとおり代々木のセンターの工事を施行中でございます。その他地方においても各放送局なりあるいは地方本部の局舎の建設ということが行なわれております。というようなことで建築工事関係、これもゆるがせにするわけにまいらないということで、支出の面では工事の検査の面、これにも一つの重点として精力を投入いたしました。  それからさらに、これも御案内のとおり、当時は札幌オリンピックが四十七年の二月でございましたか施行されるということで、NHKもこれに相当の事業費をつぎ込んでおられるということでこれは札幌オリンピックの施行前にははなはだ業務多忙ということで、その円満な施行に支障を及ぼしてもいかぬというような事情もありまして、これはオリンピックの終わりました次の日でしたか、間を置かずに検査員を差し向けたというようなことでございました。  以上が四十六年度のNHKの業務を大観いたしまして、私どものほうでその年度の検査の重点的な事項ということで計画をし、またそのとおり実行をした内容でございます。
  41. 森勝治

    森勝治君 会計検査院の実地検査、これはNHKの本部や地方本部、いまお話しあったようにNHK本部と六地方本部、さらにまた福岡放送局を対象にされた、こうおっしゃっておるわけでありますが、この一定規模の建設工事については、代々木という話もちょっと触れられましたが、こういうものについては報告書類ですでにその計画を御存じのはずですから、したがっていまお話がありましたように四十六年度の検査の重点というものを事業計画に置いたとするならば、建設現場をも対象にすべきだろう、こう思うのですが、この辺のところの会計検査院の見解はどうなのか、この点これからの問題とも関連いたしますから、ひとつ承っておきたい。
  42. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 建設現場での検査というお話でございますが、まことにごもっともなお尋ねであろうと思います。  私どものほうでは、憲法に基づきまして収入支出の決算検査、これは基本的な検査事項でございますが、そのほか会計検査院法の規定によりまして、法律で定めるその他の会計検査、その中にNHKも当然入っているわけでございますが、さらに会計検査院法上では、しからばこういう検査をどういうぐあいにやるかということの権限付与がございます。その内容を見ますと「会計検査院は常時」会計検査を行ないと、こういう規定もございます、「常時」ということでございますから、まあ会計経理の事前には検査はできませんけれども、その進行中そのつどつどということが考えられるわけでございます。特にいまお話の建築関係、これは工事が全部終わってしまってから現場といいますか、でき上ったものを拝見いたしましても、なかなかその建築物なりが設計仕様どおり施工されているかどうかということの確認はむずかしゅうございます。そこで特に建築なり土木なりといったような工事関係につきましては、私どものほうでも検査の方法といたしまして、つとめてその旋工中に伺って検査をする、こういう手段を構じているわけでございます。  それで先ほども例として申し上げましたが、代々木センターの工事の場合にも、先ほど本部に私ども二回年間に伺っている、こういうぐあいに御説明申し上げましたが、この二回伺ったという中には、一つにはセンターの工事の検査ということが内容的に入っているわけでございまして、現に工事中のセンターの現場、これに伺いまして、その施工中の内容というもの、これを設計書なり仕様書、図面、こういうものと照らし合わせて確認していく、こういう検査を実施いたしたわけでございます。ということで、そのほかにも当然でき上がったものの出来高の検査ということもございますけれども、この四十六年度検査におきまして各地方本部等に伺いました場合に、放送所の建築そかそういうような工事も多々ございまして、それらはできるだけ検査をしてまいったわけでございますけれども、その中には施工中のものもございます。そういうものもその際にあわせて確認をしてくる、こういう検査方法をとっているわけでございます。
  43. 森勝治

    森勝治君 いまの、お話の建築中のものにタッチするというお話がありました。このことはこれからも当然そういう線を会計検査院としては強める——あなた方が四十六年度のNHKの決算検査するにあたって、先ほど言われた検査の重点を事業計画にすることや違法もしくは不当事項の指摘にとどまることなく、進んで災いを防ぐことになるだろうと思うので、当然、これは積極的にこれからもおやりになることだろうと思うのです。  従来は、いまもちょっと触れられましたが、予算執行後のいわゆる事後検査ですね、事後検査ということが大体主だったわけですが、いま御説明ありましたように、執行中の問題、特に建築等の現場に出向かれたということは四十六年度のNHKの検査にとっては会計検査院は新たな角度で取り組もうとされている意欲のあらわれと私は考えるわけです。したがって、これからもそういうところをどんどんおやりになったほうが私はいいと思うのだけれども、四十六年度程度でおやりになったのか、四十七年度の決算の問題の審議にまだ入りませんが、引き続きその姿勢で四十七年度もおやりになったんであろうと思うのでありますが、四十七年度のことはまたあとの機会に私は聞きたいと思いますが、そういうことで今後も積極的にそういう検査方法をもってしていきたい、こういう考えでしょうか。もうこの程度であまり深入りは避けたいとおっしゃるのでしょうか、その辺をちょっと会計検査院としての基本姿勢を伺いしておきたいのです。
  44. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 先ほど御説明申し上げました年度途中で施工中のものについて検査をするという姿勢は、今後も積極的に取り続けてまいりたい、このように考えております。  また現に、現在は四十八年度の検査を施行中でございますが、四十九年度施工中のものもあわせて現地に参った場合には検査をする、こういうことで指示をいたしております。
  45. 森勝治

    森勝治君 それでは次の問題に移りますが、NHKの収支予算は放送法国会の承認を要するものである、こうなっておりますが、その執行にあたっては財政法や会計法の適用が全然なく、NHK自身の定める規則に従って措置ができる、こういうふうになっているわけです。また予算総則においても若干の制約規定というものが設けられていますが、その制約も経営委員会の議決という単なる内部的な手続にとどまって簡単に変更ができる、こういうたてまえになっているわけです。  これは御承知のようにNHKが政府機関でもなく、また政府出資による特殊法人でもないところから当然のことだろうと思われるわけでありますけれども、しかしその反面、今日の放送の高度の普及に伴って、いまや受信料というものは、これは表現が必ずしも当たらぬかもしれませんけれども、一種の税金的なそういう性格を帯びてきたような気がしてならぬわけです。したがって国民の眼から見ますならば、受信料の使途というものについては当然関心が強まるのはあたりまえなことであります。したがってNHKの会計経理の適正化というものを期するためにはNHK側の規則の定め方いかんというものと関係してくると思われるわけでありますけれども、この点、会計検査院としてはどうお考えになられておられるのか、このままでよいのか、あるいは皆さんが現場に入りつぶさに帳簿をめくった場合、はたしてこういうのでよいのかどうか、この辺ひとつお聞かせを願いたい。
  46. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) NHKが業務を執行する上での内部諸規程の問題でございますが、確かにおっしゃるとおりNHKでは内部の諸規程によっておられる。  そこで私ども検査との関連でございますけれども、これは古い話になって恐縮ですが、十年ほど前でございましたか、この規程上の不備のために生じた事項ということについて私どものほうでこれはうろ覚えの記憶でございますが、何か勘定のことであったと伝え聞いておりますが、御注意を申し上げて、その点の是正方をはかっていただいたというような例もかってございました。  というようなことで、私どももこの内部諸規程というもののあり方が運営を左右するということは当然承知しておるわけでもございますし、検査の上でもそれらの点は常々着眼の一つとして見ておるわけでございますが、NHKも逐年内部規程につきましては整備方の努力をされておられまして、最近の検査の上でこういうような規程があるために経理そのものがおかしくなっているのではないかというような事態の所見を持ったような事態はございません。  感想として申し上げますと、NHKの内部諸規程は現時点においては非常に整備をされている、こういうような検査上の印象を持っております。
  47. 森勝治

    森勝治君 外務省にこれからVOAの問題についてお伺いをします。  過ぐる五月七日、八日の両日にわたりましてVOA沖繩中継局の将来の運営問題について米国側と協議したようでありますが、新聞報道等によりますと、外務省は協定を軸といたしまして五十二年の五月十五日までに移転もしくは撤去することを主張した、こう報道されております。これに対しまして米側は五十二年度以降の存続を強く希望し、もの別れになった、こういわれておりますけれども、私もかつて沖繩特別委員会でVOAの問題について党を代表し、政府にただしたたてまえからいたしましても、この五月七日、八日の両日に行なわれました日米会議での日米両国の本件に対する食い違いが著しい、懸隔がはなはだしい、こう新聞報道から推察すると考えざるを得ないのです。  もし新聞報道のとおり、日米相互間においてそういう隔たりがあるとするならば、私らが当時沖特においての質問のときにも今日のこういう隔たりというもの、条約に対する日米両国の食い違いという問題については懸念をいたしましてつぶさに指摘をしておったところが残念ながら現実のものになってきたような気がしてならぬわけです。  したがって内容に入っての質問をする前に、協議された概要についてひとつつぶさにお聞かせ願いたい。
  48. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 五月の七日及び八日に沖繩返還協定第八条に基づく日米間の協議を行ったことはただいま御指摘があったとおりでございます。  私どもといたしましては、かねて国会におけるいろいろな御議論を踏まえまして相談しながらいろいろな準備を進めてまいりましたけれども、実は三月の二十八日に米側との間に予備的な話し合いをいたした経緯がございます。予備的な話し合いの場におきましては、日本側といたしまして沖繩返還協定の合意に基づく将来の沖繩におけるVOA運営の問題について日本側の基本的な立場を重ねて説明し、五月に予定されている本協議においては日本側としてこの基本的立場に立って米側との話し合いに入る考えであるという趣旨のことを述べまして、米側といたしましては日本側の説明はそれとして聞いたという経緯があるわけでございます。  五月七日及び八日の協議におきまして、日本側といたしましては、かねての基本的な立場を重ねて強調いたしまして、沖繩返還協定に規定されておりますように、おそくも一九七七年の五月までには沖繩におけるVOAの運営を停止すべきであり、日本側としてはその前にもできる限りすみやかに撤去ないし運営の停止ということをやってもらいたいという考えを述べたわけでございます。  これに対しまして、米側が述べましたことは、VOAの放送そのものはニュース等を主体とする教育的あるいは文化的な内容のものであって、挑発的な要素は全く持っておらない。したがいまして米国としてはVOAの放送は非常に大きな意味を持っている活動である、こういう基本的な考えであり、しかも現実に放送が向けられている国々からVOAの放送について異議を差しはさんだ、あるいは異議に接したということはないというふうな事情をるる述べまして、VOAの活動の意義を強調するところがあったわけでございます。  しかしながら、日本側といたしましては、VOAの内容いかんということではなくして、沖繩返還交渉当時からの長い経緯にかんがみ、また沖繩返還協定そのものの日本の合意にも照らして、先ほど来申し上げております基本的な立場に沿ったすみやかな措置を米側がとることを強く希望するということを繰り返しまして、結局、会議の最後に、米側といたしましては日本側のただいまのような立場を十分本国政府に報告いたしますということを約束し、今後とも日米間で十分な話し合い、接触を続けてまいりましょうということで、その会議を終わったわけであります。
  49. 森勝治

    森勝治君 三月の二十八日ですか、事前の何かいま予備折衝が始まったというのは。ことしの三月二十八日ですか。
  50. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) ことしの三月二十八日に予備的な話し合いを行ないました。
  51. 森勝治

    森勝治君 それ以前は一度もやりませんでしたか。
  52. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 折衝というふうなもをいたしたことはございません。
  53. 森勝治

    森勝治君 郵政大臣にお伺いいたしますが、郵政省としても本件について二年を持たずして事前折衝を行なうということを外務省に話を持ちかけたことはございませんか。
  54. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) できるだけ早く折衝を始めてもらいたいというようなことを申し上げておきました。
  55. 森勝治

    森勝治君 何年何月何日ですか。
  56. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 昭和四十八年の七月十二日付でございます。
  57. 森勝治

    森勝治君 それについて外務省はどういうことで答えましたか。——どうもこれは尋問めいたことになって恐縮だけれどもね。
  58. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 郵政省のほうから、V ○Aの将来の運営の問題については、五年ということではなくしてなるべくすみやかな撤去が望ましいことであり、米側との話というものもなるべく早く行なっていただきたい、こういうふうなお考えが伝えられてきております。  私どもも、かねて国会におきまして、協定には二年ということが定められているけれども、二年ということを待つことなくして米側との話を至急始めろ、こういう御要求、御指摘があったということも十分承知しておったわけでございます。しかしながら米国との関係におきましては、沖繩返還協定第八条に「協定の効力発生の日から二年後に沖繩島におけるVOAの将来の運営について協議に入る。」という規定がございまして、正式な意味の交渉というものはこの規定に従わざるを得ないわけでございますが、非公式にはかねて米側にこういうふうな日本側の希望というものは伝えてきたわけでございます。しかしながら五月の協定に基づく協議というものに入る前に、ただいま御説明しましたような予備的な話し合いを三月に行なったわけであります。
  59. 森勝治

    森勝治君 一国の担当大臣が、当時は福田外務大臣でありましたが、国会の正規な委員会において答弁したこと、約束したことを外務省は今日までなおざりにしておったということでありますね、いまのお話は。私と当時の大臣との質疑応答の速記録を持ってきておりますが、当時の廣瀬郵政大臣との質疑応答の中で二カ年据え置くということになっているけれども、二カ年を持たずしてやると郵政大臣と外務大臣お答えになっているんですよ。したがって二カ年を待たずして予備折衝はしなかったということでありますね。三月二十八日に接触したということは五月七日、八日の会談の折衝であってVOA撤去についてはアメリカ側にその意思を全然伝えてなかった。したがって日本政府は沖繩特別委員会において担当大臣が約束したことを守らなかった、実行しなかった努力しなかったということですね。
  60. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) ただいま御指摘がございました国会における外務大臣並びに郵政大臣の御答弁は私どもも承知いたしております。国会におけるこのような御議論につきましては、そのつど米側に対しまして日本側の事情はこのとおりであるというふうなことをずっと伝えてまいっておりますし、また米国の議会に対しまして、米国政府がVOAの撤去に関連します予算の提出というふうな措置を行ないました際にも、それらの事情の把握につとめてまいったわけでございますから、米側との間にはそのような形での接触をずっと続けてきたわけでございます。
  61. 森勝治

