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1974-04-25 第72回国会 参議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十五日(木曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員異動  四月五日     辞任         補欠選任      中村 登美君     迫水 久常君      高橋 邦雄君     長田 裕二君      星野  力君     小笠原貞子君  四月十日     辞任         補欠選任      今泉 正二君     二木 謙吾君      横川 正市君  四月十一日     辞任         補欠選任      西村 尚治君     長谷川 仁君  四月十二日     辞任         補欠選任      二木 謙吾君     今泉 正二君  四月二十二日     辞任         補欠選任      長谷川 仁君     西村 尚治君      鈴木  強君     横川 正市君  四月二十三日     辞任         補欠選任      西村 尚治君     星野 重次君      今泉 正二君     二木 謙吾君  四月二十四日     辞任         補欠選任      二木 謙吾君     今泉 正二君      星野 重次君     西村 尚治君  四月二十五日     辞任          補欠選任      塚田十一郎君     嶋崎  均君      白井  勇君     寺下 岩蔵君      小笠原貞子君     須藤 五郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         川村 清一君     理 事                 今泉 正二君                 植竹 春彦君                 古池 信三君     委 員                 長田 裕二君                 迫水 久常君                 嶋崎  均君                 新谷寅三郎君                 寺下 岩蔵君                 西村 尚治君                 松岡 克由君                 松本 賢一君                 森  勝治君                 山田 徹一君                 木島 則夫君                 須藤 五郎君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  原田  憲君    政府委員        郵政政務次官  三ツ林弥太郎君        郵政大臣官房長  神山 文男君        郵政大臣官房電        気通信監理官   浅見 喜作君        郵政大臣官房電        気通信監理官   佐野 芳男君        郵政省簡易保険        局長       野田誠二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        日本電信電話公        社総裁      米澤  滋君        日本電信電話公        社計画局長    清水 通隆君    参考人        国際電信電話株        式会社取締役社        長        菅野 義丸君        国際電信電話株        式会社取締役副        社長       板野  學君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        増田 元一君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        木村 光臣君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        有竹 秀一君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        米田 輝雄君        国際電信電話株        式会社取締役   大島信太郎君        国際電信電話株        式会社取締役   古橋 好夫君        国際電信電話株        式会社取締役   小池 五雄君        国際電信電話株        式会社取締役   鶴岡  寛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (国際電気通信事業に関する件)     —————————————
  2. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月五日、中村登美君、高橋邦雄君及び星野力君が委員辞任され、その補欠として迫水久常君、長田裕二君及び小笠原貞子君が選任されました。     —————————————
  3. 川村清一

    委員長川村清一君) この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  今泉正二君の委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  4. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認めます。  それでは理事今泉正二君を指名いたします。
  5. 川村清一

    委員長川村清一君) 簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。原田郵政大臣
  6. 原田憲

    国務大臣原田憲君) ただいま議題となりました簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  まず、簡易生命保険法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  この法律案は、簡易生命保険保険金最高制限額及び最低制限額引き上げるとともに、保険金倍額支払いをする場合にも剰余金を分配することとするほか、割増金付簡易生命保険取り扱いをすることができるようにするものであります。  まず、保険金最高制限額引き上げについて申し上げます。  現在、保険金最高額は被保険者一人につき三百万円に制限されておりますが、最近における社会経済情勢の推移と保険需要の動向を考えまして、国民経済生活の安定を確保する制度としての機能を十分に発揮することができるよう、これを五百万円に引き上げようとするものであります。  次に、保険金最低制限額引き上げについて申し上げます。  現在、保険金最低額保険契約一件につき十万円となっておりますが、最近の経済事情のもとにおきましては、十万円の金額では生命保険として低きに過ぎるものと考えられますので、これを二十万円に引き上げようとするものであります。  次に、保険金倍額支払いをする場合に剰余金を分配することについて申し上げます。  現在、保険契約締結後二年を経過した後に被保険者が不慮の事故等により死亡した場合は、保険金倍額支払いをし、剰余金は分配しておりませんが、加入者に対する保障内容の充実をはかるため、この場合にも剰余金を分配しようとするものであります。  最後に、割増金付簡易生命保険取り扱いをすることについて申し上げます。  最近の経済情勢にかんがみまして、総需要抑制措置の一環として、貯蓄の増強に資するため、昭和五十一年三月三十一日までの臨時の措置として、簡易生命保険にくじ引きにより割り増し金をつける取り扱いをすることができるようにしようとするものであります。  なお、この法律案施行期日は、保険金最高制限額引き上げにつきましては、定期保険は本年十月一日、その他の保険昭和五十年四月一日から、保険金最低制限額引き上げにつきましては本年十月一日から、その他につきましては本年五月一日からといたしております。  次に、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  この法律案は、簡易生命保険及び郵便年金積み立て金運用利回り向上をはかり、もって、簡易保険加入者利益の増進を期するため、積み立て金運用範囲拡大するとともに、金融債及び社債保有限度ワク拡大しようとするものであります。  まず、運用範囲拡大について申し上げます。  現在、利回りの高い事業社債に対する運用は、電力債のみに限られておりますが、これを社債一般にまで拡大し、その具体的な範囲は政令で定めようとするものであります。  次に、保有限度ワク拡大について申し上げます。  現在、利回りの高い金融債及び電力債保有限度ワクは、それぞれ積み立て金の百分の十、百分の五となっておりますが、これを、金融債については積み立て金の百分の二十に、従来の電力債を含めた社債については積み立て金の百分の十に拡大しようとするものであります。  なお、この法律案施行期日は、公布の日からといたしております。  以上がこれらの法律案の提案の理由であります。  何とぞ、十分に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  7. 川村清一

    委員長川村清一君) 両案に対する質疑は、後刻に譲ることといたします。     —————————————
  8. 川村清一

    委員長川村清一君) 参考人出席要求についておはかりいたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、国際電気通信事業に関する件について、国際電信電話株式会社役職員参考人として本日の委員会出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  10. 川村清一

    委員長川村清一君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題といたします。  まず国際電信電話株式会社事業概要について、国際電信電話株式会社取締役社長から説明を聴取いたします。菅野参考人
  11. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 国際電信電話株式会社社長菅野でございます。  当社事業概況の御報告を申し上げます前に、一言お礼を申し上げます。  当委員会におかれましては、本日、まことに貴重なお時間をおさきいただき、会社事業概要につき御説明申し上げる機会をお与えくださいましたことに対して厚く感謝をいたします。  また当委員会委員長委員の諸先生方には、国際電信電話事業につきまして平素格別の御配意と御支援を賜わり、まことにありがたく、この機会を拝借いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。  さて、当社は、昭和二十八年創業以来ここに満二十一年を経過いたしました。この間、社業も順調に伸展し、わが国の国際通信サービス国民皆さまに十分御利用いただけるように相なりました。  御承知のとおり、世界国際電気通信は、衛星通信海底同軸ケーブルあるいはまた散乱波通信等通信技術の急速な進歩発展に伴い、現在では、世界的な広帯域通信幹線網の作成を見るに至りました。  当社が現在使用しております対外回線数は、ほぼ二千回線に近く、これらを通じ電報電話テレックスはもちろんのこと、テレビジョン伝送データ通信等、多種多様なサービスを提供できるように相なりました。  当社は、今後とも世界各国との国際通信網整備拡充につとめますとともに、日進月歩の技術革新情報化社会の進展に対応するため、なお一そうたゆまざる研究と真摯な企業努力を重ね、国民皆さまに、さらに御満足いただけるようなサービスを提供いたしたいと、かように念じておる次第でございます。  つきましては、ここにまず最近一カ年間の事業概況について御報告いたします。  昭和四十八年度における設備拡張改良計画のうち、おもなものといたしましては次のようなものがございます。  第一は、衛星通信関係であります。インド洋上のインテルサットIV号系衛星本格的運用開始に備えるため、山口衛星通信所設備を改修いたしました。この改修設備が近く稼働いたしますが、これによりまして対欧州、中近東及び東南アジア方面衛星通信サービスは格段と向上を見る見込みでございます。  第二は、海底ケーブル建設であります。  当社は、アメリカ及びオーストラリアの関係通信事業者と共同で、新太平洋ケーブル建設計画を進めてまいりましたが、建設保守協定につきましては、当事者間で合意に達し、近く調印の運びとなる見込みでございます。  さらに、日中間海底ケーブルにつきましては、両国政府間の取りきめに基づき、当社中国側関係者が協議し計画具体化をはかってまいりましたが、建設保守協定も大筋で合意に達し、近く締結できる見込みでございます。また、懸案となっておりました日本側陸揚げ地といたしましては、熊本県苓北町を選定いたしました。  第三は、局舎建設関係でございます。かねて新宿新都心建設中の国際通信センターは、工事も順調にはかどりまして、本年六月末の竣工予定でございます。  また、同じく建設中でありました那覇国際電報電話局新局舎は、本年三月完工し、無事竣工式を行ないましたが、引き続き通信設備設置工事を進めまして、本年夏ごろにはこの新局舎からの運用が可能となる予定でございます。これにより沖繩国際通信は一そうサービス改善ができるものと期待しております。  さらに、通信非常障害対策として、東京関門局の被災時における通信途絶を防ぐとともに、増大する電話需要に対処するため、計画中でありました新大阪国際電話局につきましては、昨年九月末大阪市の御協力を得まして、大阪市東区に用地を購入いたしました。  以上のほか、中央局設備等昭和四十八年度当社事業計画に掲上いたしました諸設備拡充計画はおおむね順調に実施を見ております。  続いて、昭和四十八年度営業概況について申し上げます。  まず取り扱い業務量でございますが、昨年は、ドル切り下げ、円の変動相場制への移行に続く石油危機という大きな経済変動を経験いたしましたが、各業務ともおおむね順調な伸びを示しております。主要業種別に、年度末現在までの概数を申し上げますと、国際電報六百三万通、国際加入電信千百十二万度、国際電話六百四十万度でありまして、特に国際加入電信国際電話は前年度比それぞれ三九%、五四%と著しい増加を見ております。  次に、経理の概況について申し上げますと、昭和四十八年度上期の収支状況は、営業収益二百九十八億円、営業費用二百二十二億円となり、これらに営業外収益営業外費用及び特別損益を加減したこの期の利益は、四十七億六千万円と相なっております。四十八年度下期につきましては、いまだ確定的なことは申し上げられる段階にないのでございますが、おおむね順調な決算ができるものと見込んでおります。資産状況につきましては、昭和四十八年九月末現在におきまして、資産総額は八百三十五億円で、そのうち流動資産は二百七十一億円、固定資産は五百六十四億円となっております。一方、負債総額は二百八十七億円で、そのうち流動負債は百六十二億円、固定負債は二十三億円、引き当て金は百二億円となっておりまして、したがいまして差し引き純資産額は五百四十八億円となっております。  以上で昭和四十八年度事業概況報告を終わりまして、続いて昭和四十九年度事業計画概要について御説明申し上げます。  昭和四十九年度国際通信需要は、石油危機関係等もございまして、従来のような急速な伸びは期待できぬものと考えておりますが、国際交流活発化等を反映いたしまして、総体的には、増加の傾向を示すものと思量いたしております。このような需要増加に対応するため、本年度も前年度に引き続き、各種国際通信設備拡充整備につとめます一方、政府の総需要抑制策の方針に沿いまして、できる限り不要不急設備投資は押える所存でございます。  すなわち、当社の四十九年度設備計画といたしましては、国際通信センターを本年の年央に完成させるほか、国際電話及び国際加入電信交換設備データ通信設備等の諸設備拡張につとめるとともに、通信回線の新増設、海底ケーブル施設拡充営業関係通信設備整備非常障害対策、新技術研究開発等を推進することとし、これらに要する費用といたしまして約二百二十五億六千万円を予定しております。このうち、対外通信回線につきましては、さらに大幅な拡張をはかることとし、加入電信回線百五十一回線電話回線二百四十回線をはじめとして、電報回線専用回線等総計四百七十回線を新増設する計画でございます。  これが実現いたしますと、当社対外回線数は全体で約二千四百四十回線となりまして、国際通信サービスは一そうの改善向上を見ることとなると存じます。  海底ケーブル施設拡充につきましては、新太平洋ケーブルは、その計画の第一段階といたしまして、本年中に米本土・ハワイ間が完成し、明年十一月までに、グアム経由沖繩まで敷設される見込みであります。また本ケーブル沖繩陸揚げ局建設とともに、日中間海底ケーブル日本側陸揚げ局建設にも着手し、さらに、これら諸ケーブル海洋調査を実施する予定でございます。  次に、営業所設備等拡充でございますが、お客さま方の御利用の便をはかるため、国際通信センター、新東京国際空港及び東京シティ・エア・ターミナルに営業所をそれぞれ新設する予定でございます。  通信非常障害対策関係では、昭和五十年度運用開始を目標に、新大阪国際電話局建設工事に着工するとともに、収容する通信設備手配等も進めることにいたしております。  新技術研究開発につきましては、新衛星通信方式画像通信方式広帯域海底ケーブル中継方式等に重点を置きまして行なってまいりたいと存じておる次第でございます。  さらに、新技術に対応します各種訓練設備整備しまして、職員の能力開発、資質の向上をはかりたいと存じております。  最後に、昭和四十九年度収支につきましては、主要業務需要量国際電報五百八十一万通、国際加入電信千三百三十万度、国際電話八百六十一万度を見込みまして、この予測のもとに、収入については約七百四十七億円、支出につきましては一そうの経費の節減につとめることとしまして、約六百五十九億円を予定いたしました。  以上、簡単でございますが、事業概要の御報告といたします。  何とぞ、今後とも一そうの御指導、御鞭撻を賜わりますよう切にお願い申し上げて御報告を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  12. 川村清一

    委員長川村清一君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 森勝治

    森勝治君 まずKDDにお伺いしたいのでありますが、基本的な問題について若干触れてみたいと思うのであります。  御承知のように国際通信という使命からいたしましても、KDDの果たすべき役割りというものは従来よりさらに倍加されてきたような気がするわけであります。したがってこの国際通信を円滑に行なうためには、世界の至るところの場所あるいはまたあらゆる国との直接回線が設定されているということが一番好ましいと思うのでありますが、現状はどうなっておりますか、お伺いをしておきたいと思います。
  14. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) ただいま森先生が仰せられましたとおり、国際通信の上におきましては、できるだけ多くの国と直通回線をもって通信をいたしますのが理想的でございます。現在、世界じゅうの至るところにわれわれの通信の相手の国がございまして、ほとんど通信の届かないのは一、二の例外があるだけでございますが、そのうち多くのものはまだ関係第三国経由中継をしておるような状態でございます。われわれとしましては、できる限り多くの国と直通回線をもってスムーズに通信をいたしたい、こういう念願をいたしておるのでございます。  概況を申し上げますと、直通回線を現在持っております国は、電報は四十五カ国、このうちアジアだけを見ますと二十二カ国でございます。それからテレックス——加入電信は四十三カ国、このうちアジアでは十七カ国でございます。電話は四十一カ国、このうちアジアでは十九カ国でございます。これらの国はそれぞれ直通回線を使用しておりますが、直通回線を使用するということは相当のトラフィックがその両国間にあるということを意味するのでございます。それで、その他の国につきましては、まだ需要も少ないし、第三国を経由して中継信を扱っておるような次第でございます。
  15. 森勝治

    森勝治君 もちろん事情はあれやこれやとおありでしょうけれども、少なくともアジア地域各国とは直接回線を設定する、そして友好善隣への足がかりと申しましょうか、先導的な役割りを果たすのがKDD使命ではなかろうかと思うのでありますが、いまのお話にもありましたように、それが完全に実現がされていないというのにはやはりいろいろと問題があると思うのでありますが、この問題というものはそもいかなるものか、この点ひとつお伺いをしておきます。
  16. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 仰せのごとく、私たちも少なくともアジアの近隣の諸国には全部直通回線でもって通信をいたしたい、これは私どもの変わらぬ念願でございます。  なかんずく一番近い朝鮮民主主義人民共和国あるいは北ベトナム——ベトナム民主共和国というようなところとは、ぜひ直通回線をもって通信をいたしたいと念願しているわけでございまして、これはあらゆる機会当方からその意思を先方の当局に申し上げ、もし必要ならば当方から人を差し向けてもいいし、あるいは機器等でもって何かお役に立つならばそれも提供してもいいというようなことまで通知しておるのでございますが、この両国ともまだ直通回線による通信はできないで、一方は北京を経由しておる、一方はインドを経由してやっておる、こういうような状態でございます。
  17. 森勝治

    森勝治君 郵政大臣にお伺いをしたいのでありますが、いまことあげされてお答えいただきました朝鮮民主主義人民共和国またベトナム等の問題につきましても、久野前大臣はかつてこういうお答えをされておるわけです。国交のあるなしにかかわらず通信回線の設定をするよう努力をすると明快に申されておるわけでありますが、いまKDD社長からのお答えにありましたように、この朝鮮民主主義人民共和国ベトナム等の隣国との通信回復は、積極的な使命郵政当局は示されておるにもかかわらず、まだ実現に至っていない。このことはどういうことなのか。  若干、原因らしきものをいまKDD社長がお話しになりましたが、相手方ばかりでなくして、まず大臣はわれわれに議会という場を通じて公約されたならば、相手方の難関というものをことあげする以前に、まずこちら側が積極的な立場を示してこそ、大臣言明——私は言明ですけれども約束というように承っておったわけでありますが、このことは当然生きてくるわけでありますが、そのあとを継承された郵政大臣はこのことについてどうお考えになっておられるのか、このままでよいのか——よいということはないと思う。先ほどもKDD社長が私の指摘に答えまして、あらゆる国に必要だとこういうふうにおっしゃっておられるわけですから、KDDを指導される当局の所管の長でありますあなたもそうだろうと私は推測をいたしますけれども、やはりあなたの口からじかに御発言がないと、どうも委員会の答弁だけで事終われりという形に終始されたとするならば、これは国際的な立場からいいましても非常に重大なことになりますから、この点ひとつ明快にお答えをいただきたい。どのように前大臣の当委員会における言明を、いま当面の衝に当たられる郵政大臣、あなたとしてそれをどう受け継いで、どうこれを展開させていかれるのか、この点ひとつ明確にお答えいただきたい。
  18. 原田憲

    国務大臣原田憲君) お答えいたします。  国交のあるなしにかかわらず、それらの国々との通信網をもって交流をしていくという菅野社長の考え方に私は同感であります。  それから具体的にアジアの国の問題が述べられましたが、特に北朝鮮の問題は、国交未回復でございますけれども、昨年の十月に、社会党の元委員長の佐々木更三議員が北朝鮮を訪問され金日成主席と会談をした際に、わが国と北朝鮮との間に直通回線を開設する問題について同主席が原則的な同意を示されたと聞いております。いまは北京中継によってわが国との間の電報電話を取り扱っておるわけでございますが、最近の利用数は一日平均電報が二百七十通、電話が十度となっておりますが、これからはさらに増加していくものと予想されますので、郵政省といたしましては、北朝鮮との間に直通回線を設けることが適当であると考えておりますので、この問題につきましては、目下、国際電電をして北朝鮮の電気通信当局と折衝をさせておる状況でございまして、このお話がまとまりますなれば、これを認可する方針であります。  なお北ベトナムにつきましては、外交ルートを通じて努力をいたしておるところでございます。  以上、私の所見も交えましてお答えをいたしました。
  19. 森勝治

    森勝治君 私は、KDDにそれらの問題をまかせきりにせず、郵政省が率先して事に当たるべきではないかという趣旨の質問を申し上げたつもりであります。  お話にもありましたように、わが党の佐々木さんが昨年十月に行かれたのはいま大臣がお話になったとおりでありますが、あのことについてもその後政府間で具体的に話を進める、こういうふうになっておったと思うのでありますが、それは当時の大臣からKDDにお伝えがあってKDDがその準備をおやりになるわけでありますが、郵政省としては、その後、このことについてはKDDにまかせきりではなかったかと私は邪推をするわけであります。ところが大臣のおことばでは、KDD社長が私の質問に対してお答えがなされたごとく、あらゆる国にということで、この点は積極的な御答弁がなされておるわけですが、さて具体的にこの朝鮮民主主義人民共和国の問題については何かKDDにのみまかせておるような気がするわけであります。  重ねて申しますが、こういうことについては郵政省こそ、すなわち郵政大臣こそその先頭に立って積極的に実現方を取り計らうべきではないかと思うのであります。私はそう思うんでありますが、郵政大臣国際通信に対する基本的な考え方をこの辺でひとつお聞かせをいただいておかないと次の質問に入れませんから、国内部門は電電公社にまかせきり、国際部門についてはKDDにまかすということであっては郵政省の存在価値というものがまた薄らいでこないとも限らぬと私は考えますので、そういう点も勘案をいたしてひとつお答えをいただきたい。
  20. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 国際通信に関します基本的な法律というものがあることはもう森先生よく御存じのところでございます。この目的が国際公衆電気通信事業を経営して、迅速で確実なサービスを合理的な料金であまねく且つ公平に提供することによって公共の福祉を増進することと規定されておるわけでございますが、この法律ができた当時から考えて、現在の日本の置かれておる地位、そして世界の情勢等を考えますときに、先ほども申し上げましたように、日本は世界の国々と友好を増進することによって日本国家、世界国民の繁栄というものがもたらされるところの国でございますから、この国際通信というものを発展させるということが電気通信行政を預かる郵政大臣の基本的な方針であろうと考えております。  したがいましてKDD事業計画、外国との協定、料金その他の重要事項の認可を通じて、KDDが健全な経営のもとにこの目的を達成するよう指導監督をしていくことが重大な使命であると考えておりますが、重ねて申し上げますと、今後より一そうこの事業を通じまして世界の国々との交流を深め、繁栄に貢献をしていくということを基本方針に考えております。
  21. 森勝治

    森勝治君 KDDにお伺いしておきたいのでありますが、最近の新規サービスというものはどういうものをやっておられるのか、また新たに回線が設定されたところはどことどこなのか。これは社長でなくても担当の重役でけっこうですから、お答えをいただきたい。
  22. 増田元一

    参考人(増田元一君) 最近実施いたしましたのはオートメックス・サービスと、それから近く実施いたしますものといたしまして個別データ通信サービス、こういうものがございます。それから将来電子交換機が入りました場合にはテレックスにつきましてキャンプ・オンとか、それから電話につきましては自動料金即時通知とか、こういうようなものを考えております。
  23. 森勝治