    森勝治君 だから米側と折衝、接触したかと聞いたら、三月二十八日だけですと。郵政省がこのことについてアメリカ側と接触してくださいと外務省に申し入れしたのが四十八年の七月十二日、いまあなたは三月二十八日にしたと言うから、そ以前にありませんねと言ったら、あなたはありませんとお答えになった。やったというのはおかしいじゃないですか。それは詭弁じゃないですか、先ほどは接触していないとおっしゃっているんですよ、いまのお話だと何かおやりになったお話ですね、記憶違いじゃないですか、どちらが正しいのですか。
  62. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほど郵政省から御答弁ございましたように、郵政省のほうから米側との話し会いにつきまして御要望があったわけでございますが、これに対しまして外務省といたしましては、郵政省のほうからのお申し出の御趣旨を踏まえて、沖繩返還協定に定められている協議が円滑に行なわれるよう外交チャンネルを通じてこの問題に対する米国の動きの把握につとめ、あわせて日本国内におけるこの問題に対する関心を米側に伝えつつ準備を進めていきたい、こういうふうな考え方をお伝えしているわけでございまして、そういうふうな趣旨のもとに先ほど来御説明申し上げましたような内々の非公式の接触は米側とはとってきたわけでございます。
  63. 森勝治

    森勝治君 とにかく国会の答弁というものをなおざりにする傾向があります。これは明快に指摘をしておきます。今後、改めてもらいたい。  速記録ではこういうことを言っているんですよ。郵政大臣の談話の一部を読み上げますけれども「また外務大臣から言われましたように、なるべく早くこのような日本において放送するということが好ましくないようなアメリカ政府の放送でございますから、日本から撤去してもらいたいという気持ちは当初から持っておりました」云々と、こう郵政大臣は明確に言っているんですよ。その前では、当時の福田外務大臣、いまの大蔵大臣ですが、時間がありませんから私は読み上げませんけれども、二年を待たずにやるだろう、こう言っているんですよ。特に「郵政当局は」云々ということばで言っている。だから郵政当局は四十八年ということでおそらくおやりになったんでしょう、約一年前に外務省に要請をしたんでしょう。「二年を待たずしていろいろの相談をすると、こういうふうに私は見ております。と、外務大臣福田赳夫のことばですよ。「郵政当局は」とその前にことばがつくのですよ。全部読むと時間がかかりますから、そうして最後の締めで、二年を待たずしてこれはアメリカ側と一日も早く撤去してもらうということで折衝をするということにこの委員会ではなったのですよ。当時発言した一方の当事者は私ですから食言でございません、これはもう速記録を持ってきておるわけですから。どうかひとつ国会で約束したのは、委員会審議が終われば、もうあとはという感じはひとつおやめになっていただきたい。  そこで、また外務省に聞きたいんでありますが、いまのお話だと、この五月七日、八日に行なわれたVOA撤去に関する折衝というものは不調に終わった、新聞もそう書いておるわけです。で、あなたのお話も、そういうふうに結論が出ないのですから、引き続きということにはなっておりますけれども、これはもう見解の相違なんですから、不調に終わったと言わざるを得ないのです。そこで不調に終わったその原因というものがここで解明されなければならぬと思うのです。いわゆる沖繩返還協定の第八条の合意議事録の解釈の食い違いは、つまり米国側は予見されない事情により代替施設が五年間に完成されないとき云々とあるわけですが、この「予見されない事情」に移転先が見つからない場合も含まれているとして、五十二年以降も引き続き存続を認めるべきだという立場をとっている、こう報道されておるわけです。  そこでお伺いしたいのですが、協議が難航している原因というのは何でしょうか、条約で明確に示されているにもかかわらず何が原因で難航をしたのか、何が原因で過ぐる日米協議が決裂をしたのか、この点ひとつ端的にお答えいただきたい。
  64. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 米国政府は、昨年、議会に対しましてVOAの撤去に関連する予算要求をいたしました。ところが、これが上院で否決されまして、その関係の予算がつかなかったという事態が発生いたしました。七五会計年度の予算に関連いたしまして、米国広報庁は、その前年の経緯にもかんがみてのことかと思われますけれども、VOAの撤去に関連する予算の要求を議会にいたしておりません。このような事情があるいは米国側として、いまの段階において将来の運営のあり方について具体的なことを日本側に説明することができなかったことではなかろうか、こういうふうな推測を持っております。
  65. 森勝治

    森勝治君 四十六年十二月十八日の沖繩特別委員会における席上で、政府側は、いまアメリカが引き延ばしの理由として「予見されない事情」という問題について明確に政府側の解釈というものをしておるわけです。私どもとの質疑応答の中で、議論の中で、政府側の態度を明確にしている。したがいまして、アメリカが、いま新聞報道にあるように、この「予見されない事情」というものが単に移転先が見つからないという事情で居すわるようなことはよもやなかろうとわれわれは考えている。当時の外務大臣の答弁を信用するならば、そういうことはあり得ない。しかし現実に「予見されない事情」という中に移転先が見つからないという、こういうことで出してくるとしても、これは当時の政府側の解釈からいたしますならば、これはアメリカが無理なことを言っているわけですから、よもやアメリカ側の主張に私は日本が屈服することはない、こう考えているわけです。明確に言っておるわけですからね、この点は。  そう考えておりますけれども、当時、総理は佐藤さん、外務は福田さん、沖特のときには田中さんは通産大臣として列席をされておって、この私の質疑応答をつぶさに聞いておられた。しかし、もう当時の担当大臣と総理はかわっておるわけです。  そこで、私はこの際でありますから、あらためて政府のこの「予見されない事情」というものの解釈についてもう一ぺんただしてみたいのです。お答えいただきたい。
  66. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 「予見されない事情」というのは何だと、こういことになろうかと存じますが、まさにどういう事態が発生するか予見できないという意味におきまして「予見されない事情」という表現を使っての合意ができているというふうに私ども承知いたしております。  ただ政府といたしましては、御指摘がございましたように、国会におきましてこの「予見されない事情」というのは何だということに対しまして、当時の外務大臣並びに政府委員は「天変地異等」こういうふうなことが「予見されない事情」に該当するものである、こういう答弁をしておられるわけでございまして、私どもといたしましても、国会における責任大臣また政府委員の答弁が今日も私どもの考えであることを申し上げたいと思います。
  67. 森勝治

    森勝治君 それでは今度のこの両日にわたる協議の中では、いまあなたが言われた天変地異以外は考えられないという日本側の主張はアメリカ側に即刻伝えたのですね。
  68. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) この問題について、国会では「天変地異等」という説明が行なわれておって日本側はまさに現状において予見されない事情が「予見されない事情」というふうに合意議事録に書いてあるものであるという説明をしておりりますので、米側として日本側がそういう考えを持っておるということは承知しております。
  69. 森勝治

    森勝治君 ちょっとあなたのは回りくどいのですが、いま予見されないと言われましたね。もっと「予見されない事情」とはそもいかなるものかというので明確に浮き彫りにされでおるのですよ、それは天変地異である。それで、あとで「等」ということばを当時の外務大臣がつけ加えましたから、「天変地異等」の「等」とはまたいかなるものかということで私は追い打ちをかけた。速記録を読んでください、おわかりなんですよ。  新聞報道によれば この当時の福田外務大臣の主張のそれのごとく、過ぐる五月の七、八日の日米協議の本件の問題の日本側の主張にあたっては、日本側が天変地異という主張を繰り返した、こういうふうに新聞報道がなされておるから、そういうことをやったかどうか、この点を聞いておるわけですからね。  いいですか「予見されない事情」というものはこうだ、「予見されない事情」は予見されない事情ですと、こういつまでも言われたのでは困るのですよ、解釈があるのですから、拡大解釈もないし狭義解釈もないし、この問題は当時の沖繩特別委員会において明確に政府側の見解が示されて、今後ともこれに基づいて対米折衝を続けるということになっておるのですから。いいですか、そういう折衝はじゃ過ぐるこの会議でやらなかったのですか、やったのでしょう、やりませんでしたか。
  70. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 昭和四十六年の十二月の沖繩特別委員会におきまして福田外務大臣は「天変地異等」と、こういう趣旨の御答弁をしておられますし、井川条約局長も同じく天変地異、たとえば地震、火事等という答弁をしているところでございまして、私どももそのように考えております。  したがいまして、今回、かねて米側と話し合っております際には、「予見されない事情」というのは日本側は国会にはこういう趣旨で答弁をしており、この点が日本側の考えであるということは伝えてきておるところであります。
  71. 森勝治

    森勝治君 ですから、この伝え聞くところのいわゆる新聞報道によれば、日本側の主張点とアメリカ側の主張点は明らかに食い違いがありますね。政府のこの国会答弁というものをわれわれは信用する以外にないんですよ。この政府側の答弁の趣旨のとおりだとするならば、五年後も居すわるということはアメリカは無理なことであるし、もしいすわるとするならばまた新たな条約を結ばなきゃならぬわけですから、こんなことはできっこないはずですよ。  にもかかわらずアメリカに代替地がないからという理由で——それは理由にならぬと言っているんですよ。時間がありませんから当時の速記録は読み上げません。しかし大事なことですから私は付言をいたしますけれども、日本の政府の態度は明快になっておるんですから、当然、これはアメリカに対して主張しなければならぬのですよ。この辺があいまいじゃないかと私が追及したら、間違いありませんと、やせた福田大臣が胸を張って答えた。よろしいですか、食い違いございませんかと重ねて執拗に、私はこの点非常に大切なことですから、将来に禍根を残しちゃいかぬ、二年たってまた議論、五年たってまた撤去しないということになったら、それこそお話になりませんから、この辺は重ねて重ねて私が時の外務大臣に食い下がっところであります。  したがって、こういう点は、政府が国会に答弁をした、アメリカとの話し合いは違った、ということであってはならぬ、主張の点が。これはひとつその点を貫いてもらいたい、よろしいですね、その点お約束願えますね。
  72. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 政府の立場はきわめて明確でございまして、国会における責任大臣の御答弁は何よりの重みを持つものでございます。
  73. 森勝治

    森勝治君 その点が明確にされましたから、ひとつ条約の基本的精神に基づいて一日も早く撤去してもらうことが国民の願いであり希望でありますから、そのとおり外務省がひとつ遠慮召さらずおやりになっていただきたい。  そこで次の問題に移りますが、昨年の三月二十七日の当委員会におきまして、米政府の一九七四会計年度の予算案に、いまもちょっとアメリカ局長は触れられましたが、VOA沖繩中継局の移転経費として一千六百万ドルが計上されていること、またそれが米側の自発的措置によるものかどうかについて私とアメリカ局長との間で質疑がなされていることは御記憶でありましょう。  結局、この経費は、いまのお話にもありましたけれども、移転先が不明確であるという理由で米国議会の承認を得るに至らなかったようでありますが、一九七五会計年度の予算措置はどうなっておるのか、この点をお伺いしたい。
  74. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、一九七四会計年度分といたしまして米国広報庁は議会に対しまして千六百八十万ドルの予算要求をいたしました。しかしながら、その後、上院審議におきましてこれが削除削除されまして、昨年の十一月に結局これが削除のままで予算が成立したわけでございます。したがいまして七四会計年度につきましては、広報庁の予算要求にもかかわらず予算の承認が得られなかったということでございます。  一九七五会計年度につきましては、これに関連する予算の要求は広報庁から行なわれておらないという状況でございます。
  75. 森勝治

    森勝治君 そういたしますと、アメリカは撤去の意思当分なしと、こう見ざるを得ないんですね。予算要求の点から見ても要求をしておらぬわけですから、アメリカ側としてはここしばらく撤去をする意思がない。したがってアメリカ側はVOA沖繩の居すわりを策しておるような気がしてならぬわけです。  もっとも、日米協議の席上でも、もっと居すわりたいとも主張してきたのですから、当然でありましょうが、少なくとも昨年の時点よりも協定を履行するという配慮というものが、昨年は子算案を提示して、議会の承認を得られなかったからやめたんでしょうが、ことしはそれを取りやめたということになれば、やっぱり移転という配慮というものが非常に低下してきたと私は勘ぐらざるを得ないのです。  しかも、われわれはVOA沖繩は中国あるいは朝鮮あるいはソ連等アジアの各国に対する謀略放送だという主張をしてきましたけれども、いまこの日米協議のアメリカ側の主張では、VOA放送は教育、文化、ニュースを中心としたもので、日本以外の各国からのいかなる苦情もない、しかも緊張緩和の時代に即したもので、今後ともVOA沖繩局の活動は有意義だと強調している模様です。あなたのいまの御説から承ってもそんなように強調されている模様であります。  そもそもこのVOA沖繩は中国への番組中継が主目的でありまして、かりにそれを百歩譲ってみましても、その内容が文化的なものであるといたしましても、すでに米国はもう中国に連絡事務所まで設けておるわけですから、放送以外の手段によって中国人民とのコミュニケーションの道は当然開かれておるわけです。したがってVOAの存在の意義、さらには今後持続する必要性というものはもう希薄になっておるものと私には考えられるわけです。また日本以外の国から何ら苦情がないというならば、なぜそれらのむしろ苦情のない国へ移転してもらって、日本では困ると言っているのですから、移転してもらわなければならぬ、それを依然として沖繩に居すわるという心情というものは全く理解に苦しむばかりです。外務省は、VOA沖繩中継局の問題について、どういう態度で臨まれようとされるのか。  先ほど私は電波を掌握する所管の長としての廣瀬郵政大臣国会答弁の内容の一部を御披露申し上げましたが、あれは当時の日本の国民の考え方であり、政府の考え方であり、いまもまたわれわれの考え方として当時とごうまつも変わらないし、このVOAを一日も早く撤去せよというこの考え方は今後も変わらないでありましょう。  国会の答弁で約束したことも折衝した一つと言うけれども、具体的にいつやったかというと、過ぐる三月二十八日だけしかない。しかし、これは日米会議の予備折衝ということですから、一体、外務省はほんとうに本腰を入れてやるのかやらぬのかということに私はアメリカの強腰から見ると疑問を差しはさまざるを得ないのであります。いまのあなたのお話では、当然日本の態度としては当時の福田外務大臣国会で答弁されたその趣旨で対米折衝は続けますとおっしゃっておるけれども、しかし、これからの折衝というものを考えると非常に思いやられてならぬ。したがって本件に関する外務省としての基本的な考え方をこの際聞かしてもらいたい。
  76. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほど来、政府のこの問題に対する基本的な考え方、立場を御説明申し上げておりますし、また今回の対米協議にあたりましてはその基本的な立場に立っての話し合いをやったわけでございまして、私どもといたしまして返還協定の定めるところに従ってこの問題が適正に処理されるべきである、またそのためには沖繩返還交渉当時以来の国内におけるVOAに対する考え方というものが十分尊重され、反映されなければいけない、こういうふうに考えております。
  77. 森勝治