    森勝治君 回線の設定された国々は。
  24. 増田元一

    参考人(増田元一君) 申しわけありません、たくさんございますと思いますので、ちょっと後ほど調べましてから御返事さしていただきたいと思います。
  25. 森勝治

    森勝治君 増田さんに重ねて質問いたしますが、たくさんということは一がいに直ちにぺらぺらとこうしゃべるわけにいかぬほど膨大な国々との回線の設定がなされたということですか。世界各国全部と申し上げていないです。最近における——最近とは何ぞやと言われますと、過去半年間とか一年間とかということでありまして、そう全部網羅してお答えをくださいと申し上げていないのです。たとえば昭和四十八年度に限って言ってくださってもけっこうですから、そうなれば何も長時間の説明時間は必要ないと思いますので、まげてお答えができればお答えをしていただきたい。——  それでは時間がもったいない。あとでけっこうです、時間がだいぶかかりそうですから。電信電話を扱って一瞬万里を走るというお仕事に携わっておる重役方としてはだいぶ春の海のようであります。あまりそういうことはこういう席上ではこれ以上ざれごとは言わずに、次の問題に移ります。  私は、KDD国際通信に果たす役割りの重要性というものにかんがみますと、そのサービス拡充改善というものが第一義的な義務であろう、こう思うのであります。したがって、いまも過去半年とか過去一年というふうにして御質問申し上げたわけでありますが、この点についても、過去一年、いわば昨年度と申し上げましょうか四十八年度においてはどのようなものをおやりになってきたか、そのことについてお答えをいただきたい。——  それでは、ひとつ考えてください、私の質問が終わるまで。以上二点はあとでけっこうです。時間がもったいないですから、次に移ります。  KDDの収益のことについてお伺いしたいんでありますが、最近のKDD収支を見ますと私どもの目から見ればたいへん高収益をあげている。いわば社業としては順調な伸びを示しておるものだ、こういうふうに理解をするわけであります。  したがいましてKDDという会社を建てた当時のいきさつにかんがみますならば、いわゆるこれは収益をもって目的とする——なるほどいまは株式会社という経営形態を持っていたしておりますけれども、いわば他産業における株式会社の利潤追求を旨とするそれといささか当初の設立の意義が違うわけでありますから、このように高収益をあげている今日におきましては、当然、これは受益者に還元するというのが正しい姿ではなかろうかと思うのであります。  NHKとKDDは経営の形態、組織形態が違うけれども、NHKの場合でも高収益をあげた場合には当然視聴者に還元すべきだという議論がしばしばなされるわけでありますから、それと同じくせよなどということは申し上げませんけれども、高収益があがっておるというこの段階からいたしますならば、いま重ねて申し上げますが、受益者に還元する、そういう観点からいたしますならば、料金の見直し、いわゆる料金の再計算と申しましょうか、料金の見直しという余地が当然そこで発見できるような気がするわけでありますが、私はこの点についてはひとつKDDとさらに所管の長であります郵政大臣と、両方からこのことについてのお答えを承っておきたい。
  26. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 国際電信電話株式会社は、御承知のとおり、創立以来二十一年になりますが、この間、料金の点については一回も値上げをしたことはございません。料金を改定するごとに必ず値下げをしておるわけでございます。ごく最近もテレビジョンの伝送料金というものをかなりの程度値下げをいたしまして非常に歓迎されたわけでございます。  お説のように、確かに収益はあがっております。しかしこれは収益をあげるのが目的でないものですから、利益配当は一割以上はいままで出したことはございませんし、将来もないと思います。そうしてこの余りました利益は全部特別積み立て金といたしまして設備資金に投入しているわけでございます。  なぜかならば国際通信は御承知のとおり日進月歩の技術革新がございまして、ほんとうに少しも油断ができないというような業界でございまして、常々、非常な精力を研究につぎ込むと同時に外国の一番進んでおるところと負けないような技術革新を進めていかなければならない、そのためには相当な設備の金が要るわけでございます。ことに最近この数年間は海底ケーブルをいろいろなところと敷かなければなりませんから相当な資金が要りまして、とうとうこのKDDという会社もことしから外部資金を借りなければならないというような状況になってまいりまして、約八十六億円本年は外部資金を導入しなければならぬというような状況でございます。また値上げをしないで人件費その他の高騰する中でもってとにかく経営ができましたのは、一にもって毎年相当な勢いでもって伸びるトラフィックの伸び、これがささえでございますが、これがはたして今後どうなるか、私どもは総体的に見て増加の傾向はあると思いますけれども、いままでのような伸びは認められないんじゃないだろうか、期待できないんじゃないかということをおそれているのでございます。  そういう意味におきまして、機会あるごとに料金の値下げはしたいと思いますが、非常に経営に関係が深い大きいような料金の値下げはいまのところできかねておるような次第でございます。しかし、将来、専用線の料金とか、そういったようなものにつきましてはできる限り値下げをしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いま、最後には具体的な問題まで含んで菅野社長から御答弁があったわけでございますが、現在の国際電電はたいへん優秀な営業成績をあげております。しかし先ほども申し上げましたように、これからますますこの会社が高度化、多様化されてくるところの新技術を取り入れて世界各国と結んでいくためには相当な投資も必要になってくるかとも存じます。したがいまして、ただいま菅野社長が言いましたように、今日初めて借り入れ金をするということもございます。  これらを勘案いたしますと、料金を値下げするということはなかなか現在の状況ではむずかしい。より一そうサービスをすることによってこたえていきたいという考え方を申しておるのでございますが、一応、私もそのように考える次第でございます。
  28. 森勝治

    森勝治君 菅野さん、あなたに特にこれは質問するのは本意でございませんが、いま高収益という問題の問答の中で、人件費の高騰というようなおことばがありましたから、それが私は若干引っかかるんであります。  KDDの今日の高収益、高能率というのは、何といってもそこに働く五千になんなんとする従来員の諸君の汗の結晶ではないでしょうか。にもかかわらず社長は人件費の高騰などということばでおっしゃるけれども、さてそれなら社内の職員の待遇はいかんということになりますと、高収益の会社という名に恥じるような低賃金の給与ベースではないでしょうか。  かつてKDDという会社ができたときは、なるほど当時の電電公社の職員とは隔りがございました。たとえば電電公社の職員からKDDに移る場合には給与は公社における二割増でございました。当時はなるほどうらやましいと一部ではささやいた諸君もあったでありましょう。しかし迫りくるこの狂乱物価の中で国際部門の文化の先達をもって任じておるこれらの従業員諸君が世間から見るほどうらやましいいわゆる快適な職場として諸君が勇気りんりんとして生産の第一線に立っておるであろうかどうか。社長KDDを統率する最高の責任者でございますから、東京でも大阪でもあるいは九州でもあなた方の職場の先端まで御承知のはずであります。そこに充満するものは何か。不平等、劣悪なる労働条件、薄給に対する憤りじゃないでしょうか。私は当委員会を通じてこのことを経営者の諸君に十分知っていただいて、従業員の諸君が勇んでその席につくことができるように、もちろん皆さんはおはかりだろうと思うのであります、皆さんの立場では。しかし今日のように高収益をあげている会社といたしましては、これは少し配慮が足らないと申し上げては失礼かと思うのでありますが、これは私の感ずるところでありますから、あえて配慮が足りない、従業員のこの真摯な努力に報いるには至って過小ではないかという表現を用いて私は経営者の皆さん方に従業員対策について、待遇について新たな観点からひとつ御勘考をわずらわしたい。ですから、このことについてひとつ社長からお答えをいただきたい。  私はそういう問題に触れるのがきょうの本旨でございませんから、そういう問題についていずれあとでやりたいと思うのでありまして、あまり触れたくはありません。しかし、このことは非常に生産の意欲をかき立てることができるかできないかという段階でございますから、ひとつ明快にお答えになっていただくと同時に、昨年の参考人事情聴取のときにも、従業員の給与ベース等をはかるときに他の同種の民間産業等のことばをお使いになりますが、当時も私は指摘を申し上げましたが、KDDの職場に働く諸君は、国内のいわゆる株式会社という名をもって冠する会社で同じものさしのものはございませんから、他の同種の産業、会社ということは、いわゆるあなた方は経営者として資本形態の規模についてのみ他の会社のことを推しはかっておられると思うのでありますが、KDD創立の趣旨から申し上げましても、十分従業員の待遇等については配慮があってしかるべきだと考えます。したがって、このことについてはあえて私はこの席上で会社側の明快なる今後における対策についてもお聞かせを願っておきたい。
  29. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) まず御質問にお答えする前に、私の先ほどの説明のことばが足りなくて誤解を招来したような結果についておわびいたします。  私の申し上げたかったのは、現在のような経済情勢のもとにおいて昔の料金をそのまま据え置くということは結果的には比較的に値下げをしているのと同じである。なぜならば人件費も物件費もその他すべての経費というものが非常に高騰しておる中でもって料金はずっと昔のものをそのまま使っておることは、これは比較的に考えれば値下げをしているのと同じであるということを言いたかったのでございます。その上に、私のほうでは、十分ではございませんけれども、積極的に値下げもしておるような状況でございます。そこを御理解していただきたいために人件費のことを一例として出しましたが、そういう意味でございまして、決して私どもの人件費がほかに比べて膨大に大きいとか、あるいはほかの業種に比べて非常に私どものところの人件費が高くて、高給をはんでおるというような意味ではございません。  ただいま先生の御高見を拝聴しまして、十分に今後の経営に参考にいたしたいと思います。
  30. 森勝治

    森勝治君 社長がせっかくそうおっしゃっておられますから、私はそのお話を素直に承っておきます。したがって次の問題に移ります。  先ほど、KDDサービス等の問題についてもお伺いをいたしました、あるいは新しい計画等についても若干お伺いいたしましたが、それではインテルサットの関係についてお伺いをしてみたいと思うのです。  インテルサットにつきましては、昨年の二月でしょうか、その機構が恒久制度化されて、名実ともに国際機関として発足いたしましたが、その理事会あるいはまた署名当事者総会等が開催された模様であります。そこでお伺いしたいのでありますが、その理事会及び署名当事者総会で議論されたおもなる点についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。  また本年の二月、第一回の締約国総会がワシントンで開催された模様でありますが、このワシントンで開催されました第一回の締約国総会の会議の内容等についても、郵政省からどなたかおいでになったんでしょうから、時間がありませんからつぶさに御説明いただきたいとは申し上げません、簡潔でけっこうですから、当時の模様等についてお聞かせおき願いたい。
  31. 増田元一

    参考人(増田元一君) 恒久制度発足後の理事会会合につきまして初めに申し上げます。  恒久制度は昨年二月十二日に発足いたしましたので、新しい制度のもとにおける組織固めに大部分は費やされております。  まず事務局を新しく設置することになりましたので、事務局の規模あるいは組織、そういうものにつきましての議論が行なわれておりまして、最近ほぼまとまった組織の状況を申し上げますと、財務など三部一室を設けまして、人員は大体百六名程度で構成しよう、こういうことが決定されております。それからその事務局長をだれにするかということにつきまして、これも各国からの推薦等もございまして理事会で選任いたしましたのはチリ出身の元電電公社総裁をしておられましたアストラインという方でございます。  それからインテルサット本部を新しく設置する必要がある。従来はコムサット——アメリカの通信衛星会社の一部を借りておりましたが、今度新たに新しい独立したビルを借りるということに決定されております。  それからコムサットとの——今度は新しい制度のもとにおきましては管理業務といいますか、マネージャーの仕事を暫定制度下ではアメリカの衛星会社がやっておったんでございますが、これは協定でそういうふうになっておったんですが、これを契約ベースに切りかえるということになりまして、その契約交渉についての議論が行なわれておりまして、最近、一年間五十万ドルで管理業務契約を締結するということがきまっております。  それからもう一つの問題は、大きな技術的な問題でございますが、IV号衛星が現在上がっておりますが、七五年にいまの大西洋のほうがIV号衛星では容量が一ぱいになりますので、少し大きな衛星を打ち上げる必要があるというので、容量がほぼ倍になりますが、IV−Aという衛星の発注、そういうものを決定しております。それから一九七八年以降の大容量の衛星、これはV号衛星と申しておりますが、どの程度の大きさの衛星をつくったらいいか、トラフィックの伸び等を予測しながら、ただいまこの理事会におきましてV号衛星に関する検討を進めておる状態でございます。  それから署名当事者総会が開かれましたが、この署名当事者総会におきましては、この理事会の活動状況報告を聞いた。それから先ほど申しましたIV−A衛星計画それからV号衛星計画についての中間報告。それから理事会に代表を送る資格がきまっておるわけでございますが、理事会に出席する資格のためには一定の出資率以上でなければ代表資格がないということになっておりまして、その出資率をどの程度にきめるかということがこの署名当事者総会において議論されましてきまっております。ただいまその決定によりまして理事の数は二十一カ国でございます。  以上でございます。
  32. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 日本政府代表代理といたしまして、去る二月四日から八日の間、ワシントンに行ってまいりました第一回締約国総会のおもな実質審議事項を御説明申し上げます。  まずアメリカが気象衛星、海事衛星を今年度に打ち上げるにつきまして、その打ち上げるべき星がインテルサット衛星と技術的に両立するかいなか。あるいは海事衛星の場合には経済的にもインテルサットに大きな損害を与えないかどうかということの実質審議がございまして、いずれもこれは打ち上げてよろしいという決定がなされた次第であります。  それから国際連合から国際連合がインテルサットを使います場合に無料にしてほしいという申し出がありまして、その審議をいたしましたが、この衛星組織が各国際電気通信事業者の投資に基づいたいわば商業的なものであるという立場から全締約国がこれに反対をいたしまして、無料で使うことはお断わりする。ただし、非常災害時、平和保持のための緊急通信につきましては優先取り扱いをするということがきめられております。  三つ目に、他の国際機関と正式な関係を持つことについてはかられまして、ITU、ICAO、IMCOと正式な関係を持つように取り運んでよろしいという決定がなされました。  以上でございまして、次回は、二年ごとに定期総会がございますので、明後年九月、ケニアのナイロビにおいて第二回定期締約国総会が行なわれることが決定いたしております。  以上でございます。
  33. 森勝治

    森勝治君 KDDにお伺いしたいんでありますが、いまお話にありましたこの恒久協定によりまして、署名当事者は衛星の使用中は衛星の使用比率にふさわしい出資率を保有することは当然でありますが、この出資に対して分配金を受けることになっておるのでありますが、わが国の署名当事者はいわゆるKDDでありますから、このKDDのインテルサットヘの出資状況、衛星の利用状況、それから衛星の使用料、分配金等の現状についてひとつお聞かせを願いたい。
  34. 鶴岡寛

    参考人(鶴岡寛君) お答え申し上げます。  インテルサットに対しますKDDのいわゆる資本支出と申しますか、それは暫定制度以来今日まで合計いたしまして五十二億三千八百万程度でございます。なお運営費は、これはインテルサットの事務所その他の経費あるいは働く人の人件費等でございますが、これが七億四千二百万余でございます。これがいわゆる加盟国の支払います分担金でございます。  それと次にお尋ねの、各国が加盟国、非加盟国にかかわらずインテルサットを利用して通信を行なうと、その使用料がインテルサットにあがるわけでございますが、それを私どもはいわゆる出資率に応じまして分配を受ける、その額が三十一億五千八百万円にのぼっております。  なお最後のお尋ねでございます、それではKDDはインテルサットを通じて諸外国と通信を行なっておる、そのいわゆる使用料は幾らかと申しますと、現在までの総計が五十九億四千五百万円、そのような数字に相なっております。
  35. 森勝治

    森勝治君 先ほどの社長事業概況説明にもありました海底ケーブル建設計画について質問したいんでありますが、まず新太平洋ケーブル建設についてひとつお尋ねをしてみたいと思うのです。  この新太平洋ケーブル建設計画につきましては、昨年九月の東京に次いで、十一月ハワイにおいて御承知のように当事者間の会議が持たれまして、昭和四十五年にスタートいたしましたこの計画も三年目にして建設保守協定に仮署名がなされた、こういうふうに聞いております。そこで、このことにつきまして三点にわたって質問をしたいのです。  第一点は、東京会議、ハワイ会議の検討内容、さらに協定の概要についてお話を承りたい。  それから第二点は、昨年の十二月、協定の締結にあたりまして郵政省の認可があったと聞いておりますが、この本調印の見通しはいつごろになるのか、またそれによって着工されるのはいつごろになるのか、この見通しについてお答えをいただきたい。  第三点は、このケーブルの総建設費が何か五百四十億円というふうに聞いておりますが、KDDの分担金がそのうち百三十三億円というふうにきめられておる模様でありますが、最近における異常な生活物資の値上がり、さらにはこういう建設関係建設資材の値上がり等を考えますと、この五百四十億になんなんとするうちの百三十三億というKDDの分担資金というものもこの狂乱物価の中で相当な影響を受けることは必至だろうと思うのであります。したがって、この百三十三億だけ出せば、これを完成することができるのかどうか。どうもその辺が予算を立てたけれどもあすをも定めぬ物価の狂乱が現状でありますから、さて実行の段階で予算を追加しなければならぬような羽目になるのかどうか。現実に建設ということになりますと当然これらのことについては配慮をされなければなりませんから、ひとつそのことについて、そういう場合にはどうされるのか、そういう懸念が一切ないのか、このことについてもお答えをいただきたい。
  36. 板野學

    参考人(板野學君) お答え申し上げます。  第一点の東京会議の模様でございまするが、すでに御承知のとおり、三年ぐらい前から、シドニー会談その他を経まして、東京会議で大体の会談の締めくくりに近いひとつ相談をするということになりまして行なわれたわけでございますが、その中におきまする一番おもな点は、この第二太平洋ケーブル——米本土−ハワイ、ハワイ−グァム、グァムから沖繩、この各区間につきましてどのような回線数を持つか。それから回線数を持つということは、その出資、それに対する投資をどのようにするか、こういう問題が一番中心でございました。  そこで、その会談の中で、特に問題点は、米本土−ハワイ間におきましては、第一太平洋ケーブルにおきましては、これは私どもこの区間におきましていわゆる破棄し得ない使用権、ライト・オブ・ユーザーと言っておりますが、この破棄し得ない使用権をこの区間で持っておりますし、またハワイ−グァム間においても同様でございます。それに対しまして、アメリカ側では、場合によっては第二太平洋ケーブルでは所有権をこれに付与してもよろしい、こういう申し出がございましたが、これはKDDといたしましても、米本土−ハワイ間につきましては、これはアメリカの国内というような海域になりますし、また将来沖繩−本土間というような海底線というようなことが計画にのぼりまするというと、所有権を持つよりも、これは破棄し得ない使用権を持つほうがいいじゃないか、こういうような観点から、そういうような措置をすべくアメリカと交渉したわけでございます。  それからまた、回線の持ち分でございまするけれども、特にグァム−沖繩間におきましては、当初、私どもは五〇%までの所有権を持たずに、三十数%の所有権というようなこともシドニー会談では考えておったわけでございまするけれども、このグァム−沖繩間におきましては、沖繩が日本領土ということになりまするというと、やはりこれは五〇%の所有権を持つということが適当である、こういうふうに考えまして、そういう申し出をしたわけでございます。そのかわりにハワイ−グァム間におきまする回線を少し余分に予備回線を持つというような、そういう折衝もいたしたわけでございます。  このような東京会談の結果、ただいま先生がおっしゃいました次のハワイ会談において仮調印をするという段取りに至ったわけでございますが、このハワイにおきましては、御案内のように、昨年十一月二十一日からホノルルで行なわれたわけでございますが、その結果、KDDにおきましては同年の十二月二十六日に郵政省に申請をいたしまして認可を得ております。  それから当事者の一国でございまするオーストラリア——豪州の電気通信委員会でございます。OTC(A)と言っておりますが、これは本年の三月二十六日にもう政府の承認を得ましたという通知を受けておりますが、ただアメリカのFCC——いわゆる連邦通信委員会がいまだこの認可をおろしておりません。しかし、これは何らかの国内のいろいろな都合があったようでございます。たとえて申しまするとFCCの委員が非常に交代をするというような、そういうような事務的ないろんな都合でおくれておるようでございまして、遠からざるうちにこれは認可を得られる、こういう見通しを持っております。したがいまして、この太平洋ケーブルの完成期日でございまする昭和五十年十一月ということになっておりまするが、すでにケーブルの製造、それから海底の調査等も並行してこれを進めておりまするので、大体、この五十年十一月に完成をするという見通しでございます。  それから御質問の第三点でございまするけれども、ただいま先生おっしゃいましたように、総建設費は大体五百四十億見当でございます。これは為替レートの関係も一いろいろ変動がございますが、一応大体五百四十億、そのうちKDDの分担といたしましては大体百四十三億円ということになっております。総建設費の二四・七%ぐらいを大体見当をつけておるわけでございます。これに対して、最近の物価の値上がり等もあるのでそれでおさまるかどうかという点でございます。  この点につきましては、二つの点から私どもいろいろ考えなければならぬというふうに思っておりますが、第一点は、おっしゃいましたように非常に物価も値上がりをしておりますので、一応、関係業者との会談におきましては、その値上がりが一〇%の範囲内に属するような場合においては、適宜各自通知し合って、その承認のもとで、値上がり分については各分担分に応じて分担をするというような大体の話し合いになっております。それからさらにそれより値上がりするということになりまするというと、もう一度会議を開いてこれをきめるということになると思いまするけれども、現在のところ、物価がどの程度になりますかということについて、目下製造をしているものもありまするし、これから製造に取りかかるというもの、それから敷設する場合の敷設費とかいろいろな点もございまするので、ここでちょっと確たる御返事は申しかねまするが、これは幾ぶんかやはり値上がりするということを予想しなければならないと思います。こういう点につきましても、KDDといたしましてはそれに対する十分な措置はでき得る。もちろんこれは今年度計画外以上の相当額になるということになりますれば、郵政省の御承認も得てこれをやるということになると思います。  それからもう一つは、為替変動の点でございまするが、目下のところ、大体為替も一応そう大きな変動は予想されませんが、これは完成までに、五十年十一月でございまするので、まだ一年以上ございまするので、その間の為替変動という点も考慮に入れながら資金対策をこれから考えていきたいというふうに思う次第でございます。  以上でございます。
  37. 森勝治

    森勝治君 それでは次に、日中間の海底ケーブル建設計画についてお尋ねをしたいわけです。  日中間ケーブル建設に関しましては、両国政府の取りきめに基づいて、KDD中国側関係者が協議をされて計画具体化をはかっておられる模様でありますので、二点にわたってお伺いをしてみたいと思うのであります。  第一点は、KDDと上海市電信局との間で第一回会議が昨年の六月上海で持たれたわけであります。その後、第二回会議が昨年の十二月十日に持たれ、さらに第三回会議が過ぐる三月北京で開催されて建設保守協定の締結について会議を進めてこられた模様でありますが、これらの当事者会議ではどのような点がいわゆる問題点として指摘され、その問題点の解明にはどういう話し合いがなされてきたのか、会議の内容についてお聞かせを願いたい。このことが第一点であります。  第二点は、これはこの前のときも御質問を申し上げたように記憶をするわけでありますが、いわゆる日中間海底ケーブルの陸揚げ地点の問題であります。先ほどの社長概況説明でありますと、昨年の末に熊本県の苓北町に選定された模様でありますが、この陸揚げ地点をめぐっては世上種々憶測がなされた模様であります。ですから、そういうことについても私は当時懸念をいたしましたから、たぶん昨年度だと思いますが、皆さんにおいで願ったときもこのことについてお伺いをしたのでありますが、当時は陸揚げ地点がさだかでございませんでした。いま申し上げたように種々憶測が乱れ飛んでおる模様でありましたので、心配のあまりその点を聞いたのでありますが、まだまだわかりませんというお答えでありましたが、いまのお答えにありましたように昨年おきめになったわけでありますから、この熊本県の苓北町に選定をなされたいきさつがおありでしょうから、このことをひとつお聞かせ願っておきたいと思います。
  38. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 御質問の第一点につきましては、別の重役からお答えを申し上げますが、第二点につきましては、お説のように大体私どもでは四カ所の候補地を選んで純技術的にいろいろな点について調査を進めてまいったのでございます。  まず海洋調査それから沿岸の状況、つまり陸揚げ局をつくるに適するかどうか、それからその辺の漁業の状況、ということは、でき上がりました海底ケーブルについて支障を起こしやすいようなところでは困りますので、そういう点、あるいは電電公社の通信幹線への連絡線がむずかしいかやさしいかというようないろいろな点を考えまして、まず沖繩のほうは、海岸から少し離れた海洋調査が非常に不適当であるということがわかりまして、これはやめました。長崎それから鹿児島につきましては、それぞれたとえばシラス地帯でもって連絡線の建設が非常にむずかしいとか、あるいは災害を起こしやすいとか、あるいは漁業を非常に妨害するようなことになりやすいとかいうような点がございまして、最後に熊本の苓北町がいろいろな点から見まして一番理想的であるということになりましたので、そこにきめたような次第でございます。
  39. 板野學