    森勝治君 VOAの移転について協定発効から二年後に協議しているというのは、移設完了まで三カ年間程度の歳月を要すると見たからである、こういう説明をされておったのであります。このことから見ましても早急に米側の善処を求める必要があると思われるのでありますけれども、今後の再協議のスケジュールはどうなっておるのか。  アメリカのこの会議に出られた方々は日本政府の考え方をアメリカ政府に伝えましょうとお約束をされた模様でありますけれども、このままでいきますならば、米側の怠慢によって期限内に代替施設が完了しなくなってしまうおそれが生じてくるような気がしてなりません。したがって、この代替施設が期限内に完了しない場合には当然撤去をさせるということを明らかにしておくべきだと思うのです。この点ひとつ外務省の見解を聞かせていただきたい。
  78. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先般の協議の結果、米側はこれを至急ワシントンのほうへ十分報告するということを約束したわけでございますから、おそらくワシントンにおいて関係の向きで具体的検討が行なわれている状況であろうと思います。  そこで、これからの協議の手順という御質問でございますが、いつという具体的な時期については米側との話をいたしておりませんけれども、私どもといたしましては、いずれにしましても時間切れというふうな形で米側が事実上居すわるということはあってはならないというふうに考えております。
  79. 森勝治

    森勝治君 残念ながら、かつてわれわれが沖繩国会で指摘したとおり、五年間でVOA沖繩中継局が完全に移転または撤去されるという何らの保証もない。このことは非常に残念であります。これは何としても政府の対米従属外交として指摘せざるを得ない。  したがって政府は国民の疑念を払うためにも、また公約を履行するためにも、国会で約束をしたんですから、条約が厳として存在する限りと言って時の外務大臣は胸を張ったんですから、アメリカのわがままは許しませんという意味のことを発言しているわけですから、国会で約束したとおり、国民が希望したとおり、一貫した方針でこの問題に対処してもらいたい。  本件については、本来ならば外務大臣に来てもらって、きょうは質問を聞いてもらいたかったんでありますが、外務大臣は何か国際的な用務だということでありますから、担当局長のアメリカ局長に来ていただいたんであります。したがって、これは外務省を代表する発言だと思っていま私は質疑応答を重ねてまいったわけでありますが、あらためて外務省の見解をお聞かせ願いたい。  さらに、先ほどもちょっと触れました、電波行政の万般を預かる郵政省としてやはりこの問題について重大責任を持たなけりゃなりません。それは沖繩が日本に帰ってきたのに依然としてアメリカ放送が日本の放送法の外にあるということであります。したがって、この問題の対処についても郵政大臣としては重大決意を持って臨んでもらわなけりゃなりません。見解を求めます。
  80. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 沖繩のVOAの問題につきましては、沖繩返還交渉当時以来の長い経緯がございます。しかしながら、その経緯は経緯として、日米間で合意を見たものが協定に規定されているわけでございますから、この協定に従った適正な措置がなるべくすみやかにとらるべきであるというのが私ども基本的な考え方でございます。したがいまして先ほど来御説明申し上げておりますような基本的な立場に立って今後とも米側との折衝を続けていきたい、こういうふうに考えております。
  81. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 当時の廣瀬郵政大臣国会において発言いたしておりますことと私はごうも変化はありません。その態度で今後とも外務省とよく相談をしてまいりたいと存じます。
  82. 川村清一

    委員長川村清一君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時十七分開会
  83. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本放送協会昭和四十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  84. 森勝治

    森勝治君 極東放送関係につきまして若干質問をしたいと思うのです。  沖繩国会でもこの問題については質問をしたところでありますが、この極東放送は、VOAと同様に、極東放送の継続という点が問題になったわけです。これにつきましては、沖繩特別法によって、極東放送会社の英語放送局は米国法人のまま五年間の免許を認めた、また日本語放送放送局については一年間暫定免許を認め、自後すみやかに日本法人に改組をして、いわゆる一般民放としてその運営を認めることになっているわけです。  そしてこれら放送局に対しましては、その特殊性にかんがみて放送事項内容その他電波及び放送の規則に関する適正な履行を確保するために必要な条件を付することができるということ、さらに放送の業務の適正な運営という面を確保するために必要な勧告、そしてまた資料の提出等を求めることができるはずになっておるわけでありますけれども、一体、郵政省はいまことあげていました以上の点についてどうされておられるのか、この点お答えをいただきたい。
  85. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 復帰前の米国法人の極東放送、これが存在しておったわけでございますけれども、復帰に伴いまして、いまお話のように英語放送につきましては五年間、それから日本語放送につきましては一年間、継続運用が認められたというかっこうになっておるわけでございます。  それで英語放送をやっております米国法人の極東放送、これにつきましては、一昨年の復帰時におきまして、五月十五日付で日本の法律によりまして免許をされたものとみなされるというかっこうになったわけでございますけれども、その際に、電波及び放送の規律に関する事項の適正な履行を確保する必要からという意味合いをもちまして条件二つ付しております。  その第一は、放送法第五十一条の二の規定による放送番組審議機関の委員の三分の一以上は日本の国籍を有しかつ沖繩県に住所を有する者を委嘱すること。これはできるだけ沖繩県民の意向が反映するような形にしたいという趣旨でございます。それから第二番目は、他人の営業に関する広告の放送をしてはならない。これは従来も米国法人は沖繩復帰前におきましても広告放送はしておらなかったわけでございまして、あらためて復帰した後において広告放送をするという必要はないのではないかということで条件を付したわけでございます。これはまた日本の民放の育成保護という観点からも条件が付されておるわけでございます。そしてこれらの条件は、米国法人の極東放送につきましてはいずれも条件が満たされておると考えております。  それから、いまお話に出ましたように、必要な勧告あるいは資料の提出というようなこともでき得るわけでありますけれども、こういうようなことを求める格別の事情もございませんので、これは求めておりません。  それから日本語の放送でございますけれども、一年間米国法人による継続運用が認められたわけでございますけれども、実は去年の十二月十五日付で日本の法人ができて、それで新たに日本語放送を始める、いわば日本の民放ができたということでございまして、その際に、米国法人の極東放送放送は中止されたという事情になっております。
  86. 森勝治

    森勝治君 一年間だけ存続を認めたでしょう。その後は、中止されたから日本語放送はもうないということですね。
  87. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) そのとおりでございます。
  88. 森勝治

    森勝治君 当時、これは私の聞き違いかもしらぬけれども、何かアメリカ人の名義を日本人の名義に直すとかなんとかいうことが会議で説明されたような気がするのですが、私のこれは思い違いだろうか、どうでしょう、その点。
  89. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 日本の財団法人はすべて日本人が役員その他運営の衝に当たることになっております。
  90. 森勝治

    森勝治君 日本語放送は中止ということは、一切従来あったのと関係ないというのですね、日本人の役員が当たるというのは全然関係がないということですね。
  91. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 米国法人が放送をやめて、それで日本の財団法人が放送しておるということで、その間に法律的なつながりはございません。
  92. 森勝治

    森勝治君 施設その他は継承したんでしょう、施設そのものは。
  93. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) そのとおりでございます。
  94. 森勝治

    森勝治君 関係ないといっても、それは売買かなんかでそうしたのですか。
  95. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 寄付を受けたわけでございます。
  96. 森勝治

    森勝治君 それでは、それは従来のアメリカ軍の占領時代のかすというものは一切残ってないということですね。日本の放送法に基づいて新たにできたものだと、たまたまかつての極東放送の日本語放送の施設が残っていたからそれをもらって新しい法人ができたと、こういうことですね。因果関係も何もない、こういうことですね。
  97. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) そのとおりでございます。
  98. 森勝治

    森勝治君 そうすると日本語はそれでよいとしても、英語放送のほうのそれについては五年間ということでしょう。これは郵政省が付した条件というものが完全に守られているから、したがって放送業務の適正を期することができるからいわゆる資料の提出なんかは求めなかったということですか、それとも当たらずさわらずでこう遠くから見ているということですか。
  99. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 日本の放送局でもそうでございますけれども、何らかの事情がありましてそれを解明するために資料を求めるというのが普通の手続になるわけでございますけれども、沖繩の関係につきましても、そういうような資料を求めなきゃならないような格別の事態はいまのところ起こっていないと申し上げたわけでございます。
  100. 森勝治

    森勝治君 先ほど外務省との質疑応答の中ですでにお聞きのように、VOA沖繩中継局は米側が居すわりを策しておるような気がしてならぬわけです。そこで右へならえするわけじゃないでしょうけれども、極東放送会社もこの英語放送の部分についてはまさか居すわりを策すことはないのでしょうね。もしそういうことがあったとすれば、一体、郵政省はどう措置をされる気なのか、この点お伺いしたい。
  101. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 御案内のように、VOAの日米間の取りきめあるいは日本の国内法の考え方と、米国の極東放送あるいは日本の法人たる極東放送に対する日米の了解あるいは日本国内の法律の取り扱い方は全然違うわけでございます。したがいまして、VOAの関係につきましては先ほど来御審議いただいたとおりでございますが、米国法人たる極東放送関係につきましては、五年間免許を与えられたものとみなされておるわけでございまして、五年が過ぎたら当然免許の有効期間が終了する、免許は失効する、こういうぐあいに考えております。
  102. 森勝治

    森勝治君 それは五年の期間が切れれば運用その他については一切の現在のような恩典を与えないということですね。
  103. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) そのとおりでございます。  それで日本の国内法では、御承知のように、外国の法人に放送局免許を与えるというたてまえには一切なっておりませんのですから、あるいは申請その他が出てきても当然これは拒否される、こういうことになると思います。
  104. 森勝治

    森勝治君 担当局長、そんな大きな口をきくけれども、当時は幾ら抵抗しても負けちゃったのでしょう、負けたからこういうのが出てきたのでしょう。五年たってもこれでだいじょうぶですか。
  105. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 先ほど申し上げましたように、五年間に限って米国法人たる極東放送、日本法人ではございませんで米国法人たる極東放送の存続が認められた、日本の法律でもって五年間認められたということでありますので、その期間の経過とともにその免許は当然失効すると考えております。
  106. 森勝治

    森勝治君 ことばを返すようですが、認められたのじゃなくて、あなた方が認めたのでしょしう。あなた方は、これは認めない、放送法に抵触するからだめだという主張を当時したのでしょう。それを対米折衝の過程で郵政省が力に押されてしまったのじゃないですか。認められたのじゃなくて、あなた方が認めたのでしょう、やむを得ずして、そうでしょう。あなた方の立場もおありでしょうから、私はいまやむを得ずしてという表現を用いましたが、やむを得ずしてあなた方が認めたのでしょう、あるいは認めざるを得なかったのでしょう。そうしたら、この次もずるずるずるずるVOAのようにいってしまうのではないか、こう申し上げているのです。断じてないならないと、こう明確に言ってくださいよ。
  107. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 電波と申しますか、郵政の立場からいたしますと、断じてあってはならないということでございます。
  108. 森勝治

    森勝治君 失敬ですが、あってはならないということばにひっかかるんですな、断じてないと、なぜ言わないんですか。断じて認めないということでしょう。  沖特で、二年後のVOAの移動のときに必ずアメリカが居すわりを策してくるかもしらぬという懸念を持って私が政府にただしたら、そんな御心配は御無用ですと、こう言っているわけですね。ところが二年たった今日はどうです、政府が天変地異以外はだめですと言っておるのにもかかわらず、適当な移設個所がないからだめだということでしょう。これは何といってもアメリカ側と日本政府の間の条約の条文をめぐる解釈、受け取り方が違うからですよ。当時も言った、違うんではないかと、そういううわさが流れているぞと言ったら、そんなことはありませんと、福田外務大臣は明快ですと、読んで字のごとしという意味のことを言われておる。ところが現にもうだめだからといってアメリカが変わってきたでしょう。われわれはアメリカが変わったと思ったら、アメリカ側の主張を聞くと、何ら変わりはないと言う。VOAの問題については平和だ平和だと言うが、アメリカの外交委員会だっていろいろ指摘をされているでしょう。これは沖特で私はアメリカの国会における論議の問題について指摘しておるわけだ。この際それを重複することは省いて私は言いませんけれども、アメリカだってVOAについての懸念を持っているわけだ。  この極東放送の英語版でもVOAにあたかもくっついているようなものですよ。だから、このままずるずるまだ特例法を用いられているんではかなわぬのだ。日本の放送法のいわば侵害につながるわけですからね、それであなた方は反対しておったんですから。あなた方は一国を代表する条約がそうなったからやむを得ないというんで引き下がったんだろうが、いまでは、あなた方、こんなの許すべきでないという考え方基本的には変わりないでしょう。だから、また今度三年たって同じような蒸し返しはしたくないから、私は心配ですから、いま担当局長にこの点をくどいように、もう森さんわかっているじゃないかと、わかってて承知で質問しているじゃないかという顔つきをしているけれども、承知で質問しなければならぬようないま事態が発生しているんでしょう。極東放送の英語版もそうなってはかなわぬから私は申し上げているわけですよ、いいですか。そういう意味で三年後の期限の切れるときのことを想定しながら、ひとつもう一度明快にお答えをいただきたい。
  109. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 先ほども申し上げましたが、米国法人の極東放送とVOAとは非常に場所も似ておりますし、性格もある程度似通った点もあるかと思いますが、法律的な取り扱いを異にしておるということと、五年たつと自然に免許が失効する、協議も何も要らないわけでございまして、したがいまして、われわれとしましては、五年以降も居すわるという事柄は断じてないものだと確信しておるわけでございます。
  110. 森勝治