    参考人(板野學君) それでは、私から、ただいま先生から御質問がございましたこの日中の海底ケーブルにつきまする第一回、第二回、第三回の会合におきまする協議あるいは打ち合わせの内容につきまして御説明を申し上げたいと思います。  すでに御承知のように、昨年の五月、日本国の郵政省と中華人民共和国との間に日中間海底ケーブル建設に関する基本的な取りきめが行なわれたわけでございます。この取りきめにおきまして、このケーブル建設することは日中間の文化、経済その他の発展のために非常に必要であるというような一つの趣旨をお互いに確認をし合われまして、そうしてこの大綱が取りきめになったわけでございますが、私どもはその取りきめの線に沿いまして、具体的な話し合いに入った次第でございます。  その一つを申し上げますと、第一には、一体、どういう容量のケーブルを日中間に敷いたらいいか、こういうような点でございまして、将来の両国間の通信需要あるいは第三国にまいります通信需要等いろいろと考えまして、四キロヘルツ、四百八十チャンネルの容量のケーブルを敷こうということに結果としてきまったわけでございます。  それから二点は、ケーブル区間でございまするけれども、このケーブル区間につきましては、先ほど社長からも説明がありましたように、日本のほうは種々の検討の結果熊本県の苓北町、それから中国側におきましては上海市南匯県ということに決定をしたわけでございます。  それから第三番目は、ケーブルの性能でございまするけれども、このケーブルは電信電話、ファクシミリ、データ通信等のいわゆるそういう電気的信号が送れるような、そういう性能のものにしましょう、こういう点でございます。  第四点は用途の問題でございますが、どういう用途に使うか、これも先ほど申し上げましたように、これは日中間に用いられるということはもちろんでございまするけれども、日本あるいは上海を通じまして第三国にもケーブルが利用される、こういう点につきましての合意をいたしたわけでございます。  それから第五点は建設の責任という点でございますが、建設する場合に、どういう責任分担においてこれを建設するか、こういう問題でございまするが、お互いに陸揚げ局は上海それから熊本におのおの陸揚げ局を持つわけでございますが、その土地、建物、電力設備、こういうものはそれぞれの責任においてひとつ建設いたしましょう。それ以外のいわゆる共同で使うケーブル部分あるいは等化器、中継器、こういうものにつきましては共同の責任をもって建設に当たる、こういうことをきめたわけでございます。  第六番目は建設費の分担でございまするが、これも建設の責任の方法、いわゆる陸揚げ局の土地、建物、電力設備等それぞれが単独に負担をいたしまして、共同の分いわゆる海底ケーブルとか中継器あるいは端局設備、等化器、こういうものにつきましてはそれぞれ両当事者が折半をして分担をしましよう、半々で分担、こういうことを議論し、きめたわけでございます。  それから第七番目は完成の予定期日でございますが、これはすでに郵政省と、中国のその当時の電信総局、ただいま郵電部でございますが、それとの間に、大体昭和五十一年内にこれを完成するという目標でいこうという内々のお話でございましたけれども、これをさらに確認をいたしまして、それまでに完成するように努力をいたします、こういうことをいろいろな観点から議論をいたしましてきめたわけでございます。  それから次に、八番目は資産の所有の関係でございますが、共同建設の部分の資産は、両当事者が共同の分と先ほど申し上げましたような中間にあるケーブルとか中継器、等化器、端局施設、そういうものにつきましては、おのおのが不可分で均等の持ち分を持ちます、分けることのできない均等の持ち分を持つようにいたしましょう、こういう点でございます。こういう点につきましても、最初は、日本海ケーブル方式であるいは中間地点とか三分の一地点とかと地点を区切ってそれの範囲内においておのおの所有をする、資産を持つとかいうような議論もなされました。しかし最後は、太平洋ケーブルと同じように、これは共同の均等の持ち分にする、こういうふうに決定いたしたわけでございます。  それから、どういうふうに回線を使用するか、こういうことでございますが、御案内のように中国とは衛星回線もございます。また第三国との通信もございますけれども、それらは随時そのつど協議によってこれをきめていきましょう。  それから十番目は保守の責任でございまするが、ケーブルが完成をした暁におきましては保守の区間ですね、どういうように保守をするか。これは先ほども申し上げました陸揚げ局等の場所につきましては、おのおのが単独で責任を持ってやる。共同の部分につきましては、その中点を割りまして、中点から北側は日本、南側は中国、このような方法で保守の責任を負います、こういうことをきめたわけでございます。  それから十一番目は保守費の分担でございまするが、保守費も共同の部分は折半をして分担をします。それから単独で所有するものは単独の自分のほうでおのおの保守費を持って保守をする、こういうことでございます。  それから十二番目は協定の有効期間でございますが、これは太平洋ケーブルと同じように二十五年の有効期間でやる。  さらにそのほか、ケーブルの海底調査の問題、ケーブルの設計の問題、それから今度は実際のケーブル中継器等、これに要するいろいろな施設の購入のしかた、それから経費の支払いの方法、それからまた次のいろいろな専門家会議なりあるいは第四回の会談等につきましての打ち合わせ等もいろいろ検討したわけでございます。  それから第三回の会議を、先ほどお話がありましたように、北京でやりまして、先ほど申し上げました内容の点につきまして建設保守協定というものの大体の大綱をきめまして、これに対する仮調印をいたしたわけでございますが、さらにこれから本調印が行なわれる。それからそのほかにケーブルに関する情報の開示のための協定というものもすでにこの三月に締結をいたしております。そういう問題の討議、それから中国側におきましては、日中ケーブル建設保守と言っておりますけれども、そのためのケーブル船を一隻つくりたい、こういうことでございまするので、それに対するKDD側の協力をどうしてするかというような問題もこの間に討議をされたわけでございます。  以上でございますが、お答えを申し上げます。
  40. 森勝治

    森勝治君 この際、電電公社にお伺いしておきたいと思うのでありますが、私の質問の第二点ですね、KDD社長お答えの中に電電公社が引き合いに出されておるわけですね。そこで、この点については電電公社もいろいろ御意見がおありかとも存じますし、そういうことについては電電公社もその相談にあずかって合意の上におきめになったのかどうか。その辺のいきさつを簡単でけっこうですからお聞かせを願いたい。
  41. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  電電公社といたしましては、国際電電とそれから中国の間で陸揚げ地点がきまった場合には大体それに応ずる回線は十分つくれますと、回線容量もそう多くございませんし、そういうことは前々から申し上げておりました。  今回きまりました熊本の場所につきましても、私のほうとしては十分な設備が提供できるというふうに思っております。
  42. 森勝治

    森勝治君 それでは次の問題に移ります。  沖繩と香港間の海底ケーブルの問題についてお伺いをしてみたいと思うのです。  昨年十一月の新聞報道によれば、KDDと英国のケーブル・アンド・ワイアレス社との間で沖繩−香港間に国際通信用の海底ケーブルの敷設が決定された、そういう発表がなされております。そこで私はこのことについて二点お伺いをしてみたいと思うのです。  第一点は、沖繩−香港間ケーブルについては事業概況報告事業計画の中で特に御説明等はございませんでしたが、両社の話し合いというものがどの程度進んでおられるのか。この点お聞かせ願いたいことが第一点であります。  第二点は、このケーブル計画と東南アジアケーブル計画との関連は一体どうなってくるのか。東南アジアケーブル計画につきましては十年以上も前に日本が提案して協議が持たれてきたのでありますが、この間の経緯と今後の見通し、その点についてお伺いしたいことが二点であります。
  43. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 第一点につきましてお答え申し上げますが、まだ香港−沖繩間の海底ケーブルを敷設することに関係の業者が決定したわけでは決してございません。実は、昨年十一月ごろ、イギリス系のケーブル・アンド・ワイアレスという会社の者が東京に参りまして、われわれと意見の交換をしたのでございますが、先方は香港と日本との間の通信がだんだんと多くなってきたからひとつ海底ケーブルを敷きたいがどうかというような話がございましたことは事実でございます。当方海底ケーブルを敷くということは決して反対すべきことではございませんが、向こうが技術的に一体どういうことを考えておるのかよくわかりませんでしたので、技術者同士の会議を一回やったことがございます。しかし、これは決して建設をいつやるということを前提にしたのではございません。たとえば、どういうケーブルを使うとか、どういうようなルートでいくとかいうような専門家同士の会議をしたわけでございます。  そこで、第二点の御質問の東南アジアケーブルとの関係でございます。これは十年来の懸案でございますが、最近は衛星通信が盛んになってまいりましたので、やや何と言いますか、おくれているような状況でございますけれども、これは何といっても東南アジアには海底ケーブルが必要であるということについては変わりないのでございます。この点を郵政省でも御心配になりまして、本年、関係の国の代表を東京にお呼びになりまして打ち合わせをしたわけでございますが、その際、沖繩−香港間のケーブルが東南アジアケーブルの一環となるような建設の方法がないだろうかという点でいろいろ御相談があったようでございまして、その話を私どもで伺いまして、このケーブル・アンド・ワイアレスに対しては、沖繩からまずフィリピンへいって、フィリピンから香港にいくようにルートを変えたほうがいいじゃないかという話をいたしておりました。これについては先方でいま検討最中でございまして、これに対する決定的な返事はまだございません。そういういきさつになっておるような次第でございます。
  44. 森勝治

    森勝治君 この際、郵政大臣にお伺いをしておきたいのでありますが、通信事業の施策としてのケーブルというものが非常に重要視されて、第二太平洋ケーブル沖繩・香港ケーブル、東南アジアケーブル等の完成によりまして、沖繩−本土間の通信量も相当増大するだろうと思うのであります。  そこでお伺いしたいんでありますが、この回線計画を郵政省はどう考えておられるのか。たとえばマイクロでやるのか、同軸ケーブルで結ぶのか。さらにそれらの場合には一体電電公社にするのかKDDにやらせるのか、この点を所管の大臣としてお答えをいただきたい。あわせて電電公社並びにKDDに本件についての御意見があればお聞かせをしておいていただきたい。
  45. 原田憲

    国務大臣原田憲君) お話のように、沖繩を中心といたします国際通信量の増大ということが見込まれまして、今後、沖繩−本土間に新ケーブルを敷設する、あるいはマイクロルートを増設するということが必要になってくると思います。  いまのところでは、NTTからもKDDからも具体的な計画の提示はございませんが、お話のように、この新増設にあたっては、その必要性と経済性を十分に検討の上、両者間の協調が必要であると考えられますので、郵政省がこの調整について今後努力をせなければならぬ、このように考えております。
  46. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  この問題は設備をつくる問題と、もう一つは技術の問題と二つ分けていきたいと思います。  技術の問題につきましては、第一次の太平洋ケーブルをつくりましたときはレピーターはAT&Tのものを輸入してつくりました。そしてケーブルは日本の近海は日本の会社でつくったということでございます。その後、この海底ケーブルを国産でつくりたいということで研究所でいろいろ進めてまいりました。国際電電の研究関係の方ともいろいろ連絡をさせてまいりました。それで最近になりまして、大容量のいわゆる浅い海底につくるものは、これはもう完成いたしまして現在実用に供しておりますし、それから深い海に沈めるレピーターにつきましては、昨年あたりからずっと実際のレピーターを関東の近海に埋めまして、それをつないでやっております。大体完全にできるという見通しを得ました。今後はおそらくそのシステムが使われてくると思います。  それから沖繩と鹿児島の間につきましては、すでに沖繩県が電電公社の営業区域の中に入っておりますし、また電話需要その他もございますので、これは第五次五ヵ年計画の中でどうしても海底ケーブルを鹿児島と沖繩の間に引っぱる必要があるというふうに思っております。  その後の国際線との関係につきましては、ただいま大臣からお答えがございましたように、郵政省あるいは国際電電と御相談して処理していきたい、このように思います。
  47. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 沖繩に第二太平洋ケーブルがあがりましても、当分の間は、電電公社の通信設備にお願いをいたしまして本土との連絡をとって十分であると私どもは考えております。  国際通信につきましては、電電公社も非常に御理解のある考慮をしていただいておりますので、その点については何らの心配もなくお願いをいたしたいと考えておりますし、将来、非常にその数量が多くなった場合には、郵政省の御指導のもとに電電公社ともまた話し合いをしたいと考えております。
  48. 森勝治

    森勝治君 今度は国際通話料の問題についてお伺いをしたいと存じます。特にきょうお伺いをしたいのは、多年にわたる滞納問題についてお伺いをしてみたいと思うのです。  この国際通話料滞納問題につきましては、昨年の本委員会においても会社の皆さんから各種の御意見をお伺いしたところであります。滞納額とそれが全請求金額の中に占める比率は相当高いものになっていたということが昨年もわかったところでありますが、これを解決するにはいろいろな問題があります。したがって、あとでもまたお伺いしたいんでありますが、会社としてはこの滞納の額が巨額にのぼるということは経営という見地から見ましても非常に問題であります。会社はこの問題について全力をあげて取り組むという御決意のほども先般承っておったのであります。  そこで私がこれからお伺いしたいというのは、最近における滞納の発生件数、金額、それに回収額、いわゆる催促してから入った収納額、これを四十六年以前はどうなっておるか、三年前どうなっておるか。それから四十七年度、四十八年度、これは年度別にお示しを願いたい。またこの滞納額というものが全電話収入に対してどの程度のパーセンテージになっているのか、このこともあわせてお答えをいただきたい。
  49. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) KDDの料金の滞納につきましては、当委員会の諸先生にいろいろ御心配をいただきまして非常にありがたく恐縮しておる次第でございます。  会社の経営陣といたしましても、この点については非常な重点を置いてあらゆる方策を講じていま滞納額の減少につとめておるところでございます。幸いにいたしまして、これは職員がたいへんな努力をした結果でございますけれども、漸次その効果があらわれてまいりまして、いまそれを数字で申し上げたいと思いますが、四十六年度以前の分、これは三月の末でございますが、三億一千五百万円という数字になりまして、これは発行した請求の数字は八百七十四億四千七百万円でございますが、そのうち回収しましたのが八百七十一億三千二百万、パーセントは九九・六四という回収をいたしておりまして残っておるのが〇・三六という比率でございます。それから昭和四十七年度分につきましては電信と電話を加えまして請求額が四百六十三億一千七百万、それから回収いたしましたのが四百五十九億二千百万円、これは比率は九九・一五でございます。そして残っております未回収額が三億九千六百万円、この比率は〇・八五でございます。それから四十八年度でございますが、これは上期分しかまだございませんが、請求いたしました金額は三百十億二千万円でございますが、回収いたしましたのは三百四億二千七百万円で、比率は九八・〇九でございます。そして残っておりますのが五億九千三百万円で、この比率は一・九一でございますが、これは今後も大いに努力いたしましてこの回収につとめるつもりでございますので、この数字はだんだんと減っていくと思うのでございます。  以上、お答え申し上げます。
  50. 森勝治

    森勝治君 社長のお話にもありましたように、皆さんがいろいろと御努力をなさって回収につとめておられるその御努力というもの、しかも実効がやや上がってきたということは、私どももその御努力に対しましては労を多とするところでありますが、何といっても、これはいまの回収の率からいたしますとパーセンテージは何か少ないかもしれませんけれども、会社というこの経営の実態からいたすと、億になんなんとするこの金が未回収のままでということになりますと、問題があとに尾を引いてしまう、こんな気がしてならぬわけであります。  そこで、この際、お伺いしておきたいのは、滞納の形ですね、どんな形なのか、どんな形で滞納というものがあとを断たないのか。しかも、どういう理由で回収ができないのか。いわゆる回収のできない理由——というよりも払わない理由と申しましょうか、滞納を重ねる理由、こういうものをひとつお聞かせをいただいておきたいと思うのです。
  51. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 滞納の料金の中でも電報電話とは非常に違うんでございまして、電報のほうはほとんど完全に回収できるような状態になっております。たとえば先ほど申しました四十六年度以前の分におきましても電報に関する限りは、電信に関する限りは九九・九九%まで回収をしております。  問題は電話でございます。これは非常に最近の傾向といたしまして個人の使用者が多い、あるいは中小企業の人の利用が多い。また地域的に考えましても地方にだんだんと国際電話の使用が普及してまいったというようなことから回収が非常に困難になるわけでございます。  私ども常にこの回収の状況についてはいろいろ検討しておりますが、回収を最も早くする方法は、通話が行なわれたあと、なるべく早く請求書を出す、これが一番大事なことであるというので、この請求書を早く出すということについて今後コンピューターを使ったり、または外国のほうからの通知を早くもらったりしてこの方法に重点を置いてやっていきたいと思います。払う気持ちはあっても相当期間たってからの請求では忘れてしまうし、またそれだけ長い間ほうってあったんだから払わないでもいいだろうというような気持ちになる方も多いようでございます。それから電話の中には倒産をしてしまったというような中小企業なんかもございます。あるいは行くえ不明であるというようなものもございます。そういうようにいろいろなものがございますけれども、まず第一はこの請求書を早く出す、そうして忘れないうちに早く金額を知っていただく。  そうしてもう一つは、簡単にどこでも支払えるということが大事でございまして、今回は私どもも銀行とか信用金庫とかそういうところをたくさん指定しまして、どこでも支払いができる、あるいはまた預金の口座から振替でもできるという方法を講じましたのもそのためでございまして、実際、支払いが簡単にできるということがやっぱりこの滞納を少なくする一つの方法ではないかと考えております。  それから不幸にして滞納になったものにつきましては、できるだけ何度も催促を申し上げて支払ってもらう、こういう方法しかないようでございます。
  52. 森勝治

    森勝治君 いま滞納の実況の御説明がありました。この料金収納体制について今日まで会社側でどういう具体策を講じてこられたのか、このことをお聞かせ願いたいと思うのです。今日までとられてきた施策というものは、会社としては、当然、将来の料金収納体制の姿というものを想定されながら、種々画策をはかっておられるだろうと思うのであります。したがって、それらの構想等がおありになればひとつ聞かせていただきたい。  それで、いまのお話にもありましたように、料金の収納業務の大半は電話関係のものであります。そこで近く大阪電話局が運用開始の模様でありますが、また沖繩等でもこの電話業務を取り扱っておりますので、東京、大阪沖繩に料金業務について総括的な局などを設置して、お客の利用動向と対応させ、いま御努力なさる滞納を防ぐための収納督促とでも申しましょうか、この収納督促部門を強化する、そういう意味も含めて地方に営業局等を設置して、そうしてこれらと総括局とを関連づける、すなわち有機的な料金収納体制をつくるということもまた考えられることでありますので、こういう構想について会社側としてはどうお考えなされるか、このこともあわせてお聞かせを願いたい。
  53. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 現在行なっておりますいろいろな方法は実は暫定的な、とにかく現在の滞納をなくなそうというような暫定的な措置でございまして、これが常道に戻ったならばまた新しく料金収納の一番いい方法を考えていきたいと考えておるのでございますが、まだまだその段階には至らないで、現在社をあげて努力して、とにかくたまっておるものを片づけるというところに全力を注いでおるのでありますが、大体、昨年ぐらいから七つか八つのことを行ないましたので、それを御説明申し上げます。  まず第一は、昨年は本社及び事業所の組織を変えまして要員を強化したのでございますが、これは従来本社に料金センターというところがございまして、料金収納の問題は全部この料金センターがやるのだ、こういうたてまえになっておりましたので、どうしても事務がおくれ、それからきめこまかい催促もできないような状態でありましたので、これではいけないというので、各事業所にそれぞれ要員を配置して、各事業所が分担してやろう——昔の形に戻ったわけですが、そういう形をまずとりました。  二番目としましては、本年の二月からさらに料金センターの中ももっとすっきりと仕事ができるように組織を強化いたしました。  三番目としましては、私どものほうでは津々浦浦まで営業所がございませんので国際通信を公社の電報局等に委託してやっておりますが、昨年春以来、公社に委託しました地域につきましても、会社がもし滞納があれば直接こちらから催促をする、督促を行なうという方法をとったのでございます。  四番目は、料金収納の取り扱い銀行、つまり金融機関を地方銀行、相互銀行等に広げまして、さらにその他の金融機関、たとえば信用金庫というようなところにも拡大を進めておる次第でございます。  それから五番目には、預金口座から振替制度によって支払いができる、いわゆる自動支払いというようなものも実施してまいったのでございます。  それから六番目といたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、早く請求書を発行できるように電子計算機等を利用して処理能力を強化していくということでございます。  それから七番目は、従来あまり強力にはしなかったんでございますが、今度はどうしても支払いを承知してくれないところには訴訟による請求もいたすことにしたというふうな、大体そんなような方法を講じておりますが、これは第二点の御質問、御意見にも関連しますけれども、さらに今回札幌、仙台、大阪、福岡というようなところには料金の督促をするセンターをつくろう、これはごく小規模なものでございますが、そういうことを考えて近く実施したいと思っております。  御質問の第二点の大阪の点でございますが、この一カ所でもって料金の何といいますか統括所みたようなものをつくるということはもう経験済みでございまして、どうもうまくいかないようでございます。むしろ各事業所がそれぞれ自分のところでもって使ったものを催促するというのが非常に能率があがるようでございます。ことに大阪は大体全国的に見ましてそんなに大きい比率ではなく、一八%ぐらいのものでございます。沖繩でもって一・五%、ほとんどが東京付近でございます。そこで今度大阪国際電話局ができまして、そこに料金の総括局みたようなものをということはまだ全然考えてはおりません。しかし、やはり一つの事業所といたしまして、東京でもやっておりますけれども、督促事務とか収納事務は、これはもう分担してもらわなければならないと思います。また先ほど申し上げました福岡、広島とか仙台、札幌というようなところには小さいながらもそういうセンターを置いて、そして足しげく通ってその付近の催促をする、こういうふうに考えておる次第でございます。
  54. 森勝治

    森勝治君 私はたとえばということで、そういう督促強化の線ということでお伺いをしてみたわけでありますが、私が御質問した、そういう方法ではどうかという話は経験済みだからという御意見でございますが、このことについては私は重ねて会社側で——いま直ちにここでイエス、ノーという答えを求めようというせっかちな質問はいたしません。したがって私がそういう形でどうかと申し上げたことについては、重ねて申し上げておきますが、一応ひとつ会社の幹部の皆さんに御検討をわずらわしたいと思います。  そこで次の問題に移りますが、いま申し上げたような組織、機構とはちょっと離れますが、しかしこれは関連性がありますから私はお伺いをするのでありますが、本来、この料金収納業務というものはKDDの職員が行なうものではないかと思うのです。ところが現在は暫定措置という名のもとに嘱託やパートタイマーをもってこれに充てておるというふうに聞いております。そういたしますと、先ほども非常にきれいで、しかも明快なお答えがあったように、滞納解消のために総力をあげるというお答えと若干具体的措置において——説明を受けた私のほうの立場といたしますと、積極的な御発言と具体的な滞納防止、料金回収の施策というものが、職場の姿を拝見いたしますと、ややおことばにそぐわない面があるような気がするので、お伺いをしているわけであります。  何といっても、この料金関係に携わる職員のいわゆる要員措置というもの、これを確固たるものにしない限り、あなたまかせで向こうから窓口に持ってきてくださるのを待つということで終始するとするならば、まさにこれは百年河清を待つにひとしいのでありますから、先ほど明快にお答えいただいたように、当然、これらの問題については職員を、いわゆる定員を配置して、積極的に取り組む姿勢をひとつお示しを願いたい。
  55. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 先ほど申し上げましたように、現在は、とにかく昔から滞納している額をもう急速にここで掃いてしまおうというのが目的で、非常手段のようなかっこうでもって暫定措置を行なっておるわけでございます。したがいまして、この状況が好転いたしましてレールに乗りましたらば、恒久的な方法を講じていきたいと考えております。それまでのほんとうに常態でない現在の状況でございまして、先ほど先生のおっしゃった御高見も恒久的な制度のときに十分考えたいと思っております、大阪の問題でございますね。  それから職員、嘱託の問題でございますが、何といっても中心になっているのは職員でございます。職員をこのために増加した数も相当な数でございますが、嘱託は多くはそういう方面に経験のある、たとえば電電公社でもって定年でおやめになった方とか、あるいはその地方の有力者であるとか、こういうような方にお願いしておるのでございまして、これはお年も召しておりますし、また非常に力のある方でございますので、フル勤務ではございませんけれども——フル勤務の方もありますが、そういう方にお願いして、私どもの会社の社員と一緒になって努力していただいているような状況でございます。その結果、だんだんとその効果があらわれてまいりますが、もちろん必要ならば職員を定員を増しまして増員をするのでございますけれども、いまのような社をあげてのことはもうそんなに長くは続かないのではないかと思っておりますし、また続かせるようではだめなんで、なるべく早く解消して、レールに乗った収納の体制に入りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  56. 森勝治

    森勝治君 社長がせっかくそうおっしゃるから、私はこの点についてはたたみかけしません。  ただ一言だけ申し上げておきますが、労働者というものは、生活の基盤がしっかりして初めて生産の第一線に立つことができるんであります。これはもう多年の経験とその道の大家であります菅野社長におかれましては十分御配意あってなされておることと存じますが、今日のように営業成績が非常に高まってきておるKDDの中では、不完全雇用のような、パートのような、いわゆる臨時的な要素を持つ職員というものは、なるべくそれら職員は本職員に採用して、安心をして国際電信電話業務に従事することができるように、今後も十分そういう方々についてもひとつ御配意をお願いをしておきます。  そこで、いままで御質問を申し上げましたこの料金収納体制の強化については、もっぱらKDDの対処方針というものをお伺いしてきたのでありますが、この問題は何といいましても、KDDの意気込みとそれを反映した内部体制の充実強化、しかもそれはたゆまない、じみちな、きめのこまかい努力の積み重ねというものが滞納を排除する最も重要なものだと私は考えます。しかし、そうはいっても現行法のもとにありましては、通話停止というようないわゆる強行規定と申すべきものがありませんから、いわば俗に言う伝家の宝刀というものがありません。したがって電電公社のように高い収納率を確保しよう、そういうためにはおのずから限界がKDDの場合にはあるだろうと思うのです。  こういう点につきましては、昨年末の衆議院の逓信委員会におきましても、私どもの同僚議員が、郵政省が中心となって電電公社、さらにKDDの三者で法制的な問題を含めて知恵を出し合って話し合うようにと強く要請をいたしましたところ、皆さんもこれを快く了承されておられた模様に私は承っておるわけであります。このことについては、私も重ねて要望をして、この問題の前進をはかっていただきたいと思うのであります。  さて衆議院でのそういう要請に基づいてのお約束を今日までこの三者間でどのように具現される御努力をなさってこられたか、かいつまんでひとつお聞かせをいただきたい。
  57. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 先ほど来るるKDD社長が当面の措置につきまして御説明申し上げたわけでありますが、私ども監督の立場にあるものといたしましても、その状況を注視しつつ、ただいま御指摘の法的措置の検討という課題に取り組んでまいっているところでございます。私どものみならず、KDDにとりましては切実な自社の問題でありますので、法律担当機構でも熱心な検討を続けておられるわけでありますし、また事柄が通話停止でありますとか加入権の問題にかかわってまいりますと日本電信電話公社との関係もございますので、三者間に打ち合わせが必要であるということで、先般来、三者間の打ち合わせを持っておる次第でございます。
  58. 森勝治

    森勝治君 そのことについては、もっと詳しく御意見を申し上げ、お話も承りたいと考えておるのでありますが、ちょっと時間の制約もありますから、その点については、後日、ひとつ直接他の場所でお伺いをすることにいたします。  次の問題は、大阪国際電話局の開設問題について二、三お伺いをしてみたいと思うのです。  この大阪国際電話局の開設につきましては、従前からその方針を承ってきたところでありますが、その計画概要と現在までの進み方及び一体この大阪国際電話局はいつごろサービス開始を予定されておられるのか、その辺のことについて、担当重役はどなたでしょうか、どうぞひとつお願いいたします。
  59. 有竹秀一

    参考人(有竹秀一君) お答え申し上げます。  大阪国際電話局の局舎につきましては、約三千四百平米の敷地に、地上七階地下二階で延べ約一万七千平米の建物を昭和五十年十月竣工を目途に工事の推進をはかっている次第でございます。なお、この局舎は、必要があれば、建築制限の限度でございます敷地面積の七倍すなわち約二万四千平米まで増築できるように設計されております。  また通信設備につきましては、終局にはクロスバー交換設備により二百五十台の交換台と国際電話回線七百五十回線の収容とを見込んでおりまして、その規模は、現在の大手町の国際電話局とほぼ同じ程度のものになるわけでございます。ただ、さしむきは、交換台百台程度並びに国際電話回線四百回線収容可能な交換機によって業務を開始する計画になっております。  で、ただいま申し上げましたような設備で、社長からも御説明申し上げましたように、昭和五十年度末すなわち昭和五十一年三月には運用が開始できるように所要の準備を進めておりますが、完成後は、平常時にはヨーロッパ、アメリカ及びアジアの主要対地につきましては直通回線により、またその他通話の少ない国に対しましては東京の国際電話局に収容されている回線を自動的に経由いたしまして、西日本のお客さまに東京の局と同じサービスを提供するということを目標としております。  以上でございます。
  60. 森勝治

    森勝治君 いま大手町やこの大阪の問題について若干触れられましたが、もう少しく詳しくお聞かせを願いたいのです。いまお話のありました電話局のいわゆる対外サービス地域というものは、いま概略ちょっとお話しになった模様ですが、もう少しくその点について詳しくお伺いしたいんです。  あわせて、いま質問いたしております大阪の局を合わせますと、将来、新宿と大手町と大阪、この三カ所ということになりますから、それぞれその対外回線を持つ電話運用が当然そこで行なわれることになります。したがいまして、それらの局所における具体的な運用計画回線計画はどのようにお考えになっておられるのか。特に私が気にしてこれは質問をいたすんでありますが、非常災害時の形態はどうされようとしておられるのか、このことについてもあわせてお答えをいただきたい。
  61. 有竹秀一

    参考人(有竹秀一君) 大阪国際電話局が運用を開始いたします昭和五十一年三月には、新宿の新しい国際電話局はまだ運用を開始していませんので、大手町の局と大阪の局というふうな二局の運用になると思うわけでございます。  それで大阪に直接接続いたします外国にまいります電話回線につきましては、先ほど申しましたように対アメリカ、それから対ヨーロッパ——ヨーロッパはドイツとスイスをとりあえず考えておりますけれども、それから東南アジア及びアジア地域では韓国、台北、香港を考えているわけでございます。それらの回線を合計いたしますと、初期に約百回線ぐらいの対外直通電話回線大阪の局に収容されることになると思うのでありますけれども、御承知のように電話需要は非常にふえてきておりますので、その後毎年回線数を増加いたしますと同時に、さらに対地につきましても、たとえばシンガポールであるとかロンドンであるとかシドニーであるとかホノルルであるとかいうような外部につきまして直通電話回線を逐次大阪に収容してまいる予定でございます。  それから非常災害時の問題でございますけれども、これは東京の局が非常災害を受けた程度にもよりましていろいろ差異がございますけれども、ただいま申し上げましたような平常時大阪局で運用しております対外直通回線に加えまして、東京局に収容されております対外電話回線のうち主要なものを災害時には大阪に収容がえいたしまして、外国局における通話の中継などもさらに利用いたしまして、かりに大手町及び新宿の両国際電話局が両方とも機能を完全に停止したというような最悪の場合でも、平常時の約四分の一、二五%の通話を疎通できるように計画している次第であります。そういった災害時には、当然、東日本の御利用者も大阪局を呼び出して通話ができるような措置を講じていく所存でございます。  以上でございます。
  62. 森勝治

    森勝治君 この際、電電公社にお伺いをしておきたいと思うのでありますが、国際電話の自動化はいわゆる電子交換機の設置が当然前提となるわけですから、電子交換機の導入計画について電電公社はどう考えておられるのか、どうされようとされるのか、この点ひとつお伺いをしておきます。
  63. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) お答え申し上げます。  電子交換機の導入につきましては、すでに東京、名古屋、大阪等の一部に導入をいたしておりまして、ただいま先生のお話しございました国際自動通話を希望する加入者に対しましてすでにサービスを開始いたしておるわけでございます。  その後、国際電話の要望もございますし、それ以外に電電公社といたしましてのいろいろの立場、すなわちこれからのいろいろなサービスの多様化等に対応しますこともございますし、さらに信頼度の向上、特に回線網の疎通あるいはただいまもたまたまお話が出ました災害時等の対策、そういった場合も考えますと、電子交換機の導入は非常に都合のいい点もございますものでございますから、現在、逐次、東名阪以外の都市にも拡大をはかっております。現在計画をいたしております第五次五ヵ年計画の中では、大体、県庁所在地クラスのところまでは五十二年度末までには普及をはかりたい、このように考えているわけでございます。
  64. 森勝治

    森勝治君 そこでKDDにお伺いをしたいのですが、この大阪国際電話局の自動化の具体的な実施時期、いまサービス改善の日にちはわかりましたが、自動化の具体的な実施時期をいつごろに策定されておるのか、この点お伺いします。
  65. 有竹秀一

    参考人(有竹秀一君) 大阪国際電話局につきましては、とりあえずは、いわゆる完全な自動交換設備は設けない予定でございます。と申しますのは、現在大手町に自動交換設備がございまして、これが一日に約五千通話の発信を取り扱えるような能力を持っておるのでございますけれども、諸般の事情で、現在、平均して平日五十通話ぐらいしか発信がないのでございまして、大手町の設備の余裕が非常にございますので、当分は、これによってカバーしていきたいというふうに考えております。  もちろん西日本の御利用者につきましてもダイヤルをお回しになれば、初めにその信号は大阪の新しくできました国際電話局に入ってまいります。それから大手町に中継されて外国に出ていくという形になるわけでございます。したがって大阪国際電話局にいつ全自動の設備をするかということにつきましては、今後、そういった利用の動向、増加状況等を考えまして、きめてまいりたいと考えております。
  66. 森勝治

    森勝治君 皆目計画もなければ見当もつかないと、こういうことですか。それとも当分そういうことは意思がないと、こうおっしゃるのですか。
  67. 有竹秀一

    参考人(有竹秀一君) お答えいたします。  私ども、この全自動の需要はもっと急速に増加するものと予想していたのでございますけれども、先ほど申しましたように、いまのところ設備容量のわずか一%ぐらいでございますので、まだ始めたばかりのサービスでございますので、今後の動向を見た上できめたい、こういうふうに考えております。
  68. 森勝治

    森勝治君 今後の動向を見た上でということばは、当分やらぬということの表現の変わったことばと受けとっていいですね、いいですか。今日のように機械化文明がもう目の中や体の中まで押し寄せようとする段階にあたって、いまお答えになった問題についてはKDDとしては当分考えないのだと、そういうふうなお答えだと受けとっていいですね。
  69. 有竹秀一

    参考人(有竹秀一君) 先ほどもお答えいたしましたように、全国どこからでもいわゆる電電公社の電信電話交換局に加入されておられる御利用者には、西日本、東日本を問わず全自動のサービスを御提供できるわけでございますが、ただ、その場合に働きますおもな交換機が現在は東京の大手町の局にある。で大阪の新しい国際電話局にはとりあえずはそういう設備がないということでございます。もちろん、将来、新宿の新しい国際電話局が完成いたしますと、全自動の交換機の主力は新宿のほうに移ってまいりますので、必要があれば大手町の設備大阪に移設して、大阪でも現在の大手町と同じように全自動交換機能を持った交換設備を設けることはそれほどむずかしくはないんですけれども、いまのところ、その必要がいつできるかという見当がついていない、こういうことでございます。
  70. 森勝治

    森勝治君 いずれにいたしましても、この国際電話の自動化というのはあたかも水の流れるごときものだろう、いわゆる時間の問題だろうと思うんです。  そこでお伺いしたいのは、国際電話の自動化に伴って手動台の受付番号、そういうものが必要になってくるんではないかと思うのです。まず電電公社にお伺いをしたいんでありますが、電電公社はそのことについては十分お考えになっておられると思うのでありますが、この点をひとつお聞かせ願いたい。  さらに、もしそういうことになりますならば、この電話番号に対応する地域なども電電公社と国際電電の中で話し合いがもうなされている、いわゆる協議されているものだと、こう思うのでありますが、このことについてもお聞かせを願いたい。いま後段の問題については電電公社からお答え願ってもKDDからお答え願ってもどちらでもよろしいです。
  71. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) ただいまの手動台の受付番号の問題でございますが、現在は東京におきましては一〇九という番号を使っておりますし、一部まだ東京の市外局番を使いました番号を使っておることも御承知かと思います。これは主として東京以外の地域からの番号でございます。  で、ただいま大阪におきましてのいろいろな計画があるわけでございまして、これらに対しまして、どのような受付番号にするかということにつきましては、KDDのほうからもかねてから公社に対しまして御相談がございました。ただ番号計画は御承知のように非常に大事なものでございます。特に国際通話といいましても電電公社が管理いたしております国内の通信網と密接な関係があるわけでございまして、それらとの関係においての番号をきちっと立てるという必要がございます。そのようなことから国際電電のほうのいろいろな御希望も承っておりますが、必ずしもそれに一〇〇%応ずるわけにはいかないというような点もございまして、実は、かねてからいろいろと打ち合わせをいたしておるわけでございます。  国際電電の御希望といいますのは、全国的に手動台の受付というものを国際自即と同じような最初に〇〇という〇を二つつなぎましたあとにある特殊番号をつけることによって利用したいというふうな御要望がございまして、これらのお気持ちも非常によくわかるものでございますから、国内事情等も十分勘案しながら先般来計画を立てておったわけでございます。その結果、二番目のほうの御質問にも若干関連してまいるのでございますけれども、とりあえず大阪地域におきましては〇〇五一という番号をまず一〇九のかわりに使おうということまではほぼ現在了解点に達しまして、電電公社といたしましても、こういった番号を使います場合にどのようなことになるかということについてかなりの検討を進めておる状態でございます。したがいまして、それ以外の地域——あるいは東京も含めましてでございますが、それ以外の地域につきまして、このような番号を将来とも使っていくかどうかということにつきましては、電電公社のほうのいろんな回線ネットワークの関係もございますものですから、最終的にはきめておりませんが、できるだけ国際電電のほうの御要望に沿うようにしたいという気持ちで検討を進めておるということでございます。
  72. 森勝治

    森勝治君 KDDのほうはいいですか。
  73. 有竹秀一

    参考人(有竹秀一君) お答えいたします。  ただいま清水計画局長からお話がございましたように、大阪につきましては、これは大阪市内が主でございますけれども、とりあえず〇〇五一という番号で手動台は呼び出していただく。それから大阪以外の西日本各地につきましては、ある特定の加入者番号のようなものをきめまして、それで大阪の局を呼んでいただくというふうにお願いして大体のお許しを得ております。  そこで先ほど東日本、西日本と申しましたのでございますけれども、大阪国際電話局が受け持ちます加入者区域と申しますか、サービス区域はいわゆる市外番号で〇六から〇九まで、近畿、中国、四国、九州を含めた地域でございます。
  74. 森勝治

    森勝治君 この問題についてももっと詳しくお伺いしたいのでありますが、やむを得ず時間がありませんから次に移りたいと思うのです。  次の問題は、いよいよ完成間近になりました新東京国際通信センターについての質問を二、三したいと思います。  御承知のように、新東京国際通信センターが間もなく新宿に完成しようといたしております。何といいましても技術革新の最も激しい通信事業、しかも国際部門を一元的に預かっております会社といたしましては、将来、この事業を円滑に進めていくために、新しい内容を持った業務というものをどのようにして導入されようとされておるのか。また世界通信事業の動向からいたしましても、どの時点にどんな業務を導入していかれるのか。そういう御計画等がおありならば、概要でけっこうですから、お聞かせをこの際願っておきたいと思うのです。  さらに、お聞きいたすところによりますと、この新しい国際通信センターももう十年ぐらいで満ぱいになる、こんなことをすでにもうささやかれておられる模様でありますが、建物、特に機械設備を伴う建物等は長期の予測のもとに計画的に考えておやりにならぬと、ややもすればそごを来たす、そういうおそれがあると思うのでありますが、将来の通信事業を進めていくために、たとえば、先般お伺いしたところによりますと大手町局舎は当分そのままというお話でございましたが、先般も御指摘申し上げましたように、あの局舎はすでに老朽であります、老朽でしかも腐朽の状態でありますから、あのままで職員を仕事に従事させるということは労務管理の上からも好ましいことではないし、当然避けなければならぬと思うのであります。したがって大手町局舎の建てかえと、私は先般はもう新宿へりっぱなものができるのだから大手町局舎は必要ないではないか、こういう御質問を申し上げたところが、とんでもない、これを生かして使うんだ、こういうお話でありましたから、いま、さらに質問をしているわけでありますが、この大手町局舎の建て直しあるいは改造等を含めてお伺いするわけでありますが、どうされようとされるのか、ひとつお伺いをしたい。
  75. 増田元一

    参考人(増田元一君) 最初の、新しいセンターにおいてどういう業務を導入するかという御質問でございますが、昭和五十年度におきましては、国際航空データサービス、それから国際販売在庫管理システムサービス、国際データ通信個別システムサービス等のデータ関係サービスを提供することを考えております。  それから昭和五十一年度には、衛星回線によります四十八〜五十六キロビット/秒データ伝送、非常にハイスピードのデータ伝送専用回線サービスを提供したい。それから五十一年度テレックスの電子交換システムを導入いたしますが、その際にキャンプ・オン・サービス、それからアナウンス・サービス、それから短縮ダイヤル、こういうようなサービスを導入する考えでおります。それから、やはり昭和五十一年度でございますが、電話電子交換システムが導入されますので、その際、案内サービス——これは回線の障害状況、国番号、国別料金等の案内を自動的に行なうものでございます。それから多国間会議通話サービス、こういうものを考えております。  それから昭和五十三年度には、ブース間の国際テレビ電話サービスを考えております。  以上のほか、現在、調査検討しておりますものは、国際加入テレビ電話サービス、国際船舶テレックスサービス、電信交換網を利用いたします二百ボー以下のデータ伝送サービス、プレス・ブレティン・サービス、こういうものをただいま検討いたしております。  第二の問題は、新宿センターができました場合に、大手町局舎をどういうふうに使うか、こういうことでございますけれども、非常に国際通信需要伸びてまいりましたので、ただいまのところ、私どもといたしましてはこれを併用して使う考えでおります。考え方といたしましては、現有設備の経済的利用、あるいは非常に大手町は立地条件がよろしゅうございます、それからまた局舎ができましてからの耐用年数を考えましても、これを引き続いて利用するということがいいのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  76. 森勝治

    森勝治君 大手町は、何か場所がよいから今後大いに活用すると、新宿と一緒に活用すると、こういう意味ですか。
  77. 増田元一

    参考人(増田元一君) 新宿通信センターができましても、大手町には窓口営業関係業務運営したい。それから先ほど説明がありましたが、当分の間は電話が非常にふえますので、その交換台をやはりあそこに置きまして、東日本地区からの半自動——手動通話サービスを提供していきたいと思っております。それから電報中継機械化設備、これは託送関係端末設備は除きますが、あそこに膨大な電報中継機械化設備が現在ございますが、これはあそこに置いておきたい。それからテレックス加入者線交換設備というのが現在もございますが、それも大手町に残して業務を行ないたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  78. 森勝治

    森勝治君 大手町の社屋の活用措置等については、昨年もお伺いしたところでありますから重複を省きたいと考えておりましたが、昨年と、この大手町局舎の使用をめぐっての会社側の考え方がだいぶお変わりになった模様と承ったわけです、私は。  ですから重ねてお伺いしたいんでありますが、地の利を得ておる場所だから、サービスという部門を考えて活用されるということなのですか。私が昨年質問いたしましたとき、巨大な新宿ビルができるのだから大手町を置いておく必要はないではないか、こういう設問を試みましたところ、いや新ビルは入り切れないのですというお答えであったはずです。ところが、きょうの話になりますと、地の利を得ておるからあすこに置いたほうがけっこうだというお答えになると、一体、一年の間にそんなに方針がくるくる渦巻きのように変わっていくのか、若干、私は奇異な感に打たれた。あなた方はまともなお答えと思うでありましょうが、私としては、どうもおかしいな、どうしてそう変わっちゃうのかなと、そういう気がするんです。もちろん昨年のお答えの方といまお答えになられた方は別人でございますから、それは当然そういうお答えになったのかもしれませんが、会社の方針をひとつお聞かせをいただきたい。それでないと、次、これから若干質問しようとする問題と関連がありますから、私はくどくこういうふうに重複したような質問をしておるわけです。
  79. 板野學

    参考人(板野學君) お答えいたします。  昨年、御質問になりました事項につきまして私どもが答弁いたしました点をあらためてまたよく調査いたしますけれども、私どもといたしましては、これは最初から新宿と大手町というものはもう併用の方針でいくということをかねて考えておるわけでございまして、この点につきましては郵政省のほうにも十分御了解のもとに、また郵政省のほうもせっかくああいう場所に、ただいま非常に便利がいいと申しましたけれども、そういう場所に設備がございます。またその中に入っておりまする設備、たとえば電報中継機械化のごときはまだまだ寿命もございます。そういう点からいたしまして、大手町の局舎を活用するということが会社の経営のためにも非常によろしいし、また、これを利用されるあの付近の方にとっても非常に便利である、こういう観点からそういう方針で私ども来たわけでございますが、さらに今日におきましては通信需要も非常にふえておりまして、ますます新宿の新しいセンター並びに大手町局舎を併用していくほうがいろいろなサービスの面それから会社の経営の面からいっても非常によいというふうに現在でも考えておる次第でございます。
  80. 森勝治

    森勝治君 これは私の記憶違いならばお許しをいただきたいのですけれども、当時のお答えは、私が先ほど申し上げたように、新宿に大きな建物が建つのだからもう大手町は必要ないじゃないかという話の中で、当分通信として活用するけれども、たとえば将来は訓練とかそういうほうに活用するというお話、いわゆるまあ付属局舎という、だから直接の通信の第一線じゃなくて、他の厚生とかそういう関係にお使いになる、こういうふうに私はお答えをいただいたと思うのですよ。ところが、いま副社長のお話でも何か需要が非常に多くなったからとお答えになっておるわけです。もちろん人口もふえるのですから需要が多くなるのは当然でありましょうけれども、当初のお答えは必ずしも——いまは大手町の局舎があたかも必要欠くべからざるかのごときお答えに変わってきておるから私はこういうようにしつこくその真意を昨年と違うからただしているわけです。しかし時間がありませんから、そのことについてはあとで直接お答えいただくことにいたします。  それでは次の問題に移りますが、現在、本社等の事務部門その他では、いま霞が関をはじめたくさんいわゆる借家住まいでございますから、この国際通信センターが完成されればそちらに全部移転してしかるべきもの、私はこう考えておるわけです。したがって現在この国会から新宿、有楽町にかけて数カ所貸しビルを御使用になっておられる問題につきましては、当然これはもう解約されてしかるべきもの、こう考えておるわけです。  そういう意味で質問するわけですが、私が推理をしているようなそういうことに問題が運んでいくのかいかないのか、この点が第一点です。それから現在借りておられるビル、建物の面積と借料はどのぐらいになるのか、億をもって数えるのか百万単位なのか、この辺もひとつあわせてお答えをいただきたい。
  81. 古橋好夫

    参考人(古橋好夫君) お答え申し上げます。  話の順序としまして、初めに現在借りておりますビルディングの名前、面積それから全体の費用を申し上げますと、霞が関ビルに約六千平米借りております。それからその前の虎ノ門ビルに五百七十平米、それから大手町の近所のタイム・ライフビルに千五百六十平米、それから同じくその近所に第五中央ビルというのがございますが、それが千七百八十平米、それから市ケ谷の近辺にございますヴォーグビルに二千平米、あと倉庫等若干ございますが、借料は以上全部合わせますと月額三千二百万円程度になります。それから借り入れ総面積が一万二千四百平米ぐらいになります。  それで先ほどの第一点でございますけれども、もちろん新宿ができましたら、できるものは全部すみやかに移転するということで移転計画を立てておりまして、先ほど申し上げました霞が関ビルの六千平米、虎ノ門ビルの五百七十平米、それから倉庫、平米を実は申し上げませんでしたけれども四百八十平米、これらは直ちに新宿センター完成と同時に返還いたします。そのあとヴォーグビル、これはちょっと年末になるかと思いますが、これは訓練関係でございますので施設の移転がありますので、訓練関係のヴォーグビル二千平米でございますが、これらを含めまして四十九年末には四分の三返還いたしまして、四分の一の三千三百平米が持続して借りることになると思います。その場合の費用はやはり四分の一程度であと月額八百万程度の費用が要るかと思います。  それから、タイムライフ及び第五中央という大手町近辺の建物でございますけれども、これは先ほど来からお話が出ておりますが、あそこにあります設備の移転でございますけれども、建物を新宿につくりましても、設備をあそこに入れ働くようにしますためには一年とか一年半とかかかりますので、それらができましてから逐次移るようになると思いますのですが、大体一年半ぐらい先になるかと思っております。  以上お答え申し上げました。
  82. 森勝治

    森勝治君 四十九年末で借り部屋の総面積が三千三百平米といいますが、これはどうしても返せないのですか。
  83. 古橋好夫

    参考人(古橋好夫君) 繰り返して申し上げますけれども、大手町にはなおテレックス交換機とか、それから電話交換機その他主要業務がそこで行なわれておりますので、その設備ができませんと、三千三百平米現場の事務室が入っておりますが、その現場の事務室を移しましても新宿から通うということになりましてかえって不便かと思われますので、これは設備が完成して業務が移行いたしますまではやむを得ないかと思っております。
  84. 森勝治