    森勝治君 断じてないとおっしゃるけれども、ないものだと確信と言うからどうも私はひっかかるんですが、これはいいでしょう。しかし、齋藤さんは五年先に私は局長をやってないなんて顔つきしての御答弁じゃ困りますからね、この点は私が三年後に同じような質問をしないように、むしろ皆さんに対する叱咤激励の意味も込めて私はいま質問をしておったわけであります。  次へ移ります。NHKにはだいぶお待たせいたしました。直接決算関係のない話をしておりまして恐縮でございますが、因果関係があるし、日本の放送事業の一環をなすものだという解釈のもとに以上の質問を続けてまいりましたが、今度は直接NHKの事業運営の問題について質問をしてみたいと思うのです。  第一点は、聴視者とNHKの交流関係、このことについてただしたいと思うのであります。  NHKは、在来から事業運営の改善策、こういうことで直接聴視者の意見を聞いたり、聴視者とNHKとの相互の理解をはかるために各地でNHK懇話会あるいはまた聴視者懇談会等を主催して積極的に国民のNHKたらんと取り組んでおられることは非常によいと思うのです。  ただ、懇話会や懇談会の参加者の人選ということに話がなってまいりますと、世上ややもすればあれやこれやということあげされた、まあ俗に申しますと批判めいた、人選で片寄っておるとかいうことをよく言われがちであります。もちろん参加御希望の方がそのままどんずばりいけばそういうことはないでありましょう、御希望されてもNHKが期待にこたえてやらぬ場合に、間々そういう話が出るし、ああいう人は思わしくないというような話も、たまたまその人に好感を持つ人の口からは出ませんけれども、ややいろいろな問題で考え方を異にする立場の者が出ると、そういうことは世間でありがちでありますから、あるいはそういう面でそういうそしりというか、そしりまでいきませんが、批判めいたことばがささやかれるわけでありますが、この懇話会とか懇談会については、どういうふうな参加者の人選といういかめしいものではないでしょうけれども、お集まり願う方々を選び出すときに、どういうやり方でこれを選んでおられるのですか、このことを聞きたいです。このことは会長の口をわずらわさなくてもいいですから、担当理事でけっこうですから、ひとつお答えいただきたい。
  111. 野村忠夫

    参考人(野村忠夫君) ただいま御指摘のとおり聴視者とNHKとの結びつきは、協会基本的性格にかかわる非常に大事なことだと思いますので協会はいろんな形で聴視者との結びつきを考えております。  いま、お話のNHK懇話会あるいは聴視者懇談会というものに限ってお答え申し上げますと、基本的な人選としましては、NHK懇話会のメンバーは、できるだけ各地区のオピニオンリーダーといいますか、要するに指導的な立場にある方々を選びたいということがまず第一でございます。それから第二番目には、指導的な立場といわれてもいろんな職種がございますけれども、その際にはできるだけ国民各層からそういう指導的な方を選ぶという意味合いで、単に経済的あるいは身分的に高いというだけではなくて、できるだけ大衆に接している方々指導者という意味合いで、各種の職業組合なり、あるいはたとえばおふろ屋さんとか理髪屋さんとか、そういう組合の理事長というような方々をもできるだけ含める。それから第三番目には、必ず婦人の代表を入れるべきであるということで、御婦人の方を必ず入れます。それから第四番目は、この懇話会は、いわゆるNHKのシンパだけを集めては意味がない、むしろNHKに対して手痛い批判をしていただけるような言論の活発な方を選んでほしい、こういう形で基本的な考え方各地区に指示してございます。  したがいまして東京は本部で選定いたしましたが、各地方本部のNHK懇話会はその線に沿って一応は選んだつもりでございます。ただ地方によりましては、なかなかこの基本的な考えどおりに事が運ばないというようなきらいも御指摘のとおり若干なくはないということでございます。  もう一つ聴視者懇談会は二種類ございまして一種類は、そのつど私どもがやはりそれぞれの地方の局へ出向きましてその局にお集まりいただくということで、これは一回限りの御委嘱でございますけれども、やはりこのお集まりいただく方々は懇話会と大体同趣旨でございますが、できるだけ、たとえば労働組合の方もこの際入っていただけるような幅広い人選をいたしておるつもりでございます。さらに普通のと申しますか、一般の聴視者懇談会は、むしろNHKのほうから現場に出向く、たとえば公団、公民館、工場、学校そういうところへ出向きまして、団地の婦人会の方々、奥さん方あるいは工員の方々あるいは学校の先生、PTAの方々というぐあいに、こちらから出向きまして現場の空気を直接吸収する。この場合は、ただ呼びかけだけでどなたに参加していただいてもけっこうだという趣旨で開催しております。
  112. 森勝治

    森勝治君 選考ですか、人選びの方法はややわかりましたが、その場に出た人はよいですけれども、出られない方々をまた別な角度で吸い上げられておるわけですね。  たとえば全国の放送局の中に相談所ですか相談室ですか、これを設けて、そこで今度はNHKがその場で直接聴視者からのいろいろの考え方、意向をくみ上げておる。それで本部には相談センターですか、これは終日窓口をあけておる、こう言われておるわけです。ですから懇談会等で出されたのはNHKの機関誌等にも一部載るし、ものによってはニュースとして流れる場合がありますね。  ただ、いま申し上げた相談室における聴視者の意見や本部のセンター等に来たものに対する反映のしかたというのはどうされておるわけですか。代表して五つぐらい分けて、あげてください、こういう意見がありましたというのを。それから、その代表的な意見をさて運営の中でどう生かされたか、あるいは聞きっぱなしだったか、あるいは代表的な意見を五つあげることができないということならそれでもけっこうですが、ありましたらひとつ五つだけでけっこうですから選んでお聞かせ願いたい。
  113. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) いま森先生の御指摘の点につきましては、特にわれわれ放送を担当いたしております者は非常にこれを尊重するということで、実は、放送総局の中に毎日編集会議——これは私ないしはもう一名の番組担当の理事が主宰いたします編集会議を連日開いております。それに非常に早く反応しなければならないというものは即日リポートされます。そうでもない多少長いスパンで考えてもいいというものにつきましては、相談センターその他で取りまとめましたものをまとめた文書にして私どものほうに配付してまいります。  いま先生の御質問のテーマにつきましては、ごく最近の例を一、二申し上げますと、一番大きなテーマはやはり物価の問題でございます。物価の問題についてNHKがもっと積極的にやるべきではないかという、そういう御指摘と、それから物価についてNHKが取り上げる取り上げ方によってはいたずらに逆に物価を上げるというような、物価をあおるというようなそういう逆効果も起こり得るので、その際にはそういうことを十分慎重に扱えというような御意見。  それから、その次は例の公害の問題でございます。これは魚の汚染、水俣問題ないしは航空公害の問題、そういう公害の問題についてやはり全国の国民の関心が強いということをこの相談センターその他に寄せられます御意見からわれわれ拝察しているわけでございます。  それからもう一つは、やはりこれも最近の問題で、去年の十月以降のエネルギー危機の問題、これが相当国民の生活に影響がございますので、このエネルギー危機の問題を番組で取り上げてほしい、こういうことでございます。  その他、娯楽番組等では、たまたまこの期間には大みそかの紅白歌合戦等がございましたので、その出場者の問題についての御意見ないしは朝の連続テレビ小説のストーリーの展開についての御意見というような、そういう御意見がおもなる最近のテーマとしては申し上げられるかと思います。  それらについては、ただいま申し上げましたように、われわれできるだけその御要望に沿う努力をしておる次第でございます。
  114. 森勝治

    森勝治君 たぶん四十六年という年はNHKがコンピューターに本格的に取り組んで、参議院選挙の放送をした年ではないかと思うのです、たぶんね。そのことの往時を振り返って御意見があれば聞かしてもらいたいことが一つと、七月にまた参議院の選挙がめぐってくるわけでありますからこれに対する従来とまた違った画期的な速報のアイデア等があらば、ひとつお聞かせをいただきたい。
  115. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 御指摘のとおり、四十六年度におきましてはコンピューター等を利用した参議院の開票速報ないしは予想などについての放送をいたしました。これはコンピューターと申しましても、やはりわれわれのデータをそれに挿入することによってコンピューターの確度が上がるわけでございますので、そういう点についてまだ必ずしも四十六年度においては十分でなかった点も振り返ってみればあるのではないかと思います。  そういう点につきまして、われわれ、来たるべき参議院の選挙におきましてはいわゆるその予想等について軽々にするということのないように、十分戒心し、なおかつ、いま先生の御指摘の新しいアイデアというようなことにつきましてはまだ御報告するほど具体的なものはございませんが、放送センターに移りましたのを機会にコンピューターの図形、図式等の表示等をさらにくふうして聴視者の御要望に沿いたいというふうに、現在、私を長とする実施本部を設けまして、研究、検討しておる最中でございます。
  116. 森勝治

    森勝治君 それでは参議院選挙等の報道にあたっては四十六年と同じような編成方法で臨む、こういうことですね。編成方法というのは人的編成じゃないのですよ。
  117. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 基本的には、御指摘のとおりでございます。
  118. 森勝治

    森勝治君 私はしばしば受信料の不払いについては前会長時代から指摘し、NHKの善処を要望してきました一人でありますが、最近、やはり不払い者や未契約者が漸増する傾き——これは漸増というのがいいのか、ふえる傾向があるといってさりげなく表現をしたのがよいのか、いずれにしてもメーカーの製品と輸出の数字を調べてみて、国内の需要あるいはまた商社等の倉庫に眠っているもの等を相殺いたしましても、まだまだNHKがいま計画的にあげている契約の推測から著しく隔たりがあるような気がしてならぬわけです。これはまた違ったことばを用いて表現しますと、十分把握していないのではないか、こういうふうにもとれるわけでありますけれども、何といってもNHKがせっかく御努力されていることはわかりますが、不払いの中身の中にはやはりNHKに対する根強い不信が一部ある。これは一日も早くぬぐい去ってもらわなきゃなりません。  それから不払いの中には、わりあいに契約のしかたを知らないというようなことがあるわけです。で最近は基本的人権という問題がクローズアップされてきましたから、いわゆる契約書に署名しなければ云々と言って、こういう方もおるわけでありますから、勢い出先の諸君の苦労の種がまたそこで一つふえてくるわけです。  したがって期待されるNHKになるためには、番組の改善、充実も当然でありますけれども、やっぱり経営の面にも、これら視聴者の期待にこたえるような——おもねる必要はないと思うのでありますけれども、やはりみんなの意向を反映させるような、そういうふうに心がけていかなければならぬと私は考えています。  ところが、先ほども本部の相談センターという表現を用いましたが、この相談センターに寄せられた聴視者の意向というものは番組に関係するものだけでも五〇%以上というのですね。直接、間接のいないにかかわらず、五〇%以上がいわゆる番組についての意見だということになれば、いまのお話にもありましたようにいろいろの問題が出ましたね、物価の問題も出たでしょうし公害、エネルギー問題も出たでしょう。そうなれば当然貴重な重な御意見もこの中に多々含まれておるし、聴視者からの相談三万七千件、「NHK相談センターの十カ月」というのを見ましてもわかるように、たくさんの意見が寄せられているわけです。  これを一つ一つ取り上げることは容易じゃないだろうし、よいものは取り上げるにやぶさかではないでありましょうけれども、従来のこの番組編成の形と——これらを取り上げるときにはやっぱり勇気がいるだろうと思うんですね、ある番組によってはおろされる場合もあり得るでしょうからあるいは放映時間を短縮させられるような場合もあるでしょうから、こういうものを、いわばこれは国民のアイデアといいましょうかな、そういう面で取り上げることだと思うんですが、ややもするとNHKの都合のいいものばかり取り上げられるという意見もある模様でありますので、この辺のこともちょっと聞かしていただけませんか。  たとえばこの「相談センターの十カ月」という皆さん方のデータがありますね、これに基づいてちょっと質問しているのでありますが、この中でトイレットペーパーの買い占めとか、その他たくさんありますが、こういう問題の中で、これはいただきというので出されたものはどういうものがあるか。出されたということは、視聴者からの直接のこういう投書とか何か意見の具申だろうからこれを放映した場合の社会的反響ということもまた見のがすことができないと思うんですね。特にスタッフが考えたんじゃなくて、皆さんは国民から寄せられたもののそういう反響というものをどういうふうにキャッチされておられるか、そのこともひとつお伺いしたい。
  119. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 全く先生の御指摘のとおりで、いかに御意見をいただいても、それが実際の面で生かされなければ何にもならないというふうにわれわれも考えております。  特に最近は、聴視者の「みんなで語ろう」という番組を四月以降作成いたしまして、ただ単に文書による投書だけではなしに、投書をした方々が直接番組に登場いたしまして、約一時間ぐらいの時間でございますが、その間投書した御自分の御意見を三十人程度の方々が一回の番組に登場して語り合うというようなこと、これが四月以降の「みんなで語ろう」という番組で、大体月二回程度実施しております。  なお具体的な投書の一つの例といたしましては、先般、洗剤が非常に不足したというときにかなり聴視者方々からいろいろな情報をいただきました。そのいただいた情報をもとにして、買い占め買いだめをして流通の間に値上がりを待っているというふうに推察される工場——工場と申しますか、中間業者ですか、そこをルポいたしまして放映いたしました。これについてはかなり多くの反響がございました。引き続きこういう点についてNHKは努力してほしいということでございます。しかし、これらの取り上げ方というのは、先ほど申し上げましたように、剣のもろ刃でございまして、よほど慎重に扱わなければならないというふうにわれわれ考えておりますので、そうしばしばの形で御紹介するほどの事例はございません。
  120. 森勝治