    森勝治君 時間がありませんから先を急いで断片的な質問になってしまうのでありますが、やむを得ないというのはどういうことでしょうかね、人に貸すほど新宿ビルが余っているんでしょう、そうじゃないですか。そのお答えはこれからの質問のあとでもう一ぺん重ねていたしていただきます。  参考人の皆さんには申しわけありませんが、いましばらくで終わりますから、ごしんぼうをお願いいたします。  どうも何かKDD計画を見ますと、新しい局舎を第三者にお貸しになる。よその建物は借りておって返さないで、今度は自分のせっかくつくったきれいな建物、全職員が全部そこへ入りたいと熱望しているのに大手町のような狭い老朽したところへ職員を置いておいて、第三者に賃貸しをするという計画がおありな模様ですね。  そこで私は聞きたいのでありますが、第三者にお貸しになるのはどこなのか、これをひとつお答えいただきたい。  時間がありませんから私は重ねてこの際質問をしてしまいますけれども、この貸す計画の中で、FM東京という会社にこの新局舎をお貸しになるということです。これは一体どういうことなのかさっぱりわからぬのです、私どもは。  一年前、大手町局舎のことで質問いたしました。新局舎が新宿にできたら大手町局舎は必要はないのではないかと申し上げたときに、機械が一部すぐに移れないということもありましたが、新宿のスペースがどうのこうのというお話でございました。だからよもや第三者にお貸しになることはないように思ったのでありますが、FM東京のような国際電気通信事業と全く関係のない民間企業にお貸しになる理由はありませんよ。自分のきれいな新局舎を他人さまに貸しておいて、かわいい部下は店子住まいというのはどういうわけですか。私どもは、失敬でありますが、国際電電の経営者の経営の頭脳を疑いますよ、この点は。まさかこんなことはないと思った。FM東京にお貸しになるという話ですから、契約されたかどうか知らぬが、お貸しにならないなら私のいま申し上げたことは全部取り消しいたしますよ。しかしお貸しになる、契約される模様ですから聞くんですよ。  他人さまにお貸しになるほど局舎にゆとりがあるならば、借りている局舎はみんな返してしまって、新社屋ビルに収容がえするのが当然じゃないでしょうか。経営のイロハのイの字じゃないですか、失敬でありますけれども。むしろそういう他の第三者に貸すようなことをせずに、いままで大手町の狭隘なところで長年がまんをして住んでおった皆さんでありますから、やはり新宿に全部収容してあそこをつとめ場所にしていただいて、これら長年苦労をともにしてきた職員の労働環境の改善に役立たせるのが再生産に最も役立つだろうと思うのです。まあ何か大手町のテレックスとか何とか言いましたが、皆さんの決断次第でそんなのは新宿の新局舎に収容できるのですよ。何も自分がよそからうちを借りておっておもやを他人に貸す必要にありませんよ、私はそう思う。どうしてこういうことになっているのですか、政治的な背景があるのですか、私はそのように考えざるを得ないです。どう皆さんがこじつけられようともおかしい、だれだっておかしいと言っている。  大手町の局舎が古くても自分の建物の中に住んでいるなら、ときにはやむを得ないときもあるでしょう。たとえば大手町の通信業務が直ちに移れないなら別ですけれども、ほかの貸しビルなんか全部返したっていいじゃないですか、わざわざ他人さまに借りなくてもいいじゃないですか。本社のきれいな建物は安く他人に提供して、かわいい部下は借りビルで過ごせ、おかしいじゃないでしょうかね。  きょうは、皆さんは参考人でおいで願っているわけですから、これ以上失敬な発言はできません。私も立場をわきまえて丁重な発言をしなきゃなりません。したがって、これ以上私はことばを強めませんけれども、どうかひとつそういうところを考えてください。かわいい従業員の立場もひとつ思いやってください。このことについてお答えをいただきたい。
  85. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 新宿の国際通信センターの建物は、先ほど森先生もおっしゃったとおり、今後十年ぐらいは使えるという計画でもってつくったのでございます。もちろん十年というのはその当時の計画でございまして、大手町も一緒に使うということだったと思います。  したがいまして、ことに上層のほうの階の事務室用の階層はまだあいております。そこで、ただあけておくということは非常に経済的にもいかがかと思いまして、まずこれは利用しなければならぬ、ついては少しでも使用料が取れるようなところに貸そうということをきめたのでございますが、一向に希望するところはなかったのでございます。というのは、私どものほうでは年限を切らなければ貸せないんでございます。こちらのほうで必要なときにはいつでも出ていただくという非常にきびしい条件がございまして、おそらく最高のものでも、私詳しいことは知りませんが、五年以下になっているはずでございます。そういうような条件で借りるところはほとんど普通のところはないのでございます。ところがFM東京の会社はそのときもそれでいいから何とかひとつ貸してくれといってようやくその階層の一階がふさがったようないきさつでございます。別に政治的の考えも何にもなく、これは主として経営上の都合で貸したのでございまして、これは必要があればいつでも出ていただきますし、またどんなに長くても五年ぐらいしか貸せないという見当でございます。  その他に貸してあるのは、私どものほうの子会社とかあるいは外国の通信社の代表部というようなところでございまして、現在も霞が関ビルでもって一緒に勤務しておるようなところでございます。こういうものに対しましてもやはり先ほど申しました条件はきちっとつけておりまして、こちらが必要のときにはいつでも出てもらう、それから安く安くとこうおっしゃいましたけれども、これは決して安くはないんでございます。普通の相場でございまして、相当の賃借料をいただくつもりでおります。  それから大手町局舎の近くに二つばかり小さいビルを借りておりますが、これを返すべきじゃないかと、これはほんとうにごもっともな御意見だと思いますが、これは何といっても大手町の局舎の事務員でございます。それで現在は機械で一ぱいになっておりまして、事務系統の者を外に出しているのでございます。もしこれを新宿へ移すということになりますと現場の人たちとの連絡が大手町と新宿と非常に分かれてしまいますので、やむを得ず二つばかりは借りておくということにしたような次第でございます。
  86. 森勝治

    森勝治君 このことについても、もっともっと掘り下げたお話を承りたいと考えておりましたが、残念ながら時間がございません。  そこで私は最後に一点だけお伺いをして私の質問を終わりたいと思うのでありますが、最後の一点と申しますのは労使の問題についてであります。  私は、事業というものは労使の相互信頼の上にこそはじめて発展が約束されるものであって、不信がばっこする職場というものは衰退に傾くだろう、こう考えております。世間から見ますと国際電電株式会社というのは理想的な職場だと若者の諸君のささやきにあります。しかし一歩KDDの中に入りましたときにそこには何があるだろうか。もちろんこの世の中には未来に対する希望を持たない人はないでしょう。未来に対する希望が大きければ大きいほど現状に対してあきたらない気持ちがあります。俗語でこれを不満ということばで表現いたしますが、どこにでも不満というものは、特に春秋に富める青年諸君の胸にはあります。よい意味ではこれは野心ということばに通ずることばでありましょうけれども、いわゆる青年は正義を見詰める眼が非常に強烈なだけに、現状にあきたらない気持ちがうつぼつたるものがあります。そこで自分の考えたこと、思ったこと等を上司等に話をし、たとえば通信回線の改革等についても愚見を傾けようとそれらの諸君がするようなときには、最近はどうもなまいきだという声が幹部の皆さん——幹部というのは経営者の皆さんですよ、管理者の皆さんにあって、何か建設的な意見が従来と違って乏しくなってきたように私は印象づけられております。これであってはならぬと思うのです。  ですから、通信事業というものに対して世界が目まぐるしく変わってきましたから、多少価値観の問題についても、いまの世代の若者と古い時代で生きてきた人々との間に、いわば従業員と管理者の間では何か価値観についての相違はあるでありましょう。しかし、もっと職員が勇んで仕事につくことができるような社内環境の整備にひとつ経営の皆さんは心がけていただきたいのであります。  いまKDDの諸君の中で何を言っているだろうか。あまりことあげするいとまがございませんから多くを語りませんが、理想的な職場だといわれたKDDの諸君のことばの中には、このような状態が今日以降さらに長く続くとするならば、電電公社に戻ったほうがいいなどということばが風のたよりに私の耳に入ってまいります。私も実は驚きました。新会社ができたときは、先ほどもことあげいたしましたが、電電公社におられる方々よりも二割も基本給で上がったことは事実でありますが、春闘のときの会社の妥結の中身を見ましてもわかりますように、みんなが喜び勇んで、よかったと喜び合えるようないまの給与のシステムではございません。  冒頭に質問いたしましたように、高収益をあげている事業といわれているKDDにしては、職員に対する労働の対価すなわち反対給付というものが私はそこに働く諸君の期待感を薄めていくような気がしてならぬわけでありますから、もう少し信頼感を取り戻すことができるように、何といっても経営者の皆さんは、若い諸君から比べまして、人生の面でも風雪をしのいでこられた方々ばかりが経営の衝に当たっておられるわけですから、世の中のことは何でも御存じのはずであります。したがって若い諸君も喜んで事業に精出すことができるような職場環境をぜひともつくっていただくように御努力をお願いしたい。私のこの発言はせっかく参考人で呼んでいただいた方々に対してはまことに失礼な発言と自分で考えつつ、しかもなおかつ経営者の皆さん方にはこの点を申し上げざるを得ない私の気持ちもまげて御理解をいただきたいと思うのであります。  どうぞひとつ、これからも電信電話の国際部門を受け持つ日本の唯一の産業でありますKDDが、労使とも一体となって、世界の文化の先がけたられんことを念願いたしながら、私の質問を終わります。  どうもきょうはありがとうございました。
  87. 川村清一

    委員長川村清一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  88. 川村清一

    委員長川村清一君) 速記を起こして。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時十分まで休憩いたします。    午後一時三十四分休憩      —————・—————    午後二時十六分開会
  89. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、塚田十一郎君及び小笠原貞子君が委員辞任され、その補欠として嶋崎均君及び須藤五郎君が選任されました。     —————————————
  90. 川村清一

    委員長川村清一君) 休憩前に引き続き、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  91. 山田徹一

    ○山田徹一君 日本と世界とを結ぶ通信事業に日夜御苦労されている国際電信電話の事業に対しまして、敬意を持っておるものであります。今後の事業の発展の上から見て、本年は試練の年として事業に取り組まれることを心からお願いいたしておきます。  私は、先ほど森委員のほうからるると質問がありましたので、焦点をしぼりまして資料の営業報告、その中身の問題についてちょっとお尋ねしてみたい、こう思います。  初めに営業報告書の貸借対照表の投資欄を見ますと、投資の内訳の中に子会社株式一億円が計上されておりますけれども、この投資はどういうところに投資されているのか、お尋ねいたします。
  92. 鶴岡寛

    参考人(鶴岡寛君) 本投資は、この一億円は、国際ケーブルシップ株式会社への投資でございます。この会社は、ケーブルの敷設あるいは保守を行ないます当社の子会社でございます。
  93. 山田徹一

    ○山田徹一君 そのほかに投資している会社等ございますか。
  94. 鶴岡寛

    参考人(鶴岡寛君) そのほかに投資をいたしておりますのは、有限会社整整社並びに同じく大整社、また財団法人国際電信電話共済会、それに今度四月十六日に設立いたしました国際通信ビル株式会社でございます。
  95. 山田徹一

    ○山田徹一君 国際ケーブルシップ株式会社に対しまして、この一億円が投資されているということでございますが、このKCSの設立の趣旨並びに設立年月日、二番目にその事業内容、三番目にそのKCSの資本金並びにその会社の役員数並びに社員数等について、わかる範囲内で説明をしていただきたいと思います。
  96. 鶴岡寛

    参考人(鶴岡寛君) まず設立の目的でございますが、これは先ほど申し上げましたように、海底ケーブル建設、保守、海底ケーブルの運送並びに海洋の測量調査その他でございます。設立いたしましたのは昭和四十一年の三月一日でございまして、資本金は一億円でございます。役員は専任五名、兼任二名でございます。職員は二十名と相なっております。
  97. 山田徹一

    ○山田徹一君 そこでお尋ねしますが、KDDは国際電信電話の一切の電信業務を独占しているわけでありまして、独禁法の適用除外に指定されております。国際電信電話株式会社法がそのためにつくられておるというわけでありますが、郵政大臣の監督のもとに、KDDは特殊法人として一切国際電信電話株式会社法のもとに運営をされているわけであります。だが、この子会社について、KCSの設立は独禁法上の問題はないのかどうか。ないとすれば、その法的根拠、これはどこにあるのか、郵政省にお答え願いたい。
  98. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 国際ケーブルシップ株式会社の定款にございますように、第二条一号「海底ケーブル建設及び保守の請負」とございます。  本来、これらの業務は会社が直営すべきものでありますけれども、きわめて特殊な作業形態並びに運営を有します関係から、他の、たとえば同じく独占企業体であります日本電信電話公社にいたしましても建設、保守の工事を民間に請け負わしめている例がございますように、通常の民法上の請負契約に基づきまして下請せしめるということは差しつかえない、かように考えております。  ただし、この会社設立に際しまして、昭和四十年度事業計画認可の際、出資ということからいたしまして事業計画は認可にかからしめております。
  99. 山田徹一

    ○山田徹一君 KCSの資本金が全額KDDの出資であるという点、この点から見て、またその事業内容が特殊な運営を必要とするといえども、このKDDのいたすべき事業の一環であるはずであります。  そこでKDDのこの株式会社法の第二条によりますと「国際公衆電気通信事業を営む外、郵政大臣の認可を受けて、これに附帯する業務その他前条の目的を達成するために必要な業務を営む」このようにKDD法にははっきりとなっているわけですね。したがってKCSのような内容の子会社設立ができるという法はどこにも法的根拠が明確でないわけです、KDD法には。したがって、どの条文からこういう子会社の設立をしてよろしいということが言えるのか、その辺を御説明願いたい。
  100. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) ただいま御指摘のように、本来、こういう建設、保守業務KDDがいたすべき事業の一環であること間違いございません。しかしながら、他の例もあげたわけでありますけれども、すべての建設、保守工事をみずから行なうということが会社経営上はたして効率的であるかどうかという問題があると思います。そういう点におきまして、先ほど申し上げましたようなきわめて特殊な作業を内容といたす、しかも常時この船を運航する状態にないというきわめて特殊な状況でございますので、請負契約を結んでこれに行なわしめるということは先ほど申し上げましたように妥当であると考える次第でございます。  それにつきまして、こういうことを請け負います事業体というものが先ほど来の特殊性からいたしまして他にございませんので、全額出資のいわば子会社になることもまたやむを得ないだろうというふうに条理的に考えた次第でございます。
  101. 山田徹一

    ○山田徹一君 この子会社、全般的な意味での子会社というものを設立することがいいとか悪いとかということよりも、このKDD株式会社法に基づいてすべてなされるべき性質のものだと思うのです。したがって、その法律に基づいて子会社というものがつくられなければならぬ。ところが、どこにもそのような条文はうたわれていない。こういう不備の点からお尋ねしておるわけです。その点はどんなでしょうかね。
  102. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 先ほどもお話し申し上げましたように、事業計画の審査、認可の中でこれを認めたということに相なるわけでございます。
  103. 山田徹一

    ○山田徹一君 そういたしますと、その認可をしたのは郵政大臣になっている、一切の責任は郵政大臣にあると、こういうことですね。
  104. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 会社という事業体の性質上当然に出資ができるというたてまえからいたしまして、責任を持って郵政大臣が出資にかかわる事業計画を認可したものでございます。
  105. 山田徹一

    ○山田徹一君 それでは次に、この国際ケーブルシップ株式会社という名称からいっても、このKCSの事業運営の主体は何かといえばシップ、船舶であろうかと思うのです——重要な部門を占める。この船舶の建造費用、その所有権、そういうものはどこにあるのですか。
  106. 鶴岡寛

    参考人(鶴岡寛君) 建設費用は十六億三千五百万円でございます。これはKCSがKDDから借り入れ金をもって建造いたしました。したがいまして所有権は国際ケーブルシップ株式会社でございます。
  107. 山田徹一

    ○山田徹一君 KDDから借り入れ金をしてそれをもって建造をした、その所有権はKCSにある、こういう御答弁でありましたね。ところが、その船の名前はKDD丸になっています。これは一体どういうことですか。
  108. 鶴岡寛

    参考人(鶴岡寛君) 当時、名称をKDD丸とするかKCSとするかという点については若干の議論があったやに聞いておりますが、おそらくは、これはただ単にこのケーブルシップは、何といいますか、現段階におきましては第一太平洋ケーブルあるいはまた日本海ケーブル、こういうように諸外国との関連において作業をいたします。保守をいたしましたりあるいは建設をいたします。そのようなことを顧慮いたしましてKCS丸というのでは諸外国への通りが悪い、したがいましてKDD丸といえば日本の国際電電の子会社の所有する船かと、そういうような意味においてKDD丸とつけたものであろうと存じます。
  109. 山田徹一

    ○山田徹一君 ちょっとそれはおかしいんじゃないですかね、船舶に名前をつけるのに、KDDというれっきとした特殊法人の大きな会社がある、その会社名をそのまま用いて船の名称にする。ところがその船は子会社の、一億の資本の会社の船である。ということは、結局、そのようにKCSとKDD、こういう関係の形を持つ必要がない、こういうふうにも考えられるんです。  さらにお尋ねしますけれども、KDDとKCSの役員の関係、また社員の構成、それぞれのポストはどうなっているか、お尋ねをいたします。
  110. 鶴岡寛

    参考人(鶴岡寛君) 役員は親会社たるKDDの常務取締役が一名KCSの取締役を兼ねておりますし、またKDDの取締役が一名監査役を兼ねておりますが、ともに非常勤役員でございます。
  111. 山田徹一

    ○山田徹一君 社員の構成はどうですか。
  112. 鶴岡寛

    参考人(鶴岡寛君) 失礼しました。  社員はKCS本来で新規採用しました社員と国際電電から出向いたしております社員と二種類ございます。
  113. 山田徹一

    ○山田徹一君 おたくからいただいたこの資料から見ますと、このKCSの役員、取締役ですね、これには四十七年度また四十八年度、その以前のこの営業報告書を参考にして調べてみますと、KDDからの取締役あるいは常務等がKCSのわずか五人しかいない取締役、役員の中に二名いるわけです。四十七年度には三名、その前のを見てみますと、人間はかわったけれども、すべてKDDの役員がそのままKCSの役員になっておる。  さらにKCSの営業のシステムは二つの部と四つの課、それで構成は二十名。そのうちKDDから出向しておるのが十二名、KDDからKCSへ行って仕事をやっている。二十名のうち十二名です。そして一般の職員が六名。あとの部長、課長で、出向でない部長、課長は元やはりKDDの役員もやった人であります。  こういうふうな構成になっておるKCSが、はたして先ほど言われたような営業上云々というようなことが言えることなのかどうか、私は言えないと思う、そういうことは。  そこで、さらにKCSの四十七年度の、今度はKCSのですよ、きょうここにいらっしゃる重役の方々、役員の方々がKCSの役員なんですから、また監査役もいらっしゃる。したがってこのKCS四十七年度の営業報告書を見ますと、当期利益金三千三百万、こうなっておりますね。当期未処分利益五千三百万円。この処分はどうしたのかというと役員賞与金が九百五十五万円、別途積立金、次期繰越金、こういうふうに利益処分は役員賞与が計上されておりながら、全額KDDの株ですからおそらく配当をしなかったというんでしょうが、なぜこのようにしなければならないのか。最初おっしゃった事柄と関連して全然必要がない、むしろKDDの一部門としてやっていくべき事業ではないのか。職員といえばたった二十名、そのうちの十二名はKDDの職員。その下で働いているのが六人が一般職。部長、課長でKDDの役員でない、KDDの職員でもないという人も調べてみれば元役員であった。こういう形のものをなぜ子会社として運営しなければならないのか。その必要は全くない、このように考えるのですが、どうですか。
  114. 鶴岡寛

    参考人(鶴岡寛君) 一番最初に私が申し上げますときに、KCSをつくりましたその趣旨と申しますか、理由、そういうものに対する説明が少し不十分であったかと存じます。  それはこういう事情でございます。一つには、仕事が全然異種の仕事であるということが一つでございます。国際電信電話株式会社はあくまでも国際通信を疎通するという通信事業が本来の業務でございます。したがいまして、このように船を運航してケーブルを敷設したり保守したりするということはわれわれの業務にとって全く異種でございます。したがいまして、そういう部門をもし直営にしますならば、何と申しますか、それは非常に特殊な部門になりまして、そういうところにおける経験者はKDDのまあ電話局長になるとか、あるいは本社の部長になるとかいうような進路も閉ざされるわけでございます。したがいまして、そういう特殊な部門はやはり切り離しておいたほうが都合がいいということはよく世上一般の会社でもやっている例でございます。  もう一つの理由は、これは船を運航いたしましていろいろな作業をいたします。したがいまして、いろんなときに、まあ衝突とか、そういうことで大きな事故を発生するおそれがある。そういうときに、もし船がKDDの所有でございますと、KDDという会社に累を及ぼしまして、大事な国際通信の事業の経営をも危うくするおそれがあるというようなことが第二の理由でございます。  もう一つの理由は、ここにおきます船を運航いたしますのは、これは申すまでもなしに船員でございますが、この船員さんは組合も海員組合ということで違いますし、諸般の待遇その他も一切違う、そういうようなことを勘案いたしまして、ここに子会社として設立をいたした次第でございます。
  115. 山田徹一

    ○山田徹一君 いま万一事故があった場合にはKDD関係してちょっとまずいんじゃないかと言うけれども、船の名前はKDDだし、しかもそのKCSなるものはこういう形態のものだし、どちらにしたってそんな責任のがれをすることはできませんよ、こんなことは、国際的にも。そんな悪らつな気持ちでやっていたらとんでもない。  また船員の海員組合云々という話がありましたけれども、職員はわずか二十名で、その船を運航するそれは全部下請にやらしているんじゃありませんか。KCSが、KCSの職員が、従業員が運転しているわけじゃないじゃないですか、初めから。下請じゃありませんか。  そうしてみれば、KCSは何らKDDの中に一部門の一環としてやって一向事業に差しつかえがない。事業を運営しているのはわずか二十名じゃありませんか。しかも十二名の出向者はKDDの職員じゃありませんか。それから事業内容からしてとおっしゃるけれども、この電信電話株式会社法の第二条には「郵政大臣の認可を受けて、これに附帯する業務その他前条の目的を達成する」——その「前条」とは何か「国際公衆電気通信事業」のことですよ。それに附帯する事業は国際電信電話株式会社でできることになっておるじゃありませんか。できないとはなってないですよ。おたくが答弁なさった第一の問題、第二の問題、第三の問題、全部おかしいじゃありませんか、それと関連して考えても。法的にも経営の上からも事業内容の上からも一切がKDDでできることじゃありませんか。  最初おっしゃった出資されている大整社とかあるいは整整社とは事が違いますよ、仕事の内容が違うんですよ。だからこそ全額出資もしたんでしょうが、これはちょっと問題じゃないかと思うんですが、KDDのきょうおいでいただいた菅野社長に答弁を願います。
  116. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 先ほど来、先生のいろいろの御意見あるいは御質問に対して当社の役員が答弁いたしておりますのを拝聴いたしまして、われわれ非常に有益なまた参考になるわけでございますけれども、何しろもうこれは八年も前にできたものでございまして、いまさらこれをそれでは合併するとか、あるいはこの会社をやめるというようなことはちょっといまできかねますが、先生のような見方、御意見は十分これからの経営に参考にいたしたいと思います。ありがとうございます。
  117. 山田徹一

    ○山田徹一君 特殊法人のこのKDDあるいは政府の事業にまつわる関係の企業、そうでなくても大手の商社とか大企業にまつわる問題はとかく世間の批判の的になっておるんです。まして天下り人事の問題とか何とかいって問題が多いわけですよ。  私はこの営業報告書を見て、この計算書の下のほうに「子会社」とか親会社とかいうことで書かれてあります。正直に書いていると思った。ですから皆さん方の誠意がないという意味を私は言っているんじゃありません。そういう疑いを持たれるような姿、形をつくることに問題がある。  個人的な問題になるかもしれませんが、KCSの利益処分案には役員賞与が出ております、KDDでも役員賞与が出ております。兼務している役員は両方からいただいているんじゃないですか。しかもそのKCSに役員にいくのは一年か二年おきにKDDの取締役の役員が交代でやっているんじゃありませんか、非常勤とは言いながら。監査役もKDDから出ておるんじゃありませんか。こういう姿というものは、これはだれが見ても、まともな会社じゃないな、何かここにあるんじゃないかと疑われます。疑われたんじゃおそらくKDDの重役の方々も心外だろうと私は思うんですよ。  だから、そういうことは十年たっているとはいいながら、できたものだからしようがないじゃなくて、ここで考え直して、もと一緒になっていたものなんですから、もともと部門はKDDの中にあったものなんですから、またもとに正式に戻すことが理想じゃなかろうかと思うんですが、社長、お考えどうですか。
  118. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) これは先ほど来鶴岡参考人から申し上げているように、当初からこの会社をつくりましてKDD丸という船を持たせたのでございまして、一たん国際電信電話株式会社が持って、そして分けたものではございません。  それから先ほど役員が兼務しておるのに両方から賞与をもらうというようなお話がございましたけれども、KCSの利益金処分としてあげておりますのは、専任の役員の賞与でございまして、兼務の者はKDDのほうから賞与が出ますから、両方から取るということはございません。  また簡単に交代で順繰りにいくというようなことは絶対にございません。これはケーブル関係の問題を担当しておる重役がいくのでございまして、それから監査役になるのは、KDDの経理の担当重役が兼務するということになっておりますので、その点だけは申し上げておきます。
  119. 山田徹一

    ○山田徹一君 ならばよけいですよ、担当している重役がKCSの役員に非常勤としてなっていくんだというならば、よけいにそんな分ける必要はない。賞与の問題は両方上がっているから、役員といえば全部役員ですので、役員賞与は両方からではないかと疑われるような姿になるじゃありませんか。いま社長のお話によって私は了解いたしますよ。だけども決算書を見た場合には、疑いの眼をもって見ざるを得ないじゃありませんか。だから、そういう姿は問題だと思うわけです。  いずれにせよ、このKCSを認可し、KCSは営利事業になっているわけです。国際電電株式会社は特殊法人です。そういう関連性もいろいろ考えて、大臣KDDから認可申請がきたからめくら判を押したのかもしれませんよ、いまの原田郵政大臣のときじゃないわけですが。しかしながら決算報告書は見られておるんでありますので、もう一ぺん、いままでのことを総括して申し上げます。  一つ、KDDの全額出資の営利事業であること。二つ、KDDの現役の役員あるいは元の役員がKCSの重役を兼ねている。こういう問題の上から三番目、KCSの社員が半数以上、しかもポストにある者がKDDから出向職員としていっておる。四番目には、KCSの使う船はKDDのいわば財産の一環であります、金を貸しているんですから。五番目には、KCSの利益処分の問題も先ほど申し上げましたが、これには不穏なことはないといえども、不当なことは毛ほどもないけれども、対外的にはそのような疑いの眼で見られる、こういう問題。その次には、KDDは法によって規定された特殊法人である、そしてその子会社は営利事業である。この営利事業の内容は当然KDDが法によってきめられた範囲の事業内容である。そしてさらにKDDの本社の中にKCSの会社は同居しておる。  こういうような点から考えて、KCSの企業性というものはちょっと考えるべき問題ではないか。しかも形式的な面からいって法的に何ら子会社をつくっていいという根拠はあいまいである。しかもこれから第二太平洋海底ケーブルとか日中間のケーブル問題とか、これから行なわれるKCSの仕事というものはKDDがばく大な借金をして敷設していく仕事をやるわけであります。こういうことから考えて、今後の事業発展の上からもKCSはもとの姿に戻して、KDDの事業と一体にさせるべきである、このように考えるんですが、大臣はどうお考えでしょうか、そうやってもらいたいと思う。
  120. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この会社をつくった経緯が私ちょっとわかりませんので、あと事務当局から答弁をさせます。  先ほどのKDDのほうの担当役員が答弁をしておる中に、この会社をつくらなければならなかったという点の説明の中に一点、私なりに、この会社は存在理由があるのではないか、こういうふうにちょっと思いましたので、率直にそのことをお答えいたします。  それは国際電電株式会社というのは、KDDというのは電信電話、国際の通信をすべて行なっておる会社である。KCSという会社は、その中の一つの、何ですか、敷設するケーブルを扱う船会社といっていいでしょうか、それだけの特殊な業務を持っておる会社である。先ほど、そういうことがまあ全体の中で一つの異質のものであるからこれをつくったんだという答弁をいたしておられたようでありますが、私もそのようにちょっと受け取りましたし、したがいまして、いつでも電信電話の会社をやっておるわけでなしに、そういうことが起こったときに、この会社の業務として、あなたがおっしゃったとおり、船は自分が持っていますが、乗り組み員を雇ってきて、そして指導して敷いていくのがこの会社の業務ではないかと思うわけでございます。  おっしゃる親会社のKDDは特殊法人とおっしゃいますけれども、いわゆる特殊法人ではございませんで、法律をもって別記された会社であることは間違いございませんが、株式会社である。なぜ株式会社にKDDをしたのかというと、いわゆる公社、公団といわれるものよりも独自の活躍をして、これからの世界伸びていく仕事にふさわしい民間の活動力というものを期待してつくられておるのではないかと、最初の動機は。そのために独占の企業であるから株式会社にした法律をわざわざつくってある、こういうことでございますから、その会社の特殊な仕事の分をこれまた別会社にしてやったということは、私はそれなりに、経緯はわかりませんからあとから答弁をさせますが、一つの理由であったのではないかと、いま想像するのであります。  しかしながらその役員構成、それからそれに対するところの従業員の問題等々につきまして、山田委員が御指摘されるような点が、まあ社長は答弁してそんなことはないと、こういう話でありますけれども、ともすれば、そういうふうに見られがちであるし、また、おちいる危険性なしとしない、こういうことは私もそう思います。したがいまして、このKDDの会社の一年間の業務につきまして計画を聞き、資金計画を聞いて認可をいたしました私といたしましては、いま御指摘になりました点について心すべきことは心して、経営を十分に心してやっていったらいいのではないか、このように思います。  ただ、一番最初できたもとへ返せということをおっしゃっておりますので、そのことにつきましては、その他補足的には事務当局から答弁いたさせます。
  121. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 初めにお断わり申し上げたいと思いますが、先ほどKDD役員からこのKCSの行なっております仕事が国際電気通信業務でないような発言があったようでございますが、私、法解釈の立場からいたしまして、これはとり得ないところでございまして、やはり海底線の建設、保守という業務はあくまで国際電気通信業務の中身であるという解釈に立っております。  それから、創立の経緯につきましては、何ぶん十年近く前のことでございまして、私自身その責任の衝になかったこと大臣同様でございまして、その経緯につきましてここで私が詳細明らかにし得ないのはまことに恐縮でございますが、実体的にはあくまでこの会社の設立の本旨と申しますか、これは非常に国際電気通信業務でありながら特殊な作業であるということ。それから間断なく仕事があるわけではございませんで、御承知のよに、あそこのケーブルがおかしくなった、それっというときに契約先の船会社から船員を動員してもらう。それも四六時中対応し得るように約束がとれておる、こういうまことに特殊な関係にございます。したがいまして存立の理由があると私は確信いたしますが、御指摘のいやしくも国民の皆さんから疑惑を受けるような役員その他の運営がありましては申しわけないことでございまして、それらの点につきましてKDDともども今後検討してまいりたい、かように考えます。
  122. 山田徹一

    ○山田徹一君 いまの答弁で一応了といたしますが、このようにとかく世間から疑いをもって見られないような姿にする、姿勢にするということは必ずやっていただきたいと思いますね。清潔な特殊法人としての経営を力強くやっていただきたいし、ますます発展をお願いもしていきたいという気持ちの上から、一点でも曇ったような眼で見られるということは国際的にもまずいことでありますし、どうかその点よろしくお願いしたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  123. 川村清一

    委員長川村清一君) 本日の調査は、この程度にとどめます。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  124. 川村清一

    委員長川村清一君) 速記を起こして。     —————————————
  125. 川村清一

    委員長川村清一君) 簡易生命保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  126. 森勝治

    森勝治君 これから簡保関係の質問をしたいと思うのであります。  そこで最初の質問は、最近の簡保募集における成果についてお伺いをしてみたいと思うのです。  四十七年度における予算目標に対する実績を見てみますと、目標額に対する達成率が九〇・二%と従前に比べて大幅に下回っております。また去る四月一日簡易保険局が発表いたしました昭和四十八年度の新規契約募集状況を見ましても、近来にない伸び悩みの状況というふうに数字によって示されております。  現在のようなインフレ経済のもとにありましては新契約が伸び悩むということがすなわち事業費の上昇率につながるということは私がいまさらここで強調するまでもありません。したがって、このような減額傾向が続くとするならば、遠からずここ一、二年のうちに付加損を生ずることば必至ではなかろうかと思われます。簡易保険事業にとりまして付加損の発生ということは経営上まことにゆゆしき事態と申し上げるわけでありまして、このことについて所管の長であります郵政大臣は、最近における募集成績が不振であるというこの統計が示す現実、統計というよりもむしろ実績の示す現実をどのように受けとめられ、その原因というものが那辺にあるか、どういうところに起因をしておるのか、このことをひとつお聞かせを願いたい。
  127. 原田憲

    国務大臣原田憲君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、昭和四十八会計年度の新契約募集状況は第一回保険料実績で二百二十二億円、対前年増加率四・五%と近来になく伸び悩んでおります。その原因といたしましては、物価上昇等、経済情勢の変動により国民の購買態度が慎重になっておること、また国民需要動向として保険料が比較的安くて保障機能の高い生命保険を指向するようになった結果、保険料の伸びが期待するほどではなかったこと、また簡易保険の募集活動について種々御指摘を受けてきたわけでございますが、国営簡保として国民の信頼にこたえることができるように保険料払い込み団体の整備等種種の適正化措置の途上にあったことなどの影響によるものであると考えております。  御指摘のとおり、四十八会計年度のような募集状況が今後とも続きますと、事業経営にも深刻な影響を及ぼし、ひいては顧客サービス向上に支障を来たすことになる懸念も御指摘のとおりでございます。こうした事態に対処するために、まず保険金最高限度額の引き上げ等により、上昇する必要保障水準に見合った保障を国民に提供すること。第二番目には、保険料を引き下げるなどして良質かつ低廉な商品を広く国民に提供することにより経営効率の向上につとめること。第三番目には、国営事業としての特色を生かし時代の要請に即応した制度の改善とサービス向上をはかること等の措置を通じまして、今後における事業経営の健全な発展をはかってまいりたいと考える次第でございます。
  128. 森勝治

    森勝治君 大臣、私の申し上げたのは、今後の展望ということではなくして、どうして募集成績が落ちたのか、その原因は那辺にあるかという御質問を申し上げたわけですから、その点ひとつ、これはむしろ大臣というよりも所管の局長がいいでしょうね、野田さんひとつお答えをいただきたい。
  129. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、やはり第一点としましては、国民保険に対する購買の態度が変わってきた、物価上昇その他いろいろな経済変動がございますが、これについていままでどちらかといいますと比較的安易に保険に入っておった。これは民間保険も簡易保険も同様でありますが、そういう国民の購買態度の変化といいますか高度化、これが第一点だろうと思います。  第二点といたしましては、私どものこの保険の営業の成績というものは収入保険料の高でいっております。したがいまして最近の国民保険需要の動向といたしまして、比較的保険料が安くて保険金額の高い、保障額の高い、たとえば定期保険がついております養老保険あるいは定期保険そのものというように、保障額は相当高いのでありますが、比較的保険料が低廉であるという方向に指向をいたしております。したがいまして件数なりあるいは保険金額の上昇に比べまして新規契約として入ってきます保険料が少ないということ。  第三点といたしましては、この三、四年来、いろいろ国会におきましても御指摘を受けております、簡易保険の募集にからまります問題がいろいろ世論の批判を浴びております。そういう点にこたえまして、われわれいずれにいたしましても保険というものが信用を基盤といたしておりますし、特に国営の保険であります簡易保険としましてはやはり品位といいますか、あるいは節度ということを重んじるということから、われわれといたしましては相当外野の整備に力を入れ、あるいはその手綱を引き締めておる、こういう形で、言うなれば適正化の措置がその途上にあるということから、先生御指摘のような募集の伸び悩みということがいまあらわれてきておる、このように考えております。
  130. 森勝治

    森勝治君 大臣が先ほどお答えになったのは、これからの簡保事業の経営というものはいかにあるべきかという問題についてのお話だろうと思うのであります。  この簡保事業のあり方については、大臣が先ほどおっしゃったのは保険料を引き下げてというおことばも構想の中におありの模様でありますが、大蔵省では、先般、最近の社会経済事情の急変に伴う保険制度及び保険行政のあり方については保険審議会に諮問をされておるということであります。簡保事業といたしましても、消費者意識の高まり、資本の自由化等による外国生命保険会社の進出等を見ますと、経営の弾力化に伴うこれら民間保険事業界の競争の激化や農協共済等の積極的な活動などを見てみますと、簡保事業の前途というものは必ずしもたんたんたる道でなくして、極度にというのはどうかと思うのでありますが、極度に環境がきびしくなってきたように思うわけであります。  したがって、その急場を切り抜けると申しましょうか、これからの問題ということで保険料を下げるというお話等のもろもろの構想を打ち出されている模様でありますけれども、むしろ保険料を引き下げるという問題は、これは三月二十八日の参議院の大蔵委員会におきまして、わが党委員の質問に田中総理が答えられまして、簡易保険が使用している生命表は最近における平均寿命の伸びに伴い実情に沿わないため新生命表を適用させて保険料を引き下げる、こう言明されたものを受けての御発言ではなかろうかと思う。もっともあるいはそういうことを総理に郵政大臣からささやかれて大蔵委員会における総理の御答弁に相なっただろうと思うのでありますけれども、それは失敬でありますが総理の思いつきではなくして、郵政省としてかねてからそういうことをお考えになり、この郵政省の考え方を総理に進言し、総理の口から政府としてこういう施策を打ち出すということにおなりになったのでしょうか、そのことが一点であります。  それから、いま総理の発言について私は発言の内容を一部引例して申し上げましたが、この簡易保険において現在使用されております生命表は何年何月中の死亡状況に基づいて作成されたものであるか、また新しい生命表の採用についてはどういうふうに現在事務が運ばれておりますか、この点をお伺いしたい。  前段は大臣から、後段は担当局長からお答えをいただきたい。
  131. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 御指摘のように、たいへん環境が変化をしておりますので、これに対応するために私どもは事業運営につきまして種々の努力を払ってまいりたいと存じております。先ほど保険審議会の話も出ましたが、私どもも郵政審議会への諮問等も検討いたしておるところでございます。  なお、お尋ねの田中総理の保険料に関しましての答弁は、郵政当局が常にこれらの問題について答弁をいたしておりますことにからみまして、今後の対応策としてとっておりますことを総理のお口から御答弁をいたしたのでございまして、詳細につきましては局長から答弁をいたします。
  132. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 現在、簡易生命保険が採用いたしております生命表は第十二回生命表というものでございまして、昭和四十年の国勢調査の結果に基づきまして昭和四十四年に厚生省から発表せられ、それを簡易保険といたしましては直ちに採用をいたしました。これが現在に及んでおります。  ところで、四十五年にまた国勢調査、これは一番最近の国勢調査が行なわれたのでございますが、これに基づきます第十三回生命表が近く発表の予定でございます。昨年後半の状況でございますと十二月ごろに発表されるのではないかという情報をわれわれ入手いたしておりましたけれども、厚生省のほうの諸般の都合等によりまして現在に至るまでこの十三回生命表が発表になっておりません。われわれといたしましては、諸般の準備を整えまして、この十三回生命表の発表を待ちまして、直ちにこの最新の生命表によります保険料の計算というようなものに着手をいたしまして保険料の引き下げに資したい、このように考えておる次第でございます。
  133. 森勝治

    森勝治君 本年度の予算概算要求にあたって、大蔵折衝の段階で、簡易保険加入者福祉増進のために、新しい構想、新しい施策として加入者に対する住宅ローンの制度を導入するという構想を発表され、これは新聞にも報道をされたところでありますが、その内容をお聞かせ願うとともに、どうも郵政省がこうしてアドバルーンを上げますと一発で実施になったことはない、大蔵省という関所のせいかもしれませんけれども。この住宅ローンの制度、構想発表も途中で立ち消えになってしまったんでありますが、これは大蔵省が反対したからそれまでよと言われたんじゃ私のほうの質問もそれまでになるわけでありますけれども、ひとつその辺のいきさつをお聞かせを願っておきたいと思うのです。
  134. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 御指摘の加入者住宅融資制度の内容から申し上げたいと思いますが、この融資制度の構想でございますが、これは簡易保険資金をまず簡易保険郵便年金福祉事業団に融資をいたしまして、この事業団が金融機関を通じまして加入者に貸し付けることが一つ。  第二点といたしまして、四十九年度の融資原資は二百億ということを予算要求をいたしました。五十年度以降は需要状況を見ながら融資額を決定する。  三点としまして、貸し付け対象者は簡易保険の契約者。貸し付けを受けられる資金といたしましては、住宅建設もしくは分譲住宅等を購入する場合に必要な資金、増改築をする場合にはまたその増改築に必要な資金。貸し付け金額は五十万円以上三百万円以内。  事業団を通じまして融資をする関係上、事業団に対して貸し付けします場合の融資は年六分七厘五毛、これは当時の金利で六分七厘五毛ということを考えたわけでございますが、加入者に対する貸し付け利率は平均年七分四厘五毛程度ということで考えました。〇・七%の利ざやというもので事業団がいろいろ事務費に充てる。足りない分は交付金というようなことを一応構想いたしておりました。償還期間は二十五年以内、方法としましては月賦元利均等償還。こういう構想がわれわれが考えました加入者に対します住宅ローンの構想でございます。  ところが、こういう案をもちまして折衝を開始しました後におきましていろいろ問題があったのでありますが、一点といたしましては、勤労者財産形成貯蓄制度への簡易保険の参入との関連の問題が起こってまいりました。この勤労者財産形成貯蓄制度、これも一応の目玉としては住宅ということに指向をいたしておる点が第一点。  第二点としまして、政府の金融引き締め政策下において新たに融資制度を創設することの困難性ということが起こってきました。  第三点としまして、昨今の非常に著しい地価の高騰、物価上昇によって、資金の融資を受けましても実際に土地を入手し建物を建設することがきわめて困難な情勢下にある。特にこれは建設省等が主張をいたしたのでありますが、土地なり資材というようなことがむしろ問題であって、最近は金利とかいうことはむしろ次元としてはうしろに下がってきておるのではないかというようなことでございました。  以上申し上げましたようなきわめて困難な情勢下で、検討すべき問題が非常に含まれておったということが本質的な問題でありますが、そのほかに関係省庁との折衝につきましては、いま御指摘の大蔵省の問題もございましたけれども、一応窓口といたしまして住宅行政は建設省がやっておりますが、建設省の基本的な態度としましては、国が行なう住宅融資制度は住宅金融公庫を単一の機関として、その機能を拡充強化することによって貸し付けのコストダウン、良質住宅の確保等をはかることが一番望ましいわけであって、新たに別個の実施機関を設けることについては住宅政策の一元化の観点からも問題があるというふうに建設省からの基本的な難点があったわけであります。  確かに住宅金融公庫のワクを七百万円にふやすとか、建設省自体いろいろ案を持っておったのでありますが、金利の問題にいたしましても、確かに住宅金融公庫から貸し付けを受ける場合に比べてわれわれの住宅ローンの金利というものが比較的高いというようなこと。これは個別的な主管省、主務省との関係の折衝の模様でございます。  以上のような点から、予算編成時までには調整が不調になりまして、創設するに至りませんでしたが、現在におきましても、なお、われわれといたしましては検討を進めておる状況でございます。
  135. 森勝治

    森勝治君 次に、保険料の払い込み団体についてお伺いしたいのです。  払い込み団体のあり方については先般もお伺いをしたところでありますが、この団体払い込み制度の取り扱いの適正化については、すでに地方郵政局長に対ししばしば通達を出すなどして指導をしておられる模様でありますが、その指導をした結果、どういう効果が生まれたか、いわゆるどういう効果があったという御理解をお持ちなのか、さっぱり収穫がなかったということなのか、その辺をお伺いしたいんです。  また、団体払い込み制度の適正化に乗り出す前と比べまして、現在の払い込み団体の組数及び加入契約数はどのように移り変わってきたか、このことをひとつお伺いをしたい。
  136. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 御指摘の保険料払い込み団体制度の取り扱いの適正化につきまして、二つの点から申し上げたいと思います。一つは新規組成の場合の取り扱い、新しく団体をつくる場合の取り扱いと、もう一つは既存の団体の適正化の指導でございます。  新規につくります場合につきましては、ことしの一月から保険約款を改正いたしまして、すべての払い込み団体につきまして団体運営に関する事項を記載した書類の提出を求める。郵政局または郵便局で事前に承認制をとる、このようなふうにいたしまして、いずれにいたしましても不適正な団体を新たに組成することを十分に防ぎ得た、このように考えております。これはしかし四十九年の一月にそういうことの措置をしたわけであります。  なお、すでにできております団体の規制につきましては、規約の整備、資金の監査等の改善措置をいたしますと同時に、総点検を行ないまして、適切を欠くものについては直ちに是正措置を講ずるというようなことでの適正化を推進いたしておるのであります。しかし、いずれにしましてもすでにできてしまいました、われわれリベート団体と言っておりますが、現金、商品券、品物等の交付だけを目的とする、要するにあまり団体性のない団体につきましては追加加入をきびしく禁止をいたしております。あるいは廃止、さらにはこれをほんとうの団体に改組するように指導をいたしておりますが、いかさますでにできております団体の既得権との関連等で相当難航をいたしておりますが、これを長期の目で見ました場合、新しく追加の加入ということの禁止を徹底させていこうとしておりますし、相当の実効があがってきておるのではないか、このように考えております。  第二点目に御指摘の団体の適正化に関する措置前と措置後の組数、件数等の比較でございますが、払い込み団体の適正化につきましても数回の段階的な規制通達といいますか適正化通達を出しておりますが、四十五年の十二月に一応着手をいたしまして、四十八年の十二月までをとってみました場合に、団体の組数といたしましては、四十五年の後半を一〇〇といたしました場合に一三%ふえまして一一三%を示しております。件数といたしましては、同時期におきまして三〇%の件数増になっております。
  137. 森勝治

    森勝治君 この前も質問をしたと思うんでありますが、事故を起こした払い込み団体のその後の措置はどうなっていますか。
  138. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 先生がただいま御指摘の事故を起こした団体ということで、これはあるいは私の早とちりかともおそれるわけでありますが、東京都内で起こりました集金を業とする営利会社が、これは都信用という会社でございますが、東京都内の十数局の郵便局の旅行団体の集金及びその取りまとめ払い込みを行なっておりました保険料を横流しした事件がございました。  これにつきましては、当時、債権の確保ということ、むしろそれより先に加入者といいますか保険契約者には絶対に迷惑をかけないということを第一にし、そのために債権保全につとめたのでありますが、現在までのところ、この回収の状況につきましては必ずしもかんばしくございませんで、一部債務者の月賦の返済等によりまして約六百五十万円程度の返済があっただけでございます。  今後の措置といたしまして、われわれの基本的な態度といたしましては、専門の法律家に依頼をいたしまして、これらの責任者を法的に追及する措置に出ようということで目下準備を進めておりまして、近々告発の手続がとれる。非常に数多くの契約また数多くの関係者がおります関係上、債権債務の確定なり事実関係調査等が長引きまして今日に至ったのでありますが、そういう手続によってこの都信用なる会社の責任者は追及をしていきたい、このように考えております。
  139. 森勝治

    森勝治君 もちろん事故を起こした会社はほかにもあるけれども、一例をあげられたからそのことについて触れますけれども、いま依然として保険募集、払い込み等を続けさしておるんですか、それは権利停止なのですか、そのことが一点。  それから加入者に損害をかけないと言っておられるけれども、法に訴えてもその代行会社か団体かがそれを弁済できないときには、その加入者の権利というものはどうなるのですか。
  140. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 当該営利会社につきましては、昨年の八月に集金業務を停止させ、郵政大臣が監督いたします財団法人の簡易保険加入者協会がこの集金及び取りまとめ払い込みの業務を引き継ぐことにいたしました。これが第一点であります。  第二点といたしまして、契約者保護の観点から、まずこの契約は契約者の責任が全然ないわけでございますので、簡易保険加入者協会におきまして、都信用がその団体代表者から委託を受けましたときと同じ条件、といいますのは、七%の手数料のうちの二%を集金費に充てておったわけでありますが、現在、簡易保険加入者協会がこの二%の集金費をいただく、あとの五%は当然加入者に返すわけでありますが、その二%の中から浮かしました金をもちまして欠損の補てんということを行なっておるわけでございます。
  141. 森勝治

    森勝治君 そうしますと加入者保護については万全を期しておる、こういうことですね、加入者には関係ないということですね。
  142. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 加入者には絶対に迷惑をかけないようにいたしております、またそのように進んでおります。
  143. 森勝治