    森勝治君 この中で「紅白歌合戦」昨年ですか、十二月だけで二千四百件に及ぶ電話が鳴り続けた、こういうように集約されているわけですが、世上喧伝される某歌手とNHKとの何かあつれきと申しましょうか、意見の違いで、いわゆる某歌手をメンバーからおろしたということが直接原因でファンの方からNHKに抗議の電話が届いた、こういうことがありますが、ごく最近、この問題がまたマスコミに取り上げられて、NHKが何かこの夏に考えておられるそうでありますが、リバイバルですか何かで、まあ昔の歌手というか、かつて売れたものの夢よもう一度という意味かしれませんけれども、この歌合戦にかわるものをNHKが何か考えておられるという。またそれならば先年ふるい落としたものをまたのせるかのせないかというので人の口の端にまたのぼってきたようでありますが、世上喧伝されるところを見ますと、NHKが悪いのだ、こういうふうに多くの人は言う、こうなっているわけです。  私どもは、はたしてNHKが悪いのかどうなのか、そういうふうに人もなげなる、人を人と思わないようなふるまいやそういう措置をするNHKではないと思って信頼をしておるわけでありますが、もし世上のそういう批判、そしりというものをNHKが甘んじて受けなければならぬとするならば、NHKのやり方を変え改めてもらわなければならぬと思うので、私は、この際、NHKの名誉のためにもこの真相というものを明らかにしてもらいたいのです。  で因果関係でその人をいたずらに中傷したりすることもよくないし、やっぱり基本的人権というものを守ってあげなければなりませんから、主観的客観的な条件でその出場メンバーをきめるのかもしれませんけれども、最近は、NHKの「紅白歌合戦」に対する賛辞というよりも、むしろ、もう長い期間ですからあるいは多少そういうことが出てくるのもやむを得ないのかもしれませんが、いっそやめてしまったらそんながちゃがちゃがないじゃないかという声が一方にあります。ところが片や、いやもうこれは伝統という一つの歴史になったのだからいつまでも温存すべきだ、これは国民が楽しみにしているのだという声もまた見のがし得ないわけであります。  しかし、いずれにしても、この出場者をめぐって毎年のように選考問題が、是非と申しましょうかな、ややもすればNHKがかなえの軽重を問われるようなことになってはならぬと思いますから、おそらくことしの暮れもおやりになるだろうと思いますね、だから将来のことを考えて、この辺でひとつ明確にしてもらわないと、誤解を生んで、これがまたこの不払いの潮流のお先棒をかつぐように発展していったんでは困りますから、私はそういう懸念があっては困りますから、NHKの名誉のために、この際ひとつ明らかにしてもらいたいのです。
  121. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 紅白歌合戦の歌手の選考にあたって御心配いただきまして申しわけございません。  紅白歌合戦につきましては、御指摘のように、非常に全国民的な関心度が高いものですから、通常の出場者を選ぶというような選び方でなしに、もう少し聴視者皆さんの御意見が反映するという方法を考えるべきではないかということで、ここ数年、十月ごろからいま御指摘のございました各地聴視者懇談会等が催されます場合に、ことしの紅白歌合戦の出場者に対して、あなた方はどういう歌手がいいかということで一応歌手のメンバーを、百人か二百人ぐらいのメンバーだと思いますが、そのメンバー表を持って回りまして、その中から要するに男二十五人、女二十五人程度の選考を聴視者の皆さま方にしていただいて、それを十月から十一月の頭ぐらいまでの間に集計いたしまして、かたがた私ども部内の責任としての判断で選考いたしましたものと突き合わせまして、それから最終的に決定いたします場合に、一応歌等について御関心が深いと思われる各界の有識者の方々に約十名程度御参集いただきまして、そこにその原案を提示いたしまして特に御意見を承って、そのあとどもの責任において原案を作成して交渉に入る、こういう段取りでございます。  たまたま昨年におきましては、一人の歌手の方の親族にあまりかんばしくないことがございまして、そのためにその歌手、その人がいろいろな意味で世論の的になりまして、一昨年の実績から見まするとはなはだしく評価が下がっておるわけでございますけれども、原案に載せないというほどの評価の下落でもございませんので、その歌手、その方の実力はこれは認めてしかるべきだというふうに思いまして原案の中に載せまして十人の意見を聞く会に提案いたしたわけでございますけれども、御意見を聞く会の先生方は、ことしはやはり世論等を考えて遠慮してもらったほうがいいんではないかという、大体、十名のうち十名全員の御意見でございましたので、最終的判断を、私は、交渉しない、選考からはずすということに決定をしたわけでございます。しかし、その後、その歌手の方はその問題の点につきましてかなり環境を改善されまして民放等にも出演されているというような実態がございますので、今回の「思い出のメロディー大会」の交渉の歌手の中に当然入れてしかるべき歌手であるというふうには判断しておりますけれども現状、まだ最終的に「思い出のメロディー」の細部にわたっての決定をいたしておりませんので、どなたにも交渉の段階に至っていない、こういうことでございます。
  122. 森勝治

    森勝治君 いずれにせよ、世評はNHKの手続とか、そういう措置等に何か誤りがあったとかでNHKが悪いのだ、思い出の何とかの問題の出演をめぐってまたNHKと某歌手との間に何かあるというようなことで取りざたされて、もう週刊誌等でも取り上げられているわけでありますから、もし無用は誤解があるならばNHKは積極的に誤解を避けるようにするし、いずれといたしましても、やはり公平に扱っていかなければならぬし、いわんやNHKの紅白に出るか出ないかによっていわば、まああまりこんなことは言いたくないのでありますが、歌手の相場ですか、ギャラが上がったり下がったりするといううわさがある。それほどまでにNHKの紅白歌合戦は高く評価されているのでしょうね、そういう面から見ればね。ですからそういうところに出すか出さぬかという問題ですから、とにかく公平を旨として、かりそめにも誤解を招かないように、皆さんおやりでしょうけれども、なおかつ細心の注意を払ってもらうと同時に、もし世上喧伝されるような某歌手とのトラブルというものがあるとするならば、むしろNHKのほうから積極的に手を差し伸べて、もし誤解だったらそういう誤解を解くように、連絡不十分なら連絡を密にするようにして、よけいなせんさくのされないようにひとつ御努力を願いたいと思います。  そこで次に移りますが、いわゆる昨年末のオイルショックによりまして物不足、物価高というものが大きな社会問題となったわけでありますが、それは何といっても巨大資本が金にものをいわせた演出だということが明らかになっているわけです。しかもマスコミによってむしろ買い占め、売り惜しみを排発したのだ、こういわれているわけです。  いずれといたしましても、今日のこの情報洪水といわれる中では、一般大衆は真相からつんぼさじきに置かれているようなこういう立場にされては、報道の全きと期することができないと思いますから、NHKの使命というものはそういう面からいっても国民に早く正確に知らせる義務があるわけですから、従来とも御努力願っておるだろうと思うけれどもい何といっても物価高によるいわゆる企業悪によって国民が迷惑をこうむっているわけですから、NHKといたしましては、言論啓発機関という立場からも、NHKの置かれている社会的公共的な使命を全うする立場からいっても、全国民的な報道機関としての誇りに挺身をしてもらわなければならぬと思うのです。  したがって、そういう観点からいたしますならば、さらに報道も掘り下げて迅速に的確にしてもらわなければならぬし、特に国会等が悪徳企業の反省を求めるために、参考人として国会喚問等をした場合には、当然、NHKがまっ先にこれを国民に知らせる必要があったのではないかと思うのですが、これもまわりではNHKがこれを避けて通ったのではないかなどと、こう言われることになりますと、NHKではNHKの編成方針がおありでしょうけれども、やはりまた何だNHKはと、こう言われがちですから、それでなくとも巨大NHKに対して他の民放の諸君は、いつかも申し上げたように、NHKに追いつけ追い越せといってやっている段階で、民放放送よりもNHKの報道というものが一歩も二歩もおくれをとってはならぬと思いますから、こういうところも十分心しておやりになっていただきたいと思うのです。  したがって世間では国会報道等もあまり積極的にNHKは取り上げなかったのじゃないかと、こう私どもなんかに言っているし、言われてみればそうかなと思うのであります。これだけでわれわれが思い込んで先入主でこれからもいろいろ質問したりなんかしてはなりませんが、私はどうもそんな気がしてならぬわけであります。NHKとしてはそんなことを言われるような筋合いは毛頭ありませんよとおっしゃるならば、それでもけっこうでありますが、こういうニュースの重要性とか取材の方向性というものをひとつ、いま私は商社の参考人招集の国会の問題について述べたんでありますが、一つの例をいま出したわけですから、その例ではなくて、よその例でもけっこうですから、ひとつNHKの基本的な姿勢を、十分聞いておるのですけれども、そういうそしりがありますから、この点もひとつあらためてお伺いしておきたいのです。
  123. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 全く森先生のおっしゃるとおりで、私もそういう姿勢で努力しておるつもりでございます。ただ不十分な点があって御指摘を受ければそれによって改めるにやぶさかではございません。  一、二の例を言えということでございますので、たとえばNHKは経済変動と国民生活ということで世論調査をいたしまして、そして現時点において国民は暮らしにくくなったかどうかというようなそういうテーマの世論調査をいたしまして、その世論調査に基づいて、三月二十三日の夜、これを特集番組として放送いたしました。  その世論調査の一、二の聴視者の反応を見ますと、たとえばあなたは物の値段の動きや出回り方を知るために何を信頼しますか、幾つでもあげてくださいという中で、圧倒的にテレビや新聞などの論調というのが六七・四%という高い比率をあげております。したがいましてわれわれこの種の報道に非常に重要な責任を痛感しておる次第でございます。なお今後とも一そう先生のおっしゃるような方向で心を新たにして努力したいというふうに思っております。
  124. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) NHKの使命は、放送を通じまして、生起いたします事象につきまして、これを公正に正確にすみやかにお知らせすることがNHKの使命であろうと思います。  特に昨今におきますような、あるいは物価の問題、エネルギー危機の問題、日本の将来を的確にこうだと判断しかねるような時代、相当な専門家でもなかなかむずかしいようなこういう時代に、国民の各個の立場から申しますと、いろいろ知らなければならない問題、ぜひ放送機関にそういった面を取り上げてもらいたい問題は多々あろうかと思います。  十分そういうことを察知いたしまして、ただいまの森先生のお気持ちと同じような気持ちをもちまして、放送を通じて正確にものの実態を曲げないで、しかも真実をできるだけすみやかに豊富に提供申し上げることをモットーとしております。その一、二の例はただいま放送局長からお答え申し上げましたとおりでございますけれども、その面につきましては、そういったことでやっておるつもりでございますけれども、将来まだまだそういった面について一段の努力をそれこそほんとうに真剣に考えていかなければならないものと考えております。
  125. 森勝治

    森勝治君 今日のような経済の混乱期におきましては、特に報道関機としてのNHKの責任が重いと思うんです。しかも正確な情報であり、充実した番組というものを編成するためには当然そこに経費というものが伴ってくるわけです。なるほど低廉にしてよき番組の編成はできるでしょうけれども、やはり時代物等を出す場合には時代考証等が先に立ちますから、勢い物入りがかさみます。こういうことについてはしばしばこの席上で皆さん方の御意見をいただいたところでありますけれども、今日のような狂乱物価といわれるときにおいては予算に限りがあるわけですから、やはり編成の問題につきましてもなかなか関係のスタッフの皆さんは御苦労だと思うのです。  そこで、そのためには一体どうすればよいか、それは創意くふうだと言ってしまえばそれまでですけれども、必ずしもそうばかりは言えません。やはりよい出しものをするためには経済的な裏づけというものがある程度なされなければそれが満たされないんだろうと思うのです。したがってそのためにはいま言った経費というものが必要になってくるということになりますから、そこでちょっと四十六年度の決算とは直接関連がありませんけれども、四十八年度の事業収入というものは、四十八年度の予算作成とのからみ合わせですね、いわゆる実績というものはどの程度になっておるか、この点をひとつ聞かしていただきたい。
  126. 山本博

    参考人(山本博君) ただいまお尋ねの点でございますが、これは内部的にまだ決算の最終的な数字として手続が済んでおりませんので、数字といたしましては大まかな数字で申し上げたいと思います。  結論といたしましては、四十八年度の事業収支というものはほぼとんとん、大きな数字で申し上げますと約三千万ぐらいが差金として出てまいっております。これはそう安易に出てきたものではございませんで、実は、昨年の十月段階におきまして物価の高騰その他もろもろの影響を考えまして、ほぼ十億ぐらいの影響が出てくるのではないかということで内部的に非常にきびしい節約の方向を打ち出しまして、各機関ともこれに協力をしてもらうことになりました。ところが、その後の物価の高騰が物的にも人的にもさらに影響が大きくなりまして、最終的には約二十億程度——これはもう受信料の完全な収納ができなかった部分約四億ございますが、それも含めまして約二十億程度の不足が出ました。これにつきましても、いろいろな点での合理的な経費の使用、小さいことまで含めまして節約、合理的な使用、こういうことにつとめました結果、ただいま申し上げましたようにほぼ収支償うというところまで努力をいたしたということが実態でございます。
  127. 森勝治

    森勝治君 収支ということはあれですか、どうも血のめぐりが悪いから聞き直すわけですが、出し入れがとんとんという意味でおっしゃっておるのですか。それとも四十八年度の予算と実績がとんとんと、こういう意味でおっしゃっておられるのでしょうか。この点お聞かせいただきたい。
  128. 山本博

    参考人(山本博君) 予算に比べまして、事業収入のほうは約四億不足でございます。そのかわり事業支出のほうは約四億何がしかを余したということで、約三千万円の差金が出たということでございまして、その中のやりくりは先ほど私が申し上げましたようないろいろなやりくりをいたしました結果、こういう数字が出たということでございます。
  129. 森勝治

    森勝治君 年度末でくくったら四十八年度当初予算よりも四億収入が少なかった、こういうことですね。
  130. 山本博

    参考人(山本博君) 経常事業収支の、事業収入としてはいまおっしゃったとおりでございます。
  131. 森勝治

    森勝治君 その四億がいわゆる計画どおりいかなかったというおもなる理由は何ですか。
  132. 山本博

    参考人(山本博君) これは受信料の収入が予算を立てましたとおりの数字まであがらなかったということであります。
  133. 森勝治

    森勝治君 そうすると、受信料がそれだけ収入不足というのは、それだけ不払いがふえたのか、あるいは四十八年度にふえる分が予定どおりいかなかったのか、どちらですか。
  134. 山本博

    参考人(山本博君) これは両方の原因全部を含めた上での数字がこういうことになっております。こまかい一つ一つの部分について数が予想どおりふえなかったという部分もございます。それからこちらが予定をしましたような数以上に不在者とかあるいは移転が多かったというような、そういう数字全部含めてのことでございます。
  135. 森勝治

    森勝治君 しかし、昨年度あたりは私などもこの委員会でしばしば指摘いたしました、たとえばホテルの各部屋等のテレビにつきましても相当探知をして東京などはだいぶ進んだ、こういう御説明をなさっておられるわけです。そうなれば計画をむしろ上回るのが正しかろうと思うのですが、その辺、山本さんは新任の方でありますから私はこれ以上たたみかけるのもどうかと思いますけれども、その点は従来の御説明と若干軌を一にしないのですよ、その点私ちょっと合点がまいらぬのですがね。
  136. 川原正人

    参考人(川原正人君) 私、営業担当のほうでございますが、いま山本が申し上げましたように、まず全体の計画としまして新しい契約者の獲得ということを毎年数字を掲げてやっているわけでございますが、これが当初予算に予定しましたほどに、まことに申しわけないのですが、達しなかった、かなりの努力を現場はいたしたわけでございますけれども増加分が足りなかった。それから不払いと申しますか、契約はしておられるのですけれども、いわゆる滞納者と申しますか、これがやはりふえる傾向にございます。その両面から予算数字に対しまして約四億近く、いま最後の詰めをやっておりますが、不足が出てきた、こういうことでございます。
  137. 森勝治

    森勝治君 先ほどもテレビの生産についての話を若干申し上げましたが、テレビの生産台数というのは依然として多いのですよ、わりあいにね。なるほど、ある工場によっては二部制をやめたり週休二日制を用いたりして対策を立てておるところもありますけれども、市場に流れるテレビの台数というのは相当な数ですよ。  従来、四十六年、五年、四年あたりはNHKの予算を上回ってふえておったんでしょう、それが四十八年ではぱたりと逆になったのですか。従来は予定よりふえています。ふえていますという説明であったはずですよ。  私が四十八年度の予算と実収というものがふえたか、ふえないかというこの質問をいたしましたのは、本来なら四十六年度はいかんとやるのが正しいあり方だったでしょう、しかし、どうもNHKの四十八年度あたりを見ますと、従来、予算よりも実収入がふえたふえたという記録、説明等がなされたのに、四十八年度では減っておるからどうもおかしいと思って私は申し上げているわけです。  ですから、正確にお聞きしますと、それでは予算を下回ったのは四十八年度初めてですか、四十七年度からですか、この点ひとつお聞きしたい。
  138. 山本博

    参考人(山本博君) 四十七年度からでございます。
  139. 森勝治

    森勝治君 四十七年度から、さらに四十八年度、ことしはさらに減るのですね、そうなると。減るというのは、そういう収入——減収がふえるということですね。  そうなると、四十九年度の予算案というものももう一ぺん私どもは見直さなきゃならぬと思うのですが、これは私はあまり先走った質問になりますか。
  140. 山本博

    参考人(山本博君) 予算を組みますときには、その予算で計算をいたしました数字並びに金額というものは、NHKとしましては、それを達成をいたしますことを前提にして出発するということは当然のことでございます。ただ年度の途中におきまして、その見込みが必ずしも一〇〇%そのままいかない、年によってはそれを上回ることもございますが、何がしか計画どおりいかないで下回るということもあります。そこの出入りが四十七年度以前、四十六年度まではプラスでございましたが、四十七年度以降は予定をいたしました数字どおりいかないという傾向がございます。  したがいまして四十九年度の予算編成につきましても、そういうことを十分考慮いたしまして数字の設定をいたしました。で現状におきましては、その数字を達成することに全力をあげておりますけれども、この時点でそれがプラスなりマイナスになるというような予想はいまのところつきかねます。できるだけこれを達成するように努力したいと思います。
  141. 森勝治

    森勝治君 私は、かつて予算の審議の際に、NHKの累増のこの積算根拠というものは薄弱だ、もう少しこの増加というものを多目に見なきゃならぬ、どうも内輪に見ているんではないかと指摘をしたんですよ。これはわが国のテレビの生産台数と合わせれば大体概算が出てくるはずです。過去のデータに基づけばですね。だから少し内輪過ぎるんではないかと言って前会長なんかにもしばしば私はこの点質問をしたわけであります。  しかし、その当時の予算編成と今日的予算編成の台数の増加、もっとも白黒からカラーという変動もありますけれども、白黒からカラーへの変動につきましても皆さんがいつもわれわれに提案する予算案よりもはるかに上回る実績があったわけですよ。だから当時のNHKが設定した増加台数、いわば何台ふえるという増加台数と、いま目達を達することができない、この目標どおりいかないといわれている段階と、予算編成の段階には重大な思想的変化はないんですよ、編成技術の変化もないんですよ。もし皆さんが、失敬な話でありますが、ふえない、ふえないとおっしゃるとするならば、NHKの従来の予算というのは、むしろこれは入るをはかって出ずるを制したではなくして、出ずるをはかって入るを策定したと、こう言わざるを得ないのですよ。私の表現が適切でないかもしらぬけれども、収入を見通しして予算を立てないで、NHKの経費がこれだけかかるからとこうすべての部門にかけていった、ずさんな編成だとは言いませんけれども、私はそんな疑念がいまふっと浮かんだんですね。そうじゃないでしょうか、これは私はあまりに失敬な発言をしたでしょうか。
  142. 川原正人

    参考人(川原正人君) 確かに、ある時期、協会の収入が当初予算で見込みましたよりかなりの増収があった時期というのはございます。これは御承知のとおり日本の経済成長の中でちょうどテレビジョンの受像機というものが各家庭に普及をしていった時期、この時期におきまして過去において確かに私どもの一年間の契約の増加の見込みを上回る実績があったことは事実でございます。  これが増加の数字としましては四十六年度をピークといたしまして各家庭に受像機が普及をして、俗にいう頭打ちといいますか、増加の傾向が非常に鈍化してまいりましたということのために、いま申し上げました四十七年度あたりから、これは私どもの結果的に申し上げれば収入増加の見込みが少し過大であったということでございますけれども、ある程度増加の数字は減らしてきたわけでございます。そういう社会情勢はよくわかっておりましたので、四十七年度から毎年のたとえばカラーの増加目標にいたしましても予算上かなり減らしてきていたんでございますが、多少そこにズレが出まして、私どももう少しいくんではないかと思ったところまで残念ながらいかなかった。これはやはり一般家庭に受像機——当初は白黒でございますけれども、その後においてカラー受像機もかなり行き渡ってきたために増加の趨勢が下がってきた、こういうことかと思います。  もちろん、そこで私どもが正確にその傾向を見通しておれば、この予算と結果とは当然合うはずなんでございます。かなり努力目標としては高い数字をどうしても置かざるを得ません。置いて、それに近づける努力をして、もちろん予算でございますからそれはいくという確信のもとにやっているわけでございますが、残念ながら昨年度あたりからそれがちょっと欠ける傾向が出ております。そのために四十九年度の予算においてはその傾向を十分に組み込みまして、これは確実にいけるという確信の持てる、かつまた当然その努力の結果でもございますぎりぎりのところで予算の数字は見込んでおりますので、四十九年度は必ず達成しなければならぬし、これはいくものという確信を持って実行に移しているわけでございます。
  143. 森勝治

    森勝治君 たとえばわが国の家屋の建築等の趨勢を見ましても、古い家から新しい家に移ったからといって古い家を全部こわすわけじゃないでしょう。移りかわれば今度はまたその古い家にどなたかがお入りになる、あるいは新築家屋に長男夫婦が入ればおとうさん夫婦が、親たちが古い家におるとか、そう考えればテレビ増加率というものもわが国の家屋の戸数の増加に正比例していくわけですね。そういう点から見れば私はもっともっとふえてよいような気がするのです、私はそう思う。出先の諸君が一生懸命雨の日もおやりになっていることはわかっているけれども、私はもっとふえていってよいのじゃないかと思うのです。もちろん前のように、NHKの予算の策定を上回るような増加というのは、いろいろな経済的なこういう関係になれば、そう従来のように安易に考えることは望めないにしても、しかしまだまだNHKのこの予算策定よりは少なくともとんとん、あるいはもっとふえていかなければならぬと思うのですね。  これからも、四十七年度がそうであった、四十八年度もまたしかり、四十九年度さらにふえたということになると、今度はまたそこでもめごとが起こってくる。もめごとが起こるということは、会長は五十年度までは聴視料を上げませんとおっしゃっているが、じゃその次はというようになると、その辺が微妙な問題になってくるわけです。そうすると、NHKは報道をかってなことをしておってというまたそしりが因果関係でめぐってくる、そこで中立性云々ということにまたなってくる。ぐるぐる回るものですね、その辺は。そういうことはさておきまして、NHKは国民のNHKたれということはだれしもこれをこいねがい、NHKみずからがそうしょうと努力されていることは事実でありましょうけれども、どうも予算編成というものの技術が従来と違わないということになれば、そうかといって赤字がどんどん累増していくということになる、経費は増加するということになっていくと、やはり予算編成の技術と申しましょうか、そういう点はこの辺で大所高所から考え直してひとつ洗い直してみる必要があるのじゃないでしょうかね。  私はもっともっとふえていいような気がするのです、テレビの生産台数、実数その他の関連で見ましても。もちろん新旧取りかえというのもあるでしょうが、新築家屋の増加の点から見たってもっともっとふえていいような気がするのです。  それから、いつか質問しましたホテル等の問題は相当おやりになっていると言うけれども、約十九万か二十万ぐらいでしょう、ホテル、そうでしたね。前の話ですと九万ですか、ちょっと私数字忘れましたが、じゃ最近はその何割ぐらい捕促になっているのですか。まだまだ私どもの聞いたところによるとNHKさんがわれわれに説明されるのにはほど遠いという気がするのです。だからそういう面でももっともっと努力されてしかるべきではないですか、どうですか。だから、そういう御努力があって、しかる後に社会の情勢の急変に伴って云々というなら私たちも同意するにやぶさかでありませんけれども、当然接触をすれば取れるところをおやりになってないときめつけはしませんけれども、若干なおざりにされている傾向があるのではないか、そんな気がするのですが、これは努力されている皆さんには失敬な発言でしょうか、担当局長ひとつお答えいただきたい。
  144. 川原正人

    参考人(川原正人君) 当然、御指摘のように私どもはそういう努力を続けなければなりませんし、現場の職員にはかなりその旨は徹底をし、また教育もいたしておるつもりでございます。確かに御指摘のようになお一そうの努力の余地はないかと言われればそれはないとは決して申しませんん。先ほど御指摘の会社関係につきましてもかなり契約率は上げてまいっておりますけれども、現在、私どもの推定でもなお七四%前後かと思いますので、もう少し努力はいたしたい、かように考えております。  この会社関係、ホテル等を中心といたしましては、前回の委員会でたしか申し上げたと思いますけれども、昨年度はかなりの伸びをいたしまして、当初予算三万が九万ぐらいこれは確実に伸びております。ただ、残念ながら一般家庭のほうが先ほど申しましたような事情で伸びが少し頭打ちになってきて、私たちの見込みが少し苦しくなったかなということで、この点は十分四十九年度の予算では考慮いたしております。  なお国内の出荷台数についても、私どもとしては機械工業会等からいろいろ資料をもらっております。なお、世帯の増加につきまして、建物についてはいま正確な数字を持っておりませんが、厚生省の人口問題研究所等の推定では、最近の傾向はやや鈍化しておりますけれども、年間九十万ないし八十万の世帯増があるはずなんです。これが一〇〇%取れればよろしいわけでございますが、残念ながらいまのところ七十万、あるいは昨年度あたりそれをかなり下回る数字しか取れませんでしたので、その点がちょっと予算上にマイナスになってはね返ったかと思います。
  145. 森勝治

    森勝治君 この前の四十九年度予算案審議のときにも指摘いたしましたように、ことしは四十五億の赤字ということですね、残念ながら見込まれているという、また皆さんの説明でもそうであります。しかもそれらは遊休資産の売却によってつじつまを合わせる、こういうことでありますが、そうなりますと、ことしは従来以上に経営努力をしてもらわなければならぬし、財源の確保についてももう十分配慮を願わなければならぬわけです。と同時に、いまお話があったように予算策定のときの収入目標を、四十七年もそうだし四十八年もというふうに下回ってくるならば、当然四十九年度も編成された収入目標の一〇〇%達成というのはなかなか至難ではないか、こういうふうにならざるを得ないわけです。  そこで、私はこの前の予算審議でも申し上げたように、八十七億円の返済については、やはりそういうふうに赤字が見込まれるならば弾力的な措置をしてしかるべきだ、こう考えているわけです。そういうことによって次年度以降の難視聴解消や良質な番組の編成等に充ててもらいたい。いわゆるNHK本来のよい番組を提供するというこの使命達成のために十分御配慮を願いたいし御努力願いたい、こう考えるのでありますが、NHKを率いておられます会長としてこのことについてはどうされようとするか、お伺いをしたい。
  146. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 過般の四十九年度予算審議に際しましても、この八十七億円は現在の予算の計画上では借り入れ金の返済に充てることにいたしまして、その時期を第四・四半期とこう予定をしております。  これに対しまして四十九年度すでに赤字予算になっておる、その後の客観情勢から見ますと五十年度予算は相当な赤字になるであろう、それをやはり八十七億円を返してしまって、そしてその大きな赤字をまた新たに借金をしなければならない、こういう事態になることは非常に能がないではないか、むしろこの八十七億円を活用することを考えてはどうかときわめて適切なお教えをいただきました。私も個人といたしましては、そのような考えを秘めておったわけでございます。  その後の状況を見ますと、五十年度予算編成にあたりましては、先ほどから問題になっております契約の増強、収納の確保、この面により積極的な努力をしなければならないことも重要な問題でございます。そのほかに経営の姿勢といたしましても、きわめて事態を厳粛に受けとめまして、むだのない効率的な経営を指向しなければならないことも当然でございます。そういうことをあわせまして、八十七億円の問題につきましては、これはやはりただいま先生の申されましたような、切り詰め得るものは切り詰めますけれども放送の使命達成のために必要な経費は惜しむべきでないという見地から申しますと、大きな赤字予算を組むわけにもまいりませんので、そういう面を緩和する意味において、これを活用することが最善の道だと考えております。  いずれ将来の問題でございますけれども、五十年度予算編成時にあたりましては、そのような配慮を盛り込みました上で御審議をお願い申し上げたい、かように考えております。
  147. 横川正市