    森勝治君 それでは次の問題に移りますが、少ない額の簡易保険郵便年金についてお伺いをしたいんです。  今日、このインフレの高進によりまして小額の簡易保険契約及び郵便年金契約は全く保障価値というものを失っておるわけです。しかし、せっかく加入されたいわゆる加入者利益のためにも簡易保険の合理化という見地からも、このような小額の契約をいつまでも放置しておいてよいかというと必ずしもそうではなかろうと思うのであります。したがって大臣といたしましては、これら小額の簡保及び年金契約をこれからどのように措置されていかれるのか、この点ひとつお伺いいたしたいと思います。
  144. 原田憲

    国務大臣原田憲君) お説のごとく、郵便年金制度は、社会経済事情の変動と社会保障制度の拡充に伴い、その存在意義が薄れ、国民需要も激減しておりますので、現在は、新しい契約の募集を停止しておりますが、国民需要に沿う新種年金の創設を含め、目下、郵便年金制度を全面的に再検討しているところでございます。  また検討の結果、もし郵便年金制度を廃止することとなりました場合には、既存の年金契約につきましては、加入者の置かれた事情を十分考えて、去る昭和四十三年一月から二年間にわたり実施した、昭和二十二年以前の小額年金契約に対する特別措置の例を参考として、できるだけ加入者に有利になる方法でその整理ができるようにしたいと考えております。  また小額の簡易保険の整理につきましては、小額の簡易保険保険契約の整理について、できるだけ早い機会加入者に有利となるような方法でこれを整理したいと考えて、具体的内容、実施の時期、対象契約等について鋭意検討を重ねているところでございます。
  145. 森勝治

    森勝治君 割増金付の簡易保険の発売の問題についてお伺いをしたいのでありますが、今回の法改正によりまして割増金付簡易保険、いわゆる宝くじ的保険を発売しようと計画なさっておる模様でありますが、その内容はどういうものか、ひとつ御説明をお願いしたい。
  146. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 現在考えております割増金付簡易保険の内容について申し上げたいと思います。  この具体的内容につきましては保険約款で定めるわけであります。この取り扱いの対象になります保険種類は、全期間払い込みの十年満期養老保険でございます。一口の保険金額は五十万円。くじ引き票の交付は一口の保険金額につき一枚交付をいたします。したがいまして百万円の保険金額の契約の場合には二枚のくじ引き票が交付せられる、こういうことになります。一組の口数につきましては一万口であります。  割り増し金の金額と当せん数について申し上げますと、割り増し金の金額で一等五百万円が一本、二等百万円が二本、三等十万円が十本、四等一万円が二百本、五等五千円が二千本でありまして、一万本の一組につきまして二千二百十三本の当たりくじができるわけでございます。抽せんの時期は、一応取り扱い期間を二カ月程度、これを年に六回あるいは五回というふうに繰り返して行なうつもりにしておりますけれども、この取り扱い期間終了後一年を経過した後に、それから一カ月以内に抽せんを行ないたい、このように考えております。抽せんが終わりまして二十日経過した後には、いつでもこの割り増し金が請求できる、こういうことにするわけであります。割り増し金の原資につきましては、将来支払うべき剰余金からこれを差し引く。  以上が大体内容でございます。
  147. 森勝治

    森勝治君 これは全く思いつきでおやりになったのですか、過去にこういうことをおやりになったことがありますか。
  148. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 実は、簡易保険といたしましては、過去一回、この割増金付の生命保険取り扱いを実施した例がございます。これは、昭和二十二年、当時の救国貯蓄運動に協力をいたしますために、募集施策の一環として奨励費を割り増し金の原資に充当いたしまして、今回のごとく特段の法律上の根拠もなくして実施をいたしました。  対象契約は昭和二十二年四月一日から同年の十二月末日までに加入したすべての契約といたしたのであります。保険金二千円ごとにくじ引き票一枚を交付いたしました。当たりくじは、十万口を一組にいたしまして、その一組について一等一万円が一本、二等五千円二本、三等千円三十本の当たりくじを設けました。経費といたしましては、当時三百二万五千円の経費を充当いたしました。当時、非常にインフレの高進下でありましたし、はたして正確な数字ということが言えるかどうかわからないのでありますが、実施いたしました結果は新契約高が飛躍的に増大をいたした、このような結果が残っております。
  149. 森勝治

    森勝治君 いま言われたように、なるほど昭和二十二年の四月一日からそういう方法でおやりになったそうでありますが、しかし、当時は、国民の射幸心につけ込んで貯金や保険を集めるというようなことは邪道である、そういうことでこの制度は廃止をされたのではないでしょうか。時移り星変わって、もう昭和四十九年度だからかまわない、当時は終戦の混乱時だからやったと言えば、ある程度それは当時の社会的背景を考えればやむを得ないと思惟されるかもしれませんが、当時ですらも非難がごうごうたるものであったわけですから、この悪評さくさくたるものをいまさら昭和四十九年の今日持ち出すというこの考え方がどこにあるのか。  当時は、おそらく、いまのお話でも法律上の根拠はなくて奨励費という名目でおやりになったわけでありますが、今度は、法律を改正してまでそれを復活しなければならぬ。当時の記録を見ても、何人もそれはよい制度だと言ってほめた人はないわけです。悪い悪い、いかがわしい募集方法だと言ってそしりか免れなかったわけですから、皆さんだってそれはもう知らぬはずはないのです。それをなぜ急にこういうことに踏み切ろうとされたのか、この点ひとつお答えをいただきたい。
  150. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これは、まあ大蔵大臣みずから狂乱の物価ということばを使いましたように、異常な物価高の最近の経済情勢にかんがみまして、総需要抑制策をやらなければならぬ、そういう一環として、また貯蓄増強をはかるために、民間の金融機関に割増金付貯蓄の取り扱いを認める割増金付貯蓄に関する臨時措置法が公布されております。  簡易保険といたしましても、こういう国の施策に相応じて、五十一年三月三十一日までの緊急かつ臨時の措置として、簡易生命保険割り増し金をつける取り扱いをすることができるようにしようと考えておるのでございまして、これを実施する場合には、対象とする保険種類は保険期間及び保険料払い込み期間を十年とする養老保険に限り、一口の保険金額を五十万円とし、割り増し金の最高位を五百万円に押えて、当せん率も五本に一本の割合とする等、御指摘のような、いたずらに国民の射幸心をあおることのないようにして、加入者に若干のくじ引きの楽しみを味わっていただいて、そして総需要抑制、貯蓄の増強という目的を達成したい、このように考えておるところでございます。
  151. 森勝治

    森勝治君 総需要を抑制したいということはわかりますけれども、かつて邪道であるといって指弾を買って廃止したものを、なぜいまごろ復活するかということを聞いているんです。そのことについてお答えがない。  ただ総需要抑制といったって、それは行政としてよくないといってやめたやつですからね。ですから、いまの大臣お答えだけではちょっと、その説得力ではまだ残念ながら——私の耳が遠くなったせいか、まだ私の耳まで届きませんから、もう少し具体的に——邪道でもやるのか、なりふりかまわずやるのか。この前も簡易保険の募集でつぶさに指摘いたしましたような、えげつない方法でもかまわないから、この際、金をかき集めてでもやるとおっしゃるのか、どうもその辺がき然としたところが見受けられない。財形貯蓄の問題もそうです。貯金の問題で申し上げましたが、郵便局という貯金の窓口がありながら、郵政省の職員をもって貯金は銀行に積みなさいということを奨励しているという、こういう姿を見ると、今度もまたかと、こう言わざるを得ないんでありますから、これはむしろ、大臣は確かに最高責任者でありますけれども、その辺のこまかいところは巧妙な野田さんの手先でおやりになったんだろうから、担当局長からひとついまの点を、大臣がお触れにならぬ、お答えにならなかった点をお答えいただきたい。
  152. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 昭和二十二年の例の際に申し上げたのでございますが、これは救国——国を救う貯蓄運動ということの一環で、これは全国的に民間の金融機関も簡易保険等も相一致して実施をいたしたのであります。民間でやりました際の根拠規定はたぶん臨時資金調整法だったと思いますが、簡易保険はくじ付の貯蓄は二十二年の年末にやめましたけれども、この臨時資金調整法も二十三年の四月七日に廃止されております。それ以降、民間等ではやはりこの割増金付の貯蓄というのが相当貯蓄奨励上、勧奨上効果があるというようなことから割増金附貯蓄の取扱に関する法律、これが二十三年の七月にできまして四十五年の六月まで存在をいたしておりました。それ以降、現実の理由というのは売れ行きが非常に悪くなったということが基本的な原因かと思いますが、この法律も廃止をせられております。  冒頭申し上げましたように、国を救う貯蓄運動ということでありましたけれども、今回の政府で考えました割増金付貯蓄に関する臨時措置法も、やはり何と申しますか、非常に緊急であり、かつ臨時の措置として時限的に二年間を限って行なう、こういう国の施策でございます。  簡易保険といたしましても、やはり二十二年の国を救う貯蓄運動の一環としてわれわれが行ないましたように、緊急であり、かつ臨時の措置といたしまして、本来的に生命保険がこういうくじというようなものになじむかどうかというような点についていろいろ御批判もあろうかと思いますが、先ほど申し上げましたこの臨時措置法にも生命保険が一応入っておりますし農協の生命共済も入っております。そういうところから国の営みます生命保険である簡易保険としましてもこれに協力をしていく、こういう基本的な姿勢でございます。
  153. 森勝治

    森勝治君 どうも本筋を曲げて、お答えになっておらぬのですよ。  民間がやろうとも、いわゆる農協がやろうとも民間の市中銀行がやろうとも、それは別の問題でしょう、企業としておやりになるのですから。国の業としてやることにはいたずらに射幸心をあおるというようなやり方はいけない、邪道だということで昭和二十二年の四月一日に行なわれた、奨励費の中から出したいま御説明あったような措置というのは間もなくおやめになったんですよ。売れ行きが悪くなったということは、射幸心をそそるようなことに国民がついていけなかった。当時の時代的背景を考えてごらんなさい、敗戦の後でしょう、まさに混迷の時期でしょう。なるほど救国ということばはなかなかうまい文句でありますけれども、そういうやり方は国としてあるべき姿でないというのが基本となってやめたわけですから、売れ行きが悪くなったからやめたという考え方、これは利潤追求をもってはなはだしと言わざるを得ないのです。売れれば何でもやるということは少なくとも官営事業で行なってはならぬのです。なぜならば、そこには、国がおやりになるわけですから、一定の節度というもの、常識というものさしによってはかり出してしかる後に行なわなければならぬわけですから、もうかれば何でもよいという利潤追求のみをもってするということは厳に慎んでもらわなければならぬわけであります。そのことについては何もお答えがないのです。大臣も担当局長もお答えがない。  しかし、昭和二十二年時代には、私が二度指摘しましたように、簡易保険事業としては邪道だというこの世のそしり、これは皆さんの先輩がなるほどとうなずかれておやめになったということは御承知のはずなのです。これだけはひとつ忘れないでもらいたいし、忘れた人は当時の記録を読んでいただきたい。もちろん、あなたのほうに言わせれば、森さんは反対の立場だからそういうふうにこじつけているとあなた方はおっしゃるかもしらぬ。何も私は一方的に自説を固持するためにこじつけを申し上げているんではないのです。  これ以上この問題についてここで論争しても、大臣も次官も、大臣に特に忠実な保険局長ですから、大臣のおっしゃるとおりに最優秀のオウムのように同じことをおっしゃるだろうからやはり禅問答になってしまいますから、このことはやめますけれども、どうぞそのことはひとつ私の指摘した点は忘れないでもらいたいし、そういうことについても再検討をしてもらいたいと思うのです。  そこで次の問題に移りますが、くじに当たった人に支払われる割り増し金というか、いわゆる賞金ですね、当せん金とでも申しましょうか、これはどういう性格のものですか。  一等当せんは五百万ですか、ところが五百万という当せん人に支払うこの金というものは、その原資はどこからくるのですか。打ち出の小づちはないでしょう、どこからか持ってこなければならぬでしょう、どこからくるのですか、この金は。
  154. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) この割増金付の簡易保険の場合の割り増し金の原資でございますが、これは加入者に対しまして負担となりませんようにする必要があるということ、また民間の割増金付貯蓄との均衡等というようなことを考えまして、特別の保険料を徴収することをいたしませんで、剰余金の一部をもちましてこの原資に充てたい、このように考えております。具体的に申し上げますと、大体一口当たりの保険料額の〇・五カ月分相当程度の原資で十分であろうか、このように考えております。  なお保険契約の失効というようなことによりまして還付金を支払う場合には、簡易保険としましては剰余金の分配をいたしておりませんので、割り増し金の原資に見合う金額を還付金から差し引くということにいたしておりまして、原資といたしましては、冒頭申し上げました剰余金と、剰余金がございません場合には還付金、これが原資に当たるわけでございます。
  155. 森勝治

    森勝治君 いまの局長お答えを聞きますと、くじ引きによる割り増し金の原資というのはいわゆる分配剰余ということであります。  といいますと、宝くじ付簡易保険のねらいというものは、本来ならば加入者に対して剰余金として分配すべきものをくじ引きの当せん者にだけ多額の賞金を支払うことによって保険の募集を強化し、いわゆる大臣も若干そういうことについてお述べになりました過剰流動性を吸収しようというものでありますから、まさにこれは国民の射幸心をあおるやり方でありまして、民営ならばいざ知らず、いやしくも国営事業としてはあるまじき措置であります。ことばをかえますならば、もうかるなれば何でも飛びつくという、先ほども指摘いたしましたが、そういうやり方であります。ことばをさらにかえますと、まさに節操のないしわざだ、こう断ぜざるを得ないのであります。  私のこの断定につきまして、大臣、御異存あらばひとつお答えをいただきたい。
  156. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 正直に言いますと、私は、あんまり奨励をして何でもかまわぬもうけたらよいというやり方については、金融機関、民間といえどもあまり正道ではないと、邪道とまでは言いませんけれども、正道とは思いませんが、こういう時期でございますから、先ほども言いましたように、これはあおりそそのかすということではない。ささやかな人間が持っております——射幸心というのは人間だけが持っている楽しみといいますか、よきほうに向けていきますと、これが世の中を決して悪くするばかりではないので、ささやかな気持ちを入れて、民間でやっておりますので、こちらもやはり同じような仕事をやっております関係でやりたいという気持ちも寄せられておるようでございましたので、このたび御提案を申し上げておるところでございまして、しかるがゆえに期限も臨時的にということで配慮し、またその他金額の点においても考慮し、はずれる人の少ないようにも考慮し、あらゆる点を考慮して御提案を申し上げておる、このように御理解を賜わりたいのでございます。  理解せよと言っても、森さんはこれは邪道だとおっしゃっておりますので、まことにそういう点からいたしますと申しわけないことでございますが、私どもはささやかなる国民の皆さん方に楽しみという面も加味して、総需要抑制という大きな目的を達成したいと思っておりますので、御了解を賜わりたいと存じます。
  157. 森勝治

    森勝治君 大臣お答えがどこまで正直なのか、正直に申し上げます、こうおっしゃると、いままでがみんなうそだったのか、外交辞令だったのかと、げすの勘ぐりをしたくなります。しかし郵政大臣は私どもにげすの勘ぐりを起こさせるような、そういう方ではないと思うのです。ですから、正直に申し上げますということばは心ならずもということばに置きかえてあなたのことばを拝聴したいと思うのです。もっとも拝聴はいたしません、反対ですから。賛成ならば拝聴ですが、ただあなたの御意見を確かに聞きました、聞いたけれども、なお私の心をひるがえすことはそれではできません。したがって私は愚見を交えていままで質問をしてきましたが、どうぞひとつこういうことは早く撤回をしてもらいたいのであります。  正直とおっしゃったことは、これ以上責めてくれるなということだろうと思って、私もそこは人がいいものですから、人がいいというよりも時間がありませんから、やむなく次の問題に移ります。  簡保の失効解約率は最近多少改善のきざしが見受けられる、こういう模様でありますが、最近数年間の失効解約率の推移をひとつ御説明いただきたい。これは保険局長でけっこうです。
  158. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 最近の失効解約状況について申し上げます。  契約維持というものが生命保険事業経営の非常に重要な課題であることは御高承のとおりでございます。簡易保険におきましては、契約維持の推進につきましては、毎年度保険料収入額による維持目標額を設定しまして、この目標の達成をはかっておるわけであります。この契約維持の基本は何と申しましても失効及び解約の防止でございます。  そこで四十三年度以降を申し上げますと、四十三年度は二・八六%、四十四年度が二・九二%、四十五年度が三・三二%、四十六年度が四・〇二%というふうに悪化の傾向にあったのでございますが、四十七年度におきましては、これが三・七〇%となりまして、前年の四・〇二%から最近五ヵ年間におきまして初めて改善のきざしが見えてまいりました。なお一そう改善につとめてまいりたいと思うのでございますが、四十八年度はまだ全部まとまっておりませんけれども、大体のところは四十七年度の三・七〇%よりもさらにいささかよくなっておる、こういう見通しに立っております。
  159. 森勝治

    森勝治君 いまお話がありましたが、失効解約率の移り変わりというものは保険募集活動の是非を判断するバロメーターでなかろうかと思うのです。いわゆる簡保の行き過ぎ募集について、われわれは当委員会においてしばしば指摘をし、その反省を促してきたところであります。マスコミ等からも簡保の行き過ぎ募集についてきびしい批判が浴びせられておりました当時は、失効解約率が急上昇をしたというふうにいわれております。私どもの指摘にこたえたのでありましょう、郵政省がそういうやり方を改めようという、すなわち反省のきざしが見え始めました昨年ごろからは、いわゆる改善のほうもそのきざしを見せてきたのであります。  しかし、せっかくこの改善のきざしを見せておるにもかかわらず、保険本来の目的から全くかけ離れた宝くじというえさ、この宝くじというえさによって国民大衆をつり上げようという、この募集活動というものが行なわれるとするならば、せっかく改善のきざしを見せた失効解約率がまたのぼってくる。改善のきざしを見せて解約が少なくなってきたのに射幸心をあおってこの案で推し進めますとまたもとに逆戻りしてしまう。しかもそのことによって国民大衆に大きな損失を与える、そういう結果になるように懸念されてなりません。私はそういうふうに考えるのであります。  禍根を残す、このことが一点、国民に損失をもたらす、これが二点、そういう気がしてならぬのでありますが、郵政省では、やはり先ほどのようにもうかるならば何でも飛びつくという、この節操なき簡保事業というものを推し進めていこうとされておるのかどうか、この点さらにまたあらためてお伺いをし直したいと思います。
  160. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 先ほど来、この割増金付保険の内容等につきまして申し上げておりますように、いたずらに射幸心を刺激してこの保険の募集に走る、こういうつもりは毛頭ございません。  たとえば当せんの本数、金額あるいはそのほかの諸般の取り扱い等につきましても十分配慮をいたしておるつもりでございます。さらに、この抽せんを行ないますのは、保険契約締結後一年経過後にこの抽せんが行なわれるということが一つでございますが、さらに加入に際しましてはこの割増金付の保険の趣旨を加入者に十分説明をするように指導の徹底をほんとうにはかっていきたい、このように考えております。そういうことによりまして、ただ割り増し金の取得だけを目的としてこれに加入するという方はほとんどおられないのではないか。まあただ普通の保険に入るほかに楽しみがいささかくっついておる、こういう程度でお入りいただけるのではないか、このように考えます。  したがいまして一年経過後におきまして抽せんが行なわれ、その結果くじにはずれた保険契約の場合におきましても、すでに一年間以上保険料を払い込みいただいておるわけでございまして、このことによりまして失効なりあるいは解約が急上昇いたしまして加入者の皆さん方に御迷惑をかけるというような事態は万々私ども予想いたしておりませんが、御指摘の趣旨もございますので、なお指導の徹底をはかっていきたい、このように考えております。
  161. 森勝治

    森勝治君 皆さんがどんなに美辞麗句を並べてこの案を強行されようとも、本来加入者剰余金として還元すべきものを還元しないで宝くじの賞金に充てておるということは、大臣や担当局長の先ほどのるる説明の中でも明快に判明したのであります。ですから今回郵政省が出されたこの宝くじ付保険というものは国民世論を代表するマスコミからもいわゆる歴史に残る貧困策だと酷評されておるところであります。  卸売り物価が三十数%、消費者物価が二十数%上昇という、先ほど大臣も大蔵大臣のことばで言われた狂乱物価のもとで、国民の汗の結晶である保険の実質価値というものは残念ながら日々確実に目減りをしておるわけであります。このインフレから国民大衆の簡易保険を守るための強力な施策というものこそ待たれるものであり、国民が最もこれを要求しているところであります。ところが、そういうことには耳をかさず、この宝くじ付保険というものは御説明があったように最高五百万円。しかし最高なので一等当せん五百万でありますが、これに当たる人は加入者の中で一万人に一人。万人といえどもわれ行かんという正義感の人は別だが、大多数の人はだだ配当金が減額される、それだけであります。ことばをかえますと、まさにこれはタコ配ということになりはしないでしょうか。したがって国民の貯蓄、加入者の貯蓄を保護するというこの考えからは全く逆行する今回の措置の提案だと指摘せざるを得ないんであります。  われわれは、この物価の非常事態に、これで国民が喜ぶとして得々としてこういうものを出してこられた、失敬でありますが、郵政当局の幹部の皆さん方の頭が何を考えておられるのか疑わざるを得ないのであります。何といたしましても、この異常な狂乱物価のもとで加入者保護すなわち国民の財産を守るためには、こういうやり方では守れるはずはないと思うのです。しかし、もうけるためには何をやってもよろしいという、そういう根性でこれをおやりになるならいざ知らず、わが国の郵政事業を率いて立たれておられる担当大臣、あなたは先ほどいみじくもおっしゃった、心ならずもというこのことばに私はかすかな期待をつないで、いまあなた方の翻意を促しながら私見を交えての質問をしているわけでありますが、狂乱物価の中で簡易保険というものに将来のしあわせ、福祉をこいねがって加入している多くの国民の皆さん方の期待にどうこたえ、財産をどう保護されようとされておるのか、所管大臣の考え方をひとつお聞かせいただきたい。
  162. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いまのお説の中にありましたように、将来のためをおもんぱかって掛け金を掛けてみずから保険するという方々にとって一番重大なことは、その金の値打ちがなくなるということでございます。いわゆるインフレというものが一番それに災いをするわけであります。したがいまして、これをなくするということが目的でございまして、値打ちのない通貨が多く出るということが一つの具体的な要因であります。したがいまして過剰流動性の吸収、総需要抑制という政策を実行するためにこの方向をとったということでございまして、異常なときであるだけにこのような策をとらしていただきたい、こういうことをお願い申し上げておるところでござまいす。  幸いに、今日、まあ物価上昇という傾向がやや安定という方向へ向いてきておると先般財政当局からも発表いたしておりますが、私どもはやはりインフレを抑制する、このことが保険事業の最大眼目である、こういうことから行なっておると、ひとつ御理解を賜わりたいのでございます。  いまのような状況下にありますと、せっかく保険に加入しておられる方々の資産が目減りして利益がそこなわれているということは確かに問題でございますので、既契約に対するところの対策といたしましては、積み立て金をできるだけ有利に運用いたしまして経営の効率の向上につとめまして、その利益剰余金の増額、保険料の引き下げあるいは福祉施設の拡充等によって加入者に環元できますように一そう努力してまいりたいと考えております。  また、今後の対策といたしましては、物価騰貴の影響をなるべく避ける方策として貯蓄部門のない定期保険、あるいはまた配当金で買い増しをする保険金の増額保険あるいは保険期間の短い貯蓄保険の開発等が考えられます。また積み立て金を株式中心に投資してその実績に応じて保険金を変額させる変額保険も考えられます。簡易保険といたしましては、この変額保険の創設には現在では資金運用面の制約がございます。また種々の困難性も伴いますが、こういう保険を含めまして、物価騰貴に対する加入者保護の対策について種々検討していきたいと考えておるような次第でございます。
  163. 森勝治