    横川正市君 郵政大臣にちょっとお伺いしますが、ことしの経済見通しで一般的には物価抑制策は政府の見通しとしては効果をあげるだろうと、私はそれを期待するわけですが、そういう物価の抑制策が効果をあげた段階で、なおかつ一体物価の動向というのはどういうふうに推移するとお考えになっているのか、この点まずお伺いしたいと思います。
  148. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 物価の昨年からの狂乱状態といわれた状態は、政府の施策によりまして、見通しとしては狂乱状態を脱するという方向に向いてきておる、財政当局の責任者大蔵大臣はそのように答弁をしております。  私どもも必死になりまして、今日まで、私は私なりの担当部門で当面の施策に邁進をいたしておるわけでございますが、月例の報告を見ましても、対前年と比較いたしますと、いままだ安定というところまではきておりませんけれども、落ちつきを取り戻しつつあると思われます。ただ先般から総理大臣も言っておりますように、今回の仲裁裁定等において相当大幅な賃金ベースアップがなされる。これもどの程度物価問題と関連があるかどうかということについて問題点はございますが、影響がないということは言えない。そういうことを含んで来年度に処さなければならないということから、これからの政策というものを考えなければならぬ、こういう状態であろうと思います。  したがいまして今日の状態以後起こってくる問題といたしましては、公共料金が据え置かれておる、たとえば消費米価それから運賃、また生産者米価等々、私どもも郵便料金をことしは値上げは小包を除いては織り込まない、こういう態度をとっておるのでございますが、これらを含めまして、どうなるかわからないという状態を何としても脱却して、こういうふうに移っていくということを国民の前に提示できることをまずやらなければならぬ。そういうことは私どもはこれからの状態のもとにおきまして、物価が下がるとは言いませんけれども、国民の皆さん方にこういうふうになっていきますぞと言えるところまでは持っていきたいと考えておりますし、またそうしなければならぬ、こういうことであろうと思います。
  149. 横川正市

    横川正市君 ものを皮相に見て私どもは考えるわけじゃないんですけれども、物価が安定することによって私は非常に大きな利益をこうむるのは、為政者のいわゆる施策の効果があらわれるという点で政治が信用を増すことだと思います。だから物価の動向に緩慢であり物価の動向に非常に消極的である場合には、これはいまの状態というのはやはり政治に対して不信を高めるだけで、政治そのものに私は信頼が薄くなってくる、そういう結果しか出てこないというそういうような作用があると思うんです。  そこで、私は、郵政省の場合もNHKの場合も電電公社の場合も同じですが、結局、現業部門を担当しているという点では経営の面では同じ立場に立っておるわけですから、そういう立場に立てば、前回私も電電公社にも質問いたしましたように、ただ周辺の状態が上げざるを得なくなったから上げるというんじゃなくて、上げなければならない理由を申し述べて、それを押えてもらう方向への具体的な資料提供とか働きかけというのは当然やるべきじゃないか、その先頭に郵政大臣は立つべきだ、そう私どもは申し上げたわけなんです。  そういう面から見て、いまの大臣の答弁を聞きながら、私もやはりその方向は好ましいが、ただ狂乱という——これはマスコミ、情報機関が使ったわけでして、決して政治の場で使ったわけじゃありませんが、そういうものがやや鎮静したと言うのは、これは四十八年の後半から四十九年の現在までの一つの道程をいわゆる評価して言うものであって、実際の物価の動向というのは少しも下がったという傾向でなしに横ばい状態ではないか。だからこれは言ってみると高値安定状態というふうにいわれているもので、それは推移としてそれを認めざるを得ないのじゃないかと思うんですけれども大臣の見解はどうでしょうか。
  150. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 高値安定ということばが適当であるかどうか私はよくわかりませんけれども、安定をするということが一番大事なことであって、あしたの物価がわからぬというような、あしたのことがわからぬというような状態で人間が生活できるわけはございません。  そこで昨年末から、まず石油がどうなるのかわからぬという状態であった、これに対しまして政府が緊急施策をとると同時に、石油も安くは入ってきませんけれども、いままでより安くはないけれども、高い金額にはなるであろうけれども、まあまあ入ってくるということについての目安はついてきた、高いということは量においてもこれは影響があるわけでございます、それだけのものが買えるか買えないか、こういうことでございますが、まずわからぬということはなくなってきた、こういうことでありまして、あらゆる問題についてこれからどうなるかということの見きわめがつけられるということが政治の一番大事なことでありまして、これがわからぬようなことでは何もできないわけであります。  私が先ほど申し上げましたように、これが高値安定という表現が適当であるかどうか、大体このように推移していくという——昭和四十九年度予算を編成いたしました当初におけるところの状態から見まして、今日、私が先ほど申し上げましたところの一つの問題点が生じておりますのは、いわゆる仲裁裁定が下されました。これに対してきょう本会議が持たれておるわけでございますけれども、政府はやはり物価が上がっておる、生活に困る、それに対するところの賃金というものが、これは安かったらいいというもんではございません、生活とつながるものでございますから、この仲裁裁定には積極的に応じましょう、国会で承認をしていただきたい。しかし、これはどう考えてみても金が足りない、これについてはよく検討をこれからいたしていきます、こういうことをいま申し上げておる状況でございますが、一応先行きの見通しがつけられてきた。  そこで、今後、公務員、公企体に働いておる人たちの賃金——一般の人たちはもう大体きまりました。あとは公務員の賃金等で賃金問題についてのこれからの見通しというものがつけられるならば、これをどうまかなっていくかということを勘案しつつこれからの諸政策を組まなきゃならぬ。その場合には、あるいは先ほど言われました高値安定という呼称がありますけれども、安定した姿でこうなっていく、世界の動きもございますから、これも見通していかなければなりませんが、安定をして大体先がこうなるということを取りつけられる、こういうことが一番大事でありますので、そういうことに対して努力を傾けていかなきゃならぬ、繰り返すようでございますが、こういうことでございます。
  151. 横川正市

    横川正市君 例は非常に悪いんですけれども、二間ぐらいの間口で野菜を置いている店がありましてね、それで、そこには兄弟二人で野菜を一生懸命売っているわけです、朝から晩までね。従前の生活様式からいけば一般庶民の生活様式の中では中以下なんですね。ところが、その野菜屋さんの最近の生活状態を見ますと車も二、三台入ってまいりましたしヨットも持っておりますし、それから営業時間というのはうんと短縮していますし、質的には営業時間は短いのに収入というのは非常に上がっているわけですよ、それで生活環境はきわめてエンジョイしていますね。  野菜屋さんがヨットを持っていかぬということは、私はそれを否定しているわけじゃないんだけれども、経済の変わり方というものを、そういう一つの例から見ますと、これは一体それだけのものを許容していけるかどうか、その膨張率を許容していけるかどうかという問題になってくると、私はどこかで一つのピークというものがあるんだと思うんですね、一つの過程の中では。それから生活も同じだと思うのは、NHKの場合も郵政省の場合も、これは他因によって膨張するわけですよ。いま賃金賃金といいますけれども、賃金を上げなきゃならない原因というのは、これは他の要因を組み入れるから郵政省も賃金上げなきゃいけない、NHKも賃金上げなきゃいけないという他の要因によるわけですね。その他の要因は必ずしもヨットを持って歩けるような状態では私はないと思うのです。これは一つの皮相観でものを見るわけじゃないけれども、そういう比較を私どもはしていて、他因でもっていわば上げなきゃならない一つのコンスタントというものはあるから、それは当然郵政省も許容しなきゃいけない。そのためには一体料金はどうするかということで論議をすることになると思うのですね。  私の言いたいことは、たとえばNHKの場合に必要なもの、人件費とか資材費とか設備費とかあるいは具体的な行動費だとか、いろいろなものがありますから、そういったものの値上がりの状態というものが全部数字の上でコンピューターで出てきて、幾ら値上がりするからどれだけの状態にしなきゃいけないという、そういう数字的に明確なものを出してくれといっても、いまのところ出せないんですよね。それは経済の動向というものが私は非常に不安定なんだからだと思うのです。ある意味ならば、年間予算を組むときに、一つのコンスタントのものは鉛筆が幾らで消しゴムが幾らでといって積算していけば大体全体の総ワクというものが出てきて、一年間の予算のうちの一〇%から一五%、せいぜい一五、六%伸び率があるというのが予算のこれは通常会計だと私は思う。  そこで四十六年の決算を見ながら実は思うのですけれども、四十六年、四十七年、四十八年上期の決算国会がまじめに取り組んで論議をしているということはややナンセンスな気がするわけです。なるほど予算の執行状況で間違いがあればこれは問いたださなければいけませんが、検査院の報告書を見ても全く無難な決算報告ですから、その面では問題というのはないと思うのですが、四十八年後半、四十九年の現在までの状況からいってみて一番な問題点は何かといいますと、いわゆる物価の高騰、それは狂乱とついた物価の上昇の中で予算の執行というのは一体どうなのかという点が一番大きな問題ではないのかと私は思うので、一番根底になる一体物価の動向というのはどうなりますかということを実は閣内の大臣の意見としてお伺いしたわけなんですが、これ以上お聞きいたしましても私もわからないし、大臣もちょっとわからないのじゃないかと思いますから、具体的な問題で質問したいと思います。  NHKの会長さんは、四十六年の収支をずっと見ていまして、そうして四十九年予算執行の展望の中にどういう変化というのがあるとお考えになっておりますか、具体的にひとつ御説明いただきたい。
  152. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 四十六年度の予算執行過程と四十九年度、これには相当な客観情勢の変化がございます。これは御承知のとおりでございますけれども、そういった面がなければ、さして四十六年と四十八年、九年の間の差はないと思います。  ただ先ほども問題になりました契約の獲得の面につきましては、やはりテレビの普及の上昇時代あるいは白黒からカラー化します上昇過程、このカーブの関係についてはいろんな問題がありましょう。それも先ほど御質疑がありましたように四十三年度にカラー契約を設定いたしまして、白黒の料金のほかに、カラー料金を設定いたしました。なるほど四十三年度から四十四、四十五年度くらいまでは私どもが何も工作をしたわけではございませんけれども、大体こういう上昇カーブであろう、これを推定いたしまして予算に獲得件数として計上いたしましたもの、そのカラーの普及のテンポが予想よりも早かった関係で予算をはるかにこえる件数の伸びがございました。ただいま御審議中の当四十六年度の決算におきましても当初カラー契約は四百万件と見込んでおったのでありますけれども、この決算の中に出ましたカラー契約獲得数は四百十三万件でございます、十三万件オーバーをしております。しかし、それはもう相当にカラー化が急速に伸びたものでございますから、四十七年度あたりから私どもが予想し把握したいと念願したとおりのカーブでものが動かないというような状況を来たしまして、四十七年度以降、年度当初に予算で計上いたしました件数を実際には決算上では下回るといったような好ましくない結果が出てまいったわけでございます。そういういわゆる契約の総体的な限界に近づく、頭打ちと申しますか、そういう状況に近いという結果が出ました関係におきましては、四十六年度当初と四十九年度では収入の面では非常な相違がございます。  他方、支出の面ではそれをこえる客観情勢の変化がありまして、そういった問題につきまして四十八年度後半の支出についてもそうでありますし、特に四十九年度予算執行にあたりましてはそういった面がかなり四十六年度当時とは変わった様相を呈して予算の執行を圧迫する結果になってくる、かように判断をいたしております。
  153. 横川正市

    横川正市君 私も大体会長が見通したような見通しを立てながら、そこで四十九年度予算はもうすでに決定したわけですね、この決定した予算の執行の担当者は、一体、いまのような急カーブの上昇率の中でどういう運営のしかたをするのかという点を私どもちょっと心配をするわけです。まさか、たとえば「天下堂々」に出てくる役者が南京袋をかぶっておりますから、あの南京袋をかぶっておるようなもので制作費を安くして、それで節約するんだろうとは思わないわけですけれどもね。しかし私どもはやはり作品はいいものをほしいし、それからいいものには金がかかるし、しかしその予算が捻出できない、こういえジレンマをことしの予算執行の中で非常に強く持つんじゃないかと思うのですね。  そういう面から見て、この執行の責任者としてどうやっていくか。たとえば諸経費の節約といっても、これは二割も三割も節約できるものでは私はないと思うのです。それから支出について、これはとめ置くということもできないと思うのですね。いままでのNHKの姿勢からしますと、私はカラー契約が急上昇したときにいわば収入面で予定外のものがあったと思うのですよ、それから敷地を売却したときのものもあったと思うのですね。しかし、その時点での状態から四十九年度後半へは私はまあ逆な現象が出てくるだろう、こう見るわけなんですけれども、対応策があれば対応策でいいわけですが、しかし現象としてはそういう現象になるんではないかと思いますが、いかがでしょう。
  154. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) ただいま申されましたような、いわゆるかりに遊休資産があればそれの処分によって補うこともできましょう。しかし、それはもうおよそ限界にまいっておりまして、見通し得る可能なものにつきましては四十九年度予算の中に織り込んでございます。それをこえて、そういったものも見当たりません。それかといって一たんきまったあの予算で執行できないからといったことで借り入れ金でまかなうことも、これも許されぬことだと思います。  要は、成立予算の範囲内において創意くふうを生かしていく以外にないと考えるわけでございまして、その面については、NHKの看板であり商品であります番組の制作費の関係につきましてはただいま御指摘のようなことにならないように努力をいたしたいと思いますけれども、電気料金等の関係につきましては電気使用量の抑制あるいは水の使用量の抑制とか、そういったことをこの予算編成等よりもさらに一そう徹底したやはり実行をはかってまいらなければなりません。そのようなことをやっていけば、四十九年度予算に関します限り、当初予算に非常な狂いが出るということはないように運営をしてまいりたいと考えております。
  155. 横川正市

    横川正市君 私の心配は四十九年度はまずないようですが、この受信料の三年間据え置きの公約がひっかかるわけですね、一年間。で事実上この三年間据え置きをするとすれば、これは借入金その他ということになります。借入金でなければ、これは公約を撤回しなきゃいけない。これはどちらを選択されるわけですか。
  156. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) まことにデリケートな御質問でございますけれども、問題はごまかすわけにまいりません。五十年度までは料金の改定をいたしませんと前会長も公約をいたしております。私はそれを守り続けようということを約束いたしておるわけでございます。にもかかわらず、五十年度を見通しますと、かなりの赤字になることはやむを得ません。  しかし、できるだけそういう赤字を縮める努力は経営のあらゆるすみずみにわたりまして努力をしなければなりませんこともこれまた聴視者方々への責務であろうと思います。積極的には契約の獲得、収納の関係についていろんな施策を用いまして、できるだけこれも最大限度の収入を確保する努力をしなければならないことも当然でございましょう。これも予算審議に関連をいたしまして附帯決議までいただいたような状況でございますから、そういう積極、消極両面の努力はいたしますけれども、なおかつ、いま見通しますと、収支差額を考えますと、実際の収支の実体からいえば、料金改定の必要があるにかかわらず、これに手をつけないということはかなりのやはり赤字を覚悟せざるを得ません。そういう面から、できるだけ赤字の幅を小さくいたしますために、先ほども森先生の御質問にありましたような、何か操作できる、返還しなければそれを縮小できるような措置もあるわけでございますので、そういうこともあわせ用いながら五十年度までは公約は守ってまいりたい、かように考えております。
  157. 横川正市