    森勝治君 このことについては、私どもは討論の時間を持ってもっと議論を深めたいと考えておりましたが、残念ながらその時間がございません。したがいまして私は最後に若干私の考え方を述べて質問を終わりにしたいと思います。  私は先ほどしばしばこの案に対する反対の意思表示をし、その内容をもっていま質疑応答をただいまの時間まで重ねてまいりました。すなわち、われわれはこの法案には反対であります。しかし当委員会の与野党の構成を見ましても、私の立場からいたしますならば、残念ながら与党の多数をもってこの法案は可決されるでありましょう。しかしながら先ほどもつぶさに指摘申し上げましたように、郵政省は国営事業としての簡易保険事業の品位を保持するためにも、この際は、いさぎよくこのような制度実施は取りやめてもらったほうがよいと思うのであります。  昭和二十二年の四月一日に行なわれた当時も、救国という美名のもとに隠れて実施いたしました当時も、射幸心をそそるということで国民の不評を買ってさっぱり売れなくなってしまったというこの前轍をまた踏もうとする今日のやり方というものには絶対に拍手や賛辞を送ることはできません。何といたしましても、この異常なインフレから国民の簡易保険を、いわゆる国民の財産を守るためにはもっと抜本的な施策の実現に全力をあげることが簡易保険に対する国民の信頼をつなぎとめることだと私は考えます。  私は以上の点を強く大臣はじめ関係の諸君に訴えて、私の質問を終わります。
  164. 山田徹一

    ○山田徹一君 私は、今回の簡易保険保険金の最高限度額を引き上げる、それが加入者に対する保障内容の充実をはかるためである、このような趣旨についての反対をするものではありませんけれども、この限度額を引き上げることがどうして加入者に対する保障内容の充実につながるのか、この関係性を説明してください。
  165. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 御承知のとおり、現在、簡易保険保険金最高制限額昭和四十七年五月以降三百万円になっておるのでございますが、これを今回五百万円に引き上げるようにお願いをいたしておるのであります。  私から申し上げるまでもございませんで、生命保険の機能としては一応保障の機能と貯蓄の機能、こういうふうに分けられるかと思います。現在の社会経済事情の推移等を見ます場合に、生命保険としての保障機能としては三百万円はそれほど十分ではないのではないかというふうにわれわれは判断をいたしております。そのほか全国の加入者からもこの保険金最高制限額引き上げるように強い要望が寄せられております。  簡易保険保険金最高制限額を一応理論的に分析した場合の考え方といたしましては、先ほど申し上げました保障機能といたしましては、被保険者が死亡した場合の最終医療費、葬祭費及び遺族の当分の間の生計費というものをわれわれ考えておるのでございますが、これが今回御提案申し上げております五百万円といたしましても、なお簡易保険だけでは十分ではなかろう、このように考えております。  さらに、そのほか満期の場合の老後の生活安定に必要な額というようなものを考えました場合でも、簡易保険といたしましては一応最低五百万円程度にまではぜひ引き上げていただきたい。また引き上げることによりましていわゆる生命保険の保障機能の充実をはかれる、このように考えておるわけでございます。
  166. 山田徹一

    ○山田徹一君 この最高限度額が引き上げられることになれば、それだけ掛け金も引き上がってくる。最近の団体払い込み金の事故発生の上から見て、掛け金が多くなれば一面それだけ被害額も多額になることが考えられる。そこで大事なことは、このような事故を未然に防止するということのほうが急務ではないか、このように思うわけです。  したがいまして最近起こっている払い込み事故の形態というものについて局長から説明していただきたい。
  167. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) いま御指摘の保険料払い込み団体にからまります事故、これは当国会でもいろいろ御指摘をいただいております。さらにマスコミ等からも批判を浴びておる部分が確かにあるわけでございます。  私ども年間新規契約として四百数十万件の契約を新たに獲得をいたしております。現在保有いたしております契約が約四千七百万件、四十九年度におきまして収納する予定保険料も一兆三千億をこえるかと思いますが、いま御指摘の保険料の払い込みの団体をめぐる事故という御指摘でございましたけれども、ほかの個別の払い込みの単独の取り扱いにつきましてもやはりいろいろ事故がございます。ただ、それに比べました場合、個別の保険の管理の場合よりも団体取り扱いといたしました場合のほうが失効なり解約の成績はいいわけでございます。ただ非常にかたまっておりますだけに一たん事故が起こりました場合に事故の金額が大きくなる、そういう事例はございます。  またもう一つは、いずれにしても団体には新しく入っていただく、あるいは新しく結成する、追加で加入していただく、こういうことがございますが、募集にからまるトラブルがその団体の管理なり何なりの事故としてつながる、こういうケースもございますけれども、いま御指摘の大体の傾向といたしましては、団体の組成にからまる事故及び集金をいたしました保険料に関する集金事故、集金しました保険料の管理に関する事故、それから旅行あるいは観劇という、要するにその団体の共通の目的のために積み立てます積み立て金の管理に関します事故、こういうものに大別できようかと思いますが、総体の取り扱い件数に比べまして非常にそういう件数が多いとか、特に最近それがふえてきておる、こういうふうにもわれわれは判断いたしていないわけであります。
  168. 山田徹一

    ○山田徹一君 そこで、加入者あるいは団体加入者保険料を払い込む、この払い込みの方法について法的に定められているものがあるはずですね。これはどういうものがございますか。
  169. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 一応、約款で規定をいたしておりますのは、団体は十五人以上の被保険者、しかも契約者が十五人以上ということになっておりますが、これを一団として代表者を定めて——これは約款にそれぞれ規定がございますが、「各基本契約を一団として保険料の併合払込をするものにあつては、保険料の払込について団体取扱の請求をすることができます。」この場合一定の方式がございます。「代表者一名を定め、その者において、保険契約申込書とともに団体取扱請求書を郵便局又はその派出局員に差し出して下さい。」「保険契約申込書に保険料払込方法及び払込場所の記入を要しません。」「第二項の請求書には、」「団体の名称」「代表者の住所」「保険料払込方法」——これには「集金人払込、郵便局窓口払込又は郵便振替振替払込」こういうものを記載いたしまして、代表者において記名捺印をいたしまして郵便局に差し出す、こういうことになっております。  なお個別の払い込みにつきましては、集金人に払い込む、あるいは払い込む場所の郵便局の窓口に払い込む、こういう方法もございますが、団体の払い込みにつきましては、いま申し上げましたような払い込み方法がございます。
  170. 山田徹一

    ○山田徹一君 いまおっしゃったことをまとめてみますと、払い込みに対しては、個人であれ団体であれ、一つは集金人が集金をする、払い込みを受ける。それから二つには、払い込み人が郵便局の窓口に届ける、契約者が。三番目は郵便振替によって払い込みができる。  こういう三種類になっておるわけでありますが、この三種類の形の中で、どの形が郵政省として理想とし、また推進しているのか、その辺を局長答弁してください。
  171. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 私ども、この保険料払い込み方法につきまして、特段の優先順位をつけておりませんけれども、最も普通の形というものが集金人払い込みでございまして、団体取り扱いをいたしました場合の割引というような特典はございますが、そのほかに集金人払い込みだから、あるいは窓口払い込みだから、あるいは振替払い込みだからということで、これに優先順位あるいは異なった取り扱いはいたしておりません。
  172. 山田徹一

    ○山田徹一君 集金人については、もともと保険に加入するということは外務員の勧誘によって加入するのであって、外務員以外の勧誘はないわけであります。したがって集金人が集金をする、これが保険事業のたてまえとして最も多いあり方だということですね。  そこで払い込み事故が起きて、直接被害を受けるのはだれかといえば加入者でありますね。その加入者の保護あるいは保障の責任というものを一切国が持ってくれるというところに庶民の保険であるこの簡易保険が生きているわけであります。そうして集金人の事故があった場合、あるいはその他の方法で事故があった場合、これに対しての加入者への保障というものは、たとえどうあろうと郵政省が責任を持つ、こうあってもらいたいと思うんですけれども、その点はどうですか。
  173. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 基本的に申し上げますと、払い込み団体と集金人との間の法律関係というのは、本来的に団体内部の問題で、その態様というものは払い込み団体によっていろいろ異なる事情もあろうかと思うのでありますが、一般的には団体代表者とそれから集金人との間の委任契約、これに基づいて団体代表者の行なうべき払い込み団体に関する事務のうち、保険料の集金に関する事務を集金人に委託する、このように考えておるのであります。  ただ、いずれにいたしましても保険料の集金が行なわれ、これが郵便局にまとまって払い込まれて初めて払い込みとしての効力を生ずることになっておるわけであります。したがって、その払い込みが行なわれる前に事故が生じた場合の責任というのは、先ほどの基本論から申し上げまして、団体内で当然に処理すべき問題と、このように考えておるのであります。  しかし実際に事故が起こった場合には、先ほど御指摘のように、加入者に損害が起きるということだけでなくて、簡易保険といたしましても国の信用にもかかわることになるわけでございますので、集金人には身元確実な者を充てるというふうに、まず事故の防止措置を講ずる、あるいは万一の場合に備えて集金人にたとえば盗難保険というようなものを掛けておくとか、いろいろな事前の予防措置があろうかと思うのでございますが、いずれにいたしましても基本論といたしましては、そういう身元確実な者を国のほうにおきましてあっせんをするとか、あるいは盗難保険を掛けるように指導をいたすというようなことはわれわれ当然やらなければいかぬし、また現実にやっておるわけでございます。ただ、たてまえ論といたしましては、やはり団体内部でそういう点まで十分規制をしてやっていただく、こういうことが筋かと思うのでございます。     —————————————
  174. 川村清一

    委員長川村清一君) 委員異動について御報告いたします。  本日、白井勇君が委員辞任され、その補欠として寺下岩蔵君が選任されました。     —————————————
  175. 山田徹一

    ○山田徹一君 この保険法の中で、契約の無効あるいは失効について第二十六条から二十八条までございますけれども、これを要約してみれば、一つは被保険者の詐欺による保険契約であった場合、二つには保険申し込み当時すでに保険事故の生じたことを知っているとき——これは郵政省側、国側です。三番目には保険契約者が保険料を払い込まないで約款の定める払い込み猶予期間を経過したとき、この三つしかうたわれていないわけですね。  そこで、いま局長がおっしゃった被保険者の詐欺による保険契約、これは被保険者の側で当然失効あるいは無効になるでしょう。しかし集金人が事故を起こした、集金人が着服した、流用したというような場合は、これは保険申し込み当時すでに保険事故の生じたことを知っているときという、この国の側の責任になってくる。それから猶予期間を経過しても払い込みがなかった、そのために失効になったという分について、ここにこの団体保険の事故問題に関連が出てくるはずです。  そこで、この団体というものの保険料の払い込みについては、約款第五十四条に「団体の取扱を受ける団体の保険料は、代表者において、これを取りまとめて払い込んで下さい。」代表者において取りまとめるということが明らかにされてある。かりにこの代表者が事故を起こした場合、加入者は一切信頼をして、しかも契約は国と契約をしておるのであります。このときの加入者は被害をこうむったわけでありますね。この被害に対する責任は、代表者が納めてないからおれは知らぬぞと政府は逃げるわけですか。その点はっきりしてください。
  176. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) この団体の保険料が、代表者ならば代表者において取りまとめが行なわれたといたしましても、これが郵便局の窓口に払い込まれません限り、保険料の払い込みがあったというふうには国としてはやはり認めるわけにはいかない、こういうことでございます。
  177. 山田徹一

    ○山田徹一君 そうなりますと、この保険法の第一条に「簡易に利用できる」と、いいですか、簡易に利用できる、これがいまの団体保険のシステムになっておるわけです、簡易なんです。しかも「確実な経営により、」−加入者が被害をこうむるおそれのあるようなそれが「確実な経営」ですか。責任持たぬ。保険に加入した人にどこに責任があるんですか。  失効、無効の法律的な一にも該当はしませんですよ、加入者に一つも故意はございませんよ。加入者は国と契約しているんですよ、代表者と契約しているんじゃありませんよ。代表者の承認、代表者であることを認めたのは国じゃありませんか、その認めた代表者が事故を起こした、被害をこうむったのは加入者、おれは知らぬぞというわけにはいかぬでしょう。この点どうですか、責任を持つべきだと思う。  そこにはじめてこの「簡易に利用できる生命保険」で、しかも国は「営利を目的としない」というたてまえから、国民の福祉をはかるために行なわれる保険じゃありませんか。それを信じて加入した、その加入者には何ら罪がない。しかもその代表あるいは集金人が金銭的なごまかしをやった、そのためにこうむったものは払い込みがないんだからおれは知らぬと、これでは全く営利事業じゃありませんか。  そういうことがあったとしても郵政省は責任を持ちますよ、どうぞ安心して加入してくださいよというところにほんとうのこの法の生きた姿勢があるのじゃないでしょうか。法にうたわれている局長の権限としてそういう姿勢であるべきだと思いますが、どうですか。
  178. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 先生のおっしゃいますほんとうの意味が私つかめておるかどうかわかりませんけれども、この団体の一番本来の姿というのは私職域の団体だと思うのでありますが、給与の支払い者が一定をいたしておる、給与の担当者が毎月の月給なり俸給から簡易生命保険保険料を控除する。これは当然団体取り扱いでございますから割引をいたすわけでありますが、その保険料をその給与を担当しております職員がもし持ち逃げをした場合、これを簡易保険といいますか国が責任を持ったらどうだということを先生がおっしゃっておるというふうには私理解をしないわけでございまして、ただ団体につきましても確かにいろいろ団体がございます。  いま申し上げましたような職域団体で給与の支払い者が同じである、しかもほんとうの意味での職場をともにしておる団体、あるいはこの約款に例示をしております官公署、学校、事務所、工場というような団体がございますが、そのほかに確かにいろいろな団体がございます。先生が指摘をせられておるのはそういう官公署なり学校なり工場、事務所というようなものでない団体のことを言っておられるかと思うのでありまして、こういう団体の場合の集金をする人あるいは代表者が持ち逃げをしたとしましても、やはりこれは国は責任を負い得ない、これははっきりしておると思いますが、そのほかいろいろな団体につきましての問題で、各団体のできます態様なりあるいは運営のあり方——あり方といいますか態様、これは千差万別だと思うのでございます。  いずれにいたしましても団体というものの基本的なあり方というのは、冒頭申し上げましたように、やはり団体内部で自律的に規律をしていただくことでありまして、やはり信頼に値する人を代表者に選ぶべきである。かつ、もし集金人をその代表者が委任をする場合には、その集金人についてはやはり身元の確実な人であり、また何か事故があった場合については責任が負えるような保険とかそういう措置を講ずべきであろう、このように思うのでありますが、私が申し上げておりますのは標準的な団体について申し上げておるわけでありまして、この団体のでき方いかんによってはやはりいろいろ問題もあろうかと思います。
  179. 山田徹一

    ○山田徹一君 私は、どの団体がいいとか悪いとか、そういうことでお尋ねしているわけじゃないのです、筋論を話しているのです。  現実には数多くのいろいろな団体の申し込みがありますが、起きている問題は、代表者が取りまとめて、ほんとうに集金人に渡しているという形が正常なわけですよ、そういう法になっているわけです。ところが、その間に先ほどのような任意の会社をつくったりして、あるいは協会ができたりして、取りまとめる仕事まで代行して、そうして払い込みをやっている例のほうが多いわけですよ。代表者というのは名前だけです。そういう姿を黙認して、そうしなければ取りまとめられないような団体をも黙認して、保険額を上げるためにか契約をたくさん取るためにかもしれぬが、そういうふうな姿勢がこれはどこの責任かといえば、純真な末端の加入者じゃないですよ、国のやり方ですよ、これは。郵政省のやり方ですよ。そこを黙認しておいて、事故が起きた、それはおれは知らない、そんなばかな簡易生命保険法じゃないと私は思うんです。  そこで、たとえどんなことがあっても加入者の被害は責任を持つ。そして集金の代行をやった連中の悪質な者に対して、先ほど話しておられたように、訴えようが逮捕しようがどうしようが、それは国のやることですよ、加入者には関係ない。加入者は被害をこうむって生活不安におちいるんじゃありませんか、損害を受けるのは加入者じゃありませんか。その加入者は守るぞというところにほんとうのこの保険の意義があるんじゃないですか。そうなったら国で責任を持つべきである。先ほども都信用ですか、あれは一億でしたか、一億からの持ち逃げだ、それに対して加入している人たちの分は責任持ちますと、こうあんたはおっしゃった、先ほどの答弁で、そうでしょう。ところが、そういう額でない小さい分は責任を持たない、そんなばかなことがありますか。すべてに持つべきだと私は思う。そのかわり、そういう事故の起こらないようにするためには、この約款にきめられているとおりの外務員の勧誘、団体の加盟、こういう受け方を厳重にする以外にこの防止はできないと思いますよ。いかがでしょうか。
  180. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 先生のおっしゃいます本人の責めに帰し得ない事由によって加入者なり何なりが損害をこうむる、こういうことの絶対にないように私ども今後やっていきたい、このように考えております。  したがいまして先生がおっしゃっております国の責任という形、意味につきまして私どもこういうふうに理解したいわけでありますが、ただ法的にこれは当然国の責任だからといいましても、団体の代表者は国の職員でもありませんし、また国の監督にも服していないわけでありますから、ただ責任だけを負うという、そういう意味の法的な問題としてでなく、ただ団体に所属しております簡易保険加入者については損害がないように国としてできるだけの手を尽くしていきたい、そういう意味での責任を果たしていきたい、こういうふうに考えます。
  181. 山田徹一

    ○山田徹一君 それで団体の代表者が取りまとめをしないで、そしていま加入者協会ができて、加入者協会の職員がその取りまとめもやっている、かわりをやっている、そういう姿では団体の代表者が云々というこの条文に空文になってしまう、そんなことを許しておれば。許しておれば空文じゃありませんか、なぞそこのところを厳格にやらないんですか。そうすれば事故もなくなってくる。そういうあやふやな代表者が自分の名前だけを出して引き受けられない、それをも団体として認める、その姿勢が問題じゃないですか。この法のとおりやればいいんじゃないですか、そうすれば責任は持てるんじゃないでしょうか。  都信用、あれは個人の会社である、協会は今度は郵政省の認可した公益法人ですよ。その認可した公益法人が集金事務を営業とする、そういう内容になっておる。それは認めているわけでしょう、おたくのほうは。認めているということは直接ではないにしてみてもつながりの十分かたい集金人にかわりはないですよ、認可しているんですから、認めているんですから。代表者でやるべきものをやらなくて、こちらのほうでやらせる、協会のほうでやらせることを認めているんですから、その責任というものは郵政省にあるんじゃありませんか。それで起こった事故はどうなるんですか、加入者に対する責任は持ってくれますか。
  182. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 先生のおっしゃいます質問の趣旨があるいはよくわかっていないかもしれないんですが、私ども、この法律なり法律に基づきます約款の趣旨に従って現在保険料払い込み団体の組成なり運営を規制し適正化していっておると思いますが、非常に行き過ぎたりいろいろしました団体の組成なりあるいは管理等を本来あるべき姿に戻そうということで、四十五年ごろ以来、いろいろ御指摘を受けておる点について改善を加えて、まだ決して十分ではありませんし、いろいろ問題点も残っておろうかと思いますが、そういう形で運営をしてきておるわけであります。ただ団体の代表者が集金等をほかの人に委託をしてはいけないとい形の規制のしかたもできないと思います。また百人なら百人程度の団体が千人なら千人ぐらいの団体に連合体をつくって何か一緒に行事をやろうかということも、むしろ規制するより歓迎してもいい場合もあろうかと思います。  いずれにしても、問題は、たとえば集金人について、あるいは郵便局に対する払い込みについて、あるいは積み立て金の管理なり行事の企画、実施等について、最終的には簡易保険のこの契約にいろんなトラブルが起こらないように、加入者に迷惑にならないように措置をしていけばいいのではないかと思いますし、特に簡易保険加入者協会が受託しております団体の集金なり何なりについて、先生が御指摘のようなそれほどいろいろなトラブルが起こっており、非常に不都合であるというようなふうにも私どもいまの時点では理解をいたしておりません。
  183. 山田徹一

    ○山田徹一君 時間も限られておりますので、この問題はもっと話をしてやってみたいと思います。  しかし、いずれにしてもこの行き過ぎがあった。こういう払い込みに事故が起きるということは四十五年に塩出議員から指摘された当時はまだなかった、表てに出てなかった。ところがとうとう起きちゃった。そうすると四十五年に指摘したことをすなおに受けて——勧誘に対する無理な増強、こういうことは一度も指示したことはないのか。こういうところを心配するわけですが、ありませんか。
  184. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) いろいろな見方なり御批判はあろうかと思いますけれども、私ども、現在のこの機構なり定員なり予算の中でいろんな問題をかかえながら、簡易保険の一、二年は少し下り坂になっておりますが、四、五年間の経営の状態というのはまずまずじゃなかろうか、このように考えております。
  185. 山田徹一

    ○山田徹一君 あのね、少しダウンしているがだいじょうぶと、そうはいかないと思うんです。  聞くところによると外務員の自粛を呼びかけたということも聞いておりますけれども、ここに私の手元にあるのを読んでみましょうか、これは四十六年五月ですよ、三年ほど前。その中の一端を読んでみますよ。  「団体件数率は、普通局二三・六%、特定局一四・六%——中略——の進捗状況であり、このままでは、上記指標に達することは、きわめて困難であると思われます。つきましては、これらの状況を十分に考慮され、組成および追加加入について、今後の推進予定件数等を再検討いただき、この消化に格段の努力を払われますようお願い申し上げます。」そして「保険料団体払込制度の趣旨を逸脱し、これが運営上問題を生じるような払込団体の組成は行なわないよう、特に注意されるとともに、下記各項を参考とし、」職員へきめこまかい指導をしてほしい。そこで「常に加入者に対し」「払込団体の組成はもうだめだと最初から決め込んではいないか。」ずっと飛ばして「周知の徹底を行なえば、団体払込制度の利点、特色から、住民の連帯感等とは無関係に組成の促進は可能と考えられますから、常に団体払込制度のPRに努め、払込団体組成の基盤を培養する」というように——次にまだまだありますよ「母体となる組織の幹部に対する接触は十分か。」とか、こういう通達が出ているんです。  あおっているんですよ、これ。事故の起きるもとでしょう。不十分な、代表者の資格もないような、名前だけ出しておけばいいというような形を自然につくらせるような推進ぶりになっているんですよ。そこに問題が起きていることも一つの事実です。これらは一切この約款あるいは法をほんとうに守りさえすれば私は事故は未然に防げると思うんですよ。そういう点にどうかひとつ十分心してやってもらいたいと思います。  いまの国の責任という問題については、どうしてもそうあるべき形だと思いますし、今後も論じていきたいと思います。  次に、森議員からもこの割り増し金保険については強く反対がありましたが、私も同じ意見です。そこで、これを推進する大臣あるいは局長、またうしろのほうにいらっしゃる課長の方々は、自分もそういう割増金付の保険に加入しますかどうですか。——局長から。
  186. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 私ども大体もう最高額まで入っておりますし(笑声)簡易保険の職員も大体そういう状況だと思います。もうあんまりこれ以上入れないかい思います。くじ付を買えるかどうか、個々の場合よくわかりませんけれども、簡易保険局の職員に関しましては、上がった場合には当然それは入るかと思いますけれども、いまのところ大体一ぱいじゃなかろうかと思います。
  187. 山田徹一

    ○山田徹一君 笑い話じゃありませんけれども、そのように、どちらかといえば積極的になっていらっしゃらないのですよ、腹の中は。大蔵大臣が言うから、しょうことなしにということになりますよ、先ほどの大臣の答弁を聞いていても。それほど悪法なんだということを自覚して一日も早くこれを取りやめる、これを私は望むわけです。  時間の関係上、これで質問を終わります。
  188. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私は買います。この間も簡易保険に入って満期になったやつを貯金に振りかえたり……
  189. 山田徹一

    ○山田徹一君 ダブついていますか。
  190. 原田憲

    国務大臣原田憲君) ダブついていません。  先ほど申し上げましたように、これをどんどん奨励するものであるとは、正直に言うと、心ならずもと言えという森さんの話でしたが、私はこういう異常なときで、何としても総需要を抑制しなければならぬ、こういうときでありますからこの措置をとったので、決してあおりそそのかしたものではございませんで、人間が持っておる特有の射幸心というものをあおりそそのかしたのではなしに、ささやかな楽しみという面をわずかに入れて、そして無価値な貨幣というものを吸収するという政策でインフレを抑制しょう、こういう目的を達成しようといたしておるのでございまして、御意見でございますけれども、私どもは効果をあげて、そしていわゆる異常な物価というものを抑制したい、このように考えております。
  191. 川村清一

    委員長川村清一君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。−別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  194. 川村清一

    委員長川村清一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。午後五時七分散会      —————・—————