    横川正市君 これは郵政大臣、この前の放送文化基金の設立の祝賀パーティに私どもも招待を受けまして、総理大臣大臣、みなそれぞれ祝意を申し述べておりました。私は、実は、あの放送文化基金の設立にはあまり賛成しなかった一人なんです。しかしまあでき上がったものをお祝いすることについてはということで出席をいたしましたが、郵政省というお役所がこの放送関係のイニシアチブを何らかの形でとるということは好ましくないと郵政大臣はお考えになっているのかどうか。  放送文化基金のようなああいう事業、いわゆる文化事業というのはNHK単独のものではなしに、放送関係に携わっておる者は、ほとんどすべての人たちが足らざるものをそういうような公の基金ができるならばこれで補って放送の質の向上をはかろう、こういうのは当然のことだと思うので、その点では、たとえば国際放送をNHKに依存する政府の姿勢、それから、たまたま高く土地が売れたということで、まあ言いわけにしちゃ少し金額は大きかったと思うのですけれども、そのお金で放送文化基金というものを設立するとか、そういったことのないように、NHKの実はふところぐあいというのは聴視料でまかなわれておるわけですから、その聴視料でまかなわれておる財政のものから、なおかつそれに依存をするいろいろな問題を提起するということはあまり好ましいことじゃないんじゃないかと私は思うのですけれども大臣はどうお考えでしょうか。
  158. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 政府が関与をしてはいけないのは、放送内容とか思想、信教等の自由、人間の持っておるものにタッチをするということが放送事業というものの使命をそこなうから、これに対しては政府が口出しをすべきでないというのが私はたてまえであろう、こう思っております。  しかし、それを享受しておる人たちの中で、いまお話に出ましたような文化事業だとかそういうものを、これは初めにつくり出すときに、放送事業というものは聴視料をもってまかなうけれども、そういう方面に尽くしなさいよということが最初にきめられておることが今日NHKが聴視料の中でまかなっていることにつながっておる、こう思うのです。しかし、その中で政府としてやらなければならぬ問題、たとえば海外のいま出ました放送の問題とか、あるいは社会保障、社会福祉関係事業に対するところの問題とか、こういうことは私は政府がやってしかられることはちっともない、こう思います。したがいまして、そういう部面で、まあ所管でいいますとそういうものは厚生省所管とかそういうものが多くなってきますが、郵政省としまして、厚生省の予算でもいいんですから、それが厚生省の予算で国民にNHKを通じての放送事業ということで還元されていくという方向については私どもは積極的であっていい、私はそのように思っております。
  159. 横川正市

    横川正市君 小野さん、放送衛星への予算は、これは全額独自ですか、それとも政府から幾らか資金的に導入されるわけですか。
  160. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 四十九年度の予算で申しますと、衛星の打ち上げは政府計画としておやりになるわけでございますし、政府のほうで予算をとられたその一部、NHKに委託したほうがいいと思われる分野が委託になっております。その金が約三億四千万円と記憶しておりますが、そのほかにNHK独自で、衛星の主としてたまのほうでございますけれども、この方面の開発のためには数年前から経費をかけております。——ちょっと訂正をいたします、まことに失礼でございますが、いずれそれは将来入る金でございますけれども、先ほど申し上げました三億四千万円の委託の経費は四十九年度中には入ってこない金でございます。そのほかにNHK独自で予算に計上いたしておりますものが二億ほどございます。
  161. 横川正市

    横川正市君 私は金の使われ方はいろいろあろうと思いますけれども、四十八年度は郵政委託が一億二千万円ですね、放送衛星の。こういう資金いわゆる開発費などは、これは郵政省はもっと金を出してもいいんじゃないですか、どうですか。
  162. 齋藤義郎

    政府委員齋藤義郎君) 衛星関係の予算でございますけれども、これは全体の予算が三百六十九億ばかりかかりまして、政府の予算で全額やるというたてまえになっておりますが、ただ、いままでNHKなり電電公社なりが独自で十数年あるいは数年来金をかけて開発してきたものがあるわけでございます。おそらくNHKあたりは二十億程度の開発費を使っていろんな技術の開発をしてきたところでございますけれども、衛星に直接載るやつではなしに、いままでの二十億使ってきた研究の継続としてもう少しやっていただきたい、それでその結果が出ましたら宇宙開発事業団にその研究の成果を引き継いでもらおう、そうしますと事業団はほんとうに衛星に載るやつ、機械をこさえてそこに載せて打ち上げる、こういうことになっておりますものですから、NHKにある程度の実験といいますか研究開発といいますか、そういうような経費を期待しておるわけでございますが、それは必ずしも従来のやり方を改めたわけではございません。これは電電公社についても同じでございます。
  163. 横川正市

    横川正市君 実は、番組のことで二、三、私は前からの関連もありますから意見を申し上げたいと思うんですけれども、私は、自分たちの生活の中に歌のある生活を、これは何とはなしに雰囲気としてつくり上げていく、そういうエンジョイの役割りをNHKはやったらどうかということをもう何年か前に委員会で申し上げたことがあるわけなんです。生活にそういう面で潤いみたいなものがなさ過ぎて、あるいは集団で行動するそういうときに歌がなかったりなんかして何となく殺風景な生活環境というものを私どもは何とかしなければいかぬ、その何とかしなければいかぬ役割は、ひとつNHKが果たしてみたらどうだろうかという提案をしたわけなんですね。  そういう歌がつくられることも一つでしょうし、それからそれを歌う集団をつくることも一つでしょうし、それがテレビを通じて放送されることも一つでしょうが、たとえば、どのチャンネルひねりましても同じ歌手が同じような歌を歌っている番組に見あきているのじゃないかと思うのですよ、いま。だから紅白歌合戦などというようなものは、一年に一度、そういういわゆる歌のある生活の中から選ばれたものが競って三十一日締めくくりを行なうなんていうことは私はいいことじゃないかと思うのですね。いわゆるもうみんなが聞きなれた歌だけを何かショーまじりで放送することに終始しているというのは芸がなさ過ぎるような気がするわけなんです。  ですから、私どもは、たとえば庄内に最上川船うたなんていうのがありますね、あれは庄内に行きますと実にいいコーラスになっていますが、それはそこだけの何人かのコーラスでとどまっている。あれはボルガの船うたと匹敵するぐらいのものであって、たくさんの人が集まって歌うことに少しも支障がない。これは既存の歌があるわけです。  それから作曲能力もありますし歌手の能力も詩作の能力もあるわけですから、そういうことで、まあ昔戦時中、国威宣揚の歌ばかし歌ったああいうものでなしに、生活をエンジョイするような歌を、これをサークルをつくらせて、そのサークルを地方ごとに選別しながら十二月三十一日にNHKが中央で放送するというような、そういうことで具体的に歌のある生活というものをつくり上げていく、何年か積み重ねてつくり上げていくということが必要なんじゃないか、こう思っておるわけなんです。  それからもう一つ、これは私は非常に残念だと思うのは、東京は七チャンネルあるわけですね、1、3、4、6、8、10、12ですか、放送する内容がそれほどたくさんあるわけはないのにチャンネルだけが非常にたくさん存在している。そういうことはやや、成長経済当時からの状態でいえば黙認できたかもわかりませんけれども、これからは少しむだじゃないかという気がします。そこまではきょうは申し上げませんが、やや、やはりこの内容に私どもは批判をしなきゃいけない内容がずいぶん多くなってきたように思うのです。そういう点で、今度、NHKの任務はもう少し聴視率にとらわれないで放送するという姿勢が必要なんじゃないか。あまり聴視率に固執いたしますと、その面でいわば既存の有名人の看板を借りて聴視率を高めるというふうに堕してしまうのじゃないか、こう思うのですね。  同時に、たとえばいま放送されている「鳩子の海」ですか、あの鳩子という小学校一年生にならない女の子の持っている魅力というものは、これはどんどんほかのそれぞれの立場で開発する必要があるのじゃないかと思うのですよ。そういう方向に金というのは使われるべきじゃないかと思うのですね。だから有名人ではなしに無名であっても国民生活の中にぴたっとするような演技者を養成していくというようなことが必要なんじゃないだろうか。それをやらないと、本来のNHKの任務というのはやや民放に堕して片寄りかかっていってしまって差がなくなってしまうということはおそるべきことだと私は思うのです。  それからもう一つは、最近、「国会討論会」を私聞いているわけですけれども、あれは非常に時間不足じゃないかと思うのですよ、五十五分くらいですかね。この議会の中のああいうできごとをうそで固めてやり合うけんかの場にしないで、私は、実は、あれは三者三様くらいな聞き手というものを配しながら、最も政党の痛い点をえぐり出して聞かせるという時間をつくったらどうかと思うのです。それは何もNHKの偏向というふうにとらないと思うのですね。やはり政治に対する知識というものが国民の中にどんどん培養されていく、そういうことのためにも私は大切な時間ですから使ったらどうだろうか。あの五十五分は非常にいい放送だといって聞いている人もありますし、芝居を見るよりおもしろいといって聞く人もいるだろうと思うのです。そうではなしに、やはり政治の教養をあの中で、いわばNHKが責任をとらないで、傾向の違った方でやればそれぞれ違った傾向で話をするわけですから、時間をとるだけで十分番組として提供できないか、こういうふうにも思うわけなんですがね。  そういう点で、実は、私が言いたいのは、たとえば電力の節約をしますということで放送時間を短縮するよりか、その時間は電力がややかかってもそういうNHKの行き方へ放送時間というものを向けていったらどうか。そのくらいのことは聴視者は聴視料がある程度上がってもそれにこたえることができるだろう。たとえば「暮しの手帖」のような、ほんとうに具体的に日常の生活に関係のある放送が主婦の時間に行なわれるというようなことであったりすれば、私はNHKの放送について重量感を増すんじゃないか、こういうふうに思いますが、放送関係についてその点どうでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
  164. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 歌のある生活という御指摘につきましては、私ども全く同感でございます。  それでそのことについて、あるいはまだ不十分な点があれば今後努力したいと思いますが、現状でも「あなたのメロディー」という時間で聴視者方々の作曲、聴視者方々の作詞したものを毎週日曜日の午前中に時間をとりまして、ただその場合に歌います歌い手がプロであるという点が先生の御指摘から多少はずれておるかとも思いますけれども、しかし、しろうとが歌づくりをするという点につきましては先生の御指摘の点に多少沿えるのではないかと思います。それを年間を通じまして、年度末三月にその年度の「あなたのメロディー」の大会をいたしまして、その中でグランプリを設定するということをやっております。その中で誕生いたしました歌がかなり世の中に流布されているということも事実でございます。  ただ、御指摘のような庄内船うたその他の地方のうたの発掘という点について必ずしも十分でないという点は、大いに反省して今後努力したいというふうに思います。  またNHKが視聴率にとらわれずに、やるべきことをやるようにという御指摘も、放送の責任者としてはまことにありがたい御指摘だと思います。ただ、娯楽番組である場合には、できるだけ多くの方に見ていただいて楽しんでいただこうという.姿勢をなくしますと、いたずらに独善になるということになりかねませんので、そういう反省をしながら低俗にならずに健全な娯楽番組の作成に当たりたい。  それから「鳩子」その他のタレントの発掘等につきましては、常々NHKはかなり努力しておるつもりでございまして、毎年の朝のテレビ小説の主役はほとんどいわゆるオーディションを通った新人を採用するという方針でやっておりますし、日曜日の夜の大型時代劇等からもいろいろな新しい主役級のタレントが出ておる、そういう実績も持っておりますので、そういう点について今後なお一そう努力したいというふうに考えます。  また政治討論会等につきましては、確かに最近やや時間不足という御指摘があるような傾向の日が多うございますが、これにつきましてはテーマによってできるだけ一時間半にするというようなことをフレクシブルに編成したい。従来もそういう姿勢でやっておりまして、本年度も、ごらんいただけましたかどうか、憲法記念日の日の午前中には二時間という時間をとりまして、例の教育問題についての有識者等の討論もいたしたわけでございまして、そういう時間の点につきましてはNHKはかなり自由に編成できる一つの自由性があるわけでございますから、そういう点を十分配慮して努力したいというふうに考える次第でございます。
  165. 横川正市

    横川正市君 世にいうNHKカラーというのはどういうふうに受けとめておりますか。いわゆる優等生放送とか、民放と比較してどうということではないでしょうが、第三者がNHKを批判すると、あああれはNHKだからという批判がありますが、それはどう受けとめておりますか。
  166. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) どうも、中におりますとなかなかそういう点についての的確な御答弁がむずかしいかと思いますが、まあどちらかというとかたい、それから場合によってはやや事なかれ主義になるのではないかというような、そしてそのためにやや平均的な点をねらう意味から多少おもしろみがある娯楽番組なんかでもそういう意味の型破り性、冒険性が欠けているのじゃないかというような御批判がいわゆるNHK調という一言の中に含まれているのではないかというふうに私どもは自戒しておる次第でございます。
  167. 横川正市

    横川正市君 私はそうまとまって質問をしようとは思っておりませんが、やはり放送の公共性についてはいま会長が言いましたように、公平で、正確で、迅速で、われわれの生活の中に全くなくならない波を皆さんが送ってくれているわけですから、そういう皆さんの努力に対しては感謝しながら、なおかつできるだけたくさんの意見を取り入れて、それにこたえられるようにやっていただきたいと思うのですがね。  私どもは、時間の配分を見ておりまして、時間の配分にやや時間不足で配分ができないという面と、くふうすればもう少し配分できるのじゃないかと思う面とがありますので、この点は指摘はいたしませんけれども、ぜひ放送にはくふうをしていただきたい、かように思います。  私の質問は以上で終わります。
  168. 川村清一

    委員長川村清一君) 本件に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時二十八分散会      —————・—————